三匹(?)が語る!HRリスクマネジメント相談室(3)「私生活における犯罪」(2018.12)

2018/12/26 / 総合研究部 プリント

 職場におけるトラブルは複合的。社内の様々な関係者の協力を得て、複数の視点で捉えなければ、解決が難しい問題も多々あります。でもやっぱり最後は「人」!HRリスクマネジメントが重要です。

 職場における様々なトラブルを解決すべく、今、エス・ピー・ネットワークに生息する動物たちが立ち上がりました!初動対応や法的な責任、再発防止など、三匹それぞれの観点から熱く語ります。


【今月の三匹・プロフィール】

酉爺(とりじい):
普段は鶴で、週末はフラミンゴ(?) 下町生まれの下町育ち。寅さんやたけしさんに通じる素養を持つコンサルタント。昨年、赤いちゃんちゃんこに袖を通す。

イノシシさん:
森の音楽隊のトランペット吹き。3度のご飯よりとんこつラーメンが好き。リスクマネジメント関連の業界紙で働いていました。皆さまよしなに。

ネコさん:
猫なで声と鋭い爪をあわせ持ち、企業内での人事実務経験が豊富。社会保険労務士で、産業カウンセラーでもある。コンプライアンス違反を放置したら、「シャーッ!」ってしますよ。


今月のご相談は、こちら。

 ある会社の人事部長です。先日、当社の社員Aさんについて、同僚のBさんから良からぬ通報がありました。

 Aさんはペットに犬を飼っており、職場でもよく犬の写真を見せているそうです。「動画を撮って、あるサイトに上げている」という話も聞いていたBさんが、ある日その動画サイトを見てみると、それはちょっと特殊なサイトでした。動物虐待を思わせるような動画が並び、Aさんに写真で見せてもらっていたのとそっくりな犬が、執拗に蹴りつけられ、悲痛な叫び声を上げている動画が投稿されていました。そのアカウント名には、Aさんのニックネームっぽいものが含まれており、これはAさん本人のものではないかと思う、とのことです。
 動物虐待なんて、恐ろし過ぎますよ。人として、持つべき「心」を失っているのではないかと思うと、一緒に働きたくありません。
 それに、もしこのことが社外の取引先等に知れたらどうなるでしょう?当社の信用も失墜します。当社の就業規則の懲戒解雇の要件には、「会社の内外を問わず、法に触れる行為またはそれに準ずる行為等会社の名誉、信用を傷つける行為、または職場秩序維持に重大な影響を与える行為をしたとき」というものが含まれていますので、Aさんを解雇するのは、問題ありませんよね?


【酉爺】

 まず、ワシが非常に興味を惹かれるのは、このAさんの人となりやキャラクター、すなわち、性別・年齢・家族構成・社歴・キャリア・普段の仕事ぶり・同僚からの評判などなどじゃ。もちろん、男性か女性か、20歳代か50歳代か、あるいは既婚か未婚かによって、何か見方が変わるのかと言われれば、とても答えづらいことなのじゃが、プロファイリング的な手法の援用によって、彼もしくは彼女になにが起こったのか、一体なにがあったのかをある程度類推できるのではないかと思うのじゃ。社内に親しい友人がいるかどうかも気になるところじゃな。何故なら、この人事部長さんの相談によると「職場でもよく犬の写真を見せている」とのことなので、さすがにその写真は"虐待の実態(?)"とは遠く離れた、一見微笑ましいもので、如何にAさんがペットの犬を可愛がっているかを伝えるものではないじゃろうか。そうすると、職場では大の愛犬家、自宅では悪魔のような動物虐待者という、Aさんの二面性が垣間見えてくるのじゃよ。


<職場のAさん>
 この二面性の使い分けが一体どこから来るものなのか、意識的か無意識的なのか、あるいは、使い分け自体が本人の精神の安定(かなり歪んだ安定じゃが)をもたらしているのか、興味は尽きんのう。しかし、人事部長の相談をよく見ると、「動画を撮って、あるサイトに上げている」というAさんの話を聞いたBさんの証言が出ておる。そうなると、写真は職場で見せ、動画は自宅で撮るが、職場では見せないという前提が崩れる。AさんのBさんへの話は、まるでBさんを動画に誘導しているかのようだからじゃ。そうなると、ジキルとハイドではないが、同一人物であることがバレても構わないとのAさんの意思表示とも受け取れなくもない(「本当は、私はこういう人間なんです」みたいな)。ましてや、動画の話を聞いているのが、Bさん以外にもいたら尚更じゃな。とは言うものの、ここまでは動画の主がAさん本人と一方的に断定した上での、まだ仮定の話じゃ。やはり、いろいろな角度からの本人特定作業が必要になるじゃろう。


