2021/05/31

危機管理トピックス

【省庁別記事(前半)】

【首相官邸】

【2021年5月】

~NEW~
首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第66回(令和3年5月21日開催)資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日別では、ほぼ上げ止まりで、直近の1週間では10万人あたり約32人となっている。先週と同様に、全国的な感染拡大という状況ではなく、地域差が大きく、増加傾向にある地域と、横ばいや減少傾向にある地域が混在している。重症者数、死亡者数も増加傾向が続いている。
    • 現時点で感染者数が明確に減少に転じていない。GWでの人の動きや変異株の影響と各種対策による感染抑制の効果の影響が複合しており、状況の評価や今後の予測が難しい面があることから、今後の動きに注視が必要。
    • 実効再生産数:全国的には、直近(5/2時点)で1.01と1前後で横ばいとなっている。
  • 感染状況の分析【地域の動向等】※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。実効再生産数は、1週間平均の直近(5/3時点)の値
    1. 関西圏
      • 大阪では、まん延防止等重点措置(重点措置)の開始から6週間、緊急事態措置の開始からは3週間経過。先週今週比は直近約2週間は1以下で推移、新規感染者数も減少傾向が続いているがまだ非常に高い水準。夜間滞留人口・昼間滞留人口は、これまでの最低値水準にまで急減した後、増加に転じている。滞留人口の減少から新規感染者数の減少まで約5週間を要した。大阪、兵庫、京都で実効再生産数は0.87、0.99、0.98となっており、今後も新規感染者の減少が見込まれるが、滞留人口の動向とともに注視が必要。
      • 大阪、兵庫、京都、奈良の新規感染者数は、約51、36、37、34。ほぼ横ばいの京都以外は減少傾向だが、全年齢層で新規感染者数が高い水準。
      • 大阪、兵庫を中心に、医療提供体制や公衆衛生体制の非常に厳しい状況が継続。一般医療を制限せざるを得ない状況が続いている。病床の確保が進められているが、必要な医療を受けられる体制を守るためには、新規感染者数の減少を継続させることが必須。
      • 和歌山では、新規感染者数は減少傾向で、約12。滋賀では、ほぼ横ばいで約23。
    2. 首都圏(1都3県)
      • 東京では、重点措置の開始から5週間、緊急事態措置の開始からは3週間経過。埼玉、千葉、神奈川では、重点措置の開始から4週間経過。新規感染者数は、東京は判断が難しいがほぼ横ばい、埼玉、千葉、神奈川では横ばいから微増で、それぞれ約38、22、16、22。20-50代が多数を占めている。先週今週比はGW後に上昇が見られたが、直近では概ね低下傾向。
      • 東京では、夜間滞留人口・昼間滞留人口は、2回目の宣言中最低値よりも25%低い水準に到達した後、GW明けに増加傾向がみられ、2回目の宣言中の最低値と同水準。夜間滞留人口の減少から3週間が経過したが、新規感染者数のピークアウトには至っていない。埼玉、千葉、神奈川でも、夜間滞留人口は、GW明けに横ばいから増加傾向がみられ、千葉、埼玉では昼間滞留人口が増加。実効再生産数は、それぞれ1.03、1.57、1.08、1.14で、感染者数は増加にも減少にも転じる可能性があり、滞留人口及び新規感染者数の動向に注視する必要。
    3. 中京圏
      • 愛知では、重点措置の開始から4週間、緊急事態措置の開始からは1週間経過。新規感染者数は急速な増加傾向が継続し、約52。先週今週比は3月下旬から約8週間にわたり1以上を継続。20-30代が中心だが、ほぼ全世代で新規感染者数が増加傾向。医療及び保健所への負荷が増加し、病床使用率が高い水準にあり医療提供体制が厳しい状況。
      • 夜間滞留人口は、緊急事態宣言後も横ばいで、2回目の緊急事態宣言時の最低値付近で推移。一方、昼間滞留人口はGW後半から増加に転じていたが、緊急事態宣言後微減。滞留人口の減少から4週間にわたり以上経過するも、実効再生産数は1以上が続いており、新規感染者数の増加が続く可能性がある。
      • 岐阜、三重では、重点措置の開始から1週間経過。岐阜では新規感染者数の増加傾向が継続し、約44。夜間滞留人口・昼間滞留人口とも減少が続いているが、新規感染者数が減少に転じるか注視が必要。三重では、横ばいで約18。静岡では、5月中旬から先週今週比が急速に上昇し、1以上も約3週間にわたり継続。新規感染者数も、約17であり、注視が必要。
    4. 九州・沖縄
      • 福岡では、緊急事態措置の開始から1週間経過。4月中旬以降、20-30代を中心として新規感染者数の急増が続き、直近では増加の速度はやや鈍化したものの非常に高い水準で、約64。先週今週比は4月上旬から6週間にわたり1以上を継続。病床の占有率も急速に高まっており、医療提供体制への負荷が大きい状態が継続。
      • 夜間滞留人口は減少が続いていたが、2回目の緊急事態宣言時の最低値水準には届かず、緊急事態宣言後も横ばいで推移、昼間滞留人口は緊急事態宣言前に増加も、宣言後微減。実効再生産数は1以上が続いており、新規感染者数の増加が続く可能性がある。
      • 熊本では、5月16日から重点措置が開始。新規感染者数の急増が続いてきたが、直近では増加速度は鈍化したものの高い水準で、約39。
      • その他の九州各県でも、減少に転じる動きが見られるものの、佐賀、大分では、約29、38と依然として高水準。実効再生産数は両県とも1.35であるが、先週今週比は低下傾向であり、減少が続く可能性もあるが、傾向が継続するか注視が必要。
      • 沖縄では、重点措置の開始から5週間経過。重点措置にも関わらず、GW以降、那覇市をはじめとした都市部と八重山地域で20-30代を中心に現役世代で新規感染数者が増加し、約57と高い水準。県外からの渡航者の感染も見られている。感染者の増加により、医療の逼迫が予想される。特に、高齢者に感染が波及することにより、重症者の増加が懸念される。
    5. その他の緊急事態措置地域(北海道、岡山、広島)
      • 北海道では、5月9日から重点措置、16日から緊急事態措置が適用。新規感染者数の急増が続いており、約72と非常に高い水準で、先週今週比も約6週間1以上を継続。札幌市は約125とより高い水準で、市中でリンク不明例が多発している。病院と福祉施設でのクラスターも発生。実効再生産数は1.57と高い水準で、今後も増加が継続する可能性。札幌の医療提供体制は厳しい状況で、病床使用率が高い水準にあり、市外への広域搬送事例も見られている。
      • 岡山、広島では、5月16日から緊急事態措置が適用。それぞれ約59、53と高水準で、先週今週比1以上が岡山では7週間、広島では5週間にわたり継続。両県ともに病床使用率が高い水準。岡山では、夜間滞留人口・昼間滞留人口とも減少傾向が続いているが、実効再生産数は、それぞれ1.30、1.76と高水準であり、今後も感染の拡大が続く可能性がある。
    6. その他のまん延防止等重点措置地域(群馬、石川、愛媛)
      • 群馬、石川では、5月16日から重点措置が開始。群馬は5月中旬から減少傾向、石川は直近で上げ止まり、約24、29。両県ともに実効再生産数は1以上であり、今後の感染者数の推移に注視が必要。
      • 愛媛では、まん延防止等重点措置の開始から3週間経過。4月下旬以降新規感染者数が減少傾向となり、約6まで減少。
    7. 上記以外の地域
      • 福島、茨城、山口、香川では新規感染者数が15を超えており、それぞれ約17、16、25、21。福島、香川は減少の動きも見られるが、茨城では増加傾向となっており、山口を含め実効再生産数は1以上であり、今後も注視が必要。
  • 変異株に関する分析
    • 英国で最初に検出された変異株(1.1.7)の割合が、スクリーニング検査では、全国計で約8割となり、一部の地域を除き、従来株からほぼ置き換わったと推定される。また、感染研による民間検査機関でのスクリーニングの分析でも、多くの地域で既に変異株へ置き換わっている。
    • また、1.1.7による重症化リスクが高まっている可能性も想定して、医療体制の整備や治療を行う必要がある。
    • 併せて、1.617(インドで最初に検出された変異株)については、海外で置き換わりが進んでいるという報告もあり、B.1.1.7よりも更に感染性が強い可能性も示唆されており、引き続き、分析を進めていくことが必要。
  • 必要な対策
    • 緊急事態措置区域とされている地域及びまん延防止等重点措置区域とされている地域では、市民や事業者の協力により、減少や上げ止まりの動きが見られる地域もある。一方で、明確に減少となっていない地域もあり、今回の変異株(VOC)を中心とした感染拡大において、人流の減少が新規感染者数の減少につながるまで、以前よりも長い期間が要している。これまでの取組では実効再生産数を1よりも大きく下げるにことに至っていないのが現状である。感染状況や変異株の感染性の高さも踏まえ、必要な対策を検討し、タイムリーに実施していくことが求められる。
    • その他の地域では、新規感染者数が高い水準にあって、増加・継続した場合には、感染拡大の速度が以前よりも速く、医療提供体制への負荷も大きくなることから、必要な取組を速やかに実施すべきである。
    • 流行の早い段階から対策を進めることが重要となっている。各自治体において、公衆衛生及び感染症の専門家の助言を対策に役立てる会議体などの仕組みを設け、人流など各種データなども活用し、早い段階からの取組や今後の見通しを踏まえた医療提供体制を確保するための連携体制の構築などを機動的に行うことが求められる。
    • 一部の地域を除き、従来株から1.1.7へ概ね置き換わったと推定される中で、新たな変異株への対応も強化するため、ウイルスゲノムサーベイランスによる実態把握に重点をおいて対応を行うことが必要。特に、VOCと位置づけられたB.1.617については、ゲノムサーベイランスにより全国的な監視体制を強化するとともに、積極的疫学調査等により、国内における感染拡大を可能な限り抑えていくことが必要。また、インド、パキスタン、ネパールに関する水際措置の強化が行われたが、今後も、国外及び検疫での発生状況等も踏まえて、迅速に対応することが必要。
    • ワクチンについて、発症予防効果に加え、重症化予防効果、感染予防効果を示唆する報告がなされている。ワクチン接種が広く進めば、重症者数、さらには感染自体が抑制されることも期待される。高齢者へのワクチン接種が始まっているが、高齢者施設等では入所者とともに従事者の接種を進めることによりクラスターの抑制が期待される。国と自治体が連携して、地域の医師会の協力も得て、可能な限り迅速・効率的に多くの人に接種を進めることが必要。

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第64回(令和3年5月14日開催)資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日別では、ほぼ上げ止まりから横ばいで、直近の1週間では10万人あたり約31人となっている。発症日別でもほぼ上げ止まり。全国的な感染拡大という状況ではなく、地域差が大きく見られ、急速に増えているところと、定常状態から減少傾向にあるところが混在している。重症者数、死亡者数も増加が続いており、更に増加する可能性が高い。
    • 実効再生産数:全国的には、低下傾向で推移しており、直近(4/25時点)で0.99となっている。
    • 今後、緊急事態宣言の効果およびGWの影響が、新規症例数の増減として観察される。しかし、GW中は診療および検査数が減少し、診断や検査の報告も遅れることからGW明けの報告数が大きくなっていることも留意する必要がある。
  • 感染状況の分析【地域の動向等】 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。実効再生産数は、1週間平均の直近(4/25時点)の値
    1. 関西圏
      • 大阪、兵庫を中心に、医療提供体制や公衆衛生体制の非常に厳しい状況が継続。救急搬送の困難事例が継続し、一般医療を制限せざるを得ない危機的な状況が続いている。また、自宅および宿泊療養中の症状の悪化に対して迅速な対応が困難となっている。必要な医療を受けられる体制を守るためには、新規感染者数の減少を継続させることが必須。
      • 大阪、兵庫、京都、奈良では全年齢層で新規感染者数が高い水準であり、特に、20-30代が高くなっている。大阪では、まん延防止等重点措置(重点措置)の開始から5週間、緊急事態措置の開始からは2週間経過。先週今週比は直近の約1週間は1以下で推移し、新規感染者数も減少に転じているが、約68と非常に高い水準。
      • 大阪では、夜間滞留人口・昼間滞留人口が、1度目の緊急事態宣言時の最低値水準にまで急減したあと下げ止まり。大阪、兵庫、京都で実効再生産数は0.88、0.94、0.91となっており、今後新規感染者の減少が見込まれるが、減少が継続するか注視が必要。
      • 兵庫、京都、奈良、和歌山では、新規感染者数は減少傾向だが、約49、33、42、14と和歌山以外は依然として高水準。滋賀では再度増加の動きが見られ約25と高い水準ある。
      • 関西圏の周辺自治体も感染者数の動向に注視する必要がある。
    2. 首都圏(1都3県)
      • 東京では、重点措置の開始から1ヶ月、緊急事態措置の開始からは2週間経過、埼玉、千葉、神奈川では、重点措置の開始から3週間経過した。東京、埼玉では、新規感染者数が上げ止まっているとは判断できない。千葉、神奈川では上げ止まりから横ばい傾向。東京、埼玉、千葉、神奈川の新規感染者数は、約41、21、15、19。20-50代が多数を占めている。先週今週比は低下傾向で、GW後に概ね1以下。実効再生産数は1.10、1.01、1.09、1.02であり、横ばいから微増が続く可能性。
      • 東京では、感染は都心を中心に周辺にも広がりが継続。夜間滞留人口・昼間滞留人口は減少が継続し、2回目の宣言中最低値よりも25%低い水準に到達。直近では下げ止まりつつあるも顕著な増加には転じていない。
      • 埼玉、千葉、神奈川では、夜間滞留人口・昼間滞留人口ともに2回目の宣言中の最低値に到達したが、GW後半からGW後にかけて下げ止まり。千葉・神奈川では昼間滞留人口が増加に転じている。
      • 首都圏の今後の人流の推移と、人流の減少による新規感染者数へ影響を注視する必要。
    3. 中京圏
      • 愛知では、重点措置の開始から3週間経過、本日から緊急事態措置が開始。新規感染者数は増加が継続し、約40。先週今週比は3月下旬から約7週間1以上を継続。20-30代が中心だが、ほぼ全世代で新規感染者数が増加傾向。医療および保健所への負荷が増加し、医療提供体制が厳しい状況。名古屋市をみると飲食店、医療機関、介護施設、学校、スポーツ施設、デパート、外国人コミュニティなど多様なクラスターが発生。
      • 夜間滞留人口は継続して減少し、2回目の緊急事態宣言時の最低値を下回る水準にまで到達。一方、昼間滞留人口はGW後半から増加に転じている。実効再生産数は1以上が続いており、新規感染者数の増加が継続する可能性。
      • 5月9日から岐阜、三重に重点措置が適用されたが、岐阜では新規感染者数が急増しており、約38。発症日別でも増加が継続。先週今週比は4月上旬から約5週間1以上を継続。今後も増加が継続する可能性。三重では、4月末から新規感染者数は減少傾向。先週今週比も5月になり1以下で、新規感染者数は約16まで減少。
    4. 九州
      • 福岡では、本日から緊急事態措置が開始されたが、4月中旬以降、20-30代を中心として新規感染者数の急増が続いており、約57。先週今週比は4月上旬から5週間1以上を継続。重症者数も大きく増加。病床の占有率も急速に高まっており、医療提供体制への負荷が大きくなっている。
      • 夜間滞留人口・昼間滞留人口ともに減少するも、2回目の緊急事態宣言時の最低値水準には依然として届かず。実効再生産数は1以上が続いており、新規感染者数の急速な増加が続く可能性。
      • 九州各県でも、新規感染者数が大きく増加しており、九州全体に感染が拡大。特に、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎では、それぞれ約42、25、34、42、30と高水準。鹿児島では横ばいで約21となっている。長崎、宮崎、鹿児島では先週今週比も2週間1以上を継続。福岡を除く各県計の実効再生産数は、1.00であるが、報告日別の感染者数の動きをみると、今後も増加が継続する可能性がある。
    5. その他まん延防止等重点措置地域(北海道、沖縄、愛媛)
      • 北海道では、5月9日から重点措置が適用されたが、札幌市で若者を中心とする新規感染者数の増加が継続し、約47と高い水準。発症日別の感染者数も増加が続く可能性。札幌市は約86とより高い水準で、GW終盤から札幌から道内各地へ感染が拡大している状況。先週今週比は4月上旬から約5週間1以上を継続。実効再生産数は1.30と高い水準。また、札幌の医療提供体制は厳しい状況で、市外への広域搬送事例も見られている。GWに伴う人の移動や会合などの影響で札幌以外の報告も増加、今後も感染拡大が予想される。北海道全体の感染レベルを下げるための更なる取組が必要。
      • 沖縄では、重点措置の開始から1ヶ月経過。新規感染者数は、4月半ば以降減少傾向が続いていたが、再度増加の動きがみられ、約37と引き続き高水準。20-30代が中心だが、病床の逼迫が厳しい中で、入院者数の増加が危惧される。今後、GWに伴う観光客など人の移動の影響に注意が必要。
      • 愛媛では、まん延防止等重点措置の開始から2週間経過。4月下旬以降新規感染者数が減少傾向となり、約10まで減少。
    6. 上記以外の地域
      • その他の地域でも、感染者数が急速に増加する地域や継続的に増加が続いている地域がある。
      • 特に、岡山、広島では、新規感染者数が約47、32と非常に高く、先週今週比1以上が岡山では6週間、広島では4週間を超えており、関西や、愛知での上昇の際と同様の傾向が見られる。実効再生産数も1.27、1.48と高水準であり、今後も感染の拡大が続く可能性がある。比較的人口規模も大きく、周辺への影響も懸念され、感染のレベルを下げるための特段の取組が求められる。
      • 福島、群馬、石川、山口、香川では新規感染者数が15を超えており、特に、群馬、石川、香川では新規感染者数が約27、29、28と高い水準、実効再生産数が1.55、1.10、1.68となっている。群馬、香川では先週今週比1以上が2週間以上継続しており、医療提供体制への影響が危惧される。また、福島は会津地区で新規感染者数が急増し、同地区では50を超えている。
  • 変異株に関する分析
    • 英国で最初に検出された変異株(B1.1.7)の割合が、スクリーニング検査では、西日本では概ね7割を超える水準となっており、従来株からほぼ置き換わったと推定される。東京でも6割程度、北海道でも8割程度など他の地域でも置き換わりが進んでいる。また、感染研による民間検査機関でのスクリーニングの分析では、多くの地域で既に変異株へ置き換わっている。
    • 現段階では、年代特異的な感染拡大の傾向は見られておらず、小児の症例数が顕著に多いとは認められない。
    • B1.1.7は、非N501Y変異株に比べて特に40-64才の重症化リスクが高まっている所見があるが、更なる精査が必要である。
  • 必要な対策
    • 緊急事態宣言が延長されたが、これに伴う取組により、感染を着実に抑える必要がある。このため、緊急事態措置区域とされた地域及びまん延防止等重点措置区域とされた地域では、これらの措置の適用に当たって講ずべきとされた取組を着実に行うとともに、変異株(VOC)の感染性の高さも踏まえ、今後もタイムリーに対策を検討し、実施していくことが求められる。
    • 上記の他、岡山、広島、九州各県をはじめ新規感染者数が高い水準にあり、かつ急激に増加・継続している地域では、医療提供体制への負荷も既に大きくなりつつあり、必要な取組を速やかに実施・強化すべきである。
    • また、各自治体で取組を進めるに当たっては、公衆衛生および感染症の専門家の助言を対策に役立てる会議体などの仕組みを設け、早い段階からの取組や今後の見通しを踏まえた医療提供体制を確保するための連携体制の構築などを機動的に行うことが求められる。
    • クラスターの多様化がみられ、飲食店に限らず、職場、部活やサークル活動、カラオケなど様々な場所での感染が報告されている。職場での感染も目立ってきており、テレワークの活用等により出勤を抑制するとともに出勤した場合でも、食事など感染のリスクとなる場を避けるなど対策の強化が求められる。
    • マスクの着用等基本的な感染予防の重要さを発信することが必要。また、密閉、密集、密接の重なる三密の場面だけでなく、二つあるいは一つだけの要素でも感染のリスクがあり、そうした場面を避けるべきことについても改めて周知が必要。
    • B1.1.7への置き換わりが進む中で、地域ごとの感染状況や疫学情報についての評価・分析を踏まえつつ、新たな変異株への対応も強化するため、ウイルスゲノムサーベイランスによる実態把握に重点をおいて対応を行うことが必要。特に、新たにVOCと位置づけられた1.617(インドで最初に検出された変異株)については、ゲノムサーベイランスにより全国的な監視を行いつつ、L452R変異を検出するPCR検査を実施して監視体制を強化するとともに、積極的疫学調査等により、国内における感染拡大を可能な限り抑えていくことが必要。また、インド、パキスタン、ネパールに関する水際措置の強化が行われたが、今後も、国外での発生状況等も踏まえて、迅速に対応することが必要。
    • ワクチンについて、立証されている発症予防効果に加え、各国での実使用後になされた研究等から重症化予防効果、感染予防効果を示唆する報告がなされている。ワクチン接種が広く進み、こうした効果が発現されれば、重症者数、さらには感染自体が抑制されることも期待される。高齢者へのワクチン接種が始まっているが、国と自治体が連携して、可能な限り迅速・効率的に多くの人に接種を進めることが必要。

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部(令和3年5月7日開催)
▼第63回(令和3年5月7日開催)資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日ベースでは、先週今週比の値は低下傾向であるものの、依然として増加傾向が続いており、直近の1週間では10万人あたり約28人となっている。重症者数、死亡者数も急速な増加が続いており、今後、高齢者層への感染の波及が進むと、更に増加する可能性が高い。
    • 実効再生産数:全国的には、2月下旬以降1を超えており、直近(4/19時点)で02となっている。
    • 4月中旬以降、大阪だけでなく東京でも、重症者に占める20代から50代の若年層の割合が高くなっている。また、各地で20歳未満の感染者数の増加が見られている。
    • なお、GW中は診療および検査数が少なくなっていること。また、地域の感染者数が増加すると、検査や報告が遅れることに加え、連休による人の移動の影響で、翌週以降の報告数が上積みされることも想定する必要がある。
    • 感染状況の分析【地域の動向等】 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。実効再生産数は、1週間平均の直近(4/20時点)の値
      1. 関西圏
        • 大阪、兵庫を中心に、医療提供体制や公衆衛生体制の非常に厳しい状況が継続。救急搬送の困難事例も増え、一般医療を制限せざるを得ない危機的な状況が続いている。また、自宅および宿泊療養中の症状の悪化に対して迅速な対応が困難となっている。必要な医療を受けられる体制を守るためには、新規感染者数を減少させることが必須。
        • 大阪、兵庫、京都、奈良では全年齢層で新規感染者数が高い水準であり、特に、20-30代が高くなっている。大阪では、まん延防止等重点措置の開始から1ヶ月、緊急事態措置の開始からは10日強経過。先週今週比は1前後で推移し、新規感染者数は直近では減少の動きが見られるが、約79と非常に高い水準であり、報告の遅れも懸念され、引き続き注視が必要。
        • 大阪では、重点措置適応前後から減少が続いていた夜間滞留人口・昼間滞留人口は、緊急事態宣言開始後さらに大幅に急減。1度目の緊急事態宣言時の最低値を下回る過去最低の水準に到達。大阪・兵庫・京都で実効再生産数は94となっており、今後新規感染者減少も見込まれるが、診断と報告の遅れの懸念や今後も横ばいが継続するとの予測もあり、少なくとも5月中旬まで感染者数の推移には注視が必要。
        • 周辺では、兵庫、奈良、和歌山では減少の動きが見られる。兵庫では陽性率が15%前後の高水準で推移。京都、滋賀は横ばい。兵庫、奈良、京都の新規感染者数は、約54、42、35と高水準。
      2. 首都圏(1都3県)
        • 東京では、まん延防止等重点措置の開始から3週間、緊急事態措置の開始からは10日強経過。20-50代の感染拡大により、全体でも感染者数の増加傾向が継続し、約40となっている。先週今週比も低下傾向が見られるが、1以上が2ヶ月近く継続。地域的には都心を中心に周辺にも広がりが継続。
        • 緊急事態宣言開始後、夜間滞留人口・昼間滞留人口ともに大幅に急減。2度目の緊急事態宣言時の最低値を下回る水準に到達。特に、酒類の提供自粛等により、18~20時の滞留人口が大幅減。GW後半も減少が継続。しかしながら、実効再生産数は1を下回っておらず、GW後も新規感染者数が増加が継続する可能性。
        • 東京では、宿泊療養、自宅療養、入院調整中の人数も増加しており、医療提供体制への負荷の増大が懸念される。
        • 埼玉、千葉、神奈川では、まん延防止等重点措置の開始から2週間経過。新規感染者数は横ばいから微増で、それぞれ、約20、16、17。夜間滞留人口・昼間滞留人口はGWに入り、減少に転じる。酒類の提供自粛等の影響により、GWの後半に入っても18時以降の滞留人口の減少は続いている。実効再生産数は1前後であり、新規感染者数は横ばいが続く可能性。
      3. 中京圏
        • 愛知では、まん延防止等重点措置の開始から2週間経過。20-30代を中心として、ほぼ全世代で新規感染者数の増加傾向が継続し、約29となっている。名古屋市では、30-50代を中心にほぼ全年齢層で増加。
        • 東京及び関西を措置地域とする今回の緊急事態宣言発出後、夜間滞留人口・昼間滞留人口ともに急減。夜間滞留人口は、2度目の緊急事態宣言時の最低値にほぼ近づく。しかしながら、直近の1週間の実効再生産数は1以上が続いており、GW後も新規感染者数の増加が続く可能性。
        • 岐阜、三重では、新規感染者が約22、17と高い水準が続いている。
      4. その他まん延防止等重点措置地域(宮城、沖縄、愛媛)
        • 宮城では、新規感染者数の減少傾向が継続し、約9となっている。緊急事態宣言後、日中、夜間の滞留人口も減少。
        • 沖縄では、新規感染者数は、4月半ば以降減少傾向が続いているが、約31と引き続き高水準。20-30代は減少傾向であるが、70代以上で増加しており、病床の逼迫が厳しい中で、入院者数の増加が危惧される。
        • 愛媛では、4月下旬以降新規感染者数が減少傾向となり、約12となっている。
      5. 上記以外の地域
        • 福岡では、新規感染者数が4月中旬以降20-30代を中心として急速に増加しており、約47。重症者数も大きく増加。GW中の陽性率が上昇しており、感染の拡大、継続が危惧される。先週、新規感染者数・過去最多を更新し、その前後から夜間滞留人口・昼間滞留人口ともに減少。ただし、2度目の緊急事態宣言時の最低値の水準には到達していない。実効再生産数は35と高い水準にあり、新規感染者数の急速な増加が続く可能性。病床の占有率も急速に高まっている。関西と同様の感染拡大に繋がる可能性もあり、速やかな対応が必要。
        • 大分、佐賀、長崎では、減少の動きも見られたが再度増加の動き。熊本は減少の動きが見られるが、宮崎では増加が継続、鹿児島で4月末から急増が見られるなど、九州全体への感染の広がりが見られる。
        • 北海道は札幌市を中心に新規感染者数の増加が継続し、約28と高い水準。札幌市は約57とより高い水準で、50代以下特に40代の重症例も増加し、入院患者数はいわゆる第3波を超えた。病床使用率も80%を越え、市外への広域搬送事例も見られる。実効再生産数は41と高い水準にあり、新規感染者数の急増はGW後も続くことが予測される。
        • その他の地域でも、クラスターの発生等により感染者数が急速に増加する地域や継続的に増加が続いている地域がある。福島、群馬、石川、岡山、広島、徳島、香川では新規感染者数が15を超えており、特に、群馬、岡山、徳島では新規感染者数が約25、33、27と高い水準となっている(石川、岡山、広島、香川では先週今週比1以上が2週間以上継続。)。特に群馬は実効再生産数が42と高く、急速な増加が続くことが懸念。
  • 変異株に関する分析
    • 影響が懸念される変異株(VOC)の割合が、関西(大阪、京都、兵庫)では、8割を超える高い水準が継続しており、従来株から置き換わったと推定される。東京でも6割程度、愛知で7割程度など他の地域でも置き換わりが進んでいる。
    • 現段階では、年代特異的な感染拡大の傾向は見られておらず、小児の症例数が顕著に多いとは認められない。
    • 国内でN501Y変異株は、非N501Y変異株に比べて特に50才代以下の重症化リスクが高まっている所見があるが、更なる精査が必要である。
    • いずれにしても、N501Y変異株による重症化リスクが高まっている可能性を想定して、医療体制の整備や治療を行う必要がある。
  • 必要な対策
    • 緊急事態宣言が発令され10日強経過し、緊急事態措置区域とされた地域(東京、大阪、京都、兵庫)では、夜間滞留人口の減少がみられ、先週今週比の低下の動きもみられる。しかし、東京では感染者の増加傾向が継続し、まん延防止等重点措置区域とされた埼玉、千葉、神奈川でも横ばいから微増。関西でも横ばい若しくは減少の動きが見られるが、医療提供体制は危機的な状況が継続。今回、変異株(VOC)の置き換わりが進む中で、まん延防止等重点措置の効果が一定の範囲にとどまったことを踏まえ、GW期間終了後の言わば平時における強い対策が改めて必要である。
    • まん延防止等重点措置区域とされたその他の地域において、愛知では引き続き増加、沖縄では減少傾向であるものの、依然として約30人を超える高水準となっており、感染抑制につなげるための効果的な対策が必要。宮城では、4月初めをピークに感染者数の減少傾向が継続し、病床使用率も低下がみられている。愛媛でも4月下旬以降減少傾向が継続。これらの地域では、リバウンドを起こさないための対応が必要。
    • 福岡、北海道など新規感染者数が高い水準にあり、かつ急激に増加・継続している地域では、医療提供体制への負荷も既に大きくなりつつあり、感染抑制につなげるための強い対策について、躊躇なく取り組むべきである。
    • なお、変異株(VOC)の影響も踏まえ、対策を打つべきタイミングや内容について、大阪や東京など各地でのこれまでの対応の効果も踏まえた検討を行っていくことが必要と考えられる。
    • クラスターの多様化がみられ、飲食店に限らず、職場、部活やサークル活動など様々な場所での感染が報告されている。職場での感染も目立ってきており、GW後には社会活動の活発化が見込まれるが、GW明けもテレワークの活用等により出勤を抑制するなど対策の強化が求められる。
    • マスクの着用等基本的な感染予防の重要さを発信することが必要。不織布などマスクの材質による特徴等の周知も併せて必要。また、密閉、密集、密接の重なる三密の場面だけでなく、二つあるいは一つだけの要素でも感染のリスクがあることについて改めて周知が必要。
    • 従来株から変異株(VOC)への置き換わりが進む中で、地域ごとの感染状況や疫学情報についての評価・分析を踏まえつつ、新たな変異株への対応も強化するため、ウイルスゲノムサーベイランスによる実態把握に重点をおいて対応を行うことが必要。
    • ワクチンについて、立証されている発症予防効果に加え、各国での実使用後になされた研究等から重症化予防効果、感染予防効果を示唆する報告がなされている。ワクチン接種が広く進み、こうした効果が発現されれば、重症者数、さらには感染自体が抑制されることも期待される。高齢者へのワクチン接種が始まっているが、国と自治体が連携して、可能な限り迅速・効率的に多くの人に接種を進めることが必要。
  • 新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言の期間延長及び区域変更
    • 新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成24年法律第31号)第32条第1項の規定に基づき、令和3年4月23日、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言をしたところであるが、下記のとおり、緊急事態措置を実施すべき期間を延長するとともに区域を変更することとし、令和3年5月12日から適用することとしたため、同条第3項の規定に基づき、報告する。
      1. 緊急事態措置を実施すべき期間
        • 令和3年4月25日(愛知県及び福岡県については、同年5月12日)から5月31日までとする。ただし、緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認められるときは、新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第5項の規定に基づき、速やかに緊急事態を解除することとする。
      2. 緊急事態措置を実施すべき区域
        • 東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県及び福岡県の区域とする。
      3. 緊急事態の概要
        • 新型コロナウイルス感染症については、
          • 肺炎の発生頻度が季節性インフルエンザにかかった場合に比して相当程度高いと認められること、かつ、
          • 都道府県を越えて感染が拡大し、又はまん延しており、それに伴い医療提供体制・公衆衛生体制に支障が生じてきていることから、
        • 国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあり、かつ、全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある事態が発生したと認められる。
  • 水際対策強化に係る新たな措置(11)
    • インド、パキスタン及びネパールからのすべての入国者及び帰国者に対し、当分の間、検疫所長の指定する場所(検疫所が確保する宿泊施設に限る)での待機を求める。その上で、入国後3日目及び6日目に改めて検査を行い、いずれの検査においても陰性と判定された者については、検疫所が確保する宿泊施設を退所し、入国後14日間の自宅等待機を求めることとする。上記措置は本年5月10日午前0時から開始することとする。
    • 感染症危険情報レベル3対象国・地域については渡航中止勧告を出しているところであるが、日本への再入国又は帰国を前提としたインド、パキスタン及びネパールへの短期渡航について、当分の間、中止するよう改めて強く要請する。

【2021年4月】

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第62回(令和3年4月23日開催)資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日ベースでは、3月上旬以降増加が続いており、直近の1週間では10万人あたり23人となっている。関西圏、首都圏、中京圏のほか多くの自治体で感染者の増加が見られており、増加率も高い水準が続いている。新規感染者数の増加に伴い、3月下旬以降重症者数も急速に増加している。
    • 実効再生産数:全国的には、2月下旬以降1を超えており、直近(4/3時点)で1.11となっている。4/4時点で宮城は1を下回っているが、1都3県、愛知、大阪・兵庫、沖縄では1を上回る水準となっている。
    • 影響が懸念されるN501Yの変異のある変異株(VOC)の感染者の増加傾向が継続。スクリーニング検査による変異株(VOC)の割合(機械的な試算)は、大阪、兵庫で約8割、東京でも約3割に上昇しており、急速に従来株からの置き換わりが進みつつある。また、現段階では、15歳未満で明らかな感染拡大の傾向は見られない。
  • 地域の動向 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値
    • 首都圏(1都3県)
      • 東京では、新規感染者数は3月中旬以降増加が続き、約30となっている。20-30代が大きく増加しており、先週今週比は1以上が1ヶ月以上続いている。変異株(VOC)割合も上昇。神奈川、埼玉は4月に入り増加が続き、千葉でも4月中旬以降増加に転じている。
    • 関西圏・中京圏・九州
      • 関西では変異株への置き換わりが進んでいる。また、全世代で感染者が増加しているが、特に20-30代が増加している。大阪、兵庫では3月中旬以降感染が急速に拡大し、京都、奈良、和歌山でも3月下旬以降大きく増加、その後滋賀でも急速に増加。大阪では、増加率の低下は見られるが、先週今週比が1.31であり、新規感染者数も約88で、減少には至っていない。特に大阪、兵庫、奈良では、新規感染者数の増加に伴い、医療提供体制や公衆衛生体制が大変厳しい状況となっている。
      • 愛知では、20-30代を中心として、60才代以下のほぼ全世代で新規感染者数の増加が継続し、約18となっており、増加率も高い水準が継続。岐阜、三重でも増加。
      • 福岡では、4月中旬以降急速に増加し、約16となっており、佐賀、長崎でも増加が見られる。
    • 上記以外の地域
      • 沖縄では3月下旬以降感染が急速に拡大。4月中旬以降横ばいとなっているが、約54と引き続き高水準。感染者は20-50代が多いものの、入院者数も増加。
      • 宮城、山形では、3月末以降減少に転じ、宮城では全世代で減少している。
      • その他の地域でも、クラスターの発生等により感染者数が急速に増加する地域や継続的に増加が続いている地域がある。北海道、青森、福島、茨城、群馬、石川、福井、長野、岐阜、岡山、徳島、愛媛では増加から高止まりで新規感染者数が10を超えており、特に、徳島、愛媛では新規感染者数が31、18と高い水準となっている。
  • 感染状況の分析
    • 関西圏では変異株への置き換わりが進み、感染拡大が継続している。大阪・兵庫だけでなく、周辺自治体でも感染者数が増加が継続し、変異株による感染者数の急速な増加に注意が必要(大阪では、40代、50代の重症者の割合も上昇)。大阪では、感染経路不明の割合が6割を超えているが、家庭内、職場、部活やサークル活動などにおける感染が見られている。大阪では、まん延防止等重点措置の開始から2週間が経過し、繁華街の夜間滞留人口の減少傾向が見られ、増加率も低下しているものの、新規感染者数の増加が続いており、今後も、感染者数、入院患者数、重症者数の増加が予想される。救急搬送の困難事例も増えており、医療提供体制は既に非常に厳しい状況にあり、更なる対策の徹底と支援が求められる。
    • 首都圏では、東京で緊急事態宣言解除後夜間滞留人口が急増した。その後減少に転じたものの、20-50代の感染拡大により、全体でも感染者数の増加が継続し、増加率も上昇。地域的には都心を中心に周辺にも広がりが見られる。飲食店での感染が継続し、施設、部活やサークル活動、職場などでの感染が見られている。スクリーニング検査による変異株(VOC)の割合が上昇し、約3割が変異株となった。繁華街の夜間滞留人口の減少は20-22時のみで限定的。まん延防止等重点措置の効果はまだ明らかではなく、引き続き、感染拡大の継続や急拡大が懸念される。また、宿泊療養、自宅療養、入院調整中の人数が増加し始めており、今後の医療提供体制への負荷の増大が懸念される。本日から、まん延防止等重点措置区域とされた首都圏3県では、はっきりとした人流の低下傾向がみられておらず、今後2週間程度の感染者数の増加が予測される。
    • 愛知では、3月下旬以降20-30代を中心として感染者数の増加が続いており、スクリーニング検査による変異株(VOC)割合も5割を越えている。名古屋市では10-60代で増加し、施設、部活やサークル活動、職場、外国人コミュニティなどでの感染が見られている。近隣の三重や岐阜でも感染者の増加が見られており、本日からのまん延防止等重点措置の効果が生じるには一定の期間を要すると考えられ、引き続き、感染拡大の継続や急拡大が懸念される。
    • 福岡では、4月中旬以降20-30代を中心として感染者数が急速に増加、夜間滞留人口も増加しており、近隣の佐賀や長崎でも感染者の増加が見られており、感染拡大の継続や急拡大が懸念される。
    • 宮城では20時以降の夜間人流の低下に伴い、新規感染者数が減少してきたが、20時までの人流は増加傾向にあり、今後の動向には注意が必要。
    • 感染が拡大している自治体において、20-30代の増加が中心となっている地域が多い。すでに全世代で増加している地域もあり、今後、高齢者層への感染の波及が進むと、重症者数がさらに増加する可能性が高い。
  • 必要な対策
    • まん延防止等重点措置区域とされた地域(宮城、東京、埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪、京都、兵庫、沖縄)では、同措置の適用に当たって講ずべきとされた取組を着実に行うこと。その上で、ゴールデンウィークの期間に感染を拡大させず、この機会を捉えて感染を抑える必要がある。特に感染が拡大している地域では、夜間の飲食の場に限らず、職場や部活・サークル活動などにおける対策、さらには、人流を低下させる具体的な対策に取り組むことが求められる。
    • 特に、大阪、兵庫では、すでに変異株(VOC)への置き換わりが進み、全世代で多数の感染者が発生している。医療提供体制が非常に厳しい状況であるが、今後も増加が予想される重症者の病床や従事者の確保が最優先で求められる。国からの支援も機動的に行うことが必要。飲食の場での取組を徹底していくとともに、人の接触をさらに減らすために、対策を強化することが求められる。
    • 東京では、20-50代の感染者増加が中心ではあるが、まん延防止等重点措置の効果はまだ明らかではなく、今後、関西圏のような感染の急速な拡大も発生の可能性があり、それに伴う医療の逼迫・通常の医療への大きな影響が生じることが危惧される。また、首都圏は人の移動を通じて他の地域への影響も大きいことから、人の接触と移動を減らすための対策の強化を検討すべきである。
    • その他の感染が増加している地域でも、感染状況を注視し、必要な感染抑制のための取組を速やかに実施していくことが必要。その上で、更なる感染拡大に対応するための医療提供体制や公衆衛生体制を確保し、さらに国からも必要な支援を行うことが求められる。
    • 20-30代を中心とした感染拡大の傾向が全国的に見られている。飲食店に限らず、職場、部活やサークル活動など様々な場所での感染が報告されているが、この世代における感染拡大を抑制し、さらに高齢者層への感染の波及にも警戒が必要。昼カラオケ、飲食店での感染も継続。また、外国人コミュニティへの対応も求められる。有症状者への受診の呼びかけと迅速な検査対応が必要。また、改めてマスクの着用等基本的な感染予防の重要さを発信することが必要。
    • 感染者の増加に伴い、医療施設や福祉施設の職員の感染防止が重要。そのために、感染予防策の徹底や発生時の迅速な対応、職員の定期的な検査とともに、軽い症状でも迅速に検査できるような体制整備が必要。
    • N501Yに変異のある変異株(VOC)については、感染力が従来株よりも高いことが指摘されている。感染者数が増加してくる中で、地域ごとの感染状況やその感染性、病原性等の疫学情報についての評価・分析を踏まえた対応を速やかに実施していくことが必要。
  • 緊急事態宣言区域における取組について(案)
    1. 飲食対策の徹底
      • 酒類又はカラオケ設備を提供する飲食店等に対する休業要請、左記以外の飲食店に対する20時までの時短要請 ※命令・罰則あり・飲食店に対して、客に対するマスク着用等の感染防止措置の周知、当該措置を講じない者の入場禁止等を要請 ※命令・罰則あり
      • 住民に対して、感染対策が徹底されていない飲食店等や休業要請等に応じていない飲食店等の利用を厳に控えること等の感染防止に必要な協力を要請
      • 住民に対して、路上・公園等における集団での飲酒など、感染リスクが高い行動に対して必要な注意喚起
    2. 人流の抑制
      • 催物・イベントについて、原則として無観客で開催するよう要請(社会生活の維持に必要なものを除く。)
      • 1000㎡超の多数の者が利用する一定の集客施設に対する休業要請(生活必需関係、学び関係、ライフイベント関係等を除く。)
      • 住民に対して、日中も含めた不要不急の外出・都道府県間の移動の自粛、混雑している場所や時間を避けて行動することの要請
      • 鉄道、バス等の交通事業者に対して、平日の終電繰上げ、週末休日における減便等の協力を依頼
    3. クラスター発生が増加している感染源対策
      • 在宅勤務(テレワーク)、大型連休中の休暇取得の促進等により、出勤者数の7割減・現場での集団活動を伴う職場等において、特に感染防止策の徹底、検査の充実等に取り組むよう働きかけ
      • 学校等において、感染リスクの高い活動等の制限、大学等における遠隔授業も活用した学修者本位の効果的な授業の実施等を要請
    4. 医療提供体制
      • 医療人材の応援派遣の実施や、感染急拡大時の時限的緊急避難としての不急の一般医療の制限も含めた、コロナ対応に必要な病床・宿泊療養施設の速やかな確保
      • 健康観察業務の外部委託等による宿泊療養施設・自宅療養における健康管理体制の確保
    5. その他
      • 原則として全ての飲食店等に対し、休業要請及び時短要請・ガイドラインの遵守を実地に働きかけ。
      • 上記の他、まん延防止等重点措置として実施することとなっている「重点検査の実施等」に取り組む。

首相官邸 廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議(第5回)配付資料一覧
▼資料1 東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所における多核種除去設備等処理水の処分に関する基本方針(案)
  • 基本的な考え方
    • 令和3年3月で、東京電力ホールディングス株式会社福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)の事故から10年が経過した。この間、避難指示が解除された地域は徐々に広がり、当初は帰還困難とされた区域においても、特定復興再生拠点区域を通じた復興の萌芽が生まれつつある。また、令和元年度には、福島県産の農産物の輸出量が事故前を上回り過去最多を記録するなど、被災地の努力が実を結び始めている。一方で、今もなお、農林水産業や観光業を中心に風評影響が残っている。政府は、こうした現状を重く受け止め、引き続き前面に立って、着実かつ段階的に原子力災害からの復興・再生に取り組む責務を負っている。
    • 原子力災害からの復興・再生には、廃炉・汚染水・処理水対策の着実な進展が不可欠である一方、廃炉を性急に進めることで、かえって風評影響を生じさせ、復興を停滞させることはあってはならない。そのため、「復興と廃炉の両立」を大原則としつつ、放射性物質によるリスクから、地域の皆様や作業員の方々、周辺環境等を守るための継続的なリスク低減活動として廃炉を計画的に進めている。
    • こうした廃炉に係る作業については、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「原子炉等規制法」という。)」等の法令の遵守はもとより、国際放射線防護委員会(以下「ICRP」という。)が示しているALARAの原則に基づき、放射性物質によるリスクを最大限低下させるよう取り組んでいる。
    • その一環として、継続的に発生する汚染水についても、そのリスクの低減に努めてきた。これまで陸側遮水壁やサブドレン等の重層的な対策により、その発生量の減少に努めるとともに、多核種除去設備等で放射性物質を浄化処理した上で、タンクに保管している。このタンクに保管している水の取扱いについては、高い放射線を出す燃料デブリ等に直接触れているために生じ得る風評などの社会的影響も含めた検討を行う必要があることから、敷地内で保管することとしてきた。
    • 他方、福島第一原発では、安定状態を維持・管理した上で、燃料デブリの取り出し方法が具体化されるなど、廃炉作業が着実に進展している。今後は、1号機・2号機の使用済燃料プール内の燃料や、燃料デブリの取り出しなど、廃炉の根幹となる最も困難な作業段階に入っていく。これらの作業を安全かつ着実に進めていくためには、福島第一原発の敷地を最大限有効活用する必要がある。こうした観点を踏まえれば、日々発生する汚染水を処理した水を保管しているタンクやその配管設備等が、敷地を大きく占有するようになっている現状について、その在り方を見直さなければ、今後の廃炉作業の大きな支障となる可能性がある。
    • 福島第一原発の敷地内に設置されたタンクについては、その存在自体が風評影響の一因となっているとの指摘や、長期保管に伴い、老朽化や災害による漏えい等のリスクが高まるとの指摘がある。また、令和3年2月13日の福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生した際、一部タンクの位置がずれて、配管の交換が必要になる等の事態が生じた。この地震によるタンクの倒壊や大規模な漏えいなど、外部に影響を及ぼす事態には至らなかったが、被災状況等の情報提供の在り方に不十分な点があったことから、地元住民を始め不安を感じる方々もおられた。タンクの管理に当たっては、今後の災害等に備え、十分な安全対策と適切な情報提供を徹底することが求められる。
    • また、保管を継続するために福島第一原発周辺の敷地外にタンクを設置することは、復興に向けて懸命に努力している方々に、新たな土地の提供を求め、更なる負担を強いることとなる。こうした状況を踏まえ、立地自治体等からは、タンクに保管している水が増え続けている中で、その取扱いについては、根本的な問題解決を先送りせずに、国が責任を持って対応策を早急に決定するべき、といった声が寄せられている。
    • こうした状況を踏まえれば、「復興と廃炉の両立」を大原則に、安全かつ着実に廃炉・汚染水・処理水対策を進めるという政府の重要な責務を果たすため、政府として、早期に、タンクに保管している水の取扱いに関する方針を決定する必要がある。
    • その決定に際して、政府は、これまでの福島第一原発事故による風評影響の払拭に向けた、地元を始めとした方々の懸命な努力について重く受け止め、決して、それが水泡に帰すことのないよう、その御懸念に真摯に向き合わなければならない。
    • また、令和3年3月16日には、原子力規制委員会から、東京電力ホールディングス株式会社柏崎刈羽原子力発電所における核物質防護設備の機能の一部喪失事案の概要が公表された。こうした事態が生じ、また、前述のように地震時の情報提供等において不十分な点が指摘される中、政府及び東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)に対して、これまで以上に厳しい目が向けられていることを真摯に受け止めなければならない。
    • 東京電力においても、「復興と廃炉の両立」の趣旨を十分に踏まえた対応が求められることから、今後、廃炉・汚染水・処理水対策を進めていくに当たっては、地元の方々を始め、国内外の関心を持つ方々の不安を払拭するよう、敷地内の状況や周辺環境等について、客観的な情報を透明性高く公表することを始め、その信頼を回復するための不断の努力を行い、対応を徹底していく必要がある。
  • 海洋放出に当たっての対応の方向性について
    • 海洋放出に当たっては、公衆や周辺環境の安全を確保するため、トリチウム及びトリチウム以外の放射性物質について、ICRPの勧告に沿って従来から定められている安全性に関する原子炉等規制法に基づく規制基準を、厳格に遵守しなければならない。これにより、周辺地域の公衆や環境、ひいては農林水産品等について、現在と同様、安全が確保されることとなる。
    • 海洋放出に当たっては、安全に係る法令等の遵守に加え、風評影響を最大限抑制するための放出方法(客観性・透明性の担保されたモニタリングを含む。)を徹底しなければならない。
    • 併せて、国民・国際社会の理解醸成に向けた取組に万全を期す必要がある。
    • これらの対策を講じてもなお生じ得る風評影響に対応するため、福島県及びその近隣県の水産業を始めとした産業に対しては、地元及び海外を含めた主要消費地において販路拡大・開拓等の支援を講じていく。
    • 東京電力には、上記について、主体的・積極的に、政府とともに最大限取り組むよう求めるとともに、風評被害が生じた場合には、セーフティネットとして機能する賠償6により、機動的に対応するよう求める。
  • 国際社会との関係について
    • 日本は、国際社会の責任ある一員として、これまでもIAEAへの情報提供や外交団への丁寧な説明等を通じ、関係国や国際機関を含む国際社会に対し、高い透明性をもって情報提供を積極的に実施してきており、こうした対応は今後も継続していく。
    • 公衆や周辺環境の安全を確保するため、海洋放出は、東京電力がICRPの勧告に沿って定められている規制基準を厳格に遵守するとの前提の下、国際慣行に沿った形で実施することとする。
  • 風評影響を最大限抑制するための放出方法
    • ALPS処理水の海洋放出については、同処理水を大幅に希釈した上で実施することとする。海洋放出に先立ち、放射性物質の分析に専門性を有する第三者の関与を得つつ、ALPS処理水のトリチウム濃度を確認するとともに、トリチウム以外の放射性物質が安全に関する規制基準を確実に下回るまで浄化されていることについて確認し、これを公表する。
    • 取り除くことの難しいトリチウムの濃度は、規制基準を厳格に遵守するだけでなく、消費者等の懸念を少しでも払拭するよう、現在実施している福島第一原発のサブドレン等の排水濃度の運用目標(1,500ベクレル/リットル7未満)と同じ水準とする。
    • この水準を実現するためには、ALPS処理水を海水で大幅(100倍以上8)に希釈する必要がある。なお、この希釈に伴い、トリチウム以外の放射性物質についても、同様に大幅に希釈されることとなる。
    • また、放出するトリチウムの年間の総量は、事故前の福島第一原発の放出管理値(年間22兆ベクレル)10を下回る水準になるよう放出を実施し、定期的に見直すこととする。なお、この量は、国内外の他の原子力発電所から放出されている量の実績値の幅の範囲内である。
    • これらの取組に併せ、新たにトリチウムに関するモニタリングを漁場や海水浴場等で実施するなど、政府及び東京電力が放出前及び放出後におけるモニタリングを強化・拡充する。その際、A)IAEAの協力を得て、分析機関間の相互比較を行うなどにより、分析能力の信頼性を確保すること、B)東京電力が実施するモニタリングのための試料採取、検査等に農林水産業者や地元自治体関係者等が参加すること、C)海洋環境の専門家等による新たな会議を立ち上げ、海域モニタリングの実施状況について確認・助言を行うこと等により、客観性・透明性を最大限高める。
    • 海洋放出の実施に当たっては、周辺環境に与える影響等を確認しつつ、慎重に少量での放出から開始することとする。また、万が一、故障や停電などにより希釈設備等が機能不全に陥った場合や、モニタリングにより、異常値が検出された場合には、安全に放出できる状況を確認できるまでの間、確実に放出を停止することとする。
    • 国内外において海洋放出に伴う環境への影響を懸念する声があることを踏まえ、政府及び東京電力は、海洋放出が環境に与える影響について、これまで多様な角度からの検討11を実施してきた。実際の海洋放出に際しては、ICRPの勧告に沿って定められている我が国の規制基準を厳格に遵守する。さらに、関連する国際法や国際慣行を踏まえ、海洋環境に及ぼす潜在的な影響についても評価するための措置を採るとともに、放出後にも継続的に前述のモニタリングを実施し、環境中の状況を把握するための措置を講じることとする。こうした環境への影響に関する情報については、随時公表し、高い透明性を確保することにより、国民・国際社会の理解醸成に努める。
  • 風評影響への対応 基本的な方針
    • ALPS処理水を海洋放出するに当たっては、その実施者である東京電力には、風評影響の発生を最大限回避する責任が生じる。そのため、大前提として、東京電力には、国民・国際社会の理解醸成や、風評影響を最大限抑制するための生産・加工・流通・消費対策に全力で取り組むとともに、最大限の対策を講じてもなお風評被害が発生した場合には、セーフティネットとして機能する賠償により機動的に対応することを求める。
    • その上で、政府は、令和元年12月に廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議で改訂した「東京電力ホールディングス(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」で示された、「政府は、前面に立ち、安全かつ着実に廃止措置等に向けた中長期の取組を進めていく」という考え方に従い、本基本方針の決定に伴って生じ得る風評影響に対応する責務を果たすべく、風評影響の最大限の抑制や産業の本格的な復興の実現に向けて必要な対応に、前面に立って取り組む。
  • 将来に向けた検討課題
    • 将来生じ得る風評影響については、現時点では想定し得ない不測の影響が生じ得ることも考えられることから、これまでの政府の風評対策タスクフォースを通じた取組を一層強化・拡充するとともに、今後の海洋放出に伴う、水産業を始めとした関係者における特有の課題を幅広く継続的に確認し、必要な対策を検討するための枠組みとして新たに「ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた関係閣僚等会議」を設置する。こうした対応を通じ、追加対策の必要性を検討し、それを機動的に実施することとする。
    • また、トリチウムの分離技術については、ALPS小委員会において、A)国内外の一部の原子力関連施設において実用化されているトリチウム分離技術はあるが、これらはALPS処理水の1万倍以上の濃度や数十分の1以下の量のものを処理する技術であり、そのままALPS処理水に適用することはできないこと、B)仮にこうした技術が実用化されたとしても、分離後の高濃度の水と低濃度の水のそれぞれの取扱いも課題となること、が議論された。
    • ALPS小委員会の報告書では、こうした点を踏まえて、現在までのところ、「福島第一原発に直ちに実用化できる段階にある技術は確認されていない」との評価がされており、またIAEAからも同様の見解が示されている。
    • こうした点を踏まえ、ALPS処理水については、希釈して放出していくこととするが、引き続き、新たな技術動向を注視し、現実的に実用化可能な技術があれば、積極的に取り入れていく。
    • 福島第一原発における汚染水の発生量を可能な限り減少させる取組を続けていく。さらに、福島第一原発の港湾内の放射能濃度の減少に向けた排水路の清掃や港湾内の魚類駆除の対策などの取組も引き続き実施する。
  • 終わりに
    • 原子力災害被災地域に安心して帰還・移住できる環境を整え、地域及び国民の皆様の不安を解消するためには、廃炉に向けた中長期の取組を着実に進めていく必要があり、ALPS処理水の処分についても、これ以上の先送りはできない。
    • もちろん、既に風評影響に対する強い懸念を示す方もいる中で、ALPS処理水の海洋放出を行うことは、政府として重大な決断であると認識している。政府として、決して風評影響を生じさせないとの強い決意をもって対策に万全を期す。
    • とりわけ、風評影響への対応については、さらに、広く関係者にも参加いただきつつ議論を続け、その不断の見直しを図り、政府一丸となって、決して風評が固定化することのないよう対策を講じていく。
    • これまで、地元の方々を始め多くの方々が、産業や生業の復興に向けて、懸命な努力をされてきた結果、徐々に風評の払拭が進んできたことを忘れてはならない。ALPS処理水の海洋放出により、新たな風評影響が生じることになれば、これまでの努力を水泡に帰せしめ、塗炭の苦しみを与えることになる。政府は、風評影響を受け得る方々に寄り添い、産業や生業の復興に向けた歩みを決して止めないとの強い決意をもって、風評影響の払拭に取り組んでいく。
    • 原子力災害からの復興・再生には、中長期的な視野に立って、腰を据えた対応が必要である。政府は、その復興を成し遂げるまで、前面に立ち、全力を尽くしていく。

