2022/01/17

危機管理トピックス

【省庁別記事(前半)】

【首相官邸】

【2022年1月】

首相官邸 岸田内閣総理大臣年頭記者会見
  • 皆さん、明けましておめでとうございます。先ほど私は伊勢神宮を参拝し、新型コロナに打ち克(か)てるよう、また、国民の皆さんにとって今年がすばらしい1年になるよう、お祈りをしてまいりました。
  • 今年の干支は、「壬寅(みずのえとら)」です。「壬寅」は、「新しい動きが胎動し、大いに伸びる」という意味を持つと言います。同時に、「寅(とら)」という字には「慎む」という意味があり、大いに伸びるときには、普段以上に慎重でなければならないという教えも込められているそうです。
  • 私は、本年を大胆に挑戦を行い、新たな時代を切り拓(ひら)くための1年としていきたいと思っています。一方で、慎重であるべきところは慎重に物事を進めていくという謙虚さを忘れないよう、肝に銘じます。
  • 特に慎重に取り組まなければならないのは、新型コロナ対応です。オミクロン株について市中感染の発生が各地で明らかになっています。WHO(世界保健機関)がオミクロン株を懸念すべき変異株に指定した昨年11月26日以来、1か月以上が経過いたしました。この間、政府は可能な限り国内にウイルスを持ち込ませないよう、G7で最も厳しい水際対策を講じてきました。
  • その結果、多くの関係者の御努力、国民の皆さんの多大なる御協力により、海外からのオミクロン株の流入を最小限に抑えつつ、3回目のワクチン接種の開始、無料検査の拡充、経口薬の確保、医療提供体制の確保など国内感染の増加に備えるための時間を確保することができました。
  • 今後は、市中感染が急速に拡大するという最悪の事態が生じる可能性に備えるため、水際対策の骨格は維持しつつも、国内における予防、検査、早期治療の枠組みを一層強化し、オミクロン対策の重点を国内対策へと移す準備を始めます。
  • ワクチンについては、医療従事者と高齢者、3,100万人を対象とする3回目接種の前倒しを進めます。めどが立った自治体では、市中にある全国900万回分の未使用のワクチンも活用して、高齢者接種の更なる前倒しを行います。検査については、オミクロン株の感染拡大が懸念される地域での無料検査を今後も拡大していきます。
  • 医療提供体制については、先日、専門家から、感染の急拡大が見込まれる地域では、患者の状況に応じて自宅療養、宿泊療養、入院治療を組み合わせ、地域の医療資源を最大限有効活用する体制を先んじて準備しておくことが重要との指摘がありました。
  • このような体制を採る上で大切なことは、自宅や宿泊施設で療養される方々の安心の確保です。昨夏と状況が大きく異なるのは、飲める治療薬です。メルク社の経口薬は、全国1万を超える医療機関、薬局が登録を済ませ、そのうち約5,000に薬を既にお届けできています。作用の仕組みが異なるファイザー社の経口薬についても今月中に購入に関する最終合意をし、2月中できるだけ早くの実用化を目指します。
  • 在宅で療養される方々には、陽性判明の当日ないし翌日に連絡を取り、健康観察や訪問診療を始める体制を採ります。そして、療養開始の翌日までにパルスオキシメーターをお届けするとともに、診断の当日ないし翌日に経口薬を投与できる体制を確立します。
  • 感染の急拡大が確認された地域においては、このような安心できる在宅療養体制を整えた上で、自治体の判断で陽性者を全員入院、濃厚接触者を全員宿泊施設待機としている現在の取組を見直し、症状に応じて宿泊、自宅療養も活用して、万一の感染急拡大期にも医療の逼迫(ひっぱく)を招くことなく、万全の体制ができるようにしてまいります。
  • 先日の「全体像」において、在宅の方々への健康観察、診療を行う医療機関等は、全国延べ約3万3,000、そして宿泊療養施設は4割増しの約6万4,000、医療病床は3割増しの約3万7,000を確保いたしました。既に各自治体には、起こり得る第6波に備えて、準備状況、そして即応体制などについて自己点検を依頼しております。自宅療養、宿泊療養、入院の調整が円滑に行くよう、医師会、薬剤師会、そして看護協会にも協力をお願いしております。
  • 地域の医療体制をしっかり稼働させる準備を整え、国、地方、そして医療界が一体となって国内の感染拡大に先手先手で対応していきます。十分な備えをした上で、過度にオミクロン株を恐れることなく、国民皆で協力してこの状況を乗り越えていきたいと思っています。そのために政府も全力を尽くします。国民の皆さんにおかれては、改めてマスク、手洗い、うがい、3密の回避などの基本的感染防止策の徹底をお願いいたします。
  • 慎重に新型コロナ対応を進める一方、新しい資本主義の実現に向けては、大胆な挑戦をしていきます。「新しい資本主義」では、市場や競争に全てを任せるのではなく、市場の失敗や外部不経済を是正する仕組みを成長と分配の両面から資本主義に埋め込み、資本主義の便益を最大化していかなければなりません。市場や競争に任せるだけでは、次なる成長に不可欠な分配や投資が不足がちになるからです。
  • 例えば「人への投資と中間層への分配」、消費につながる賃上げや人的資本の向上につながる訓練、再教育への投資が不足しています。
  • 例えば「未来への投資と次世代への分配」、未来の成長に不可欠な科学技術開発やイノベーションへの投資が不足しています。
  • 例えば「地方への投資と分配」、人々の暮らしを支える地域や地域を支える中小企業者への適切な分配、そしてデジタル基盤など地方のインフラ投資が不足しています。
  • そして「地球規模の課題への投資」、人類の持続可能性を脅かす地球環境問題や世界規模の感染症へ対応するための投資、これらが不足しています。
  • こうした現状を解決すべく、世界でも歴史的なスケールでの経済社会変革が模索されています。我が国は、新たな官民連携の構築によって、グローバルな経済社会変革の先頭を走ってまいります。
  • 本日、伊勢神宮を参拝して、こうした「新しい資本主義」への思いを改めて強くするとともに、特に3つの点について決意を新たにいたしました。
  • 第1に、戦後の創業期に次ぐ日本の第2創業期を実現するため、本年をスタートアップ創出元年として、「スタートアップ5か年計画」を設定して、スタートアップ創出に強力に取り組みます。伊勢神宮は、20年ごとに式年遷宮を繰り返すことで、新たな時代、世代へと歴史をつなぎ、時を刻んできました。我が国の資本主義も、未来に向けて、新たなプレーヤーを必要としています。そのために公的出資を含めたリスクマネー供給の強化、公共調達等の大胆な開放、海外展開への徹底的支援、株式公開制度の在り方の見直しなど総合的に取り組んでまいります。学生、若者、女性、第2創業を目指す中小企業・小規模事業者、大企業での経験をいかそうとする方、皆さんが未来をつくる主役です。全ての挑戦者を官民挙げて全面的にサポートいたします。
  • 第2に、「デジタル田園都市国家構想」を実現するため、地方における官民のデジタル投資を大胆に増加させる、「デジタル投資倍増」に取り組みます。歴史があり、自然豊かなこの伊勢の地においても、様々な場面でデジタルが実装されています。参道のお土産屋さんや飲食店で人流把握や業務効率化のために積極的にデジタルやAIの実装が進められているのが一つの例です。地方が持つ、自然や文化、そして生活の豊かさといった魅力を維持しつつ、デジタルの力で地域を活性化し、さらには地方から国全体へボトムアップの成長を実現する。本年は、「デジタル田園都市国家構想」を具体的な形にする年としていきます。そのために必要なデジタルインフラ整備として、光ファイバーのユニバーサルサービス化、5Gの全国展開、データセンターの地方分散、半導体産業の基盤強化など官民のデジタル投資を倍増していきます。
  • 第3に、気候変動問題への対応です。昨年末、気候変動問題についての今後の議論の進め方を年明けにお話しすると申し上げました。今、我々は日本が世界に誇る自然と人間活動が調和した空間にいます。自然と調和しながら歴史を紡いできた我々こそ、気候変動危機への対応を主導しなければなりません。気候変動問題に本格的に向き合うためには、エネルギーの供給側目線での議論だけでなく、事業者それぞれ、国民一人一人が、仕事のやり方を、自分の強みを、生活のスタイルを炭素中立型に変えていくためにはどうしたらいいかといった、幅広い議論を行っていく必要があります。そのため、クリーンエネルギー戦略を議論する会議に私自身が出席し、炭素中立型に経済社会全体を変革していくために、関係各省で総力を挙げて取り組むよう指示を行うことにしました。再エネ大量導入時代に向けた送配電インフラのバージョンアップや再エネ最優先のルール作り、通信・エネルギーインフラの一体的整備、蓄電池への投資強化、再エネを始め、水素、小型原子力、核融合など非炭素電源の技術革新・投資強化、地域における脱炭素化、炭素中立型の産業構造への転換とそのための労働市場改革の在り方など、多くの論点に方向性を見いだしていきます。そして、カーボンプライシングを最大限活用していきます。これらの検討の結果を新しい資本主義実現会議での議論にインプットしてもらうことにします。
  • 最後に、外交・安全保障について一言申し上げます。私は未来への理想の旗をしっかり掲げ、現実を見据えながら、普遍的価値の重視、地球規模課題の解決に向けた取組、国民の命と暮らしを断固として守り抜く取組、これらを3本柱とした「新時代リアリズム外交」を推し進めてまいります。
  • 特に今年は対面での首脳外交を積極的に進める年としていきます。まず、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日米豪印の協力を更に高みに引き上げるべく、首脳レベルで個人的な信頼関係を深めつつ、膝を交えた緊密な意見交換を行ってまいります。早期に対面で米国・バイデン大統領やオーストラリア・モリソン首相と会談すべく調整をしておりましたが、内外の新型コロナの感染拡大状況などに照らし、国内のコロナ対策に万全を期すため、今月の通常国会前の外遊は行わないことといたしました。
  • ここ伊勢は、6年前にサミットが開催された場所でもあります。伊勢志摩サミットでは世界経済などの課題に対するG7の力強いメッセージが発信されました。さらにサミットが終わった直後には、オバマ元大統領による米国の現職大統領として初の被爆地広島訪問が実現をいたしました。オミクロン株の影響で残念ながらNPT(核兵器不拡散条約)運用検討会議は延期されることになりましたが、被爆地広島出身の総理大臣として、核兵器のない世界の実現に向け、引き続き全力を注いでまいります。
  • 冒頭、干支について一言触れました。実は、「寅」という字にはもう一つ、「志を同じくする者同士が助け合う」という意味もあるそうです。新型コロナ対応、新しい資本主義の実現、外交・安全保障、そのいずれを取っても困難な課題ばかりです。これらの課題に力強く立ち向かっていくためには、信頼と共感によって結ばれた多くの人と助け合っていくこと、これが必要です。そのために、私は今年も国民の皆さんの声をよく聞きながら、丁寧で寛容な政治を進めてまいります。
  • 最後となりましたが、国民の皆さんにとって本年が実り多い1年になりますことを心から御祈念申し上げて、話を終わらせていただきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼新型コロナウイルス感染症対策本部(第83回)
  • 感染状況について
    • 新規感染者は急速に増加している。全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約5であるが、直近の今週先週比は3.26となっている。特に感染者が急増している地域として、沖縄県では10万人あたり約80で今週先週比は6.95、山口県では10万人あたり約22で今週先週比が11.11、広島県では10万人あたり約14で今週先週比が24.69となっている。また、関東や関西地方などの都市部を中心に新規感染者数の増加が見られる。全国で新規感染者数が急速に増加していることに伴い、療養者数と重症者数は増加傾向にある。
    • 海外におけるオミクロン株による感染例は、継続的に増加している。国内においても、約8割の都道府県でオミクロン株の感染が確認されており、海外渡航歴がなく、感染経路が不明の事案が継続して発生している地域もある。またデルタ株からの置き換わりも進んでいる地域もあることを踏まえると、今後、感染拡大が急速に進み、医療提供体制等がひっ迫する可能性に留意する必要がある。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(12/21時点)で1.31と1を上回る水準が継続しており、首都圏では1.26、関西圏では1.35となっている。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 今後さらに感染が急拡大するおそれが強い。全国の新規感染者は、年末・年始にかけて急増しており、あわせてオミクロン株による感染例も増加している。特に、大阪府や沖縄県などにおいては、オミクロン株の感染のうち、海外渡航に関連のない事案が継続して発生しており、すでにデルタ株からオミクロン株へと置き換わりが進みつつある。さらに、夜間滞留人口は幅広い地域で昨年末の水準を下回っているものの、現在の感染者増加は、まだクリスマス前後の状況が反映されていると考えられる。その後の年末・年始の帰省などによる人の移動や接触が増加したことに加え、今週末には3連休、成人式やそれに関連した集まりがあることや、さらなる気温の低下に伴い屋内での活動が増えていくことも踏まえると、今後さらに感染が急拡大するおそれがある。
    • 今後の拡大傾向によっては、医療提供体制のひっ迫や重症化リスクの高い人々への感染拡大が懸念される。オミクロン株について、国際機関や諸外国から、ウイルスの性状や疫学的な評価に関する暫定的な報告がされている。また、国内の感染事例からも情報が得られつつある。現時点における情報は限られているが、南アフリカや英国等において流行株がデルタ株からオミクロン株に急速に置換されており、伝播性の高さが懸念される。また、オミクロン株はデルタ株に比して、世代時間、倍加時間や潜伏期間の短縮化、二次感染リスクや再感染リスクの増大が指摘され、ワクチンについては、重症化予防効果は一定程度保たれているものの、発症予防効果は著しく低下していると報告されている。さらに、実験室内での評価として、一部の抗体治療薬の効果が低下する可能性などが指摘されている。また、疫学情報や実験室研究などからは、デルタ株と比較してオミクロン株による感染は重症化しにくい可能性が示唆されているが、今後急速な感染拡大により、感染者数が急速に増加すれば、自宅・宿泊療養者や入院による治療を必要とする人が急激に増え、軽症・中等症の医療提供体制が急速にひっ迫する可能性に留意が必要である。また、重症化リスクの高い方々の間で急速に感染が拡がると、重症者や死亡者が発生する割合が高まるおそれがある。
      1. 水際及び国内の各現場において、予防的・機動的な取り組みが求められる。
        • 水際では、オミクロン株対策のため、入国時検査での陽性者をオミクロン株陽性者とみなし、機内濃厚接触者を迅速に特定し、対応するとともに、陽性者に対する全ゲノム解析を継続させることが必要。
        • 国内では、オミクロン株による急速な感染拡大が懸念される中で、引き続き、監視体制を継続させる必要がある。国内でオミクロン株による感染が確認されており、検査体制の徹底による早期探知、迅速な積極的疫学調査や感染拡大防止策の実施が必要。なお、オミクロン株感染例と同一空間を共有した者については、マスクの着用の有無や接触時間に関わらず、幅広な検査の対象としての対応を行うことが推奨される。
        • 自治体では、地域の感染状況及び今後の感染者数や重症者数の予測に基づき、必要病床数の確保や検査、疫学調査などの保健所体制強化のための応援確保、自宅療養者に対する訪問診療やオンライン診療体制の構築を機動的に取り組んでいくことが求められる。
      2. 地域における各施設の業務継続計画の早急な点検が必要である。
        • 地域で感染が急拡大することにより、特に医療機関、介護福祉施設では、職員とその家族の感染や、濃厚接触による職場離脱の可能性が高い。同様のことは保健所を含む自治体や交通機関などすべての社会機能維持に関わる職場でも起こりうる。このような事態に備えるための業務継続計画点検である。また、職場ではテレワークの活用も求められる。
      3. ワクチン未接種者、追加接種者への情報提供の再強化が必要である。
        • オミクロン株による急速な感染拡大が懸念される中で、特に、未接種者へのワクチン接種を進めることも必要であり、自治体においては、ワクチン接種に至っていない方への情報提供を進めることが求められる。あわせて、昨年12月から開始している追加接種を着実に実施していくことも必要。その際、医療従事者等や重症化リスクが高い高齢者の方々を対象とした前倒しを円滑に実施することが求められる。また、特例承認された経口治療薬は、軽症から中等症の重症化するリスクが高い患者を対象に使用できることから、治療へのアクセスを向上させ、一定の重症化予防効果が期待される。
      4. オミクロン株による急速な感染拡大の想定を広く共有することが必要である。
        • 行政・事業者・市民の皆様には、国内でのデルタ株からオミクロン株への置き換わりが進み、今後急速に感染が拡がっていくことも想定すべき状況にあるとの認識をもって行動していただくことが必要。
        • オミクロン株においても基本的な感染対策は重要であり、ワクチン接種者も含め、マスクの正しい着用、手指衛生、換気などの徹底を継続することが必要である。また、三つの密(密集、密閉、密接)が重なるところは最も感染リスクが高いが、オミクロン株は伝播力が高いため、一つの密であってもできるだけ避けた方がよい。
        • オミクロン株による感染が確認された地域等においては、感染に不安を感じて希望する方を対象とした無料検査を受けることが可能となったことを改めて周知。
      5. 感染拡大防止のためには、市民や事業者の皆様の協力が不可欠となる。
        • 新年を迎えて新年会や成人式などの恒例行事に際し、飲食店を利用する際は、換気などがしっかりとしている第三者認証適用店を選び、できるだけ少人数で行い、大声・長時間を避けるとともに、飲食時以外はマスクを着用することが必要。また、外出の際は、混雑した場所や感染リスクの高い場所を避けることが必要。ご自身の命を守るため、同時にオミクロン株による感染拡大防止のためにも、軽度の発熱、倦怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えるとともに、積極的な受診と検査が推奨される。特に、医療提供体制のひっ迫が懸念されるような急速な感染拡大が見られる地域では、より慎重な判断と行動が求められる。
  • 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針
    • 令和3年9月以降、急速に減少に転じた新規陽性者数は、同年12月下旬以降再び増加傾向となった。令和4年1月には新規陽性者数の急速な増加に伴い、療養者数と重症者数も増加傾向が見受けられた。政府は、感染・伝播性の増加が示唆されるオミクロン株のリスクに対応するため、外国人の新規入国を停止するとともに、帰国者には、14日間の自宅待機と健康観察を実施している。加えて、オミクロン株に係る指定国・地域からの帰国者には、検疫所の確保する施設での厳格な待機措置を講じている。また、全ての国内新規感染者について、L452R変異株PCR検査を行うとともに、その時点の検査能力を最大限発揮して全ゲノム解析を実施し、早期探知の体制をとっている。
    • さらに、政府は、オミクロン株が急速に拡大する最悪の事態に備えるため、水際対策の骨格を維持しつつ、予防、検査、早期治療の枠組みを一層強化し、国内対策に重点を移す準備を始めている。ワクチンの追加接種については、重症化リスクが高い高齢者などの方々を対象として、接種間隔を前倒しして接種を実施することとし、また、オミクロン株について、海外渡航歴がなく、感染経路が不明の事案が発生したことを受け、感染拡大が懸念される地域での無料検査を開始している。経口薬については令和3年内の実用化を目指し、令和3年12月24日には「モルヌピラビル」を特例承認し、医療現場に供給するなどの取組を進めている。あわせて、都道府県における在宅療養をされる方々への健康観察や訪問診療体制の準備状況の自己点検を実施し、政府の方針として、在宅療養体制が整った自治体において、自治体の総合的な判断の下、感染の急拡大が確認された場合には、陽性者を全員入院、濃厚接触者を全員宿泊施設待機としている取組みを見直し、症状に応じて宿泊・自宅療養も活用し、万全の対応ができるようにしている。
    • こうした状況に鑑み、令和4年1月7日には、感染状況や医療提供体制・公衆衛生体制に対する負荷の状況について分析・評価を行い、感染の再拡大を防止する必要性が高いこと等から、法第31条の4第1項に基づき、まん延防止等重点措置を実施すべき期間を同月9日から同月31日までの23日間とし、重点措置区域を広島県、山口県及び沖縄県とする公示を行った。
    • 新型コロナウイルス対応に万全を期すとともに、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」による「新しい資本主義」を起動させ、国民の安全・安心を確保するため、令和3年度補正予算を含む「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和3年11月19日閣議決定)を迅速かつ着実に実行する。具体的には、事業復活支援金、雇用調整助成金、実質無利子・無担保融資、子育て世帯等に対する給付、マイナポイント等の事業や雇用・生活・暮らしを守る支援策を着実に実施する。あわせて、感染状況について最悪の事態を想定して、医療提供体制の強化やワクチン接種の促進、治療薬の確保に万全を期し、ワクチン・検査パッケージ等を活用し、経済社会活動を極力継続しつつ、安全・安心を確保していく。
    • 経済対策の円滑な実施に取り組むため、当事者の方々や現場の声を直接聞き、課題やニーズをきめ細かく把握するとともに、必要に応じ、関係府省間で課題等を共有することにより、執行の改善につとめる。感染拡大により予期せぬ対応が生じた場合には、引き続き、「新型コロナウイルス感染症対策予備費」の適時適切な執行により、迅速・機動的に対応する。

【2021年12月】

首相官邸 ギャンブル等依存症問題の啓発用キャッチフレーズ及び体験談の募集を開始しました。
  • ギャンブル等依存症問題を広く啓発するためのキャッチフレーズ及びギャンブル等依存症を克服された方からの体験談を募集します。採用されたキャッチフレーズ1点は、内閣官房が令和4年度ギャンブル等依存症問題啓発週間(令和4年5月14日から同月20日まで)に合わせて作成する啓発用ポスターに掲載させていただきます。体験談については、ギャンブル等依存症問題に関する関心と理解を深めていただくために、内閣官房等のホームぺージに広く掲載させていただきます。
  • 募集期間 令和3年12月21日(火)から令和4年1月21日(金)まで
  • 啓発用ポスターに掲載するキャッチフレーズの募集
    • ギャンブル等にのめり込みすぎではないかと感じる方やそのご家族等(友人、恋人を含む。以下同じ。)が、気軽に身近な相談機関に少しでも早く相談していただくために、多くの方々の心に響くキャッチフレーズを募集します。
  • ギャンブル等依存症を克服された方やそのご家族等からの体験談の募集
    • どのような経緯で克服されたのかを中心に、ギャンブル等にのめり込むことになった経緯、その当時のお気持ちや周囲の反応、相談機関や治療機関、自助グループに通うなどした経緯、現在のお気持ちなどに関する体験談を募集します。ご本人のみならず、ご家族等の体験談についてもお寄せください(字数は1500字程度。匿名での応募も可)。

首相官邸 行政改革推進会議(第46回)議事次第
▼資料1 令和3年秋の年次公開検証の取りまとめ(案)
  • 保健・医療等体制
    • 非常時における保健・医療等体制の在り方については、新型コロナウイルス感染症から得た教訓を踏まえ、まずは、国、都道府県・保健所設置自治体の役割や、どの主体がリーダーシップをとり責任を負うのかといったガバナンス関係を明確にすべきである。
    • 病床がひっ迫した問題については、病床の稼働率を向上させることが求められるが、そのためには、空き病床の把握と医療機関の役割分担、連携協力が不可欠である。自治体の成功事例から、軽症から重症、重症から軽快といった患者の症状の変化に応じた医療機関間の患者の円滑な受け渡し(いわゆる「上り」、「下り」の連携)が重要であることが再認識できたことからも、行政、医療機関だけでなく、国民目線に立って病床の見える化を進め、医療機関間の連携促進を図るべきである。
    • また、病床確保のための補助金等の支援については、その在り方について検討するとともに、今後、より的確な支援を迅速に行うためにも、医療機関の経営状況等の見える化(データ・ベース化)にも取り組むべきである。なお、第5波において自宅療養者が多く発生したことを踏まえ、オンライン診療のさらなる活用についても検討を行うべきである。
    • 国立病院機構等の公的病院の非常時における病床確保の在り方については、その機能や規模等も踏まえ、具体的に整理すべきである。
    • いわゆる「かかりつけ医」についての議論もあったが、医療機関の役割分担、自宅療養者の対応にも資することから、その在り方について検討を進めるべきである。
    • 非常時の保健所長に求められる資格要件・権限についても指摘があったことから、その在り方について整理、検討すべきである。
    • なお、非常時に備えた地域完結型の保健・医療等体制の構築に必要な取組、国の支援の在り方について整理、検討すべきである。また、医療資源の分散化の是正に向けた取組、病床機能の在り方、病院の機能分化、人材確保等について、第8次医療計画等においても、具体的方策を示すべきである。
  • 今後の円滑なワクチン接種に向けた課題の整理
    • 先行諸外国を上回る接種率を、関係する方々や国民の協力によって短期間で達成したことについては大いに評価できるとの意見が大勢であった。
    • 接種を安全かつ的確に行うために、国と地方が保有する情報に係る共有権限・管理権限や役割分担について検討すべき。
    • 国と地方及び地方自治体間で、デジタル技術も活用し、保有情報を共有したり、伝達したりする仕組み等について検討すべき。
    • 国民・社会に対する適切な情報提供の在り方等を検討すべき。
    • 緊急時の円滑なワクチン接種にあたり、何が適切かも含め、KPIの設定について検討すべき。
    • 今回のワクチン接種の経験を踏まえ、国と地方の新たな役割分担の検討に生かすことが望まれる
  • 子供の貧困・シングルペアレンツ問題
    • 昨年の秋のレビュー以降、各府省において、指摘を受け止め、様々な取組が着実に進められていることは評価できるが、手薄になっている取組や、支援策等は存在するものの十分に活用されていないと思われる施策があることから、更に「ワンストップ化」「プッシュ型」の支援の実現を加速するために、関係府省において、こうした施策の改善を図っていく必要がある。また、指摘がありながら、取り組まれていない諸課題についても、迅速な検討が必要である。
    • 文部科学省、厚生労働省においては、申請に使えるツールの見直し、拡充を含め、支援を受ける側、支援を行う側双方の事務負担、心理的ハードルを下げる措置を講じること等により、支援メニューの活用を促す取組を進めるべきである。また、SNSやICTの活用など、利用者がアクセスしやすい仕組みの構築も検討すべきである。また、利用者の利便性を増すための申請基準の整合化、申請書類の統一化も検討を要する。
    • 内閣府、文部科学省、厚生労働省においては、子供に関わる部局間の連携・NPO等との連携が一層進むよう、先進事例を参考にしつつボトルネックの分析を進め、意識改革も含めた取組を進めるべきである。その際、自治体内外の壁となり得る個人情報保護に係る問題については、早急に整理し、具体例を盛り込んだ「ガイドライン」を策定し、自治体へ通知するべきである。
    • 内閣府、文部科学省、厚生労働省において、今後の取組を進めるに当たっては、各地方自治体における福祉部局と教育部局の連携強化・一体的体制の構築など、教育部局が把握した情報をいち早く福祉部局に共有し、潜在的に支援を必要としている親に対する支援に繋げるための方策を含め、検討を進めるべきである。また、地方自治体の努力によって、現行制度でもできることがあることを踏まえれば、地方自治体自身の創意工夫や努力も求められる。
    • 内閣府、文部科学省、厚生労働省においては、学校を拠点とすることを前提とするのではなく、あらゆる子供が保護や支援を受けられるように、子供に対する直接的支援や学校外教育クーポンの制度化などの提案を踏まえ、貧困の連鎖を断ち切る教育を実現するための学習支援の更なる充実を早急に検討すべきである。また、高校中退者に対する支援等の在り方を検討し、子供の成長に応じた切れ目のない支援の実現に取り組むべきである。
    • 文部科学省、厚生労働省においては、スーパービジョン体制の構築や研修等による支援を行う側の質の向上・キャリアアップを図り、高い意欲と能力を有する者の待遇改善につなげるために実効性のある取組を行うべきである。また、NPO等の積極的活用によるマンパワーの確保、支援現場におけるICTの利活用についても促進を図るべきである。
    • 内閣府、文部科学省、厚生労働省において、これらの取組を進めるに当たっては、今般のコロナ禍の中で顕在化した問題にも配慮しつつ、状況に応じて必要な計画・施策の見直しを行うべきである。

【2021年11月】

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第80回(令和3年11月12日開催)資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.76と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約1と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いている。また、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続き、重症者数は昨年の秋以降で最も低い水準になるとともに、死亡者数は今回の感染拡大前の水準を下回った。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(10/24時点)で0.81と1を下回る水準が続き、首都圏では0.72、関西圏では0.89となっている。(注)死亡者数は、各自治体が公表している数を集計したもの。公表日ベース。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 多くの市民や事業者の感染対策への協力やワクチン接種率の向上(2回接種完了者は全国民の7割超。12~19歳では約7割が1回接種済)等により、11月以降も全国的に新規感染者数の減少が続き、非常に低い水準となっているが、感染伝播はなお継続している。一部の地域では夜間の滞留人口の増加が続くとともに、飲食店や施設等でのクラスターの発生や感染経路不明事案の散発的な発生による一時的な増加傾向が見られるが、継続的な増加傾向を示す地域はない。今後、気温の低下により、屋内での活動が増えることにも留意が必要であり、年末に向けて、忘年会、クリスマスやお正月休み等の恒例行事により、さらに社会経済活動の活発化が想定される中で、今後の感染再拡大も見据え、現在の感染状況が改善している状態や低い水準を維持していくことが重要。
    • このため、引き続き、クラスター対策としての積極的疫学調査を徹底することにより、感染拡大防止につなげることが重要であり、また、未接種者へのワクチン接種を進めることも必要。ワクチン接種が先行する諸外国において、中和抗体価の低下等によるブレークスルー感染や大幅な規制緩和の中でのリバウンドが発生している状況もあることから、対策の緩和を進める際には留意が必要。あわせて、追加接種に向けた検討を進めていくことも必要。
    • これらの状況を踏まえ、今後もワクチン接種を進めるとともに、一人ひとりが、感染拡大を防止するための行動を取ることが必要。
    • ワクチン接種者も含め、マスクの正しい着用、手指衛生、ゼロ密や換気といった基本的な感染対策の徹底について、引き続き、市民や事業者の方々にご協力いただくことが必要。また、少しでも体調が悪ければ検査・受診を行うことが求められる。飲食の際に、一定のリスクの高い状況が重なると集団感染に繋がる恐れもあることを踏まえ、第三者認証適用店を選び、飲食時以外はマスクを着用することが利用者に求められる。
    • 国や自治体においては、外出時には混雑している場所や時間を避けて少人数で行動するよう周知を行うことや、企業におけるテレワーク等の推進状況を踏まえた柔軟な働き方の実施に向けて呼びかけを行うことが必要。また、自治体においては、ワクチン接種に至っていない方への情報提供を進めることが求められる。
    • 10月15日に示された政府の方針に基づき、ワクチン、検査、治療薬等の普及による予防、発見から早期治療までの流れをさらに強化するとともに、次の感染拡大に備えた医療提供体制・公衆衛生体制の強化を進めていくことが求められる。
    • 11月8日の新型コロナウイルス感染症対策分科会で新たなレベル分類の考え方が示された。各自治体では、予測ツール及びその他の指標を基に推計される一定期間後の必要病床数について、これまでの感染拡大時のデータ等を用いた検討が求められる。
  • 次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像(案)
    1. 基本的考え方
      • ワクチン、検査、治療薬等の普及による予防、発見から早期治療までの流れをさらに強化するとともに、最悪の事態を想定して、次の感染拡大に備える。
      • このため、デルタ株への置き換わりなどによる今夏のピーク時における急速な感染拡大に学び、今後、感染力が2倍となった場合にも対応できるよう、医療提供体制の強化、ワクチン接種の促進、治療薬の確保を進める。
      • こうした取組により、重症化する患者数が抑制され、病床ひっ迫がこれまでより生じにくくなり、感染拡大が生じても、国民の命と健康を損なう事態を回避することが可能となる。今後は、こうした状況の変化を踏まえ、感染リスクを引き下げながら経済社会活動の継続を可能とする新たな日常の実現を図る。
      • その上で、感染力が2倍を大きく超え、例えば感染力が3倍となり、医療がひっ迫するなど、それ以上の感染拡大が生じた場合には、強い行動制限を機動的に国民に求めるとともに、国の責任において、コロナ以外の通常医療の制限の下、緊急的な病床等を確保するための具体的措置を講ずる。
    2. 医療提供体制の強化
      • 入院を必要とする者が、まずは迅速に病床又は臨時の医療施設等に受け入れられ、確実に入院につなげる体制を整備する。
      • 今夏の各都道府県のピーク時においては最大約2.8万人の入院が必要となったが、今後、感染力が2倍となった場合にも対応できるよう、ワクチン接種の進展等による感染拡大の抑制効果等も勘案しつつ、以下の取組により、今夏と比べて約3割増(約1万人増)の約3.7万人が入院できる体制を11月末までに構築する。
      • 病床の増床や臨時の医療施設における病床確保(入院患者の受入約5千人増(病床約6千床増の8割(使用率)))
      • 確保病床の使用率の向上(入院患者の受入約5千人増)
      • あわせて、入院調整中の方や重症化していないものの基礎疾患等のリスクがある方が安心して療養できるようにするため、臨時の医療施設・入院待機施設の確保により、今夏と比べて約4倍弱(約2.5千人増)の約3.4千人が入所できる体制を構築する。
      • 都道府県の推計では、今後の感染ピーク時における自宅・宿泊療養者は、約23万人と想定されているが、これら全ての方について、陽性判明当日ないし翌日に連絡をとり、健康観察や診療を実施できる体制を確保する。
      • このため、従来の保健所のみの対応を転換し、保健所の体制強化のみならず、オンライン診療・往診、訪問看護の実施等について、医療機関、関係団体等と委託契約や協定の締結等を推進しつつ、全国でのべ約3.2万の医療機関等と連携し、必要な健康観察・診療体制を構築する。
      • 感染拡大時に臨時の医療施設をはじめとした病床・施設を円滑に稼働させるため、都道府県の保健・医療提供体制確保計画において、医療人材派遣について協力可能な医療機関数、派遣者数を具体化するとともに、人材確保・配置調整等を一元的に担う体制を構築する。また、東京都においては、医療機関等からの派遣可能な具体的人員の事前登録制を進めることとしており、こうした取組を横展開する。
      • 医療体制の稼働状況をG-MISやレセプトデータ等を活用して徹底的に「見える化」する。
      • 今夏の感染拡大時においては、地域によって、人口の密集度、住民の生活行動等によって感染状況の推移は異なり、また、病床や医療人材等の医療資源にも差があることから、医療提供体制のひっ迫状況は、地域によって様々であった。その中で、病床がひっ迫した地域においては、緊急事態宣言の下で、個々の医療機関の判断でコロナ対応のためにコロナ以外の通常医療の制限が行われていたが、今後、地域によって、仮に感染力が2倍を超える水準になり、医療のひっ迫が見込まれる場合には、国民に対し、更なる行動制限(後述)を求め、感染拡大の防止を図る。あわせて、国の責任において、感染者の重症化予防等のため地域の医療機関に協力を要請するとともに、更なるコロナ以外の通常医療の制限の下、緊急的な病床等を確保するための追加的な措置を講ずる
      • 更なる行動制限については、具体的には、人との接触機会を可能な限り減らすため、例えば、飲食店の休業、施設の使用停止、イベントの中止、公共交通機関のダイヤの大幅見直し、職場の出勤者数の大幅削減、日中を含めた外出自粛の徹底など、状況に応じて、機動的に強い行動制限を伴う要請を行う。
      • もちろん、こうした厳しい事態に陥らないよう、ワクチン、検査、治療薬等の普及による予防、発見から早期治療までの流れをさらに強化するとともに、国民の理解と協力の下、機動的に効果的な行動制限を行うことにより、急激な感染拡大の抑制を図っていくことを基本として対応する。
    3. ワクチン接種の促進
      1. 11月11日公表時点で、1回目の接種率は78.2%、2回目の接種率は74.5%であり、11月中に希望する者への接種を概ね完了する見込みである。
      2. 追加接種が開始される12月以降も、若年者を含め1回目・2回目未接種者に対する接種機会を確保する。
      3. 小児(12歳未満)へのワクチン接種について、米国や欧州の薬事当局の審査状況を見据えつつ、企業から薬事申請がなされ、承認に至った場合には、厚生科学審議会での了承を得た上で、接種を開始する。
      4. 2回目接種完了から、概ね8か月以降に、追加接種対象者のうち、接種を希望する全ての方が追加接種を受けられるよう、体制を確保する。
    4. 治療薬の確保
      • 新型コロナウイルス感染症の治療薬については、国産経口薬を含め、開発費用として1薬剤当たり最大約20億円を支援し、経口薬について年内の実用化を目指す。また、治療薬の作用する仕組みや開発ステージは様々であることや、軽症から中等症の重症化リスクを有する者が確実に治療を受けられるようにするため、複数の治療薬を確保し、必要な量を順次納入できるよう、企業と交渉を進める。
      • 感染力が2倍となった場合には、今夏の感染拡大の実績等を考慮すれば、軽症から中等症の重症化リスクを有する者向けに最大で約35万回分の治療薬が必要になるものと見込まれる。また、感染力が3倍となった場合には、最大で約50万回分の治療薬が必要になるものと見込まれる。
      • これに対して、薬事承認され投与実績のある中和抗体薬については、来年(2022年)初頭までに約50万回分を確保する。
      • あわせて、新たに実用化が期待される経口薬については、国民の治療へのアクセスを向上するとともに、重症化を予防することにより、国民が安心して暮らせるようになるための切り札である。世界的な獲得競争が行われる中で、薬事承認が行われれば速やかに医療現場に供給し、普及を図っていく。供給量については、合計約60万回分(薬事承認が行われれば年内に約20万回分、年度内に更に約40万回分)を確保する。
      • 国民の仕事や生活の安定・安心を支える日常生活の回復
    5. ワクチン接種の進捗や中和抗体治療の普及により重症化する患者数が抑制され、医療提供体制の強化とあいまって、病床逼迫がこれまでよりも生じにくくなり、感染拡大が生じても、国民の命と健康を損なう事態を回避することが可能となる。
      • また、飲食店の第三者認証制度の普及のほか、各業界における感染対策のガイドラインの普及・更新などの感染防止の取組の進展を踏まえれば、今後、誰もが簡易かつ迅速に利用できる検査の環境整備やワクチン接種証明の活用等を進めることと併せて、日常生活や経済社会活動に伴う感染リスクを以前よりも引き下げることができる。
      • 日常生活や経済社会活動における感染リスクを引き下げるためには、ワクチン接種や検査による確認を促進することが有効であり、都道府県が、健康上の理由等によりワクチン接種を受けられない者を対象として、経済社会活動を行う際の検査を来年3月末まで予約不要、無料とできるよう支援を行う。あわせて、感染拡大の傾向が見られる場合に、都道府県の判断により、ワクチン接種者を含め感染の不安がある無症状者に対し、検査を無料とできるよう支援を行う。
      • 年内に、ワクチン接種証明書のデジタル化を実現する。電子的なワクチン接種証明書は、スマートフォン上で専用アプリからマイナンバーカードによる本人確認の上で申請・取得し、二次元コードとともに表示可能とする。紙によるワクチン接種証明書についても引き続き発行し、二次元コードを記載する。これら二次元コードには電子署名を付与し、偽造防止措置を講ずる。
      • 変異株の状況やワクチンの有効性などの知見を踏まえ、緊急事態措置等の前提となる感染状況(ステージ)について、11月8日の新型コロナウイルス感染症対策分科会の提言を受け、医療のひっ迫状況により重点を置いた考え方に見直しを行うこととし、速やかに基本的対処方針を改正する。

【衆議院/参議院】

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【内閣府】

【2022年1月】

内閣府 国民生活に関する世論調査
▼新型コロナウイルス感染症対策本部(第83回)
  • 生活は、去年の今頃と比べてどうかと聞いたところ、「向上している」と答えた者の割合が3.6%、「同じようなもの」と答えた者の割合が70.2%、「低下している」と答えた者の割合が25.9%となっている。
  • 全体として、現在の生活にどの程度満足しているか聞いたところ、「満足」とする者の割合が55.3%(「満足している」7.2%+「まあ満足している」48.0%)、「不満」とする者の割合が44.3%(「やや不満だ」32.3%+「不満だ」12.0%)となっている。
  • 所得・収入、資産・貯蓄、耐久消費財、食生活、住生活、自己啓発・能力向上、レジャ-・余暇生活のそれぞれの面で、どの程度満足しているか聞いたところ、「満足」(「満足している」+「まあ満足している」)とする者の割合は、所得・収入の面では39.7%(「満足している」4.6%+「まあ満足している」35.1%)、資産・貯蓄の面では32.7%(「満足している」4.5%+「まあ満足している」28.1%)、耐久消費財の面では62.7%(「満足している」10.9%+「まあ満足している」51.8%)、食生活の面では76.0%(「満足している」20.5%+「まあ満足している」55.5%)、住生活の面では68.3%(「満足している」18.2%+「まあ満足している」50.1%)、自己啓発・能力向上の面では52.6%(「満足している」6.3%+「まあ満足している」46.3%)、レジャ-・余暇生活の面では34.3%(「満足している」5.8%+「まあ満足している」28.5%)となっている。また、「不満」(「やや不満だ」+「不満だ」)とする者の割合は、所得・収入の面では59.7%(「やや不満だ」39.7%+「不満だ」20.1%)、資産・貯蓄の面では66.6%(「やや不満だ」39.3%+「不満だ」27.4%)、耐久消費財の面では36.7%(「やや不満だ」28.7%+「不満だ」8.0%)食生活の面では23.6%(「やや不満だ」19.1%+「不満だ」4.5%)、住生活の面では30.1%(「やや不満だ」23.4%+「不満だ」6.7%)、自己啓発・能力向上の面では45.6%(「やや不満だ」37.5%+「不満だ」8.1%)、レジャ-・余暇生活の面では64.2%(「やや不満だ」39.6%+「不満だ」24.6%)となっている。
  • 日頃の生活の中で、どの程度充実感を感じているか聞いたところ、「感じている」とする者の割合が55.5%(「十分感じている」6.7%+「まあ感じている」48.8%)、「感じていない」とする者の割合が43.0%(「あまり感じていない」34.9%+「ほとんど感じていない」8.1%)となっている。
  • 日頃の生活の中で、充実感を「十分感じている」、「まあ感じている」、「あまり感じていない」と答えた者(1,713人)に、充実感を感じるのは、主にどのような時か聞いたところ、「ゆったりと休養している時」を挙げた者の割合が53.2%と最も高く、以下、「趣味やスポーツに熱中している時」(47.5%)、「家族団らんの時」(46.2%)、「友人や知人と会合、雑談している時」(35.7%)などの順となっている。
  • 日頃の生活の中で、悩みや不安を感じているか聞いたところ、「感じている」とする者の割合が77.6%(「感じている」36.8%+「どちらかといえば感じている」40.8%)、「感じていない」とする者の割合が16.7%(「どちらかといえば感じていない」13.5%+「感じていない」3.2%)となっている。
  • 日頃の生活の中で、悩みや不安を「感じている」、「どちらかといえば感じている」と答えた者(1,471人)に、悩みや不安を感じているのはどのようなことか聞いたところ、「自分の健康について」を挙げた者の割合が60.8%、「老後の生活設計について」を挙げた者の割合が58.5%、「今後の収入や資産の見通しについて」を挙げた者の割合が55.0%、「家族の健康について」を挙げた者の割合が51.6%などの順となっている。
  • 日頃の生活の中で、休んだり、好きなことをしたりする時間のゆとりがあるか聞いたところ、「ゆとりがある」とする者の割合が65.6%(「かなりゆとりがある」16.6%+「ある程度ゆとりがある」49.0%)、「ゆとりがない」とする者の割合が31.8%(「あまりゆとりがない」23.9%+「ほとんどゆとりがない」8.0%)となっている。
  • 現在、どのようなことをして、自分の自由になる時間を過ごしているか聞いたところ、「睡眠、休養」を挙げた者の割合が52.9%、「テレビやDVD、CDなどの視聴」を挙げた者の割合が51.4%と高く、以下、「映画鑑賞、コンサート、スポーツ観戦、園芸などの趣味・娯楽」(37.5%)、「インターネットやソーシャルメディアの利用」(34.7%)、「家族との団らん」(33.6%)などの順となっている。
  • 自由になる時間が増えるとしたら、どのようなことをしたいか聞いたところ、「旅行」を挙げた者の割合が64.4%と最も高く、以下、「映画鑑賞、コンサート、スポーツ観戦、園芸などの趣味・娯楽」(44.2%)、「体操、運動、各種スポーツなど自分で行うスポーツ」(27.8%)、「睡眠、休養」(25.9%)、「ショッピング」(24.6%)、「学習、習い事などの教養・自己啓発」(22.9%)、「家族との団らん」(20.7%)などの順となっている。
  • 生活の程度は、世間一般からみて、どうか聞いたところ、「上」と答えた者の割合が1.2%、「中の上」と答えた者の割合が13.3%、「中の中」と答えた者の割合が48.7%、「中の下」と答えた者の割合が27.1%、「下」と答えた者の割合が8.2%となっている。
  • 生活は、これから先、どうなっていくと思うか聞いたところ、「良くなっていく」と答えた者の割合が6.6%、「同じようなもの」と答えた者の割合が64.4%、「悪くなっていく」と答えた者の割合が27.0%となっている。
  • 今後の生活において、特にどのような面に力を入れたいと思うか聞いたところ、「健康」を挙げた者の割合が69.5%と最も高く、以下、「資産・貯蓄」(37.9%)、「食生活」(36.1%)、「レジャー・余暇生活」(33.0%)、「所得・収入」(30.8%)などの順となっている。
  • 今後の生活において、心の豊かさか、物の豊かさかどちらに重きをおきたいかについて聞いたところ、「物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい」(以下、「これからは心の豊かさ」という。)とする者の割合が53.4%(「物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい」11.5%+「どちらかといえば物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい」41.9%)、「まだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたい」(以下、「まだ物の豊かさ」という。)とする者の割合が45.1%(「どちらかといえばまだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたい」31.3%+「まだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたい」13.8%)となっている。
  • 今後の生活において、貯蓄や投資など将来に備えることに力を入れたいと思うか、それとも毎日の生活を充実させて楽しむことに力を入れたいと思うか聞いたところ、「貯蓄や投資など将来に備える」とする者の割合が45.2%(「貯蓄や投資など将来に備える」14.4%+「どちらかといえば貯蓄や投資など将来に備える」30.8%)、「毎日の生活を充実させて楽しむ」とする者の割合が54.0%(「どちらかといえば毎日の生活を充実させて楽しむ」38.9%+「毎日の生活を充実させて楽しむ」15.1%)となっている。
  • 家庭はどのような意味をもっているか聞いたところ、「休息・やすらぎの場」を挙げた者の割合が65.0%、「家族の団らんの場」を挙げた者の割合が63.0%と高く、以下、「家族の絆を強める場」(42.8%)、「親子が共に成長する場」(34.0%)などの順となっている。
    • 働く目的は何か聞いたところ、「お金を得るために働く」と答えた者の割合が61.1%、「社会の一員として、務めを果たすために働く」と答えた者の割合が12.1%、「自分の才能や能力を発揮するために働く」と答えた者の割合が7.2%、「生きがいをみつけるために働く」と答えた者の割合が13.9%となっている。
  • どのような仕事が理想的だと思うか聞いたところ、「収入が安定している仕事」を挙げた者の割合が61.3%と最も高く、以下、「自分にとって楽しい仕事」(52.3%)、「私生活とバランスがとれる仕事」(51.2%)、「自分の専門知識や能力がいかせる仕事」(35.6%)、「健康を損なう心配がない仕事」(33.7%)などの順となっている。
  • 収入と自由時間について、自由時間をもっと増やしたいと思うか、それとも収入をもっと増やしたいと思うか聞いたところ、「自由時間をもっと増やしたい」とする者の割合が41.6%(「自由時間をもっと増やしたい」11.3%+「どちらかといえば自由時間をもっと増やしたい」30.2%)、「収入をもっと増やしたい」とする者の割合が53.6%(「どちらかといえば収入をもっと増やしたい」41.1%+「収入をもっと増やしたい」12.5%)となっている。
  • 今後、政府はどのようなことに力を入れるべきだと思うか聞いたところ、「医療・年金等の社会保障の整備」を挙げた者の割合が67.4%、「新型コロナウイルス感染症への対応」を挙げた者の割合が65.8%と高く、以下、「景気対策」(55.5%)、「高齢社会対策」(51.2%)などの順となっている。

内閣府 宇宙開発戦略本部 第25回会合 議事次第
▼資料1 宇宙基本計画工程表改訂(案)のポイント
  1. 宇宙安全保障の確保
    1. 最近の情勢
      • 安全保障における宇宙の役割が拡大
      • 米国では、極超音速滑空弾(HGV)等への対応策として小型衛星コンステレーション構築の動きが加速
    2. 工程表改訂のポイント
      1. ミサイル防衛等のための衛星コンステレーションについて、特に極超音速滑空弾(HGV)探知・追尾の実証に係る調査研究を行う。
      2. 宇宙作戦群(仮称)を新編(自衛隊)し、2023年度から宇宙状況把握システムの実運用を行うとともに、宇宙状況監視衛星を2026年度までに打上げるなど、国として宇宙状況監視の体制強化を進める。
      3. 準天頂衛星システム、情報収集衛星、通信衛星等の宇宙システムを着実に整備する。
  2. 災害対策・国土強靭化や地球規模課題の解決への貢献
    1. 最近の情勢
      • 災害対策・国土強靭化が喫緊の課題となる中、衛星による貢献の可能性
      • 2050年カーボンニュートラル達成に向けた宇宙からの貢献への期待
    2. 工程表改訂のポイント
      • 高頻度観測が可能な我が国独自の小型のレーダー(SAR)衛星コンステレーションを2025年度までに構築すべく、関係府省による利用実証を行い、国内事業者による衛星配備を加速。
      • 宇宙太陽光発電の実現に向けて、各省が連携して取組を推進。マイクロ波方式の宇宙太陽光発電技術について、2025年度を目途に地球低軌道から地上へのエネルギー伝送の実証を目指す。
      • 衛星等を活用した国際的な温室効果ガス観測ミッション構想を策定・推進し、世界各国によるパリ協定に基づいた気候変動対策による削減効果の確認に活用されることを目指す。
  3. 宇宙科学・探査による新たな知の創造
    1. 最近の情勢
      • 欧米や中国等の火星探査計画が活発化
      • アルテミス計画について、着実に取組を進める必要
    2. 工程表改訂のポイント
      • アルテミス計画による月面探査等について、ゲートウェイの機器開発や、移動手段(有人与圧ローバ)の開発研究など、月面活動に必須のシステムの構築に民間と協働して取り組む。また、米国人以外で初となることを目指し、2020年代後半を目途に日本人による月面着陸の実現を図る。
      • 2029年度の人類初の火星圏からのサンプルリターン実現に向け、2024年度に火星衛星探査計画(MMX)の探査機を確実に打ち上げる。
  4. 宇宙を推進力とする経済成長とイノベーションの実現
    1. 最近の情勢
      • デジタルトランスフォーメーションを支えるインフラとしての役割が拡大
      • 新たな宇宙活動のための制度環境整備の必要性
    2. 工程表改訂のポイント
      • 衛星データの利用拡大に向けて、自治体等とも連携し、地域の課題解決につながるデータ利用ソリューションの集中的な開発・実証を推進する。
      • 米国との連携なども視野に入れながら、宇宙港の整備などによるアジアにおける宇宙ビジネスの中核拠点化を目指して、必要な制度環境を整備する。
      • 2021年度内に軌道利用のルール全般に関する中長期的な方針を策定し、軌道利用に関する国際的な規範形成に向けて取り組む。
  5. 産業・科学技術基盤を始めとする我が国の宇宙活動を支える総合的基盤の強化
    1. 最近の情勢
      • 海外で小型衛星コンステレーションの活用拡大に向けた取組が加速
      • 光通信等の次世代の宇宙技術が、民生・安保の分野を問わず必要不可欠となり、経済安全保障上も、ますます重要に
    2. 工程表改訂のポイント
      • 次世代の小型衛星コンステレーションの重要基盤技術である低軌道衛星間光通信、軌道上自律制御技術等について、できる限り早期に実証衛星を打ち上げることを念頭に、我が国が先行して獲得するための取組を行う。
      • 将来宇宙輸送システムについて、抜本的な低コスト化等の実現に向けて、国際的な市場動向を踏まえつつ、官民共創で研究開発を推進。
      • 日米豪印の4か国で気候変動リスクや海洋・海洋資源の持続可能な利用等に関する衛星データの交換や、インド太平洋地域の国々への能力構築支援、国際的ルールづくり等についての議論を進めていく。
      • 人工衛星の開発等宇宙活動に参画する機会を提供する等を通じて、人材育成を推進する。

【2021年12月】

内閣府 令和3年第17回経済財政諮問会議
▼資料1-1 令和4年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(ポイント)(内閣府)
  • 令和4年度(2022年度)政府経済見通しの概要
    • 2021年度(令和3年度)のGDP成長率は、実質で2.6%程度、名目で1.7%程度となり、GDPは年度中にコロナ前の水準を回復することが見込まれる。
    • 2022年度(令和4年度)は、経済対策を迅速かつ着実に実施すること等により、GDP成長率は実質で3.2%程度、名目で3.6%程度となり、GDPは過去最高となることが見込まれる。公的支出による経済下支えの下、消費の回復や堅調な設備投資に牽引される形で、民需主導の自律的な成長と「成長と分配の好循環」の実現に向けて着実に前進。
▼資料1-2 令和4年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(令和3年12月23日閣議了解)
  • 経済財政運営に当たっては、「経済対策」を迅速かつ着実に実施し、公的支出による下支えを図りつつ、消費や設備投資といった民需の回復を後押しし、経済を民需主導の持続的な成長軌道に乗せていく。
  • 最大の目標であるデフレからの脱却を成し遂げる。危機に対する必要な財政支出は躊躇なく行い、万全を期する。経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない。
  • 経済をしっかり立て直す。そして、財政健全化に向けて取り組んでいく。その上で、岸田内閣が目指すのは、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとする新しい資本主義の実現である。
  • 成長を目指すことは極めて重要であり、その実現に全力で取り組む。しかし、分配なくして次の成長なし。成長の果実をしっかりと分配することで、初めて次の成長が実現する。
  • 具体的には、「科学技術立国の実現」、地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」、「経済安全保障」を3つの柱とした大胆な投資とともに、デジタル臨時行政調査会における規制・制度改革等を通じ、ポストコロナ社会を見据えた成長戦略を国主導で推進し、経済成長を図る。
  • また、賃上げの促進等による働く人への分配機能の強化、看護・介護・保育等に係る公的価格の在り方の抜本的な見直し、少子化対策等を含む全ての世代が支え合う持続可能な全世代型社会保障制度の構築を柱とした分配戦略を推進する。
  • 加えて、東日本大震災からの復興・創生、高付加価値化と輸出力強化を含む農林水産業の振興、老朽化対策を含む防災・減災、国土強靱化や交通、物流インフラの整備等の推進、観光や文化・芸術への支援など、地方活性化に向けた基盤づくりに積極的に投資する。年代・目的に応じた、デジタル時代にふさわしい効果的な人材育成、質の高い教育の実現を図る。2050年カーボンニュートラルを目指し、グリーン社会の実現に取り組む。
  • これまでにない速度で厳しさを増す国際情勢の中で、国民を守り抜き、地球規模の課題解決に向けて国際社会を主導するため、外交力や防衛力を強化する等、安全保障の強化に取り組む。
  • これまでの政府・与党の決定を踏まえた取組を着実に進めるとともに、財政の単年度主義の弊害を是正し、科学技術の振興、経済安全保障、重要インフラの整備などの国家課題に計画的に取り組む。
  • 日本銀行には、感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行い、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。
▼資料3-1 新経済・財政再生計画 改革工程表2021概要
  1. 社会保障
    • 2022年から団塊の世代が75歳以上となる中、メリハリのある診療報酬改定や効率的な医療提供体制の整備などの改革を着実に進め、社会保障の質の向上と国民負担の軽減を目指す。こうした取組は、持続可能な全世代型社会保障の構築を通じて、将来の安心の確保と消費の拡大にもつながることで、成長と分配の好循環を実現するためにも重要。また、2040年までに健康寿命を男女ともに3年以上延伸し、75歳以上とすることを目指し、生活習慣病や認知症の予防など、予防・健康づくりを推進する。
      1. 地域医療構想の実現
        • 2021年の医療法等改正を踏まえ、第8次医療計画における記載事項追加(新興感染症等対応)等に向けて、「基本方針」や「医療計画作成指針」の見直しを実施。また、各都道府県において第8次医療計画の策定作業が2023年度までかけて進められることとなるため、その作業と併せて、2022年度及び2023年度において、地域医療構想に係る民間医療機関も含めた各医療機関の対応方針の策定や検証・見直し、検討状況の定期的な公表を求める。
      2. (2)2022年度診療報酬改定における対応
        • 更なる包括払いの在り方、医師及び薬剤師の適切な連携により一定期間内に処方箋を反復利用できる方策、医師の働き方改革、かかりつけ医機能に係る対応等について、2022年度診療報酬改定において必要な見直しを検討。
      3. かかりつけ医機能の明確化
        • かかりつけ医機能の明確化と、患者・医療者双方にとってかかりつけ医機能が有効に発揮されるための具体的方策について、2022年度及び2023年度において検討する。
      4. 後発医薬品の使用促進
        • 後発医薬品の使用割合目標について、「後発医薬品の品質及び安定供給の信頼性確保を図りつつ、2023年度末までに全ての都道府県で80%以上」とするKPIを新設。KPIの達成に向けて、後発医薬品調剤体制加算等について2022年度診療報酬改定における必要な見直しの検討や信頼性向上のための立入検査等を実施。
  2. 社会資本整備
    • 人口減少が進む我が国において、社会資本整備や地方行財政におけるデジタル技術の徹底活用は、住民サービスの質・量の向上に必要不可欠。距離を問題としないデジタルの利便性を生かして広域連携を進めるとともに、民間資金やノウハウを十分に取り込み、インフラ老朽化対策、災害に強いまちづくり、グリーン化の実現等に効果的に取り組む必要。地方のデジタルインフラ投資の推進は、全ての方がデジタル化のメリットを享受できる社会の実現にもつながる
      1. 予防保全型の老朽化対策、デジタル化・スマート化の推進
        • 2022年度内に、個別施設毎の維持管理・更新の具体の対応方針を定めた個別施設計画の100%策定を進めるとともに、インフラの定期的な点検・診断、必要な修繕等の実施によるメンテナンスのPDCAサイクルを確立・実行し、予防保全型の老朽化対策へ早期転換。並行して、2022年度に個別施設計画の標準化に向けた取組を実施。また、インフラデータの有効活用のため、2022年度に連携型インフラデータプラットフォームとしてデータ連携を開始するとともに、各インフラ分野の維持管理データベースの構築に向けた検討等を進める。
      2. PPP/PFIの推進
        • 2022年春に新たな事業規模目標を設定するとともに推進方策を拡充、PPP/PFIが活用される地域と分野を大幅に拡大。また、「優先的検討規程」を2023年度までに人口10万人以上の団体で100%策定を目指すとともに、人口10万人未満の地方公共団体に対する策定等を支援する。
      3. スマートシティの推進
        • 2022年度中にスマートシティリファレンスアーキテクチャの改訂等を通じ、データ連携やオープンデータ利活用を促進。さらに、2025年度までに100地域でのスマートシティの実現に向けて、地域におけるKPI設定を促すため「KPI設定指針」の作成等を実施。
  3. 地方財政改革等
    • 自治体デジタルトランスフォーメーション(DX)計画に基づく取組の推進
      • 自治体DX推進計画に基づき、各自治体が着実にDXを推進。デジタル人材確保のため、市町村によるCIO補佐官等の外部人材の任用等の取組について、令和3年度から創設した財政措置を活用して、積極的に支援。また、市区町村の外部人材の募集情報を収集し、随時情報を発信。AI・RPAの利用については、自治体における業務の見直しに合わせ、外部人材による支援等により自治体の実装を支援。AI・RPA導入地域数について、2022年度までに600団体となることを目指す。
    • 地方自治体の多様な広域連携の推進等
      • 連携中枢都市圏等による市町村間の広域連携の取組を推進。各圏域における連携の効果をより適切に検証するためのKPIの設定状況や取組状況を把握するとともに、設定するKPIの質の向上を促すため、優良事例等の各圏域へのフィードバックを行う。また、広域連携の取組内容の深化等の観点から、複数の市町村による計画の共同策定を可能とするよう必要な措置を講じる。共同策定が可能な法定計画について、2022年度までに200計画を明確化することを目指す
  4. 文教・科学技術
    • 我が国の成長力強化のためには、デジタル・グリーン投資等を通じた、イノベーションを生みやすい環境づくりが不可欠。その基盤となる大学改革を進め、産学官が協力して、デジタル人材など時代が求める人材の育成や、大学ファンドを活用した若手研究者への投資を進める。さらに、先端科学技術分野など官が率先して呼び水となる投資を行い、民間の研究開発投資を促進する。また、学習環境の格差が生じることを防ぎ、次代を担う人材育成の取組の質を向上させ、OECD生徒の学習到達度調査等における水準の維持・向上を目指す。
      1. 大学改革の推進と教育の情報化の加速
        • 国立大学の次期中期目標期間(2022年度から6年間)を見据え、寄付金収入の増加(年平均5%)や監事の常勤化(2026年度までに100%)などの財務やガバナンスのKPIを設定。さらに、女性STEAM人材の育成やリスキリングの観点から、理工系学部における女子学生の割合向上(前年度以上)やリカレント教育の推進(プログラムの増加)のKPIや取組を追加。GIGAスクール構想のエビデンス整備に向け、教師のICT活用指導力の向上に引き続き取り組むとともに、児童生徒の能力に関するKPIを2021年度中に実施する情報活用能力調査を踏まえ検討。全国学力・学習状況調査のCBT化(コンピュータの活用による調査実施)等により教育分野でのデジタル化を推進。
      2. 第6期科学技術・イノベーション計画の推進による科学技術立国の実現
        • 世界に伍する研究大学の実現に向け、10兆円規模の大学ファンドによる支援の工程管理を盛り込み、2021年度中の議論のまとめを踏まえて指標等を検討。併せて、日本の研究力底上げのため、地域の中核大学等を総合的に振興する取組を推進。イノベーションを生み出す源泉であるスタートアップ創出・成長の支援等を取組に加えるともに、企業価値または時価総額10億ドル以上のベンチャー企業創出数(2025年度までに50社)をKPIとして追加。
      3. 健康増進や経済・地域活性化も見据えた総合的なスポーツ施策の推進
        • 第3期スポーツ基本計画(2022年度から5年間)の策定を見据え、政策目標、KPI及び取組を全面的に見直し。誰もがスポーツを楽しめる環境整備、健康増進や経済・地域活性化等への貢献を推進。

内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料
▼関係閣僚会議資料 12月
  1. 日本経済の基調判断
    • 現状 【上方修正】
      • 景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で、このところ持ち直しの動きがみられる。
      • (先月の判断) 景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和されつつあるものの、引き続き持ち直しの動きに弱さがみられる。
    • 先行き
      • 先行きについては、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する必要がある。また、変異株をはじめ感染症による内外経済への影響や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある
  2. 政策の基本的態度
    • 政府は、東日本大震災からの復興・創生、激甚化・頻発化する災害への対応に取り組む。デフレからの脱却に向けて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進に努める。
    • 新型コロナウイルス感染症に対しては、最悪の事態を想定し、水際対策などに万全を期す。次の感染拡大を見据えて医療提供体制を確保するとともに、ワクチン、検査、飲める治療薬の普及により、予防、発見から早期治療までの流れを抜本強化する。ワクチンの追加接種については、既存ワクチンのオミクロン株への効果等を一定程度見極めた上で、できる限り前倒しする。あわせて、ワクチン・検査パッケージを活用した行動制限緩和の方針に基づき、通常に近い経済社会活動の再開に取り組む。
    • さらに、景気下振れリスクに十分に注意しつつ、足元の経済の下支えを図るとともに、感染が再拡大した場合にも国民の暮らし、雇用や事業を守り抜き、経済の底割れを防ぐ。また、「新しい資本主義」を起動し、成長と分配の好循環を実現して、経済を自律的な成長軌道に乗せる。そのため、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(11月19日閣議決定)を具体化する令和3年度補正予算を迅速かつ適切に執行する。また、「令和4年度予算編成の基本方針」(12月3日閣議決定)や今後策定する「令和4年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」も踏まえ、令和4年度政府予算案を取りまとめる。
    • 日本銀行においては、12月17日、中小企業等の資金繰りを引き続き支援していく観点から、新型コロナ対応資金繰り支援特別プログラムの一部延長を決定した。日本銀行には、感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行い、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。
      • 個人消費
        • 個人消費を週次データでみると、11月後半以降、平年水準(2017-19年)の幅を上回る水準で推移。カード支出に基づく消費動向をみると、持ち直しの動きが娯楽関連にも広がっている。
        • 供給面の影響がみられていた新車販売は、持ち直しの動き。
        • 外食や旅行のサービス消費も、緊急事態宣言解除等により持ち直しの動き。ただし、宿泊動向をみると、居住地から近隣県への宿泊が中心となる傾向。
      • 企業収益・業況
        • 経常利益の動向をみると、7ー9月期については、半導体不足等の供給面での制約や緊急事態宣言等の影響もあって減少したものの、全体ではコロナ前の水準を上回っており、持ち直している。ただし、非製造業の中でも、飲食サービス業、生活関連サービス業、宿泊業の収益は依然として厳しい。
        • 企業の景況感は、持ち直しの動きがみられる。日銀短観12月調査によると、非製造業を中心に前回9月調査から改善。緊急事態宣言等の解除に伴う経済社会活動の段階的引上げ等の影響もあり、宿泊・飲食サービスや対個人サービス等が大きく改善
      • 設備投資・住宅建設
        • 2021年度の設備投資計画は、引き続き前年より増加する見込みであるものの、7-9月期は、供給面での制約や緊急事態宣言等の影響もあり、前期比マイナス。特にソフトウェア投資は、感染拡大による商談延期や長期化により大きく減少。設備投資は、持ち直しに足踏み。
        • 住宅建設は、おおむね横ばい。持家は持ち直し。一方、分譲住宅については、販売価格が上昇する中で新規発売物件の成約率(契約率)は好調を維持するなど、マンションへの需要は底堅いものの、足下の着工は用地不足の影響もあって、弱含み。
      • 輸出・生産
        • 我が国の輸出は、おおむね横ばい。中国経済の回復鈍化等によりアジア向けが弱含みとなる中、足下では、自動車関連財や資本財が増加に寄与。
        • 生産は持ち直しに足踏み。自動車の供給制約の緩和もあり、輸送機械が持ち直す一方、中国をはじめとするスマホ等の生産減少の影響を受け、電子部品・デバイスは横ばい。ただし、世界の半導体の需要見通しは、2021年・2022年ともに上方修正され、2022年は一層の増加が見込まれているなど、半導体製品に対する強い需要は今後も続く見込み。
      • 雇用情勢
        • 雇用状況は、弱い動きとなっているものの、求人等に持ち直しの動き。雇用の過不足感が、宿泊・飲食サービス業を含めて不足超となる中で、ハローワークによるネット経由の日次有効求人件数は、12月に入っても改善。
        • 10月の雇用者数は横ばいで推移。失業率は2.7%と底堅い動きとなっているものの、2019年同期と比較して、男性を中心に追加就労希望就業者数が増加。
        • 10月の賃金は、引き続き前年比プラスで推移。これまでの企業収益の改善もあり、冬のボーナスは増加に転じる動き。
      • 物価
        • 企業物価を需要段階別にみると、「素原材料」や「中間財」は国際市況を受けて大きく上昇しているが、最終財への価格転嫁は限定的。こうした中、製造業において、仕入価格DIは足下で大きく上昇しているものの、販売価格DIの上昇は限定的。価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は、中小企業において一層の悪化がみられており、中小企業収益にマイナスの影響も。
        • 消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いた「コアコア」で物価の基調をみると、底堅さがみられる。一方、「総合」でみると、緩やかに上昇。生活実感に近い、食料品などの購入頻度が高い品目の価格上昇が多くなっている。
      • 世界経済
        • 世界の景気は持ち直しが継続。OECD見通しによれば、2021年の世界全体の実質GDP水準は、コロナ前の2019年を超える見込み。
        • 景気の持ち直しを背景に、欧米各国で物価が高まっている。アメリカでは、消費者の物価上昇予想(インフレ期待)が高まりつつあり、今後の物価動向を引き続き注視。
        • 中国では、環境規制や不動産開発規制等を背景に生産が低調、感染拡大に伴う断続的な制限措置実施等により消費の伸びが低下。景気の回復テンポが鈍化している。

内閣府 令和4年度予算編成の基本方針
▼令和4年度予算編成の基本方針(令和3年12月3日閣議決定)
  1. 基本的考え方
    1. 我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和されつつあるものの、引き続き持ち直しの動きに弱さがみられる。先行きについては、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する必要がある。また、足元では新たな変異株の出現による感染拡大への懸念が生じていることから、新型コロナウイルス感染症による内外経済への影響や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
    2. このように先行き不透明な中、岸田内閣では、最悪の事態を想定しつつ水際対策を行うなど、喫緊かつ最優先の課題である新型コロナウイルス感染症対応に万全を期し、感染症により大きな影響を受ける方々の支援等を速やかに行うべく必要な対策を講ずるとともに、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした新しい資本主義を実現すべく精力的に取り組んでいるところである。
    3. まず、新型コロナウイルス感染症対応については、これまでも、感染状況や、企業や暮らしに与える影響に十分に目配りを行い、予備費なども活用して必要な対策を柔軟に行ってきているが、今般、新型コロナウイルス感染症の拡大防止、「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え、未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動、防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保を柱とする「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和3年11月19日閣議決定)を策定したところであり、これを速やかに実行に移していく。
    4. 経済財政運営に当たっては、最大の目標であるデフレからの脱却を成し遂げる。危機に対する必要な財政支出は躊躇なく行い、万全を期する。経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない。まずは、経済をしっかり立て直す。そして、財政健全化に向けて取り組んでいく。
    5. その上で、岸田内閣が目指すのは、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとする新しい資本主義の実現である。
      • 成長を目指すことは極めて重要であり、その実現に全力で取り組む。しかし、分配なくして次の成長なし。成長の果実をしっかりと分配することで、初めて次の成長が実現する。
      • 具体的には、科学技術立国の実現、地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」、経済安全保障の推進を3つの柱とした大胆な投資により、ポストコロナ社会を見据えた成長戦略を国主導で推進し、経済成長を図る。また、賃上げの促進等による働く人への分配機能の強化、看護・介護・保育等に係る公的価格の在り方の抜本的な見直し、少子化対策等を含む全ての世代が支え合う持続可能な全世代型社会保障制度の構築を柱とした分配戦略を推進する。
    6. 加えて、東日本大震災からの復興・創生、高付加価値化と輸出力強化を含む農林水産業の振興、老朽化対策を含む防災・減災、国土強靱化や交通、物流インフラの整備等の推進、観光や文化・芸術への支援など、地方活性化に向けた基盤づくりに積極的に投資する。
      • 年代・目的に応じた、デジタル時代にふさわしい効果的な人材育成、質の高い教育の実現を図る。2050年カーボンニュートラルを目指し、グリーン社会の実現に取り組む。
      • これまでにない速度で厳しさを増す国際情勢の中で、国民を守り抜き、地球規模の課題解決に向けて国際社会を主導するため、外交力や防衛力を強化する等、安全保障の強化に取り組む。
      • これまでの政府・与党の決定を踏まえた取組を着実に進めるとともに、財政の単年度主義の弊害を是正し、科学技術の振興、経済安全保障、重要インフラの整備などの国家課題に計画的に取り組む。
  2. 予算編成についての考え方
    1. 令和4年度予算編成に当たっては、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期すとともに、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現に向けて、上記1.基本的考え方を踏まえる。
    2. 具体的には、新型コロナウイルス感染症の克服に向け、国民を守る医療提供体制や検査体制の確保、変異株を含む新たなリスクに対する万全の備えのためのワクチン・治療薬等の研究開発、雇用・事業・生活に対する支援等を推進する。
    3. また、「コロナ後の新しい社会」を見据え、成長と分配の好循環を実現するため1.⑤に掲げる成長戦略、分配戦略などに基づき予算を重点配分する。また、1.⑥のとおり、東日本大震災を始め各地の災害からの復興・創生や防災・減災、国土強靱化等に対応するとともに、現下の国際情勢に的確に対応し、国家の安全保障をしっかりと確保する。
    4. あわせて、「経済財政運営と改革の基本方針 2021」(令和3年6月18日閣議決定)における令和4年度予算編成に向けた考え方に基づいて、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえつつ、メリハリの効いた予算とする。また、いわゆる「16か月予算」の考え方で、令和3年度補正予算と、令和4年度当初予算を一体として編成する。その中で、単年度主義の弊害是正のため必要に応じ新たに基金を創設する等の措置を講じていく。加えて、EBPMの仕組み等を活用し、適切かつ効果的な支出を推進する

