三匹(?)が語る!HRリスクマネジメント相談室(8)「職場の『くれない』戦争(?)」(2019.5)

2019/05/28 / 総合研究部 プリント

 職場におけるトラブルは複合的。社内の様々な関係者の協力を得て、複数の視点で捉えなければ、解決が難しい問題も多々あります。でもやっぱり最後は「人」!HRリスクマネジメントが重要です。


 職場における様々なトラブルを解決すべく、今、エス・ピー・ネットワークに生息する動物たちが立ち上がりました!初動対応や法的な責任、再発防止など、三匹それぞれの観点から熱く語ります。


 

【今月の三匹・プロフィール】

シカさん:
放浪の末、東京にたどりついた初登場のシカ。週末はヒロインのためにペンをペンライトに持ち替える法学博士。ぷるぷるした餌を与えると喜びます。


イノシシさん:
森の音楽隊のトランペット吹き。3度のご飯よりとんこつラーメンが好き。リスクマネジメント関連の業界紙でたくさんの人や企業に取材した経験を元にHRリスクマネジメントについて考えていきたいと思います。プギッ。


ネコさん:
猫なで声と鋭い爪をあわせ持ち、企業内での人事実務経験が豊富。社会保険労務士で、産業カウンセラー、実はキャリアコンサルタントでもある。狭くて暗いところって落ち着くニャー。


 

今月のご相談は、こちら。

 新入社員と部長がバトル中!お互いの言い分は、どちらも「・・・してくれない」の連発で、双方から愚痴られて、もうイヤ。間に挟まれる者の身にもなってよ、という感じ。うちの職場、どうにかして!


新入社員「くれないさん」の言い分
 部長は私にだけ挨拶も返してくれないんです!ひどいですよね。先輩、これってパワハラですよね?
 早口で、いつも指示がよくわからないけれど、すっごく怖い顔でにらまれるから、わからないなんて言えません。こういう時って、部長の方から「わからないところはない?」とか、やさしく聞いてくれないかなーって思うんです。
 服装も、ちょっと肩が出ていたり、スカートが少し短いくらいで、「社会人としての身だしなみがなっていない!」とか言われるんです。職場では制服に着替えるのだから、好きな服でいいでしょう?私、雑誌にも載ったことあるし、ファッションのセンスには自信があるんです。でも、部長は私のセンスを全く理解してくれない
 はぁあ、部長は私の全てが気に入らないのね。最近は、私にだけ仕事を振ってくれない気がします。確かにミスは多いかもしれないけれど、それは私に合わない仕事をさせているからだと思うんです。私には私に合った仕事があるはず!もっと私の個性とか、能力とかを活かして欲しいのに。どうしても今の仕事をさせたいのなら、せめて何か、私が興味を持てるような工夫をしてくれないかしら。


上司「くれない部長」の言い分
 まったくあの新人は、どうして仕事の指示をきちんと理解してくれないんだ?ここは会社だぞ?部下が上司の話をしっかり聴くのは常識だろう?わからなかったのなら、せめて質問してくれないものかなぁ。黙っていたらわからないじゃないか。
 それにあの服装は何だ?いくら制服があるからって、あんなに肩やら脚やら出して、遊びに行くんじゃないんだぞ?もっと社会人としての自覚をもってくれないかなぁ。
 ミスも多いし、これではとても仕事を任せられない。もっと仕事に自分から興味を持って、自分で調べたり学んだりしてくれないかと思っているのだけれど、全く自分から動く気配がない。誰だ、こんなのを採用したヤツは...!
 なぁ、君ならわかってくれるよな~?

