ロスの発生に悩むドラッグストアチェーンのロスマイニングの事例(2018.4)

2018/04/18 / 総合研究室 上級研究員/課長 伊藤 岳洋 プリント

ロスの発生に悩むドラッグストアチェーンのロスマイニングの事例

 皆さま、こんにちは。

 本コラムは、消費者向けビジネス、とりわけ小売や飲食を中心とした業種にフォーカスした経営リスクに注目して隔月でお届けしております。


 今回はロスの発生に悩むドラッグストアチェーンのロスマイニングの事例についてご紹介します。株式会社荻窪ファーマシー(仮称)は、関東地方を中心に百数十店舗を展開している中堅ドラッグストアチェーンです。薬局から創業した同社は、M&Aにより規模を拡大して売上・利益も順調に成長させてきました。一方で、急激な規模の拡大に従業員の教育や内部の管理体制が追いつかず、棚卸では多額のロスを計上する店舗が目立つようになりました。売上の拡大を第一に掲げていた同社ですが、会社の成長ステージが上がるにつれ、そのようなロスも無視できない規模になっていました。売上げ重視の姿勢からロスの改善など管理面の強化をしようにも、そのノウハウに乏しいことから外部機関の力を借りる方針を固め、弊社にコンサルティングの依頼をしてきたのが経緯です。
 同社の特徴を簡単にみていきましょう。同社の創業者は、現在、代表権のない会長職に就いています。代表権は娘婿の社長に委譲したものの、創業オーナーであることは変わりません。自身が薬局を立ち上げ、商売をはじめて同社をチェーン化してきたことから社内外へのカリスマ性を発揮してきましたが、ここ数年は高齢と代表権が外れたことから、そのカリスマ性も薄れてきているのが現状です。その頃、時を同じくして銀行出身の娘婿が社長に就任し、M&Aによる規模の拡大に舵を切ったのが、同社の転換期です。社長は銀行時代のノウハウと人脈を活用して、事業承継問題を抱える中小のドラッグストアを買収していったものです。社長の経営方針は、一言で表すと売上至上主義です。チェーンストア経営はとにかく規模を拡大しなければ、大手に呑み込まれてしまうという焦りにも似た感情が背景にあるのかも知れません。社長に就任してから、厳格な売上目標を導入して毎日のノルマの達成度合いをパソコンでチェックしています。会長と違って小売経験のない社長は、現場を巡回することはほとんどありません。一方で、売上への執着は、データ確認と店長会議での売り上げ不振店舗への叱責にみることができました。そのような環境の中で、店長の意識は売上をいかに伸ばすか、売り上げ目標を達成するかに傾倒していくことになります。棚卸は半期に1回と、チェーン展開している小売業としては少ない頻度です。先に述べたように、棚卸の結果、多額のロスが続くことにより改善策を外部の力を借りて模索しなければならない状況になりました。
 そこで、弊社の店舗に対するロス診断であるロスマイニング®・サービス(LMS)によってロスの原因を構造的に抽出した結果についてみていきたいと思います。店舗を診断(監査)した結果、以下の指摘と改善提案を行いました。


1.防犯設備について

1)店内防犯カメラ関連

 店舗内に設置されている防犯カメラの一部がダミーカメラであるため、本来期待すべき画像による同時・事後のチェック・検証機能が担保されていません。内部・外部を問わず、不正が発生した場合にすぐに発見し対処できる仕組みが、個別事案の解決はもとより、抑止する重要なポイントとなります。レジや売り場だけでなく、バックルーム・倉庫への防犯カメラの設置を強くお勧めします。バックルームは、金庫がありますが、現金の出し入れが録画によって記録できない状況です。売場については、死角と思われる場所を提示しましたので、即座に実施できることとしては、従業員の店舗内移動等の際に集中的に意識していただければと思います。なお、バックルーム・倉庫、売り場に防犯カメラを増設する際にもカメラと死角の位置関係を参考に防犯効果の実効性を担保してください。