内閣府 移植医療に関する世論調査
  • 臓器移植に関心があるか聞いたところ、「関心がある」と答えた者の割合が65.5%、「関心がない」と答えた者の割合が30.9%となっている。
  • 臓器を提供する・しないについての意思表示をすることができる方法を知っていたか聞いたところ、「医療保険の被保険者証の裏面の臓器提供意思表示欄」を挙げた者の割合が63.5%、「運転免許証の裏面の臓器提供意思表示欄」を挙げた者の割合が61.9%と高く、以下、「臓器提供意思表示カード」(34.4%)などの順となっている。なお、「いずれも知らなかった」と答えた者の割合が10.3%となっている。
    • 臓器提供の意思表示について、どのように考えるか聞いたところ、「臓器提供に関心があるが、臓器を提供する・しないは考えていない」と答えた者の割合が42.9%、「臓器提供に関心があり、臓器を提供する・しないを考えている」と答えた者の割合が13.3%、「臓器を提供する・しないは決めたが、意思表示するまでは考えていない」と答えた者の割合が10.7%、「臓器を提供する・しないは決めており、意思表示することを考えている」と答えた者の割合が5.0%、「既に意思表示をしている」と答えた者の割合が6.7%、「既に意思表示したことを、家族または親しい方に話している」と答えた者の割合が3.5%となっている。なお、「関心がない」と答えた者の割合が16.0%となっている。
  • 臓器提供の意思表示をしていない理由は何か聞いたところ、「臓器提供に不安感があるから」を挙げた者の割合が34.3%と最も高く、以下、「臓器提供に抵抗感があるから」(27.1%)、「自分の意思が決まらないからあるいは後で記入しようと思っていたから」(22.6%)などの順となっている。
  • 臓器提供について知っていることは何か聞いたところ、「日本の臓器提供数は、欧米諸国と比べて少ない」を挙げた者の割合が49.0%、「提供したくないとの意思表示を行うことができる」を挙げた者の割合が46.9%、「脳死になると回復することはない」を挙げた者の割合が43.5%などの順となっている
  • これまでに家族や親しい方のうちどなたかと臓器提供について話をしたことがあるか聞いたところ、「話をしたことがある」とする者の割合が43.2%(「しばしば話をしたことがある」1.8%+「たまに話をしたことがある」21.5%+「一度話をしたことがある」20.0%)、「話をしたことがない」と答えた者の割合が56.2%となっている。
  • 仮に、自分が脳死と判定された場合または自分の心臓が停止し死亡と判断された場合に、臓器提供をしたいと思うか聞いたところ、「提供したい」とする者の割合が39.5%(「提供したい」15.3%+「どちらかといえば提供したい」24.2%)、「どちらともいえない」と答えた者の割合が35.8%、「提供したくない」とする者の割合が24.3%(「どちらかといえば提供したくない」10.7%+「提供したくない」13.6%)となっている。
  • 仮に、家族の誰かが脳死と判定された場合または心臓が停止し死亡と判断された場合に、本人が臓器提供の意思を書面によって表示をしていた場合、その意思を尊重するか聞いたところ、「尊重する」とする者の割合が90.9%(「尊重する」44.3%+「たぶん尊重する」46.6%)、「尊重しない」とする者の割合が8.4%(「たぶん尊重しない」5.4%+「尊重しない」3.0%)となっている。
  • 仮に、家族の誰かが脳死と判定された場合または心臓が停止し死亡と判断された場合に、本人が臓器提供について何も意思表示をしていなかった場合、臓器提供を承諾するかどうかは家族の総意で決まるが、家族の臓器提供を決断することに対し負担を感じるか聞いたところ、「負担に感じる」とする者の割合が85.6%(「大いに負担に感じる」25.8%+「負担に感じる」36.5%+「少し負担に感じる」23.3%)、「負担に感じない」とする者の割合が13.9%(「あまり負担に感じない」7.2%+「負担に感じない」3.9%+「全く負担に感じない」2.8%)となっている。
  • 一部の病院では、入院した患者全員に対して、例えば、パンフレットの配布などの臓器提供に関する情報提供がされているが、自身あるいは家族が入院した際に臓器提供に関する情報を知りたいと思うか聞いたところ、「知りたい」とする者の割合が66.3%(「よく知りたい」13.5%+「ある程度知りたい」52.7%)、「知りたくない」とする者の割合が32.6%(「あまり知りたくない」24.3%+「知りたくない」8.3%)となっている。
  • 「骨髄バンク」について知っているか聞いたところ、「知っている」と答えた者の割合が75.7%、「知らない」と答えた者の割合が23.3%となっている。
  • 「骨髄バンク」について「知っている」と答えた者(1,290人)に、「骨髄バンク」を知ったきっかけは何か聞いたところ、「テレビ・ラジオ」を挙げた者の割合が85.0%と最も高く、以下、「新聞・雑誌・書籍」(41.9%)などの順となっている。
  • 「骨髄バンク」へのドナー登録状況について「登録していない」と答えた者(1,269人)に、「骨髄バンク」にドナー登録していない理由は何か聞いたところ、「痛み、後遺症などの骨髄の提供による身体的不安を感じるから」を挙げた者の割合が42.2%と最も高く、以下、「年齢制限・健康上の理由により登録できないから」(32.9%)、「ドナー登録方法や骨髄を提供するまでの流れがわからないから」(31.1%)、「骨髄の提供に抵抗感があるから」(26.1%)などの順となっている。
  • 「骨髄バンク」について「知らない」と答えた者(397人)に、「骨髄バンク」にドナー登録したいと思うか聞いたところ、「登録したい」とする者の割合が14.4%(「登録したい」2.3%+「どちらかといえば登録したい」12.1%)、「登録したくない」とする者の割合が82.9%(「どちらかといえば登録したくない」48.6%+「登録したくない」34.3%)となっている。
  • 「骨髄バンク」へのドナー登録意思について「どちらかといえば登録したくない」、「登録したくない」と答えた者(329人)に、「骨髄バンク」にドナー登録したくない理由は何か聞いたところ、「痛み、後遺症などの骨髄の提供による身体的不安を感じるから」を挙げた者の割合が42.6%、「年齢制限・健康上の理由により登録できないから」を挙げた者の割合が40.7%、「骨髄の提供に抵抗感があるから」を挙げた者の割合が31.9%と高く、以下、「入院費用や休業による収入減などの骨髄の提供による経済的不安を感じるから」(19.5%)などの順となっている。

内閣府 令和2年「公益法人の概況及び公益認定等委員会の活動報告」
▼概要
  • 令和2年12月1日の公益法人は9,614法人(前年比+33)である。公益法人数の変動は、公益認定又は移行認定により増加し、法人の解散、公益認定の取消し及び合併に伴う減少がある。
  • 社員員(公益社団法人)は、社員総会に参加して議決権を行使する。社員総会は、定款変更、役員の選解任等を行う権限を有する公益社団法人の最高議決機関である
  • 評議員については3名以上でなければならない。評議員によって構成される評議員会は、定款変更、役員の選解任の権限を有する公益財団法人の最高議決機関である。
  • 理事は、一般法人の役員である。全理事で構成する理事会は、公益法人においては必置であり、法人の業務執行を決定し、理事の中から代表理事や業務執行理事を選定する権限と責任を有し、各理事の職務執行を監督する責任をもつ。
  • 公益法人には監事を置くこととされ、計算書類等の監査及び理事の職務執行の監査を行う。一定の場合には、法人の利益を守るための行動をとることが求められるなど、監事は法人の重要な機関である。
  • 公益目的事業を事業目的別に見ると、多い順に「19.地域社会発展」34.6%、「7.児童等健全育成」21.3%、「4.高齢者福祉」17.7%となっている
  • 公益目的事業を事業類型別に見ると、多い順に「(3)講座、セミナー、育成」67.4%、「(6)調査、資料収集」35.9%、「(5)相談、助言」33.4%となっている。
  • 公益目的事業を費用規模別に見ると、「1千万円以上5千万円未満」と「1億円以上5億円未満」の法人が多い
  • 公益法人制度においては、行政庁が、民間有識者からなる合議制の機関の意見に基づき、法人の公益性を認定することとされている。一般法人の公益認定、特例民法法人の移行認定・移行認可、公益法人の変更認定、一般法人の公益目的支出計画の変更認可、合併による地位の承継の認可等の申請に対し行政庁が処分をしようとする場合には、原則として、合議制の機関(行政庁が内閣総理大臣の場合は、公益認定等委員会)に諮問しなければならないとされている。また、合議制の機関は、報告徴収、立入検査等の結果を踏まえ、必要があると認めるときは、公益認定の取消し等の措置をとることについて、行政庁に勧告をすることができる

内閣府 令和3年第16回経済財政諮問会議
▼資料1-1 経済・財政一体改革における重点課題~イノベーション、デジタル化を梃子に~(有識者議員提出資料)
  • 「成長と分配の好循環」の実現に向け、「財政を有効活用し民間主導の持続的な経済成長を高め、財政も改善していく」との考え方の下、経済・財政一体改革を着実に推進すべき。
  • 令和4年度予算について、科学技術立国、デジタル田園都市、経済安全保障、人的資本の強化といった重点課題への対応に向けてメリハリのきいた予算とするとともに、その成果をしっかりとデータで把握し、EBPMを徹底することが重要である。その際、縦割り構造をできるだけ排し、必要な横ぐしをさして取り組むべきである。
    1. 人が育つ環境の整備
      • 成長と分配の好循環のためには、デジタル技術を含めた科学技術の活用が不可欠であるが、それを支える人材をしっかり育てることも、重要課題である。
      • デジタル時代に求められる人材育成に向け、社会人のリスキリングと学び直し機会の拡充が急務である。そのための費用面での支援や、ニーズにあった高等教育のフレキシブルな提供等の改善に向けて、産学官連携と大学改革を推進すべきである。
      • また、イノベーション基盤としての大学改革も極めて重要である。来年度からの中期目標期間における運営費交付金の配分に当たっては、教育と研究の質の向上に重点を置くべきである。
      • 大学ファンドについても、外部資金の拡大と合わせ、大学経営、研究の質を考慮し、できるだけ客観的に評価できる取組に基づいて徹底したメリハリをつけて配分すべきである。
      • 大学内の人材育成という点においては、若者・女性の活躍を積極的に推進し、競争環境を確保した上での研究費の若手研究者への重点的配分、理系女子の枠の拡大等が推進されるべきだろう。
      • さらに、スタートアップと協働するオープンイノベーションに対しインセンティブ措置を講じるなど、産学連携等による研究開発、イノベーションのビジネス化を強力に支援すべき。
      • 初等中等教育においては、才能や個性を育む個別最適な学びや協働的な学び、学習環境の格差防止を実現するため、全国の小中学校で一人一台端末がフル活用されるよう、教員のICTリテラシーの向上と業務負担の軽減といったボトルネックを速やかに解消すべきである
    2. デジタル化を通じた業務の見直し
      • デジタル化を含めた技術革新の有効活用は、社会変革の原動力である。先進的な企業だけではなく、行政の分野においてもデジタル化を積極的に取り入れることで、人手不足による弊害を回避するだけでなく、行政サービスの向上も期待できる。
      • そのためにも、国・県・市町村間の紙ベースの行政手続きの重複を一括検証し、デジタル化に向け、必要な制度改革、予算措置等を講じ、今後3年間で徹底改革すべきである。
      • また、人手不足、建設資材の高騰などに直面する建設現場の生産性向上も喫緊の課題である。進捗の遅れている中小建設業等におけるICTの活用、インフラDX等の全国展開等を徹底して推進すべき。
    3. 技術革新を活用した地域活性化
      • 各地域においても、デジタル田園都市国家構想の下、デジタルによる恩恵が受けられる社会を実現し、「成長と分配の好循環」を全国隅々まで展開すべきである。そのためにも、都市の在り方、国と地方の連携、PPP/PFIを通じた官民の連携の在り方等をしっかりと見直し、民間資金・ノウハウも活かした基盤づくり、成長産業の振興に取り組むことが重要である。
      • また、ウィズコロナに向け、今次感染症の経験を踏まえ、地方行財政の在り方を見直していくべきである。
      • そのためにも、都市のコンパクト化、広域連携による集約・再編、災害リスクエリアの特定・利用回避、予防保全など、自治体の維持管理費縮減につながる取組が積極的に促進されるよう支援を行うべきである。
      • また官民連携によるインフラ整備については、令和4年度以降のPPP/PFIの中期の計画を早急に策定し、野心的な目標、重点分野別の取組方針とKPI等を具体的に掲げ、地銀等を巻き込みながら、大胆に推進すべき。
      • その際には、PPP/PFI業務にデジタル技術を活用し、民間参入を促進すべき。課題を洗い出し、インフラDX化、行政府の業務のデジタル化と合わせて課題解決すべきである。また、上下水道、文化・スポーツ施設、公民館や公園は、民間の新たな知恵を呼び込みPPP/PFIが積極的に活用され普及するようにすべきである。
      • 令和4年度予算において、地方一般財源の総額については、2021年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保すべき。また、感染収束後、早期に地方財政の歳出構造を平時に戻すこととされており、来年度から段階的に着手すべきである。
      • コロナ対応として行われた国から地方への財政移転の規模や内容については、適切なものであったかについて、事業の実施計画や地方公共団体の決算等も踏まえて、見える化としっかりとした検証をすべきである。
      • また、国と地方自治体、自治体間の関係等について、今回の感染症対応で直面した課題等を踏まえ、地方制度調査会等において検討を進め改善に向けて取り組む、国と地方の新たな役割分担について、行政全般の広域化についての具体的推進等の観点から、法整備を視野に入れつつ検討を進めることとされており、早急に着手すべき。
      • デジタル化を活用し関係人口を拡大することが地域活性化のカギ。兼業・副業の取組を推進している企業と地方自治体との連携を通じた、人材や経営リソースのマッチング等も強化すべき。また、ビッグデータ等を活用し、自治体を巡る関係人口を捕捉し、政策に生かしていくべき。

内閣府 令和3年度「障害者週間」
  • 我が国では、障害者基本法に基づき、毎年12月3日から9日までの期間を「障害者週間」と定めています。
  • 障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加すること等を促進するため、国及び地方公共団体が民間団体等と連携して、「障害者週間」の期間を中心に障害者の自立及び社会参加の支援のための様々な取組を実施します。
▼「障害者週間」広報ポスター

内閣府 男女共同参画局 男女共同参画会議(第65回)議事次第
▼資料1 「女性活躍・男女共同参画の重点方針2022」(女性版骨太の方針)の策定に向けて
  1. 女性の経済的な自立
    • 人生100年時代を迎え、離婚件数は結婚件数の3分の1、女性の半数が90歳以上まで生きる。一方で、既婚女性(有業者)の6割が所得200万円未満。昭和の時代とは異なり、女性の人生と家族の姿が多様化していることを踏まえ、女性の経済的自立を最重要課題として取り組む必要。
  2. 女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現
    • コロナ下で、DV相談件数は1.6倍、女性の自殺者数は15%増。女性に対する暴力の根絶が急務。
    • また、フェムテック、生理の貧困等、女性の生理と妊娠に関する健康の推進にも取り組む必要。
  3. 男性の家庭・地域社会における活躍
    • 男性の育児休業取得率は13%。50歳男性の4人に1人は独身(結婚未経験)。男性の単独世帯は960万世帯(総世帯数の18.0%)。
    • 家庭や地域社会において男性の活躍を広げることが不可欠。
  4. 女性の登用目標達成
    • 第5次男女共同参画基本計画に掲げられた女性の登用・採用に関する58の目標を着実に達成し、指導的地位に占める女性割合を3割程度とすることを目指す。
  • ジェンダー・ギャップ指数(GGI)2021年
    • スイスの非営利財団「世界経済フォーラム」(ダボス会議)が公表。男性に対する女性の割合(女性の数値/男性の数値)を示しており、0が完全不平等、1が完全平等。
    • 日本は156か国中120位。「教育」と「健康」の値は世界トップクラスだが、「政治」と「経済」の値が低い。

【2021年11月】

内閣府 令和3年第15回経済財政諮問会議
▼資料1-1 経済・財政一体改革の重点課題(社会保障)(有識者議員提出資料)
  • 令和4年度予算では、団塊の世代が75歳以上に入り始める中、現役世代には将来見通しがしっかりと立ち、高齢世代には質の高いサービスが提供されるよう環境整備を進めることで、持続可能な社会保障の礎を構築する予算とすべき。
  • さらに、「成長と分配の好循環」を実現するため、まずは、「新型感染症対応の全体像」について、定期的に進捗管理と対応のチェックを行い、国民に徹底した安心を提供すべき。同時に、好循環実現には将来の安心確保と可処分所得の拡大が不可欠であり、「人的投資・人材活用を通じた就労拡大と所得環境の改善」、「デジタル化による医療・介護の生産性向上と将来性ある市場の創出」といった、社会保障の充実と成長力強化の両面に効果の高い政策課題に大胆に取り組むべき。
    1. 令和4年度予算に向けた重点課題
      1. 令和4年度診療報酬改定を通じて、医療提供体制の強化を
        • 感染症を踏まえた診療報酬上の特例措置の効果を検証するほか、保険料率の伸びを抑制することで可処分所得をより拡大していくためにも、診療報酬本体のメリハリのある見直しを行い、国民負担を軽減すべき。
        • かかりつけ医機能について国民の理解を深めつつ制度化するとともに、診療報酬上のかかりつけ医への加算評価やオンライン診療料(特定疾患管理料等の対面診療との格差是正を含む)の見直し等を通じ、オンライン診療の対象機関を拡大すべき。
        • 急性期病床の強化・集約化には病床の効率的な活用や医療従事者の適正な配置が不可欠。あわせて働き方改革を実効的に進めるための仕組みの見直しが必要。国際的にみて著しく長い我が国の平均在院日数の短縮を促すため、一入院当たりの包括払いを導入するとともに、包括払いの対象を拡大すべき。
        • 通院回数の削減による感染症下での患者負担軽減や医療費の抑制、さらに残薬の抑制に向け、かかりつけ薬剤師による適切な服薬指導の下、リフィル処方を導入すべき。
        • 薬価改定については、新薬創出を後押しする一方、長期収載品等の医薬品についての評価適正化、後発医薬品の更なる使用促進を行う観点から、費用対効果も踏まえた算定基準の見直しを推進すべき。市場実勢価格に上乗せされる調整幅について検証するほか、市場実勢価格に合わせた薬価改定分は国民に還元すべき。
      2. 一人当たり医療費・介護費の地域差半減・縮減の推進
        • 一人当たりの医療費の地域差半減に向け、地域医療構想のPDCAサイクル強化や医療費適正化計画の在り方の見直しを工程化して推進すべき。
        • 一人当たり介護費の地域差縮減についても、まずは都道府県単位の介護給付費適正化計画の在り方の見直し状況、市町村別の評価指標に基づく取組状況を見える化すべき。
        • その際、都道府県・市町村の医療費や介護費の適正化努力を交付金配分に反映する仕組みについて、その評価基準となる指標(例えば、健診・指導実施率、特定事業やデータ分析の実施の有無等のアウトプット指標)を、医療費水準など成果を客観的に評価できるアウトカムベースに見直すべき。
    2. 好循環実現に向けての重点課題
      1. 将来見通し
        • 新型感染症は、国民の受診行動や生活様式も変えた。出生数の減少が予測を上回る速度で進行し人口減少にも歯止めがかかっていない。こうした現状も踏まえ、改めて、経済と社会保障給付・負担の将来展望を提示すべき。
        • 可処分所得と消費拡大に向けて、子育てサービス等の現役世代への支援や負担の実態を年齢や世帯構成、所得階層ごとに包括的にデータで把握すべき。また、政策効果のシミュレーション等を通じて、好循環に効果的な政策を検討すべき。
      2. デジタル化等による医療・介護の生産性向上と将来性ある市場創出
        • 医療法人や介護事業者の業務のデジタル化、医療・介護に関する事業報告書等を含めたデータの整備・活用など、データヘルス改革に関するアウトカムの進捗状況を改革工程表でチェックすべき。
        • 経営・システム面の効率改善、医療・介護分野での働き方改革に向け、救急医療・高度医療の機能強化・集約化、平均在院日数の抑制、介護事業者の大規模化、ICT・AI・ロボットの活用等を促進すべき。
        • 介護効果を高めるため、改善度合いに応じた報酬体系への更なる改善を進めるべき。
        • 予防・重症化予防・健康づくりサービス等の産業化に向けて、保険者による包括的な民間委託の活用や新たな血液検査等の新技術の活用などについてアウトカムを掲げて推進すべき。
      3. 人的投資・人材活用を通じた就労拡大と所得環境の改善
        • 女性や若者が一層活躍できるよう、人的投資・人材活用を通じた就労拡大とセーフティネット格差是正を推進すべき。
        • 現役世代の可処分所得拡大のためには、後期高齢者支援金等の負担軽減をはじめとする社会保険料負担の増加抑制が不可欠。マイナンバーの徹底活用を通じたサービス提供の効率化、保険料賦課限度額の引上げなど能力に応じた負担の徹底に向けた改革工程を具体化すべき

内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
▼11月閣僚会議資料
  • 日本経済の基調判断
    1. 現状【表現変更】
      • 景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和されつつあるものの、引き続き持ち直しの動きに弱さがみられる。
      • (先月の判断)景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、そのテンポが弱まっている。
    2. 先行き
      • 先行きについては、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する必要がある。また、感染症による内外経済への影響や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
    3. 政策の基本的態度
      • 政府は、東日本大震災からの復興・創生、激甚化・頻発化する災害への対応に取り組む。デフレからの脱却に向けて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進に努める。
      • 新型コロナウイルス感染症に対しては、「次の感染拡大に向けた安心確保のための取組の全体像」(11月12日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)に基づき、ワクチン接種、検査、治療薬等の普及による予防、発見から早期治療までの流れを更に強化するとともに、最悪の事態を想定した対応を行う。ワクチン・検査パッケージ等を活用し、感染拡大を防止しながら、日常生活や経済社会活動を継続できるように取り組む。
      • さらに、景気下振れリスクに十分に注意しつつ、足元の経済の下支えを図るとともに、感染が再拡大した場合にも国民の暮らし、雇用や事業を守り抜き、経済の底割れを防ぐ。また、「新しい資本主義」を起動し、成長と分配の好循環を実現して、経済を自律的な成長軌道に乗せる。そのため、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(11月19日閣議決定)を円滑かつ着実に実行する。令和3年度補正予算を早急に国会に提出し、その早期成立に努める。その間も、新型コロナウイルスの感染状況や、企業や暮らしに与える影響には十分に目配りを行い、必要な対策は、予備費なども活用して、柔軟に行う。
      • 日本銀行においては、企業等の資金繰り支援に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持する観点から、金融緩和を強化する措置がとられている。日本銀行には、感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行い、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。
  1. 今月のポイント(1)我が国の実質GDP成長率
    • 本年7-9月期の実質GDP成長率は、欧米が前期比プラスとなる中で、日本は前期比▲0.8%と2期ぶりのマイナス。9月までの緊急事態宣言等に加え、半導体不足や東南アジアでの感染拡大に伴う部品供給不足が影響し、個人消費、設備投資、輸出はいずれも前期比マイナス。個人消費については、自動車等の耐久財や衣服等の半耐久財がマイナスに寄与。
    • 緊急事態宣言等の解除や経済対策の効果などを背景に、今後は我が国もプラス成長となることが期待される。
  2. 今月のポイント(2)個人消費
    • 消費者マインドを景気ウォッチャー調査の家計動向関連DIでみると、感染者数の減少や緊急事態宣言解除等により、大きく上昇。消費者マインドは、持ち直しの動き。
    • 10月後半以降の消費を週次データでみると、平年水準(2017-19年)の幅と比較して、緩やかながら回復に向かう動き。新車販売は、供給面の影響により減少。
    • 一方、宿泊施設稼働率は10月以降、上昇が続く。外食や娯楽関連の支出に持ち直しの動き。
    • これらを踏まえると、個人消費は一部に弱さが残るものの、持ち直しの動きがみられる。
  3. 今月のポイント(3)輸出・生産
    • 我が国の輸出は、中国経済の回復鈍化等により、アジア向けが弱含み。また、供給制約による減産を受け、自動車関連財が減少。
    • 9月までの製造業の生産をみると、自動車の減産に加え、中国経済の回復鈍化等から、生産用機械は増勢鈍化。その背景の一つとして、マシニングセンタ等の工作機械受注は、内需が底堅い一方で、アジア向けの外需には足踏み感がみられる。
  4. 今月の指標(1)企業収益・倒産
    • 7ー9月期の上場企業の経常利益は、製造業・非製造業ともに前年比で大幅増。
    • 一方、中小企業の10月の利益動向をみると、利益額DIは悪化。資源価格の上昇に伴い、仕入価格DIが上昇しており、価格転嫁の程度を表す疑似交易条件は本年夏以降、悪化傾向にあること等が背景。
    • 倒産件数は、資金繰り支援等もあり、月500件程度の水準と概ね横ばい。一方、休廃業・解散件数は、1~9月の累計でみると、前年と概ね同水準となる中で、観光関連業等では、前年より増加。
  5. 今月の指標(2)物価
    • ガソリンや鋼材等の国内の商品市況は、国際的な資源価格の高騰等を背景に上昇傾向。国内企業物価をみても、原油・エネルギー関係品目や鉄鋼・非鉄金属価格の上昇により、全体として上昇。
    • 消費者物価について、生鮮食品・エネルギーを除いたコアコアで物価の基調をみると、底堅さがみられる。一方、生活実感を表す総合でみると、資源価格の上昇等を背景に緩やかに上昇しており、今後電気代も上昇する見込み。物価上昇による家計への影響には注意が必要。
  6. 今月の指標(3)雇用情勢
    • 雇用状況は、弱さが続く中、9月の雇用者数は横ばいで推移。7-9月期の女性の非正規雇用者は、2019年同期比で70万人減少する一方で、正規雇用者は同66万人増加。失業率は2.8%と底堅い動きとなっているものの、男性を中心に1年以上の長期失業者が増加。
    • ハローワークによるネット経由の日次有効求人件数は、2019年同月比で水準は低いものの、11月に入っても持ち直しの動きが続く。
    • 9月の賃金は、引き続き前年比プラスで推移。実質総雇用者所得は、概ねコロナ前の水準を回復。
  7. 今月の指標(4)世界経済
    • 欧米の7~9月期の実質GDPは、プラス成長が継続。欧州では、夏までに移動制限の緩和が行われたこともあり、旅行等のサービス消費が増加。欧米ともに、雇用環境の改善、物価の上昇がみられる。
    • 欧米を中心に世界的に景気が持ち直し、世界貿易が高水準で推移する中で、物流面において、輸送期間の長期化や価格上昇がみられる。また、中国では、環境規制や不動産開発規制等を背景に、生産の伸びが低下している。

内閣府 コロナ克服・新時代開拓のための経済対策
▼概要
  • 我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、依然として厳しい状況。他方、新型コロナウイルス感染症については、新規感染者数は足元で減少しており、行動制限も段階的に緩和。
  • この機を捉え、本経済対策を契機として、ウィズコロナの下で、一日も早く通常に近い社会経済活動の再開を図る。「新しい資本主義」を起動し、成長と分配の好循環を実現して、経済を自律的な成長軌道に乗せる。
  • こうした成長に向けた機運を途切れさせないためにも、感染拡大の可能性に備えて、危機管理に万全を期すとともに、感染の再拡大や供給制約などによる景気下振れリスクに十分に注意し経済の底割れを防ぐ
  1. 新型コロナウイルス感染症の拡大防止
    1. 医療提供体制の確保等
      • 医療提供体制の強化:公立公的病院の専用病床化、感染拡大時の確保病床8割以上の確実な稼働体制の構築、地域の医療機関等と連携した自宅・宿泊療養者に対する対策の徹底
      • ワクチン接種の促進、検査の環境整備、治療薬の確保:ワクチンの追加接種の無料実施、治療薬(中和抗体薬・経口薬)の確保・投与体制の構築
      • 感染防止策の徹底:地方創生臨時交付金(都道府県等による感染防止対策)、幼稚園・保育所、学校等の感染防止対策
    2. 感染症の影響により厳しい状況にある方々の事業や生活・暮らしの支援
      • 事業者への支援:地域・業種を限定しない事業規模に応じた給付金(事業復活支援金)、実質無利子・無担保融資等の資金繰り支援延長、地方創生臨時交付金(時短等要請時の協力金等)
      • 生活・暮らしへの支援:住民税非課税世帯(1世帯当たり10万円給付)や厳しい状況にある学生などお困りの方々への支援、雇用調整助成金等の特例措置延長、孤独・孤立で悩む方々への支援
      • エネルギー価格高騰対策
  2. 「ウィズコロナ」下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え
    1. 安全・安心を確保した社会経済活動の再開
      • ワクチン・検査パッケージの活用:電子ワクチン接種証明の年内発行、予約不要・無料のPCR・抗原定性等検査の実施
      • 社会経済活動の再開:安全・安心を確保したGo Toトラベル等による需要喚起、イベントの開催・キャンセル費用等への支援
    2. 感染症有事対応の抜本的強化
      • ワクチン・治療薬等の国内開発:ワクチン・治療薬等の研究開発から実用化まで支援し生産、安定供給を確保できる体制を整備、緊急時にワクチン製造に転用可能なデュアルユース生産設備の整備支援
      • 感染症の収束に向けた国際協力等:COVAXファシリティを通じた途上国への支援、アジア・大洋州地域におけるコロナ対策・社会経済活動再開支援、海外との往来の正常化
      • 新型コロナウイルス感染症対策予備費の適時適切な執行
  3. 未来を切り拓く「新しい資本主義」の起動
    1. 成長戦略
      1. 科学技術立国の実現
        • 科学技術:10兆円規模の大学ファンドの年度内設置、若手研究者の人材育成、デジタル、グリーン、人工知能、量子、バイオ、宇宙、海洋分野など先端科学技術の研究開発
        • グリーンエネルギー:自動車の電動化推進、蓄電池・半導体の国内生産基盤の確保に向けた大規模投資促進、太陽光発電設備の整備支援等による再生可能エネルギーの導入拡大
        • スタートアップ支援:イノベーション・エコシステムの機能強化、オープンイノベーション促進税制
      2. 地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」
        • デジタル実装:ローカル5G等のデジタルインフラの整備、交付金の大規模展開によるテレワーク・ドローン宅配などデジタル実装の推進、デジタル推進委員の全国展開などデジタルデバイド対策
        • DXの推進:デジタル庁を司令塔として準公共分野(健康・医療・介護、教育等)のデータ利活用の推進、行政手続きのオンライン化、一人当たり最大2万円相当のマイナポイント付与
        • 農業・観光・文化:農林水産業の輸出力・生産基盤強化、観光の高付加価値化、地域公共交通支援、文化芸術振興
        • 中小企業:事業再構築・生産性向上支援、私的整理等ガイドラインの整備等による事業再生推進
      3. 経済安全保障
        • 先端半導体の生産拠点の国内立地・先端的な重要技術の実用化を支援するための基金の造成
    2. 分配戦略~安心と成長を呼ぶ「人」への投資の強化~
      1. 民間部門における分配強化に向けた強力な支援
        • 賃上げの推進:賃上げを行う企業への税制支援の抜本的強化、下請取引に対する監督体制強化、最低賃金引上げに向けた事業者への助成の拡充
        • 労働移動の円滑化・人材育成の強力な推進:3年間で4,000億円の施策パッケージ職業訓練と再就職支援の組み合わせによる労働移動やステップアップの支援、デジタル人材育成の強化等の実施、リカレント教育や職業訓練の拡充
        • 働き方改革等による多様な働き方の推進、多様な人材の活躍などの支援:テレワークの定着や兼業・副業の促進、女性や就職氷河期世代の支援、非正規雇用労働者の待遇改善
      2. 公的部門における分配機能の強化等
        • 看護、介護、保育、幼児教育など現場で働く方々の収入の引上げ等:公的価格の在り方の抜本的見直し、民間部門における賃上げ議論に先んじた措置の前倒し実施、医療・福祉人材の育成・確保の支援
        • 「こども・子育て支援」の推進:新型コロナの影響が長期化する中で子育て世帯に対して子供1人当たり10万円相当の給付、早期の待機児童解消を目指した保育の受け皿整備、子育て世帯の住宅取得支援
  4. 防災・減災、国土強靱化の推進など安全安心の確保
    1. 防災・減災、国土強靱化の推進:5か年加速化対策等に基づく防災・減災、国土強靱化の強化
    2. 自然災害からの復旧・復興の加速:東電福島第一原子力発電所の廃炉・処理水対策、自然災害による被災者の生活・生業の再建と復旧・復興
    3. 国家の安全保障の確保を含む国民の安全・安心:自衛隊の変化する国際情勢への即応的な対応、戦略的海上保安体制の構築等の推進

内閣府 令和3年第14回経済財政諮問会議
▼資料1 コロナ克服・新時代開拓のための経済対策
  • 本経済対策の柱の第一は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止である。感染が再拡大するのではないか、十分な医療は提供されるのか。こうした国民の皆様の不安に応えるため、「全体像」に基づき、ワクチン、検査、治療薬等の普及による予防、発見から早期治療までの流れをさらに強化する。このため、今後、感染力が2倍になった場合にも対応可能な医療提供体制の確保、ワクチン接種の促進、治療薬の確保を進める。あわせて、来年春までの見通しが持てるよう、人流抑制等の影響を受ける方々の事業や生活・暮らし、とりわけ、非正規、子育て世帯などお困りの方々の状況に寄り添い、その支援に万全を期すとともに、供給制約や資源価格高騰等の景気下振れリスクにも適切に対応する。その際、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の枠組みを活用し、地方の実情に合わせた取組を支援する。
  • 第二は、ウィズコロナ下での社会経済活動の再開と危機管理の徹底である。社会経済活動の再開を待つ皆様の声を踏まえ、ワクチン・検査パッケージ等を活用し、感染拡大リスクを適切に管理しながら、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた分野における需要喚起の取組等を行い、一日も早く通常に近い社会経済活動の回復を図る。あわせて、ワクチン・治療薬の研究開発や生産体制の強化、新型コロナウイルス感染症の収束と社会経済活動の再開に向けた国際協力を通じて、感染症有事対応の抜本的強化を図る。
  • 第三は、未来社会を切り拓く「新しい資本主義」の起動である。経済を成長させ、その果実を原資として分配に取り組むことで、国民の皆様の所得を幅広く引き上げ、更なる成長につなげていく。こうした「成長と分配の好循環」の実現に向けて、「科学技術立国の実現」、「デジタル田園都市国家構想」、「経済安全保障」の3つの柱における大胆な投資により、ポストコロナ社会を見据えた成長戦略を推進するとともに、「民間部門における分配強化に向けた強力な支援」と「公的部門における分配機能の強化」による分配戦略を実行へと移す。
  • 具体的には、成長戦略として、「科学技術立国の実現」により、イノベーション力を抜本的に強化することで、コロナ後の新しい社会における成長を牽引するとともに、クリーンエネルギーの推進により、経済と環境の好循環を実現する。また、地方を活性化し、世界とつながる「デジタル田園都市国家構想」の推進により、デジタル技術を活用し、地方から変革の波を起こすとともに、地域経済の基盤となる農林水産業、観光業等の活性化や中小企業の事業再構築・生産性向上を図り、地方と都市の差を縮めていく。さらに、「経済安全保障」の抜本的強化により、安全保障と経済を横断する領域で様々な課題が顕在化する中で、我が国の自律性、優位性、ひいては不可欠性を獲得し、自律的な経済構造を実現する。あわせて、分配戦略として、安心と成長を呼ぶ「人」への投資を強化する。賃上げへの支援、人的資本への投資や働き方改革、非正規雇用労働者等への分配強化、公的価格の在り方の見直しや子供・子育て支援等により、誰一人取り残されることなく、国民全員が参加・活躍できる社会、頑張った人が報われる、正しい活躍が正しく評価される社会を創り、働く人やこれまで成長の恩恵を受けられていない方々への分配機能を強化する。
  • 第四は、国民の安全・安心の確保である。気候変動の影響により激甚化・頻発化する風水害や切迫する大規模地震・津波等の被害から国民の生命と財産を守るため、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づく取組を推進するとともに、東日本大震災等からの復興、本年7月及び8月に発生した大雨等の自然災害からの復旧・復興に引き続き全力で取り組む。また、我が国を取り巻く安全保障環境が激変する中、国民の命や平和な暮らし、領土、領海、領空を断固として守り抜く。
  • これらの4つの柱に基づく本経済対策の裏付けとなる令和3年度補正予算については、いわゆる「16か月予算」の考え方により、令和4年度当初予算と一体的に編成し、切れ目なく万全の財政政策を実行する。その際、足元のコロナ禍で傷ついた我が国経済を立て直し、自律的な経済成長を実現するために十分な効果を発揮できる規模を確保し、その可能な限り迅速な執行を図るとともに、感染再拡大時にも、必要な対策を躊躇なく機動的に講じることが可能になるよう十分な備えを整える。さらに、現下の低金利状況を活かし、財政投融資の手法を積極的に活用するとともに、規制・制度改革、税制改正といったあらゆる政策手段を活用した総合的な対策とする。あわせて、財政の単年度主義の弊害是正にも配意する。
  • 本経済対策に盛り込まれた施策を含め、新型コロナウイルス感染症に関する政府の取組や状況について、国民に分かりやすくかつ正確な形で伝わるよう、効果的な情報発信・広報を実施するとともに、本経済対策で多年度にわたって取り組む施策については、KPIを設定し、PDCAの取組を特に推進する。
  • 日本銀行においては、企業等の資金繰り支援に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持する観点から、金融緩和を強化する措置がとられている。引き続き、政府は、日本銀行と強い緊張感を共有し、財政政策と金融政策の適切なポリシーミックスの下で緊密に連携する。日本銀行には、新型コロナウイルス感染症の経済への影響や金融資本市場の変動の影響を十分に注視しつつ、適切な金融政策運営を行うことを期待する。
▼資料2 成長と分配の好循環に向けて経済対策の活用を(有識者議員提出資料)
  1. 経済対策の意義
    • 本年7-9月期のGDP速報値を見ると、主要国ではこの時期プラス成長する中にあって、わが国は実質GDP年率▲3.0%とマイナス成長となった。その後、緊急事態宣言が解かれ、足元の経済活動が回復しつつある今こそ、新型感染症の再発への医療面等で万全に備えるとともに、ダメージを受けた非正規の労働者などへの雇用機会や教育訓練面の強化、未来を拓く子供たちへの力強い支援等を通じて、不安を解消し思い切って経済活動できる環境とすることが重要である。また、世界経済の回復をリードできるよう、先端技術やイノベーション、デジタルの地方からの実装、さらには人への思い切った投資に向け政府のコミットメントを明らかにすることで、民間活動の予見性を高めると同時に、民間活力を最大限に引き出していく必要がある。
    • この点で、今回の経済対策については、以下の点が実現する対策となっている点を高く評価するとともに、その実現に万全を期したい。
      1. 思い切った投資の実施と多年度でのコミットメント
        • カーボンニュートラルの実現に向けたクリーンエネルギーへの投資、デジタルトランスフォーメーションの推進、「科学技術立国」の実現に向けた大学ファンド、労働移動の円滑化や人材育成のための3年間の政策パッケージ等、成長と安心に向けた多年度にわたる政策がコミットされ、投資・消費しやすい環境が整備されること
      2. 次の感染症の波が来ても経済活動をしっかり支えられる万全な体制整備
        • 景気回復への最大の課題は、感染症の再来への不安・懸念。「全体像」の実行により、3回目のワクチン接種、病床確保、治療薬の確保等、に向けた道筋等が明らかになったこと
      3. 新型感染症で困難に直面した方々への支援
        • 新型感染症で大きな影響を受けた方々へのきめ細やかで、適時適切な支援を通じて、新たなスタートに向けた活力の再起動が図られること
      4. 供給サイドを強化する規模
        • 来年度にかけて、多様なリスクにも対応でき、かつ、人やイノベーションへの投資を通じて、供給サイドが強化される規模と内容になっていること
  2. 経済対策の効果を最大化するために
    • 本経済対策が、しっかりと効果を発揮し、真に成長と分配の好循環の起爆剤となるよう、以下に取り組むべき。
      1. 進捗状況等についての見える化
        • 成長と分配の好循環の拡大には継続的な取組が不可欠であり、本対策についての進捗管理を徹底すべき。特に、経済対策の主な事業について、令和3年度及び令和4年度の執行実績を明らかにすべき。また、今回の対策で充実・新設された基金については、各事業の性質を踏まえつつ、多年度にわたる実施計画の策定、進捗状況、成果評価等について、見える化を徹底すべき。
      2. 国民各層の声に耳を傾け、官民協力で使い勝手を良くする
        • 車座等を通じて、現場の方々や当事者、地方自治体などの声を聞くなど国民各層との対話、経済界との連携等を通じ、各府省は、本経済対策が実際に使い勝手の良いものになるよう、そのための仕組みを構築すべき。こうした取組を通じて、成長と分配の好循環に向け、官民一体となって取組を加速し、民間への波及効果を含めて、施策効果を最大限に引き出すべき

内閣府 令和3年第13回経済財政諮問会議
▼資料3-1 今後の経済財政政策運営に向けて(有識者議員提出資料)
  • 「成長」と「分配」の好循環拡大により、力強い成長と豊かさの実感を
    • 岸田総理は、「新しい資本主義の実現」を掲げ、「成長」と「分配」の好循環拡大により、力強い成長と豊かさを実感できる新しい経済社会創りを表明された。
    • まずは、短期的な課題への徹底した「安心確保」、例えば、感染症の再燃に備えた万全の対応、再燃時の備えとしての失業なき雇用移動や中小企業の新事業開発・事業転換への支援等を徹底して進めるべきである。特に、足元では、「ワクチン・検査パッケージ」を活用して社会経済活動の活性化を図るとともに、水際対策をワクチン接種者の発生率等のデータを踏まえて段階的に見直し、ビジネス往来を正常化すべきである。来年の経済活性化に向けては、ブースター接種(3回目の接種)について、職域接種を含め、早急に方針・工程を明示することや、消費喚起に向けたマイナンバーカードを活用したポイント制の利活用等は重要である。
    • 同時に、中長期の課題として、低下してきた生産性を引上げ、現役世代の可処分所得を拡大する取組を粘り強く行うことが不可欠である。このためには、民間のアニマルスピリッツの発揮促進、デジタル・グリーン・人材への徹底した投資を通じた生産性の引上げ、価格転嫁の円滑化、現役世代の社会保障負担の軽減といった取組を一体かつ大胆に進め、「成長し分配率も上げていく」という好循環を実現していくべきである。
    • 岸田内閣における経済財政諮問会議の使命は、この目標の実現に向けた短期・中期の経済財政運営を通じた政策運営全般の「かじ取り」にある。マクロ経済運営においては、日銀とも適切に連携し、短期・中期で財政金融政策の適切なポリシーミックスが実行できる体制とすることが重要である。また、人的資本の強化、格差の是正、社会的共通資本の充実、時代のニーズに即した国と地方の在り方等に向けた政府の機能の向上は、岸田内閣の最重要課題の一つである。さらに、財政の単年度主義の弊害是正に取り組む。その観点から、多年度を含む適切かつ効果的な支出の仕組みの強化に取り組む必要がある。経済財政諮問会議は、そうした取組の立案、推進、成果チェックの役割を、先導的に果たすべきである。
  • 今後の審議の進め方
    • 岸田内閣の経済財政政策の方向性を明確にするため、以下の取組を進めるべき。
      1. 本日の議論を踏まえて、経済対策を早急に取りまとめる。日銀と連携し、金融政策、物価等に関する集中審議を四半期に1回程度実施し、短期・中期の視点からポリシーミックスの在り方、成果等を検証する。そのタイミングで、経済状況と合わせて、経済対策の執行状況を検証する。
      2. 岸田内閣としての初めて編成する令和4年度当初予算について、予算編成の基本方針を取りまとめ、予算の重点事項を明らかにする。
      3. 岸田内閣が掲げる成長戦略と分配戦略の推進により成長と分配の好循環を実現するため、マクロ経済運営の観点から総合的な検討を行う。
      4. 多年度にわたる財政の枠組みである新経済・財政再生計画や中長期試算、EBPMの仕組みとしての経済・財政一体改革とその工程表等について、単年度主義の弊害の是正や適切かつ効果的な支出の徹底に結び付ける。
      5. 新しい資本主義実現会議におけるビジョンについての議論を踏まえ、政府の機能の向上に向けた課題解決の基本的方向性について議論を進める。
      6. 来年年央に骨太方針を策定し、こうした取組を包括的に盛り込む
▼資料4-1 新しい経済社会の構築に向けて~「成長」と「分配」の好循環をどう作るか~(有識者議員提出資料)
  • 日本経済はデフレではない状況となり、生産年齢人口が約550万人減少する中で約500万人の雇用が創出された。また、年率3%程度の最低賃金の継続的な引上げを通じて賃上げのモメンタムも作り出された。一方で、日本経済の大きな課題は、長期にわたる民間のアニマルスピリッツの消失と多様性の欠如から生じる硬直性である。
  • 有効な民間投資が進まず、現預金も積み上がり、結果として、最大の課題である低生産性が解消せず、むしろ悪化した。また、GDPの6割を占める消費の活性化には、国民に将来生活への安心感の醸成が必要であるが、持続可能な社会保障制度の構築は未だ途上にある。また、官の政策立案・実行・評価機能が劣化し、時代のニーズに即応した公共サービスの提供が遅れている。
  • さらに、コロナ禍で顕在化した、様々な構造的な格差(所得・資産・雇用・地域・教育)、デジタル化の遅れ、危機対応への脆弱性への対応は喫緊の課題である。
  • これらの課題を解消して、「成長」と「分配」の好循環を作り出すためには、大胆な政策の実行が求められると同時に、粘り強く必要な政策を継続していくことが肝要である。そのためには、短期にとどまらない、場合によっては数年に渡る政策プランの策定と、そのプロセスをチェックし実効性を確保する体制づくりが必要である。
    1. 当面の課題・・・経済対策で思い切った人的投資・イノベーション投資を
      • まず求められるのは、最悪の事態を想定した感染症対策と、厳しい状況にある方々への経済支援である。経済の底割れを防止するとともに、社会経済活動の日常回復を急ぐべきである。また、税制等も活用しつつ賃上げモメンタムを維持・強化することで可処分所得を回復させる必要もある。
      • それと同時に、理系人材育成やDX時代のリスキリング、女性や若者がより活躍できる能力開発支援等、労働移動支援を含め、それぞれの状況に応じた人的投資が積極的に行われるようにするとともに、デジタル・グリーンや起業などのイノベーションを喚起する投資を通じて成長力を徹底強化すべき。
      • 現下の経済状況を見ると、大きなデフレギャップに加え資源価格の上昇等がもたらす所得流出や民需抑制への影響、世界的なダウンサイドリスクに十分に注意する必要がある。こうした中にあって、国内の成長力を高めることは急務であり、税財政を活用してリスクマネーを拡大し、サプライサイドを強化する投資を思い切って強化することがこれまで以上に重要となっている。
      • 今次対策では、昨年度補正予算の今年度への波及効果を勘案し、経済の下支えと成長力強化に十分な規模と内容としつつ、適切かつ効果的な支出の仕組みを徹底し、思い切って成長力強化への投資に重点化したものとすべき。
      • こうした取組を通じて、今年中に我が国の経済活動の水準をコロナ前に戻し、来年には、先進国の中でも本格的な民需回復を実現することが重要である。総理から指示のあった経済対策により、こうした取組を迅速かつ総合的に進め、成長と分配の好循環へのジャンプスタートを切るべき。
    2. 成長と分配の好循環に向けた考え方とその課題
      • 好循環をもたらすためには、民間投資を活性化し、生産性を向上させ、収益・所得を大きく増やす。そして、成長分野への労働移動、リスキリング等を通じた人的資本のボトムアップ等を通じて、継続的に物価と賃金が安定的に上昇する環境とすることが求められる。また、現役世代の負担を抑制し、持続可能性が見通せる社会保障制度を構築する。さらには、政府の機能の向上を通じて、こうした仕組みを支え、循環の拡大と持続性の向上の実現が求められる。
      • これらの変化は一朝一夕に実現できるものではないが、粘り強く政策を継続していく必要がある。そのためには、メリハリのあるKPIを掲げ、かつ適切かつ効果的な支出の仕組みを重視し、中期的なプロセス管理をしっかり行って、以下の取組を推進すべき。
        1. 継続的に物価と賃金が上がる環境整備
          • 生産性の向上に向けた民間投資の活性化なくして、好循環は生まれない。そのためには以下の重要課題を含め、何が必要か徹底して検証し、必要な構造改革の断行、投資促進税制等による積極的後押しを実行すべき。
            1. 民間投資の活性化
              • デフレマインドの根強い継続は、企業の賃上げに対する慎重姿勢や現金保有・借入抑制・投資抑制の誘因となっている。インフラや医療介護等の公的分野、脱炭素をはじめとするSDGs分野等にリスクマネーを大胆に呼び込み、イノベーションを活性化させることで、社会課題の解決に向けた新たな投資需要を喚起させる。スタートアップ支援や事業転換の支援等を通じて民間投資を活性化し、生産性を向上させるべき。
            2. 人的投資と人材活用
              • 生産性向上の下、賃上げモメンタムを維持・拡大しつつ、人的資本の抜本強化を通じて、成長力の強化・可処分所得の増加につなげ、好循環を強化すべき。企業においては、働き方改革等を通じたエンゲージメントの向上、リスキリングの機会の提供を通じた能力向上、成長分野への労働移動の促進、理工系女性の採用拡大や育成が重要である。政府は、労働保険特会の構造改革を通じて、教育訓練の強化や労働移動の円滑化、働き方の違いによるセーフティネット格差の是正に取り組むべき。また、科学技術立国の実現を通じたイノベーティブ人材の増強、高度外国人材の呼込みを促進すべき。
            3. 企業行動の変革~両利き経営、付加価値創出経営へ
              • 短期的視点の下での企業経営はコストカットと投資抑制に偏りがち。また、過当競争体質や長年のデフレマインドの下、販売価格も硬直化し、賃上げ率や下請け業者の価格転嫁率も低い。こうした結果、潜在成長力も伸び悩んでいる。短・中期を両にらみした経営を通じて、将来への投資を活性化するとともに、付加価値創出経営を促進することで、事業と雇用の持続性を高めるべき。また、エネルギー価格の上昇が予想される中、安全性を確保した原発の再稼働も重要な要素となる。
            4. 地方の成長と世界経済の成長をダイナミックに取り込んだ好循環の拡大
              • デジタルやリモートワークを用いることで、地方においても、大都市や外国の人・モノ・データを、積極的に活用することが可能になってきている。これらの動きを促進し、世界とネットワークでつながることで、地方において新たな雇用と所得を創造すべき。また、農業・観光・中小企業等の輸出競争力を強化するほか、省エネ・エネルギーのコスト低減等を通じて所得流出の抑制を進め、経常黒字を継続する。こうした取組を通じて、地方と海外を積極的に連携させ、好循環を拡大すべき。
        2. 持続可能な社会保障制度の構築を通じた所得と消費の拡大
          • 現役世代の多くが教育や子育て・住宅取得といった旺盛な資金需要に直面しながらも、雇用や社会保障制度の面での不安や所得の伸び悩みの中で、消費を抑制しがちである。DXによる医療介護の生産性向上、予防医療・創薬等に係る民間活力を活かした市場の創造、マイナンバー活用による利便性の向上と応能負担の徹底に重点をおいて、現役世代の負担を抑制し、可処分所得と消費の拡大を実現すべき。
          • また、中間層の拡大の観点からは、正規・非正規の処遇格差、資産所得格差、一人親世帯の困窮、貧困の根雪化や世代を超えた継承といった課題が顕在化している。全世代型社会保障改革を進め、勤労者皆保険制度、働き方改革等を通じて、経済のダイナミズムを強化しながら、誰もが何度でもチャレンジできてやりがいのある社会、格差が固定化しない社会を構築すべき。
        3. 政府の機能の向上
          • 政府は、(1)危機管理、(2)社会的共通資本、(3)再配分、(4)財政の適切かつ効果的な支出の分野で機能の向上を図るべき。公的組織、人材、制度を迅速に見直して対応するとともに、デジタル技術を利活用することで、政府の政策立案・実行・評価機能を強化し、時代のニーズに即応した公共サービスを提供すべき

内閣府 第356回 消費者委員会本会議
▼【資料1-1】 消費者裁判手続特例法等に関する検討会報告書について(概要)
  • 検討の経緯・背景
    • 附則の見直し規定への対応
    • 制度の活用範囲が未だ広がりを欠いていること、制度運用により把握された課題への対応 等
  • 消費者団体訴訟制度は社会的インフラの一つ
  • 現状は、期待される役割が十分に発揮されるための強力な梃入れが必要なスタートアップの段階
  • 消費者にとって利用しやすく、消費者被害の救済を更に推し進める制度へと進化させるとともに、制度を担う団体の活動を支える環境整備を行う
  • 制度的な対応
    1. 対象となる事案の範囲の見直し
      • 一定の慰謝料・悪質商法に関与する個人の追加
      • 対象事案の解釈の明確化 等
    2. 共通義務確認訴訟における和解の柔軟化
    3. 対象消費者への情報提供の実効性確保
      • 通知方法の見直し
      • 役割分担と費用負担の見直し 等
    4. そのほか、制度運用上の課題に対応
      • 手続のIT化、団体の情報取得手段の整備、時効に関する規律の見直し、記録の閲覧等の見直し 等
  • 特定適格消費者団体の活動を支える環境整備
    1. 指定法人(制度の実効的な運用を支える第三者的な主体)制度の創設
    2. 制度や団体に関する理解促進
    3. 事務負担の軽減等

【公正取引委員会】

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【金融庁】

【2022年1月】

金融庁 金融審議会「資金決済ワーキング・グループ」(第5回)議事次第
▼資料1 資金決済ワーキング・グループ報告(案)
  • マネー・ローンダリング等の犯罪については、一般に、その対策が十分でない銀行等が狙われる等の指摘がある。こうした観点から、各銀行等における単独での取組みに加え、銀行等が業界全体としてAML/CFTの底上げに取り組むこと意義がある。また、銀行等によるAML/CFTの実効性向上は、詐欺等の犯罪の未然防止や犯罪の関与者の捕捉に直結するほか、被害者の損害回復にも寄与するものであり、利用者保護の観点からも重要な意義を有する。
  • 銀行等によるAML/CFTについては、顧客管理と取引フィルタリング・取引モニタリングを組み合わせることで実効性を高めることが重要である。具体的には、各銀行等において、AML/CFTの基盤となる預金口座等に係る継続的な顧客管理を適切に行うこととあわせて、リスクベース・アプローチの考え方の下、一般にリスクが高いとされる為替取引に関する「取引フィルタリング」「取引モニタリング」について、システムを用いた高度化・効率化を図っていく必要がある。これらの業務の中核的な部分を共同化して実施する主体(以下「共同機関」)の具体的業務内容としては、FATF審査の結果や共同化による実効性・業務効率向上の観点を踏まえ、銀行等の委託を受けて、為替取引に関して、以下の1、2の業務を対象とすることが考えられる。なお、通常は、1の業務は、銀行等における制裁対象者との取引の未然防止の観点から、2の業務は、銀行等が行った取引について犯収法に定める疑わしい取引の届出の要否を判断する観点から、それぞれ行われることになるものと考えられる。
    1. 顧客等が制裁対象者に該当するか否かを照合し、その結果を銀行等に通知する業務(取引フィルタリング業務)
    2. 取引に疑わしい点があるかどうかを分析し、その結果を銀行等に通知する業務(取引モニタリング業務)
  • 共同機関が多数の銀行等から委託を受け、その業務の規模が大きくなる場合、銀行等による共同機関に対する管理・監督に係る責任の所在が不明瞭となり、その実効性が上がらないおそれがあるほか、共同機関の業務は、AML/CFT業務の中核的な部分を担うものであり、共同機関の業務が適切に行われなければ、日本の金融システムに与える影響が大きいものとなり得る、と考えられる。
  • このような場合を念頭に置いて、一定以上の規模等の共同機関に対する業規制を導入し、当局による直接の検査・監督等を及ぼすことで、その業務運営の質を確保する制度的手当てを行う必要があると考えられる。こうした対応は、金融のデジタル化の進展や、マネー・ローンダリング等の手口の巧妙化を踏まえ、国際的にもより高い水準が求められるAML/CFTの適切な実施にも資するものと考えられる。
  • 取引フィルタリング・取引モニタリング業務に関連するものとして、例えば、制裁対象者リストの情報を共同機関の利用者となる銀行等に提供し、銀行等の継続的な顧客管理に活用してもらうことや、銀行等に対して、AML/CFTの研修を行うこと、さらには、取引フィルタリング・取引モニタリングの分析の高度化に向けたコンサルティングを行うこと等が考えられる。また、銀行等以外の金融機関に対し、制裁対象者リストの情報を提供すること等も想定される。一方で、取引フィルタリング・取引モニタリング業務と関連のない他業を幅広く営むと、後述の個人情報の適正な取扱い等との関係で、支障が生じ得る可能性もあると考えられる。このため、共同機関が兼業できる業務の範囲は、取引フィルタリング・取引モニタリングに関連するものを基本とすべきと考えられる。
  • 銀行等による共同機関への利用者の個人情報等の提供と個人情報保護法で求められる銀行等によるその利用者への利用目的の特定・通知又は公表との関係については、現行の銀行等の実務では、銀行等は個人情報を犯収法に基づく取引時確認等に利用するとしていることから、一般論としては、現在、銀行等において利用者に通知・公表されている利用目的の範囲内となるものと考えられる。
  • 共同機関が、各銀行等から提供を受けた個人データを、各銀行等から委託された業務の範囲内でのみ取り扱い、各銀行等別に分別管理する(他の銀行等のものと混ぜない)、各銀行等の取引等を分析した結果(個人データを含む)は、委託元の各銀行
  • 等にのみ通知する(他の銀行等と共有しない)場合には、一般論として、銀行等の行為は「利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託することに伴って当該個人データが提供される場合」に該当すると考えられ、銀行等は、あらかじめその利用者の同意を得ることなく、当該個人データを共同機関に提供することができると考えられる。
  • 共同機関における分析能力の向上を図る観点から、上記アに加え、共同機関が、ある一つの銀行等からの委託を受けて、当該銀
  • 行等の利用者の個人情報を機械学習の学習用データセットとして用いて、当該銀行等のために生成した学習済みパラメータ(重み係数)を、共同機関内で共有し、他の銀行等からの委託を受けて行う分析にも活用する場合には、一般論として、当該パラメータと特定の個人との対応関係が排斥されている限りにおいては、「個人情報」にも該当しないと考えられ、銀行等は、あらかじめその利用者の同意を得ることなく、当該パラメータを共同機関内で共有し、他の銀行等の分析に活用することができると考えられる。
  • このように、共同機関においては、業規制等に基づく適切な規制・監督等の下で、各銀行等から共同機関に提供される個人情報は、分別管理し、他の銀行等と共有しない、さらに、共同化によるメリットの一つである分析の実効性向上を図る観点から、これに資するノウハウを特定の個人との対応関係が排斥された形(個人情報ではない形)で共有する、ことにより、個人情報の保護を適切に図りつつ、プライバシーにも配慮した形で、共同化によるAML/CFTの実効性向上等との適切なバランスが確保されるものと考えられる。
  • 欧州連合(EU)では、2020年9月にステーブルコイン50を含む暗号資産の規制案が公表され、米国でも、2021年11月に大統領金融市場作業部会(PWG)が決済用ステーブルコイン(Paymentstablecoins)の発行者を、銀行を始めとする預金保険対象の預金取扱金融機関に限定する等の規制方針等を示した報告書を公表している。
  • 民間事業者の発行するデジタルマネーに関して過不足ない制度整備を検討することは、利用者保護やAML/CFTの観点から必要な対応を行うことに加えて、民間事業者が、近年の関連する制度整備とあわせ、決済の効率化等に向けた様々の取組みを試行できる環境を整備する意義があると考えられる。国内における決済サービスの提供状況を見ると、全銀システム(内国為替取引取扱高)は2,927兆円、資金移動業者(国内送金取扱高)は1.2兆円、前払式支払手段(発行額)は25.8兆円となっている。また、国際的に検討が進む中央銀行デジタル通貨(CBDC)は民間デジタルマネーとの共存が前提となっている。今回の制度整備によって、こうした決済サービスの利便性向上等に向けた取組みにつながることが期待される。
  • ステーブルコインについて、現行制度の考え方に基づけば、価値を安定させる仕組みによって、以下のとおり分類できると考えられる。
  • 法定通貨の価値と連動した価格(例:1コイン=1円)で発行され、発行価格と同額で償還を約するもの(及びこれに準ずるもの)
  • ア以外(アルゴリズムで価値の安定を試みるもの等)
  • 現行制度上、上記ア(以下「デジタルマネー類似型」)は「通貨建資産」(資金決済法第2条第6項)に、上記イ(以下「暗号資産型」)は基本的には「暗号資産」(同条第5項)にそれぞれ該当し得ると考えられる。現行の資金決済法上、「通貨建資産」は「暗号資産」の定義から除外されているため、その仲介者には暗号資産交換業の規律が及ばない。
  • こうしたデジタルマネー類似型と暗号資産型は、経済社会において果たし得る機能、法的に保護されるべき利益、及び金融規制・監督上の課題が異なると考えられる。そのため必要な制度対応等については、引き続き、両者を区分して検討することが適当と考えられる。その際、利用者保護等の観点から、問題のあるものについて適切に対応する必要がある。
  • 仲介者の機能に関して、暗号資産取引における暗号資産交換業者同様、取り扱う電子的支払手段に係る情報提供や適切なAML/CFT対応のほか、これらの前提となる適切な体制整備等(システム対応等含む)が確保されるべきと考えられる。さらに、海外発行のものを含め、利用者保護等の観点から、利用者財産の管理や情報提供等、必要な規律を及ぼすとともに、利用者保護等の観点から支障を及ぼすおそれのある電子的支払手段は取り扱わないこととすべきと考えられる。
  • 仲介者に関する規律を導入することにより、仲介者規制の下で、発行者以外の者が海外に所在する者の発行する電子的支払手段を取り扱うことができるかとの論点が生じる。この点に関しては、発行価格と同額での償還等を約している電子的支払手段の性格等を踏まえると、発行者の破綻時等に利用者資産が適切に保護され、実務において利用者が円滑に償還を受けられることが重要となる。この点については、FSBの勧告においても、利用者の償還請求権の法的強制力等やプロセスに関する法的明確性を確保することを求めている。
  • 発行者と仲介者が分離する中で、両者をあわせた全体として適切な金融サービス提供には、システム全体としての適切なガバナンスの確立が重要である。社会経済で広く使われる可能性のある送金・決済手段に求められる水準としては、システムの安全性・強靱性等に加え、一般に(ⅰ)権利移転(手続、タイミング)に係る明確なルールがあること、(ⅱ)AML/CFTの観点からの要請に確実に応えられること、(ⅲ)発行者や仲介者等の破綻時や、技術的な不具合や問題が生じた場合等において、取引の巻戻しや損失の補償等、利用者の権利が適切に保護されることが必要と考えられる。
  • これらの要件のうち、特に(ⅱ)AML/CFTの観点からの要請については、システム仕様等で技術的に対応することにより実効的な対応が可能となると考えられる。そのための水準を満たす方法について、FATFでの議論等を踏まえつつ、例えば、発行者及び仲介者のシステム仕様等を含めた体制整備において、本人確認されていない利用者への移転を防止すること、本人確認されていない利用者に移転した残高については凍結処理を行うことといった事項を求めることを検討することが考えられる
  • これらの規律は、第1章で検討した銀行等におけるAML/CFTの高度化・効率化に向けた対応と比較すると、基本的なものに留まる。電子的支払手段の仲介者等に対しても、銀行等と同様、今後、マネー・ローンダリング等に関するリスク環境の変化等により、より高い水準でのAML/CFTを求める可能性があると考えられる。また、発行者と仲介者の適切な連携や利用者から見た発行者と仲介者の役割や責任関係の明確化等を求めることが考えられる。こうした観点から、電子決済等代行業者における銀行と電子決済等代行業者の契約締結義務を参考に、利用者に損害が生じた場合の発行者と仲介者の間の責任分担に関する事項等について、発行者と仲介者の間で契約を締結すること等を求めることが考えられる。
  • 大規模に利用される又はクロスボーダーで決済等に使われ得る電子的支払手段に関しては、その発行・償還の金融市場への影響等を含め、金融システムの安定等へ与える影響が大きくなり得ることから、より高い規律が求められることとなる。また、プラットフォーマーを含む大規模な事業者による市場の寡占等の可能性を念頭においた議論も行う必要がある。
  • FSBの勧告を踏まえたものであり、この枠組みの下で、その仕組みや事業規模等を考慮しつつ、金融市場等への影響を含むリスクベースの監督を行っていくことが考えられる。例えば、銀行が発行者の場合、電子的支払手段の発行に際して預かる資産は、自ら管理・運用することを前提としており、金融危機時等における急激な償還請求により生じ得る金融市場への影響については、銀行の財務規制(流動性規制を含む)で対応することとなる。また、資金移動業者が発行者の場合、電子的支払手段の発行に際して預かる資産は供託することが基本となっており、利用者からの大規模な償還に迅速に対応することについての課題は指摘されているものの、急激な償還により生じ得る金融市場への影響は限定的と考えられる。
  • デジタルマネーの発行者に係る規律のあり方については、国際的には、今後のデジタル時代に相応しい政府・中央銀行が発行する通貨や民間デジタルマネーのあり方を含め、幅広い観点から議論が行われている。我が国においても、今後のサービスの提供状況等も踏まえつつ、引き続き、以下の論点を含め、幅広い観点から検討すべきである。
    1. 中央銀行が発行者となるモデル(中央銀行デジタル通貨(CBDC))
      • 日本銀行を含む各国の中央銀行がCBDCに関する実証実験等を行っている。その制度設計にあたっては、G7から公表された「リテール中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する公共政策上の原則」112も踏まえ検討する必要がある。その際、金融システムの安定や利用者保護の観点からは、主として以下の論点について検討を行う必要があると考えられる。
        • 銀行等(預金取扱等金融機関。以下この8.において同じ。)の金融仲介機能への影響や金融危機時等における影響等に対処すること
        • 民間の決済サービスとの共存によるイノベーションの促進の観点から、民間の創意工夫を促す柔軟な設計を検討すること
        • 利用者保護の観点等から権利義務関係を明確に規定すること
        • AML/CFTの要請に適切に対応すること
        • プライバシーへの配慮や個人情報保護との関係を整理すること
        • クロスボーダー決済等で使用される可能性を考慮すること
    2. 銀行が発行者となるモデル
      • 我が国のように銀行をデジタルマネー発行者とする制度下では、デジタル化が進展する下での預金保険のあり方についても論点となり得る。
      • 銀行等が銀行法等に基づき提供するデジタルマネーサービスについては、金融システムの安定確保・預金者保護の観点から、預金者等から受け入れた(チャージされた)資金を預金として、その性格に応じ決済用預金又は一般預金等として、預金保険の保護対象とする扱いとなっている。
      • 現在の預金保険制度は、決済用預金に対する全額保護の仕組みが導入されて以来、約20年が経過しているが、そのあり方について抜本的な見直しは行われていない。決済用預金制度の導入当時は今日のようなデジタルマネーサービスが普及することが想定されてなかった。また、他の主要国の預金保険制度においては決済用預金のように預金を全額保護する仕組みとなっていないとの指摘や全額保護の仕組みはモラルハザードが生じるとの指摘がある。こうした中で、デジタルマネーサービスを預金保険制度による全額保護の対象とする場合、国際的にみてデジタルマネーの保護が過度に手厚くなる等の指摘がある。
      • 一方、現行制度上、こうしたモラルハザードに関しては、決済用預金には付利しないことや預金保険料をその他の預金よりも高く設定することで抑制されているとの指摘もある。本章において検討した仲介者に係る制度整備によりこの傾向が変わるか推移を見極める必要もあると考えられる。
      • また、銀行等によるデジタルマネーサービスの提供は、預金に付帯する決済サービスの高度化と考えられる。従来の口座振替サービスに加え、買い物等の際に預金口座から残高の引き落としで支払いを行うデビットカードやその基盤を利用したQRコード決済、少額での買い物を中心に利便性を向上させた銀行発行デジタルマネー(銀行内のデジタルマネー専用アカウントで資金管理)等が登場している。
    3. デジタルマネーの発行者に関連するその他の論点
      • デジタルマネーの発行者と関連する論点として、いわゆるナローバンクの議論がある。この議論は、幅広い論点を含み得るが、預金保険との関係という観点からは、以下のア、イに大別できる。
        1. 預金保険の適用のある銀行等を前提に、預かり資産の運用機能を高流動性・安全資産等に限定すること等により、専ら決済機能を提供することを想定する場合(銀行型)
        2. 預金保険の適用のない銀行等以外の主体を前提に、預かり資産の運用機能を高流動性・安全資産等に限定すること等を想定する場合(非銀行型)
          • 1(銀行型)については、運用機能が限定されることに伴う銀行規制・監督をどう考えるか等の論点がある。イ(非銀行型)については、現行の資金移動業と異なり自ら資産運用を行うのであれば、破綻時の利用者の償還請求権保護等の観点から、厳格な兼業規制や財務規制等のほか、利用者の運用資産に対する優先弁済権の付与を検討する必要がある。さらに、発行者破綻時の迅速な払戻し機能(セーフティネット機能)の必要性等についても検討すべきと考えられる。また、イ(非銀行型)については、預かり資産を自ら金融市場等で運用することを想定すると、大規模な発行・償還が金融市場に与える影響等への対応も必要となる。こうした観点から、例えば、預かり資産を中央銀行預金で資産保全するモデルが議論されることもある。さらに、イ(非銀行型)の業務の規模が大規模になる場合は、銀行等の金融仲介機能への影響も生じ得る。
  • 我が国におけるデジタルマネー・電子マネーの発行については、銀行業・資金移動業によるもののほか、小口決済等に幅広く使われている前払式支払手段を活用したものがある。前払式支払手段については、原則として利用者に対する払戻しが行えないこと等も背景として、銀行・資金移動業者と異なり、犯収法上の取引時確認(本人確認)義務や疑わしい取引の届出義務等が課されておらず、また、資金決済法上、利用者ごとの発行額の上限も設けられていない。我が国で利用されている第三者型の前払式支払手段の大宗を占める(紙型・磁気型126以外の)IC型・サーバ型の利用実態等については、以下のとおりとみられる。
    • 多くは、交通系ICカード等、電子的に譲渡・移転できず、少額のチャージ上限の下で、小口決済に使われている(小口決済型)。
    • 一方、電子的な譲渡・移転が可能なもの(電子移転可能型)として、残高譲渡型と番号通知型が提供されている。
    • この電子移転可能型の中には、アカウントのチャージ可能額の上限額が高額となるもの(チャージ上限設定のないものを含む:高額電子移転可能型)もある。実際に高額のチャージや残高譲渡型において多額の譲渡をしている利用者はかなり限られると見られるが、例えば、国際ブランドのプリペイドカードにおいて数千万円のチャージが可能なサービスも提供されている。
  • 前払式支払手段は、発行者や加盟店への支払手段として制度化されたものであり、制度創設当初は電子的な移転等のサービス提供を想定したものではなかった。しかしながら、近年、オンラインのプラットフォームや国際ブランドのクレジットカード決済基盤を活用すること等により、広範な店舗で多種多様な財・サービスの支払いに利用できる前払式支払手段が登場し、発行者に対する償還請求が行えないという制約はあるものの、その機能は現金に接近していると考えられる。我が国においては、こうした前払式支払手段が紙幣や硬貨等の現金に置き換わり、利便性の高い決済サービスとして、キャッシュレス化やイノベーション創出に寄与しているとの指摘がある。
  • 電子移転可能型のうち、残高譲渡型に関しては、2019年12月の金融審議会ワーキング・グループ報告に基づき、不正利用防止の観点等から、内閣府令等を改正し、所要の措置を講じた。具体的には、自家型・第三者型の前払式支払手段の発行者に対し、譲渡可能な未使用残高の上限設定や、繰り返し譲渡を受けている者の特定等の不自然な取引を検知する体制整備、不自然な取引を行っている者に対する利用停止等を義務付けた。
  • これに基づき、発行者においては、1回当たりの残高譲渡の上限額を10万円とする取組みや、1日又は1か月当たりの残高譲渡額に上限額を設ける取組み等が進められている。これらの取組みを通じて、不正利用のリスクが一定程度抑制されているとの指摘がある。
  • 一方、番号通知型(番号通知型(狭義)及び番号通知型(狭義)に準ずるもの。以下この2.において同じ。)については、現時点では、残高譲渡型と同様の体制整備等の対応は求めていない132。しかしながら、番号通知型については特殊詐欺等を含む不正利用事案の例が報告されているほか、転売サイトの利用等に伴うトラブルも報告されている。
  • こうした不正利用への対応については、発行者が、発行額を少額にする等の商品性の見直しにより犯罪利用を抑制することや、利用者に対して転売等が禁止されていることをわかりやすい態様で十分周知するほか、不正転売等のモニタリング等を行うことが重要と考えられる。
  • また、番号通知型(狭義)の前払式支払手段に関しては、取引時確認(本人確認)なく発行され、発行者が管理する仕組みの外で、当該前払式支払手段を容易に電子メール等により移転できる仕組みの下で利用トラブルが生じやすい面もあると考えられる。発行者側において利用者が安心して利用できるサービスを提供するとの観点から、商品性の見直しやシステム面での対応の可能性等を含め、どのような対応が可能か検討すべきと考えられる。
  • 番号通知型においても、残高譲渡型と同様、対象を高額のものに限るのではなく、少額の取引を含めた上で、リスクベースでの取組みが求められると考えられる。
  • 以上を踏まえ、番号通知型について、不正利用防止等の観点から、残高譲渡型と同様の価値移転に焦点を当てた体制整備等を求める趣旨で、以下の対応が考えられる。
    1. 自家型・第三者型の前払式支払手段の発行者に対して、利用者が安心して利用できるサービスを提供するとの観点から発行額を少額にする等の商品性の見直しやシステム面での対応の検討等、転売を禁止する約款等の策定、転売等を含む利用状況のモニタリング、不正転売等が行われた場合の利用凍結等を行うとともに、利用者への注意喚起等を行う体制整備を求める。
    2. 当局として、商品性等から不正利用リスクが相対的に高いと考えられる前払式支払手段の発行者に対し、リスクに見合ったモニタリング体制が構築されているか等を確認するとともに、広くサービス利用者等に対し、転売サイトの利用等を控えるよう周知徹底を図る。
  • なお、番号通知型(狭義)に関しては、発行者等から買取業者・転売サイト等の買取り(第三者買取り)に対する強力な対策が必要であるとの意見が示された。これに対し、買取業者等は法規制の隙間で活動することが多く、発行者による買取り等の取組みが有益である等の指摘もある。まず商品性の見直し等の対応を行った上で、なお問題が残る場合には、発行者による業務の健全な運営に支障が生ずるおそれがない範囲内での買取り(現行制度で認められる払戻し)等の取組みを検討することが考えられる。この点、発行者による発行価格と同額での買取り(払戻し)は、第三者買取りが通常割引価格で行われることを踏まえると、これを利用するインセンティブを大きく減じさせ、有効な対策となる場合もあると考えられる
  • マネー・ローンダリング等のリスクについては、2014年の改正犯収法に基づき、2015年から国家公安委員会が犯罪収益移転危険度調査書を策定し、分析結果を公表している。この調査書の中においては、2015年以降、犯収法上の特定事業者(金融分野に限らず幅広い事業者が含まれる)137に加え、引き続き利用実態を注視すべき新たな技術を用いた商品・サービスとして電子マネー(前払式支払手段等)も記載されている。
  • マネー・ローンダリング等は、一般に、その対策が脆弱な部分が狙われる側面があり、AML/CFTは提供されるサービスの機能に着目して横断的に検討する必要がある。前払式支払手段に関しても、デジタル技術を活用した様々なサービス提供手段が生じてきている現状を踏まえ、AML/CFTの観点からの適切な規律のあり方を検討することが必要と考えられる。その際、国際的にも、マネー・ローンダリングを行う者は非常に巧妙に当局の対策を迂回する新しいスキームを作り出すとされ、当局が包括的かつ十分な法的な権限・規制上の権限を持ち、かつ、柔軟な制度を持つことの重要性が強調されていることを踏まえた検討を行う必要がある。
  • 国際連合の条約によれば、締約国は、犯罪収益である財産の不正な起源を隠匿し若しくは偽装する目的等で当該財産を転換し又は移転すること等の行為を犯罪とするための立法措置等が求められている。また、この犯罪収益は、一般に、違法な武器売買、密輸、組織犯罪のほか、横領、インサイダー取引、賄賂、コンピューター犯罪等非常に幅広いものが念頭に置かれている。AML/CFTの観点からは、換金できるか否かにかかわらず、幅広く対策を講じることが求められる。この点、前払式支払手段は払戻しが認められておらず、マネー・ローンダリング等に係るリスクは相対的に限定されているとの考え方は、我が国で幅広く利用され、電子的に譲渡・移転ができず、チャージ上限を少額に設定する小口決済型の前払式支払手段(例:交通系ICカード)には当てはまるものの、それ以外の前払式支払手段には当てはまらないと考えられる。リスクに応じた対応を検討する必要がある。
  • こうした観点を踏まえ、従来、犯収法に基づく取引時確認(本人確認)義務や疑わしい取引の届出義務等は課さないこととされていた前払式支払手段発行者についても、銀行・資金移動業者、暗号資産交換業者、クレジットカード事業者等を含む他の特定事業者との間で、マネー・ローンダリング等への対応の差異が拡大しないための対応が求められる。リスクベース・アプローチの下、利用者利便の観点や、前払式支払手段がキャッシュレス化やイノベーション創出に果たしている役割にも配慮しつつ、取引時確認(本人確認)や疑わしい取引の届出義務等が必要となる高額電子移転可能型前払式支払手段の範囲を定めることが考えられる。
  • いわゆる国際ブランドの前払式支払手段(番号通知型(狭義)に準ずる前払式支払手段に該当)は、同ブランドのクレジットカードと同じ機能を提供しており、マネー・ローンダリング等の観点からは、少なくとも同じ危険度があると考えられる。また、近年、数千万円規模の高額なチャージを可能とする国際ブランドの前払式支払手段もサービス提供されている。同じリスクに対しては同じ対応を求める必要がある。
  • マネー・ローンダリング等の防止の観点からは、権利や価値が移転する一連の過程を追跡できることが重要であり、本人確認を経ないアカウント等に基づくモニタリングでは、その効果に限界がある。例えば、犯罪収益移転危険度調査書においては、危険度の高い取引の顧客の属性として反社会的勢力(暴力団等)を指摘している。金融庁が検査で把握した事例では、電子移転可能型前払式支払手段のサービスから犯収法上の取引時確認(本人確認)を経て資金移動業のサービスに移行した利用者の中に反社会的勢力と評価される者が確認され、サービス利用を停止した事例がある。本人確認等を行うことなく、反社会的勢力に対する前払式支払手段の価値・残高の移転等を防止することには限界がある。
  • 高額電子移転可能型前払式支払手段の範囲については、支払手段の電子的な譲渡・移転を反復継続して行う場合、マネー・ローンダリング等に悪用されるリスクが特に高くなると考えられる。こうした観点から、対象範囲の検討にあたっては、残高譲渡型はチャージしたアカウントから他のアカウントに電子的に残高を移転する行為に着目し146、番号通知型は電子的にアカウントにチャージする行為に着目することが適切と考えられる。
  • 高額の水準の考え方について、現金を持ち込んで銀行送金する場合は、10万円超の送金に対して取引時確認(本人確認)を求める犯収法の考え方を参考に、1回当たりの譲渡額・チャージ額を10万円超とすることが考えられる。また、同一の機能・リスクに対しては同一のルールという考え方に基づき、電子移転可能型前払式支払手段と機能が類似する資金移動業者・クレジットカード事業者に関する制度や利用実態等を踏まえ、1か月当たりの譲渡額・チャージ額の累計額を30万円超148とすることが考えられる。
  • AML/CFTに関しては、国際的に、マネー・ローンダリング等を行う者が非常に巧妙に当局の対策を迂回する新しいスキームを作り出してきていること等を踏まえ、当局として、包括的かつ十分な法的な権限・規制上の権限を持ち、かつ、柔軟な制度を持つことの重要性が強調されている。高額電子移転可能型前払式支払手段は、現時点において特にリスクが高いものとして切り出したものであって、それに属さない前払式支払手段のマネー・ローンダリング等のリスクが低いことを示すわけではない。今後とも、マネー・ローンダリング等に係るリスク環境の変化や前払式支払手段のサービス提供状況等を踏まえ、不断の制度見直しを機動的かつ柔軟に行っていくことが重要である。

