2024/03/18
危機管理トピックス
【省庁別記事(前半)】
【首相官邸】
【2024年3月】
首相官邸 国民の皆様へ
- 東北地方を中心に未曾有の被害をもたらした東日本大震災の発生から13年を迎えようとしています。
- この震災によりかけがえのない多くの命が失われました。最愛の御家族や御親族、御友人を失われた方々のお気持ちを思うと、今なお哀惜の念に堪えません。
- 政府は、原発事故の被災者を含め、いまだ被災地の方々が様々な課題に直面している現実を心に刻み、復興に全力で取り組んでまいります。また、震災の大きな犠牲の上に得られた教訓を風化させることなく、令和6年能登半島地震をはじめとする自然災害への対応へと活(い)かし、災害に強い国づくりを進めてまいります。
- この震災により犠牲となられた全ての方々に対し哀悼の意を表すべく、3月11日の午後2時46分に1分間の黙とうを捧(ささ)げ、御冥福をお祈りすることとしております。国民の皆様におかれましても、これに合わせて、それぞれの場所において黙とうを捧げるなど、犠牲者の御冥福をお祈りいただきますよう、お願いいたします。
【2024年2月】
首相官邸 外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議(第17回)
▼ 資料1-1 技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の最終報告書(概要)
- 見直しに当たっての三つの視点(ビジョン)
- 国際的にも理解が得られ、我が国が外国人材に選ばれる国になるよう、以下の視点に重点を置いて見直しを行う。
- 外国人の人権保護
- 外国人の人権が保護され、労働者としての権利性を高めること
- 外国人のキャリアアップ
- 外国人がキャリアアップしつつ活躍できる分かりやすい仕組みを作ること
- 安全安心・共生社会
- 全ての人が安全安心に暮らすことができる外国人との共生社会の実現に資するものとすること
- 外国人の人権保護
- 国際的にも理解が得られ、我が国が外国人材に選ばれる国になるよう、以下の視点に重点を置いて見直しを行う。
- 見直しの四つの方向性
- 技能実習制度を人材確保と人材育成を目的とする新たな制度とするなど、実態に即した見直しとすること
- 外国人材に我が国が選ばれるよう、技能・知識を段階的に向上させその結果を客観的に確認できる仕組みを設けることでキャリアパスを明確化し、新たな制度から特定技能制度への円滑な移行を図ること
- 人権保護の観点から、一定要件の下で本人意向の転籍を認めるとともに、監理団体等の要件厳格化や関係機関の役割の明確化等の措置を講じること
- 日本語能力を段階的に向上させる仕組みの構築や受入れ環境整備の取組により、共生社会の実現を目指すこと
- 留意事項
- 現行制度の利用者等への配慮
- 見直しにより、現行の技能実習制度及び特定技能制度の利用者に無用な混乱や問題が生じないよう、また、不当な不利益や悪影響を被る者が生じないよう、きめ細かな配慮をすること
- 地方や中小零細企業への配慮
- とりわけ人手不足が深刻な地方や中小零細企業において人材確保が図られるように配慮すること
- 提言
- 新たな制度及び特定技能制度の位置付けと両制度の関係性等
- 現行の技能実習制度を発展的に解消し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設。
- 基本的に3年間の育成期間で、特定技能1号の水準の人材に育成。
- 特定技能制度は、適正化を図った上で現行制度を存続。
- 現行の企業単独型技能実習のうち、新たな制度の趣旨・目的に沿うものは適正化を図った上で引き続き実施し、趣旨・目的を異にするものは、新たな制度とは別の枠組みでの受入れを検討。
- 新たな制度の受入れ対象分野や人材育成機能の在り方
- 受入れ対象分野は、現行の技能実習制度の職種等を機械的に引き継ぐのではなく新たに設定し、特定技能制度における「特定産業分野」の設定分野に限定。
- 国内における就労を通じた人材育成になじまない分野は対象外。
- 従事できる業務の範囲は、特定技能の業務区分と同一とし、「主たる技能」を定めて育成・評価(育成開始から1年経過・育成終了時までに試験を義務付け)。
- 季節性のある分野(農業・漁業)で、実情に応じた受入れ・勤務形態を検討。
- 受入れ対象分野は、現行の技能実習制度の職種等を機械的に引き継ぐのではなく新たに設定し、特定技能制度における「特定産業分野」の設定分野に限定。
- 受入れ見込数の設定等の在り方
- 特定技能制度の考え方と同様、新たな制度でも受入れ対象分野ごとに受入れ見込数を設定(受入れの上限数として運用)。
- 新たな制度及び特定技能制度の受入れ見込数や対象分野は経済情勢等の変化に応じて適時・適切に変更。試験レベルの評価等と合わせ、有識者等で構成する会議体の意見を踏まえ政府が判断。
- 新たな制度における転籍の在り方
- 「やむを得ない事情がある場合」の転籍の範囲を拡大・明確化し、手続を柔軟化。
- これに加え、以下を条件に本人の意向による転籍も認める。
- 計画的な人材育成等の観点から、一定要件(同一機関での就労が1年超/技能検定試験基礎級等・日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)合格/転籍先機関の適正性(転籍者数等))を設け、同一業務区分に限る。
- 転籍前機関の初期費用負担につき、正当な補填が受けられるよう措置を講じる。
- 監理団体・ハローワーク・技能実習機構等による転籍支援を実施。
- 育成終了前に帰国した者につき、それまでの新たな制度による滞在が2年以下の場合、前回育成時と異なる分野・業務区分での再入国を認める。
- 試験合格率等を受入れ機関・監理団体の許可・優良認定の指標に。
- 監理・支援・保護の在り方
- 技能実習機構の監督指導・支援保護機能や労働基準監督署・地方出入国在留管理局との連携等を強化し、特定技能外国人への相談援助業務を追加。
- 監理団体の許可要件等厳格化。
- 受入れ機関と密接な関係を有する役職員の監理への関与の制限/外部監視の強化による独立性・中立性確保。
- 職員の配置、財政基盤、相談対応体制等の許可要件厳格化。
- 受入れ機関につき、受入れ機関ごとの受入れ人数枠を含む育成・支援体制適正化、分野別協議会加入等の要件を設定。
- ※優良監理団体・受入れ機関については、手続簡素化といった優遇措置。
- 特定技能制度の適正化方策
- 新たな制度から特定技能1号への移行は、以下を条件。
- 技能検定試験3級等又は特定技能1号評価試験合格
- 日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等)合格
- ※当分の間は相当講習受講も可
- 試験不合格となった者には再受験のための最長1年の在留継続を認める。
- 支援業務の委託先を登録支援機関に限定し、職員配置等の登録要件を厳格化/支援実績・委託費等の開示を義務付け。キャリア形成の支援も実施。
- 育成途中の特定技能1号への移行は本人意向の転籍要件を踏まえたものとする。
- 新たな制度から特定技能1号への移行は、以下を条件。
- 国・自治体の役割
- 地方入管、新たな機構、労基署等が連携し、不適正な受入れ・雇用を排除。
- 制度所管省庁は、業所管省庁との連絡調整等、制度運用の中心的役割。
- 業所管省庁は、受入れガイドライン・キャリア形成プログラム策定、分野別協議会の活用等。
- 日本語教育機関の日本語教育の適正かつ確実な実施、水準の維持向上。
- 自治体は、地域協議会への積極的な参画等により、共生社会の実現、地域産業政策の観点から、外国人材受入れ環境整備等の取組を推進。
- 送出機関及び送出しの在り方
- 二国間取決め(MOC)により送出機関の取締りを強化。
- 送出機関・受入れ機関の情報の透明性を高め、送出国間の競争を促進するとともに、来日後のミスマッチ等を防止。
- 支払手数料を抑え、外国人と受入れ機関が適切に分担する仕組みを導入。
- 日本語能力の向上方策
- 継続的な学習による段階的な日本語能力向上。
- 就労開始前にA1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)合格又は相当講習受講
- 特定技能1号移行時にA2相当以上の試験(〃N4等)合格※当分の間は相当講習受講も可
- 特定技能2号移行時にB1相当以上の試験(〃N3等)合格
- ※各分野でより高い水準の試験の合格を要件とすることを可能とする(4、6に同じ)。
- 日本語教育支援に取り組んでいることを優良受入れ機関の認定要件に。
- 日本語教育機関認定法の仕組みを活用し、教育の質の向上を図る。
- 継続的な学習による段階的な日本語能力向上。
- その他(新たな制度に向けて)
- 政府は、人権侵害行為に対しては現行制度下でも可能な対処を迅速に行う。
- 政府は、移行期間を十分に確保するとともに丁寧な事前広報を行う。
- 現行制度の利用者等に不当な不利益を生じさせず、急激な変化を緩和するため、本人意向の転籍要件に関する就労期間について、当分の間、分野によって1年を超える期間の設定を認めるなど、必要な経過措置を設けることを検討。
- 政府は、新たな制度等について、適切に情報発信し、関係者の理解を促進する。
- 政府は、新たな制度の施行後も、運用状況について不断の検証と見直しを行う。
- 新たな制度及び特定技能制度の位置付けと両制度の関係性等
首相官邸 共生社会と人権に関するシンポジウム 岸田総理ビデオメッセージ
- 皆さん、こんにちは。内閣総理大臣の岸田文雄です。「共生社会と人権」に関するシンポジウムの開催に当たり、一言御挨拶申し上げます。
- 平成27年に国連で採択された持続可能な開発目標、SDGsでは、「誰一人取り残さない」との理念の下、17の目標が掲げられています。政府におけるSDGsの達成に向けた取組の一つでもある共生社会の実現は、我々の果たすべき重要な使命です。
- しかし、残念ながら、我が国においては、雇用や入居などの場面やインターネット上において、外国人、障害のある人、アイヌの人々、性的マイノリティの人々などが不当な差別を受ける事案を耳にすることも少なくありません。
- マイノリティの方々に対して不当な差別的取扱いを行ったり、不当な差別的言動を行ったりすることは、当然、許されるものではありません。
- また、近年、外国にルーツを有する人々が、特定の民族や国籍等に属していることを理由として不当な差別的言動を受ける事案や、偏見等により放火や名誉毀損等の犯罪被害にまで遭う事案が発生しており、「次は自分が被害に遭うのではないか。」と、日々、恐怖を感じながら生活することを余儀なくされている方々もおられます。
- 国会でも繰り返し申し上げてきたとおり、特定の民族や国籍の人々を排斥する趣旨の不当な差別的言動、まして、そのような動機で行われる暴力や犯罪は、いかなる社会においても決してあってはなりません。
- 我が国は、「法の支配」や「基本的人権の尊重」といった普遍的価値を重視し、国際社会と共有してまいりました。我々が目指すべきは、全ての人が安全・安心に暮らすことができる「人間の尊厳」が守られた世界であって、これを脅かすことにつながる不当な差別や偏見に対しては、内閣総理大臣として、断固立ち向かってまいります。
- 共生社会を実現するためには、他者との違いを理解し、そして互いに受け入れていくことが重要です。政府においては、不当な差別や偏見の解消に向けて様々な取組を行っています。その取組の一環として行う本日のシンポジウムは、「多様性と包摂性のある社会を目指して」をサブテーマに、共生社会の実現に資する様々な知識や気付きを得られる充実した内容となっています。是非、最後まで御視聴いただき、多様性に関する理解を深め、できることから第一歩を踏み出していただくようお願いいたします。
- 政府においても、共生社会の実現に向けて、引き続きしっかりと取り組んでまいります。共に歩みを進めてまいりましょう。
【2024年1月】
首相官邸 農林水産物・食品の輸出拡大のための輸入国規制への対応等に関する関係閣僚会議(第19回)
▼ 資料2 農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略改訂案(概要)
- 2024年度に実施する施策及び2025年度以降の実施に向け検討する施策の方向を決定
- 日本の強みを最大限に発揮するための取組
- 今後の輸出増のポテンシャルが高い国・地域を新たにターゲット国・地域に位置づけるため、輸出拡大実行戦略(別表1)に掲げる輸出重点品目別の輸出目標等を改訂。
- 有望な国・地域に輸出支援プラットフォームの設置を拡大。米国のプラットフォームにヒューストンの事務局を追加設置するとともに、2023年度中にも、マレーシア(クアラルンプール)及びUAE(ドバイ)に新設予定。
- 輸出支援プラットフォームを活用し、日系以外の商流における商流構築を現地発で推進。
- マーケットインの発想で輸出にチャレンジする農林水産事業者を後押し
- 農林水産大臣、JAグループの長を構成員とする「輸出関係連絡協議会(仮称)」を設置し、輸出に意欲的なJAへのサポートや輸出人材の育成を連携して推進。
- 海外の規制・ニーズに対応した農林水産物を、求められる量で継続的に輸出する「フラッグシップ輸出産地」(仮称)を選定・公表。みどり戦略交付金に輸出産地向けの優遇措置を新たに設けるなど他の施策と連携しながら、輸出産地の成長段階に応じた切れ目ない支援を実施。
- GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)とAFJ日本農業経営大学校が連携した輸出講座の開設、輸出実務経験者等の専門人材と輸出事業者のマッチングの推進など、輸出人材の育成・確保を促進。
- 輸出に伴い海外で生じる利益を日本の食品産業事業者が取り込めるような海外展開を促すため、投資に係るフィージビリティ・スタディへの支援等を実施。
- 省庁の垣根を超え政府一体として輸出の障害を克服
- 科学的根拠に基づかない規制措置に対しては、引き続き政府一体となって、即時撤廃を求めていく。
- 「水産業を守る」政策パッケージを活用し関係省庁、JETRO等の関係機関が一体となって、輸入規制強化の影響を受けている水産物の輸出先の転換・多角化を推進。
- 我が国の優良品種の保護・活用を進めるため、海外ライセンス指針に則して海外からのロイヤルティ収入を新品種開発に投資するサイクルや輸出先国における周年供給モデルを構築。
- 品種の侵害防止に向けた国内ライセンス指針の策定など管理の枠組み強化とこれを支える知財教育の充実を推進
- 日本の強みを最大限に発揮するための取組
首相官邸 第4回 認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議 議事次第
▼ 資料1 認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議 とりまとめ(案)概要
- はじめに
- 2023年6月に共生社会の実現を推進するための認知症基本法が成立。基本法の施行に先立ち、認知症の本人・家族、有識者の声に耳を傾け、政策に反映するため本会議を設置。
- 本会議としては、
- 基本法の施行が2024年1月1日とされたことを踏まえ、基本計画について「とりまとめ」を十分踏まえ策定すること
- 次期通常国会において、介護離職防止のため育児・介護休業法の改正に取り組むこと
- 高齢者の生活上の課題について、ガイドラインの策定、必要な論点整理等を進めること
を求める。
- 意見のとりまとめ
- 基本的考え方
- 認知症の施策や取組を、認知症基本法の理念に基づき立案・実施・評価
- 普及啓発・本人発信支援
- 認知症とともに希望を持って生きるという「新しい認知症観」や認知症基本法の理解促進、認知症の本人の姿と声を通じて「新しい認知症観」を伝えていく
- 地域ぐるみで支え合う体制など
- 若年性認知症の人等の社会参加や就労の機会の確保
- 早期かつ継続的に意思決定支援を行える環境整備
- 本人、家族の声を聴きながら認知症バリアフリーを進め、幅広い業種の企業が経営戦略の一環として取り組む
- 認知症の本人の意向を十分に尊重した保健医療・福祉サービス等につながる施策や相談体制の整備等
- 家族等の支援(仕事と介護の両立支援)
- 介護をしながら家族等が自分の人生を大切にできる環境・支援制度の整備
- 研究開発・予防
- 本人、家族等に役立つ研究成果、国の支援
- 独居高齢者を含めた高齢者等の生活上の課題関係
- 独居高齢者等の意思決定支援を補完する仕組み。政府全体で問題への対処、整理
- 基本的考え方
首相官邸 持続可能な開発目標(SDGs)推進本部会合(第14回)
▼ 資料1 SDGs実施指針改定版
- 改定の趣旨
- 2015年9月の国連総会で満場一致で採択された持続可能な開発のための2030アジェンダ(以下、「2030アジェンダ」という。)は地球規模の行動のアジェンダであるとされており、その中で、持続可能な開発目標(以下、「SDGs」という。)は「先進国、開発途上国も同様に含む世界全体の普遍的な目標とターゲット」と明記されている。
- SDGs採択を受け、その後8年間にわたり、国内外の多様なステークホルダーによって様々な取組やルール形成の努力が続けられてきた。その過程で、人々の意識や生活様式から産業構造や金融の流れに至るまで、我が国を含む国際社会全体の経済・社会活動のあり方は急速かつ大きく変容しようとしている。
- 一方で、気候変動や感染症をはじめとする地球規模課題の深刻化に加え、国際社会全体がSDGs採択当時には想定されていなかった複合的危機に直面する中、2030年までのSDGs達成に向けた進捗は大きな困難に直面している。さらに、ロシアによるウクライナ侵略やイスラエル・パレスチナ情勢の緊迫化等、SDGs推進に必要な平和で安定した国際環境それ自体が危機にさらされる状況も生じている。
- かかる状況は、我が国を含む国際社会全体として、我が国が提唱する「人間の安全保障」の理念の下、平和の持続と持続可能な開発を一体的に推進していくこと、また、複合的危機に対する国際社会全体の強靭性を強化していくことの重要性を改めて強く示すものである。さらに、将来にわたってかかる取組を継続的に促進し、国際社会全体で持続可能性を確保していく観点からは、国家に加え、多様なステークホルダー、とりわけ若い世代の参画を確保していくこともこれまで以上に重要となってきている。
- 同時に、国際社会において、2030年までにSDGs達成を目指すという大きな方向性に揺らぎはない。本年9月のSDGサミットでも、国際社会全体としてのSDGs達成に向けた取組の加速化への強いコミットメントを改めて確認した。その中で、岸田総理は、「人間の尊厳」の重要性を強調しつつ、我が国として国際社会のSDGs達成に向けた取組を力強く牽引していく決意を明確に示した。
- 以上の状況の下、我が国として、人口減少や少子高齢化が加速する中、多様性と包摂性のある社会を築き、また、イノベーションを活かした社会課題の解決を通じて我が国自身の持続可能な発展と繁栄及び国際競争力の強化を実現していくため、引き続き強い決意をもって、SDGs達成に向けた取組を強化し、加速するとともに、国際社会のSDGs達成に向けた努力に対して最も効果的な形で更に貢献していく必要がある。以上を踏まえ、SDGs実施指針の改定を行う。
- 重点事項
- 我が国は、引き続き2030年までの国内外におけるSDGs達成を目指し、これまでの実施指針で示された「5つのP」や「8つの優先課題」等の根幹的な考え方を引き継ぎつつ、また、各目標間の相互連関に留意しながら、特に以下の重点事項について具体的取組を強化・加速していく。
- 持続可能な経済・社会システムの構築
- 2030アジェンダは、各国が具体的状況に応じてそれぞれターゲットを定めるよう推奨する等各国の自主性を強調しつつ、SDGsの「ターゲットを具体的な国家計画プロセスや政策、戦略に反映していく」よう求めている。
- 我が国は、「新しい資本主義」を掲げており、科学技術イノベーションも活用しつつ、様々な経済的・社会的課題や地球規模課題の解決に向けた取組を通じて、持続的な成長と安心・幸せを実感できる経済・社会構造の構築を実現していく。また、全ての人々のディーセント・ワークを促進する。
- 「人への投資」やGX・DXの推進を通じた新たな産業構造への転換等において、公正な移行の観点も踏まえつつ、広範なステークホルダーとの対話と連携を進めながら、官民連携投資の拡大と経済・社会改革を進めていく。その中で、インパクト投資やESG投資等の促進を含め、社会課題等の解決を通じて事業性を高める企業や社会起業家、公共的な活動を担う様々な民間主体の活動等への支援を強化していく。
- また、地方においては、地方創生SDGsやSDGs未来都市、広域連携SDGsモデル事業、地域包括ケアシステム等を通じて持続的成長への取組をより強力に後押ししていく。また、デジタル田園都市国家構想も踏まえ、インフラやサービスの水準の維持・向上を通じて、国土の均衡ある発展に取り組む。
- 「誰一人取り残さない」包摂社会の実現
- 持続可能な経済・社会システムの構築の観点からも、脆弱な立場にある人々を含む「誰一人取り残さない」包摂社会の実現は急務である。さらに、経済・社会システムの変容の過程において新たに取り残される可能性のある人々に対する適切な対応も必要である。
- こども大綱に基づくこども施策の抜本的強化、質の高い公教育の再生、女性登用の加速化を含む女性の活躍と経済成長の好循環の実現、包摂的な共生・共助社会づくり、孤独・孤立対策推進法に基づく国・地方の孤独・孤立対策の強化等の取組を通じて、貧困や格差の拡大・固定化による社会の分断を回避し、持続可能な経済・社会の実現につなげていく。また、「ビジネスと人権」に関する行動計画を着実に実施していくとともに、サプライチェーンを含む企業の活動における人権尊重の取組を促進する。加えて、「障害者基本計画」や「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」に則った取組を推進する。
- さらに、持続可能な経済・社会システムの構築に向けた取組を将来にわたって継続的に加速していくとの観点からも、若い世代の意味ある参画の拡大に取り組むとともに、教育の場を通じて持続可能な経済・社会システムのあり方を学ぶ機会の拡大に取り組んでいく。
- かかる取組を進めるに当たっては、これまでの実施指針で強調されてきたとおり、人権の尊重とジェンダー平等は全ての目標において横断的に実現されるべきことに十分留意する。また、引き続き、国内の全てのステークホルダーとの連携・協働を強化していく
- 地球規模の主要課題への取組強化
- 気候変動、生物多様性の損失及び汚染という三つの世界的危機を克服するため、ネット・ゼロ、循環型及び気候変動に強靱かつネイチャーポジティブな経済・社会システムへの転換を加速する。その鍵は、統合的アプローチと経済・社会課題の同時解決であり、地域資源の持続的活用によって課題解決を継続し、地域同士が支え合う地域循環共生圏の実現に取り組む。
- 気候変動分野では、国際社会の一致した取組の強化が必要であり、1.5度目標と整合的な2030年度目標達成に向けた取組の継続、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想等を通じて、アジア地域の脱炭素化を主導する。また、緑の気候基金(GCF)への拠出等を通じて、開発途上国の脱炭素化及び気候変動に脆弱な国の強靭性強化に資する取組を支援する。我が国として、脱炭素の取組と同時に、強靭なエネルギー需給構造への転換を含めたエネルギー安全保障を強化する。環境と調和のとれた食料システムの確立を図りつつ、食料安全保障を強化する。
- 気候変動に伴って世界中で多発する自然災害への対処のため、防災・減災分野における我が国の知見の共有を図るとともに、被災地のビルド・バック・ベター(より良い復興)等、「仙台防災枠組2015-2030」の推進を国内外で加速する。
- 2030年までに生物多様性の損失を食い止め、反転させるため、「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を着実に実施し、G7ネイチャーポジティブ経済アライアンスの取組を推進する。その際、気候変動や生物多様性の損失、世界の森林減少等、各課題の間のトレード・オフを回避し、統合的解決を図る観点から、個々の具体的取組において相乗効果(シナジー)の最大化を図っていく。また、持続可能な開発に関するグローバル報告書(GSDR2023)や気候変動とSDGsのシナジーに関する専門家グループによる報告書等の科学的知見を活用する。
- また、グリーン・ファイナンスの拡大、トランジション・ファイナンスに対する国際的理解の醸成に向けた取組の強化を図るとともに、公的資金と民間資金を組み合わせた金融手法の開発・確立を促進する。
- 国際保健分野では、「グローバルヘルス戦略」の下での取組を推進する。国内外で将来の健康危機に対する予防・備え・対応(PPR)への取組を発展・強化するとともに、「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の達成に向けた取組を強化し、「グローバルヘルス・アーキテクチャー」の発展・強化に貢献する。また、国際保健分野への民間資金の動員を促進するため、グローバルヘルスのためのインパクト投資イニシアティブ(トリプルI)を推進する。
- 以上の取組を推進するに当たっては、気候変動や生物多様性が健康に関わり合うという「プラネタリーヘルス」の考え方も踏まえ、個々の地球規模課題の間の相互連関に十分に留意する。
- 国際社会との連携・協働
- 国際社会における持続可能性の確保と全ての国の持続的発展の達成は表裏一体である。先進国・開発途上国を問わず各国がそれぞれの事情に応じて異なる課題に直面する中、国際社会全体として持続可能性を確保していくためには、各国の間において共感に基づく協働と連帯を広げていく必要がある。かかる観点から、我が国として、自らの取組の特徴や強みを明確化しながら、国際社会における持続可能性の包括的達成に向けた貢献を強化していく。
- その際、国際社会で加速している関連のルールや基準の形成の動きについて、国際標準化を含め、官民連携の下、主導的に参画していく。環境や国際保健等の分野における新たな法的文書の作成といった国際的なルール形成においても貢献していく。また、AIを含む新しい国際的なガバナンス体制づくりへの貢献に取り組む。
- かかる観点から、国連をはじめとする国際機関との連携や国際機関における邦人職員の増強を含め、ルール形成において重要な役割を担う国際的な組織における我が国のプレゼンスの強化に取り組む。
- 複合的危機の時代においては、様々な主体間の「共創」による課題解決が求められる。開発途上国への開発協力は、我が国を含む国際社会の持続可能性の達成への貢献の主要な手段であり、開発協力大綱に基づき、多国間及び二国間の開発協力を有機的に連携させながら、効果的・戦略的・適切に実施する。また、企業、国際機関、市民社会等の多様なアクターとの連携や新たな資金の動員に向けた取組をより一層推進する。引き続き、GNI比 0.7%とのODAの国際的目標を念頭に置くとともに、我が国の極めて厳しい財政状況も十分踏まえつつ、様々な形でODAを拡充し、実施基盤強化のための必要な努力を行う。
- 複合的危機に対する国際社会全体の強靭性の強化の観点から、GX・DX、サプライチェーンの確保や「質の高いインフラ」の整備を推進し、あらゆる分野で「質の高い成長」の達成を目指していく。特に、前述の「仙台防災枠組2015-2030」も踏まえた防災・減災分野における協力や、母子保健や感染症への対応等を含む公衆衛生水準・医療水準の向上に向けた人材育成等の我が国の知見・技術を活かした取組を推進する。また、「人への投資」の一環として、質の高い教育、女性・こども・若者の能力強化や紛争・災害下の教育機会の確保の観点も踏まえ、引き続き教育分野における取組を強力に推進する。さらに、「女性・平和・安全保障(WPS)に関する行動計画」を踏まえ、WPSアジェンダの推進に向けた取組を強化する。また、より脆弱性の高い国や取り残されがちなコミュニティへの支援及び貧困削減、基礎的社会サービスの強化、緊急人道支援等にも重点的に取り組む。
- 平和の持続と持続可能な開発の一体的推進
- 平和で安定した国際環境の実現は、国際社会の持続可能性の確保に向けた取組を進める上で不可欠の前提である。さらに、国際社会の持続可能性と平和で安定した国際環境の確保を同時に実現していく観点から、「人道・開発・平和の連携(HDPネクサス)」のアプローチはますます重要となっている。
- 国際社会全体が国連憲章に明記されている「人間の尊厳」という原点に改めて立ち返り、国際社会の分断と対立を乗り越え、平和で安定した国際環境の下、全体として持続可能性を実現していくために、我が国は、上述の様々な取組を含め、引き続き貢献していく。多発する人道危機に際しては、人道原則に基づく支援を行うとともに、国際人道法の遵守を国際社会に強く訴えていく。
- また、我が国が提唱してきた「人間の安全保障」の理念は、(1)個人の保護、(2)個人の能力強化、(3)様々な主体間の連帯の三つを柱とするものであり、国際社会においてHDPネクサスを確保していく上で鍵となる考え方である。我が国は、引き続き、「人間の安全保障」の理念の下、HDPネクサスに留意しつつ、「人間の尊厳」を中心に置いた開発協力を推進し、国際社会の平和と繁栄の確保にも積極的に貢献していく。
- 持続可能な経済・社会システムの構築
- 我が国は、引き続き2030年までの国内外におけるSDGs達成を目指し、これまでの実施指針で示された「5つのP」や「8つの優先課題」等の根幹的な考え方を引き継ぎつつ、また、各目標間の相互連関に留意しながら、特に以下の重点事項について具体的取組を強化・加速していく。
- 実施に当たっての取組
- 以上の重点事項を着実に実施していくため、以下の取組を進めていく。
- 実施体制の強化・ステークホルダー間の連携
- 内閣総理大臣を本部長、官房長官及び外務大臣を副本部長、全閣僚を構成員とするSDGs推進本部が引き続き司令塔の役割を果たす。SDGs推進本部は、SDGs推進本部幹事会、SDGs推進円卓会議等をより一層積極的に活用し、取組を更に加速していく。また、地方レベルでもSDGs未来都市の推進等を通じて、地方自治体と一体となって取組を推進する。
- 実施指針の実施に当たっては、政府が率先してリーダーシップをとり、多様なセクターの主体的参画を促し、連携・協力しながら、個別の取組を全体につなげることで変革を加速し、全体としてSDGs達成への道筋を切り開いていく。かかる観点から、SDGs推進本部は、各府省庁の参加を得ながら、ステークホルダー間の連携・協働のハブとしての役割をより一層効果的に果たしつつ、実施体制の不断の見直しを図っていく。
- また、SDGs推進本部において、実施指針に基づく取組の進捗状況を定期的に確認し、基本的に4年ごとに又は必要に応じて実施指針の見直しを行う。
- 以上の取組を進めるに当たり、引き続き「公的統計の整備に関する基本的な計画」に従い、SDGグローバル指標への対応の拡大に取り組むとともに、同指標等のデータに基づく進捗状況の把握・評価、政策への反映に取り組む。また、中長期的な同指標のあり方に関する国際的な議論に積極的に関与する。
- 自発的国家レビュー(VNR)と国際社会における取組の主導
- 2025年を目途に自発的国家レビュー(VNR)を実施する。その際、我が国が推進するSDGsのあり方について国際的に発信し、国際社会全体の持続可能性の確保に向けた取組を主導する。また、我が国のSDGsの進捗状況についてレビューしつつ、特に各目標に共通する横串の諸課題について、SDGsは全体として一体で不可分という観点から、必要に応じて、分野別のレビューを行う。
- その際、科学的エビデンスに基づくSDGsの進捗管理及び達成に向けた取組を進めていくこと、かかる取組を国際社会全体のSDGs達成に向けた取組に有機的に統合すること及び国際社会において主導権を発揮していくことを十分に踏まえる。以上の取組を通じて、2030年以降も見据えた国際的な議論も主導していく。
- また、地方自治体との連携を強化し、自発的ローカルレビュー(VLR)の積極的な実施を後押しする。
- 広報・啓発
- 前述のとおり、SDGsに対する国民の認知度は国際社会との比較においても大幅に向上しており、これまでの広報・啓発は大きな効果を挙げてきた。一方で、グリーンウォッシュ等実態が伴わない取組に対する懸念やSDGsに対する理解度の不足も指摘されている。
- 持続可能な経済・社会システムの構築の推進等の観点から、個々人の意識と取組に加え、地方自治体やビジネス、メディア、非営利組織を含む民間等の取組がますます重要になっていることも踏まえ、引き続き広報・啓発のあり方について不断の見直しと選択的な強化を進めていく。
- また、国際社会全体でのSDGs達成に向けた我が国の貢献への期待が高まっていることも踏まえ、戦略的観点から、国際協力についての理解の深化にも引き続き取り組む。今後は、国内での広報・啓発に加え、重点事項に資する観点から、2025年の日本国際博覧会(大阪・関西万博)等の機会も利用しつつ、国際社会に対する発信も強化していく。
- なお、ジャパンSDGsアワードについては、創設時の政策的意義を果たしたと考えられることから、今後のあり方については別途検討する
- 実施体制の強化・ステークホルダー間の連携
- 以上の重点事項を着実に実施していくため、以下の取組を進めていく。
首相官邸 総合海洋政策本部会合(第21回)議事次第
▼ 資料1:海洋開発重点戦略に係る重要ミッション(案)について
- 「海洋開発重点戦略」による海洋開発の拡大の加速
- 我が国は広大かつ深い海に囲まれた海洋大国(※管轄海域の面積は世界第6位、体積は世界第4位)。
- 近年、経済安全保障の重要性や脱炭素社会の実現の必要性の高まりを背景に、海洋開発の必要性が急速に高まるとともに、海洋開発を支える自律型無人探査機(AUV)、浮体式洋上風力発電やレアアース泥の採掘技術等の海洋関連技術の進展等により、我が国の海洋開発は、ニーズ・シーズの両面から、新たな局面・段階に入りつつある。
- このため、国益の観点から省庁横断で取り組むべき重要ミッションを対象に、令和5年度中を目途に「海洋開発重点戦略」を策定し、必要な予算を確保して、我が国の海洋開発の拡大を加速させ、(1)我が国の安全保障・経済安全保障の強化(2)経済成長への貢献(3)社会的課題の解決を通じて海洋立国を実現する。
- 「海洋開発重点戦略」について
- 「海洋開発重点戦略」は、省庁横断で取り組むべき重要ミッションを対象に、社会実装・産業化・国際展開等の観点から、原省庁の取り組みを精査し、その内容を調整して策定。
- 海洋を巡る情勢の変化等を踏まえ、適宜対象の追加や戦略の改定を実施。
- 「海洋開発重点戦略」の対象とする重要ミッション(案)について
- 国益の観点から省庁横断で取り組むべき重要ミッションとして、まずは以下の項目を海洋開発重点戦略に位置付け、関連の取組を進めることとしたい。※なお、重要ミッションについては、関連の取組の進捗や海洋を巡る状況の変化等も踏まえ、必要に応じて見直しを実施する。
- 管轄海域の保全のための国境離島の状況把握
- 海洋開発・利用の前提となる管轄海域を保全するため、国境離島の合理的・効果的な状況把握を推進する。
- 特定離島である南鳥島とその周辺海域の開発の推進
- 経済安全保障の強化等の観点から、南鳥島での継続的な産業活動に必要な環境整備を見据えた、地形、地質、環境等の情報・データの収集・整理や検討等を実施する。
- 海洋状況把握(MDA)及び情報の利活用の推進
- 海洋の安全保障、海洋の産業利用の推進等の観点から、衛星データ・民間データ・AIの活用や諸外国の海洋情報の取り込みによるMDAの能力強化と海洋情報の活用の促進を図る。
- 自律型無人探査機(AUV)の開発・利用の推進
- 海洋の省人化、生産性向上等に資するAUVの開発・実用化、利用拡大、共通化・標準化や、オープン・クローズ戦略等の制度環境整備等の取組を推進する。
- 洋上風力発電の排他的経済水域(EEZ)展開に向けた制度整備の推進
- 再生可能エネルギーの活用拡大に向け、我が国のEEZでの洋上風力発電の案件形成に向けた必要な制度整備を推進する。
- 北極政策における国際連携の推進等
- 北極域での産業利用の促進や研究の国際連携強化等を目指し、北極域研究船等を国際プラットフォームとして活用するための取組等を推進する。
- 管轄海域の保全のための国境離島の状況把握
- 国益の観点から省庁横断で取り組むべき重要ミッションとして、まずは以下の項目を海洋開発重点戦略に位置付け、関連の取組を進めることとしたい。※なお、重要ミッションについては、関連の取組の進捗や海洋を巡る状況の変化等も踏まえ、必要に応じて見直しを実施する。
首相官邸 海上保安能力強化に関する関係閣僚会議
▼ 配布資料
- 尖閣諸島周辺海域における中国海警局に所属する船舶等の動向 【令和5年12月15日午前8時時点】
- 平成28年9月以降、中国海警局に所属する船舶等4隻による領海侵入が多く確認されるようになっている。
- 領海侵入時間(最長):80時間36分(令和5年3月~4月)※2番目に長い領海侵入時間は、72時間45分(令和4年12月)
- 接続水域内における年間確認日数(最多):338日(令和5年)※2番目に多い年間確認日数は、336日(令和4年)
- 接続水域内における連続確認日数(最長):157日(令和3年2月13日~7月19日)※2番目に長い連続確認日数は、138日(令和4年4月16日~8月31日)
- 無操縦者航空機の導入及び実績
- 我が国周辺海域の監視警戒・事案対応(海難・災害対応)等のため、
- 令和4年10月から、「シーガーディアン」1機の運用を開始
- 令和5年5月から、3機による24時間365日の運用体制を確立
- 平時における防衛省・自衛隊との連携
- あらゆる事態に対応するため情報共有・連携を深化するとともに、不審船共同対処、海賊対処の共同運用など各種訓練等を実施。
- 有事における防衛省・自衛隊との連携
- 海上保安庁は、関係機関と連携の上、巡視船・航空機による住民輸送、海上における人命の保護、船舶への情報提供・避難支援、港湾施設等のテロ警戒等を実施。
- 引き続き、統制要領に基づく共同訓練等を通じて連携強化を推進するとともに、住民輸送に必要な資機材整備や円滑な住民輸送のための調査・研究を進める。
首相官邸 食料安定供給・農林水産業基盤強化本部
▼ 「食料・農業・農村基本法の改正の方向性について」 概要
- 「食料安全保障の抜本的な強化」、「環境と調和のとれた産業への転換」、「人口減少下における生産水準の維持・発展と地域コミュニティの維持」の観点から改正を行い、令和6年の通常国会への提出を目指す。
- 食料安全保障の抜本的な強化
- 食料安全保障を柱として位置付け
- 国全体としての食料の確保(食料の安定供給)に加えて、国民一人一人が食料を入手できるようにすることを含むものへと再整理
- 食料安定供給の基本的考え方を堅持し、輸入の安定確保に関する新たな位置付け
- 食料安全保障の確保については、過度な輸入依存の低減の観点から、輸入・備蓄とともに行う国内の農業生産の増大が基本
- 食料安定供給に当たっての生産基盤の重要性の視点を追加するとともに、輸入相手国の多角化や輸入相手国への投資の促進など、輸入の安定確保について新たに位置付け
- 農産物の輸出に関する政策的意義について位置付け
- 農産物の輸出について、国内生産基盤の維持の観点を追加するとともに、増大する海外需要に対応し、農業者や食品事業者の収益性の向上に資する輸出の促進が重要である旨を位置付け
- 生産から消費までの関係者の連携促進(「食料システム」という新たな概念の位置付け)
- 食料供給の持続性を高めるため、生産・加工・流通・小売から消費者を含む概念として食料システムを新たに位置付け(同時に、関係団体の役割や食品事業者のより主体的な役割の明確化等)
- 適正な価格形成の促進と消費者の役割の明確化
- 食料の価格形成において、農業者、食品事業者等の関係者の相互理解と連携の下に、農業生産等の合理的な費用や環境負荷低減のコストなど、食料の持続的な供給に要する合理的な費用が考慮された適正な価格形成を促す視点を、消費者の役割も含め明確化
- 円滑な食品アクセスに関する新たな位置付け
- 幹線物流やラストワンマイル等の課題がある中で、円滑な食品アクセスの確保に関する施策を新たに位置付け
- 食料安全保障を柱として位置付け
- 環境と調和のとれた産業への転換
- 環境と調和のとれた食料システムの確立を柱として位置付け
- 食料供給が環境に負荷を与えている側面にも着目し、多面的機能に加え、環境と調和のとれた食料システムの確立を位置付け
- その上で、環境等の持続性に配慮した取組の促進などについて明確化 等
- 環境と調和のとれた食料システムの確立を柱として位置付け
- 人口減少下における生産水準の維持・発展と地域コミュニティの維持
- 生産基盤の確保に向けた担い手の育成・確保とそれ以外の多様な農業人材の役割の明確化
- 担い手の育成・確保を引き続き図りつつ、農地の確保に向けて、担い手とともに地域の農業生産活動を行う、担い手以外の多様な農業人材も位置付け
- 農業法人の経営基盤の強化を新たに位置付け
- 農業者が急速に減少する中で、食料供給に重要な役割を果たす農業法人の経営基盤の強化も位置付け
- 将来の農業生産の目指す方向性の明確化
- 食料の安定供給を図るためにも、スマート農業の促進や新品種の開発などによる「生産性の向上」、知的財産の確保・活用などによる「付加価値の向上」、「環境負荷低減」といった将来の農業生産が目指す方向性を位置付け・特に、より少ない農業者で食料供給を確保しなければならなくなる中で、サービス事業体の育成・確保を位置付け
- 近年増大する食料・農業のリスクへの対応の明確化
- 防災・減災や既存施設の老朽化への対応も視野に、農業水利施設等の基盤の整備に加え、保全等も位置付け
- 家畜伝染病・病害虫の発生予防・まん延防止の対応についても位置付け
- 農村振興の政策の方向性の明確化
- 農村との関わりを持つ者(農村関係人口)の増加や農村RMOの活動促進、多面的機能支払による「地域社会の維持」を位置付け
- 農泊の推進や6次産業化など地域資源を活用した産業の振興を位置付け
- 鳥獣害対策や農福連携などについて明確化 等
- 生産基盤の確保に向けた担い手の育成・確保とそれ以外の多様な農業人材の役割の明確化
▼ 「食料安全保障強化政策大綱」の改訂 概要
- 本政策大綱は、昨年(令和4年)12月、食料安全保障の強化に向けて構造転換を図るため、継続的に、特に緊急で実施する対策を位置付けるものとして策定。
- 本年(令和5年6月)に「食料・農業・農村政策の新たな展開方向」を取りまとめ、平時から食料安全保障を抜本的に強化するとされたところ。本政策大綱においても、過度な輸入依存からの脱却に加え、川上から川下までサプライチェーン全体の強靱化につながる構造転換を進めるため、施策を拡充。*以下は追加部分
- 国産への転換に向けた産地の育成強化
- 加工・業務用に対応した品種・機械等の活用による新たな栽培体系の導入の促進
- 加工・業務用に仕向ける一次加工施設の整備支援
- 海外の規制やニーズに対応した輸出産地の育成、輸出向けHACCP等対応施設の整備への支援 等
- 生産者の急減に備えた生産基盤の構造転換の実現
- 将来の生産者の減少に備えた経営構造の確立
- 地域の農業を担う経営体の機械等への追加投資の負担軽減 等
- スマート技術等の実用化、サービス事業体の育成・確保等
- スマート技術等の新技術に対応した生産・流通・販売方式の変革の取組の促進
- 経営体をサポートするサービス事業体の拠点開設・機械導入など事業活動の基盤整備への支援 等
- スマート技術等に対応したほ場整備、省力化に対応した施設等の整備・保全
- スマート技術等の導入に資するほ場の大区画化、デジタル基盤の整備の推進
- 自動給水栓等の導入、開水路の管路化、施設の集約・再編等による省力化の推進 等
- 将来の生産者の減少に備えた経営構造の確立
- 国民一人一人の食料安全保障の確立に向けた食料システムの構造転換の実現
- 適正な価格形成と国民理解の醸成
- 適正取引を推進する仕組みづくりに向けたコスト等に関する調査・検証
- 持続可能な食料システムの構築に向けた国民理解の醸成 等
- 円滑な食品アクセスの確保に向けた環境整備
- ラストワンマイル配送や、フードバンク・こども食堂等への多様な食料の提供に向けて地域の関係者が連携する体制づくりの推進
- 政府備蓄米の全国的な提供体制の整備
- 3分の1ルールなど商慣習の見直しなど、食品ロスの削減の取組促進 等
- 食料・生産資材等の安定的な輸入の確保
- 輸入国における穀物等の集出荷・港湾施設などへの投資案件の形成支援
- 輸入相手国との政府間対話の実施、官民による情報共有 等
- 適正な価格形成と国民理解の醸成
- 生産資材等の価格高騰等による影響の緩和
- 配合飼料、燃料の価格高騰への対応
- 肥料価格高騰時の影響緩和対策の実施の明確化 等
【2023年12月】
首相官邸 事業性に着目した融資の推進に関する業務の基本方針について
- 「経済財政運営と改革の基本方針2023」(令和5年6月16日閣議決定。以下「骨太方針2023」という。)等を踏まえ、経営者保証等に依存しない事業性に着目した融資の推進を図るため、金融庁において事業性に着目した融資の推進に関する企画及び立案並びに総合調整を行うこととし、同庁において本業務に取り組むに当たり、内閣法(昭和22年法律第5号)第12条第2項第2号に規定する基本的な方針として本基本方針を定める。
- 基本的な方針
- 幅広い事業者に対し、その持続的な成長を促すような資金提供が実施されるためには、金融機関等が不動産担保や経営者保証等に安易に依存するのではなく、事業者の実態や将来性を的確に理解し、その特性に着目した融資を行う必要がある。
- 政府においては、事業性に着目した融資の推進のために、これまでも様々な取組を行ってきており、特に近年、令和4年12月に「経営者保証改革プログラム」を、令和5年8月に「挑戦する中小企業応援パッケージ」を策定し、金融機関等に対して、事業性に着目した融資を促すことで、スタートアップの創業や円滑な事業承継、早期の事業再生を後押ししてきたところである。
- しかしながら、事業者からは、不動産担保や経営者保証等がなければ資金を調達することが難しい、といった課題が今もなお指摘されている。
- こうした指摘を踏まえ、骨太方針2023や「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(令和5年11月2日閣議決定)等では、知的財産・無形資産を含む事業全体を担保に金融機関等から資金を調達できる制度(事業成長担保権(仮称))の創設を目指すこととされており、金融機関等が事業者の事業そのものを評価し、成長資金の供給等に一層努めることが重要となっている。
- このため、骨太方針2023等を踏まえ、以下の内容を含む法案(事業性融資推進法案(仮称))について令和6年通常国会に提出することを目指すなど、経営者保証等に依存しない事業性に着目した融資を推進するための環境整備を更に進め、中小企業等に対する金融の円滑化の推進を一層図るべく、金融の円滑を図ることを任務とする金融庁において、関係府省庁間の必要な総合調整等を行うこととする。
- 金融機関等による事業性に着目した融資が推進されるよう政府の基本方針を定める。
- 事業性に着目した融資の推進に関する司令塔機能を強化し、事業者及び金融機関等に対する施策の周知・浸透等、事業性に着目した融資の推進に総合的かつ集中的に取り組む。
- 金融機関等が、事業性に着目した融資やそれに付随した経営支援をより実施しやすくなるよう、事業成長担保権(仮称)については、金融機関等の融資実務や体制整備の改善を推進するための措置(経営者保証の利用制限等)を組み入れ、事業性に着目した融資の推進に資する法制度として設計する。その際、制度が安定的に運用されるよう、当局の監督上の関与を確保する。
- 事業性に着目した融資に関して高度な専門的知見を有し、融資実務や体制整備について金融機関等や事業者を支援する機関(認定事業性融資推進支援機関(仮称))の認定制度等を設計する。
- 1.に基づき行う事務の内容と関係府省庁
- 1.の基本的な方針に基づき、関係府省庁においては、以下のとおり事務を分担し、相互に緊密な連携を取りつつ、一体的かつ効率的に事業性に着目した融資の推進に取り組むものとする。
- 金融庁は、金融庁設置法(平成10年法律第130号)第4条第2項に基づき、事業性に着目した融資の推進に関して、当該融資の推進に資する事業成長担保権(仮称)の制度設計、認定制度の認定基準等に係る施策の調整を関係府省庁と行い、1.に掲げる法案を提出することを含め、行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整を行う。
- 金融庁以外の1.に掲げる法案の関係府省庁は、(1)の事務の実施に際し、当該法案の所管に係る部分の企画及び立案を行うとともに、情報又は知見の提供その他の必要な協力を行い、事業性に着目した融資の推進に関連する所掌事務に当たることとする。
- その他の関係府省庁は、(1)の事務の実施に際し、情報又は知見の提供その他の必要な協力を行うとともに、事業性に着目した融資の推進に関連する所掌事務に当たることとする
- 1.の基本的な方針に基づき、関係府省庁においては、以下のとおり事務を分担し、相互に緊密な連携を取りつつ、一体的かつ効率的に事業性に着目した融資の推進に取り組むものとする。
- 基本的な方針
【衆議院/参議院】
※現在、該当の記事はありません。
【内閣府】
【2024年3月】
内閣府 「国民生活に関する世論調査」の概要
- あなたのご家庭の生活は、去年の今頃と比べてどうでしょうか。(○は1つ)令和4年10月/令和5年11月
- 向上している4.7%→5.4%
- 同じようなもの62.4%→58.3%↓
- 低下している32.6%→35.9%↑
- あなたは、全体として見ると、現在の生活にどの程度満足していますか。(〇は1つ)
- 満足(小計)51.8%→49.0%(満足している7.5%→7.2%まあ満足している44.3%→41.8%)
- 不満(小計)47.8%→50.7%↑(やや不満だ35.4%→36.2%不満だ12.4%→14.5%↑)
- あなたは、所得・収入の側面では、どの程度満足していますか。(〇は1つ)
- 満足(小計)34.9%→31.4%↓(満足している4.7%→4.8%まあ満足している30.1%→26.6%↓)
- 不満(小計)64.8%→68.0%↑(やや不満だ40.4%→42.0%不満だ24.4%→26.0%)
- あなたは、資産・貯蓄の側面では、どの程度満足していますか。(〇は1つ)
- 満足(小計)29.3%→27.6%(満足している3.8%→4.2%まあ満足している25.5%→23.4%)
- 不満(小計)70.2%→71.9%(やや不満だ39.1%→39.2%不満だ31.1%→32.7%)
- あなたは、食生活の側面では、どの程度満足していますか。(〇は1つ)
- 満足(小計)71.7%→66.7%↓(満足している18.1%→16.8%まあ満足している53.6%→49.9%↓)
- 不満(小計)28.1%→32.9%↑(やや不満だ21.7%→24.1%不満だ6.4%→8.8%)
- あなたは、自己啓発・能力向上の側面では、どの程度満足していますか。(〇は1つ)
- 満足(小計)53.5%→50.8%(満足している6.7%→6.1%まあ満足している46.9%→44.8%)
- 不満(小計)44.1%→44.8%(やや不満だ37.2%→37.1%不満だ6.9%→7.7%)
- あなたは、日頃の生活の中で、どの程度充実感を感じていますか。(〇は1つ)
- 感じている(小計)58.6%→56.4%(十分感じている7.2%→7.2%まあ感じている51.4%→49.3%)
- 感じていない(小計)39.1%→39.1%(あまり感じていない32.0%→31.7%ほとんど感じていない7.1%→7.5%)
- 日頃の生活の中で、充実感を感じるのは、主にどのような時ですか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
- ゆったりと休養している時52.3%→54.5%
- 趣味やスポーツに熱中している時46.8%→47.4%
- 家族団らんの時47.4%→46.2%
- 友人や知人と会合、雑談している時42.3%→41.3%
- あなたは、日頃の生活の中で、悩みや不安を感じていますか。それとも、悩みや不安を感じていませんか。(〇は1つ)
- 感じている(小計)78.0%→75.9%(感じている35.0%→34.8%どちらかといえば感じている43.1%→41.1%)
- 感じていない(小計)17.0%→15.5%(どちらかといえば感じていない14.0%→12.4%感じていない3.0%→3.2%)
- 悩みや不安を感じているのはどのようなことについてですか。(〇はいくつでも)(上位5項目)
- 老後の生活設計について63.5%→63.6%
- 今後の収入や資産の見通しについて57.1%→59.8%
- 自分の健康について59.1%→59.2%
- 家族の健康について51.5%→50.7%
- 現在の収入や資産について43.8%→47.0%
- あなたは、日頃の生活の中で、休んだり、好きなことをしたりする時間のゆとりがありますか。それとも、仕事や家事、学業などに精一杯で時間のゆとりがありませんか。(〇は1つ)
- ゆとりがある(小計)62.2%→59.4%(かなりゆとりがある12.2%→12.0%ある程度ゆとりがある50.0%→47.5%)
- ゆとりがない(小計)35.2%→36.0%(あまりゆとりがない26.6%→26.9%ほとんどゆとりがない8.6%→9.1%)
- あなたは、現在、どのようなことをして、自分の自由になる時間を過ごしていますか。(〇はいくつでも)(上位5項目)
- 睡眠、休養53.0%→51.9%
- テレビやDVD、CDなどの視聴48.8%→47.1%
- 映画鑑賞、コンサート、スポーツ観戦、園芸などの趣味・娯楽39.5%→40.8%
- インターネットやソーシャルメディアの利用33.0%→34.9%
- 家族との団らん35.2%→33.6%
- あなたのご家庭の生活の程度は、世間一般から見て、どうですか。(〇は1つ)
- 上1.8%→1.7%
- 中の上13.9%→14.7%
- 中の中48.9%→46.3%
- 中の下26.2%→25.5%
- 下7.2%→8.1%
- あなたは、今後の生活において、特にどのような側面に力を入れたいと思いますか。(〇はいくつでも)(上位5項目)
- 健康71.7%→69.0%↓
- 資産・貯蓄38.7%→41.8%↑
- 食生活38.6%→37.0%
- 所得・収入33.1%→34.6%
- レジャー・余暇生活30.8%→32.2%
- あなたは、今後の生活において、心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたいと思いますか。それとも物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたいと思いますか。(○は1つ)
- 物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい(小計)51.7%→48.8%↓
- 物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい8.5%→9.5%
- どちらかといえば物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい43.2%→39.3%↓
- まだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたい(小計)46.9%→50.0%↑
- どちらかといえばまだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたい31.8%→33.4%
- まだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたい15.1%→16.6%
- あなたにとって家庭はどのような意味をもっていますか。(○はいくつでも)(上位4項目)
- 休息・やすらぎの場61.9%→62.5%
- 家族の団らんの場63.3%→61.9%
- 家族の絆を強める場44.9%→43.0%
- 親子が共に成長する場33.3%→33.5%
- あなたが働く目的は何ですか。あなたの考え方に近いものをお答えください。(○は1つ)
- お金を得るために働く63.3%→64.5%
- 社会の一員として、務めを果たすために働く11.0%→10.8%
- 自分の才能や能力を発揮するために働く6.7%→7.2%
- 生きがいをみつけるために働く14.1%→12.8%
- 世の中には、いろいろな仕事がありますが、あなたにとってどのような仕事が理想的だと思いますか。(○はいくつでも)(上位5項目)
- 収入が安定している仕事62.8%→62.2%
- 私生活とバランスがとれる仕事53.7%→55.2%
- 自分にとって楽しい仕事51.9%→54.2%
- 自分の専門知識や能力がいかせる仕事35.9%→36.4%
- 健康を損なう心配がない仕事33.7%→35.2%
- あなたは、今後、政府はどのようなことに力を入れるべきだと思いますか。(○はいくつでも)(上位4項目)
- 物価対策64.4%→68.1%↑
- 景気対策62.6%→64.4%
- 医療・年金等の社会保障の整備64.5%→62.8%
- 高齢社会対策52.0%→50.8%
内閣府 令和6年第2回経済財政諮問会議
▼ 資料2 マクロ経済参考資料(内閣府)
- 企業の設備投資意欲は高い一方で、実際の設備投資には結び付いていない。足下では計画と実績の乖離が拡大。企業の人手不足感は高まっている。特に、建設業、宿泊・飲食サービスで顕著。人手不足への対応策について、採用活動の強化と比べると、デジタル・機械・ロボットの活用は進んでいない。
- 民間予測平均では、2024年度後半以降にかけて、賃金上昇が物価上昇を上回ることが視野に入る。ただし、名目賃金は民間平均よりも下振れるリスクもあり、賃上げに向けた取組を強化することが重要。
- 今春の賃上げに向けて、2023年よりも前向きな動きが広がっている。
- 高い水準の賃上げを実現するためには、価格転嫁が重要。賃上げ分の価格転嫁は進みつつあるが、更なる取組が期待される。コスト増に対する転嫁率には、産業別にバラつきが見られる。業種の特性等に応じたきめ細かい対応が求められる。
▼ 資料3 正念場を迎える日本経済(有識者議員提出資料)
- 我が国経済は、海外での収益増や円安等も反映し、企業収益や株価が過去最高水準となる一方、足下では消費・投資は力強さを欠いており、実質GDP成長率は2四半期連続のマイナスとなるなど、新たなステージに移行する上での正念場を迎えている。
- 日本経済が、コロナ後の「需要不足経済」から「人手不足経済」へと構造変化しつつある中、経済政策の方向性を雇用維持重視から労働移動円滑化に大きく変え、この構造変化を経済の一層の活性化につなげていくことが必要。「人手不足経済」をチャンスに変えて、人材を確保したい企業の賃上げを後押しし、高付加価値生産性を実現できる産業や企業で働きたい労働者の動きを後押しする。こうして経済の好循環を回すことで、各企業や国民1人1人が「日本経済は良くなった」と実感し、「日本経済は今後もよくなる」と期待を持てるようにする。
- 投資の制約要因の解消と「人手不足経済」への対応
- 企業の投資計画は高水準であるが、人手不足や資材価格上昇等の中で、実際の投資増に十分に結び付いておらず、投資拡大を「計画段階」から「実行段階」に移すための後押しが重要。あわせて、「人手不足経済」をチャンスに変える改革が必要。
- 各省が所管分野において、投資の制約となっている要因がないか急ぎ検証し、その解消に向けた方策を早急に洗い出すべき。
- 人手不足に対応するためには、徹底的なデジタル化と省人化投資が重要。デジタル技術の活用を妨げる規制の改革推進を。
- 物価上昇を上回る賃上げ
- 多くの企業が人手不足を感じている今こそ、好調な企業業績を賃上げにつなげ、人材確保・人材定着につなげる好機。
- 企業の持続的な賃上げインセンティブを高めるため、税・補助金・政府調達等を総動員。
- 2024年度予算案において、医療・介護分野の賃上げに必要な予算が措置されたが、施策効果が実際に現場職員に行き届いているか検証。
- 「賃金は上がることが当たり前」という意識を社会に定着させ、2%程度の物価上昇とそれを上回る賃金上昇の実現を目指すべき。
- 円滑な労働移動とスキルアップによって、企業だけではなく人も、高付加価値生産性と、その結果としての高い賃金が持続的に得られるようにすべき。リスキリング支援を含め、そのための政策的な後押しが必要。
- 中小企業の付加価値創造
- 中小企業が賃上げを実現するためには、「良いものには値がつく」ことを社会の共通理解とし、適切な値上げを積極的に評価する機運の醸成が必要。また、これまで以上に中小企業が付加価値を創造していくことも重要。
- 重層的な下請け構造が存在する業界(例:建設、物流、自動車等)では、3次・4次・5次…と下請けが下位になるにつれて、中小企業への「しわ寄せ」が生じる懸念がある。これまでの転嫁対策の効果・課題を洗い出し、転嫁対策を徹底すべき。
- 中小企業による他企業と差別化できる新商品の開発、デジタル化や省人化投資、海外等の新たな販路拡大などを支援することで、適切なマークアップ率の確保、付加価値創造の強力な後押しを。
▼ 資料5 中長期の経済財政運営における政策課題(有識者議員提出資料)
- 足下の人手不足の大きな要因でもある人口減少は、今後本格化することが見込まれ、中長期的に我が国経済の重石になりかねない。この克服に向けて、生産性の向上、労働参加の拡大、出生率の向上等に構造的に対応していく必要がある。
- 人口減少が本格化する2030年より前に制度改革を遂行する必要があり、そのためには、今後3年程度の包括的な政策パッケージを策定すべき。その際には、以下に掲げるように、国内のマクロの視点だけでなく、ローカルとグローバルの視点も備えた形とすべき。
- 先端技術実装と競争力強化
- 企業の稼ぐ力を引き上げ、現役世代の所得が継続的に増加する経済を実現するため、DXによる省人化や新技術の社会実装を推進し、それによって付加価値生産性が向上するよう規制改革・環境整備を徹底すべき。
- 民間による積極的な投資と起業によって、GX・HXなど、世界に先駆けて競争力を持つべき分野の研究開発とビジネス化を一体となって加速させる。また、国はそのための環境整備をしっかりと行うべき。
- 生涯活躍と希望出生率の実現
- 国民一人一人のライフプランに応じて、生涯活躍できる社会の構築が重要。そのためには、全世代型リスキリングや個別最適な学びの実現、若年期からの健康意識向上、高齢期就労を促す制度改革を、DXを活用しつつ、統合的に進め、将来の方向性を国民に分かり易く提示すべき。
- 安心して結婚・出産・子育てに取り組める社会の構築も重要。そのためには、構造的賃上げに加え、賃金カーブの是正やジェンダーギャップ解消等により、たとえば初任給から30万円を支給するなど若年労働者の能力に応じた賃金水準の引上げ等、結婚・子育て世代の安心を抜本的に高める必要がある。また、EBPMに基づく真に効果的なこども・子育て政策を推進すべき。
- これらの取組により、一人ひとりのウエルビーイング向上と消費の拡大により需要不足に陥りにくい経済構造の実現につなげる。
- 財政・社会保障構造の強靭化
- 将来の金利上昇に備え財政の信認を確保する。全ての世代で能力に応じて負担し支え合う全世代型社会保障の実現や応能負担の徹底を通じた現役世代・高齢世代など給付・負担構造の見直し、人口減少社会に対応できる効率的で強靭な医療介護サービス提供を図りつつ、将来の成長につながる分野への重点配分を実現すべき。
- 地域活力の創生
- 都市圏へのコンパクト化と強靭な国土構造を両立させるため、広域での住民の意見集約を図りつつ、デジタル・遠隔・自動運転技術等の次世代インフラ活用による地域機能の向上を図るとともに、インフラ・社会機能(医療・介護、交通、教育など)の維持コストの抑制を図るべき。
- グローバル対応と脱炭素
- 米中関係の変化、東アジアの高齢化・人口減等グローバルな変化・リスクに効果的に対処するため、対日直投やアジアトップ若手人材の受入れ等海外活力を取り込み、わが国経済の強靭性を高めるための構造変化を進めるべき。
- 気候変動やエネルギー・資源制約の高まり等に対し、再生可能エネルギーの主力電源化や原子力、水素の利活用拡大を含め脱炭素を通じたエネルギー自給の強化を図るべき。
- 今後、以上のような中長期の経済財政運営の検討に当たり、経済・財政・社会保障の持続可能性を確保するための条件を明らかにすることが重要。内閣府においては、今回の議論も踏まえた長期試算を作成し、それらの条件を経済財政諮問会議に提示すべき。その上で、定量的な政策目標・KPIの考え方を合わせて打ち出すべき。
- 先端技術実装と競争力強化
内閣府 世界経済の潮流2023年Ⅱ ~中国のバランスシート調整・世界的なサービス貿易の発展~
▼ 説明資料
- アメリカの景気動向
- アメリカ経済は、消費を中心に回復が継続。堅調な消費の背景には良好な家計のバランスシートがあり、総資産に対する負債の比率は過去20年間で最低水準。
- 設備投資は、半導体法等を受けて、構築物投資(工場建設等)が増加傾向。半導体工場新設の動きも活発。
- 住宅市場は、中古住宅の供給不足を背景に、住宅着工件数(新築)は回復傾向に転じている。
- 欧州の景気動向
- ユーロ圏及び英国の実質GDPは、感染症拡大前の水準を回復したものの、2023年後半は横ばいから微減となり、景気は弱含み。特に英国は消費の回復の遅れ。
- 背景には消費者マインドの悪化。特に英国は、2016年のEU離脱決定以降の経済への先行き懸念の高まりと、金利上昇に伴う利払い負担増への懸念が悪化に寄与(英国は短期借換えの住宅ローン割合が高い)。
- 欧米の物価・金融政策
- 欧米では、エネルギー及び食料価格の下落を受けた輸入インフレ圧力の弱まりを受けて、物価上昇率は低下傾向。
- 欧米中銀は2023年秋以降、政策金利を据え置くとともに、量的引締めを継続。アメリカでは前回量的引締め局面を大きく上回るペースで、FRB保有資産の削減が進む。
- 中国の景気とバランスシート調整
- 中国では、感染症収束後に景気は持ち直しの動きがみられたが、2023年後半はその動きに足踏み。
- 背景にある不動産市場の停滞は、一過性の景気要因ではなく構造問題。不動産関連貸出は、融資規制が導入された2020年をピークに低下。不動産セクターでは、負債の圧縮を優先し投資を抑制するバランスシート調整が進展。家計部門にも波及し、一人当たり可処分所得、消費支出を押下げ
- 世界経済のリスク
- 中国では、不動産市場停滞が最大のリスク。住宅ローン等の不良債権が証券化され、リスク拡散の可能性。
- アメリカでは、金融引締めを受け、商業用不動産価格が下落。商業用不動産ローンの返済延滞・不履行が増加した場合、中小銀行の資産を毀損する可能性。
- 中東地域の緊迫が続く中で、スエズ運河を回避し喜望峰周りとなる動きが増え、物流コスト上昇の動き。
- 2024年は世界各国で選挙が予定。貿易・投資を通じて各国の経済に影響を与える可能性など、国際政治情勢の変化が世界経済に与える潜在的なリスクについて注視する必要
- 財貿易
- 世界の財貿易量の伸びは、内製化の進展等により、2010年以降、GDP成長率をおおむね下回る。
- 米中貿易摩擦の影響は、中国と世界の貿易のトレンドの変化としては現れていない。アメリカの対中貿易赤字額も、中国国内での生産活動の実態を反映した付加価値統計ベースでは、貿易統計ベースよりも小さい。
- ASEANは複数の経済大国・経済圏と関係性を維持しており、米中貿易摩擦の中で重要性が高まる
- サービス貿易
- 世界のサービス輸出は、GDP及び財輸出の伸びを上回り安定的に増加し、世界経済の新たなけん引役。
- サービス貿易収支は、各国の分野別の競争力を示唆。(例)アメリカは知的財産権・金融、英国は金融・保険で大幅な黒字。
- デジタルサービス貿易にかかる規制は、データローカライゼーション(注)等を背景に一部の国で強化。こうした規制強化は、サービス貿易の下押し要因となる可能性。(注)事業活動に必要なサーバーやデータ自体の国内設置・保存を求める規制。
- 直接投資
- 世界の直接投資は、2010年代の財貿易の鈍化を受けて、2015年をピークに減少傾向。
- 米中貿易摩擦の高まりや感染症拡大以降、安全保障関連の投資審査を導入・拡大する国が増加。
- 米中貿易摩擦を含む経済環境の不確実性の高まりを受け、対中直接投資は減速が継続。半導体産業など戦略的分野の直接投資は地域的に分化がみられ、地政学的距離(Geopolitical distance)(注)が影響。(注)同盟の有無等に起因する、2国間の地政学的な立場の隔たりを指す。国連理事会における投票行動等から推計
- 今後の展望
- 財貿易の動向
- GVCにおける米中の関係性は深く、米中貿易摩擦の更なる高まりは両国にも大きな影響が生じる可能性。
- 米中貿易摩擦は輸出規制等の強化が継続するものの、その規制対象の明確化が進むことにより、アメリカでは経済安全保障の観点からの規制強化と経済活動の両立が図られる可能性。
- サービス貿易の動向
- サービス部門に競争力のある国においては伸び率が高く、引き続き各国の成長をけん引することが考えられる。
- データローカライゼーションを始めとしたデータ流通規制は程度の差はあれ強化する傾向の国・地域が多く、今後のサービス貿易の伸びを抑制する可能性がある点には留意が必要。
- 直接投資の動向
- 米中貿易摩擦の継続に加え、国内回帰やフレンドショアリング、ニアショアリングが進展。
- 地政学的な観点から、半導体など戦略的分野における地域的分断化が進行する中、今後も直接投資全体の伸び率の低下や地域間の偏りが続く可能性。
- 財貿易の動向
内閣府 「生活設計と年金に関する世論調査」の概要
- あなたは、何歳頃まで収入を伴う仕事をしたいと考えますか。既に退職し、今後働く予定のない方は、何歳頃に収入を伴う仕事を退職しましたか。(○は1つ)令和5年11月
- 50歳以下7.8%
- 51歳~60歳14.8%
- 61歳~65歳28.5%
- 66歳~70歳21.5%
- 71歳~75歳11.4%
- 76歳~80歳6.1%
- 81歳以上3.6%
- これまで働いておらず、これから働く予定もない2.0%
- その年齢まで働きたい理由は何ですか。既に退職した方は、退職した年齢まで働いた理由は何ですか。(○はいくつでも)(上位4項目)
- 生活の糧を得るため75.2%
- いきがい、社会参加のため36.9%
- 健康にいいから28.7%
- 時間に余裕があるから14.6%
- 61歳以降も収入を伴う仕事をする場合、どのような形態での就労を最も希望しますか。既に退職した方は、退職した年齢まで主にどのような形態で就労されましたか。(○は1つ)
- 役員を含む、正規の職員・従業員34.9%
- 期間従業員、契約社員、派遣社員を含む、非正規の職員・従業員39.5%
- 自分で、または共同で事業を営んでいる自営業主・自由業12.2%
- 家族従業者・家族が営んでいる事業を手伝う4.0%
- あなたは、老後の生活設計の中で、公的年金をどのように位置づけていますか。(○は1つ)
- 全面的に公的年金に頼る26.3%
- 公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる53.8%
- 公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える11.7%
- 公的年金には全く頼らない1.6%
- あなたは、老後に向け、公的年金以外の資産をどのように準備したいと考えますか。または、準備をしてきましたか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
- 預貯金67.6%
- 退職金や企業年金32.9%
- NISAと呼ばれる少額投資非課税制度20.9%
- 民間保険会社などが販売する個人年金14.5%
- 老後に向けた資産形成はしない、またはしなかった12.5%
- あなたは、ご自身が将来公的年金をいくら受け取れるのかについて考えたことがありますか。既に年金を受け取っている方は、これから年金をいくら受け取れるのかについて考えたことがありますか。(○は1つ)
- 考えたことがある70.2%
- 考えたことがない27.2%
- あなたは、どのようなときに年金額について考えましたか。年金額について考えたことがない場合は、どういうときであれば今後考えたいと思いますか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
- テレビや新聞などのマスメディアで年金に関する内容に触れたとき55.9%
- 老齢年金を受給できる年齢になったとき28.3%
- ニュースサイトなどのWebメディアで年金に関する内容に触れたとき23.8%
- 厚生年金を受け取りながら会社などで働く場合、一定以上の収入があると、受け取る年金額が減ることとなります。あなたが厚生年金を受け取る年齢になったとき、どのように働きたいと思いますか。また、既に厚生年金を受け取っている方は、現在の就労状況に近いものはどれですか。(〇は1つ)
- 働かない23.6%
- 年金額が減らないように、就業時間を調整しながら会社などで働く44.4%
- 年金額が減るかどうかにかかわらず、会社などで働く14.0%
- 会社などで働かず、自営業主・自由業などとして働く9.1%
- 厚生年金の加入期間・加入予定がなく、受給する見込みがない3.7%
- あなたは、公的年金制度について、どこからの情報を信頼していますか。(〇はいくつでも)(上位5項目)
- 厚生労働省や日本年金機構の広報やセミナー43.1%
- テレビやラジオで放送されている情報41.9%
- 新聞・ニュースサイトの記事や雑誌40.0%
- 都道府県や市区町村の広報やセミナー19.8%
- 友人や家族からの口コミ17.8%
- あなたは、公的年金制度の内容について、多くの方に理解してもらうためには、政府によるどのような取組が必要だと思いますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
- テレビや新聞などのマスメディアを活用した広報59.5%
- 中学・高校における年金に関する授業の充実40.3%
- 相談窓口の設置や専門家の紹介など、年金について個別に相談できる機会の増加38.5%
- ニュースサイトなどのWebメディアを活用した広報32.1%
- あなたは、「老齢年金」の仕組みや役割などについて以下に記載する内容のうちどのようなことを知っていますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
- 学生を含めた20歳以上の国民は、国民年金に加入する義務がある82.0%
- 本人の希望により60歳から75歳の間で受け取り始める時期を選択できる73.0%
- 現役で働いている世代が、年金を受け取っている高齢者を扶養する制度である66.8%
- 保険料の納付状況に応じて年金額が変動する62.5%
- あなたは、障害を負ったときに受け取る公的年金である「障害年金」の仕組みがあることを知っていますか。(〇は1つ)
- 知っている59.6%
- 知らない39.6%
- あなたが、以下に記載する「障害年金」の内容のうち詳しく知りたいと思うことは何ですか。(〇はいくつでも)(上位6項目)
- 障害の程度・保険料納付実績など障害年金を受給するために必要な要件67.1%
- 障害年金を請求する方法31.6%
- 障害年金の額や計算方法、シミュレーションの仕方27.2%
- 障害年金における税金や社会保険料の取扱い26.7%
- 配偶者やこどもがいる場合に障害年金の額に違いがあること26.0%
- 障害年金の相談窓口26.0%
- 特にない19.9%
- あなたは、死亡したときに遺族が受け取る公的年金である「遺族年金」の仕組みがあることを知っていますか。(〇は1つ)
- 知っている77.3%
- 知らない22.2%
- あなたが、以下に記載する「遺族年金」の内容のうち詳しく知りたいと思うことは何ですか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
- 遺族の属性・保険料納付実績などの遺族年金を受給するために必要な要件63.6%
- 遺族年金の額や計算方法、シミュレーションの仕方39.7%
- 遺族年金を請求する方法39.6%
- 遺族年金の支給年数は遺族の年齢に応じてどのように変わるのか34.8%
- 特にない16.4%
- あなたは、私的年金制度のうちどの制度の存在を知っていますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
- 国民年金基金56.1%
- 厚生年金基金53.2%
- iDeCoイデコと呼ばれる個人型確定拠出年金32.5%
- 企業型DCとも呼ばれる企業型確定拠出年金23.5%
- 知っている制度はない19.4%
- 現在の私的年金制度の仕組みや役割について、どのようなことを知っていますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
- 国民年金基金は、自営業主・自由業などの国民年金の第1号被保険者などが加入できること45.2%
- 一人ひとりの多様なニーズにあわせ、老後に向けた資産形成を行うことができる制度であること39.7%
- 私的年金の受給開始時期は原則60歳以降であること36.0%
- 拠出した掛金について税制優遇を受けられること29.2%
- 知っていることはない13.4%
- 現在、あなたは次の私的年金のいずれかに加入していますか。また、現在60歳以上で国民年金・厚生年金の被保険者でない方については、以前私的年金のいずれかに加入していましたか。(〇はいくつでも)(上位2項目)
- 厚生年金基金35.7%
- 国民年金基金18.6%
- いずれにも加入していない、または加入していなかった41.4%
- 私的年金に加入している、または加入していた理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
- 勤めている会社でDB・企業型DC・厚生年金基金を実施していたから57.5%
- ゆとりある老後生活を送りたいから33.6%
- 税制優遇を受けられるから16.5%
- 私的年金で改善を希望する点は何ですか。(〇はいくつでも)(上位2項目)
- 手続きをより簡単にしてほしい36.2%
- 公的年金・私的年金を併せて自分の年金情報を確認できるツールがほしい31.0%
- 特にない19.5%
- 私的年金に加入していない理由は何ですか。また、現在60歳以上で国民年金・厚生年金の被保険者でない方など、私的年金の加入要件を満たさない人については、これまで加入していなかった理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位2項目)
- 私的年金制度についてよく知らないから48.0%
- 私的年金に拠出する余裕がないから27.9%
- 特にない16.4%
- 私的年金制度がどのような制度であれば加入したいと思いますか。(〇はいくつでも)(上位6項目)
- 制度がわかりやすい42.2%
- 手続きが簡単37.5%
- 少額の掛金から始められる36.9%
- 手数料負担が小さい25.7%
- 運用リスクが小さい25.6%
- 十分な資産形成ができるほど掛金を拠出できる23.3%
- 加入したいと思わない18.1%
- あなたが、私的年金制度について、詳しく知りたいと思うことは何ですか。(〇はいくつでも)(上位2項目)
- 加入のメリット48.9%
- 将来の受給可能見込額41.4%
- 特にない21.4%
- あなたは、私的年金制度について、どこからの情報を参考にしたいと思いますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
- 新聞・ニュースサイトの記事や雑誌38.1%
- テレビやラジオで放送されている情報37.5%
- 厚生労働省の広報やセミナー35.1%
- 職場から提供される福利厚生に関する情報やセミナー27.5%
【2024年2月】
内閣府 総合科学技術・イノベーション会議(第71回)議事次第
▼資料1 今後の科学技術・イノベーション政策の方向性について
- 我が国の科学技術・イノベーションを取り巻く情勢
- 科学技術・イノベーションは、我が国の経済成長における原動力であり、社会課題の解決や災害への対応等においてもその重要性が一層増している。
- ウクライナ情勢やイスラエル・パレスチナ情勢など、世界の安全保障環境が厳しさを増す中で、先端科学技術等を巡る主導権争いは激化し、世界規模でのサプライチェーンの分断も起こっている。
- 一方で、相対的な研究力の低下やエコシステム形成の遅れは、我が国の将来的な経済成長や雇用創出に大きな影響を及ぼす可能性が懸念される。
- 第6期科学技術・イノベーション基本計画の進捗状況
- 科学技術・イノベーション政策は、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(令和5年6月16日閣議決定)や「経済財政運営と改革の基本方針」(令和5年6月16日閣議決定)の政府方針の下で推進している。
- 具体的には、「統合イノベーション戦略2023」(令和5年6月9日閣議決定)を踏まえ、(1)先端科学技術の戦略的な推進、(2)知の基盤(研究力)と人材育成の強化、(3)イノベーション・エコシステムの形成の3つを基軸として取組を進めるとともに、基本計画の進捗状況の把握・評価を実施している。
- また、今般の能登半島地震では、これまでの研究開発の成果が災害現場での情報集約支援等に活用されたり、スタートアップの技術・製品が積極的に活用されたりするなど、社会実装が具体的に進んでいる。
- 先端科学技術の戦略的な推進
- 分野別戦略に基づく取組
- 広島AIプロセス包括的政策枠組みの合意、AI事業者ガイドライン案の策定、AIセーフティ・インスティテュート設立
- 量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)設立
- 核融合産業協議会(フュージョンエネルギーフォーラム(仮称))の設立準備
- 安全・安心の確保に向けた取組
- K program研究開発ビジョン(第二次)の決定、公募開始
- 研究開発・社会実装の強化
- SIP第3期始動、BRIDGEとの一体的運用、ムーンショット型研究開発の推進
- 分野別戦略に基づく取組
- 知の基盤(研究力)と人材育成の強化
- 研究基盤の強化と大学改革
- 国際卓越研究大学の認定候補の選定
- 地域中核・特色ある研究大学総合
- 振興パッケージの推進
- 人材育成・活躍促進
- 産学における博士人材を中心とした人材流動性強化の検討開始
- 同志国・パートナー国との連携
- 国際連携の推進(G7仙台科学技術大臣会合の開催等)
- オープンアクセスの実現に向けた基本方針の策定
- 研究セキュリティ・インテグリティの確保に向けた取組の推進
- 研究基盤の強化と大学改革
- イノベーション・エコシステムの形成
- スタートアップ育成5か年計画に基づく徹底支援
- グローバル・スタートアップ・アクセラレーションプログラムの推進、スタートアップ・エコシステム拠点都市の機能強化
- SBIR制度の抜本拡充
- スタートアップの公共調達促進(行政とのマッチング促進等)
- グローバル・スタートアップ・キャンパス構想の具体化
- スタートアップ育成5か年計画に基づく徹底支援
- 先端科学技術の戦略的な推進
- 統合イノベーション戦略2024に向けた方向性
- グローバルな視点で研究力や産業競争力、経済安全保障への対応を一層強化していくことが重要であり、同盟国・同志国やASEANなどをはじめとする国際社会との連携を強化していくことが必要。
- 国内では、人手不足の顕在化に伴い、AI・ロボティクスによる自動化・省力化が急務であり、また、頻発する災害への備えや対応も喫緊の課題となっている。これらに科学技術・イノベーションが果たす役割は一層重要となっており、テクノロジーの社会実装を加速していくことが必要
- グローバルな視点での連携強化
- AIをはじめとする重要技術に関する国際的なルールメイキングの主導・参画(安全性確保等)
- 科学技術・イノベーション政策と経済安全保障政策の連携強化(重要技術育成、研究セキュリティ・インテグリティ等)
- グローバルな視点でのリソースの積極活用、戦略的な協働(アライアンス構築等)
- 能登半島地震における研究開発成果の活用等
- 「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」では、国民の安全・安心に繋がる防災に関する
- 研究開発を2014年度から継続的に実施。今般の能登半島地震では、これまでの研究開発の成果が災害現場での情報集約支援等に活用されている。
- また、被災地の支援では、スタートアップの技術・製品も積極的に活用されている。
- AIに関する取組
- 生成AIなどの技術により、AIとの自然な対話が可能となり、精巧な画像生成も容易になるなど、大きな便益やイノベーションがもたらされている。一方で、AIに関するリスクもより切迫したものとなっている。こうした状況を踏まえ、AI戦略会議において「AIに関する暫定的な論点整理」(令和5年5月)をとりまとめた。
- 「暫定的な論点整理」も踏まえ、国内では、AIのリスクへの対応や利用促進、開発力の強化について議論を進め、AI事業者ガイドライン案の作成等を進めるとともに、国際場裡においては、2023年のG7広島サミットにおいて立ち上げられた広島AIプロセスを通じて、安全、安心で信頼できるAIの実現に向けた取組を推進。
- フュージョンエネルギー・イノベーション戦略を踏まえた取組
- 2023年4月に初の国家戦略として、「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を策定。
- フュージョンエネルギーを新たな産業として捉え、構築されつつある世界のサプライチェーン競争に我が国も時機を逸せずに参入。
- ITER計画/BA活動、原型炉開発と続くアプローチに加え、産業化等の多面的なアプローチにより、実用化を加速。
- バイオ戦略を踏まえた今後の取組
- バイオ戦略(令和元年6月11日統合イノベーション戦略推進会議決定)において掲げた目標である「2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現」に向け、バイオ関連市場の拡大に向けた取組を推進中。
- 気候変動、食料安全保障等の社会課題に対応すべく、バイオエコノミーの取組が国内外で加速しており、バイオ戦略も最新の動向を踏まえて改定することが必要となっている。
- 農業・食料イノベーションの強化
- 我が国の農業は、低迷する食料自給率のみならず、食料生産のための化学肥料の原料のほとんどを海外に依存していることや、農業従事者の急速な減少・高齢化の進展などの諸問題を抱えていることから、農業・食料イノベーションの強化が必要。
- 「食料・農業・農村政策の新たな展開方向に基づく施策の全体像」(2023年12月27日食料安全供給・農林水産業基盤強化本部決定)を踏まえつつ、科学技術・イノベーションによる食料の安定供給の確保に向けた対応方策を具体化し、各施策を推進中。
- 大学ファンドによる国際卓越研究大学への支援
- 2023年8月、文部科学省に設置した国際卓越研究大学の認定等に関する有識者会議(アドバイザリーボード )において、一定の条件を満たした場合に認定するという留保を付して、東北大学を認定候補に選定。
- 今後、2023年秋の臨時国会で改正された国立大学法人法も踏まえた対象大学におけるガバナンス体制の変更等を経て、2024年度中の支援開始を予定。
- 地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ
- 求められる『機能』の観点から大学自身の立ち位置を振り返る「羅針盤」の基本的な考え方を示しつつ、各府省の事業等を(1)大学自身の取組の強化、(2)繋ぐ仕組みの強化、(3)地域社会における大学の活躍促進の3段階に整理して、1つの政策パッケージとしてとりまとめ。
- 大学による、自らのミッションに応じたポートフォリオ戦略に基づく、選択的かつ、発展段階に応じた機能強化を加速。
- 地域の中核大学等が地域社会の変革のみならず、我が国の産業競争力強化やグローバル課題の解決に大きく貢献することを目指す。
- オープンアクセスの推進
