コンビニエンス・ストア(コンビニ)の24時間営業 (2019.4)

2019/04/15 / 総合研究部 上級研究員/部長補佐 伊藤 岳洋 プリント

コンビニエンス・ストア(コンビニ)の24時間営業

 皆さま、こんにちは。

本コラムは、消費者向けビジネス、とりわけ小売や飲食を中心とした業種にフォーカスした経営リスクに注目して隔月でお届けしております。


 今回は、コンビニエンス・ストア(コンビニ)の24時間営業について考察をしてみたいと思います。24時間営業を巡りセブンイレブン本部と大阪府東大阪市のフランチャイズ加盟店との対立が報道されたことをきっかけに、24時間営業の見直しの議論の波紋が広がりました。加盟店オーナーは19時間に営業を短縮し「本部から違約金は1700万円と言われた」と話しました。背景には人手不足があり、加盟店オーナーが28時間働いたこともあったとのことです。本部側は加盟店オーナーに、契約違反状態が続くと契約解除になり得るという点と違約金が発生する可能性について説明したと釈明しました(後にセブンイレブン本部は、営業短縮を理由に契約違反になる可能性についての言及を撤回しました)。本部側には契約というシステムの根幹の部分での妥協は、いわゆる「蟻の一穴」でフランチャイズ・システムの崩壊につながるという危機感があったことは容易に想像できます。本来、通常の運営のなかに限っていえば本部と加盟店オーナーの関係は信頼が基礎であり、契約を盾に争うのは最終手段です。本部側はオーナーの発していた端緒を見逃していたか、軽視していた可能性があります。もしくは、難しい気質のオーナーのわがままとして、強硬に跳ねつけたのかも知れません。いずれにしろ、加盟店オーナーが報道に訴えたことで、本来、契約という2者間の問題(*1)であるにもかかわらず、社会的に大きな注目を集めた結果、本部側も動かざるを得ない状況に陥りました。現場のリスクの芽を認識できなかったということになるでしょう。セブンイレブン本部は、3月中旬から時短営業の実験を始め、当初予定していた直営店に加盟店を加える方針に軌道修正しています。加盟店からの希望や店舗の立地などの状況を踏まえ、実験の対象とする店舗を決めるといいます。


 このような方針ですが、なお「決して24時間営業の原則を変えるわけではない」とセブンイレブン本部が強調するには理由があります。コンビニのフランチャイジングの独特の会計方式や高度な物流システムなどとともに高収益を支えてきたのが、24時間営業です。高収益のビジネスモデルを支えている原則を、簡単には変えられない事情があるのです。


 一般にフランチャイジングの組織は、フランチャイザー(本部)とフランチャイジー(加盟店オーナー)が独立した組織としてリスクを負担する単位であること、フランチャイズ・システム内において機能を分担する相互組織であること、組織関係を事前に調整する手段として契約を持つこと、そして目的を共有し、それを達成するために競争単位として資源を投入する競争的組織であるという特徴を持ちます。すなわち、フランチャイジングは競争単位であることが強調され、全体の目的のために構成員の自主性(自由)は制限され得ると考えられています。この前提に立って、ビジネスモデルを支ええているコンビニ独特の仕組みを見てみましょう。


