ロスマイニング トピックス

万引きによるロスの原因と食品ロスへの取り組み

2019.06.18
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総合研究部 上席研究員(部長) 伊藤岳洋

 外国人のあらたな在留資格である「特定技能 (*1)」が4月より運用が始まっていますが、東京と大阪で実施したその資格試験は予想を上回る応募があり、希望しても全員が受験できない状態となりました。4月25日に実施された外食の資格試験では、当初定員を340名としていましたが、3月の募集開始の時点から応募が殺到し、1日足らずで枠が埋まってしまい、約千人が受験できるように追加枠を準備したといいます。それでも、まだ十分には足りないようです。今月の24日から28日に札幌、名古屋、福岡などの7都市で2千人規模の試験が実施される予定です。合否は7月下旬の発表です。

 4月の特定技能試験では、460人が受験し(キャンセルに経済的ペナルティがない制度から未受験者も多かった=本当に受験したい人が受験できなかった)、347人が合格、合格率は75.4%という結果でした。上位の国別ではベトナムがもっとも多く203人、次いで中国が37人、ネパールが30人となっています。合格者は、日本語技能に関する試験への合格と企業との雇用契約などの条件が整えば、在留資格を得ることができます。制度の特徴としては、国内に在留している外国人だけでなく、海外から採用するケースを想定していることも挙げられます。

 また、外国人労働者の受け入れ機関となるためには登録のための基準(1)(2)と支援機関の義務(3)(4)の4つの要件を満たす必要があります。

  • (1)報酬額が日本人と同等以上であるなど、外国人労働者と結ぶ雇用契約が適切であること。
  • (2)過去5年以内に入管法や労働法令への違反がなく、受け入れ機関自体が適切であること。
  • (3)外国人労働者が理解できる言語でなど、支援体制が整っていること。
  • (4)生活オリエンテーションなどを含む、外国人労働者を支援するための計画が適切であること。
  • (1)(2)を怠ると登録を取り消されることがあります。

▼法務省HP

 あらためて特定技能資格について確認してみましょう。これは、改正出入国管理法に基づくあらたな在留資格です。人手不足が深刻な14業種で、即戦力となる外国人に認められる在留資格です。日本語能力と技能の試験に合格すると最長5年間働けるビザを取得できるというものです。これまでは、飲食店やホテルが外国人を雇用しようとする場合、留学生を資格外活動として認められる週28時間の制限下でアルバイトとして採用するか、「技術・人文知識・国際業務」のビザを取得させるかしかありませんでした。ただ、このビザは高い専門性が要求され、取得要件が厳しく現実的ではありませんでした。

 先に述べたように、政府は海外での試験を増やす方針ですが、現時点で試験開催に必要な協力覚書を交わしている国は、フィリピンとネパール、ミャンマー、カンボジア、モンゴルの5カ国にとどまっています。人材供給元として期待しているベトナムとは交渉が想定どおりに進んでいません。モスフードサービスは試験を見込んで、子会社を通じてベトナム人受験生を20人強あらかじめ確保していましたが、そのような想定外の事態に見舞われ、受験生は日本語学校などに通ってもらっているといいます。

 労働集約的なサービス業ではすでに多くの外国人アルバイトなどが働いています。居酒屋などの外食では、厨房の担当者や店長など社員格の人手不足も深刻です。あらたな資格制度は、そのような産業にとって問題を解決するひとつの手段として、制度活用に真剣に取り組んでいる企業も少なくありません。また、受け入れ企業の体制整備は、制度活用の土台となるため、誠実な努力をしていく必要があります。技能実習法に基づく、技能実習制度では、受け入れ企業側の制度への理解不足から単に安い労働力として実習生を扱うなど社会問題にも発展しました。ただ、特定技能制度自体が認知されていないとの声も多く、学校や外国人への情報提供に注力し、制度の正しい理解を促進することが、行政に求められます。

ロスマイニング®・サービスについて

 当社では店舗にかかわるロスに関して、その要因を抽出して明確化するサービスを提供しております。ロスの発生要因を見える化し、効果的な対策を打つことで店舗の収益構造の改善につなげるものです。

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TEL:03-6891-5556

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(*1)特定技能1号:特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
特定技能2号:特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
特定産業分野:介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設・造船工業、航空、宿泊、漁業、飲食料品製造業、外食業
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