【シカさん】

 はじめまして。かわうそさんに引き続き、若手の目線から自戒も込めつつHRマネジメントを考えてみたいと思います。


<コミュニケーションの重要性>

 どうやら、くれない新入社員さんとくれない部長さんの間でコミュニケーションが不足しているようですね。社会で生きていく以上、対人コミュニケーションは一生ついてまわります。

 コミュニケーションがうまくできていないために従業員の作業効率が落ちれば、企業にとって損失になります。また、今回のように当人らの人間関係が悪くなることによって、周囲の環境悪化にもつながります 。離職をする社員も出てきかねませんよね。このような負の連鎖を避けるためにも、コミュニケーションの改善は、真剣に取り組む必要のある問題だといえます。


<ご相談内容についての私見>

(1)まず、挨拶についてです。新入社員さんは「私だけに挨拶を返してくれない」と言っています。これが本当であれば、パワハラにあたるかどうかはさておき、不愉快ですよね。挨拶はコミュニケーションの出発点であり、基本です。ここで躓いてしまうと、「挨拶のできない感じの悪い人」というマイナス印象からのスタートになるので、その後の関係構築へのハードルが格段にあがります。

 仮に部長さんが小声や会釈で挨拶を返していたとしても、それが相手に伝わっていなければ「無視した」ことと同じです。不本意なイメージダウンを避けるためにも、挨拶はできれば笑顔で、きちんと返したいところです。部長さんには、事実関係の確認と、それとなく挨拶をするようにアドバイスしてみてください

(2)次に、服装について述べます。肩が出る服、ここ数年流行っていますよね。

 部長さんが気にされているのは、通勤中のみ着用している私服ということです。個人的には、露出の程度が変質者レベルでなく、勤務中は制服をきちんと着ているのであれば、そんなに目くじらを立てる必要もないのではと思いました。ただし、就業規則等で通勤服について規定がある場合にはそれに従った対応をしなければなりません。この機会に規程類を確認してみてください。

 また、明確なルールを設けていなかったとしても、業種や企業の性質により、服装に配慮することが好ましい場合もあるでしょう。例えば、信用がものをいうような会社に勤めている場合には、そこに出入りしている従業員の服装も、世間からの会社に対する評価対象になり得ます。そういった場合に、あまりにも華美な服装やだらしない服装だと、この会社は本当に大丈夫か?と思われてしまうリスクがあります。そのため、もし相談者さんの会社がお堅いところで、かつ従業員の自主性に任せることに限界があるならば、必要に応じて通勤時の私服についてのルールを設けることも一案です。

(3)そして、指示についてです。分からないことを分からないままにしてしまうと、結局指示の内容とずれた成果物ができあがり、大幅にやりなおし...ということになりかねません。それまでにかけた時間が無駄になるだけでなく、チェックする部長さんの業務も、修正をする新入社員さんの業務量も増え、全体の効率が悪くなってしまいます。そのため、何か指示をする際には趣旨を明確にしたうえで、なるべく方向性をすり合わせておくことが重要です。

 部長さんは、「分からないならせめて質問して」と言っています。それはその通りだと思いますが、そもそも分かってもらえるように説明する努力をしているのでしょうか。「雑な指示をすると、かえって自分の仕事が増える」ことを示唆したうえで、なるべく分かりやすく伝えるように、それとなくアドバイスしてみる価値はありそうです。

 また、新入社員さんは萎縮してしまっているようですね。「怖い顔でにらまれる」ということですが、質問が的外れでなければきちんと答えてくれるはずです。にらんでいるように見えても、まあそういう顔の人なんだな~と思って、遠慮せずどんどん質問しても大丈夫だと伝えてあげましょう。


<「相手の立場になって考える」ということ>

 すでに端々に現れていますが、究極、人間はみな自分のことしか考えられないのではと思います。

 私はいつも周りをみて行動しています!という方もいるでしょう。とても立派です。しかし、「相手の立場になって」行動することの目的はなんでしょうか。余程の聖人でない限り、相手が気持ちよく過ごせることが真の目的ではないと思うのです。その行動の裏には、「相手が気分よく仕事できれば、自分も働きやすくなるだろう」、「相手に好感を持ってもらえれば、自分の評価につながるだろう」という考えが根本にあることがほとんどでしょう。まさに、「情けは人のためならず」です。