- 公的資金による学術論文等の研究成果は国民に広く還元されるべきものであるが、その流通はグローバルな学術出版社等(学術プラットフォーマー)の市場支配下に置かれ、購読料や論文のオープンアクセス掲載公開料(APC)が高騰している。また、研究評価における定量的指標への過度な依存が懸念されている。
- これらは、学術研究の根幹に係る大学、研究者等の費用負担を増大させ、研究競争力を低下させる恐れがある。
- G7首脳会合(広島)及びG7科学技術大臣会合(仙台)の共同声明において、公的資金による研究成果への即時オープンアクセス支援を含むオープンサイエンスの推進が盛り込まれた。
- 「統合イノベーション戦略2023」(令和5年6月9日閣議決定)を踏まえ、CSTI有識者議員が 「公的資金による学術論文等のオープンアクセスの実現に向けた基本的な考え方」(令和5年10月30日)をとりまとめた。
- 国立研究開発法人の機能強化に向けた取組
- 国立研究開発法人(国研)は、我が国の科学技術・イノベーションを支える中核的な機関であり、これまで以上に研究力及びイノベーション創出力を高めていくことが求められている。
- 今後も研究人材や研究マネジメント人材、知財人材などの優秀な人材を国内外から集めるとともに、国際共同研究等のオープンイノベーションを活性化していく必要があるが、人材確保競争の激化や専門人材不足、研究成果の社会実装、研究セキュリティ・インテグリティ確保に関する問題意識が顕在化しており、以下のとおり対応の方向性を取りまとめる予定。
内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(令和6年2月)
- 日本経済の基調判断
- 現状
- 【下方修正】景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
- (先月の判断)景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
- 先行き
- 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある。
- 政策の基本的態度
- 30年来続いてきたコストカット型経済から持続的な賃上げや活発な投資がけん引する成長型経済へ変革するため、新しい資本主義の取組を加速させる。
- このため、「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージにむけて~」(11月2日閣議決定)及びその裏付けとなる令和5年度補正予算を迅速かつ着実に執行するとともに、令和6年度予算及び関連法案の早期成立に努める。また、「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」に基づき、令和6年能登半島地震の被災者の生活、生業の再建をはじめ、被災地の復旧・復興に至るまで、予備費を活用し切れ目なく対応する。
- 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
- こうした取組を通じ、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進めつつ、デフレに後戻りしないとの認識を広く醸成し、デフレ脱却につなげる。
- 現状
- 今月のポイント(1)GDPの動向
- 2023暦年のGDP成長率は、実質で1.9%、名目で5.7%と高い伸び。名目成長率は1991年(6.5%)以来の水準。
- 2023年10-12月期のGDP成長率は、実質では前期比マイナス0.1%と2四半期連続のマイナスの一方、名目では同プラス0.3%と2四半期ぶりのプラス。名目GDPの実額は596兆円と過去最高を更新。
- 実質GDP成長率の内訳をみると、外需はプラスに寄与した一方、個人消費はマイナス0.2%、設備投資はマイナス0.1%と3四半期連続マイナス。内需は力強さに欠ける。
- 今月のポイント(2)設備投資の動向(建設投資における供給制約)
- 企業の設備投資意欲は高いが、実際の設備投資には必ずしも結び付いていない。建設投資(工事出来高)は、これまでの大型工事の一服で減少傾向にあったが、建築工事費予定額は持ち直しており、今後、建設投資につながることが期待。
- 他方、建設技能者は不足しており、特にエレベーターの設置等に携わる電気工事士等では過去最高水準の不足超に。こうした中、エレベーター等の建設関連設備は受注が伸び、需要は堅調である一方、受注残が積み上がり。
- 電工や配管工の就業者数は、長期的に減少傾向が続き、過去20年でそれぞれ10万人強ずつ減少。
- 今月のポイント(3)日本とドイツの比較
- 2023年のドイツの名目GDPは、米ドル換算で日本を上回った(1図)。米ドル換算のGDPは、為替レートの影響を受けること、また、日本に比べ、ドイツの物価上昇率が高いことに留意が必要。ただし、ドイツは、日本の3分の2の人口、約6割の就業者数、約8割の労働時間で日本と同程度の名目GDPを実現(2図)、生産性が高い。
- ドイツは、2000年以降、平均で実質1%、名目2%以上の成長を実現。日本では、バブル崩壊以降の約30年の間、デフレ心理とコストカットの縮み志向の中、名目・実質ともに低成長(3図)。デフレから脱却し、経済を熱量溢れる新たなステージに移行させる千載一遇のチャンスを逃さず、「物価上昇を上回る賃上げ」の実現と潜在成長率の引上げに取り組むことが必須。
- 今月の指標(1)景気ウォッチャー調査による現状及び先行きの景況感
- 景気に敏感な職場で働く人々(景気ウォッチャー)に景気の状況を尋ねた「景気ウォッチャー調査(2024年1月調査)」によれば、(1)景気の現状判断(3か月前と比べた景気の方向性)については4か月ぶり低下した一方、(2)景気の先行き判断(現状と比べた2~3か月先の景気の方向性)は3か月連続の上昇となっている。
- 景気ウォッチャーのコメントでは、春闘での賃上げに対する期待、インバウンドの増加、新生活シーズンや歓送迎会・卒業・入学といったイベントへの期待がみられる。
- 今月の指標(2)令和6年能登半島地震の影響
- 北陸地域の景気ウォッチャーからは、令和6年能登半島地震の影響について、地域の景気への影響や自粛ムードが長引くことなどを懸念するコメントが多く寄せられている。先行きについては、北陸新幹線延伸や北陸応援割、復興需要に期待するコメントもみられる。
- 地震で被災したサプライヤー企業からの部品調達が滞り、県外でも一部で生産活動に影響が生じている。
- 北陸地域の人流に関するビックデータをみると、震災直後の落ち込みからもとに戻る動きもみられる。
- 今月の指標(3)物価の動向
- 消費者物価の前年比は、昨年1月のピーク時は4.3%まで上昇したが、激変緩和措置もあり、足下は2%台で推移。
- 財のうち食料品については、昨年までの値上げラッシュが一服。2024年の年明け後の値上げについては、原材料高等を理由とする企業の割合が低下し、人件費の転嫁を理由とする割合が増加。
- サービス物価の上昇も、当初は、原材料高を受けた外食や設備修繕等が中心であったが、昨年以降は、宿泊料に加え、塾や習い事、理美容など人件費割合が相対的に高い分野の寄与が徐々に高まってきている。人件費を含む適切な価格転嫁が着実に進展していくことが、賃金と物価の好循環のために重要
- 今月の指標(4)賃金の動向
- 一般労働者の賃金は1%台の上昇の一方、パート労働者の時給は、需給のひっ迫や最低賃金引上げもあり足下で4%まで上昇。2023年の一般労働者の賃金上昇率をみると、若年層で高めとなっている。
- 主要国やデフレ前の日本では、物価上昇と労働生産性向上が名目賃金上昇をけん引。物価上昇を賃金に反映させ、物価に負けない名目賃金上昇率を実現・継続し、賃金と物価の好循環を回すとともに、労働生産性を高めていくことが重要。
- 今月の指標(5)個人消費の動向
- 個人消費は、サービス消費回復の一服に加え、物価上昇や暖冬の影響もあり、半耐久財や非耐久財が減少。一方、雇用環境の改善に加え、物価上昇の落ち着きにより、消費者マインドは持ち直し、実質総雇用者所得も持ち直しの動き。
- コロナ禍で積み上がった超過貯蓄は、アメリカでは取り崩しが進む一方、日本では取り崩しは限定的。賃金・所得の増加が継続していくという成長期待が重要。
- 本年開始の新NISAに向け、口座開設数は、30~40代を中心に増加。貯蓄から投資への流れも期待。
- 今月の指標(6)国際収支の動向
- 2023年の経常収支は、海外からの配当受取等の第一次所得収支が過去最高水準となる中で、コロナ禍前並みの黒字に。
- 財の貿易収支は、自動車等の輸出増加と、鉱物性燃料の価格下落を受けた輸入減少により、2022年に比べ赤字幅が縮小。
- サービス収支は、輸出面では、インバウンドの回復等を受けて増加。一方、輸入面では、デジタル関連や保険分野の輸入が増加し、収支は引き続き赤字。デジタルや知財等のサービス分野の競争力強化も重要。
- 今月の指標(7)世界経済の動向
- アメリカは、2023年の実質成長率は2.5%と、個人消費主導で景気は拡大。スマートフォンや音楽ライブなどが好調。
- 中東地域の緊迫が続く中で、昨年末から海上貿易はスエズ運河を回避しアフリカの喜望峰周りとなる動きが増加。また、昨年末にみられた物流コストの急上昇には一服感がみられるものの、今後の動向には留意が必要。
内閣府 令和6年能登半島地震について
▼ 資料
- 住まいの確保に向けた検討状況
- 住まいを失った被災者の方々に、1日も早く、応急的な住まいに移っていただくことが必要。
- このため、2次避難の推進や公営住宅・民間賃貸住宅の空室活用、応急仮設住宅の建設を速やかに進める。
- ふるさと回帰型 建設仮設住宅のイメージ
- 集落内の空き地等に仮設住宅を建設
- 仮設住宅に居住しながら、自力再建・改修を行い、生活再建を図る
- 一部の仮設住宅について、供与期間終了後、被災者のために有効活用されることを条例等により制度的に担保した上で
- 自力再建等が困難な被災者については、一定の改修工事を経た上で、市町の所有住宅として管理し、被災者に貸与
- 更に、一定期間経過後、被災者が希望する場合には、市町の所有住宅を適正な対価で被災者へ譲渡
- 能登復興事務所の設置
- 国土交通省は、令和6年能登半島地震からの復旧・復興に向けて、能越自動車道や国道249号沿岸部の本格復旧、沿線の地すべり対策、河原田川の河川・砂防事業、宝立正院海岸の復旧など、国が権限代行などにより行う復旧・復興事業を迅速に進めるため、能登復興事務所を七尾市に設置。
- 本日2月16日に16名体制で設置し、4月に50名程度の体制に拡充。以降、事業進捗に応じて順次体制強化予定。
- 令和6年能登半島地震による土砂災害対応状況
- 能登半島地震により土砂災害が371件発生(石川県340件、新潟県18件、富山県13件)(令和6年2月14日13時時点)。また、石川県では6河川(14箇所)で河道閉塞等を確認。国は県と連携し、TEC-FORCEによる調査や監視カメラを設置するなど、監視体制を構築し自治体にも監視映像を提供。
- 土砂災害発生箇所のうち、不安定な状態で斜面や渓流内に土砂・流木が堆積し、今後の降雨により二次災害が発生するおそれが高い、石川県河原田川、町野川及び国道249号の沿岸部において、国直轄による緊急的な土砂災害対策等を実施中。
- 令和6年能登半島地震に伴う下水道施設の対応状況(石川県)
- 全国自治体の下水道職員や民間事業者(下水道管路管理業協会等)が下水道管路の復旧支援を実施(1/5~)
- 日本下水道事業団により、稼働停止の下水処理場、ポンプ場の緊急支援を実施(1/7~)
- 下水道の復旧については、水道の復旧状況に遅れることがないよう、上下水道一体となって早期復旧に向けた支援を実施(1/8~)
- 集落排水施設(農水省)、浄化槽(環境省)と連携し、早期復旧に取り組む
- 能登半島地震による宅地の液状化の状況と対応
- 石川県、富山県、新潟県の広い範囲で、液状化による面的な宅地被害を確認(件数は1万件を超えるものと推定)。
- 引き続き被害の全容把握を進めるとともに、特に大きな被害を受けた内灘町等については、詳細な被害状況の調査を国において実施中。
- 被災自治体と連携し、再度災害防止のための液状化対策事業等の実施について検討を進めているところ。
- 国土交通省の対応
- 被災自治体との意見交換等
- 新潟県、富山県、石川県内の被災自治体に対して、液状化対策に関する支援制度や過去の対策事例等の情報提供や意見交換を行う会議を開催(1/29,2/14)
- 富山県内の被災自治体に対して、内閣府と連携して、液状化対策に関する勉強会を開催(1/30)
- 液状化による宅地被害の調査
- 特に被害が大きい地域(内灘町等)について、被災自治体の体制をサポートするため、国が詳細な被害状況の調査を実施中
- 被災自治体に対する技術的支援
- 被災自治体に対して、液状化対策の必要性への助言や、特に被害が大きい地域(内灘町等)については今後の対策の具体的な提案を行うなど、技術的に支援
- 被災自治体との意見交換等
- インフラ復旧工事従事者の宿泊対策
- インフラ・ライフラインの早期復旧に向け、全国から約3,500人が宿泊を伴いながら工事に従事。
- 地元自治体や関係省庁の協力を得て、
- キャンピングカー等の手配窓口と、道の駅等の停泊可能場所
- コンテナ等の仮設宿泊設備の手配窓口と、グラウンド等の設置可能場所
- ホテル等、利用可能な民間宿泊施設等(通常のサービスを提供できない施設を含む。)
等の情報を集約し、関係業界団体に周知する枠組みを構築。
- 令和6年能登半島地震の影響による鉄道の状況について
- のと鉄道 七尾線(33.1km)
- 運休区間:能登中島駅~穴水駅間(16.8km) 和倉温泉駅~能登中島駅間は、2月15日(木)から運転再開
- 能登中島駅~穴水駅間は、4月上旬の運転再開を目指してJR西日本において復旧工事中※
- 能登中島駅~穴水駅間で代行バスを運行中※2月9日 のと鉄道、JR西日本より発表
- 1月9日~10日現地調査実施(合計12名):TEC-FORCE5名、鉄道・運輸機構 鉄道災害調査隊(RAIL-FORCE)7名
- 1月18日~TEC-FORCE3名をのと鉄道に派遣・常駐。ー復旧作業支援のための連絡調整等
- JR西日本 七尾線(59.5km)
- 区間:七尾駅~和倉温泉駅間(5.1km) 七尾駅~和倉温泉駅間は、2月15日(木)から運転再開
- 1月11日現地調査実施:TEC-FORCE5名
- 事業間連携による早期鉄道復旧に向けた取り組み
- 1月19日 鉄道等の災害復旧に係る事業間連携に関する連絡調整会議(省内関係局、鉄道事業者)を開催
- 1月25日 鉄道等の災害復旧に係る事業間連携に関する地方連絡調整会議(北陸地整局、北信運輸局、石川県、鉄道事業者等)を開催
- 2月1日~線路内の流入土砂等撤去のための進入路の盛土材に道路復旧用砕石を活用し、土砂・倒木撤去作業を実施
- のと鉄道 七尾線(33.1km)
- のと鉄道の早期復旧に向けた連携・調整状況
- のと鉄道七尾線(能登中島駅~穴水駅間)の被災箇所のうち、特に被害の大きな土砂流入2箇所について、並行する国道249号等の道路復旧工事(国土交通省北陸地方整備局)との連携・調整により、土砂撤去作業の早期着手や土砂搬出作業の円滑化を実現。
- 線路内に流入した土砂を搬出するため、道路復旧工事のために確保していた砕石の一部を、土砂流入箇所にアクセスする仮設斜路・進入路用の資材として一時的に活用し、土砂撤去作業に早期着手。
- 上記により撤去した土砂を、道路復旧工事のために確保している残土処理地へ搬出することで、土砂搬出作業を円滑化。
- のと鉄道七尾線(能登中島駅~穴水駅間)の被災箇所のうち、特に被害の大きな土砂流入2箇所について、並行する国道249号等の道路復旧工事(国土交通省北陸地方整備局)との連携・調整により、土砂撤去作業の早期着手や土砂搬出作業の円滑化を実現。
- 観光復興に向けた支援
- 宿泊施設の被害・キャンセル状況
- 能登地域については、ほとんどの宿泊施設で甚大な被害が出ており、稼働できていない。
- 金沢・加賀地域等の石川県内の宿泊施設、富山県、福井県、新潟県の宿泊施設は、稼働しているものの、多数のキャンセル・予約控えが発生。
- 観光復興に向けた取組の柱
- 被災した施設の建物・設備の復旧(経済産業省と連携)
- 被災事業者の従業員の雇用維持(厚生労働省と連携)
- 宿泊施設の被害・キャンセル状況
- 石川県における断水の解消見込み
- 断水は現時点で約7割解消済 断水解消戸数/最大断水戸数=約81,000戸/約111,620戸=72.6% 注)2月1日時点では約6割
- 3月末までに9割強の解消が見込まれる。
- 建設作業員の宿泊対策
- 能登半島地震の被害が甚大な地域は主要都市から離れており、復旧・復興にあたり、建設需要が増大していく中で、建設労働者を確保しようとする中小建設事業主が工事現場で作業員宿舎等を賃借する場合の費用について、人材確保等支援助成金により支援する。
- 人材確保等支援助成金(作業員宿舎等設置助成コース)
- 建設労働者の雇用管理の改善を図り、人材確保を行う中小建設事業主に対して助成するもの。大規模災害の復旧・復興にあたっては広域的な人材の確保を行う必要があることから、作業員宿舎等の設置に対する支援を実施
- 被災者の医療・健康支援や高齢者等の支援
- 被災者の命と健康を守るため、被災地の医療・福祉の復旧・復興に向けた取組を強力に推進。
- 被災地の避難所、医療機関・福祉施設等の支援や在宅等で避難生活を送る被災者等の見守り活動を推進。
- 放送・通信インフラの復旧状況
- ケーブルテレビインフラ(放送・通信)の復旧
- センター施設(送信側設備)は、応急復旧完了
- 各地域のケーブル網(各戸への引き込み含む)は応急復旧作業中
- 応急復旧と並行して順次本格復旧を推進
- ※地上波は県内全域で停波解消
- ※NHKは衛星放送でも金沢局の番組を放送中
- 通信インフラ(携帯電話)の復旧
- 立入困難地点を除き、応急復旧が1月中旬に概ね終了(立入困難地点については、原則、道路啓開後3日以内に応急復旧予定)
- 応急復旧後もサービスの提供を維持しつつ、官民の連携のもと、順次本格復旧を推進
- ケーブルテレビインフラ(放送・通信)の復旧
- 応援職員の派遣・支援者への支援
- 応援職員の派遣
- 総括支援チームの派遣(災害マネジメント支援等のための専門チームの派遣)
- 被災6市町に、6県市から26人を派遣中。
- マンパワーの派遣(避難所の運営・罹災証明書の交付等の災害対応業務を担う職員の派遣)
- 総括支援チームの派遣(災害マネジメント支援等のための専門チームの派遣)
- 支援者の宿泊対策
- 全国の自治体からの応援職員やインフラ復旧工事事業者等の宿泊場所について、石川県が一元的に確保・費用負担する場合に、その費用の8割を新たに特別交付税により措置。(※インフラ復旧工事事業者が宿泊場所の費用を負担する場合は、国庫補助金の対象)
- 今後の取組
- 復旧・復興に向けた中長期の職員派遣について、被災自治体における具体的な派遣人数や職種のニーズ調査を実施中。現在、被災6市町を中心に、石川県・富山県の市町村から300名を超える派遣要望(うち、災害復旧事業に係る設計・施工管理等に必要な技術職員(※)が100名超)があるほか、両県庁からも要望をいただいている。(※土木、建築、農業土木、林業の4職種)
- 要望を充足できるよう、令和2年度に創設した「復旧・復興支援技術職員派遣制度」等により、速やかに派遣元自治体との調整を行い、準備が整い次第、派遣を実施。
- 応援職員の派遣
- 災害廃棄物処理及び浄化槽復旧の推進について
- 膨大に発生する災害廃棄物を令和7年度末までに処理完了するという目標達成に向けて、経験・知見を持つ職員や、他の自治体職員の派遣・常駐等による人的支援、技術支援を行うとともに、特例的な財政支援を行うことにより、広域処理も含めて処理が円滑・迅速に進むよう、総力を挙げて被災自治体を支援する。
- 浄化槽について、上水道の復旧スケジュールを踏まえ、各住民の帰還希望に対応した早期復旧を実現すべく、財政支援・人的支援を行う。
- 中小企業・小規模事業者向け支援施策の状況・相談体制強化
- 復旧復興フェーズを踏まえつつ「なりわい補助金」等の説明会を順次開始。全国から経営指導員の応援を得て面的に展開。
- 官民ファンドを通じた二重債務問題への対応、クラウドファンディング、被災地企業と全国を結ぶビジネスマッチングを実施。
- なりわい再建・相談支援の状況
- なりわい補助金:2月28日から受付開始予定
- 小規模持続化補助金:1月25日から公募開始【済】
- 商店街補助金:2月15日から受付開始【済】
- 仮設施設整備支援:関係自治体と随時相談中
- 金融支援:日本公庫金利引き下げ、災害関係保証 等
- 官民ファンドを通じた対応
- 中小機構、REVIC、地域金融機関、石川県等の出資による100億円のファンドを年度内に組成予定
- 債権買取や出資等を通じ二重債務問題に対応
- クラウドファンディング支援等
- クラウドファンディングの利用促進に係る支援
- ビジネスマッチング支援(ジェグテック)
- 復興支援アドバイザー派遣 等
- 伝統産業の復興
- 伝統産業補助:2月1日から受付開始【済】
- 海外PR:外交や在外公館を活用したPR
- 観光産業の復興
- 将来の「まちづくり」も視野に入れた総合的な対応
- 金融支援、雇用維持、観光需要喚起等、ハンズオン支援
- なりわい再建・相談支援の状況
- 電力の復旧状況
- 石川県内の停電戸数は、発災時の約4万戸から約1,400戸(2月15日11時時点)にまで減少。県全体で99%以上の送電率、輪島市・珠洲市においても9割以上の送電率であり、全ての避難所、医療・福祉施設に送電できているなど、全体として、概ね復旧した状況。
- 復旧の長期化が見込まれる地域においては、現場へのアクセス改善に応じて順次、復旧作業を進めていく。
- 令和6年能登半島地震に関する農林水産省における取組状況
- これまでの支援パッケージの周知活動
- 逆引き式の支援策説明資料による周知
- 生産現場での周知活動の実施
- 石川県、富山県、新潟県等における説明会の開催。
- JA単位や地域の生産組合長会議等での説明。
- 政府広報等を活用した周知
- 支援策の事業の申請受付の開
- 今後の取組について
- 農林漁業者・関係団体等への周知活動
- 支援策の円滑な申請のための伴走支援
- 被災した農地、用排水施設等の復旧のための人的・技術的支援
- 漁港等の直轄調査・直轄代行工事の方針
- 七尾湾沿いの農地海岸の直轄代行
- これまでの支援パッケージの周知活動
- 就学支援(学校再開に向けた取組)
- 珠洲市、能登町、穴水町、七尾市、志賀町では、全ての小中学校が始業。いずれの市町も昼食を提供(一部の学校において自校給食を再開)。また、依然として多くの学校が避難所となっている。
- 輪島市では、全ての小中学校で始業には至っていないが、登校等開始となっており、学びの継続が図られている。昼食を提供。他市町と同様、依然として多くの学校が避難所となっている。
- 子供のおかれている環境に応じた支援を継続しつつ、本格的な学校再開に向けて、子供や教職員の住環境の確保やインフラ復旧とともに、右下記のような支援による学びの継続や、仮設校舎の設置を含めた学校施設の復旧を図る。
内閣府 高齢社会対策大綱の策定のための検討会(第1回)
▼ 資料1 新たな高齢社会対策大綱の案の作成について
- 平成30年2月16日に閣議決定された高齢社会対策大綱においては、「経済社会情勢の変化等を踏まえておおむね5年を目途に必要があると認めるときに、見直しを行うもの」とされている。
- 我が国においては、少子高齢化が進行し、健康寿命や平均寿命の延伸、高齢者の単身世帯の増加など、経済社会における様々な変化が急速に進んでおり、これらの変化に伴う社会課題に適切に対処し、持続可能な経済社会を構築するための変革を進めていく必要がある。
- このため、高齢社会対策会議は、高齢社会対策基本法(平成7年法律第129号)第15条第2項第1号の規定に基づき、現下の経済社会情勢の変化等を踏まえて、令和6年夏頃を目途に、新たな高齢社会対策大綱(以下「新大綱」という。)の案の作成を行う。
- 新大綱の案の作成に当たっては、内閣府を中心に、関係行政機関が連携・協力して、現大綱に基づく諸施策の進捗状況を把握し、有識者から意見を幅広く聴取することとする
▼ 資料5 高齢社会をめぐる現下の情勢
- 高齢化の更なる進展
- 2025年には「団塊世代」が75歳以上に、また2040年には「団塊ジュニア世代」が65歳以上となる等、高齢者の数は2040年代前半まで増加を続け、高齢化率は総人口の減少に伴いそれ以降も上昇を続ける見込み。
- 我が国における高齢者の総人口に占める割合は、29.1%(令和5年8月時点)と世界で最も高い。
- 経済社会の状況
- 生産年齢人口は、2040年までに約1200万人減少。65歳以上人口は増加を続ける見込み。
- 労働力人口も減少の見込みであるが、経済成長と女性や高齢者の労働参加が進むことにより減少を一定程度抑えることが可能。
- 主な産業別の高齢者就業割合を見ると、農業・林業が最も高くなっている。
- 農業従事者や中小企業経営者の高齢化が一因となり、荒廃農地の発生等による農地面積の減少や中小企業の休廃業・解散件数が増加している。
- 高齢者の活躍(就業・所得、学習・社会参加)
- この20年間で、健康寿命と平均寿命は男女共に約3歳延伸。
- 疾病状況で評価すると、世界の65歳と同等となる日本の年齢は76歳となり、世界第1位。
- 65歳以上の就業者数は912万人と過去最多。この10年間で、65~69歳、70~74歳の就業率はいずれも10%以上上昇。
- 60歳以上で現在収入のある仕事をしている人の約9割が「70歳くらいまで」又はそれ以上まで働きたいと回答。
- 60歳以上で現在収入のある仕事をしている人のうち、仕事をしている理由として「仕事そのものが面白いから、自分の知識・能力を生かせるから」等、「収入がほしいから」以外の理由が約5割。70代以上では更に高くなる傾向。
- 平成25年4月に65歳までの「雇用確保措置」が義務化され、ほぼ全ての企業で実施済み。一方で、70歳までの「就業確保措置」が令和3年4月から努力義務化されたが、実施している企業は全体の3割程度にとどまっている。
- 65歳以上の社会活動への参加は近年増加。社会参加活動をしている者は、60代では約4割、70代以上では男女共に5割を超えている。
- 社会活動に参加して良かったと思うことは、「生活に充実感ができた」が約5割で最も多く、次いで「新しい友人を得ることができた」が約4割となっている。
- 社会参加活動をしない理由として、「気軽に参加できる活動が少ないから」が70代では3割強と最も多く、60代でも2割強となっている。また、年代を問わず「どのような活動が行われているか知らないから」が約2~3割となっている。
- インターネット利用率は、年齢階層が上がるにつれて低下するものの、60歳以上で近年上昇が見られる。
- 経済的な暮らし向きについて、65~74歳の3割強、75歳以上の3割弱が「多少心配」又は「非常に心配」と回答。
- 健康・福祉
- 65歳以上の要介護者等数は年々増加。
- 介護に従事する職員の必要数は、2025年度には約32万人、2040年度には約69万人増加する見込み。
- 今後、高齢化の進行とともに認知症の人は増加が見込まれる。
- 介護離職者数は、年間10万人程度で推移。家族の介護をしながら就業する者は増加傾向。
- 2030年における介護による経済損失は9兆1,792億円と試算。
- 社会保障給付費は年金、医療、福祉その他それぞれの分野において、年々増加。
- 生活環境
- 65歳以上の一人暮らしの数は、更なる高齢化と、未婚化、単身世帯化の進行により、2040年には現在より約220万人増加(約896万人、65歳以上男性の約21%、女性の約25%)する見込み。
- 地域における将来の高齢者の介護や生活支援に対する不安なこととして、「老後に一人で生活することになる」が3割弱となっている。
- 高齢者の入居に対し、賃貸人(大家等)の約7割は拒否感を有している。
- 持ち家率は、近年、20~50代で減少傾向。
- 居住目的のない空家はこの20年で約2倍となっており、今後更に増加の見込み。(2030年には470万戸と推計)
- 交通事故死者数に占める高齢者の割合は54.7%。
- 市町村における個別避難計画の策定状況をみると、「全部策定済」は全体の8.7%。
- 特殊詐欺の被害者の約9割が65歳以上となっている。
- 65歳以上の者で、自分は取り残されていると感じることが「時々ある」又は「常にある」との回答、自分は他の人たちから孤立していると感じることが「時々ある」又は「常にある」との回答はそれぞれ約2割となっている。
- 60代、70代の6割強が、日常生活におけるバリアフリーがあまり進んでいない、または、ほとんど進んでいないと回答しており、他の年代よりも高い。
- 60代以上で、老後の生活に関してどのようなことに不安を感じるかについて、「移動が困難になる」と回答した人の割合は、人口規模が小さい市町村では7割弱に上る。
- 70歳以上で、運転免許証の自主返納を考えたことがあるが、自主返納しなかった理由として、「車がないと生活が不便だから」が75.1%となっている。
内閣府 日本経済レポート(2023年度)―コロナ禍を乗り越え、経済の新たなステージへ― 概要
- 日本経済の動向と持続的な回復に向けた課題
- コロナ禍後の回復で、23年後半以降、日本はアメリカほどではないものの欧州各国と比べ回復
- 日本の個人消費の回復はアメリカと比べて弱く、力強さに欠けている
- 超過貯蓄は、預金残高が小さい層では取り崩され、残高が大きい層では逆に拡大
- 日本の回復は、他国に比べて輸出の回復によるところが大きい
- コロナ禍で積み上がった超過貯蓄は、取り崩されつつあるが、米欧よりも高い水準
- 貯蓄率は高所得者中心に勤労世帯で上振れ。所得が増加していくという成長期待が重要
- 脱炭素化により、各国・地域でEVなど自動車の電動化が進む中で、自動車部品の需要も構造変化しており、我が国でも電動化に向けた研究開発、設備投資が重要
- 2023年度の企業の投資計画は堅調であるが、実際の投資には十分に結びついていない
- 訪日外国人一人当たりの消費は、円安のほか、滞在長期化もあってコロナ禍前より大幅増
- 旅行以外については、デジタル関連や保険分野を中心にサービス赤字が拡大
- 供給力引上げには国内の新規投資拡大、研究開発等の無形資産投資を通じた生産性向上が課題
- デフレ脱却に向けた展望
- 消費者物価は輸入物価を起点に40年ぶりの上昇となった後、上昇が徐々に緩やかに
- 輸入物価を起点とした財の物価上昇は、食料品を中心に落ち着きつつある
- 主要国では実質賃金がプラスに回復。我が国は実質賃金のマイナスが続いているが、デフレ前は賃金上昇が物価上昇を上回っていた
- 電気・ガスの激変緩和措置等の政策要因はこれまでの物価上昇を和らげることに寄与
- 食料品値上げが一服する中、物価上昇の主因はサービスに移りつつある
- デフレに後戻りする見込みがないかどうかを判断していくに当たっては、物価の基調と背景について様々な指標をみる必要があるが、特に、賃金上昇、企業の価格転嫁の動向、物価上昇の広がり、予想物価上昇率など、幅広い角度から総合的に経済・物価動向を確認することが重要
- 主要先進国やデフレ前の日本では、物価上昇と労働生産性向上が名目賃金上昇をけん引。
- 物価上昇を賃金に反映させ、物価に負けない名目賃金上昇率を実現・継続し、賃金と物価の好循環を回すとともに、労働生産性を高めていくことが重要
- 日本は、アメリカに比べ、川上から川下への物価への転嫁が弱く、速度が遅い傾向
- 今回物価上昇局面ではデフレ前と同様、販売価格引上げ企業が多く、引下げ企業は少ない
- サービス物価の上昇は、低人件費比率品目に牽引されているが、高比率品目でも上昇
- サービス価格上昇の広がりはデフレ前に近づいている
- 企業の予想物価上昇率は2%程度にレベルシフト。販売価格予想の粘着性には留意
- 中小企業では、原材料費に比べて労務費の転嫁が進んでおらず、転嫁しやすい環境整備が重要
- コロナ禍前は、財の物価は日米欧とも0%に分布の山があるが、サービス物価は米欧ではプラス領域に山。日本もその姿に徐々に近づきつつある
- コロナ禍を経た労働供給の動向
- 2010年代前半以降、女性の労働参加が進み、労働力人口は、人口構造要因で説明される推計値を常に上回って増加
- 労働需給は未充足求人の増加でコロナ禍後に再びひっ迫へ
- 高齢者就業の促進により、男性の労働力人口も人口構造要因による推計値を超えてきたが、その動きが止まりつつある
- 労働時間の追加希望者の半分は女性の短時間労働者。小学生等の子を持つ、正規雇用の仕事が見つからない女性などが追加就業を希望
- 6歳未満の子どもを持つ有配偶女性の有業率は大きく上昇
- 副業実施者数は直近5年で64万人増加、実施率は5%に上昇。高齢者と40代以下で副業実施率が上昇
- 副業の推進には企業側の制約を緩めていくことが必要
- 子の年齢が上がるにつれ、労働市場に戻る女性は増える一方、非正規雇用比率が高く、追加就業希望の実現が重要
- 加えて、副業実施者の2割以上が、複数の副業を行っている
- 都市圏に比べ、テレワークの実施率は地方部で低く、引上げ余地がある
- 転職や最低賃金引上げを通じた家計所得拡大
- コロナ禍を経て、男女ともに正規雇用間で転職者数が増加
- 年収が高い層では、転職により賃金が増加する割合がコロナ禍後にかけ上昇。より広い層での年収増に向けリ・スキリング支援が重要
- 転職希望者数は1,000万人に増加、就業者数の15%に拡大
- 近年、40歳以下で、正規雇用間の転職により賃金が上昇する者の割合が増加
- 高年収の職種間の転職は、年収増加が主な理由である一方、職場環境の改善を求めた低年収の職種への転職もみられる
- 最低賃金は近年高い伸び。最低賃金とともにパート時給も大きく上昇。
- 各国は最賃を名目で大きく引上げ。日本は実質も上昇。フランスは物価上昇に応じ随時改定し、購買力を維持
- 結婚後女性(非正規)は、年収の壁を意識し結婚前より労働時間を減らしている
- 最低賃金近傍の労働者は増加。最低賃金水準の低い地方部でその影響は大きい
- 就業調整は15~64歳の有配偶女性が約6割を占める一方、近年は65歳以上の女性等で増加
- 社会保険制度と就業時間には関係性がみられる。就業調整を解消する恒久的な制度の整備が重要
- 我が国企業の貯蓄超過の実態
- 経常利益の増加に比して国内設備投資は抑制的であり、その傾向は次第に強くなってきた
- 利益が増加する中で、総資本の面では、借入金が総じて抑制される一方、利益剰余金等の自己資本が強化。企業の資金調達は、他人資本から自己資本へとシフト
- 過去30年間の経常利益の増加要因は、主に、コスト抑制や海外生産の拡大による利益の還流
- 総資産の面では、国内投資が抑制される一方、海外向け投資の拡大により投資有価証券が増加。また、リーマンショック等の経済危機を経て、現預金も増加傾向
- アメリカや英国では、総貯蓄と総投資がおおむねバランスしているのに対し、日本では1990年代終盤以降、一貫して貯蓄超過であり、その度合いも大きい
- 期待成長率は設備投資キャッシュフロー比率と正の関係。非製造業の期待成長率の向上が重要
- 企業の収益性や財務状況は、企業の設備投資における重要な決定要因。これまでの利益率向上や自己資本の強化等の取組により、今後の投資拡大に向けた前提条件は整っている
- 国際的にみた日本企業のマークアップ率の現状と課題
- 企業のマークアップ率は、アメリカで近年上昇傾向だが、日本では総じて変化なし
- アメリカ企業はITサービス等のプラットフォーム分野で価格支配力が向上
- 日本では分布の山周辺に企業が集中し、その割合も長期的に変化がみられず、分布構造は概ね不変
- 日本が競争力を有する一般機械工業では、日本企業のマークアップ率が高い
- アメリカ企業のマークアップ率の上昇は、上位10%の企業がけん引
- アメリカでは分布に広がり。長期の変化では分布の山の高さが切り下がり、右方への広がりが増大
- 過去20年間における日本企業の研究開発投資の増加は、アメリカに比して限定的
- ソフトウェアなど研究開発以外の無形固定資産への投資も、アメリカ企業は日本企業より積極的
- 研究開発を含む無形固定資産への投資は、マークアップ率とプラスの関係性。ただし、その効果はアメリカの方が大きく、投資効率性の面で課題。無形固定資産への投資拡大とともに、それが収益力の向上につながるよう、投資の成果の社会実装を進める必要
- アメリカではプラットフォーム分野を中心に、非製造業の研究開発投資が旺盛
- マクロでみても、日本の民間企業部門の知的財産投資の割合はアメリカに比べ伸びが小さく低水準
内閣府 第423回 消費者委員会本会議
▼ 【資料1】 食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ(概要)
- 2030年度までに2000年度比で食品ロス量を半減させる政府目標達成に向け、今回の施策パッケージに盛り込まれた施策を中心に、関係府省庁が地方公共団体や関係民間団体とも連携しながら来年度中に着実に実行し、来年度末に予定している「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」(2020年3月31日閣議決定)の見直しに反映させる。
- 食品ロス量 ※コロナ禍影響年を除く直近5か年(平成27年~令和元年度)平均614万トン(家庭系:280万トン 事業系334万トン)
- 2021年度:523万トン ※家庭系:244万トン 事業系:279万トン
- 目標値:489万トン ※家庭系:216万トン 事業系:273万トン
- 施策パッケージの主な内容とその後の施策の展開方向
- 未利用食品等の提供(食品寄附)の促進
- 食品の期限表示の在り方
- 期限表示の設定根拠や安全係数の設定等の実態調査、検討会を通じた「食品期限表示の設定のためのガイドライン」の見直し、その際「まだ食べることのできる食品」の取扱いについて具体的に検討[消]
- 新たな期限表示ガイドラインを踏まえた施策の展開
- 食品の提供に伴って生ずる法的責任の在り方を含めた食品提供を促進するための措置の具体化
- 一定の管理責任を果たすことができる食品寄附関係者(寄附者、フードバンク等)を特定するためのガイドライン(食品寄附ガイドライン)の官民による作成(関連モデル事業の実施)[消、農、環、厚、こ、法]
- 食品寄附関係者が加入しやすい保険の仕組みに関する官民協力の下での検討[消]
- 食品関連事業者に対する税制上の取扱いや優良事例の周知・発信[農、消]
- 一連の施策実行後、一定の管理責任を果たせる食品寄附関係者による食品寄附活動の促進による食品寄附への社会的信頼の向上し、その上で、食品寄附実態把握、社会福祉や食品アクセスの確保の観点からの食品寄附促進の必要性、社会全体のコンセンサス醸成等を踏まえ、食品寄附に伴って生ずる民事責任の在り方について最終受益者の被害救済にも配慮して法的措置を講じる
- フードバンク団体等を介した食品提供円滑化の強化支援
- 先進的なフードバンクへの輸配送等支援[農]、地方自治体や食品事業者、フードバンク、福祉に関する関係者等が連携して、買物困難者や経済的に困窮している者への食料提供を円滑にする地域の体制づくり支援[農,こ,厚]、食品の無償提供に関わる多様な主体のデータ連携に関するモデル事業の実施[消]、重層的支援体制整備事業等を活用したフードバンク団体等・地方自治体等の連携促進[厚]、食事の提供等を行うこども食堂の支援[こ]
- 寄附食品の管理・流通体制の高度化、地域現場のニーズとの連携の取組の推進
- 食品の期限表示の在り方
- 外食
- 食べ残しの持ち帰り促進
- 消費者の自己責任を前提としつつ協力する飲食店等が民事・食品衛生上留意すべき事項を規定するガイドライン(食べ残し持ち帰りガイドライン)の策定(関連モデル事業の実施)[消、農、環、厚、法]
- 食べ残し持ち帰りガイドラインを踏まえた食べ残し持ち帰りの意識変化の推進
- 食べ残しの持ち帰り促進
- 食品廃棄物の排出削減の促進(事業系)
- 企業の排出抑制の具体的取組の公表
- 1/3ルール等商慣習見直し促進
- 食品のリユース促進
- 食品業界・消費者・行政が構成員となる「食品廃棄物等の発生抑制に向けた取組の情報連絡会」の設置、商慣習(納品期限、賞味期限の安全係数・大括り表示等)の見直し等に係る取組の促進[農]
- 事業系食品ロス削減対策の更なる強化
- 食品廃棄物の排出削減の促進(家庭系)
- 食品ロス状況把握と削減策促進
- 家庭系食品ロス発生要因の分析、家庭系食品ロスの効果的削減策に関する手引きの作成[環]
- 国民運動「デコ活」によるライフスタイルの変革促進
- デコ活の推進、新しい豊かな暮らし製品・サービス実装支援、デコ活アクション呼び掛け[環]
- 家庭系食品ロス削減対策の更なる強化
- ライフスタイルの変革促進
- 期限表示の正しい理解の促進
- 賞味期限の愛称(「おいしいめやす」)の周知[消]
- 期限表示の理解促進
- 食品ロス状況把握と削減策促進
- 食品廃棄物の排出削減の促進(その他)
- 経済損失と環境負荷試算
- 算出法確立 食品ロス量と併せて経済損失と温室効果ガス排出量の試算値を公表[消,農,環]
- 期限表示の理解促進
- 地域主体モデル事業取組強化
- サーキュラーエコノミー地域循環モデル構築[経]、食品廃棄ゼロエリア創出[環]
- サーキュラーエコノミー加速化、食品廃棄ゼロエリア創出
- 学校,保育所,認定こども園,幼稚園への栄養教諭・栄養士等の配置拡大
- 栄養教諭を中核とした指導の充実[文]、栄養教諭に係る定数改善と計画的な採用等の働きかけ[文]、保育所・認定こども園・幼稚園への栄養士・栄養教諭の配置支援[こ,文]
- 国主催イベント等での削減取組
- 2025大阪・関西万博啓発手法検討、資材開発[消]
- 2025大阪・関西万博、園芸博会場での啓発
- ICT等の活用
- ICTを活用した売れ残り等の課題解決[農]、サプライチェーン効率化のための調査・実証・啓発[経]
- 経済損失と環境負荷試算
- 未利用食品等の提供(食品寄附)の促進
- フードバンク団体等を介した食品提供円滑化の強化支援
- 地方消費者行政強化交付金(消費者庁)
- 地方公共団体が実施する食品ロス削減推進の取組として、フードバンクやフードドライブ活動等を支援する。
- ※事業実施主体:都道府県・市町村
- ※想定支援個所数:10自治体程度(フードバンク等支援関係)
- 地方公共団体が実施する食品ロス削減推進の取組として、フードバンクやフードドライブ活動等を支援する。
- 食品アクセス緊急対策事業(農林水産省)
- 円滑な食品アクセスを確保するため、地域の関係者(都道府県、市町村、社会福祉協議会、生産者、食品事業者、NPO、フードバンク・こども食堂・こども宅食等)が連携して組織する協議会の設置や地域における食品アクセスの現状・課題の調査、課題解決に向けた計画の策定・実行といったモデル的な取組を支援する。
- ※事業実施主体:団体(都道府県、市町村、農業協同組合、消費生活協同組合、社会福祉協議会等)
- ※想定支援個所数:10地域
- 円滑な食品アクセスを確保するため、地域の関係者(都道府県、市町村、社会福祉協議会、生産者、食品事業者、NPO、フードバンク・こども食堂・こども宅食等)が連携して組織する協議会の設置や地域における食品アクセスの現状・課題の調査、課題解決に向けた計画の策定・実行といったモデル的な取組を支援する。
- 共通API等を用いた地域単位での食品寄附データ統合モデル事業(消費者庁)
- 企業や自治体、フードバンク、こども食堂などが有している食品寄附に係るデータについて、モデル地域において、APIを通じたデータ連携・マッチングを行い、データ連携によって食品寄附を促進するモデルケースを構築する。
- ※事業実施主体:民間団体
- ※想定支援個所数:1~2地域
- 企業や自治体、フードバンク、こども食堂などが有している食品寄附に係るデータについて、モデル地域において、APIを通じたデータ連携・マッチングを行い、データ連携によって食品寄附を促進するモデルケースを構築する。
- 食品ロス削減緊急対策事業 食品ロス削減総合対策事業(農林水産省)
- 食品衛生管理水準の向上や効率的な配送システムの構築等フードバンク活動の強化に向け専門家派遣等のサポートを実施する。70団体
- 大規模かつ先進的な取組を行うフードバンク等に対して、輸配送費、倉庫・車両等の賃借料、情報交換会の開催費等、先進的取組に必要な経費を支援する。31団体
- ※事業実施主体:民間団体
- 税制上の取扱いの周知(農林水産省、消費者庁)
- 食品寄附を行う場合の輸送費等のコストを損金算入できる税制上の取扱いを食品関連事業者等に周知する。
- 地域こどもの生活支援強化事業(こども家庭庁)
- 多様かつ複合的な困難を抱えるこどもたちに対し、安心安全で気軽に立ち寄ることができる食事等の提供場所を設ける。
- ※事業実施主体:都道府県・市町村
- ※想定支援個所数:184自治体程度(地域子供の未来応援交付金、令和4年度実績)
- 多様かつ複合的な困難を抱えるこどもたちに対し、安心安全で気軽に立ち寄ることができる食事等の提供場所を設ける。
- ひとり親家庭等のこどもの食事等支援事業(こども家庭庁)
- 困窮するひとり親家庭を始めとする要支援世帯のこども等を対象とした、こども食堂、こども宅食、フードパントリー等を実施する事業者を対象として広域的に運営支援、物資支援等を行う民間団体の取組を支援し、こどもの貧困や孤独・孤立への支援を行う。
- ※事業実施主体:民間団体
- ※想定支援個所数:7団体程度
- 困窮するひとり親家庭を始めとする要支援世帯のこども等を対象とした、こども食堂、こども宅食、フードパントリー等を実施する事業者を対象として広域的に運営支援、物資支援等を行う民間団体の取組を支援し、こどもの貧困や孤独・孤立への支援を行う。
- 重層的支援体制整備事業(厚生労働省)
- 地域住民が抱える様々な地域生活課題の解決に向けて、フードバンク団体等と、地方自治体(子ども・高齢者・障害者・困窮者支援の関係機関)や他の支援団体等との連携・協働を促進する。
- ※事業実施主体:市町村(フードバンク団体やこども食堂等を含む様々な支援団体と連携)
- ※想定支援個所数:重層事業実施自治体数(※令和5年度189)
- 地域住民が抱える様々な地域生活課題の解決に向けて、フードバンク団体等と、地方自治体(子ども・高齢者・障害者・困窮者支援の関係機関)や他の支援団体等との連携・協働を促進する。
- 地方消費者行政強化交付金(消費者庁)
内閣府 第422回 消費者委員会本会議
▼ 【資料1】 消費者庁提出資料
- 取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律 概要
- オンラインモール等の取引デジタルプラットフォーム(取引DPF)において、危険な商品の流通や販売業者が特定できず紛争解決が困難になるといった問題が発生。これに対応し、通信販売取引の適正化及び紛争解決の促進に関し取引DPF提供者の協力を確保し、消費者の利益の保護を図ることを目的とする法律を制定。
- 法の内容
- 取引DPF提供者の努力義務(第3条)
- 取引DPFを利用して行われる通信販売取引の適正化及び紛争の解決の促進に資するため、以下の(1)~(3)の措置の実施及びその概要等の開示についての努力義務(具体的な内容については指針を策定)
- 消費者が販売業者等と円滑に連絡することができるようにするための措置
- 消費者から苦情の申出を受けた場合の販売条件等の表示の適正を確保するための措置
- 販売業者等の特定に資する情報の提供を求める措置
- 取引DPFを利用して行われる通信販売取引の適正化及び紛争の解決の促進に資するため、以下の(1)~(3)の措置の実施及びその概要等の開示についての努力義務(具体的な内容については指針を策定)
- 取引DPFの利用の停止等に係る要請(第4条)
- 内閣総理大臣は、重要事項(商品の安全性の判断に資する事項等)に著しく事実に相違等する表示があり、かつ、販売業者等による表示の是正が期待できない場合、取引DPF提供者に対し、販売業者等による取引DPFの利用の停止を要請することが可能
- 販売業者等に係る情報の開示請求権(第5条)
- 消費者が損害賠償請求等を行う場合に必要となる販売業者等の情報の開示を請求できる権利を創設
- 消費者が取引DPF提供者に開示を請求するもの。なお、損害賠償請求額が一定の金額以下の場合や不正目的の請求の場合は対象外
- 官民協議会(第6条~第9条)/申出制度(第10条)
- 取引DPF提供者からなる団体、消費者団体、関係行政機関等により構成される官民協議会を組織し、取組状況の共有等の情報交換を実施
- 消費者等が内閣総理大臣(消費者庁)に対し取引DPFを利用する消費者の利益が害されるおそれがある旨を申し出て、適当な措置の実施を求めることができる申出制度を創設
- 取引DPF提供者の努力義務(第3条)
- 取引DPF提供者の努力義務に関する指針
- 取引DPF提供者の努力義務に関し、法の規定の「趣旨・目的・基本的な取組」を明らかにするとともに、「望ましい取組(ベストプラクティス)の例」を示すもの。
- 消費者が販売業者等と円滑に連絡することができるようにするための措置(法第3条第1項第1号)
- 基本的な取組:連絡先や連絡手段が、消費者が容易に認識することができるように示されていること、消費者が合理的な期間にわたり、社会通念に照らして相当な時間帯において、必要に応じ販売業者等と連絡が取れるようにすること
- 望ましい取組の例:販売業者等の連絡先の表示の徹底、専用のメッセージ機能の提供、連絡手段が機能しているか否かの確認、連絡手段が機能しない場合の取引DPF提供者の対応に関し、それぞれ取組を例示
- 消費者から苦情の申出を受けた場合の販売条件等の表示の適正を確保するための措置(法第3条第1項第2号)
- 基本的な取組:消費者が苦情の申出を行いやすい仕組みを設けること、消費者から苦情の申出を受けた場合に取引DPF提供者が当該苦情に係る事情の調査を行うこと
- 望ましい取組の例:消費者からの苦情の申出の受付、関係者への照会等、不適正な表示が行われた場合の対応に関し、それぞれ取組を例示するとともに、前段階として販売条件等の表示に関するルールの設定についての取組も例示
- 販売業者等の特定に資する情報の提供を求める措置(法第3条第1項第3号)
- 基本的な取組:販売業者等の表示について問題のおそれのある事例に接した場合にその特定に資する情報の提供を求めること
- 望ましい取組の例:販売業者等の公的書類の提出を受ける、販売業者等の氏名又は名称が登録された銀行口座と一致しているか確認、取引の過程で登録情報と異なる情報に接したときは事実確認を行い、正しい情報の記載を求めることなどを例示
- 開示の内容及び場所についての基本的な考え方(法第3条第2項)
- 消費者からの連絡手段、苦情申出の方法、販売業者等を特定する情報の真正性の確保に係る取組等の開示が考えられる
- 各取引DPF上における開示のほか、事業者団体のホームページで各取引DPF提供者の措置を表示することも考えられる
- 消費者が販売業者等と円滑に連絡することができるようにするための措置(法第3条第1項第1号)
- 取引DPF提供者の努力義務に関し、法の規定の「趣旨・目的・基本的な取組」を明らかにするとともに、「望ましい取組(ベストプラクティス)の例」を示すもの。
▼ 【資料2】 経済産業省提出資料
- 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律
- (目的)
- この法律は、近年の情報通信技術の分野における技術革新の進展により、データを活用した新たな産業が創出され、世界的規模で社会経済構造の変化が生じ、デジタルプラットフォームの果たす役割の重要性が増大している中で、デジタルプラットフォーム提供者の自主性及び自律性に配慮しつつ、商品等提供利用者等の利益の保護を図ることが課題となっている状況に鑑み、特定デジタルプラットフォーム提供者の指定、特定デジタルプラットフォーム提供者による提供条件等の開示、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性についての評価その他の措置を講ずることにより、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上を図り、もって特定デジタルプラットフォームに関する公正かつ自由な競争の促進を通じて、国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
- (基本理念)
- 第三条 デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する施策は、デジタルプラットフォームが、利用者の便益の増進に寄与し、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展にとって重要な役割を果たすものであることに鑑み、デジタルプラットフォーム提供者がデジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上のための取組を自主的かつ積極的に行うことを基本とし、国の関与その他の規制を必要最小限のものとすることによりデジタルプラットフォーム提供者の創意と工夫が十分に発揮されること及びデジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の取引関係における相互理解の促進を図ることを旨として、行われなければならない。
- (公正取引委員会への措置請求)
- 第十三条 経済産業大臣は、特定デジタルプラットフォーム提供者について特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性を阻害する行為があり、その事実が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第十九条の規定に違反していると認めるときは、公正取引委員会に対し、同法の規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができる。(略)
- 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律のポイント
- (目的)
- 基本理念
- デジタルプラットフォーム提供者が透明性及び公正性の向上のための取組を自主的かつ積極的に行うことを基本とし、国の関与や規制は必要最小限のものとすることを規定。(規制の大枠を法律で定めつつ、詳細を事業者の自主的取組に委ねる「共同規制」の規制手法を採用。)
- 規制の対象
- デジタルプラットフォームのうち、特に取引の透明性・公正性を高める必要性の高いプラットフォームを提供する事業者を「特定デジタルプラットフォーム提供者」として指定し、規律の対象とする。
- ※政令でオンラインモール・アプリストアを規制対象と定め、2021年4月1日、規制対象事業者を指定。
- ※デジタル広告を規制対象に追加し、2022年10月3日、規制対象事業者を指定。
- デジタルプラットフォームのうち、特に取引の透明性・公正性を高める必要性の高いプラットフォームを提供する事業者を「特定デジタルプラットフォーム提供者」として指定し、規律の対象とする。
- 特定デジタルプラットフォーム提供者の役割
- 特定デジタルプラットフォーム提供者が、(1)取引条件等の情報の開示及び(2)自主的な手続・体制の整備を行い、(3)実施した措置や事業の概要について、毎年度、自己評価を付した報告書を提出。
- ※利用事業者への取引条件変更時の事前通知、利用事業者の苦情・紛争処理のための自主的な体制整備等を義務付け。
- 特定デジタルプラットフォーム提供者が、(1)取引条件等の情報の開示及び(2)自主的な手続・体制の整備を行い、(3)実施した措置や事業の概要について、毎年度、自己評価を付した報告書を提出。
- 行政庁の役割
- 報告書等をもとにプラットフォームの運営状況のレビューを行い、報告書の概要とともに評価の結果を公表。その際、利用事業者、有識者等の意見も聴取し、関係者間での課題共有や相互理解を促す。
- 独占禁止法違反のおそれがあると認められる事案を把握した場合、経済産業大臣は公取委に対し、同法に基づく対処を要請。
- 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性についての評価(案)例
- オンラインモール
- 商品の表示順位:恣意的な運用を行っていないことの説明を行うなど、透明性・公正性の確保につながる追加的な取組や説明を行うことが求められる。
- 返品・返金の取扱い:co.jpにおいては、利用事業者が提供する商品等について、アマゾンが返品・返金に関する条件の設定や個々の返品・返金に関する対応を行う場合があり、利用事業者からの不満が生じやすい状況にあると考えられる。アマゾンには、利用事業者の不満の声が多い類型ごとに、(1)返品・返金の条件、(2)返品・返金の判断権者、(3)アマゾン・利用事業者・消費者のそれぞれの金銭的負担の在り方(返送時の送料を含む)をわかりやすく整理・説明することが求められる。
- アプリストア
- アプリ削除の措置:ポリシー違反の程度やユーザーへのセキュリティ上の影響が軽微である等、一定の条件を定めた上で当該条件を満たす場合にはアプリ削除の事前通知及び具体的な削除理由の開示を行うことで、利用事業者がアプリ削除前に修正対応や異議申立てができるようにするなど、利用事業者の事業運営にも配慮した取組を行うことが求められる。
- 返金の取扱い:自らの判断で返金する場合に利用事業者がその返金の妥当性を理解できるよう、利用事業者の求めに応じて、個別の事案における返金要求を認容した理由(例:ユーザーが誤購入を理由に返金要求をした場合に、誤購入であることを認定した理由)を示すことが求められる。
- アプリ審査の予見可能性、公平性・公正性:再審査を受ける上での参考となる情報を提供する観点から、リジェクト(拒絶)の根拠となる提供条件や認定した事実関係を詳細に利用事業者に示すことが求められる。
- デジタル広告
- 広告審査・広告配信の停止プロセスの改善
- 広告主や媒体主向けの審査基準を具体化する、審査基準をわかりやすく説明する、審査時の着目点や留意点を説明するなど、審査に関する情報提供を充実させる、
- 広告主・媒体主が再審査に出す際に参考になるか否かという観点から違反の具体的な内容を示す、違反箇所を特定するなど、違反内容の通知文を見直す、
- 審査後の問い合わせにおいて広告主・媒体主が簡易かつ迅速に審査結果の補足説明を受けられる仕組みを構築することなどが求められる。
- 広告審査・広告配信の停止プロセスの改善
- オンラインモール
内閣府 「森林と生活に関する世論調査」の概要
- あなたは、ここ1年くらいの間に、何回くらい森林に行きましたか。(〇は1つ)令和5年10月
- 1~2回22.5%
- 3~4回12.1%
- 5~12回8.1%
- 13回以上5.4%
- 行っていない47.4%
- ここ1年くらいの間に森林に行った目的は何ですか。(○はいくつでも)(上位3項目)
- すぐれた景観や風景を楽しむため56.4%
- 森林浴により森林の癒やし効果でリフレッシュするため44.9%
- 自然豊かなところでのんびりするため44.1%
- 休暇に森林や農山村を訪れるだけでなく、仕事、子育て、健康づくりなど日常の生活の一部として、継続的に森林との関わりをもつ様々な取組が見られます。あなたは、日常の生活の中で、森林でどのようなことを行いたいと思いますか。(○はいくつでも)(上位4項目)
- 心身の健康づくりのための森林内の散策やウォーキング70.0%
- 森林の中でのランニングや自転車による走行24.4%
- 森林の中での音楽鑑賞及び芸術鑑賞などの文化的活動22.4%
- 森林の中で自然を活用した保育・幼児教育21.1%
- 特にない15.1%
- あなたは、森林や農山村に滞在して休暇を過ごす場合、どのようなことをして過ごしてみたいと思いますか。(○はいくつでも)(上位4項目)
- 自然豊かなところでのんびりする58.4%
- 森林浴により森林の癒やし効果でリフレッシュする55.7%
- 森や湖、農山村の家並みなど魅力的な景観を楽しむ46.0%
- 地域の伝統的な文化や地元食材を使った料理を楽しんだり、特産品を購入したりする40.3%
- あなたは、農山村に定住してみたいと思いますか。(〇は1つ)
- 定住してみたい(小計)25.2%(・定住してみたい5.1%・どちらかといえば定住してみたい20.1%)
- 定住したくない(小計)62.6%(・どちらかといえば定住したくない32.2%・定住したくない30.4%)
- 既に定住している9.7%
- あなたは、森林のどのような働きを期待しますか。(○はいくつでも)(上位6項目)
- 二酸化炭素を吸収することにより、地球温暖化防止に貢献する働き67.6%
- 山崩れや洪水などの災害を防止する働き63.2%
- 水資源を蓄える働き55.4%
- 空気をきれいにしたり、騒音をやわらげる働き51.7%
- 心身の癒やしや安らぎの場を提供する働き51.5%
- 貴重な野生動植物の生息・生育の場としての働き48.8%
- 我が国の森林の3割は国が管理する国有林です。あなたは、国有林に、どのような役割を期待しますか。(○はいくつでも)(上位5項目)
- 二酸化炭素を吸収することにより、地球温暖化防止に貢献する役割68.4%
- 山崩れや洪水などの災害を防止する役割67.2%
- 水資源を蓄える役割58.5%
- 貴重な野生動植物の生息・生育の場としての役割50.4%
- 空気をきれいにしたり、騒音をやわらげる役割47.3%
- あなたは、どのような機会があれば植樹や下草刈りなどの森林づくりのボランティア活動に参加したいと思いますか。(○は1つ)
- 家族や知人・友人から誘われれば参加したい26.5%
- 学校・職場から案内があれば参加したい6.1%
- 企業・団体から案内があれば参加したい3.4%
- インターネットや広報誌に掲載されていれば参加したい2.2%
- 居住地の近隣で開催されていれば参加したい19.5%
- 観光地・史跡名勝で開催されていれば参加したい5.0%
- 森林づくりのボランティア活動に参加しようと思わない31.5%
- どのような形で森林づくりのボランティア活動に参加したいと思いますか。(○は1つ)
- 地方公共団体やボランティア活動を行っている団体などが実施する森林づくりのイベントなどに参加したい55.8%
- ボランティア活動を行っている団体に所属して、森林づくりの活動のみに参加したい3.4%
- ボランティア活動を行っている団体に所属して、森林についての環境教育の取組、農山村の振興の取組などをしながら、森林づくりの活動に参加したい6.0%
- ボランティア活動を行っている団体に所属せず、個人や仲間で独自に森林づくりのボランティア活動を行いたい28.4%
- あなたは、様々な建物や製品に木材を利用すべきと思いますか。あるいは利用すべきではないと思いますか。(〇は1つ)
- 利用すべきである(小計)90.6%(・利用すべきである45.4%・どちらかといえば利用すべきである45.3%)
- 利用すべきではない(小計)7.1%(・どちらかといえば利用すべきではない6.2%・利用すべきではない0.9%)
- 利用すべきと思う理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位5項目)
- 触れた時にぬくもりが感じられるため64.8%
- 気持ちが落ち着くため51.7%
- 日本らしさを感じるため47.4%
- 香りが良いため41.0%
- 植林することにより、再生産できる資材であるため39.9%
- 利用すべきではないと思う理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位6項目)
- 森林破壊につながる印象があるため65.5%
- 火に弱い印象があるため29.3%
- 森林は保護するものだと学校で習ったため25.9%
- 劣化しやすい印象があるため23.3%
- 地震に弱い印象があるため15.5%
- 手入れが面倒な印象があるため12.9%
- あなたは木材を使った製品を購入する場合、原料となった木材の産地についてどのようなことを意識しますか。(○は1つ)
- 国産材を使用していること31.3%
- 国産材のうち生産された地域が明らかであること9.7%
- 輸入材を使用していること0.7%
- 輸入材のうち生産された地域が明らかであること1.8%
- 産地は特に意識しない55.7%
- 木材を使った製品を購入する際に産地を気にする理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
- 産地がわかることで安心感が得られるため67.4%
- 産地によって、材質が異なるため37.4%
- 産地によって、森林環境への影響や負荷が異なるため18.1%
- 木材を使った製品を購入する際に産地を特に意識しない理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
- 木材の産地よりも、商品のデザインや機能性を重視するため62.6%
- 木材の産地よりも、木材の色や触感といった特性を重視するため44.5%
- 木材の産地よりも、商品の価格を重視するため33.5%
- 特に理由はない12.3%
- あなたは、木材を使った製品を購入する場合、環境や社会的な観点からどのようなことを意識しますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
- 原材料となる木材が法令などに適合して合法的に伐採されたものであること37.8%
- 持続的な森林経営がされた森林から生産されたものであること25.3%
- 多様な生物の生息環境の保全に配慮された森林から生産されたものであること24.8%
- 第三者機関が適切に管理されていると認めた森林から生産された森林認証材であること21.2%
- 特に意識しない42.9%
- あなたが仮に、今後、住宅を建てたり買ったりする場合、どのような住宅を選びたいと思いますか。(〇は1つ)
- 在来工法の木造による戸建住宅48.2%
- ツーバイフォー工法など在来工法以外の木造による戸建住宅18.4%
- 木造によるマンションなど集合住宅2.9%
- 鉄筋、鉄骨、コンクリート造りなど非木造による戸建住宅16.7%
- 鉄筋、鉄骨、コンクリート造りなど非木造によるマンションなど集合住宅12.4%
- 木造住宅よりも非木造住宅を選びたいと思う理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
- 地震に強い印象があるため76.3%
- 火に強い印象があるため57.8%
- 遮音性が高い印象があるため44.9%
- 劣化しにくい印象があるため43.2%
- あなたは、どのような施設に木材が利用されることを期待しますか。(○はいくつでも)(上位4項目)
- 幼稚園・保育所・認定こども園や、小・中学校などの教育施設69.6%
- 旅館、ホテルなどの宿泊施設51.1%
- 公設のスポーツ施設、図書館、公民館などの社会教育施設45.4%
- 病院などの医療施設や老人ホームなどの福祉施設36.8%
- あなたは、店舗やオフィスビル、ホテルなどの住宅以外の建物に木材が利用されることをどのように思いますか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
- 気持ちが落ち着く、快適そうなど、良い印象を持つと思う73.8%
- 環境意識が高いと思う33.3%
- 木材が利用された店舗などがもっと増えてほしいと思う28.3%
【2024年1月】
内閣府 令和6年第1回経済財政諮問会議
▼ 資料1ー1 中長期の経済財政に関する試算(2024年1月)のポイント(内閣府)
- ベースラインケース:全要素生産性(TFP)上昇率が直近の景気循環の平均並み(0.5%程度)で将来にわたって推移するシナリオ。中長期的に実質・名目0%台半ばの成長。
- 成長実現ケース:TFP上昇率が、デフレ状況に入る前の期間の平均1.4%程度まで高まるシナリオ。中長期的に実質2%程度、名目3%程度の成長。
- 国・地方のPB対GDP比
- 累次の経済対策によって歳出が増加したが、民需が拡大するなか、2024年度までに対策にかかる歳出の大宗が執行されることから、2025年度に改善。
- いずれのケースにおいても、2025年度に赤字が残るが、成長実現ケースでは、歳出効率化努力を継続した場合、2025年度のPB黒字化が視野に入る。
- 公債等残高対GDP比
- ベースラインケースでは2020年代後半に上昇に転じる。成長実現ケースではPBが黒字化する中で徐々に低下する。
▼ 資料3 中長期の経済財政に関する試算を踏まえて(有識者議員提出資料)
- 2025年度PB黒字化目標が間近に迫る中、今回の中長期試算において、その達成が視野に入ることが示された。しかしながら、その前提として、経済下支え策に依存しない民需中心の高い経済成長に加え、歳出改革の継続と財源確保の着実な実施等が不可欠となっている。
- 新たなステージが見えつつある今、経済財政運営の手順に誤りなきよう、以下提言する。
- 基本的政策スタンス
- まずは、能登半島地震の復旧・復興に向けた対応を早期に実行し、国民の暮らしの安全と安心の確保に万全を期すべき。デフレ脱却、新たなステージに向けて、以下のポイントを踏まえ、迅速な制度・規制改革、官民連携の強化を徹底し、成長力を強化していくとともに、規律ある財政運営を図るべき。
- 国民所得の伸びが物価上昇を上回る状態をつくり上げ、デフレマインドを払拭し、構造改革により成長期待を高めていくこと。
- 官民連携による社会課題解決とイノベーション創造を通じて、GX・HX等のニューフロンティアへの投資拡大、働き方改革の展開、新技術の社会実装やDX利活用による徹底した生産性向上を実現すること。
- EBPMをベースとして歳出改革を強化し、効果的でメリハリの効いた財政にするとともに、社会保険料負担の上昇を抑制し、家計の可処分所得の向上を図ること。
- PB黒字化後の新たな経済成長と財政規律の在り方についても、中長期を見据え、国民への説明責任を果たしていくこと。
- 取組の強化に向けて
- 日本経済は、新たなステージに向けた、まさに正念場にある。今年の骨太方針に向けて、中長期的な展望を見据えながら、日本経済をジャンプ・アップさせる投資喚起策、ニューフロンティア拡大に向けた制度・規制改革、さらには、強靭で活力のある地域の創出策等を打ち出していくべき。
- 今後3年程度の変革期間における重点課題、そのための制度・規制改革の取組、官民連携の在り方等を明らかにすべき。
- 少子高齢化が加速する日本経済において、20~30年後を見据えた、より長期の試算を示した上で、中長期的に取り組むべき課題についてバックキャストすべき。
- 基本的政策スタンス
内閣府 経済見通しと経済財政運営の基本的態度
▼ 概要
- 令和5年度(2023年度)は、半導体の供給制約の緩和等に伴う輸出の増加やインバウンド需要の回復等から外需がけん引し、GDP成長率は実質で1.6%程度、名目で5.5%程度と見込まれる。
- 令和6年度(2024年度)は、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」の進捗に伴い、個人消費や設備投資等の内需がけん引する形で、GDP成長率は実質で1.3%程度、名目で3.0%程度と見込まれる。
- 成長の継続、労働需給の引き締まり等を背景に、2024年度の賃金上昇率は、2023年度を上回ると見込む。
- 賃金上昇に定額減税等の効果が加わり、物価上昇を上回る所得の増加が見込まれる。
- ただし、資源価格の動向など、物価の先行きには不確実性があることに留意。
内閣府 「食料・農業・農村の役割に関する世論調査」の概要
- ここ2年食品価格が高騰していますが、ご自身の食生活においてあなたはどのように対応しましたか。(○はいくつで)(上位4項目)令和5年9月
- 価格の安いものに切り替えた 59.5%
- 外食の機会を減らした 42.2%
- 購入量を減らした 39.0%
- 嗜好品を減らした 29.7%
- 特に対応しなかった 15.3%
- あなたは、食品価格について、何割までの値上げであれば許容できますか。(○は1つ)
- 許容できる(小計)75.5% (3割高を超える価格でも許容できる 2.2% 2割高から3割高までであれば許容できる 6.1% 1割高から2割高までであれば許容できる 29.8% 1割高までであれば許容できる37.5%)
- 許容できない 23.7%
- あなたは、農業が環境に負荷を与えていると指摘されている事実を知っていますか。(〇は1つ)
- 知っている 42.3%
- 知らない 55.2%
- 農業が環境に負荷を与えていると指摘されている要因について知っていますか。(○はいくつでも)
- 牛などのゲップや排泄物により発生する温室効果ガス 70.1%
- 化学農薬や化学肥料の不適切な使用による水質悪化 65.0%
- 農薬の不適切な使用による多様な生物が共生できる環境の損失 59.7%
- 農業機械や温室などの利用時に発生する温室効果ガス 30.9%
- あなたは、温室効果ガスの排出量の削減や、農薬や肥料の使用量削減などの環境に配慮した生産手法を推進することについて、どのようにお考えでしょうか。(○はいくつでも)
- 地球温暖化を防止するために推進すべき 57.8%
- 持続可能な未来のための目標であるSDGsの流れを踏まえると推進すべき 43.0%
- 多様な生物が共生できる環境づくりのために推進すべき 41.5%
- 化学農薬や化学肥料の不適正な使用による水質悪化を防ぐことができるため推進すべき 41.4%
- あなたは、環境に配慮した生産手法によって生産された農作物について、価格が高くても購入したいと思いますか。(○は1つ)
- 購入する(小計)89.5% (3割高を超える価格でも購入する 3.2% 2割高から 3割高までであれば購入する 9.0% 1割高から2割高までであれば購入する26.6% 1割高までであれば購入する26.0% 同等の価格であれば購入する24.6% )
- 意識して購入しない 8.6%
- あなたは、環境に配慮した生産手法によって生産された農作物を実際に購入したことがありますか。(○は1つ)
- 購入したことがあり、今後も購入したい 37.0%
- 購入したことはないが、今後は購入したい 43.7%
- 購入したことはあるが、今後は購入しない 4.6%
- 購入したことはなく、今後も購入しない 12.0%
- 環境に配慮した生産手法によって生産された農産物の購入について、購入したことがない、または、今後購入しない理由は何ですか。(○はいくつでも)
- どれが環境に配慮した農産物かどうかわからないため 65.0%
- 買いやすい価格でないため 32.3%
- 近くの店で取り扱いがないため 27.0%
- あなたは、日本の農業・農産物の強みや魅力についてどのようなことがあると思いますか。(○はいくつでも)
- おいしさ 70.7%
- 農産物の安全性の高さ 68.1%
- 新鮮さ 62.5%
- 品種の品質の高さ 60.7%
- 日本の農業従事者数は現在120万人ですが、今後20年で30万人にまで減少する可能性があり、現在の農業を維持していくことに課題があります。こうした課題を抱える中、あなたは消費者としてできることは何だと思いますか。(○はいくつでも)
- 買い物や外食時に、国産食材を積極的に選ぶ 73.0%
- 地元で生産された食品を選ぶ 63.8%
- ごはんや魚を中心とした和食を心がける 31.5%
- 買い物や外食時に、環境への配慮や持続可能な未来のための目標であるSDGsを踏まえた選択を行う 25.1%
- 食や農についてこどもに教える 25.1%
- あなたは、現在、農村地域とどのような関わりを持っていますか。(○はいくつでも)
- 農村地域に住んでいる 28.0%
- 農村地域の特産品を購入している 26.0%
- 農村地域との関わりを持っていない 39.3%
- あなたは、今後農村地域とどのような関わりを持ちたいですか。(○はいくつでも)
- 農村地域の特産品の購入をしたい 48.6%
- ふるさと納税で農村地域を応援したい 27.7%
- 現在持っている農村地域との関わりで十分である 19.3%
- 農村地域との関わりを持つために、どのような情報を得たいですか。(○はいくつでも)
- 農村地域の特産品の購入方法 60.5%
- 農村地域の観光情報 42.8%
- 農村地域の生活環境 24.2%
- 農村地域の宿泊施設や体験プログラムの情報 23.5%
- あなたが、農村地域で生活または仕事をする場合、どのようなことを課題と感じますか。現在農村地域で生活または仕事をしている方は、現在感じている課題をお答えください。(○はいくつでも)
- 生活する上で、交通手段が不十分なこと 58.7%
- 生活する上で、医療機関が不十分なこと 47.0%
- 生活する上で、商業施設が不十分なこと 41.4%
- 生活する上で、地域のコミュニティになじみづらいこと 27.9%
- 仕事そのものがないこと 26.5%
- 仕事をする上で、交通手段が不十分なこと 26.5%
- 課題と感じることはない 10.0%
- あなたが、ボランティアや観光など、生活や仕事以外で農村地域と関わる場合、どのようなことを課題と感じますか。現在農村地域と関わりを持っている方は、現在感じている課題をお答えください。(○はいくつでも)
- 時間的な余裕がないこと 46.0%
- 金銭的負担が重いこと 34.9%
- 地域の人とのつながりを持てる場を確保できないこと 23.8%
- 趣味の合う仲間がいないこと 16.8%
- 課題と感じることはない 14.8%
- あなたは、5年前と比較し、農村地域への関心の程度はどのように変化しましたか。(○は1つ)
- 関心が高まった(小計)32.7%(とても関心が高まった 7.0% やや関心が高まった25.7%)
- 関心の度合いは変わっていない58.3%
- 関心がなくなった(小計)8.0%(あまり関心がなくなった 5.5% 全く関心がなくなった 2.5%)
- 価格の安いものに切り替えた 59.5%
- 外食の機会を減らした 42.2%
- 購入量を減らした 39.0%
- 嗜好品を減らした 29.7%
- 特に対応しなかった 15.3%
- 許容できる(小計)75.5% (3割高を超える価格でも許容できる 2.2% 2割高から3割高までであれば許容できる 6.1% 1割高から2割高までであれば許容できる 29.8% 1割高までであれば許容できる37.5%)
- 許容できない 23.7%
- 知っている 42.3%
- 知らない 55.2%
- 牛などのゲップや排泄物により発生する温室効果ガス 70.1%
- 化学農薬や化学肥料の不適切な使用による水質悪化 65.0%
- 農薬の不適切な使用による多様な生物が共生できる環境の損失 59.7%
- 農業機械や温室などの利用時に発生する温室効果ガス 30.9%
- 地球温暖化を防止するために推進すべき 57.8%
- 持続可能な未来のための目標であるSDGsの流れを踏まえると推進すべき 43.0%
- 多様な生物が共生できる環境づくりのために推進すべき 41.5%
- 化学農薬や化学肥料の不適正な使用による水質悪化を防ぐことができるため推進すべき 41.4%
- 購入する(小計)89.5% (3割高を超える価格でも購入する 3.2% 2割高から 3割高までであれば購入する 9.0% 1割高から2割高までであれば購入する26.6% 1割高までであれば購入する26.0% 同等の価格であれば購入する24.6% )
- 意識して購入しない 8.6%
- 購入したことがあり、今後も購入したい 37.0%
- 購入したことはないが、今後は購入したい 43.7%
- 購入したことはあるが、今後は購入しない 4.6%
- 購入したことはなく、今後も購入しない 12.0%
- どれが環境に配慮した農産物かどうかわからないため 65.0%
- 買いやすい価格でないため 32.3%
- 近くの店で取り扱いがないため 27.0%
- おいしさ 70.7%
- 農産物の安全性の高さ 68.1%
- 新鮮さ 62.5%
- 品種の品質の高さ 60.7%
- 買い物や外食時に、国産食材を積極的に選ぶ 73.0%
- 地元で生産された食品を選ぶ 63.8%
- ごはんや魚を中心とした和食を心がける 31.5%
- 買い物や外食時に、環境への配慮や持続可能な未来のための目標であるSDGsを踏まえた選択を行う 25.1%
- 食や農についてこどもに教える 25.1%
- 農村地域に住んでいる 28.0%
- 農村地域の特産品を購入している 26.0%
- 農村地域との関わりを持っていない 39.3%
- 農村地域の特産品の購入をしたい 48.6%
- ふるさと納税で農村地域を応援したい 27.7%
- 現在持っている農村地域との関わりで十分である 19.3%
- 農村地域の特産品の購入方法 60.5%
- 農村地域の観光情報 42.8%
- 農村地域の生活環境 24.2%
- 農村地域の宿泊施設や体験プログラムの情報 23.5%
- 生活する上で、交通手段が不十分なこと 58.7%
- 生活する上で、医療機関が不十分なこと 47.0%
- 生活する上で、商業施設が不十分なこと 41.4%
- 生活する上で、地域のコミュニティになじみづらいこと 27.9%
- 仕事そのものがないこと 26.5%
- 仕事をする上で、交通手段が不十分なこと 26.5%
- 課題と感じることはない 10.0%
- 時間的な余裕がないこと 46.0%
- 金銭的負担が重いこと 34.9%
- 地域の人とのつながりを持てる場を確保できないこと 23.8%
- 趣味の合う仲間がいないこと 16.8%
- 課題と感じることはない 14.8%
- 関心が高まった(小計)32.7%(とても関心が高まった 7.0% やや関心が高まった25.7%)
- 関心の度合いは変わっていない58.3%
- 関心がなくなった(小計)8.0%(あまり関心がなくなった 5.5% 全く関心がなくなった 2.5%)
内閣府 「外交に関する世論調査」の概要
- あなたは、アメリカに親しみを感じますか、それとも感じませんか。(○は1つ)*令和4年10月・令和5年9月
- 親しみを感じる(小計)87.2%→87.4%(親しみを感じる35.5%→35.5%どちらかというと親しみを感じる51.7%→51.9%)
- 親しみを感じない(小計)12.4%→11.7%(どちらかというと親しみを感じない7.8%→7.4%親しみを感じない4.6%→4.3%)
- あなたは、現在の日本とアメリカとの関係は全体として見ると良好だと思いますか、それともそうは思いませんか。(○は1つ)
- 良好だと思う(小計)84.9%→88.1%↑(良好だと思う28.3%→33.2%↑まあ良好だと思う56.6%→54.9%)
- 良好だと思わない(小計)10.6%→7.9%↓(あまり良好だと思わない8.8%→6.5%↓良好だと思わない1.8%→1.4%)
- あなたは、今後の日本とアメリカとの関係の発展は、両国や、アジア及び太平洋地域にとって重要だと思いますか、それともそうは思いませんか。(○は1つ)
- 重要だと思う(小計)93.8%→93.6%(重要だと思う78.7%→76.7%まあ重要だと思う15.1%→16.9%)
- 重要だと思わない(小計)1.8%→2.5%(あまり重要だと思わない1.4%→1.9%重要だと思わない0.5%→0.6%)
- あなたは、ロシアに親しみを感じますか、それとも感じませんか。(○は1つ)
- 親しみを感じる(小計)5.0%→4.1%(親しみを感じる0.5%→0.7%どちらかというと親しみを感じる4.6%→3.4%)
- 親しみを感じない(小計)94.7%→95.3%(どちらかというと親しみを感じない27.3%→28.3%親しみを感じない67.4%→67.0%)
- あなたは、現在の日本とロシアとの関係は全体として見ると良好だと思いますか、それともそうは思いませんか。(○は1つ)
- 良好だと思う(小計)3.1%→2.4%(良好だと思う0.1%→0.1%まあ良好だと思う3.1%→2.2%)
- 良好だと思わない(小計)92.3%→93.5%(あまり良好だと思わない29.5%→30.3%良好だと思わない62.8%→63.3%)
- あなたは、今後の日本とロシアとの関係の発展は、両国や、アジア及び太平洋地域にとって重要だと思いますか、それともそうは思いませんか。(○は1つ)
- 重要だと思う(小計)57.7%→51.8%↓(重要だと思う24.0%→18.9%↓まあ重要だと思う33.7%→33.0%)
- 重要だと思わない(小計)37.9%→44.0%↑(あまり重要だと思わない21.7%→25.3%↑重要だと思わない16.2%→18.7%)
- あなたは、中国に親しみを感じますか、それとも感じませんか。(○は1つ)
- 親しみを感じる(小計)17.8%→12.7%↓(親しみを感じる2.2%→2.1%どちらかというと親しみを感じる15.6%→10.7%↓)
- 親しみを感じない(小計)81.8%→86.7%↑(どちらかというと親しみを感じない35.9%→36.0%親しみを感じない45.9%→50.7%↑)
- あなたは、現在の日本と中国との関係は全体として見ると良好だと思いますか、それともそうは思いませんか。(○は1つ)
- 良好だと思う(小計)11.0%→5.6%↓(良好だと思う0.3%→0.5%まあ良好だと思う10.7%→5.2%↓)
- 良好だと思わない(小計)84.4%→90.1%↑(あまり良好だと思わない41.6%→36.6%↓良好だと思わない42.8%→53.5%↑)
- あなたは、今後の日本と中国との関係の発展は、両国や、アジア及び太平洋地域にとって重要だと思いますか、それともそうは思いませんか。(○は1つ)
- 重要だと思う(小計)73.5%→68.2%↓(重要だと思う35.3%→28.7%↓まあ重要だと思う38.2%→39.5%)
- 重要だと思わない(小計)22.1%→27.8%↑(あまり重要だと思わない13.7%→15.3%重要だと思わない8.4%→12.4%↑)
- あなたは、韓国に親しみを感じますか、それとも感じませんか。(○は1つ)
- 親しみを感じる(小計)45.9%→52.8%↑(親しみを感じる11.0%→10.7%どちらかというと親しみを感じる34.9%→42.1%↑)
- 親しみを感じない(小計)53.7%→46.4%↓(どちらかというと親しみを感じない29.2%→27.0%親しみを感じない24.5%→19.4%↓)
- あなたは、現在の日本と韓国との関係は全体として見ると良好だと思いますか、それともそうは思いませんか。(○は1つ)
- 良好だと思う(小計)28.3%→46.1%↑(良好だと思う2.1%→3.7%↑まあ良好だと思う26.2%→42.4%↑)
- 良好だと思わない(小計)67.3%→49.8%↓(あまり良好だと思わない41.1%→33.7%↓良好だと思わない26.2%→16.1%↓)
- あなたは、今後の日本と韓国との関係の発展は、両国や、アジア及び太平洋地域にとって重要だと思いますか、それともそうは思いませんか。(○は1つ)
- 重要だと思う(小計)68.0%→73.1%↑(重要だと思う27.8%→30.4%まあ重要だと思う40.1%→42.6%)
- 重要だと思わない(小計)27.7%→22.9%↓(あまり重要だと思わない17.7%→13.9%↓重要だと思わない9.9%→9.0%)
- あなたは、ヨーロッパに親しみを感じますか、それとも感じませんか。(○は1つ)*令和3年9月令和5年9月
- 親しみを感じる(小計)71.4%→74.3%(親しみを感じる20.5%→20.6%どちらかというと親しみを感じる50.9%→53.7%)
- 親しみを感じない(小計)28.1%→24.9%↓(どちらかというと親しみを感じない19.8%→17.8%親しみを感じない8.3%→7.1%)
- あなたは、北朝鮮のことについて関心を持っていることがありますか。(○はいくつでも)(上位4項目)*令和4年10月令和5年9月
- ミサイル問題83.8%→77.9%↓
- 日本人拉致問題77.7%→73.6%↓
- 核問題71.1%→65.7%↓
- 政治体制46.0%→45.6%
- 先進国は開発途上国に対して資金協力や技術協力などの開発協力を行っています。あなたは、日本のこれからの開発協力についてどのように考えますか。(○は1つ)*令和4年10月令和5年9月
- 積極的に進めるべきだ29.7%→27.2%
- 現在程度でよい54.3%→52.2%
- なるべく少なくすべきだ12.2%→13.0%
- やめるべきだ2.3%→3.2%
- 資金協力や技術協力などの開発協力による開発途上国への支援について、必要だと思う理由は何ですか。(○はいくつでも)(上位5項目)
