2021/09/21

危機管理トピックス

【省庁別記事(前半)】

【首相官邸】

【2021年9月】

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第76回(令和3年9月9日開催)資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、ほぼすべての地域で減少が続いているが、報告日別では、直近の1週間では10万人あたり約81と依然高い水準であり、未だに多くの地域でこれまでにない規模の感染者数の発生が継続している。年齢別に10万人あたりの感染者数をみると、10-40代の減少割合が高く、なかでも20代の減少が最も多い。これに比して、高齢の感染者の減少は小さいことには注意が必要。
    • 新規感染者数の減少に伴い、療養者数は減少傾向となったが、重症者数は高止まりで、過去最大の規模が継続している。また、死亡者数も増加傾向が続いている。多くの地域で公衆衛生体制・医療提供体制が厳しい局面が継続している。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(8/22時点)で0.87と1を下回る水準となり、首都圏では0.83、関西圏では0.97となっている。
  • 感染状況の分析【地域の動向等】 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    1. 首都圏(1都3県)
      • 東京では、新規感染者数は減少が続いているが、依然として約112で100を超える高い水準となっている。入院者数は20-50代を中心に高止まりし、70代以上の割合が増加。人工呼吸器又は人工心肺を使用している重症者は、50-60代が中心だが、70代以上で増加傾向が見られる。入院者数と重症者数は共に過去最高の水準だが減少の動きも見られ、療養等調整中数も減少が続いている。一方で、救急医療の受け入れなど一般医療の制限は継続している。
      • 埼玉、千葉、神奈川でも、新規感染者数は減少に転じているが、それぞれ、約85、112、110で依然として高い水準。いずれも10-50代が中心。病床、重症病床の使用率は高止まりしており、厳しい状況が続いている。夜間滞留人口は、神奈川では足下で増加に転じているが、東京、埼玉、千葉では減少が見られている。
    2. 沖縄
      • 新規感染者数は約212と全国で最も高い水準だが、今週先週比が0.74で、減少が継続。20-30代が中心だが、未成年の割合も上昇。重症病床使用率は9割前後を継続し、厳しい状況が続いている。夜間滞留人口は、減少に転じている。
    3. 関西圏
      • 大阪では、新規感染者数は減少が続いているが、約165と依然として100を超える非常に高い水準。20-30代が中心。入院者数と重症者数の増加が継続。夜間滞留人口はお盆明けから増加が続いており、感染の再拡大に留意が必要。滋賀、京都、兵庫でも、新規感染者数は減少が続き、それぞれ、約63、104、96。京都、兵庫では、入院者数が急速に増加。京都では、夜間滞留人口の減少が見られず、注視が必要。
      • その他、奈良では新規感染者数は減少に転じ、約83。和歌山では減少が続き、約39。
    4. 中京・東海
      • 愛知では、新規感染者数の減少に転じているが、約144と依然として100を超える非常に高い水準。一方、岐阜、静岡、三重では減少が続き、それぞれ、約71、60、71。愛知、三重では、重症病床使用率が5割を超える水準。夜間滞留人口は愛知、岐阜、静岡では低い水準で推移。三重では減少に転じている。
    5. 北海道
      • 新規感染者数は今週先週比が0.57で、減少が続き、約31(札幌市約46)。入院者数は減少傾向で、重症病床使用率は2割を切る水準が継続。夜間滞留人口は減少が続いている。
    6. 九州
      • 福岡では、新規感染者数は、減少が続いているが、約91。入院者数は高止まりし、厳しい状況となっている。重症病床使用率は2割を切る水準。夜間滞留人口は減少に転じている。その他九州各県では新規感染者数の減少が続いており、佐賀、長崎では、重症病床使用率が2割を切る水準。
    7. その他緊急事態措置対象地域
      • 宮城では、新規感染者数は減少が続き、約30。茨城、栃木、群馬では、新規感染者数は減少の動きが見られ、それぞれ約53、41、42。岡山、広島では、新規感染者数は減少の動きが見られ、それぞれ、約51、50。岡山では病床使用率が5割を切る水準。
    8. その他重点措置対象地域
      • 福島、富山、石川、山梨、香川、愛媛、高知では、新規感染者数の減少が続き、それぞれ、約19、23、20、34、28、13、51。特に、石川、山梨、愛媛、高知では、重症病床使用率は2割を切る水準。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 全国的にほぼすべての地域で感染者数の減少が続いている。感染場所として、飲食店や学校などの割合が減少し、自宅及び事業所の割合が増加している。感染者数が減少している要因としては、多くの市民の感染対策への協力に加え、夏休み中の連休やお盆の影響が減り、気温の低下など季節的な要因、ワクチン接種が現役世代を含めて進んできていること、さらには緊急事態宣言・重点措置地域における人流の減少、情報効果による行動変容等が考えられる。
    • 今後は、ワクチン接種率がさらに高まることも期待される一方、9月の連休や大学などの学校再開、社会活動の活発化、滞留人口の動向などもあり、感染状況を注視していくことが必要。このため、今後も、着実な感染の抑制につながるよう、家庭、職場、学校などにおける感染対策に加え、国と自治体が必要な取組を継続することが必要。
    • ワクチンの効果もあり、死亡者数は、過去の感染拡大期と比べれば低い水準であるものの増加が続いている。高齢の感染者や高齢者施設のクラスターの増加もあり、今後さらに死亡者数が増加することが懸念される。
    • 依然として高水準の感染者数が続いており、引き続き、災害レベルの状況にあるとの認識での対応が必要。多くの地域で医療・公衆衛生体制の厳しい状況が続き、少なくとも一般医療が制限されない感染状況まで改善するために必要な対策を継続するとともに、医療体制の強化、保健所業務の重点化や支援の強化などが引き続き必要である。
    • なお、地域の状況に応じ、対策の緩和を検討する際には、早期のリバウンドを避けるために、段階的な対応が必要。また、中長期的には、冬に向けて更に厳しい感染状況が生ずる可能性もあり、ワクチン接種の推進や積極的な検査の実施、中和抗体薬の活用など様々な取組を総合的に進めて行くことが必要。
      1. 自分や家族の命を守るために必要な行動を
        • 既にワクチンを接種した方も含め、市民は、自分や家族を守るためにも、外出はなるべく避けて、家庭で過ごしていただくことが必要。外出せざるを得ない場合も遠出をさけ、混雑した場所や時間など感染リスクが高い場面を避けること。引き続き、ワクチン接種を積極的に進めるとともに、少しでも体調が悪ければ検査・受診を行うこと。
      2. 基本的な感染対策の徹底を
        • 基本的感染防止策のほか、業種別ガイドラインの再徹底、職場での感染防止策の強化、従業員がワクチンを受けやすい環境(ワクチン休暇など)の提供、会議の原則オンライン化とテレワーク推進(特に基礎疾患を有する方や妊婦など)、有症状者は出社させず休ませることなどを徹底すること。
      3. 最大限に効率的な医療資源の活用を
        • 中和抗体薬の活用や、重症化に迅速に対応できる体制の早急な整備を進め、地域の医療資源を最大限活用して、必要な医療を確保することが求められる。さらに、今後も冬に向けて更に厳しい感染状況が生ずるという前提で、臨時の医療施設などの整備を含め、早急に対策を進める必要がある。

首相官邸 原子力防災会議 第12回 配布資料
▼資料1-1 「島根地域の緊急時対応」について
  • 地域原子力防災協議会での確認
    • 島根地域では、作業部会を33回開催し、本年7月30日の地域原子力防災協議会において、「島根地域の緊急時対応」が原子力災害対策指針等に照らし、具体的かつ合理的であることを確認
  • ポイント
    1. 原子力発電所が県庁所在地である島根県松江市に立地
      • 重点区域内の人口は、島根県と鳥取県あわせて46万人。
    2. PAZ内及びUPZ内住民避難に広域避難先を確保
      • PAZ内の住民(島根県松江市)の避難のために、島根県内の避難先を確保。
      • UPZ内の住民(島根県及び鳥取県の関係6市)の避難のために、島根県内、鳥取県内に加え、岡山県、広島県の避難先を確保。
    3. PAZ内及びUPZ内住民避難に複数の避難経路を確保
      • 避難のために、複数の避難経路を確保。
      • 避難に必要となるバスや福祉車両の輸送能力を確保。
    4. 感染症等の流行下における防護措置の反映
      • 避難車両、避難所などにおける感染症対策を実施。
    5. 避難を円滑に行うための対応策
      • 避難経路上の信号を制御できるよう、「原子力災害時の避難・誘導システム」を導入。
      • ウェブサイトやアプリにより、地区ごとの避難先施設までの経路等のほか、道路の渋滞情報などを提供。
    6. 実動省庁等の関係府省庁の協力
      • 原子力災害が発生した場合には実動省庁等の関係府省庁が協力して対応

【2021年8月】

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第75回(令和3年8月25日開催)資料
  • 感染状況について
    • 感染拡大の歯止めがかからず、全国の新規感染者数は、報告日別では、1か月近く過去最大の水準を更新し続けており、直近の1週間では10万人あたり約128となっている。首都圏に比べその他の地域、特に中部圏の今週先週比が高く、全国的にほぼ全ての地域でこれまでに経験したことのない感染拡大が継続している。
    • 感染者数の急速な増加に伴い、重症者数も急激に増加し、過去最大の規模となり、死亡者数も増加傾向となっている。また、療養者数の増加に伴い、入院等調整中の者の数も急速に増加している。公衆衛生体制・医療提供体制が首都圏だけではなく他の地域でも非常に厳しくなっており、災害時の状況に近い局面が継続している。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(8/8時点)で1.10と1を上回る水準が続いており、首都圏では1.04、関西圏では1.13となっている。
  • 感染状況の分析【地域の動向等】※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    • 首都圏や沖縄県などにおける新規感染者数について、感染者数の急増や検査陽性率が上昇している状況下では、実際の感染者数が過小に評価されているとの指摘もあるため、トレンドの分析には注意が必要である。
      1. 首都圏(1都3県)
        • 東京では、新規感染者数の増加スピードはやや鈍化しているが、なお増加傾向は継続しており、新規感染者数は約234で過去最大規模の感染拡大が継続している。20-40代が中心だが、高齢者や20代未満の感染者数も増加傾向。入院者数は20-50代を中心に増加が継続。60代以上でも増加が継続。人工呼吸器又は人工心肺を使用している重症者数では、40-60代を中心に高止まり。入院者数と重症者数は共に過去最高の水準で、夜間をはじめ新規の入院受け入れ・調整が困難な事例が生じている。自宅療養や入院調整中の者も急激な増加が継続し、過去最高の水準を更新し続けている。さらに、救急医療や集中治療室等の受け入れなど一般医療の制限も生じている。埼玉、千葉、神奈川では、新規感染者数は、それぞれ、約159、168、185。東京同様、増加スピードはやや鈍化しているが、過去最大規模の感染拡大が継続している。いずれも20-50代が中心だが、10代以下の感染者数も増加傾向。病床、重症病床の使用率が急速に上昇している。特に、神奈川では、ともに8割を超える厳しい状況が続いている。東京、千葉の夜間滞留人口は、お盆明けから増加に転じている。一方、埼玉、神奈川の夜間滞留人口は低い水準で横ばい。首都圏の今後の感染者数の推移に注視が必要。
      2. 沖縄
        • 新規感染者数の増加スピードはやや鈍化しているが、なお増加傾向は継続しており、新規感染者数は約314と全国で最も高く、過去に例のない水準が継続しているが、上げ止まり傾向も見られる。20-30代が中心。病床使用率及び重症病床使用率は9割に届く勢いであり、厳しい状況が続き、入院調整中の者も増加している。夜間滞留人口はお盆明けから減少に転じており、新規感染者数の減少につながるか注視が必要。
      3. 関西圏
        • 大阪では、新規感染者数は今週先週比が1.44で急速な増加が続き、約182。20-30代が中心。入院者数は増加が続き、重症者数も増加。
        • 夜間滞留人口はお盆明けで下げ止まり、感染の拡大は継続する可能性。重点措置から緊急事態措置に移行した京都、兵庫では、新規感染者数の増加傾向が続き、それぞれ、約132、124。いずれも、入院者数が急速に増加。重症病症使用率が急速に上昇し、厳しい状況となっている。滋賀では、新規感染者数の急速な増加が続いており、約102。夜間滞留人口は、滋賀では減少継続、京都では緩やかに減少。兵庫では下げ止まり。減少している地域で新規感染者数の減少につながるか注視が必要。
        • その他、奈良でも新規感染者数が急速な増加傾向が続き、約96。和歌山でも新規感染者数が増加に転じており、約60。
      4. 北海道
        • 新規感染者数は今週先週比が1.26で増加が続き、約69(札幌市約103)。重症病床使用率は2割を切る水準が継続。夜間滞留人口の減少は見られるが、依然高い水準であり、感染の拡大が継続する可能性。
      5. 北関東
        • 重点措置から緊急事態措置に移行した茨城、栃木、群馬では、新規感染者数は、増加傾向が続き、それぞれ約78、78、102。いずれも、入院者数、重症者数が増加傾向で、病床使用率は厳しい状況となっている。夜間滞留人口は、いずれも低い水準を維持。新規感染者の減少につながるか注視が必要。
      6. 中京・東海
        • 愛知では、新規感染者数は、今週先週比が1.94で急速な増加が続き、約121。静岡でも、新規感染者数は、今週先週比が1.60で急速な増加が続き、約106。いずれも、入院者数、重症者数の増加が継続。夜間滞留人口は愛知では、お盆明けから再び増加、静岡では下げ止まりつつあり、感染拡大の継続の可能性が懸念。新たに重点措置地域とされた岐阜、三重でも新規感染者数の急速な増加がみられ、それぞれ、約108、137。いずれも、今週先週比が2を超える水準となっている。
      7. 九州
        • 重点措置から緊急事態措置に移行した福岡では、新規感染者数は、今週先週比が1.33で増加が続き、約148。入院者数は増加が継続し、厳しい状況となっている。重症病床使用率は2割を切る水準。夜間滞留人口はお盆明けから増加に転じており、感染拡大が継続する可能性。熊本では、新規感染者数の増加傾向が続き、約97。新たに重点措置とされた鹿児島では、今週先週比が1.27で増加傾向が続き、約89。病床使用率が7割を超える厳しい状況となっている。
        • その他の各県でも急速な新規感染者数の増加が見られており、佐賀、長崎、大分、宮崎では、それぞれ、約108、44、115、78と25を超えており、特に、大分、宮崎では、今週先週比が1.5を超える水準となっている。
      8. その他重点措置対象地域
        • 福島、石川では、新規感染者数は、上げ止まりの動きが見られ、それぞれ、約38、45。夜間滞留人口は低い水準で推移、新規感染者の減少につながるか注視が必要。
        • 宮城、富山、山梨、岡山、広島、香川、愛媛でも、新規感染者数の増加傾向が続いており、それぞれ、約69、73、74、88、83、64、40。特に、富山、広島では、今週先週比が1.5を超える水準で急速に増加している。宮城、山梨では病床使用率が8割を超え、香川では7割を超える厳しい状況となっている。
      9. 上記以外
        • その他の地域でも多くの地域で急速な新規感染者数の増加が見られており、特に、青森、山形、新潟、福井、長野、山口、徳島、高知では、それぞれ約37、31、34、30、43、44、44、75と25を越え、急速な感染拡大となっている。
  • 変異株に関する分析
    • 1.617.2系統の変異株(デルタ株)は、スクリーニング検査での陽性率(機械的な試算、8/2-8/8)が約85%。直近では各地で9割を超える状況と推計されており、一部の地域を除き、B.1.1.7系統の変異株(アルファ株)からほぼ置き換わったと考えられる。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 緊急事態措置や重点措置の継続や拡大にも関わらず、お盆明けには滞留人口の増加の動きも見られ、デルタ株への置き換わりが進み、感染者数がこれまでにはない規模で全国的に増加しているが、今後お盆やお盆明けの社会活動の増加の影響もあり、更に感染者数が増加してくる可能性もある。こうした中で、重症者数も過去最大規模となり、死亡者数も増加傾向となっているが、高齢の感染者や高齢者施設のクラスターも増加しており、今後さらに死亡者が大きく増加することが懸念される。これまでにない災害レベルの状況にあるとの認識での対応が必要。また、20才未満の感染者が増加している。今後夏休み明けで学校が再開するが、感染が拡大しないよう対策が必要。ただし、小中高大学などの教育機関によって影響や対応法も異なることに注意が必要。
    • 中等症や重症患者の入院調整対応が困難となり、手術など一般医療の制限や救急での搬送が困難な事例も生じており、今後、コロナ対応の更なる強化に伴い、更なる制限も予想される。一刻も早く、現下の感染拡大を速やかに抑えるとともに、医療体制の強化、保健所業務の重点化や支援の強化などが必要である。
    • 感染力が高いデルタ株はこれまでとは違うレベルのウイルスであるという危機感を行政と市民が共有し、今一層の取組が必要。国や自治体においては、これまでの対策のより一層の強化やきめ細やかな呼びかけを行う。
      1. 命を守るために必要な行動を
        • 普段会わない人と会う機会が感染リスクを高めることが示されており、そのような感染の機会をできるだけ減らすことが必要。既にワクチンを接種した方も含め、市民は、自分や家族を守るためにも、外出はなるべく避けて(最低でもこれまでの半分以下の頻度に)、家庭で過ごしていただくことが必要。外出せざるを得ない場合も遠出をさけ、混雑した場所や時間など感染リスクが高い場面を避けること。引き続き、ワクチン接種を積極的に進めるとともに、少しでも体調が悪ければ検査・受診を行うこと。
      2. 学校などでの感染対策の徹底を
        • デルタ株の流行以降、10代以下の感染者数は増加傾向にある。保育所などの福祉施設や小中高大学などの教育機関においては、国立感染症研究所実地疫学センターから示された対策に関する提案を参考にした感染対策の強化が求められる。
      3. 基本的な感染対策の徹底を
        • 基本的感染防止策のほか、業種別ガイドラインの再徹底、職場での感染防止策の強化、会議の原則オンライン化とテレワーク推進(特に基礎疾患を有する方や妊婦など)、有症状者は出社させず休ませることなどを徹底すべき。
      4. 最大限に効率的な医療資源の活用を
        • 都道府県が主体となって地域の医療資源を最大限活用して、新たに特例承認された中和抗体薬の活用や、重症化に迅速に対応できる体制を早急に整備することにより、必要な医療を確保することが求められる。さらに、全国的に厳しい感染状況が少なくとも当面は続くという前提で、改正された感染症法第16条の2の活用や臨時の医療施設などの整備を含め、早急に対策を進める必要がある。

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第73回(令和3年8月17日開催)資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日別では、今週先週比が1.33で急速なスピードでの増加傾向が継続。過去最大の水準の更新が続き、直近の1週間では10万人あたり約78となっている。東京を中心とする首都圏や沖縄での感染拡大が顕著であるが、全国的にほぼ全ての地域で新規感染者数が急速に増加しており、これまでに経験したことのない感染拡大となっている。
    • 感染者数の急速な増加に伴い、これまで低く抑えられていた重症者数も急激に増加している。また、療養者数の増加に伴い、入院等調整中の者の数も急速に増加している。公衆衛生体制・医療提供体制が首都圏を中心に非常に厳しくなっており、もはや災害時の状況に近い局面を迎えている。
    • なお、直近の感染者数の数値は、3連休の影響等もあり、今後さらなる増加が継続する可能性もあることに留意が必要。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(7/25時点)で1.39と1を上回る水準が続いており、首都圏、関西圏では1.37となっている。
  • 感染状況の分析【地域の動向等】 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    1. 首都圏(1都3県)
      • 東京では、緊急事態措置が続いているが、新規感染者数は今週先週比が1.19で増加傾向が続き、約200。年末年始を超える過去最大の規模の感染拡大が継続。20-40代が中心だが、高齢者の感染者数も増加傾向。入院者数では20-50代を中心に増加が継続。60代以上でも増加の動き。人工呼吸器又は人工心肺を使用している重症者数では、40-50代を中心として増加傾向が継続。入院者数と重症者数は共に過去最高の水準となり、夜間をはじめ新規の入院受け入れ・調整が困難な事例もある。感染者の急増に伴い、自宅療養や調整中の者も急激に増加。さらに、集中治療室等での対応など一般医療の制限も生じている。
      • 埼玉、千葉、神奈川でも新規感染者数は20-30代中心に急増が続き、それぞれ、約120、107、140。東京同様、病床、重症病床の使用率が急速に上昇している。東京では夜間滞留人口の減少が続いているものの前回宣言時の水準には届いていない。また、夜間滞留人口に占める割合は、20・30代だけでなく、40・50代も高くなっている。埼玉、千葉では夜間滞留人口が減少に転じているが、神奈川では横ばい。首都圏では当面は感染拡大が続くことが見込まれる。
    2. 沖縄
      • 緊急事態措置が続いているが、新規感染者数は今週先週比が1.38で急速な増加傾向が続き、約248と全国で最も高く、過去に例のない水準となっている。20-30代が中心。入院者数は急速な増加が続き、病床使用率及び重症病床使用率は厳しい状況となっている。夜間滞留人口は再び減少に転じ、1回目の緊急事態宣言時を下回る水準まで減少。新規感染者数の減少につながるか注視が必要。
    3. 関西圏
      • 大阪では、新規感染者数は今週先週比が1.25で急速な増加傾向が続き、約86。20-30代が中心。入院者数は増加が続き、重症者数も増加。夜間滞留人口は減少に転じたが、依然高い水準であり、感染拡大が続くことが予測される。
      • 滋賀、京都、兵庫でも、新規感染者数の増加傾向が続き、それぞれ、約45、71、51。いずれも、入院者数が急速に増加。京都
      • 兵庫では、夜間滞留人口は減少、新規感染者数の減少につながるか注視が必要。
      • 奈良でも新規感染者数が急速な増加傾向が続き、約44。
    4. 北海道
      • 新規感染者数は今週先週比が1.34と急速な増加が続き、約44(札幌市約80)。重症病床使用率は2割を切る水準が継続しているものの、直近では上昇傾向。夜間滞留人口の減少は見られるが、依然高い水準であり、感染の拡大が継続する可能性。
    5. 中京圏
      • 愛知では、新規感染者数は、今週先週比が1.48で急速な増加傾向が続き、約33。静岡では、新規感染者数は、今週先週比が1.65で急速な増加が続き、それぞれ約38。いずれも、入院者数は増加が継続。重症病床使用率は2割を切る水準。愛知では、夜間滞留人口が直近で増加に転じており、感染の拡大が継続する可能性。
      • 三重でも新規感染者数の急速な増加傾向がみられ、約28。
    6. 九州
      • 福岡、熊本では、新規感染者数は、今週先週比が1.5を超える水準で急速な増加が続き、それぞれ、約95、44。入院者数は増加が継続。
      • 重症病床使用率は2割を切る水準。夜間滞留人口の減少は見られるが、新規感染者数の減少につながるか注視が必要。その他の各県でも急速な新規感染者数の増加が見られており、特に、佐賀、大分、鹿児島では、それぞれ、約32、25、32と25を超えており、急速な感染拡大となっている。
    7. その他重点措置対象地域
      • 茨城、栃木、群馬では、新規感染者数は、急速な増加傾向が続き、それぞれ約61、47、50。福島、石川では、それぞれ、約32、45で高止まりや減少の動きが見られる。いずれも病床使用率が5割を超えている。夜間滞留人口の減少は見られるが、新規感染者数の減少につながるか注視が必要。
    8. 上記以外
      • その他の地域でもほぼすべての地域で急速な新規感染者数の増加が見られており、特に、宮城、富山、福井、山梨、鳥取、岡山、香川では、それぞれ約28、30、25、48、31、36、29と25を越え、急速な感染拡大や高止まりとなっている。
  • 変異株に関する分析
    • 1.617.2系統の変異株(デルタ株)は、スクリーニング検査での陽性率(機械的な試算、7/26-8/1)が約67%。上昇が続いており、置き換わりが進んでいる。特に、東京では、約8割で、直近では約95%と推計されており、ほぼ置き換わったものと考えられ、現下の感染拡大の大きな要因となっていると考えられる。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 緊急事態措置や重点措置が継続しているが、デルタ株への置き換わりが進む中で、滞留人口の減少も限定的で、感染者数がこれまでにはない規模で増加しているため、重症者数も急速に増大している。比較的若い層の重症者だけでなく、60代でも絶対数として増えていることにも注意が必要。
    • これまでに経験したことのない感染拡大の局面を迎えているが、医療提供体制や公衆衛生体制の拡充による対応には限界があり、集中治療室等での対応など一般医療の制限や救急での搬送が困難な事例も生じている。多くの命が救えなくなるような危機的な状況さえ危惧され、一刻も早く、現下の感染拡大を速やかに抑えることが必要であり、改めて、こうした危機感を行政と市民が共有して対応し、ただちに、接触の機会を更に削減することが必要である。
      1. お盆は県境を越えた移動、外出を控えて:お盆の帰省は延期の検討を
        • 感染の機会をできるだけ減らすことが必要。普段会わない人と会う機会が感染リスクを高める。自分や家族を守るためにも、今週から始まるお盆休みや夏休みの期間においては、県境を越えた移動や外出を控え、できるだけ家庭で過ごしていただくことが必要。
      2. 基本的な感染対策の徹底を
        • 感染は商業施設を含む職場や学校など地域にも急速に広がっている。飲食の場面への対策は引き続き徹底し、飲食を介した家庭内や職場への伝播を徹底的に防ぐ必要がある。既にワクチンを接種した方も含め、改めて、マスク、手指衛生、人との距離の確保、換気などの基本的感染防止対策のほか、業種別ガイドラインの再徹底、職場での感染防止策の強化、会議の原則オンライン化とテレワーク推進(特に基礎疾患を有する方や妊婦など)、有症状者の出社の自粛などを徹底すべき。さらに、少しでも体調が悪い場合、軽い症状でも早めの受診、積極的な検査、適切な療養に繋げることが必要。また、こうした基本的な対策とあわせて、引き続き、ワクチン接種を積極的に進めることが必要。
      3. 最大限に効率的な医療資源の活用を
        • 感染が急拡大する地域では、それぞれの地域の状況を踏まえ、新たに示された「患者療養の考え方」に基づき、都道府県が主体となって地域の医療資源を最大限活用して、新たに特例承認された中和抗体薬の活用や、重症化に迅速に対応できる体制を早急に整備することにより、必要な医療を確保することが求められる。さらに、全国的に急速な感染拡大が続くという前提で、夜間救急の体制などを含め対策を進める必要がある。併せて、医療関係者の濃厚接触者に対する取扱いについて、速やかに整理・対応が必要。
      4. 検査の促進
        • PCR検査や抗原検査陽性者を確認した場合、医師や医療機関は保健所の判断がなくとも、濃厚接触の可能性のある者に検査を促すべきと考えられる。

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第72回(令和3年8月5日開催)資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日別では、今週先週比が2.09と急速な増加が続き、直近の1週間では10万人あたり約59と過去
    • 最大の規模となっている。東京を中心とする首都圏だけでなく、全国の多くの地域で新規感染者数が急速に増加しており、これまでに経験したことのない感染拡大が継続している。また、感染者数の急速な増加に伴い、これまで低く抑えられていた重症者数も増加が続いている。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(7/18時点)で1.35と1を上回る水準が続いており、首都圏では1.33、関西圏では1.30となっている。報告日別の新規感染者数の動きを見ると、さらに上昇することが見込まれる。
    • 感染状況の分析【地域の動向等】 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値
    1. 首都圏(1都3県)
      • 東京では、緊急事態措置が続いているが、新規感染者数は今週先週比が1.89と急速な増加が続き、約168。年末年始を超える過去最大の規模の感染拡大。20-40代が中心。入院者数では20-50代を中心に増加が継続。人工呼吸器又は人工心肺を使用している重症者数では、40-50代を中心として増加傾向が継続。いずれも5月の感染拡大時を超える水準となっている。感染者の急増に伴い、自宅待機を余儀なくされる者や調整中の者が急増。さらに、一般医療の制限も生じている。埼玉、千葉、神奈川でも新規感染者数は20-30代中心に急増が続き、それぞれ約86、80、103。3県とも今週先週比が2を超えており急速に増加。東京では夜間滞留人口は微減にとどまっており、先週後半には増加に転じた。一方、埼玉、千葉でも夜間滞留人口の大きな減少が見られておらず、首都圏では当面は感染拡大の継続が避けられない状況。
    2. 沖縄
      • 緊急事態措置が続いているが、新規感染者数は今週先週比が2.17と急速な増加が続き、約179。20-30代が中心。入院者数は急速に増加しており、病床使用率及び重症病床使用率は厳しい状況となっている。4連休中に大幅に減少した夜間・昼間の滞留人口は再度増加に転じており、感染拡大が続くことが避けられない状況。
    3. 関西圏
      • 大阪では、新規感染者数は今週先週比が1.90と急速な増加が続き、約69。20-30代が中心。入院者数は増加が続き、重症者数も増加に転じている。夜間滞留人口は、依然高い水準でありながら増加傾向がみられ、感染拡大が続くことが予測される。
      • 京都、兵庫でも、新規感染者数の増加が続き、それぞれ、約46、38。いずれも、重症病床使用率は2割を切る水準が継続しているが、夜間滞留人口は依然高い水準が続いており、感染拡大が継続する可能性が非常に高い。
      • 滋賀、奈良、和歌山でも新規感染者数が急速な増加がみられ、それぞれ、約26、31、27。
    4. 北海道/石川/福岡
      • まん延防止等重点措置(重点措置)が適用された北海道、石川、福岡では、新規感染者数の急増が続き、それぞれ約33(札幌市56)、56、60。いずれも、重症病床使用率は2割を切る水準が継続。いずれも夜間滞留人口の減少が見られるが、北海道では、依然高い水準であり、感染の拡大が継続する可能性が非常に高い。
    5. 上記以外
      • 重点措置が解除された愛知では、新規感染者数は今週先週比が2.24と急速に増加し、約22。重症病症は2割を切る水準が継続。
      • その他の地域でもほぼすべての地域で急速な新規感染者数の増加が見られており、特に、福島、茨城、栃木、群馬、福井、山梨、鳥取、岡山、熊本では、それぞれ33、46、42、36、27、31、30、25、29と25を超え、今週先週比も2を超える水準で急速な感染拡大となっている。
  • 変異株に関する分析
    • 1.617.2系統の変異株(デルタ株)は、スクリーニング検査での陽性率(機械的な試算、7/19-7/25)が約45%。上昇が続いており、置き換わりが進んでいる。特に、東京では、5割を超えており、直近では約9割に達すると推計されている
  • 今後の見通しと必要な対策
    • デルタ株への置き換わりが進む中で、滞留人口の減少も限定的で、感染者数がこれまでにはないスピードで増大しているため重症者数も急速に増大している。比較的若い層の重症者だけでなく、高齢者でも絶対数として増えていることにも注意が必要。死亡者はまだ少ない状態で推移しているが、重症例が増加していること、死亡例の発生には遅れがあることなどから今後死亡例も増加に転じていく可能性がある。現下の急速な感染拡大を速やかに抑えることが必要であり、改めて、こうした危機感を行政と市民が共有して対応し、接触の機会を更に削減する方策を検討することが必要。
    • 最大限に効率的な医療資源活用の必要性
      • 医療・公衆衛生体制への負荷に関し、特に、感染が急拡大している東京では20-50代を中心に入院者の増加が続き、またこれまでとは違い40‐50代の重症者が急激に増えており、既に一般医療の制限が生じている。熱中症などで救急搬送が増加するなど一般医療の負荷も増加する中で、通常であれば助かる命も助からない状況になることも強く懸念される。その他の感染が拡大している地域でも、東京と比べ医療体制が限られる中で、今後同様の状況が生じることが強く懸念される。一方、ワクチン接種の進展に伴い、患者像が変化してきている。こうした中で、感染が急拡大する地域では、それぞれの地域の状況を踏まえ、重症者や中等症でも重症化リスクの高い者が確実に入院できる体制を確保しつつ、自宅待機者への往診の強化、宿泊療養施設への医療の投入に加え、自宅療養・宿泊療養者での健康観察を促進する。さらに往診、訪問看護等の地域の医療資源を最大限活用して、重症化に迅速に対応できる体制を早急に整備することにより、必要な医療を確保することが求められる。
    • 夏休みに向けて基本的対策の徹底を
      • 感染は商業施設を含む職場や学校など地域にも急速に広がっている。飲食の場面への対策は引き続き徹底し、飲食を介した家庭内や職場への伝播を徹底的に防ぐ必要がある。改めて、マスク、手指衛生、人との距離の確保、換気などの基本的感染防止対策のほか、業種別ガイドラインの再徹底、職場での感染防止策の強化とテレワーク推進、有症状者の出社の自粛などを徹底すべき。特にマスクについては、飛沫防止効果の高い不織布マスクなどの活用を推奨する。今後の3連休、夏休み、お盆休みにおいて普段会わない人と会う機会が感染リスクを高めるため、県境を越えた移動は控えること。さらに、少しでも体調が悪い場合、軽い症状でも早めの受診、積極的な検査、適切な療養に繋げることが必要。こうした取組をしっかり発信していくことが重要。

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼新型コロナウイルス感染症対策本部(第71回)議事次第
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日別では、増加が続き、直近の1週間では10万人あたり約28。今週先週比が1.54と急速に拡大している。東京を中心とする首都圏だけでなく、関西圏をはじめ全国の多くの地域で新規感染者数が増加傾向となっており、これまでに経験したことのない感染拡大となっている。また、連休による影響で、今後の報告数が上積みされる可能性も留意する必要がある。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(7/11時点)で1.27と1を上回る水準が続いており、首都圏では1.26、関西圏では1.39となっている。
  • 感染状況の分析【地域の動向等】 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    1. 首都圏(1都3県)
      • 東京では、新規感染者数は増加が続き、約89。今週先週比は1.49と急速な感染拡大が継続。20-40代が多く、65歳以上の割合は約3%まで低下しているものの、実数では増加がみられる。本来であれば入院すべきだが自宅待機を余儀なくされる者や入院者数や調整中の者は増加が続いている。高流量の酸素投与が必要な患者も増加しているとの指摘もある。人工呼吸器又は人工心肺を使用している重症者数も増加傾向となり、年代別では40-50代が最大となっている。感染者数の急増が続けば、入院療養等の調整の遅れや一般医療も含めた医療への負担が懸念される。
      • 一方で、埼玉、千葉、神奈川でも新規感染者数は20-30代中心に増加が続き、それぞれ約43、40、45。3県とも感染者数が急速に増加。東京では夜間滞留人口が前回の緊急事態措置の際と比べ、緩やかな減少にとどまっている。一方、千葉では夜間滞留人口が増加。埼玉、神奈川では減少しているものの、大きな減少が見られておらず、東京を中心に当面は感染拡大の継続が見込まれる。
    2. 沖縄
      • 新規感染者数は増加が続き、約83。今週先週比が上昇傾向で2.15と急速な再拡大となっている。20-30代が中心だが高齢層でも増加が見られる。入院者数は増加に転じ、重症病床使用率は厳しい状況が継続。夜間・昼間とも滞留人口が大幅に減少し、今回の緊急事態措置中の最低水準に再び到達。新規感染者数の減少につながるか、注視が必要。
    3. 関西圏
      • 大阪では、新規感染者数は20-30代中心に増加が続き、約36。今週先週比は1.52と急速な感染拡大が継続。入院者数は増加傾向だが、重症病床使用率は約13%。夜間滞留人口は減少に転じたが、依然高い水準で、感染拡大が続くことが懸念される。
      • 京都、兵庫、奈良でも、新規感染者数の増加が続き、それぞれ、約19、16、14。いずれも、重症病床使用率は2割を切る水準が継続しているが、兵庫、京都では夜間滞留人口の増加が続いており、感染拡大が続くことが懸念される。
    4. 上記以外
      • まん延防止等重点措置が解除された北海道、愛知、福岡では、新規感染者数の増加傾向が続き、それぞれ約16、10、21。いずれも、病床使用率、重症病床使用率は2割を切る水準が継続。いずれも夜間滞留人口の減少が見られるが、北海道、福岡では、依然高い水準であり、感染の拡大が懸念される。
      • その他の地域でも新規感染者数の増加が見られており、茨城、栃木、石川では15を超えて増加傾向が続いている。特に、石川では飲食店などのクラスターで約38、夜間滞留人口も増加している。重症者数は1人で横ばいだが、入院者数は増加しており、留意が必要。
  • 変異株に関する分析
    • 1.617.2系統の変異株(デルタ株)は、スクリーニング検査での陽性率(機械的な試算)が、全国的には約33%で上昇が続いており、置き換わりが進んでいる。特に、東京では、4割を超えている。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 東京、沖縄、埼玉、千葉、神奈川、大阪では、緊急事態措置やまん延防止等重点措置が講じられているが、滞留人口の減少は限定的で感染拡大を防ぐに至っていない。デルタ株への置き換わりも進む中で、これまでにない急速な感染拡大となっている。
    • 特に、東京では感染者の増加が続き、40-50代を中心に入院者の増加が続いており、既に一般医療への影響が生じている。熱中症などで救急搬送が増加するなど一般医療の負荷も増加する中で、このままの状況が続けば、通常であれば助かる命も助からない状況になることも強く懸念される。埼玉、千葉、神奈川および感染が拡大している地域でも今後同様の状況が生じることが強く懸念される。こうした危機感を行政と市民が共有出来ていないことが、現在の最大の問題。
    • 7月8日に改訂された基本的対処方針及び7月16日の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長談話「夏休み期間中の感染拡大を防ぐために」に基づく対策の徹底により、感染拡大を速やかに抑えることが求められる。改めて、マスク、手指衛生、人との距離の確保などの基本的感染防止対策のほか、職場での感染防止策の強化とテレワークを徹底すべき。また、飲食の場面への対策を徹底すること。さらに、職場、学校、家庭において、少しでも体調が悪い場合、軽い症状でも早めの受診、積極的な検査につなげることが必要。こうした取組をしっかり発信していくことが重要。
    • 各自治体では、感染状況や医療提供体制の負荷の状況を踏まえ、機動的な介入により急拡大を抑制することが必要である。その際には、高齢者のワクチン接種が進んだことにより、感染者数の増加に比べて、重症者数は低くなる傾向にあるが、入院者数や自宅療養者数、調整中の者の数などその他の指標も踏まえ、公衆衛生・医療提供体制の負荷の状況や見込みをとらえることが求められる。感染拡大が一定期間は継続することも前提に、宿泊療養施設の確保や自宅療養環境の体制整備も含め医療提供・公衆衛生体制の確保・連携を進めておくことが必要。

【2021年7月】

首相官邸 政府与党連絡会議
  • 静岡県熱海市の大規模な土石流では、依然として10名の方々が行方不明となっており、現場では、警察、消防、自衛隊、海上保安庁などが、引き続き、懸命に捜索に当たっております。先週、私自身、被災現場を訪れ、土石流の激しさを実感し、また、避難所では、被災者の方のお話を直接お伺いいたしました。行方不明者の捜索やライフラインの復旧を全力で進め、併せて、住民や事業者の皆さんが、前を向いて生活や生業(なりわい)を再建できるよう、政府与党が一体となって取り組んでいきたいと思います。また、毎年のように大雨災害をもたらしている線状降水帯の発生を予測するため、観測の強化や技術開発を思い切って前倒しで進めて、被害の軽減に努めていきたいと思っています。
  • 新型コロナの新規感染者は、東京を中心とする首都圏などにおいて増加が続いています。各自治体と緊密に連携し、感染対策を徹底しながら、ワクチン接種を進めております。酒類提供の停止に関する要請は撤回いたしましたが、飲食店や酒類の販売事業者の皆さんに不安や混乱を生じさせてしまいました。大変申し訳ないことであり、内閣全体として、今後こうしたことのないよう、気を付けていきたいと思います。また、支給の遅れが指摘されていた協力金についても、早期給付の仕組みを導入したところであり、飲食店の皆様に営業時間短縮等の要請に御協力いただけるよう、努めてまいりたいと思います。
  • ワクチンについては、総接種回数は7,000万回を超え、高齢者の8割を超える方々が1回、6割近くの方が2回の接種を終えています。そうした中で、東京では、一時は20パーセントを超えていた新規感染者に占める高齢者の割合が、4パーセント前後まで低下しており、感染者数が増加する中にあっても、重症者数は横ばいで推移しています。予想を上回るペースで接種が進む中で、今後のワクチン供給に不安が生じ、新規の予約停止など、御迷惑をお掛けしましたが、今後も、1日20万回程度の職域接種以外に、自治体においては、1日当たり120万回程度のペースで接種できるワクチンを配分していく予定であります。引き続き、ワクチンの配分のめどを速やかに自治体に共有し、緊密に連携しながら、一人でも多くの方に、一日も早く接種いただけるよう全力を尽くします。そして、10月から11月には完了させることをめどに、その中でできるだけ早く進めてまいります。
  • 東京オリンピックの開幕まで3日となりました。国民の命と健康を守ることを最優先に、海外から入国する選手・大会関係者への水際対策や入国後の検査や行動管理など、感染対策を徹底して行い、併せて、テロ対策を含めたセキュリティ対策に全力を尽くしてまいります。安全・安心な大会の実現に向けて、最後まで高い緊張感を持って取り組んでまいります。皆さんの御理解と御協力をお願いします。
  • 感染防止とワクチン接種の加速化に全力で取り組み、一日も早く安心の日常を取り戻すことができるように、ポストコロナに向けて力強い経済を作り上げていく、そのために、与党の皆様と力を合わせ、全力を尽くしてまいりたいと思います。引き続きの御協力をよろしくお願い申し上げます。

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策の進捗に関する関係閣僚会議
▼第4回 資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日別では、増加が続き、直近の1週間では10万人あたり約18、今週先週比も上昇傾向が続いている。東京を中心とする首都圏だけでなく、関西圏をはじめ多くの地域で新規感染者数が増加傾向となっている。重症者数、死亡者数は下げ止まりから横ばい。また、感染者に占める高齢者割合は引き続き低下傾向。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(7/4時点)で1.17と1を上回す水準が続いており。首都圏では1.17、関西圏では1.27となっている。
  • 感染状況の分析【地域の動向等】 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    1. 首都圏(1都3県)
      • 東京では、新規感染者数は増加が続き、約59、今週先週比は上昇傾向で1.49と、急速な感染拡大が継続。20-40代が多く、65歳以上は実数では増加がみられるものの、割合は約4%まで低下。人工呼吸器又は人工心肺を使用している重症者数は横ばいだが、入院者数や調整中の者は増加傾向であり、高流量の酸素投与が必要な患者も増加。感染者数がこのまま増加すると、入院療養等の調整の遅れや一般医療も含めた医療への負担が懸念される。
      • 一方で、埼玉、千葉、神奈川でも新規感染者数は20-30代中心に増加が続き、それぞれ約27、27、33。3県とも今週先週比の1以上が3週間以上継続し、埼玉で1.87、千葉、神奈川でも1.4弱で、感染者数が急速に増加。いずれも30代以下が約6割。重症病床使用率は概ね2割を切る水準が継続。
      • 東京では夜間滞留人口の減少が続いているが、前回の緊急事態措置の際と比べ、緩やかな減少となっている。一方、埼玉では夜間滞留人口の増加が継続。千葉、神奈川では横ばい。措置の強化からまだ1週間であり、東京を中心に少なくとも当面は感染が拡大することが強く懸念される。
    2. 沖縄
      • 新規感染者数は増加に転じ、約38。20-30代が中心。一方で、これまでの新規感染者の減少に伴い、病床使用率は低下傾向。重症病床使用率は厳しい状況が継続。夜間・昼間とも滞留人口が増加し、特に夜間滞留人口は緊急事態措置適用前の水準に戻りつつあり、感染の拡大が懸念される。
    3. 関西圏
      • 大阪では、新規感染者数は20代中心に増加が続き、約24。今週先週比の1以上が2週間継続し、上昇傾向で1.89。感染者数が急速に増加。入院者数は下げ止まりから増加傾向となっているが、重症者数は減少傾向が継続。重症病床使用率は12%程度で横ばい。夜間滞留人口は増加が続いており、感染拡大が続くことが懸念される。
      • 京都、兵庫、奈良でも、新規感染者数の増加が続き、それぞれ、約11、11、10。いずれも、重症病床使用率は2割を切る水準が継続しているが、兵庫、京都では夜間滞留人口の増加が続いており、今後の動きに留意が必要。
    4. 上記以外
      • まん延防止等重点措置が解除された北海道、愛知、福岡では、新規感染者数が再度増加傾向となり、それぞれ約12、7、10。いずれも、病床使用率、重症病床使用率は2割を切る水準が継続。北海道、愛知、福岡では夜間滞留人口の増加もみられ、特に、北海道、福岡で急激に増加。感染の拡大が懸念される。
      • その他の地域でも新規感染者数の増加が見られており、特に、石川、鳥取では15を超えて増加傾向が続いており、留意が必要
  • 変異株に関する分析
    • B1.617.2系統の変異株(デルタ株)は、クラスターが複数報告され、市中での感染も観察されている。スクリーニング検査での陽性率(機械的な試算)は、全国的には21%程度で上昇が続いている。B.1.1.7系統の変異株(アルファ株)よりも感染性が高いことが示唆されており、今後置き換わりが進むことが予測され、注視していく必要がある。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 直近の感染状況において、医療機関や福祉施設のクラスターの割合は低下している。一方で、職場・会食・学校・保育施設などを介した感染は継続しているため、これらの場における感染予防が重要となる。軽い風邪症状でも早期の受診と簡易キットも活用した検査を進めることが必要。また、家庭内での感染も多い。家庭内でも軽い風邪症状がある場合には、家庭内でもマスク着用などの感染予防策が重要。
    • これまでも首都圏での感染拡大が起こっている中で、連休の後には、各地での感染拡大する傾向が見られている。明日からは4連休が始まり、今後も夏休み、お盆などを迎えるが、既に各地で感染の拡大がみられており、更なる感染拡大に繋げないよう、各自治体は、一層の危機感をもって、感染対策に取り組むことが必要。
    • このためにも、7月16日の新型コロナウイルス感染症対策分科会会長談話「夏休み期間中の感染拡大を防ぐために」もあるように、帰省や旅行での県境を越えるような移動は慎重を期していただくとともに、普段会わない人と会う機会は、感染拡大のリスクが高くなることから、必要最小限にすることが必要。4連休を含め夏期休暇中は家族など普段会う人とできるだけ自宅ですごしていただくことが重要。
    • 東京、沖縄、埼玉、千葉、神奈川、大阪では、緊急事態措置やまん延防止等重点措置が講じられているにも関わらず、急速に感染者数が増加している。7月8日に改訂された基本的対処方針に基づく対策の徹底により、感染拡大を早期に抑えることが求められる。飲食における感染がその後の家庭や会社等での感染につながることも考慮し、宅飲みや路上飲みを含めた飲食の場面への対策を徹底すること。休暇中はできるだけ自宅で過ごしていただくとともに、職場ではテレワークの徹底と健康観察・感染対策の徹底。また、不要不急の外出・移動は自粛するとともに、そうした取組をしっかり発信していくことが重要。
    • 各自治体では、感染状況や医療提供体制の負荷の状況を踏まえ、機動的な介入により急拡大を抑制することが必要である。また、感染拡大が一定期間は継続することも前提に、宿泊療養施設の確保や自宅療養環境の体制整備も含め医療提供・公衆衛生体制の確保・連携を進めておくことが必要。
    • ワクチンの接種が高齢者中心に進み、新規感染者数に占める高齢者の割合が昨年秋以降で最も低い水準となっており、新規感染者数の増加に比べ、重症者数の増加が抑えられている傾向もみられる。また、接種歴別に人口当たりの感染者数を見ると、65歳以上では、2回接種で未接種と比べ大幅に低下しているというデータもあり、こうした点について引き続き分析が必要。治療薬についても中和抗体薬が新たに特例承認され、選択肢も増加している。一方で、40、50代の感染者数が増加しており、高齢者以外にも引き続き接種を着実に進める取組が必要。また、ワクチンについては、接種進展に伴う効果について適切に分析・評価するとともに、ワクチン接種が十分に進んだ後の適切な感染防止策等の在り方についても検討していくことが必要。
    • 置き換わりが進むデルタ株については、L452R変異株スクリーニングにより全国的な監視体制を強化するとともに、引き続き積極的疫学調査や検査の徹底等により、感染拡大を可能な限り抑えていくことが必要。また、水際対策についても、各国の感染状況等も踏まえ、引き続き迅速に対応することが必要。

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策の進捗に関する関係閣僚会議
▼第3回 資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日別では、増加が続き、直近の1週間では10万人あたり約12、今週先週比も1以上が2週間継続している。特に、東京を中心とする首都圏の感染拡大が顕著で、周辺や全国への影響が懸念されるが、関西圏も7月に入り感染拡大が明確になっており、その他の地域でも新規感染者数が増加に転じる動きが見られている。一方で、重症者数、死亡者数の減少傾向は継続。また、感染者に占める高齢者割合は引き続き低下傾向。
      • 実効再生産数:全国的には、直近(6/27時点)で1.05と1を上回す水準となっており。首都圏では1.10、関西圏では1.13となっている。
  • 感染状況の分析【地域の動向等】 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    • 首都圏(1都3県)
      • 東京では、新規感染者数は増加が続き、約40、今週先週比は1.32。感染者は20-40代が多く、65歳以上は増加がみられるものの、割合は4%程度まで低下。50代以下を中心に、入院者数は増加傾向が継続しているが、重症者数は増加傾向から直近は横ばい。埼玉、千葉、神奈川でも新規感染者数は増加が続き、それぞれ約14、19、24で、今週先週比の1以上が2週間以上継続。夜間滞留人口は、東京では緩やかな減少が継続。一方、埼玉、千葉、神奈川では夜間・昼間とも滞留人口が増加。東京でも宣言解除後の1週目で急増しており、東京を中心に少なくとも当面は感染が拡大することが強く懸念される。現状では、全国の新規感染者数の約3分の2を首都圏が占めている状況であるが、周辺や全国への拡大を波及させないためにも、対策の徹底が必要。
    • 沖縄
      • 新規感染者数は減少傾向が続き、約23。20-30代が中心だが、60歳以上も2割弱。新規感染者数の減少に伴い、病床使用率は低下し、自宅療養、入院等調整中は減少傾向となっているが、重症病床では厳しい状況が継続。夜間滞留人口は増加が止まり横ばいとなっているが、新規感染者数の減少が継続するか注視が必要。
    • 関西圏
      • 大阪では、新規感染者数は増加傾向となり、約13。病床使用率、重症病床使用率は2割を切る水準が継続。夜間滞留人口は再び増加に転じ、3月半ばと同様の高い水準となっており、感染拡大が続くことが懸念される。
      • 京都、兵庫でも、新規感染者数の増加の動きが見られ、いずれも、約6。
    • 上記以外
      • まん延防止等重点措置が解除された北海道、愛知、福岡では、新規感染者数が増加に転じる動きがみられ、それぞれ約8、6、6。北海道、愛知では夜間滞留人口の増加もみられ、リバウンドが懸念される。
      • その他の地域でも新規感染者数の増加が見られており、岩手、宮城、福島、茨城、石川などでは、留意が必要。
  • 変異株に関する分析
    • 1.617.2系統の変異株(デルタ株)は、クラスターが複数報告され、市中での感染も観察されている。スクリーニング検査での陽性率(機械的な試算)は、全国的には11%程度で上昇が見られる。B.1.1.7系統の変異株(アルファ株)よりも感染性が高いことが示唆されており、今後置き換わりが進むことが予測され、注視していく必要がある。
    • ワクチンについては、変異株に対しても二回接種後には有効性を示す研究結果も報告されている。引き続き、分析を進めていく必要がある。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 今後、4連休や夏休み、お盆などを迎えるが、普段会わない人と会う機会は、感染拡大のリスクが高くなり、必要最小限にすることが必要。また、首都圏での感染拡大を各地での感染につなげないためにも、帰省や旅行での県境を越えるような移動には、慎重を期していただくこと等が必要であり、そうしたメッセージがしっかりと伝わるよう発信をしていくことが必要。
    • 7月8日に、東京を緊急事態措置地域とし、埼玉、千葉、神奈川、大阪、沖縄でのそれぞれの措置を延長することが決定された。7月8日に改訂された基本的対処方針に基づく対策の徹底により、感染拡大を早期に抑えることが求められる。大人数や長時間での飲食や、飲酒を伴う会食に複数回参加することで感染リスクが高まることも示唆されており、そうした感染がその後の家庭や会社等での感染につながることも考慮し、宅飲みや路上飲みを含めた飲食の場面への対策を徹底すること。職場においてはテレワークの徹底と健康観察・感染対策の徹底。また、不要不急の外出・移動は自粛するとともに、そうした取組をしっかりと発信していくことが重要。
    • 東京では、入院者数は増加傾向で、40代・50代の重症者数は前回の感染拡大期と同水準となっている。措置の強化に伴う効果が出てくるまで少なくとも2週間程度はかかることが見込まれ、今後もしばらくの間、感染拡大が続くことが予想される。このため、そうした状況を前提とした医療提供・公衆衛生体制の確保・連携が求められる。
    • その他の地域でも、新規感染者数が増加に転じた地域がある。高齢者のワクチン接種が進む中で、重症者数と死亡者数の減少傾向が続いている。このことが、医療提供体制の状況への評価に及ぼす影響について検討が必要だが、感染者数が急増すれば重症病床より先に入院病床がひっ迫するとの予測も示されており、感染拡大の予兆があれば機動的な介入により急拡大を抑制することが必要である。
    • 医療機関や高齢者施設でのクラスターが減少する一方、職場や学校・教育施設などでの発生が見られており、こうした場での感染予防の徹底等の対応が必要。
    • ワクチンの接種が高齢者中心に進む中、高齢者の新規感染者数の割合が昨年秋以降で最も低い水準となるなど、ワクチンの効果が示唆されてきており、引き続き接種を着実に進めることが必要。また、ハイリスクな感染の場や感染経路に着目した戦略的なワクチン接種を進めることも流行制御に重要と考えられる。その際、特に若年層を中心に、懸念や不安の払拭が必要。
    • ワクチンについては、発症予防、重症化予防とともに、感染予防効果を示唆する報告もある。接種進展に伴う効果について適切に分析・評価するとともに、ワクチン接種が十分に進んだ後の適切な感染防止策等の在り方について検討していくことが必要。
    • 置き換わりも懸念されるデルタ株については、L452R変異株スクリーニングにより全国的な監視体制を強化するとともに、変異株に対する積極的疫学調査や検査の徹底等により、感染拡大を可能な限り抑えていくことが必要。また、水際対策についても、各国の感染状況等も踏まえ、引き続き迅速に対応することが必要。

首相官邸 知的財産戦略本部
▼知的財産推進計画2021の概要
  • 日本企業の知財・無形資産投資活動の深刻な低迷
    • コロナ後のデジタル・グリーン成長による経済回復戦略を進める中で企業の知財・無形資産活用が鍵に。
    • 一方、リーマンショック後の企業の研究開発投資額は、諸外国では短期間に回復。日本は、いまだ低迷。
    • 米国では企業価値の源泉が無形資産に変わる中、日本ではその貢献度が低い。
    • 日本企業の知財・無形資産投資を増大させるメカニズムの構築が必要
  • 知財・無形資産投資・活用促進メカニズム 知的財産戦略推進事務局
    • 改訂「コーポレートガバナンス・コード」で、知的財産への投資について、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識した情報開示と取締役会による実効的な監督を記載。投資家は知財に着目。 ⇒ 知財投資・活用戦略の開示・発信・対話を促し、投資家から評価され、更なるイノベーションに向けた資金獲得へ。
    • 知財戦略の発信・対話や事業全体に対する担保権の創設などの取組。知財取引環境を整備。 ⇒ 中小・スタートアップのイノベーションを活性化
  • 官民一丸となった重点的な「標準活用」推進
    • デジタル化により、企業/業界単位のピラミッド型のバリューチェーン構造から、横断的な機能「レイヤー」でつながるネットワーク型システムへと産業構造が変化。マーケットにおける競争優位を確立する上で、標準戦略が不可欠な手段に。
    • 標準活用戦略推進のための知財事務局を司令塔とする政府内の体制を整備。 重点分野を定め、官民が連携して、標準戦略を強力に推進。
  • 重点分野
    1. スマートシティ
      • DFFT、インフラ輸出、経済安保の観点も踏まえつつ、国際標準戦略を推進。
    2. Beyond5G
      • 5Gでは、国際標準を活用してきた外国企業が優勢。
      • Beyond 5Gでは、光電融合技術(IOWN構想)などの日本の強みを生かして、標準戦略で巻き返し。
    3. グリーン成長(水素・燃料アンモニア)
      • 水素の国際サプライチェーンは現在存在せず、日本として先行的に構築。燃料アンモニアは、先行して商用化可能。
      • 運搬船関連設備・機器、燃焼利用仕様等に係る国際標準戦略を推進。
    4. スマート農業、スマート・フードチェーン
      • 農業機械や水田農業での水管理等の強みを活かせるプラットフォームを基に、アジアをはじめ展開するための国際標準戦略を推進。
    5. 国際商流・物流プラットフォーム(指定準備)
      • 商社や物流事業者が国際取引を進める上で活用する、貿易手続・商流・物流のデジタルプラットフォームの構築・相互連接に関する標準化を検討・推進。
  • データ活用促進に向けた環境整備
    1. データは流通・活用されてはじめて情報財としての価値を発揮。データ活用促進のための環境整備は知財戦略上の喫緊の課題。
    2. 諸外国はデータ流通基盤(プラットフォーム)を急速に整備 例:欧州GAIA-X/IDS(International Data Space)
    3. 我が国も「包括的データ戦略」に基づき、分野別(防災、健康・医療・介護、教育等)及び分野連携のデータ流通基盤(DATA-EX)を整備する方針。
    4. 各プラットフォーム上のデータ提供・活用時のデータ取扱いルールの整備を進めるため、基盤共通のルール整備ガイドラインを策定する方針。
    5. データ取引市場の創設でデータ取引価値を見える化し、データ収集・加工等への投資誘発環境を整備
  • データ活用に向けた環境整備
    1. 分野別/分野連携のデータ流通基盤を構築
    2. データの価値付けを行うデータ取引市場の創設、トラスト基盤・データ交換モデル・データ品質担保の仕組みを整備
    3. データ流通の阻害要因を払拭するため、データ取扱いルールの原則を策定
    4. データ流通の阻害要因
      1. 提供先での目的外利用(流用)
      2. 知見等の競合への横展開
      3. パーソナルデータの適切な取り扱いへの不安
      4. 提供データについての関係者の利害・関心が不明
      5. 対価還元機会への関与の難しさ
      6. 取引の相手方のデータガバナンスへの不安
      7. 公正な取引市場の不在
      8. 自身のデータが囲い込まれることによる悪影響
  • デジタル時代に適合したコンテンツ戦略
    • デジタル化の進展によりコンテンツ市場の量的・質的な構造変化が進行(一般人を含むクリエイターの多様化、配信ルートの多様化、コンテンツの多様化、流通量の増大)
    • デジタル化で市場拡大のチャンス。権利処理コストがネック。
    • 膨大かつ多種多様な著作物等を簡素迅速に権利処理できる環境の整備が必要。 ⇒大量、多種多様なコンテンツに関する一元的権利処理制度を実現(拡大集中許諾制度等を基に検討し、年内に結論、来年度に措置)
  • クールジャパン戦略の再構築
    • 大前提として、クールジャパン関連分野の存続確保のために必要な施策を着実に実施。
    • コロナ後の社会の変化や世界の人々の価値観の変化への対応、輸出からインバウンドへの好循環の構築、デジタル技術の活用の要素を追加すること等により、クールジャパン戦略を再構築する。
  • 知的財産推進計画2021の全体像
    1. 競争力の源泉たる知財の投資・活用を促す資本・金融市場の機能強化
      • 「コーポレートガバナンス・コード」改訂による企業の知財経営強化
      • 「知財投資・活用戦略に関する開示等ガイドライン(仮称)」の策定
      • 「事業成長担保権(仮称)」の創設による融資促進 等
    2. 優位な市場拡大に向けた標準の戦略的な活用の推進
      • 標準活用戦略の政府司令塔機能の強化
      • 重点分野の拡大と関係省庁重要施策への予算追加配分制度の活用
      • 研究開発独法連合による「標準活用支援サービスプラットフォーム」の強化(日本版NIST) 等
    3. 21世紀の最重要知財となったデータの活用促進に向けた環境整備
      • データ流通取引上のデータ取扱いルールの整備
      • 分野別/分野間データ連携基盤(プラットフォーム)の構築
      • データの価値付けを行うデータ取引市場の創設 等
    4. デジタル時代に適合したコンテンツ戦略
      • 一元的な権利処理に向けた著作権制度改革 等
    5. スタートアップ・中小企業/農業分野の知財活用強化
      • 中小企業・スタートアップの知財取引の適正化 等
    6. クールジャパン戦略の再構築
      • クールジャパン関連分野の存続確保
      • 新型コロナの影響を踏まえたクールジャパン戦略の再構築(価値観の変化への対応、 輸出からインバウンドへの好循環、デジタル技術の活用

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第70回(令和3年7月8日開催)資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日別では、増加傾向に転じており直近の1週間では10万人あたり約9となっている。東京を中心とする首都圏では、増加が続いており、感染の再拡大が強く懸念される。一方で、これまでの新規感染者数の減少に伴い、重症者数、死亡者数も減少傾向が続いているものの、東京ではすでに入院者数、重症者数ともに増加に転じる動きが見られる。また、感染者に占める高齢者割合は引き続き低下傾向。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(6/20時点)で1.02と1を上回す水準となっており。首都圏では1.09となっている。
  • 感染状況の分析【地域の動向等 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    • 首都圏(1都3県)
      • 東京では、新規感染者数は増加が続き、約30、今週先週比は1.22で、1以上が2週間継続。特に20代中心に10-30代が多く、學校教育施設のクラスターも散見されている。65歳以上は少なく、6%程度(ただし、実数では増加しており、留意が必要。)。50代以下を中心に、入院者数、重症者数は増加に転じている。PCR検査陽性率も上昇傾向。埼玉、千葉、神奈川でも新規感染者数の増加の動きが見られ、それぞれ約11、16、16。夜間滞留人口は、東京では連日の雨の影響等により微減。埼玉、千葉、神奈川でもほぼ横ばいとなっているが、東京では、宣言解除後の1週目で急増しており、東京を中心に今後も感染が拡大することが強く懸念される。首都圏の新規感染者数が全国計の約3分の2を占めており、周辺や全国への拡大を波及させないためにも、対策の徹底が必要。
    • 沖縄
      • 新規感染者数は減少が続いているが、約27と依然として高い水準で、減少速度が鈍化。20-30代が中心。新規感染者数の減少に伴い、病床使用率や自宅療養、入院等調整中は減少傾向となっているが、特に重症病床では厳しい状況が継続。新規感染者数の減少速度が鈍化する中、夜間滞留人口の増加が続いており、今後の動向に注視が必要。
    • 関西圏
      • 大阪、京都、兵庫では、新規感染者数は横ばいから微増で、約9、5、4。いずれも入院者数、重症者数は減少傾向で、病床使用率、重症病床使用率は2割を切る水準。大阪、兵庫では、宣言権解除後の1週間で急増した夜間滞留人口・昼間滞留人口は、連日の雨の影響等で減少。京都では夜間滞留人口の増加が継続。特に大阪で滞留人口の増加傾向が続くと、リバウンドに向かうことが強く懸念され、警戒が必要。
    • 愛知
      • 新規感染者数の減少傾向が続き、約4。入院者数、重症者数も減少傾向で、病床使用率、重症病床使用率は2割を切る水準。今後も新規感染者数の減少が見込まれるが、夜間滞留人口の増加が続いており、新規感染者数の減少傾向が継続するか注視が必要。
    • 北海道
      • 新規感染者数は下げ止まりで、約4。感染の中心である札幌市では、約8。入院者数、重症者数も減少傾向で、病床使用率、重症病床使用率は2割を切る水準。宣言解除後の1週間で急増した夜間滞留人口は、ほぼ横ばい。新規感染者数の減少傾向が継続するか注視が必要。
    • 福岡
      • 新規感染者数は下げ止まりで、約4。入院者数、重症者数も減少傾向で、病床使用率、重症病床使用率は2割を切る水準。昼間滞留人口は顕著に増加しているが、夜間滞留人口は低い水準を維持。新規感染者数の減少傾向が継続するか注視が必要。
  • 変異株に関する分析
    • 1.617.2系統の変異株(デルタ株)は、クラスターが複数報告され、市中での感染も観察されている。スクリーニング検査での陽性率(機械的な試算)は、全国的には7%程度と、足下では未だ低い水準ではあるものの上昇が見られる。B.1.1.7系統の変異株(アルファ株)よりも感染性が高いことが示唆されているが、今後置き換わりが進むことが想定され、注視していく必要がある。
    • ワクチンについては、変異株に対しても二回接種後には有効性を示す研究結果も報告されている。引き続き、分析を進めていく必要がある。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 東京で若い年齢層を中心とする新規感染者数の増加が続いており、今週先週比の1以上が継続し、検査陽性率の上昇など今後の感染拡大の継続が予想される。今後、4連休や夏休み、お盆などで県境を越えるような移動が活発になり、普段会わない人と会う機会が増えるなど、これまでの日常とは異なる行動につながる可能性があり、更なる感染拡大や各地への影響が強く懸念される。東京ではすでに入院者数、重症者数は増加傾向で、40代・50代の重症者数は前回の感染拡大期と同水準となっており、感染を抑制するための対策の徹底が必要。大人数や長時間での飲食や飲酒を伴う会食に複数回参加することで感染リスクが高まることも示唆されているが、夜遅くまで酒類の提供を行う飲食店やマスク無しの会食も散見されており、見回りや働きかけを積極的に行うなど、飲食の場面への対策を徹底・強化していくことが重要。また、沖縄では新規感染者数の減少速度が鈍化、医療提供体制の指標は改善されてきているものの、特に重症病床で厳しい状況が継続。対策の徹底が必要。
    • その他の地域でも、新規感染者数が下げ止まりや横ばいから増加に転じた地域がある。高齢者のワクチン接種は進んでおり、重症者数と死亡者数は減少傾向が続いている。このことが、医療提供体制の状況への評価に及ぼす影響について検討が必要だが、感染者数が急増すれば重症病床より先に入院病床がひっ迫するとの予測も示されており、このため、まん延防止等重点措置が解除された場合でも、地域の感染状況を踏まえ、対策の緩和は段階的に行うとともに、感染拡大の予兆があれば機動的な介入により急拡大を抑制することが必要である。
    • こうした中で、今後、4連休や夏休みなどを迎えるが、どのような対応を求めていくか、速やかに発信していくことが必要。
    • ワクチンの接種が高齢者中心に進む中、高齢者の新規感染者数の割合が昨年秋以降で最も低い水準となるなど、ワクチンの効果が示唆されてきており、引き続き接種を着実に進めることが必要。また、ハイリスクな感染の場や感染経路に着目した戦略的なワクチン接種を進めることも流行制御に重要と考えられる。その際、特に若年層を中心に、懸念や不安の払拭が必要。
    • ワクチンについては、発症予防、重症化予防とともに、感染予防効果を示唆する報告もある。接種進展に伴う効果について適切に分析・評価するとともに、ワクチン接種が十分に進んだ後の適切な感染防止策等の在り方について検討していくことが必要。
    • 置き換わりも懸念されるデルタ株については、L452R変異株スクリーニングにより全国的な監視体制を強化するとともに、変異株に対する積極的疫学調査や検査の徹底等により、感染拡大を可能な限り抑えていくことが必要。また、水際対策についても、各国の感染状況等も踏まえ、引き続き迅速に対応することが必要。

首相官邸 小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会(第16回)
▼資料2:ドローンの利活用促進に向けた技術開発について
  • レベル4実現後のドローン利活用の展望
    • レベル4実現により、物流、点検をはじめ各分野においてさらなるドローンの利活用拡大が期待。
    • 「セキュリティの確保されたドローン開発」、「機体の安全性向上・高性能化」により、安心安全を確保するとともに、「運航体制の省人化」によってドローン利活用のポテンシャルを引き出すことが重要。
    • また、これまで開発してきたドローンの運航管理システムの社会実装を進めつつ、空飛ぶクルマといった新たな航空機が登場し低高度空域の混雑が想定されることを踏まえ、「ドローン・空飛ぶクルマ・航空機の安全かつ効率的な空域共有」に向けても議論を進める必要がある。
  • 今後の方向性について
    1. 安全安心なドローンの開発と利活用拡大
    2. 機体認証制度に即した試験方法開発および産業規格化
      • 機体安全性向上・高性能化を実現するには、機体認証制度で求められる基準をクリアすることが必要。
      • このための企業による技術開発の指針となるような産業規格を策定し、産業育成につなげるとともに機体の安全性向上・高性能化を実現する。
      • 現状は第二種機体認証について産業規格化の取組を進めており、第一種機体認証は基準の検討にあわせ着手予定。
      • 要素技術の高性能化について今後検討。
      • 策定した産業規格は国際標準化。
    3. 運航の省人化
      • レベル4の実現に加え、ドローンの利活用をさらに後押しするためには、ドローン運航の省人化を通してより効率的な運航を実現することが必要。
      • 1運航者による複数経路×複数機といった運航では、異常発生時において、機体の自律飛行技術や運航者による安全確保措置等によって安全な運航を担保する必要がある。
      • 自律飛行技術を開発するとともに、それを踏まえた運航体制をあわせて検証し、運航の省人化を実現する安全性評価手法を確立する。
    4. ドローン運航管理システム(UTMS)の社会実装とドローン・空飛ぶクルマ・航空機との調和
      • これまでドローンの運航管理システム(UTMS)を開発。37機の同時飛行に成功@福島RTF。
      • 2021年度は全国での地域実証を通じ、さらなる技術・制度課題を抽出し、レベル4下でのUTMSの社会実装を進めていく。
      • さらに、2022年度以降は、空飛ぶクルマ・航空機も含めた空域共有に向けた技術的検証に取り組み、これらの空域共有に向けた議論を進める。
  • 安全安心なドローンの利活用拡大に向けて(NEDOによる機体開発)
    • 開発体制
      • ACSL:設計・開発
      • ヤマハ発動機:量産体制構築
      • NTTドコモ:セキュリティ、クラウド管理 等
    • 仕様
      • 重量:1.7kg
      • 最大飛行時間:30分
      • リモートID:Bluetooth(ASTM準拠)
    • 機能
      • 自動飛行及びルートの自動生成機能、3方向センサによる衝突回避、画像トラッキング
    • オプション
      • 赤外線カメラ、マルチスペクトルカメラ、RTK等
    • セキュリティ対策
      • 飛行記録情報、撮影データ、通信情報の暗号化
      • 国内サーバクラウドにデータ保存
    • スケジュール
      • 2021年4月 実機完成
      • 2021年夏頃 フライトコントローラのインターフェース公開 ―生産体制整備―
      • 2021年内 政府調達市場等に投入予定 電力・インフラ事業者にも売込み 米印等への海外展開

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策の進捗に関する関係閣僚会議
▼第2回 資料
  • ワクチン接種が順調に進んでいるが、今後の見通しにはまだ大きな不確実性
    • デルタ型変異株の推移・感染力に大きな不確実性
  • 高齢者ワクチン接種がある程度進むと、全体の重症化率は低下する
    • しかしながら、高齢者以外での感染拡大で医療逼迫は起こり得る
  • 慎重に経済活動を促進してくことで、再度宣言発令を回避できる
    • 短期的には経済にとって負担だが、中・長期的には必ずしもそうではない
  • ワクチン接種ペースの想定
    • 現役世代の接種開始で、今後は1日当たり平均100万回を達成へ
    • 職域接種の集中により、夏場(7~8月)は1日当たり140万回まで上振れる可能性も
    • 1日100万回ケースの場合、2021年度のGDPを約1%押し上げ(経済成長率は約4%に)。サービス消費の回復前倒しで約6兆円の経済効果(GoTo再開は2022年1~3月期を想定)
    • 夏場1日140万回(9月以降100万回)ケースでは、10~12月期にGoTo再開が可能に。2021年度GDPを約2%押し上げ(経済成長率は約5%に)。経済効果は約12兆円
    • 1日100万回まで加速した場合、サービス業は1~2割の売上増。約30万人の雇用増加
    • 夏場に1日140万回(9月以降100万回)まで加速した場合、サービス業は2~4割の売上増。約60万人の雇用増加
  • 今後、徐々に新たな接種希望者の減少が問題となる可能性
    • 接種が先行する米国では、接種率が4割を超えた段階で普及ペースが鈍化
    • 日本も接種忌避や未決定層が多く、秋口には新たな接種希望者の減少に直面する可能性
    • ワクチンの普及が遅れれば、経済正常化に時間を要し、経済効果が十分得られない
  • ワクチン接種加速の日本経済への影響
    • ワクチン接種ペースの加速を踏まえた疫学モデルシミュレーション
    • 接種ペース加速による2021年度GDPの押し上げ効果
    • 今夏は日本のコロナ禍「最後の正念場」 ― 夏場1日140万回(9月以降100万回)を実現しても、デルタ型変異株が早期に広がれば、緊急事態宣言の再発令や、まん延防止措置の延長の可能性
  • 今後の課題
    • 変異株や人出増加を踏まえた夏場の感染再拡大リスク評価
    • 新たな接種希望者の減少によるワクチン普及の遅延
    • 接種を後押しする経済的インセンティブ導入に関する提言
  • 東京オリンピック・パラリンピック期間中における出勤者数削減に関する調査
    1. テレワーク及び休暇の取組
      • テレワーク実施可能な従業員(全従業員の67%)について、テレワークによる出勤者数の削減割合(現在の取組は59%)は、オリパラ大会期間中は61%に増加し、お盆を含む期間においては休暇取得が増加することの影響もあって57%となる見込み。
      • 休暇による出勤者数の削減割合については、お盆を含む期間はほぼ例年並みの見込みであるが、オリンピック大会期間で1.26倍、パラリンピック大会期間で1.13倍、本年は例年よりも休暇が多く取得される見込み
    2. 出勤者数削減に関する取組
      • テレワーク及び休暇による出勤者数の削減割合を全従業員ベースに換算すると、現在の取組は46%となっているのに対し、オリンピック大会期間においては50%(4ポイント増加)、パラリンピック大会期間において49%(3ポイント増加)となり、お盆を含む期間においては55%(9ポイント増加)となる見込み
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日別では、減少傾向が続いてきたが、横ばいから微増となり、直近の1週間では10万人あたり約8となっている。東京を中心とする首都圏では、増加に転じており、感染の再拡大が強く懸念される。一方で、これまでの新規感染者数の減少に伴い、重症者数、死亡者数も減少傾向が続いている。また、感染者に占める高齢者割合は引き続き低下傾向。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(6/13時点)で0.87と1を下回る水準が継続しているが上昇傾向。首都圏では1.00となっている。
  • 感染状況の分析【地域の動向等】 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。
    • 首都圏(1都3県)
      • 東京では、新規感染者数は増加に転じ、約25、先週今週比も上昇傾向で1.22。特に20代中心に10-30代が多く、学校・教育施設のクラスターも散見されている。65歳以上は少なく、5%程度。重症者数は減少傾向。埼玉では、増加に転じる動きが見られ、約9、先週今週比は1.24。千葉、神奈川は横ばいから微増で、それぞれ約13、15、先週比も直近で1を越えている。首都圏全体で20代が多い。東京では、宣言解除後の1週間で夜間滞留人口が18%増加。深夜帯も急増。埼玉、千葉、神奈川では、酒類の提供が可能となった夕方の滞留人口が顕著に増加。夜間滞留人口も増加。特に、東京で今後も感染が拡大することが強く懸念される。周辺や全国への拡大を波及させないためにも、対策の徹底が必要。
    • 沖縄
      • 新規感染者数は約33と依然として高い水準であるが、減少が継続している。20-30代が中心。病床使用率は高水準となっているが、新規感染者数の減少に伴い、自宅療養や入院等調整中は減少に転じ、入院率は上昇傾向。夜間滞留人口の増加が続いており、新規感染者数は高い水準にも関わらず減少速度が鈍化。今後の動向に注視が必要。
    • 関西圏
      • 大阪では、新規感染者数は下げ止まりから横ばいで、約8。京都、兵庫では減少傾向が続き、それぞれ約4、3。入院者数、重症者数も減少傾向で改善が見られる。大阪では、宣言権解除後の1週間で夜間滞留人口・昼間滞留人口とも急増。深夜帯も急増。兵庫、京都でも夜間滞留人口が増加。特に大阪で滞留人口の増加傾向が続くと、リバウンドに向かうことが強く懸念され、警戒が必要。
    • 愛知
      • 新規感染者数の減少が続き、約5。新規感染者数の減少に伴い、入院者数、重症者数の減少が見られ、病床使用率、重症病床使用率は低下傾向。今後も新規感染者数の減少が見込まれるが、酒類の提供が可能となった夕方の滞留人口が顕著に増加。夜間滞留人口も増加しており、新規感染者数の減少傾向が継続するか注視が必要。
    • 北海道
      • 新規感染者数は減少が続き、約4。感染の中心である札幌市でも減少が続き、約9。今後も新規感染者数の減少が見込まれるが、宣言解除後の1週間で夜間滞留人口が急増しており、新規感染者数の減少傾向が継続するか注視が必要。
    • 福岡
      • 新規感染者数の減少傾向が続き、約4。新規感染者数の減少に伴い、入院者数、重症者数の減少が見られ、病床使用率、重症病床使用率は低下傾向。今後も新規感染者数の減少が見込まれるが、酒類の提供が可能となった夕方の滞留人口が顕著に増加。夜間滞留人口も増加しており、新規感染者数の減少傾向が継続するか注視が必要。
    • 上記以外
      • 福井では、新規感染者数が約15。直近では減少に転じているが、飲食店関係者を中心とした増加がみられたところであり、留意が必要。
  • 変異株に関する分析
    • 1.617.2系統の変異株(デルタ株)は、クラスターが複数報告され、市中での感染も観察されている。スクリーニング検査での陽性率(機械的な試算)は、全国的には5%程度と、足下では未だ低い水準ではあるものの上昇が見られる。B.1.1.7系統の変異株(アルファ株)よりも感染性が高いことが示唆され、今後置き換わりが進むとの指摘もあり、注視していく必要がある。
    • ワクチンについては、変異株に対しても二回接種後には有効性を示す研究結果も報告されている。引き続き、分析を進めていく必要がある。
  • 今後の見通しと必要な対策
    • 東京で新規感染者数が増加に転じており、東京及び首都圏における更なる感染拡大や各地への影響が強く懸念される。これまで解除後速やかに人流の増加やリバウンドが起こった経験や、デルタ株によりこれまでより感染拡大が速く進む可能性があることも踏まえると、特に、東京において対策の徹底が必要。夜遅くまで酒類の提供を行う飲食店やマスク無しの会食も散見され、飲食の場面への対策を強化していくことが重要。また、その他の地域でも、先週今週比の上昇している地域があり、同様に対策の徹底が必要。
    • 緊急事態措置やまん延防止等重点措置の対象となっている地域や解除された地域の多くで、人流の急増が見られている。このため、新規感染者数の減少が鈍化あるいは下げ止まりや横ばいから増加に転じた地域もある。高齢者のワクチン接種は進んでおり、重症者数と死亡者数は減少傾向が続いているが、感染者数が急増すれば重症病床より先に入院病床がひっ迫するとの予測も示されており、感染拡大の予兆があれば機動的な介入により急拡大を抑制することが必要である。
    • 先般取りまとめられた「令和3年6月21日以降における取組」に基づき、職域接種なども含めワクチン接種を着実に進めるとともに、感染の拡大を抑制するための必要な取組を今後も継続・徹底すべきである。
    • ワクチンの接種が高齢者中心に進んでいる。発症予防、重症化予防と共に、感染予防効果を示唆する報告もあり、感染状況への影響、入院者数、入院等調整状況、入院率、重症者数の推移、それに伴う医療提供体制等の負荷の状況への影響などを適切に評価することが必要。また、今後も接種の促進に努めるとともに、ハイリスクな感染の場や感染経路に着目した戦略的なワクチン接種を進めることも流行制御に重要と考えられる。特に、若年層を中心に、懸念や不安の払拭が必要。
    • 置き換わりも懸念されるデルタ株については、L452R変異株スクリーニングにより全国的な監視体制を強化するとともに、変異株に対する積極的疫学調査や検査の徹底等により、感染拡大を可能な限り抑えていくことが必要。また、水際対策についても、引き続き迅速に対応することが必要