 苦手な人と仕事をしなければならない場面でも、「自分のために」という気持ちを意識して行動すれば、いい方向に向かうのではないでしょうか。少なくとも、あからさまに苦手です、というオーラを出すよりは幾分マシなのではと思います。


<自分を成長させるということ>

 夏目漱石の小説『こころ』の有名な一節に、こんな台詞があります。「精神的に向上心のない者はばかだ」。この台詞が出てくる背景も大変面白いのですが、今回はビジネスに結び付けて引用させていただきます。

 もうひとつ格言を紹介します。「自分が評価されない理由を他責にする人に成長はない」。私が入社したてのころ、上司から頂いた言葉です。「成長」には、さまざまな意味が含まれます。例えば、単純にできる仕事の幅が広がることや、仕事の質(クオリティ)と仕事にかける時間(コスト)のバランスがとれるようになることなどがあげられます。

 さて、人生における仕事の優先度は当然人によって異なりますよね。「仕事は単にお金をもらうためだけにやっているので、働いている時間はクビにならない程度にやり過ごします」という考えを否定するつもりはありません。そういう人も受け入れられる世の中であるべきだと思います。

 しかし、仮に「精神的な向上心」を仕事における「成長」への意欲だと解釈してみると、どうでしょうか。ミスが多いことに対し「自分に向いていない仕事だから」と言い訳をし続ければ、きっと責任ある重要な仕事は任せてもらえないでしょう。精神的に向上心を持って日々反省し、それを次の機会に活かすことを忘れなければ、いずれ結果はついてくる...と信じております。


【イノシシさん】

 新入社員さんと上司の部長さんとの「くれない戦争」。コミュニケーションのいけない例として、とても興味深く拝見しました。とはいえ常識的に考えるとこの二人、新入社員と部長の間柄ですよね。普通の会社だと、課長さんやら係長さんやら先輩やらが入ってくるはずなのに、なぜか部長さんと新入社員さんがやりあっています。おそらく、年も親子に近いくらい離れているのではないでしょうか。そう考えると、「早口でいつも指示がよく分からない」とか、「身だしなみがなってない」とか、ほとんど親子ゲンカですよね。新入社員さんも部長さんも結構楽しんでいるようにも見えますが、そうも言っていられないのでリスクコミュニケーション的な視点から考察していきたいと思います。


<大麻汚染?有馬温泉??>

 これはエス・ピー・ネットワークの森で実際に起きた話です。実は森では、毎朝集会が開かれており、誰かが毎朝1つ、リスクについて小話を披露することになっています。とある朝は、このコラムの執筆もしているパンダさんの番でした。その日もパンダさんが3分くらい、ある事柄についてお話をしたのですが、お話が終わった後に、うしろにいた動物さんたちがこんなことを小声で話していました。


「今日はわたし、後ろにいたから何を話していたのか良く分からなかったけど、パンダさん、若者が有馬温泉に行く話をしてたわよね~」

「有馬温泉だっけ?私は温泉なのは分かったけど、どこの温泉までは分からなかったわ~。わたしも温泉行きたいのよね~。でもどうリスクにつながってたのかしらね~」


 その会話を聞いて私は唖然としました。なぜかというと、パンダさんがその日に話していたのは「若者の大麻汚染」の話だったのです。後ろにいた動物さんたちは、「大麻汚染」を勝手に「(有馬)温泉」だと自分の好きなものに脳内変換して、話を聞いていた(聞いていなかった??)のです!この話から何が分かるでしょうか。そう、人間は「聞きたいことを聞き、聞きたくないことは聞かない」動物なのです。実は同じようなことは世界中に存在しています。「伝言ゲーム」といわれるゲームがありますよね。まず何人かが1列になり、列の先頭の人にとある言葉を伝えます。先頭の人は次の人にその言葉を耳打ちするのですが、これを最後の人まで続けるとまったく違う言葉になってしまうというポピュラーなゲームです。この遊びは英語では「broken telephone(壊れた電話)」、ポルトガル語では「Telefone sem fio (線の切れた電話)」などと呼ばれ、世界中で楽しまれているようですが、コミュニケーションの難しさが分かるゲームですよね。