- 災害や感染症など世界的な課題に対して、各国が協力して助け合う必要があるから54.0%→69.9%↑
- 開発協力は世界の平和と安定を支える手段だから41.3%→48.7%↑
- エネルギー資源などの安定供給の確保に資するから50.5%→48.3%
- 国際社会での日本への信頼を高める必要があるから42.3%→42.3%
- 先進国として開発途上国を助けるのは人道上の義務または国際的責任だから38.4%→38.6%
- 現在、世界の100以上の国が国連平和維持活動、いわゆる国連PKOに要員を派遣しています。日本も国際平和協力法に基づき、カンボジア、ゴラン高原、東ティモール、ハイチ、南スーダンなどの国連PKOやシナイ半島の多国籍部隊・監視団、ウクライナ被災民支援などのための人道的な国際救援活動や、東ティモールやネパールなどでの国際的な選挙監視活動に参加してきています。あなたは、日本はこれからも、国際社会への人的貢献として、このような活動に参加すべきと考えますか。それともそうは考えませんか。(○は1つ)
- これまで以上に積極的に参加すべきだ22.7%→23.3%
- これまで程度の参加を続けるべきだ65.2%→64.4%
- 参加すべきだが、できるだけ少なくすべきだ9.6%→9.5%
- 参加すべきではない1.1%→1.2%
- 国連では、安全保障理事会、いわゆる安保理の機能を強化するとともに、安保理における各地域の代表性を高めるために、構成国数を増加する方向で議論がすすめられています。あなたは、日本が安保理の常任理事国に加わることについてどのように考えますか。(○は1つ)
- 賛成(小計)89.7%→88.7%(賛成46.8%→45.0%どちらかといえば賛成42.9%→43.7%)
- 反対(小計)9.0%→9.9%(どちらかといえば反対7.7%→7.8%反対1.3%→2.1%)
- 賛成の立場に立つのは、どのような理由からですか。あなたのお考えに最も近いものをお答えください。(○は1つ)
- 世界における日本の地位からすると、世界の平和構築のために積極的に参画していくべきだから22.4%→22.0%
- 日本は国連に多大の財政的貢献を行っているのに、重要な意思決定に加われないのはおかしいから20.1%→19.3%
- 非核保有国で平和主義を理念としている日本が加わることが世界の平和に役立つから25.5%→27.1%
- 安全保障に関する国連の重要な意思決定に我が国の考えを反映させることができるから13.3%→14.3%
- アジアの一代表として安保理常任理事国になることで、国連の場をより地域的に偏りのないものにすることに役立てるから9.1%→7.7%
- 反対の立場に立つのは、どのような理由からですか。あなたのお考えに最も近いものをお答えください。(○は1つ)
- 安保理常任理事国になると、国連に対し、これまで以上の財政的負担を負わなければならなくなるから24.4%→26.2%
- 安保理常任理事国になれば、国連の軍事活動に積極的に参加しなければならなくなるから23.7%→15.9%
- 安保理常任理事国にならなくとも、経済・社会分野や環境問題などの非軍事的分野で十分な国際貢献を行っていけるから16.7%→19.5%
- 安保理常任理事国になるのであれば、憲法を改正した上でなるべきだから5.8%→4.9%
- 世界の紛争解決に安保理は無力だから21.8%→25.6%
- あなたは、外国との経済関係を進める上で、どの分野に重点を置くべきだと思いますか。(○はいくつでも)(上位4項目)
- エネルギー・鉱物資源の確保71.7%→68.9%
- 半導体、医薬品などの重要物資の安定確保57.9%→51.6%↓
- 日本の優れた製品・産品・技術といった日本ブランドや東日本大震災にかかわる風評被害対策などの海外における積極的なPR
- 40.4%→48.1%↑
- 食料の確保50.1%→47.1%
- あなたは、日本は国際社会で、主としてどのような役割を果たすべきだと考えますか。(○はいくつでも)(上位3項目)
- 人的支援を含んだ、地域情勢の安定や紛争の平和的解決に向けた取組を通じた国際平和への貢献61.2%→60.4%
- 環境・気候変動・感染症対策を含む保健などの地球規模の課題解決への貢献62.5%→59.4%
- 軍縮・不拡散の取組などを通じた世界の平和と安定への貢献46.1%→44.2%
内閣府 「北方領土問題に関する世論調査」の概要
- あなたは、北方領土をロシアが不法占拠し続けている現状について、どの程度知っていますか。(○は1つ)
- 現状について、よく知っている10.0%
- 現状について、ある程度知っている54.1%
- 「北方領土」という言葉について聞いたことがあるが、現状までは知らない35.0%
- 「北方領土」という言葉を知らない0.6%
- 北方領土について、何から情報を得ましたか。(○はいくつでも)(上位4項目)
- テレビ88.0%
- 新聞50.5%
- 学校の授業32.5%
- 本や雑誌など20.1%
- あなたは、北方領土の返還を求める運動である北方領土返還運動に参加することについてどのように思いますか。(○は1つ)
- パネル展や署名活動などの情報を積極的に探して、参加したい1.5%
- 機会があれば、できるだけ参加したい12.1%
- 誘いがあれば、参加しても良い21.9%
- あまり参加しようと思わない58.1%
- 絶対に参加したくない4.3%
- 参加したくないと思う理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
- 自分が参加しても北方領土が返還されるとは思えないから45.7%
- 北方領土返還運動とは何をしている運動なのか、内容がよくわからないから28.3%
- 北方領土問題の内容がよくわからないから25.4%
- その他10.2%
- あなたは、今後、より多くの方に北方領土返還運動に関する活動に参加してもらうためには、どのような取組が効果的だと思いますか。(○はいくつでも)(上位5項目)
- 北方領土返還運動をより理解するための情報提供の充実65.6%
- 新聞、テレビ、ラジオなどを用いた北方領土問題に関する情報の拡散60.2%
- 北方領土問題に関する学校教育の充実41.4%
- WebサイトやSNSを用いた情報の拡散28.4%
- 元島民の体験談など、当事者の声が聴けるイベントの充実26.5%
内閣府 防衛装備移転三原則について
▼ 防衛装備移転三原則(令和5年12月22日更新)
- 政府は、防衛装備の海外移転については、昭和42年の佐藤総理による国会答弁(以下「武器輸出三原則」という。)及び昭和51年の三木内閣の政府統一見解によって慎重に対処することを基本としてきた。このような方針は、我が国が平和国家としての道を歩む中で一定の役割を果たしてきたが、一方で、共産圏諸国向けの場合は武器の輸出は認めないとするなど時代にそぐわないものとなっていた。また、武器輸出三原則の対象地域以外の地域についても武器の輸出を慎むものとした結果、実質的には全ての地域に対して輸出を認めないこととなったため、政府は、個別の必要性に応じて例外化措置を重ねてきた。このような中、平成26年4月1日、防衛装備の海外移転に係るこれまでの政府の方針につき改めて検討を行い、これまでの方針が果たしてきた役割に十分配意した上で、新たな安全保障環境に適合するよう、これまでの例外化の経緯を踏まえ、包括的に整理し、明確な原則として本原則を定めた。今般、「国家安全保障戦略について」(令和4年12月16日国家安全保障会議及び閣議決定)を踏まえ、一部改正をすることとした。
- 我が国は、戦後一貫して平和国家としての道を歩んできた。専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本原則を堅持してきた。他方、現在、我が国は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面している。
- そして、我が国が位置するインド太平洋地域は安全保障上の課題が多い地域であり、この地域において、我が国が、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの下、同盟国・同志国等と連携し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を実現し、地域の平和と安定を確保していくことは、我が国の安全保障にとって死活的に重要である。
- これらを踏まえ、我が国は、平和国家としての歩みを引き続き堅持し、また、国際社会の主要プレーヤーとして、同盟国・同志国等と連携し、国際協調を旨とする積極的平和主義の立場から、我が国の安全及びインド太平洋地域の平和と安定を実現しつつ、一方的な現状変更を容易に行い得る状況の出現を防ぎ、安定的で予見可能性が高く、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を強化することとしている。
- こうした我が国の安全保障上の目標を達成する上で、防衛装備の海外への移転は、特にインド太平洋地域における平和と安定のために、力による一方的な現状変更を抑止して、我が国にとって望ましい安全保障環境の創出や、国際法に違反する侵略や武力の行使又は武力による威嚇を受けている国への支援等のための重要な政策的な手段となる。そして、防衛装備の適切な海外移転は、国際平和協力、国際緊急援助、人道支援及び国際テロ・海賊問題への対処や途上国の能力構築といった平和への貢献や国際的な協力(以下「平和貢献・国際協力」という。)の機動的かつ効果的な実施を通じた国際的な平和と安全の維持の一層積極的な推進に資するものであり、また、同盟国である米国及び同志国等との安全保障・防衛分野における協力の強化、ひいては地域における抑止力の向上に資するものである。さらに、防衛装備の高性能化を実現しつつ、費用の高騰に対応するため、国際共同開発・生産が国際的主流となっていることに鑑み、防衛装備の適切な海外移転は、いわば防衛力そのものと位置付けられる我が国の防衛生産・技術基盤の維持・強化、ひいては我が国の防衛力の向上に資するものである。
- 他方、防衛装備の流通は、国際社会への安全保障上、社会上、経済上及び人道上の影響が大きいことから、各国政府が様々な観点を考慮しつつ責任ある形で防衛装備の移転を管理する必要性が認識されている。その際、経済安全保障の観点も踏まえ、技術等に関する我が国の優位性、不可欠性の確保等にも留意する必要がある。
- 以上を踏まえ、我が国としては、国際連合憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念及びこれまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持しつつ、次の三つの原則に基づき防衛装備の海外移転の管理を行った上で、官民一体となって防衛装備の海外移転を進めることとする。また、武器製造関連設備の海外移転については、これまでと同様、防衛装備に準じて取り扱うものとする。
- 移転を禁止する場合の明確化
- 次に掲げる場合は、防衛装備の海外移転を認めないこととする。
- 当該移転が我が国の締結した条約その他の国際約束に基づく義務に違反する場合、
- 当該移転が国際連合安全保障理事会の決議に基づく義務に違反する場合、又は
- 紛争当事国(武力攻撃が発生し、国際の平和及び安全を維持し又は回復するため、国際連合安全保障理事会がとっている措置の対象国をいう。)への移転となる場合
- 次に掲げる場合は、防衛装備の海外移転を認めないこととする。
- 移転を認め得る場合の限定並びに厳格審査及び情報公開
- 上記1以外の場合は、移転を認め得る場合を次の場合に限定し、透明性を確保しつつ、厳格審査を行う。具体的には、防衛装備の海外移転は、平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合、同盟国たる米国を始め我が国との間で安全保障面での協力関係がある諸国(以下「同盟国等」という。)との国際共同開発・生産の実施、同盟国等との安全保障・防衛分野における協力の強化並びに装備品の維持を含む自衛隊の活動及び邦人の安全確保の観点から我が国の安全保障に資する場合等に認め得るものとし、仕向先及び最終需要者の適切性並びに当該防衛装備の移転が我が国の安全保障上及ぼす懸念の程度を厳格に審査し、国際輸出管理レジームのガイドラインも踏まえ、輸出審査時点において利用可能な情報に基づいて、総合的に判断する。
- また、我が国の安全保障の観点から、特に慎重な検討を要する重要な案件については、国家安全保障会議において審議するものとする。国家安全保障会議で審議された案件については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)を踏まえ、政府として情報の公開を図ることとする。
- 目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保
- 上記2を満たす防衛装備の海外移転に際しては、適正管理が確保される場合に限定する。具体的には、原則として目的外使用及び第三国移転について我が国の事前同意を相手国政府に義務付けることとする。ただし、平和貢献・国際協力の積極的な推進のため適切と判断される場合、部品等を融通し合う国際的なシステムに参加する場合、部品等をライセンス元に納入する場合等においては、仕向先の管理体制の確認をもって適正な管理を確保することも可能とする。
- 以上の方針の運用指針については、国家安全保障会議において決定し、その決定に従い、経済産業大臣は、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)の運用を適切に行う。その上で、運用指針は、安全保障環境の変化や安全保障上の必要性等に応じて、時宜を得た形で改正を行う。
- 本原則において「防衛装備」とは、武器及び武器技術をいう。「武器」とは、輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号)別表第1の1の項に掲げるもののうち、軍隊が使用するものであって、直接戦闘の用に供されるものをいい、「武器技術」とは、武器の設計、製造又は使用に係る技術をいう。
- 政府としては、国際協調を旨とする積極的平和主義の立場から、国際社会の平和と安定のために積極的に寄与していく考えであり、防衛装備並びに機微な汎用品及び汎用技術の管理の分野において、武器貿易条約の履行及び国際輸出管理レジームの更なる強化に向けて、一層積極的に取り組んでいく考えである
- 移転を禁止する場合の明確化
内閣府 令和5年第17回経済財政諮問会議
▼ 資料1-3 経済・財政一体改革の推進、点検・検証と今後の強化に向けて(柳川議員提出資料)
- 経済・財政一体改革の着実な推進・国民への浸透
- 「新経済・財政再生計画 改革工程表2023」に盛り込まれた改革項目を着実に実行し、政策目標の達成に向けて成果を出していくため、工程表で設定したKPIに基づくプロセス管理を徹底し、今後も進捗に応じて不断の見直しを行うことが重要である。
- 経済・財政一体改革は、広く国民各層の意識改革や行動変容につなげていく取組であることから、今回作成したPR資料を活用しつつ、分かりやすく国民に説明し、浸透を図るべき。
- 経済・財政一体改革の点検・検証
- 骨太方針2023に基づき、中期的な経済財政の枠組みの策定に向け、経済・財政一体改革の進捗について点検・検証を実施することとされている。骨太方針2024に向けて、一体改革を加速していくため、主要分野の課題を抽出し対応方針を検討していくことが重要であり、その観点から以下の取組を行うこととする。
- 社会保障改革の点検・検証
- 全世代型社会保障の「改革の道筋」には、これまで当委員会において検討されてきた多くの施策が盛り込まれたが、このうち「2028年度までに実施について検討する」とされた施策は、改革工程表で長らく未実現にとどまってきた「岩盤事項」が多く含まれる。岩盤事項の政策の実現に結びつけるためには、前進を阻んできた要因を分析し、今後とるべき改革の方向性を明らかにして推進力を与える必要がある。その上で、「改革の道筋」は「必ず実現する」という強い覚悟を持って、政府は責任を持って取り組むべき。
- こうした観点から、全世代型社会保障構築会議において、厚生労働省の協力を得て、具体的な改革の進め方を検討する必要がある。このため、当委員会においては、社会保障改革について、有識者の立場からの評価や進捗確認等を行い、その結果を全世代型社会保障構築会議及び厚生労働省にフィードバックするとともに、経済財政諮問会議における歳出改革の在り方等に関する議論に繋げる。
- また当委員会において、改革項目ごとの歳出削減・抑制の効果を把握しながら、項目単位での進捗管理を徹底する。
- 進捗評価を踏まえた政策目標、KPI、工程の精査
- 改革工程表2023においては、主要分野ごとにWGで活発な議論を行い、新規のKPIを114個設定するなど、可能な限りの見直しが行われたが、定量的なKPIの設定やロジックモデルの再構築について、来年以降に議論が持ち越しになったものもある。
- 中期的な経済財政の枠組みの策定に向けて、主要分野の重要課題の中で政策目標・KPIの達成に向けた進捗が遅れているものについて、工程が予定通り行われているか、政策目標を達成するうえで工程の内容が適切か、進捗を図る上で適切なKPIが設定されるかなど、政策目標、KPI、工程のつながりも含め精査することとする。
- 社会保障改革の点検・検証
- 骨太方針2023に基づき、中期的な経済財政の枠組みの策定に向け、経済・財政一体改革の進捗について点検・検証を実施することとされている。骨太方針2024に向けて、一体改革を加速していくため、主要分野の課題を抽出し対応方針を検討していくことが重要であり、その観点から以下の取組を行うこととする。
- EBPMの強化
- 「経済・財政一体改革エビデンス整備プラン」に基づく取組は2024年が目標年となっており、改革工程表2023において、これまでの取組を踏まえた反映が行われた。今後、各府省庁の重要政策の企画立案及び実行におけるEBPMを強化していくため、「エビデンス整備プラン」の取組を広げていくことが重要である。来春に「エビデンス整備プラン」の成果を総括した上で、行政改革推進会議とも連携して各府省庁に横展開すべき。
- 今後、予算が新規・拡充する重要政策について、EBPMを取り入れ経済効果や歳出効率化効果を検証することが重要である。このため、骨太方針や予算の編成過程においてEBPMを強化する枠組みを、当委員会において検討し経済財政諮問会議に報告する。
▼ 資料2-1 令和6年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(ポイント)(内閣府)
- 令和6年度(2024年度)政府経済見通しの概要
- 令和5年度(2023年度)は、半導体の供給制約の緩和等に伴う輸出の増加やインバウンド需要の回復等から外需がけん引し、GDP成長率は実質で1.6%程度、名目で5.5%程度と見込まれる。
- 令和6年度(2024年度)は、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」の進捗に伴い、個人消費や設備投資等の内需がけん引する形で、GDP成長率は実質で1.3%程度、名目で3.0%程度と見込まれる。
- 官民が連携した賃金上昇・所得増加による物価高の克服
- 成長の継続、労働需給の引き締まり等を背景に、2024年度の賃金上昇率は、2023年度を上回ると見込む。
- 賃金上昇に定額減税等の効果が加わり、物価上昇を上回る所得の増加が見込まれる。
- ただし、資源価格の動向など、物価の先行きには不確実性があることに留意。
内閣府 地方分権改革推進本部(第18回会合) 議事次第・配布資料
▼ 資料1 令和5年の地方からの提案等に関する対応方針(案)概要
- 基本的考え方等
- 平成26年から地方分権改革に関する「提案募集方式」を導入
- 地方分権改革の推進は、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、地方創生における極めて重要なテーマ
- 法律改正事項については、一括法案等を令和6年通常国会に提出することを基本
- 計画策定等については、令和5年3月に閣議決定した「ナビゲーション・ガイド」を着実に運用し、効率的・効果的な計画行政を推進
- 対応状況
- 令和5年の提案230件のうち、176件(※)について内閣府と関係府省との間で調整
- このうち、154件について、令和5年の対応方針として記載(※)予算編成過程での検討を求めるもの、これまでの提案募集で既に扱われたもの、提案募集の対象外であるもの等を除いた件数
- 令和4年以前の対応方針で記載された後、令和5年中に措置の内容が具体化されたもの(93件)についても、令和5年の対応方針として記載
- 主な対応方針
- 連携・協働(重点募集テーマ)
- 里帰り出産における地方公共団体間の情報連携の仕組みの構築
- 妊産婦健康診査に係る手続等の見直し及び情報連携の仕組みの構築
- 区域外の医療機関等受診時の地方単独医療費助成制度に関する現物給付を円滑に行うための実施方法の明確化
- 地域の人材(担い手)確保(重点募集テーマ)
- 幼保連携型認定こども園の保育教諭等の資格の特例等の延長
- 国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物の計画通知に対する審査・検査等に係る指定確認検査機関の活用
- 地方公務員の休暇制度において、地域社会に貢献する活動に従事することを事由とする特別休暇を各地方自治体の裁量により創設できることの明確化
- 管理栄養士国家試験の受験資格の見直し
- その他
- 獣医師法に基づくオンラインによる届出の場合の都道府県経由事務の見直し
- 公立学校施設整備費国庫負担事業における国庫債務負担行為の年限の見直し
- 宅地建物取引業者の事業者名簿等の閲覧制度に係る対象書類の簡素化
- 生産緑地法に基づく買取申出手続と公有地の拡大の推進に関する法律に基づく届出手続により重複している手続の合理化
- 連携・協働(重点募集テーマ)
内閣府 宇宙開発戦略本部 第29回会合 議事次第
▼ 資料1 宇宙基本計画工程表改訂(案)のポイント
- 宇宙安全保障の確保
- 宇宙システムの重要性の高まりに呼応して、宇宙システムに対する脅威も顕在化
- 宇宙利用を強化する「宇宙からの安全保障」と、宇宙システムに対する脅威に対応し、安定的利用を確保する「宇宙における安全保障」の、二つの取組を強化していくことが必要
- 準天頂衛星システムの7機体制構築に向け、引き続き着実に開発・整備を進める。また、11機体制に向けた検討・開発に着手する。情報収集衛星についても、ユーザー・ニーズを踏まえつつ、10機体制が目指す情報収集能力の向上を着実に実施する。
- 極超音速滑空弾(HGV)探知・追尾等の能力向上に向けて、新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)で計画している宇宙実証プラットフォームを活用し、赤外線センサ等の宇宙実証を実施する。
- 新たに「我が国の海洋状況把握(MDA)構想」を策定し、海洋状況把握の能力強化を進める。
- 宇宙に関する不測の事態が生じた場合における情報集約や、初動対応等に関する官民一体となった対応要領の強化を実現するための情報共有の枠組みである「宇宙システムの安定性強化に関する官民協議会」を通して、情報の共有、実効性向上に資する検討を行う。
- 2026年度に打上げを予定している宇宙領域把握(SDA)衛星について、2023年に製造に着手、引き続きSDA体制の構築に向けた取組を着実に進める。また、宇宙安全保障に関する議論を実施する多国間枠組みである連合宇宙作戦イニシアチブ(CSpO)への参加が実現。これにより、同盟国・同志国との関係を更に強化しつつ、安定的な宇宙利用の確保のための国際的取組に積極的に関与する。
- 2027年度までに目標の探知・追尾能力の獲得を目的とした衛星コンステレーションを構築するため、効率的かつ効果的な衛星画像を取得するための最適な在り方についての調査結果等を踏まえ、この構築に向けた方向性の検討を行い、必要な措置を講じる。
- 国土強靱化・地球規模課題への対応とイノベーションの実現
- 防災・減災、国土強靱化が喫緊の課題となる中、衛星による貢献の可能性
- 2050年カーボンニュートラル達成に向けた、宇宙からの貢献への期待
- アジャイルな開発手法によるコスト低減と、デジタルソリューション等の技術革新の進展により、宇宙ソリューション市場が拡大
- 衛星データの利用による、スマート農林水産業技術の開発・実証・実装や、土砂災害・浸水域の早期把握を目的とした衛星活用の検討等、利用省庁等での衛星リモートセンシングデータの活用を加速させるとともに、「衛星リモートセンシングデータ利用タスクフォース大臣会合」を2023年度内に開催する。
- 線状降水帯や台風等の予測精度を抜本的に向上させる大気の3次元観測機能、太陽活動等による我が国上空の宇宙環境の変動を観測するセンサなど最新技術を導入したひまわり10号について、2029年度の運用開始を目指し、着実に整備を進める。
- 温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)の2024年度打上げに向け、プロトフライトモデルの製作・試験を進めると同時に、2024年末までに、世界に先駆けて開発した温室効果ガス排出量推計技術の中央アジア、インド等への普及の取組を推進する。
- 官民連携による光学観測事業構想について、衛星搭載高度計ライダーと小型光学衛星コンステレーションを活用・高度化した衛星三次元地形情報生成技術の開発・実証に取り組むミッションを軸においた、技術成熟度を引き上げるための開発に2024年度に着手する。
- 宇宙科学・探査による新たな知と産業の創造
- 米国が、同志国との国際協調のもと、火星を含む深宇宙の有人探査も視野にいれたアルテミス計画を本格化
- 月探査については、米国に加え、中国、インド、その他の新興国も取り組みを加速化。国際競争が激化
- アルテミス計画の下、国際協力による月・火星探査を実施する。有人与圧ローバについては、新規性の高い要素技術に関する開発研究及び実証等のフロントローディング活動を着実に実施するとともに、本格的な開発にも着手する。月周回有人拠点(ゲートウェイ)については、我が国が強みを有する機器の提供のために、環境制御・生命維持システム等の開発を着実に進める。
- 2023年度に打ち上げた小型月着陸実証機(SLIM)のデータ等を解析するとともに、SLIM技術を維持・発展させた月面着陸技術(極域対応高精度着陸技術等)の要素技術に資する開発研究及び実証に取り組むなど、科学成果創出や将来の探査に必要な重要技術の高度化を図る。
- 2024年度以降のHTV-X1号機、2号機、3号機の打上げに向けた開発および運用を行う。
- 宇宙活動を支える総合的基盤の強化
- 諸外国や民間による宇宙活動が活発化し、競争が激化
- 宇宙活動の自立性の維持のため、基盤強化の重要性、および制度環境整備の必要性が高まる
- 欧米に加え、中国やインドにおいても、手厚い政府支援の下、スタートアップ企業が大型の資金調達に成功
- 基幹ロケットの打上げ失敗等について、原因究明結果を踏まえた対策を講じ、H3ロケット試験機2号機については2023年度中、イプシロンSロケット実証機については2024年度下半期の打上げを目指す。
- 宇宙空間の安全で持続的な利用を確保するため、スペースデブリ問題への対処の重要性、スペースデブリの低減と改善に関する取組歓迎等について、G7広島首脳コミュニケに盛り込んだ。それを踏まえ、宇宙交通管理の国際的なルール整備に向けた取組を進める。また、商業デブリ除去実証技術CRD2の打上げ・運用に向けて引き続き取り組む。
- 「宇宙技術戦略」を2023年度中に策定する。これを踏まえ、10年間の「宇宙戦略基金」を活用し、JAXAによる民間企業、大学等への技術開発支援を開始する。まずは当面の事業開始に必要な経費を措置しつつ、速やかに、総額1兆円規模の支援を行うことを目指す。
- JAXAを含む国等のプロジェクトの実施に際し、民間事業者にとっての事業性・成長性を確保できるよう、契約制度の見直しを進める。
- 革新的な研究開発を行うスタートアップ等の有する先端技術を、社会実装に繋げるための大規模技術実証(SBIRフェーズ3)において、小型衛星を含めた衛星リモートセンシングビジネス、月面ランダー、民間ロケット、スペースデブリ対策等に関する技術開発実証を進める。
内閣府 AI戦略会議 第7回
▼ 資料1-2 AI事業者ガイドライン案 概要
- 各主体が取り組む主な事項の例(抜粋)
- AIにより目指すべき社会と各主体が取り組む事項
- 法の支配、人権、民主主義、多様性、公平公正な社会を尊重するようAIシステム・サービスを開発・提供・利用し、関連法令、AIに係る個別分野の既存法令等を遵守、人間の意思決定や感情等を不当に操作することを目的とした開発・提供・利用は行わない
- 偽情報等への対策、AIモデルの各構成技術に含まれるバイアスへの配慮
- 関連するステークホルダーへの情報提供(AIを利用しているという事実、データ収集・アノテーション手法、適切/不適切な利用方法等)
- トレーサビリティの向上(データの出所や、開発・提供・利用中に行われた意思決定等)
- 文書化(情報を文書化して保管し、必要な時に、入手可能かつ利用に適した形で参照可能な状態とする等)
- AIリテラシーの確保、オープンイノベーション等の推進、相互接続性・相互運用性への留意等
- 高度なAIシステムに関係する事業者は、広島AIプロセスで示された国際指針を遵守(開発者は国際行動規範も遵守)
- 「環境・リスク分析」「ゴール設定」「システムデザイン」「運用」「評価」といったサイクルを、マルチステークホルダーで継続的かつ高速に回転させていく、「アジャイル・ガバナンス」の実践 等
- AI開発者に関する事項
- 適切なデータの学習(適正に収集、法令に従って適切に扱う)
- 適正利用に資する開発(AIモデルの調整(ファインチューニング)の目的に照らしてふさわしいものか検討)
- セキュリティ対策の仕組みの導入、開発後も最新動向に留意しリスクに対応
- 関連するステークホルダーへの情報提供(技術的特性、学習データの収集ポリシー、意図する利用範囲等)
- 開発関連情報の文書化
- イノベーションの機会創造への貢献 等
- AI提供者に関する事項
- 適正利用に資する提供(AI開発者が設定した範囲でAIを活用等)
- 文書化(システムのアーキテクチャやデータ処理プロセス等)
- 脆弱性対応(サービス提供後も最新のリスク等を把握、脆弱性解消の検討)
- 関連するステークホルダーへの情報提供(AIを利用していること、適切な使用方法、動作状況やインシデント事例、予見可能なリスクや緩和策等)
- サービス規約等の文書化 等
- AI利用者に関する事項
- 安全を考慮した適正利用(提供者が示した適切な利用範囲での利用)
- バイアスに留意し、責任をもって出力結果の利用を判断
- プライバシー侵害への留意(個人情報等を不適切に入力しない等)
- セキュリティ対策の実施
- 関連するステークホルダーへの情報提供(利害関係者に平易かつアクセスしやすい形で示す等)
- 提供された文書の活用、規約の遵守 等
- AIにより目指すべき社会と各主体が取り組む事項
- AI事業者ガイドライン案(背景・経緯)
- 我が国は従前より、世界に先駆けて、AIに関する議論を主導(G7香川・高松情報通信大臣会合(2016年)、人間中心のAI社会原則(2019年、内閣府))。今般、「AIに関する暫定的な論点整理」(2023年5月、AI戦略会議)を踏まえ、総務省・経済産業省が共同事務局として、既存のガイドラインを統合・アップデート(注)し、広範なAI事業者向けのガイドライン案をとりまとめ
- 作成にあたっては広島AIプロセスの議論やマルチステークホルダー・アプローチを重視。総務省の「AIネットワーク社会推進会議」、経済産業省の「AI事業者ガイドライン検討会」及び各検討会下のWGを活用し、産業界、アカデミア及び市民社会の多様な意見を聴取
▼ AI戦略会議の今後の課題(案)
- AIのガバナンス・規制のあり方
- 事業者ガイドラインの履行確保等
- 事業者ガイドラインの履行確保のための方策について、米国やEU等の国際的な動きも踏まえ、制度整備を含めて、具体的に検討してはどうか。
- その際、個別の規制においてAI利用が認められる基準を明確化することでAIの利用が促進されるという観点にも留意が必要ではないか。
- 最先端の基盤モデルや生成AIなど高度AIシステムの安全性に関して、国際的なガバナンスや情報交換の枠組みが必要ではないか。
- 高度AIシステムや大規模に使用されるAIについて、欧米の制度整備との整合性も踏まえつつ、安全性等に関する情報開示の仕組みや、AI提供者や利用者に対する適切な情報提供など、透明性を確保するための仕組みが必要ではないか。
- 偽情報対策
- AI利用により巧妙化、増加するおそれのある偽情報対策を強化すべきではないか。例えば、コンテンツ認証・来歴管理技術等の新たな技術の開発・導入の促進策や、欧州で議論されているAI作成コンテンツの明示義務やデジタルプロバイダーの役割について検討してはどうか。
- 広島AIプロセスの更なる前進等
- 広島AIプロセスの成果をG7以外の国に幅広く拡大していくことが重要。
- グローバルサウスは先進国主体のAI開発競争から取り残されることを懸念しており、日本がAIガバナンスやデータ利用、人材育成・AIリテラシーの向上等の分野でリーダーシップをとる必要があるのではないか。
- 事業者ガイドラインの履行確保等
- 我が国の高度AIシステムの競争力確保
- AI開発力の強化のため、計算資源の確保やデータ活用には引き続き取り組むとともに、我が国の高度AIシステム(基盤モデル等)の開発やスタートアップ含めた幅広い組織に対する投資・環境整備などの競争力確保の道筋を検討すべきではないか。
- その際、例えば、以下のようなAI技術やビジネスの動向を踏まえて検討してはどうか。
- 各分野でファインチューニング等によって様々なモデルが実用化される可能性や、全く新たなアルゴリズムのモデルが開発される可能性
- オープンソースのAIに関する、安全性、技術革新、競争政策等の観点からの議論
- AIの利用促進
- 日本の企業等におけるAI導入は、米国等に比べて進んでいないといった調査結果がある。DXと相まってAI導入を進め、中堅・中小企業等の生産性向上・人手不足解消等を進めることが重要ではないか。
- 医療、金融、製薬、マテリアル、ロボット、モビリティ等の重要分野におけるAI利用を如何に促進していくか。こうしたAIの利用促進が競争力強化策にもつながっていくのではないか。
- 産業用データを活用してAI学習を行うことで、当該産業に適したAIの利用の促進を図ってはどうか。
- AIの利用の促進のためには、個別のニーズに適したAIアプリ開発が重要。こうしたAIアプリ開発を担うスタートアップとユーザーである大企業等との連携・協業や成果連動型民間委託契約方式の活用など新たなエコシステムが必要ではないか。
- AIによって、人が担うべき創意工夫や創造(クリエイティブ)の概念が変わる可能性がある。そのことが産業や社会に与える影響をどう考えるか。
- 教育分野における生成AIの活用の可能性や人材育成・AIリテラシー向上等についての更なる検討が必要ではないか
内閣府 月例経済報告(令和5年12月)
- 景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
- 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある
- 30年来続いてきたコストカット型経済から持続的な賃上げや活発な投資がけん引する成長型経済へ変革するため、新しい資本主義の取組を加速させる。
- このため、変革を力強く進める供給力の強化策と不安定な足元を固め物価高を乗り越える生活実感の改善策により、投資と消費の力強い循環につなげるべく「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージにむけて~」(11月2日閣議決定)及びその裏付けとなる令和5年度補正予算を迅速かつ着実に執行する。また、「令和6年度予算編成の基本方針」(12月8日閣議決定)や今後策定する「令和6年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」も踏まえ、令和6年度政府予算案を取りまとめる。
- 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
- こうした取組を通じ、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進めつつ、デフレに後戻りしないとの認識を広く醸成し、デフレ脱却につなげる。
- 個人消費は、持ち直している。
- 「四半期別GDP速報」(2023年7-9月期2次速報)では、民間最終消費支出の実質値は前期比 0.2%減となった。また、「消費動向・指数(CTI)」(10月)では、総消費動向指数(CTIマクロ)の実質値は前月比 0.1%増となった。
- 個別の指標について、需要側の統計をみると、「家計調査」(10月)では、実質消費支出は前月比 0.1%減となった。販売側の統計をみると、「商業動態統計」(10月)では、小売業販売額は前月比 1.7%減となった。
- 消費動向の背景をみると、実質総雇用者所得は、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。また、消費者マインドは、持ち直しに足踏みがみられる。
- さらに、足下の状況について、ヒアリング結果等を踏まえると、新車販売台数及び家電販売は、おおむね横ばいとなっている。旅行は、持ち直している。外食は、緩やかに増加している。
- こうしたことを踏まえると、個人消費は、持ち直している。
- 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、持ち直しが続くことが期待される。ただし、消費者マインドの動向に留意する必要がある。
- 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。
- 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。需要側統計である「法人企業統計季報」(7-9月期調査、含むソフトウェア)でみると、2023年7-9月期は前期比 1.4%増となった。業種別にみると、製造業は同 0.4%減、非製造業は同 2.4%増となった。
- 機械設備投資の供給側統計である資本財総供給(国内向け出荷及び輸入)は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。ソフトウェア投資は、増加している。
- 「日銀短観」(12月調査)によると、全産業の2023年度設備投資計画は、増加が見込まれている。「日銀短観」による企業の設備判断DIは、12月調査で、製造業では+2と、9月調査(+2)から過剰超幅が横ばい、非製造業を含む全産業では-2と、9月調査(-1)から1ポイント不足超幅が拡大している。先行指標をみると、機械受注は、おおむね横ばいとなっている。建築工事費予定額は、持ち直しの動きがみられる。
- 先行きについては、堅調な企業収益等を背景に、持ち直しに向かうことが期待される
- 住宅建設は、弱含んでいる。
- 住宅建設は、弱含んでいる。持家の着工は、このところ弱含んでいる。貸家の着工は、横ばいとなっている。分譲住宅の着工は、弱含んでいる。総戸数は、10月は前月比 1.0%増の年率80.8万戸となった。なお、首都圏のマンション総販売戸数は、おおむね横ばいとなっている。
- 先行きについては、当面、弱含みで推移していくと見込まれる。
- 公共投資は、底堅く推移している。
- 公共投資は、底堅く推移している。9月の公共工事出来高は前月比 0.7%増、11月の公共工事請負金額は同 7.0%増、10月の公共工
- 事受注額は同17.8%減となった。
- 公共投資の関連予算をみると、公共事業関係費は、国の令和5年度一般会計予算では、補正予算において約 2.2兆円の予算措置を講じており、補正後は前年度比 2.5%増となっている。また、令和5年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比 0.0%となっている。
- 先行きについては、補正予算の効果もあって、底堅く推移していくことが見込まれる。
- 輸出は、このところ持ち直しの動きがみられる。輸入は、おおむね横ばいとなっている。貿易・サービス収支は、赤字となっている。
- 輸出は、このところ持ち直しの動きがみられる。地域別にみると、アジア向けの輸出は、このところ持ち直しの動きがみられる。アメリカ向けの輸出は、持ち直している。EU及びその他地域向けの輸出は、おおむね横ばいとなっている。先行きについては、持ち直しの動きが続くことが見込まれる。ただし、海外景気の下振れリスクに留意する必要がある。
- 輸入は、おおむね横ばいとなっている。地域別にみると、アジア及びアメリカからの輸入は、おおむね横ばいとなっている。EUからの輸入は、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、次第に持ち直していくことが期待される。
- 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
- 10 月の貿易収支は、輸入金額の増加が輸出金額の増加を上回ったことから、赤字幅が拡大した。また、サービス収支は、黒字となっている。
- 生産は、持ち直しの兆しがみられる。
- 鉱工業生産は、持ち直しの兆しがみられる。鉱工業生産指数は、10月は前月比 1.3%増となった。鉱工業在庫指数は、10月は前月比 0.6%増となった。また、製造工業生産予測調査によると11月は同 0.3%減、12月は同 3.2%増となることが見込まれている。
- 業種別にみると、輸送機械は底堅い動きとなっている。生産用機械はおおむね横ばいとなっている。電子部品・デバイスは振れを伴いながら持ち直しの動きがみられる。
- 生産の先行きについては、海外景気の下振れ等による影響に注意する必要があるが、持ち直しに向かうことが期待される。
- また、第3次産業活動は、持ち直している。
- 企業収益は、総じてみれば改善している。企業の業況判断は、改善している。倒産件数は、増加がみられる。
- 企業収益は、総じてみれば改善している。「法人企業統計季報」(7-9月期調査)によると、2023年7-9月期の経常利益は、前年比20.1%増、前期比 0.8%増となった。業種別にみると、製造業が前年比 0.9%減、非製造業が同40.0%増となった。規模別にみると、大・中堅企業が前年比18.3%増、中小企業が同26.8%増となった。「日銀短観」(12月調査)によると、2023年度の売上高は、上期は前年比 3.5%増、下期は同 1.6%増が見込まれている。経常利益は、上期は前年比11.0%増、下期は同 3.9%減が見込まれている。
- 企業の業況判断は、改善している。「日銀短観」(12月調査)によると、「最近」の業況は、「全規模全産業」で上昇した。3月時点の業況を示す「先行き」は、「最近」に比べやや慎重な見方となっている。また、「景気ウォッチャー調査」(11月調査)の企業動向関連DIによると、現状判断、先行き判断ともに低下した。
- 倒産件数は、増加がみられる。10月は793件の後、11月は807件となった。負債総額は、10月は3,080億円の後、11月は948億円となった。
- 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
- 完全失業率は、10月は前月比 0.1%ポイント低下し、2.5%となった。労働力人口、就業者数及び完全失業者数は減少した。
- 就業率は緩やかに上昇している。新規求人数は横ばい圏内となっている。有効求人倍率はこのところ横ばい圏内となっている。民間職業紹介における求人動向は持ち直している。製造業の残業時間は減少した。
- 賃金をみると、定期給与及び現金給与総額は増加している。実質総雇用者所得は、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。
- 「日銀短観」(12月調査)によると、企業の雇用人員判断DIは、12月調査で-35と、9月調査(-33)から2ポイント不足超幅が拡大している。
- こうしたことを踏まえると、雇用情勢は、改善の動きがみられる。
- 先行きについては、改善していくことが期待される。
- 国内企業物価は、横ばいとなっている。消費者物価は、このところ上昇テンポが緩やかになっている。
- 国内企業物価は、横ばいとなっている。11月の国内企業物価は、前月比 0.2%上昇した。輸入物価(円ベース)は、このところ上昇している。
- 企業向けサービス価格の基調を「国際運輸を除くベース」でみると、緩やかに上昇している。
- 消費者物価の基調を「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」でみると、政策等による特殊要因を除くベースで、このところ上昇テンポが緩やかになっている。10月は、前月比では連鎖基準、固定基準ともに 0.1%上昇した。前年比では連鎖基準で 4.2%上昇し、固定基準で 4.0%上昇した。ただし、政策等による特殊要因を除くと、前月比では連鎖基準で 0.1%上昇し、前年比では連鎖基準で 3.7%上昇した(内閣府試算)。
- 「生鮮食品を除く総合」(いわゆる「コア」)は、このところ上昇テンポが緩やかになっている。10月は、前月比では連鎖基準、固定基準ともに 0.5%上昇した。
- 物価の上昇を予想する世帯の割合を「消費動向調査」(二人以上の世帯)でみると、11月は、1年後の予想物価上昇率別に、2%未満が14.0%(前月10.8%)、2%以上から5%未満が33.0%(前月32.9%)、5%以上が44.6%(前月48.8%)となった。
- 先行きについては、消費者物価(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)は、政策等による特殊要因を除くベースで、当面、緩やかに上昇していくことが見込まれる。
- 株価(日経平均株価)は、33,600円台から32,300円台まで下落した後、32,900円台まで上昇した。対米ドル円レート(インターバンク直物中心相場)は、149円台から142円台まで円高方向に推移した。
- 株価(日経平均株価)は、33,600円台から32,300円台まで下落した後、32,900円台まで上昇した。
- 対米ドル円レート(インターバンク直物中心相場)は、149円台から142円台まで円高方向に推移した。
- 短期金利についてみると、無担保コールレート(オーバーナイト物)は、-0.02%台から-0.00%台で推移した。ユーロ円金利(3か月物)は、-0.0%台から 0.0%台で推移した。長期金利(10年物国債利回り)は、0.6%台から 0.7%台で推移した。
- 企業金融については、企業の資金繰り状況におおむね変化はみられない。社債と国債との流通利回りスプレッドは、総じて横ばいとなっている。金融機関の貸出平残(全国銀行)は、前年比 3.2%(11月)増加した。
- マネタリーベースは、前年比 8.9%(11月)増加した。M2は、前年比 2.3%(11月)増加した。
- 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。
- 先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。
- アメリカでは、景気は回復している。
- 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。
- 2023年7-9月期のGDP成長率(第2次推計値)は、個人消費や住宅投資が増加し、前期比で1.3%増(年率5.2%増)となった。
- 足下をみると、消費は増加している。設備投資はこのところ増勢が鈍化している。住宅着工は緩やかに増加している。
- 生産は緩やかに増加している。非製造業景況感はおおむね横ばいとなっている。雇用面では、雇用者数は増加しており、失業率はおおむね横ばいとなっている。物価面では、コア物価上昇率はおおむね横ばいで推移している。貿易面では、財輸出は緩やかに増加している。
- 12月12日~13日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の誘導目標水準を5.25%から5.50%の範囲で据え置くことが決定された。
- アジア地域については、中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。
- 先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。
- 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。台湾では、景気は持ち直しの動きがみられる。インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。タイでは、景気は持ち直している。インドでは、景気は緩やかに回復している。
- 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。2023年7-9月期のGDP成長率は、前年同期比で4.9%増となった。消費は持ち直しに足踏みがみられる。固定資産投資は伸びが低下している。財輸出はおおむね横ばいとなっている。生産は持ち直しの動きに足踏みがみられる。消費者物価は下落している。
- 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。2023年7-9月期のGDP成長率は、前期比で0.6%増(年率2.5%増)となった。台湾では、景気は持ち直しの動きがみられる。2023年7-9月期のGDP成長率は、前年同期比で2.3%増となった。
- インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。2023年7-9月期のGDP成長率は、前年同期比で4.9%増となった。タイでは、景気は持ち直している。2023年7-9月期のGDP成長率は、前年同期比で1.5%増となった。
- インドでは、景気は緩やかに回復している。2023年7-9月期のGDP成長率は、前年同期比で7.6%増となった。
- ヨーロッパ地域については、ユーロ圏では、景気は弱含んでいる。ドイツにおいては、景気は弱含んでいる。
- 先行きについては、弱さが見込まれる。さらに、金融引締めやエネルギー情勢に伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。
- 英国では、景気は弱含んでいる。
- 先行きについては、弱さが見込まれる。さらに、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。
- ユーロ圏では、景気は弱含んでいる。2023年7-9月期のGDP成長率は、前期比で0.1%減(年率0.5%減)となった。消費は弱含んでいる。設備投資はおおむね横ばいとなっている。生産は弱含んでいる。サービス業景況感は低下している。財輸出は弱含んでいる。
- 失業率は横ばいとなっている。コア物価上昇率は低下している。
- ドイツにおいては、景気は弱含んでいる。2023年7-9月期のGDP成長率は、前期比で 0.1%減(年率 0.5%減)となった。
- 英国では、景気は弱含んでいる。2023年7-9月期のGDP成長率は、前期比で0.0%減(年率0.1%減)となった。消費は弱い動きとなっている。設備投資はおおむね横ばいとなっている。生産は弱含んでいる。サービス業景況感はおおむね横ばいとなっている。財輸出は弱含んでいる。サービス輸出は緩やかに増加している。失業率は上昇している。コア物価上昇率はこのところ低下している。
- 欧州中央銀行は、12月14日の理事会で、政策金利を4.50%で据え置くことを決定した。イングランド銀行は、12月13日の金融政策委員会で、政策金利を5.25%で据え置くことを決定した。
- 国際金融情勢等
- 金融情勢をみると、世界の主要な株価は、アメリカ、ドイツでは上昇、英国ではやや上昇、中国ではやや下落した。短期金利についてみると、ドル金利(3か月物)はおおむね横ばいで推移した。主要国の長期金利は、アメリカ、ドイツでは大幅に低下、英国では低下した。ドルは、ユーロに対しておおむね横ばい、ポンドに対してやや減価、円に対して減価した。原油価格(WTI)は下落、金価格はやや上昇した。
内閣府 第420回 消費者委員会本会議
▼ 【資料1】 海外OTAに関する消費生活相談について(国民生活センター提出資料)
- 相談事例から見る特徴と問題点
- 日本語表示のため海外事業者と気付きにくい。
- 日本の消費者が利用している旅行予約サイトは、海外事業者が運営している場合でも日本語表示のサイトであることがほとんど。このため、消費者は利用時に運営主体が海外事業者だと認識していない場合が多い。トラブルになってから認識するが、事業者の対応が消費者が期待した対応と異なる場合がある。
- カスタマーサービスと円滑なコミュニケーションができない場合がある。
- カスタマーサービス対応が日本語とは限らない。
- 日本語対応の場合も日本語ネイティブではない場合がある。
- このため、意思疎通がスムーズではないケースがみられる。
- 契約相手がどの事業者であるのかがわかりにくい。
- 旅行予約サイトの利用規約等からは、航空券の売買や宿泊サービス提供契約は、航空会社や宿泊施設と消費者との間で締結されると考えられる場合が多いが、消費者は契約の相手方がどの事業者となるのか認識していない、または認識しにくい場合がある。
- 旅行予約サイトを利用して、問題が生じた場合、消費者はまず旅行予約サイトのカスタマー対応窓口に連絡することが多いと考えられるが、旅行予約サイトでは対応できない、航空会社等に問いあわせてほしい等と言われる場合がある。それに従い航空会社等に問い合わせると、旅行予約サイトでないと対応できないなどと言われ、たらいまわしになることがある。
- 申し込み内容や契約内容(キャンセル条件含む)は、消費者自身が確認することが基本となるが、契約内容や利用規約等の確認が不十分な場合がある
- トラブルの内容はキャンセルに関するもの(キャンセル料、返金)が多い。消費者が申込前にキャンセル条件を確認していないと思われるケースもある。航空券と宿泊施設を旅行予約サイトで予約した場合、キャンセルの条件がそれぞれ異なるが、一方の条件(キャンセル料がかからない等)が他方にも適用されると誤認しているケースがある。なお、キャンセル条件などがリンク先のみに記載されていることもある。
- 同じ航空会社、宿泊施設でも、プランや時期、キャンペーンなどによって価格や契約内容は異なる。このため、申し込みしようとしている内容について、都度の確認が必要となる。消費者の確認が不十分と思われるケースがある。
- 旅行予約サイトでの契約は、国内事業者が運営しているのか海外事業者が運営しているのかに限らず、店頭での契約と異なり、内容確認は消費者自身が行うことが基本となる。契約成立後は、入力ミス(例えば航空券予約で姓名を逆に入力したなど)に気づいても修正はできず、元契約のキャンセルと再契約を案内される。その場合、元契約の規約によりキャンセル料がかかることになる。なお、どの時点で契約成立となるかは事業者により異なる。
- 「海外OTA」が何を指すか、一義的でない。
- 「OTA」(Online Travel Agent)について(国内及び海外事業者)
- 観光庁「オンライン旅行取引の表示に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」)では「オンライン旅行取引事業者」と表記。
- いわゆる「場貸しサイト」「メタサーチ」は含まれないと考えられる。なお、「場貸しサイト」「メタサーチ」の定義も一義的でない。
- 「海外OTA」について
- ガイドラインでは、「海外に拠点を有しながら日本語サイトを立ち上げて日本国内の旅行者に向けに事業を行うOTA」と記載。
- 旅行予約サイトの運営事業者の事業所が国内にないもの(日本に事業所があっても、その事業所が旅行予約サイトの運営主体ではないものを含む)、と考えられる。
- 海外事業者の場合、「海外OTA」なのか、「場貸しサイト」「メタサーチ」なのかを、利用規約等から判断することが難しい場合が多い。(当該事業者のサービス内容や、利用者との契約関係、航空会社や宿泊施設との契約関係がどうなっているかが分かりにくい。)
- 「OTA」(Online Travel Agent)について(国内及び海外事業者)
- 日本語表示のため海外事業者と気付きにくい。
【2023年12月】
内閣府 令和5年第16回経済財政諮問会議
▼資料2 令和6年度予算編成の基本方針(案)
- 基本的考え方
- 我が国経済は、コロナ禍の3年間を乗り越え、改善しつつある。30年ぶりとなる高水準の賃上げや企業の高い投資意欲など、経済の先行きには前向きな動きが見られており、デフレから脱却できる千載一遇のチャンスを迎えている。他方、賃金上昇は物価上昇に追い付いておらず、個人消費は依然力強さを欠いている。これを放置すれば、再びデフレに戻るリスクがあり、また、潜在成長率が0%台半ばの低い水準で推移しているという課題もある。
- こうした中、政府は、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(令和5年11月2日閣議決定)を策定した。この対策は、デフレ脱却のための一時的な措置として国民の可処分所得を下支えするとともに、構造的賃上げに向けた供給力の強化を図るものである。3年程度の「変革期間」を視野に入れ、我が国経済を熱量あふれる新たなステージへと移行させるためのスタートダッシュと位置付けられている。
- 今後の経済財政運営に当たっては、まず、この対策を速やかに実行し、政策効果を国民一人一人、全国津々浦々に届け、デフレから完全脱却するとともに、「新しい資本主義」の旗印の下、社会課題の解決に向けた取組それ自体を成長のエンジンに変えることで、民需主導の持続的な成長、そして、「成長と分配の好循環」の実現を目指す。人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進する中で、包摂社会の実現に取り組むとともに、国民の安全・安心の確保に万全を期し、経済社会の持続可能性を担保することを目指す。
- 持続的で構造的な賃上げの実現を目指し、引き続き、リ・スキリングによる能力向上の支援など、三位一体の労働市場改革、地域の中堅・中小企業、小規模事業者を含め、賃上げに向けた環境整備を進める。中小企業等の価格転嫁の円滑化、資金繰り、経営改善・再生等の支援を行う。供給力の強化に向けて、科学技術の振興及びイノベーションの促進、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、半導体・AI等の分野での国内投資の促進、海洋や宇宙等のフロンティアの開拓、スタートアップへの支援等に取り組む。
- 若者・子育て世代の所得向上に全力で取り組む。全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充など、「こども未来戦略方針」(令和5年6月13日閣議決定)で示された「こども・子育て支援加速化プラン」を推進し、少子化対策・こども政策を抜本的に強化する。多様性が尊重され、全ての人が力を発揮できる包摂社会の実現を目指し、全世代型社会保障の構築、女性活躍の推進、高齢者活躍の推進、認知症施策、障害者の社会参加や地域移行の推進、就職氷河期世代への支援、孤独・孤立対策等に取り組む。
- 令和6年度の診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定においては、物価高騰・賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者・利用者負担・保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う。
- 「デジタル田園都市国家構想総合戦略」(令和4年12月23日閣議決定)に基づき、デジタル技術の活用によって、「全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会」の実現を目指すとともに、地方活性化に向けた基盤づくりを推進し、地方創生につなげる。アナログを前提とした行財政の仕組みを全面的に改革する「デジタル行財政改革」を起動・推進する。人口減少の下でも、従来以上に質の高い公共サービスを効率的に提供するため、利用者起点に立って、教育、交通、介護、子育て・児童福祉等の分野において、デジタル技術の社会実装や制度・規制改革を推進する。
- 質の高い公教育の再生、文化・芸術・スポーツの振興、農林水産業の振興、交通・物流インフラの整備、観光立国に向けた取組の推進、2050年カーボンニュートラルを目指したグリーン社会、地域・くらしの脱炭素化やサーキュラーエコノミーの実現、2025年大阪・関西万博に向けた着実な準備等に取り組む。
- 防災・減災、国土強靱化の取組を着実に推進するとともに、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的・安定的に切れ目なく取組が進められるよう、施策の実施状況の調査など、「実施中期計画」の策定に向けた検討を進める。東日本大震災からの復興・創生に取り組む。ALPS処理水に関し、引き続き、科学的根拠に基づき、透明性の高い情報発信を行う。
- ロシアのウクライナ侵略など、国際秩序が重大な挑戦にさらされる中にあって、G7広島サミットや日本ASEAN友好協力50周年特別首脳会議の成果も踏まえ、グローバル・サウスとの連携の強化を含め、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持のための外交を積極的に展開する。国民の生命と我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜くため、令和5年度から令和9年度までの5年間で43兆円程度の防衛力整備の水準を確保し、防衛力の抜本的強化を速やかに実現する。
- 国際環境の不確実性が高まり、グローバル・サプライチェーンの再編が進展する中、高い技術力を持つ我が国として、投資の促進を通じ重要物資の供給力を高め、ショックに対してより強靱な経済社会構造を確立する。半導体を始めとする重要な物資の安定供給の確保や先端的な重要技術の育成など、経済安全保障を推進するとともに、食料安全保障及びエネルギー安全保障を強化する。
- 経済財政運営においては、経済の再生が最優先課題である。経済あっての財政であり、経済を立て直し、そして、財政健全化に向けて取り組むとの考え方の下、財政への信認を確保していく。賃金や調達価格の上昇を適切に考慮しつつ、歳出構造を平時に戻していく。政策の長期的方向性や予見可能性を高めるよう、単年度主義の弊害を是正し、国家課題に計画的に取り組む。
- 予算編成についての考え方
- 令和6年度予算は、令和5年度補正予算と一体として、上記の基本的考え方及び「経済財政運営と改革の基本方針2023」(令和5年6月16日閣議決定。以下「骨太方針2023」という。)に沿って編成する。足下の物価高に対応しつつ、持続的で構造的な賃上げや、デフレからの完全脱却と民需主導の持続的な成長の実現に向け、
- 人への投資、科学技術の振興及びイノベーションの促進、GX、DX、半導体・AI等の分野での国内投資の促進、海洋、宇宙等のフロンティアの開拓、スタートアップへの支援、少子化対策・こども政策の抜本強化を含む包摂社会の実現など、新しい資本主義の実現に向けた取組の加速
- 防災・減災、国土強靱化など、国民の安全・安心の確保
- 防衛力の抜本的強化を含む外交・安全保障環境の変化への対応
を始めとする重要な政策課題について、必要な予算措置を講ずるなど、メリハリの効いた予算編成を行う。
- その際、骨太方針2023で示された「本方針、骨太方針2022及び骨太方針2021に基づき、経済・財政一体改革を着実に推進する。ただし、重要な政策の選択肢をせばめることがあってはならない」との方針を踏まえる。
- 歳出の中身をより結果につながる効果的なものとするため、骨太方針2023を踏まえ、新経済・財政再生計画の改革工程表を改定し、EBPMやPDCAの取組を推進し、効果的・効率的な支出(ワイズスペンディング)を徹底する。
- 令和6年度予算は、令和5年度補正予算と一体として、上記の基本的考え方及び「経済財政運営と改革の基本方針2023」(令和5年6月16日閣議決定。以下「骨太方針2023」という。)に沿って編成する。足下の物価高に対応しつつ、持続的で構造的な賃上げや、デフレからの完全脱却と民需主導の持続的な成長の実現に向け、
内閣府 「尖閣諸島に関する世論調査」の概要
- 沖縄県石垣市に所在する尖閣諸島は、歴史的にも国際法的にも日本固有の領土です。1895年の閣議決定により、正式に日本の領土に編入されました。しかし1971年以降、その「領有権」について中国政府および台湾当局が独自の主張を行っています。あなたは、この尖閣諸島について関心がありますか。(〇は1つ)
- 関心がある(小計)78.4%(関心がある40.2%、 どちらかといえば関心がある38.1%)
- 関心がない(小計)19.5%(どちらかといえば関心がない15.1% 、関心がない 4.4%)
- 具体的にはどのようなことに関心がありますか。(〇はいくつでも) (上位4項目)
- 日本の尖閣諸島に対する領有権の根拠58.5%
- 周辺の地下資源や水産資源・自然環境55.5%
- 歴史的経緯47.4%
- 日本の政府や地方自治体の対応・取組状況35.4%
- 何をきっかけに関心を持ちましたか。(〇はいくつでも) (上位3項目)
- テレビ・ラジオ88.9%
- 新聞47.0%
- 地方自治体のホームページやインターネットニュース、個人がインターネットで発信した情報など16.4%
- 関心がない理由は何ですか。(〇はいくつでも) (上位2項目)
- 尖閣諸島に関して知る機会や考える機会がなかったから56.8%
- 自分の生活にあまり影響がないことだと思うから43.8%
- あなたは、広く国民が尖閣諸島への関心を深めるためには、国はどのような取組が必要だと思いますか。(〇はいくつでも) (上位5項目)
- テレビ・ラジオ番組や新聞を利用した詳細な情報の提供77.2%
- 竹島、尖閣諸島、北方領土が日本固有の領土であることを示す資料を展示する領土・主権展示館の周知、内容・イベントの充実47.5%
- ホームページ、SNSなどインターネットによる広報37.4%
- テレビ・ラジオCMの放送22.9%
- 歴史的資料や文献の展覧会の開催22.1%
内閣府 新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議
▼資料2-3 新しい資本主義の実現に向けた公益法人・公益信託制度改革
- 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版(令和5年6月16日閣議決定)
- 公益法人による社会的課題解決の促進に向け、収支相償原則(公益目的事業の実施に要する適正な費用を償う額を超える収入を得てはならない)や遊休財産規制(使途の定まっていない遊休財産を公益目的事業費の1年相当分を超えて保有することができない)の見直しといった財務規律の柔軟化・明確化、行政手続の簡素化・合理化、法人の透明性向上や自律的なガバナンスの充実等を行う。
- 公益信託制度について、主務官庁による許可・監督を廃止して、公益法人認定法と共通の枠組みで公益信託の認可・監督を行う仕組みを構築する。このため、来年の通常国会に必要な法案の提出を図るとともに、体制整備を図る。
- 経済財政運営と改革の基本方針2023(令和5年6月16日閣議決定)
- (略)公益社団・財団法人制度を改革するため、2024年通常国会への関連法案の提出とともに体制面を含め所要の環境整備を図る。
- 現状=公益法人、公益信託の潜在力を発揮できていない
- 公益法人
- 法人数9700、職員数約29万人、公益目的事業費年間5兆円、総資産31兆円→多様で変化の激しい社会のニーズに柔軟に対応し、社会的課題を解決する主体として大きな潜在力
- 儲けてはいけない、溜め込んではいけないというルールのせいで資金の有効活用や積極的な事業拡大がしにくい
- 事業内容の変更前に時間のかかる「変更認定」手続を求められ、機動的な対応ができない。
- 報告書を毎年提出しているのに、定期的な立入検査があり、負担が大きい。
- 公益法人は制約が厳しいので一般法人として活動した方がよい、との声もある。
- 公益信託
- 信託件数約400、公益事業費(助成等)年間30億円、信託財産500億円、
- 「受託者」がその組織・能力及び信託財産を活用して公益活動
- 公益法人のような機関不要。比較的小規模、死後も意思を反映した公益活動実現
- ある程度資産を有する者の社会貢献のツールとして大きな潜在的需要
- 100年前の法律の見直しが行われていない。
- 主務官庁の許可や監督の基準がバラバラ(主務官庁の裁量)
- 税制優遇を得るためには、金銭の信託しか認められず、信託会社しか受託者になれないなど制約が多い。
- 公益法人
- 改革の方向性=使いやすい制度とすることで、国民の選択肢を拡大し、民間公益の活性化を図る(令和5年6月「新しい時代の公益法人制度の在り方に関する有識者会議」最終報告書)
- 法人の経営判断で、社会的課題への機動的な取組を可能に ← 公益法人が活動しやすい財務規律への見直し
- 公益目的事業に求められる収支均衡の期間を2年から5年に拡大。過去の赤字も通算して均衡を判定。
- 遊休財産(使途不特定財産に変更)について、災害等の不測の事態に備えるための公益目的事業財産を保有制限額の算定対象から除外し、事実上事業費1年相当分を超えて保有することも可能に。
- 公益性に大きな影響がない事業変更の届出化、合併手続などの柔軟化
- 透明性と法人自らのガバナンスの向上で、国民からの信頼・支援を獲得
- 外部理事・監事の導入・自律的なガバナンス充実の取組を事業報告(公表)に記載
- 行政庁(一元PF)による財務目録等の公表・透明性向上等を法人の責務として明記
- 「公益法人認定法」(平成18年法律第49号)の一部改正等
- 公益法人と共通の枠組みでより使いやすい制度に
- 「公益信託ニ関スル法律」(大正11年法律第62号)の全部改正
- 主務官庁制度は廃止
- 公益信託のガバナンスを法定(信託管理人の必置、委託者の権限を限定)
- 認可基準等を法律で明記
- 公益法人と共通の行政庁・第三者委員会が公益信託の認可・監督
- 受託者が信託会社以外となる場合や金銭の信託以外の信託の場合にも税制優遇(公益信託認可に連動した税制上の措置)
- 法人の経営判断で、社会的課題への機動的な取組を可能に ← 公益法人が活動しやすい財務規律への見直し
- 次期通常国会に関係二法案を提出し、内閣委員会における一括審議を目指す【施行】新公益法人制度:令和7年度目途、新公益信託制度:令和8年度目途
【公正取引委員会】
※現在、該当の記事はありません。
【金融庁】
【2024年3月】
金融庁 FATFによる市中協議文書「FATF勧告16の改訂に関する説明文書及び勧告改訂案」の公表について
▼ 「FATF勧告16の改訂に関する説明文書及び勧告改訂案」(原文を自動翻訳)
- 金融活動作業部会(FATF)は、勧告16(R.16)、その解釈ノート(INR.16)、および関連する特定の用語の用語集の改訂を検討しており、決済ビジネスモデルとメッセージング標準の変化に適応させています。
- 16/INR.16は、FATF基準が技術的に中立であり続け、「同じ活動、同じリスク、同じルール」の原則に従うことを保証するために更新される必要があります。これらの改正案は、国境を越えた決済をより速く、より安く、より透明で包括的なものにすると同時に、安全性と安心感を維持することも目的としています。G20優先行動計画の一部である目標です。
- FATFは、16/INR.16の改訂案とR.16で使用されている特定の用語の用語集について、R.16/INR.16の改訂案について、すべての利害関係者、特に決済業界から意見を聞きたいと考えています。改訂案は、主要な改正案の政策意図を詳細に説明する説明覚書に添付されています。また、説明覚書には、次のようなさまざまな問題に関する協議のための18の質問が提示されています。
- カードを使用した商品およびサービスの購入の免除に関する追加の透明性要件。
- 特定の条件を条件として、16免除からの現金または現金同等物の引き出しまたは購入の解除。
- 支払いメッセージの基本的な発信者と受取人情報の内容と品質を改善します。
- 受取人金融機関に対して、支払メッセージにおける受取人情報の整合性を確認する義務。そして
- 支払チェーンの定義と正味決済の条件。
- FATFは、この問題の技術的な性質上、十分な協議には、公的部門と民間部門の両方の関連機関および専門家との継続的な対話が必要であることを認識しています。この書面による協議は、より広範な協議プロセスの最初のステップであり、この最初の協議への回答から情報を得て、必要に応じてさらなる議論と関与も含まれます。2024年5月3日までに、この最初の相談に回答してください。
- 「16/INR.16の改訂案に関する[著者]のコメント」という件名でFATF.Publicconsultation@fatf-gafi.orgする説明覚書に記載されている協議の質問への回答を含む、提案の起草を含むあなたの意見を提供してください。
- 回答を送信する際には、組織名、事業内容、連絡先の詳細を明記してください。「ご相談のご質問」への回答は、どのような形式でも提出できます。また、特定の下書き提案を、変更履歴の改訂下書きのテキストに直接挿入することもできます。お客様の連絡先情報は、このパブリックコンサルテーションの目的と、この問題に関するお客様とのさらなる関与のためにのみ使用されます。また、皆様からのコメントは、特に明記しない限り、この作業の過程でFATF代表団と共有されます。ただし、FATFは、お客様の同意なしにこの情報を第三者と共有することはありません。
- 現段階では、FATFは16/INR.16の改訂草案を承認しておらず、改訂を最終決定するためにパブリックコンサルテーションで受け取ったフィードバックを検討します。
- 事前にご意見をお待ちしております。
金融庁 太陽有限責任監査法人による財務書類の虚偽証明に対する課徴金納付命令の決定について
- 金融庁は、令和5年12月26日に太陽有限責任監査法人に対する課徴金納付命令に係る審判手続開始の決定(令和5年度(判か)第1号公認会計士法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る公認会計士法第34条の21第2項第2号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から公認会計士法第34条の52の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、以下のとおり決定を行いました(詳細は、PDFのアイコンの画像です。決定要旨(PDF:326KB)を参照してください。)。
- 決定の内容
- 被審人(太陽有限責任監査法人(法人番号4010405002470))に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。
- 納付すべき課徴金の額 金9595万円
- 納付期限 令和6年4月30日
- 被審人(太陽有限責任監査法人(法人番号4010405002470))に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。
▼ 決定要旨
- 株式会社ディー・ディー・エス(以下「DDS」という。)の平成29年12月期、平成30年12月期及び令和元年9月第3四半期から令和3年12月期における各事業年度及び各四半期(以下「訂正対象期」という。)に係る開示書類の訂正報告書に記載された財務書類の監査並びに令和4年3月第1四半期に係る財務書類の監査を実施したところ、被審人の監査証明に係る業務を執行する社員(以下「業務執行社員」という。)が、別紙2に記載のとおり、相当の注意を怠ったことにより、本来整合すべき、貸借対照表の当事業年度の繰越利益剰余金の額から前事業年度の繰越利益剰余金の額を差し引いた金額と、損益計算書の当事業年度の純損益の額とが整合していなかったなどの多くの誤りが存在する訂正対象期及び令和4年3月第1四半期におけるDDSの下表の番号1から同13の財務書類に対して、財務諸表の全体的な表示が、適用される財務報告の枠組みに準拠しているかどうかに係る確認を怠り、もって重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽がないものとして証明したものである。
- (別紙2)一般に公正妥当と認められる監査に関する基準及び慣行に照らして相当の注意を怠った事実の主な内容
- 被審人の業務執行社員は、平成29年12月期、平成30年12月期及び令和元年9月第3四半期から令和3年12月期に係る開示書類の訂正報告書に記載された財務書類の監査及び令和4年3月第1四半期の財務書類の監査(以下「訂正監査等」という。)を実施するに当たり、監査チームから情報を適切に収集することができておらず、監査意見を表明するまでに必要な時間を正しく認識できていなかったほか、監査補助者が実施した監査手続の状況を十分把握していなかった。
- また、業務執行社員は、訂正監査等において、DDSに対して主要な論点を提示し訂正の指導を行い、当該指導内容が連結財務諸表等に適切に反映されていることで、適切な連結財務諸表等が作成されたと思い込み、DDSが作成した連結財務諸表等について、その表示方法が適切であるかどうかについての確認を行わず、また、監査補助者に対して表示方法が適切か確認を行うよう指示を行いその結果の査閲を行うような手続きも実施しないまま、重大な虚偽のある財務書類について、重大な虚偽のないものとして意見表明を行った。
金融庁 「サステナブルファイナンス有識者会議」(第21回)議事次第
▼ 資料1 事務局説明資料
- 金融機関における気候変動への対応についての基本的な考え方
- 金融庁の検査・監督基本方針(2018年6月29日公表)を踏まえ、分野別の考え方と進め方として、金融機関の気候変動への対応についての金融庁の基本的な考え方(ガイダンス)を整理し、2022年7月12日に公表。
- 本ガイダンスでは、顧客企業の気候変動対応の支援や気候関連リスクの管理に関する金融庁と金融機関との対話の着眼点や金融機関による顧客企業の気候変動対応の支援の進め方などを示している。
- 各金融機関におけるよりよい実務の構築に向けた金融庁と金融機関の対話の材料であり、金融機関に対し一律の対応を義務付ける性質のものではない。
- 気候変動対応に係る考え方・対話の着眼点
- 基本的な考え方
- 気候変動に関連する様々な環境変化に企業が直面する中、金融機関において、顧客企業の気候変動対応を支援することで、変化に強靭な事業基盤を構築し、自身の持続可能な経営につなげることが重要。
- 金融機関の態勢整備
- 気候変動対応に係る戦略の策定・ガバナンスの構築
- 気候変動が顧客企業や自らの経営にもたらす機会及びリスクのフォワードルッキングな認識・評価
- トランジションを含む顧客企業の気候変動対応の支援
- 気候変動に関連するリスクへの対応
- 開示等を通じたステークホルダーへの情報の提供 等
- 基本的な考え方
- 金融機関による顧客企業の支援の進め方・参考事例
- 金融機関においては、気候変動に関する知見を高め、気候変動がもたらす技術や産業、自然環境の変化等が顧客企業へ与える影響を把握し、顧客企業の状況やニーズを踏まえ、例えば以下のような観点で支援を行うことが考えられる。
- コンサルティングやソリューションの提供
- 顧客企業の温室効果ガス排出量の「見える化」の支援
- エネルギーの効率化技術を有する顧客企業の紹介(顧客間のマッチング)
- 成長資金等の提供
- 顧客企業のニーズに応じた、脱炭素化等の取組みを促す資金の提供(トランジション・ローン、グリーンローンなど)
- 気候変動に対応する新たな技術や産業育成につながる成長資金のファンド等を通じた供給
- 面的企業支援・関係者間の連携強化
- 中核メーカーの対応も踏まえた、地域の関連サプライヤー企業群全体での戦略検討等の面的支援
- 自治体や研究機関等との連携による地域全体での脱炭素化や資源活用の支援
- コンサルティングやソリューションの提供
- 金融機関においては、気候変動に関する知見を高め、気候変動がもたらす技術や産業、自然環境の変化等が顧客企業へ与える影響を把握し、顧客企業の状況やニーズを踏まえ、例えば以下のような観点で支援を行うことが考えられる。
- ご議論いただきたい点
- 取組状況の評価
- 更なる取組みが期待される事項・分野
- 取組みを進めるべき主体・タイムライン
- 金融機関への監督・対話、金融機関と企業との対話、企業における取組みといった本邦における官民の取組みの全体状況について、どう考えるか、また、今後対応が期待される分野・事項はあるか
- 特に金融機関との対話・監督については、移行計画のあり方について国内外で様々な議論が見られるところ、ガイダンスの整備等のこれまでの取組みを踏まえて、今後さらにどのような議論が有効か
- 対応事項のそれぞれについて、どのような主体タイムラインを想定するか
金融庁 「サステナビリティ投資商品の充実に向けたダイアログ」(第2回)議事次第
▼ 資料2 事務局資料
- 第1回で聞かれた参加者からの声
- サステナビリティ投資は、例えばトランジションのような長期的に不可逆的なトレンドを見極めた上での投資である。投資プロセスにおいてESGのスコアリングを活用するようなインテグレーションの方法のみでは、ESG投資の戦略であると呼ぶことはできない。
- サステナビリティの観点からの運用を手掛けていないと、長期的な経済あるいは企業の持続的な発展・成長を担保することができないという局面に来ている。しかし、ESGという言葉を使ってしまうと、単なるテーマ投資として捉えられてしまう。
- 個人にとっても、自身の資金が地域や社会のサステナビリティにつながることが想像できる商品でもある。地方自治体が発行するグリーンボンドは、地元の中堅企業のオーナー等、その地域に住むお客様からのニーズがとても高い。資金使途が分かりやすく、地元の地域貢献につながるところが決め手であると思われる。
- 資産運用会社の社会的使命として、投資信託を通じた責任ある投資活動によって社会課題の解決を図り、サステナブルな社会の実現に貢献する、ということを公にしている。現在ESG投信は全体の1%程度に留まっており、約300兆円の投資信託全体にもESGやサステナビリティの考え方を取り入れていくことで、業界全体の底上げを図ることも必要ではないか。
- 投資商品の戦略そのものよりも、投資商品の担当者のサステナビリティに関するエピソードの方が共感できる個人投資家もいる。サステナビリティが最終的に企業の価値向上につながる点は理解できるかもしれないが、リターンだけでなく、商品性の理解など長期的な目線をもって投資判断を行えるような丁寧な説明が、運用会社や販売員には求められる。
- その上で更に、運用を通じてサステナビリティに係る課題解決を実現していくという観点は、個人投資家の市場においてはあまり浸透していないため、伝え方の工夫も含め、課題がある。
- 投資先の企業に対するエンゲージメントの結果を含め、ポートフォリオに組み込まれている個別企業の具体的な事例を知ってもらうことで、個人の資産を通じてどう社会が良くなっているかを伝えることが、購入動機にもつながるのではないか。
- 2020年運用残高上位5位のアクティブ運用投資信託の運用方針の説明内容
- ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)
- 日常生活に不可欠な公益サービスを提供する世界の公益企業が発行する株式を主な投資対象とします。公益企業には電力・ガス・水道・電話・通信・運輸・廃棄物処理・石油供給などの企業が含まれます。これらの公益株の中から、配当利回りの高い銘柄に注目して投資を行います。
- グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)
- ボトムアップ・アプローチを基本に、持続可能な競争優位性を有し、高い利益成長が期待される銘柄を選定します。積極的なESG課題への取り組みとその課題解決を通じて、当該企業の競争優位性が持続的に維持され、成長が期待される銘柄に注目します。上記を通じて、当ファンドの運用におけるESGの観点に強く適合した企業の成長の促進をめざします。
- グローバル・プロスペクティブ・ファンド
- 主に、世界の上場株式の中から、破壊的イノベーションを起こし得るビジネスを行なう企業の株式を実質的な投資対象とします。イノベーションの普及度合いや市場での評価は時間と共に変化することから、投資対象とするイノベーションは固定せず、随時見直しを行ないます。
- アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型
- 企業のファンダメンタルズ分析と株価バリュエーションに基づく銘柄選択を基本としたアクティブ運用を行います。高い利益成長もしくは持続的な利益成長の可能性が高いと判断される企業を発掘します。
- ファンダメンタルズ・リサーチにおいては、財務分析だけでなく、ESG(環境、社会、ガバナンス)など非財務分析も考慮に入れ、多面的な企業分析により持続的な成長企業を選別します。
- グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)
- ポートフォリオの構築にあたっては、投資アイデアの分析・評価や、個別企業の競争優位性、成長力の評価に基づき選定した質の高いと考えられる企業(「ハイクオリティ成長企業」といいます。)の中から、市場価格が理論価格より割安と判断される銘柄を厳選して投資を行います。
- ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)
- 大手金融機関グループに属さないいわゆる独立系国内運用会社の投信の運用方針の説明内容の一例
- ひふみプラス
- 長期的な産業のトレンドを勘案しつつ、定性・定量の両方面から徹底的な調査・分析を行ない、業種や企業規模にとらわれることなく、長期的な将来価値に対してその時点での市場価値が割安と考えられる銘柄に長期的に選別投資します。
- セゾン・グローバルバランスファンド
- インデックスファンドへの投資を通じて、世界各国の株式および債券に実質的に分散投資します。投資対象ファンドへの配分比率は、各地域の株式および債券市場の時価総額(規模)を勘案して決定します。また、配分比率は適宜見直しを行います。
- さわかみファンド
- 経済の大きなうねりをとらえて先取り投資することを基本とし、その時点で最も割安と考えられる投資対象に資産を集中配分します。その投資対象資産の中で、将来価値から考えて市場価値が割安と考えられる銘柄に選別投資し、割安が解消するまで持続保有する「バイ・アンド・ホールド型」の長期投資を基本とします。
- スパークス・新・国際優良日本株ファンド
- 高い技術力やブランド力があり、今後グローバルでの活躍が期待出来る日本企業を中心に投資します。ベンチマークは設けず、20銘柄程度に厳選投資を行います。原則として短期的な売買は行わず、長期保有することを基本とします。
- コモンズ30ファンド
- 長期安定株主として企業に寄り添い、企業の長期的な価値創造に貢献します。投資家に対して、本格的な長期資産形成の手段を提供します。非財務情報となる「見えない価値」の多面的な評価を通じて、世代を超えて「進化」し企業価値創造を続けることができると判断した強い企業のみに投資します。
- 東証REIT ETF
- 東証REIT指数を対象指標とし、対象指標に採用されている不動産投資信託証券への投資を行うことにより、基準価額の変動率を対象指標の変動率に一致させることを目指します。
- 結い 2101
- 国内を中心に、事業性と社会性を兼ね備え、社会の持続的発展に貢献する「いい会社」の株式に分散投資します。高い収益を追求するのではなく、相場変動等による値下がり時の不安を軽減する「守りながらふやす」運用を目指します
- ひふみプラス
金融庁 「金融庁職員」等を装った詐欺等にご注意ください!!
- 「金融庁職員」等が個人の個人情報をお聞きしたり、金銭の支払いを求めることなどはありません!!