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第60回(令和3年4月9日開催)資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日ベースでは、3月上旬以降増加が続いており、直近の1週間では10万人あたり約14人となっている。関西圏での急増に伴い、3月下旬から増加率も高まっている。新規感染者数の増加に伴い、3月下旬以降重症者数も増加に転じており、重症者増加のスピードに注意が必要。
    • 実効再生産数:全国的には、2月下旬以降1を超えており、直近(3/21時点)で1.16となっている。3/22時点で宮城、1都3県、愛知・岐阜、大阪・兵庫・京都では1を上回る水準となっており、特に、大阪・兵庫・京都では、1.74となっている。
    • 影響が懸念されるN501Yの変異のある変異株(VOC)の感染者の増加傾向が続き、クラスターの発生も継続。特に、大阪、兵庫で多くの感染が確認されており、機械的な試算ではあるものの、スクリーニング検査による変異株(VOC)の割合が高い水準で推移しており、周辺自治体でも変異株(VOC)による感染者数が増加している。
    • 地域の動向※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値
      1. 首都圏(1都3県)東京では、新規感染者数は3月中旬以降増加が続き、約20となっている。神奈川、埼玉は4月に入り増加の動きが見られ、千葉は、横ばい傾向。医療提供体制の負荷の軽減が見られてきたが、東京では、3月中旬以降入院者数が増加に転じ、病床使用率も上昇し、入院・療養等調整中も増加傾向にある。
      2. 関西圏・中京圏・九州関西では変異株の報告が増加。また、人流の増加に伴い、大阪、兵庫では3月中旬以降感染が急速に拡大、京都、奈良、和歌山でも3月下旬以降大きく増加。大阪では、大阪市内以外でも感染が拡大しており、新規感染者数も約47となっている。特に、大阪、兵庫では、新規感染者数の増加に伴い、病床使用率、重症病床使用率とも急速に上昇しており、医療提供体制が大変厳しい状況となっている。愛知でも3月下旬以降増加が継続している。福岡は横ばい傾向。
      3. 上記以外の地域宮城、山形では感染が急速に拡大していたが、3月末以降減少に転じ、新規感染者数は、それぞれ約36、約15となっている。いずれも50代未満が中心であるが、宮城では入院者数の増加が継続。沖縄でも3月下旬以降感染が急速に拡大。新規感染者数が約46となっている。感染者は20-50代が多いものの、入院者数も増加。その他の地域の中でも、クラスターの発生等により感染者数が急速に増加する地域が生じている。四国でも愛媛に続き、徳島、香川でも増加傾向が見られる。
  • 感染状況の分析
    • 関西圏での感染拡大が強く懸念される状況が継続。大阪・兵庫だけでなく、周辺自治体でも感染者数が増加している。周辺でも変異株による感染者数の急速な増加に注意が必要。大阪では人流の減少傾向が見られているが、新規感染者数の減少に繋がるには一定の期間を要すると考えられ、今後も感染拡大が継続し、入院患者数も増加することも危惧される。医療提供体制の状況も注視しつつ、さらなる警戒が求められる。
    • 首都圏では、1都3県全体では微増傾向だが、東京では緊急事態宣言解除後夜間滞留人口が急増した。直近では減少に転じているものの、20代、30代の感染が拡大。今般の大阪、兵庫、宮城等の感染拡大の動きを見ると、緊急事態宣言措置等による時短要請等が解除されてから人流が拡大し、解除後3週間程度で感染拡大がみられており、東京をはじめ首都圏でも、今後、感染拡大の継続や急拡大が懸念される。スクリーニング検査による変異株(VOC)の割合も上昇傾向にある。宮城、山形では、県独自の対策の後、人流の低下が見られ、感染者数も減少に転じている。沖縄では、県独自の対策が始まり、感染者数の伸びには鈍化が見られるものの、引き続き増加傾向は継続、若年層を中心とした感染拡大が見られる。いずれも、引き続き今後の推移に留意が必要。
    • クラスターの発生場所は多様化しており、医療機関、福祉施設、学校、職場、飲食店、会食、スポーツ関連などがある。注意すべきクラスターとして、昼カラオケ、飲食店なども継続している。
    • 一部地域では、変異株(VOC)の割合の高まりが懸念され、急速な感染拡大や既存株と比べ感染性の高さが懸念される。
  • 必要な対策
    • 感染の急拡大を受け、まん延防止等重点措置区域とされた、宮城、大阪、兵庫では、同措置の適用に当たって講ずべきとされた、飲食店に対する20時までの時短要請等、飲食店への見回り・働きかけの徹底、重点検査、医療提供体制の確保、飲食店へのカラオケ設備の利用自粛要請といった取組を着実に行うことが必要。特に、大阪、兵庫では、多数の感染者数が発生している中で変異株(VOC)の報告も増加。既に、医療提供体制が厳しい状況であるが、今後も増加が予想される重症者の病床確保が最優先で求められる。大阪市内以外や近隣の京都、奈良、和歌山でも感染が急速に拡大しており、人の移動に伴う変異株の他地域への流出を出来るだけ防ぐためにも、不要不急の外出、移動を避けることも含め、速やかに適切な対策を行うことが求められる。さらに、感染拡大の要因の分析とそれを踏まえた対応が必要。
    • その他の感染が増加している地域でも、感染状況を踏まえ必要な感染抑制のための取組を速やかに実施していくことが必要。飲食店に対する適切な時短要請や飲食店への見回り・働きかけの実施、外出自粛要請、検査を遅滞なく実施できる体制の拡充、濃厚接触者および感染源の迅速な調査などの対策が求められる。その上で、更なる感染拡大に対応するための医療提供体制や公衆衛生体制の確保が必要であり、国からも必要な支援を行うことが必要。早急に対応すべきである。
    • 特に、首都圏では、東京で増加が継続しており、夜間滞留人口の動向、変異株検出割合などからも今後の動きが強く懸念される。緊急事態宣言解除後の大阪、兵庫と同様、感染の急速な拡大が生ずる可能性もあり、感染状況に応じた十分な対策を遅滞なく行うとともに、感染の再拡大を前提とした検査・相談体制、宿泊療養、自宅療養を含めた医療提供体制を速やかに整えることが必要。
    • これまで大きな感染拡大が無かった、大都市圏以外の地域でも、感染者数の急速な増加が見られている。このため、現時点では大きな感染拡大が生じていない地域でも、実際に感染拡大が生じた場合を想定して、相談・検査体制、病床・宿泊療養施設の確保、自宅療養含めた調整体制、全庁的な応援態勢の確保、都道府県と保健所設置市の連携体制等必要な準備が出来ているか、改めて確認し、新たな感染拡大へ備えておくことが必要。
    • 年度替わりの人の移動などによる新たな感染拡大の動きがすでに見られている。さらなる拡大を防ぐために、3密など人が集まる機会を避け、新年度の様々な機会などに伴う宴会は避けていただくことが必要。また、昼カラオケや接客を伴う物販など高齢者が集まる場面、日中も含めた長時間の会食をはじめ、クラスターが発生しているような事例も含め、そのリスクの適切な周知と感染予防のための注意喚起が必要。また、有症状者への受診の呼びかけと迅速な検査対応が必要。
    • N501Yに変異のある変異株(VOC)については、感染者数が増加してくる中で、地域ごとの感染状況やその感染性、病原性等の疫学情報についての評価・分析を踏まえた対応を速やかに実施していくことが必要。特に、変異株に関する個室の取扱いや退院基準の見直しを含む医療提供体制や公衆衛生体制での取組の在り方について早急に検討が必要。
  • 地方公共団体による時短要請等に応じた飲食店に対する協力金緊急事態措置を実施すべき地域又はまん延防止等重点措置地域
    • 中小企業:売上高に応じて1日3万円~10万円(20時までの時短要請の場合)等(4月21日までに、まん延防止等重点措置として時短要請を行った場合には、当該まん延防止等重点措置期間について、3万円を4万円とする。)
    • 大企業:売上高減少額に応じて1日最大20万円(中小企業も選択可能)
  • それ以外の地域:1日2万円(4月21日までの間は、21時までの時短要請の場合は1日4万円)(4月22日以降、売上高に応じて1日2.5万円~7.5万円(大企業や大企業方式を適用する中小企業は最大20万円)。ただし、1日2万円とすることも可。その後、全国の時短要請が一旦途切れた後の新たな時短要請からは、1日2万円とする。なお、4月21日までに時短要請を行った場合、5月5日までの間は経過措置として1日4万円。ただし、4月22日以降まん延防止等重点措置区域となった都道府県においては、その他地域は1日2.5万円~7.5万円。)

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第59回(令和3年4月1日開催)資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日ベースでは、3月上旬以降増加が続いており、直近の1週間では10万人あたり約10人となっており、改めて減少傾向としていくことが必要。
    • 実効再生産数:全国的には、1月上旬以降1を下回っていたが、2月下旬以降1を超えており、直近(3/14時点)で1.06となっている。同時点で1都3県、愛知・岐阜、福岡では1を下回っているが、大阪・兵庫・京都では1を上回る水準となっている。
    • 英国、南アフリカ等で確認されその影響が懸念されるN501Yの変異のある変異株(VOC)は、現状より急速に拡大するリスクが高い。自治体による積極的疫学調査が行われる中で、変異株の感染者の増加傾向が続き、クラスターの発生も継続。
  • 地域の動向 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値
    1. 首都圏(1都3県) 緊急事態宣言の解除から約1週間が経過。東京では、新規感染者数は3月中旬以降増加が続き、約18人となっている。神奈川、埼玉、千葉は、横ばい傾向で、新規感染者数はそれぞれ、約8人、約11人、約12人。医療提供体制の負荷の軽減が見られてきたが、東京では、3月中旬以降それまで減少してきた入院者数が増加に転じた。
    2. 関西圏・中京圏・九州 緊急事態措置の解除から約4週間が経過。人流の増加に伴い、大阪、兵庫では3月中旬以降増加傾向が強まっている。奈良、和歌山でも3月下旬以降大きく増加。愛知・岐阜でも3月下旬以降増加の動きが見られる。福岡は横ばいから減少傾向で推移している。特に大阪では、新規感染者数も約25人となっている。また、関西では変異株の報告が増加している。医療提供体制の負荷の軽減が見られてきたが、新規感染者数の増加に伴い、特に兵庫県では、病床使用率が上昇しており、厳しい状況となっている。
    3. 上記以外の地域 宮城では3月上旬から、山形では3月中旬より感染が急速に拡大。新規感染者数が、それぞれ約41人、約22人となっている。いずれも50代未満が中心であるが、入院者数も増加。沖縄でも3月上旬以降感染が増加し、3月中下旬に大きく増加。新規感染者数が約36人となっている。人流は増加傾向で、感染者は20-50代が多いものの、入院者数も増加。愛媛では、接待を伴う飲食店関係のクラスターにより、3月下旬以降新規感染者数が大きく増加し、約17人となっている。その他でもクラスターの発生等により感染者数が増加する地域が生じている。
  • 感染状況の分析
    • 関西圏での感染拡大が強く懸念される。先行して緊急事態措置が解除された大阪・兵庫で再拡大が起こり、特に大阪は宣言解除後から夜間滞留人口の増加が続き、20-30代の感染者が増加。多数の感染者数が発生している中で、変異株の報告も増加しており、今後も感染拡大が予想される。また、人の移動に伴う変異株の他地域への流出を出来るだけ防ぐことが求められる。
    • 首都圏では、1都3県全体で見ると微増傾向だが、東京でも宣言解除の2週間前より20時以降の夜間滞留人口が増加し、解除後さらに急増。若年層の感染者の割合も高く、今後の感染急拡大が懸念される。首都圏は、感染源やクラスターの発生場所が多様化(大人数の宴会や日中の会食など)し、感染者数も多く、匿名性が高いため、感染経路が不明な例も多い。
    • 宮城、山形、沖縄では、若年~中年層を中心とした感染拡大が見られる。3県とも実効再生産数が1以上を継続しており、今後も感染拡大が続く懸念がある。各県独自の対策はとられており、宮城では人流の低下も見られている。引き続き、今後の推移に留意が必要。
    • 一部地域では、変異株の割合の高まりが懸念され、急速な感染拡大や既存株と比べ感染性の高さが懸念されている。
  • 必要な対策
    • 緊急事態宣言が解除されたが、大都市圏では関西で感染が再拡大し、東京でも新規感染者数の増加が続いている。また、今般の緊急事態措置区域以外の地域でも、宮城・山形、沖縄で感染者が急増している。感染が増加している地域においては、効果的な感染抑制のための取組が必要。飲食店に対する適切な時短要請や外出自粛要請、検査を遅滞なく実施できる体制の拡充、濃厚接触者および感染源の迅速な調査などの対策が求められる。その上で、更なる感染拡大に対応するための医療提供体制や公衆衛生体制の確保が必要であり、国からも必要な支援を行うことが必要。すでに、一部地域では入院調整の遅延が生じており、早急に対応すべきである。
    • 特に、大都市圏は、人口が多く、感染が継続した場合の他地域への影響も大きい。大阪では、多数の感染者数が発生している中で変異株の報告も増加しており、今後も感染拡大が予想され、速やかに適切な対応を行うことが求められる。また、東京でも増加が継続しており、今後の動きが懸念され、首都圏でも感染状況に応じた適切な対応が求められる。
    • 一方、これまで大きな感染拡大が無かった地域でも、急速な感染拡大が生じる可能性がある。実際に感染拡大が生じた場合を想定して、相談・検査体制、病床・宿泊療養施設の確保、自宅療養含めた調整体制、全庁的な応援態勢の確保、都道府県と保健所設置市の連携体制等必要な準備が出来ているか、改めて確認し、新たな感染拡大へ備えておくことが必要。
    • 年度初めに関しては、入社や入学の際に、人の移動・研修を伴うことが多い。また、引き続き昼カラオケ、接客を伴う物販など高齢者が集まる場面や日中も含めた長時間の会食には注意喚起が必要。新たな感染拡大の動きが見られており、年度替わりに伴い移動された方も含め、3密など人が集まる機会を避け、年度初めの恒例行事(歓送迎会、お花見)などに伴う宴会(特に、普段会わない方との宴会等)は避けていただくなど危機感を共有できるメッセージの発信が必要。
    • N501Yに変異のある変異株については、その影響がより大きくなってくることを踏まえ、その影響を抑えるための対応が必要。このため、先日示された変異株対策パッケージも踏まえ、(1)水際措置の強化の継続、(2)国内の変異株のサーベイランス体制の早急な強化、(3)変異株感染者の早期検知、積極的疫学調査による濃厚接触者および感染源の特定や速やかな拡大防止策、(4)変異株の感染性や病原性等の疫学情報についての評価・分析(N501Y変異以外のE484Kなどの変異を有する変異株についても実態把握を継続)と正確な情報の発信、(5)検体や臨床情報等の一体的収集・解析等の研究開発等の推進が必要。併せて、変異株に関する入院時の扱いや退院基準等医療提供体制や公衆衛生体制での取組の在り方について早急に検討が必要。
    • こうした取組を進めるためにも、併せて、各地の感染状況を的確に把握するため、Her-Sys等も活用した都道府県内での感染状況の見える化に向けた取組が必要。
  • 「まん延防止等重点措置」の適用に当たって
    1. 「まん延防止等重点措置」として講ずべき内容(法令規定事項)
      • 飲食店に対する 20 時までの時短要請等
      • 客に対するマスク着用等の感染防止措置の周知、当該措置を講じない者の入場禁止等を飲食店に要請
      • 県民に対して、時短要請がされている時間帯に飲食店にみだりに出入りしないことの要請
    2. 上記に加え都道府県が行う取組
      • 飲食店見回り・働きかけの徹底
        • 措置区域内の全ての飲食店に対し、時短要請の働きかけ
        • 措置区域内の全ての飲食店に対し、協力を得つつ店舗内まで立ち入り、ガイドラインの遵守状況(※基本4項目)を見回り (※)アクリル板等(パーティション)の設置(又は座席の間隔の確保) 手指消毒の徹底 食事中以外のマスク着用の推奨 換気の徹底
      • 重点検査の実施等
        • 措置区域内における高齢者施設等の従業者等に対する検査の頻回実施
        • 高齢者施設や医療機関で感染が発生した場合における保健所による感染管理体制の評価や支援チームの派遣、検査の実施等による感染制御・業務継続支援の徹底
        • 繁華街・歓楽街、事業所群(建設現場、工場の寮等)、大学等、検査前確率が比較的高いと考えられる場所等に対するモニタリング検査の拡充(国事業への協力)
        • 措置区域内の歓楽街等で陽性者が出た場合の重点的検査の実施
      • 医療提供体制
        • 病床・宿泊療養施設確保計画に沿って、すぐに患者を受け入れられる病床・居室を計画上の最大数に速やかに移行
        • 感染者急増時の緊急的患者対応への切り替えに向けた準備(医療提供体制への負荷が高まった場合の入院基準の明確化、パルスオキシメーターの活用や健康観察業務の外部委託等による自宅療養における健康観察体制の確保等)
      • その他
        • 飲食を主として業としている店舗に対し、カラオケを行う設備の利用自粛を要請
  • REVICの新型コロナウイルス対応として初めての投資決定
    • REVICでは、飲食業、宿泊業、地域交通機関を始め幅広い業種について、100件程の事業者の支援を検討、うち10数件の事業者の支援の具体的な調整が進行中。
    • 今般、REVICと地域金融機関が組成したファンドが、初めて、新型コロナウイルス対応の投資を3件行うことを決定。

首相官邸 政府機関等におけるLINE社のサービスの利用について
  • 政府機関等におけるLINE社のサービスの利用についてであります。LINE社の個人情報の取扱いに関する問題については、これまで、関係省庁が所管法令に基づき報告徴収等を行うとともに、政府機関等のLINE社のサービス利用状況についても調査を行ってきているところであります。
  • 3月23日には、LINE社が今後の方針を公表し、個人情報保護委員会にも報告がありました。これを受けて、先週26日(金)、個人情報保護委員会から、報告の内容の一部については、一定の評価が示されるとともに、十分な検証ができなかった部分については精査を継続するとされているところであります。
  • 現時点で、個別に判断してLINE社のサービスの利用を停止している政府機関や地方自治体もありますが、あらためて、情報セキュリティ対策等のポリシーを遵守する観点から、政府機関において、機密性を要する情報を取り扱うLINE社のサービスの利用については、いったん、これを停止した上で、関係省庁を構成員とするタスクフォースを早急に立ち上げ、法所管省庁の検討も踏まえつつ、各利用主体による判断の参考となる考え方(ガイドライン)を早期に示したいと思っております。
  • また、行政からの情報発信など、個人情報や機密性を要する情報を取り扱わないLINE社のサービスの利用については、現時点において、個人情報等の管理上の懸念が一定程度払しょくされたと判断し、政府機関における利用を許容することとします。
  • なお、LINE社が自治体向けに開発しているワクチン接種予約システムについては、LINE社からの発表によれば、同社やベンダーが保有するデータは全て国内で保存され、そうしたデータへの海外からのアクセスも遮断する予定と承知をしております。当該システムの開発段階においては、個人情報を必要としないことなども踏まえれば、データの取扱いを確認しつつ、開発を継続することには問題がないと考えております。

【2021年3月】

首相官邸 北朝鮮による弾道ミサイル発射について
  • 北朝鮮は、本日7時4分頃及び7時23分頃、北朝鮮の東海岸の宣徳(ソンドク)付近から、合計2発の弾道ミサイルを東方向に発射した模様であります。100キロメートル未満の高度を、いずれも約450キロメートル飛翔したものと推定されております。なお、落下したのは我が国の排他的経済水域、いわゆるEEZ外と推定しております。
  • 現在までのところ、航空機、船舶からの被害情報等の情報は確認されておりません。北朝鮮による弾道ミサイルの発射は国連安保理決議違反であり、極めて遺憾であります。
  • こうした行為は、我が国と地域の平和と安全を脅かすものであり、これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含め、我が国を含む国際社会全体にとって深刻な問題でもあります。また、弾道ミサイルの発射は、航空機や船舶の安全確保の観点からも極めて問題のある危険な行為であります。政府として、直ちに北京の大使館ルートを通じ、北朝鮮に対して厳重に抗議を行い、強く非難をしたところであります。我が国として、これまで以上に安全保障上の警戒監視を強める必要があります。
  • こうした状況を踏まえ、本日8時過ぎから国家安全保障会議を開催し、情報の集約及び対応についての協議を行ったところであります。政府としては、引き続き情報の収集及び分析に全力を尽くすとともに、新たな情報については国民の皆さんに対し、適宜情報提供を行っていきたいと考えております。また、米国、韓国等の関係国と緊密に連携し、引き続き緊張感を持って国民の安全と安心の確保に万全を尽くしてまいります。

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第58回(令和3年3月18日開催)資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日ベースでは、1月中旬以降(発症日ベースでは、1月上旬以降)減少が継続していたが、3月上旬以降横ばいから微増が続き、直近の1週間では10万人あたり約6人となっており、リバウンドを起こさず、改めて減少傾向としていくことが必要。
    • 実効再生産数:全国的には、1月上旬以降1を下回っていたが、直近では、1.04となっている(2月28日時点)。1都3県、愛知・岐阜では1を下回っているが、大阪・兵庫・京都、福岡では1を上回る水準となっている。(2月28日時点)
  • 地域の動向 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値
    1. 首都圏(1都3県)
      • 東京、神奈川、埼玉、千葉の新規感染者数はそれぞれ、約15人、約8人、約11人、約12人とステージⅢの指標となっている15人を下回っているが、他地域と比べても高い水準で、東京と埼玉では増加の動きが見られる。一方で医療提供体制は、これまでの新規感染者数、療養者数の減少に伴い、自治体での入院等の調整も改善が続き、病床使用率もステージⅣの指標を継続的に下回るなど負荷の軽減が見られる。
    2. 関西圏・中京圏・九州(6府県)
      • 緊急事態宣言の解除から2週間が経過。いずれも、これまでの新規感染者数、療養者数の減少に伴い医療提供体制への負荷の軽減が見られる。新規感染者数は、大阪、兵庫を除き各府県とも5人を下回る水準となっている。大阪、兵庫、京都、福岡では、3月上旬以降横ばいから微増となっている。緊急事態措置の解除と前後して、夜間の人流が増加しており、愛知、大阪、京都では若年層の感染の水準が高くなっている。また、関西では変異株の報告が増加している。
    3. 上記以外の地域
      • 一部の地域でクラスターが発生するなど再上昇の動きもあり注意が必要。特に、宮城、沖縄では、新規感染者数はそれぞれ、約14人、約13人と増加が続いている。
  • 変異株
    • 英国、南アフリカ等で確認されその影響が懸念されるN501Yの変異のある変異株(VOC)は、現状より急速に拡大するリスクが高い。変異株に対して自治体による積極的疫学調査が行われる中で、変異株の感染者とクラスター報告数の増加傾向が見られる。
  • 感染状況の分析
    • 緊急事態措置区域の1都3県では、市民や事業者の長期間にわたる協力により新規感染者の減少が続いていたが、3月上旬以降、他地域と比べても高い水準で横ばいから微増。首都圏では、感染者数が多く、匿名性も高いため、感染源やクラスターの発生場所の多様化がみられ、不明な例も多い。年齢別に見ると、若年層の割合が高くなっており、人流の再上昇の動きも見られている。近畿圏含め、都市部では、既にリバウンドが生じ始めているのではないかとの指摘もある。
    • 宮城、沖縄では、20代、30代を中心とした感染拡大が見られているため、今後の推移に留意が必要。
    • クラスターは、医療機関と高齢者施設での発生が継続し、地域により飲食店でも引き続き発生している。また、カラオケに関連するクラスターも発生。
    • 変異株の感染が継続している中で、感染を再拡大させないための取組が必要。今後流行するウイルスは変異株に置き換わっていく可能性もあり、さらなる流行拡大につながるおそれに留意が必要。
  • 必要な対策
    • 感染のリバウンドの兆候をできる限り迅速に検知する方法を早急に構築し、対策につなげることにより新規感染者数の増加を抑え、医療提供体制を維持し、ワクチンを安定して接種できる体制の確保、また、変異株拡大等のリスクを低減させるための体制の確保が重要。
    • そうした中で、緊急事態宣言の解除がリバウンドを誘発することへの懸念に留意が必要である。特に、首都圏では、感染者数が多く、感染が継続した場合の他地域への影響も大きい。感染の再拡大を防ぐためには、新たな感染者をできるだけ低い水準で長く維持することが必要である。そのため、地域の感染状況等に応じ、積極的疫学調査(感染源が不明であっても、リスク行動の有無にも着目することも重要)に基づく情報・評価を踏まえた対応など、さらに感染を減少させるために必要な取組を行っていくことが必要。既に緊急事態措置が解除された地域も同様の取組が必要。
    • 感染を減少させるための取組に協力が必要なことについて、国、自治体が一致したメッセージを出していくことが必要。
    • 会食における感染リスクを低減させるために、事業者の取組とともに、利用者の会食のあり方を周知することが重要。
    • また、年度末から年度初めの恒例行事(卒業式、歓送迎会、お花見)などに伴う宴会・旅行はなるべく避けていただくように、改めて、効果的なメッセージの発信が必要。また、年度初めに関しては、入社や入学の際に、人の移動・研修を伴うことが多いため、感染拡大につながらないよう留意が必要。併せて、カラオケに関係するクラスターが発生しており、改めてガイドラインの遵守の徹底に向けた働きかけが必要。
    • 今後、再拡大の防止とともに次の波に備えた対応を行うことが重要。具体的には、(1)ワクチン接種の着実な推進、(2)変異株対策の強化、(3)感染リスクに応じた積極的な検査による早期探知や積極的疫学調査の再強化、飲食店及び高齢者施設対策の継続、感染拡大の兆しが見られた場合の機動的対応などの感染拡大防止策の推進、(4)新型コロナに対する医療を機動的に提供するための医療提供体制等の充実を確実に実施すること(引き続き必要な病床を確保するとともに、医療機関の役割分担の徹底や後方支援医療機関、退院患者を受け入れる施設等の確保等により実効的に病床を確保・活用し、一連の対応が目詰まり無く行われる体制の確保)などの取組が必要。
  • 変異株
    • N501Yに変異のある変異株については、その影響がより大きくなってくることを踏まえ、その影響を抑えるための対応が必要。このため、先日示された変異株対策パッケージも踏まえ、(1)水際措置の強化の継続、(2)国内の変異株のサーベイランス体制の早急な強化(民間検査機関や大学等とも連携。国は自治体の検査数等を定期的に把握)、(3)変異株感染者の早期検知、積極的疫学調査による濃厚接触者および感染源の特定や速やかな拡大防止策、(4)変異株の感染性や病原性等の疫学情報についての評価・分析(N501Y変異以外のE484Kなどの変異を有する変異株についても実態把握を継続)と正確な情報の発信、(5)検体や臨床情報等の一体的収集・解析等の研究開発等の推進が必要。
  • 医療・公衆衛生に支障をきたす感染再拡大(リバウンド)の防止のために
    • 緊急事態宣言の評価
      • そもそも、新型コロナウイルス感染症は、文字通り“ゼロにすること”はできない。“小さな流行の山”はいつでも発生しうる。
      • 緊急事態宣言の主な目的は、医療提供体制の負荷を取ることであった。
      • 今回の緊急事態宣言の“急所を突いた対策”によって、新規報告数は短期間で減少(新規陽性者数8割減)し、病床の負荷が確実に改善され、効果があったと考えられる。
      • ただし、首都圏を中心に感染減少は下げ止まり、一部では微増傾向になっている。
    • 下げ止まり・微増傾向の原因
      • 下げ止まり・微増傾向の原因はいわゆる“コロナ疲れ”“緊急事態疲れ”、若年者の飲み会・高齢者の昼カラオケなど、昨年10月から指摘してきた“隠れた感染源”の存在の可能性(第13回分科会提言等)
    • これからの対策が成功するための条件
      • 高齢者のワクチン接種前にリバウンドを生じさせない迅速性。
      • これまでの“延長線上にはない対策”。
      • “サーキットブレーカー”機能の構築・まん延防止等重点措置
      • “隠れた感染源”を探知する“深掘積極的疫学調査”
      • 無症状者に焦点を当てた重点的な“モニタリング検査”
      • 高齢者施設の職員に対する定期的な検査・変異株PCR検査の拡大
      • 最大限の病床の確保・保健所の体制強化
      • 実行上の困難を乗り越える国及び自治体の強い意志。なぜならば、以下のような困難が存在。
        • 保健所の体制強化(専門知識を有する人材が限られている)
        • 情報の自治体間での共有(都道府県と保健所設置区市との連携は難しい)
        • 自費検査機関との連携(事業運営のルールが異なる)
    • 結論
      • 人々の理解と共感を得て、「医療・公衆衛生に支障をきたすリバウンド」を防止するために、この数か月は、“国や自治体が今まで以上に汗をかく局面”
  • 緊急事態宣言解除後の新型コロナウイルス感染症への対応(案)
    • 解除後もこれまでの経験を踏まえた取組が必要。国・自治体は監視、検査等の体制を着実に整え、国民の行動変容への理解と協力を得ていく。
    • 忘年会等での感染や帰省による世代間の伝播等を契機に生じたと考えられる急速な感染拡大については、年初から2か月半の間の緊急事態宣言により感染状況は改善。この間に特措法及び感染症法の改正法が成立し、ワクチン接種が開始される一方、従来株よりも感染性が増していることが懸念される変異株への感染が国内でも継続的に確認。
    • 基本的な感染予防策の徹底が重要といったこれまでの経験で学んできたことを社会全体で共有することが必要。そして同じく、これまでの経験で明らかになった感染リスクの高い場(飲食の場、恒例行事など)に着目した戦略的な情報発信の強化とともに、正しい知識の普及、偏見・差別等の防止に向けた情報発信等を推進。
    • 社会経済活動を継続しつつ、再度の感染拡大を防止し、重症者・死亡者の発生を可能な限り抑制するため、国及び自治体において、(1)~(5)の取組を進める。コロナ禍の中での医療提供とワクチン接種の双方に対応する医療関係者の負荷を減少させ、地域の変異株の探知を的確に行えるようにするためにも、感染防止対策の徹底が必要。
    • 特に、都市部から周辺地域へというこれまでの感染拡大の経過を踏まえるとともに、特に東京都を始めとする大都市部について、自治体と密接に連携し、感染拡大を防止するため、機動的に徹底的な対策を実施。
      1. 飲食の感染対策
        • ガイドラインの見直し・徹底による飲食店等における感染防止策の促進
        • AIシミュレーションや新技術の導入による新たな感染防止策の促進
        • クラスター対策の強化、改正特措法の活用などによる早期対応
      2. 変異株対策の強化
        • 変異株を早期に探知し、積極的疫学調査と検査等によりクラスターの迅速な封じ込め、社会全体での変異株の感染拡大の防止を図る。
      3. モニタリング検査など感染拡大防止策の強化
        • 行政検査・モニタリング検査・民間検査を組み合わせた戦略的検査の実施
        • 感染拡大の予兆探知のためのモニタリング検査の実施
        • 保健所による感染源推定のための調査を含めた積極的疫学調査の強化
        • 高齢者施設の従事者等への積極的検査など高齢者施設対策の強化
      4. ワクチン接種の着実な推進
        • 重症化リスクや医療提供体制の確保等を考慮し、医療従事者等、高齢者や基礎疾患を有する者、高齢者施設等の従事者への接種を着実に推進
        • ワクチンの有効性・安全性に関する情報収集・情報提供を推進
      5. 医療提供体制の充実
        • 各自治体で今回の感染拡大局面での課題を点検・改善し、次の感染拡大時に確実に機能する体制に進化させ、「相談・受診・検査」~「療養先調整・搬送」~「転退院・解除」まで、一連の患者対応が目詰まりなく行われ、病床・宿泊療養施設が最大限活用される流れを確保

首相官邸 国民の皆様へ
  • 政府は、来たる3月11日午後2時30分から、「東日本大震災十周年追悼式」を国立劇場において執り行います。
  • 東北地方を中心に未曾有の被害をもたらした東日本大震災の発生から10年を迎えようとしています。
  • この震災によりかけがえのない多くの命が失われました。最愛の御家族や御親族、御友人を失われた方々のお気持ちを思うと、今なお哀惜の念に堪えません。
  • 政府は、原発事故の被災者を含め、いまだ被災地の方々が様々な課題に直面している現実を心に刻み、復興に全力で取り組んでまいります。また、震災の大きな犠牲の上に得られた教訓を風化させることなく、また、相次ぐ自然災害の教訓を活かし、防災・減災、国土強靱化に取り組み、災害に強い国づくりを進めてまいります。
  • この震災により犠牲となられた全ての方々に対し哀悼の意を表すべく、3月11日の午後2時46分に1分間の黙とうを捧げ、御冥福をお祈りすることとしております。国民の皆様におかれましても、これに合わせて、それぞれの場所において黙とうを捧げるなど、犠牲者の御冥福をお祈りいただきますよう、お願いいたします。

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第57回(令和3年3月5日開催)資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日ベースでは、1月中旬以降(発症日ベースでは、1月上旬以降)減少が継続、直近の1週間では10万人あたり約5人となっているが、2月中旬以降減少スピードが鈍化しており、下げ止まる可能性やリバウンドに留意が必要。
    • 実効再生産数:全国的には、1月上旬以降1を下回っており、直近で0.84となっている(2月14日時点)。1都3県、大阪・兵庫・京都、愛知・岐阜、福岡では、1を下回る水準が継続。(2月15日時点)
    • 入院者数、重症者数、死亡者数、療養者数も減少傾向が継続。一方で、60歳以上の新規感染者数の割合が3割を超えており、重症者数や死亡者数の減少は新規感染者数や入院者数の減少と比べ時間を要する見込み。
  • 地域の動向
    ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値
    1. 首都圏
      • 東京では、新規感染者数は減少傾向が続き、約13人と、ステージ3の指標となっている15人を下回った。神奈川、埼玉、千葉でも新規感染者数の減少傾向が続き、それぞれ、約8人、約9人、約14人となっている。一都3県全体でも減少傾向であるが、感染者数の減少スピードが鈍化し、東京、千葉では依然として15人に近い水準となっている。いずれも新規感染者数、療養者数の減少に伴い、自治体での入院等の調整も改善が続き、ステージ4の指標を下回るなど負荷の軽減が見られるが、病床使用率が高い地域もあるなど医療提供体制に厳しさが見られる。
    2. 関西圏・中京圏・九州
      • いずれも新規感染者数の減少が継続し、大阪を除き、5人を下回る水準となっている。いずれも医療提供体制に厳しさは見られるが、新規感染者数、療養者数の減少に伴い負荷の軽減が見られる。一方、大阪などでは、高齢者施設等でのクラスターは継続。高齢者の入院に伴う負荷の増加には留意が必要。
    3. 上記以外の地域
      • 概ね新規感染者数の減少傾向が続いている。一方で、一部の地域でクラスターが発生しており注意が必要。
  • 変異株
    • 英国、南アフリカ等で確認されその影響が懸念される変異株は、現状より急速に拡大するリスクが高い。国内では変異株感染例が継続的に確認され、自治体による積極的疫学調査も受けて、感染者とクラスター報告数の増加傾向が見られる。
    • 感染状況の分析
    • 緊急事態措置区域の4都県では、実効再生産数は、0.9程度の水準で、新規感染者数の減少傾向は継続しているものの、減少スピードが鈍化。首都圏では、感染源やクラスターの発生場所が不明な例が多く、夜間の人流の再上昇の動きも見られており、リバウンドを起こさず、減少傾向を続けることが重要。
    • クラスターは、高齢者施設での発生が継続し、地域により飲食店でも引き続き発生している。また、各地で若年層の感染者数の下げ止まりの傾向や感染が縮小した地域でのクラスターの発生も見られ留意が必要。
    • 新規感染者数の減少は、周辺地域に比べ都市部で遅れている。変異株のリスクもある中で、減少傾向を維持できる取組が必要。緊急事態宣言下でも変異株感染者の増加傾向がみられ、今後社会における接触機会の増加や、感染対策の緩みが生まれることで、既存株から置き換わっていく可能性もあり、これまでよりそのリスクが拡大する懸念がある。
  • 必要な対策
    • 新規感染者数の減少を継続することにより、医療提供体制の負荷を軽減し、ワクチンを安定して接種できる体制の確保、変異株拡大等のリスクを低減させることが重要。そうした中で、緊急事態宣言の解除がリバウンドを誘発することへの懸念に留意が必要である。特に、首都圏では、他地域と比べると感染者数が多く、感染が継続した場合の他地域への影響も大きい。感染の再拡大を防ぐためには、できるだけ低い水準を長く維持することが必要であり、そのため、地域の感染状況等に応じ、積極的疫学調査を踏まえ、その情報・評価を踏まえた対応などさらに感染を減少させるために必要な取組を行っていくことが必要。既に緊急事態措置が解除された地域も同様の取組が必要。
    • 感染を減少させるための取組に協力が必要なことについて、国、自治体が一致したメッセージを出していくことが必要。
    • 会食における感染リスクを低減させるために、事業者の取組とともに、利用者の会食のあり方を周知することが重要。
    • また、年度末から年度初めの恒例行事(卒業式、歓送迎会、お花見)などに伴う宴会・旅行はなるべく避けていただくように効果的なメッセージの発信が必要。
    • 今後、再拡大の防止とともに次の波に備えた対応を行うことが重要。具体的には、(1)ワクチン接種の着実な推進、(2)変異株対策の強化、(3)感染リスクに応じた積極的な検査による早期探知や積極的疫学調査の再強化、飲食店及び高齢者施設対策の継続などの感染拡大防止策の推進、(4)新型コロナに対する医療を機動的に提供するための医療提供体制等の充実などの取組が必要。
  • 変異株
    • 今後、変異株の影響がより大きくなってくることを踏まえ、その影響を抑えるための対応が必要。このため、先日示された変異株対策パッケージに基づき、(1)水際措置の強化の継続、(2)国内の変異株のサーベイランス体制の早急な強化(民間検査機関や大学等とも連携。国は自治体の検査数等を定期的に把握)、(3)変異株感染者の早期検知、積極的疫学調査による濃厚接触者および感染源の特定や速やかな拡大防止策、(4)変異株の感染性や病原性等の疫学情報についての評価・分析(N501Y変異以外のE484Kなどの変異を有する変異株についても実態把握を継続)と正確な情報の発信、(5)検体や臨床情報等の一体的収集・解析等の研究開発等の推進が必要。
  • 緊急事態宣言の延長及び首都圏における感染再拡大防止策についての見解(基本的対処方針等諮問委員会会長)
    • 新型コロナウイルス感染症対策本部におかれては、緊急事態措置が延長された埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県の知事に対し、以下で示す基本的対処方針等諮問委員会の首都圏における新型コロナウイルス感染症の感染再拡大防止策に係る見解を伝えて頂きたい。
    • 首都圏、特に東京都は、人口規模・密度社会経済圏の広域性多くの歓楽街の存在多様な外国人コミュニティの存在人々の匿名性東京23区等の保健所設置区市の存在による連携の困難さ等の理由により、他の地域と比べ、隠れた感染源としての「見えにくいクラスター」が発生しやすく、また、クラスター発生の理由が把握しにくいことから、感染対策が極めて困難な地域である。
    • 首都圏の感染状況については、(1)新規報告数が夏の感染拡大後の底値と比べ未だ高く、(2)日本の新規報告数の過半数を占めており、(3)新規感染者数の減少速度が鈍化しつつある。
    • また、医療提供体制については解除の基準を満たしたものの、医療提供体制の負荷の減少について、未だ十分であることが確認されていない。
    • さらに、首都圏では、人々の意識・考え方が多様であり、国や自治体からの要請への協力が得られにくいこともある。実際、ここにきて人流が再び増加する傾向が見え始めている。
    • 上記諸点を踏まえると、東京都を中心とした首都圏において、リバウンド防止のための体制を強化しないままに緊急事態宣言を解除すれば、リバウンドが生じてしまう可能性が高い。
    • したがって、緊急事態宣言の延長期間中に、当該都県は、以下の対策の確実な準備・実施及び体制強化を行って頂きたい。なお、その際には、「緊急事態宣言解除後の地域におけるリバウンド防止策についての提言」を参考にして頂きたい。
      1. 若者のみならず、高齢の方も含め、地域の皆さんが必要な感染防止策を継続して頂くため、国・専門家とともに、それぞれの方に届くよう一体感のあるメッセージを発信すること。特に、年度の切り替わりの恒例行事は控えるよう注意喚起を徹底すること。
      2. 感染リスクが高いと思われる集団・場所を特定し、そこを中心に軽症者・無症状者に焦点を当てた検査(モニタリング検査)を行うこと。
      3. 保健所設置区市との連携・強化に更なるリーダーシップを発揮し、広域的な疫学情報の集約・分析を強化すること。また、大都市では隠れた感染源としての「見えにくいクラスター」が存在する可能性を踏まえ、「深掘積極的疫学調査」を実施すること。
      4. 陽性例の一定割合について、自費検査機関の協力も得て、変異株用のPCR検査を迅速に実施すること。また、変異株の感染例が確認された場合には、迅速かつ集中的に積極的疫学調査を行うこと。
      5. 新規感染者数やPCR陽性率等も踏まえ、疫学情報の分析により感染拡大の予兆が見られた場合には、まん延防止等重点措置の活用も含め躊躇なく迅速に必要な対策を行うこと。
      6. 「高齢者施設職員に対する定期的な検査」を実施するとともに、高齢者施設において感染者が一例でも確認された場合には、その施設に対して、感染制御及び業務継続の両面に係る支援が可能な専門の支援チームを迅速に派遣できるようにすること。
      7. さらに、今回の経験も踏まえ、感染の再度の拡大にも対応できるよう病床の確保や療養者支援など医療提供体制・公衆衛生体制の強化を行うこと。
  • 水際対策強化に係る新たな措置(9)
    1. 防疫強化措置の継続・更なる強化
      1. 「水際対策強化に係る新たな措置(5)」(令和3年1月8日)において、緊急事態解除宣言が発せられるまで実施することとした、全ての入国者に対して出国前72時間以内の検査証明の提出を求めるとともに入国時の検査を実施する措置は、当分の間、継続するものとする。
      2. 以下の防疫強化措置を、順次実施していく。
        1. 検査証明不所持者については、検疫法に基づき上陸等できないこととし、これにより、不所持者の航空機への搭乗を拒否するよう、航空会社に要請する。
        2. 空港の制限エリア内において、ビデオ通話及び位置確認アプリのインストール並びに誓約書に記載された連絡先の真正性の確認を実施する。
        3. (2)に際し、スマートフォン不所持者については、スマートフォンを借り受けるよう求める。
        4. 全ての入国者は、検疫等に提出する誓約書において、使用する交通手段(入国者専用車両又は自家用車等)を明記することとする。
        5. 厚生労働省において全ての入国者を対象とする「入国者健康確認センター」を設置し、当該センターにおいて入国者に対し、入国後14日間の待機期間中、健康フォローアップを実施する。具体的には、位置情報の確認(原則毎日)、ビデオ通話による状況確認(原則毎日)及び3日以上連絡が取れない場合等の見回りを実施する。 注)従来、変異株流行国・地域からの入国者に対して行っていた健康状態のフォローアップについて、対象者を拡大するとともに、フォローアップ内容を強化する。
        6. 変異株流行国・地域からの入国者については、入国後3日間検疫所長の指定する宿泊施設で待機した後の検査として、現在実施している抗原定量検査に代えて、唾液によるreal-time RTPCR検査を実施する。
        7. 検疫の適切な実施を確保するため、変異株流行国・地域からの航空便を始め、日本に到着する航空機の搭乗者数を抑制し、入国者数を管理する。
    2. 変異株流行国・地域への短期渡航の自粛要請
      • 感染症危険情報レベル3対象国・地域については渡航中止勧告を出しているところであるが、特に変異株流行国・地域への短期渡航、とりわけ日本への帰国を前提とする短期渡航について、当分の間、中止するよう改めて強く要請する。

首相官邸 新型コロナウイルス感染症対策本部
▼第56回(令和3年2月26日開催)資料
  • 感染状況について
    • 全国の新規感染者数は、報告日ベースでは、1月中旬以降(発症日ベースでは、1月上旬以降)減少が継続、直近の1週間では10万人あたり約7人となっているが、2月中旬以降減少スピードが鈍化しており、下げ止まる可能性もあり、さらに、リバウンドに留意が必要。
    • 実効再生産数:全国的には、1月上旬以降1を下回っており、直近で0.78となっている(2月8日時点)。緊急事態措置区域の1都3県、大阪・兵庫・京都、愛知・岐阜、福岡では、1を下回る水準が継続。(2月7日時点)
    • 入院者数、重症者数、死亡者数、療養者数も減少傾向が継続。一方で、60歳以上の新規感染者数の割合が3割を超えており、重症者数や死亡者数の減少は新規感染者数や入院者数の減少と比べ時間を要する見込み。感染者数や療養者数の減少に伴い、保健所や医療機関の負荷は軽減してきたが、現場は長期にわたって対応してきており、業務への影響は直ちには解消されていない。高齢者施設でのクラスター発生事例も継続。
  • 地域の動向 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値
    1. 首都圏:東京では、新規感染者数は減少が続き、約16人となっているが、感染者数の減少スピードが鈍化している。自治体での入院等の調整は改善が見られる。神奈川、埼玉、千葉では新規感染者数は減少傾向が続き、それぞれ約9人、約12人、約14人と、ステージ3の指標となっている15人を下回っている。千葉ではここ数日増加に転じる動きもあり、リバウンドには留意が必要。東京、神奈川、埼玉、千葉では、いずれも新規感染者数、療養者数の減少に伴い負荷の軽減が見られるが、病床使用率が依然として高く、医療提供体制に厳しさが見られる。
    2. 関西圏:大阪では、新規感染者数の減少が続き、約7人と15人を下回っている。高齢者施設等でのクラスターは継続している。兵庫、京都でも新規感染者数は減少傾向で、それぞれ約5人、約4人となっている。いずれも医療提供体制に厳しさは見られるが、新規感染者数、療養者数の減少に伴い負荷の軽減が見られる。一方、高齢者の感染者数の減少傾向に鈍化が見られるとともに、負荷の大きな高齢者の入院が増えていることには、留意が必要。
    3. 中京圏:愛知では、新規感染者数の減少が続き、約5人と15人を下回っている。岐阜でも新規感染者数の減少が継続し、約4人まで減少。いずれも医療提供体制に厳しさは見られるが、新規感染者数、療養者数の減少に伴い負荷の軽減が見られる。一方、高齢者の感染者数の減少傾向に鈍化が見られるとともに、負荷の大きな高齢者の入院が増えていることには、留意が必要
    4. 九州:福岡では、新規感染者数の減少が続き、約8人と15人を下回っている。医療提供体制に厳しさは見られるが、新規感染者数、療養者数の減少に伴い負荷の軽減が見られる。
    5. 上記以外の地域:概ね新規感染者数の減少傾向が続いている。
  • 変異株
    • 英国、南アフリカ等で増加がみられる新規変異株は、国内での感染によると考えられる事例が継続して生じている。従来株と比較して感染性が高い可能性があり、今後、変異株の影響がより大きくなってくることも想定され、国内でも継続的に感染が確認されている中で、現状より急速に拡大するリスクが高い。英国株については、変異による重篤度への影響も注視が必要。また、海外から移入したとみられるN501Y変異を有さないE484K変異を有する変異株がゲノム解析で検出されている。
  • 感染状況の分析
    • 緊急事態措置区域の10都府県では、実効再生産数は、0.8程度以下の水準となっており、新規感染者数の減少が続いているが、夜間の人流の再上昇の動きもみられる。これまで、飲食店の営業時間短縮などの対策を継続しているが、感染減少のスピードが鈍化しており、特に、千葉では増加に転じる動きも見られ、リバウンドに留意が必要。しかし、新規感染者数の減少に伴い、療養者数も減少が継続し、病床使用率も概ね低下傾向で、医療提供体制や公衆衛生体制の負荷も軽減。こうした傾向を継続させる必要がある。
    • クラスターの発生状況は、医療機関・福祉施設、家庭内などが中心だが、地域により飲食店でも引き続き発生している。また、各地で若年層の感染者数の下げ止まりの傾向も見られ留意が必要。
    • 現在の新規感染者数の減少局面において、周辺地域に比べ都市部での減少が遅れている。変異株のリスクもある中で、減少傾向を続ける取組が必要。国内でも変異株の感染が継続して確認されている。変異株の感染を早期に探知し、封じ込めることが必要。
  • 必要な対策
    • 新規感染者の減少傾向を継続させ、リバウンドを防止し、重症者数、死亡者数を確実に減少させる。さらに今後、ワクチン接種に対応する医療機関の負荷を減少させ、地域の変異株探知を的確に行えるようにするためにも、対策の徹底が必要。
    • 感染者数の下げ止まりや医療提供体制等への負荷の継続、変異株のリスクもあり、そうした中で緊急事態宣言の解除がリバウンドを誘発することへの懸念に留意が必要である。緊急事態宣言が解除されたとしても、ステージ2水準以下を目指し、地域の感染状況等に応じ、飲食の場面など引き続き感染を減少させる取組を行っていくことが必要。昨年夏の感染減少の後、一定の感染が継続し再拡大に繋がったことを踏まえ、感染源を探知し減少を継続させる取組が必要。このため、感染リスクに応じた積極的検査や積極的疫学調査を再度強化できる体制が求められる。また、今般の取組の評価も踏まえ、次の波に備えた対応を行うことが重要。
    • 再拡大防止には、恒例行事など節目での人々の行動が鍵である。今後、大人数の会食を避けるなどの観点から、年度末及び年度初めに向けては、歓送迎会、謝恩会、卒業旅行、お花見に伴う宴会等は避けていただくことに協力が得られるよう、効果的なメッセージの発信が必要。
    • 「高齢者を守る」ために、クラスターの発生が継続している福祉施設等における感染拡大を阻止する取組が必要である。計画に基づく施設等の職員への検査の着実な実施や専門家派遣等による感染症対策の支援等が求められる。
    • ワクチン接種が医療従事者から開始された。接種を踏まえた感染状況への影響を継続的に評価・分析していくことが必要。
  • 変異株
    • 検疫体制の強化の継続とともに、今後、変異株の影響がより大きくなってくることを踏まえた対応が必要。このため、国内の変異株のサーベイランス体制の早急な強化(民間検査機関や大学等とも連携。国は自治体の検査数等を定期的に把握)により、変異株感染者の早期検知、積極的疫学調査による感染源の特定や速やかな拡大防止策の実施や広域事例への支援等が求められる。併せて感染性や病原性の特徴等疫学情報についての評価・分析が必要。
    • N501Y変異を有さないE484K変異を有する変異株についても実態把握の継続が必要。個人の基本的な感染予防策は、従来と同様に、接触機会の削減(3密、特にリスクの高い5つの場面の回避等)、マスクの着用、手洗いなどが推奨される。併せて、症状のある場合は適切な検査・受診が必要。また、こうした取組の全体像を示していくことが必要。
  • 今回、緊急事態措置が解除された府県の知事の皆様へのお願い
    • 本日の緊急事態措置期間から1週間の前倒しでの解除に関しては、変異株の出現、医療提供体制・公衆衛生体制の負荷の継続、及び前倒し解除が人々の意識に与える影響などから、基本的対処方針等諮問委員会において、感染再拡大(リバウンド)の可能性について強い懸念が示された。
    • このことを踏まえ、以下の対策が着実に打たれることを前提として、今回、基本的対処方針等諮問委員会は当該府県の解除に合意した。
    • 緊急事態措置の解除後、感染再拡大を防止することが極めて重要であることから、「緊急事態宣言解除後の地域におけるリバウンド防止策についての提言」(令和3年2月25日新型コロナウイルス感染症対策分科会提言)を参考として取り組んで頂きたい。
      1. 若者をはじめとした地域の皆さんが必要な感染防止策を継続して頂くため、一体感のあるメッセージを国・専門家とともに発信すること。
      2. 感染再拡大の予兆を早期に探知するため、感染リスクが高いと思われる集団・場所を中心に無症状者に焦点を当てた検査を行うこと。
      3. 隠れた感染源が存在すると考えられる地域では、「深掘積極的疫学調査」を実施すること。
      4. 変異株についての監視体制を強化すること。
      5. 感染拡大が懸念される場合には、まん延防止等重点措置の活用も含め躊躇なく迅速に必要な対策を行うこと。
      6. さらに、今後の感染拡大に備え、引き続き病床等の確保に万全を期し、今回の経験も踏まえた医療提供体制・公衆衛生体制の強化を行うこと。
  • 緊急事態宣言解除後の感染拡大防止策
    1. 緊急事態宣言下における取組の段階的緩和
      • 対策の緩和については、段階的に行い、必要な対策はステージ2相当以下に下がるまで続けることが基本。
        1. 営業時間短縮要請(知事が行う時短要請について、国として支援)
        2. イベント開催制限(一定の経過措置を経て、その他地域レベルに復帰)
        3. テレワークの徹底(出勤者数7割削減を目指すテレワークの推進)
    2. 感染再拡大防止策
      1. 営業時間短縮要請に関して、引き続き、見回りや働きかけ活動を徹底
      2. 飲食店における業種別ガイドラインの遵守徹底
      3. 検査の戦略的拡充。感染拡大の予兆を早期に探知するための幅広いモニタリング検査・高齢者施設での集中的検査等
      4. クラスター対策の強化。濃厚接触者に積極的疫学調査の再度強化
      5. 感染拡大の兆しをつかんだ場合には、改正特措法によるまん延防止等重点措置の活用
      6. ワクチン接種の着実かつ円滑な実施
      7. 変異株への包括的な対応強化

