お知らせ 2019/06/11

【コラム】暴排トピックス 2019年6月号/西武信用金庫に対する行政処分

1. 西武信用金庫に対する行政処分

 金融庁は、準暴力団幹部と疑われる関係者へ融資していたなどとして、西武信用金庫に信用金庫法に基づく業務改善命令を出しています。反社会的勢力排除の取組みについては、「十分な経営資源を配分することなく極めて少人数の担当者に頼った取組となっているなど、組織的な対応が不十分」、「一部の営業店幹部は、監事から反社会的勢力等との関係が疑われるとの情報提供を受けていた者について、十分な確認を怠り、同者関連の融資を実行している」といった厳しい指摘がなされています。さらに、主力の投資用不動産向け融資でも審査書類の偽造を見過ごすなど問題融資が横行していたことが判明、不動産業者が顧客の預金通帳や物件の家賃収入表(レントロール)などを改ざんし、職員が看過した可能性が高いのは127件、うち73件(139億円分)で改ざんを確認したといい、28店舗で45人が関与したとされます。さらに返済期間を延ばすため、中古物件の耐用年数を長くするよう職員が外部専門家に働きかける例も258件あり、32店舗で90人がかかわったといいます。これらの実態に対して、「業績優先の経営を推進するあまり内部管理体制の整備を怠った」、「強い発言力を持つ理事長に対し十分なけん制機能が発揮されておらず」、「通常の注意を行っていれば分かったはずだがあえて見ないようにした」(金融庁幹部のコメント)等との指摘がなされています。反社会的勢力排除に重要なのは第1線の「健全な意識」と「リスクセンス」であることは、本コラムでもたびたび指摘していますが、それらを「曇らせ」、第2線や第3線を「黙らせ」たのが経営トップ(理事長)であり、「組織全体が思考停止していた」事実は重いといえます。そもそも、反社会的勢力にせよ投資用不動産にせよ、このような「本来貸せない相手」に貸して利益を得ようとする金融機関の本旨を逸脱したモラルハザードの典型事例は増加傾向にあり、一方でそれへの対応として営業のノルマを廃止する動きも見られます。ただ、果たしてそれが「正しく稼ぐ」という本質の理解に資するものかは極めて疑わしいように思われます。本件のような事例を見るにつけ、コンプライアンスやリスク管理の基盤がいかに脆いものか、ただただ痛感させられます。

▼金融庁 西武信用金庫に対する行政処分について
▼関東財務局 西武信用金庫に対する行政処分について

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