- 金融庁や証券取引等監視委員会の職員を装った、詐欺的な行為に関する相談が寄せられております。
- 個人情報の収集
- 金融庁職員を名乗る者から「銀行の顧客名簿が流失し、あなたの個人情報が漏洩した。クレジットカードが不正に作成された恐れがある。調査に当たり、口座名義人や口座番号、生年月日等を確認したい。」などと言われ、個人情報を伝えてしまった。
- 警察、銀行等を名乗る者から電話があり、口座が不正に利用されており、後ほど金融庁から連絡が入ると言われた後、金融庁職員を名乗る者から調査協力依頼があったので、キャッシュカードを預け、暗証番号も伝えてしまった。
- (参考)第39話 役回りを演じてキャッシュカードと暗証番号をだまし取る、劇場型詐欺が急増中!(知るぽるとウェブサイト)
- 警察や郵便局を名乗る者から電話があり、クレジットカードの不正利用がなされ、明日引き落としがなされる等と言われ、その直後、金融庁職員を名乗る者から「警察と連携する。」「救済制度につなぐ。」などと言われ、生年月日等の個人情報や銀行の口座番号を尋ねられた。
- →金融庁職員が、電話や自宅を訪問し、口座番号や暗証番号、生年月日等の個人情報をお聞きすること、キャッシュカードをお預かりすることはありません。
- 金銭の要求
- 金融庁職員を名乗る者が自宅を訪問し、災害被害者への寄付を要求された。
- (参考)第46話 地震、台風、豪雨、豪雪……自然災害に便乗する悪徳商法が全国で多発(知るぽるとウェブサイト)
- 個別の会社名等を名乗る者から、入居権や債券の購入権等を代理で購入するとの電話があり、その後、金融庁や証券取引等監視委員会を名乗る者から、これらの取引方法等が法令違反であるとして、取消し等のために金銭を要求された。
- (参考)
- 突然「あなたの名前で社債を購入した」と電話をしてくる手口に注意!-消費者をあわてさせてお金をだまし取る買え買え詐欺―(独立行政法人国民生活センターウェブサイト)
- 第26話 債券買え買え詐欺(知るぽるとウェブサイト)
- →金融庁職員や証券取引等監視委員会職員が、電話や自宅を訪問し、金銭を要求することはありません。
- (参考)
- パソコンの画面に、ウイルスが検出されたとの警告画面を表示させ、駆除を名目に金融庁指定の銀行口座に金銭を振り込むよう要求された。
- →金融庁指定の口座を案内されますが、金融庁が口座を指定して振り込ませることはありません。絶対に振り込まないでください。
- クレジットカード会社を名乗る者から、「あなたのクレジットカードに不正使用があり、マネロンの疑いがあることから、海外捜査当局(FBI等)による捜査が行われる。後刻、金融庁から連絡があるので、その指示に従うこと」という電話が入る。次いで、金融庁職員を名乗る者から電話があり、「生年月日等の個人情報や預金口座の状況を聴取後、マネロンの疑いによる口座凍結を煽られ、指定する他人名義の銀行口座へ入金すること」との指示があった。なお、偽造された金融庁職員の名刺や海外捜査当局の文書が送付されることもある。
- (参考)PDF偽造名刺の例
- →金融庁職員がそのような連絡をすることはありません。また、金融庁が口座を指定して金銭等を振り込ませることはありません。絶対に振り込まないでください。
- 金融庁職員を名乗る者が自宅を訪問し、災害被害者への寄付を要求された。
- 融資
- 個別の団体の職員を名乗る者から「資金を提供(融資を実行)したい。資金受取の手続きは、金融庁幹部職員が対応するため、面談されたい。」との連絡があった。
- →資金の提供や融資の実行に当たり、金融庁職員が対応することはありません。
- 個別の団体の職員を名乗る者から「資金を提供(融資を実行)したい。資金受取の手続きは、金融庁幹部職員が対応するため、面談されたい。」との連絡があった。
- 投資勧誘
- 事業者から投資勧誘の電話が繰り返しかかってきた後、金融庁や証券取引等監視委員会を名乗る者から、「安心してよい」との連絡があった。
- 事業者からの投資勧誘を受け金銭を支払ったところ、金融庁や証券取引等監視委員会を名乗る者から、当該投資について追加の出資または取引の継続が必要となるといった連絡があった。
- 金融庁や証券取引等監視委員会を名乗る者から、過去の投資詐欺等について被害の回復を受けるためには、別の投資商品の購入や手数料等の支払いを行う必要があるといった連絡があった。
- ※投資対象として、「未公開株」・「私募債」・「ファンド」・「エネルギー資源」・海外の「不動産所有権」や「農地の権利」など様々な投資商品について、同様のトラブルが発生しています。
- →金融庁職員や証券取引等監視委員会職員が、個別の投資について、情報提供やアドバイスを行うなど関与することはありません。
- (参考)
- 金融庁の職員を名乗り、預金口座の番号を聞き出す等して財産を狙う詐欺事案の相談が多数みられます。
- 怪しいと思ったら…
- 上記のようなケースに限らず、不審に思った場合は、安易に個人情報等を伝えたりお金を振り込んだりせず、最寄の警察や金融庁金融サービス利用者相談室に情報提供・ご相談をお願いします。
【2024年2月】
金融庁 「インパクト投資等に関する検討会」(第9回)議事次第
▼資料1 インパクト投資に関する基本的指針(案)
- 基本的要素1:実現を「意図」する「社会・環境的効果」が明確であること
- 一定の「投資収益」確保を図りつつ、「社会・環境的効果」の実現を企図する投資として、投資を通じて実現しようとする社会・環境的効果が明確であること
- 実現に向けた投資の戦略や方針が示され、またこれに基づく対話を通じ、投資先の事業が如何にして市場を拡大・開拓・創造し、又はその支持を得て、社会・環境的効果と収益の双方を実現するか、長期的に実現する場合を含め具体化されていること
- 社会・環境的効果の創出を目的とするファンドを設定する場合は、ファンド単位でこうした効果と市場創造に関する基本的な戦略・方針等を明確化すること
- 意図する目標が、投資家・金融機関の経営戦略・投資方針等との関係で明確であること
- 投資先企業の事業上の意図が、投資家・金融機関の意図と基本的に整合していることを確認し、投資後の投資先との対話の方針が検討されていること
- 「意図」と異なる他の社会・環境的効果への重大な負の副次的効果等も考慮し投資が実行されていること
- 基本的要素2:投資の実施により、効果の実現に貢献すること
- 投資の実施により、当該投資がなかった場合と比べて、投資先の企業・事業が社会・環境的効果と事業性を創出することが、長期的に実現する場合を含め具体的に見込まれること
- 資金支援に止まらず、エンゲージメント等による非資金的な支援も含めて適切な貢献の手法を検討し、実施するとしていること
- 基本的要素3:効果の「特定・測定・管理」を行うこと
- 投資により実現する「効果」が、定量的又は定性的に「特定・測定・管理」されること
- 具体的には、投資家・金融機関において、「社会・環境的効果」について、市場特性・規模・広がり、潜在力等を特定した上で、投資の実行後も含めて継続的に、測定・管理が行われること
- 特定・測定・管理で参照する指標等の手法については、国際的に整備された枠組みを参考とし又は活用するなど、客観性を確保するための適切な検討を行うこと
- 投資・事業の推進に係る関係者間の対話に資するよう、参照する指標等や、投資効果の特定・測定・管理の方法と実績等について、関係者に適切に開示されること
- 基本的要素4:市場や顧客に変革をもたらし又は加速し得るよう支援すること
- 投資先の企業・事業が具体的な「社会・環境的効果」と事業性を創出するよう、投資先の企業・事業について、市場や顧客に変革をもたらし、又は加速し得る特性・優位性を見出し支援していくこと
- 投資先企業等との対話等についても、企業等の有する潜在性を引き出し、市場の拡大・開拓・創出・支持の実現につながるよう実施していくこと
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼ 主要行等
- 令和6年能登半島地震への対応について
- 冒頭、1月1日夕刻に発生した令和6年能登半島地震においてお亡くなりになった方に改めて心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞いを申し上げる。
- 今回の地震に伴う災害等に対し、石川県、富山県、福井県及び新潟県に災害救助法が適用されたことを受け、適用地域を管轄する北陸財務局及び関東財務局より日本銀行との連名で「金融上の措置要請」を関係金融機関等に発出した。
- 被災地で営業している金融機関においては、顧客及び従業員の安全に十分配慮した上で、こうした要請も踏まえ、被災者の声やニーズを十分に把握の上、被災者の立場に立ったきめ細かな対応を改めてお願いしたい。
- 特に、今後住宅ローンなどの返済に関し、被災者から「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の手続着手の申出が増加する見込みであるところ、主たる債権者は、当該ガイドラインの要件に該当しないことが明白である場合を除いて、当該申出への不同意を表明してはならないと規定されており、まずは、登録支援専門家(弁護士等)につないだ上で内容の精査をするという実務になっていることに留意されたい。
- また、今回の災害を踏まえた特例措置として、寄付のための現金振込みや被災者が本人確認書類を亡失した場合等において、本人確認を簡素化、柔軟化できることとする犯罪収益移転防止法施行規則の一部改正が1月11日に公布・施行された。
- これを踏まえ、金融庁では同日付で要請文を発出したところだが、今般の改正については、犯罪収益の移転や義援金詐欺に悪用されることのないよう、災害義援金募集のための口座開設の申出に応じる場合には取引時確認を厳格に行う等、適切な対応に努めていただきたい。
- さらに、被災者のために有益な情報を提供できるよう、金融庁ウェブサイトに今般の地震に関する特設ページを開設するとともに、被災者と金融機関との取引に関する問合せ・相談を受け付けるため、「令和6年能登半島地震金融庁相談ダイヤル」を開設した。
- 事業者支援について
- コロナ禍を経て、実質無利子・無担保融資の返済が本格化する中、資金繰り支援に注力した段階から、一歩先を見据えて、事業者の実情に応じた経営改善・事業再生支援等に取り組むという新しい段階へと移行していく必要がある。
- こうした認識のもと、経営改善・事業再生支援の本格化を推進するため、金融機関等による一歩先を見据えた早め早めの対応を促すとともに、事業者に対するコンサルティング機能の強化に関する監督上の着眼点等を盛り込んだ監督指針改正案を公表し、1月31日、パブリックコメントの結果等を公表したところ。
- 今後所要の修正を行った上で、4月1日から適用開始する予定だが、主要行等においては、適用開始を待つことなく、その趣旨を十分に理解いただき、営業現場の第一線にまで、それを浸透させるとともに、新しい段階における事業者支援を徹底していただくよう、お願いする。
- また、能登半島地震で被災された事業者等については、今後、被災状況の全容等が明らかとなってくる中で、復興・再建に向けた具体的な支援ニーズが出てくることになる。地震の影響を受けている事業者等の復興・再建の支援に万全を期するべく、政府としても取り得るあらゆる施策を講じていくので、主要行等においても、そうした事業者等に最大限寄り添った柔軟かつきめ細かな支援の徹底をお願いする。
- フィッシング対策の強化について
- 2023年初から11月末までにおけるフィッシングによるものとみられるインターネットバンキングにおける預金の不正送金の被害件数及び被害額は、いずれも過去最多を更新し、被害件数5,147件、被害額約80億円となっている。これを踏まえ、2023年12月25日に、金融庁及び警察庁から改めて、一般利用者向けに注意喚起を行っている。また、預金取扱金融機関以外の金融機関の顧客に対しても、フィッシング攻撃による被害が発生している。
- 被害が発生してから対策を講ずるのではなく、予め対策を進めていただきたい。顧客本位の経営の実現には、顧客資産を守ることが不可欠である。対応が不十分と認められる場合は、経営陣自らの問題としてしっかりと対応していただきたい
▼ 全国地方銀行協会/第二地方銀行協会
- マネー・ローンダリング対策について
- 態勢整備の期限が2024年3月末に迫る中、各行におかれては、経営陣のリーダーシップのもと、対応いただいているものと承知している。
- 各行における態勢整備の進捗については、協会の皆様の協力のもと、2023年12月末時点の状況をアンケートの形で把握させていただいているところ。その結果、態勢整備に遅れが見られる先については、速やかな対応を促すべく、個別にお声がけさせていただく予定。
- 各行におかれては、3月末までに業界全体として態勢整備を完了すべく、適切に自己点検を実施し、把握された未対応事項について計画的に取り組んでいただきたい。
- なお、これまでも申し上げてきたが、来年度以降も態勢整備が不十分な金融機関に対しては、必要に応じ、個別に行政対応を検討していくことを改めてお伝えさせていただく。
- 共同データプラットフォームに係る高粒度データの報告徴求について(第二地銀協のみ)
- 金融機関と当局の間で実効的・効率的なデータ収集・管理を行うための共同データプラットフォームについては、
- 2022事務年度に、主要行と一部の地銀を対象に行った実証実験を通じて、金融機関から提出いただく様々な計表の代替可能性や、モニタリングや分析の高度化に高粒度データを活用できる余地が大きいことを確認した。
- 実証実験の結果も踏まえ、第二地銀については、これまで、高粒度データの提出可能時期や負担感等を確認するアンケートに御協力をいただいたところ。
- こうしたアンケート結果も踏まえ、今般、2023年9月期のデータをトライアルデータとして提出いただき、フォーマットを確定のうえ、2025年3月期データより定期徴求を開始したいと考えている。
- 共同データプラットフォームは新しい取組みであり、金融機関における十分な準備・確認期間を考慮したスケジュールとするなど、引き続き各金融機関の負担に配慮しつつ進めていきたいと考えているので、御協力いただけると幸い。
- 金融機関と当局の間で実効的・効率的なデータ収集・管理を行うための共同データプラットフォームについては、
金融庁 「主要国におけるファンドを介したクロスボーダー取引に係る租税条約の適用に関する調査」の公表
▼ 「主要国におけるファンドを介したクロスボーダー取引に係る租税条約の適用に関する調査」
- OECDコメンタリーにおける整理
- OECDコメンタリーは、「広範に保有され、多様な有価証券ポートフォリオを有し、設立国における投資家保護規則の対象となるファンド」をcollective investment vehicles (CIVs)として、これについて租税条約の適用可能性について一定の解釈を示している。以下では、OECDコメンタリーで示されている「者」、「居住者」および「受益者」に該当するか否かの判断基準を整理する。
- 「者」(Person)の該当性
- 「者」には、個人、法人、その他の団体が含まれ、この法人とは、租税法上、法人格を有するものとして取り扱うものをいうこととされている。OECDコメンタリーでは、CIVがこの「者」として扱われるか否かは、まずは法律上の形態で判断するべきとしており、一般に、法人として組織されたCIVは「者」として取り扱われるものと考えられる。そして、法人以外にも、CIVの設定国によって信託、契約形態等さまざまな法形式のビークルが存在し、さらに、租税法上の取扱いとして、信託、または、信託の受託者を課税主体とする国もあることに鑑みると、「者」の定義は、広い意味で解釈すべきであるとしている。
- 「居住者」該当性
- 「居住者」とは、居住地国において課税を受けるべきもの(liable to tax)とされている者をいう。OECDコメンタリーでは、CIVが「居住者」として扱われるか否かは、その設立地国における課税上の取扱いにより判断するべきとしている。つまり、CIVが課税主体となる場合には「居住者」として取り扱われるものと考えられるが、CIVが受領したある所得に対してCIVレベルでは課税されず、当該CIVの受益権の持分所有者が課税される場合には、CIVは透明な事業体であり、「居住者」としては取り扱わないとしている。
- また、(i)原則として課税主体と取り扱った上で、CIVの集団投資のためのビークルであるという性質に鑑み、分配に関する最低限度額など一定の要件を充足した場合に免税とする、(ii)投資家への分配額を参照して課税を減免する、(iii)CIVに対しては特別な優遇税率を適用する、さらに、(iv)二重課税の排除を目的として、CIVに対して、投資家レベルと合わせて課税する国もある。これらの例におけるCIVは、その設立国において、実際には租税を課されなかったとしても、包括的な課税の対象とされ、居住者として取り扱われているため、租税条約の適用においても「居住者」として取り扱うこととしている11。さらに、CIVが(一定の要件を満たせば)免税とされていたとしても、免税となるための要件が十分に厳格であると考えられればCIVが居住者として取扱われるための要件を満たしていると考えられる。
- 「受益者」該当性
- CIVは、「広範に保有され、多様な有価証券ポートフォリオを有し、設立国における投資家保護規則の対象となるファンド」を前提としており、ファンドマネージャーが投資資産の運用に関して重要な機能を果たしている。
- CIVの投資家としての立場は、投資資産の所有者としてのそれとは法律的および経済的観点から実質的に異なることに鑑みると、CIVが受領する所得について、投資家を受益者として課税するのは適当ではない、としている。
- したがって、CIVのファンドマネージャーが投資資産を運用する裁量権を有する限り、CIVが受領する配当等については、当該CIVが受益者であるとしている。
- 「者」(Person)の該当性
- OECDコメンタリーは、「広範に保有され、多様な有価証券ポートフォリオを有し、設立国における投資家保護規則の対象となるファンド」をcollective investment vehicles (CIVs)として、これについて租税条約の適用可能性について一定の解釈を示している。以下では、OECDコメンタリーで示されている「者」、「居住者」および「受益者」に該当するか否かの判断基準を整理する。
金融庁 第三者への資金移動が可能な暗号資産交換業者への不正送金対策の強化について
- 現在、インターネットバンキングに係る不正送金事犯をはじめ、還付金詐欺や架空料金請求詐欺等をはじめとする特殊詐欺の被害金が、暗号資産交換業者あてに送金される事例が多発している情勢を踏まえ、2月6日、金融庁は下記の団体等に対して、警察庁と連名で、暗号資産交換業者あての送金利用状況などリスクに応じ、次の対策事例も参考にしつつ、利用者保護等のための更なる対策の強化を要請しました。
- 暗号資産交換業者への不正な送金への対策事例
- 振込名義変更による暗号資産交換業者への送金停止等
- 暗号資産交換業者の金融機関口座に対し、送金元口座(法人口座を含む。)の口座名義人名と異なる依頼人名で行う送金については、振込・送金取引を拒否する。
- この際、あらかじめ、ウェブページ等により利用者への周知を図る。
- 暗号資産交換業者への不正な送金への監視強化
- 暗号資産と法定通貨との換金ポイントとなる暗号資産交換業者との取引に係る取引モニタリングは、リスク低減措置の実効性を確保する有効な手法であることからパターン分析のためのルールやシナリオの有効性について検証・分析の上、抽出基準の改善を図るなど、暗号資産交換業者への不正な送金への監視を強化する。
- 振込名義変更による暗号資産交換業者への送金停止等
- 要請先
- 一般社団法人全国銀行協会
- 一般社団法人全国地方銀行協会
- 一般社団法人第二地方銀行協会
- 一般社団法人全国信用金庫協会
- 一般社団法人全国信用組合中央協会
- 一般社団法人全国労働金庫協会
- 株式会社ゆうちょ銀行
- 農林中央金庫
- 株式会社商工組合中央金庫
- 警察庁ウェブサイト
https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/koho/news/20240206.html
【2024年1月】
金融庁 損害保険ジャパン及びSOMPOホールディングスに対する行政処分について
- 業務改善命令の内容
- 損保ジャパン
- 保険業法第132条第1項に基づく命令(業務改善命令)
- 業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること
- 今回の処分を踏まえた経営責任の明確化
- 適切な保険金等支払管理態勢の確立
- 不正請求を防止するための態勢整備(適正な損害調査を実施するための方策、顧客本位の視点から修理業者の紹介サービス等を実施するための方策、不正請求に係る予兆情報を一元的に管理し必要な対応を図るための態勢整備の検討・実施を含む)
- 公正かつ的確な審査体制・手続きの確立(詳細な調査が未実施であることにより不適切な不払いとなっている可能性のある事案の検証、検証結果に基づく顧客対応を含む)
- 実効性のある代理店管理(保険募集管理)態勢の確立(代理店の特性に応じた適正な保険募集を確保するための方策、代理店に対する適切な出向管理の検討・実施を含む)
- コンプライアンス・顧客保護を徹底するための態勢の確立(不芳情報を適時に把握するとともに、社長を含む経営陣等に適切に報告されるための方策、当局への適正な報告を確保するための方策を含む)
- 営業優先ではなく、コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成(顧客の利益よりも自社の利益を優先する企業文化の是正策を含む)
- 上記を着実に実行し、定着を図るための経営管理(ガバナンス)態勢の抜本的な強化
- 上記1に係る業務の改善計画を、令和6年3月15日(金曜日)までに提出し、ただちに実行すること
- 上記2の改善計画について、3か月毎の進捗及び改善状況を翌月15日までに報告すること(初回報告基準日を令和6年5月末とする)
- 業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること
- 保険業法第132条第1項に基づく命令(業務改善命令)
- SOMPOホールディングス
- 保険業法第271条の29第1項に基づく命令(業務改善命令)
- 損保ジャパンの業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること
- 今回の処分を踏まえた経営責任の明確化
- 保険持株会社として、子会社である保険会社の業務の健全かつ適切な運営を確保するための態勢の構築(損保ジャパンの内部統制の十分性・実効性を適時・適切に把握し適切な経営管理を行うための方策を含む)
- 営業優先ではない、コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土を子会社である保険会社に醸成させるための態勢の構築(顧客の利益よりも自社の利益を優先する企業文化の是正策を含む)
- 上記を着実に実行し、定着を図るための経営管理(ガバナンス)態勢の抜本的な強化
- 上記1に係る業務の改善計画を、令和6年3月15日(金曜日)までに提出し、ただちに実行すること
- 上記2の改善計画について、3か月毎の進捗及び改善状況を翌月15日までに報告すること(初回報告基準日を令和6年5月末とする)
- 損保ジャパンの業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること
- 保険業法第271条の29第1項に基づく命令(業務改善命令)
- 損保ジャパン
- 処分の理由
- 損保ジャパン
- 当庁検査及び保険業法第128条第1項に基づく損保ジャパンからの報告の結果、以下の問題が認められた。
- 問題の所在
- 損保ジャパンとビッグモーターとの関係
- 株式会社ビッグモーター並びにその子会社である株式会社ビーエムホールディングス及び株式会社ビーエムハナテン(以下、これら3社をあわせて「BM社」という。)は、全国で店舗展開を行っている大手中古車販売業者であり、損保ジャパンを含め複数の損害保険会社から損害保険代理店としての委託を受けて、自動車保険及び自動車損害賠償責任保険(以下、「自賠責保険」という。)の販売を行っていた。
- 損害保険代理店としてのBM社は、2022年度の取扱保険料が約200億円であったが、そのうち、損保ジャパンの保険料は約120億円、シェアが60.5%であり、BM社の所属保険会社7社のうち、損保ジャパンが最大のシェアを占めていた。損保ジャパンの保険料の内訳をみると、2022年度は、自動車保険は約97億円、自賠責保険は約20億円となっており、足元で自動車保険に係るシェアが減少傾向にあった中、自賠責保険に係るシェアは増加傾向にあった。
- また、BM社は、板金・塗装部門を設置し、一部の店舗では自動車修理工場を併設しており、損保ジャパンを含む損害保険会社から、自動車事故の際に事故車両の修理を希望する顧客の紹介(以下、「入庫紹介」という。)を受けていた。BM社では、損害保険会社から入庫紹介を受けることで、同社の修理工場の売上につながるという利点がある一方、損害保険会社側では、BM社に入庫紹介を行うことで、自動車保険の販売促進や、自賠責保険の獲得によるトップライン(保険料収入)の確保などが期待できるといった利点があったと考えられる。
- 不適切な保険金請求事案について
- 上記のように損害保険代理店としての事業を含めて、自動車の販売・整備・修理といった一連の自動車関連事業を営むBM社においては、修理車両の車体に損傷を新たに作出して修理範囲を拡大することや、不要な板金作業・部品交換を行うことで保険金を水増し請求するなどの極めて悪質な行為を行っていたことが発覚しており、こうした不正行為に基づく不適切な保険金請求(以下、「不正請求」という。)が、BM社における広範囲の修理工場で、組織的に反復・継続して行われていた実態が認められている。
- 損保ジャパンをはじめとする損害保険会社各社は、BM社に対する事故車両の入庫紹介を積極的に展開していた中で、当該不正請求が発覚したものであるが、とりわけ、損保ジャパンにおいては、
- 2015年5月から2023年1月までの間、BM社からの要請を受けて、板金・塗装部門に出向者を派遣していたこと、
- BM社からの保険金請求に対する損害調査において、同調査の専門職である技術アジャスターの関与を省略する簡易な調査を運用していたこと、
- 不正請求発覚後、損保ジャパンを含む大手損保3社からBM社に対して事実関係の調査を求めており、同3社では、2022年6月からBM社への入庫紹介を停止していた中、損保ジャパンだけが同年7月に入庫紹介の再開(以下、「入庫再開」という。)という経営判断を行ったこと
- など、BM社の不正請求に関連して、損保ジャパンからBM社に対する対応の適切性等に疑念がある事項が認められた。
- こうした点を踏まえ、本件不正請求に対する損保ジャパンの対応状況について検証したところ、以下の(2)に記載しているとおり、損保ジャパンの経営管理(ガバナンス)態勢や、3線管理態勢それぞれの内部統制に重大な欠陥があり、BM社に対する管理・けん制態勢が無効化していた実態が認められた。
- BM社による不正請求はその悪質性から、損害保険業界全体の信頼をも失墜させかねない極めて重大かつ影響力のある事案であり、損保ジャパンのBM社に対する管理・けん制態勢が無効化していた実態は、BM社に不正行為を惹起させる「土壌」(不正行為等を行い得る「機会」の存在)を生じさせるとともに、結果としてBM社の不正請求を助長し、顧客被害の拡大につながったことを考えると、損保ジャパンのBM社に対する一連の対応には重大な問題が認められると言わざるを得ない。
- 損保ジャパンとビッグモーターとの関係
- 態勢上の問題
- 個別の問題における態勢上の問題
- 出向者によるBM社の不正に関する実態報告への対応放置
- 損保ジャパンは、2015年5月からBM社の板金・塗装部門への出向を開始し、2023年1月までの間に延べ8名の出向者を派遣していた。これらのうち一部の出向者は、BM社において、利益を過度に追求する運営実態等が存在するなど不正請求の背景・リスク予兆となる情報のほか、BM社の全工場の修理費用の見積りを担当している部門が、現場に不要な作業を実施するよう指示している実態など、組織的な不正請求の蓋然性が高いと考えられる事象、不正が確信される事象などについて、損保ジャパンの営業部門や保険金サービス部門に対し、継続的に複数の報告を行っていた。
- しかしながら、これらの報告を受けた営業部門や保険金サービス部門は、厳格な指導や調査を実施した場合のBM社の反発や、それに伴う営業成績・収益への影響を懸念して、その対応を放置している実態にあった。また、営業部門や保険金サービス部門をけん制すべき立場にある法務・コンプライアンス部は、こうした不正請求に関する調査態勢を整備していない実態にあった。このように、損保ジャパンはBM社に対して、組織的な対応を講じておらず、結果として、一連の不正請求の検知が遅れ、被害の拡大を招いている。
- 簡易調査の導入と杜撰な運用
- 損保ジャパンにおいては、2016年度からの中期経営計画において、コスト削減施策を講じており、全国の保険金サービス部門の損害調査に従事する要員を削減し、コストが低いアソシエイト職の社員に当該業務をシフトしていく施策を実行している。
- こうした中、BM社への保険金支払に係る損害調査業務を集中的に担っている東京保険金サービス部におけるコンプライアンスに対する意識レベルの低さや、不正リスクに対する感応度の欠如もあり、損害調査において技術アジャスター以外の社員が主軸となる「簡易調査」の導入後、以下のとおり、社内の適正なルールを大きく逸脱した極めて問題のある運用を行っており、同部の内部統制が崩壊していると評価せざるを得ない実態が認められた。
- 同部は、BM社の簡易調査について、本来、技術アジャスターの関与が必要な損害調査プロセスにおいて、社内ルールを無視して独断で、当該技術アジャスターの関与をなくし、専門資格を有しないアソシエイト職の社員が全ての損害調査プロセスで確認を行うといった運用に変更している。
- また、同部は、社内ルールでは簡易調査を導入できない業務品質の不芳なBM社の工場に対しても、こうした手法による調査を導入・継続させている。
- さらに、簡易調査の導入は、損保ジャパンの標準修理見積とBM社が作成した修理見積の差異を検証し、乖離率が一定以下であることを条件としており、簡易調査導入後も定期的な乖離率の検証を通じてモニタリングを行い、一定程度乖離が続けば簡易調査の中止を検討することとしているが、同部は、こうした社内ルールを無視して独断で、チェック項目に基づき簡易に判断するといった、不正が検知しづらい手法に変更している。
- また、こうした第1線の各保険金サービス部の問題を把握・是正させる役割を担っている保険金サービス企画部は、こうした東京保険金サービス部の実態を全く把握しておらず、社内ルールの運用状況やその実効性、適切性等を定期的に把握・評価する仕組みを整備していないなど、機能不全に陥っている実態が認められた。
- 入庫再開に関する経営判断
- 社長を含む経営陣等は、BM社への入庫再開の決定等について、BM社においては不正請求が行われている蓋然性が高いとの認識を有しながら、顧客保護やコンプライアンスを軽視し、自社の営業成績・利益を優先させ、十分な事実関係を追及せず、曖昧な事実認識の下、十分な議論を行わないまま入庫再開を拙速に決定している。
- 社長がこうした不適切な経営判断を行った原因として、社長就任から間もない中、社長の評価基準であるボトムライン(利益)が大きく落ち込む見込みとなっていた状況下で、トップライン(保険料収入)を確保したいとの意識や、他の損害保険会社にBM社という大口取引先を奪われてしまうことを危惧し焦燥感を抱いたこと、親会社であるSOMPOホールディングスからの強いプレッシャーを感じていたことなどが挙げられる。
- また、当時の社長以外の役員や部長等は、入庫再開を決定した役員協議において、真偽が不明な情報を含む他社動向を大半の時間をかけて説明し、BM社において利益至上主義や過度に厳格な人事制度を運用している点など、組織的不正の発生につながり得る同社の企業文化を認識しながら説明を怠っている。その上で、こうした役員協議の状況下で判断した社長の入庫再開方針に対して、リスクを過小評価したことなどから、社長の決定に反対意見を述べることなく当該決定を受け入れている。
- さらに、役員協議への出席者として、法務・コンプライアンス部担当役員等が出席しておらず、透明性及び客観性が確保されていない非公式の役員協議で重要な業務執行に関する意思決定を行っているなど、これらの意思決定のプロセスを鑑みると、損保ジャパンの経営管理(ガバナンス)は、機能不全の実態にあると認められる。
- 加えて、保険金サービス企画部、東京保険金サービス部及びモーターチャネル営業部は、2022年1月にBM社による不正請求に関する情報を入手してから、同年5月に社長より報告を求められるまで、社長や経営会議等に対し本件を一切報告しておらず、損保ジャパンが不正請求に関する情報を把握してから実に4か月の間、重要な情報を社長へ適時・適切に報告していない実態が認められた。法務・コンプライアンス部においても、同年1月にBM社による不正請求に関する情報を入手してから、BM社のような整備工場で発生する不正請求疑義事案については、仮に不正請求であったとしても保険募集人ではない工員の事務ミスであり、不祥事件には当たらないという極めて甘いリスク認識により、不正請求に関する疑義事案の調査態勢等を整備しておらず、このような認識の下、第2線としての機能を全く発揮していない。
- 特に、BM社に対する入庫再開の意思決定において、役員協議に招集されなかった法務・コンプライアンス部は、協議内容について事後報告を受けているが、不正請求に係るBM社の自主調査結果の改ざんがあった事実を認識しているにもかかわらず、結果的に不祥事件に該当しなければ、経営陣への意見具申など、けん制機能を発揮することは不要であるとのコンプライアンス部門としては極めて不適切な判断を行っている。
- また、損保ジャパンは、入庫再開の決定がSOMPOグループ全体に顧客保護の観点からの批判、ひいては風評リスク等の観点から重大な影響を与える可能性があるといった想像力を欠き、リスク認識の欠落により問題を矮小化する意識から、入庫再開に関する報道のあった2022年8月29日に至るまで、親会社であるSOMPOホールディングスに対し、入庫再開の経緯等について一切報告を行っていないほか、同年8月31日に開催された定例ミーティングにおいても、SOMPOホールディングス経営陣へ入庫再開の経緯等について説明しているものの、自主調査結果の改ざんの事実を秘匿して報告するなど、適時・適切な報告を行っていない。
- 当庁に対する重要事項の未報告
- 調査部は、BM社に対する入庫再開等に関して、2022年7月に当庁に対して任意の報告を行っているが、社長の決定方針に反することを躊躇する自己保身の姿勢や、後ろめたい情報として触れないで済むならそれに越したことはないとの共通認識が経営陣において形成されているとの認識から、不正請求に関する自主調査結果がBM社により改ざんされたといった組織的な不正等の存在を強く伺わせる重要な事実関係について、意図的に報告しなかった。
- また、社長等の経営陣は、当庁に対する報告の重要性や意義を軽視し、同報告内容について、何ら議論することなく承認しているなど、経営陣としての資質を問われかねない行動を取っていた。
- BM社を優遇した保険金支払等
- 営業部門の成績を過度に重視する意識・行動等が保険金サービス部門に伝播することが、BM社等損保ジャパンの収益上重要な顧客に対しては、営業成績確保のための不適切な保険金支払処理につながる可能性があるにもかかわらず、こうしたリスクへの対処や支払の適切性を確保する取組みを、営業企画部及び保険金サービス企画部は行っていない。
- こうした中、東京保険金サービス部においては、BM社を保険契約者とする保険契約(自動車管理者賠償責任保険)の保険金請求に対して、厳格な調査を行わないまま支払いを行っているなど、同社を優遇した取扱いを行っていると言わざるを得ない実態が認められた。また、保険金サービス企画部及び法務・コンプライアンス部は、保険金等の支払いに関する事後検証において、主に支払漏れなどの検知・防止を目的とするにとどまり、不正請求に基づく支払いや、不適切な不払いの検知・防止といった観点を検証の対象としていない。
- なお、BM社以外との自動車管理者賠償責任保険契約を検証したところ、一部に免責又は無責扱いとした保険金請求事案があるが、保険金サービス企画部は、詳細な調査を実施しないまま初動の段階で免責・無責として事案がクローズされているなど、不適切な不払いとなっている可能性のある事案について検証を行わず、放置している実態が認められる。
- 保険代理店管理
- 損害保険代理店であるBM社については、当庁が実施した立入検査において、適正な保険募集を確保するための体制整備義務を経営陣が放棄し、保険業法に照らして不適切な事例が多数認められたことなどから、2023年11月、関東財務局から、保険代理店の処分としては最も重い「登録取り消し」の行政処分を受けた。
- BM社については、損保ジャパンが最大のシェアを占める損害保険代理店であったことから、代理店手数料の支払いにあたっては、販売店舗数や収入保険料の要件を踏まえ、獲得可能なポイントの上限値が他の販売チャネルよりも高いディーラーに準じる代理店として取り扱っており、規模・増収の状況を中心的な判定要素として、同社への代理店手数料を算定していた。
- こうした中、損害保険代理店としてのBM社に対する、損保ジャパンの代理店管理態勢について検証したところ、モーターチャネル営業部及び法務・コンプライアンス部は、保険業法に抵触する蓋然性が高い以下の不適切募集の疑義案件について、調査等の対応を放棄しており、極めて杜撰な管理を行っている実態が認められた。
- 損保ジャパンがBM社に提供している保険募集システムにおいて、極めて短時間に契約締結手続き等を行ったことが記録されている契約については、重要事項を十分に説明していない可能性があるなど不適切募集の疑いがあるため、当該契約を取り扱った保険募集人に対して、取扱経緯等を調査するようBM社に提案し、同社では2022年8月から取組みを開始したとしていた。
- しかしながら、モーターチャネル営業部は、同部の営業成績におけるBM社のシェアが高く、営業目標の達成を優先したことから、当該取組みの実施状況や不適切募集の疑いのある契約に関する報告の要請をBM社に対して行っておらず、これらの取組みの実態を把握していない。また、法務・コンプライアンス部はモーターチャネル営業部のこうした実態を放置しており、同部に対するモニタリング機能を果たしていない。こうした中、以下に記載したとおり、BM社において重要事項説明を網羅的に行っていない事例が認められた。
- 損保ジャパンの自動車保険に加入した契約者の携帯電話番号にBM社からSMSアンケートを自動発信し、契約手続きの際に不適切な行為が行われていないか、契約者からの申出や意見を収集するようBM社に提案し、BM社では2022年11月から取組みを開始したとしていた。
- しかしながら、モーターチャネル営業部は、当該取組みの実施状況等に係る報告要請をBM社に対して行っていない。また、法務・コンプライアンス部は、こうした実態を放置しており、同部に対するモニタリング機能を果たしていない。こうした中、SMSアンケートの回答を確認したところ、契約者の代わりに募集人が申込みのボタンを押しているケースなど、成績仮装契約が疑われる事例が複数認められた。
- 加えて、BM社においては、以下の不適切な保険募集の事例が認められているが、モーターチャネル営業部及び法務・コンプライアンス部は、今回の当庁検査に至るまで、BM社を代理店とする契約に係るこうした不適切事例を把握していない実態が認められた。
- (BM社で認められた不適切な保険募集)
- 保険募集システムにおいて、極めて短時間に契約締結手続き等を行ったことが記録されている契約148件を抽出して確認したところ、122件について、募集人が網羅的な重要事項の説明を行っていない実態が認められたほか、実地調査において重要事項説明書を交付していない募集人等も認められるなど、保険業法第300条第1項第1号に反する募集行為が常態化している蓋然性が高い。
- 他社からBM社で販売する保険に乗り換えた契約を担当した募集人1,079人に確認したところ、延べ9名の募集人において、保険加入を条件に車両価格を値引くなど、保険業法第300条第1項第5号で禁止する特別利益の提供を行っている旨の回答等が認められた。
- BM社に対する立入検査において、経営陣より、募集人や下請業者に同社で保険加入させるよう指示等が行われている実態が判明したことを踏まえ、募集人の保険契約88件を抽出し確認したところ、店長等から圧力を受け加入させられたなど、不適切な募集行為が行われていた契約14件が認められた。また、下請業者の保険契約149件を抽出し同社に確認を求めたところ、121件について圧力による保険加入と判断されるなど、下請業者に対しても不適切な募集行為が行われていたと認められた。
- 出向者によるBM社の不正に関する実態報告への対応放置
- 3線管理態勢の機能不全
- 営業部門や保険金サービス部門等においては、上記①における各個別の問題のとおり、第1線として求められる機能を全く発揮していない。
- 法務・コンプライアンス部は、BM社のような板金・塗装部門の自動車修理工場で発生する不正請求疑義事案については、仮に不正請求であったとしても保険募集人ではない工員の事務ミスであり、不祥事件には当たらないという極めて甘いリスク認識により、不正請求に関する疑義事案の調査態勢等を整備しておらず(① ア、ウを再掲)、このような認識の下、上記① に記載した各個別の問題において、第1線でどのようなことを行っているか把握していない、または把握していても適切な対応を講じていないなど、第2線としての機能を全く発揮していない。
- 特に、BM社に対する入庫再開の意思決定において、役員協議に招集されなかった法務・コンプライアンス部は、協議内容について事後報告を受けているが、自主調査結果の改ざんがあった事実を認識しているにもかかわらず、結果的に不祥事件に該当しなければ、経営陣への意見具申など、けん制機能を発揮することは不要であるとのコンプライアンス部門としては極めて不適切な判断を行っている(① ウを再掲)。
- 内部監査部は、本来、営業部門やコンプライアンス部門などから独立した立場で、コンプライアンス・リスクに関する管理態勢について検証し、管理態勢の構築やその運用に不備があれば、経営陣に対し指摘して是正を求めることなどが求められる。しかしながら、同部によるリスク評価において、不正請求リスクを適時・適切に評価しておらず、保険金サービス部門等への監査において、今回の当庁検査で認められた多数の内部統制上の問題を検知・是正できていないなど、第3線としての機能を果たせていない。
- 個別の問題における態勢上の問題
- 問題の所在
- 当庁検査及び保険業法第128条第1項に基づく損保ジャパンからの報告の結果、以下の問題が認められた。
- SOMPOホールディングス
- 当庁検査の結果、以下の問題が認められた。
- 保険持株会社及びその経営陣は、法令等遵守をグループ経営上の重要課題の一つとして位置付け、率先してグループ内会社の法令等遵守態勢の構築に取り組み、把握された情報を業務の改善及びグループ内の法令等遵守態勢の整備に活用することなどが求められている。
- 上記1.のとおり、損保ジャパンにおいて、BM社に対する一連の対応に関連した重大な問題が認められたため、SOMPOホールディングスの子会社経営管理態勢の十分性等について検証を行った結果、以下の(1)及び(2)のとおり、SOMPOホールディングス及びその経営陣は、損保ジャパンの内部統制の実効性に着目した深度あるモニタリング態勢を整備しておらず、BM社の問題を認識した後も、同社に関する踏み込んだ実態把握や情報分析を行っていないなど、能動的なアクションが不足しており、損保ジャパンに対する経営管理が十分に機能していない実態が認められる。
- 具体的には、SOMPOホールディングスの方針として、「事業オーナー制」を通じて、子会社自身による内部統制の整備及びその実効性の確保を前提としている中、特に、グループの経営に重大な影響を及ぼす可能性のある問題やコンプライアンスに関する事項を担当するSOMPOホールディングス・リスク管理部等や、グループ各社の経営諸活動にかかる内部統制の適切性等を検証するSOMPOホールディングス・内部監査部は、その機能を発揮していない。
- これは、損保ジャパンが、当社と比べて、損害保険事業に精通し重厚な管理体制を有しているとSOMPOホールディングス・リスク管理部等、さらに経営陣が過信していたことや、SOMPOホールディングス・リスク管理部等が当該意識を背景とした潜在的な遠慮意識を有していたことにより、損保ジャパンに対するけん制が総じて十分ではない状況に陥っていたことが原因と認められる。
- また、BM社の問題に関するSOMPOホールディングスへの報告に際して、適時な報告が行われていないのみならず、重要な情報が秘匿されている実態を見ても明らかなように、損保ジャパンにおいては、特に不芳情報が適時・適切に報告されない企業文化・風土が存在しているが、SOMPOホールディングスは、当社自身の企業文化等が子会社の企業文化に与えている影響等を含めて、その原因について認識・確認しておらず、適切な企業文化等の醸成に向けた取組みを十分に行っていない点も問題を拡大させた原因の一つと認められる。
- さらに、今回の一連のBM社の問題を認識した後も、SOMPOホールディングスにおいては、個別の保険代理店に対する施策・対応に関するものであるとの認識が強く、適切な情報が報告されていなかったことも相まって、顧客被害や経営に重大な影響を及ぼす問題に発展するといったリスク認識・発想力が欠如していたと認められる。
- 子会社の重要施策等に関する内部統制等のモニタリング態勢
- 今回の損保ジャパンに対する当庁検査においては、多数の内部統制上の問題が認められるが、SOMPOホールディングス及びその経営陣は、損保ジャパンの内部統制の実効性に着目した深度あるモニタリング等を行う態勢を十分に整備しておらず、こうした実態を把握していないなど、損保ジャパンの内部統制の実効性について適切に評価していない。
- 特に、上記1.(2)に記載した、簡易調査の運用の背景にある保険金サービス部門のコスト削減施策に関し、損保ジャパンの経営会議等が顧客視点を欠いた施策管理等に終始している問題や、同社の3線管理態勢が機能不全の実態にあるなど、内部統制に重大な欠陥が認められる問題について、SOMPOホールディングス・リスク管理部等、さらに経営陣は、SOMPOホールディングスと比して重厚な管理体制を有する損保ジャパンの内部統制の実効性に関する過信により、また、SOMPOホールディングス・リスク管理部等は潜在的な遠慮意識により、能動的かつ深度あるモニタリング等を行っていないため、こうした実態を把握していない。
- 加えて、SOMPOホールディングス・内部監査部は、リスク評価において、国内損害保険事業の固有リスクについて、「管理態勢の不備や周知不足等により、重大な事故や法令・規制違反等が発生して、行政処分を受けるまたはSOMPOグループの評判・信用が低下するリスク」といった、広範かつ具体性のないリスクを洗い出すにとどまり、損保ジャパンの内部統制についても明確な根拠のないまま評価を行っているため、今回の損保ジャパンにおける経営管理(ガバナンス)や内部統制上の一連の問題に関して、実態に即した適切な評価を行っていない。このため、同部による損保ジャパンに対する監査は、2019年度以降、統合的リスク管理(ERM)などをテーマとして監査を実施してきたものの、不正請求に関する内部統制について監査しておらず、オフサイトモニタリングを含めて、今回の問題を検知できていない。
- BM社の一連の問題に関する情報連携・報告態勢
- SOMPOホールディングス経営陣は、BM社の不正請求の問題について、2022年8月31日に開催した損保ジャパンとの定例ミーティングにおいて、入庫再開に関する報道に関して、同社から、入庫再開の判断経緯等の報告を受けており、当該報告によりBM社の問題を認識したとしている。
- 当該報告において、同社経営陣は、内部通報者の翻意により協力が得られなくなったこと、作業ミスが原因であること、再発防止策の内容などに関する報告を受けているが、この報告の際、損保ジャパンは、自主調査結果の改ざんの事実を秘匿し根拠もなくBM社の組織性を否定しているほか、報道については他社のリークによりバイアスのかかった記事であるなどとして、問題を矮小化した報告を行っており、SOMPOホールディングスに対し重要事項等を適時・適切に報告していなかった。
- しかしながら、同社経営陣は、当該報告を受け、BM社の「社内風土に問題があれば組織的関与がないとは言い切れない」「追加調査で組織的関与が証明されるような事態が最悪であり、当局に間違った報告をしたことになる」などを同ミーティングで発言するにとどまり、当該報告内容が報道された内容と大きな乖離があるにもかかわらず、SOMPOホールディングスとして、例えば、BM社に関する情報、社内外からの情報の収集などの踏み込んだ実態把握・情報分析を行っていないほか、当該発言に関するフォローも行っていないなど、子会社管理の能動的なアクションが不足している実態にある。
- また、本件は結果的にSOMPOグループ全体の信用をも棄損する重大な問題に発展している中、SOMPOホールディングスは、損保ジャパンからの初報が、内部通報を受けてから半年以上も経過してからの報告であるなど、適時・適切に情報が報告されていない実態に関して、その原因や事実関係の追及を行っておらず、子会社からの報告・情報連携に関する仕組みの見直しを行っていない。
- 当庁が考える真因及び今後の対応の必要性
- 当庁としては、上記1.及び2.で記載した問題の真因は、以下のとおりであると考えている。
- SOMPOホールディングスによる適切な企業文化の醸成に向けた取組みが不十分である中、損保ジャパンにおいては、次のような企業文化が、歴代社長を含む経営陣の下で醸成されてきたこと
- 顧客の利益より、自社の営業成績・利益に価値を置く企業文化
- 社長等の上司の決定には異議を唱えない上意下達の企業文化
- 不芳情報が、経営陣や親会社といった経営管理の責務を担う者に対して適時・適切に報告されない企業文化
- 損保ジャパン及びSOMPOホールディングスにおいては、リスクを的確に捕捉及び把握し、リスクが顕在化した際に適切に対応できる態勢が経営陣の下で適切に構築されておらず、次のとおり、けん制機能・監査機能が有効に機能していなかったこと
- 損保ジャパンにおいては、第1線による自律的管理が機能していない中、リスクを能動的に把握してけん制を働かせるべき、コンプライアンス部門(第2線)及び内部監査部門(第3線)が実態的に機能不全に陥っていたこと
- SOMPOホールディングスにおいては、損保ジャパンに対するモニタリング機能や監査機能が適切に発揮されていなかったこと
- 損保ジャパンにおいては、損害保険代理店と自動車修理工場を兼業するモーターチャネルにおける兼業代理店の特性や、それを踏まえた同チャネルでのビジネスモデル・経営戦略の下で生じるコンプライアンス・リスクに関する認識が極めて甘く、経営陣はこうしたリスクに対する検討をしておらず、代理店管理や保険金等支払などの損害保険会社の基本的業務において、必要な措置が講じられていなかったこと
- SOMPOホールディングスによる適切な企業文化の醸成に向けた取組みが不十分である中、損保ジャパンにおいては、次のような企業文化が、歴代社長を含む経営陣の下で醸成されてきたこと
- 上記を踏まえると、損保ジャパン及びSOMPOホールディングスの自主的な取組みに委ねるだけでは抜本的な解決にならない可能性があり、両社の確実な業務改善計画の実施及び定着を図っていくためには当局の関与が必要と判断した。
- 当庁としては、上記1.及び2.で記載した問題の真因は、以下のとおりであると考えている。
- 当庁検査の結果、以下の問題が認められた。
- 損保ジャパン
金融庁 「社外取締役のことはじめ」の公表について
- 社外取締役の質の向上に向けた取組みの一環として、経済産業省・東京証券取引所とも連携の上、「社外取締役のことはじめ」を策定しました。社外取締役の皆様には、企業の持続的な成長を促し中長期的な企業価値の向上を図る観点から、経営に対する助言・監督等を行うことが期待されており、こうした役割を果たすにあたり知っていただきたい内容について掲載しております。
- 【原則4-7.独立社外取締役の役割・責務】
- 上場会社は、独立社外取締役には、特に以下の役割・責務を果たすことが期待されることに留意しつつ、その有効な活用を図るべきである。
- 経営の方針や経営改善について、自らの知見に基づき、会社の持続的な成長を促し中長期的な企業価値の向上を図る、との観点からの助言を行うこと
- 経営陣幹部の選解任その他の取締役会の重要な意思決定を通じ、経営の監督を行うこと
- 会社と経営陣・支配株主等との間の利益相反を監督すること
- 経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること
- 上場会社は、独立社外取締役には、特に以下の役割・責務を果たすことが期待されることに留意しつつ、その有効な活用を図るべきである。
- 【原則4-7.独立社外取締役の役割・責務】
▼ 社外取締役のことはじめ
- 取締役会の役割・責務を知る
- 企業戦略等の大きな方向性を示すこと
- 経営陣幹部による適切なリスクテイクを支える環境整備を行うこと
- 独立した客観的な立場から、経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行うこと
- 社外取締役としての自身に期待されている役割・機能を知る
- 一般的に期待されている役割
- 経営方針や経営改善についての助言
- 経営の監督
- 利益相反の監督
- ステークホルダーの意見の反映
- 具体的な行動の在り方
- 就任時:会社側と協議の上、自らのミッションを明確に認識
- 就任後:取締役会に対する能動的な働きかけ
- 適切なアジェンダセッティング
- 活性化のための運営上の工夫 等
- 一般的に期待されている役割
- 社外取締役としての5つの心得を知る
- 最も重要な役割は、経営の監督 中核は、経営陣の評価と指名・報酬
- 必要な場合には、社長・CEOの交代を主導することも含まれる
- 過度に細かい業務執行に立ち入らない
- 経営陣の適切なリスクテイクをサポートする
- 社内のしがらみにとらわれず、会社の持続的成長に向けた経営戦略を考える
- 社内の常識にとらわれない視点
- 中長期的な視点
- ESGやSDGsを含めた持続可能性を意識した経営の重要性
- 各事業部門の利害にとらわれない全社レベルでの「全体最適」の視点
- 業務執行から独立した立場から、経営陣に対して遠慮せずに発言・行動
- 経営陣と、適度な緊張感・距離感を保ちつつ、信頼関係を築く
- 会社と経営陣・支配株主等との利益相反を監督
- 最も重要な役割は、経営の監督 中核は、経営陣の評価と指名・報酬
- 自身の役割を果たすために必要な知識・スキルを知る
- 不足を感じた場合は、研修・トレーニングも活用しながら、継続的に向上に努める。
- 全社外取締役に必要な知識・スキル 特有の知識・スキル
- 財務・会計・法務を含め、企業経営に関する基礎的な知識・知見等のミニマム・スタンダードとして必要な最低限のリテラシー
- 特有の知識・スキル
- それぞれの役割・機能に応じて求められる資質・背景に依拠する知識・知見
- 全社外取締役に必要な知識・スキル 特有の知識・スキル
- 不足を感じた場合は、研修・トレーニングも活用しながら、継続的に向上に努める。
- 就任先企業のことを知る
- その役割・責務を実効的に果たすために、能動的に情報を入手する。
- 就任前/就任時
- 就任先企業からの説明(経営戦略、事業、組織・ガバナンス体制、具体的な事業環境・製品等、内部の諸規程・運営等)
- 就任期間中
- 就任先企業からの説明(事業環境・製品、旬なテーマ等)
- 執行役員クラスまで含めた経営陣や事業部門とのディスカッション
- 現地視察における意見交換、監査役等や内部監査部門との情報交換等
- 就任前/就任時
- その役割・責務を実効的に果たすために、能動的に情報を入手する。
金融庁 「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令第十七条の二及び第十七条の三の規定に基づき国又は地域を指定する件の一部を改正する件(案)」の公表について
▼ (資料1)トラベルルール対象法域について
- 我が国は、暗号資産・電子決済手段の取引経路を追跡することを可能にするため、暗号資産交換業者・電子決済手段等取引業者(VASP)に対し、暗号資産・電子決済手段の移転時に送付人・受取人の情報を通知する義務(トラベルルール)を課している。
- 通知対象の国又は地域(法域)の法制度が整備されていなければ通知の実効性に欠けること等に鑑み、トラベルルールの対象は、我が国の通知義務に相当する規制が定められている法域に所在する外国業者への移転に限ることとしている。
- 今般、各法域におけるトラベルルールの施行状況(各国のFATF相互審査結果及びそのフォローアップ報告書、法令・ウェブサイト等を参照し確認したもの)を踏まえ、下表の法域を追加をすることとする。
- 現在の対象法域(20法域)
- アメリカ合衆国、アルバニア、イスラエル、カナダ、ケイマン諸島、ジブラルタル、シンガポール、スイス、セルビア、大韓民国、ドイツ、バハマ、バミューダ諸島、フィリピン、ベネズエラ、香港、マレーシア、モーリシャス、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク
- 今回追加する法域(8法域)
- アラブ首長国連邦、インド、インドネシア、英国、エストニア、ナイジェリア、バーレーン、ポルトガル
▼ (資料2)トラベルルールについて
- 暗号資産・電子決済手段の取引経路を追跡することを可能にするため、暗号資産交換業者・電子決済手段等取引業者(以下「VASP」という。)に対し、暗号資産・電子決済手段の移転時に送付人・受取人の情報を通知する義務を新設
- 対象とする移転
- 国内VASPへの移転・外国VASPへの移転を対象とする(個人・無登録業者は対象外)。
- 金額、種類にかかわらず、全ての移転を対象とする
- 除外される移転
- 我が国の通知義務に相当する規制が定められていない国又は地域に対する移転については、除外する。(告示指定)
- 通知事項
- 送付人情報
- 自然人
- 氏名
- 住居or顧客識別番号等
- ブロックチェーンアドレスor当該アドレスを特定できる番号
- 法人
- 名称
- 本店又は主たる事務所の所在地or顧客識別番号等
- ブロックチェーンアドレスor当該アドレスを特定できる番号
- 自然人
- 受取人情報
- 自然人
- 氏名
- ブロックチェーンアドレスor当該アドレスを特定できる番号
- 法人
- 名称
- ブロックチェーンアドレスor当該アドレスを特定できる番号
- 自然人
- 送付人情報
- 通知事項の記録・保存義務
- 通知した事項・通知を受けた事項について記録・保存義務を課す。
金融庁 金融機関のマネロン対策にご協力ください
- お使いの銀行などの金融機関から、手紙やはがきが届いていませんか?
- 金融機関ではマネロン対策のため、みなさまの情報を定期的に確認しています。
- 「お客様情報確認」や「お取引目的確認」などと書かれていたら、開封・確認ください
- たとえば次のようなことをお聞きしています(注)。
- お名前やご住所、生年月日、お仕事、お取引の目的 など
- (注)暗証番号、インターネットバンキングのログインID・パスワードなどの最も重要な情報をお聞きするようなことは絶対にありません。
- 届いた手紙・はがきへのご返信をお願いします
- みなさまのご協力が次のような被害を防ぎ、くらしの安全・安心につながります。
- みなさまの口座やお金が、知らないうちに犯罪・マネーローンダリングに使われてしまうこと
- みなさまの口座を通じて犯罪者やテロリストにお金が流れ、犯罪・テロを起こされてしまうこと
- 金融庁では、金融機関のマネロン対策についてのインターネット広報を実施しています
- 法人を対象としたマネロン対策に係るチラシを作成しました
- 法人口座は振込限度額が高額であることや、大口の取引が頻繁に行われるため、近年、法人口座が口座売買や特殊詐欺などの犯罪に不正利用されるケースも生じています。そこで、法人の継続的顧客管理の意義・協力要請を行うチラシを作成し、各業界団体を通じて周知活動を行っています。
- 【参考:金融庁・金融機関におけるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の取り組みについて】
- 金融庁・金融機関は、金融サービスを悪用するマネーローンダリング・テロ資金供与・拡散金融(マネロン等)の対策に取り組んでいます。
- 犯罪で得られたお金を多数の金融機関を転々とさせることで資金の出所をわからなくしたり、テロリスト等に容易にお金を送金されてしまうと、将来の犯罪活動やテロ活動を助長することになってしまいます。
- 犯罪やテロなどと聞くと、私たちの暮らしの中ではあまり関係がないと思われがちですが、例えば、日本では最近、不特定多数の人から現金等をだまし取る特殊詐欺(オレオレ詐欺)が多発しており、組織的に詐欺を敢行して、だまし取ったお金の振込先として、架空の口座や他人名義の口座を利用するなど、様々な手口を使ってマネー・ローンダリングが行われています。また、ミサイルの発射実験などを繰り返している北朝鮮や、ウクライナに侵略しているロシア、国際連合安全保障理事会等で制裁対象となっているテロリストなどが、必要な活動資金を入手するために日本の金融機関を悪用する可能性があることから、これを未然に防ぐ必要があります。
- このため、年々複雑化・高度化するマネロン等の手口に対抗できるよう、金融機関では様々な確認手続を行うなどして、対応を進めています。犯罪組織やテロ組織は、一般の利用者に紛れて気づかれないように取引を行おうとするため、金融機関を利用する一人一人の情報を確認することで、マネーローンダリングやテロ資金供与を防止することができます。犯罪組織やテロリスト等への資金の流れを止めることで犯罪やテロを未然に防止して、皆様の安心・安全な生活を守るとともに、皆様の預金や資産を守るため、ご理解とご協力をお願いいたします。
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼ 主要行等
- サイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅷ)の振返りについて
- 「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅷ)」について、演習参加行の振返りのための意見交換を実施した。
- 演習結果については、個別評価をそれぞれの参加行に還元したのち、業界共通課題についても還元する予定。
- NISAの周知・広報について
- NISAの口座数・買付額は着実に増加しており、集計中だが、9月末のNISA口座数(一般・つみたての合計)は2,000万口座を突破する見込みである。NISA制度を活用し、多くの方々に、各々のライフプランに応じた安定的な資産形成に取り組んでいただきたいと考えている。
- 次に、金融庁・財務局における周知・広報について、3点紹介する。
- 第一に、11月下旬に、NISAに関するオンラインセミナーを開催した。これは、試行的に、国家公務員や地方公務員に対して行ったものであるが、延べ1万人以上が参加したほか、地域のメディアに取り上げられるなど、NISAに対する関心の高さが伺えた。これを受け、セミナーの動画は、一般の方がご覧いただけるよう、近日中に金融庁ウェブサイトにて公開予定である。
- 第二に、12月から2024年2月にかけて、ハイブリッド形式のイベントを計3回開催予定である。著名人を招き、トーク形式でわかりやすくNISAや資産形成についてお伝えしたいと考えている。イベントの詳細は、金融庁ホームページのイベント特設サイトに掲載しているので、関心がある顧客、担当者等への紹介等をお願いできれば幸いである。
- 第三に、金融庁のNISA特設ウェブサイトのリニューアルや、「つみたてワニーサ」X(旧Twitter)アカウントでの情報発信の強化にも取り組んでいる。新しいNISAの開始に向け、様々なツールを活用し、新しくNISAを始める方にもわかりやすい周知・広報に取り組みたいと考えている。
- 全国銀行協会等、関係業界団体においても、制度開始前後の時期を中心に、創意工夫に満ちた周知・広報活動が行われる予定と承知している。金融庁としても、しっかりと連携してまいりたい。
- 最後に、年末年始は制度が移行する重要な時期であり、金融機関においては、既に申し上げているNISAに関する適切な周知や、NISA口座の開設も含めた顧客対応に万全を期していただきたい。特に、先日の国会審議の場でも取り上げられたが、原発事故の避難者がNISA口座を開設する場合は、法に基づく避難証明書も税法上、本人確認書類としては有効であり、現住所と住民票の住所が異なっていても口座開設が可能であるので、この点留意いただきたい。詳細については、また別途周知する。引き続き、官民一体となって、NISAの普及・活用促進に取り組んでいきたいと考えており、協力を賜りたい。
▼ 全国地方銀行協会/第二地方銀行協会
- マネロン等リスク管理態勢の整備について
- マネロン等リスク管理態勢の整備に関して、各行の経営陣におかれては、対応の進捗状況を今一度確認いただきたい。
- 金融庁としては、引き続き協会と連携し、2024年3月末までに業界全体として態勢整備を完了すべく、きめ細かい支援を行っていく。各行におかれては、こうした支援も活用しつつ、確実に態勢整備を完了するよう取り組んでいただきたい。
- なお、こうした業界を挙げた取組や当庁による支援にもかかわらず、来年3月末までに態勢整備を完了しない金融機関に対しては、必要に応じ、個別に行政対応を検討する場合もあることを申し添える。
▼ 日本損害保険協会
- 保険代理店ヒアリングの実施について
- 2023年11月から、保険商品の主力販売チャネルとしてプレゼンスが増している保険代理店に対して、保険募集管理態勢の整備状況などの実態を把握するため、財務局と協働のうえ、2024年3月にかけてヒアリングを実施中である。
- ヒアリング項目としては、
- 医療保険等の募集における公的保険の説明に関するベストプラクティス
- サイバーセキュリティ対策の取組状況
- 代理店手数料ポイント制度をはじめとした、損保代理店と保険会社との間の諸課題等を選定している。
- また、これに加えて2023事務年度は、「顧客本位の業務運営に係る取組方針」を策定・公表している保険代理店の取組状況を確認するため、当該取組状況もヒアリング項目に追加しており、対話等を通じて、保険代理店の意見や取組みを丁寧に収集したいと考えている。
- 各保険会社においては、ヒアリングの対象となった保険代理店から相談や協力依頼があった場合には、親身な対応やご支援をお願いしたい。
- 商品審査の効率化にかかる検討依頼について
- 現在、金融庁において、商品審査の効率化にかかる検討を行っており、その中で、過去の事案について分析したところ、例えば、認可後1年以内に同一案件の変更申請を行っているものや、基本的な論点の検討が不十分なため審査を途中で取り下げるといった事案が認められた。
- 更に、IoT等技術革新に伴うこれまでに例がない損害保険商品の申請も増加している。
- こうした理由により、審査に要した日数は過去と比較して2.5倍に増加しており、各社の審査期間確保には商品審査の効率化が喫緊の課題となっている。
- 官民双方において効率的に商品審査プロセスを進めることが出来れば、審査日数の短縮化が図れ、保険会社によるタイムリーな商品投入を更に後押しすることが可能となる。
- 追って金融庁から日本損害保険協会を通じ、正式に依頼させていただくので、商品審査の効率化に向けたご協力をお願いしたい。
▼ 前払式支払手段発行者
- 金融行政方針について
- 8月末に、本事務年度の金融行政方針を公表した。今年の大きな柱の1つとして、デジタル社会の実現など、様々な社会課題の解決と経済成長の両立を目指し、引き続き、金融面での環境整備を行う方針である。
- 特に、金融サービスのデジタル化の推進を通じて、金融サービスが、利用者保護やシステムの安全性を確保しつつ、特色ある機能を発揮することで、個人や企業の利便性向上に繋がるよう、金融機関やフィンテック事業者の支援を強化していきたいと考えている。
- また、本年6月に施行された改正資金決済法により、高額電子移転可能型前払式支払手段の発行者には犯収法に基づく取引時確認やマネロンリスク管理態勢の整備等が求められることとなった。加えて、同法の附則に基づき2年間の猶予措置を受けている事業者においても計画的に準備を進めていただきたい。当局としては、こうした態勢整備等に関する相談についても丁寧に対応させていただきたいと考えている。
- 当局としても、引き続き、環境変化のスピードが速い前払式支払手段発行者のニーズを的確に把握し、取り組むべき課題の特定とその解決を図れるよう、深度ある対話を中心にモニタリングを継続してまいりたい。
- 最後に、事業基盤の中核にあるITシステムに関し、最近、広範囲、長時間のシステム障害が発生し、利用者に大きな影響を与えた事例が見られている。こうしたシステム障害については、障害を想定した代替手段の確保・早期復旧や影響範囲の軽減を担保するための対策等を講じることが重要と考える。
- 前払式支払手段発行者が提供する決済機能は、利用者からの安定したサービス提供・システム稼働への期待が特に高い領域であると思料。円滑な金融サービスの提供及び利用者保護の観点から、経営陣主導の下で、自社のシステムの更改や新サービス開始時の移行に向けたプロセス、障害発生時の内外の関係者間の連絡体制を含む復旧対応能力、顧客案内や周知等といった対応について今一度確認いただきたい。
- 金融分野におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組み状況について
- 【演習について】
- 近年のサイバー攻撃が一層高度化・複雑化する中、あらゆるサイバー攻撃を速やかに捕捉して防御することには限界があり、防御に加えて、攻撃を受けた後のサービス継続や顧客対応、復旧対応なども含め、より広い視野でのインシデント対応が非常に重要である。
- 金融庁では、金融業界全体のインシデント対応能力の底上げを図るため、金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(DeltaWall)を2016年度より毎年開催しており、本年10月に第8回目を開催したところ。
- 今後、演習結果について分析を行った上で、演習参加金融機関に対して評価結果を還元し、さらに業界全体に対しても共通課題・良好事例などを還元する予定。インシデント発生時の意思決定、サイバー攻撃の検知・顧客対応・業務復旧など、コンティンジェンシープランの実効性について、確認いただきたい。
- 【演習について】
- フィッシング対策の強化について
- 昨今、フィッシングによるものと見られる不正送金被害が多発している。当庁及び警察庁より8月8日に注意喚起を公表した時点では、令和5年上半期におけるフィッシングによるものとみられるインターネットバンキングにおける預金の不正送金の被害件数は過去最多の2,322件、被害総額も約30億円と、年間の被害額と比較しても過去最多に迫る状況であった。また、預金取扱金融機関以外の金融機関の顧客に対しても、フィッシング攻撃による被害が発生している。
- 被害が発生してから対策を講ずるのではなく、予め対策を進めていただきたい。顧客本位の経営の実現には、顧客資産を守ることが不可欠である。対応が不十分と認められる場合は、経営陣自らの問題としてしっかりと対応していただきたい
金融庁 「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示企業一覧表の公表について
▼ 東京証券取引所 市場区分の見直しに関するフォローアップ
- 一覧表の掲載対象
- プライム市場及びスタンダード市場の上場会社を対象として、集計対象時点(今回は2023年12月末時点)で直近に提出されたコーポレート・ガバナンスに関する報告書において、以下として掲載しております。
- 「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」というキーワードを記載している場合には「開示済」
- 「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(検討中)」というキーワードを記載している場合には「検討中」
- プライム市場及びスタンダード市場の上場会社を対象として、集計対象時点(今回は2023年12月末時点)で直近に提出されたコーポレート・ガバナンスに関する報告書において、以下として掲載しております。
- 要請の主なポイント
- 上場会社の皆様に、資本コストや株価を意識した経営を実践していただく観点から、まずは自社の資本コストや資本収益性を的確に把握し、その内容や市場評価に関して、取締役会で現状を分析・評価したうえで、改善に向けた計画を策定・開示し、その後も投資者との対話の中で取組みをアップデートしていく、といった一連の対応を継続的に実施していただくことをお願いするものです。(対象はプライム市場・スタンダード市場の全上場会社です。)
- 実施にあたっては、取締役会が定める経営の基本方針に基づき、経営層が主体となり、資本コストや資本収益性を十分に意識したうえで、持続的な成長の実現に向けた知財・無形資産創出につながる研究開発投資・人的資本への投資や設備投資、事業ポートフォリオの見直し等の取組みを推進することで、経営資源の適切な配分を実現していくことが期待されます。
- なお、資本収益性の向上に向け、バランスシートが効果的に価値創造に寄与する内容となっているかを分析した結果、自社株買いや増配が有効な手段と考えられる場合もありますが、自社株買いや増配のみの対応や、一過性の対応を期待するものではなく、継続して資本コストを上回る資本収益性を達成し、持続的な成長を果たすための抜本的な取組みを期待するものです。
▼ 東京証券取引所 「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示状況(2023年12月末時点)
- 「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について、2023年12月末時点で、プライム市場の49%(815社)、スタンダード市場の19%(300社)が開示(検討中を含む)
- プライム市場3月期決算企業に限ると、59%(673社)が開示(検討中を含む)(2023年7月時点の31%から倍近くまで増加)
- 開示企業数には一定の進捗が見られており、東証では、引き続き、検討・開示を行う企業数の増加に取り組む
- あわせて、株主・投資者の視点から、各企業の取組みがブラッシュアップされていくことが重要であり、東証では、今後、投資者の視点を踏まえた対応のポイントや、投資者の高い支持が得られた取組みの事例の公表等を通じて、上場会社における実効的な取組みの検討・実施をさらに促進していく
- 引き続き、PBRが低い企業/時価総額が大きい企業ほど開示が進展
- PBR1倍未満かつ時価総額1,000億円以上のプライム市場上場会社では、78%が開示(検討中を含む)
- 一方で、PBRが高い企業/時価総額が小さい企業では、開示に進捗は見られるものの、引き続き、相対的に開示が進んでいない状況
- 業種別の開示状況(プライム市場)(2023年12月末時点)
- 引き続き、平均PBRが低い業種の方が開示が進展しており、銀行業では94%が開示(検討中を含む)
- 一方で、平均PBRが高い情報・通信業、サービス業、小売業などでは、相対的に開示が進んでいない
- 英文開示の状況(プライム市場)(2023年12月末時点)
- 「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について開示済みの企業のうち、47%が当該内容に関する英文開示を実施
金融庁 「貸金業法施行規則の一部を改正する内閣府令」について
▼ 概要
- 趣旨
- 貸金業法に基づく規制は、多重債務者の防止をはじめ借入者の保護を図ること等を目的とするものであるが、他方、令和6年能登半島地震の被災者が、貸金業者から、返済能力を超えない借入れを行おうとする場合に、例えば特定の書面を用意できないなど、法令に定める手続き等が問題となって、本来なら借りることができる資金を借りられないという不都合が生ずるおそれがあれば、これを取り除く必要があることから、貸金業法施行規則の一部を改正するもの。
- 府令改正の概要
- 総量規制の例外とされている「社会通念上緊急に必要と認められる費用」の借入手続等の弾力化(貸金業法施行規則第10条の23第1項第2号の2、同条第2項第2号の2ロ、第10条の28第1項第1号、附則第8項)
- 総量規制に抵触する顧客が、「社会通念上緊急に必要と認められる費用」のために例外借入れ(貸金業法施行規則第10条の23第1項第2号の2)を行う場合について、被災者に係る以下の特例を設ける。
- 貸金業者に対する領収書等の提出が必要とされているが、当面の生活費等の様々な支出に充てる場合に配慮し、これを不要とする。
- 返済期間が「三月を超えないこと」が要件とされているが、被災者の置かれた状況に配慮し、「六月を超えないこと」とする。
- 総量規制に抵触する顧客が、「社会通念上緊急に必要と認められる費用」のために例外借入れ(貸金業法施行規則第10条の23第1項第2号の2)を行う場合について、被災者に係る以下の特例を設ける。
- 総量規制の例外とされている個人事業主の借入手続の弾力化(貸金業法施行規則第10条の23第1項第4号、第10条の28第1項第3号ロ、附則第8項)
- 個人事業主による借入れ(貸金業法施行規則第10条の23第1項第4号)は総量規制の例外であるが、個人事業主が当該借入れを行う場合について、被災者に係る以下の特例を設ける。
- 貸金業者は、百万円を超える貸付けであれば、当該個人事業主の「事業計画、収支計画及び資金計画」に照らし、顧客の返済能力を判断しなければならないが、「計画」の策定・提示が困難な被災者に配慮し、より簡素な情報(現状等)に照らし判断すれば足りることとする(百万円以内の貸付けの場合と同じ取扱いとする)。
- 極度額方式によるキャッシング(総量規制の枠内貸付け)の借入手続の弾力化(貸金業法施行規則第10条の26第1項、附則第8項)
- 極度額方式による借入れ(=キャッシング)を、一定額以上利用した顧客は、源泉徴収票等の年収を証明する書面を貸金業者に提出しなければならないが、これについて被災者に係る以下の特例を設ける。
- 当該顧客は、源泉徴収票等を「二月以内」に提出しなければ、仮に極度額に余裕があってもキャッシングが止められてしまうが、その入手が困難な被災者に配慮し、「六月以内」の提出とする。
- ※貸金業法施行規則第10条の26第1項においては「一月以内」と規定されているところ、平成19年内閣府令第79号附則第9条の2において、当分の間「二月以内」とされている。
- 当該顧客は、源泉徴収票等を「二月以内」に提出しなければ、仮に極度額に余裕があってもキャッシングが止められてしまうが、その入手が困難な被災者に配慮し、「六月以内」の提出とする。
- 極度額方式による借入れ(=キャッシング)を、一定額以上利用した顧客は、源泉徴収票等の年収を証明する書面を貸金業者に提出しなければならないが、これについて被災者に係る以下の特例を設ける。
- 総量規制の例外とされている配偶者の年収と合算して年収を算出する場合の借入手続の弾力化(貸金業法施行規則第10条の23第1項第3号、附則第9項)自らの収入だけに照らせば総量規制に抵触する顧客(主婦・主夫等)が、自身の年収と配偶者の年収を合算した額を基準として借入れ(合算年収の1/3まで)(貸金業法施行規則第10条の23第1項第3号)を行う場合について、被災者に係る以下の特例を設ける。
- 当該顧客は、借入れを行う際に、配偶者との身分関係を証明する住民票又は戸籍抄本を提出する必要があるが、その入手が困難な被災者に配慮し、事後(六月以内)の提出で足りることとする。
- 総量規制の例外とされている「社会通念上緊急に必要と認められる費用」の借入手続等の弾力化(貸金業法施行規則第10条の23第1項第2号の2、同条第2項第2号の2ロ、第10条の28第1項第1号、附則第8項)
- 施行日等
- 上記のいずれも、今般の地震の被災者を対象とした時限措置(令和6年7月31日まで)とし、施行は公布の日(令和6年1月17日)からとする(ただし、上記(3)に係る改正規定の適用については、令和5年11月2日からとする)
金融庁 株式会社SBI証券に対する行政処分について
- 勧告の事実関係
- 取引所金融商品市場における上場金融商品の相場を変動等させることにより実勢を反映しない作為的なものとなることを知りながら、当該上場金融商品に係る買付けの受託等をする行為
- 当社執行役員兼機関投資家営業部長及びIFAビジネス部(当時)管掌執行役員らは、令和2年12月から同3年9月までの間において、その業務に関し、新規上場の際の株式公募に当たり当社が引受主幹事会社を務めた3銘柄の新規上場株式について、当該株式の初値を公募価格以上に変動させ、若しくはくぎ付けし、固定し、若しくは安定(以下「変動等」という。)させるために、エクイティ・キャピタル・マーケット部(当時)管掌常務取締役や執行役員と相談し、上場日当日の寄付前までに出て来ると予想される売付注文数に見合う買付注文数を目標として設定するなどした上で、当社の香港現地法人の社員(機関投資家営業部員が兼務)及びIFAビジネス部員等に対し、顧客に公募価格と同価格の指値で当該株式の買付けを行うことを勧誘し、各銘柄の上場日当日の寄付前までに当該買付注文を受託するよう、各銘柄の上場日の遅くとも二営業日前までにかけて指示又は依頼を行った。
- これを受け、当該IFAビジネス部員は、当社を所属金融商品取引業者とする金融商品仲介業者に対して上記指示の内容を依頼し、上記指示又は依頼を受けた香港現地法人の社員及び金融商品仲介業者3社は、顧客に対し、公募価格と同価格の指値で当該株式の買付けを行うことを勧誘した。
- これにより、当社は、顧客(機関投資家9社及び一般投資家174者)から、当該株式の相場を変動等させることにより実勢を反映しない作為的なものとなることを知りながら、各銘柄の上場日当日の寄付前までに公募価格を指値とした買付注文(3銘柄合計225万6600株)を直接又は当社の香港現地法人経由で受託・執行した。
- 上記行為は、金融商品取引法第38条第9号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第20号に違反するものと認められる。
- 取引所金融商品市場における上場金融商品の相場を変動等させることにより実勢を反映しない作為的なものとなることを知りながら、当該上場金融商品に係る買付けの受託等をする行為
- 行政処分の内容
- 業務停止命令(金融商品取引法第52条第1項)
- 新規株式公開(IPO)銘柄に関し、勧誘を伴う上場日における売買の受託業務を令和6年1月12日から令和6年1月18日まで停止すること。
- 業務改善命令(金融商品取引法第51条)
- 本件に関して、業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること。
- 今回の処分を踏まえた経営陣を含む責任の所在の明確化を図ること。
- 本件に係る根本的な発生原因の分析に基づき、経営管理態勢及び内部管理態勢(不公正取引を防止する態勢を含む。)の強化を含む実効性のある業務改善計画を速やかに策定し、着実に実施・定着させること
- 上記1に係る実施状況及び業務改善計画を令和6年2月13日までに書面で報告すること。
- 上記2の実施状況について、3か月経過後毎に翌月15日を期限として当面の間、書面で報告すること(初回報告基準日を令和6年4月末とする)。
- 本件に関して、業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること。
- 業務停止命令(金融商品取引法第52条第1項)
金融庁 「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令」について
- 本日、「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令」が公布・施行されました(詳細はこちら(e-Govへリンク)新しいウィンドウで開きますを参照してください。)。
- 本件は、寄附金(災害義援金)振込及び被災者の口座開設等に係る本人確認の柔軟な取扱いを認めるものであり、概要は以下のとおりです。
- 趣旨
- 令和6年能登半島地震による被害の状況等に鑑み、犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則上の本人特定事項の確認方法等に関し、特例を設ける。
- 概要
- 寄附金の振込に際しての取引時確認対象取引の特例
- 令和6年能登半島地震に係る寄附のために行われる現金送金(送金先口座が専ら寄附を受けるために開設されたものに限る。)については、その額が200万円以下のものに限り、取引時確認義務の対象取引から除くこととする。
- 被災者の本人特定事項の確認方法の特例
- 令和6年能登半島地震で被災した顧客であって、正規の本人特定事項の確認方法によることが困難であると認められるものに係る本人特定事項の確認方法は、暫定的な措置として、当分の間、当該顧客から申告を受ける方法とすることができることとする。
- この場合において、特定事業者は、当該顧客について、正規の確認方法によることができることとなった後、遅滞なく、その方法による確認を行うものとする。
- 寄附金の振込に際しての取引時確認対象取引の特例
金融庁 大手損害保険会社に対する行政処分について
- 金融庁は、本日、大手損害保険会社4社(あいおいニッセイ同和損害保険株式会社(本店:東京都渋谷区、法人番号3011001027739)、損害保険ジャパン株式会社(本店:東京都新宿区、法人番号4011101023372)、東京海上日動火災保険株式会社(本店:東京都千代田区、法人番号2010001008824)、三井住友海上火災保険株式会社(本店:東京都千代田区、法人番号6010001008795)。以下「各社」という。)に対し、下記のとおり業務改善命令を発出した。
- 業務改善命令の内容
- 保険業法第132条第1項に基づく命令(業務改善命令)
- 業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下を実施すること。
- 今回の処分を踏まえた経営責任の所在の明確化
- 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)に抵触すると考えられる事案、同法の趣旨に照らして不適切な行為があった事案について、更なる事案の特定、調査等
- 共同保険を含む企業保険分野における適正な競争実施のための環境整備に向けた方策の検討、実施
- 適正な営業推進態勢及び保険引受管理態勢の確立(独占禁止法等の法令の趣旨に照らし、不適切な行為のインセンティブとならない営業目標の策定やリスクに応じ適正な保険料を提示できる営業活動を実現するための方策の策定を含む)
- 独占禁止法等を遵守するための適切な法令等遵守態勢の確立(営業担当者をはじめとする社内関係者及び代理店に対する十分な教育や適切な監督態勢の構築を含む)
- コンプライアンス・顧客保護を重視する健全な組織風土の醸成(独占禁止法等の重要な法令遵守よりも自社の都合を優先する企業文化の是正策を含む)
- 上記を着実に実行し、定着を図るための経営管理(ガバナンス)態勢の抜本的な強化
- 上記1.(2を除く)に係る業務の改善計画を、それぞれの事項について具体的な方策を立て、可能なものには数値目標を設定した上で、令和6年2月29日(木)までに提出し、ただちに実行すること。2月29日(木)の提出に先んじて、中間的な検討状況を1月31日(水)までに報告すること。当該計画の実施完了までの間、3か月毎の進捗及び改善状況を翌月15日までに報告すること(初回報告基準日を令和6年5月末とする)。
- 上記1.2の調査結果等について、令和6年2月29日(木)までに報告すること。
- 保険業法第132条第1項に基づく命令(業務改善命令)
- 処分の理由
- 保険業法第128条第1項に基づく各社からの報告の結果、以下の独占禁止法に抵触すると考えられる行為及び同法の趣旨に照らして不適切な行為(以下「不適切行為等」という。)並びにその背景にある態勢上の問題が認められた。
- 独占禁止法に抵触すると考えられる行為及び同法の趣旨に照らして不適切な行為
- 各社からの報告によれば、別紙のとおり、少なくとも1社の保険会社において不適切行為等があるとされた保険契約者が576先あった(令和5年12月26日時点。1社から報告458先、2社以上から報告118先。今後、上記Ⅰ.1.2の追加調査において精査予定)。主には以下のような類型が認められた。
- 幹事社・シェア等の契約条件について現状維持をしたいと考え、保険料等を調整したもの
- 他社から保険料調整等の打診があり、応じたもの
- より有利な条件(保険料等)で契約をするために(不利とならない場合を含む)、他社と調整をしたもの
- 他社水準と大きく乖離した条件を提示することで、他契約(保険契約者や代理店が当該契約と同一)への悪影響を懸念し、他社の保険料等を確認した上で、契約条件を提示したもの
- 代理店から保険料調整等の打診があり、応じたもの
- こうした不適切行為等は、特定の部署で発生又は特定の担当者が実行したのではなく、社内の企業営業部門を中心に広く認められたところ、それらは以下の要因によるものと考えられる。
- 損害保険業界を取り巻く環境変化や独占禁止法遵守に向けた取組みの変化
- 1998年の損害保険料率算出団体に関する法律(昭和23年法律第193号)の改正を皮切りに、保険料率の自由化が進められ、損害保険業界においては、保険料の引き下げによる販売競争が行われる環境が整えられた。
- また、損害保険業界では、1994年10月の公正取引委員会から日本損害保険協会に対する警告(自動車保険の修理工賃をめぐるカルテル疑惑)、1996年12月の公正取引委員会から日本機械保険連盟に対する排除勧告など、独占禁止法をめぐる問題が顕在化したことから、現在の大手損保3グループになる合併前の各社では、同法を遵守するため、独占禁止法遵守に特化した組織の組成や、ガイドライン作成、研修の実施などの各種の取組みを進めてきた。
- しかし、時間の経過とともに、2005年に発生した保険金支払漏れの問題への対応や、2016年の改正保険業法の施行等により、独占禁止法遵守に特化していた組織がコンプライアンス部門に組み込まれる形で改組されたり、独占禁止法に関する研修内容が遵守すべき関係法令の中に包含され独占禁止法に特化した記載が削除されるなど、各社では独占禁止法遵守に係る取組みが相対的に縮小又は廃止された。
- 2000年代以降には、損害保険会社の合併により大手社の数が減少し、限られた営業担当者同士がコミュニケーションを取る機会が増加した。
- 2010年代後半からは、自然災害の頻発・激甚化等により、損害保険業界全体として、火災保険の大幅な赤字が常態化した。そのため、損害保険大手各社は、トップライン(保険料収入)からボトムライン(利益)重視に舵を切る又はボトムラインを向上させる取組みをより強化した。これにより、保険契約の更改にあたって、特に保険料の値上げや補償内容の縮小など、保険契約者と利害が対立しやすい交渉が行われる機会が増加してきたと考えられる。
- 更に、企業向け保険契約においては、新規契約の割合が小さく、総じて減少傾向にあり、更改契約での脱落やシェアダウンを新規契約獲得で挽回しにくい状況にあり、営業担当者にとって、更改契約を落とせないというプレッシャーが年々強まっていく状況にあったと考えられる。
- こうした環境変化は、特に共同保険の引受けにあたって、引受保険会社の担当者間で、保険料等を事前に調整し保険契約者等との交渉に係る負担軽減を図る動機の形成を招いたものと考えられる。
- 実際に、別紙3ページのとおり、不適切行為等が開始された時期を見ると、2017~2020年に件数が増加し、2021年に一旦減少したあと、概ね横ばいになっている。
- 企業向け営業担当者を取り巻く環境
- 保険契約者(顧客企業)との関係性
- 自由化の進展と企業側のコスト意識の高まりを受け、特に企業火災については保険料水準が2017年頃まで下げ基調が続いた後、2018年頃から自然災害の頻発・激甚化を契機とした損害率悪化に伴い、料率の引上げが必要となった一方、保険料の引き下げを求める保険契約者との関係上、実態的に保険料の引き上げが困難となる中、保険料の値崩れを防いで一定の価格水準を確保したいという損害保険会社各社共通の意向が形成された場合もあったと考えられる。
- 企業向け保険契約の入札等においては、政策株式保有割合や本業への支援など、保険契約の条件以外の要素が少なからずシェアに影響を及ぼす場合があり、営業担当者にとっては、シェア獲得・拡大に向けた適正な競争に対する意欲が損なわれた可能性がある。
- また、大口契約になるほど、保険契約者側が保険料等に関する支配力を持つケースが少なくなく、営業担当者としては、競争入札で他社の提示条件から大きく乖離する劣位な条件を提示することによって、保険契約者からの評価を落とし、他の種目に悪影響が及ぶ事態を回避したいという心理が働く場合がある。
- こうした顧客企業との関係性は、基本的に幹事社の保険料を基準として組成される共同保険において、損害保険会社の営業担当者間で情報交換を行い、競争を避け、保険料水準・シェアを維持したいという動機の要因になった可能性がある。
- 代理店との関係性
- 損害保険会社から代理店に対して独占禁止法に関する十分な教育やルールの明示ができていなかったこともあり、一部の代理店においてはその知識が不足しており、代理店主導による不適切行為等も発生した。
- また、代理店が、顧客企業グループに属する企業代理店である場合、顧客企業の入札や見積り合わせを代理店が実質的にコントロールするケースにおいて、企業代理店から保険条件等に関する要請を受けた際、当該要請が、実際には顧客企業の意向か否か明らかではないのに、顧客企業の意向であると損害保険会社の営業担当者が認識する場合があった。また、代理店を介した情報交換において、顧客企業グループに属する企業代理店が関与することにより、保険会社だけでのやりとりではなくなるため、独占禁止法違反又は不適切な行為であるという認識が希薄となる場合もあった。
- 他の損害保険会社との関係性
- 共同保険の引受けにあたっては、保険契約者からの要請に基づき、他の損害保険会社とのリスク調査の共同実施、引受情報の提供・入手を行うことがある。また、契約後の事務的なやり取りも実務上必須となっている。
- 加えて、保険契約者や代理店が主催し、取引のある損害保険会社が一堂に会する懇親会等が開催されることもあり、その対応について損害保険会社同士で打合せを行う機会がある。更に、企業代理店の多くが乗合代理店であることから、各損害保険会社合同での会議や勉強会等を通じて他の損害保険会社との接点が生じる。
- このように、営業担当者が他の損害保険会社と接触する機会が多いという損害保険業界の特性も、不適切行為等を発生させた要因の一つと考えられる。
- 保険契約者(顧客企業)との関係性
- 損害保険業界を取り巻く環境変化や独占禁止法遵守に向けた取組みの変化
- 各社の調査の結果、同じ契約者の複数の保険始期の保険契約に対して継続して不適切行為等が認められたケースが散見されたことに加え、前任者からの引継ぎに基づくものも41%あったことから(別紙4ページ参照)、反復・継続して行われていたと認められる。
- 不適切行為等のうち33%は違法又は不適切と認識しながら行われており、また、67%は担当者が不適切という認識がないか、問題ないと認識していた(別紙5ページ参照)。
これらは、営業担当者において独占禁止法等に抵触する行為若しくは法令の趣旨に照らして不適切な行為を行うリスク(以下「独占禁止法等抵触等リスク」という。)に対する理解が不十分であった、又はコンプライアンス意識や顧客本位等の観点が著しく欠けていたものと認められる。 - 不適切行為等のうち、営業担当者の上司である課長からの指示に基づき行われたものが2%あったほか、担当者が行った不適切行為等について、課長が当該行為を認識していたものが35%、課長に加え部長も当該行為を認識していたものが6%あった。加えて、管理者である課長自身も不適切行為等に及んでいたケースが4%あった(別紙6ページ参照)。このように、営業担当者のみならず、上司も不適切行為等を黙認あるいは誘発する環境を作っていたと認められる。
- 各社からの報告を突合したところ、ある社から独占禁止法に抵触すると考えられる行為として報告のあった事案について、当該行為に関与した他の社から報告がない場合があり、報告事案の網羅性に懸念があるため、不適切行為等に係る追加的調査が必要と考えられる。
- 各社からの報告によれば、別紙のとおり、少なくとも1社の保険会社において不適切行為等があるとされた保険契約者が576先あった(令和5年12月26日時点。1社から報告458先、2社以上から報告118先。今後、上記Ⅰ.1.2の追加調査において精査予定)。主には以下のような類型が認められた。
- 態勢上の問題
- 経営管理(ガバナンス)態勢の機能発揮
- 経営陣は、不適切行為等の発生を防止することの必要性の認識が不十分であった。
- 具体的には、独占禁止法の趣旨を十分に踏まえ、適切に共同保険等の実務を遂行するためには、営業担当者がコンプライアンス意識を持つだけでは不十分であり、個々の局面に応じた具体的なルールが必要となるが、これまで策定されていなかった。経営陣は、具体的なルール策定の必要性や、契約締結前において他社との接触可能性が高い共同保険の性質を踏まえた独占禁止法等抵触等リスクについての認識が不十分であった。
- 監査役監査においても、独占禁止法遵守に関する事項について、監査の中で個別に確認しておらず、独占禁止法に違反する行為がある事実を認識できていなかった。
- 加えて、コンプライアンス・リスク上の重大な問題事象は、ビジネスモデル・経営戦略と表裏一体のものとして生じることが少なくなく、コンプライアンス・リスクは、基本的にこれらに内在するものであることを認識する必要がある。経営陣において、ビジネスモデル・経営戦略を検討する際には、コンプライアンス・リスクを含むリスクについて幅広く検討し、前広に考慮していく必要がある(コンプライアンス・リスク管理基本方針(2018年10月))。本件においては、上記1.(2)で述べた更改契約を落とせないプレッシャーや保険契約者(顧客企業)との関係性がある中で、企業向け火災保険の大幅な赤字を受けてボトムライン改善に向けた取組みにどのようなリスクがあるか、経営陣においては十分に検討することが必要であったと考えられるものの、こうした検討を行っていなかったことが、営業担当者が不適切行為等を行わざるを得なかった環境を作ってしまったものと考えられる。
- 3線管理態勢の整備・確立
- 各社では、独占禁止法等抵触等リスクについて意識・理解の浸透が図られていなかったことから、営業部門(第1線)、コンプライアンス部門・リスク管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)の各層において、以下のとおり、独占禁止法を遵守するための態勢整備が不十分であり、不適切行為等の発生を看過してしまう業務運営態勢であることが認められる。
- 営業部門(第1線)
- 営業担当者が、独占禁止法の趣旨を十分に踏まえ、適切に共同保険等の実務を遂行するためには、個々の局面に応じた具体的なルールが必要となるものの、これまで策定されていない。このため、競合他社との接触に関する明確なルールがない中で、各社の営業担当者が特段の抵抗なく他社の営業担当者と接触したケースが多く認められた。
- また、営業担当者は、代理店を介して、保険料算出に必要な情報を入手することが多い。その際、どのような情報を、どのタイミングで、誰から入手すれば独占禁止法に抵触しないのか等の理解が不十分であり、情報入手に関するルールも確立されていない。
- 更に、共同保険の契約締結前において他社との接触可能性が高いことを踏まえれば、独占禁止法等抵触等リスクについての高度な理解が求められる。このため、独占禁止法に特化した社内研修が、各階層別に実施される必要があるものの、これまで、そのような研修は十分に行われていなかった。
- コンプライアンス部門・リスク管理部門(第2線)
- リスク評価において、独占禁止法等抵触等リスクについて、重要性の基準が不明確であったため、営業部門でも明確なリスク認識がなく、コンプライアンス部門への不適切行為等に関する報告はほとんどなかった(別紙7ページ参照)ことに加え、報告があったケースにおいてもコンプライアンス部門又はリスク管理部門において適切に評価ができておらず、当該リスクに対する十分な認識がなく、適切な対応が取られなかった。
- 加えて、役職員等に対する周知・啓発についても、独占禁止法以外を含む一般的な法令遵守に向けた対策にとどまるか、独占禁止法に注目していたとしても、一般的な注意喚起しか行っておらず、営業部門の実務を想定した具体的な事例に即した対策が講じられていなかった。
- また、各社においては、内部通報制度等を設けている。これまで、独占禁止法違反に関するこうした通報制度への通報・相談は皆無又は僅少であった一方、今回各社において行われたアンケート調査では、他の営業担当者の不適切行為等についての回答が多数寄せられた。このことから、役職員の独占禁止法に関する法令遵守意識が希薄であったり、独占禁止法に関する正しい理解が不十分であったために、内部通報制度等が十分にその機能を発揮できていなかった実態が認められる。
- 内部監査部門(第3線)
- 内部監査部門は、本来、営業部門やコンプライアンス部門・リスク管理部門から独立した立場で、コンプライアンス・リスクに関する管理態勢について検証し、管理態勢の構築やその運用に不備があれば、経営陣に対し指摘して是正を求めること等が求められる。不適切行為等が発生していれば、そうした行為の発生リスクについて指摘をすべきであったところ、独占禁止法等抵触等リスクに着目した監査を実施しておらず、これまで不適切行為等を発見できなかった。