【衆議院/参議院】

※現在、該当の記事はありません。

【内閣府】

【2021年5月】

~NEW~
内閣府 第6回経済財政諮問会議
▼議事要旨
  • コロナ禍からの回復に向けた動きにおいて、大きな国際競争が進展しつつある。日本はその中で勝ち抜いていかなくてはならない。そのためには、新型感染症への対応、デジタル化・グリーン化への攻めの対応に加えて、長年言われてきた「日本問題」、すなわち年功序列や高コスト構造、硬直的産業・就業構造といった課題を早急に克服しなくてはいけない。
  • 持続可能な経済財政運営のためには、マーケットに安心感を与えることが必要で、前回も申し上げたが、日本の国債の信頼性を担保し続けることが不可欠。そのためには、日銀との緊密な連携や現実的な財政健全化目標の提示とともに、経常収支黒字を長期的に安定させることが必要。
  • 重要な柱の一つが、前回も申し上げ、竹森議員もお話しされていたが、貿易・海外進出の振興による外需の獲得ではないか。米国をはじめとした拡大需要の取込みや、コロナ禍で脆弱性が明らかになった戦略物資や製品に係るグローバル・サプライチェーンの再構築を推進するとともに、日本の中堅・中小企業がその受皿になるように、JETROを通じた調査、販路の開拓、そして積極的なプッシュ型の支援を是非ともお願いできないか。
  • また、世界の趨勢であるEVシフトに合わせた積極的な産業政策が必要なのではないか。技術のある有望な自動車部品メーカーなどの中堅・中小企業が、例えばドローンやロボットの製造へ展開してくといった戦略的産業振興が必要なのではないか。梶山経産大臣におかれては是非とも御検討、推進いただきたい。
  • 沖縄にはドローンを活用した離島への物資運搬ニーズや技術基盤を提供できる沖縄科学技術大学院大学、OISTがあり、ここは大変立派な科学者がおられるところだが、例えば沖縄に特区を設けて、産官学人材や企業を徹底的に集めるのも一案ではないか。このように、内外の優秀な人材を要するOISTをより一層活用することも一考ではないか。
  • 貿易、海外進出の振興やEVシフトという、これらの対応を上手く進めることで、中堅・中小企業に新たな人材が必要になり、まさに自然と円滑な人材移動が生まれてくるのではないか。
  • 日本の平均賃金の水準は、国際的にも大変低いというのが実情。そして、諸外国は労働者への分配強化の観点から、コロナ禍であっても着実に最低賃金を引き上げていることが明確に出ている。一方、日本では一般労働者の賃上げは継続される中、昨年の最低賃金の水準は残念ながら横ばい。これにより、一般労働者との賃金格差が拡大すると同時に、都道府県によっては生活保護水準ぎりぎりになっている方々も出ているという、大変厳しい状況であると分析される。この構造を抜本的に変え、国民の所得水準の底上げを図っていかない限り、持続的な経済成長の基盤は作れないと強く認識すべき。
  • コロナ禍の経済状況を理由に反発があるかもしれないが、経済の実態を見ると、製造業では、世界的な需要の回復を受け、好業績を上げている企業も多い。サービス産業、飲食業を中心に厳しい被害を受けている業種があるのは事実だが、既に大きな支援策を講じており、今後も必要に応じて継続していくことに加え、ワクチン接種が進めば、秋以降は消費喚起策の効果もあり、繰越需要、ペントアップデマンドが爆発する見込みもある。場合によっては、人手が大変必要になる状況が出てくる可能性もある。このような実態を踏まえれば、最低賃金を最低3%引き上げることは十分可能であり、また、御理解いただけるのではないか。
  • 各国とも、コロナ禍において財政出動を行っている。戦後ほぼ一回も財政出動をしたことがないドイツですら財政出動をすることになり、その財源を補う措置を講じようとしていることも踏まえ、日本としても財政健全化の旗は降ろさず、応能負担の強化を図り、また、着実に歳出・歳入の両面の改革を引き続き実行することが重要。新浪議員が説明された資料3にもあるが、コロナ対応に万全を期しているところ、同時に社会保障、非社会保障、また、地方に関する歳出改革の目安は、コロナ禍でも財政規律としてしっかり機能してきた。来年度から団塊の世代が後期高齢者になり始めることを踏まえ、今後もこうした取組を継続していかなければならない。もう一点、最低賃金については、コロナで大変な状況にあるとは思うが、民需主導の自律的な経済の好循環を実現するために、コロナ前に引き続き、積極的な賃金アップを継続していただくことが重要。
  • 日本は、今、足下の政策と少し先を見据えた政策と両方進めていく必要があると思う。少し先を見据えた政策も今から進めておかないと、状況が変わった時に対応できない。その点から言えば、この財政健全化のプランをしっかり立て、将来の健全化を図っていく、目標をしっかり達成していくということが非常に求められる。
  • そのためには、今、副総理からもお話があったように、やはり応能原則を推進して、歳入面での改革をしっかりしていく。それから、全世代型社会保障改革を今までしっかり推進していただいているが、より一層、これを推進していくこと。エビデンスに基づいたアウトカムをしっかり見据えた歳出改革をやっていくというのが大前提だ。
  • 世界経済、日本経済は、この夏頃を境に大きく変わるだろう。アメリカのコロナ対策が進んでいるのと、200兆円の景気対策の効果で需要が盛り上がってくる。それが日本経済に輸出ブームという形でおそらく影響する。そのとき、輸出ブームに1回限りで乗るのではなく、輸出型の経済に変えていくべきだ。
  • そのためには対日直接投資を呼び込んで、世界のビジネスモデルを取り入れていくことが大事だと思う。
  • オンライン教育について、これはGIGAスクール構想に体現されているが、出発点は1人が1台の端末を持つということ。つまり一人が1台の機械を所有し、それを自分の能力の延長にすることができなくてはならない。そのためには使い込まなければならない。そのため、持つということが非常に大事だ。学校にあるものを使うのではなくて、持つという感覚が大事だ。ただ、これはハードが先行し、ソフトが後から来る計画であったことは否めない。その歪みが、例えばデジタル教科書ができるのが、教科書の改訂のタイミングからして2025年という遅い時期になるとか、オンライン教育ができる人材が不足しているとかいう形でてきている。ただ、そうであっても、これを進めていく、実行しながら問題を発見していくことは非常に大事だと思う。既にリモート教育を行った経験から、円滑に進められるところ、進められないところが洗い出されている。問題があるところはどんどん手を加えていくべきだ。
  • Society5.0時代を生きていく子供たちに必要な能力を育むため、教育の無償化、一人一台端末の整備や小学校35人学級の計画的整備などを進めている。今後、こうした政策の効果を検証しつつ、多様な子供たちを誰一人取り残すことなく育成する「個別最適な学び」と、多様な個性を最大限に活かす「協働的な学び」を一体的に充実し、質の高い学びを実現することが必要。
  • 今後の価値創造の源泉となる科学技術・イノベーションを担うのも人である。博士課程学生の支援や大学ファンドの創設、研究のDXなどにより、若手をはじめとした多様な研究者が一層自由に研究に打ち込み、活躍できる環境を整備していく。
  • また、今後の感染症のまん延にも備えるべく、社会的ニーズに対応可能な医療人材の資質・能力向上のための医師養成課程の在り方の見直しや、ワクチン開発に向けた平時からの官民協調による研究開発等を検討していく。
  • 大学ファンドの話だが、この創設を契機に抜本改革を進める。東大の前総長、五神先生が出された意見も見たが、ファンドの参画大学では、大学を経営する経営者としてふさわしい人材を内外から確保する。また、卒業生からの寄附金や企業との共同研究等、外部資金を大幅に増やすなどの改革に是非コミットしていただくことが大事で、こういった話をきちんと整理していただくにあたっては、萩生田大臣に期待するところ。
  • やはり改革はしなくてはいけない、新しいものに取り組んでもらわなくてはいけない。そうすると、既存の教員の方々プラスアルファ外部の人材、それをサポートする人材、こういうところを手厚くしないと、政府が声をかけても、現場のところになかなか落ちていかない。やはり現場のところにしっかりと外部人材を活用するというところが肝だと思う。これは、一方では、学校の側も、これは全て教員の仕事だから他に任せられないというような形ではなく、少し外部の人材、外部の機関を積極的に取り入れる姿勢というのも必要ではないかと思っている。
  • 高度人材というところだと、個人的にはAI人材がやはり重要なのだが、今、新たに重要になっているのはサイバーセキュリティ人材だと思う。世界中でサイバーセキュリティが重要になってきている。これは国内でそういう人材を確保しないといけない。かつ、サイバーセキュリティの人材について、海外でもいろいろ話を聞いたが、これは日本人にすごく向いている分野だと思う。新しいアイデア、今までなかった新しいものを出してくれというよりは、極めてきちんと詰めていくというところが、それだけではないが重要なので。サイバーセキュリティ人材の育成というのは日本にとって非常に大きなポイントと思っている。

内閣府 令和3年第6回経済財政諮問会議
▼資料3-1 経済・財政一体改革の推進(有識者議員提出資料)
  • 新型感染症の影響と経済財政状況
    • 各国経済は、新型感染症への対応により危機的状況に直面したが、その後の回復に向けた動きの中で、大きな国際競争が進展しつつある。日本経済がその中で勝ち抜いていくためには、新型感染症への対応、デジタル化・グリーン化への攻めの対応に加えて、長年言われてきた「日本問題」、つまり、年功序列、高コスト構造、硬直的産業・就業構造といった従来型の経済構造をグローバルな変化に対応したものへといかにスピード感もって変えられるかがカギである。「経済あっての財政」の考え方の下、そうした取組を通じて、付加価値を高め、稼ぐことのできる(経常黒字を継続できる)強い経済を構築していくことが、財政健全化にも不可欠となる。
    • 日本経済は、海外経済が持ち直す中、新型感染症に対し累次の対策等を講じたことで、主要先進国の中でも大きな落ち込みを避けられており、今後、ワクチン接種等を通じて経済活動の正常化が進めば、実質GDPがこの秋にも新型感染症前の水準を回復すると見込まれている。ただし、足下では3回目の緊急事態宣言が発出・延長されており、下振れリスクに十分注意する必要がある。
    • 財政面では、新型感染症による経済の落ち込みを下支えする観点から、機動的かつ大胆な財政出動を行ったこと等により、国・地方PBは足元で一時的に改善軌道から大きく乖離する見込みである。引き続き、新型感染症の影響など経済状況に応じた機動的・弾力的なマクロ経済運営を行い、経済の下支え・回復を最優先に取り組む必要があるが、各国とも、財政出動を行う中でその財源を賄う措置を講じようとしていることも踏まえ、わが国も財政健全化に向けしっかりと取り組んでいくべきである。
  • 経済・財政一体改革に向けて
    • 足元依然として大きなGDPギャップが存在する中、15か月予算を着実に執行していくとともに、引き続き、新型感染症の影響など経済状況に応じた機動的・弾力的なマクロ経済運営を実施すべき。また、新型感染症の影響で職を失ったり、事業が困難な状況におかれている方々など厳しい状況にある方々には、これまでの経済対策や予備費等も活用しながら、きめ細かく対応していくべき。
    • コロナ禍で若者・子育て世代を中心に将来不安が拡大。社会保障への要望も高まっている。将来世代の不安を取り除くためにも、全世代型社会保障改革を今後もしっかり進め、社会保障の持続可能性を確保する必要。そのため、PB黒字化、債務残高対GDP比縮減の財政健全化目標を堅持すべき。
    • これまで歳出の目安が目標達成のための財政規律としての役割を果たし、歳出抑制効果をもたらしており、団塊の世代の75歳入りも踏まえれば、2022年度以降にも適用すべき。少なくとも団塊の世代が75歳以上になるまでの間、社会保障は高齢化による増加分、非社会保障はこれまでの取組を継続、地方は一般財源総額をこれまでと実質的に同水準を確保、といった現在の目安の仕組みを堅持すべき。
    • 新型感染症によって、経済財政状況は大きく変化している一方で、世界経済も足元大きく回復しつつある。こうしたことを踏まえ、年度内にエビデンスベースで経済・財政両面からしっかりとした検証を行う。
    • 新たな国際経済秩序の下で、今後取り組むべき構造改革・国際経済戦略の基本的考え方を、以下の要素を盛り込みながら諮問会議の下、有識者の参加を得て検討すべき。
      • レジリエントなサプライチェーンの構築、レアアース・水資源の確保、グローバル・ネットワークの構築など戦略的な対外経済関係の構築とそれに向けた産業政策のレバレッジ化
      • 経済社会生活のあらゆる面でのデジタル・オンラインの最大活用と基礎インフラ化
      • 2050年カーボンニュートラル実現に向けた経済社会構造の展開
      • 民間の知恵・資金・人材の活用(研究開発、人材投資・若手人材登用、知的財産活用、迅速な社会実装化)、寄付促進やNPO支援など共助の仕組みの拡充
  • 今後の中期的な重点課題
    1. マクロ経済運営の重点課題
      • デジタル・グリーン等を成長の原動力として生産性の向上と賃金所得の拡大を通じた経済の好循環を実現するとともに、コロナ禍で明らかになったグローバルサプライチェーンの脆弱性を克服し、特定国に依存しないレジリエントな対外経済関係を構築することで、海外需要を戦略的に取り込み、中小・中堅企業・地方の活性化につなげるべきである。
      • 生産性の向上・イノベーション牽引と賃金所得の拡大を通じた経済の好循環の実現
        • デジタル人材の強化、高付加価値産業・成長産業への失業なき人の移動促進、非正規等をはじめとする雇用環境の改善推進、女性・若者の活躍推進、最低賃金を含む賃上げモメンタムの継続・強化
        • 電動車化の流れを踏まえた自動車部品メーカーの構造転換やドローン・ロボット等へのシフトといった戦略的産業振興(特区の活用・産官学人材の集積等)
        • レジリエントなサプライチェーンの戦略的構築に向けた対日直接投資の拡大(グリーン・デジタルなどの今後の成長分野における海外からの技術・ノウハウ・資金の積極活用)
        • 2050年カーボンニュートラル実現に向けて、脱炭素を軸として成長に資する政策を推進する、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底する、公的部門の先導による脱炭素実現を徹底する、という3つの考えの下で取り組み、経済成長の喚起と温暖化防止との両立を図り、将来世代への責務を果たす。
      • レジリエントな対外経済関係・サプライチェーンの構築と海外需要の戦略的な取り込み
        • インド太平洋地域との経済連携の強化や多様な協力推進、サプライチェーンの多元化・強靭化
        • JETROを通じた中小・中堅企業へのプッシュ型輸出振興・海外進出支援、インバウンド・農林水産物・食品輸出の再生・拡大等を通じたGNIの拡大
    2. 歳出・歳入改革の重点課題
      • デジタル、グリーン、地方活性化、子ども・子育て・若者への重点的・継続的な資源配分(メリハリ付け)
      • 団塊世代の75歳入りを目前にし、出生数が大きく落ち込んでいる現在、社会保障改革を継続・拡大(デジタル活用の徹底、現役世代の負担軽減に向けた全世代型社会保障改革、若者・子育て世代対応の強化、格差是正の強化、予防の徹底・健康づくりの推進)
      • 非社会保障を含めた歳出全般について、徹底したワイズスペンディングの実行・効果を示せない歳出の削減(その実効性を高めるための経済・財政一体改革エビデンス整備プラン(仮称)の策定・実行等)
      • 歳入面での応能原則の強化
  • 日本経済の底上げに向けて 基本認識
    • 新型感染症への対応について、引き続き、焦点を絞った感染防止策と経済支援、ワクチン接種の拡大を推進する。そのうえで、デジタル・グリーン・人材を中心とした生産性向上の取組を通じて所得・雇用の増加につながる経済の好循環の拡大を実現し、今年度後半にはコロナ前の水準を回復し、自律的な経済成長軌道に乗せていく必要がある。そのブースターとなるのが最低賃金を含む賃上げである。また貧困化を防ぐためにも、最低賃金については、今年度後半から、しっかりと引き上げるべきであり、それを実現させる環境を整備し、日本全体の賃金水準の引上げにつなげていくべき。
    • 今年の春闘でも、中小企業は賃上げを継続し人材の確保を図るなど前向きの動きが続いている。デジタル化など生産性向上や海外展開等を目指す中小企業への支援を強化するとともに、大企業との取引における価格転嫁の円滑化を図り、中小企業全体の生産性向上と最低賃金を含む賃金の底上げに向けた環境を整備すべき。さらに、新型感染症の影響を大きく受ける企業に対しては、事業・雇用の維持や事業再構築等の支援に万全を期すとともに、今後の需要喚起に向けて、別途しっかり支援すべき。
    • 欧米では、働く人への分配強化の観点から、新型感染症下の厳しい経済状況の中にあっても、昨年、今年と着実に最低賃金が引き上げられてきている。一方、我が国では、昨年及び今年と一般労働者の賃上げが継続される中、最低賃金は昨年横ばいになるなど、一般労働者との賃金格差が拡大している。また。仮に最近の所定内労働時間の動きを反映すると、最低賃金の下での所得は、都道府県によっては生活保護水準ギリギリとなっている。貧困化を防ぐためにも、能力開発や就業支援の強化と最低賃金の引上げは、不可欠な取組である。
    • 特に、(1)今年4月以降、中小企業にも同一労働同一賃金が適用される中で、最低賃金引上げと合わせて、正規・非正規や男女間の賃金格差の是正と雇用の正規化を進めるとともに、最低賃金引上げによる賃金格差是正を通じて、(2)都心からの人材流入が起こりつつある地方において人材を確保するチャンスとして、生かしていくべき。
▼資料4-1 経済・財政一体改革の当面の重点課題~文教・科学技術~(有識者議員提出資料)
  • 新型感染症の下では、オンライン教育の対応の遅れや自治体間の格差といった課題が明らかになったが、少子化が進行する下で、新しい付加価値を創造できる経済社会を構築するには、教育の質を高めることが喫緊の課題である。合わせて、世界レベルのイノベーション創出に向け、研究力を向上させることも不可欠である。学校の一人一台端末の導入や10兆円規模の大学ファンドの創設等を梃子に、改革をより大胆に進める必要がある。また、これら諸課題には、スピード感を持って取り組み、具体的な成果につなげていくことが重要である。
  • 具体的には、以下の経済・財政一体改革の重点課題について、諮問会議の専門調査会である経済・財政一体改革推進委員会等で議論してきた別紙の取組と合わせ、緊急時対応、平時の構造改革の両面から、政策効果を具体的にデータで示す等、エビデンスベースでの改革に果断に取り組むべき。
  • オンライン教育・デジタル人材育成等
    • 一人一台端末配置済の全小中学校で、オンライン教育の日常的な活用を今年度中に開始すべき。できない小中学校のある都道府県・市町村には、その理由と対処方針、いつまでに開始するのか、年内に工程表の公表を求め、個別最適な学び、学習環境の格差防止の推進につなげていくべき。
    • デジタル教科書は、一人一台端末に一体として搭載されるべきソフトであり、端末配置の意義を確実なものにするためにも、端末と同様、導入拡大と内容の充実に着実に取り組むべき。また、それを十分に活用できる教員側の体制づくりも不可欠。上記の各自治体での取組、さらには2020年度以降の小中高校でのデジタル教科書の導入拡大計画やその進捗を踏まえ、教員のICT活用・指導力の育成、外部のICT人材による支援、学校のネットワーク環境の安定性の確保等、デジタル教科書・教材の普及・活用のための対策を、国主導の事業により、早急に具体化すべき。
    • 授業目的公衆送信補償金については、昨年度は新型感染症の下で特例的に無償化されたが、予算措置を適切に反映し保護者等の無償化を継続するなどして、デジタル教科書・教材の当面の普及加速につなげるべき。
    • 地域によってICT化を支える人材の配置に遅れがみられ、教員の端末活用スキルにもばらつきがみられる。各自治体でICT支援員を確実に配置するなど、外部のICT人材による支援を着実に進め、研修の充実等と合わせ、教員のICT活用・指導力の向上につなげるべき。
    • 家庭によっては端末を持ち帰って利用するための高速通信環境が不十分であり、落ち着いて学習できる環境も限られている。低所得世帯の生徒向けの機器貸与等の施策を速やかに実施するとともに、図書館・公民館等における無料の学習スペースの開放を推進すべき。
    • 大学入学共通テストの受験料等を負担できるかどうかが大学進学の機会格差を生むことがないよう、高等教育無償化のための給付型奨学金の支給対象となる学生については、受験料を免除するなどの措置を講じるべき。
    • デジタル人材を全国的に育成するため、教育機関における育成カリキュラムや教育コンテンツを抜本的に強化すべき。専門機関におけるトップレベルの高度デジタル人材の育成、スーパーシティ・スマートシティや企業・地域との連携強化を通じた人材育成が必要。また、この分野に対する大学・高専・専門学校の教育課程を拡充すべき
  • 研究開発・大学改革の強化
    • 世界レベルのイノベーション創出に向け、10兆円規模の大学ファンドを着実に実現するとともに、同ファンドに参画する大学には、経営と教育研究の長を分離しプロによる経営を徹底する、外部資金を拡大するなど、イノベーション創出につながる大学改革を求めるべき。
    • 博士号取得者の増加・活躍に向け、創発的研究支援事業や10兆円規模の大学ファンド等を活用した経済的支援は、優れた研究と研究者個人に直接的に給付する柔軟な仕組みとした上で、事業全体を充実させるべき。
    • 新たな研究成果やイノベーションの創出には、研究の多様性が不可欠である。大学における若者・女性・外国人の大胆な登用、社会人の受入れにKPIを掲げ、見える化を徹底すべき。
    • キャリアの多様化を通じて研究の多様化を実現するためにも、博士号取得者については、基礎研究に加え社会実装の素養も育成するなど、イノベーション創出を目指す企業との円滑なマッチングが促される教育プログラムも提供するとともに、企業における採用状況を見える化するなど、博士人材を巡る採用環境を改善すべき。

内閣府 新型コロナウイルス感染症の影響下における中小企業の経営意識調査
  • 主な結果
    • 最低賃金の引上げを含む賃金相場が上昇した場合の対応策について
      • 中小企業は、賃金相場の上昇への対応策として、「人件費以外の経費削減」のほか、「業務効率改善への取組による収益力向上」、「製品サービスの新開発/提供方法の見直し」等の前向きな取組を上位に挙げており、また、「設備投資の抑制」よりも「システムや設備の導入による生産性向上」の割合が上回る。
      • 「雇用の削減」と回答した割合が1割程度。とりわけ、地方(C・Dランク※地域)の中小企業ほど、「雇用の削減」と回答した割合は低い。
    • 最低賃金の引上げを含む賃金相場の上昇に対応するために必要な支援策について
      • 最低賃金近傍の従業員を抱える中小企業は、「景気対策」を最も必要な支援として回答、次いで、「生産性向上に向けた設備投資支援」、「人材育成・教育訓練・技能訓練支援」。
      • 他方、賃上げに積極的な中小企業は、「生産性向上に向けた設備投資支援」、「人材育成・教育訓練・技能訓練支援」を「景気対策」より優先して回答。
    • 非正社員の賃上げを実施することによる効果・負担について
      • 賃上げで見込まれる効果については、「社内人員の士気向上・定着」が最も回答割合が高い。
      • 賃上げで見込まれる負担としては「利益の圧縮」と回答した割合が高く、「投資向けの資金の減少」は最も低い。
    • 同一労働同一賃金への対応について
      • 2021年4月施行の同一労働同一賃金について、処遇改善などの対応を予定している企業は約4割。
    • テレワークについて
      • テレワークを導入している中小企業は2割程度、今後取り組むことを予定している企業を合わせると約3割。テレワークを導入しない理由としては、「テレワークに適した仕事がない」、「業務の進行が難しい」、「顧客など外務への対応に支障がある」が多い。回答企業全体と最低賃金近傍の従業員を抱える企業との回答傾向の違いはほとんどない。
  • 感染症拡大前(2019年)から感染症拡大後(2020年)にかけて、“売上減”を回答した企業の割合は23%から70%に増加。“採算赤字”を回答した企業の割合は22%から50%に増加。現在の経営課題として、「コロナ感染拡大による売上減」と回答した企業の割合は65.5%。本調査において半数を超える企業がコロナ感染拡大により経営に悪影響が生じている。
  • 「人件費以外の経費削減」の回答割合が高い業種は、「運輸業・郵便業」。「業務効率改善への取組による収益力向上」の回答割合が高い業種は、「製造業」。「製品サービスの新開発/提供方法の見直し」、「販路拡大等による収益力向上」、「既存製品、サービスの値上げ」の回答割合が高い業種は、「宿泊・飲食サービス業」。「システムや設備の導入による生産性向上」の回答割合が高い業種は「宿泊・飲食サービス業」で、「設備投資の抑制」を大きく上回る。「正規雇用者の削減」、「非正規雇用者の削減」の回答割合が高い業種は、「宿泊・飲食サービス業」。
  • 「賃上げ実施予定」の回答割合は、正社員向けの回答割合(36%)が非正社員向け(24%)を上回る。「賃上げ実施予定」の回答割合は、正社員/非正社員とも、最低賃金近傍の従業員を抱える企業が高い。3割程度の企業が賃上げを実施するかどうか未定。
  • 同一労働同一賃金の対応について、何らかの対応を予定している企業は回答者全体で4割程度、最低賃金近傍の従業員を抱える企業で5割。「非正社員はいるが対応をする予定はない」は2割程度。対応内容として最も高いのは「非正社員の基本給の増額」。最低賃金近傍の従業員を抱える企業は非正社員の「基本給」、「賞与」、「退職金」、「各種手当」、「福利厚生」の増額・拡大の回答割合が、回答者全体と比較して高い。
  • 時短要請を受けたと回答した企業の割合は、5.9%。「宿泊・飲食サービス業」では、時短要請を受けたと回答した企業の割合は4割を超える。
  • 時短要請を受けた企業は、「雇用調整助成金」や「融資支援」、「GoToキャンペーン」を利用した割合が高い。時短要請を受けた企業で「従業員による休業支援金」を利用した割合は2割程度。
  • コロナ支援策全般に認知度は8割以上と高い。「融資」は利用した割合が40%超、「雇用調整助成金」は利用した割合が30%超。
  • 「小規模事業者持続化補助金」を利用した割合は3割程度。「キャリアアップ助成金」、「ものづくり補助金」、「トライアル雇用助成金」は1割程度。「キャリアアップ助成金」、「業務改善助成金」、「人材確保等支援助成金」、「産業雇用安定助成金」、「トライアル雇用助成金」、「働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)」は認知度が5割以下。
  • 「所得拡大促進税制」、大企業が主に取り組むべき「下請け取引ガイドライン」、「パートナーシップ構築宣言」を利用した割合は1割未満で、認知度ともに低い。

内閣府 令和3年第5回経済財政諮問会議
▼資料1-1 少子化対策・子育て支援の加速(有識者議員提出資料)
  1. 子ども・子育て世帯支援の強化
    • 新型感染症下で深刻化した子ども・子育て世帯が抱える課題や孤独・孤立問題、格差問題には早急な対応が必要。
      • NPOとも連携しながら、弱い立場にある者への支援を強化すべき。低所得者のふたり親世帯に対する子育て世帯支援特別給付金の迅速な支給に向け、デジタル庁関連法案により可能となるマイナンバーを利用した給付が可能となるよう、速やかに特定公的給付の指定を行うべき。
      • 社会の安心・安全は子育ての基盤であり、緊急事態時における保育・教育・子ども医療の在り方については、今回の経験を踏まえ、データに基づいてしっかりと検証を行い、今後に備えるべき。
      • 上記の広範な課題について、これまで相当程度の資金を投入して少子化対策、子育て支援策を講じてきた。これらの各種施策の効果を徹底的に分析し、総点検した上で、具体的成果につながる適切なKPIを定めた包括的な政策パッケージを策定し、推進していくべき。
      • 子ども・子育て世帯等への支出を拡大する観点から、応能負担を中心に財源を確保しつつ、必要な支援策を講じ、諸外国比でみてもそん色ない水準に引き上げるとともに、より効果的な支出に振り向けていくべき。長期的には、歳入改革を通じて十分な財源を確保しつつ、子ども・子育て世帯に重点を置いて支援していくべき。
  2. 雇用・所得環境の引上げを通じた安心して結婚し子供を産める環境の整備
    • 非正規雇用の年収は300万円で頭打ちの傾向にある中、若年層の非正規比率は依然として高止まりしている。若者の婚姻・出産には、出会いの機会の不足に加えて、年収が少ないと子供が少ない、出産後の就業継続が難しい、男性の家事・育児時間が短いと第2子を持たない傾向など、働き方と所得環境が大きく影響しており、成長と雇用の好循環の拡大の実現は少子化是正に大きく寄与する。
      • 若年層に対する人材投資・能力開発等の促進を通じた付加価値生産性向上により、所得底上げを図るとともに、同一労働同一賃金の徹底、最低賃金の引上げ、正規化の促進等を通じて、賃上げのモメンタムを継続すべき。
      • ジョブ型雇用、テレワーク、共働き化といった子育て世帯を巡る働き方の変化を踏まえ、小児を抱える家庭でのテレワーク推進、病児保育サービスの促進、地域での子育て相互援助の推進等を強化すべき。また子育てサービスの多様化を推進し、情報の一元的提供等も強化すべき。
      • 年功賃金体系から生産性に応じた若手重視の賃金体系への見直しを更に推進すべき。また、家族手当・扶養手当について、配偶者から子供重視にシフトすべき。
      • 育児休業法改正案では、育休分割取得を可能にすることに加え、育児休業の取得意向確認、大企業の取得状況の公表が義務付けられている。性別を問わず希望する者が育児休業を円滑に取得できるよう、働きかけを強化すべき。
      • これまでに行われた制度改革の実効性を最大限高めるべく、経済界含め日本社会全体で、非正規から正規に転換できない、非正規に対する能力開発が行われない、育児で職場を離れると戻れない、男性は育休を取らない、といった意識・風土や慣行を抜本的に改めていくべき。
  3. 少子化対策・子育て支援のための体制の整備
    • 現在党で検討が行われている、いわゆるこども庁の検討に当たっては、組織論から入るのではなく、児童虐待や子供の貧困などをなくし、子ども及び子育て世帯が安心して暮らせる社会を実現するために必要な機能を明らかにし、それに最も良く対応できる組織とすることが期待される。
▼資料2 経済・財政一体改革の進捗(内閣府)
  • 歳出の目安
    • 社会保障は、薬価制度の抜本改革・毎年薬価改定といった国民の負担の軽減につながる改革や、75歳以上の高齢者の窓口負担割合の見直しによる現役世代の保険料負担軽減を実現。
    • 非社会保障も、ワイズスペンディング、社会資本整備の効率化・民間資金活用等に取り組み、目安に沿って横ばいに抑制。
    • 他方、コロナや災害、一時的な経済停滞等には補正予算等で弾力的に対応。
  • 人口動向
    • 団塊世代の後期高齢者入りは待ったなし。
    • 2025年には全ての団塊世代が75歳以上に。
    • 出生数は減少傾向。
    • 支え手が減少し、2025年には65歳以上1人を、64歳以下1.9人が支えることに。
  • 将来不安
    • 若者、子育て世代の将来不安が拡大。
    • 20代の政府への要望は、「医療・年金等の社会保障の整備」が最も高くなっている
  • 諸外国の財政関連の取組
    • 米国
      • 2021年3月31日に、8年間で総額2兆ドル規模のインフラ投資等を行う「The American Jobs Plan」を公表。併せて、その財源として、15年間で2兆ドル超の増収となる税制改正案「The Made in America Tax Plan」を公表。
      • 【主な税制改正案】
        • 法人税率の引上げ(21%→28%)
        • 米国の多国籍企業の国外軽課税無形資産所得に対する実効税率引上げ(10.5%→21%)
        • 化石燃料への税制上の優遇措置の撤廃
        • 4月中に、第2弾として「The American Families Plan」が公表される予定であり、同時に、個人所得税の最高税率引上げ、キャピタルゲイン課税の強化等が検討されている。
    • EU
      • 「次世代のEUプログラム」(7500億€)の資金調達の為にEU共通債券を発行し、加盟国に配賦予定(補助金3,900億ユーロ、融資3,600億ユーロ)。
      • 返済のための財源確保に向け、プラスチック賦課金等を導入または検討中。
    • ドイツ
      • 2020年補正予算、2021年予算法による超過借入額について、2042年までの償還計画を公表。
        • 2020年補正予算1,187億€(GDP比3.6%)
        • 2021年予算1,642億€ (GDP比4.7%)
    • 英国
      • 2021年3月3日、2021年度予算に関し、コロナ禍で悪化した財政状況を受け、財政健全化に向けた措置として、法人税率の引上げ等の税制改正案を発表。
      • 【主な税制改正案】
        • 法人税率の引上げ(一律19%→最高25%)
        • 外食、ホテル及び映画館等を対象とする付加価値税の軽減(標準税率20%→5%)を2021年9月まで延長
▼資料3-1 社会保障改革~新型感染症を踏まえた当面の重点課題~(有識者議員提出資料)
  • 新型感染症で明らかとなった課題を踏まえ、社会保障改革にメリハリをつけて取り組む必要がある。感染者数が欧米より一桁以上少ないにもかかわらず医療は逼迫しており、医療資源の量的な問題以上に資源配分に問題があることは明らかである。このため、医療提供体制の見直しやリアルタイムで現状や課題を把握できる体制の強化は急務である。また、2022年から団塊世代が75歳に入り始めることを見据え、現役世代の負担の軽減につながる改革に引き続き着実に取り組むとともに、若年世代に光を当て、出生数の更なる減少や格差の拡大・固定化・再生産への懸念に対応する取組を強化する必要がある。
    1. 新型感染症で明らかとなった課題への対応
      • 高齢者へのワクチン接種が開始され、今後の死亡者数の減少に大きく寄与することが期待される。他方、新型感染症に柔軟に対応できない医療提供体制、データ活用の遅れなど新型感染症で明らかとなった課題の克服に早急に取り組むべき。特に、以下の医療提供体制の改革に向けては、現在の緊急事態への対応においてより強力な体制と司令塔の下で強力に推進することとし、取組の工程化を図るとともに、その進捗を経済財政諮問会議に報告すべき。
        1. 緊急時対応の強化
          • 感染拡大の兆しがみられる都道府県は、「確保病床」の確保と第3波のピークの2倍も想定した患者に対応可能な病床の上積みも含めた体制の確保に直ちに取り組むべき。国は大病院を中心に病床確保の進捗状況の見える化を図りつつ必要な支援を行うとともに、当該地域への医療従事者を含めたワクチンの重点接種や医学生等による臨時的な接種を検討すべき。
          • 諸外国の取組も参考にしながら、国公立病院だけでなく、民間病院を含めて緊急時に必要な医療資源を動員できる仕組みや都道府県を超えて患者の受入を迅速かつ柔軟に調整する仕組みを早急に構築すべき。特に、医療提供体制の逼迫時においては、新型感染症患者を受け入れる病院の診療報酬による減収分の補てんと合わせ、受入病院の指定など民間病院に対する都道府県知事の権限や手段を強化し、病院を代表する組織との連携を図りつつ、病床や後方支援体制、医療従事者を確保すべき。
        2. 平時の構造改革
          • 今後の医療需要の変化を見据え、医療機関の機能分化・連携を進めるとともに、医療従事者が分散する体制を見直すため、地域医療構想を着実に推進すべき。
          • 資源が分散し、体制が弱い救急医療体制について、次期医療計画(2024年度~)での集約化・大規模・強化の推進に向け、その方向性について諮問会議で議論を行うべき。地域医療連携推進法人制度の活用等を通じて、病院の連携強化や大規模化を強力に推進すべき。
          • 不足する救急救命医等について、長期目標の設定・財政支援等により計画的に育成すべき。看護師の機能を多層化し、看護師の職責を拡大するとともに、マイナンバー制度を活用したオンラインによる資格管理体制を構築し、看護師の登録制を実効あるものとすべき。看護師が離職する要因や潜在看護師の復職に向けた課題を明らかにし、その解消に全力を挙げるべき。
          • 医師・看護師が広く薄く分散する体制を見直すため、1入院当たりの包括払いを原則とする診療報酬への転換等により、病床数や在院日数を適正化すべき。
          • 医療機関の機能分化や統合を促すため、診療報酬のインセンティブの強化やかかりつけ医機能の制度化を進めるべき。かかりつけ医は感染症への対応、予防・健康づくり、オンライン診療、受診行動の適正化、介護施設との連携や在宅医療など地域の医療を多面的に支える役割を果たすべき。
        3. オンラインやデータの徹底活用
          • オンライン診療を徹底活用し、新型感染症下での国民の不安解消、予防・健康づくり、医療へのアクセスを確保すべき。
          • レセプトや医療法人の事業報告書等のデータの迅速な活用は急務である。それらを用いて、新型感染症による医療提供体制や医療機関への影響等を早期に分析できる体制を構築し、医療機関への効果的な支援等に活用すべき。
          • デジタル庁において、レセプトシステムやCOCOA5、G-MIS等を抜本的に見直すべき。その上で、医療・介護データを必要に応じて連携でき、リアルタイムで分析できる体制を早急に構築すべき。
        4. 国民の幸福長寿の推進
          • 現状ではワクチンを国内で開発できていないことを踏まえ、医療安全保障の観点からも、ワクチン開発のための体制を再構築すべき。
          • 国民の幸福長寿に向け、国民がレジリエントになっていく仕組みを構築すべき。予防・健康づくりサービスの産業化に向けて、保険者が策定するデータヘルス計画において、データヘルス計画の標準化、包括的な民間委託の活用、新たな血液検査など新たな技術の積極的活用などが盛り込まれるよう、計画の手引きや「健康日本21」に反映するとともに、アウトカムベースで適切なKPIを設定して推進すべき。
    2. 新型感染症の影響を踏まえたメリハリのある社会保障改革
      • 現役世代の負担の軽減につながる改革に引き続き着実に取り組むとともに、出生数の更なる減少や格差の拡大・固定化・再生産への懸念に対応する取組を強化する必要。これまで高齢者への支援が中心となってきた社会保障制度において、現役世代の負担軽減や支援強化に軸足を置いて改革を推進していくべき。
        1. 格差拡大等の懸念への対応
          • 共助を支える社会起業家や非営利組織の支援団体等との対話を踏まえ、孤独孤立対策、生活困窮者等への支援策を機動的に見直し・強化していくべき。
          • 求職者支援制度や高等職業訓練促進給付金の時限措置による受講者数や就職件数等の成果を毎月検証し、必要な場合には、財源の在り方も含めて早急に見直し、更なる拡充を行うべき。
          • 社会福祉法人の「社会福祉充実財産」について、生活困窮者の自立支援や子どもの学習支援などの地域公益事業に積極的に振り向ける方策を早急に導入すべき。
    3. 経済・財政一体改革の継続・強化
      • インセンティブ改革、公的サービスの産業化、見える化などを通じて、国民や自治体等の行動変容を促す取組について、エビデンスの蓄積によりEBPMを強化しつつ、以下の事項をはじめ、改革工程表に基づき着実に推進すべき。
        • 一人当たり医療費の地域差半減がしっかりと実現されるよう、地域医療構想のPDCA強化、医療費適正化計画の在り方の見直し、前期高齢者医療費の大宗を占める国保について法定外繰入を行っている自治体への普通調整交付金の減額、後期高齢者医療制度の財政運営責任の都道府県への移管など都道府県によるガバナンス強化を包括的に推進すべき。
        • 都道府県単位の介護給付費適正化計画の在り方の見直しなど一人当たり介護費の地域差縮減に寄与する取組を年内にパッケージとして示すとともに、その取組状況をインセンティブ交付金や調整交付金に反映し、市町村別に各評価指標を見える化すべき。

内閣府 男女共同参画局 男女共同参画会議(第63回)議事次第
▼資料2 「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2021」の策定に向けて
  • 男女共同参画は我が国の重要かつ確固たる方針であるとともに、国際的に共有された守るべき規範である。政府としては、昨年12月に閣議決定された「第5次男女共同参画基本計画」を、着実かつスピード感を持って実行していく必要がある。
  • こうした問題意識の下、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2021」の策定にあたっては、以下のような観点を踏まえるものとする。
    1. 女性の登用・採用拡大
      • 令和3年3月9日の「すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部合同会議」における総理指示を踏まえ、5次計画に掲げられた女性の登用・採用拡大に関する目標達成に向けた、令和3年度・令和4年度の各府省の取組内容を盛り込む。
    2. 新型コロナ対応
      • 新型コロナの感染拡大が特に女性に大きな影響を及ぼしていることから、コロナ下で特に取り組むべき内容を盛り込む。
    3. 女性活躍のための環境整備
      • 女性に対するあらゆる暴力の根絶、生涯を通じた女性の健康支援をはじめとして、女性活躍のために重点的に取り組むべき内容を盛り込む。
▼参考資料4 女性活躍の現状と課題
  • スイスの非営利財団「世界経済フォーラム」(ダボス会議)が公表。男性に対する女性の割合(女性の数値/男性の数値)を示しており、0が完全不平等、1が完全平等。日本は156か国中120位。「教育」と「健康」の値は世界トップクラスだが、「政治」と「経済」の値が低い。
  • 内閣府「令和元年男女共同参画社会に関する世論調査」によれば、男女の地位は平等になっていると思うか聞いたところ、社会全体でみた場合には、「平等」と答えた者の割合が2%、「男性の方が優遇されている」とする者の割合が74.1%(「男性の方が非常に優遇されている」11.3%+「どちらかといえば男性の方が優遇されている」62.8%)となっている。各分野については、「平等」と答えた者の割合が、「学校教育の場」で61.2%、「自治会やPTAなどの地域活動の場」で46.5%、「家庭生活」で45.5%、「法律や制度の上」で39.7%、「職場」で30.7%、「社会通念・慣習・しきたりなど」で22.6%、「政治の場」で14.4%。
  • 女性就業者数は、7年間(2012~19年)で約330万人増加。部長、課長、係長に就く女性割合は着実に伸びている。上場企業の女性役員数は、8年間(2012-2020)で約4倍に増加。諸外国の女性役員割合について、フランス2%、スウェーデン37.5%、イタリア36.1%、ドイツ35.6%、イギリス32.6%、カナダ29.1%、アメリカ26.1%、中国11.4%、日本8.4%、韓国3.3%など
  • コロナ下の女性の就業への影響について、就業者数は、男女とも2020年4月に大幅に減少。特に女性の減少幅が大きい。(男性:39万人減、女性:70万人減)年平均では、男女とも24万人の減少となった。2021年2月は、男女とも横ばい。・雇用者数は、男女とも2020年4月に大幅に減少。特に女性の減少幅が大きい。(男性:35万人減、女性:74万人減)年平均では、男性は14万人の減少、女性は17万人の減少となった。2021年2月は、男性は増加、女性は横ばい。
  • 女性に対する暴力について、女性の約14人に1人は、無理やりに性交等された経験がある。女性の約10人に1人は、配偶者からの暴力を何度も経験している。DV相談件数の推移を見ると、2020年4月から2021年2月の相談件数は、17万5,693件で、前年同期の約1.5倍。既に昨年度(2019年度)全体の相談件数(11万9,276件)を大きく上回っている。
  • 女性の自殺者数は、2021年3月は658人で、対前年同月150人増加。対前年同月では10カ月連続の増加。2020年合計では、男性は対前年で23人の減少であったが、女性は935人の増加。
  • およそ30年間で、母子世帯は約5倍、父子世帯は約1.1倍。母子世帯数84.9万世帯→123.2万世帯(ひとり親世帯の約87%)。父子世帯数17.3万世帯→18.7万世帯(ひとり親世帯の約13%)
  • 第5次男女共同参画基本計画において、進捗が遅れている原因として、政治分野(有権者の約52%は女性)では、立候補や議員活動と家庭生活との両立が困難・人材育成の機会の不足・候補者や政治家に対するハラスメント、経済分野では、管理職・役員へのパイプラインの構築が途上、社会全体では、固定的な性別役割分担意識を指摘。新しい目標として、「2030年代には、誰もが性別を意識することなく活躍でき、指導的地位にある人々の性別に偏りがないような社会となることを目指す」、「そのための通過点として、2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう目指して取組を進める」と明記。

【2021年4月】

内閣府 内閣府職員等が利用する「ファイル共有ストレージ」に対する不正アクセスについて(令和3年4月22日)
  • 内閣府職員等*1が利用する「ファイル共有ストレージ*2」(開発元:(株)ソリトンシステムズ、以下単に「ストレージ」と記載)に対して不正アクセスがなされました。調査結果の概要、今後の対応については以下のとおりです。
    • *1 内閣府職員等:内閣府LANを利用する内閣府、内閣官房、復興庁及び個人情報保護委員会の4組織の職員
    • *2 ファイル共有ストレージ:外部との間でファイルの送受信を行うため、内閣府LANの外に別個のものとして設置された機器
  1. 経緯
    • 本年1月、内閣府LAN運用事業者がストレージに対する不正アクセスを検知。直ちにストレージをネットワークから遮断し利用を停止。以降、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の協力も得て、不正アクセスの内容やその影響等について調査を実施。
  2. 調査結果の概要
    1. 原因
      • 不正アクセスは、ストレージの脆弱性が突かれたことにより、ストレージ上のファイルに対する不正操作が可能となったことによるもの(ファイルが流出した事実までは、アクセスログが残っていないため特定できず。)。
      • ※ストレージの脆弱性については、開発元において3月までに修正パッチの提供等所要の対応がとられました(同社から公表済み)。
    2. 影響
      • 内閣府LAN内部への被害は認められず。
      • 不正アクセスを受けたファイルの中に、231名分の個人情報(公開されていない氏名、所属、連絡先など)が含まれていることを確認(流出の可能性あり)。
      • 該当する方のうち、電話番号が解約されている等の理由により連絡がつかなかった19名を除き、全員に経緯を説明するとともに、お詫びを申し上げました。
  3. 今後の対応
    • 以下の再発防止策を講じたことから、4月26日よりストレージ利用を再開します。
      1. 外部からの攻撃に対する監視機能の強化ストレージの開発元の対応(上記2.(1)※)に加え、内閣府においても新たなファイアウォールを設置しました。
      2. 職員に対する注意喚起
        • ストレージへのアップロードや電子メールへのファイル添付による情報の授受には外部からの攻撃リスクが潜在することを、再度注意喚起しました。
▼内閣府職員等が利用する「ファイル共有」ストレージに対する不正アクセスについて(補足)(令和3年4月23日)
  • 4月22日付けで公表を行った「内閣府職員等が利用する『ファイル共有ストレージ』に対する不正アクセスについて」に関して、以下の懸念が当方に寄せられております。
    • 流出の可能性のあるデータのサイズは一度の送信で数ギガバイトに及ぶような大量流出なのではないか、
    • 流出の規模は今後更に増えるおそれがあるのではないか、
  • これらの点につき、4月22日の公表内容の補足として以下のとおりお知らせします。
    • 当方の調査において、一度にギガ単位での送信が行われた事実は確認されておりません。
    • 内閣府においては不正アクセスの検知以降、同ストレージをネットワークから直ちに遮断し利用を停止しており、流出が更に増えるおそれはありません。
  • 内閣府としては、引き続き、情報システムの適切な運用に努めてまいります。