2)防犯ミラー

 防犯ミラーについては現在設置されているものは「どこから、どうやって見るのか」という点において、適切な設定がされていません。レジなどの比較的従業員がとどまっている場所から広範囲で見られるように角度や向きを設定し直すことにより、万引き等の抑止効果が期待できます。防犯ミラーの新規設置・設定の修正については、詳細にアドバイスもできますのでご検討ください。


3)レジ周り

 従業員がレジを操作する際には、従業員ごとに割り振られている担当者番号を登録することになっていますが、徹底されていません。レジから離れる際には、担当者番号をクリアし、自分が操作に入るときに担当者番号を再度入力するルールです。ところが、架空の99番を入力しっぱなしで一日の大半を通した日もありました。これでは、現金を扱う際の責任分解点が不明確になってしまいますし、そのような意識の蔓延があらたな不正を誘発しかねません。現に2千円以上のレジ違算(あるべき現金に過不足が生じること)が月次で4件発生しており、そのうちの3件が原因不明であり、不正の可能性も排除できません。誰も担当者番号の入力をしないというルール違反の蔓延が、規範意識を低下させ、規範意識の低下があらたな不正を生み出すという負の連鎖が極めて懸念されます。さらに、レジのドロアー鍵が差しっぱなしのため、キー操作をせずとも中の現金が取り出せます。内部不正という点では、ドロアー鍵による開閉はレジキー操作によるドロアー開閉と異なり、記録が残らない点も管理上の不備と指摘できます。おそらく、作業性を優先したローカルルールと思われます。あらためて、ルールの策定と全店への徹底が必要と思われます。


2.防犯体制

 万引や内部不正に対する店舗責任者の意識が、一般的なそれよりも低いといわざるを得ません。自店の棚卸の結果であるロス額についても正確に把握している店長は少ない状況です。売上の推移は日別で予算との乖離をグラフにして見える化しているのとは対照的です。これは、店舗の統括店長から毎日、同一地域のグループラインで売上について評価されることと無関係ではなさそうです。ロスについては、現状を正確に把握して対策を立て、日常的に取り組む姿勢が不可欠です。


1)万引き対策

 防犯意識を持って接客を行っている従業員はごく一部のみで、通常業務(接客、品出し等)に追われ、よほど目立つ不審者でない限り従業員が警戒・監視する事ができないようです。それは防犯をおろそかにしているということではなく、防犯とは何かが従業員に落とし込まれていないことが原因と思われます。したがって、従業員のお客様へのアイコンタクトによる挨拶や「なにかお探しでしょうか」などの声掛けによる防犯意識の徹底を全店的に落とし込むことが必要です。
 また、レイアウトにおける死角が多数存在しますので、死角を減らす配置の検討と死角を従業員に理解させた上での店内巡回が有効です。
 特に万引きの多い商品を、上位100アイテムなどに絞り集中的に管理することが考えられます。集中管理アイテムを一覧にして店内で共有し、定期的なカウントにより動向を把握することも一案です。しかしながら、労力、手間が掛かりますのでアイテムの幅や確認の頻度は、他の防犯対策と比較衡量のうえ、総合的な判断になるものと思われます。
 いずれにしましても、これらの対策の徹底にはルールの策定とその落とし込みのための教育というプロセスが必要です。


2)内部不正

 現状の体制では、内部不正が発生していても発見することが非常に困難です。システムやマネジメントによるバックチェック機能がほとんどありません。「内部不正の抑止」という視点においては、「(1)不正をさせない体制作り、(2)不正をしてもすぐに発見できる体制作り、(3)不正をした者が適切に懲戒処分を課され、そのことが公表される体制作り」が必要になります。具体的には、仮に不正が起きたとしてもそれを早く発見して厳しい対処を行ない、それが公表される仕組みが重要です。内部不正は「割に合わない」ということを浸透させることが抑止効果を高めます。
 現状の商品の保管状況や、防犯カメラシステムが不十分なことなどを勘案すると、当面はある程度の労力をかけたチェックが必要です。盗もうと思えば簡単に私物と一緒に持ちだせる環境であるため、手荷物検査はやむを得ないと考えます。あわせて、このあたりのルールの策定と実効性の高い運用方法を詰めていく必要があります。