- 営業部門(第1線)
- 各社では、独占禁止法等抵触等リスクについて意識・理解の浸透が図られていなかったことから、営業部門(第1線)、コンプライアンス部門・リスク管理部門(第2線)、内部監査部門(第3線)の各層において、以下のとおり、独占禁止法を遵守するための態勢整備が不十分であり、不適切行為等の発生を看過してしまう業務運営態勢であることが認められる。
- 代理店に対する対応
- 代理店を介して、又は代理店の主導により、明示又は暗黙の合意形成がなされた場合は、保険会社間の直接のやりとりがなかったとしても、独占禁止法に抵触するおそれがある。
- そのため、各社においては、自社の営業担当者だけでなく、代理店に対する十分な教育を行うとともに、適切に監督すべきであったが、そうした対応ができておらず、代理店主導又は代理店が関与した不適切行為等が発生した一因になったものと認められる。
- こうした状態から、各社が代理店を適切に教育・監督すべきであったにも関わらず、適切な監督態勢が構築できていなかったことが認められる。
- 当庁が考える真因及び今後の対応の必要性
- 当庁としては、これらの問題の真因は、以下のとおりであると考えている。
- 企業保険分野においては、次の要因があり、独占禁止法等抵触等リスクが発現しやすい環境であったことに加え、こうした環境を踏まえた対応を経営陣が十分に検討しなかったこと
- 損害保険会社の数が限られているため、他の損害保険会社との接触機会が多く、連絡を取るのが容易
- 政策株式保有割合や本業への支援など、保険契約の条件以外の要素が少なからず影響する顧客企業との関係
- 顧客企業グループに属する企業代理店の不明確な位置付け
- 基本的に幹事社の保険料を基準として組成される共同保険のビジネス慣行
- 営業部門が、更改契約のシェアや幹事社の維持を求められたことで、リスクに応じた適正な保険料を提示することが困難になる中、ボトムラインの改善(保険料の値上げや補償内容の縮小等)も求められたため、不適切行為等を行う必要性が高まったこと
- 営業担当者をはじめとする社内関係者及び代理店に対し、独占禁止法等に関する十分な教育・監督を行ってこなかったリスク認識の甘さ
- 違法又は不適切と認識しながらも、自社の都合を優先し不適切行為等に及んだ営業部門、それらを認識できなかったコンプライアンス部門及びリスク管理部門、内部監査部門の下で醸成された、コンプライアンス・顧客保護を軽視する企業文化
- 企業保険分野においては、次の要因があり、独占禁止法等抵触等リスクが発現しやすい環境であったことに加え、こうした環境を踏まえた対応を経営陣が十分に検討しなかったこと
- 上記を踏まえると、各社の自主的な取組みに委ねるだけでは抜本的な解決にならない可能性があり、各社の確実な業務改善計画の実施及び定着を図っていくためには当局の関与が必要と判断し、業務改善命令を発出した。
- 当庁としては、これらの問題の真因は、以下のとおりであると考えている。
- 経営管理(ガバナンス)態勢の機能発揮
▼ (別紙)大手損害保険会社の保険料調整行為等に係る調査結果について
- 調査の対象期間は少なくとも過去5年間とするよう各社に指示
- 各社においては、全営業部店向けのアンケート調査は過去7年間、リスクベース調査(各社が高リスクの契約を抽出)は過去5~7年間を対象として実施
- その結果、大手損害保険会社4社からの報告によれば、少なくとも1社の保険会社において、不適切行為等があるとされた保険契約者が576先※あった(令和5年12月26日時点。1社から報告458先、2社以上から報告118先)。
- 幹事・シェア等を現状維持したいために不適切行為等に及んだものが50%、他社から打診があり応じたものが39%あった。
- 全体として、不適切行為等の開始時期としては、2017~2020年に件数が増加し、2021年に一旦減少したあと、概ね横ばいになっている。
- 書面又は口頭で引継ぎがあったケースが41%あった。
- 違法又は不適切と認識していたケースが33%あった。
- 上司(課長以上)が認識していなかったケースは53%だった。上司が認識・指示していたケース、課長自身の行為も見られた。
- 第2線に相談・報告が行われなかったケースが99%だった。
- 現状維持を目的としたものは50%。そのうち、33%が互いの既契約を維持するため、37%がポジションダウンを避けるため、30%が料率算出の負担等を鑑み他社保険料を上回る保険料を提示したものだった。
- 他社から保険料調整等の打診があり、応じたものは39%。そのうち、53%は悪いことだと認識していたが応じたものだった。
- より有利な条件(保険料等)で契約をするために(不利とならない場合を含む)、他社と調整をしたものは18%。そのうち、幹事社としての引受やキャパシティ確保が困難だったために不適切行為等に及んだケースが11%、料率改善を目的としたものが89%あった。
- 既存の取引への影響を懸念したものは15%。そのうち、39%は同じ代理店が扱う他の契約、61%は同じ契約者の他の契約への影響を懸念したものだった。
- 代理店から保険料調整等の打診があり、応じたケースは12%。そのうち、85%は代理店からシェアや幹事社の変更が無いよう指示があったものだった。
金融庁 監査法人及び公認会計士の懲戒処分等について
- 金融庁は、本日、太陽有限責任監査法人(法人番号4010405002470)及び公認会計士2名に対し、下記の懲戒処分等を行いました。
- 監査法人
- 処分の対象者
- 太陽有限責任監査法人(法人番号4010405002470)(所在地:東京都港区)
- 処分の内容
- 契約の新規の締結に関する業務の停止 3月(令和6年1月1日から同年3月31日まで。ただし、既に監査契約を締結している被監査会社について、監査契約の期間更新や上場したことに伴う契約の新規の締結を除く。)
- 業務改善命令(業務管理体制の改善。詳細は下記4参照)
- 処分理由に該当することとなったことに重大な責任を有する社員が監査法人の業務の一部(監査業務に係る審査)に関与することの禁止 3月(令和6年1月1日から同年3月31日まで)
- ※併せて、同日、約9,600万円の課徴金納付命令に係る審判手続開始を決定
- 処分理由
- 太陽有限責任監査法人(以下「当監査法人」という。)の社員である下記2名の公認会計士が、株式会社ディー・ディー・エス(以下「当社」という。)の平成29年12月期、平成30年12月期及び令和元年9月第三四半期から令和3年12月期に係る開示書類の訂正報告書に記載された財務書類並びに令和4年3月第一四半期の財務書類の監査において、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明した。
- 当該監査業務に係る審査を実施した社員は、上記処分理由に該当することとなったことに重大な責任を有すると認められる。(根拠条文:公認会計士法(昭和23年法律第103号)(以下「法」という。)第34条の21第2項第2号、同条第3項)
- 処分の対象者
- 公認会計士
- 懲戒処分の対象者及び内容
- 公認会計士 藤本(登録番号:19657号):業務停止6月(令和6年1月1日から同年6月30日まで)
- 公認会計士 樹神(登録番号:23186号):業務停止6月(令和6年1月1日から同年6月30日まで)
- 処分理由
- 上記2名の公認会計士は、当社の平成29年12月期、平成30年12月期及び令和元年9月第三四半期から令和3年12月期に係る開示書類の訂正報告書に記載された財務書類並びに令和4年3月第一四半期の財務書類の監査において、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明した。(根拠条文:法第30条第3項において準用する同条第2項)
- 懲戒処分の対象者及び内容
- 事案の概要
- 当社は、平成29年12月期から令和3年12月期まで、それぞれの期に係る有価証券報告書及び四半期報告書(以下「当初報告書」)に記載された連結財務諸表等において、売上の過大計上及び貸倒引当金繰入額の過少計上等の不適正な会計処理を行った。
- また、当該不適正な会計処理を訂正するにあたり、貸借対照表の当事業年度の繰越利益剰余金から前事業年度の繰越利益剰余金を差し引いた金額と損益計算書の当期純損失等が本来整合すべきであったにもかかわらず整合していなかったなど、多くの虚偽記載のある連結財務諸表等を作成し、令和4年8月12日、同様の虚偽記載がある連結財務諸表を含む令和4年3月第一四半期報告書とともに東海財務局に提出した。
- 当監査法人の業務執行社員は、当社の当初報告書に係る訂正報告書に記載された財務書類の監査及び令和4年3月第一四半期の財務書類の監査(以下「訂正監査等」という。)を実施するに当たり、監査チームから情報を適切に収集することができておらず、監査意見を表明するまでに必要な時間を正しく認識できていなかったほか、監査補助者が実施した監査手続の状況を十分把握していなかった。
- また、業務執行社員は、訂正監査等において、当社に対して主要な論点を提示し訂正の指導を行い、当該指導内容が連結財務諸表等に適切に反映されることで、適切な連結財務諸表等が作成されるはずと思い込み、その後に当社が作成した連結財務諸表等について、その表示方法が適切であるかどうかについての確認を行わず、また、監査補助者に対して表示方法が適切か確認を行うよう指示を行いその結果の査閲を行うような手続きも実施しないまま、重大な虚偽のある財務書類について、重大な虚偽のないものとして意見表明を行った。
- また、監査業務に係る審査では、監査チームが行った監査上の重要な判断及び監査意見を客観的に評価する必要があるところ、当監査法人の審査担当社員は、重大な虚偽の記載があることが外形的に明らかな財務書類について業務執行社員が無限定適正意見を表明しようとしているにも関わらず、当該業務執行社員が財務諸表の表示の適正性を評価したかについて十分に検証しないまま本件についての対応を終了する等、十分な審査を実施しなかった。
- 以上のとおり、当監査法人の社員は、当社の訂正監査等において、相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明したものと認められる。
- 業務改善命令の内容
- 今回、当社に対する監査において虚偽証明が行われたことを踏まえ、法人としての適切な監査実施態勢を整備すること。
- 監査チームが行った監査上の重要な判断を客観的に審査し、監査手続の不備を発見・抑制できる審査態勢を整備すること。
- 監査実施者が職業倫理を遵守し、責任ある意見表明を行う体制を構築する観点から、監査法人内の人事管理や研修態勢を含め、組織の態勢を見直すこと。
- 監査法人の品質管理システムの整備及び運用を可能とするために、情報と伝達に関する適切な品質管理目標を定め、これを実施できる態勢を整備すること。
- 上記1から4に関する業務の改善計画を、令和6年1月31日までに提出し、直ちに実行すること。
- 上記5の実行後、当該業務の改善計画の実施完了までの間、令和6年2月29日及び同年3月29日に第1回目、第2回目の報告を行い、同年3月31日以後、3か月ごとに計画の進捗・実施及び改善状況を取りまとめ、翌月15日までに報告すること。
金融庁 フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングによる預金の不正送金被害が急増しています。
- メールやショートメッセージサービス(SMS)、メッセージツール等を用いたフィッシングと推察される手口により、インターネットバンキング利用者のID・パスワード等を盗み、預金を不正に送金する事案が多発しています。令和4年8月下旬から9月にかけて被害が急増して以来、落ち着きを見せていましたが、令和5年2月以降、再度被害が急増しています。12月8日時点において、令和5年11月末における被害件数は5,147件、被害額は約80.1億円となり、いずれも過去最多を更新しています。
- SMS等を用いたフィッシングの主な手口
- 銀行を騙ったSMS等のフィッシングメールを通じて、インターネットバンキング利用者を銀行のフィッシングサイト(偽のログインサイト)へ誘導し、インターネットバンキングのIDやパスワード、ワンタイムパスワード等の情報を窃取して預金の不正送金を行うもの。
- 被害に遭わないために
- こうした被害に遭わないために、以下のような点を参考にしてください。
- 日々の心がけ
- 心当たりのないSMS等は開かない。(金融機関が、ID・パスワード等をSMS等で問い合わせることはありません。)
- インターネットバンキングの利用状況を通知する機能を有効にして、不審な取引(例えば、ログイン、パスワード変更、送金等)に注意する。こまめに口座残高、入出金明細を確認し、身に覚えのない取引を確認した場合は速やかに金融機関に照会する。
- 金融機関のウェブサイトへのアクセスに際しては、SMS等に記載されたURLからアクセスせず、事前に正しいウェブサイトのURLをブックマーク登録しておき、ブックマークからアクセスする。または、金融機関が提供する公式アプリを利用する。
- スマートフォンやパソコン、アプリの設定
- 大量のフィッシングメールが届いている場合は、迷惑メールフィルターの強度を上げて設定する。
- 金融機関が推奨する多要素認証等の認証方式を利用する。
- 金融機関の公式サイトでウイルス対策ソフトが無償で提供されている場合は、導入を検討する。
- パソコンのセキュリティ対策ソフトを最新版にする。
- 日々の心がけ
- こうした被害に遭わないために、以下のような点を参考にしてください。
金融庁 「記述情報の開示の好事例集2023」の公表(サステナビリティに関する考え方及び取組の開示)
▼ 有価証券報告書のサステナビリティに関する考え方及び取組の全般的な開示のポイント
- サステナビリティ情報では、比較可能性、透明性、独自性の3つの観点が重要であり、どのようにサステナビリティに取り組んでいるかについて透明性を持った開示をすることや、どこに注力しているのか、どこにどのような強みを持っているのかといった各社の独自性を持った取組みについて開示をすることは有用
- 戦略と指標及び目標は、有価証券報告書での開示は義務付けられていないが、全体像を話す際には、戦略と指標及び目標についても、どのような考え方や取組み方針を持っているかについて示すことが有用
- サステナビリティに関する取組みにより、企業価値がどのように創出されるかを丁寧に説明することは有用
- ESGやサステナビリティに関するKPIについて、KPIを選定した理由や算定方法等について説明することは有用
- 指標及び目標では、目標値と実績値に加え、現状の考察が記載されることは有用
- 非財務情報は、超長期の方針・計画等の将来の方向性を財務情報で示すことができないために、財務情報の代わりに求められている。そのため、非財務情報と財務情報の連動性や開示のタイミングを整合させることは有用
- 現在の状況だけでなく、時間軸を持った開示を行うことは有用
- 第三者保証を見据えて限られた情報を開示するのではなく、必要な情報は積極的に開示することが有用
- 開示の改善や施策の継続には、経営陣からの強いコミットメント及び適切なリソース配分が必要
▼ 2.「気候変動関連等」
- 投資家・アナリスト・有識者が期待する主な開示のポイント
- TCFDにおいてもScope3が求められており、開示がない場合には「開示に消極的で劣後している」と見られるため、Scope3についても開示することが有用
- 気候変動の開示においては、Scope3の開示に加えて、シナリオ分析を行うにあたっての前提条件や想定期間の明示、機会とリスクの事業インパクト、目標値の5つの開示が重要な要素になるシナリオ分析においては、自社に関係のある情報をシナリオに反映することにより、分析の過程や結果が分かりやすく納得感のあるものになるため有用
- シナリオ分析等において、データソースを開示することは有用
- 生物多様性や水資源等は、TCFDの次の重要なテーマであり、積極的に開示していくことは有用
- 自然資本を使っている業界にとっては、気候変動、水リスクや生物多様性等の自然資本は相互に関連しているため、3つのリスクを同時に開示することが有用
- 自然資本や水リスクの場合、地域をどのようにリスクマネジメントするかが重要であるため、拠点ごとの評価が有用
- 好事例として採り上げた企業の主な取組み(株式会社サンゲツ)
- 経緯や問題意識
- 当社グループやサプライチェーン全体でGHG及び資源に関して、どのような環境の負荷があるか、全体像の明確化が必要だった。
- プロセスの工夫等
- 目標や施策を個別に示すだけでなく、当社が行う事業活動のどの場面で、どのような環境負荷が発生しているかの全体感を示した。また、当社を含むサプライチェーンの「どこ」で環境負荷が生じているのかを整理すると共に、重点的に取り組むべき箇所の明確化を図った。
- 販売ツールである見本帳の発行冊数等は従来は非開示としていたため、関係部署からの反対もあったが、こうした数値を出すことで環境負荷の大きさを具体的にイメージしやすくなると考え、経営層も含めた議論の末、開示に至った。
- 充実化のメリット等
- 当社の販売形態・商流は複雑であり、商品や重要な販売ツールである見本帳といった「モノ」の流れを見える化をすることで、社内外ともに課題認識を共有できるきっかけとなった。
- 経営層を含め、社内でどのような問題、課題があるかを整理したことで、その問題解決に向けた取組みを着実に進めることができた。また、社外に対しても当社の取組みの重要性をより理解してもらえた。
- 5か年分の数値を示したことで、長期持続的に取り組んでいる面を認識してもらえた。
- 統合報告書等との棲み分け
- 有価証券報告書は、該当する事業年度を軸として、「現在の状況」と「将来に向けた成長戦略」が主な内容となり、できるだけ定量的な表現を意識した。
- 統合報告書は、「過去実行してきたこと」、「現在の成長戦略」、「未来像・社会に生み出す価値」といったストーリーを意識し、長期的な時間軸を理解してもらえるように努めた。また、役員及び社員から様々な「人」が登場することを意識した。
- 経緯や問題意識
- 好事例として採り上げた企業の主な取組み(キリンホールディングス株式会社)
- 経緯や問題意識
- 開示をステークホルダーとの対話手段と考え、以前から新たなルールやフレームワークを積極的に試行する等、先行開示の取組みを行ってきた。
- 気候変動とその他の環境課題に対して統合的なアプローチで取り組むことを重視するため、TCFDに加えてTNFDのフレームを用いることで、当社の取組みをより正確に説明することが出来ると分かり、今回の開示に至った。
- プロセスの工夫等
- 将来展望であるサステナビリティ情報を、有価証券報告書にどこまで掲載するかについては、社内で議論が分かれた。サステナビリティ情報に関する事実を報告するという内容ではなく、予定計画を掲載することが、有価証券報告書に掲載する情報として適しているのかどうかという点を議論した。
- 上述のとおり、先行開示に対する考え方があったことに加え、他媒体で既に開示を進めていた内容であったこと、経営層の後押しも得られたことから、開示に至ることが出来た。
- 充実化のメリット等
- サステナビリティ情報にかかる要求事項(人的資本)の戦略や実行に関する社内の議論が深まった。
- 当社のサステナビリティに関する活動のエッセンスの把握や、その後に統合報告書や環境報告書を参照するきっかけになり、投資家等の当社に対する理解に資すると考えている。
- 統合報告書等との棲み分け
- 有価証券報告書では、重要性の高いメッセージやより伝えたいことに絞り込んだ。
- 気候変動にかかる投資計画については、他媒体と比較し、財務との関連性をより分かりやすく記載することを意識し、環境投資指標におけるNPVの使用や投資判断におけるICP導入と実績・計画について定量的に記載した
- 経緯や問題意識
金融庁 「金融セクターのサードパーティ・サプライチェーンのサイバーリスク管理に関する調査報告書」の公表について
▼ (別添2)「金融セクターのサードパーティ・サプライチェーンのサイバーリスク管理に関する調査」概要
- 今回調査対象とした米国大手金融機関では、サードパーティ・サプライチェーンに対するサイバーリスクを認識し、専門家の育成、人的リソースの確保、部門相互が密に連携する体制を敷くことで対応していた。相談して解決策を見出すカルチャーの醸成、情報の蓄積や連携を効率化するツールの活用も進められていた。
- これらはいずれも新たな脅威を重要なリスクとして認識し、これに適切に対応するための仕組み作りや体制作りが進められてきた結果と考えられる。
- 組織体制
- サードパーティサイバーリスク管理(TPCRM)の専担者がグローバルにリスク管理を行っている。また、1線及び2線において牽制機能があるなど組織的にTPCRMを行うための仕組みがある。
- 人的リソース リスク管理ツール
- 数千社のサードパーティを管理するために、TPCRM部門に百人規模でサードパーティのサイバーリスク管理の専門家を配置し、人材の量と質の向上に努めている。
- リスク管理に関わる作業は内製、市販ツールの活用により効率化している。
- リスク管理手法
- 評価対象をリスクレベルで分類し、高リスクの評価対象に対するモニタリングに注力する継続的モニタリングを実施している。
- 必要に応じ、4thパーティ(とそれ以降)のリスク評価も金融機関が自ら行っている。
- 自社と同レベルのセキュリティ水準をサードパーティに求めるため、契約や要綱に詳細を明記している。
- ソフトウェア管理 ハードウェア管理
- ソフトウェアサプライチェーンリスク管理面では、ソフトウェア構成解析などの利用可能な手法を組み合わせて可能な限りリスクを把握するとともに必要な対策を進めている。
- ハードウェアセキュリティについては、ファームウェアやUEFI(BIOS)の真正性を確保するための対策の導入などにより、セキュアな調達を実現する取組みが認められる。
- 組織体制
- サードパーティ・サプライチェーンサイバーリスク管理に関する既存ガイダンスや想定される金融機関の状況を踏まえ、調査を実施した
- 調査目的
- 重要性が高まっているサードパーティ・サプライチェーンサイバーリスク管理(TPCRM/C-SCRM)について、その対応が比較的進んでいるとされる米国の大手金融機関における管理手法(先進事例)を調査し、特に本邦金融機関におけるリスク管理等へ
- 調査のアプローチ
- 米国大手金融機関のTPCRM/C-SCRMの(1)組織体制、リソース(人材、専門性など)及び仕組み(管理枠組みやツールなど)、(2)契約による管理をはじめとしたリスク管理プロセス、(3)TPCRM/C-SCRMの観点から、金融機関が課題として認識すべきソフトウェア管理、並びに(4)ハードウェア管理を主たる調査項目とし、まず、金融セクターのTPCRM/C-SCRMに関連する基準やガイダンス等から関連する要素を整理した上で、次に、米国大手金融機関数社を対象に、質問票への回答を依頼するとともにヒアリングを行った。
- 調査領域
- 組織体制 人的リソース 管理の仕組み、ツール
- TPCRM/C-SCRMの管理体制
- 関連業務に充てる人員数、専門性・スキル及びその確保、育成
- ツールの導入、活用状況、利点と問題点
- リスク管理プロセス
- ライフサイクル管理、継続的モニタリングや4thパーティ以降の管理手法
- 契約管理、契約遵守のモニタリング
- サイバー脅威の監視体制
- 契約終了や他サービスへの移行を想定した出口戦略の策定
- 集中リスクの管理、モニタリング
- ソフトウェア管理
- ソフトウェアの脆弱性管理
- ハードウェア管理
- 機器の真正性、ファームウェアの不正書換え防止管理
- セキュアな調達のためのガイドラインや業界標準の利用状況
- 組織体制 人的リソース 管理の仕組み、ツール
- 調査結果要約
- 組織体制 人的リソース 管理の仕組み、ツール
- 組織体制については、1線部署内にTPCRM担当が置かれ、業務部門を牽制する1.5線的な役割を果たしている。
2線部署にもTPCRM担当が置かれ、グローバルで一元的な管理、牽制を行っている。
1線の判断に2線が介入する権限が与えられている。 - 人的リソースについては、管理対象数千社に対しサイバー専門家を百人規模で配置している。業務関連スキル向上のための社内トレーニングやメンター制度を設けている。
- 管理の仕組み、ツールについては、サードパーティとのアンケートのやり取りや回答結果の集約に内製、市販ツールを活用し、効率化している。
- 組織体制については、1線部署内にTPCRM担当が置かれ、業務部門を牽制する1.5線的な役割を果たしている。
- リスク管理プロセス
- ライフサイクル管理については、契約形態に関わらず全てのサードパーティサービス関係を管理対象とし、リスクに応じたモニタリング手法を用いている。・4thパーティ以降に対しては、自社と同水準のコントロールの実施を契約上求めるなど間接的に管理するが、必要に応じて金融機関が自らリスク評価を行うケースもある。
- 契約管理については、契約書や付属書に要件を詳細に規定して遵守を要求し、継続的なモニタリングを行っている。
- サイバー脅威の監視については、サードパーティ及びICTサプライチェーンにおけるサイバー脅威や脆弱性のモニタリングに、サイバー脅威インテリジェンスを活用している。
- 出口戦略については、契約解除、インシデントに起因する代替サービスへの移行に関するプロセスを事前に計画、準備している。
契約終了時の機密情報の返却や必要な支援を提供することを契約上取り決めている。 - 集中リスクについては、代替可能性、地理的集中、複数のサードパーティが共通に利用している4thパーティといった要素を検討し、定期的に集中リスクの評価を実施している。
- ハードウェア管理
- ソフトウェア管理については、脆弱性検査、ソフトウェア構成要素分析、ソースコードレビュー等、受入時のソフトウェアの脆弱性評価を実施している。
- ハードウェア管理については、端末、サーバがファームウェア改ざん防止機能等を有していることを調達基準としている。
会社の倫理基準や法令の遵守などの要件に基づいた制裁対象国及び制裁対象サプライヤーリストを維持している。
- 組織体制 人的リソース 管理の仕組み、ツール
- 調査目的
金融庁 「四半期レビュー基準の期中レビュー基準への改訂及び監査に関する品質管理基準の改訂について(公開草案)」の公表について
▼ (別紙1)四半期レビュー基準の期中レビュー基準への改訂及び品質管理基準の改訂(公開草案)
- 主な改訂点とその考え方
- 四半期レビュー基準の期中レビュー基準への改訂
- 期中レビュー基準への名称変更
- 今般の監査部会における審議の結果、期中財務諸表の種類や結論の表明の形式を異にするレビューも含め、年度の財務諸表の監査を実施する監査人が行う期中レビューの全てに共通するものとして、四半期レビュー基準の名称を期中レビュー基準に改めることとした。
- 期中レビューの目的の改訂
- 期中レビュー基準において、監査基準の枠組みとの整合性にも十分配意し、かつ、現行の四半期レビュー基準の趣旨を踏まえ、改正後の金融商品取引法における中間財務諸表に対するレビューのような一般目的の期中財務諸表を対象とした適正性に関する結論の表明を基本としつつ、一般目的の期中財務諸表又は特別目的の期中財務諸表を対象とした準拠性に関する結論の表明が可能であることを明確にした。
- 実施基準の改訂
- 期中レビューの実施に当たっては、準拠性に関する結論の表明の場合であっても、適正性に関する結論の表明の場合と同様に、期中レビュー手続を実施し、結論の表明の基礎となる証拠を得なければならないことから、「第二 実施基準」が当然に適用されることに留意が必要である。継続企業の前提に関する手続についても、準拠性に関する結論の表明の場合であっても、適正性に関する結論の表明の場合と同様である。また、期中財務諸表に対する期中レビューの結論を表明する場合のほか、期中財務諸表を構成する貸借対照表等の個別の財務表や個別の財務諸表項目等に対する期中レビューの結論を表明する場合についても、期中レビュー基準が適用される(その際、期中レビュー基準中「期中財務諸表」とあるのは、必要に応じ「個別の期中財務表」又は「個別の期中財務諸表項目等」と読み替えるものとする。)。
- なお、特別目的の期中財務諸表には多種多様な期中財務諸表が想定されることから、「第二 実施基準」において、監査人は、特別目的の期中財務諸表の期中レビューを行うに当たり、当該期中財務諸表の作成の基準が受入可能かどうかについて十分な検討を行わなければならないことを明確にした。このほか、特別目的の期中財務諸表の期中レビューを行うに当たっては、当該期中財務諸表が特別の利用目的に適合した会計の基準に準拠して作成されていることに留意する必要がある。
- 報告基準の改訂
- 「第一 期中レビューの目的」において、適正性に関する結論に加えて準拠性に関する結論にかかる記述を付記したことを踏まえ、「第三 報告基準」において、期中レビュー報告書において記載すべき事項を明確にした。すなわち、「第三 報告基準」の「1 結論の表明」では、適正性に関する結論の表明について特別の利用目的に適合した会計の基準により作成される期中財務諸表の場合を付記するとともに、これに加えて、準拠性に関する結論の表明について規定し、監査人が準拠性に関する結論を表明する場合には、作成された期中財務諸表が、当該期中財務諸表の作成に当たって適用された会計の基準に準拠して作成されていないと信じさせる事項が全ての重要な点において認められなかったかどうかについての結論を表明しなければならないこととした。準拠性に関する結論を表明するに当たって、監査人は、経営者が採用した会計方針が、会計の基準に準拠して継続的に適用されているかどうか、期中財務諸表が表示のルールに準拠しているかどうかについて形式的に確認するだけではなく、当該会計方針の選択及び適用方法が適切であるかどうかについて、会計事象や取引の実態に照らして判断しなければならないことにも留意が必要である。
- なお、準拠性に関する結論の表明については、別途の報告基準を改めて規定するのではなく、適正性に関する結論の表明を前提としている報告基準に準じることとしているが、特別目的の期中財務諸表の利用者の誤解を招かないようにするために「第三 報告基準」に「14 特別目的の期中財務諸表に対する期中レビューの場合の追記情報」を設けた。すなわち、特別目的の期中財務諸表に対する期中レビュー報告書を作成する場合には、期中レビュー報告書に、会計の基準、期中財務諸表の作成の目的及び想定される主な利用者の範囲を記載するとともに、期中財務諸表は特別の利用目的に適合した会計の基準に準拠して作成されており、他の目的には適合しないことがある旨を記載しなければならないこととした。また、期中レビュー報告書が特定の者のみによる利用を想定しており、当該期中レビュー報告書に配布又は利用の制限を付すことが適切であると考える場合には、その旨を記載しなければならないこととした。
- 監査に関する品質管理基準の改訂
- 現行の品質管理基準は、監査基準と一体として適用されるほか、中間監査、四半期レビュー及び内部統制監査について準用され、それ以外の監査事務所の業務については、参照されることが望ましいとされている。
- 今般の監査部会における審議の結果、四半期レビュー基準の期中レビュー基準への改訂に伴い、品質管理基準の一部の改訂を行い、期中レビューについて品質管理基準が準用されるように改めることとした。
- 期中レビュー基準への名称変更
- 四半期レビュー基準の期中レビュー基準への改訂
- 不正リスク対応基準との関係
- 期中レビューについては、年度監査と同様の合理的保証を得ることを目的としているものではないことから、不正リスク対応基準は期中レビューには適用されない。
- なお、期中レビューの過程において、期中財務諸表に不正リスク対応基準に規定している不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況を識別した場合等には、監査人は、必要に応じて、期中レビュー基準に従って、追加的手続を実施することになる。
【2023年12月】
金融庁 「犯罪収益移転防止法に関する留意事項について」の一部改訂(案)及び「公認会計士及び監査法人におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(案)の公表について
▼(別紙2)公認会計士及び監査法人におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン(案)
- 公認会計士等の特定業務と特定取引等
- 公認会計士等は、顧客等と一定の取引を行うに際して取引時確認を行うことが必要となるなど、一定の犯収法上の義務が課されている。公認会計士等が行う業務の全てが必ずしも義務の対象となるわけではなく、義務の対象となる業務(以下「特定業務」という。)の範囲が定められている。公認会計士等においては、犯収法別表(第4条関係)中「第2条第2項第48号に掲げる者」の規定により、公認会計士法第2条第2項若しくは第34条の5第1号に定める業務又はこれらに付随し、若しくは関連する業務のうち、一定のもの(以下「特定受任行為の代理等」という。)が犯収法上の義務の対象であり、監査証明業務等は対象とならない。具体的に犯収法上の義務の対象となるものは、例えば、財務に関する相談業務に付随した会社設立等の手続等が考えられる。
- また、公認会計士等が顧客等と取引を行う際に取引時確認が必要となるのは、全ての取引についてではなく、特定業務のうち一定の取引(以下「特定取引等」という。)である。特定取引等には、特定取引とマネロン・テロ資金供与に用いられるおそれが特に高い取引(以下「ハイリスク取引」という。)があり、いずれの取引であるかにより、確認事項及びその確認方法が異なる。特定取引及びハイリスク取引とは、以下の取引を指す。
- <特定取引>(犯収法第4条第1項及び犯収法施行令第9条第1項)
- 特定取引とは、以下の特定受任行為の代理等を行うことを内容とする契約の締結を指す。
- 宅地又は建物の売買に関する行為又は手続
- 会社等の設立又は合併等に関する行為又は手続
- 200万円を超える現金、預金、有価証券その他の財産の管理又は処分
- マネロン・テロ資金供与の疑いがあると認められる取引(犯収法施行規則第5条第1号)
- 同種の取引の態様と著しく異なる態様で行われる取引(犯収法施行規則第5条第2号)
- 特定取引とは、以下の特定受任行為の代理等を行うことを内容とする契約の締結を指す。
- <ハイリスク取引>(犯収法第4条第2項及び犯収法施行令第12条)
- なりすましの疑いがある取引
- 取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある取引
- マネロン・テロ資金供与に関する制度の整備が十分に行われていないと認められる国又は地域に居住し又は所在する顧客等との間におけるものその他特定国5等に居住し又は所在する者に対する財産の移転を伴う取引
- 顧客等が外国PEPs(Politically Exposed Persons)である取引
- ハイリスク取引の場合の確認
- 公認会計士等は、ハイリスク取引に該当する取引を行う場合には、(2)に記載されている通常の本人特定事項等の確認に加え、当該確認の方法とは異なる方法により本人特定事項及び実質的支配者の確認を行うことが求められる(犯収法第4条第2項、犯収法施行規則第14条第1項及び第3項)。さらに、当該ハイリスク取引が200万円を超える財産の移転を伴うものである場合、顧客等の資産及び収入の状況の確認を行うことも求められる。資産及び収入の状況の確認の方法は、疑わしい取引の届出を行うべき場合に該当するかの検討に必要な限度において、例えば、以下の書類を確認する方法とする(犯収法施行規則第14条第4項)
- 取引時確認等を的確に行うための措置
- 公認会計士等は、取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置(以下「取引時確認等の措置」という。)を的確に行うための措置として取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保つための措置を講ずるほか、以下の(2)から(8)の事項を講ずるよう努めることが求められる(犯収法第11条及び犯収法施行規則第32条第1項)。ただし、リスクベース・アプローチの趣旨に鑑み、(3)に記載される事項は、監査法人等の規模や顧客等の特性に応じて措置を講ずることが求められるものであることに留意が必要である。また、監査法人等が複数の事務所を持っている際には、全組織的な管理態勢の構築が必要であることに留意する。また、取引時確認等を的確に行うための措置を講ずるにあたっては、必要に応じて「犯罪収益移転防止法に関する留意事項について」(金融庁)を参照することが望ましい。
- 取引時確認を行った事項に係る情報を最新の内容に保つための措置
- 特定取引等を行っている公認会計士等は、確認を行った事項について、最新の内容に保つための措置を講じることとされている。
- 具体的には、特定取引等に係る長期的な契約を締結している顧客等を有する場合において、公認会計士等は、当初の確認事項からの変更の有無について、定期的に確認を実施することが考えられる。
- 使用人に対する教育訓練の実施
- 公認会計士等の職員等が、犯収法上に定める措置を的確に実施できるようにするため、公認会計士等は、
- 実際に顧客等と接する職員等に、マネロン・テロ資金供与リスクがあるか否かを認識するための具体的な注意点や対応要領について教育訓練する(例えば、監査法人等においては監査法人等主催の関連研修プログラムへの職員等の参加、公認会計士においては、日本公認会計士協会等主催の関連研修会等への参加等を積極的に行うことが考えられる。)
- 監査法人等の規模・形態に応じ、疑わしい取引の届出を行うべき場合に該当するかを一元的に判断する部署を設置するなどの措置を講ずることが考えられる。
- 取引時確認等の措置の実施に関する規程の作成
- 取引時確認等の的確な実施を確保するため、公認会計士等は、取引時確認等の措置の実施手順や対応要領等を定めた規程を作成することが考えられる。
- リスク評価、情報収集、記録の精査
- 特定取引等に係る長期的な契約を締結している顧客等を有する場合において、公認会計士等は、自らが行う取引を定期的に調査、分析して、マネロン・テロ資金供与リスクを評価した上で、必要に応じてこれを書面化し、これを更新することが考えられる。リスク評価の手法は、監査法人等の規模や顧客等の特性に応じて異なるものとなることに留意が必要である。また、作成した書面の内容を勘案し、取引時確認等の措置を行うに際して必要な情報を収集するとともに、当該情報を整理、分析すること、確認記録や取引記録等を継続的に精査することが考えられる。
- 統括管理者の選任
- 監査法人等において、教育訓練の実施、規程の作成、法令の遵守状況の確認等、取引時確認等の的確な実施のために必要な業務の責任の所在を明らかにし、一元的・効率的な業務運営を行うため、取引時確認等の実施等に関する事項を統括管理する者を選任することが考えられる。
- 個人会計事務所については、公認会計士自身が上記の対応に係る責任を有する者であることを認識し、取引時確認等の実施等を行うことになる。
- リスクの高い取引を行う際の対応
- 公認会計士等が外国PEPsとの取引や通常でない取引等のリスクの高い取引15を行うに際しては、上記(5)で定義される統括管理者の承認を得ることが考えられる。また、公認会計士等は、リスクの高い取引を行うに当たって行われる情報の収集、整理及び分析の結果を書面化し、これを確認記録や取引記録等とともに保存することが考えられる。
- 必要な能力を有する職員の採用・育成
- 公認会計士等は取引時確認等の措置が的確に行われるために必要な能力を有する者を採用・育成するために必要な措置を講ずることが考えられる。
- 取引時確認等に係る確認
- 公認会計士等は、取引時確認等の措置の的確な実施のために必要な確認を行うことが考えられる。
- 取引時確認を行った事項に係る情報を最新の内容に保つための措置
- 公認会計士等は、取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置(以下「取引時確認等の措置」という。)を的確に行うための措置として取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保つための措置を講ずるほか、以下の(2)から(8)の事項を講ずるよう努めることが求められる(犯収法第11条及び犯収法施行規則第32条第1項)。ただし、リスクベース・アプローチの趣旨に鑑み、(3)に記載される事項は、監査法人等の規模や顧客等の特性に応じて措置を講ずることが求められるものであることに留意が必要である。また、監査法人等が複数の事務所を持っている際には、全組織的な管理態勢の構築が必要であることに留意する。また、取引時確認等を的確に行うための措置を講ずるにあたっては、必要に応じて「犯罪収益移転防止法に関する留意事項について」(金融庁)を参照することが望ましい。
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼主要行等
- 国連安保理決議の着実な履行について(北朝鮮関連)
- 10月27日、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが、2023年1月から7月にかけての国連加盟国による北朝鮮制裁の履行状況等の調査結果と国連加盟国への勧告を含む中間報告書を公表。
- 同報告書では、
- 北朝鮮が暗号資産関連企業及び取引所等へのサイバー攻撃を継続し暗号資産を窃取していること
- 北朝鮮による石油精製品の不正輸入および石炭の不正輸出が継続していること
等の事案概要や、必ずしも制裁対象ではないが、こうした事案に関与している疑義がある会社名や個人名、船舶の名前について記載。
- 同報告書を踏まえ、各金融機関においては、サイバーセキュリティ対策を徹底していただくとともに、安保理決議の実効性を確保していく観点から、報告書に記載のある企業や個人、船舶については、
- 融資や付保などの取引が存在するかどうかに関する確認、
- 取引がある場合には、同報告書で指摘されている事案に係る当該企業・個人等への調査・ヒアリング、などをしっかりと行った上で、適切に対応いただきたい
- 経済安全保障推進法の施行について
- 経済安全保障推進法における「特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する制度(基幹インフラ制度)」について、来年春頃の運用開始を予定しており、それに向けて、10月4日、特定社会基盤事業者の指定基準に該当すると見込まれる事業者名を公表した。
- 今後、対象事業者に対して指定の通知を行うとともに、事業者名等の公示を行う予定である。
- また、近日中に、特定社会基盤事業者が特定重要設備の導入や維持管理等の委託を行う場合の届出事項等を定める主務省令の公布や、基幹インフラ制度の円滑な運用開始に資するよう金融分野におけるQ&Aの公表も予定している。
- 金融庁においては、対象事業者を含む関係事業者等との恒常的な意思疎通を行うことを目的に、「相談窓口」を設置しており、特定重要設備の導入等に関する事前相談を受け付けている。特に制度運用開始前後に導入等の案件が想定される金融機関においては、早めに相談いただくようお願いしたい。
- 金融庁としては、円滑な制度開始に向けて、金融機関との間で丁寧な対話に努めていく所存であり、引き続き協力いただきたい
▼全国地方銀行協会/第二地方銀行協会
- 共同データプラットフォームに係る高粒度データの報告徴求について
- 金融機関と当局の間で実効的・効率的なデータ収集・管理を行うための共同データプラットフォームについては、
- 2022事務年度に行った実証実験を通じて、金融機関から提出いただく様々な計表の代替可能性や、モニタリングや分析の高度化に高粒度データを活用できる余地が大きいことを確認した。
- これを踏まえて2023事務年度は、データ定義やフォーマットの調整や説明会等に取り組んできたところ。この間、ご協力いただいた方々には感謝申し上げたい。
- そして今般、2023年9月期データより、高粒度データの定期徴求を開始したいと考えている。共同データプラットフォームは新しい取組みであり、金融機関における準備・確認作業も考慮したスケジュールを考えている。
- 引き続き各金融機関の負担に配慮しつつ、共同データプラットフォームの構築に向けた取組を進めていきたいと考えているので、御協力をお願いしたい。
- マネロン対策等に関する半期フォローアップアンケート結果の還元及び業態横断的なフォーラムについて
- マネロン等リスク管理態勢の整備について、2023年10月に各行に依頼した、「マネロンガイドラインに基づく態勢整備状況の確認アンケート」に協力いただき感謝申し上げる。
- 経営陣におかれては、当該アンケート結果も活用しつつ、自行における対応の進捗をきめ細かく確認いただき、2024年3月までにマネロンガイドラインで求めている態勢整備が確実に完了するよう対応をお願いしたい。
- また、現在、財務局と連携して、近隣地域ごとに、各行の課題や悩みを共有し解決策を検討する場として、マネロン担当役員を対象とした業態横断的なフォーラムを順次開催している。
- 当該フォーラムを足がかりとして、近隣地域の金融機関同士で情報交換していただき、態勢整備の対応の一助としていただきたい。
- 当庁としては、今後も協会と連携し、各行の取組状況を適時に把握しつつ、ニーズに沿った勉強会や業態横断的なフォーラムを開催するなど、きめ細かい支援を行っていく。
- 各行においては、当庁の取組みも活用いただいた上で、マネロンガイドラインで求めている態勢整備を2024年3月末までに確実に完了する必要があることを強調させていただく
金融庁 バーゼル銀行監督委員会によるワーキング・ペーパー「気候変動関連金融リスクが銀行に与える影響についての文献レビュー」の公表について
▼「気候変動関連金融リスクが銀行に与える影響についての文献レビュー」(概要)
- 本レビューでは、銀行が気候変動によってどのような影響を受けるかに焦点を当てた経済学と金融の最近の実証的文献を、特にミクロ経済学の証拠に重点を置いて記述する。気候変動が経済や金融システムに及ぼす影響を分析する研究の多くは、マクロ経済レベルでのモデル化の仮定に依存している。これらの評価を改善するためには、気候変動が特定のポートフォリオに及ぼす影響に関する詳細な情報が必要であり、ストレステストに使用されるモデルの調整に役立ちます。
- 本稿では、これまでの銀行への影響が比較的緩やかである理由を理解することに焦点が当てられている。著者らは、リスクが実質的に小さいか、無視できるか、あるいは銀行や市場が誤って織り込んでいるか、という2つの対立仮説を検討している。
- 著者らは、気候変動が信用リスク、市場リスク、融資基準の3つの指標に及ぼす影響を調査している。また、気候変動が特定のポートフォリオ、すなわち住宅や企業の不動産に与える影響や、より一般的には、非金融企業や中央政府、地方政府(州や地方自治体)に対する気候変動の影響についても議論しています。また、著者らは、マクロ経済の相互作用や、分析において無視できない二次的な影響を考慮することで、視野を広げています。
- 全体として、この論文の主な貢献は、クレジット・スプレッド、債券スプレッド、非金融企業株式の期待リターン、不動産価格を考慮して、レビュー中の論文間で気候変動の影響の分布を提供することです。
金融庁 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」・「資産運用に関するタスクフォース」報告書の公表について
▼(参考)金融審議会 市場制度ワーキング・グループ・資産運用に関するタスクフォース 報告書 概要
- 家計からの投資の運用を担い、リターンを生み出す資産運用会社の高度化を図るとともに、企業への成長資金の供給を促し、その成果を家計に還元することで、インベストメント・チェーンを通じた「成長と分配の好循環」を推進し、資産運用立国の実現に向けた取組みを進める。★は要法改正事項
- 資産運用会社の高度化 家計を含む投資家へのリターン向上、投資先の企業価値の向上
- 投資運用業の参入要件の緩和(ミドル・バックオフィス業務の委託等)★
- 新興運用業者促進プログラム(日本版EMP)の実施
- 大手金融グループにおける運用力向上やガバナンス改善・体制強化
- 金融商品の品質管理を行うプロダクトガバナンスに関する原則の策定
- 投資信託に関する日本独自の慣行の見直し(一者計算の促進等)
- アセットオーナーに対する金融機関の取組み 顧客等の最善利益の確保
- 金融機関による顧客等の最善利益を確保する観点からの運用や、DC加入者への運用商品の適切な選定・提案、情報提供の充実を促進
- スチュワードシップ活動の実質化 日本企業・日本市場の魅力向上
- 価値向上に向けた対話促進のための大量保有報告制度の見直し等★
- 成長資金の供給と運用対象の多様化 スタートアップの活性化、収益機会の拡大
- ベンチャーキャピタル向けのプリンシプルの策定
- 非上場株式を組み入れた投資信託・投資法人の活用促進
- 投資型クラウドファンディングの活性化
- 事後交付型株式報酬に係る開示規制の明確化
- 非上場有価証券のセカンダリー取引の活性化(仲介業者の規制緩和)★
- 家計の投資環境の改善 金融リテラシーの向上、貯蓄から投資への推進
- 金融経済教育推進機構を中心とした金融経済教育の推進
- 累積投資契約のクレジットカード決済上限額の引上げ(5万円から10万円に)
- 資産運用会社の高度化 家計を含む投資家へのリターン向上、投資先の企業価値の向上
- 資産運用会社の高度化(⇒家計を含む投資家へのリターン向上、投資先の企業価値の向上)
- 大手金融グループにおける運用力向上・ガバナンス改善・体制強化
- 大手金融機関グループにおいて傘下資産運用会社等の人材育成を含む運用力向上やガバナンス改善・体制強化のためのプランの策定・公表
- プロダクトガバナンスの確保
- 資産運用会社による適切な金融商品の組成、管理、透明性を確保するためのプロダクトガバナンスに関する原則を策定(※「顧客本位の業務運営に関する原則」の改訂)
- 投資信託に関する日本独自の慣行の見直し
- 基準価額の計算について資産運用会社と信託銀行の双方で行う二重計算の慣行を見直し(業界における一者計算に向けた計理処理の標準化等の取組みを後押し)
- 基準価額の計算過誤の訂正に関するマテリアリティポリシー(重大性基準)について、各社の定める水準の適切性や投資家への周知の重要性を監督指針等に記載
- 投資運用業の参入障壁を緩和
- 投資運用業の参入要件の緩和(ミドル・バックオフィス業務の委託等)
- ミドル・バックオフィス業務の外部委託等による規制緩和
- 運用権限の全部委託
- 投資運用業における運用権限の全部委託を禁止する規制の撤廃
- 運用委託先の管理について、必要な規定の整備
- 特色ある運用会社への委託を促進
- 投資運用業者の登録要件緩和
- ミドル・バックオフィス業務を受託する事業者に任意の登録制度を創設(行為規制(善管注意義務等)等を適用)
- 登録業者に業務委託する場合には、投資運用業の登録要件(体制整備等)を緩和(業務を外部委託した場合、委託先の管理等が必要)
- 新興運用業者促進プログラム(日本版EMP(Emerging Managers Program))
- 金融機関・アセットオーナーによる優れた新興運用業者の発掘・運用委託を後押し。また、各主体による具体的な取組状況を公表
- 新興運用業者を一覧化したリスト(エントリーリスト)の提供
- 金融創業支援ネットワークや拠点開設サポートオフィス等を拡充
- ミドル・バックオフィス業務の外部委託等による規制緩和
- 大手金融グループにおける運用力向上・ガバナンス改善・体制強化
- アセットオーナー、上場企業、家計に関する取組み
- アセットオーナーに対する金融機関の取組み(⇒顧客等の最善利益の確保)
- アセットオーナーから運用委託を受ける資産運用会社等は、アセットオーナーのリスク許容度等を考慮したうえで、最善の利益を確保するための運用を行う必要
- 企業型確定拠出年金(DC)の運営管理機関(金融機関)は加入者の最善の利益を確保する観点から、適切な運用商品の選定・提示や情報提供の充実等を行う必要
- 当局は、アセットオーナーを支える金融機関を適切にモニタリングし、必要に応じて改善を求めていくことが不可欠
- スチュワードシップ活動の実質化(⇒日本企業・日本市場の魅力向上)
- スチュワードシップ・コードの趣旨を踏まえ、自らの置かれた状況(規模・運用方針等)に応じた対応の促進や、協働エンゲージメントの取組みの積極的な活用
- 実効的なエンゲージメントの促進のための制度の見直し(大量保有報告制度における「重要提案行為」や「共同保有者」の範囲の明確化)
- 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた東証の要請(現状分析、計画の策定・開示、実行)を踏まえた企業の対応を一層促す観点からフォローアップ
- 家計の投資環境の改善(⇒金融リテラシーの向上、貯蓄から投資への推進)
- 金融経済教育推進機構を中心とした金融経済教育の推進
- 家計が資産運用会社や金融商品を適切に選択するためには金融リテラシーの向上が不可欠
- 金融経済教育推進機構を中心に官民一体となって、金融経済教育に取組むことが重要
- 累積投資契約のクレジットカード決済上限額の引上げ
- 新しいNISA制度において、つみたて投資枠は年間120万円(月10万円)になる
- 累積投資契約のクレジットカード決済上限額について、つみたて投資枠をカバーできるよう規定を見直し(5万円から10万円に)
- 金融経済教育推進機構を中心とした金融経済教育の推進
- アセットオーナーに対する金融機関の取組み(⇒顧客等の最善利益の確保)
- 成長資金の供給と運用対象の多様化(⇒スタートアップの活性化、収益機会の拡大)
- 機関投資家からVCへの資金の流れの拡大
- VCのガバナンス等の水準を向上させ、長期投資に資するアセットクラとしてのVCの魅力を高めるため 、「ベンチャーキャピタル・プリンシプル」を策定
- VCが保有する有価証券の評価の透明性を向上させるため、公正価値評価を推進
- スタートアップへの資金提供主体の多様化
- 投資信託への非上場株式の組入れを行うための枠組み(自主規制規則)の整備、上場ベンチャーファンドの促進(開示頻度の緩和等)
- 投資型クラウドファンディングの活性化
- 企業の発行総額上限
- 1億円→5億円(1~5億円は簡素化された開示様式を利用可)
- 投資家の投資上限
- 50万円→年収や純資産に応じた設定
- 非上場有価証券のセカンダリー取引の活性化
- 企業が役職員に付与する譲渡制限付株式ユニット(RSU)等の事後交付型株式報酬について、有価証券届出書に代えて、臨時報告書の提出
を認める特例を設ける
- 企業が役職員に付与する譲渡制限付株式ユニット(RSU)等の事後交付型株式報酬について、有価証券届出書に代えて、臨時報告書の提出
- 役職員へのインセンティブ付与円滑化
- 非上場有価証券の取引の仲介業務への参入を促すため、
- プロを対象とし、原則として金銭等の預託を受けない場合は、第一種金融商品取引業の登録要件を緩和
- 私設取引システム(PTS)について、取引規模が限定的な場合は、認可を要せず、第一種金融商品取引業の登録により運営可能とする
- 機関投資家からVCへの資金の流れの拡大
金融庁 「インサイダー取引規制に関するQ&A」の追加について
▼インサイダー取引規制に関するQ&A
- 応用編(問6) 上場会社の役職員等が、自社や取引先の株式を売買するための契約を結び又は計画を策定した後に重要事実を知った場合、当該契約・計画を中止することはインサイダー取引規制との関係で問題がありますか。
- 売買等を行う時点において未公表の重要事実を知っていたとしても、「知る前契約」の履行又は「知る前計画」の実行として当該売買等を行う場合には、当該重要事実を知ったことと無関係に行われる売買等であることが明らかといえることから、インサイダー取引規制の適用除外とされています(金融商品取引法第166条第6項第12号)。
- このような趣旨を踏まえると、上場会社の役職員等の会社関係者が、外形上は重要事実を知る前に契約を結び又は計画を策定した場合であっても、その後に知る未公表の重要事実の内容に応じて当該契約・計画に基づく売買等を実行するか中止するかを選択することが想定されている等の場合、実質的には当該契約・計画は金融商品取引法第166条第6項第12号に規定する「知る前に締結された」又は「知る前に決定された」ものとはならず、また、当該契約・計画に定められた売買等の別、銘柄及び期日並びに当該期日における売買等の総額又は数が有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第59条第1項第14号ハに規定する「特定されている」又は「あらかじめ定められた裁量の余地がない方式により決定される」ものとはならないと考えられます。
- したがって、例えば、上場会社の役職員等が自己の保有する自社の株式を売却する計画を策定したものの、今後、自社の決算予想値が大幅な上方修正となる旨の未公表の重要事実(金融商品取引法第166条第2項第3号、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第51条)を知れば売却を中止することが当該計画の策定時点で想定されている等の場合には、当該計画に基づく売却はインサイダー取引規制の適用除外の対象にはならないものと考えられます。
- また、この契約・計画については、仮に複数の契約・計画の場合であったとしても、全体として当該複数の契約・計画のうち有利なもののみを履行又は実行し、不利なものは履行又は実行しないことが想定されている等の場合、一体のものとして評価されることになるものと考えられます。
- したがって、例えば、上場会社の役職員等が自己の保有する自社の株式を売却する計画を複数の計画に分けて策定したものの、各計画における売却予定日の直前に自社の決算予想値が大幅な上方修正となる旨の未公表の重要事実(金融商品取引法第166条第2項第3号、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第51条)を知ればその計画については実行しないことが当該複数の計画の策定時点で想定されている等の場合には、当該複数の計画は一体のものとして評価されることになり、当該複数の計画に基づく売却はいずれもインサイダー取引規制の適用除外の対象にはならないものと考えられます
- 応用編(問7) 上場会社において、役職員等に対する株式報酬として新株発行又は自己株式処分を行うことが内部的に決定されました。払込金額の総額は割当決議日までに変更される可能性がありますが、当該内部的な決定が行われた時点においては、その時点における株式報酬の総額の見込み額を所定の方法で公表することにより「公表」がされたことになるのでしょうか。
- 上場会社の業務執行を決定する機関が、新株発行又は自己株式処分を行うことについての決定をしたことは、払込金額の総額が1億円未満であると見込まれない限り、重要事実となります(金融商品取引法第166条第2項第1号イ、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第1項第1号イ)。
- また、重要事実が「公表」されたといえるためには、一般投資家が会社関係者と対等の立場で投資判断を行うことができるだけの事実の公表である必要があり、投資者の投資判断に影響を及ぼすべき当該事実の内容がすべて具体的に明らかにされていなければなりません。
- 上場会社において、役職員等に対する株式報酬として新株発行又は自己株式処分を行うことが内部的に決定された場合、払込金額の総額が割当決議日までに変更される可能性があるとしても、当該内部的な決定が行われた時点においては、その時点における株式報酬の総額として合理的に見込まれた額を金融商品取引法第166条第4項に規定する方法で公表(例えば、「株式報酬として新株発行又は自己株式処分を行う予定であり、その総額として合理的に見込まれた額は○○億円になります。」等と公表することが考えられます)すれば、当該決定をしたことの「公表」がされたことになるものと考えられます。
- なお、当該内部的な決定が行われた時点において、一部の役職員等に対する株式報酬の具体的な払込金額が確定していない場合であっても、当該株式報酬を含め、その時点における株式報酬の総額の上限額として合理的に見込まれた額を所定の方法で公表すれば、当該決定をしたことの「公表」がされたことになるものと考えられます。
- 但し、その時点における株式報酬の総額又はその上限額につき合理的に見込まれた額を所定の方法で公表した場合であっても、その後、合理的に見込まれた額につき重要な変更があれば、変更後の合理的に見込まれた額を所定の方法で公表するまでは当該決定をしたことの「公表」がされたことになりませんので、ご留意ください。
- 応用編(問8) 上場会社が、役職員等に対して、その職務執行の対価として一定期間の譲渡制限が付された現物株式を自己株式の処分の方法により付与する場合、インサイダー取引規制との関係で問題がありますか。
- 上場会社がその役職員等にインセンティブを付与するための株式報酬の一種として、役職員等に対して、その職務執行の対価として譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)を付与する事例があります。
- かかる譲渡制限付株式は、譲渡等の処分についての制限に係る期間(譲渡制限期間)が3~5年といった確定期間又は任期(通常は1年以上)の満了までとされており、かつ、所定の期間勤務を継続しなければ会社が無償取得することとされている場合が一般的とされています(なお、付与対象者が死亡その他正当な理由により退任又は退職をした場合や発行会社により組織再編等が行われる場合に譲渡制限が解除される旨の規定が設けられるものもあります。)。
- 上場会社が、役職員等に対して、かかる譲渡制限付株式を自己株式の処分の方法により付与する場合、たとえ金銭の払込み等を要しないとしても、職務執行の対価として行われるものであり、金融商品取引法第166条第1項に規定する「売買その他の有償の譲渡若しくは譲受け」に該当するものと考えられます。
- しかし、前述の一般的な内容の譲渡制限付株式の付与であれば、当該付与時点で上場会社側に未公表の「重要事実」があったとしても、当該付与が株式報酬の一種として行われるものであり、また、譲渡制限期間が経過して付与対象者が付与された株式を処分できるようになるまでに、相当の期間が必要となるものであるため、上場会社の内部情報を知り得る特別の立場にある者が当該情報を知り得ない一般の投資家と比べて著しく有利な立場で取引を行い、市場の公正性・健全性を害するということは基本的に想定されないものと考えられます。
- したがって、上場会社が、役職員等に対して、譲渡制限付株式を自己株式の処分の方法により付与する場合、前述の一般的な内容のとおり、当該付与時点で上場会社側に未公表の「重要事実」があったとしても、当該付与が当該「重要事実」と無関係に行われたことが明らかであれば、インサイダー取引規制違反にはならないものと考えられます
【財務省】
【2024年3月】
関東財務局 FTX Japan株式会社に対する行政処分について
- FTX Japan株式会社(本社:東京都千代田区、法人番号:7010401115356、以下「当社」という。)に対して令和5年12月8日付で発出した資産の国内保有命令の期限が令和6年3月9日に到来するものの、当社は、親会社であるFTX Trading LimitedによるFTXグループ会社に係る米国連邦破産法手続の対象に含まれている状況であり、当社の資産が国外の関連会社等に流出し、投資者の利益が害されるといった事態を招かぬよう、引き続き、万全を期する必要がある。
- 当社のこうした状況は、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。以下「法」という。)第56条の3に定める「公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認める場合」に該当するものと認められる。
- 以上のことから、本日、当社に対し、法第56条の3の規定に基づき、下記のとおり行政処分を行った。なお、令和4年11月10日付で命じた法第51条の規定に基づく業務改善命令は継続している。
- 資産の国内保有命令
- 令和6年3月10日から令和6年6月9日まで、各日において、当社の貸借対照表の負債の部に計上されるべき負債の額(保証債務の額を含む)から非居住者に対する債務の額を控除した額に相当する資産を国内において保有すること(公益又は投資者保護の観点から問題がないものとして、当局が認めた場合を除く)。
【2024年1月】
財務省関東財務局 適格機関投資家等特例業務届出者に対する行政処分について
- 別紙記載の適格機関投資家等特例業務届出者(3社、以下「別紙特例業者」という。)について、以下の問題が認められた。
- 事業報告書を提出していない状況
- 別紙特例業者は、金融商品取引法の一部を改正する法律(平成27年法律第32号。以下「平成27年改正法」という。)附則第2条第2項の規定により特例業務届出者とみなして適用される金融商品取引法(昭和23年法律第25号。以下「金商法」という。)第63条の4第2項の規定に基づき、事業年度ごとに事業報告書を作成し、毎事業年度経過後3ヶ月以内に関東財務局に提出しなければならないにもかかわらず、事業報告書を提出していないことから、同項に違反するものと認められる。
- 法令に基づく命令に対し、報告書及び資料を提出していない状況
- 関東財務局は、別紙特例業者に対し、金商法第63条の6の規定に基づき、令和元年6月24日付報告徴求命令外(以下「本件報告命令」という。)を発出し、別紙特例業者が運営するファンドの現状及び清算状況等に係る報告書及び資料(以下「報告書等」という。)の提出を求めた。
- しかしながら、別紙特例業者は、現在に至るまで本件報告命令に対する報告書等の一部を提出しておらず、金商法第63条の6の規定に基づく命令に違反するものと認められる。
- 関東財務局が主たる営業所等を確知できない状況
- 関東財務局は、別紙特例業者が提出した適格機関投資家等特例業務に関する届出書記載の主たる営業所等への連絡及び現地調査を行ったものの、主たる営業所等を確知できない状況にある。
- 事業報告書を提出していない状況
- このため、本日、別紙特例業者に対し、下記1.については、金商法第63条の5第3項の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
- 業務廃止命令
- 旧法適格機関投資家等特例投資運用業務(平成27年改正法附則第2条第1項に規定する「旧法適格機関投資家等特例投資運用業務」をいう。)を廃止すること。
- 業務改善命令
- 主たる営業所等について、関東財務局へ連絡すること。
- 旧法適格機関投資家等特例投資運用業務に関して関与した全てのファンドについて、ファンド持分を取得した全ての出資者に対し、行政処分の事実及び理由について速やかに説明を行うこと。
- ファンド財産の運用・管理の状況を把握し、ファンド出資者に対し、ファンド財産の運用・管理の状況その他必要な事項の説明を速やかに行うこと。
- ファンド出資者の意向を踏まえ、ファンド財産の返還等に関する方針を速やかに策定し、実施すること。
- 上記2から4までの対応、実施にあたっては、ファンドの出資者間の公平に配慮しつつ、ファンド財産の管理を徹底するなど出資者保護に万全の措置を講ずること。
- 上記2から5について、その対応・実施状況について、完了までの間(改善策が策定・実施され次第随時)書面により報告すること。
- 業務廃止命令
財務省関東財務局 株式会社ActiveBoxに対する行政処分について
- 株式会社ActiveBox(東京都港区、法人番号7010001145919、第二種金融商品取引業)(以下「当社」という。)に対して金融商品取引法(昭和23年法律第25号。以下「金商法」という。)第56条の2第1項の規定に基づく報告を求めたところ、以下の事実が認められた。
- 無登録で投資運用業を行っている状況
- 当社は、令和4年12月、外国株式の売却益等を分配するとした投資信託と称するファンドX(以下「当該金融商品」という。)の募集会社として取得勧誘を行い、顧客から出資金(132名、総額2.5億円)を集めたうえで、当社と外国籍ファンドYの運営者と出資契約を締結し、当社自身の投資判断により、外国籍ファンドYに出資し、顧客から出資を受けた金銭の運用を行っている。
- 当社による上記の行為は、金商法第28条第4項に規定する投資運用業に該当するものであり、当社が同法第31条第4項に基づく変更登録を受けることなく投資運用業を行うことは、同法第29条に違反するものと認められる。
- 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為
- 当社は、当該金融商品の勧誘資料において、投資信託の仕組みを有していないにも関わらず投資信託と称し、事実と異なる虚偽の商品の仕組みやリスクの特性等を告げて金融商品取引契約の締結の勧誘を行い、また、当該契約締結時にも、事実と異なる虚偽の内容を記載した契約書を顧客に交付したうえで、契約の締結を行った。
- 当社による上記の行為は、金商法第38条第1号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」に該当するものと認められる。
- 第二種金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない状況及び適確に遂行するための必要な体制が整備されていない状況
- 上記1及び2の行為は、鈴木義信代表取締役(令和5年8月退任、以下「鈴木前代表」という。)が自ら主導して行ったほか、内部管理部長(法令等遵守に関する業務を含む)を兼務する藤森一紀代表取締役(以下「藤森代表」という。)は、法令上適当であるか十分検討することなく、当社から外国籍ファンドYへの送金手続きを自ら行った。
- こうした状況は、鈴木前代表及び藤森代表(以下「両代表」という。)が主体となって、無登録で投資運用業を行うなどといった法令違反行為を行っていたほか、両代表の法令等遵守意識及び投資者保護意識の著しい欠如などに起因していることから、当社は、第二種金融商品取引業(以下「二種業」という。)を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない状況と認められる。また、当社は、取締役会において、両代表の独断をけん制・抑止する態勢をともなっていないなど、二種業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていない状況にあるものと認められる。
- 当社における上記の状況は、金商法第29条の4第1項第1号ホに定める「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」に該当し、また、同号ヘに定める「金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者」に該当することから、このような当社の状況は、同法第52条第1項第1号に該当するものと認められる。
- 無登録で投資運用業を行っている状況
- 以上のことから、本日、当社に対し、下記1については金商法第52条第1項の規定に基づき、下記2については同法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
- 登録取消し
- 関東財務局長(金商)第2638号の登録を取り消す。
- 業務改善命令
- 今回の行政処分の内容について、顧客に対し適切に説明を行うこと。
- 顧客が出資した財産の運用・管理の状況等(資金の使途を含む。)を早急に精査したうえで、顧客に対して、顧客が出資した財産の運用・管理の状況その他必要な事項の説明を行うこと。
- 顧客が出資した財産の顧客への返還に関する方針を策定し、速やかに実施すること。
- 投資者間の公平に配慮しつつ、適切な対応を行うなど、投資者保護に万全の措置を講ずること。
- 上記対応について、令和6年2月13日までに書面で報告するとともに、以降、その全てが完了するまでの間、随時書面で報告すること。
- 登録取消し
【2023年12月】
財務省 外国為替及び外国貿易法に基づく資産凍結等の措置を実施します(令和5年12月1日)
- 我が国は、令和5年11月21日に北朝鮮が我が国の上空を通過する形で、「衛星」打ち上げのために、弾道ミサイル技術を使った発射を行ったこと等を踏まえ、北朝鮮をめぐる問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、今般、閣議了解「外国為替及び外国貿易法に基づく北朝鮮の核その他の大量破壊兵器及び弾道ミサイル関連計画その他の北朝鮮に関連する国際連合安全保障理事会決議により禁止された活動等に関与する者に対する資産凍結等の措置について」(令和5年12月1日付)を行いました。
- これを受け、外国為替及び外国貿易法に基づく資産凍結等の措置を実施します。
- 詳細については別紙をご覧ください。
▼(別紙)北朝鮮の核その他の大量破壊兵器及び弾道ミサイル関連計画その他の北朝鮮に関連する国際連合安全保障理事会決議により禁止された活動等に関与する者に対する資産凍結等の措置の対象者の追加について
【警察庁】
【2024年3月】
警察庁 暴力団排除等のための部外への情報提供について(通達)
- 暴力団情報については、法令の規定により警察において厳格に管理する責任を負っている一方、一定の場合に部外へ提供することによって、暴力団による危害を防止し、その他社会から暴力団を排除するという暴力団対策の本来の目的のために活用することも当然必要である。
- 各都道府県においては、暴力団排除条例(以下「条例」という。)が施行され、事業者が一定の場合に取引等の相手方が暴力団員・元暴力団員等に該当するかどうかを確認することが義務付けられるとともに、暴力団が資金獲得のために介入するおそれのある建設・金融等の業界を中心として、暴力団員に加え、元暴力団員等を各種取引から排除する仕組みが構築されている。一方、暴力団は、暴力団関係企業や暴力団と共生する者のほか、最近では匿名・流動型犯罪グループを通じて様々な経済取引に介入して資金の獲得を図るなど、その組織又は活動の実態を多様化・不透明化させている。
- このような情勢を受けて、事業者からのこれらの者に関する情報提供についての要望は依然として高く、条例においても事業者等に対し、必要な支援を行うことが都道府県の責務として規定されているところである。
- 暴力団情報の部外への提供については、「暴力団排除等のための部外への情報提供について」(平成31年3月20日付け警察庁丙組企分発第105号、丙組暴発第7号)に基づき行っているところであるが、以上のような情勢に的確に対応し、社会からの暴力団の排除を引き続き推進するため、下記のとおりとするので、その対応に遺漏のないようにされたい。
- なお、上記通達は廃止する。
- 第1 基本的な考え方
- 組織としての対応の徹底
- 暴力団情報の提供については、個々の警察官が依頼を受けて個人的に対応するということがあってはならず、必ず、提供の是非について、第6の2に定めるところにより、警察本部の暴力団対策主管課長又は警察署長の責任において組織的な判断を行うこと。
- 情報の正確性の確保
- 暴力団情報を提供するに当たっては、第4の1に定めるところにより、必要な補充調査を実施するなどして、当該情報の正確性を担保すること。
- 情報提供に係る責任の自覚
- 情報の内容及び情報提供の正当性について警察が立証する責任を負わなければならないとの認識を持つこと。
- 情報提供の正当性についての十分な検討
- 暴力団員等の個人情報の提供については、個人情報の保護に関する法律の規定に従って行うこと。特に、相手方が行政機関以外の者である場合には、法令の規定に基づく場合のほかは、当該情報が暴力団排除等の公益目的の達成のために必要であり、かつ、警察からの情報提供によらなければ当該目的を達成することが困難な場合に行うこと。
- 組織としての対応の徹底
- 第2 積極的な情報提供の推進
- 暴力団犯罪の被害者の被害回復訴訟において組長等の使用者責任を追及する場合や、暴力団事務所撤去訴訟等暴力団を実質的な相手方とする訴訟を支援する場合は、特に積極的な情報提供を行うこと。
- 債権管理回収業に関する特別措置法及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律のように提供することができる情報の内容及びその手続が法令により定められている場合又は他の行政機関、地方公共団体その他の公共的機関との間で暴力団排除を目的として暴力団情報の提供に関する申合せ等が締結されている場合には、これによるものとする。暴力団排除を目的として組織された事業者団体その他これに準ずるものとの間で申合せ等が締結されている場合についても、同様とする。なお、都道府県警察においてこの申合せ等を結ぶ場合には、事前に警察庁刑事局組織犯罪対策部組織犯罪対策第一課と協議するものとする。
- 第2の1又は2以外の場合には、条例上の義務履行の支援、暴力団に係る被害者対策、資金源対策の視点や社会経済の基本となるシステムに暴力団を介入させないという視点から、第3に示した基準に従いつつ、可能な範囲で積極的かつ適切な情報提供を行うものとする。
- 都道府県暴力追放運動推進センター(以下「センター」という。)に対して相談があった場合にも、同様に第3に示した基準に従い判断した上で、必要な暴力団情報をセンターに提供し、センターが相談者に当該情報を告知することとする。
- 第3 情報提供の基準
- 暴力団情報については、警察は厳格に管理する責任を負っていることから、情報提供によって達成される公益の程度によって、情報提供の要件及び提供できる範囲・内容が異なってくる。
- そこで、以下の1、2及び3の観点から検討を行い、暴力団対策に資すると認められる場合は、暴力団情報を当該情報を必要とする者に提供すること。
- 提供の必要性
- 条例上の義務履行の支援に資する場合その他法令の規定に基づく場合
- 事業者が、取引等の相手方が暴力団員、暴力団準構成員、元暴力団員、共生者、暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有する者等でないことを確認するなど条例上の義務を履行するために必要と認められる場合には、その義務の履行に必要な範囲で情報を提供するものとする。その他法令の規定に基づく場合についても、当該法令の定める要件に従って提供するものとする。
- 暴力団による犯罪、暴力的要求行為等による被害の防止又は回復に資する場合
- 情報提供を必要とする事案の具体的内容を検討し、被害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、被害の防止又は回復のために必要な情報を提供するものとする。
- 暴力団の組織の維持又は拡大への打撃に資する場合
- 暴力団の組織としての会合等の開催、暴力団事務所の設置、加入の勧誘、名誉職への就任や栄典を受けること等による権威の獲得、政治・公務その他一定の公的領域への進出、資金獲得等暴力団の組織の維持又は拡大に係る活動に打撃を与えるために必要な場合、その他暴力団排除活動を促進する必要性が高く暴力団の組織の維持又は拡大への打撃に資する場合には、必要な情報を提供するものとする。
- 条例上の義務履行の支援に資する場合その他法令の規定に基づく場合
- 適正な情報管理
- 情報提供は、その相手方が、提供に係る情報の悪用や目的外利用を防止するための仕組みを確立している場合、提供に係る情報を他の目的に利用しない旨の誓約書を提出している場合、その他情報を適正に管理することができると認められる場合に行うものとする。
- 提供する暴力団情報の範囲
- 第3の1(1)の場合
- 条例上の義務を履行するために必要な範囲で情報を提供するものとする。
- この場合において、まずは、情報提供の相手方に対し、契約の相手方等が条例に規定された規制対象者等の属性のいずれかに該当する旨の情報を提供すれば足りるかを検討すること。
- 第3の1(2)及び(3)の場合
- 次のア、イ、ウの順に慎重な検討を行う。
- (ア)暴力団の活動の実態についての情報(個人情報以外の情報)の提供
- 暴力団の義理掛けが行われるおそれがあるという情報、暴力団が特定の場所を事務所としているという情報、傘下組織に係る団体の名称等、個人情報以外の情報の提供によって足りる場合には、これらの情報を提供すること。
- (イ)暴力団員等該当性情報の提供
- 上記アによって公益を実現することができないかを検討した上で、次に、相談等に係る者の暴力団員等(暴力団員、暴力団準構成員、元暴力団員、共生者、暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有する者、総会屋及び社会運動等標ぼうゴロをいう。以下同じ。)への該当性に関する情報(以下「暴力団員等該当性情報」という。)を提供することを検討する。
- (ウ)上記イ以外の個人情報の提供
- 上記イによって公益を実現することができないかを慎重に検討した上で、それでも公益実現のために必要であると認められる場合には、住所、生年月日、連絡先その他の暴力団員等該当性情報以外の個人情報を提供する。
- なお、前科・前歴情報は、そのまま提供することなく、被害者等の安全確保のために特に必要があると認められる場合に限り、過去に犯した犯罪の態様等の情報を提供すること。また、顔写真の交付は行わないこと。
- (ア)暴力団の活動の実態についての情報(個人情報以外の情報)の提供
- 次のア、イ、ウの順に慎重な検討を行う。
- 第3の1(1)の場合
- 提供の必要性
- 第4 提供する暴力団情報の内容に係る注意点
- 情報の正確性の確保について
- 暴力団情報を提供するに当たっては、その内容の正確性が厳に求められることから、必ず警察本部の暴力団対策主管課等に設置された警察庁情報管理システムによる暴力団情報管理業務により暴力団情報の照会を行い、その結果及び必要な補充調査の結果に基づいて回答すること。
- 指定暴力団以外の暴力団について
- 指定暴力団以外の暴力団のうち、特に消長の激しい規模の小さな暴力団については、これが暴力団、すなわち「その団体の構成員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第2号)に該当することを明確に認定できる資料の存否につき確認すること。
- 暴力団準構成員及び元暴力団員等の場合の取扱い
- 暴力団準構成員
- 暴力団準構成員については、当該暴力団準構成員と暴力団との関係の態様及び程度について十分な検討を行い、現に暴力団又は暴力団員の一定の統制の下にあることなどを確認した上で、情報提供の可否を判断すること。
- 元暴力団員
- 現に自らの意思で反社会的団体である暴力団に所属している構成員の場合と異なり、元暴力団員については、暴力団との関係を断ち切って更生しようとしている者もいることから、過去に暴力団員であったことが法律上の欠格要件となっている場合や、現状が暴力団準構成員、共生者、暴力団員と社会的に非難されるべき関係にある者、総会屋及び社会運動等標ぼうゴロとみなすことができる場合は格別、過去に暴力団に所属していたという事実だけをもって情報提供をしないこと。
- 共生者
- 共生者については、暴力団への利益供与の実態、暴力団の利用実態等共生関係を示す具体的な内容を十分に確認した上で、具体的事案ごとに情報提供の可否を判断すること。
- 暴力団員と社会的に非難されるべき関係にある者
- 「暴力団員と社会的に非難されるべき関係」とは、例えば、暴力団員が関与している賭博等に参加している場合、暴力団が主催するゴルフコンペや誕生会、還暦祝い等の行事等に出席している場合等、その態様が様々であることから、当該対象者と暴力団員とが関係を有するに至った原因、当該対象者が相手方を暴力団員であると知った時期やその後の対応、暴力団員との交際の内容の軽重等の事情に照らし、具体的事案ごとに情報提供の可否を判断する必要があり、暴力団員と交際しているといった事実だけをもって漫然と「暴力団員と社会的に非難されるべき関係にある者である」といった情報提供をしないこと。
- 総会屋及び社会運動等標ぼうゴロ
- 総会屋及び社会運動等標ぼうゴロについては、その活動の態様が様々であることから、漫然と「総会屋である」などと情報を提供しないこと。
- 情報提供が求められている個別の事案に応じて、その活動の態様について十分な検討を行い、現に活動が行われているか確認した上で情報を提供すること。
- 暴力団の支配下にある法人
- 暴力団の支配下にある法人については、その役員に暴力団員等がいることをもって漫然と「暴力団の支配下にある法人である」といった情報提供をするのではなく、役員等に占める暴力団員等の比率、当該法人の活動実態等についての十分な検討を行い、現に暴力団が当該法人を支配していると認められる場合に情報を提供すること。
- 暴力団準構成員
- 情報の正確性の確保について
- 第5 情報提供の方式
- 第3の1(1)による情報提供を行うに当たっては、その相手方に対し、情報提供に係る対象者の住所、氏名、生年月日等が分かる身分確認資料及び取引関係を裏付ける資料等の提出を求めるとともに、提供に係る情報を他の目的に利用しない旨の誓約書の提出を求めること。
- 情報提供の相手方に守秘義務がある場合等、情報の適正な管理のために必要な仕組みが整備されていると認められるときは、情報提供を文書により行ってよい。これ以外の場合においては、口頭による回答にとどめること。
- 情報提供は、原則として、当該情報を必要とする当事者に対して、当該相談等の性質に応じた範囲内で行うものとする。ただし、情報提供を受けるべき者の委任を受けた弁護士に提供する場合その他情報提供を受けるべき者本人に提供する場合と同視できる場合はこの限りでない。
警察庁 悪質な名簿業者等把握時の個人情報保護委員会への情報提供について
- 概要
- 特殊詐欺事件において暴力団や匿名・流動型犯罪グループ(以下「犯罪組織」という。)が特殊詐欺のターゲットを選定するに際しては、氏名や住所等の個人情報がリスト化された名簿を用いている状況がうかがえる。
- 犯罪組織に名簿を提供する悪質な名簿業者等に対するあらゆる法令を駆使した取締りの推進については、「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」(令和5年3月17日犯罪対策閣僚会議決定)において、実行を容易にするツールを根絶するための対策として推進することとされている。
- 特殊詐欺の用に供されるおそれがあることを知りながら、名簿を犯罪組織に販売する名簿業者を含む個人情報取扱事業者(以下「名簿業者等」という。)の知情性が明らかな場合は、詐欺ほう助等での事件化が見込めるが、個人データ(個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号、以下「個人情報保護法」という。)第16条第3項)の第三者提供の制限等を規定する個人情報保護法においては、当該関係規定に違反しても直罰規定はなく、名簿業者等を監視・監督する個人情報保護委員会による命令等の行政上の措置に従わない場合に同法の罰則が適用され得ることになる(間接罰)。
- そこで、都道府県警察における特殊詐欺事件の捜査過程で悪質な名簿業者等を把握した場合には、個人情報保護委員会における行政上の措置の前提となり得る当該名簿業者等の実態把握に資するため、悪質な名簿業者等の実態について、個人情報保護委員会に対し情報提供するよう指示したものである。
警察庁 令和6年1月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
- 令和6年1月の特殊詐欺全体の認知件数は1,134件(前年同期1,335件、前年同期比▲15.1%)、被害総額は37.4憶円(29.2億円、+28.4%)、検挙件数は408件(492件、▲17.1%)、検挙人員は168人(172人、▲2.3%)
- オレオレ詐欺の認知件数は212件(263件、▲19.4%)、被害総額は9.0憶円(9.0億円、▲1.3%)、検挙件数は111件(155件、▲28.4%)、検挙人員は56人(73人、▲23.3%)
- 預貯金詐欺の認知件数は138件(186件、▲25.8%)、被害総額は1.3憶円(2.3億円、▲46.2%)、検挙件数は101件(100件、+1.0%)、検挙人員は46人(35人、+31.4%)
- 架空料金請求詐欺の認知件数は294件(385件、▲23.6%)、被害総額は7.1憶円(9,4億円、▲24.3%)、検挙件数は21件(16件、+31.3%)、検挙人員は9人(6人、+50.0%)
- 還付金詐欺の認知件数は251件(275件、▲8.7%)、被害総額は3.2憶円(2.9憶円、+10.9%)、検挙件数は55件(92件、▲40.2%)、検挙人員は14人(18人、▲22.2%)
- 融資保証金詐欺の認知件数は14件(15件、▲6.7%)、被害総額は7.8百万円(29.9百万円、▲74.1%)、検挙件数は1件(0件)、検挙人員は0人(1人)
- 金融商品詐欺の認知件数は96件(10件、+860.0%)、被害総額は15.1憶円(2.0憶円、+654.9%)、検挙件数は0件(10件)、検挙人員は0人(1人)
- ギャンブル詐欺の認知件数は3件(3件、±0%)、被害総額は6.8百万円(14.2百万円、▲52.6%)、検挙件数は0件(0人)、検挙人員は0人(0人9
- キャッシュカード詐欺盗の認知件数は108件(196件、▲44.9%)、被害総額は被害総額は1.3憶円(2.7憶円、▲50.9%)、検挙件数は118件(129件、▲8.5%)、検挙人員は42人(38人、+10.5%)
- 組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は29件(18件、+61.1%)、検挙人員は9人(2人、+350.0%)
- 口座開設詐欺の検挙件数は72件(52件、+38.5%)、検挙人員は22人(33人、▲33.3%)、盗品等譲受け等の検挙件数は0件(1件)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は248件(207件、+19.8%)、検挙人員は175人(148人、+18.2%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は10件(10件、±0%)、検挙人員は13人(10人、+30.0%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は4件(0件)、検挙人員は0人(0人)
- 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体の男性(36.5%):女性(63.5%)、60歳以上78.6%、70歳以上58.4%、オレオレ詐欺の男性(23.1%):女性(76.9%)、60歳以上91.0%、70歳以上84.4%、預貯金詐欺の男性(9.4%):女性(90.6%)、60歳以上99.3%、70歳以上97.1%、還付金詐欺の男性(33.1%):女性(66.9%)、60歳以上95.2%、70歳以上51.0%、融資保証金詐欺の男性(76.9%):女性(23.1%)、60歳以上0%、70歳以上0%、特殊詐欺被害者全体に占める高齢被害者(65歳以上)の割合について、特殊詐欺69.3%(男性31.8%、女性68.2%)、オレオレ詐欺87.3%(18.9%、81.1%)、預貯金詐欺98.6%(9.6%、90.4%)、架空料金請求詐欺46.9%(67.4%、32.6%)、還付金詐欺76.5%(39.6%、60.4%)、融資保証金詐欺0.0%、金融商品詐欺26.0%(56.0%、44.0%)、ギャンブル詐欺66.7%(100.0%、0.0%)、交際あっせん詐欺0.0%、その他の特殊詐欺11.8%(100.0%、0.0%)、キャッシュカード詐欺盗97.2%(14.3%、85.7%)
【2024年2月】
警察庁 犯罪統計資料(令和6年1月分)
- 令和6年1月の刑法犯総数について、認知件数は55,235件(前年同期49,803件、前年同期比+10.9%)、検挙件数は21,205件(18,362件、+15.5%)、検挙率は38.4%(36.9%、+1.5P)
- 凶悪犯の認知件数は510件(376件、+35.6%)、検挙件数は387件(294件、+15.5%)、検挙率は75.9%(78.2%、▲2.3P)、粗暴犯の認知件数は4,465件(4,390件、+1.7%)、検挙件数は3,469件(3,346件、+3.7%)、検挙率は77.7%(76.2%、+1.5P)、窃盗犯の認知件数は38,101件(34,089件、+11.8%)、検挙件数は12,669件(10,792件、+17.4%)、検挙率は33.3%(31.7%、+1.6P)、知能犯の認知件数は3,932件(3,451件、+13.9%)、検挙件数は1,450件(1,447件、+0.2%)、検挙率は36.9%(41.9%、▲5.0P)、風俗犯の認知件数は1,163件(511件、+127.6%)、検挙件数は990件(461件、+101.7%)、検挙率は80.0%(90.2%、▲10.2%)
- 詐欺の認知件数は3,577件(3,164件、+13.1%)、検挙件数は1,189件(1,250件、▲4.9%)、検挙率は33.2%(39.5%、▲5.0%)
- 万引きの認知件数は8,476件(7,209件、+17.6%)、検挙件数は5,069件(4,292件、+18.1%)、検挙率は59.8%(59.5%、+0.3P)
- 特別法犯総数について、検挙件数は4,529件(4,402件、+2.9%)、検挙人員は3,713人(3,619人、+2.6%)
- 入管法違反の検挙件数は368件(310件、+18.7%)、検挙人員は252人(233人、+8.2%)、軽犯罪法違反の検挙件数は496件(505件、▲1.8%)、検挙人員は505人(497人、+1.6%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は462件(754件、▲38.7%)、検挙人員は351人(607人、▲42.2%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は87件(77件、+13.0%)、検挙人員は74人(63人、+17.5%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は296件(238件、+24.4%)、検挙人員は213人(168人、+26.8%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は30件(22件、+36.4%)、検挙人員は13人(2人、+550.0%)、不正競争防止法違反の検挙件数は1件(7件、▲85.7%)、検挙人員は0人(2人、▲100.0%)、銃刀法違反の検挙件数は329件(350件、▲6.0%)、検挙人員は289人(294人、▲1.7%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は88件(44件、+100.0%)、検挙人員は54人(25人、+116.0%)、大麻取締法違反の検挙件数は480件(420件、+14.3%)、検挙人員は399人(312人、+27.9%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は491件(480件、+24.0%)、検挙人員は351人(280人、+25.4%)
- 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数80人(40人、+100.0%)、ベトナム34人(16人、+112.5%)、中国9人(4人、125.0%)、ブラジル4人(1人、+300.0%)、フィリピン4人(2人、+100.0%)、パキスタン3人(1人、+200.0%)、韓国・朝鮮2人(1人、+100.0%)、インドネシア2人(1人、+100.0%)、インド2人(2人、±0%)、スリランカ1人(3人、▲66.7%)、アメリカ1人(2人、▲50.0%)
- 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は506件(756件、▲33.1%)、検挙人員は276人(404人、▲31.7%)、暴行の検挙件数は29件(51件、▲43.1%)、検挙人員は27人(42人、▲35.7%)、傷害の検挙件数は62件(82件、▲24.4%)、検挙人員は57人(82人、▲30.5%)、脅迫の検挙件数は17件(25件、▲32.0%)、検挙人員は16人(21人、▲23.8%)、窃盗犯の認知件数は257件(349件、▲26.4%)、検挙人員は37人(57人、▲35.1%)、詐欺の検挙件数は55件(132件、▲58.3%)、検挙人員は46人(105人、▲56.2%)、賭博の検挙件数は0件(0件)、検挙人員は4人(15人、▲73.3%)
- 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、総数281件(267件、+5.2%)、検挙人員は203人(172人、+18.0%)、入管法違反の検挙件数は2件(0件)、検挙人員は3件(0件)、軽犯罪法違反の検挙件数は4件(6件、▲33.3%)、検挙人員は4人(5人、▲20.0%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は12件(3件、+300.0%)、検挙人員は7人(3人、+133.3%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は27件(0件)、検挙人員は30件(3件、+900.0%)、銃刀法違反の検挙件数は5件(3件、66.7%)、検挙人員は3件(2件、+50.0%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は7件(1件、+600.0%)、検挙人員は0人(0人)、大麻取締法違反の検挙件数は38件(66件、▲42.4%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は153件(141件、+8.5%)、検挙人員は109人(82人、+32.9%)、麻薬特例法違反の検挙件数は2件(4件、▲50.0%)、検挙人員は1人(0人)
警察庁 令和5年の犯罪情勢
- 刑法犯
- 刑法犯認知件数の総数については、平成15年から令和3年まで一貫して減少してきたところ、令和5年は70万3,351件4と、戦後最少となった令和3年から2年連続して増加し(前年比17.0%増加)、令和元年の水準に近づいており(令和元年比6.0%減少)、今後の動向について注視すべき状況にある
- また、人口千人当たりの刑法犯の認知件数についても5.6件と、刑法犯認知件数の総数と同様に、戦後最少となった令和3年から2年連続で増加となり、令和元年の水準に近づいている
- 認知件数の内訳を見ると、総数に占める割合が大きい街頭犯罪が、24万3,987件(前年比21.0%増加)と、伸び率が大きく、令和元年の水準に近づいている(令和元年比10.6%減少)。その中でも、自転車盗、傷害及び暴行については、新型コロナウイルス感染症の感染状況の変化等による人流の増加が一定程度影響したとみられる。また、侵入犯罪7の認知件数は5万5,269件となり、前年比で19.1%増加、令和元年比で22.3%減少となった。
- 重要犯罪の認知件数について、令和5年は1万2,372件と、前年比で29.8%増加し、令和元年比でも25.0%増加となった。その内訳を見ると、不同意性交等及び不同意わいせつ並びに略取誘拐・人身売買がいずれも前年比及び令和元年比で増加となった。その背景には情勢の変化等、様々な要素があると考えられ、単純な経年比較はできないものの、不同意性交等及び不同意わいせつについては、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(令和5年法律第66号。以下「改正刑法」という。)により、構成要件の一部が変更されたことや、政府として性犯罪の被害申告・相談をしやすい環境の整備を強力に推進してきたこともあいまって、認知件数が増加したものと推認される。略取誘拐・人身売買については、通話・通信アプリを利用した手口による被害の増加が、前年からの認知件数増加の一因となっている。また、殺人及び強盗についても、前年比で増加となった。加えて、SNSで実行犯を募集する手口が特殊詐欺のみならず強盗等まで拡大しているほか、岸田首相に対する爆発物使用襲撃事件及び長野県中野市において、猟銃等を用いて警察官2人を含む4人を殺害する事案も発生している。
- 財産犯の被害額の推移については、約2,519億円と前年比で56.7%増加している。その内訳を見ると、詐欺による被害額が約1,626億円と増加している(前年比85.4%増加)。また、詐欺による被害の増加については、インターネットを利用した詐欺の増加等が寄与している状況が認められた。
- 刑法犯の検挙状況については、検挙件数は26万9,550件、検挙人員は18万3,269人と、共に前年(25万350件、16万9,409人)を上回った(それぞれ前年比で7.7%、8.2%増加)。少年の検挙人員は1万8,949人で、検挙人員全体の10.3%となった。一方で、刑法犯の検挙率は38.3%、重要犯罪の検挙率は81.8%、重要窃盗犯の検挙率は51.4%と、いずれも2年連続減少した(それぞれ前年比3.3ポイント、5.8ポイント、6.8ポイント減少)
- サイバー事案
- 近年、サイバー空間は、地域や年齢、性別を問わず、全国民が参加し、重要な社会経済活動が営まれる公共空間へと変貌を遂げた一方で、国内外で様々なサイバー事案が発生するなど、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢が続いている。インターネットバンキングに係る不正送金事犯については、令和5年は発生件数が5,528件、被害総額は約86億円と急増し、いずれも過去最多となった(それぞれ前年比で386.6%、465.7%増加)。被害の大部分は個人であり、そのうち40代から60代の被害者が60.0%を占めている。インターネットバンキングに係る不正送金事犯の手口は様々であり、また、情勢や対策等に合わせて手口が変化することがあるが、令和5年においては、その被害の多くがフィッシングによるものとみられており、金融機関を装ったフィッシングサイト(偽のログインサイト)へ誘導する電子メール等が多数確認されている。