 セブンイレブンをはじめ、フランチャイズ方式で店舗展開する大手とされるコンビニは漏れなく、「粗利益分配方式」と呼ぶ会計方式を採用しています。店舗の売上高から商品原価(売上原価)を差し引いた粗利益を加盟店と本部で分け合うものです。加盟店と本部ではフランチャイジングにおける機能を分担しているため、店舗で稼いだ粗利益は共同の成果であるという考え方に基づいています。粗利益における本部の取り分を一般的にはチャージと呼んだり、ロイヤリティと呼んだりします。ロイヤリティの徴収方式としては、「粗利益分配方式」のほかには「売上分配方式」、「定額制」などがあります。「売上分配方式」は、売上高に応じて一定割合を徴収する方式ですが、コンビニのなかでは少数派で全体の2~3割くらいです。「定額制」の採用はごく一部です。ロイヤリティの計算方法は、契約のタイプによって異なりますが、大多数を占める本部が店舗を用意する(本部が地主と賃貸借契約を締結して、加盟店オーナーがその店舗の営業権を得る)タイプでは、粗利益の大きさによってロイヤリティの料率を段階的に逓増させる形式が多いです。セブンイレブンの2018年2月期の平均日販は、既存店が653千円で、新店(13ヶ月未満)が546千円です。単純化のため、日販600千円で損益を計算してみましょう。月の営業日数を30日とすると、月商は18,000千円です。粗利益率を35%とすると粗利益は、6,300千円となり、これを加盟店と本部で按分することになります。セブンイレブンのロイヤリティ率は、前述したとおり粗利益額の大きさによって段階的に逓増していきます。たとえば、セブンイレブンの料率に当てはめると粗利益6,300千円のうち、2,500千円までの部分のロイヤリティの料率が56%(1,400千円)、2,500,001円から4,000千円までの料率が66%(990千円)、4,000,001円以上5,500千円までの料率が71%(1,065千円)、5,500,001円以上の料率が天井無しで76%となっており(608千円)、6,300千円の粗利益に対するロイヤリティの合計は、4,063千円(1,400千円+990千円+1,065千円+608千円)となります。ただし、セブンイレブンでは2017年9月より始まった特別減額チャージとして1%、さらに24時間営業の場合は2%のロイヤリティの減額があります(詳細後述)。減額分は189千円となり、ロイヤリティは3,874千円となります。細かい条件では、5年(経過)インセンティブ、15年契約更新インセンティブ、複数店経営のインセンティブなどの数%ロイヤリティ率を下げる加盟店への優遇策がありますが、ここでは省略します。


 したがって、加盟店の粗利益の取り分は減額分を考慮すると2,426千円となります。この事例の場合、結果として、本部が約61.5%、加盟店が約38.5%の粗利益の按分となります。ロイヤリティ率は粗利益が大きくなるほど、一定の率で逓増することから粗利益が大きくなるほど、本部の取り分が大きくなる仕組みです。それぞれの取り分からそれぞれの経費を差し引いた残りが営業利益と考えてよいでしょう。本部は、3,874千円のロイヤリティ収入から本部が用意した店舗の家賃(最大の経費)、販売什器や冷蔵冷凍ケース、システム機器のリース料、スーパーバイザー等の人件費、按分付加する本部運営費などを差し引いて店舗段階の収支を確定させます。一方の加盟店は、2,426千円の収入から店舗運営に掛かる経費を差し引いたものが加盟店オーナーの利益となります。加盟店の三大経費は、人件費と廃棄費、棚卸しロスです。人件費については、従業員を各時間2人、24時間配置すると48人時必要になります。ただし、加盟店オーナーと履行補助者(セブンイレブンの場合は配偶者または三親等以内の血族などを履行補助者として契約時に指定する)がある程度カバーする前提では、余裕をみても労働力は40人時程度には削れます。平均時給を単純化のため1,000円(首都圏なら実際には1,080円位でしょう。深夜時給1.25倍を含む)とすると、1日あたり40千円、月間で1,200千円となります。廃棄費(廃棄する商品原価)が300千円のうち、本部が原価の15%(45千円)を補填するので廃棄費は255千円、棚卸しロス(月商の1%とすると)が180千円とすると三大経費だけで1,635千円です(実際には棚卸し月以外の月で棚卸し引当金を計上して棚卸し月にロスと相殺します)。その他200千円(水道光熱費の20%負担、レジ袋などの消耗品や販促費、ゴミの処分費等々)とすれば経費の合計は、1,835千円となり、加盟店の利益は591千円です。