<本人特定の多様なアプローチ>
 まずは、Bさんと同様、動画に誘導するようなことを言われた人がほかにいないかどうか、確認するのじゃ。もしいた場合(仮にCさん)、「それじゃあ、Aさんの動画のタイトルかURLを教えてください」と聞き、それを実際にCさんが見たかどうかの確認が必要じゃ。その結果、実際に見た上で「確かにあれはAさんですし、写真同様、非常に微笑ましいものでした」となれば、完全にBさんの思い違いということになるじゃろう(Bさんは全く関係ない動画を見ただけになる)。逆に、Bさん同様、Cさんも「確かにあれはAさんですけど、会社のAさんとはまるで別人で・・・、これまで怖くて言えませんでした」などとなると、Aさんの行為・性格は非常に残虐なものとして、限りなくブラックに近いグレーな存在となってくるじゃろう。
 しかし、まだここでの断定は尚早じゃ。Bさん、Cさんの証言が得られた次には、Bさん、Cさんが見た動画を再度複数人で確認する必要がある。ここでの確認事項はたくさんあるぞ。

  1. まず、Bさんが言うように本当に誰が見ても「Aさんに写真で見せてもらっていたのとそっくりな犬」なのかどうか(間違いなく同一犬か)
  2. Aさんの顔あるいは身体の一部は映っているか(本当にAさんか)
  3. Aさんの音声は再生されているか(それは確かにAさんの声か)
  4. 音声は虐待行為に合った内容か(「この馬鹿犬め!」とか聞くに堪えない言葉か)
  5. 犬の名前は声に出しているか(写真を見せてもらったときと同じ名前か)
  6. 虐待を証明するように犬の身体に損傷は見られるか(それは以前見せてもらった写真にはない傷か、あるいは同一部位の傷か)
  7. 虐待されている犬の鳴き声は大きいか(近所に聞こえる程度か、Bさんの証言では「執拗に蹴りつけられ、悲痛な叫び声を上げている」となっている)
  8. 動画には家族や同居人らしき人は登場していないか(単身世帯かどうか)
  9. 動画に映る部屋にはAさんを特定するような何かが映っているか(仕事や会社に関係するようなモノ等)

 Bさん、Cさんの証言があり、さらに上記の1から9までの確認事項を複数人で行った上で、最後はAさん本人へのヒアリングへ移行する形になるじゃろう。
 ここで再度問題を整理しておくぞ。先に述べたように、まだこの段階ではBさんはAさんのものとは、全く関係ない別の動画を見ただけで、たまたまそれがAさんの犬と似ていたり、アカウント名にAさんの"ニックネームっぽい"ものが含まれていただけの話かもしれない。もしそうであれば、Aさんの本物の動画を確認した上で、そのことを通報してきたBさんに「人違い」として回答するということで終わりじゃ。何故、Aさんがただ愛犬家としての自分の動画にBさんを誘導するようなことを言ったのかも十分理解できるところとなるのう。