内閣府 月例経済報告
▼月例経済報告(令和3年4月)
  • 景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられる。先行きについては、感染拡大の防止策を講じるなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
  • 政策態度
    • 政府は、東日本大震災からの復興・創生、激甚化・頻発化する災害への対応に取り組むとともに、決してデフレに戻さないとの決意をもって、新型コロナウイルス感染症の感染対策に万全を期す中で、雇用の確保と事業の継続を通じて、国民の命と暮らしを守り抜く。その上で、「経済財政運営と改革の基本方針2020」等に基づき、デジタル改革やグリーン社会の実現などの新たな目標について、規制改革など集中的な改革、必要な投資を行い、再び力強い経済成長を実現する。
    • 新型コロナウイルス感染症に対しては、4月1日、9日及び16日に、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、10都府県を対象とするまん延防止等重点措置の実施を決定したところであり、引き続き、感染拡大の抑制を最優先に対策を徹底するとともに、経済への影響に対しては、重点的・効果的な支援に万全を期す。さらに、成長分野への民間投資を大胆に呼び込みながら、生産性を高め、賃金の継続的な上昇を促し、民需主導の成長軌道の実現につなげる。政府は、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」等を具体化する令和2年度第3次補正予算及び令和3年度予算を迅速かつ適切に執行する。引き続き、感染状況や経済的な影響を注視しながら、予備費も活用して機動的に必要な支援策を講じていく。
    • 日本銀行においては、企業等の資金繰り支援に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持する観点から、金融緩和を強化する措置がとられている。日本銀行には、感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行い、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。
  • 総論
    • 個人消費は、このところ弱含んでいる。
    • 設備投資は、持ち直している。
    • 住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
    • 公共投資は、高水準で底堅く推移している。
    • 輸出は、増加テンポが緩やかになっている。輸入は、持ち直しの動きがみられる。貿易・サービス収支は、おおむね均衡している。
    • 生産は、持ち直している。
    • 企業収益は、感染症の影響により、非製造業では弱さがみられるものの、総じてみれば持ち直している。企業の業況判断は、厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。
    • 雇用情勢は、感染症の影響により、弱い動きとなっているなかで、雇用者数等の動きに底堅さもみられる。
    • 国内企業物価は、緩やかに上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。
    • 株価(日経平均株価)は、28,400円台から30,000円台まで上昇した後、29,100円台まで下落した。対米ドル円レート(インターバンク直物中心相場)は、108円台から110円台まで円安方向に推移した後、108円台まで円高方向に推移した。
    • 世界の景気は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、依然として厳しい状況にあるが、持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、感染の再拡大によるリスクに十分留意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
    • アメリカでは、景気は依然として厳しい状況にあるが、着実に持ち直している。先行きについては、着実な持ち直しが続くことが期待される。ただし、国内外の感染の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
    • アジア地域については、中国では、景気は緩やかに回復している。先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、国内外の感染の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。韓国では、景気は厳しい状況にあるが、持ち直している。台湾では、景気は緩やかに回復している。インドネシアでは、景気は厳しい状況にあるが、下げ止まっている。タイでは、景気は厳しい状況にあるが、下げ止まっている。インドでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直している。ただし、足下の感染の再拡大によるリスクに十分留意する必要がある。
    • ヨーロッパ地域については、ユーロ圏では、依然として厳しい状況にあるなかで、感染の再拡大の影響により、経済活動が抑制されており、景気は弱い動きとなっている。ドイツにおいても、依然として厳しい状況にあるなかで、感染の再拡大の影響により、経済活動が抑制されており、景気は弱い動きとなっている。先行きについては、当面、感染症の影響が続くと見込まれる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
    • 英国では、依然として厳しい状況にあるなかで、感染の再拡大の影響により、経済活動が抑制されており、景気は弱い動きとなっている。先行きについては、当面、感染症の影響が続くと見込まれる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

内閣府 第342回 消費者委員会本会議
▼【資料1】 消費者基本計画及び工程表の改定素案に対する意見(案)
  • 電磁的方法による提供の在り方及びデジタル技術を積極的に活用した消費者保護の拡充について検討し、今後の取組の具体的な内容を工程表に記載すること。特に、電磁的方法による提供に係る懸念事項については、早急に、必要な調査の実施や具体的対策の検討に着手すること。
  • デジタル化によって消費者に利便性がもたらされる反面、消費者に不利な状況も生まれ得る。例えば、デジタル技術が不適切に用いられ、消費者が批判的、合理的に思考することを妨げるなど、デジタル取引ならではのぜい弱性が生まれ、それによって消費者の利益が損なわれるおそれがある。このようなデジタル取引における消費者のぜい弱性に関して、消費者への望ましい情報提供の在り方を含め、国際的な動向も踏まえて調査分析を実施することを検討し、今後の取組の具体的な内容を工程表に記載すること。
  • 消費者教育推進会議の「社会のデジタル化に対応した消費者教育に関する分科会」において、社会のデジタル化を踏まえた、(1)消費者が身に付けることが望ましい内容、(2)消費者教育の場や情報発信手法について検討が行われ、令和3年3月、取りまとめが行われた。取りまとめを踏まえ、デジタル化に対応した消費者教育に取り組むことを計画に盛り込むとともに、今後の取組の具体的な内容を工程表に記載すること。
  • 消費者庁新未来創造戦略本部において、「消費者保護のための啓発用デジタル教材開発に向けた有識者会議」が開催されている。デジタル教材の開発及び実証事業を始めとする、同会議に関する今後の取組の具体的な内容を工程表に記載すること。
  • 学校教育におけるデジタル化に対応した消費者教育の推進について、今後の取組の具体的な内容を工程表に記載すること。
  • 消費者教育のデジタル化の推進に当たっては、ウィズコロナ、ポストコロナ時代の持続可能な社会の実現に向けて、エシカル消費の普及啓発を図る観点も重要である。デジタル化に対応したエシカル消費の普及啓発について、今後の取組の具体的な内容を工程表に記載すること。
  • 12月意見で指摘している、広域での効率的なSNS相談体制の構築を推進する方策、チャットボットを活用した情報提供と相談員による相談対応とを組み合わせたハイブリッドな相談体制の在り方、AIによる相談内容の分析機能の導入など消費者行政の基盤であるPIO-NETの機能強化を含めた消費生活相談体制のデジタル化について検討し、今後の取組の具体的な内容を工程表に記載すること。
  • 巣籠もり消費など新しい生活様式の実践により、消費生活の様相が大きく変化している。地域の見守り活動を始めとする地方消費者行政における取組について、こうした変化にどのように適応させるのか、今後の取組の具体的な内容を工程表に記載すること。
  • 上記のほか、地方消費者行政の充実・強化に向けた地方公共団体への支援等について、地方消費者行政におけるデジタル技術活用の好事例を収集・提供するなど、今後の取組の具体的な内容を工程表に記載すること。
  • コロナ禍によりインターネット通販が急速に拡大する中、食品を摂取する際の安全性の確保及び自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保のため、ECサイト上での消費者への情報提供を充実させる必要性は一段と高まっており、ECサイト上の食品表示の在り方について、早期に具体的な取組の方向性を示すことが重要である。令和2年度に実施した「ECサイト食品表示実証モデル構築事業」の調査結果やコーデックス委員会での検討の内容等を踏まえた、ECサイトにおける食品表示の在り方の検討について、年限及び今後の取組の具体的な内容を工程表に記載すること。
  • 一人暮らしの高齢者等を対象とする身元保証や日常生活支援、死後事務等に関するサービスの需要が、少子高齢化の進展により、今後一層高まっていくことが予想される。消費者がこれらのサービスを安心して利用できるよう、引き続き情報提供を行うとともに、関連する消費生活相談の状況を注視し、消費者委員会が発出した建議(平成29年1月31日)等の内容を踏まえ、更なる実態把握を行った上で、起こり得る消費者問題を先取りして、必要な措置を検討・実施すること。
  • 事故情報の収集、通知制度は、当該情報の分析を経た注意喚起等をするための前提として位置付けられ、実効的に機能させることが消費者の安全を確保する上で必要である。これに関し、医業類似行為等による事故の対策に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告(令和2年11月17日総務省)を踏まえた今後の取組の具体的な内容を工程表に記載すること。
  • 消費者庁は、事故情報の収集の一元化に係る関係府省庁等に対し、通知制度の意義の継続的な周知を行うとともに、医業類似行為等による事故情報を一次的に受け付ける保健所、警察機関、消防機関を所管している省庁である厚生労働省、警察庁、総務省消防庁は、消費者庁に協力し、もって通知制度の的確な運用を図ること。
  • 再生可能エネルギーの選択や省エネルギーの実践など消費者自らが行動を選択するとともに、脱炭素や資源循環などに熱心に取り組む事業者を後押しできる環境が整いつつあり、2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて消費者が果たす役割は大きい。消費者の選択に資する情報が、国や事業者から適切に提供されるための環境整備を更に進めるとともに、消費者の行動変容をいかに促し、さらに消費者の選択により事業者の行動変容をいかに促すかという視点を、消費者に関する施策に取り入れることが重要である。以上を踏まえ、地球温暖化対策計画等の見直しに併せて、工程表のKPIや今後の取組予定を見直すとともに、消費者及び事業者の行動変容を促す具体的な取組を更に記載すること。
  • 消費者庁の「消費者志向経営の推進に関する有識者検討会」において、令和3年3月、報告書が取りまとめられ、令和3年度見直しの方向性として、消費者志向経営に取り組むことで資金調達の円滑化につながるよう、ESG投資等の金融とのひも付けの検討に着手することや、消費者志向経営の普及に向けた事業者との協働による新しい取組の検討などが示された。報告書を踏まえた今後の取組の具体的な内容を工程表に記載すること。
  • 現状のKPIについて検証を行うとともに、それを踏まえ工程表の最終決定に向けて、より実効的なKPIの設定等について検討の上、積極的に盛り込むこと。

内閣府 令和3年第4回経済財政諮問会議
▼資料1-1 ヒューマン・ニューディールの実現に向けて(有識者議員提出資料)
  • 今後、世界経済の回復の加速が見込まれる中、外需を積極的に取り込んでいく必要がある。大企業で経験を積んだ人材の円滑な労働移動を支援し、中小企業や農業等の輸出拡大につなげるべき。また、意欲ある若者が存分に活躍できる環境を整備すべき。
    • リカレント教育の強化に向けて国は大胆に投資すべき。財源の在り方を検討した上で、雇用保険二事業による企業を通じた支援から個人への直接給付にシフトしていくべき。厚生労働省は、既存の直接給付(教育訓練給付等)が十分に活用されない理由を早急に解明した上で、その在り方を抜本的に見直し、直接給付が格段に推進されるようにすべき。
    • 従業員の学び直しへの支援を強化するため、選択的週休3日制を導入するなど働きながら学べる環境を整備すべき。
    • 若者円卓会議で議論が行われているが、諸外国に比べて低い水準にとどまる博士号・修士号取得者やこれらを有する経営人材の増加、デジタル人材の強化が必要。経済界主導の下、産学官で連携し、時代や企業のニーズに合った、学び直しのプログラムが大学等教育機関で提供されるようにするとともに、それらを個人への直接給付で重点的に支援すべき。
    • エンゲージメント向上に向けて、フェーズ②の働き方改革3を着実に推進すべき。国は労働法制の見直しなど必要な環境を整備すべき。
    • 急務である女性の活躍推進、年功序列型の働き方の見直しと若者の抜てき、国際競争力を高めるための外国人材の戦略的活用など、多様な能力を有する人材の登用を促すため、企業のガバナンス改革を着実に推進すべき。
  • 不足する人材ニーズを把握するとともに、必要となる教育訓練サービス、就労支援を効果的に提供していく仕組みを構築すべき。
    • 雇用調整助成金の特例措置、休業支援金等について、当面の財源を確保するとともに、雇用動向を見極めつつ段階的に正常化し、産業雇用安定助成による出向支援や中途採用助成金等の雇用移動支援へ資源配分をシフトしていくべき。企業による雇用維持を通じたセーフティネットの在り方について、財源を含めて見直すべき。
    • 新型感染症により一時的に雇用が失われた飲食・宿泊産業において、非接触型技術の活用等に向けた人材育成や新たな分野への労働移動を促すため、必要とされるデジタル技術等に係る研修やOJTなど人材育成や転職先での費用を支援する仕組みを強化すべき。
    • 民間求人メディアが担うマッチング機能の質を一層向上せるためのルールを整備するとともに、ハローワークと民間事業者の間で相互に情報を共有する仕組みを構築すべき。
    • 前回の民間議員からの提案を踏まえ、内閣府と厚生労働省は、新型感染症に伴う緊急対応や雇用保険に関するデータを分析するためのタスクフォースを早急に立ち上げ、公共職業訓練等の効果分析と必要な見直しを行うべき。
  • 非正規雇用労働者等を対象とする給付付きの教育訓練(求職者支援制度)の訓練内容・期間の多様化・柔軟化など新型感染症の下で進められた画期的な取組を定着・拡大していくべき。
    • 求職者支援制度や高等職業訓練促進給付金の時限措置により、デジタル分野を中心にニーズの高いコースと受講しやすい環境が整備されたが、受講者数や就職件数等の成果を毎月検証し、必要な場合には財源の在り方も含めて見直し、更なる拡充を行うべき。
    • 被用者保険の更なる適用拡大を着実に推進するとともに、フリーランス等のセーフティネットの在り方の検討に着手すべき。
    • 就労経験がない者にとっては就労経験が重要。トライアル雇用など受入先企業への支援の活用状況と課題の検証を踏まえ、企業へのインセンティブを抜本的に強化していくべき。
    • 非正規雇用労働者等の経済・雇用情勢の影響を特に受けやすい者のセーフティネットを強化するため、生活者困窮制度や空き家等を活用した住宅支援を強化していくべき。
▼資料2-1 デジタル化の加速(有識者議員提出資料)
  • マイナンバーカードは、QRコード配布、マイナポイント(5,000円)により申請が急速に進み、3月月単月だけで普及率(申請ベース)は約30%(3,863万件)から約36%(4,549万件)に上昇。こうしたデジタル基盤を活用し、行政サービスのデジタル化を一気に進めるべき。
    • 来年度中にほぼ全国民に配布するとの目標を是非とも実現すべき。そのため、健康保険証、運転免許証との一体化を早急に進めるべき。
    • マイナンバーカードを健康保険証として使える措置は既に開始しているが、多くの医療機関で使えるように、読み取り機の普及を急ぐべき。各企業の健保組合において、単独の健康保険証交付をとりやめ、完全な一体化を実現すべき。
    • マイナンバーカードを運転免許証として使う場合、書類の提出や講習がオンラインでできるメリットを付与すべき。
    • 法案成立後に可能となるマイナンバーカードのスマホへの機能の搭載について、KPIを掲げ推進すべき。また、今後の検討課題である民間IDとの紐づけについても、セキュリティを確保しつつ早期の導入に道筋をつけるべき。
    • マイナンバーを活用して低所得者支援を含めた社会保障給付をプッシュ型でできるよう、また、社会保障制度において能力に応じた給付と負担を実現できるよう、所得のみならず預貯金等の資産等の情報と紐づいた仕組みを早期に検討すべき。
    • 行政サービスのデジタル化の推進には、業務プロセスや作業内容の見直し等、行政側の組織改革も不可欠。デジタル庁は、総務省とも連携して、このような行政のDXも積極的に推進すべき。
  • 法案に盛り込まれた公的データベースの整備と活用、サイバーセキュリティの確保、個人情報保護について具体的分野と工程を明確化する包括的データ戦略を早期に策定すべき。あわせて、国境を越えたデータ流通から得られる付加価値を最大化すべく、貿易、セキュリティ等の分野に関する国際連携を深めるべき。
    • デジタル庁は、勧告権も活用し、行政データ提供のワンストップ化の仕組みを構築し、いわば「データ庁」ともいうべき役割を果たすべき。
    • 医療・介護、教育、インフラ、防災に係るデータ・プラットフォームを早期に整備すべき。
    • 雇用保険給付(職業訓練等を含む)など個別企業・個人への給付とその効果検証はワイズスペンディングに不可欠。行政機関等での匿名加工情報化が早急に実現できるよう具体化を推進すべき。
  • 菅内閣で構築したデジタル化の基盤を活用し、民間部門全体でデジタル投資・DXを加速し、経済社会全体の生産性を徹底して引き上げるべき。2023年10月のインボイス制度導入、2024年1月のISDNサービス終了が迫る中、中小企業における取組を加速すべき。
    • KPIを掲げ、中小企業共通EDI(電子データ交換)、電子インボイスの標準規格化、全銀EDIシステムとの連携を一気に推進すべき。このため、パートナーシップ構築推進を通じた大企業による支援や、地銀の中小企業デジタル化支援を強化し、デジタル人材を確保しながら官民で取り組むべき。
    • 特に中小企業のDXは、必ずしも大きなシステム投資を伴わなくても可能である。地銀等は、そのためのアドバイスや支援を積極的に行い、地域経済の成長に資するDXを推進すべき。
▼資料3-1 社会課題の解決に向けた「共助」促進の仕組みの強化を(有識者議員提出資料)
  • 1人も取り残さないとのスタンスで、以下の取組を通じて、官・民・NPO等の連携強化、非営利組織等の取組の継続的な支援・強化を推進すべき
    • 孤独孤立対策、生活困窮者等に係る関係府省の政策の工程化、予算等の見える化を進めるため、3年程度の重点計画を年内に策定すべき
    • 官・民・NPO等の連携強化の観点から、課題に応じて、行政、非営利組織、経済界等の関係者からなる地域プラットフォームを形成すべき
    • 支援が必要な者の個人情報等について、国は各自治体に対して、改めて現行制度で可能な情報共有の範囲についての周知と好事例の提供を行うべき。
    • それぞれの地域で非営利組織等を含め、孤独孤立や生活困窮の状況に陥っている者等の情報を共有し、ライフステージや生活環境を踏まえたきめ細かで長期にわたるプッシュ型の対応に向けた(カウンセリング、就業・住居、資金等)連携体制を官・民・NPO等で構築すべき
    • NPOへの公的支援は、現状、各省ごとに縦割になっている。社会課題に応じたKPIの設定とPDCAサイクルを組み込んで、非営利組織等にとって自由度の高い形で支援するための仕組みに転換すべき
  • 社会課題の解決に向け、休眠預金活用制度が3年目を迎えるほか、企業版ふるさと納税も昨年度から抜本拡充され、今年度からはソーシャルインパクトボンドの活用を推進する成果連動型民間委託も進み始める。社会課題が複雑化し、単年度ではなく長期間にわたってきめ細かな対応が求められる中、こうした多様な「共助」の仕組みを普及・活用すべき
    • 休眠預金制度の利活用促進:国及び地方が対応することが困難な社会の諸課題の解決を図る趣旨で創設された本制度の利活用は、共助の促進・拡充に当たって重要な取組。運営体制の強化等による潜在ニーズの把握・掘り起こしや必要に応じた制度への反映、指定活用団体(JANPIA)の体制強化や業務改善、事務負担の軽減等と合わせ、事業規模を段階的に拡大するとともに、年度途中の予期せぬ事態等にも迅速に対応できる仕組みの改善・充実等の検討を進め、速やかに実行に移すべき
    • 企業版ふるさと納税:昨年、税額控除の引上げや地方公共団体への人材派遣型(地方に企業人材、資金、ノウハウが一度に移転する)の仕組みの創設等、制度が拡充された。企業版ふるさと納税の利用により、NPO等の非営利組織との連携等、どういった分野、手法等で具体的成果を出しているか、その好事例の見える化を推進し、多くの自治体での利活用を促進すべき。
    • クラウドファンディング:クラウドファンディングについては、購入型・融資型等の形態に応じて適用される税制優遇措置が異なることから、その情報を国民に分かりやすく提供し、利用拡大を促進すべき。
  • 「共助」の基盤強化に向け、以下の取組を強化すべき
    • 現場が抱える課題解決、共助の取組の発信等を促進するため、共助を支える社会起業家や非営利組織の支援団体等との対話の場を政府や地方自治体が持つべき。
    • 社会課題に取り組む団体やその活動の透明性を高め、国民や企業からの信認を得ることができるよう、デジタル化、データベース化、指標化等を通じた「見える化」を徹底し、個々の団体の実績を適切に評価することで、重点的な支援等に繋がる環境を整備するとともに、営利企業のESGの取組との連携が推進されるようにすべき。

内閣府 第27回 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ
▼【資料1】 ヒアリングの結果等の中間的な整理
  • 自主規制の内容
    1. 主な類型
      • 自主規制の内容は、(1)規制法令に抽象的に定めのある事項をより具体的に規定したもの(具体化)、(2)規制法令に定めのある事項について、より高水準の規定を定めるもの(上乗せ)、(3)規制法令に定めのない事項について、別途定めを設けるもの(横出し)等に大別することができる。ただし、これらを明確に区別することが難しい場合も多い。
    2. 具体例
      • 日本証券業協会「協会員の投資勧誘、顧客管理等に関する規則」:顧客への勧誘や説明の方法等に関して詳細な規定を設けており、金融商品取引法上の適合性原則(40条1号)や説明義務(38条5号)等を具体化又は厳格化したものと評価できる。
      • 日本訪問販売協会「通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安」:特定商取引法9条の2は、通常必要とされる分量を著しく超える売買契約の解除権を定めているが、法には分量の目安が明示されてない。上記基準は、「通常、過量には当たらないと考えられる分量を目安」を定めるものであり、法の解釈をする上で参考になるものと評価できる。
      • 電気通信サービス向上推進協議会「電気通信サービスの広告表示に関する自主基準及びガイドライン」:景品表示法により優良誤認及び有利誤認表示が規制されているところ、通信サービス特有の広告表示について実例を交えて規定。また、比較表示・文字サイズ・記載の位置なども細かく規定している。
      • 日本クレジット協会「包括信用購入あっせんに係る自主規制規則」、「個別信用購入あっせんに係る自主規制規則」:与信審査における国籍や本籍地といった機微情報の取得制限や、取立行為の規制は、割賦販売法にはない規定である。
    3. 暫定的な評価
      • 自主規制の内容としては、規制法令に抽象的に定めのある事項について、業界の実態や実務の現状等に即して規律の具体化を図るものが多い傾向が認められる。その中で、望ましい対応の在り方を示したり、具体例・ベストプラクティスを紹介したりすることにより、求められる規律の水準を高めていると解されるものもある。
      • 規制法令に定めのない事項について規制を設けていることが明確なものは、比較的少ない印象であるが、いくつかの事例も見られる(日本クレジット協会による機微情報の取得制限、日本貸金業協会によるテレビCMの放送総量規制等)。
      • 個人情報保護委員会事務局へのヒアリングの際には、各認定団体(現時点で41団体)が定める個人情報保護指針のうち、半分以上には何らかの上乗せルールが設けられているものの、該当箇所は少なく、必ずしも業種・業界の特性を積極的に反映するものにはなっていないとの説明があった。
      • 規制法令が未整備又は不明確な業界においては、個別事業者が自主規制(社内規定)を設けて対応しているが、その策定に際しては隣接分野における行政規制や自主規制を参考にしているとの紹介もあった。
  • 独禁法との関係
    • 独占禁止法は、事業者団体が競争制限的な又は競争阻害的な行為を行うことを禁止しており、「事業者団体の活動に関する独占禁止法上の指針」において、価格・数量制限行為、参入制限行為、不公正な取引方法等、同法上問題となり得る事業者団体の活動を明らかにしている。このため、各事業者団体が自主規制を策定するに当たっては、同法に抵触することがないよう、競争制限的な内容の規定を置くことを避けたり、拘束力を持たせないようにしたりといった対応をとることが多い。
  • 策定手続における第三者の関与
    1. 第三者の意見を取り入れる仕組みを設けている団体
      • 自主規制の策定に際して第三者(当該業界以外の者)の意見を反映させる方法としては、(1)自主ルールを作成する会議体の構成員に第三者(弁護士等の有識者、消費生活相談員や消費者団体の構成員等)を含めることや、(2)パブリックコメントを実施すること等があげられた。
    2. 第三者の意見を聴取する場合もある団体
      • 第三者の意見の聴取するためのフォーマルな仕組みは設けていないものの、特定の自主ルールの策定に当たり、行政機関や消費生活相談員等の意見を聴取しているケースも存在した(日本損害保険協会、日本アフィリエイト協議会等)。
    3. 行政機関等の関与が法定されているもの
      • 自主規制を策定する際に、行政機関等が一定の関与を行うことが法定されているものも存在する。
      • 貸金業法(日本貸金業協会の自主規制基本規則の制定・改廃は内閣総理大臣の認可事項。)
      • 景品表示法(公正取引協議会が策定する公正競争規約を消費者庁長官、公正取引委員会が認定。)
      • 個人情報保護法(認定個人情報保護団体が個人情報保護指針を作成及び変更する際には、個人情報保護委員会に届け出なければならない。また、同指針の作成に当たっては、消費者の意見を代表する者その他関係者の意見を聴くよう努めるものとされている。)
  • 実効性確保手段
    • 調査・監査
      • 規制法令に定められた権限に基づき調査・監査を実施する団体(日本証券業協会、日本貸金業協会、日本クレジット協会、認定個人情報保護団体等)。
      • 規制法令に特段の定めがない場合でも、自主的な取組や、監督官庁との関係等を背景として、調査・監査を実施している団体も多い(電気通信サービス向上推進協議会、日本訪問販売協会等)。
    • 自主団体による制裁
      • 自主規制の違反に対しては、指導、勧告、公表、過怠金・制裁金、会員資格の制限・停止、除名など何らかの制裁手段を設けている団体が多いが、積極的かつ厳格に運用している団体と各事業者の自主性を尊重して抑制的に運用している団体が存在する。規制法令における定めの有無や監督官庁との関係等が影響している可能性がある。
    • その他
      • 日常的かつよりソフトな実効性確保手段としては会員による自己点検(自主規制団体が策定した基準・チェクリスト等に基づき会員各社が自己点検を行い、団体が評価・フィードバック等)や会員各社の社員・役員等に対する試験・研修制度、普及・啓発活動等が存在。
  • 紛争解決機能
    1. 苦情受付、相談対応窓口
      • 多くの自主規制団体には、消費者等からの苦情・相談等を受け付ける窓口が設置されており、苦情処理等の業務を実施。
    2. 紛争解決手続(ADR)
      • 金融ADRのように法定されたADR機関(金融関連法令に規定された指定紛争解決機関)と、法定はされていないADR機関がある(日本訪問販売協会)。金融ADRには、事業者に片面的義務(手続応諾義務、資料提出義務、特別調停案の結果尊重義務)が課されている点に特色がある。
  • 自主規制の整備・運用状況についての透明性
    • 自主規制の整備・運用状況について、ウェブサイトや消費者等向けの普及・啓発資料等を通じて積極的に情報提供を行っている団体が存在する一方、情報開示をあまり行っていない団体等も存在するなど、業界・分野間で取組に濃淡が見られる。

内閣府 企業行動に関するアンケート調査
▼概要 上場企業
  • 「次年度(令和3年度)」の我が国の実質経済成長率見通し(全産業・実数値平均)は1.4%(前年度調査0.8%)。「今後3年間(令和3~5年度平均)」と「今後5年間(令和3~7年度平均)」の我が国の実質経済成長率見通し(全産業・実数値平均)は、それぞれ1.2%、1.1%。「次年度(令和3年度)」の業界需要の実質成長率見通し(全産業・実数値平均)は1.2%(前年度調査1.0%)。製造業は1.4%(同1.0%)、非製造業は0.9%(同1.1%)。製造業では、「電気機器」、「精密機器」、非製造業では「サービス業」、「倉庫・運輸関連業」、「電気・ガス業」において高い。「今後3年間(令和3~5年度平均)」と「今後5年間(令和3~7年度平均)」の業界需要の実質成長率見通し(全産業・実数値平均)は、いずれも1.2%。
  • 輸出企業の採算円レートは99.8円/ドル(実数値平均)である(前年度調査100.2円/ドル)。1年後の予想円レート(105.9円/ドル(全産業・階級値平均))と比べると6.1円の円高。輸出企業の採算円レートが、製造業は98.6円/ドル、非製造業は104.6円/ドル。業種別にみると、「食料品」や「非鉄金属」などで円高水準に、「小売業」や「鉄鋼」などで円安水準にある。
  • 1年後の平均仕入価格の見通し(全産業・階級値平均)は1.6%上昇(前年度調査2.0%上昇)。1年後の平均販売価格の見通し(全産業・階級値平均)は0.9%上昇(前年度調査1.1%上昇)。
  • 1年後の平均仕入価格の予想上昇率が平均販売価格の上昇率を上回るため、交易条件は▲0.7%ポイント(全産業)と悪化する見通し。製造業では▲0.9%ポイント、非製造業では▲0.5%ポイントと、製造業の方が交易条件の悪化の程度が大きい見通し。製造業では、「医薬品」、「その他製品」など、非製造業では、「電気・ガス業」、「陸運業」などにおいて、交易条件の悪化の程度が大きい見通し。
  • 「過去3年間(平成30~令和2年度平均)」に設備投資を増やした企業の割合(全産業)は68.5%(前年度調査77.3%)。製造業では69.9%(同80.3%)、非製造業では67.3%(同74.4%)。「今後3年間(令和3~5年度平均)」に設備投資を増やす見通しの企業の割合(全産業)は61.6%(前年度調査65.1%)。製造業では61.1%(同63.3%)、非製造業では62.0%(同66.9%)。「今後3年間(令和3~5年度平均)」に設備投資を増やす見通しの企業の割合は、業種別では、「ゴム製品」、「パルプ・紙」、「その他金融業」、「小売業」、「陸運業」などで高い割合。
  • 「過去3年間(平成30~令和2年度平均)」に雇用者を増やした企業の割合(全産業)は66.1%(前年度調査69.3%)。製造業では65.2%(同68.3%)、非製造業では66.8%(同70.1%)。「今後3年間(令和3~5年度平均)」に雇用者を増やす見通しの企業の割合(全産業)は59.7%(前年度調査65.3%)。製造業では51.7%(同59.2%)、非製造業では66.4%(同70.9%)。「今後3年間(令和3~5年度平均)」に雇用者を増やす見通しの企業の割合は、業種別では、「ゴム製品」、「機械」、「不動産業」、「その他金融業」などで高い割合。
  • 「過去3年間(平成30~令和2年度平均)」に正社員・正職員を増やした企業の割合(全産業)は67.4%(前年度調査69.2%)。製造業では66.8%(同68.6%)、非製造業では67.7%(同69.8%)。「今後3年間(令和3~5年度平均)」に正社員・正職員を増やす見通しの企業の割合(全産業)は59.0%(前年度調査64.9%)。製造業では51.9%(同59.9%)、非製造業では65.0%(同69.5%)。
  • 海外現地生産を行う企業の割合(製造業のみを対象)「令和元年度実績」は64.6%、「令和2年度実績見込み」は64.2%、「令和7年
  • 度見通し」は62.2%。
  • )海外現地生産比率(製造業のみを対象)「令和元年度実績」(実数値平均)は21.4%、「令和2年度実績見込み」は20.5%、「令和7年度見通し」は21.2%。「電気機器」、「輸送用機器」が30%を超えて相対的に高い一方、「医薬品」、「食料品」は相対的に低い。
  • 逆輸入比率(製造業のうち、海外現地生産を行う企業のみを対象)「令和元年度実績」(実数値平均)は18.9%、「令和2年度実績見込み」は19.2%、「令和7年度見通し」は19.8%。
  • 海外に生産拠点を置く主な理由について、「現地・進出先近隣国の需要が旺盛又は今後の拡大が見込まれる」が最も多く、次いで、「労働力コストが低い」、「現地の顧客ニーズに応じた対応が可能」。
▼概要 中堅・中小企業
  • 「次年度(令和3年度)」の我が国の実質経済成長率見通し(全産業・実数値平均)は0.5%(前年度調査0.9%)。「今後3年間(令和3~5年度平均)」と「今後5年間(令和3~7年度平均)」の我が国の実質経済成長率見通し(全産業・実数値平均)は、それぞれ0.7%、0.8%。
  • 「次年度(令和3年度)」の業界需要の実質成長率見通し(全産業・実数値平均)は0.3%(前年度調査0.8%)。製造業は0.3%(同0.6%)、非製造業は0.4%(同0.9%)。製造業では、「電気機器」、「精密機器」、非製造業では、「情報・通信業」、「証券、商品先物取引業」において、高い成長率見通し。「今後3年間(令和3~5年度平均)」と「今後5年間(令和3~7年度平均)」の業界需要の実質成長率見通し(全産業・実数値平均)は、それぞれ0.7%、0.8%。
  • 輸出企業の採算円レートは103.6円/ドル(実数値平均)である(前年度調査106.2円/ドル)。1年後の予想円レート(106.5円/ドル(全産業・階級値平均))と比べると2.9円の円高。輸出企業の採算円レートが、製造業は103.2円/ドル、非製造業は104.9円/ドル。業種別にみると、「医薬品」や「その他金融業」などで円高水準に、「電気・ガス業」、「繊維製品」などで円安水準にある。
  • 1年後の平均仕入価格の見通し(全産業・階級値平均)は2.1%上昇(前年度調査2.7%上昇)。1年後の平均販売価格の見通し(全産業・階級値平均)は1.0%上昇(前年度調査1.3%上昇)。
  • 1年後の平均仕入価格の予想上昇率が平均販売価格の上昇率を上回るため、交易条件は▲1.2%ポイント(全産業)と悪化する見通し。製造業では、「繊維製品」、「電気機器」など、非製造業では、「水産・農林業」、「海運業」、「空輸業」などにおいて、交易条件の悪化の程度が大きい見通し。
  • 「過去3年間(平成30~令和2年度平均)」に設備投資を増やした企業の割合(全産業)は61.1%(前年度調査65.6%)。製造業では66.5%(同72.2%)、非製造業では56.5%(同60.0%)。「今後3年間(令和3~5年度平均)」に設備投資を増やす見通しの企業の割合(全産業)は56.8%(前年度調査61.2%)。製造業では63.5%(同66.8%)、非製造業では51.4%(同56.5%)。
  • 「過去3年間(平成30~令和2年度平均)」に雇用者を増やした企業の割合(全産業)は51.3%(前年度調査54.1%)。製造業では53.6%(同59.8%)、非製造業では49.6%(同49.6%)。「今後3年間(令和3~5年度平均)」に雇用者を増やす見通しの企業の割合(全産業)は53.6%(前年度調査57.6%)。製造業では55.5%(同60.2%)、非製造業では52.1%(同55.7%)。
  • 「過去3年間(平成30~令和2年度平均)」に正社員・正職員を増やした企業の割合(全産業)は51.8%(前年度調査54.5%)。製造業では54.9%(同60.5%)、非製造業では49.4%(同49.4%)。「今後3年間(令和3~5年度平均)」に正社員・正職員を増やす見通しの企業の割合(全産業)は53.8%(前年度調査58.0%)。製造業では55.3%(同60.7%)、非製造業では52.6%(同55.8%)。
  • 海外現地生産を行う企業の割合(製造業のみを対象)「令和元年度実績」は12.5%、「令和2年度実績見込み」は12.5%、「令和7年度見通し」は12.6%。
  • 海外現地生産比率(製造業のみを対象)「令和元年度実績」(実数値平均)は4.0%、「令和2年度実績見込み」は4.0%、「令和7年度見通し」は4.2%。
  • 逆輸入比率(製造業のうち、海外現地生産を行う企業のみを対象)「令和元年度実績」(実数値平均)は27.5%、「令和2年度実績見込み」は27.0%、「令和7年度見通し」は26.0%。
  • 海外に生産拠点を置く主な理由について、「労働力コストが低い」が最も多く、次いで、「親会社、取引先等の進出に伴って進出」、「現地・進出先近隣国の需要が旺盛又は今後の拡大が見込まれる」。

【2021年3月】

内閣府 月例経済報告
▼月例経済報告(月次)3月
  • 総論
    1. 我が国経済の基調判断
      • 景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さがみられる。
        • 個人消費は、このところ弱含んでいる。
        • 設備投資は、このところ持ち直しの動きがみられる。
        • 輸出は、このところ増勢が鈍化している。
        • 生産は、持ち直している。
      • 企業収益は、感染症の影響により、非製造業では弱さがみられるものの、総じてみれば持ち直している。企業の業況判断は、厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。
        • 雇用情勢は、感染症の影響により、弱い動きとなっているなかで、雇用者数等の動きに底堅さもみられる。
        • 消費者物価は、横ばいとなっている。
      • 先行きについては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直していくことが期待される。ただし、感染の動向が内外経済に与える影響に十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
  • 政策の基本的態度
    • 政府は、東日本大震災からの復興・創生、激甚化・頻発化する災害への対応に取り組むとともに、決してデフレに戻さないとの決意をもって、新型コロナウイルス感染症の感染対策に万全を期す中で、雇用の確保と事業の継続を通じて、国民の命と暮らしを守り抜く。その上で、「経済財政運営と改革の基本方針2020」等に基づき、デジタル改革やグリーン社会の実現などの新たな目標について、規制改革など集中的な改革、必要な投資を行い、再び力強い経済成長を実現する。
    • 新型コロナウイルス感染症に対しては、2週間延長していた4都県の緊急事態宣言を、3月21日をもって解除した。引き続き、感染再拡大の抑制を最優先に対策を徹底するとともに、経済への影響に対しては、重点的・効果的な支援に万全を期す。さらに、成長分野への民間投資を大胆に呼び込みながら、生産性を高め、賃金の継続的な上昇を促し、民需主導の成長軌道の実現につなげる。政府は、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」等を具体化する令和2年度第3次補正予算を迅速かつ適切に執行するとともに、令和3年度予算及び関連法案の早期成立に努める。また、3月16日に取りまとめた「非正規雇用労働者等に対する緊急支援策」を速やかに実行する。引き続き、感染状況や経済的な影響を注視しながら、予備費も活用して機動的に必要な支援策を講じていく。
    • 日本銀行においては、3月19日、2%の物価安定目標を実現するため、より効果的で持続的な金融緩和を実施するための措置を講じた。日本銀行には、感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行い、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。
    • 各論
      • 個人消費は、このところ弱含んでいる。
      • 設備投資は、このところ持ち直しの動きがみられる。
      • 住宅建設は、おおむね横ばいとなっている。
      • 公共投資は、堅調に推移している。
      • 輸出は、このところ増勢が鈍化している。輸入は、持ち直しの動きがみられる。貿易・サービス収支は、黒字となっている。
      • 生産は、持ち直している。
      • 企業収益は、感染症の影響により、非製造業では弱さがみられるものの、総じてみれば持ち直している。企業の業況判断は、厳しさは残るものの、持ち直しの動きがみられる。倒産件数は、減少している。
      • 雇用情勢は、感染症の影響により、弱い動きとなっているなかで、雇用者数等の動きに底堅さもみられる。
      • 完全失業率は、1月は前月比0.1%ポイント低下し、2.9%となった。労働力人口及び就業者数は増加し、完全失業者数は減少した。雇用者数は持ち直しの動きがみられる。新規求人数及び有効求人倍率はこのところ持ち直しの動きがみられる。製造業の残業時間は持ち直している。
      • 賃金をみると、定期給与はこのところ持ち直しの動きがみられる。現金給与総額はこのところ底堅さがみられる。これらの結果、実質総雇用者所得は、このところ持ち直しの動きがみられる。
        • 「日銀短観」(12月調査)によると、企業の雇用人員判断は、引き続き全産業で不足超となっている一方で、製造業では過剰超となっている。
        • 加えて、足下の状況については、日次有効求人数や民間の求人動向はこのところ持ち直しの動きがみられるものの、水準は依然として低い。
        • こうしたことを踏まえると、雇用情勢は、感染症の影響により、弱い動きとなっているなかで、雇用者数等の動きに底堅さもみられる。
        • 先行きについては、底堅く推移することが期待されるが、雇用調整の動き如何によっては弱さが増す恐れもあり、感染症の影響に十分注意する必要がある。
      • 国内企業物価は、緩やかに上昇している。消費者物価は、横ばいとなっている。
      • 株価(日経平均株価)は、30,100円台から28,700円台まで下落した後、30,200円台まで上昇し、その後29,700円台まで下落した。対米ドル円レート(インターバンク直物中心相場)は、105円台から109円台まで円安方向に推移した。
      • 世界の景気は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響により、依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの動きがみられる。先行きについては、持ち直しの動きが続くことが期待される。ただし、感染の再拡大によるリスクに十分留意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
      • アメリカでは、景気は依然として厳しい状況にあるが、持ち直している。先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、国内外の感染の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。
      • アジア地域については、中国では、景気は緩やかに回復している。先行きについては、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、国内外の感染の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。韓国では、景気は厳しい状況にあるが、持ち直している。台湾では、景気は緩やかに回復している。インドネシアでは、景気は厳しい状況にあるが、下げ止まっている。タイでは、景気は厳しい状況にあるが、下げ止まっている。インドでは、景気は厳しい状況にあるが、持ち直している。
      • ヨーロッパ地域については、ユーロ圏では、依然として厳しい状況にあるなかで、感染の再拡大の影響により、経済活動が抑制されており、景気は弱い動きとなっている。ドイツにおいても、依然として厳しい状況にあるなかで、感染の再拡大の影響により、経済活動が抑制されており、景気は弱い動きとなっている。先行きについては、当面、感染症の影響が続くと見込まれる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。英国では、依然として厳しい状況にあるなかで、感染の再拡大の影響により、経済活動が抑制されており、景気は弱い動きとなっている。先行きについては、当面、感染症の影響が続くと見込まれる。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

内閣府 令和3年第3回経済財政諮問会議
▼資料2-1 緊急事態宣言解除後のマクロ経済政策運営の課題(有識者議員提出資料)
  • 国民の多大な努力と協力により緊急事態宣言は解除されたが、引き続き、感染防止策を徹底し、ワクチン接種を進め感染再拡大防止を図っていく必要がある。それとともに、世界経済の回復が加速する中では、今後は、経済成長の促進にも、一層政策の重点を置いていくべきである。特に、新たな日米関係を基軸として、自由で開かれたインド太平洋地域等との協力を推進し、世界経済の成長を日本がリードしていく体制づくりが必要であり、デジタル化・グリーン化を契機に進んでいる、世界の経済構造・産業構造の変化をわが国の成長に取り込んでいくことが不可欠である。
  • 今後のマクロ経済運営に当たっては、人為的に止めざるを得なかった消費需要の早期回復を促進するなど、需要回復と雇用・所得の安定を通じた経済の好循環を形成するとともに、回復のぜい弱性に機動的に対処することが求められる。それと同時に、生活困窮者
  • 支援や格差固定化の是正に焦点を絞る等、きめ細かな対応を行うことが必要である。
  • さらには、経済構造・産業構造の大きな変化を見据え、それに積極的に対応できるよう投資喚起、多様な人材の活躍と移動・交流促進、それを支えるセーフティネットの充実と財源確保等を、今後しっかり議論し、取り組んでいくことが重要である。それによって、成長分野で新たな雇用や所得を生み、多様な人が活躍する「成長と雇用の好循環」をつくり出し、コロナ後の経済回復を確かなものとすべきである。
  • 需要回復と雇用・所得の安定に向けた取組
    • コロナ前の経済水準に速やかに回復するには、需要回復とそれを支える雇用環境や所得の安定を図ることが不可欠。引き続き、機動的なマクロ経済政策運営を行い、経済を下支えしつつ、デジタル化・グリーン化をテコに民需を喚起し、自律的な回復を実現すべき。
    • 春闘の賃上げ回答結果は、企業業績により差がみられるものの、厳しい中でもプラス回答が行われている。4月からの同一労働同一賃金の中小企業への適用を契機に、雇用の正規化や賃上げのモメンタムが中小企業も含めて拡がるよう、適用の支援を行うとともに、最低賃金を引き上げていくべき。あわせて、大企業と中小企業のパートナーシップ構築推進等を通じ、サプライチェーンのデジタル化などによる生産性向上や下請け取引の改善をさらに後押しすべき。
    • 活動自粛で蓄積された潜在的な消費需要を顕在化させていくためにも、ペント・アップ需要の発現に加え、コロナによる生活スタイルの変化やデジタル化・脱炭素化の流れを促す環境整備や通信・エネルギー供給網等の基盤整備を大胆に行うことにより、時代が求める消費財やサービスの開発・提供を促し、消費活性化につなげるべき。
    • 米国の新たな経済対策策定に伴い世界経済の回復が加速する中で、外需の回復を図るべく、新製品の開発やR&D投資の強化、農産物輸出等の新たな市場拡大策を進めるべき。
    • 米国の金利上昇による金融・資本市場への影響を注視し、急激な変動を避けるべき。
    • 日本銀行においては、企業等の資金繰りを支援し、金融市場の安定を維持する観点から、強力な金融緩和措置がとられている。今回の金融政策決定会合で決定された政策対応を含め、引き続き適切な金融政策運営を期待。
  • 感染症の効果的拡大防止策とコロナの影響を受ける方々への対応
    • 緊急事態宣言解除後も、感染拡大防止策をより効果的に行うとともに、デジタル技術も徹底利活用して、コロナの影響を受ける方々に対してきめ細かな対応を行うべき。
    • 変異株による感染状況に注意しつつ、感染症を拡大させないよう、モニタリングの徹底、地域を絞ったまん延防止等重点措置の活用、病床の確保など医療提供体制整備の三つを一体として進めるとともに、必要な措置を機動的に講じるべき。
    • 時短等の経済活動抑制策の実効性を高めるためにも、売上減少に応じた十分な給付を行うことができるよう制度運用の柔軟性をさらに高めるべき。
    • 女性や非正規、ひとり親世帯、孤立・孤独状態にある方々に適切な対応を行う、「非正規雇用労働者等に対する緊急支援策(3月16日策定)」を、迅速に実行すべき。
    • 格差や貧困の状況を迅速に把握するためにも、ひとり親世帯や非正規雇用の現状について迅速な状況把握を行うべき。
  • デジタル・グリーン化を前提にしたポストコロナの経済構造の転換の加速
    • デジタル化、グリーン化が大きく経済・産業構造を変えていく中にあっては、求められる人的能力の向上とそれを活かす多様な働き方の実現、多様な挑戦を可能とする起業や投資の促進、コロナ後の新たな地政学の下での国際連携の強化、に向けて官民で戦略的に取り組み、こうした変化を経済社会の発展のチャンスとしていく必要がある。
    • 企業部門の保有する現預金を民間部門の成長につなげるため、研究開発、ベンチャー、M&A、人材への投資を官民が一体となって進めていくよう、税制、補助金、基金等をフル活用すべき。
    • 政府においても、民間事業者の活用、マイナンバーカードの利活用等による公的サービスの効率性・利便性向上等を図るとともに、社会保障の持続性を含め、財政健全化に向けた取組を堅持すべき。
    • 雇用の改善は経済回復から一定のラグを伴うことも考慮しつつ、雇用政策の重点を、人材の円滑な移動の支援やデジタル時代にマッチした教育訓練の強化に段階的に移行すべき。
    • 今後、半導体等ハイテク分野を中心に、世界的な分業構造の見直しが進むと見込まれるもとで、世界中がデジタル化・グリーン化など産業構造の大きな転換を図っていく必要。そのためにも、日米を軸にして、欧州等との経済連携にも活用していくよう、関連分野における技術開発、取引市場、供給体制等の国際連携を戦略的に構築すべき。
    • より大きな視点で見れば、新しい国際秩序の形成を見据えて、我が国も、大きな国家戦略を描き、官民が協力して、国際連携を強化して、新たな国際秩序構築に貢献するとともに、競争力のある形でのサプライチェーンの国内代替や対外投資戦略の見直し等も進めるべき。
  • 雇用の構造的な課題への対応
    • 経済活動の再活性化に向けて、雇用政策も生産性強化を目指していく必要がある。今後成長が期待される分野への円滑な労働移動を支援していくことが成長のボトルネックを解消し、国民生活の安定にも寄与する。最低賃金を含め賃上げモメンタムを維持しつつ、同一労働同一賃金が中小企業に適用されるのを機に、以下の構造的な課題について、骨太方針に向けて対応を検討すべき。
    • 雇用保険制度を含めた非正規雇用労働者のセーフティネットの在り方の検討と必要な見直し
    • 雇用調整助成金の特例措置及び休業支援金の効果検証と必要な見直し
    • 求職者支援制度の時限措置の効果検証と必要な見直し
    • 無業者のトライアル雇用を含め雇用の受入先企業への支援の効果検証と必要な見直し
    • 職業訓練・人材育成への支援のあり方の検討と必要な見直し
    • リカレント教育のニーズに合った内容の見直しや提供者・受講者のインセンティブ強化
    • 教育訓練休暇制度の要件緩和等を通じた兼業・副業の促進、教育訓練と就労の両立
▼資料3-1 東京一極集中是正と活力ある地方の実現・大学改革に向けて(有識者議員提出資料)
  • 人の流れを促す仕組み
    • コロナを機とするテレワークやワーケーションへの関心が高まる中、東京からの人の流出が進み始めている。この機会を逃さず、東京から地方への人の流れを大きく拡大する観点から、以下を推進すべき。同時に、地方でグローバルに活躍できるデジタル環境等を整備することで、地方から東京への人の流れも大きく変えていくべき。
    • 空き家等を活用した二地域居住支援(「空き地・空き家バンク」の活用拡大・拡充のための民間仲介業者との連携等)
    • テレワーク推進に向けた常駐義務・対面主義の規制の見直し
    • 最低賃金が低い地域での引上げが雇用増に寄与したとのエビデンスや、地方では低賃金職種の時給上昇が進んでいることなどを踏まえた地方の最低賃金のボトムアップ(エビデンスに基づく検証と支援)
    • 大企業人材の地方での活躍
      • 地方企業とのマッチングについて現状・課題を分析し徹底推進(REVICの活用、プロフェッショナル人材事業の裾野の拡大・期限延長)
      • 企業人材を自治体に派遣するにあたって自治体の要望と経済界とのマッチングの枠組みを構築しKPIを定め拡充
      • 関連する各省庁施策に関するワンストップ窓口の創設
    • 定住率が高い(6割=約3000人)「地域おこし協力隊」の取組を引き続き推進すべき
    • 地方での兼業・副業促進(地方創生推進交付金の支援メニューへの位置づけ)、就業試行の拡大(トライアル雇用支援強化等)
    • 関係人口を含めた地方への人の移動に関するデータ把握
  • 雇用創造・産業振興
    • 地方に人が流れ、若い人がとどまるためにも、地方に付加価値の高い仕事が生まれることが不可欠。これまで地域経済を牽引してきた観光産業がコロナ禍で落ち込む中、今後は、デジタル活用を前提に、中小企業や農業経営体を中心とする輸出拡大、ヘルスケア・グリーン・サプライチェーン再編を契機とする地方での内需再構築がカギ。
    • 第一次産業でのデータ利活用の促進と大規模経営化を一体的に進め、それらを通じ輸出・高付加価値化を促進し、若者の参入、雇用吸収力の拡大を実現。
    • 女性の起業、地域の社会起業家など地方発ベンチャーを税財政措置で支えるとともに、EC活用、マーケティング促進などを通じ中小企業による輸出を促進。
    • 個々人に対応した健康・長寿生活の実現に向け、スポーツ振興やPHR活用を進めるとともに、KPIを設定して医療・介護分野の産業化を促進
    • 再生エネルギーを軸とするエネルギーの地産地消、ゼロカーボンシティの構築に加え、園芸作物への活用などカーボンリサイクルの産業化を促進
    • 自給率を高めるべき産業・事業についてサプライチェーンの地方展開を進めるべき
    • こうした取組を推進する資金の流れの拡充(拡充・延長された企業版ふるさと納税の一層の利活用、ESG投資の促進、地銀等の機能強化等)
  • 大都市圏・地方圏における生活資産・生活環境の充実
    • 今回のコロナ対応においては、緊急事態における医療提供体制の広域的対応の遅れが顕在化した。指定都市や中核市を中心とした大都市圏における広域的な対応も進捗していない。また、人口減少が著しい地方部では、安心、生活の利便性、教育・医療体制などの行政サービスの確保に向けて、都道府県による小規模市町村の補完等の対応が必要。この機を捉えて、行政全般の広域化についての具体的推進、自治体間の役割分担の明確化を進めるべき。
    • 首都圏を始めとする大都市圏において、第3次医療圏を越えた医療機関・保健所サービスの提供等について、広域的なマネジメントに向けた論点整理や自治体間の役割分担の明確化に早急に着手
    • 全国100地域でのスマートシティの推進、大学発ベンチャーの創出を通じて、テレワークやデジタルでつながる多核連携の国造りを推進
    • 人口減少地域等では、新たな取組として動き出した技術職員に加え、ICT人材、保健師等の専門人材の育成や活用・派遣についても、広域連携や都道府県による補完を推進。また、広域的取組が進んでいない立地適正化・地域交通計画や老朽化対策について、財政面からの支援を強化
  • 大学改革
    • オンライン授業の進展やリカレント教育の必要性の高まりがみられ、10兆円規模の大学ファンドが創設されたこの機を捉えて、これまでも何度も問題提起され、制度改正等も行われながらも、進捗が遅い大学改革について、文部科学省が責任をもって国家的な戦略を作り、KPIを掲げて進めるべき。その際、大学間での取組が比較できる客観的なKPI等を示し、その実現に向け、更なる制度改革、交付金・助成金のメリハリ付け等を実行すべき。
    • イノベーションを担う大学の体制強化、設置基準見直し等の経営柔軟化、民間外部資金の拡大・外部経営人材の登用、国公私を越えた連携統合の促進等の大学ガバナンス強化
    • 若手・女性外国人研究者、女性STEAM人材輩出、社会人学生、留学生の増加など大学における多様性の強化
    • リカレント教育、大学発ベンチャー創出、産学連携の構築、地方創生、公立大学の機能強化に向けた財政措置等による地方大学の活性化など、大学の社会とのつながり強化