- ランサムウェアと呼ばれる不正プログラムによる被害は全世界で深刻化しており、国内においては、令和5年中に警察庁に報告された企業・団体等におけるランサムウェアによる被害件数が197件と、前年比で14.3%減少したものの、依然として高い水準で推移している。加えて、データを暗号化する(ランサムウェアを用いる)ことなくデータを窃取し対価を要求する手口(「ノーウェアランサム」)が新たに30件確認されるなど、手口が巧妙化・多様化している実態がある。さらに、サイバー攻撃については、DDoS攻撃による被害とみられるウェブサイトの閲覧障害が複数発生し、一部の事案に関しSNS上でハクティビストや親ロシア派ハッカー集団からの犯行をほのめかす投稿が確認された。また、中国を背景とするサイバー攻撃グループ「BlackTech」(ブラックテック)による情報窃取を目的としたサイバー攻撃も確認された
- 令和5年中に警察庁が検知したサイバー空間における探索行為等とみられるアクセスの件数は、1日・1IPアドレス当たり9,144.6件と過去最多(前年比18.6%増加)に上っており、その多くがIoT機器に対するサイバー攻撃やぜい弱性を有するIoT機器の探索行為であるとみられる
- サイバー事案の検挙件数については、令和5年中は2,851件を検挙しており、その内訳を見ると電子計算機使用詐欺及び不正アクセス禁止法違反で全体の51.6%を占めている。また、令和5年における不正アクセス禁止法違反及びコンピュータ・電磁的記録対象犯罪の検挙件数は、それぞれ521件、997件であった(それぞれ前年比0.2%減少、5.2%増加)このほか、SNSに起因する事犯17の被害児童18数は1,663人(前年比4.0%減少)と、令和2年以降減少傾向にあるものの、依然として高い水準で推移している
- 特殊詐欺
- 特殊詐欺については、事件の背後にいる暴力団や準暴力団を含む匿名・流動型犯罪グループが、資金の供給、実行犯の周旋、犯行ツールの提供等を行い、犯行の分業化と匿名化を図った上で、組織的に敢行している実態にあり、令和5年の認知件数は1万9,033件、被害総額は約441.2億円と昨年に続き増加となり、深刻な情勢が続いている(それぞれ前年比で8.3%、19.0%増加)
- 認知件数を犯行手口別に見ると、令和3年に急増した還付金詐欺の占める割合が減少した一方で、架空料金請求詐欺の占める割合が27.0%と大きく増加している。この架空料金請求詐欺について、被害者を欺罔する手段として犯行の最初に用いられたツールは、ポップアップ表示の割合が43.8%となっており、性別・年代を問わず被害が発生している。一方で、架空料金請求詐欺以外の特殊詐欺については、被害者は高齢女性が多くを占め、被害の大半は犯人からの電話を受けることに端を発している。
- 令和5年における特殊詐欺の検挙件数は7,219件(前年比8.7%増加)、検挙人員は2,499人(前年比1.7%増加)と、いずれも前年を上回った。
- こうした特殊詐欺事件の背後においては、SNSで特殊詐欺の実行犯を募集する者や、犯罪グループや特殊詐欺の実行犯に対して、預貯金口座や携帯電話を不正に譲渡する者、電話転送サービス等の提供を行ったり、電子マネー利用番号等の転売、買取等を行ったりしている悪質な事業者の存在が依然として認められる。
- 人身安全関連事案
- 人身安全関連事案のうち、ストーカー事案の相談等件数は1万9,843件(前年比3.7%増加)と、依然として高い水準で推移している。また、ストーカー事案の検挙件数については、ストーカー規制法違反検挙、刑法犯等検挙はそれぞれ1,081件、1,708件であり(それぞれ前年比5.2%、3.5%増加)、依然として高い水準で推移している。また、配偶者からの暴力事案等の相談等件数は増加傾向にあり、令和5年は8万8,619件と、前年比で4.9%増加し、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)の施行以降で最多となった。配偶者からの暴力事案等の検挙件数については8,636件(前年比1.2%増加)と、依然として高い水準で推移している
- 児童虐待については、児童虐待又はその疑いがあるとして警察から児童相談所に通告した児童数は年々増加しており、令和5年は12万2,806人と、前年比で6.1%増加し、過去最多となった。その態様別では、心理的虐待が9万761人と全体の73.9%を占めている。また、児童虐待事件の検挙件数については、2,385件と、前年比9.4%増加し、過去最多となっており、その態様別では、身体的虐待が1,903件と全体の79.8%を占めている
- これらを踏まえると、人身安全関連事案については、引き続き注視すべき情勢にある。
- 体感治安
- 前項までに述べたような指標からは捉えられない国民の治安に関する認識を把握するため、令和5年10月、警察庁において「治安に関するアンケート調査」を実施したところ、日本の治安について「よいと思う」旨回答した方は、全体の64.7%を占めた。その一方で、ここ10年間での日本の治安に関し、「悪くなったと思う」旨回答した方は全体の71.9%を占めた。
- 犯罪情勢の総括
- 戦後最少となった令和3年以降、刑法犯認知件数が2年連続で前年比増加となり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の令和元年の水準に近づきつつある。また、重要犯罪罪の認知件数が既に令和元年を上回る数値となったほか、令和5年中には、国民に不安を与えるような事件等も発生した。加えて、インターネットを利用した詐欺の増加等を背景として、財産犯の被害額が増加するなど、今後の動向について注視すべき状況にある。
- サイバー事案については、インターネットバンキングに係る不正送金事犯の被害が過去最多となったほか、国家を背景に持つ集団によるサイバー攻撃も確認されているなど、極めて深刻な情勢が続いている。
- 特殊詐欺については、認知件数が3年連続、被害額が2年連続で増加したほか、全年代を対象とした架空料金請求詐欺の手口での被害が昨年比で大幅に増加するなど、深刻な情勢が続いている。
- 人身安全関連事案については、ストーカー事案の相談等件数及び配偶者からの暴力事案等の相談等件数がいずれも前年より増加したほか、児童虐待又はその疑いがあるとして警察から児童相談所に通告した児童数が過去最多に上るなど、注視すべき状況にある。
- また、前述のように複数の指標において、サイバー空間における技術・サービスをいわば犯罪のインフラとして悪用した事案の増加が認められた。
- 以上を踏まえれば、我が国の犯罪情勢は、厳しい状況にあると認められる。
- 今後の取組
- 国民の安全・安心を確保するため、警察としては、我が国の社会情勢等が大きく変化している中、警戒の空白が生じることを防ぎ、直面する様々な課題に的確に対処するため、総合的な対策を、これまで以上に強力に推進する。特に、匿名・流動型犯罪グループに対し、部門や都道府県警察の垣根を超えて、戦略的な取締りを更に強化する。
- 街頭犯罪をはじめとする国民に不安を与える身近な犯罪の抑止に向け、それぞれの地域における治安情勢等に応じ、地域社会や関係機関・団体等との連携の下、各種取組を推進するとともに、性犯罪に関しては、令和5年6月に公布された改正刑法及び性的姿態撮影等処罰法の内容、趣旨等を踏まえ、被害申告・相談しやすい環境の整備や、被害者の心情に配意した適切な捜査をより一層推進する。また、SNSで実行犯を募集する手口等による強盗等については、犯罪グループの実態解明に向けた捜査を含む効果的な取締りを推進するとともに、AIシステムを活用したサイバーパトロールを行うなど、インターネット上の違法・有害情報の排除に向けた取組等を推進する。
- サイバー事案については、国家を背景に持つサイバー攻撃や被害が高水準で推移するランサムウェア事案等の脅威に対して、関東管区警察局サイバー特別捜査隊と都道府県警察とが一体となった捜査、実態解明等に取り組み、外国捜査機関等と連携した対処等を推進するとともに、脅威の深刻化に対応するための捜査・解析能力の高度化や事業者等と連携した被害防止対策を強力に推進する。特に、過去最多の被害を記録したインターネットバンキングに係る不正送金事犯については、最先端技術等の活用等によるフィッシング対策の高度化・効率化等、キャッシュレス社会の安全・安心の確保に向けた各種取組を推進する。
- 特殊詐欺については、関係事業者等と連携し、高齢者宅の固定電話へのナンバー・ディスプレイ、ナンバー・リクエストや留守番電話設定の普及、国際電話番号を悪用した詐欺の増加に伴う国際通話ブロックの推進等、犯人からの電話を直接受けないための対策のほか、令和5年に急増した架空料金請求詐欺について高額の電子マネーを購入しようとする客への声掛け等、被害防止対策を強力に推進する。また、令和6年度から、発生地警察から依頼を受けた首都圏等の警察が自らの管轄区域内の捜査を責任を持って行う「特殊詐欺連合捜査班(TAIT)」を各都道府県警察に構築することにより広域的な捜査連携を強化する。さらに、電話転送サービスに係る悪質な電気通信事業者等、犯行ツールに係る悪質な事業者について、情報収集を強化し、あらゆる法令を駆使してその取締りを推進する。
- 人身安全関連事案については、被害が潜在化しやすく、事態が急展開するおそれが大きいという特徴を踏まえ、関係機関と緊密に連携しつつ、被害者等の安全の確保を最優先に、関係法令を駆使した加害者の検挙等による加害行為の防止や被害者等の保護措置等の取組を推進する。
- これらの取組を実効的に推進する上でも、所属・部門を超えたリソースの重点化や能率的でメリハリのある組織運営を一層図り、警察機能を最大限に発揮し、国民の期待と信頼に応えていく。
警察庁 犯罪統計資料(令和5年1~12月分【確定値】)
- 令和5年1~12月における刑法犯総数について、認知件数は703,351件(前年同期601,331件、前年同期比+17.0%)、検挙件数は269,550件(250,350件、+7.7%)、検挙率は38.3%(41.6%、▲3.3P)
- 凶悪犯の認知件数は5,750件(4,437件、+29.6%)、検挙件数は4,832件(3,922件、+23.2%)、検挙率は84.0%(88.4%、▲4.4%)、粗暴犯の認知件数は58,474件(52,701件、+11.0%)、検挙件数は47,736件(43,499件、+9.7%)、検挙率は81.6%(82.5%、▲0.9P)、窃盗犯の認知件数は483,695件(407,911件、+18.6%)、検挙件数は157,115件(148,122件、+6.1%)、検挙率は32.5%(36.3%、▲3.8P)、知能犯の認知件数は50,035件(41,308件、+21.1%)、検挙件数は19,559件(18,809件、+4.0%)、検挙率は39.1%(45.5%、▲6.4P)
- 詐欺の認知件数は46,011件(37,928件、+21.3%)、検挙件数は16,667件(16,084件、+4.0%)、検挙率は36.2%(42.4%、▲6.2%)
- 万引きの認知件数は93,168件(83,598件、+11.4%)、検挙件数は62,675件(58,283件、+7.5%)、検挙率は67.3%(69.7%、▲2.4%)
- 特別法犯総数について、検挙件数は70,046件(67,477件、+3.8%)、検挙人員は57,016人(55,639人、+2.5%)
- 入管法違反の検挙件数は6,029件(4,201件、+43.5%)、検挙人員は4,228人(3,129人、+35.1%)、軽犯罪法違反の検挙件数は7,665件(7,888件、▲2.8%)、検挙人員は7,605人(7,820人、▲2.7%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は9,771件(9,800件、▲0.3%)、検挙人員は7,355人(7,526人、▲2.3%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は3,424件(3,066件、+11.7%)、検挙人員は2,658人(2,554人、+4.1%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は521件(522件、▲0.2%)、検挙人員は156人(164人、▲4.9%)、不正競争防止法違反の検挙件数は53件(70件、▲24.3%)、検挙人員は63人(82人、▲23.2%)、銃刀法違反の検挙件数は5,064件(5,164件、▲1.9%)、検挙人員は4,283人(4,552人、▲5.9%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は1,547件(1,063件、+45.5%)、検挙人員は894人(647人、+38.2%)、大麻取締法違反の検挙件数は7,708件(6,493件、+18.7%)、検挙人員は6,243人(5,184人、+20.4%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は8,160件(8,532件、▲4.4%)、検挙人員は5,727人(5,944人、▲3.7%)
- 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数は742人(584人、+27.1%)、ベトナムは239人(183人、+30.6%)、中国は97人(94人、+3.2%)、ブラジルは49人(40人、+22.5%)、フィリピン29人(21人、+38.1%)、スリランカは27人(40人、▲32.5%)、韓国・朝鮮は25人(22人、13.6%)、インドは21人(14人、+50.0%)、パキスタンは16人(19人、▲15.8%)、バングラデシュは15人(7人、+114.3%)
- 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は9,909件(11,306件、▲12.4%)、検挙人員総数は6,068人(6,155人、▲1.4%)、暴行の検挙件数は571件(616件、▲7.3%)、検挙人員は527人(602人、▲12.5%)、傷害の検挙件数は1,003件(1,012件、▲0.9%)、検挙人員は1,186人(1,142人、+3.9%)、脅迫の検挙件数は309件(364件、▲0.9%)、検挙人員は289人(370人、▲21.9%)、恐喝の検挙件数は352件(352件、±0%)、検挙人員は460人(453人、+1.5%)、詐欺の認知件数は1,600件(1,986件、▲19.4%)、検挙人員は1,332人(1,424人、▲6.5%)、賭博の検挙件数は45件(49件、▲8.2%)、検挙人員は152人(153人、▲0.7%)
- 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は5,024件(5,528件、▲9.1%)、検挙人員は21人(27人、▲5.5%)、入管法違反の検挙件数は25件(20件、+25.0%)、検挙人員は21人(27人、▲22.2%)、軽犯罪法違反の検挙件数は71件(75件、▲5.3%)、検挙人員は55人(68人、▲19.1%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は67件(90件、▲25.6%)、検挙人員は65人(80人、▲18.8%)、暴力団員不動行為防止法違反の検挙件数は7件(3件、+133.3%)、検挙人員は5人(3人、+66.7%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は19件(19件、±0%)、検挙人員は34人(42人、▲19.0%)、銃刀法違反の検挙件数は104件(114件、▲8.8%)、検挙人員は80人(79人、+1.3%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は236人(189人、+24.9%)、検挙人員は102人(78人、+30.8%)、大麻取締法違反の検挙件数は1,065件(1,042件、+2.2%)、検挙人員は705人(619人、+13.9%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は2,769件(3,224件、▲14.1%)、検挙人員は1,912人(2,141人、▲10.7%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は115件(151件、▲23.8%)、検挙人員は59人(77人、▲23.4%)
警察庁 令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値版)
- 認知状況全般
- 令和5年の特殊詐欺の認知件数(以下「総認知件数」という。)は19,033件(+1,463件、+8.3%)、被害額は441.2億円(+70.4億円、+19.0%)と、前年に比べて総認知件数及び被害額は共に増加。
- 被害は大都市圏に集中しており、東京の認知件数は2,920件(▲298件)、大阪2,649件(+585件)、神奈川2,024件(▲66件)、愛知1,357件(+377件)、埼玉1,338件(▲49件)、千葉1,310件(▲147件)及び兵庫1,213件(+139件)で、総
- 認知件数に占めるこれら7都府県の合計認知件数の割合は67.3%(▲2.5ポイント)。
- 1日当たりの被害額は1億2,089万円(+1,929万円)。
- 既遂1件当たりの被害額は237.9万円(+19.3万円、+8.8%)。
- 主な手口別の認知状況
- オレオレ詐欺、預貯金詐欺及びキャッシュカード詐欺盗(以下3類型を合わせて「対面型特殊詐欺」と総称する。)の認知件数は8,896件(▲828件、▲8.5%)、被害額は191.7億円(▲13.4億円、▲6.5%)で、総認知件数に占める割合は46.7%(▲8.6ポイント)。
- オレオレ詐欺は、認知件数3,946件(▲341件、▲8.0%)、被害額130.4億円(+1.1億円、+0.8%)と、認知件数は減少するも、被害額は増加し、総認知件数に占める割合は20.7%(▲3.7ポイント)。
- 預貯金詐欺は、認知件数2,734件(+371件、+15.7%)、被害額34.3億円(+5.4億円、+18.7%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は14.4%(+0.9ポイント)。
- キャッシュカード詐欺盗は、認知件数2,216件(▲858件、▲27.9%)、被害額27.0億円(▲19.8億円、▲42.3%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は11.6%(▲5.9ポイント)。
- 架空料金請求詐欺は、認知件数5,136件(+2,214件、+75.8%)、被害額138.1億円(+36.3億円、+35.7%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は27.0%(+10.4ポイント)。
- 還付金詐欺は、認知件数4,184件(▲495件、▲10.6%)、被害額51.3億円(▲2.4億円、▲4.5%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は22.0%(▲4.6ポイント)。
- 主な被害金交付形態別の認知状況
- 現金手交型の認知件数は3,458件(▲523件、▲13.1%)、被害額101.0億円(▲29.1億円、▲22.3%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は18.2%(▲4.5ポイント)。
- キャッシュカード手交型の認知件数は2,999件(+328件、+12.3%)、被害額は42.2億円(+2.4億円、+6.0%)と、いずれも増加。一方、キャッシュカード窃取型の認知件数は2,216件(▲858件、▲27.9%)、被害額は27.0億円(▲19.8億円、▲42.3%)と、いずれも減少。両交付形態を合わせた認知件数の総認知件数に占める割合は27.4%(▲5.3ポイント)。
- 振込型の認知件数は6,495件(+437件、+7.2%)、被害額は194.0億円(+88.8億円、+84.3%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は34.1%(-0.4ポイント)。
- 現金送付型の認知件数は436件(+117件、+36.7%)、被害額は48.2億円(+9.7億円、+25.0%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は2.3%(+0.5ポイント)。
- 電子マネー型の認知件数は3,343件(+1,927件、+136.1%)、被害額は21.3億円(+11.4億円、+115.0%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は17.6%(+9.5ポイント)。
- 欺罔手段に用いられたツール
- 被害者を欺罔する手段として犯行の最初に用いられたツールは、電話77.4%、ポップアップ表示12.2%、メール・メッセージ39.2%、はがき・封書等1.2%と、電話による欺罔が8割近くを占めている。
- 主な手口別では、対面型特殊詐欺及び還付金詐欺では99.9%が電話。架空料金請求詐欺ではポップアップ表示が43.8%、電話が30.2%、メール・メッセージが25.5%。
- 予兆電話
- 警察が把握した、電話の相手方に対して、住所や氏名、資産、利用金融機関等を探るなどの特殊詐欺が疑われる電話(予兆電話)の件数は133,967件(+13,523件、+11.2%)で、月平均は11,164件(+1,127件、11.2%)と増加。
- 都道府県別では、東京が26,130件と最も多く、次いで埼玉13,561件、大阪12,573件、千葉11,572件、神奈川8,012件、愛知7,928件、兵庫5,693件の順となっており、予兆電話の総件数に占めるこれら7都府県の合計件数の割合は63.8%。
- 検挙状況全般
- 令和5年の特殊詐欺の検挙件数は7,219件(+579件、+8.7%)、検挙人員(以下「総検挙人員」という。)は2,499人(+41人、+1.7%)と増加。
- 手口別では、オレオレ詐欺の検挙件数は2,131件(+360件、+20.3%)、検挙人員は986人(+19人、+2.0%)と、いずれも増加。還付金詐欺の検挙件数は1,061件(±0件、±0.0%)、検挙人員は203人(+17人、+9.1%)と検挙人員が増加。
- 中枢被疑者(犯行グループの中枢にいる主犯被疑者(グループリーダー及び首謀者等))の検挙人員は62人(+21人)で、総検挙人員に占める割合は2.5%。
- 受け子や出し子、それらの見張り役の検挙人員は1,893人(▲24人)で、総検挙人員に占める割合は75.8%。
- このほか、特殊詐欺に由来する犯罪収益を隠匿、収受した組織的犯罪処罰法違反で363件(+226件)、141人(+123人)検挙。
- また、預貯金口座や携帯電話の不正な売買等の特殊詐欺を助長する犯罪を、3,803件(+162件)、2,798人(+27人)検挙。
- 暴力団構成員等の検挙状況
- 暴力団構成員等の検挙人員は404人(▲30人、▲6.9%)で、総検挙人員に占める割合は16.2%。
- 暴力団構成員等の検挙人員のうち、中枢被疑者は24人(+7人、+41.2%)であり、出し子・受け子等の指示役は17人(+5人、+41.7%)、リクルーターは70人(▲9人、▲11.4%)。また、中枢被疑者の総検挙人員に占める暴力団構成員等の割合は38.7%と、・依然として暴力団が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与している実態がうかがわれる。
- このほか、現金回収・運搬役としては43人(+4人、+10.3%)、道具調達役としては6人(▲5人、▲45.5%)を検挙。
- 匿名・流動型犯罪グループの動向と警察の取組
- 近年、暴力団とは異なり、SNSを通じるなどした緩やかな結び付きで離合集散を繰り返す犯罪グループが特殊詐欺等を広域的に敢行するなどの状況がみられ治安対策上の脅威となっている。
- これらの犯罪グループは、そのつながりが流動的であり、また、匿名性の高い通信手段等を活用しながら役割を細分化したり、特殊詐欺等の違法な資金獲得活動によって蓄えた資金を基に、更なる違法活動や風俗営業等の事業活動に進出したりするなど、その活動実態を匿名化・秘匿化する状況がみられる。
- こうした情勢を踏まえ、警察では、準暴力団を含むこのような集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と位置付け、実態解明・取締りを進めている。
- 検挙事例 令和4年5月に発生した特殊詐欺グループ内でのトラブルを発端とした監禁事件の捜査を端緒として、同グループのリーダーの男(25)がSNSを利用するなどして実行犯を募集した上、高齢者のキャッシュカードを別のカードにすり替えて窃取するなどの手口で特殊詐欺事件を広域的に敢行していた実態を解明し、令和5年5月までに、同男ら37人を窃盗罪等で逮捕した(大阪、滋賀及び奈良)。
- 少年の検挙状況
- 少年の検挙人員は446人(▲27人、▲5.7%)で、総検挙人員に占める割合は17.8%。少年の検挙人員の71.5%が受け子(319人)で、受け子の総検挙人員(1,594人)に占める割合は20.0%と、受け子の5人に1人が少年。
- 外国人の検挙状況
- 外国人の検挙人員は124人(▲21人、▲14.5%)で、総検挙人員に占める割合は5.0%。外国人の検挙人員の54.0%が受け子で、24.2%が出し子。
- 国籍別では、中国46人(37.1%)、ベトナム30人(24.2%)、韓国14人(11.3%)、フィリピン7人(5.6%)、タイ6人(4.8%)、ペルー5人(4.0%)、ブラジル5人(4.0%)、インドネシア2人(1.6%)、その他9人(7.3%)。
- 架け場等の摘発状況
- 犯行グループが欺罔電話をかけたり、出し子・受け子らグループのメンバーに指示を出したりする架け場等の犯行拠点について、国内では15箇所を摘発(▲5箇所)。*車両4・ホテル3・賃貸オフィス3・賃貸アパート2・賃貸マンション1・一般住宅1・民泊施設1
- また、海外におけるこれらの拠点を外国当局が摘発し、日本に移送して検挙した人員については、令和5年中69人となっている。*検挙人数69人、うちフィリピン9人、カンボジア47人、タイ4人、ベトナム9人
- 主な検挙事件
- 令和5年2月から5月にかけて、フィリピン共和国に拠点を置いた特殊詐欺(キャッシュカード詐欺盗)事件の首謀者等とみられる4人を含む被疑者9人を、同国を退去強制後に順次逮捕(警視庁ほか)。
- 令和5年4月、カンボジア王国に拠点を置いた特殊詐欺(架空料金請求詐欺)事件の被疑者19人を、同国を退去強制後に逮捕(警視庁ほか)。
- 令和4年3月から5年6月にかけて、特殊詐欺(架空料金請求詐欺)事件の拠点を摘発し、6人を逮捕するとともに、犯行に利用されたIP電話回線を提供した事業者の経営者ら7人を逮捕(埼玉)。
- 令和5年5月、特殊詐欺(架空料金請求詐欺)事件の被害金で購入された暗号資産を日本円に換金して隠匿していた事業者の経営者ら3人を逮捕(愛知)。
- 令和4年2月に認知した特殊詐欺(還付金詐欺等)事件の被疑者として指定暴力団太州会傘下組員ら11人を順次逮捕するとともに、令和5年7月、中枢被疑者を逮捕(大分)。
- 特殊詐欺に係る広域的な捜査連携の強化
- 特殊詐欺は、全国各地で被害が発生しているにもかかわらず、その被疑者や犯行拠点の多くは首都圏をはじめとした大都市に所在していることが多く、捜査範囲が広域にわたることから、捜査をいかに効率的に行うかが課題になっていた。
- 全国警察が一体となり効率的に捜査を進め、上位被疑者の検挙や犯行拠点の摘発につなげるため、令和6年4月から、他府県からの依頼を受けて管轄区域内の捜査を行う「特殊詐欺連合捜査班」(TAIT(タイト):Telecom scam Allianced Investigation Team)が各都道府県警察に構築されることとなり、令和5年12月、全国特殊詐欺取締主管課長等会議においてその方針が示された。
- 関係事業者と連携した対策の推進
- 金融機関の窓口において高齢者が高額の払戻しを認知した際に警察に通報するよう促したり、コンビニエンスストアにおいて高額又は大量の電子マネー購入希望者等に対する声掛けを働き掛けたりするなど、金融機関やコンビニエンスストア等との連携による特殊詐欺予防対策を強化。この結果、関係事業者において、22,346件(+3,616件、+19.3%)、71.7億円(▲8.5億円、▲10.6%)の被害を阻止(阻止率54.6%、+2.1ポイント)。
- キャッシュカード手交型とキャッシュカード窃取型への対策として、警察官や金融機関職員等を名のりキャッシュカードを預かる又はすり替えるなど具体的な手口の積極的な広報を推進。また、金融機関に預貯金口座のモニタリングを強化する取組や高齢者口座のATM引出限度額を少額とする取組(ATM引出制限)等を推進(令和5年12月末現在、43都道府県、258金融機関)。
- 還付金詐欺への対策として、金融機関に対し、一定年数以上にわたってATMでの振込実績がない高齢者のATM振込限度額をゼロ円又は極めて少額とする取組(ATM振込制限)(令和5年12月末現在、47都道府県、411金融機関)や窓口に誘導して声掛けを行うようにするなどの働き掛けを推進。また、金融機関と連携しつつ、還付金詐欺の手口に注目した「ストップ!ATMでの携帯電話」運動を全国で実施。
- 現金送付型への対策として、宅配事業者に対し、過去に犯行に使用された被害金送付先のリストを提供し、これを活用した不審な宅配の発見や警察への通報等を要請するとともに、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会に対して、警察庁作成にかかる「空き家(空き部屋)悪用対策シール」を配付し、シールの活用による空き家(空き部屋)の悪用防止を働き掛ける取組を推進。このほか、コンビニエンスストアに対し、高齢者からの宅配便の荷受け時の声掛け・確認等の推進を要請。
- 電子マネー型への対策として、コンビニエンスストアと連携し、高額の電子マネーを購入しようとする客への声掛け、購入した電子マネーのカード等を入れる封筒への注意を促す文言の記載、発行や申込みを行う端末機の画面での注意喚起等を推進。このほか、電子マネー発行会社に対して、不正な方法によって入手された電子マネーカードの利用を停止するなどの対策強化を働き掛ける取組を推進。
- SNSを利用した受け子等の募集の有害情報への対策として、特殊詐欺に加担しないよう呼び掛ける注意喚起の投稿や、受け子等を募集していると認められる投稿に対して、返信機能(リプライ)を活用した警告等を実施(令和5年12月末現在、28都道府県)。
- 「実行犯を生まない」ための対策~犯罪実行者募集への対処
- 警察庁では、令和5年1月から同年7月末までに検挙した被疑者を対象として、その供述や証拠から受け子等になった経緯を集計したところ、「SNSから応募」が約半数を占めている実態が判明した。
- 犯罪実行者募集の投稿については、従来から一部の都道府県警察において、事業者に対する削除依頼、返信(リプライ)機能を活用した投稿者等に対する個別警告及び実行犯募集に応募しようとしていることがうかがわれる者への注意喚起を推進しているところ、令和5年7月、人身安全・少年課では、少年が、社会的に「闇バイト」と表現されることがある犯罪実行者募集への応募をきっかけに犯行グループに使い捨てにされ、検挙されるまでの実態を取りまとめた「犯罪実行者募集の実態」を公表して、非行防止教室等の場を活用するなどして少年が特殊詐欺等に加担してしまうことなどがないよう広報啓発を強化している。
- また、同年9月、警察庁の委託事業であるインターネット・ホットラインセンター及びサイバーパトロールセンターにおいて、その取扱情報の範囲に犯罪実行者募集情報を追加し、当該情報の排除に向けた取組を推進している。
- 防犯指導等の推進
- 特殊詐欺等の捜査過程で押収した名簿を活用し、同名簿に載っていた人に電話するなど注意を喚起する取組を推進。
- 高齢者が犯人からの電話に出ないようにするために、固定電話の防犯機能強化に向けた対策を推進。具体的には、自動通話録音、警告音声、迷惑電話番号からの着信拒否等の機能を有する機器の設置、相手の電話番号を表示するナンバー・ディスプレイ等の導入や留守番電話の設定を通じ、知らない番号からの電話に出ない、国際電話番号の利用を休止するなどの対策を呼び掛ける取組を推進。
- 地方創生臨時交付金における「重点支援地方交付金」の推進事業メニューに防犯性能の高い建物部品・固定電話機・防犯カメラの設置等が含まれていることを受け、同交付金を活用した防犯対策が適切に実施されるよう、地方公共団体との連携を推進。
- 「被害に遭わない環境を構築する」ための対策~高齢者の自宅電話に犯罪グループ等から電話がかかることを阻止するための方策の推進~
- 特殊詐欺として被害届を受理したもののうち、犯人側が被害者側に接触する最初の通信手段は77.4%が電話で、そのうちの90.5%が被害者の固定電話に対する架電であることが判明している。
- NTT東日本・西日本では、特殊詐欺被害防止のため、令和5年5月から70歳以上の契約者及び70歳以上の方と同居する契約者の回線を対象に、ナンバー・ディスプレイ契約、ナンバー・リクエスト契約を無償化等する取組を実施しており、都道府県警察では、各種警察活動を通じて周知に向けた取組を行うとともに、その利用に向けた具体的な支援を行うなど、犯人側から電話がかかることを阻止するための方策を強力に推進している。
- この結果、特殊詐欺への抑止効果が見込まれるナンバー・リクエスト契約数が、令和5年12月末時点で、前年同期に比べて約20万件増加(+150%)。
- また、令和5年7月以降、国際電話番号を利用した特殊詐欺が急増しているところ、国際電話に関しては、KDDI株式会社、NTTコミュニケーションズ株式会社及びソフトバンク株式会社の国際電話三社が共同で運用している「国際電話不取扱受付センター」(連絡先0120-210-364)に申込めば、固定電話・ひかり電話を対象に国際電話番号からの発着信を無償で休止できる。都道府県警察では、同センターの周知及び申込み促進に向けた取組を行うとともに、手続が煩雑等の理由で申込みを控える高齢者世帯等に対しては、警察において可能な支援を行うなどの取組を行っている。
- 犯行ツール対策
- 主要な電気通信事業者に対し、犯行に利用された固定電話番号等の利用停止及び新たな固定電話番号の提供拒否を要請する取組を推進。令和5年中は固定電話番号866件、050IP電話番号7,302件が利用停止され、新たな固定電話番号等の提供拒否要請を6件実施。
- 令和5年7月から、悪質な電話転送サービス事業者が保有する「在庫番号」を一括利用停止する仕組みの運用を開始。新規番号の提供拒否対象契約者等が保有する固定電話番号等の利用停止等要請を4事業者に行い、在庫番号3,270番号を利用停止。
- 犯行に利用された固定電話番号を提供した電話転送サービス事業者に対する犯罪収益移転防止法に基づく報告徴収を3件、総務省に対する意見陳述を3件実施。
- 犯行に利用された携帯電話(仮想移動体通信事業者(MVNO)が提供する携帯電話を含む。)について、携帯電話事業者に対して役務提供拒否に係る情報提供を推進(3,042件の情報提供を実施)。
- 犯行に利用された電話番号に対して、繰り返し電話して警告メッセージを流すことで、その番号の電話を事実上使用できなくする「警告電話事業」を推進。
- 総務省は、令和5年8月、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律施行規則を改正する省令を公布し、令和6年4月から050IP電話についても同法に基づく役務提供契約締結時の本人確認を義務化。
- 今後の取組
- 令和6年4月から、特殊詐欺連合捜査班(TAIT)を各都道府県警察に構築し、全国警察が一体となった迅速かつ効果的な捜査を推進。
- 特殊詐欺に深く関与している暴力団や匿名・流動型犯罪グループの実態解明と、あらゆる刑罰法令を駆使した戦略的な取締りを推進。
- 海外拠点に関連する情報の一層の収集及び集約を行うとともに、外国当局との国際捜査共助を推進し、海外拠点の積極的な摘発を推進。
- 「緊急対策プラン」等に基づき、関係行政機関・事業者等と連携しつつ、特殊詐欺等の撲滅に向け、取締り、被害防止対策、犯行ツール対策を強力に推進
【2024年1月】
警察庁 特殊詐欺の電子マネー型交付形態における認知件数及び国際電話番号による既遂件数の推移について
- 内容
- 特殊詐欺の電子マネー型交付形態における認知件数等の推移について
- 令和5年1月から令和5年11月末までに警察庁へ報告された電子マネー型の交付形態における認知件数及び被害額
- 【概要】令和5年2月以降、特定の電子マネー被害が急増し、同年11月(単月)の認知件数は電子マネー被害全体の92.8%、被害額は92.7%を占める。
- 国際電話番号による既遂件数の推移と犯行事例
- 令和5年1月から令和5年11月末までに警察庁へ報告された電話番号種別のうち、国際電話番号の既遂件数を集計
- 【概要】令和5年4月から国際電話番号を悪用した特殊詐欺の既遂件数が増加傾向、国際電話番号を悪用した犯行事例
- 特殊詐欺の電子マネー型交付形態における認知件数等の推移について
- 国際電話番号による既遂件数の推移と犯行事例
- 令和5年1月から同年11月末までに報告された電話番号を対象とし、総既遂件数の11月末の累計は、13,400件、うち、国際電話番号が1,850件
- 総既遂件数には、国際電話番号のほか、固定電話番号、050電話番号、携帯電話番号を含む
- CASE1:被害者の携帯電話に国際電話番号で架電し、「サイトの未納料金がある。」「裁判を起こす。」などの名目で電子マネーの利用権や現金をだまし取るもの。
- CASE2:被害者のパソコン画面に「トロイの木馬に感染した。」などと表示させ、表示された国際電話番号に架電させ、パソコン復旧費名目で電子マネーの利用権をだまし取るもの。
警察庁 令和5年11月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
- 令和5年1月~11月の特殊詐欺全体の認知件数は17,254件(前年同期15,644件、前年同期比+10.3%)、被害総額は382.4憶円(324.6憶円、+17.8%)、検挙件数は6,611件(6,030件、+9.6%)、検挙人員は2,280人(2,254人、+1.2%)
- オレオレ詐欺の認知件数は3,569件(3,778件、▲5.5%)、被害総額は113.0憶円(113.0憶円、+0.0%)、検挙件数は1,980件(1,620件、+22.2%)、検挙人員は918人(888人、+3.4%)
- 預貯金詐欺の認知件数は2,503件(2,106件、+18.9%)、被害総額は320.3憶円(253.5憶円、+26.4%)、検挙件数は1,562件(1,296件、+20.5%)、検挙人員は522人(527人、▲0.9%)
- 架空料金請求詐欺の認知件数は4,657件(2,552件、+82.5%)、被害総額は124.8憶円(86.8憶円、+43.8%)、検挙件数は296件(164件、+80.5%)、検挙人員は137人(123人、+11.4%)
- 還付金詐欺の認知件数は3,832件(4,208件、▲8.9%)、被害総額は45.6憶円(48.1憶円、▲5.2%)、検挙件数は954件(929件、+2.7%)、検挙人員は174人(165人、+5.5%)
- 融資保証金詐欺の認知件数は166件(121件、+37.2%)、被害総額は2.1憶円(2.0憶円、+4.9%)、検挙件数は23件(36件、▲36.1%)、検挙人員は15人(26人、▲42.3%)
- 金融商品詐欺の認知件数は284件(28件、+914.3%)、被害総額は34.7憶円(4.3憶円、+708.4%)、検挙件数は24件(7件、+242.9%)、検挙人員は27人(12人、+125.0%)
- ギャンブル詐欺の認知件数は20件(45件、▲55.6%)、被害総額は0.5憶円(2.7憶円、▲81.3%)、検挙件数は2件(21件、▲90.5%)、検挙人員は0人(11人)
- キャッシュカード詐欺盗の認知件数は2,051件(2,790件、▲26.5%)、被害総額は25.2憶円(42.0憶円、▲40.1%)、検挙件数は1,744件(1,957件、▲10.9%)、検挙人員は453人(500人、▲9.4%)
- 組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は312件(119件、+162.2%)、検挙人員は118人(18人、+555.6%)
- 口座開設詐欺の検挙件数は646件(671件、▲3.7%)、検挙人員は360人(368人、▲2.2%)、盗品等譲受け等の検挙件数は3件(0件、検挙人員は2人(0人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は2,653件(2,621件、+1.2%)、検挙人員は2,050人(2,122人、▲3.4%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は165件(95件、+73.7%)、検挙人員は140人(92人、+52.2%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は28件(13件、+115.4%)、検挙人員は21人(11人、+90.1%)
- 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では60歳以上87.2%、70歳以上67.1%、男性(31.9%):女性(68.1%)、オレオレ詐欺では60歳以上96.1%、70歳以上93.4%、男性(20.6%):女性(79.4%)、融資保証金詐欺では60歳以上14.3%、70歳以上3.9%、男性(72.7%):女性(27.3%)、特殊詐欺被害者全体に占める高齢被害者(65歳以上)の割合について、特殊詐欺 78.9%(男性28.4%、女性71.6%)、オレオレ詐欺 95.1%(20.1%、79.9%)、預貯金詐欺 98.7%(8.4%、91.6%)、架空料金請求詐欺 55.9%(62.4%、37.6%)、還付金詐欺 76.9%(33.5%、66.5%)、融資保証金詐欺 6.5%(80.0%、20.0%)、金融商品詐欺 33.5%(56.8%、43.2%)、ギャンブル詐欺 25.0%(80.0%、20.0%)、交際あっせん詐欺 11.1%(100.0%、0.0%)、その他の特殊詐欺 29.3%(50.0%、50.0%)、キャッシュカード詐欺盗 99.1%(13.7%、86.3%)
【2023年12月】
警察庁 犯罪統計資料(令和5年1~11月分)
- 令和5年1~11月の刑法犯総数について、認知件数は646,119件(前年同期549,675件、前年同期比+17.5%)、検挙件数は247,649件(230,676件、+7.4%)、検挙率は38.3%(42.0%、▲3.7P)
- 凶悪犯の認知件数は5,200件(4,094件、+27.0%)、検挙件数は4,401件(3,594件、+22.5%)、検挙率は84.6%(87.8%、▲3.2P)、粗暴犯の認知件数は53,766件(48,099件、+11.8%)、検挙件数は43,911件(39,960件、+9.9%)、検挙件数は81.7%(83.1%、▲1.4P)、窃盗犯の認知件数は445,057件(373,707件、+19・1%)、検挙件数は145,057件(137,112件、+5.8%)、検挙率は32.6%(36・7%、▲4.1P)、知能犯の検挙件数は45,025件(36,414件、+23.6%)、検挙件数は17,834件(17,061件、+4.5%)、検挙率は39.6%(46.9%、▲7.3P)、風俗犯の認知件数は10,546件(7,532件、+40.0%)、検挙件数は7,538件(6,181件、+22.0%)、検挙率は71.5%(82.1%、▲10.6P)
- 詐欺の認知件数は41,432件(33,346件、+24.2%)、検挙件数は15,225件(14,557件、+4.6%)、検挙率は36.7%(43.7%、▲7.0%)、万引きの認知件数は85,253件(76,690件、+11.2%)、検挙件数は57,499件(53,879件、+6.7%)、検挙率は67.4%(70.3%、▲2.9P)
- 特別法犯総数について、検挙件数は64,405件(61,571件、+4.6%)、検挙人員は52,385人(50,583人、+3.6%)
- 入管法違反の検挙件数は5,534件(3,788件、+46.1%)、検挙人員は3,843人(2,795人、+37.5%)、軽犯罪法違反の検挙件数は6,955件(7,039件、▲1.2%)、検挙人員は6,892人(6,985人、▲1.3%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は9,148件(8,869件、+3.1%)、検挙人員は6,913人(6,769人、+2.1%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は1,151件(953件、+20.8%)、検挙人員は947人(747人、+28.8%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は3,166件(2,864件、+10.5%)、検挙人員は2,451人(2,388人、+2.6%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は475件(487件、▲2.5%)、検挙人員は141人(156人、▲9.6%)、不正競争防止法違反の検挙件数は50件(58件、▲13.8%)、検挙人員は60人(72人、▲17.8%)、銃刀法違反の検挙件数は4,590件(4,654件、▲1.4%)、検挙人員は3,875人(4,106人、▲5.6%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は1,320件(935件、+41.2%)、検挙人員は774人(559人、+38.5%)、大麻取締法違反の検挙件数は7,003件(5,939件、+17.9%)、検挙人員は5,687人(4,697人、+21.1%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は7,434件(7,801件、▲4.7%)、検挙人員は5,199人(5,409人、▲3.9%)
- 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数655人(549人、+19.3%)、ベトナム209人(171人、+22.2%)、中国80人(90人、▲11.1%)、ブラジル47人(37人、+27.0%)、スリランカ27人(35人、▲22.9%)、フィリピン26人(19人、+36.8%)、インド19人(12人、58.3%)、バングラデシュ13人(7人、+85.7%)、パキスタン13人(19人、▲31.6%)
- 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較における刑法犯総数について、検挙件数は9,097件(10,447件、▲12.9%)、検挙人員は5,528人(5,711人、▲3.2%)
- 暴行の検挙件数は538件(574件、▲6.3%)、検挙人員は499人(566人、▲11・8%)、傷害の検挙件数は910件(952件、▲4.4%)、検挙人員は1,063人(1,072人、▲0.8%)、脅迫の検挙件数は288件(340件、▲15.3%)、検挙人員は271人(345人、▲21.4%)、恐喝の検挙件数は329件(325件、+1.2%)、検挙人員は427人(415人、+2・9%)、窃盗の検挙件数は4,300件(5,123件、▲16.1%)、検挙人員は812人(790人、+2.8%)、詐欺の検挙件数は1,431件(1,739件、▲17.7%)、検挙人員は1,222人(1,320人、▲7.4%)、賭博の検挙件数は37件(48件、▲22.9%)、検挙人員は142人(151人、▲6.0%)
- 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較における特別法犯総数について、検挙件数は4,598件(5,105件、▲9.9%)、検挙人員は3,225人(3,473人、▲7.1%)
- 入管法違反の検挙件数は23人(17人、+35.3%)、検挙人員は21人(23人、▲8.7%)、軽犯罪法違反の検挙件数は67件(68件、▲1.5%)、検挙人員は51人(63人、▲19.0%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は61件(85件、▲28.2%)、検挙人員は60人(75人、▲20.0%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は16件(18件、▲11.1%)、検挙人員は31人(42人、▲20.0%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は207件(162件、+27.8%)、検挙人員は92人(67人、+37.3%)、大麻取締法違反の検挙件数は981人(955人、▲2.7%)、検挙人員は642人(561人、▲+14.4%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は2,541件(2,981件、▲14.8%)、検挙人員は1,739人(1,982人、▲12.3%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は100件(142件、▲29.6%)、検挙人員は51人(72人、▲29.2%)
警察庁 ホストクラブ等の売掛金等に起因する事件等について
- ホストクラブ等の売掛金等に起因する事件等について
- いわゆるホストクラブ等の利用客が、高額な利用料金の売掛による借金を背負い、その返済のために、売春させられるなどの事例があります。
- ホストクラブ等での利用料金を返済させるために、人を困惑させて売春をさせたり、性風俗などの有害な業務を紹介したりすることは、売春防止法や職業安定法で禁止されています。
職業安定法に関するQ&Aは(厚生労働省のページ)こちら - 警察では、ホストクラブ等の売掛金等に起因する違法行為について、売春防止法違反、職業安定法違反等で検挙しているほか、ホストクラブに対する立入りにより、風営適正化法の遵守を徹底するなどの取組を推進しています。
- 検挙事例
- 当時ホストクラブ従業員であった者が、店での売掛金の返済名目で客の女性に現金を要求し、スカウトマンを介し、ソープランド従業員に紹介して売春をさせた事案。(同ホストクラブ従業員であった者、同スカウトマンその他関係者について、売春防止法違反、職業安定法違反等で検挙した。)
- ホストクラブの店長らが、店での売掛金を支払わせるため、客の女性をソープランド経営者に売春婦として紹介した事案。(同ホストクラブの店長その他関係者について、売春防止法違反及び職業安定法違反で検挙した。)
- ホストクラブ経営者らが、客の女性に対し、店での売掛金を返済するよう要求し、同女を指定したビジネスホテルに居住させた上、売春をさせた事案。(同ホストクラブの経営者らについて、売春防止法違反で検挙した。)
- 一人で悩まずに相談してください
- ホストに売春等を強要されている、追われている等の犯罪被害に関する相談は、最寄りの警察署への通報又は警察相談専用電話(「♯9110」番)をご利用ください。
- なお、ホストクラブ等において、好意の感情を不当に利用した契約(いわゆるデート商法)など、不当な勧誘により締結された契約は、消費者契約法に規定する要件に該当すれば、消費者が意思表示することにより、後から取り消すことができます。
▼ホストクラブなどにおける不当な勧誘と消費者契約法の適用(消費者庁のページ)
- 関係機関の相談窓口は以下のとおりです。
- どこに相談して良いか分からない方や困難な問題を抱え福祉的支援が必要な場合の相談各都道府県の婦人相談所
(電話番号一覧はこちら(厚生労働省のページ)) - ホストクラブ等との契約などにおける消費者トラブルの相談
- 消費者ホットライン
- 全国共通の電話番号:188
- 売掛金に係る契約等の取消の手続等各種法的トラブルに関する相談
- 日本司法支援センター(法テラス)
- 電話番号:0570-078374
- 性犯罪・性暴力被害の相談
- 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター
- 全国共通番号:♯8891
- どこに相談して良いか分からない方や困難な問題を抱え福祉的支援が必要な場合の相談各都道府県の婦人相談所
警察庁 G7茨城水戸内務・安全担当大臣会合
- セッション1:経済安全保障及び民主主義的価値の保護
- 本セッションでは、冒頭、瀧澤前内閣情報官から、経済安全保障の確保や偽情報をめぐる現状の情勢認識について説明がありました。
- これを受けて、一方的な現状変更を試み、国際秩序に挑戦する動きを加速させる一部の国家の動向を念頭に、技術情報の窃取や偽情報の拡散といった課題への対応について議論しました。
- 松村国家公安委員会委員長からは、我が国における技術情報の流出防止や偽情報の拡散に対抗するための取組について紹介するとともに、普遍的な価値を共有するG7各国の治安機関の間で情報共有・連携を強化し、一致団結して対応していくことが重要であるとの発言がありました。
- この分野において、引き続き連携して対応していくというG7としての方向性を確認しました。
- セッション2:サイバー空間の安全確保
- 本セッションでは、冒頭、日本サイバー犯罪対策センター(JC3)の堺代表理事から、我が国のサイバー空間をめぐる情勢やJC3の取組について説明がありました。
- これを受けて、ランサムウェアやフィッシング、国家を背景とするサイバー攻撃といったサイバー空間上の脅威への対処について議論しました。
- 松村国家公安委員会委員長からは、ランサムウェアやフィッシング等の被害防止に向けた官民連携の取組を紹介したほか、国境を越えるサイバー事案に対処するため、警察庁のサイバー特別捜査隊を中心にG7各国の捜査機関と国際共同捜査を推進している旨の発言があり、国際連携の必要性について確認しました。
- 各国からも企業を含めた国際社会の取組や、国際的な捜査協力の推進の必要性に関し活発な発言があり、G7として、捜査能力の向上を図りながら、サイバー事案の厳正な取締りや実態解明、官民連携等を推進していくことを確認しました。
- セッション3:児童の性的搾取・虐待対策
- 本セッションでは、冒頭、国際機関セーフオンラインのマノイロビッチ事務局長から、オンライン上の児童の性被害が世界的にどのような脅威となっているか説明がありました。また、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構の上沼理事から、我が国のソーシャルメディア業界における児童の性的搾取・虐待対策の取組についても説明がありました。
- これらの説明を受けて、技術の進展に伴う環境の変化と、それにより生まれる新しい手口によって、ますます深刻化する児童の性的搾取・虐待の現状と対策について議論しました。
- 松村国家公安委員会委員長からは、我が国における、ソーシャルメディアを悪用した児童の性的搾取・虐待が深刻化している現状と、官民連携の推進等の取組に言及があった上で、国境を越えて活動するソーシャルメディア事業者等のテック企業にG7がともに呼び掛けていくことの重要性について指摘がありました。
- 世界中の児童の性的搾取・虐待の撲滅に向け、G7としてさらに産業界に自主的な取組を促すことを確認しました。
- セッション4:ウクライナの支援
- 本セッションでは、冒頭、オンライン参加していただいたウクライナのイーホル・クリメンコ内務大臣から、戦禍の過酷な環境下での法執行機関の活動の現状等について説明がありました。
- これを受けて、松村国家公安委員会委員長からは、日本警察としてこれまで、ウクライナ国家警察に対して鑑識分野での研修を実施するなど支援を行ってきたことに言及があり、現下の中東情勢がある中でも、引き続き厳しい対露制裁及び強力なウクライナ支援に取り組む姿勢に変わりがない旨の表明がありました。
- これに続いて、各国からも支援の取組の紹介があり、G7として、中長期的に治安分野でもウクライナ支援を継続することで一致しました。
- セッション5:生成AIの危険性と可能性
- 冒頭、国立情報学研究所の越前功教授から、生成AIの可能性や犯罪行為等に利用される危険性のほか、対処技術とその社会実装について、最先端の研究内容とともに説明いただいた上で、それらの事項に関し、参加者間で意見交換しました。
- 松村国家公安委員会委員長からは、生成AIを用いた犯罪行為等に対処するため、国際的な情報共有や産業界との連携等が重要であるとの指摘があり、G7として、世界共通の利益を実現するため、G7の取組がAIの健全な発展を導くとの認識の下、治安分野においても、国際的な情報共有や産業界との連携といった取組を推進していくことなどを確認しました。
警察庁 令和5年10月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
- 令和5年1月~10月における特殊詐欺全体の認知件数は15,636件(前年同期13,966件、前年同期比+12.0%)、被害総額は338.9憶円(287.5億円、+17.9%)、検挙件数は5,734件(5,135件、+11.7%)、検挙人員は1,910人(1,876人、+1.8%)
- オレオレ詐欺の認知件数は3,278件(3,328件、▲1.5%)、被害総額は101.3憶円(97.7憶円、+3.7%)、検挙件数は1,732件(1,382件、+25.3%)、検挙人員は768人(754人、+1.9%)
- 預貯金詐欺の認知件数は2,322件(1,894件、+22.6%)、被害総額は29.3憶円(23.0憶円、+27.4%)、検挙件数は1,316件(1,104件、+19.2%)、検挙人員は434人(429人、+1.7%)
- 架空料金請求詐欺の認知件数は4,206件(2,296件、+83.2%)、被害総額は112.5憶円(79.0憶円、+42.4%)、検挙件数は247件(143件、+72.7%)、検挙人員は120人(104人、+15.4%)
- 還付金詐欺の認知件数は3,394件(3,706件、▲8.4%)、被害総額は40.1憶円(42.7憶円、▲5.9%)、検挙件数は871件(742件、+17.4%)、検挙人員は143人(124人、15.3%)
- 融資保証金詐欺の認知件数は152件(114件、+33.3%)、被害総額は2.0憶円(1.9憶円、+6.1%)、検挙件数は20件(33件、▲39.4%)、検挙人員は15人(24人、▲37.5%)
- 金融商品詐欺の認知件数は221件(26件、+750.0%)、被害総額は26.6憶円(2.5憶円、978.1%)、検挙件数は19件(5件、+280.0%)、検挙人員は22人(11人、+100.0%)
- ギャンブル詐欺の認知件数は18件(41件、▲56.1%)、被害総額は0.5憶円(2.7憶円、▲82.5%)、検挙件数は1件(13件、▲92.3%)、検挙人員は0人(9人)
- キャシューカード詐欺盗の認知件数は1,902件(2,547件、▲25.3%)、被害総額は23.3憶円(37.7憶円、▲38.2%)、検挙件数は1,506件(1,713件、▲12.1%)、検挙人員は377人(419人、▲10.0%)
- 組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は262件(97件、+170.0%)、検挙人員は97人(17人、+470.6%)
- 口座開設詐欺の検挙件数は556件(575件、▲3.3%)、検挙人員は316人(319人、▲0.9%)、盗品等譲受け等の検挙件数は3件(0件)、検挙人員は2人(0人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は2,260件(2,339件、▲3.4%)、検挙人員は1,779人(1,887人、▲5.7%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は126件(81件、+55.6%)、検挙人員は118人(80人、+47.5%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は18件(10件、+80.0%)、検挙人員は14人(8人、+75.0%)
- 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体の男性(31.4%):女性(68.6%)、60歳以上87.6%、70歳以上67.9%、オレオレ詐欺の男性(20.2%):女性(79.8%)、60歳以上96.5%、70歳以上94.1%、預貯金詐欺の男性(8.4%):女性(91.6%)、60歳以上99.4%、70歳以上97.0%、融資保証金詐欺の男性(72.9%):女性(27.1%)、60歳以上15.0%、70歳以上3.6%、特殊詐欺被害者(65歳以上)全体に占める高齢被害者の割合について、特殊詐欺 79.6%(男性27.9%、女性72.1%)、オレオレ詐欺 95.7%(19.9%、80.1%)、預貯金詐欺 98.8%(8.5%、91.5%)、架空料金請求詐欺 56.4%(62.2%、37.8%)、還付金詐欺 77.0%(33.1%、66.9%)、融資保証金詐欺 6.4%(77.8%、22.2%)、金融商品詐欺 33.0%(53.4%、46.6%)、ギャンブル詐欺 27.8%(80.0%、20.0%)、交際あっせん詐欺 11.1%(100.0%、0.0%)、その他の特殊詐欺 29.7%(47.4%、52.6%)、キャッシュカード詐欺盗 99.1%(13.0%、87.0%)
警察庁 SNSなどを利用した「もうけ話」に注意!!
- 特殊詐欺事件の中には、SNSなどで知らないアカウントから届いた投資や副業などの「もうけ話」のメッセージをきっかけにお金をだまし取られる事例があります。
- 知らないアカウントからもうけ話に関するメッセージが届いた。[1]
- グループチャットなどに勝手に招待された。[2]
- 投資に勧誘され、投資アプリのインストールをすすめられた。
- 投資に勧誘しているのは、無登録の事業者だった。
- 稼いだお金を引き出すのに事前に説明のなかった手数料などを要求された。[3]
- このような場面に遭遇した場合は、家族や友人、警察にご相談ください。
- [1]主に投資に関するもうけ話で、被害者に詳しい内容を理解させず、「指示通りにするだけ」などの言葉でだますもの。
- [2]SNSのグループ機能を悪用し、グループ内の会話で信頼のある人物を作り上げ、その後、被害者に対し、個人チャットなどに誘導し、もうけ話をしてだますもの。
- [3]一般的に投資や副業で得た利益を引き出す際、事前に説明のなかった高額な手数料などを追加で要求することはありません。要求する際の言葉として、エラーなどの解除手数料、契約の解約金、違約金などのさまざまな理由でお金を要求してきます。
【法務省】
【2023年12月】
法務省 令和5年犯罪白書
- 刑法犯の認知件数は、平成8年から毎年戦後最多を更新して、14年には285万3,739件にまで達した後、15年以降は減少に転じ、27年から令和3年までは戦後最少を更新していたが、4年は20年ぶりに増加し、60万1,331件(前年比3万3,227件(5.8%)増)であった。平成15年からの認知件数の減少は、刑法犯の7割近くを占める窃盗の認知件数が大幅に減少し続けたことに伴うものである。
- 刑法犯の発生率の動向は、認知件数の動向とほぼ同様である。平成8年(1,439.8)から毎年上昇し、14年には戦後最高の2,238.5を記録した後、15年から低下に転じていたが、令和4年は481.3(前年比28.6上昇)となった
- 刑法犯について、検挙人員の年齢層別構成比の推移(最近30年間)を見ると、65歳以上の高齢者の構成比は、平成5年には3.1%(9,314人)であったが、令和4年は23.1%(3万9,144人)を占めており、検挙人員に占める高齢者の比率の上昇が進んでいる。一方、20歳未満の者の構成比は、平成5年には45.0%(13万3,979人)であったが、その後減少傾向にあり、令和2年に9.8%(1万7,904人)と、昭和48年以来初めて10%を下回り、令和4年は9.1%(1万5,376人)であった。
- 刑法犯の検挙率は、平成7年から毎年低下し、13年には19.8%と戦後最低を記録したが、14年から回復傾向にあり、一時横ばいで推移した後、26年以降上昇していたものの、令和4年は再び低下し、41.6%(前年比4.9pt低下)であった。
- 窃盗は、認知件数において刑法犯の7割近くを占める。
- 特殊詐欺に関係する手口である払出盗(不正に取得し、又は不正に作成したキャッシュカード等を利用してATM(CDを含む。)から現金を窃取するもの)及び職権盗(公務員等の身分を詐称し、捜査、検査等を装い、隙をみて金品を窃取するもの)の認知件数は、近年増加傾向にあったところ、令和4年は、払出盗が8,070件(前年比4.3%減)、2年、3年と前年より減少していた職権盗が2,297件(同3.1%増)であった。
- 詐欺の認知件数は、平成17年に昭和35年以降で最多の8万5,596件を記録した。その後、平成18年から減少に転じ、24年からは増加傾向を示していた。その後、30年から再び減少していたが、令和4年は3年に引き続き前年と比べて増加し、3万7,928件(前年比4,575件(13.7%)増)であった。検挙率は、平成16年に32.1%と戦後最低を記録した後、17年から上昇に転じ、23年から26年までの低下を経て、その後は上昇傾向にあったが、令和4年は前年と比べて低下し、42.4%(同7.1pt低下)であった。
- 特殊詐欺(被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座への振込みその他の方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪の総称。現金等を脅し取る恐喝及びキャッシュカード詐欺盗(警察官や銀行協会、大手百貨店等の職員を装って被害者に電話をかけ、「キャッシュカードが不正に利用されている」等の名目により、キャッシュカード等を準備させた上で、隙を見るなどし、同キャッシュカード等を窃取するもの)を含む。)の認知件数、検挙件数及び被害総額(現金被害額及び詐取又は窃取されたキャッシュカード等を使用してATMから引き出された額(以下「ATM引出し額」という。)の総額をいう。ただし、ATM引出し額については、平成21年以前は被害総額に含まれず、22年から24年までは、オレオレ詐欺に係るもののみを計上している。)の推移(統計の存在する平成16年以降)は、1-1-2-10図のとおりである。令和4年における特殊詐欺の認知件数及び被害総額は、いずれも前年と比べて増加し、それぞれ17,570件(前年比21.2%増)、約371億円(前年比31.5%増)であり、被害総額は8年ぶりに増加した。主要な手口別に見ると、預貯金詐欺(親族、警察官、銀行協会職員等を装い、「あなたの口座が犯罪に利用されており、キャッシュカードの交換手続が必要である」等の名目で、キャッシュカード、クレジットカード、預貯金通帳等をだまし取る(脅し取る)もの)以外の手口では、認知件数及び被害総額が前年と比べて増加しており、特にオレオレ詐欺は、それぞれ4,287件(前年比1,202件(39.0%)増)、約129億円(前年比42.7%増)と大きく増加した
- 令和4年における月別の刑法犯認知件数は、5月以降、前年同月と比べて増加しているところ、まん延防止等重点措置が完全に終了するなどし、人の移動が活発化したことがその増加理由の一つとして考えられる。4年5月以降の認知件数を罪種別に見ても、例えば乗り物盗の大幅な増加や、暴行及び傷害の増加などは、駅や繁華街の人流の増加を始めとする人の移動の活発化により犯罪発生の機会が増加したことがその一因となったと言えそうである。一方、刑法犯認知件数を年単位で見ると、4年は、依然として、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が始まる前である元年及び同感染症感染拡大後の2年の水準を下回っており、刑法犯認知件数が4年5月を境に増加に転じたとまでは言い切れない。引き続き5年以降の動向を注視していく必要がある
- マネー・ローンダリング罪の法定刑及び犯罪収益等の没収に関する組織的犯罪処罰法等の改正等
- 法務大臣は、令和4年1月、法制審議会に対し、マネー・ローンダリング罪の法定刑について諮問を行い(諮問第119号)、同審議会において、調査審議が行われ、同年2月、法務大臣に対する答申がなされた。この答申においては、組織的犯罪処罰法に規定されている不法収益等による法人等の事業経営の支配を目的とする行為の罪、犯罪収益等隠匿の罪及び犯罪収益等収受の罪の法定刑をそれぞれ引き上げることが掲げられた。
- また、法務大臣は、令和4年6月、法制審議会に対し、犯罪収益等の没収について諮問を行い(諮問第123号)、同審議会において、調査審議が行われ、同年9月、法務大臣に対する答申がなされた。
- この答申においては、同法に規定されている没収することができる財産は、不動産若しくは動産又は金銭債権でないときも、これを没収することができるものとすることが掲げられた。
- 前記諮問第119号及び前記諮問第123号に対する答申については、令和4年10月、国際的な不正資金等の移動等に対処するための国際連合安全保障理事会決議第1267号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案が国会に提出され、同年12月2日、国際的な不正資金等の移動等に対処するための国際連合安全保障理事会決議第1267号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法等の一部を改正する法律(令和4年法律第97号。本編第6章第1節4項参照)が成立した。これにより、犯罪収益等隠匿の罪等の法定刑の引上げ及び犯罪収益等として没収することができる財産の拡大を内容とする組織的犯罪処罰法の一部改正並びに薬物犯罪収益等隠匿の罪等の法定刑の引上げを内容とする麻薬特例法の一部改正が行われた(同年12月29日施行)
- 改善指導
- 改善指導は、受刑者に対し、犯罪の責任を自覚させ、健康な心身を培わせ、社会生活に適応するのに必要な知識及び生活態度を習得させるために行うもので、一般改善指導及び特別改善指導がある。
- 一般改善指導は、講話、体育、行事、面接、相談助言その他の方法により、(1)被害者及びその遺族等の感情を理解させ、罪の意識を培わせること、(2)規則正しい生活習慣や健全な考え方を付与し、心身の健康の増進を図ること、(3)生活設計や社会復帰への心構えを持たせ、社会適応に必要なスキルを身に付けさせることなどを目的として行う。また、高齢又は障害を有する受刑者のうち、特別調整等の福祉的支援を必要とする者又は受講させることにより改善更生及び円滑な社会復帰に資すると見込まれる者を対象に、出所後の円滑な社会生活を見据えた多様な指導を実施することを目的とした「社会復帰支援指導プログラム」が策定され、全国的に展開されている。
- 特別改善指導は、薬物依存があったり、暴力団員であるなどの事情により、改善更生及び円滑な社会復帰に支障があると認められる受刑者に対し、その事情の改善に資するよう特に配慮して行う。現在、(1)「薬物依存離脱指導」(薬物使用に係る自己の問題性を理解させた上で、再使用に至らないための具体的な方法を考えさせるなど。令和4年度の実施指定施設数は72庁、受講開始人員は7,418人。)、(2)「暴力団離脱指導」(警察等と協力しながら、暴力団の反社会性を認識させる指導を行い、離脱意志の醸成を図るなど。同35庁、374人。)、(3)「性犯罪再犯防止指導」(性犯罪につながる認知の偏り、自己統制力の不足等の自己の問題性を認識させ、その改善を図るとともに、再犯に至らないための具体的な方法を習得させるなど。性犯罪者調査、各種プログラムの実施、メンテナンスの順に行われる。同20庁、553人。)、(4)「被害者の視点を取り入れた教育」(罪の大きさや被害者等の心情等を認識させるなどし、被害者等に誠意をもって対応するための方法を考えさせるなど。同73庁、530人。)、(5)「交通安全指導」(運転者の責任と義務を自覚させ、罪の重さを認識させるなど。同53庁、1,621人。)及び(6)「就労支援指導」(就労に必要な基本的スキルとマナーを習得させ、出所後の就労に向けての取組を具体化させるなど。同63庁、2,868人。)の6類型の特別改善指導を実施している。薬物依存離脱指導については、標準プログラムを複線化した必修プログラム(麻薬、覚醒剤その他の薬物に対する依存があると認められる者全員に対して実施するもの)、専門プログラム(より専門的・体系的な指導を受講させる必要性が高いと認められる者に対して実施するもの)、選択プログラム(必修プログラム又は専門プログラムに加えて補完的な指導を受講させる必要性が高いと認められる者に対して実施するもの)を受刑者個々の問題性やリスク、刑期の長さ等に応じ、組み合わせて実施している。
- 薬物事犯者に対する処遇
- 自発的意思に基づく簡易薬物検出検査:依存性薬物の所持・使用により保護観察に付された者であって、薬物再乱用防止プログラムに基づく指導が義務付けられず、又はその指導を受け終わった者等に対し、必要に応じて、断薬意志の維持等を図るために、その者の自発的意思に基づいて簡易薬物検出検査を実施することがある。令和4年における実施件数は5,507件であった(法務省保護局の資料による。)
- 他機関等との連携による地域での薬物事犯者処遇:保護観察所は、依存性薬物に対する依存がある保護観察対象者等について、民間の薬物依存症リハビリテーション施設等に委託し、依存性薬物の使用経験のある者のグループミーティングにおいて、当該依存に至った自己の問題性について理解を深めるとともに、依存性薬物に対する依存の影響を受けた生活習慣等を改善する方法を習得することを内容とする薬物依存回復訓練を実施している。令和4年度に同訓練を委託した施設数は65施設であり(前年度比15施設増)、委託した実人員は、531人(同97人減)であった(法務省保護局の資料による。)。
- また、保護観察所は、規制薬物等に対する依存がある保護観察対象者の改善更生を図るための指導監督(本節参照)の方法として、医療・援助を受けることの指示等(通院等指示)を行っているところ、一定の要件を満たした者について、コアプログラムの開始を延期若しくは一部免除し、又はステップアッププログラムの開始を延期若しくは一時的に実施しないことができる。令和4年において、コアプログラムの開始を延期した件数は71件、ステップアッププログラムを一時的に実施しないこととした件数は89件であった(法務省保護局の資料による。)。
- さらに、薬物犯罪の保護観察対象者が、保護観察終了後も薬物依存からの回復のための必要な支援を受けられるよう、保護観察の終了までに、精神保健福祉センター等が行う薬物依存からの回復プログラムや薬物依存症リハビリテーション施設等におけるグループミーティング等の支援につなげるなどしている。令和4年度において、保健医療機関等による治療・支援を受けた者は481人であった(法務省保護局の資料による。)
- 協力雇用主は、犯罪をした者等の自立及び社会復帰に協力することを目的として、犯罪をした者等を雇用し、又は雇用しようとする事業主である。令和4年10月1日現在における協力雇用主は、2万5,202社(前年同日比537社(2.2%)増)であり、その業種は、建設業が過半数(56.3%)を占め、次いで、サービス業(16.0%)、製造業(9.0%)の順である(法務省保護局の資料による。)。実際に刑務所出所者等を雇用している協力雇用主数は、令和4年10月1日現在、1,024社であり、平成25年4月(380社)と比べて約2.7倍であった
- 犯罪少年の薬物犯罪においては、昭和47年に毒劇法が改正されてシンナーの乱用行為等が犯罪とされた後、同法違反が圧倒的多数を占め、その検挙人員は、57年にピーク(2万9,254人)を迎え、その後は大きく減少し、令和4年は6人であった。犯罪少年による覚醒剤取締法、大麻取締法及び麻薬取締法の各違反の検挙人員の推移(昭和50年以降)は、3-1-2-3図のとおりである。覚醒剤取締法違反は、57年(2,750人)及び平成9年(1,596人)をピークとする波が見られた後、大きく減少し、令和4年は103人(前年比11人減)であった。大麻取締法違反は、平成6年(297人)をピークとする波が見られた後、増減を繰り返していたが、26年から令和3年までは増加し続け、平成27年以降は薬物犯罪の中で最多を占めており、令和4年は884人(前年比71人(7.4%)減)であった。麻薬取締法違反は、昭和50年以降、おおむね横ばいないしわずかな増減を繰り返しており、令和4年は57人(前年比14人増)であった。
- 覚醒剤取締法(昭和26年法律第252号)違反(覚醒剤に係る麻薬特例法違反を含む。以下この項において同じ。)の検挙人員(特別司法警察員が検挙した者を含む。)の推移(昭和50年以降)は、29年(5万5,664人)をピークとして減少した後、増減を繰り返していたが、45年から増加傾向となり、59年には31年以降最多となる2万4,372人を記録した。その後、減少傾向にあったが、平成7年から増加に転じ、9年には1万9,937人に達した。13年からは、減少傾向にあり、令和4年は6,289人(前年比21.1%減)で、4年連続で1万人を下回った。
- 20歳未満、20歳代及び30歳代の検挙人員は、減少傾向にある。令和4年の検挙人員の年齢層別構成比を見ると、40歳代が最も多く(32.9%)、次いで、50歳以上(31.2%)、30歳代(21.7%)、20歳代(12.6%)、20歳未満(1.7%)の順であった。なお、令和4年の覚醒剤取締法違反の検挙人員(就学者に限る。)を就学状況別に見ると、大学生が12人(前年比6人減)であり、高校生が12人(同2人増)、中学生は1人(前年と同じ)であった。
- 大麻取締法(昭和23年法律第124号)及び麻薬取締法の各違反(それぞれ、大麻及び麻薬・向精神薬に係る麻薬特例法違反を含む。以下この項において同じ。)の検挙人員(特別司法警察員が検挙した者を含む。)の推移(昭和50年以降)は、大麻取締法違反は、平成6年(2,103人)と21年(3,087人)をピークとする波が見られ、26年から8年連続で増加し、29年から令和3年までは、昭和46年以降における最多を記録し続けていたが、令和4年はやや減少し、5,546人(前年比4.1%減)であった。
- 大麻取締法違反の年齢層別の検挙人員(警察が検挙した者に限る。)の推移(最近10年間)は、平成25年以降、20歳代及び30歳代で全検挙人員の約7~8割を占める状況が続いているが、30歳代の検挙人員が令和元年以降4年連続で減少したのに対し、20歳代の検挙人員は、平成26年から増加し続けており、令和4年は2,853人(前年比1.1%増)であった。一方、20歳未満の検挙人員は、平成26年から令和3年までは増加し続けていたが、4年は912人(同8.2%減)とやや減少した。なお、令和4年の大麻取締法違反の検挙人員(就学者に限る。)を就学状況別に見ると、中学生が11人(前年比3人増)、高校生が150人(前年比36人減)、大学生が160人(同72人減)であった。
- 令和4年における組織的犯罪処罰法違反の検察庁新規受理人員のうち、暴力団関係者(集団的に又は常習的に暴力的不法行為を行うおそれがある組織の構成員及びこれに準ずる者をいう。)は37人(6.3%)であった(検察統計年報及び法務省大臣官房司法法制部の資料による。)。なお、平成29年法律第67号による組織的犯罪処罰法の改正により、テロ等準備罪が新設された(平成29年7月施行)が、同罪の新設から令和4年まで、同罪の受理人員はない
- 暴力団対策法により、令和4年末現在、25団体が指定暴力団として指定されており、六代目山口組、神戸山口組、絆會、池田組、住吉会及び稲川会に所属する暴力団構成員は、同年末現在、約8,500人(前年末比約600人減)であり、全暴力団構成員の約4分の3を占めている(警察庁刑事局の資料による。)。令和4年に暴力団対策法に基づき発出された中止命令は877件(前年比11件増)、再発防止命令は32件(同5件減)であった(警察庁刑事局の資料による。)。また、平成24年法律第53号による暴力団対策法の改正により導入された特定抗争指定暴力団等の指定や特定危険指定暴力団等の指定を含む市民生活に対する危険を防止するための規定に基づき、令和5年6月1日現在、合計3団体が特定抗争指定暴力団等に指定され、1団体が特定危険指定暴力団等として指定されている(官報による。)。
- 暴力団関係者(犯行時に暴力団対策法に規定する指定暴力団等に加入していた者及びこれに準ずる者をいう。以下(2)において同じ。)の入所受刑者人員及び暴力団関係者率(入所受刑者人員に占める暴力団関係者の比率をいう。)の推移(最近20年間)は、令和4年の入所受刑者中の暴力団関係者について、その地位別内訳を見ると、幹部196人、組員338人、地位不明の者70人であった(矯正統計年報による。)
- サイバー犯罪(不正アクセス禁止法違反、コンピュータ・電磁的記録対象犯罪その他犯罪の実行に不可欠な手段として高度情報通信ネットワークを利用する犯罪をいう。)の検挙件数の推移(最近20年間)は、サイバー犯罪の検挙件数は、最近20年間では、平成16年以降増加傾向にあり、令和4年は1万2,369件(前年比160件(1.3%)増)であった。令和4年は、ランサムウェア(感染すると端末等に保存されているデータを暗号化して使用できない状態にした上で、そのデータを復号する対価(金銭又は暗号資産)を要求するプログラムをいう。)の感染被害が拡大するとともに、我が国の暗号資産関連事業者、学術関係者等を標的としたサイバー攻撃が明らかになり、また、インターネットバンキングに係る不正送金被害が下半期に急増するなど、サイバー空間をめぐる脅威は極めて深刻な情勢が続いている。
- 年齢層別の刑法犯検挙人員及び高齢者率(刑法犯検挙人員に占める高齢者の比率をいう。以下この節において同じ。)の推移(最近20年間)を総数・女性別に見ると、4-8-1-1図のとおりである。高齢者の検挙人員は、平成20年にピーク(4万8,805人)を迎え、その後高止まりの状況にあったが、28年から減少し続けており、令和4年は3万9,144人(前年比5.1%減)であった。このうち、70歳以上の者は、平成23年以降高齢者の検挙人員の65%以上を占めるようになり、令和4年は77.4%に相当する3万283人(同3.9%減)となった。高齢者率は、他の年齢層の多くが減少傾向にあることから、ほぼ一貫して上昇し、平成28年以降20%を上回り、令和4年は23.1%(同0.5pt低下)であった。
- 女性高齢者の検挙人員は、平成24年にピーク(1万6,503人)を迎え、その後高止まり状況にあったが、28年から減少し続けており、令和4年は1万2,289人(前年比6.6%減)であった。このうち、70歳以上の女性は、平成23年以降女性高齢者の検挙人員の7割を超えるようになり、令和4年は82.5%に相当する1万136人(同6.4%減)となった。女性の高齢者率は、平成10年から平成29年(34.3%)まで上昇し続けた後は横ばいで推移し、令和4年は33.2%(同0.3pt低下)であった。
- 全年齢層と比べて、高齢者は窃盗の構成比が高いが、特に、女性高齢者は、約9割が窃盗であり、そのうち万引きによるものの構成比が約8割と顕著に高い。
- 外国人新規入国者数は、平成25年以降急増し、令和元年には約2,840万人に達したが、2年2月以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、入管法に基づき入国拒否を行う対象地域の指定を始めとした水際対策が開始されたことにより、同年は約358万人(前年比87.4%減)、3年は約15万人(同95.8%減)と2年連続で大幅に減少したが、4年3月以降、水際対策の段階的な緩和等により、同年は342万3,531人と前年の約22.6倍に増加した。もっとも、元年と比べると、約8分の1の水準であった。4年における外国人新規入国者数を国籍・地域別に見ると、韓国が95万2,743人と最も多く、次いで、台湾31万7,293人、米国30万2,382人の順であった。在留資格別の構成比は、観光等を目的とする短期滞在が83.6%と最も高く、次いで、技能実習(5.2%)、留学(4.9%)の順であった(出入国在留管理庁の資料による。)。
- 在留外国人の年末人員(中長期在留者と特別永住者の合計数)は、平成27年以降過去最多を更新し続けた後、令和2年から2年連続で減少したが、4年は307万5,213人(前年比11.4%増)となり、過去最多を更新した。同年における在留外国人の人員を国籍・地域別に見ると、中国(台湾を除く。76万1,563人)が最も多く、次いで、ベトナム(48万9,312人)、韓国(41万1,312人)の順
- であった(出入国在留管理庁の資料による。)。
- 外国人による刑法犯の検挙件数は、平成3年以降増加傾向にあり、17年に4万3,622件を記録したが、18年からは減少傾向にあり、令和4年は1万2,947件(前年比7.9%減)であった。また、外国人による刑法犯の検挙人員は、平成11年から増加し、17年に1万4,786人を記録した後、18年からは減少傾向にあり、令和4年は8,702人(同7.5%減)であった。4年における刑法犯検挙人員総数(16万9,409人)に占める外国人の比率は、5.1%であった(警察庁の統計による。)。来日外国人による刑法犯の検挙件数は、5年からその他の外国人を上回って、17年(3万3,037件)のピーク後に減少し続け、29年に一旦増加に転じ、30年から再び減少に転じた後は、9,000件台で増減を繰り返していたが、令和4年は前年より557件減少し、8,548件(前年比6.1%減)であった。来日外国人による刑法犯の検挙人員は、平成16年(8,898人)をピークに24年まで減少傾向にあったが、25年からは増減を繰り返しており、令和4年は5,014人(同10.0%減)であった
- 刑法犯により検挙された者のうち、再犯者(前に道路交通法違反を除く犯罪により検挙されたことがあり、再び検挙された者をいう。以下この項において同じ。)の人員及び再犯者率(刑法犯検挙人員に占める再犯者の人員の比率をいう。以下この項において同じ。)の推移(最近20年間)は、再犯者の人員は、平成8年(8万1,776人)を境に増加し続けていたが、18年(14万9,164人)をピークとして、その後は漸減状態にあり、令和4年は平成18年と比べて45.6%減であった。他方、初犯者の人員は、12年(20万5,645人)を境に増加し続けていたが、16年(25万30人)をピークとして、その後は減少し続けており、令和4年は平成16年と比べて64.7%減であった。再犯者の人員が減少に転じた後も、それを上回るペースで初犯者の人員が減少し続けたこともあり、再犯者率は、9年以降上昇傾向にあったが、令和4年は47.9%(前年比0.7pt低下)であった
- 検挙人員のうち、同一罪名再犯者(前に覚醒剤取締法違反で検挙されたことがあり、再び同法違反で検挙された者をいう。以下(1)において同じ。)の人員及び同一罪名再犯者率(20歳以上の覚醒剤取締法違反検挙人員に占める同一罪名再犯者の人員の比率をいう。以下(1)において同じ。)の推移(最近20年間)について、同一罪名再犯者率は、平成24年以降上昇傾向にあり、令和4年は前年比で1.1pt上昇した69.2%であった。
- 20歳以上の大麻取締法違反(大麻に係る麻薬特例法違反を含む。以下(2)において同じ。)検挙人員のうち、同一罪名再犯者(前に大麻取締法違反で検挙されたことがあり、再び同法違反で検挙された者をいう。以下(2)において同じ。)の人員及び同一罪名再犯者率(20歳以上の大麻取締法違反検挙人員に占める同一罪名再犯者の人員の比率をいう。以下(2)において同じ。)の推移(最近20年間)を見たものである。同一罪名再犯者率は、平成16年(10.0%)を底として、翌年から上昇傾向に転じ、27年以降はおおむね横ばい状態で推移していたが、令和4年は前年比で2.0pt上昇した26.3%であった
- 入所受刑者人員のうち、再入者の人員及び再入者率(入所受刑者人員に占める再入者の人員の比率をいう。以下同じ。)の推移(最近20年間)を総数・女性別に見たものである。再入者の人員は、平成11年から毎年増加した後、18年をピークにその後は減少傾向にあり、令和4年は8,180人(前年比11.1%減)であった。再入者率は、平成16年から28年まで毎年上昇し続けた後、低下傾向にあり、令和4年は56.6%(同0.4pt低下)であった。
- 再入者のうち、前刑出所日から2年未満で再犯に至った者が5割以上を占めている。出所から1年未満で再犯に至った者は35.4%であり、3月未満というごく短期間で再犯に至った者も9.5%いる。また、再入者のうち、前回の刑において一部執行猶予者で仮釈放となった者は327人、実刑部分の刑期終了により出所した者は100人であり、そのうち出所から1年未満で再犯に至った者は、それぞれ117人、42人であった(矯正統計年報による。)
- 人が被害者となった刑法犯の認知件数及び男女別の被害発生率(人口10万人当たりの認知件数をいう。以下この章において同じ。)の推移(最近30年間)を見たものである。平成14年(認知件数248万6,055件、被害発生率1,950.1)までは増加・上昇傾向にあった後、同年をピークとして、それ以降は減少・低下し続けていた。令和4年は、20年ぶりに増加・上昇したが、いずれも令和2年の水準には至らず、共に平成14年の約5分の1以下であった。
- 昭和期における少年による刑法犯の検挙人員(昭和40年以前は過失運転致死傷等を含む。)は、26年の16万6,433人をピークとする第一の波、39年の23万8,830人をピークとする第二の波、58年の26万1,634人をピークとする第三の波という三つの大きな波があり、いずれもその頃、殺人、強盗、放火、強制性交等、強制わいせつ等、暴行、傷害、恐喝、窃盗、詐欺など刑法犯の多くの罪名において、戦後最多を記録した。少年による特別法犯の検挙人員を見ても、覚醒剤取締法違反及び毒劇法違反の各検挙人員が前記第三の波の頃に法施行以降最多を記録した。
- 昭和期の少年非行の動向について、20年代の非行の増加は、敗戦による社会秩序の乱れ、経済的困窮、家族生活の崩壊などの社会的混乱を背景とするものであり、30年代から40年代の非行の増加は、戦中・戦後の困難な時代に成長期を過ごした10代後半の少年人口の増加や我が国経済の高度成長過程における工業化、都市化等の急激な社会変動に伴う社会的葛藤等の増大などを背景とするものであり、50年代以降の非行の増加は、豊かな社会における価値観の多様化、家庭や地域社会などの保護的・教育的機能の低下、犯罪の機会の増大などの社会的諸条件の変化に関係するものと考えられる。
- 平成期以降を見ると、少年による刑法犯及び特別法犯の検挙人員は、一時的な増加はありつつも、全体としては減少傾向にあるが、前記1項(2)のとおり、平成期には少年による凶悪重大事件が相次いで発生し、少年法制の大規模な改正がされるなどした。また、横領や住居侵入、器物損壊、軽犯罪法違反など刑法犯及び特別法犯のいくつかの罪名において戦後最多の検挙人員を記録したものがあるほか、児童買春・児童ポルノ禁止法違反や大麻取締法違反など法施行以降最多や戦後最多の検挙人員を記録し、現在も高止まりや増加傾向が続いている罪名もある。そのため、少年非行の動向を見る場合、全体の検挙人員の増減推移とは異なる動きをする罪名も多い点には、特に留意が必要である。
- 家庭生活に対する満足度を調査年別(平成2年調査、10年調査、17年調査、23年調査及び令和3年調査の別。以下この項において同じ。)に見ると、「満足」の構成比は、平成10年調査以降一貫して上昇しており、令和3年調査では、8割近くに達した。「どちらとも言えない」及び「不満」の構成比は、いずれも一貫して低下している。「家庭に収入が少ない」の該当率は、平成10年調査以降上昇し、23年調査では、47.0%であったが、令和3年調査では、11.1%に低下した。一方、「親が自分を理解してくれない」は、平成10年調査以降低下し続け、23年調査では、42.2%であったが、令和3年調査では、55.6%に上昇した。「家族との話を楽しいと感じる」の該当率は、令和3年調査が最も高く、91.3%であった。一方、「自分が何をしていても、親があまり気にしていないと感じる」、「親がきびしすぎると感じる」、「親のいうことは、気まぐれであると感じる」及び「親が自分のいいなりになりすぎると感じる」の該当率は、同調査が最も低かった。社会に対する満足度について、平成10年調査では、「満足」の構成比が低下し、「どちらとも言えない」及び「不満」の構成比がいずれも上昇したが、その後の調査においては、「満足」の構成比が一貫して上昇しており(令和3年調査では42.9%)、「どちらとも言えない」及び「不満」の構成比がいずれも一貫して低下している。社会を「不満」とする者の理由についての該当率(重複計上による。)を調査年別に見たものである。令和3年調査では、「金持ちと貧乏な人との差が大きすぎる」及び「若者の意見が反映されない」の該当率(それぞれ55.9%)が最も高かったが、平成23年調査と比べると、「若者の意見が反映されない」を除く全ての項目で該当率が低下した。
- 一般の少年と比較すると、少年院在院者及び保護観察処分少年において、1日3食の規則正しい食生活を送っている者は少ないことがうかがえた。過去1年間に家族と一緒に夕食を食べた頻度(少年院在院者は、少年院に来る前の1年間における頻度。以下この章において同じ。)について見たものである。少年院在院者では、「週に数回」(30.9%)の構成比が最も高く、次いで、「まったくしていない」(15.4%)、「週に1回程度」(14.9%)の順に高かったのに対し、保護観察処分少年では、「ほぼ毎日」(42.2%)の構成比が最も高く、次いで、「週に数回」(33.7%)、「まったくしていない」(7.0%)の順に高かった。一般の少年等と比較すると、少年院在院者及び保護観察処分少年において、家族と一緒に夕食をとる機会が少ないことがうかがえた。
- 保護観察処分少年の方が少年院在院者よりも、他者との関わり方について全般的に肯定的に捉えていることがうかがえた。一方、「インターネット上における人やコミュニティ」に対しては、「何でも悩みを相談できる」及び「困ったときは助けてくれる」を除き、少年院在院者が保護観察処分少年よりも該当率が高く、少年院在院者の方が保護観察処分少年よりも、インターネット上の交流を肯定的に捉えている傾向がうかがえた。。一般の少年と比較すると、少年院在院者及び保護観察処分少年において、学校、職場における他者との関わり方を肯定的に捉えている傾向や、特に保護観察処分少年において、母親との関わり方を肯定的に捉えている傾向がうかがえた。
- 「低所得」、「家計のひっ迫」及び「子供の体験の欠如」の三つの要素につき、前記の基準で分類すると、少年院在院者の世帯では、生活困窮層が69人(27.5%)、周辺層が42人(16.7%)、非生活困難層が140人(55.8%)であり、保護観察処分少年の世帯では、生活困窮層が34人(20.9%)、周辺層が34人(20.9%)、非生活困難層が95人(58.3%)であった
- 調査対象者全体では、「親が亡くなったり離婚したりした」(54.8%)の該当率が最も高く、次いで、「家族から、殴る蹴るといった体の暴力を受けた」(47.4%)、「家族から、心が傷つくような言葉を言われるといった精神的な暴力を受けた」(35.6%)の順であった。全ての項目につき、少年院在院者の該当率は、保護観察処分少年の該当率よりも高く、中でも「家庭内に、違法薬物を使用している人がいた」(少年院在院者11.9%、保護観察処分少年2.3%)、「家族から、食事や洗濯、入浴など身の回りの世話をしてもらえなかった」(少年院在院者10.3%、保護観察処分少年2.3%)及び「母親(義理の母親も含む)が、父親(義理の父親や母親の恋人も含む)から、暴力を受けていた」(少年院在院者34.8%、保護観察処分少年8.9%)の項目は少年院在院者の該当率が顕著に高かった。
- トラウマインフォームドケアとは、トラウマの影響を理解し、トラウマの兆候や症状を認識した上で対応することで、再トラウマ化を防ぎ、適切なケアやサポートが可能になるという概念である。少年院在院者(以下「在院者」という。。)の中には、小児期における逆境体験を有する者が少なくなく、そうした体験に起因するトラウマを抱えている者も一定数いることが推察される。
- 非行の背景に小児期の逆境体験があり、様々な障害等を有する在院者の状態や行動を理解する上で、トラウマの影響を認識する視点は重要である。トラウマについて理解しないまま関わってしまうと、在院者が「分かってもらえない」という失望や怒りを感じたり、無理解によって叱責してしまうと、在院者が傷付き体験を思い出したりし、トラウマ反応がますます悪化する可能性も考えられる。トラウマインフォームドケアの知見が広まることで、トラウマを抱える在院者の行動の理解が深まるなど、処遇の一助になることが期待される。
- また、非行少年を含め、非行からの立ち直りに携わる全ての人がトラウマについて理解することで、無理解や誤解に基づく再トラウマを防ぐことができるという視点は、本来、少年院の職員に限定されるものではなく、非行少年に関わる、刑事司法の全ての段階における関係者にも必要と言える。非行少年の処遇全体を通して、トラウマを抱える少年へのより適切な指導・支援につながることが何より望まれる。
- まとめ
- 「少年非行は、社会を映す鏡」などといわれることがある。本特集では、その実情を直接明らかにすることを意図するものではないが、少なくとも、昭和期(戦後)以降の非行少年の検挙人員等が、それぞれの時代の社会情勢等と関連して増減していたことが考えられたほか、少年非行が質的にも変化を繰り返しながら現代に至っていることが確認できた。そして、現代では、少子高齢化が進展し、家族の形態の在り方も従前とは大きく変化している中、インターネットやスマートフォンの普及等により、少年の生活状況や人々のコミュニケーションの在り方も大きく変わってきていることがうかがえた。
- このような現代の社会情勢等を踏まえ、第3編における知見も含め、主として平成期以降の少年非行を改めて見ると、初発型非行とされる万引き等をはじめ、毒劇法違反、覚醒剤取締法違反の検挙人員、道路交通法違反の取締件数(第3編第1章第2節3項参照)及びぐ犯の家庭裁判所終局処理人員(同章第3節参照)は大きく減少し、暴行、傷害、恐喝等の検挙人員も減少傾向にあるほか、暴走族の構成員数等(同章第2節3項参照)、不良行為少年(犯罪少年、触法少年及びぐ犯少年には該当しないが、飲酒、喫煙、深夜はいかいその他自己又は他人の徳性を害する行為をしている少年をいう。同章第4節参照)の補導人員も近年は減少傾向にある。他方で、全体に占める構成比は低いものの、大麻取締法違反、児童買春・児童ポルノ禁止法違反等の検挙人員・構成比は、近年、増加・上昇傾向にあり、少年院入院者及び保護観察処分少年における詐欺の非行名別構成比は上昇傾向にあるほか、家庭内暴力事案の認知件数(同章第5節1項参照)は増加傾向にあるなど、少年非行の動向は、平成期以降においても増減・変化を繰り返しており、今後も形を変えながら推移していくことが想定される。
- 一方、特別調査の結果から、世帯状況別に見ると約2割の少年は父母のいずれとも同居をしていないこと、生活困窮層とされる少年が約2割を占めていること、ACE該当数が1項目以上の者が少年院在院者で約9割、保護観察処分少年で約6割に上ることなどのほか、それぞれの違いによる傾向・特徴が確認できた。このような非行少年の背景にある厳しい生育環境をうかがわせる様々な事情を考慮しつつ、非行少年にとって、生育環境を自ら選択することができず、かつ、自らの努力だけで改善することが困難であることなどを踏まえると、その支援等の在り方を検討することは極めて重要な意味を持つと考えられる。
- これまで、法務総合研究所では、非行少年の特性については、意識調査等からのアプローチによりその把握が試みられてきていたが、本特集では、保護者も含む質問紙調査等から、現代非行少年の生育環境に焦点を当てその解明に努めたものであり、一般の少年との違いのほか、世帯状況、経済状況及びACEの有無の違いによる実態の一端を明らかにできたものと考えている。今回の特集が、非行少年の再非行等の防止はもとより、非行少年に限らない少年の健全な育成を一層推進していくための一助となることを期待するものである。
- 法務総合研究所では、我が国における犯罪・非行の状況等に関し、多様な観点から、その時々のニーズを踏まえ、実証的調査・研究を進めているところ、今後も同様に継続して調査・研究を推進し、我が国の効果的な刑事政策の推進に資する基礎資料等を提供していくこととしている。
法務省 令和5年版再犯防止推進白書(令和4年度再犯の防止等に関する施策)
▼令和5年版再犯防止推進白書(概要)
- 再犯防止施策を一層推進するために、「社会復帰を果たした者等が犯罪や非行から離脱することができた要因」を踏まえることが第二次再犯防止推進計画から新しく加わる【施策番号93】
- 「犯罪や非行から離脱することができた要因」について、当事者の語りを掲載
- 社会復帰を果たした当事者の語り
- 事例1 支えてくれる人がいるから、“諦めない”
- 【50代男性】10代で暴走族に加入、現在は保護司として活動
- 事例2 非行というズルをしなくても、社会という試合に勝てるのか
- 【20代男性】少年院在院中に高等学校卒業程度認定試験に合格し、出院後、大学に進学
- 事例3 暴力って身体が痛いより心が痛いってことを自分がやられる側になって初めて知った
- 【女性】10代で暴走族の総長現在は、高校教師をしながら、少年院を題材としたドキュメンタリー映画を製作
- 事例4 立ち直ろうと思い立った時点から、人生をやり直せる
- 【40代男性】覚醒剤を使用し服役、出所後、協力雇用主の下で就労
- 事例1 支えてくれる人がいるから、“諦めない”
- 犯罪や非行からの離脱の要因
- 当事者の語りから離脱の要因を分析
- 【要因1】立ち直りへの動機
- 【要因2】衣食住の確保と仕事・学業の安定
- 【要因3】良好な人間関係の構築
- 【要因4】自己肯定感及び自己有用感の形成
- 当事者の語りから離脱の要因を分析
- 出所受刑者の2年以内再入率
- 最新数値は14.1% 目標達成した令和元年から更に低下
- 「再犯防止に向けた総合対策」(平成24年7月20日犯罪対策閣僚会議決定)数値目標「2年以内再入率を令和3年までに8.8%以下にする」
- 最新数値は7.7% 目標達成
- 就労・住居の確保等のための取組