<リスク管理マニュアルに多発する「誤解しやすい言葉」>

 企業のリスク管理マニュアルにも、誤解しやすい表現が多数存在しています。例えば皆さん、「訓練」と「演習」の名前をちゃんと使い分けていますか?欧米では「演習(exercise)」と「訓練(training)」はちゃんと使い分けられています。簡単に言うと「exercise」は「思考し、応用力をつけるための実践的な訓練」です。野球にたとえると「紅白試合」になるでしょうか。対してTrainingは、例えるとキャッチボールなどの「繰り返して体に覚える作業」ということになります。

 「演習」によって培った経験や知見は、マニュアルの改訂に反映される場合もあります。そのマニュアルを、社員一人ひとりが体で覚えていくのが「訓練」です。実はこのあたりの言葉を曖昧にしながら訓練、もしくは演習をしてしまうと参加者の目的意識がぼやけてしまい、成果も上がりにくくなります。訓練、または演習は準備にとても時間がかかりますので、実のあるものにするためにも、言葉の定義は事前にはっきりさせておきたいですね。


 また、BCPマニュアルの中ではよくこんな文章を見かけます。

「安全確認班は地震発生後、建物の状況を確認。上司に報告」


 このようなマニュアルの書き方が、実際にはとても実行しにくいことがおわかりになるでしょうか。まず「安全確認班は地震発生後」とありますが、地震発生から何分後までに報告するのでしょうか。「建物の状況確認」といっても、外回りなのでしょうか、各フロアの内部のことを言っているのでしょうか。建物は天井が崩れていたら基本的には入ってはいけないとされています。それでも確認させるのでしょうか。丁寧に建物の状況を確認したら半日くらいはすぐにかかってしまうでしょう。「状況を確認」は言い易い言葉なのでマニュアルに使われがちなのですが、この言葉が出たら本来はどの程度何を確認したらいいのか、必ずチェックリストが必要なはずです。

 また、最後に「上司に報告」とあります。これ、本当ですか??「安全確認班」はBCPのための班分けのはずなのに、なぜ最後だけ「上司」に報告しなければいけないのですか?そして最後に報告の仕方なのですが、どのようにするのでしょうか。口頭でいいのでしょうか?紙に書いて報告するのですか?たぶん、口頭+書類の両方ということになるでしょう。書いて提出するのであれば、書式が必要なはずです。書式は揃っていますか?メールで送信しますか?ファックスで送信しますか?送信先は書いていますか?そもそも通信できる環境にありますか?

 このように、BCPのマニュアルの中には突っ込みどころのある言葉がたくさん並んでいるケースが多いです。ぜひ今年の訓練で、皆さんマニュアルについて突っ込んでみてください。特にコミュニケーションの内容として、「誰が、何を、いつまでに、どのような方法で」を頭に描くと、マニュアルに何を追加するべきか分かってくると思います。


<米国流ICS(インシデント・コマンド・システム)>

 最後に、米国の危機管理システムであるICSについて少しお話したいと思います。ICS(インシデント・コマンド・システム:現場指揮システム、Incident Command System)は、米国で開発された災害現場・事件現場などにおける標準化された管理システムのことを指します。もともとは1970年代、米国では大規模な森林火災が多発しましたが、州や組織を超えると消防に対する用語が大きく違いました。その反省から、ICSでは「危機管理の命令系統や管理手法を標準化」したことが最大の特徴といえます。2004年にはアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁(FEMA)によってナショナル・インシデント・マネジメント・システム(NICS)として正式に危機管理対応の標準として制定されました。

 ICSでは、危機管理に当たるための全ての用語が統一されているため、まずその用語を知る必要があります。そのため一定の資格水準を持った人しか危機管理に当たることはできません。一方で、実はICSは優れたチームマネジメントの手法でもありますので、現在ではロックコンサートからオリンピックまで、様々なイベントの運営にも活用されています。