金融庁 金融審議会「公認会計士制度部会」報告の公表について
▼金融審議会公認会計士制度部会報告(概要)
  • 会計監査を取り巻く経済社会情勢の変化を踏まえ、会計監査の信頼性確保や公認会計士の一層の能力発揮・能力向上に資する公認会計士制度を実現
  • 会計監査の信頼性確保
  • 上場会社監査に関する登録制の導入
    1. 上場会社監査について、法律上の登録制を導入。
      • 登録に際し、日本公認会計士協会が適格性を確認。
      • 上場会社の監査事務所に対し、監査法人のガバナンス・コードの受入れなどの体制整備や情報開示の充実を規律付け。
    2. 公認会計士・監査審査会によるモニタリング
      • 公認会計士・監査審査会の立入検査権限等の見直し
  • 公認会計士の能力発揮・能力向上
    1. 監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限の見直し
      • 背景:共働き世帯の増加、監査法人の大規模化
      • 監査に関与する社員等に業務制限の対象を限定。(現行制度は、監査に関与するか否かを問わず、全社員が対象)
    2. その他の事項
      • 企業等に勤務している公認会計士の登録事項に「勤務先」を追加
      • 資格要件である実務経験期間の見直し(2年以上→3年以上)
      • 継続的専門研修の受講状況が不適当な者等の登録抹消規定の整備
      • 日本公認会計士協会による会計教育活動の推進(協会の会則記載事項として会計教育活動を位置づけ)

【2021年12月】

金融庁 「金融庁の1年(2020事務年度版)」の公表について
▼第8章 業態横断的な検査・監督をめぐる動き
  • マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策
    • 2019年10月から11月にかけては、FATF審査団により我が国におけるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策(以下、「マネロン等対策」という。)に係る当局・民間事業者の取組みの有効性等のオンサイト審査が実施され、その後、同審査を踏まえた我が国のマネロン等対策の現状、課題等について、FATF審査団と金融庁を含む関係省庁との議論を行った。
    • こうした中、金融庁においては、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」という。)に基づき、金融機関等ごとの取引実態及びマネロン等対策の実施状況等に係る定量・定性情報等を踏まえ、リスクベースでのモニタリングを実施した。こうしたモニタリングを通じ、金融機関等の対応に一定の進捗が認められたが、例えば、リスクの特定・評価、継続的な顧客管理、取引モニタリング、疑わしい取引の届出等に課題・検討事項も認められている。
    • これらの課題・検討事項等を踏まえ、金融機関の実効的な態勢整備を図る観点から、2021年2月にガイドラインを改正するとともに、同年3月に「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」を策定し、金融機関に求める水準の明確化を行った。また、当初のガイドラインの策定・公表から3年が経過し、金融機関等において態勢整備への意識が浸透してきたことから、2024年3月までに、ガイドラインで「対応が求められる事項」とした事項への対応を完了させ、態勢を整備するよう文書等で要請した。
    • また、各金融機関が取引モニタリングシステム等を共同利用することによりマネロン等対策の高度化・効率化を検証する政府の実証事業について、関係者の支援を行ったほか、実用化に向けて規制・監督上の論点整理に着手した。また、金融機関との意見交換会、業界団体での勉強会及びマネロン対応高度化官民連絡会等を通じて、官民の連携を図った。
    • さらに、金融機関等がマネロン等対策を円滑に進めるためには、一般利用者の理解と協力が不可欠であるとの認識に基づき、取引内容、状況等に応じた取引時確認の必要性を説明して理解を求める「銀行をご利用のお客さまへのお知らせ」を全国銀行協会と連名で作成し、金融機関等において一般の利用者に配布した。また、新聞広告、Web広告及び店頭動画での周知を全国銀行協会と連名で行った。
  • 金融分野におけるサイバーセキュリティ強化に関する取組み
    • 2020事務年度は、引続き、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、平時における「サイバーセキュリティ管理態勢」、有事における「インシデント対応能力」の強化を通じて、金融機関のサイバーセキュリティ対策の実効性向上に取り組んだ。
    • 平時における対応として、地域金融機関に対しては、各協会とも連携し、脆弱性診断等の実効性向上への取組みの定着を図るとともに、サイバーセキュリティ対策の取組みに進展が見られる先との意見交換を通じて、プラクティスを収集し、好事例を還元した。また、サイバー攻撃の脅威が高まっていることを踏まえ、検査を実施した。
    • 大手金融機関に対しては、通年検査にて、グループ・グローバルベースでのサイバーセキュリティに関するリスク管理の高度化やサイバーレジリエンスの強化を促した。
    • 有事における対応として、「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習」(DeltaWallⅤ)を、テレワーク環境下で実施し、参加金融機関におけるインシデント発生時の顧客対応や部門間及び組織外部との連携の実効性等を確認した。また、国際的な議論への貢献・対応として、G7やG20といった国際的な場でもサイバーセキュリティ確保に向けた取組みを進めた。
  • システムリスク管理態勢の強化
    • 大規模なシステム障害の発生を踏まえ、預金取扱金融機関に対し、システム障害発生リスクを低減させることのみならず、障害が起き得ることを前提とした上で、システム変更の際の十分な事前確認や、障害発生時の顧客影響を最小限にとどめるための計画の準備といった事項について、必要な点検を促す等、適切なシステムリスク管理態勢の整備を促した。
    • 金融機関・取引所からのシステム障害報告等に基づき、障害の復旧状況の確認や障害の真因、事後改善策等に関するヒアリングを実施し、分析するとともに、その結果概要を事例集として公表した(2021年6月)。
  • フィデューシャリー・デューティー
    • 「顧客本位の業務運営に関する原則」(以下、「原則」という)の策定以降、多くの金融機関が原則を採択して取組方針を策定した。原則において、金融事業者は、顧客との取引に際し、顧客本位の良質なサービスを提供し、顧客の最善の利益を図ることにより、自らの安定した顧客基盤と収益の確保に繋げていくことを目指すべきとされている。このように、顧客本位の業務運営の推進が、持続可能なビジネスモデルに繋がっていくことを目指すことが重要である。
    • こうした中、金融機関においては、積立投資信託の利用顧客の増加、業績評価体系の販売時収益から預り資産残高の重視へのシフト等、業務運営に大きな変化が窺われる。一方で、顧客はこうした金融機関の取組みの変化を必ずしも認識していない現状、金融機関の預り資産残高が全体として横ばいである状況など、これらの取組みの成果が十分に現れていない面もみられる。また、2020年8月に公表された「金融審議会市場ワーキング・グループ」の報告書では、金融機関が公表している取組方針等についても、改善の余地があると指摘されている。
    • こうした状況を踏まえ、当庁では、販売会社に対して、顧客本位の業務運営に関する経営戦略上の位置付けや、顧客の資産形成と持続的な業務を両立させるための中長期的なビジネスモデルのあり方などに関するモニタリングを実施するとともに、実際の取組内容の把握に努めた。
    • 更に、金融機関の顧客が資産運用にどのような認識のもと行動しているか、金融機関の取組みをどのように評価しているか等を確認するため、顧客意識調査も実施した。他方、「金融審議会市場ワーキング・グループ」の報告書及び原則の改訂を踏まえ、2021年4月に「顧客本位の業務運営のさらなる浸透・定着に向けた取組みについて」を公表し、新しい「金融事業者リスト」の公表に関する考え方や当庁における好事例分析に当たってのポイント等を示した。こうした取組みの「見える化」等を通じて、良質な金融商品・サービスの提供に向けた金融機関間の競争が促されることが重要である。
    • これらの活動の中で把握した事実や課題等については、分析を行った上で、2021年6月に「投資信託等の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果について」において公表した。
  • コンプライアンス・リスク管理上の課題と取組み
    • コンプライアンス・リスク管理については、「コンプライアンス・リスク管理に関する検査・監督の考え方と進め方」(以下、「基本方針」という。)に基づき、具体的な事例や、そこから抽出される課題などについて、「コンプライアンス・リスク管理に関する傾向と課題」といった形で公表を行っている。
    • 2020事務年度においては、金融機関あるいは金融業界において潜在化している可能性のあるコンプライアンス・リスクの所在について、預金取扱金融機関等との意見交換を通じて情報収集を行った。引き続き、こうした意見交換を通じて、基本方針において示した着眼点や問題意識も踏まえつつ、法令等の既存のルールの遵守にとどまらない実効的なコンプライアンス・リスク管理のあり方について、必要に応じて対話を実施していく。
▼第19章 金融に関する国際的な議論
  • 金融安定理事会(FSB)
    1. 気候変動
      • 2019年10月より、脆弱性評価に係る常設委員会(SCAV:Standing Committee on Assessment of Vulnerabilities)の下で、気候変動リスクの金融安定への含意に関する分析が行われ、2020年7月に「金融安定モニタリングにおける物理リスク及び移行リスクの考慮に係る金融当局の取組みに関するストックテイク報告書」、11月には「気候変動の金融安定に対するインプリケーション」を公表した。
      • さらには、気候変動関連データの入手可能性やデータギャップに関する検討が進められているほか、2021年2月より、SRCの下で、気候変動リスクの規制・監督及び気候関連情報開示に関する作業も始動している。
    2. 金融技術革新
      • [ステーブルコイン]
        • 2019年の暗号資産に関連した新たな構想の出現を踏まえた対応として、いわゆる「グローバル・ステーブルコイン」に関しては、2019年10月、G20財務大臣・中央銀行総裁会議において、政策及び規制上のリスクがサービス開始前に適切に対処される必要があること、2020年におけるFSB等の更なる報告を求めることが合意された。その後、SRC傘下の作業部会で作業が進められ、2020年4月から7月にかけて市中協議が行われた後、2020年10月に規制・監督等に係る10の提言を含む「『グローバル・ステーブルコイン』の規制・監督・監視-最終報告とハイレベルな勧告」が公表された。
      • [BigTech/SupTech]
        • BigTechの新興国市場への参入やSupTech/RegTechの金融システム安定への含意について、SCAVの下で分析が進められ、2020年10月に、それぞれ「新興国におけるBigTech企業」、「当局・金融機関によるSupTech・RegTechの活用」が公表された。
    3. クロスボーダー送金の改善
      • FSBは、2020年2月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議において、送金を含む、より安価で、迅速な資金移動を促進するよう、グローバルなクロスボーダー決済を改善する必要性が指摘されたことを受け、決済・市場インフラ委員会(CPMI)やその他の関係基準設定主体や国際機関と協調して作業を開始した。2020年10月のG20において、19の構成要素から成り、ハイレベルなアクションプランとタイ-ムラインを提示した「クロスボーダー送金の改善:ロードマップ-G20向け第三次報告書」が承認された。2021年5月には、クロスボーダー送金の4つの課題(コスト、スピード、透明性、アクセス)に対処するための定量目標を定めた市中協議文書「クロスボーダー送金の4つの課題の対処に向けた目標」を公表した。
    4. アウトソーシング/サイバー
      • 金融機関によるクラウド利用の金融システム安定への含意について2019年12月に「クラウドサービス利用における第三者サービスへの依存:金融安定への影響に関する考察」が公表された後、SRC傘下の作業部会で、クラウドを含むアウトソーシング・サードパーティ全般を対象に規制・監督アプローチに関する分析が進められ、2020年11月に「アウトソーシング・サードパーティに関する規制・監督上の論点」が公表された。その後の市中協議及び民間を交えた会合で挙げられた意見を取り纏め、2021年6月に「アウトソーシング・サードパーティに関する規制・監督上の論点(市中協議に寄せられた意見の概要)」が公表された。また、SRC傘下の作業部会で、サイバー事象への初動・回復対応に関する分析が行われ、2020年4月から7月にかけて市中協議が行われた後、2020年10月に「サイバー事象への初動と回復に関する効果的な実務」が公表された。
    5. 市場の分断
      • 世界金融危機以降、G20は、金融規制改革を進め、国際共通ルールに合意し、持続的な経済成長の基盤である「開かれた強靭な金融システム」の維持・強化を目指してきたが、一方で、各国における取組みが金融市場を分断させるリスクを懸念する声が高まっている。こうした中、金融市場の分断が、危機時に流動性の低下等を通じ金融システムの安定性を脅かすことや、金融仲介機能の効率性を損なうことを回避する取組みの必要性について日本から問題提起を行い、2019年日本議長国下のG20財務トラックの優先課題の一つに「市場分断の回避」を設定した。委嘱を受けたFSB及びIOSCOが同年6月G20に提出した報告書に基づき、各主体において議論が進められてきた。2020年にFSBは、各国のコロナ対応施策に起因する市場の分断を最小化する観点から施策のレポジトリを設置し、当局間の情報交換を促進してきた。市場の分断に関する各作業の状況は、IOSCOによる各国当局の規制・監督への「依拠」に関する好事例の特定等に関する報告書とともに、2020年10月のG20財務大臣・中央銀行総裁会議に報告された。
  • バーゼル銀行監督委員会(BCBS)
    1. 気候関連金融リスク
      • 気候関連金融リスクについては、2020年2月にタスクフォースを設置し、同年4月に各国当局の取組状況をとりまとめたレポートを公表している。2021年4月には、「気候関連金融リスクの波及経路」及び「気候関連金融リスクの計測手法」と題する分析報告書を公表した。これらの文書は、学界や当局の先行研究、金融機関との対話や他の国際的な機関による成果物をもとに分析した結果をまとめている。
      • 「気候関連金融リスクの波及経路」は、気候関連金融リスクがどのように発生し、銀行及び銀行システムに影響を及ぼすかについて分析しており、「気候関連金融リスクの計測手法」は、気候関連金融リスクの計測における課題と、銀行及び各国当局の計測手法の実務の現状についてまとめている。
      • バーゼル委員会は、これらの文書を踏まえて規制、監督、開示の観点から検討を行っていく予定としている。
    2. オペレーショナル・レジリエンス及びオペレーショナル・リスク
      • バーゼル委員会は、2020年8月より実施されていた市中協議の結果を踏まえ、3月31日、「オペレーショナル・レジリエンスのための諸原則」及び「健全なオペレーショナル・リスク管理のための諸原則の改訂」と題する最終文書を公表。
      • 「オペレーショナル・レジリエンスのための諸原則」は、サイバー攻撃や自然災害などの発生時における銀行の重要業務の継続について、銀行に対して求める計7の原則(ガバナンス、オペレーショナル・リスク管理、業務継続計画とテスト、相互連関性の特定、サードパーティ依存度の管理、インシデント管理、サイバーを含む情報通信技術のセキュリティ対応)を示している。また、「健全なオペレーショナル・リスク管理のための諸原則」は、2003年に策定され、2011年に改訂された版について、情報通信技術の進展などを踏まえ、今般、改訂している。
    3. 暗号資産
      • バーゼル委員会は、2019年12月に、「暗号資産に係るプルデンシャルな取扱いのデザイン」と題するディスカッション・ペーパーを公表。その後、具体的な規制・監督上の措置のあり方について検討が進められてきた。今般、2021年6月、暗号資産エクスポージャーのプルデンシャルな取扱いに係る市中協議文書を公表した。
      • 市中協議文書では、暗号資産を伝統的資産にリンクするものとして設計され規制・監督に服しているものとそれ以外に分け、後者については保守的な取扱いとしている。バーゼル委員会としては、基本的に保守的な取扱いを提案しているが、暗号資産の分類方法など、規制の具体化に当たっては多くの論点もある。暗号資産は急速に発展していることもあり、バーゼル委員会は、今後、市中の意見や金融安定理事会(FSB)等の他の国際的な基準設定主体の議論を踏まえながら、更に検討を深めていくこととしている。
  • 金融活動作業部会(FATF)
    1. 暗号資産に関する議論
      • 2019年6月、暗号資産に関するFATF基準の採択を受け、業界との対話および基準遵守に向けた業界の取組みのモニタリング等のために、FATF政策企画部会(PDG)傘下にコンタクト・グループが設立された。当庁の羽渕国際政策管理官が同グループ共同議長を務め、本分野でのFATFでの議論を主導している。
      • 2021年6月には、上記コンタクト・グループのもとで、暗号資産に関するFATF基準(2019年6月最終化)のグローバルな実施状況とその課題に関する2回目の報告書が採択された(2021年7月公表)。また、FATFの暗号資産ガイダンス改訂作業においても、当庁がプロジェクト・リードを務め、市中協議案(2021年3月公表)の取り纏めに主導的な役割を果たした(2021年10月公表)。
    2. 「リスクベース・アプローチによる監督に関するガイダンス」について
      • 実効的なマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の実施においては、従来のルール・ベースの対応ではなく、リスクを適時・適切に特定・評価し、そのリスクに見合った低減措置を講ずる、いわゆる「リスクベース・アプローチ」の考え方が基本であり、リスクベース・アプローチによる監督強化が世界的な課題となっている。こうした中、FATFは、2021年3月4日、「リスクベース・アプローチによる監督に関するガイダンス」を公表した。
    3. その他の議論
      • 現在、FATFでは、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策分野のデジタル・トランスフォーメーションが優先課題の1つとなっており、官民におけるAML/CFTの実施をより効果的にする新技術の機会と課題に関する報告書、および、民間セクターにおけるAIやビックデータの活用促進に向けたデータプーリング・共同分析とデータプライバシー・保護にかかる報告書が2021年6月に採択された。
      • また、クロスボーダー送金にかかる課題(高コスト、スピード不足、透明性の欠如)について、G20での問題意識を受け、現在、FSB(金融安定理事会)を中心に、課題改善に向けた19の構成要素(Building Blocks(BB))に沿って、国際機関の協調の下、作業が進められている。このうち、BB5「AML/CFT規制の調和」について、FATFが主担当となって検討を進めている。

金融庁 「記述情報の開示の好事例集2021」の公表(サステナビリティ情報に関する開示)
▼(1)「気候変動関連」の開示例
  • 投資家・アナリストが期待する主な開示のポイント:気候変動関連
    • TCFD提言の4つの枠組みに沿った開示は有用
    • 気候変動リスクをどのようにモニタリングしているかを開示することは重要
    • リスクと機会の両面からの開示は、投資判断に欠かせない
    • 気候変動が自社にとってどのようなリスクがあり、戦略上重要なのかといった事実認識を開示すべき
    • リスクの増減がどのように財務に影響を与えるかを開示することが重要であり、定量的な財務影響の情報は投資判断にとっても非常に有用
    • 温室効果ガスの排出量等の過去の実績数値の開示は、企業価値の分析を行う上で有用な情報
  • TCFD提言(推奨される開示項目)
    1. ガバナンス
      • 気候関連のリスクと機会に係る当該組織のガバナンスを開示する
      • 気候関連のリスクと機会についての、当該組織取締役会による監視体制を説明する
      • 気候関連のリスクと機会を評価・管理する上での経営の役割を説明する
    2. 戦略
      • 気候関連のリスクと機会がもたらす当該組織の事業、戦略、財務計画への現在及び潜在的な影響を開示する
      • 当該組織が識別した、短期・中期・長期の気候関連のリスクと機会を説明する
      • 気候関連のリスクと機会が当該組織のビジネス・戦略及び財務計画に及ぼす影響を説明する
      • 2℃或いはそれを下回る将来の異なる気候シナリオを考慮し、当該組織の戦略のレジリエンスを説明する
    3. リスク管理
      • 気候関連リスクについて、当該組織がどのように識別、評価、及び管理しているかについて開示する
      • 当該組織が気候関連リスクを識別及び評価するプロセスを説明する
      • 当該組織が気候関連リスクを管理するプロセスを説明する
      • 当該組織が気候関連リスクを識別・評価・管理するプロセスが、当該組織の総合的リスク管理にどのように統合されているかについて説明する
    4. 指標と目標
      • 気候関連のリスクと機会を評価及び管理する際に用いる指標と目標について開示する
      • 当該組織が、自らの戦略とリスク管理プロセスに即して、気候関連のリスク及び機会を評価する際に用いる指標を開示する
      • Scope1、Scope2及び、当該組織に当てはまる場合はScope3の温室効果ガス(GHG)排出量と関連リスクについて説明する(注)Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出、Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出、Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
      • 当該組織が気候関連リスクと機会を管理するために用いる目標、及び目標に対する実績を開示する
  • J.フロント リテイリング株式会社 有価証券報告書(2021年2月期)
    1. 脱炭素社会の実現
      • 脱炭素社会をリードし次世代へつなぐ地球環境の創造
      • 私たちは、かけがえのない地球環境を次世代に引き継ぐため、再生可能エネルギーの調達拡大や、省エネルギーの徹底等に全社一丸となって取り組み、脱炭素社会の実現に貢献します。
    2. サーキュラー・エコノミーの推進
      • サーキュラー・エコノミーの推進による未来に向けたサステナブルな地球環境と企業成長の実現
      • 私たちは、お取引先様やお客様との協働により、新たな環境価値を生み出すための革新的なビジネスモデルを創造し、サーキュラー・エコノミーにおける競争優位性を獲得します。
    3. サプライチェーン全体のマネジメント
      • お取引先様とともに創造するサステナブルなサプライチェーンの実現
      • 私たちは、お取引先様とサステナビリティに対する考え方を共有し、共に社会的責任を果たすことを通じて、サプライチェーン全体で持続可能な未来の社会づくりに貢献します。
      • お取引先様とともに創造するサプライチェーン全体での脱炭素化の実現
      • 私たちは、お取引先様とともに、環境に配慮した製品やサービスの調達等に取り組むと同時に、再生可能エネルギー化、省エネルギー化に取り組み、サプライチェーン全体での脱炭素社会の実現に貢献します。
      • お取引先様とともにサプライチェーンで働く人々の人権と健康を守るWell-Beingの実現
      • 私たちは、お取引先様とともに、サプライチェーンで働く人々の人権が守られ、健康に働き続けることができる職場環境づくりを実現します。
    4. 地域社会との共生
      • 地域の皆様とともに店舗を基点とした人々が集う豊かな未来に向けた街づくりの実現
      • 私たちは、地域のコミュニティ、行政、NGO・NPOとともに、店舗を基点として、地域資産をいかした持続可能な街づくりに貢献します。また、地域の魅力を発掘・発信することで、街に集う人々にワクワクするあたらしい体験を提供します。
    5. お客様の健康・安全・安心なくらしの実現
      • 未来に向けたお客様の心と身体を満たすWellBeingなくらしの実現
      • 私たちは、お客様の心身ともに健康なくらし、安心なくらしに寄り添う高質で心地よい商品やサービスを提供することにより、お客様それぞれの自分らしいWell-Beingと心豊かなワクワクする未来を提案します。
      • 未来を見据え安全・安心でレジリエントな店づくりの実現
      • 私たちは、防災や感染症リスク、BCP(事業継続)に対応し、店舗のレジリエンスを高めます。また、それと同時にデジタルを活用したオペレーションを構築することで、安全・安心に配慮した新しい顧客接点を創造し、社会の期待に応える店づくりを推進します。
    6. ダイバーシティ&インクルージョンの推進
      • すべての人々がより互いの多様性を認め個性を柔軟に発揮できるダイバーシティに富んだ社会の実現
      • 私たちは、多様性と柔軟性をキーワードにステークホルダーすべての人がダイバーシティの本質である異なる個性や視点を大切にし、多様な能力を発揮できる企業をつくります。また、多様な個性や能力が相互に影響し、機能し合うこと(インクルージョン)により、イノベーションを生み出し、多様なお客様の期待に応え事業の成長を目指します。
    7. ワーク・ライフ・インテグレーションの実現
      • 多様性と柔軟性を実現する未来に向けた新しい働き方による従業員とその家族のWell-Beingの実現
      • 私たちは、ニューノーマル時代の新しい働き方として、多様性と柔軟性をキーワードにした働き方を促進し、同時に心身の健康を保ちます。これにより、従業員と家族のWell-Beingを実現し、組織の生産性向上につなげます。
  • 旭化成株式会社 有価証券報告書(2021年3月期)
    • 2020年度に実施した、サステナビリティに関する活動のうち、主なものは以下のとおりです。
      1. カーボンニュートラルでサステナブルな社会の実現に向けた活動
        1. 温室効果ガス(GHG)の削減
          • 持続可能な社会の実現に向けて、当社グループは2021年5月に、2050年時点でのカーボンニュートラル(実質排出ゼロ)を目指すことを表明しました。当社グループの事業活動に直接関わるGHG排出量であるScope1(自社によるGHGの直接排出)Scope2(他社から供給された電気・熱・蒸気の使用に伴う間接排出)を対象としています。カーボンニュートラルを実現するため、エネルギー使用量の削減、エネルギーの脱炭素化、製造プロセスの革新、高付加価値/低炭素型事業へのシフトなど、実現に向けたロードマップを策定し、目標達成に向けて取り組みを加速させていきます。また、2030年には、2013年度対比でGHGの排出を30%以上削減することを目指します。
          • 2020年度の具体的な取り組みとしては、当社グループが保有する火力発電所のうち、石炭を燃料とするものについて、CO2排出の少ない液化天然ガス(LNG)に転換するための工事を行っています。当社グループが保有する水力発電設備については、今後も長く活用できるよう、設備の更新と効率化の工事に取り組んでいます。さらに、集合住宅「ヘーベルメゾン™」の屋根に当社グループの太陽光発電設備を設置し、発電した電力を当社グループの川崎製造所に供給することで、再生可能エネルギーの活用を推進する取り組みを開始しました。経営管理制度においては、GHG排出削減を加速するため、設備投資の採算性の検討に社内炭素価格の導入を開始しました。
          • カーボンニュートラル実現に向けた事業化の検討も加速しています。水素関連においては、福島県双葉郡浪江町「福島水素エネルギー研究フィールド」における世界最大規模のアルカリ水電解水素製造システムによる水素供給(グリーン水素の製造)を開始したほか、2021年4月に事業開発強化のためのグリーンソリューションプロジェクトを立ち上げました。加えて、CO2分離・回収システムの開発、次世代CO2ケミストリー技術等の環境貢献技術・製品の開発にも注力しています。
          • 一方、当社グループの既存の製品やサービスで世界のGHG排出削減に貢献することも重点テーマとしています。第三者の専門家の視点を入れて、GHG排出削減効果を期待できる製品・サービスであることの効果算定の妥当性等を確認し、妥当性を確認できた製品やサービスは「環境貢献製品」として広く拡大・普及することを進めています。2020年度は7つの事業・製品を追加し、累積で13事業・製品を「環境貢献製品」として位置付けました。
          • なお、気候変動が企業の財務に与える影響を分析し開示する「TCFD提言」に基づく検討を、「マテリアル」セグメント、「住宅」セグメントで行い、結果を開示しました。詳細は、「2事業等のリスク (3) 当社グループ全体に係るリスク ① 気候変動リスク」をご参照ください。
      2. 当社グループ全体に係るリスク
        1. 気候変動リスク
          • 当社グループは、気候変動に関して生じる変化を重要なリスク要因として認識しています。当社グループは、2019年5月にTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)提言に賛同し、気候変動リスクを分析し、開示しました。なかでも、気候変動が事業に与える影響が比較的大きいと想定され、TCFD提言で開示が推奨されるセクターに該当する「マテリアル」セグメント、「住宅」セグメントについて、2つのシナリオに基づき気候変動が事業に及ぼす影響の分析、対応策の検討を行いました。
          • 産業革命前からの気温上昇を+2℃未満に抑えるシナリオ(主として移行リスク)においては、社会の脱炭素化に向けた規制強化によるコストの増加が、業績に影響を与える可能性があります(例:国際エネルギー機関(IEA)のシナリオに基づく炭素税水準を想定する場合、製造コストの増加は、最大年間600億円程度(2019年度温室効果額(GHG)排出量約4百万トン×炭素税$140/トン))。このようなリスクに対して、当社グループは、再生可能エネルギーの活用、エネルギー消費の低減、新たな工業プロセスの適用、事業ポートフォリオの転換等により、影響の抑制を図っていきます。また、脱炭素社会で必要となる電気自動車等の環境対応車の普及や、住宅等の建築物でのGHG排出抑制は、当社グループの高機能素材や住宅事業にとって、事業展開・拡大の機会であると分析しています。
          • 一方、温暖化が十分に防止されず、産業革命前からの気温上昇が+4℃となるシナリオ(主として物理的リスク)においては、風水害の甚大化による工場の被災・生産停止、原材料供給網の寸断、また、酷暑による住宅建設現場等での屋外作業の労働環境・生産性の悪化が懸念され、業績に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対して、当社グループは、BCP(事業継続計画)の継続的見直し、自然災害に対するレジリエンス向上、住宅建設の更なる工業化・デジタル技術の活用等により、影響の抑制を図っていきます。また、強靭性を特長とする住宅事業や、極めて高い断熱性を有する断熱材事業の展開・拡大の機会であると分析しています。
          • 以上のとおり、気候変動は、当社グループ経営に少なからずマイナスの影響を与えうると想定されるものの、多様な事業からなる事業ポートフォリオによりリスク対応が可能であることから、グループ全体に与える財務的なネガティブリスクは限定的と分析しています。一方で、多様な技術・事業によって、気候変動に関する新たな事業機会を獲得できるポテンシャルがあると認識しています。今後、「ヘルスケア」セグメントにも分析の範囲を広げるなど、検討内容の充実を図り、結果を開示していきます。
▼(2)「経営・人的資本・多様性等」の開示例
  • 投資家・アナリストが期待する主な開示のポイント:経営・人的資本・多様性等
    • サステナビリティ事項が企業の長期的な経営戦略とどのように結びついているかをストーリー性をもって開示することは重要
    • KPIについては、定量的な指標を時系列で開示することが重要
    • KPIの実績に対する評価と課題、それに対してどう取り組むのかといった開示は有用
    • 目標を修正した場合、その内容や理由を開示することは有用
    • 独自指標を数値化する場合、定義を明確にして開示することは重要
    • 女性活躍や多様性について、取り組む理由や目標数値の根拠に関する開示は有用
    • 人的資本投資について、従業員の満足度やウェルビーイングに関する開示は有用
    • 人権問題やサプライチェーンマネジメントについて、自社の取組みに関する開示は有用
  • オムロン株式会社 有価証券報告書(2021年3月期)
    • 人財マネジメントにおいて、人権の尊重と労働慣行という社会的課題に対して、人権デューデリジェンスのプロセスを構築しました。人権デューデリジェンスとは、企業活動を通じて人権に与えうるマイナス影響を認識し、防止し、対処するために企業が実施すべきプロセスです。この人権デューデリジェンスのプロセスにより、グローバルで人権リスク分析を行い、2020年度は全生産拠点の25拠点のセルフアセスメントを実施しました。課題がある拠点は対策を検討し、是正措置を実施しています。また、この活動の対象は自社従業員に留まらず、国内グループ会社においては、派遣会社・委託先の従業員に対する取組みへと拡大しています。この活動を通じて、当社グループで働くすべての人たちの人権が尊重されたよりよい職場環境を実現してきました。2021年度以降は、この取組みをバリューチェーンにも広げ、当社グループのビジネスに関わる人たちの人権の尊重を徹底していきます。
    • その他、人財アトラクションと育成において、海外重要ポジションに占める現地化比率:3分の2(66%)の目標に対して計画的交代実施が定着し、4分の3(75%)を達成しました。また、ダイバーシティ&インクルージョンについては、女性管理職比率:8%(グループ国内)の目標に対して、6.7%(グループ国内)になりました。女性若手社員のキャリア開発意欲が高まりつつあるものの、中長期的な候補者母集団の形成が課題となっています。これらについては、引き続き目標を設けて取り組んでいきます。サプライチェーンマネジメントについては、全重要仕入先におけるサステナビリティセルフチェックで目標点(85点:ローリスク化)が達成でき、サプライチェーンでのサステナビリティが確実に前進できました。
  • 人財マネジメント
    1. 人財アトラクションと育成
      • 企業理念実践に向けたTOGA(The OMRON Global Awardsの略で、仕事を通じて企業理念の実践にチャレンジし続ける風土を醸成するためのグローバル全社員参加型の取り組み)の発展的継続 →2020年12月に開催された2019年度グローバル大会には社外ゲスト200名を含め過去最大の16,000名が参加。共感・共鳴の輪の拡がりが確実に加速した。2020年度テーマエントリーについては 6,461件(51,033名)
      • 海外重要ポジションに占める現地化比率:3分の2(66%) →現地化比率 4分の3(75%)
      • 社員向けエンゲージメントサーベイ実施によるPDCA加速 →回答率 : 90% 社員の声を聴いて改善するサイクルが定着
    2. ダイバーシティ&インクルージョン
      • 女性管理職比率:8%(グループ国内) →6.7%(グループ国内、2021年4月20日時点実績)
      • 障がい者雇用率:法定雇用率以上の雇用人数拡大(グループ国内) →障がい者雇用率 : 3.0%(法定雇用率2.2%)
    3. 従業員の健康
      • 健康経営の浸透度の向上(Boost5(心身の健康状態を把握するための重点テーマ5項目(運動、睡眠、メンタルヘルス、食事、タバコ)を選定し、指標化したもの)をベースにした活動をグローバルに浸透) →Boost5の3項目以上達者:45.3%。コロナの影響もあり運動と食事に課題。海外では社員の健康意識を高めるオンライン・イベントを提供
    4. 労働安全衛生
      • OSH国際規格認証取得生産拠点数:生産高80%を占める拠点での取得 →生産高80%以上を占める拠点の認証取得完了
      • 推進人財の継続配置(全対象サイト) →労働安全衛生マネジメント人財配置の維持継続
  • ものづくり・環境
    1. 製品安全・品質
      • 新規開発品の製品安全アセスメント実施率 : 100% →新規開発品の製品安全アセスメント:100%実施
      • 製品安全アセスメントの進化 →新規開発品への適用101件、運用定着を確認
    2. サプライチェーンマネジメント
      • 重要仕入先に対するサステナビリティセルフチェック実施 : 100%実施 →重要仕入先に対してセルフチェック100%実施
      • サステナビリティセルフチェック点数:RBA(注3)で85点以上達成 →すべての重要仕入先においてRBA基準85点以上(ローリスク)達成
    3. 化学物質の適正な管理と削減
      • 電子体温計と電子血圧計等の普及による水銀削減 : 69t/年 →水銀削減 : 70t/年
      • フロン(CFC)の2018年度全廃、フロン(HCFC)、水銀(蛍光灯)の全廃 →1年前倒しでフロン、水銀の全廃完了
  • リスクマネジメント
    1. 誠実で公正な事業活動
      • グループガバナンスの飛躍的な進化 →OGR(オムロングループルール。マネジメントの透明性・公平性・グローバル性を確保し、適切で迅速な意思決定を行う経営基盤として制定した社内ルール)整備とグローバル浸透の仕組みの構築を完了
    2. 情報セキュリティ・個人情報保護
      • 新たな情報セキュリティ体制の構築 →法務やITなどの専門部署による施策推進、情報セキュリティ管理委員会による定常的活動など、明確化した責任に基づく活動が定着

金融庁 金融審議会「資金決済ワーキング・グループ」(第4回)議事次第
▼資料1 資金決済ワーキング・グループ報告(案)
  • マネー・ローンダリング等の犯罪については、一般に、その対策が十分でない銀行等が狙われる等の指摘がある。こうした観点から、各銀行等における単独での取組みに加え、銀行等が業界全体としてAML/CFTの底上げに取り組むこと意義がある。また、銀行等によるAML/CFTの実効性向上は、詐欺等の犯罪の未然防止や犯罪の関与者の捕捉に直結するほか、被害者の損害回復にも寄与するものであり、利用者保護の観点からも重要な意義を有する。
  • 銀行等によるAML/CFTについては、顧客管理と取引フィルタリング・取引モニタリングを組み合わせることで実効性を高めることが重要である。具体的には、各銀行等において、AML/CFTの基盤となる預金口座等に係る継続的な顧客管理を適切に行うこととあわせて、リスクベース・アプローチの考え方の下、一般にリスクが高いとされる為替取引に関する「取引フィルタリング」「取引モニタリング」について、システムを用いた高度化・効率化を図っていく必要がある。
  • これらの業務の中核的な部分を共同化して実施する主体(以下「共同機関」)の具体的業務内容としては、FATF審査の結果や共同化による実効性・業務効率向上の観点を踏まえ、銀行等の委託を受けて、為替取引に関して、以下の1・2の業務を対象とすることが考えられる。
    1. 顧客等が制裁対象者に該当するか否かを照合し、その結果を銀行等に通知する業務(取引フィルタリング業務)
    2. 取引に疑わしい点があるかどうかを分析し、その結果を銀行等に通知する業務(取引モニタリング業務)
  • なお、通常は、1の業務は、銀行等における制裁対象者との取引の未然防止の観点から、2の業務は、銀行等が行った取引について犯収法に定める疑わしい取引の届出の要否を判断する観点から、それぞれ行われることになるものと考えられる。
  • 犯収法等に基づくAML/CFTの履行義務は各銀行等に対して課されている。各銀行等はそれぞれの経営判断に基づき共同機関を利用することができるが、この場合、委託元の銀行等は、他の委託先と同様に、銀行法等に基づき、委託先である共同機関の業務の適正性を管理・監督することが求められ、当局は、委託元の銀行等の管理・監督を通じて、共同機関の業務の実施状況等を把握することとなる。
  • この点、共同機関が多数の銀行等から委託を受け、その業務の規模が大きくなる場合、銀行等による共同機関に対する管理・監督に係る責任の所在が不明瞭となり、その実効性が上がらないおそれがあるほか、共同機関の業務は、AML/CFT業務の中核的な部分を担うものであり、共同機関の業務が適切に行われなければ、日本の金融システムに与える影響が大きいものとなり得る、と考えられる。
  • このような場合を念頭に置いて、一定以上の規模等の共同機関に対する業規制を導入し、当局による直接の検査・監督等を及ぼすことで、その業務運営の質を確保する制度的手当てを行う必要があると考えられる。こうした対応は、金融のデジタル化の進展や、マネー・ローンダリング等の手口の巧妙化を踏まえ、国際的にもより高い水準が求められるAML/CFTの適切な実施にも資するものと考えられる。
  • 共同機関が、各銀行等から提供を受けた個人データを、各銀行等から委託された業務の範囲内でのみ取り扱い、各銀行等別に分別管理する(他の銀行等のものと混ぜない)、各銀行等の取引等を分析した結果(個人データを含む)は、委託元の各銀
  • 行等にのみ通知する(他の銀行等と共有しない)場合には、一般論として、銀行等の行為は「利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託することに伴って当該個人データが提供される場合」に該当すると考えられ、銀行等は、あらかじめその利用者の同意を得ることなく、当該個人データを共同機関に提供することができると考えられる。
  • 共同機関が、ある一つの銀行等からの委託を受けて、当該銀行等の利用者の個人情報を機械学習の学習用データセットとして用いて、当該銀行等のために生成した学習済みパラメータ(重み係数)を、共同機関内で共有し、他の銀行等からの委託を受けて行う分析にも活用する場合には、一般論として、当該パラメータと特定の個人との対応関係が排斥されている限りにおいては、「個人情報」にも該当しないと考えられ、銀行等は、あらかじめその利用者の同意を得ることなく、当該パラメータを共同機関内で共有し、他の銀行等の分析に活用することができると考えられる。
  • このように、共同機関においては、業規制等に基づく適切な規制・監督等の下で、各銀行等から共同機関に提供される個人情報は、分別管理し、他の銀行等と共有しない、さらに、共同化によるメリットの一つである分析の実効性向上を図る観点から、これに資するノウハウを特定の個人との対応関係が排斥された形(個人情報ではない形)で共有する、ことにより、個人情報の保護を適切に図りつつ、プライバシーにも配慮した形で、共同化によるAML/CFTの実効性向上等との適切なバランスが確保されるものと考えられる。
  • 分散台帳を利用した金融サービスに関しては、送金・決済の分野において、近年、法定通貨と価値の連動等を目指すステーブルコインを用いた取引が、米国等で急速に拡大している。こうしたステーブルコインのユースケースを見ると、暗号資産取引の一環として使われているケースが多いと考えられる。こういった取引に関しては、顧客から受け入れた資金を適切に保全していない事業者が存在するという指摘や、現時点では、ビットコイン等の暗号資産と同様にパーミッションレス型の分散台帳上で流通しており、FATF等において、マネー・ローンダリング等のリスクが高いという指摘がなされている。一方で、パーミッション型の分散台帳を用いて、こうした利用者保護上の問題点やAML/CFTの課題に対応し得る形で、証券決済や企業間決済での利用を目指して実証実験等が行われている。こうした動きを踏まえ、将来的には幅広い分野で送金・決済手段として用いられる可能性も指摘されている。
  • 国際的には、Facebook社(当時)を中心としたリブラ構想(2019年6月公表)以後、G20及び金融安定理事会(FSB)、FATF等の国際基準設定主体において、いわゆるグローバル・ステーブルコインへの対応について議論が行われている。欧州連合(EU)では、2020年9月にステーブルコインを含む暗号資産の規制案が公表され、米国でも、2021年11月に大統領金融市場作業部会(PWG)が決済用ステーブルコイン(Payment stable coins)の発行者を、銀行を始めとする預金保険対象の預金取扱金融機関に限定する等の規制方針等を示した報告書を公表している。
  • いわゆるステーブルコインについて明確な定義は存在しないが、一般的には、特定の資産と関連して価値の安定を目的とするデジタルアセットで分散台帳技術(又はこれと類似の技術)を用いているものをいうものと考えられる。ステーブルコインと称するものには様々な仕組みのものがあり得る。こうしたステーブルコインのうち、法定通貨と価値の連動を目指すもの53については、既存のデジタルマネーと類似した機能を果たすと考えられ、我が国においてこれを発行・償還する行為には、銀行業免許又は資金移動業登録が必要である。
  • 一方、現行のデジタルマネーに関する我が国の法制度は、単一の主体によるサービス提供を想定しており、現在、米国等で発行・流通しているステーブルコインのように発行者と仲介者を別主体とするスキームに対する適用関係が明確でない。
  • 民間の発行するデジタルマネーに関して過不足ない制度整備を検討することは、利用者保護やAML/CFTの観点から必要な対応を行うことに加えて、民間事業者が、近年の関連する制度整備とあわせ、決済の効率化等に向けた様々の取組みを試行できる環境を整備する意義があると考えられる。
  • 国内における決済サービスの提供状況を見ると、全銀システム(内国為替取引取扱高)は2,927兆円、資金移動業者(国内送金取扱高)は1.2兆円、前払式支払手段(発行額)は25.8兆円となっている。また、国際的に検討が進む中央銀行デジタル通貨(CBDC)は民間デジタルマネーと共存が前提となっている。今回の制度整備によって、こうした決済サービスの利便性向上等に向けた取り組みにつながることが期待される。
  • デジタルマネー類似型は、分散台帳等を用いて「発行者」と「移転・管理を行う者」(以下「仲介者」)が分離した形態でサービスが提供されることが一般的であるが、全体としてみると、既存のデジタルマネーと同様に、社会で幅広く使用される電子的な送金・決済手段(以下「電子的支払手段」)としての機能を果たし得ると認められる。他方、既存のデジタルマネーは現時点では「発行者」と「仲介者」は同一であるが、将来的には「発行者」と「仲介者」を分離するモデルを模索する動きが広がる可能性もある。このため、「同じビジネス、同じリスクには同じルールを適用する(same business, same risk, same rule)」との考え方に基づき、法制度の検討に当たっては対象を「デジタルマネー類似型」に限定するのではなく、既存のデジタルマネーについても「発行者」と「仲介者」が分離し得ることを前提に検討を行う必要があると考えられる。
  • 電子的支払手段を発行・償還する行為は、現行法上、為替取引に該当し、銀行業免許又は資金移動業登録が求められる。米国及びEUにおいても、既存の銀行等が単一法定通貨建てのステーブルコインの発行者となるよう規制案の方向性が示されている。発行者の機能(発行、償還、価値安定の仕組みの提供)に関しては、利用者の発行者に対する償還請求権が明確に確保され、発行者又は仲介者の破綻時において利用者の償還請求権が適切に保護されることが重要である
  • 仲介者の機能に関して、暗号資産取引における暗号資産交換業者同様、取り扱う電子的支払手段に係る情報提供や適切なAML/CFT対応のほか、これらの前提となる適切な体制整備等(システム対応等含む)が確保されるべきと考えられる。さらに、海外発行のものを含め、利用者保護等の観点から、利用者財産の管理や情報提供等、必要な規律を及ぼすとともに、利用者保護等の観点から支障を及ぼすおそれのある電子的支払手段は取り扱わないこととすべきと考えられる。
  • 海外に所在する者が発行する電子的支払手段を仲介者が取り扱うことに関しては、発行者の破綻時等に利用者資産が適切に保護され、実務において利用者が円滑に償還を受けられることが重要となる。こうした観点から、現時点においては、基本的に、国内において発行者の拠点や資産保全等がなされることが求められると考えられる。それ以外の方策については、今後の諸外国における規制・監督体制の整備状況や実務上の観点等も踏まえ、引き続き、検討することが考えられる。
  • 特にAML/CFTの観点からの要請については、システム仕様等技術的に対応することにより実効的な対応が可能となると考えられる。そのための水準を満たす方法について、FATFでの議論を踏まえつつ、例えば、発行者及び仲介者のシステム仕様等を含めた体制整備において本人確認されていない利用者への移転を防止すること、本人確認されていない利用者に移転した残高については凍結処理を行うことといった事項を求めることを検討することが考えられる
  • 大規模に利用される又はクロスボーダーで決済等に使われ得る電子的支払手段に関しては、その発行・償還の金融市場への影響等を含め、金融システムの安定等へ与える影響が大きくなり得ることから、より高い規律が求められることとなる。また、プラットフォーマーを含む大規模な事業者による市場の寡占等の可能性を念頭においた議論も行う必要がある。
  • 日本銀行を含む各国の中央銀行がCBDCに関する実証実験等を行っている。その制度設計に当たっては、G7から公表された「リテール中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する公共政策上の原則」も踏まえ検討する必要がある。その際、金融システムの安定や利用者保護の観点からは、主として以下の論点について検討を行う必要があると考えられる。
    • 民間金融機関の金融仲介機能への影響や金融危機時等における影響などに対処すること
    • 民間の決済サービスとの共存によるイノベーションの促進の観点から、民間の創意工夫を促す柔軟な設計を検討すること
    • 利用者保護の観点等から権利義務関係を明確に規定すること
    • AML/CFTの要請に適切に対応すること
    • プライバシーへの配慮や個人情報保護との関係を整理すること
    • クロスボーダー決済等で使用される可能性を考慮すること
▼資料2-1 事務局説明資料
  • 前払式支払手段(IC型・サーバ型)には、価値の移転等が可能なもの(電子移転可能型)が存在。電子移転可能型のうち、高額のチャージや価値移転・譲渡が可能なもの(高額電子移転可能型)もあり、近年では、数千万円のチャージが可能なサービスも提供されている。クレジットカード事業者や資金移動業者等と異なり、犯収法(犯罪による収益の移転防止に関する法律)上の本人確認義務がないため、契約開始時においてリスクの高い取引に当たらないことを確認することが困難。
  • 番号通知型(狭義)に準ずるもの(いわゆる国際ブランドの前払式支払手段)は、同ブランドのクレジットカードと同様の機能を提供。クレジットカードに指摘される危険度と同様の危険度(マネロンリスク)があると考えられる。
  • 電子移転可能型前払式支払手段の発行と資金移動業を併せ行う電子マネー発行業者において、前払式支払手段のサービスから犯収法上の本人確認を経て資金移動業のサービスに移行しようとした利用者の中に、反社会的勢力と評価される者がおり、サービスの利用を停止した事例もある(事例は残高譲渡型で確認)。事業者等による本人確認等を行わない場合、反社会的勢力による前払式支払手段の悪用を防ぐことは困難であると考えられる。
  • 犯罪収益移転危険度調査書において、金融機関等による疑わしい取引の届出として、(1)架空名義・借名で締結した疑いが生じた取引、(2)暴力団等に係る取引、(3)取引の態様が不自然なもの等が、主に報告されている。契約開始時等の本人確認・その後の疑わしい取引の届出等によりマネロンリスクに対応している。
  • 疑わしい取引の届出受理件数(国家公安委員会・警察庁が受理したもの)は増加傾向。背景として、社会全体のコンプライアンス意識の向上に伴う監視態勢の強化や、研修会等の効果が指摘されている。
  • 疑わしい取引の届出受理件数(国家公安委員会・警察庁が受理したもの)を業態別にみると、預金取扱機関が最も多く、次いでクレジットカード事業者、貸金業者の順となっている。
  • 各特定事業者の業界団体では、その会員等に対し、ガイドブック・社内規程モデル等の作成・配布や研修会の実施など、マネー・ローンダリング対策を業界として向上させる取組みが継続的に行われている。
  • マネロン上のリスクが特に高い「高額のチャージや移転が可能なもの」(「高額電子移転可能型」)の発行者に対し、資金決済法において業務実施計画の届出を求めるとともに、犯収法に基づく本人確認等の規律の適用を検討する。同一の機能・リスクに対しては同一のルールという考え方に基づき、機能が類似する資金移動業者・クレジットカード事業者に関する現行制度や利用実態等を踏まえ、高額の考え方は、以下の通りとすることが考えられる。1回当たり譲渡額等が一定額(例:10万円超)、1か月当たり譲渡額等の累計額が一定額(例:30万円超)
  • [高額電子移転可能型前払式支払手段の定義](以下のア~オの全ての要件を満たす前払式支払手段)
    1. 第三者型前払式支払手段(電子機器その他の物に電磁的方法により記録されるものに限る)
    2. 電子情報処理組織を用いて移転することができるもの(1残高譲渡型、2番号通知型(狭義)及び3これに準ずるもの)
    3. アカウント(発行者が前払式支払手段に係る未使用残高を記載し、又は記録する口座をいう)において管理されるもの
    4. 上記3のアカウントは繰り返しのチャージ(リチャージ)が行えるものに限る
    5. 次の1~5に掲げる場合の区分に応じ、当該区分に定める要件のいずれかに該当するもの。
      1. 残高譲渡型の場合
        他のアカウントに移転できる額が一定の範囲を超えるもの(例:1回当たりの譲渡額が10万円超、又は、1か月当たりの譲渡額の累計額が30万円超のいずれかに該当)
      2. 番号通知型(狭義)の場合
        メール等で通知可能な前払式支払手段(ID番号等)によりアカウントにチャージする額が一定の範囲を超えるもの(例:1回当たりのチャージ額が10万円超、又は、1か月当たりのチャージ額の累計額が30万円超のいずれかに該当)
      3. 上記2に準ずるものの場合
        アカウントへのチャージ額・利用額が一定の範囲を超えるもの(例:1か月当たりのチャージ額の累計額、1か月当たりの利用額の累計額のいずれもが30万円超)

      ※ただし、上記1~3のいずれかに該当するものであっても、アカウントに係る未使用残高の上限額が一定額以下のもの(例:30万円以下)は、対象外(高額電子移転可能型前払式支払手段には該当しない)。

  • 残高譲渡型のサービスについて、計数の提供を受けた4社の合計でみると、月間合計件数は約23万件、月間合計金額は約8億円となっており、1件あたり1万円未満の譲渡が9割弱となっている。

金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼主要行等(令和3年11月10日)
  • 事業者支援について
    • 感染の落ち着きにより経済活動は徐々に再開されてきたが、事業者の状況については、引き続き、売上の回復スピードは緩やかであるといった、厳しい見方も聞かれている。政府では、まもなく経済対策を策定し、事業者への支援を行っていくが、地域経済と事業者の状況を丁寧に把握し、最適な支援を行っていただきたい。
  • 改めて、以下をお願いしたい。
    • コロナの影響により資金繰りが厳しい事業者の状況を十分に勘案し、事業者の立場に立った最大限柔軟な資金繰り支援を徹底すること、
    • 事業者の経営改善・事業再生・事業転換支援等を、スピード感をもって進めること
  • 還付金詐欺被害の増加について
    • 新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、在宅の機会が増えたことに乗じた還付金詐欺などの被害が増加する中、各行において、70歳以上の顧客についてATMにおける振込限度額を設定するなど、被害の拡大防止に向けた取組みを実施しているものと承知。
    • しかしながら警察庁の統計によれば、令和3年に入ってから、還付金詐欺の認知件数・被害金額が増加しており、特に60代後半の高齢者を狙った還付金詐欺が急増している
    • こうした犯罪被害の発生を防止するため、前述の被害状況を踏まえた預金者の啓発・注意喚起や、ATM周辺での携帯電話の利用自粛など、預金者の保護に向けた取組みを引き続き検討・実施いただきたい。
  • 電話転送サービスを悪用した不正送金について
    • 通信事業者の提供する電話転送サービスを悪用し、銀行が本人確認のために用いるIVR認証を不正に利用する手口が確認されている。
    • 関係省庁の協力・申入れもあって、現在、複数の通信事業者において、こうした電話転送サービスの悪用防止に向けた検討を進めているところ。
    • これまでに確認されてきた不正送金などの手口も踏まえ、例えば、IVR認証とSMS認証を併用したセキュリティの高度化を図るなど、いま一度、不正送金の防止に向けた対策の強化を検討いただきたい。
  • 国内不動産向け与信に関するモニタリング結果について
    • 長引くコロナ禍が経済活動に様々な影響を与える中、国内不動産向け与信に関しては、バブル崩壊時やリーマンショック時に多額の与信コストが発生したことも踏まえ、昨年に続けて実態把握を実施した。
    • その結果、以下が確認された。
    • 各行とも商業・ホテル関連の不動産について厳しい見方をしている一方、物流関連の不動産ではEコマース拡大による底堅い需要増を見込むなど、セクターによって市況認識が異なること
    • リーマンショック以降、与信先の選別やコベナンツ強化等の与信管理の改善に取り組んできたことから、引き続き与信コストの発生見込みは限定的であること
    • 各行とも、リスク管理を行いつつも資金需要にはしっかりと対応する方針に変わりないこと
    • 国内不動産向けについては、コロナ禍を契機とした不動産需要の変化に伴うリスクや、主要中銀の金融政策変更による海外からのマネーフローの変化などの不確実性に留意し、十分なリスク管理の下で、適切な金融仲介機能発揮を継続していただきたい。
  • 顧客本位の業務運営に関する「金融事業者リスト」の公表等について
    • 11月10日、金融庁ウェブサイトにて、9月に続き、「金融事業者リスト」を公表した。リストへの掲載対象は、顧客本位の業務運営に関する原則を採択した金融事業者でリストへの掲載を希望する旨の報告(9月30日期限)があった先のうち、原則の各項目と各金融事業者の取組方針との対応関係が明確であることが確認できた先のみとなる。
    • 9月の意見交換会で申し上げたとおり、「金融事業者リスト」の作成は、昨年8月の金融審議会市場ワーキング・グループ報告書の提言を踏まえている。金融事業者からの報告内容をみると、取組状況を検証、評価するのに役立つ事例も見受けられる。
    • 具体的には、例えば、「顧客にふさわしいサービスの提供(原則6)」におけるアフターフォローなどのサービスに関して、「定期的」や「丁寧」などといった抽象的・主観的な表現ではなく、どのような場合に実施するか・目的・内容等を具体的・定量的に示しているもの、更には、「動機づけの枠組み等(原則7)」について、業績評価の項目として、単に「顧客本位に資する」といった抽象的な説明ではなく、具体的な評価項目を示しているものがある。
    • 他方で、引き続き、「見える化」の施策が顧客向けであることが必ずしも理解されていないと見受けられる先もある。
    • 金融庁としては、取組状況のモニタリングも含め、金融事業者と対話を行い、好事例の公表を行う予定である。各金融機関においては、来年に向けて取組方針に基づく取組状況の整理を意識して対応していただきたい。
  • 10月開催のG20の成果物について
    • 10月に開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議及び首脳会議について、主要な成果である以下を紹介したい。
      1. サステナブルファイナンス
      2. クロスボーダー送金の改善
      3. FATFにおける暗号資産・ステーブルコインを巡る議論
      4. ノンバンク金融仲介
    • サステナブルファイナンス
      • G20傘下に設置されているG20サステナブルファイナンス作業部会(SFWG)が策定した「G20サステナブルファイナンスロードマップ」及び「統合レポート」が承認された。ロードマップでは、気候と持続可能性に関するSFWGの今後複数年にわたる作業計画等が示されている。
      • 具体的な項目として、わが国が主張してきたトランジションファイナンス、すなわち、脱炭素化に向け、グリーンかグリーンでないかという二元論でなく、排出削減が難しいセクターの着実な移行を支援する取組みの必要性が広く認識された。今後SFWGがトランジションファイナンスに関するハイレベル原則を策定する予定。
      • 今後の課題として、サステナブルファイナンスの対象を気候変動だけでなく、生物多様性や社会問題にも徐々に広げることの重要性が、G20で共通の認識となっている。10月31日に公表されたG20ローマ首脳宣言においては、特に生物多様性などに関する財務情報開示の作業の重要性が認識されている。このほか、COP26や、生物多様性に関して気候変動と同様に定量的な目標設定などを目指す国際会議(COP15)についても、その議論をぜひフォローしていただきたい。
    • クロスボーダー送金の改善
      • クロスボーダー送金の改善については、費用・速さ・透明性・アクセスの4つの課題の対処に向けた定量目標が承認され、2027年末までにグローバルな平均送金コストを1%以下に引き下げることを目指す等、野心的な目標となっている。まずは目標のモニタリングに必要なデータの収集方法等について日本銀行や民間決済事業者等と議論を行うなど、実現に向けて公的部門と民間部門の連携を進めてまいりたい。
    • FATFにおける暗号資産・ステーブルコインを巡る議論
      • FATFにおける暗号資産・ステーブルコインを巡る議論については、「2回目の12ヵ月レビュー報告書」(21年7月公表)及び「改訂暗号資産ガイダンス」(21年10月公表)の2つが公表された。前者の報告書は、特に暗号資産(と暗号資産交換業者)に係るFATF基準の早期実施を求めている。これを踏まえ、後者のガイダンスは、ステーブルコインがFATF基準の対象であること等を明記している。したがって、例えば本邦金融機関がステーブルコインを取り扱う場合には、当然、FATF基準の遵守が必要となり、本報告書及びガイダンスに沿った対応が期待されることとなる。なお、金融庁は、FATFにおいてこれらを担当するコンタクト・グループの共同議長として作業に貢献した。
    • ノンバンク金融仲介
      • ノンバンク金融仲介(NBFI)については、新型コロナウイルス感染症の拡大による昨年3月の市場の混乱を踏まえ、金融安定理事会(FSB)及び証券監督者国際機構(IOSCO)をはじめとする各基準設定主体において分析作業が進められ、G20首脳会議に進捗報告書が提出された。関連して、マネー・マーケット・ファンド(MMF)に関する政策オプションを示す最終報告書も公表されている。
    • G20/OECDコーポレートガバナンスコードの見直し
      • G20の財務大臣・中銀総裁及び首脳からは、G20/OECDコーポレートガバナンスコードの見直しへの期待が示された。コロナ後を見据えた経済回復に資する重要な作業であり、今後の企業運営に大きく関係するため、各金融機関の意見もよく伺いつつ、国際的な議論に貢献してまいりたい。
  • COP26の議論・成果物について
    • 10月31日から11月12日に開催されたCOP26(気候変動枠組条約締約国会議)について紹介したい。
    • 首脳級、大臣級、様々な会合が開催されたが、特に、11月3日、開催国である英国が「FinanceDay」と定め、行われた議論内容について共有したい。各国政府・団体主催の会議が行われ、気候変動問題へ対処するための公的・民間資金の役割について議論された。主な項目は2点
    • 一点目として、IFRS財団の傘下でサステナビリティ開示の基準を策定予定の国際サステナビリティ基準審議会(International Sustainability Standards Board)の設置が公表され、日本を含む各国政府や各基準設定主体が歓迎の意を表明した。
    • 二点目として、民間セクターでの取組みとして、マークカーニー前イングランド銀行総裁が議長を務め、日本の金融機関も参加しているGFANZ(The Glasgow Financial Alliance for Net Zero)の活動報告も行われた。民間資金の一層の拡大は、新たな産業・社会構造への転換を促すために不可欠なものである。こうした民間部門の取組みについて、引き続き情報をいただけると幸い。
    • 今後、COP26での議論を受けて、2050年ネットゼロに向けた官民の具体的な対策は実装段階に入っていく。金融庁としては、(1)排出削減が難しいセクターの着実な移行、すなわちトランジションファイナンス、(2)生物多様性などの気候変動以外のテーマの扱いについて、引き続き、各金融機関と連携して取り組んでまいりたい。
▼全国地方銀行協会(令和3年11月17日)/第二地方銀行協会(令和3年11月18日)
  • REVICareer(レビキャリ)の積極的な活用について
    • 金融庁は、令和2年度より「地域企業経営人材マッチング促進事業」を開始。大企業から地域の中堅・中小企業への人の流れを創出し、地域企業の経営人材確保を支援している。
    • 10月1日より、地域経済活性化支援機構(REVIC)に整備する大企業人材の情報登録システム(通称「REVICareer(レビキャリ)」)が本格稼働を開始。
    • 有料職業紹介事業の許可を受けている地域金融機関等が、大企業人材リストを閲覧することが可能となり、10月以降、多くの地域金融機関からレビキャリの利用申込をいただいており、協力に感謝申し上げる。
    • 年明けからは、地域金融機関が地域企業の求人情報をアップロードし、それを大企業が閲覧する機能がシステムに追加される予定。大企業からは、地域企業の求人ニーズを具体的に知ることができれば、社内での登録呼びかけをしやすくなるという意見もいただいている。将来的には、求人情報を閲覧した大企業側から地域金融機関へのアプローチも期待できると考えている。11月末には具体的な手続きについての説明会を行う予定としており、求人情報の積極的な登録に協力いただきたい。
    • レビキャリを積極的に活用いただきながら、人材マッチングも含めた地域企業の経営課題解決支援等に取り組んでいただきたい。
  • マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策について<第二地銀協のみ>
    • 継続的な顧客管理について
      • 継続的顧客管理については、マネロンガイドラインでも対応すべき事項の1つとして、2024年3月末までに態勢整備をお願いしている。
      • 3月に金融庁が公表した「マネロンガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」において、リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)という考え方を示しているが、その内容について、わかりづらいとの声があることは承知している。
      • そのような声を踏まえ、現在、SDDについて、よりわかりやすくお示しできないか検討を行っているところ。
    • マネロン広報について
      • 金融庁としても、政府広報含め、各業界団体と連携して、国民の皆様に、マネロン・テロ資金供与対策に係る確認手続きについて広報活動等を行う予定である。
      • 広報についても、金融業界から、より広く国民へ周知してほしいとの声があることから、その意見を踏まえ、今後の広報活動等について検討してまいりたい。
▼日本証券業協会(令和3年11月16日)
  • 証券会社を取り巻く足元の状況について
    • 証券会社の2021年9月期の決算を見ると、市場の好調を反映し、全体としては、業績が比較的好調だった会社が多いと認識。こうした状況の良いときこそ、持続可能な経営の確立に向けて、経営がリーダーシップを発揮していただくことが重要。
    • そのためには、顧客本位の営業は大前提。その観点からは、最近、ラップ口座や仕組債、外国株・外国投資信託の販売などが伸びているが、顧客の理解の上での販売を徹底することが重要。
    • 顧客の信認なくして持続可能な経営はあり得ず、経営陣においては、現場の隅々まで顧客本位の営業が徹底されるよう、目を配っていただきたい。
  • 金商業者向け監督指針の改正について
    • 協会が令和2年9月に公表した「プリンシプルベースの視点での自主規制の見直しに関する懇談会」報告書における要望も踏まえ、11月9日、金商業者向け監督指針を改正し、投資信託の販売・乗換え勧誘上の留意点等について、真に顧客の投資目的や理解度に応じた説明が行われるよう、プリンシプルベースでの見直しを行った。
    • 具体的には、投資信託の勧誘に係る留意事項において、販売手数料の保有期間に応じた1年あたりの負担率の説明に係る記載を削除したほか、投資信託の乗換えに関する重要事項の説明に係る留意事項において、(1)顧客への具体的な説明事項を削除し、顧客の理解度に応じて、乗換えが顧客の投資目的に沿ったものであるか顧客が判断するために必要な事項の説明を行う旨を記載、(2)顧客への説明状況の検証に係る社内管理体制の構築に関し、社内記録の作成等の例示を削除し、実効的な検証を求める内容としたといった改正を行った。
    • ただし、画一的に説明を減らしてよいということでは当然なく、本改正の内容・趣旨を十分踏まえ、顧客の状況に応じた適切な説明を行うよう心掛けていただきたい。
  • IOSCOのAI/MLに係る最終報告書の公表について
    • 9月7日、IOSCOは、「人工知能(AI)及び機械学習(ML)を利用する市場仲介者及び資産運用会社むけのガイダンス」を公表した。
    • 同ガイダンスは、AI及びMLの利用について、「既存のプロセスの効率性を高め、投資サービスのコストを削減し、他の活動のためにリソースを開放することによって、市場仲介者、アセットマネージャー、投資家に利益をもたらす」と述べる一方で、「リスクを生み出したり、増幅させたりすることで、金融市場の効率性を損ない、消費者や他の市場参加者に損害を与える可能性もある」という警鐘も鳴らしている。
    • こうした状況認識を踏まえ、同ガイダンスでは、「適切なガバナンスやコントロール」、「十分な知識・経験を有するスタッフの配置」、「強固で一貫性のある開発とテスト」、「適切な情報開示」等に関する措置が示されている。
    • 市場仲介者及び資産運用会社にとっては、AI及びMLを利用する場合に期待される行動規範を示したものとなっているため、参照いただきたい。
  • IOSCOのアウトソーシング原則について
    • IOSCOは、10月27日に最終報告書「アウトソーシングに関する原則(Principles on Outsourcing)」を公表した。
    • 本原則は、外部委託を行うに際して、様々な市場参加者が考慮すべき基本的な原則を記載したもの。対象となる市場参加者としては、取引所、市場仲介業者、マーケットメイカーなど自己勘定ベースで活動する市場参加者、信用格付会社などを想定している。
    • 拘束力はなく、IOSCOによる実施状況レビューも予定されていない、業界向けの文書である。また、本原則は、外部委託の規模・複雑性・リスクに応じて適用され実施されるべきとされており、杓子定規な適用を想定したものではない。
    • 本原則は、外部委託先の選定プロセスとモニタリング、契約交渉、情報セキュリティの確保、秘密保持、特定の外部委託先への業務集中、外部委託先の保有する情報へのアクセス、外部委託契約の解除など、外部委託先に関与する様々な局面において考慮すべき原則と、その実施に向けたガイダンスを記載している。
    • 有益な記載が含まれるため、外部委託関係の検討をされる際には参照いただければ幸い。
▼日本暗号資産取引業協会(令和3年11月4日)
  • 金融行政方針について
    • 8月31日、本事務年度の金融行政方針を公表した。毎年、事務年度のはじめに、金融庁として進める施策の方向性を明らかにするもの。
    • 暗号資産関連ビジネスは目まぐるしく変化している中で、暗号資産交換業者におけるビジネスモデルや内包するリスクを適切に把握し、フォワードルッキングな監督業務を実施するため、ビジネスモデルにかかるヒアリングや、財務リスク等の把握、経営管理態勢及び業務運営態勢の適切性にかかるモニタリングを実施する方針。
    • また、新規の業登録に関して、審査プロセスの透明性を維持しつつ、より迅速に登録審査を進めることとしている。
    • 現在、暗号資産交換業者においては、NFT関連事業やIEOの取扱いなど、従来の暗号資産交換業に含まれないものも含めた新たな業務が開始・検討されているため、イノベーションの促進と利用者保護のバランスに留意しつつ、モニタリングしていくべき範囲や深度、着眼点を検討していきたい。
  • 暗号資産移転における通知義務対応について
    • 貴協会で検討中の通知義務、いわゆる、トラベルルールの自主規則については、来年4月に施行される予定で検討が進められていると承知している。引き続き、会員各社と連携して対応いただきたい。
      1. FATF(金融活動作業部会)における暗号資産を巡る議論
        • 暗号資産・暗号資産交換業者に関するFATF基準についての2回目の12ヵ月レビュー報告書
        • 7月5日に公表された「2回目の12ヵ月レビュー報告書」については、各国に暗号資産にかかるFAFT基準の早期実施を要請するとともに、トラベルルールに関して、官民双方に早期実施を要請している。FATFとしては、来年6月に、これらの進捗状況を整理することとしており、各国における進捗に注目が集まっている状況。
      2. 暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベースアプローチに関するガイダンス
        • 2019年6月の暗号資産及び暗号資産交換業者に関するFATF基準の最終化とともに採択していたFATFの暗号資産ガイダンスの改訂版が10月28日に公表された。主要な改訂テーマは、(1)FATF基準の適用範囲(VA,VASPの定義)(2)P2P取引のリスク削減、(3)ステーブルコイン、(4)トラベルルールなど。
        • 例えば、トラベルルールに関しては、取引相手の暗号資産交換業者のデューデリジェンス、通知すべき情報・タイミング等について記載しており、トラベルルール実施に向けた自主規制規則策定や業務運営に有益な情報が盛り込まれているところ、是非参考にしていただきたい。
        • 金融庁は、FATFにおいて本件を担当するコンタクト・グループの共同議長国として、これらの作業に貢献してきた。こうした点も踏まえ、ガイダンスの詳細な内容については、今後、業界向けにも説明・意見交換等を行っていく。
        • 報告書・ガイダンスは、先日のG20財務大臣・中央銀行総裁会合コミュニケでも言及されており、国際的な関心も非常に高い。金融庁は、今後とも、国際的な議論に貢献するとともに、そこで得た知見・情報を国内関係者にも幅広く共有していく方針。
  • マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策について
    1. FATF第4次対日審査の公表等について
      • FATFの第4次対日審査報告書が8月30日に公表された。
      • 今回の対日審査では、前回審査以降の取組みを踏まえ、日本のマネロン・テロ資金供与対策の成果が上がっているとの評価を得た。同時に、日本の対策を一層向上させるため、金融機関等に対する監督の強化等に優先的に取り組むべきとされている。
      • 当報告書の公表を契機として、政府は今後3年間の行動計画を策定・公表している。「行動計画」の中で、金融庁は、マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の監督強化、金融機関等による継続的顧客管理の完全実施を含む、リスク低減策の高度化、取引モニタリングの共同システム実用化の検討等に取り組んでいくこととしている。
      • これらの対策は、利用者の官民が連携してしっかりと対応していく必要があることから、引き続き、マネロン・テロ資金供与対策の高度化の取組みへの協力をお願いしたい。
    2. デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会について
      • 金融庁では、7月に「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」を設置し、送金手段や証券商品などのデジタル化のあり方等について、金融のデジタル化が加速していることを踏まえ、民間のイノベーションを促進しつつ、利用者保護などを適切に確保する観点から、これまで4回にわたり議論が行われた。
      • 直近(11月1日)開催された第4回研究会においては、(1)パーミッションレス型の分散型台帳等を利用した金融サービスに関する基本的な課題、(2)ステーブルコインを巡る諸課題等について議論が行われた。
      • ステーブルコインを巡る諸課題等については、引き続き、金融審議会資金決済ワーキンググループにおいて制度整備に向けた論点について議論が行われる予定。
      • 研究会には、貴協会もオブザーバーとして出席しているが、今後、制度整備の検討に当たっては、意見を伺うこともあるかと思うので、協力をお願いしたい。