- 就労につながる知識・技能の習得
- 職業指導の種目を再編し、製品企画科、ICT技術科等を設置【少年院】
- 協力雇用主の活動に対する支援の充実
- 20歳未満の者を手厚く指導する協力雇用主に刑務所出所者等就労奨励金を加算(令和4年度は18歳・19歳の者のみ)【保護観察所】
- 地域社会における定住先の確保
- 住まい支援における課題の把握に関するWG設置【国土交通省・厚生労働省・保護局】
- 就労につながる知識・技能の習得
- 保健医療・福祉サービスの利用の促進等のための取組
- 福祉的支援の実施体制の充実
- 発達障害等を有する少年に対して専門的処置を行うなど処遇の充実化【更生保護施設】
- 効果的な入口支援の実施
- 弁護士との連携を強化【地方検察庁・保護観察所・地域生活定着支援センター・弁護士会】
- 福祉的支援の実施体制の充実
- 学校等と連携した修学支援の実施等のための取組
- 学校や地域社会において再び学ぶための支援
- 矯正教育の一部を通信制高校での単位として認定【少年院】
- 学校や地域社会において再び学ぶための支援
- 犯罪をした者等の特性に応じた効果的な指導の実施等のための取組
- 性犯罪者・性非行少年に対する指導等
- 処遇プログラムの改訂【刑事施設・保護観察所】
- 少年・若年者に対する可塑性に着目した指導等
- 「2年の保護観察」中に遵守事項違反をした特定少年を収容する第5種少年院の設置【少年院】
- 第5種少年院における「保護観察復帰プログラム」の実施【少年院・保護観察所】
- 保護処分に付された特定少年の処遇の充実【保護観察所】
- 女性の抱える問題に応じた指導等
- 女子少年院在院者の特性に配慮した処遇プログラムの本格運用【少年院】
- 性犯罪者・性非行少年に対する指導等
- 民間協力者の活動の促進等、広報・啓発活動の推進等のための取組
- 民間ボランティアの活動に対する支援の充実
- 旭川・さいたま・福井において更生保護地域連携拠点事業を開始【保護観察所】
- 更生保護施設による再犯防止活動の促進等
- 更生保護施設退所者等へのアウトリーチ型支援(訪問支援事業)の実施【更生保護施設】
- 民間の団体等の創意と工夫による再犯防止活動の促進
- ソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)による非行少年への学習支援事業の実施【法務省】
- 民間ボランティアの活動に対する支援の充実
- 地方公共団体との連携強化等のための取組
- 地方公共団体との連携の強化
- 第二次再犯防止推進計画において、国・都道府県・市区町村の役割を明記【法務省】
- 地方公共団体との連携の強化
- 関係機関の人的・物的体制の整備等のための取組
法務省 北朝鮮当局による人権侵害問題に対する認識を深めましょう
- 「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」は、北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民の認識を深めるとともに、国際社会と連携しつつ北朝鮮当局による人権侵害問題の実態を解明し、その抑止を図ることを目的とし、国及び地方公共団体に国民世論の啓発を図る責務があることを定め、国民の間に広く拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題についての関心と認識を深めるため、毎年12月10日から同月16日までの1週間を「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」とし、国及び地方公共団体はその趣旨にふさわしい事業が実施されるよう努めるものとしています。
- 拉致問題は、我が国の喫緊の国民的課題であり、この解決を始めとする北朝鮮当局による人権侵害問題への対処が、国際社会を挙げて取り組むべき課題とされる中、私たち国民がこの問題についての関心と認識を深めていくことが大切です。
【消費者庁】
【2024年3月】
消費者庁 風評に関する消費者意識の実態調査(第17回)について
- 消費者庁では、東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、平成25年(2013年)から被災県の農林水産物等に対する消費者意識の実態調査を行っており、今般、第17回目となる調査を実施しました。
- 普段の買物で産地を気にする理由として「放射性物質の含まれていない食品を買いたいから」と回答した人の割合は9.3%となり、昨年(10.5%)を約1ポイント下回り、これまでで最も小さくなりました。同様に、放射性物質を理由に購入をためらう産地として「福島県」及び「被災地を中心とした東北」と回答した人の割合も減少傾向を示し、これまでで最も小さくなりました。
- 一方で、「食品中の放射性物質の検査が行われていることを知らない」と回答した人の割合は、近年では約6割となっており、今般の調査でも大きな変化は見られませんでした。風評を防止すべきために行うこととして、科学的な説明、産地や産品の魅力発信、海外と比較して厳しい安全対策を講じていることの内外への発信、と回答した人の割合が大きくなりました。
- 本調査の結果を踏まえ、引き続き、食品中の放射性物質に関する情報発信や、福島県を中心とした被災地の農林水産物の魅力等を広くお伝えするための取組を推進してまいります。
- 食品の産地を気にする理由で、放射性物質の含まれていない食品を買いたいからと回答した人の割合は減少傾向にあり、これまでで最も小さくなりました
- 普段の買物をする際に食品の産地を「気にする」又は「どちらかと言えば気にする」と回答した人に対し、気にする理由を尋ねたところ、「放射性物質の含まれていない食品を買いたいから」と回答した人の割合は9.3%となりました。
- 放射性物質を理由に福島県や東北等の食品の購入をためらう人の割合は減少傾向にあり、これまでで最も小さくなりました
- 食品中の放射性物質を理由に購入をためらう産地を尋ねたところ、「福島県」と回答した人の割合は4.9%、「被災地を中心とした東北」と回答した人の割合は3.4%、「北関東」と回答した人の割合は1.1%、「東北全域」と回答した人の割合は1.3%となりました。
- 一定の放射性物質のリスクを受け入れられると回答した人の割合は昨年と比べ大きな変化は見られませんでした
- 放射線による健康影響が確認できないほど低い線量のリスクをどう受け止めますかと尋ねたところ、「一定のリスクを受け入れられる」と回答した人の割合は57.7%となりました。一方、「十分な情報がないため、リスクを考えられない」と回答した人の割合は30.4%、「基準値以内であっても少しでも発がんリスクが高まる可能性があり、受け入れられない」と回答した人の割合は11.1%となりました。
- 食品中の放射性物質の検査が行われていることを知らないと回答した人の割合は、近年、約6割となっており、大きな変化は見られませんでした
- 食品中の放射性物質の検査について、あなたが知っていることについて尋ねたところ、「検査が行われていることを知らない」と回答した人の割合は61.5%となりました。
- 一方、「基準値を超える食品が確認された市町村では、他の同一品目の食品が出荷・流通・消費されないようにしている」と回答した人の割合は20.2%、「食品中の放射性物質の検査は東日本の17都県を中心に実施されている」と回答した人の割合は9.3%となりました。
- 風評を防止すべきために行うこととして、科学的な説明、産地や産品の魅力発信、海外と比較して厳しい安全対策を講じていることの内外への発信を回答する割合が大きくなりました。
- 風評被害を防止し、売られている食品を安心して食べるために、どのようなことが行われるとよいと思うかと尋ねたところ、「それぞれの食品の安全性に関する情報提供」と回答した人の割合が45.9%、「食品に含まれる放射性物質に関する科学的な説明」と回答した人の割合が30.6%、「それぞれの食品の産地や産品の魅力に関する情報提供」と回答した人の割合が29.7%、「海外と比較し、厳しい安全対策を実施している旨の内外への情報提供」と回答した人の割合が26.7%となりました。
- 本調査のまとめ
- 普段の買物で産地を気にする理由として「放射性物質の含まれていない食品を買いたいから」と回答した人の割合は9.3%となり、昨年(10.5%)を約1ポイント下回り、これまでで最も小さくなりました。同様に、放射性物質を理由に購入をためらう産地として「福島県」及び「被災地を中心とした東北」と回答した人の割合も減少傾向を示し、これまでで最も小さくなりました。
- 一方で、「食品中の放射性物質の検査が行われていることを知らない」と回答した人の割合は、近年では約6割となっており、今般の調査でも大きな変化は見られませんでした。風評を防止すべきために行うこととして、科学的な説明、産地や産品の魅力発信、海外と比較して厳しい安全対策を講じていることの内外への発信を回答する割合が大きくなりました。
- 消費者庁等の取組
- 本調査の結果を踏まえ、消費者庁は、引き続き、関係府省庁や地方公共団体等と連携し、食品中の放射性物質に関する情報発信やリスクコミュニケーションを推進してまいります。具体的には、
- 意見交換会や福島県を中心とした被災地の農林水産物の魅力等を広くお伝えするための取組
- パンフレット「食品と放射能Q&A」の活用等、食品の安全性に関する正確であり、かつ多言語による情報発信
- 地方公共団体等が実施するリスクコミュニケーション対する積極的な支援等を行います。
- 本調査の結果を踏まえ、消費者庁は、引き続き、関係府省庁や地方公共団体等と連携し、食品中の放射性物質に関する情報発信やリスクコミュニケーションを推進してまいります。具体的には、
消費者庁 ティーライフ株式会社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について
- 消費者庁は、本日、ティーライフ株式会社(以下「ティーライフ」といいます。)に対し、同社が供給する「メタボメ茶」と称する食品に係る表示について、消費者庁及び公正取引委員会(公正取引委員会事務総局中部事務所)の調査の結果を踏まえ、景品表示法第8条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令(別添参照)を発出しました。
- 課徴金納付命令の概要
- 課徴金対象行為(違反行為)に係る商品
- 「メタボメ茶」と称するポット用ティーバッグ30個入りの食品(以下「本件商品」という。)
- 課徴金対象行為
- (ア)表示媒体
- 株式会社ベルーナが通信販売の方法により販売する商品に同梱して配布した冊子(以下「ベルーナの商品同梱冊子」という。)
- (イ)課徴金対象行為をした期間
- 平成30年4月3日から令和元年6月24日までの間
- (ウ)表示内容
- 例えば、平成30年4月3日から同月7日、同月9日及び同月10日に配布されたベルーナの商品同梱冊子において、「中年太り解決読本」と題し、体型が異なる2名の人物のイラストと共に、「もう一度、あの頃のスリムな私に!」、飲料の入ったティーカップの画像と共に、「漫画でわかる! 日本一売れている中年太りサポート茶とは!?」及び「2年半で-43kg!! その方法を公開中!」等と表示するなど、別表1「配布日」欄記載の日に配布されたベルーナの商品同梱冊子において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件商品を摂取することにより、本件商品に含まれる成分の作用による著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
- (エ)実際
- 前記ウの表示について、消費者庁は、景品表示法第8条第3項の規定に基づき、ティーライフに対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料は、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
- なお、前記ウの表示について、例えば、平成30年4月3日から同月7日、同月9日及び同月10日に配布されたベルーナの商品同梱冊子において、「※適度な運動と食事制限を取り入れた結果であり実感されない方もいらっしゃいます。」等と表示するなど、別表2「配布日」欄記載の日に配布されたベルーナの商品同梱冊子において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示していたが、当該表示は、一般消費者が前記ウの表示から受ける本件商品の効果に関する認識を打ち消すものではない。
- (ア)表示媒体
- 課徴金対象期間
- 平成30年4月3日から令和元年12月24日までの間
- 景品表示法第8条第1項ただし書に該当しない理由
- ティーライフは、本件商品について、前記(2)ウの表示の裏付けとなる根拠を十分に確認することなく、前記(2)の課徴金対象行為をしていた。
- 命令の概要(課徴金の額)
- ティーライフは、令和6年10月7日までに、1771万円を支払わなければならない。
- 課徴金対象行為(違反行為)に係る商品
消費者庁 消費者庁所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針
- 障害を理由とする不当な差別的取扱い、合理的配慮等の例
- 正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例
- 障害があることを理由として、一律に窓口対応を拒否、又は対応の順序を劣後させること。
- 障害があることを理由として、一律に資料の送付、パンフレットの提供、説明会やシンポジウム等への出席等を拒むこと。
- 障害の種類や程度、サービス提供の場面における本人や第三者の安全性などについて考慮したり、障害者と十分に対話をしたりすることなく、漠然とした安全上の問題を理由に施設利用を制限又は拒否すること。
- 業務の遂行に支障がないにもかかわらず、障害者でない者とは異なる場所での対応を行うこと。
- 障害があることを理由として、障害者に対して、言葉遣いや接客の態度など一律に接遇の質を下げること。
- 障害があることを理由として、具体的場面や状況に応じた検討を行うことなく、障害者に対し一律に保護者や支援者・介助者の同伴をサービスの利用条件とすること。
- 障害があることを理由として、障害者に対する説明において、必要な説明を省いたりすること。
- 正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例
- 車椅子の利用者が畳敷きの個室の利用を希望した際に、敷物を敷く等、畳を保護するための対応を行うこと(事業者の損害発生の防止の観点)。
- 手続を行うため、障害者本人に同行した者が代筆しようとした際に、必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者本人に対し障害の状況や本人の手続の意思等を確認すること(障害者本人の損害発生防止の観点)。
- 合理的配慮に当たり得る配慮の例
- 物理的環境への配慮の例
- 事業者が管理する施設・敷地内において、車椅子・歩行器利用者のためにキャスター上げ等の補助をし、又は段差に携帯スロープを渡すこと。
- 配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡すこと。
- 目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、左右・前後・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりすること。
- 疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申出があった際、別室の確保が困難であることから、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設けること。
- 視覚障害のある者・盲ろう者からトイレの個室を案内するよう求めがあった場合に、求めに応じてトイレの個室を案内するとともに、同性の職員がいる場合は、障害者本人の希望に応じて同性の職員が案内すること。
- 情報の取得、利用及び意思疎通への配慮の例
- 筆談、要約筆記、読み上げ、手話、点字、コミュニケーションボードの活用、触覚による意思伝達などによる多様なコミュニケーション、振り仮名や写真、イラストなど分かりやすい表現を使って説明するなどの意思疎通の配慮を行うこと。
- 情報保障の観点から、見えにくさに応じた情報の提供(聞くことで内容が理解できる説明・資料や、拡大コピー、拡大文字又は点字を用いた資料、遠くのものや動きの速いものなど触ることができないものを確認できる模型や写真等の提供等)、聞こえにくさに応じた視覚的な情報の提供、見えにくさと聞こえにくさの両方がある場合に応じた情報の提供(手のひらに文字を書いて伝える等)、知的障害に配慮した情報の提供(伝える内容の要点を筆記する、漢字にルビを振る、なじみのない外来語は避ける等)を行うこと。その際、各媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用すること。
- 意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認すること。
- 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したりすること。
- 比喩表現等が苦手な障害者に対し、直喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに説明すること。
- 災害や事故が発生した際、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害のある者・盲ろう者に対し、手書きのボード等を用いて、分かりやすく案内し誘導を図ること。
- ルール・慣行の柔軟な変更の例
- 周囲の者の理解を得た上で、手続順を入れ替えること。
- 障害者が立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで椅子などを用意すること。
- スクリーン、板書、教材等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保すること。
- 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、不随意の発声等がある場合、緊張を緩和するため、当該障害者に説明の上、施設の状況に応じて別室を準備すること。
- 事務手続の際に、職員等が必要書類の代読・代筆を行うこと。
- 障害の特性に応じた休憩時間の調整や必要なデジタル機器の使用の許可などを行うこと。
- 物理的環境への配慮の例
- 合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例
- 試験を受ける際に筆記が困難なためデジタル機器の使用を求める申出があった場合に、デジタル機器の持込みを認めた前例がないことを理由に、必要な調整を行うことなく一律に対応を断ること。
- イベント会場内の移動に際して支援を求める申出があった場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で具体的な支援の可能性を検討せず、支援を断ること。
- 電話利用が困難な障害者から電話以外の手段により各種手続が行えるよう対応を求められた場合に、自社マニュアル上、当該手続は利用者本人による電話のみで手続可能とすることとされていることを理由として、メールや電話リレーサービスを介した電話等の代替措置を検討せずに対応を断ること。
- 自由席での開催を予定しているセミナーにおいて、弱視の障害者からスクリーンや板書等がよく見える席でのセミナー受講を希望する申出があった場合に、事前の座席確保などの対応を検討せずに「特別扱いはできない」という理由で対応を断ること。
- 介助を必要とする障害者から、講座の受講に当たり介助者の同席を求める申出があった場合に、当該講座が受講者本人のみの参加をルールとしていることを理由として、受講者である障害者本人の個別事情や講座の実施状況等を確認することなく、一律に介助者の同席を断ること。
- 電話等を使って行う手続の場合、手話通訳者や盲ろう者向け通訳者等を通して電話等で行う本人の認証を認めないこと。
- 合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例
- 事業者において、事業の一環として行っていない業務の提供を求められた場合に、その提供を断ること(必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られることの観点)。
- オンライン講座の配信のみを行っている事業者が、オンラインでの集団受講では内容の理解が難しいことを理由に対面での個別指導を求められた場合に、当該対応はその事業の目的・内容とは異なるものであり、対面での個別指導を可能とする人的体制・設備も有していないため、当該対応を断ること(事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことの観点)。
- 理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例
- 障害者から申込書類への代読・代筆を求められた場合に円滑に対応できるよう、あらかじめ申込手続における適切な代読・代筆の仕方について職員研修を行う(環境の整備)とともに、障害者から代読・代筆を求められた場合には、研修内容を踏まえ、本人の意向を確認しながら職員が代読・代筆すること(合理的配慮の提供)。
- オンラインでの申込手続が必要な場合に、手続を行うためのウェブサイトが障害者にとって利用しづらいものとなっていることから、手続に際しての支援の求めに応じて電話や電子メールでの対応を行う(合理的配慮の提供)とともに、以後、障害者がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行うこと(環境の整備)。
- インターフォンが鳴って職員が応答しても返答がない場合、発話が困難な障害者が待っている可能性があるため、職員が外に出てきて確認するよう(合理的配慮の提供)、職員研修を行うこと(環境の整備)。
- ウェブサイト等での情報発信を行う場合、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(令和4年法律第50号)の規定に基づき、障害者による情報の十分な取得及び利用並びに円滑な意思疎通が行えるよう配慮すること(環境の整備)。
- 講習、相談等を行うに際し、あらかじめ障害者から手話通訳者、盲ろう者向け通訳者や要約筆記者の用意を求められた場合には、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律の規定を踏まえた上で、合理的配慮の範囲で可能な措置を講ずること(合理的配慮の提供)。
- 「社会モデル」の考え方を理解し、障害への正しい認識を持つために、各障害当事者を講師とした講義や、複合差別を内容とした研修を役員を含む全ての職員が受講すること(環境の整備)
- 正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例
消費者庁 遠隔操作アプリを用いて、消費者金融業者から高額な借入れをさせる副業サポート事業者に関する注意喚起
- 遠隔操作アプリを用いて、消費者金融業者から高額な借入れをさせる副業サポート事業者に関する注意喚起を行いました。
- 詳細
- 令和4年9月以降、副業ランキングサイトを見たことなどをきっかけにして、スマホでできる副業を始めようとしたところ、副業サポート事業者から、高額なサポートプランの契約を勧誘され、当該事業者と遠隔操作アプリでスマホの画面共有をしつつ、消費者金融業者から高額な借入れをしてその利用金額を支払った、副業の内容は、マッチングサイトで他の会員とのメッセージのやり取りをするものだったが、儲からずに借入金だけが残ってしまったなどという相談が、20代の女性を中心に、各地の消費生活センター等に数多く寄せられています。
- 消費者庁が調査を行ったところ、株式会社協栄商事及び株式会社フィールドが、消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(虚偽・誇大な広告・表示及び断定的判断の提供)を行っていたことを確認したため、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。
- また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します。
消費者庁 地震に伴う製品事故に注意!~二次災害を防ぐため平時から備えよう~
- 本年1月1日に能登半島地震が発生しました。また、東日本大震災(2011年3月11日発生)からまもなく13年です。過去の震災では、地震そのものによる被害だけでなく、地震をきっかけにした製品事故も発生していることから、震災時に気を付けるポイントをお知らせします。
- 概要
- 震災時には、主に地震直後に発生する製品事故と、復旧時に発生する製品事故があります。
- また、地震によってインフラが停止した際に使用する製品として、停電時でも電気製品の利用を可能とする携帯発電機や、ガスの供給が止まっても調理を可能とするカセットこんろ等があります。しかし、これらの製品も誤った使い方をすると重大な事故につながります。
- 地震発生時及び日頃から気を付けるポイント
- 揺れが収まったら、電気製品の電源を切り、電源プラグをコンセントから抜く。ブレーカーを切る(OFFにする)。
- 揺れが収まったら、ガス機器の火を消す。自宅から避難する際に余裕があればガスの元栓を閉める。
- 家具を固定する、暖房器具の周囲に可燃物を置かない、感震ブレーカーを取り付けるなど、地震発生時に製品事故が発生しないよう備える。
- 災害時に使用する製品で気を付けるポイント
- 携帯発電機
- 携帯発電機は屋内では絶対に使用せず、屋外の風通しの良い場所で使用する。
- カセットこんろ/カセットボンベ
- カセットボンベは機器に正しく装着する。
- カセットこんろ/カセットボンベの経年劣化に注意する。
- カセットこんろを覆うような大きな鍋や鉄板などは使用しない、カセットこんろを2台以上並べて使用しない。
- 周囲に可燃物がある場所や狭い場所ではカセットこんろ/カセットボンベを使用しない。
- 携帯発電機
- 復旧時に気を付けるポイント
- ブレーカーが切れていることを確認する。
- 製品が損傷したり水没したりしていないか、動作に異常がないかを慎重に確認する。
消費者庁 内部通報制度に関する意識調査(就労者1万人アンケート調査)の結果について
▼ 内部通報に関する意識調査(就労者1万人アンケート)結果全体版
- 公益通報者保護法が「従業員数300人超」の事業者に義務付けている内部通報制度について、全体(1万人)の4割弱が、「よく知っている」又は「ある程度知っている」と回答。「名前は聞いたことがある」又は「知らない」との回答は合計で6割強。
- 従業員規模の大きい事業者に勤めている人ほど、内部通報制度を「よく知っている」との回答割合が上昇するが、従業員数5,000人超の事業者に勤めている人の5割弱が「名前は聞いたことがある」又は「知らない」と回答。
- 従業員数300人超の上場企業に勤めている人(2,867人)の5割弱が、内部通報制度について「名前は聞いたことがある」又は「知らない」と回答。
- 内部通報制度を「よく知っている」と回答した人(1,189人)の75%が、制度を知ったきっかけとして、「勤務先・派遣先・従前の勤務先における研修・周知」と回答。
- 勤務先で重大な法令違反を知った場合、全体(1万人)の約6割が、勤務先又は行政機関等に「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答。「たぶん相談・通報しない」又は「絶対相談・通報しない」との回答は約4割。
- 勤務先で重大な法令違反を知った場合、従業員規模の大きい事業者に勤めている人ほど、勤務先又は行政機関等に「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」との回答割合が高い。
- 勤務先で重大な法令違反を知った場合、内部通報制度を「よく知っている」と回答した人(1,189人)の約9割が、勤務先又は行政機関等に「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答し、全体平均よりも約30%ポイント通報意欲が高い。一方、制度を「知らない」と回答した人は、全体平均よりも20%ポイント通報意欲が低い。また、制度を「よく知っている」と回答した人のうちの54%が、「相談・通報する」と最も強い通報意欲を示しており、制度を「ある程度知っている」と回答した人よりも、34%ポイント高い。
- 勤務先で重大な法令違反を知った場合、「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答した人(5,893人)が、「最初に通報する」として選んだ先は、「勤務先」が全体の65%と最多。次に、「行政機関」が30%、「報道機関」は4%。従業員規模が大きいほど、「勤務先」を選択する割合が高くなる傾向。
- 勤務先で重大な法令違反を知った場合、「最初に通報する先」として「勤務先以外」を選んだ理由は、「勤務先に相談・通報しても適切な対応が期待できない」が全体(2,094人)の約5割。「不利益な取扱いを受けるおそれ」が37%。
- 勤務先で重大な法令違反を知った場合に「相談・通報する」、「たぶん相談・通報する」との回答の動機について、全体(5,893人)の約7割が「勤務先の法令違反を是正したい」と回答。次に、「重大な法令違反に関与している上司や職員を厳正に処分して欲しい」が全体の43%。「自社のサービスや商品を利用するお客さんに迷惑をかけたくない」との回答は約3割。
- 勤務先で重大な法令違反を知り、勤務先に相談・通報しても状況が改善しそうにない場合、勤務先に「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答した人(3,799人)の8割が行政機関等の外部に「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答。
- 勤務先の重大な法令違反を「たぶん相談・通報しない」との回答(3,018人)理由について、「誰に通報したらよいか分からない」と回答した人が32%、「勤務先が適切に対応してくれないと思う」、「嫌がらせを受けるおそれ」が各26%。「絶対相談・通報しない」と回答した人(1,089人)の約5割が「誰に相談・通報したらよいか分からない」と回答。
- 勤務先で重大な法令違反を知った場合に「たぶん相談・通報しない」と回答した人(3,018人)の約5割が「ルールが変更されても通報しない」と回答。通報意欲が変わる可能性について、「不利益な取扱いをした勤務先に罰則が科されるようになった場合」、「勤務先が人事上良い評価を与えたり、行政機関が報奨金を付与したりするようになった場合」が各2割強。「絶対相談・通報しない」と回答した人(1,089人)の約8割が「ルールが変更されても通報しない」と回答。
- 勤務先で重大な法令違反を知った場合に「たぶん相談・通報しない」と回答した人(3,018人)の4割強が、「(転職等、自身の)環境が変化しても相談・通報しないと思う」と回答し、最多。通報意欲が変わる可能性について、「退職又は転職した場合」が31%、「重大な法令違反に自分も関与することになった場合」が26%。「絶対相談・通報しない」と回答した人(1,089人)の8割強が「環境が変化しても相談・通報しない」と回答。
- 勤務先で重大な法令違反行為を知った場合、勤務先や行政機関等に「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答し、かつ、「最初に通報する先」として「勤務先」を選択した人(3,799人)のうち、63%が「匿名」で通報すると回答。
- 勤務先で重大な法令違反を知った場合、最初に勤務先に「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答した人のうち、内部通報制度を「よく知っている」と回答した人(729人)は、通報時に「実名」を選択する可能性(52%)が全体平均(37%)よりも高い。
- どの役職・雇用形態でも、女性は男性よりも「匿名」を選択する割合が高い。
- 通報時に「匿名」を選択する理由について、全体(2,380人)の57%が「人事異動などで不利益な取扱いを受けるおそれがあるから」、44%が「勤務先の窓口が信頼できたとしても、それ以外の関係者から自分が通報したことが上司等に漏れるおそれがあるから」と回答。
- 勤務先で重大な法令違反行為を知った場合、「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答した人のうち、最初の通報先として「勤務先」を選択した人(3,799人)が信頼できる通報先第1位は「社内コンプライアンス担当部門」で37%、次が「上司」で33%。
- 勤務先で信頼できる通報先について、上場/非上場別で見ると、従業員数300人超の上場企業に勤める人(1,456人)は、「社内コンプライアンス部門」との回答が54%と最も多い。また、従業員数300人以下の非上場企業に勤める人(1,195人)は、「上司」との回答が最も多く、34%。
- 全体(1万人)の3割が勤務先に内部通報窓口が「設置されていることを知っている」、7割が「設置されていないことを知っている」又は「設置されているか分からない」と回答。
- 従業員数「301人超、1000人以下」の事業者に勤めている人(1,595人)の65%、従業員数「1,000人超」の事業者に勤めている人(3,405人)の46%~56%が、窓口が「設置されていないことを知っている」又は「設置されているか分からない」と回答。
- 従業員数300人超の上場企業に勤めている人(2,867人)の46%、非上場企業に勤めている人(2,133人)の65%が、「窓口が設置されていないことを知っている」又は「設置されているか分からない」と回答。
- 勤務先に内部通報窓口が「設置されていることを知っている」と回答した人(3,022人)が、窓口の設置を知ったきっかけは、多い順に「社内研修・説明会」が6割、「社内トップによるメッセージ発出」が33%。
- 勤務先に内部通報窓口が「設置されていることを知っている」と回答した人(3,022人)は、「設置されていないことを知っている」又は「設置されているか分からない」と回答した人(6,978人)よりも、通報意欲が高い。
- 勤務先や行政機関等に重大な法令違反を「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答した人のうち、窓口が「設置されていることを知っている」人(2,489人)の76%が通報先として「勤務先」を選択。「設置されていないことを知っている」又は「設置されているか分からない」(3,404人)場合に「勤務先」を選択する割合(56%)との差が大きい。
- 勤務先に内部通報窓口が「設置されていることを知っている」と回答した人(3,022人)の6割強が窓口を「信用している」、4割弱が「信用していない」と回答。
- 従業員数「100人超、3,000人以下」の事業者では、全体平均と比べ、就労者の窓口への信頼度が低い傾向。
- 勤務先で重大な法令違反行為を知った場合、勤務先や行政機関等に「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答し、かつ、最初の通報先として「勤務先」を選択し、さらに勤務先に窓口が「設置されていることを知っている」と回答した人の中で、勤務先の内部通報窓口を「信用している」と回答した人(1,447人)の54%が、「匿名」による通報を選択。全体平均(62.6%)よりも少ない。
- 勤務先に内部通報窓口が「設置されていることを知っている」と回答した人(3,022人)の約9割が、窓口担当者に守秘義務が課されていることを「知っている」と回答。従業員規模別での結果に大差はない。
- 勤務先の法令違反行為を通報したことによる解雇、降格、嫌がらせ等の不利益な取扱いを勤務先で禁止しているかについて、全体の37%が「禁止していることを知っている」、11%が「禁止していないことを知っている」、5割強が「知らない・分からない」と回答。
- 勤務先における通報を理由とする不利益な取扱いの禁止について、従業員数1,000人超の事業者においても、就労者の5割近くが、「禁止していないことを知っている」又は「知らない・分からない」と回答
- 勤務先における通報を理由とする不利益な取扱いの禁止について、従業員数300人超の上場企業においても、就労者の47%が、「禁止していないことを知っている」又は「知らない・分からない」と回答。
- 勤務先における通報を理由とする不利益な取扱いの禁止について、役員・理事クラスの認知度は44%。「禁止していないことを知っている」が16%、「知らない・分からない」が40%。
- 会社役員や理事(630人)の約7割が、直接担当していない部署の重大な法令違反行為について、経営陣に是正を「求める」と回答。また、「求めない」と回答した人(195人)は、その理由について、53%が「違反を指摘すると、経営トップや他の役員と敵対するおそれがある」、43%が「担当外の業務については是正する権限がない」と回答。
- 実際に、勤務先や外部に「相談・通報したことがある」との回答は、全体(1万人)の5%。「相談・通報を検討したことはあるが、実際にはしなかった」との回答は9%。「法令違反行為や内部規程違反などを目撃したことはない」との回答は55%。全体の45%が勤務先において何らかの違反行為を目撃している可能性があるが、その多くは相談・通報には至っていない。
- 「300人超1,000人以下」の事業者では、実際に、勤務先や外部に「相談・通報したことがある」との回答は、7%。
- 実際に、勤務先や外部に「相談・通報したことがある」との回答は、上場企業においては7~8%で、非上場企業の3~4%に比べ高い。
- 制度を「よく知っている」と回答した人(1,189人)は、「勤務先において、法令違反行為や内部規程違反などを目撃したことはない」の回答割合が、制度を「知らない」と回答した人(3,646人)よりも36%ポイント低い。また、「相談・通報したことがある」との回答割合は、制度を「知らない」と回答した人よりも17%ポイント高い。
- 勤務先における法令違反行為や内部規程違反について、「相談・通報したことがある」と回答した人(476人)の74%が、「勤務先(上司を含む)」に相談・通報している。また、24%が「行政機関」、17%が「取引先」に相談・通報している。
- 勤務先や外部に「相談・通報したことがある」と回答した人(476人)のうち、「相談・通報して良かったと思う」との回答は、全体の7割、「相談・通報して後悔している」が17%、「相談・通報して良かったこともあれば、後悔したこともある」が13%。
- 「相談・通報して良かったと思う」との回答割合は、会社役員や管理職の方がそれら以外よりも高い。
- 勤務先の法令違反行為などについて、勤務先や外部に相談・通報し、後悔したことがある(145人)理由について、「不正に関する調査や是正が行われなかったから」が57%、「勤め先から人事異動・評価・待遇面など不利益な取扱いを受けたから」が42%。
- 勤務先の法令違反行為などについて、勤務先や外部に相談・通報し、「勤め先から人事異動・評価・待遇面などで不利益な取扱いを受けた」と回答した人(61人)の具体的な不利益の内容は、回答の多い順に「上司や同僚からの嫌がらせ」が49%、「人事評価上の減点」が43%、「不利益な配置転換」が38%。
- 勤務先の法令違反行為を上司や内部通報窓口に通報することについての印象は、「不祥事の早期発見・是正に繋がり、よいことをしている」とのポジティブな回答が、全体(1万人)の約5割。「勇気ある行動だが自分には真似できない」が37%、「上司や組織の命令に背くことになると思う」が10%、「余計なことをしていると思う」が9%。
- 内部通報について、年代が高いほど、内部通報についてのポジティブな回答が増加する。
- 通報意欲が高いほど、内部通報にポジティブな回答をしている。「絶対相談・通報しない」と回答している人(1,089人)は、「上司や組織の命令に背くことになると思う」との回答が約4割と全体平均よりも約30%ポイント高い。
- 勤務先の重大な法令違反を一番相談・通報しやすい先は、回答が多い順に、「勤務先(上司を含む)」が全体(1万人)の47%、「行政機関」が29%、「インターネット上のウェブサイト、SNS等」が14%。
- 勤務先の重大な法令違反を一番相談・通報しやすい先は、年代が若いほど「行政機関」との回答割合が減少し、「インターネット上のウェブサイト、SNS等」や「報道機関」の割合が増加。
- 勤務先の重大な法令違反を一番相談・通報しやすい先について、内部通報制度を「よく知っている」と回答した人(1,189人)は「勤務先」の回答割合が高い。制度を「知らない」と回答した人(3,646人)は「インターネット上のウェブサイト、SNS等」の回答割合が高い。
- 米国で導入している、勤務先の法令違反行為に関する重要な情報提供を行った通報者に対し、行政機関が一定の報奨金を支払う制度については、ポジティブな回答とネガティブな回答が同程度の割合。
- 日本においても一部で導入され、不正に関与している従業員や役員が通報した場合に、懲戒処分や刑事罰などを減免する「リニエンシー制度」についての印象は、全体の66%が「不祥事の早期発見・是正に繋がり、よいと思う」とポジティブな回答。
- 前項の「リニエンシー制度」について、内部通報制度を「よく知っている」と回答した人(1,189人)は、他の属性と比べて、「不祥事の早期発見・是正に繋がり、よいと思う」とのポジティブ回答の割合が高い。内部通報制度を「知らない」と回答した人(3,646人)は、「通報したとはいえ減免されるべきではない」とのネガティブな回答割合が相対的に高い。
【2024年2月】
消費者庁 糖質カット炊飯器の販売事業者4社に対する景品表示法に基づく措置命令について
- 消費者庁は、令和6年2月1日、同月5日、同月6日及び同月7日、糖質カット炊飯器又は炊飯調理器(以下「糖質カット炊飯器」といいます。)の販売事業者4社(以下「4社」といいます。)に対し、4社が供給する糖質カット炊飯器に係る表示について、それぞれ、景品表示法に違反する行為(同法第5条第1号(優良誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令(別添1ないし別添4参照)を行いました。
- 実際
- 前記の表示について、消費者庁は、景品表示法第7条第2項の規定に基づき、4社に対し、それぞれ、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、4社から資料が提出された。しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
- 命令の概要
- 前記の表示は、それぞれ、本件商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
- ニトリについては、再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
- リソウジャパンについては、再発防止策を講じて、これを役員に周知徹底すること。
- Areti及びAINXについては、再発防止策を講じて、これを従業員に周知徹底すること。
- 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記表示と同様の表示を行わないこと。
- 前記の表示は、それぞれ、本件商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
消費者庁 新未来ビジョン・フォーラム 第7回情報交換会(2023年12月13日)
▼ 【要旨】新未来ビジョン・フォーラム 第7回情報交換会
- 関家フェローより、AIが雇用や労働者の未来に及ぼす影響について発表があった。その後の意見交換の内容は概ね以下のとおりであった。
- 今後AI技術がさらに進化していく中で、労働者が既に獲得しているスキルが陳腐化し、仕事内容や求められるスキルは急速に変化していくことが予測されるところ、常に新しいことに関心を持ち、スピーディーに学習できる労働者に価値が見いだされる社会になるのではないか等の意見があった。
- ウェルビーイングにおけるリスキリングの意義として、学習により自己の能力が改善されているという感覚を持つということ自体と、学習したことが仕事にいかされているということの2つの面があるのではないか等の意見があった。
- AIの活用により、採用や異動におけるミスマッチを減らすことができるのではないか等の意見があった。
- 何が自身にとっての幸せなのかは人生の中で変化していくものであることを踏まえると、定期的に幸せやありたい姿について見つめなおす機会を持つことが、キャリア形成だけでなく幸せな消費行動の実現においても重要ではないか。そうした機会の一つとして、キャリアコンサルティングが有用なのではないか等の意見があった。
- 自身の価値感やキャリアを見つめなおす機会としては、ボランティア活動やプロボノ活動といった、本業とは異なる活動も有用ではないか等の意見があった。
- 続いて塩崎フェローより、消費者データの収集と将来予測について発表があった。その後の意見交換の内容は概ね以下のとおりであった。
- 未来の消費生活を予測するにあたっては、「長期トレンドの予測」(予測期間よりも長い期間の過去の傾向を見る)、「短期的な変化の観測」(リアルタイムに近い変化を観測する)、「突然変異のシミュレーション」(新型コロナ感染症の流行やシンギュラリティのような出来事が社会に与える変化について考える)という3つの観点が重要ではないか等の意見があった。
- 「プレミアム消費」に分類されると考えられるエシカル消費という消費スタイルは今後増加していくことが予想されるが、「プレミアム消費」、「利便性消費」、「徹底探索消費」、「安さ納得消費」という4つの消費スタイルのセグメントに関する傾向分析の結果(塩崎フェロー提供資料9頁参照)に鑑みると、消費全体の在り方へそこまで大きな影響を与えることにはならないのではないか等の意見があった。
- 消費行動において、情報や選択肢が多すぎることで、消費者が自分の価値観に基づいた選択ができなくなっている面があるのではないか等の意見があった。
- 特定の消費スタイルと「幸せな消費」は直接結びつくものではなく、個人が自身の価値観に基づき自主的に選択した消費行動であれば「幸せな消費」であると言えるのではないか等の意見があった。
- 日本の若者は将来に対して期待する割合が海外に比べるとものすごく低いというデータがあるようだが、政策や企業が、子供や若者が将来に期待できるような社会をつくることができるか、将来こんな未来があるということをちゃんと示してあげることができるかというところが非常に重要になってくるのではないか等の意見があった。
消費者庁 「令和5年度消費生活意識調査(第4回)」の結果について
- 調査結果のポイント
- 「『消費者教育』を受けた機会」について
- 消費生活や消費者問題に関する「消費者教育」を受けたことがあると回答した人(773人)に「消費者教育」を受けた機会について聞いたところ、「学校(小・中・高校等)の授業」と回答した人の割合は33.4%と最も高く、次いで「職場での研修等」が21.9%、「地方自治体が行う講座・講演会」が18.2%となった。
- 「消費生活に関する知識」について
- 消費生活に関する知識の正誤問題(全7問)について、完全正答率(以下「正答率」という)の全設問の平均は38.8%であった。設問ごとの正答率をみると、最も基本的な知識の一つである「契約の成立時期」については全体では33.6%だったところ、15~17歳は51.0%、18~19歳は53.1%と全体より高かった。なお、全設問の正答率の平均を年代別にみると、20歳代が31.3%と最も低かった。
- 「過去1年間に実際に遭った消費者トラブルの内容」について
- 過去1年間に実際に消費者トラブルに遭ったことがあると回答した人20.4%(1,022人)について、具体的なトラブルの内容として、「商品の機能・品質やサービスの質が期待より大きく劣っていた」と回答した人の割合が39.4%と最も高くなった。次いで「表示・広告と実際の商品・サービスの内容が大きく違っていた」と回答した人の割合が23.2%、「けが、病気をするなど、安全性や衛生面に問題があった」が19.8%となった。
- 「消費者トラブルに遭った際の相談先」について
- 3で消費者トラブルに遭ったと回答した人(1,022人)のうち、どこ(誰)かに相談した人71.2%(728人)について、相談先は、「地方自治体の消費生活センター・相談窓口」と回答した人の割合が30.4%と最も高く、次いで「国民生活センター」が27.3%、「商品・サービスの勧誘や販売を行う販売店や代理店等」が26.5%となった。
- 「オンラインショッピングで思っていたものと違う商品が届いた時の対応」について
- オンラインショッピングで思っていたものと違う商品が届いたことがあると回答した人46.2%(2,309人)について、「すぐに販売者に連絡を取り交換・返品を求めた」と回答した人の割合は43.1%となっており、次いで「インターネット通販サイト事業者に連絡を取り交換・返品を求めた」が34.6%となった。また、交換・返品を求める等の行動をしたことがある人の割合は67.8%3であった。
- 「消費者として心がけている行動」について
- 消費者として心がけている(「心がけている」と「ある程度心がけている」のいずれか)と回答した行動について、「商品やサービスの購入・契約をする際は、表示や説明を十分確認する」が最も多く83.7%となっていた。次いで「個人情報の管理について理解し、適切な行動をとる」が76.6%となった。
- 「『消費者教育』を受けた機会」について
【2024年1月】
消費者庁 令和5年度 民間事業者等における内部通報制度の実態調査のお知らせ 概略版
- 中小企業及び労働者の法の認知度が必ずしも十分とはいえない。
- 中小企業で内部通報制度の導入が進んでいない。
- 内部通報制度を導入した事業者においても、その取組状況は様々であるが、内部通報窓口を設置したことにより、一定の効果が得られている。
- 従業員に向けた方策としては、秘密が守られることについての周知や、経営トップによる継続的なメッセージの発信などが行われている。一方、整備・運用に係る方策としては、窓口担当者に守秘義務を課すことや、匿名通報を受け付けるなどの方策が講じられている。
- 通報・相談による不利益を被らないことや匿名性の確保とともに、職場風土の問題や、社外の第三者機関への窓口設置などが挙げられている。
- 求められる措置として、匿名性の確保が民間事業者においては1位に、労働者でも2位に挙げられている。前述の、(3)内部通報制度を導入した民間事業者における取組状況「内部規程に定められている内容」、(4)内部通報制度の信頼性・安心感向上のために事業者が講じている方策、更には(5)通報・相談窓口を利用しやすくするために労務提供先に望むことにも共通して、匿名性の確保に関するものが挙げられており、民間事業者、労働者とも、公益通報者保護制度の実効性の向上には匿名性の確保が最も重要なポイント、との共通認識があることが伺える。
▼ 民間事業者調査
- 「公益通報者保護法」(以下「法」という。)及び「公益通報者保護法に関する民間事業者向けガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)を「いずれも知っている」事業者は38.0%、「法のみ知っている」は22.0%、「ガイドラインのみ知っている」は1.6%であった。「いずれも知らない」は37.7%であった。従業員数別にみると、従業員数の多い事業者ほど「いずれも知っている」の割合が高く、“50人以下”では「いずれも知っている」が13.2%であるのに対し、“3,000人超”では8割を超えている(81.9%)。
- 業種別にみると、「いずれも知っている」は、“金融・保険業”で80.9%と全体と比較して高くなっている。一方、「いずれも知らない」は、“建設業”で52.5%と全体と比較して高くなっている。
- 法、又はガイドラインのいずれかを「知っている」と回答した事業者(n=2,138)に対して、どの媒体から知ったかを尋ねた。「新聞(一般紙)」が34.8%で最も高く、次いで、「インターネット(消費者庁のウェブサイトを除く)」(28.9%)、「消費者庁のウェブサイト」(28.1%)、「業界団体、同業者等」(24.1%)と続く。
- 内部通報制度を「導入している」事業者は全体の46.3%、「検討中」は13.2%、「導入する予定なし」は39.2%であった。「導入していたが廃止した」は0.1%(2事業者)であった。従業員数別にみると、従業員数の多い事業者ほど、内部通報制度を「導入している」割合が高い。1,000人を超える事業者では9割超が「導入している」一方、“50人以下”では「導入している」が約1割(9.3%)であり、今後も「導入する予定なし」とする事業者は7割を超えている(73.7%)。
- 業種別にみると、「導入している」は“金融・保険業”で91.5%と全体と比較して高い。一方、「導入する予定なし」は“建設業”で全体と比較して高い(54.8%)。
- 内部通報制度を「導入している」と回答した事業者(n=1,607)に対し、内部通報制度をいつ導入したのかを、法成立前の「平成16年5月以前」、成立後施行前の「平成16年6月~平成18年3月」、施行後2年間の「平成18年4月~平成20年3月」、施行後3~4年目の「平成20年4月~平成22年3月」、施行後5~6年目の「平成22年4月~平成24年3月」、施行後7~8年目の「平成24年4月~平成26年3月」、施行後9~10年目の「平成26年4月~平成28年3月」、施行後10年目以降の「平成28年4月以降」に区分して尋ねた。施行後2年間の「平成18年4月~平成20年3月」が32.5%と最も高かった。
- 従業員数別にみると、従業員数の多い事業者ほど、法施行前に導入した割合が高い傾向が見られ、“3,000人超”では、法成立前の「平成16年5月以前」が35.7%と最も高い。
- 業種別にみると、“電気・ガス・熱供給・水道業”と“金融・保険業”では、法成立前に導入した割合が高い(それぞれ56.3%、31.0%)。
- 内部通報制度を「導入している」と回答した事業者(n=1,607)に対し、内部通報制度を導入した目的・理由について尋ねた。「違法行為その他様々な経営上のリスクの未然防止・早期発見に資するため」が88.0%と最も高かった。次いで、「従業員が安心して通報ができる環境を整備するため」(60.7%)、「企業の社会的責任(CSR)を果たしていく上で必要であるため」(41.1%)と続いている。
- 従業員数別にみると、いずれの従業員数区分でも「違法行為その他様々な経営上のリスクの未然防止・早期発見に資するため」が最も高い。“3,000人超”では「内部の自浄作用によって違法行為を是正し、外部(行政機関、報道機関等)に持ち出されないようにするため」(28.2%)の割合が全体と比較して高くなっている。
- 内部規程を「整備している」と回答した事業者(n=1,468)に対し、どのような事項が定められているか尋ねた。「通報受付窓口の設置」が96.5%と最も高かった。次いで、「通報者の秘密の保護(通報者名や通報者の特定に繋がる情報等の漏えい禁止等)」(92.0%)、「正当な通報をしたことを理由とする労働契約上の不利益取扱い(解雇、降格、減給等)の禁止」(83.3%)と続く。
- 内部通報制度を「導入している」と回答した事業者(n=1,607)に対し、通報窓口は社内外のいずれに設置しているかを尋ねた。「社内外いずれにも設置」が59.9%と最も高く、「社内のみに設置」は32.1%、「社外のみに設置」は7.0%であった。従業員数別にみると、従業員数の多い事業者ほど「社内外いずれにも設置」の割合が高く、従業員数の少ない事業者ほど「社内のみに設置」の割合が高い傾向が見られる。
- 通報窓口を「社内外いずれにも設置」又は「社内のみに設置」と回答した事業者(n=1,479)に対し、社内の通報窓口はどの部門に所属しているかを尋ねた。「総務部門」が38.7%と最も高く、「法務・コンプライアンス部門」が32.9%で続く。以下は「人事部門」(19.5%)、「監査部門」(17.0%)の順で続く。
- 通報窓口を“社内外いずれにも設置”又は“社外のみに設置”していると回答した事業者(n=1,076)に対し、社外の通報窓口はどこに設置しているかを尋ねた。「法律事務所(顧問弁護士)に委託している」が49.2%で最も高く、「親会社や関連会社に設置している」(22.7%)、「法律事務所(顧問でない弁護士)に委託している」(21.6%)の順で続く。
- 通報窓口を「社内外いずれにも設置」又は「社内のみに設置」と回答した事業者(n=1,479)に対し、内部通報制度の信頼性や安心感を向上させるための方策を尋ねた。上位2項目には、「秘密が守られることを従業員に周知している」と「窓口担当者に守秘義務を課している」が8割以上を占めている(それぞれ82.7%、81.9%)。次いで、「匿名の通報を受け付けるようにしている」(70.0%)が7割以上を占め、以下には「一般従業員への教育・研修を実施している」(39.1%)、「経営トップ自らがコンプライアンス経営推進や内部通報制度の意義・重要性についてのメッセージを継続的に発信している」(34.8%)が続く。
- 内部通報制度を「導入している」と回答した事業者(n=1,607)に対し、内部通報制度で対象としている通報者の範囲を尋ねた。「正社員」(88.7%)、「契約社員・パート・アルバイト」(84.9%)がいずれも8割以上を占め、「派遣社員」(69.5%)が7割で続いている。次いで「役員(取締役以外)」(44.6%)、「取締役」(43.4%)、「グループ企業の従業員」(43.1%)が4割以上となっている。「グループ企業の役員」(31.9%)は3割、「取引先の従業員」(21.1%)、「退職者」(19.7%)は2割、「限定していない」(10.0%)は1割であった。
- 通報受付窓口を社内外のいずれかに「設置している」と回答した事業者(n=1,592)に対し、匿名による通報を受け付けているかを尋ねた。「受け付けている」(75.8%)と「通報内容によっては受け付けている」(13.1%)を合わせると、ほぼ9割(88.8%)であった。
- 内部通報制度を「導入している」と回答した事業者(n=1,607)に対し、内部通報制度で対象としている通報内容にはどのようなものが含まれるかを尋ねた。「会社のルールに違反する行為(就業規則等に違反する行為)」(68.9%)、「法令違反行為(公益通報者保護法の対象となる法令違反行為に限定していない)」(68.4%)、「職場環境を害する行為(パワハラ、セクハラなど)」(65.7%)が7割程度と高く、次いで「その他の不正行為」(51.2%)が続く。「限定していない」は24.5%であった。
- 通報受付窓口を社内外のいずれかに「設置している」と回答した事業者(n=1,592)に対し、過去1年間に通報窓口(社内・社外)に寄せられた内部通報件数を尋ねた。「0件」が41.6%で最も高く、次いで「1~5件」(30.5%)と続く。通報件数が1件以上あった
- 事業者の割合の合計は51.6%であった。従業員数別にみると、従業員数の少ない事業者ほど通報件数「0件」の割合が高い傾向が見られ、“50人以下”では69.0%を占めているのに対し、“3,000人超”では4.4%となっている。一方、「50件超」の割合は、3,000人以下の事業者では1%に満たないのに対し、“3,000人超”では11.9%となっている。
- 通報受付窓口を社内外のいずれかに「設置している」と回答した事業者(n=1,592)に対し、通報窓口(社内・社外)に寄せられる通報の内容を尋ねた。「職場環境を害する行為(パワハラ、セクハラなど)」が55.0%で最も高く、次いで「不正とまではいえない悩みなどの相談(人間関係など)」(28.3%)、「会社のルールに違反する行為(就業規則違反など)」(27.5%)の順となった。「窓口を設置して以来、通報はない」は20.6%であった。
- 通報受付窓口を社内外のいずれかに「設置している」と回答した事業者(n=1,592)に対し、通報が寄せられるタイミングを尋ねた。「法令違反等が、既に発生した後」が57.5%と最も高く、「法令違反等が、まさに発生しようとしているとき」(2.1%)と合わせると6割であった(59.6%)。また、「法令違反等が、発生するおそれが認められるとき」は1割弱であった(8.0%)。
- 内部通報制度を「導入している」と回答した事業者(n=1,607)に対し、通報窓口等に通報が寄せられても調査を行わない場合を尋ねた。「匿名等の通報の場合、連絡先が不明で通報内容の詳細について確認できない」が34.0%と高く、次いで「受付後、既に解決済みの案件と判明した」(28.0%)、「通報内容を裏付ける根拠が乏しい」(22.7%)、「通報者が特定されない形で調査を行うことが困難である」(20.2%)が続いている。また、「調査を行わないケースはない」は33.0%であった。
- 内部通報制度を「導入している」と回答した事業者(n=1,607)に対し、内部通報制度を運用する上で、どのような課題や実務上の負担があると感じているかを尋ねた。「特にない」は18.7%であった。一方、「通報というより不満や悩みの窓口となっている」が35.7%で最も高く、次いで、「本当に保護されるのか、従業員に不安があるように感じる」(29.5%)、「不利益な取扱いを受けた事実の確認が難しい」(20.7%)の順となった。
- 通報受付窓口を社内外のいずれかに「設置している」と回答した事業者(n=1,592)に対し、通報窓口を設置したことによる効果を尋ねた。「従業員等による違法行為への抑止力として機能している」(49.4%)が最も高く、次いで「内部の自浄作用によって違法行為を是正する機会が拡充された」(43.3%)、「従業員にとって安心して通報を行う環境が整備された」(43.3%)の順となった。
- 内部通報制度を「導入している」と回答した事業者(n=1,607)に対し、社内の不正発見の端緒として多いものを尋ねた。「従業員等からの内部通報(通報窓口や管理職等への通報)」(58.8%)が最も高く、次いで「内部監査(組織内部の監査部門による監査)」(37.6%)、「職制ルート(上司による日常的な業務のチェック、従業員からの業務報告等)」(31.5%)の順となった。
- 公益通報者保護制度の実効性を向上させるための措置を尋ねた。「通報者氏名・所属等の秘密保持が徹底され、通報者の匿名性が確実に守られること」(44.2%)が最も高く、次いで「法の趣旨や内容を、経営幹部や従業員が十分に認識・理解していること」(30.6%)、「通報を理由とする解雇等の不利益取扱いから保護される通報者の範囲を、労働者だけでなく、退職者や役員等にも広げること」(21.2%)の順となった。
- 公益通報者保護制度の意義・重要性を社会経済全体に浸透させるために、制度の運用面において政府・行政機関が強化すべき取組みについて尋ねた。「経営トップ自らが内部通報制度の意義を認識し、企業経営におけるメリットや組織の発展・存亡をも左右し得ること等について、全ての経営幹部・従業員に対して明確かつ継続的にメッセージを発信するよう経営トップに働きかけること」(44.3%)が最も高く、次いで「公益通報者保護制度を踏まえて事業者が自主的に内部通報制度を適切に整備・運用していくための事業者向けガイドライン等を整備し、その周知・広報を強化すること」(39.0%)、「内部通報制度を有効に活用している先進・優良事例を収集し、積極的に紹介すること」(32.8%)の順となった。
- 社外通報窓口を法律事務所(顧問弁護士)に委託していると回答した事業者(n=529)に対し、「顧問弁護士を公益通報の窓口とすることは利益相反の観点から問題も指摘される」といった指摘に対応するための対策を講じているかを尋ねた。「対策を講じている」は19.1%で、「対策を講じていない」は76.2%となった。
- 内部通報制度を「導入している」と回答した事業者(n=1,607)に対し、他の条件が同じである場合、実効性が高い内部通報制度を整備・運用している事業者(不祥事への高い耐性を有する事業者)との取引を選択したいか尋ねた。「思う」は89.4%と、「思わない」の7.2%を大きく上回った。
- 内部通報制度を「導入している」と回答した事業者(n=1,607)に対し、取引先の選定(例:CSR調達等)に当たって、当該取引先の内部通報制度の整備・運用の状況を考慮しているか尋ねた。「十分に考慮している」(3.8%)と「ある程度は考慮している」(25.5%)を合わせると、ほぼ3割(29.2%)である。また、「現在は考慮していないが、将来的に考慮することを検討している」(55.0%)が過半数を占め、「全く考慮しておらず、今後も考慮する予定は無い」は1割である(11.7%)。
- 内部通報制度を「導入している」と回答した事業者(n=1,607)に対し、契約の締結、入札への参加、投資、融資を受ける際等に、取引先や行政機関等から、内部通報制度の整備・運用の状況について問われたことの有無を尋ねた。「ある」は20.5%で、「ない」は75.1%である。
消費者庁 「キャンセル料に関する消費者の意識調査」について
▼ キャンセル料に関する消費者の意識調査 分析書(中央大学文学部有賀敦紀教授)
- 調査Aはキャンセル料の支払いの実態およびそれに対する消費者の態度を炙り出し,キャンセル料の支払いに対する消費者の不満と関連する要因を特定することが目的とされた。加えて,事業者と消費者の間で生じ得るキャンセル料に関するミスコミュニケーションを回避するための方策を探ることも目的とされた。調査の分析の結果,以下の傾向が明らかになった。
- キャンセル料の情報提供に対する印象が悪いと,消費者はキャンセル料の支払いに対して不満を感じる。
- キャンセルの理由が自分自身,あるいは同伴者や家族の都合のときよりも,それ以外の外的要因(自然災害,商品・サービスの内容など)のときに消費者はキャンセル料の支払いに対して不満を感じる。
- 旅行,移動・交通関係においてはキャンセル料の金額が高いと,売買・貸借関係においては契約金額に占めるキャンセル料の割合が高いと,キャンセル料の支払いに対する不満は高まる。
- 主に旅行,移動・交通関係においては普段キャンセル料のことを気にする程度が強いと,キャンセル料の支払いに対する消費者の不満は軽減される。
- サービス,趣味・習い事関係においてはキャンセル料についての知識がある(と主観的に思っている)と,キャンセル料の支払いに対する消費者の不満は軽減される。
- 商品・サービスの購入,契約に対して,一括払いのときよりも分割・定額払い(主に定期購入,サブスクリプション等の定額購入)のときに消費者はキャンセル料の情報提供に対して不満を感じ,かつキャンセル料の支払いに対しても不満を感じる。
- 対面での購入・契約の場合,キャンセル料について契約書での説明があると,情報提供に対する不満度は軽減される。
- オンラインでの購入・契約の場合,申込画面にキャンセルポリシー等が表示されるかどうかは,情報提供に対する印象と強く関連しない。このことは,キャンセル料の情報提供がオンラインではそれほど機能していない可能性を示唆している。つまり,キャンセル料の情報提供に対する印象を良くするための効果的な表示方法を検討する必要があると考えられる。
- 調査Bは「キャンセルしたときの金銭的・心的コストを消費者が自身の選択に帰属することで,キャンセル料の支払いに対する不満度は軽減される」という仮説のもと,実験的な調査として検討された。調査の分析の結果,以下の傾向が明らかになった。
- 選択肢がないときよりも,選択肢があるときに,消費者がキャンセル料を気にする度合いは強くなる。
- 選択肢数が同じであっても,比較しやすい方が比較しにくいときよりも,消費者がキャンセル料を気にする度合いは強くなる。
- 事業者がキャンセル料を請求することを認めるべきか否かは,選択肢数の影響を受けなかった。ただし,本調査における質問では,回答者がキャンセル規定に基づいて事業者の対応を評価した可能性があり,回答者の心理的反応を適切に測定することができなかったと考えられる。
- 消費者自身がキャンセル料の有無・多寡を選択することで,キャンセル料を意識するようになり,キャンセルしたときの不満度は軽減される可能性がある。調査Aでは,普段キャンセル料のことを気にする程度と,キャンセル料の支払いに対する不満度の間には負の相関があることが示唆されたからである。したがって「キャンセルしたときの金銭的・心的コストを消費者が自身の選択に帰属することで,不満度は軽減される」という本調査の仮説は間接的に支持された。
- 損害補填,キャンセル率抑制,価格差別を目的としたキャンセル料の設定は比較的受け入れられるが,利益目的のキャンセル料の設定は受け入れられない可能性が高い。
- まとめ
- 本調査では,キャンセル料の支払いに関する消費者の意識調査を通して,消費者がどのような場合にキャンセル料を支払うことに不満を感じるのか,あるいは感じないのかを探索的に調べることが目的とされた。
- 調査Aの結果,事業者によるキャンセル料の情報提供に対して不満を感じると,消費者はキャンセル料の支払いに対して不満を感じることがわかった。特に,商品・サービスに対する支払い方法が分割・定額払い(主に定期購入,サブスクリプション等の定額購入)のときに消費者はキャンセル料の情報提供が不十分であると感じ,かつキャンセル料の支払いに対して不満を感じていた。したがって,特に事業者が消費者に対して継続的な支払いを求める場合は,キャンセル料についてより丁寧な情報提供をすることが重要であると考えられる。さらに,現状オンラインではキャンセル料の情報提供が効果的になされていない可能性が高いため,オンライン上で効果的に情報提供を行うための方法を検討する必要がある。
- 調査Bの結果,キャンセル料の割合を消費者自身で選択すると,消費者がキャンセル料を気にする度合いは強くなることがわかった。調査Aでは,普段キャンセル料のことを気にすることによって,キャンセル料の支払いに対する不満度は軽減される傾向が示されたため,キャンセル料の割合を操作した選択肢は,キャンセル料の支払いに対する消費者の不満を軽減すると考えられる。おそらく,消費者はキャンセルしたときの金銭的・心的コストを自身の選択に帰属することで,認知的不協和をある程度解消(不満を軽減)することができると考えられる。
- キャンセル料の支払いに対する不満は,実際には消費者のパーソナリティなどの個人特性の影響を大きく受けていると考えられる。しかし,不満を軽減するために外的に操作可能な要因として,(1)キャンセル料についての情報提供の仕方,(2)キャンセル料を操作した選択肢の設け方,の二つが本調査で明らかにされた。つまり,これらの要因を適切に操作することが,消費者のキャンセル料の支払いに対する不満を軽減するために有効であると考えられる。
消費者庁 消費者庁SNSによる注意喚起等の情報の閲覧・利用の際には公式アカウントであることを確認ください。
- 消費者庁公式SNSアカウントからの注意喚起等の情報発信を閲覧・利用される場合は、各運営者が認証した際に付与した認証済マークがあるアカウントであるか、または、消費者庁ソーシャルメディア運用方針の「1.アカウント情報一覧」に記載された公式アカウントからの情報発信であるかをご確認ください。
- (例)
- 消費者庁X(旧Twitter)(@caa_shohishacho)
- 消費者庁 子どもを事故から守る! X(旧Twitter)(@caa_kodomo)
- 消費者庁 食品ロス削減X(旧Twitter)(@caa_nofoodloss)
- 消費者庁「18歳から大人」X(旧Twitter)(@caa_18sai_otona)
- (例)
- なお、消費者庁公式アカウントの不適切な利用(なりすましや偽情報の拡散等)が認められた場合には、各運営者に通報などの対応を取らせていただきます。
消費者庁 「能登半島地震関連 消費者ホットライン」の開設について
- 令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方に深く哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
- 独立行政法人国民生活センターでは、今般の地震で被災された地域(新潟県、富山県、石川県、福井県)の方を対象として、以下のとおり「能登半島地震関連 消費者ホットライン」を開設し、フリーダイヤル(通話料無料)で消費生活に関する相談を受け付けることとしました。
- これにより、被災地域及び被災者の方の負担軽減、被災地域の消費者被害の未然防止、拡大防止を図ってまいります。
- 電話番号:0120-797-188<フリーダイヤル(通話料無料)>
- ※「050」から始まるIP電話からはお受けできません。
- ※おかけ間違いにご注意ください。
- 窓口開設日時:令和6年1月15日(月)10時
- 相談受付時間:10時~16時<土日祝日含む>
- 対象:令和6年能登半島地震に関連する消費者トラブル
- 対象地域:新潟県、富山県、石川県、福井県
- ※対象地域以外の方の消費者トラブルについては、最寄りの消費生活センター等をご案内する消費者ホットライン(188番)におかけください(通話料有料)。
- 想定される相談例
- 見た目では自宅に被害はないが、訪問してきた工事業者に「このままでは危ない。すぐに工事が必要だ」と言われた。
- 「保険金を使えばタダで住宅修理ができる」と言われたが本当か。
- 市役所を名乗り、義援金を集めると訪問されたが信用できるか
消費者庁 震災に関する義援金(ぎえんきん)詐欺に御注意ください
- 過去の震災時には、福祉団体や公的機関などを名乗り、義援金をだまし取ろうとする義援金詐欺と疑われる事例の情報が寄せられています。
- 募っている団体等の活動状況や使途をよく確認し、納得した上で義援金を寄付しましょう。
- 過去に寄せられた事例・手口
- 災害の際の義援金をお願いしたいと訪問された。
- 「○○市役所からです。義援金を募っています。あとから市の職員が訪問します。」と電話があった。
- 「災害救済のために名産品を代引配達で送るので協力してほしい」と電話があった。
- 災害復興支援団体を名乗り「震災で苦しんでいる人に義援金をお願いします」とのメールが届いた。
- 災害の募金をしたら投資のツールを提供するという募金に応募したが全く儲からない。
- 消費者へのアドバイス
- 公的機関が、各家庭に電話等で義援金を求めることは考えられません。当該公的機関に確認しましょう。
- 募っている団体等の活動状況や使途をよく確認し、納得した上で義援金を寄付しましょう。
- 口座に振り込む場合は、振込先の名義をよく確認しましょう。
- 不審に思ったとき、被害に遭ったときは、各地の消費生活センター等(消費者ホットライン「188」番)に御相談ください。
消費者庁 スノースポーツ中の事故に注意―スキー・スノーボードの事故を中心に―
- これからスキーやスノーボード等のスノースポーツを存分に楽しもうといった方や始めようといった方もいるのではないでしょうか。
- スノースポーツは、主に自然の中で行うスポーツであり、全ての事故を防ぐことはできません。しかし、周囲への配慮や用具の適切な調整・メンテナンス、防具の活用により、事故を防げたり、傷害の程度を軽減できたりすることもあります。
- そこで、今回は、全国スキー安全対策協議会が公表等している事故情報と消費者庁に寄せられた事故情報を基に、最近のスノースポーツに関する事故の状況等と実際の事故事例を御紹介し、御注意いただきたいポイントをお伝えします。
- 最近のスノースポーツ事故の状況について
- 全国スキー安全対策協議会の2022/2023シーズンの報告では、以下のことなどが分かります。
- 受傷者の年代
- スキーでは、50代(19.5%)の受傷者が最も多く、幅広い年齢層で受傷者がいる。
- スノーボードでは、20代(48.7%)の受傷者が最も多く、若年層の受傷者が多い。
- 自己転倒による傷害の種類と部位
- スキーとスノーボードのいずれも「自分で転倒」の割合が最も高く、約8割を占めます。
- スキー
- 自己転倒における傷害の種類別では捻挫が最も多く539件となっており、自己転倒による受傷者の58.1%を占めています。また、傷害の部位別では下肢のけがが74.0%となっています。
- スノーボード
- 自己転倒における傷害の種類別に見ると骨折が最も多く627件となっており、自己転倒による受傷者の45.8%を占めています。
- また、傷害の部位別では上肢(肩を含む。)のけがが69.8%となっています。
- なお、自己転倒による頭部の傷害については、スキー(5.9%)に比べてスノーボードが10.9%と2倍程度多くなっています。
- スキー
- スキーとスノーボードのいずれも「自分で転倒」の割合が最も高く、約8割を占めます。
- 受傷者の年代
- 全国スキー安全対策協議会の2022/2023シーズンの報告では、以下のことなどが分かります。
- 用具に関して
- スキーにおけるS-B-Bシステムについて
- S-B-Bシステムとは、S(スキー)-B(ビンディング)-B(ブーツ)システムのことで、これら3つのアイテムが揃って初めてスキーをすることができます。
- ビンディングの調整はスキーヤーの経験や勘ではなく、国際規格であるISO 11088の手順に従い、スキーヤーの身長・体重・年齢・ブーツソール長・スキーヤータイプ(滑走スピードや斜面の好み、技量)の情報を基に、個々人に合ったビンディングの取り付け位置と解放値の設定がなされなければなりません。
- 劣化について
- いかなる製品も、使用の有無にかかわらず経年変化が起こり、劣化していきます。特に、ヘルメットやスキーのブーツには、機能性を考慮しプラスチックが本体や部品に多く使用されていますが、その強度は年月とともに徐々に低下し、破損に至ることがあります。安全に使用できる目安は、使用されている素材や使用頻度によっても異なりますが、製造から5年程度と言われています。
- スキーにおけるS-B-Bシステムについて
- 事故事例
- 転倒した際、スキー板が外れず無理な負荷が掛かり骨にヒビが入った。
- レンタルしたスキーセットを使用したところ、ビンディングの解放値が適切でなく、すねを骨折した。
- 買って6年目のスキー靴を着用して滑走中、靴のバックルが破損して転倒。打撲傷を負った。
- インターネットオークションで中古のスノーボードの道具を5,250円で購入した。使用したら30分位ですぐに壊れた。
- 御注意いただきたいポイント
- スキー場のルール等を守って安全に楽しみましょう。
- スキー場に行く前に保険への加入を検討しましょう。
- ヘルメットやプロテクターを正しく着用しましょう。
- 用具の調整は信頼のおける店舗等にお願いしましょう。
- 使用前に用具の状態を確認しましょう。
消費者庁 「ちょっとだけなら…」が命取り~ここ3年で急増する「除雪機の事故」を防ぐためのポイント~
- 大雪の際に強い味方となる除雪機ですが、誤った使い方をすると命を落とす危険もあります。1月から2月までの雪のピークを迎える前に、除雪機を安全に使うためのポイントをお知らせします。
- 概要
- 2013年度から2022年度までの10年間にNITE((独)製品評価技術基盤機構)に通知された製品事故情報では、除雪機による死傷事故は38件ありました。このうち21件が2020年度から2022年度までの3年間に発生したもので、特に降雪量が多い地域で事故発生件数が多くなっています。また、除雪機の事故38件のうち25件が死亡事故となっており、その多く(25件中21件)が、使用者の誤使用・不注意によるものです。
- 除雪機の気を付けるポイント
- 安全機能を無効化しない。
- エンジンを掛けたまま離れない。
- 人が近くにいる時は使用しない。障害物に衝突しないよう注意する。
- 雪詰まりを取り除く際はエンジンを切り、雪かき棒を使用する。
- 屋内や換気の悪い場所ではエンジンを掛けたままにしない。
消費者庁 人気ブランドの女性用衣料品等を販売すると称する偽サイトに関する注意喚起
- 人気ブランドの女性用衣料品等を販売すると称する偽サイトに関する注意喚起を行いました。
- 詳細
- 令和4年の夏以降、SNS等を見ていると、「ミズノ」又は「ワコール」の商品ブランドロゴを使用した女性用衣料品等に関する広告が表示され、当該広告のリンク先のウェブサイトで商品を注文したところ、これらのブランドの商品ではないものが届いたなどという相談が、各地の消費生活センター等に数多く寄せられています。
- 消費者庁が調査を行ったところ、上記行為を行う事業者が、消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(消費者を欺く行為)を行っていたことを確認したため、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。
- また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します。
【2023年12月】
消費者庁 第1回解約料の実態に関する研究会
▼【資料3】解約料に関する現状等について(事務局資料)
- 直近10年における「解約料」に関する消費生活相談は、3万件を超える水準で推移
- 「解約料」に関する消費生活相談では、高額な商品・サービスや継続的な契約を結ぶ商品・サービスで、高額な解約料を請求されたことなどによる相談が多くみられる。
- 高額な解約料の請求に関する相談のほか、自己都合や自然災害等のやむを得ない事情によるものまで、様々な解約理由による「解約料」の相談が寄せられている。
- 過去1年間にキャンセルをしたことがある人の約6割がキャンセル料の支払いに対して不満と回答した。
- キャンセル料の支払いを不満に思った理由(多い順)
- キャンセル料が高額だったから/返金が一切またはほとんど無かったから 47.3%
- キャンセル料を支払うこと自体が不満だから 27.3%
- キャンセル料に関する説明が無かった、説明がわかりにくかったから 23.7%
- 契約(予約)直後からキャンセル料が発生したから 20.3%
- 予約当日まで期間があるのにキャンセル料が発生したから 19.5%
- 台風などの自然災害、新型コロナウイルスの影響によるキャンセルだったから 18.5%
- 同伴者、家族の都合によるキャンセルだったから 14.6%
- 商品・サービスへの不満が大きかったから 10.8%
- 事業者の対応が悪かったから 10.1%
- 我が国の消費者向け電子商取引(BtoC-EC)の市場規模は、年々拡大している。
- 世帯あたりのスマートフォンの普及率は年々増加。物販におけるスマートフォン経由のBtoC-EC市場規模も年々増加しており、物販におけるBtoC-EC市場規模全体の56.0%を占めている。
- 二人以上の世帯におけるネットショッピング利用率(インターネットを利用して財やサービスの注文をした世帯の割合)は年々増加。全体としては2021年から横ばいになっているものの、世帯主の年齢が65歳以上の高齢者世帯の利用率は引き続き増加。
- 消費者契約法第9条第1項第1号は、契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し又は違約金を定める条項(解約料条項)につき、当該消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき「平均的な損害の額」を超える部分を、無効としている。
- 賠償額の予定(民法第420条第1項)
- 債務不履行が生じた場合に、債務者の支払うべき損害賠償額をあらかじめ取り決めておくもの。債権者にとっては損害額の立証が不要となり、債務者にとっては事前に支払額を把握可能になる利点があるとされる。
- 違約金
- 契約の履行確保のために設定されるもの(違約罰)。民法上、損害賠償とは別に請求することができるが、実務上は、賠償額の予定の趣旨で定められることも多いことから、「違約金は、賠償額の予定と推定する。」(民法第420条第3項)とされている
- 賠償額の予定(民法第420条第1項)
- 消費者契約において、契約の解除等に伴い高額な損害賠償等を請求することが定められた場合に、消費者が不当な出捐を強いられることのないようにするため
- 「消費者契約において、契約の解除に伴う損害賠償額の予定と併せて、損害賠償とは趣旨が異なる違約罰的なものとして高額な違約金を定める場合があり得る。例えば、事業者が損害賠償の予定として3万円、違約金として2万円を定めており、当該事業者に生ずべき平均的な損害の額が4万円という事例では、損害賠償の予定と違約金は、それぞれ単独では平均的な損害の額である4万円を下回ることになるが、損害賠償の予定3万円と違約金2万円を合算した金額は5万円となり平均的な損害の額を超えることとなる。損害賠償額の予定と併せて違約金を定めた場合には、消費者に過大な義務を課されるおそれがあるため、両者を合算した額が事業者に生じる平均的な損害の額を超えてはならないこととする。」
- 本研究会でご議論いただきたい事項
- 解約料の実態はどのようなものか?
- 解約料の中には「損害の発生」を前提とせずに定められているものがあるのではないか?
- 消費者が解約料の支払に感じる「不満」にはどのようなものがあるか?
- 解約料の実態を踏まえた、望ましいルールの在り方は何か?
- どのような解約料が不当と考えられるのか?
- 消費者の「不満」を減らし、トラブル自体を低減させるためには、どのような仕組みが考えられるか?
- 解約料の実態はどのようなものか?
消費者庁 消費者庁から消費者の皆様へ 機能性表示食品の正しい理解についての御協力をお願いします
- 機能性表示食品は、事業者の責任において、科学的根拠に基づき特定の保健の目的が期待できる旨を表示することができる制度です。
- 機能性表示食品については、事業者が消費者庁長官に届け出た内容(安全性及び機能性の根拠に関する情報、生産・製造及び品質の管理に関する情報等)は、消費者庁ウェブサイトで誰でも確認できることとしています。
- 購入や使用の際にこうした届出内容を御確認いただくことが可能ですので、是非御活用ください。
- 今般の事例(詳細は次のURLをご参照ください。 https://www.caa.go.jp/notice/entry/035547/index.html )は、「消費者庁又は国が機能性表示食品の効果を認めているかのような表示をしていたこと」等、行き過ぎたウェブサイト広告が問題となったものです。
- 消費者の皆様におかれましては、公表されている届出内容を超えた広告を鵜呑みにしないよう御注意いただきますようお願いします。
▼動画 保健機能食品についての動画「保健機能食品ってなに?」
消費者庁 令和5年度地方消費者行政の現況調査
▼地方消費者行政の現況・ポイント(令和5年11月)
- 消費者行政予算の状況
- 消費者行政予算の推移:令和5年度当初予算は前年度比増。
- 消費者行政予算のない市区町村数:令和5年度は前年度比減
- 相談窓口の状況
- 市区町村(政令市を除く。)における相談窓口(消費生活センターを含む。)の設置状況:センター設置率は前年比増。
- 消費生活センターの数:市区町村(政令市を除く。)は前年比増。
- 消費者行政担当職員の配置状況
- 消費生活相談員の配置:相談員数は前年比増。
- 消費者行政担当の事務職員の配置:事務職員数は前年比減。
- 消費生活相談員の処遇等の状況
- 消費生活相談員の平均報酬額(1時間当たりの報酬単価):平均報酬額は全体で前年比増。
- 雇止めの規定等の有無:雇止めの規定等がある自治体は前年同。
- 事業の実施状況
- 相談・あっせん件数:相談件数、あっせん件数は前年度比増。
- 自治体職員、消費生活相談員の研修への参加:市区町村等の約64%で職員や相談員が研修に参加。
- 講習等(シンポジウムやセミナーを含む。)・出前講座の実施:全ての都道府県で講習等を開催。
- 地域サポーター、消費生活協力団体、消費生活協力員の活用状況:消費生活協力団体、消費生活協力員は前年同。地域サポーターは前年比減。
消費者庁 食品表示の適正化に向けた取組について
- 消費者庁は、食品衛生の監視指導の強化が求められる年末において、食品の表示・広告の適正化を図るため、都道府県等と連携し、食品表示法等の規定に基づき下記の取組を実施することとしましたので、お知らせいたします。
- 基本方針
- 不適切な食品の表示に対しては、消費者庁が横断的に取締りを行いつつ、地方出先機関を有し、監視業務についてのノウハウを有する農林水産省及び財務省並びに都道府県・保健所等が相互に連携し、食品表示の関係法令の規定に基づき効果的・効率的な取締りの執行体制を確保しているところです。
- このような体制の下、食品衛生の監視指導の強化が求められる年末においては、次のとおり、食品表示の重点事項について、取締り等を行うこととしました。
- 年末一斉取締りの実施について
- 国及び都道府県等においては、食品衛生の監視指導の強化が求められる年末において、食中毒などの健康被害の発生を防止するため、従来から食品衛生の監視指導を強化してきたところです。例年どおり、この時期に合わせ、食品等の表示の信頼性を確保する観点から、食品表示の衛生・保健事項に係る取締りの強化を全国一斉に実施します。
- 実施時期:令和5年12月1日から同月31日まで
- 主な監視指導事項
- アレルゲン、期限表示等の衛生・保健事項に関する表示
- 保健機能食品を含めた健康食品に関する表示
- 生食用食肉、遺伝子組換え食品等に関する表示
- 道の駅や産地直売所、業務用加工食品に関する表示
- 食品表示基準に基づく表示方法の普及・啓発
- 国及び都道府県等においては、食品衛生の監視指導の強化が求められる年末において、食中毒などの健康被害の発生を防止するため、従来から食品衛生の監視指導を強化してきたところです。例年どおり、この時期に合わせ、食品等の表示の信頼性を確保する観点から、食品表示の衛生・保健事項に係る取締りの強化を全国一斉に実施します。
- 表示の適正化等に向けた重点的な取組について
- 国及び都道府県等においては、食品表示の適正化を図るため、従来から食品表示法や景品表示法等に基づく各種通知やガイドライン等により、監視指導を実施してきたところです。
- 特定原材料として新たにくるみが追加されたこと、特定原材料に準ずるカシューナッツが木の実類の中でくるみに次いで症例数の増加等が認められること、食品関連事業者等が食品添加物の不使用表示に関するガイドラインを用いて表示の点検を行い令和6年3月末までに表示の見直しを行うことが求められていることなどを踏まえ、年末一斉取締りに当たっては、改めて、次のとおり監視指導及び啓発活動を実施します。
- くるみの特定原材料への追加及び特定原材料に準ずるカシューナッツの取扱いについて
- 特定原材料として新たにくるみが追加されたことを踏まえ、原材料・製造方法の再確認等、これまでアレルゲンとしてくるみを表示していなかった場合には、速やかに表示を行うことについて、食品関連事業者等への周知啓発を図る。また、特定原材料に準ずるカシューナッツについて、アレルギー表示をしていない食品関連事業者等に対し、可能な限り表示することを促す。
- 食品添加物の不使用表示に関するガイドラインの周知普及について
- 食品添加物の不使用表示に関して、消費者に誤認等を与えないよう留意が必要な具体的事項として、検討が必要な表示を類型化し、表示禁止事項に該当するおそれが高いと考えられる表示を取りまとめたところ。
- 食品関連事業者等が、本ガイドラインを用いて表示の点検を行い、令和6年3月末までに、表示の見直しを行うことが求められていることを踏まえ、本ガイドラインによる表示の自己点検について、食品関連事業者等への周知普及を図る。
- 「乳児用規格適用食品である旨」の表示の周知啓発について
- 乳児用規格適用食品について、令和5年6月29日付けで「食品表示基準について」を一部改正し、食品表示基準第3条第3項では乳児用食品としての放射性物質の規格が適用される食品であることが容易に判別できる食品については、表示を省略できることとされていることを踏まえ、乳児用食品は全て表示を省略できることを併せて明確にし、単に「乳児用規格適用食品」と表示がなされることのないよう本制度を運用することとしたところ。令和7年3月末までの間に表示方法の見直しが行われるよう、改正の趣旨について、食品関連事業者等への周知啓発を図る。
- 外食・中食における食物アレルギーに関する情報提供に係る啓発資材の活用について
- 外食・中食事業者や消費者(以下「事業者等」という。)向けに、外食・中食における食物アレルギーに関する理解を深めるための啓発資材を作成したところ。外食・中食における食物アレルギーについて、事業者に対応可能な範囲で取組を行ってもらうため、啓発資材を活用し、事業者等への周知啓発を図る。
- 食中毒等の健康被害発生時の連携について
- 食中毒等の健康被害事案に関連し、原産地表示等の食品表示法の規定に係る遡及確認等が生じた場合には、被害拡大及び再発防止の観点から、速やかに関係部署及び関係機関が連携して調査等を実施する。
- その他
- 近年新たに改正された食品表示制度や不適正表示が散見される事項について、食品関連事業者等に対する注意喚起・周知啓発等を図る。
- 食品リコール(自主回収)に係る主な発生原因を踏まえた注意喚起について
- 遺伝子組換え食品に関する表示制度の周知啓発の協力依頼について
- 原産地及び原料原産地表示の適正化について
- 健康食品の表示の適正化について
- くるみの特定原材料への追加及び特定原材料に準ずるカシューナッツの取扱いについて
消費者庁 「おいしい食べきり」全国共同キャンペーンの実施について
- 消費者庁は、農林水産省、環境省及び全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会と連携し、令和5年12月から令和6年1月まで、外食時の「おいしい食べきり」全国共同キャンペーンを実施します。
- 目的
- 我が国における「食品ロス」は、年間523万トンと推計されており、「食品ロスの削減の推進に関する法律」(令和元年10月施行)においては、消費者・事業者・地方公共団体を含む様々な主体が連携し、国民運動として食品ロスの削減を推進していくこととされています。
- 消費者庁は、農林水産省、環境省及び全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会と共に、令和5年12月から令和6年1月までの年末・年始の期間に、「おいしい食べきり」全国共同キャンペーンを実施し、食品ロス削減の普及啓発を行います。
- 外食時の適量注文による食べきりのほか、テイクアウト等による家庭の食事の機会が増えていることから、テイクアウト時の適量購入や家庭での食べきりについても啓発を行います。
- また、外食時には、残さず食べきる事が大切ですが、環境省では、消費者庁、農林水産省と共に、どうしても食べきれない場合の、「mottECO(モッテコ)」(食べ残しを持ち帰る行動)を自己責任の範囲で取り組むことも啓発していきます
- 実施期間
- 令和5年12月1日(金)から令和6年1月31日(水)まで
- 主な内容
- 普及啓発資材の提供
- 外食時の食べきりポスター及びテーブル置き三角柱、家庭での食べきるための工夫のチラシ
- 外食を楽しみ、食べきることを実践していただくため、ポスター及び三角柱を作成しました。これらの啓発資材は、飲食店等でご活用いただけます。
- また、家庭での食べきるための工夫のチラシでは、食材を無駄にしないレシピ(まだ食べられる食材を無駄なく使うレシピ)を掲載していますので、消費者の皆様にご活用いただけます。
- また、農林水産省では、外食事業者等が消費者に残さず食べきることを呼びかけるために、食品ロス削減国民運動のロゴマーク「ろすのん」を使った卓上ポップやポスターを提供しています。これらは、以下のURLからダウンロードして使用できます。なお、「ろすのん」の使用申請がお済みではない方は、別途申請が必要です。
- その他の食品ロス削減用啓発資材の提供
- 食品ロス削減の基礎知識や、家庭や外食時に食品ロスを減らすポイントについてまとめた啓発資材を提供しています。
- また、外食時に食べきれず残した料理を持ち帰る際のポイントについてまとめた「外食時のおいしく「食べきり」ガイド」も作成しています。
- 消費者庁では、「5~6歳の子どもたち」を対象として、日々の食生活や食料の大切さを理解し、「食事は体にとって大事」、「食事を食べきることが大切」、「もったいない」という気持ちを身につけていただくことを目的とした絵本を作成しています。
- 以下の絵本は、消費者庁食品ロス削減特設サイトに掲載しているデジタルブックでご覧いただけるほか、絵本の貸出も行っていますのでご活用ください。
- 啓発絵本「かいじゅうステップSDGs大作戦たべものかいじゅうあらわる!?」
- 啓発絵本「ぜんぶたべたよ!」
- 外食時の食べきりポスター及びテーブル置き三角柱、家庭での食べきるための工夫のチラシ
- ウェブサイト・SNS等による情報発信
- 消費者庁では、食べきるための工夫、作りすぎた料理をリメイクするレシピの情報発信や、消費者庁職員による食べきりの報告をSNSで投稿するなど行います。
- 環境省では、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動「デコ活」における「デコ活アクション」の一つとして食品ロス削減を呼び掛け、食品ロス削減等も含めた国民・消費者の行動変容、ライフスタイル転換を強力に後押ししています。
- また、外食時に食べきることを目指していただくと共に、どうしても食べきれなかった場合に食べ残しを自己責任で持ち帰る「mottECO」に積極的に取り組んでいる自治体・事業者等のリストや取組事例を発信しています。
- 関係省庁等での食品ロス削減普及啓発ポスターの掲示や三角柱の設置による周知
- 関係省庁の食堂等において、普及啓発資材を展示し、職員への食べきりの周知を行います。
- 消費者、事業者におかれましても、地域や食堂において、上記の啓発資材等を活用して啓発の御協力をお願いいたします。
- 令和5年度 外食時の「おいしい食べきり」全国共同キャンペーン 実施予定一覧の周知
- 全国おいしい食べきり運動ネットワーク協議会は、令和5年度 外食時の「おいしい食べきり」全国共同キャンペーンを、協議会参加自治体で一斉に行います。
- 普及啓発資材の提供
消費者庁 ホストクラブなどにおける不当な勧誘と消費者契約法の適用について(周知)
- 近年、一部の悪質なホストクラブなどにおいて、その従業員であるホストが若年女性に対して、その好意の感情を不当に利用して、困惑させ、飲食などの提供を受ける契約(以下「飲食などの契約」という。)を結ばせるという事例が報告されています。
- 消費者契約法(以下「本法」という。)では、消費者の利益を守るため、消費者契約について、不当な勧誘による契約の取消し等を規定しており、好意の感情を不当に利用した契約、いわゆる「デート商法」については、第4条第3項第6号に取消権を定めています。
- ホストクラブなどにおける飲食などの契約も本法上の消費者契約に当たり得るため、本法で定める要件に該当する不当な勧誘により締結した契約について、消費者が契約の相手方である事業者に対して取消しの意思表示をすることで、その契約を取り消すことができる可能性があります。
- 年齢18歳未満の者(未成年者)が、両親などの法定代理人の同意を得ずに結んだ契約については、民法第5条に基づき、原則として取り消すことができます。
- 具体的には、ホストクラブの従業員であるホストなどが、消費者(以下「客」という)に飲食などの契約を勧誘する際に、
- 客が社会生活上の経験が乏しいことから、
- ホストに対して恋愛感情など好意の感情を抱き、かつ
- ホストも客(=自分)に対して恋愛感情など好意の感情を抱いていると誤って信じていること
を知りながら、
- これに乗じ、飲食などの契約を締結しなければ(例えば、酒類などを注文してくれなければ)ホストと客の関係が破綻することになる旨を告げることにより、客が困惑し、飲食などの契約の申込み等をしたときは、本法に基づき、この契約を取り消すことができます。なお、仮に、ホストが恋人間の個人的なやり取り(売掛金の立替えなど)だと主張している場合でも、ホストが本法上の事業者に該当する場合で、本法の要件に該当する不当な勧誘をしていれば、その契約は取り消すことができます。
- 客が社会生活上の経験が乏しいことから、
- また、ホストクラブの従業員であるホストなどが、客に飲食などの契約を勧誘する際に、価格や内容を偽って結ばせた契約や、客が店から退去する意思を示しているにもかかわらず退去させずに結ばせた契約なども、同様に本法で定める要件を満たせば、取り消すことができます。
- 本法は民事ルールであることから、客である当事者が契約の取消しを主張した上で、当事者間で解決していただく必要があり、最終的には、個別具体的な事案に即し、司法の場で判断されることになります。
- ホストクラブ等との契約などにおいて、消費者契約法による取消しが可能かどうか等の消費者トラブルに関する相談について
- 【相談先】地方公共団体の消費生活センター
- 【電話番号】188「消費者ホットライン」(全国共通の電話番号)
【国民生活センター】
【2024年3月】
国民生活センター 顔を入れないで! 棺内のドライアイスで二酸化炭素中毒
- 内容
- 事例1 葬儀場において、ドライアイスを敷き詰めた棺桶の小窓を開けたそばで、意識不明の状態で発見され、搬送先の病院で死亡した。(70歳代)
- 事例2 自宅において、ドライアイスを敷き詰めた棺桶内に顔を入れた状態で発見され、死亡が確認された。(60歳代)
- ひとこと助言
- ご遺体の安置の際に棺内に置かれたドライアイスによる二酸化炭素中毒と疑われる死亡事故が起きています。ご遺体に話しかけたりする際は、棺内にたまって高濃度となった二酸化炭素を吸い込まないようにしましょう。
- 棺は密閉されているわけではないため、棺内の二酸化炭素は室内に漏れ出ています。十分な換気を行いましょう。
- 通夜から告別式の間に、ご遺族等が寝ずの番(線香番)を行うことがありますが、なるべく複数人で見守りましょう。飲酒して酔った状態で棺に近づくのはやめましょう。
- 棺の近くにいて気分が悪くなったら、すぐに換気の良い場所に移動しましょう。症状があれば医療機関を受診し、緊急性が高い場合は119番通報しましょう。
国民生活センター 遠隔操作アプリを悪用して借金をさせる副業や投資の勧誘に注意!