3.在庫管理

 発注、納品、検品、品出し、在庫保管の各業務プロセスの見直しが必要です。これらの業務が密接に関係し合い、過剰在庫による在庫起因コストの増大、ロスの発生につながっています。まずは、適切に在庫管理できるように環境を整備するところから始めるべきです。


1)倉庫・商品ストッカー(商品陳列棚下を含む各ストッカー)の整理
 在庫管理をする環境の整備として5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)を徹底するところから始めるべきです。
 (1)整理:「いるもの」と「いらないもの」を区分して「いらないもの」は捨てること。
 (2)整頓:「いるもの」を素早く取り出せるように置き場所、数量、置き方を決めること。
 (3)清掃:置き場所を清掃し、ゴミ・汚れなしの状態にして、同時に点検すること。
 (4)清潔:ゴミ・汚れなしの状態を保つこと。
 (5)躾:整理・整頓・清掃・清潔が計画通りに実行され、習慣となること。

 5Sの中で最も重要なのは、最初の整理と整頓です。仕入れた時点ではどれも「いるもの」のはずです。それが時間の経過や市況の変化によって、いつしか「いらないもの」になっていきます。整理とは、何が「いらないもの」になりつつあり、または、既になったのかを明らかにする行動です。その際の判断基準もあらかじめ明確にして共有しておく必要があります。そして、その変化を確認するサイクルも決めておく必要があります。そのためには、当事者を明確にすることも必要です。あらためて、在庫責任者を明確にするために適任者を任命する必要があります。また、結果のレビューについては、複数の店舗を統括する立場のマネジメントが適切であると考えます。スーパーバイザーによるマネジメントの強化を検討することも強くお勧めいたします。また、店長をはじめとした店舗だけの自助努力では、一旦の整備は難しいかも知れませんので、店長やその上の階層が集合して実施し、ナレッジ・マネジメント(属人的な知識・ノウハウ等をまとめて共有化、明確化を図り作業の効率化していくこと)の一環として水平展開していくことも一案です。


2)適正在庫へ

 業務フローの中で、発注業務に投入する労力も時間も少なく、発注精度の低さが過剰在庫につながっている面は否定できません。発注は販売の原資であると同時に発注業務の巧拙がロスなどのコストに繋がることを認識すれば、発注業務は業務フローの中でも重要視すべきであることがわかります。現状のシステムを前提とするならば、労力と時間を投入して発注精度を高めるしかありません。ただし、データを活用して発注精度と効率を追求する必要があります。荻窪店において販売上位の単品の実績を降順で確認すると一日の販売が10個を超えるものは10SKUもありませんでした(曜日で実績は異なります)。それ以下の実績は一桁です。すなわち、販売上位単品を集中的に管理して欠品を防げば良いわけです。そのような売れ筋商品に限っては、売場陳列も含めてボリュームの確保が許されるでしょう。具体的にはABC分析(在庫価値の評価/重要度別に段階的な管理手順を適用すること)によって販売動向と在庫の目安を決めて、実際の販売動向を確認した上で発注することになります。全体の20%の商品が80%の売上を作る(パレートの法則)という考え方も効率的な発注業務につながります。
 一方で、システムの改良によって発注精度と効率を劇的に改善できることも視野にいれるべきでしょう。最先端の発注システムは、システムが計算して自動的に発注する仕組みもあります。たとえば、定期発注システムでは発注サイクル期間における販売量に安全在庫を加えたものから現在の在庫量と現在の発注残(納品されてないもの)を差し引いた数量を自動的に発注します。定期発注システムを自動化すると作業効率の向上と過剰在庫の解消が期待できます。なお、適正在庫への取り組みは、(副次的に)本来注力すべき接客時間の創出(捻出)に貢献します。