【衆議院/参議院】

※現在、該当の記事はありません。

【内閣府】

【2021年9月】

内閣府 経済財政諮問会議
▼第12回経済財政諮問会議(令和3年9月3日) 議事要旨
  • (新浪議員)先日、2週間ほどアメリカ、特にカリフォルニア州とニューヨーク州を訪問した。御案内のとおりワクチンの接種率が高く、それと比例して消費経済の再開が大変活発になっており、日本との違いに驚いた。まさに繰越需要が明確に出ており、例えば私どもの会社が米国で事業を行っている中で、消費財の需要が供給を上回っているような大変な状況になっている。確かに州によっては70%の接種率という壁がある状況で、バイデン大統領、州知事たちも苦労はしているが、高いワクチン接種率というのは、やはり経済再開にとってキーになっているのは事実。
    • 日本も50%弱ということで、総理のリーダーシップで進んでいるわけだが、早期の消費経済再開に向け、幾つかのポイントをお話し申し上げたい。
    • まずはワクチン接種率。壁があるのは承知しているが、最低でも12歳以上の接種率を80%以上にするという目標を明確にして取り組むべき。既に経団連等の主な経済団体において、ワクチン接種をプロモートしていくという声明を出している。家族も含めて、より一層ワクチン接種をもっとプロモートする体制づくりが必要。
    • そうした中で、ワクチン接種証明・PCR検査の陰性証明書の活用によって、旅行やショッピングセンターでの買い物、レストランでの飲食など、経済活動を再開できるようにしていくべき。オリンピックで、バブルをつくってうまく感染対策を実施できたという事実もある。是非ともこれを実現していっていただきたい。
    • 他方、2点目として、罹患された方々が家で不安にされている、あるいは隔離されて不安であるということや、ブレークスルー感染の事実もある。経済団体のサポートも得て、突貫工事でも構わないので、是非とも臨時の医療施設を至急開設していくべきではないか。
    • 医療従事者からも、個別に家に行くよりも、患者が集まっていたほうが圧倒的に効率的であるということを聞いている。
    • 3つ目のポイントは、重症者が出ているので、病床もきちんと確保する必要がある。とりわけ、民間病院に対する指示ができる体制構が重要。2ページの一番下のポツに、「中期的に取り組むべき事項」とあるが、これだけの感染症有事であり、早急に政府や自治体が民間病院に指示ができる法的措置を検討し、実施すべきではないか。
    • 4つ目に、河野大臣へのお願いになる。接種のタイミングは地域によって違うと思うが、少なくとも国民が2回接種する分のワクチンの量はしっかり確保できているということを再度国民にしっかりとメッセージを発していただきたい。また、ブースター接種に関しても準備をしっかりされているということを国民に広く伝えていただきたい。そして、最後に海外渡航について。経済団体から依頼が出ており、私も同意見だが、ワクチンパスポートやPCR検査を必須にした上で、是非とも隔離期間を短くしていただきたい。
    • さて、このような状況において、消費経済が活性化する道筋をつくるべきであるが、民間には何と30兆円近くの貯蓄が眠っている。これを米国のように繰越需要として早く出してもらう。そしてまた、財政でも30兆円が今年度に繰り越されている。併せて60兆円近くある。こういった大きな武器があるので、これを併せて活用し、先ほど申し上げた点について、その道筋をしっかり政府として実現していただきたい。
  • (河野臨時議員)9月2日までのワクチンの総接種回数は1億3,000万回を超えた。12歳以上人口の接種率を8割と想定すると、まだ1回目を打てずに待っている方が1,800万人いるが、今、毎日1回目の接種を60万人のスピードで打っているので、マクロで見れば9月末に少なくとも希望する方は1回目が打ち終わるということになる。ただ、自治体でばらつきがあるので、そこは国としてもしっかりサポートをしてまいりたい。
    • 10月初旬までに、12歳以上人口の8割の方が2回接種するのに必要な量のワクチンが各都道府県に届き、配分量も既にお示しをしている。また、8月2日以降に配分されたモデルナのワクチンとファイザーワクチンの調整枠をあわせれば、8割を超える接種率に対することが可能。全てのワクチンが10月末までに日本国内に入ってくるということで動いており、また、来年の3回目接種、ブースター接種に必要なワクチンも確保できている。
    • ワクチン接種が進んで、世論調査でワクチンを打ちたいという割合が比較的低い若い世代にも、ワクチンについて正しく理解をいただき、接種を進めていくということが最後の重要な課題になるかと思っているが、10月から11月の早い時期に、希望する全ての対象者の方が2回のワクチン接種ができる見込みである。
  • (田村臨時議員)ワクチンの接種証明に関しては、今日の分科会でも色々な御議論を専門家の方々とされていた西村大臣の方が適切かもしれないが、ワクチン証明やPCRの陰性証明を使って、イベントや旅行、日常生活の社会経済活動への回復を見据えていく中で色々な積極的検討をしている最中である。一方で、どうしてもワクチンを受けられない方々に対する差別にならないようにということだけは配慮しながら、陰性証明なども使っていきたい。ただ、陰性証明の方は、感染時に重症化するリスクを減らせないということだけは御理解をいただく必要がある。ワクチンは重症化リスク等を減らせるが、陰性証明の方はワクチンを打っていないので、その点だけは十分理解をいただくということだと思う。
  • (梶山議員)民間議員提出資料でも御指摘のとおり、グリーン成長、デジタル化の推進、経済安全保障などを巡る動きが世界中で活発化しており、中国や欧米においても強力な産業政策が展開をされている。こうした情勢の変化を踏まえて、我が国としても、社会・経済課題の解決のため、政策を総動員して産業発展を図ってまいる。「経済産業政策と新機軸」というものを打ち出して実行していくことが今求められている。グリーン化、デジタル化、中小企業の事業再構築に対する支援など、経済産業省としても、しっかりと検討して加速してまいりたい。
  • (西村議員)一言だけ補足するが、今日、分科会で尾身座長の下で取りまとめがされた。ワクチンまたは検査証明、陰性証明で一定の活動の制限を緩和していく、ワクチン接種が一定のレベルに達すれば、そうしたことに取り組んでいこうということで、今から国民的な議論や様々な検査体制などの準備をしていこうという提案がされるので、それも踏まえて政府としてしっかりと考えていきたいと思うし、今日の御議論も踏まえて対応していきたいと思う。
  • (田村臨時議員)一点補足だが、臨時の医療施設のお話もいただいた。ごもっともであり、一定程度社会活動が広がってくると、欧米でもそうだったように、一定の感染者、入院患者等、重症者も含めて出てくる。それに対応するための病床が必要となるが、一般の病院の病床ばかりでは一般医療に圧力をかけるため、臨時の医療施設等を各都道府県に一定程度確保いただくことも必要になってくると思っており、これは現在、厚生労働省が各都道府県と折衝をしているところである
  • (十倉議員)デルタ株の影響により、我が国は経験のないレベルでの感染拡大に直面している。まずは足下の感染拡大と医療体制の逼迫を解消する必要がある。感染拡大の防止に向けて、経済界は8月18日に総理から直接の御要請を受け、テレワークの更なる徹底を実施している。しかし、医療体制の逼迫を解消するには、ワクチン接種と中和抗体薬、中和抗体カクテルの投与による重症者の低減が必要不可欠だ。ワクチン接種は総理の強力なリーダーシップによって1日100万回を上回るペースで進んでいる。河野大臣からもお話があったように、上手くいけば10月には国民の約8割がワクチン接種を完了できるはずだ。ワクチン接種による重症化リスクの低減効果は明らかであり、多くの国民が重症化のリスクを回避できる。したがって、ポイントは、この10月までの2か月に重症者の増加による医療崩壊をいかに食い止めるかということだ。そのためには、重症化を防ぐ中和抗体薬という素晴らしい治療薬を速やかに最大限に活用する必要がある。そこで臨時の医療施設を増やすなどして、少ない医療従事者でも多くの軽度、中等症の患者に中和抗体薬の投与が可能となる体制を早急に整備すべき。経団連は日本医師会と連携して、そういった企業施設の提供に協力することにしている。そして、この2か月を乗り切り、重症化率が十分に低減すれば、その後は、感染症対策と経済の両立を図り、ウィズコロナとして社会経済活動を活性化していくことができる。今のうちから社会経済活動の活性化に向けて必要な対策を検討すべきと考える。具体的な対策として、3点申し上げたい。
    • 1点目は、帰国・入国後の隔離措置の適正化について。帰国後、14日間の隔離期間を、最長でも10日間にすべきではないか。さらに、ワクチン接種が完了している方の隔離期間の免除も早急に検討すべきであると考える。現在の14日間の隔離措置では海外出張を躊躇せざるを得ないとの声が経団連に寄せられている。
    • 2点目は、外国人の入国について。現在は外国人の入国が原則認められていない。外国人取締役はもちろん、日本での在留資格を持つ社員も来日できないとの声が経団連に寄せられている。ワクチン接種証明書を有する外国人については、ビザの発給を行い、入国を認めるべきと考える。
    • 3点目は、積極的な検査の実施について。職場はもちろん、大規模商業施設やイベント等における感染症対策として、積極的な検査の実施が必要だ。既に政府からは、職場での厚生労働省認可の抗原簡易キットを利用した検査の呼びかけを受けている。そうであれば、今後は厚生労働省認可の抗原簡易キットを薬局、ドラッグストア等で購入可能とし、抗体検出や測定も被検者自身で行えるよう規制緩和を検討すべきと考える。
    • 以上、経済界としては、引き続き感染拡大の防止に全力を挙げつつ、ウィズコロナにおける社会経済活動の活性化に向けて、政府、自治体、医療従事者、そして、国民と一丸となってこの難局を乗り越えていきたい
  • (柳川議員)手短に4点、お話させていただく。1点目は、十倉議員がかなり強調された、経済政策を考える上では、感染拡大防止をしっかりやりながら経済活性化をいかに図っていくかということをしっかり考えていく必要があるという点を強調させていただきたい。
    • その点では、総理、河野大臣をはじめ多くの方々の御尽力によりワクチン接種がこれだけ急速に進んできていることは日本にとって非常に明るいニュースではある。ただ、これをより一層進めるためにも、それから、よりしっかりと経済活動を進めていくためにも、新浪議員、十倉議員からお話があったような、外食、旅行、イベントなどで接種証明や陰性証明を積極的に活用していくことは不可欠だろう。それから、よりきめの細かい感染防止策、あるいはきめの細かい情報把握やデータ解析を行って、感染拡大と経済活性化の両立をもっときめ細かくできるようにしてく工夫も必要だろう。例えば、同じ人流が増える場合でも、ワクチン接種をした方が増えて人流が増えている場合と、接種していない方が増えて人流が増えた場合とでは、おそらく感染に与える影響は大きく違うはずだ。しかし、残念ながらこの2つを現状ではデータでは把握できない。それは非常にもったいない話で、プライバシーの問題等々があるわけだが、このあたり、ワクチン接種の人が増えていくにつれて、どういう形の人流増加なのかということをしっかり見ながら、経済活性化との両立を図っていく必要があるだろう。
    • 2点目は、医療提供体制の充実、拡充の必要性について。これは新浪議員からもお話があったように、もっと内閣総理大臣に必要な指示や協力要請の権限があるべきではないか。そのための法改正はやはりしっかり考えていくべきではないかと思う。今の特措法でも、指定公共機関として医療関係の機関が既に多く指定されている。ただ、現状、総理大臣は、総合調整を行うことができるとされているのみで、よく現状の感染症の拡大が災害に例えられるが、例えば災害対策基本法では、総理大臣に必要な指示や協力要請の権限が付与されていると考えている。入院患者の急増に対応できるような状況にするには、災害対策基本法と同じぐらいの権限が、総理大臣にしっかりあるような特措法の改正というものをやはり考えていくべきではないかと思う。
    • 3点目は、経済対策に関して言えば、なかなか微妙な感染状況ではあるが、世界中が危機対応から平時モードに大きく舵を切りつつある。経済活性化、単なる活性化だけではなくて、デジタル化をはじめとした大きな構造変化に積極的に対応して政策を行おうとしている。そういう意味では、資料に書かせていただいているが、日本もしっかりとした、そういう意味での経済の土台づくり、対策づくりをやっていく必要があり、そのためには、かなりしっかりとした規制改革あるいは規制改革を超えた新しい制度づくりを実現していく必要があるだろう。それによって、経済財政諮問会議で総理も御発言されてきた4分野を中心にしっかりとした投資が行われるような体制づくりが必要だと思う。
    • 4点目は、民間の投資を喚起するためには、やはりワイズスペンディングの徹底が重要だ。いわゆるリーマンショックの時には、押しなべて状況が悪かったので、みんなに支援をするということが必要だったが、今の状況は、そういう状況とはかなり違うということは知られていて、かなり好調な業種とそうでない業種と明確に分かれている。今の状況で所得をかなり増やしている方もいれば、相当苦しんでいらっしゃる方もいるということで、やはりきめの細かい対応が必要で、しっかりとしたワイズスペンディングが必要だと思う。一時的なばらまきに終わらないような支出の仕方、ワイズスペンディングが必要だ。本当に困っている方々には、やはりしっかりとした支援が必要だが、そのメインは、単にお金だけ渡すだけではなくて、リカレント教育や技能訓練をやって、もっと活躍する場をつくり出すということが重要だと思う。そういう点も含めたしっかりとしたEBPM、データに基づいてどういう対策が必要なのか、投資が必要なのかというのを考えていく必要があると考えている。
  • (竹森議員)3点申し上げるが、まず菅首相が方針を確立された、グリーン、デジタル、これは非常に大事なので、どのような政権になるか分からないが、継続するべきだと考える。そこでこのテーマにつきまず2点、お話させていただきたい。
    • 十倉議員がおっしゃったが、2030年はすぐそこである。例えば提案の中でEVの促進が書かれているが、そもそもEVは、発電が脱炭素的になって初めて脱炭素的になるので、ポイントは、発電をどうやって脱炭素化するかだ。エネルギー基本計画では再エネの比率を4割近くへ持っていくのが目標。それには太陽光の拡大が鍵になるが、現在より設置場所を広げて、そこに安い太陽パネルをたくさん並べる方法が時間的に難しければ、国産の高性能のパネルを並べて、電力転換効率を高める方法が考えられる。しかし高性能パネルは高いので、量産によりどれだけ価格を下げられるかがポイント。メーカーと話し合いながら予算を十分つけていくべきだと思う。
    • デジタルは、デジタル庁の最初の仕事として、今、話が出た接種証明のデジタル化が課題になると思う。同時に、国際交流について、ヘルスパスのようなものを考えるべきという提案もあった。そうだとすれば、両者を一本にまとめたらどうか。現在、入国・出国は、いろいろな省庁が関わっているが、そのまとめ役をデジタル庁にしていくような集約化、一本化をすれば効率的ではないか。これがいずれ官庁のデジタルシステムを一本化するときにも役立っていくだろう。
    • 最後に1点、コロナについてだが、接種率を高めるためにも、ヘルスパスのようなものは非常に有効。他方、接種率がきわめて高い国では、予約なしの接種が可能になっている。予約の煩雑さなく接種が可能になるようだけワクチンを十分確保していただきたい。予見可能性という言葉を提案に入れたが、2か月のギャップが予見可能性を妨げる最大要因だ。つまり現状から7割、8割のワクチン接種率になるまでには、2か月間のギャップがある。ギャップの期間は人流を抑えるなどして、感染拡大を防ぐ以外に有効な手段はない。感染拡大防止策も必要だということを十分認識して、今後コロナ対策をやっていただきたい。

内閣府 令和3年第12回経済財政諮問会議
▼資料1-1 重症化防止を目標とした感染症への対応強化とマクロ経済政策運営(有識者議員提出資料)
  • 我が国のワクチン接種2回完了率はおおむね5割に達し、足下では諸外国と比べても早いスピードで接種が進んでいる。特に、高齢者については、接種完了率が9割近くとなった結果、感染者数は抑制され、感染者に占める重症者の割合も大幅に低下している。10月から11月までの早い時期に、希望するすべての人に接種を完了し、また、新たな治療薬の普及や重症化を防ぐための医療提供体制の強化に重点的に取り組むことで、重症化を相当程度防ぐことができると期待され、こうした対応を迅速かつ着実に進めることが重要。
  • ワクチンや治療薬の普及状況を踏まえ、感染症対応の主たる目標を重症化防止に移行し、ワクチン接種証明や検査・陰性証明(以下「接種証明等」)の活用等により、感染拡大・重症化の防止と経済社会活動を両立する「新しい国民生活の姿」を実現すべき。年末年始には活発に消費活動ができるようにすることを含め、いつまでに何をするのかをロードマップとして具体的に示し、予見可能性を高めるとともに、万全の財政措置を講ずることを含めて、国民の安心を確保すべき。
  • 同時に、当面の間、感染症が経済を下押しする中で、躊躇ない機動的なマクロ経済政策運営により、影響を受ける事業者や家計を徹底して支援するとともに、自律的な経済成長に向けた重点4分野(グリーン、デジタル、子ども、地方)の投資がしっかりと喚起されるよう、必要な施策を計画的かつ迅速に執行すべき。
    1. 感染拡大・重症化の防止と経済社会活動の両立~「新しい国民生活の姿」実現~
      • 感染拡大・重症化の防止と経済社会活動を両立する「新しい国民生活の姿」の実現に向けて、国民の予見可能性を高め、安心を確保するためにも、以下を含むロードマップを早急にとりまとめるべき。
        1. 直ちに取り組むべき事項
          • 10月から11月までの早い時期に、希望するすべての人への接種完了に向け、職域接種再開や都道府県による大規模会場の展開の支援を進めるほか、接種のインセンティブを高める方策を講じるべき。このためにも、接種証明等の活用のガイドラインを早期に示し、外食、旅行、イベントなどで積極的に活用すべき。
          • また、若者の接種率向上に向けて、どういう対策が有効か、各種アンケート調査等も活用すべき。あわせて、ワクチン確保の総量及び見通し、ワクチン接種の進展による重症者や死亡者の抑制状況について、日々データで明らかにすべき。
          • 国内外の感染状況、ワクチン接種の状況等を踏まえた上で、感染拡大防止措置の下、諸外国の取組との連携を図りながら、まずは経済活動に関係する者を対象として我が国が承認したワクチン接種者に対する帰国・入国後の隔離措置の制限緩和を行い、段階的に対象者の範囲を拡大していくべき。
          • 重症化の防止に向けて、診療所等の医療関係者の協力の下、臨時の医療施設の設置、宿泊療養施設の医療提供体制の強化や一時的な療養施設の拡充に最大限取り組むべき。また、約70万人とも言われる潜在看護師への支援を強化し、その参画を促すべき。
          • 緊急事態宣言地域において、都道府県は市区町村の協力も得つつ、病床の最大限の確保に取り組むべき。厚労省は、搬送困難者や妊婦・小児への緊急対応、自宅療養者の健康観察等に取り組む墨田区などの取組を他の保健所設置自治体等に展開すべく、これらの自治体に施設整備や必要な機材購入を直接支援すべき。
          • 1床当り最大1950万円の緊急支援補助金の活用を促すとともに、コロナ感染症受け入れに割り当てられた病床の活用状況を都道府県毎、医療機関毎に病床数を含めて公表すべき。
          • 重症化を防止する新たな中和抗体薬の投与を全国的に抜本拡大して、医療への負荷を減らすべき。また、中和抗体薬の日々の使用状況を明らかにするとともに、どの医療機関で投与が可能となるかなど、アクセス方法などについてわかりやすく示すべき。
          • 上記の取組を進めつつ、重症化防止を軸として、緊急事態宣言の基準を見直すべき。
        2. 中期的に取り組むべき事項
          • 国内の新薬開発に向けて、PCR検査機関やコロナ陽性者に対する治験の案内を行うなど支援を強化すべき。あわせて、ワクチンの治験環境の整備・拡充や薬事承認プロセスの迅速化など「ワクチン開発・生産体制強化戦略」に掲げる取組を着実に推進するべき。
          • 抗原定性検査の拡充に向けて、抗原簡易キットの薬局等での販売許可などの規制緩和や、医療機関(陽性者)や陰性証明(陰性者)への接続を検討すべき。
          • ワクチンによる予防効果の低下が見込まれる者を対象としたブースター接種の推進に向けて、ワクチン確保を着実に推進するべき。
          • 国民の安心確保に向けて、オンラインで健康相談、診療、服薬が行える仕組みの構築など感染症にレジリエントな社会の実現に向けた取組を工程を定めて推進すべき。
          • 骨太方針2021に記載した感染症有事に備えるための実効性ある医療提供体制の強化のための対策を講じることができる法的措置を検討し、速やかに結論を得るべき。また、緊急事態宣言の効果を高めるための、また、将来起こり得るより一層厳しい感染症に備えるための法的措置について国民的議論を深め、結論を得るべき。
    2. 現下の景気動向を踏まえた当面の対応と来年度にかけてのマクロ経済政策運営
      • 日本経済は今年に入り、従前の想定と比較して感染症の拡大に伴う経済への下押し圧力を受けた結果、GDPは4月以降足元にかけても概ね横ばいで推移しているとみられる。感染拡大防止最優先で取り組む一方、経済の底割れは決して起こさないとの観点で経済運営に万全を期すべき。併せて、感染症の長期化に伴う諸課題(社会とのつながり、貧困、ストレス等)へのきめ細かな対応・支援が重要。
      • 同時に、諸外国では感染症対策と並行して、グリーン化、デジタル化の推進など新たな成長基盤の構築に向けた取組が活発化し、経済回復が加速している。こうした動きに乗り遅れることなく、民需主導の自律的な経済成長の実現を図るべき。
        1. 国民の最後の我慢に寄り添う支援を徹底すべき
          • 低所得の子育て世帯、困窮世帯、雇用保険の対象とならない女性や若者を中心とする非正規雇用者への支援を徹底するべき。
          • 人手不足分野・成長分野への失業なき円滑な労働移動を促進するために、デジタル化、グリーン化に対応したリカレント教育の強化を図るべき。
          • 国民の我慢も長期化している中、もうしばらくの間国民の自粛を促し、その協力に報いるためにも、例えば、消費に直結するデジタル化に対応したマイナポイントの活用などの家計支援も含め、感染拡大が抑制された際に期待される消費の回復・喚起を持続的なものとするよう取り組むべき。
        2. グリーン、デジタル、地方、子ども・子育ての重点4分野における投資と成長を支える基盤づくりに向け、規制改革や資金調達の円滑化を含めて、取組を加速すべき。
          • グリーン:再生可能エネルギーの導入加速のための支援と接続制約の緩和、必要な送配電網の整備、EV普及支援、EV充電設備・水素ステーションの整備、住宅・建築物の省エネ対策
          • デジタル:全国共通に使える接種証明や接種券の電子化、及びそれらの機能を付与することによるマイナンバーカードの利便性向上促進、そしてそれらを始めとする行政のデジタル化の推進、5GのPFIを含む施設整備の促進とビヨンド5Gの技術開発、デジタル人材育成の加速、高校における1人1台端末の導入促進、テレワーク導入促進、オンライン診療の加速
          • 地方活性化:最低賃金を含む賃上げしやすい環境の整備に加え、生産性向上や海外展開に取り組む中小企業への大胆な支援、農業ベンチャーの資金調達柔軟化、農業人口減に対応したスマート農業による生産拡大、観光客が戻るまでの時間を活用した観光業や観光地の再生、ウォーカブルな街づくり、移住支援金の拡充
          • 子ども・子育て:保育による支援に加え、NPOや地域独自の事業などを含めた包括的な支援を行うことができる体制づくり
          • 基盤づくり:STEAM教育の抜本的な強化、求職者支援制度等の第2のセーフティネットの強化、孤独・孤立対策や障害者の社会参画支援
        3. 国際的なサプライチェーンの強靭化
          • 足下で急増している東南アジアなどにおける感染拡大が国際的なサプライチェーンを毀損することのないよう、途上国へのワクチン支援やサプライチェーンの感染防止策や再構築に向けた支援を行うべき。
        4. 経済安全保障の観点から、半導体などの基幹部品の国産化などサプライチェーンの強靭化を図るべき。
          • 経済活動の礎となる国民の安全・安心の確保
          • いつ起こるとも分からない新たな感染症や頻発する甚大な自然災害といった経済・国民生活への脅威に対し、国産治療薬・ワクチンの開発・生産体制の整備や、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策に基づく取組等を強力に推進すべき。
        5. 民需を喚起するワイズスペンディングの徹底に向け、諮問会議の下にある経済・財政一体改革推進委員会において、EBPM等を通じて必要な改革事項の議論を深めるべき

内閣府 満足度・生活の質を表す指標群(ダッシュボード)
▼概要
  • 2021年3月の生活満足度は低下。特に女性で低下した。「健康状態」「社会とのつながり」「生活の楽しさ・面白さ」の満足度は女性で低下幅が大きい。コロナへの感染不安、友人等との交流の減少、気分の沈み等に困っている割合は女性が高い。
  • 2021年3月の生活満足度は特に東京圏で低下し、地方圏の生活満足度を下回った。「健康状態」「社会とのつながり」「生活の楽しさ・面白さ」の満足度は東京圏で低下幅が大きい。コロナへの感染不安、友人等との交流減少、気分の沈み等に困っている割合が東京圏で高い。
  • 生活満足度が高い人(7以上)の割合が低下。生活満足度が平均よりやや低い人(4~5)の割合が上昇。32.9%の人の生活満足度が低下した一方、生活満足度が上昇した人も概ね同程度(30.9%)存在。特に30歳代以下の若者は生活満足度が大きく低下/上昇した人の割合がともに高い。
  • 1年間の変化の中で「旅行・出張がやりにくい」ことに困っている人が64%と最も多いが、該当者の満足度の低下幅は最も小さい。気分が沈み、気が晴れないことに困っている人が44%。該当者の満足度低下幅も大きい
  • この1年間の変化としては、友人等との交流、頼れる人の数は「減少」した者の割合が高く、SNS利用割合は「増加」した人の割合が高い。友人等との交流、頼れる人の数、SNS利用頻度の増加(減少)は、いずれも満足度と正(負)の関係。
  • この1年間の生活変化として
    • 仕事時間や通勤時間が減少した人は、WLBに関する満足度が上昇する傾向にある。
    • 新たに運動を開始した人は、健康の満足度が上昇する傾向にある。
    • 新たに趣味・生きがいができた人は、生活の楽しさの満足度が上昇する傾向にある。
  • イギリス・アメリカ等では、生活満足度以外にもWell-beingに関する様々な指標の調査を官民で実施。今回調査ではメンタルヘルス関係の調査項目を盛り込んだが、主観的Well-beingに関する把握方法については、関係省庁や民間とも連携しつつ、更なる検討を進めることが重要

【2021年8月】

内閣府 第11回規制改革推進会議
▼資料3 規制改革の主な成果と当面の課題について
  1. 規制改革の主な成果
    1. 規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)
      • 2020年9月より「規制改革・行政改革ホットライン(縦割り110番)」を開設し、これまで8,416件のご意見・ご提案を受付。
      • 処理能力を超える受付件数となったため、2020年11月27日に新規の受付を停止したが、受け付けたご意見・ご提案に対する対応が進展したため、令和3年8月23日(月)から新規の受付を再開。
      • ご意見・ご提案を受けて対応した規制改革の例は、以下のとおり。
        1. 国民年金における保険料免除手続の電子化
          • 国民年金における保険料免除申請はハガキを郵送する必要があったが、令和4年5月頃から、マイナポータル上で免除手続ができるようにシステム開発を進める。
        2. 引っ越しに伴うナンバープレート交換に関する特例の創設
          • ナンバープレートの地域を越える引っ越しをした場合、ナンバープレートの交換をしなければならないが、個人がオンラインで変更申請する場合に、オンラインだけで完了するよう次回車検時までナンバープレート交換を猶予する特例を創設。令和4年1月から運用開始予定。
    2. デジタル
      1. デジタルガバメント関係
        • 押印や書面を義務付ける法律について、デジタル社会形成関連法律整備法の中で、48法律を令和3年5月に、一括改正(押印関係:22法律、書面関係:32法律)。
        • 押印を求める行政手続は、政省令等の改正も含めて、全体の99%(15,493種類)の押印義務を廃止。
        • 書面の作成・提出を求める行政手続は、令和7年までに、全体の98%(18,180種類)について、オンライン化を実施予定。
      2. 民間におけるデジタル化
        • オンライン診療・オンライン服薬指導について、新型コロナウイルス感染症が収束するまでは現在の時限的措置を着実に実施するとともに、収束後は、当該措置の恒久化として、以下のとおり、措置を講ずる。
        • オンライン診療は、初診からの実施は原則かかりつけ医としつつ、かかりつけ医がいない場合等においても、一定の要件の下初診から実施。
        • オンライン服薬指導は患者がオンライン診療を受診した場合に限定せず、薬剤師の判断により初回からオンライン服薬指導を可能とする。
        • 放送と同時配信等に関する著作権制度の見直し:これまでの著作権制度では、放送と同時配信等の扱いが異なり、それぞれ使用許諾が必要。令和3年6月に著作権法を改正し、放送を許諾した場合に、同時配信等の許諾を推定する規定を創設。令和4年1月施行。
    3. グリーン
      1. 再生可能エネルギーの立地制約の解消
        • 営農型太陽光発電の設置許可基準として、同じ地域・作物の8割の収穫をあげる要件が含まれていたが、令和3年3月に、荒廃農地に関しては、当該要件を課さない見直しを行った。
      2. 再生可能エネルギーの系統制約の解消
        • 送電網を最大限活用するため、空き容量を超えて発電した場合には、出力を抑えることを条件にして接続を認める方式(ノンファーム型接続)を、基幹系統(概ね187キロボルト以上)において令和3年1月から全国展開。さらに、ローカル系統(概ね11~187キロボルト)に関して、現在、東電管区内で同方式を試験的に導入しているが、令和6年度末までのできるだけ早いタイミングで全国展開する。
    4. 地域経済の活性化
      • 自家用車を有償運送に利用可能な期間は、年末年始・夏期繁忙期に限定されていたが、春期繁忙期等も対象にする見直しを令和3年9月に実施。
      • 民泊サービスで発生するごみは事業系ごみに該当するが、有料ステッカー貼付等により、家庭ごみと一緒に収集を行う運用を認めている事例や、家庭用台所と営業用調理場の併用等の食品衛生法の弾力的運用が可能であることを全国の地方自治体に周知する。
      • 米については、農協等の農産物検査機関ではなく、農業者等による自主的な検査であっても、表示の根拠を保管することを要件として、産地・品種・産年の表示を認める見直しを実施(改正食品表示基準 令和3年7月施行)。
    5. 教育・働き方
      1. 教育分野
        • オンライン教育を実施するにあたっての学校現場の創意工夫の促進、不登校児童生徒や病気療養児のためのオンラインを活用した学習の一層の円滑化、非常時等における学びの保障の措置を実現。
      2. 雇用分野
        • テレワークガイドラインを令和3年3月に改訂し、テレワークの対象業務、対象者、導入に当たっての望ましい取組、人事評価、費用負担、労働時間管理などに関する考え方を示し、テレワークを推進。
  2. 規制改革の当面の主な課題
    1. デジタル
      1. デジタルガバメントの推進
        • 失業認定申請書や転入届・転居届など、性質上オンライン化できないとされる官民の手続の検証。
        • 本人認証方法の統一(個・マイナンバーカード、法人:GビズID)、行政機関間の連携による添付書面等の削減、民間サービスとのAPI連携等による利便性向上に取り組み、官民の手続のオンライン利用率を横断的かつ大胆に引きあげる。
        • 自動車車検に係る諸費用や不動産登記の手数料や、在留資格の変更・更新の手数料などにおけるオンライン納付や窓口におけるキャッシュレス払いの導入。
        • 損害賠償等の民事訴訟手続に関しては、オンラインでの訴訟提起やオンライン出廷等を可能とするため、次期通常国会での民事訴訟法改正を目指した検討が進められているが、倒産等の民事非訟手続、離婚等の家事裁判手続及び刑事手続についてもデジタル化に向けた検討を進め、司法分野におけるデジタル化を推進する。
      2. 医療・介護分野におけるデジタル化
        • オンライン診療に関する診療報酬上の取扱い。
        • 情報通信機器を活用した医薬品販売規制の見直し。
        • デジタル技術の進展を踏まえた医療機器の審査等の迅速化。
      3. 簡素で一元的な権利処理を可能する著作権制度の見直し
        • 過去コンテンツ、アマチュアのクリエイターによる創作物等の膨大かつ多種多様な著作物の利用円滑化等を図る著作権制度の見直し。
    2. グリーン
      1. 再生可能エネルギーの導入促進に向けた規制改革
        • 住宅・建築物に関して、将来の太陽光発電設備の設置義務化も選択肢としたあらゆる手段の検討・設置促進のための取組の推進。
        • 太陽光発電等の小規模電源が接続される配電系統(概ね6.6キロボルト以下)へのノンファーム型接続の適用拡大の検討。
    3. 地域経済活性化
      • タクシーメーターにおけるGPSを活用したソフトメーターの導入に向けた制度設計。
      • 農業関係者による農地等に係る決定権の確保等の措置を講じた上で、地域に根差した農地所有適格法人における出資による資金調達の柔軟化。
    4. 子育て・教育・働き方
      1. 安心な子育ての実現に向けた環境整備
        • 男性の育児休業の積極的な取得に向けて、令和4年4月以降の育児介護休業法の改正法の施行に向けた制度詳細の検討。
        • 保育士不足の解消に向けた制度の見直し。
        • 子どもの貧困への対応(養育費等)。
      2. 個々の児童・生徒等に最適な学びを提供する環境整備
        • 学習者主体の教育への転換を目指し、デジタル時代の多様な学習ニーズにこたえるため、大学設置基準見直し等によりオンライン教育の推進を図るなど、ICTを活用した学びの後押しを進める。
        • 多様な外部人材を教育現場に携われるようにするため、特別免許状をはじめとする制度の在り方を検討。
      3. 多様で柔軟な働き方・自律的なキャリア形成に向けた環境整備
        • 裁量労働制を含めた労働時間制度について、厚生労働省の実態調査の結果を踏まえて、労働時間の上限規制や高度プロフェッショナル制度等、働き方改革関連法案の施行状況も勘案しつつ、労使双方にとって有益な制度となるような検討を行う。
        • 多様な正社員(勤務地限定正社員、職務限定正社員等)の雇用ルールの明確化について、厚生労働省の実態調査の結果を踏まえて議論を行い、厚生労働省の検討会において、取りまとめを行う。

内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
▼8月閣僚会議資料
  • 日本経済の基調判断
    1. 現状【判断維持】
      • 景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増している。
    2. 先月の判断
      • 景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増している。
    3. 先行き
      • 先行きについては、感染拡大の防止策を講じ、ワクチン接種を促進するなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
  • 政策の基本的態度
    • 政府は、東日本大震災からの復興・創生、激甚化・頻発化する災害への対応に取り組むとともに、決してデフレに戻さないとの決意をもって、新型コロナウイルス感染症の感染対策に万全を期す中で、雇用の確保と事業の継続を通じて、国民の命と暮らしを守り抜く。あわせて、「経済財政運営と改革の基本方針2021」等に基づき、グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策の4つの課題に重点的な投資を行い、長年の課題に答えを出し、力強い成長を実現する。
    • 新型コロナウイルス感染症に対しては、21都道府県を対象に緊急事態措置、12県を対象にまん延防止等重点措置を9月12日まで実施することとしており、引き続き、医療提供体制の確保、感染防止対策の徹底、ワクチン接種の推進の3つの柱からなる対策を確実に進める。経済への影響に対しては、重点的・効果的な支援に万全を期す。さらに、成長分野への民間投資を大胆に呼び込みながら、生産性を高め、賃金の継続的な上昇を促し、民需主導の成長軌道の実現につなげる。政府は、令和2年度第3次補正予算及び令和3年度予算を迅速かつ適切に執行する。引き続き、感染状況や経済的な影響を注視し、状況に応じて、予備費の活用により臨機応変に必要な対策を講じていくとともに、自律的な経済成長に向けて、躊躇なく機動的なマクロ経済政策運営を行っていく。
    • 日本銀行においては、企業等の資金繰り支援に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持する観点から、金融緩和を強化する措置がとられている。日本銀行には、感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行い、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。
      1. GDP・設備投資計画
        • 本年4-6月期の実質GDP成長率は、前期比0.3%と2期ぶりのプラス。海外経済の改善の下、輸出は4期連続の増加。また、個人消費も、緊急事態宣言等を発出し人為的に活動を抑制したなかで、長引く自粛の下で旺盛な消費意欲もみられ、2期ぶりの増加。
        • 4-6月期は設備投資も増加。先行きについても、2021年度計画は、設備投資全体、特にソフトウェア投資について大幅増が見込まれており、グリーンやデジタルに関する前向きな投資が計画されている。こうした動きが今後も経済のけん引役となることを期待。
      2. 企業収益・倒産
        • 4-6月期の上場企業の経常利益は、前年の反動もあり、製造業・非製造業ともに前年比大幅増。非製造業では、運輸業の利益がコロナ前よりも引き続き抑制されているなど回復にばらつきがみられる。
        • 今年に入り企業物価は上昇。川上の「素原材料」は国際市況を受けて大きく上昇しているが、川下の「最終財」への価格転嫁は限定的。価格転嫁の動向によっては、企業収益にマイナスの影響が生じ得る。
        • 倒産件数は、資金繰り支援等もあり低水準が続く。ただし、企業債務の水準は高く、経済の活動レベルを高めていくことが必要
      3. 個人消費
        • 4-6月期の個人消費は、財が底堅い動きを続ける中、サービスが低水準ながらも前期から増加。世帯主年齢別に4-6月期の世帯支出をみると、コロナ前(2019年)に比べ、30代以下が世帯主の家計ほど相対的に消費を行っており、60代以上が世帯主の家計ほど相対的に消費を抑制している。
        • 7月以降の週次消費額をみると、7月下旬の4連休を含む週では過去3年並みとなったが、8月は、通常であればお盆時期で消費が盛り上がるところ、今年は例年に比べ低い水準で推移している。
      4. 輸出・生産
        • 海外経済の回復を背景に、輸出は緩やかな増加が続く。その下で、製造業の生産も、5G関連等で需要が旺盛な電子部品・デバイスや設備投資向けの生産用機械を中心に持ち直している。
        • ただし、東南アジアにおける感染拡大に伴う部品供給不足が生じており、一部自動車メーカーは8月下旬~9月に国内での減産を発表。国際的なサプライチェーンを通じた感染症の影響には注意が必要。
      5. 雇用情勢・物価
        • 6月の雇用状況は、弱さが続く中でも、雇用者数は前月から20万人増加、失業率は2.9%と前月差0.1ポイント低下するなど、生産増と連動した動き。7月以降の感染拡大の影響には注意が必要だが、ハローワークによるネット経由の日次求人件数は、2019年同月比で水準は低いものの、持ち直しの動き。
        • 6月の賃金は、特別給与(ボーナス)が減少したものの、所定内・所定外給与が下支えし、前年比プラスを維持。なお、パートタイム労働者の特別給与は同一労働同一賃金の適用で厳しい中でも前年比増。
        • 携帯電話通信料下落等の特殊要因を除いた消費者物価の基調をみると、このところ底堅さがみられる
      6. 世界経済
        • 欧米の実質GDPは、ワクチン接種の進展などを背景に、21年4-6月期にプラス成長となり、アメリカではコロナ前の水準を回復。世界経済は持ち直している。ただし、世界的な半導体不足に加え、感染再拡大、アメリカの物価動向、金融資本市場の変動等を注視する必要がある。
        • 先進国と比べワクチン接種が遅れているアジア諸国においても、感染が再拡大。経済活動の制限措置が実施され、製造業景況感が急低下する国もみられる。

内閣府 総合科学技術・イノベーション会議(第56回)議事次第
▼資料1 大学改革の方向性について
  • 諸外国の大学は、長期の成長(次世代の研究や若手研究者へ投資)が大前提
    1. 意思決定:長期に渡って一貫した成長戦略を実施できるよう、大学の長ではなく、ステークホルダーを入れた合議体が最終意思決定
    2. 大学の長:自律的な活動により、成長を達成できるマネジメントを実現→学内外から経営的資質を踏まえて合議体が選考・監督
    3. 執行機関:規模の成長や専門性に対応できるよう、大学の長を支える経営幹部の充実→教学担当役員や事業財務担当役員を配置し、責任体制を明確化
  • 「世界と伍する研究大学」に求められるコミットメント(成長と改革にコミットした数大学を支援)
    1. ミッションの見直し(人類経済社会への貢献)= 研究力の飛躍的伸長
    2. 潤沢な外部資金の確保と毎年3%以上の事業成長:※英米の主要研究大学の年間実質平均成長率は3.8%
    3. 成長を可能にするガバナンスシステムの導入:最高意思決定機関としての合議体設置/学長の経営資質を重視/学長を支える経営幹部の充実
  • 大学ファンド 資金運用の基本的な考え方(CSTI資金運用WGまとめ)
    • 運用目的・運用目標
      • 運用目的:世界と伍する研究大学の実現に必要な研究基盤の構築への支援を長期的・安定的に行うための財源の確保。大学基金の指針となる運用モデルを示す
      • 運用目標:長期支出(ペイアウト)目標(3%)+長期物価上昇率(1.38%)以上 ※安定的支援のためのバッファー(3,000億円×2)確保。許容リスク※の範囲内で運用回りを最大化 ※グローバル株式:グローバル債券=65:35のレファレンス・ポートフォリオの標準偏差
    • 基本的な事項
      • 運用手法:投資理論に基づく世界標準の長期投資・分散投資、グローバルな投資を推進し、国内外の成長の取り込みを実現/市場環境の悪化時も含め、投資規律を重視、基本ポートフォリオに基づくリバランスを実施
      • 時間軸 :運用開始5年以内の可能な限り早い段階で3,000億円(実質)の運用益の達成
      • ガバナンス:執行部から独立した運用・監視委員会が運用を適切に監視/運用の「プロ」による実践、このため、専門的知識を有する優秀な人材の確保のための雇用形態や給与体系を構築
      • リスク管理 :財政融資資金の償還確実性を確保、評価損益が一定の水準に達した場合は、投資規律を遵守しつつ、市場環境等を確認し、結果を国に報告
    • 国への期待
      • 投資規律への介入を排除(特に市場環境の悪化時)
      • 大学ファンド監督官庁の在り方やCSTIの関与の検討、運用・監視委の位置づけを検証(合議制の最高意思決定機関等)
  • 地域の大学を取り巻く現状の課題
    • 人材教育の側面:若者にとって地域の大学に魅力がない(大学進学時に、多くの地域では人材が流出)
    • 活動成果の側面:新産業の創出や、産業構造の転換に、地域の大学が貢献出来ていない
  • 地域の大学に対するこれまでの政府の支援取組の課題
    • 各府省が政策目的ごとにバラバラで実施しており、現場目線での統一感がなく、効果が限定的
    • 地域ニーズを捉えた大学の地域貢献や、自治体の大学を活用した社会展望が不十分で、現行の枠組みの範囲から飛び出ない活動に留まる
  • 既定路線を打ち破る構造改革が不可欠
    • 大都市圏以外の地域では、若者が地元の大学を選ばず、県外へ流出
    • 大都市圏以外での大学発ベンチャーの輩出は、ごく僅か
    • 各府省の施策がバラバラに展開
  • 地域の中核大学が、”特色ある強み”を十分に発揮し、社会変革を牽引する取組を強力に支援
  • 実力と意欲を持つ大学の個々の力を強化するのみならず、先進的な地域間の連携促進や、社会実装を加速する制度改革などと併せて、政府が総力を挙げてサポート
  • 地域社会の変革のみならず、我が国の産業競争力強化やグローバル課題の解決にも大きく貢献

内閣府 消費者関連情報の提供の在り方検討ワーキング・グループ報告書
▼前半
▼後半
  • 事業者による地域・社会貢献活動は、以前は寄付や慈善活動等を中心に行われてきたが、2015 年9月に国連サミットにおいてSDGs(持続可能な開発目標)が採択されたことを契機として、社会が抱える大きな課題について、事業者が本業を通じて取り組むという考え方が世界的に広がっている。また、企業経営という観点からは、企業の安定的かつ長期的な成長の実現には、環境や社会問題への取組、ガバナンスが少なからず影響しているという考え方が広まり、ESG投資が世界的な潮流となっている。社会的課題解決への取組は、SDGsが目指す持続可能な経済・社会・環境づくりに不可欠であると共に、企業価値あるいは社会的価値を測る一つの指標と考えられている
  • 我が国においても、SDGs等の影響により事業者による自主的な地域・社会貢献活動が数多く行われている。加えて、大企業を中心に経営トップの強いリーダーシップの下、地域・社会貢献を本業の一つの柱として据え、本業を通じた地域・社会貢献活動を行う事業者が増えてきている。
  • 教育分野では、SDGsの目標12「責任ある生産と消費」について「エシカル消費」が基本的な考え方となっており、小学校等の教育においても積極的に学習が進められている。また、企業経営という観点からは、中長期的な視点で企業価値を評価する際に、ESG(環境、社会、ガバナンス)の要素を考慮する投資家が増えており、上場会社においても、ESGに関する取組や情報開示を充実させる動きが出てきている。株式会社日本取引所グループ及び株式会社東京証券取引所は、2015年に策定したコーポレートガバナンス・コードにおいて、上場会社に対して社会・環境問題をはじめとするサステナビリティ課題への積極的・能動的な対応を、2018年の同コード改訂時には「非財務情報」にESGに関する情報が含まれることを明確化し、かかる情報が利用者に有益な形で開示されることをそれぞれ求め、2020年3月「ESG情報開示実践ハンドブック」を公表した。
  • このようにSDGsやESG投資という世界的潮流が、我が国のビジネス・社会全体においても具体的なものとして浸透しており、本業を通じた地域・社会貢献活動を行う事業者の後押しとなっている
  • 事業者ヒアリング結果まとめ
    1. 取組の目的
      • ヒアリングの対象とした全ての事業者(販売店や加盟店を含む)においては、地域に密着しつつ、地域社会や住民の社会的課題解決、地域づくりのための取組を実施している。
    2. 社内体制・取組体制
      • 社内体制として、本社が主導し全国的に取組を実施しているもの、会社の方針や経営トップの強いリーダーシップの下で実施しているもの、単なる地域・社会貢献活動から一歩進めて事業化しているもの、地域の販売店等の地域・社会貢献活動の支援策として行っているもの等があった。
    3. 取組の特徴
      • 全ての事業者は、店舗や配送網等の「場」を活用し「本業を通じ」自ら企画・立案して自主的に地域・社会貢献活動を行っている。
    4. 地域・社会貢献活動の中での情報提供の取組
      • 多くの事業者では、セミナー・学習会の実施やチラシの手渡し配布等の方法により、直接、顧客や地域住民等に情報を提供している。
      • 提供する「情報」は、高齢者向けの福祉や防犯の分野が多く、消費者関連情報の提供は少ない。
      • 行政との連携
    5. 多くの事業者は、地方公共団体や警察等の地域の行政と包括連携協定や連携協定を締結している。
      • 事業者の「場」において顧客や地域住民等に情報を提供するに際しては、地方公共団体、警察、地域包括支援センター、社会福祉協議会、教育委員会等と連携して、取組を実施している。
    6. 取組の意義・社会貢献活動
      • 地域社会や住民等との間で信頼関係が醸成されることにより、従業員の意識や満足度が向上すると共に、本業への集客効果や利益還元が向上し、企業価値が高まることも見込まれる。
    7. 取組の意義・行政との連携
      • 行政との連携により、地域社会や住民からの安心感・信頼感が増す。
      • 自社にないリソースやノウハウの活用が可能となる。
    8. 地域・社会貢献活動を行う際の行政への要望
      • 事業者向け窓口を創設し、地域・社会貢献活動に関する取組について相談・交渉する窓口を一本化してほしい。
      • 事業者と地域の行政との一層のコミュニケーション・対話が必要。行政側に事業者の考えを理解してもらった上で、地域・社会貢献の取組を実施したい
  • 事業者にとってのメリット:自主的な取組を行うメリット
    • 集客力の向上や顧客からの信頼獲得につながる
    • 地域の安全・安心の確保や活性化等により地域住民の生活が向上し、住民が自社を更に利用してくれるようになる。
    • 自社イメージの向上につながる。
    • 従業員が地域・社会貢献活動を誇りに思い、自社への帰属意識を強めたり、満足度を高めたりする。その結果、離職率の低下にもつながる可能性がある。
  • 事業者にとってのメリット:行政と連携するメリット
    • 自社の取組や業種・業態等に合った情報を、行政の知見を活用して入手できる。
    • 行政と一緒に取り組むことで、事業者の取組に対する顧客の安心感・信頼感が増し、顧客に参加してもらいやすくなる。その結果、本業の集客効果も高まる。
    • 行政と一緒に取り組むことで、自社の地域・社会貢献をアピールできる
  • 行政にとってのメリット
    • 事業者の店舗や配達網等のネットワークを活用して消費者に情報を届けることができる。
    • 身近で普段付き合いのある事業者が顧客に直接コンタクトしてわかりやすく情報を届けてくれるため、行政がポスター掲示やチラシ配布等のみを行う場合と比較して、消費者に情報が届きやすくなる。
    • 本社・本部等に提案して協力が得られれば、全国各地の個々の店舗等に提案しなくても、効率的に全国各地に取組を展開することができる。また、事業者による自主的な取組であるため、事業者側で一度取組が定着すれば、継続して情報を活用してもらえる。
  • 消費者にとってのメリット
    • 身近で普段付き合いのある事業者から情報が届けられるため、安心して情報を受け取ることができる。
    • 行政によってポスター掲示やチラシ配布等のみが行われる場合と比較して、事業者が直接コンタクトして、よりわかりやすく情報を届けてくれる。
    • 消費者に合わせてカスタマイズされた情報が提供されるため、消費者自身にとって必要な商品やサービスの選択に役立つ
  • 行政が事業者の取組に合わせて消費者関連情報を提供し、行政と事業者が相応に分担して情報提供を行うために、行政は事業者と積極的に“対話”を行うことが不可欠である。事業者による自主的な取組に合った情報や、それを顧客や地域住民等に届ける手段(例えば、事業者の「場」で情報を説明するプレゼンター等)を、行政と事業者が対話の上、事業者に提供するという手法を、本報告書では「共創型情報提供」と呼ぶことにする。
  • 事業者内における消費者教育推進のメリット
    • 現場で顧客等と接する従業員が消費者理解を深めることにより、より適切な接客対応が可能となり、消費者トラブルの減少や顧客満足度の向上に寄与する。
    • 顧客等と直接の接点がない部署においても、消費者の視点から業務を見直すことにより、商品・サービスの品質向上や広告・表示の改善等にも寄与する。
    • 従業員のコンプライアンス意識を高めるほか、従業員自身の消費者被害防止にも役立つ。
    • 自社の従業員が資格を取得することにより、多くの資格取得者がいることを消費者等に対してアピールすることができる。
    • 健全かつ消費者志向の事業者が増えることにより、より公正な市場の形成に寄与する
  • おわりに
    • 事業者においては、自社で地域・社会貢献活動を行うに当たり、第2章及び巻末の取組事例集で紹介している先進的な取組を参考にしていただきたい。また、行政との協働に当たっては、第4章で示した共創型情報提供モデルを参考に、地域・社会貢献活動として、行政と共に、消費者関連情報提供の取組を実現・推進することを期待する。
    • 地方公共団体においては、第3章の新たな公民連携の取組及び第4章で示した共創型情報提供モデルを参考に、地域で活動する事業者と連携した消費者関連情報提供の取組の充実・拡大が望まれる。
    • そして、国においては、第4章で示した共創型情報提供モデルにおける地方公共団体の取組への支援を行うと共に、第5章で示した全国的な共創型情報提供モデルの推進や環境整備に取り組むことが求められる。
    • 今回のヒアリングで明らかなように、事業者の地域・社会貢献に対する取組の水準は想像以上のものであり、その方法も様々でアイデアに富んだものであった。消費者行政が事業者との連携・協働を深め、消費者政策に事業者が積極的に関わり、事業者の人的・物的リソースが十分に活用されることにより、消費者行政の充実・推進が図られていくことを期待する。
    • 消費者関連情報の提供の在り方を検討するに当たり、今回は事業者に焦点を当て検討を行ったが、事業者以外にも、地域住民等のために自主的に地域・社会貢献活動を行っている学生サークル、ボランティア、地域団体等も存在する。今後、更なる消費者関連情報の提供の在り方を検討するに当たっては、事業者に限らず自主的な地域・社会貢献活動を行う取組を広い視野で発掘し、例えば、大学等教育機関、地域団体、社会福祉法人、NPO団体等との連携によりこのような取組を行う学生サークルやグループ等を発掘し、消費者関連情報を活用してもらうための方策の検討・構築することにより、様々なルートで消費者に消費者関連情報が届くような社会を目指していくことを期待したい。
    • 消費者が必要とする事故情報や注意喚起情報等が的確に消費者に提供されるためには、情報の発信、伝達、受容が適切にデザインされなければならない。国や地方公共団体等による消費者関連情報の的確な収集・整理の実現、国や地方公共団体のみならず民間部門を含めた効率的な伝達手段による情報提供システムの構築、民間部門による消費者のリスクやニーズに対応した情報受容の促進が求められる。そのためには、DXの進展により今後期待されるICTやAIによる情報通信やデータ処理の抜本的な変革が求められており、消費者行政においてもその調査研究を率先して推進し、これらを先取りして施策化していくことも期待したい。
    • 最後に繰り返しになるが強調しておきたいこととして、消費者市民社会においては、消費者を中心に、国、地方公共団体、消費者団体、事業者それぞれが重要な役割や責任を担っており、事業者と行政だけでなく、消費者市民社会の担い手間の相互連携を充実・強化していくことが必要である。本報告書を受けて、消費者行政に関わる国や地方公共団体、それらと連携・協働が期待される様々なステークホルダーにおいて、消費者関連情報提供の取組が充実・推進される方策を検討されたい。

内閣府 第34回 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ
▼【資料1】 報告書(案)(事務局提出資料)
  • 望ましい自主規制の整備・運用の在り方
    1. 行政規制が存在する分野
      • 行政規制が存在する分野については、ある程度詳細な規定が設けられている分野と、抽象的な規定を中心に設けられている分野に大別される。
      • 前者については、既に多くの事業者団体において行われているように、自主規制の整備・運用を通じて、業界の実情や実務の動向等に即して行政規制を具体化したり、ベストプラクティスを紹介したりするなどの取組を推進していくことが考えられる。
      • 後者については、行政規制では汎用的な規律やプリンシプルを定め、規制当局や消費者・消費者団体等の第三者による一定の関与の下で、事業者団体が業界・分野の特性に応じた詳細なルールを整備・運用していくこと、そのような取組に対して行政や消費者・消費者団体等が積極的に評価していくこと等が考えられる。この場合、既存の行政規制において、事業者団体や自主規制に法的位置付けを与えて、事業者団体の組織や自主規制の整備を後押しする方法も考えられる。
      • なお、これらに関連して、規制の大枠を法令で定めつつ、詳細を事業者による自主的な取組に委ねる規制手法を「共同規制」と呼ぶ場合がある。共同規制という概念は相対的なものであり、自主規制に対する行政の関与の度合いによって、様々な共同規制の在り方が考えられるが、上記の2つの分野における取組についても、(行政の関与の度合いが異なる)共同規制の一類型と位置付けることも可能と考えられる。
    2. 行政規制が存在しない分野
      1. 行政、事業者・事業者団体等が担う役割
        • 以下では、行政規制が存在しない分野において、自主規制の実効性を確保するために重要と考えられる要素を整理する。その際、上記第5・1で述べた共同規制の考え方を踏まえ、行政と事業者・事業者団体による適切な役割分担・連携の関係を構築することが重要と考えられる。以下で示す要素には、(1)専ら行政がその役割を担うもの、(2)行政と事業者・事業者団体のいずれか、あるいは両方がその役割を担うものがある。自主規制を実効的に機能させる仕組みを構築するに際しては、各要素についていずれかの側が担わなければならないことがあらかじめ決まっているわけではなく、各分野の実情に合わせて柔軟に組み合わせることが重要と考えられる。
        • また、新しい取引分野については、社会経済における当該取引の普及・定着の程度や業界としての成熟度、業界団体の組織率や市場への影響力、個別の事業者の市場占有率や市場の選択圧力の程度等に応じて、事業者団体や個別の事業者等の様々な主体が自主規制を策定することが考えられる。これらが適切に組み合わされることによって取引の適正化が図られることが望ましいが、どのような組合せを用いるにせよ、策定過程も含めた情報が開示されることによって、消費者による適切な選択に繋がることが重要であると考えられる。
        • なお、このような取組が進展せず、自主規制が十分に機能しないような場合には、行政規制の導入も検討されるべきである。
      2. 整備段階
        1. 規範の提示
          • WGでのヒアリング等の結果からは、我が国で自主規制の整備が進んでいる分野では、自主規制がそれぞれの分野の行政規制の中に直接位置付けられているものが比較的多いほか、直接的な位置付けがない分野においても、行政規制の内容が自主規制を策定する際の事実上の指針として機能することにより、事業者団体による自主規制の整備を促進する関係にあることがうかがわれた。
          • 他方、行政規制が明確に示されていない分野については、自主規制の整備・運用が十分に進んでいない傾向にあることに鑑みれば、まずは行政において行為規範の大枠を示すことが重要と考えられる。その際、行為規範を示すための方法は法令に限定されるものではなく、ガイドライン等によることも考えられる。
        2. 事業者団体・第三者機関の創設・支援
          • 事業者団体は、自主規制を策定し、加盟事業者による遵守状況についてモニタリングを行い、違反に対してエンフォースメントを行う機関として重要な役割を果たしている。したがって、事業者団体が存在しない分野においては、行政が事業者団体の設立を促し、支援することが必要と考えられる。また、認証やモニタリングを行う第三者機関の設立についても、行政が支援することも考えられる。
        3. マルチステイクホルダープロセス・策定手続の透明性
          • 自主規制の内容を様々な利害関係者の意見を取り入れて策定すること(マルチステイクホルダープロセス)は、当該自主規制の適用を受ける事業者の活動をより適正なものにするために重要であるほか、消費者からの信頼を向上する観点からも重要であると考えられる。マルチステイクホルダープロセスを実現するための手段として、民間協議会や官民協議会の枠組みを整備・活用することも考えられる。
          • また、自主規制の策定手続が透明化されることは、規制内容の適正性の担保や消費者からの信頼性の確保の観点からも重要であり、策定手続についての情報開示を促進することが望まれる。
      3. 運用段階
        1. 自主規制遵守の実効性確保
          • 自主規制は、事業者によって遵守されなければ意味がない。遵守状況については、事業者団体等による調査・監査等の方法によって適切なモニタリングがなされるべきであり、違反に対しては何らかの制裁措置(事業者名の公表等の手段を含む)が設けられることが望ましい。
          • また、適用範囲が広く、個別の規制法令では対応することができない事案については、受け皿的に機能する行政規制が設けられていれば、その規制権限を背景として、新しい取引分野など行政規制の整備が十分に進んでいない分野における実効的な自主規制の整備・運用を促していくことも考えられる。中長期的には、このような観点も踏まえた共同規制の枠組を構築することも考えられる。
        2. 消費者をはじめとする市場のステイクホルダーからの評価
          • 消費者をはじめとする市場のステイクホルダーからの評価は、事業者に対して、自主規制を遵守するインセンティブを与える。事業者・事業者団体は、消費者・消費者団体等からの評価を受ける前提として、自主的取組について積極的に情報開示を行うとともに、それについて消費者・消費者団体等と意見交換等を行う機会を積極的に設けるべきである。
          • それと同時に、自主規制に取り組んでいる事業者・事業者団体を適切に評価する消費者の意識の醸成も必要であるほか、消費者の利益を代表する者として、消費者団体の果たす役割も重要である。今後、消費者団体は事業者・事業者団体による自主的な取組を適切に評価できるよう、電子商取引分野をはじめとする新しい取引分野についても専門的な知見を高めていく必要があるほか、行政としてもそのような役割を担う消費者団体を育成・支援することが必要である。
          • 消費者をはじめとする市場のステイクホルダーからの評価を強化する方法としては、行政又は事業者団体が優れた取組を行う事業者・事業者団体に積極的評価を与える表彰制度・認証制度等を活用することも考えられる。また、消費者団体が各事業者・事業者団体による自主的な取組について、一定の基準に基づき格付けを行い、その結果を公表するといった方法も考えられる。
        3. 紛争解決機能
          • 事業者団体の取組によって個別の紛争が解決されることは、ルールの実効性確保に資するものである。また、事業者団体によって紛争解決手段が提供されていることは、消費者からの信頼性を高めるものでもあることから、一定の紛争解決機能が整備されることが望まれる。紛争解決手続を進めるに当たっては、手続の公平性や透明性等を確保する観点から、専門家や消費者・消費者団体等の第三者をメンバーに加えることが必要である。
        4. 自主的取組の運用状況のモニタリング
          • 個別の自主規制違反事例が適切に是正されることや個別の紛争が解決されることも重要であるが、行政ないし事業者団体が自主規制の運用状況を定期的にモニタリングすることによって、自主的取組を俯瞰的に評価し、制度全体が定期的に見直されることが望まれる。この定期的なモニタリングの枠組みの中に、消費者・消費者団体を含めることも考えられる。
        5. 運用段階の透明性
          • 自主規制の内容、遵守状況、違反に対するサンクションの発動事例等が、外部に対して開示されていなければ、行政による監視は機能しない。
          • また、消費者の立場からすれば、これらが開示されることによってはじめて、自主的取組を行う事業者・事業者団体への評価が可能となる。このため、事業者・事業者団体の自主的な取組の状況等については積極的に情報開示を行い、外部からの透明性を高めるよう努めるべきである

内閣府 計画と対策 ーわが国の交通安全対策の総合的な推進ー
▼資料1-1:通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策(案)の概要
  1. 通学路等における交通安全の確保
    1. 通学路における合同点検の実施及び対策必要箇所の抽出
      • 全国の市町村(特別区を含む。以下同じ。)立小学校の通学路を対象に合同点検を実施。
      • 放課後児童クラブの来所・帰宅経路についても、市町村立小学校が行う合同点検を踏まえつつ、安全点検を実施。
      • これまで危険・要注意箇所として、道路が狭い、見通しが悪い等を例示していたところ、このような箇所に加え、以下等の観点も踏まえ、危険箇所をリストアップし、合同点検及び対策必要箇所の抽出を令和3年9月末までを目途に実施。
        • 見通しのよい道路や幹線道路の抜け道となっている道路など車の速度が上がりやすい箇所や大型車の進入が多い箇所
        • 過去に事故に至らなくてもヒヤリハット事例があった箇所
        • 保護者、見守り活動者、地域住民等から市町村への改善要請があった箇所
    2. 合同点検で抽出した対策必要箇所の対策案の検討・作成
      • (1)で抽出した対策必要箇所について、令和3年10月末までを目途に対策案を検討・作成。
      • 速度規制や登下校時間帯に限った車両通行止め、通学路の変更、スクールガード等による登下校時の見守り活動の実施等によるソフト面での対策に加え、歩道やガードレール、信号機、横断歩道等の交通安全施設等の整備等によるハード面での対策を適切に組み合わせるなど、地域の実情に対応した、効果的な対策を検討し、可能なものから速やかに実施。
    3. 子供の安全な通行を確保するための道路交通環境の整備の推進
      • 歩道の設置・拡充、歩行者と自動車・自転車の利用空間の分離、ガードレール等の防護柵などの交通安全施設等の整備、無電柱化、踏切対策など、子供の視点に立った交通安全対策を推進。
      • 信号機の歩車分離化、信号灯器のLED化、横断歩道の設置・更新、路側帯の設置・拡幅、標識の高輝度化等を行うなど、子供の安全な通行空間を確保するための交通安全施設等の整備。
      • ゾーン30をはじめとする低速度規制を的確に実施するとともに、効果的にハンプ等の物理的デバイスの設置を進め、通学路等における速度抑制・通過交通の進入抑制対策を推進。
      • スクールゾーンを設定するほか、登下校時間帯に限った車両通行止めをはじめとする各種交通規制を的確に実施するとともに、当該規制の実効性を確保するため、登下校時間帯に重点を置いた、交通事故抑止に資する交通指導取締りを推進。
    4. 「可搬式速度違反自動取締装置」の更なる整備の推進及び効果的な速度違反取締り
      • 幅員が狭い道路でも活用できる「可搬式速度違反自動取締装置」の更なる整備を推進するなどして効果的な速度違反取締りを行い、速度規制の実効性を確保。
    5. 子供を始めとする歩行者の安全確保のための交通安全教育・指導取締り
      • 横断する意思を明確に伝えるなど自ら安全を守るための交通行動を促す交通安全教育等。
    6. 登下校時の子供の安全確保
      • スクールガード・リーダーの活動に係る支援等スクールガードの見守り活動の支援、通学環境の違いや道路事情など地域の実情や特性が異なることに十分に配慮した地域公共交通やスクールバスの活用の検討等の通学環境の整備等、地域の特性・必要性に応じた対策を講じる。
    7. 「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」に基づく安全安心な歩行空間の確保
      • 引き続き取組を行うとともに、対策必要箇所のうち、対策未完了の箇所は、早期完了に向けて、対策の着実な実施を推進。
  2. 飲酒運転の根絶
    1. 安全運転管理者の未選任事業所の一掃等、飲酒運転の根絶に向けた使用者対策の強化
      • 安全運転管理者が確実に選任されるよう、関係省庁が連携して、業界に対する選任義務等の周知を行うなど、未選任事業所の一掃を図る。
      • 自動車保管場所証明業務との連携等により未選任事業所の効果的・効率的な把握にも努めつつ、安全運転管理者の選任状況について、都道府県警察のウェブサイト上での公開により選任の促進を実施。
      • 乗車前後におけるアルコール検知器を活用した酒気帯びの有無の確認の促進やドライブレコーダーを活用した交通安全教育の推進等、安全運転管理者が行う安全運転管理業務の内容の充実を図ることにより、業務に使用する自動車の使用者における義務の徹底や対策の拡充等を図り、飲酒運転の根絶に向けた取組を推進。
    2. 飲酒運転の根絶に向けた交通安全教育及び広報啓発活動等の推進
      • 映像機器や飲酒体験ゴーグルを活用した参加・体験型の交通安全教育を推進。
      • 「ハンドルキーパー運動」※2への参加を広く国民に呼び掛けるなど、関係機関・団体等と連携して
      • 「飲酒運転を絶対にしない、させない」という国民の規範意識の更なる向上を図る。
    3. 飲酒運転等の根絶に向けた取締りの一層の強化
      • 違反や交通事故の実態等を分析し、取締りの時間、場所等について方針を策定するとともに、不断の効果検証を行うといったPDCAサイクルに基づく管理を行い、飲酒運転に対する取締りを一層強化するほか、飲酒運転取締り機材について整備を図る。
      • 車両等の提供、酒類の提供及び要求・依頼しての同乗や教唆行為、飲酒運転の下命、容認行為について確実な立件に努める。
    4. 運送事業用自動車での飲酒運転根絶に向けた取組強化
      • 運送事業者による飲酒運転対策の優良事例について、他の運送事業者でも実施できるように詳細な調査を行い、その結果を情報共有することにより、運送事業者による更なる飲酒運転対策を促す。
      • 運転者の指導・監督時の実施マニュアルにアルコール依存症関係の記載について拡充することや、アルコールインターロック装置に関して運送事業者への情報提供等による普及促進を図ることにより、飲酒傾向の強い運転者への対策を講じる

内閣府 第22回消費者契約に関する検討会
▼【資料】報告書(案)
  • 困惑類型の脱法防止規定
    • 法第4条第3項各号のうち、不退去(第1号)、退去妨害(第2号)、契約前の義務実施(第7号)及び契約前活動の損失補償請求(第8号)は、本当は契約を締結したくないと考えている一般的・平均的な消費者であっても、結局、契約を締結してしまう程度に消費者に心理的な負担をかける行為であり、この点に不当性の実質的な根拠があると考えられる。しかし、これらの規定に列挙された行為に形式的に該当しないものであっても、これらの不当性の実質的な根拠に照らすと、同様に扱うことが必要と考えられる場合もある。そこで、上記4つの各号と実質的に同程度の不当性を有する行為について、脱法防止規定を設けることが考えられる。
    • 具体的には、上記4つの各号の受皿であることを明確にすることにより、これらと同等の不当性が認められる行為を捉えることを明らかにしつつ、例えば、その場で勧誘から逃れようとする行動を消費者がとることを困難にする行為という形で類型化することで、事業者の威迫による(威力を用いた)言動や偽計を用いた言動、執拗な勧誘行為を捉えることが考えられる。その際は、対象となる行為をある程度具体化した上で、正当な理由がある場合を除くなど、評価を伴う要件もあわせて設けることで、正常な事業活動については取消しの対象にならないよう調整することが可能な規定とすることが考えられる。
    • また、上記4つの各号のうち第7号及び第8号については、規定上第8号が第7号の受皿規定となっており、脱法防止規定を設けることが難しいのではないかという意見があったが、この点については、第8号の要件を整理し直すことによって第8号を脱法防止規定とすることも考えられる。
    • 他方、霊感等による知見を用いた告知(第6号)は、消費者の心理状態やこれに関する事業者の認識が要件とされていない点で上記4つの各号と共通するものの、消費者が契約を締結したいと考えるよう誘導するものである点において異なるものであることから、受皿となる脱法防止規定の対象とはしないことが考えられる。
    • さらに、法第4条第3項各号のうち、経験の不足による不安をあおる告知(第3号)、経験の不足による好意の感情の誤信に乗じた関係の破綻の告知(第4号)及び判断力の低下による不安をあおる告知(第5号)については、消費者の属性や心理状態を要件としており、当該消費者が有している合理的判断ができない事情が判断の対象となるが、そのような事情は多様であって受皿となる脱法防止規定を設けることは困難であると考えられる。また、消費者の心理状態に関する事業者の認識が要件とされているところ、多様な消費者の心理状態のすべてを事業者が認識することは難しく、また消費者がこれを主張立証することも困難であると考えられる。
    • なお、消費者の心理状態に着目した規定により救済されうる事例を見極めた上で、法第4条第3項第3号から第5号の受け皿となる脱法防止規定も検討すべきとの意見もあった。
  • 消費者の心理状態に着目した規定
    • 事業者が、正常な商慣習に照らして不当に消費者の判断の前提となる環境に対して働きかけることにより、消費者が適切な判断をすることができない状況を作出し、消費者の意思決定が歪められた場合における消費者の取消権を設けることが考えられる。
    • 具体的には、正常な商慣習に照らして不当に消費者の判断の前提となる環境に対して働きかける行為として、例えば、消費者が慎重に検討する機会を奪う行為を規定することが考えられる。その際、正常な商慣習については、契約の性質や類型に照らして判断されるべきと考えられ、消費者が慎重に検討する機会を奪う行為については、事業者の行為を細分化するのではなく、組み立てられた一連の行為を総合的に捉えるべきである。また、正当な理由がある場合を除くなど、評価を伴う要件もあわせて設けることで、正常な事業活動については取消しの対象にならないよう調整することが可能な規定とすることが考えられる。
    • なお、正当な理由がある場合ではないのに、意思表示をする期間を極めて短く限定したり広告とは異なる勧誘を行った場合に限定した上で、この場合を具体化する方向で規定を設けるべきという意見や、高揚感をあおる行為が対象となることを明らかにすべきという意見もあった
  • 消費者の判断力に着目した規定
    • 判断力の著しく低下した消費者3が、自らの生活に著しい支障を及ぼすような内容の契約を締結した場合における取消権を定めることが考えられる。
    • 具体的には、この規定は、契約の当事者には契約自由の原則(民法(明治29年法律第89号)第521条)がある中で、当該契約が当該消費者に及ぼす影響に着目した取消権を定めるものであることから、対象となる契約は消費者保護の観点から真に必要な範囲に限定すべきである。そこで、当該消費者の生活を将来にわたり成り立たなくするような契約を対象とすることが考えられ、例えば、自宅を売却し、しかも、今後住むところがないような場合や、自身の労働によって新たに収入を得ていくことが期待できない中で貯蓄や年金収入の大半を消尽してしまう場合が想定される。その際、過量契約取消権(法第4条第4項)のように契約の目的となるものの量に着目するものではなく、質に着目するものであること、当該契約によって直ちに生活が成り立たなくなる場合だけでなく、当該契約によって将来にわたる生活に著しい支障を及ぼす場合も捕捉すべきであること、代理人が本人に代わって意思表示をした場合や被保佐人が保佐人の同意を得て意思表示をした場合などは取消しの対象とならないことを明確にすべきである。
    • 取消しの対象となる契約であることを事業者が知っているとは限らないこと、その一方で、事業者の悪意を消費者が立証することは困難であることから、事業者に悪意がある場合及び悪意と同視される程度の重過失がある場合に限り取り消すことができる旨の規定とすることが考えられる。
    • 他方で、消費者の判断力に関する事業者の認識については、真に必要な範囲に限って消費者に取消権を与えるという趣旨に照らし、消費者保護の観点から、要件としないことが考えられる。
    • なお、取消しの対象となる契約であることについての事業者の認識(主観要件)については、重過失を要件とすると訴訟や消費生活相談における被害救済が困難になるとして、善意かつ無過失を要件とすべきであるという意見もあった。また、消費者の判断力に関する事業者の認識についても、悪意又は善意であっても過失がある場合に限り取り消すことができる旨の規定とすべきであるという意見や、事業者が消費者の判断力を確認しようとしたにもかかわらず消費者がこれに応じなかった場合には取り消すことができないようにすべきとの意見もあった
  • 過量契約取消権における「同種」の解釈
    • 「同種」の範囲は、過度に細分化して解すべきではなく、過量性の判断対象となる分量等に合算されるべきかどうかという観点から、別の種類のものとして並行して給付を受けることが通常行われているかどうかのみならず、当該消費者が置かれた状況に照らして合理的に考えたときに別の種類のものとみることが適当かどうかについても、社会通念に照らして判断すべきである旨を逐条解説等によって明らかにすることが考えられる
  • 「平均的な損害」 将来の検討課題
    • 「平均的な損害」に係る立証責任の負担を軽減するために、文書提出命令の特則が必要であるかについては、法第9条第1号に考慮要素を列挙することの効果、「平均的な損害」の説明に努める義務及び積極否認の特則の運用実態を踏まえて、それでも「平均的な損害」の負担の軽減が不十分であると判明した場合の将来の検討課題とすることが考えられる。また、文書提出命令の特則について導入を検討する際には、営業秘密が含まれている可能性のある文書を開示する義務を負うという性質に鑑みて秘密保持命令の導入等の営業秘密の保護に関しても改めて検討する必要があると考えられる。
    • さらに、「平均的な損害」を解約料の策定やその相当性判断の基準とすることについての解釈も揺らいできており、「平均的な損害」という概念自体から見直す必要についても意見があり、上記の各制度改正後の実務の状況や違約金条項についての調査の進捗状況も踏まえて、将来的に検討課題とすることが考えられる。
  • サルベージ条項
    • 事業者の損害賠償責任の範囲についてサルベージ条項が用いられる場合には、消費者の事業者に対する損害賠償責任の追及を抑制してしまい、法第8条の目的が大きく損なわれることとなりかねない不当性を踏まえ、事業者の損害賠償責任の範囲を軽過失の場合に一部免除する旨の契約条項は、これを明示的に定めなければ効力を有さない(サルベージ条項によっては同様の効果を生じない)こととする規定を設けることが考えられる。
    • その際、事業者が何を明示的に定めればよいのか明確化する必要があるが、例えば、事業者が、軽過失の場合に損害賠償の限度額を定めるのであれば、明示的に「軽過失の場合には損害賠償責任の限度額を〇万円とする」等の契約条項とすることが求められると考えられる。
    • 但し、サルベージ条項の問題は理論的には事業者の損害賠償責任の一部免除に関わる場合に限定されないことには留意する必要があり、「法律上許される限り」という留保文言は契約内容の不透明さという点で非常に問題があり、法第3条第1項第1号との関係で問題があること等を逐条解説等で示すことも必要と考えられる。また、事業者の損害賠償責任の一部免除条項以外のサルベージ条項についても規律を設ける必要があるかについては、具体的に問題ある使用事例が相当程度確認された際に検討課題とすることが適切と考えられる
  • 消費者の解除権の行使を制限する条項
    • 少なくとも、契約条項の定めのみをもって、消費者の解除権の行使を制限するものと評価できる契約条項が存するのであれば、このような契約条項について消費者契約法上の不当条項規制によって対応すべきと考えられる。もっとも、これらは常に無効とすべきものではないことを踏まえて、法第10条の第1要件の例示とすることが考えられる。
    • 具体的には、解除に伴う手続に必要な範囲を超えて、消費者に労力又は費用をかけさせる方法に制限する条項とし、さらに、その範囲の判断を画するため、「本人確認その他の解除に係る手続に通常必要な範囲」等として、必要な範囲の典型例を具体的に示すことが考えられる。また、これに加えて、当該消費者契約の締結の際に必要とされた手続等と比して、消費者の労力又は費用を加重することを要素とすることも考えられる。
    • 法第10条の第1要件に例示すべきものとしては、任意規定と乖離しているというだけではなく、不当性が認められる相応の蓋然性があるものとすべきと考えられるが、他方、例示部分を除いた法第10条の第1要件としては、任意規定との乖離、すなわち「法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項」であれば要件該当性が認められると考えられるため、この点については逐条解説等で明確にすべきと考えられる
  • 消費者の解除権に関する努力義務
    • 上記のような問題は、事業者が消費者の解除権の行使のために必要な情報を、消費者が解除権を行使する時点において十分に提供できていないために生じている場合が多いと考えられる。この点、法第3条第1項第2号によって事業者に求められる情報提供の努力義務はあくまでも勧誘時のものであるが、事業者側から見れば、契約の締結の際に一番大きなエネルギーが割かれるところ、消費者側からみれば、契約の締結の際には契約への期待があるため大きな負担が生じない一方で、契約を解除する際には大きな負担が生じることから、解除に関する情報提供は契約締結時だけでなく、消費者が契約を解除する際にこそより丁寧になされる必要があると考えられ、これを努力義務とする規定を設けることが考えられる。
    • また、単に消費者の解除権の行使のために必要な情報の提供にとどまらず、サポート体制の構築に見られるような、消費者による解除権の行使が円滑に行われるための配慮も有益と考えられるところ、これを含めて努力義務の内容とすることが考えられる。
    • なお、上記のような運用の原因は、事業者が消費者の解除権の行使を意図的に妨げていることに原因がある可能性もあるところ、これに対しては法的義務及び当該義務違反への制裁により対処することが適切であるという意見もあった。他方で、これが行為規制の規定を持たない消費者契約法で対処すべき問題であるか否かは慎重な検討を要するという意見も見られた
  • 消費者契約の内容に係る情報提供の努力義務における考慮要素について
    • 消費者の「年齢」が同じであっても、理解の程度は個々の消費者によって異なるものであり、「年齢」のみで一律の対応をすることは適切ではない。もっとも、消費者が若年者である又は高齢者であるという意味で、消費者の「年齢」は理解の不十分さを伺わせる一つの手掛かりになるものと考えられる。また、消費者の「年齢」は、消費者の「知識及び経験」と比べると、取引の態様によっては事業者が容易に知ることができることから、消費者の「年齢」を考慮要素とすることで、個々の消費者の理解に応じた丁寧な情報提供が、より多くの取引において行われるようになることが期待できる。
    • 消費者の「年齢」、「知識及び経験」は個々の消費者に関する事情であり、事業者が知っているとは限らないが、事業者はこれらの要素を知ることができた場合には考慮した上で情報提供を行うことが期待されており、これらの要素を積極的に調査することまで求めるものではないことを明らかにすることが考えられる。また、これらの要素は消費者の理解の不十分さを伺わせる手掛かりであるから、これらの要素を総合的に考慮し、消費者の理解に応じた情報提供を行うべきであり、「年齢」だけで画一的な対応をすべきではない旨も明らかにすることが考えられる。
    • 他方、消費者の「生活の状況」及び「財産の状況」については、一般的には消費者の理解の程度との関連性が低いため、考慮要素とはしないことが考えられる。
    • 以上を踏まえ、法第3条第1項第2号については、事業者が知ることができた個々の消費者の年齢、知識及び経験を総合的に考慮した上で情報を提供すべきである旨を明らかにすることが考えられる。

内閣府 原子力委員会 原子力白書
▼概要版
  • 福島の今(オフサイトの取組)
    1. 福島の復興・再生は着実に進展
      1. 福島県内の空間線量率は、海外主要都市と同水準
      2. 帰還困難区域を除き、面的除染完了、避難指示区域解除
      3. 特定復興再生拠点区域では、除染やインフラ整備等を推進
      4. 放射線被ばくによる住民への健康影響が観察される可能性は低い
      5. ほとんどの農林水産物で、放射性物質の基準値超過なし
      6. 学校、医療・介護、買物、交通インフラ等の生活環境整備が進展
      7. 新たな産業創出に向け、福島イノベーション・コースト構想を推進
    2. 一方で、復興・再生の取組は道半ば
      1. いまだ約3.6万人の福島県民が避難生活を継続
      2. 特定復興再生拠点区域外の帰還困難区域については、避難指示解除の具体的な方針が示せていない状況
      3. 農業産出額は、震災前の水準まで回復していないまま
      4. 農林水産業や観光業を中心に、風評が固定化
      5. 長期避難生活や風評被害等の「固有の課題」に加え、人口減少・少子高齢化等の「普遍的課題」も顕在化
  • 福島の今(オフサイトの取組)
    1. 原発敷地内・周辺の環境は大きく改善
      • 事故を起こした原子炉は冷温停止状態に達し、安定化
      • 原発敷地面積の約96%で、一般作業服等での作業可能
    2. 一方で、事故炉の廃止措置完了までは長い道のり
      1. 1~4号機の原子炉建屋内やその周辺は、依然として高線量な状態
      2. 30年から40年後の廃止措置完了を目指し、廃炉作業を継続中
      3. 事故の調査・分析も、取り組むべきことが山積
  • 組織文化や枠組みに係る取組
    1. 各種事故調の提言や教訓を踏まえて改善
      1. 原子力規制委員会、原子力規制庁の発足
      2. 「新規制基準」の施行、「原子力規制検査」の運用開始
      3. 平時及び緊急時の原子力防災体制の見直し
      4. 原子力事業者による自主的安全性向上に向けた新組織設立
    2. 一方で、課題も残る
      • 「世界で最も厳しい基準」を満たせば安全であるという慢心により、「新たな安全神話」が生み出される懸念
      • 事故の記憶や教訓を忘れ、同じ過ちを繰り返すリスク
  • 全ての原子力関係者が忘れてはならないこと
    1. 東電福島第一原発事故により、いまだ避難生活を続けている人がいて、避難指示が解除されていない地域があること
    2. 事故によって生じた風評が固定化され、福島の人たちを苦しめていること
    3. 二度と事故を起こさないために、原子力災害に関する記憶と教訓を忘れないこと
    4. 安全確保や信頼構築の取組に終わりはないこと
  • 全ての原子力関係者が協働して取り組まなければならないこと
    1. 福島の方々が誇りと自信を持てるふるさとを取り戻すことができるときまで、福島の復興・再生に携わっていくこと
    2. 安全確保や信頼再構築に向けた取組を継続していくこと
    3. 原子力関係機関に内在する本質的な課題の解決に向けた取組を継続していくこと
    4. 今般の原子力災害に関する記憶と教訓を風化させずに、次世代に確実に引き継ぐこと
    5. この国を担う次の世代が原子力や放射線について科学的に正しい知識を身に付け、社会の中における原子力や放射線の位置付けについて自ら考え、評価できるように、それぞれの立場で必要な支援を行っていくこと