 さらに、コンビニの会計方式のなかには、オープンアカウントといういわゆる自動融資システムがあります。商品の仕入れに掛かる商品原価代や人件費(従業員の給与)を含む経費の支払いは、全て本部が決済代行するこのオープンアカウントを通じて決済されます。新規開店時には、商品原価代金5~600万円程度が一気に積みあがります。貸借対照表上は、これは加盟店オーナーからみて、資産であると同時に負債でもあります。ただし、小売店経営に関わる一切の資金繰りや会計の仕分け、帳票類の記帳などから開放され、販売に専念できるメリットも大きいといえます。このオープンアカウントは経営を続ける限り、日々増減を繰り返します。ただ、販売が好調なら、原価(仕入れによる負債計上)と売価(本部への入金による負債返済)の差額があることと、後述するオーナー利益から2割の返済によって、数年でオープンアカウント残額がゼロ付近の増減に収束していきます。オープンアカウントの額がゼロまたはマイナスの場合(月次で加盟店にマイナス分が返却送金されます)を除き、加盟店の利益額の8割が本部から加盟店オーナーに取り分として送金され、残りの2割はオープンアカウントの返済に回されます。この事例でオープンアカウントの返済がある場合、オーナーの口座には472千円の送金がされることになります。


 加盟店オーナーはこの2人分の稼ぎから税金や社会保険料などを除いたものが実質の手取りという計算です。どうでしょう、思ったほどには儲からないという印象ではないでしょうか。多くの経費項目は固定的に掛かってきますが、三大経費は管理次第でコントロール可能な経費ということができます。これらのコントロール可能費は、削減すれば加盟店オーナーの利益は増加します。特に品揃えの結果である廃棄費は、短期的には加盟店オーナーと本部の思惑が一致しないケースが多いように思います。極端に表現すれば、加盟店オーナーは、廃棄費は限りなくゼロに近づけたいと思っています。本部側は、機会ロスを撲滅したいと思っています。本来、スーパーバイザーは、加盟店オーナーの利益と本部の利益の最大化がミッションです。効果的な投資による品揃えの追求、その結果である顧客満足なくしては売上が伸びていかないのも事実です。しかしながら、スーパーバイザーはともすると本部の利益を優先しがちになります。「他人の褌で相撲を取る」という言葉は、フランチャイザーのなかでスーパーバイザーへの戒めとして使われてきました。共存共栄なくして、持続可能なビジネスモデルではありません。


 ただ、人件費については廃棄費と同様に加盟店オーナー負担であることは変わらないものの、本部の指導・介入度合いは低く、採用や育成についても加盟店オーナーの責任という意識が本部側に少なくありません。しかしながら、人手不足による時給の上昇により加盟店オーナーの経営環境は極めて厳しくなっています。特に、都市部で働くパート、アルバイトの時給はすでに最低賃金を大きく上回る傾向が続いています。三大都市圏(首都圏、東海、関西)での募集時の平均時給は3月で1,044円まで上昇しています(リクルートジョブズ)。また、新店を立ち上げる際には、まとまった人数のパート、アルバイトを採用することが多い小売業や飲食業では、採用不足を避けるために既存店よりも高い募集時給を提示していることが筆者の経験からも推測できます。比較的流動性の高い労働力であるパート、アルバイトの争奪戦のなかで新店の時給上昇がさらに近隣の既存店への時給の上昇圧力となる時給上昇の連鎖の構造が窺えます。10年近く前と比べると人件費は2~3割程度大きくなっています。コンビニの店舗数が増えるなか、1店舗当たりの売上が頭打ちになる一方で、人件費の上昇が経営を圧迫しているのが現状です。加盟店オーナーの不満の声が高まるなか、セブンイレブンは、24時間営業の原則を守るため、人手不足による加盟店オーナーの人件費増加に対して、17年9月にロイヤリティの料率を創業来初めて1%(24時間営業の場合はさらに2%)引き下げるという禁断の手段を打ちました。ただし、加盟店オーナーにとっては、本部にとっての英断も社会環境の変化への対応としては、不十分に映るでしょう。筆者の経験においても、週に2回も3回も深夜勤務をして経営を維持せざるを得ない苦しい加盟店オーナーがいました。