3)棚卸について

 現状の棚卸頻度については半期に1度です。別項で触れている防犯カメラシステムの不十分さは、不正やミスの日常的な発見を困難にしていることに加え、極端に少ない棚卸頻度では多額のロスが発生しても対策がどうしても遅くなり、不正の温床となります。このような仕組みでは、不正の発見が困難であり、不正そのものを助長することにつながりかねません。直営店でのロスはダイレクトに会社の利益に悪影響を及ぼすことから、棚卸のコストと効果について検討することを強くお勧めいたします。売上規模を勘案すると少なくとも四半期に1度の棚卸が必要と考えます。


4)ICタグの導入

 将来的に有力な選択枝として、無線自動認識(RFID)機能をもつICタグを導入することが考えられます。その導入の大きな目的は、在庫管理とオペレーションの効率化、それに伴うコストの削減です。ICタグを導入するメリットのひとつは、在庫が可視化できることです。カウントを定期的に行うか、ICタグのリーダーを店内にいくつか設置することによってリアルタイムで在庫が把握できます。このように在庫をリアルタイムに把握できることは物流や検品の問題を解消できるほか、機会ロスや廃棄ロス、過剰在庫による在庫起因ロスなどを減らすことにつながります。
 ICタグの導入は防犯面でも有効です。特に高額な商品であったり、比較的規格やパッケージが小さかったりする商品の盗難防止には有効で、貴社の販売する医薬品類には非常に適しています。通常はICタグの価格(一枚10円~20円)が課題になりますが、医薬品の単価(あるいは利益率)を考え合わせれば価格は大きな障害とはなり得ず、導入による効果の方が上回るものと考えます(先ごろ実証実験を行った経済産業省は、2025年に単価を1円にする目標を掲げています)。


4.労務に関するロス

 棚卸の結果にだけ表れる帳簿上の在庫と実在庫との差異だけでなく、オペレーションや働き方に関わるロスについても指摘ができます。


1)本部と店舗のコミュニケーションロス

 M&Aにより店舗数が急増し、これまでの本部と店舗のコミュニケーションの頻度と密度が薄くなっている懸念が従業員のヒアリングからも窺えます。スーパーバイザーの訪問頻度は週に2回から1回程度に減っているものと思われます。週に1回では、新商品や販促施策などの情報伝達が中心となり、それらの仕掛けが適切に売り場やお客様に反映できているかどうかのバックチェックが弱くなります。プロモーションにおいても、メーカーの販促を単に展開するだけで、自店の客層に合わせた効果的な販促展開ができていないように思われます。また、基本の徹底という面では、接客やクリンネスにおいてもチェックと指導が甘くなりがちです。このあたりの世の中の小売業の水準が高くなっていますので、相対的に劣っているとそれでも構わないという客層だけに利用されるという逆選別が起こってしまいます。できるだけ早期に体制を整え、スーパーバイジング機能を強化する必要があります。


2)無駄な残業

 現場の状況を本部として把握すべきと考え、非常に指摘し難いことではありますが、会長の店舗ラウンドが無駄な残業の要因のひとつになっています。創業会長の威光は、古参店長にとっても大きなものです。ところが、会長の時代とお客様のニーズが大きく変化していることも事実です。そのように会長の考えと売れる商品展開との間にギャップが生じているにも関わらず、誰もそれを指摘できないところにロスの要因があります。会長の店舗ラウンドに合わせて会長の意向に沿う売り場に変更し、会長ラウンドが終了したら元の売り場に戻すという作業を繰り返している実態がありました。このあたりは、しかるべき立場の方からデータに基づいての進言が必要と思われます。非常にナーバスな問題ではありますが、放置することで労務問題や企業としてのコンプライアンスが問われる事態にも発展しかねませんので、経営層での対処が求められます。


3)利益重視の体制へ

 売上の管理に重点をおいた管理体制が、現場の疲弊と閉塞感をもたらしていると指摘できます。特に売上目標を達成することが第一であり、それ以外のことは同列に二の次になっている印象が拭えません。セール期間中は、売上目標も高く(前年比からの純増が目標)労働時間を厭わず注力しているのが実態です。また、在庫に関しては極端に機会ロスを嫌いますので、コントロールできないほどの過剰在庫になっています。それがまた、過重労働を生む原因にもなっています。
 さらに売り上げ目標を達成すればするほど、次の高い目標を生み出す管理方法は、現場の閉塞感につながり、従業員の定着に支障をきたす要因にもなっています。それが、店長の負荷を増やす悪循環にあると指摘できます。実力の伴わない売上伸長の追求は、いずれどこかにほころびが生じてしまうものです。売上の追求から利益重視の姿勢に転換することで会社もそこで働く従業員にも長期的な効用を得られるのではないでしょうか。このような姿勢は、社会の要請ともかなりの割合で合致するものと思われます。商品に関するロスや労務に関するロスにも目を向けた体制への転換を強く推奨致します。