内閣府 経済財政諮問会議
▼第11回経済財政諮問会議 議事要旨
  • (柳川議員) 今、井上内閣府政策統括官から説明があったように、今回の試算では税収が上振れしたので、PBが黒字化する時期が、コロナ前に試算していた姿に戻ったということは、ある意味で注目すべき試算だと思う。
    • ただ、結局のところ、我々に突きつけられている大きな課題というのは、この成長実現ケースというものをどうやってしっかり実現させるかというところにある。PB黒字化の目標も、この成長実現ケースが実現できてこそという話になる。
    • 残念ながら、これまではこういう目標を立てておきながらベースラインケースに留まってきたというのが現状で、コロナの時にはもちろんベースラインケースも実現できなかったが、現状どうやってこの成長実現ケースにしっかり乗せていくのかということが我々に課せられた非常に大きな課題なのだろうと思っている。
    • そういう意味では、この資料6-1の、やはりコロナ後を見据えた抜本的な成長力強化の取組が不可欠ということが何よりも申し上げたいメッセージであり、それについては骨太方針の方で、グリーン、デジタル、地方活性化、子ども・子育て、4分野というところで、しっかり財政税制、規制改革をしっかりやって、民間投資・民間消費を大胆に喚起することが重要と書いている。
    • その点では、やはりグリーン投資。グリーン社会の実現に向けたインフラをしっかり整備をするということが何より大事であり、当然、デジタルをしっかり使っていくこと。それから、いわゆるペントアップ需要が、コロナの状況が回復してくれば期待できるが、やはりこれが先ほどからの議論にもあったように、持続的な消費の拡大につながっていかなくてはいけないというところがあるので、その持続的な需要の喚起策と、一方では、その需要にしっかり応えられるだけの供給側の付加価値を高め、良いサービスが提供できる状態にしていくという、供給力の向上も必要となるだろうということを書いている。
    • それで、2のところの経済・財政一体改革の着実な推進だが、PB黒字化の目標は、当然、成長が実現するのであれば元の試算に戻っているわけだが、先ほど図で見ていただいたように、残念ながらコロナでGDPの水準は落ち込んでおり、伸びは戻るものの、落ち込んだ状況から延伸していくと、債務残高も増えているというところを考えると、先ほどの御説明の資料5-2の最後のところにあったように、しっかりとした債務残高の対GDP比率を安定的に引き下げていく重要性というのは、今まで以上に高まっているということが言える。
    • そういう面では、歳出・歳入両面から改革をしっかり実現させていくことが何よりも大事だということを強調して書いている。そのときには、単に支出を減らすということだけではなく、2ページに書いてあるように、安心して結婚・子育てができるような体制をつくっていく。そういう意味での正規・非正規の格差是正をしていくということも、実は、成長の基盤を構築する際の重要な要素なので、そういうものもしっかり目配りしながら進めていくことが重要だと書いている。
    • 最後に、先ほど御紹介いただいたように、過去の試算との乖離がどのようになっていたかということを、エビデンスを用いて示していただいたことは非常に評価できるところだと思っている。今後も、2025年の目標を見据えるのであれば、構造的に何が問題か、目標としたものがどこまで実現できなかったのか、単に実現できなかった、できたという話ではなく、その裏側にある構造的な課題を明らかにして、どういう対策を取っていくべきかということをしっかり議論していくべきだと書いている。
  • (梶山議員)柳川議員から御指摘があったように、コロナ後を見据えた成長力強化への取組として、グリーン・インフラの基盤整備は大変重要であり、しっかりと早期に推進してまいる。
    • 電気自動車・燃料電池自動車の普及に当たり、充電設備や水素ステーションの整備は不可欠。政府として急速充電設備を3万基設置し、遅くとも2030年までにガソリン車並みの利便性を実現するように、強力に整備を進めてまいる。また、水素ステーションについては、燃料電池自動車・燃料電池バス及び燃料電池トラックの普及を見据えて、人流・物流を考慮しながら、最適な配置となるように、2030年までに1,000基程度整備する。
    • 電力系統については、再エネの大量導入に対応しつつ、レジリエンスを抜本的に強化した次世代型ネットワークに転換していくことが重要。そのため、全国大の送電網を計画的に整備するためのマスタープランの策定を行う。さらに、洋上風力のポテンシャルの大きい北海道等から大消費地まで送電するための直流送電システムを計画的・効率的に整備すべく検討を加速してまいる。その際、経済効果の大きさや、経済安全保障の視点等も踏まえつつ、国内設備投資の促進策等についても検討してまいりたい。
    • (麻生議員)新型コロナの危機を乗り越えて、次の世代に未来につないでいく、これは我々の世代にとっての責任だということははっきりしているが、累次の補正予算による新型コロナへの対応等により債務残高が大幅に増加していることも事実。今回の中長期試算を見ると、前回よりは若干改善しているが、引き続き手を緩めることなく、2025年度のPBの黒字化とともに、債務残高対GDP比の安定的な引下げに向けて、少子高齢化という避けがたい現実の中にあって、社会保障の持続可能性を高める改革など、歳入・歳出両面の改革にしっかりと取り組んでまいりたいと考えている。
  • (十倉議員)中長期の経済財政運営について、ポイントは、現局面は政府の役割が期待される時代だということ。以下、2点申し上げる
    • 一点目は、例えばコロナや地球温暖化といった生態系の崩壊に関する問題は、市場原理では解決できない。日本はとても安全な国で、これまでは有事を想定せずにいられたが、残念ながら、コロナに代表されるような緊急事態への対応は今後必要で、そこで中心的な役割を果たしていただくのは政府だ。また、地球温暖化対策についても、欧米では大規模なグリーンディールを実施し、政府が主導して、国レベルで社会政策・産業政策を、一体的・戦略的に行っている。このように中長期の大きな政策パッケージを政府が中心となって展開することが求められている。
    • 二点目は、経済成長がなければ財政健全化の達成は困難だということ。柳川議員の御指摘のとおりである。まさに経済あっての財政だ。官民が協力できる重要分野で投資を行っていくべきだと考える。
    • 例えばグリーン分野。グリーンイノベーション基金は、研究開発フェーズであり、これは非常にありがたいが、その次のフェーズ、すなわち社会実装やインフラ投資などで今後の大規模な資金が必要になる。民間議員提出資料では、グリーン投資をファイナンスする手段の多様化や、規模の拡大を図るべきと指摘している。例えばグリーン分野への財政措置の財源として、グリーン目的の国債、グリーンボンドだが、これについても具体的な検討課題として取り上げるべきかと考える。
    • こうした財政措置と相まって、企業も資金を積極的に調達し、投資をしてまいりたいと思う。投資には政府の失敗、市場の失敗、どちらもあり得る。官民が協力して、グリーン、デジタルの分野を中心に、中長期の大きな経済政策を展開していきたいと考えている。
  • (竹森議員)手短に3点申し上げる。
    • まず、財政収支もしくはPBというのは、フローの数字で、麻生大臣がおっしゃった公債残高というのは、ストックの残高である。麻生大臣が指摘されたように、コロナでストックの数字は悪化している。その結果は、通常金利負担によってフローにも結びつくが、日本の場合、金利が非常に低いので、フローに結びつかない。そういうことで、フローはそれほど悪くなっていないが、私は、麻生大臣のおっしゃったとおり、ストックの数字に十分注意が必要だと考える。
    • 2点目、グリーン関係の支出として、10年間で2兆円を見込んでいる。これは基金として認めているが、欧米が今進めている予算の10分の1以下の規模だ。欧米が本当にこれをやるかどうか、政治的ないろいろな不確実性があるが、もし、欧米が本当に進めたときは、規模について不足感が出てくるのは間違いない。その場合に、もっと規模を増やさないと、重要な新分野で日本が切り口を開けないという問題が出てくるのではないか。
    • 3点目、労働市場について、先ほど欧米について申し上げたが、今、賃金が上がっている。とにかく急速に労働需要が盛り上がっていて、引っ込んでいた労働力が呼び返されている段階で、この勢いは日本にも来ると思う。その結果、賃上げの勢いが出てくると、インフレ率2%達成の可能性が生まれてくるので、その可能性を何とか活かすような政策を、中央銀行と政府の協力で進めていただきたいと考えている。
  • (菅議長)本日は、最低賃金の引上げに向けた環境整備及び中長期の経済・財政について議論を行った。
    • 今年度の最低賃金は、過去最高となる28円の目安額の引上げとなったが、今後、地方における議論を経て、10月より実施される。
    • 新型コロナの影響が長引く中で、多くの中小企業は厳しい業況の中にあり、売上の減少や、今回の最低賃金の引上げに伴うコスト増を十分に踏まえ、事業の存続と雇用の維持に向け、丁寧に支援していく必要がある。
    • このため、雇用調整助成金の特例的な助成率を年末まで維持しつつ、事業者の要望の強い、助成金の要件の緩和や事業再構築のための補助率の引上げを行う。さらに、新型コロナの影響や最低賃金の引上げの状況に対応し、きめ細かな支援を行ってまいる。
    • これにより、最低賃金の引上げに向けた環境整備を行い、賃金格差の拡大を是正しながら、賃上げの流れをさらに強固なものにする。
    • 今後の経済・財政運営については、まずは感染防止対策を徹底しながら、ワクチン接種を進め、1日も早く新型コロナの感染を収束させるべく全力を挙げる。
    • 昨年度の税収はこれまでで最も高い水準となった。これを反映し、本日示された経済・財政の中長期試算では、経済成長を実現し、歳出改革を続けていくことにより、2025年度にPB黒字化を実現する姿が示された。
    • ポストコロナに向けて、グリーン、デジタル、活力ある地方、少子化対策に予算、税制を大胆に重点化し、思い切った規制改革を進め、既存の仕組みをゼロベースで見直すことによって、雇用の確保、賃金の上昇、投資の拡大を実現してまいりたい。

内閣府 第33回 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ
▼【資料1】 報告書(素案)(事務局提出資料)
  • 自主規制の意義
    • 消費者にとっての自主規制の意義
      • 自主規制は、行政規制がない分野について、積極的に規定を設けることにより、消費者利益の保護を図る機能を果たす場合がある(例えば、通信販売について、クーリング・オフ類似の制度を設ける場合等である)。
      • また、自主規制が策定され、消費者に対しても開示されることによって、消費者にとっての予見可能性を向上することが期待される。すなわち、行政規制がない場合や、あったとしても規範が抽象的であり具体的にどのように適用されるのか明らかでない場合等に、各業界の実情に関する知見や専門性等を活かして策定された自主規制が、消費者に対してルールの適用場面を明確化する役割を果たすことがある。
    • 事業者側にとっての自主規制の意義
      • 自主規制は、事業者側にとっては、各業界の実情に合わせた柔軟なルールを事業者・事業者団体が自ら策定することによって、ルールの適用場面についての予見可能性が高まるというメリットが存在する。また、個々の事業者ひいては業界全体の遵法意識が向上し、それが社会に認知されることによって、業界全体に対する信頼性の向上を図ることが期待される。
    • 規制当局側にとっての自主規制の意義
      • 近年の技術進歩やビジネスモデルの変化等に伴い次々と登場する新しい取引分野は、その内容が複雑であり、専門性も高く、さらに規制対象が流動的である場合が多い。このような場合、行政規制の整備を行うためには多大な時間や労力を要することが予想されるほか、規制対象が流動的なため、適切な規制基準をあらかじめ定めることが難しいこともある。このような取引分野について、行政規制によって詳細かつ網羅的に規制しようとすれば、行政コストが大幅に増加してしまうおそれがある。
      • これに対し自主規制は、当該取引分野を熟知した事業者・事業者団体が自ら定めるものであることから、複雑性・専門性に対応することは相対的に容易であり、国が行政規制を整備するよりも、柔軟かつ迅速な対応が可能な場合が多いと考えられる。
      • また、規制当局としては、まずは自主規制として定着した規範を、その後に行政規制とすることも考えられる。
  • 自主規制の限界
    • 本報告書では、消費者取引分野における望ましい自主規制の整備・運用の在り方について検討する。しかし、自主規制はあらゆる場面において有効に機能するわけではなく、一定の限界があることにも十分留意する必要がある。
    • すなわち、取引の適正化や消費者保護を図る上で、自主規制だけでは必ずしも十分な内容を定めることができない可能性があるほか、内容が個別的かつ専門的にすぎるものとなって、部外者にとっては分かりにくいものとなる可能性もある。また、対象となる事業者数が多いこと、アウトサイダーに対しては効果がないこと、エンフォースメントのための手段が十分に整備されない(できない)可能性もあること等の理由から、自主規制を実効的に機能させることが難しい場合もある。そもそも、自主規制を策定する主体としての事業者団体が未形成又は形成途上の業界もある。
    • 以上のように、自主規制には一定の限界も存在することから、自主規制と行政規制との間で適切な役割分担を図るという発想が必要である。特に、悪質な事業者については自発的な法令遵守を期待することは困難であることから、このような事業者への対策としては、むしろ行政が積極的な役割を果たす必要がある。
  • アフィリエイト広告 課題
    • アフィリエイト広告は悪質なお試し商法等のきっかけとなるような事例も多数あり、消費者被害の未然防止の観点から、悪質事業者の排除及び適正な広告表示に向けた取組等が行政及び事業者団体によって実施されることが重要であると考えられる。行政の取組として、消費者庁においては、令和3年3月1日付けで虚偽・誇大なアフィリエイト広告に関して注意喚起を実施し、同月3日にアフィリエイトサイトの表示内容を決定しているとして、広告主に対して景品表示法に基づく措置命令を実施している。
    • 一方、日本アフィリエイト協議会においても、悪質な事業者の情報収集を行い、その情報を関係行政機関や外部団体に共有するなど、悪質事業者排除のための取組がなされている。上記のような行政の取組とともに、事業者団体による自主規制が機能することが期待される。また、適正な広告表示に向けた取組として、事業者団体によるアフィリエイト広告に係る事業者及び個人への啓発活動を行うことも重要であると考えられる。特に、ASPにおいては、アフィリエイターを束ねる立場の事業者であることから、自社と契約するアフィリエイターの管理及び広告画面の確認等により、適正な広告表示を促進する役割も期待される
  • 後払い決済サービス 課題
    • 後払い決済サービスは悪質なお試し商法での利用例があり、被害の未然防止の観点からは、事業者による過剰与信防止や苦情処理、加盟店調査等の実施が求められるところである。
    • ヒアリングを行った後払い決済サービス事業者においては、自主的な取組を進めている様子がみられたが、事業者の自主的な取組に委ねられており、事業者ごとに対応の差が生じる可能性がある。消費者利益の観点からは、事業者間における情報共有や、業界としての統一したルールの策定が必要であると考えられる
  • ターゲティング広告 課題
    • 行政規制及び事業者団体等による自主的取組が進められているが、ターゲティング広告の仕組みは複雑であり、消費者がその仕組みを理解するのは容易ではない。今後の課題として、事業者によって開示される情報等が消費者にとって理解しやすいものになっているか、ターゲティングから離脱する際のオプトアウトの設定方法が消費者にとって利用しやすいものとなっているか等といった消費者の視点を踏まえた対応が重要である。
    • さらに、ターゲティング広告を利用する際に消費者から取得する情報が、取得された時点では個人識別性を有しなかったとしても、様々な事業者への第三者提供を通じて、個人識別性が高まる懸念もある。ターゲティング広告に関係する事業者はこの点に十分留意し、消費者の認知限界を踏まえ、消費者の期待に反して利用しないという観点から対応することが重要である。特に、機微情報等は慎重に扱うべき情報として要保護性が高いため、ターゲティング広告に利用する際は、事業者・事業者団体による自主規制が機能することが期待される。消費者利益に資する取組を行う事業者を消費者が評価し、選択することができるよう、各事業者の取組が積極的に開示されるよう促すことが必要であると考えられる
  • CtoC 取引 課題
    • 偽造や違法な商品の出品排除、苦情対応等(当事者間での解決が難しいトラブルへの関与等)は、基本的に個社の取組に委ねられている。これにより、事業者ごとに対応の差が生じる可能性があるため、消費者利益に資する先進的な取組を行う事業者を参考にし、業界として統一したルールの策定が行われることが望ましいと考えられる。
    • また、消費者利益に資する先進的な取組を行う事業者を消費者・消費者団体が評価し、選択できるよう、各事業者の取組状況が開示されるよう促すことが必要と考えられる
  • 新しい取引分野の特徴
    • 上記整理を踏まえて、新しい取引分野の特徴を明らかにする。ただし、新しい取引分野の状況は多様であり、以下で述べる特徴の全てが上記で述べた各分野に該当するとは限らないことに留意する必要がある。
      1. 行政規制の不存在
        • 新しい取引分野では、監督官庁や行政規制の適用の有無が不明確であり、そもそも行政規制が存在しないこともある。行政規制が存在しない場合、事業者・事業者団体が自主規制を整備しようとしても、手がかりとなる行政規範が乏しいため、自主規制の整備が十分に進まない可能性がある。このような場合にどのように対応していくべきかについては、後記第5・2で検討するが、上記第1・3で指摘したとおり、自主規制には一定の限界があることに留意しつつ、消費者利益確保の観点から自主規制を有効に活用していくことが必要となるとともに、自主規制の実効性が十分に確保されない場合には、行政規制の導入を検討することが必要と考えられる。
      2. 参考となる隣接分野の不存在
        • 隣接する取引分野において、一定の行政規制が整備されている場合、これを参照しつつ自主規制を整備・運用することが可能である。しかし、新しい取引分野では、隣接分野との連携が難しく(そもそも隣接分野がない可能性もある)、このような方法で自主規制を整備することが難しい場合がある。
      3. 個別の事業者による対応の限界
        • 新しい取引分野では、事業者団体が存在しない又は組織される途上にある場合がある。事業者団体が存在しなければ、自主規制の策定や遵守は個別の事業者による対応に委ねられることになる。しかし、これでは社内規則の域を出ることは難しく、とりわけ遵守状況のモニタリングや違反に対する実効性の確保が課題となると考えられる。
      4. 市場の選択圧力の弱さ
        • 市場の選択圧力が構造的に働きにくい可能性のある分野がある。例えばデジタルプラットフォームは、多面市場におけるネットワーク効果や低い限界費用等の要因によって独占・寡占に至りやすく、ロックイン(囲い込み)効果が働きやすいとの指摘がある。したがって、デジタル・プラットフォーマーについては、一般の事業者よりも市場の選択圧力が働きにくい可能性が考えられる。
  • 望ましい自主規制の整備・運用の在り方 行政規制が存在しない分野
    1. 事業者団体と行政の担う役割
      • 以下では、行政規制が存在しない分野において、自主規制の実効性を確保するために重要と考えられる要素を整理する。その際、上記第5・1で述べた共同規制の考え方を踏まえ、行政と事業者・事業者団体による適切な役割分担・連携の関係を構築することが重要と考えられる。以下で示す要素には、専ら行政がその役割を担うもの、行政と事業者・事業者団体のいずれか、あるいは両方がその役割を担うものがある。自主規制を実効的に機能させる仕組みを構築するに際しては、各要素についていずれかの側が担わなければならないことがあらかじめ決まっているわけではなく、各分野の実情に合わせて柔軟に組み合わせることが重要と考えられる。
    2. 整備段階
      1. 規範の提示
        • WGでのヒアリング等の結果からは、我が国で自主規制の整備が進んでいる分野では、自主規制がそれぞれの分野の行政規制のなかに直接位置付けられているものが比較的多いほか、直接的な位置付けがない分野においても、詳細な内容の行政規制が自主規制を策定する際の事実上の指針として機能することにより、事業者団体による自主規制の整備を促進する関係にあることがうかがわれた(上記第2・4(1)及び(2))。
        • 他方、行政規制が明確に示されていない分野については、自主規制の整備・運用が十分に進んでいない傾向にあることに鑑みれば、まずは行政において行為規範の大枠を示すことが重要と考えられる。その際、行為規範を示すための方法は法令に限定されるものではなく、ガイドライン等によることも考えられる。
      2. 事業者団体・第三者機関の創設・支援
        • 事業者団体は、自主規制を策定し、加盟事業者による遵守状況についてモニタリングを行い、違反に対してエンフォースメントを行う機関として重要な役割を果たしている。したがって、事業者団体が存在しない分野においては、行政が事業者団体の設立を促し、支援することが必要と考えられる。また、認証やモニタリングを行う第三者機関の設立についても、行政が支援することも考えられる。
      3. マルチステイクホルダープロセス・策定手続の透明性
        • 自主規制の内容を様々な利害関係者の意見を取り入れて策定すること(マルチステイクホルダープロセス)は、当該自主規制の適用を受ける事業者の活動をより適正なものにするために重要であるほか、消費者からの信頼を向上する観点からも重要であると考えられる。マルチステイクホルダープロセスを実現するための手段として、民間協議会や官民協議会の枠組みを整備・活用することも考えられる。
        • また、自主規制の策定手続が透明化されることは、規制内容の適正性の担保や消費者からの信頼性の確保の観点からも重要であり、策定手続についての情報開示を促進することが望まれる。
    3. 運用段階
      1. 自主規制遵守の実効性確保
        • 自主規制は、事業者によって遵守されなければ意味がない。遵守状況については、事業者団体等による調査・監査等の方法によって適切なモニタリングがなされるべきであり、違反に対しては何らかの制裁措置(事業者名の公表等の手段を含む)が設けられることが望ましい。
        • また、適用範囲が広く、個別の規制法令では対応することができない事案については、受け皿的に機能する行政規制が設けられていれば、その規制権限を背景として、新しい取引分野など行政規制の整備が十分に進んでいない分野における実効的な自主規制の整備・運用を促していくことも考えられる。中長期的には、このような観点も踏まえた共同規制の枠組を構築することも考えられる。
      2. 消費者をはじめとする市場のステイクホルダーからの評価
        • 消費者をはじめとする市場の関係者からからの評価は、事業者に対して、自主規制を遵守するインセンティブを与える。事業者は、消費者等からの評価を受ける前提として、自主的取組について積極的に情報開示を行うべきである。
        • それと同時に、自主規制に取り組んでいる事業者・事業者団体を適切に評価する消費者の意識の醸成も必要であるほか、消費者の利益を代表する者として、消費者団体の果たす役割も重要である。今後、消費者団体は事業者・事業者団体による自主的な取組を適切に評価できるよう、電子商取引分野をはじめとする新しい取引分野についても専門的な知見を高めていく必要があるほか、行政としてもそのような役割を担う消費者団体を育成・支援することが必要である。
        • 消費者をはじめとする市場のステイクホルダーからの評価を強化する方法としては、行政または事業者団体が優れた取組を行う事業者・事業者団体に積極的評価を与える表彰制度・認証制度等を活用することも考えられる。また、消費者団体が各事業者・事業者団体による自主的な取組について、一定の基準に基づき格付けを行い、その結果を公表するといった方法も考えられる。
      3. 紛争解決機能
        • 事業者団体の取組によって個別の紛争が解決されることは、ルールの実効性確保に資するものである。また、事業者団体によって紛争解決手段が提供されていることは、消費者からの信頼性を高めるものでもあることから、一定の紛争解決機能が整備されることが望まれる。紛争解決手続を進めるに当たっては、手続きの公平性や透明性等を確保する観点から、専門家や消費者・消費者団体等の第三者をメンバーに加えることが必要である。
      4. 自主的取組の運用状況のモニタリング
        • 個別の自主規制違反事例が適切に是正されることや個別の紛争が解決されることも重要であるが、行政ないし事業者団体が自主規制の運用状況を定期的にモニタリングすることによって、自主的取組を俯瞰的に評価し、制度全体が定期的に見直されることが望まれる。この定期的なモニタリングの枠組みの中に、消費者・消費者団体を含めることも考えられる。
      5. 運用段階の透明性
        • 自主規制の内容、遵守状況、違反に対するサンクションの発動事例等が、外部に対して開示されていなければ、行政による監視は機能しない。
        • また、消費者の立場からすれば、これらが開示されることによってはじめて、自主的取組を行う事業者・事業者団体への評価が可能となる。このため、事業者・事業者団体の自主的な取組の状況等については積極的に情報開示を行い、外部からの透明性を高めるよう努めるべきである。

内閣府 第348回 消費者委員会本会議
▼【資料1】 公益通報者保護法の一部を改正する法律による改正後の公益通報者保護法第11条第4項の規定に基づく指針の作成について(諮問)
  • 第1 はじめに
    • この指針は、公益通報者保護法(平成16年法律第122号。以下「法」という。)第11条第4項の規定に基づき、同条第1項に規定する公益通報対応業務従事者の定め及び同条第2項に規定する事業者内部における公益通報に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な事項を定めたものである。
  • 第2 用語の説明
    • 「公益通報」とは、法第2条第1項に定める「公益通報」をいい、処分等の権限を有する行政機関やその他外部への通報が公益通報となる場合も含む。
    • 「公益通報者」とは、法第2条第2項に定める「公益通報者」をいい、公益通報をした者をいう。
    • 「内部公益通報」とは、法第3条第1号及び第6条第1号に定める公益通報をいい、通報窓口への通報が公益通報となる場合だけではなく、上司等への報告が公益通報となる場合も含む。
    • 「事業者」とは、法第2条第1項に定める「事業者」をいい、営利の有無を問わず、一定の目的をもってなされる同種の行為の反復継続的遂行を行う法人その他の団体及び事業を行う個人であり、法人格を有しない団体、国・地方公共団体などの公法人も含まれる。
    • 「労働者等」とは、法第2条第1項に定める「労働者」及び「派遣労働者」をいい、その者の同項に定める「役務提供先等」への通報が内部公益通報となり得る者をいう。
    • 「役員」とは、法第2条第1項に定める「役員」をいい、その者の同項に定める「役務提供先等」への通報が内部公益通報となり得る者をいう。
    • 「退職者」とは、労働者等であった者をいい、その者の法第2条第1項に定める「役務提供先等」への通報が内部公益通報となり得る者をいう。
    • 「労働者及び役員等」とは、労働者等及び役員のほか、法第2条第1項に定める「代理人その他の者」をいう。
    • 「通報対象事実」とは、法第2条第3項に定める「通報対象事実」をいう。
    • 「公益通報対応業務」とは、法第11条第1項に定める「公益通報対応業務」をいい、内部公益通報を受け、並びに当該内部公益通報に係る通報対象事実の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務をいう。
    • 「従事者」とは、法第11条第1項に定める「公益通報対応業務従事者」をいう。
    • 「内部公益通報対応体制」とは、法第11条第2項に定める、事業者が内部公益通報に(別添)応じ、適切に対応するために整備する体制をいう。
    • 「内部公益通報受付窓口」とは、内部公益通報を部門横断的に受け付ける窓口をいう。
    • 「不利益な取扱い」とは、公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して行う解雇その他不利益な取扱いをいう。
    • 「範囲外共有」とは、公益通報者を特定させる事項を必要最小限の範囲を超えて共有する行為をいう。
    • 「通報者の探索」とは、公益通報者を特定しようとする行為をいう。
  • 第3 従事者の定め(法第11条第1項関係)
    1. 事業者は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者を、従事者として定めなければならない。
    2. 事業者は、従事者を定める際には、書面により指定をするなど、従事者の地位に就くことが従事者となる者自身に明らかとなる方法により定めなければならない。
  • 第4 内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置(法第11条第2項関係)
    1. 事業者は、部門横断的な公益通報対応業務を行う体制の整備として、次の措置をとらなければならない。
      1. 内部公益通報受付窓口の設置等
        • 内部公益通報受付窓口を設置し、当該窓口に寄せられる内部公益通報を受け、調査をし、是正に必要な措置をとる部署及び責任者を明確に定める。
      2. 組織の長その他幹部からの独立性の確保に関する措置
        • 内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に係る公益通報対応業務に関して、組織の長その他幹部に関係する事案については、これらの者からの独立性を確保する措置をとる。
      3. 公益通報対応業務の実施に関する措置
        • 内部公益通報受付窓口において内部公益通報を受け付け、正当な理由がある場合を除いて、必要な調査を実施する。そして、当該調査の結果、通報対象事実に係る法令違反行為が明らかになった場合には、速やかに是正に必要な措置をとる。また、是正に必要な措置をとった後、当該措置が適切に機能しているかを確認し、適切に機能していない場合には、改めて是正に必要な措置をとる。
      4. 公益通報対応業務における利益相反の排除に関する措置
        • 内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関し行われる公益通報対応業務について、事案に関係する者を公益通報対応業務に関与させない措置をとる。
    2. 事業者は、公益通報者を保護する体制の整備として、次の措置をとらなければならない。
      1. 不利益な取扱いの防止に関する措置
        • 事業者の労働者及び役員等が不利益な取扱いを行うことを防ぐための措置をとるとともに、公益通報者が不利益な取扱いを受けていないかを把握する措置をとり、不利益な取扱いを把握した場合には、適切な救済・回復の措置をとる。
        • 不利益な取扱いが行われた場合に、当該行為を行った労働者及び役員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分その他適切な措置をとる。
      2. 範囲外共有等の防止に関する措置
        • 事業者の労働者及び役員等が範囲外共有を行うことを防ぐための措置をとり、範囲外共有が行われた場合には、適切な救済・回復の措置をとる。
        • 事業者の労働者及び役員等が、公益通報者を特定した上でなければ必要性の高い調査が実施できないなどのやむを得ない場合を除いて、通報者の探索を行うことを防ぐための措置をとる。
        • 範囲外共有や通報者の探索が行われた場合に、当該行為を行った労働者及び役員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分その他適切な措置をとる。
  • 事業者は、内部公益通報対応体制を実効的に機能させるための措置として、次の措置をとらなければならない。
    1. 労働者等及び役員並びに退職者に対する教育・周知に関する措置
      • 法及び内部公益通報対応体制について、労働者等及び役員並びに退職者に対して教育・周知を行う。また、従事者に対しては、公益通報者を特定させる事項の取扱いについて、特に十分に教育を行う。
      • 労働者等及び役員並びに退職者から寄せられる、内部公益通報対応体制の仕組みや不利益な取扱いに関する質問・相談に対応する。
    2. 是正措置等の通知に関する措置
      • 書面により内部公益通報を受けた場合において、当該内部公益通報に係る通報対象事実の中止その他是正に必要な措置をとったときはその旨を、当該内部公益通報に係る通報対象事実がないときはその旨を、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、当該内部公益通報を行った者に対し、速やかに通知する。
    3. 記録の保管、見直し・改善、運用実績の労働者等及び役員への開示に関する措置
      • 内部公益通報への対応に関する記録を作成し、適切な期間保管する。
      • 内部公益通報対応体制の定期的な評価・点検を実施し、必要に応じて内部公益通報対応体制の改善を行う。
      • 内部公益通報受付窓口に寄せられた内部公益通報に関する運用実績の概要を、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において労働者等及び役員に開示する。
    4. 内部規程の策定及び運用に関する措置
      • この指針において求められる事項について、内部規程において定め、また、当該規程の定めに従って運用する
▼【追加資料】 公益通報者保護法の一部を改正する法律による改正後の公益通報者保護法第11条第4項の規定に基づく指針の策定について(回答)
  1. 指針の解説の作成
    1. 総論
      • 指針は、改正後の公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置を明らかにするものであることから、本来は指針自体に具体的な内容を記載することが求められるところ、消費者庁からは、指針とは別途、指針の解説(以下「解説」という。)を作成し、解説において、「公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会報告書」(令和3年4月)(以下「報告書」という。)と「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」(平成28年12月)(以下「ガイドライン」という。)の内容を統合するとの説明がなされた。
      • このため、解説を作成するに当たっては、報告書及びガイドラインとの関係を整理すること、事業者に求められる義務的事項(指針の内容を具体化した例等)及び推奨事項を明確に区分すること、指針に規定される用語の説明を解説にも掲載すること等を行った上で、事業者、公益通報対応業務従事者、労働者等が、指針と併せて解説を参照すれば必要な対応について具体的に理解することができるよう、十分に分かりやすいものとすべきである。
    2. 解説の内容
      • また、解説を作成するに当たっては、以下の事項について、特に留意すべきである。
        1. 匿名の公益通報の受付及び取扱い
          • 内部公益通報対応制度の実効性を確保するためには、顕名の公益通報と同様に匿名の公益通報も受け付けることが重要であることから、匿名の公益通報を受け付ける旨、及び匿名性が保たれるような公益通報者との連絡方法等について十分に明らかにする必要がある。
        2. 公益通報対応業務の担当部署への調査権限の付与及びその実効性確保
          • 内部公益通報対応を適切かつ実効的に行うため、事業者の組織において、公益通報対応業務の担当部署に必要な調査権限を付与するとともに、調査権限を実効的に行使できる体制を構築すべきことを十分に明らかにする必要がある。
        3. 範囲外共有の防止に関する措置
          • 範囲外共有防止の徹底を図るため、事業者の組織において、公益通報者を特定させる情報を共有する必要最小限度の人員又は部署の範囲を明確に定めるべきこと、また、公益通報者を特定させる情報を上記の範囲を越えて共有する際には、共有の目的・範囲を説明した上で、公益通報者の同意を得るべきことを十分に明らかにする必要がある。
          • また、範囲外共有がなされた場合には、事後的な救済回復の措置に限界があることから、防止に関する措置が実効的に講じられることが重要である旨、及び防止措置の具体的な内容を十分に明らかにする必要がある。
        4. 事業者による公益通報対応業務従事者に対する教育・周知
          • 事業者は、公益通報対応業務従事者が、公益通報の受付、調査、是正に必要な措置等の各局面において適切に対応し、労働者等が躊躇なく安心して通報できる環境を整えるよう、実践的な教育を実施すべきことを十分に明らかにする必要がある。
        5. 事業者における内部公益通報対応体制及びその運用の見直し
          • 内部公益通報対応体制の実効性を確保するため、事業者において、内部公益通報対応体制の定期的な評価・点検等を実施し、必要に応じ、体制及び運用の見直しも含めた改善を行うべきことを十分に明らかにする必要がある。
  2. 事業者、公益通報対応業務従事者、労働者等への周知・広報の徹底
    • 内部公益通報対応体制の実効性を確保するためには、指針及び解説の内容が事業者、公益通報対応業務従事者、労働者等に適切に理解されることが重要であり、公益通報ハンドブック、リーフレット、事例集、動画、ソーシャルメディア、説明会の実施等の各種の手段を活用しつつ、指針及び解説には書き切れなかった具体的な事案への対応例等も含め、周知・広報を行うべきである。
    • なお、人的・資金的な資源に制約のある中小事業者においても適切に内部公益通報対応体制が整備されることが望まれることから、中小事業者に対してはとりわけ丁寧な周知・広報を継続的に実施すべきである。
  3. 指針等の見直し
    • 内部公益通報対応体制の実効性を持続的に向上させるため、事業者による内部公益通報対応体制の定期的な評価・点検等の実施を促すとともに、指針の運用状況等に関する検証・評価の結果を踏まえ、必要に応じ、指針及び解説の内容並びに運用方法について見直しを行うべきである

【2021年7月】

内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
▼月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(令和3年7月)
  • 日本経済の基調判断
    1. 現状 【判断維持】
      • 景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増している。
      • (先月の判断)景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部で弱さが増している。
    2. 先行き
      • 先行きについては、感染拡大の防止策を講じ、ワクチン接種を促進するなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただし、感染の動向が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
  • 政策の基本的態度
    • 政府は、東日本大震災からの復興・創生、激甚化・頻発化する災害への対応に取り組むとともに、決してデフレに戻さないとの決意をもって、新型コロナウイルス感染症の感染対策に万全を期す中で、雇用の確保と事業の継続を通じて、国民の命と暮らしを守り抜く。あわせて、「経済財政運営と改革の基本方針2021」等に基づき、グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策の4つの課題に重点的な投資を行い、長年の課題に答えを出し、力強い成長を実現する。
    • 新型コロナウイルス感染症に対しては、2都県を対象に緊急事態措置、4府県を対象にまん延防止等重点措置を実施しているところであり、引き続き、ワクチン接種の迅速な実行、感染拡大の抑制を最優先に対策を徹底するとともに、経済への影響に対しては、重点的・効果的な支援に万全を期す。さらに、成長分野への民間投資を大胆に呼び込みながら、生産性を高め、賃金の継続的な上昇を促し、民需主導の成長軌道の実現につなげる。政府は、令和2年度第3次補正予算及び令和3年度予算を迅速かつ適切に執行する。引き続き、感染状況や経済的な影響を注視し、状況に応じて、予備費の活用により臨機応変に必要な対策を講じていくとともに、自律的な経済成長に向けて、躊躇なく機動的なマクロ経済政策運営を行っていく。
    • 日本銀行においては、7月16日、金融機関が取り組む気候変動対応投融資をバックファイナンスする新たな資金供給制度の骨子素案を決定した。日本銀行には、感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行い、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。
  • 今月のポイント(1) 輸出・生産
    • 海外経済の回復を背景に、輸出は緩やかな増加が続いている。品目別にみると、半導体不足の影響による生産調整がみられる自動車関連財は横ばいだが、情報関連財や資本財が牽引。
    • 製造業の生産は、5月に減少したものの、予測調査は上向き。特に、5G関連などで需要が旺盛な電子部品・デバイスや設備投資向けの生産用機械を中心に持ち直しが続く見込み。また、マシニングセンタ等の工作機械受注は、内外ともに増加基調。輸出も生産も、当面は増勢が期待される。
  • 今月のポイント(2) 景況感・企業収益・倒産
    • 日銀短観6月調査によると、企業の景況感は、非製造業では依然としてマイナスであるものの、製造業は輸出・生産の持ち直しなどを背景に、2年ぶりにプラスとなるなど、持ち直しの動きがみられる。2021年度の企業収益(経常利益)は、製造業・非製造業ともに増加する見込み。
    • 倒産件数は、資金繰り支援もあり、低水準が続く。一方、休廃業・解散件数は、年間5万件以上で推移しており、本年1~6月も昨年同時期を下回ったものの、約2.8万件となった。観光関連業等において昨年より増加
  • 今月のポイント(3) 設備投資(シェア:機械投資46%、構築物投資25%、ソフトウェア投資10%、R&D投資18%)
    • 設備投資は、機械投資を中心に持ち直している。先行指標である機械受注も、持ち直しの動き。
    • 2020年度の設備投資は、前年度比減少となったが、2021年度は同9.3%増と大幅な増加が見込まれており、特にソフトウェア投資は、全産業で同14.7%増と高い伸びの見通し。研究開発投資も増加の見通し。
  • 今月の指標(1) 個人消費
    • 6月のカード支出に基づく消費動向をみると、財は2019年比でプラスの中、サービス消費は弱い動き。
    • 販売側のデータをみると、振れを伴いながらも、家電販売額の2019年比は横ばいで推移。外食は、パブ・居酒屋等を中心に全体としても引き続き弱い動き。他方、小売及び娯楽施設の人流や映画・コンサート等の娯楽関連に支出した人の割合は、6月以降に持ち直しの動きもみられる。
    • ただし、足下の週当たり消費額は、一部に天候不順の影響があるものの、2017-19年の幅を下回る水準。総じてみると、個人消費は、サービス支出を中心に弱い動きが続いている。
  • 今月の指標(2) 雇用情勢
    • 雇用者数は、昨年6月以降持ち直しが続いていたが、均してみると横ばいの動き。失業率は2か月連続で上昇し5月は3.0%。4~5月の休業者数は、宿泊・飲食業を中心に1~3月から微増。
    • 景気との一致性が強い求人動向は、日次のハローワーク求人や民間転職市場をみると持ち直しの動きが続く。賃金は、前年比プラスで推移しているが、感染症の影響を除いた2019年比でみると、5月は緊急事態宣言に伴う残業時間の減少もあり、全体は小幅減。
    • 他方、景気ウォッチャー調査の雇用関連DIは改善基調。総じてみれば、雇用情勢は、弱い動きとなっているなかで、底堅さもみられる。
  • 今月の指標(3) 世界経済
    • 欧米では、ワクチン接種の進展とともに、英国を除いて新規感染者数は概ね低下傾向。こうした感染者数減少を受けた制限措置の緩和により、アメリカや英国に加えユーロ圏においても、足下で小売が上向きつつあり、持ち直しの動きがみられる。
    • 世界経済の持ち直しに伴い、世界の財貿易量も増加傾向が継続。
    • ただし、欧米の雇用については、求人数は持ち直しているものの、就業者数の回復は遅れている。

内閣府 令和3年第11回経済財政諮問会議
▼緊急事態宣言の下でのマクロ経済運営と経済の底上げ
  • 諸外国の例をみてもワクチン接種の普及が経済活動の正常化を図る切り札である。わが国でもワクチン接種が進んで高齢者の感染者数や重症者数が減少するなどその効果は明らか。若年層への接種拡大も図り、自由に旅行や食事に出かけることができる日常を一刻も早く取り戻して、内閣府年央試算で示されたように、年内にコロナ前の活動水準を取り戻し、今年度の成長率3.7%を実現すべき。あわせて、今回の緊急事態宣言が「最後の我慢」となるよう、これまで講じている支援策の着実な執行を図るとともに、感染状況や経済的な影響に目配りしながら、臨機応変に必要な対策を講じるべき。
  • 最低賃金を過去最大の全国一律28円(3.1%)引き上げる目安を示した答申は、賃上げモメンタムを維持・拡大し、「成長と分配の好循環」実現に寄与するもの。この答申を着実に実行するためにも、厳しい業況の企業に配慮しつつ、賃金引上げに取り組む中小企業への支援を強化すべき。今後の景気回復のカギは、コロナで喪失したサービス消費の回復。今年度後半から来年度にかけて観光・イベント・飲食等の分野でワクチン接種の効果を息の長い消費回復につなげていく必要。メリハリのある公需や規制改革を呼び水にして、持続的な消費や投資の拡大を促し、自律的な経済成長を実現させる。その際には、必要に応じて、躊躇なく機動的なマクロ経済政策運営を行うべき。
  1. ワクチン接種の加速と経済活動正常化
    • 1日に約120万回で進んでいるワクチン接種のペースを緩めることなく、確実に、希望する人全てが、10月から11月にかけて接種を終えるよう取り組むべき。
    • ワクチン接種の進展とともに経済の正常化を進めようとしている欧米の例等を踏まえ、ワクチン接種と陰性証明等の検査、さらには新技術も組み合わせつつ、日常回帰と経済活動正常化に舵を切り、早期にこの実現を図ることができるような道筋を明らかにすべき。
      • 若者の接種率向上を図るためにも、宣言解除後を見据え、国内の経済活動活性化に向けたワクチン接種済証の活用の検討に加え、ワクチン未接種の人への検査を組み合わせつつマスク無しの活動を可能とするなど、ワクチンを接種してもなおマスク着用が必要な場面を明らかにすべき。
      • 現在新型インフルエンザ等感染症相当に分類されている新型コロナ感染症について、感染症法上の適切な類型への位置づけも含め検討すべき。
      • 欧米の例を参考に、今後はコロナの重症者数抑制を目標とする対応に重点をシフトしていくべき。
      • グローバルな経済活動の早期再開に向け、ワクチン接種証明書の円滑な発行を進めるとともに、アプリ搭載などデジタル化を急ぐべき。
  2. 緊急事態宣言に対応した医療提供体制の確保と支援の強化・迅速化
    • 当面中等症等入院を要する患者の拡大に備え、昨冬の2倍程度を想定した患者数に対応可能な医療提供体制に向け、今から万全の体制を構築すべき。
    • 飲食業への協力金について、早期給付の対象となる部分は、「原則、手続き申請後1週間以内給付」が実行できるよう、自治体と連携して支給の迅速化を実現すべき。また、ワクチン接種が普及する下で経済正常化を図る自治体が、独自に支援する取組を後押しする臨時交付金を速やかに活用し支援の強化を図るべき。あわせて、感染症により業況が厳しい飲食・宿泊業などの雇用に影響が及ばないよう、雇用調整助成金の財源を確保すべき。
  3. 最低賃金引上げを通じた成長と分配の好循環の実現
    • 新型コロナ感染症の影響の下で業態間や地域間での賃金格差の拡大が指摘されている中で、最低賃金引上げによる賃金格差の是正を消費の拡大につなげ、成長と分配の好循環を生み出していくことが期待される。一方で、新型コロナ感染症の影響の大きな業種と最低賃金引上げの影響の大きな業種に重なりがみられる中で、こうした厳しい業況の企業に配慮しつつ、雇用の維持との両立を図りながら賃上げできる環境を迅速に整備する必要がある。雇用調整助成金・業務改善助成金の活用を含め賃金引上げに取り組む中小企業への思い切った支援強化、金融支援等に、より一層取り組むべき。とりわけ最低賃金引上げの影響を受ける中小企業が生産性向上に即効性のある対策を行うことができるよう支援対象の拡大などの施策を講じるべき。
    • 下請け取引の適正化に官民あげて取り組み、賃金引上げが適切に価格に転嫁される環境を整備し、デフレ脱却に向けた大きな動きにつなげるべき。
    • 中小企業の生産性向上に向けて、DXの推進、輸出などの海外展開支援、大企業人材を含めた人材確保などをパッケージ化し、意欲ある中小企業を重点的に支援すべき。特に2023年10月のインボイス制度への移行を見据え、中小企業のDXを一気に進め、企業全体の財・サービスの生産効率を飛躍的に高めるため、企業全体のデジタル投資や事業再構築を予算・税制両面から大胆に支援するべき。
    • さらに、特に厳しい業況の中小企業について、売上減少等の状況や最低賃金引上げ等に伴う雇用コスト増を踏まえた激変緩和の観点から事業存続・雇用維持に向けた支援策を強化すべき。
    • これらに加え、今後、中小企業の生産性向上等を支援する補助金・助成金等が最低賃金引上げの影響を受ける中小企業に的確に届いているか等のモニタリングを適切に行い、必要に応じて機動的に施策の拡充を行うことにより、最低賃金引上げの影響を踏まえた対応策が中小企業の実情にきめ細かく対応し、実効性の高いものとなるよう、不断の見直しを行うべき

内閣府 新しい働き方と地方移住に関する分析 -コロナ禍における働き方への意識の変化をもとに-
▼要旨
  • 移住実施者の特徴
    • 移住実施者の多くは東京圏外の出身者で、移住先も出身地であることが多い。
    • 移住実施者は、東京圏在住者よりもテレワーク実施率が有意に高い。
    • 移住先選定にあたって、移住実施者は単なる関心層と比べ「地域の食・文化」を重視する程度が有意に強い(Uターンであっても、「地域の食・文化」を重視)。
    • 移住実施者は移住先選定に当たって「地域独自の歴史・伝統」を最も重視しており、Uターンの場合でも出身地であることは一つの要素であって、決定的な要素ではないことが示唆される。
    • 移住において重視する事項(20の選択肢から複数回答)の背後にある共通因子を統計的手法により抽出。
    • いずれの共通因子についても、関心層は移住実施者と重視する程度に有意な差があるが、検討層は移住実施者と概ね同じ傾向(移住への支援については、検討層は移住実施者より重視する程度が強い)。
    • 移住実施者のうち、テレワークがきっかけとなった者はそれ以外の者と比べて、地域の食・文化を重視する程度が有意に強い。
  • テレワークをきっかけとする移住の特徴
    • 移住実施者の移住先選定に当たって「地域の食・文化」を重視する傾向がさらに強まる。
    • テレワークの実施頻度が高まるほど移住への関心が高まる。
    • テレワーク以外のことがきっかけの場合よりも転職なき移住や地域での副業への志向が強い。
    • テレワークできない理由としては、「業務や職種の性質上難しい」「人事評価が難しい」「コミュニケーションがとれない」などが多い。一方、メリットとしては「従業員のワークライフバランスの向上」のほか、「業務効率性の向上」も多く、企業にとって必ずしもコスト要因という面だけではなくなっている。
    • 地方移住(通勤圏外への居住)を想定した社内制度の整備は進んでいない。⇒業務の棚卸によりテレワーク可能な業務を洗い出すことが重要
    • 副業に関しては、本業がおろそかになることや情報漏洩、労務管理に対する懸念が強い一方、人材育成やイノベーション創発・新事業促進に効果があるとの声は多い。
    • ワーケーションに関しては、まだ導入企業は少なく、個人の側も経験者は極めて少数。⇒機運を高める・関心を喚起することが重要
  • 今後の政策面の課題
    • 企業のDXを後押しし、テレワーク可能な業務の洗い出し・テレワークの更なる普及を促進
    • 地域独自の魅力の発信、地域のワーケーション受入れ環境整備、関係人口の創出・拡大を支援
    • 東京圏外企業と都市部人材のマッチングを強化し、地域の担い手の確保や地方の副業を推進
    • コロナ禍で生じた地方移住への関心の高まりを実際の移住行動につなげていくため、地方から東京圏在住者への直接的な働きかけのほか、テレワーク、副業、ワーケーションといった新しい働き方を促進し、地方移住が可能となる環境整備を進める必要。

内閣府 政府経済見通し
▼令和3(2021)年度 本文
  • 我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、輸出や生産を中心に持ち直しの動きが続いているものの、サービス消費など一部で弱さが増している。
  • 今後については、感染拡大の防止策を講じ、ワクチン接種を促進するなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただし、感染の動向が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
  • 政府は、令和2年度第3次補正予算等及び令和3年度予算を迅速かつ適切に執行する。引き続き、感染状況や経済的な影響を注視し、状況に応じて、予備費の活用により臨機応変に必要な対策を講じていくとともに、自律的な経済成長に向けて、躊躇なく機動的なマクロ経済政策運営を行っていく。
  • こうした下で、2021年度(令和3年度)のGDP成長率は、実質で3.7%程度、名目で3.1%程度と見込まれる。感染拡大防止のために経済活動を抑制してきたこともあり、年度前半は緩やかな回復となるが、公的支出により経済を下支えする中で、ワクチン接種の促進等もあってサービス消費が回復に向かい、輸出や設備投資の着実な増加とあいまって、年度後半に回復ペースが速まり、GDPは2021年中に感染拡大前の水準を回復することが見込まれる。
  • 2022年度(令和4年度)のGDP成長率は、実質で2.2%程度、名目で2.5%程度と見込まれ、GDPは過去最高となることが見込まれる

内閣府 令和3年第10回経済財政諮問会議
▼資料2-1 今後のマクロ経済政策運営について
  • 我が国経済は、ワクチン接種の加速によって経済活動の正常化が早期に進むことで経済水準が大きく引き上げられ、今年後半から来年度にかけて、世界経済の回復・加速と相まって、本格的な景気回復に入っていくと期待される。その実現のためには、この機をとらえて長年の構造問題を解決するとともに、機動的なマクロ経済運営の下、デフレ脱却・経済再生を一気に加速していく必要がある。
    1. 年央試算を踏まえた留意点
      1. 経済再生を加速して早期の600兆円経済を目指す
        • 2020年度末の補正予算等が2021年度に繰り越されていることも踏まえ、まずは、2021年度当初予算を含め、その着実な執行を図るとともに、その上で、2022年度にかけて持続的な公需による下支えによって、民需がしっかり引き出されることが必要。
        • 経済再生の鍵は、コロナ下で抑制された消費需要の顕在化に取り組むとともに、来年以降も力強く持続的な個人消費の回復につなげること。このためにも、雇用の確保と事業の継続、生活の下支えに加え、ワクチン接種や医療提供体制の強化等によって国民の安心を確保することが重要。また、コロナ禍で傷んだ供給体制を生産性や付加価値の高いものへと改善する取組が必要。
        • 海外経済の回復をチャンスに、外需の取込みを強化すべく、経済連携の強化、国内産業の輸出振興、サプライチェーンの再編支援等を進める必要。
      2. 国際競争力、生産性を強化し、潜在成長率(足元0.5%程度)の引上げを
        • 情報関連分野等を中心とした投資は引き続き旺盛だが、欧米では日本よりも更に高い伸びが見通されている。骨太に掲げた「グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策」の4分野に存在する供給面のボトルネックの解消や規制改革に早期に取り組み、これらの分野で付加価値生産性の上昇やイノベーションの促進を実現させるため、民間企業がそれに寄与する投資計画を積極的に引き上げ、攻めの経営を強化できるようにしていく必要。
        • ワクチン接種の進展と合わせて、労働参加の後押しを強力に進めるとともに、成長分野や人手不足分野への円滑な労働移動を促す必要。同時に、NPO等との連携を含めた生活困窮者等へのきめ細かな支援や、最低賃金の引上げや同一労働同一賃金の推進、人材投資への支援強化を通じて、正規・非正規、男女間の雇用・賃金面での格差是正を推進する必要。
    2. 2022年度予算編成に向けて
      • 骨太方針2021を踏まえ、2022年度当初予算においては、目安に沿った予算編成を通じて歳出改革を着実に進めるとともに、病床再編や地域医療体制、国と地方の役割分担の見直しなど新型感染症で明らかとなった課題に着実に対応するべき。同時に4つの原動力の強化に向けた投資を重点的に促進するなど、骨太方針2021に盛り込まれた政策を、できるものから早期実行していくべき。
      • 昨年度の大規模な補正予算の執行が今年度にかけて進む一方で、今年度から来年度にかけて政府支出は規模的に縮小していくと見られることから、財政規模の縮小自体が景気回復の足かせとならないよう、景気動向を注視し、躊躇なく機動的なマクロ経済財政運営を実施すべき。あわせて、力強い民需喚起を実現すべき。
      • 来年以降も、コロナで喪失したサービス消費需要が取り戻せるよう、消費の回復を一時的なものに終わらせず、観光・イベント・飲食等の分野での持続的な需要喚起につながる取組を大胆に進めるべき。
      • 事業再構築など新たな挑戦や、生産性向上、輸出促進、最低賃金を含む賃上げ等に取り組む中小企業等に対し、大胆かつ思い切った支援を行うべき。
      • 4分野については、ボトルネック解消に向けた投資や、成長につながる改革を政府が牽引し、付加価値生産性の強化とともに、国際競争の中でも勝ち抜けるよう、民間投資拡大の起爆剤とすべき。
      • 在籍型出向やトライアル雇用の活用による円滑な労働移動、求職者向け支援やリカレント教育の充実を通じた人材投資を早急に支援すべき。その際、雇用保険について、セーフティネット機能を十分に発揮できるようしっかりした財政基盤を確保すべき。
      • 力強い民需主導の成長を実現するためにも、雇調金の特例措置や金融支援等の各種緊急対応的な支援策の段階的縮小にあたっては、感染状況や景気動向を見極めながら進めるべき。
      • 予算編成の議論と合わせて、対外経済関係や国際秩序の変化を踏まえた将来のあるべき経済社会に向けた構造改革の方向性を打ち出し、制度改革を併せて実行していくべき
▼議事要旨
  • これからはアジアの時代で、欧州は過去の栄光にすがって生きているという考えもあるだろうが、今回、mRNAワクチンをはじめコロナワクチンを、これだけの速さで米欧が開発した。開発したのはアメリカの製薬会社であり、ドイツのスタートアップであり、イギリスの製薬会社である。やはり新技術の開発能力では、アメリカも欧州も非常に高いことが分かったわけだ。それは自由な研究を進められる環境と、それをサポートするファイナンシャルシステムがあるためだと思う
  • 2022年に、日本はどのようにして成長の基盤を見つけるか、どこに2022年の成長の足掛かりを見つけるかという点に戻ると、先ほど申し上げたように財政の崖をなくすために、財政出動をするとしても、その出動を起爆剤にするべきだということだ。では、成長の基盤、手掛かりがどこにあるかというと、それはグローバル経済の再開だろう。国内では人流が今年にも回復するかもしれないが、国際的な人流の回復はおそらく2022年に持ち越されるだろう。発展途上国での広範囲のワクチン接種が、2023年までは持ち越されると言われていることが、そう判断する一因だ。
  • 有効なワクチンを接種したら、その接種証明書をワクチンパスとして認め、国際的な自由な移動を認めるという提案が出されている。この提案が実現された場合、ファイザーやモデルナ等のワクチンを接種している日本は非常に恵まれたポジションにつく。有効なワクチンを接種しているということで、日本とヨーロッパ、日本とアメリカとの間の人流の回復は、他の国や地域に先駆けたものになるかもしれない。逆に考えると、中国はこれまで非常に厳密な、国内に対する監視体制をしていて、それによって感染も抑えていたのだが、変異型が爆発したとなった現状で、はたして中国製ワクチンの接種の証明で、世界中どこでも行ける状態にこぎつけられるかは疑問だ。
  • 先ほど洋上風力に触れたが、変異型の到来により、当面日本が重視するべき連携が変わるかもしれない。つまり、しばらくはアジアがワクチンの接種が遅れているために元気がない反対に、ワクチン接種を進めたアメリカ、欧州は元気だから、来年は脱亜入欧を目指すべき時期になるかもしれない、そういう1年間になるかもしれないと私は思っている。
  • 例えば洋上風力では、今年中に入札が行われてどこが手を挙げるかが分かる。手を挙げる中に欧州メーカーが多いだろう。欧州メーカーが日本のエネルギー、2040年には全体の10%を超える電力が洋上からの発電と言われているが、それに協力するのだ。今まで重要な分野で日本が協力するパートナーは、中国やアメリカだったのだろうが、デンマークといった欧州の小国が入ってくるのだ。そういう国との間で、非常に緊密なパートナーシップが生まれるのではないか。洋上風力の運営上のポイントは、メンテナンス、つまり故障修理の技能であって、そのためには船舶を駆使した行動が必要だ。こういう技術は、日本が得意とするものではないか。欧州とのパートナーシップが進めば、日本はこの分野を欧州に輸出することもできるのではないか。
  • 外需は日本経済にとって重要だが、日本がこれから挑戦するグリーンを中心とした世界的課題の達成ではとりわけ鍵となる。同じ目標、同じルールに基づく世界市場を、日本が欧州、アメリカと共同して作っていく。パートナーである国々は、それが日本であろうと、欧州であろうと、アメリカであろうと、その世界市場に自由に供給することができる。このような緊密なパートナーシップを支えるものが、日本とアメリカ、欧州の間で今後順調に復活することが予想できる人流だ。そのように考えるべきであって、これが2022年に向けての成長戦略の一番の売り物だと考えている。
  • アカデミックなことを一つ申し上げると、これから10兆円ファンド等で大学をサポートするのは大事だが、同時にアメリカ、欧州との交流のテーマを構想し、そのテーマを実現する途上で必ず出現するだろう課題を解決するために、共同研究を進めていくことが必要だと考えている。
  • デジタルトランスフォーメーション、グリーントランスフォーメーションはトランスフォーメーションという言葉がついている。すなわち、社会変容である。我々は経済社会の構造を変化させていかなければならない。そのためには2点必要かと思う。一つは、官民が協力して経済社会の中長期の姿を描き、共有し、国民に発出すること。それと、もう一つは、そうした経済社会の実現に向けて政府の財政面での継続的なコミットを明示していただくことだと思っている。つまり、我々多くの企業が策定している中長期経営目標、投資目標を明示した中期経営計画に当たるようなものがあった方が良いように思う。もちろん、政府と企業を単純に比較することはできず、予算単年度主義に基づく本予算、補正予算の現実は理解している。しかしながら、不確実な経済社会情勢とグローバルな激しい競争環境の中で、企業が安定的に投資を重ねていくためには、官民による中長期の経済社会の目標の共有と目標実現に向けた政府の継続的な財政面でのコミットが必要だと考える。
  • 具体的な例としては、総理の御英断で創設した2兆円のグリーンイノベーション基金が代表例である。申し上げるまでもなく、グリーン成長戦略とそれを実現するための10年という期間の基金を通じた研究開発への財政措置である。この2つが備わったものと考える。大変画期的で、我々企業としてはこうした取組があれば継続的に投資がしやすくなる。
  • 研究開発以外にもグリーン分野では要素技術の社会実装、水素、アンモニアのサプライチェーン構築に向けたインフラ整備、次世代電力システム等、政府による継続的なコミットが不可欠である。特に電力はゼロエミッション電源や次世代の電力網の確保等、どうしても政府のコミットが不可欠な分野でもある。
  • また、水素、アンモニアについても、その調達は海外になる。海外からの輸入に頼らざるを得ない以上、現在の化石燃料と同様に安全保障上の重要物質であり、政府のコミットが欠かせない。そのほかにデータ連携活用を通じた社会変容、デジタルトランスフォーメーションという点でも同様の考え方が必要であり、次世代ガバメントの推進とあわせて、医薬品の開発などのヘルスケア、地域活性化、科学技術・イノベーション政策などの重要分野でも方針の共有化と政府のコミットメントをお願いしたいと思う
  • グリーンディールと呼ばれる欧米の中長期的視点に立った大規模な経済対策を見ても、ポストコロナに向けて国レベルでの非常に激しい国際競争が既に始まっていると認識している。昨日の気候変動会議でも同じ言葉を使って恐縮だが、Now or Neverだと思う。我が国においても中長期の経済社会の構造変革を目指して、今すぐ官民一体となって取組を進めるべきかと思料する

内閣府 宇宙開発戦略本部 第24回会合 議事次第
▼資料3 宇宙基本計画工程表改訂に向けた重点事項(案)のポイント
  1. 宇宙安全保障の確保
    • 安全保障における宇宙の役割が拡大
    • 米国では、極超音速滑空弾等への対応策として小型衛星コンステレーション構築の動きが加速
    • 準天頂衛星システム、情報収集衛星、通信衛星、SSA衛星等の宇宙システムを着実に整備。
    • ミサイル防衛等のための衛星コンステレーションについて、米国との連携の可能性も念頭に検討を行い、先行的な技術研究に着手。
    • 机上演習の取組強化、宇宙システムのサイバーセキュリティ対策のための民間向けガイドラインの開発。
  2. 災害対策・国土強靭化や地球規模課題の解決への貢献
    • 災害対策・国土強靭化が喫緊の課題となる中、衛星による貢献の可能性
    • 2050年カーボンニュートラル達成に向けた宇宙からの貢献への期待
    • 被災状況を大小様々な衛星により迅速かつ効果的に把握できる体制構築に向け、官民共創で観測衛星システムの開発を推進。これにより、統合型G空間防災・減災システムの構築にも貢献。
    • 衛星等を活用した国際的な温室効果ガス観測ミッション構想の策定・推進。宇宙太陽光発電の実用化に向けた取組の推進。
  3. 宇宙科学・探査による新たな知の創造
    • 欧米や中国等の火星探査計画が活発化
    • アルテミス計画について、着実に取組を進める必要
    • 2029年度の人類初の火星圏からのサンプルリターン実現に向け、2024年度に火星衛星探査計画(MMX)の探査機を確実に打ち上げ。
    • アルテミス計画について、米国との合意に基づき、ゲートウェイの機器開発等の取組を進める。また、今後の持続的な月面活動を視野に、産業界とともに、有人与圧ローバの研究開発や、活動基盤を支える技術の開発を推進。
  4. 宇宙を推進力とする経済成長とイノベーションの実現
    • デジタルトランスフォーメーションを支えるインフラとしての役割が拡大
    • 新たな宇宙活動のための制度環境整備の必要性
    • 衛星データの利用拡大に向けて、自治体等とも連携し、地域の課題解決につながるデータ利用ソリューションの集中的な開発・実証を推進。
    • 米国との連携なども視野に入れながら、宇宙港の整備などによるアジアにおける宇宙ビジネスの中核拠点化を目指して、必要な制度環境を整備。
    • 宇宙空間の資源探査・開発等について、新たな法律に基づき、必要な制度整備を推進。
    • 2021年度中目途に、軌道上サービスについての我が国としてのルール整備を目指す。
  5. 産業・科学技術基盤を始めとする我が国の宇宙活動を支える総合的基盤の強化
    • 海外で小型衛星コンステレーションの構築に向けた取組が加速
    • 光通信等の次世代の宇宙技術が、民生・安保の分野を問わず、必要不可欠に
    • 我が国独自の小型衛星コンステレーションの構築に向けて、省庁横断でのアンカーテナンシー等により、官民連携の下、戦略的な取組を推進。
    • 衛星開発・実証プラットフォームの下で、将来を見据えた基盤技術(AI・宇宙コンピューティング、光通信、量子暗号通信、先進的なセンサ等)の開発を推進。
    • 将来宇宙輸送システムについて、抜本的な低コスト化等の実現に向けて、国際的な市場動向を踏まえつつ、官民共創で研究開発を推進。

【公正取引委員会】

※現在、該当の記事はありません。

【金融庁】

【2021年9月】

金融庁 2021年 「保険モニタリングレポート」の公表について
▼概要
  • 持続可能なビジネスモデルについて
    • 人口減少の進展や技術革新、低金利の継続、デジタル化の進展、自然災害の多発・激甚化などの気候変動リスクの増大といった中長期的な環境変化に加え、ポストコロナを見据えた対応が保険会社にも求められる中、事業環境等の変化やそれを受けた顧客ニーズの変化等を踏まえた健全かつ持続可能なビジネスモデルを構築することが重要。金融庁としても対話を通じてこれを促していく必要
      1. 生命保険会社
        • 昨事務年度においては、まずは、営業職員チャネルを主軸とする会社を対象として、コロナの影響を踏まえた、ビジネスモデルの対話を実施した
        • コロナの影響は、2020年度上半期新契約が減少したものの、保有契約の減少は限られたため、足元では限定的
        • 各社とも顧客ニーズや行動・意識の変化等を踏まえ、営業職員チャネルを中核に据えたビジネスモデルの抜本的な転換は行わず、対面と非対面が融合した新たな営業活動モデルを構築すべく、体制整備や営業プロセスを見直しを実施
        • 対面営業活動の制限等により、新規での顧客との接点の機会の減少(課題1)
        • 非対面営業等のデジタル化に対応したコンサルティングサービスを提供できる人材育成やIT人材の確保(課題2)
      2. 損害保険会社
        • コロナに伴う海外旅行の減少による傷害保険の減収等はあったが保険料収入全体は横ばい。また、コロナによる外出自粛で自動車保険の保険金支払が減少
        • ペーパーレス化、AIによる支払査定、事故連絡・請求のスマホ手続きの導入や非対面での手続きの一層の推進等、業務の効率化と顧客の利便性を考慮した、コロナ以前からのデジタル化の取組みを加速
        • デジタル化に伴う業務フローの変化等による新たなリスクの発現の検証、対面・非対面のバランス(高齢者への対応等)、パンデミックリスクの出再が困難な中でポストコロナの新たな顧客ニーズに沿った商品開発を行うことなどが課題
    • 本事務年度の事務方針
      1. 生命保険会社
        • 人口減少や低金利環境の継続等の中長期的な事業環境の変化に応じた持続可能なビジネスモデルの構築や、環境や顧客ニーズの変化に即した商品開発が行われること、また、短期的にはコロナが経営に与える影響や、デジタル化の進展や業務フローの変更に伴う新たなリスクの発現に各社が十分に対応することが必要であることから、これらの実現を目指してモニタリングを継続する
        • なお、昨事務年度は、大手社および営業職員チャネルを主軸とする中堅社を対象として対話を行ってきたが、代理店チャネル等を主軸とする会社についても、持続可能なビジネスモデルの構築に向けた各社の対応について対話を実施していく
      2. 損害保険会社
        • 自然災害の多発・激甚化などの気候変動リスクの増大、自動運転技術等による将来的な自動車保険市場の縮小、デジタル化の進展等の事業環境の変化に応じて持続可能なビジネスモデルを構築すること、環境、顧客ニーズの変化に即した商品開発が行われることが重要。これらの実現を目指し、各社が中期経営計画でどのような戦略を立てているのか、大手社を中心に確認しつつ対話を実施
        • 非対面・効率的な業務運営は今後も求められることが予想される中、ポストコロナを見据えた上で、昨事務年度に確認した課題に対して十分な対応が行われることが重要であることから、引き続きモニタリングを行う
  • 財務・リスク管理について(自然災害の多発・激甚化への対応)
    • 近年、台風・水害等の大規模自然災害が多発し、損害保険会社において火災保険金の支払いが増加を続けている。過去の自然災害による保険金支払額上位10件のうち半数が2018年から2019年の2年間で発生している状況
    • 損害保険会社は、自然災害等による巨額の保険金支払に備えて異常危険準備金を積み立てているが、近年の自然災害頻発により、その残高は大きく減少。また、再保険を手配することで、自ら保有するリスク量を減らし事業成績の安定化を図っているが、近年の度重なる再保険金の回収を受けて再保険料が急騰し、コストが増加
    • このように、自然災害の多発・激甚化は、損害保険会社の大きな経営課題となっている
    • こうした環境変化の中にあって、損害保険会社が将来にわたって持続的に補償を提供しつつ、自然災害に対する備えとしての機能をより適切に発揮していくためには、以下のような取組みが重要
    • 自然災害への補償を持続的・安定的に供給する観点から、資本・リスク・リターンのバランスを踏まえ、統合的リスク管理態勢(ERM)を高度化するほか、保険商品においても、顧客のニーズやリスク実態等を踏まえた補償内容・保険料率の見直しを行うこと
    • 被災者の迅速な経済的復旧の観点から、大規模自然災害のような大きな損害が同時多発的に発生する局面においても、個々の保険金の支払いをより迅速かつ適正に行うことができる態勢を整備すること
    • 本事務年度の方針
      1. 自然災害リスク管理に関するモニタリング
        • 今後の大規模自然災害発生に備え、損害保険会社各社において、経営レベルでの論議に基づきどのようなリスク管理を行っているか引き続き注視する
      2. 保険金支払いに関する損保業界横断の取組み
        • 自然災害発生時の迅速かつ適正な保険金支払いに向けた態勢整備について、継続的に損害保険会社各社と対話・論議を行うことで各社の取組みを促すとともに、日本損害保険協会における業界横断でのインフラ整備について引き続き協働を行う
      3. 火災保険水災料率に関する有識者懇談会
        • 第1回会合における意見・論議を踏まえ、保険の相互扶助性と保険料負担の公平性とのバランスのあり方、損害保険会社に求められる取組みなどの論点についてより論議の深耕を図り、意見の取りまとめ・公表を行う
  • 顧客本位の業務運営について(営業職員管理態勢の高度化)
    • 生命保険会社の営業職員チャネルでは、これまで金銭詐取問題がたびたび発生してきており、特に昨事務年度においては、突出した営業成績を誇った生命保険会社の元営業職員が、19億円を超える金額を顧客から詐取したという特異な事案が発覚
    • 各社においては、営業職員の管理態勢を改めて検証し、改善すべき点が無いか確認することが重要。その際、経営陣のリーダーシップのもと、成績優秀者の特権意識等を生じさせない企業風土が醸成されることが必要であることに留意
    • 当該生命保険会社に対して継続的にヒアリングを実施し、その中で適切な被害者対応等を図るよう求めた。これを受け、当社は再発防止策等を公表し、被害額が確定している顧客に対し、被害額の全額を支払う旨を公表
    • 生命保険協会との意見交換会において、各社自らが営業職員管理態勢の実態等やその検証状況を確認し、必要な対応を図るための具体策の検討を進めることを要請
    • 上記要請を踏まえ、生命保険協会は全社に対して実態把握アンケートを実施し、その結果を営業職員管理態勢に係る留意点・事例集として公表
    • 金融庁からは同協会に対し2021年度のうちに再度のアンケート(フォローアップ・アンケート)を実施するよう要請し、同協会は同意
  • 顧客本位の業務運営について(外貨建保険の募集管理等の高度化)
    • 外貨建保険については、元本割れリスクの説明不十分等による苦情件数はコロナ前の2019年度まで大きく増加傾向。生保業界の努力等により、苦情発生率は減少傾向にあるものの、引き続き他の保険商品よりも苦情発生率は高い
      1. 金融審議会「市場ワーキング・グループ」報告書の提言を踏まえた対応
        • 監督指針を改正し、保険募集人による商品内容の適切な把握や、個別商品が顧客属性等に適っている合理的根拠があるかの検討・評価を着眼点に追加
        • 各業法の枠を超えて多様な商品を比較することを容易とする「重要情報シート」を導入
      2. 募集管理に係る保険会社や銀行との対話(下記論点に対し、さらなる改善を図るとの回答が多数得られた)
        • 保険募集人への研修…履修状況・理解状況の把握・管理が不十分な例が見られた
        • 適合性判断の態勢整備状況…適合性基準の妥当性を保険会社と金融機関代理店とで議論をしている例は多くなかった
        • アフターフォローの取組み…顧客に対するタイムリーな情報提供のため、システム導入等による体制整備が進展。また、顧客自身に加入目的の振返りを行っていただく取組みを導入した好事例も見られた
        • 解約時に顧客が負担しているタイムラグマージンの見直し・・・リスク管理の高度化等に照らして、合理的かつ妥当な水準とするとともに、募集資料にタイムラグマージンが及ぼす影響を記載。(対話を踏まえ、監督指針を改正)
        • コロナの感染拡大を受けた非対面募集ニーズの高まり等を受け、契約締結前交付書面等の電磁的方法による交付を解禁
  • 顧客本位の業務運営について(損害保険代理店との円滑な連携)
    • 損害保険の販売チャネルは代理店が大宗を占めており、損保会社と顧客とをつなぐ重要な役割を担っていることから、顧客本位の業務運営の実現には代理店との建設的な協力関係の構築が重要である。
    • 一方で、一部の代理店からは、損保会社による代理店統廃合の推進や代理店手数料ポイント制度等に対する不満の声が寄せられている
    • 民民間の契約であり当事者間の話し合いで解決すべき事項だが、損保会社においては代理店と丁寧に対話をする必要
    • 日本損害保険代理業協会や傘下の都道府県代理業協会との意見交換会を実施。保険会社との良好な関係を築いているとの声がある一方で、代理店統廃合や手数料ポイントへの不満の声も引き続き聞かれた
    • このような声を受け、日本損害保険協会との意見交換会の場において、必要に応じて日本損害保険代理業協会や個々の代理店とも対話するなど、課題解決に向けた一層の取組みを行うよう求めた
    • こうした金融庁との対話を踏まえ、大手損保会社においては、代理店からの声を聞く相談窓口を設置
  • 少額短期保険業者について(適切な態勢を整備した業務運営)
    • 少額短期保険業の業者数は増加しており、市場規模は拡大傾向にあるものの、赤字業者が一定程度存在
    • これまでの財務局による検査・監督等の過程において、必要となる態勢等に不備が多数認められている
    • このため、規模・特性を踏まえた経営管理態勢や財務の健全性、業務の適切性を確保するためのモニタリングが重要
    • 財務局と連携して赤字業者を中心に財務分析を行い、家財保険やペット保険の元受損害率上昇や高い出再率等を確認。更に、財務状況に課題がある業者に対し、ヒアリングを実施し、経営レベルでの改善に向けた議論を促した
    • 財務状況の改善に関し、財務局と連携して保険計理人と対話を実施し、課題(意見書作成基準が一部不明確である等)を把握。保険計理人の更なる機能発揮のため、この課題を日本アクチュアリー会に対しフィードバック
    • 法令違反等の問題が認められた業者に行政処分を実施。また、法令遵守の重要性に関して、全業者に対して周知・徹底したほか、自主点検の実施状況を踏まえた指導を実施

金融庁 第47回金融審議会総会・第35回金融分科会合同会合議事次第
▼資料2 説明資料(デジタル・分散型金融を巡る動向と今後の課題)
  • FATF(金融活動作業部会)対日相互審査についての財務大臣談話
    • 政府は、国民の安全と安心を確保し、健全な経済を維持・発展させていくため、マネロン・テロ資金供与対策に係る法令や金融機関向けのガイドラインの整備等、様々な施策を講じてきたところです。また、他の先進国や国際機関と連携し、途上国のマネロン・テロ資金供与対策の取組を支援してきました。
    • しかし、マネロン等の犯罪は、近年、複雑化・グローバル化しており、日本の対策も、国内外の動向を踏まえながら不断の見直しを行っていくことが必要です。これは、成長戦略で掲げる「世界に開かれた国際金融センター」を実現していく上でも不可欠です。
    • こうした中、本日(8月30日)、金融活動作業部会(FATF)より、第4次対日審査報告書が公表されました。報告書では、日本につきまして、国際協力等の分野で良い結果を示しているとされ、マネロン・テロ資金供与対策の成果が上がっているとして、「重点フォローアップ国」との結論になりました。同時に、日本の対策を一層向上させるため、金融機関等に対する監督や、マネロン・テロ資金供与に係る捜査・訴追等に優先的に取り組むべきとされました。
    • 今般、報告書の公表を契機として、政府一体となって強力に対策を進めるべく、警察庁・財務省を共同議長とする「マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策政策会議」を設置するとともに、今後3年間の行動計画を策定しました。今後、行動計画を踏まえ、取組の進捗を定期的にフォローアップしていきます。
    • 引き続き、国民の皆様のご理解とご協力を頂きながら、マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に取り組み、安全・安心な暮らしを実現するとともに、ポストコロナの持続的な経済成長に貢献してまいります。
  • マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する行動計画(抄)
    1. マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の監督強化
      • マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に関する監督当局間の連携の強化、適切な監督態勢の整備するほか、リスクベースでの検査監督等を強化する。(令和4年秋 金融庁、その他金融機関監督官庁)
    2. 金融機関等のリスク理解向上とリスク評価の実施
      • マネロン・テロ資金供与対策に関する監督ガイドラインを更新・策定するとともに、マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策に係る義務の周知徹底を図ることで、金融機関等のリスク理解を向上させ、適切なリスク評価を実施させる。(令和4年秋 金融庁、その他金融機関監督官庁)
    3. 金融機関等による継続的顧客管理の完全実施
      • 取引モニタリングの強化を図るとともに、期限を設定して、継続的顧客管理などリスクベースでのマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の強化を図る。(令和6年春 金融庁、その他金融機関監督官庁)
    4. 取引モニタリングの共同システムの実用化
      • 取引時確認、顧客管理の強化および平準化の観点から、取引スクリーニング、取引モニタリングの共同システムの実用化を図るとともに、政府広報も活用して国民の理解を促進する。(令和6年春 金融庁)
  • 骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)(抄)(2021年6月18日閣議決定)
    • 良好な治安確保のため、関係府省庁間で必要に応じ連携し、テロの発生の未然防止やサイバーセキュリティ対策等を着実に進めるとともに、金融業界の検査・監督体制等の強化や共同システムの実用化の検討・実施を含め、マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の強化に取り組む。
  • 成長戦略フォローアップ(抄)(2021年6月18日閣議決定)
    • 現状、各金融機関が個別に取り組む、マネー・ロンダリングに関する疑わしい取引の検知や制裁対象者の照合といった業務を効率化していくため、各社が共同で取り組む業務プロセスの構築やAIを活用したシステムの開発に向け実証事業を実施した。今後、実証事業の提言を踏まえ、共同化プラットフォームにおいて、取引情報の活用及び共有を円滑に行えるよう、共同化プラットフォームの運営・ガバナンスや規制・監督上の位置付けの明確化を図る。
    • 我が国における金融業界全体のマネー・ロンダリング及びテロ資金供与に関する対応を高度化していくため、検査要員の確保等の検査・監督体制の強化、政府広報の活用等による利用者への周知等を進めるととともに、共同システムの実用化及び関連する規制・監督上の所要の措置を検討・実施する。
▼資料4 説明資料(金融行政方針について)
  1. コロナを乗り越え、力強い経済回復を後押しする
    • 第一に、新型コロナウイルス感染症による深刻な影響を受けた経済社会を、金融機関が引き続き金融仲介機能を発揮して力強く支えぬくことができるよう、行政としても万全を期す。さらに、ポストコロナの活力ある経済の実現を目指して、金融機関等による事業者の経営改善・事業再生・事業転換支援等を促していく。
      • 金融機関に対して、事業者の資金繰り支援に万全を期すよう求めていくとともに、対応状況を確認する。企業決算・監査への対応についても、関係者間で適切な連携を図る。
      • 豪雨等の自然災害の発生時には、金融機関に対して、きめ細かな被災者支援を行うよう促していく。自然災害債務整理ガイドラインの活用など、自然災害やコロナの影響で債務弁済が困難となった個人・個人事業主の生活・事業の再建支援を促す。
      • 金融機関等による事業者の経営改善・事業再生・事業転換支援等の取組みを促す。このため、事業者支援にあたっての課題や対応策を共有する「事業者支援態勢構築プロジェクト」の推進、中小企業の実態を踏まえた事業再生のための私的整理ガイドラインの策定等を行う。
      • 地域経済全体の活性化に向け、地域企業のための経営人材マッチングを促進するほか、金融機関職員の地域・組織・業態を超えた事業者支援のノウハウ共有や兼業・副業の普及・促進を後押しする。
      • 地域金融機関が地域の実情等を踏まえ持続可能なビジネスモデルを構築するよう、対話を通じて経営改革に向けた取組みを支援していく。
  2. 活力ある経済社会を実現する金融システムを構築する
    • 第二に、国内外の経済社会・産業をめぐる変化を成長の好機と捉え、国内外の資金の好循環を実現するとともに、金融サービスの活発な創出を可能とする金融システムを構築することにより、活力ある経済・社会構造への転換を促していく
      • 金融分野におけるデジタル・イノベーションを推進するため、利用者保護の確保を図りつつ、送金手段や証券商品のデジタル化に対応した金融制度の検討、決済インフラの高度化・効率化等を進める。
      • 国際金融センターとしての地位確立を目指し、海外金融事業者に対する登録手続きの迅速化や英語対応の強化を一層進めるほか、金融創業支援ネットワークを構築する。また、積極的なプロモーションを進める。
      • サステナブルファイナンスを推進し、国際的な議論において主導的な役割を担う。国内外の成長資金が日本企業の脱炭素化への取組みに活用されるよう、企業開示の充実、グリーンボンド等の認証枠組みや情報プラットフォームの構築による「グリーン国際金融センター」の実現等を図る。
      • インベストメント・チェーン全体の機能向上に向け、投資家保護にも留意しつつ、成長資金の供給を含む、市場機能向上のための制度・市場慣行の点検・見直しを行う。あわせて、コーポレートガバナンス改革を推進するとともに、会計監査を巡る諸課題を総合的に検討する。
      • 利用者目線に立った金融サービスの普及を促すため、顧客本位の業務運営についての取組状況の見える化等を進める。
      • マネロン等対策の強化やサイバーセキュリティの確保のほか、システムリスク管理態勢の強化を促す。
  3. 金融行政をさらに進化させる
    • 第三に、「金融育成庁」として国内外の経済社会に貢献していくため、データ分析の高度化等を通じたモニタリング能力の向上や、専門人材の育成など、金融行政を担う組織としての力を高めていく。
      • 金融機関からの徴求データを企業の個社データと組み合わせた分析を実施するなど、データ分析の高度化を推進する。
      • 金融行政各分野の専門人材の育成を進めるとともに、職員の主体的な取組みを奨励する枠組みの一層の活用、財務局とのさらなる連携・協働、職員が能力を発揮できる環境の実現や、質の高いマネジメントによる組織運営を推進する。