 例えば、ICSでは監督限界(Span of Control)を定めています。これは、1人の監督者が管理できる人数を3人~5人が最適(7人までは状況によっては可能)と定めているもので、部下がそれ以上の人数になれば自然にアメーバのように分裂していきます。もちろん監督者の休憩時間や寝る時間までも事細かに決まっており、代理の対応者も定められています。

 東日本大震災のとき、福島原発では1人の所長のもと18班が存在し、混迷を極めました。指揮官どころかメンバーが休みを取ることもままならなかったと聞きます。クライシス状況下であるからこそ、きちんとした判断力を保つための仕組みが必要ですよね。

 私は「だから日本にもICSを導入しなければいけない」というつもりは毛頭ありません。ただ、リスク管理の上で「物事を正確に伝える」ということは、これくらい大掛かりな「標準化」の仕組みが必要なのかもしれないという例の一つで挙げさせていただきました。

 新入社員さんと部長さんの「くれない戦争」が、ついに米国の危機管理システムにまで発展してしまいました。「くれない戦争」がICSで解決できるかどうかは不明ですが、コミュニケーションが社内でうまく取れないなと思ったときに、相手を非難するのではなく、まず自分のコミュニケーション方法が正しいのか、社内のシステム、社内用語などのあり方が適切なのか、ちゃんと機能しているのか等を考えてみるのも、1つの方法なのではと思います。


【ネコさん】

 「大麻汚染」を「有馬温泉」と聞き間違えたのは、何を隠そう、ネコであります。温泉行きたいニャー。(パンダさん、ゴメンナサイ。)

 イノシシさんが言う通り、部長さんと新入社員さん、まるで親子みたいね。「・・・してくれない」は、お互いに気にし合って、求め合っているから出てくる言葉でしょう?お互いに、相手の真意がわかれば、上司と部下として、よい関係性を築けると思いますので、先輩社員さんは、歩み寄りを促してあげてください。


<コミュニケーションは「自分から」>

 イノシシさんもシカさんも、「コミュニケーションがうまくいっていない」という点を指摘しています。そうね、ネコもその通りだと思います。じゃあ、どうしたら、この部長さんと新入社員さんのコミュニケーションを健全化できるでしょう?そのためには、「コミュニケーションは自分から」だという意識を、2人に持っていただきたいなぁ、と思います。

 「くれない」って、受身ですよね?相手が自分に「何かしてくれる」のがあたり前だと思っていると、ついつい「・・・してくれない!」という不満が出がちです。

 新入社員さんは、部長さんが「自分だけ挨拶を返してくれない!」と言っていますが、「コミュニケーションは自分から」があたり前だと思えば、たとえ挨拶が返ってこなくても、「今日も気持ちよく挨拶したぞ!」と、ごきげんなままでいられます。

 また、本当に一人にだけに、いつも挨拶を返していないのかしら?あたり前のように挨拶が飛び交う「良い職場」では、挨拶は「空気のようなもの」になりがちです。長くそこにいる部長さんにとって、空気は「あれば安心」なので、あったからといって特別な対応をしなくなりがちです。他の社員さんの挨拶も、聞き流すこともあれば、返すこともあるのではないでしょうか。これは、新入社員さんが「職場の一員」として、部長さんに「認められている」という証拠なのですが...それはまだ、研修で習った「挨拶は元気に!」を実践しようと頑張っている新入社員さんには伝わりづらいでしょうね。

 部長さんも、指示がわからなければ、新入社員から「質問してくれる」のがあたり前だと思っているようですが、はじめのうちは、「何がわからないのかが、わからない」ので、質問もできないものなのです。多くの新入社員が、「上司や先輩が忙しそうで...」と話しかけるのを遠慮してしまうという話もあります。指示を「伝えたい」ならば、「伝わる」ように伝える努力が必要です。