5.最後に

 防犯設備、防犯体制、在庫管理、労務管理のそれぞれにおける課題の抽出とそれに対する提案をしましたが、優先順位の決定とそれに合わせた対策(できるところから)を確実に実施していくことでロスを削減できます。一方で、管理を強化することは相応のコストが発生します。どこまでコストを掛けて管理をするかは、効果とのバランスになるものと思われます。また、それらを実施していくにあたり、ルールの策定とその落とし込み・教育、そしてバックチェックの体制作りのプロセスが欠かせません。それらの具体的な実行に弊社がお手伝いできるところがありますので、ご相談いただけると幸いです。


 尚、本編は弊社の店舗診断の経験に基づく内容ですが、フィクションです。

注目トピックス

◆食品の賞味期限延長、食品ロス削減へ

 セブン―イレブン・ジャパン(セブンイレブン)は、サンドイッチの主力品で賞味期限を3割伸ばすことを決めました。製法の変更によって、時間が経っても味や食感が落ちないようにしたということです。売り上げのもっとも多い「ミックスサンド」と3番目に多い「シャキシャキレタスサンド」が対象です。この2品でサンドイッチ全体の売上の約3割を占めるといいます。いずれも素材にレタスを使うことが共通しており、パン生地がレタスの水分を吸い込んでしまうため、長時間保存するとパンが湿り味や食感が変わっていました。これを小麦粉の配合を1割超増やすことで生地のしっとりとした食感を保ちながら賞味期限を伸ばしたものです。同社が埼玉県の店舗で実験販売をしたところ、2品の販売は約2割伸び、サンドイッチ全体では約1割伸びたようです。セブンイレブンの年間のサンドイッチの売上は1300億円と見込まれますので、単純計算では130億円のチェーン全体の増収ということになります。
 これは、チャンスロスの改善による結果でしょう。平均的な店舗ではサンドイッチのもっとも売れる時間帯は朝であるため、品揃えも朝を重視する傾向にあり、夜の品揃えが弱くなりがちでした。賞味期限の延長により結果として売上の増加につながったものです。
 一方で、販売時間が長くなることで廃棄の削減にもつながったようです。実験販売の結果、1店舗あたりのサンドイッチカテゴリーの廃棄は5%削減した模様です。セブンイレブンの例では、素材の見直しによる賞味期限の延長でしたが、イオン傘下の総合スーパーでは、酸化や細菌の繁殖を抑える包装を採用して賞味期限を伸ばしています。鮮魚や精肉の100品目以上を対象に新包装を採用しました。その結果、商品の種類により異なるものの、1.5倍程度に賞味期限を伸ばせた模様です。ファミリーマートでは、17年9月から窒素ガスを充填した容器に入れた惣菜を発売し、賞味期限は2日前後から約5日に伸ばしました。フランチャイズチェーンにおいては、商品の発注権限は独立の事業主であるオーナー側にあります。商品にチャンスロスがあったとしても、本部として発注量を増やすことはあくまで提案であり、チャンスロスの改善は容易ではありません。商品の賞味期限を延長によって、チャンスロス削減により売上の増加につながるというメリットは、チェーン本部にとっては、社会的な課題への貢献と合わせて一石二鳥となります。
 このような容器包装の高機能化により「食品ロスを削減した事例」は、農林水産省のホームページでも紹介されています。
 容器を二重にして酸素を遮断し、食品の劣化を抑える方法やフィルムを多層化することで結露を防止したり、フィルムにミクロの穴を開けて酸素の透過量をコントロールする方法などにより食品ロスの削減につながっています。容器包装の高機能化と合わせて、いわゆる3分の1ルールといった流通の商慣行の見直しによって食品ロスの削減の取り組みが拡大しつつあることを示しています。行政とメーカー、小売が協力しあって、621万トンとも推定される食品ロスの削減を加速させることは、食品に関わる業者としての使命と考えるべきだといえます。