 「粗利益分配方式」という会計方式の説明でお分かりのとおり、店舗運営経費が加盟店オーナー持ち(本部が店舗を用意する契約タイプは水道光熱費の80%は本部負担)のなかで、売上、粗利益の減少は本部のロイヤリティ収入の減少に直結し、チェーン全体の減収減益を招くため、本部は24時間営業の原則を変えたくはありません。仮に24時間営業から深夜営業を取りやめた閉店制に移行した場合、閉店中の売上だけでなく、その前後の時間帯を中心とした営業中の売上の減少は高い確率で起こることは経験則として分かっています。立地や客層にもよりますが、少なくとも日販の1割程度は減少する可能性が高いといえます。売上が減少すると同時に深夜時間帯の人件費が減少するため、短期的には利益を確保できたとしても、それは縮小均衡による利益確保であり、長期的には成長を阻害する要因となり得ます。報道では、先述の営業時間の変更をした店舗オーナーが、「売上は下がったが利益は変わらない」旨の説明をしていますが、それは、契約変更をしていないため24時間営業に適用されるロイヤリティ率が前提と推測されます。一般に閉店制のロイヤリティ率は、24時間営業に比べて、数%高く設定しているのが通常です。24時間営業を原則とするため、または、歴史的に24時間営業へ誘導するため、ロイヤリティ率に差を設けたと考えられます。24時間営業を見直す場合、このようにロイヤリティ率に差を設ける可能性があります。そうなると、先述の店舗オーナーの現状維持の想定は成り立たなくなります。


 次にコンビニのビジネスモデルを支えている仕組みのひとつである高度な物流システムの面から見てみましょう。米飯やチルド商品の店舗への配送は、1日に3回あります。他の小売業よりも明らかに高頻度です。なぜ高頻度にしているのかといえば、発注から納品までのリードタイムを短くすることによって、予測を実需に近づけるためです。そのために、店舗を束ねた地域ごとに専用食品工場を建設して高頻度配送を実現しています。2019年2月号の本コラムでも取り上げた「消費の瞬間に生産の意思決定を近づける(遅らせる)ほうがよい」という延期の原理という考え方に基づいています。さらに、飲料や菓子、雑貨といったドライグロッサリーの配送、新聞雑誌の配送がそれぞれ加わることになります。5回の配送ごとに、検品、売り場への陳列、倉庫へのストック(ドライグロッサリー)、配送番什(ケース)や段ボールの片付けなど作業が発生しています。深夜時間帯には、特に物量の多いドライグロッサリーと雑誌・新聞、さらに米飯・チルド商品の1回の納品を処理しています。さらに、販売やお客様への影響が少ないという理由で、焼き鳥やチキンなどの販売什器やフライヤーの清掃、フロントガラスやルーフ看板の清掃なども一般的には深夜時間帯の作業としてワークスケジュールを組んでいるケースが多いでしょう。つまり、閉店制にしたとしても、閉店中の時間全てを無人にすることは、現状の仕組みからすると難しく、納品処理や清掃などの作業は閉店中に続けなければならない可能性があります。チェーン全体で閉店制に対応した効率的な配送の仕組みに組み替えることは、とてつもなく大変な変更になります。それこそ、ビジネスモデルの変革といえるレベルです。セブンイレブンは、個店の商圏や顧客のニーズに合わせて、柔軟(個店ごと)に判断していく考えを示しています。一般に閉店制の店舗には、チルド商品を保管する保冷庫を店外に設置して、納品業者がその保冷庫に商品を保管・施錠する対策を施しているケースが多いです。物量への対応のため複数台の設置とその場所の確保、鮮度保持や衛生への十分な対策が必要になります。現実的には、これらに対応する店舗数は限定的にならざるを得ないでしょう。そのようなチルド商品への対応ができても、ドライグロッサリー商品の納品時間の問題が残ります。深夜帯を除く時間に変更しなければなりません。閉店制にする店舗が地域内に点在することは、ある店舗は営業していない、ある店舗は営業しているため、一律にルートを設計できないことを意味し、これまでのドライグロッサリーの物流体制では対応できません。繰り返しになりますが、かなり難しい変革といえるでしょう。