<最終特定>
 さて、問題はBさん、Cさんの証言と上記の確認事項を受けた本人ヒアリングの結果じゃ。考えられる合理的なヒアリングの契機と経過を経て(Aさんの納得も得て)、「貴方の投稿動画を教えていただけませんか」として、「いいですよ」となり、何の問題も確認されなかったら、これまたそれで終わりじゃな。Aさんから「何のためだったのか」と聞かれれば、社員の動画投稿にコンプライアンス上の問題がないか確認しているところだと答えれば良いじゃろう。
 Aさんが自分の動画を教えない、教えたくないと言った場合はどうじゃろうか。それで疑惑が深まるともいえるが、一方で、検索していけば、いずれ判明することじゃし、Bさんを動画に誘導するような会話との整合性(Bさんだけ誘導?)が取れなくなる。
 ここまで考えてみて、ワシは7:3でAさんは「シロ」の心証を持つのう。もちろん、各種確認・検証・ヒアリングをしてみなければ、どちらが真実か分からんが、逆に3の割合でAさんが「クロ」だった場合でも、やはり疑問は残る。何故、写真では愛犬家をアピールするのか、何故、Bさんを動画に誘導するようなことを言ったのか(二重人格的なことがバレてしまうのに)等じゃ。また、冒頭に記したように、この人の人生に一体何があったのか、以前にも犬を飼っていて、そのとき悲しい、あるいは怖い思い出があって、トラウマのようになっているのか、それが倒錯した形で虐待に繋がっているのか、またそれは本人ではなく、家族にとっても不幸・恐怖だったのか等々じゃ。
 最終的に社内で、Aさん本人であることが確定され、客観的にも断定できるとなった場合は、Bさんの不安・懸念はもっともなものとなるのじゃ。
 人事部長さんによると、会社の懲戒解雇の要件の中で「・・・それに準ずる行為等会社の名誉、信用を傷つける行為、または職場秩序維持に重大な影響を与える行為をしたとき」となっているが、これはケースバイケースで広くも狭くも解釈可能と考えられる。但し、これは、会社側の恣意的運用や身勝手な解釈の濫用を許すという意味では決してないぞ(それら自体が明白なコンプライアンス違反であることは論を俟たないのじゃから)。
 つまり、今の時代、Aさんによる動物虐待が動かし難い事実だとして、その動画がネットにアップされているのなら、誰にもアクセス可能なわけであり、その中にこの会社の重要なステークホルダーが含まれている可能性は十分あるじゃろう。さらにそこには動物愛護団体や関連NPOも含まれる可能性も十分ある。したがって、この会社のレピュテーションが今後どうなっていくかは、最早明白じゃろう。
 最後にもう一つの可能性に言及しておく。それは、Bさんの意図的な虚偽申告じゃ。人事部長さんが、Bさんの虚偽申告に踊らされている可能性も低いかもしれんが、ゼロではないぞ。特に気になるのは、「動物虐待なんて、恐ろし過ぎますよ」は良しとして、「人として、持つべき「心」を失っているのではないかと思うと、・・・」については、この人事部長さんの個人的感情が出すぎている感もある。何故なら、"持つべき「心」"とは多種多様に亘っており、たとえ動物虐待だとしても、それはその中のワンオブゼムだからじゃ。全ての持つべき「心」を議論の俎上に載せたら、何人、懲戒解雇の対象になってしまうか分からんぞ。そこを踏まえたなら、「懲戒解雇しても問題ないですよね」とさらに踏み込むのは行きすぎじゃ。
 いずれにしても問題の動画がAさんのものか、全く違う第三者のものかを明らかにすることが大前提となることは言うまでもないのじゃう。


【ネコさん】

 ニャーン、動物虐待は怖いわぁ。ペットの犬さんは、なんてお気の毒。この犬さんを助けてあげたいけれど・・・まずはこの人事部長さんの相談にお答えしないと。


<私生活上の問題で解雇できるか>
 現時点では、まだAさんが本当に動物虐待をしたかどうかはわかりませんが、仮に動物虐待をしていたとしても・・・「動物虐待をした」ことは、Aさんの私生活でのことです。会社の規制は私生活までは及ばないのが原則ですので、単に「動物虐待をした」ことを理由に、Aさんを懲戒解雇することは、たとえ就業規則に書いてあっても、難しいでしょう。
 ただし、部長さんが示している規程にもある通り、「会社の名誉、信用を傷つける行為、または職場秩序維持に重大な影響を与える行為」となったならば、そのレベルや影響度合いに応じて、懲戒処分の対象になることは、問題ありません。ただし、自社の規程の中に、「こういうことをしたら、懲戒の対象になりますよ」という項目が並んでいるかと思いますが、そこに当てはまる項目があることが前提です。後から付け足して、遡って適用するのはダメですよ。
 よってこのケースでは、「会社の名誉、信用を傷つけ」たか、「職場秩序維持に重大な影響を与え」たか、が重要なポイントとなるでしょう。