 
◆セルフレジ利用動向調査、インステージ調べ

 市場調査会社のインステージは、深刻化する人手不足を補う手段として、商品のスキャンから会計まで買い物客自身で行なう「セルフレジ」の動向調査を行なっています。

▼インテージ セルフレジはどこまで浸透したのか?~導入・利用実態と、消費者が感じるメリット・デメリット~

 今回の調査は「商品のスキャン、会計をすべて買い物客自身で行なうレジ」を「セルフレジ」と定義して対象としており、精算のみ買い物客自身が行なう「セミセルフレジ」は対象外としています。このような調査は、小売業や外食産業を中心に人手不足を補う手段として「セルフレジ」を導入する小売業者が増えつつあることが背景にあります。
 認知・利用経験については、小売業者が「セルフレジ」の導入を進めている状況にあるためか、買い物客の「セルフレジ」に対する認知度は、全体で9割を超える高い認知率でした。利用経験がある人も7割と高い結果でした。性年代別では男性に比べて買物の頻度が高い女性は、認知度、利用率ともに高い傾向です。また、男女共に20代の若年層で利用率が高く、特に男性で年齢が上がるにつれて利用経験率が低くなる傾向です。若年層の利用率の高さは、レンタルショップにおける「セルフレジ」の普及が関係しているかも知れません。
 地域別では、利用率が最も高いのは「東北」で82.3%、次いで「北海道」の76.6%、「中部」の72.9%と続く一方、西日本エリアでは相対的に利用率が低い傾向にあります。東北エリアでの利用率の高さは、東日本大震災後の人手不足を背景に、スーパー等での「セルフレジ」の導入が拡大したことが要因のひとつとして考えられます。
 利用経験の業態別では、「スーパーマーケット」が9割と突出しています。それ以外では、「レンタルショップ」11.0%、「衣料品店・アパレルショップ」9.7%と続きます。2025年までに全店舗にセルフレジを導入することをコンビニエンス・ストア大手5社が発表していますが、「コンビニエンス・ストア」は、現段階では4.1%に留まるという結果です。これは現在、実験検証段階にあるためで、導入し始めるとコンビニエンス・ストアではセルフレジに一気に刷新されるものと思われます。
 スーパー等で買い物客が「セルフレジ」を利用するメリットを聞いてみると、「対面レジより空いている」「対面レジより早く会計できる」「自分ペースで会計できる」など、時間的なメリットがいずれの年代においても上位にあがっています。一方で、「うまくスキャンできない」「バーコードが無い商品が面倒」など操作に関する不満が上位にあがっています。
 グローバルに目を向けると、中国で普及しているスマホ決済や米国の「レジレス」が話題にのぼるなど、小売業を取り巻く環境はますます変化しています。これらの変化によって「操作に関する不満」は一定程度解消されるかも知れません。一方で、機械の高度化は、高齢者など一部の客層にとって利用し難くなる面も懸念されます。単に人手不足の解消手段というよりも業態や客層に合わせた機械の高度化をしていくという顧客満足の視点が重要だと言えるでしょう。


ロスマイニング®・サービスについて

 当社では店舗にかかわるロスに関して、その要因を抽出して明確化するサービスを提供しております。ロスの発生要因を見える化し、効果的な対策を打つことで店舗の収益構造の改善につなげるものです。

 ロス対策のノウハウを有する危機管理専門会社が店舗の実態を第三者の目で客観的に分析して総合的なソリューションを提案いたします。店舗のロスに悩まされてお困りの際には是非ご相談ください。


【お問い合わせ】

株式会社エス・ピー・ネットワーク 総合研究室

Mail:souken@sp-network.co.jp

TEL:03-6891-5556

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