 さらに、消費者は閉店制の店舗と24時間営業の店舗の正確な認識が難しく、当てにされなくなることから、閉店制店舗だけでなく近隣の24時間営業の店舗の深夜帯付近の売上も減少する可能性があります。仮に「柔軟な対応」をするとしても、地域やエリアごとにまとめて閉店制にせざるを得ないのではないでしょうか。


 このようなさまざまな理由が、本部が24時間営業の原則を変えたくない根拠になっているのです。このあたりは、消費者には見えにくいところですので、新聞記事も含めて感情的な議論が先行しているように思います。


 加盟店オーナーの訴えに適切な対応を欠いたことが原因と考えることができる異例の人事が発表されました。3月18日付けで、取締役常務執行役員オペレーション本部長として加盟店対応をつかさどってきた大村利彦氏をオペレーション部長に降格、4月4日に古屋一樹社長が退任し、後任に松永文彦副社長が昇格する人事を決めました。24時間営業の問題など現場のトラブル報告が経営陣まで迅速に上がってこない体制を問題視したものと考えられます。同社の厳しい社風を象徴する対応です。


 ただ、誰かの犠牲のうえに成り立っているとする利便を享受することは正しくないという「社会の常識」が報道機関の世論調査を通じて示されたことも大きいでしょう。合法であっても社会常識と乖離があればコンプライアンス問題と捉えられます。過去に見切り販売制限訴訟に本部が敗訴し、苦肉の策で廃棄商品原価の15%を支援する制度を導入した苦い経緯もあります。標準化した商品、サービス(含営業時間)の実現はメリットであり、絶えずフランチャイジングの課題でもあります。一般に成熟した加盟店は、自己の努力の過大評価やコントロール幻想に陥りやすいものです。このバイアスはフランチャイジングのもつ制約から自由であろうとします。一方で、本部にとって風評や訴訟は経営資源を蝕みます。不満を抱えた加盟店は障害となるだけでなく、フランチャイジングそのものを破壊します。フランチャイジング全体の利益を高める為には、コミュニケーションの円滑化によって積極的な解決策を探る必要があります。


注目トピックス

経産省、「コンビニエンスストア加盟者の取り組事例調査」結果公表

 経産省は、「コンビニエンスストアは国民生活に欠かせない社会インフラのひとつとして発展・定着」する一方で、「近年コンビニエンスストアを取り巻く環境は変化しているため、経済産業省では社会インフラとしてのコンビニエンスストアの今後の方向性を探るため」に、対象の30,757人のコンビニ加盟店オーナーに対して、協会および本部を経由して経産省設置のWebページに直接回答する方法で調査を実施しました。


 11,307の回答があり、回答率は36.8%となりました。回答者の属性データを見ると、40歳以上50歳未満が30%と最も多く、次いで50歳以上60歳未満が27%、30歳以上40歳未満が19%、60歳以上70歳未満が17%の順です。50歳代と60歳代の加盟店オーナーは、実際の構成よりも少ない印象です。これは、経産省のWebページに自らアクセスして回答するという回答方法の影響ではないかと推測できます。経営する店舗数については、1店舗が59%、2店舗が23%、3店舗以上が18%と4割を超えるオーナーが複数店舗を経営しており、急速に複数店経営が進んでいることを示しています。これは近年の旺盛な新規出店と相対的な加盟者不足による当然の帰結です。店舗数の増加により同一商圏内の店舗間競合の激化によって、加盟店オーナーの収入の減少を複数店経営により補っている現状が見えてきます。また、経営年数(複数店経営の場合は最初の契約時からの経過年数)は、10年以上20年未満が31%と20年以上の19%と合わせると50%になり、契約更新をしているか、あるいは、契約更新をもうすぐ控えているという比較的「ベテランオーナー」が半数を占め、「店舗経営の成熟期を迎えているオーナー」の回答が多いと言い換えることもできます。売上については、「減少した」が50%と、「増加した」の31%を大きく上回り、厳しい競争環境を裏付けています。