金融庁 (株)モルフォ役員による内部者取引に対する課徴金納付命令決定の取消しについて
  • 金融庁は、被審人に対して、平成30年12月20日に課徴金納付命令決定(内容は下記のとおり)を行いましたが、令和3年1月26日、同決定にかかる課徴金納付命令取消請求事件において同決定を取り消す判決が出され、同年11月24日、同控訴事件において、控訴棄却の判決が出され、同年12月9日、判決が確定しました。
  • これにより、同決定は取り消されました。
  • 決定の内容 平成28年度(判)第35号金融商品取引法違反審判事件
    • 被審人に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。
      1. 納付すべき課徴金の額 金133万円
      2. 課徴金の納付期限 平成31年2月21日

金融庁 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第13回) 議事次第
▼資料1 事務局説明資料(経済成長の成果の家計への還元促進)
  • 顧客本位の業務運営に関するこれまでの取組-「顧客本位の業務運営に関する原則」
    • 家計の安定的な資産形成の実現に向けて、インベストメントチェーンの各金融事業者は、短期的利益の追求ではなく、顧客本位の良質な金融商品・サービスを提供することが求められてきた。こうした中、より良い取組を行う金融事業者が顧客から選択されるメカニズムの実現を目指して、2017年3月に「顧客本位の業務運営に関する原則」(以下「FD原則」)が策定された。
    • 【7つの原則】
      1. 顧客本位の業務運営に関する方針の策定・公表等
      2. 顧客の最善の利益の追求
      3. 利益相反の適切な管理
      4. 手数料等の明確化
      5. 重要な情報の分かりやすい提供
      6. 顧客にふさわしいサービスの提供
      7. 従業員に対する適切な動機づけの枠組み等
    • 2021年1月にはFD原則を改訂し、求められる具体的な取組内容についての記載を充実させたほか、重要情報シートを導入。あわせて、適合性原則違反等の不適切事例にはルールベースで適切に対応するため、監督指針の改正を実施。
      • 顧客本位の商品提案力の向上(顧客のライフプラン等を踏まえたポートフォリオに基づく商品提案、業横断的に類似商品や代替商品と比較した提案)
      • 商品提供後の適切なフォローアップの実施
      • 金融商品の組成に携わる金融事業者による想定顧客属性の公表
      • リスクや手数料、利益相反等の情報を比較できるよう、各業者・商品毎の共通の情報提供フォーム(「重要情報シート」)の導入
    • 顧客本位の業務運営の足元の状況には進展がみられるが、重要情報シートの導入状況や記載内容に課題もあるなど、道半ば。
  • 重要情報シートの導入状況
    • 投資家がより自身にふさわしい金融商品等を選択できるよう、金融審議会市場WGにおいて、金融商品等の販売・推奨にあたり、顧客に対し、(1)重要な情報を分かりやすく、(2)業態を超えた類似の商品と比較しやすい形で提供する観点から、「重要情報シート」の導入が提言された。
    • 導入状況にバラつきはあるものの、主要行・大手証券会社等では、一部の投資信託や特定保険について順次導入が開始されている一方、仕組債、ファンドラップ、外貨建て債券等については、導入が進んでいない。
    • 導入済みの重要情報シートについては、幅広い商品で定型的な記載が多く見受けられるなど、多様な商品の比較を行いやすくするという重要情報シートの趣旨実現に向けては道半ば。
  • 仕組債の販売状況
    • 仕組債の販売額は近年増加傾向。こうした中、仕組債の販売に関する苦情も寄せられている。
    • こうした状況を受け、日証協では顧客への注意喚起文書の交付や重要事項説明等、リスク説明のための取組を行っている。他方、商品性にかかわる情報であるコストは開示されていない(顧客にはコストを内包した販売価格のみが提供される)。また、重要情報シートも導入されていない。
    • 欧州ではプロダクトガバナンスの観点から、仕組債のコストとして、販売価格と公正価格の差額が開示されている。また、米国でも目論見書の表紙に仕組債の推定価値を記載することが要請されている。
  • ファンドラップの販売状況
    • 個人向け投資一任であるファンドラップの契約件数は近年増加傾向。
    • 顧客が負担するコストは、ファンドラップ手数料のほか、投資一任受任料や組入れ対象ファンドの信託報酬があり、コスト控除後のパフォーマンスはバランス型投資信託の平均と比べて総じて劣後している。
    • ファンドラップの重要情報シートは一部で導入が始まった段階。導入事例では、ファンドラップがバランス型投資信託と類似した商品であること、バランス型投資信託の中にはファンドラップよりも管理費用が割安な商品があること等が指摘されている。
  • 投資信託の費用開示
    • 顧客の商品選択において、費用の比較は重要なポイントとなる。しかしながら、事前に料率が確定しない一部の費用が契約前に開示されておらず、そうした費用が信託報酬以上の大きさになっているファンドもある。こうした状況に対し、事後に運用報告書で開示されている直近の「総経費率」を、契約前に提供する取組が業界で検討されている。なお、「総経費率」においても、顧客が間接的に負担する費用のうち、売買委託手数料等、一部が含まれていない。
    • また、信託報酬については、そこに含めるべき費用が統一されていない。例えば、目論見書等の法定書類の作成に係る費用を、「信託報酬」に含めて計上して事前開示しているファンドがある一方、「その他費用」に分類し、事前の開示ではあたかも費用が少ないように見えるファンドもある。
  • 同一ベンチマークに連動するインデックスファンドの費用体系
    • 同一ベンチマークに連動するインデックスファンドについて、一つの販売会社・資産運用会社において信託報酬水準の異なる複数のファンドが取り扱われており、例えば日経225連動型の投資信託では、ミリオン(従業員積立投資プラン)向け銘柄で1.6%以上と高くなっている。
    • こうした中、販売会社においては、対面取扱の投資信託の信託報酬を、運用会社と協議の上、同一ベンチマークの最低水準に統一するとともに、最低水準でない銘柄を非勧誘とする取組が見受けられる。
    • 信託報酬の異なる複数の類似商品を取り扱う場合は、重要情報シートの質問例を活用するなどにより、信託報酬がより低く、顧客利益に資すると見込まれる商品を勧めることが期待される。
  • 顧客に対する交付書面のデジタル化と顧客本位の業務運営の観点からの情報提供の推進
    • 現状、顧客に対する交付書面については、顧客の意思表示があれば、電磁的方法による情報提供が可能とされている。
    • 加えて、顧客に対して重要情報シートを使用して所定の事項を適切に説明した場合には、目論見書等の電子提供が可能である。
    • これらの措置に加えて、目論見書、契約締結前交付書面、契約締結時交付書面及び投資信託の運用報告書を含む顧客交付書面の原則デジタル化についての要望が、日本証券業協会から規制改革推進会議に寄せられたところ。先般(12月2日)、日本証券業協会及び金融庁に対するヒアリングが行われ、対応が求められている。
    • ヒアリングにおいては、スケジュール感を持って原則デジタル化についての検討を進めるべき、顧客の理解向上の観点から情報提供方法を検討して顧客にベストな形で進めるべき、原則デジタル化の対象とする顧客の範囲を類型化することも検討すべき(販売会社への電子メールアドレス登録者、一定年齢以下の者等)、販売会社の業務効率化に配慮すべき、といった論点が指摘されたところ。
  • 顧客の資産形成に向けた金融商品取引業者等のアドバイスの重要性
    • 「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査結果」によれば、リスク性金融商品の購入にあたって、金融機関からの提案を受けたことがないとの回答が約4割を占める一方、提案を参考にするとの回答が過半数を占めており、金融機関の提案に対するニーズが見られる。
    • 金融商品取引業者においては、証券取引の単なる仲介業務に留まらず、顧客の資産形成に係るコンサルティングやアドバイスに重点を置いたビジネスモデルへの転換の動きが一層進んでいる。
  • 金融商品取引業者の残高連動手数料の例
    • 金融商品取引業者が顧客の資産形成に係るコンサルティングやアドバイスを重視する中で、株式売買等の都度に徴収する従来型の手数料(都度手数料)に代えて、顧客の預り資産残高に応じた包括的な手数料(残高連動手数料)を導入する動きが見られる。
    • 有償の投資顧問契約に基づいて投資助言を提供する場合、投資助言・代理業(金融商品取引業)に該当するが、残高連動手数料方式による投資助言を投資助言・代理業として提供するか、付随業務(金融商品取引業に非該当)として提供するか、金融商品取引業者間で対応が分かれている。また、投資助言を金融商品仲介業者(いわゆるIFA)が提供する例も見られる。※米国では、証券会社(broker-dealer)が残高連動手数料を徴収して投資助言を提供する場合、通常、投資助言業者(investment adviser)の登録が必要。
    • なお、金融商品取引業者からは、投資助言・代理業を選択しない理由として、投資助言・代理業に係る規定の一部が負担になる、という意見がある。
  • 二種ファンドを巡る状況
    • 第二種金融商品取引業者が運営する高利回りを謳うファンドの参入が相次ぐ中、足元、いわゆる「ソーシャルレンディング(注)」において、ファンドの運用内容や運用財産の管理状況の確認、運用先に対するモニタリング等が不適切な問題事例が発生。(注)インターネットを用いてファンドの募集を行い、投資家からの出資を企業等に貸し付ける仕組み
    • ソーシャルレンディングを含む第二種金融商品取引業者がオンラインで運営するファンドの販売・運用に適用される金融商品取引法上のルールと、類似のファンドの販売・運用に適用されるルールに相違が見られる。
  • 投資信託(委託者指図型)の運用財産の適切な管理・保全のあり方
    • 投資信託(委託者指図型)の委託者(投資運用業者)及び受託者(信託銀行等)には、投資家である受益者に対する善管注意義務及び忠実義務等様々な行為規制が課せられている。
    • こうした中、足元で、海外ファンドへの投資を通じたファンド・オブ・ファンズ形式の投資信託において、委託者・受託者共に、投資先の運用体制、運用方法や運用財産の管理・保全状況を把握していない事案が発生。
  • 販売・勧誘できる顧客についての基準
    • 金融商品・サービスが多様化する中、投資家保護の観点から、複雑でリスクの高い商品等、一部の商品について販売・勧誘をすることのできる顧客について基準が設けられている。
    • 具体的には、金融商品取引法上、個人向け店頭デリバティブ商品等について不招請勧誘の規定が置かれている。また、日本証券業協会や二種業協会の自主規制規則では協会員が勧誘開始基準や取引開始基準を策定することが求められており、これを受けて各協会員は基準を定めている。
  • 資産運用会社の運用高度化
    • 「資産運用業高度化プログレスレポート」(2020年・2021年公表)において、資産運用会社に関し、顧客利益の観点からのガバナンスの強化、目指す姿・強みの明確化、顧客への商品内容や運用状況の分かりやすい説明やファンド本数・内容の適正な管理を含むプロダクトガバナンスの強化等、運用高度化の重要性を指摘。
    • 国内資産運用会社において、運用高度化に向けた問題意識が高まりつつあり、取組に一定の進展が見られる。ガバナンスや競争力の強化の観点からより実効性のある取組とし、中長期的に良好で持続可能な運用成果の実現や資産運用残高拡大に繋げていくことが重要。
    • 英国では、FCA(金融行為監督機構)が、市場調査(Asset Management Market Study)及び監督活動の結果を踏まえ、資産運用会社が顧客に対して提供する価値について従来十分に考慮せず、価値の低い商品が提供されてきたことで、投資家が不利益を受けてきたと指摘。
    • こうした認識の下、FCAは、米国のファンドガバナンスを手本に、資産運用会社に対し、2名かつ全体の25%以上の独立取締役の設置や年次での「value for money」(手数料に見合った価値)の評価・開示を求めるなど、制度改正を含む一連の施策を実施。資産運用会社のガバナンスの改善を起点として、顧客利益の向上を図っている。
    • 米国SEC(Securities and Exchange Commission)は2020年3月、投資家保護の観点から、1940年投資会社法に定めるファンド名称規制(Names Rule)に関するパブコメを実施。
  • 金融リテラシー等に関する調査結果
    • 「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査結果」によれば、リスク性金融商品を購入しない理由として、「余裕資金がないから」、「資産運用に関する知識がないから」、「購入・保有することに不安を感じるから」という回答の割合が比較的高い。
    • 「金融リテラシー調査 2019年」によれば、国際的にみても、日本の金融リテラシーの水準は高いとは言えない状況にある(特に、「複利」、「インフレ」、「分散投資」)。また、前回調査(2016年)からの大きな変化は見られない。
  • 討議事項
    • 家計の資産形成に向けた市場仲介者の役割
      • 販売者・運用会社がプロフェッショナリズムを発揮し、家計の安定的な資産形成を実現していくため、今後、どのような取組が必要か。
    • 顧客への金融商品・サービス提供のあり方
      • これまで顧客本位の業務運営の進展に向け、「重要情報シート」による顧客への分かりやすい情報提供や適切な対象顧客設定、顧客本位の商品提案力の向上等の取組が進められてきた。他方、
        • 「重要情報シート」の導入状況や商品の「費用」や比較についての情報提供の内容、
        • 対象顧客設定の適切性、さらには、
        • 顧客のポートフォリオ全体を踏まえた提案、
        • デジタルツールを活用した分かりやすい情報提供
        • 等の課題が指摘されている。こうした課題に適切に対応するためには、どのような対応が必要か。
        • このほか、顧客本位の業務運営を進め、経済成長の成果の家計への還元を促進する上で、どのような課題への対応が優先度が高いと考えられるか。
      • 金融商品取引業における助言の本業化・預り資産残高重視への動き等も踏まえ、顧客への勧誘・説明や助言について、顧客の最善の利益の確保、受託者等としての責任の発揮を促していくため、どのような取組が必要か。
      • 最近のソーシャルレンディングや投資信託を巡る不正事案等を踏まえ、投資家保護の確保等のために、どのような取組が必要か。
    • 資産運用の高度化等
      • 資産運用について、運用機関のガバナンスの強化等を通じてその高度化を図るとともに、投資商品に関するプロダクトガバナンス(顧客の利益に資する商品組成・提供・運用・管理)をより適切に実践していくうえで、海外の動向も踏まえつつ、どのような取組が必要か。
    • 家計の資産形成に向けた金融リテラシーの向上
      • これまでの金融経済教育への取組とその成果も踏まえ、投資家被害を防ぐとともに、家計の資産形成に向けた取組を後押しし、ライフプランに応じたポートフォリオを構築していくため、どのような金融リテラシーの向上の具体的な取組が考えられるか。

金融庁 第17回金融審議会公認会計士制度部会議事次第
▼資料1 事務局資料
  • 公認会計士制度の見直しの方向性(案)
    1. 登録制の導入
      • 上場会社等の財務書類についての監査証明業務(以下、「上場会社監査」)を行う監査事務所は、日本公認会計士協会(以下、「協会」)への登録を受けることとする。
    2. 登録時の適格性の確認
      • 登録を受けようとする監査事務所は、協会に登録申請を行い、協会から上場会社監査を実施する者としての適格性の確認を受けることとする。
      • 例えば、業務停止処分中でないことや、「一定の社員数」を有すること等が考えられるか
      • 「一定の社員数」とは、例えば、-現行の公認会計士法において、監査法人に対し、公認会計士である社員を5人以上有することを求めていることに倣い、制度導入当初は「公認会計士である社員を5人以上有すること」とした上で、-制度導入後、協会が実施する中小監査事務所への育成支援による体制整備の進展を踏まえながら見直していくことが考えられるか。
    3. 登録後の継続的な規律付け
      • 登録を受けた監査事務所には、上場会社監査に係る体制整備や情報開示について、登録を受けていない監査事務所より高い規律付けを設ける。
      • 例えば、監査法人のガバナンス・コードの受け入れや、充実した情報開示を求めることなどが考えられるか。
      • 現行の公認会計士法上、監査法人には、業務及び財産の状況に関する事項を記載した説明書類を作成し、公衆の縦覧に供することが求められている。上場会社監査を行う者に対し、充実した情報開示・付加的な情報開示を求めるべき事項は何か。また、それらを法令で定めるべきか又は自主規制に委ねるべきか。
      • 現行の公認会計士法上、公認会計士個人が上場会社監査を行うことも許容されているが、単独で監査を行うことは原則として認められておらず、他の公認会計士若しくは監査法人と共同し、又は他の公認会計士を補助者として使用して行わなければならないこととされている。上場会社監査を担う公認会計士については、今後、協会が実施する中小監査事務所への育成支援を通じて、組織的な対応に向けた取組みを促すことが考えられるか。
      • 登録後に上場会社監査を公正・的確に実施する体制が整備されていないこと等が確認された場合、協会は、登録を取り消すことができることとする。
    4. 被監査会社側の手当て
      • 金融商品取引法の規定により上場会社等が提出する財務書類について、登録を受けた監査事務所から監査証明を受けなければならないこととする。
      • 公認会計士法上の立入検査等の権限について、金融庁から公認会計士・監査審査会へ権限委任する範囲を見直し、業務の運営の状況に関して行われるものか否かに関わらず、公認会計士・監査審査会において権限行使できることとする。
      • 監査法人の社員の配偶者が会社等の役員等である場合に当該監査法人の監査証明業務が制限されることとなる社員の範囲を、現行の全ての社員から、当該会等の財務書類について当該監査法人が行う監査証明業務に関与する社員等に限ることとする。
      • 組織内会計士の登録事項について、監査事務所以外の勤務先を記載することとする。
      • 公認会計士の資格要件である実務経験期間(業務補助等の期間)を、現行の2年以上から3年以上とする。
      • 継続的専門研修(CPE)の受講状況が著しく不適当な公認会計士について、資格審査会の議決に基づき、登録を抹消することができることとする。
      • 併せて、虚偽の申請等に基づいて登録を受けた場合や、2年以上継続して所在が不明である場合についても、資格審査会の議決に基づき、登録を抹消することができることとする。
      • (参考)資格審査会は、協会に設置される機関であり、公認会計士等の登録の拒否(公認会計士の信用を害するおそれがある者など)や抹消(公認会計士が心身の故障により公認会計士の業務を行わせることがその適正を欠くおそれがあるとき)について必要な審査を行っている。協会の会長並びに公認会計士、金融庁の職員及び学識経験者のうちから委嘱される委員4人から構成される。

金融庁 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第4回) 議事次第
▼資料1 事務局説明資料(コーポレートガバナンスに関する開示)
  • IFRS財団プレスリリースの概要(2021年11月3日公表)
  • IFRS財団における3つの重要な進展
    • 気候やその他のサステナビリティの課題に関する高品質な開示を世界の金融市場に提供するため、以下3つを公表
      1. 新たに国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)を設立し、投資家の情報ニーズを満たす高品質なサステナビリティ開示基準の包括的なグローバル・ベースラインを開発する
      2. 既存の基準策定団体である気候変動開示基準委員会(CDSB)及び価値報告財団(VRF)と2022年6月までに統合する
      3. ISSBが気候変動基準を策定するためのプロトタイプ(基準の原型)の公表
  • グローバルなプレゼンス
    • ISSBは米州、欧州、アジア太平洋地域において複数の拠点を持つ。
    • ISSB議長のオフィスを独フランクフルトに設置する。加モントリオールはISSBの支援及び地域関係者との協力のための重要な役割を果たす
    • 米サンフランシスコと英ロンドンは、技術面でのサポートや地域関係者との協力の役割を担う
    • アジア太平洋の拠点として、北京と東京の提案について更に議論を継続する
  • 今後のステップ
    • ISSB議長・副議長以外のメンバー募集を早期に開始する。ISSB議長・副議長が任命され次第、ISSBとして作業を開始し、ISSBの作業計画及び上記プロトタイプに関する市中協議を開始する
  • 日本経済団体連合会の提言のポイント
    1. 国際的な意見発信の必要性
      • 各国ごとに異なる産業構造やエネルギー政策等を適切に踏まえた基準開発を促すためには、ISSBに対して、わが国からも、基準開発への積極的な貢献と強力な意見発信を行う必要がある。
      • その推進母体として、わが国の市場関係者の意見を聴取して、オールジャパンとしての意見集約、発信を担う体制整備が急務である。
    2. 高品質な国内基準の整備
      • サステナビリティ開示内容は、国内外の投資家のニーズ、急速に変化する国際動向、企業の実務負担等を的確に反映する必要がある。
      • 民間の専門家の叡智を結集し、国際的な整合性がとれた、高品質な国内のサステナビリティ基準を機動的に開発する体制を整備すべきである。
    3. サステナビリティ基準委員会(仮称)の設立
      • 国際的な意見発信、国内のサステナビリティ基準の策定の両方を担う民間組織を速やかに立ち上げるべきである。
      • その母体に関し、現在、公益財団法人財務会計基準機構(FASF)は、IFRS財団のカウンターパートとして強固な信頼関係を築いている。また、企業会計基準委員会(ASBJ)は企業や投資家等の市場関係者の意見を的確に捉えてバランスの取れた国内会計基準の開発に長年の実績があり、サステナビリティ基準についても、ASBJの母体として活動してきたFASFがその任務を担うのに相応しい。
      • FASFのもとに、「サステナビリティ基準委員会(仮称)」を新たに立ち上げ、わが国の意見の積極的な国際発信、透明性のある国内のサステナビリティ基準開発を行うことが適当である。
      • なお、「サステナビリティ基準委員会(仮称)」の組織運営は、ASBJに準じた、公正・透明なものとすべきである。
      • そのためには、「サステナビリティ基準委員会(仮称)」の委員等の人材は、企業・投資家等関係各界からバランスよく集め、特定の利害関係者からの独立性を確保することが必要である。また、充実した委員会運営を行うためには、相応の資金が必要になると考えられる。運営資金の調達についても、独立性及び安定性を確保する観点から、幅広く関係各界に協力を求めるべきである。
      • FASFの設立時と同様、経団連として、民間の専門組織の設立運営に、積極的な支援を行っていく。
  • 有価証券報告書における役員報酬の開示の充実
    • 内閣府令の改正により、有価証券報告書の記載事項に、「報酬額の決定過程における活動内容」を追加
    • コーポレート・ガバナンス報告書における取締役会、指名委員会・報酬委員会の活動状況の記載を「望ましい」旨を追加。その後、活動状況について、一定程度の開示が進展
    • 改訂版のコーポレートガバナンス・コード(2021年6月改訂)では、指名委員会・報酬委員会の設置により、指名や報酬などの特に重要な事項に関する検討に当たり、これらの委員会の適切な関与・助言を得るべきとされている
    • 2015年以降、指名委員会、報酬委員会を設置する会社の比率は増加している
    • 任意の指名委員会・報酬委員会の役割の範囲や権限の程度、開催頻度など、その運営実態は上場会社によって様々である
    • 指名委員会の審議内容について、投資家は、社長・CEOの後継者計画、取締役会の構成、社長・CEOの業績評価についての審議の充実が必要と考えている
    • 報酬委員会に関する投資家の意見
      • 報酬諮問委員会が設置されている場合、構成メンバー、委員長が独立社外取締役であるかは、最重要視している。なお、実際の活動状況については、より詳細な開示(回数、どのような議論がテーマになったか)が必要と考える。
      • 最終的には取締役の責任だと思うが、適切な構成員の委員会にて報酬を決定することは肯定的に捉える。委員会の活動状況や役割に関する開示が重要であり、今後透明性を上げていく必要はあるだろう。役員報酬の個別開示がすぐさまに進むとは考えにくいため、役員報酬の決定にあたって、委員会がどのような役割を担っているかを説明する目的で委員会の活動状況や構成については適切に開示することが必要だと考える。
      • 役員報酬の仕組みおよびその決定プロセスの開示がまだ不十分。数年間の報酬実績が企業価値にどう寄与したのかといった振り返りがないので、そのような開示・説明を求めたい。
      • 取締役個別の役員報酬額について、任意委員会への決定一任は良い方向と考えるが、委員会の構成、役割や権限に応じて肯定的に判断できるかが変わってくるため、これらの内容の開示が前提となる。
    • 英国の上場会社は、年次報告書において、取締役会や各委員会の活動状況を開示することが求められている
    • 米国の上場会社は、年次報告書において、取締役会や各委員会の開催状況、検討プロセスなど、その活動に関連する事項の開示が求められている
    • 海外では、取締役会の活動状況や、開催頻度について具体的に開示されている
    • 海外では、指名委員会における後継者育成計画の取組みや、多様性確保の対応が開示されている
    • 海外では、報酬委員会について、業務執行取締役の報酬方針のほか、構造やパフォーマンス指標の戦略的根拠について開示されている
  • 監査に対する信頼性の確保
    • 内閣府令の改正により、有価証券報告書において、監査役会等の「活動状況(開催頻度、主な検討事項、個々の監査役の出席状況及び常勤の監査役の活動等)」の記載を追加。内閣府令の改正を受け、監査役会等の活動状況開示が進んでいる
    • 監査に対する信頼性の確保に向け、監査報告書において、監査上の主要な検討事項(KAM)の記載が導入(2021年3月期決算から適用開始)
    • 監査役等による報告書を求めることなどを通じた監査役等の責任の明確化を求める意見がある
    • 海外では、監査委員会の活動状況について、監査委員長名でその詳細が開示されている。英国のアニュアルレポート内のAudit Committee Report では、例えば、以下の事項が開示されている。
      • 財務諸表に関連して監査委員会が重要と考えた事項及び当該事項への対処の状況
      • 監査委員長名で委員会の活動状況を説明
      • 監査人が非監査業務を提供する場合の監査人の独立性確保に関する説明
    • コーポレートガバナンス・コードでは、内部監査部門と取締役・監査役との連携の確保が求められている
    • 内部監査部門が内部監査の結果を監査役にも直接報告する仕組みを構築し、開示している企業もある
  • 政策保有株式等
    • 前回ディスクロージャーWG報告では、政策保有株式の開示内容の充実とともに、純投資目的の株式について、重要性を考慮しつつ、一定の開示を求めることとされている
    • 政策保有株式の開示内容の拡充を促すため、内閣府令を改正し、2019年3月期より適用。政策保有株式の保有方針、個別銘柄毎の保有目的・効果等の開示を求めている
    • コーポレートガバナンス・コードにより、政策保有株式に係る議決権行使に関する具体的な基準の開示が求められている。それにより、具体的な議決権行使の判断を定めている例もある
  • ご議論いただきたい事項
    • コーポレートガバナンスに関しては、取締役会の機能発揮の強化などの観点から、指名委員会・報酬委員会等の設置が進んでおり、それらの機能発揮の状況に関する開示の必要性・重要性が増しているとの指摘がある。(注)現行制度においては、監査役会等について活動状況の開示(開催頻度、主な検討事項、出席状況等)が求められている。
    • この点、諸外国では、法定書類において、取締役会や指名委員会・報酬委員会等の活動状況が開示されている。我が国では、(ⅰ)コーポレート・ガバナンス報告書において取締役会等の活動状況の記載が促されていることに加え、(ⅱ)一部の企業では任意開示において取締役会等の活動状況をそれぞれの企業の事情に応じて開示する動きが広がっている。
    • こうした中、有価証券報告書において取締役会、指名委員会・報酬委員会それぞれの活動状況の記載欄を設けるとともに、それぞれの企業において委員会の役割・権限等に幅があることを踏まえ、まずは「開催頻度」、「主な検討事項」、「出席状況」を記載事項としつつ、各企業の創意工夫を生かした開示を促すことについてどう考えるか。その際、一部の上場企業におけるこれまでの任意開示の取組みを受け止められる枠組み(例えば、有価証券報告書において任意開示等を参照することにより総覧性を確保すること)について、どう考えるか。
    • 情報の信頼性確保の観点から、企業における監査役会等や内部監査部門の機能発揮も重要になる。そうした観点から、例えば、次の事項の開示を促すことについて、どのように考えるか。
      • 監査上の主要な検討事項(KAM)についての監査役等の検討の説明
      • 監査役等の視点による監査の状況の認識と監査役会等の活動状況等の説明
      • デュアルレポーティングの有無を含む監査の実効性の説明
    • 政策保有株式等については、投資家からは更なる開示の充実の観点から、例えば以下の事項の開示を促すべきとの意見があるが、どのように考えるか。
      • 業務提携等を行っている場合の説明
      • 政策保有株式の議決権行使の基準の説明
    • また、純投資目的の株式についても、重要性を考慮しつつ、一定の開示を求めるべきとの意見があるが、どのように考えるか。
    • 上記の他、検討すべき事項はあるか。

金融庁 事業者を支える融資・再生実務のあり方に関する研究会 論点整理
  • 金融機関が事業の価値創造を持続的に支えていくためには、そこから得られるリターンとコストを釣り合わせること等が必要となる。しかし、外部環境が大きく変化した現代にあって、こうした前提はより一層満たしにくくなっている。
  • 高度成長期には、限りある資金は主に繊維工業や重化学工業に振り向けられ、これにより右肩上がりの経済発展が期待されるなど、将来の見通しを立てるコストが現在ほど大きくなかった。
  • しかし、現代では、何が成長に資する投資かが明確ではなく、融資先への役員派遣や株式持ち合いも解消に向かい、高度成長期のような形での経済成長は期待しにくい。先行きの見通しが難しい中、金融機関が価値ある事業の継続や発展を支えることは、より一層難しくなっている。例えば、
    • 融資実行において、事業性評価等の取組みは進んでいるものの、現在の金融機関には多様化する事業を理解しリスクを見極めて融資を実行するだけのノウハウが必ずしも蓄積されていないとの指摘もある。
    • 期中管理も、かつては資金不足の中で、メインバンク制等、緊密な関係を継続する仕組みが存在したが、現在は、事業者と金融機関の関係性が大きく変化したことで、例えば再生局面において、事前に把握していたよりも取引金融機関数や債務額が多いなど、事業者の追加借入れや事業のリスクの変容について、メインバンクすらも容易に把握できない事案が散見される。
    • 再生局面も、右肩上がりの経済成長が終わり、一時をしのぐだけでは十分ではない場合が多くなった。事業実態の正確な理解に基づき、できるだけ早期に、抜本的な経営改革を進めることが重要になった。しかし、複数の貸し手が多様な利害を持つため、その調整コストが大きく、その調整の間に事業価値が劣化してしまうことが多い。更に、経営者保証の存在によって抜本的な経営改革がより一層難しくなっているとの指摘もある。
  • 我が国の金融機関は、こうした難しい環境の中でも、事業性評価に基づく融資等、事業の価値創造を支えるための融資等を進めてきた。再生局面でも、実務家等とともに、大きな調整コストを負いつつも、事業の再生に取り組んでいる。
  • しかし、依然として、貸倒れリスクの低い事業者に融資が集中しがちで、事業者支援のために早めにミドルリスクの資金を供給することが難しい、といった課題が指摘されている。その要因の一つには、現在の制度環境の下では、事業の価値創造を支えるコスト・不確実性が相対的に高いことがあると考えられる
  • 特に、現行の担保法制の下では、担保権者の関心が有形資産の換価価値に向きやすく、事業者における資金調達の選択肢が十分に用意されているとは言い難い。そのため、有形資産を持たない事業者は、現在の選択肢だけでは、将来性があっても必要な借入れや資金調達のコストを下げにくい。また、経営者保証を負担せざるを得ない場合も多い。創業や承継、成長途上の局面にある事業者が、生産性を高め、大きな付加価値を生み出そうとするときに、金融機関が事業全体に関心を向ける動機付けとなるための選択肢が必要とされている。
  • また、再生局面においても、個別資産の担保を持つだけで再生支援に必ずしも積極的でない貸し手が、再生支援に積極的で事業価値の棄損を防ごうとする貸し手よりも、より多くの債権を回収できる場合もある。現在の制度環境を見直すことで、金融機関が、事業再生を主導するコストとリターンを適切に釣り合わせることのできる余地があると考えられる。金融機関に対して、早期の抜本的な経営改善を支え、価値ある事業の継続や発展につなげることを適切に動機付けるための選択肢が求められる。
  • 本研究会は、担保法制における新たな選択肢として、従来の担保権に加え、事業全体に対する担保権(事業成長担保権(仮称))を導入することを検討した。現在の担保権の対象が土地や工場等の有形資産に限られる点を補い、ノウハウや顧客基盤等の無形資産を含む事業全体に対して、事業者と金融機関が共通の利益を持つことができるよう、制度設計を含め、議論した。
  • 事業を継続・発展させようとする事業者が、事業成長担保権を活用すれば、自身の情報・将来性等をアピールすることで、金融機関の関心を事業全体に向けさせ、創業・承継・成長・再生に必要なニューマネーを引き出しやすくなることが期待される。この結果、下記のように実務が改善されうる。
    • ビジネスモデルが多様化・複雑化する現代にあっても、無形資産を含む事業の将来性・事業価値に着目した資金供給の可能性が拡がり、創業・承継・成長途上の局面で、資金調達が容易になる。
    • 事業者と金融機関が緊密な関係を構築しやすくなることで、事業の成長が借り手・貸し手の共通の利益となるため、事業の実態に即した融資・支援や、経営悪化時の早期支援が進む。
    • 価値ある事業を見極め、早期に抜本的な経営改革を進めることが借り手・貸し手の共通の利益になるため、再生計画の合意形成等が容易になること、また、商取引先やDIPファイナンスが保護され、事業の継続の可能性も高まる。
  • もちろん、従来の担保権の活用を否定しているものでは決してない。不動産等の資産を有している事業者等にとっては従来の担保権の活用が望ましい場合もある。事業者にとって、資金調達の選択肢は多い方が望ましい。
    • なお、事業者が、事業成長担保権を従来の担保権と同時に活用し、優先関係等が複雑になるような形で活用するというような場合は、取引のコストが高まってしまうおそれがある。そのため、既存の個別資産への担保権の上に、追加的に事業成長担保権を設定することは想定しにくく、むしろ、事業成長担保権の設定を受けた金融機関(団)が、事業者のすべての資金需要に対応する、といった活用の形が考えられる。
  • また、金融機関が事業を支え、事業者とともに事業価値を高めていけるかどうかは、担保法制だけではなく、その他の制度環境や事業者・金融機関双方におけるノウハウの蓄積や事業理解の深化等、その他の様々な要因の変化も必要となる。
    • 例えば、金融機関には、事業者の様々なライフステージにおいて、事業を理解しリスクを見極めるノウハウの蓄積等、多様な取組みが求められる。金融庁も、こうした取組みを後押しできるよう、これまで、例えば監督指針において、人事ローテーションや職場離脱制度等、特定の方法を定めていた記載を見直すなどの対応を行っている。
    • また、事業者としても、金融機関が事業を理解しリスクをとることができるよう、必要な情報を共有した上で、事業の将来性(事業計画)等をアピールするような動機を持てることが重要となる。
  • 以上も踏まえながら、担保法制以外の、価値ある事業の継続や発展を支えていくために必要な要素について、金融機関や事業者、学識経験者、事業再生に関わる実務家等の意見を参考として、今後も検討を深めていくことが重要となる。

【2021年11月】

金融庁 みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分について
  • Ⅰ.業務改善命令の内容
    • 【みずほ銀行】(銀行法第26条第1項)
      1. 当行が策定したシステム障害に係る再発防止策を速やかに実行すること。
      2. 以下の内容について、業務改善計画を策定し、速やかに実行すること。また、当該業務改善計画について継続的に再検証及び見直しを実施すること。
        1. システム障害に係る再発防止策について、再検証及び見直しを実施し、その上で必要な措置を盛り込んだ再発防止策
        2. システムの安定稼働等に必要となる経営管理(ガバナンス)態勢の整備に係る具体的な取組み
        3. Ⅱ.9.に記載するシステム障害の真因を踏まえた業務の改善に係る具体的な取組み
      3. システム障害の発生原因等を踏まえた経営責任の明確化について報告すること。
      4. 上記2.の業務改善計画及び3.の報告について、令和4年1月17日(月)までに、令和3年12月末時点における1.の再発防止策の実施状況とともに提出すること。
      5. 上記2.の業務改善計画の実施状況(業務改善計画の再検証及び見直しの結果を含む。)について、令和4年3月末の実施状況を初回として、以降、3ヶ月毎にとりまとめ、翌月15日までに報告すること。
    • 【みずほフィナンシャルグループ】(銀行法第52条の33第1項)
      1. 当社が策定したシステム障害に係る再発防止策を速やかに実行すること。
      2. 以下の内容について、銀行持株会社としての業務改善計画を策定(当行が策定する業務改善計画についての検証及び必要な見直しを含む。)し、速やかに実行すること。また、当該業務改善計画について継続的に再検証及び見直しを実施すること。
        1. システム障害に係る再発防止策について、再検証及び見直しを実施し、その上で必要な措置を盛り込んだ再発防止策
        2. システムの安定稼働等に必要となる経営管理(ガバナンス)態勢の整備に係る具体的な取組み
        3. Ⅱ.9.に記載するシステム障害の真因を踏まえた業務の改善に係る具体的な取組み
      3. システム障害の発生原因等を踏まえた、当社における経営責任の明確化について報告すること。
      4. 上記2.の業務改善計画及び3.の報告について、令和4年1月17日(月)までに、令和3年12月末時点における1.の再発防止策の実施状況とともに提出すること。
      5. 上記2.の業務改善計画の実施状況(業務改善計画の再検証及び見直しの結果を含む。)について、令和4年3月末の実施状況を初回として、以降、3ヶ月毎にとりまとめ、翌月15日までに報告すること。
  • Ⅱ.処分の理由
    • 当庁検査並びに銀行法第24条第1項及び第52条の31第1項に基づく報告を踏まえ、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため、以下の理由の通り、本処分を踏まえた業務改善計画の検討、策定及び速やかな実行並びに経営責任の明確化等が必要であると認められる。
      1. 当行では、令和3年2月から9月にかけて、顧客に影響を及ぼすシステム障害を計8回発生させており、そのうち、2月28日の障害においては、システムに高い負荷がかかりやすい月末にデータ移行作業を実施することのリスクについて十分な検討を行わないまま作業を実施し、多数のATMが稼働停止する事態を招くとともに、ATMへの通帳やカード取込みを発生させ、多数の顧客にその場での待機を余儀なくさせる事態を生じさせた。また、8月20日の障害においては、全営業部店で一定時間店頭取引が行えない事態を招いた。さらに、9月30日の障害における復旧対応においては、資産凍結等経済制裁措置に関する法令及び「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」の遵守態勢に係る問題も認められた。
      2. 当行及び当行の親会社である当社は、このように短期間に複数のシステム障害を発生させたことにより、個人・法人の顧客に重大な影響を及ぼし、社会インフラの一翼を担う金融機関としての役割を十分に果たせなかったのみならず、日本の決済システムに対する信頼性を損ねたと考えられ、関係する当行及び当社の経営陣の責任は重大である。
      3. 今回の一連のシステム障害が発生した直接の原因は、当行において、
        • 開発や障害対応における品質を確保するための検証が不足していること、
        • 保守・運用に係る問題点を是正しておらず、委託先への管理を十分に行っていないなど、当行の新基幹システム(以下「MINORI」という。)を安定稼働させるための保守管理態勢を整備していないこと、
        • 危機対応に係る態勢整備の状況について、訓練や研修などを通じて十分に検証していないこと
          にあると認められる。
      4. このような原因の背景には、当行及び当社の執行部門が、IT現場の実態を十分に把握・理解しないまま、MINORIが安定稼働していると誤認し、障害発生時も影響範囲が局所的になりやすいというMINORIの特性を過信したことから、システムの安定稼働に必要な事項(有事を想定した被害の極小化に必要な取組みを含む。)を十分に洗い出さずに、MINORIを開発フェーズから保守・運用フェーズへ態勢を移行させた上、MINORIの保守・運用に必要な人員の配置転換や維持メンテナンス経費の削減等の構造改革を推進したことが認められる。また、当行の執行責任者は、MINORIは安定稼働していると誤認して、システムリスク管理態勢の実態を把握しないまま、人員の再配置、ベンダーからの業務の引継ぎを行ったことが認められる。これらの結果、MINORI等の運営態勢を弱体化させているものと認められる。
      5. こうした対応が、令和3年2月から9月に発生した一連のシステム障害において認められた、障害の予兆管理や障害からの復旧に係る対応力といった、IT現場における業務対応力の脆弱化を招く一因となったものと認められる。
      6. 当行の取締役会は、障害分析や予兆管理の状況、障害に係る訓練の実態、IT人材の適正配置の状況などを継続的に報告させるといった、有効な牽制機能が働くシステムリスク管理態勢を整備していなかったことから、複雑なMINORI等の運用管理に係る脆弱な実態を把握しておらず、執行責任者に対し、適切な指示等を行える態勢となっていない。
      7. 銀行持株会社である当社においては、当行を適切に経営管理していく必要があったが、当社自身に以下のガバナンス上の問題点が認められる。
        • 業務執行を担う経営陣が、適切な資源配分を目指すという構造改革の真意を当社及び当行職員に浸透させられないまま構造改革を推進した結果、コストの最適化が強調され、IT現場の声を十分に拾いきれないまま、MINORIを安定稼働させるための人材の配置転換や維持メンテナンス費用の削減が実施されたという問題
        • 取締役会において、構造改革に伴うシステムリスクに係る人員削減計画と業務量の状況について、十分に審議を行っていないという問題
        • 執行責任者が、過去のシステム障害等も踏まえた危機管理を含む高度な専門性が求められるCIOの人選や候補者育成の指針となる人材像を明示的なものとして策定していなかったという問題。また、取締役会は、グループCEOや主要経営陣の候補者の人材像について十分な議論を行っていないという問題
        • リスク委員会が、トップリスク運営の導入に当たり「大規模なシステム障害」を選定し、選定したトップリスクに対するアクションの策定等が重要であることを提言したにもかかわらず、当社の執行部門において十分な対応がなされず、また、リスク委員会によるフォローもされていないという問題
        • 監査委員会が、重点監査テーマとして「IT関連ガバナンス態勢」を設定したにもかかわらず、当社内部監査グループから改善提言無しとの報告を受けた際に、経営資源配分の適切性について調査・報告を求めるなど、具体的な指示を行っていないという問題
      8. なお、当行及び当社は、令和3年2月及び3月に発生したシステム障害を受け、抜本的な再発防止に組織全体として取り組むとして、6月15日に再発防止策を公表しているが、8月及び9月にも4回のシステム障害を発生させ、これらの障害の発生原因の一部は当該再発防止策の点検範囲に含まれていなかったことなどを踏まえれば、当該再発防止策は限定的なものに留まっていた。
      9. 当庁としては、これらのシステム上、ガバナンス上の問題の真因は、以下の通りであると考えている。
        1. システムに係るリスクと専門性の軽視
        2. IT現場の実態軽視
        3. 顧客影響に対する感度の欠如、営業現場の実態軽視
        4. 言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢
          これらの真因の多くは、当行において発生させた平成14年及び平成23年のシステム障害においても通底する問題である。そのことからすれば、当行及び当社においては、システム障害が発生する度に対策を講じたとしても、過去の教訓を踏まえた取組みの中には継続されていないものがあるという点、あるいは環境変化への適切な対応が図られていないものがあるという点において、自浄作用が十分に機能しているとは認められない。
      10. したがって、当行及び当社においては、
        1. システム障害に係る再発防止策(MINORI等の安定稼働に必要となるシステムリスク管理態勢の整備、システム障害が発生した場合であっても顧客影響を極小化するための対策を含み、さらに当社にあっては適切な資源配分に係る改善策を含む。)、
        2. システムの安定稼働等に必要となる経営管理(ガバナンス)態勢の整備に係る具体的な取組み、
        3. 一連のシステム障害の真因として挙げたシステムに係るリスクと専門性の軽視、IT現場の実態軽視、顧客影響に対する感度の欠如や営業現場の実態軽視、言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢といった企業風土を改め、各々の役職員が顧客影響に対する感度を高めていくなど、組織的行動力を強化し、行動様式を変革していくための具体的な取組み
          に係る業務改善計画を策定(当社にあっては当行が策定する業務改善計画についての検証及び必要な見直しを含む。)し、これを速やかに実行するとともに、当該業務改善計画について継続的に再検証及び見直しを実施していく必要がある。

金融庁 金融審議会「資金決済ワーキング・グループ」(第3回)議事次第
▼資料1-1 事務局説明資料(銀行等におけるAML/CFTの高度化・効率化に向けた対応)
  • 共同機関が多数の銀行等から委託を受け、その業務の規模が大きくなる場合、
    • 銀行等による共同機関に対する管理・監督に係る責任の所在が不明瞭となり、その実効性が上がらないおそれ
    • 共同機関の業務は、AML/CFT業務の中核的な部分を行うものであり、共同機関の業務が適切に行われなければ、日本の金融システムに与える影響が大きいものとなりうる
  • 共同機関に対する業規制を導入し、当局による直接の検査・監督等を及ぼすことで、その業務運営の質を確保する。
  • 共同機関においては、業務実施にあたり、政府機関等が公表する「制裁対象者リスト」や、銀行等が利用者から取得した「顧客情報」や「取引情報」といった個人情報を含む多くの情報を取り扱うこととなる。
    1. 「取引フィルタリング」関連
      • 「制裁対象者リスト」をこれを公表している政府機関等から、収集、保有、最新化。
      • 「顧客情報・取引情報」を銀行等から提供を受けて、当該情報と上記リストとを照合し、その結果を銀行等に通知。
    2. 「取引モニタリング」関連
      • 「顧客情報・取引情報」を銀行等から提供を受けて、取引に疑わしい点があるかどうかを分析し、その結果を銀行等に通知。
    3. 業務に必要となる「情報システム・プログラム」を開発、管理・運用、更改(高度化)する(必要に応じ、システムベンダー等に委託)。
  • 共同機関が取り扱うことが想定される「情報」(個人情報を含む)の例
    1. 制裁対象者リスト
      • 制裁対象者の氏名・生年月日・住所・国籍・出生地・役職・旅券番号など
      • その他政府関係機関等により公表されている制裁対象に関する情報
    2. 顧客情報/取引情報
      • 依頼主情報(氏名・生年月日・顧客番号・住所・国籍・業種・口座情報(預金種別・口座番号・残高情報)等)、受取人情報(氏名・金融機関名・口座番号等)、取引チャネル(店頭、ATM、ネットバンキング等)、送金金額、取扱通貨、送金目的、取引日時など
      • 分析システムの開発・更改(高度化)時の学習に必要なものとして、過去一定期間の取引に係る上記情報、これまでの取引の中で、最終的に疑わしい取引の届出を行ったか、行わなかったかの情報
  • 多くの個人情報を取り扱うこととなる共同機関においては、個人情報の適切な取扱いの確保は極めて重要。
  • 共同機関は、個人情報保護法に基づく各種規制・監督等に服することとなるが、
    • 多数の銀行等からの委託を受けて、多くの個人情報を取り扱うこととなるとの業務特性を踏まえ、
    • 個人情報保護法の上乗せ規制として、共同機関に対する業規制において、個人情報の適正な取扱いに関する以下の規律を課した上で、履行状況について、業規制に基づく検査・監督を行うことが考えられる。
      1. 情報の安全管理措置
        • 業務に係る電子情報処理組織の管理を十分に行うための措置を講ずべきこと
      2. 個人利用者情報の安全管理措置等
        • 共同機関が取り扱う個人である銀行等の利用者に関する情報の安全管理、従業者の監督及び当該情報の取扱いを委託する場合にはその委託先の監督について、当該情報の漏えい、滅失又は毀損の防止を図るための措置を講ずべきこと
      3. 非公開情報の取扱い
        • 共同機関が取り扱う個人である銀行等の利用者に関する非公開情報(業務上知り得た公表されていない情報)を取り扱うときは、適切な業務の運営の確保や目的外利用を防止するための措置を講ずべきこと
      4. 目的外利用の禁止
        • 共同機関の役職員等の業務上知り得た情報の目的外利用の禁止
        • 共同機関から委託を受けた者等についても同様であること
      5. 秘密保持義務
        • 共同機関の役職員等の業務上知り得た秘密を保持すべきこと
        • 共同機関から委託を受けた者等についても同様であること
  • 共同機関においては、業規制等に基づく適切な規制・監督等の下で、
    • 各銀行等から共同機関に提供される個人情報は、分別管理し、他の銀行等と共有しない、
    • さらに、共同化によるメリットの一つである分析の実効性向上を図る観点から、これに資するノウハウを特定の個人との対応関係が排斥された形(個人情報ではない形)で共有する。
  • ことにより、個人情報の保護を適切に図りつつ、プライバシーにも配慮した形で、共同化によるAML/CFTの実効性向上等との適切なバランスが確保されるものと考えられる。
    • なお、共同機関において、各銀行等から提供された個人情報を共有して利用することは、ある銀行等から他の銀行等への個人情報の第三者提供に該当するため、原則本人同意が必要となる。
  • 共同機関の業務内容等についての銀行等や共同機関における情報の適切な提供に加えて、政府においても、共同機関を含む銀行等におけるAML/CFTの取組みの重要性等について、引き続き、国民に分かり易い形で周知・広報を行う必要。
▼資料2-1 事務局説明資料(金融サービスのデジタル化への対応)
  • 法定通貨と連動した価格(例:1コイン=1円)で発行され、発行額と同額での償還を約するもの(及びこれに準じるもの)の発行・移転は、為替取引(参考)に該当し得ることを踏まえ、銀行業免許又は資金移動業登録を受けなければ行うことができないと解される。
  • こうしたものは資金決済法における「通貨建資産」に該当する。資金決済法上「通貨建資産」は、「暗号資産」の定義から除かれている。
  • 米国では、決済用ステーブルコインについて、発行者を預金保険対象の預金取扱機関に限定し、同機関に対する規制等を速やかに整備するよう議会に勧告。
  • 欧州連合(EU)では、単一法定通貨建てのステーブルコインの発行者を、信用機関及び電子マネー機関とする規制案を提案。
  • ステーブルコイン(デジタルマネー類似型)を用いた送金・決済サービスは、既存のデジタルマネーと同様に、社会で幅広く使用される電子的な送金・決済手段(電子的決済手段)としての機能を果たし得る。
  • 現行のデジタルマネーに関する法制度は、(1)発行・償還等、(2)移転、(3)管理・取引のための顧客接点等の機能を同一の者が果たすことを前提としている。(1)~(3)が分離して提供された場合に発行者と仲介者の機能に応じた過不足無い規制を導入する必要。
  • 電子的な為替支払手段については、償還に関する法的な権利義務関係を明確にすることが求められるが、現行の暗号資産の取引については、私法上の権利義務関係が不明確であるとの指摘がある。
  • 発行者又は仲介者破綻時においても、利用者の資産が適切に保護されることが重要である。また、仲介者が帳簿を管理している場合、速やかな破綻処理に向けて、速やかな帳簿の連携が必要となる。
  • 受益証券発行信託の受益権の譲渡の仕組みとして、利用者に流通する受益権について受益証券を発行しないことを前提とすると、実務上、譲渡人及び譲受人が受益権を譲渡しようとする場合に、仲介者を経由して、受益権原簿の名義書換を請求するスキームが考えられる。
  • 信託受益権は、その販売段階においては投資商品の一つとして、金融商品取引法の規制対象とされ、投資家保護等の観点から、情報開示制度、不公正取引の禁止及び業者規制の対象となっている。
  • 信託財産を全額円建ての要求払い預金で管理するものについては、信用リスク、金利リスク・流動性リスク、為替リスクが最小化されており、金商法上の開示規制その他の投資者保護・資本市場の健全性確保のための各種規制の必要性はないか。
  • 電子決済等代行業者は、銀行に対し送金指図の伝達を行うのみで、銀行を代理して預金債権の発生・消滅を行う権限はない点で、仲介者と異なる。
  • 銀行代理業者は、所属制の下、預金契約の締結等に係る代理・媒介を行うものであり、仲介者とは異なる。
  • 銀行預金の不正利用に対する補償について、偽造・盗難カードについては、法律上の措置がとられている。
  • また、インターネットバンキングの不正利用や盗難通帳に関するものについては、監督指針や協会の申し合わせによって、補償等の措置が示されている。
  • 資金移動業者や電子決済等代行業者についても、ガイドラインや業界団体において補償方針等の措置をとるよう示されている。
  • FATFは、ステーブルコインはグローバルに普及する可能性が高いことから、マネー・ローンダリング/テロ資金供与に使用されるリスクが高いと指摘し、仲介業者を通さないP2P取引に関するリスク低減策を提示。
  • 発行者と仲介者とが分離する中、発行者と仲介者の責任分担の明確化のため、利用者に損害が生じた場合の発行者と仲介者の間の責任分担に関する事項等について、発行者と仲介者の間で契約を締結する必要。
  • FSBは、グローバル・ステーブルコイン(GSC)が金融システムの安定性へ与えるリスクに対処するために、10個の規制・監督・監視上のアプローチを提言。
  • 勧告は、リスクに応じた規制・監督・監視を求めるものであり、当局は、“同じビジネス、同じリスクには同じルールを適用する(same business, same risk, same rules)”という原則に基づき、監督・監視の能力や実務を適用する必要性に合意している。
    1. GSCやその関連する機能・活動に関する包括的な規制・監督・監視・法執行に必要な権限・手段等を有するべき。
    2. GSCについて、機能やリスクに応じた包括的な規制・監督・監視要件と関連する国際基準を適用するべき。
    3. 国内外で協力・協調し、GSCについて効率的・効果的な情報共有及び協議を推進するべき。
    4. GSCに対し、その機能と活動に関する説明責任の所在を明確にするような包括的なガバナンスフレームワークの構築を要求すべき。
    5. GSCに対し、準備資産管理、オペレーショナル・レジリエンス、サイバーセキュリティ、AML/CFT等に関する効果的なリスク管理フレームワークの構築等を要求すべき。
    6. GSCに対し、データを収集・保管・保護する頑健なシステムの構築を要求すべき。
    7. GSCに対し、適切な再建・破綻処理計画を持つことを要求すべき。
    8. GSCに対し、利用者や関係者が価値安定化のメカニズム等のGSCの機能を理解するのに必要な、包括的かつ透明性のある情報提供を要求すべき。
    9. GSCに対し、利用者が払戻しの権利を有する場合、かかる権利の法的強制力等やそのプロセスに関する法的明確化を要求すべき。
    10. GSCに対し、ある法域でのサービス開始前に、その法域において適用され得る全ての規制・監督・監視上の要件を満たすことを要求し、また必要に応じて新たな規制を適用するべき。
  • デジタルマネーの発行・償還が大規模に行われると、事業の形態によっては、金融市場や銀行の金融仲介機能に影響を及ぼし得る。
  • 銀行等(預金取扱金融機関)が銀行法等に基づき提供するデジタルマネーサービスについては、金融システムの安定確保・預金者保護の観点から、利用者等から受け入れた(チャージされた)資金を「預金」として、その性格に応じ「決済用預金」又は「一般預金等」として、預金保険の保護対象とする扱いとなっている。
  • 銀行等が銀行法等に基づき提供するデジタルマネーサービスは、チャージ型やチャージ不要型が存在し得るが、いずれも従来の銀行間送金の資金の流れと類似のスキームとなり得る。
  • 前払式支払手段(IC型・サーバ型)には、価値の移転等が可能なもの(電子移転可能型)が存在。電子移転可能型のうち、高額のチャージや価値移転・譲渡が可能なもの(高額電子移転可能型)もあるが、実際に多額の残高譲渡をしている利用者は限られると見られる。
  • 電子移転可能型のうち、番号通知型について、不正利用事案等に係る報告等を踏まえ、残高譲渡型と同様に、価値移転に焦点を当てた体制整備を求めることが考えられる。
  • マネロン上のリスクが特に高い「高額電子移転可能型前払式支払手段」の発行者に対し、資金決済法において、業務実施計画の届出を求め、当局によるモニタリングを強化する。それを前提に、犯収法に基づく本人確認等の規律の適用関係を検討する。

金融庁 「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」中間論点整理の公表について
▼(別紙)PDF「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」中間論点整理
  • この約10年間を振り返ってみると、我が国においては、一連の制度整備により、銀行等の伝統的な金融機関が担ってきた為替取引に係る業務の一部が資金移動業においても担われ、また、新たに暗号資産交換業が導入される等、デジタル化に対応した新たな金融サービスの提供が進んでいる。
  • 世界的には、送金・決済の分野においては、2019年に、いわゆるグローバル・ステーブルコインの構想が登場する一方で、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関し、我が国を含む主要な中央銀行において検討が進められている。
  • また、証券の分野では、伝統的な有価証券をトークン化して低コスト・活発な取引を目指した動きが見られ、また、暗号資産等のアプリケーションを提供するプラットフォームとして、DeFi(Decentralized Finance)と呼ばれるプラットフォームも登場し、特定の管理者が存在しないと称しているものもある。
  • た分散台帳を利用した金融サービスに関しては、送金・決済の分野において、近年、法定通貨と価値の連動等を目指すステーブルコインを用いた取引が、米国等で急速に拡大している。
  • こうしたステーブルコインのユースケースを見ると、暗号資産取引の一環として使われているケースが多いと考えられる。また、顧客から受け入れた資金を適切に保全していない事業者が存在するという指摘や、現時点では、ビットコイン等の暗号資産と同様にパーミッションレス型の分散台帳上で流通しており、金融活動作業部会(FATF)等において、マネー・ローンダリング/テロ資金供与(ML/FT)上のリスクが高いという指摘がなされている。
  • 一方で、パーミッション型の分散台帳を用いて、こうした利用者保護上の問題点やAML/CFT上の課題に対応し得る形で、証券決済や企業間決済での利用を目指して実証実験等が行われている。そのため、将来的には幅広い分野で送金・決済手段として用いられる可能性も指摘されている。
  • Facebook社(当時)を中心としたリブラ構想(2019年6月公表)以後、G20及び金融安定理事会(FSB)、FATF等の国際基準設定主体において、いわゆるグローバル・ステーブルコインへの対応について議論が行われている。
  • また、欧州では、2020年9月にステーブルコインを含む暗号資産の規制案が公表され、米国でも、2021年7月の大統領金融市場作業部会(PWG)において規制の枠組みの早期整備が必要との考え方が示され、同年11月、規制方針等を示した報告書が公表されている。
  • パーミッションレス型の分散台帳等を利用した金融サービスについては、複数のレイヤーに基づき、その一部のレイヤーについてのみ中央管理者を置く形態で提供されているものがある。一方、従来の金融規制の枠組みでは、金融機関が全レイヤーを管理する主体として存在し、規制の名宛人として管理責任を果たせる立場にあることを前提としている。
  • 複数レイヤー全体を管理する主体が存在しない場合であっても、サービスが幅広く利用されるためには、システム全体が技術・契約・制度・インセンティブ・信頼等によって規律付けられる必要があり、規制の名宛人として管理責任を果たせる立場にある者がこうした状態を実現する必要があると考えられる。
  • その際、技術的な対応が可能なものについては、システム仕様等において対応することが重要となる。この点に関しては、航空機の設計・製造・運用も参考に議論が行われ、以下のような指摘があった。
    • 金融サービスに活用されるシステム18に関して、技術中立という観点に配意しつつ、当局が、求められる機能・水準を示すことが重要
    • 第三者がシステムの信頼性のチェック結果を公表する等、各ステークホルダーが適切に行動するようなインセンティブ付けが重要
    • 技術の進歩に伴いリスクも変化していくため、当局が必要な水準をアップデートするとともに、サービス提供者に対して継続的に水準を満たし続ける責任を求めていくことも必要
  • 社会経済で広く使われる可能性のある送金・決済手段に求められる水準としては、システムの安全性・強靱性等に加え、一般に
    1. 権利移転(手続、タイミング)に係る明確なルールがあること
    2. AML/CFTの観点からの要請に確実に応えられること
    3. 発行者や仲介者26等の破綻時や、技術的な不具合や問題が生じた場合等において、取引の巻戻しや損失の補償等、利用者の権利が適切に保護されること
      が必要と考えられる。
  • これらの要件のうち、特にAML/CFTの観点からの要請については、システム仕様等、技術的に対応することが重要である。そのための水準を満たす方法については、現時点においては、例えば、システム仕様等で、
    • 本人確認されていない利用者への移転を防止すること
    • 本人確認されていない利用者に移転した残高については凍結処理を行うこと
      といった事項を求めることを検討することが考えられる。
  • こうしたシステム仕様については、実効性を確保・確認するため、仲介者(又は必要に応じて発行者)に対する業規制(体制整備義務)として、必要な水準を満たすために必要な要件を満たすシステムの採用及びその疎明を求めることが考えられる。
  • また、FATF等における議論も踏まえつつ、利用者にアプリケーションを提供してP2P取引における取引のマッチング等を行う者の取扱いを含め、適用対象の明確化や周知徹底を図ることにより、イノベーションの過度な委縮につながらないように努めることが考えられる。
  • ステーブルコインのうち、法定通貨と価値の連動を目指すものについては、現行制度の考え方に基づけば、価値を安定させる仕組みによって、以下のとおり分類できると考えられる。
    1. 法定通貨の価値と連動した価格(例:1コイン=1円)で発行され、発行価格と同額で償還を約するもの(及びこれに準ずるもの)
    2. アルゴリズムで価値の安定を試みるもの30等(1以外)
  • これらのユースケースについては、現状では
    • 上記1に該当するものを使用して、証券決済等や企業間決済等における活用を目指した実証実験等が行われている。こうしたものの中から、既存のデジタルマネーと同様に社会で幅広く使用される送金・決済手段となるものが出現する可能性がある。
    • 暗号資産運用の一環として利用されるものとしては、上記1、2いずれもあるが、形式的には上記1に該当するものであっても、発行者が有する裏付資産の内容に照らして償還確実性に問題が生じる可能性がある、裏付資産の運用状況の開示が不十分等の指摘がなされているものも存在する。
  • 上記1(以下「デジタルマネー類似型」)と上記2(以下「暗号資産型」)は、経済社会において果たし得る機能、法的に保護されるべき利益、及び金融規制・監督上の課題が異なると考えられる。そのため必要な制度対応等については、両者を区分して検討することが適当と考えられる。その際、利用者保護等の観点から、問題のあるものについて適切に対応する必要がある。
  • 「デジタルマネー類似型」は、分散台帳等を用いて「発行者」と「移転・管理を行う者」が分離した形態でサービスが提供されているのが一般的であるが、上記のとおり、既存のデジタルマネーと同様に、社会で幅広く使用される電子的な送金・決済手段(以下「電子的支払手段」)としての機能を果たし得る。
  • 他方、既存のデジタルマネーは現時点では「発行者」と「移転・管理を行う者」は同一であるが、将来的には「発行者」と「移転・管理を行う者」を分離するモデルを模索する動きが広がる可能性もある。
  • このため、「同じビジネス、同じリスクには同じルールを適用する(same business, same risk, same rule)」との考え方に基づき、法制度の検討に当たっては対象を「デジタルマネー類似型」に限定するのではなく、既存のデジタルマネーについても「発行者」と「移転・管理を行う者」が分離し得ることを前提に検討を行う必要があると考えられる。
  • この電子的支払手段を用いた送金・決済サービスについては、サービス提供者が果たす機能に着目すると主に以下の3つの機能に大別できる。
    • (ⅰ)発行、償還、価値安定の仕組みの提供(通常、裏付資産の管理やカストディサービスを含む)
    • (ⅱ)移転(通常、取引の検証メカニズムを含む)
    • (ⅲ)管理、取引のための顧客接点(通常、顧客の秘密鍵を管理するウォレットサービスや、コインの取引を可能とするアプリの提供を含む)
  • 我が国の現行のデジタルマネーに関する法制度は、上記(ⅰ)~(ⅲ)の機能を同一の者が果たすことを前提としているが、この点については以下のような指摘がある。
    • (ⅰ)発行等の機能(主として利用者から資金を預かり、運用する機能)と、(ⅱ)(ⅲ)移転・管理等の機能(主として顧客管理(AML/CFT規制の遵守やシステム管理等))は、金融規制監督上求められる規律が異なる。
    • 欧州連合(EU)等のデジタルマネー法制は、(ⅰ)発行等の機能と(ⅱ)(ⅲ)移転・管理等の機能を分離している。米国等におけるステーブルコインも同様に分離した態様で発行・流通されている。
    • 分散台帳の活用等により、複数の主体が台帳を共有し、上記(ⅰ)~(ⅲ)の機能を分離して提供することがより容易になっている。
    • (ⅰ)~(ⅲ)の機能が分離されてサービスが提供された場合、関係者に対する法適用の範囲が必ずしも明確でない。例えば、発行価格と同額での償還を約するもの等であっても償還可能性に疑義のあるものや暗号資産と同様に取引され得るもの等に関する適用を含め、利用者保護やAML/CFT、決済機能の安定の観点から適切な規制が適用されるか必ずしも明確でない。
  • こうしたことを踏まえ、決済・送金サービスにおける民間のイノベーションの促進や、利用者保護を図る観点等から、分散台帳等の活用等も念頭において、(ⅰ)発行等の機能と(ⅱ)(ⅲ)移転・管理等の機能の担い手を分離した形態の送金・決済サービスを可能とする柔軟で過不足のない法制度の構築に向けて、検討することが適切と考えられる。
  • その際、FSBが公表したグローバル・ステーブルコインに関する10の原則を踏まえ、全体として、利用者の権利義務の明確化や、説明責任の所在を明確にするための包括的なガバナンスフレームワークの構築等を求めることが考えられる。
  • 「暗号資産型」のステーブルコインもある。こうしたステーブルコインが、資金決済法に規定する暗号資産に該当する場合、暗号資産の売買・交換・これらの媒介等・管理を行う者は、暗号資産交換業者として規制される。また、暗号資産交換業者には、その特性等に照らして利用者の保護等に支障を及ぼすおそれがあると認められる暗号資産を取り扱わないために必要な措置を取ることが求められており、新規の暗号資産の取扱いに際しては、自主規制団体によりその適切性の確認等が行われている。
  • ステーブルコインと称するものの中には、金融商品取引法に規定する有価証券に該当するものもあり得る。この場合、金融商品取引法に規定する開示規制や業規制(電子記録移転権利を自ら発行・募集する場合には第二種金融商品取引業の登録が必要になる場合があるほか、当該権利の募集の取扱いや売買の媒介を行う場合には第一種金融商品取引業の登録が必要になる)等が適用され得る。
  • 情報通信技術の急速な進歩を背景とした内外の様々な領域におけるデジタル化の進展により、今後、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に対する社会ニーズが急激に高まる可能性があること等を受けて、日本銀行を含む各国の中央銀行がCBDCに関する実証実験等を行っている。
  • CBDCは、決済システムのデジタル化や、ステーブルコインを含めた民間のデジタルマネーの広がりという流れにおける、大きな動きの1つとして捉えられる。そのため、民間のデジタルマネーとともに、決済のデジタル化の取組み全体として、より安価で利便性が高く、かつ安全に利用できる金融サービスの実現に資するものとなることが重要と考えられる。
  • その制度設計に当たっては、G7から公表された「リテール中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する公共政策上の原則」も踏まえ検討する必要がある。その際、金融システムの安定や利用者保護を目的とした金融行政の観点からは、主として以下の論点について検討を行う必要があると考えられる。
    • 民間金融機関の金融仲介機能への影響や金融危機時等における影響等に対処すること
    • 民間の決済サービスとの共存によるイノベーションの促進の観点から、民間の創意工夫を促す柔軟な設計を検討すること
    • 利用者保護の観点等から権利義務関係を明確に規定すること
    • AML/CFTの要請に対応すること6
    • プライバシーへの配慮や個人情報保護との関係を整理すること
    • クロスボーダー決済等で使用される可能性を考慮すること

金融庁 証券監督者国際機構(IOSCO)による最終報告書「資産運用におけるサステナビリティに関連した実務、方針、手続及び開示に関する提言」の公表について
▼IOSCOメディアリリース(仮訳)
  • 証券監督者国際機構(IOSCO)の代表理事会は、本日、資産運用におけるサステナビリティ関連の実務、方針、手続及び開示に関する一連の提言を公表した。
  • IOSCOの議長であり、香港の証券先物取引監察委員会(SFC)のCEOであるAshley Alderは、次のように述べた。「サステイナブル・ファイナンスのエコシステムにおいて重要な役割を担うアセットマネージャーは、投資家が投資目的を達成するために大きな役割を果たしている。アセットマネージャーがサステナビリティに関する重要なリスクや機会を考慮し、意思決定プロセスに組み込み、開示する方法に関する規制上のガイダンスは、投資家が自分の投資の影響を理解することを可能にする。」
  • 近年のESG投資やサステナビリティ関連商品の拡大に伴い、一貫性のある、比較可能で意思決定に有用な情報の必要性の高まりや、グリーンウォッシングのリスクなどの課題が生じている。2021年6月に公表された市中協議文書に寄せられた意見を反映した本報告書は、こうした投資家保護の課題に焦点を当て、「アセットマネージャーの実務、方針、手続及び開示」「商品情報の開示」「監督と執行」「用語」「金融・投資家教育」の5つの分野を取り上げている。
  • 本報告書では、投資業界がサステナビリティに関するリスクと機会を適切に評価できるように第三者機関が提供する、企業レベルのデータやESGデータ及び格付けの信頼性や比較可能性の欠如に関連する課題に対処することの明確な必要性が認識されている。本年6月に発行された「企業のサステナビリティ開示に関する報告書」は、企業レベルでのデータギャップに対処するものであり、11月下旬に公表される別のIOSCOの報告書では、ESGデータ及び格付け提供者に対する提言を取り上げる予定である。
  • スウェーデン金融庁長官であるErik Thedéenは、本報告書を公表した、IOSCO代表理事会が設置したサステナブル・ファイナンス・タスクフォースの議長を務めている。同氏は次のようにコメントしている。「証券監督者としての我々の共通の目的は、投資判断に重要な情報の透明性と開示を確保することにより、投資家を保護し、市場の信頼性を確保することである。基礎となるデータを改善することは重要だが、アセットマネージャーがサステナビリティ・リスクをリスク管理手順に適切に組み込まない場合や、ファンドのESG特性やパフォーマンスを投資家に誤って説明する場合、それだけでは不十分である。したがって、規制・監督上の期待値を設定することは、リスク管理の誤りやグリーンウォッシングに関する問題に対処するための基本となる。本報告書は、アセットマネージャーが現在の課題に対処することを支援するために、どのような期待値を持つべきかについてのIOSCOの見解を示している。
  • グリーンウォッシングとは、アセットマネージャーが自らのサステナビリティ関連業務や投資商品のサステナビリティ関連の特徴を偽って表示する行為を指す。このような行為は、募集要項に使用されている特定のサステナビリティ関連用語の不適切な使用から、企業のサステナビリティ関連のコミットメントに関する虚偽表示、商品のサステナブル・インパクトを意図的に誤認させる欺瞞的なマーケティング活動まで、その範囲や重大性は多岐にわたる。
  • 本報告書の提言は様々な分野を取り上げているが、その全てがグリーンウォッシングの防止に役立つ。例えば、サステナビリティ関連商品の重要なリスクの開示に関する要求事項は、投資家が商品に関連する潜在的なリスクと、それらのリスクが製品のパフォーマンス(サステナビリティ関連のパフォーマンスを含む)に与える影響をより良く理解することを可能にすることで、グリーンウォッシュの防止に役立つ。同様に、サステナビリティ関連商品の名称に関する要求事項は、その名称を通じてサステナビリティ関連であることを示す商品が、サステナビリティに焦点を当てていることを正確に反映していることを保証することで、グリーンウォッシングの防止に役立つ。
  • また、提言は、サステナビリティに関連した金融・投資家教育の取組みを支援することや、この分野の要求事項の遵守状況を監視・評価し、当該要求事項の違反に対処するための適切な監督・執行手段を確保することなど、他の分野を通じてグリーンウォッシングのリスクに対処している。

金融庁 国際会計基準(IFRS)財団モニタリング・ボードによるIFRS財団の国際サステナビリティ基準審議会の公表に関するプレス・リリースについて
▼プレス・リリース(仮訳)
  • IFRS財団モニタリング・ボード(以下、モニタリング・ボード)は、国際会計基準審議会(IASB)と並び、投資家のニーズを満たす高品質なサステナビリティ開示基準の包括的なグローバル・ベースラインを開発することを使命とする国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の設立についてのIFRS財団の公表を歓迎する。基準は、その全体が市中協議の対象となり、各地域で任意に採用を検討することができる。各国は、国際基準の採用、適用、及びその他の方法による利用に関して、独自の法的枠組みを持つことになる。
  • 改訂されたIFRS財団の定款の下では、モニタリング・ボードの主な使命は、引き続き、IFRS財団を監視し、財団の公益的な権限を強化すること、また高品質で包括的かつ強制力のある、グローバルに受け入れられる会計及びサステナビリティに係る開示基準を推進するIFRS財団評議員会の責任を監督すること、とされている。
  • モニタリング・ボードの議長であるJean-Paul Servaisは次のように述べている。「高品質かつ包括的で、グローバルに受け入れられる企業報告基準に支えられた質の高い企業報告は、効果的で公正かつ透明な資本市場の基礎であり続ける。モニタリング・ボードを代表して、本日、IFRS財団の下に国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が設立されたことを心より歓迎する。ISSBが、法域を超えてそれぞれの法的枠組みに従って使用可能なサステナビリティ開示基準のグローバル・ベースラインの提供に向けて前進する中で、モニタリング・ボードは、その基準がIFRS会計基準と同様に強固なガバナンス、デュー・プロセス、および監視の対象となることを確実にするために、ISSBへのマンデートを拡大する用意がある。」
  • モニタリング・ボードは、IFRS財団とその基準設定主体の正当性を促進し、公益性を高めるという観点から、評議員会、IASBのリーダー、そして将来のISSBのリーダーとの協同を継続することを楽しみにしている。

