週刊危機管理Plus 2018年9月10日号



薬のインターネット販売の犯罪インフラ化に注意が必要だ

市販薬を取り扱うインターネットサイトの6割で、乱用の恐れがある薬が違法な方法で販売されていた。薬のネット販売が解禁された2014年の調査開始以降で最悪の結果で、監視や摘発の強化が急務だ。乱用の恐れのある成分を含み、医薬品医療機器法で原則1度に一つしか購入できないせき止め薬などを、正当な理由の確認もなく複数買えたサイトは63%もあり、年々悪化傾向にあるという。かぜ薬の中には、覚醒剤の原料であるエフェドリンや麻薬の成分であるリン酸ジヒドロコデイン、興奮作用をもつカフェインなどが含まれている場合があり、飲みすぎると眠気・疲労感がなくなり、多幸感や頭が冴えたような感覚などの覚醒作用がある。薬物依存症や暴力団の資金源となる可能性がある薬が簡単に入手できてしまう薬のネット販売の「犯罪インフラ化」に注意が必要だ。(芳賀)


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いまこそ災害対策の見直しを

台風21号、北海道胆振東部地震と先週も災害が続いた。北海道胆振東部地震では、私も札幌に住む両親や親族の安否確認と停電への対策等やり取りした。関西国際空港の高潮被害、強風によるタンカーの橋脚への衝突とそれに伴う空港からの移動障害、全道規模のブラックアウトと航空機・鉄道による輸送・移動手段の喪失等の事態が発生したが、災害の特性や地理的状況を見れば、いずれも予測可能である。災害・事業継続の基本は、冷静かつ客観的に起こりうるリスクを想定し対策すること、ライフラインの寸断を前提とすること、予測可能な場合は事前に被害低減対策を打つことである。災害に備え、できることから確実に実行したい。なお原発が動いていればという論者もいるが、たらればで言うなら原発災害も起こり得た。そう安直な話ではないことを付記したい。(西尾)


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個人データの域外移転が承認される見通し

欧州連合がEU域内の個人データの域外持ち出しを例外的に認める移転先として、日本が年末までに正式承認される見通しだと報道された。承認される予定がもともとは今年の春から遅れ、秋となり、またしても延びたわけだが、追加された措置としてセンシティブデータの保護やEUのデータを日本から他の第三国に移転する際の条件のほか、個人が自分に関するデータの開示を求めるアクセス権などが追加項目として強化されたという。注意が必要なのは、いわゆるこの個人情報管理の「十分性」が日本で今後認定されても、移転に際し対応が必要な企業が所定の契約書を作成したりすることから開放され負担が一部軽減されるだけだ。現在の情報管理の実態把握及び事故時に適切に対処できるかどうかの検証をする時期であることに変わりがないことに留意する必要がある。(佐藤)


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体操暴力問題、体罰・暴力根絶には多面的な対策が必要

宮川選手への暴力行為で、日本体操協会から無期限の登録抹消処分を受けた速見コーチが記者会見で謝罪した。これに先立つ29日、宮川選手は記者会見で速見コーチの処分軽減を求めていた。被害者が加害者を庇う様相に指導の中に体罰が入り込む構造がみえる。選手がもうだめだと諦めかける場面で、その限界を打ち破るための刺激として体罰が使われていたのだろう。選手はなにかに気づき、自分が変わる事ができれば体罰をした指導者に感謝さえする。この場合、指導者も体罰をしたという意識は薄く指導の中に入り込んでしまう。特に閉鎖的な空間では、暴力への感覚が麻痺する。専門家による知識の研修が必要だ。体罰・暴力の根絶には、指導者だけの問題にせず、選手の自主性を育む指導方法、そして体罰を許容しない文化への変革など組織的な対策が求められる。(伊藤)


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ためされるBCP、北海道停電に耐えたさくら・石狩DC──3.11からの冗長化結実も、一部に障害防げず

今月6日に発生した北海道胆振東部地震では、道内ほぼ全域が停電した。石狩市には国内サーバ事業者が国内最大規模のデータセンターを構えていたが、停電と同時に自家発電に切り替え、送電が復旧するまでの60時間を凌いだという。この事業者は従前より「石狩で震度6以上の地震が起きる確率は0.2%未満」としてきたが、その低確率にあたる緊急事態においても、概ね事業を継続できたことは評価に値する。冗長性の確保に向けた経営判断と施策の数々は、BCP(事業継続計画)の観点からも参考になろう。しかしそれでも一部のサーバ設備に電気的な障害が発生してしまったという事実は、いかなるリスク対策にも《絶対》がないことをもの語る。事業者においては今一度、地震に起因するITリスクの抽出/分析/評価をはかり、その対策の高度化を探る好機だろう。(山岡)


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