内閣府 第340回 消費者委員会本会議
▼取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案 概要
  • オンラインモールなどの「取引デジタルプラットフォーム(取引DPF)」においては、危険商品等の流通や販売業者が特定できず紛争解決が困難となる等の問題が発生。これに対応し消費者利益の保護を図るための新法案を整備
    • 取引DPF提供者の努力義務(第3条)
      • 取引DPFを利用して行われる通信販売取引(BtoC取引)の適正化及び紛争の解決の促進に資するため
      • 以下の(1)~(3)の措置の実施及びその概要等の開示についての努力義務(具体的内容については指針を策定)
        1. 販売業者と消費者との間の円滑な連絡を可能とする措置
        2. 販売条件等の表示に関し苦情の申出を受けた場合における必要な調査等の実施
        3. 販売業者に対し必要に応じ身元確認のための情報提供を求める
    • 商品等の出品の停止(第4条)
      • 内閣総理大臣は、危険商品等(※1)が出品され、かつ、販売業者が特定不能など個別法の執行が困難な場合(※2)、取引DPF提供者に出品削除当を要請
      • 要請に応じたことにより販売業者に生じた損害について取引DPF提供者を免責
      • (※1)重要事項(商品の安全性の判断に資する事項等)の表示に著しい虚偽・誤認表示がある商品等
      • (※2)販売業者が特定可能等の場合は特商法等により対応
    • 販売業者に係る情報の開示請求権(第5条)
      • 消費者が損害賠償請求等を行う場合に必要な範囲で販売業者の情報の開示を請求できる権利を創設
        ※ 取引DPF提供者は、適切な手順に従って開示請求に応じた場合、販売業者に対し責任を負わない
        ※ 損害賠償請求額が一定金額以下の場合や不正目的の場合は対象外
    • 官民協議会(第6条~第9条)・申出制度(第10条)
      • 国の行政機関、取引DPF提供者からなる団体、消費者団体等により構成される官民協議会を組織し、悪質な販売業者等への対応など各主体が取り組むべき事項等を協議
      • 消費者等が内閣総理大臣(消費者庁)に対し消費者被害のおそれを申し出て適当な措置の実施を求める申出制度を創設
        ※ 公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行
        ※ あわせて、施行状況及び経済社会情勢の変化を勘案した施行後3年目途の見直しを規定
▼消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案の概要
  • 消費者の脆弱性につけ込む悪質商法に対する抜本的な対策強化、新たな日常における社会経済情勢等の変化への対応のため、
  • 特定商取引法・預託法等の改正による制度改革によって、消費者被害の防止・取引の公正を図る。
  • 特定商取引法の主な改正内容
    1. 通販の「詐欺的な定期購入商法」対策
      • 定期購入でないと誤認させる表示等に対する直罰化
      • 上記の表示によって申込みをした場合に申込みの取消しを認める制度の創設
      • 通信販売の契約の解除の妨害に当たる行為の禁止
      • 上記の誤認させる表示や解除の妨害等を適格消費者団体の差止請求の対象に追加
    2. 送り付け商法対策
      • 売買契約に基づかないで送付された商品について、送付した事業者が返還請求できない規定の整備等(現行では消費者が14日間保管後処分等が可能→改正後は直ちに処分等が可能に)
    3. 消費者利益の擁護増進のための規定の整備
      • 消費者からのクーリング・オフの通知について、電磁的方法(電子メールの送付等)で行うことを可能に(預託法も同様)
      • 事業者が交付しなければならない契約書面等について、消費者の承諾を得て、電磁的方法(電子メールの送付等)で行うことを可能に(預託法も同様)
      • 外国執行当局に対する情報提供制度の創設(預託法も同様)
      • 行政処分の強化等
  • 預託法の主な改正内容
    1. 販売預託の原則禁止
      • 販売を伴う預託等取引を原則禁止とし、罰則を規定
      • 原則禁止の対象となる契約を民事的に無効とする制度の創設
        ※ 預託等取引契約:3か月以上の期間にわたり物品の預託を受けること及び当該預託に関し財産上の利益の供与を約するもの
        ※ 例外的に認める場合には、厳格な手続の下、消費者庁が個別に確認
    2. 預託法の対象範囲の拡大
      • 現行の預託法の対象の限定列挙の廃止→全ての物品等を対象に
    3. 消費者利益の擁護増進のための規定の整備
      • 行政処分の強化等
  • 消費者裁判手続特例法の改正内容
    • 被害回復裁判に資するために、特定適格消費者団体に対し、特定商取引法及び預託法の行政処分に関して作成した書類の提供を可能に

内閣府 気候変動に関する世論調査
  • 地球の温暖化、オゾン層の破壊、熱帯林の減少などの地球環境問題に関心があるか聞いたところ、「関心がある」とする者の割合が88.3%、「関心がない」とする者の割合が9.3%となっている。
  • 2015年にフランスのパリで開催された国際会議「COP(コップ)21」で採択された、温室効果ガス削減などのための国際的な枠組みである「パリ協定」を知っているか聞いたところ、「知っている」とする者の割合が84.0%、「知らない」と答えた者の割合が13.3%となっている。
  • 「脱炭素社会」について知っていたか聞いたところ、「知っていた」とする者の割合が68.4%、「知らなかった」と答えた者の割合が31.1%となっている。
  • 「脱炭素社会」の実現に向け、一人一人が二酸化炭素などの排出を減らす取組について、どのように考えるか聞いたところ、「取り組みたい」とする者の割合が91.9%、「取り組みたくない」とする者の割合が7.1%となっている。
  • 「脱炭素社会」の実現に向け、一人一人が二酸化炭素などの排出を減らす取組について、「積極的に取り組みたい」、「ある程度取り組みたい」と答えた者(1,623人)に、「脱炭素社会」の実現に向け、日常生活の中で、現在、取り組んでいることは何かあるか聞いたところ、「軽装や重ね着などにより、冷暖房の設定温度を適切に管理」を挙げた者の割合が70.9%、「こまめな消灯、家電のコンセントを抜くなどによる電気消費量の削減」を挙げた者の割合が70.7%と高く、以下、「冷蔵庫、エアコン、照明器具などの家電製品を購入する際に、省エネルギー効果の高い製品を購入」(57.2%)、「移動時に徒歩・自転車・公共交通機関の利用」(35.2%)などの順となっている。
  • 「脱炭素社会」の実現に向け、一人一人が二酸化炭素などの排出を減らす取組について、「あまり取り組みたくない」、「全く取り組みたくない」と答えた者(126人)に、取り組みたくない理由は何か聞いたところ、「地球温暖化への対策としてどれだけ効果があるのかわからないから」を挙げた者の割合が48.4%、「どのような基準で選択し、どのように取り組めばよいか情報が不足しているから」を挙げた者の割合が45.2%などの順となっている。なお、「その他」と答えた者の割合が12.7%となっている。
  • 気候変動は、農作物の品質低下、野生生物の生息域の変化、大雨の頻発化に伴う水害リスクの増加、熱中症搬送者の増加といった形で、私たちの暮らしの様々なところに影響を与えている。地球温暖化などの気候変動により、このような様々な影響が出ることを知っていたか聞いたところ、「知っていた」と答えた者の割合が93.6%、「知らなかった」と答えた者の割合が6.3%となっている。
  • 地球温暖化などの気候変動により、様々な影響が出ることを「知っていた」と答えた者(1,654人)に、気候変動影響について何で知ったか聞いたところ、「テレビ・ラジオ」を挙げた者の割合が93.0%と最も高く、以下、「新聞・雑誌・本」(66.9%)などの順となっている。
  • 日常生活の中で気候変動影響を感じることは何か聞いたところ、「夏の暑さ」を挙げた者の割合が89.8%と最も高く、以下、「雨の降り方の激しさ」(81.6%)、「桜の開花時期など身近な植物の変化」(38.5%)、「冬の寒さや雪の降り方」(36.8%)などの順となっている。
  • 地球温暖化などの気候変動は、将来にわたって自然や人間生活に様々な影響を与えることが予測されている。どのような影響を問題だと思うか聞いたところ、「農作物の品質や収穫量の低下、漁獲量が減少すること」を挙げた者の割合が83.8%、「洪水、高潮・高波などによる気象災害が増加すること」を挙げた者の割合が79.5%、「豪雨や暴風による停電や交通まひなどインフラ・ライフラインに被害が出ること」を挙げた者の割合が73.9%と高く、以下、「野生生物や植物の生息域が変化すること」(64.6%)などの順となっている。
  • 気候変動は私たちの生活にも影響を与えている。その影響に対処することを「気候変動適応」という。気候変動適応という言葉、その取組を知っていたか聞いたところ、「知っていた」と答えた者の割合が11.9%、「言葉は知っていたが、取組は知らなかった」と答えた者の割合が29.9%、「言葉は知らなかったが、取組は知っていた」と答えた者の割合が7.7%、「知らなかった」と答えた者の割合が47.7%となっている。
  • 気候変動適応について知りたい情報は何か聞いたところ、「対処が必要な気候変動の影響」を挙げた者の割合が61.6%と最も高く、以下、「気象災害への防災対策、熱中症対策などの政府における気候変動適応の取組」(51.3%)、「熱中症対策などの個人でできる取組」(47.0%)、「気象災害への防災対策、熱中症対策などの地方公共団体における気候変動適応の取組」(44.9%)などの順となっている。
  • 気候変動適応に関する知識や情報を何によって提供されたら良いと思うか聞いたところ、「テレビ・ラジオ」を挙げた者の割合が90.6%と最も高く、以下、「新聞・雑誌・本」(65.6%)、「学校などの教育機関」(37.4%)、「TwitterやFacebookなどのSNS」(24.3%)などの順となっている。
  • 現在、実践している気候変動適応への取組は何か聞いたところ、「塩分・水分補給や空調の適切な使用による熱中症対策」を挙げた者の割合が68.7%と最も高く、以下、「ハザードマップなどを活用した水災害リスク及び避難経路などの事前確認」(43.2%)、「蚊の育つ水たまりを作らないなどの、デング熱などの蚊を媒介とする感染症の予防」(26.1%)、「雨水利用や節水などの水資源の保全」(17.9%)などの順となっている。なお、「特にない」と答えた者の割合が15.0%となっている。
  • 現在、取り組んでいないことで、今後、新たに実践したいと思う気候変動適応への取組は何か聞いたところ、「気候変動影響や気候変動適応についての情報の入手」を挙げた者の割合が35.1%と最も高く、以下、「雨水利用や節水などの水資源の保全」(25.9%)、「ハザードマップなどを活用した水災害リスク及び避難経路などの事前確認」(24.1%)、「蚊の育つ水たまりを作らないなどの、デング熱などの蚊を媒介とする感染症の予防」(22.0%)、「農家や漁業者の支援」(19.1%)、「身近な動植物への気候変動影響の観察・情報共有」(18.4%)などの順となっている。
  • 自身で気候変動適応を実践するに当たり、どのような課題があると思うか聞いたところ、「どのような基準で選択し、どのように取り組めばよいか情報が不足していること」を挙げた者の割合が63.3%と最も高く、以下、「気候変動適応としてどれだけ効果があるのかわからないこと」(44.6%)、「経済的なコストが掛かること」(37.4%)、「日常生活の中で常に意識して行動するのが難しいこと」(32.9%)などの順となっている。
  • 今後、気候変動適応に関して、政府にどのような取組を期待するか聞いたところ、「洪水、高潮・高波などへの防災対策」を挙げた者の割合が68.3%、「農作物の品質や収穫量、漁獲量への対策」を挙げた者の割合が64.1%と高く、以下、「気候変動影響や気候変動適応の取組についての情報提供」(52.9%)、「渇水対策や水資源の保全対策」(49.3%)などの順となっている。

内閣府 総合科学技術・イノベーション会議(第52回)議事次第
▼資料1-1 諮問第21号「科学技術基本計画について」に対する答申(案)概要
  • 我が国が目指す社会(Society 5.0)
    1. 国民の安全と安心を確保する持続可能で強靱な社会
      1. 持続可能性の確保
        • SDGsの達成を見据えた持続可能な地球環境の実現
        • 現世代のニーズを満たし、将来の世代が豊かに生きていける社会の実現
      2. 強靱性の確保
        • 災害や感染症、サイバーテロ、サプライチェーン寸断等の脅威に対する持続可能で強靭な社会の構築及び総合的な安全保障の実現
    2. 一人ひとりの多様な幸せ(well-being)が実現できる社会
      1. 経済的な豊かさと質的な豊かさの実現
        • 誰もが能力を伸ばせる教育と、それを活かした多様な働き方を可能とする労働・雇用環境の実現
        • 人生100年時代に生涯にわたり生き生きと社会参加し続けられる環境の実現
        • 人々が夢を持ち続け、コミュニティにおける自らの存在を常に肯定し活躍できる社会の実現
  • この社会像に「信頼」や「分かち合い」を重んじる我が国の伝統的価値観を重ね、Society 5.0を実現。国際社会に発信し、世界の人材と投資を呼び込む
  • Society 5.0の実現に必要なもの
    • サイバー空間とフィジカル空間の融合による持続可能で強靱な社会への変革
    • 新たな社会を設計し、価値創造の源泉となる「知」の創造
    • 新たな社会を支える人材の育成
  • Society 5.0の実現に向けた科学技術・イノベーション政策
    • 総合知やエビデンスを活用しつつ、未来像からの「バックキャスト」と現状からの「フォーキャスト」に基づき政策を立案し、評価を通じて機動的に改善
    • 5年間で、政府の研究開発投資の総額30兆円、官民合わせた研究開発投資の総額120兆円を目指す
  1. 国民の安全と安心を確保する持続可能で強靱な社会への変革
    1. サイバー空間とフィジカル空間の融合による新たな価値の創出
      • 政府のデジタル化、デジタル庁の発足、データ戦略の完遂(ベースレジストリ整備等)
      • Beyond 5G、スパコン、宇宙システム、量子技術、半導体等の次世代インフラ・技術の整備・開発
    2. 地球規模課題の克服に向けた社会変革と非連続なイノベーションの推進
      • カーボンニュートラルに向けた研究開発(基金活用等)、循環経済への移行
    3. レジリエントで安全・安心な社会の構築
      • 脅威に対応するための重要技術の特定と研究開発、社会実装及び流出対策の推進
    4. 価値共創型の新たな産業を創出する基盤となるイノベーション・エコシステムの形成
      • SBIR制度やアントレ教育の推進、スタートアップ拠点都市形成、産学官共創システムの強化
    5. 次世代に引き継ぐ基盤となる都市と地域づくり(スマートシティの展開)
      • スマートシティ・スーパーシティの創出、官民連携プラットフォームによる全国展開、万博での国際展開
    6. 様々な社会課題を解決するための研究開発・社会実装の推進と総合知の活用
      • 総合知の活用による社会実装、エビデンスに基づく国家戦略(AI技術、バイオテクノロジー、量子技術、マテリアル、宇宙、海洋、環境エネルギー、健康・医療、食料・農林水産業等)の見直し・策定と研究開発等の推進
      • ムーンショットやSIP等の推進、知財・標準の活用等による市場獲得、科学技術外交の推進
  2. 知のフロンティアを開拓し価値創造の源泉となる研究力の強化
    1. 多様で卓越した研究を生み出す環境の再構築
      • 博士課程学生の処遇向上とキャリアパスの拡大、若手研究者ポストの確保
      • 女性研究者の活躍促進、基礎研究・学術研究の振興、国際共同研究・国際頭脳循環の推進
      • 人文・社会科学の振興と総合知の創出(ファンディング強化、人文・社会科学研究のDX)
    2. 新たな研究システムの構築(オープンサイエンスとデータ駆動型研究等の推進)
      • 研究データの管理・利活用、スマートラボ・AI等を活用した研究の加速
      • 研究施設・設備・機器の整備・共用、研究DXが開拓する新しい研究コミュニティ・環境の醸成
    3. 大学改革の促進と戦略的経営に向けた機能拡張
      • 多様で個性的な大学群の形成(真の経営体への転換、世界と伍する研究大学の更なる成長)
      • 10兆円規模の大学ファンドの創設
  3. 一人ひとりの多様な幸せと課題への挑戦を実現する教育・人材育成
    1. 探究力と学び続ける姿勢を強化する教育・人材育成システムへの転換
      • 初等中等教育段階からのSTEAM教育やGIGAスクール構想の推進、教師の負担軽減
      • 大学等における多様なカリキュラムやプログラムの提供、リカレント教育を促進する環境・文化の醸成

内閣府 アイヌ政策に関する世論調査(令和2年11月調査)
▼概略版
  • アイヌに関する周知度について、「知っている」93.6%、「知らない」6.2%
  • アイヌについて知っている事項(全般)について、「アイヌの人々が先住民族であるということ」91.2%、「アイヌの人々が独自の伝統的文化を形成してきたこと」83.2%、「個人や団体としてアイヌ語や伝統文化の保持、継承、新しい文化の創造などに取り組んでいるアイヌの人々がいること」46.5%、「明治時代以降、多くのアイヌの人々が非常に貧しく独自の文化を制限された生活を余儀なくされたこと」46.3%、「中世以降、和人(アイヌの人々以外の日本人)との間に交流や争いなどがあったこと」44.1%
  • アイヌについて知っている事項(文化)について、「衣服や服飾品を彩る独特なアイヌ文様があること」83.1%、「アイヌ語という独自の言語があること」81.3%、「盆や衣服などアイヌ独自の伝統的な工芸品があること」49.8%、「豊かな表現で語り伝えてきた口承文芸・民話があること」47.6%、「伝統的な古式舞踊があること」45.9%、「アイヌ独自の信仰・儀式があること」44.0%、「アイヌ独自の民族楽器があること」41.1%
  • アイヌを知っていただくために重点的に行うべき取組について、「テレビ番組や新聞を利用した情報発信」78.8%、「アイヌの伝統的食事・衣服・楽器などの体験機会の提供」41.3%、「インターネットによる広報活動」35.7%
  • 「ウポポイ」の周知度について、「知っていた(小計)」35.5%(知っていた 16.2%、言葉だけは聞いたことがある 19.3%)、「知らなかった」63.4%
  • 「ウポポイ」への訪問意欲について、「行ってみたい(小計)」62.1%(ぜひ行ってみたい 9.6%、機会があれば行ってみたい 52.5%)、「行ってみたいと思わない(小計)」21.3%(どのような施設かわからないので行ってみたいとは思わない 10.3%、施設の内容に興味がないので行ってみたいとは思わない 11.0%)、「わからない」14.7%
  • 重点的に行うべきアイヌ関連施策について、「アイヌの人々への理解を深めるための啓発・広報活動」50.9%、「アイヌの歴史・文化の知識を深めるための学校教育」47.9%、「ウポポイへの誘客促進のための広報活動」33.5%、「アイヌ文化継承のための人材育成」27.2%、「アイヌの人々への生活や教育の充実・支援」27.1%、「アイヌ文化復興のための地域活動などへの支援」27.1%

内閣府 令和3年第2回経済財政諮問会議
▼経済再生に向けて~緊急事態宣言後を見据えた取組の強化~(有識者議員提出資料)
  1. 足元のマクロ経済状況と今後の展望
    • 昨年10-12月期の実質GDPは、累次の経済対策等による政策効果もあって、先進国の中でも高い伸びを実現し、日本経済の潜在的な回復力の高さを示した。
    • 1-3月期の経済は、10都府県に緊急事態宣言が出され、人為的に一部の経済活動を抑制する中で厳しさがみられ、対面サービス消費などを中心に、業種・地域によっては大きな影響が出ている。
    • その一方、中国、米国が牽引する形で、世界経済の回復が動き出しつつあり、わが国でも、外需及びそれに関連する設備投資が動き出している。また、累次の経済対策の効果により、わが国の失業率や所得水準の低下も世界的に見ても低水準に抑えられている。
    • 感染者数は、緊急事態宣言の下、国民及び企業の協力により着実に減少し、「療養先調整者数」も関係者の尽力と対策効果で大きく減少している。また、日本でもワクチン接種が開始されるなど、医療・ワクチン接種体制の強化は着実に進みつつある。
    • 今後は、変異株にも警戒しつつ感染拡大をしっかりと抑え、緊急事態宣言を解除していくとともに、以下に掲げる「当面の課題」に真正面から取り組み、積極的な企業経営と安定感のある家計環境を引き出し、企業収益の回復と賃上げにつなげ、経済の好循環を再起動させる。それによって、先進国の中でも早期にコロナ前の水準を取り戻し、持続可能な新しい成長を実現できる経済を目指すべき。
  2. 当面の重要課題
    1. 人材育成を通じた雇用と賃上げの好循環の実現
      • 緊急事態宣言下にある1―3月期の厳しい経済状況の中、失業期間が徐々に長期化し、希望通りに働けていない人が多く存在することや、孤立や生活困難といった課題が顕在化しており、こうした課題の早期解消や支援強化が不可欠。同時に、コロナ後の構造転換も見据えた対応も必要。
        1. 緊急的な対応策・・・業績改善を賃上げにつなげるモメンタムの推進
          • 雇用創出、職業訓練の要件緩和を盛り込んだ今般策定の「新たな雇用・訓練パッケージ」は時宜を得たもの。実効性を高め、非正規の離職者も含めて、より多くの人が、教育訓練や就職支援を受けられるよう推進すべき。
          • コロナの影響が大きい部門の雇用の維持と円滑な人材移動に向けたマッチング強化を図るとともに、今春闘における賃上げモメンタムの維持を、収益の良い企業が牽引し推進すべき。
          • 4月からの中小企業への同一労働同一賃金の適用を通じて、中小企業の生産性向上、従事している非正規雇用者等の待遇改善等が期待される。円滑な移行が進むよう、中小企業への支援に万全を期すべき。
        2. コロナ後の構造転換を見据えた対応策
          • 人口減少・高齢化のわが国では特に、コロナ下にあっても当然「人は宝」である。自分の能力を活かし適材適所で活躍できる人材の円滑な移動を図るためにも、デジタル時代にふさわしい教育訓練やリカレント教育の機会を拡大し、教育訓練の利用の障害となっている制度や課題を克服していくべき。
          • テレワークとジョブ型雇用は親和性が高い。働き方改革を更に進め、こうした取組の定着、企業収益の向上と賃上げモメンタムにつなげるべき。
          • 若者や、失業が増えつつある中高年等が、厳しい環境に陥っている原因について、制度の縦割やインセンティブ設計に問題がないか、本来受けられるべき支援が適切に受けられているのか等徹底解明し、政府横断的に解消していくべき。
    2. 積極的な企業経営と家計の安定により、新年度に回復・成長を
      • 3次補正を含む各種支援策をフルに活用して現在の厳しい状況を乗り越えるとともに、世界の動きをも見据えて、引き続き、積極的な企業経営を促すべき
        1. 企業や家計の予見性・安心を高める取組
          • 適時適切に経済支援策が拡充されていることは評価。国民目線で、誰が、いつから、どういった支援策を利活用できるのか、よりわかりやすい情報提供の工夫をすべき。
          • 拡大された金融支援措置の活用、既往債務の借換え・借入条件の変更や資本性資金の柔軟な供給等、資金繰りの年度末対策をしっかり講ずべき。
          • 消費活動にとっては雇用・所得の先行きの安定性が重要。現下の緊急事態に講じている雇用対策については、消費への影響も考慮して、数か月から半年程度の先行きができるだけわかるよう見える化すべき。
          • 引き続き、ワクチン接種を含めた医療提供体制の見える化、緊急時の体制整備を継続すべき。また、「まん延防止等重点措置」の機動的運用、よりピンポイントで予防的な対応策を講じることにより、経済への負荷を最小化すべき。
          • 感染の鎮静化後には、できるだけ早期に、医療面のみならず、産業・雇用・社会面を含め、経済社会全体を対象にエビデンスベースで感染症の影響評価を実施すべき。
        2. 内需を維持しデフレに後戻りさせない取組
          • オンライン消費や宅配、ワーケーション等の新たな消費は活性化している。こうした動きを後押しするため、業態転換支援、IT部門や配送等の人手不足部門への円滑な人材移動等を進めるべき。
          • 予算・税制の活用、ESG投資に向けた環境整備等により、引き続き、企業の豊富な現預金を研究開発や設備投資、M&Aやベンチャー企業創出へと活用すべき。
          • 感染拡大防止のための検査、ワクチン接種、COCOAの活用等を適切に進め、感染収束後のインバウンド回復につなげるべき。
          • 米国では大規模な財政出動によりコロナ下でも経済の盛り上がりが期待される状況。政府・日本銀行は内外の経済・金融動向を注視し引き続き緊密に連携すべき。
    3. 新たな国際秩序の下での経済連携の強化
      • 日本経済にとっても大きなプラスとなる以下の3つの課題に優先に取り組むべき
        • 英国をはじめTPP11加盟国の拡大、RCEPや日EU・EPA等における連携分野の深掘り、インド太平洋地域の協力を進め、巨大市場を持つ中国を国際ルールの枠組みに取り込みながら、自由で公正な貿易・投資圏を拡大すべき。
        • 米国新政権との間で、二国間経済関係を更に強化・進化させるとともに、デジタル化やグリーン化について、連携して国際的な協力やルール作り・標準化を主導すべき。
        • 国益確保に資するよう、経済安全保障の観点からの、日本経済・産業・技術面の強み・弱みの分析、環境や事態変化への対応方針等をとりまとめるべき。
▼資料5-1 2050 年温暖化ガス排出量実質ゼロに向けたグリーン・ニューディールの実行を(有識者議員提出資料)
  1. 基本的考え方
    • 2050年カーボンニュートラルの実現を大前提として、エネルギー政策の原則であるS+3E(安全、安定供給、経済効率性、環境適合)について、基本的考え方を改めて整理したうえで、政府全体で政策を連携させ、取組を加速・拡大していく必要がある。特に以下の点については、取組をこれまで以上に重点的かつ強力に進めることが重要。
      1. 安全:引き続きの原子力の安全性確保
      2. 安定供給:2050年に向けたエネルギー源の継続的な安定供給、再エネの安定的な供給
      3. 経済効率:発電コストの引下げや省エネの推進による経済効率性の向上
      4. 環境適合:脱炭素技術の開発・社会実装、国民生活の電化・水素化
    • その際、規制改革や産業政策を含めた経済政策と環境政策を一体として推進することが不可欠であり、そのカギとなるのは財政政策の有効活用である。
    • 経済成長につながるカーボンプライシング・制度の導入、国民的参画を促す規制改革、重要イノベーション創出に向けた財政措置・インセンティブ・成果の横展開の仕組み、民需を誘発する公的グリーン投資の促進、競争力を維持・強化するための国境措置や国際連携等の対応を、財政政策を適切に講じたうえで一体となって推進することが不可欠である。
    • こうした、いわゆるグリーン・ニューディールにより、2050年カーボンニュートラルの実現を強力に牽引すべき。
  2. 重要課題
    1. 継続的かつ重点的な財政面、制度面からの取組
      • 3次補正予算及び2021年度当初予算案では、グリーン化投資やイノベーションの加速に向けた予算・税制改正案が盛り込まれた。こうした取組が成果をあげるためには、必要な規制の強化や制度改革の全体像を明らかにし、計画的かつ効果的に改革を実行していく必要がある。財政面においても中期的重点課題に位置付けて、取組を後押ししていくべき。
    2. イノベーションの創造に向けた投資促進・規制改革
      • 蓄電池を始めとするこの分野の研究開発には大きなリスクが伴い、投資が過少になりがち。国は、研究開発に当たっての重点分野と目指す成果目標(例えば電力コストの引下げ等)や中間目標を明示したうえで、重点的な資源配分を進めるとともに、産学官連携の強化等を進めるべき。
      • 経済社会全体のエネルギー効率を引き上げる省エネ化・カーボンニュートラル化のための投資や規制改革等を通じて、グリーン関連財・サービスの普及・拡大とこうした産業の国際競争力の向上を推進すべき。このため、電化・水素活用などによる住居・交通・産業・インフラの脱炭素化と省エネ化に向けた投資や規制・制度の改革、グリーン購入法の高度化等をKPIを掲げて実行すべき。その際、デジタル技術やデータの徹底活用を一体として進めるべき。
    3. 見える化による経済活動・国民生活全体の省エネ・カーボンニュートラルの推進
      • カーボンニュートラルと経済成長の関係を国民にわかりやすく見える化することが重要であり、環境要因を考慮した上でGDPを評価する指標(グリーンGDPなど)の開発、各種政策評価について、環境と経済の両面からエビデンスベースで見える化すべき。また、住宅や自家用車における電化・水素活用、シェアリング促進等に向けたインセンティブ措置、公共交通における脱炭素化といった取組を通じて、国民生活の面からも省エネ・カーボンニュートラルの取組を促進すべき。
      • 日本のESG投資は、GPIFの参画を契機に規模が拡大し、投資手法も多様化してきている。ESG投資の進捗状況に加え、コーポレートガバナンス・コードへの企業のESG関連情報の開示促進の明示、機関投資家と企業の対話の拡充等を通じて、投資の好循環を拡大すべき。
    4. 経済成長につながるカーボンプライシング
      • 市場メカニズムを用いる経済的手法(カーボンプライシング等)については、産業の競争力強化やイノベーション、投資促進につながり、成長戦略に資する形で活用し、グリーン成長、2050年カーボンニュートラルを目指すべき。
      • カーボンプライシングについては、環境省と経済産業省それぞれで検討が進められているが、国際的な動きも踏まえながら早期に結論が得られるよう、政府一体となって議論を進めるべき。
    5. 地域からのカーボンニュートラルの推進
      • 再生エネルギーを軸とするエネルギーの地産地消、ゼロカーボンシティの構築、水素活用や脱炭素化等のインフラ整備、林業の成長産業化といった取組にKPIを掲げて計画的に推進するとともに、地域活性化と一体となった好事例を横展開すべき。
      • グリーン化に加え、デジタル化、さらには東京一極集中から地方分散といった社会構造の大転換が進んでいる。こうした動きを一体として後押しするため、社会資本整備重点計画・交通政策基本計画、国土利用計画等の見直しにおいて、目指すべき姿と施策を盛り込み、地域の活性化に必要となる制度改革を着実に推進すべき。
    6. 国際連携の強化
      • パリ協定復帰を明らかにした米国や欧州との間で、カーボンニュートラルの実現に向けた研究・技術開発、要素技術の標準化、ルールメーキングや新興国の脱炭素化へ向けた取組の支援に連携して取り組むべき。
      • EUで導入が予定されている炭素国境調整措置や、グローバル企業のサプライチェーン参加にクリーンエネルギー利用が求められる動きが既に出てきている。こうした動きに各国と連携して対応し、日本の国際競争力の維持に努めるとともに、アジア諸国にも連携を拡げ、世界的なグリーン化の動きに乗り遅れずチャンスにつなげるべき。

内閣府 地域社会の暮らしに関する世論調査
  1. 地域での暮らしに対する満足度について、人口20万人未満では、全体として、お住まいの地域での暮らしについて、どの程度満足しているか聞いたところ、「満足」とする者の割合が77.9%、「不満」とする者の割合が20.6%となっている。人口20万人以上では、「満足」とする者の割合が86.1%、「不満」とする者の割合が12.5%となっている。
  2. 地域での暮らしに満足していることについて、人口20万人未満では、「日常的な買い物のしやすさ」を挙げた者の割合が47.7%、「家族が同居又は近い場所に住んでいること」を挙げた者の割合が47.0%と高く、以下、「住環境の良さ」(42.3%)、「親戚・友人が近い場所に住んでいること」(33.4%)、「地域の人々のつながり」(31.6%)などの順となっている。人口20万人以上では、「日常的な買い物のしやすさ」を挙げた者の割合が62.5%と最も高く、以下、「住環境の良さ」(48.7%)、「公共交通機関の利便性」(44.5%)、「家族が同居又は近い場所に住んでいること」(43.7%)などの順となっている。
  3. 新型コロナウイルス感染症の影響を受け重要と意識するようになったことについて、人口20万人未満では、「健康や体調の管理」を挙げた者の割合が90.1%と最も高く、以下、「家族のつながり」(46.7%)、「知人・友人とのつながり」(29.8%)、「大都市圏から地方への人の移動」(25.6%)などの順となっている。人口20万人以上では、「健康や体調の管理」を挙げた者の割合が90.0%と最も高く、以下、「家族のつながり」(46.8%)、「知人・友人とのつながり」(27.2%)などの順となっている。
  4. 将来の暮らしに対する不安なことについて、人口20万人未満では、「収入や経済的ゆとり」を挙げた者の割合が67.7%、「健康」を挙げた者の割合が66.2%と高く、以下、「温暖化の進展や台風などによる自然災害の発生」(43.1%)、「家族の介護」(38.7%)などの順となっている。人口20万人以上では、「収入や経済的ゆとり」を挙げた者の割合が68.7%、「健康」を挙げた者の割合が64.9%と高く、以下、「温暖化の進展や台風などによる自然災害の発生」(40.1%)、「家族の介護」(37.7%)などの順となっている。
  5. 地域における将来の医療機関の利用に対する不安なことについて、人口20万人未満では、「体力の衰えによって通院が大変になること」を挙げた者の割合が55.1%と最も高く、以下、「公共交通機関の減少によって通院が大変になること」(30.9%)などの順となっている。なお、「特にない」と答えた者の割合が19.9%となっている。人口20万人以上では、「体力の衰えによって通院が大変になること」を挙げた者の割合が46.4%と最も高く、以下、「身近な病院が体制縮小や、撤退をしてしまうこと」(19.9%)、「総合的な診療を行える医師が身近にいなくなること」(17.7%)、「公共交通機関の減少によって通院が大変になること」(15.8%)、「専門的な診療が行える医師が身近にいなくなること」(15.4%)の順となっている。なお、「特にない」と答えた者の割合が31.9%となっている。
  6. 地域における将来の高齢者の介護や生活支援に対する不安なことについて、人口20万人未満では、「老後においても健康を維持できるかわからない」を挙げた者の割合が69.2%と最も高く、以下、「公的な支援を十分受けられるかわからない」(55.3%)、「老後に一人で生活することになる」(27.3%)、「どこに相談したらよいかわからない」(17.1%)、「介護施設が少ない」(16.2%)、「地域のつながりの希薄化(知り合いの中に助けてくれる人がいない)」(15.5%)などの順となっている。人口20万人以上では、「老後においても健康を維持できるかわからない」を挙げた者の割合が68.0%と最も高く、以下、「公的な支援を十分受けられるかわからない」(55.6%)、「老後に一人で生活することになる」(26.1%)、「どこに相談したらよいかわからない」(22.9%)などの順となっている。
  7. 地域における将来の生活環境に対する不安なことについて、人口20万人未満では、「地域の担い手(若者、町内会など)の減少」を挙げた者の割合が40.0%と最も高く、以下、「お住まいの住宅の維持・建て替えができるか」(32.7%)、「公共交通機関の減少」(30.8%)、「地域の雇用の場の減少」(29.6%)などの順となっている。なお、「特にない」と答えた者の割合が15.2%となっている。人口20万人以上では、「お住まいの住宅の維持・建て替えができるか」を挙げた者の割合が34.2%と最も高く、以下、「地域の担い手(若者、町内会など)の減少」(28.8%)などの順となっている。なお、「特にない」と答えた者の割合が23.5%となっている。
  8. 地域における将来の行政機能に対する心配な分野について、人口20万人未満では、「医療・健康づくり施策」を挙げた者の割合が45.0%、「福祉施策(高齢者活動支援、介護支援、障害者支援など)」を挙げた者の割合が44.5%と高く、以下、「地域の公共交通サービスの提供や道路などの整備」(39.7%)、「交通安全・防犯対策」(28.3%)、「防災対策」(25.6%)、「上下水道やゴミ収集などの生活環境の整備」(23.0%)などの順となっている。人口20万人以上では、「福祉施策(高齢者活動支援、介護支援、障害者支援など)」を挙げた者の割合が42.8%、「医療・健康づくり施策」を挙げた者の割合が40.7%と高く、以下、「交通安全・防犯対策」(34.5%)、「地域の公共交通サービスの提供や道路などの整備」(31.8%)、「防災対策」(30.1%)、「上下水道やゴミ収集などの生活環境の整備」(27.2%)、「各種行政サービスについて相談・申請できる窓口機能」(24.8%)などの順となっている。なお、「特にない」と答えた者の割合が10.8%となっている。
  9. 地域における医療機関の利用に関して行政が力を入れるべき施策について、人口20万人未満では、「身近なところで診療・相談が受けられる「かかりつけ医」の充実」を挙げた者の割合が58.1%と最も高く、以下、「病院への送迎」(49.0%)、「自宅への訪問診療」(37.1%)、「インターネットを活用した遠隔からの診療や服薬指導」(24.9%)などの順となっている。人口20万人以上では、「身近なところで診療・相談が受けられる「かかりつけ医」の充実」を挙げた者の割合が61.6%と最も高く、以下、「病院への送迎」(37.5%)、「インターネットを活用した遠隔からの診療や服薬指導」(32.3%)、「自宅への訪問診療」(31.9%)などの順となっている。
  10. 地域における高齢者の介護や見守りに関して行政が力を入れるべき施策について、人口20万人未満では、「高齢者世帯への定期的な訪問など地域における見守りの充実」を挙げた者の割合が59.1%、「介護保険サービスの充実」を挙げた者の割合が56.6%と高く、以下、「地域における介護・見守りの担い手の確保」(45.3%)、「高齢者の社会参加の支援」(28.6%)などの順となっている。人口20万人以上では、「介護保険サービスの充実」を挙げた者の割合が56.4%、「高齢者世帯への定期的な訪問など地域における見守りの充実」を挙げた者の割合が53.3%と高く、以下、「地域における介護・見守りの担い手の確保」(43.5%)などの順となっている。
  11. 地域における生活環境に関して行政が力を入れるべき施策について、人口20万人未満では、「地域の雇用の場の確保」を挙げた者の割合が43.6%と最も高く、以下、「コミュニティバスなどの移動手段の確保」(36.0%)、「地域の担い手(若者、町内会など)の育成・確保」(33.3%)、「福祉施設(介護施設、障害者支援施設など)の整備」(32.3%)、「食品や日用品などの配達サービスの支援」(30.2%)などの順となっている。人口20万人以上では、「地域の雇用の場の確保」を挙げた者の割合が35.7%、「福祉施設(介護施設、障害者支援施設など)の整備」を挙げた者の割合が34.5%、「コミュニティバスなどの移動手段の確保」を挙げた者の割合が31.7%、「住宅の保守・建て替え支援、公営住宅の整備」を挙げた者の割合が30.6%、「食品や日用品などの配達サービスの支援」を挙げた者の割合が29.8%、「地域の担い手(若者、町内会など)の育成・確保」を挙げた者の割合が26.1%、「子育て・教育施設(保育園・幼稚園・学校など)の整備」を挙げた者の割合が24.4%などの順となっている。
  12. 行政が機能強化すべき分野について、人口20万人未満では、「医療・健康づくり施策」を挙げた者の割合が48.5%、「福祉施策(高齢者活動支援、介護支援、障害者支援など)」を挙げた者の割合が47.0%と高く、以下、「地域の公共交通サービスの提供や道路などの整備」(41.3%)、「交通安全・防犯対策」(32.4%)などの順となっている。人口20万人以上では、「医療・健康づくり施策」を挙げた者の割合が49.0%と最も高く、以下、「福祉施策(高齢者活動支援、介護支援、障害者支援など)」(42.6%)、「交通安全・防犯対策」(38.8%)、「地域の公共交通サービスの提供や道路などの整備」(34.2%)などの順となっている。
  13. 追加的な経費負担をしてもよい行政サービスについて、人口20万人未満では、「医療・健康づくり施策の強化」を挙げた者の割合が42.6%と最も高く、以下、「福祉施策(高齢者活動支援、介護支援、障害者支援など)の強化」(36.0%)、「地域の公共交通サービスの提供や道路などの整備」(28.0%)、「子育て・教育施策の強化」(21.8%)などの順となっている。人口20万人以上では、「医療・健康づくり施策の強化」を挙げた者の割合が43.8%と最も高く、以下、「福祉施策(高齢者活動支援、介護支援、障害者支援など)の強化」(35.0%)、「子育て・教育施策の強化」(24.2%)、「地域の公共交通サービスの提供や道路などの整備」(21.5%)、「上下水道やゴミ収集などの生活環境の整備」(21.3%)などの順となっている。

【公正取引委員会】

※現在、該当の記事はありません。

【金融庁】

【2021年5月】

~NEW~
金融庁 金融審議会「最良執行のあり方等に関するタスクフォース」(第4回)議事次第
▼資料2 最良執行のあり方等に関するタスクフォース報告書(案)
  • 現在、多くの金融商品取引業者等の最良執行方針等には、流動性、約定可能性、取引のスピード等を考慮して、原則として主たる取引所に注文を取り次ぐものと記載されており、取引所取引の原則を撤廃した目的である市場間競争の促進が果たされていないとの指摘がある。
  • また、諸外国における最良執行に関する規制についてみると、より価格を重視した制度が導入されている。米国においては、後述のとおりNMS(National Market System)が構築され、機関投資家・個人投資家問わず価格のみを考慮した制度とされている。他方、EU 及び豪州においては、機関投資家については価格のみならずさまざまな要素を総合的に勘案すべきとされている一方、個人投資家については価格と手数料等のコストを考慮すべきとされている
  • 日本において、近年、PTSのシェアが徐々に増加しているほか4、個人投資家向けにもダークプールの提供が進む等、取引所の立会市場以外における取引が増加しつつある。また、取引所やPTS、ダークプールを含めた複数の取引施設から最良価格を提示している取引施設を検索し注文を執行するSORも普及しつつある5。そのため、複数の取引施設における価格を比較した注文執行が一定程度可能になっている。ただし、この点を巡っては、以下のような課題も指摘されている。
    • SORに付随して、金融商品取引業者等又はその系列・友好関係にある取引施設と顧客との間に利益相反構造がある。
    • 2018年に高速取引行為を行う者の登録制が導入されたが6、一部の高速取引行為者が時間差から生じる複数の取引施設間の価格差を利用した投資戦略(以下「レイテンシー・アービトラージ」という。)を採用しているとみられる。
  • 個人投資家の場合、機関投資家と比較すると小口注文が多く、基本的には価格が最も重要な要素であると考えられる。また、近年、PTSのシェアの増加やSORの普及等により複数の取引施設における価格を比較した注文執行が一定程度可能になっている。このため、個人投資家に対する最良執行方針等については、より価格を重視する方向に見直すことが考えられる。
  • 個人投資家の中でも、中長期の資産形成を目指す者から、短期間での反復売買により利益を獲得することを目指す者まで、そのニーズは様々である7。かかるニーズを踏まえ、金融商品取引業者等のビジネスモデルも、中長期の資産形成をサポートすることを中心とするものから、取引に際しての利便性を重視するものまで、様々である。
  • 本来、限られた経営資源をどのように配分するかは、顧客のニーズやビジネスモデルのあり方と密接に関係する事柄である。金融商品取引業者等が顧客のニーズやビジネスモデルに関わらず一律に当該システム投資等を求められ、そのコストが売買委託手数料等の形で顧客に転嫁されることとなれば、かえって最良執行方針等に関する規制の趣旨である投資家保護に悖る結果となりかねない。そうだとすれば、金融商品取引業者等に対してより価格を重視した最良執行方針等に変更することを一律に義務付けることは適当ではないと考えられる。
  • そこで、個人投資家に対する最良執行方針等についてより価格を重視する方向に見直すにあたっては、金融商品取引業者等に対してより価格を重視した最良執行方針等に変更することを促す仕組みとすることが適当と考えられる。具体的には、最良執行方針等の法定記載事項に、顧客が個人である場合については「主として価格面以外の顧客の利益を考慮する場合8には、その旨及びその理由」を追加することにより(いわゆるコンプライ・オア・エクスプレイン)、より価格を重視した最良執行方針等への変更を促すことが考えられる。
  • SORによる注文執行ルールを透明化するために、最良執行方針等の法定記載事項に、「SORを使用する場合は、その旨及びSORによる注文執行ルール」を追加することが考えられる。ここで、SORによる注文執行ルールとしては、顧客が各金融商品取引業者等のSORを比較する上で特に重要と考えられる下記(A)から(D)までが考えられる。
    1. SORによりいずれの取引施設の価格を検索するか
    2. 基本となる注文執行ルール
    3. 複数の取引施設の最良気配が同値であった場合にいずれの取引施設で執行するか
    4. (A)~(C)のルールを採用する理由
  • SORの透明化にあたっては、顧客に対する事前の情報提供のみならず、事後のモニタリングも重要である。事後のモニタリングの観点から、この最良執行説明書の法定記載事項に、「SORを使用した場合は、価格改善状況」を追加することが考えられる。ここで、価格改善状況としては、約定日時に加え、執行等がされた取引所・PTS・ダークプール、約定価格、SORの使用に際して比較した取引所・PTSにおける価格が考えられる。なお、顧客の属性やニーズに応じて、金融商品取引業者等が顧客に対して任意で価格改善状況に関する情報を追加的に提供することも考えられる。
  • 現時点では、レイテンシー・アービトラージの実態把握の手法や標準的な対応策が確立されているとは言い難く、各金融商品取引業者等が、よりよい注文執行を顧客に提供する取組みの中で、検討を進めている。こうした中、金融商品取引業者等のレイテンシー・アービトラージへの対応方針・対応策は、投資家が金融商品取引業者等を選択するに当たり重要な判断要素となると考えられる。以上の点を踏まえると、現時点においては、金融商品取引業者等に対して特定のレイテンシー・アービトラージへの対応策を義務付けるのではなく、最良執行方針等の法定記載事項に「レイテンシー・アービトラージへの対応方針・対応策の概要」を追加し、投資家に対する情報提供を充実させることを通じて金融商品取引業者等の対応を促すことが適当と考えられる。
  • 現時点においてPFOFの取扱いについて一定の結論を出すことは時期尚早であるが、諸外国における金融規制の動向やダークプールを含めた実態把握の進捗等の今後の状況・事情の変化に応じて、必要に応じ、法令による規制を含め、適切かつ機動的に対応することが期待される。

金融庁 「政府機関・地方公共団体等における業務でのLINE利用状況調査を踏まえた今後のLINEサービス等の利用の際の考え方(ガイドライン)」の公表について
▼(別紙2) 「政府機関・地方公共団体等における業務でのLINE利用状況調査を踏まえた今後のLINEサービス等の利用の際の考え方(ガイドライン)」(概要資料)
  • 政府機関・地方公共団体等における業務でのLINEサービスの利用状況
    • 令和3年3月17日にSNSサービス LINE(ライン)について、個人情報等の管理上の懸念が報じられたことから、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)から政府機関等に対して、また、総務省自治行政局から地方公共団体に対して、行政事務でのLINEサービスの利用状況について調査を行った。
  1. 調査結果の概要
    • 政府機関等 ※回答率100%
      • LINEを業務上利用している機関等 78.2%(18機関/23機関)
      • LINEを利用している業務数 221業務 – うち、機密性を要する情報の取り扱いあり 44業務(19.9%)
    • 地方公共団体 ※回答率100%
      • LINEを業務上利用している団体 64.8%(1,158団体/1,788団体)
      • LINEを利用している業務数 3,193業務 – うち、住民の個人情報を扱う業務 719業務(22.5%)
  2. LINEサービスを利用した主な業務内容(例)
    • 政府機関等
      • 機密性を要しない情報のみを取り扱う: 広報業務(公開情報を掲載・発信)、問い合わせへの自動対応(FAQを基にチャットボット応答)、業務内容を伴わない職員間の連絡など
      • 機密性を要する情報を取り扱う: 相談業務(人権問題、自殺相談等)、問い合わせ対応(有人対応)、アンケート調査、業務内容を伴う職員間の連絡など
    • 地方公共団体
      • 住民の個人情報を取り扱わない: 広報業務(公開情報を掲載・発信)、問い合わせへの自動応答(FAQを基にチャットボット応答)、税・社会保険料等のキャッシュレス決済、職員間の業務連絡など
      • 住民の個人情報を取り扱う: 相談業務(いじめ・虐待、子育て、自殺相談等)、オンライン手続(施設利用予約、窓口予約等)など
    • 政府機関・地方公共団体等におけるLINEサービスの主な利用の態様
      • 政府機関・地方公共団体等におけるLINE社のサービスの利用状況について、内閣官房及び総務省にて調査を行った。
      • 調査の結果、現時点での利用の態様は大きく以下の類型に整理された。
        1. LINEサービスを、周知・広報、相談・オンライン申請等のコンタクトポイントの一つとして利用 (※委託先経由も想定)
        2. LINEサービスを決済手段の一つとして利用
        3. 個人アカウントを業務連絡等に利用
    • LINEサービスの利用検討時に確認すべき事項(ガイドライン)のポイント
      • 政府機関・地方公共団体等から報告があった類型を基に、今後、同様の利用を進める際に、適切な情報セキュリティ確保のために留意すべき事項をガイドラインとしてとりまとめる。
        1. 機密性を有する情報/住民等の個人情報を取り扱わない場合
          • 公表・公開することを前提とする情報や第三者が知り得ても問題の無い情報などのみをLINEサービス上で取り扱うことが明確な場合は、各行政主体におけるLINEサービスの利用は許容されるものと考えられる旨を記載。
        2. 機密性を有する情報/住民等の個人情報を取り扱う行政サービスの場合
          • 「民間企業等が不特定多数のユーザーに対して同一条件で提供するサービス(いわゆる「約款による外部サービス」)では、要機密情報を取り扱わせることは原則として禁止されている」ことを明記。その上で、下記の利用態様に応じて確認すべき事項を記載。
            1. 公式アカウントを利用した相談業務等
              • LINE社とは別の委託先に適切にセキュリティが確保されたシステムを構築させることとし、
                1. 相談内容や行政が保有する住民等の個人情報がLINE社等が提供するサービス上に保存されないシステム構成とする
                2. 当該情報を保存する委託先に対する適切なセキュリティの確保等の確認すべき事項を記載
            2. LINE Payを利用した公金決済
              • 収納代行業者との契約等を通じて、行政が保有する住民等の個人情報をLINE Pay社に提供する仕組みとなっていないことを確認
              • 収納代行業者が自組織のセキュリティポリシーを満たすことを確認したうえで委託を行うなど確認すべき事項を記載
            3. その他(LINE社等と行政主体が直接契約する稀なケース)
              • 個別の契約において、LINE社の対応が各行政主体のセキュリティポリシーに合致していることを確認・要求しつつ事業を進めることを記載
        3. 個人アカウントを用いた業務連絡
          • 個人アカウントでの機密性を有する情報等の取り扱いはセキュリティポリシー違反になる。各行政主体におけるポリシー適用の徹底を要請。
          • 業務でメッセージアプリを利用する場合は、ISMAP登録クラウドサービスリストから適切に選択し、各行政主体が契約をして利用することを推奨。