金融庁 FATF(金融活動作業部会)による第4次対日相互審査報告書の公表について
▼概要部分(仮訳)
  • 日本は、これまで実施してきた多くの分析に基づいてマネー・ローンダリング(以下、マネロン)とテロ資金供与の主要なリスクをよく理解している。一方、国のリスク評価やその他の評価について、多くの面でさらに改善させることができる余地がある。テロ資金供与リスクの評価と理解は、テロ対策の専門家からはよく示されているが、テロ資金供与対策を担う他の日本の行政当局の職員には及んでいない。AML/CFTのための国の政策と戦略において日本は、暗号資産に関するリスクを含め、リスクの高いいくつかの分野に対処しようとしている。しかしながら、それらの政策と戦略はAML/CFTの活動に的を絞ったものではない。AML/CFTの実施面では、ほとんどの法執行機関の間で概ね良好な協力が行われているが、AML/CFT政策の策定のため、より一層の連携が求められる。
  • 大規模銀行(より高いリスクを有する金融機関として認識されているグローバルなシステム上重要な銀行(GSIB)等)を含む一定数の金融機関及び資金移動業者は、マネロン・テロ資金供与リスクについて適切な理解を有している。その他の金融機関においては、自らのマネロン・テロ資金供与リスクの理解が限定的である。金融機関がマネロン・テロ資金供与リスクについて限定的な理解しか有していない場合、金融機関のリスクベース・アプローチ(以下、RBA)の適用に直接的な影響を及ぼす。このような金融機関は、最近導入・変更されたAML/CFTに係る義務について十分な理解を有しておらず、これらの新しい義務を履行するための明確な期限を設定していない。指定非金融業者及び職業専門家(以下、DNFBPs)は、マネロン・テロ資金供与リスクやAML/CFTに係る義務
  • について低いレベルの理解しか有していない。暗号資産交換業者は、暗号資産取引に関連する犯罪リスクについて一般的な知識を有し、基本的なAML/CFTに係る義務を実施している。疑わしい取引の届出の総件数(年ベース)は増加傾向にあるところ、疑わしい取引の届出の大部分は金融分野からのものであり、暗号資産交換業者の届出の実績も良いが、全体的にみて、疑わしい取引の届出は、基本的な類型や疑わしい取引の参考事例を参照して提出されている傾向がある。また、特定のマネロン・テロ資金供与リスクに直面している一部のDNFBPsを含め、全てのDNFBPsが、疑わしい取引の届出義務の対象になっているわけではない。
  • 金融監督当局間でリスクの理解に差はあるものの、主要なリスクに関する理解は適切である。金融庁は、金融セクターの規制・監督の主たる当局であるが、2018年以降、リスク理解に資する関連施策を実施し、リスク理解を改善させている。RBAの適用は、金融庁も含め依然として初期段階にあるものの、AML/CFTに係る監督の深度は徐々に改善しつつある。金融庁は、特定の金融機関との間で対話を行った場合、その後、緊密なフォローアップの取組を実施していることを示した。金融庁を含む金融監督当局は、金融機関に対する効果的かつ抑止力のある一連の制裁措置を活用していない。日本は、暗号資産交換業者セクターに対し、対象を絞り適時な法令及び監督対応を実施した。不備の認められる暗号資産交換業者に対して迅速かつ強固な対応を行ってきたことは認められるものの、マネロン・テロ資金供与リスクに基づく監督上の措置は改善する必要がある。DNFBPsの監督当局は、マネロン・テロ資金供与リスクの理解が限定的であり、リスクベースによるAML/CFTに係る監督を実施していない。
  • 日本は、全ての金融機関とDNFBPsが実質的支配者情報を保持することを義務付けられ、当局が実質的支配者情報を入手可能とするシステムを実施することに向けて重要なステップを踏み出した。しかしながら、法人について、正確かつ最新の実質的支配者情報はまだ一様に得られていない。国内外の信託、特に信託会社によって設立されていない、あるいは管理されていない信託の透明性に関しては、課題がある。法執行機関は、より複雑な法的構造を有する実質的支配者情報を備えるために必要な手段を有していないようであり、法人や法的取極めに関連するリスクは十分に理解されていない。
  • 金融インテリジェンス情報や関連情報は、マネロン、関連する前提犯罪、及び潜在的なテロ資金供与事案を捜査するために、広く作成され、アクセスされ、定期的に活用されている。これは、日本の法執行機関が自ら作成するインテリジェンス情報と、資金情報機関(FIU:警察庁犯罪収益移転防止対策室(以下、JAFIC))が作成する広範囲で質の高いインテリジェンス情報に基づいている。JAFICは、複雑な金融捜査に付加価値を与えている。法執行機関は、被疑者を特定し、被疑者間のつながりを理解するために金融情報を活用する傾向にあるが、資産の追跡のための活用については更なる強化が求められる。
  • 日本の法執行機関が追求するマネロンの捜査は、いくつかの重要なリスク分野に沿ったものである。日本の法執行機関は、それほど複雑ではないマネロン事案の捜査に豊富な経験を有するとともに、特定の組織犯罪を対象とした複雑な事案や外国の前提犯罪が絡むマネロンにおける複雑な事案の捜査を行った経験も少なからずある。国境を越えた又は国内での薬物の違法取引の大規模なマネロン事案の捜査には特に課題がある。マネロン罪で起訴された事案は全て有罪判決を得ているが、総合的なリスクプロファイルに沿ってマネロン罪を起訴しているのは、ある程度にしか過ぎない。マネロン罪に適用される法定刑は、日本で最も頻繁に犯罪収益を生み出している前提犯罪に適用される法定刑よりも低い水準にある。実際には、マネロン罪で有罪判決を受けた自然人に適用される制裁は、概して言えば、適用できる刑の範囲の下限にとどまっている。執行猶予判決と罰金が頻繁に科されている。
  • 資産の拘束と没収については、詐欺事案に関してはよく示されているが、その他のいくつかの高リスクのマネロン前提犯罪に関しては示されていない。日本は、大量の金地金の押収を除き、犯罪に用いられた道具の没収には概ね成功的なアプローチで行っている。前提犯罪とマネロンに係る起訴猶予の全体的なレベルから見て、犯罪収益や犯罪に用いられた道具、相当価値のある財産の没収に関して課題がある。国境を越えた現金密輸のリスクがあるにもかかわらず、日本は、虚偽又は無申告での現金の国境を越えた移動についての効果的な検知と没収を行っていることを示していない。
  • 日本は適時かつ建設的な国際協力を行っている。刑事共助要請に応えるための国内プロセスはうまく機能している。日本は、他国・地域から資産の送還を受けた経験は少ないものの、同等の価値を持つ財産を国内で没収するための支援を他国に行っている。日本の犯罪人引渡しのための司法上の枠組みは強化されるべきであるが、日本は、他国からの犯罪人引渡し要請を実行できる能力があることを示している。日本は、監督や、マネロン及び前提犯罪の捜査を含むAML/CFTに関する情報交換のために、日常的に他の形態の国際協力を適時に活用している。
  • 日本の法執行機関は、幅広い情報源からの情報や金融インテリジェンス情報を活用して、潜在的なテロ資金供与を効果的に捜査・阻止している。しかしながら、テロ資金提供処罰法の不備と、起訴に対する保守的なアプローチ(7参照)が、日本が潜在的なテロ資金供与を起訴し、そのような行為を抑止力ある形で処罰する能力を制約している。日本は、リスクのある非営利団体(以下、NPO等)についての理解が十分ではなく、そのため、NPO等のテロ資金供与対策のための予防的措置を強化するために、当局がターゲットを絞ったアウトリーチを行うことができない。このため、日本のNPO等は、知らず知らずのうちに、テロ資金供与の活動に巻き込まれる危険性がある。
  • 日本は、金融制裁の対象者の指定・履行手続に遅れがあるものの、最近行われた、対象を指定するための行政手続の見直しにより、その遅れは大幅に短縮された。包括的な輸出入規制や日本による制裁対象の国内指定(独自指定)を含む、北朝鮮による大量破壊兵器の拡散を対象とした複数の他の措置は、対象を特定した金融制裁の実施における遅れをある程度緩和している。これは、日本の文脈から見て特に重要である。もっとも、対象を特定した金融制裁を遅滞なく実施するために金融機関や暗号資産交換業者、DNFBPsに対してスクリーニングを行う義務が課せられているものの、金融機関や暗号資産交換業者、DNFBPsによる対象を特定した金融制裁の実施は不十分である。当局は、大量破壊兵器との闘いに関連するインテリジェンス及び法執行機関の活動において良好な省庁間の協力と連携を示しており、意図せず制裁回避を助長する特定のリスクを有する個別の民間セクターに対し、効果的かつ積極的な働きかけを行っている。
  • 国内及び国境を跨ぐ薬物の違法取引を除き、日本の法執行機関が追求するマネロン捜査は、国のリスク評価やその他のリスク評価で特定された、いくつかの重要なリスク分野に沿ったものである。追求されているマネロン事案の大半は、第三者によるマネロン(サードパーティー・マネー・ローンダリング)はなく、自己によるマネロン(セルフ・ローンダリング)である。法執行機関は、国際協力による支援を受けて、外国の前提犯罪に関する捜査を少なからず行った経験を示した。法執行機関は、それほど複雑ではないマネロン事案の捜査に豊富な経験を持っている。法執行機関は、対象を特定して、特に組織犯罪に対象を特定して強力に捜査の焦点を当てて対応していることを示した。しかしながら、複雑な詐欺、大規模な外国の前提犯罪に関する利益獲得段階を含む資金の移動及び薬物関連犯罪の収益の流れには、十分な焦点が当てられていないように見える。検察庁が、非常に軽微な犯罪であることを理由に、マネロン事案の多数を起訴猶予処分としていることは、この懸念を強める。
  • マネロン罪で起訴された事案は全て有罪判決を得ているが、総合的なリスクプロファイルに沿ってマネロン罪を起訴しているのは、ある程度にしか過ぎない。起訴に至ったマネロン事案の割合(30%)は、日本のマネロンリスクを考慮すると完全には正当化されないと考えられるが、しかしながら、他の経済犯罪の起訴率と同程度の割合である。かなり大多数の事案における執行猶予付きの判決を含め、マネロン罪に対しては低い刑罰が適用されているが、これは日本の状況と司法制度に沿ったものである。
  • 没収が行われていることは、詐欺事件に関しては十分に示されているが、その他の高リスクのマネロンの前提犯罪に関しては示されていない。法執行機関や検察官は、犯罪収益の剥奪に相応の力点を置いているようであり、日本は、資産を回復するための、概ね包括的な有罪判決に基づく没収制度を有している。起訴猶予となった前提犯罪、マネロン罪の全体的なレベルから、犯罪収益や犯罪に用いられた道具、相当価値のある財産の没収にいくつかの課題がある。日本は、差し押さえられた大量の金地金に関するものではないが、犯罪に用いられた道具の没収については、概ね成功的なアプローチを追求している。国境を越えた現金密輸のリスクがあるにもかかわらず、日本は、虚偽又は無申告の国境を跨いだ現金又は持参人払い式の譲渡可能支払手段の移動に対し、没収が効果的に行われていることを示していない
  • 日本では、テロ資金供与リスクが低いとはいえ存在するものの、テロ資金供与事案の起訴事例がない。特定の攻撃とのリンクがなければテロリスト又はテロ組織への資金提供は犯罪ではないというテロ資金提供処罰法の不備は、テロ資金供与罪の起訴が行われる可能性を狭めている。これらの不備や、起訴についての日本の保守的なアプローチ(マネロン捜査と起訴に関する7 を参照)に照らせば、特定のテロ攻撃に直接資金を提供したことが明確な事案の場合を除き、日本が抑止力のある制裁を伴った有罪判決を得ることはできないように思われる。
  • 日本は、関連する国連安保理決議に沿って資産を凍結するために、指定された個人又は団体との支払いを禁止する法令の組み合わせを通じて、国連安保理決議1267/1373号に基づいて、対象を特定した金融制裁を実施している。対象の指定は、必要な手続のために遅れを伴っており、実施までに約1~3週間を要している。金融機関や暗号資産交換業者に制裁対象リストを基にスクリーニングする義務が課せられているとともに、日本で指定の効力が発生する前に対象の指定について金融機関等に対して連絡する仕組みがあることは、指定が発効するまでの遅れを僅かながら抑制している。指定の実施は大幅に遅れていたが、最近行われた手続の変更により、その後に行われる対象者の指定は2~5日に短縮された。
  • 日本では、NPO等セクターに関するテロ資金供与リスクについての理解が十分ではなく、テロ資金供与に悪用されるリスクがある一部のNPO等に対し、リスクに基づいた具体的措置を講じていない。複数の日本のNPO等がリスクの高い地域で重要な活動を行っており、日本の当局によるNPO等セクターへの効果的なアウトリーチやガイダンスを早急に強化する必要がある。会計報告を含む、NPO等の運営における説明責任、健全性、国民の信頼を促進するための包括的な仕組みは、日本におけるテロ資金供与対策の具体的措置の欠如を緩和するのに役立っている。
  • 年間の疑わしい取引の届出の総件数は増加傾向にある。届出の大部分は金融分野によるもので、三分の一は大規模銀行によるものであるが、FIU(JAFIC)のガイダンスに基づく基本的な類型や疑わしい取引の参考事例を参照したものである
  • DNFBPsは、マネロン・テロ資金供与リスクについて、低いレベルの理解しか有していないが、北朝鮮に関連する業務のリスクや、最近の事案から金の密輸に係るリスクについては、一般的に認識している。DNFBPsは、主に顧客の本人確認及び顧客が暴力団の構成員・関係者でない旨の確認といった、基本的なAML/CFTに係る予防的措置の適用に留まっている。また、全てのDNFBPsが、実質的支配者の概念に関する明確な理解があるわけではない。制裁者リストとの照合や高リスク国リストとの照合は、主に顧客が通常の取引形態や属性から逸脱した場合のみ実施されている
  • 金融庁によるAML/CFTに係るリスクベースの監督は、まだ初期段階にあるが、徐々に改善しつつある。金融機関に対する初歩的な(initial)リスク評価は実施されているが、現段階ではRBAは主に固有リスクに主眼を置かれて実施されている。他の金融監督当局によるリスクベースによる監督の導入及びリスクの理解は、金融庁と比して、更に初期段階にある。
  • 日本は、法人が悪用される可能性についてある程度理解しているが、この理解は深度を欠いており、様々な種類の法人に関連する脆弱性についての十分な理解が示されていない。法的取極めの悪用に関連するリスクについての理解はない。法執行機関の間では、捜査に役立つ基本情報や実質的支配者情報の情報源について、ある程度の理解が不足しているようである。
  • 日本は、金融機関、暗号資産交換業者、及び大半のDNFBPsに実質的支配者情報の収集と検証を求め、公証人が新しく設立される会社の実質的支配者情報をチェックするようにする等、実質的支配者情報を確実に利用可能にするためにいくつかの重要な措置を講じている。しかし、これらの措置はまだ完全には実施されておらず、金融機関、暗号資産交換業者、DNFBPsによる監督や予防的措置の適用に不備があるため(上記の「監督」及び「予防的措置」を参照)、全ての事案で適切かつ正確な実質的支配者情報が利用できるわけではない。日本が金融捜査の一環として実質的支配者情報を利用したケースは非常に少なく、ほとんど全ての事案が、前提犯罪の捜査の一環として引き起こされた、単一の法人または法的取極めに関わるものである。これが、法人が悪用されている方法についての日本の限られた理解によるものなのか、利用可能な実質的支配者情報の不足によるものなのか、あるいはトレーニング不足等の他の理由によるものなのかは明らかではない。
  • 会社についての基本情報は、株主に関する詳細な情報を含めて、会社自身から入手可能であり、法人登記からも基本的な情報が得られる。しかし、会社が保有する情報を適時に入手できるかどうかは明らかではない。基本情報の提供を怠った場合の罰則は、一貫して適用されていない。
  • 優先して取り組むべき行動 日本は、以下に取り組むべきである。
    • 金融機関、暗号資産交換業者、DNFBPsがAML/CFTに係る義務を理解し、適時かつ効果的な方法でこれらの義務を導入・実施するようにする。これらにおいては、事業者ごとのリスク評価の導入・実施、リスクベースでの継続的な顧客管理、取引のモニタリング、資産凍結措置の実施、実質的支配者情報の収集と保持を優先する。
    • 前提犯罪の捜査の早い段階でマネロンについて検討することや、より広範な犯罪、特にハイエンドな犯罪収益の入手につながる高リスクの犯罪類型についての第三者によるマネロン(サードパーティー・マネー・ローンダリング)を優先することを含め、より重大な前提犯罪を対象としたマネロン罪の適用を増やす。
    • 警察庁、法務省、検察庁の間で、検察庁の訴追裁量の適用を再検討することを含め、重大なマネロン事案の捜査・訴追の優先度を高めることに合意し、マネロン事案の起訴率を改善するための措置を探求し、マネロン事案の訴追を優先させる政策を実施する。
    • マネロン罪の法定刑の上限を、少なくとも日本で犯罪収益を最も頻繁に生み出す重大な前提犯罪と同水準に引き上げる。
    • 優先リスク分野について、資産の追跡捜査、保全措置及び没収をより優先的に行う。また、犯罪に用いられた道具及び密輸された現金又は持参人払い式の譲渡可能支払手段をより一貫して没収する。
    • リスクベースでのAML/CFT監督を強化する。これには、特定事業者において実施されている予防的措置の評価のためのオフサイト・モニタリングとオンサイト検査の組み合わせについて、その頻度及び包括性を強化することや、金融機関、DNFBPs、暗号資産交換業者による義務履行における肯定的な効果を確保するために、抑止力のある行政処分と是正措置が適用されることを含む。
    • テロ行為との関連性がない場合に、個々のテロリスト又はテロ組織の資金供与が犯罪化されることを確実にし、勧告5の分析で明らかになった日本のテロ資金供与の犯罪化に関するその他の技術的欠陥を是正することを確実にするために、拘束力があり強制力のある方法を採用するか、テロ資金提供処罰法を改正する。
    • 対象者を指定した金融制裁を遅滞なく実施するために必要な更なる改善がなされ、対象者を指定した金融制裁を実施するための全ての自然人及び法人に係る義務が明確でありFATF基準に沿ったものであることを確保する。
    • テロ資金供与に悪用されるリスクがあるNPO等、特にリスクの高い地域で活動しているNPO等についての完全な理解を確保するとともに、リスクに見合ったアウトリーチ、ガイダンス提供、モニタリング又は監督を行う。
    • リスク評価の方法を引き続き改善し、マネロン・テロ資金供与リスクのより包括的な理解を促進する。これには、クロスボーダー・リスクや、法人・法的取極めに関連するリスクに特に焦点を当てることを含む。
    • 法人及び法的取極めに関する基本情報や実質的支配者情報が、日本の規制・監督・捜査の枠組みの一部として確立されるようにすることを確保する。

金融庁 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第1回) 議事次第
▼資料3 事務局説明資料
  • サステナビリティ(特に、環境、社会)に関する近年の主な動向
    • 2015年9月 国連総会における「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals:SDGs)の採択(環境、ジェンダー平等、働きがい等に関し、17のゴール・169のターゲットを設定)
    • 2015年12月 第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)におけるパリ協定の採択(温室効果ガス排出削減等のための新たな国際枠組み)
    • 2017年6月 金融安定理事会(FSB)により2015年12月に設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が、企業による自主的な開示を促すための提言(TCFD提言)を公表
    • 2018年12月 国際標準化機構(ISO)が、人的資本の情報開示のためのガイドライン(ISO30414)を公表
    • 2019年5月 「TCFDコンソーシアム」の設置(TCFDに沿った開示を進めていく上での疑問点や望ましい開示内容について、投資家と企業が双方向の議論を実施)
    • 2020年9月 世界経済フォーラム(WEF)は、ESGに関する定量的指標と推奨される開示に関する報告書を公表(SDGsと整合的な4つの柱(ガバナンス原則、地球、人類、繁栄)について、21のコア指標を提示)
    • 2020年9月 国際会計基準(IFRS)の設定主体であるIFRS財団が、サステナビリティに関する国際的な報告基準を策定すべく、新たな基準設定主体を設置する旨の市中協議文書を公表(→2021年4月、新たな基準設定主体(ISSB)の設置のため、メンバー構成等を含めた定款改訂案の市中協議を開始)
    • 2020年10月 総理大臣所信表明演説(「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言)
    • 2020年12月 金融庁において、サステナブルファイナンス有識者会議を設置(→2021年6月に報告書を公表(次頁))
    • 2021年6月 コーポレートガバナンス・コードの改訂 (管理職における多様性の確保(女性・外国人・中途採用者の登用)についての考え方と測定可能な自主目標の設定、 プライム市場上場企業「TCFD又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量の充実」)
    • 2021年6月 証券監督者国際機構(IOSCO)が「企業のサステナビリティ開示に関する報告書」を公表
  • サステナブルファイナンス有識者会議報告書の提言(2021年6月18日):持続可能な社会を支えるシステムの構築に向け、各主体に以下の役割を期待
    1. 機関投資家
      • ESG投資の積極的な推進やエンゲージメントに向けたコミットメントを強化することが重要
    2. 個人投資家
      • 投資信託の運用会社・販売会社:顧客保護の観点から、ESG関連投資信託の組成や販売に当たって商品特性を顧客に丁寧に説明するとともに、その後の選定銘柄の状況を継続的に説明すべき
    3. 企業
      • サステナビリティ情報に関する適切な企業開示のあり方について幅広く検討を行うことが適当
      • コーポレートガバナンス・コードの改訂を踏まえTCFD等に基づく気候変動開示の質と量の充実
    4. ESG評価・データ機関
      • 企業と投資家をつなぐESG評価・データ提供機関に関し、金融庁において、期待される行動規範等について議論を進めることを期待
    5. ESG関連プラットフォーム
      • グリーンボンド等に関する実務上有益な情報が得られる環境整備や、ESG関連債の適格性を客観的に認証する枠組みの構築を期待
  • 気候変動開示を巡る国際的な動き:国内外で気候変動等に関する開示の充実に向けた取組みが進められている
    • 2021年3月、米証券取引委員会(SEC)は、気候変動開示に関する現行ルールを見直すための意見募集を実施(コメント期限:6月13日)
      1. 日本
        • 2021年6月、プライム市場の上場企業に対し、TCFD又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量の充実を求めるコーポレートガバナンス・コードの改訂を実施
      2. 米国
        • 2021年3月、米証券取引委員会(SEC)は、気候変動開示に関する現行ルールを見直すための意見募集を実施(コメント期限:6月13日)
        • 2021年3月、上場企業及び大企業に対し、気候変動開示を義務付ける会社法改正に係る市中協議を実施(コメント期限:5月5日。2022年4月6日以降開始する会計年度から適用開始予定)
      3. 英国
        • 2020年11月、英財務省は、TCFDに沿った開示の義務化に向けた今後5年間のロードマップを公表
        • 2021年1月、ロンドン証券取引所プレミアム市場の上場企業に対し、コンプライ・オア・エクスプレインベースでTCFDに沿った開示を要求(同年6月、対象をスタンダード市場の上場企業にも拡大する市中協議を実施(コメント期限:9月10日。2022年1月1日以降開始する会計年度から適用開始予定))。
      4. EU
        • 2021年4月、IFRS財団は、サステナビリティに関する国際的な報告基準を策定する基準設定主体の設置に向けた市中協議を実施(コメント期限:7月29日)。同年11月のCOP26前に基準設定主体についての最終決定を行う予定(※)開示要件の詳細については、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)が2022年半ばまでに基準を策定予定
      5. IFRS財団
        • 2021年4月、欧州委員会(EC)は、上場企業及び大企業に対し、サステナビリティ情報の開示を要求する企業サステナビリティ報告指令案を公表(2023会計年度から適用開始予定)
      6. G7首脳コミュニケ(2021年6月)抜粋
        • 我々は、一貫した、市場参加者の意思決定に有用な情報を提供し、かつ、TCFDの枠組みに基づく義務的な気候関連財務開示へ、国内の規制枠組みに沿う形で向かうことを支持する
  • IFRS財団におけるサステナビリティ報告基準の策定の動き
    1. G7財務大臣・中央銀行総裁声明(2021年6月)
      • 我々は、頑健なガバナンス及び公的監視の下で、TCFDの枠組及びサステナビリティ基準設定主体の作業を基礎とし、これらの主体と幅広いステークホルダーを緊密に巻き込んでベストプラクティスを形成するとともに収斂を加速させて、このベースラインとなる基準を策定する、国際財務報告基準財団の作業プログラムを歓迎する。我々は、COP26までの国際サステナビリティ基準審議会の設立につながる最終提案に関する更なる協議を慫慂する。
    2. ISSBの戦略的方向性
      • 投資家の判断に重要な情報(企業価値)にフォーカス(investor focus for enterprise value)
      • 当初は気候関連情報に関する報告基準の開発を優先
      • TCFD等の既存の枠組み・作業等をベースとした基準開発
      • ビルディングブロックアプローチを採用
      • ISSBがベースとなるサステナビリティ報告基準を設定し、その上に各国が政策の優先順位に基づいて、より広範な要求事項や特定の開示の要求事項を追加する方法
  • 人的資本の開示に関する諸外国の動向(米国SECの規則改正)
    • 米国SECは、2020年8月、非財務情報に関する規則を改正し、新たに人的資本についての開示を義務付けることを公表し、2020年11月から適用
    • 改正規則においては、事業を理解する上で重要(material)な範囲で、人的資本・人的資源についての開示を求めており、プリンシプル・ベースのアプローチを採用している
    • 証券取引委員会(SEC)は、人的資本の管理に係る開示に含まれる指標や目的が、時間の経過や企業の事業展開地域、基本的な事業戦略等により大きく変化する可能性があることを踏まえ、詳細な規定は盛り込まないとした
    • 改正規則における人的資本の開示に関する内容は以下のとおり
      1. 事業の説明(Description of the business)箇所において、事業を理解する上で重要(material)な範囲で、会社の人的資本(human capital resources)についての開示が求められる
      2. 当該人的資本・人的資源には、人的資本についての説明(従業員の人数を含む)、会社が事業を運営する上で重視する人的資本の取組みや目標(例えば、当該会社の事業や労働力の性質に応じて、人材の開発、誘致、維持に対応するための取組みや目的など)を含む
  • 企業の人材の多様性確保に関する取組(政府の方針)
    1. 第5次男女共同参画基本計画(2020年12月25日閣議決定) 抜粋
      • 企業における女性の活躍に関し、投資判断に有効な企業情報の開示を促進するため、有価証券報告書等において企業の判断で行う情報開示の好事例を収集し、周知する。また、企業のガバナンスにおけるジェンダー平等の確保の重要性に鑑み、有価証券報告書等における開示の在り方を含め、コーポレートガバナンスの改善に向けてジェンダーの視点も踏まえた検討を行う。
      • 企業における男性社員の育児休業等取得促進のための事業主へのインセンティブ付与や、取得状況の情報開示(「見える化」)を推進する。
    2. 少子化社会対策大綱(2020年5月29日閣議決定) 抜粋
      • 妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知を行うほか、有価証券報告書などの企業公表文書等への育児休業取得率の記載を促すなど、事業主が男性の育児休業取得を促す取組を行うことを促進する仕組みの導入について検討する。
  • コーポレートガバナンス・コードの再改訂
    • 再改訂版のコーポレートガバナンス・コードでは、指名委員会・報酬委員会の設置により、指名や報酬などの特に重要な事項に関する検討に当たり、これらの委員会の適切な関与・助言を得るべきとされている
    • コーポレート・ガバナンス報告書における取締役会、指名委員会・報酬委員会の活動状況の記載を促しており、一定程度の開示が進展
  • 東証の市場区分の見直しにより、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場に再編(2022年4月~)。その際、「流通株式」の定義を見直し、政策保有株式等は「流通株式」から除外される
  • 政策保有株式に関する開示について、投資家からは依然として不十分との声がある
  • 会計監査に対する信頼性の確保に向け、KAM(監査上の主要な検討事項)の記載の導入やコーポレートガバナンス・コードの改訂等を実施
    • 従前の監査報告書は、財務諸表が適正と認められるか否かの表明(監査意見)以外の監査人の見解の記載は限定的であった
    • 海外の動向等も踏まえ、企業会計審議会において審議を行い、監査基準を改訂し、監査報告書において、監査人が着目した虚偽表示リスクなどの監査上の主要な検討事項(KAM)を記載することとした(2021年3月期決算から適用開始。2020年3月期決算から早期適用可)
    • 上場会社において、内部監査部門がCEO等のみの指揮命令下となっているケースが大半を占め、経営陣幹部による不正事案等が発生した際に独立した機能が十分に発揮されていないのではないかとの指摘
    • こうした指摘を踏まえ、2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂により、上場会社は、内部監査部門が取締役会や監査役会等に対して適切に直接報告を行う仕組み(デュアルレポーティングライン)を構築すること等により、内部監査部門と取締役・監査役との連携の確保が求められることになった
  • 海外では、監査委員会の活動状況について、監査委員長名でその詳細が開示されている:英国のAudit Committee Report では、例えば、以下の事項が開示されている。
    • 監査委員長名で委員会の活動状況を説明
    • 財務諸表に関連して監査委員会が重要と考えた事項及び当該事項への対処の状況
    • 監査人が非監査業務を提供する場合の監査人の独立性確保に関する説明
  • その他の個別課題
    • EDINETについては、2001年の導入以降、企業や情報利用者において情報提供・利用のインフラとして定着しているが、情報通信技術の進展等により情報の流通経路が多様化し、IT活用が更に進んでいる。このため、利便性向上の観点から、タブレット端末等での閲覧に対応すべきである。また、金融商品取引法上の開示書類の縦覧期間の延長について、延長のニーズや便益とコストとのバランスなどを踏まえ、今後、検討していくことが考えられる。
    • 金融庁は、2018年1月、有価証券報告書における大株主やストックオプションの記載について、事業報告等との共通化の観点から内閣府令を改正した。また、同年3月、法務省は、事業報告等における大株主の記載について法務省令を改正し、財務会計基準機構は、記載内容の共通化を行う場合の「ひな型」を公表した。引き続き、有価証券報告書と事業報告等の共通化や一体化に関する取組みの進展が期待されるところ、政府はこうした取組みを行おうとする企業を積極的に支援することとされている
    • 有価証券報告書の記載情報の重要性・信頼度の高さ、コーポレート・ガバナンス報告書の記載情報の充実度・更新頻度や優れた検索機能等の利便性、といったそれぞれの書類の特徴を勘案すべきとの意見があった。両書類の特色を踏まえ、望ましい情報提供のあり方についての意見交換が行われ、それを踏まえた情報開示の工夫が積み重ねられることが期待される。
    • 我が国企業への投資判断や対話において重要と考える契約について、契約の相手方である米国企業からは契約書の内容が開示されているにもかかわらず、我が国企業からは開示のない事例がみられる。
    • 日経225構成銘柄の企業の多くが英語版アニュアルレポートを作成している一方、有価証券報告書の英語版はほとんど作成されておらず、例えば、有価証券報告書記載の政策保有株式に関する情報が海外投資家に十分知られていない。
    • 適時開示に当たっては、直ちにその内容を開示することとされているが、多くの上場企業による公表のタイミングは証券取引所の立会時間終了後(いわゆる「引け後」)の15時以降に集中している。
  • ご議論いただきたい事項
    1. 前回の金融審議会ディスクロージャーWG報告(2018年6月)における検討事項は以下のとおり。
      • 「財務情報」及び「記述情報(非財務情報)」の充実
      • 建設的な対話の促進に向けたガバナンス情報の提供
      • 提供情報の信頼性・適時性の確保
      • その他の課題(ITを活用した情報提供、英文による情報提供等)
    2. 前回のWG報告以後の企業開示を巡る経済社会環境の変化として、以下のような点が考えられるが、論点に過不足はないか。また、優先順位をどのように考えるか。
      • サステナビリティ(気候変動対応、人的資本への投資、多様性の確保等)
      • コーポレートガバナンス(取締役会等の活動状況、政策保有株式、監査に対する信頼性確保等)
      • 個別課題(ITの活用、重要な契約、英文開示、提供情報の適時性等)
    3. 上記の他、審議を進めるに当たって、どのような点に配意・留意すべきか。

金融庁 企業アンケート調査の結果
  • コロナによる売上への影響について、全体では、7割弱の企業で売上が減少している。地域別では、どの地域においても6割以上の企業で売上が減少した。業種別では、75%が大幅に売上が減少したと回答した観光業をはじめ運輸業、製造業の多くは、売上が減少したと回答した一方、医療・福祉業、建設業、不動産業では減少したとの回答は5~6割にとどまり、業種によって影響にバラツキが見られた。
  • 資金繰り表の作成状況について、全体では6割強の企業が「自社で作成している」、その一方で、2割が「資金繰り表は作成していない」と回答した。規模が小さくなるほど、自社で作成している先の割合が低くなる一方、メインバンクや税理士の支援を受けて作成している先の割合が高くなる。
  • 資金繰りについて、コロナ発生後に「安定していた」と回答した企業が約6割まで減少したが、2021年4月現在では8割弱が「安定している」と回答している。1回目の緊急事態宣言時では全国的な休業要請等により資金繰り状況への影響が大きかった。企業規模別では、コロナ発生後と2021年4月現在を比較すると、全ての規模において「安定している」と回答した割合が増加した。規模が大きい企業ほど「安定している」と回答した企業の割合が高い。地域別では、コロナ発生後と2021年4月現在を比較すると、全ての地域において「安定している」と回答した割合が1~2割以上増加した。業種別では、コロナ発生後と2021年4月現在を比較すると、全ての業種において、「安定している」と回答した企業が増加した。現在では、卸売業や不動産業では8割強の企業が「安定していた」と回答した一方、観光業は6割弱、運輸業は7割強に留まるなど、回復にはバラツキが見られる。
  • 資金繰りが悪化した理由について、全体では9割が「売上の減少」、次いで3割弱が「原材料・商品・製品の仕入費用や経費の増加」、「納税や保険料の支払」、2割弱が「融資の返済」と回答した。資金繰りの悪化の程度について、全体では6割弱が資金調達までは必要としていない状況であった。債務者区分別では、上位先ほど資金調達の必要性が低くなっており、特に正常先上位では約8割が資金調達までは必要としていない状況であった、一方、要注意先以下では約3割が「3ヵ月以内に資金調達が必要」と回答した。資金繰りが改善した理由について、全体では6割弱が「実質無利子・無担保融資」、次いで4割強が「売上の増加(回復)」、4割弱が「各種補助金・助成金の利用」と回答した。債務者区分別では、支援による改善項目では、大半の項目で下位先ほど割合が高くなっている。
  • 全体では、7割弱がコロナ後に金融機関による支援を受けており、そのうちほぼ全ての企業が資金繰り支援を受けている。債務者区分別では、下位先ほど支援を受けた割合が高く、資金繰り支援・経営改善支援サービスの両方を利用した割合も高くなっている。実質無利子無担保融資の据え置き期間後の対応について、全体では6割強が「約定弁済を開始した、又は開始する予定」と回答した。
  • 今後金融機関から受けたい経営改善支援サービスについて、全体では5割が「取引先・販売先の紹介」、次いで4割弱が「各種支援制度の紹介や申請の支援」を求めている。経営改善支援サービスを受けたいと回答した企業のうち、手数料を支払ってもよいと回答した割合を確認すると、「経営人材の紹介」が5割弱と最も多く、次いで「事業転換に関するアドバイス・提案」が4割強と回答した。
  • 全体では6割強が「売上の低迷」、「資金調達や資金繰り」を、5割強が「人材・人手不足」を懸念している。債務者区分別では「売上の低迷」、「資金調達や資金繰り」において、下位先ほど懸念している企業の割合が高くなっている一方、「人材・人手不足」は差が見られなかった。「現時点では今後の事業継続に懸念事項はない」とした企業は1割程度。
  • メインバンクについて、企業の経営上の課題や悩みを「よく聞いてくれる」又は「ある程度聞いてくれる」(以下、「聞いてくれる」と略記)とする企業の割合は全体で約8割。その割合は債務者区分が下位になるほど低くなる。前回調査時と比べると、傾向に大きな違いはないものの、全体で約5%「聞いてくれる」とする企業の割合が上昇している。コロナ発生前からの変化について、「以前より聞いてくれるようになった」との受け止めは、債務者区分が下位の層にも広がりがあり、顧客に対する幅広い実態把握を継続的に努めていること窺われる。
  • メインバンクについて、企業の経営上の課題に関する分析結果や評価を「よく伝えてくれる」又は「ある程度伝えてくれる」(以下、「伝えてくれる」と略記)とする企業の割合は全体で約6割。その割合は債務者区分が下位になるほど低くなる。この点、前回調査結果と、傾向・水準に大きな差は見受けられない。コロナ発生前からの変化について、「以前より伝えてくれるようになった」との受け止めは、債務者区分が下位の層ほど割合が高く、分析結果の共有の取組みにも広がりが出ていることが窺われる。
  • メインバンクについて、金融機関から伝えられた経営上の課題の分析結果や評価に対する納得感を「とても納得感がある」又は「ある程度は納得感がある」(以下、「納得感がある」と略記)とする企業の割合は全体で約6割。その割合は債務者区分が下位になるほど低くなる。前回調査結果と、傾向・水準に大きな差は見受けられない。コロナ発生前からの変化について、「納得感が減った」と回答した企業の割合は全体でごくわずかであり、コロナ発生前と比べ、伝えられた内容に相応の受け止めをしている企業が多いことが窺われる
  • 従来、金融庁としては、金融仲介機能の発揮状況の確認のためには、個々の地域金融機関の事業性評価の取組状況を把握することが重要との観点から、その材料の一つとして、本アンケートの「事業内容に耳を傾け、確りと分析した上でその結果を企業へアウトプットできており、更に、企業からの納得感を得られているか否か」についての企業の方々からの声は有益であると考えている。こうした観点から、引き続き「企業との課題共有先」(事業性評価に向け、企業と課題を共有することで共通理解の醸成が進んでいる先)と「そうではない先(以下、企業との課題共有先以外の先)」の客観的な回答結果を提示する。
  • メインバンクとの取引継続意向について、「是非、取引を継続したい」とする企業は全体で6割強。その割合は、債務者区分が下位になるほど低くなる。企業との課題共有先では、「是非、取引を継続したい」とする企業は8割強を占めており、その割合は企業との課題共有先以外の先(4割強)の約2倍と明確な差が見られた。また、前回調査と同様、「継続して取引するつもりはない・取引解消を考えている」とする企業の数がゼロ社となった。一方、企業との課題共有先以外の先では「是非、取引を継続したい」とする企業は4割強、「どちらかと言えば取引を継続したい」とする企業を含めても、企業との課題共有先との結果とは差がある。更に、少なくとも2割程の企業については、今後の金融機関の取組状況によっては取引金融機関を変更する可能性を示唆している。以上のことから、企業と課題を共有し、共通理解の醸成を進めることが、企業のニーズや課題を捉えた納得感のある融資やサービスの提案を行うことを通じ、より安定的な顧客基盤の確保に繋がる可能性があることが窺える。
  • 全体では、必要な資金をメインバンクから十分に調達できている割合は7割弱、調達できていない割合は1割弱。企業との課題共有先について、いずれの債務者区分でも、高い割合で必要な資金をメインバンクから十分に調達できているとの回答が占め、企業とメインバンク間の課題共有が成長資金の調達面でもポイントと成り得ることが窺える。
  • 成長資金が調達できない理由としては、足下の借入限度額、事業実態・将来性の理解、担保価値・保有の有無に関する点を問
  • 題とする声が多くを占める。成長資金調達の促進の観点では、いずれの点についても、企業とメインバンクとの課題共有こそが、改善に向けた糸口のとなり得るものであることが窺える。
  • 事業承継の検討について、全体では「具体的に検討している」、「自分の代限りとし、事業承継をするつもりはない」との回答が6割強となった。多くの経営者が自身の事業に対する、展望・意向を、既に足元で見極めていることが窺える。そうした見通しや意向に係る課題は、「後継者が見つからない・決まらない」といった人材面に係る問題と並んで、「自社の財務内容や業績が芳しくない」といった事業そのもの問題が挙げられている。事業承継支援の観点においても、事業改善に向けた企業との課題共有が解決策の糸口になり得ることが窺える。
  • 事業承継相手について、6割弱が「子や親族(親族承継)」、2割強が「社内役員や従業員(社内承継)」を検討。親族承継と社内承継の相談先は、承継相手の「子・親族」,「社内役員・従業員」が多数ではあるものの、1~3位の合算では「メインバンク」が3割程度と一定数存在。「M&Aなどを活用し第三者に承継したい(第三者承継)」の相談先としてはメインバンクが最も多い。
  • 事業承継の相談相手に対し、どの層も、「法人・個人の資産分離など、財務情報等の整理」を期待する傾向。「事業承継候補の選出」について、第三者承継だけではなく社内承継でも需要あり。選出後の「事業承継候補との交渉の仲介」については第三者承継の需要が大きい。
  • 全体では、7割弱がコロナ後に金融機関による支援を受けており、そのうちほぼ全ての企業が資金繰り支援を受けている。経営改善支援を受けた企業の割合は12.6%と一定数存在。受けた経営改善支援サービスの内容については、「経営人材の紹介」と回答した企業の割合は6.9%。当該経営改善支援サービスの満足度を確認すると、全体の満足度の平均が3.70ptである一方、「経営人材の紹介」の満足度は3.07ptにとどまり、「資金繰り表の作成支援」や「事業計画策定支援」等の業務と比べると、満足度は高くない。
  • 企業が今後事業を継続するうえでの懸念事項を確認すると、「後継者を含め、経営人材が不足していること」と回答した企業の割合が27.9%、「十分な数の従業員が確保できず人手が不足していること」と回答した企業の割合が34.8%となっており、今後事業を継続していくうえで人材確保を懸念している企業が一定数存在。
  • 現在の状況を踏まえ今後金融機関から受けたい支援を確認すると、経営改善支援を受けたいと回答した企業のうち、「経営人材の紹介」と回答した企業の割合は18.6%と、今後事業を継続するうえでの懸念事項としてあげた人材確保に関して、金融機関から支援を受けることへの期待が高いことが窺える。また、手数料を支払ってもよいと回答した割合を確認すると、「経営人材の紹介」が5割弱と最も多い。
  • 「経営人材が不足している」と回答した企業の割合は66.6%と、多くの企業で経営人材が不足しているという認識がある。「経営人材が不足している」と回答した企業のうち、「その人材要件が明確に固まっている」と回答した企業の割合は10%程度にとどまっており、金融機関が、企業が必要とする経営人材の要件を明確化し、そのニーズを顕在化させることができれば、人材マッチングへと結びつけられる可能性は十分にあると考えられる。企業が新たに経営人材を採用することを検討する場合、経営人材に求める役割を確認すると、「営業・販売力の強化」と回答した企業の割合が60.3%、「経営者の右腕人材・相談役」と回答した企業の割合が51.3%。
  • 企業で経営人材が必要となった場合に、誰に経営人材を紹介してもらいたいかを確認したところ、メインバンクやそのグループ会社と回答した企業の割合が35.0%となっており、「社内の役員・従業員」、「社外の知人」といった関係者を除くと、最も高い割合となっている。
  • 直近約5年間で「経営人材紹介サービス」を活用し「経営人材を採用した」と回答した企業(n=350)のうち、年齢、雇用形態を確認すると、年齢は30代~50代と回答した企業の割合が74.6%、雇用形態では常勤雇用と回答した企業の割合が91.0%。
  • 採用した経営人材の定着状況を確認すると、「勤務継続中」と回答した企業の割合が83.0%と大半ではあるが、「任期途中で
  • 退職」と回答した企業の割合も13.3%となっており、コストをかけて経営人材を採用しても、採用後にミスマッチが生じるなど、任期途中で退職に至るケースもみられる。直近約5年間で「経営人材紹介サービス」を活用し「経営人材を採用した」と回答した企業のうち、経営人材の紹介者の状況を確認すると「民間人材紹介会社」と回答した企業の割合が最も多く42.3%となっている。次いで「子や親族、社内従業員、知人等」、「プロフェッショナル人材戦略拠点」となっている。「メインバンクやそのグループ会社」といった金融機関と回答した企業の割合は、9.8%となっており、金融機関が人材マッチング業務に取り組み始めてからはまだ数年といった中、一定割合を占めている。
  • 採用した経営人材の役割をみると、「営業・販売力の強化」が45.8%と最も多く、経営人材の多くが販路拡大のために採用されていることが分かる。「経営者の右腕人材・相談役」は2番目に多い27.4%であり、経営全体を俯瞰し、経営者とともに企業を支えることのできる人材のニーズが高いことが分かる。採用した経営人材の職歴・経験では、「求めた役割の経験がある」が最多であるほか、「大企業勤務経験がある」が27.4%と3割弱を占めており、経営人材を採用した中小企業の多くが、大企業人材が有する専門的知識やマネジメントスキル等を自社の経営に活かしていることが窺える。
  • 経営人材の定着状況について、経営人材の紹介者別に確認すると、「メインバンクやそのグループ会社」では定着率が95%を超えており、紹介者別では最も高い割合となっている。経営人材の紹介者別の満足度を確認すると、「メインバンクやそのグループ会社」はすべての項目で平均を超えるなど、金融機関の人材マッチング業務への取組みに対し、企業の満足度は相対的に高いことが窺える。

金融庁 「サステナブルファイナンス有識者会議報告書」の公表について
▼(別紙1)PDFサステナブルファイナンス有識者会議報告書
  • 現在、世界は気候変動に加え、生態系と生物多様性の危機、海洋プラスチック問題など、いわば地球環境容量の限界とも言える環境課題に直面している。同時に経済的格差の拡大と中間層の没落、貧困と飢餓、新たな感染症の出現、強制労働やジェンダー差別等のビジネスと人権等の幅広い社会課題があり、日本においては少子高齢化や地域社会の疲弊なども重要な課題となっている。これらはいずれも、社会の持続可能性を脅かす危機である。
  • 中でも、2050年カーボンニュートラルの実現は、今議論すべき最も重要な目標の1つである。特に、2021年4月には、2030年度におけるGHG削減目標の引上げが表明されたところであり、よりスピード感を持って対応する必要がある。同時に、こうした動きは、大きな産業構造転換を伴うものであるため、その過程において公正な移行を確保するという視点も重要と考えられる。
  • これらの持続可能性の危機の多くは経済活動と密接に関係する。そして金融資本市場はその経済活動の根幹に位置し、経済活動の方向をも左右する。したがって、従前の考え方からの転換を加速し、金融資本市場における投融資の判断にESG(環境、社会、ガバナンス)の要素を組み込むことを始めとした、サステナブルファイナンスを推進することは、SDGsを達成し持続可能な社会を構築する上で鍵となる。世界各国でサステナブルファイナンスが政策的に推進されているのもそのためである。特にカーボンニュートラル実現のためには巨額の資金を必要とすることから、金融資本市場に期待される役割は大きい。
  • また、持続可能な社会の構築は、それに拠って立つ金融資本市場や金融主体にも便益をもたらすものである。この点、大多数の国内企業株式を幅広く保有する機関投資家(ユニバーサルオーナー)やそれに近い立場にある金融主体が好例である。サステナブルファイナンスは、個々の経済活動にともなう正や負の外部性を金融資本市場が適正に織り込み、環境や社会課題を考慮した投融資等を行うことで、環境や社会の課題が改善するなど、それらの経済活動が全体として拠って立つ基盤を保持し強化する効果を持つ。それは結局、個々の経済活動にも便益をもたらす。したがってユニバーサルオーナー等にとっては、サステナブルファイナンスに係る取組みが自らの保有する投融資ポートフォリオ全体のリスク・リターンの改善につながるという効果があると期待される。
  • さらに、ESG要素を投融資の判断に組み込むことは、ESGに係るリスクの低減や投資機会の発見にもつながる。また、投資家や金融機関等がサステナブルファイナンスを進めることは、その投融資先におけるESG要素への対応を促す効果を持つ。これにより、投融資先のESGリスク耐性が向上し収益見通しの安定性が図られれば投融資リスクの低減が期待される。ESG要素を取り入れた新たなビジネス機会の発掘・創出により投融資先の収益見通しが向上すれば、投融資価値の増大も期待される。また、企業には、これまでの事業ポートフォリオに基づく経営戦略に囚われない発想の転換が必要であり、金融機関にはそうした実体経済の移行を先導・誘導する役割も期待される。
  • 以上のように、サステナブルファイナンスは、持続可能な経済社会システムの実現に向けた広範な課題に対する意思決定や行動への反映を通じて、経済・産業・社会が望ましいあり方に向けて発展していくことを支える金融メカニズム、すなわち、持続可能な経済社会システムを支えるインフラと位置付けるべきものと考えられる。それは、持続可能な経済社会システムの構築という将来を見据えた息の長い取組みでもある。したがって民間セクターが主体的に取り組むとともに、制度的な枠組み作りなどを通じて政策的にも推進していくべきと考えられる。
  • 持続可能な経済社会システムの実現という共通目標に向かう世界の動きの中で、企業経営における課題認識も変わりつつある。世界経済フォーラムが毎年公表するグローバルリスク報告書でも、近年は、発生可能性や影響度の両面で上位にランクされるリスク項目は環境や社会に関するものとなっている。また、それらの課題が自社の事業活動にどのようなリスクと機会をもたらすかを考え、そうしたリスクや機会にいかに対処するかについて戦略を練ることは、中長期的な企業価値の維持・向上にとって不可欠となっている。
  • このためには、外部環境の様々な変化を、将来を見据えて感じ取るとともに、そうした変化の兆しに対して自社の戦略の強靭性(レジリエンス)を不断に検証し必要に応じそれを更新していく知見、姿勢、能力が求められる。具体的には、環境・社会課題の最新動向に関する知見を活用し、積極的に課題解決に取り組む姿勢や、外に対して開かれた実質的で内実のある建設的な対話を行う能力が重要となる。
  • 企業が投資家や金融機関と、このような建設的な対話を進めることは、インベストメント・チェーン全体の機能向上に資すると考えられるが、その際、サステナビリティ情報に関する適切な企業開示が鍵となる。金融機関や投資家が投資判断にESG要素を組み込むにあたっても、十分な情報開示が前提となる。
  • サステナビリティを巡る課題のうち、特に気候変動は喫緊の課題である。気候関連情報については、国内外でTCFD提言に基づく情報開示が進展しており、国際的に確立された開示の枠組みとなっている。
  • 2017年に公表されたTCFD提言においては、企業への気候変動による影響を、移行リスクと物理的リスクの2つのリスク、及び機会に分類した上で、自社が直面するそれらの気候変動影響をもとに、ガバナンス、戦略、リスク管理、及び指標と目標の4つの項目に沿って開示することを推奨している。
  • 日本ではTCFDコンソーシアム等を中心に、TCFD提言へ賛同する企業や金融機関等が一体となって、開示を推進してきた。その結果、既に世界最多の約400社がTCFD開示に取り組んでいる。しかし自社への影響把握や対応策を検討するに当たっては気候変動の長期かつ不確実な影響を考慮する必要があることなどを理由に、依然、TCFD開示を躊躇している企業も多い状況にある。
  • 現在、英国を筆頭に、TCFDによる気候関連開示の義務化を進めるなど、TCFD開示を積極的に推進する動きが見られる。日本においては、「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」での議論を経て、2021年6月、コーポレートガバナンス・コードが改訂され、東京証券取引所におけるプライム市場の上場企業に対し、「国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである」とされた。
  • これは、コンプライ・オア・エクスプレインの枠組みであるコーポレートガバナンス・コードにおいてTCFD等の位置づけが明確化されることにより、企業の自主性や柔軟性を確保しつつ、気候関連開示の充実を図るものである。こうした動きは、投資家との建設的な対話を深めることに貢献すると考えられるが、今般の改訂を踏まえて、引き続き、企業開示の質と量の充実を促していくべきである。
  • また、投資家からは、比較可能性を確保した形で最も信頼性の高い法定開示書類における開示を進めることが望ましいとの意見があり、企業側からは、すでに法定開示の中で積極的に開示している事例も見られるが、法定開示に求められる情報の正確性や訴訟リスク等を鑑みると、各企業の置かれた状況に応じた自主性や柔軟性を維持しつつ、意思決定に有用でグローバルにも通用する開示を促す枠組みが望ましいとの意見がある。これらの意見も踏まえつつ、COP26に向けたIFRS財団等の国際的な動向を注視しながら、気候変動関連情報の開示の充実に向けた検討を継続的に進めていくことが重要である。
  • その際には、我が国の資本市場の一層の機能発揮に向け、投資家の投資判断に必要な情報を十分かつ適時に分かりやすく提供することや、建設的な対話に資する情報開示を促進していくため、サステナビリティに関する開示を含め、企業情報の開示のあり方について幅広く検討を行うことが適当である。
  • 人気を集めているESG関連投資信託だが、どのような基準に基づき「ESG」や「SDGs」という名称を付すかについては、現在各社の裁量に委ねられており、ESG関連投資信託の銘柄選定基準は、個々の運用会社や商品によって異なっている。例えば、資産運用会社や投資信託ごとに定められた独自のESG評価基準に基づき選定した後に、定量分析等により投資対象企業を決定する場合が多い一方、あくまでもESGを複数の評価基準の1つとして位置付けている場合もある。また、一般的に、ESGの取組みに対する評価方法や具体的なESGスコアの算出基準は、目論見書等の顧客向けの資料において説明されていないことが多い。
  • このため、顧客保護の観点から、ESG関連投資信託の組成や販売に当たって、投資銘柄の選定基準も含めて丁寧に説明を行うとともに、その後の選定銘柄の状況についても可能な限り具体的な指標を用いて、継続的に説明することが必要となる。とりわけ、投資信託に「ESG」や「SDGs」等の名称をつける場合には、顧客がその名称の趣旨を誤認することのないよう、その商品が当該名称の示唆する特性をどのように満たしているかを、可能な限り指標等も用いて明確に説明すべきである。
  • さらに、環境的・社会的インパクトの創出を当該商品の重要な特性とするものについては、上記に加えて、期待されるインパクトとその達成状況も、可能な限り具体的な指標を用いて説明することが必要となる。とりわけ、「インパクト投資」等の名称を付ける場合には、当該インパクトをどのように実現していくかを、可能な限り指標等も用いて明確に説明すべきである。
  • 金融機関においては、自らの事業基盤として重要な産業分野や地理的範囲における脱炭素化の動きにどのように前向きに関与していくかビジョンを示していくことも有益である。さらに、こうしたビジョンに沿って、金融機関が投融資先における気候変動対応を推進する上では、企業の環境的課題を特定し、その解決に資する技術やサービスの価値を発掘できるよう、ノウハウの蓄積やスキルの向上、分析ツールの開発等を主体的に進めることが重要である。特に、脱炭素化に伴う産業構造の転換が投融資先の重大なリスクになりかねないので、早め早めの対応を取ることが望まれる。
  • 一般的に、気候変動リスクは移行リスクと物理的リスクの二つに大きく分類される。具体的に、金融機関における移行リスクとは、脱炭素社会への移行(気候変動緩和のための政策変更、技術革新、投資家・消費者のセンチメント・需要・期待の変化等)によって引き起こされるリスク、物理的リスクとは、気候変動に伴う極端な気象現象の過酷さ・頻度の上昇等急激に起こるリスクと、海面上昇等の長期的な気候パターンの変化によって引き起こされるリスク、とに分類される。
  • 金融機関におけるリスクの区分としては、信用リスク、市場リスク、流動性リスク、及びオペレーショナルリスク等が挙げられるが、気候変動リスクは、これら従来のリスク区分に新たに加えられるものではなく、各リスクを発生又は増幅させる「リスクドライバー」であるといえる。したがって、気候変動リスクについては、既存のリスク管理の枠組みに、整合的な形で統合されることが適当である。
  • その際に考慮が必要な気候変動リスクの特殊性としては、リスク期間の長さとリスクの不確実性の高さの2点が挙げられる。気候変動による気温の上昇や災害の激甚化といった影響の顕在化は、今後数十年かけて現れるとされている。また、気候変動については、GHG排出が累積するにつれて平均気温が比例的に上昇する傾向が科学的にも確認されているが、温暖化に伴う永久凍土の融解等により気温上昇がそうした傾向以上に急激に進む可能性について、その発生の具体的なタイミングや態様には科学的に不確実な部分も残されている。
  • 銀行や保険会社等の金融機関においては、それぞれの規模・特性に応じて、こうした気候変動リスクの特徴を踏まえた管理態勢の構築が重要である。この点、NGFS等から、以下の通り、監督上の重要項目が示されている。金融庁においても、これらの内容を踏まえ、金融機関との対話を重ねつつ、監督上の目線を盛り込んだガイダンスを策定するなど、金融機関の対応を具体的に促していくことが適当である。

【2021年8月】

金融庁 証券監督者国際機構(IOSCO)が、ESG格付け及びデータ提供者についての意見募集を開始
  • 証券監督者国際機構(IOSCO)の代表理事会は、環境・社会・ガバナンス(ESG)格付け及びデータ提供者に関する一連の提言案に対して、フィードバックを求めている。
  • 環境・社会・ガバナンス(ESG)格付け及びデータ提供者に関するIOSCOの提言案に対する市中協議文書(以下、「本市中協議文書」という。)は、IOSCOメンバー当局がESG格付け及びデータ提供者の活動の影響を理解し、これらの活動から生じるリスクを軽減するための枠組みの確立を支援することを目的としている。そして、これらのリスクを軽減し、ESG格付け及びデータ提供者からの商品・サービスの利用者や、ESG格付け及びデータ商品の対象となる企業が直面するいくつかの課題に対処するための一連の提言を行っている。
  • IOSCOは、活動報告のために調査を行った結果、他のリスクや課題の中でも、ESG格付け及びデータ商品を支える手法についての透明性が欠如していることや、業界や地域ごとに提供される商品のカバレッジがしばしば不均一であることが明らかになった。これらの結果は、投資戦略に適用された場合にギャップや不整合をもたらす可能性があり、また、報酬体系や、発行体に対しESG格付けのパフォーマンスを向上させるためにアドバイザリーサービスを提供するビジネスとの不十分な分離など、潜在的な利益相反の管理に関する懸念を引き起こすとIOSCOは考えた。
  • ESG格付け及びデータの市場は、企業レベルで一貫性のある情報開示が不足していること、ESG商品に対する投資家の関心が高まっていること、法律や規制が金融市場参加者による潜在的な投資におけるESG特性の考慮に焦点を当てていることなどを理由に、ここ数年で大きく成長した。
  • しかし、この市場は、現在のところ、証券市場規制当局の典型的な業務の範囲外であるため、IOSCOは、この分野における証券市場規制当局の重要な検討事項を提案している。
  • 本市中協議文書は、IOSCOがメンバー当局や他の国際機関と緊密に連携して開発しているサステナビリティに関する全体的な枠組みの追加部分である。本年6月に公表された「企業のサステナビリティ開示に関する報告書」は、企業レベルでのデータのギャップに対処するものである。同じく6月に公表された「資産運用におけるサステナビリティ関連の実務、方針、手続及び開示に関する提言案」では、投資家の資金をサステナブルファイナンスに流入させる重要な受託モデルのビジネスとして、アセットマネジャーの活動に焦点を当てている。その中で、アセットマネジャーの意思決定におけるESG格付け及びデータ商品の重要性を強調している。
  • IOSCOの議長であり、香港証券先物委員会(SFC)長官であるAshleyAlderは、次のように述べている。「ESG格付け・データ商品の利用は増加傾向にあるが、ほとんどの国・地域では、これらの商品の提供者を明確にカバーする規制の枠組みがない。利用者は、複数のESG格付け及びデータ商品を入手することで混乱が生じ、関連性、信頼性、グリーンウォッシュに関する深刻な疑念をもたらすことを指摘している。本市中協議文書での提言は、ESG格付け及びデータ提供者、利用者、ESG格付け及びデータ商品の対象となる企業が直面する課題やリスクに対処するための取組みの一環である。」
  • IOSCOサステナブルファイナンス・タスクフォースの議長であり、スウェーデン金融監督庁長官であるErik Thedéenは、次のように述べている。「我々は、ESG格付け及びデータ商品の利用に関して生じる可能性のある課題やリスクについて、あらゆる面から理解しようと努めてきた。これは、企業レベルでのデータの信頼性と比較可能性の欠如に対処するための我々の取組みと、サステナビリティ分野での資産運用活動のために我々が打ち出した提言を補完するものである。今回の提言は、ESG格付け及びデータ商品の信頼性・比較可能性・解釈可能性の向上、手法の透明性、利益相反の管理、ESG格付け及びデータ商品の対象となる企業との交流など、幅広いテーマで構成されている。」

金融庁 Instagramにおける金融庁個人間融資対策アカウントの開設について
  • 金融庁では、Instagramにおいて金融庁個人間融資対策アカウント(@fsa_p2pl)を開設し、貸金業法の規定に抵触(=いわゆるヤミ金に該当)するおそれがある書込み(「お金貸します」、「融資します」等)に対して、注意喚起を実施することといたしましたので公表いたします。
  • 個人間でお金の貸し借りを行う場合であっても、反復継続する意思をもって金銭の貸付けを行うことは、貸金業法上の「貸金業」に該当します。

金融庁 火災保険水災料率に関する有識者懇談会(第1回)議事要旨及び資料
  • 事務局によるメンバー紹介、洲崎委員の座長選任の後、清水委員より頻発する豪雨による河川災害の現状と課題(資料1)について、日本損害保険協会より火災保険における保険金支払いと収支の状況等(資料2)について、損害保険料率算出機構より参考純率における水災リスクに応じた保険料設定の検討(資料3)について、プレゼンテーションが行われた。プレゼンテーションに対する質疑が行われた後、委員より以下のような意見が示された。
    • ハザードマップ上の浸水深が浅いエリアで火災保険における水災補償の付帯率が低下する傾向が示されている。水災補償を付保しなかった人は正しくリスクを認識して、合理的に判断しているのか確認する必要がある。
    • ハザードマップ上の浸水深が浅いエリアで水災補償の付帯率が低下しているのは、水災リスクに対する消費者の認識向上の結果であると思われるが、適切にリスクを認識し補償の必要性を判断できているかといった点では不安も残る。
    • 水災料率の細分化により、保険料負担の公平性が向上するほかに、保険料の較差を通じて消費者への水災リスクに関する情報提供が進むことが期待される。
    • 水災料率の細分化にあたっては、ハザードマップを用いることが、消費者にとって一番わかりやすく、理解しやすいのではないか。
    • ハザードマップを用いれば水災料率を細かく細分化することも可能だと思うが、都道府県別で料率が設定されている雪災リスク・台風リスクとの兼ね合いなど、保険料率としてのバランスにも考慮する必要がある。
    • 購入可能性の観点で論議する上では、火災保険に水災補償を付帯するか否かでどのぐらい家計の負担に影響があるのかも確認しておく必要がある。
    • 水災料率の細分化にあたっては、自助努力による減災・防災の取り組みとして何が可能であるかといった観点からも議論が必要。
▼資料2 PDF火災保険における保険金支払いと収支の状況等
  • 大規模自然災害の発生有無によって、各年度の保険金支払い額は変動するが、火災保険の保険金支払いは自然災害を中心に増加傾向にある。
  • 自然災害による保険金支払いは、ここ10年で増加傾向にある。特に2018・2019年度は風災と水災を中心に大幅に増加し、2年連続で1兆円を超える保険金支払いとなった。
  • 大規模自然災害による保険金支払額(除く地震保険)の上位10件のうち、半数にあたる5件が2018年・2019年に発生。2018年の3災害の支払保険金合計は約1.6兆円。2019年の2災害の合計は約1兆円。
  • 自然災害の頻発もあり、この10年にわたり火災保険の収支は赤字が常態化。(大規模災害が発生した年度には大幅な赤字が発生、それ以外の年度でも赤字の水準にとどまっている。)
  • 結果として、再保険に要するコストの上昇に加え、巨大災害に備える準備金である異常危険準備金の残高も枯渇状態にある。
    • 損害保険会社は事業成績の安定化等の目的で、自然災害リスクなどに対して再保険の手当てをしているが、度重なる大規模自然災害の発生に伴い、足元では再保険料が急騰している。
    • 大規模自然災害が発生した場合の巨額の保険金支払に備えるため、保険料収入から一定額を積み立てる準備金のことをいう。
  • 多くの損害保険会社は、損害保険料率算出機構が算出する参考純率を基礎として、自社の保険料率を算出している。近年の自然災害による支払保険金増加等の理由により、参考純率は水準引上げが続いている。
    • 参考純率とは、料率算出団体が算出する純保険料率(保険料のうち保険金の支払いに充てられる部分)をいう。料率算出団体の会員保険会社は、自社の保険料率を算出する際の基礎として、参考純率を使用することができる。
  • 火災保険で補償される水災事故の種類は、台風・大雨等による河川の氾濫だけでなく、土砂災害、高潮、融雪洪水、都市型水害(主に内水氾濫)など多岐にわたる。よって、必ずしも河川の近く等にお住まいのお客様だけではなく、あらゆるお客様に水災補償をご提案していく必要があると考えている
  • 損保業界では、ハザードマップ活用による啓発活動や、自然災害を補償する損害保険のチラシ作成などを通じて、水災補償の必要性を消費者に対して訴求する活動を行っている。例えば、一般社団法人 日本損害保険協会では、「そんぽ防災Web」を公開。本サイトでは、関係省庁の災害データと損保の支払保険金に関するデータをマッチングさせたデータベースや、地震・噴火・風水害等に備えるためのわかりやすいコンテンツ(ツール等)、損害保険商品等に関する最新情報等も随時掲載している

金融庁 監査法人の処分について
  • 金融庁は、本日、監査法人原会計事務所(法人番号4010005003927)に対し、公認会計士法第34条の21第2項に基づき、以下の処分を行いました。
  1. 処分の概要
    1. 処分の対象
      • 監査法人原会計事務所(法人番号4010005003927)(所在地:東京都千代田区大手町)
    2. 処分の内容
      • 業務停止1月(令和3年9月1日から9月30日まで)
  2. 処分理由
    • 当監査法人の運営が著しく不当なものと認められたとして、令和3年2月26日、金融庁は公認会計士・監査審査会(以下「審査会」という。)から行政処分勧告を受け、調査を行った結果、下記ア.からウ.までに記載する事実が認められ、当該事実は公認会計士法(昭和23年法律第103号)(以下「法」という。)第34条の11第1項に規定する「利害関係規定違反」及び同法第34条の21第2項第3号に規定する「運営が著しく不当と認められるとき」に該当する。
    1. 業務管理態勢
      • 当監査法人は、代表社員4名、社員2名、常勤職員である監査補助者等による約10名の人員で構成されており、他の監査法人での監査経験者はおらず、法人設立以来の運営態勢を踏襲している。
      • 当監査法人は、長年にわたって数社の上場会社を主な被監査会社としており、当監査法人の業務収入に占める当該各上場被監査会社からの監査報酬の割合(報酬依存度)が高くなっている状況にある。
      • こうした中、最高経営責任者兼品質管理担当責任者は、当監査法人の強みを、業務執行社員自らが親身になって被監査会社に対応すること及び小回りが利くことであるとしている。
      • しかしながら、最高経営責任者兼品質管理担当責任者は、当監査法人設立以前から続く被監査会社との関係の維持・継続を最優先に考えており、被監査会社に長く変動はないことから、実施した監査や法人運営に問題がないと思い込んでいる。
      • また、最高経営責任者兼品質管理担当責任者は、監査品質や職業倫理・独立性など公認会計士に求められる資質を重視する意識が不足しているほか、組織的な業務運営や品質管理態勢を構築する必要性を認識していない。
      • さらに、最高経営責任者兼品質管理担当責任者のみによる法人運営が常態化しており、最高経営責任者兼品質管理担当責任者以外の社員は、社員としての職責を果たす必要性を認識していない。
      • こうしたことから、下記イ.に記載するとおり、品質管理レビュー等の指摘事項に対する改善が不十分で同様の不備が繰り返されていること、公認会計士法や日本公認会計士協会の倫理規則に違反する「特別監査報酬」の受領や「贈答」を行っていること、適切な審査が実施されていないことなど、品質管理態勢において重要な不備を含む不備が広範かつ多数認められている。
      • また、下記ウ.に記載するとおり、今回の審査会検査で検証対象とした全ての個別監査業務において、業務執行社員及び監査補助者に、監査の基準及び会計基準に対する理解が不足している状況、職業的懐疑心が不足している状況が確認され、それらに起因する重要な不備を含む不備が広範かつ多数認められている。
    2. 品質管理態勢
      1. 品質管理レビュー等での指摘事項の改善状況
        • 最高経営責任者兼品質管理担当責任者は、品質管理レビューでの指摘事項を踏まえた対応として、全社員及び職員を対象として指摘された個々の不備を周知するとともに、業務執行社員を中心とする監査チームが指摘事項の改善状況を確認する等の改善措置を指示している。
        • しかしながら、指摘を受けた事項や指摘を受けた監査業務についてのみ改善しているかを確認すれば足りると思い込んでおり、指摘事項の再発防止に向けた改善措置が講じられておらず、今回審査会検査で検証した個別監査業務の全てにおいて、これまでの品質管理レビュー等での指摘事項と同様の不備が繰り返されている。
      2. 職業倫理及び独立性の保持
        • 当監査法人は、公認会計士法の大会社等以外の被監査会社1社から、監査契約上の監査報酬とは別に監査業務の対価性が認められない「特別監査報酬」を継続して受領している。また、同社の役員に対して商品券を継続して贈与している。
        • 当該「特別監査報酬」については、公認会計士法令上の「特別の経済上の利益」に相当するものと認められ、当監査法人は、公認会計士法で禁止している「監査法人が著しい利害関係を有する会社」に対して監査業務を提供している状況にある。
        • また、当監査法人による当該商品券の贈与については、日本公認会計士協会が定める倫理規則で禁止している保証業務の依頼人に対する「社会通念上許容される範囲を超える贈答」をしている状況にある。
      3. 監査業務に係る審査
        • 複数の審査担当社員は、品質管理の基準及び監査の基準を十分に理解しておらず、業務執行社員の説明を過度に信頼し、適切な審査が実施されていない。その結果、今回審査会検査において指摘した重要な不備を指摘できていない。
        • このほか、内部規程の整備及び運用、法令等遵守態勢、情報管理態勢、独立性、監査契約の更新、監査実施者の教育・訓練及び評価、監査調書の整理・管理・保存、品質管理のシステムの監視など、広範に不備が認められる。
        • このように、当監査法人の品質管理態勢については、品質管理レビュー等での指摘事項の改善状況、職業倫理及び独立性の保持、並びに監査業務に係る審査において重要な不備が認められるほか、広範かつ多数の不備が認められており、著しく不適切かつ不十分である。
      4. 個別監査業務
        • 業務執行社員及び監査補助者は、監査の基準及び会計基準に対する理解が不足している。
        • また、業務執行社員は、継続監査期間が長期化する中で、被監査会社を過度に信頼しており、職業的懐疑心が不足している。加えて、品質管理レビュー等において重要な指摘を受けていないことをもって、従来からの監査手続で監査品質が確保されていると思い込んでいる。
        • これらのことから、不正リスク対応手続が不適切かつ不十分、収益認識に関する不正リスクの識別が不適切、関係会社株式の評価に係る会計上の見積りに関する検討が不十分、のれんの評価に係る会計上の見積りに関する検討が不十分、固定資産の減損の検討に係る会計上の見積りに関する検討が不十分、事業損失費用の評価に係る会計上の見積りに関する検討が不十分などの重要な不備が認められる。
        • 上記のほか、訂正監査に係るリスク評価手続が不十分、仕訳テストが不十分、棚卸資産の評価に係る会計上の見積りに関する検討が不十分、売掛金及び棚卸資産に係る残高確認手続が不十分、売上高等の損益勘定に係る監査手続が不十分、グループ監査において評価したリスクへの対応が不十分、監査役等とのコミュニケーションが不十分など、不備が広範かつ多数認められる。
        • このように、検証した個別監査業務において、重要な不備を含めて広範かつ多数の不備が認められており、当監査法人の個別監査業務の実施は著しく不適切かつ不十分なものとなっている。

金融庁 「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第1回)議事次第
▼資料2 事務局説明資料
  • 「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」の設置について
    • 社会経済全体のデジタル化が進む中、ブロックチェーン技術の活用を含め、金融のデジタル化が加速。
    • こうした中、民間のイノベーションを促進しつつ、あわせて、利用者保護などを適切に確保する観点から、送金手段や証券商品などのデジタル化への対応のあり方等を検討する。
  • 関連する声明や閣議決定
    1. 7か国財務大臣・中央銀行総裁声明(抄)(仮訳)(2021年6月5日 於:イギリス・ロンドン)
      • デジタル・マネー及びデジタル・ペイメントのイノベーションは、大きな利益をもたらし得る一方、公共政策及び規制上の問題を引き起こす可能性もある。G7の中央銀行は、中央銀行デジタル通貨(CBDCs)の機会、課題、通貨及び金融の安定へのインプリケーションを探求してきており、我々は、財務省及び中央銀行として、それぞれのマンデートの範囲内で、公共政策上の幅広いインプリケーションについて、協働することにコミットする。我々は、どのCBDCsも、中央銀行のマネーの1つの形態として、流動性のある安全な決済資産として、また、決済システムのアンカーとして機能しうることに留意する。我々の目的は、CBDCsが、透明性、法の支配、健全な経済ガバナンスに対する、公的部門の長年のコミットメントに基づくことを確保することである。CBDCsは、強靭で、エネルギー効率が高く、イノベーション、競争及び包摂を支えるべきであり、クロスボーダー決済を強化しうる。CBDCsは、適切なプライバシーの枠組みの中で運営され、波及効果を最小化するべきである。我々は、共通の原則に向けて作業し、年後半に結論を公表する。
      • 我々は、いかなるグローバル・ステーブルコインのプロジェクトも、関連する法律上、規制上及び監視上の要件が、適切な設計と適用可能な基準の遵守を通して十分に対処されるまではサービスを開始するべきでないことを再確認する。我々は、国際基準設定主体による既存の規制基準の見直しを支持することを含め、共通の基準を確保するための国際的な協力にコミットしており、特定されたあらゆるギャップに対処することの重要性を強調する。我々は、グローバル・ステーブルコインに係るハイレベル勧告の実施における規制、監督及び監視上の課題の検討に関する、FSBによる進行中の作業を支持する。我々は引き続き、クロスボーダー決済の改善に向けたG20ロードマップの野心的な実施を支持し、クロスボーダー決済の4つの課題への対処に向けた目標に関するFSBの市中協議文書の公表を歓迎する。
    2. 骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針2021)・成長戦略実行計画(抄)(2021年6月18日)
      • CBDCについて、政府・日銀は、2022年度中までに行う概念実証の結果を踏まえ、制度設計の大枠を整理し、パイロット実験や発行の実現可能性・法制面の検討を進める。
      • 非代替性トークン(NFT)やセキュリティトークンに関する事業環境の整備を行う。
▼資料3 松本メンバー説明資料
  • Blockchain利用のメリット
    • データ共有による透明性の高さ・改ざん検知の容易さから、手続きの検証コスト削減やデータを手元に持つことによるAPI連携を超えた効率的連携実現が上げられる。また、特定の権威的なものに依らない仕組みの運営を可能とする。
      1. 透明性の高さ
        • 全ての参加者の同じデータを手元に保有するため、各参加者のニーズに応じた利用が可能となる。Public Blockchainでの特に全ての人へチェーン上のデータが公開され活用可能となっている。
      2. 改ざんの難しさと検証の容易さ
        • 悪意ある参加者による改ざんがあったとしても容易に検出され、またコンセンサスアルゴリズムの中で拒否される。それ故、手続きが正当であることの検証が効率的に行える。
      3. プロセスの統一と自律化
        • 参加者内で一度合意され運用開始されたスマートコントラクトは自律的に想定される挙動のもとで稼働し続け、それにより参加者間のやり取りの型が統一される。
      4. オープンなエコシステム
        • 特にPublic Blockchainでの、世界中の開発者から日々様々な仕組みが提案・議論・実験されている。結果としてNFTやDeFi、DAOなど多種多様な新たな仕組みが誕生した。
  • Blockchain活用にあたっての考慮事項・デメリット
    • データが共有されるゆえのプライバシーや鍵管理についてのセキュリティ、PoWなどの場合の環境負荷や運営コストの高さ、DBとしての処理性能、技術・サービス進化の速度に対する規制の難しさ、参加者のKYCなどデメリットを吟味した上で活用する必要がある。
      1. Blockchainの課題
        • データの全参加者や全世界に公開される前提。データ化範囲を絞る、ないし適切な暗号化・秘匿化が必要となる。
        • プライバシー:データは全ての参加者や全世界に公開される前提。データ化範囲を絞る、ないし適切な暗号化・秘匿化が必要となる。
        • 鍵管理とセキュリティ:鍵の漏洩はそのまま不正な操作へつながり、またPublicなものでは切り戻しも難しい。(DAO事件、コインチェック事件等)
        • 処理性能:現状使われる多くのDBと比べ処理性能は相当に落ちるため、利用方法に工夫が必要。また大量のデータを扱う場合にも考慮必須。
      2. Public Blockchain特有の課題
        • PoWのコスト:大量の計算資源が必要、かつ競争が進むゆえに、消費されるエネルギーが莫大、環境負荷。また、地域的偏りが見られる。
        • 技術・サービス進の速度と規制:新たな仕組みがオープンに議論・実装され、自律的に運営されていく(DeFiなど)ため、規制の考慮が後追いとなる。
        • KYC・AML:取引所以外での参加者に対するKYC等の仕組みはなく、またBCによっては完全な匿名化がなされており追跡できない。
  • Blockchain活用に向けて
    • 事業で活用するには、参加者自身のデジタル化戦略が大きく影響。単にBlockchainを使えば複数者間連携が効率化するわけではなく、法や規制との整合性、社内手続きや体制の変更など技術以外も含めた広い変化が求められる。またPublic Blockchainにおいては、その安全性・安定性にも考慮が求められる。
    • なぜBlockchainを活用すべきなのか?それ以外では不可能か?という問に向き合い、想定する効果を実現するために全ての参加者や社会に求められるデジタルな変化を理解した上で導入・検証することが必須
      1. デジタル化課題
        • 社内の手続き・組織文化をデジタルに作り変えなければ、企業間の接続点がデジタルになろうと活用されない・効果が発揮さ
        • れない可能性がある。
        • 参加者間全体で一つのデジタルな手続きは型化に合意する難易度は高い。
      2. 法・制度との整合性
        • 検証コストの圧縮が可能な信頼されるタイムスタンプ付きのデータがあっても、法的な要件と整合しなければ効果は半減。
        • 例:STOにおける譲渡時の対抗要件等
      3. 安全性・安定性の課題
        • Public Blockchainでは、例えば51%攻撃やセルフィッシュマイニングといった手法が度々問題となっている。
        • 利用するBCの選択に注意が必要。
        • 秘密鍵の保護など要求されるセキュリティ的難易度は想像より高い。
▼資料4 栗田メンバー説明資料
  • 現行システムの特長と課題
    1. 特長
      • 利用者と攻撃者が物理的にアクセスできるものはセキュアな演算器により守られる
      • 様々な構成や利用の形態がある
      • 処理速度が速い(急がない処理は後から行う。取り消しもできる)
      • 分かりやすく使いやすいユーザインタフェースである
      • オフラインでも利用できる(たとえば故障や災害に強い)
      • スマートフォンのアプリの起動が不要である
      • ハードウェアとエコシステムによるセキュリティと安心感がある
      • 環境負荷が低い
      • セキュリティの第三者評価・認証や、機能・通信の互換性の検定に関する枠組みがある
    2. 課題
      • 利便性とのトレードオフで本人認証が難しい。スマートフォンのセキュリティに依存している
      • スマートフォンのアプリケーションやWebサービス、(店舗等の)端末等と連動すると、利用方法が統一されず、使いづらいと感じる利用者もいる
      • 利用者にとってサービス提供者のシステムはブラックボックスであり、利用者がサービス提供者を信頼するモデルである(利用者にとって契約の履行の確認のコストが高い)
      • 利用者にとって取り決めが分かりづらい。様々な形の契約をリアルタイムに合意形成することができない
      • 利用者のプライバシの取り扱いはサービス提供者の考え方やシステム運用による
      • 暗号アルゴリズムや運用を含めて、システム全体を品質保証し続けることは難しい
▼資料5 意見書(井上メンバー)
  • 現在、こういった資産への金融規制としての対応は、資産や取引の類型毎にさまざまです。デジタルマネーのうち前払式支払手段には資金決済法に基づく規制が適用され、通貨を隔地者間で移動することを引き受けると為替取引として銀行法や資金決済法の適用があります。暗号資産については、その現物の販売業務とカストディ業務が暗号資産交換業として業規制の対象となり、暗号資産デリバティブの販売が第一種金商業として業規制の対象となり、暗号資産デリバティブへの運用業務が投資運用業として業規制の対象となりますが、暗号資産レンディングには形式上は暗号資産交換業や貸金業の規制が基本的に及ばず、暗号資産現物への運用業務は投資運用業には該当しません。また、電子記録移転権利については、第一項有価証券として株式・社債並びの開示規制が適用され、その販売が第一種金商業として業規制の対象となり、その自己私募・自己募集が第二種金商業として業規制の対象になります。これに対し、電子記録移転権利以外の電子記録移転有価証券表示権利等は、もともと第一項有価証券である社債等をトークン化したものと、流通性を制限する技術的措置を施すことで第二項有価証券と扱われるものとに分かれ、それぞれについての開示規制と業規資料5制が適用されます。さらに、一般的に規制対象となるデジタルマネーやトークンであっても、その利用や取引の形態や場(プラットフォーム)によっては、規制の適用対象者や適用の有無が明らかでない場合もあります。
  • デジタル・分散型金融に適用される規制のあり方を考えるにあたっては、どの金融規制を考えるときもそうであるように、一定の切り口で資産ないし取引を類別し、それに見合った規制を定めていくことになります。しかし、デジタル・分散型金融については、動きの激しい分野ですから、技術の進展に応じ、あるいは規制の目的に応じて、そのような類別毎の規制がそれぞれの資産ないし取引に見合っているか否かを継続的に検討しこれを見直すとともに、類別自体が適切か否かについての継続的な検討ないし見直しが欠かせないと思います。
  • 本研究会においては、検討対象をどのように捉えるか、検討の目的や視点に応じて検討対象に対してどこから光を当て、それをどのように分類するのかといったことを、規制そのものの中身とともに、所与の前提を置かずに、考えてみたいと思います。
  • また、金融規制とは離れますが、ペイメントトークンの財産としての法的性格をどう捉えるかによって、暗号資産交換業者の破綻時の顧客の権利保護のあり方が変わりますし、セキュリティトークンの譲渡の有効要件と対抗要件をブロックチェーン上のトランザクションのみで備えられるかによって、その流通性を実際に向上させられるか否かが決まりますから、私法上の問題についても目配りしながら検討を深めたいと考えております。