 間に挟まれた先輩社員さんは、ご面倒かもしれませんが、ぜひ、2人の「歩み寄り」をお手伝いしてください。新入社員さんには「挨拶は自分から!が原則。返事が聞こえなくても、部長はちゃんとあなたを気にかけているから、安心しなさい」、「わからなければ、遠慮しないで聞けばいいんだよ」と、部長さんには「挨拶が返ってこなくて寂しがっていますよ」、「少しゆっくり話してあげてください」などと、耳打ちしてはいかがでしょう。


<服装の問題は...本当に難しい!>

 服装に対する認識は、人によって様々なので、本当に難しい問題だと思います。

 新入社員さんにとっては「これくらい」でも、部長さんにとっては「こんなに!」なのでしょう。特に肌を露出する服は、勝手に「良からぬ解釈」をする人が一部いるのは、残念ながら事実のようです。もちろん、勝手な解釈をして、犯罪行為に及ぶ人が、間違いなく悪いのですよ。ただ、「良からぬ解釈をする人がいる」ということを知っている部長さんが、新入社員さんを心配して、「そんな服で会社へ来るな!」と思ってしまう気持ちも、わからなくはありません。お父さんが娘を心配しているみたいですね。

 新入社員さんは、部長さんに、自信のあることを否定されているようで、残念で、悲しいのでしょう。部長さんは、「社会人としての自覚」とか、難しいことを言っていますが、新入社員さんのセンスを否定しようというわけではなく、本音は「ただただ心配」なのではありませんか?

 こんなときには、「I(アイ)メッセージ」で伝えることをお勧めします。「Iメッセージ」とは、主語を「I(=私)」で発信するメッセージのこと。「あなたは(You)服装を考え直すべきだ」とYouを主語にすると、相手を否定し、相手を責めているような印象を与えがちです。主語をIにし、「私は(I)、あなたが悪い人に狙われるんじゃないかと心配なんだよ」と言えば、少なくとも新入社員さんは、「部長は自分に悪意を持っている」とは思わないはずです。


<「主体的に働く」ために>

 新入社員さんの「私に合わない仕事」、「私に合った仕事があるはず!」という考え方は、ちょっと気になります。新入社員さんとしては、「自分に合った仕事ならば、ミスなどしない」、「個性や能力を活かせる仕事ならば、興味を持って働ける」と思っているのでしょうか。うーん、それはちょっと認識が甘いのではないかな、と、ネコは思います。

 どんなに適性があったとしても、何の努力も苦労もなく「できる」わけではありません。適性を活用するためには、やっぱり練習や努力が必要なはず。また、興味って、誰かに「持たせてもらう」ものではなく、自分から「持つ」ものですよね?

 そこの認識の甘さを、部長さんも感じているのでしょう。ならば先輩社員さんに愚痴ってばかりいないで、「これを自分で調べるといいよ」と、新入社員さんに直接伝えてみてはいかがでしょうか。最初は「何を」を指定する必要があるかもしれませんが、「調べる」習慣が付き、内容に興味を持ち始めれば、自分で「何を」から探し出せるようになるかもしれません。

 新入社員の成長には、「よいお手本」を見せることも大切。先輩社員さんが、積極的に調べ物をしたり、勉強したりしている姿を見せることも、新入社員さんの成長の手助けになりますよ。もしかしたら、先輩社員さんの指導の仕方がうまく行けば、部長さんもそれを真似してくれるかもしれませんし。誰かの「・・・してくれない」を嘆くばかりでなく、それぞれが「自分にできること」を地道に行うことが、より良い職場へ続く道となります。先輩社員さん自身ができることもたくさんあります。ネコも頑張りますので、先輩社員さん、一緒に頑張りましょうね!



 「HRリスク」とは、職場における、「人」に関連するリスク全般のこと。組織の健全な運営や成長を阻害する全ての要因をさします。
 職場トラブル解決とHRリスクの低減に向けて、エス・ピー・ネットワークの動物たちは今日も行く!


 ※このコーナーで扱って欲しい「お悩み」を、随時募集しております。

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