【2021年4月】

金融庁 「サステナブルファイナンス有識者会議」(第6回)議事次第
▼資料1 事務局資料
  • サステナブルファイナンスの意義
    1. リスク・リターンの改善
      • 環境・社会・ガバナンスの要素を投資に考慮することで、リスク低減効果が期待される。
      • 長期の時間軸で行った投資であるほど、リスク調整後のリターンを改善する効果が期待される。
      • 融資先における環境・社会・ガバナンスへの対応を支援することで、融資先の経営の安定、信用リスクの低減につながる。
    2. 経済活動の基盤保持・強化
      • 社会や環境課題の改善(負の外部性の低減)を促すことは、市場全体を保有するユニバーサルオーナーはもとより、市場の全体の利益につながる。
      • 社会全体におけるサステナビリティ課題解決を通じ、経済活動の基盤が守られることで、結果的に自社の保有するポートフォリオ全体の利益が守られる側面もある。
  • サステナブルファイナンスの位置づけ
    • サステナブルファイナンスとは、個々の金融機関や金融商品のあり方にとどまらず、経済・産業・社会が望ましいあり方に向けて発展していくことを支えていく金融メカニズムの全体像であり、サステナブルな社会を支える市場のインフラである
  • サステナブルファイナンスと受託者責任
    • 受託者責任(Fiduciary Duty)は、年金基金や資産運用者など、他人の資金を管理運用する者が受益者の利益のために果たすべき責任と義務のこと。
    • 受託者責任の位置づけは、各国の法体系によって異なる。
      • コモンロー諸国(英、米、豪、加など):受託者責任が法令や判例法によって、法的な義務として規定されている。
      • シビルロー諸国(欧州、日本など):受託者責任に相当する概念が、法令上の忠実義務や善管注意義務、あるいはそれらを補完するガイダンス等によって示されている。
    • 機関投資家や運用会社の間で、投資決定におけるESG要素の考慮は受託者責任に反するのではないかとの見方が根強いが、ESG投資と受託者責任を巡る議論は長年にわたって継続している。
  • リスク・リターン・インパクトや、マテリアリティ(重要課題)の捉え方の整理としては、以下などがある。
    1. リスク・リターン・インパクトの3軸
      • インパクト投資では、リスク・リターン・インパクトの三次元評価を重要視
    2. ダイナミックマテリアリティ
      • マテリアリティは動的なものであるとするダイナミックマテリアリティという考え方もある(CDP, CDSB, GRI, IIRC、SASB)。見過ごされていた課題が環境や社会にとって重要だと認識されたり、それが企業価値と関係するようになるなど、重要課題は変化するという考え方。
    3. シングルマテリアリティ/ダブルマテリアリティ
      • TCFDはシングルマテリアリティ(財務的にマテリアルかどうか)、欧州委員会の非財務情報開示指令(NFRD)はダブルマテリアリティ(財務に加えて、環境や社会にとってマテリアルかどうか)の立場をとる。
  • インパクト投資とは、財務的リターンと並行して、ポジティブで測定可能な社会的および環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資。足元で急激に拡大しており、世界的な市場規模は7150億ドル(2020年)。
  • 機関別にみると、運用会社によるインパクト投資残高の保有割合が最も多い。
  • 投資先は非上場企業・私募が中心で、プライベート・デット(21%)、プライベート・エクイティ(17%)で約4割。近年は、上場企業への投融資が増加傾向にある(上場株式(19%)、公募債(17%))。
  • 投資先分野としては、エネルギー、金融が多い。
  • インパクト投資は多様であり、市場競争力ある経済的リターンを持つ場合もあれば、マーケットよりも低い経済的リターンを許容する場合もある。
  • 論点
    1. 受託者責任
      • サステナブルファイナンスは「リスク・リターン」の改善や「経済活動の基盤保持・強化」といった意義を持つものだと整理したが、これを受託者責任との関係でどのように整理すべきか。
      • 足元では、長期的に持続可能な社会の実現を重視した場合、ESG要素を考慮しないことこそが、受託者責任に反するのではないか、との指摘もあるが、どう考えるか。
    2. インパクトの考え方
      • リスク・リターン・インパクトの3つの関係をどのように整理すべきか。インパクトは、リスク・リターンの水準を改善させる限りで考慮すべきなのか、リスク・リターンの水準を害さない限りは考慮すべきなのか、リスク・リターンの水準を害するとしても考慮すべきなのか。
  • 気候関連リスクは、移行リスクと物理的リスクに分類される。
    • 移行リスク(transition risks):低炭素社会への移行によって引き起こされる金融資産・負債へのリスク(気候変動緩和のための政策変更、技術革新、投資家・消費者のセンチメント・需要・期待の変化、等) ※石油・石炭等、市場環境や社会環境が激変することで価値が大きく毀損する資産を「座礁資産(stranded assets)」という。
    • 物理的リスク(physical risks):気候変動に伴う極端な気象現象の過酷さ・頻度の上昇(急性的リスク)、(海面上昇等の)より長期的な気候パターンの変化(慢性的リスク)によって引き起こされる金融資産・負債へのリスク
  • 気候関連リスクは、既存のリスク分類(信用リスク、市場リスク、オペリスク、等)に新たに加えられるリスクではなく、各リスクを発生又は増幅させる「リスクドライバー」であるといえる。そのため、既存のリスク管理の枠組みと整合的な形で、適切に統合すべきであると考えられる。
  • 気候関連リスクの特殊性としては、以下が挙げられる。
    • リスク期間:顕在化や強靭化の期間が数十年とこれまでのリスクの期間に比べて相当に長い
    • リスクに関する不確実性:実際に気候変動が進展すると地球環境がどういう影響を受けるか、期間が長いことにより気候変動の進展に加えそれに対する人間社会の対応などによって顕在化の幅が大きい、という今までにない不確実性がある
  • NGFS(Network for Greening the Financial System)による監督当局者向け手引書等において、下表のとおり、監督上の重要項目が示されている。
    1. ガバナンス・リスクアペタイト
      • 気候変動リスクに関するガバナンス管理の体制・役割・責任の明示
      • 取締役/経営陣の役割・関与の明示
      • リスクアペタイトフレームワークに基づく気候変動リスク管理
    2. ビジネスモデル・戦略
      • 自社のビジネスモデル・戦略に影響を与える気候変動リスク・機会の把握
      • 気候変動へのレジリエンスを考慮したビジネスモデル・戦略の策定
      • 定量的なKPIを用いた戦略実行のモニタリング
    3. リスク管理
      • リスク区分(信用/市場/流動性/オペ、等)毎に、関連する気候変動リスクの認識・評価・管理についてのプロセス構築
      • 気候変動リスクを踏まえた、投融資プロセス(スクリーニング、DD、与信評価、モニタリング、エンゲージメントなど)の構築
    4. シナリオ分析・ストレステスト
      • 複数のフォワードルッキングなシナリオを用いたシナリオ分析・ストレステストの検討と実施
      • 分析結果の、ビジネスモデル・戦略やリスク管理への統合
    5. 開示
      • 上記内容について、TCFD等の非財務情報開示の枠組みを用いた定期的な開示
  • 一部の金融機関は、気候変動の影響について、何らかの仮定やシナリオを置くことで分析。
  • TCFD提言やNGFSの監督当局者向け手引書等において、シナリオ分析の意義や必要性については、以下のとおり指摘されている。
    • 将来の政策や社会経済要素に関する不確実性が高いなど、過去のトレンドや既存の社会経済構造が大きく変わらないと想定する既存のリスク管理手法では捉えられない事象への対応に有効。
    • 潜在的な影響規模が大きい、複雑な連関性を持つ、又は長期にわたる事象等への対応に有効。
    • 将来予測ではなく、特定の未来を仮定したシナリオ分析を行うことにより、ビジネス上、戦略上、あるいは財務上の影響範囲を評価し、頑健な戦略策定に向けた議論を促すことが期待される。
    • 外部環境をモニタリングする指標を特定し、状況の変化を早期に認識することにより、業務戦略や財務戦略を見直す機会を得ることにつながる。
    • 投資家にとっても、対象となる組織(金融機関)が将来のリスクや機会について、業務戦略や財務戦略をどのように検討しているかを理解するために有効。
    • また、NGFSの手引書においては、監督当局者の役割として、監督上の期待を策定することや、経済・金融セクターへの波及経路を究明し、監督対象へのリスクの重要性を特定することが推奨されている。
  • 取引先や投資先が気候関連リスクに適切に対応できるよう、金融機関にはサステナビリティを考慮した投融資先との目的を持った対話(エンゲージメント)等を通じた気候変動対応の推進を行うことが重要。特に地域金融機関にとっては、地域社会の持続可能性に貢献する観点から重要。
    1. 気候関連エンゲージメントの重要性
      • 脱炭素社会への“移行”が重視されている中、金融機関には、温室効果ガス多排出セクターの投融資先を中心に、積極的なエンゲージメントによって気候変動対応へ導くとともに、新たなビジネス機会の創出に貢献するという役割が期待されている。
      • また、こうしたエンゲージメントにより顧客企業等の気候変動への取組みを支援することが、金融機関自身の気候変動リスクへの対応にもつながる。
    2. 気候関連エンゲージメントの手法
      • 一部の資産運用会社には、気候変動に関するシナリオ分析結果をエンゲージメント基準に明確に統合している事例が見られる。
      • 排出権価値の定量的な把握なども活用した、新たな脱炭素に向けた取組みを推進するエンゲージメントも求められている。
    3. 金融機関としての開示
      • 欧州においては、金融機関の保有するポートフォリオ等の炭素濃度やグリーン資産比率の開示を求める動きもある。

金融庁 「ソーシャルボンド検討会議」(第2回)議事次第
▼資料3 参考資料(海外におけるソーシャルボンド等の発行事例)
  • 低所得者を対象とする飲料水等のアクセス向上に貢献するソーシャルビジネスへの投資や、ヘルスケア/医療サービスに係るプロジェクトがある。対象を特定していない、公共交通機関等のコミュニティ・インフラ向上のための資金供給に係るプロジェクトがある。
  • 発展途上国などの通信回線にアクセスできない人等を対象とした情報通信インフラの拡大に係るプロジェクトがある。先進国(ヨーロッパ、特にフランス)の農村地域における光ファイバーネットワークの導入等に係るプロジェクトもある。
  • ヘルスケア/医療サービスや教育/職業訓練に係るプロジェクトが多い。多くが社会的弱者を対象としているが、一般の人々を対象とする医療サービスに係るプロジェクトもある。高齢者福祉に係るプロジェクトや先進国の農村地域におけるICTネットワークの整備を通じた地域経済の活性化に係るプロジェクトもある。
  • 社会的弱者を対象とするヘルスケア/医療サービスや教育/職業訓練に係るプロジェクトが多い。サプライチェーンを支える生産者の支援に係るプロジェクトもある。
  • 社会的弱者を対象とするヘルスケア/医療サービスや福祉に係るプロジェクトが多い。その中でも高齢者や障がい者向けのものが多い一方、一般の人々を対象とするものもある。文化施設等のコミュニティサービス施設の建設等に係るプロジェクトもある。
  • 社会的弱者を対象とするヘルスケア/医療サービスに係るプロジェクトが多い。COVID-19対応に係るプロジェクトでは、一般の人々も対象としている。
  • 通信回線にアクセスできない人を対象とする通信インフラの整備に係るプロジェクトがある一方、生徒や保護者を対象とするオンライン環境の改善やオンライン教育の拡充に係るプロジェクトがある。また、ICT活用を通じた女性活躍支援に係るプロジェクトがある。一般の人々を対象とするCOVID-19対応に関連するヘルスケア/医療サービスに係るプロジェクトもある。
  • マイノリティ、障がい者、低所得者を含む社会的弱者を対象とする教育、職業訓練、スポーツ及びレジャーへのアクセスに係るプロジェクト、幅広い世代を対象とする健康促進に係るプロジェクトや、女性活躍支援に係るプロジェクトがある。
  • 障がい者・高齢者などを含む、低所得者又は所得が低め(moderate)の者(以下、「低所得者等」という)を対象とした住宅供給に係るプロジェクトが多い。
  • 低所得者向けの住宅供給に係るプロジェクトに加え、一般の人々を対象とした手ごろな価格の住宅(具体的には、家賃規制の対象となる住宅)に係るプロジェクトもある。
  • 零細・中小企業に対する資金提供、支援等に係るプロジェクトが多い。その中には、発展途上国向けに加え、先進国の経済的に不利な地域を対象とするプロジェクトや、金融リテラシーに係るプロジェクトもある
  • 中小企業向けの資金供給に係るプロジェクトが多い。その中には、発行体のビジネスに係る分野(ICTなど)の中小企業や、COVID19の影響を受けた中小企業など、対象をある程度絞り込んだプロジェクトがある。一般の人々を対象としたプロジェクトとして、ヘルス・栄養分野に係るものやCOVID-19対応に係るプロジェクトがある。起業家・スタートアップ企業に対する資金提供に係るプロジェクトや、一定の地域中小企業への特許権の共有や採用支援等に係るプロジェクトがある。
  • より健康的で栄養価の高い商品開発、一定の要件を備える商品開発及び原材料生産者の保護がある。発展途上国の農村コミュニティを対象とした基本的な食糧へのアクセスに係るプロジェクトがある一方、高度な医療栄養素の研究や栄養価向上に向けた商品開発といった先進的な分野に係るプロジェクトがある。
  • 低所得者・障がい者・女性の支援を目的とするプロジェクトが多い。その中には、スポーツ施設・機会の提供や、女性活躍が進んでいる会社への融資もある。
  • ICTの活用によるトレーニングプログラムの提供に係るプロジェクトやデジタルテクノロジーの普及に係るプロジェクトがある。その中には、サプライチェーンのサプライヤーを対象とした企業責任の分野におけるトレーニングプログラムの提供に係るプロジェクトがある
  • 小規模生産者・農家を対象とした、活動支援のための資金拠出に係るプロジェクト、農産物の購入等の費用負担に係るプロジェクト、アドバイスや金融ソリューションの提供等に係るプロジェクトがある。発行体の従業員を対象にした育児支援の提供に係るプロジェクト、黒人を含むマイノリティを対象とした支援に係るプロジェクトがある
  • 黒人、移民・難民、障がい者等のマイノリティを対象とした支援に係るプロジェクトがある。

金融庁 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第8回) 議事次第
▼資料1 事務局説明資料 (金融商品取引業者と銀行との顧客情報の共有等のあり方)
  • これまでの会合における委員の主なコメント
    1. 情報授受規制
      • 情報授受規制については、手続の簡素化を含め一定の緩和と金融機関の体制整備の強化・当局のエンフォースメントの強化という方向性が考えられる。
      • 顧客情報管理及び利益相反管理については、欧米における“Need to Know”原則等、海外との規制水準や競争環境の同等性を考慮する必要がある。
      • 金融資本市場の魅力向上等は重要な観点であり、それらに直接関係しない個人に関しては厚めの規制を維持する一方、法人に関してはグローバルスタンダードにすべき。
      • 日本のみならず、諸外国の利益相反管理体制やコンプライアンス体制に関し、実際にどのように機能しているか、更なる調査を要する。
      • 顧客目線の検討は重要であり、ヒアリングやアンケートを通じて、顧客のニーズや情報共有に関する考えを調査し、紹介頂きたい。
    2. その他の関連規制
      • 外務員の二重登録禁止規制やホームベースルールについて、監督上の対応や誤認防止措置等の適切な確保を前提に緩和することも考えられる。
      • 主幹事引受制限と引受証券の売却制限について、更なる緩和には慎重であるべき。
  • 海外金融機関における顧客情報管理・利益相反管理に関する実務の概要
    • エンティティベースでなく、ビジネスラインベースでグローバルに組織を編成。
    • 重要未公開情報(MNPI)管理・利益相反管理について、グローバルで組織的かつ一元的なシステムによる管理体制を確立。
    • 情報の共有・利用に関し、MNPIにとどまらず、幅広い顧客情報について“Need to Know”原則を適用
  • 海外金融機関におけるビジネスラインの例
    • 欧米の金融機関においては、投資銀行部門・商業銀行部門・リテール部門・資産運用部門等のビジネスラインに分かれ、広義の投資銀行部門の中に証券・市場部門があることが多い(商業銀行部門(大企業向け)の位置づけは様々)。
    • 広義の投資銀行部門内はプライベート部門とパブリック部門に区別され、その区別に基づき顧客情報を管理。
      • 部門間:壁越え(ウォール・クロス)の手続が必要。
      • 部門内:MNPIのみならず、幅広く顧客情報について、“Need to Know”原則に基づき管理。
    • 投資銀行部門・商業銀行部門(大企業向け)に関するグループの顧客情報管理・利益相反管理に係る規程は、原則として、銀行規制と証券規制の双方を充足。(アンケート回答の11社中9社)。
  • 広義の投資銀行部門の重要未公開情報(MNPI)の管理の実務
    • 重要未公開情報(MNPI)を入手した役職員は、独立したコンプライアンス部門(コントロールルーム)に速やかに報告。同部門がシステムで厳格に管理。
    • MNPIはグループで共通のシステムを利用し、各拠点間で連携してグループ全体で一元的に管理
    • 米国では、法令上、証券業務を営む金融機関が重要未公開情報(MNPI)を不正に利用した取引を行うこと等は禁止されており、違反時には金融機関に対して民事制裁金が課せられうる。また、MNPIの適切な管理を確保する観点から、法令上、金融機関に対して、MNPI不正利用防止体制の整備義務が課せられており、欧州でも同様の体制整備義務が課せられている。
    • 体制整備の具体的な内容(投資銀行部門等のプライベート部門とパブリック部門の間に情報障壁(組織的・物理的・システム的な障壁)を整備)は、監督当局のハンドブックや自主規制団体の規則に定められており、それらを参考に、各金融機関は、MNPIを厳格に管理するため必要な体制整備や運用を実施
  • 広義の投資銀行部門の利益相反管理の実務
    • 米国では、法令上、証券業務を営む金融機関には利益相反を顧客に開示する義務があり、違反した場合は民事制裁金が課せられうる。また、利益相反の防止を担保する観点から、法令上、利益相反管理体制の整備義務が課せられている。欧州でも同様の体制整備義務が課せられている。
    • 利益相反管理の実務の例としては、以下の通り。
      • М&A案件等の情報は、顧客へのコミットメントの前に、役職員の申請により、グローバルベースで一元的に利益相反を管理するシステムに登録。
      • 利益相反管理オフィスは、登録情報をもとに、全世界の他の案件との利益相反チェックを行う
    • 国内事業法人に対するヒアリング等の結果
      • 現状、金融機関との取引に当たり、約半数の企業(17社)が、包括同意書を提出。一方、個別案件毎に同意を判断する企業も約半数(18社)存在
      • 企業の意向としては、個別事案ごとに判断したいとする企業が多く存在(21社)(特に大企業に顕著)し、その理由としては以下が挙げられている。
        • 本邦金融機関については、銀行・証券会社でそれぞれの専門性があることを踏まえ、必ずしも銀証連携によるメリットを感じない(3社)。
        • 金融機関からどのようなサービスについて提案を受けるかについては、個別の案件ごとに、自社の財務部門で判断したい(必ずしも一律に金融機関によるワンストップでの総合的なソリューションの提供を求めていない)(7社)。
        • 企業としては、銀行に伝えたコベナンツや決済に関するセンシティブな情報について、グループ証券会社に共有され、当該証券会社の営業活動に勝手に利用されることを懸念している(5社)。
      • 他方、包括同意による銀証連携により、メリットを享受できたとの回答もあった。そのような回答においては、“Need to Know”原則に従った情報管理の必要性があわせて指摘された(1社)。
      • 情報共有の管理に関し、企業間契約(守秘義務契約)による対応に一定の理解を示す回答が多数あった(15社)一方、情報共有を拒否できるような法令上の仕組みの維持を求める企業が多数存在(12社)(特に大企業)。なお、「大企業以外の場合、実務負担の増大や守秘義務契約の内容に係る交渉力の観点から懸念がある」との指摘もあった(3社)。
      • なお、大企業から、「外資系金融機関からサービスを受ける際も、必ずしもワンストップで総合的なソリューションの提供を受けているわけではなく、M&Aやファイナンスといった案件ごとの内容・規模・地域等に応じて、金融機関が各々得意とするサービス分野などを踏まえてサービスごとに金融機関を選定している」との回答が示された(6社)。
      • ホームベースルールなどの緩和について、「良いサービスが提供されることになり得るのであれば、特に困るということはない」とする企業も存在(2社)。
      • 利益相反について、以下のような懸念等が指摘された。
        • ローンと社債発行では金融機関の収益構造が異なり(ローンは金利、社債発行は仲介手数料、金融グループ内の事情等によっては、企業にとっての最適解が必ずしも提案されないとの懸念(1社)。
        • 仮に企業業績が悪化した局面を想定すると、独立系証券会社からは銀行の債権放棄も含めた提案がありうる一方、銀行系証券会社からはそのような提案は難しいとの懸念(1社)。
      • 大企業は、総じて金融機関とは対等な関係にあると認識しており、金融機関の優越的地位を利用した要請を受けたと回答した企業は見られなかった一方、以下のような懸念等が指摘された。
        • 社債発行の引受等の金融取引において、グループ証券会社の利用について銀行から言及があった。(注)ヒアリングを実施したうち5社。これらの企業のほとんどは、自己資本5,000億円以下・負債比率50%超。
        • 金融機関の行為が法令上禁止されている優越的地位の濫用に当たるか否かについては、線引きが難しく、課題である(2社)。(注)金融機関の行為が法令上禁止されている優越的地位の濫用に当たるか否かの判断に当たっては、特定の金融機関に対する取引依存度、当該金融機関の市場における地位等に関する具体的事実を総合的に考慮し、正常な商慣習なども踏まえた判断が必要。
      • ご議論いただきたい事項
        • 銀証ファイアーウォール規制については、2008年の大幅な見直し以降10年以上が経過し、金融を取り巻く環境も大きく変化している。
        • こうした中、我が国資本市場の一層の機能発揮を促す観点、さらには国際金融センターとしての市場の魅力を向上し、より高度の金融サービスを提供する観点から、ファイアーウォール規制について、制度の基本に立ち返った見直しが求められている。
        • この見直しに当たっては、これまでファイアーウォール規制により実現を目指していた(1)顧客情報の適切な保護、(2)利益相反管理、(3)優越的地位の濫用の防止を実効的に確保していくことが重要である。
      • この点、欧米の金融機関の投資銀行業務等における情報管理に関する規律をみると、「情報授受規制」がない中で、行為規制・市場規制・顧客の最善の利益を図るという金融機関の行為規範により、不公正取引の防止及び利益相反管理を徹底している。日本においても、同様の方法で管理を行うことにより、必ずしも入口における情報授受規制を設けておく必要はないのではないかとの考え方もあり得る。
      • 他方、日本の金融機関はこれまでファイアーウォール規制を前提にした情報管理・利益相反管理等を行ってきており、仮にファイアーウォール規制がない欧米と同様の情報管理制度を導入する場合、(将来的な導入はともかく)現実的に日本の金融機関内・金融機関と事業法人間の実務に馴染むのかといった課題もあり得る。
      • この点、国内の事業法人からは、国内の銀行における構造上の優越的な立場に起因する弊害、金融グループ内での情報共有・利用のあり方への懸念、情報管理について契約実務での規律への移行には事業法人の負担増大や金融機関との交渉力への懸念等が指摘され、情報授受規制の見直しにおいて一定の措置(オプトアウトの維持)を求める強い主張がある。
      • このような中、ファイアーウォール規制の基本的な見直しの方向について、どのように考えるか
      • ファイアーウォール規制を大きく見直す場合、弊害防止を実効的に確保するための措置として、どのような方策を講ずる必要があるか。
        1. 顧客情報の適切な管理のための実効的な方策(チャイニーズウォールや“Need to Know” 原則) (注)欧米では、商業銀行業務・投資銀行業務両方を行う者は銀行法令・証券法令の両方を十分に遵守する必要があることを踏まえると、日本でも同様とすることについてどう考えるか。
        2. 利益相反の適切な管理のための実効的な方策(営業部門による顧客に対する取引時の確認の実効性確保や経営幹部へのエスカレーション) ※ 次回ファイアーウォール規制を議論する際の市場制度WGにおいて、国内金融機関(大手銀行、大手証券会社)の実務について議論する予定。
        3. 優越的地位を濫用した取引の防止・これを図るためのモニタリングの強化のための実効的な方策

金融庁 飲食店への協力金等の支給に係るつなぎ融資について
  • 貴協会等におかれては、資金繰り支援と感染拡大防止の両立に着実に取り組んでいただいてきたことに感謝申し上げます。
  • こうした中、足許では、新型コロナウイルスの感染拡大により、まん延防止等点措置区域やその他地域において、都道府県から飲食店に営業時間の短縮要請が出されており、こうした要請に応じている飲食店に対する営業時間の短縮要請に伴う協力金の支給について、令和3年4月1日には、事業規模に応じた支援となるよう見直しがなされたところです。
  • これまで、飲食店をはじめとした事業者への資金繰り支援について、「年度末における事業者に対する金融の円滑化について」(令和3年3月8日)、「飲食・宿泊等をはじめとする事業者への資金繰り支援等について」(令和3年3月25日)等において、補助金等の支給までの間に必要となる資金等も含めた新規融資の積極的な実施など、事業者の実情に応じた最大限柔軟な対応を行うことを要請させて頂いております。
  • こうした要請等を踏まえ、資金繰り支援に取り組んでいただいているところ、重ねての要請となり恐縮に存じますが、引き続き、今般の協力金やその他の補助金・支援金等の支給までの間に必要となる資金等も含めたつなぎ融資の実施など、事業者の実情やニーズに応じ、迅速かつ積極的な資金繰り支援に取り組んでいただくよう、貴協会等傘下の各金融機関に対し、周知徹底方をよろしくお願いいたします。

金融庁 クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針(案)について
▼(別添1)「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針(案)」
  • 2015年に「パリ協定」が採択され、世界的な平均気温の上昇を産業革命前と比べて少なくとも2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすることが世界共通の長期目標となった。また、IPCC1の1.5℃特別報告書では、今世紀末の気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃に抑えるためには、2050年前後に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすることの必要性が示された。
  • 我が国においても、2020年10月26日に菅首相が所信表明にて「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」ことを宣言し、同年12月25日には「2050年カーボンニュートラルの実現に向けたグリーン成長戦略」が策定された。本戦略は、温暖化への対応は経済成長の制約やコストであるという従来の発想を転換し、積極的な対策により産業構造や社会経済の変革をもたらし、経済と環境の好循環を作りだす産業政策である。政府は大胆な投資やイノベーションを起こす民間企業の前向きな努力を全力で応援すべく、あらゆる政策手段を総動員することを表明した。本基本指針もそうした政策の一環である。
  • パリ協定の実現には、世界的にも2040年までの累計で約7,370兆円規模の投資額(IEAWorldEnergyOutlook2020より算出)が必要とされている。金融の世界においては、気候変動対策を考慮する金融機関が増え、サステナブル投資額は拡大し、企業にも気候変動への対応が強く求められている。
  • このような中で、EUでは、サステナブル・ファイナンス政策が提唱され、持続可能な発展、特に気候変動対策のファイナンスによる促進を目的としたアクション・プランの第一のアクションとして、グリーンな経済活動を限定的に定義する「タクソノミー」が策定されている。再生可能エネルギー等へのグリーン投資の一層の推進に加え、パリ協定の実現に向けて、世界全体で排出量を着実に削減していく観点からは、排出削減困難なセクター(hard-toabate)(現段階において、脱炭素化が困難な産業部門・エネルギー転換部門)における低炭素化の取組など、脱炭素へのトランジション(移行)を図っていくことも重要となる。そのため、排出削減困難なセクターにおける省エネ等着実な低炭素化に向けた取組や、脱炭素化に向けた長期的な研究開発等のトランジションに資する取組への資金供給を促進していくことが必要である。
  • 上記のような認識の下、シンガポール、オーストラリア、カナダなど各国においてそれぞれの地域特性を踏まえた取組が進められている。このような各国の動向を踏まえ、国際的に統一した考え方を共有するべく、国際資本市場協会(ICMA)において、2020年12月に「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック」(以下「ICMAハンドブック」という。)が策定された。我が国においても、「クライメート・トランジション・ファイナンスの基本的な考え方」や、「クライメート・イノベーション・ファイナンス戦略20203」が策定され、脱炭素社会への移行に資する取組への資金供給を推進している。
  • 以上を踏まえ、本基本指針は、黎明期にあるクライメート・トランジション・ファイナンス(以下「トランジション・ファイナンス」という。)を普及させ、トランジション・ファイナンスの信頼性を確保することで、特に排出削減困難なセクターにおけるトランジションへの資金調達手段として、その地位を確立し、より多くの資金の導入による我が国の2050年カーボンニュートラルの実現とパリ協定の実現への貢献を目的とする。
  • このため、本基本指針では、ICMAハンドブックとの整合性に配慮しつつ、資金調達者、資金供給者その他市場関係者の実務担当者がトランジション・ファイナンスに関する具体的対応を検討する際に参考となるよう、対応例等により解釈を示す。
  • 本基本指針では、第1章2節にて基本的な考え方を説明する。第2章では、トランジション・ファイナンスの概要として、既存の原則・ガイドラインとの関係などトランジション・ファイナンスの位置付けを中心に説明する。そして、第3章では、トランジション・ファイナンスにおいて資金調達者に期待される事項と対応方法を示す。トランジション・ファイナンスに関する健全な市場形成に向けては、本基本指針を参照した資金調達者によるトランジション・ファイナンスの活用だけでなく、企業の脱炭素化、低炭素化への取組を評価し、投融資を実行、投資判断を行う資金供給者の役割も極めて重要となる。特に、黎明期においては、何がトランジション・ファイナンスなのか、事例を積み上げながら明確にしていくことが必要となるため、資金調達者の前向きな挑戦と資金供給者の理解など、双方の創意工夫が必要となる。
  • 資金調達者は、トランジション戦略の構築やその開示を通じて、サステナビリティ経営の高度化を図るとともに、そのような取組を高く評価する資金供給者と関係を築き、資金調達の基盤を強化しながら自身の低炭素化及び脱炭素化の促進と企業価値の向上の両立を目指すことができる。資金供給者は、パリ協定と整合した形で事業変革を進める意図を持ち、その実践に関する信頼性が担保される資金調達者に対して投融資を実行、エンゲージメントすることで、投融資による利益を得ながら、パリ協定の実現や持続可能な社会の実現に寄与することができる。
  • 本基本指針の基本的な考え方
    • トランジション・ファイナンスの市場は、気候変動への対策を検討し、脱炭素社会の実現に向けて取組を行おうとする資金調達者と、その資金調達者のコミットメントと実践に関する信頼性に着目し資金供給したいと考える資金供給者との間での、十分な情報を基礎とした対話を通して成熟していくべきものであり、トランジション・ファイナンスに関する資金調達者の対応の適切性がどのように評価されるのか、投融資の対象として選択されるのか否かは、最終的には市場に委ねられるものと考えられる。
    • 一方で、トランジション・ファイナンスに期待される事項をあらかじめ整理しておくことは、このような資金調達者と資金供給者の間の対話の基礎となることに加え、それぞれのステークホルダーに対して気候関連のトランジションに関する資金調達、資金供給であることを説明する上でも有用である。
    • トランジション・ファイナンスという新しい概念を我が国で形成するに当たって、トランジションに関する資本市場の国際的なコンセンサスと整合的であることは合理的である。同時に、脱炭素社会の実現に向けた道筋は、各国様々である点を踏まえることも重要である。
    • 本基本指針は、以上のような考え方の下、ICMAハンドブックとの整合性に配慮して策定されている。具体的には、トランジション・ファイナンスには、上記ハンドブックにおいて資金調達者が開示することが推奨されている4つの要素(要素1:資金調達者のクライメート・トランジション戦略とガバナンス、要素2:ビジネスモデルにおける環境面のマテリアリティ、要素3:科学的根拠のあるクライメート・トランジション戦略(目標と経路を含む)、要素4:実施の透明性)があり、本基本指針において示した内容に対応した資金調達は、国際的にもトランジション・ファイナンスの対象として認められうるものと考えている。
    • トランジション・ファイナンスで資金調達する主体は、(1)脱炭素化に向けた目標を掲げ、その達成に向けた戦略・計画を策定しており、戦略・計画に即した取組を実施するための原資を調達する主体及び、(2)他者の脱炭素化に向けたトランジションを可能にするための活動(投融資を含む)の原資を調達する主体となる。
    • 上記趣旨に基づき、本基本指針は、国内のトランジション・ファイナンスの実施を対象としているが、同様にトランジション・ファイナンスが必要されている国や地域でも活用しうるものである。

金融庁 「コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について」の公表について
▼(別紙1)コーポレートガバナンス・コード改訂案
  • 上場会社は、自社の株主における機関投資家や海外投資家の比率等も踏まえ、議決権の電子行使を可能とするための環境作り(議決権電子行使プラットフォームの利用等)や招集通知の英訳を進めるべきである。特に、プライム市場上場会社は、少なくとも機関投資家向けに議決権電子行使プラットフォームを利用可能とすべきである。
  • 「持続可能な開発目標」(SDGs)が国連サミットで採択され、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同機関数が増加するなど、中長期的な企業価値の向上に向け、サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)が重要な経営課題であるとの意識が高まっている。こうした中、我が国企業においては、サステナビリティ課題への積極的・能動的な対応を一層進めていくことが重要である。
  • 取締役会は、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討を深めるべきである。
  • 上場会社は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標を示すとともに、その状況を開示すべきである。また、中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針をその実施状況と併せて開示すべきである。
  • 上場会社は、自社の株主における海外投資家等の比率も踏まえ、合理的な範囲において、英語での情報の開示・提供を進めるべきである。特に、プライム市場上場会社は、開示書類のうち必要とされる情報について、英語での開示・提供を行うべきである。
  • 上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すべきである。また、人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。特に、プライム市場上場会社は、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである。
  • 支配株主は、会社及び株主共同の利益を尊重し、少数株主を不公正に取り扱ってはならないのであって、支配株主を有する上場会社には、少数株主の利益を保護するためのガバナンス体制の整備が求められる。
  • 取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、自社のサステナビリティを巡る取組みについて基本的な方針を策定すべきである。また、人的資本・知的財産への投資等の重要性に鑑み、これらをはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行うべきである。
  • 内部統制や先を見越した全社的リスク管理体制の整備は、適切なコンプライアンスの確保とリスクテイクの裏付けとなり得るものであり、取締役会はグループ全体を含めたこれらの体制を適切に構築し、内部監査部門を活用しつつ、その運用状況を監督すべきである。
  • 【原則4-4.監査役及び監査役会の役割・責務】監査役及び監査役会は、取締役の職務の執行の監査、監査役・外部会計監査人の選解任や監査報酬に係る権限の行使などの役割・責務を果たすに当たって、株主に対する受託者責任を踏まえ、独立した客観的な立場において適切な判断を行うべきである。また、監査役及び監査役会に期待される重要な役割・責務には、業務監査・会計監査をはじめとするいわば「守りの機能」があるが、こうした機能を含め、その役割・責務を十分に果たすためには、自らの守備範囲を過度に狭く捉えることは適切でなく、能動的・積極的に権限を行使し、取締役会においてあるいは経営陣に対して適切に意見を述べるべきである。
  • 【原則4-8.独立社外取締役の有効な活用】独立社外取締役は会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与するように役割・責務を果たすべきであり、プライム市場上場会社はそのような資質を十分に備えた独立社外取締役を少なくとも3分の1(その他の市場の上場会社においては2名)以上選任すべきである。また、上記にかかわらず、業種・規模・事業特性・機関設計・会社をとりまく環境等を総合的に勘案して、過半数の独立社外取締役を選任することが必要と考えるプライム市場上場会社(その他の市場の上場会社においては少なくとも3分の1以上の独立社外取締役を選任することが必要と考える上場会社)は、十分な人数の独立社外取締役を選任すべきである。
  • 支配株主を有する上場会社は、取締役会において支配株主からの独立性を有する独立社外取締役を少なくとも3分の1以上(プライム市場上場会社においては過半数)選任するか、または支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為について審議・検討を行う、独立社外取締役を含む独立性を有する者で構成された特別委員会を設置すべきである。
  • 上場会社が監査役会設置会社または監査等委員会設置会社であって、独立社外取締役が取締役会の過半数に達していない場合には、経営陣幹部・取締役の指名(後継者計画を含む)・報酬などに係る取締役会の機能の独立性・客観性と説明責任を強化するため、取締役会の下に独立社外取締役を主要な構成員とする独立した指名委員会・報酬諮問委員会を設置することにより、指名や報酬などの特に重要な事項に関する検討に当たり、ジェンダー等の多様性やスキルの観点を含め、これらの委員会の適切な関与・助言を得るべきである。特に、プライム市場上場会社は、各委員会の構成員の過半数を独立社外取締役とすることを基本とし、その委員会構成の独立性に関する考え方・権限・役割等を開示すべきである。
  • 【原則4-11.取締役会・監査役会の実効性確保のための前提条件】取締役会は、その役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきである。また、監査役には、適切な経験・能力及び必要な財務・会計・法務に関する知識を有する者が選任されるべきであり、特に、財務・会計に関する十分な知見を有している者が1名以上選任されるべきである。取締役会は、取締役会全体としての実効性に関する分析・評価を行うことなどにより、その機能の向上を図るべきである。
  • 取締役会は、経営戦略に照らして自らが備えるべきスキル等を特定した上で、取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する考え方を定め、各取締役の知識・経験・能力等を一覧化したいわゆるスキル・マトリックスをはじめ、経営環境や事業特性等に応じた適切な形で取締役の有するスキル等の組み合わせを取締役の選任に関する方針・手続と併せて開示すべきである。その際、独立社外取締役には、他社での経営経験を有する者を含めるべきである。
  • 上場会社は、取締役会及び監査役会の機能発揮に向け、内部監査部門がこれらに対しても適切に直接報告を行う仕組みを構築すること等により、内部監査部門と取締役・監査役との連携を確保すべきである。また、上場会社は、例えば、社外取締役・社外監査役の指示を受けて会社の情報を適確に提供できるよう社内との連絡・調整にあたる者の選任など、社外取締役や社外監査役に必要な情報を適確に提供するための工夫を行うべきである。
  • 株主との実際の対話(面談)の対応者については、株主の希望と面談の主な関心事項も踏まえた上で、合理的な範囲で、経営陣幹部または、社外取締役を含む取締役または監査役が面談に臨むことを基本とすべきである。
  • 上場会社は、経営戦略等の策定・公表に当たっては、取締役会において決定された事業ポートフォリオに関する基本的な方針や事業ポートフォリオの見直しの状況について分かりやすく示すべきである。
▼(別紙2)投資家と企業の対話ガイドライン改訂案
  • ESGやSDGsに対する社会的要請・関心の高まりやデジタルトランスフォーメーションの進展、サイバーセキュリティ対応の必要性、サプライチェーン全体での公正・適正な取引の必要性等の事業を取り巻く環境の変化が、経営戦略・経営計画等において適切に反映されているか。また、例えば、取締役会の下または経営陣の側に、サステナビリティに関する委員会を設置するなど、サステナビリティに関する取組みを全社的に検討・推進するための枠組みを整備しているか。
  • カーボンニュートラルの実現へ向けた技術革新やデジタルトランスフォーメーション等を主導するに当たっては、最高技術責任者(CTO)の設置等の経営陣の体制整備が重要との指摘があった。
  • 保有する資源を有効活用し、中長期的に資本コストに見合うリターンを上げる観点から、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた設備投資・研究開発投資・人件費も含めた人材投資等が、戦略的・計画的に行われているか。
  • 経営戦略や投資戦略を踏まえ、資本コストを意識した資本の構成や手元資金の活用を含めた財務管理の方針が適切に策定・運用されているか。また、投資戦略の実行を支える営業キャッシュフローを十分に確保するなど、持続的な経営戦略・投資戦略の実現が図られているか。
  • 客観性・適時性・透明性ある手続により、十分な時間と資源をかけて、資質を備えたCEOが選任されているか。こうした手続を実効的なものとするために、独立した指名委員会が必要な権限を備え、活用されているか。
  • 経営陣の報酬制度を、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた健全なインセンティブとして機能するよう設計し、適切に具体的な報酬額を決定するための客観性・透明性ある手続が確立されているか。こうした手続を実効的なものとするために、独立した報酬委員会が必要な権限を備え、活用されているか。また、報酬制度や具体的な報酬額の適切性が、分かりやすく説明されているか。
  • 取締役会が、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けて、適切な知識・経験・能力を全体として備え、ジェンダーや国際性、職歴、年齢の面を含む多様性を十分に確保した形で構成されているか。その際、取締役として女性が選任されているか。
  • 取締役会が求められる役割・責務を果たしているかなど、取締役会の実効性評価が適切に行われ、評価を通じて認識された課題を含め、その結果が分かりやすく開示・説明されているか。取締役会の実効性確保の観点から、各取締役や法定・任意の委員会についての評価が適切に行われているか。
  • 取締役会全体として適切なスキル等が備えられるよう、必要な資質を有する独立社外取締役が、十分な人数選任されているか。必要に応じて独立社外取締役を取締役会議長に選任することなども含め、取締役会が経営に対する監督の実効性を確保しているか。
  • 【監査役の選任・機能発揮及び監査の信頼性の確保・実効性のあるリスク管理の在り方】
    • 監査役に、適切な経験・能力及び必要な財務・会計・法務に関する知識を有する人材が、監査役会の同意をはじめとする適切な手続を経て選任されているか。
    • 監査役は、業務監査を適切に行うとともに、監査上の主要な検討事項の検討プロセスにおける外部会計監査人との協議を含め、適正な会計監査の確保に向けた実効的な対応を行っているか。監査役に対する十分な支援体制が整えられ、監査役と内部監査部門との適切な連携が確保されているか。
    • 内部通報制度の運用の実効性を確保するため、内部通報に係る体制・運用実績について開示・説明する際には、分かりやすいものとなっているか。
  • ガバナンス上の個別課題(1)株主総会の在り方
    • 株主総会において可決には至ったものの相当数の反対票が投じられた会社提案議案に関して、株主と対話をする際には、反対の理由や反対票が多くなった原因の分析結果、対応の検討結果が、可能な範囲で分かりやすく説明されているか。
    • 株主総会の招集通知に記載する情報を、内容の確定後速やかにTDnet及び自社のウェブサイト等で公表するなど、株主が総会議案の十分な検討期間を確保することができるような情報開示に努めているか。
    • 株主総会が株主との建設的な対話の場であることを意識し、例えば、有価証券報告書を株主総会開催日の前に提出するなど、株主との建設的な対話の充実に向けた取組みの検討を行っているか。また、不測の事態が生じても株主へ正確に情報提供しつつ、決算・監査のための時間的余裕を確保できるよう、株主総会関連の日程の適切な設定を含め、株主総会の在り方について検討を行っているか。
    • 株主の出席・参加機会の確保等の観点からバーチャル方式により株主総会を開催する場合には、株主の利益の確保に配慮し、その運営に当たり透明性・公正性が確保されるよう、適切な対応を行っているか。
  • ガバナンス上の個別課題(2)政策保有株式【政策保有株式の適否の検証等】
    • 政策保有株式5について、それぞれの銘柄の保有目的や、保有銘柄の異動を含む保有状況が、分かりやすく説明されているか。個別銘柄の保有の適否について、保有目的が適切か、保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、取締役会において検証を行った上、適切な意思決定が行われているか。特に、保有効果の検証が、例えば、独立社外取締役の実効的な関与等により、株主共同の利益の視点を十分に踏まえたものになっているか。そうした検証の内容について検証の手法も含め具体的に分かりやすく開示・説明されているか。政策保有株式に係る議決権の行使について、適切な基準が策定され、分かりやすく開示されているか。また、策定した基準に基づいて、適切に議決権行使が行われているか。
  • アセットオーナー
    • 自社の企業年金の運用に当たり、企業年金に対して、自社の取引先との関係維持の観点から運用委託先を選定することを求めるなどにより、企業年金の適切な運用を妨げていないか。
  • 株主と企業の対話の充実
    • 株主との面談の対応者について、株主の希望と面談の主な関心事項に対応できるよう、例えば、「筆頭独立社外取締役」の設置など、適切に取組みを行っているか。

金融庁 金融安定理事会による「『大きすぎて潰せない問題(TBTF)』に対する改革の影響評価」の公表について
▼プレスリリース(仮訳) FSB は、大きすぎて潰せない問題(TBTF)に対する改革の評価に係る最終文書を公表
  • 金融安定理事会(FSB)は、本日、システム上重要な銀行(SIB)に対する大きすぎて潰せない問題(TBTF)に対する改革の影響評価に係る最終文書を発表した。本評価では、TBTF改革がSIBに関するシステミック・リスクやモラルハザード・リスクをどの程度低減させたか、また、同改革の金融システムに対するより広範な影響について検証している。
  • 本評価によって、TBTF改革は銀行をより強靭にかつより破綻処理可能にし、社会にネットで便益をもたらしたことが分かった。システミック・リスクとモラルハザードの指標は正しい方向に向かっており、市場参加者がこれらの改革を信頼できると見ていることを示唆している。新型コロナ感染症の流行によって、銀行の強靭性の向上と市場規律の強化が試されているが、銀行は、前例のない財政、金融、監督上の支援措置のおかげもあり、これまでのところショックを吸収することができている。
  • しかしながら、評価の結果、対処すべきいくつかのギャップが見つかった。
    • 破綻した銀行に対する国家支援の必要性を最小限に抑え、破綻処理の実行可能性と信頼性を高めるために、破綻処理改革を完全に実施すべきである。これには、SIBの破綻処理可能性を高めるためのさらなる取組みも含まれる。
    • 破綻処理枠組みや資金調達メカニズム、SIBの破綻処理可能性、破綻処理に係る措置に関する情報開示を向上する余地がまだある。
    • 公的機関が(ベイルインなどの)破綻処理に係る措置の金融システムや経済への潜在的な影響を評価するために、追加的な情報が必要かもしれない。
    • 国内のシステム上重要な銀行(D-SIB)へのTBTF改革の適用については、さらなるモニタリングが必要である。加えて、信用仲介のノンバンク金融仲介への移行に伴うリスクは、引続き注意深くモニターされるべきである。
  • ドイツ連邦銀行の副総裁であり、本文書を作成したグループの議長を務めるクラウディア・M・ブーフは、次のように述べている。「銀行が頑健であり、銀行が破綻に陥った際にこれを処理するメカニズムを有することは、金融の安定を保つために非常に重要である。本評価では、我々が成し遂げた進捗が強調されているが、これらの改革の便益を完全に実現するために、より多くのことができる。我々が特定したギャップを埋めるために、FSBと基準設定主体がさらなる作業を行うことを期待している。

金融庁(消費者庁・警察庁) 暗号資産に関するトラブルにご注意ください!
▼「困ったときの相談窓口、消費生活相談の典型事例、暗号資産を利用する際の注意点」
  • インターネットを通じて電子的に取引される、いわゆる「暗号資産」の取引や暗号資産の交換と関連付けて投資を持ち掛けられたことをめぐるトラブル等についての相談が多数寄せられています。また、令和4年4月から成年年齢を18歳に引き下げる民法の一部を改正する法律が施行されると、18歳及び19歳は、「未成年者取消権(未成年者が親の同意を得ずに契約をした場合に原則として契約を取り消すことができる)」を行使できなくなり、悪質商法等の消費者被害に遭う懸念があります。
  • そのため、暗号資産の取引等を行うかどうか慎重に判断をするために、「令和2年度に寄せられた消費生活相談の典型事例」や「暗号資産を利用する際の注意点」等を紹介しますので、是非ご活用ください。また、もし困った時は一人で抱えず、内容に応じて「困ったときの相談窓口」にご相談ください。
  • 困ったときの相談窓口
    • 暗号資産を含む金融サービスに関するご相談はこちら
      • 金融庁 金融サービス利用者相談室 0570-016811 平日 10:00-17:00 ※IP電話・PHSからは、03-5251-6811 におかけください。
    • 不審な電話などを受けたらこちら
      • 消費者ホットライン 局番なしの188(いやや!) ※原則、最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口などをご案内します。相談できる時間帯は、相談窓口により異なります。
      • 警察相談専用電話 #9110 又は最寄りの警察署まで ※#9110は、原則、平日の8:30-17:15(※各都道府県警察本部で異なります。土日祝日・時間外は、24時間受付体制の一部の県警を除き、当直又は音声案内で対応)
  • 暗号資産の概要についてはこちらのウェブサイトへ
  • 令和2年度に寄せられた消費生活相談の典型事例
    1. セミナーやSNS等を通じて「絶対にもうかる」等と持ち掛けられて投資をしたが、返金されない・出金できない等トラブルになっているケース
      • セミナーに参加し、スマホにアプリを入れて暗号資産を運用したら報酬が得られ、人を紹介すると紹介料がもらえると聞いて加入したが、出金が止められてお金が引き出せない。(20代 男性)
    2. 出金するための追加費用を請求され、トラブルになっているケース
      • 知人にもうかるからと暗号資産を勧められ振込んだが、出金するために追加の支払いが必要だといわれた。(40代 男性)
    3. 法令に基づく登録を受けていない無登録業者(海外の事業者も含む)が国内の消費者に対して勧誘し投資をさせるが、その後業者と連絡がとれず、トラブルになっているケース
      • 知人から暗号資産を運用する海外業者へ投資すれば高利益が得られると勧められお金を振り込んだ。登録したホームページから出金できなくなっており、ホームページも閉じられた。国内の窓口となっている業者名や住所・連絡先も分からない。(50 代 女性)
    4. 出会い系サイトやマッチングアプリ等で知り合った人に勧められて、暗号資産の投資を進めたが、その後返金されない・出金できない、連絡がとれない等とトラブルになっているケース
      • マッチングアプリで知り合った女性から、海外取引所で暗号資産を購入。詐欺だったのでお金を取り戻したい。(20代 男性)
  • その他、気を付けてほしい消費生活相談事例
    • 暗号資産に関係した悪質商法等に関するもの
      • 資産を40倍に増やすことができる、必ず上場する暗号資産への投資話がメッセージアプリを通じて届いた。
    • システムやセキュリティに関するもの
      • 暗号資産取引のパスワードが使用できなくなりコインが全てなくなっていた。フィッシングサイトにアクセスしたと思う。対処法を教えてほしい。
    • 個人情報の悪用に関するもの
      • アダルトサイトの請求を次々に受けているうちに個人情報を漏らしてしまい、勝手に暗号資産の口座を開設されてしまった。
  • 暗号資産を利用する際の注意点
    • 暗号資産は、日本円やドルなどのように国がその価値を保証している「法定通貨」ではありません。インターネット上でやり取りされる電子データです。
    • 暗号資産は、価格が変動することがあります。暗号資産の価格が急落し、損をする可能性があります。
    • 暗号資産交換業者(※)は金融庁・財務局への登録が必要です。利用する際は登録を受けた事業者か金融庁・財務局のホームページで確認してください。(※)暗号資産と法定通貨の交換や、暗号資産同士の交換を行うサービスを提供する事業者、暗号資産の管理を行う事業者など
    • 暗号資産の取引を行う場合、事業者が金融庁・財務局から行政処分を受けているか(※)を含め、取引内容やリスク(価格変動リスク、サイバーセキュリティリスク等)について、利用しようとする事業者から説明を受け、十分に理解するようにしてください。
      (※) 金融庁・財務局が行った行政処分については、こちらをご覧ください。
    • 暗号資産交換業者の提供するウォレットで暗号資産を管理する際に、パスワードを設定する場合には、IDと同じものや利用者の名前、電話番号、生年月日等の推測が容易なものを避けるほか、他のウェブサイトと同じID・パスワードの組合せを使用しないなどの対策を講じる必要があります。管理する暗号資産が盗まれるおそれがあります。
    • 暗号資産や詐欺的なコインに関する相談が増えています。出会い系サイト・マッチングアプリ等をきっかけとした暗号資産の詐欺や悪質商法にご注意ください。

金融庁 金融審議会「最良執行のあり方等に関するタスクフォース」(第3回)議事次第
▼資料 事務局説明資料(高速取引行為と最良執行のあり方等)
  • 第2回会合(2021年2月16日)におけるメンバーの主なコメント
    1. 最良執行方針等とSORとの関係
      • SORはかなり複雑であり、細かいところまで説明すると分かりにくくなるため、コストとリスクの認識に重要な情報についてのみ最良執行方針等に記載すべき。SORを使うか否か、手数料も含めて比較しているか否か・手数料の違い、PTSは成行注文ができないこと、分割同時発注か順次回送か、については最良執行方針等に記載すべきだが、その他は別途開示すれば問題ない。
      • SORに関する大きな方針は開示すべきだが、細かいルールを書き過ぎるのは、分かりづらくなるうえ、先回りされる可能性もある。
      • 最良執行説明書はリクエストベースだが、たとえば、定期的に当局に報告する、又は、外部の情報ベンダーが提供しているサービスを導入することによってモニタリングを高めていくということが極めて重要。
      • 執行結果の開示について、個別開示だけだと、それがどの程度の出来なのか、妥当な結果と考えていいのかどうか、比較対象がないので、非常に分かりにくい。半期又は四半期で、取り扱った顧客の全体の取引の結果の開示であれば、1つの比較材料として考えられる。
      • 執行結果の開示について、投資家によって必要となる情報がかなり多岐にわたっている。一義的に全ての投資家についてこの項目を入れれば十分であるというのは少し乱暴。
      • 執行結果の開示について、個人投資家に対しては、ある程度シンプルにしたうえで、追加的な情報は投資家が問い合わせるという形にせざるを得ない。ただし、最低限、主市場のその時点での最良気配は開示すべき。
    2. SORに付随する利益相反構造
      • 利益相反については、事前の開示と事後のモニタリングが必要。一部PTSは株主の中にHFTが入っているが、そのHFTの注文と他の顧客の注文をどうやって公平に扱っていくのか、手数料をたくさん払っている顧客と手数料を払わない顧客に関してどのように公平性を保っているのか、開示すべき。
      • 具体的なSORの動作に踏み込んだ規制をかけるのは技術進歩の制約になるが、自社のグループ会社又は関係の深い執行先を同値のときに優先する場合、グループ会社のPTSにしか発注しない場合、その理由について説明することが、利益相反を牽制するという意味で非常に大事。
      • PTSの透明性が非常に重要。証券会社側もどういう風に注文を取り扱うのか、SOR・発注した市場でどういう風に注文を処理するのか、プロセスも含めてしっかりと説明をすることがマスト。
      • 何が利益相反か否かという判断は難しいが、系列・友好関係にあるPTSをSORが選択する可能性があることの明記は必要。ただし、最良執行方針等に含めるより、利益相反管理方針に記載すればよい。
      • (SORに付随する利益相反構造について)顧客に利益が出ているからいいというのは抵抗感がある。選択肢があるときに、本来であれば顧客の方の利益に基づいて選択がなされている、最低限、顧客の利益よりも自らの利益を優先した選択は行われていない必要がある。顧客の利益は画一的に決まるものではないため、どういう利益を優先し、どういう対応をしているか説明することが大事。
      • 同値の注文をもつ先に系列・提携先の証券会社があった場合に、そちらを優先して注文を流すということ自体は、とりわけ個人投資家の利益を損なうものではない。ただし、開示は必要。
    3. 最良執行方針等とダークプールとの関係
      • 少なくとも個人投資家についてはトレードアットルールを導入すべき。
      • 個人投資家のダークプール利用については、極めて慎重に行われるべき。
      • SORの執行先等にダークプールが含まれているのであれば、最良執行方針等の中でダークプールについて言及する必要。
      • ダークプールは、SORの文脈に紐づけて考えるといいのでは。SORの開示とモニタリングの中できちんとダークプールに規律が付けられることが期待できる。
      • ダークプールの中でいわゆる気配に当たる情報を生成して、システムでアクセスできるようになっている場合であって、同値で執行できる値段がダークプール上に存在し、それが注文を最初に受けている証券会社が運営しているダークプールである場合、そのダークプールに注文を流すということについて、とりわけ妨げる要因はない。他方、そういった板情報に当たるものが開示されていなくて、試しに出してみて、その最良気配又はそれよりもいい価格で執行できるかどうかを試してみるやり方でダークプールに注文を投げることについては、そこで失われる時間の問題を考えると、非常に慎重に対応するべき。
      • ダークプールについて、今、別の手当てが進んでいる最中であるため、ひとまず様子を見るということでよい。ただし、ダークプールについてシステム的に感知できる気配のようなものが生成されていて、SORで回送ができる場合に、このダークプールの中で気配にアクセスできたり、できなかったりという、同じ市場の参加者なのにアクセス条件などに差があるとすると、問題。
    4. その他
      • 最良の取引の条件で執行するための方針及び方法、これを最良執行方針等と定義して、金融商品取引業者等はそれを定め、公表し、それに従って注文を執行しなければいけないとされているが、最良の取引の条件で執行しなければならないと規定すればよい。この制度の立てつけはこのままでいいのかどうかというのは1つ課題。
      • 個人投資家については、価格を重視するというのを標準形として、コンプライ・オア・エクスプレインとすることが対応として考えられる。
      • 少なくとも個人投資家については、手数料も含めて価格コスト重視のところにつなぐ義務があると明確にした方がよい。ただし、オプトアウトはありうる。
      • 最良執行方針等に主たる取引所に取り次ぐと記載することは、現状のPTSの認知度からすればある程度やむを得ないが、それが「最も合理的」であるという最良執行方針等の記載は直すべき。
  • 検討課題
    1. 高速取引行為と最良執行のあり方
      • 高速取引行為者とその他の投資家との間のスピード格差を踏まえ、一部の証券会社においてレイテンシー・アービトラージへの対応策が採用されているが、こういった取組みを促すことについてどう考えるか。
      • レイテンシー・アービトラージへの対応策を採用している場合、顧客に対してどう説明すべきか。(最良執行方針等にどのように記載すべきか。)
    2. PFOFの取扱い
      • PFOFについて、最良執行の観点及び市場における価格発見機能の観点から指摘されている点に加えて、検討すべき点はあるか。
      • PFOFを禁じていない米国においても規制の見直しが進められており、我が国においても諸外国における今後の規制動向等を踏まえ、機動的に検討を進めることについてどう考えるか。
  • 取りまとめの方向性
    • 個人投資家にかかる注文執行における価格の重視
      • 顧客が個人である場合について、最良執行方針等の法定記載事項に「主として価格以外を考慮する場合には、その旨及びその理由」を追加(コンプライ・オア・エクスプレイン)
      • 顧客が個人である場合について、最良執行方針等の法定記載事項に「ダークプールを使用する場合には、その旨及びその理由」を追加
    • 市場構造の変化を踏まえた最良執行のあり方とその顧客説明
      1. SORによる注文執行のルール等の透明化・最良執行方針等の法定記載事項に「SORを使用する場合は、その旨及びSORによる注文執行のルール」を追加
        • SORによる注文執行のルール(1)執行先等(2)基本となる注文執行のルール(3)同値の場合の処理(4)(1)~(3)のルールを採用する理由
        • 最良執行説明書(有価証券等取引に関する顧客の注文を執行した後、三月間以内に当該顧客から求められたときに交付)の法定記載事項に「SORを使用した場合は、価格改善状況(※)」を追加(ただし、経過措置を設ける)
        • 価格改善状況(1)約定価格、約定日時、執行等がされた取引所・PTS・ダークプール(2)SORの使用に際して比較した取引所・PTSにおける価格
      2. 高速取引行為と最良執行のあり方
        • (第3回会合における議論を踏まえて検討)
      3. PFOFの取扱い
        • (第3回会合における議論を踏まえて検討)