【2021年7月】

金融庁 金融安定理事会による「新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に関する金融安定上の観点からの教訓:中間報告書」の公表について
▼金融安定理事会による報告書「新型コロナウイルス感染症の世界的大流行に関する金融安定上の観点からの教訓:中間報告書」 エグゼクティブ・サマリー(仮訳)
  • 新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」)のパンデミックは、2008年の金融危機を受けたG20の金融規制改革が行われて以来初の、グローバルな金融システムに対する大きな試練である。
    • 2008年の金融危機とは性質が大きく異なるものの、この現実の試練は、G20の金融規制改革の機能度を含め、金融面の政策に対する重要な教訓があるだろう。現段階におけるいかなる分析も、パンデミックがまだ終息していないこと、また、その経済、金融への影響は大胆な政策の実行により大きく緩和されていることを念頭に置く必要がある。したがって、他の基準設定主体と協力して作成した本報告書の目的は、新型コロナの経験を踏まえた金融安定面の暫定的な教訓や、国際的なレベルで更なる注意が必要となり得る、G20の金融規制改革の機能度に関する側面を特定することである。
  • グローバルな金融システムは、世界金融危機以降のG20の金融規制改革によって高まった頑健性と、迅速、断固かつ大胆な国際的な政策対応により、これまでのところパンデミックを乗り切ってきた。
    • これらの規制改革の効果的な実施によって、金融システムの中核部分は、2008年の危機時と比べより頑健な状態でパンデミックを迎えた。大手行はより高い水準の資本・流動性を保持しているほか、レバレッジは低い状態にあり、このことによって大手行は、マクロ経済のショックを増幅させるのではなく吸収することが可能となった。金融市場インフラ、特に中央清算機関は、企図された通り機能した。もっとも、パンデミックの経験は、金融セクターの中での頑健性の違いも明らかにした。主要な資金調達市場は、2020年3月に強いストレスを経験し、実体経済への資金供給の維持、経済的支援の提供、米ドル調達市場における緊張の緩和、市場機能の維持を目的とした、当局による断固たる前例のない対応を強いることとなった。
  • 2008年以降、G20が導入した強力な国際基準と、それが備えていた柔軟性は、新型コロナ感染拡大初期における各国の効果的な政策対応を支援した。
    • 幅広い金融、財政、規制、監督上の措置は、金融システムに対する新型コロナの影響を緩和した。法域固有の状況や必要性を反映し、当局は総じて、実体経済への資金供給を支援すべく、国際基準に内在した柔軟性を活用した。一時的な措置を個別にみると、極端な金融環境に対応し、金融機関に業務遂行上の追加的な柔軟性を提供することを目的に、利用可能な柔軟性の範疇を超える事例も少数あった。新型コロナに係るFSB原則にもとづくモニタリングや協調体制は、レベルプレイングフィールドを歪め有害な市場分断に繋がり得る行動を抑止した。
  • 2020年3月の市場混乱は、ノンバンク金融仲介(NBFI)セクターの頑健性向上の必要性を強調した。
    • 新型コロナの影響は、流動性ミスマッチや、レバレッジ、相互連関性に起因する、当セクターの脆弱性を明らかにした。この脆弱性が、流動性の不均衡を引き起こし、「キャッシュへの駆け込み」(dashforcash)の局面においてストレスを伝播させた可能性がある。また、3月の市場混乱は、NBFI間、およびNBFIと銀行の間の相互連関性の重要性を明らかにした。混乱の背景となった金融システムの構造やメカニズムは引き続き存在している。金融安定理事会(FSB)は、NBFIの便益を維持しつつ頑健性を高めるための包括的な作業計画を策定してきた。規制裁定と市場分断を回避するために、NBFIへの政策対応における、国際協力、協調を継続することが重要である。
  • 資本・流動性バッファーの機能度については更なる検討が必要となり得る。
    • 銀行はこれまでのところ、一般的に、貸出需要を満たすために資本・流動性バッファーを利用する必要はなかった。銀行は、パンデミックの局面において、政策措置による下支えにより、強固な資本ポジションを維持した。もっとも、いくつかの証拠は、銀行は規制枠組みに組み込まれた柔軟性があるのにもかかわらず、たとえ必要があったとしてもバッファーを取り崩すことを躊躇していた可能性を示唆している。当局は、カウンター・シクリカル・バッファーを迅速に引き下げたが、それは必ずしも利用可能でなかったか、マクロプルーデンス上の追加的な対応余地を提供するためには必ずしも十分な規模でなかった。また、銀行は全体として大規模な流動性面の圧力に直面しなかったものの、一部の銀行は、流動性の水準を規制上の最低所要水準以上に維持すべく予防的な措置を講じた。
  • 金融システムの過度なプロシクリカリティについて、いくつかの懸念が残っている。
    • 2020年3月の市場混乱のピーク時には、複数のデリバティブ市場において、マージンコールが想定よりも大規模、または市場参加者に十分予期されないかたちで発生し、そのことが全体的な現金需要に上乗せされた。特定の投資家の行動は、流動性需要の不均衡の増幅や金融システムを通じたそれらの伝播に寄与した。規制要件は、ディーラーの行動を決定する主因ではなかったとみられるものの、複数の市場で発生した不均衡を和らげようとする銀行のインセンティブを引き下げた可能性がある。更に、信用格付会社が設定する格付けの機械的な利用は、2008年以降は減少したものの、特定の分野で持続しているとみられる。また、新しい予想信用損失型引当に係る枠組みにより生じる貸倒引当金の計上の潜在的なプロシクリカリティについて、更なる検証作業が必要であろう。より一般的には、支援措置が潜在的な増幅メカニズムの影響を軽減してきた、または遅らせてきたため、金融システムのプロシクリカリティに関する結論を引き出すことは時期尚早とみられる。
  • パンデミックは、ショックが生じる前に効果的なオペレーショナル・リスク管理の枠組みを整備しておくことの重要性を明らかにした。
    • 予防的なロックダウン措置は、全ての金融市場の参加者の業務継続計画を試すこととなった。金融機関や金融市場インフラは、業務継続計を発動し、短期間で在宅勤務体制を整備した。新たな課題に直面したにも関わらず、金融機関は、概して、この体制下で想定よりも大幅に長い期間にわたり業務を継続することができ、一部でみられた、取引量が大幅に増加した場面においてさえも、金融市場が秩序だって機能することを担保した。
  • 当局は、危機管理の備えを更に向上させる取組みを継続するべきである。
    • 監督カレッジや危機管理グループ等の近年設立されたクロスボーダーの枠組みは、当局間の適時かつ効果的な情報共有や協調を促進した。シナリオにもとづくストレステストは当局の政策調整に資したほか、再建・破綻処理計画が金融機関の危機対応能力を向上させた。業界との、または対外的な明確なコミュニケーションは、政策措置の実効性の下支えに資した。当局は、情報共有の更なる強化や、特定されたデータギャップへの対応や分析ツールの向上を含めた、監督・規制上の政策を変化していく環境へ適合させ続けることの余地を、探り続けるべきである。危機時や破綻処理時の、信頼性の高い流動性管理やシステム全体の危機管理の枠組みの確保に向けた努力も継続されるべきである。
  • システミックな脆弱性の早期の特定は、引き続き優先的取組み事項である。
    • 新型コロナのパンデミックは、今もなお、グローバルな金融システムの頑健性に対する試練となる可能性がある。政策措置が続く下では、足許の低水準な企業倒産は継続するものとみられる。もっとも、銀行やノンバンクの貸し手は、こうした支援措置が終了すると、追加的な損失に引き続き直面し得る。足もとのストレステストの結果では、大規模な銀行は十分な資本を有しており、幅広い回復シナリオの中において頑健性を維持することが示唆されている。もっとも、非金融部門の信用状況が悪化する状況下において、銀行がどのように実体経済への信用供与を続けるかという点は必ずしも明確ではなく、それが存続可能な事業の特定を困難にしている。また、(法域によって)景気循環が異なることや金利差の拡大は、突然ドル建ての投資が法域間で再配分されることによる、新興国市場からの無秩序な資本流出を招き得る。
  • パンデミックの負の遺産の一つは、非金融部門におけるレバレッジの高まりと過剰債務であると考えられる。
    • 新型コロナの感染拡大以前より、企業や一部国家における高水準の債務は既に懸念事項であり、急速かつ大規模な信用供与は、特に新型コロナの影響を最も強く受けた部門における債務水準を更に引き上げた。存続不能な企業の市場からの退出の促進や、存続可能な企業への効果的な資源の再配分を含む過剰債務への対応は、今後、政策立案者の重要な任務となると考えられる。
  • 新型コロナの経験は、積み残されたG20の金融規制改革の要素を完了させることの重要性を強調している。
    • グローバルな金融システムのうち、世界金融危機後の規制改革の実施が最も進んでいる部門は、頑健性を示した。バーゼルⅢや店頭デリバティブ市場改革、破綻処理の枠組み、NBFIの規制改革を含む、規制改革の完全、適時かつ整合的な実施が金融安定にもたらす便益は、合意当時と同様に、今日においても重要である。また、マクロプルーデンス政策が実務上どのように機能しているかという点を含め、こうした改革が実施された後、意図した通り効果的に機能しているかを評価することも重要である。
  • 新型コロナは、実体経済やグローバルな金融システムにおいて急速な技術変化が進む中、頑健性向上の必要性を強調した。
    • 在宅勤務の枠組みは、金融サービスにおける新たな技術の適用を促進し、デジタル化を加速させた。クラウドサービス等のサードパーティ事業者への外部委託は、金融機関のオペレーショナル・レジリエンスを高めたとみられる一方、こうしたサービスへの依存の高まりは、新たな課題や脆弱性も生じさせ得る。サプライチェーン全体を通したこうしたリスクの適切な管理が、オペレーショナル・リスクやサイバーリスクを低減する上で必要不可欠である。
  • 10月の最終報告書は、今後のステップを提示する。
    • 今回の中間報告書は、これまでの分析から得られた暫定的な調査結果や論点について、外部の利害関係者と議論を行うために利用される。10月のG20サミットに提出される最終報告書は、それまでに行われるFSBや基準設定主体の作業や、利害関係者との議論から得られる結果を反映し、その時点での教訓や、特定された論点への対処に向けた今後のステップを提示するものとなる。

金融庁 証券監督者国際機構(IOSCO)による「企業のサステナビリティ開示に関する報告書」の公表について
▼IOSCOメディアリリース(仮訳)
  • IOSCOは、サステナビリティ報告の世界的な一貫性、比較可能性及び信頼性を向上させるため、投資家に焦点を当てたサステナビリティ基準のグローバルなベースラインに向けたIFRS財団の作業に対するビジョンと期待を詳しく説明。
  • 証券監督者国際機構(IOSCO)の代表理事会は、本日、企業のサステナビリティ開示に関する報告書を発表した。IOSCOのサステナブル・ファイナンス・タスクフォース(STF)によって作成された本報告書は、投資家のためにサステナビリティ報告の一貫性、比較可能性及び信頼性を向上させることが急務であることを示している。STFの設立後1年以上経過し、サステナビリティ情報開示に関する官民双方の取り組みに世界的な機運が高まっている。IOSCOの活動目的は、投資家の進化する情報ニーズ及び、市場がサステナビリティに関連するリスクと機会を評価し、資本配分をサポートすることを支援することである。
  • IOSCOの重要な活動の一つとして、国際会計基準(IFRS)財団が行っている、投資家のニーズを満たすための共通のグローバルなサステナビリティ報告基準の開発及び、各法域がサステナビリティに関する開示要件を設定又は実施する上で考慮すべきベースラインの設定への関与がある。IFRSは、国際会計基準審議会(IASB)と並び、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の設立を目指しており、本報告書では、ISSBに対するIOSCOのビジョンと期待について詳しく説明している。先日、G7財務大臣及び中央銀行総裁は、「頑健なガバナンス及び公的監視の下、TCFDの枠組及びサステナビリティ基準設定主体の作業を基礎としたベースラインとなる基準」を策定するというIFRS財団の作業プログラムを歓迎した。
  • IOSCOは、企業のサステナビリティ報告の指針として、国境を越えて、あるいは国内で使用するために、ISSBが策定する将来の基準について、承認を検討する予定である。そのためには、強力なガバナンス及び意思決定に有用なコンテンツに関するIOSCOの期待を満たすことが必要である。
  • IOSCOは、国際的な基準を採用、適用、又はその他の方法で利用するための国内の取り決めが、個々の法域によって異なることを認識している1。個々の法域は、法域を超えて、一貫性、比較可能性、及び信頼性のあるサステナビリティの開示を促進し、個々の法域の取り決めや、より広範な法律及び法的枠組みの中で、共通のグローバルな基準のベースラインを採用、適用又はその他の方法で利用することを検討することが重要である。また、国際的な基準は、国や地域、企業のコミュニティによって異なるニーズ、プロファイル、リソースを考慮し、柔軟かつ拡張性のある方法で適用されることが重要となる。
  • IOSCOの議長であり、香港証券先物委員会(SFC)長官であるAshleyAlderは、次のように述べている。
    • 「サステナビリティ情報を含めた、完全でタイムリーかつ包括的な企業報告は、市場が適切に機能し、投資家を保護するための絶対的な基盤となる。本報告書は、IFRS財団の下で、投資家に焦点を当てたサステナビリティ基準のグローバルなベースラインを構築し、サステナビリティ報告のグローバルな一貫性、比較可能性及び信頼性を向上させるというIOSCOのビジョンを示している。ISSBは、強力なガバナンス、明白な独立性及び厳格なデュープロセスを確立することが不可欠である。ISSBが計画している”気候優先”のアプローチは適切であり、他のESGトピックに関する情報を求める投資家のニーズに応えるため、ISSBが迅速に行動することを期待している。」
  • IOSCOサステナブルファイナンス・タスクフォースの議長であり、スウェーデン金融監督庁長官であるErik Thedèenは、次のように述べている。
    • 「IOSCOは、2021年11月までのISSBの設計と設立に向けたIFRS財団評議員会の技術的準備作業に密接に関与し、監視している。IOSCOの期待が満たされれば、IOSCOは、ISSBのサステナビリティ基準が一貫性、比較可能性及び信頼性のあるサステナビリティ報告のためのグローバルなベースラインであると認識し、関連当局がサステナビリティ関連の開示を義務化するアプローチにおいて、ISSBの基準を考慮するよう奨励することを検討する。IOSCOによるISSBの潜在的な承認についての見解を形成するために、今後数ヶ月間の技術的専門家グループの作業を楽しみにしている。また、機関投資家のサステナビリティ開示とESG格付及びデータ提供者に関する補完的なIOSCO市中協議文書公表を予定している。」
  • ファクトシート
    • 本報告書は、2021年2月の代表理事会のプレスリリースで示された、企業のサステナビリティ開示の改善に向けたIOSCOのビジョンの3つの重要な要素に焦点を当てている。
    • 強固なガバナンス基盤を持つISSBの設立
      • ISSBは、企業価値創造に焦点を当てた投資家志向のサステナビリティ開示基準をグローバルに提供できる可能性がある。この基準は、各国の法域がサステナビリティ開示要求を設定・実施する際、国内の法的枠組みと適切に整合するように考慮することができる。
      • ISSBは、国際的な基準設定主体をサポートするための重要なガバナンスの特性を有した、IFRS財団の3層構造のガバナンス構造の恩恵を受けることができる。これには、IOSCOが議長を務めるモニタリングボードに代表される資本市場当局に対するIFRS財団評議員の公的説明責任、基準設定主体の技術的能力と独立性、厳格で透明性が高く、包括的で参加型のデュープロセスなどが含まれる。
      • IOSCOは、IFRS財団評議員会がISSBを設置し、国際基準の潜在的なフレームワークを開発するためのIFRS財団定款の改正案について、IFRS財団評議員会と協議している。本報告書は、ISSB構想の成功に不可欠なガバナンスの特徴とステークホルダーの参画の仕組みについて、IFRS財団に意見を提供するものである。
      • 2021年3月のIOSCOのプレスリリースで発表されたように、IOSCOはIFRS財団と連携するための技術的専門家グループ(TEG)を設立した。TEGは、評議員会が作業の一環として策定しているISSBへの技術的提言を評価する作業を開始し、ISSBの将来の基準の基礎となる目的への適合性を評価する。TEGの作業では、デュープロセスやステークホルダーへの働きかけ、さらには、財務諸表との接続性、監査と保証、ISSBの将来のデジタル化戦略といった事項も検討している。
      • ISSB設立後は、TEGは、ISSBの基準に対するIOSCOの承認について、IOSCOの見解を伝達することになる。
    • 既存枠組みの活用
      • IOSCOは、ISSBが企業価値に焦点を当てた投資家志向の基準を開発するため、気候関連財務開示タスクフォース(TCFD)の提言を含めた、既存のサステナビリティ関連の報告原則やフレームワーク、ガイダンスの内容を活用することを引き続き奨励する。
      • IOSCOは、ISSBがまず気候関連事項に関する一貫性のある比較可能な情報を求める投資家の緊急のニーズに応えるべきであり、その後、他の環境・社会・ガバナンス(ESG)のトピックに対応する基準の開発を、定められたスケジュールで迅速に進めるべきであるとの見解を維持している。IOSCOは、IFRS財団評議員会に対して、迅速な進展と、高品質な結果を保証する厳格なデュープロセスを適用するよう、引き続き働きかけていく。
      • IFRS財団評議員会は、新しいISSBが基準の開発を開始するための技術的提言を行うため、専門家による技術的準備作業部会(TWG)を設置した。TWGは、2020年12月に主要なサステナビリティ報告組織のアライアンスが公表した気候関連財務開示基準のプロトタイプを開発しており、TCFDの提言をその基盤としている。また、TWGは、プロトタイプが他のESGトピックへの拡大に対応する方法についても提言を行う予定である。IOSCOのTEGは、TWGにオブザーバーとして参加している。
      • 本報告書は、IOSCOのTEGがTWGに伝えたプロトタイプの推奨される改善点を示しており、具体的には、(i)産業・セクターレベルを含めた定量的指標のさらなる開発、(ii)将来を見据えた指標とシナリオ分析手法の明確化、(iii)サステナビリティ報告と財務諸表を結びつける概念フレームワークの強化を提案している。
    • ビルディングブロックアプローチの推奨
      • IOSCOは、IFRS財団評議員会に対して、一部の法域がISSBのベースラインを超えて設定しうる補完的な報告要件との相互運用性のための柔軟性を促進する方法も検討するよう推奨する。このような補完的な報告要件は、例えば、より広範な「インサイド・アウト」のサステナビリティの影響を捉えようとするものである。各法域は、義務的な報告要件を設定又は実施する上で、将来のグローバルなサステナビリティ基準に基づいて検討することができる。
      • 本報告書は、IFRS財団によるビルディングブロックアプローチの実践的な提供を支援するため、IFRS財団の組織内にマルチステークホルダー専門家協議委員会を設置するよう推奨したIOSCOの提言を説明している。TWGと並行して、IFRS財団評議員会は、このような内容の委員会の設立を検討している。
    • 今後の作業
      • IOSCOは、IFRS財団評議員が2021年11月までのISSBの設立に向けて技術的な準備を続けている中、IFRS財団評議員への関与を継続すると共に、他のステークホルダーにも関与する。これは、企業のサステナビリティの財務開示に関するIOSCOSTFの次のステップにおいて、重要な検討事項である。
      • IOSCOの次のステップ作業は、(i)サステナビリティ開示に対する証券監督当局による監督、(ii)サステナビリティ開示のための監査・保証のフレームワークと関連基準の開発を含む。

金融庁 FinTech Innovation Hub 活動報告[第2版]について公表しました。
  • いわゆるDeFi(Decentralized Finance)など、ブロックチェーン等の分散型金融技術を応用したエコシステムが急速に拡大する中、分散型金融システムにおけるガバナンス上の論点について、理解を深めていくことが重要となってきている。こうした観点から、以下の取組みを行った。
    • 国際共同研究(2020年8月公表)では、インターネットにおけるマルチステークホルダー・ガバナンス(MSG)の成立過程や、技術がもたらした社会課題解決にMSGがどう貢献したか等について調査・分析を行い、分散型金融システムにも適用し得るMSGアーキテクチャを提示した。その上で、分散型金融のガバナンスの仕組みとして、ガバナンス活動のアウトプットのイメージ及びそれが技術の発展と社会的課題の解決に繋がるための具体的なメカニズム、関与が必要となるステークホルダーの特定と各ステークホルダーがガバナンス活動に参加するためのインセンティブの設計などについて、論点の整理を行った。
    • 2020年8月開催の国際コンファレンスBG2C(Blockchain Global Governance Conference)では、分散型金融システムにおけるガバナンスの重要性が再確認されたほか、暗号資産カストディのセキュリティやブロックチェーン間の相互運用性、人材育成など、ブロックチェーンに関わる幅広いテーマについて議論が行われた。
    • 2020年3月に設立されたBGIN(Blockchain Governance Initiative Network)は、我が国が議長国を務めた2019年のG20での国際合意を踏まえ、ブロックチェーンコミュニティの持続的な発展のため、全てのステークホルダーの共通理解の醸成や直面する課題解決に向けた協力を行うための組織であり、金融庁もステークホルダーの一員として事務局機能をサポートしている。
    • このBGINの全体会合を2020年11月、2021年3月に開催し、BGIN自体のガバナンス確立、分散型金融システムにおける重要課題に関する議論・ドキュメント策定作業を進めている。これまでに、規制当局者が理解しておくべき分散型金融システムの重要論点(DeFiコミュニティの動向や関連技術の発展、ガバナンスメカニズム、分散化の更なる進展に向けた見通し等)、デジタル資産カストディアンにおけるキー・ライフサイクル・マネジメントのあり方(技術、オペレーション、責任分界、規制対応等)について、ドラフトペーパーを公表し、意見募集を行っている。
    • また、FATFガイダンス改訂に係るアウトリーチ会合(2021年4月)において、BGINでの議論の成果を踏まえ、将来にわたって規制目的を達成するために必要な論点(規制範囲の明確化、鍵管理、P2P/M2M(Machine-to-Machine)取引の拡大による規制執行能力の低下リスク等)を提示するなど、暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベースアプローチに関するガイダンス策定の議論への貢献も果たしている
  • ポストコロナを見据え、金融サービスにおける新たな信頼構築のあり方が重要な論点の一つ。2021年3月開催のFIN/SUMでは、デジタルの世界での信頼構築に向けた課題について議論が交わされた。
    • 従前はリアルな世界の情報に基づいてデジタル上での信頼を構築していたが、新型コロナの中で対面でのやり取りが困難となり、リモートオンボーディング等の課題が顕在化。信頼は極めて複雑な概念で、取引やコンテクストによって求められる要件も変わってくる。ブロックチェーンやPKIなど、デジタル上での信頼構築に必要なビルディング・ブロックは様々なものがあり、特性も異なるため、柔軟に使い分けていくべき。各々の相互運用性は大きな課題で、そのためには標準化の取組みが重要。
    • このほか、FIN/SUMでは、非対面下での金融活動における新たな信頼構築に向けて、社会課題を解決するための革新的なアイデアの社会実装を目指すべく、アイデアソンが日本経済新聞社主催で実施され、金融庁も企画運営に協力した。本アイデアソンでは、完全オンラインでチームごとに議論を重ね、最終発表も完全オンラインで実施するという前例のない形式で実施された。
    • MaaS(Mobility as a Service)のような多数の事業者が関わるサービスをシームレスに提供するためには、デジタルアイデンティティが重要。クロスボーダーでのサービス提供も視野に入れると、国際的な本人確認や補償のルール整備も必要となるだろう。アイデンティティ管理が自己主権型/分散型(SSI/DID)へ移行するのに伴い信頼構築のあり方も変化。完全に分散型のシステムは現実的ではなく、分散型のビルディング・ブロックと集権的なフレームワークの統合を志向すべき。特に金融のユースケースにおいては、法令に遵守しているかなど、アイデンティティのアシュアランス・レベルが重要。
  • 金融機関が提供するAPIを通じて、フィンテック企業との情報連携が進むとともに、APIを活用して事業会社が金融機能を提供する事例や、様々な金融機能を束ねてAPIを通じて提供する事例が登場している。海外では、API形式の標準化やサンドボックス化でのAPI連携を促進することにより、APIエコノミーを発展させる取組みが行われている事例もある。FIN/SUMでは、こうした事例を踏まえ、APIエコノミーを基軸に金融の役割を再考する議論が交わされた。
    • BaaSの基盤を提供する事業者としては、実際に金融機関にAPIを接続しようとすると仕様が異なっているという点が課題。APIエコノミーの更なる進展に当たっては、APIの標準化が重要。標準化の目的は、新たなレギュレーションやポリシーが登場した際に、事業者がいち早く同じスペックで実装でき、エコシステムとしてつながることを保証できること。
    • APIの種類が増加する中、事業者が自社のサービスに合ったAPIを探す手間もあることから、API Exchangeのようなマーケットがあるとよい。
  • FIN/SUMでは、金融サービスのデジタル化が進展する中、ユーザー起点のサービスのあり方やイノベーション推進に向けた当局の役割についても、改めて問い直す必要があるという議論が交わされた。
    • ユーザー目線での使いやすさの不断の改善を図るとともに、データ分析によるニーズの可視化、それに応じた新たなサービスの提供を繰り返すことが重要。フィンテックというとアプリ、技術が起点となりサービスが考えられがちだが、小売などの非金融分野から学びながら、プライバシーやデータ管理に配慮しつつ、適正な価格・タイミング・チャネルでサービスを届けるという顧客起点の発想が必要。不便や不安をなくすだけではユーザーは動かない。金融・非金融の要素を織り交ぜて、新しく面白い体験を作る必要。
    • フィンテックを含む金融サービスのイノベーションがクロスボーダーで発展していくためには、テクノロジー、アイデアに加えて、規制もクロスボーダーで機能する必要があり、規制当局間での様々なレベルでの対話が重要。フィンテックに限らず金融サービス全般にとって信頼のパラダイムは重要な問題。テクノロジーが金融サービスを変化させている中、早い段階から企業と規制当局が信頼関係を醸成し、サービスを安全に信頼が置ける形で提供していくことが必要。ミートアップを通じて、規制当局、スタートアップがそれぞれ何を求めているかを理解し、信頼関係を育み、イノベーションを推進していくことが重要
  • 今後の展望
    • 金融庁は、利用者保護に十分配慮しつつ、エコシステムの健全な発展と金融サービスの向上に貢献していくため、最新動向の把握やイノベーションの促進に向けた事業環境の整備を行っていく。
    • 日本でのビジネス展開に魅力を感じる海外フィンテック企業はあるものの、言語の壁によるコミュニケーションの負担が大きいという声が聞かれている。我が国のフィンテック市場が成長していくためには、海外フィンテック事業者・投資家をエコシステムに組み込んでいくことが重要と考えられ、国内外のプレイヤーがコミュニケーションを取る環境の整備を行っていく必要がある。
    • ブロックチェーンを含めた多様な技術を活用した金融サービスのデジタル化が進展するもとで、社会が新型コロナにより前例のない困難に直面する中、FIN/SUM2021では「New Paradigm of Trust in Financial Services」と題し、デジタル上の信頼構築に向けた様々な課題について、多様な専門家によるマルチステークホルダー・ディスカッションの場を設けた。こうした技術やその活用に当たっての課題解決に多様なステークホルダーが協働し、公益性を適切に確保しつつ健全なイノベーションを促進することが重要である。また、分散型金融システムの健全な発展に向けて、BGINへの積極的な貢献やブロックチェーン国際共同研究プロジェクト等の取組みを継続する
  • 仲介機関が不要となり得る分散型金融システムにおいては、従来型のエンティティ・ベースの規制アプローチではAML/CFTや利用者保護等の規制目標の達成が困難となるケースも想定される。
  • 分散型ネットワークとしてボトムアップ型の発展を遂げたインターネット・ガバナンスの教訓も踏まえ、健全なエコシステムの発展に向けてステークホルダーが相互理解と課題解決に向けた議論を深める必要。
  • 各国当局も参加した「ブロックチェーン・ラウンドテーブル」等においてアカデミアやエンジニアとの議論を積み重ね、
  • G20大阪宣言での国際合意を経て、「Blockchain Governance Initiative Network (BGIN)」の設立に貢献。「Blockchain Global Governance Conference (BG2C)」や「BGIN第1・2回全体会合」において、世界中から参加した
  • 多様なステークホルダーと分散型金融システムにおける諸課題を議論。
  • BG2C特別オンラインパネル討論
    • 分散型金融においては、禁止、モニタリング、規制といった規制当局の従来型の対処が難しい中、技術コミュニティ等、従来対話してこなかったステークホルダーとの「協力」という新しいレギュレーションが必要。
    • マルチステークホルダーと協力するというボトムアップ型アプローチは、その必要性や困難性も含め、FSB等他の当局にも理解されている。
    • ブロックチェーンにおいては誰が仲介者になるか分からない中、現在の段階から分散型金融技術についての理解を深める必要。
    • 技術者や研究者、当局者等でのマルチステークホルダーでの議論を行うべく、グローバルなプラットフォームを設立することが急務。
    • プラットフォームを作るためには、ドキュメントが重要。現状は技術サイドが明確な技術ドキュメントを作成していないが、アカデミアのサポートの下ドキュメントを作成することで、規制当局等の他のステークホルダーにとっても、技術の透明性が保たれる。
    • ブロックチェーンは「トラストレス」とよく言われるが、そうではなく、ここでは「新しいトラスト」が生まれている。それぞれのステークホルダーが、責任を共有してこのエコシステムを「トラスタブル」にする必要。
    • 本セッションのように、全てのステークホルダーが公開の場で集まることが重要。ここで、昨日(3月9日)、専門家ミーティングで議論を行った結果、オープンで中立的な新しいネットワーク「Blockchain Global Initiative Network[BGIN]」を立ち上げる。様々なステークホルダー23名が発起人となり、自由参加型で、ブロックチェーンに関する共通の理解を深め、問題に対して協力して対応することを企図。

金融庁 金融活動作業部会(FATF)による「暗号資産・暗号資産交換業者に関するFATF基準についての2回目の12ヵ月レビュー報告書」の公表について
▼2回目の12ヵ月レビュー(2nd 12-month review)報告書要旨(仮訳)
  • 金融活動作業部会(FATF)は、マネロン・テロ資金供与(ML/TF)及び大量破壊兵器の拡散金融を防止するための国際基準を設定する政府間組織である。2019年6月、FATFは、暗号資産(virtualassets)及び暗号資産交換業者(VASPs)に関するマネロン・テロ資金供与対策(AML/CFT)上の要件を明確に設定するため、勧告15(15)を改訂し新たに解釈ノート(INR.15)を加えることによって、国際的な(FATF)基準の改訂を最終化した。
  • またFATFは、暗号資産セクターのタイポロジー(犯罪類型)、リスク、市場構造の変化に関するモニタリングに加え、各法域及び民間セクターによる改訂後のFATF基準(現基準)の実施状況を評価するため、「12カ月レビュー(12-month review)」を実施することで合意した。FATFは、2020年7月にレビューの結果を公表し、2回目の12カ月レビューを2021年6月までに実施することにコミットしていた。
  • 本報告書は、2回目の12カ月レビューの結果を整理したものである。本報告書は、現基準の実施に関して、多くの法域とVASPセクターが引き続き進捗を見せているが、実施状況は依然十分と言うにはほど遠く、FSRB1の法域においては、特に課題が多く残っているとしている。2021年4月時点では、128の法域(38のFATF加盟国と90のFSRB加盟国)が現基準の実施において進捗があるとしている。58の法域(28のFATF加盟国と30のFSRB加盟国)が、現基準を実施するのに必要な立法措置を講じたと報告した。これらのうち、6の法域は暗号資産交換業者の業務を禁止しているが、52の法域は暗号資産交換業者の業務を認める規制体系を導入している。残りの70の法域(10のFATF加盟国と60のFSRB加盟国)では、依然、現基準を各国の法制上実施していない。
  • 初回の12カ月レビュー以降、公的セクターでは現基準の実施について、明確な進捗が認められる。直接的な比較は難しいが、多くの法域が2回目の12カ月レビューに新たに参加しており、33の法域(25のFATF加盟国と8のFSRB加盟国)が、初回の12カ月レビューにおいては、暗号資産交換業者に対するAML/CFT規制体制を導入したと報告していたが、今回のレビューでは、この数字が58の法域となっている。
  • これは進歩ではあるものの、暗号資産と暗号資産交換業者に係るグローバルなAML/CFT体制を実現する観点からは、現基準の実施はまだ十分なものではない。特定の法域における規制またはその執行の不在は、法域間の規制裁定を許し、ML/TFリスクが高まる。同様に、一定の進捗は見られるものの、トラベルルールのグローバルな実施や技術的ソリューションの開発に関しては、なお十分な進展が見られていない。各法域におけるトラベルルールの未実施は、民間セクター、特に暗号資産交換業者が、トラベルルール遵守に必要な技術的ソリューションやコンプライアンス遵守のためのインフラへの投資における阻害要因として働く。
    • 「トラベルルール」はAML/CFT施策の要となるものであり、これにより暗号資産交換業者は、暗号資産の移転における送付依頼人(originators)と受取人(beneficiaries)に関する情報を取得・保存・交換することを義務付けられる。
  • 本報告書では、FATFが基準を改訂して以降、暗号資産セクターが強固で急速な成長を遂げたとしている。FATFでは、2019年の基準改訂がこのセクターにおけるイノベーションを阻害したという証拠はないとみている。これは、国際的に規制面での確実性が増しAML/CFTコントロールが強化されることは、むしろビジネスの発展や暗号資産の一般的な受容に対する促進要因となりうることを示している。FATFは、暗号資産に係るML/TFの傾向が、初回の12カ月レビュー報告書において報告されたものから、ほぼ継続していると見ている。特に、ランサムウェアに係る身代金の回収、詐欺の実行やその収益の洗浄に暗号資産を使用するケースが大幅に増加しており、ランサムウェア攻撃のペース、巧妙さ、コストは2021年にも増加する可能性が高い。
  • 本報告書は、改訂基準の実施がグローバルに不均衡なものとなっている結果として、2つの継続的なトレンド、即ち、(1)基準遵守が不十分な法域や基準を不遵守の法域が多く存在し、それが規制裁定を発生させ、基準遵守が不十分な暗号資産交換業者や基準不遵守の暗号資産交換業者という関連する問題につながっていること、(2)匿名性を高めるツールと手法、を指摘している。
  • 本報告書は、ブロックチェーン分析会社7社からのデータを利用して、暗号資産のピアツーピア(P2P)取引に関して、初の定量的な市場データを示している。これらのデータは、暗号資産取引の非常に大きな部分がP2Pベースで行われる、ということを示している。違法取引の比率も、少なくとも直接取引に関しては、暗号資産交換業者経由取引より、P2P取引の方が高くなるようである。しかしながら、データには大きなばらつきがあり、これは、P2Pセクターの市場規模やそれに関連するML/TFリスクの水準に関してはコンセンサスがないということを意味している。
  • 大量破壊兵器の拡散金融に係る最近の改訂を暗号資産及び暗号資産交換業者に適用するための技術的な修正を除いては、初回の12カ月レビューで確認したように、現時点において現基準をさらに修正する必要はない。各法域や民間セクターが一層の明確化を求める領域が多く存在しているものの、それらの質問は、基準それ自体に関するものではなく、基準の適用方法に関するものである。FATFから今後公表される見通しの暗号資産及び暗号資産交換業者に係る改訂ガイダンスが、現基準の実施に関して各法域や民間セクターを支援するだろう。暗号資産及び暗号資産交換業者に係る市場構造またはML/TFリスクプロファイル(P2P取引に関する点など)が大きく変化する場合には、FATFは、現基準の修正が正当か検討しなければならない。
  • ゆえに、現基準の実施に関しては、なお課題が残されている。今後、FATFは、各法域による現基準の迅速かつ効果的な実施の促進に関し、優先的に対応しなければならない。全ての法域が、トラベルルールも含めて、可能な限り速やかに現基準を実施する必要がある。よって、このレビューでは、FATFが以下のアクションを取ることを推奨する。
    1. FATFは、各国における暗号資産及び暗号資産交換業者に係る現基準の効果的な実施に焦点を当てなければならない。FATF加盟国とFSRB加盟国とは、現基準(R.15/INR.15)の実施を高優先順位事項としなければならない。FATFは、官民双方のため、暗号資産及び暗号資産交換業者に係る改訂ガイダンスを、2021年11月までに公表しなければならない。これは、暗号資産と暗号資産交換業者の定義、いわゆるステーブルコイン、P2P取引、暗号資産交換業者の免許/登録、トラベルルールと暗号資産交換業者の監督当局者間の国際協力につき改訂ガイダンスを提供するものであり、基準実施の助けになるものである。FATF加盟国、特に暗号資産交換業者に係るAML/CFT規制分野でのリーダーとなる加盟国は、民間セクター及び他の法域と協力し、基準実施を推進しなければならない。FATFコンタクト・グループ(VACG)は、その支援を行うことに注力し、また、ランサムウェア関連での暗号資産利用のリスクを低減する一助となる行動に特に重点を置くべきである。VACGは、改訂FATFガイダンス公表後に民間セクターと対話を行い、2022年6月までに、FATFの政策企画部会(PDG)に対し、基準実施の進捗を報告すべきである。
    2. FATFは、民間セクターによるトラベルルールの実施を、優先事項として加速させるべきである。そのためには、FATF加盟国は、適切な場合には段階的アプローチの検討も含め、できる限り早期にトラベルルールをそれぞれの国内法制上で実施する必要がある。FATF加盟国、特に暗号資産交換業者に係るAML/CFT規制分野でのリーダーとなる加盟国は、この取組みを促進するため、民間セクター及び加盟国相互間で協力しなければならない。FATF加盟国は、2022年6月までに、アウトリーチ活動を通じて、実施状況につき議論するものとする。
    3. 暗号資産に係るビジネス・技術環境が急速に変化していることを考慮して、FATFは、FATF基準の更なる改訂や明確化を必要とするような、暗号資産及び暗号資産交換業者のセクターの重要な変化・動向については、ガイダンスの改訂プロジェクトも通じて、モニタリングしなければならない。現時点で基準を改訂することはないものの、FATF基準における大量破壊兵器の拡散金融に関するFATF勧告1の改訂を反映させるため、FATFは、15の技術的な修正条項を導入しなければならない。

金融庁 外国人の受入れ・共生に関する金融関連施策について
▼別添2 外国人の方の預貯金口座・送金利用について-外国人材の受入れに関わる皆様に知っていただきたいこと-
  • 外国人材受入れに関する金融庁としての取組
    • 金融機関に対する要請
      • 多言語対応の充実や、在留カードによる本人確認手続きの明確化を求めると共に、銀行口座開設におけるマネロン・テロ資金供与対策に留意するよう要請。
    • パンフレットの作成・配布
      • 外国人材の受入れ関係者(企業等)向けパンフレットや、外国人向けパンフレット(14か国語)を作成し、銀行口座や海外送金利用時の留意点を明記。
    • 周知活動の実施
      • 外国人の方の口座開設等の金融サービスの利便性向上が一層図られるよう、金融機関や外国人材受入れ企業等に対する周知活動を実施。
  • 入国したばかりで日本に不慣れな外国人の方
    • 口座開設において、主に言語や口座開設上必要不可欠な手続きの複雑さが課題となっている場合があります
    • したがって、受入れ企業の皆様におかれましては、外国人の方の置かれている状況に応じて、以下を行っていただきますようお願いします。
      • 口座開設手続きへの同伴
      • 口座開設手続きのサポート
      • 金融機関との会話のサポート(通訳等)
      • 勤務の証明 等
  • 金融機関は、自らが取り扱う商品・サービスが、マネロンやテロ資金供与に利用されないように、国際社会の要請や関係法令の趣旨に従う必要があります。その対応として、口座開設時及び開設後も必要に応じて、以下のような事項を確認しています。(確認が取れない場合、口座が開設できなかったり、開設後の口座が使用できなくなることがありますので、金融機関から確認を求められた場合は、ご協力いただく必要があることを外国人の方にご説明ください。)
  • 氏名 住所 生年月日:(日本国籍を持っていない場合のみ)在留資格・在留期間(満了日)
  • 国籍 職業 取引目的 :経済制裁対象国等との取引・資産の有無 等
  • したがって、金融機関での口座開設にあたっては、以下のものが必要になります。予め準備するよう、外国人の方へお知らせください。なお、必要となる証明書等は、金融機関によって異なる場合があります。
    • 本人確認書類
      • 氏名、住所(日本の住所)、生年月日が記載された写真付きの本人確認書類が(場合によっては複数)必要となります。
      • 在留カード・パスポート など
    • 印鑑・サイン
      • 口座開設の申込書に押印いただく必要がある場合があります(サインによる代替が可能な金融機関もあります)。
      • 印鑑を利用する場合、作成方法についてもご説明ください。
    • 社員証等
      • 社員証等の勤務実態が確認できる書類をお持ちください。
      • 外国人の方が上記書類を所持していない場合は、手続きの場に同伴し、勤務の証明をお願いします。
      • 金融機関が、勤務先へ電話等により勤務実態の確認をする場合があります。
  • 外国人の方に、母国へ送金したいといったニーズがある場合は、銀行や資金移動業者による送金サービスについて、ご案内をお願いします。なお、送金の目的や原資などをお伺いし、銀行や資金移動業者の判断で送金サービスの受付をお断りすることがあります。
  • 外国人の方が以下のようなケースに該当する場合は、金融機関での手続きが必要であることを伝えてください。また、外国人の方の置かれている状況に応じて、受入れ企業の皆様におかれても、金融機関に御連絡いただく等の対応をお願いします。
    • 住所や在留資格、在留期間が変わったとき
    • 退職をしたとき
    • 通帳やキャッシュカードをなくしたとき
    • 外国人の方と連絡が取れなくなったとき 等
  • 外国人の方が在留期間が終わるなどの理由で帰国することとなったとき
    • 犯罪行為であるとの認識が薄いまま、小遣い稼ぎ等を目的として口座を売却する事例が多発しています。
    • 売却された口座は、振り込め詐欺等の犯罪収益の受渡しに使用されることがあります。そういった行為に関わると、法令による処罰や、国外退去処分・入国禁止となる場合があります。
    • したがって、外国人の方・受入れ企業の皆様におかれては、以下に留意のうえ、御対応をお願いします。
      • 外国人の方
        • 帰国することとなったときは、原則金融機関の窓口に行き、口座を解約する必要があります。
        • 例外的な事情(再入国の予定があり、引き続き口座利用が見込まれる場合など)がある場合は、金融機関と相談する必要があります
      • 受入れ企業の皆様
        • 状況に応じて外国人の方に対し、以下などをお願いします
          • 口座解約の働きかけ(金融犯罪に係る注意喚起を含む)
          • 金融機関と相談するよう助言
          • 金融機関への連絡、口座解約手続きへの同席
  • 以下の行為は「犯罪」です。受け入れた外国人の方が絶対に関わらないよう、注意喚起してください
    • 地下銀行・ヤミ金融
      • 地下銀行:免許を持たずに銀行業を行うことや登録を受けずに資金移動業を行うこと
      • ヤミ金融:登録を受けずに貸金業を行うこと
    • マネー・ローンダリング
      • マネー・ローンダリング:犯罪による収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為のこと
    • 口座の売買・譲渡
      • 口座を他人に使わせること(通帳やキャッシュカードを売却・譲渡・貸与することも含む)
    • 偽造クレジットカードや偽造キャッシュカードの使用
  • 【注意】口座売買等に関する情報は、金融庁・財務局または警察までご連絡ください。金融庁・財務局の職員や銀行員等がキャッシュカードのカード番号や暗証番号を聞くことは絶対にありません。外国人の方が騙されないように注意喚起をお願いします。

金融庁 「監査に関する品質管理基準の改訂について(公開草案)」の公表について
▼(別紙2)PDFのアイコン画像です。 監査に関する品質管理基準(抄)新旧対照表
  • 監査チームとは、監査実施の責任者及び監査業務に従事する補助者をいう。補助者には、監査事務所及び監査事務所が所属するネットワークの内外の者で、個々の監査業務において、監査手続を実施する者が含まれる。
  • 監査事務所は、監査業務の質を、主体的に管理し、合理的に確保するために、監査事務所が実施する業務の内容及び状況並びに監査事務所の性質及び状況を考慮した上で、職業的専門家としての判断に基づき、品質管理システムを適切に整備し、運用しなければならない。
  • 監査事務所の最高責任者は、品質管理システムに関する説明責任を含む最終的な責任を負わなければならない。
  • 監査事務所は、品質管理システムの整備及び運用に関する責任者並びにモニタリング及び改善プロセスの運用に関する責任者を明確にしなければならない。
  • 監査実施の責任者は、監査事務所が設けた品質管理システムに準拠し、監査業務における品質管理に責任を負わなければならない
  • 監査事務所は、品質管理システムの整備及び運用の状況を適切に記録し、保存するための方針又は手続を定め、それらが遵守されていることを確かめなければならない。
  • 監査事務所は、以下の項目からなる、品質管理システムを設けなければならない。
    1. 監査事務所のリスク評価プロセス
    2. ガバナンス及びリーダーシップ
    3. 職業倫理及び独立性
    4. 監査契約の新規の締結及び更新
    5. 業務の実施
    6. 監査事務所の業務運営に関する資源
    7. 情報と伝達
    8. 品質管理システムのモニタリング及び改善プロセス
    9. 監査事務所間の引継
  • 監査事務所は、監査業務の質を合理的に確保するために必要であると判断する場合には、これら以外の品質管理システムの項目を設けなければならない
  • 監査事務所のリスク評価プロセス
    • 監査事務所は、品質目標の設定、品質リスクの識別及び評価、品質リスクへの対処からなるリスク評価プロセスを整備し、運用しなければならない。
    • 監査事務所は、監査業務の質を合理的に確保するために必要であると判断する場合には、本基準に規定されている品質目に加え、監査事務所が必要と考える品質目標を設定しなければならない。
    • 監査事務所は、設定した品質目標の達成を阻害しうる品質リスクを識別して評価しなければならない。
    • 監査事務所は、評価した品質リスクに対処するための方針又は手続を定め、これを実施しなければならない。
  • ガバナンス及びリーダーシップ
    • 監査事務所は、品質管理システムの基礎となる環境を確立するために、ガバナンス及びリーダーシップに関する品質目標を設定しなければならない。当該品質目標には、(1)健全な組織風土の醸成、(2)最高責任者等の品質に関する説明責任を含む責任の明確化、(3)最高責任者等が果たすべき主導的役割、(4)適切な組織構造と職務分掌、(5)業務運営に関する資源の適切な利用に関する目標を含めなければならない。
  • 職業倫理
    1. 監査事務所は、職業倫理の遵守を品質目標として設定しなければならない。当該品質目標には、監査事務所及びその専門要員並びに当該監査事務所が所属するネットワーク等による職業倫理の遵守に関する目標を含めなければならない。
    2. 監査事務所は、職業倫理の遵守に対する脅威を識別して評価し、それに対処するための方針又は手続を定めなければならない。また、監査事務所は、職業倫理に抵触する事項を発見し、対処するための方針又は手続を定めなければならない。
    3. 監査実施の責任者は、職業倫理を遵守するとともに、補助者が職業倫理を遵守していることを確かめなければならない。
      • 専門要員とは、監査事務所に所属する社員(監査法人の場合)又は業務執行責任者(個人事務所の場合)及び監査事務所の専門的な業務に従事するその他の者をいう。
      • 当該監査事務所が所属するネットワーク等には、監査業務に従事する際に求められる職業倫理に関する規程が対象とする、当該監査事務所が所属するネットワーク、当該ネットワークに属する他の事務所、外部の業務提供者その他の者が含まれる。
      • 外部の業務提供者とは、品質管理システムの運用又は監査の実施において使用される、業務運営に関する資源を提供する、監査事務所、当該監査事務所が所属するネットワーク及び当該ネットワークに属する他の事務所の外部の個人又は組織をいう。
  • 独立性
    1. 監査事務所は、独立性の保持を品質目標として設定しなければならない。当該品質目標には、監査事務所及びその専門要員並びに当該監査事務所が所属するネットワーク等による独立性の保持に関する目標を含めなければならない。当該品質目標については、監査事務所及び当該監査事務所が所属するネットワークに属する他の事務所が提供する非監査業務が独立性に与える影響を考慮しなければならない。
    2. 監査事務所は、独立性の保持に対する脅威を識別して評価し、それに対処するための方針又は手続を定めなければならない。また、監査事務所は、独立性を侵害する事項を発見し、対処するための方針又は手続を定めなければならない
    3. 監査事務所は、専門要員の独立性が適切に保持されていることを確かめなければならない。
    4. 監査実施の責任者は、独立性を保持するとともに、補助者が独立性を保持していることを確かめなければならない。
  • 監査契約の新規の締結及び更新
    • 監査事務所は、監査契約の新規の締結及び更新に関する品質目標を設定しなければならない。当該品質目標には、監査契約の新規の締結及び更新に際し、監査業務の内容、経営者の誠実性、監査事務所の能力等を考慮するとともに、監査事務所の財務上及び業務上の目的を優先することなく、適切に判断することに関する目標を含めなければならない。
    • 監査事務所は、監査契約の新規の締結及び更新の後に、当該契約の解除につながる可能性のある情報を把握した場合に対処するための方針又は手続を定めなければならない。
    • 監査実施の責任者は、監査契約の新規の締結及び更新が、監査事務所の定める方針又は手続に従って適切に行われていることを確かめなければならない。また、監査実施の責任者は、当該契約の新規の締結及び更新の適切性に重要な疑義をもたらす情報を入手した場合には、監査事務所に、当該情報を速やかに報告しなければならない
  • 監査事務所は、より質の高い監査の実施を目指すために、監査業務の実施に関する品質目標を設定しなければならない。当該品質目標には、(1)監査実施の責任者及び監査業務に従事する補助者による責任ある業務遂行、(2)補助者に対する適切な指揮、監督及び監査調書の査閲、(3)職業的専門家としての適切な判断並びに懐疑心の保持及び発揮、(4)監査業務に関する文書の適切な記録及び保存に関する目標を含めなければならない
  • 監査事務所は、より質の高い監査の実施を目指すために、業務の実施における専門的な見解の問合せに関する品質目標を設定しなければならない。当該品質目標には、専門性が高く、判断に困難が伴う事項及び見解が定まっていない事項について専門的な見解の問合せを行い、監査業務の実施及び監査意見の形成において当該見解を十分に検討することに関する目標を含めなければならない。
  • 監査事務所は、より質の高い監査の実施を目指すために、業務の実施における監査上の判断の相違に関する品質目標を設定しなければならない。当該品質目標には、監査チーム内又は監査チームと審査の担当者等との間の判断の相違を適切に解決することに関する目標を含めなければならない。
  • 監査業務に係る審査
    1. 監査事務所は、原則として全ての監査業務について、監査チームが行った監査上の重要な判断及び監査意見を客観的に評価するために、審査に関する方針又は手続を定めなければならない。なお、監査報告の対象となる財務諸表の社会的影響が小さく、かつ、監査報告の利用者が限定されている監査業務については、審査に関する方針又は手続において、意見が適切に形成されていることを確認できる他の方法が定められている場合には、審査を要しないとすることができる。当該審査に関する方針又は手続には、審査の担当者の選任、審査の担当者及び監査チームの責任、審査の実施並びに審査の記録及び保存を含めなければならない。
    2. 監査事務所は、審査に関する方針又は手続に従って、審査の担当者が、十分な審査時間の確保を含めて、適性、能力及び適切な権限を有すること、並びに審査の担当者として、客観性及び独立性を保持するとともに、職業倫理を遵守することを確かめなければならない。
    3. 監査事務所は、審査に関する方針又は手続に従って、審査における審査の担当者及び監査チームの責任が果たされていることを確かめなければならない。
    4. 監査事務所は、審査に関する方針又は手続に従って、審査の担当者が監査の計画、実施及び報告における重要な事項、判断及び結論について、適時に適切な審査を行っていることを確かめなければならない。
    5. 監査事務所及び審査の担当者は、審査に関する方針又は手続に従って、監査業務に係る審査の内容及び結論を、監査調書として記録及び保存しなければならない
  • 監査事務所の業務運営に関する資源
    • 監査事務所は、品質管理システムの整備及び運用を可能とするために、監査事務所の業務運営に関する資源に関する品質目標を設定しなければならない。当該品質目標には、人的資源、テクノロジー資源、知的資源等の監査事務所の業務運営に関する十分かつ適切な資源の取得又は開発、維持及び配分に関する目標を含めなければならない。人的資源に関する品質目標については、専門要員に対する適切な採用、教育、訓練及び評価を考慮しなければならない。テクノロジー資源に関する品質目標については、監査事務所におけるITの統制を含むITへの対応に関する事項を考慮しなければならない。
    • 監査実施の責任者は、監査チームが監査事務所の業務運営に関する十分かつ適切な資源を適時に利用可能かを判断し、不十分又は不適切であると判断した場合には、適切な措置を講じなければならない。
  • 品質管理システムのモニタリング及び改善プロセス
    • 監査事務所は、品質管理システムの整備及び運用の状況に関する情報を適時に把握するとともに、識別した不備に適切に対処するためのモニタリング及び改善プロセスを整備し、運用しなければならない。当該モニタリングには、品質管理システムに関する日常的監視及び完了した監査業務の定期的な検証が含まれる。
    • 監査事務所は、モニタリング、改善活動の実施、監査事務所の外部からの検査及びその他の関連する情報から得られた発見事項を評価し、品質管理システムに不備が存在するかを判断しなければならない。
    • 監査事務所は、識別された不備の根本原因を調査し、当該不備が品質管理システムに及ぼす影響を評価することによって、不備の重大性及び影響を及ぼす範囲を評価しなければならない。
    • 監査事務所は、識別された不備の根本原因分析の結果を踏まえ、不備に対処する改善活動を実施しなければならない。モニタリング及び改善プロセスの運用に関する責任者は、不備と関連する根本原因に対処するために、当該改善プロセスが適切に整備され、運用されているかを評価しなければならない。また、モニタリング及び改善プロセスの運用に関する責任者は、改善活動が適切に整備されていない、又は適切に運用されていないと判断した場合には、適切に対応しなければならない。
    • モニタリング及び改善プロセスの運用に関する責任者は、品質管理システムに関する最高責任者並びに品質管理システムの整備及び運用に関する責任者に対して、実施したモニタリングの内容、品質管理システムの不備とその評価結果及び不備に対処する改善措置について適時に報告しなければならない。
    • 監査実施の責任者は、監査事務所から伝達された特定の監査業務に関する発見事項が監査意見の適切な形成に影響を与えていないこと及び必要な措置が適時かつ適切に講じられたかを確かめなければならない。
    • 監査実施の責任者は、監査事務所から伝達された監査事務所及び監査事務所が所属するネットワークのモニタリング及び改善プロセスに関連する情報を理解し、実施する監査業務への影響を考慮することによって、適切な措置を講じなければならない。また、監査実施の責任者は、監査業務全体を通じて、モニタリング及び改善プロセスに関連する可能性のある情報に留意し、必要に応じて監査事務所に伝達しなければならない。

金融庁 「金融機関のITガバナンス等に関する調査結果レポート」及び「金融機関のシステム障害に関する分析レポート」の公表について
▼「金融機関のITガバナンス等に関する調査結果レポート」概要
  • ITコストの効率性・適切性について「システム経費/預金量」を指標として確認。昨事務年度と同様、信用金庫は地域銀行と比較して、システムに係るコスト効率が良いという結果であった。
  • ITガバナンスの発揮状況は、「ITリソース」の分野で地域銀行、信用金庫ともに「はい」(=取組みを実施している)の回答割合が最も低く、特に「IT人材の確保・育成」に課題を抱えていることがわかった。
  • 新たなIT・デジタル技術の取組みに関する回答のうち、クラウド、AI技術、RPAについては、地域銀行の方が取組みが大きく進んでいることがうかがえた。
  • 地域銀行の方が、預金量に対するシステムコストが高くなっている要因として、勘定系システムに勘定処理以外の様々な機能を盛り込んだ結果、預金や為替といった銀行システムの基本機能(非戦略領域)と、その他の経営支援といった戦略領域が整理できておらず、システムが複雑化・肥大化していることが、一因であると推測される。従って、次世代の基幹系システムにおいては、API接続の利用や、疎結合なシステム構成などを用いて、これらの課題を解消していくことが求められる。
  • ITガバナンスの発揮状況のうち「ITリソース」の項目について、各金融機関では、日々進化するIT・デジタル技術を新たなビジネスや既存業務に活用するIT企画力を持ち合わせた人材が必要となってきており、今後はより戦略的な「IT人材の確保・育成」が求められる。
  • 地域銀行の共同センターに関する課題を踏まえ、今事務年度、基幹系システムの移行コスト低減の可能性について、外部の有識者(ベンダー、ITコンサルティング会社等)からヒアリングを行った。
  • コスト低減に向けた取組み
    1. ツールを用いたデータ移行
      • 共同センターの基幹系システムのスイッチングコストにおいて、総勘定元帳のデータ移行に係る費用が大きいことから、効率化のためにツールを活用することが有用であり、多くの場合において活用されている。
    2. 機能カスタマイズ・事務の削減
      • 基幹系システムのスイッチングにおいて、主に勘定系システムに関連する商品やサービスを移行先に継承するため、移行先勘定系システムの機能と移行元勘定系システムの機能を比較し、なるべく機能カスタマイズを最小化することで、移行費用を低減することが考えられる。
    3. スイッチングしやすいシステム構成(コア領域と戦略領域の分離など)
      • スイッチングしやすいシステム構成として、勘定系システムを「非戦略領域」と位置づけ、機能追加を厳選し、コンパクト化する事例や、オープン系システムへの転換でコスト削減を図っている事例もある。
  • 国内大手銀行における海外拠点では、共通パッケージの利用などで事務・システムの標準化が進む一方、海外拠点特有の要因によってプロジェクトが遅延する事例も散見されている。
  • 海外での拠点網の拡大に伴い、グローバル全体で適切にシステムを運営するために、グローバルITガバナンスの一層の強化が必要であるとの課題が認められた。
  • 今事務年度の調査結果概要
    1. グローバルIT戦略/組織
      • グローバル全体のITを統括する本邦CIOの下に地域(リージョン)を統括する責任者(地域CIO等)が設置され、地域責任者が各拠点(ローカル)を統括する体制を構築している。
      • こうした仕組みの中で、本邦CIO、地域CIO等、地域責任者による連携を維持・強化し、機能を適切に発揮していくことが課題となっている。
    2. IT投資管理/リソース管理
      • 海外システムの開発では、一定の基準で本邦本部が関与する仕組みが出来ており、開発状況は経営会議などへ付議・報告がなされ、システム投資効果検証も行われている。
      • 地域内での基幹系システムの共通化によるコスト削減や、海外拠点での大量/高価な製品の調達の本邦集約化による交渉力強化など、IT投資の効率化の事例が見られる。
    3. 海外拠点固有の課題
      • 国内とは異なる海外拠点の環境により、以下のような海外拠点固有の課題が発生している。
        • 海外拠点ごとの当局要請・規制に対応するため、独自にシステムを開発し、拠点がサイロ化。
        • 国内比人材の流動化が激しく、CIOなどの高度IT人材でも転出が発生し、安定的な確保が出来ていない。
    4. システム開発課題(事例)
      • 海外拠点が独自の開発・管理手法を行い、地域/本邦本部へ適切な報告がされず、進捗・品質の状況把握が不十分であった。
      • 少人数で属人的にシステム管理・運用がなされ、ドキュメンテーションが適切に行なわれていない。システム更改にあたり現行システム仕様が把握できず、不十分な要件定義によりプロジェクトが遅延した。
  • デジタライゼーションの進展等により、金融業にも新たな変化が生じている。これらの動きに対して業務の特性を把握し、システムリスクの変化をとらえ、モニタリングのあり方も随時工夫をしていく。
  • 金融業の新たな変化
    • 令和2年6月5日に成立した法律※3により、「金融サービス仲介業」が新たに創設された。これまでの仲介業とは異なり、所属制を採用せず1つの登録で銀行・証券・保険等全ての分野の金融サービスの仲介が可能となった。
    • 金融サービス仲介業者について、業界全体の動向を踏まえつつ、各金融機関との顧客データ連携方式などについて、そのシステムの安定性・安全性の確保について、必要に応じて対話の実施を検討していく。
    • 今後の経済活動の中心となる、デジタルネイティブ世代の獲得などを目的として、提供する全てのサービスがスマートフォンで完結する新しい銀行を設立する事例も出て来ている。
    • 金融庁ではこうした新しい銀行の免許申請がなされた場合には、システムリスクの面からは、監督指針に定めるシステムリスク管理態勢などの観点から審査を行う。なお、金融機関へのヒアリングにおいては、日本銀行との連携強化を開始している。
  • 当局の今後の取組み
    • 「事例集」の活用促進
      • 「ITガバナンスの論点」に示した考え方・着眼点に参考事例を取りまとめた事例集について、引き続き、金融機関や有識者との対話等を通じて得られた有益な情報などを反映していくとともに、広く活用を促していく。
    • 「基幹系システム・フロントランナー・サポートハブ」を通じた支援
      • 基幹系システムに関する先進的な取組みについて、今後も引き続き、金融機関に早い段階から本サポートハブを活用してもらうことで、双方向の議論を重ねながら、金融庁として後押しをしていく。
    • 金融業の変化に合わせた審査・審査後のモニタリングのあり方の検討
      • 金融サービス仲介業や新しい銀行の登録・免許審査、さらに審査後のモニタリングにおいて、業務やシステムの特性を踏まえてリスクを把握し、システムリスク管理態勢の審査・モニタリングのあり方について機動的に検討していく
▼金融機関のシステム障害に関する分析レポート
  • 主な障害傾向
    1. システム統合・更改に伴い発生したシステム障害
      • これまでに公表した分析レポートでは、システム統合・更改に係るプロジェクトについては、大規模かつ専門性が高いものであることから、プロジェクトの特質に基づいたプロジェクト管理態勢の整備や、設計レビュー体制の強化等を課題として取り上げている。
      • 前回のレポート公表後、金融機関の合併に伴うシステム統合をはじめとして、新たな勘定系システムへの移行や現行システムのクラウドサービスへの移行など、様々な大規模プロジェクトが進められている中、システム稼働時に振込の遅延など、顧客の決済に影響を及ぼすような事案が数多くみられた。
      • これらの障害の原因は、旧システムの仕様の理解不足やテストのパターン不足等が挙げられ、この背景にレガシーシステムの有識者の高齢化等による人材不足があると考えられる。有識者不足によるリスクを低減するため、システム仕様や作業手順書等の「IT 資産の整備」のほか、IT 人材の育成が引き続き課題となっている。
    2. プログラム更新、普段と異なる特殊作業などから発生したシステム障害
      1. 作業影響の検討不足
        • 本番環境において、様々な特殊作業を行わなければならないプロジェクト等があり、これらの作業に起因する障害が多くみられた。中には、一部システムが停止したことに起因してATM等の周辺システムに影響する事例が複数みられた。
        • これらに共通する問題点として、作業に起因してどのような障害が発生し得るのか想定できていないなど適切にリスクを認識するに至っていないことや、コンティンジェンシープラン(以下、「CP」という。)の整備が不十分なまま作業が実施されたことが挙げられる。
        • また、作業自体については、システム全体を見渡すことができる有識者参加のもとでレビューを行うなどにより、品質を確保することが重要である。
      2. 設定ミス・作業の誤り
        • 本番環境のシステムにおける作業誤りや、委託先における作業の誤りを看過するなどの管理面・人的側面に起因する障害が多くみられた。特に、委託先における作業の実態を把握していなかったような事例もみられており、いかに委託先の作業を適切に管理するかが課題となっている。
        • また、導入したデータベース等の製品に対する知見不足により、設定不備が発生するといった事案もみられ、機器等を導入する際の選定手順等も適切なものにしていく必要がある。
        • さらに、障害発生時の作業が適切に行われず、障害の時間を長引かせるような事例など、あらかじめ作業手順を確立できていないことにより問題が大きくなるような事例も複数みられた。
        • 様々な事態を想定し作業手順書等の充実を図るとともに、それらの内容に効率性も含めて問題がないか定期的に点検を行うなど、作業品質を向上させていくことが課題となっている。
    3. 日常の運用・保守等の過程の中で発生したシステム障害
      1. サードパーティの提供するサービス等の要因
        • これまでに公表した分析レポートでは、複数の金融機関に影響を及ぼしたインターネットバンキング(以下、「IB」という。)に関するワンタイムパスワード(以下、「OTP」という。)認証システムの障害を取り上げ、CP の実効性の向上を課題としてきた。
        • 前回のレポート公表後においても、サードパーティの提供するサービスの障害によって、多くの金融機関に影響を及ぼす事例が複数みられた。
        • 特に、金融機関だけで障害を未然防止することが困難なクラウドサービス等の障害も増加しており、障害を想定した代替手段の確保やサードパーティとの不断の情報連携等の取組が必要となる。
      2. 冗長構成が機能しない障害(ハードウェア・回線等)
        • 昨年の分析レポートにおいて、障害に備えた冗長構成2が意図どおりに機能しない障害について取り上げたが、その後も同様の事例(障害が発生したにも係わらず副系に切替わらなかったなど)が複数みられた。冗長構成は、特に可用性が求められるシステムで用いられているため、障害が発生した場合、顧客に大きな影響を及ぼすなど、重大な障害となるケースがある。
        • こうしたことから、冗長構成が意図どおりに機能するように実効性を確保することはもとより、意図どおりに機能しないことも想定し重要な業務が継続できるような方策の準備や、障害検知及び対応の早期化に係る取組が課題である。
    4. サイバー攻撃、不正アクセス等の意図的なもの
      1. 本人確認の設計に係る事案
        • スマートフォンを用いて、インターネット口座振替サービス等の方法により預金口座と連携させる決済サービスを提供する事業者が多数登場しているが、この仕組みを悪用し、連携を行う預金口座の預金者になりすまして不正な取引を行う事案が発生した。
        • また、金融商品取引業者を中心にインターネットを通じた株取引ツール等への不正アクセスが行われる事案が発生している。特に、フィッシングサイトを含む別のサイト等から過去に流出したIDやパスワードで様々なサイトへのログインを試みるリスト型攻撃と呼ばれる手口がみられた。
        • これらへの対応として、補償方針の策定・実施や利用者相談に真摯に対応するための態勢整備に加え、実効的な認証方式の導入等不正防止対策が急務である。また、パスワード等の漏えいに備え、利用するサービスの内容及びリスク特性に応じて、多要素認証等を用いて安全性を確保することが課題となっている。
      2. クラウド事業者等の提供するサービスのセキュリティに係る事案
        • クラウド事業者をはじめとする外部委託先等の提供するサービスについては、当該サービスへの不正アクセスに起因して多くの金融機関に影響を及ぼす事例が複数みられただけでなく、クラウドサービス内に保存されている情報が、設定不備等により第三者にアクセスできる状態となり、漏えいするといった事案も複数みられた。
        • クラウドサービスにおけるシステム開発を外部ベンダーに委託しているようなケースも多く、クラウドサービスの仕様やアップデート情報等に関する知識習得や情報収集を含め、十分な態勢整備が行われないまま、クラウドサービスを利用している事例もみられた。
        • サービス品質等の管理が行き届かなくなるリスクやセキュリティ面のリスクが考えられる中、アウトソーシング可能な業務範囲の明確化といった対策も含めて、全体の態勢を整備していくことが課題となっている。
  • 今後の金融庁の取組
    • 金融庁は、各金融機関のシステムリスク管理態勢の整備等の取組が円滑に進められるよう以下の取組を実施する。
    • 各金融機関においては、金融システムの安定や利用者保護の観点からシステムリスク管理態勢の整備や高度化に向けた創意・工夫を積み重ねることが期待される。
      1. システム障害の発生を踏まえたモニタリング
        • デジタライゼーションの進展やコロナ禍による IT サービスの利用増加等の顧客の動向変化は、情報システムへの依存による利便性の向上と引き換えに、システムリスク管理の重要性が高まる要因となり、大規模な障害が頻繁に発生すれば、金融機関に対する信頼性が揺らぎかねない。
        • 金融庁では、金融機関のシステムの安定稼働に向けて、障害発生時には、必要に応じ原因・事後改善策のヒアリングなど、モニタリングを中心に実施してきたところである。
        • 昨今の状況を踏まえ、今後も、こうした取組を継続するとともに、障害発生の重要度や管理態勢上のリスクが認められる場合には、検査を含めた更に深度ある検証を行うなど、実効的かつ効果的なモニタリングを進めていく。
      2. システム統合・更改に関するモニタリング
        • 経営統合に伴うシステム統合だけでなく、将来を見据えた大規模なシステム更改も行われるなど、大規模なプロジェクトがいくつもの金融機関において予定されている。
        • こうした経験の少ない大規模プロジェクトに関するモニタリングにおいては、単に進捗状況の把握にとどまらず、過去の事例も踏まえて、問題となりやすい事項について詳細に検証・議論するなど、対話を通じて金融機関の自律的な改善を促すことに力点を置いてきた。
        • 今後も、こうした取組を継続するとともに、リスクの高いプロジェクトには検査を含めた更に深度ある検証を行うなど、リスクに応じた効果的かつ効率的なモニタリングを進めていく。
      3. サードパーティの提供するサービスなどの新たなリスクへの対応
        • デジタライゼーションへの対応について、適切なITマネジメントの下でリスクを踏まえつつ、柔軟かつ迅速に取り組んでいくことが重要となる。特に、クラウド等のサードパーティが提供するサービスを利用する金融機関が増加する中、導入・運用時に適切にリスク管理ができるような態勢を整備することが必要となる。
        • サードパーティの提供するサービスに関するリスクへの対応は、以前より公益財団法人金融情報システムセンター(以下、「FISC」という。)等と連携し対応を進めてきたところであるが、今後も新たな事案が認められた場合には、各金融機関の取組の参考とするため、事例等の公表を行っていく。金融機関側でのコントロールが難しいリスクとその対策については、引き続き、FISC等と連携の上、調査検討を進めていく。

金融庁 「ゼロトラストの現状調査と事例分析に関する調査報告書」の公表について
▼(別添)PDFファイルを開きますゼロトラストの現状調査と事例分析に関する調査報告書
  • ゼロトラストとは、特定の技術や製品、ソリューションを指す言葉ではなく、「企業のネットワークやデバイスからのアクセスを暗黙に信頼せず、常にアクセスの信頼性を検証することで企業の情報資産やIT資産を保護すること」に焦点をあてたセキュリティの考え方である。
  • 2004年頃から、ネットワークの境界での静的な防御には限界があるとの考えが示され、ネットワークの位置に基づく暗黙の信頼、すなわち境界線を除去するという非境界化の議論が開始された。その後、2010年頃に非境界型の考え方を進化させたゼロトラストというコンセプトが提唱された。
  • 以降、クラウドサービスの利用拡大やリモートワークの普及により、ゼロトラストという考え方を取り入れたセキュリティモデルへの関心が高まり、ゼロトラストという言葉が広く使用されるようになったが、ゼロトラスト・アーキテクチャは製品やベンダーによって多様な実現方法があるため、用語や概念が統一されていない状況であった。そのような中、2020年8月に米国国立標準技術研究所(NIST)が、用語と概念の共通基盤を形成することを試み、『Zero Trust Architecture(NIST SP800-207)』1を発行した
  • ゼロトラストの原則
    • NIST SP800-207の「2 ゼロトラストの基本」では、ゼロトラスト・アーキテクチャの設計・展開にあたって、以下の7つの原則を理想的な指針として挙げている。これらの原則は、NIST SP800-207が理念的な目標として定めているものであり、採用するゼロトラストの戦略によっては、これらのすべての原則を、完全に満たさないゼロトラスト・アーキテクチャもあり得るとされている。各原則の概要は、以下のとおりである。
      1. すべてのデータソースとコンピューティングサービスをリソースとみなす
        • 企業が所有するすべてのリソースを対象とする。対象にはSaaS(Software as a Service)などのクラウドサービスも含まれる。また個人所有端末(BYOD7)を利用して、企業リソースへアクセスする場合には、BYODも対象に含む。
      2. ネットワークの場所に関係なく、すべての通信を保護する
        • 企業内ネットワークかどうかに関係なく、リソースへのアクセス要求を行うすべての通信の機密性・完全性を確保する。
      3. 企業リソースへのアクセスは、セッション単位で付与する
        • リソースへのアクセスが許可される前に、アクセス元の信頼性を評価する。またアクセスの許可は、タスクを実行するための最小限の権限で許可されるべきである。セッション単位でのアクセス付与について、セッション開始やトランザクション実施前に、認証・認可が直接発生しない場合もあるとしているが、アクセス対象のリソースが変わる場合は、常に認証・認可を実施するべきとしている。
      4. リソースへのアクセスは、クライアントアイデンティティ、アプリケーション/サービス、リクエストする資産の状態、その他の行動属性や環境属性を含めた動的ポリシーにより決定する
        • アクセス元のユーザーアカウントに関する情報(ID・パスワード、所属部門、役職等)や、ユーザーの行動履歴、アクセス元のリソースの状態(証明書、OS のバージョン、ネットワークの場所等)等をもとに、対象ユーザーからリソースへのアクセス可否を動的に決定する。
      5. すべての資産の整合性とセキュリティ動作を監視し、測定する
        • 個人所有端末(BYOD)等も含めたデバイスやアプリケーションは、本質的に信頼されないものとして、すべて監視する必要がある。監視の結果、脆弱性があると判断されたデバイスがある場合は、パッチ等を適用させる、接続を拒否する、権限を制限する等の対応を行うこととなる。
      6. すべてのリソースの認証と認可を動的に行い、アクセスが許可される前に厳密に実施する
        • すべての企業リソースに対するアクセスに対して、継続的にアクセスの信頼性を動的ポリシーにて再評価する必要がある。トランザクション全体に渡って継続的な監視を行い、セキュリティ、可用性、ユーザビリティ等のバランスを考慮した上で、必要に応じて再認証を行う。
      7. 資産、ネットワークインフラストラクチャ、通信の現状について可能な限り多くの情報を収集し、セキュリティ態勢の改善に利用する
        • リソースのセキュリティ状況や、ネットワークトラフィック、アクセス要求に関するデータを収集し、動的ポリシーの作成に使用する。(使用するデータの例は「3.1.4. ポリシーエンジンのトラストアルゴリズム」参照)
        • IT環境にこれらの原則を取り入れると図表3-1のようになる。これらの原則を実装するための具体的な技術要素はNIST SP800-207では指定されておらず、様々な技術による実現方法が考えられる。また、これらの原則は、基本的には社内のビジネスプロセスを対象とし、インターネットユーザー等の不特定多数のユーザーとのビジネスプロセスには適用されないことを前提としたものである。ただし、登録顧客等の内部ポリシーを適用可能な外部ユーザーについては、対象となる場合がある
  • 金融業界におけるビジネス環境の変化
    • 「2.2.1.デジタル技術の進展によるIT環境の多様化とサイバーリスクの高まり」に記載したようなデジタル社会への変革とそれを取り入れた働き方は、金融業界でも同様に広がっている。
    • たとえば、金融機関の顧客サービス面では、インターネットとスマートフォンの普及などにより、顧客はオンデマンドで自身のライフスタイルに適した金融サービスや金融機関を求めるように変化してきている。同時に、金融機関側も顧客志向を強めている。顧客の取引情報や行動履歴等のデジタル化された大規模データを収集、分析、活用し、顧客ニーズに適した金融サービスを開発することが命題になる中で、自社の所有するデータのみならず業界内外の企業とのデータ連携、あるいはIoTデータの活用などにも積極的に取り組んでいる。
    • また、金融機関の労働環境面でも変革が進んでいる。金融機関の社員の働き方といえば、数年前までは支店や事務所で執務するのが当たり前であったが、足下では、少子高齢化を迎える中での柔軟な働き方の実現のためや、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対策のため、多くの金融機関にもリモートワークが普及している。
  • IT環境の変化とサイバーセキュリティリスクの高まり
    • 上述したビジネス環境の変化に対応するため、多くの金融機関では、いくつかの共通的な取り組みが見られる。その1つが、クラウドサービスの利用の拡大である。クラウドサービスを利用することで開発スピードや拡張性あるいは最新技術の活用容易性を手に入れ、ビジネスの成長を加速させている。セキュリティ対策もクラウドに対するセキュリティリスクを踏まえた対応を進めている。もう1つの取り組みとして多く見られるのが、リモートワークの活用である。金融機関では、リモートワーク下でもセキュリティを保ちながら業務を行うための取り組みとして、セキュリティ設定を強化した専用のリモート端末やVPN、仮想デスクトップ(VDI:Virtual Desktop Infrastructure)等の導入や拡張を進めている。
    • 以前より金融機関は、他業界の企業と比べて積極的にセキュリティ対策に取り組んでいる。具体的には、入口対策、内部対策、出口対策を組み合わせた多層防御の考え方を取り入れ、重要なITシステムやデータは堅牢なデータセンター内に設置し、社内のネットワークから分離して保護してきた。しかしながら、上述したクラウドサービスを利用するITシステムの増加やリモートワーク環境の拡大により、外部からのサイバー攻撃を受ける対象となるアタックサーフェスが増え、サイバーセキュリティの固有リスクが高まっている。また、そのリスクに対応するためのセキュリティ管理負荷も高まっている。
  • 金融機関におけるゼロトラストに関する検討状況
    • 一部の金融機関では、ゼロトラスト・アーキテクチャに関する具体的な検討や導入を進めているが、金融機関全体としては少ない状況である。その背景として、金融分野はサービスの安定供給や顧客情報保護を重視しながら、早くからITの利活用が進んだ業界でもあることから、既存のITシステムや境界型セキュリティの考え方が既に浸透・定着しており、比較的新しいセキュリティの考え方であるゼロトラスト・アーキテクチャの検討や導入が現段階では少数であることが挙げられる。
    • ゼロトラスト・アーキテクチャの検討や導入を進めている金融機関は、主にリモートワークの推進やクラウドサービスの活用を目的としている。
    • 本調査では、ゼロトラスト・アーキテクチャの導入に向けた具体的な検討を進めている金融機関の事例が確認できた。その事例では、コミュニケーションツールや情報系システムのクラウド化が進む中で、将来的なデータ利活用を考えると、基本的にデータをクラウド上に集めてシステム間で連携させていく方針としており、勘定系システムやCRMシステムのクラウド化も進めている。また、顧客向けサービス向上のため、外出先からも社内のITシステムに接続できるリモート端末の環境を構築してきたが、社内と社外で異なる端末であることの不便さ、端末管理負荷やコストの高まり、VPNの接続帯域の限界等の課題があった。クラウド化やリモートワークを進めていくために必要なIT基盤を再検討した結果、まずはクラウドサービスで提供されている認証の仕組みを導入し、将来的にゼロトラスト・アーキテクチャへの移行を視野に入れながら検討を進めている。
    • 一方で、メリット、デメリットを検討した結果、ゼロトラスト・アーキテクチャは当面導入しないと判断している金融機関もある。その理由は、現状実現したいことは既存IT環境で対応可能であること、ゼロトラストに関するソリューションが発展途上であること、導入コストが高いことなどである。その場合でも、ゼロトラストの原則を参考にして、認証の強化、内部通信の暗号化、通信のモニタリング強化など、内部対策の強化に取り組んでいる。
    • また、まだ調査や検討に着手できていない金融機関もある。検討が進んでいない理由として、ゼロトラストの検討以前に、自社の脆弱性対策やアクセス管理等の対策が十分にできていないのではないかと感じ、まずは基本的な対策について考え直していることを挙げている金融機関もあった。
  • 金融機関におけるゼロトラスト・アーキテクチャ導入状況
    • 本調査では、リモート端末とクラウドサービスを対象にゼロトラスト・アーキテクチャを導入している国内金融機関が確認できた。その事例では、接続元ネットワークの位置情報やデバイスのパッチ適用状況やマルウェア検知情報を取り入れた認証・認可をクラウド上で実現している。ただし、NIST SP800-207の原則にあるような多様な情報を含めた動的ポリシーを用いての認証・認可や、ログの監視・分析と通信の遮断・制限までは実現できておらず、今後段階的に取り組んでいく状況である。
    • NIST SP800-207で示されているゼロトラスト・アーキテクチャを完全に実装できている事例は金融以外の国内の一般企業でも少なく、既存のITシステムやデータを多く保有する企業が完全なゼロトラスト・アーキテクチャに移行することは容易ではないと言える。
  • 海外金融機関の取り組み状況
    • 本調査では、NIST SP800-207の原則で示されているような、多様な情報で構成された動的ポリシーに基づいたアクセスの認証・認可を実現している事例は、海外金融機関でも確認できなかった。また、グローバルで事業を展開している海外金融機関からは、ITシステムやネットワークが複数の国に跨っているため、現状では移行への障壁が大きいとの意見があった。
    • したがって、海外金融機関も国内金融機関と同様にゼロトラストという考え方には強い興味をもっているものの、短期的にゼロトラスト・アーキテクチャへの移行は難しいと考えており、今後も情報収集や関連製品動向の分析などを進めながら、段階的に取り組みを検討していくというのが総体的な動向である。
    • 一方で、一部の海外金融機関では、ゼロトラスト・アーキテクチャの導入事例も見られた。導入の背景は、日本と同様、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応として、リモートワーク環境の整備ためにゼロトラストという考え方を採用したという事例である。具体的には、短期間で安全なリモートアクセスを実現するための手段として、クラウドサービス型のSDP(Software Defined Perimeter)をネットワークソリューションとして導入し、ゼロトラスト・アーキテクチャの取り組みの第一歩としている事例があった。
    • また逆の事例として、ゼロトラスト・アーキテクチャは当面導入しないと判断している海外金融機関も確認できた。ただし、当該海外金融機関は、以前から内部不正を重要なリスクと認識し、ITシステム面・運用面での内部不正対策に長年取り組んでいる。境界型セキュリティを採用しつつも、内部ネットワークとそれを利用するユーザーを暗黙に信頼するという考えではなく、以下のような対策の継続的な高度化を推進している事例であった。
      • ユーザーによるデータへのアクセス状況やデータの移動状況、ネットワークトラフィック状況等について、UEBA(User and Entity Behaviour Analytics)などの収集・解析ツールを駆使しながら監視し、不審な動きを24時間365日の体制で調査・対応する態勢を整備・運用している。
      • マルウェアのラテラルムーブメント(水平移動)を防ぐために内部ネットワークのセグメントの細分化を設計レベルで検討し実装する。
      • 最小権限の原則、Need to Knowの原則に従って個々のアプリケーションやデータへのアクセスを制限するとともに、必要に応じて多要素認証を採用している。
      • 内部ネットワークに利用されているひとつひとつのネットワークデバイスを堅牢な状態に維持する。
    • このような多層かつ高度な内部対策へも取り組んでいるといった背景もあり、当該金融機関は、現段階ではゼロトラスト・アーキテクチャへの移行は考えていなかった