- 事例
- バイトを探しており「スマートフォンからスタンプを送信するだけで日給5万円」と記載のあるサイトから登録した。後日、担当者から電話があり「予想収益100万円」とする約70万円の副業のサポートプランを勧められた。「先行投資」と言われ、貸金業者3社から30万ずつ借金する方法を提示された。遠隔操作アプリをインストールさせられ、私のスマートフォンの画面が共有された状態となり、インターネット上で各社に借金を申し込んだ。家族に反対されたため、借金の申し込みを撤回したい。(当事者:学生)
- ひとことアドバイス
- 遠隔操作アプリとは、自分のスマートフォンやパソコンに遠隔地の第三者が接続して、両者が画面を共有しながら遠隔操作を行うアプリのことです。パソコンメーカーや通信事業者がユーザーサポートを行う場面等で利用されます。
- 副業や投資の勧誘では、支払いのために借金をさせられる場合があり、最近では、遠隔操作アプリを悪用して借金をさせるケースが目立っています。
- 事業者は、遠隔操作アプリを悪用し、消費者のスマートフォンの画面を見ながら、お金の借り方について細かく指示を出します。事業者から「説明のために必要」などと遠隔操作アプリをインストールするよう指示されても、安易にインストールするのは避けましょう。
- 簡単に稼げるようなうまい話はありません。「簡単に稼げる」「もうかる」ことを強調する広告をうのみにしたり、借金してまで契約したりしないようにしましょう。
- 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
【2024年2月】
国民生活センター ご用心 災害に便乗した悪質商法 更新
- 消費生活相談件数
- 能登半島地震関連の相談件数
- 総件数:606件
- ※全国の消費生活センター等で受け付けた分
- ※2024年1月1日以降受付、2024年2月21日までのPIO-NET登録分
- 総件数:606件
- 上記のうち「能登半島地震関連 消費者ホットライン」で受け付けた相談件数
- 総件数:45件
- ※2024年1月15日以降受付、2024年2月21日までのPIO-NET登録分
- 総件数:45件
- 能登半島地震関連の相談件数
国民生活センター 給湯器の点検にご注意ください-70歳以上の高齢者を中心にトラブル急増!-
- 給湯器の点検商法に関する相談が全国の消費生活センター等に相次いで寄せられています。相談件数は2023年度に入り急増し、2022年度同期の約3倍となっています。相談事例では、電話や訪問で突然給湯器の点検を持ち掛け、不安をあおって高額な給湯器の交換を迫る手口が多くみられます。中には、電話口で「自治体から委託を受けた」「契約中のガス会社から依頼された」などと身分を偽るケースもみられます。契約当事者の7割以上が70歳以上で、特に高齢者に注意してほしいトラブルです。
- そこで、トラブルの未然・拡大防止のため、事例を紹介するとともに、消費者に注意を呼びかけます。
- 年度別相談件数:2018年度は206件、2019年度は241件、2020年度は245件、2021年度は335件、2022年度は561件、2023年度は12月31日までで1,099件です。
- 相談事例
- ガス会社だと思い点検を依頼し給湯器交換の契約をしたが、高額だった。
- 自治体から委託されたという業者の点検後に温水器の交換が必要と言われた。
- 今なら割引できると言われ契約したが、不審に思ったので解約したい。
- 無料点検と言われ依頼したが、新しい給湯器への交換を勧められて契約したので解約したい。
- 相談事例からみる問題点
- 電話や訪問で給湯器の点検を持ち掛ける。
- 点検後に「このままでは壊れる」などと不安にさせる。
- 「今契約すれば割引する」と契約を急がせる。
- 消費者へのアドバイス
- 電話や訪問で点検を持ち掛ける業者には安易に点検させないようにしましょう。
- 点検を断る連絡ができず訪問された場合にはインターホン越しに点検を断りましょう。
- その場では契約せず、十分に比較・検討しましょう。
- クーリング・オフ等ができる場合もあります。
- 不安や迷いがあれば、すぐに消費生活センター等に相談しましょう。
国民生活センター 海外に行くなら必見!ESTA等の電子渡航認証トラブルあるある
- 相談事例
- ESTAを申請するためインターネットで申請サイトを検索した。検索結果の一番上に表示されたサイトで申請したら、申請代行サイトだったため代行手数料を請求された
- アメリカに旅行するために、ESTA(電子渡航認証システム)を申請しようとネットで検索をして、一番上に表示されたサイトで申請を行った。申請費用は21ドル(約3,000円)のはずだが、クレジット決済をした明細を見ると約1万円が請求されていた。サイトをよく確認すると、公式サイトではなく、申請代行サービスを行う事業者のサイトだった。申請手続は確かにできたが、サイトの作りが公式サイトとよく似ていて紛らわしい。自分で公式サイトから申請すれば手数料を支払う必要はなかった。手数料を返金してもらうにはどうしたらいいか。(2023年9月受付 20歳代 男性)
- ESTAを申請するためインターネットで申請サイトを検索した。検索結果の一番上に表示されたサイトで申請したら、申請代行サイトだったため代行手数料を請求された
- トラブル防止のポイント
- 電子渡航認証とは
- 日本人が渡航する際、渡航先及び渡航期間によっては、電子渡航認証の申請が必要となります。電子渡航認証には、アメリカのESTA(Electronic System for Travel Authorization:エスタ)、カナダのeTA(イータ)、オーストラリアのETA(イータ)、韓国のK-ETA(2023年4月1日~2024年12月31日の期間、日本は一時的にK-ETA適用が免除となります)などがあります。また、2025年からはヨーロッパの一部の国でETIAS(ドイツ、イタリア、フランスなど30カ国が対象)の導入が予定されているなど、電子渡航認証が必要な渡航先が増えてきています。
- 公式サイトかどうかをよく確認する
- インターネットで「ESTA」「eTA」「ETA」などと検索すると、申請代行サイトが検索結果の上位に表示されることがあります。消費者が申請代行事業者のサイトと気付かず利用するケースがみられます。
- 申請代行サイトを通じて申請を行うと代行手数料が請求されるため、公式サイトで申請した場合より費用が高くなります。申請するサイトが公式サイトかどうかをよく確認しましょう。なお、渡航先によっては公式モバイルアプリによる申請も可能です。
- 気づいてからではキャンセルが困難。キャンセル条件をしっかり確認する
- 申請代行サイトを利用した場合、申請代行手続が完了した後は、すでにサービスが提供されているため、返金をしてもらうことは困難です。利用申し込みをした後、代行事業者が申請代行手続を完了する前にはキャンセルが可能な場合もありますが、この場合でもキャンセル料が発生したり、キャンセルが可能なタイミングは代行事業者によって異なります。申し込み前によく条件を確認しましょう。
- 少しでも不安に思ったら早めに消費生活センターや越境消費者センターに相談する
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
- 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
- 越境消費者センター(Cross-border Consumer center Japan:CCJ)
- 海外の事業者との間での取引でトラブルにあった消費者のためのオンラインの相談窓口です。
- このトラブルについては、越境消費者センターのサイト内にある下記ページをご参照ください。
- ESTA等の電子ビザの申請代行サイトに関する相談
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
- 電子渡航認証とは
国民生活センター クリーニング 受け渡し時には必ず状態を確認しましょう!
- 内容
- ジャンパーを7カ月前にクリーニングに出した。すぐに引き取ったが、でき上がりの状態を確認せずにクローゼットにしまい、先月着ようとしたら、ジッパーの布地が引きつっていて着られる状態ではなかった。クリーニング店に伝えると「6カ月も過ぎてから苦情を言われても、引き取った後の事故によるものかクリーニング時の処理の仕方の問題かどちらか分からない」と言われた。(70歳代)
- ひとこと助言
- クリーニングによるトラブルは、複数の要素が重なって発生することもあるため原因の特定が難しく、時間が経つと解決がより難しくなります。クリーニングに出す時、受け取る時には、必ず衣類の状態や処理方法を店舗側と一緒によく確認しましょう。
- 「クリーニング事故賠償基準」を使用してトラブルの対処をする店舗もありますが、使用していない店舗もあります。利用する店舗のルールを確認しましょう。
- 「クリーニング事故賠償基準」に基づき賠償される場合は、購入時からの経過月数などが勘案されるので、購入時の金額が戻ってくるわけではありません。
- 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
- ※「クリーニング事故賠償基準」は、Sマーク(「クリーニング業に関する標準営業約款」の登録店)、LDマーク(クリーニング生活衛生同業組合の加盟店)のある店舗が使用しています。
国民生活センター もしもの時に慌てないように! 葬儀サービスのトラブル
- 内容
- 父が亡くなり、家族葬の価格が手ごろだと広告をしている葬儀社に安置してもらい、葬儀の見積もりも依頼した。広告では「家族葬約40万円から」とあったが、プランナーだという担当者に「お宅はこのプランではできません」と言われ、オプションを追加されていった。価格表等は担当者の手元にあり、私たちにはよく見えなかった。合計額が300万円近くなり驚いていると、家族葬250万円のセットプランを勧められ、仕方なく契約した。広告とは異なる高額費用に不満だ。(60歳代)
- ひとこと助言
- 広告を見て価格が手ごろなのでその葬儀社に依頼したが、オプション等を付けられ、結局高額となり納得できないという相談が寄せられています。
- 葬儀は規模によっては数百万円と高額になるにもかかわらず、検討や準備のための時間がありません。そのため事前の情報収集が大切です。事前相談なども利用し、あらかじめ希望するおおまかな内容を決め、依頼する葬儀社を見つけておくと落ち着いて準備することができます。
- 広告に表示された料金でサービスを受けられるとは限りません。葬儀社との打ち合わせは複数人で受け、見積書をよく見て、不明な点は確認しましょう。
- 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
国民生活センター 国民生活 2024年2月号
▼ オンラインカジノの違法性について
- いわゆる「オンラインカジノ」について
- いわゆる「オンラインカジノ」について、法律等による確たる定義はありませんが、インターネットで「オンラインカジノ」と検索すると、スロットゲームやカードゲームなど、海外にあるカジノなどで遊戯できるようなゲームを、パソコンやスマートフォンなどによりオンラインで利用できるウェブサイトが表示されます。
- そして、このようなサイトは、日本語での表記がなされ、日本人が日本国内において利用できるものがあります。
- これらのサイトには、銀行送金やクレジット決済等によりサイト上のゲームで利用できるポイントを購入し、ゲームの結果により増減したポイントを現金化するしくみが整備されているものが確認されています。これにより日本国内において「偶然の勝負に関して財物の得喪を争う」行為があれば、それは賭博罪に該当することが考えられます。
- 実際、これらオンラインカジノを利用した賭博事犯をこれまでも複数検挙しています。
- オンラインカジノについては、近年、アクセス数の増加が指摘されるとともに依存症の懸念も顕在化しており、社会的な問題となっています。また、2022年3月に改定された「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」には、取締りを強化すべき違法なギャンブル等としてオンラインカジノに係る賭博事犯が明記されました。
- さらに、同年6月の国会において、岸田総理大臣が「オンラインカジノについては違法なものであり、関係省庁が連携し、厳正な取締りを行わなければならない。また、資金の流れの把握、実態把握をしっかり行うことは重要である。あわせて、依存症対策についても考えていかなければならない」旨答弁し、政府全体としてさまざまな角度から取り組むことが明確化されました
- オンラインカジノに係る賭博事犯について
- 「賭博罪」について
- 刑法(明治40年法律第45号)では賭博に関して次のように規定しています。
- 第185条 賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
- 第186条 常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する。
- 2 賭博場を開帳し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
- 賭博については、「偶然の勝負に関して財物の得喪を争うこと」と解されています。「偶然」とは、当事者において確実に予見できず、又は自由に支配し得ない状態をいい、「財物」とは、有体物又は管理可能物に限らず、広く財産上の利益であれば足り、「財物の得喪を争うこと」とは、勝者が財産を得て、敗者はこれを失うこととされています。
- 賭博罪には国外犯処罰規定がないため、賭博行為の全てが国外で行われている場合は、わが国の刑法が適用されることはないものの、一般的には、賭博行為の一部が日本国内において行われた場合、賭博罪は成立するとされています。
- つまり、オンラインカジノサイトの運営主体がその国において合法とされる外国に所在したとしても、これを日本国内において利用して財物の得喪を争えば賭博罪が成立し得るものと考えられます。
- 刑法(明治40年法律第45号)では賭博に関して次のように規定しています。
- 「賭博罪」について
- オンラインカジノに係る賭博事犯の検挙状況
- オンラインカジノに係る賭博事犯について、近年の検挙事件数、人員は次のとおりです。
- 2020年中 16件 121人
- 2021年中 16件 127人
- 2022年中 10件 59人
- 警察庁では、賭客が自宅等においてパソコン等を使用して直接オンラインカジノサイトに接続し賭博を行うもののほか、賭博店に設置したパソコンを利用して賭客にオンラインカジノサイト運営者が配信するゲームをさせ賭博を行うものを総じて、オンラインカジノに係る賭博事犯としています。
- 上記検挙事件数、人員についてはいずれのものも含みます。
- オンラインカジノに係る賭博事犯について、近年の検挙事件数、人員は次のとおりです。
- オンラインカジノを自宅等で利用した賭博事犯の主な検挙事例
- 2016年、千葉県警察による検挙事例
- 日本国内の賭客を相手方として、日本国内の賭客の自宅等に設置されたパソコンから、海外のオンラインカジノサイトにアクセスさせ、金銭を賭けさせた者を常習賭博罪、賭客を単純賭博罪で検挙したもの。
- 2016年、京都府警察による検挙事例
- 日本国内の自宅において、パソコンを使用して、海外のオンラインカジノサイトにアクセスし、同サイトのディーラーを相手方として賭博をした賭客を単純賭博罪で検挙したもの。
- 2023年、千葉県警察による検挙事例
- 日本国内の自宅において、パソコンを使用して、海外のオンラインカジノサイトにアクセスして常習的に賭博を行い、その状況を動画配信していた者を常習賭博罪で検挙したもの。
- 2023年、警視庁、愛知県警察及び福岡県警察による検挙事例
- 日本国内において、海外のオンラインカジノで利用される決済システムを運営し、賭客らがオンラインカジノで賭博をした際、常習的にこれを幇助した者を常習賭博幇助で検挙するとともに、オンラインカジノを日本国内の自宅等で利用した賭客21人を単純賭博罪で検挙したもの。
- 2016年、千葉県警察による検挙事例
- 警察の取組について
- 警察では、オンラインカジノに係る賭博事犯について、取締りを推進しているほか、犯罪の未然防止の観点から、オンラインカジノに係る賭博事犯の違法性について周知を図るべく、消費者庁と連携し、広報啓発用ポスターを作成し掲示しているほか、警察庁ウェブサイト等で情報発信を行い啓発に努めています。
- また、警察庁ではオンラインカジノに関与する者に関する情報を収集するため、2023年10月から「匿名通報ダイヤル」の対象事案にオンラインカジノ賭博事犯を追加しました。
- 匿名通報ダイヤルとは、警察庁の委託を受けた事業者が、匿名による通報をフリーコールやウェブサイトで受け付け、その情報を警察が捜査などに役立てるというものであり、事件検挙等に貢献があった場合には、情報提供者に情報料が支払われる制度です。
- 求める情報は、オンラインカジノ賭博事犯の犯行グループの検挙及び実態解明に資する情報であり、具体的には
- オンラインカジノの運営に関与する国内グループのリーダー、中核メンバー等に関する情報
- オンラインカジノに係る賭金の入出金に関与する国内グループのリーダー、中核メンバー等に関する情報です。
- 詳しくは、「匿名通報ダイヤル」ウェブサイトをご確認ください。
- おわりに
- インターネットでオンラインカジノと検索すると、オンラインカジノサイトのほか、これらを紹介、解説するウェブサイトも複数出てきます。
- これらのサイトの中には、オンラインカジノの違法性について「取り締まる法律がないからグレーである」とか「胴元が海外で合法的に運営されているサイトであれば捕まることはない」などと書かれているものも多くあります。
- 国内におけるオンラインカジノ利用者の中には、このような誤った情報により違法性を認識することなく賭博行為を行っている者も多いかもしれませんし、実際検挙された賭客には「違法とは思わなかった」旨述べる者もいます。しかし、先にも述べたとおり、日本国内においてオンラインカジノを利用して賭博を行うことは違法であり、海外のライセンスを取得しているとされているオンラインカジノサイトであっても、これを利用した賭博事犯の検挙はこれまでに多数あり、これらの賭客には単純賭博罪が適用され罰金刑が科せられています。
- もし現に利用していたり、これから利用を考えていたりする者がいれば、直ちにやめていただきたいところです。
- また、オンラインカジノに関してはこれを運営する者、利用する者のほか、これらの決済手段に関与する者、これらを宣伝・誘引する者等、さまざまなかたちで関与する者がいます。
- 警察では、これらオンラインカジノに係る賭博事犯に関与する者についても、引き続き取締りを推進しています。
国民生活センター 遮光性に係る表示が国内で広く用いられるものとは異なっていたカーテン(相談解決のためのテストからNo.184)
- 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
- 依頼内容
- 「通信販売で購入したカーテンの遮光性が疑わしい。性能に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
- 調査
- 当該品のカーテンは、海外に拠点がある事業者が運営する日本語表記のインターネット通信販売サイトで販売されていたもので、海外から直送されてきたとのことでした。
- 当該品の販売サイトを確認したところ、カーテンの遮光性について、国内で広く用いられている一般社団法人日本インテリア協会による判定基準(以下、「NIFの判定基準」とします。)に類似した等級と使用時の明るさのレベルが記載されていましたが、等級に対応する遮光率が大きく異なっていました。
- 当該品の遮光率をJIS L 1055「カーテンの遮光性試験方法」A法に従って測定したところ、部位によって差はありましたが、販売サイトに表示されていた90%以上という遮光率を満たすものでした。ただし、販売サイトには当該品の遮光の等級として1級との表示がありましたが、当該品の遮光率をNIFの判定基準に照らすと、3級相当の部位と3級に満たない部位がありました。
- 消費者へのアドバイス
- インターネット通信販売等では、カーテンの遮光性に係る等級が国内で広く用いられている判定基準とは異なる基準に則って表示されている場合があります。等級の級の値のみで比較すると、想定とは異なる遮光性のものを購入する可能性がありますので、購入の際には、どのような基準で判定されているかについても確認しましょう。
国民生活センター 「能登半島地震関連 消費者ホットライン」の受付状況-開設後1カ月間のまとめ-
- 国民生活センターでは、「令和6年能登半島地震」に関し、被災地域および被災者の方々の支援と、当該地域の消費生活センター等のバックアップを目的として、1月15日(月曜)より、災害救助法の適用があった市区町村が所在する4県(石川県、新潟県、富山県、福井県)を対象にした特設電話相談窓口「能登半島地震関連 消費者ホットライン(電話番号:0120-797-188、通話料無料、受付時間:10時~16時)」を開設しています。
- 受付状況
- 相談件数
- 1月15日(月曜)から2月14日(水曜)までの1カ月間に65件の相談を受け付けました(1日平均、約2.1件)。
- 相談者の居住地域
- 石川県が最も多く、48件(73.8%)でした。
- 相談者の年代
- 60歳代が20件(33.3%)と最も多く、続いて70歳代が12件(20.0%)、40歳代が9件(15.0%)となっています(n=60 不明・無回答のものを除いて集計)。
- 相談件数
- 相談事例
- 災害に便乗した消費者トラブルに関する相談
- 【事例1】屋根工事を解約したら契約前に行われたブルーシート設置代金を請求された。
- 【事例2】無料屋根点検の電話を受け来訪を承諾してしまった。断りたいが連絡先がわからない。
- 住宅や賃貸契約に関する相談
- 【事例3】地震によって自宅の外壁にひびが入った。修理した方がよいか。
- 【事例4】ブルーシートを屋根に掛ける作業を依頼したいが事業者が見つからない。
- 【事例5】地震の影響で賃貸アパートに住めないのに通常の家賃を支払ってほしいと言われた。
- インフラに関する相談
- 【事例6】家屋が壊れほとんど電気を使用していないのに先月と同じ使用料金を請求された。
- 【事例7】地震や大雪によりモバイルWi-Fiルーターが使用できない。
- その他の相談
- 【事例8】裏山が土砂崩れを起こし自宅が押し潰されているが山の所有者と連絡が取れない。
- 災害に便乗した消費者トラブルに関する相談
- 被災地域にお住まいの方へ
- 災害に便乗した消費者トラブルに関する相談が寄せられています
- 「屋根の点検をきっかけに契約した屋根工事を解約したら契約前に行われたブルーシート設置代金を請求された」といったいわゆる点検商法のトラブル事例が寄せられています。無料の点検をきっかけとして住宅修理等の勧誘をされてもその場ですぐに契約せず、複数の事業者から見積もりを取ったり、周囲に相談したりした上で慎重に契約しましょう。
- 深刻な地震被害を原因とした住まいやインフラに関する相談が寄せられています
- 住宅の修理契約や賃貸契約に関する相談や「ネット通信が利用できない」、「避難しているのに先月と同額の電気料金を請求された」といった相談など地震により生じた深刻な被害そのものを原因とした相談が寄せられています。ブルーシートがあっても掛ける業者が見つからないなど、震災直後の人手不足が原因と思われる事例もありました。
- 消費者庁では、令和6年能登半島地震に関連して「災害関連情報(消費者庁)」内で、災害時に特に注意してほしい点についてまとめた「災害に関連する主な相談例とアドバイス」を掲載していますので、参考にしてください。
- 不安なことやトラブルがあればすぐに相談しましょう
- 災害に便乗した消費者トラブルに関する相談が寄せられています
国民生活センター 格安の排水管高圧洗浄サービスのはずが…思いがけない高額請求に
- 内容
- 「排水管の高圧洗浄が3千円」と書かれた投げ込みチラシを見て、電話で依頼した。作業が行われたが約4万円を請求され、仕方なく支払った。その後同じ業者が訪れ「汚水升を変えた方がよい」と言われ、見積書を出された。契約してしまったが、約22万円と高いのでクーリング・オフしたい。(70歳代)
- ひとこと助言
- 低価格を強調した広告を見て、排水管の高圧洗浄を依頼したところ、業者からさらなる点検や工事等を勧誘され、高額な費用を請求されたという相談が寄せられています。
- 点検や工事等に関する専門的な技術や知識がない消費者が、突然提案された作業の料金や内容の妥当性を判断することは難しいため、無理にその場で判断しようとせず、少しでも違和感を覚えたときは作業を断るようにしましょう。
- 地域の工務店など、安心して依頼できる事業者の情報を日ごろから集めておきましょう。
- クーリング・オフができる場合がありますので、困ったときは、早めにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
国民生活センター ご用心 災害に便乗した悪質商法 更新
- 消費生活相談件数
- 能登半島地震関連の相談件数 総件数:448件
- ※全国の消費生活センター等で受け付けた分
- ※2024年1月1日以降受付、2024年2月8日までのPIO-NET登録分
- 上記のうち「能登半島地震関連 消費者ホットライン」で受け付けた相談件数 総件数:32件
- ※2024年1月15日以降受付、2024年2月8日までのPIO-NET登録分
- 能登半島地震関連の相談件数 総件数:448件
▼ 震災に便乗した悪質商法に注意
- 事例1 見た目では自宅に被害はないが、訪問してきた工事業者に「このままでは危ない。すぐに工事が必要だ」と言われた。
- 事例2 「保険金を使えばタダで住宅修理ができる」と言われたが本当か。
- 事例3 役所を名乗り、義援金を集めると訪問されたが信用できるか。
- ひとこと助言
- 地震等の災害が起こると、その際の混乱や被災者を支援したいという気持ちにつけ込んだ便乗商法と疑われる相談が寄せられます。今後、トラブルが広がる可能性がありますので、注意が必要です。
- 住宅修理等の勧誘をされてもその場ですぐに契約せず、複数の事業者から見積もりを取ったり、周囲に相談したりした上で慎重に契約しましょう。頼んでもいないのに押しかけてきて、しつこく勧誘する事業者には特に注意してください。
- 「保険金が使える」と言われてもその場ですぐに契約せず、加入先の保険会社や保険代理店に相談してください。
- 公的機関が、電話や訪問等で義援金を求めることはありません。募っている団体等の活動状況や使途をよく確認しましょう。
- 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
国民生活センター ご用心 災害に便乗した悪質商法
- 悪質商法等に関する相談先
- 大規模災害の後は、便乗した悪質商法等のトラブルが発生する傾向にあります。悪質商法と住まいや保険等に関する相談先をまとめましたのでご活用ください。
- 令和6年能登半島地震による被災住宅補修等相談ダイヤル
- 令和6年能登半島地震による被災住宅の補修等に関する電話相談を無料で受け付けます。※国土交通省の指定を受けた住宅専門の相談窓口「住まいるダイヤル」の相談員(建築士)が対応します。
- 名称 令和6年能登半島地震による被災住宅補修等相談ダイヤル(国土交通省)
- 電話番号 0120-330-712(フリーダイヤル)
- 受付時間 10:00~17:00(土曜・日曜・祝日を除く)
- 実施主体 公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター
- 令和6年能登半島地震による被災住宅の補修等に関する電話相談を無料で受け付けます。※国土交通省の指定を受けた住宅専門の相談窓口「住まいるダイヤル」の相談員(建築士)が対応します。
▼ 令和6年能登半島地震で被災された皆様へ
- 能登半島地震関連 消費者ホットライン
- 被災された地域(石川県、新潟県、富山県、福井県)の方を対象として、フリーダイヤル(通話料無料)にて消費生活に関する相談を受け付けます。
▼ 「能登半島地震関連 消費者ホットライン」をご利用ください
- 相談事例
- 【事例1】若い男性から携帯電話で「市が能登半島地震の義援金を集めている」という電話があった。休日であったことと携帯電話からであったことから不審に思い「別で義援金を送っている」と返答した。市が義援金の窓口になっているのか。電話で義援金を募ることはあるのか。(四国地方の自治体からの情報提供、電話を受けたのはグループホーム)
- 【事例2】「元旦に起きた地震の地域に送る物を集めている。今日そちらの地域を回っているので訪問していいか。会社なので支援品を集めて送ることができる」と電話がかかってきたが、怪しいと思って断った。(関東地方 60歳代・女性)
- 能登半島地震関連の相談件数
- 総件数:368件
- ※全国の消費生活センター等で受け付けた分
- ※2024年1月1日以降受付、2024年2月1日までのPIO-NET登録分
- 上記のうち「能登半島地震関連 消費者ホットライン」で受け付けた相談件数
- 総件数:25件
- ※2024年1月15日以降受付、2024年2月1日までのPIO-NET登録分
- 総件数:25件
- 総件数:368件
- 災害時に寄せられた相談事例
- 工事、建築
- 認知症の父が来訪した工事業者に勧められ不要な屋根修理契約をしてしまった。
- 台風で自宅の屋根瓦がずれ、見積もりのつもりで業者を呼んだら、屋根にビニールシートをかけられ高額な作業料金を提示された。仕方なく支払ったが納得できない。
- 日に3~4回訪問され、屋根の吹き替え工事契約を迫られた
- 屋根の無料点検後、このまま放置すると雨漏りすると言われ高額な契約をさせられた
- 豪雨で雨漏りし修理してもらったがさらにひどくなった
- 雪下ろし作業後に当初より高い金額を請求された
- 「保険金」を口実にした勧誘
- 「損害保険で雨どいの修理ができる」と業者の訪問を受けた。せっかくなのでドローンを使って屋根の撮影もしてはどうかと言われ、お願いした。不安になったので断りたいが、業者と連絡が取れない。
- 3年前に起きた災害の被災地調査員を名乗り、保険の請求期限まで半年を切ったので、保険金請求のためのサポートをすると言われ、契約したがクーリング・オフしたい。
- 台風の後片づけをしていたら、業者が来訪し、損害保険を使って無料で雨どい修理ができる、経年劣化で壊れたものも保険でできると言われた。不審だ。
- 先日の台風で雨どいが壊れ外壁もはがれた。「火災保険で修理できる」という業者が突然来訪し、保険請求手続の代行と住宅修理を依頼したがやめたい。
- 寄付金、義援金
- ボランティアを名乗る女性から募金を求める不審な電話があった
- 市役所の者だと名乗る人が自宅に来訪し義援金を求められた
- 工事、建築
- 消費者へのアドバイス
- 工事、建築
- 修理工事等の契約は慎重にしましょう
- 契約を迫られても、その場では決めず、できれば複数社から見積もりを取って比較検討しましょう
- 契約後でも、クーリング・オフができる場合があります
- 「保険金」を口実にした勧誘
- 「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」と勧誘されてもすぐに契約せず、加入先の保険会社や保険代理店に相談しましょう
- 経年劣化による損傷と知りながら、自然災害などの事故による損傷と申請するなど、うその理由で保険金を請求することは絶対にやめましょう
- 寄付金、義援金
- 不審な電話はすぐに切り、来訪の申し出があっても断りましょう
- 金銭を要求されても、決して支払わないでください
- 公的機関が、電話等で義援金を求めることはありません
- 寄付をする際は、募っている団体等の活動状況や使途をよく確認しましょう
- 相談窓口を利用しましょう
- お困りの際には、一人で悩まずお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。
- 工事、建築
国民生活センター 信販会社ライフティ株式会社に対する割賦金相当額の不当利得返還請求訴訟について
- 特定適格消費者団体である特定非営利活動法人埼玉消費者被害をなくす会は、令和5年9月に倒産した脱毛エステ業者株式会社ビューティースリー(店舗名:シースリー)との間で「全身脱毛無制限コース」を契約し、信販会社ライフティ株式会社の分割払いクレジットを利用して支払った事案について、契約代金相当額を不当利得として返金を求める集団的被害回復訴訟を提起しました(令和6年1月30日)。
国民生活センター その申込み、定期購入になっていませんか?もう一度「最終確認画面」をチェック!-依然として多い通信販売での「定期購入」トラブル-
- 通信販売での「定期購入」に関する相談が全国の消費生活センター等に引き続き多く寄せられています。特にインターネット通販では、申込み前に「最終確認画面」をよく確認することが重要です。
- 相談事例
- 初回980円のダイエットサプリを注文したつもりが3カ月ごとに届く定期購入になっていた
- SNSで初回980円のダイエットサプリの広告を見てクレジットカード払いで注文した。その後商品が届き、中身を確認したら6箱入っていて、代金も約2万円になっていた。1箱のみ980円で注文したつもりだったが、申し込む際に「期間限定クーポンプレゼント」を選択したことで、約2万円の商品が3カ月ごとに届く定期購入になっていたようだ。次回以降は解約したいが、事業者の電話番号にかけてもつながらない。どうしたら解約できるか。(2023年7月受付 60歳代 女性)
- 初回980円のダイエットサプリを注文したつもりが3カ月ごとに届く定期購入になっていた
- 消費者へのアドバイス
- インターネット通販では、注文する前に販売サイトや「最終確認画面」の表示をよく確認しましょう。
- 特定商取引法により申込みの意思表示を取り消すことができる場合があります。
- 不安に思った場合や、トラブルが生じた場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう。
- ※消費者ホットライン「188(いやや!)」番
- 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
- ※消費者ホットライン「188(いやや!)」番
国民生活センター その警告画面は偽物! サポート詐欺に注意
- 内容
- パソコン使用中に「ウイルスに侵された」と警告画面が出て動かなくなった。大手ソフトウェア会社のマーク等とともに電話番号が表示されたので信用し、電話をすると「遠隔操作で復旧させるのにサポート契約が必要」と言われた。その契約のためにはコンビニで電子マネーを購入し番号の入力が必要とのことで、5万円分購入し入力した。しかし「入力間違いで無効になった」などと言われ、何度も購入と番号の入力をさせられ、結局約60万円も支払ってしまった。(80歳代)
- ひとこと助言
- インターネット利用中に、突然警告画面や警告音が出たら、慌てず、まずは偽物ではないかと疑いましょう。表示された電話番号には絶対に連絡しないでください。自分で判断できない場合は、周りの人に相談しましょう。
- 指示されるままに遠隔操作ソフトのインストールに同意したり、サポート契約等の支払いのためにと、プリペイド型電子マネー等の購入を求められても応じてはいけません。
- 契約や解約について困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等(消費者ホットライン188)に、警告画面の消去方法などの技術的な相談については、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の情報セキュリティ安心相談窓口にご相談ください。
【2024年1月】
国民生活センター 【20代要注意!】暗号資産のもうけ話
- 相談事例
- SNSで知り合った外国人男性から勧められた投資サイトで暗号資産の取引をした。出金を希望したら、高額な費用を請求された
- 画像投稿のSNSで外国人男性と知り合い、メッセージアプリで連絡を取り合うようになった。暗号資産の投資を勧められ、最初の投資として、指示に従って国内の暗号資産取引所のアプリで2万円相当の暗号資産を購入し、指定された投資サイトへ送付した。数日後、利益が3万円相当になり、暗号資産取引所のアプリ内に開設した自身の口座へ出金できたので信用した。再度、40万円相当の暗号資産を投資サイトへ送付し、利益が出たので、出金しようと投資サイトへ連絡すると、出金には12%の税金がかかり、約5,800ドル(約86万円)を支払わなければ出金できないと言われた。どうしたらよいか。(2023年10月受付 20歳代 男性)
- 知人に暗号資産の自動売買でもうかると誘われ自動売買ソフトを購入した。もうからず、信用できないので返金してほしい
- 知人に誘われ、知人が参加している副業グループの話を聞きに行くことにした。「グループが販売している暗号資産の自動売買ソフトを使えばもうかる。グループで投資の勉強ができる」と言われ、グループへの参加とソフトの購入を申し込むことにした。50万円相当の暗号資産を購入し、指定された海外の送金先に送付した。その後、ソフトを利用して暗号資産の売買をしたがもうからず、信用できない。誰かを勧誘すると紹介料がもらえるという話は聞いていたが、自分は誰も勧誘していない。返金してほしい。(2023年5月受付 20歳代 男性)
- SNSで知り合った外国人男性から勧められた投資サイトで暗号資産の取引をした。出金を希望したら、高額な費用を請求された
- トラブル防止のポイント
- 暗号資産の投資を勧める相手からの勧誘をうのみにしない
- SNSやマッチングアプリなどで知り合った面識のない相手から暗号資産の投資を勧められた際は、詐欺的な投資話を疑ってください。相手の素性、投資内容やもうかった話の真偽を確かめることは難しく、連絡が取れなくなる可能性もあります。被害を回復することは極めて困難です。
- また、友人や知人から勧誘されて断りにくいと思っても、必要のない契約はきっぱり断りましょう。さらに、自分が新たな勧誘者となり、友人・知人を勧誘してしまうと、相手をトラブルに巻き込んだり、人間関係のトラブルになることもありますので注意しましょう。
- 暗号資産交換業の登録業者か確認し、無登録業者とは取引しない
- 暗号資産交換業者は、金融庁・財務局への登録が必要です。暗号資産を扱う業者のサイトやアプリで取引を行う場合には、当該業者が暗号資産交換業の登録業者かどうかを金融庁のウェブサイトで事前に必ず確認してください。同サイトには、無登録業者として警告がなされた業者の掲載もあります。無登録業者とは取引しないでください。
- 取引内容やリスクが十分に理解できなければ契約しない
- 暗号資産は価格が変動することがあり、価格が急落して損をする可能性があります。たとえ、取引相手が登録業者の場合でも、こうしたリスクと取引や契約の内容を十分に理解できなければ取引や契約をしないでください。利用しようとする交換業者から説明を受けるとともに、自分自身で金融庁等のホームページで理解できるまで調べるようにしましょう。
- 少しでも不安に思ったら早めに消費生活センター等に相談する
- ※消費者ホットライン「188(いやや!)」番 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
- 暗号資産の投資を勧める相手からの勧誘をうのみにしない
国民生活センター SNS上の投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引トラブル-その仲間、信じて大丈夫?-
- 近年、全国の消費生活センター等には、FX取引(外国為替証拠金取引)に関する相談が寄せられており、特にシニア層を中心に増加傾向がみられます。
- 寄せられた相談を見ると、SNSやインターネット上の広告、SNSで知り合った人からの紹介等をきっかけにSNSの投資グループに誘われ、そこでFX取引を持ち掛けられるという新たなパターンが目立つようになっています。消費者は投資グループ内での指示通りに、指定された個人名義の口座に次々とお金を振り込みますが、最後はお金を一切引き出せなくなるという詐欺的な手口です。
- そこで、トラブルの未然・拡大防止のため、相談から見られる手口を紹介し、安易に取引しないように消費者に注意を呼びかけます。
- 相談から見られる手口のイメージ
- SNSのグループチャットに誘われる。
- グループチャット内で参加者から成功体験を聞かされ、FX取引に誘われる。
- お金を振り込むと最初は利益が出たように見え、次々と送金を要求される。
- 出金できず、FX業者ともグループチャットのメンバーとも連絡が取れなくなる。
- 相談事例
- 退職金の運用を学ぶためにSNS上の投資グループに参加し、FX取引をしたが出金できない
- 老後に備えて退職金を運用する勉強をするため、SNSの広告で見た投資セミナーのLINEグループに登録した。そこで、実際に資産運用に成功したという事例を聞き、投資セミナーの運営事業者に勧められてFX取引を始めた。FX取引アプリが無料で提供され、取引を進めると利益が出たので徐々に投資額を増やし、計500万円を毎回異なる個人名口座に振り込んでいた。その後、500万円の出金を求めたところ、「出金には税金として160万円が必要」と言われ振り込んだ。しかし、「間違った口座に入金された」と言われ、再度別の口座に160万円を請求され、指示通りに振り込んだ。しかし500万円は出金されなかった。騙されたと思うが、どうしたらいいか。(2023年9月受付 60歳代 男性)
- その他、以下のような相談も寄せられています
- FX取引で口座から出金を申し出たところ、口座残高の半分の証拠金を要求された。
- SNSで知り合った人から投資グループに誘われ海外FX取引を行ったが、出金時に税金を請求された。
- 退職金の運用を学ぶためにSNS上の投資グループに参加し、FX取引をしたが出金できない
- アドバイス
- SNS上の投資グループに注意してください。
- 振込先に個人名義の口座を指定された場合、絶対に振り込まないでください。
- 無登録業者との取引は行わないでください。
- FX取引の仕組みがよく分からなければ契約しないでください。
- 不安に思った場合や、トラブルが生じた場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう。
国民生活センター スポーツジム等の契約トラブルにあわないために-契約・解約時に確認したいポイント-
- 運動施設・指導等を提供するスポーツジムやフィットネスクラブ、パーソナルジム、ヨガ教室等(以下、「スポーツジム等」という。)に関するトラブルについて、全国の消費生活センター等に相談が寄せられています。
- 「割引や特典のつくキャンペーンを契約したが、解約を申し出ると違約金を請求された」「解約手続きをしたはずが、料金の引落としが続いていた」などの解約に関する相談や、「体験やお試しプラン終了後に通常プランに自動更新されていた」などの相談がみられます。
- 最近は、従来のスポーツジム等に関する相談に加え、店舗でスタッフやトレーナーと対面することのない無人のスポーツジムやオンラインレッスン等、新しいサービスに関する相談も寄せられています。このようなサービスはインターネットだけで手続きが完了し、比較的安価で気軽に利用することができますが、「サイト上での解約手続きがうまくできない」「問い合わせをしたいが事業者の電話が繋がらない」などのトラブルがみられます。
- そこで、改めてスポーツジム等に関する相談事例やアドバイスを紹介し、トラブル防止のために注意を呼びかけます。
- 相談事例
- ピラティスの1年間継続コースの契約をして、利用開始前に解約を申し出たが、違約金を請求された
- 友人とピラティスの無料体験に行った。体験後、2カ月間は無料でその後月額が1万円以上に上がる1年間継続の契約を勧められた。途中で解約する場合は違約金2万5,000円がかかるとの説明も受けた。契約を迷ったが、友人も入会したので契約した。コースは来月から始まる。帰宅後によく考えると月額1万円以上も支払えないと思った。店舗に解約を伝えると、「コース開始前でも2万5,000円の違約金を請求する」と言われた。違約金を支払わずに解約したい。
- その他、以下のような相談も寄せられています
- 1年半前にスポーツジムを解約したはずが、クレジットカードから料金の引落としが続いていた。
- オンラインヨガ教室の無料お試しキャンペーンに申し込んだら、通常プランに自動更新され、月会費が引き落とされていた。無料登録のみのつもりだったので、返金してほしい。
- スマートフォン上で手続きを行うスポーツジムの契約をしたが解約できない。事業者に電話しても繋がらず、店舗で聞くこともできないため困っている。
- ピラティスの1年間継続コースの契約をして、利用開始前に解約を申し出たが、違約金を請求された
- 相談事例からみる特徴と問題点
- 利用開始前など早期の申し出であれば無条件で解約できると思っている消費者が多い。
- 消費者が解約の希望を伝えたものの、正式に解約できていないまま料金の引落としが続くケースがみられる。
- 体験やお試しプランの終了後に契約が自動更新されることについて消費者が認識していないケースがみられる。
- 無人のスポーツジムやオンラインレッスンについて解約等の手続きや問い合わせをしたくても連絡が取れない。
- 消費者へのアドバイス
- 契約する前に以下の点に気を付けましょう。
- 解約時(休会時・退会時)の連絡先や精算方法、プランの期間等について確認しましょう。
- 体験やお試しプランの場合、自動更新の有無等について確認しましょう。
- 解約するときは解約の手続き方法や申し出期間を十分に確認しましょう。
- 事業者と連絡が取れない場合は複数の連絡手段で問い合わせましょう。
- 不安に思った場合は早めに消費生活センター等に相談しましょう。
国民生活センター ダイナモ式前照灯を巻き込む自転車の前輪ロックに注意(相談解決のためのテストからNo.183)
- 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
- 依頼内容
- 「自転車で坂を下りている時、前車輪がロックしたため転倒した。商品に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
- 調査
- 相談者が使用していた自転車は、前車輪付近にある起倒レバーを操作してオン/オフを切り替える構造のダイナモ式前照灯付きのものでした。オンにするとダイナモ式前照灯が傾いてローラが前車輪に押し付けられ、前車輪の回転に合わせてローラが回転して発電しランプが点灯します。
- 相談者は事故の前日くらいから前車輪周辺の異音に気付いていましたが、点検はせず、事故当日に緩やかな坂を下っていたところ、突然車輪がロックして転倒したとのことでした。
- 当該品を調査した結果、前車輪のスポーク複数本と前ホーク、ダイナモ式前照灯が変形するなど破損していました。スポークの破損位置とダイナモ式前照灯の位置が一致していたことから、事故原因は、走行中にダイナモ式前照灯が前車輪のスポークに巻き込まれたことによるものと考えられました。
- なお、ダイナモ式前照灯が前車輪のスポークに巻き込まれた原因として、駐輪中に何かに接触してダイナモ式前照灯に過大な外力が加わり、スポークに近づくように変形していたか、起倒レバーを足先で操作したことなどによりダイナモ式前照灯がスポークに近づいた可能性が考えられました。
- 消費者へのアドバイス
- 走行中にダイナモ式前照灯が前車輪に巻き込まれるとロックするおそれがあり大変危険です。乗車前には異常がないか点検するよう心がけ、異音などに気付いた場合は乗車せずに、その異音の発生源を調べたり、自転車取扱店などで点検を受けるようにしてください。また、ダイナモ式前照灯の起倒レバーを足先で操作すると、過大な力が加わってダイナモ式前照灯の取付け位置が変わって前車輪に巻き込まれたり、靴が巻き込まれるおそれもあります。起倒レバーは必ず手で操作しましょう。
国民生活センター 国民生活 2024年1月号【No.137】(2024年1月15日発行)
▼ フェアトレードの成果
- 今回はフェアトレードがどのような成果を上げてきたのか、2009年から2015年にかけて公表された45の調査結果と、2021年に3大作物(コーヒー、バナナ、ココア)を対象に行われた調査の結果を中心にお伝えしていきます。
- 受益者数
- まず、フェアトレードに支援されている受益者(生産者と労働者)の数を見てみましょう。2021年時点で国際フェアトレードラベル機構(FI)の受益者は203万人、世界フェアトレード連盟(WFTO)の受益者は97万人でした。ただ、その両方に参加する生産者・労働者もいれば、どちらにも参加しない生産者・労働者もいます。そのため受益者の総数は推測せざるを得ませんが、250万~300万人(扶養家族を含めると1200万~1500万人)に上ると思われます。
- 収入の向上
- フェアトレードの価格は通常の価格(市場価格)とどれくらい違うのでしょうか。それは産品、時期、地域などによって違ってきます。
- コーヒーを例にとると、価格が大暴落した2001年はフェアトレードが保証する最低価格は市場価格の 2.5倍でした。一方、価格が高騰した2011年は最低価格より高い市場価格のほうを払うルールなので差がなくなりました。直近の2021年にペルーで行われた調査では最低価格が市場価格を10%上回っていました。
- 価格に生産量を掛けた「収入」では、同調査でフェアトレードに参加している生産者(以下、FT生産者)が参加していない生産者(以下、非FT生産者)を53%上回っていました(生産量の違いも影響していると思われます)。
- 調査によっては収入の向上が限定的、わずか、なし、という結果も出ています。その理由としては、フェアトレード価格で売れる割合が少ない、最低価格が市場価格より低い、生産コストが高騰、といったことが挙げられています。
- 生活物資や生産用資材の値上がりが生活を圧迫するなかで、生産者側は最低価格の引き上げを常々求めています。そのためときどき最低価格が見直されていますが、大幅な引き上げは買い手や買い入れ量の減少という逆効果を招きかねないため難しい、というジレンマがあります。
- 生活の質の向上
- 高い削減効果が確認されたのはウガンダのコーヒー生産者を対象にした調査で、FT生産者間の貧困率は非FT生産者間の貧困率の半分にとどまり、その削減効果はオーガニック認証やウツ認証よりずっと大きいという結果でした。
- 最低価格の保証に加えて生活の向上に寄与しているのが「割増金(プレミアム)」です。それは最低価格の数%から10数%分を上乗せして生産者組織に支払うもので、2021年には1組織当たり平均10万ユーロ強(約1400万円、1人当たりでは1万3000円)が支払われました
- セーフティネットとしての役割
- 多くの報告書が指摘する成果がセーフティネットとしての役割です。市場価格が暴落したとき、フェアトレードの最低価格は最低限の生活を守ってくれます。農作物は病害虫によって壊滅的な被害を受けることがあります(バナナの新パナマ病、コーヒーのさび病など)。最近ではコロナ禍で消費が落ち込み、物・人の移動が制限されたことで生産物が売れなくなりました。
- そうした逆境が襲ったペルーのコーヒー生産地では、非FT生産者が貯金を使い果たして借金をし、なかには返済ができずに農地の売却や自殺に追い込まれたケースもありました。FT生産者も打撃を受けましたが、先進国の取引相手が買い支えたり、生産者組織が割増金を現金で配ったり、無利子や低利で貸し付けたりして逆境を乗り越えられたといいます。
- このようにフェアトレードは有事の耐久力(レジリエンス)を高め、セーフティネットとして重要な役割を果たしているのです
- 組織力の強化とネットワークの構築
- フェアトレードは生産者に組合作りを求め、大農園や工場の場合は労働者組織の結成を求めます。生産者や労働者は“団結”することで買い手や雇用主に対して声を上げ、フェアな取引や雇用を実現できるようになるからです。
- 組織力の強化は交渉力の強化ももたらし、フェアトレード以外のルートで売らざるを得ないときも今までより高く売れたり、生産用資材であれば安く買えたりするようになります。
- フェアトレードは、国際協力NGOや生産国の政府、同業者の全国組織といった外部のステークホルダーとのネットワークを築くことで、資金的・物質的・技術的な支援を獲得するだけでなく、有利な環境を生み出してもいます。
- 弱者の保護・エンパワ-メント
- 児童労働の禁止はフェアトレードの重要な原則で、各種の調査で少なくともその改善が報告されています。世界全体では新型コロナウイルスが蔓延した2020年に児童労働が20年ぶりに増えてしまいました。ペルーでコーヒーを栽培する非FT生産者の間では、学校の閉鎖や収入の減少に伴って児童労働が増えていました。FT生産者と違って、教育費が払えなかったり、リモート授業を受けるのに必要な機器が買えなかったりしたためだといいます。
- 女性に関しては、総じて発言権が強まったり、より重要な役割を果たしたりといった改善が見られます。
- 環境の保全
- 調査ではFT生産者は非FT生産者よりも環境への意識が高く、例えばペルーでは非FT生産者が焼き畑農業を続けているのに対してFT生産者は野生生物や固有種の保全に努めています。
- 気候危機は各地で水害、干ばつ、病虫害の発生などの問題を引き起こし、生産への影響も深刻化しているためFT生産者は危機感を強めています。ただ、あまりにも大きな問題なだけに有効な対策を取れていないのが実情のようです。
- 波及効果
- フェアトレードは非FT生産者や地域社会全体にも波及効果をもたらしています。マリではFT生産者が綿花の品質を高めて高く売れるようになったのを見て、非FT生産者も綿花の品質を高めるようになったといいます。また、FT生産者が多数を占める地域では、フェアトレードが価格決定力を持つようになり、非FT生産者もその恩恵にあずかって高く売れるようになったという報告もあります。
国民生活センター 震災に便乗した悪質商法に注意
- 内容
- 事例1:見た目では自宅に被害はないが、訪問してきた工事業者に「このままでは危ない。すぐに工事が必要だ」と言われた。
- 事例2:「保険金を使えばタダで住宅修理ができる」と言われたが本当か。
- 事例3:市役所を名乗り、義援金を集めると訪問されたが信用できるか。
- ひとこと助言
- 地震等の災害が起こると、その際の混乱や被災者を支援したいという気持ちにつけ込んだ便乗商法と疑われる相談が寄せられます。今後、トラブルが広がる可能性がありますので、注意が必要です。
- 住宅修理等の勧誘をされてもその場ですぐに契約せず、複数の事業者から見積もりを取ったり、周囲に相談したりした上で慎重に契約しましょう。頼んでもいないのに押しかけてきて、しつこく勧誘する事業者には特に注意してください。
- 「保険金が使える」と言われてもその場ですぐに契約せず、加入先の保険会社や保険代理店に相談してください。
- 公的機関が、電話や訪問等で義援金を求めることはありません。募っている団体等の活動状況や使途をよく確認しましょう。
- 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
国民生活センター 通信販売はクーリング・オフできません
- 内容
- インターネット通販で靴を購入した。大きめのサイズを注文したが履いてみると窮屈だった。返品したいとメールしたところ「返品できない。利用規約にも書いてある」との返事だった。確かに利用規約には返品不可の記載があったので「それならクーリング・オフしたい」と伝えたが「通信販売にはクーリング・オフの適用はない」と回答が来た。(60歳代)
- ひとこと助言
- インターネット通販やテレビショッピングなどの通信販売には、法律上のクーリング・オフ制度はありません。返品の可否や条件についての特約があればそれに従うことになります。
- 特約がない場合は、商品を受け取った日を含む8日以内であれば、消費者が送料を負担し返品できます。返品が可能な場合でも、返品期限が設けられている場合があります。商品を受け取ったらすぐに中身を確認することが大切です。
- 通信販売で購入する際は、事前に返品ができるかどうかや返品が可能な場合の条件などをよく確認しましょう。
- 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
国民生活センター ご用心 災害に便乗した悪質商法 更新
▼ 令和6年能登半島地震で被災された皆様へ
- 大規模災害の後は、便乗した悪質商法等のトラブルが発生する傾向にあります。
- 行政機関の職員等を名乗り、義援金・寄付金をだまし取る詐欺にご注意ください。
- 「架空請求と思われるメール」や「訴訟をすると不安をあおる封書」等が届いたとしても、身に覚えがなければ連絡しないでください。
- 警察への相談は警察相談専用電話(「♯9110」番)をご利用ください。
- 不審・不安に思ったら消費者ホットラインにご相談ください。
- 消費者ホットライン 188(局番なしの3桁・下記4県以外の方はこちら)
- 0120-797-188(新潟県、富山県、石川県、福井県の方はこちら)
- 住まいに関する相談
- 住まいるダイヤル:0570-016-100
- 被災した住宅の補修工事に対応できる近隣の事業者を知りたい場合は、こちらからご確認いただけます。
- 住まい再建事業者検索サイト:https://sumai-saiken.jp/
- ※国土交通省の「住宅リフォーム事業者団体登録制度」の登録団体や、住宅関係団体に所属しているリフォーム事業者等を一元的に検索できるサイトです。
- 保険に関することは、保険会社又は代理店にご相談ください。
- 損害保険会社の連絡先はこちらからご確認いただけます。
- (一社)日本損害保険協会 会員会社連絡先ページ
- https://www.sonpo.or.jp/news/notice/2023/g34l0i0000000p5q-att/240105_02.pdf
- (一社)外国損害保険協会 会員会社連絡先ページ
- https://www.fnlia.gr.jp/member.html
- ご加入の損害保険会社が分からなくなった場合は、こちらへ問い合わせることも可能です(災害救助法が適用された地域に限る。)。
- (一社)日本損害保険協会 自然災害等損保契約照会センター:0120-501331(受付時間:平日 午前9時15分から午後5時)
- (一社)外国損害保険協会 自然災害等損保契約照会センター:03-5425-7850(受付時間:平日 午後0時から午後1時を除く 午前9時から午後5時)
- 損害保険会社の連絡先はこちらからご確認いただけます。
国民生活センター 「能登半島地震関連 消費者ホットライン」の開設について-震災に便乗した詐欺的トラブル等に注意!!-
- 令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方に深く哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
- 独立行政法人国民生活センターでは、今般の地震で被災された地域(石川県、新潟県、富山県、福井県)の方を対象として、「能登半島地震関連 消費者ホットライン」を開設し、フリーダイヤル(通話料無料)にて消費生活に関する相談を受け付けます。
- 地震などの災害時には、それに便乗した詐欺的トラブルや悪質商法が多数発生しますので、十分に注意ください。
- 開設日時
- 令和6年1月15日(月曜)10時~
- 電話番号
- 0120-797-188(フリーダイヤル・通話料無料)
- 対象地域
- 石川県、新潟県、富山県、福井県
- 受付時間
- 10時~16時(土曜、日曜、祝日含む)
- ※令和6年能登半島地震に関連する消費者トラブルを受け付けます。
- ※被災されていない地域の方は、最寄りの消費生活センター等をご案内する「消費者ホットライン(188番)」におかけください。(通話料有料)
- ※「050」から始まるIP電話からはつながりません。
- ※おかけ間違いにご注意ください。
- 10時~16時(土曜、日曜、祝日含む)
- 相談事例
- 震災に便乗した詐欺的トラブル等に注意ください。
- 見た目では自宅に被害はないが、訪問してきた工事業者に「このままでは危ない。すぐに工事が必要だ」と言われた。
- 「保険金を使えばタダで住宅修理ができる」と言われたが本当か。
- 市役所を名乗り、義援金を集めると訪問されたが信用できるか。
国民生活センター 令和6年能登半島地震に便乗した詐欺的トラブルにご注意ください!-義援金や寄付を集めるという不審な電話・訪問に注意!-
- 令和6年能登半島地震により被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
- 今般の地震に関連して、「市が義援金を集めているという不審な電話がかかってきた」、「支援品を求める不審な訪問があった」といった相談が寄せられています。地震に便乗した不審な電話はすぐに切り、訪問があっても断ってください。
- 地震発生後は、被災地域、被災地域以外にかかわらず、地震に便乗した詐欺的トラブルや悪質商法が多数発生しますので、十分に注意ください。
- 相談事例
- 【事例1】若い男性から携帯電話で「市が能登半島地震の義援金を集めている」という電話があった。休日であったことと携帯電話からであったことから不審に思い「別で義援金を送っている」と返答した。市が義援金の窓口になっているのか。電話で義援金を募ることはあるのか。(四国地方の自治体からの情報提供、電話を受けたのはグループホーム)
- 【事例2】「元旦に起きた地震の地域に送る物を集めている。今日そちらの地域を回っているので訪問していいか。会社なので支援品を集めて送ることができる」と電話がかかってきたが、怪しいと思って断った。(関東地方 60歳代・女性)
- 消費者へのアドバイス
- 不審な電話はすぐに切り、来訪の申し出があっても断ってください。万が一、金銭を要求されても、決して支払わないようにしてください。
- 公的機関が、各家庭に電話等で義援金を求めることはありません。公的機関を名乗って連絡があった場合には応じず、まずは当該機関に確認しましょう。また、義援金は、募っている団体等の活動状況や使途をよく確認し、納得した上で寄付しましょう。義援金を口座に振り込む場合は、振込先の名義をよく確認しましょう。
- 少しでも不安を感じたら、すぐにお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン「188」番)や警察に相談してください。
国民生活センター 痩身目的等のオンライン診療トラブル-ダイエット目的で数か月分の糖尿病治療薬が処方される「定期購入トラブル」が目立ちます-
- 2020年9月、当センターは、痩身をうたうオンライン診療について、説明不足や解約・返金等のトラブルにかかる注意喚起を行いましたが、その後も相談が増えています。
- 痩身目的等のオンライン診療に関する相談では、処方薬、副作用の説明や基礎疾患の問診が十分でないまま、初診時に数カ月分の処方薬が処方されるなど、厚生労働省が作成した「オンライン診療の適切な実施に関する指針」が遵守されていないケースや、処方薬の定期購入の中途解約に一定の条件がある場合であってもその説明が不十分なケースが見られます。今後、オンライン診療の機会が増加し、消費者トラブルも増えることが懸念されることから、改めて消費者への注意喚起を行います。
- 年度別相談件数:2021年度は49件、2022年度は205件、2023年度は10月31日までで169件です。
- 相談事例
- オンライン診療で処方されたダイエット治療薬が糖尿病治療薬だった
- ネット通販でダイエットサプリを購入しようと思っていたときにオンライン診療を知った。医師の処方であれば安心だと思い、オンライン診療を受け、2種類の薬を処方された。支払いはコンビニ決済を選んだ。
- 処方された薬を調べると糖尿病治療薬で副作用があることがわかった。自分には糖尿病歴がないため、不安になり、処方薬が届く前に解約の申し出をしたが、「1回目はキャンセルできない」と言われ、後日、薬が届いた。副作用の説明は受けておらず、1カ月分で2万円を超え高額なので返品したい。(2023年5月受付 40歳代 女性)
- その他、以下のような相談も寄せられています
- 基礎疾患の問診が不十分なまま、処方薬を強く勧められた。
- 他の薬との飲み合わせや副作用の説明がなく、キャンセルもできない。
- 基礎疾患の問診がなく、処方された薬で副作用が出た。
- 処方薬が意図せず定期購入になっていた。
- オンライン診療サイトの運営事業者と医師(クリニック)の役割が判然としない。
- オンライン診療で処方されたダイエット治療薬が糖尿病治療薬だった
- 消費者へのアドバイス
- 痩身目的等のオンライン診療を受診するときは、処方薬も含めて医師からしっかり説明を受けましょう。
- 糖尿病治療薬は痩身目的の使用に関して安全性と有効性は確認されていません。
- 解約条件等について申し込み前によく確認しましょう。
- トラブルにあった場合は、消費生活センター等に相談しましょう。
- ※消費者ホットライン「188(いやや!)」番 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
国民生活センター ご用心 災害に便乗した悪質商法
- 令和6年能登半島地震によりお亡くなりになられた方に深く哀悼の意を表するとともに、被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
- 地震、大雨などの災害時には、それに便乗した悪質商法が多数発生しています。
- 悪質商法は災害発生地域だけが狙われるとは限りません。災害に便乗した悪質な商法には十分注意してください。特に最近は「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」など、「保険金が使える」と勧誘する手口について、全国の消費生活センター等に相談が寄せられています。
- また、義援金詐欺の事例も報告されています。義援金は、たしかな団体を通して送るようにしてください。
- なお、以下で紹介する相談事例やアドバイスは一例です。
- お困りの際には、一人で悩まずお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。
- 全国の消費生活センター等の相談窓口、消費者ホットライン(188)
- 警察(全国共通の短縮ダイヤル「#9110」、最寄りの警察本部・警察署の悪質商法担当係)
- 相談事例
- 工事、建築
- 認知症の父が来訪した工事業者に勧められ不要な屋根修理契約をしてしまった。
- 台風で自宅の屋根瓦がずれ、見積もりのつもりで業者を呼んだら、屋根にビニールシートをかけられ高額な作業料金を提示された。仕方なく支払ったが納得できない。
- 日に3~4回訪問され、屋根の吹き替え工事契約を迫られた
- 屋根の無料点検後、このまま放置すると雨漏りすると言われ高額な契約をさせられた
- 豪雨で雨漏りし修理してもらったがさらにひどくなった
- 雪下ろし作業後に当初より高い金額を請求された
- 「保険金」を口実にした勧誘
- 「損害保険で雨どいの修理ができる」と業者の訪問を受けた。せっかくなのでドローンを使って屋根の撮影もしてはどうかと言われ、お願いした。不安になったので断りたいが、業者と連絡が取れない。
- 3年前に起きた災害の被災地調査員を名乗り、保険の請求期限まで半年を切ったので、保険金請求のためのサポートをすると言われ、契約したがクーリング・オフしたい。
- 台風の後片づけをしていたら、業者が来訪し、損害保険を使って無料で雨どい修理ができる、経年劣化で壊れたものも保険でできると言われた。不審だ。
- 先日の台風で雨どいが壊れ外壁もはがれた。「火災保険で修理できる」という業者が突然来訪し、保険請求手続の代行と住宅修理を依頼したがやめたい。
- 寄付金、義援金
- ボランティアを名乗る女性から募金を求める不審な電話があった
- 市役所の者だと名乗る人が自宅に来訪し義援金を求められた
- 工事、建築
- 消費者へのアドバイス
- 工事、建築
- 修理工事等の契約は慎重にしましょう
- 契約を迫られても、その場では決めず、できれば複数社から見積もりを取って比較検討しましょう
- 契約後でも、クーリング・オフができる場合があります
- 「保険金」を口実にした勧誘
- 「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」と勧誘されてもすぐに契約せず、加入先の保険会社や保険代理店に相談しましょう
- 経年劣化による損傷と知りながら、自然災害などの事故による損傷と申請するなど、うその理由で保険金を請求することは絶対にやめましょう
- 寄付金、義援金
- 不審な電話はすぐに切り、来訪の申し出があっても断りましょう
- 金銭を要求されても、決して支払わないでください
- 公的機関が、電話等で義援金を求めることはありません
- 寄付をする際は、募っている団体等の活動状況や使途をよく確認しましょう
- 相談窓口を利用しましょう
- お困りの際には、一人で悩まずお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。
- 工事、建築
国民生活センター 利用していないのに支払い続けていた! サブスクの契約に注意
- 内容
- 事例1 高校生の息子が中学生のときに、音楽のサブスクを申し込み、その後利用していないのに毎月2千円を3年間も支払っていた。携帯電話の料金と一緒だったので気づかなかった。(当事者:高校生)
- 事例2 キャリア決済の明細に不審な引き落としがあったため、中学生の息子に尋ねるとゲームをしている際に一定期間無料のサブスクの契約をしてそのまま放置していることが分かった。解約しようとサイトにログインしたが、解約手続きに進むボタンが見当たらない。(当事者:中学生)
- ひとことアドバイス
- サブスクリプション(サブスク)は、定額を定期的に支払うことで、一定期間、商品やサービスを利用することができるサービスです。無料トライアル(お試し)であっても、期間内に事業者の定める方法で解約しないと、多くの場合、自動的に定額サービスに移行し支払いが続きます。申し込む前に最終確認画面等で、有料プランへの移行時期や価格、解約方法などをよく確認しましょう。
- サブスクの請求にすぐ気づけるように、キャリア決済やクレジットカード等の明細は毎月確認しましょう。
- 解約時に必要となるIDやパスワード等の登録情報は保存しておきましょう。
- スマートフォンアプリの場合には、アプリをアンインストールするだけでは解約はできないので注意が必要です。
- 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
【2023年12月】
国民生活センター SNS上の広告を見て購入した海外製のクリームで重篤な皮膚障害が発生!-ほくろ等が取れるという「点痣膏」をお持ちの方は使用を中止してください-
- 2023年6月、国民生活センターの「医師からの事故情報受付窓口」に、SNS上の広告を見てインターネット通信販売で購入した、ほくろ、いぼ、しみ等が取れるという、海外製の「点痣膏」(中国語読みで「ディエンジーガオ」)というクリームを顔面のほくろにつけたところ、化学熱傷を負ったという事故情報が寄せられました。
- また、同年8月に消費生活センターから、同じ銘柄名である「点痣膏」というクリームについてテスト依頼が2件あり、調べた結果、いずれも強アルカリ性で、皮膚に使用すると重篤な障害を引き起こすおそれがあると考えられました。
- そこで、「点痣膏」による事故の再発防止のため、消費者に注意喚起することとしました。
- テストした「点痣膏」について
- 医師からの事故情報受付窓口の事例の商品と当センターでテストした商品は、同じ「点痣膏」(中国語読みで「ディエンジーガオ」)という銘柄名でしたが、製造委託企業等が異なっていました。
- 事故情報
- 顔面のほくろに塗って20分ほど放置すると腫れて皮膚の色が変わったとのことで、化学熱傷が疑われた。
- 顔面のほくろに塗ったところ、直後に熱くなって痛みを感じた。皮膚科を受診し、熱傷で治療見込みは1年以上と言われた。
- 顔面のしみ周辺に塗り広げて擦ると、皮膚がむけて痛みを感じ、皮膚が変色した。
- テスト及び調査結果
- 容器や外箱には、成分や使用方法等の日本語の表示はみられませんでした。
- 「点痣膏」は強アルカリ性でした。
- 「点痣膏」は個人輸入品に該当するものと考えられ、日本国内のみに向けて販売されていました。
- 消費者へのアドバイス
- ほくろ、いぼ、しみ等が取れるという、「点痣膏」を使用すると、重篤な皮膚障害等を起こすおそれがあります。お持ちの方は使用を中止してください。
- SNS上の広告や通信販売サイトの内容をしっかり確認して、少しでも不安や不明な点がある場合は購入や使用を控えましょう。
- 事業者への要望
- 重篤な皮膚障害等を起こすおそれがある「点痣膏」やそれに類する商品を日本国内向けに販売、あるいは個人輸入を代行する事業者は取扱いを中止するよう要望します。
- 行政への要望
- 健康被害を起こすおそれのある商品が、海外から日本国内向けに販売されることがないよう、商品の販売サイト、あるいは個人輸入代行サイトに対する削除要請等を含めた対策を行うよう要望します。
- 個人輸入する医薬品や化粧品等を使用した場合、思わぬ健康被害が発生する可能性があることを、引き続き消費者に注意喚起するよう要望します。
国民生活センター 消費者問題に関する2023年の10大項目
- 国民生活センターでは、毎年、消費者問題として社会的注目を集めたものや消費生活相談の特徴的なものなどから、その年の「消費者問題に関する10大項目」を選定し、公表しています。
- 2023年は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症に変更され、消費活動が活発化したことの影響のほか、成年年齢引下げから1年経過後の相談状況、自転車ヘルメット着用の努力義務化などに注目が集まりました。
- 2023年の10大項目
- 新型コロナウイルス感染症が5類感染症に 旅行予約やチケット転売のトラブルが増加
- 18歳・19歳の契約トラブル 「美」と「金」がキーワードに
- 改正消費者契約法、改正特定商取引法が施行
- ステルスマーケティング 規制始まる
- ビッグモーター社の不正問題 中古車販売業界や損害保険業界のコンプライアンスに課題
- 旧統一教会をめぐる問題 国が解散命令を請求
- 訪問購入のトラブルが増加 8割近くが高齢者
- 自転車のヘルメット着用 年齢を問わずすべての人の努力義務に
- 子どもの誤飲事故防止のための玩具の新たな規制
- 消費生活相談デジタル化・体制の再構築
国民生活センター 合成カンナビノイド「HHCH」は指定薬物です!-「HHCH」が含まれていたグミ等を摂取して救急搬送-
- 2023年11月22日、厚生労働省は、危険ドラッグの成分である合成カンナビノイド「HHCH」を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の「指定薬物」として新たに指定する省令を公布し、12月2日に施行されました。「指定薬物」に指定されると、医療等の用途以外の用途での製造、輸入、販売、所持、使用等が禁止されます。
- 医療機関ネットワークには、HHCHを含む商品を摂取した後に救急搬送された事例が複数寄せられました。また、PIO-NETには、HHCHを含む可能性がある食品を摂取した後に体調不良になった事例が寄せられました。HHCHを含む商品を絶対に購入や使用しないでください。
- 医療機関ネットワークに寄せられた情報
- 飲酒した後にHHCHグミを1個食べたところ、脱力、手足のしびれ、嘔気・嘔吐の症状が出現し、救急搬送された。
- 飲酒した後にHHCHグミを2分の1個食べたところ、身体の震え、吐き気、眠気、口渇感、胸が熱い等の症状が出現し、救急搬送された。
- インターネット通販で購入したHHCHリキッドを吸引した。約30分後、幻覚、悪寒、振戦等の症状が出現して、夢か現実か分からない状況になり、救急搬送された。
- PIO-NETに寄せられた事例
- HHCHグミの関連で売れなくなるものと言って配っていたクッキーを食べたところ、頭痛がして体調が悪くなった。医療機関を受診したところ、「おそらく、そのクッキーの影響だろう」と言われた。
- 消費者へのアドバイス
- HHCHは、医療等の用途以外の用途での製造、輸入、販売、所持、使用等が禁止される「指定薬物」に指定されました。HHCHを含む商品を絶対に入手したり、使用したりしないでください。
国民生活センター 重りが外れて足の指に落下したダンベル(相談解決のためのテストからNo.181)
- 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
- 依頼内容
- 「重りを組み換えられるダンベルを持ち上げたところ、組みつけられていた重りが外れて足の指の上に落ち、けがをした。重りが外れた原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。
- 調査
- 当該品は、ハンドルの両端にある重量設定用ダイヤル(最小5kg~最大40kg)を回転させると、設定重量になるよう、複数の重りがハンドルに固定される、可変式のダンベルでした。相談者によると、ダンベルの重さを設定し、持ち上げて移動中に重りの一つがハンドルから外れ、足の指の上に落下したとのことでした。
- 相談者から提供された当該品(1)、(2)と、別途購入した同型品(1)、(2)について、重量を設定してハンドルを持ち上げてみたところ、当該品(1)は固定されるはずの一部の重りがハンドルに固定されませんでした。当該品(1)の重量設定用ダイヤルの側面にあるカバーを外したところ、内部には脱落した非金属インサート付き六角ナット(注)(以下、「ナット」とします。)がありました。ナットが外れていた当該品(1)の端を除き、当該品と同型品のナット周辺を確認したところ、それぞれのナット端面から突き出ているシャフトのおねじ部の高さが異なっており、当該品(1)、(2)のおねじ部は、ナットの端面より引っ込んでおり、緩み防止機構が十分に働いていない状態であると考えられました。
- また、当該品と同型品を分解してシャフトの全長を確認したところ、当該品(1)、(2)は、同型品(1)、(2)よりも3mm以上短く、ナットの緩み防止機構が働くよう組み付けるためには長さが不足していました。
- 以上より、重りが外れた原因は、シャフト全長が短すぎたことによりナットの緩み防止機構が十分に働かず、使用過程でナットが緩んで脱落し、重りを固定するためのツメが適切な位置にならず、ハンドルへの重りの固定が不完全になったためであると推測されました。
- (注)ナット内面のめねじ上部に樹脂製のリングを装着し、緩みを抑制する効果をもたせたもの
- 解決内容等
- 依頼センターがテスト結果を販売事業者に説明したところ、相談者からの当該品の返品により商品代金が返金され、商品については、シャフトの製作精度の均一化、取扱説明書の補完、検品項目の追加等の改善をするとの連絡がありました。
国民生活センター 測定値が低く表示された電子体温計(相談解決のためのテストからNo.182)
- 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
- 依頼内容
- 「電子体温計を使用すると、他の銘柄よりも体温が低く表示される。商品に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
- 調査
- 当該品は、予測検温(短時間で体温を予測する機能)及び実測検温(体温の測定値が平衡温度になるまで計測する)機能を備えた、脇に挟んで使用する電子体温計で、相談者によると、熱のある子どもの体温を予測検温機能で測定したところ、他の銘柄の同様な電子体温計よりも測定値が低く出るとのことでした。
- 当該品の外観やX線による調査の結果、特に異常はみられず、取扱説明書の手順どおりに操作したところ、予測検温、実測検温とも動作に異常はみられませんでした。また、JIS T 1140「電子体温計」を参考に、恒温水槽を用いて、水槽温度が33.0℃、37.0℃、41.0℃のときの温度測定(実測検温)を行ったところ、誤差は±0.1℃以内で、問題はみられませんでした。
- 次に、当該品を用いて、取扱説明書に記載された測り方で、複数名のモニターにより予測検温と実測検温の測定値を調べたところ、両者に大きな差はみられませんでした。そこで、誤った測り方として、当該品の電源を入れてから測定準備が完了状態になる前に脇に挟んで予測検温を開始したところ、正しい測り方よりも低めの測定値となりました。なお、当該品は電源を入れてから測定準備が完了状態になるまで、数秒待つ必要がありました。
- 当該品の取扱説明書や当該事業者のウェブサイトには、測定準備が完了状態になった後に測定を開始しないと予測検温が正しく行われないおそれがある旨の記載がみられました。
- 消費者へのアドバイス
- 電子体温計には短時間で体温を予測する予測検温機能を有した商品が多くみられますが、測定準備が完了状態になる前や、その表示を確認せずに測定を開始すると、正しく検温できないことがあります。取扱説明書の測定手順をよく確認して正しく使用し、より正確な検温を行う必要がある場合には実測検温を行うようにしましょう。
国民生活センター 【20代要注意!】タレント・モデル契約のトラブル
- 憧れの芸能界!#オーディション に行ったら合格しちゃった!「事務所に所属するにはレッスン料や登録料が必要」って言われて、高いけど仕事がもらえるならって支払ってワクワクして待ってたのに、全然仕事が来ないじゃん!どうすればいいの⇒188に相談!
- 相談事例
- 急かされて高額なマネジメント契約をしたが、解約したい
- インターネットでタレントオーディションの広告を見つけ、興味があったので面接審査を受けた。その後、「合格した」と電話で連絡があり、事務所に行ったところ、その場でマネジメント業務委託契約の勧誘を受けた。契約を迷っていたところ「今契約しなければチャンスはない」と言われ、初期費用約10万円と所属費毎月約3万円のほか、月数回の演技やモデルのレッスン料がかかると説明を受けた。1年以内の解約時には違約金がかかると説明されたが、具体的な違約金の額の説明はなく、契約書にも詳細の記載はない。高額な契約をしたことを後悔し、1カ月後に契約解除の連絡をしたが、レッスンを受ける前にもかかわらず違約金として初期費用約10万円と半年分の所属費を請求すると言われた。契約時に違約金の額について説明がなかったので、支払いたくない。(2023年7月受付 20歳代 女性 大学生)
- 仕事をもらうために業務提携契約をし、解約を申し出たら高額な解約料を請求された
- 役者募集サイトで映画のキャストの募集を見つけ、応募した。審査通過のメールがあり、面接に出向くと、「映画のオーディションを受けるには出演した実績が必要なので当社に登録しないか」と勧誘された。アルバイトのような形で案件がもらえるとの説明で、このタレント事務所に登録することにし、その場で年会費約5万円をコード決済で支払った。次回の面接日が決まり、出向いたところ、「確実に仕事ができる業務提携をしないか」と勧誘された。担当者に私のスマートフォンを操作され、約60万円を分割で支払う契約をした。その後事業者を信用できなくなり、解約を申し出たところ、40%の違約金が発生すると言われた。解約したい。(2023年8月受付 20歳代 女性 大学生)
- 急かされて高額なマネジメント契約をしたが、解約したい
- トラブル防止のポイント
- あなたの夢につけ込む勧誘トークに注意する
- 悪質業者は「合格」という言葉であなたを夢見心地にさせ、あなたの夢につけ込んで有料のレッスンやマネジメント等の契約を勧めます。
- 中には、「すぐに仕事が入るから問題ない」とクレジット契約や借金をして契約するよう勧めてくる事業者もいます。レッスン等を受講しても必ず仕事や報酬につながるわけではありません。家族や周囲の人に相談するなど「冷静」「慎重」な判断を心がけましょう。
- 不意打ち的にレッスンやマネジメントの契約をさせようとする業者に注意! 具体的な活動内容やサポート体制、費用面などをよく確認する
- オーディションや面接のために出向いた事務所で「有料のレッスン、マネジメント契約が必要」と不意打ち的に契約を求められる場合があります。消費者は「夢をかなえるためなら」と契約するものの、その後「レッスンが受けられない」「マネージャーから仕事やオーディション情報を紹介すると言われたのに、何もしてもらえない」といった事例もみられます。
- その場で契約せず、具体的な活動内容や芸能事務所のサポート体制、それらに伴う費用負担がある場合はその内訳など、契約内容をよく確認しましょう。「アルバイトのつもりがレッスン受講契約を勧められた」など、当初の話と違うと感じたときは、契約をきっぱり断りましょう。
- 少しでも不安に思ったら早めに消費生活センター等に相談する
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
- 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
- あなたの夢につけ込む勧誘トークに注意する
国民生活センター 電熱ウェアの異常発熱に注意
- 内容
- 事例1:テレビ広告を見て電熱ヒーター内蔵ブルゾンを注文した。パジャマの上に着用したところパジャマが焦げてしまった。(80歳代)
- 事例2:妻にヒーター内蔵型ベストを購入した。妻が着用時、首のあたりが熱いと感じ、何気にベストの襟を触ったところ、指をやけどし水膨れになった。ベストは4回着用しただけで、襟部が溶け穴が開いていた。(相談者:60歳代)
- ひとこと助言
- 電熱ウェアは、衣服の内部に電線や電熱線を配置した電気製品です。このため、電線や電熱線の損傷によって断線した線同士が不安定に接触した状態で使うと、衣服が焦げたり、やけどを負う可能性があります。強く擦る、折り曲げるなど、電熱ウェア内部の電線等に負荷をかけないように丁寧に扱いましょう。
- 使用中に異常な発熱や異臭のほか、変形がみられたり、動作しなくなった場合には直ちに使用を中止しましょう。
- 取扱説明書及び本体の注意表示をよく読み、理解してから使用しましょう。
- 製造元や販売元のほか、型式や機能といった仕様が明示された商品を購入しましょう。
国民生活センター 即席カップめんの容器に穴が… 発泡ポリスチレン製容器にMCTオイルやえごま油等を加えないで!
- 内容
- 即席カップめんに湯とMCTオイルをほぼ同時に入れて食べようとしたところ、容器の底が抜け、足に湯がかかった。熱いと思ったがやけどはしなかった。商品には「カップが変質し破損するおそれがあるので、添付以外の食用油等は加えないでください」との注意表示があったが、目立たない表示だった。(70歳代)
- ひとこと助言
- 主に即席カップめんや総菜等の食品に使用されている発泡ポリスチレン製容器に、MCTオイル(中鎖脂肪酸油)等の食用油を加えたところ、容器が破損して湯が流出したという相談が寄せられています。
- 容器の変質・破損を招くため、添付以外の食用油等は加えないでください。容器から漏れ出た湯でやけどをするおそれもあります。
- 添付以外の食用油等を加えたい場合は、即席カップめんの中身を発泡ポリスチレン製容器以外の容器に移してから加えるようにしましょう。
国民生活センター 18歳・19歳の消費生活相談の状況-2023年度上半期(4月~9月)
- 2023年度上半期(4月~9月)における、契約当事者が18歳・19歳の消費生活相談の状況をまとめました。
- 2023年度上半期の18歳・19歳の相談件数は、2022年度上半期(4月~9月)とほぼ横ばい。
- 商品・役務等別でみると、2022年度上半期の傾向と大きな変化はなく、上位5位までは同じ商品・役務等となっている。引き続き「美」(「脱毛エステ」「医療サービス」など)と「金」(「他の内職・副業」「金融コンサルティング」など)に関する相談が多く寄せられている。
- 年度別相談件数:2018年度は8,113件、2019年度は10,449件、2020年度は11,387件、2021年度は8,536件、2022年度は10,023件、2023年度は9月30日までで4,953件です。
国民生活センター 電熱ウェアの異常発熱に注意
- 電熱ウェア とは
- 電熱ウェアとは、ジャケットやベスト、ブルゾンなどの衣服に、電熱線による発熱体を内蔵させた商品です。モバイルバッテリーなどを用い、衣服に内蔵された電熱線を発熱させることで、温かくなる仕組みです。このほかにも、着脱可能な発熱体を衣服の専用ポケットに入れるタイプもあります。
- こんな事故が起きています
- 事例1 電熱ベストを使用していたら首元が焦げて穴が開いた。そのせいで他の衣服にも穴が開いた。(受付年月:2022年1月、50歳代・女性)
- 事例2 電熱ベストを着用したところ、やけどをした。背中に10円玉ほどの大きさの水疱が3つできていた。(受付年月:2021年2月、50歳代・男性)
- 市販されている電熱ウェア12銘柄を調査しました
- 商品によって使用されている部品の構成や形状に違いはありましたが、発熱の仕組みに目立った差異はみられませんでした。
- 異常発熱の状況を再現
- 断線した電線同士が不安定に接触した状態で通電すると接触部分の温度が200℃まで上昇することがありました。
- 発熱体周囲の温度が高いと、発熱体の温度も高くなる傾向がみられました。
- 消費者へのアドバイス
- 電熱ウェアは衣服に暖房機能を持たせた電気製品です。電熱ウェア内部の電線等に負荷をかけないなど、丁寧に扱い、異常を感じたらすぐに使用を中止しましょう。
- 取扱説明書および本体の注意表示には、電線等に負荷をかけない、高温となる環境で使用しないなどの記載があります。よく読んで、理解してから使用しましょう。
- 製造元や販売元、型式や機能といった仕様が明示された商品を購入しましょう。
国民生活センター 契約内容をよく確認して ウォーターサーバーのレンタル契約
- 内容
- スマホの機種変更のため、家電量販店内の携帯ショップに出向いた。スマホの話が終わると担当者が代わり、ウォーターサーバーの無料レンタルとミネラルウォーター(月額約3千円)の契約を勧められ、了承してしまった。担当者が私のスマホから申し込み手続きをし、契約書は渡されていない。2カ月間利用したがやはり必要ないので解約したいと思い、事業者に連絡すると、解約料が1万円を超えると知って驚いた。解約料の説明はなかった。(70歳代)
- ひとこと助言
- ショッピングモールや家電量販店などで突然勧誘されウォーターサーバーのレンタル契約をしたが、解約すると予期せぬ高額な解約料が発生したという相談が寄せられています。
- ウォーターサーバーのレンタル契約は、サーバーのレンタル料は無料でも、実際は水を定期購入する契約です。あらかじめ決められた期間は、水の購入を継続しないと解約料がかかることがあるので注意が必要です。
- 家庭内の設置場所や一人で水を交換できるか、また、本当に必要かよく考えましょう。契約金額の詳細も含め、契約内容や解約条件等もよく確認し、契約書は書面でもらうようにしましょう。
- 場合によってはクーリング・オフができる可能性があります。困ったときはすぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。