金融庁 有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項及び有価証券報告書レビューの実施について(令和3年度)
▼別紙1 有価証券報告書レビューの審査結果及び審査結果を踏まえた留意すべき事項
  1. 新型コロナウイルス感染症の影響に係る仮定に関する追加情報の開示(概要)
    • 企業会計基準委員会(ASBJ)は、新型コロナウイルス感染症が経済活動に大きな影響を与えていることを踏まえ、会計上の見積りに用いた仮定が、財務情報である「追加情報」において、より具体的に開示されるよう周知してきた。
    • ASBJがこれまでに公表した議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」の主な内容(開示に関連する内容を抜粋)
      • 令和2年4月10日
        • 新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等についてどのような仮定を置いて会計上の見積りを行ったかについて、重要性がある場合は、追加情報としての開示が求められると考えられる。
      • 令和2年5月11日追補
        • 当年度の財務諸表の金額に対する影響の重要性が乏しい場合であっても、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある場合には、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する追加情報の開示を行うことが財務諸表の利用者に有用な情報を与えることになると考えられる。
      • 令和2年6月26日更新
        • 前年度の財務諸表において、追加情報の開示を行っている場合で、四半期決算において当該仮定に重要な変更を行ったときは、四半期財務諸表に係る追加情報として、当該変更の内容を記載する必要があるものと考えられる。また、前年度の財務諸表において仮定を開示していないが、四半期決算において重要性が増し新たに仮定を開示すべき状況になったときは、四半期財務諸表に係る追加情報として、当該仮定を記載する必要があるものと考えられる。
  2. 新型コロナウイルス感染症の影響に係る仮定に関する追加情報の開示(審査結果)
    • 令和2年度の有価証券報告書レビューにおいて、新型コロナウイルス感染症の影響に係る仮定に関する追加情報の開示を審査対象として、追加情報の記載の有無やその内容及び追加情報を記載しない場合にはその理由を確認した(提出会社に有価証券報告書と合わせて提出を依頼している調査票において、追加情報を記載しない場合にはその説明を求めている。)。
    • 審査の結果、追加情報の記載内容の詳細さには幅があるものの、多くの提出会社が追加情報を記載しており、投資家に十分な情報を提供する姿勢が見られた。
    • また、追加情報を記載していない会社のうち79%(3月決算会社の数値)が、「新型コロナウイルス感染症の影響が軽微」と回答していることから、追加情報を記載していない会社においても記載要否については慎重な検討が行われたことが推定される。
    • なお、追加情報を記載していない上記以外の理由として、他の項目に記載しており重複を避けるため(12%)や見通しが全く立たないため(8%)との回答があったが、これらの理由が追加情報を記載しない合理的な理由となるかどうかは、慎重に検討する必要がある。
  3. 新型コロナウイルス感染症の影響に係る仮定に関する追加情報の開示(令和2年度末以降の開示)
    • 企業会計基準委員会は、令和3年2月10日に議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」を更新し、公表した。
    • 当該議事概要では、会計上の見積りを行う上での基本的な考え方は従来の議事概要から変わらないとしつつ、企業会計基準第31号「会計上の見積りの開示に関する会計基準」(以下、「企業会計基準第31号」)の適用前後の取扱いを整理している。
    • 企業会計基準第31号の適用後においては、新型コロナウイルス感染症の影響を含め、重要な会計上の見積りに関して、基準の趣旨に沿った充実した開示が期待される。
  4. 会計上の見積りの考え方と開示の充実
    • ASBJは、議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」(令和3年2月10日)を公表し、会計上の見積りにおいては、「企業が置いた一定の仮定が明らかに不合理である場合を除き、最善の見積りを行った結果として見積もられた金額については、事後的な結果との間に乖離が生じたとしても、「誤謬」にはあたらないものと考えられる。」との考え方を、引き続き周知している。
    • また、日本公認会計士協会は、令和3年3月2日に「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その7)」を公表し、会計上の見積りに関する監査においては、「経営者の過度に楽観的な会計上の見積りを許容することは適切ではないが、他方、監査人が、企業の収益力やキャッシュ・フローの獲得能力について、実態と乖離した過度に悲観的な予測を行い、経営者の行った会計上の見積りを重要な虚偽表示と判断することも適切でない」としている。
    • 各提出会社では、会計上の見積りについて監査人とも十分にコミュニケーションをした上で、一定の仮定を置いて最善の見積りをすると考えられるが、特に、新型コロナウイルス感染症の影響のように不確実性が高い事象については、その一定の仮定等が会社によって異なることも想定される。
    • そのため、一定の仮定等が会社によって異なる可能性があることを踏まえ、投資家が財務諸表を適切に理解出来るようにするため、会計上の見積りに関して注記や追加情報で特に充実した情報提供をすることが求められる。

金融庁 証券監督者国際機構(IOSCO)が「COVID-19 パンデミック時における継続企業の前提の評価及び開示に関する IOSCO 声明」を公表
▼プレス・リリース(仮訳)
  • 証券監督者国際機構(IOSCO)は、証券監督当局の主要な国際機関であり、証券規制のグローバルな基準設定者として認識されている。そのメンバーは、世界の資本市場の95%以上を規制し、資本市場の監督並びに会計基準の適用及び執行について責任を負っている。COVID-19パンデミックに起因する現在の不確実性に鑑み、IOSCOは、特に不確実性の高い状況において、資本市場の適切な機能にとって極めて重要である高品質な会計基準の開発、一貫した適用及び執行に引き続き全面的にコミットする。
  • IOSCOの目的には、投資家保護、公正かつ効率的で透明性の高い市場の維持、システミック・リスクへの対応がある。会計基準の適用により、発行体は、投資家が十分な情報に基づいて投資判断を行うことができるよう、明瞭で目的適合性のある信頼の高い情報を提供しなければない。
  • 高品質な基準の開発及び維持は国際会計基準審議会(IASB)の責任であり、我々は、COVID-19によって悪影響を受ける企業にとって、特に関連性があると考えられる継続企業の前提の開示について、IASBが教育文書を作成したことを歓迎する。過去のIOSCO声明で言及した事項に加えて、継続企業の前提は、2020年及び2021年の財務報告を行う世界中の多くの公開企業にとって関連性が高いと考えられる。
  • 年次財務諸表作成への影響
    • 企業の継続企業の前提に重要な疑義を生じさせうる重要な不確実性の存在について、投資家が質の高い情報を入手することが重要である。教育文書に記載のとおり、企業が継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる重要な不確実性を明確に特定することが重要である。さらに、COVID-19によって悪影響を受けている企業の経営者が、当該企業には継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる重要な不確実性は存在しないと判断した場合は、当該結論に至る際に行われた重要な判断について、投資家が十分な情報を得ることが重要である。継続企業の前提に関する重要な不確実性は存在しないという結論において、重要な不確実性の影響を軽減するための計画に係る経営者による実行可能性の判断は、特に重要である。
    • IASBの教育文書では、様々な状況で要求される開示の概要が示されている。さらに、教育文書では、企業が設計する将来についての仮定や報告期間末日における不確実性の見積りといった、翌会計年度中に資産及び負債の帳簿価額に重要な修正をもたらすリスクのある情報を提供することの必要性など、その他の包括的な財務報告の開示要求事項についても記述されている。
  • 年次監査への影響
    • IOSCOは、特に現況のように不確実性が高い環境下においては、開示の妥当性を評価し、継続企業の前提に関する経営者の判断の適切性を判断する外部監査人が、重要な役割を果たすと考えている。監査人は、監査において、特に注意を払った事項を監査上の主要な検討事項(KAMs)として報告する責任がある。現在の経済環境下においては、継続企業の前提条件、重要な不確実性及び重要な判断(監査人がこれらの事項にどのように対処したかの説明を含む)に係る事項が、KAMsに記載されうる。また、監査人が監査報告書において「継続企業の前提に関する重要な不確実性」の別セクションを記載する状況もありうる。さらに、財務諸表において重要な不確実性について十分な開示がなされていない場合には、監査人は、必要に応じて限定付適正意見又は不適正意見を表明すべきことに言及する。この点、IASBの教育文書は、国際監査・保証基準審議会(IAASB)が事前に提供した資料と共に、監査人や監査委員会に対しても、検討すべき重要な情報を提供していると考える。
    • 多くの証券監督当局は、このような経済的混乱が生じる重要な時期においては、継続企業の前提の開示を含め、会計基準の認識、測定及び開示の要求事項のエンフォースメントに引き続き注力していく予定である。
  • 結論として、IOSCOは、発行体、監査委員会及び/又はガバナンスに責任を負う者(TCWG)、並びに外部監査人に対して、特に不確実性が高まっている状況において、投資家に高品質で信頼性があり、適時に透明性のある財務情報を提供する上で、それぞれが重要な役割を果たすことを再認識させる。経営者には、十分に合理的で裏付けのある会計上の見積りを行い、OVID-19が発行体に与える現在及び将来の潜在的な影響について、信頼性の高い財務情報を提供する責任がある。監査委員会及び/又はTCWGには、発行体の財務報告及び外部監査プロセスの監督の責任がある。そして、外部監査人には、財務情報に対し専門的な基準に従って質の高い保証業務を実施する責任がある。

金融庁 暗号資産の移転に際しての移転元・移転先情報の通知等(トラベルルール)について
▼暗号資産の移転に際しての移転元・移転先情報の通知等(トラベルルール)について(3月31日)
  • 概要
    • マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策は、各国が協調して実行していくことが重要であり、FATF(金融作業部会)において、その国際基準(FATF基準)が策定されている。
    • 暗号資産交換業者に対しても、FATF基準を踏まえ、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」や「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」において、各種措置を講ずることが求められているほか、「資金決済に関する法律」第63条の10に基づく「暗号資産交換業者に関する内閣府令」第23条第1項第1号においても、暗号資産交換業の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な体制を整備することが求められている。
    • こうした中、2019年6月にFATF基準が改訂され、暗号資産交換業者に対して、暗号資産の移転に際し、その移転元・移転先に関する情報を取得し、移転先が利用する暗号資産交換業者に通知することを求める規制(トラベルルール)を各国において導入・履行することが求められているところである。
  • 要請事項
    • 日本の暗号資産交換業者においても、国際的に協調して実効的なマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策を実施する観点から、暗号資産の移転に係る通知等(トラベルルール)を的確に実施していくことが求められる。
    • 貴協会においても、2022年4月を目途に、暗号資産の移転に係る通知等(トラベルルール)に関する自主規制規則の導入を目指し、検討を進めているところと承知しているが、暗号資産交換業者においては、暗号資産交換業の適正かつ確実な遂行を確保する観点から、暗号資産の移転に係る通知等(トラベルルール)の的確な実施に向けた検討を進め、技術面や運用面での課題を解決し、速やかに暗号資産の移転に係る通知等(トラベルルール)を実施するために必要な体制を整備していただきたいので、貴協会会員宛に周知徹底をよろしくお願いしたい。また、貴協会においても、貴協会会員の取組のサポートをお願いしたい。

金融庁 「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第26回)議事次第
▼資料 コーポレートガバナンス・コードと投資家と企業の対話ガイドラインの改訂について(案)
  • コロナ禍を契機とした企業を取り巻く環境の変化の下で新たな成長を実現するには、各々の企業が課題を認識し変化を先取りすることが求められる。そのためには、持続的成長と中長期的な企業価値の向上の実現に向け、取締役会の機能発揮、企業の中核人材の多様性の確保、サステナビリティを巡る課題への取組みをはじめとするガバナンスの諸課題に企業がスピード感をもって取り組むことが重要となる。
  • また、2022年4月より東京証券取引所において新市場区分の適用が開始となるが、プライム市場は、我が国を代表する投資対象として優良な企業が集まる、国内のみならず国際的に見ても魅力あふれる市場となることが期待される。そこで、プライム市場上場会社は一段高いガバナンスを目指して取組みを進めていくことが重要となる。その他の市場の上場会社においても、それぞれの市場の特性に応じつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してガバナンスの向上に取り組むことが重要となる。
  • このように企業がより高度なガバナンスを発揮する後押しをするために、2020年12月に「コロナ後の企業の変革に向けた取締役会の機能発揮及び企業の中核人材の多様性の確保」(「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」意見書(5))(以下、「意見書(5)」という。)が公表された。その後も、フォローアップ会議において、サステナビリティやグループガバナンス、監査に対する信頼性の確保をはじめとする項目についても議論・検討を重ねた。そこで今回、これらの項目につき、意見書(5)の内容に加えて、コンプライ・オア・エクスプレインの枠組みの下で、コーポレートガバナンス・コード(以下、「本コード」という。)の改訂を提言することとした
    1. 取締役会の機能発揮
      • 意見書(5)にも記載のように、事業環境が不連続に変化する中においては、取締役会が経営者による迅速・果断なリスクテイクを支え重要な意思決定を行うとともに、実効性の高い監督を行うことが求められる。そのためには、「我が国を代表する投資対象として優良な企業が集まる市場」であるプライム市場の上場会社においては、独立社外取締役を3分の1以上選任するとともに、それぞれの経営環境や事業特性等を勘案して必要と考える場合には、独立社外取締役の過半数の選任の検討が行われることが重要となる。
      • 加えて、取締役会において中長期的な経営の方向性や事業戦略に照らして必要なスキルが全体として確保されることが重要である。そのためにも、上場会社は、経営戦略上の課題に照らして取締役会が備えるべきスキル等を特定し、その上で、いわゆる「スキル・マトリックス」をはじめ経営環境や事業特性等に応じた適切な形で社内外の取締役の有するスキル等の組み合わせを開示することが重要である。
      • この際、独立社外取締役には、企業が経営環境の変化を見通し、経営戦略に反映させる上で、より重要な役割を果たすことが求められるため、他社での経営経験を有する者を含めることが肝要となる。これらのスキル等については、取締役会の機能発揮の実現のために、各取締役の職務において実際に活用されることが重要である。
      • なお、独立社外取締役には、形式的な独立性に留まらず、本来期待される役割を発揮することができる人材が選任されるべきであり、また、独立社外取締役においても、その期待される役割を認識しつつ、役割を発揮していくことが重要となる。
      • 取締役会の機能発揮をより実効的なものとする観点から、プライム市場上場会社においては構成員の過半数を独立社外取締役が占めることを基本とする指名委員会・報酬委員会の設置が重要となる。
      • 加えて、指名委員会や報酬委員会は、CEOのみならず取締役の指名や後継者計画、そして企業戦略と整合的な報酬体系の構築にも関与することが望ましいが、実際にはこれらの委員会にいかなる役割や権限が付与され、いかなる活動が行われているのかが開示されていない場合も多いとの指摘もある。そうした指摘も踏まえれば、指名委員会・報酬委員会の権限・役割等を明確化することが、指名・報酬などに係る取締役会の透明性の向上のために重要となる。
      • そして、CEOや取締役に関しては、指名時のプロセスが適切に実施されることのみならず、取締役会・各取締役・委員会の実効性を定期的に評価することが重要となる。
      • 株主との面談の対応者について、株主の希望と面談の主な関心事項に的確に対応できるよう、例えば、筆頭独立社外取締役の設置など、適切に取組みを行うことも重要である。
      • そのほか、各社ごとのガバナンス体制の実情を踏まえ、必要に応じて独立社外取締役を取締役会議長に選任すること等を通じて、取締役会による経営に対する監督の実効性を確保することも重要である。この点についても、機関投資家との対話等を通じて検討が進められることが期待される。
    2. 企業の中核人材における多様性(ダイバーシティ)の確保
      • 企業がコロナ後の不連続な変化を先導し、新たな成長を実現する上では、取締役会のみならず、経営陣にも多様な視点や価値観を備えることが求められる。
      • 我が国企業を取り巻く状況等を十分に認識し、取締役会や経営陣を支える管理職層においてジェンダー・国際性・職歴・年齢等の多様性が確保され、それらの中核人材が経験を重ねながら、取締役や経営陣に登用される仕組みを構築することが極めて重要である。こうした多様性の確保に向けては、取締役会が、主導的にその取組みを促進し監督することが期待される。
      • そこで、多様性の確保を促すためにも、上場会社は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標を示すとともに、その状況の開示を行うことが重要である。また、多様性の確保に向けた人材育成方針・社内環境整備方針をその実施状況と併せて開示することも重要である。
    3. サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)を巡る課題への取組み
      • 中長期的な企業価値の向上に向けては、リスクとしてのみならず収益機会としてもサステナビリティを巡る課題へ積極的・能動的に対応することの重要性は高まっている。また、サステナビリティに関しては、従来よりE(環境)の要素への注目が高まっているところであるが、それに加え、近年、人的資本への投資等のS(社会)の要素の重要性も指摘されている。人的資本への投資に加え、知的財産に関しても、国際競争力の強化という観点からは、より効果的な取組みが進むことが望ましいとの指摘もされている。
      • こうした点も踏まえ、取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、自社のサステナビリティを巡る取組みについて基本的な方針を策定することが求められる。
      • 加えて、上場会社は、例えば、サステナビリティに関する委員会を設置するなどの枠組みの整備や、ステークホルダーとの対話等も含め、サステナビリティへの取組みを全社的に検討・推進することが重要となる。サステナビリティの要素として取り組むべき課題には、全企業に共通するものもあれば、各企業の事情に応じて異なるものも存在する。各社が主体的に自社の置かれた状況を的確に把握し、取り組むべきサステナビリティ要素を個別に判断していくことは、サステナビリティへの形式的ではない実質的な対応を行う上でも重要となる。
      • また、企業の持続的な成長に向けた経営資源の配分に当たっては、人的資本への投資や知的財産の創出が企業価値に与える影響が大きいとの指摘も鑑みれば、人的資本や知的財産への投資等をはじめとする経営資源の配分等が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行うことが必要となる。
      • 加えて、投資家と企業の間のサステナビリティに関する建設的な対話を促進する観点からは、サステナビリティに関する開示が行われることが重要である。
      • 特に、気候変動に関する開示については、現時点において、TCFD提言が国際的に確立された開示の枠組みとなっている。また、国際会計基準の設定主体であるIFRS財団において、TCFDの枠組みにも拠りつつ、気候変動を含むサステナビリティに関する統一的な開示の枠組みを策定する動きが進められている。
      • 比較可能で整合性の取れた気候変動に関する開示の枠組みの策定に向け、我が国もこうした動きに積極的に参画することが求められる。今後、IFRS財団におけるサステナビリティ開示の統一的な枠組みがTCFDの枠組みにも拠りつつ策定された場合には、これがTCFD提言と同等の枠組みに該当するものとなることが期待される。さらに、中長期的な企業価値向上に向けた人的資本や知的財産への投資等に係る具体的な情報開示も重要となる。
      • なお、こうした将来に向けた投資等に関しては、投資戦略の実行を支える営業キャッシュフローを十分に確保するなど、持続的な経営戦略・投資戦略の実現が図られることが肝要となる。
    4. その他個別の項目
      1. グループガバナンスの在り方
        • グループガバナンスに関しては、グループ経営の在り方を検討する昨今の動きなどを踏まえると、上場子会社において少数株主を保護するためのガバナンス体制の整備が重要、などの指摘がされた。
        • 支配株主は、会社及び株主共同の利益を尊重し、少数株主を不公正に取り扱ってはならないのであって、支配株主を有する上場会社においては、より高い水準の独立性を備えた取締役会構成の実現や、支配株主と少数株主との利益相反が生じ得る取引・行為(例えば、親会社と子会社との間で直接取引を行う場合、親会社と子会社との間で事業譲渡・事業調整を行う場合、親会社が完全子会社化を行う場合等)のうち、重要なものについての独立した特別委員会における審議・検討を通じて、少数株主保護を図ることが求められる。特に、支配株主を有する上場会社においては、独立社外取締役の比率及びその指名の仕組みについて、取締役会として支配株主からの独立性と株主共同の利益の保護を確保するための手立てを講ずることが肝要である。
        • なお、支配株主のみならず、それに準ずる支配力を持つ主要株主(支配的株主)を有する上場会社においても、本改訂案を基にした対応が取られることが望まれる。
      2. 監査に対する信頼性の確保及び内部統制・リスク管理
        • 中長期的な企業価値の向上を実現する上では、その基礎として、監査に対する信頼性の確保が重要である。特に、2019年4月に公表された「コーポレートガバナンス改革の更なる推進に向けた検討の方向性」(「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」意見書(4))においては、内部監査部門が、CEO等のみの指揮命令下となっているケースが大半を占め、経営陣幹部による不正事案等が発生した際に独立した機能が十分に発揮されていないのではないかとの指摘がされている。
        • こうした指摘も踏まえれば、上場会社においては、取締役会・監査等委員会・監査委員会や監査役会に対しても直接報告が行われる仕組みが構築されること等により、内部監査部門と取締役・監査役との連携が図られることが重要である。加えて、内部通報制度の運用の実効性の確保のため、内部通報に係る体制・運用実績について開示・説明する際には、それが分かりやすいものとなっていることも重要である。
        • 内部統制やリスク管理については、取締役会による内部統制やリスク管理体制の適切な整備が求められているところ、その際には、企業価値の向上の観点から企業として引き受けるリスクを取締役会が適切に決定・評価する視点の重要性や、内部統制やリスク管理をガバナンス上の問題としてより意識して取締役会で取り扱うことの重要性を念頭に置いた指摘がされている。加えて、グループ経営をする上場会社においては、グループ会社レベルでの視点に立った取組みが重要であるとの指摘もある。
        • そこで、取締役会は、グループ全体を含め、適切な内部統制や全社的リスク管理体制の構築やその運用状況について監督を行うことが重要となる。また、こうした体制の重要性を鑑みれば、その構築と運用に必要な資源が投入されていることも重要となる。
        • さらに、監査の信頼性の確保に向けては、監査役が独立した客観的な立場から適切な判断を行うことが重要であり、こうした観点から、監査役が監査役会の同意などをはじめとする適切な手続を経て選任されることが重要である。
      3. 株主総会関係
        • 上場会社は、株主総会での意思決定のためのプロセス全体を建設的かつ実質的なものとすべく、株主がその権利を行使することができる適切な環境の整備と、情報提供の充実に取り組むことが求められる。
        • そのためには、プライム市場上場会社は、必要とされる情報についての英文開示や議決権電子行使プラットフォームの整備を行うことが重要である。
        • なお、株主の利便性に配慮した媒体で株主総会資料の電子的公表を早期に行うことや、決算・監査のための時間的余裕の確保等の観点も鑑みて株主総会関連の日程の設定を行うことについても検討が進められることが望ましい。その際、基準日の変更を検討する上場会社に対しては、これを後押しすることが重要である。加えて、株主総会において相当数の反対票が投じられた会社提案議案について、機関投資家との対話の際に原因分析の結果や対応の検討結果について分かりやすく説明することや、株主総会前に有価証券報告書を開示することも投資家との建設的な対話に資すると考えられる。
        • また、株主の出席・参加機会の確保等の観点からバーチャル方式により株主総会を開催する場合には、株主の利益の確保に配慮し、その運営に当たり透明性・公正性が確保されていることが重要である。
      4. 上記以外の主要課題
        • コロナ禍により企業を取り巻く環境変化が加速し、不確実性も高まりを見せている中、事業セグメントごとの資本コストも踏まえた事業ポートフォリオの検討を含む経営資源の配分が一層必要となる。
        • そこで、取締役会(グループ経営をする上場会社においては、グループ本社の取締役会)は、事業ポートフォリオに関する基本的な方針の決定・適時適切な見直しを行うべきであり、これらの方針や見直しの状況を株主の理解が深まるような形で具体的に分かりやすく説明することが求められる。また、グループ経営をする上場会社は、グループ経営に関する考え方・方針について説明する場合も、具体的に分かりやすく行うことが重要である。
        • 政策保有株式の更なる縮減についても課題となるが、政策保有株式の保有効果の検証方法について開示の充実を図ることも機関投資家との対話に資すると考えられ、その検証に当たっては、例えば、独立社外取締役の実効的な関与等により、株主共同の利益の視点を十分に踏まえることが望ましい。
        • 企業年金受益者と母体企業との関係性に関しては、企業年金の受益者のための運用を母体企業が妨げないことが重要となる。
        • また、監査役も取締役と同じく株主への受託者責任を有することに鑑みれば、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう、機関投資家の希望と面談の主な関心事項も踏まえた上で、合理的な範囲で、面談に臨むことを基本とすべきである。

【2021年3月】

金融庁 「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」について
▼マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)
  • 「経営陣が、管理のためのガバナンス確立等について主導性を発揮する」とは、いかなる態様が考えられますか。
    • 経営陣による関与については、マネロン・テロ資金供与リスクが経営上の重大なリスクになりかねないことを的確に認識し、取締役会等において、マネロン・テロ資金供与対策を経営戦略等における重要な課題の一つとして位置付けることや、経営陣の責任において組織横断的な枠組みを構築し、戦略的な人材確保・教育・資源配分等を実施することが考えられます。
    • なお、取締役会等において、マネロン・テロ資金供与対策を経営戦略等における重要な課題の1つとして位置付けていることの証跡としては、議事録において、報告の内容や経営陣からの指示、コメントが残されていること、ディスクロージャー誌や年次報告書において、マネロン・テロ資金供与リスクを経営上の課題として認識し、リスクに応じた取組みを適切に行っている旨の記載がなされていることなどが考えられます。
  • 業界団体や中央機関等の役割
    • 送金業務の受付時における送金依頼人・受取人の確認、送金目的の確認やリスクに応じた確認手続等については、第一次的には、委託元金融機関等が実施することになるものと考えられます。委託元金融機関等がこうした確認手続の内容等に関する検討を行うに当たっては、自らのマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢について、その業務上のリスクが自らのリスク許容度の範囲内に収まるよう有効な管理が可能かどうかという観点から検討を行う必要があります。
    • また、受託する金融機関等は、委託元金融機関等の管理態勢を適切に把握すると共に、自らのマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢上、必要な情報を入手する仕組みが構築されている必要があります。必要に応じて、自らの顧客でない委託元の顧客の取引に対しても追加的な照会を行うことを始めとし、取引モニタリング・取引フィルタリング、疑わしい取引の届出、記録保存等のリスクに応じた対応を行うことが考えられます。
  • 「マネロン・テロ資金供与対策におけるリスクベース・アプローチとは(中略)リスク許容度の範囲内に」と記載されていますが、具体的に「リスク許容度の範囲内」であるとは、どのように考えれば良いでしょうか。
    • 自らが特定・評価したマネロン・テロ資金供与リスクが、当該金融機関等のリスク管理上許容できる範囲内に収まることを意味します。マネロン・テロ資金供与リスクが、当該金融機関等のリスク管理上許容できる範囲内に収まっていることについては、あらかじめ、リスク管理を含むマネロン・テロ資金供与対策に責任を有する経営陣により承認を受けた上で文書化されていることが求められるものと考えます。
  • リスクの「包括的かつ具体的な検証」とは、どのような方法で行えばいいのでしょうか。
    • 「包括的かつ具体的な検証」の方法は、個々の金融機関等によって異なり得ますが、自らの提供している商品・サービス、取引形態、取引に係る国・地域、顧客の属性等について、漏れがないよう包括的に洗い出しを行う必要があります。その上で、項目として大まかで抽象性のあるものではなく、実務に即して具体的なリスク項目を特定するための検証を行うことが求められます。
    • 例えば、自ら提供している商品・サービスを特定する場合、「〇×普通預金」、「××定期預金」、「△△ドル建普通預金」、「〇〇建定期預金」など、提供している商品・サービス1つ1つについて検証し、リスクを特定する必要があります。
    • 同様に、顧客が利用する上で関係する全ての取引形態、取引に係る国・地域、顧客の属性等についても、1つ1つを、前記と同様の水準で検証して、リスクを特定する必要があります。
    • なお、この検証作業に際しては、国によるリスク評価の結果、外国当局や業界団体等が行う分析等についても適切に勘案する必要があるほか、自ら届出を行った疑わしい取引の分析を含め、自ら直面するマネロン・テロ資金供与リスクの特性を考慮する必要があります。
  • 包括的かつ具体的な検証に当たっては「自らの営業地域の地理的特性」や「事業環境」を考慮するとありますが、具体的に何が求められているのでしょうか。
    • 「自らの営業地域の地理的特性」については、当該地域の地理的な要素の特性を意味しています。例えば、自らの営業地域が、貿易が盛んな地域に所在するといった場合や、反社会的勢力による活発な活動が認められる場合、反社会的勢力の本拠が所在している場合に、当該地域の独自の特性を考慮する必要があると考えます。
    • 実際に地理的特性を考慮してリスクを検証する際には、例えば、貿易が盛んな地域に自らの営業地域が存在している場合、貿易や水産物を取り扱うなどの取引先が多いと考えられますので、取扱商品や輸出・輸入先の把握を通じた経済制裁等への対応等、地域的特性から精緻に検証し、リスク項目を洗い出すことが必要になるものと考えます。
    • 「事業環境」については、マネロン・テロ資金供与に関する規制の状況、競合他社のマネロン・テロ資金供与対策の動向等、自らの事業に関する要素を考慮する必要があると考えます。
    • 例えば、競合他社が参入する場合(基本的には、自らの競合他社が参入する場合)には、新たな競合他社の参入により、競争の激化やサービスの変化、取引量の増減等によるマネロン・テロ資金供与の固有リスクが変化する可能性があります。したがって、例えば、新たな競合他社の参入により市場全体のマネロン・テロ資金供与に関するリスクが影響を受ける場合には、新たに検証すべきリスク項目がないかについて、年に1回程度予定されている定期的なリスク評価書の改訂を待つのではなく、可能な限り早い段階で洗い出す必要があると考えます。
    • なお、顧客が海外との取引を行っている場合、その相手先の国・地域のマネロン・テロ資金供与リスクも踏まえた顧客リスク評価を行うことが求められています。
  • 「取引に係る国・地域について検証を行うに当たっては(中略)直接・間接の取引可能性を検証し、リスクを把握すること」とありますが、間接の取引とは、どのような場合を指しているのでしょうか。
    • 制裁対象国等ハイリスク国の周辺国・地域と取引を行う場合や、顧客が行う商取引行為が制裁対象国等ハイリスク国・地域に関連している場合のほか、例えば、マネロン・テロ資金供与リスクが高いと評価される国・地域に向けた取引が、マネロン・テロ資金供与リスクが高いと評価されていない国・地域を経由して行われる場合等が考えられます。
    • また、顧客の所在地が日本である場合においても、当該顧客が、制裁対象国等ハイリスク国の周辺国・地域において子会社・合弁会社を設立している場合には、当該会社を通じて、経済制裁対象国へ資金が流出する可能性もあります。
    • こうしたマネロン・テロ資金供与リスクについて、金融機関等は、当該顧客のリスク評価の一要素として、当該顧客の商流のみならず、当該顧客の子会社・合弁会社の実態等や必要に応じてその取引相手の実態等を把握し、顧客がこれらの子会社等に牽制機能を有しているかといった点を十分把握することが考えられます。
    • 特に、制裁対象国等ハイリスク国の周辺国・地域に所在する子会社・合弁会社については、取引相手や取引の商品も含め、これらの点に留意する必要があると考えますが、いかなる範囲の子会社・合弁会社等について、いかなる方法により実態を把握するかは、各金融機関等において、リスクに応じて、個別具体的に判断していただくことが重要であると考えています。
    • 例えば、融資等の先はもちろんのこと、そうした先でなくとも、様々な情報等から、グローバルに業務を展開している可能性のあると判断される企業については、状況に応じて、制裁対象国等ハイリスク国の周辺国・地域に所在する子会社・合弁会社の存在や、子会社・合併会社と制裁対象者等との取引の可能性を確認していくといったことが考えられます。
  • 「当該商品・サービス等の提供前に(中略)マネロン・テロ資金供与リスクを検証すること」について、留意すべき事項を教えてください。
    • これまで取扱いがなかった商品・サービス等の提供を開始する場合のほか、例えば、国内外の事業を買収することや業務提携等により、新たな商品・サービスの取扱いが発生する場合、直面するリスクが変化することから、営業部門と管理部門とが連携して、事前にマネロン・テロ資金供与リスクを分析・検証することが求められます。
    • これまで取扱いがなかった商品・サービス等の提供を開始する場合として、例えば、他業態の事業者と提携して、取引時確認業務を当該他業態の事業者に依拠して新たな商品・サービスを提供する場合に、当該他の事業者のマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢の有効性を確認することが考えられます。また、その他にも、例えば、金融機関等が顧客に対して法人口座に紐づく入金専用の仮想口座(バーチャル口座)等を提供することを検討している場合に、仮想口座を利用する事業者等の利用目的やマネロン・テロ資金供与リスクを検証することが考えられます。
    • 加えて、提携先等がどのようなマネロン・テロ資金供与リスクに直面し、その提携等している業務のリスクに対して、どのようなマネロン・テロ資金供与リスク管理を行っているかを把握し、リスクに応じて継続的にモニタリングすることが求められます。
    • また、新たな商品・サービス等の提供後に、当該商品・サービス等の内容の変更等により、事前に分析・検証したものと異なるリスクを検知した場合には、リスクの見直しを行った上で、見直し後のリスクを低減させるための措置を講ずる必要があります。
    • なお、提携先、連携先、委託先等については、例えば、これらの実質的支配者を含む必要な関係者を確認し、反社会的勢力でないか、あるいは制裁対象者でないかといった検証が必要になるものと考えます。
    • さらに、当該提携先等と連携して提供する業務が特定業務(犯収法別表及び同法施行令第6条)に該当する場合には、特定業務に係る取引を行った場合の取引記録等の作成・保存、疑わしい取引の届出を行う義務があり、加えて、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出の措置を的確に実施するための態勢整備を行う必要があります(犯収法第11条、同法施行規則第32条第1項各号参照。)。
  • リスク評価における営業部門との具体的な連携方法について、具体的な留意点があれば教えてください。
    • リスク評価は、金融機関等が保有するマネロン・テロ資金供与リスクを正確に把握することであり、マネロン・テロ資金供与リスク管理の主管部署である第2線のみで、実態に即さないリスクの評価を行うことは避けるべきであると考えられます。具体的には、第1線と第2線がリスクの評価の作業を行う段階で緊密に連携し、顧客や商品・サービスの実態を最も理解している営業部門が保有している顧客の取引先や顧客の商流等の情報、商品・サービス、取引形態等のリスクを顧客リスク評価に反映させるなど、営業部門がこれまでに築いてきた顧客との信頼関係を基礎として把握した情報を全てリスク評価の過程で反映することが必要と考えます。
    • 管理部門(第2線)は、営業部門(第1線)がリスク評価を実施するに当たって考慮すべき事情を明確に理解することができるよう、リスク評価の全社的方針や具体的手法を確立する必要があります。
    • また、管理部門(第2線)は、営業部門(第1線)の行ったリスク評価を踏まえつつ、疑わしい取引の分析結果等を勘案しながら、最終的なリスク評価を実施する必要があります。
  • インターネットバンキングについて、マネロン・テロ資金供与リスク評価、低減措置の観点から留意すべき事項を教えてください。
    • インターネットバンキングについては、乗っ取り、なりすましや取引時確認事項の偽りの可能性があることなど、非対面取引のリスクを踏まえた対応が必要であり、例えば、IPアドレスやブラウザ言語、時差設定等の情報、User Agentの組み合わせ情報(例えば、OS/ブラウザの組み合わせ情報)等の端末情報や画像解析度等を活用することにより、不審・不自然なアクセスを検知するといった対応が考えられます。
  • いわゆる一見顧客への「受入」における留意点について教えてください。
    • いわゆる一見顧客への対応については、(1)法令等の対応を適切に実施する、(2)リスクベースの対応を適切に実施する、(3)顧客説明を丁寧に実施するという3点が重要と考えます。
    • (1)については、犯収法等の法令等で求められている義務を確実に履行することが求められます。
    • (2)については、商品・サービス、取引形態、取引に係る国・地域、顧客属性等のリスクを包括的かつ具体的に検証して得られたリスク評価及びその低減措置を、当該一見顧客の取引に適用し、事前に定められている低減措置を確実に実施することが求められます。
    • (1)及び(2)に関しては、法令に従った取引時確認等を実施した上、氏名、生年月日、住所等を確認した結果、反社会的勢力や制裁対象者に該当することが分かった場合には、契約自由の原則と社内規定、法令等に沿って、謝絶した上で、疑わしい取引の届出を行うなどの適切な対応が求められます。また、スクリーニングの結果、反社会的勢力や制裁対象者に該当する可能性がある場合には、上級管理職との協議を行い、取扱いの可否を判断し、疑わしい取引の届出を行うと共に、他拠点で同一顧客が一見取引を行った際にチェックできるような態勢を構築することが想定されます。
    • 加えて、例えば、一見顧客がA支店で取引を行おうとした結果、反社会的勢力等、取引不可先であることが判明した場合には、当該一見顧客がB支店等他の支店等において取引を実施しようとした場合においては、当該他の支店等においても取引を適切に謝絶できるといった態勢を構築することが求められます。
    • そして、(3)については、一見顧客は、これまで取引等がないことから、情報等も少なく、(1)及び(2)の手続に時間を要することが想定されますので、各種手続の内容や手続に要する時間等を顧客に対して丁寧に説明し、当該顧客に納得してもらうことも重要であると考えます。
    • なお、丁寧に説明をしても納得が得られないなど協力が得られない場合、又は合理的な理由なく申告された取引目的とは異なるような高額取引や把握された属性から外れるような取引が認められた場合には、内部規程に従って、上級管理職の判断を求めることも必要であると考えます。
  • 「信頼に足る証跡」とは、具体的にはどのようなものが該当するのでしょうか。例えば、本人確認事項の調査において、犯収法施行規則第7条に定める本人確認書類が該当するとの理解で良いでしょうか。
    • 「信頼に足る証跡」は申告の真正性を裏付ける公的な資料又はこれに準じる資料を意味しています。本人確認事項の調査に当たっては、犯収法施行規則第7条に定める本人確認書類のほか、経歴や資産・収入等を証明するための書類等が考えられますが、調査する事項に応じ、その他の書類等についても活用することが考えられます。例えば、株主名簿、有価証券報告書、法人税確定申告書の別表等を徴求する場合や公証人の定款認証における実質的支配者となるべき者の申告制度(注)を活用する場合等も考えられます。具体例としては、生命保険金の支払時において、受取人が団体である場合には、株主名簿や有価証券報告書等の証跡を取得するなどにより、その実質的支配者の調査を実施することが考えられます。
    • また、取引目的の調査に当たっては、例えば、取引目的が商取引であれば、取引先との取引履歴や、同取引に関する契約書等を徴求することが考えられます。
    • なお、犯収法令上定められた項目については、犯収法令上定められた方法、書類に従い確認を行った上で、リスクに応じて、追加的に証跡を取得することについて判断することとなります。
    • (注)法人設立時の定款認証において、公証人に実質的支配者となるべき者を申告させる制度のこと(2018年11月30日に改正公証人法施行規則の施行により開始)
  • 「国内外の制裁に係る法規制等の遵守その他リスクに応じて必要な措置を講ずること」について、留意すべき事項を教えてください。
    • 国内外の制裁に係る法規制等の遵守については、例えば、国際連合安全保障理事会(以下「国連安保理」といいます。)決議等で指定される経済制裁対象者については、外国為替及び外国貿易法第16条及び第21条等に基づき、同決議等を踏まえた外務省告示が発出された場合に、直ちに該当する経済制裁対象者との取引がないことを確認し、取引がある場合には資産凍結等の措置を講ずるものとされています。さらに、国際的な基準等(注)を踏まえると、外務省告示の発出前においても、国連安保理決議で経済制裁対象者が追加されたり、同対象者の情報が変更されたりした場合には、遅滞なく自らの制裁リストを更新して顧客等の氏名等と照合するとともに、制裁リストに該当する顧客等が認められる場合には、より厳格な顧客管理を行い、同名異人か本人かを見極めるなどの適切かつ慎重な対応が必要と考えています。
    • したがって、このような対応を確実に実施するために必要なデータベースやシステム等の整備、人材の確保、資金の手当てを、直面しているリスクに応じて実施していただくことが重要であると考えています。
    • なお、昨今、データ復旧等に身代金を要求するランサムウェアの感染被害が報告されています。海外ではランサムウェアの身代金がテロ資金等に悪用される可能性もあると指摘されており、米国においては、金融機関等に向けて、ランサムウェアの身代金の支払いへの関与には制裁リスクがあるという点について注意喚起の勧告も出されました。サイバー空間には国境がないことから、このような身代金の支払いに金融機関等が利用されてはならず、顧客の送金について、この種のテロ資金供与リスクがあることも留意する必要があります。
    • (注)FATFにおいては、テロ資金供与や大量破壊兵器の拡散に関する金融制裁として、国連安保理により制裁対象として指定された個人・団体が保有する資金・資産を遅滞なく凍結することを求めております。
  • 「信頼性の高いデータベースやシステムを導入するなど」とありますが、ベンダーが一般的に提供しているPEPsリストのデータベースやAMLシステムの導入等を念頭に置いているとの理解で良いでしょうか。
    • ご指摘いただいた外部機関等が提供している信頼に足るPEPsリストも含む、国連安保理指定の制裁対象者・国・団体、取引に関係する国・地域の制裁対象者や我が国の反社会的勢力を含むデータベース、マネロン・テロ資金供与対策に係るシステムも一例として考えられます。その際は、遅滞なくデータの更新が行われることに加え、取引フィルタリングシステムのリストやあいまい検索機能や取引モニタリングシステムのシナリオ・敷居値等をリスクに応じた適切なものとする必要があると考えられます。
  • 「全ての顧客について顧客リスク評価を行う」とありますが、例えば、長期不稼働口座については、その他の属性の如何にかかわらず、また、改めて属性を確認することなく、低リスクと見做した上で通常の顧客管理とは異なる取扱いを行い、口座が稼働し始めた時点で高リスク先と評価した上で厳格な顧客管理を実施することとし、その一環として顧客情報の更新を実施することで問題ないでしょうか。
    • 本ガイドラインは、全ての顧客について、金融機関等によるマネロン・テロ資金供与リスクの特定・評価の結果を総合して、顧客リスク評価をすることを求めるものですが、具体的な対応策については、その取引や顧客の状況に応じて、個別具体的に判断する必要があります。
    • 例えば、長期不稼動口座を保有する顧客について、長期にわたって取引がなされていない点に着目してそのリスクを評価した場合、口座残高に異動がない場合は低リスクと評価されますが、急に取引が開始された場合や新たに小口の資金移動が発生した場合には、システム等によって速やかに検知し、その理由を確認する必要があると考えます。その前提として、長期不稼働口座が稼働した場合には、その金額の多寡を問わず検知できる体制を設けることが必要と考えます。
    • また、このような不稼働口座が動き出した場合には、口座の譲渡・貸与等が行われた可能性もあり、この点を考慮してまずは顧客リスク評価を実施し、直ちに厳格な顧客管理(EDD)を行う必要があるか否かを検討する仕組みを構築することが考えられます。
  • 「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」とは、具体的にどのような措置をいうのでしょうか。
    • 本ガイドラインにおける「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」とは、顧客リスク評価の結果、「低リスク」と判断された顧客のうち、一定の条件を満たした場合に、DM等を顧客に送付して顧客情報を更新するなどの積極的な対応を留保し、取引モニタリング等によって、マネロン・テロ資金供与リスクが低く維持されていることを確認する顧客管理措置のことをいいます。
  • 顧客情報の「定期的な確認」との記載は、リスクが低いと判断し、簡易な顧客管理方針とした顧客についても全て、マネロン防止対策の目的をもって、本人特定情報や顧客管理情報等の再確認を行うために、顧客とコンタクト(電話や郵送等)を取り、ヒアリングや資料提供を依頼することを想定しているのでしょうか。それとも、こうした顧客については、全先に対してコンタクトを取らず、顧客属性データ、取引履歴データのほか、(もしあれば)これまでの気付き状況のみで判断するといった対応でも問題ないのでしょうか。
    • 継続的な顧客管理については、リスクが低いと判断した顧客も含む全ての顧客をその対象とすることが求められますが、全ての顧客に一律の時期・内容で調査を行う必要はなく、顧客のリスクに応じて、調査の頻度・項目・手法等を個別具体的に判断していただく必要があります。
    • 顧客との店頭取引やインターネット取引等で顧客がアクセスするなどの各種変更手続の際に、マネロン・テロ資金供与対策に係る情報も確認されているのであれば、そのような実態把握をもって、継続的な顧客管理における顧客情報の確認とすることも考えられます。
    • ただし、高リスク顧客の中には、営業実態の把握や実地調査、顧客に対して対面で確認することが必要な場合もあることから、リスクに応じた対応が必要であることに留意すべきと考えます。
  • 「確認の頻度を顧客のリスクに応じて異にすること」とありますが、どのような頻度を想定しているのでしょうか。また、情報の網羅的な更新を求めるものではなく、例えば現住所地等一定の情報に着目し、リスク評価を変更する契機とすべき事象が生じていないかを確認し、当該事象が発生している場合にのみ、深度ある確認を実施しようとすることで良いでしょうか。
    • 継続的な顧客管理については、顧客に係る全ての情報を更新することが常に必要となるものではなく、顧客のリスクに応じて、調査の頻度・項目・手法等を個別具体的に判断していただく必要があります。
    • 一般的には、高リスク先については1年に1度、中リスク先については2年に1度、低リスク先については3年に1度といった頻度で情報更新を行うことが考えられます。これ以上、期間を延ばす場合には、合理的かつ相当な理由が必要になるものと考えます。
    • また、更新する情報は、顧客リスク評価の見直しをするために必要な範囲で、個別具体的な事情に照らして判断していただく必要があります。情報更新に際しては、信頼できる公開情報を参考にすることもあり得ますし、顧客に対面で確認するべき場合もあり得るものと考えます。
    • なお、継続的顧客管理において、顧客リスク評価の見直し手続に係る期日管理や期日までに見直しができない顧客の管理、期日超過分の速やかな解消については、第1線と第2線が連携し、適切な管理が行われることが重要であり、期日超過の管理状況については、定期的に経営陣に報告され、解消のための措置を講ずることが期待されます。
  • 「取引フィルタリングに関する適切な体制」とは、どのようなことを想定しているのでしょうか。
    • 例えば、制裁対象者や制裁対象地域について、アルファベットで複数の表記方法があり得る場合には、スペリングの違いについて幅をもって検索できる「あいまい検索機能」の適切な設定に加えて、制裁リストに複数の名称を登録することのほか、他の顧客の継続的顧客管理措置や取引モニタリング、取引フィルタリング、疑わしい取引の届出調査の過程で把握した情報や公知情報等から入手した取引不可先情報や、システム的に検知し深堀調査を行うためのキーワード等(制裁対象国・地域や制裁対象者でないものの、リスクの高い特定の国・地域名や氏名、団体名等)を金融機関独自の照合リストに追加することなどにより、制裁対象取引に関するリスク管理やリスクに応じた調査を適切に行うことなどが含まれると考えます。
  • 「遅滞なく照合する」について、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
    • 国際連合安全保障理事会決議等で経済制裁対象者等が指定された際には、金融機関等は、数時間、遅くとも24時間以内に自らの制裁リストに取り込み、取引フィルタリングを行い、各金融機関等において既存顧客との差分照合が直ちに実施される態勢を求めています。
  • 疑わしい取引の届出を「直ちに行う態勢」の「直ちに」とはどのようなことが求められているのか具体的に教えてください。
    • 疑わしい取引の届出は、ある取引について実際に疑わしい取引に該当すると判断した場合には、即座に行われることが望ましいものと考えます。
    • 例えば、疑わしい取引に該当すると判断した取引について、1か月に1回決まった日にまとめて届出を行うといった対応は、適切ではないものと考えます。
    • したがって、「直ちに行う態勢を構築」しているといえるためには、ある取引について疑わしい取引に該当するものと判断した後、即座に届出を行う手続を開始する態勢を構築することが求められます。
    • なお、ある取引について、疑わしい取引に該当すると判断する前段階において、取引モニタリングで検知されるなどの疑わしい取引に該当することが疑われる場合に、どの程度の期間で検証・届出をすべきかについては、取引の複雑性等に応じて必要な調査期間も踏まえつつ、個別取引ごとに判断されることになりますが、疑わしい取引の検知から届出まで1か月以内で実施できることが望ましいものと考えます。
  • 「当該海外送金等を自らのマネロン・テロ資金供与対策におけるリスクベース・アプローチの枠組みの下で位置付け」るとはどういうことが求められているのでしょうか。
    • 自ら海外送金等を実行せず、他の金融機関等に委託等をする場合においても、自らの顧客が海外送金等の取引を行っていること自体を当該顧客の顧客リスク評価に反映させ、顧客リスク評価に応じた継続的顧客管理を実施するなど、当該顧客に対する自らのマネロン・テロ資金供与対策におけるリスクの特定・評価・低減の措置を実行することを求めています。
  • 「リスク低減措置を講じてもなお残存するリスク」について、どのように検討すれば良いでしょうか。
    • 残存リスクは、リスク低減措置によって各金融機関のリスク許容度の範囲内で可能な限り小さくすることが求められており、残存リスクが高いまま、その商品・サービスを継続させることは困難であるものと考えます。残存リスクがゼロになることはないことを前提にしつつも、高リスクから中リスク、中リスクから低リスクへとリスク低減措置の改善を図るため、疑わしい取引の届出の分析結果により敷居値やシナリオの改善等を行うなどしてリスク低減を図ることができないかを定期的に検証する機会を持ち、経営陣を含めて検討する必要があります。
    • なお、取引開始後に反社会的勢力であると判明した顧客に対して、取引解消までの間、厳格な管理を行いつつ最低限の生活口座として存続させることを許容した場合の普通預金口座取引等は、リスク低減措置を講じてもなおリスクが残存する例の一つと考えられます。
  • 「(中略)管理態勢等(外部へのアウトソーシングを含む。)を構築すること」について、具体的にどのような点に留意することが求められていますか。
    • 業務委託先が取引時確認や顧客管理業務の一部を実施している場合においても、委託元の金融機関等が顧客管理に関する責任を負います。このため、例えば、当該委託先を第1線と位置付け、第2線が必要な牽制・支援を行い、委託元の責任で必要な文書管理を行うことなどが必要であると考えられます。この場合、第3線は、第2線において委託先の牽制や支援を適切に実施しているかを監査することとなります。また、外部へのアウトソーシングに関し、個人情報の授受が行われる場合は、個人情報の共有に関する合意があらかじめ得られていること、守秘義務契約の締結や情報セキュリティに問題ない先であることの確認がなされていることにも留意する必要があります。
  • 「リスクが高いと判断した業務等以外についても、一律に監査対象から除外せず、頻度や深度を適切に調整して監査を行うなどの必要な対応を行うこと」とありますが、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
    • 第3線が実施する監査についても、リスクベース・アプローチを適用して対応することが求められていますが、具体的な監査項目の選定に当たり、リスクの高低のみで判断して、リスクが低いと判断した場合には、一律監査対象から外すという手法は、リスクベース・アプローチとはいえず、リスクが低い項目であっても、過去に一度も監査していないような場合等については、深度を調整してサンプル的に監査を実施するなどの対応が必要になるということを明確化したものです。
  • 国内のグループ会社間の顧客情報・取引情報の情報共有態勢の整備に当たり、個人情報保護法や金融商品取引法等我が国の法制上、どこまでの情報の共有が可能でしょうか。
    • (個人情報保護法との関係)個人情報保護法第23条第1項では、個人データの第三者提供には、原則として本人の同意が必要と規定されています。ただし、例外として「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」に該当する場合には、あらかじめ本人の同意を得ることなく個人データを第三者に提供することができるとされています。上記例外的な場合に該当するか否かは、個別具体的な事例に即して総合的な利益衡量により判断されるところ、「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」3-1-5(2)では、これに該当し得る例示として、「暴力団等の反社会的勢力情報、振り込め詐欺に利用された口座に関する情報、意図的に業務妨害を行う者の情報」が挙げられています。犯収法に基づく疑わしい取引の届出に係る顧客情報・取引情報がこれらの情報に該当する場合には、当該顧客情報・取引情報も上記例外的な場合に該当し得るものと考えますが、例外の要件に該当するか否かは個別具体的な事情に照らして判断していただく必要があります。なお、上記例外的な場合に該当しない個人データについては、本人の同意に基づく提供又は共同利用(同法第23条第5項第3号)によることが考えられます。
    • (金融商品取引法との関係)金融商品取引法上、金融商品取引業者等がグループ内において顧客等に関する非公開情報を授受することは原則として制限されていますが、本ガイドラインの【対応が求められる事項】である「マネロン・テロ資金供与対策の実効性確保等のために必要なグループ内での情報共有態勢を整備すること」は、法令遵守のために必要なものであり、こうした制限の適用除外規定(金融商品取引業等に関する内閣府令第153条第3項第1号等)に該当するものと考えられます。
  • 「研修等の効果について、研修等内容の遵守状況の検証や職員等に対するフォローアップ等の方法により確認し」とありますが、具体的にどのような対応が求められているのでしょうか。
    • 研修等の目的は、実効的なマネロン・テロ資金供与対策を実施することであると考えられますので、研修内容は、金融機関が直面するリスクを低減させるような実践的なものとなっている必要があると考えます。この場合、研修等を受講した職員等において、獲得した知識を活用し、業務上求められる役割を適切に果たす必要があることから、フォローアップ等を実施して、知識の定着を図り、想定されている業務上の効果があるかについて、職員の働きぶり等も踏まえて確認し、改善の余地がないか検討することが求められます。