金融庁 「モデル・リスク管理に関する原則」に対するパブリックコメントの結果等について
▼(別紙2)モデル・リスク管理に関する原則
  • 原則1-ガバナンス:取締役会等及び上級管理職は、モデル・リスクを包括的に管
  • 理するための態勢を構築すべきである。
  • 1.1.取締役会等及び上級管理職の責任
    • 取締役会等及び上級管理職は、リスク管理態勢の一部として、モデル・リスクを包括的に管理するための強固なモデル・リスク管理態勢を構築すべきである。取締役会等は、モデル・リスク管理の実施及び管理態勢の維持に関する責任を、上級管理職又は関連する委員会に委譲することができる。取締役会等は、他のリスク領域と同様に、方針・規程の遵守状況、自社のモデル・リスクの状況等について定期的に報告を受けるべきである。
  • 1.2.モデル・リスク管理態勢
    • モデル・リスク管理態勢は、金融機関の特性、リスク・プロファイル、モデル・リスクの性質、モデル・リスクに対する許容度等と整合的でなければならない。モデル・リスク管理態勢は、グループ全体での管理を基本とし、業態間・地域間・法域間等で適切なレベルの一貫性を確保する必要がある。モデル・リスク管理態勢は、業界の健全な実務慣行や、自社内外におけるモデル・リスク管理の失敗事例から得られた教訓も十分に考慮して構築されるべきである。
  • 1.3.方針・規程及び文書化
    • 金融機関は、モデル・リスク管理態勢とその業務を定めた方針・規程を整備すべきである。方針・規程には、モデルの定義、役割と責任、モデル・インベントリー、モデル開発、実装、検証等、モデル・リスク管理のすべての項目を網羅すべきである。また、金融機関は、モデル・リスク管理における各プロセスの結果を適切に文書に残しておくべきである。文書化の水準は文書の目的によって異なり得るが、目的に照らして、ステークホルダーに必要な事項が十分に伝わる内容・粒度を備えている必要がある。
  • 1.4.役割・責任
    • 金融機関は、モデル・リスク管理に係る各部門・部署等の役割・責任を明確に規定すべきである。役割・責任のあり方は金融機関のモデル・リスク管理態勢によって異なると考えられるが、金融機関は、そのうちの重要なものとして、(1)モデルの所管及び(2)独立した立場からの統制について規定する必要がある。(1)について、金融機関は、モデル毎にモデル・オーナー(第1線としてモデル使用及びその性能に責任を担う者(部署)をいう。)を設定すべきである。(2)について、金融機関は、第1線の有するモデル・リスクに対して統制を行う部署として、モデル・リスク管理部署(第2線としてモデル・リスク管理態勢の維持、方針・規程の遵守状況及びモデル・リスク全体に対する独立した立場からの監視等に責任を負う者(部署)をいう。)を設置すべきである。
  • 原則2-モデルの特定、インベントリー管理及びリスク格付:金融機関は、管理すべきモデルを特定し、モデル・インベントリーに記録した上で、各モデルに対してリスク格付を付与するべきである。
  • 2.1.モデルの特定
    • 金融機関は、自社のモデル・リスク管理態勢におけるモデルの定義に基づき、管理対象とする「モデル」を特定すべきである。通常、第1線がモデルの特定に責任を負い、第2線がモデルの該当・非該当の最終判定に責任を負う。
  • 2.2.モデル・インベントリー管理
    • 金融機関は、使用中のモデル、開発中のモデル及び最近使用を停止したモデルに関する一連の情報を、モデル・インベントリーに記録すべきである。モデル・インベントリーは、金融機関がモデル・リスク管理を行うに当たって必要な情報を包括的に記載している必要がある。各業態・子会社や各部門・部署等の単位でモデル・インベントリーを管理することも可能であるが、グループ・ベースでのモデル・インベントリーの管理は必要であり、第2線がその責任を担うべきである。
  • 2.3.モデルのリスク格付
    • 金融機関は、モデル・インベントリーに記録した各モデルに対して、リスク評価を行い、リスク格付を付与するべきである。リスク格付は、モデル・リスク管理におけるリスクベース・アプローチの基礎として、各モデルに対する統制のレベル(検証の深度や頻度等)を決定する重要な要素となる。リスク格付の手法は金融機関によって異なり得るが、リスク評価に当たっては、モデルの重要性、複雑性、用途等の要素を考慮することが考えられる。
  • 原則3-モデル開発:金融機関は、適切なモデル開発プロセスを整備すべきである。モデル開発においては、モデル記述書を適切に作成し、モデル・テストを実施すべきである。
  • 3.1.モデル開発
    • モデル開発においては、モデルの理論的な適切性、データの質・モデルとの適合性など、モデルの目的に照らした適切性を確保するための開発プロセスを整備するべきである。
  • 3.2.モデル記述書
    • モデル開発プロセスにおいては、包括的なモデル記述書を作成するべきである。モデル記述書は、各モデルの機能や特性をステークホルダーに適切に共有できるように、モデルで用いられる手法や仮定、モデルの限界・弱点等を包括的かつ詳細に記載すべきである。モデル記述書は、関連分野の専門性を持つ第三者(モデルの検証者等)がモデルの機能等を理解できる程度に十分な情報を備えている必要がある。
  • 3.3.モデル・テスト
    • モデル開発プロセスにおいて、第1線は、モデルの正式使用開始前にモデル・テストを実施すべきである。モデル・テストでは、当該モデルの各構成要素及び全体の動作の点検を行い、モデルの潜在的な限界・弱点を分析し、当該モデルが意図されたとおりに機能しているかの評価を行う。また、モデル・テストの結果は適切に文書化すべきである。
  • 原則4-モデル承認:金融機関は、モデル・ライフサイクルのステージ(モデルの使用開始時、重要な変更の発生時、再検証時等)に応じたモデルの内部承認プロセスを有するべきである。
  • 4.1.モデル承認
    • モデルが正式に使用開始される際や、モデルに重要な変更が加えられる際には、事前に第2線によるモデル検証と内部承認を受ける必要がある。また、モデルの再検証が行われる際には、当該モデルの継続使用に関する内部承認を受ける必要がある。モデル承認者は、モデル使用に関する制限等の条件を付した承認や、モデル使用の拒否を行う権限を持つべきである。
  • 4.2.モデル承認に係る例外規定
    • 金融機関は、モデル承認に関する例外規定を設けることも可能である。ただし、正式なモデル承認を経ずにモデルの使用を例外的に認めることは、あくまでも第2線による厳格な統制のもとで行われる一時的な措置であるべきである。また、こうした例外措置は、モデルが有するリスクと整合している必要がある。
  • 原則5-継続モニタリング:モデルの使用開始後は、モデルが意図したとおりに機能していることを確認するために、第1線によって継続的にモニタリングされるべきである。
  • 5.1.継続モニタリング
    • 金融機関は、使用が開始されたモデルに対して継続モニタリングを実施すべきである。継続モニタリングは通常、第1線によって実施され、モデルが意図したとおりに機能しているかについて定期的な確認を行う。使用開始時には意図したとおりの性能が確認されたモデルであっても、計測対象とする金融商品、金融機関のビジネス活動、市場の状況その他の環境の変化等により性能が低下することも想定される。継続モニタリングは、そのようなモデルの陳腐化を捕捉し、モデルの変更又は使用停止が必要となっていないかを確認する役割も担っている。
  • 5.2.継続モニタリングの実施方法
    • 継続モニタリングの手法等は、モデルの目的、性質及びリスクによって異なり得る。金融機関は、継続モニタリングの実効性を確保するために適切なアプローチを選択する必要がある。継続モニタリングにおいても文書化は重要なプロセスであり、金融機関は、継続モニタリングの頻度・手法といった実施方法や、実施した結果を適切に文書化するべきである。
  • 原則6-モデル検証:第2線が担う重要なけん制機能として、金融機関はモデルの独立検証を実施すべきである。独立検証には、モデルの正式な使用開始前の検証、重要な変更時の検証及びモデル使用開始後の再検証が含まれる。
  • 6.1.モデル検証
    • 金融機関はモデルの独立検証を実施すべきである。モデル検証では、モデルの仕様及び理論の適切性、モデル使用の適切性、モデルの使用に関する制限の要否等を確認する。検証結果は適切に文書化され、モデル承認の判断基準として考慮されるべきである。第2線は、モデル検証で欠陥等が発見されたモデルについて、第1線に対して使用の制限や停止等の適切なリスク低減措置を求める権限を有するべきである。
  • 6.2.モデル検証の類型
    • モデルは、モデル・ライフサイクルのステージに応じて各種のモデル検証の対象となる。まず、すべてのモデルは、原則4.2.の例外規定により使用を認められる場合を除いて、正式な使用開始前に検証を受けるべきである。また、モデルに重要な変更が加えられる場合には、第2線が検証の必要性を検討すべきである。モデルの使用開始後は、実際の運用において意図したとおりに機能しているかどうかを評価するために、再検証が行われるべきである。
  • 6.3.モデル検証の手法及び検証項目
    • モデル検証の手法及び検証項目は、モデルの目的、性質、リスクのほか、データの利用可能性やモデル検証の類型によって異なり得る。金融機関は、モデルに対して実効的なけん制を行うために、モデル検証に当たって適切な手法等を選択する必要がある。実施が適当な場合には、実際の過去データとモデルのアウトプットの比較分析(バック・テスト等)もモデル検証の手法に含まれる。モデル検証における検証項目は、モデル自体の評価と第1線の管理に対する評価の両方をカバーする必要がある。検証項目には、例えば、モデル記述書、手法、仮定、データ、開発上の証跡、実装、使用、継続モニタリング等の評価が含まれる。
  • 6.4.モデル検証の独立性
    • 金融機関は、モデル検証者が第1線から十分に独立してけん制機能を発揮できる態勢を構築すべきである。モデル検証の独立性は、レポーティングラインの分離やインセンティブ構造等によって確保されることが考えられる。なお、第1線がモデル検証を実施することも許容されるが、その場合は、第1線が実施した検証結果に対して第2線が評価を行うべきである。
  • 6.5.モデル検証におけるリスクベース・アプローチ
    • モデル検証の実施頻度や深度・範囲等は、当該モデルのリスクの高低と整合的でなければならない。特に、再検証の実施頻度及び優先順位付けは、モデルのリスク格付と整合的であることのほか、環境の変化やそれに伴うモデルの性能低下の兆候、モデルの使用に関する制限等の状況も考慮することが必要である。なお、リスクベース・アプローチの観点からは、リスクが低いモデルについて、例えば環境に大きな変化があった場合やモデルの性能低下の兆候が観察された場合に不定期の再検証を実施するなど、定期的な再検証を実施しないことも許容される。
  • 原則7-ベンダー・モデル及び外部リソースの活用:金融機関がベンダー・モデル等や外部リソースを活用する場合、それらのモデル等や外部リソースの活用に対して適切な統制を行うべきである。
  • 7.1.ベンダー・モデルその他のサードパーティー製品
    • ベンダー・モデル等(モデルで使用するサードパーティー製のデータやパラメーター等を含む。)は、その仕様等の詳細が非公開であることが多く、金融機関は当該ベンダー・モデル等で用いられている手法、仮定、データ等に関して限定的な情報しか持たないことが多い。しかしながら、金融機関は、これらの制約がある場合であっても、ベンダー・モデル等を自社のモデル・リスク管理態勢の下で位置づけ、そのリスクを管理し、許容可能な水準まで低減する必要がある。
  • 7.2.ベンダー・モデル等のリスク管理
    • ベンダー・モデル等のリスク管理には、社内開発のモデル等とは異なるアプローチが必要になる。ベンダー・モデル等に特有の管理としては、例えば、適切なベンダー及び製品を選定すること、可能な限り詳細な情報の提供をベンダーに求め、モデルの仮定・特性や限界・弱点の把握に努めること、入手可能な情報に基づき可能な範囲でモデル検証を実施すること、当該ベンダー・モデル等が使用できない状況に備えたコンティンジェンシープランを策定すること等が考えられる。
  • 7.3.外部リソースの活用
    • モデル検証やモデルの評価等、モデル・リスク管理の実施において外部リソースを活用する場合、金融機関は外部リソースの提供者が実施した活動の結果を理解し、適切に評価できる必要がある。外部リソースの提供者に係るデュー・ディリジェンスその他の外部委託に当たっての統制は、金融機関における外部委託に係る既存の管理と整合的であるべきである。
  • 原則8-内部監査:内部監査部門は、第3線として、モデル・リスク管理態勢の全体的な有効性を評価すべきである。
  • 8.1.内部監査の役割
    • 内部監査部門は、モデル・リスク管理態勢とその実務が包括的で厳格かつ実効的であるかどうかを、独立した立場から評価・検証すべきである。また、金融機関は、自社が行う他の内部監査と同様に、モデル・リスク管理に係る内部監査の所見を文書化し、取締役会等又は関連する委員会に報告すべきである。

金融庁 「会計監査の在り方に関する懇談会(令和3事務年度)」論点整理の公表について
▼(別紙2) 「会計監査の在り方に関する懇談会(令和3事務年度)」論点整理(概要)
  • 会計監査の信頼性確保
    • 企業活動が複雑化し、上場会社の多様性が広がる中、中小監査事務所を含め、上場会社の監査の担い手の裾野が拡大
    • 会計監査の品質管理の高度化
    • 海外における監査の在り方の見直しに向けた動向
    • 対応の方向性
      • 中小監査事務所等に対する支援の充実
      • 上場会社の監査に高い規律を求める制度的枠組みの検討:「監査法人のガバナンス・コード」の受け入れの促進
      • 「第三者の眼」によるチェック機能の発揮:深度ある品質管理レビューの実施、公認会計士・監査審査会による検査範囲の見直し
  • 公認会計士の能力発揮・能力向上
    • 公認会計士の働き方の多様化―女性活躍の進展、組織内会計士の増加
    • 監査基準の高度化やAIを始めとする監査の技術革新の進展
    • 対応の方向性
      • 監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限について見直しを検討
      • 組織内会計士向けの指導・支援を広げるための方策の検討や、研修プログラムの充実等
      • 継続的専門研修(CPE)、実務補習・業務補助等の充実(公認会計士試験制度の在り方については、中長期的な目線で検討)
      • 監査事務所と企業の人材交流等による公認会計士の現場感覚の養成
      • CPEの受講義務を適切に履行しない者に対する対応
  • 高品質な会計監査を実施するための環境整備等
    • コーポレートガバナンス・コードに基づく企業の取組み
    • 対応の方向性
      • 監査役等や内部監査部門とのコミュニケーション・連携の強化
      • 内部統制の整備・運用状況の分析、実効性向上に向けた議論

金融庁 IOSCOによる「外部委託に関する原則」の公表について
▼IOSCO メディアリリース(仮訳)
  • 証券監督者国際機構(IOSCO)の代表理事会は、本日、サービス提供者へ外部委託を行う規制業者のための原則の更新版を公表した。
  • IOSCOは、2005年及び2009年に、それぞれ市場仲介業者及び取引所業務における外部委託に関する原則を発表した。上記発表以降、市場及びテクノロジーの新たな発展により、外部委託に関連するリスクと規制業者における業務上の強靭性を確保する必要性について、規制監督上の関心が向けられてきた。
  • 更に、COVID-19の影響は、外部的かつ多くの場合不測のショックが企業及びそのサービス提供者に対して影響を与える状況において、事業継続性を確保する必要性を浮き彫りにしている。
  • 更新された「外部委託に関する原則」は、過去の「市場仲介業者の外部委託に関する原則」及び「取引所業務の外部委託に関する原則」をベースとしつつも適用範囲を拡大しており、取引所、市場仲介業者、自己勘定ベースで活動する市場参加者、信用格付機関を対象としている1。金融市場インフラストラクチャー(FMIs)は本原則の適用範囲外であるが、本原則の適用を検討することも可能である。IOSCOは、今後のCPMI(BIS決済・市場インフラ委員会)-IOSCO共同作業プログラムの一環として、外部委託の問題についてCPMIと連携していく。
  • 今般更新された原則は、一連の基本的な考えと7つの原則から構成されている。基本的な考えは、外部委託の定義、重大性及び不可欠性の評価、関連会社への適用、再委託、クロスボーダーでの外部委託の取扱いなどを対象としている。
  • 7つの原則は、外部委託を行う規制業者に期待される対応と、対応実施に向けたガイダンスを定めている。7つの原則は、以下の分野を対象としている
    • サービス提供者の選定におけるデュー・ディリジェンス及びサービス提供者とそのパフォーマンスのモニタリング
    • サービス提供者との契約
    • 情報セキュリティ、業務の回復力、事業継続性、災害復旧
    • 秘密保持
    • 外部委託アレンジメントの集中
    • データ、事業所、人員へのアクセス及び関連する検査権限
    • 外部委託アレンジメントの終了
  • 本原則は、COVID-19が外部委託と業務上の強靭性に与える影響についても簡単に言及している。
  • さらに、外部委託がクラウドコンピューティングとどのように統合されるか、信用格付会社がどのように外部委託とクラウドコンピューティングを組織上の戦略と構造に組み込んで使用しているかについて記述した付属文書を含む。

金融庁 金融審議会「資金決済ワーキング・グループ」(第2回)議事次第
▼資料1-1 事務局説明資料(銀行等におけるAML/CFTの高度化・効率化に向けた対応)
  1. 共同機関に対する業規制の基本的考え方
    • 共同機関が多数の銀行等から委託を受け、その業務の規模が大きくなる場合、
      • 銀行等による共同機関に対する管理・監督に係る責任の所在が不明瞭となり、その実効性が上がらないおそれ
      • 共同機関の業務は、AML/CFT業務の中核的な部分を行うものであり、共同機関の業務が適切に行われなければ、日本の金融システムに与える影響が大きいものとなりうる
      • 共同機関に対する業規制を導入し、当局による直接の検査・監督等を及ぼすことで、その業務運営の質を確保する。
        1. 対象業務
          • 銀行等(預金取扱等金融機関・資金移動業者)からの委託を受けて、為替取引に関して、以下の業務を行うこと
          • 顧客等が制裁対象者に該当するか否かを照合し、その結果を銀行等に通知する業務(取引フィルタリング関連の業務)
          • 取引に疑わしい点があるかどうかを分析し、その結果を銀行等に通知する業務(取引モニタリング関連の業務)
        2. 参入要件
          • 一定の財産的基礎
          • 適切なガバナンスの下で業務を的確に遂行できる体制の確保(業務の実施方法等)など
        3. 兼業規制
          • 個人情報の適正な取扱い等との関係で、一定の制限が必要
          • 取引フィルタリング・取引モニタリングに関連するものが基本
        4. 個人情報の適正な取扱い
          • 多くの個人情報を取り扱うとの業務特性に鑑み、銀行等と同様の個人情報保護法の上乗せ規制(一定の体制整備義務等)
        5. 検査・監督
          • 業務の適正な運営を確保する観点から当局による検査・監督を実施
  2. FATFによるAML/CFT業務の共同化に関する評価と課題
    • 金融活動作業部会(FATF)のレポート(2021)では、データプーリングや共同分析について、以下の通り指摘している。
      • タイムリーかつ負担の少ない方法でマネー・ローンダリング及びテロ資金供与に係る要求を遵守することが可能となる
      • ビッグデータやAI等の高度な分析の活用は個人情報が共有されている場合や、プロセスの十分な説明可能性が不足したまま、偏ったり、誤った結果をもたらす可能性がある場合には、基本的権利や個人の権利に対するリスクを伴う
    • FATFのレポート(2021)では、
      • データ・プライバシー及び個人情報保護がAML/CFTに係る情報共有にあたっての主な課題とされ、
      • AML/CFTと個人情報保護については、各国の法制の下で、バランスの取れた形で考慮されなければならない、と指摘。
  3. 共同機関における個人情報の適正な取扱い
    • 共同機関においては、業務実施にあたり、政府機関等が公表する「制裁対象者リスト」や、銀行等が利用者から取得した「顧客情報」や「取引情報」といった個人情報を含む多くの情報を取り扱うこととなる。
      1. 「取引フィルタリング」関連
        • 「制裁対象者リスト(国の機関・外国の政府機関・国際機関等が公表)」をこれを公表している政府機関等から、収集、保有、最新化。
        • 「顧客情報・取引情報(銀行等が、取引にあたり顧客から提供を受けたもの) 」を銀行等から提供を受けて、当該情報と上記リストとを照合し、その結果を銀行等に通知。
      2. 「取引モニタリング」関連
        • 「顧客情報・取引情報」を銀行等から提供を受けて、取引に疑わしい点があるかどうかを分析し、その結果を銀行等に通知。
      3. 業務に必要となる「情報システム・プログラム」を開発、管理・運用、更改(高度化)する(必要に応じ、システムベンダー等に委託)。
    • 共同機関が取り扱うことが想定される「情報」(個人情報を含む)の例>
      1. 制裁対象者リスト
        • 制裁対象者の氏名・生年月日・住所・国籍・出生地・役職・旅券番号など(具体的なイメージはP16参照)
        • その他政府関係機関等により公表されている制裁対象に関する情報
      2. 顧客情報/取引情報
        • 依頼主情報(氏名・生年月日・顧客番号・住所・国籍・業種・口座情報(預金種別・口座番号・残高情報)等)、受取人情報(氏名・金融機関名・口座番号等)、取引チャネル(店頭、ATM、ネットバンキング等)、送金金額、取扱通貨、送金目的、取引日時など
        • 分析システムの開発・更改(高度化)時の学習に必要なものとして、過去一定期間の取引に係る上記情報、これまでの取引の中で、最終的に疑わしい取引の届出を行ったか、行わなかったかの情報
    • 多くの個人情報を取り扱うこととなる共同機関においては、個人情報の適切な取扱いの確保は極めて重要。
    • 共同機関は、個人情報保護法に基づく各種規制・監督等に服することとなるが、
      • 多数の銀行等からの委託を受けて、多くの個人情報を取り扱うこととなるとの業務特性を踏まえ、
      • 個人情報保護法の上乗せ規制として、共同機関に対する業規制において、個人情報の適正な取扱いに関する以下の規律を課した上で、履行状況について、業規制に基づく検査・監督を行うことが考えられる。
        1. 情報の安全管理措置
          • 業務に係る電子情報処理組織の管理を十分に行うための措置を講ずべきこと
        2. 個人利用者情報の安全管理措置等
          • 共同機関が取り扱う個人である銀行等の利用者に関する情報の安全管理、従業者の監督及び当該情報の取扱いを委託する場合にはその委託先の監督について、当該情報の漏えい、滅失又は毀損の防止を図るための措置を講ずべきこと
        3. 非公開情報の取扱い
          • 共同機関が取り扱う個人である銀行等の利用者に関する非公開情報(業務上知り得た公表されていない情報)を取り扱うときは、適切な業務の運営の確保や目的外利用を防止するための措置を講ずべきこと
        4. 目的外利用の禁止
          • 共同機関の役職員等の業務上知り得た情報の目的外利用の禁止
          • 共同機関から委託を受けた者等についても同様であること
        5. 秘密保持義務
          • 共同機関の役職員等の業務上知り得た秘密を保持すべきこと
          • 共同機関から委託を受けた者等についても同様であること
    • 共同機関の個人情報の取扱いの適正性は、業規制に基づく規制・監督等に加えて、共同機関における業務実施方法や個人情報の取扱いに係る個別具体的な態様を踏まえ、個人情報保護法やそのガイドライン等に基づき確保される必要があり、共同機関においては、例えば、以下(略)の各点に留意することが必要と考えられる
    • 共同機関においては、業規制等に基づく適切な規制・監督等の下で、例えば、下記事例のように、
      • 各銀行等から共同機関に提供される個人情報は、分別管理し、他の銀行等と共有しない、【事例1】
      • さらに、共同化によるメリットの一つである分析の実効性向上を図る観点から、これに資するノウハウを特定の個人との対応関係が排斥された形(個人情報ではない形)で共有する、【事例2】ことにより、個人情報の保護を適切に図りつつ、プライバシーにも配慮した形で、共同化によるAML/CFTの実効性向上等との適切なバランスが確保されるものと考えられる。
      • なお、共同機関において、各銀行等から提供された個人情報を共有して利用することは、ある銀行等から他の銀行等への個人情報の第三者提供に該当するため、原則本人同意が必要となる。
    • 【事例1】「委託の範囲内で顧客同意不要、利用目的の範囲内」
      • 各銀行は、顧客から個人情報の提供を受けるにあたり、「犯罪収益移転防止法に基づくご本人さまの確認等や、金融商品やサービスをご利用いただく資格等の確認のため」との利用目的を通知・公表。
      • 共同機関は、各銀行から提供を受けた個人データを銀行別に分別管理し、他の銀行のものと混ぜずに業務を実施。
      • 共同機関は、各銀行の取引等を分析した結果(個人データを含む)は、委託元の各銀行にのみ通知し、他の銀行と共有しない。
    • 【事例2】「委託の範囲内で顧客同意不要、利用目的の範囲内」
      • 各銀行は、顧客から個人情報の提供を受けるにあたり、「犯罪収益移転防止法に基づくご本人さまの確認等や、金融商品やサービスをご利用いただく資格等の確認のため」との利用目的を通知・公表。
      • 左記a、bに加えて、各銀行から提供された個人データを基に機械学習を通じて生成された学習済みパラメータ(特定の個人との対応関係が排斥されたものに限る)を共有し、各銀行の分析で活用
    • 海外のAML/CFT業務の共同化の事例
      1. オランダ
        • オランダでは、5つの大手銀行が参加し、個々の銀行では検知できない異常な取引パターンを検知するシステムを構築することで、分析の高度化を図る取組みを実施している。
        • 当該プロジェクトは、民間セクター主導のAML/CFTデータ共有のイニシアチブであり、将来的な展開のための法改正を必要としている。
      2. アメリカ
        • アメリカでは、USA PATRIOT ACT(以下「米国愛国者法」という。)314条(b)において、民間金融機関等の間において、マネロン又はテロリストが関与する活動に関連すると信じる合理的な根拠を有している場合に、テロリスト又はマネロンに関与している可能性のある個人等の情報を共有すること(あくまで任意)について、法令等に基づく責任を負わない旨規定している。
      3. シンガポール
        • シンガポール金融管理局(MAS)は、2021年10月にAML/CFTのための金融機関の間の情報共有プラットフォームについてのコンサルテーションペーパーを公表し、法的なフレームワークの導入及び金融機関が相互に情報共有を行う安全なデジタルプラットフォーム(MASが所有・運営する「COSMIC」)の開発を提案
▼資料1-2 討議いただきたい事項(銀行等におけるAML/CFTの高度化・効率化に向けた対応)
  • マネー・ローンダリング等の犯罪については、一般に、その対策が十分でない銀行等が狙われる等の指摘がある。こうした観点から、各銀行等における単独での取組みに加え、銀行等が業界全体としてAML/CFTの底上げに取り組むことは意義がある。また、銀行等によるAML/CFTの実効性向上は、詐欺等の犯罪の未然防止や、犯罪の関与者の捕捉、被害者の損害回復にも寄与するものであり、利用者保護の観点からも重要な意義を有する。
  • AML/CFTについては、顧客管理と取引フィルタリング・モニタリングを組み合わせることで実効性を高めることが重要である。各銀行等において、AML/CFTの基盤となる預金口座等に係る継続的な顧客管理を適切に行うこととあわせて、リスク・ベース・アプローチの考え方の下、一般にリスクが高いとされる為替取引に関する「取引フィルタリング」「取引モニタリング」について、システムを用いた高度化・効率化を図っていく必要がある。
  • 共同化の対象としては、FATF審査の結果5や共同化による実効性・業務効率向上の観点を踏まえ、銀行等の委託を受けて、為替取引に関して、以下のア・イの業務を行うことを対象とすることが考えられる。
  • 顧客等が制裁対象者に該当するか否かを照合し、その結果を銀行等に通知する業務(取引フィルタリング関連の業務)
  • 取引に疑わしい点があるかどうかを分析し、その結果を銀行等に通知する業務(取引モニタリング関連の業務)
  • 犯収法等に基づくAML/CFTの履行義務は、各銀行等に対して課されており、共同機関の利用は各銀行等の経営判断に基づき行われるものである。また、銀行等が共同機関を利用する場合、現行制度の下では、銀行等は共同機関の業務の適正性を管理・監督することが求められ、当局は、委託元の銀行等の管理・監督を通じて、共同機関の業務の実施状況等を把握することとなる。
  • 一方、共同機関が多数の銀行等から委託を受け、その業務の規模が大きくなる場合、
    • 銀行等による共同機関に対する管理・監督に係る責任の所在が不明瞭となり、その実効性が上がらないおそれがあるほか、
    • 共同機関の業務は、AML/CFT業務の中核的な部分を行うものであり、共同機関の業務が適切に行われなければ、日本の金融システムに与える影響が大きいものとなりうる、と考えられる。
  • このような場合を念頭に置いて、共同機関に対する業規制を導入し、当局による直接の検査・監督等を及ぼすことで、その業務運営の質を確保する制度的手当てを行う必要があると考えられる
  • 共同機関は、多数の銀行等から委託を受けて、AML/CFTの中核的な業務を営むことが想定されることから、一定の財産的基礎や適切なガバナンスの下、業務を的確に遂行できる体制の確保等が重要となると考えられる。
  • 上記の取引フィルタリング・取引モニタリング業務に関連するものとして、例えば、制裁対象者リストの情報を共同機関の利用者となる銀行等に提供し、銀行等の継続的な顧客管理に活用してもらうことや、銀行等に対して、AML/CFTの研修を行うこと、更には、取引フィルタリング・取引モニタリングの分析の高度化に向けたコンサルティングを行うことなどが考えられる。また、銀行等以外の金融機関に対し、制裁対象者リストの情報を提供することなども想定される。一方で、取引フィルタリング・取引モニタリング業務と関連のない他業を幅広く営むと、後述の個人情報の適正な取扱い等との関係で、支障が生じうる可能性もあると考えられる
  • 共同機関は、個人情報データベース等9を事業の用に供することとなるため、他の個人情報取扱事業者と同様に、利用目的の特定や通知等といった個人情報保護法に基づく各種規制・監督等に服することとなる。更に、政府機関等が公表する「制裁対象者リスト」や、銀行等が利用者から取得した「顧客情報」や「取引情報」といった個人情報を含む多くの情報を取り扱うこととなるとの業務特性に鑑み、銀行等と同様に10、個人情報保護法の上乗せ規制として、以下の体制整備義務等の規律を課すことが考えられる。
    • 情報の安全管理措置
    • 個人利用者情報の安全管理措置等
    • 非公開情報の取扱い
    • 目的外利用の禁止
    • 秘密保持義務
  • 当局による検査・監督権限を規定し、上記の取引フィルタリング・取引モニタリング業務の実施状況やそれに伴う個人情報の取扱いに係る体制整備の状況等について、モニタリングすることが考えられる。
  • 共同機関による個人情報保護法や上乗せ規制(体制整備義務等)の履行状況等は当局による直接のモニタリングの対象となるが、銀行等から共同機関への個人情報の提供に際しての本人同意の取得等については、まずは各銀行等と共同機関において、その業務態様を踏まえ、個人情報保護法や同法のガイドライン等に則して、適切に対応する必要がある。
  • 共同機関で想定される業務態様を前提とすると、共同機関における個人情報の取扱いについて、一般論として、以下のとおり整理できると考えられる。
    1. 利用目的の特定・通知又は公表
      • 銀行等は共同機関に利用者の個人情報等を提供することになる。個人情報保護法で求められる利用目的の特定・通知又は公表との関係については、現行の銀行等の実務を前提とすると、一般論としては、現在通知・公表されている利用目的の範囲内となるものと考えられる。
    2. 共同機関への個人情報の提供に際しての本人同意の取得等
      1. 共同機関における個人情報等の分別管理
        • 共同機関が、
          • 各銀行等から提供を受けた個人データを各銀行等別に分別管理する(他の銀行等のものと混ぜない)
          • 各銀行等の取引等を分析した結果(個人データを含む)は、委託元の各銀行等にのみ通知する(他の銀行等と共有しない)
        • 場合には、一般論として、
          • 銀行等の行為は「利用目的の達成に必要な範囲内において個人データの取扱いの全部又は一部を委託することに伴って当該個人データが提供される場合」に該当すると考えられ、
          • 銀行等は、あらかじめその利用者の同意を得ることなく、当該個人データを共同機関に提供することができると考えられる。
      2. 機械学習の学習済みパラメータの共有
        • 共同機関における分析能力の向上を図る観点から、
          • 上記アに加え、複数人の個人情報を機械学習の学習用データセットとして用いて生成した学習済みパラメータ(重み係数)19を共同機関内で共有し、他の銀行等の分析に活用する場合には、一般論として、
          • 当該パラメータと特定の個人との対応関係が排斥されている限りにおいては、「個人情報」にも該当しないと考えられ20、
          • 銀行等は、あらかじめその利用者の同意を得ることなく、当該パラメータを共同機関内で共有し、他の銀行等の分析に活用することができると考えられる。
▼資料2-4 参考資料
  • EUにおけるステーブルコインに関する規制案
    • 2020年9月、欧州委員会はステーブルコインを含む暗号資産の規制案(暗号資産市場規制案)を公表。ステーブルコイン(電子マネートークン及び資産参照型トークン)の発行体に開示規制や資産保全義務等を課すとともに、暗号資産のカストディ、交換、トレーディング・プラットフォームの運営を含む暗号資産サービスの提供者についても認可制を採用して様々な規制を課す内容となっている。
    • 暗号資産市場規制案は、電子マネートークンに関しては電子マネーに係る規律をベースとした規制を設ける一方で、資産参照型トークンに関しては独自の規律を設け、重要なトークンについては上乗せ規制を課している
  • 英国におけるステーブルコインに関する規制案
    • 2021年1月、英国財務省は暗号資産とステーブルコインに関する規制案の市中協議プロセスを開始。市中協議案は、ステーブルコイン(ステーブルトークン)を新たな暗号資産の類型とすることや、発行、価格安定、取引検証、送金、保管、交換等の行為毎に規制の適用の有無について意見を募集。
  • 米国におけるステーブルコインに関する規制動向
    • 米国では現状、ステーブルコインについて複数の連邦規制当局からの監督を受ける可能性があるとともに、既存の送金又は仮想通貨に関する各州法の規律を受けるものと考えられている。
    • 2020年12月、大統領金融市場作業部会(The US President’s Working Group on Financial Markets:PWG)は、ステーブルコインに関する主要な規制・監督上の論点についての声明を公表。2021年7月の会合ではステーブルコインに関する規制の枠組みを早期に整備する必要があるという考えが示されている。
    • 2021年11月、米大統領金融市場ワーキンググループ、連邦預金保険公社及び通貨監督庁は、ステーブルコインのリスクと規制の方向性を示した報告書を公表。
    • 特に決済用ステーブルコイン(注1)がもたらす健全性リスク((1)利用者へのリスク・取り付けリスク、(2)決済システムリスク、(3)規模のリスク(注2))及び当該リスクに対処するための一貫性のある包括的な規制枠組みの欠如を指摘。
    • 規制の方向性としては、健全性リスクへの対処を念頭に、決済用ステーブルコインを一貫性のある包括的な健全性規制の枠組みの対象とするための法律を速やかに制定することを議会に対して勧告するとともに、立法措置がとられるまでの暫定措置についても勧告。
  • FSB「『グローバル・ステーブルコイン』の規制・監督・監視-最終報告とハイレベルな勧告」(2020年10月)
    • 「ステーブルコイン」は、特定の資産等に対して安定した価値の維持を目指す暗号資産(crypto-asset)であり、価値安定化メカニズムを有する点や複数の機能が組み合わさっている点が特徴。
    • ステーブルコインのうち、複数の法域で取引され、相当量に達する可能性がある「グローバル・ステーブルコイン(GSC)」は、とりわけ、金融システムの安定性に対するリスクをはらんでいる。
  • ステーブルコインとFMI原則
    • CPMI-IOSCOは、2021年10月、システミックに重要なステーブルコインの仕組みが「金融市場インフラのための原則(FMI原則)」を遵守するにあたってどのようにアプローチすべきかを明確化したガイダンスを提供する市中協議報告書を公表。
  • 前払式支払手段の実態
    • 前払式支払手段は、発行者数では「紙型」が過半を占め、発行額では「IC・サーバ型」が9割超を占める。
    • チャージ残高の譲渡を行うサービスについて、計数の提供を受けた4社の合計でみると、月間合計件数は約23万件、月間合計金額は約8億円となっており、1件あたり1万円未満の譲渡が9割弱となっている。
  • 譲渡可能な前払式支払手段に関するサービス
    • 前払式支払手段のうち、「第三者型」かつ、「IC型」や「サーバ型」に該当するものの中には、発行者が提供する仕組みを通じて、利用者が、他者に(1)チャージ残高を譲渡することで、個人間で支払手段の移転を行うことや、(2)番号等をメール・SNS等で送付することで、当該他者が支払手段として利用すること、が可能なものも存在する。

金融庁 「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第4回)議事次第
▼資料1 事務局説明資料
  • 国際通貨基金(IMF)は、2021年10月の報告書において、暗号資産エコシステムがもたらす金融安定上の課題について言及。ステーブルコインについては、各国規制に差があることによる規制アービトラージ、裏付資産の不十分な開示、取り付けリスク等が指摘されている。
    • 全く規制されていないか、もしくは部分的に規制されている状況(例:AML/CFT目的)であり、現時点において包括的に規制されているものはない。また、部分的な規制がある場合でも、規制手段は限定的で、ステーブルコインの発行者の全リスクに対応できない可能性。
    • ステーブルコインの多くは規制されていない状況にあり、規制当局は、適用可能な規制を策定する過程にある。
    • 多くのステーブルコインでは開示が不十分である。開示を行う発行者もいるが、独立監査人による監査が行われておらず、重要な情報が欠けている等の課題が見られる
    • 「1:1での償還」に対する懸念等を発端とし、一部のステーブルコインについては、取り付けの可能性があり、金融システムにも影響が及び得る。
    • 2021年6月、小規模のアルゴリズム型ステーブルコインである「IRON」は取り付け騒ぎを経験した。IRONの裏付資産の4分の1を占めるトークン「TITAN」の市場価値が0となったことが原因と見られる。
    • ステーブルコインは現時点では「システミック」であるとみなされるほどの規模ではないが、その裏付資産の投げ売り等により、金融安定性に影響を与える可能性。
    • さらに、規模の大きいグローバルな暗号資産取引所が関与する場合、一つの国での利用者の取り付けが、クロスボーダーに広がる可能性もあり得る。
    • 取り付けリスク(Run Risk)は、CPの投げ売りを引き起こす可能性もある。
    • 裏付資産が特定の発行者又はセクターに集中している場合、波及リスク(Contagion Risk)はより大きくなる可能性がある。
    • IMF報告書では、新興市場国及び途上国において、暗号資産取引が増加していることを踏まえ、現地通貨に代わって暗号資産が使われることによる金融安定性への影響や、国際的な金融制裁等の回避のためにマイニング報酬が利用されるおそれ等が指摘されている。
    • 暗号資産の取引量等を居住国別に推定する信頼できる方法はない。業者のウェブサイトへの訪問数を居住国別に推定した結果からは、グローバルないくつかの暗号資産取引所が、新興市場国及び途上国で人気を博していることが分かる(この結果は実際の取引量を示すものではない点に留意)。
    • 特に新興市場において、暗号資産の普及が進むと、金融政策や資本規制へ影響を与え得る。
    • 中国におけるマイニング活動への取締り措置(2021年)を受けて、マイニング活動が他の新興市場国及び途上国や米国に移行し始めている。
    • 新興市場国及び途上国や米国にマイニング活動が移行することは、資本フローやエネルギー消費に、深刻な影響をもたらす可能性。
    • マイニング活動の大規模な移行は、特にエネルギーコストの補助を実施する国で、国内エネルギー使用量の大幅な増加に繋がる可能性。
    • マイニング報酬は、国際的な金融制裁等を回避するために用いられる可能性。
    • 金融活動作業部会(FATF)は、2020年6月付のG20報告書において、ステーブルコイン(”so-called stablecoin”)のマネー・ローンダリング/テロ資金供与(ML/FT)リスクを指摘。FATFは、残余リスクの一つである仲介業者を通さないP2P取引に関しては、2021年3月に改訂暗号資産ガイダンス市中協議案にてそのリスク削減策を提示。
    • 暗号資産のP2P取引に関する定量的な市場データを提示の上、以下の点を指摘。
    • 暗号資産におけるP2P取引は相応の規模
    • 不正な取引の割合は、暗号資産サービスプロバイダー(VASP)経由の取引よりもP2P取引の方が高い。
    • 改訂FATF基準最終化(2019年)以降にP2P取引の割合が顕著に増加した傾向は見られない。
    • いわゆるステーブルコインが広範に普及した場合、P2P取引の規模も大きくなり、VASP等の義務主体を通じたML/FTリスクの低減が効率的に機能しなくなり、深刻なリスクを招く可能性。そのような状況において十分なリスク削減を図るためには、FATF基準の変更が必要となる可能性を指摘。
    • 現行制度におけるステーブルコインの取扱い
    • いわゆるステーブルコインは、特定の資産の価値に連動するものである。連動する資産の種類等によって、その性格は異なると考えられる。
    • 法定通貨と連動した価格(例:1コイン=1円)で発行され、発行額と同額での償還を約するものの発行・移転は、為替取引(注2)に該当し得ることを踏まえ、銀行業免許・資金移動業登録を受けなければ行うことができないと解される。こうしたステーブルコインは、資金決済法上、「通貨建資産」とされ、「暗号資産」から除外。
    • 上記以外のものは、価値が連動するものや、償還合意の有無及びその内容に応じて、その性格を個別判断(有価証券又は暗号資産に該当し得る)。
  • 電子的な為替支払手段については、償還に関する法的な権利義務関係を明確にすることが求められるが、現行の暗号資産の取引については、私法上の権利義務関係が不明確であるとの指摘がある。
  • 発行者と仲介者の両者を合わせた規律
    1. システム全体としてのガバナンスの必要性
      • 発行者と仲介者とが分離する中、両者を合わせた全体としての適切な金融サービス提供には、システム全体としての適切なガバナンスの確立が必要不可欠。
    2. 送金分野における当てはめ
      • 社会経済で広く使われる可能性のある送金・決済手段に求められる水準としては、一般に,(1)権利移転(手続、タイミング)に係る明確なルールがあること、(2)AML/CFTの観点の要請に応えられること、(3)発行者や仲介者の破綻時や、技術的な不具合や問題が生じた場合等において、取引の巻き戻しや損失の補償等、利用者の権利が適切に保護されることが必要と考えられる。特に、発行者と仲介者とが分離する中、利用者保護の観点から、利用者の発行者に対する償還請求権が確保され、発行者又は仲介者の破綻時において利用者の償還請求権が適切に保護されること(利用者への確実な払戻し、差押え可能性等)が重要であると考えられる。
      • 発行者・仲介者に対して、FATF等の議論も踏まえつつ、システム仕様等を含めた体制整備において、こうした点への対応を求める方向性で検討する必要があると考えられる。
      • また、利用者保護の観点から、損失の補償等について、発行者と仲介者の間であらかじめ責任分担に関する事項等を定めることを求めることが考えられる。
  • CBDCを巡る諸外国の動向
    • 英国
      • 2021年4月、財務省とイングランド銀行は、英国におけるCBDC導入のメリット、リスク、実用性等について調査を行うタスクフォースの設立を発表。
    • 欧州(ユーロ圏)
      • 2021年7月、ECBは、デジタルユーロ導入に向けた2年間の調査開始を決定。※パネッタECB専務理事は、2年間の調査期間の後、CBDC発行の準備に入ることが目標であり、準備には3年間程度要すると発言。
    • G7
      • 2020年10月、「デジタル・ペイメントに関するG7財務大臣・中央銀行総裁声明」において、透明性・法の支配・健全な経済ガバナンスの重要性を提起。
    • 2021年10月、「一般利用型CBDCに関する公共政策上の原則」を公表。
    • 中国
      • 2020年10月以降、深セン・蘇州・北京・上海等において、大規模なパイロット実験を実施。
      • 2021年7月、デジタル人民元(e-CNY)の背景や目的、設計枠組み、政策的検討事項についてまとめた「研究開発白書」を公表。
    • 主要7中銀(カナダ銀行、イングランド銀行、日本銀行、ECB、FRB、スウェーデン・リクスバンク、スイス国)+BIS
      • 2020年10月、「中央銀行デジタル通貨:基本的な原則と特性」を公表。
      • 2021年9月、システム設計と相互運用性、利用者ニーズと普及、金融安定に対する影響についてそれぞれ報告書を公表。
    • 米国
      • 2020年8月、ボストン連銀とマサチューセッツ工科大学(MIT)がデジタル通貨に関する共同研究を行っていることを公表。
      • 2021年9月、パウエルFRB議長は、「CBDCを発行するべきかどうか、どのような形で発行するのかについて先を見越して検討を行っている」とし、「まもなくディスカッションペーパーを公表する予定」と発言。
    • その他
      • Multiple CBDC Bridge Project(香港・タイ・中国・UAE)、Project Dunbar(星・豪州・マレーシア・南アフリカ)は、分散型台帳を利用したホールセール型CBDCのクロスボーダー送金について共同研究を実施。
  • 我が国における今後のスケジュール
    • 経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2021(2021年6月18日閣議決定):「CBDCについて、政府・日銀は、2022年度中までに行う概念実証の結果を踏まえ、制度設計の大枠を整理し、パイロット実験や発行の実現可能性・法制面の検討を進める。」
      1. 概念実証フェーズ1
        • システム的な実験環境を構築し、CBDCの基本機能(発行、流通、還収)に関する検証を行う。
        • 2021年4月~2022年3月(1年間)を想定。
      2. 概念実証フェーズ2
        • フェーズ1で構築した実験環境にCBDCの周辺機能を付加して、その実現可能性などを検証。
        • 2022年4月開始予定。
      3. パイロット実験
        • 概念実証を経て、さらに必要と判断されれば、民間事業者や消費者が実地に参加する形でのパイロット実験を行うことも検討。
  • G7「一般利用型CBDCに関する公共政策上の原則」に関連する論点
    • 金融システムの安定、利用者保護を目的とした、金融行政の観点から主として以下のような論点が挙げられる。
      1. 原則1関連:金融システムの安定
        • 銀行等の金融仲介機能への影響やデジタルバンクランのリスクに関する指摘等も踏まえ、具体的な制度設計(例:CBDCの保有上限額・取引上限額や付利の有無等)を検討することが必要か。
      2. 原則2・3・6関連:日本銀行と仲介機関の権利関係、利用者保護・不正利用防止
        • 日本銀行と複数の仲介機関が関与する階層的なシステムのもと、
          • 利用者に対する日本銀行と仲介機関の責任分担、権利移転に関する考え方など、CBDCに関する権利義務関係を明確化することが必要か。
          • 日本銀行と仲介機関の間でAML/CFTに関する適切な役割分担が必要か。
          • 利用者のCBDC保有額等の口座情報は各仲介機関が分散して保有することとする場合、日本銀行と仲介機関の間で個人情報保護に関する責任分担について整理が必要か。
      3. 原則5・9関連:イノベーションの促進
        • 民間デジタルマネーとCBDCが共存し、利用者の利便性向上等に資する観点から、相互運用性の確保等に留意しながら制度設計・機能設計されるべきか。
        • 民間デジタルマネーとの関係で、CBDCが果たすべき役割等についてどのように考えるべきか。
      4. 原則12関連:クロスボーダー決済
        • CBDCは、クロスボーダー決済等において大きな役割を果たす可能性がある。そうした観点から、CBDCの制度設計にあたってどのような点に留意すべきか。
▼資料2 日本銀行説明資料
  • 各国における一般利用型CBDCの取り組み状況
    1. ユーロ
      • 2021年7月14日、ECB政策理事会は、デジタルユーロ・プロジェクトの「調査フェーズ」の開始を決定。実施期間は2年間を想定。
      • 今回の決定は、「将来のデジタルユーロ発行に関するいかなる決定に対しても、予断を与えるものではない」とされている。
      • 「調査フェーズ終了後、(発行が決定されれば)3年程度と見込むデジタルユーロの開発に着手できるよう準備しておく」(パネッタECB理事、7月14日)
    2. 米国
      • 「CBDCについて、メリットがコストを上回るかは、判断しきれていない。現時点で立場はオープンだ」(パウエルFRB議長、2021年7月15日)
      • 「我々は、CBDCに関する市中協議ペーパーを近々公表する予定で、幅広い主体との対話の材料としていく」(同、9月22日)
      • ボストン連銀は、2020年以降、基盤技術に関するMITとの共同研究を実施。
    3. 中国
      • 2014年より、一般利用型CBDC(デジタル人民元:e-CNY)の研究を開始。
      • 2019年末より、対象地域を順次拡大しながら、パイロット実験を実施。
      • 6月末までに、2,087万超の個人、351万超の企業が実験用ウォレットを開設。
      • 中国人民銀行は、「e-CNYの導入に向けて事前に定められたスケジュールはない」としつつ、今後は、(1)パイロット実験の継続、(2)法制度の改正、(3)金融システム等への影響の分析や国際的な議論への参画、に取り組む方針。
  • 日本銀行の基本的な考え方
    • 情報通信技術の急速な進歩を背景に、内外の様々な領域でデジタル化が進んでいる。技術革新のスピードの速さなどを踏まえると、今後、CBDCに対する社会のニーズが急激に高まる可能性もある。
    • 現時点でCBDCを発行する計画はないが、決済システム全体の安定性と効率性を確保する観点から、今後の様々な環境変化に的
    • 確に対応できるよう、しっかり準備しておくことが重要。
    • このため、内外関係者と連携しながら、実証実験と制度設計面の検討を進めていく。
    • デジタル社会にふさわしい決済システムのあり方について、幅広い関係者とともに考えていく必要。CBDCは、現金と並ぶ決済手段としての役割に加え、民間の事業者が、イノベーションを発揮して様々な決済サービスを新たに提供する基盤となり得る。
    • 現金に対する需要がある限り、日本銀行は、今後も責任をもって供給を続けていく。
  • 決済システムの二層構造
    • 一般利用型CBDCを導入する場合、中央銀行と民間部門による決済システムの二層構造(「間接型」発行形態)を維持することが適当。
    • 仲介機関やその他の民間事業者が、その知見やイノベーションを通じて、ユーザーのニーズに合ったサービスを提供。日本銀行は、こうしたサービスの土台となるCBDCを設計し、供給していく。
  • CBDCが具備すべき基本的特性
    • 一般利用型CBDCを発行する場合には、機能面やシステム面で、以下のような基本的特性を具備する必要があると考えられる。このうち、ユニバーサルアクセスや強靭性(オフライン決済機能など)を確保する取り組みは、今後の現金の利用状況に応じて段階的に進めていくことも考えられる。
      1. ユニバーサルアクセス
        • 送金・支払に用いる端末、カード等の簡便性、携帯性
      2. 相互運用性
        • 民間決済システム等との相互運用性、決済の高度化等に適応できる柔軟な構造
      3. 即時決済性
        • 決済のファイナリティ、即時決済性、十分な処理性能、将来に備えた拡張性
      4. 強靭性
        • 偽造抵抗力、各種不正の排除
      5. セキュリティ
        • 24時間365日利用できる、オフライン環境下でも利用できる
  • CBDCの発行と流通
    • 日銀当座預金と引替えに発行されたCBDCは、仲介機関を通じて、ユーザーに払出される。払出されたCBDCは、ユーザー間を移転する。仲介機関が受入れたCBDCは、日銀当座預金と引換えに還収される。
  • 「水平的共存」と「垂直的共存」
    • CBDCの導入を検討する際には、水平的な共存(様々な決済手段が機能に応じて役割分担)とともに、垂直的な共存(様々な主体が関わることでCBDCシステムが発展)の実現を目指すことが必要。
    • CBDCと他の決済手段の円滑な交換(相互運用性)は、水平的共存の前提。これは、国民の利便性向上、決済システム全体の効率化・強靭化に資する。
    • 一方、こうした相互運用性が決済手段間の大幅な資金シフトを招き、金融システムを不安定化させないよう、「セーフガード」のあり方を検討する必要がある。
    • 日本銀行は、基礎的な決済手段(公共財)であるCBDCを、仲介機関を通じて、全てのユーザーに等しく提供する。民間事業者(仲介機関を含む)は、CBDCを土台にして個別のニーズに応じた様々な「追加サービス」を提供する。
  • 仲介機関(仲介業務の担い手)の構造
    • 仲介業務に関し、CBDCの「発行・還収」の相手方になるには日銀当座預金取引先であることが必要。他方、当座預金取引先でなくても、ユーザーからのCBDCの「払出・受入」依頼に対応することは可能。
    • こうしたもとで、仲介機関の構造については、大別して「単層型」と「階層型」の2種類が考えられる。
▼資料3 討議いただきたい事項
  • 【論点1】規制当局と技術者コミュニティを含む関係者間の対話について、実効的なものとするためには、どのような点に留意する必要があるか。
  • 【論点2】
    1. 社会経済で広く使われる可能性のある送金・決済手段(2.(1)アに該当するものやデジタルマネー等)については、AML/CFTの観点からの要請が特に強く求められるが、そのための水準を満たす方法について、規制当局と技術者コミュニティを含む関係者間で実効的な対話を行うため、例えば、システム仕様等で、
      • 本人確認されていない利用者への移転を防止すること
      • 本人確認されていない利用者に移転した残高については凍結処理を行うことといった事項を求めることを検討することが考えられるが、どうか。
    2. 上記(1)の実効性は以下の方策で確保することが考えられるが、どうか。
      • 後述する発行者及び仲介者16に対する業規制(体制整備義務)として、上記(1)の検討を踏まえつつ、水準を満たすために必要な要件を満たすシステムの採用及びその疎明を求める
        • 社会経済で広く使われる可能性のある送金・決済手段の売買等の媒介を業として行っていると認められる場合には、後述の仲介者の業規制の適用があり得る17。その際、FATF等における議論も踏まえつつ、アプリを提供してP2P取引における取引のマッチング等を行う者の取扱いを含め、適用対象の明確化や周知徹底を図ることにより、イノベーションの過度な委縮につながらないように努める。
  • 【論点3】発行者に対する上記のような要請を満たす仕組みとして、例えば、以下のようなものが考えられるが、どうか。
    • 銀行預金債権の発生・消滅についての現行実務を前提としたものとして、銀行から代理権を付与された仲介者が、個々の利用者の持分を管理し、振り替える仕組み(仲介者が持分を管理するいわゆる連名預金)
    • 信託法制が適用されるものとして、銀行に対する預金を信託財産とした信託受益権を仲介者が販売・移転する仕組み
  • 【論点4】仲介者の機能に関しては、利用者保護やAML/CFTの要請の観点から、海外発行のものを含め想定される行為・機能を過不足なく業規制の対象とした上で、取引実態等が類似する暗号資産の交換業者に対する規制を参考に所要の規制を導入する必要があると考えられるが、どうか。
  • 【論点5】更に、全体として送金・決済サービスが適切に提供されるためには、「発行者」と「仲介者」の適切な連携や利用者から見た「発行者」と「仲介者」の役割や責任関係の明確化及びその履行のための体制整備が求められると考えられるが、どうか。
  • 【論点6】
    • 民間デジタルマネーとの共存によるイノベーションの促進・利便性の向上の観点から、官民の関係者は、技術面を含め、どのような点に留意して検討を進めていくべきか。
    • CBDCの具体的な制度設計に当たっては、金融仲介機能への影響やデジタルバンクランのリスク等、金融システムの安定の観点からの考慮が必要と考えるが、どうか。
    • サービス提供が階層構造で行われる場合、日本銀行と仲介機関の間におけるCBDCに関する権利義務関係や、AML/CFT、個人情報保護に関する責任分担を明確にすることが重要となる。こうした観点から留意すべき点があるか。
  • 上記のほかに留意すべき点はあるか。
    • ステーブルコインの種別分けと既存のデジタルマネーの関係について
      • いわゆるステーブルコインについて明確な定義は存在しないが、一般的には、特定の資産と関連して価値の安定を目的とするデジタルアセットで分散型台帳技術(又はこれと類似の技術)を用いているものをいうものと考えられる。法定通貨と価値の連動を目指すステーブルコインについては、現行制度の考え方に基づけば、価値を安定させる仕組みによって、以下のとおり分類できると考えられる。
        1. 法定通貨の価値と連動した価格(例:1円=1コイン)で発行され、発行価格と同額で償還を約するもの(及びこれに準ずるもの)
        2. アルゴリズムで価値の安定を試みるもの19等(ア以外)
  • これらのユースケースについては、現状では
    1. 上記アに該当するものを使用して、証券決済等や企業間決済等における活用を目指した実証実験等が行われている。こうしたものの中から、既存のデジタルマネーと同様に社会で幅広く使用される送金・決済手段となるものが出現する可能性がある。
    2. 暗号資産運用の一環として利用されるものとしては、上記ア、イいずれもあるが、形式的には上記アに該当するものであっても、発行者が有する裏付資産の内容に照らして償還確実性に問題が生じる可能性がある、裏付資産の運用状況の開示が不十分等の指摘がなされているものも存在する。
      • 上記ア(以下「デジタルマネー類似型」)と上記イ(以下「暗号資産型」)は、経済社会において果たし得る機能、法的に保護されるべき利益、金融規制・監督上の課題が異なると考えられる。そのため必要な制度対応等については、両者を区分して検討することが適当と考えられる。その際、利用者保護等の観点から、問題のあるものについて適切に対応する必要がある。
  • 暗号資産型のステーブルコインを巡る課題
    • 法定通貨で払込みを受けて法定通貨と連動した価格で発行され、発行価格と同額で償還を約するもの(及びこれに準ずるもの)以外のステーブルコインもある。
    • こうしたステーブルコインが暗号資産に該当する場合、暗号資産の売買・交換・これらの媒介等・管理を行う者は、暗号資産交換業者として規制される。また、暗号資産交換業者には、その特性等に照らして利用者の保護等に支障を及ぼすおそれがあると認められる暗号資産を取り扱わないために必要な措置を取ることが求められており、新規の暗号資産の取扱いに際しては、自主規制団体によりその適切性の確認等が行われている。
    • ステーブルコインと称するものの中には、金融商品取引法に規定する有価証券に該当するものもあり得る。この場合、金融商品取引法に規定する開示規制や業規制(電子記録移転権利を自ら発行・募集する場合には第二種金融商品取引業の登録が必要になる場合があるほか、当該権利の募集の取扱いや売買の媒介を行う場合には第一種金融商品取引業の登録が必要になる)等が適用され得る。
  • 中央銀行デジタル通貨(CBDC)について
    • 情報通信技術の急速な進歩を背景とした内外の様々な領域におけるデジタル化の進展により、今後、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に対する社会ニーズが急激に高まる可能性があること等を受けて、日本銀行を含む各国の中央銀行がCBDCに関する実証実験等を行っている。
    • CBDCは、決済システムのデジタル化や、民間のステーブルコインを含めたデジタルマネーの広がりという流れにおける、大きな動きの1つとして捉えられる。そのため、民間のデジタルマネーとともに、決済のデジタル化の取組み全体として、より安価で利便性が高く、かつ安全に利用できる金融サービスの実現に資するものとなることが重要と考えられる。
    • その制度設計に当たっては、デジタルエコノミーにおける金融インフラの構築、決済スピードの向上や送金コストの低下といった利便性の向上に貢献するとの観点のほか、金融システムの安定の観点から民間金融機関の金融仲介機能への影響や金融危機時等における影響などに対処する必要がある。また、民間の決済サービスとの共存によるイノベーションの促進との観点や、利用者保護、AML/CFTの要請、個人情報保護との関係も重要となる。

金融庁 金融活動作業部会(FATF)による「暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベース・アプローチに関するガイダンス」改訂版の公表について
  • 金融活動作業部会(以下、FATF)は、10月28日、「暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベース・アプローチに関するガイダンス」(原題「Updated Guidance for a risk-based approach to Virtual Assets and Virtual Asset Service Providers」)を改訂しました(2019年6月に公表した同ガイダンスの改訂版)。
  • 今回の改訂は、FATFが昨年7月に公表した「暗号資産・暗号資産交換業者に関する新たなFATF基準についての12ヵ月レビューの報告書」及び「いわゆるステーブルコインに関するG20財務大臣・中央銀行総裁へのFATF報告書」、また本年7月に公表した「暗号資産・暗号資産交換業者に関するFATF基準についての2回目の12ヵ月レビュー報告書」において示されていた通り、FATF基準の実施に関して各国および関係する業界に更なるガイダンスを提供するものであり、主要改訂項目としては、(1)FATF基準における暗号資産、暗号資産交換業者の定義の明確化、(2)いわゆるステーブルコインに対するFATF基準の適用、(3)仲介業者を利用せず、個人間で行われる取引(P2P取引)のリスクおよびリスク低減策、(4)暗号資産交換業者の登録・免許、(5)暗号資産移転における通知義務(いわゆるトラベルルール)の履行、(6)情報共有と監督上の国際協力に関する原則、となっています。また、FATFでは、今後とも、いわゆるステーブルコイン、P2P取引、非代替性トークン(NFT)、分散型金融(DeFi)などを含め、暗号資産に関するモニタリングを継続していくとしています。当庁は、本ガイダンス改訂作業を担当したFATFコンタクト・グループの共同議長並びにコンタクト・グループ傘下のプロジェクトチームの共同リードとして、ガイダンス改訂の取り纏めに貢献しました。
▼暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベース・アプローチに関するガイダンス」(原題:Updated Guidance for a Risk-Based Approach for Virtual Assets and Virtual Asset Service Providers)、Executive Summary 仮訳
  • 2018年10月、金融活動作業部会(FATF)は、FATF勧告の改訂を採択し、FATF勧告が暗号資産に関する金融活動にも適用されることを明確化するとともに、「暗号資産」(以下、VA)と「暗号資産交換業者」(以下、VASP)の2つの用語の定義を「用語集」(Glossary)に新たに加えた。FATF勧告15の改訂において、VASPを、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策(以下、AML/CFT)の目的から規制対象とすべきこと、免許制又は登録制の対象とすべきこと、有効なモニタリング又は監督の対象とすべきことが必要とされている。
  • 2019年6月、FATFは勧告15の解釈ノートを採択した。これは、FATF基準をVAやVASPにどう適用すべきかにつき一層明確化することを目的とし、特にVAの動向や業務、VASPに対するリスクベース・アプローチの適用、AML/CFTを目的としたVASPの監督又はモニタリング、免許又は登録、予防的措置(CDD/EDD、記録作成・保持、疑わしい取引の届出等)、制裁その他の検挙・執行措置、及び当局間の国際協力といった点を明確化するものである。
  • FATFはリスクベース・アプローチのVA及びVASPへの適用に関し、2019年6月に最初となるガイダンスを採択し、2021年10月、これを改訂した。今回改訂の目的は、規制当局がVAに関する活動及びVASPへの規制・監督上の対応を理解・実施することをサポートし、またVAに関する活動に関与しようとする民間主体が、AML/CFTの義務や、これらのAML/CFT要件を効果的に遵守する方法を理解することをサポートすることである。
  • 本ガイダンスは、各国、VASP及びVAに関する活動に関与するその他主体が、VAに関する活動に伴うマネー・ローンダリング及びテロ資金供与(以下、ML/TF)リスクを理解した上で、当該リスクに対する適切な軽減措置を取る必要がある旨を記載している。とりわけ、本ガイダンスは、取引を更に追跡困難とする要素やVASPによる顧客の特定を阻害する要素に重点を置きつつ、VAの文脈で特に考慮すべきリスク指標を例示している。
  • 本ガイダンスは、VAに関する活動及びVASPに対して、FATF基準がどのように適用されるかを考察している。ガイダンスは、VASPの定義によりカバーされる5種類の活動について記載しており、更にVASPの定義に含まれるVAに関するサービスや、逆に除外される可能性のあるサービスについても例示している。この点において、本ガイダンスはVASP該当性の重要な要件として、他人のため又は他人の代わりに業として、VAに関するサービスを提供すること又は積極的に促進すること、を明らかにしている。
  • 本ガイダンスは、各国及び所管当局並びにVASP及びVAに関する活動に従事するその他の規制対象となる主体(銀行、証券ブローカー・ディーラー等の金融機関を含む)に対するFATF勧告の適用について記載している。FATF勧告の大半がVA及びVASPに関連するML/TFリスクに対処するために直接適用される。他のFATF勧告は、VA又はVASPに直接的に又は明示的に関連する度合いは低いものの、依然として関係性があり、適用可能である。従って、VASPは金融機関や特定非金融業者及び職業専門家(DNFBPs)と同一の義務すべてを負うことになる。
  • 本ガイダンスは、FATF勧告のもとでVASPとVAに適用されるべきすべての義務について、勧告毎に順を追って詳述している。そこでは、FATF勧告における資金又は価値を示すすべての概念(「資産(property)」「利益(proceeds)」「資金(funds)」「資金もしくはその他の資産(funds or other assets)」、その他の「対価(corresponding value)」等)にVAも含まれる点を明確にしている。従って、各国は、FATF勧告に基づくすべての関連措置を、VA、VAに関する活動及びVASPに適用すべきである。
  • 本ガイダンスは、VASPの登録又は免許の要件、特に、VASPがいずれの国で登録又は免許を得るべきかを決定する方法について説明しており、少なくとも、当該VASPが設立された法域又はVASPが自然人である場合には事業の所在する法域(its place of business)での登録又は免許が必要である。一方で、各法域は、VASPが当該法域において又は当該法域から業務を開始する前に、登録又は免許を求めることもできる。さらに、本ガイダンスは、各国当局が、必要な免許又は登録を得ずにVAに関する活動を行う自然人又は法人の特定に向けた措置を取ることが求められることを強調している。これは、VAやVAに関する活動を国レベルで禁止することを選択した国に対しても、同様に適用される。
  • VASPの監督に関して、本ガイダンスは、VASPの監督又はモニタリング機関として活動できるのは規制当局のみであり、自主規制機関ではないことを明確にしている。規制当局は、リスクベースの監督又はモニタリングを行うべきであり、また検査の実施、報告徴求、制裁の適用を含む適切な権限を有すべきである。VASPの活動やサービスの提供がクロスボーダーの性質を有することに鑑み、本ガイダンスは、監督当局間の国際協力の重要性に特に焦点を当てている。
  • 本ガイダンスは、VASP及びVAに関する活動に関与するその他の主体は、FATF勧告10から勧告21に記載されたすべての予防的措置を適用する義務がある点を明確にしている。
  • 本ガイダンスは、VAの文脈において、これらの義務がどのように果たされるべきかを説明している。一見取引において、USD/EUR1000の閾値を超す取引ではVASPは顧客管理を実施しなければならず(勧告10)、またVAの移転を行う場合には、送金人及び受取人に関する情報の取得・保持・送付を直ちにかつ(注:データ保護上の懸念がないよう)確実に行う義務を負う(勧告16)(「トラベルルール」)ということを明確化している。本ガイダンスが明示しているとおり、関連当局は、これらの措置が各国のデータ保護・プライバシーに係る規則との整合性を確保する形で行われるよう協調すべきである。
  • 最後に、本ガイダンスは、VAに関する活動、VASP及びその他の規制対象となる主体に対して、AML/CFTに関する規制、監督及び捜査・検挙に対する各法域のアプローチについて、事例を示している。
  • 2021年10月に、官民双方に対して新たな指針を提示するために本ガイダンスは改訂された。この改訂は、FATFに対してより詳細なガイダンスが求められた6つの主要領域に焦点を当てたものである。これら6つの領域とは、(1)FATF基準におけるVA及びVASPの定義を明確化し、これらの定義は広く解釈されるものであり、また関連する金融資産(VA又はその他の金融資産)がFATF基準の対象とならない場合があってはならないことを明確にすること、(2)いわゆるステーブルコインに対するFATF基準の適用に関するガイダンスを提供するほか、ステーブルコインに関与する幅広い主体がFATF基準のもとでVASPsに該当し得ることを明確にすること、(3)規制対象となる仲介業者を利用せず、個人間で行われる取引(P2P取引)のML/TFリスク及びそのリスクの対処にあたって各国が利用可能なツールについての追加的なガイダンスを提供すること、(4)VASPの登録・免許に関する最新のガイダンスを提供すること、(5)「トラベルルール」の実施に関し、官民双方に対し追加的なガイダンスを提供すること、及び(6)VASP監督当局間の情報共有と協力に関する原則を含めること、である。本文書は、2019年版ガイダンスを更新改訂するものである

金融庁 「トランジション・ファイナンス環境整備検討会」(第4回)議事次第
▼資料4PDF トランジション・ファイナンスに関する国際動向
  • パリ協定の目標達成に向け、多排出産業におけるトランジションの重要性が高まり、関連する動向が世界的に推進されている。
  • EUタクソノミーでは、環境的にサステナブルな経済活動を分類・定義したものであり、言わば“経済活動のグリーンリスト”。EUタクソノミーに対しては、その二進法的な手法に対して反対意見が示されたが、2022年より施行予定。
  • 2021年7月、全ての経済活動をグリーン、レッド、イエロー、それ以外に分類する拡張案が示された。この中でレッド、イエローからグリーンへの移行がトランジションと定義された。
  • TCFDは2021年10月に補助ガイダンスの改訂版、指標・目標・移行計画ガイダンスを公表。改訂ガイダンスでは、トランジション計画の開示が新たに求められており、4要素で求められる開示内容の推移をTransition Planの観点からも示すことが期待される。
  • 我が国は、アジア各国の事業に即した、現実的で持続可能な脱炭素化・エネルギー転換のための取組を支援することをコミットメント。
  • トランジション実現に向けた具体的な支援策として「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ」を2021年5月に表明。支援策の一部には、エネルギートランジションのロードマップ策定支援や日本の指針も参照したアジア版トランジションファイナンスの考え方の提示・普及が含まれている。
  • 三菱UFJフィナンシャルグループがリードし、民間主導でAsia Transition Finance Study Groupによるアジアのエネルギートランジションに関するファイナンスの議論が実施されている。
  • 本Study Groupでは、トランジション分野への資金供給に向けて、金融機関へのガイドラインと政府への提言をまとめることを目的に発足。2022年10月に成果物公表予定。
  • 2020年12月にICMAがClimate Transition Finance Handbook(CTFH)を公表後もWGによる活動を継続。本年度はCTFHの活用状況を評価するとともに、必要に応じて改定・追記を予定。
  • CBIは2021年9月に企業単位での移行戦略に関する評価方法等を補足する目的でのDiscussion Paperを公表した。
  • 脱炭素社会の実現に向けて多排出産業による発行が増えるSLBに対する注目が高まる一方、信頼性の確立やグリーンウォッシングの回避が課題になっているとし、信頼性の高いトランジション企業の要素を整理。
  • 産業別脱炭素経路に現時点では整合していないが、整合に向けた取組を行っている企業努力は評価されるべきであり、Interim Transitionとして区分できる。
  • Interim Transitionに該当する企業は短期では産業別経路に整合していなくとも、ある「定められた期限」以降には、経路と整合する必要があり、乖離が認められるのは一時的である。
  • PKN ORLENは2021年5月にグリーンボンド発行に向けたフレームワークをGBPやGLPに沿って策定。開示内容については可能な範囲でICMAのトランジション・ハンドブックを参照。
  • Port of Newcastleはフレームワークに従いGreen Loanで調達し、その際ICMAのトランジション・ハンドブックを参照。ただし、石炭輸出港であることから批判も受けた。
  • 石油・ガスセクター初となるSustainability-Linked Financing FrameworkをイタリアのオイルメジャーEniが策定。6月7日にはボンドの発行も発表。トランジションとは名付けず、ICMAのトランジション・ハンドブックも参照していない。
  • Repsolは2017年に発行したグリーンボンドに対する批判を受け、新たにTransition Financing Framework※を策定。6月末にフレームワークに基づいてSLBを発行。