 「加盟したことに満足しているか」という満足度を問う設問では、「概ね満足している」との回答が45%と最も多く、「大変満足している」と合わせて53%に達しています。一方で、「満足していない」との回答が39%を占めています。満足していない理由として、「想定よりも利益が少ない」(3,644人)、「労働時間、拘束時間が想定していたより長すぎる」(3,014人)が上位を占めています。


 事業収益が期待もしくは予想を下回り、フランチャイジングに対する満足度が低い場合、加盟店はその原因を本部やフランチャイズ・パッケージに求め、スーパーバイザーの指導に耳を貸さなくなります。特に「店舗経営の成熟期を迎えているオーナー」は、フランチャイズ・パッケージに習熟しており、現場の知識はスーパーバイザーを越える能力をもっている場合も少なくありません。満足していない理由の他の回答に、「自らの営業成績UPを目的とした本部指導員の指導」が挙げられているように、スーパーバイザーの目が顧客や加盟店を向いているのか、自身の利益に向いているのかを成熟したオーナーは敏感に見分けます。本来、フランチャイズ・パッケージは、あくまでビジネスシステム、ノウハウの基本と実施権に限定されるシステムであり、それらを加盟店が経営の現場で活かすためには、自店の環境に適応させる必要があります。すなわち、本部はスーパーバイザーを通して、フランチャイズ・パッケージを競争優位の源泉となりうるツールに昇華させていく意図的な努力を行わなくてはなりません。


 また、「労働時間、拘束時間が想定していたより長すぎる」との回答から人手不足とそれを経営者がカバーしている状況が推測できます。本部への要望として、「店舗で人員不足した際に、人材を派遣するといった支援をしてほしい」(6,902人)が最も多く、このような環境と従来の役割と違った支援を求めていることが分かります。さらに、今後の経営で不安を感じることに対しては、「従業員(パート・アルバイト含む)の費用が上がること」(9,042人)、「従業員(パート・アルバイト含む)を集められないこと」(8,874人)と人手不足に関する回答が上位を占めます。


ファミリーマート、24時間営業見直しの実験

 ファミリーマートは6月、24時間営業の見直しを視野に入れた店舗の運営実験を、地域や曜日を限って行うと発表しました。約270店舗の加盟店に対して参加を募り、数十店舗とセブンイレブン(3月に直営店10店舗で実験を開始し、順次加盟店にも広げる)を上回る規模となる見込みです。実験は、東京都文京区や千代田区の一部と長崎県諫早市や雲仙市などで日曜日の深夜時間帯を閉店するという内容と東京都豊島区の池袋周辺や秋田県南部の地域を対象とした深夜・早朝営業時間短縮という内容です。これまで全国で数店舗の営業時間短縮の実験をしてきましたが、地域内の店舗が揃って営業時間を短縮すると、売上や利益にどのような影響や効果があるのかを調べるといいます。同時に、物流の変更や本部の収益の変化についても調べる予定です。セブンイレブンの実験よりも踏み込んだ内容で、フランチャイズ契約内容の変更も視野に入れています。これまでは、セブンイレブンのビジネスモデルを模倣することが2番手の戦略と公言してきましたが、ビジネスモデルの転換点になり得る困難な状況に、「ゲームのルールを変えたい(ユニーファミマ幹部:日経新聞、4/11付朝刊)」とコメントしているように、新しいビジネスモデルをリードしたいという思惑が背景にあるのではないでしょうか。ファミリーマートは、店舗数こそ業界2番手とはいえ、セブンイレブンとの販売力や商品力の差は歴然としており、いわゆるピンチをチャンスと捉え、競争優位となる戦略の模索に動いたと考えられます。ただし、実験から消費者や加盟店オーナーからみて魅力的で競争持続性のあるビジネスモデルや戦略が導き出せるかが重要になります。


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(*1)フランチャイズ契約は、フランチャイザーである本部と個別の加盟者との「2者間の契約」ですが、商品、サービスの標準化というフランチャイジングの特徴から、1店舗で起きた事象(特に悪い事象)が他の加盟店(チェーン全体)にも強く影響を及ぼします。このことからフランチャイズ契約は、「3者間契約」といわれることもあります。 本文へ戻る


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