【コラム】暴排トピックス 2018年11月号/地面師問題から学ぶべきこと

1. 地面師問題から学ぶべきこと

地主になりすまして架空の土地取引を持ちかけて多額の代金をだまし取る「地面師」グループが摘発されました。今回の事例では直接は認められていませんが、暴力団の関与が疑われる事例も少なくありません。地面師グループの代表的な手口といえば、例えば、割安な価格で土地取引を持ちかけて契約を急がせる、地主になりすました者や善意の弁護士等が登場する、精巧に偽造された旅券や印鑑証明、不動産登記等が使われるなどが代表的です。さらに、それを支える犯罪インフラである「道具屋」の仕事が虚構の話にリアリティを加えることになる点も特徴的です。一方で、今回の事例では、積水ハウス側の対応の杜撰さが際立つ形となりました。地主役の本人確認の際に干支や誕生日が不正確だった、代金支払いの前日、所有者役に土地権利証の提示を求めた際、「内縁の夫」とけんかしているとのウソで断られた(にもかかわらず、権利証を確認しないまま全額を支払った)、杜撰な計画については他の不動産会社は軒並み見抜いており、五反田界隈の土地には気をつけろという話は不動産会社の間では有名な話だった、仲介業者として節税目的のペーパー会社の起用を提案された、本来の土地所有者から警告を受けた・・・など、不審な点が多数ありながら「何ら疑いを差し挟まないまま契約を急いだ」といいます。このように、地面師の問題は、対面取引であっても本人確認の実効性については「脆さ」「危うさ」が必ずあることを痛感させられます。例えば、一般的には、名刺交換した際、その情報を何ら疑わないものですが、犯罪者がその「思い込み」につけ込む事例も少なくなく、名刺情報すら疑うことが本来のリスクセンスなのだと思います(例えば、読み方が一緒で別の漢字を一文字充てるだけで別人扱いで、DBスクリーニングや風評チェックからすり抜けることが可能となります)。しかしながら、本件の場合、それ以前の問題で、干支や誕生日が不正確なのに本人と信じるようなリスクセンスが麻痺した状態であり、これでは犯罪者の思うツボだったと言えます。そして、そのリスクセンスの麻痺、冷静かつ合理的な判断を曇らせたのは、トップの関与のもと組織全体で取引を急がせたことによる、ガバナンス、内部統制の問題にあることを指摘しておきたいと思います。
さて、本件について、あらためて同社のリリースから問題のポイントを整理しておきたいと思います。


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