お知らせ 2020/05/13

現場のリアルを掴む

執筆者:総合研究部 研究員 杉田 実

昨今、コンプライアンスに関する意識は世間的に高まっています。企業不祥事があった場合には、大々的に報道されたりSNSやインターネット上で炎上したり、世間的にも大きく注目を集めます。企業としても、そのような情勢を踏まえ、不祥事を起こさないために従業員のコンプライアンス意識を高めようとさまざまな施策を実践していると思います。具体的には、コンプライアンス意識調査やコンプライアンス研修がメジャーな方法ではないでしょうか。しかし、直近では、新型コロナウイルスの影響により、店舗営業の自粛や在宅勤務など、通常とは異なる勤務体制をとっている企業が多くあります。営業を自粛している店舗が多くある中、近隣住民などが営業している店舗を警察に通報したり、店舗に脅しのような張り紙を張ったり、根も葉もないうわさを流すなどの嫌がらせも発生しています。そのような場合に真っ先に、影響を受けるのは現場で働いている方々です。日々移り変わる情勢に、世間も敏感になっていますので、企業としても情勢を把握し、適切に対応していく必要があります。本稿では、「現場のリアルを掴む」をキーワードに、企業における現場の実態把握について述べていきます。

従業員向けアンケートの実施

まず、現場の実態把握の一手段として、当社でもサービスを提供している従業員向けアンケートを例にご紹介します。

当社では、リスクホットライン(第三者内部通報窓口「RHL」)の付帯サービスとして「内部通報窓口利用者アンケート」を提供しています。同アンケートでは、内部通報窓口の認知度を図ることと、アンケートを実施することによりアンケートに回答した人へ再度内部通報窓口を周知することを目的としています。実施する前から窓口の認知度が低いことが想定される場合には、アンケートの冒頭に、内部通報窓口の連絡先を記載し周知することもあります。アンケートでは、内部通報窓口を知っているか、どう思っているかなどの質問をします。これまでに実施した例では、企業により多少の差はあるものの、内部通報窓口を知っているか、匿名で通報できることを知っているかという質問には、「知っている」「なんとなく知っている」と答える人が多い傾向があります。何らかの周知活動をしている企業では、内部通報窓口の存在自体は、認知度が高くなる傾向があります。内部通報窓口への印象を尋ねる質問では、そもそも通報するような事案が発生していないとの回答がある一方で、匿名性の担保に関する不安や通報したことによる不利益取扱いに対する不安が多く回答されます。このように、企業側は、入社時の説明・研修や定期的な周知を徹底しているから従業員は皆知っているはずだと思っていたのに、実際にアンケートを実施すると、意外と浸透していないということが発覚することがあります。きちんと発信していても、相手(従業員)が理解していなければ伝わったことにはなりません。企業や担当者としては、伝えているのになかなか伝わらない、もどかしい部分だと思います。伝えているつもりでも、受け取る側が聞いていなかったり興味がなかったりしたら、そのまま受け流されてしまいます。興味のない人に興味を持ってもらうことは難しいかもしれませんが、周知の際には、どういう言葉や方法で伝えたら興味を持ってもらえるか、詳しく伝わるか、という視点も重要になります。伝えるのは同じ内容でも、言葉遣いやタイミングによって、伝わり方が変わります。定期的に根気強く周知することに加えて、言い方や方法を変えるなど伝える努力を続けることが重要となります。

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