金融庁 「ソーシャルボンド検討会議」(第4回)議事次第
▼資料2 ソーシャルボンドガイドライン(案)
  • ソーシャルボンドによる調達資金は、ソーシャルプロジェクトに充当されるべきである。ソーシャルプロジェクトとは、特定の社会的課題(social issue)の解決への貢献を目指すプロジェクトであって、かつ、当該プロジェクトにより、対象となる特定の人々に対してポジティブな社会的な効果をもたらすこと(ただし、当該効果は必ずしもこれらの人々だけにもたらされるものに限られない。)を目的とするものをいう。
  • 調達資金の充当先となる適格なソーシャルプロジェクトは、特定の社会的課題に対し、明確な社会的な効果17を有するべきである。当該社会的な効果は、発行体が評価すべきであり、可能な場合には定量化することが望ましい。
  • ソーシャルプロジェクトが対処する社会的課題とは、社会全体又は対象となる特定の人々の幸福(well-being)を脅かすものをいう。社会的課題は、その時々において変わり得るが、ソーシャルプロジェクトが対処する社会的課題は、当該社会において客観的に認識されている課題であるべきである。このため、社会的課題を把握するに当たっては、2015年9月の国連サミットにおいて採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」をはじめとする国際的な合意等を踏まえて、また、特に我が国の文脈においては「SDGs アクションプラン」18等を踏まえて検討することが考えられる。
  • 発行体は、社会的な持続可能性に関する自らの包括的な目標、戦略、方針等(中期経営計画、サステナビリティ戦略、CSR 戦略等)を踏まえた上で、対処する社会的課題及び具体的なソーシャルプロジェクトを特定することが望ましい
  • ソーシャルプロジェクトの定義は、セクターや地域によって異なり得る。ソーシャルプロジェクトの「事業区分」及び各事業区分に対応する事業の細目の例としては、付属書1に記載されるようなものが考えられる(あくまで例示であり、これらに限定されるものではない19。)。一つのソーシャルプロジェクトが、複数の「事業区分」にまたがる場合もある。
  • ソーシャルボンドの具体的な資金使途の例としては、付属書2に記載されるようなソーシャルプロジェクト(これらの事業に係る資産、投融資又は、研究開発費、人材教育費、モニタリング費用のような関連費用若しくは又は付随費用を含む。)が考えられる(あくまで例示であり、これらに限定されるものではない。)。付属書2は、SDGs アクションプラン等を踏まえて社会的課題として想定されるもの(あくまで例示である。)、及び国内外における民間企業等によるソーシャルボンドの発行事例等を勘案して、具体的なプロジェクトの例を示したものである。
  • ソーシャルプロジェクトによりポジティブな社会的な効果が期待される「対象となる人々」の定義は、地域の文脈によって異なり得る。その例としては、付属書1に記載されるような人々が考えられる(あくまで例示であり、これらに限定されるものではない。)。 なお、ソーシャルプロジェクトが一定の社会全体が直面する課題を対象とする場合など、その性質によっては、対象となる人々として「一般の大衆(general public)」が想定される場合があり得るが、その場合においても、一般の大衆のうち、当該プロジェクトによって特に裨益する人々のセグメントを特定することが望ましい。
  • ソーシャルプロジェクトが、本来想定されるポジティブな社会的な効果とは別に、付随的に、環境・社会に対しネガティブな効果をもたらす場合がある。「明確な社会的な効果を有するソーシャルプロジェクト」とは、そのようなネガティブな効果が本来想定されるポジティブな社会的な効果に比べ過大にならないと発行体が評価するプロジェクトである。
  • 調達資金の使途は、目論見書などの法定書類その他の書類によって投資家に事前に説明されるべきである。
  • 調達資金の使途の投資家への説明は、投資家その他の市場関係者が資金使途の適切性を評価できるようにするため、ソーシャルプロジェクトの「事業区分」及び「対象となる人々」を示して行うべきである23。「事業区分」の細目、事業の詳細や「対象となる人々」をターゲットとする理由を説明することが望ましい。
  • 調達資金の使途となる個別のソーシャルプロジェクトが具体的に確定している場合には、当該ソーシャルプロジェクトを明示して行うことが望ましい。
  • ソーシャルプロジェクトが、本来想定されるポジティブな社会的な効果とは別に、付随的に、環境・社会に対しネガティブな効果を持つ場合には、投資家その他の市場関係者がその効果を適切に評価できるよう、発行体は、そのネガティブな効果の評価や、対応の考え方等も併せて説明すべきである。
  • ソーシャルボンドにより調達される資金は、当該資金により新たに立ち上げるソーシャルプロジェクトに対する初期投資のほか、既に開始されているソーシャルプロジェクトのリファイナンスに充当することも可能である。リファイナンスとして調達される資金は、既に開始されているソーシャルプロジェクトの維持という効果を持つ一方で、当該ソーシャルプロジェクト自体はリファイナンス実施前に開始されていることになるため、新規のソーシャルプロジェクトへの初期投資とは社会的な意義が異なり得る。
  • これを踏まえ、ソーシャルボンドにより調達される資金のうちリファイナンスに充当される部分の概算額(又は割合)及びどのソーシャルプロジェクト(又は事業区分)のリファイナンスに充当されるのかについては、投資家向けの説明に含めることが望ましい。また、リファイナンスに充当される場合は、その対象となるソーシャルプロジェクトについて、ルックバック期間(既に開始されているプロジェクトについて、リファイナンスを充当する対象期間をいう。)を示すことが望ましい。なお、調達資金のうち(リファイナンスでなく)新規のソーシャルプロジェクトに対する初期投資に充当する部分が大きい場合には、当該初期投資に充当する資金の概算額(又は割合)を明らかにすることにより、当該ソーシャルボンドの評価の向上につながる可能性がある。長期にわたり維持が必要である資産について、複数回のソーシャルボンドの発行を通じてリファイナンスを行う場合は、発行時点において、その資産の経過年数、残存耐用年数やリファイナンスされる額を明確に開示し、社会的な効果の持続性について評価し、必要に応じて外部機関による評価を受け確認するべきである。
  • 投資家に望まれる事項
    • ソーシャルボンドの特徴は、調達資金の使途をポジティブな社会的な効果を生み出すソーシャルプロジェクトに限定する点にある。どのようなソーシャルプロジェクトが考えられるかについて、本ガイドラインでは具体的な資金使途の例を付属書2で示しているが、あくまでも国内外の発行事例等を踏まえた例示であり、その時々の社会の状況も踏まえて、企業の創造性やイノベーション等により多様なソーシャルプロジェクトが実施されると考えられる。発行体により、ソーシャルプロジェクトが目指す社会的な効果の適切な開示がなされることを前提に、最終的な判断はソーシャルボンドへの投資を決める個々の投資家の判断に委ねられる。したがってソーシャルボンド市場が健全に発展するためには、投資家の役割が極めて重要となる。
    • このことを踏まえ、投資家は、ソーシャルボンドに関する投資判断に当たり、当該ソーシャルボンドの資金使途となるプロジェクトの社会的な効果について、適切に見極めることが望まれる。個々のプロジェクトの置かれた環境、ネガティブな効果の有無及びその影響、ソーシャルボンドを取り巻く国際的な動向等を踏まえて、個別具体的に行われることが望ましい。また、外部レビューが付されている場合には、外部レビューの結果に係る文書を十分に吟味すると同時に、外部レビューのみに依拠することなく、最終的な投資判断は投資家自身が当該ソーシャルボンドを適切に評価した上でなされることが望まれる。さらに、ソーシャルボンドへの投資後も、投資先による調達資金の管理の実態、実現した社会的な効果、状況の変化の有無等について、適切にモニタリングすることが望まれる。加えて、2020年3 月に改訂された「日本版スチュワードシップ・コード」において、スチュワードシップ責任として「運用戦略に応じたサステナビリティ(ESG 要素を含む中長期的な持続可能性)の考慮」が求められることとなったこと、また、同コードが債券を含む他の資産に投資を行う場合にも適用可能とされたことを踏まえ、ソーシャルボンドへの投資を行う機関投資家は、必要に応じ、投資先である企業との建設的なエンゲージメントを行うことが望まれる。
    • 以上のことが可能となるためには、投資家が適切な判断をし得るだけの実力を備えていることが必要となる。そのため、投資家は、持続可能な発展に関する高い見識を持つとともに、ソーシャルプロジェクトについての知見を蓄積し、ソーシャルボンドを取り巻く国際的な動向にも十分注意することが望まれる。
    • 上記は、ESG 投資を行う機関投資家等において社会的な支持を獲得する上でも必要であり、ひいてはソーシャルボンド市場の健全な発展、持続可能な社会の形成にも資すると考えられる

【財務省】

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【警察庁】

【2021年9月】

警察庁 令和3年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
  • 情勢概況
    • サイバー空間が重要な社会経済活動を営む重要かつ公共性の高い場へと変貌を遂げつつある中、ランサムウェアによる被害が大幅に増加しているほか、サイバー攻撃が多数発生するなど、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢が続いている。
  • サイバー空間の脅威情勢
    1. 国内外で、ランサムウェアによる攻撃が多発。
      • 二重恐喝(ダブルエクストーション)の攻撃手口の拡散や産業制御システムに影響を及ぼしうるマルウェアを確認。
      • 被害企業へのアンケート結果によると、国内における被害も深刻化の傾向。
    2. サイバー攻撃による情報流出事案が引き続き多発。国内の政府機関や研究機関等で被害が発生。
    3. 警察庁が国内で検知したサイバー空間における探索行為等とみられるアクセスの件数は引き続き高い水準。
    4. インターネットバンキングに係る不正送金事犯は、発生件数が減少したものの、被害額は微減にとどまり引き続き高い水準。
  • 警察における取組
    1. 宇宙航空研究開発機構(JAXA)等に対するサイバー攻撃事案について、事件捜査等を通じたアトリビューションにより、国家レベルの関与を解明。
    2. 犯罪インフラ化するSMS認証代行に関し、総務省と連携して業界団体へ本人確認の強化を要請。
    3. 重要インフラ事業者等とサイバー攻撃の発生を想定した共同対処訓練を実施したほか、サイバー攻撃事案で使用されたC2サーバのテイクダウン(機能停止)を実施。
    4. JC3と連携し、国内の金融機関等やワクチン接種予約を装ったフィッシングについて、注意喚起を実施
  • ランサムウェアによる攻撃については、国内外で二重恐喝(ダブルエクストーション)の攻撃手口の拡散や産業制御システムに影響を及ぼしうるマルウェアも引き続き確認されている。警察庁に報告された国内のランサムウェアによる被害件数は、前年下半期と比較して大幅に増加している。被害企業・団体等に対して警察が実施したアンケート調査の結果によると、被害の発覚後システム等の復旧までに相当の期間・費用を要している実態が認められるなど、その被害が深刻化している状況がうかがわれる。国外においても、5月に米国の石油パイプライン事業者最大手のシステムがランサムウェアに感染し、同社が運営する全てのパイプラインの操業が停止するなど、市民生活や広範な産業活動に影響を及ぼす事案等も発生している。
  • このほか、サイバー攻撃により情報が窃取される事案も引き続き多発している。国内においても政府機関や研究機関等が外部からの不正アクセスを受け、職員の個人情報等が流出した可能性がある事案が相次いで確認されたほか、警察庁が国内で検知した、サイバー攻撃の対象をインターネット上で探索する行為等とみられるアクセスの件数についても、継続して高水準で推移している。
  • また、警察では、4月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)をはじめとする国内企業等へのサイバー攻撃を実行した集団の背景に、中国人民解放軍第61419部隊が関与している可能性が高いと結論付けるに至った。本事案を通じて、警察では、独自の実態解明や外国治安情報機関との緊密な連携により、サイバー攻撃への国家レベルの関与を明らかにするとともに、警察の全国ネットワークを駆使し、迅速な被害の未然・拡大防止を図った。
  • インターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数・被害額は、ともに前年同期と比較して減少したものの、被害額の減少幅は小さく、引き続き大きな被害が発生している。これらの被害の多くは、金融機関や宅配業者を装ったSMSや電子メールを用いてフィッシングサイトへ誘導する手口によるものと考えられるが、インターネット上に情報を保存するメモアプリ等が不正アクセスされ、保存していたパスワード等の情報を窃取されたと思われるケースも確認されている。
  • サービス利用時の本人確認として広く用いられているSMS認証を不正に代行する「SMS認証代行」が確認されているが、これは、サイバー空間における本人確認の手段として広く用いられるSMS認証の信頼性を貶める悪質な行為であるとともに、特殊詐欺等に必要な犯行ツールを提供する犯罪インフラにもなっている。
  • このように、引き続きサイバー空間における脅威が極めて深刻である中、警察庁では、サイバー事案への対処能力を強化し、諸外国と連携した脅威への対処を推進するなどの観点から、令和4年度に警察庁にサイバー局を設置するとともに、一定のサイバー事案について直接捜査を行うサイバー隊を設置する組織改正を検討している
  • 企業・団体等におけるランサムウェア被害の実態(50件の回答)
    • 復旧に要した期間について質問したところ、44件の有効な回答があり、このうち、1週間以内に復旧したものが19件と最も多かったが、復旧に2か月以上要したものもあった。また、ランサムウェア被害に関連して要した調査・復旧費用の総額について質問したところ、39件の有効な回答があり、このうち、1,000万円以上の費用を要したものが15件で、全体の39%を占めている。
    • ランサムウェアの感染経路について質問したところ、31件の有効な回答があり、このうち、VPN機器からの侵入が17件で全体の55%を占め、次いで、リモートデスクトップからの侵入が7件で全体の23%を占めており、テレワーク等の普及を利用して侵入したと考えられるものが全体の8割近くを占めている。
    • 警察では、ダークウェブ上のサイトを分析しており、令和3年上半期において、ランサムウェアによって流出した情報等を掲載しているリークサイトに、日本国内の事業者等の情報が掲載されたことを確認した。掲載されている情報には、財務情報や関係者、消費者等の情報が含まれ、会社の評判を落とすなどといった記載がある。
  • 国外の事例
    1. 米国司法省による北朝鮮ハッカーの起訴
      • 2月、米国司法省は、過去のサイバー攻撃事案に関与したとして、サイバー攻撃集団「Lazarus」に所属する北朝鮮ハッカー3名を起訴したと発表した。起訴内容には、2014年の米国ソニー・ピクチャーズ・エンターテインメントに対するシステム破壊を伴うサイバー攻撃、2015年から2019年にかけて実行されたバングラデシュ中央銀行等に対する金銭窃取を目的としたサイバー攻撃、2017年に世界各国の政府機関、病院、銀行、企業等に被害を発生させたランサムウェア「Wannacry」を用いたサイバー攻撃等が含まれている。
    2. SolarWinds社製ソフトウェアのぜい弱性を利用したサイバー攻撃等に対する制裁
      • 4月、米国は、同国の大手ソフトウェア開発企業SolarWinds社製ソフトウェアのぜい弱性を利用したサイバー攻撃等に関連して、対ロシア制裁を発動する大統領令を発出した。外交官10名の追放、32の団体・個人への制裁対象追加等の措置が発動された。また、当該サイバー攻撃は、ロシア対外情報庁(SVR)を背景とするサイバー攻撃集団「APT29」が実行したと断定している。
    3. 米国石油パイプラインの操業停止
      • 5月、米国石油パイプライン事業者最大手のコロニアル・パイプラインのシステムがランサムウェアに感染したことにより、同社が管理する全てのパイプラインの操業が停止した。これを受けて、米国政府は、当該攻撃がロシアのハッカー集団「DarkSide」によるものであると断定した上、サイバーセキュリティ強化のための大統領令を発出した。
  • 犯罪インフラ化するSMS認証代行に係る対策
    1. SMS認証代行の検挙
      • 専門学校生の男は、令和元年9月、IP電話アプリのアカウント作成に必要な電話番号及びSMS認証コードを他人に譲渡し、アカウントを不正に作出させ、利用者本人の情報が登録されていないアプリを利用可能にした。令和2年7月、男を私電磁的記録不正作出・同供用で検挙した。
    2. 関係団体に対する要請等
      • サービス利用時の本人確認として広く用いられているSMS認証を不正に代行し、第三者に不正にアカウントを取得させる事例が確認されたことから、総務省と連携して、一般社団法人テレコムサービス協会MVNO委員会に対し、契約時の確実な本人確認を要請した。同要請を受け、加盟事業者の自主的な取組として、SMS機能付きデータ通信契約に係る本人確認実施が申し合わされた。また、警察庁では、都道府県警察に対し、SMS認証代行を含む犯罪インフラに関し、法令に違反する悪質事業者に対する取締りの強化を指示した。

警察庁 令和3年7月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和3年1月~7月の特殊詐欺全体の認知件数は8,031件(前年同期7,948件、前年同期比+1.0%)、被害総額は152.2億円(156.4億円、▲2.7%)、検挙件数は3,487件(4,089件、▲14.7%)、検挙人員は1,274人(1,373人、▲7.2%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は1,663件(1,214件、+37.0%)、被害総額は461.2億円(360.0憶円、+28.1%)、検挙件数は738件(1,157件、▲36.1%)、検挙人員は395人(337人、+17.2%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は1,520件(2,518件、▲40.0%)、被害総額は19.0億円(33.3憶円、▲42.9%)、検挙件数は1,272件(641件、+98.4%)、検挙人員は418人(454人、▲7.9%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は1,174件(1,088件、+7.9%)、被害総額は38.7億円(39.5憶円、▲2.00%)、検挙件数は147件(352件、▲58.2%)、検挙人員は75人(84人、▲10.7%)
  • 還付金詐欺の認知件数は2,116件(876件、+141.5%)、被害総額は23.8億円(12.5憶円、+90.4%)、検挙件数は284件(262件、+8.4%)、検挙人員は55人(25人、+120.0%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は96件(207件、▲53.6%)、被害総額は1.7億円(2.3憶円、▲26.1%)、検挙件数は12件(96件、▲87.5%)、検挙人員は8人(34人、▲75.0%)
  • 金融商品詐欺の認知件数は18件(40件、▲55.0%)、被害総額は1.1億円(2.4憶円、53.3%)、検挙件数は7件(18件、▲61.1%)、検挙人員は11人(19人、▲42.1%)
  • ギャンブル詐欺の認知件数は38件(63件、▲39.7%)、被害総額は1.2億円(1.1憶円、+8.8%)、検挙件数は3件(23件、▲87.0%)、検挙人員は3人(6人、▲50.0%)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は1,384件(1,922件、▲28.0%)、被害総額は20.2億円(28.6憶円、▲29.4%)、検挙件数は1,012件(1,528件、▲33.8%)、検挙人員は303人(409人、▲25.9%)
  • 口座開設詐欺の検挙件数は391件(376件、+4.0%)、検挙人員は223人(251人、▲11.2%)、盗品等譲受け等の検挙件数は1件(2件、▲50.0%)、検挙人員は0人(1人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,263件(1,469件、▲14.0%)、検挙人員は1,008人(1,205人、16.3%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は102件(126件、19.0%)、検挙人員は83人(110人、▲24.5%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は13件(18件、▲27.8%)、検挙人員は7人(16人、▲56.3%)、組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は90件(57件、+57.9%)、検挙人員は31人(13人、+138.5%)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では60歳以上91.7%、70歳以上74.7%、男性26.2%:女性73.8%、オレオレ詐欺では60歳以上97.3%、70歳以上94.4%、男性19.1%:女性80.9%、融資保証金詐欺では60歳以上26.2%、70歳以上14.3%、男性76.2%:女性23.8%、特殊詐欺被害者全体に占める高齢被害者(65歳以上)の割合は、特殊詐欺全体では88.3%(男性23.1%:女性76.9%)、オレオレ詐欺96.6%(18.7%:81.3%)、預貯金詐欺98.6%(17.2%:82.8%)、架空料金請求詐欺47.9%(53.0%:47.0%)、還付金詐欺94.8%(24.8%:75.2%)、融資保証金詐欺17.9%(80.0%:20.0%)、金融商品詐欺55.6%(30.0%:70.0%)、ギャンブル詐欺31.6%(66.7%:33.3%)、キャッシュカード詐欺盗98.0%(18.9%:81.1%)

【2021年8月】

警察庁 犯罪統計資料(令和3年1~7月分)
  • 令和3年1~7月の刑法犯総数について、認知件数325,389件(前年同期357,190件、前年同期比▲8.9%)、検挙件数は150,248件(158,991件、▲5.5%)、検挙率は46.2%(44.5%、+1.7P)
  • 戦闘班の認知件数は218,220件(244,109件、▲10.6%)、検挙件数は92,105件(98,649件、▲6.6%)、検挙率は42.2%(40.4%、+1.8P)
  • 万引きの認知件数は51,467件(50,259件、+2.4%)、検挙件数は37,101件(36,527件、+1.6%)、検挙率は72.1%(72.7%、▲0.6%)
  • 知能犯の認知件数は20,085件(19,085件、+5.2%)、検挙件数は10,418件(9,790件、+6.4%)、検挙率は51.9%(51.3%、+0.6P)
  • 詐欺の認知件数は18,277件(17,052件、+7.2%)、検挙件数は8,936件(8,273件、+8.0%)、検挙率は48.9%(48.5%、+0.4P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は39,632件(39,001件、+1.6%)、検挙人員は32,609件(32,957件、▲1.1%)
  • 入管法違反の検挙件数は2,933件(3,753件、▲21.8%)、検挙人員は2,122人(2,676人、▲20.7%)、軽犯罪法違反の検挙件数は4,717件(4,494件、+5.0%)、検挙人員は4,1717人(4,459人、+5.8%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,346件(1,577件、▲14.6%)、検挙人員は1,111人(1,295人、▲14.2%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は169件(248件、▲31.9%)、検挙人員は64人(63人、+1.6%)、不正競争防止法違反の検挙件数は44件(38件、+15.8%)、検挙人員は44人(47人、▲6.4%)、銃刀法違反の検挙件数は2,865件(2,932件、▲2.3%)、検挙人員は2,460人(2,592人、▲5.1%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は460件(515件、▲10.7%)、検挙人員は267人(261人、+2.3%)、大麻取締法違反の検挙件数は3,691件(3,123件、+18.2%)、検挙人員は2,922人(2,623人、+11.4%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は6,281件(6,344件、▲1.0%)、検挙人員は4,222人(4,411人、▲4.3%)、廃棄物処理法違反の検挙件数は3,695件(3,497件、+5.7%)、検挙人員は4,019人(3,872人、+3.8%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数343件(311人、+10.3%)、ベトナム120人(53人、+126.4%)、中国54人(52人、+3.8%)、フィリピン23人(12人、+91.7%)、ブラジル21人(35人、▲40.0%)、韓国・朝鮮9人(19人、▲52.6%)、インド9人(12人、▲25.0%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は6,528件(6,834件、▲4.2%)、検挙人員総数は3,661人(4,068人、▲10.0%)
  • 暴行の検挙件数は403件(518件、▲22.2%)、検挙人員は377人(489人、▲22.9%)、傷害の検挙件数は627件(799件、▲21.5%)、検挙人員は762人(920人、▲17.2%)、脅迫の検挙件数は208件(240件、▲13.3%)、検挙人員は200人(224人、▲10.7%)、恐喝の検挙件数は220件(229件、▲3.9%)、検挙人員は262人(288人、▲9.0%)、窃盗の検挙件数は3,225件(3,174件、+1.6%)、検挙人員は524人(644人、▲18.6%)、詐欺の検挙件数は902件(856件、+5.4%)、検挙人員は745人(605人、+23.1%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は3,899件(4,340件、▲10.2%)、検挙人員総数は2,611人(3,189人、▲18.1%)
  • 暴力団排除条例違反の検挙件数は20件(33件、▲39.4%)、検挙人員は54人(84人、▲35.7%)、銃刀法違反の検挙件数は60件(89件、▲32.6%)、検挙人員は45人(72人、▲37.5%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は78件(94件、▲17.0%)、検挙人員は21人(29人、▲27.6%)、大麻取締法違反の検挙件数は662件(614件、+7.8%)、検挙人員は409人(426人、▲4.0%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は2,520件(2,828件、▲10.9%)、検挙人員は1,632人(1,945人、▲16.1%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は72件(65件、+10.8%)、検挙人員は48人(51人、▲5.9%)

警察庁 令和3年6月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和3年1月~6月における特殊詐欺全体の認知件数は6,840件(前年同期6,877件、前年同期比▲0.1%)、被害総額は128.8億円(132.9憶円、▲3.1%)、検挙件数は3,028件(3,466件、▲12.6%)、検挙人員は1,102人(1,174人、▲6.1%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は1,418件(1,045件、+35.7%)、被害総額は39.1億円(31.2憶円、+225.3%)、検挙件数は637件(1,013件、▲37.1%)、検挙人員は326人(288人、+13.2%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は1,379件(2,153件、▲35.9%)、被害総額は17.7億円(27.5憶円、▲35.6%)、検挙件数は1,123件(483件、+132.5%)、検挙人員は370人(387人、▲4.4%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は987件(899件、+9.8%)、被害総額は32.0憶円(32.3憶円、▲1.0%)、検挙件数は128件(315件、▲59.4%)、検挙人員は63人(75人、▲16.0%)
  • 還付金詐欺の認知件数は1,733件(763件、+127.2%)、被害総額は19.7億円(10.4憶円、+89.4%)、検挙件数は243件(244件、▲0.4%)、検挙人員は51人(23人、+121.7%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は85件(193件、▲56.0%)、被害総額は1.3億円(2.1憶円、▲38.1%)、検挙件数は11件(86件、▲87.2%)、検挙人員は8人(26人、▲69.2%)
  • 金融商品詐欺の認知件数は18件(35件、▲48.5%)、被害総額は1.1億円(2.0憶円、▲50.0%)、検挙件数は7件(15件、▲53.3%)、検挙人員は8人(14人、▲57.1%)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は1,164件(1,719件、▲32.3%)、被害総額は16.6億円(26.0憶円、▲36.2%)、検挙件数は868件(1,278件、▲32.1%)、検挙人員は269人(351人、▲23.4%)
  • 口座開設詐欺の検挙件数は342件(340件、+0.6%)、検挙人員は194人(222人、▲12.6%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,061件(1,237件、▲14.2%)、検挙人員は830人(1,021人、▲18.7%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は91件(111件、▲18.0%)、検挙人員は72人(94人、▲23.4%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は11件(14件、▲21.4%)、検挙人員は6人(12人、▲50.0%)、組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は63件(46件、+37.0%)、検挙人員は14人(13人、+7.7%)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では、男性:女性=26.5%:73.5%、60歳以上91.5%、70歳以上75.4%、オレオレ詐欺では、男性:女性=19.3%:80.7%、60歳以上97.2%、70歳以上94.6%、融資保証金詐欺では、男性:女性=75.0%:25.0%、60歳以上25.0%、70歳以上11.8%、特殊詐欺被害者全体に占める高齢(65歳以上)被害者の割合について、オレオレ詐欺96.6%(男性18.9%、女性81.1%)、預貯金詐欺98.6%(17.3%、82.7%)、架空料金請求詐欺47.1%(54.6%、45.4%)、還付金詐欺95.0%(25.1%、74.9%)、融資保証金詐欺15.8%(75.0%、25.0%)、金融商品詐欺55.6%(30.0%、70.0%)、ギャンブル詐欺29.7%(72.7%、27.3%)、その他の特殊詐欺33.3%(25.0%、75.0%)、キャッシュカード詐欺盗98.2%(19.3%、80.7%)

警察庁 令和3年上半期における刑法犯認知・検挙状況について【暫定値】
  • 主な特徴点
    1. 認知状況
      • 令和3年上半期における刑法犯認知件数は27万7,300件で、年間の認知件数が戦後最少であった令和2年(61万4,231件)の上半期(30万7,470件)を更に下回った(前年同期比で9.8%減少。)。他方、重要犯罪の認知件数は前年同期比で2.0%の増加となった。
      • 刑法犯認知件数のうち、特に、街頭犯罪及び侵入犯罪の認知件数が大きく減少しており、前年同期比でそれぞれ16.7%、21.8%減少した。
      • 包括罪種別に見ると、刑法犯認知件数の約7割を占める窃盗犯の認知件数が大きく減少しており、前年同期比で12.0%減少した(このうち、重要窃盗犯の認知件数は前年同期比で23.3%減少。)。
    2. 検挙状況
      • 令和3年上半期における刑法犯の検挙率は46.5%、重要犯罪の検挙率は91.0%、重要窃盗犯の検挙率は74.5%であった。
      • 刑法犯、重要犯罪及び重要窃盗犯の検挙率はいずれも平成10年代半ば以降上昇傾向にあるが、本年上半期は、重要犯罪の検挙率のみ前年同期比で1.0ポイント下落している。
  • 令和3年上半期における人口千人当たりの刑法犯の認知件数は2.2件となり、戦後最少であった令和2年(年間4.9件)の上半期(2.4件)を更に下回った。
  • 令和3年上半期における街頭犯罪の認知件数は8万2,904件となり、前年同期比で16.7%減少した(侵入犯罪の認知件数は2万3,571件となり、前年同期比で21.8%減少、街頭犯罪及び侵入犯罪以外の認知件数は17万825件となり、前年同期比で3.9%減少した。)。
  • 令和3年上半期における月別の街頭犯罪認知件数を見ると、1~3月が対前年同期比でそれぞれ35.1%減少、27.3%減少、23.4%減少となっており、昨年4月以降の減少傾向が引き続いている様子が伺える。
  • 令和3年上半期における重要犯罪の認知件数は4,277件と、前年同期比で2.0%増加した。
  • 令和3年上半期の重要犯罪の認知件数を罪種別にみると、略取誘拐が196件、強制性交等が682件、強制わいせつが1,994件となり、前年同期比でそれぞれ24.8%、7.9%、9.7%増加した。
  • 刑法犯認知件数の約7割を占める窃盗犯について、令和3年上半期の認知件数は18万5,956件と、前年同期比で12.0%減少しており、近年の減少傾向が継続している。重要窃盗犯についても同様の傾向がみられ、上半期の認知件数は2万1,881件と、前年同期比で23.3%減少した。
  • 令和3年上半期における刑法犯検挙件数は12万8,979件、検挙人員は8万5,126人で、ともに令和2年の上半期(13万6,451件、8万8,336人)を下回った(それぞれ前年同期比で5.5%、3.6%減少)。少年の検挙人員は7,094人で、検挙人員全体の8.3%となった(令和2年上半期は全体の10.2%)。
  • 令和3年上半期における検挙率は、前年同時期より2.1ポイント上昇し、46.5%となった。刑法犯の検挙率は平成10年代半ば以降上昇傾向にある。重要犯罪の検挙率、重要窃盗の検挙率も同様の上昇傾向にあったが、令和3年上半期における重要犯罪の検挙率は前年同時期より1.0ポイント下落し、91.0%となった。

警察庁 犯罪統計資料(令和3年1~6月分)
  • 令和3年1~6月における刑法犯総数について、認知件数は277,300件(前年同期307,400件、前年同期比▲9.8%)、検挙件数は128,979件(136,451件、▲5.5%)、検挙率は46.5%(44.4%、+2.1P)
  • 窃盗犯の認知件数は185,956件(211,326件、▲12.0%)、検挙件数は79,283件(85,333件、▲7.1%)、検挙率は42.6%(40.4%、+2.2P)
  • 万引きの認知件数は44,711件(43,044件、+3.9%)、検挙件数は31,824件(31,683件、+0.4%)、検挙率は71.2%(73.6%、▲2.4P)
  • 知能犯の認知件数は17,111件(16,314件、+4.9%)、検挙件数は8,861件(8,414件、+5.3%)、検挙率は51.8%(51.6%、+0.2P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は33,725件(32,630件、+3.4%)、検挙人員は27,823人(27,621人、+0.7%)
  • 入管法違反の検挙件数は2,564件(3,092件、▲17.1%)、検挙人員は1,872人(2,234人、▲16.2%)、軽犯罪法違反の検挙件数は3,994件(3,092件、+9.3%)、検挙人員は3,989人(3,602人、+10.7%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は3,887件(3,428件、+13.4%)、検挙人員は3,065人(2,885人、+6.2%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,148件(1,327件、▲13.5%)、検挙人員は936人(1,096人、▲14.6%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は146件(235件、▲37.9%)、検挙人員は53人(56人、▲5.4%)、不正競争防止法違反の検挙件数は41件(33件、+24.2%)、検挙人員は42人(41人、+2.4%)、銃刀法違反の検挙件数は2,411件(2,473件、▲2.5%)、検挙人員は2,108人(2,174人、▲3.0%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は385件(413件、▲6.8%)、検挙人員は229人(209人、+9.6%)、大麻取締法違反の検挙件数は3,139件(2,598件、+20.8%)、検挙人員は2,493人(2,200人、+13.3%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は5,372件(5,321件、+1.0%)、検挙人員は3,590人(3,712人、▲3.3%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数290人(262人、+10.7%)、ベトナム100人(37人、+170.3%)、中国45人(48人、▲6.3%)、フィリピン18人(12人、+50.0%)、ブラジル17人(32人、▲46.9%)、インド9人(10人、▲10.0%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は5,469件(5,777件、▲5.3%)、検挙人員は3,068人(3,401人、▲9.2%)、暴行の検挙件数は345件(440件、▲21.6%)、検挙人員は321人(410人、▲21.7%)、傷害の検挙件数は532件(679件、▲21.6%)、検挙人員は638人(769人、▲17.0%)、脅迫の検挙件数は160件(198件、▲19.2%)、検挙人員は157人(177人、▲11.3%)、恐喝の検挙件数は189件(187件、+1.1%)、検挙人員は221人(227人、▲2.6%)、窃盗犯の認知件数は2,695件(2,663件、+1.2%)、検挙人員は462人(539人、▲14.3%)、詐欺の検挙件数は739件(753件、▲7.3%)、検挙人員は615人(532人、+15.6%)、賭博の検挙件数は16件(26件、▲38.5%)、検挙人員は67人(92人、▲32.3%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は3,283件(3,600件、▲8.8%)、検挙人員は2,172人(2,658人、▲18.3%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は19件(29件、▲34.5%)、検挙人員は50人(80人、▲37.5%)、銃刀法違反の検挙件数は43件(72件、▲40.3%)、検挙人員は32人(57人、▲43.9%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は65件(77件、▲15.6%)、検挙人員は19人(23人、▲17.4%)、大麻取締法違反の検挙件数は554件(519件、+6.7%)、検挙人員は333人(363人、▲8.3%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は2,146件(2,354件、▲8.8%)、検挙人員は1,371人(1,634人、▲21.6%)、16.1%)

【2021年7月】

警察庁 令和3年警察白書
▼概要版
  • 今後の大規模災害を見据えた更なる取組の強化
    1. 全国警察の機動的展開能力の向上
      • 全国の警察力を被災地へ迅速に展開し、救出救助活動を行うための取組を強化するため、令和3年2月、警察用航空機を災害対応における警察機動力の中核として位置付け、機動隊を中心とする救出救助部隊との連携の下、その能力を最大限発揮させることを目的とした制度改正を行った。あわせて、全国警察の航空隊を警備部門に移管し、災害対処等における指揮系統を統合することにより、救出救助部隊との連携強化や災害発生時を想定した訓練の充実をより一層推進することとした。
    2. ICT等先端技術の活用による部隊指揮・運用能力等の向上
      • 警察では、ICTをはじめとする先端技術を最大限活用し、部隊指揮・運用を効率的に行うための取組を強化しており、例えば、警察用航空機にJAXAが開発した「災害救援航空機情報共有ネットワークシステム(D-NET)」システムを導入し、災害発生時に、警察用航空機に指示等を瞬時に伝達するなど、各部隊への任務付与を最適化している。
    3. 危機管理体制の不断の見直し
      • 警察では、これまで実施してきた災害対策のための取組を更に強化するだけではなく、災害や防災に関する新たな知見を踏まえ、これまでの取組を不断に見直していくほか、災害に関する危機管理体制の点検及び構築を日頃から継続的に推進していくことで、今後発生が懸念されるあらゆる大規模災害を見据え、災害対処能力を一層向上していくこととしている。
  • サイバー空間の脅威をめぐる情勢
    • 近年、サイバー犯罪・サイバー攻撃はその手口を深刻化・巧妙化させつつ多数発生しており、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢となっている。
  • サイバー犯罪の情勢
    • 令和2年(2020年)中のサイバー犯罪の情勢
      • 令和2年中の警察によるサイバー犯罪の検挙件数は、過去最多となった。また、インターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数・被害額も、引き続き高水準で推移している。これらの被害の多くは、金融機関を装ったフィッシングによるものと考えられる。このほか、スマートフォン決済サービスの不正振替事案や、いわゆる「SMS認証代行」(注)を用いて不正にアカウントを取得させる事案が確認されている。
    • 新型コロナウイルス感染症に関連するサイバー
      • 新型コロナウイルス感染症に関連するサイバー犯罪であると疑われる事案として、令和2年中に都道府県警察から警察庁に報告のあった件数は887件であった。
    • サイバー犯罪の検挙状況
      • 令和2年中の不正アクセス禁止法違反の検挙件数は609件と、前年より207件(25.4%)減少し、コンピュータ・電磁的記録対象犯罪の検挙件数は563件と、前年より127件(29.1%)増加した。サイバー犯罪の検挙件数は増加傾向にあり、令和2年中は9,875件と、前年より356件(3.7%)増加した。
    • インターネットバンキングに係る不正送金事犯の状況
      • 令和2年におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯の被害額は前年に比べて大幅に減少したものの、発生件数はやや減少という状況であり、引き続き高水準で推移している。その被害の多くは、フィッシングによるものと考えられるが、コンピュータ等に感染した不正プログラム「Emotet」が、インターネットバンキングの情報窃取等を目的とした別の不正プログラムを、感染した端末にダウンロードし、ID・パスワード等を窃取したと疑われるものが確認されている。
    • キャッシュレス決済サービスをめぐるサイバー犯罪の状況
      • キャッシュレス決済の普及が進む中、スマートフォン決済サービスと銀行口座の連携時における本人確認方法のぜい弱性を悪用した事例や、サービス利用時の本人認証として広く用いられているSMS認証を不正に代行し、第三者に不正にアカウントを取得させる事例等が発生している。
  • サイバー攻撃の情勢
    • サイバーテロやサイバーインテリジェンス(サイバーエスピオナージ)といったサイバー攻撃は世界的規模で発生しており、令和2年中は、ソフトウェアやシステムのぜい弱性を悪用した攻撃や、標的型メール攻撃を通じて不正プログラムに感染させるなどの事案が多数発生した。こうした事案の中には国家の関与が疑われるものもみられるなど、国内外でサイバー攻撃が激しさを増している。
    • また、警察庁が国内で検知した、サイバー空間における探索行為等とみられるアクセスの件数についても増加の一途を辿っており、サイバー攻撃の準備行為とみられる活動が広がりをみせている状況がうかがわれる。
      1. 新型コロナウイルス感染症に関連したサイバー攻撃の情勢
        • 新型コロナウイルス感染症に関連した特徴的なサイバー攻撃としては、国内外で医療機関や研究機関等に対する攻撃が確認されている。
        • また、標的型メール攻撃についても、新型コロナウイルス感染症に関連しただまし文句を用いる事例が報告されているほか、テレワークに用いるオンライン会議システム等のぜい弱性を悪用したとみられる事例も確認されている。
        • 一部の事業者においては、十分なセキュリティ上の措置が講じられていないシステムや端末が用いられていたり、テレワーク等によりシステム監視の体制がぜい弱となり社内システムに対するサイバー攻撃被害への対応が遅れたりするなどの状況が生じているものとみられる。
      2. 警察のアトリビューションにより国家レベルの関与を明らかにしたサイバー攻撃事案
        • 中国共産党員の男(30代)は、平成28年9月から平成29年4月までの間、合計5回にわたり、住所、氏名等の情報を偽って日本のレンタルサーバの契約に必要な会員登録を行った。警視庁公安部は、令和3年4月、同男を私電磁的記録不正作出罪・同供用罪で検挙した。
        • 本事件の捜査を通じ、警察では、同男が不正に契約したレンタルサーバがJAXAに対するサイバー攻撃に悪用されたこと、同一の攻撃者が関与している可能性が高いサイバー攻撃が約200の国内企業等に対して実行されたことを把握し、被害企業等に対して個別に注意喚起を実施した。また、これらのサイバー攻撃がTickと呼ばれるサイバー攻撃集団によって実行されたものであり、このTickの背景組織として山東省青島市を拠点とする中国人民解放軍第61419部隊が関与している可能性が高いと結論付けるに至った。
  • サイバー犯罪への対策
    1. 不正アクセス対策
      • 警察では、不正アクセス行為の犯行手口の分析に基づき、関係機関等とも連携し、広報啓発等の不正アクセスを防止するための取組を実施している。
    2. インターネットバンキングに係る不正送金事犯への対策
      • 警察では、手口が巧妙化しているインターネットバンキングに係る不正送金事犯に対し、早期の実態解明と必要な取締りを推進しているほか、効果的な広報啓発、ウイルス対策ソフト事業者等に対するフィッシングサイト情報の迅速な共有等を行っている。
    3. キャッシュレス決済サービスをめぐるサイバー犯罪への対策
      • 警察庁では、身に覚えのないスマートフォン決済サービスを通じて銀行口座から不正に出金される手口に関し、金融庁等と連携し、警察庁ウェブサイト等で被害防止のための注意喚起を実施したほか、金融機関等に対し、犯罪捜査の過程で判明した手口等について情報提供するとともに、それらを踏まえた被害防止対策の強化について要請した。
    4. インターネット上の違法情報・有害情報対策
      • 警察庁では、違法情報、自殺誘引等情報等に関する通報を受理し、サイト管理者への削除依頼等を行うインターネット・ホットラインセンター(IHC)を運用している。また、効率的な違法情報の取締り及び有害情報を端緒とした取締りを推進し、合理的な理由もなく違法情報の削除依頼に応じないサイト管理者については、検挙を含む積極的な措置を講じている。
    5. サイバー犯罪捜査における犯人の事後追跡上の課題
      • サイバー犯罪捜査における犯人の事後追跡可能性について調査したところ、右図のとおりであった。
      • こうした課題に対処するため、警察では、関係事業者等に対し、総務省の「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」を踏まえた通信履歴の適切な保存、適切な本人確認・認証等の実施を要請している。
    6. 日本サイバー犯罪対策センターとの連携
      • 警察では、捜査関連情報等を一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター(JC3)において共有し、サイバーセキュリティに関する取組に貢献するとともに、JC3において共有された情報を警察活動に迅速・的確に活用している。
      • 警察庁では、JC3と連携して、犯行手口等から犯行グループを分類し、各犯行グループの詳細な分析により、犯罪の実態解明を進めている。
  • サイバー攻撃への対策
    • 警察庁及び各都道府県警察では、サイバー攻撃対策を担当する組織を設置しているほか、関係機関等と連携し、サイバー攻撃の実態解明や被害の未然防止等を推進している。
    • 警察では、各都道府県警察、重要インフラ事業者等とで構成するサイバーテロ対策協議会を全ての都道府県に設置し、サイバー攻撃の脅威や情報セキュリティに関する情報提供のほか、サイバー攻撃の発生を想定した共同対処訓練等を行っている。また、先端技術を有する事業者等との間や、ウイルス対策ソフト提供事業者等とで構成する協議会において情報共有等を行っている。
  • 技術支援と解析能力の向上
    1. サイバー攻撃対策におけるサイバーフォースの役割
      • 警察では、警察庁及び全国の情報通信部に都道府県警察のサイバー攻撃対策部門へ技術的な面から支援を行う部隊であるサイバーフォースを設置している。
      • さらに、警察庁のサイバーフォースセンターは、全国のサイバーフォースの司令塔の役割を担っており、全国のサイバーフォースに対する指示等を行っている。
    2. サイバー攻撃の予兆・実態等の把握
      • サイバーフォースセンターでは、リアルタイム検知ネットワークシステムを運用し、24時間体制でサイバー攻撃の予兆・実態等を把握し、分析結果を重要インフラ事業者等へ情報提供しているほか、広く一般に公開している。
      • 令和2年中、同システムの一つのセンサー当たり約13.3秒に1回という高い頻度で世界中から不審なアクセスが行われていることを観測した。
    3. サイバー攻撃への対処のための不正プログラムの解析
      • サイバーフォースセンターでは、不正プログラムの動作解析や不正プログラム解析の高度化・効率化に取り組んでおり、特に、産業制御システムに対するサイバー攻撃への対処能力の強化を図るため、大規模産業型制御システム模擬装置を整備し、実際に不正プログラムを実行させ、その動作を検証することなどにより、事案発生時に迅速な原因特定・対処ができるようにしている。
  • 国際連携の推進
    • 警察庁では、サイバー犯罪条約、刑事共助条約(協定)、ICPO、サイバー犯罪に関する24時間コンタクトポイント等の国際捜査共助の枠組みを活用し、国境を越えて行われるサイバー犯罪・サイバー攻撃に対処している。また、警察庁では、多国間における情報交換や協力関係の確立等に積極的に取り組んでいる。
  • 警察におけるサイバーセキュリティ戦略及び人材育成の推進
    • 警察では、「警察におけるサイバーセキュリティ戦略」に基づき、組織基盤の更なる強化を図るなど、総合力を発揮した効果的な対策を推進している。
    • また、サイバー空間の脅威への対処のための人的基盤を強化するため、警察では、職員の採用・登用、教育・研修、キャリアパスの管理等を部門横断的かつ体系的に実施している。
  • 今後の取組
    • 近年、新型コロナウイルス感染症に関連するサイバー犯罪の発生や「Emotet」のような感染力の強い特徴的な不正プログラムの出現など、日々新たな手口のサイバー犯罪が登場しているほか、国内防衛関連企業等から機密情報が流出した可能性のあるサイバー攻撃事案が発生するなど、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢となっている。
    • その一方で、サイバー空間は国民の日常生活の一部として重要な社会経済活動が営まれる公共空間へと変貌を遂げており、サイバー空間の安全安心の確保は、国民にとって安全安心なデジタル社会の実現のためにこれまで以上に重要かつ必要不可欠なものとなると考えられる。
    • 警察では、これまでもサイバー犯罪・サイバー攻撃の取締り、不正プログラムの解析をはじめとした情報解析技術の活用、外国捜査機関等との連携等、サイバー空間の脅威への対策を講じてきたところである。
    • 今後、デジタル社会が進展し、サイバー空間の役割が拡大していく中、国民の安全安心な暮らしを守る責務を担う警察は、サイバー空間の安全安心の確保に向けた取組においても、これまで以上に中心的な役割を果たすことが求められている。
    • 警察庁では、サイバー空間の脅威が極めて深刻な情勢にあること、包括的なサイバーセキュリティ対策の必要性等についてサイバーセキュリティ政策会議から提言を受けたことなどを踏まえ、サイバー犯罪・サイバー攻撃への対処能力の向上を図るため、警察の組織体制の在り方等について必要な検討を行っている。今後、令和4年度を目途とした警察組織の見直しも視野に入れた上で、令和3年度末までに一定の方向性を示すこととしている。
  • 組織的に敢行される特殊詐欺に対する警察の取組
    1. 特殊詐欺の特徴
      • 特殊詐欺の犯行グループは、中枢被疑者の下、「受け子」及び「出し子」と呼ばれる現場実行犯のほかに、被害金等の回収・運搬役等が役割を分担し、組織的に特殊詐欺を敢行している。また、各役割にある者は、お互いの素性を明かさず連絡の痕跡を残さないようにするなど、徹底した秘匿工作を行っている。
    2. 暴力団等の関与実態と効果的な取締り等の推進
      • 特殊詐欺の検挙人員のうち、暴力団構成員等の人数は、近年は減少しているものの、その割合は、刑法犯・特別法犯総検挙人員に占める暴力団構成員等の割合と比較して、依然として高い割合となっている。
      • 警察では、各部門が連携した多角的な取締りを推進するとともに、こうした犯罪者グループ等の活動実態や特殊詐欺事件への関与状況等の解明を推進している。
    3. 指定暴力団の代表者等に対する損害賠償請求訴訟の支援
      • 暴力団対策法では、指定暴力団の代表者等は、当該指定暴力団の指定暴力団員が威力利用資金獲得行為により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負うと規定しており、警察では、特殊詐欺事件の被害者の被害回復に資するため、指定暴力団の代表者等に対する損害賠償請求訴訟に関して、積極的な支援を行っている。
  • 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた諸対策
    1. 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の情勢
      • 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下「2020年東京大会」という。)は、国際的にも最高度の注目を集めて開催される行事であり、その安全かつ円滑な開催に向けて、情報収集・分析、警戒警備、交通対策等の諸対策に警察の総力を挙げて取り組む必要がある。
    2. 警察における諸対策
      • 警察では、様々な課題に対し関係省庁と連携して取り組み、関係機関、民間事業者等と連携したテロ対処訓練の充実等、官民一体となったテロ対策を深化させているほか、2020年東京大会をめぐるサイバー攻撃及び攻撃者に関する情報収集・分析等を推進するとともに、大会期間中におけるサイバー攻撃の発生を想定した共同対処訓練を実施している。
      • また、大会関係者等の安全かつ円滑な輸送と都市活動の安定を両立させる観点から、関係機関・団体等と連携しながら、高速道路における本線料金所での開放レーン数の制限等の各種交通対策に取り組むこととしている。
▼本文 第3章 組織犯罪対策
  • 暴力団犯罪の取締り
    • 検挙状況
      • 暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者(以下「暴力団構成員等」という。)の検挙人員は、近年減少傾向にある。暴力団構成員等の総検挙人員のうち、覚醒剤取締法違反、恐喝、賭博及びノミ行為等(以下「伝統的資金獲得犯罪」という。)の検挙人員が占める割合は3割程度で推移しており、特に覚醒剤取締法違反の割合が大きく、依然として覚醒剤が暴力団の有力な資金源となっているといえる。他方、平成2年以降の検挙人員の罪種別割合をみると恐喝、賭博及びノミ行為等の割合が減少しているのに対し、詐欺の検挙人員が占める割合が増加傾向にあるなど、暴力団が資金獲得活動を変化させている状況もうかがわれる
    • 対立抗争事件等の発生
      • 暴力団は、組織の継承等をめぐって銃器を用いた対立抗争事件を引き起こしたり、自らの意に沿わない事業者を対象とする、報復・見せしめ目的の襲撃等事件を敢行したりするなど、自己の目的を遂げるためには手段を選ばない凶悪性がみられる。
      • 近年の対立抗争事件、暴力団等によるとみられる事業者襲撃等事件等の発生状況は、図表3-5のとおりである。これらの事件の中には、銃器が使用されたものもあり、市民生活に対する大きな脅威となるものであることから、警察においては、重点的な取締りを推進している
    • 資金獲得犯罪
      • 暴力団は、覚醒剤の密売、繁華街における飲食店等からのみかじめ料の徴収、企業や行政機関を対象とした恐喝・強要のほか、強盗、窃盗、特殊詐欺、各種公的給付制度を悪用した詐欺等、時代の変化に応じて様々な資金獲得犯罪を行っている。
      • また、暴力団は、実質的にその経営に関与している暴力団関係企業を利用し、又は共生者と結託するなどして、その実態を隠蔽しながら、一般の経済取引を装った貸金業法違反、労働者派遣法違反等の資金獲得犯罪を行っている。
      • 警察では、巧妙化・不透明化する暴力団の資金獲得活動に関する情報を収集・分析するとともに、社会経済情勢の変化に応じた暴力団の資金獲得活動の動向にも留意しつつ、暴力団や共生者等に対する取締りを推進している
  • 地方公共団体における暴力団排除に関する条例の運用
    • 各都道府県は、地方公共団体、住民、事業者等が連携・協力して暴力団排除に取り組む旨を定め、暴力団排除に関する基本的な施策、青少年に対する暴力団からの悪影響排除のための措置、暴力団の利益になるような行為の禁止等を主な内容とする暴力団排除に関する条例の運用に努めている。
    • 各都道府県では、条例に基づき、暴力団の威力を利用する目的で財産上の利益の供与をしてはならない旨の勧告等を実施している。令和2年中における実施件数は、勧告が54件、指導が6件、説明等の要求を拒んだことによる公表が1件、中止命令が10件、再発防止命令が2件、検挙が33件となっている
  • 暴力団員の社会復帰対策の推進
    • 暴力団を壊滅するためには、構成員を一人でも多く暴力団から離脱させ、その社会復帰を促すことが重要である。警察庁では、平成29年に閣議決定された「再犯防止推進計画」等に基づき、関係機関・団体と連携して、暴力団関係者に対する暴力団からの離脱に向けた働き掛けの充実を図るとともに、構成員の離脱・就労、社会復帰等に必要な社会環境及びフォローアップ体制の充実に関する効果的な施策を推進している。
    • 社会復帰アドバイザー:警察では、暴力団から離脱した者及び離脱する意志を有する者の円滑な就労を支援するため、暴力団からの円滑な離脱や離脱希望者の生活環境の調整改善等について知識や経験を有する元警察職員を社会復帰アドバイザーに任命しており、暴力団員の社会復帰対策の様々な場面で活躍している
    • 警察の支援による暴力団からの離脱者が、就労支援を希望したことから、社会復帰対策協議会において受入れ企業を選定し、社会復帰アドバイザーによる採用面接の同行等の支援を行った。令和2年10月、同人は希望する企業に就労した。
  • 準暴力団等の動向と警察の取組
    1. 準暴力団等の動向と特徴
      • 暴走族の元構成員等を中心とする集団に属する者が、繁華街・歓楽街等において、集団的又は常習的に暴行、傷害等を敢行している例がみられるほか、特殊詐欺や組織窃盗等の違法な資金獲得活動を活発化させている。こうした集団の中には、暴力団のような明確な組織構造は有しないが、犯罪組織との密接な関係がうかがわれるものも存在しており、警察では、こうした集団を暴力団に準ずる集団として「準暴力団」と位置付けている。
      • 準暴力団等は、犯罪ごとにメンバーが離合集散を繰り返すなど、そのつながりが流動的である点で、明確な組織構造を特徴とする暴力団と異なる。準暴力団等には、暴走族の元構成員や地下格闘技団体の元選手等を中核とするものがみられるほか、暴力団構成員や元暴力団構成員がメンバーとなっている場合もある。
      • 準暴力団等の中には、特殊詐欺や組織窃盗等の違法な資金獲得活動によって蓄えた資金を、更なる違法活動や自らの風俗営業等の事業資金に充てるなど、活発な資金獲得活動を行っていることがうかがわれる集団が数多くみられる。また、資金の一部を暴力団に上納するなど、暴力団と関係を持つ実態も認められるほか、暴力団構成員が準暴力団等と共謀して犯罪を行っている事例もあり、このような準暴力団等の中には、暴力団と準暴力団等との結節点の役割を果たす者が存在するとみられる。
    2. 警察の取組
      • 警察では、準暴力団等の動向を踏まえ、繁華街・歓楽街対策、特殊詐欺対策、組織窃盗対策、暴走族対策、少年非行対策等の関係部門間における連携を強化し、準暴力団等に係る事案を把握等した場合の情報共有を行い、部門の垣根を越えた実態解明の徹底に加え、あらゆる法令を駆使した取締りの強化に努めている
  • 暴力団による薬物事犯
    • 令和2年中の暴力団構成員等による薬物事犯の検挙人員は4,387人と、前年より189人(4.1%)減少した。このうち、覚醒剤事犯の検挙人員は3,577人と、前年より161人(4.3%)減少したものの、覚醒剤事犯の総検挙人員の42.2%を占めていることから、依然として覚醒剤事犯に暴力団が深く関与していることがうかがわれる。また、暴力団構成員等による大麻事犯の検挙人員は751人と、総検挙人員の14.9%を占めており、前年より29人(3.7%)減少したものの、大麻栽培事犯の検挙人員は46人と前年より4人(9.5%)増加していることなどから、暴力団が大麻事犯への関与を強めていることがうかがわれる。
  • 来日外国人による薬物事犯
    • 令和2年中の来日外国人による薬物事犯の検挙人員は525人と、前年より224人(29.9%)減少した。このうち、覚醒剤の営利目的輸入事犯の検挙人員は50人であり、国籍・地域別でみると、ベトナム及び香港の比率が高く、合わせて全体の48.0%を占めている。また、令和2年中の来日外国人による覚醒剤の密売関連事犯(注)の検挙人員は18人と、前年より15人(45.5%)減少した。国籍・地域別でみると、ベトナム及びブラジルの比率が高く、合わせて全体の55.6%を占めている。
  • 薬物密輸入事犯の検挙状況
    • 令和2年中の薬物密輸入事犯の検挙件数は218件と、前年より245件(52.9%)減少し、検挙人員は235人と、前年より263人(52.8%)減少した。
    • 覚醒剤密輸入事犯の検挙状況の推移は、図表3-9のとおりである。令和2年中は、薬物密輸入事犯の検挙件数・検挙人員が前年に比べ大幅に減少したが、薬物事犯全体の検挙状況に大幅な変動はみられず、薬物に対する根強い需要が存在しているものと考えられる
  • 薬物事犯別の検挙状況
    • 覚醒剤事犯
      • 令和2年中、覚醒剤事犯の検挙人員は前年より減少したが、全薬物事犯の検挙人員の60.2%を占めている。また、押収量は437.2キログラムと、前年より1,855.9キログラム減少した。
      • 覚醒剤事犯の特徴としては、検挙人員のうち約4割を暴力団構成員等が占めていることのほか、30歳代以上の検挙人員が多いことや、他の薬物事犯と比べて再犯者の占める割合が高いことが挙げられる。
    • 大麻事犯
      • 大麻事犯の検挙人員は7年連続で増加し過去最多となっており、覚醒剤事犯に次いで検挙人員の多い薬物事犯である。近年では、面識のない者同士がSNSを通じて連絡を取り合いながら大麻の売買を行う例もみられる。大麻事犯の特徴としては、他の薬物事犯と比べて、検挙人員のうち初犯者や20歳代以下の若年層の占める割合が高いことが挙げられる
  • 疑わしい取引の届出
    • 犯罪収益移転防止法に定める疑わしい取引の届出制度により特定事業者がそれぞれの所管行政庁に届け出た情報は、国家公安委員会が集約して整理・分析を行った後、都道府県警察、検察庁をはじめとする捜査機関等に提供され、各捜査機関等において、マネー・ローンダリング事犯の捜査等に活用されている。
    • 疑わしい取引の届出の年間受理件数は、図表3-21のとおりであり、おおむね増加傾向にある
  • マネー・ローンダリング関連事犯の検挙状況
    • マネー・ローンダリングとは、一般に犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為である。我が国では、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法において、マネー・ローンダリングが罪として規定されている。
    • マネー・ローンダリング事犯の検挙件数は、令和2年中は600件(前年比63件(11.7%)増加)であった。前提犯罪別にみると、主要なものとしては窃盗に係るものが227件、詐欺に係るものが194件、電子計算機使用詐欺に係るものが73件、ヤミ金融事犯に係るものが28件となっている。
    • 令和2年中におけるマネー・ローンダリング事犯の検挙件数のうち、暴力団構成員等が関与したものは58件で、全体の9.7%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが15件、ヤミ金融事犯に係るものが11件、賭博事犯に係るものが10件、窃盗に係るものが9件あり、暴力団構成員等が多様な犯罪に関与し、マネー・ローンダリング事犯を敢行している実態がうかがわれる。
    • また、令和2年中における来日外国人が関与したマネー・ローンダリング事犯は79件で、全体の13.3%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが34件、窃盗に係るものが23件、入管法違反に係るものが8件、電子計算機使用詐欺に係るものが6件あり、日本国内に開設された他人名義の口座を利用したり、偽名で盗品等を売却するなど、様々な手口を使ってマネー・ローンダリング事犯を行っている実態がうかがわれる。

警察庁 中国政府を背景に持つAPT40といわれるサイバー攻撃グループによるサイバー攻撃等について(注意喚起)

警察庁 令和3年5月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和3年1月~5月における特殊詐欺全体の認知件数は5,519件(前年同期5,745件、前年同期比▲3.9%)、被害総額は106.4億円(109.8憶円、▲3.1%)、検挙件数は2,444件(2,706件、▲9.7%)、検挙人員は853人(940人、▲9.3%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は1,112件(844件、+31.8%)、被害総額は30.9億円(25.3憶円、+22.1%)、検挙件数は501件(883件、▲43.3%)、検挙人員は243人(245人、▲0.8%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は1,212件(1,769件、▲31.5%)、被害総額は16.1億円(22.1憶円、▲27.1%)、検挙件数は932件(311件、+199.7%)、検挙人員は301人(294人、2.4%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は786件(693件、+13.4%)、被害総額は27.4億円(26.0憶円、+5.4%)、検挙件数は105件(261件、▲59.8%)、検挙人員は50人(65人、▲23.1%)
  • 還付金詐欺の認知件数は1,319件(643件、+105.1%)、被害総額は15.2億円(8.7憶円、+74.7%)、検挙件数は177件(179件、▲1.1%)、検挙人員は38人(17人、+123.5%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は77件(173件、▲55.5%)、被害総額は1.3億円(1.8憶円、▲27.8%)、検挙件数は10件(66件、▲84.8%)、検挙人員は5人(19人、▲73.7%)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は951件(1,531件、▲37.9%)、被害総額は13.7億円(23.2憶円、▲40.9%)、検挙件数は704件(964件、▲27.0%)、検挙人員は202人(283人、▲28.6%)
  • 口座開設詐欺の検挙件数は267件(293件、▲8.9%)、検挙人員は153人(185人、▲17.3%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は833件(1,017件、▲18.1%)、検挙人員は661人(834人、▲20.7%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は69件(90件、▲23.3%)、検挙人員は59人(75人、▲21.3%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は10件(9件、+11.1%)、検挙人員は5人(7人、▲28.6%)、組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は56件(33件、+69.7%)、検挙人員は13人(9人、+44.4%)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では、男性26.2%:女性73.8%、60歳以上91.6%、70歳以上76.0%、オレオレ詐欺では、男性19.1%:女性80.9%、60歳以上97.1%、70歳以上94.8%、融資保証金詐欺では、男性75.0%:女性25.0%、60歳以上26.5%、70歳以上11.8%、65歳以上の割合について、特殊詐欺88.3%(男性23.2%、女性76.8%)、オレオレ詐欺96.8%(18.9%、81.1%)、預貯金詐欺98.5%(17.2%、82.8%)、架空料金請求詐欺49.0%(53.1%、46.9%)、還付金詐欺94.6%(25.6%、74.4%)、融資保証金詐欺16.2%(81.8%、18.2%)、金融商品詐欺50.0%(14.3%、85.7%)、ギャンブル詐欺22.6%(57.1%、42.9%)、交際あっせん詐欺0.0%、その他の特殊詐欺40.0%(25.0%、75.0%)、キャッシュカード詐欺盗97.8%(19.7%、80.3%)

【法務省】

【2021年7月】

法務省 7月は「再犯防止啓発月間」です
  • 平成28年12月に「再犯の防止等の推進に関する法律」(再犯防止推進法)が公布・施行されました。同法第6条には,国民の間に広く再犯の防止等についての関心と理解を深めるため、7月を再犯防止啓発月間とする旨が定められています。
  • 法務省では,ふだんの生活では触れる機会の少ない「再犯防止」というテーマについて,御関心を持っていただけるよう,PRイベントや情報発信を積極的に行っています。
  • #再犯防止サポーター #立ち直り のキーワードを用いた発信
    • 「刑務所のその後」を知っていますか。「刑務所のその後」は,「刑務所の中」よりも,厳しい環境に置かれるかもしれません。
    • 犯罪や非行から立ち直ろうとする人を地域で支える絆ややさしいまちづくりの輪が,更に広がっていけば,「新たな被害者を生まない,誰もが安心して暮らせるまち」がつくられることにつながります。
    • 法務省は,「#(ハッシュタグ)再犯防止サポーター」や「#(ハッシュタグ)立ち直り」をキーワードに,ツイッターで,様々な発信を行う予定です。一緒に「#再犯防止サポーター」や「#立ち直り」の輪を広げませんか。

法務省 第71回“社会を明るくする運動”~犯罪や非行を防止し,立ち直りを支える地域のチカラ~
  • “社会を明るくする運動”とは?
    • “社会を明るくする運動”~犯罪や非行を防止し,立ち直りを支える地域のチカラ~は,すべての国民が,犯罪や非行の防止と犯罪や非行をした人たちの更生について理解を深め,それぞれの立場において力を合わせ,犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くための全国的な運動です。令和3年で71回目を迎えます。
  • 地域のチカラが犯罪や非行を防ぐ
    • テレビや新聞では,毎日のように事件(犯罪)のニュースが報道されていますが,安全で安心な暮らしはすべての人の望みです。犯罪や非行をなくすためには,どうすればよいのでしょうか。取締りを強化して,罪を犯した人を処罰することも必要なことです。しかし,立ち直ろうと決意した人を社会で受け入れていくことや,犯罪や非行をする人を生み出さない家庭や地域づくりをすることもまた,とても大切なことです。
    • 立ち直りを支える家庭や地域をつくる。そのためには,一部の人たちだけでなく,地域のすべての人たちがそれぞれの立場で関わっていく必要があります。“社会を明るくする運動”では,犯罪や非行のない地域をつくるために,一人ひとりが考え,参加するきっかけをつくることを目指しています。
  • あなたもできることから始めてみませんか
    • “社会を明るくする運動”では,街頭広報,ポスターの掲出,新聞やテレビ等の広報活動に加えて,だれでも参加できるさまざまな催しを行っています。イベントに参加したり,このホームページを見たりしたことなどをきっかけにして,犯罪や非行のない安全で安心な暮らしをかなえるためいま何が求められているのか,そして,自分には何ができるのかを,みなさんで考えてみませんか。
  • 活動主体としての更生保護ボランティア
    • 「更生保護」は,社会の中での立ち直りを導き,助け,再び犯罪や非行に陥るのを防ぐ仕組みです。その活動には,保護司や協力雇用主をはじめ,たくさんの人たちが関わっています。
    • 信じてくれる人がいること。必要とされる場所があること。それは,更生への大きな支えとなります。更生保護は,社会に暮らす人たちが広く関わることで達成される取組なのです。

【消費者庁】

【2021年9月】

消費者庁 消費者契約に関する検討会
▼消費者契約に関する検討会 報告書
  • 消費者の心理状態に着目した規定
    1. 問題の所在
      • 典型的な消費者被害の一つとして、事業者が、自分にとって都合の良い、消費者にとっては不要な商品やサービスを購入させることがある。社会心理学の知見によると、この種の消費者被害において、悪質な事業者は、人の構成要素である認知(あたま)、感情(こころ)及び身体(からだ)の3要素に働きかけることで、消費者に慎重な検討(熟慮)をさせないよう仕向け、消費者を直感的で便宜的な思考(ヒューリスティックな判断)に誘導していると分析されている。このような消費者被害は社会経験が未熟な若年者に比較的多いと考えられるが、必ずしもそれに限られるわけではなく、誰もが熟慮の機会を奪われヒューリスティックな判断に導かれ得る脆弱性を有していると考えられる。
      • 消費者をヒューリスティックな判断に誘導する勧誘手法としては、例えば、消費者の検討時間を制限して焦らせたり、広告とは異なる内容の勧誘を行って不意を突いたり、長時間の勧誘により疲弊させることなどがある。しかし、契約の性質上、検討時間が制限されるのがやむを得ない場合や、広告とは異なる商品を勧めるのが消費者のためでもある場合があり得るところであり、これらの勧誘手法それ自体は、正常な事業活動においても用いられるものであって、必ずしも不当とは言えない。しかし、悪質な事業者は、これらの手法を組み合わせたり、極端な形で用いることで濫用し、消費者をヒューリスティックな判断に誘導して契約を締結させており、この場合には消費者の意思決定を歪めたと言え、契約の取消しに値するものと考えられる。
      • 法第4条は、消費者の意思決定が歪められ、意思表示に瑕疵がある場合として、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等における取消権を定めているが、上述の消費者をヒューリスティックな判断に誘導する消費者被害は、必ずしも誤認や困惑という心理状態で捉えることができるものではない。
    2. 考えられる対応
      • 事業者が、正常な商慣習に照らして不当に消費者の判断の前提となる環境に対して働きかけることにより、一般的・平均的な消費者であれば当該消費者契約を締結しないという判断をすることが妨げられることとなる状況を作出し、消費者の意思決定が歪められた場合における消費者の取消権を設けることが考えられる。
      • 具体的には、正常な商慣習に照らして不当に消費者の判断の前提となる環境に対して働き掛ける行為としては、例えば、消費者の検討時間を制限して焦らせたり、広告とは異なる内容の勧誘を行って不意を突いたり、長時間の勧誘により疲弊させたりする勧誘手法を組み合わせたり、そうした勧誘手法を極端な形で用いることにより、消費者が慎重に検討する機会を奪う行為を規定することが考えられる。その際、正常な商慣習については、契約の性質や類型に照らして判断されるべきと考えられる。また、消費者が慎重に検討する機会を奪う行為については、上記のような勧誘手法の組合せや過度の利用が問題であることに照らすと、事業者の行為を細分化するのではなく、組み立てられた一連の行為を総合的に捉えるべきである。また、正当な理由がある場合を除くなど、評価を伴う要件も併せて設けることで、正常な事業活動については取消しの対象にならないよう調整することが可能な規定とすることが考えられる。
      • なお、正常な商慣習に照らして不当に消費者の判断の前提となる環境に対して働き掛ける行為を規律するに当たっては、類型的に不当な行為と言い得るものを踏まえつつ正当な理由がある場合を除外する等と規定すべきであって、一連の行為を総合的に捉えるというだけでは、どのような行為が取り消し得るものとなるのかが明らかでなく、通常の営業活動への支障が大きいという意見があった。また、正当な理由がある場合ではないのに、意思表示をする期間を極めて短く限定したり広告とは異なる勧誘を行ったりした場合に限定した上で、この場合を具体化する方向で規定を設けるべきという意見もあった。また、高揚感をあおる行為が対象となることを明らかにすべきという意見があったが、この意見については、通常の営業活動が含まれる可能性があるため慎重に考える必要があるという意見や、過大な期待を抱かせる等の単なる意識の高ぶりを超えて高揚感をあおる行為が対象となることを明らかにすべきという意見もあった。さらに、消費者の心理状態に着目した規定については、議論の状況に照らして一定の方向性を示すことが難しいのではないかとの意見もあった。
  • 消費者の判断力に着目した規定
    1. 問題の所在
      • 超高齢社会が進展する中で、認知症高齢者等の消費者被害が深刻化している。これまでも、平成28年改正により過量契約取消権(法第4条第4項)を創設し、平成30年改正により判断力の著しい低下による不安をあおるような告知を困惑類型に追加する(法第4条第3項第5号)等の対応をしてきたが、判断力の著しく低下した消費者が、自宅を売却して住むところを失うなど、自らの生活に著しい支障を及ぼすような内容の契約を締結してしまうという消費者被害が発生しているところ、上記の各規定では救済が困難である。
    2. 考えられる対応
      • 判断力の著しく低下した消費者3が、自らの生活に著しい支障を及ぼすような内容の契約を締結した場合における取消権を定めることが考えられる。
      • 具体的には、この規定は、契約の当事者には契約自由の原則(民法(明治29年法律第89号)第521条)がある中で、当該契約が当該消費者に及ぼす影響に着目した取消権を定めるものであることから、対象となる契約は消費者保護の観点から真に必要な範囲に限定すべきである。そこで、当該消費者の生活を将来にわたり成り立たなくするような契約を対象とすることが考えられ、例えば、自宅を売却し、しかも、今後住むところがないような場合や、自身の労働によって新たに収入を得ていくことが期待できない中で貯蓄や年金収入の大半を消尽してしまう場合が想定される。その際、過量契約取消権(法第4条第4項)のように契約の目的となるものの量に着目するものではなく、質に着目するものであること、当該契約によって直ちに生活が成り立たなくなる場合だけでなく、当該契約によって将来にわたる生活に著しい支障を及ぼす場合も捕捉すべきであること、代理人が本人に代わって意思表示をした場合や被保佐人が保佐人の同意を得て意思表示をした場合などは取消しの対象とならないことを明確にすべきである。
      • 同じ内容の契約でも、消費者によってその生活に著しい支障を及ぼすかどうかは異なる可能性があり、その契約が当該消費者の生活に著しい支障を及ぼすこととなることについての事業者の認識を要件とすることが必要である。
      • もっとも、事業者の悪意を消費者が立証することは困難であることから、契約が当該消費者の生活に著しい支障を及ぼすことについて事業者に悪意がある場合及び悪意と同視される程度の重過失がある場合に限り取り消すことができる旨の規定とすることが考えられる。
      • また、消費者の判断力に関する事業者の認識については、判断力が著しく低下している消費者について特に自己の生活に著しい支障を及ぼす契約に限って取消権を認めるという趣旨や、判断力に関する認識を要件とすると本規定案による救済の範囲が大幅に縮減されると考えられること、民法上、意思能力を有しなかったときは、意思無能力についての相手方の認識の有無に関係なく契約が無効となること(民法第3条の2)に照らし、消費者保護の観点から、要件としないことが考えられる。
      • 法制化に当たっては、判断力の著しい低下が消費者の脆弱性のうち恒常的・類型的な脆弱性の典型的場面であり、超高齢社会の進展を踏まえた対応が法において求められることを踏まえつつ、他方で、事業者・消費者の双方に生じる負担の兼ね合いにも配慮必が要である。すなわち、生活に著しい支障を及ぼすことを典型的場面に限定すること等により、事業者の予見可能性を確保し、消費者が必要な契約ができなくなることがないように配慮することが必要である。
      • なお、消費者の判断力に関する事業者の認識については、悪意又は善意であっても過失がある場合に限り取り消すことができる旨の規定とすべきであるという意見があった。これによると、悪意又は過失について消費者が立証責任を負うことになるが、仮にこの考え方によるとしても、事業者が立証責任を負うべきであるという意見もあった。事業者が消費者の判断力を確認しようとしたにもかかわらず消費者がこれに応じなかった場合には取り消すことができないようにすべきとの意見もあった。また、対象となる契約については、当該契約内容それ自体において合理性を欠く場合に限定すべきであるという意見や、生活に著しい支障を及ぼす契約のみならず、対価的に不均衡な契約や、当該消費者の契約目的と合致しないような内容の契約も対象とすべきであるという意見もあった。また、契約が当該消費者の生活に著しい支障を及ぼすことについての事業者の認識(主観要件)については、悪意又は重過失を要件とすると訴訟や消費生活相談における被害救済が困難になるとして、悪意又は過失を要件とすべきであるという意見もあった。さらに、民法上の保佐制度に倣ったものとし、例えば、判断力の著しく低下した消費者が民法第13条第1項第3号に定める行為(不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること)を目的とする契約を締結したときは、これを取り消すことができること、ただし、配偶者又は民法第877条第1項に定める範囲の者(直系血族及び兄弟姉妹)のうち一人の同意を得たときについてはこの限りではないものとすることを検討すべきという意見もあった。さらに、消費者の判断力に着目した規定については、議論の状況に照らして一定の方向性を示すことが難しいのではないかとの意見もあった
  • 消費者の解除権の行使を制限する条項
    1. 問題の所在
      • 例えば、電気通信回線の利用契約等において、消費者による解除権の行使の方法を電話や店舗の手続に限定する契約条項や、予備校の利用規約等において、消費者による解除事由を限定するとともに、中途解約権の行使の際には、解除事由が存在することを明らかにする診断書等の書類の提出を要求する契約条項の使用例が見られる。
      • このような契約条項が使用され、消費者が解除権を容易に行使できない状態が生じる場合には、消費者に解除権が認められた趣旨が没却されかねない。
      • 他方で、事業者は、消費者が消費者契約を解除する際、本人確認や契約関係の確認を行うため、解除を書面や対面によるものに限る必要性が生じる場面も考えられる。また、解除権の行使方法をあらかじめ定めておくことで、消費者からの解除の意思表示を見逃さずに対応できることや、大量の契約について統一的な手法・手続によることで迅速な事務作業が可能になり、それによって多くの消費者に一定の品質でサービスを提供できるといった、消費者にとってのメリットもあり得ると考えられる。
      • そこで、このような必要性がない、又は必要な範囲を超えて、契約条項により、消費者が解除権を容易に行使できない状況が生じている場合には一定の不当性があると考えられる。加えて、事業者側から見れば、契約の締結の際には大きなエネルギーを割くインセンティブがあるが、契約解除の場面では通常これを抑制したいというインセンティブが働くと考えられること、反対に消費者側から見れば、契約の締結の際には契約への期待があるため大きな負担感は生じない一方で、契約を解除する際には相手方である事業者の意に沿わない効果を実現するために、自身が積極的に行動を起こさなければならないという大きな負担感が生じるという問題状況も考慮する必要がある。
    2. 考えられる対応
      • 少なくとも、契約条項の定めのみをもって、消費者の解除権の行使を制限するものと評価できる契約条項が存するのであれば、このような契約条項について消費者契約法上の不当条項規制によって対応すべきと考えられる。もっとも、これらは常に無効とすべきものではないことを踏まえて、法第10条の第1要件の例示とすることが考えられる。
      • 具体的には、解除に伴う手続に必要な範囲を超えて、消費者に労力又は費用をかけさせる方法に制限する条項とし、さらに、その範囲の判断を画するため、「本人確認その他の解除に係る手続に通常必要な範囲」等として、必要な範囲の典型例を具体的に示すことが考えられる。また、これに加えて、当該消費者契約の締結の際に必要とされた手続等と比して、消費者の労力又は費用を加重することを要素とすることも考えられる。
      • 法第10条の第1要件に例示すべきものとしては、任意規定と乖離しているというだけではなく、不当性が認められる相応の蓋然性があるものとすべきと考えられるが、他方、例示部分を除いた法第10条の第1要件としては、任意規定との乖離、すなわち「法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項」であれば要件該当性が認められると考えられるため、この点については逐条解説等で明確にすべきと考えられる。
      • なお、法第10条の第1要件の例示に際しては、正常な事業活動で用いられる契約条項が無効とならないように留意する必要があるという意見がある一方で、そのような考慮は法第10条の第2要件によってなされるべきものであるという意見もあった。また、「本人確認」を必要な範囲の典型例として示すと、契約の類型により本来厳格な本人確認が必要ないと思われる場合であっても、個人情報の提供を受けなければ契約の解除に応じない等として悪用される恐れがあるとの意見や、法第10条の第1要件の例示について、これが不当条項の例示であることを踏まえ、不当性が高い契約条項を例示するものであると考えるのであれば、例示に際しては「法令に基づく場合を除き」等の要件を設けるべきとの意見もあった。さらに、消費者が解除権を容易に行使できないという不当性を生じさせるのは解除手続における事業者側の体制や運用の問題であって、契約の条項の問題ではないため、法第10条の第1要件の例示として掲げるべきではないという意見や、解除権の行使を制限する条項を法第10条の第1要件の例示として掲げることには消極的であるが、仮に掲げるとしても、例示の内容は、事業者が実質的に解除を妨げていると評価され得るものとすべきであり、そのような観点から、例えば、消費者の解除権の行使を事業者の受理その他の事業者の行為に係らしめる条項とすべきとの意見もあった