<事実確認をどうするか>
 よほど特殊な犬種ならともかく、「似ている」犬はいるでしょう。特に実物と触れ合ったわけではなく、ちらっと写真や動画で見ただけならば、「同じ」犬かどうかは断定できないと思われます。また、そういった動画投稿サイトであればなおさら、アカウント名を本名にするとは思えません。似たようなニックネームが含まれていたとしても、それだけでAさんが動物虐待したと断定するのは、早計過ぎます。
 では、どう事実確認をしたらよいでしょうか。私生活上の犯罪について、どこまで会社が調査すべきか、という問題もあります。
 犯罪の捜査は警察の仕事、だから会社は関係ない!と放置するのは、既に同僚のBさんが不安に思って人事に相談に来ている以上、望ましくありません。会社としては、「会社の名誉、信用を傷つけ」たか、「職場秩序維持に重大な影響を与え」たか、またはそのおそれがあるかに、注目しておくべきでしょう。
 まずはBさんに、もう少し詳しく、動画サイトを見るに至った経緯を聞いてみましょう。犬の写真を見たと言っていますので、写真を見せてもらったときのシチュエーションも聞いてみたいところです。Aさんが自分から進んで、他の人にも頻繁に写真を見せたりしているならば、しかもその写真に動物虐待の気配を感じさせるようなものがあるならば、既に周囲には不安を感じている人が他にもいるかもしれません。これは「重大」かどうかは別として、「職場秩序維持に影響を与えた」とはいえますので、解雇は難しくても、注意指導や何らかの懲戒の対象となる可能性はあります。
 動画も、ちょっと見るのは怖いですが、確認してみましょう。複数あるならば、一通り見て、何か自社に影響が出そうな要素がないか、確認しておきたいところです。例えば、自社の商品やパンフレット、会社ロゴの入った封筒や社章、周年記念品として社員に配ったロゴ入りグッズなどが映りこんでいないでしょうか。それらから、「会社の名誉、信用を傷つけ」られることは考えられます。


<動物虐待は誰にとっても「悪」か?>
 また、誰もが「動物虐待をするのは非人道的だ」と思っているとは限りません。「良心があるのは当り前」と思い込むと、自分の身に危険が迫ってしまう場合も、ないとは限りません。
 周囲からは「悪」と見なされるとわかっていつつ、動物虐待を楽しんでいる人が、「自分と同じように虐待を楽しめる仲間」を探して、チラチラと周囲にその素振りを見せていることも考えられます。
 また、Aさんにとっての「かわいがる」が、「執拗に蹴る」ことだったとすれば、Aさんは悪気もなく、そんな写真や動画を見せようとしても不思議はないでしょう。写真を見た人は、例えば犬の毛に血のようなものがついていたとしても、正常性バイアスが働き、「これが血のはずはない。きっとこういう柄なのだろう」と解釈して、騒ぎになっていないだけとも考えられます。
 もしAさんが動物虐待に対して、全く罪の意識のない方であれば、「Aさん犬飼ってるんだって?写真見せて!」と訊けば、もしかしたら、喜んで見せてくれるかもしれません。たとえそこで決定的な写真が出てきたとしても、その場では冷静に対処しましょう。大騒ぎしたり、いきなりお説教したりせず、警察に相談することをお勧めします。


【イノシシさん】

 動物虐待、、、森に住む住民の私たちからしてみれば本当に許せない犯罪です。この人事部長さんが憤る気持ちもとてもよく分かります。このAさんが本当に動物虐待を行っているかという真偽はちょっと横において、一日もはやくこの世から動物虐待がなくなってほしいと切に願います。

 さて、このAさんが犯人だと仮定したとき、Bさんによると、「Aさんは匿名で動画サイトに投稿している」とのことでした。動画サイトを頻繁に利用しているということは、TwitterやFacebookなどのほかのSNSを普段から活用していることも十分に考えられます。ここでは従業員のSNS炎上のリスクを考えてみたいと思います。


<他人ごとではないSNSの炎上>
 SNS炎上というと、皆さんはどのようなことを思い浮かべますでしょうか。多くの人は芸能人の発言であったり、一般人が犯罪行為(に近いこと)を不用意に投稿してしまうような事案だったりを考え付くでしょう。SNSは偽名やペンネームで登録することもできるため、つい本人が面白いと思った画像を気軽に投稿しがちですが、それが本人も知らないうちに犯罪につながっていることも多いのです。例えばあるスーパーのアルバイトが、お客さんがいないときを見計らって、アイスクリームが入っている店頭の冷蔵庫に自らの体を入れた画像をTwitterにアップ。画像からスーパーの名前や場所が特定され、店側では該当の冷蔵庫を消毒するなどの被害を受けました。店側はこのアルバイトを特定できたため警察に通報。アルバイトは調理学校の生徒だったこともあり、退学処分を受けてしまいました。