金融庁 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第3回) 議事次第
▼資料1 事務局説明資料(サステナビリティに関する開示(2))
  • コーポレートガバナンス・コードでは、サステナビリティに関連する項目として、気候変動などの地球環境問題への配慮、人的資本、知的財産、人権、従業員の健康・労働環境・処遇等が記載されている
    1. コーポレートガバナンス・コード
      • 補充原則2-3(1) 取締役会は、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討を深めるべきである。
      • 補充原則2-4(1) 上場会社は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標を示すとともに、その状況を開示すべきである。また、中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針をその実施状況と併せて開示すべきである。
      • 補充原則3-1(3) 上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すべきである。また、人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。特に、プライム市場上場会社は、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである。
    2. 投資家と企業の対話ガイドライン
      • 1-3. ESGやSDGsに対する社会的要請・関心の高まりやデジタルトランスフォーメーションの進展、サイバーセキュリティ対応の必要性、サプライチェーン全体での公正・適正な取引や国際的な経済安全保障を巡る環境変化への対応の必要性等の事業を取り巻く環境の変化が、経営戦略・経営計画等において適切に反映されているか。また、例えば、取締役会の下または経営陣の側に、サステナビリティに関する委員会を設置するなど、サステナビリティに関する取組みを全社的に検討・推進するための枠組みを整備しているか。
  • 投資家の投資判断における重要性は、企業の業態や経営環境等によって様々であり、記述情報の開示に当たっては、各企業において、企業価値や業績等に与える重要性に応じて判断することが求められる
  • 記述情報の開示に関する原則 総論 2. 記述情報の開示に共通する事項
    • 【重要な情報の開示】2-2. 記述情報の開示については、各企業において、重要性(マテリアリティ)という評価軸を持つことが求められる。
    • (考え方)
      • 記述情報の開示の重要性は、投資家の投資判断にとって重要か否かにより判断すべきと考えられる。また、取締役会や経営会議における議論の適切な反映が重要である記述情報の役割を踏まえると、投資家の投資判断に重要か否かの判断に当たっては、経営者の視点による経営上の重要性も考慮した多角的な検討を行うことが重要と考えられる。
      • 有価証券報告書においては、投資家の投資判断に重要な情報が過不足なく提供される必要があるが、投資家の投資判断における重要性は、企業の業態や企業が置かれた時々の経営環境等によって様々であると考られる。
      • このため、記述情報の開示に当たっては、各企業において、個々の課題、事象等が自らの企業価値や業績等に与える重要性(マテリアリティ)に応じて、各課題、事象等についての説明の順序、濃淡等を判断すること求められる。
  • ご議論いただきたい事項
    • 多様なサステナビリティ要素(多様性確保、人的資本等)の投資家の投資判断における重要性は、各企業の業態や経営環境等によって様々であると考えられる。このことを踏まえ、多様なサステナビリティ要素の開示における取扱いについては、原則として、各企業において企業価値や業績等に与える重要性に応じて判断するというアプローチをどのように考えるか。
    • あわせて、比較可能性等の観点から、以下の項目については開示が必要との意見があるが、どう考えるか。多様性確保に関する開示(女性管理職比率等)・人的資本に関する開示その他、どのような事項に関する開示について、検討すべきか。
    • サステナビリティに関する情報開示について、例えば、以下のような意見があるが、どのように考えるか。
      1. 投資判断に必要な情報を提供する観点から、核となる情報を有価証券報告書に記載することができるよう、サステナビリティ情報の「記載欄」を設けることが適切
      2. その際、各企業の創意工夫により任意開示での取組みが先行していることを踏まえ、任意開示の内容を適切に「記載欄」の記述に反映させることが重要
        • 有価証券報告書の「記載欄」について、サステナビリティ全般の情報を記載することとする場合、以下の点についてどう考えるか。
      3. 気候変動と同様、「ガバナンス」、「リスク管理」について開示
      4. 「戦略」、「指標・目標」については、各企業が、自らの企業価値や業績等への影響の重要性を踏まえ判断
        • サステナビリティ情報の開示に関しては、国際基準策定への意見発信や、我が国におけるサステナビリティ開示の個別項目の検討を担う体制整備が不可欠との意見が出されている。今後、民間におけるそうした取組みをどのように後押ししていくことが考えられるか
▼資料2 事務局参考資料
  • 日経225構成企業のうち、統合報告書においてマテリアリティに言及する企業は64%、有価証券報告書においてマテリアリティに言及する企業は21%
  • 現在、上場企業における女性役員の人数は3,000人超までに増加したものの、役員数全体に占める女性役員の比率は7.5%にとどまる
  • 女性の社外役員・社内役員を有する企業の割合を見ると、社外役員は増加傾向にあるが、社内役員については伸び悩みが見られる
  • 取締役の候補となりうる管理職に占める女性の割合は、2020年時点で13.3%とのデータが存在
  • 育児休業取得率は、近年、女性は8割台で推移している一方、男性は低水準ではあるものの上昇傾向にある(2020年度:12.7%)
  • 取締役・執行役員の社内女性割合は、企業業績、株式評価ともに正の有意性を示すとの分析結果がある
  • 中長期的な投資・財務戦略の重要項目のうち、人材投資に関しては、投資家の67.3%が重視。機関投資家が人材関連情報に着目する理由としては、約半数が企業の将来性への期待や優秀人材の確保を挙げている
  • 人材投資については、従前より、コストではなく投資と捉えるべきとの意見が聞かれたが、コロナを経て、人材投資の重要性の意識の高まりが見られる
  • 人材マネジメントの課題として、「人材戦略と経営戦略が紐づいていない」という回答をした者が最も多く、3割を超える
  • 2021年6月、米国SECは公表した注目すべき規制分野では、気候リスクの他、「従業員と取締役の多様性」を含む「人的資本」等に関する開示が挙げられている
  • 「ビジネスと人権」に関する行動計画(概要)
    • 第1章 行動計画ができるまで
      1. 「ビジネスと人権」に関する国際的な要請の高まりと行動計画の必要性
        • 「OECD多国籍企業行動指針」や「ILO多国籍企業宣言」の策定、国連グローバル・コンパクトの提唱といった中、国連は「ビジネスと人権に関する指導原則」を支持。G7・G20の首脳宣言でも行動計画に言及。
        • 投資家等の求めもあり、企業も人権尊重への対応が必要。企業自らが、人権に関するリスクを特定し、対策を講じる必要。
        • 日本ではこれまで人権の保護に資する様々な立法措置・施策を実施し、企業はこれに対応。
        • 「ビジネスと人権」に関する社会的要請の高まりを踏まえ、一層の取組が必要との観点から、政府として行動計画を策定。
        • 新型コロナウイルス感染症の文脈においても、行動計画を着実に実施していく必要。
      2. 行動計画の位置付け
        • 「指導原則」、「OECD多国籍企業行動指針」、「ILO多国籍企業宣言」等を踏まえ作成。
        • SDGsの実現に向けた取組の一つとして位置付け。
      3. 行動計画の策定及び実施を通じ目指すもの
        • 国際社会を含む社会全体の人権の保護・促進
        • 「ビジネスと人権」関連政策に係る一貫性の確保
        • 日本企業の国際的な競争力及び持続可能性の確保・向上
        • SDGsの達成への貢献
      4. 行動計画の策定プロセス
        • 現状把握調査を含め、経済界、労働界、市民社会等との意見交換会を実施。令和2年2月に原案を作成し、パブリックコメントを実施。
    • 第2章 行動計画
      1. 基本的な考え方
        1. 政府、政府関連機関及び地方公共団体等の「ビジネスと人権」に関する理解促進と意識向上
        2. 企業の「ビジネスと人権」に関する理解促進と意識向上
        3. 社会全体の人権に関する理解促進と意識向上
        4. サプライチェーンにおける人権尊重を促進する仕組みの整備
        5. 経済メカニズムの整備及び改善
      2. 分野別行動計画
    • 第3章 政府から企業への期待
      • 政府は、その規模、業種等にかかわらず、日本企業が、国際的に認められた人権等を尊重し、「指導原則」やその他関連する国際的なスタンダードを踏まえ、人権デュー・デリジェンスのプロセス(※)を導入することを期待。(※ 企業活動における人権への影響の特定、予防・軽減、対処、情報共有を行うこと。)
    • 第4章 行動計画の実施・見直しに関する枠組み
      • 行動計画期間は5年、毎年、関係府省庁連絡会議において実施状況を確認。ステークホルダーとの対話の機会を設け、その概要を公表。公表3年後に中間レビュー、5年後に改定。
  • 近年、有価証券報告書において「人権」に言及する企業が増加。特に「事業等のリスク」において記載する企業が増加
  • NIKKEI225構成企業において、人権に関する取組みの開示を行う企業は増加傾向
  • NIKKEI225構成企業において、サプライヤー行動規範を開示している企業、サプライヤーに対するアンケート調査やオンサイト調査を実施している企業は、それぞれ168社、135社に達する
  • 米国では、市場価値に占める無形資産の割合が増加している。日本では依然として有形資産への投資のウェイトが高い
  • NIKKEI225構成企業では水使用量を開示している企業が多い。また、水に関するリスクと機会を開示する企業は増加傾向

金融庁 当庁を騙った電子メールにご注意ください
  • 当庁のメールアドレスを偽装した電子メールが送付されているとの情報が寄せられています。
  • 当該電子メールの添付ファイルや本文に記載されたリンクを開くと、コンピュータウイルスに感染するおそれがあります。ご注意ください。
  • 不審なメールや偽のホームページに関する情報をご連絡いただいた方におかれましては、貴重な情報のご提供ありがとうございます。個別の回答は行っておりませんが、ご提供いただいた情報をもとに関係機関と連携して対応を行っております。

金融庁 「ソーシャルボンドガイドライン」の確定について
▼(別紙3) PDFソーシャルボンドガイドラインの概要(和文)
  • ソーシャルボンド:調達資金がソーシャルプロジェクト(社会的課題の解決に貢献し、社会的な効果をもたらすもの)だけに充当される債券
  • ガイドライン策定の経緯
    • 世界的にソーシャルボンドの発行が急速に拡大
    • 国内では公的セクターによる発行例が多いが、民間企業による発行が始まったところ
    • 我が国の状況に即した詳細なガイドライン(実務指針)の策定を望む声
  • ガイドライン策定の目的
    • 国際標準である国際資本市場協会(ICMA)の原則等との整合性に配慮しつつ、先進国課題を多く抱える我が国の状況にも対応するガイドラインを策定
    • これにより、ソーシャルボンドの信頼性確保と発行体の負担軽減を図り、我が国の民間企業によるソーシャルボンドの更なる活用を期待
  • ガイドラインの内容
    1. ソーシャルボンドの4つの「核となる要素」
      1. 調達資金の使途:ソーシャルボンドによる調達資金はソーシャルプロジェクトだけに充当されるべき
        • ソーシャルプロジェクトの例 ※あくまで例示であり、以下に限定するものではない
          1. 手ごろな価格の基本的インフラ設備
            例)輸送機関、防災・減災対策、災害復興
          2. 必要不可欠なサービスへのアクセス
            例)健康、教育、子育て支援、介護支援
          3. 手ごろな価格の住宅
          4. 雇用創出
            例)感染症対応、地方創生・地域活性化
          5. 食糧の安全保障と持続可能な食糧システム
            例)小規模生産者の生産性向上、先端技術の活用
          6. 社会経済的向上とエンパワーメント
            例)市場と社会への公平な参加、女性活躍推進、働き方改革、バリアフリー推進
        • ソーシャルプロジェクトの対象となる人々の例 ※以下に限定するものではなく、また、一般の大衆を対象とする場合もあり得る
          • 障がい者、失業者、女性・性的マイノリティ、高齢者と脆弱な若者、自然災害の罹災者、地理的・社会経済的に困難な状況に置かれている地域の企業・住民、感染症の拡大等により事業に影響を受けた中小企業等、仕事と子育て/介護等を両立する人々
      2. プロジェクトの評価と選定の規準
        • 実現を目指す社会的な目標、プロジェクトの評価と選定のプロセスを説明すべき
        • 評価と選定の規準を説明することが望ましい
      3. 調達資金の管理
        • 適切な方法で資金の追跡管理を行うべき
      4. レポーティング
        • プロジェクトの概要、充当した資金の額、社会的な効果等を開示すべき
        • 社会的な効果は可能であれば定量的な指標で示すことが望ましい
        • 指標はアウトプット、アウトカム、インパクトの3段階で示すことが考えられる
    2. ソーシャルボンドの2つの「重要な推奨項目」
      1. ソーシャルボンドの発行のためのフレームワーク
        • フレームワークを作成し「核となる要素」への適合を説明すべき
      2. 外部機関によるレビュー
        • 「核となる要素」への対応等、外部機関によるレビューを活用することが望ましい

【財務省】

※現在、該当の記事はありません。

【警察庁】

【2021年12月】

警察庁 令和3年11月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和3年1月~11月の特殊詐欺全体の認知件数は13,053件(前年同期12,318件、前年同期比+106.0%)、被害総額は243.2億円(252.6憶円、▲3.7%)、検挙件数は6,073件(6,780件、▲10.4%)、検挙人員は2,214人(2,394人、▲7.5%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は2,719件(2,021件、+34.5%)、被害総額は77.1億円(59.6憶円、+29.4%)、検挙件数は1,322件(1,760件、▲24.9%)、検挙人員は743人(573人、+29.7%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は2,210件(3,809件、▲42.0%)、被害総額は26.8憶円(53.6憶円、▲50.0%)、検挙件数は2,019件(1,506件、+34.1%)、検挙人員は672人(850人、▲20.9%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は1,857件(1,805件、+2.9%)、被害総額は55.8億円(67.9憶円、▲17.8%)、検挙件数は220件(465件、▲52.7%)、検挙人員は111人(152人、▲27.0%)
  • 還付金詐欺の認知件数は3,699件(1,578件、+134.4%)、被害総額は41.8億円(21.6憶円、+93.5%)、検挙件数は705件(417件、+69.1%)、検挙人員は102人(54人、+88.9%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は144件(269件、▲46.5%)、被害総額は2.6億円(3.6憶円、▲28.5%)、検挙件数は27件(193件、▲86.0%)、検挙人員は19人(55人、▲65.5%)
  • 金融商品詐欺の認知件数は30件(52件、▲42.3%)、被害総額は2.7億円(3.9憶円、▲32.0%)、検挙件数は11件(31件、▲64.5%)、検挙人員は17人(30人、▲43.3%)
  • ギャンブル詐欺の認知件数は57件(92件、▲38.0%)、被害総額は1.6億円(2.0億円、▲19.3%)、検挙件数は4件(35件、▲88.6%)、検挙人員は4人(14人、▲71.4%)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は2,308件(2,666件、▲13.4%)、被害総額は33.9億円(39.7憶円、▲14.6%)、検挙件数は1,749件(2,357件、▲25.8%)、検挙人員は529人(657人、▲19.5%)
  • 口座開設詐欺の検挙件数は659件(632件、+4.3%)、検挙人員は376人(442人、▲14.9%)、盗品等譲受け等の検挙件数は4件(5件、▲20.0%)、検挙人員は1人(3人、66.7%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は2,192件(2,330件、▲5.9%)、検挙人員は1,753人(1,891人、▲7.3%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は155件(197件、▲21.3%)、検挙人員は134人(161人、▲16.8%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は21件(28件、▲25.0%)、検挙人員は11人(24人、▲54.2%)、組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は153件(136件、+12.5%)、検挙人員は44人(16人、+175.0%)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では、男性25.4%:女性74.6%、60歳以上91.7%、70歳以上73.5%、オレオレ詐欺では、男性18.3%:女性81.7%、60歳以上96.2%、70歳以上93.2%、融資保証金詐欺では男性79.2%:女性20.8%、60歳以上24.8%、70歳以上13.6%、特殊詐欺被害者全体に占める65歳以上の高齢被害者の割合および男性・女性の割合について、特殊詐欺 88.2%(男性22.3%、女性77.7%)、オレオレ詐欺 95.4%(17.8%、82.2%)、預貯金詐欺 98.7%(14.7%、85.3%)、架空料金請求詐欺 48.0%(56.8%、43.2%)、還付金詐欺 94.4%(23.6%、76.4%)、融資保証金詐欺 16.8%(85.7%、14.3%)、金融商品詐欺 60.0%(33.3%、66.7%)、ギャンブル詐欺 38.6%(59.1%、40.9%)、交際あっせん詐欺 16.7%(100.0%、0.0%)、その他の特殊詐欺 26.3%(40.0%、60.0%)、キャッシュカード詐欺盗 98.3%(18.3%、81.7%)

警察庁 犯罪収益移転防止対策室 犯罪収益移転危険度調査書(令和3年)
▼犯罪収益移転危険度調査書(令和3年)概要版
  • 我が国の環境
    1. 地理的環境
      • 我が国は、北東アジアと呼ばれる地域にある島国で、他国との間での人の往来や物流は海空港を経由して行われ、全国の海空港では、テロの未然防止や国際犯罪組織等による密輸阻止等の観点から出入国管理や税関手続等を行っている。
    2. 社会的環境
      • 我が国の令和2年10月1日時点の総人口は1億2,622万7千人であり、10年前と比較して1.4%減少した。
      • 令和2年10月1日時点の総人口に占める65歳以上人口の割合は過去最高の28.8%となり、10年前と比較して5.8ポイント増加し、他の先進諸国と比較しても最も高い水準にある。
      • 今後、総人口が減少する中で65歳以上人口が増加することにより、高齢化は更に進展していくものと推定される。
    3. 経済的環境
      • 我が国は、世界経済の中で重要な地位を占めており、アメリカ、中国に次ぐ世界第3位の経済規模を誇る。また、グローバルな金融の中心として高度に発達した金融セクターを有しており、世界有数の国際金融センターとして相当額の金融取引が行われている。
      • グローバル化し高度に発展した我が国の経済的環境は、マネー・ローンダリング等を企図する国内外の者に対して、マネー・ローンダリング等を行うための様々な手段・方法を提供することとなる。
    4. 犯罪情勢等
      • 刑法犯認知件数の総数については、令和2年は前年に引き続き戦後最少を更新した。刑法犯認知件数に占める高齢者の被害件数の割合は、平成21年以降増加傾向にある。
      • サイバー犯罪については、令和2年中の検挙件数は過去最多となった。警察庁が国内で検知した、サイバー空間における探索行為等とみられるアクセスの件数も増加の一途をたどっている。
      • 国際テロ情勢としては、世界各地でテロ事件が発生するとともに、海外で邦人や我が国の関連施設等の権益がテロの被害に遭う事案も発生しており、我が国に対するテロの脅威は継続しているといえる。
  • マネー・ローンダリング事犯等の分析(主体)
    1. 暴力団
      • 暴力団は、経済的利得を獲得するために反復継続して犯罪を敢行し、巧妙にマネー・ローンダリングを行っており、我が国におけるマネー・ローンダリングの大きな脅威となっている。
    2. 特殊詐欺の犯行グループ
      • 近年、我が国においては、特殊詐欺の認知件数と被害額が高い水準にある。令和2年中の被害(認知件数 13,550件、被害総額 約285億円)は大都市圏に集中しており、東京・神奈川・千葉・大阪・兵庫・埼玉・愛知の7都府県で、認知件数全体の71.0%を占めている。
      • 特殊詐欺の犯行グループは、預貯金口座、携帯電話、電話転送サービス等の各種ツールを巧妙に悪用し、組織的に詐欺を敢行するとともに、詐取金の振込先として架空・他人名義の口座を利用するなどし、マネー・ローンダリングを敢行している。
      • 自己名義の口座や、架空・他人名義の口座を、遊興費や生活費欲しさから安易に譲り渡す者等がおり、マネー・ローンダリングの敢行をより一層容易にしている。
    3. 来日外国人犯罪グループ
      • 外国人が関与する犯罪は、その収益の追跡が困難となるほか、その人的ネットワークや犯行態様等が一国内のみで完結せず、国境を越えて役割が分担されることがあり、巧妙化・潜在化をする傾向を有する。
      • 来日外国人による組織的な犯罪の実態として、中国人グループによるインターネットバンキングに係る不正送金事犯、ベトナム人グループによる万引き事犯、ナイジェリア人グループによる国際的な詐欺事犯等に関連したマネー・ローンダリング事犯等の事例がみられる。
  • マネー・ローンダリング事犯等の分析(手口)
    1. 窃盗
      • 犯行形態
        • 窃盗は、暴力団や来日外国人犯罪グループ等の犯罪組織によって反復継続して実行され、多額の犯罪収益を生み出す事例がみられる。令和2年中における窃盗の被害総額は約502億円となっている。
      • 手口例
        • ヤードに持ち込まれた自動車が盗難品であることを知りながら買い取り、保管するもの
        • 侵入窃盗で得た多額の硬貨を他人名義の口座に入金し、その後相当額を引き出して、事実上の両替を行うもの
        • 盗んだ高額な金塊を会社経営の知人に依頼して、金買取業者に法人名義で売却させるもの
        • 中国人グループ等が不正に入手したクレジットカード情報を使って、インターネット上で商品を購入し、配送先に架空人や実際の居住地とは異なる住所地を指定するなどして受領するもの
    2. 詐欺
      • 犯行形態
        • 特殊詐欺をはじめとする詐欺は、国内外の犯行グループ等によって反復継続して実行されており、架空・他人名義の預貯金口座を利用したり、法人による正当な取引を装ったりするなどして、多額の犯罪収益を生み出している。令和2年中における詐欺の被害額は約640億円となっている。
      • 手口例
        • 外国人が帰国する際に犯罪グループに売却した個人名義の口座が特殊詐欺の振込先に悪用されたもの
        • 特殊詐欺の収益の振込先にするために実態のない法人を設立して法人名義の口座を開設して悪用したもの
    3. 電子計算機使用詐欺
      • 犯行形態
        • インターネットバンキングに係る不正送金事犯に関しては、その被害の多くが、SMSや電子メールにより、金融機関を装ったフィッシングサイトへ誘導し、そこで入手したID・パスワード等を用いて被害者の銀行口座から不正に送金されたものと考えられる。
        • 特殊詐欺については、暴力団の関与が認められる。また、インターネットバンキングに係る不正送金事犯については、国際犯罪組織の関与が認められ、犯罪組織が多額の犯罪収益を獲得するために、それらの犯行を行っている実態が認められる。
      • 手口例
        • 特殊詐欺でだまし取ったキャッシュカードを使用してATMを操作し、被害者名義の口座から犯人が管理する他人名義の口座に送金上限額を不正に振り込むもの
        • 中国に存在する犯罪組織が日本の金融機関に不正アクセスを行い、他人名義口座に不正送金させて中国人犯罪グループによって引き出すもの
        • 暗号資産ウォレットサービスのサーバへの不正行為により得た暗号資産を、犯人が管理する分散型暗号資産取引所の匿名アカウントに移転するもの
    4. 出資法/貸金業法違反
      • 犯行形態
        • 無登録で貸金業を営み、高金利で貸し付けるなどのいわゆるヤミ金融事犯等が認められる。その態様には、多重債務者の名簿に記載された個人情報を基にダイレクトメールを送り付けるなど、非対面の方法によって金銭を貸し付けて、他人名義の口座に振り込ませて返済させるもの等がある。
        • 近年では、貸金業の登録を受けずに「給与ファクタリング」等と称して、個人が使用者に対して有する賃金債権を買い取って金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行うものもある。
        • 令和2年中のヤミ金融事犯の検挙状況をみると、被害金額は43億円を超えるなど、多額の犯罪収益を生み出している。また、暴力団が反復継続してヤミ金融を営み、有力な資金源としている実態が認められる。
      • 手口例
        • 他人名義、架空の事業者名義等で開設した私書箱に返済金を送付させるもの
        • 借受人との間で架空の販売契約を結び、これを後払い決済することで返済金を入手するもの
    5. 入管法違反
      • 犯行形態
        • 外国人が正規の出入国者、滞在者、就労資格保持者等を装う目的で在留カードを偽造するもの、偽造された在留カードを所持等するもの、就労資格のない外国人を不法に就労させ、又は不法就労をあっせんする不法就労助長等がみられる。不法就労助長には、犯人が外国人から旅券等を取り上げるなどして監視下に置き、就労させた人身取引事犯もみられる。
        • 令和2年中の入管法違反の検挙件数は6,534件で前年比10.8%増加しており、また偽造在留カード所持等の検挙件数は790件で、計上が開始された平成25年以降で最多となっている。
      • 手口例
        • 偽造在留カード販売代金を他人名義の口座に振り込ませたもの
        • 暴力団員が不法就労助長で得た犯罪収益と知りながら、みかじめ料として現金を収受したもの
    6. 常習賭博/賭博場開帳等図利
      • 犯行形態
        • 花札賭博、野球賭博、ゲーム機賭博のほか、オンラインカジノ賭博といった様々なものが認められ、これらの賭博事犯には暴力団が直接的又は間接的に深く関与しており、暴力団にとって有力な資金源となっている実態が認められる。令和2年中には、賭博場開帳等図利事件に関し、売上金等である現金約1億5,860万円について起訴前没収保全命令が発せられた事例がある。
      • 手口例
        • オンラインカジノによる賭博事犯において顧客から支払われる賭け金を借名口座に振り込ませるもの
        • 野球賭博等において配当金を他人名義の口座に振り込ませて受け取るもの
        • 賭博事犯によって得られた犯罪収益を、情を知らない税理士等を利用して正当な事業収益を装って経理処理するもの
    7. 風営適正化法/売春防止法違反
      • 犯行形態
        • 暴力団が違法な風俗店等の経営者等と結託するなど、暴力団が直接的又は間接的に関与している事例がみられ、風俗店等の経営が暴力団の資金源となっている実態が認められる。また、不法滞在等している外国人が違法に風俗店等で稼働している事例や、暴力、脅迫等を用いて売春を強要された人身取引事犯もみられる。
      • 手口例
        • 違法風俗店等に女性をあっせんした見返りとして自己名義の口座に収益を振り込ませるもの
        • 暴力団員が売春による収益を親族名義の口座に振り込ませるなどして収受するもの
    8. 薬物事犯
      • 犯行形態
        • 覚醒剤事犯については全薬物事犯の6割以上を占め、依然として覚醒剤の密輸・密売が多額の犯罪収益を生み出していることがうかがわれる。令和2年中の覚醒剤事犯の検挙人員の4割以上を暴力団構成員等が占めており、覚醒剤の密輸・密売に暴力団が深く関与している状況が続いている。
        • 大麻事犯については、全薬物事犯の3割以上を占め、その割合は平成25年以降増加しており、特に若年層を中心に検挙人員の増加が顕著である。大麻の密売等にも暴力団が関与している状況が続いている。
        • 近年では、暴力団が海外の薬物犯罪組織と結託するなどしながら、覚醒剤の流通過程にも深く関与していることが強くうかがわれ、覚醒剤密輸入事犯の洋上取引においては、令和元年、約587キログラムを押収した事件で暴力団構成員等や台湾人らを検挙している。令和2年中の薬物密輸入事犯については、航空機を利用した携帯密輸入が減少し、国際宅配便や郵便物を利用した密輸入の占める割合が高くなっている。
      • 手口例
        • 手渡しや郵送により覚醒剤の密売を行っていた密売人が、代金を他人名義の口座に振込入金させたもの
        • 宅配便等により大麻等の密売を行っていた密売人が、代金を他人名義の口座に振込入金させたもの
  • マネー・ローンダリング事犯等の分析(疑わしい取引の届出)
    • 令和2年中の疑わしい取引の届出受理件数を届出事業者の業態別にみると、銀行等が31万9,812件で届出全体の74.0%と最も多く、次いでクレジットカード事業者(2万9,138件、6.7%)、貸金業者(2万5,255件、5.8%)の順となっている。
    • 令和2年中に都道府県警察の捜査等において活用された疑わしい取引に関する情報数は32万5,643件であった。
  • 取引形態、国・地域及び顧客属性の危険度
    1. 取引形態と危険度
      1. 非対面取引
        • 情報通信技術の発展、顧客の利便性を考慮した特定事業者によるサービス向上、新型コロナウイルス感染症への感染防止対策等を背景に、インターネット等を通じた非対面取引が拡大している。
        • 非対面取引においては、特定事業者は、取引の相手方や本人確認書類を直接観察することができないことから、本人確認の精度が低下することとなり、対面取引に比べて、本人確認書類の偽変造等により本人特定事項を偽り、又は架空の人物や他人になりすますことを容易にする。
        • 実際、非対面取引において、他人になりすますなどして開設された口座がマネー・ローンダリングに悪用されていた事例があること等から、非対面取引は危険度が高いと認められる。
      2. 現金取引
        • 我が国における現金流通状況は、他国に比べて高い状況にある。
        • 現金取引は、流動性及び匿名性が高く、現金を取り扱う事業者において、取引内容に関する記録が正確に作成されない限り、犯罪収益の流れの解明が困難となる。
        • 実際、他人になりすますなどした上で、現金取引を通じてマネー・ローンダリングを行った事例が多数存在すること等から、現金取引は危険度が高いと認められる。
      3. 外国との取引
        • 外国との取引においては、法制度や取引システムの相違等から、国内取引に比べて移転された資金の追跡が困難になる。
        • 実際、外国との取引を通じてマネー・ローンダリングが行われた事例が存在することから、外国との取引はマネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。
        • 適切なマネー・ローンダリング等対策が執られていない国・地域との間で行う取引や多額の現金を原資とする外国送金取引等は危険度が高いと認められる。
    2. 国・地域と危険度
      • イラン及び北朝鮮との取引は、マネー・ローンダリング等に悪用される危険度が特に高いと認められる。
      • イラン及び北朝鮮のほかにも、FATFは、マネー・ローンダリング等への対策に重大な欠陥を有し、かつ、それに対処するためのアクションプランを策定した国・地域に対し、提案された期間内における迅速なアクションプランの履行を要請していることから、当該国・地域との取引であって、FATFが指摘する欠陥が是正されるまでの間になされるものは、危険性があると認められる。
    3. 顧客の属性と危険度
      1. 反社会的勢力
        • 暴力団、準暴力団をはじめとする反社会的勢力は、財産的利益の獲得を目的に、様々な犯罪を敢行しているほか、企業活動の仮装・悪用をした資金獲得活動を行っている。このような犯罪行為又は資金獲得活動により得た資金の出所を不透明にするマネー・ローンダリングは、反社会的勢力にとって不可欠であり、反社会的勢力によって行われている実態があることから、反社会的勢力との取引は危険度が高いと認められる。
      2. 国際テロリスト(イスラム過激派等)
        • 国際連合安全保障理事会決議を受けて資産凍結等の措置の対象とされた者の中に、日本人や我が国に居住している者の把握はなく、また、現在まで、日本国内において、国際連合安全保障理事会が指定するテロリスト等によるテロ行為は確認されていない。
        • しかしながら、FATFは、令和元年に公表したレポートにおいて、国内でテロやテロ資金供与の事例がない場合であっても、それをもってテロ資金供与リスクが低いと直ちに結論付けることはできず、国内で資金が収集され、海外に送金される可能性を排除すべきではないと指摘している。
        • また、我が国においても、特定事業者が提供する商品・サービスが、事業者の監視を免れて悪用され得ること等の懸念があることを認識すべきであり、特にイスラム過激派等と考えられる者との取引は、テロ資金供与の危険度が高いと認められる。
      3. 非居住者
        • 非居住者との取引は、居住者との取引に比べて、特定事業者による継続的な顧客管理の手段が制限される。また、非対面で取引が行われる場合や外国政府等が発行する本人確認書類等が用いられる場合は、匿名性も高まり、マネー・ローンダリング等が行われた際に資金の追跡が一層困難となることから、非居住者との取引は危険度が高いと認められる。
      4. 外国の重要な公的地位を有する者
        • 外国の重要な公的地位を有する者が、マネー・ローンダリング等に悪用し得る地位や影響力を有すること、その本人特定事項等の十分な把握が制限されること、腐敗対策に関する国ごとの取組に差があること等から、外国の重要な公的地位を有する者との取引は危険度が高いと認められる。
      5. 法人(実質的支配者が不透明な法人等)
        • 法人は、その財産に対する権利・支配関係を複雑にすることができ、法人の実質的な支配者は、自らの財産を法人に帰属させることで、自らが当該財産に対する権利を実質的に有していることを容易に隠蔽することができる。このような法人の特性により、特に実質的支配者が不透明な法人に帰属させられた資金を追跡することは困難となる。
        • 実際、詐欺等の犯罪収益の隠匿手段として、実質的支配者が不透明な法人の名義で開設された口座が悪用されていた事例があること等から、実質的支配者が不透明な法人との取引は危険度が高いと認められる。
  • 商品・サービスの危険度
    1. 預金取扱金融機関が取り扱う商品・サービス
      • 預金取扱金融機関は、口座をはじめ、預金取引、為替取引、貸金庫、手形・小切手等様々な商品・サービスを提供している。一方、これらの商品・サービスは、その特性から、マネー・ローンダリング等の有効な手段となり得るものであり、これらの悪用により、犯罪収益の収受又は隠匿がなされた事例があること等から、これらの商品・サービスは、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。また、国際金融市場としての我が国の地位や役割、金融取引量の大きさ、マネー・ローンダリング等に悪用された取引等の統計上の数値等を踏まえると、マネー・ローンダリング等に悪用される危険度は、他の業態よりも相対的に高いと認められる。
        • 令和2年中に検挙された犯罪収益等隠匿事件における隠匿等の手口の多くは、他人名義の口座への振込入金であり、口座を提供する預金取扱金融機関は、口座譲渡を防ぐこと及び事後的に不正な取引を検知する措置を行うことについて継続的な対応が求められる。
    2. 保険会社等が取り扱う保険
      • 資金の給付・払戻しが行われる蓄財性の高い保険商品は、犯罪収益を即時又は繰延べの資産とすることを可能とすることから、マネー・ローンダリング等の有効な手段となり得る。
      • 実際、売春防止法違反に係る違法な収益を蓄財性の高い保険商品に充当していた事例があること等から、蓄財性の高い保険商品は、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。
    3. 金融商品取引業者等及び商品先物取引業者が取り扱う有価証券の売買の取次ぎ等
      • 金融商品取引業者等及び商品先物取引業者は、顧客が株式投資、商品先物取引等を行うための商品・サービスを提供しており、マネー・ローンダリング等を企図する者は、犯罪収益をこれらの商品・サービスを利用して様々な権利等に変えるとともに、犯罪収益を利用してその果実を増大させることができる。
      • また、金融商品取引業者の中には、ファンドに出資された金銭を運用するものもあるが、組成が複雑なファンドに犯罪収益を原資とする金銭が出資されれば、その原資を追跡することが著しく困難になることから、金融商品取引業者等及び商品先物取引業者を通じて行われる投資は、マネー・ローンダリング等の有効な手段となり得る。
      • 実際、詐欺や業務上横領によって得た犯罪収益を株式や商品先物取引に投資していた事例があること等から、金融商品取引業者等及び商品先物取引業者を通じて行われる投資は、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。
    4. 信託会社等が取り扱う信託
      • 信託は、委託者から受託者に財産権を移転させ、当該財産に登記等の制度がある場合にはその名義人も変更させるとともに、財産の属性及び数並びに財産権の性状を転換する機能を有している。また、信託の効力は、当事者間で信託契約を締結したり、自己信託をしたりするのみで発生させることができるため、マネー・ローンダリング等を企図する者は、信託を利用すれば、当該収益を自己から分離し、当該収益との関わりを隠匿することができる。
      • 近年、信託が悪用されたマネー・ローンダリング事犯の検挙事例は認められないものの、このような特性から、信託については、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。
    5. 貸金業者等が取り扱う金銭貸付け
      • 貸金業者等による貸付けは、犯罪収益の追跡を困難にすることができること等から、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。
      • 架空の人物等をかたって融資詐欺を行い、その詐取金をあらかじめ開設していた架空名義の口座に入金させる事例も認められ、犯罪収益を生み出すために悪用される危険性も認められる。
    6. 資金移動業者が取り扱う資金移動サービス
      • 資金移動サービスは、為替取引を業として行うという業務の特性、海外の多数の国へ送金が可能なサービスを提供する資金移動業者の存在、高額の為替取引を行うことが可能となる第一種資金移動業の存在等を踏まえれば、マネー・ローンダリング等の有効な手段となり得る。
      • 実際、前提犯罪と無関係の第三者を利用したり、他人の本人確認書類を利用して同人になりすましたりするなどして海外に犯罪収益を移転していた事例や悪意のある第三者が不正に入手した預金者の口座情報等を基に、当該預金者の名義で資金移動業者のアカウントを開設し、銀行口座と連携した上で、銀行口座から資金移動業者のアカウントへ資金の入金(チャージ)をすることで不正な出金を行った事例も認められていること等から、資金移動サービスは、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。
      • 資金移動業における年間送金件数・取扱金額が共に増加していること、在留外国人の増加等による利用の拡大が予想されること、賃金の資金移動業者の口座への支払(ペイロール)や全国銀行データ通信システム(全銀システム)への参加資格を資金移動業者にも拡大することについての議論も進められていること等を踏まえると、資金移動サービスがマネー・ローンダリング等に悪用される危険度は、他業態と比べても相対的に高まっているといえる。
    7. 暗号資産交換業者が取り扱う暗号資産
      • 暗号資産は、利用者の匿名性が高く、その移転が国境を越えて瞬時に行われるという性質を有するほか、暗号資産に対する規制が各国において異なることから、犯罪に悪用された場合には、その移転を追跡することが困難となる。
      • 実際、その匿名性を悪用し、不正に取得した暗号資産を暗号資産交換業者を介して換金し、他人名義の口座に振り込ませていた事例があること等から、暗号資産は、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。
      • さらに、暗号資産取引が世界規模で拡大し、それを取り巻く環境も急激に変化していることも考慮に入れると、暗号資産がマネー・ローンダリング等に悪用される危険度は、他の業態よりも相対的に高いと認められる。加えて、預金取扱金融機関がマネー・ローンダリング等対策を強化していることを背景として、マネー・ローンダリング等を行おうとする者が、預金取扱金融機関が取り扱う商品・サービスのほかに、暗号資産取引を用いる事例も認められる。こうした事情も暗号資産の危険度を高めることとなる。
      • 暗号資産取引を取り巻く環境の急激な変化に対して、適時適切な危険度の低減措置を行っていくことは容易ではないことから、暗号資産交換業者には、あらかじめ高水準の措置を行うことが求められる。こうした措置が不十分な場合には、暗号資産交換業者は危険度を適切に低減させることができなくなり、危険度は依然として高い状態となる。
    8. 両替業者が取り扱う外貨両替
      • 外貨両替は、犯罪収益を外国に持ち出して使用する手段の一部になり得ること、一般に現金(通貨)による取引であることや、流動性が高く、その保有や移転に保有者の情報が必ずしも伴わないこと等から、マネー・ローンダリング等の有効な手段となり得る。
      • 実際、海外で得た犯罪収益である外貨を、情を知らない第三者を利用するなどして日本円に両替していた事例があること等から、外貨両替は、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。
    9. ファイナンスリース事業者が取り扱うファイナンスリース
      • 近年、ファイナンスリースが悪用されたマネー・ローンダリング事犯の検挙事例は認められないものの、ファイナンスリースは、賃借人と販売者が共謀して実態の伴わない取引を行うことが可能であること等の特性から、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。
    10. クレジットカード事業者が取り扱うクレジットカード
      • クレジットカードは、現金で得られた犯罪収益を、クレジットカードを利用することにより別の形態の財産に変えることができること、クレジットカードを第三者に交付して商品等を購入させることにより事実上の資金移動が可能であること等から、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。
    11. 宅地建物取引業者が取り扱う不動産
      • 不動産は、財産的価値が高く、多額の現金との交換を行うことができるほか、通常の価格に金額を上乗せして対価を支払うなどの方法により容易に犯罪収益を移転することができることから、マネー・ローンダリング等の有効な手段となり得る。
      • 実際、売春や詐欺により得た収益が不動産の購入費用に充当された事例等が把握されていること等から、不動産は、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。
      • また、近年では、資産の保全又は投資を目的として不動産が購入される場合も多く、国内外の犯罪組織等が犯罪収益の形態を変換する目的で不動産取引を悪用する危険性もある。
    12. 宝石・貴金属等取扱事業者が取り扱う宝石・貴金属
      • 宝石及び貴金属は、財産的価値が高く、運搬が容易で、世界中で換金が容易であるとともに、取引後に流通経路・所在が追跡されにくく匿名性が高く、特に金地金については現金取引が中心であること等から、マネー・ローンダリング等の有効な手段となり得る。
      • 実際、他人になりすますなどし、犯罪により得た現金で貴金属等を購入した事例があること等から、宝石及び貴金属は、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。
    13. 郵便物受取サービス業者が取り扱う郵便物受取サービス
      • 郵便物受取サービスは、詐欺、違法物品の販売を伴う犯罪等において、犯罪収益の送付先として悪用されている実態がある。本人特定事項を偽り当該サービスの役務提供契約を締結することにより、マネー・ローンダリング等の主体や犯罪収益の帰属先を不透明にすることが可能となるため、郵便物受取サービスはマネー・ローンダリング等の有効な手段となり得る。
      • 実際、架空名義で契約した郵便物受取サービス業者宛てに犯罪収益を送付させ、これを隠匿した事例があること等から、郵便物受取サービスは、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。
    14. 電話受付代行業者が取り扱う電話受付代行
      • 近年、電話受付代行業者が悪用されたマネー・ローンダリング事犯の検挙事例は認められないものの、電話受付代行は、顧客がその事業に関して架空の外観を作出してマネー・ローンダリング等の主体や犯罪収益の帰属先を不透明にすることを可能とするなどの特性から、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。
    15. 電話転送サービス事業者が取り扱う電話転送サービス
      • 電話転送サービスは、顧客が事業に関して架空の外観を作出してマネー・ローンダリング等の主体や犯罪収益の帰属先を不透明にすることを可能としており、特殊詐欺の犯罪収益を隠匿するなどのマネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。
    16. 法律・会計専門家が取り扱う法律・会計関係サービス
      • 法律・会計専門家は、法律、会計等に関する高度な専門的知識を有するとともに、社会的信用が高いことから、その職務や関連する事務を通じた取引等はマネー・ローンダリング等の有効な手段となり得る。
      • 実際、犯罪収益の隠匿行為等を正当な取引であると仮装するために、法律・会計関係サービスを利用された事例があること等から、法律・会計専門家が、「宅地又は建物の売買に関する行為又は手続」、「会社等の設立又は合併等に関する行為又は手続」、「現金、預金、有価証券その他の財産の管理又は処分」といった行為の代理又は代行を行うに当たっては、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。
  • 今後の取組
    • 本調査結果を踏まえ、今後、所管行政庁は、特定事業者に法令上の義務の履行を徹底させる取組を継続するとともに、所管する業態や特定事業者におけるマネー・ローンダリング等のリスクを的確に把握し、当該リスクに応じた指導・監督等を深化させていく必要がある。また、所管行政庁は、取組が低調な特定事業者に対して、行政指導も含めた適切な指導・監督を行うとともに、疑わしい取引の届出、体制整備等のマネー・ローンダリング等対策に関しての業界全体の底上げを図るために、業界団体等と連携して、特定事業者に取組に必要な情報や対応事例等を提供した上、所管する業態のマネー・ローンダリング等対策への取組の定着度を引き続き把握していく必要がある。
    • 特定事業者は、法令上の義務を履行することは当然のことながら、法令違反等の有無を形式的に確認するだけでなく、疑わしい取引の届出を行う場合に該当しないか留意するほか、引き続き、自らの業務の特性とそれに伴うリスクを包括的かつ具体的に想定して、直面するリスクを特定し、実質的な対応を行う必要がある。特に、マネー・ローンダリング等に悪用される危険度が、他の業態よりも相対的に高い又は高まっていると認められている商品・サービスについては、それぞれのリスクに応じた実質的なマネー・ローンダリング等対策を適切に行い、危険度の低減措置を確実に図る必要がある。
    • FATF第4次対日相互審査報告書の公表を契機として、政府一体となってマネー・ローンダリング等対策を強力に進めるべく、令和3年8月に警察庁及び財務省を共同議長とする「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議」が設置されるとともに、今後3年間の行動計画が策定・公表をされた。この行動計画は、マネー・ローンダリング等対策や拡散金融対策に関する法整備や執行面での改善を目指すもので、具体的には、国のリスク評価書の刷新、金融機関等の監督強化、実質的支配者情報の透明性向上、マネー・ローンダリング罪の起訴率の向上のためのタスクフォースの設置やこれを踏まえた捜査・訴追の実施、NPOの悪用防止等が掲げられている。今後、調査書で特定されたリスクを踏まえ、行動計画を着実に実施していくことが重要である。また、FATFの勧告を踏まえた法整備の検討を着実に行うため、内閣官房に「FATF勧告関係法整備検討室」が設置された。
    • さらに、国全体としてマネー・ローンダリング等対策の一層の推進を図るためには、所管行政庁や特定事業者等が連携して、国民にマネー・ローンダリング等対策について周知し、その重要性を理解してもらい、特定事業者等が行うマネー・ローンダリング等対策のための措置について協力を得る必要がある。そのためにも、所管行政庁及び特定事業者は、様々な手段・方法により、国民に対する広報活動を継続的かつ強力に推進していく必要がある。
    • 今後、経済活動のグローバル化や新たな技術の普及等により、犯罪収益やテロ資金の流れがますます多様化することが見込まれる。このような中で、犯罪収益の移転やテロ資金供与の防止を効果的に行い、引き続き国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与するためには、所管行政庁及び特定事業者が、上記のそれぞれの役割を十分に理解した上で、本調査書の内容や国内外の情勢変化を踏まえ、官民一体となってマネー・ローンダリング等対策に取り組んでいく必要がある。

警察庁 令和3年度サイバーセキュリティ政策会議について
▼実空間とサイバー空間とが融合したデジタル社会の安全・安心の確保
  • 近年のIoT、人工知能などの情報通信技術の発達や社会のデジタル化の進展により、今や我々の社会経済活動の多くはサイバー空間を通じて非対面・非接触で行われるものへと大きく移るなど、サイバー空間は、実空間の社会・経済の重要な機能を広く代替し得る空間となったといっても過言ではない。そのような中、金融機関等を装ったSMS等を用いてフィッシングサイトへ誘導する手口等によりインターネットバンキングに係る不正送金被害が引き続き大きな被害が生じているほか、病院がランサムウェアの被害を受けて診療業務に支障が生じるなど、日常生活に影響を受け、国民は大きな不安を抱えている。このようにサイバーセキュリティの位置付けも転換点を迎えており、重要インフラだけでなく、まさに一人一人の国民をどのように守っていくのかということが問われているのではないだろうか。
  • 深刻な脅威に対処するためには、これまで分散していた警察庁内のリソースを一元化して効果的な対処体制を構築することや、的確な事案の全容把握と捜査・対策の調整、さらには海外治安機関等と連携した国際捜査の推進等が不可欠である。殊に、近年の
  • 重大サイバー事案の捜査等においては、次のような特性が顕著となっている。
    • 国家性:海外治安機関等との国際共同オペレーションや特定の国家の帰責性を解明するための捜査等においては、捜査主体が国を代表する立場を有し、事象によっては国自体も捜査主体となり得ることが必要となること。
    • 無地域性:攻撃者等の所在地と被害発生地との地理的なつながりが希薄であり、被害も容易に拡散するほか、捜査を要する地域も散在していること。
    • 対処リソース集約の必要性:事案解明のためには高度な技術力や態勢構築を要するが、リソースが全国に散在する状態では対応が困難又は非効率であり、これらを集約することが必要となること。
  • 警察庁が令和2年に実施した犯罪情勢に関するアンケート調査によると、サイバー犯罪に遭うことへの不安感を持っているとの回答は約75%に上っている。これは、日本について誇りに思うこととして長年にわたり最上位に「治安のよさ」があげられている状況4とは実に対照的な結果となっている。国民がこうした不安感を抱える一方で、不安感が必ずしも個人レベルでの具体的な対策の実施に十分に結びついていないなど5、個人がそれぞれ有するサイバーセキュリティに対する意識や知識には大きなギャップが存在していることもうかがわれる。
  • いつでも、実空間のどこからでも、誰でも(どんなモノでも)サイバー空間につながり、活動できる、カバレッジ100%を前提とした社会においては、これまでの地理的・時間的な制約を越え、日常生活から国家機能まであらゆる場面で実空間とサイバー空間との高度な融合が更に進展する可能性がある。経済発展と社会的課題の解決を両立するSociety5.0は現実のものとなりつつある。
  • 実空間とサイバー空間とが融合した社会においては、「21世紀の石油」とも呼ばれるデータが新たな価値を創出する Data Driven Economy を通じて、例えば以下のような形で人々に多大な恩恵をもたらすと期待されている。
    • 職人技等個人あるいは集団の内面に根付き、その継承・再現には長期間にわたる修練が必要であるなど、広範な活用が困難であった価値(暗黙知等)をデータ化し、普遍化・活用することが可能となり、より高品質なサービスを広く提供する
    • 多様なデータがIoT機器等を通じて実空間にフィードバックされることで新たな製品・サービス(予防保守、自動運転、事業計画策定等)を創出する
    • 登録された個人情報等に基づく柔軟かつ個人毎にカスタマイズされたサービスの提供等により生活の質が向上する
  • データの価値の高まりは、データが窃取・破壊された場合の被害を今までになく拡大させることは確実である。また、サイバー空間を飛び交う情報の量や機器の計算処理能力は、早晩、あらゆる場面で人間の認知判断能力を遥かに超えるものとなりかねず、巧妙な欺罔行為の横行など、サイバー空間に参画する人間の誤認や判断の誤りが様々な事態を招く可能性がある。さらに、デジタルサービスやサプライチェーンの相互連鎖の進化は、発生し得るサイバー事案の影響範囲の見通しや事案の解明・対策をさらに困難なものとしかねない。このように、サイバー事案が発生した際の潜在的な被害の内容や影響範囲等が、これまでと比較して別次元といえるレベルにまで高まり、国民生活の安全・安心は大きなリスクにさらされるという脆弱性も有することとなる。
  • また、中学、高校等の卒業名簿が振り込め詐欺グループの架電先の選定に悪用された例などはこれまでも確認されているが、サイバー空間においても同様の情報の悪用が想定される。一例を挙げると、今後、攻撃者がSNSへの投稿等のサイバー空間上のデータを収集・分析し、攻撃対象となる者の出身小学校やペットの名前など、本人しか知り得ないはずの情報を推測・把握することで、知識認証(IDやパスワード、秘密の質問への回答といった本人のみが知る情報を用いて利用者を認証する方式)を不正に突破するなどのリスクが広範に発現する可能性もある。このように、既に広範に流出し、又は公開されているデータ自体にAIなどの情報通信技術を用いた高度な分析・加工が施されることにより新たなリスクの要因となることや、相互連鎖が進化するデジタルサービス等において当該データが新たな目的で悪用されるなどのリスクにも留意すべきである。
  • データの信頼性は、様々な機器の制御や企業活動がデータに依存することとなる中で社会経済活動にとって死活問題となる。例えば、入力されるデータを不正なものにすり替えられるとライフラインを支える制御機器、自動運転車、遠隔手術ロボット等を誤作動させることで人命に関わる重大事故が発生するおそれがあり得るし、データ汚染により事業計画や操業判断を混乱させられると、事業者にとっては企業存続にかかわるほどの経済的損害が発生するおそれも生じる。
  • また、AIに関しては、学習データに不正なデータを混入させ、特定の入力データを攻撃者が意図したものとして誤って認識させるバックドア攻撃と呼ばれる手法が存在する。このような手法が用いられると、入退室認証に画像認識カメラが使用されていた場合に本来権限を持たない者が認証を突破して入退室してしまったり、特定の者が認識された場合に遠隔手術機器に誤作動を起こさせ危害を加えるなどといったことも生じるおそれがある。
  • デジタル化の進展は、サイバー空間上を流通する個人の嗜好・行動履歴等の膨大なデータや情報通信技術を悪用する機会を犯罪者側にも与えることとなる。例えば先に述べた既存の脅威に関して、サイバー空間上の膨大な情報と合わせて機械学習等を悪用することで、実在する人物をサイバー空間上で高精度に再現することが可能となり、個々の標的が持つ属性・背景を踏まえた内容によるフィッシング詐欺、特殊詐欺、ビジネスメール詐欺、標的型メール攻撃等が可能となる。また、内容の巧妙化に加え、機械学習により現実の人物を模した映像・音声を生成するディープフェイク等の技術が組み合わさることで、視覚的・聴覚的にも高度な欺罔手段が機械的に量産することが可能となれば、特殊詐欺(現在欺罔手段の大半を占める電話だけでなく、テレビ電話等にも進出可能になる)等の脅威が爆発的に拡大する可能性もある。
  • 偽情報の流布は、インターネット上に限った問題ではなく、これまでも人々の口コミ等で真偽が不明で信頼性の低い情報が拡散される事例は存在したが、SNS等が有する情報流通の特性である情報の拡散されやすさ、価値観の似た者同士で交流・共感することで特定の意見等が増幅され影響力を持つ「エコーチェンバー」、利用者が好ましいと思う情報ばかりが選択的に提示されることで思想的に社会から孤立する「フィルターバブル」等が一因となってインフォデミックと呼ばれるほどの大きな問題として顕在化していると考えられる。また、情報発信の当事者が必ずしも意図せぬ形で混乱が助長される場合も多いとされる。他方で、当該特性を悪用し、意図的に偽情報や偏向した情報を広く流布させることにより何らかの不正な利益を得たり、世論を誘導するなどの社会的混乱を生じさせようとする行為も行われ得る点にも十分注意を払うべきである。
  • デジタルサービスの相互連鎖の拡大やサプライチェーンの複雑化は、ひとたびサイバー事案が発生した場合の影響範囲を飛躍的に拡大させてしまうというリスクを内在している。例えば、国民生活や産業分野におけるIoT機器の普及により、あらゆるモノがインターネットに接続される社会に確実に近づきつつあるが、このことは同時にサイバー攻撃が直接的に国民生活や産業のあらゆる場面に影響を与えることを意味している。広範に普及するIoT機器の所有者等によるセキュリティ対策が十分に行われず脆弱性が放置されれば、膨大な数のIoT機器の乗っ取りによるDDoS攻撃に悪用されるなど、ますます多様な観点からリスク要因を捉える必要が生じている。また、重要インフラ事業者の有する制御システムへのサイバー攻撃が当該重要インフラサービスの供給等に支障を与えることとなれば、当然に国民生活への影響は重大なものとなる。実際に、複雑に入り組んだサプライチェーンの連鎖やサービス連携の発達等に伴い、通信等のインフラへの障害やサイバー攻撃の影響が広範に拡大する状況が見受けられる。
  • サービスが複雑に連携する中で、連携サービスの全体を通じてどのように本人確認がなされ、どのようなセキュリティ対策がとられているかといった全体像が不透明となり、想定外の被害が生じるおそれもある。今後、新技術の普及や、デジタル化によるサプライチェーン等の一層の複雑化とそれに伴うブラックボックス化により、事故やサイバー攻撃等の影響範囲も格段に広がり、かつ、影響がどこに発現するのか把握することが困難となることが予想される。
  • 実空間においては、少年の健全な育成を阻害するおそれのある行為や環境が条例等により規制され、一部の施設への青少年の深夜入場が規制されたり、有害図書等の青少年への販売が禁止されるなど、子供・若者の健全育成のための枠組みが多角的・複層的に存在する。これに対し、サイバー空間では、例えばSNSアプリの利用等が保護者等の判断に委ねられているといった状況も見られる。今後、子供・若者のデジタル社会への参画が更に加速していく中、デジタル社会における青少年の健全な育成が課題となる。
  • メタバースは、従前の多人数参加型のオンラインゲームのように、限定された空間の中で一定の制限の下で活動するものではなく、アバター(仮想空間上における利用者の分身)がその空間の中で自由に活動し、他者との交流の場となり、様々な領域のサービスやコンテンツが取引され消費される場ともなるものとされている。その普及により既に顕在化している、あるいは顕在化しつつある様々なリスクの
  • 深刻化や拡大につながることも想定される。例えば、ディープフェイクのように現実の人物等を模擬するものとは異なり、元来電子データに過ぎないアバターの外形を複製することは容易であり、本人確認等がますます困難となるほか、なりすまし等の被害の拡大や、事後追跡可能性への支障が想定される。また、将来的には、実空間で行われていた取引や会議などの重要な活動がサイバー空間上に進出するという現状をさらに踏み越え、サイバー空間が実空間以上に重要な役割を担うこと、例えばメタバース内でのサービスの利用や「通貨」の流通により実空間を上回る経済圏が形成されることなども考えられる。そのような新たな形態の社会においては、現時点では想定し得ない新たな恩恵とともに、リスクも次々と生じ得る。
  • サイバー空間は、従来から地政学的緊張を反映した国家間の競争の場の一部となっているが、近年はサイバー攻撃の脅威の増大が見られる。国家の関与が疑われるサイバー攻撃として、政府機関や先端技術保有企業等の情報窃取、軍事的・政治的目的の達成に向けての影響力行使、外貨の獲得等を目的としたものが発生している。このように脅威が増大する中、今や、サイバー空間をめぐる情勢は、有事とは言えないまでも、最早純然たる平時とも言えない様相を呈していると評されるに至っている。また、直接的なサイバー攻撃以外にも、サイバー空間に関する基本的価値の相違や、国際ルール等をめぐる対立が顕在化している。さらには、安全保障の裾野が経済・技術分野にも拡大する中で、技術覇権争いも顕在化している。
  • サイバー空間上の犯罪者集団による脅威が世界的に高まっている。令和3年(2021年)5月に発表された米企業の調査27によると、世界における漏えい・侵害に係る攻撃者の種類として「犯罪組織」が全体の約8割を占めると言われている。ランサムウェアに関しては、実際に市民生活に多大な影響を及ぼした事例も多数発生している。さらに、攻撃手段となるマルウェアの耐解析機能(解析を妨害、遅延等させる機能)も高度化している。捜査機関やセキュリティベンダーによる解析を阻害するため、ソースコード改変によるパターンマッチング29の回避といったものだけでなく、文字列の暗号化や解析環境の検知といった様々な機能を搭載し、難易度を質・量両面で高めており、解析に基づく対策の実施に要する時間の増大、ひいては被害の拡大につながっている。
  • 犯罪者集団による攻撃が悪質・巧妙化していることに加え、一部のフォーラムサイト等では攻撃ツールの売買等がなされ、一定程度の技量があれば、特別な専門知識がなくても誰でもサイバー攻撃を行うことができる犯罪インフラ(犯罪を助長し、又は容易にする基盤)が構築されている。さらには、直接的な攻撃に関連するものだけでなく、例えばVPNやプライベートプロキシ等匿名化の手段の提供、窃取したクレジットカード情報が有効であるかの検証、マネー・ローンダリングの実行等を担うものも存在し、これらが広範につながり、ある種のエコシステムを形成しているとの指摘もある。
  • 政策課題
    • サイバー空間と実空間とが融合した新たな社会においては、犯行手口やその被害・影響がサイバー空間の中だけにとどまらず、脅威のレベルがこれまでとは次元の違うレベルまで高まる。このことに鑑み、新組織は、サイバー空間の安全・安心のみならず、既存の組織と連携し、実空間と公共空間としてのサイバー空間とが融合したデジタル社会全体の安全・安心を見据えた組織として確立することが必要である。
    • 組織を実効的に機能させるためには、有為な人材をいかに集め、育成し、活躍させるかが鍵となることは言を俟たない。一方、高度専門人材をはじめとする有為な人材は、地方においても重要な役割を担っており、単に新組織に人材を集中させることは適切ではない。この状況に対処するためには、有為な人材層の拡充はもとより、その機動的な活用のための環境を実現する取組が必要である。
    • 我が国では、サイバー犯罪条約を締結する等捜査共助に係る枠組みは一定程度整備が進む一方、捜査共助等を通じた国際照会の回答に長時間を要することなどにより国際捜査が十分に進展しないケースも多く存在するほか、継続的に国際捜査に携わる捜査主体が存在しないことなどにより国際共同オペレーションへの参画が低調な状況にある。海外治安機関等との関係では、相手機関に協力を求める場面のみならず、日本側が相手機関側からの協力要請に応じることも含めてギブ・アンド・テイクの原則に留意して互恵的な関係を構築することが重要な鍵となる。また、組織と組織の間の継続的な関係構築のみならず、それぞれの組織に所属し捜査等に携わる実務者レベルでの信頼関係を構築することも同様に重要となる。上記のような状況を踏まえ、中長期的観点から、実務者レベルでの顔の見える関係の構築や、我が国警察の強みを生かした情報の収集・分析・提供等での地道な貢献を通じて海外治安機関等との強固な信頼関係を構築する取組が必要である。
    • 攻撃者優位とも言われるサイバー空間の環境改善に正面から取り組み、安全確保を図るためには、関係国等と連携した具体的な取組が必要である。強固な信頼関係を構築した上で国際共同オペレーションに参画することは、国内外の犯罪インフラの壊滅、犯罪者集団の検挙、実態解明に資するものとなる。加えて、国際共同オペレーションに加わり、継続的に検挙や実態解明を進めていくことで、攻撃者に日本への攻撃をためらわせる抑止効果も期待できること、また、捜査の結果として攻撃者の特定等に至ることができれば、我が国の国益の追求はもとより、重要な国際貢献ともなることにも留意すべきである。また、サイバー空間が、地政学的緊張を反映した国家間の競争の場の一部となっている観点を踏まえ、国際共同オペレーションを、法の支配、自由、民主主義といった価値観を共有する国家や国際機関と連携して幅広く進めていくことが重要である。
    • 暗号資産の匿名性を悪用したランサムウェア身代金要求、SMSを介した配送状況の連絡に擬態したフィッシング等、新たな技術・サービスは時として犯罪者に悪用され、犯罪インフラとして機能している。また、SMS認証の不正な代行に見られるように、当初は安全と考えられ広く活用されるようになった技術が、制度の抜け穴を突いて悪用され、犯罪インフラとなる事態は、新たな技術・サービスが次々と生まれる社会ではさらに多発することが予想される。制度設計、サービス設計、技術開発、研究等をそれぞれ担う者が協働し、人々に恩恵をもたらす新たな技術・サービスが犯罪インフラと化すことがないよう対策を進める必要がある。
  • 誰もがインターネットを利用するようになり、インターネットバンキングやキャッシュレス決済サービスの悪用により経済的損失を受ける事案やインターネット上の誹謗中傷により精神的苦痛を受ける事案等も多く発生しており、適切な対策が求められている。特に、現在も多くの被害が確認されている以下の事例について、引き続き対応の強化を図る。
    • インターネットバンキング及びキャッシュレス決済サービスをめぐるサイバー犯罪の対策については、金融機関・資金移動業者等への犯行手口に基づく注意喚起の実施、不正な送金先口座の凍結検討依頼等を進める。
    • SMS認証の不正な代行については、被害実態について関連する業界団体等との情報共有を進めるとともに、SMS機能付きデータSIM契約時の本人確認義務付けの必要性についても検討を進める。
    • インターネット上の誹謗中傷に係る相談に際し、その内容に応じて、関係する部署が連携して対応し、指導・助言、法務局人権擁護担当、違法・有害情報相談センター等の専門機関の教示等、相談者の不安等を解消するために必要な措置を講じるほか、刑罰法令に触れる行為が認められる場合には、捜査機関として適切に事件に対処する。
    • キャッシュレス決済サービスの普及に伴い、様々なサービスにクレジットカード情報がひも付けられることにより、クレジットカード不正利用の被害額が増加傾向にあることから、eコマース(電子商取引、EC)に関連するクレジットカードの不正利用事案に関し、関係団体等と連携して被害実態の把握に努めるほか、被害実態を踏まえた有効な対策の在り方について検討を進める。
    • 知的財産に関しては、政府全体の議論を踏まえつつ、現在捜査の妨げとなっている様々な課題について検討・対策を進め、取締りや被害防止に取り組みつつ、内閣府等関係機関との連携に努める。

警察庁 犯罪統計資料(令和3年1~11月分)
  • 令和3年1~11月の刑法犯総数について、認知件数521,144件(前年同期566,466件、前年同期比▲8.0%)、検挙件数は244,648件(258,144件、▲5.2%)、検挙率46.9%(45.6%、+1.3P)
  • 窃盗犯の認知件数は351,049件(385,179件、▲8,9%)、検挙件数は149,797件(158,432件、▲5.5%)、検挙率は42.7%(41.1%、+1.6P)
  • 万引きの認知件数は79,394件(79,708件、▲0.4%)、検挙件数は58,549件(57,703件、+1.5%)、検挙率は73.7%(72.4%、+1.3P)
  • 知能犯の認知件数は32,481件(30,861件、+5.2%)、検挙件数は17,396件(16,632件、+4.6%)、検挙率は53.6%(53.9%、▲0.3P)
  • 詐欺の認知件数は29,464件(27,555件、+5.2%)、検挙件数は14,982件(13,979件、+4.6%)、検挙率は50.8%(50.7%、+0.1P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は65,201件(67,062件、▲2.8%)、検挙人員は53,358人(56,416人、▲5.4%)
  • 入管法違反の検挙件数は4,499件(6,353件、▲29.2%)、検挙人員は3,287人(4,655人、▲29.4%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は7,927件(7,035件、+12.7%)、検挙人員は6,038人(5,739人、+5.2%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は2,338件(2,492件、▲6.2%)、検挙人員は1,895人(2,015人、▲6.0%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は335件(583件、▲42.5%)、検挙人員は126人(128人、▲1.6%)、不正競争防止法違反の検挙件数は71件(123件、▲42.3%)、検挙人員は73人(66人、+10.6%)、銃刀法違反の検挙件数は4,734件(4,961件、▲4.6%)、検挙人員は4,066人(4,376人、▲7.1%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は836件(942件、▲11.3%)、検挙人員は472人(482人、▲2.1%)、大麻取締法違反の検挙件数は6,213件(5,368件、+15.7%)、検挙人員は4,926人(4,525人、+8.9%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は10,386件(10,854件、▲4.3%)、検挙人員は7,027人(7,590人、▲7.4%)
  • 来日外国人による重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数582人(510人、+14.1%)、ベトナム217人(94人、+130.9%)、中国91人(84人、8.3%)、ブラジル41人(53人、▲22.6%)、フィリピン32人(25人、+28.0%)、インド17人(17人、±0%)、スリランカ16人(13人、+23.1%)、韓国・朝鮮16人(26人、▲38.5%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較 総数について、検挙件数は11,133件(12,310件、▲9.6%)、検挙人員は6,239人(7,009人、▲11.0%)
  • 暴行の検挙件数は656件(812件、▲19.2%)、検挙人員は621人(788人、▲21.2%)、傷害の検挙件数は1,041件(1,285件、▲19.0%)、検挙人員は1,249人(1,515人、▲17.6%)、脅迫の検挙件数は342件(420件、▲18.6%)、検挙人員は337人(383人、▲12.0%)、恐喝の検挙件数は356件(400件、▲11,0%)、検挙人員は424人(535人、▲20.7%)、窃盗犯の検挙件数は5,525件(6,150件、▲10.2%)、検挙人員は922人(1,101人、▲16.3%)、詐欺の検挙件数は1,650件(1,430件、+15.4%)、検挙人員は1,383人(1,115人、+24.0%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較 総数について、検挙件数は6,570件(7,290件、▲9.9%)、検挙人員は4,457人(5,327人、▲16.3%)
  • 暴力団排除条例違反の検挙件数は38件(49件、▲22.4%)、検挙人員は87人(114人、▲23.7%)、銃刀法違反の検挙件数は108件(155件、▲30.3%)、検挙人員は79人(124人、▲36.3%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は130件(165件、▲21.2%)、検挙人員は46人(56人、▲17.9%)、大麻取締法違反の検挙件数は1,101件(1,027件、+7.2%)、検挙人員は697人(699人、▲0.3%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は4,181件(4,747件、▲11.9%)、検挙人員は2,761人(3,286人、▲16.0%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は269件(322件、▲16.5%)、検挙人員は218人(248人、▲12.1%)

警察庁 Javaライブラリ「Apache Log4j」の脆弱性(CVE-2021-44228)を標的とした攻撃の観測について
  • 概要
    • Javaでログ出力に使われるライブラリ「Apache Log4j」の脆弱性(CVE-2021-44228)に関する情報が、The Apache Software Foundationから公表されています。
    • 12月10日以降、当該脆弱性を標的とした攻撃を観測しています。
  • 影響を受けるシステム
    • Apache Log4j-core 2.15.0より前の2系のバージョン
  • 対策
    • Javaで開発されているプログラムを利用している場合は、Apache Log4jの利用の有無の確認及び各プログラムの公式ウェブサイトのアップデート情報の確認をすることを推奨します。
    • 脆弱性の影響を受けるバージョンを利用されている場合は、公開している情報を確認し、速やかに対策を適用することを推奨します。
    • Webアプリケーションファイアウォール等のシグネチャによる検知や防御の回避を試みているパケットを観測しています。シグネチャ検知による回避策以外の対策も適用することを推奨します。

警察庁 令和3年10月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和3年1月~10月における特殊詐欺全体の認知件数は11,907件(前年同期11,454件、前年同期比+4.0%)、被害総額は222.1億円(227.8憶円、▲2.5%)、検挙件数は5,205件(5,971件、▲12.8%)、検挙人員は1,880人(2,051人、▲8.3%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は2,472件(1,823件、+35.6%)、被害総額は70.0憶円(53.1憶円、+69.5%)、検挙件数は1,137件(1,599件、▲28.9%)、検挙人員は615人(492人、+25.0%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は2,051件(3,503件、▲28.6%)、被害総額は25.1億円(49.1憶円、▲48.9%)、検挙件数は1,765件(1,238件、+42.6%)、検挙人員は584人(723人、▲19.2%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は1,691件(1,653件、+2.3%)、被害総額は50.5億円(59.7憶円、▲15.4%)、検挙件数は187件(425件、▲56.0%)、検挙人員は93人(128人、▲27.3%)
  • 還付金詐欺の認知件数は3,385件(1,399件、+142.0%)、被害総額は38.3億円(19.2憶円、+99.5%)、検挙件数は548件(362件、+51.4%)、検挙人員は87人(45人、+93.3%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は128件(262件、▲51.1%)、被害総額は2.3億円(3.4憶円、▲32.4%)、検挙件数は24件(177件、▲86.4%)、検挙人員は14人(50人、▲72.0%)
  • 金融商品詐欺の認知件数は28件(49件、▲42.9%)、被害総額は2.6億円(3.4憶円、▲23.5%)、検挙件数は10件(27件、▲63.0%)、検挙人員は17人(25人、▲32.0%)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は2,069件(2,510件、▲17.6%)、被害総額は30.7憶円(37.4憶円、▲17.9%)、検挙件数は1,514件(2,093件、▲27.7%)検挙人員は452人(573人、▲21.1%)
  • 口座開設詐欺の検挙件数は567件(540件、+5.0%)、検挙人員は320人(369人、▲13.3%)、盗品等譲り受け等の検挙件数は2件(3件、▲33.3%)、検挙人員は0人(2人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,879件(2,056件、▲8.6%)、検挙人員は1,496人(1,679人、▲10.9%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は135件(174件、▲22.4%)、検挙人員は118人(144人、▲18.1%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は20件(24件、▲16.7%)、検挙人員は10人(21人、▲52.4%)、組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は138件(113件、+22.1%)、検挙人員は39人(15人、+160.0%)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では、男性(25.4%):女性(74.6%)、60歳以上91.8%、70歳以上73.6%、オレオレ詐欺では、男性(18.1%):女性(81.9%)、60歳以上96.3%、70歳以上93.4%、融資保証金詐欺では、男性(78.4%):女性(21.6%)、60歳以上23.4%、70歳以上13.5%、特殊詐欺被害者全体に占める高齢(65歳以上)被害者の割合について、特殊詐欺88.3%(男性22.4%、女性77.6%)、オレオレ詐欺95.6%(17.6%、82.4%)、預貯金詐欺98.7%(15.0%、85.0%)、架空料金請求詐欺48.5%(57.0%、43.0%)、還付金詐欺94.2%(23.8%、76.2%)、融資保証金詐欺16.2%(83.3%、16.7%)、金融商品詐欺57.1%(31.3%、68.8%)、ギャンブル詐欺38.2%(57.1%、42.9%)、交際あっせん詐欺16.7%(100.0%、0.0%)、その他の特殊詐欺27.8%(40.0%、60.0%)、キャッシュカード詐欺盗98.3%(18.4%、81.6%)

【2021年11月】

警察庁 特殊詐欺被疑者の一斉公開捜査について
  • 警視庁、埼玉県警察、千葉県警察、神奈川県警察において、特殊詐欺被疑者の一斉公開捜査を実施しています。
  • 各画像をクリックすると、公開捜査をしている警察のホームページで、事件の詳細や他の画像などを見ることができます。
  • 小さなことでも構いませんので、情報提供をお願いします。
  • 情報提供は、公開捜査をしている警察までお願いします。

警察庁 犯罪統計資料(令和3年1~10月分)
  • 令和3年1~10月の刑法犯総数について、認知件数は469,531件(前年同期514,197件、前年同期比▲8.7%)、検挙件数は215,312件(228,390件、▲5.7%)、検挙率は45.9%(44.4%、+1.5P)
  • 窃盗犯の認知件数は316,001件(349,788件、▲9.7%)、検挙件数は131,644件(140,229件、▲6.1%)、検挙率は41.7%(40.1%、+1.6P)
  • 万引きの認知件数は71,880件(71,644件、+0.3%)、検挙件数は52,605件(51,666件、+1.8%)、検挙率は73.2%(72.1%、+1.1P)
  • 知能犯の認知件数は29,189件(27,815件、+4.9%)、検挙件数は14,961件(14,503件、+3.2%)、検挙率は51.3%(52.1%、▲0.8P)
  • 詐欺の認知件数は26,463件(24,848件、+6.5%)、検挙件数は12,893件(12,230件、+5.4%)、検挙率は48.7%(49,2%、▲0.5%)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は56,958件(58,201件、▲2.1%)、検挙人員は46,677人(48,977人、▲4.7%)
  • 入管法違反の検挙件数は3,984件(5,643件、▲29.4%)、検挙人員は2,879人(4,113人、▲30.0%)、軽犯罪法の検挙件数は6,673件(6,967件、▲4.2%)、検挙人員は6,728人(7,002人、▲3.9%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は6,980件(6,125件、+14.0%)、検挙人員は5,329人(5,029人、+6.0%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,973件(2,223件、▲11.2%)、検挙人員は1,610人(1,804人、▲10.8%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は273件(487件、▲3.9%)、43.9%)、検挙人員は108人(104人、+3.8%)、不正競争防止法違反の検挙件数は60件(50件、+20.0%)、検挙人員は56人(58人、▲3.4%)、銃刀法違反の検挙件数は4,115件(4,305件、▲4.4%)、検挙人員は3,516人(3,796人、▲7.4%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は695件(799件、▲13.0%)、検挙人員は395人(414人、▲4.6%)、大麻取締法違反の検挙件数は5,410件(4,592件、+17.8%)、検挙人員は4,264人(3,860人、+10.5%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は9,041件(9,364件、▲3.4%)、検挙人員は6,097人(6,543人、▲6.8%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数403人(317人、+27.1%)、ベトナム192人(84人、+128.6%)、中国79人(76人、+3.9%)、ブラジル30人(50人、▲40.0%)、フィリピン29人(25人、+16.0%)、韓国・朝鮮15人(25人、▲40.0%)、インド15人(14人、+7.1%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は9,584件(10,525件、▲8.9%)、検挙人員総数は5,317人(6,117人、▲13.1%)、暴行の検挙件数は572件(730件、▲21.6%)、検挙人員は542人(704人、▲23.0%)、傷害の検挙件数は908件(1,149件、▲21.0%)、検挙人員は1,090人(1,332人、▲18.2%)、脅迫の検挙件数は297件(385件、▲22.9%)、検挙人員は288人(346人、▲16.8%)、恐喝の検挙件数は314件(348件、▲9.8%)、検挙人員は377人(450人、▲16.2%)、窃盗の検挙件数は4,794件(5,091件、▲5.8%)、検挙人員は789人(962人、▲18.0%)、詐欺の検挙件数は1,335件(1,236件、+8.0%)、検挙人員は1,115人(952人、+17.1%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は5,689件(6,353件、▲10.5%)、検挙人員総数は3,844人(4,620人、▲16.8%)、軽犯罪法違反の検挙件数は77件(105件、▲26.7%)、検挙人員は68人(93人、▲26.9%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は90件(102件、▲11.8%)、検挙人員は80人(96人、▲16.7%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は34件(43件、▲20.9%)、検挙人員は82人(100人、▲18.0%)、銃刀法違反の検挙件数は93件(129件、▲27.9%)、検挙人員は69人(104人、▲33.7%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は113件(152件、▲25.7%)、検挙人員は35人(52人、▲32.7%)、大麻取締法違反の検挙件数は939件(885件、+6.1%)、検挙人員は590人(587人、+0.5%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は3,658件(4,132件、▲11.5%)、検挙人員は2,401人(2,855人、▲15.9%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は218件(283件、▲23.0%)、検挙人員は175件(209件、▲16.3%)