消費者庁 消費生活相談のデジタル化に係る中間的とりまとめの公表について
▼消費生活相談のデジタル化に係る中間的とりまとめ(国民生活センター)
  • 2040年の未来像
    1. 人口、社会保障、地方行政
      • 人口規模が小さい地方公共団体ほど人口減少率が高くなり、4割が単身世帯となる可能性がある。
      • 地方で先行して更なる高齢化が進み、大都市圏でも当面、高齢者人口数が大きく増加する。
      • 社会保障の担い手が減少し、社会保障の維持や財政健全化に対し影響が及ぶ。
      • 地方行政では、更に少ない職員での行政運営が必要になる可能性がある。
      • 社会保障に係る経費や老朽化した公共施設等の更新に要する費用の増大が想定される。
    2. 社会、技術、国際
      • 人間らしさを再考し、多様性を認め共生する社会が目指される。
      • リアルとバーチャルの調和が進んだ社会が目指される。
      • 人間機能の維持とデジタルアシスタントとの融合による「個性」が拡張した社会が目指される。
      • カスタマイズと全体最適化が共存し、人間らしく生き続けられる社会が目指される。
      • 新型コロナウイルスの感染拡大により、人の移動も停滞する中で、国境を越えた交流による付加価値の追求は、デジタル分野に重心を移動していくことが想定される。
    3. 消費生活相談
      • 社会経済が一層高度化・複雑化、デジタル化し、既存の概念を超えた商品・サービスが増加する可能性がある。
      • グローバル化が進み、国境を越えた消費が増加する可能性がある。
      • 高齢化が更に進み、また消費者自身による解決が難しい問題が増加し、相談需要が高まる可能性がある。
      • 消費生活相談業務に投入する人・もの・金が一層限られるおそれがある。
  • これまでの現状分析
    1. 相談員
      • 消費者トラブルとは関係のない相談が寄せられる
      • 相談対応に参考となる資料がバラバラで探しにくい
      • あらゆる相談に対応しなければならず、自己研鑽が欠かせない
      • 相談情報の入力負担が大きい
      • 専用端末がインターネットに接続できない
      • 専用端末、固定電話でしか相談対応できないので職場に行かないといけない
      • 相談情報の入力に、きめ細かいルールがあり、負担感がある
    2. 消費者
      • 相談で、どのようなサービスが受けられるのか、わかりにくい
      • 相談受付時間中に相談する時間が確保できない
      • 特に都市部は電話がつながりにくい
      • メール、SNSなどのデジタルチャネルに対応していない
      • 解決方法をwebで調べたが見つからない
    3. 消費者センター職員
      • 相談員の担い手、成り手がおらず、困っている
      • 相談員が入力した相談情報を確認し、決裁するのが大変
      • 個人情報の取扱いを慎重にしないといけない
      • 予算を確保しないといけない
      • 併任・兼務で、職員の体制が不十分なところもある
    4. 国民生活センター
      • 消費生活センターごとに業務方法にばらつきがあり、全ての要望を聞くのは難しい
      • 消費者庁や報道機関などから正確なデータの提供を求められる
      • 入力された相談情報のデータ補正に負担感がある
      • データ利活用などの教育・訓練に時間を割けない
    5. 消費者庁
      • 相談の最近の傾向を迅速に把握できない
      • 政策の裏付けとなる相談情報の正確なデータがほしい
      • 法執行の裏付けとなる相談内容の詳細な情報がほしい
      • 検索・集計がわかりにくく、使いこなせない
      • 習熟機会もない
  • 検討の方向性
    • 機械でもできることは機械にやってもらい、人の業務の負担軽減や高度化(人がやるべきことにより注力)を図る
    • 現状を前提としてスタートせずに、あるべき姿からサービス・業務を再構築する
  • DXに際しての主な検討のポイント
    • FAQ、ウェブサイトの充実など、相談に至る前の消費者自らの解決支援を強化
    • 電話や対面の相談に加え、メール、ウェブフォーム、SNS、テレビ会議システムの活用など、消費者のニーズや属性、相談内容に合わせ、相談手法を多様化
    • それぞれの手法の特性に応じた棲み分け、両立、効率化が図られるよう検討
    • 電話相談時の音声テキスト化、相談履歴やマニュアル類の画面自動表示など、相談業務を支援するシステムを導入
    • あわせて、業務プロセスの効率化、システムへの入力項目の削減・入力サポート等、業務を効率化
    • データ検索の使い勝手の改善や、新たなデータ分析手法による事案の早期発見、FAQの作成補助など、データ活用機能を強化
    • PIO-NETの専用回線、専用端末、独自開発等の自前主義から、インターネットと市販のクラウドサービスを活用するシステムへの移行
  • 期待される主な効果
    • 消費者(相談者)にとっては、トラブル解決のための選択肢が広がり、情報や相談窓口へのアクセスが改善することで、不満の解消につながり、利便性が高まる。
    • 相談現場では、消費者自らの解決の促進による相談対応の業務を軽減する。
    • 政策推進や分析の現場では、分析機能の充実や幅広いデータの利活用の促進により、相談対応の質の向上や消費者への迅速な注意喚起、法執行、制度改正等を通じた、被害の未然防止、再発防止機能が強化される。
    • データ入力の負担軽減のサポート、参考資料や相談員向けFAQの充実、画面上での容易な参照、相談者との資料やりとりのデジタル化等、業務を支援する様々な仕組みの導入、業務プロセスの効率化を図り、相談業務の負担の軽減や、相談員が応対に集中し十分に能力を発揮できる環境を提供する。
    • 場所に捉われない汎用的なシステム環境を導入することで、多様な働き方ができる環境が醸成される。
    • 業務負担が軽減されることで、人が行うべき業務へ集中することができる。これまで電話がつながらなかった相談者から相談を受け付けられ、デジタルが得意でない相談者や、より助けが必要な相談者に対し、手厚い対応ができるようになるほか、消費者教育の推進や見守りの強化にもつながる

【2021年8月】

消費者庁 徳島県における食品ロス削減に関する実証事業
▼令和2年度流通店舗をフィールドにした消費者向け食品ロス削減啓発モデル事業 結果の概要
  • 主な結果 消費者モニター事前・事後アンケート(有効回答者 992名)より
    1. 消費者による食品ロス問題に関する認識
      • 食品ロス問題について、「よく知っている」に「当てはまる」とした回答者は2割台、「身近な問題と感じる」に「当てはまる」とした回答者は約3割と少なかった。
      • また、行政による普及啓発活動は「十分だと思う」とした回答者は1割未満であり、消費者向けの食品ロス削減に関する啓発活動の更なる取組の必要性が示された。
    2. 流通店舗(スーパーマーケット)における啓発活動について
      1. 事後アンケートによると、スーパーマーケットで情報を伝えること、ポスターを掲示することを「効果的である」とした回答者は7割以上、事前アンケート以降に食品ロスに関する考え方や行動に変化があったとした回答者は5割以上であった。事後アンケートにおける食品ロスに関するクイズ問題の正解率は、啓発物の記載内容に関連した問題は事前アンケートと比べて約2割上昇したのに対し、関連しない問題の正解率は低いままであった。1か月という短期間ながらも啓発物の設置による一定の効果が認められた。
      2. ポスターに記載した家庭における食品ロス削減に関する『実践しやすく効果がある取組』で、「買物前に冷蔵庫・食品棚の空きスペースを確認する(当てはまる)」、「保存しておいた料理を捨てる(全くしない)」については、改善傾向が見られた。
      3. 事前アンケートによると、今回のアンケートモニターにおける食品ロス問題に関する情報入手先は、「テレビ」8割以上、「新聞・雑誌」4割程度、「インターネット」2割程度であった。事後アンケートで、食品ロス問題に関する考え方や行動に変化をもたらしたきっかけを尋ねたところ、最も多かったのは、「アンケートへの回答を通して」であり、手を動かして学習の機会を持つことの大切さが示唆されていると考えられるが、全国規模の啓発活動には不向きと考える。次に多かった回答は、「テレビ広告を見て」、「実施店舗で啓発物を見て」となり、ほぼ同じ割合となった。本事業では食品販売中心の代表的なスーパーマーケットを対象としたが、消費者及び従業員の
      4. 来店頻度が高かったことを考えると、全国の流通店舗は啓発活動を実施する場として有望な媒体になると考える。
      5. 店舗別にポスターの掲示場所の違いによる視認率(「見て内容も読んだ」とした割合)を比較したところ、最も高い結果になったのは、約35%のサッカー台付近及びサッカー台天板上での掲示であった
  • 流通店舗における消費者向け食品ロス削減啓発モデルの提案
    • アンケート結果より、ポスターの設置場所としてサッカー台天板上への掲示は効果的であることが明らかとなった。また、店舗への聞き取り等も踏まえると、全国的に啓発活動を実施する場合のポイントは、以下の通りである。
      1. 啓発物の設置場所について
        • 消費者の視認率が期待できること
        • 店舗規模にかかわらず共通して存在すること
      2. 啓発物の設置について
        • 他のポスター等の掲示物を移動・廃棄する等の手間が掛からないこと
        • 店舗の設備を汚さず、簡単に設置・撤去ができること
        • 数か月の期間、継続的に設置できること
      3. 啓発物について
        • 必要な情報を記載できるポスター(A2)程度のサイズ
        • リサイクルが可能で環境に優しい材質
          • 以上のポイントを踏まえて検討した結果、『サッカー台の天板上に置くだけの下敷き・デスクマット型のポスター』による啓発活動を一つの有力な方法として提案したい。環境配慮型の資材を使用し、清潔感を保てるもの、滑りにくいもの(接着テープ等は使えない)、数か月の継続設置に耐える仕様とする。
          • 啓発内容は、食品ロス問題に関する最新情報及び家庭における食品ロス削減に関する『実践しやすく効果がある取組』の行動項目とする。
          • 今回の事業は1か月間の短期間の実施であったが、実際に啓発活動を実施する場合は、来店頻度が少ない消費者のことも考慮し、3か月間程度の継続が望ましいと考える。最新の情報を継続的・計画的に発信していくことで消費者の食品ロスに関する認識度を高め、家庭における食品ロス削減に資する『実践しやすく効果がある取組』を促進する有効な啓発手段になると考える。また、可能な範囲でアンケート調査も実施することで、消費者が現状を振り返り、改善の目標を意識できるような働き掛けを行うことも有効である。

消費者庁 携帯発電機やポータブル電源の事故に注意!-発電機は屋内で絶対に使用しないでください。死亡事故も発生しています。-
  • 災害時の備えなどにより、携帯発電機やいわゆるポータブル電源の需要が高まっています。
  • 一方で、地震、台風、暴風雪の自然災害による停電時など、屋内で携帯発電機を使用したことによる一酸化炭素(CO)中毒が疑われる死亡事故が発生しています。
  • また、ポータブル電源の火災事故が近年発生しています。
  • 携帯発電機やポータブル電源を使用する際は、以下の点に注意しましょう。
    1. 携帯発電機
      • 屋内では絶対に使用しないでください。
      • 屋外でも、換気の悪い場所・火気を使用する場所では絶対に使用しないでください。
      • 製品ごとに定められた距離を建物及びその他の設備から離してください。
    2. ポータブル電源
      • 製造・販売元がはっきりしている製品を選び、また回収・リサイクルに対応しているか確認しましょう。
      • 使用中の感電に注意しましょう。
      • リコール対象製品となっていないか確認しましょう。

消費者庁 サステナブルファッションに関する特設ページの開設について
▼サステナブルファッション習慣のすすめ
  • アパレルファッション産業は、大量消費・大量廃棄のビジネスモデルが広がったこともあり、環境負荷が極めて大きい産業と言われています。
  • 例えば、世界全体で、毎秒トラック1台分の衣服が埋め立て又は焼却処分され、人間活動で排出される炭素の10%が衣服生産段階で排出されます(国際航空・海運分野の排出量の合計よりも大きい)。
  • また、毎年930億m3の水(500万人分の生活に必要な水の量に相当)を使用し、毎年衣服から出るマイクロ・プラスチック50万トンが海洋に放出(500億本分のペットボトルに相当)されていると言われます。
  • 2013年バングラデシュで起きたラナ・プラザ崩壊事故(死者1000人以上、縫製工場の安全管理が問題に)や大手アパレルメーカーの委託生産先である途上国の工場での低賃金・長時間労働や児童労働の問題(フェアトレードの観点からも問題提起されています)の発覚などを契機にして、繊維・アパレル産業のサプライチェーン管理の重要性も広く認識されるようになりました。
  • 原材料調達から生産・流通、使用、廃棄に至る各段階での環境負荷やサプライチェーンの問題が指摘されるだけでなく、動物福祉への配慮なども求められるようになってきています。
  • また、我が国には、製糸・紡績、生地生産、染色、縫製の各段階で優れた伝統技術や先進技術が各地に存在します。こうした国内の技術を活用した製品の購入が増えれば地域活性化や国内産業振興にも寄与する側面もあります。
  • これらの課題解決に向けては、事業者や事業者団体の活動・取組に加え、消費者一人一人の主体的な行動も鍵となります。消費は事業者や社会に対する投票行動とも言えます。環境負荷の高い製品よりも低い製品を購入する、生産に携わる人々の生活への配慮がなされている製品を購入するなどの消費行動が広まれば、事業者の意識や行動も変わり、社会を変えることにつながります。
  • 他方、アパレルファッション産業の事業者においても、衣服を取り巻くこうした様々なエシカルな課題が急速に意識され、SDGsの取組の加速と相まって、様々な取組を始めています。例えば、再生ポリエステルの利用、マイクロ・プラスチックが出にくい生地の開発、リペアサービスの提供、衣服のシェアリングサービスの展開、不用な衣服の回収、売れ残りを最小化するための在庫管理による生産の適正化などです。
  • サステナブルファッションに向けた消費者の取組の第一歩は、ごくごく簡単で身近な行動からすぐに踏み出せるものです。プラスチック削減がマイ・エコバッグを持つことから始めることができたように、です。例えば、衣服を購入する前に、3年後に自分がその服を着ている姿をイメージできるか、長く着るつもりで購入するものなのか、もう一度よく考えてみる、そんなことから始めることができます。新しい服を買うのをやめてボタンを付け替えて服の印象を変えてみる、なんてこともできます。自分にできることを一つ取り入れることから、まずは、18のヒント集を参考にしてみてください。
  • ブランドもので高価なものだけが「おしゃれ」とされ羨望の視線を集めたのは昔の話ではないでしょうか。
  • もちろんファッションというからには、見た目も大事で、今は、古着を上手にリメイクしたもの、環境に配慮した素材を使ったものなどが「おしゃれ」とみなされることもあるのではないでしょうか。
  • すぐに始められるサステナブルファッションですが、上手に自分の個性を出して、極めて、習慣化すれば、新しく、クールな(おしゃれな)自己表現も可能なはずです。必ずしも高価なものでなくても構わないのです。オーガニックにこだわる、リサイクル素材を使った服しか着ないというこだわりなども立派な自己PRです。
  • サステナブルファッションの取組は残念ながら海外が先行しているとも言われます。ただ、よくよく考えてみると、日本の伝統的な衣装である着物は、直線裁断で端材を出さない工夫がされ、親から子、そして孫へと世代を超えて引き継いで長く着られるものでした。寸法直しも柔軟で、着物の生地は小物などの他の用途にリユースすることも可能です。こう考えると、着物はまさにサステナブルファッションの精神を体現したものであったとも言えます。
  • 環境分野で初のノーベル平和賞を受賞されたケニア人のワンガリ・マータイさんは、2005年の来日時に日本語の「もったいない」に感銘を受け、環境負荷をかけないライフスタイルを広めるために「MOTTAINAI」キャンペーンを世界的な活動として始めました。
  • 限りある資源に対するリスペクトの思いが日本人のルーツにはあるのかもしれません。江戸時代から明治時代にかけて活躍した近江商人は「三方よし」の商売哲学を持っていたと言われます。事業者と消費者の協働・共創により(売り手よし、買い手よし)、持続可能な社会を実現していく(世間よし)という考え方はもともと日本人に馴染みがあると言えるのではないでしょうか。
  • そう考えると、日本は、今世界で取組が進められているサステナブルファッションで世界をリードできる素養を本来持ち合わせていると言えるように思います。現在は欧米諸国などの後塵をやや拝しているかもしれませんが、消費者の皆様一人一人の小さな行動変化で、日本が持続可能な世界の構築を牽引していくことができるのではないでしょうか。
  • サステナブルファッションを事業者のみの取組に閉じたものとするのではなく、消費者のお一人お一人に、ご自身のこだわりのサステナブルファッション習慣を情報共有いただき、お互いに刺激を与え合い、活動の輪を全国に、そして世界に広げ、社会を変えていきたいと思います。皆様の工夫や取組を是非共有してください。
  • 埋め立て・焼却処分、炭素排出量、マイクロ・プラスチックの海洋排出量の出典はUNEP(2019)、水使用量の出典は、UNCTAD(2020)、Ellen MacArthur Foundation。
    • 途上国で生産されるものを適正利潤が確保できる価格で取引することを指し、同時に労働条件や環境問題への取組・配慮も求めるもの。
    • 毛皮や羽毛などが動物に配慮した環境下で毛刈りされているか、動物性素材ではなくヴィーガン素材を利用しているかなど
    • エシカルとサステナブルの境界・違いは必ずしも明確ではないが、サステナブルという時には環境面を中心としてその外縁が広がり意識されるのに対し、エシカルという時には、環境面、労働条件、動物福祉、地産地消などの各課題が同列で意識される傾向にある。

消費者庁 訪問販売等の適用除外に関するQ&A
  • 特定商取引に関する法律のこれまでの解釈をより明確に示したものであり、解釈の変更を行ったものではありません。
  • Q&Aは、想定される事例における考え方を示したものです。具体的な事案においては、Q&Aにおける考え方を、その事案における事実に即して御活用ください。
    1. 法第 26 条第1項第1号関係:「営業のために若しくは営業として締結するもの」
      • 「誰でも簡単にすぐ稼げる」と電話で勧誘があり、興味があったのでその電話で情報商材を購入しました。しかし、家族に相談したところ反対されたので、クーリング・オフしたいのですが、お金を稼ぐ目的で購入したので、「営業のために若しくは営業として締結するもの」に該当して電話勧誘販売等の規制が適用されなくなるのでしょうか。
      • 特定商取引法が、取引に不慣れな消費者との間でトラブルが多い販売類型を規制していることを踏まえると、お金を稼ぐといった利益活動を行う意思があることのみをもって、「営業のために若しくは営業として締結するもの」に直ちに該当すると解されるものではありません。
      • 「営業のために若しくは営業として締結するもの」に該当するかは、契約の対象となる商品又は役務に関する取引の種類、消費者が行っている(行おうとする)事業との関連性や目的、消費者が契約の対象となる商品又は役務を利用した利益活動に必要な設備等を準備しているかなどの事情を踏まえて、当該消費者が当該取引に習熟していると認められるかどうかを総合的に検討する必要があります。
      • 設問の事例において、消費者の購入しようとする情報商材の内容が一般的なものではない、消費者が行おうとする事業が社会通念上事業の遂行とみられる程度の社会的地位を形成していない、消費者が契約の対象となる商品を利用した利益活動に必要な設備等を準備していないといった事情を踏まえて、当該消費者は当該取引に習熟しているとは認められないのであれば、「営業のために若しくは営業として締結するもの」に該当せず、適用除外の対象とはならないと考えられます。
    2. 法第26条第6項第1号関係:「その住居において売買契約若しくは役務提供契約の申込みをし又は売買契約若しくは役務提供契約を締結することを請求した者」
      • ポスティングされたチラシに「鍵の修理 3,000円~」とあったので修理を依頼したところ、業者が自宅に来て自宅の鍵の状態を確認し、修理には特殊な作業が必要ということで代金は数万円になると言われました。自分から事業者に依頼したので、「売買契約若しくは役務提供契約を締結することを請求した者」に該当して訪問販売の規制が適用されなくなるのでしょうか。
      • 特定商取引法第26条第6項第1号の規定による適用除外について、同号の「請求した者」とは、購入者が契約の申込み又は締結をする意思をあらかじめ有し、その住居において当該契約の申込み又は締結を行いたい旨の明確な意思表示をした場合が該当します。
      • 設問の事例では、チラシの表示額と実際の請求額に相当な開きがあることから、消費者は、当初修理依頼をした段階では、安価なチラシの表示額で契約を締結する程度の意思しか有しておらず、実際に請求された高額な請求額で契約を締結する意思は有していなかったことは明らかです。
      • このような事情により、当該契約の申込み又は締結を行いたい旨の明確な意思表示をしたといえないのであれば、「請求した者」とはいえず、適用除外の対象とはならないと考えられます。

消費者庁 「公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針」の公表について
▼(別添)公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針
  • 従事者の定め(法第11条第1項関係)
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者を、従事者として定めなければならない。
    • 事業者は、従事者を定める際には、書面により指定をするなど、従事者の地位に就くことが従事者となる者自身に明らかとなる方法により定めなければならない。
  • 内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置(法第11条第2項関係)
    1. 事業者は、部門横断的な公益通報対応業務を行う体制の整備として、次の措置をとらなければならない。
      1. 内部公益通報受付窓口の設置等
        • 内部公益通報受付窓口を設置し、当該窓口に寄せられる内部公益通報を受け、調査をし、是正に必要な措置をとる部署及び責任者を明確に定める。
      2. 組織の長その他幹部からの独立性の確保に関する措置
        • 内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に係る公益通報対応業務に関して、組織の長その他幹部に関係する事案については、これらの者からの独立性を確保する措置をとる。
      3. 公益通報対応業務の実施に関する措置
        • 内部公益通報受付窓口において内部公益通報を受け付け、正当な理由がある場合を除いて、必要な調査を実施する。そして、当該調査の結果、通報対象事実に係る法令違反行為が明らかになった場合には、速やかに是正に必要な措置をとる。また、是正に必要な措置をとった後、当該措置が適切に機能しているかを確認し、適切に機能していない場合には、改めて是正に必要な措置をとる。
      4. 公益通報対応業務における利益相反の排除に関する措置
        • 内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関し行われる公益通報対応業務について、事案に関係する者を公益通報対応業務に関与させない措置をとる。
    2. 事業者は、公益通報者を保護する体制の整備として、次の措置をとらなければならない。
      1. 不利益な取扱いの防止に関する措置
        • 事業者の労働者及び役員等が不利益な取扱いを行うことを防ぐための措置をとるとともに、公益通報者が不利益な取扱いを受けていないかを把握する措置をとり、不利益な取扱いを把握した場合には、適切な救済・回復の措置をとる。
        • 不利益な取扱いが行われた場合に、当該行為を行った労働者及び役員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分その他適切な措置をとる。
      2. 範囲外共有等の防止に関する措置
        • 事業者の労働者及び役員等が範囲外共有を行うことを防ぐための措置をとり、範囲外共有が行われた場合には、適切な救済・回復の措置をとる。
        • 事業者の労働者及び役員等が、公益通報者を特定した上でなければ必要性の高い調査が実施できないなどのやむを得ない場合を除いて、通報者の探索を行うことを防ぐための措置をとる。
        • 範囲外共有や通報者の探索が行われた場合に、当該行為を行った労働者及び役員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分その他適切な措置をとる。
      3. 事業者は、内部公益通報対応体制を実効的に機能させるための措置として、次の措置をとらなければならない。
        1. 労働者等及び役員並びに退職者に対する教育・周知に関する措置
          • 法及び内部公益通報対応体制について、労働者等及び役員並びに退職者に対して教育・周知を行う。また、従事者に対しては、公益通報者を特定させる事項の取扱いについて、特に十分に教育を行う。
          • 労働者等及び役員並びに退職者から寄せられる、内部公益通報対応体制の仕組みや不利益な取扱いに関する質問・相談に対応する。
        2. 是正措置等の通知に関する措置
          • 書面により内部公益通報を受けた場合において、当該内部公益通報に係る通報対象事実の中止その他是正に必要な措置をとったときはその旨を、当該内部公益通報に係る通報対象事実がないときはその旨を、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、当該内部公益通報を行った者に対し、速やかに通知する。
        3. 記録の保管、見直し・改善、運用実績の労働者等及び役員への開示に関する措置
          • 内部公益通報への対応に関する記録を作成し、適切な期間保管する。
          • 内部公益通報対応体制の定期的な評価・点検を実施し、必要に応じて内部公益通報対応体制の改善を行う。
          • 内部公益通報受付窓口に寄せられた内部公益通報に関する運用実績の概要を、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において労働者等及び役員に開示する。
        4. 内部規程の策定及び運用に関する措置
          • この指針において求められる事項について、内部規程において定め、また、当該規程の定めに従って運用する
▼(別表)パブリックコメント手続において寄せられた意見等に対する回答
  • 検討会報告書では、「内部公益通報の受付、調査、是正に必要な措置の全て又はいずれかを主体的に行う業務及び当該業務の重要部分について関与する業務を行う場合に、「公益通報対応業務」に該当する」と記載され、「内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者であるかを実質的に判断して、従事者として定める必要がある」と記載されています。また、検討会報告書では、「外部委託先も従事者として定められる場合はあり得る」と記載されています。(なお、指針の解説においてもその旨を明らかにしていく方針です。)
  • 検討会報告書では、「内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者については、必要が生じた都度従事者として定める必要がある」と記載されています。また、「従事者として定めるべき対象」について、公益通報の受付、調査、是正に必要な措置について、「主体的」、かつ、「重要部分」に関与している者が該当すると記載されています。事業者は、当該基準を踏まえ、個別の事案において従事者として定める必要があるか判断する必要があります。
  • なお、検討会報告書では、公益通報者を特定させる事項について、「公益通報をした人物が誰であるか「認識」することができる事項をいう。公益通報者の氏名、社員番号等のように当該人物に固有の事項を伝達される場合が典型例であるが、性別等の一般的な属性であっても、当該属性と他の事項とを照合されることにより、排他的に特定の人物が公益通報者であると判断できる場合には、該当する」と記載されています。(なお、指針の解説においてもその旨を明らかにしていく方針です。
  • 検討会報告書では、「社内調査等におけるヒアリングの対象者、職場環境を改善する措置に職場内において参加する労働者、製造物の品質不正事案に関する社内調査において品質の再検査を行う者などであって、公益通報の内容を伝えられたにとどまる者等は、公益通報の受付、調査、是正に必要な措置について、主体的に行っておらず、かつ、重要部分について関与していないことから、たとえ調査上の必要性に応じて公益通報者を特定させる事項を知ることとなったとしても、従事者として定めるべき対象には該当しない」と記載されています。(なお、指針の解説においてもその旨を明らかにしていく方針です。)
  • 検討会報告書に、「労働者及び役員並びに退職者に対しても、内部公益通報受付窓口の担当者は従事者であること等を、業務の遂行等に支障が生じない範囲で明らかにすることが望ましい」と記載された目的は、「公益通報をする先が従事者であることが分かれば、公益通報者を特定させる事項がより慎重に取り扱われるといった安心感により内部公益通報が促される効果が期待できる」からであり、このような観点からは、個人名の明示も考えられますが、個人名は明示せず窓口担当者が従事者であることを示すことでも本項の「明らかにする」に含まれるものと考えます。(なお、指針の解説においてもその旨を明らかにしていく方針です。)
  • 従事者として定めなければならない者は、「内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者」(指針第3の1)です。通報者が内部公益通報受付窓口担当者に指定されていない上長に対し通報した場合は、「内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報」ではないため、必ずしも当該上長を従事者として定める必要はありません。他方で、検討会報告書では、「内部公益通報受付窓口の担当者以外の者(いわゆる上司等)も内部公益通報を受けることがある。これら内部公益通報受付窓口の担当者以外の者については、従事者として指定されていないことも想定されるが、その場合であっても、事業者において整備・対応が求められる範囲外共有等を防止する体制(第1 2.(2))の対象とはなるものであり、当該体制も含めて全体として範囲外共有を防止していくことが重要である」と記載されています。また、検討会報告書では、「内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者については、必要が生じた都度従事者として定める必要がある」と記載されており、内部公益通報受付窓口に通報された内部公益通報について、上長が、公益通報対応業務を行い、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される場合には、当該上長を従事者として定める必要があります。
  • 検討会報告書では、「外部委託先も従事者として定められる場合はあり得る」と記載されています。その上で、指針において、「書面により指定をするなど、従事者の地位に就くことが従事者となる者自身に明らかとなる方法により定めなければならない」(指針第3の2)と定めており、外部弁護士や外部専門業者を従事者に指定する際も含まれます。(なお、指針の解説においてもその旨を明らかにしていく方針です。)
  • 検討会報告書では、「従事者の定め及び内部公益通報対応体制の整備等に当たり、事業者がとるべき措置の具体的な内容は、事業者の規模、組織形態、業態、法令違反行為が発生する可能性の程度、ステークホルダーの多寡、労働者(公務員も含む。)及び役員(以下「労働者及び役員」という。)や退職者の内部公益通報対応体制の活用状況、その時々における社会背景等によって異なり得る」と記載されています。そのため、各事業者におかれては、自組織の状況を踏まえ、経営判断に基づき各事業者にとって現実的かつ最適な措置を取ることが必要と考えます。
  • 一方で、検討会報告書では、「人事部門に内部公益通報受付窓口を設置することが妨げられるものではないが、人事部門に内部公益通報をすることを躊躇(ちゅうちょ)する者が存在し、そのことが通報対象事実の早期把握を妨げるおそれがあることにも留意する必要がある」と記載されていることも踏まえて、各事業者において総合的に判断していただく必要があると考えます。(なお、指針の解説においてもその旨を明らかにしていく方針です。)
  • 検討会報告書では、調査を実施しない「正当な理由」がある場合の例として、「公益通報者と連絡がとれず事実確認が困難である場合」が記載されており、公益通報者と連絡がとれないことのみをもって調査を実施しない「正当な理由」に該当するとは考えておりません。(なお、指針の解説においてもその旨を明らかにしていく方針です。)また、匿名通報者においても、本法に基づく公益通報を行う場合には、事業者が本法及び指針に基づく是正措置等の通知等を行えるよう対応することが重要です。
  • 検討会報告書では、調査を実施しない「正当な理由」がある場合の例として、「公益通報者と連絡がとれず事実確認が困難である場合」が記載されており、公益通報者と連絡がとれないことのみをもって調査を実施しない「正当な理由」には該当しません。(なお、指針の解説においてもその旨を明らかにしていく方針です。)また、匿名通報者においても、本法に基づく公益通報を行う場合には、事業者が本法及び指針に基づく是正措置等の通知等を行えるよう対応することが重要です。
  • 検討会報告書では、「顧問弁護士に内部公益通報をすることを躊躇(ちゅうちょ)する者が存在し、そのことが通報対象事実の早期把握を妨げるおそれがあることにも留意が必要である。また、顧問弁護士を内部公益通報受付窓口とする場合には、その旨を労働者等及び役員並びに退職者向けに明示するなどにより、内部公益通報受付窓口の利用者が通報先を選択するに当たっての判断に資する情報を提供することが望ましい」と記載されています。(なお、指針の解説においてもその旨を明らかにしていく方針です。)
  • 検討会報告書では、「社内調査等におけるヒアリングの対象者、職場環境を改善する措置に職場内において参加する労働者、製造物の品質不正事案に関する社内調査において品質の再検査を行う者などであって、公益通報の内容を伝えられたにとどまる者等は、公益通報の受付、調査、是正に必要な措置について、主体的に行っておらず、かつ、重要部分について関与していないことから、たとえ調査上の必要性に応じて公益通報者を特定させる事項を知ることとなったとしても、従事者として定めるべき対象には該当しない」と記載されています。
  • また、検討会報告書では、「内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者については、必要が生じた都度従事者として定める必要がある」と記載されています。加えて、「従事者として定めるべき対象」について、公益通報の受付、調査、是正に必要な措置について、「主体的」、かつ、「重要部分」に関与している者が該当すると記載されています。事業者は、当該基準を踏まえ、個別の事案において従事者として定める必要があるか判断する必要があります。
  • なお、検討会報告書では、公益通報者を特定させる事項について、「公益通報をした人物が誰であるか「認識」することができる事項をいう。公益通報者の氏名、社員番号等のように当該人物に固有の事項を伝達される場合が典型例であるが、性別等の一般的な属性であっても、当該属性と他の事項とを照合されることにより、排他的に特定の人物が公益通報者であると判断できる場合には、該当する。」と記載されています。(なお、指針の解説においてもその旨を明らかにしていく方針です。)
  • 「書面」には音声記録は含まれませんが、検討会報告書に記載されている「書面によるなど同意の有無について誤解のないよう、当該公益通報者からの同意を得ることが望ましい」との記載に関しては、事後的に双方が検証可能な形式で記録されることにより、被害者の同意に関して誤解が生じないようにすることが目的であり、「書面による『など』」と記載されているところ、音声記録も許容されると考えます。
  • 「損害賠償請求」も、外部委託先が範囲外共有を行った場合における、「懲戒処分その他適切な措置」の手段の一つと考えます。いずれにせよ、一度範囲外共有が行われた場合には、実効的は回復措置をとることが困難な場合が考えられることから、範囲外共有を防止する措置を徹底することが何よりも重要と考えます。
  • 検討会報告書では、「従事者の定め及び内部公益通報対応体制の整備等に当たり、事業者がとるべき措置の具体的な内容は、事業者の規模、組織形態、業態、法令違反行為が発生する可能性の程度、ステークホルダーの多寡、労働者(公務員も含む。)及び役員(以下「労働者及び役員」という。)や退職者の内部公益通報対応体制の活用状況、その時々における社会背景等によって異なり得る」と記載されています。そのため、各事業者におかれては、自組織の状況を踏まえ、経営判断に基づき各事業者にとって現実的かつ最適な措置を取ることが必要と考えます。いずれにせよ、一度通報者が特定された場合には、実効的な回復措置をとることが困難な場合が考えられることから、範囲外共有を防止する措置を徹底することが何よりも重要と考えます。
  • 検討会報告書では、退職者に対する教育・周知の方法として、「在職中に、退職後も公益通報ができることを教育・周知すること等が考えられる」と記載されており、指針の解説においてその旨を明らかにしていく方針です。退職後の教育については、事業者が退職者への連絡手段を持たないことも想定されるため、公益通報に対する教育・周知ができるような措置を一律に求めることは困難と考えます。また、検討会報告書では、「従事者の定め及び内部公益通報対応体制の整備等に当たり、事業者がとるべき措置の具体的な内容は、事業者の規模、組織形態、業態、法令違反行為が発生する可能性の程度、ステークホルダーの多寡、労働者(公務員も含む。)及び役員(以下「労働者及び役員」という。)や退職者の内部公益通報対応体制の活用状況、その時々における社会背景等によって異なり得る」と記載されています。そのため、各事業者におかれては、外部の通報窓口の情報の周知について、自組織の状況を踏まえ、経営判断に基づき各事業者にとって現実的かつ最適な措置を取ることが必要と考えます。
  • 法第3条第3号ホは、書面により内部公益通報をした日から20日を経過しても、事業者から通報対象事実について調査を行う旨の通知がない場合又は事業者が正当な理由なく調査を行わない場合には、報道機関等への公益通報を行った者への解雇その他不利益な取扱いを禁止しており、指針第4の3(2)は、「事業者は、書面により内部公益通報を受けた場合において、当該内部公益通報に係る通報対象事実の中止その他是正に必要な措置をとったときはその旨を、当該内部公益通報に係る通報対象事実がないときはその旨を、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、当該内部公益通報を行った者に対し、速やかに通知しなければならない」と定めています。ただし、既存の民間事業者ガイドラインには、是正措置等の通知をしないことが許容される場合として、「通報者が通知を望まない場合、匿名による通知であるため通報者への通知が困難である場合その他やむを得ない理由がある場合」(Ⅱの2.)が記載されています。(なお、指針の解説においてもその旨を明らかにしていく方針です。)
  • 既存の民間事業者向けガイドラインでは、定期的な評価・点検の方法として、「内部監査や中立・公正な第三者等を活用した客観的な評価・点検を定期的に実施し、その結果を踏まえ、経営幹部の責任の下で、制度を継続的に改善していくことが必要」(Ⅳの2)と記載されています。(なお、指針の解説においてもその旨を明らかにしていく方針です。)
  • 検討会報告書では、運用実績の開示について、「開示の内容・方法を検討する際には、公益通報者を特定させる事態が生じないよう十分に留意する必要」があると記載されており、あくまで個別の事案において適切に判断していただく必要がありますが、公益通報者を特定させる可能性のある事案については、その概要を開示すべきではありません。(なお、指針の解説においてその旨を明らかにしていく方針です。)
  • 検討会報告書では、正当な理由が認められる場合については、「漏らす行為に違法性がないとして許容される場合」をいうとし、例えば、下記のような場合には「正当な理由」が認められると記載されています。
  • 公益通報者本人の同意がある場合
    • 法令に基づく場合
    • 調査等に必要である範囲の従事者間で情報共有する場合
    • 公益通報者が通報対象事実に関する被害者と同一人物である等のために、調査等を進める上で、公益通報者の排他的な特定を避けることが著しく困難であり、当該調査等が法令違反の是正等に当たってやむを得ないものである場合
    • なお、同意の取得にあたっては、検討会報告書では「書面によるなど同意の有無について誤解のないよう、当該公益通報者からの同意を得ることが望ましい」と記載されており、事後的に双方が検証可能な形式で記録されることにより、被害者の同意に関して誤解が生じないようにすることが目的であり、「書面による『など』」と記載されているところ、例えば音声記録も許容されると考えます。

消費者庁 第8回消費者裁判手続特例法等に関する検討会
▼【資料2】対象消費者への情報提供の在り方
  • 基本的な方向性
    • 行政や事業者の役割をより積極的なものとし、主体間での連携・補完により、信頼性を確保しつつ、情報提供を強化すべき
    • 各主体の基本的な役割を明確化しつつ、事案ごとに効果的な情報提供を実施する仕組みが必要
    • 情報提供の趣旨・目的や伝えるべき対象に照らし、伝達手段と内容に工夫が必要
    • 実効性が高い個別通知の十分な実施のためには、事業者において連絡先を確保するインセンティブとなる制度が望ましく、かつ、情報を有する第三者による協力が期待される
  • 情報提供の実効性を確保し、各主体の合理的な役割分担を実現するという観点から、仕組みの案についてどのように考えるか
    • これまでの議論において、情報提供の実効性確保するために重要と指摘された以下の点に対応できるか
      1. 個別通知の十分な活用
      2. 対象消費者が信頼を置きやすい情報提供の実施(情報提供主体、手法、主体間での連携・補完)
      3. 各主体の基本的な役割は明確化しつつ、事案ごとに効果的な情報提供を実施する仕組み
  • 各主体による情報提供の実効性を確保するため、手当すべき点はあるか
    • 事業者による個別連絡の履行を確認することの要否・方法
    • 団体が行う公告について、方法の適正性(合理的な方法による実施)を確保しつつ、事業者の一定額の負担を「合理的な範囲」に限定することについて、どのような方策が考えられるか
  • 対象消費者に関する情報を有している第三者が、一定の場合に、団体に対して当該情報を提供できるという規定を設けることで、情報開示の実効性が確保できるか
  • 指定法人制度を導入するとして、対象消費者への情報提供の場面で当該制度を活用するために、留意すべき点はあるか
  • 関係する主な意見
    • 第三者からの対象消費者に関する情報の提供について、請求を受ける事業者からすると、仮に個人情報保護法違反のおそれは払しょくされたとしても、任意に情報を開示することには慎重にならざるを得ない
    • 被害回復の道筋をより明確にし、かつ、必要なときにすぐに情報にリーチでき、情報収集の手間を短縮できる、個別の事案ごとの対応にとどまらない仕組み(プラットフォーム)づくりが求められる

【2021年7月】

消費者庁 消費者意識基本調査 令和2年度実施(令和2年11月調査)
▼2 調査結果の概要
  • 日常生活における「新しい生活様式」の実践頻度について聞いたところ、(ア)~(オ)の5項目で、「行っている(『常に行っている』+『ある程度行っている』)」の割合が高い順にみると、「マスクの着用」が97.4%と最も高く、次いで「石けんで丁寧に手洗い・アルコールなどで手指消毒」(94.4%)、「『3密』(密集、密接、密閉)の回避」(92.1%)の順となっている
  • 1年前と比べた各行動の増減について聞いたところ、(ア)~(シ)の12項目で、「増えた(『増えた』+『やや増えた』)」の割合が高い順にみると、「インターネットの利用」が38.4%と最も高く、次いで「家族との時間」(30.4%)、「家事」(30.2%)の
  • 順となっている。一方、「減った(『やや減った』+『減った』)」の割合が高い順にみると、「外食」が69.5%と最も高く、次いで「旅行」(59.1%)、「趣味」(35.0%)の順となっている。
  • インターネット利用の有無を聞いたところ、「普段、利用している」の割合は73.2%となっている。性別にみると、「普段、利用している」の割合は「女性」(70.0%)より「男性」(76.8%)の方が高くなっている。年齢層別にみると、「普段、利用している」の割合は「20~29歳」(98.4%)で最も高く、次いで「30~39歳」(98.0%)が高くなっている。一方、「80歳以上」(14.8%)で最も低くなっている。
  • で「普段、利用している」と回答した人(4,259人)にインターネットで利用しているサービスを聞いたところ、「情報収集(検索、閲覧)」の割合が89.5%と最も高く、次いで「動画閲覧」(78.0%)、「買物」(75.6%)の順となっている。
  • 「増えた」の割合が高い順にみると、「テレワーク」が90.0%と最も高く、次いで「オンライン学習」(80.0%)、「イベントなどのライブ配信の閲覧」(67.4%)の順となっている。一方、「減った」の割合が高い順にみると、「チケット予約」が43.0%と最も高く、次いで「オークションへの出品」(17.9%)、「副業」(16.3%)の順となっている。
  • 「普段、購入している」の割合は75.5%となっている。性別にみると、「普段、購入している」の割合は「男性」(73.4%)より「女性」(77.5%)の方が高くなっている。年齢層別にみると、「普段、購入している」の割合は「30~39歳」(89.5%)で最も高く、次いで「20~29歳」(87.8%)が高くなっている。一方、「80歳以上」(38.3%)で最も低くなっている。
  • 1年前と比べた店頭での買物の利用頻度の変化を聞いたところ、「増えた」の割合は、「食料・食品」が15.0%と最も高くなっている。「減った」の割合が高い順にみると、「旅行」が46.5%と最も高く、次いで「チケット」(36.5%)、「衣類・履物」(34.8%)の順となっている。
  • に、インターネットでの商品・サービスの購入で心配なことを聞いたところ、「個人情報が漏えい・悪用されている」の割合が66.7%と最も高く、次いで「商品やサービスが期待とは異なる」(64.9%)、「望まない広告メールが送られてくる」(62.3%)の順となっている。
  • デジタルプラットフォームでの購入時の優先項目上位3つを聞いたところ、選ばれたものを1位から3位まで合計すると、「過去のレビュー(商品やサービス、売主に対する評価)」が57.6%と最も高く、次いで「欲しい商品やサービスの品ぞろえ」(45.9%)、「欲しい商品やサービスの探しやすさ」(39.2%)の順となっている。
  • 1年前と比べた外食時の飲食店選びにおいて重視することの変化を聞いたところ、「重視度が増した(『重視度が増した』+『重視度がやや増した』)」の割合が高い順にみると、「店員がマスクを着けている」が84.2%と最も高く、次いで「消毒対応が十分である」(80.3%)、「席の間隔が広い、横並び席がある」(67.0%)の順となっている。
  • 1年前と比べた外食時に新たに行うようになった行動を聞いたところ、「食べる前に消毒・手洗いする」の割合が76.5%と最も高く、次いで「大勢で店に行かない」(64.8%)、「食べる時以外はマスクを着ける」(58.7%)の順となっている。
  • 新型コロナウイルス感染急拡大時(令和2年3月~5月)の生活必需品に限らず全般的な考えや行動を聞いたところ、「当てはまる(『かなり当てはまる』+『ある程度当てはまる』)」の割合が高い順にみると、「ルールを守らない人には、罰が必要だと思った」が38.1%と最も高く、次いで「品薄の商品なら、高く売られていても仕方がないと思った」(24.3%)、「緊急事態時には、ルールを
  • 守らない人が出ても、仕方がないと思った」(11.8%)の順となっている。一方、「当てはまらない(『あまり当てはまらない』+『ほとんど・全く当てはまらない』)」の割合が高い順にみると、「見聞きした情報は、SNSやインターネットに書き込んだ」が92.2%と最も高く、次いで「品薄の情報やコメントをSNSなどに投稿した」(91.9%)、「品薄の商品を持っていたら、高めに売ってもよいと思った」(80.0%)の順となっている。
  • この1年間に、自分自身が購入した商品、利用したサービスについて、消費者被害に当たる経験をしたことがあるかという質問に対して、1人につき「ある」と回答した個数を集計すると、「0個」の割合が87.0%、「1個」が6.4%、「2個」が4.0%で、「1個以上」は13.0%となっている。前回の調査結果と比較して、「1個以上」の割合は1.8ポイント増加している。
  • 経済的な豊かさの程度を聞いたところ、「豊かだ(『豊かなほうだ』+『どちらかといえば豊かなほうだ』)」の割合は、52.3%と半数を少し上回った。一方、「豊かではない(『どちらかといえば豊かではないほうだ』+『豊かではないほうだ』)」の割合は46.0%で半数を少し下回った。
  • 現在の生活への満足度を聞いたところ、「満足(『満足している』+『どちらかといえば満足している』)」の割合は66.3%となっている。一方、「不満(『どちらかといえば不満である』+『不満である』)」の割合は32.0%となっている。
  • 日頃の買物で意識していることを聞いたところ、「意識している(『かなり意識している』+『ある程度意識している』)」の割合が高い順にみると、「レジ袋をもらわない」が74.7%と最も高く、次いで「ごみを減らし、再利用やリサイクルを行う」(60.8%)、「弁当・総菜などを購入するときに不要なフォーク・スプーンをもらわない」(59.4%)の順となっている。一方、「意識していない(『あまり意識していない』+『ほとんど・全く意識していない』)」の割合が高い順にみると、「フェアトレード商品を選ぶ」が54.2%と最も高く、次いで「社会貢献活動に熱心な企業のものを選ぶ」(50.3%)、「環境に配慮されたマークのある食品・商品を選ぶ」(38.2%)の順となっている。

消費者庁 フリーマーケットサイトにおける健康食品の偽物の販売に関する注意喚起
  1. 本件の概要
    1. フリーマーケットサイトにおける健康食品の偽物の出品状況について
      • 令和3年5月、フリーマーケットサイト「ラクマ」(以下「ラクマ」といいます。)において、例えば下表のような内容で、大塚製薬株式会社(以下「大塚製薬」といいます。)が製造・販売する健康食品「EQUELLE」(パウチタイプ・120粒入り。以下「エクエル」といいます。)の商品名などをうたった出品が複数見られました
      • エクエルは、通常、大塚製薬の公式通販サイトや、医療機関・調剤薬局などで販売されていますが、上表の出品における1袋当たりの販売価格は、公式通販サイトや医療機関・調剤薬局などでの販売価格よりも2~3割程度安くなっていました。
      • 出品者らは、エクエルの偽物を発送する際に他人の個人情報を用いるなどしており、実体は不明です。
      • 少なくとも令和3年6月上旬時点においても、ラクマにおいて偽物の疑いのある「エクエル」が出品されていました。
    2. 「エクエル」の偽物が発覚した経緯について
      • 前記(1)の出品に係る表示を見て、「エクエル」として出品されていた品物を購入した消費者が、送られてきた品物を開封して内容物を見るなどしたところ、エクエルの正規品との違いに気付き、大塚製薬に通報しました。
      • 大塚製薬が、消費者から提供された、「エクエル」として出品されていた品物の2商品パッケージ、ロット番号、内容物の成分などを確認・分析したところ、偽物であると判明しました。
    3. 大塚製薬及びラクマの運営者による注意喚起
      • 大塚製薬は、自社のウェブサイトにおいてエクエルの偽物がフリーマーケットの一部で取引されていることを注意喚起しています。
      • ラクマの運営者も、ラクマの利用者に対し、ラクマにおいてエクエルの偽物が出品されていることを注意喚起しています。
  2. エクエルの正規品と偽物の見分け方
    • ラクマにおいて出品されていたエクエルの偽物は、商品パッケージ・内容物ともに正規品にかなり似せて造られており、単体でみた場合には不自然な点に気付きにくく、正規品と見比べる又は正規品との違いを把握していないと、偽物と気付くことは困難です。
    • 偽物と正規品を見分ける主なポイントは次のとおりです。
      1. 偽物のパッケージ裏面の賞味期限「2023.2.2 C」との表示は、正規品にはない表示で、文字もかすれて印字されています。また、「2023.2.2 C」との表示から製造ロットを把握できますが、「2023.2.2」と「C」の組合せは、正規品には存在しません。
      2. 錠剤状の内容物について、正規品はやや黄色がかっていて、断面は円に近い形状ですが、偽物は白色であり、断面は楕円です。
      3. 同梱されている乾燥剤の袋について、正規品は透明のビニール袋であるのに対し、偽物は白色の紙の袋です。
  3. 消費者庁が確認した事実
    • 前記1のとおり、ラクマにおいて、「遠藤」などと名乗る出品者は、「エクエル 120粒(30日分)×12袋セット 大塚製薬(¥38,000)がフリマアプリ ラクマで販売中♪」などと、エクエルの正規品を出品しているかのように表示し、エクエルの正規品が出品されていると消費者を誤認させて購入を申し込ませ、エクエルの偽物を送っていました(消費者を欺く行為)
  4. 消費者庁から皆様へのアドバイス
    • フリーマーケットサイトやオークションサイトにおいて「エクエル」を購入したことがある消費者は、前記2の見分け方を参考に正規品か偽物かを確認してください。
    • なお、大塚製薬は、エクエルの偽物を購入してしまわないよう、公式通販サイトや医療機関・調剤薬局などの正規ルートでの購入を推奨しています。
    • フリーマーケットサイトには、購入者が届いた品物を確認して出品者を「評価」した時点で、代金が出品者に支払われる仕組みになっているものがあります。
    • しかし、出品者に代金が支払われた後は、例えば、購入した品物が偽のブランド品であると後で気付き、購入者がサイトの運営者に返金や仲裁を求めても、運営者は、出品者に代金が支払われた後のトラブルには関知せず、当事者間で解決するように回答し、返金や仲裁などの対応がなされない場合があるので注意しましょう。
    • 消費生活センター等では、消費者が事業者との取引などにおいてトラブルとなった場合に相談を受け付け、トラブル解決のための助言や必要に応じてあっせんを無料で行っています。

消費者庁 令和2年度における景品表示法の運用状況及び表示等の適正化への取組
  • 消費者庁は、景品表示法違反被疑事件について調査を行い、違反する事実があると認められたときは、措置命令の名宛人となるべき者に対し、予定される措置命令の内容等を通知し、弁明書及び証拠書類等を提出する機会を付与し、弁明の内容等を踏まえて措置命令を行っている。
  • また、措置命令を行うに足る事実が認められなかった場合であっても、景品表示法に違反するおそれがあるときは、関係事業者に対し、是正措置を採るよう指導している。
  • さらに、「不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律」(平成26年法律第118号)が平成28年4月1日に施行され、景品表示法に課徴金制度が導入されたところ、消費者庁は、景品表示法第5条第1号又は第2号の規定に違反する事実があると認められたときは、所定の要件に従い、課徴金納付命令の名宛人となるべき者に対し、措置命令の場合と同様に弁明の機会を付与し、弁明の内容等を踏まえて課徴金納付命令を行っている。
  • 令和2年度における調査件数は、前年度から繰越しとなっている151件、年度内に新規に着手した289件の合計440件である。同年度における処理件数は、措置命令が33件、課徴金納付命令が15件、指導が176件のほか、都道府県等による処理が適当として都道府県等に移送したものが21件、公正競争規約により処理することが適当として当該公正競争規約を運用している公正取引協議会等に移送して同協議会等が処理したものが21件などの合計271件である。
  • 措置命令の件数については、平成30年度は46件、令和元年度は40件、令和2年度は33件となっている。
  • 令和2年度に処理したもののうち、公正取引委員会事務総局地方事務所・支所等が行った調査の結果を踏まえて消費者庁が行ったものは、措置命令5件(東北事務所、中部事務所、近畿中国四国事務所及び近畿中国四国事務所四国支所)、指導34件、調査を打ち切ったもの等1件である。
  • 令和2年度においては、14名の事業者に対して15件の課徴金納付命令を行い、11億7238万円の課徴金の納付を命じた。
  • また、提出された実施予定返金措置計画について、1件の認定を行った。これまでに認定された返金措置は、一般消費者の被害回復を支援する観点等から、当庁ウェブサイトに掲載している。
  • なお、規模基準(景品表示法第8条第1項ただし書の規定に基づき、課徴金額が150万円未満となる場合には、課徴金を賦課しないこととされている。)等により、消費者庁が措置命令を行った案件のうち、過去3年度の間に課徴金を賦課しないこととされた案件の合計は44件である。
  • 景品表示法と健康増進法との一体的な執行
    • 国民の健康志向の高まりから、いわゆる健康食品が広く普及している中、インターネット等を利用した広告・宣伝が活発に行われている。このような広告・宣伝の中には、虚偽・誇大広告や不当表示に当たるおそれのあるものも見受けられ、これら虚偽・誇大広告等に対する厳正な法執行が求められている。
    • 上記虚偽・誇大広告等に対しては、景品表示法及び健康増進法に基づく法執行が考えられるところ、消費者庁では、より効果的な法執行を行うため、表示対策課食品表示対策室において、平成28年6月30日に全面改訂した「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」の周知に引き続き力を入れるとともに、令和2年度に、インターネット上で食品の虚偽・誇大広告の監視を行い、健康増進法第65条第1項の規定に違反するおそれのある事業者に対しては、表示の改善を要請したことを公表した。
    • 令和2年度においては、健康食品に関して、景品表示法に基づく措置命令2件(後記(5)参照)のほか、健康増進法第65条第1項(誇大表示の禁止)に違反するおそれがある事案について、17件の指導を行った。
  • 新型コロナウイルスへの予防効果等を標ぼうする不当表示等への対応
    • 令和2年以降、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、同ウイルスへの効果等を標ぼうする表示が見られたことを踏まえ、それらの表示の適正化に積極的に取り組んだ。
    • まず、景品表示法及び健康増進法に基づき、インターネット上の広告等の緊急監視を行い、新型コロナウイルスへの予防効果等に対する効果等を標ぼうする健康食品、空間除菌商品、マイナスイオン発生器、アロマオイル、光触媒スプレー等について改善要請を実施するとともに、消費者に対する注意喚起を行った。
    • また、消毒、除菌等に対する消費者の関心が高まる中、アルコール商品、次亜塩素酸水、空間除菌用品、健康食品等の表示について措置命令を行い、令和2年度における措置命令33件のうち21件が消毒、除菌等の効果等についての不当表示に対するものであった(詳細については別紙1参照)。行政指導も積極的に実施し、このうち、携帯型空間除菌用品、抗体検査キット及び研究用抗原検査キットの販売を行っていた事業者に対して再発防止等の行政指導を行ったことを公表し、消費者に対して注意喚起を促した。
    • そのほか、令和2年6月に、厚生労働省及び経済産業省と合同で、新型コロナウイルスの消毒・除菌方法や消毒剤等の選び方等を取りまとめ、消費者へ注意喚起を行った。
  • 行政処分取消訴訟
    • 平成29年12月27日付けでアマゾンジャパン合同会社に対して景品表示法の規定に基づく措置命令を行ったことに対し、平成30年1月26日、同社が同命令の取消しを求めて提訴した。令和元年11月15日、東京地方裁判所において原告の請求を棄却する判決がなされ、同年11月29日、原告が同判決の取消しを求めて控訴を提起した。令和2年12月3日、東京高等裁判所において控訴人の控訴を棄却する判決がなされた(原告が最高裁判所に上告後、令和3年2月9日、上告取下げにより判決確定。)。
    • 平成29年3月9日付けで株式会社だいにち堂に対して景品表示法の規定に基づく措置命令を行ったことに対し、平成30年8月24日、同社が同命令の取消しを求めて提訴した(訴訟係属中)。
    • 平成31年3月6日付けで株式会社ライフサポートに対して景品表示法の規定に基づく措置命令を行ったことに対し、令和元年6月3日、同社が同命令の取消しを求めて提訴した。令和3年4月22日、大阪地方裁判所において原告の請求を棄却する判決がなされた(同年5月6日に判決確定。)

消費者庁 第21回消費者契約に関する検討会
▼【資料1】 消費者の取消権
  1. 困惑類型の脱法防止規定<主な意見>
    • 霊感等による知見を用いた告知(第6号)は異質であることから、すべてを包括した受皿規定を設けることは困難であり、類型ごとに分けて脱法防止のための規定を設けてはどうか。
    • 第1号と第2号の受皿規定と、事務局資料の事例2(第20回資料1の9頁)を対象とする受皿規定を考えるべき。第8号は第7号の受皿規定となっているところ、第8号の脱法行為は想定しがたいのではないか。
    • 第1号・第2号、第7号・第8号の共通性を括り出すこともあり得るのではないか
    • 事業者が勧誘に際して不退去その他の不利益を作出し、当該不利益に起因する心理的圧迫を利用して契約を締結させた場合が考えられる。
    • 「害悪の告知+畏怖」とまでは言えない「強引・威迫的勧誘行為+困惑」類型を捉えるのが適切である。
    • 事務局資料の事例1、事例2(第20回資料1の8・9頁)のような「強迫的な言動」、「度重なる電話での勧誘」、「長時間の拘束」などの具体的な行為を規制できる規定にする必要。
    • 第1号、第2号の受皿規定として、有形無形の力を用いて消費者の意思を歪めるものの一例という観点から、「威力を用いることにより、消費者に対し直ちに契約を締結するか否かを判断するよう求めること」が考えられる。
    • 事務局資料の事例2に対応するため、「勧誘をするためのものであることを告げずに、営業所その他特定の場所への来訪を要請した場合において、事業者が消費者の意思に反して勧誘し、直ちに契約を締結するか否かを判断するよう求めること」が考えられる
    • 消費者と事業者との間で「取引上の社会通念」の意味が一致しているとは限らず、取引が多様化する中で社会通念も多様化していることに照らすと、信義則の方が分かりやすい。
    • 「取引上の社会通念」を基準とすると、業界の常識に反するような勧誘は駄目だということで、イノベーティブな勧誘方法が基本的にはすべて否定されることにもなりかねない。
    • 「妨げる行為」を具体化するか、逐条解説等で具体例を挙げるなどにより、勧誘の違法性の水準を緩和するものではない点を明記すべき
    • 規定の方向性
      • 消費者の心理状態に関する事業者の認識を要件としない類型について、事業者による不当な働きかけを、(1)消費者の行動を制約する行為(第1号・第2号)、(2)消費者に心理的な負担を生ぜしめる行為(第7号・第8号)へと類型化した上で、類型ごとに同等の不当性を有する場合を捉える受け皿となる規定を設けてはどうか。
      • 第1号・第2号→「前二号に掲げるもののほか、(正常な商慣習に照らして不当に)当該消費者の行動を制約することにより当該消費者の判断の自由を制限する行為」
      • 第7号・第8号→「前二号に掲げるもののほか、(正常な商慣習に照らして不当に)当該消費者に、当該消費者契約を締結しなければならないという心理的な負担を生ぜしめる行為」※第8号の要件を緩和し整理することも考えられる
  2. 心理状態に着目した規定<主な意見>
    • 高揚感や期待をあおる行為についても取り消すことができるようにすべき。
    • 通常行われている営業活動が取消しの対象とならないようにすべき。
    • ヒューリスティックな意思決定への勧誘者の悪質な誘導が問題。気が散って意思表示に対して集中できない環境下の勧誘が想定され、短い時間での意思決定に限られないのではないか。
    • 「極めて短く限定する勧誘」に該当するかどうかは、商品、取引類型などに照らして判断されるので、「取引の類型や契約締結の態様(等)に照らして」といった判断のための考慮要素を加えることも考えられるのではないか。
    • 「極めて短く」がどの程度の長さの時間を指すのかについて、少なくとも判断指標を示す必要があり、例えば契約金額の大小が考えられるのではないか。
    • 「極めて短く限定」について、商品・サービスによって時間が異なるため、契約の目的物等の特性に考慮した解釈を逐条解説に示す等していただきたい。
    • 「期間を極めて短く限定する勧誘」がどの程度の期間を指すのか、どのような場合を規制対象となるのかを明らかにすべき。1日限定のタイムセールやキャンペーンの最終日の勧誘などができなくなると、影響が大きい。
    • タイムセールなど、意思表示をする期間を極めて短く限定することが合理的な勧誘が存在する。
    • 正当な理由がない場合とはどのようなケースか、より明確化する必要。
    • 提案がどのような場面を想定しているのかが分かりにくい。これだけを取り出すと不実表示の問題にも見えるので、浅慮の惹起が問題であることを表す必要がある。
    • 不意打ちがあったとしても、心理学的な意味での浅慮になるとは限らないので、そのような心理状態に陥ることを要件とすべきではないか。
    • 契約を締結するか否かの判断を求めることは通常行われていることなので、前回(第12回)の提案にあった「迫る」に意味があったのではないか
    • 規定の方向性
      • 「(1)事業者が、正常な商慣習に照らして不当に消費者の判断の前提となる環境に対して働きかけることにより、消費者が適切な判断をすることができない状況を作出し、(2)消費者の意思決定が歪められたことが問題」ではないか。
      • (1)について、検討時間を制限する行為や、高揚感をあおる行為、注意力を削ぐ行為等の要素(これらの要素が複合的に利用される場合も含む。)を検討。
      • (2)について、(1)の行為がなければ、一般的・平均的な消費者であれば当該契約を締結するという判断をしない場合を想定。
  3. 判断力不足に着目した規定<主な意見>
    • 取消しの対象となる契約に該当するのか否かについて、事業者が契約時に判断できるよう、対象となる契約を具体化・明確化すべき。
    • 「当該消費者が契約の締結を必要とする事情がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに」という部分の明確化も必要。
    • 多くの高齢者は、現時点では蓄財があっても、取り崩して生活をすることになるので、「将来にわたって」という部分の解釈を明確にする必要。
    • 現時点では直ちに生活に支障を及ぼさない場合であっても、将来の生活に支障を及ぼす可能性があれば対象になることを明らかにすべき。
    • 「将来にわたって」という部分が具体化されるのであれば、「不可逆的な」は削除してもよい
    • 事業者側に悪意と同視される程度の重過失がない場合を除外するといった規定の方が柔軟に対応できるのではないか。
    • 事業者の無過失を要件とすると、事業者に、自宅を売却する理由や貯蓄等に関する調査義務・注意義務が生じ、取引社会にかなり大きな影響を及ぼすのではないか。
    • 事業者に重過失がある場合に限定すると、訴訟や消費生活相談の実務において活用できなくなる。
    • 契約締結を必要・相当とする事情があると信じ、かつ信じたことに理由がある場合もありうるので、この点を更に検討すべき。
    • 事業者が、当該消費者の周囲の複数の人間に確かめるなどして、支障がないと判断した(が、その判断が誤っていた)という場合には契約が取り消されることがないことを確認しておくとよいのではないか
    • 正常な事業活動が取消しの対象とならないよう、判断力の著しい低下について、事業者の主観面(悪意か有過失)を要件とすべき。
    • 事業者の悪意が要件とならないとしても、事業者側に当該消費者には十分な判断力があるものと信ずべき正当な理由がある場合には取消しを免れる、という規律も検討に値するのではないか。
    • 対象を限定することで事業者の立場に配慮したことや、被害救済の救済コストの分担という観点から、事業者の主観的要件は設けるべきではない。
    • 消費生活相談の実情として、事業者から、判断力に問題があることは分からなかったと言われてしまうと、それ以上、あっせんは進まない。
    • 規定の方向性
      • 取消しの対象となる契約について、対象とすべき根拠とともに、事業者がどのような認識であれば取消しを受容すべきかを整理し明確化を図ることとしてはどうか。
      • 当該消費者の生活を将来にわたり成り立たなくするような契約を対象として想定。
      • 取消しの対象となる契約であることについて、事業者の悪意又は悪意と同視される程度の重過失がない場合には、取り消すことができないものとしてはどうか。
      • 消費者の判断力については、客観的な基準により判断することとし、事業者の認識は要件としないこととしてはどうか。
▼【資料2】 立証責任の負担を軽減する特則における営業秘密の保護
  • 訴訟上の特則における営業秘密の保護
    • 積極否認の特則と秘密保持命令の関係をどのように考えるのか。
    • 秘密保持命令等を設けるのであれば、文書提出命令の特則についても導入することが考えられるのではないか。
    • 秘密保持命令を導入した際に、特許法等における実務運用(事前協議等)をそのまま「平均的な損害」に係る訴訟においても実施することができるのか
  • 積極否認の特則と秘密保持命令の関係をどのように考えるのか。<関係する主な意見>
    • 仮に積極否認の特則を設ける場合には、営業秘密の漏洩防止の観点から、特許法に準じた守秘義務や罰則をもうけるべき。
    • 特許法で積極否認の特則が導入された当時は秘密保持命令の規律はもともとなかった。積極否認の特則と秘密保持命令は1対1で対応するものでもないだろう。
    • 消費者に義務が加重されることによって委縮して、積極否認の特則が効果的に使われることがあまりなくなってしまう。
    • 文書提出命令の特則では、「文書や記録の提出」となるため、そこに書かれている内容が問題となるが、積極否認の特則では説明すべきことを説明すればいいという側面があり、差があると考えている。
  • 秘密保持命令等を設けるのであれば、文書提出命令の特則についても導入することが考えられるのではないか。<関係する主な意見>
    • 説明についての努力義務、積極否認の特則のいずれも弱い効果にとどめられている。最後は文書提出命令の特則によることができるという形のほうが、実効性の点で、また、全体の制度設計の点で望ましいのではないか。(ただし、利用主体を適格消費者団体に限る)
    • 個別の消費者が不当性を争う形ではなく、事業者対適格消費者団体の訴訟を中心にして不当条項の不当性を判断していく方向性も消費者全体の利益のためになるのではないか。
  • 秘密保持命令を導入した際に、特許法等における実務運用(事前協議等)をそのまま「平均的な損害」に係る訴訟においても実施することができるのか
    • 提案:積極否認の特則を導入しても、事業者は「相当の理由」により裁判において営業秘密を明らかにする必要がなく、営業秘密の保護が図られることを踏まえると、秘密保持命令のような(重厚な)制度は、文書提出命令の特則を導入する場合(この場合は、事業者が、強制的に、裁判において営業秘密を明らかにせざるを得ないと考えられる。)に導入することとしてはどうか。
▼【資料3】 解除権の行使を制約する条項
  • 解除権の行使を制約する条項のうち、どのようなものを第10条の第1要件の例示とするか。<主な意見>
    • 口頭でも意思表示として採られるものであれば十分だという規律に対して、例えば書面によるということになっていれば、現在でも契約法第10条の第1要件には該当することになるのではないか。そうしたときにわざわざ第1要件の例示として置くのは、基本的にはもうアウトという推定が強く働くようなものだけれども、合理的な場合もあり得るものを切り出すことになるのではないか。
    • 「過重な」という評価を入れると、もう直ちに信義則に反するという方向にならざるを得なくなり、第1要件という説明は理論的に難しいのではないか。
    • 解約を実際にするために費用あるいは労力が不相当に大きくなっているタイプのものがおそらく第1要件の例示にふさわしいものではないか。しかし「不相当」とするとやはり評価的な要素が入っていることになるので、どうかという問題は残るかもしれない。
    • 「容易に知り得ない」ものは条項としてもあり得るとは思うが、運用面も条項の有効性に入れるという立場をとるにしても、第2要件の問題となるのではないか。「容易に知り得ない」が全く意味がないとは思わないが、想定したものはうまくつかめていないのではないか
    • 解除を申し出た方が正当な解除権者なのか、また、単独で解除できるのか否か等を書面で確認することは民法のデフォルトルールに基づいて求められる取り扱いであり、また、原本や写しによる本人確認は犯罪収益移転防止法や裁判例などに基づいて事業者が行っている取り扱いであり、これらは明確に除外されるべき。
    • 当然に電話によることは全て駄目であることにはならないが、第1要件の例示として書くとすれば、合理的な本人確認の必要があるような場合か。
  • 提案
    • 契約法第10条第1要件に、消費者の解除権の行使について、解除に係る手続に必要な範囲を超えて(※)、消費者に労力又は費用をかけさせる方法に制限する条項を例示してはどうか。(なお、必要な範囲を超えているが、消費者にかけさせる労力又は費用の程度が低い場合は、第2要件に該当せず、第10条により無効とはならない。)※ 「本人確認その他の解除に係る手続に必要な範囲を超えて」とすることも考えられる

消費者庁 令和2年度食品表示に関する消費者意向調査報告書
  • 現在お金をかけているものについては、「食べること」が66.1%と最も多く、次いで「貯金」が30.1%、「旅行」が27.7%、「理美容・身だしなみ」が27.6%
  • 今後(も)お金をかけたいものについては、「食べること」が56.9%と最も多く、次いで「旅行」が38.4%、「貯金」が35.3%、「健康・リラックス」が28.1%
  • 今後(も)節約していきたいものについては、「該当するものはない」を除けば、「ファッション」が22.7%と最も多く、次いで「交際(飲食を含む)」が21.1%、「通信(電話、インターネット等)」が19.3%、「車」が12.9%。女性10~40代は「通信(電話、インターネット等)」が最も高い
  • 食品を選ぶとき意識する(「常に意識する」+「よく意識する」)項目については、「価格」が84.9%と最も多く、次いで「安全性」が67.9%、「機能」が61.7%、「特典(ポイントカード、景品等)」が47.5%。
  • ふだん食事に気を付ける必要の有無については、「特に気を付けることはない」を除けば、「肥満・メタボリックシンドローム」が25.7%と最も多く、次いで「高血圧」が21.1%、「糖尿病」が14.2%
  • 食事を提供する同居者の中に食事に気を付ける必要がある方は、「特に気を付けることはない」を除けば、「高血圧」が19.5%と最も多く、次いで「肥満・メタボリックシンドローム」が17.1%、「高齢者(65歳以上)」が16.4%
  • 食品購入頻度は、「週に数回購入している」が53.9%と最も多く、次いで「月に数回購入している」が17.6%、「ほぼ毎日購入している」が12.6%、「あまり購入していない(年に数回程度)」が8.4%
  • 医療機関で食物アレルギーの診断を受けている者の割合は51.6%。医師の指示で、食物アレルギーの原因である食物の除去を行っている者の割合は41.6%
  • 「食品表示」がどのようなものか知っている者の割合は69.5%であり、特に60代、70代以上の女性は知っている者の割合が高かった
  • 「食品表示」がどのようなものか知っている者(全体の69.5%)のうち、認識が一致している者の割合は95.3%
  • 「食品表示制度」がどのようなものか知っており、かつ、認識が一致していた者が、「食品表示制度」が新しくなったことを知っていた割合は29.8%であり、全体と比べて、8.7ポイント高かった
  • 食品表示制度が新しくなったことを知った経緯は、「新聞、ニュース、雑誌等の記事・広告」が75.1%と最も多く、次いで「商品の表示を見て」が33.6%、「消費者庁ウェブサイト」が16.5%、「公的機関の広報誌・チラシ・パンフレット」及び「食品会社等のウェブサイト、お客様相談、パンフレット、イベント等」がいずれも12.4%
  • 「消費期限」又は「賞味期限」の表示を食品選択のためにどの程度参考にしているかについては、「いつも参考にしている」が47.7%と最も多く、「ときどき参考にしている」と合わせると82.6%
  • 「賞味期限」の説明で正しい選択肢は、「『賞味期限』とは、定められた方法により保存した場合において、期待される全ての品質の保持が十分に可能であると認められる期限である」であり、55.4%が選択しており、最も多かった。
  • 食品購入時に「原料原産地名」の表示を「ときどき参考にしている」が42.7%と最も多く、「いつも参考にしている」と合わせると67.1%
  • 食品購入時に「添加物」の表示を「ときどき参考にしている」が39.1%と最も多く、「いつも参考にしている」と合わせると57.4%
  • 食品購入時など、ふだんの食生活において「栄養成分の量及び熱量(栄養成分表示)」の表示を「ときどき参考にしている」が49.8%と最も多く、「いつも参考にしている」と合わせると67.0%
  • 「栄養成分の量及び熱量(栄養成分表示)」を確認する理由について、「栄養バランスが取れた食事をしたいため」が50.2%と最も多く、次いで「摂取した食品の栄養素の量や熱量(エネルギー)を把握するため」が46.4%、「健康の維持増進のため」が37.9%、「体重管理のため」が25.8%
  • 食品購入時に確認する「栄養成分の量及び熱量(栄養成分表示)」について、「脂質」が53.4%と最も多く、次いで「たんぱく質」が46.7%、「炭水化物」が39.8%
  • 「栄養機能食品」について、「現在摂取している」と「以前摂取していたが、今は摂取していない」を合わせると29.7%
  • 「特定保健用食品(トクホ)」について、「現在摂取している」と「以前摂取していたが、今は摂取していない」を合わせると41.8%。
  • 「機能性表示食品」について、「現在摂取している」と「以前摂取していたが、今は摂取していない」を合わせると33.9%
  • 「遺伝子組換え食品」の表示説明で正しい選択肢は、「分別生産流通管理が行われた非遺伝子組換え農産物及びこれを原材料とする加工食品については、遺伝子組換えに関する表示義務はない」と「『遺伝子組換え不分別』とは遺伝子組換え農産物と非遺伝子組換え農産物を分別せず流通管理していることをいう」の2つであるが、正答率はそれぞれ12.8%と9.9%にとどまった
  • 「化学調味料無添加」、「化学調味料不使用」食品を購入している者の購入理由について、「安全と感じるため」が61.7%と最も多く、次いで「健康に良さそうなため」が50.5%、「美味しそうであるため」が14.1%、「学校や家庭において、化学調味料を避けるように教わったため」が7.5%
  • 今後の原料原産地表示制度については、「表示義務のある原材料を増やしてほしい」が36.8%と最も多く、次いで「外食・中食にも義務付けしてほしい」が30.2%
  • 「消費期限又は賞味期限」を確認する際に不便に感じる点としては、「不便ではない」が30.9%と最も多く、次いで「文字が小さくて見にくい」が22.5%、「容器包装の底面など目立たないところに表示されているため見つけにくい」が20.8%、「確認していない(見ていないため分からない)」が17.0%
  • 「食品表示」をより分かりやすく、活用しやすいものにするために必要だと思うものについては、「情報量を絞り、文字を大きくする」が32.0%と最も多く、次いで「今の食品表示のままでよい」が25.7%、「アプリ等を利用し、知りたい情報をすぐ読み取れるようにする」が19.7%、「表示事項をバラバラに複数の面に分けて表示し、文字を大きくする」が12.7%
  • 事業者に表示内容について問い合わせたことがある者の割合は6.6%。問合せした内容としては、「保存方法」と「消費期限又は賞味期限」がそれぞれ27.8%と最も多く、次いで「名称」が22.1%、「添加物」が20.7%。

消費者庁 第20回消費者契約に関する検討会(2021年7月2日)
▼【参考資料】消費者契約に関する検討会の検討状況
  • 「困惑」類型のうち、強迫類似型(法4条3項1号、2号、6~8号)について、脱法防止規定を設ける
    • 取引上の社会通念に照らして、民法第1条第2項に規定する基本原則(信義則)に反し、当該消費者の当該消費者契約を締結しない旨の判断を妨げる行為
    • 提案について異論は見られなかったところであり、具体的な要件設定の在り方など、詳細について更に検討を行う
  • 消費者の判断力の不足に着目した取消権の規定を設ける
    • 消費者が加齢又は心身の故障により判断力が著しく低下していること
    • 契約が当該消費者の生活に著しい支障を及ぼすものであること+事業者がこれを知りながら勧誘
    • 提案については、判断力が著しく低下した消費者の取消権を設けることに異論は見られなかったところであり、消費者の判断力に関する事業者の認識に係る要件の要否やその内容、判断力の客観的な判断基準など、詳細について更に検討を行う。
  • 消費者の心理状態に着目した取消権の規定を設ける
    • その場において契約を締結するか否かを判断するよう迫る
    • 以下のいずれかに該当する場合
      • 広告と勧誘が重要部分において不一致
      • 消費者と勧誘者との間に交友関係が存在
      • 勧誘者が専門家
      • 長時間にわたる勧誘
    • 提案については、正当な理由がある場合を除く形で取消権の規定を設けることに異論は見られなかったところであり、事業者の行為態様に関する要件の在り方など、詳細について更に検討を行う。
  • 情報提供の努力義務(法3条1項2号)に関し、事業者は、(1)物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものの性質に応じ、(2)事業者が知ることができた個々の消費者の年齢、知識及び経験を総合的に考慮した上で、情報を提供すべきである旨を明らかにする
    • 提案については、賛成する意見が多数であった。「年齢」を考慮要素とすることの効果等を踏まえ、詳細について更に検討を行う
  • 「平均的な損害」に逸失利益が含まれる場合、含まれない場合の判断基準を定める
    • 提案について賛成する意見と反対する意見があった。法制化するかどうかも含めて更に検討を行う
    • 逸失利益は信頼利益と履行利益のどちらにも属しうるものであり、概念を整理する必要があるのではないか。
    • 原状回復を超える部分は逸失利益といえるのか
  • 「平均的な損害」を検討する際の考慮要素を整理する
    • 提案について異論は見られなかったところであり、具体的な考慮要素の内容等の詳細について更に検討を行う
  • 以下のような説明義務を新たに設ける。
    • 要件1:事業者が消費者に対して違約金条項に基づき支払いを求める場合等において、
    • 要件2:当該消費者から「平均的な損害の額」の算定根拠等について説明を求められた際は、
    • 効果:事業者は「平均的な損害の額」における考慮要素、算定根拠の概要及び逸失利益が含まれる場合にはその理由を開示しなければならない。
    • 提案について営業秘密に触れない範囲で一定の説明が事業者に求められるという限度で賛成する意見が多数であった。事業者に説明が求められる範囲や法的効果など、詳細について更に検討を行う
  • 積極否認の特則を導入する。
    • 要件1:訴訟上において、
    • 要件2:消費者又は適格消費者団体が主張する「平均的な損害の額」を否認する場合は、
    • 効果:事業者は自己の主張する「平均的な損害の額」とその算定根拠を明らかにしなければならない
    • 提案について賛成する意見が多数であった。特則を利用できる主体、違反時の効果など、詳細について更に検討を行う
  • 文書提出命令の特則を導入する。
    • 要件1:訴訟上において、
    • 要件2:消費者又は適格消費者団体から申立てがあったときは、
    • 効果:裁判所は事業者に対して、「平均的な損害の額」の立証に必要な書類の提出を命じることができる。
    • 提案について賛成する意見と反対する意見があった。法制化するかどうかも含めて更に検討を行う
  • 事業者が消費者契約の条項として定型約款を用いるときは、消費者に対し、定型約款の表示請求権がある旨の情報提供をすることを、事業者の努力義務として定める。
    • 提案に賛成する意見が多数であった。定型約款を容易に知り得る状態に置けば十分であるとも考えられることとの関係の整理など、詳細について更に検討を行う
  • 差止請求権の実効性を確保するための前提として、適格消費者団体は、事業者に対し、消費者契約の条項の開示を請求することができる旨を定める
    • 提案に賛成する意見が多数であった。開示の対象を定型約款に限定するか、請求できる場合を限定するかなど、詳細について更に検討を行う
  • 消費者契約法第8条により無効となる損害賠償責任の免責条項について、「法律上許される限り」等の留保文言を付しても、当該免責条項は無効であることを明らかにする規律を設ける
    • 提案について、賛成する意見が多数であった。規定の要件や効果など、詳細について更に検討を行う
  • 以下のような規律を設ける。
    • 「消費者の作為又は不作為をもって消費者の所有権(又はこれに類する権利)を放棄するものとみなす条項」について、消費者契約法第10条第1要件を満たすことを明らかにする規律とする。
    • 権利の重要性や権利の客体等については、消費者契約法第10条第2要件の判断に委ねることとする
    • 提案について、規定の対象となる権利を所有権に限定する限度で賛成する意見が多数であった。法令に基づく適法な処分との関係など、詳細について更に検討を行う。
  • 以下のような条項について、消費者契約法第10条第1要件を満たすことを明らかにする規律を設ける。
    1. 消費者の解約権の行使の方式について、消費者契約の締結の際の方式と形式的に比較して、より制約的である条項又は
    2. 消費者の解約権の行使の方式を制約することで、消費者の解約権の行使を困難にする条項
  • 条項を使用する必要性については、消費者契約法第10条第2要件の判断に委ねることとする
    • 提案について、賛成する意見と反対する意見があった。不当条項の問題とすることの是非や取引の実務への影響など、法制化するかどうかも含めて更に検討を行う
  • 過量契約取消権(法第4条第4項)に関する「同種」の解釈については、(1)その目的となるものの種類、性質、用途等に照らして、別の種類のものとして並行して給付を受けることが通常行われているかどうかのみならず、(2)契約の目的となるものが当該消費者にとって代替性を有しているかどうかも考慮して判断する
    • 提案について、異論は見られなかったところであり、意見を踏まえて、しかるべき時期に解釈を明らかにする