 このように、いたずら半分で、かつ匿名でSNSにアップしたつもりが、画像からは様々な情報が読み取れるために多くの「ネット民」によって本人が特定されてしまうということは珍しくありません。さらに本人だけでなく、その家族までが「晒し」の対象となる可能性もある上に、デジタルで拡散された情報は全てを削除することはできず、半永久的に残ります。いたずら半分のSNS投稿で人生を棒に振ってしまうことも、現在は徐々に「当たり前」になりつつあります。仮にAさんが犯人だとして、匿名で動画サイトに投稿して安全なつもりでいても、何がきっかけで本人が特定されるかは分かりません。まずは「匿名でも、SNS上で社会人として不用意な発言をしないこと。本人だと特定され、会社に損害が発生する可能性がある」などの社員教育をしていくことが必要かもしれません。


<SNSをやっていない人も要注意!>
 さて、この文章を読んで「私はSNSなんかやっていないから大丈夫」と思った方も、実は要注意です。これも実際に発生した事件なのですが、とある銀行に勤めていた方が、銀行に来た芸能人の情報をうっかり娘さんに話してしまったところ、娘さんが「母が帰ってきたら○○くん情報たくさん頂こう。住所はざっくりとはさっき電話で教えてもらったし」「この前○○さんの免許証顔写真のコピーをとってきた笑」などと投稿。大炎上した挙句、翌日に某銀行は正式文書を発表し、この芸能人に謝罪しました。このように、家族にちょっと自慢しようと思って話した会話が、ネットで拡散されて炎上する可能性もあるのです。とあるSNS炎上を研究するコンサルタントさんは「このような社内の機密を家族が外に漏らして炎上するケースは後を絶たない。特に年末年始の連休やゴールデンウィークなど、家族が久しぶりに長時間一緒にいる時におきやすいので、大型連休後は特に注意が必要」と指摘しています。

 さて、これらのリスクを企業はどのように回避していけばよいのでしょうか。もちろん正しい回答はありませんが、例えばIBMではWeb上で従業員向けの「ソーシャル・コンピューティング・ガイドライン」を公開しており、そのなかではSNSを以下のように捉え、社員への積極的な参加を促しています。そしてガイドラインの中でSNSへの書き込みすることの「心得」を全世界の社員に対して発信しています。とてもすばらしいガイドラインだと思いますので、ぜひ読んでみてほしいと思います。

 「イノベーション企業であるIBMは、IBMとお客様、そして新興企業やソーシャル・エコシステムを形成している組織との自由な交流が知識の習得に重要であると考えています。ソーシャル・コンピューティングは、組織や個人の成長に重要な場となっています。」
出典:IBM ソーシャル・コンピューティング・ガイドライン


<SNS活用についての社内教育>
 日本では、どちらかというとなるべく社名を出さずに「個人でやるならご自由に」というスタンスを取っている企業が多いようです。もちろんこのスタンスが間違っているとは思いませんが、SNSがこれだけ社会インフラとして根付いてしまっている昨今、少なくとも企業として「SNSを利用するに当たっての注意点」などの教育は積極的にしていくべきでしょう。実名で業務関連の発言をSNSに投稿するのであれば、自己紹介欄に「この投稿は私個人の見解であり、会社の意見を代弁するものではありません」などの一言が必要です。画像をアップする時には特に気をつけましょう。オフィスの中には個人情報をはじめ会社の売り上げや顧客リストなど機密情報がたくさんあります。オフィス内で撮った写真はSNSで投稿しないようルールを作ったほうがよいかもしれません。もちろん、本人がSNSをやっていなくても、その家族はやっている可能性が高いので、SNSを普段やっていない社員にも同様の教育することも大切ですね。

 蛇足ですが、実はサイバー攻撃も大型連休明けにされることが多いことはご存知ですか?2015年に発生した日本年金機構の大量個人情報流出事件は、ゴールデンウィーク明けの5月8日から5月18日にかけて大量に送られたウィルスメールを、少なくとも2人の職員が開封してしまったことがことの発端でした。ウィルスメールのタイトルは「『厚生年金基金制度の見直しについて(試案)』に関する意見」というもっともらしいもので、連休明けに大量にたまったメールを処理しようとした人間の心理をついた巧妙な攻撃といえます。大型連休の前に、毎年恒例のように「SNS炎上対策研修」と「サイバーセキュリティ研修」を一緒に実施すれば、効率よく社内に浸透していくかもしれませんね。



 「HRリスク」とは、職場における、「人」に関連するリスク全般のこと。組織の健全な運営や成長を阻害する全ての要因をさします。
 職場トラブル解決とHRリスクの低減に向けて、エス・ピー・ネットワークの動物たちは今日も行く!


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