警察庁 令和3年9月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和3年1月~9月における特殊詐欺全体の認知件数は10,729件(前年同期10,324件、前年同期比+3.9%)、被害総額は202.7億円(201.9億円、+0.4%)、検挙件数は4,520件(5,196件、▲13.0%)、検挙人員は1,636人(1,786人、▲8・4%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は2,212件(1,576件、+40.4%)、被害総額は63.2億円(46.7憶円、+35.3%)、検挙件数は992件(1,427件、▲30.5%)、検挙人員は529人(440人、+34.5%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は1,883件(3,179件、▲40.8%)、被害総額は23.2憶円(44.1億円、▲47.4%)、検挙件数は1,574件(1,003件、+56.9%)、検挙人員は510人(617人、▲17.3%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は1,538件(1,486件、+3.5%)、被害総額は48.0億円(51.0憶円、▲5.9%)、検挙件数は176件(395件、▲55.4%)、検挙人員は87人(108人、▲19.4%)
  • 還付金詐欺の認知件数は3,012件(1,226件、+145.7%)、被害総額は33.9億円(17.2憶円、+97.1%)、検挙件数は406件(295件、+37.6%)、検挙人員は78人(36人、+116.7%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は122件(243件、▲49.8%)、被害総額は2.1億円(3.0憶円、▲30.0%)、検挙件数は20件(116件、▲82.8%)、検挙人員は12人(41人、▲70.7%)
  • 金融商品詐欺の認知件数は26件(42件、▲38.1%)、被害総額は2.3億円(2.9憶円、▲19.2%)、検挙件数は9件(22件、▲59.1%)、検挙人員は17人(23人、▲26.1%)
  • ギャンブル詐欺の認知件数は49件(83件、▲41.0%)、被害総額は1.4憶円(1.9憶円、▲23.7%)、検挙件数は4件(34件、▲88.2%)、検挙人員は4人(10人、▲60.0%)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は1,860件(2,338件、▲20.4%)、被害総額は27.7億円(34.8憶円、▲20.4%)、検挙件数は1,324件(1,890件、▲30.0%)、検挙人員は389人(506人、▲23.1%)
  • 口座開設詐欺の検挙件数は503件(473件、+6.3%)、検挙人員は293人(318人、▲7.9%)、盗品等譲受け等の検挙件数は2件(2件、±0%)、検挙人員は0人(1人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,659件(1,849件、▲10.3%)、検挙人員は1,324人(1,515人、▲12.6%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は126件(155件、▲18.7%)、検挙人員は111人(126人、▲11.9%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は17件(24件、▲29.2%)、検挙人員は8人(21人、▲61.9%)、組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は128件(75件、+70.7%)、検挙人員は32人(14人、+128.6%)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では、男性(25.6%):女性(74.4%)、60歳以上91.7%、70歳以上73.8%、オレオレ詐欺では、男性(18.5%):女性(81.5%)、60歳以上96.5%、70歳以上93.5%、融資保証金詐欺では、男性(77.4%):女性(22.6%)、60歳以上23.6%、70歳以上31.2%、特殊詐欺被害者全体に占める高齢被害者(65歳以上)の割合について、
  • 特殊詐欺全体88.2%(男性22.6%、女性77.4%)、オレオレ詐欺95.8%(18.0%、82.0%)、預貯金詐欺98.7%(15.6%、84.4%)、架空料金請求詐欺48.4%(55.7%、44.3%)、還付金詐欺94.3%(23.9%、76.1%)、融資保証金詐欺16.0%(82.4%、17.6%)、金融商品詐欺53.8%(35.7%、64.3%)、ギャンブル詐欺36.7%(55.6%、44.4%)、交際あっせん詐欺0.0%、その他の特殊詐欺27.8%(40.0%、60.0%)、キャッシュカード詐欺盗98.2%(18.6%、81.4%)

警察庁 警察庁情報通信局をかたる不審メールへの注意喚起について
  • 警察庁情報通信局をかたり、携帯電話やクレジットカードの情報を保護するなどとしてウェブサイトを閲覧するよう誘導する不審な電子メールが送られているとの情報が、警察庁に寄せられました。
  • このような不審メールを受信された場合には、リンクをクリックしたり、住所、氏名等の個人情報を入力したりせず、警察庁のウェブサイト「フィッシング 110番」から各都道府県警察のフィッシング専用窓口に通報をお願いします。
▼「フィッシング 110番」

【法務省】

【2021年12月】

法務省 令和3年版犯罪白書
▼全文
  • 刑法犯の認知件数は、平成8年から毎年戦後最多を更新して、14年には285万4,061件にまで達したが、15年に減少に転じて以降、18年連続で減少しており、令和2年は61万4,231件(前年比13万4,328件(17.9%)減)と戦後最少を更新した。戦後最少は平成27年以降、毎年更新中である。同年から令和元年までの5年間における前年比の減少率は平均9.2%であったが、2年は前年より17.9%減少した。平成15年からの認知件数の減少は、刑法犯の7割近くを占める窃盗の認知件数が大幅に減少し続けたことに伴うものである
  • 刑法犯の検挙人員について、65歳以上の高齢者の構成比は、平成3年には2.4%(7,128人)であったが、令和2年は22.8%(4万1,696人)を占めており、検挙人員に占める高齢者の比率の上昇が進んでいる。一方、20歳未満の者の構成比は、平成3年には50.8%(15万348人)であったが、その後減少傾向にあり、令和2年は、9.8%(1万7,904人)となり、昭和48年以来初めて10%を下回った。
  • 窃盗は、認知件数において刑法犯の7割近くを占める。平成7年から13年まで、認知件数の増加と検挙率の低下が続いていたが、14年から検挙率が上昇に転じ、認知件数も、戦後最多を記録した同年(237万7,488件)をピークに15年から減少に転じた。認知件数は、26年以降、毎年戦後最少を更新し、令和2年は、41万7,291件(前年比11万5,274件(21.6%)減)であり、平成27年から令和元年までは前年比8.5~11.2%の幅で減少していたのに対し、2年は前年からの減少幅が大きかった。検挙件数は、平成17年から減少し続けており、令和2年は、17万687件(同1万210件(5.6%)減)であり、認知件数と比べると、前年からの減少幅が小さかった。検挙率は、前年より6.9pt上昇し、40.9%であった。窃盗を除く刑法犯の認知件数は、平成16年に58万1,463件と戦後最多を記録した後、17年から減少し続け、令和2年は、19万6,940件(前年比1万9,054件(8.8%)減)であり、窃盗の認知件数と比べると、前年からの減少幅が小さかった。検挙率は、平成16年に37.8%と戦後最低を記録した後、緩やかな上昇傾向にあり、令和2年は55.1%(同2.6pt上昇)であった。
  • 特別法犯の検察庁新規受理人員は、特別法犯全体では、43年に交通反則通告制度が施行されたことにより大幅に減少した後、50年代は200万人台で推移していたが、62年に同制度の適用範囲が拡大された結果、再び大幅に減少した。平成元年から11年までは増減を繰り返していたが、12年からは21年連続で減少しており、18年からは、昭和24年以降における最少を記録し続けている。他方、道交違反を除く特別法犯では、平成13年から増加し、19年(11万9,813人)をピークとして、その後は減少傾向にあるが、令和2年は8万8,337人(前年比469人(0.5%)増)であった
  • 依存性薬物の所持・使用により保護観察に付された者であって、薬物再乱用防止プログラムに基づく指導が義務付けられず、又はその指導を受け終わった者等に対し、必要に応じて、断薬意志の維持等を図るために、その者の自発的意思に基づいて簡易薬物検出検査を実施することがある。令和2年における実施件数は5,475件であった
  • 保護観察所は、依存性薬物に対する依存がある保護観察対象者等について、民間の薬物依存症リハビリテーション施設等に委託し、依存性薬物の使用経験のある者のグループミーティングにおいて、当該依存に至った自己の問題性について理解を深めるとともに、依存性薬物に対する依存の影響を受けた生活習慣等を改善する方法を習得することを内容とする、薬物依存回復訓練を実施している。令和2年度に同訓練を委託した施設数は40施設であり(前年比18施設減)、委託した実人員は、504人(同83人減)であった。
  • また、保護観察所は、規制薬物等に対する依存がある保護観察対象者の改善更生を図るための指導監督の方法として、医療・援助を受けることの指示等(通院等指示)を行っているところ、一定の要件を満たした者について、コアプログラムの開始を延期若しくは一部免除し、又はステップアッププログラムの開始を延期若しくは一時的に実施しないことができる。令和2年において、コアプログラムの開始を延期した件数は95件、ステップアッププログラムを一時的に実施しないこととした件数は120件であった。
  • さらに、薬物犯罪の保護観察対象者が、保護観察終了後も薬物依存からの回復のための必要な支援を受けられるよう、保護観察の終了までに、精神保健福祉センター等が行う薬物依存からの回復プログラムや薬物依存症リハビリテーション施設等におけるグループミーティング等の支援につなげるなどしている。令和2年度において、保健医療機関等による治療・支援を受けた者は613人であった
  • 窃盗事犯者は、保護観察対象者の多くを占め、再犯率が高いことから、嗜癖的な窃盗事犯者に対しては、その問題性に応じ、令和2年3月から、「窃盗事犯者指導ワークブック」や自立更生促進センターが作成した処遇プログラムを活用して保護観察を実施している
  • 少年による刑法犯、危険運転致死傷及び過失運転致死傷等の検挙人員の推移には、昭和期において、26年の16万6,433人をピークとする第一の波、39年の23万8,830人をピークとする第二の波、58年の31万7,438人をピークとする第三の波という三つの大きな波が見られる。平成期においては、平成8年から10年及び13年から15年にそれぞれ一時的な増加があったものの、全体としては減少傾向にあり、24年以降戦後最少を記録し続け、令和2年は戦後最少を更新する3万2,063人(前年比13.8%減)であった。
  • 少年による刑法犯の検挙人員は、平成16年以降減少し続けており、令和2年は2万2,552人(前年比13.5%減)であった。少年の人口比についても低下傾向が見られ、2年は201.9(同13.5%減)と人口比の最も高かった昭和56年(1,432.2)の約7分の1になっており、成人の人口比と比較すると依然として約1.3倍と高いものの、成人の人口比にそれほど大きな変動がないため、その差は減少傾向にある
  • 犯罪少年の薬物犯罪においては、昭和47年に毒劇法が改正されてシンナーの乱用行為等が犯罪とされた後、同法違反が圧倒的多数を占め、その検挙人員(警察が検挙した者に限る。以下この項において同じ。)は、57年のピーク(2万9,254人)後増減を繰り返していたが、平成5年前後に著しく減少し、それ以降減少傾向にあり、令和2年は3人であった。犯罪少年による覚醒剤取締法、大麻取締法及び麻薬取締法の各違反の検挙人員の推移(昭和50年以降)は、3-1-2-3図のとおりである。覚醒剤取締法違反は、57年(2,750人)及び平成9年(1,596人)をピークとする波が見られた後、10年以降は減少傾向にあったが、29年以降は90人台で推移し、令和2年は前年より4人増加し、96人であった。大麻取締法違反は、昭和61年以降増加傾向にあり、平成6年(297人)をピークとする波が見られた後、増減を繰り返していたが、26年から7年連続で増加しており、令和2年は853人(前年比258人(43.4%)増)であった。麻薬取締法違反は、平成16年(80人)をピークとする小さな波が見られるものの、昭和50年以降、おおむね横ばいないしわずかな増減にとどまっていたが、平成29年から増加傾向にある。
  • 覚醒剤取締法違反(覚醒剤に係る麻薬特例法違反を含む。以下この項において同じ。)の検挙人員(特別司法警察員が検挙した者を含む。)の推移(昭和50年以降)は、4-2-1-1図のとおりである。昭和期から見てみると、まず、29年(5万5,664人)に最初のピークを迎えたが、罰則の強化や徹底した検挙等により著しく減少し、32年から44年までは毎年1,000人を下回っていた。その後、45年から増加傾向となり、59年には31年以降最多となる2万4,372人を記録した。60年からは減少傾向となったが、平成6年(1万4,896人)まで小さく増減を繰り返した後、7年から増加に転じ、9年には平成期最多の1万9,937人を記録した。13年から減少傾向にあり、18年以降おおむね横ばいで推移した後、28年から毎年減少し続け、令和2年は8,654人(前年比0.9%減)であり、元年以降、2年連続で1万人を下回った
  • 覚醒剤取締法違反の年齢層別の検挙人員(警察が検挙した者に限る。)の推移(最近20年間)は、4-2-1-2図のとおりである。20歳代の年齢層の人員は、平成期に入って以降、平成13年まで全年齢層の中で最も多かったが、10年以降減少傾向にあり、令和2年(1,000人)は平成13年(6,280人)の約6分の1であった。30歳代の年齢層の人員も、14年から25年まで全年齢層の中で最も多かったが、13年以降減少傾向が続いている。40歳代の年齢層の人員は、21年から増加傾向にあり、26年以降全年齢層の中で最も多くなっているものの、28年から5年連続で減少している。50歳以上の年齢層の人員は、21年から毎年増加し、26年以降はほぼ横ばいで推移している。令和2年の同法違反の検挙人員の年齢層別構成比を見ると、40歳代の年齢層が最も多く(33.6%)、次いで、50歳以上(29.1%)、30歳代(24.4%)、20歳代(11.8%)、20歳未満(1.1%)の順であった。なお、令和2年の覚醒剤取締法違反の検挙人員(就学者に限る。)を就学状況別に見ると、高校生が11人(前年比1人増)、大学生が8人(同18人減)(20歳以上の者を含む。)であり、中学生はいなかった(同3人減)。
  • 令和2年に覚醒剤取締法違反により検挙された者(警察が検挙した者に限る。)のうち、営利犯で検挙された者及び暴力団構成員等(暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者をいう。以下この項において同じ。)の各人員を違反態様別に見たものである。同年の営利犯で検挙された者の比率は5.8%であり、暴力団構成員等の比率は42.2%であった。
  • 大麻取締法、麻薬取締法及びあへん法の各違反(それぞれ、大麻、麻薬・向精神薬及びあへんに係る麻薬特例法違反を含む。以下この項において同じ。)の検挙人員(特別司法警察員が検挙した者を含む。)の推移(昭和50年以降)は、4-2-1-4図のとおりである。大麻取締法違反は、52年から平成30年までの間は、1,000人台から3,000人台で増減を繰り返していた。9年には1,175人まで減少するなどしたが、6年(2,103人)と21年(3,087人)をピークとする波が見られた後、26年から7年連続で増加している。29年からは、昭和46年以降における最多を記録し続けており、令和2年は5,260人(前年比15.1%増)であった。平成23年以降、20歳代及び30歳代で全検挙人員の約7~8割を占める状況が続いているが、30歳代が近年横ばい状態で推移しているのに対し、20歳代は26年から増加し続けており、令和2年は、前年から30.3%増加し、2,540人であった。一方、20歳未満の検挙人員も平成26年から増加し続けており、令和2年は887人(前年比45.6%増)であった。なお、令和2年の大麻取締法違反の検挙人員(就学者に限る。)を就学状況別に見ると、中学生が8人(前年比2人増)、高校生が159人(同50人増)、大学生が219人(同87人増)(20歳以上の者を含む。)であった
  • 覚醒剤の押収量は、平成28年から30年までの間、1,100kg台から1,500kg台で推移した後、令和元年に平成元年以降最多の2,649.7kgを記録したが、令和2年(824.4kg)は前年の3分の1以下に急減した。。覚醒剤の「航空機旅客(航空機乗組員を含む。以下この項において同じ。)による密輸入」は、平成28年から30年までの間、50件台から90件台で推移した後、令和元年に229件に増加したが、2年(23件)は前年の約10分の1に急減した。覚醒剤の「国際郵便物を利用した密輸入」及び「航空貨物(別送品を含む。)を利用した密輸入」も、元年に顕著に増加したが、2年はいずれも急減した。大麻の「航空機旅客による密輸入」も、平成28年から令和元年までの間、40件台から60件台で推移していたが、2年(21件)は前年の約3分の1に急減した。令和2年における覚醒剤の密輸入事犯の摘発件数を仕出地別に見ると、地域別では、アジア(29件)が半数近くを占めて最も多く、次いで、北米(12件)、ヨーロッパ(10件)の順であり、国・地域別では、米国及びメキシコ(9件)が最も多く、次いで、ベトナム(8件)、タイ(7件)の順であった
  • 令和2年における組織的犯罪処罰法違反の検察庁新規受理人員のうち、暴力団関係者(集団的に又は常習的に暴力的不法行為を行うおそれがある組織の構成員及びこれに準ずる者をいう。)は52人(8.9%)であった。なお、組織的犯罪処罰法の改正(平成29年法律第67号。平成29年7月施行)により、テロ等準備罪が新設されたが、同罪の新設から令和2年まで、同罪の受理人員はない。
  • 暴力団対策法により、令和2年末現在、24団体が指定暴力団として指定されており、六代目山口組、神戸山口組、絆會(任侠山口組)、住吉会及び稲川会に所属する暴力団構成員は、同年末現在、約9,900人(前年末比約800人減)であり、全暴力団構成員の約4分の3を占めている)。令和2年に暴力団対策法に基づき発出された中止命令は1,134件(前年比22件増)、再発防止命令は52件(同20件増)であった。また、平成24年の暴力団対策法の改正(平成24年法律第53号)により導入された特定抗争指定暴力団等の指定や特定危険指定暴力団等の指定を含む市民生活に対する危険を防止するための規定に基づき、令和3年6月30日現在、2団体が特定抗争指定暴力団等に指定され、1団体が特定危険指定暴力団等として指定されている。
  • 令和2年の入所受刑者中の暴力団関係者について、その地位別内訳を見ると、幹部260人、組員431人、地位不明の者84人であった。
  • 令和2年における入所受刑者のうち、暴力団関係者の年齢層別構成比を見ると、40歳代が34.6%と最も高く、次いで、50歳代(27.0%)、30歳代(19.4%)、20歳代(8.0%)、60歳代(7.9%)の順であった。
  • 不正アクセス行為の認知件数については、増減を繰り返しながら推移し、令和2年は2,806件(前年比154件(5.2%)減)であった。
  • 令和2年の不正アクセス行為の認知件数について、被害を受けた特定電子計算機(ネットワークに接続されたコンピュータをいう。)のアクセス管理者(特定電子計算機を誰に利用させるかを決定する者をいう。)別の内訳を見ると、被害は、「一般企業」が圧倒的に多く(2,703件)、「行政機関等」は84件、「大学、研究機関等」は11件、「プロバイダ」は5件であった。また、不正アクセス行為後の行為の内訳を見ると、「インターネットバンキングでの不正送金等」が最も多く(1,847件、65.8%)、次いで、「メールの盗み見等の情報の不正入手」(234件、8.3%)、「インターネットショッピングでの不正購入」(172件、6.1%)、「オンラインゲーム・コミュニティサイトの不正操作」(81件、2.9%)の順であった。「インターネットバンキングでの不正送金等」は前年と比較して39件(前年比2.2%)増加した。
  • コンピュータ・電磁的記録対象犯罪(電磁的記録不正作出・毀棄等、電子計算機損壊等業務妨害、電子計算機使用詐欺及び不正指令電磁的記録作成等)、支払用カード電磁的記録に関する罪(刑法第2編第18章の2に規定する罪)及び不正アクセス禁止法違反の検挙件数は、近年、増減を繰り返しており、令和2年は609件。
  • 高齢者の検挙人員は、平成20年にピーク(4万8,805人)を迎え、その後高止まりの状況にあったが、28年から減少し続け
  • ており、令和2年は4万1,696人(前年比1.8%減)であった。このうち、70歳以上の者は、平成23年以降高齢者の検挙人員の65%以上を占めるようになり、令和2年には74.8%に相当する3万1,182人(同1.4%増)となった。高齢者率は、他の年齢層の多くが減少傾向にあることからほぼ一貫して上昇し、平成28年以降20%を上回り、令和2年は22.8%(同0.8pt上昇)であった。女性高齢者の検挙人員は、平成24年にピーク(1万6,503人)を迎え、その後高止まり状況にあったが、28年から減少し続けており、令和2年は1万3,291人(前年比2.2%減)であった。このうち、70歳以上の女性は、平成23年以降女性高齢者の検挙人員の7割を超えるようになり、令和2年は81.5%に相当する1万831人(同0.2%減)となった。女性の高齢者率は、平成29年に34.3%に達し、その翌年から低下していたが、令和2年は34.1%(同0.5pt上昇)であった。
  • 全年齢層と比べて、高齢者では窃盗の構成比が高いが、特に、女性では、約9割が窃盗であり、そのうち万引きによるものの構成比が約8割と顕著に高い。
  • 外国人新規入国者数は、平成25年以降急増し続け、令和元年には約2,840万人に達したが、2年2月以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、入管法に基づき入国拒否を行う対象地域の指定を始めとした水際対策が開始されたことにより、同年は、358万1,443人(前年比2,482万1,066人(87.4%)減)と大幅に減少した。国籍・地域別に見ると、中国(台湾及び香港等を除く。)が83万6,088人(同88.7%減)と最も多く、次いで、台湾64万7,424人(同85.7%減)、韓国43万2,707人(同91.9%減)の順となっている。在留資格別では、観光等を目的とする短期滞在が93.8%と最も高く、次いで、技能実習(2.3%)、留学(1.4%)の順であった。
  • 在留外国人の年末人員(中長期在留者と特別永住者の合計数)は、27年以降過去最多を更新し続けていたが、令和2年は288万7,116人(前年比1.6%減)となり、8年ぶりに減少した。2年における在留外国人の人員を国籍・地域別に見ると、中国(台湾を除く。77万8,112人)が最も多く、次いで、ベトナム(44万8,053人)、韓国(42万6,908人)の順であった
  • 再犯者の人員は、平成8年(8万1,776人)を境に増加し続けていたが、18年(14万9,164人)をピークとして、その後は漸減状態にあり、令和2年は平成18年と比べて39.9%減であった。他方、初犯者の人員は、12年(20万5,645人)を境に増加し続けていたが、16年(25万30人)をピークとして、その後は減少し続けており、令和2年は平成16年と比べて62.8%減であった。再犯者の人員が減少に転じた後も、それを上回るペースで初犯者の人員が減少し続けたこともあり、再犯者率は9年以降上昇し続け、令和元年にわずかに低下したものの、2年は49.1%(前年比0.3pt上昇)であった
  • 有前科者の人員は、平成18年(7万7,832人)をピークに減少し続けているが(令和2年は前年比5.2%減)、刑法犯の成人検挙人員総数が減少し続けていることもあり、有前科者率は、平成9年以降27~29%台でほぼ一定している。令和2年の有前科者を見ると、前科数別では、有前科者人員のうち、前科1犯の者の構成比が最も高いが、前科5犯以上の者も22.0%を占め、また、有前科者のうち同一罪名の前科を有する者は52.2%であった。なお、暴力団構成員等(暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者をいう。)について、令和2年における刑法犯の成人検挙人員の有前科者率を見ると、72.5%と相当高い
  • 覚醒剤取締法違反(覚醒剤に係る麻薬特例法違反を含む。)の成人検挙人員(警察が検挙した者に限る。以下この項において同じ。)のうち、同一罪名再犯者率は、近年上昇傾向にあり、令和2年は前年比で3.2pt上昇した70.1%であった
  • 大麻取締法違反(大麻に係る麻薬特例法違反を含む。)の成人検挙人員のうち、同一罪名再犯者率は、平成16年(10.0%)を底として、翌年から上昇傾向に転じ、27年以降はおおむね横ばい状態で推移しており、令和2年は前年比で0.8pt低下した23.7%であった
  • いずれの出所年の出所受刑者においても、満期釈放者等(満期釈放等により刑事施設を出所した者をいう。以下この節において同じ。)は、仮釈放者よりも再入率が相当高い。また、28年の出所受刑者について見ると、総数の2年以内再入率は17.3%、5年以内再入率は36.7%と、4割近くの者が5年以内に再入所し、そのうち約半数の者が2年以内に再入所している。23年の出所受刑者について見ると、10年以内再入率は、満期釈放者では55.4%、仮釈放者では35.6%であるが、そのうち5年以内に再入所した者が、10年以内に再入所した者のそれぞれ約9割、約8割を占めている
  • 再入者のうち、前刑出所日から2年未満で再犯に至った者が5割以上を占めている。出所から1年未満で再犯に至った者は34.9%であり、3月未満というごく短期間で再犯に至った者も9.8%いる。また、再入者のうち、前回の刑において一部執行猶予者で仮釈放となった者は226人、実刑部分の刑期終了により出所した者は66人であり、そのうち出所から1年未満で再犯に至った者は、それぞれ121人、42人であった
  • 詐欺の検挙人員総数は、平成21年(1万2,542人)をピークに翌年から減少傾向にあり、令和2年は8,326人(前年比5.8%減)であった。女性の検挙人員は、平成18年から21年まで2,000人台で推移した後、減少傾向にあり、令和2年は1,477人(同2.6%増)であった。女性比は、平成13年(13.2%)から19年(18.1%)まで上昇し続け、その後は、14%台から17%台の間で推移しており、令和2年は17.7%(同1.5pt上昇)であった。2年の詐欺の女性比は、刑法犯検挙人員総数の女性比(21.3%。)よりも低い。令和2年における刑法犯の検挙人員に占める詐欺の検挙人員の割合は、総数では4.6%であり、女性では3.8%であった
  • 詐欺の検挙人員のうち少年の構成比は、平成16年(10.0%(前年比3.3pt上昇))に大きく上昇した後、20年から29年までは7%台から8%台の間で推移していたが、30年に11%台に上昇したのを経て、令和2年は8.2%(同1.6pt低下)であった。詐欺の検挙人員のうち20歳代の者の構成比は、上昇傾向を示しており、2年における少年及び20歳代の者の検挙人員の合計は、詐欺検挙人員の37.1%(平成13年比12.0pt上昇)を占める。40歳代の者の構成比は、21年以降、17%台から19%台の間で推移し、50~64歳の者の構成比は、14年(28.0%)を最高に低下傾向にある一方、65歳以上の高齢者の構成比は、上昇傾向にある。令和2年の詐欺の検挙人員に占める高齢者の比率は8.9%(前年比0.1pt上昇)であったが、令和2年の刑法犯検挙人員総数に占める高齢者の比率(22.8%。)よりも顕著に低い。なお、同年における高齢者の詐欺の検挙人員(745人)のうち70歳以上の者は、430人であった
  • 少年による詐欺の検挙人員(触法少年による補導人員を含む。)総数では、平成16年(1,106人)に大きく増加し、18年に1,224人に達し,翌年から28年(748人)まで減少傾向にあったが、30年(1,087人)に再び増加したのを経て、その後は減少している。令和2年における少年による刑法犯の検挙人員(触法少年による補導人員を含む。)総数に占める詐欺の割合は、3.1%であった。触法少年は、平成20年(52人)を最多に減少傾向にあり、令和2年は29人であった。同年における年少少年の検挙人員は、最も多かった平成20年(203人)の約3分の1である66人であり、中間少年の検挙人員は、最も多かった18年(511人)の約2分の1である240人であった。これに対し、年長少年は、16年(470人)に大きく増加して以降、30年(581人)を最多に300人台から500人台の間で推移しており、令和2年は328人(前年比25.3%減)であった。年齢層別に少年による詐欺の人口比を見ると、一貫して、触法少年が最も低く,年少少年がこれに続く。中間少年及び年長少年の人口比は、平成16年以降、触法少年及び年少少年の人口比よりも顕著に高い。26年以降は、一貫して、年長少年の人口比が中間少年の人口比を上回っている。
  • 暴力団構成員等による詐欺の検挙人員は、平成26年(2,337人)を最多に、翌年から減少し続けている。暴力団構成員等の比率は、26年(22.3%)を最高に、翌年から低下し続け、令和2年は15.0%であるが、同年の刑法犯の検挙人員総数に占める暴力団構成員等の比率(4.1%。)よりも顕著に高い。同年の暴力団構成員等による詐欺の検挙人員を地位別に見ると、首領及び幹部の合計は12.2%、組員は18.2%、準構成員は69.7%であった
  • 共犯率は、刑法犯検挙事件総数では13.4%であるところ、詐欺については、総数(38.7%)、成人のみによる事件(成人の単独犯又は成人のみの共犯による事件。37.0%)及び少年のみによる事件(少年の単独犯又は少年のみの共犯による事件。52.2%)のいずれも刑法犯検挙事件総数の共犯率を大きく上回った。また、共犯による事件のうち4人以上の組によるものが占める比率について、刑法犯検挙事件総数・詐欺の別に見ると、成人のみの共犯による事件では、それぞれ1.1%、6.0%、少年のみの共犯による事件では、それぞれ2.8%、6.0%、成人・少年共犯事件では、それぞれ19.5%、22.0%であり、いずれも詐欺が刑法犯検挙事件総数を上回った。また、詐欺は、刑法犯検挙事件総数と比較して、共犯による事件のうち共犯人数不明のものの構成比が高かった。
  • 例えば、持続化給付金制度は、同感染症の感染拡大に伴う営業自粛等により、特に大きな影響を受けている中小企業、個人事業者等に対し、事業の継続を支え、再起の糧となるべく、事業全般に広く使える給付金を給付することを目的とした制度であり、令和2年5月から3年2月までの間に約441万件の申請がなされ、約424万件の中小企業、個人事業者等に約5.5兆円の給付金が支給された。しかしながら、これらの申請の中には、事業を実施していないのにもかかわらず申請を行う、売上げを偽って申請する、売上減少の理由が同感染症の影響によらないのに申請に及ぶなどの不正行為に基づく申請が含まれることが判明した。その中には、自ら不正な申請を行うにとどまらず、友人や知人等に対して不正な申請を行うように勧誘するという例も見受けられた。同年8月26日現在、持続化給付金の給付要件を満たさないにもかかわらず誤って申請を行い受給したなどとして同給付金の自主返還の申出が行われた件数は、1万9,386件(返還済み件数・金額は、1万4,028件、約151億円)に及んでいる(中小企業庁長官官房の資料による。)。また、同年7月末現在の持続化給付金に係る詐欺の検挙件数・検挙人員は1,445件、1,703人であり、その立件額は合計約14億4,200万円に及んでいる
  • 特殊詐欺の各類型について集計を始めた時期が異なる点等には留意する必要があるが、各年における各類型の認知件数が特殊詐欺全体の認知件数に占める割合を見ると、オレオレ詐欺は、融資保証金詐欺が最も高い割合を占めた平成17年及び18年を除いて最も高く、19年以降、35%台から64%台の間で推移し、令和2年は47.3%であった。平成30年から集計されているキャッシュカード詐欺盗の各年の認知件数が特殊詐欺全体の認知件数に占める割合は、令和元年(22.4%)、2年(21.0%)において、オレオレ詐欺に次いで高かった。他方、平成17年に46.0%と最も高い割合を占めた融資保証金詐欺は、22年(5.3%。前年比15.1pt低下)に大きく低下して以降、低下傾向にあり、令和2年は2.2%であった。また、金融商品詐欺も、平成24年の22.8%を最高に、25年(15.6%)から低下傾向にあり、令和2年は0.4%であった。同年の検挙率を類型別に見ると、キャッシュカード詐欺盗(90.9%)、融資保証金詐欺(67.1%)、その他の特殊詐欺(66.7%)、金融商品詐欺(63.8%)、交際あっせん詐欺(63.6%)及びオレオレ詐欺(56.3%)が、特殊詐欺全体(54.8%)を上回った
  • 特殊詐欺の検挙人員は、24年に1,000人を、27年に2,000人をそれぞれ上回ると、令和元年には2,861人に達し、2年は2,621人(前年比8.4%減)であった。なお、平成26年以降の特殊詐欺4類型(オレオレ詐欺、架空料金請求詐欺、融資保証金詐欺及び還付金詐欺をいう。以下この項において同じ。)の検挙人員を見ると、30年に2,609人に達した後、減少し、令和2年は1,848人(同21.0%減)であった。特殊詐欺4類型の女性検挙人員を見ると、平成26年(48人)から令和2年(172人)まで増加傾向にあり、特殊詐欺4類型の検挙人員に占める女性検挙人員の比率も、平成26年(3.2%)以降上昇傾向にあり、令和2年は9.3%であった
  • 人口比は、人口が多い都道府県で高い傾向があり、これを高等検察庁の管轄に対応する地方別で見ると、関東地方(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、静岡県、山梨県、長野県及び新潟県)が3.1、近畿地方(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県及び和歌山県)が2.1、中国地方が1.6、中部地方(愛知県、三重県、岐阜県、福井県、石川県及び富山県)が1.2、北海道・東北地方が1.1、四国地方が0.9、九州・沖縄地方が0.8であった。もっとも、都道府県別の検挙人員及び人口比は、検挙した都道府県の管轄区域によるものであり、検挙された者や被害者が必ずしも検挙した都道府県の居住者とは限らない点に留意が必要である
  • 検挙人員における30歳未満の若年者層の構成比は、詐欺全体では30%台で推移しているのに対し、特殊詐欺4類型では62%台から73%台の間で推移しており、令和2年は72.1%であった(前年比1.2pt低下)
  • 特殊詐欺4類型の検挙人員は、いずれの年齢層も30年(年少少年40人(26年比25人増)、中間少年273人(同156人増)、年長少年468人(同274人増))まで増加傾向にあったが、令和元年から減少し、2年は、順に12人、124人、209人であった。少年による特殊詐欺の人口比も、同様の傾向であり、平成30年に年少少年(1.8)、中間少年(11.7)、年長少年(19.1)に達した後、いずれの年齢層も低下した。
  • 暴力団構成員等の検挙人員は、27年(826人)を最多に、翌年から減少傾向にある。検挙人員総数に占める暴力団構成員等の比率は、26年の35.2%を最高に、翌年から低下し続け、令和2年は15.3%(前年比2.9pt低下)であった。
  • 刑法犯の外国人検挙人員は、資料を入手し得た平成24年以降、1万人前後で推移しているのに対し、特殊詐欺については、29年までは20人台から60人台の間で推移していたが、30年に122人(前年比96.8%増)と急増した後も増加し続け、令和2年は136人(同0.7%増)と最多を更新した。2年の外国人検挙人員を国籍別に見ると、中国(97人、71.3%)が最も多く、次いで、韓国(10人、7.4%)、ベトナム(7人、5.1%)、タイ及びブラジル(それぞれ6人、4.4%)の順であった(警察庁刑事局の資料による。)。外国人の比率は、上昇傾向にあり、同年は5.2%(同0.5pt上昇。平成24年の3.2倍)と最高を記録した
  • 犯人グループが被害者に対して現金の送付を指示する手口が増加したことから、警察と宅配事業者が連携し、過去に犯行に使用された被害金送付先のリストを活用して、不審な宅配便の発見や警察への通報等の取組を促進している。また、郵便・宅配事業者やコンビニエンスストアは、荷受時に、運送約款に基づく取扱いができない現金が宅配便に在中していないかどうかの声掛け等による注意喚起を行っている。コンビニエンスストアでは、電子マネー型の手口による特殊詐欺への対策として、電子マネー購入希望者への声掛けも行っている。
  • 警察は、110番通報のほか、警察相談専用電話(全国統一番号「#(シャープ)9110」)、専用メールアドレス等の様々な窓口を通じ、特殊詐欺に関する情報を受け付けているほか、平成27年からは、匿名通報ダイヤルで特殊詐欺に関する情報を受け付け、国民から寄せられた情報を活用し、携帯電話の契約者確認の求めや、振込先指定口座の凍結依頼等につなげている。また、金融機関を経由した手口への対策を講じたこともあり、21年頃から、受け子が現金やキャッシュカードを受け取りに来る手口が目立つようになったことから、警察では、被害者の協力を得て、いわゆる「だまされた振り作戦」(特殊詐欺の電話等を受け、特殊詐欺であると見破った場合に、だまされた振りをしつつ、犯人に現金等を手渡しする約束をした上で警察へ通報してもらい、自宅等の約束した場所に現れた犯人を検挙する、国民の積極的かつ自発的な協力に基づく検挙手法)を実施して特殊詐欺犯人の検挙を行っている。
  • 共犯者数が不特定多数である者は、平成13年から15年までいなかったが、23年以降その構成比が上昇傾向にあり、令和元年には71.4%に達したものの、2年は55.4%であった。
  • 再犯者の人員は、平成21年(6,997人)
  • まで増加傾向にあり、その後はおおむね6,000人前後で推移していたところ、令和元年に大きく減少し、2年は4,837人(前年比6.3%減)であった。他方、初犯者の人員は、平成13年から増加し続けていたが、19年(5,991人)をピークに、翌年から減少傾向に転じ、令和2年(3,489人)は平成19年と比べて41.8%減であった。再犯者率は、同年まで低下傾向にあり、その後、初犯者の人員が減少傾向にあった一方、再犯者の人員がおおむね横ばい状態にあったため、上昇傾向を示したが、令和元年に低下に転じ、2年は58.1%(同0.3pt低下)であった。また、詐欺の再犯者率を刑法犯検挙人員総数の再犯者率と比較すると、平成13年には詐欺の方が22.9pt高く、その後も詐欺の方が一貫して高いが、両者の差は縮小傾向にあり、その差は令和2年には9.0ptとなっている。
  • 認知件数については、平成23年以降は、女性が男性を上回っており、13年には、女性が男性の約2分の1であったが、令和2年は、女性が男性の約1.3倍であった。被害発生率については、男性は、平成17年に68.9に達したが、その後大きく低下し、近年はおおむね20前後で推移している。女性は、23年以降、男性を上回って推移しており、近年はおおむね20台で推移している
  • 認知件数に占める主たる被害者の年齢が65歳以上の者に係るものの構成比は、総数・女性共に、令和2年(47.0%、58.3%)、平成23年(36.8%、48.9%)、13年(17.6%、25.2%)の順に高くなっている(なお、特殊詐欺の認知件数が増加した時期が平成15年頃以降であることに留意する必要がある。)。令和2年の主たる被害者の年齢が65歳以上の者に係る件数は、総数では1万389件、女性では7,238件であるが、そのうち70歳以上の者に係る件数は、それぞれ8,986件、6,598件であった
  • 被害額は、平成20年に700億円台に達した後、400億円台に減少したが、24年に800億円台に至り、26年には約846億円に達した。その後は、減少傾向にあったが、令和2年は約640億円(同36.3%増)であった。現金被害額は、平成26年に約810億円に達した後は減少し続けていたが、令和2年は約592億円(同39.1%増)であった
  • 特殊詐欺総数では、男性が26.4%、女性が73.6%を占めた。融資保証金詐欺(男性70.1%)は、男性の構成比が女性の構成比を上回った。また、交際あっせん詐欺(同90.9%)及びギャンブル詐欺(同70.4%)も、同様であった(CD-ROM参照)。他方、預貯金詐欺(女性83.8%)、オレオレ詐欺(同80.1%)及びキャッシュカード詐欺盗(同79.2%)は、女性の構成比が男性の構成比を上回り、いずれも被害者の約8割が女性であった。
  • 特殊詐欺総数では、65歳以上の者が85.7%を占めた。65歳以上の者の構成比が高い類型は、預貯金詐欺(98.4%)、キャッシュカード詐欺盗(96.7%)及びオレオレ詐欺(94.0%)であり、特に、預貯金詐欺は、80歳以上の者の構成比が68.8%に達していた。一方、40~64歳の者の構成比が高い類型は、交際あっせん詐欺(68.2%)、ギャンブル詐欺(46.9%)、融資保証金詐欺(44.3%)及び架空料金請求詐欺(41.2%)であり、その中でも、交際あっせん詐欺は、40~64歳の男性の構成比が63.6%であった。
  • 被害総額は、同年(約284億円)から20年まで250億円以上で推移し、21年(約96億円)に大きく減少した。実質的な被害総額は、26年(約566億円)まで増加し続けたが、その翌年から減少し続け、令和2年は約285億円(前年比9.7%減)であった。被害総額と実質的な被害総額の差は、平成27年から令和元年までは広がり続けたが、2年は約106億円(同11.4%減)であった。各年の被害総額(平成22年以降は、実質的な被害総額)を特殊詐欺の認知件数で割った金額の推移を見ると、16年(約111万円)から増加傾向にあり、23年に200万円を、24年に400万円を超え、26年(約422万円)に最高額に達した後、その翌年から減少傾向にあったが、令和2年は約211万円(同12.3%増)であった
  • 特殊詐欺の犯行グループは、「主犯・指示役」を中心として、電話を繰り返しかけて被害者をだます「架け子」、自宅等に現金等を受け取りに行く「受け子」、被害者からだまし取るなどしたキャッシュカード等を用いてATMから現金を引き出す「出し子」、犯行に悪用されることを承知しながら、犯行拠点をあっせんしたり、架空・他人名義の携帯電話や預貯金口座等を調達する「犯行準備役」等が役割を分担し、組織的に犯行を敢行している。確定記録調査対象者(196人)を役割類型別に見ると、被害金を直接受け取る「受け子・出し子」が46.4%を占めた。被害金を直接受け取らない者については、物資の調達等により犯行を補助する立場である「犯行準備役」が15.8%、犯行を主導する立場のうち犯行を指示する立場にある「主犯・指示役」が9.7%、「架け子」が28.1%であった。
  • 検挙時の暴力団加入状況を見ると、総数では非加入の者の構成比(80.0%)が最も高く、次いで、準構成員・周辺者(11.0%)、構成員(5.2%)、元構成員等(3.9%)の順であった。役割類型別に構成員の構成比を見ると、「主犯・指示役」(23.5%)は、「犯行準備役」(7.7%)及び「架け子」(5.3%)よりも高く、「受け子・出し子」には、構成員がいなかった。また、役割類型別に構成員、準構成員・周辺者及び元構成員等の合計人員の構成比を見ると、「主犯・指示役」(47.1%)及び「犯行準備役」(46.2%)は、いずれも半数近くを占め、「受け子・出し子」(11.4%)及び「架け子」(7.9%)よりも顕著に高かった。
  • 報酬額100万円以上の者の構成比は、「主犯・指示役」では42.9%、「架け子」では34.7%であり、「受け子・出し子」では2.4%にとどまった。他方、約束のみ(報酬を受け取る約束をしていたものの、実際には受け取っていないことをいう。)の者の構成比は、「受け子・出し子」では56.1%、「犯行準備役」では41.7%であった
  • 特殊詐欺に及んだ動機・理由としては、総数及びいずれの役割類型についても、「金ほしさ」及び「友人等からの勧誘」の割合が突出して高かった。総数及び「受け子・出し子」は、「金ほしさ」の割合が最も高く(総数では66.1%、「受け子・出し子」では78.4%)、「架け子」は、「友人等からの勧誘」の割合が最も高く(67.3%)、「主犯・指示役」及び「犯行準備役」は、「金ほしさ」及び「友人等からの勧誘」の割合が同率で最も高かった(「主犯・指示役」では53.3%、「犯行準備役」では57.1%)。また、「友人等からの勧誘」は、「受け子・出し子」では23.9%であり、総数及び他の役割類型よりも低かった。「金ほしさ」及び「友人等からの勧誘」を除くと、「主犯・指示役」では「所属組織の方針」の割合(13.3%)が他の役割類型よりも高く、「受け子・出し子」では「軽く考えていた」(10.2%)、「だまされた・脅された」(8.0%)、「生活困窮」の割合(6.8%)が他の役割類型よりも高かった。
  • 被害者が単身居住であった事件の構成比は、30.8%(91件)であった。被害者に同居人がある事件について、被害者の同居相手を見ると、配偶者及びその他の親族の構成比(配偶者以外の親族のみと同居している場合も含む。)が最も高く(41.7%、123件)、次いで、配偶者のみ(26.8%、79件)、親族以外の者(0.7%、2件)の順であった。被害者の年齢層別に見ると、被害者が単身居住であった事件の構成比は、70歳以上が最も高く(34.3%)、次いで、65~69歳(33.3%)、40歳代(16.7%)の順であった。65~69歳及び70歳以上については、被害者が単身居住であった事件及び同居相手が配偶者のみの事件の合計が、それぞれ全体の66.7%、59.7%を占めた
  • 再犯調査対象者の再犯の罪名(重複計上による。)は、窃盗(32.1%)の割合が最も高く、次いで、詐欺(27.4%)、傷害・暴行、住居侵入(いずれも7.1%)、薬物犯罪(6.0%)の順であった。殺人、強盗及び性犯罪は、いずれも該当者がいなかった。さらに、再犯の罪名が詐欺であった者(23人)について、犯行の手口別構成比を見ると、無銭飲食等(34.8%、8人)の構成比が最も高く、次いで、特殊詐欺(21.7%、5人)であった。再犯の事件数を見ると、1件の者の構成比が最も高く(65.2%、15人)、2件以上の者は全て同じ手口を反復したものであった。また、調査対象事件と同じ手口であった者の人員は、13人(56.5%)であり、このうち、7人が無銭飲食等であり、3人が特殊詐欺であった。
  • 特に、「受け子・出し子」に続いて多かった「架け子」については、「受け子・出し子」よりも、実際に報酬を得た者の構成比が高い上、高額の報酬を得ている者の構成比も高い。しかしながら、「架け子」の8割強が全部実刑となり、その刑期も「受け子・出し子」よりも総じて長いものであることを考えれば、「割に合う」ものではないという点では同じである。「架け子」については、経済的な動機・理由や背景事情に加え、「不良交友」を背景事情とする者、「友人等からの勧誘」を動機・理由とする者の割合が高かった。「架け子」も約6割が30歳未満の若年者であり、3割強が保護処分歴を有していることを考えれば、不良交友関係を有する者に対しては、保護処分の段階で、その解消に向けた指導や、勤労意欲や能力を高めるための就労支援等を行い、あるいは、円滑に就職できるような職業訓練を実施するといった方策が、特殊詐欺を実行する犯罪組織への参加を予防することにもつながるものと思われる。
  • だましの電話を受けた被害者が金品をだまし取られるに至らないようにするためには、同居していない家族・親族とのコミュニケーションを深めておくなど、相談しやすい環境が確保されるのが望ましい。もっとも、家族構成等からそれが困難な被害者も多くいると思われるため、そのような場合でも被害を食い止められるように、金融機関、コンビニエンスストア等の幅広い事業者の取組も重要である。今回の特別調査(確定記録調査)でも、特殊詐欺事件(未遂事件)の12.0%では、最初に詐欺に気付いたのは金融機関職員であり、実際に、金融機関等が詐欺被害防止に貢献している実態がうかがわれた。加えて、今回の特別調査(確定記録調査)では、犯人グループから被害者への最初の連絡方法は、9割弱が固定電話であった。固定電話を介した特殊詐欺を予防するためには、電話機の呼出音が鳴る前に犯人に対し犯罪被害防止のために通話内容が自動で録音される旨の警告アナウンスを流し、犯人からの電話を自動で録音する機器が有効であり、実際に、一部の地方公共団体がその普及促進に貢献していることは、注目に値する
  • 被害者に弁償を行い、宥恕を得ようと努力する態度を示すことは、社会にも受け入れられ、周囲の者から社会復帰のための協力を得られやすくするものと考えられる。矯正や更生保護の処遇において、被害者への具体的・現実的な弁償計画を立て、弁償の着実な実行に向けた努力を行うよう適切な指導監督や援護を行うことは、再犯防止の点でも効果があると考えられる。また、特殊詐欺事犯者の背景事情に「不良交友」がある者が相当の割合含まれていることを考えると、不良な交友関係からの離脱について指導していくことが有効であると思われる。令和3年1月から、更生保護において、「特殊詐欺類型」の保護観察対象者に対し、最新の知見に基づき、効果的な処遇が行われているところ、特殊詐欺グループとの関係に焦点を当て、同グループへの関与や離脱意思の程度に応じた指導・支援等を行っていることは注目に値する

【消費者庁】

【2021年12月】

消費者庁 第3回取引デジタルプラットフォーム官民協議会準備会
▼資料2-3 「販売業者等」に係るガイドラインの考え方(案)
  1. 基本的な考え方
    • 本法における「販売業者等」は、原則として、(1)営利の意思、(2)取引の反復継続性について、個別具体的な事情を総合的に考慮して判断すべきではないか。
    • 判断の際の基準として、以下の理由から、画一的・定量的なものを定めるのは困難なのではないか。
    • 取引デジタルプラットフォーム及び当該プラットフォーム上で取引を行う「販売業者等」について、事業規模や業態、さらには取り扱う商品・サービスも千差万別であること
    • このため、現時点で、売上や個数に関する画一的・定量的な基準を設けるのは困難であること
    • 潜脱防止の観点等からも画一的・定量的な基準を示すのは適切ではないこと
    • 「営利の意思」、「取引の反復継続性」を判断するための考慮要素及び具体例を示すことで、予測可能性の一定の向上が見込めるのではないか。
  2. 考慮要素及び具体例について
    • 「商品・役務そのものに着目した考慮要素」と「販売・役務提供の方法や付随事項に着目した考慮要素」に分けて考えてはどうか。
    • 商品・役務そのものに着目した考慮要素について
    • 例えば、情報商材のように「販売業者等」による販売・提供が前提と考えられる商品・役務については、「販売業者等」への該当性を推認させるのではないか。
    • いわゆる「新品」の商品を相当数販売している場合には、「販売業者等」への該当性を推認させるのではないか。他方で、私的に使用し不要となったものを販売している場合や、中元、歳暮、引出物等で自己が受け取った贈答品が不要であるために販売している場合等は配慮が必要ではないか。
    • 相当数のブランド品、健康食品、チケット等といった特定の商品等のカテゴリーの販売又は役務提供している場合には、「販売業者等」への該当性を推認させるのではないか。
    • 販売・役務提供の方法や付随事項に着目した考慮要素について
    • メーカー、型番等が全く同一の商品を複数出品している場合には、「販売業者等」への該当性を推認させるのではないか。
    • 資格や登録、免許、許可等を前提とした商品販売・役務提供をしている場合には、「販売業者等」への該当性を推認させるのではないか。
    • 評価やレビュー等のいわゆる「口コミ」が一定期間内に継続的に相当数ある場合には、「販売業者等」への該当性を推認させるのではないか。他方で、単純に長期間にわたって取引デジタルプラットフォームを利用している場合には配慮が必要ではないか。
    • 引越しや遺品整理等を理由として一時的に大量の商品が出品された場合等は配慮が必要ではないか。
    • 安全性が求められる商品について本法第4条の利用の停止等に係る要請によって消費生活の安全を確保する必要があるような場合には、営利の意思が必ずしも明らかでないような場合であっても「販売業者等」に該当すると判断される場合があるのではないか。
    • そのほかに考慮すべき要素や規定すべき具体例はあるか。
  3. 判断の基準時について
    • 本法第5条の販売業者等情報の開示請求における「販売業者等」の判断基準時は、原則として取引デジタルプラットフォームを利用した取引時とするのが妥当ではないか。
  4. その他の留意点
    • 「販売業者等」の判断時には、以下の点にも留意すべきではないか。
      • 他法令における事業者等は、本法においても原則「販売業者等」に該当すると考えるべきではないか。
      • 取引デジタルプラットフォーム以外の場で販売を業として営む者は、取引デジタルプラットフォームにおいても原則「販売業者等」に該当するのではないか。
      • 複数の取引デジタルプラットフォームにおいて取引を行っている者については、他の取引デジタルプラットフォームにおける事情も、把握できる限りで考慮してはどうか

消費者庁 株式会社Needs及び有限会社ガレージゼストに対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 措置命令の概要
    1. 対象商品
      • Needs
        • 別表「車両情報」欄記載の車種及び車台番号の45台の中古自動車(以下「本件45商品」という。)
      • ガレージゼスト
        • 別表「車両情報」欄記載の車種及び車台番号の37台の中古自動車(以下「本件37商品」という。)
    2. 対象表示
      • 表示の概要
        • 表示媒体
          • Needs
            • 「グーネット中古車」と称する全国の中古自動車情報を掲載しているウェブサイト(以下「本件ウェブサイト(1)」という。)
          • ガレージゼスト
            • 「カーセンサー」及び「グーネット中古車」と称する全国の中古自動車情報を掲載しているウェブサイト(以下「本件ウェブサイト(2)」という。)
        • 表示期間
          1. Needs
            • 別表1「掲載期間」欄記載の期間
          2. ガレージゼスト
            • 別表2「掲載期間」欄記載の期間
      • 表示内容
        1. Needs
          • 別表1「掲載期間」欄記載の期間に、本件ウェブサイト(1)のうち、本件45商品のうち同表「番号」欄記載の番号26の中古自動車(以下「本件番号26の商品」という。)を除く44商品(以下「本件44商品」という。)に係る情報を掲載する各ウェブページにおいて、「修復歴 なし」と表示することにより、あたかも、本件44商品は、車体の骨格部分に損傷が生じたことのない中古自動車であるかのように示す表示をしていた。
          • 別表1「掲載期間」欄記載の期間に、本件ウェブサイト(1)のうち、本件45商品のうち本件番号26の商品及び同表「番号」欄記載の番号22の中古自動車(以下これらを併せて「本件2商品」という。)に係る情報を掲載する各ウェブページにおいて、同表「表示された走行距離数」欄記載の走行距離数を表示することにより、あたかも、本件2商品の走行距離が同表「表示された走行距離数」欄記載の数値のとおりであるかのように示す表示をしていた。
        2. ガレージゼスト
          • 別表2「掲載期間」欄記載の期間に、本件ウェブサイト(2)のうち本件37商品に係る情報を掲載する各ウェブページにおいて、「修復歴 なし」と表示することにより、あたかも、本件37商品は、車体の骨格部分に損傷が生じたことのない中古自動車であるかのように示す表示をしていた。
    3. 実際
      1. Needs
        • 本件44商品は、車体の骨格部分に損傷が生じたことのある中古自動車であった。
        • 本件2商品の走行距離は、別表「実際の走行距離数」欄記載の数値のとおりであり、同表「表示された走行距離数」欄記載の数値は、本件2商品の実際の走行距離数よりも過少であった。
      2. ガレージゼスト
        • 本件37商品は、車体の骨格部分に損傷が生じたことのある中古自動車であった。
    4. 命令の概要
      • 前記の表示は、それぞれ、対象商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
      • 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
      • 今後、同様の表示を行わないこと。

消費者庁 除雪機による死亡・重傷事故を防ごう!-正しく、安全に使用してください-
  • 令和2~3年にかけての冬期は、豪雪や大寒波の影響などで、除雪機による死亡・重傷事故が直近の10年間で最も多く通知されました(令和2年度の死亡事故件数は7件、重傷事故件数は5件)。
  • 令和3~4年にかけての冬期も、新型コロナウイルス感染症の影響で除雪作業の担い手が不足し、比較的高齢の方や作業に慣れない方が作業をする地域も多くあると見込まれます。
  • 除雪機は、取扱上の注意を守り、安全機能の無効化は絶対にやめましょう。使用に当たっては、周囲の環境に注意し、家族や近隣で声かけをしましょう。
  • 使用時に気を付けるポイント
    • 走行する際は、転倒したり、挟まれたりしないよう、周囲の壁や障害物に十分注意する。
    • デッドマンクラッチ機構などの安全機能を正しく使用する。
    • 雪詰まりを取り除く際は、必ずエンジンを切り、エンジンや回転部の停止を確認してから行う。また、直接手で行わず、雪かき棒を使用する。
  • 物置で除雪機を使用中に一酸化炭素中毒で死亡する事故が発生しています。作動中の除雪機の排気には一酸化炭素が多く含まれているため、屋内で作動させることは大変危険です。
    • 除雪機は始動/停止も含め屋外で使用してください。
  • エンジンを切った状態で手で押して移動できない大型の除雪機等の場合は、窓などの開口部を開放して十分な換気が取れていることを確認してから、以下などしてください。
    • 屋内で始動し速やかに屋外に出る
    • 屋内にしまったら速やかにエンジンを切る

消費者庁 「新型コロナ関連詐欺 消費者ホットライン ~給付金やワクチンを口実にした詐欺にご注意ください!!~」の開設について
  • 独立行政法人国民生活センターでは、今般の「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」に基づく臨時特別給付金等の支給開始を踏まえ、現在の「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」を改称し、「新型コロナ関連詐欺 消費者ホットライン~給付金やワクチンを口実にした詐欺にご注意ください!!~」を開設します。12月24日(金)から、下記のとおり新型コロナウイルスに関連した詐欺的な消費者トラブルに関する相談を受け付けます。
  • これにより、消費者被害の未然防止、拡大防止を図ってまいります。
  • 電話番号:0120-797-188(なくな いやや)
  • フリーダイヤル(通話料無料)
  • 「050」から始まるIP電話からはお受けできません。
  • おかけ間違いにご注意ください。
  • 窓口開設日時:令和3年12月24日(金)
    • 令和3年12月29日から令和4年1月3日までの間、窓口を休止します。
  • 相談受付時間:10時~16時<土日祝日含む>
  • 対象:新型コロナウイルスに関連する詐欺的な消費者トラブル
  • 相談事例
    • 政府より、コロナ被害者救済基金から7億円をスピード給付するので、SNSの友達追加をするようにとメールが来たが不審だ。(令和3年11月受付)
    • 「新型コロナワクチンが接種できる。後日全額返金されるので10万円を振り込むように」との不審な電話がかかってきた。(令和3年1月受付)
  • 対象地域:全都道府県
    • 新型コロナウイルスに関連する詐欺的な消費者トラブル以外は、最寄りの消費生活センター等をご案内する消費者ホットライン(188番)におかけください(通話料有料)。

消費者庁 二酸化塩素による空間除菌を標ぼうする商品の製造販売業者2社に対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 消費者庁は、令和3年12月16日、二酸化塩素による空間除菌を標ぼうする商品の製造販売業者2社(以下「2社」といいます。)に対し、2社が供給する商品に係る表示について、それぞれ、景品表示法に違反する行為(同法第5条第1号(優良誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を行いました。
  • 表示内容
    • 大木製薬
      • 例えば、本件商品について、令和2年9月1日から令和3年10月31日までの間、商品パッケージにおいて、「空間除菌」、本件商品を首から下げている人物の画像、「二酸化塩素のパワーで ウイルス除去・除菌ウイルオフ ストラップタイプ」等と表示するなど、「対象商品」欄記載の商品について、同表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、同表「使用方法」欄記載のとおり対象商品を使用すれば、対象商品から発生する二酸化塩素の作用により、同表「場所」欄記載の場所において、身の回りの空間に浮遊するウイルスや菌が除去又は除菌される効果等の同表「効果」欄記載のとおりの効果が得られるかのように示す表示をしている又は表示をしていた。
    • CLO2 Lab
      • 例えば、本件商品について、令和2年7月1日以降、商品パッケージにおいて、「室内空間の菌・ウイルス・悪臭を除去!」等と表示するなど、「対象商品」欄記載の商品について、同表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体・表示箇所」欄記載の表示媒体・表示箇所において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、同表「使用方法」欄記載のとおり対象商品を使用すれば、対象商品から発生する二酸化塩素の作用により、同表「場所」欄記載の場所において、室内空間に浮遊する菌又はウイルスが除菌又は除去される効果等の同表「効果」欄記載のとおりの効果が得られるかのように示す表示をしている又は表示をしていた。
  • 実際
    • 前記の表示について、消費者庁は、景品表示法第7条第2項の規定に基づき、2社に対し、それぞれ、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、2社から資料が提出された。しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
    • なお、2社は、それぞれ、前記の表示について、「対象商品」欄記載の商品について、同表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄又は「表示媒体・表示箇所」欄記載の表示媒体又は表示媒体・表示箇所において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示している又は表示していたが、当該表示は、それぞれ、一般消費者が前記の表示から受ける各対象商品の効果に関する認識を打ち消すものではない。
  • 命令の概要
    1. 2社は、それぞれ、別表3-1及び別表3-2「対象商品」欄記載の商品について、同表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄又は「表示媒体・表示箇所」欄記載の表示媒体又は表示媒体・表示箇所において、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく行っている同表「表示内容」欄記載のとおり表示している行為を速やかに取りやめること。
    2. 前記の表示は、それぞれ、各対象商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
    3. 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
    4. 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記の表示と同様の表示を行わないこと。

消費者庁 デジタルプラットフォーム事業者が運営するショッピングモールサイトにおいてカシミヤが含まれるとうたう偽表示商品の販売業者に関する注意喚起
  • デジタルプラットフォーム事業者が運営するショッピングモールサイトにおいてカシミヤが含まれるとうたう偽表示商品の販売業者に関する注意喚起を行いました。
  • 詳細
    • デジタルプラットフォーム事業者が運営する大手ショッピングモールサイトにおいて、カシミヤが全く含まれていないストールについて、カシミヤが含まれているかのように広告を行い、販売する事業者がいるとの情報が消費者庁に寄せられました。
    • 消費者庁が調査したところ、この大手ショッピングモールサイトにおいて、カシミヤが全く含まれていないにもかかわらずカシミヤが含まれているとうたうストール(以下「本件商品」といいます。)を販売する事業者を確認(虚偽の広告・表示)したことから、消費者安全法第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。
    • また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します。

消費者庁 電力・ガス自由化をめぐるトラブル速報!No.18「電力・ガスの契約に関する相談が多く寄せられています」
  • 消費者庁は、国民生活センター及び経済産業省電力・ガス取引監視等委員会と連名で電力・ガス自由化をめぐるトラブル速報!No.18「電力・ガスの契約に関する相談が多く寄せられています」を公表します。
  • 詳細
    • 平成28年に電力の小売全面自由化が、平成29年にはガスの小売全面自由化が行われ、その後、電気は5年半、ガスは4年半が経過しました。
    • 国民生活センター及び各地の消費生活センター等並びに経済産業省電力・ガス取引監視等委員会には、消費者の皆様からの相談が引き続き寄せられています。
    • これを踏まえ、消費者の皆様への注意喚起・トラブルの再発防止の観点から、相談事例などを紹介するとともに、消費者の皆様へのアドバイスを提供いたします。
    • また、消費者庁においては、この分野で消費者を欺罔する勧誘については、特定商取引法に基づき厳正に処分等を行ってまいります。

消費者庁 スケートボード類での事故-転倒することを前提に安全保護具の着用と場所選びを-
  • スケートボードは東京2020オリンピックで初めて正式種目に採用され、改めて注目を集めています。また、スケートボードに似た2輪の遊具は、近年小学生を中心に遊ばれています。
  • 一方で、スケートボード類が関係する事故の情報が、医療機関から11年間で230件寄せられており、半数近い105件で骨折、92件で頭や顔に何らかのけがを負っていました。約4分の3に当たる173件が小学生の年代(6~12歳)で発生しています。
  • スケートボード類は、車輪が付いた板の上に立つため、もともと不安定であり、遊んでいて転ぶことは避けられません。その際に、手をついて腕を骨折したり、頭に衝撃が加わって脳に損傷が生じるなど、重大なけがが発生することがあります。
  • スケートボード類に限らず、遊びやスポーツには一定のけがを負うリスクがありますが、スケートボード類でどのようなけがが発生するか十分に知った上で、けがを最小限にする事前の準備が大切です。
    1. 遊ぶ前にはスケートボード類を点検・整備し、ヘルメットとプロテクターを着用して準備体操をしてから遊びましょう
    2. 禁止された場所や車・人通りの多い道路では滑走しないでください。路面の凹凸や傾斜、濡れ、障害物がない、平らで広い場所を選びましょう
    3. 保護者は、子どもと一緒に乗り方のルールなどを理解し、乗る際の装備・場所・時間等を子どもと決めましょう。特に幼い子どもが遊ぶ際はそばで見守りましょう
  • もしもの時には、
    • 重篤な症状の場合は、ためらわずに救急車を呼びましょう。
    • 軽症に見える場合でも、脳震盪が疑われるときは、遊ぶことを直ちに止めて、ひとりで過ごすことは避けてください。

消費者庁 「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律施行令(案)」等に関する意見募集について
▼取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律第3条第3項に基づき取引デジタルプラットフォーム提供者が行う措置に関して、その適切かつ有効な実施に資するために必要な指針(案)
  • 本指針は、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律(令和3年法律第32号。以下「本法」という。)第3条第3項に基づき、同条第1項及び第2項に規定する取引デジタルプラットフォーム提供者が行う措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な事項を定めたものである。
  • 本法の対象には規模や態様において様々な取引デジタルプラットフォーム提供者が含まれるところ、本法第3条第1項に基づいて講ずるよう努めなければならない措置について、取引デジタルプラットフォーム提供者は、主体的かつ継続的に創意工夫を発揮し、その事業運営の実態に応じて適切かつ有効な措置を講ずることが期待されている。このような観点から、本指針では、本法第3条第1項各号ごとに、その「趣旨・目的・基本的な取組」を記載した上で「望ましい取組の例」を示している。「望ましい取組の例」は、いわゆるベストプラクティスとして取引デジタルプラットフォーム提供者が参照することができる具体的な取組を例示するものであり、取引デジタルプラットフォーム提供者においてはこれらの取組を参照することでより容易に一定レベルの措置を講ずることができるようになると考えられる。
  • 取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売に係る取引では、販売業者等が行う通信販売に係る販売条件等の表示に疑義がある場合や、紛争の解決のために必要であるにもかかわらず、消費者が販売業者等と連絡をすることができない等の問題が発生している。取引デジタルプラットフォームは、取引デジタルプラットフォーム提供者が販売業者等に共通のシステムを提供するなど、消費者と販売業者等との間だけではなく、取引デジタルプラットフォーム提供者と販売業者等との間にも契約関係があるという、直販サイトにはない特色があることから、取引デジタルプラットフォーム提供者が、消費者と販売業者等とが円滑に連絡を取るための環境を整えることが、このような問題の発生を防止し、通信販売に係る取引の安全を確保するための取組として重要である
  • 当該措置については、取引デジタルプラットフォーム提供者が自ら連絡手段を提供する場合と利用規約等により連絡先の表示を義務付ける等して販売業者等に連絡手段を提供させる場合とが想定されるが、いずれにせよ、基本的な取組として、以下が求められる。
  • 連絡先や連絡手段が、消費者が容易に認識することができるような文字の大きさ・方法をもって、容易に認識することができるような場所に示されていること
  • 消費者が合理的な期間にわたり、社会通念に照らして相当な時間帯において、必要に応じ販売業者等と連絡が取れるようにすること
  • 望ましい取組(ベストプラクティス)の例
    • 特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「特定商取引法」という。)第11条の販売業者等の氏名・住所等の表示義務の遵守に資するため、取引デジタルプラットフォーム内に販売業者等向けの特定商取引法第11条の表示義務に関する専用ページを設ける。
    • 販売業者等が、特定商取引法第11条の規定により取引デジタルプラットフォームの「場」に連絡先を掲載しない場合は、消費者からの請求があり次第、連絡先を記載した書面を遅滞なく交付し、又は連絡先を記録した電磁的記録を遅滞なく提供する旨の表示をするよう徹底する。
    • 販売業者等に対して、連絡先に加え、対応可能日時も記載するよう義務付ける。
    • 取引デジタルプラットフォーム提供者が、自ら構築した専用のメッセージ機能を提供する。
    • 販売業者等が表示する連絡先が連絡手段として現に機能していることを確認するため、取引デジタルプラットフォーム提供者が定期的なパトロールを実施する。
    • 消費者からの情報受付窓口を設置して販売業者等への連絡の可否に関する情報を収集する。
    • 消費者からの連絡に対して、一定期間販売業者等から返信がない場合は取引デジタルプラットフォーム提供者が回答を促す。
    • 消費者から、販売業者等への連絡手段が機能しないとして取引デジタルプラットフォーム提供者に問合せがあった場合の内部的な標準処理期間を設ける。
  • 取引デジタルプラットフォームにおける販売条件等の表示の適正化は、第一義的には当該表示を行った販売業者等が担うべきものである一方、消費者は取引デジタルプラットフォーム提供者を信用して取引に入っていることから、取引デジタルプラットフォーム提供者にも商品の販売条件等の表示の適正に関し一定の役割を果たすことが期待される。もっとも、全ての販売条件等の表示の適正化を取引デジタルプラットフォーム提供者に求めることは困難であるところ、消費者が苦情の申出を行いやすい仕組みを設けるとともに、消費者から苦情の申出を受けた場合において、取引デジタルプラットフォーム提供者が、当該苦情に係る事情の調査を行うこと等を基本的な取組として、当該表示の適正を確保するために必要と認められる措置を講ずることが求められる。
  • 望ましい取組(ベストプラクティス)の例
    • 購入した商品等に関する苦情であれば注文(取引完了)確認画面又はメールに、購入前の商品等に関する苦情であれば商品ページごとに苦情申出のためのリンクを貼る等、消費者にとって分かりやすい場所、分かりやすい方法で受け付けられるようにする。
    • 申出を受け付けた旨及び当該申出への対応について申出を行った消費者に対し回答する。
    • 苦情の申出の受付を購入後に限定せず、疑義情報の通報という形式等により購入前の苦情の申出も受け付ける。
    • 特に商品の安全性や知的財産権の侵害等のリスクが高い商品等について、製造業者、ブランドオーナー、権利者等にスムーズに照会できる仕組みを整える。
    • 商品の販売等に関し監督官庁がある場合に、当該監督官庁との連絡担当者の配置やホットラインの設置等により、円滑な連絡体制を構築する。
    • 利用規約に基づき状況に応じた比例的な制裁を行う。
    • 違反の状況等の記録を蓄積し、利用規約の改定等の予防措置の改善に活用する。
    • 法令違反に該当するものに加えて、公序良俗違反やトラブルにつながりかねない出品等についても取引デジタルプラットフォーム提供者のポリシーに基づいて禁止する。
    • 販売禁止対象商品・禁止行為のリストは、可能な限り具体的なものとする(例えば、「法令に違反するもの」といったレベルではなく「○○法の規格基準に適合していないもの」「○○に関し効果・効能をうたうもの」等)。
    • 消費者が「何が販売禁止対象商品・禁止行為であるのか」を把握できるよう、専用ページ等により周知する。
    • 特に消費者の生命・身体に危険が及ぶような商品・役務について、必要に応じ、事前審査を行う、商品説明に取扱いに当たっての注意表示の記載を求め、当該記載がない商品は削除等の措置を行う等、不適正な販売条件等の表示をあらかじめ防止するための仕組みを導入する。
  • 取引デジタルプラットフォームを利用して行われる通信販売に係る取引においては、販売業者等が虚偽の氏名又は名称、住所を表示しつつ、消費者被害をもたらす事案が発生している。このような被害の発生を防止し、取引デジタルプラットフォーム上の取引の安全を確保するためには、取引デジタルプラットフォームは、消費者が販売業者等との取引に入る前に、取引デジタルプラットフォーム提供者が販売業者等の情報をあらかじめ確認しておけるという、直販サイトにはない特色があることから、取引デジタルプラットフォーム提供者が保有している販売業者等を特定する情報の真正性を担保することがこのような被害の発生を防止し、通信販売に係る取引の安全を確保するための取組として重要である。このような状況を踏まえ、本号は、取引デジタルプラットフォーム提供者が、販売業者等に対し、必要に応じて、取引デジタルプラットフォーム提供者に登録されている販売業者等を特定する情報を裏付ける資料等の提供を求めるなど、販売業者等の特定に資する情報の提供を求める措置を求めるものである。
  • 当該措置の基本的な取組としては、取引デジタルプラットフォーム提供者が、販売業者等に対し、本法第3条第1項第1号及び第2号が求める措置を実施する過程や、第5条の開示請求への対応などにおいて、販売業者等の表示について問題のおそれのある事例に接した場合に、販売業者等の特定に資する情報の提供を求めることが求められる。
  • また、上記のような場合に、必要な情報をより円滑に求めることができるよう、・アカウント登録時に、販売業者等の特定に資する情報の提供を求めること・日常的な監視活動を通じてそのような情報について疑わしい事例に接した場合に販売業者等に対し裏付けの資料を求めることなどが期待される。
  • なお、「販売業者等の特定に資する情報」とは、販売業者等の身元の特定につながり得るあらゆる形式の情報を意味する。
  • 望ましい取組(ベストプラクティス)の例
    • アカウント登録に当たり、法人であれば当該法人自らの法人番号又は登記事項証明書等、個人事業主であれば当該個人自らの住民票や事業証明書等の情報及び公的書類の提出を受ける。
    • 販売業者等の氏名又は名称が、登録された銀行口座の名義と一致しているか確認する。
    • 商品の販売等に許認可等が必要である場合には、許認可等を受けた旨の証明書の提出を受ける。
    • 取引の過程において登録情報と異なる情報に接したときは、個別に事実確認を行い、正しい情報の記載を求める
  • 本法第3条第2項は、取引デジタルプラットフォーム提供者は、取引デジタルプラットフォームを利用する消費者に対し、同条第1項の規定に基づき講じた措置の概要及び実施の状況その他の内閣府令で定める事項を開示すると規定しているところ、開示の基本的な考え方は次のとおりである。なお、各取引デジタルプラットフォーム提供者は、取引デジタルプラットフォームを取り巻く環境の変化等を勘案し、必要に応じて開示内容について検討を加え、開示内容に変更すべき点がある場合には変更を加えた上で開示を行うことが期待される。
    1. 開示の内容
      1. 消費者が販売業者等と円滑に連絡が取れるようにするための措置については、どのような連絡手段を設けているのか、連絡手段が機能しているかどのように確認しているのか、連絡手段が機能しない場合にどのように対応しているのかなどについて開示することが考えられる。
      2. 消費者から苦情の申出を受けた場合の販売条件等の表示の適正を確保するための措置については、消費者からの苦情申出の方法、不適正な表示に対する対応を行っている旨及びその概要などを開示することが考えられる。
      3. 販売業者等の特定に資する情報の提供を求める措置については、販売業者等を特定する情報の真正性を確保するために行っている取組の内容を開示することが考えられる。
    2. 開示の場所
      • 上記1の開示の場所については、消費者による合理的な取引デジタルプラットフォームの選択に資する観点から、各取引デジタルプラットフォーム上の「ご利用ガイド」や「ヘルプ」といったタイトルのページに開示することが考えられるほか、消費者がより選択しやすいとの観点からは、事業者団体のホームページなどで各取引デジタルプラットフォーム提供者の措置を比較しやすい形で表示することも考えられる。そのような場合には、消費者の合理的な選択に資するという観点から、当該取組内容が掲載されているホームページのリンク先などを自社のホームページやアプリなどで開示するなどの措置を講ずることが望ましいと考えられる。