消費者庁 「令和2年度大学生のキャッシュレス決済に関する調査・分析 報告書」を公表しました
▼概要版
  • アンケート調査において、この半年間でのキャッシュレス決済の利用頻度を聞いたところ、「ほぼすべての買い物で利用している」と回答した人の割合が約18%、「買い物する際の2回に1回程度は利用している」が約42%と合わせて約6割の大学生が日常的にキャッシュレス決済を使用していることが分かった
  • 消費行動調査において、回答者251人の4週間の調査期間中の決済手段ごとの利用の有無を見たところ、「利用あり」の割合が高い順に見ると「現金」が96.8%と最も高く、次いで「交通系電子マネー」(54.2%)、「クレジットカード」(53.4%)の順となっている。また、「キャッシュレス合計」は92.0%で、少なくとも1回はキャッシュレス決済を利用していた人が9割以上いた
  • 消費行動調査において、回答者251人の買物総数7,520回、買物総額14,061,294円のキャッシュレス決済の比率を見ると、買物総数ベースで44.2%、買物総額ベースで46.9%と約45%であることが分かった。※本調査のキャッシュレス決済の比率は調査期間中の全ての買物(回数、金額)に占める「現金」、「金券」以外の決済手段の比率
  • 消費行動調査において、買物総数7,520回を商品の購入場所がキャッシュレス決済に対応していたかどうか聞いたところ、80.4%(6,044回)の購入場所が「対応している(自分が持っている決済手段)」であり、自分が持っているキャッシュレス決済に対応していたことが分かった。※買物回数が6,351回であり、購入場所の重複があることに注意する必要がある
  • 一方、「対応している(自分が持っている決済手段)」の買物総数6,044回のキャッシュレス決済の比率は54.9%(3,321回)、現金決済の比率は44.2%(2,672回)となっており、キャッシュレス決済が利用できる状況でも現金支払いをしている割合が4割以上あることも分かった。キャッシュレス決済を利用するかどうかは店舗の対応状況だけでなく、利用者それぞれのキャッシュレス決済の使い方やその時の状況が影響していると考えられる。
  • 消費行動調査において、買物総数7,520回を商品の購入時に誰と一緒にいたかで分けたところ、「1人」の割合が66.8%(5,025回)、「友人」27.5%(2,071回)となっている。
  • 買物する際に誰といたかと購入場所との関係を調べたところ、「百貨店」(2.7%)、「衣料品店・雑貨店」(3.3%)、「コンビニ」(6.7%)のように、「1人」と「友人」のキャッシュレス比率の差が小さいものがある一方、「居酒屋」(17.1%)、「飲食店・弁当」(20.4%)のように、差が大きいものもある。この差の要因の一つとして、「百貨店」、「衣料品店・雑貨店」、「コンビニ」の場合は、友人と一緒にいてもそれぞれの買物を自分で決済することが多いが、「居酒屋」、「飲食店・弁当」の場合は、食べ物や飲み物をシェアするため、まとめて決済する際に割り勘する必要があり、現金決済することが多くなることが考えられる。ディスカッション調査においても、キャッシュレス決済を使わない理由として「割り勘ができない」という意見が多くあがっている
  • 消費行動調査において、交通系電子マネーの利用者を、交通費のみで利用した人と交通費以外でも利用した人で分けてみると、交通費のみで利用した人は56人(41.2%)交通費以外でも利用した人は58.8%(80人)となった
  • ディスカッション調査において交通系電子マネーについて出た意見は、使っている理由・メリットとして「公共交通機関での利用が便利」、「公共交通機関のために利用している」という意見が多かった。一方、使わない理由・デメリットとして、「チャージに関する不便さ」、「公共交通機関のためだけの利用」という意見が多くあがった。
  • クレジットカードの金額帯別の買物回数の比率を見ると、「5,001円以上」が30.6%、「1,001円~5,000円」が42.9%と総数と比較しても高いことが分かった。
  • ディスカッション調査においてクレジットカードについて出た意見は、使っている理由・メリットとして「ネットショッピングでの利用」や「高額な買物の時の利用」、「ポイントを貯めるため」が多くあがった一方、使わない理由・デメリットとして、「決済手続きの煩わしさ」や「少額決済での利用への抵抗感」、「使いすぎることへの恐れ」が多くあがった
  • QRコード決済の金額帯別の買物回数の比率を見ると、「500円以下」が54.9%と全体と比較しても高いことが分かった
  • ディスカッション調査においてQRコード決済について出た意見は、使っている理由・メリットとして「決済が簡単にできる便利さ」や「割り勘や送金が便利」、「ポイントやキャッシュバックがお得」という意見が多くあがった一方、使わない理由・デメリットとして「起動や決済の不便さ」や「チャージの不便さ」などの意見が多く上がった

消費者庁 「令和2年度地方公共団体における食品ロス削減の取組状況について」公表しました
▼令和2年度取組状況
  • 令和2年度は全ての都道府県及び指定都市で、食品ロス削減の取組を実施(実施率100%は4年連続)。市区町村における実施割合は、60.1%であり、令和元年度と比較して、約2%増加。
  • 令和2年度に、全国で最も多く取り組まれたのが「住民・消費者への啓発」で全体の約半数。次いで「子どもへの啓発・教育」、「飲食店での啓発促進」。都道府県、指定都市、市区町村別により多く取り組まれた内容に大きな差はなかった。
  • 令和2年度には、全ての都道府県で「住民・消費者への啓発」を実施。このほか「飲食店での啓発促進」、「子どもへの啓発・教育」、「フードバンク活動と連携」を比較的多くの都道府県が実施。
  • 令和2年度には、全ての指定都市で「住民・消費者への啓発」を実施。このほか、「子どもへの啓発・教育」、「飲食店での啓発促進」、「フードバンク活動と連携」に多くで取り組まれている。市区町村では、「住民・消費者への啓発」が最も多く行われたほか、「子どもへの啓発・教育」、「飲食店での啓発促進」等が多く取り組まれた。
  • 食品ロス削減推進計画の策定について、都道府県において、「令和2年度内に策定・公表」と回答したのは、27自治体。「令和3年度以降に策定予定」と回答したのは、20自治体。指定都市において、「令和2年度内に策定・公表」と回答したのは、4自治体。「令和3年度以降に策定予定」と回答したのは、13自治体。市区町村において、「令和2年度内に策定・公表」と回答したのは、36自治体。「令和3年度以降に策定予定」と回答したのは、113自治体。約7割が「現時点では策定の予定はない」と回答。
  • 食品ロス削減計画の策定に係る具体的な実績・計画を有する都道府県においては、「新規の計画を策定」と、「既存の計画の一部として対応」との回答がほぼ同程度。指定都市においては、その多くが「既存の計画の一部として対応」と回答。

【国民生活センター】

【2021年9月】

国民生活センター いつでも解約できる「定期購入」のはずなのに、販売業者に電話が繋がらず解約できない。どうしたらよいですか。
  • 質問
    • スマートフォンで「初回500円」というダイエットサプリメントのSNS広告を見て、販売サイトにアクセスした。2回目以降約4,000円の商品が毎月届く定期購入で、次回発送日の10日前までに解約の連絡をすればいつでも解約できるという条件を見て申し込んだ。数日後、初回の商品が届き、2回目の商品が届く前に解約したいと思い、販売業者に電話するが、混み合っていて繋がらない。
  • 回答
    • 販売業者に解約の連絡をしても連絡がつかない場合、連絡した証拠(電話や電子メール等の記録)を残しましょう。引き続き解約の連絡をし、「次回発送日の10日前」などの解約できる期間を過ぎてから販売業者に連絡がついた場合は、解約できる期間内に連絡した証拠を提示しながら、解約交渉を試みましょう。
    • また、解約方法が「電話」に限定されている場合でも、念のため電話以外の連絡方法(電子メール等)で、解約するために販売業者に電話をかけているが繋がらない旨を連絡しておきましょう。
    • 販売業者が指定した解約条件、解約方法で解約を申し出ようとしたことを、後で証明できるようにしておくことが重要です。
  • 解説
    • 「定期購入契約」は、販売業者が、販売サイト等における購入者に対して、商品を定期的に継続して引き渡し、購入者がこれに対する代金の支払いをすることとなる契約です。
    • 消費生活センター等に寄せられる相談では、「商品を受け取って●日以降から、次回商品発送日の▲日前まで」と解約できる期間が定められていたり、「解約は必ず電話で申し出てください。電子メールによる申し出は受け付けていません」など解約の際の連絡方法を限定していたりするケースが多くみられます。
    • 解約できる期間内に何度も電話で解約を申し出ようとした証拠(電話の発信履歴など)を残し、解約できる期間を過ぎた場合でも、解約交渉してください。
    • 電話が混み合っている場合は、時間帯を変えて電話することで繋がる可能性もあります。
    • 申し込む前に販売サイトや最終確認画面をよく確認しましょう
      • 特定商取引法では、販売業者は販売サイトや最終確認画面等に解約条件を記載しなければならないと定められています。「定期購入」は一度申し込むと、消費者から解約の申し出が無い限り、決まった間隔で商品が届き続けます。
      • 「定期購入」で商品を申し込む際は、販売サイトや最終確認画面で、解約条件、解約方法を必ず確認するようにしましょう。
      • 最近では、「無料メッセージアプリ」による解約に限定されている場合もあり、解約がうまくできないというケースもあります。
      • お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

国民生活センター SNSの広告を見て「1回限り」で注文した健康食品が「定期購入」だった
  • 質問
    • SNSを閲覧中にダイエットサプリメントの広告が表示された。使用すれば痩せると思わせる画像もあったので、注文した。数日後商品が届き、代金も支払ったが、定期購入なのではないかと心配になった。販売業者に電話で確認すると、「定期購入が条件で、2回目の代金は3カ月分約4万円で2回目までは支払いが必要。初回分を定価に戻して購入すれば1回のみで解約に応じる。広告画面に記載している」と説明された。私は定期購入が条件になっていないか等、広告や表示内容については十分確認したつもりである。もう一度広告を確認しようとしたが、確認できなかった。高額な2回目分まで購入しなければいけないことに不満だ。解約できないか。
  • 回答
    • 販売サイトに、「定期購入」である旨、金額、契約期間などの販売条件が表示されていなかったり、申し込みの最終段階の画面上において、定期購入契約の主な内容の全てが表示されていなかったりした場合は、表示が無かったため申し込み前に販売条件等を確認できなかったことを理由に解約交渉しましょう。
  • 解説
    • 健康食品や化粧品などの「お試し」定期購入に関するトラブルでは、SNS上の広告がきっかけになることが多くみられます。SNS上の広告では「お試し価格」「1回目90%OFF」など通常価格よりも低価格で購入できることや、ダイエットや筋力アップなどの効果が強調されている一方、数カ月以上の継続(定期購入)が条件であることなどの契約内容は記載されていないものがみられます。
    • 通信販売にはクーリング・オフ制度はなく、販売事業者が定める返品に関する特約(返品特約)がある場合には、これに従うことになります。「注文後は返品できません」と記載されていれば、返品は困難です。通信販売の場合、いったん注文すると、簡単に契約をなかったことにはできません。
      1. 特定商取引法や景品表示法による規制
        • 特定商取引法では、インターネット通販において、販売業者が販売サイト(広告)に表示しなければならない事項を定めています。「定期購入」の場合は、販売業者は、広告に「定期購入」である旨、金額、契約期間などの販売条件を表示する必要があります。また、特定商取引法では、顧客の意に反して売買契約等の申し込みをさせようとする行為を禁止しています。申し込みの最終段階の画面上において、定期購入契約の主な内容の全てが表示されていない場合等は、「意に反して契約の申込みをさせようとする行為」に該当するおそれがあります。
        • 景品表示法では、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示することを規制しています。
        • 最近のインターネット通販での「定期購入」のトラブルでは、販売業者が特定商取引法や景品表示法に違反している可能性があるケースが見受けられますので注意が必要です。
      2. トラブルにつながる広告
        • SNS上の広告や動画投稿サイトの動画広告、アフィリエイトサイトなどをきっかけに販売サイトにアクセスするケースが多くなっています。これらの広告では、効能・効果や低価格であることが強調されているケースが多く、販売サイトに「定期購入」が条件であることなどが表示されていても、見逃しやすくなっているケースがありますので、ご注意ください。
      3. トラブルに遭わないためのチェックポイント
        • 注文前に
          • 定期購入が条件になっていませんか?(継続期間?回数?総額?解約の連絡手段?)
          • 返品特約を確認しましたか?(解約・返品はできますか?解約・返品の条件は確認しましたか?)
          • 契約内容の記録のため、注文時の画面やメールをスクリーンショットで保存しましたか?
          • 利用規約の内容を確認しましたか?
        • 未成年者の場合
          • 親権者の同意は得ていますか?
          • 年齢や生年月日を成人であると偽らず、正確に入力して申し込んでいますか?
        • 注文後にトラブルにあったら
          • 販売業者に解約の連絡をしても連絡がつかない場合、連絡した証拠(電話やメール等の記録)を残していますか?
          • お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

国民生活センター 自然災害が原因で行けなくなったホテルのキャンセル料
  • 質問
    • 夜行バスを使って旅行する予定でしたが、大規模な地震が起こってバスが運休となり、旅行をやめることにしました。予約済みのホテルにキャンセルの電話をしたところ、通常営業中であることからキャンセル料を請求されたのですが、支払わなくてはいけませんか?
  • 回答
    • 宿泊施設が平常どおり営業しているのであれば、消費者からキャンセルを申し出た場合は契約どおりのキャンセル料が発生し、原則としては支払いを拒否することは困難と思われます。ただし状況によって扱いが変わることもあるので、必ず宿泊施設に連絡を入れましょう。
  • 解説
    • 自身で交通機関や宿泊施設をそれぞれ予約した場合、現地までの運送契約と宿泊契約は別々の契約です。質問のケースでは、不可抗力とはいえ、結果的に消費者の都合で宿泊予約をキャンセルしたことになると考えられます。
    • 過去に、豪雨や地震など、主要な交通機関が運休となるほどの大規模な自然災害が起こった際には、その状況を鑑み、キャンセル料を請求しなかった宿泊施設もあったようですが、基本的には契約時の約款等の定めに従うこととなります。
    • 予約する際に、宿泊施設の利用規約(宿泊約款)で、キャンセルについての定めを確認しておくことが大切です。
    • お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

国民生活センター ふたや内容物が飛ぶことも! 圧力鍋の使用に注意
  • 内容
    • 約15年前に購入した圧力鍋で豆を煮ていたところ、突然大きな音とともにふたとおもりが飛び、顔と頭を縫うけがをした。圧力鍋のふたの手入れが不十分だった可能性がある。(60歳代 女性)
  • ひとこと助言
    • 圧力鍋は調理に便利な一方で、正しく使わないと、思わぬ事故が起きることがあります。必ず取扱説明書に従って使いましょう。
    • 蒸気口など圧力調整部分が詰まった状態で使うと、ふたが飛んだり内容物が噴き出たりすることがあります。使用前は、異物が詰まっていないか、ふたがしっかり閉まるかなどを確認しましょう。使用後の手入れもしっかり行いましょう。
    • 亀裂などの劣化がみられるパッキンは使わず、新しいものと交換してください。
    • 豆類などの皮のある食品やカレー・シチューなどの粘性の高い食品は、圧力調整部分に詰まる可能性があります。取扱説明書などで分量や調理方法を確認してください。
    • 購入する際は、国が定めた安全基準に適合していることを示すPSCマークや、電気圧力鍋の場合は、合わせてPSEマークの表示があるか確認しましょう。

国民生活センター 2020年度にみる60歳以上の消費者トラブル-コロナ禍で、通信販売の相談件数は過去最高に-
  • 2020年度に全国の消費生活センター等に寄せられた相談のうち、契約当事者が60歳以上である相談の件数は、約34万件となりました。
  • 契約当事者が60歳以上である相談の内容をみると、コロナ禍で通信販売の利用機会が増えたためか、通信販売に関する相談が増加し、過去最高の相談件数となりました。
  • 相談が寄せられた商品・サービスの内容を見ると、マスクを含む「保健衛生品その他」等、コロナ禍の影響と思われるものが見られました。また、健康食品や化粧品等の定期購入に関する相談が多数寄せられたほか、「インターネット接続回線」等の情報通信関連のトラブルに関する相談も、2019年度に引き続き多く寄せられました。「架空請求」に関する相談は2019年度に比べ大幅に減少しましたが、2020年度も約1.6万件の相談が寄せられ、引き続き注意が必要です。
  • そこで、契約当事者が60歳以上の相談について分析を行い、消費者への注意喚起を行います。
  • 相談事例
    • 【事例1】当選金を受け取れる手続きとして電子マネーを購入し個人情報を伝えてしまった
    • 【事例2】定期購入のサプリを解約したいが、無料メッセージアプリの手続きがうまくいかない
    • 【事例3】曽祖父が携帯電話の調子が悪いため店舗に行ったら、最新型のスマホを契約していた
    • 【事例4】固定電話をアナログ回線に戻すと料金が安くなる、と家に来た業者に言われ応じた
    • 【事例5】定額制動画配信サービスの解約手続きができない
    • 【事例6】母がトイレの水漏れ修理を業者に依頼したところ高額な便器の交換工事を勧められた
    • 【事例7】補助金と保険金が受給できると勧誘され屋根工事の契約をしたが虚偽だった
    • 【事例8】海外から注文した覚えのないマスクが届いた
    • 【事例9】市場価格連動型の小売電気を契約後、市場価格が高騰し電気代が10倍になった
  • 60歳以上の契約当事者のトラブルの特徴
    • 通信販売に関する相談が増加し、店舗購入や訪問販売、電話勧誘販売の相談は減少
    • 架空請求の相談は大幅に減少し、健康食品等の定期購入に関する相談が増加
    • 情報通信関連の相談が非常に多い
    • 高齢になるにつれ、訪問販売や電話勧誘販売、訪問購入の相談の割合が高くなる
    • 新型コロナウイルス感染症に関連する相談がみられた
  • 消費者へのアドバイス
    • 消費者トラブルはひとごとではありません。自分は大丈夫と思いこまず、日頃からいろいろな消費者トラブルについて知っておきましょう
    • 消費者トラブルを防ぐには、周囲の方による見守りも非常に大切です
    • 不安に思った場合やトラブルになった場合は消費生活センター等に相談してください
      • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

国民生活センター 保険金で住宅修理ができると勧誘する事業者に注意!-申請サポートを受ける前に、損害保険会社に連絡を 保険金の請求は、加入者ご自身で!!-
  • 「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」や「保険金が出るようサポートする」など、「保険金が使える」と勧誘する住宅修理サービスに関する相談が急増しています。
  • 国民生活センターでは、過去複数回にわたって同様のトラブルに関する注意喚起を行いましたが、その後も相談件数は増加傾向が続いております。2020年度の相談件数は2019年度の2倍以上となり、2021年度も前年同期を上回る相談が寄せられています。災害で被害を受けた直後でなくとも、過去の災害で被害のあった地域に勧誘を行うケースもみられ、注意が必要です。
  • 年度別相談件数:2018年度は1,759件、2019年度は2,691件、2020年度は5,447件、2021年7月31日までの件数は1,465件です。
  • 相談事例
    • 【事例1】保険金の請求期限が迫っていると勧誘を受けた
      • 昨日、「台風や地震で建物の被害がないか近所を調査している」と事業者が訪問してきた。その事業者から「3年前の大型台風で損害を受けている部分があるかもしれない。火災保険の請求期限が迫っている。調査費用は無料なので、調査だけでも受けてはどうか。調査して、火災保険が利用できることが分かれば申請手続を代行し、その保険金の一定割合を手数料でもらう。保険金が出なければ負担はない」と言われた。とりあえず調査だけでもと思い業務委託契約書に署名したが、以前保険会社に大型台風の件で問い合わせたところ、保険金の支払いは難しいと言われたことを思い出し、昨日の勧誘自体が不審に思われてきた。契約書裏面にクーリング・オフについての記載があったが、クーリング・オフできるか。(2021年5月受付 60歳代、男性)
    • 【事例2】インターネット広告で見つけた事業者に勧誘を受けた
      • 「火災保険を使って屋根や外壁の工事の見積もりをする」とのインターネット広告を見つけ、事業者へ連絡を取ったところ、後日自宅に来訪することになった。訪問した事業者から「修理代を上回る保険金が受け取れる。手数料は40%だが損はない」と言われ、損がないならと契約することにした。受け取った書面には、修理箇所と損傷の程度を判断して見積もりを作成するサービスで、保険金が下りたらその40%を事業者に支払うと書いてある。よく考えると、保険会社の査定が見積もり通りとは限らないと思い、解約を申し出たが、解約できないと言われた。どうすればいいか。(2021年4月受付 60歳代、男性)
  • 消費者へのアドバイス
    • 請求期限が迫っている等の勧誘やインターネット広告をうのみにせず、安易に契約しないようにしましょう
    • 申請サポート会社に頼らずとも、保険金の請求は加入者自身で行えます
    • うその理由で保険金を請求することは絶対にやめましょう
    • 不安に思った場合やトラブルになった場合は早めに消費生活センター等に相談しましょう

国民生活センター PIO-NETにみる2020年度の危害・危険情報の概要
  • この概要は、PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)により収集した2020年度の「危害・危険情報」をまとめたものです。
  • 当該情報の詳細については、「消費生活年報2021」にまとめ、2021年10月に国民生活センターホームページ上に掲載する予定です。
    • 「危害・危険情報」とは、商品・役務・設備に関連して、身体にけが、病気等の疾病(危害)を受けたという情報(「危害情報」)と、危害を受けたわけではないが、そのおそれがある情報(「危険情報」)をあわせたもの。データは、2021年5月末日までの登録分。なお、消費生活センター等からの経由相談を除いている。
  • 2020年度の傾向と特徴
    • 全国の消費生活センター等から収集した「危害・危険情報」は14,979件で、対前年度比でみると9.1%減となっています。
    • 「危害情報」は12,887件で、上位3商品・役務等は「健康食品」「化粧品」「医療サービス」でした。「危険情報」は2,092件で、上位3商品・役務等は「四輪自動車」「調理食品」「敷物類」でした。
    • 「危害情報」は、「健康食品」が404件、「化粧品」が228件、それぞれ減少するなど、前年度より1,204件減少しました。
    • 「危険情報」は、「四輪自動車」が117件減少するなど、前年度より288件減少しました。
    • 「危険情報」のうち、3位の「敷物類」が、前年度(153位、2件)から75件増加しました。これは珪藻土(けいそうど)マットの一部の銘柄に、石綿(アスベスト)が含まれていたことが報道されたことを受け、健康への影響についての相談などが増加したためです。
    • 新型コロナウイルス関連の危害情報は450件、危険情報は34件で、いずれも1位はマスクなどを含む「他の保健衛生用品」(危害129件、危険12件)となっています。

国民生活センター 新型コロナワクチン接種の予約を案内する怪しいメールに注意!-国がコロナワクチン接種に関連して金銭やクレジットカード番号を求めることはありません-
  • 国民生活センターでは、新型コロナワクチンの接種(以下「コロナワクチン接種」)に便乗した消費者トラブルや悪質商法に関する相談を受け付けるため、「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」を開設しています。この度、国の機関を装い、コロナワクチン接種のポータルサイトに似せたサイトに誘導し、個人情報やクレジットカード番号を入力させようとするメールに関する情報が寄せられましたので、消費者に注意を呼びかけます。
  • 相談事例
    • 「自衛隊大規模接種センター」というところからメールが届き不審なサイトに誘導された
      • 昨日、差出人の名称が「自衛隊大規模接種センター」と表示されるコロナワクチン接種の予約サイトを案内するメールが届いた。同じメールが何通も届いたので怪しいメールだと思ったが、記載されているURLをクリックしてみた。するとコロナワクチン接種に関するポータルサイトによく似た画面が表示され、厚生労働省のマークも記載されていた。画面をクリックすると、氏名や住所といった個人情報を入力する画面となり、次のページではクレジットカードの情報を入力する画面となった。(2021年8月受付)
  • 消費者へのアドバイス
    1. アドバイス
      • コロナワクチン接種に関連したメールやSMSなどには注意してください
        • 国の機関等の名称を用いてコロナワクチン接種の予約に関連しているかのように装い、メールやSMSに記載されているURLに誘導しようとしているものが確認されています。突然送られてきた心当たりのないメールなどに記載されているURLは、詐欺的なサイトにつながる可能性があるので、クリックやタップをしないでください。
      • コロナワクチン接種は無料です
        • コロナワクチン接種は無料です。国や自治体がコロナワクチン接種に関連して金銭の支払いや銀行口座・クレジットカード番号の登録を求めることはありません。求められても決して応じないようにしてください。
    2. 少しでも「おかしいな?」、「怪しいな?」と思ったり、不安な場合はご相談ください

【2021年8月】

国民生活センター 大雨 慌てず 早めの避難で安全確保を
  • 内容
    • 台風や集中豪雨などの大雨によって、冠水や河川が氾濫することがあります。地域によっては、土砂崩れや土石流などの土砂災害が発生することもあります。いざというときに慌てないように日頃から備えをし、避難の際は早めの行動を心がけましょう。
  • ひとこと助言
    • 自宅周辺に浸水や土砂災害などが発生しやすい場所がないかをハザードマップなどで確認しておきましょう。
    • 家族と避難場所や避難経路について話し合い、連絡方法なども決めておきましょう。
    • 災害時は、状況や危険度の高まりに応じて、避難する行動やタイミングが異なります。ニュースや自治体からの情報を入手できるようにし、台風や大雨が近づいているというニュースや気象情報を見聞きしたら、避難経路など災害への備えを今一度確認しましょう。
    • 情報から取り残されている方が周辺にいるかもしれません。家族や近隣住民が災害情報を入手し、声掛けなどを行い、早い段階で避難を促しましょう。
    • 避難が必要な状況になった際は、直ちに命を守る行動をとってください。避難場所への移動がかえって危険となる場合には、近くの頑丈な建物などの安全な場所や自宅の2階や3階、あるいはマンションの上階など、垂直方向へ避難しましょう。

国民生活センター 災害用の備蓄食品は定期的に入れ替えましょう
  • 内容
    • 備蓄用に購入していたレトルトカレーが、気が付くと賞味期限を過ぎていた。試しに一度食べたが、味に変化はなかった。まだたくさん残っているが、食べても支障はないか。(80歳代 女性)
  • ひとこと助言
    • 災害発生時に備えて、普段から飲料水や保存の効く食料などを備蓄しておきましょう。1人当たり3日分、大規模災害発生に備えるなら1週間分の備蓄があると良いとされています。
    • 「賞味期限」はおいしく食べられる期限のことであり、食べられなくなる期限ではありません。適切な消費を心掛け、定期的に確認しましょう。
    • 日頃から保存性の高い食品を少し多めに買い置きし、賞味期限などを考えながら計画的に使い、新たに買い足す「ローリングストック法」も有効です。

国民生活センター オンラインサロンを人に紹介すると報酬がもらえると言われた
  • 質問
    • 同級生から、オンラインサロンを人に紹介すると報酬がもらえるから参加しないかと勧められた。友人の勧誘だから安心だと思い、会費約25万円を一括で支払った。しかし別の友人から、だまされているからやめた方がいいと言われ不安になった。クーリング・オフできるか。
  • 回答
    • クーリング・オフできる場合があります。特定商取引法の連鎖販売取引に該当する場合、契約書面の受領日から20日以内であればクーリング・オフが可能です。受け取った書面等を見て、連鎖販売取引に該当するかを確認し、判断に迷った場合には最寄りの消費生活センター等に相談しましょう。
  • 解説
    1. オンラインサロンとは
      • オンラインサロンは、インターネット上の会員制コミュニティを指し、いわゆるプラットフォーム事業者のサービスを利用したサロン(プラットフォーム型サロン)と主宰者が独自にSNS上のツールを利用してサロン(独自型サロン)を開設しているケースがあります(注1)。ここでは、トラブルが多く発生している独自型サロンについて述べます。
      • 参考:消費者庁 第41回インターネット消費者取引連絡会(2021年5月31日)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社発表資料「オンラインサロンの動向整理」
    2. 連鎖販売取引でのクーリング・オフについて
      • 特定商取引法の連鎖販売取引に該当する場合(注2)には、クーリング・オフを行うことが可能です。既に契約代金の一部を支払ってしまっている場合であっても、その返還を請求することができます。
      • 法律で定められた書面または商品を受け取った遅い方の日を1日目として、20日以内はクーリング・オフができます。書面に必要なことが書かれていないなど、内容に不備があるときや書面自体をもらっていない場合には、20日を過ぎてもクーリング・オフできる場合があります。
      • クーリング・オフの書き方や通知方法については、国民生活センターのホームページに解説がありますので参考にしてください。
      • クーリング・オフ
        1. 物品の販売(又は役務の提供など)の事業であって
        2. 再販売、受託販売若しくは販売のあっせん(または役務の提供もしくはそのあっせん)をする者を
        3. 特定利益が得られると誘い
        4. 特定負担を伴う取引(取引条件の変更を含む)をするもの
    3. トラブルに遭わないために
      • サービスや商品を人に紹介するビジネスモデルの場合には、会費等を上回る利益を得るために、より多くの人を勧誘しなければなりません。自分が新たな勧誘者となって友人・知人を勧誘してしまうと、人間関係のトラブルになることもありますので注意しましょう。
      • お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

国民生活センター 各種相談の件数や傾向
▼オンラインゲーム
  • 最近の事例
    • 小学生の息子が、タブレット端末に自分の指紋認証を追加登録してオンラインゲームで高額課金していた。取り消しできるか。
    • 中学生の息子が勝手に現金を持ち出し、コンビニでプリペイド型電子マネーのギフトカードを購入して、タブレット端末でオンラインゲームに課金していた。返金してもらえるか。
    • 小学生の息子が、母親の財布からクレジットカードを持ち出し、パソコンのオンラインゲームで高額課金していた。取り消したい。
    • クレジットカード会社から高額利用の連絡があり、幼稚園児の息子がタブレット端末を使いオンラインゲームで課金をしていたことが分かった。取り消しはできるか。
    • 中学生の娘が、私が前に使っていたスマートフォンを家のWi-Fiに繋げて、オンラインゲームに約10万円を課金していた。取り消したい。
▼インターネット通販・オークション
  • 最近の事例
    • オークションサイトでサーフボードを落札したが、説明と違い、傷だらけで補修しないと使えない状態だった。出品者が返品に応じず困っている。
    • 高価なベビーカーが、画像専用SNSで「数量限定で安価」と広告されていたので販売サイトから購入したが、商品が届かず、販売サイトも消えてしまった。
    • インターネットでブランドの腕時計が安かったので購入したが怪しいサイトだった。商品を受取拒否したら債権回収会社から督促ハガキが届いた。どうしたらいいか。
    • インターネットで探した販売サイトからゲーム機を2台購入し代金を支払ったが、商品が届かず、事業者と連絡が取れない。どうしたらいいか。
    • フリマサイトでスニーカーとダウンジャケットを購入したが届いた商品が偽物だった。出品者に返金してほしい。
▼暗号資産(仮想通貨)
  • 最近の事例
    • アプリで知り合った人に紹介され、暗号資産を購入して海外のサイトに送金した。さらに本人確認資料として運転免許証の画像を送付したが、サイトと連絡が取れなくなった。
    • 息子が友人から仮想通貨に関する投資に誘われ、学生ローンの申し込みをしたようだ。投資の契約を解約し、借金を返済したい。
    • SNSで知り合った女性に海外取引所未上場の暗号資産を紹介され購入したが、騙されたと思う。返金してほしい。
    • インターネットの投資コミュニティに入会し、「これから上場予定の仮想通貨を購入すれば最低20倍になる」と言われてお金を振り込んだが、担当者と連絡が取れなくなった。
    • 上場前の仮想通貨を購入すると儲かるというICOに出資したが、いまだに上場しない。金融庁に届け出のない事業者で、いつも担当者が不在である。
▼架空請求
  • 最近の事例
    • スマートフォンに動画サイトの未納料金を請求するSMSが届いた。覚えはなかったが、相手に電話をしたら、15万円をすぐに支払うように言われた。どうしたらいいか。
    • スマートフォンに「料金未納、至急連絡をとりたい」とのSMSが届き、相手に電話すると動画サイトの利用料金10万円を請求された。覚えがないが、どうしたらいいか。
    • スマートフォンのSMSに大手通販サイトの請求金額の確認が届いた。URLをタップしてIDとパスワードを入力したが、クレジットカード番号を求められ、不審だ。
    • スマートフォンのキャリアメールに、注文した覚えのない約13万円のゲーム用パソコンを代金引換で配送するとのメールが届いた。購入内容の詳細はURLをタップすると出てくるようだが、どうしたらいいか。
    • 契約している電話会社名で「料金未払い」を知らせるメールが届き、慌てて電話してしまったところ、サイト利用料として約30万円を請求された。
▼健康食品の危害
  • 最近の事例
    • 消化器障害に関する相談
      • 高麗人参のサプリメントを注文し、服用したところ、倦怠感におそわれたので病院で診察を受け、肝機能が低下していることがわかった。さらに、注文していないのに同じサプリメントが追加で届き、返品も受けてもらえず困っている。
      • 定期購入でお試し価格のダイエットサプリメントを注文したが、1袋を飲んだところ、下痢が続き体調を崩してしまった。解約保証期間を過ぎていたが、いつでも解約できると記載があったので解約を申し出ると、高額な解約料を請求され納得できない。
    • 皮膚障害に関する相談
      • 動画投稿サイトの広告を見て数百円の筋肉増強サプリメントを購入した。飲むと発疹が出たので解約を申し出たところ、4回の定期購入が終了するまで解約できないと言われたがすぐに解約したい。
    • その他の症状
      • インターネットで定期購入の生酵素サプリメントを申し込んだが、喉がイガイガするなどアレルギー症状が出て飲めないので解約したい。
      • カキエキスなど亜鉛含有の健康食品を2種類服用していたら、めまいに悩まされるようになった。亜鉛の過剰摂取は貧血になるらしいが、1種には亜鉛の含有量の記載がない。
▼高齢者の危害
  • 最近の事例
    • 2カ月間通ったカイロプラクティックの施術で両肩をひねるように強く押された。痛みがひどいので専門医を受診したところ肩の腱を断裂しており手術を受けた。
    • 美容外科でリフトアップの手術を受け、顔面に神経麻痺が残った。手術前にリスクの説明はなかった。
    • ショッピングモール入口の段差で転倒し、ろっ骨骨折等の怪我をした。治療ののち、医師の指示で整骨院に通い続けて1年が経過するが痛みが消えない。
    • 肝臓にいいというサプリメントを注文した。4粒のところ試しに1粒だけ飲んだらめまいがして動悸も激しくなり手も震えた。もう一度試しに1粒飲んだらまた同じ症状がでた。
    • 有料老人ホームに入居している祖母が嘔吐(おうと)と発熱で救急搬送された。その病院で両足の骨折も見つかった。1カ月以上前から骨折していたはずと言われたが施設に問題はないか。

国民生活センター ご用心 災害に便乗した悪質商法
  • 地震、大雨などの災害時には、それに便乗した悪質商法が多数発生しています。
  • 悪質商法は災害発生地域だけが狙われるとは限りません。災害に便乗した悪質な商法には十分注意してください。特に最近は「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」など、「保険金が使える」と勧誘する手口について、全国の消費生活センター等に相談が寄せられています。
  • また、義援金詐欺の事例も報告されています。義援金は、たしかな団体を通して送るようにしてください。
  • なお、以下で紹介する相談事例やアドバイスは一例です。
  • お困りの際には、一人で悩まずお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。
  • 相談事例
    1. 工事、建築
      • 認知症の父が来訪した工事業者に勧められ不要な屋根修理契約をしてしまった。
      • 台風で自宅の屋根瓦がずれ、見積もりのつもりで業者を呼んだら、屋根にビニールシートをかけられ高額な作業料金を提示された。仕方なく支払ったが納得できない。
      • 日に3~4回訪問され、屋根の吹き替え工事契約を迫られた
      • 屋根の無料点検後、このまま放置すると雨漏りすると言われ高額な契約をさせられた
      • 豪雨で雨漏りし修理してもらったがさらにひどくなった
      • 雪下ろし作業後に当初より高い金額を請求された
    2. 「保険金」を口実にした勧誘
      • 3年前に起きた災害の被災地調査員を名乗り、保険の請求期限まで半年を切ったので、保険金請求のためのサポートをすると言われ、契約したがクーリング・オフしたい。
      • 台風の後片づけをしていたら、業者が来訪し、損害保険を使って無料で雨どい修理ができる、経年劣化で壊れたものも保険でできると言われた。不審だ。
      • 先日の台風で雨どいが壊れ外壁もはがれた。「火災保険で修理できる」という業者が突然来訪し、保険請求手続の代行と住宅修理を依頼したがやめたい。
    3. 寄付金、義援金
      • ボランティアを名乗る女性から募金を求める不審な電話があった
      • 市役所の者だと名乗る人が自宅に来訪し義援金を求められた
  • 消費者へのアドバイス
    1. 工事、建築
      • 修理工事等の契約は慎重にしましょう
      • 契約を迫られても、その場では決めないようにしましょう
      • 契約後でも、クーリング・オフができる場合があります
    2. 「保険金」を口実にした勧誘
      • 「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」と勧誘されてもすぐに契約せず、加入先の保険会社や保険代理店に相談しましょう
      • 経年劣化による損傷と知りながら、自然災害などの事故による損傷と申請するなど、うその理由で保険金を請求することは絶対にやめましょう
    3. 寄付金、義援金
      • 不審な電話はすぐに切り、来訪の申し出があっても断りましょう
      • 金銭を要求されても、決して支払わないでください
      • 公的機関が、電話等で義援金を求めることはありません
      • 寄付をする際は、募っている団体等の活動状況や使途をよく確認しましょう
  • 相談窓口を利用しましょう
    • お困りの際には、一人で悩まずお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

国民生活センター 投資信託等の金融商品 その場ですぐに契約しないで
  • 内容
    • 離れて住む母が、預金口座のある銀行から投資信託等の金融商品を勧められ契約した。母は介護も受けず元気だが金融商品には疎い。昔から付き合いのある銀行だからと信用していて、勧誘を受けると話を聞いてしまう。母の本音では預金のまま置いておきたかったそうだ。今後は勧誘を控えてほしい。(当事者:80歳代 女性)
  • ひとこと助言
    • 投資信託などは預貯金とは異なり、元本が保証されたものではありません。確実に元本が保証される商品を希望する場合は、契約を避けましょう。
    • 昔から付き合いのある金融機関から勧められても、その場で契約せず、商品のリスクや仕組みを十分理解してから契約しましょう。また、説明を受ける際には家族などに同席をお願いしましょう。
    • 家族や周囲の人の見守りも大切です。日頃から高齢者とコミュニケーションを取り、生活などの変化に気付くことで、トラブルを防ぐことができます。離れて暮らしている場合は、帰省の際などに見慣れない書類や困っている様子がないか確認するようにしましょう。
    • 困ったときは、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

国民生活センター 「スマホを渡しただけなのに…」「家庭用ゲーム機でいつの間に…」子どものオンラインゲーム課金のトラブルを防ぐには?
  • 新型コロナウイルスの感染拡大の影響が長引き、依然として外出を控え、自宅で過ごす時間が長くなっています。PIO-NETをみると、「おうち時間」にスマートフォン・タブレット(以下、「スマートフォン端末」)や家庭用ゲーム機でオンラインゲームを利用して過ごす中で、子どもが保護者の許可なく課金してしまったというトラブルが急増しています。
  • そこで、子どものオンラインゲームについての相談の概要についてまとめ、予期せぬ高額な課金を防ぐ方法について、保護者に向けた注意喚起を行います。
  • 相談事例
    • 【事例1】小学生の子どもが、友達に「キャリア決済を使うとお金がかからない」と教えられ、スマホでオンラインゲームに高額課金していた
    • 【事例2】小学生の子どもがオンラインゲームで150万円以上も課金していたが、決済完了メールが子どもに削除されていたため気がつかなかった
    • 【事例3】小学生の子どもが、父親のアカウントを使って家庭用ゲーム機で遊び、アカウントに登録されていたクレジットカードを利用して課金していた
    • 【事例4】一度だけ課金するためにスマホにクレジットカードを登録したところ、小学生の子どもが30万円以上も課金してしまった。年齢確認画面で「20歳以上」を選択していたようだ
    • キャリア決済とは、携帯電話会社のIDやパスワード等による認証で商品等を購入した代金を、携帯電話の利用料金等と合算して支払うことができる決済方法のこと。携帯電話会社によって名称は異なる。
  • 相談事例からみる特徴と問題点
    • 両親や祖父母など、保護者のスマートフォン端末を子どもに使わせている/保護者用アカウントでログインした家庭用ゲーム機を子どもに使わせている
    • 決済時のパスワードを設定していなかった、クレジットカードの管理が十分ではなかった
    • 決済完了メールを見落としていたため、課金に気づかなかった
    • 子ども自身にお金を使っているという認識がない
  • 保護者へのアドバイス
    • オンラインゲームで課金する場合のルールを家族で話し合いましょう
    • 保護者のアカウントで子どもに利用させず、保護者のアカウントで子どものアカウントを管理、保護できるように「ペアレンタルコントロール」を利用しましょう
    • スマートフォン端末では、保護者のアカウントで子どもに利用させる場合、保護者が子どもの「課金を防ぐ」「課金に気づく」ために、事前に保護者のアカウントの設定を確認しましょう
    • 未成年者が保護者の承諾なくオンラインゲームの課金をしてしまった場合は未成年者契約の取消しが可能な場合があります
    • 不安に思った場合や、トラブルが生じた場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう

国民生活センター 【若者向け注意喚起シリーズ<No.4>】借金するよう指示し、強引に契約を迫る手口に注意
  • 「お金がない」等と言って断っている消費者に対して、借金やクレジット契約をさせてまで強引に契約を結ばせる手口に関するトラブルが、20歳代の若者に多くみられます。全国の消費生活センター等には、以下のような相談が寄せられています。
  • 相談事例
    • 【事例1】オンラインスクールの説明を聞いたが、契約金額が高額で「お金がない」と断ると、事業者に貸金業者の無人借入機まで同行され、借金したお金で契約してしまった
    • 【事例2】大学の先輩にFX自動売買システムの購入を勧められ、「高額で払えない」と断ったら、学生ローンで借金する方法を事細かく指示された
  • トラブル防止のポイント
    1. 借金をしてまで契約すべきものかよく考えましょう
      • 「みんな借りている」「すぐにお金を取り戻せる」などと言われてもうのみにせず、借金をしてまで投資や副業等のためにお金を支払うことはやめましょう。
    2. 断る際は、「お金がない」ではなく、「いりません」ときっぱり断りましょう
      • 友人・知人から勧誘されて断りにくいと思っても、「お金がない」という断り方はやめ、望まない契約なら、「いりません」「やめます」ときっぱり断ってください。
    3. ウソをついて借金することは絶対にやめましょう
      • 使用目的や職業、年収等についてウソをついて借りるよう指示されても、絶対に耳を貸さないでください。
    4. 2022年4月から『18歳で大人』に!
      • 未成年者は、原則として、契約をするにあたって親権者等の同意を得なければなりませんが、同意を得ずになされた契約は取り消すことができます。他方、大人になると一人で契約できる半面、原則として一方的にやめることはできません。不安に思った時、トラブルにあった時は「188」に相談を!

国民生活センター 電力・ガスの契約内容をよく確認しましょう
  • 平成28年に電力の小売全面自由化が、平成29年にはガスの小売全面自由化が行われ、その後、電気は5年、ガスは4年が経過しました。
  • 国民生活センター及び各地の消費生活センター等並びに経済産業省電力・ガス取引監視等委員会には、消費者の皆様からの相談が引き続き寄せられています。
  • これを踏まえ、消費者の皆様への注意喚起・トラブルの再発防止の観点から、相談事例などを紹介するとともに、消費者の皆様へのアドバイスを提供いたします。
  • また、消費者庁においては、この分野で消費者を欺罔(ぎもう)する勧誘については、特定商取引法に基づき厳正に処分等を行ってまいります。
  • 相談事例
    1. 自営業であり、2カ月程前に従前の電力会社の電気料金が高額になったことがきっかけで、複数社から相見積もりを取り、市場連動型の電力会社に契約変更した。ところが月に3万円程度だった電気料金が突然20万円の請求になり驚いた。価格が変動するとの説明は受けていたが、ここまで高額になることは聞いていない。支払わなければならないか。(令和3年5月受付)
    2. その他
      • 勧誘を受けていないのに契約が勝手に切り替わっていた
      • 電気料金の支払先のみの変更と思ったが、契約先が変更になっていた
      • 電話勧誘を受けて断ったのに、その後しつこく勧誘を受けた
      • 電気料金が安くなると勧誘があり、検針票を見せるよう促された
      • 電気の契約先が変わる旨の通知が来た
      • などの相談も寄せられています。
  • 消費者へのアドバイス
    • 各電力・ガス会社にコロナウイルスやスポット市場高騰の状況に配慮した柔軟な対応を要請しています
    • 電気・ガスの料金のプランや算定方法をよく説明してもらい、確認しましょう
    • 勧誘してきた会社と新たに契約する会社の社名や連絡先を確認しましょう
    • 検針票の記載情報は慎重に取り扱いましょう
    • 契約を変更してしまってもクーリング・オフ等ができる場合があります
    • 電力の契約先が変わるなどの通知が来た場合にはよく内容を確認しましょう
    • 契約している電力会社が事業撤退する場合等でもすぐには電気は止まりませんが、お早めに電力会社の切り替え手続きを行ってください
    • 困った場合にはすぐに相談しましょう

国民生活センター PIO-NETにみる2020年度の消費生活相談の概要
▼報告書本文
  • この概要は、「全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET:パイオネット)」によって収集した2020年度の消費生活相談情報をまとめたものです(対象データは、2021年5月末日までにPIO-NETに登録された苦情相談)。
  • PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのこと。2008年度以降は、消費生活センター等からの経由相談は含まれていません。
  • 2020年度の傾向と特徴
    • 2020年度の相談件数は939,343件で、2019年度(939,575件)とほぼ同じ件数であった。
    • 「架空請求」の相談は、2017年度と2018年度は20万件を超えたが、2019年度は10.9万件、2020年度は2.8万件と大幅に減少した。
    • 2020年度は新型コロナウイルスに関連する相談が79,839件寄せられた。
    • 2019年度と比較して増加が目立ったものとして、インターネット通販で商品が届かないなどのトラブルがみられる「他の保健衛生用品」(マスク)、「他の医療機器」(体温計やパルスオキシメーター)、「紳士・婦人洋服」、定期購入などのトラブルがみられる「健康食品」や「化粧品」、火災保険で住宅修理ができると勧誘する火災保険申請サポートなどのトラブルがみられる「他の役務サービス」、水回りの修理において広告表示を大幅に上回る高額な料金を請求されたなどのトラブルがみられる「修理サービス」がある。
    • 新型コロナウイルスの影響で、特別定額給付金などの申請、手続きなど行政サービスに関する相談、結婚式の解約や延期による解約料などの請求に関する相談がみられる。
    • 70歳以上の相談の割合は22.1%と依然として全年代で最も多い一方、20歳未満、20歳代、30歳代、40歳代、50歳代の割合が増加している。
    • 販売購入形態別では、「通信販売」に関する相談の全体に占める割合が最も高く、2013年度以降同様の傾向にある。2019年度の32.9%から大幅に増加し、2020年度は39.7%で、「インターネット通販」に関する相談が多くみられる。
    • 「訪問販売」「電話勧誘」「訪問購入」は70歳以上の相談が多く、「マルチ取引」では20歳代の相談が多かった。
    • 契約購入金額は合計金額3,401億円、平均金額73万円であり、既支払金額は合計金額1,120億円、平均金額29万円であり、2019年度に比べ合計金額、平均金額ともに減少した。
    • 販売方法・手口別にみると、増加傾向にある「テレビショッピング」では70歳以上の高齢者から健康食品、化粧品、医薬品類に関する相談、「ネガティブ・オプション」では海外から注文した覚えのないマスクが届いたという相談、「代引配達」では洋服やかばんに関する相談がみられる。

国民生活センター 2020年度の越境消費者相談の概要-越境消費者センター(CCJ)で受け付けた相談から-
▼報告書本文
  • この概要は、2020年度に国民生活センター越境消費者センター(CCJ)に寄せられた越境消費者取引に関する相談情報をまとめたものです。
  • 当該情報の詳細については、「消費生活年報2021」にまとめ、2021年10月に国民生活センターホームページ上に掲載する予定です。
  • 2020年度の傾向と特徴
    • 2020年度にCCJに寄せられた越境消費者相談の件数は4,625件となった。2019年度の6,018件より減少した背景には2019年度に多かったチケット転売仲介サイトやPCソフトウェアの解約トラブルに関する相談の減少などがある。
    • 相談者の年代を見ると、2019年度に比べ、60歳以上からの相談の割合がやや減少し、30~40歳代の割合が増加した。
    • 取引類型は、2019年度同様、「電子商取引(オンラインショッピング)」によるものがほとんど(99.8%)である。決済手段は「クレジットカード決済」が多く、約60%を占めるが、「金融機関振込」も10%を占めている。
    • トラブル類型は、「解約トラブル」が過半数を占めるなど、相談全体に占める類型別割合の傾向は、2019年度と同様である。次いで、「詐欺・模倣品トラブル」が多い(19.2%)。
    • 商品・サービス別に見ると、ソフトウェアに関する相談が5.3%と2019年度の15.8%から3分の1程度に大きく減少した。
    • 相手方事業者の所在地としては、2019年度同様、「アメリカ」が最も多く(23.2%)、続いて、「中国」(12.6%)、「イギリス」(9.2%)、「香港」(6.0%)の順となっており、この4カ国で過半数(51.0%)を占めている。

国民生活センター 2020年度訪日観光客消費者ホットラインに寄せられた相談のまとめ
▼報告書本文
  • 国民生活センターでは、日本を訪れた外国人観光客が、日本滞在中に消費者トラブルにあった場合に相談できる電話相談窓口として「訪日観光客消費者ホットライン(Consumer Hotline for Tourists)」(以下、「訪日窓口」とする)を2018年12月に開設しました。この窓口では、三者間通訳サービスを利用して、英語、中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語、フランス語、日本語の計7カ国語で相談を受け付けています。
  • 以下では、2020年度に訪日窓口に寄せられた相談のまとめを報告します。
  • 当該情報の概要については、「消費生活年報2021」にまとめ、2021年10月に国民生活センターホームページ上に掲載する予定です。
  • 2020年度の傾向と特徴
    1. 訪日窓口に寄せられた相談
      • 2020年度の相談件数は125件で、そのうち訪日観光客からの相談が32件、在日外国人からの相談が70件、在外外国人からの相談が23件でした。新型コロナウイルス感染症の影響により、訪日観光客からの相談件数は減少しています。
    2. 窓口に寄せられた相談のうち訪日観光客からの相談
      • 訪日窓口の受付対象である訪日観光客からの相談は32件であり、時期別にみると訪日中の相談が16件(50.0%)、訪日前が13件(40.6%)、訪日後が3件(9.4%)であり、訪日中と訪日前の相談が9割以上でした。訪日前の相談の全体に占める割合は2019年度の12.9%から2020年度は40.6%に増加しています。
      • 通訳対応言語別でみると、英語、中国語がそれぞれ14件(43.8%)であり、この2言語で9割近くを占めました。
      • 商品・役務等別分類でみると、「宿泊施設」が14件(43.8%)と最も多く寄せられました。
      • 相談内容別にみると、「契約・解約」「接客対応」に関する相談が目立ちました。

国民生活センター 国民生活センターをかたるニセのメールや電話にご注意ください-当センターが示談金を受け取るための費用を請求することはありません!-
  • 全国の消費生活センター等には、国民生活センターをかたるニセのメールや電話に関する相談が寄せられており、最近では、国民生活センターを名乗る者から「示談金を受け取るための手続きをするように」といった内容のメールが届き、費用の支払いを求められたケースがあります。
  • このような内容のメールや電話を受けた際には、絶対にお金を渡さずに、不審な点があればすぐに最寄りの消費生活センターに相談してください。
  • 相談事例
    • 国民生活センターを名乗る者から「問題のあるサイトとの示談が成立したので、示談金3億2千万円を受け取るための手続きをするように」という内容のメールが届き、手続きのための費用を請求され、これまでに約30万円を電子マネーで支払った。本当に示談金をもらえるのか。(2021年6月受付 当事者:70歳代 男性)
  • 消費者へのアドバイス
    • 国民生活センターが示談金の受け取りなどの手続きに関して相談者以外にメールや電話などで連絡をとることは絶対にありません。また、どのような名目でもお金を要求したり、預かったりすることは絶対にありません。
    • 手続き費用をニセの相手に支払ったとしても示談金を受け取れることはありません。費用の請求を受けても絶対にお金を渡さず、不審な点があった場合はすぐに最寄りの消費生活センターに相談してください。
    • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

国民生活センター 国民生活センターをかたる電話やメール等にご注意ください!
  • 「国民生活センターの○○課の○○」などと、当センターや当センターの職員をかたるメールやはがき、電話等に十分ご注意ください。
  • このような電話やメール、ハガキが送られて来ても、絶対に相手に連絡をせず、すぐに、お近くの消費生活センター等にご一報ください。
  • 国民生活センターが、当センターに相談したことのない人にメールや電話等で、以下のように連絡をとることは絶対にありません。
    • 「○○金のため…」
    • 「訴訟で○○するように…」
    • 「○○の申請が必要…」
  • また、メールから国民生活センターのロゴを使ったサイト(国民生活センターをかたった偽のサイト)に誘導しようとするメール等の情報も寄せられています。
  • これまでに寄せられた相談事例 ※2021年7月26日更新
    1. 最近の事例
      • 国民生活センターの送金担当を名乗る人から、『「税処理委託」申請が必要で、いつまでも手続きを完了しない場合には、行政より強制的に自己破産していただくことなる』という内容のメールが届いた。
      • 「国民生活センターXと申します。”詐欺サイト”より押収したパソコンから顧客情報として下記アドレスが登録されております。」とどこかのサイトに誘導するリンクのついたメールが届いた。
      • 国民生活センターの職員を名乗る人から、「過去に利用した出合い系サイトで”キャンペーン”と称し、何度も課金をされた覚えはないでしょうか?示談金の支払いが可能です」という内容のメールがきた。
      • 独立行政法人国民生活相談センターというところから、「あなたが以前契約された訪問販売会社に対して、未納料金または契約不履行により当社から簡易裁判所に訴訟を提起されたことを報告いたします。至急連絡を下さい。このまま連絡がない場合は、裁判所の日程を決定する執行が行われます。」旨のハガキが届いた。私は全く身に覚えが無い。詐欺だろうか。
    2. 国民生活センターをかたるはがきの内容
    3. 確認通知書
      令和3年●月●日 管理番号(●)第●●●号
      この度ご通知致しましたのは、貴方が以前契約された訪問販売会社に対して未納料又は、契約不履行による当該会社が管轄裁判所に訴訟提起された事を報告致します。
      当該会社、訴訟内容につきましては担当職員に管理番号をお伝え下さい。国民生活相談センターは訴訟内容の正当性を確認する機関になりますので原則としてご本人様からのご連絡をお願いしております。
      尚、再三にわたる呼び出しに応じないで裁判を放置していた方が執行官立会いのもと、給料や財産を差押さえられる事例がありますので十分ご注意ください。
      ※ 至急連絡をください。このままご連絡無き場合は、裁判の日程を決定する執行が執り行われます。
      コロナウィルス感染症対策のため至急連絡をください。
      (土・日・祭日を除く) 9:00~17:00
      〒105-0022 東京都港区海岸●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
      相談窓口 03-●●●●-●●●●
      独立行政法人 国民生活相談センター
    4. 過去の事例
      • 国民生活センターのXを名乗る人物からメールが届き、記載されていたURLをクリックしたところ、国民生活センターのロゴマークが掲載されているサイトが表示された。「1通でも悪徳サイトからメールを送られている被害者様へ≪払戻し金 300,000-≫今、当センターを通して選出されている皆様へ悪徳サイトから徴収したお金を返金させて頂いております。」と書かれていた。本当に返金してくれるのか。
      • メールが届き、記載されていたURLにアクセスしたところ、国民生活センターのロゴを使ったサイトにアクセスした。
      • 内容は、「相手方の弁護士様より、ご自宅に裁判所出廷通知が送られます。裁判所出廷通知が届けば如何なる理由があろうと裁判所に出廷をしなければならなくなる事はご存じかと思います。こちらとしては本日、示談金8000万円を着金させますのでご自身の為にも迅速なご対応をお願いします」と書かれていた。国民生活センターがこのようなメールを送ることはあるのか。
      • 国民生活センターのXと名乗る男性から「あなたの個人情報が3社に漏れている。2社は削除できたが、A社だけはできない。削除するためにはあなたの代わりの人を探す必要がある」と電話があった。代わりの人を探してくれるよう頼むと「B社のYという人がみつかった。6ケタの個人情報番号を教える」と言われ、その後に電話のあったZという人にその個人情報番号を教えたら、A社の人から「なぜ、番号を教えたのか」と電話がかかってきた。これまでに2、3回電話でやり取りをして、これから再度電話がかかってくる。信用してよいか。

国民生活センター「簡単にもうかる」という情報商材を購入し、有料のサポートプランを契約したが、解約したい
  • 質問
    • 「簡単にもうかる」というインターネットの広告を見て、情報商材を購入した。その後、事業者から電話があり「有料プランに入らなければもうからない。高額なプランほど色々なサポートが受けられる」と言われて高額な有料プランを契約したが、指示通りに作業してももうからないので解約したい。どうすればよいか。
  • 回答
    • 契約書、広告や購入時の画面等を印刷したものやスクリーンショット、事業者とのやり取りの記録、契約に至った経緯などを整理して、最寄りの消費生活センター等に相談しましょう。クレジットカードで決済している場合には、直ちにクレジットカード会社にも連絡してください。
  • 解説
    1. 情報商材とは
      • 情報商材とは、インターネットの通信販売等で、副業や投資等で高額収入を得るためのノウハウなどと称し、PDFファイル等の様々な形式で販売されているものです。購入するまで内容がわからないため、広告や説明と違い、あまり価値のない情報だったという場合があります。
    2. よく寄せられる情報商材のトラブル
      • 全国の消費生活センター等には、「自宅で簡単に稼げる」「スマホやタブレットを操作するだけで1日数十万円稼げる」などといった広告を見て情報商材を購入したが、稼げる内容ではなかった、紹介されている内容が違法なものだったなどの相談が寄せられています。
    3. 電話で勧誘を受けて契約した場合
      • 電話勧誘販売によってコンサルティングやサポートプラン等の契約をした場合、法律で定められた事項が書かれた契約書面(法定書面)を受け取った日から数えて8日以内であれば、クーリング・オフにより、違約金等を支払うことなく契約解除をすることができます。クーリング・オフができる期間は限られているため、速やかに行いましょう。また、クレジットカードで決済した場合には、直ちにカード会社に連絡し、事情を説明しましょう。
      • お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

国民生活センター SNSで知り合った人に暗号資産(仮想通貨)を使った投資を勧められたが、信用できるか
  • 質問
    • SNSで知り合った人から、「必ずもうかる良い話がある。日本円を暗号資産に換えて海外事業者の専用口座に送金すると高い利息がつく」と暗号資産を使った投資を勧められた。信用できるか。
  • 回答
    • 暗号資産が詐欺的な投資の勧誘に利用されているケースがよくみられます。「必ずもうかる」という投資はありえません。安易に投資することはやめましょう。取引をする前には、暗号資産交換業の登録業者であるかを必ず確認しましょう。
  • 解説
    1. 暗号資産とは
      • 暗号資産は、インターネットを通して電子的に取引されるデータであり、日本円やドルのように、国がその価値を保証している「法定通貨」ではありません。様々な要因によって価格が変動するため、価格が急落し、損をする可能性があります。
    2. よく寄せられる暗号資産のトラブル
      • 全国の消費生活センター等には、友人や知人、SNS、出会い系サイトやマッチングアプリ等で知り合った人に「もうかる」と勧められて暗号資産の投資をしたが、返金されない・出金できない、投資した後、事業者と連絡が取れなくなったなどの相談が寄せられています。出金できなくなるケースでは、利用している投資サイト自体が架空のものである可能性もあり、勧誘者や事業者と連絡が取れなくなると、被害を回復することは困難です。
    3. 登録業者であるかを必ず確認
      • 暗号資産交換業者は、金融庁・財務局への登録が必要です。取引を行う前に、暗号資産交換業の登録業者であるかを金融庁のウェブサイトで必ず確認してください。海外に拠点を置く暗号資産交換業者であっても、日本国内で暗号資産交換業を行う場合や暗号資産交換業に係る取引の勧誘を行う場合には登録が必要です。
      • ただし、登録業者であっても、信用性が担保されているわけではありません。暗号資産の取引にはリスクが伴うことを十分に理解するようにしましょう。
      • お困りの際にはお近くの消費生活センター(消費者ホットライン188)にご相談ください。

【2021年7月】

国民生活センター 突然訪問されて太陽光発電設備と家庭用蓄電池を契約した
  • 質問
    • 突然自宅を訪問した事業者から太陽光発電設備と家庭用蓄電池の勧誘を受けた。すぐに契約するつもりはなかったが、「安く契約できるのはあと2件」などと説明されて約300万円で契約してしまった。よく考えると高額のためクーリング・オフしたい。
  • 回答
    • 特定商取引法の訪問販売に該当する場合には、契約書面を受け取った日を含む8日間はクーリング・オフを行うことが可能です。
    • 太陽光発電設備や家庭用蓄電池の購入は高額な契約になります。突然の訪問をきっかけに勧誘をされたり、契約を急かされてもその場で契約はせずに、複数社から見積もりを取り、比較検討したうえで慎重に事業者の選定を行いましょう。
    • また、そもそも契約するつもりがない場合は、きっぱりと断りましょう。
  • 解説
    • 特定商取引法では、事業者が訪問販売を行うときには、勧誘に先立ち、消費者に対して、事業者の氏名(名称)、契約の締結について勧誘する目的である旨、販売しようとする商品(権利、役務)の種類を告げなければならないと定められています。事業者の突然の訪問を受けた際は、まずこれらの事項を確認しましょう。そのうえで、見積書や設置工事、補助金申請の手続き等の流れや詳細を十分に確認し、その場で契約はせずに、慎重に検討しましょう。
    • クーリング・オフ期間経過後でも契約の取消ができる場合があります。お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。
    • なお、太陽光発電設備や家庭用蓄電池を設置することで、その後の電気料金が安くなったり、災害時にも役立つなどのメリットがあるとしても、設置にあたっては購入費用や設置工事費用等が発生します。契約にあたってはこれらの初期費用についても考慮することが重要です。
  • クーリング・オフについて
    • 訪問販売にはクーリング・オフ制度が設けられています。契約書面を受け取った日を1日目として8日間は事業者に書面等で申し入れすることによって、無条件で契約を解約することができます。クーリング・オフの通知書面の書き方や手続き方法については、国民生活センターのホームページに解説ページがありますので、参考にしてください。

国民生活センター 固定価格買取期間満了後は家庭用蓄電池の設置が必要なの?
  • 質問
    • 我が家は太陽光発電設備を設置しており、翌年には再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)の10年間の売電契約が終了する予定だ。家庭用蓄電池の訪問販売を受け、「固定価格買取期間満了後は売電価格が下がるため家庭用蓄電池を設置した方がよい」などと説明されたが価格が高額だ。どうしたらいいか。
  • 回答
    • 固定価格買取期間満了後は、必ずしも余剰電力の売電より家庭用蓄電池を利用した自家消費のほうが経済的なメリットが大きいとは限りません。勧誘時に「○年で元が取れる」「売電するよりも家庭用蓄電池を導入した方がよい」などと断定的な説明を受けてもうのみにせず、自身でも複数社から見積もりを取るなど情報収集し、総合的に判断するようにしましょう。
  • 解説 再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)とは
    • 再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。住宅用太陽光発電の場合、自家消費後の余剰分(余剰電力)が買取対象となります。住宅用太陽光発電の余剰電力は、固定価格での買取期間が10年間と定められています。
    • 太陽光発電設備を既に導入している場合、固定価格買取期間満了後の選択肢としては、家庭用蓄電池と組み合わせて余剰電力を自家消費する方法と、小売電気事業者等に対して相対・自由契約で余剰電力を売電する方法があります。家庭用蓄電池を利用した自家消費で太陽光発電の発電分を使い切らずに、余剰電力の売電を行うことも可能です。どの方法がより経済的メリットがあるかについては、電気料金や家庭用蓄電池の価格および小売電気事業者の買取メニュー等によって異なります。
    • なお、家庭用蓄電池の設置には国が実施する補助事業のほか、各自治体でも補助金制度が設けられている場合があります。申請期間や条件等の詳細についてはそれぞれのホームページ等で案内されているため、受給を希望する場合は事前に確認するようにしましょう。

国民生活センター ポイントサイト利用によるトラブルに注意
  • 内容
    • 事例:SNSで、指定されたサイトに登録するとフリマのポイントがもらえるという「ポイントサイト」の広告を見た。無料期間中に解約すればポイントだけが無料でもらえると思い、指定された約30個のサイトに登録していった。途中からアダルトサイトになり、心配になって登録するのをやめた。すでに登録したサイトも解約したいが連絡先が分からないサイトが10個ある。解約したいがどうしたらいいか。(当事者:高校生 男性)
  • ひとことアドバイス
    • ポイントサイトとは、そのサイトを経由して指定されたサイトの会員登録や商品購入、アンケート回答などを行うことでポイントが貯められるサービスです。利用する際は、ポイントの獲得条件などをよく確認しましょう。
    • 無料期間やキャンペーンなどで試しに利用する場合でも、指定先の各サイトごとに利用規約や解約条件をきちんと確認しましょう。
    • 解約するときなどに必要となるので、IDやパスワードなどをしっかり管理することも大切です。
    • 困ったときは、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

国民生活センター 「手術当日化粧できる」という二重まぶた形成術を受けたが腫れがひかない
  • 質問
    • インターネット広告で「手術当日化粧できる二重まぶた形成術」をみつけ、クリニックでカウンセラーから「腫れない、痛みが少ない」という50万円の施術を勧められた。当日契約・手術することになり、手術室で初めて医師と対面したがリスクの説明はなかった。術後1週間経っても腫れがひかないが、クリニックからは「様子をみるように」としか言われず不安だ。
  • 回答
    • 二重まぶた形成術の術後に起こる腫れは施術に伴う自然な反応です。術前の説明より長い間腫れがおさまらない、目に痛み・違和感がある場合などはすぐに医療機関を受診しましょう。
  • 解説
    • 「理想の二重になりたい」という希望をかなえる「二重まぶた形成術」は、近年日本において施術数の多い美容医療の一つです。二重まぶた形成術には埋没法、切開法など複数の施術方法があり、それぞれの方法に利点・欠点があります。自分に合う施術方法、どのような二重を希望するか(二重の幅、ライン、かたちなど)は、カウンセリング等で医師と具体的に話し合った上で検討しましょう。また、施術後に起こりうる腫れなどの症状やその症状が落ち着くまでにかかる期間(ダウンタイム)の説明を受けましょう。併せて合併症や後遺症の有無などリスクに関しても必ず説明を受けるようにしてください。
    • 施術による危害を受けたとしてその治療に関する補償をクリニックに求めたい場合は早めに医療機関で診察を受け、診断書等を取りましょう。精神的な損害を被ったとして慰謝料を求めたい、施術の効果がなかったことを証明したいという相談は、消費生活センターでの解決が困難です。このような意向がある場合は弁護士等に相談しておくことも一法です。
      1. 施術後に起こりうる症状とダウンタイム
        • 二重まぶた形成術の術後は数週間~数カ月程度、まぶたが腫れる可能性があります。これは二重まぶた形成術に限ったことではなく、美容医療の施術後には腫れやむくみ、痛み、内出血等の症状が起こる場合があります。こうした症状が落ち着いて、日常生活に戻れるようになるまでの期間を「ダウンタイム」といいます。
        • したがってダウンタイムの間に起こる症状だけをもって、施術が失敗したと判断することはできませんが、術前の説明より長い間不調が続く、症状が重い場合などは、まず施術を受けたクリニックに相談し、状態を確認してもらいましょう。
      2. どのような施術を受ける場合でも必ずリスク等の確認をしましょう
        • いわゆる「プチ整形」と呼ばれる施術は「切らない」「バレない」「手術当日からメイクOK」と手軽に施術が受けられるように広告、説明される場合もありますが、全く腫れが起こらないなど、リスクなしで受けられるわけではありません。
        • 希望する施術のメリットや安い費用で受けられることだけをもって判断せず、施術に伴うリスク等についての情報収集に努めましょう。
        • そしてクリニックでカウンセリング等を受ける際は、特に以下の点について医師から説明を受け、よく理解したうえで施術を受けるか判断してください。
          • 術中の痛みの程度
          • ダウンタイムの期間や起こりうる症状等
          • 合併症や後遺症の有無
          • 他の施術方法があるか(ある場合はその内容や費用負担等)
          • 使用する薬剤の名称や効能、副作用等

国民生活センター 美容医療サービスはクーリング・オフできる?
  • 質問
    • 「10万円の全身脱毛」というSNS広告をみてクリニックへ行ったら「別のコースの方が効果が高い」と70万円の医療脱毛を勧められ契約した。高額なのでクーリング・オフしたい。
  • 回答
    • 医療脱毛などを含む一部の美容医療サービスは期間が1カ月を超え、金額が5万円を超える場合は特定商取引法が適用され、契約書面を受け取った日を含む8日間はクーリング・オフができます。またクーリング・オフ期間を過ぎても、契約期間内であれば決められた金額を支払うことで中途解約も可能です。
    • なお、全ての美容医療サービスの施術でクーリング・オフや中途解約ができるわけではありません。契約をやめたいと思った場合はなるべく早めに最寄りの消費生活センター等に相談しましょう。
  • 解説
    1. 特定商取引法の対象となる美容医療サービスとは
      • 特定商取引法は、7種類の継続的なサービス(エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービス)のうち一定の条件を満たす契約を特定継続的役務提供としています。特定継続的役務提供にはクーリング・オフ制度のほか、中途解約時の取り扱いなどのルールが適用されます。
      • 美容医療サービスは2017年12月1日以降の契約で、以下の特定商取引法施行令(政令)及び特定商取引法施行規則(省令)に定められた要件を満たす場合は、特定継続的役務提供の適用を受けます。
        1. 美容医療の定義と期間・金額の要件(政令)
          • いわゆる美容医療とは、「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、体重を減じ、又は歯牙を漂白するための医学的処置、手術及びその他の治療を行うこと(美容を目的とするものであって、主務省令で定める方法によるものに限る)」とされています。
          • そして期間(サービスの提供期間)が1カ月を超え、金額(消費者が支払う金銭の総額)が5万円を超える契約が要件となっています。
        2. 施術方法等の要件(省令)
          • 脱毛:光の照射又は針を通じて電気を流すことによる方法(例:レーザー脱毛、針脱毛など)
          • にきび、しみ、そばかす、ほくろ、入れ墨その他の皮膚に付着しているものの除去又は皮膚の活性化:光若しくは音波の照射、薬剤の使用又は機器を用いた刺激による方法(例:レーザーや超音波を照射する機器による治療、ケミカルピーリングなど)
          • 皮膚のしわ又はたるみの症状の軽減:薬剤の使用又は糸の挿入による方法(例:ヒアルロン酸注射、糸によるリフトアップなど)
          • 脂肪の減少:光若しくは音波の照射、薬剤の使用又は機器を用いた刺激による方法(例:レーザーや超音波を照射する機器による治療、脂肪溶解注射、脂肪を冷却する機器による治療など)
          • 歯牙の漂白:歯牙の漂白剤の塗布による方法(例:ホワイトニングジェルを注入したマウストレーを装着する治療など)
    2. クーリング・オフをする場合
      • 特定継続的役務提供に該当する美容医療サービスにはクーリング・オフ制度があります。契約書面を受け取った日を1日目として8日間はクリニックに書面等で申し入れすることによって、無条件で契約を解除することができます。クーリング・オフの通知書面の書き方や手続き方法については、国民生活センターのホームページに解説ページがありますので、参考にしてください。
    3. 中途解約をする場合
      • 特定継続的役務提供は、契約期間内であれば理由を問わず中途解約をすることができます。またその際に事業者が消費者に対して請求できる、解約時に支払う費用の上限額は、特定継続的役務提供の対象業種ごとに定められています。美容医療サービスの場合は、支払い済代金との差額が下記の負担額を上回っている場合は返金を受け、不足がある場合は追加の支払いをします。
        1. 美容医療サービスを中途解約する際の消費者の負担上限額
          • サービス提供前:2万円
          • サービス提供後:すでに提供されたサービスにかかる料金+5万円または未提供のサービスにかかる料金の20%に相当する額のいずれか低い方
          • 特定商取引法に該当しない契約は、原則、クリニックが定める解約に関する特約に従うことになります。キャンセル料や違約金の請求に納得できない場合は、解約に伴って生じる損害の内訳をクリニックに確認してみましょう。
        2. 解約に際してクリニックとトラブルになった場合は、最寄りの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

国民生活センター コロナ禍の葬儀 感染対策で高額になることも
  1. 内容
    • 事例1:父が亡くなり葬儀を行う予定だが、出席者は家族のみで7人しかいないのに、葬儀社から新型コロナ対策のため3密を避けて大ホールで行うと言われた。小ホールとは何十万円も費用に差がある。(女性)
    • 事例2:夫の葬儀をした際、通常の葬儀費用に加え、新型コロナ対策として衛生管理費を請求された。支払ったが、新型コロナ対策を理由にこのような請求は認められるのか。(女性)
  2. ひとこと助言
    • 葬儀では費用に関するトラブルが多くみられますが、コロナ禍の感染対策などで、通常では掛からない費用がさらに追加されるなどのケースがあります。
    • 葬儀社との打ち合わせは喪主だけでなく、親族などと複数人で行い、申し込む前に見積書で納得できる内容や費用であるかを、よく確認しましょう。
    • 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

国民生活センター 液体芳香剤の誤飲 重症になることも
  • 事例
    • トイレに置いていた液体芳香剤を誤飲した。3回吐き、激しくせき込んだ。その後、熱が出て、呼吸が速くなった。翌日病院に行ったら化学性肺炎と診断され2週間入院した。胸部CTにて、肺の一部が空洞のようになっている箇所がみられ、治るかどうかは不明である。(当事者:1歳 男児)
  • ひとことアドバイス
    • 液体芳香剤は、乳幼児の手や目が届かない場所で使用・保管しましょう。
    • 液体芳香剤の液は、気管に入ると化学性肺炎を生じる危険があります。誤飲しても慌てて吐かせずに、商品名と飲んだと思われる量を確認し、すぐにかかりつけ医や中毒110番等に相談しましょう。
    • 液体芳香剤の液が目に入った場合は、すぐに流水で洗い流しましょう。皮膚に付いた場合は、かぶれるおそれがあるので石けんなどでよく洗いましょう。

国民生活センター 新たな“もうけ話トラブル”に注意-オンラインサロンで稼ぐ!?-
  • 全国の消費生活センター等には、以前から「スマホで簡単にもうかる」「不労所得で豊かに生活ができる」とお金もうけのノウハウを伝える等と勧誘され、情報商材(注1)やノウハウを教わるサポートの契約をしてトラブルになったという相談が寄せられています。最近では、近年利用者が増えている「オンラインサロン(注2)」を、ノウハウを伝えるツールまたはサロン自体をもうける手段として利用している手口がみられます。
  • そこで、本資料ではオンラインサロンを使ったもうけ話に関する相談事例や問題点を紹介するとともに、トラブルの防止のために、消費者への注意喚起を行います。
    • インターネットの通信販売等で、副業や投資等で高額収入を得るためのノウハウ等と称して販売されている情報のこと。
    • オンラインサロンとは、インターネット上の会員制コミュニティを指す。オンラインサロンには、いわゆるプラットフォーム事業者のサービスを利用したサロン(プラットフォーム型サロン)と主宰者が独自にSNS上のツールを利用してサロン(独自型サロン)を開設しているケースがある。(参考:消費者庁 第41回インターネット消費者取引連絡会(2021年5月31日)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社発表資料「オンラインサロンの動向整理」)ここでは、トラブルが多く発生している独自型サロンについて取り上げる。
  • 相談事例
    1. SNSでDMが届き、情報商材の内容をオンラインサロンで勉強できると勧誘された
      • SNSで「稼ぎ方を教えます」とDM(ダイレクトメッセージ)が届き、無料通話アプリで相手に連絡した。そこで「ブログでアフィリエイト収入が得られる」「ビジネススキルを情報商材で提供するのでオンラインサロンで勉強できる」等と勧められ、約30万円でオンラインサロンへ入会することにした。契約書はウェブ会議のやり取りで作成して交付された。実際にブログを始めたが、「オンラインサロンの人が○万円稼げました」などと偽りの発信を指示されるようになり、また、内容も稼げるものではないことがわかった。解約して返金してほしい。
    2. その他、以下のような相談も寄せられています。
      • オンラインサロンを人に紹介すると報酬がもらえると言われた
      • オンラインサロン経営のセミナーで、さらに高額なセミナーの勧誘を受けた
      • オンラインサロン経営の副業を契約したが、書面を交付されなかった
      • オンラインサロンを解約したいが、住所や電話番号等がわからない
  • 相談事例からみる問題点
    • SNSや友人等からもうけ話の勧誘を受けて入会するが、中身が聞いていた話と違う
    • オンラインサロン自体が稼ぐ手段として使われている
    • 事前に契約条件、契約内容を確認できない
  • 消費者へのアドバイス
    • インターネット上や友人・知人から勧誘される“もうけ話”はまず疑ってみましょう
    • 人に紹介するよう言われた等、話が違うと思ったら、きっぱりと契約を断りましょう
    • 契約前に契約条件、契約内容を確認しましょう。トラブルに備えてSNS等のやり取りの記録は消さずに残しましょう
    • 不安に思った場合やトラブルになった場合は消費生活センター等に相談しましょう

国民生活センター 「訪日観光客消費者ホットライン」専用ホームページ及び多言語チャットボットを開設しました
  • 国民生活センターでは、訪日観光客が日本滞在中に消費者トラブルにあった場合に相談できる電話相談窓口「訪日観光客消費者ホットライン」(以下、「訪日窓口」とする)を2018年12月に開設し、英語、中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語、フランス語、日本語の7カ国語での相談対応を行っています。
  • 現在、新型コロナウイルス感染拡大により外国人観光客の受け入れが厳しい状況ですが、事態収束後の速やかなインバウンド回復のための環境整備の一環として、この度、訪日窓口専用ホームページ及び多言語チャットボットを開設しましたので、お知らせします。
  • これにより、訪日観光客は、専用ホームページ上のFAQや多言語チャットボットを活用して、消費者トラブルへの対応方法等に24時間365日アクセスすることが可能となります。
  • 開設日
    • 2021年7月1日(木曜)
  • 対応言語
    • 専用ホームページ
      • 電話窓口情報:日本語、英語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、韓国語、タイ語、ベトナム語、フランス語
      • 消費者トラブルFAQ、お役立ち情報など:日本語、英語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)
    • 多言語チャットボット(専用ホームページ内):日本語、英語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)
  • 主なコンテンツ
    • 専用ホームページ
      • 電話窓口情報
        • 消費者トラブルFAQ(よく寄せられる相談に対する助言等をFAQ形式で掲載しています)
        • お役立ち情報(日本の文化・習慣など訪日旅行に役立つ情報を掲載しています)
        • 電話窓口の紹介動画
        • お役立ちリンク
      • 多言語チャットボット(専用ホームページ内)
        • 訪日観光客の旅行中の消費者トラブルについて、チャット形式により自動で情報提供を行います。チャットボットとの対話で知りたい情報を絞り込んでいく方法のほか、質問を自由入力することにより、その質問に対する回答が得られます。
▼国民生活センター 訪日観光客消費者ホットライン
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