消費者庁 年末年始等に帰省の際は、実家等で消費者トラブルが起きていないかご確認ください!
  • 年末年始に帰省の際、高齢者に多い消費者トラブルが起きていないか実家等の様子を確認しましょう。
  • スマートフォン上で閲覧しやすいリーフレットを作成しましたので、こちらを活用しながら身近な方々と消費者トラブルについて話し合い、ご家族でトラブルを防止しましょう。
▼帰省したら…実家でトラブルが起きていないか確認を
  • 架空請求
    • 身に覚えのない請求をされた場合、慌てて相手に連絡をしたりお金を支払ったりしないようにしましょう。
  • 送り付け商法
    • 注文していないのに一方的に送り付けられた商品は、直ちに処分可能。金銭の支払い義務なし!
  • 定期購入お試しのはずが…
    • インターネット通販では、お試しのつもりで申し込んだら定期購入になっていたというトラブルが増加!
  • インターネット回線
    • 料金が安くなると言われて別業者に乗り換えたけど、認識と違う契約になっていたというトラブルも。
  • 偽サイト・不審サイト
    • ほしかった商品が格安になっているサイトがあったら、それは偽サイトかもしれません
  • 不要なリフォーム、点検商法
    • 「補助金と保険金が受給できると勧誘されて屋根工事の契約をしたが虚偽だった」という相談も。

消費者庁 改正公益通報者保護法に関する民間事業者向け 説明会(オンライン)の開催について
  1. 目的
    • 令和2年6月に公布された「公益通報者保護法の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)の施行(令和4年6月1日予定)に先立ち、民間事業者の従業員、経営者等の皆様に、事業者に新たに課されることとなる内部公益通報対応体制の整備義務など、改正法の内容について御説明するため、標記の説明会を開催いたします。
    • 本説明会では、改正法、「公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づく事業者が取るべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針」(本年8月20日告示)及び「公益通報者保護法に基づく指針の解説」(本年10月13日公表)の内容について御説明するほか、事前に参加予定者から受け付けた御質問にも言及する予定です。
    • なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止等の観点から、オンラインでの開催といたします。
  2. 概要
    1. 対象:民間事業者の従業員、経営者等(特に、コンプライアンス部門の担当者)
    2. 定員:各回ともに150名(アカウント)程度
    3. 日時:第1回:令和3年12月7日(火)14:00~16:30
      • 第2回:令和3年12月9日(木)14:00~16:30
      • 第3回:令和3年12月14日(火)14:00~16:30
      • 第4回:令和3年12月16日(木)14:00~16:30
        いずれも13:30からオンライン説明会に入室可能
    4. 形式:オンライン配信
  3. 申込方法・受付期間
    1. 消費者庁ウェブサイト上の登録フォームからお申込みください。
    2. 受付期間:各会場とも、【開催日前日の16時まで】
      • 参加申込みの受付は、原則として先着順といたします。
      • 受付期間内であっても定員に達し次第、受付を終了いたします。
  4. その他
    • 参加費は無料です。
    • 参加時、参加者のマイクやカメラは自動的にオフとなります。
    • 定員以上の申込みがあった場合及びオンライン会議のURL等の案内の送付を除き、参加申込みをされた方には特に連絡はいたしません。
    • オンライン説明会に参加するためのURL等につきましては、オンライン説明会運営事務局(消費者庁が本説明会の運営支援業務を委託している事業者)から御連絡いたします。
    • 説明会開催日の3営業日前までに申込みをされた方には、オンライン説明会運営事務局から、参加される説明会の2営業日前までにオンライン説明会に参加するためのURLをお送りいたします。(2営業日前を過ぎて申込みをした方には、オンライン説明会運営事務局から、説明会開始までにURLをお送りいたします。)
    • 事業者の取組を促進・支援する方策等を検討する際の参考資料とするため、公益通報者保護制度に関する取組の現状や今後の予定等に関するアンケートを実施する予定ですので、御協力をお願いいたします。
    • 説明会の内容の撮影及び録音は御遠慮ください。
    • 説明会の内容を記録する目的で、オンライン説明会を録音・録画することがあります

消費者庁 第2回 アフィリエイト広告等に関する検討会
▼資料3 独立行政法人 国民生活センター説明資料
  1. 相談現場で問題となる広告
    1. インターネット通販での健康食品等の「定期購入」トラブルに多く見られる
      • 相談の概要:インターネット通販で、「1回目90%OFF」「初回実質0円(送料のみ)」など、通常価格より著しく低価格で購入できるという印象を持たせる電子広告を見て、販売サイトに誘導され、1回だけのつもりで商品を注文したが、商品が届いた際の書面を見たり、2回目の商品が届いたりした際にはじめて定期購入が条件だったことに気が付く
      • 【消費者を販売サイトに誘導する広告等】
        • 消費者が販売サイトに直接アクセスすることは少なく、SNS上の広告、動画投稿サイト上の動画広告等から販売サイトに誘導されるケースが多く、中にはアフィリエイト広告を経由することもある
        • 販売サイトに誘導する広告等では、商品の効果や低価格であることが強調され、定期購入が条件であること等を十分に広告していない
        • 販売サイトに誘導する広告等には、虚偽の広告・表示がみられるケースもある
    2. 消費者を販売サイトに誘導する広告等に問題がある
      • 【「定期購入」の販売条件・解約条件】
        • 消費者を販売サイトに誘導する広告等には、
        • 「定期購入の回数縛りは無い」「いつでも解約が可能」などの表示がされていても、⇒実際には、定期購入が条件になっていて、既定回数を購入しないと解約できない
        • 「たった500円だけでお試しができる」などの表示がされていても、⇒後で販売サイトを確認すると、定期購入が条件であることが小さく表示されていた、との相談が寄せられている
        • 広告に表示されていた内容と販売サイトに表示されていた内容が違う
        • 広告に詳細な販売条件等が表示されておらず、販売サイトには販売条件が小さく表示されている
        • 消費者は想定以上の金額を支払わなければならなくなる
      • 【効果に関する表示・広告】
        • 消費者を販売サイトに誘導する広告等には、例えば、ダイエットサプリメントの場合、
        • 「2週間でマイナス10キロ」などと表示されていても、⇒実際に使用してみたが、効果が感じられなかった
        • ダイエットサプリメントを飲んで痩せたという体験談が掲載されていても、⇒実際に使用してみたが、体験談のようにならなかった
        • ダイエットサプリメントを飲んで痩せた人のビフォー・アフター写真が掲載されていても、⇒実際に使用してみたが、アフター写真のようにならなかった、との相談が寄せられている
        • 広告に表示されていた内容に根拠があるか不明確
        • 体験談が当該商品を使用した個人の感想なのか不明確
        • ビフォー・アフター写真が当該商品を使用したことによるものか不明確
        • 消費者は広告を信じて注文したのに、広告内容の根拠が不明確
    3. アフィリエイト広告等の問題点を相談対応で指摘することの難しさ
      • 消費者から相談を受け付けた時点で、消費者を販売サイトに誘導した広告等を特定することが困難なケースが多い⇒事例で取り上げたケースは稀であり、動画広告を特定することはほぼ不可能
      • 販売サイトに誘導した広告を特定したとしても、誰が作成した広告で誰が責任を負うのかわからない、消費者が申し込んだ際の広告・表示と全く同じかどうかわからない⇒広告の内容について広告主(販売事業者)が責任を負わない⇒インターネット上の広告はいつどのように修正されたか把握することは不可能
      • 特定商取引法上問題がないかを確認しがちである(販売サイト(広告)、最終確認画面の表示内容を優先して確認することが多い)⇒問題のある広告の是正を促す観点から景品表示法のより一層の活用が求められる
      • 景品表示法に関する問題点があるかもしれないが、虚偽・誇大な広告(有利誤認、優良誤認の表示)を見つけたとしても、販売事業者に解約等を求める根拠にならない⇒・消費者は「定期購入」で想定以上の金額を支払うことについての解決を優先して、虚偽・誇大な広告(有利誤認、優良誤認の表示)を見つけても、広告・表示に合理的な根拠があるのかどうかなどに話が及ばない・景品表示法においても、問題のある広告により消費者が誤認して申し込みまたは契約を結んだ場合に取り消しができるようになればあっせんによる解決が可能になる
      • アフィリエイト広告等について、虚偽・誇大な広告があったとしても、販売事業者は責任を認めない
  2. 具体的な事例
    1. 相談事例【A社・事例1】(「定期購入」の販売条件・解約条件の虚偽表示)
      • 【事例1】初回200円で回数の縛りが無い定期購入契約というアフィリエイト広告を見て、ダイエットサプリメントを注文した。初回の商品が届いたので、販売事業者に2回目以降の解約を求めたところ、「3回縛りの定期購入で合計約4万円を支払った後に解約できる契約である」と言われた。
    2. 相談事例【A社・事例2】(効果の虚偽表示)
      • 【事例2】スマートフォンでゲームをしていたところ、「1カ月で痩せられた」「200円だけ払った」という広告が表示されたため、リンク先の販売サイトから、ダイエットサプリメントを500円で購入した。商品が届いてから数日後に再度商品が届き、約2万円を請求され、定期購入が条件であることに気づいた。
    3. 相談事例【B社・事例3】(「定期購入」の販売条件・解約条件の効果の虚偽表示)
      • 【事例3】動画投稿サイトの動画広告で「100円だけでお試しができる」「定期購入の縛りが無い」という内容を見て、販売サイトにアクセスして申し込んだところ、実際には2回目まで購入が必要という定期購入の回数縛りがあり、100円だけではお試しができず、2回目までの総額約4万円を支払わなければならないことが分かった。
  3. 最後に
    1. ASPへの要望
      • 広告主(販売事業者)や広告代理店からASPに広告案件が提示された際に、ASPにおいて問題のある商法に該当しないかどうかの観点からチェックをし、問題がある場合にはアフィリエイターの参加を募集しないなどの対策を講じてほしい
      • アフィリエイターに対して消費者を誤認させる広告・表示を行わないための教育・注意喚起などを徹底してほしい
      • アフィリエイト広告の掲載にあたっては広告主(販売事業者)の確認を必須とする仕組みを設けてほしい
      • 悪質アフィリエイト広告について消費者または消費者センターからの情報提供窓口を業界団体に設置してほしい。また、収集した情報をもとに問題があるアフィリエイト広告には掲載の停止や当該アフィリエイターへの注意喚起など実施してほしい
      • 悪質アフィリエイト広告によって消費者が誤認して申し込みまたは契約を締結した場合には、広告主に対して当該消費者に適切な対応を行わせてほしい
    2. 広告媒体社への要望
      • 消費者苦情の発生状況も踏まえて、広告主の広告掲載の審査を継続的に行ってほしい
      • 消費者苦情への対応の観点から広告媒体・広告主、期間、時間帯を特定すれば当時の広告を開示してもらえるような仕組みを構築してほしい
    3. アフィリエイターへの要望
      • 各種法令を順守し、消費者を誤認させる広告・表示を行わないように、景品表示法、特定商取引法、薬機法、健康増進法等の法律の知識を持って広告を作成してほしい
      • ASP、広告代理店、広告主(販売事業者)、広告媒体社から不適切なアフィリエイト広告である旨の報告があった場合には、指導を受けて、適切なアフィリエイト広告に修正してほしい
    4. 行政への要望
      • 当該表示が広告であること、記載内容の責任を広告主(販売事業者)が負うこと、作成者などの記載を義務付け、消費者がそれらを容易に認識できるようにしてほしい
      • また、記載していない場合は行政からの指示等により表示させるようにしてほしい
      • 広告主(販売事業者)が、アフィリエイターの悪質なアフィリエイト広告を知っていたり、知り得る状況にあったにもかかわらず、当該アフィリエイト広告を通して商品の販売を継続した場合に、消費者への返金に応じる責任を負うような法律の解釈を示してほしい
      • 消費者を販売サイトに誘導する広告や広告主(販売事業者)の販売サイト(広告)について、広告・表示の適正化および消費者トラブル防止の観点から、監視指導体制を強化(ネットパトロールなど)を実施してほしい

【2021年11月】

消費者庁 第5回 アフィリエイト広告等に関する検討会(2021年11月26日)
▼資料2-3 これまでの検討・議論を踏まえた本検討会の取りまとめの方向性(事務局資料)
  • 論点1 問題のあるアフィリエイト広告に対する法執行
    1. 実態・課題
      • 国民生活センターや日本広告審査機構等が、広告主に対して問題のある表示について指摘した際に「アフィリエイターが勝手にやったことだから」と自らには責任がないとする広告主の主張に対し、十分な反論ができず、強く表示改善を求めることができない。
      • 少数の問題のある広告主や、その出資会社・コンサルタント会社によって多くの問題が引き起こされている。問題のある広告主や、その出資会社やコンサルタント会社は問題を指摘されると、会社を清算し、こうした会社のいずれかにおいて問題となる広告についての実質的な指示役を担っていた役員等の個人が他の会社を立ち上げて不当な表示を繰り返す。
      • アフィリエイト広告そのものが問題のある広告手法ではない。確かに問題のある表示の露出は多いが、そのような問題のある表示の大部分は、一部の問題のある広告主や、その出資会社・コンサルタント会社により生み出されているものが占めているのが実態である。
    2. 検討の視点
      • アフィリエイト広告であっても、景品表示法上は、広告主の表示とされるものであることを、広告主等の事業者側及び問題表示を指摘する側の双方に広く周知徹底していくことが必要ではないか。また、表示の改善を求めることの実効性を高めるためにも、引き続き、景品表示法の厳正な対処が必要ではないか。
      • 問題のあるアフィリエイト広告の実態を踏まえると、広告主と出資会社・コンサルタント会社が連携共同して通信販売を行い、一体となって事業活動を行っていると認められる場合は、景品表示法上の供給主体を認めて景品表示法を適用することも必要ではないか。また、これらの会社において、問題となる広告について、実質的な指示役を担っていた個人に対して、広告業務禁止命令を行うことも視野に入れ、これらの会社に対する特定商取引法の適用を行うことも必要ではないか。
      • 上記実態が存在する中で、アフィリエイターが広告主の指示を超えて、問題のある表示を行うこともある。ASPやアフィリエイターに対しても景品表示法の対象となるよう法改正を行うべきか。あるいは、アフィリエイト広告市場の健全な発展を促す観点から、まずは広告主によるアフィリエイターの管理といった取組で対応すべきか。
  • 論点2 広告主によるアフィリエイト広告の管理方法(未然防止の取組)
    1. 実態・課題
      • 不当表示の未然防止に係る対応や不当表示の発生後の対応について、広告主の管理上の措置状況に大きな差がある。
      • 消費者向けアンケート結果を踏まえると、アフィリエイト広告に「広告」と明示していないことが消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある。
      • 消費者が広告主に対して、苦情・返品等の情報提供や連絡を行おうとしてもできない。
      • アフィリエイターが広告主の指示を超えて、問題のある表示を行う場合もある中で、広告主によるアフィリエイト広告の表示内容の管理状況には差がある。
      • 業種によって、法令遵守のためのアフィリエイターへの研修の実施状況に差がある。
    2. 検討の視点
      • 広告主がアフィリエイト広告による宣伝活動を行う場合には、消費者が広告である旨を認識できるよう、広告主との何らかの関係性を明記することが必要ではないか(その文言等については実態を踏まえて判断する必要があるのではないか)。加えて、どの広告主の広告であるかも明示した方がいいのではないか。併せて、消費者庁はどのような文言等が消費者にとって望ましいかについて具体的な事例を示すことが必要ではないか。
      • 広告主は消費者が情報提供や連絡等を確実に行うことができる連絡窓口等の設置を行い、その際、不当な表示を迅速に削除・修正できるような体制の構築も行うことが必要ではないか。
      • 広告主は、アフィリエイト広告の管理(例えば、表示内容の確認、確認を行うための表示内容の保存)を十分に行うことが必要ではないか。
      • 広告主は、社内の担当者及びアフィリエイターに対して、景品表示法の専門家による定期的な研修を実施することが必要ではないか。
      • 広告主が未然防止・事後的対応を十分に行えるようにするために、上記の取組等について、アフィリエイト広告の表示における管理上の措置に係る指針を新たに定め、適切に当該指針の運用を行うことが必要ではないか。
  • 論点3 アフィリエイト広告に関する官民協同した情報共有体制の構築
    • 実態・課題
      • 問題のある広告主に関しては、アフィリエイト広告の関係事業者全体で継続的に対応していくことが必要であるが、現在は関係事業者間での情報共有・連携ができていない。
    • 検討の視点
      • 自主ルールの策定、当該ルールの効果的な運用、問題ある広告主等の情報共有等をするために、アフィリエイト広告の関係事業者による協議会等の仕組みを設置することが必要ではないか。また、消費者庁を含めた関係省庁はどのように関与していく必要があるか

消費者庁 株式会社シーズ・ラボに対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 消費者庁は、本日、株式会社シーズ・ラボ(以下「シーズ・ラボ」といいます。)に対し、同社が供給する「4D」と称する食品に係る表示について、景品表示法に違反する行為(同法第5条第1号(優良誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令(別添参照)を行いました。
    1. 違反行為者の概要
      • 名称 株式会社シーズ・ラボ(法人番号 3011001035031)
    2. 措置命令の概要
      • 対象商品
        • 「4D」と称する食品(以下「本件商品」という。)
      • 対象表示
        • ア 表示の概要
          1. (ア) 表示媒体
            • 自社ウェブサイト
          2. (イ) 表示日
            • 令和2年10月22日、同月30日、同年11月10日及び同月19日
          3. (ウ) 表示内容
            • 「『痩せたいけれど我慢したくない!』あなたのために! クリニカルサロン 『シーズ・ラボ』独自開発」、「食事の気になるカロリーを速攻カット!!」、「脂っこい料理 甘~いスイーツ 食べ過ぎてもなかったことに!」、「糖質カット 脂質カット 脂肪燃焼 お通じすっきり」及び「フォーディー 4D ダイエットサプリ」との記載と共に、複数の料理とスイーツの画像を背景にフォークとナイフを手にして口を開いた人物の画像、本件商品及び本件商品の容器包装の画像等と、別表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件商品を摂取すれば、本件商品に含まれる成分の作用により、食事から摂取したカロリーの吸収が直ちに著しく阻害されることによって、体重増加が阻止される効果が得られるかのように示す表示をしていた。
      • イ 実際
        • 前記アの表示について、消費者庁は、景品表示法第7条第2項の規定に基づき、シーズ・ラボに対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料は、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
    3. 命令の概要
      • ア 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
      • イ 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記(2)アの表示と同様の表示を行わないこと。
    4. その他
      • シーズ・ラボは、本件商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示す表示をしていた旨を日刊新聞紙2紙に掲載した。

消費者庁 写真を貼り付けるだけの簡単な作業で儲かる副業ビジネスを紹介するとして7,000円程度のテキスト教材を消費者に購入させ、その後に電話勧誘により著しく高額な金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起
  • 合同調査で確認した事実
    • 誇大な広告・表示
      • リードは、自社ウェブサイトなどにおいて、本件ビジネスについて、あたかも、写真(画像)をアプリに貼り付けるという数分の作業をすれば毎回1万円以上を即日得られるかのように表示していましたが、実際には、本件ビジネスは、写真(画像)を貼り付けるだけではなく動画を制作・編集して指定の動画投稿サイトに投稿するものであり、簡単に短時間で行える作業で毎回1万円以上を稼ぐことは困難であり、収益が即日入金されるものでもありませんでした。
    • 断定的判断の提供
      • リードは、有料のサポートプランの「シミュレーション金額」について、消費者に対し、サポートプランに加入すればシミュレーション金額を必ず達成できるなどと説明していましたが、実際には、そもそも本件ビジネスによって当該金額を稼げるかどうかは、制作・編集し投稿を行った動画の出来等の事情によって左右されるものであって不確実であり、これまでに有料のサポートプランに加入することによってシミュレーション金額に相当する利益を得ることができた者は一人もいませんでした。
      • なお、リードは、他人が制作した動画を、無断で、指定の動画投稿サイトに転載することを勧めることがありましたが、この動画投稿サイトの利用規約によれば、他人が制作した動画を無断転載した場合にはアカウントの停止等の措置が採られる可能性があるなど、このような助言は、シミュレーション金額の達成を可能にするようなものではありませんでした。
  • 消費者庁から皆様へのアドバイス
    1. 簡単に高額収入を得られると強調する広告や宣伝には要注意
      • ここ数年、「食事や風景の写真を撮影して投稿するだけ」、「インターネット上の動画のURLを特定のウェブサイトに貼り付けるだけ」、「本を5分間音読して音声データを送信するだけ」、など簡単な短時間の作業でお金を稼ぐことができる副業ビジネスであるなどと広告・宣伝を行い、この副業ビジネスのノウハウを比較的少額で提供するとし消費者にお金を支払わせ、その後、様々な理由をつけて高額な金銭を支払わせるという被害が多く発生しています。
      • このような「副業ビジネス」は、多額の金銭を支払ったものの実際に稼ぐことができないものであるところ、これまでに事業者が消費者をだますために行っていた手口や内容を若干変更して行われることが多い傾向があります。したがって、このような「簡単に稼げる」などとうたう「副業ビジネス」の手口は、インターネット等で検索すれば、比較的容易に、実際にやってみたが全くお金を稼ぐことができなかったなどの情報を集めることができます。
      • 簡単に高収入を得られることを強調する広告や宣伝を鵜呑みにせず、まずは、疑いの目を持ってビジネスの内容を吟味し、情報収集を行った上で、ビジネスに参加するかを判断するようにしてください。
    2. 取引に関して不審な点があった場合は、契約をしたりお金を支払ったりする前に、各地の消費生活センター等や警察に相談しましょう。
      • 消費生活センター等では、消費者から相談を受け、トラブル解決のための助言や必要に応じてあっせんを無料で行っています。

消費者庁 高齢者の事故を防ぐために 着衣着火
  • 料理中のこんろの火が袖口に燃え移るなど、何らかの火源から身に着けている衣類に着火する着衣着火により毎年約100人の方が亡くなっています。そのうち8割以上が65歳以上の高齢者です。また、消費者庁・独立行政法人国民生活センターに寄せられた着衣着火の事故情報のうち、約6割が入院を必要とする事故でした。
  • これから寒くなり、ガスこんろでの鍋料理やストーブなどの暖房機器等で火を扱う機会が増えることが予想されますが、空気の乾燥により火災が発生しやすい季節です。火を扱う際は、以下のことに注意して着衣着火を防ぎましょう。
    • 火に近づきすぎないようにしましょう。手を伸ばしたり、かがんだりすると、意図せず体が火に接近する可能性があります。
    • 火力の調節とこまめな消火を心掛けましょう。調理の際は、炎が鍋底からはみ出さないように気を付けてください。「ながら掃除」などはせず、火のそばで作業をするときは一度消火しましょう。
    • 服装に注意しましょう。袖口やすそが広がっている衣服、ストールなど垂れ下がるものは、火を扱う際には身に着けないようにしましょう。また、衣服の表面が毛羽立った素材は表面フラッシュ(※)にも注意が必要です。
    • 火の周囲にも注意してください。風が吹くような場所は、着火すると燃え広がり大変危険です。また、引火し易い液体等が付着したままの服で火に近づかないでください。
    • 万が一、着衣着火が起きたら、脱ぐ・叩く・水をかけるなどして早急に消火してください。やけどを負った場合はすぐに水で冷やし、医療機関を受診してください。
  • 火が接しても着火しにくい防炎製品のエプロンやアームカバーなどを使うことは、着衣着火による被害の拡大を防ぐためには有効です。特に高齢者は、燃えにくい防炎製品の着用を検討しましょう。

※衣類の生地の表面に細かい繊維が毛羽立っていると、わずかな炎が接触しただけで毛羽部分に火が着き一瞬のうちに表面に火が走る現象のこと。

消費者庁 第1回取引デジタルプラットフォーム官民協議会準備会
▼【資料4】内閣府令等(案)のポイント
  • 内閣府令
    • 努力義務の措置の開示方法(法第3条関係)として、開示内容を常時かつ容易に確認できること等
    • 努力義務の措置の開示事項(法第3条関係)として、講じた措置の概要及び実施の状況等
    • 商品の出品等の停止要請の対象(法第4条関係)として、商品等の安全性に関する事項等
    • 開示請求の対象となる債権額の下限(法第5条関係)として、1万円
    • 開示請求の対象となる販売業者等情報(法第5条関係)として、氏名、名称等
    • 開示請求の方法(法第5条関係)として、書面、電磁的記録等
    • 官民協議会が協力を求める場合(法第7条関係)として、法第7条第3項に想定する内容
    • 申出の方法(法第10条関係)として、書面又は電磁的記録によりなされること等
  • 取引DPFの努力義務の内容を定める指針
    • 法第3条第1項の努力義務について、基本的な考え方を示した上で、各号毎に「趣旨・目的・基本的な取組」を明確化し、「望ましい取組の例」を示す。
    • 法第3条第1項の基本的な考え方として、「望ましい取組の例」はいわゆるベストプラクティスであり、取引デジタルプラットフォーム提供者はその事業運営の実態に応じて適切かつ有効な措置を講ずることが期待される旨記載。
    • 販売業者と消費者の間の円滑な連絡を可能とする措置(法第3条第1項1号)関係
      • 基本的な取組:連絡先や連絡手段が消費者に容易に認識することができるようにすること等
      • 望ましい取組の例:専用のメッセージ機能の提供等
    • 消費者から苦情の申出を受けた場合の販売条件等の表示の適正を確保するための措置(法第3条第1項2号)関係
      • 基本的な取組:消費者が苦情の申出を行いやすい仕組を設けること等
      • 望ましい取組の例:消費者からの苦情の受付、不適正な表示を行った販売業者等への対応等
    • 販売業者等の特定に資する情報の提供を求める措置(法第3条第1項3号)関係
      • 基本的な取組:販売業者等の表示について問題のおそれのある事例に接した場合に情報の提供を求めること等
      • 望ましい取組の例:販売業者等の公的書類の提出を受けること等
    • 法第3条第2項の講じた措置の開示について、開示の内容及び場所についての考え方を示す。
    • 他の法律との関係を整理
  • 販売業者等に係るガイドライン
    • 新法の対象となる「販売業者等」該当性の判断のための基本的な考え方や考慮要素・具体例を示す。

消費者庁 SNSを活用した消費生活相談の実証事業
  • SNSを活用した消費生活相談(以下「SNS相談」という。)を試験的に導入することで、SNS相談導入に当たっての課題や問題点等について検証・検討を行う。
  • 背景・目的
    1. SNSの利用増加に伴い、若者を中心に、日常のコミュニケーションで消費生活相談の主要な受付方法の一つである電話を利用しない傾向有。
    2. 若者は、トラブルに遭っても消費生活センター等の公的な相談窓口に相談をしない傾向有。
    3. 成年年齢の引下げにより、知識や経験の乏しい18歳~19歳の消費者トラブル増加も懸念される。
    4. 若者の消費生活トラブル防止・救済に向けた取組の推進が急務となっている。
  • 取組み内容
    • 「若者が活用しやすい消費生活相談に関する研究会」の結果を踏まえて、SNS相談について更に検証・検討を深め、SNSにおける消費生活相談対応マニュアルの作成、及びマニュアルの活用事例の蓄積を目的としてSNS相談を試行する。
    • 令和2年度SNS相談試行の概要
      • 若年層(10~30代)から多く相談が寄せられ、40代及び50代からの相談も一定数あった。
      • 平日の相談日の件数の方が、休日の相談日の件数よりも多かった。
      • 文字だけでのコミュニケーションに困難を感じる相談員の心理的負担感の払拭が課題。また、複雑な相談事例については電話相談に切り替える方が望ましい場合がある

消費者庁 消費者庁などの公的機関の名称をかたり、架空の「和解金」などの交付を持ち掛けて金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起
  • 消費者庁などの公的機関の名称をかたり、架空の「和解金」などの交付を持ち掛けて金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起を行いました。
  • 詳細
    • 令和2年4月以降、「消費者庁」、「国民生活センター」、「内閣特別対策本部」などをかたり、消費者にメールやショートメッセージを送信して指定のウェブサイトに誘導し、架空の「和解金」などの交付を持ち掛け、「書類作成費用」などの名目で金銭を支払わせる事業者に関する相談が、各地の消費生活センター等に寄せられています。
    • 消費者庁が調査を行ったところ、公的機関などの名称をかたる事業者が、消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(消費者を欺く行為、消費者を威迫して困惑させる行為)をしていたことを確認したため、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼び掛けます。
    • また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します。

【国民生活センター】

【2021年12月】

国民生活センター 脱毛エステの通い放題コースなどでの中途解約・精算トラブルに注意!「途中でやめたら返金なし!?」「解約したのに支払いは続く…」
  • 全国の消費生活センター等には年間2,800件を超える脱毛エステの相談が寄せられており、近年は男性がひげ脱毛等に通いトラブルとなるケースも増加しています。脱毛エステの相談はクーリング・オフや中途解約など解約に関するトラブルが多くみられますが、中でも「通い放題」「○年間脱毛し放題」「期間・回数無制限」「永久保証」「△年施術保証」などの長期間の施術を前提とするコースで中途解約・精算をするときにトラブルが生じたという事例が目立ちます。
  • そこで消費者トラブル防止のために相談事例と問題点を紹介し、消費者への注意喚起を行います。
  • 年度別相談件数:2016年度は2,851件、2017年度は4,916件、2018年度は2,893件、2019年度は2,885件、2020年度は2,859件、2021年度は11月30日までで2,004件です。
  • 相談件数のうち解約が関わる割合:2016年度は61.0%、2017年度は50.3%、2018年度は46.4%、2019年度は47.8%、2020年度は52.1%、2021年度は11月30日までで50.9%です。
  • 相談事例
    • 永久保証をうたう脱毛を40万円で契約し1回施術後、解約したら10万円請求された
      • 数カ月前、インターネットで評判の良かった脱毛サロンに出向いた。個室に通され、「40万円支払えば永久に脱毛が受けられる。これ以上お金はかからない」と説明され、高額だが一生この値段で受けられるのであればと思い、個別クレジットを組み分割払いで契約した。1回目の施術を受け、痛みがあることを伝えたら「これ以上出力を抑えると効果がなくなるので我慢して」と言われた。施術は3カ月に1度しか受けられず、これ以上続けられないと思い解約を申し出たら1回の施術代8万円と違約金2万円で合計10万円の解約料を請求された。契約書をみると「期間は1年間、施術は5回までが有償、6回目以降は無償」との記載があった。1回しか施術を受けていないのに解約料が高額で納得できない。(2021年3月受付 20歳代 女性)
    • その他、以下のような相談も寄せられています
      • 施術有効期間が3年間と言われ契約したが中途解約ができる期間は1年だった
      • 3年間通い放題コースを契約し中途解約したら有償部分は1回のみと返金を断られた
      • 解約になって初めて「18回程で効果が出る施術だが返金対象は8回まで」と分かった
  • 相談事例からみる特徴や問題点
    1. 「通い放題」「期間・回数無制限」の契約の構造
      • 長期間にわたって施術を受けられるコースなどは多くの場合、契約上、「有償で施術を受けられる期間・回数」と「無償で施術を受けられる期間・回数」とに分かれている。
    2. 「有償」と「無償」の期間・回数は中途解約の精算ルールに影響する
      • 脱毛エステの中途解約では「すでに提供されたサービスの対価」が請求されるが、精算の対象となるのは有償の期間・回数であり、原則、無償部分には発生しない。
    3. 「通い放題」と広告・説明された期間と実際の契約内容(有償部分)にギャップがある
      • 通い放題で施術を受けられる期間全体からみると有償部分が少なく、無償部分が多くを占める契約になっている場合がある。消費者に実際の契約内容を十分に認識させていないため「思った以上に中途解約可能な期間が短かった」というトラブルが生じている。
    4. 脱毛のために通う標準的な期間・回数と実際の契約内容(有償部分)にギャップがある
      • 脱毛にかかる標準的な期間・回数の目安と契約上の期間・回数が合致していないコースを勧められ、中途解約時に初めてそのことに気づきトラブルが生じている。
  • 消費者へのアドバイス
    • 脱毛エステの長期間にわたる契約は「解約しなければならないとき」も想定して慎重に
    • 長期間の契約が心配なときは都度払いができるコースやエステ店を選択しよう
    • 必ず契約書面で有償の期間・回数と単価を確認しよう
    • 「月々○千円~」は月払い(都度払い)ではなく、クレジットの分割払金かもしれません。支払いが続く期間・回数も意識しよう
    • 少しでも不安に思った時、トラブルにあった時は最寄りの消費生活センター等に相談しよう

国民生活センター 乳幼児による水で膨らむボール状の樹脂製玩具の誤飲にご注意!
  • 2021年6月、国民生活センターの「医師からの事故情報受付窓口」に、乳児が水で膨らむボール状の樹脂製玩具(高吸水性樹脂)を誤飲して腸閉塞を起こし、開腹手術をしたという事故情報が寄せられました。また、同年10月と12月にも、それぞれ別の地域の医師から同様な事故情報が寄せられました。
  • 国民生活センターでは、2015年にインテリアやディスプレー等に使用する、水で膨らむボール状の樹脂製品による幼児の腸閉塞の事故があり、注意喚起を行いましたが、再び同様の事故が樹脂製玩具においても複数件発生していることから、事故の再発防止のため、改めて消費者に注意喚起を行うこととしました。
  • 「医師からの事故情報受付窓口」に寄せられた事故情報
    • 事例1:水で膨らむボール状の樹脂製玩具を食べていた可能性があり、病院を受診したところ腸閉塞が認められたため、当該品による腸閉塞を疑い、開腹での手術を行った。
    • 事例2:発熱や咳が繰り返し出る症状が現れ、翌日から嘔吐症状と食欲低下があり、翌々日、咳が治らず、入院した。腸管が広がっている様子や小腸先端に異常がみられ、同部位での閉塞が疑われたことから、緊急手術を行い小腸内の異物を摘出した。
    • 事例3:水で膨らむボール状の樹脂製玩具で遊んだ1~2時間後から嘔吐があり、救急外来を受診し、症状発生から4日経過しても嘔吐症状が続いていた。再度救急外来を受診したところ、複数の膨張したボールが腸管内に確認され、誤飲から5日後に開腹手術を行い、腸管内の異物を摘出した。
  • 消費者へのアドバイス
    • 水で膨らむ樹脂製品を誤飲すると、消化管内で膨らんで腸を閉塞することがあります。子どもが使用するときは保護者の監督下で行い、子どもが容易に持ち出せない場所に保管しましょう
    • 水で膨らむ樹脂製品の誤飲に気づいたときや、その疑いがあるときは、直ちに医療機関を受診しましょう
    • 対象年齢以下の子どもがいるご家庭では、水で膨らむ樹脂製品の購入を控えることも検討しましょう

国民生活センター 携帯電話は自分に合った機種を選びましょう
  • 内容
    • 使用しているガラケーの電池パックを交換しに携帯電話ショップに行った。機種変更するつもりはなかったが、店員に「今より毎月の携帯電話料金が3千円安くなる」と言われ、スマホの契約をした。さらに、タブレットも勧められ、新機種に変更した。しかし、スマホは電話に出る方法が分からず、新しいタブレットも機種が違うため、電源の入れ方が分からず使っていない。返品したいができないと言われた。(80歳代 男性)
  • ひとこと助言
    • 携帯電話を契約する際は、普段の自分の使い方に合った機種であるかをよく確認し、できるだけ周りの人に相談しましょう。また、操作方法に不安な点があるときは、店員に確認し、理解してから契約しましょう。事前にスマホ教室などを利用して、操作方法を確認しておくのもよいでしょう。
    • タブレット端末や光回線などを勧められるケースもあります。契約する前に、契約内容や料金を確認し、不要な契約は断りましょう。
    • 条件を満たしていれば初期契約解除制度や確認措置などにより、契約の解除ができる場合もあります。すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

国民生活センター 消費者問題に関する2021年の10大項目
  • 国民生活センターでは、毎年、消費者問題として社会的注目を集めたものや消費生活相談の特徴的なものなどから、その年の「消費者問題に関する10大項目」を選定し、公表しています。
  • 2021年は、新型コロナウイルス感染症をきっかけとした「ワクチン接種」や「おうち時間」に関連したトラブルがみられ、また、特定商取引法や預託法の改正が注目を集めました。
  • 2021年の10大項目
    • 「優先接種」「予約代行」コロナワクチン関連の便乗詐欺発生
    • 「おうち時間」でオンラインゲーム 子どものゲーム課金トラブル
    • 成年年齢引き下げに向けた啓発活動が活発化
    • やけどや誤飲、窒息死亡事故も 繰り返される子どもの事故
    • 高齢者の消費者トラブル 自宅売却や予期せぬ“サブスク”の請求も
    • 被害回復へ初めての終結案件 消費者団体訴訟制度
    • 特定商取引法・預託法改正
    • 詐欺的な定期購入・送り付け商法への対策強化、販売預託取引が原則禁止に
    • 消費者トラブルのグローバル化とともに 越境消費者相談スタートから10年
    • 「消費生活相談のデジタル化」 検討はじまる
    • 「訪日観光客消費者ホットライン」多言語サイト開設

国民生活センター 染毛剤の使用前には必ずパッチテストを!
  • 内容
    • インターネット通販で購入した白髪染めを使用したところ、かゆみがあり、しばらくすると目が充血し、腫れて開かなくなった。下唇も腫れ、両腕と頭皮に湿疹が出た。病院に行き、処方された薬を飲んだら1週間ほどで改善した。再度使用すると、また同じ症状が出た。(60歳代 男性)
  • ひとこと助言
    • ヘアカラーリング剤の中でも白髪染めなどの酸化染毛剤は、主成分によりアレルギー性の皮膚炎を起こしやすい傾向があります。
    • 初めてのアレルギー症状が軽かった場合でも、治まった後に再度使用すると、だんだん症状が重くなり、重篤な症状が現れるケースもあります。染毛剤を使用する際は、必ず毎回パッチテスト(皮膚アレルギー試験)を行いましょう。
    • これまで染毛剤で異常を感じたことのない人でも、使い続けるうちに突然アレルギーを発症することがあります。かゆみ、赤み、痛みなどの異常を感じた場合は、使用をやめ、医療機関を受診してください。

国民生活センター 家庭用ゲーム機でも! オンラインゲームの課金に注意
  • 内容
    • 事例:息子が家庭用ゲーム機でゲームのポイントを入手するために、約7万円課金していたことが分かった。ゲーム機にはクレジットカードを登録している父親のアカウントしかなく、息子は父親のアカウントでゲームをしていた。息子は動画サイトでポイントの入手方法を見てその通りにやったと言い、課金されているとは知らなかったようだ。ゲーム機会社に返金を申し出たが、断られた。(当事者:小学生 男児)
  • ひとことアドバイス
    • 家庭用ゲーム機でもインターネットに接続でき、課金してアイテムなどが入手できるゲームがあります。
    • 最近の家庭用ゲーム機では保護者用と子ども用のアカウントを分けて管理できるようになっています。子どもが保護者の許可なく課金しないように、保護者用のアカウントを子どもに使わせることは避けましょう。保護者用のアカウントで子どもが課金した場合、子どもが課金したと証明することが難しく、未成年者取消しが認められないことがあります。
    • 子どもの予期せぬ課金を防ぐためにも、ペアレンタルコントロール機能を利用しましょう。
    • オンラインゲームのルールについて、家族でよく話し合うことが大切です。
    • 困ったときは、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

国民生活センター 「光回線をアナログ回線に戻せば料金が安くなる」という勧誘にご注意ください-事業者名や契約内容をしっかり確認! アナログ回線に戻す手続きはご自身でも可能です-
  • インターネットの光回線の契約をしている消費者に対して、「アナログ回線(アナログ電話)に戻せば料金が安くなる」などと勧誘し、手続き代行やオプションサービスの料金として高額な請求をするいわゆる「アナログ戻し」のトラブルが増えています。
  • 年度別相談件数:2018年度は316件、2019年度は565件、2020年度は873件、2021年11月30日までの件数は1,398件です。
  • 相談事例:アナログ回線に戻すと安くなると説明をされて断ったのに生活サポートの契約をしたことになっていた
    • 大手通信会社を名乗る者から両親宅に電話があり、「インターネット回線を解約し電話をアナログ回線に戻すと今より料金が安くなる。アナログ戻しの工事をすれば費用をキャッシュバックする」と説明され、大手通信会社だと思い込んだ父が事業者の来訪を了承した。訪問してきた事業者から「指定期間に自分で電話会社にアナログ戻しを申し出るように。工事完了後にキャッシュバックする」と言われて、書面への記載を執拗に求められたが、不審に思った両親が断った。
    • しかし、事業者が勝手に置いていった書面を私が確認すると、月額約5,000円の生活サポートの契約を大手通信会社ではない別の事業者としたことになっていた。両親は契約内容を全く理解していないので解約させたい。(2021年10月受付 80歳代 男性)
  • 消費者へのアドバイス
    • 勧誘を受けた事業者名と契約内容をしっかり確認しましょう
    • 必要のない契約はきっぱり断りましょう
    • 光回線契約をアナログ回線に戻す場合には、NTT東日本またはNTT西日本に問い合わせましょう。手続きは消費者自身でも可能です
    • 不安に思った場合や、トラブルが生じた場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう

国民生活センター フレームが破断した電動アシスト自転車(相談解決のためのテストから No.160)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
    • 「電動アシスト自転車で走行中、フレームが破断した。破断した原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。
    • 当該品はフレームがスチール製で折りたたみ可能な電動アシスト自転車でした。フレームの折りたたみ部の後方の、上側のパイプ材及び下側のパイプ材と、フランジとの突合せ溶接部で破断していました。
    • 当該品は破断する1年前に通信販売で購入して通学に使用しており、1日当たりの走行距離は25kmほどで、折りたたむ頻度は週3~5回程度、破断する以前の転倒は5回以下とのことでした。
    • 上側パイプ材と下側パイプ材の肉厚は共に約2mmでした。また、破断部全体に錆が見られました。上側パイプ材には変形が見られました。
    • 破断面を詳細に観察した結果、当該品のフレームは折りたたみ部において、最初に下側パイプとフランジとの突合せ溶接部が疲労破断し、このことによって上側パイプとフランジとの突合せ溶接部に過大な繰返し曲げ応力が作用し、疲労破断したものと考えられました。最初に下側パイプとフランジとの突合せ溶接部に亀裂が発生した原因は、溶接不良(母材に対する溶融金属の溶け込み不良)であると考えられました。
  • 依頼センターがテスト結果を製造販売事業者に伝えたところ、後日製造販売事業者から全額返金に応じること、同様な事例がないこと、テスト結果の今後の活用が伝えられました。

国民生活センター 除雪機使用時は周りの安全を確認!
  • 内容
    • 事例1 除雪機を使用中、近くにいた人が除雪機に巻き込まれ、死亡した。(被害者:80歳代)
    • 事例2 除雪機を使用中、除雪機の下敷きになった状態で発見され、死亡した。(被害者:80歳代)
    • 事例3 除雪機を使用中、除雪機と車庫内の壁に挟まれ、死亡した。(被害者:70歳代)
  • ひとこと助言
    • 歩行型ロータリ除雪機(以下「除雪機」という。)による事故が寄せられています。死亡事故も起きています。使用前に取扱説明書をよく読み、正しく使いましょう。
    • 安全装置が作動するか必ず確認し、正しく作動しない状態では絶対に使用してはいけません。
    • 使用する際は、周りに誰もいないことを確認し、絶対に人を近付けないでください。
    • 雪詰まりを取り除くときは、必ずエンジンを止めて雪かき棒を使いましょう。
    • 除雪機の使用中、特に後進時は足元や周りの障害物に注意し、無理のない速度で使用しましょう。

【2021年11月】

国民生活センター 年々増加!ブリーダーからのペット購入トラブル-直接購入する場合に気を付けてほしいこと-
  • コロナ禍で“おうち時間”が増え、新たに家庭にて飼育される犬や猫が増えています。一般社団法人ペットフード協会の調査によると、1年以内に新たに飼われた犬や猫は合計約95万頭(犬:約46.2万頭、猫:約48.3万頭)で、過去5年間で飼育頭数、増加率ともに最も多くなっています。こうした中、全国の消費生活センター等には「購入後に先天性の病気が判明した」、「キャンセルを申し出たところ高額な違約金を請求された」などのペットの購入に関する相談が寄せられており、その中でも、ブリーダーから直接ペットを購入した際にトラブルに遭うなど、ブリーダーが関連するペットの相談件数が増加しています。
  • そこで今回は、消費者とブリーダーとのペット購入トラブルについて問題点を整理し、消費者に向けて注意喚起を行います。
  • ブリーダーとは
    • ブリーダーとは、一般的には「家畜やペット、植物などを交配、繁殖、改良する人」のことと言われています。
    • このうち、犬や猫などの動物を繁殖させ、その動物をペットとして営利目的で販売する場合には、動物の愛護及び管理に関する法律に定める第一種動物取扱業として自治体への登録が必要であり、命ある動物を取り扱うプロとして、ペットショップ同様、法令を遵守するよう義務付けられています。
  • 相談事例
    1. 購入時に健康状態の説明は一切なく、後日先天性の心臓病が判明した
      • 先月、ブリーダー紹介サイトで好みのチワワを見つけた。ブリーダーと数回やり取りしたところ、「まだ掲載していない希少な毛色のチワワがいるので見に来ないか」と連絡があり、ブリーダーを訪ねた。狭いマンションの一室でケージが山積みになっており、子犬が多数暮らしていた。子犬を見せてもらうと、元気に走り回っていた。子犬が気に入ったので、その場で約80万円を支払い、引き取ったが、健康状態の説明や契約書の交付は一切なく、領収書を渡されただけだった。数日後、ワクチンを打つために動物病院に行くと、「この子犬は先天性の心臓病を患っている。病気だから他のチワワより小さいし、1年も生きられないだろう」と言われた。ブリーダーに連絡すると「返品してくれれば全額返金する」と言われたが、愛着が湧いているので返品ではなく治療費を支払う対応を取ってほしい。どうしたらよいだろうか。(2021年8月受付 40歳代 女性)
    2. その他、以下のような相談も寄せられています。
      • 事務所は足の踏み場がない状況で、不衛生であり、購入した犬からも悪臭がした
      • ブリーダーと連絡を取る手段がなくなり、血統書が受け取れない
      • トラブル解決のため、ブリーダー紹介サイトに問い合わせようとしたところ、利用規約に売買には関わらないと書いてあった
      • 生まれる前の犬を解約したところ、高額な違約金を求められた
      • 子猫の購入予約を翌日キャンセルしたところ、予約金は返金できないといわれた
  • 相談事例からみた問題点
    • ブリーダーの説明や対応に問題があるケースがある
      • 健康状態等の説明が行われていない、契約書が渡されていない
      • 病気が判明した際の対応はブリーダーごとに定めており、消費者が望む対応が受けられない
    • ブリーダーが消費者との約束を果たさない
    • 現物確認・対面説明を行う前に売買契約を結んでいるケースがある
    • 飼育環境に問題があるケースがある
    • ブリーダー紹介サイトはトラブルが発生しても原則介入しない
    • 消費者が自身の環境や、内容を確認せずに契約をしている
      • 消費者都合でのキャンセルが発生している
      • キャンセル時の対応を確認していない
  • 消費者へのアドバイス
    • ブリーダーから購入する場合には直接会い、信頼できるブリーダーから購入しましょう
    • 予約金を支払う際はキャンセル時の対応を確認して慎重に検討しましょう
    • 購入する際は事業所で現物を確認し、対面での説明を必ず受けましょう
    • ブリーダー紹介サイトを利用する際は利用規約をよく確認しましょう
    • ペットは生き物であることを十分に考慮し、安易な購入は避けましょう
    • 不安に思った場合やトラブルになった場合は消費生活センター等に相談してください
    • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

国民生活センター 百貨店の名称をかたる偽通販サイトにご注意ください!-「高島屋」などの大手百貨店がかたられています-
  • 全国の消費生活センター等には、「SNS等で、百貨店の支店や免税店が閉店になること等を理由に、高級ブランド品を大幅な値引きで販売するという広告から、大手百貨店をかたる偽通販サイトに誘導されて商品を注文してしまった」というインターネット通販に関する相談が寄せられています。
  • 国民生活センターで、通販サイトを確認したところ、「高島屋」など大手百貨店のロゴマーク等が表示されており一見すると各百貨店の公式通販サイトのように見えますが、各百貨店に確認したところ、「公式通販サイトではなく、非公式の偽通販サイトである」とのことでした。
  • 偽通販サイトでは高級ブランド品が80~90%OFFの大幅な割引がされていますが、偽通販サイトで注文した消費者からは、偽物が届いたという相談も寄せられています。
  • PIO-NETをみると、全国の消費生活センター等には、百貨店等の偽サイトに関する相談が、本年度は約800件寄せられています。こうした状況を踏まえ、消費者が偽通販サイトに誤って注文しないように、トラブル事例や偽通販サイトの例をまとめ、消費者への注意喚起を行います。
  • 相談事例
    • 【事例1】SNS上の広告をきっかけに大手百貨店をかたった偽通販サイトに注文してしまった
    • 【事例2】大幅な割引価格のブランド品を「代金引換」で注文したが偽通販サイトだった
    • 【事例3】大手百貨店をかたった偽通販サイトに注文してしまい後日偽物が届いた
  • 相談事例からみる特徴と問題点
    • 偽通販サイトには百貨店のロゴマークや名称が掲載されている
    • 百貨店の支店等が閉店することを理由に高級ブランド品を大幅な割引価格で販売するとうたう広告がきっかけになっている
    • 偽通販サイトで注文したら偽物の商品が届いたケースがある
  • 消費者へのアドバイス
    • 百貨店が通販サイトで高級ブランド品を大幅な値引きで販売することは通常はありません
    • 百貨店の名称をかたった広告や偽通販サイトの可能性が高い
    • 百貨店のロゴマークや名称が掲載された通販サイトでも偽通販サイトの可能性があります
    • 商品を注文する前に販売サイトを隅々まで確認しましょう
    • 代金引換で宅配業者に代金を支払って商品を受け取ってしまうと、後で商品が偽物だとわかっても宅配業者からの返金は困難です
    • 不安に思った場合や、トラブルが生じた場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう

国民生活センター 借金するよう指示して契約させる手口に注意
  • 事例
    • 友人に簡単にもうかる話があると誘われ、事業者からFX自動売買ソフトを勧められた。「高額なので支払えない」と言ったが「大体の人は1年で返済できるから借金すればよい」と言われ、契約することにした。消費者金融で年収220万円のフリーターと申告するように指示され、その日のうちにATMで50万円を借り入れて、事業者に送金したが、解約したい。(当事者:学生 女性)
  • ひとことアドバイス
    • 返せる見込みがないのに多額の借金を抱えることはリスクの高い行為です。「すぐ返済できる」などと言われてもうのみにせず、借金をしてまでの投資などはやめましょう。
    • 「お金がない」と断ると、借金をするように勧められ、金銭的に断る理由を封じられる場合があります。「お金がない」ではなく「いりません」ときっぱり断りましょう。
    • 借金やクレジット契約をする際に、うその使用目的や職業、年収などを申告して借りるよう指示されても、絶対に従ってはいけません。
    • 困ったときは、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
  • 2022年4月から18歳で大人に! 一人で契約ができる反面、原則として一方的にやめることはできません。成年になったばかりの若者にどんな消費者トラブルがあるのか知っておくこともトラブル回避に役立ちます。

国民生活センター 一方的に送りつけられた商品の代金は支払い不要!
  • 内容
    • 事例1:母親に、何度もしつこく海産物購入の勧誘電話があり、断っていた。最近は電話を取らなくなったが、昨日その事業者からのカニの不在通知が入っていた。受け取り拒否をしてよいか。(当事者:80歳代 女性)
    • 事例2:実家に行ったところ、母親宛てに注文していない健康食品が届いており、定期購入と書いてある紙と払込用紙が同封されていた。どうしたらよいか。(当事者:90歳代 女性)
  • ひとこと助言
    • 特定商取引法が改正され、注文や契約をしていないにもかかわらず、一方的に送りつけられた商品は、直ちに処分することができるようになりました。
    • 一方的に商品を送りつけられても、お金を支払う必要はありません。商品を開封・処分しても支払いは不要です。
    • 贈答品などの可能性もあります。まずは家族などに心当たりがないか確認しましょう。また、注文したことを忘れていないか思い返してみましょう。
    • お金を支払ってしまっても取り戻せる場合があります。すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン「188」)。

国民生活センター フリマアプリでの架空取引を持ちかける手口に注意-架空取引は規約で禁止されている行為です-
  • 全国の消費生活センター等には、フリマアプリで架空取引を持ちかけられたという相談が寄せられています。これは、主にもうけ話の取引ツール等の代金の支払いを、フリマアプリでの架空取引で支払わせる手口です。
  • 相談事例
    • 画像投稿アプリで海外のバイナリーオプション取引で稼いでいるという女性と知り合い、「取引ツールを買わないか」と勧誘された。約20万円のツールを買うことにしたところ、代金の支払方法としてフリマアプリでの架空取引を持ちかけられた。これは、フリマアプリに海外有名ブランドのバッグを形だけ出品するので、バッグを落札して支払いをすれば、取引ツール代約20万円を支払ったことにするというものであった。指示通り、出品されたブランドバッグをクレジットカードで決済した。その後、教えてもらった通りに取引を始めたが、稼げない。だまされたと思うので返金してほしい。(2021年7月受付 当事者:20歳代 男性)
  • 消費者へのアドバイス
    • フリマアプリでの架空取引を持ちかけられてもハッキリと断ってください。フリマアプリ運営事業者から規約違反を問われる恐れもありますので、架空取引を持ちかけられても、絶対に応じないようにしてください。
    • 架空取引を持ちかけられる手口は、バイナリーオプションの取引ツールや情報商材の取引で多くみられます。うまい話にはのらないで!
    • 不審な点があった場合には、すぐに最寄りの消費生活センターに相談してください。

国民生活センター 報酬がもらえる荷物の受取代行に登録しようとしたら、個人情報を求められた
  • 質問
    • SNSで知り合った人から、荷物の受取代行のアルバイトを紹介された。自宅に携帯電話やサプリメント等の商品が届いたら、指定の住所に転送するだけで報酬がもらえるとのことだ。教えられた申込み先に連絡すると、担当者からチャットで、アルバイトに登録するために運転免許証等身分証明書の写真を撮って送るよう指示された。簡単に始められそうなアルバイトだが個人情報を教えるのは心配だ。どうしたらよいか。
  • 回答
    • 報酬を得るために始めようと身分証明書の写真を送ることによって、自分の名義で携帯電話や健康食品等を購入され、携帯電話会社や販売業者から、商品代金や解約料等の請求を受ける恐れがあります。特に携帯電話の場合は、端末代金として1契約につき数万円の高額なお金を支払わなければならない状況になることがあります。
    • 「荷受代行」・「荷物転送」は絶対にしないでください。顔の見えない相手に身分証明書や銀行口座等の個人情報を安易に伝えないようにしましょう。
  • 解説
    • 「荷受代行」・「荷物転送」はアルバイトや副業を装っていますが、裏の目的は消費者の名義で不正に携帯電話等を購入することであり、その携帯電話等が犯罪に使用される恐れもあります。携帯電話不正利用防止法上、携帯電話等の契約には本人確認が義務付けられており、身分証明書を使用して本人以外の何者かが契約をする行為は、同法に違反する行為だと考えられます。
    • なお、携帯電話等の月額利用料や通話料等について、支払う必要はないと事前に説明されていても、契約者である消費者に対して請求される可能性があり、料金を支払わないまま強制解約になると、一般社団法人電気通信事業者協会(TCA)の「不払い者情報交換制度」に登録され、今後携帯電話会社と契約をする際に不利益が発生することが考えられます。また端末代金が分割払いにされている場合は、信用情報機関に事故情報として登録される恐れがあり、登録されると、新たなクレジットカードの申込みや各種ローンの審査が通らなくなるなどの影響があります。

国民生活センター チャットで相談にのるだけのアルバイトをするために登録した副業サイトで、次々と手続き費用を支払わされた
  • 質問
    • インターネットで、「チャットで相談にのるだけ」とのアルバイトを見つけて副業サイトに登録し、保険証と学生証の写真を送った。相手の男性から相談の報酬以外に20万円を贈ると言われ、個人情報交換のために有料の手続きが必要になった。5,000円、1万円、3万円、5万円をクレジットカードとプリペイド型電子マネーでサイトに支払い、「これで最後だ」と言われた。しかし手続きがうまくいかなかったとして、さらに7万円を請求され、騙されたと気がついた。返金してほしいが、どうしたらいいか。
  • 回答
    • 「お金を受け取るために必要」など、支払を促すようなメッセージが届いても相手の言葉を鵜呑みにせず、冷静に判断しましょう。相談にのっている相手等の登場人物が、実際には”サクラ”である場合があります。
    • やりとりの内容の記録は、返金を求めるための証拠となります。サイトを退会するとメッセージを確認できなくなってしまうため、スクリーンショット等をして保存したうえで最寄りの消費生活センター等に相談しましょう。
  • 解説
    • インターネットで「副業」や「在宅ワーク」と検索して表示されるサイトの中には、「相談にのるだけで報酬がもらえる」などとうたって手続き費用等として高額なお金を請求するサイトが紛れている場合があります。
    • 登録時は無料であっても、登録後にメッセージの送受信のためのポイントを購入する必要があったり、お金を受け取るための手続き費用等さまざまな名目で高額な請求を受け、支払いを続けても一向にお金を受け取ることができずトラブルになっています。安易に登録しないようにしましょう。

国民生活センター 新型コロナを口実にATMへ誘導する還付金詐欺!
  • 内容
    • 事例1:「3万円の還付金がある」と市役所を名乗る電話があり、口座のある銀行名を聞かれ答えた。その後、その銀行を名乗り「新型コロナの影響で65歳以上は銀行に入れないのでショッピングセンターのATMに行くように」と電話があった。不審だ。(60歳代 女性)
    • 事例2:役場を名乗る電話があり「介護保険料の返金がある。新型コロナの影響で返金期限が早まり手続きは本日までだ。携帯電話と通帳を持って銀行のATMへ行き、指定の電話番号に電話し指示どおりに操作するように」と言われたが詐欺ではないか。(60歳代 女性)
  • ひとこと助言
    • 役所などの公的機関や金融機関の職員が還付金手続きのためにATMの操作をするよう連絡することは絶対にありません。
    • 「お金が返ってくるのでATMに行くように」という電話があったら還付金詐欺です。相手にせず、すぐに電話を切ってください。
    • 新型コロナを口実にしてATMへ誘導する手口もみられます。心当たりがあっても、指示された番号に電話はかけず、役所の担当部署に確認してください。
    • 不審な電話があったら、すぐに最寄りの警察やお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(警察相談専用電話「#9110」消費者ホットライン「188」)。

国民生活センター レンタカー返却時に覚えのない傷を指摘され、高額な修理代を請求された
  • 質問
    • レンタカーを返却したところ、傷があるとして高額な修理代を請求されました。傷をつけたつもりはありません。保険にも入っていたため納得できず、支払いたくありません。
  • 回答
    • 事業者は、貸出時には傷がなく、返却時に傷があったと判断していると考えられます。事業者がそのように判断した状況等の説明を求めましょう。こうしたトラブルを防ぐために、利用前と返却時に必ず事業者といっしょに車の状態を確認し、記録(写真等)しておくようにします。記録がある場合には、事業者にそれを示し、傷をつけた覚えがないことを説明しましょう。傷をつけた意識はなくても、客観的な状況からレンタル中に傷をつけてしまったと考えられる場合もあります。
    • レンタカーの利用料金には自動車保険料が含まれているのが一般的です。しかし、傷をつけた(事故)際に警察に届け出ないとき、故意による事故、車内装備の汚損などがある場合には保険が適用されず、修理代を請求されることがあります。また、修理代とは別に休業補償の費用を負担するNOC(ノンオペレーションチャージ)を支払わなければならない場合もあります。修理代等の内訳について規約を確認したうえでレンタカー会社に問い合わせてみましょう。
  • 解説
    • レジャーやビジネスなどさまざまな場面で利用されているレンタカーですが、「つけた覚えのない傷の修理代を請求された」等返却時の修理代に関する相談が多く寄せられています。レンタカーの事業者は、車に保険をかけているのでレンタカーの利用料金には保険料が含まれているのが一般的ですが、事業者によって補償内容、加入条件や適用条件が異なります。
    • 契約前に、保険や補償に関するルールは忘れずにチェックし、保険の補償額や免責額、保険や補償制度の適用条件、事故やトラブルが起きた際の対応方法や事業者の連絡先、休業補償額等を確認し、不明な点は納得するまで事業者へ聞くことが大切です。
    • 保険や補償制度が適用されない例 あくまで例で、事業者によって異なる場合があります。
      • 警察への届け出や指定の連絡先への連絡がなかった場合
      • 貸渡約款に違反している場合(道路交通法等の法令違反(飲酒運転や無免許運転等)、出発時に申し出た者以外の運転、無断延長など)
      • 保険約款や補償制度の免責事項に該当する場合(故意による事故、パンクやタイヤの損傷、鍵の紛失、利用者の所有・使用・管理する財物の損害など)
      • 使用・管理上の落ち度があった場合(車内装備の汚損、無施錠での盗難、装備品の紛失など)

国民生活センター SNSをきっかけとした消費者トラブル-広告の内容はしっかり確認! 知り合った相手が本当に信用できるか慎重に判断を!-
  • SNSをきっかけとした消費者トラブルが10~20歳代の若者にも増えています。全国の消費生活センター等には、以下のような相談が寄せられています。
  • 相談事例
    • 【事例1】「定型文を送信するだけで月に100万円から200万円稼げる」というSNSの広告を見て副業サイトにアクセスし情報商材を購入したあと、高額なサポートプランの契約をした
    • 【事例2】SNSで知り合った相手とやり取りをしていたところ、「別のサイトでやり取りをしよう」と言われて出会い系サイトに誘引され、高額な費用を支払った
    • 【事例3】スマートフォンでSNS広告を見て1回のみと思い除毛クリームを注文したが、定期購入の契約になっていた
  • トラブル防止のポイント
    1. SNS上の広告はしっかり内容を確認しましょう
      • 大幅な値引きや低価格、商品の効果を過剰にうたうSNS上の広告や、「簡単にもうかる」「損はしない」などの投稿やメッセージはうのみにしないようにしましょう。SNS上の広告をきっかけとしたトラブルに多い通信販売にはクーリング・オフ制度がなく、事前にしっかり内容を確認することが大切です。
    2. SNS上で知り合った相手が本当に信用できるか慎重に判断しましょう
      • SNS運営事業者の利用規約では「SNSがきっかけでトラブルが発生しても責任を負わない」旨が定められていることがほとんどです。SNS上では話の合う「知り合い」でも、本当に信頼できる相手かは分かりません。お金を支払ったとたん相手と連絡が取れなくなることもあり、返金を求めることが困難になります。本当に信用できる相手なのか、慎重に判断しましょう。
    3. SNSを利用するにあたっては次の点にも注意しましょう
      • 学生証、運転免許証、健康保険証などの身分証明書の情報をSNSで送ってしまうと、あとで取り戻すことは難しく、より大きなトラブルに発展することがありますので、絶対に渡さないようにしましょう。
      • SNS上に投稿された情報は拡散すると消去が困難です。個人情報や自分の写真の投稿、身元が分かるような書き込みは安易にしないようにしましょう。
      • 中学生や高校生のトラブルも発生しています。家族でSNSの利用方法を話し合うとともに、ペアレンタルコントロールやフィルタリング機能も活用しましょう。
    4. 2022年4月から『18歳で大人』に!
      • 未成年者は、原則として、契約をするにあたって親権者等の同意を得なければなりませんが、同意を得ずになされた未成年者による契約は取り消すことができます。他方、大人になると一人で契約できる半面、原則として一方的にやめることはできません。
      • 成年年齢引き下げにより、20歳代に多いトラブルが18歳、19歳でも増えることが懸念されます。不安に思った時、トラブルにあった時は「188」に相談を!

国民生活センター 新型コロナウイルス感染症の検査キットでのトラブル-事前に注意事項をよく確認し、目的に合わせ、適切に利用しましょう-
  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に関連して、体調が気になる場合や旅行・イベント前に自身の状態について確認したい場合などに、新型コロナウイルスへの感染についてチェックできる検査キットに高い関心が寄せられていますが、全国の消費生活センター等には、新型コロナウイルス感染症の検査キットに関する相談が寄せられています。
  • そこで、消費者トラブルの未然防止を図るため、相談事例等を紹介するとともに、消費者に向けたアドバイスをまとめました。
  • 相談事例
    • 【事例1】PCR検査キットを購入したが、陽性か陰性ではなく、リスクの高低しかわからない
    • 【事例2】市販の抗原検査キットを使って検査したら陰性だったが、実際は陽性だった
    • 【事例3】抗体検査のための血液を自分で採取するものとは思わず、うまく採取できなかった
    • 【事例4】コンビニで購入したPCR検査キットの検体を送ることができない
    • 【事例5】サークル部員の検査キットを購入し検査したが、結果が返ってこない部員がいる
    • 【事例6】インターネットで抗原検査キットを注文したが商品は届かず、連絡もとれない
  • 新型コロナウイルス感染症に関する検査について ※本記載は2021年11月4日時点の情報に基づいています。
    • 新型コロナウイルス感染症を診断するための検査には、PCR検査、抗原検査(定性・定量)等があり、これらの検査キットのうち、消費者が入手できる、国の承認を受けているものは、「体外診断用医薬品」として販売されている一部の抗原検査キットのみです。
    • なお、「体外診断用医薬品」の抗原検査キットは、セルフチェック用として使用するもので、その結果であっても診断にはなりません。診断には医療機関への受診が必要です。
    • また、抗体検査は、過去に新型コロナウイルス感染症にかかったことがあるかを調べるものであるため、検査を受ける時点で感染しているかを調べる目的に使うことはできません。
  • 抗原検査とPCR検査の違い
    • 抗原検査(定性)
      • 調べるもの ウイルスを特徴づけるたんぱく質(抗原)
      • 精度 検出には一定以上のウイルス量が必要
      • 検査実施場所 検体採取場所で実施
      • 判定時間 約5~30分
    • 抗原検査(定量)
      • 調べるもの ウイルスを特徴づけるたんぱく質(抗原)
      • 精度 抗原検査(定性)より少ない量のウイルスを検出できる
      • 検査実施場所 検査機器等を要する
      • 判定時間 約30~40分
    • PCR検査
      • 調べるもの ウイルスを特徴づける遺伝子配列
      • 精度 抗原検査(定性)より少ない量のウイルスを検出できる
      • 検査実施場所 検査機器等を要する
      • 判定時間 数時間
  • 消費者へのアドバイス
    • 検査キットの結果だけでは新型コロナウイルスに感染しているか判断はできません
    • 利用前には、「検査で確認できること」や「検体のとり方・送り方」を確認しましょう
    • 悪質なインターネット通販サイトで取引をしないために、事業者の情報を確認しましょう
    • トラブルが生じた場合や不安に思った場合には、最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう

国民生活センター 飲料のカフェイン含有量に関する調査-知らずに多く摂取していることも!?-
  • 緑茶飲料、紅茶飲料、コーヒー飲料等の生産量は、2000年以降増加し、多くの消費者が日常的に飲用していますが、これらの飲料には原材料に由来するカフェインが含まれています。カフェインは、適量を摂取すれば頭が冴え、眠気を覚ます効果があるとされていますが、過剰に摂取すると、めまい、心拍数の増加、震え、下痢、吐き気等の健康被害をもたらすことが知られています。また、妊婦が多量のカフェインを摂取した場合、胎児が低体重となる可能性もあることが指摘されていますが、乳幼児を持つ母親を対象にした調査では、ほうじ茶、玄米茶といった飲料にカフェインが含まれているという認識が低いとの調査結果も報告されています。一方、以前からカフェインの摂取に気を付けている方に向け、「ノンカフェイン」、「デカフェ」等のカフェインが含まれていない、除かれていることをうたったコーヒー飲料や茶系飲料、紅茶飲料も販売されています。
  • PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)には、飲料のカフェインに関する相談が、2016年度からの過去5年あまりの間に69件寄せられており(2021年9月30日までの登録分)、食品添加物としてカフェインを多く含む清涼飲料水(いわゆる「エナジードリンク」)に関する相談や、中には、コーヒーにカフェイン含有量の表示がないのは問題ではないかという相談も寄せられています。
  • 飲料等へのカフェイン含有量の表示は義務ではなく、事業者が任意に行うこととされており、表示されていない商品も多く販売されていることから、消費者が意図せず多量のカフェインを摂取する場合もあると考えられます。そこで、市販されている78銘柄(茶系飲料32銘柄、紅茶飲料9銘柄、コーヒー28銘柄(ポーション、希釈、スティックタイプを含む)、炭酸飲料9銘柄)を対象にカフェインの含有量を調査し、消費者に情報提供することとしました。
  • テスト結果
    1. 茶系飲料
      • カフェインを含まないとうたった銘柄を除く、茶系飲料のすべての銘柄にカフェインが含まれており、その量は日本食品標準成分表2020年版(八訂)(以下、「成分表」とします。)における「コーヒー浸出液」(100g当たり60mg)の5~40%程度でした
      • カフェインが少ないとうたった銘柄のカフェイン含有量は、同じ分類の他の銘柄よりも少ないわけではありませんでした
    2. 紅茶飲料
      • 紅茶飲料のカフェインは、成分表の「コーヒー浸出液」の10~30%程度で、ミルクティーはストレートティーやレモン・フルーツティーよりも多く含まれていました
    3. コーヒー
      • ペットボトルまたは蓋付きの缶入りタイプ
        • 品名や名称が「コーヒー」と表示のある銘柄は、「コーヒー飲料」や「液体コーヒー」と表示のある銘柄よりもカフェイン含有量が多く、成分表の「コーヒー浸出液」よりも20~40%程度多く含まれている銘柄もありました
      • スティック、ポーション等
        • 表示どおりに希釈等した場合のカフェイン含有量は、成分表の「コーヒー浸出液」より少ない量でした
    4. 炭酸飲料
      • 炭酸飲料のうち、商品本体の原材料表示に「カフェイン」との記載がある銘柄のカフェイン含有量は、成分表の「コーヒー浸出液」の10~20%程度でした
  • 表示の調査
    1. カフェインの含有に関する表示
      • 商品本体にカフェイン含有量が表示されていたのは、茶系飲料32銘柄中10銘柄、コーヒー28銘柄中10銘柄、炭酸飲料9銘柄中5銘柄で、紅茶飲料9銘柄ではいずれも表示はありませんでした
      • 商品本体にカフェイン含有量の表示がなかった銘柄の中には、販売者等のウェブサイトには含有量が記載されている銘柄もありました
    2. カフェインが少ない、含まないことに関する表示
      • カフェインが少ない旨をうたった銘柄には、商品中のカフェイン含有量までは分からないものもありました
  • 消費者へのアドバイス
    • カフェインが含まれているコーヒーをはじめ、茶系飲料、紅茶飲料や一部の炭酸飲料を多く摂り、めまい、心拍数の増加、震え等の体調の異変を感じたら、カフェインの摂取に注意し、カフェインを含まない、もしくは、少ない飲料に置き換えるようにしましょう
    • 商品のカフェイン含有量を確認する際は、商品本体だけでなく、販売者等のウェブサイトでも情報を得られることがあります
  • 業界・事業者への要望
    • 商品中のカフェインについて、消費者からアクセスしやすく適切な情報提供をすることを要望します

国民生活センター 自宅を訪ねて来た不動産業者から自宅を売却してほしいと勧誘されましたが、売却する時にはどんなことに気をつけたらよいでしょうか。
  • 質問
    • 自宅を訪ねて来た不動産業者から「自宅を当社に売却してほしい」と勧誘されました。高齢なので、自宅の処分もいずれ考えなければと思っていますが、自宅を売却するとしたら、どんなことに気をつけたらよいでしょうか。
  • 回答
    • 不動産の取引は、必要な手続きも多く、複雑なしくみになっていることもあります。「自宅を売却してほしい」という勧誘を受けても、言われるままに契約せず、取引の内容をよく確認しましょう。自宅を売却してしまった場合、無条件で契約を解除することはできません。契約の内容を理解しないまま、安易に契約しないようにしましょう。
  • 解説
    • 不動産の売買に関しては、宅地建物取引業法(以下、宅建業法)においてさまざまな規制がされています。消費者が宅地建物を事務所等以外の場所で購入する(買主となる)場合には、宅建業法第37条の2に定める申し込みの撤回等(いわゆる「クーリング・オフ」)ができますが、「宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について」と限定されているため、消費者が不動産を売却する(売主となる)場合にはクーリング・オフはできません。このように、消費者が不動産の買主となる場合には適用される消費者保護規定が、売主となる場合には適用されないことがありますので注意が必要です。
    • また、自宅を不動産業者に売却する契約をして、手付金を受け取っていると、契約を解除するためには手付金の倍額を不動産業者に支払う必要があります(いわゆる「手付倍返し」)。また、多くの場合、手付倍返しによる契約の解除ができる期間は限られており、その期間を過ぎると、契約を解除するためには違約金を支払わなければならなくなります。不動産の取引は高額な取引であることが多く、手付金や違約金の額も高くなってしまうことがあるため、注意が必要です。
    • 自宅を売却する際は、どのような契約内容になっているのか、誰にいくらでいつ売却するのかなど、よく確認するようにしましょう。不動産業者の説明を聞いたり書類に目を通したりしても、よくわからないことや納得できないことがあるときは、それらが解決するまでは契約しないようにしましょう。
    • また、特に高齢者の場合には、契約する前に、家族や友人等の信頼できる人に相談し、できるだけ一人で対応しないようにしましょう

国民生活センター 蒸気が出る家電でのやけどに注意!
  • 事例1:寝室にある熱い蒸気が出る加湿器の電源を入れて、ドアを開けていた。子どもが寝室に入ってきて、蒸気の出口に手を突っ込み泣いた。手の指にやけどを負った。(当事者:9カ月 女児)
  • 事例2:炊飯器をキッチンにある高さ60~70センチの引き出しの上に置いていた。普段はキッチンの柵をしているが開いており、子どもが炊飯器の蒸気口に両手を置き泣いていた。母親が泣き声で気付いたが、やけどを負い24日間入院した。(当事者:1歳2カ月 男児)
  • ひとことアドバイス
    • 炊飯器、ポット、ケトル、スチーム式の加湿器などの家電から出る蒸気は、蒸気口では100度近い高温になっている場合があります。高温の蒸気は数秒触れただけでやけどを負う恐れがあるため大変危険です。
    • 蒸気が出る家電を使う際は、乳幼児の手が届かない位置に置きましょう。
    • 蒸気レス、蒸気カット、蒸気セーブなどの高温蒸気への対策機能が表示された家電もあります。蒸気によるやけどを防ぐために、これらを選ぶことを積極的に検討しましょう。
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