金融庁 FATFによる市中協議文書「暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベースアプローチに関するガイダンス改訂案」の公表について
  • FATF(金融活動作業部会)は、3月19日、「暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベースアプローチに関するガイダンス改訂案」(原題:Draft updated Guidance for a risk-based approach to virtual assets and VASPs)と題する市中協議文書を公表しました。
  • 今回の改訂は、FATFが昨年7月に公表した「暗号資産・暗号資産交換業者に関する新たなFATF基準についての12ヵ月レビューの報告書」及び「いわゆるステーブルコインに関するG20財務大臣・中央銀行総裁へのFATF報告書」において指摘していた課題を踏まえたものであり、主要改訂項目としては、以下が挙げられています。
    1. FATF基準における暗号資産、暗号資産交換業者の定義明確化
    2. いわゆるステーブルコインに対するFATF基準の適用
    3. 仲介業者を利用しない個人間取引(P2P取引)のリスクおよびリスク低減策
    4. 暗号資産交換業者の登録・免許
    5. 暗号資産移転取引における通知義務(いわゆるトラベルルール)の履行
    6. 情報共有と監督上の国際協力に関する原則
▼暗号資産及び暗号資産交換業者に対するリスクベースアプローチに関するガイダンス案
▼暗号資産・暗号資産交換業者に関する新たなFATF基準についての12ヵ月レビューの報告書
▼いわゆるステーブルコインに関するG20財務大臣・中央銀行総裁へのFATF報告書

金融庁 「記述情報の開示の好事例集2020」の追加・公表及び「政策保有株式:投資家が期待する好開示のポイント(例)」の更新について
▼政策保有株式:投資家が期待する好開示のポイント(例)
  • 政策保有株式に係る記載事項の概要(2019年3月期から適用)
    • 純投資と政策投資の区分の基準や考え方
    • 政策保有に関する方針、目的や効果。また、政策保有株式の保有について、その合理性を検証する方法や取締役会等における議論の状況
    • 開示基準に満たない銘柄も含め、売却したり、買い増した政策保有株式について、減少・増加の銘柄数、売却・買い増した株式それぞれの理由等
    • 個別の政策保有株式の保有目的・効果について、提出会社の戦略、事業内容及びセグメントと関連付け、定量的な効果(記載できない場合には、その旨と保有の合理性の検証方法)を含めたより具体的な説明
    • 個別銘柄の開示対象の拡大(30→60)
    • 提出会社が政策保有株式として株式を保有している相手方が、当該提出会社の株主となっている場合、当該相手方に保有されている株式等
  • 政策保有株式全体
    • 保有先企業のノウハウ・ライセンスの利用等、経営戦略上、どのように活用するかについて具体的に記載。「経営戦略を勘案し保有効果を検討している」という記載では不十分
    • 保有の上限を設定し記載。株主資本をどのように活用できているかという観点が重要であり、保有残高の規模は総資産ではなく株主資本に対する割合で検証することが望ましい
    • 売却の方針等がある場合は当該方針を記載
    • 売却の判断に関する指標があれば当該指標を記載
    • 時価(含み益)や配当金による検証だけではなく、事業投資と同様、事業の収益獲得への貢献度合いについて具体的に記載(例)・営業取引規模が過去○年平均と比較し○%以上増加等・ROEやRORA等が○%増加等
    • (※)時価(含み益)や配当金による検証だけでは純投資の評価と同じであり、政策保有株式の評価としては別途の検証が求められる点に留意が必要
    • 保有方針に沿った検証結果の内容を具体的に記載。「保有目的に照らして取締役会において保有の適否を検証」という記載では具体性に欠ける
    • 取締役会での議論を記載するにあたり、具体的な開催日時や議題等を記載
    • 「保有の合理性検証・交渉・削減スケジュール」を図表で示している事例があり、削減をコミットしていることが読み取れ、有用性が高い。
    • 政策保有株式については、純投資のように時価(含み益)や配当金によるリターンを評価するのではなく、事業の収益獲得への貢献度合い等の観点も含めた保有の合理性を検証すべき。
    • 合理性の検証プロセスを図表で示すなど、一部の企業では工夫が見られるものの、「合理性がある」とした具体的な理由等が不明瞭なものも見受けられる。」
  • 個別銘柄
    • 保有方針に沿って、経営戦略上、どのように活用するかを関連する事業や取引と関連付けて具体的に記載。単なる財務報告のセグメント単位や、「事業取引」・「金融取引」といった大括りでの説明、「企業間取引の維持・強化のため」・「地域発展への貢献」という記載は抽象的で不十分
    • 株式を相互持合いしている場合、その理由を具体的に記載
    • 「政策保有株式全体」の「保有の合理性の検証方法」で定めた指標に対する実績値とその評価について記載
    • (※)時価(含み益)や配当金による検証だけでは純投資の評価と同じであり、政策保有株式の評価としては別途の検証が求められる点に留意が必要(定量的な保有効果の記載が困難な場合)
    • どのような点で定量的な測定が困難だったかを具体的に記載・経営戦略上、どのように活用するかを具体的に記載(※)仮に営業機密について言及する場合でも、どのような点が営業機密となるか等について記載
    • 「配当再投資による取得」や「取引先持株会による取得」といった取得プロセスに関する記載に留まらず、保有先企業のノウハウやライセンスの利用等、経営戦略上、どのように活用するかを具体的に記載。「取引関係の強化」といった記載では不十分
    • 上場持株会社の株式を政策保有している場合には、当社株式の保有相手方がその持株会社の傘下会社であったとしても、実質的に相互保有の関係にあるとみなし、参考情報として脚注等でその保有の有無を記載
    • 保有目的を事業や取引と関連付けて具体的に記載するなど、一部の企業で改善が見られるものの、個別銘柄毎に定量的な保有効果を記載している開示はあまり見られない。

金融庁 監査監督機関国際フォーラムによる「2020年検査指摘事項報告書」の公表について
▼プレスリリース「監査監督機関国際フォーラム(IFIAR)が第9回検査指摘事項調査の報告書を公表」
  • 本日、IFIARは、6大グローバル監査法人ネットワークに加盟している監査法人に対して、IFIARメンバー当局が個別に行った検査に基づく9回目の年次検査指摘事項調査の結果に係る報告書を公表した。IFIARは、法人全体の品質管理態勢に対する検査、及び、個別監査業務に対する検査の2種類の活動に係る情報を収集した。50のIFIARメンバー当局が2020年の調査に参加した。
  • 2020年調査へのIFIARメンバー当局の報告によると、検査を行った個別監査業務のうち、1つ以上の指摘があったものは34%だった。それに対し、2019年調査では33%、指摘率を初めて計測した2014年調査では47%であった。今回の前年同期比でのわずかな増加は、過去7回の調査において一度だけである。
  • 2020年調査に含まれる検査結果は、COVID-19のパンデミック発生前に終了した監査の検査であり、パンデミックによる検査活動への影響は、2021年以降の調査に反映される可能性がある。
  • IFIARは、メンバー当局の検査プログラムの集計結果の前年比の変化が、必ずしも監査品質の変化を示すものではないため、調査結果の一般的な傾向を長期的にモニターしている。しかしながら、集計上の指摘率は依然として高く、監査法人には高水準にとどまる指摘率に対処するための継続的な努力が求められる。さらに、品質管理態勢に関する検査結果の経年変化も引き続き懸念される。強力な品質管理態勢は、監査品質を向上、維持するための重要な要素であることから、IFIARは、質の高い監査を実現するために、GPPC1ネットワークとそのメンバーファームが継続して改善に取り組むことを強く求める。
  • 本調査結果は、監査法人による監査品質改善の進捗を厳密に測定するものではなく、変化を検討する唯一の要因でもない。IFIARメンバー当局の検査はリスクベースの手法を取っているため、年間を通じて、必ずしも全ての監査事務所や品質管理項目、全保証業務の代表的なサンプルを選んでいるわけではない。監査品質を総合的に評価するには、検査を通じて特定・報告された不備の数を超えた、様々な要素を検討する必要がある。
  • 監査品質を向上させる責任は監査法人にあるが、IFIARは、様々な活動を通じて、グローバルに一貫した高品質な監査に向けた進歩に影響を与えようとしている。IFIARは、監査法人が継続的に改善のサイクルを回し続けることを促している。それは今までも、これからも、GPPCとの対話やIFIARメンバー間での知見の共有における、IFIARの突出した特徴であり続ける。
  • 検査指摘事項調査についてIFIARの年次検査指摘事項調査は、監査法人の品質管理態勢及びシステム上重要な金融機関(SIFIs)を含む上場PIEs(社会的影響度の高い事業体)の監査について、IFIARメンバー当局の主な検査結果をまとめたものである。PIE監査における検査指摘事項は、監査事務所が監査意見を裏付けるのに十分かつ適切な監査証拠を入手していなかったことを示す、監査手続上の不備である。しかし、必ずしも当該財務諸表に重要な虚偽表示があることを示唆するものではない。
  • IFIARについて
    • 監査監督機関国際フォーラム(IFIAR)は、2006年に設立され、アフリカ、北米、南米、アジア、オセアニア、ヨーロッパの54の国・地域の独立した監査監督当局で構成されている。その使命は、グローバルに監査品質を向上することにより、投資家を含む公益に資することである。IFIARは、世界中の監査品質や規制実施について、対話や知見の共有ができるプラットフォームを提供し、規制活動における協調を促している。IFIARの公式のオブザーバーは、バーゼル銀行監督委員会(BCBS)、欧州委員会(EC)、金融安定理事会(FSB)、保険監督者国際機構(IAIS)、証券監督者国際機構(IOSCO)、公益監視委員会(PIOB)及び世界銀行である。IFIARに関する更なる情報については、IFIARウェブサイト(ifiar.org)を参照されたい。

金融庁 企業会計審議会 第50回監査部会 議事次第
▼資料3 中小監査事務所に対するアウトリーチ 監査に関する品質管理基準の改正に関するアンケート(日本公認会計士協会)
  • 監査事務所のガバナンス及びリーダーシップ
    • 法人内の風土の醸成が一朝一夕にはできない等、品質に関するコミットメントの構築は難しい。
    • 品質目標等を踏まえ、品質マネジメント・システムを有効に実施するため、現状の品質管理規程、関連規程等の改訂、新設が必要である。
    • 品質マネジメント・システムの積極的かつ継続的な改善を促進するため、品質マネジメントを所管する部署等の組織の見直し(変更)及び人員の増強が必要である。
    • 監査事務所全体の人数が少ないため、「品質管理システムのデザイン、適用、運用を可能にする組織構造」を構築できるかどうかに懸念がある。
    • 中小規模の監査法人においては品質管理の専門部署を設けることが難しいため、大手と同様の対応を求められると品質目標の達成が困難である。
    • 品質マネジメント・アプローチの導入のため、現在の品質管理規程を見直す必要がある。
  • 職業倫理と独立性の遵守
    • 適用される職業倫理規程の理解と、職業倫理規程の適用を確認する体制の構築が難しい。
    • ネットワーク事務所と、職業倫理及び独立性の遵守に関する情報の共有及び協議等が必要となる。
    • 構成単位の監査人(ネットワーク事務所以外)が監査チームに含まれることによる対応の検討が必要となる。
    • 報酬依存度15%基準は、非常に厳しい状況にある。
    • 独立性に関して、今後報酬依存度が15%を超えた場合の対応を検討する必要がある。
  • 業務の新規の締結及び更新
    • 新規契約に当たって関与先に対する調査は行っているものの、関与先の誠実性や倫理観は容易に理解できず、また、情報の入手も難しい。
    • 監査契約の更新に当たって、審査担当社員が更新内容を確認しているものの、法人としての承認は行っていない。
    • 社員数が少ないため、監査契約の更新についてもローテーションの観点から多くの検討が必要となっている。
  • 業務の実施
    • 品質マネジメント・システムの整備及び運用のための時間が全体として増加することが想定されるため、業務執行社員の責任を十分果たすためには、社員及び監査補助者の増強が必要である。
    • 専門的な見解の問合せが十分に実施されているという合理的な保証を得ることができるか懸念される。
    • 監査チームの定義改訂に伴い、ネットワーク外の構成単位の監査人が含まれることになるが、当該監査人に対して監査調書の閲覧等を実施するのは実務的に困難である。
    • 判断に困難が伴う事項や見解が定まっていない事項が発生した場合に、専門的な見解の問合せを迅速に実施できるかどうかについて課題がある。
    • 監査調書のペーパーレス化が進んでおらず、今後の職場環境の変化を考慮すると、監査調書の管理について課題が残る。
  • 経営資源(人的資源、テクノロジー資源、知的資源)
    • 高品質の業務を実施し、責任を果たすための適性及び能力を有する専門要員の確保が必要となる。
    • テクノロジー資源、知的資源及びサービスプロバイダーについてそれぞれの品質目標の設定を行うことに課題を感じている。
    • 法人独自で高度なデータ分析ツールや不正感知ツールなどを開発するには、技術面、資金面で限界があり、テクノロジー資源に懸念がある。
    • 非常勤職員が多く、また、職員の高年齢化が進んでいることから、十分な人的資源の確保が課題である。
    • 専門要員は非常勤が中心であり、教育・評価がどの程度要求されるのか、非常勤中心の監査契約をどのように捉えればよいのか、懸念がある。
    • ITを利用した監査業務に対応するためのハード、ソフト、オペレーション人員の整備について、採用や資金的負担への対応が課題になる。
  • 情報及び事務所内外とのコミュニケーション
    • 監査事務所外とのコミュニケーションについて、手段も機会も少ないため、具体的な対応方法を構築することが難しい。
    • ネットワーク外の構成単位の監査人への監査調書の閲覧等を実施するのは実務的に困難であると考える。
    • 監査事務所外への情報開示として、監査品質レポートの公表等を今後行っていくことが課題となっている。
    • 情報セキュリティへの対応に課題がある。
  • 監視及び改善
    • 品質マネジメントシステム全体の監視や不備の根本原因分析など、監視及び改善にかかる作業量の増加に伴う人材不足が懸念される。
    • 従来の定期的な検証に加え、品質マネジメント・システムの全体を対象として、積極的かつ継続的な改善を促すための監視活動をデザインするためには、適切な人材及び時間が必要であり、さらに運用に当たって検証及び評価を実施する人材の確保及び教育が必要となる。
    • 中小規模の監査法人では、監視のための専門部署を設けることは難しいため、兼任とならざるを得ないが、それがどの程度許容されるのかについて懸念がある。
  • 品質管理基準等の改正適用時期に関する要望
    • 品質管理基準の改正や適用にあたっては、監査事務所の業務運営に支障をきたさない程度に、規定やツール等の整備及び監査事務所内の周知徹底を踏まえ、十分な移行準備期間を希望する。
    • 我が国における適用時期は、例えば2023年4月1日以降とするなど、許容できる範囲で余裕を設けていただきたい。
    • 品質管理基準の改正に適切に対応できるよう、適用開始まで十分な準備期間が必要である。
  • 品質管理基準の改正内容に関する要望
    • 「高品質」という表現が多く記載されているが、品質管理基準において「高品質」の定義を明確に示してほしい。また、現行の品質管理基準と比較して、制定の趣旨や基本的な考え方・コンセプトが変更される事項については、前文等において明確にしていただきたい。
    • 品質管理基準の改正に対応する上で、文書化の程度は出来るだけ軽減されることを望む。
    • 直訳した品質管理基準ではなく、我が国の実務に即し、実施可能で柔軟な規定を要望する。
    • 品質管理基準は、形式的に膨大な書類の作成を求めるのではなく、書類の作成は必要最小限にし、各監査事務所の規模や実態に即した、実効的かつ効率的な規定が望まれる。
    • 主として文章化に関して、品質管理基準の適用のために多くの時間やリソースが必要となると考える。人材確保が難しい状況の中で、コスト・ベネフィットを考慮した対応が必要となる。
  • 実効性を確保するための要望
    • 品質マネジメント・システムのデザイン等は監査事務所の実情を踏まえ構築することは承知しているが、限られた人員で有効に適用するにあたり、品質管理基準を踏まえた事例等を参考情報として提供していただきたい。
    • 業務品質に対するリスクに焦点を当てた新しいアプローチが求められているが、事務負担が膨大であるため、形式的な対応となる恐れがある。中小監査事務所の実態に即した、簡便的な対応を期待する。
    • 品質管理基準の適用に際して、形式的又は形骸化された対応を防ぐことのできる制度としてほしい。
    • 中小監査事務所に過度な負担にならないよう、監査事務所の規模や監査先企業の規模を考慮した規定を設けていただきたい。
    • 監査事務所の状況に応じた品質管理マネジメント・システムの整備及び運用とされながらも、理想的なシステムの整備・運用が求められる懸念がある。
    • 品質管理規程の例示や監査ツールの様式等の提供を望む。
    • 大手監査法人は作成済みと想定するが、中小監査事務所向けに品質リスク及び対応の例示の提供を望む。
    • 複雑でない監査事務所において、最低限実施すべき事項の例示を提供してほしい。
    • 現状、国際マネジメント基準の改正内容を十分に理解していないため、品質管理基準の適用にあたっては、十分な周知(研修)をお願いしたい

~NEW~
金融庁 証券監督者国際機構(IOSCO)が国際的なサステナビリティ開示基準の緊急性に係るプレス・リリースを公表
▼IOSCO は、国際的に一貫性があり、比較可能で信頼性の高いサステナビリティ開示基準の緊急性を認識し、IFRS 財団の下でのサステナビリティ基準審議会における優先順位とビジョンを公表(仮訳)
  • IOSCOは本日代表理事会を開き、サステナブルファイナンス・タスクフォース(STF)による過去1年間の進捗状況について議論した。IOSCOは、サステナビリティ報告の一貫性、比較可能性、信頼性を向上させることが急務であり、当該報告が気候変動に関連するリスクと機会に最初に焦点を当て、その後、他のサステナビリティの問題にも拡大していくことになると認識している。
  • 2020年4月に報告書「サステナブルファイナンス及び証券当局とIOSCOの役割」を公表して以来、STFは、発行体のサステナビリティ開示、資産運用会社の開示及び投資家保護、並びにESGデータ及び格付け提供者の役割に関する作業を進めてきた。特に、発行体の開示については、サステナビリティ関連情報に対する投資家の需要が現在適切に満たされていないとIOSCOは見ている。例えば、企業は、異なるフレームワークを参照し、サステナビリティ関連情報を選択して報告していることが多い。
  • 金融市場は、投資判断に重要な財務結果やその他の情報の完全かつ正確で適時な開示に依存しているため、STFは、サステナビリティに関する開示の一貫性、比較可能性及び信頼性を向上させるための取組を継続していく。IOSCO代表理事会は、その目的に沿って、企業や資産運用会社によるサステナビリティ関連情報の開示の改善のために3つの優先事項を特定した。
    1. 国際的に一貫した基準の奨励。サステナビリティに関する幅広いトピックをカバーし、既存の原則、フレームワーク及びガイダンスを活用しながら、サステナビリティに関連した開示のための共通の国際基準について、各国の法域を超えた国際的に一貫した適用に向けた進展を促す。
    2. 比較可能な指標及び定性情報の促進。企業のサステナビリティ関連の開示において、業界特有の定量的な指標、及び定性情報の標準化をより重視することを促進する。
    3. 開示アプローチ全体の協調。企業のステークホルダーへの依存度や外部環境を含めた企業価値創造に焦点を当てたサステナビリティ関連情報の開示の国際的な一貫性を促進するとともに、より広範なサステナビリティの影響に関する投資家の情報ニーズを調整するメカニズムを支援し、現在の会計基準のフレームワークとのより緊密な統合及び企業開示の独立した保証を促進する。
  • このため、IOSCO代表理事会は、IFRS財団評議員会及びその他のステークホルダーと協力して、これらの優先事項を推進することにコミットする。IOSCOのIFRS財団評議員会との対話では、以下の目的に焦点を当てる。
    1. 強固なガバナンスを持つサステナビリティ基準審議会(SSB)の設置
      • IOSCOは、IFRS財団の構造の下でのSSBの設立に向けた作業の次の段階を示す2021年2月2日のIFRS財団の発表を歓迎する。IFRS財団評議員会は、「サステナビリティ報告における国際的な一貫性と比較可能性を向上させることが急務となっている」と指摘し、IFRS財団がこの分野で役割を果たすべきであるとの明確なフィードバックを受けたと報告した。IOSCOは、FRS財団評議員会が今後数ヶ月の間に提案書を作成していく中で、IFRS財団評議員会と協力していくことを期待している。
      • IOSCOは、IFRS財団評議員会が既存のガバナンス構造の下で国際会計基準審議会(IASB)と並んだSSBを設立するための計画を策定する際、IFRS財団評議員会と協力して、以下のようなサステナビリティ報告基準を設定するための効果的なシステム構築を提供することを視野に入れている。
        1. 各国の法域を超えて、サステナビリティ関連情報の開示義務化に向けた一貫性のある比較可能なアプローチのベースラインとして機能するよう、市場の十分な受容性を要求する。
        2. 既存の会計報告基準との互換性があり、作成者間のサステナビリティ関連情報の開示のガバナンスを促進する。
        3. 監査および保証の枠組みを開発するための基礎を形成する。
          • IOSCOは、IFRS財団評議員会による最終的な提案を評価することを期待しており、特に、当該提案の判断基準については、IOSCOが提案されたSSB及びSSBで策定される基準を将来的にエンドースすることを検討する際の重要な要素である。IOSCOは、証券監督当局の国際機関として、発行体のサステナビリティに関連する報告要件をクロスボーダーで使用するためにSSBが発行した基準を評価し、参加当局や関連当局が国や地域レベルでサステナビリティに関連する開示要件を設定する際に当該基準を検討するよう奨励する点で、重要な役割を果たすことになるだろう。IOSCOは、IASBによる国際会計基準設定の承認と監督においても同様の役割を果たしている。
          • IFRS財団のモニタリング・ボードの議長を務めるIOSCOの役割を考えると、私たちはまた、関連するガバナンスの取り決めを監視する上で主導的な役割を果たすことにコミットしている。
    2. 既存の取組の強化IOSCOは、既存のサステナビリティ関連の報告枠組みの内容を活用することをSSBに奨励する。
      • IFRS財団は、既存のサステナビリティ基準設定主体の取組を踏まえることによって、投資家に対してサステナビリティに関連する財務報告のための共通の国際基準の開発について、ランニングスタートを得られるだろう。
      • 加えて、IOSCOは、主要なサステナビリティ報告組織(以下「アライアンス」という。)と連携し、アライアンスの原則、フレームワーク及びガイダンスの組み合わせ、将来のサステナビリティ関連開示のための国際的な共通の基準の基礎を模索することを歓迎する。アライアンスは、気候関連財務開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づく気候変動に関連する情報の開示アプローチのプロトタイプを公表し、IFRS財団の財務報告基準の形式と構造を採用した。
      • IOSCOは、これらの努力を歓迎し、SSBが気候変動に関連する報告基準を策定するための潜在的な基礎として、当該プロトタイプをさらに検討することを奨励する。より一般的には、IOSCOは、IFRS財団のランニングスタートを可能とする技術的見解及び提言を引き続き提供する、企業価値報告に焦点を当てた主要な取組を奨励する。
      • 気候変動問題の緊急性を考えれば、IOSCOは、まずは「気候変動第一」のアプローチを支持する。しかし、IFRS財団は、環境、社会及びガバナンス(ESG)問題を含む他のサステナビリティのトピックをカバーする基準の開発も早急に進めるべきである。
    3. 「ビルディング・ブロック」アプローチの奨励
      • IOSCOは、国際的なサステナビリティ報告システムを構築するための「ビルディング・ブロック」アプローチを推奨する。これにより、企業価値の創造に重要なサステナビリティ関連情報の一貫性及び比較可能なベースラインを提供すると同時に、より広範なサステナビリティの影響を捉えた報告要求事項の調整のための柔軟性を提供することになる。
      • IOSCOは、SSBが決定する企業価値に焦点を当てた基準と、より広範なサステナビリティに関連する基準との間の継続的な国際的な調整を支援することを目的としている。また、より広範なサステナビリティ情報の開示要求事項に関する国際的な一貫性を促進することを支援する。この目的のため、IOSCOは、IFRS財団、アライアンス及びその他の関連するステークホルダーと協力して、追加的な調整メカニズムを確立する。
      • このような調整を促進するために、IOSCOは、IFRS財団の組織内にマルチステークホルダー専門家協議委員会を設置することを検討する用意がある。この委員会は、SSBが企業価値の創造に重要となりうるサステナビリティに関するトピックを特定することを支援すると同時に、より広範なサステナビリティの影響に関する投資家の情報ニーズを調整するためのメカニズムを支援し、法域固有の報告基準における一貫性を補完的に調整、促進することも可能となる。
  • IOSCOは、これらの取組が共同して、透明性の高い基準設定の構造及び強固で包括的なガバナンス構造の中で、資本市場が必要とする内容を提供する高品質で国際的な開示基準の開発に寄与することを確信している。
  • AshleyAlderIOSCO議長兼香港証券取引委員会(SFC)長官は、次のように述べている。「市場のニーズを満たす形でサステナビリティ報告を改善することが急務となっている。IOSCOは、20年前にIFRS財務報告基準をエンドースした時と同様に、IFRS財団の下でサステナビリティ基準設定のためのシステム構築をエンドースすることで、高品質なサステナビリティ開示基準の市場受け入れを支える唯一の立場にあると考えている。」
  • ErikThedéenIOSCOサステナブルファイナンス・タスクフォース議長兼スウェーデン金融庁長官は次のように述べている。「IOSCOは、サステナビリティに関する幅広いトピックをカバーする明確な道筋を持ちながらも、『気候第一主義』を支持する現実的なアプローチを提案しており、法域固有の要求事項との相互運用性を支援するメカニズムを確立しながら、企業価値に関連した中核的な情報の国際的な一貫性を促進することを目的としている。」

~NEW~
金融庁 「ソーシャルボンド検討会議」(第1回)議事次第
▼資料2 事務局説明資料
  • ソーシャルボンドとは
    • ソーシャルボンドとは、調達資金の全てが、新規又は既存の適格なソーシャルプロジェクト(社会的課題への対処・軽減、ポジティブな社会的成果の達成を目指すプロジェクト)の一部又は全部の初期投資又はリファイナンスのみに充当される債券(国際資本市場協会(ICMA)ソーシャルボンド原則)
    • 主に資本市場関係者が参加する国際的な業界団体である国際資本市場協会(ICMA)は、ソーシャルボンド発行に係る透明性、情報開示及び報告を向上・促進する観点から、「ソーシャルボンド原則」(Social Bond Principles)を策定(2017年策定、2018年・2020年改訂)
    • 何がソーシャルプロジェクトであるかについて、同原則では、「事業区分」と「対象となる人々」の例示をそれぞれ記載し、両者を組み合わせて判断していくアプローチをとっている。
  • (参考)グリーンボンド
    • グリーンボンドとは、調達資金の全てが、新規又は既存の適格なグリーンプロジェクトの一部又は全部の初期投資又はリファイナンスのみに充当される債券(ICMAグリーンボンド原則)
    • ICMAでは、グリーンボンド発行の原則として「グリーンボンド原則」(Green Bond Principles)を策定(2014年策定、2015年・2016年・2017年・2018年改訂)
    • また、我が国では、環境省において、ICMA原則の内 容との整合性に配慮した「グリーンボンドガイドライン」を策定(2017年策定、2020年改訂)
  • (参考)サステナビリティボンド
    • サステナビリティボンドとは、調達資金の全てが、新規又は既存の適格なグリーンプロジェクト及びソーシャルプロジェクト双方への初期投資又はリファイナンスのみに充当される債券(ICMAサステナビリティボンドガイドライン)
    • ICMAでは、サステナビリティボンド発行のガイドラインとして「サステナビリティボンドガイドライン」(Sustainability Bond Guidelines)を策定(2018年策定)
  • いわゆるSDGs債(注)の発行は近年増加傾向(グリーンボンドの発行が大宗)新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、2020年にソーシャルボンドの発行が急拡大
  • 国際的な動向と同様、国内でもSDGs債の発行は増加傾向。これまでグリーンボンドとほぼ同水準で推移していたソーシャルボンドの発行は、2020年にグリーンボンドを上回って急拡大
  • グリーンボンドと比較して、ソーシャルボンドの発行における社債の割合(約3割)は低く、財投機関債等の割合(約6割)が高い状況
  • ICMAソーシャルボンド原則では、以下の4つの核となる要素に適合している債券をソーシャルボンドとし、原則内では「すべき」(should)と「奨励・望ましい」(recommend/encourage)を使い分けて規定
    1. 調達資金の使途:調達資金はソーシャルプロジェクトのみに充当し、発行体はその旨、法定書類等で明示する。
    2. プロジェクトの評価と選定のプロセス発行体は、目指す社会的な目標、適格プロジェクトの選定プロセス、適格性のクライテリアを定め、投資家に伝える。
    3. 調達資金の管理発行体は、調達資金を適切に管理・追跡する。
    4. レポーティングプロジェクトのリスト、概要、資金充当状況及び期待される効果に係るレポーティングを行う。
  • ICMAソーシャルボンド原則では、ソーシャルプロジェクトの事業区分を以下のように例示。ただし、これらに限られるものではないとしている。
    1. 手ごろな価格の基本的インフラ設備(例:クリーンな飲料水、下水道、衛生設備、輸送機関、エネルギー)
    2. 必要不可欠なサービスへのアクセス(例:健康、教育及び職業訓練、健康管理、資金調達と金融サービス)
    3. 手ごろな価格の住宅
    4. 中小企業向け資金供給及びマイクロファイナンスによる潜在的効果を通じ、社会経済的な危機に起因する失業の防止又は軽減するために設計されたプログラムと雇用創出
    5. 食糧の安全保障と持続可能な食糧システム(例:食糧必要要件を満たす、安全で栄養価の高い十分な食品への物理的、社会的、経済的なアクセス、回復力ある農業慣行、フードロスと廃棄物の削減、小規模生産者の生産性向上)
    6. 社会経済的向上とエンパワーメント(例:資産、サービス、リソース及び機会への公平なアクセスとコントロール。所得格差の縮小を含む、市場と社会への公平な参加と統合)
  • この他、ICMA「Guidance Handbook 2020」ではCOVID-19に係るソーシャルプロジェクトとして以下を例示・ヘルスケアのサービス及び機器の供給の容量・性能を高めるための関連支出・医学研究・影響を受けた中小企業の雇用創出を支援するローン
  • ICMAソーシャルボンド原則では、ソーシャルプロジェクトの対象とする人々を以下のように例示。ただし、これらに限られるものではないとしている
    1. 貧困ライン以下で暮らしている人々
    2. 排除され、あるいは社会から取り残されている人々、あるいはコミュニティ
    3. 障がい者
    4. 移民・難民
    5. 十分な教育を受けていない人々
    6. 十分な行政サービスを受けられない人々
    7. 失業者
    8. 女性及び/又は性的及びジェンダーマイノリティ
    9. 高齢者と脆弱な若者
    10. 自然災害の罹災者を含むその他の弱者グループ
  • ICMAソーシャルボンド原則(4つの要素:調達資金の使途)
    • 調達資金の使途
      • ソーシャルプロジェクトは対象となる人々又は社会の幸福を脅かす等の社会的課題への対処や軽減を目指すもの、あるいは、対象となる人々又は社会へのポジティブな社会的成果の達成を求めるもの
      • 対象となる人々の定義は地域の文脈によって異なる(対象となる人々は一般の大衆を想定する場合もある)。
      • ソーシャルプロジェクトの事業区分・ソーシャルプロジェクトが対象とする人々を例示
      • 「すべき」:調達資金が明確なソーシャルプロジェクトのために充当され、法的書類に適切に記載されるべき。ソーシャルプロジェクトは社会的便益を有し、その効果は発行体によって評価され、可能な場合には定量的に評価されるべき
      • 「奨励・望ましい」:調達資金をリファイナンスに使う場合、初期投資とリファイナンスの比率を示し、必要に応じて、どの投資又はプロジェクトポートフォリオがリファイナンスの対象になるかを明らかにすることを奨励。また、リファイナンスの対象となるソーシャルプロジェクトの対象期間(ルックバック期間)を示すことを奨励
    • プロジェクトの評価と選定のプロセス
      • 「すべき」:発行体は以下の点を投資家に対して明確に伝えるべき・社会的な目標・対象となるプロジェクトが前述の適格なソーシャルプロジェクトの事業区分に含まれると発行体が判断するプロセス・関連する適格性についてのクライテリア(プロジェクトが有する潜在的に重大な社会的、環境的リスクを特定し、制御するために適用される排除クライテリアやその他のプロセスを含む)
      • 「奨励・望ましい」:発行体は、上記情報を、社会面での持続可能性に関する発行体の包括的な目的、戦略、政策及び/又はプロセスの文脈の中に位置づけることが望ましい。プロジェクトの選定にあたり参照する社会的基準又は認証も情報開示することを奨励。外部評価によって補完されることを奨励
    • 調達資金の管理
      • 「すべき」:ソーシャルボンドによって、調達される資金は、サブアカウントでの管理、サブポートフォリオでの管理、その他の適切な方法で追跡し、発行体の内部プロセスの中で証明されるべき。調達資金の残高は適格なソーシャルプロジェクトへの充当額と一致するよう、定期的に調整されるべき。未充当資金の残高について、想定される一時的な運用方法を投資家に知らせるべき
      • 「奨励・望ましい」:調達資金の内部追跡管理方法、資金の充当状況について検証するため、監査人または第三者機関の活用によって補完することを奨励
    • レポーティング
      • 「すべき」:発行体は資金使途に関する最新の情報を容易に入手可能な形で開示すべき(全ての調達資金が充当されるまで年一度は更新。重要な事象が生じた場合は随時開示すべき)。開示には各プロジェクトのリスト、プロジェクトの概要、充当された資金の額及び期待される効果等が含まれるべき(ただし、守秘義務契約やプロジェクトの数が多すぎる等の理由がある場合には、総合的又はポートフォリオ単位(一定の事業区分への充当割合等)での開示を奨励)
      • 「奨励・望ましい」:定性的なパフォーマンス指標、可能な場合には定量的パフォーマンス指標(受益者の数等)を前提となる主要な方法論や仮定の開示と併せて使用することを奨励。実現した効果をモニタリングできる場合、モニタリングした効果を定期的な報告に含めることを奨励
  • 外部評価「奨励・望ましい」
    • 原則の4つの要素に適合していることを確認するため、外部評価を付与する機関を任命することを奨励
    • 外部評価はソーシャルボンドの発行にあたってのフレームワークやレポーティング等に関してコンサルタント等からアドバイスを得る業務とは別の独立した評価とされ、評価の範囲は様々あり得るとされる(フレームワーク、プログラム、個々の発行、裏付けとなる資産及び/又は手続き等)
    • 外部評価について大きく分けて次の4つの形態を提示
      • セカンド・パーティー・オピニオン(原則の4つの柱への適合性の査定)
      • 検証(一定のクライテリアに照らした独立した検証)
      • 認証(一般的に認知された外部の社会的基準又は分類表示への適合性に係る認証)
  • ソーシャルボンドスコアリング/格付け
    • 環境省グリーンボンド・ガイドラインでは、ICMAグリーンボンド原則に沿いつつ、例示・解説など、日本の発行体等に資すると思われる情報を追記
    • ソーシャルボンドについては、EU域内で規準策定等の議論はあるが、主要な国/地域ではガイドラインは策定されておらず、現状、ICMAソーシャルボンド原則のみが主要な指針となっている状況
    • 国内民間事業者のソーシャルボンド発行は少しずつ始まってきた段階で今後大きく増加することが期待されるところ、経済界等から国内における実務的なガイドラインの早期策定の要望が寄せられた
  • ガイドライン策定に向けての論点
    • ICMAソーシャルボンド原則では、ソーシャルボンドの調達資金の使途となるソーシャルプロジェクトについて、「社会的課題への対処・軽減、ポジティブな社会的成果の達成を目指す」としているが、本ガイドラインにおいてもソーシャルプロジェクトについて同様に考えることでよいか。
    • ICMAソーシャルボンド原則では、ソーシャルプロジェクトの6つの事業区分を例示しているが、本ガイドラインでは、ソーシャルボンドの調達資金の使途となるソーシャルプロジェクトをどのように示すべきか。課題先進国とも言われるわが国における社会的課題を踏まえたソーシャルプロジェクトとしてどのようなものが考えられるか。
    • ICMAソーシャルボンド原則では、ソーシャルプロジェクトの対象とする人々を例示しているが、本ガイドラインでは、ソーシャルプロジェクトの対象とする人々をどのように示すべきか。また、同原則では、一般の大衆に影響を与える社会的課題もあることから、対象は一般の大衆となり得るとしているが、この点、どのように考えるべきか。
    • その他、ICMAソーシャルボンド原則の「1.調達資金の使途」に関連し、本ガイドラインに取り入れるにあたり、特段考慮を要する事項は考えられるか。

金融庁 国会提出法案(第204回国会)
▼新型コロナウイルス感染症等の影響による社会経済情勢の変化に対応して金融の機能の強化及び安定の確保を図るための銀行法等の一部を改正する法律案(令和3年3月5日提出)概要
  • デジタル化や地方創生への貢献など[銀行法等]
    1. デジタル化や地方創生などに資する業務の追加
      1. 銀行本体
        • 業務に、銀行業の経営資源を主として活用して営むデジタル化や地方創生などに資する業務を追加
          ※ 内閣府令に個別列挙(自行アプリやITシステムの販売や、幅広いコンサル・マッチングなど)
      2. 子会社・兄弟会社
        • テック企業に加え、新たに、地方創生などに資する業務を営む会社を子会社・兄弟会社に追加
          ※ 通常は個別認可制だが、財務健全性・ガバナンスが充分なグループが銀行の兄弟会社において一定の業務を営む場合は届出制
    2. 出資を通じたハンズオン支援の拡充
      1. 出資可能範囲・期間の拡充【内閣府令事項】
        ※ 早期の経営改善・事業再生支援や、中小企業の新事業開拓の幅広い支援
      2. 非上場の地域活性化事業会社について、事業再生会社などと同様に議決権100%出資を可能に
    3. 「海外で稼ぐ力」の強化
      1. 買収した外国金融機関の子会社などについて、現地の競争上必要があれば継続的な保有を認めることを原則に
      2. リース業や貸金業を主として営む外国会社について、迅速な買収を可能に

        ※ 信用金庫・信用協同組合、保険会社、金融商品取引業者などについても、それぞれの特性や制度に応じて同趣旨の改正を行う
  • グローバルな拠点再配置の加速への対応[金融商品取引法〕
    • 日本市場の強化
      • 海外投資家向けの投資運用業を行う外国法人などについて、届出制の下、一定期間国内において業務を行うことを可能に
      • 主として海外投資家を出資者とする集団投資スキームの運用に係る届出制度を創設
  • グローバルな拠点再配置の加速への対応[金融商品取引法
    • 資金交付制度の創設
      • ポストコロナの地域経済の回復・再生を支える金融機能を維持するための資金交付制度を創設(2026年3月まで申請可能な時限措置)
      • [対 象]人口減少地域を主たる営業地域とする銀行等であって合併・経営統合などの事業の抜本的な見直しを行うもの
      • [交付額]ITシステム関連費用など見直しに要する費用の一部

        ※ 預金保険機構の金融機能強化勘定に属する剰余金を活用
      • [監 督]金融機能強化審査会の意見を聴取しつつ、銀行等から提出された計画を審査(進捗を5年間モニタリング)
    • その他
      • 経営基盤強化の取組みの中で行われる株式等保有の合理化に対応するため、銀行等保有株式取得機構による買取り期限を2026年3月まで延長
      • 預金保険機構の金融機能強化勘定について、勘定廃止時における金融機能早期健全化勘定からの繰入れ規定を整備

金融庁 「決済高度化官民推進会議」(第9回)議事次第
▼資料2 全国銀行協会説明資料(決済高度化に関する取組み状況)
  • 新型コロナウイルス感染症のリスクが顕在化する以前においても、わが国企業をめぐる課題として、「DX」(デジタルトランスフォーメーション)への対応が指摘されてきた。ウィズコロナ時代を迎え、DXの実現は、ニューノーマルへの適応に向けて必要不可欠な課題・手形・小切手機能の電子化などの決済・経理業務の電子化は、DX推進の一環で解決されるべき課題
  • 全国手形交換枚数は、「5年で約6割を電子的な方法に移行」との中間的な目標(▲616万枚/年)に対し、▲671万枚/年(達成度109%)と、単年の目標達成(ただし、2019年からの2年累計の達成度は85%)。でんさいの発生記録請求件数は358万件(前年比43万件増加)となり、引き続き増加基調を維持しているが、前年対比の増加件数は減少
  • ポストコロナ時代を見据え、成長戦略会議が取りまとめた「実行計画」(2020年12月公表)において、「産業界および金融界に対し『約束手形の利用廃止に向けた行動計画』の策定を検討し、取組みを促進する」旨が明記。中小企業庁「約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会」において、具体的な要請内容を検討中
  • 強まる社会的要請を踏まえ、手形・小切手機能の「全面的な電子化」に向けた、銀行界としての基本方針を整理のうえ、本年3月「手形・小切手機能の電子化状況に関する調査報告書」(年1回、全銀協取りまとめ)での公表を目指す。引き続き、2023年末の中間的な目標達成は重要なポイントであり、その達成状況をフォローアップする
  • 手形機能の全面的な電子化を推進するため、でんさいネットにおいて、利用者の声を踏まえた取組みを実施。具体的には、(1)「機能・サービスの改善」(手形との機能面の差分の解消)、(2)「料金体系のあり方」(でんさいへの移行によるコストメリットの享受)、(3)「新たな利用チャネル」(電子化が困難な利用者への対応)の3施策を検討・実施
  • 小切手機能の電子化に向けて、インターネットバンキングの利便性向上、周知強化に向けた取組みを検討。また、業団体等を訪問し、実態把握に努め、参考となる取組事例を確認。「その他証券」に関し、株式配当金領収証の削減に向けて、振込による配当金支払いへの移行に向けた対応を検討中
  • 既に電子納付の手段は複数あるが、銀行窓口等での対面納付が多くを占める(納付書の取扱いはメガバンク・ゆうちょ銀行で年間約1億1千万枚、地銀で年間約1億3千万枚)。社会的コストの要因となる対面納付を減らし、社会全体の紙削減・DXを推進するには、電子納付の拡大が鍵
  • 現在の税・公金の窓口収納は、書面(納付書)・押印(出納印)・対面(窓口)による取引。効率化・電子化が図られないことで、お客様(納税者)・金融機関・自治体(収納機関)に社会的コストが発生
  • 社会的コスト削減のためには、書面・押印・対面手続の見直しによる効率化・電子化が急務。他方、高齢者・PCやスマートフォンを保有していない方など、税・公金の収納・支払は、電子化が進捗しても一定数の紙は残ることが想定される。紙が残る以上、QRコードの活用による納付済情報のデータ化は、社会的コスト削減に資する有効な施策
  • 本年度は税・公金の収納・支払の効率化等として、「QRコードの活用、納付済通知書の電子化」に注力。QRコード活用に関して、考え得るスキーム案や論点出しを行い、実現に向けて総務省等の関係者との協議を継続。また、ガイドライン等を定める団体とも協議を進め、バーコードとQRコードの併記に関して問題意識を共有
  • 関係省庁に対し金融8団体連名により、税・公金の電子納付の推進等のための望ましい施策等に関して要望を実施。また、「地方税における電子化の推進に関する検討会」に参画。地方税共通納税システムの対象税目の拡大について、個人を対象とするQRコード案についても早期実現が必要な旨を要請。令和2年度の検討会とりまとめに記載。対象税目拡大については、令和5年度以後の課税分から適用される見込み(令和3年度税制改正の大綱)
  • 税・公金収納の効率化・電子化について、「規制改革推進会議投資等ワーキング・グループ」(第2回:令和2年10月22日開催)において説明。税・公金収納の効率化・電子化について前向きな意見が多数寄せられた。また、同WGにおける議論を踏まえ、税・公金業務に係る実態を調査中。また、調査結果を踏まえた要望活動の実施について検討
  • 2020年5月から2021年2月までの間に、1銀行、3信用金庫、64信用組合、商工組合中央金庫、農林中央金庫、642農協系統/漁協系統金融機関が新規接続し、1,054金融機関のZEDI接続が実現。金融機関によるサービス提供体制の整備は、ほぼ完了したものの、企業の利用件数は横ばい。その理由を分析したところ、企業が普段から使用している会計システム/ERPシステムのZEDI対応が進んでいないことが原因と考えられる
  • 2020年12月、電子インボイス推進協議会(以下「EIPA」(エイパ)という。)は、日本における電子インボイスの標準仕様として欧州標準である「Peppol」(ペポル)を選定。電子インボイスの普及は、金融EDIの普及の障壁となっている「受益と負担の不一致」という課題の解決に有効と考えられることから、会計システムベンダとの連携強化に向けた取組みを実施
  • ZEDIの導入好事例の創出を目指す助成施策に対し、3社から応募あり。今後、選考会合を開催し、助成先を最終決定予定。ベンダの開発負担を軽減するため、個別金融機関の接続チャネルを開示する手続きを新設
  • 全銀協は、2016年11月、「オープンAPIのあり方に関する検討会」設置以降、API利用契約の条文例・チェックリストの策定等、電子決済等代行業者との連携の枠組み作りなどを主体的に推進。結果として、未来投資戦略KPI目標「2020年6月までに、80行程度以上の銀行におけるオープンAPIの導入を目指す」を達成(105行がAPI導入済)。2020年9月末期限の銀行と電代業者との間の契約締結手続も、特段の問題なく完了
  • 2020年上半期(1月~6月)における、都市銀行等のキャッシュレスによる払出し比率は53.7%と2019年上半期比増加。2019年上半期と比較して2.8%比率が上昇。内訳をみると、2019年上半期と比較して、インターネットバンキングでの振込やクレジットカードなどの口座振替の比率が上昇

金融庁 IOSCOによる最終報告書「COVID-19禍の政府支援措置が信用格付に与えた影響」の公表について
▼IOSCO メディアリリース(仮訳)
  • 証券監督者国際機構(IOSCO)は、本日、COVID-19関連の政府支援措置(Government Support Measures、GSMが、3大格付会社であるFitch、Moody’s及びS&P(総称して「CRA」)の信用格付に及ぼす影響を分析した報告書を発表しました。
  • COVID-19パンデミックに対応して、各国の政府は財政政策、金融政策及び金融規制関連措置を、異例の規模で迅速に展開しました。同時に、パンデミックによって引き起こされた経済と市場の混乱は、多くの信用格付の引き下げにつながり、これによりCRAと信用格付は、規制当局、業界及びメディアからより大きく注目されることとなりました。
  • 本レビューは、IOSCOの金融安定エンゲージメントグループ(Financial Stability Engagement Group、FSEG)によって行われ、CRAからの公表情報及びIOSCOメンバーの専門的知見と分析に基づいています。上記分析を補完するため、IOSCOは業界関係者とのラウンドテーブルを主催し、また、CRA各社との議論を行いました。
  • 本報告書は、以下の4つの主要なアセット・カテゴリーにおいて、メソドロジーの変更、パンデミック中に行われた格付アクションに対するメソドロジーの適用、GSMの終了が信用格付とメソドロジーに及ぼす影響をレビューすることを通じて、GSMが信用格付とメソドロジーに及ぼしたと見られる影響の概要を記載しています。
    • ソブリン
    • 金融機関
    • 非金融企業
    • ストラクチャード・ファイナンス
  • 結論としては、CRAのメソドロジーに重大な変更は見られませんでした。また、GSMの影響が格付けの判断に重大な影響を及ぼした場合は、通常、開示により当該 GSM の影響について説明されています。
  • レビュー結果は、CRAが信用格付においてパンデミックと経済的ショックの影響を考慮したことを示しており、また、GSMが信用格付の引き下げ圧力を緩和する上で重要な役割を果たしたことを示唆しています。もっとも、CRAによれば、GSMの長期的な有効性については、現時点で完全に評価・測定することはできないとされています。
  • CRAが設定する将来に関する前提は、GSMの段階的終了が可能になる程度に経済環境が安定するまでGSMが継続する、というものです。特に新興国におけるGSMの早期終了リスクは、パンデミック後の世界経済の回復に対するダウンサイド・リスクの一つです。
  • 本報告書は、COVID-19の健康危機の影響が2021年において引き続き展開していることから、信用格付と信用格付メソドロジーに関するGSMの影響を引き続き検討することが重要と結論づけています。

【財務省】

※現在、該当の記事はありません。

【警察庁】

【2021年5月】

~NEW~
警察庁 犯罪統計資料(令和3年1~4月分)
  • 令和3年1~4月における刑法犯総数について、認知件数は180,159件(前年同期209,098件、前年同期比▲13.8%)、検挙件数は85,153件(87,586件、▲2.8%)、検挙率は47.3%(41.9%、+5.4P)
  • 窃盗犯の認知件数は121,196件(146,875件、▲17.5%)、検挙件数は52,582件(54,655件、▲3.6%)、検挙率は43.5%(37.2%、+6.3P)
  • 万引きの認知件数は29,747件(29,064件、+2.3%)、検挙件数は21,043件(20,559件、+1.9%)、検挙率は70.7%(71.1%、▲0.4P)
  • 知能犯の認知件数は11,229件(10,782件、+3.3%)、検挙件数は5,818件(5,550件、+4.8%)、検挙率は51.8%(51.0%、+0.8)
  • 特別法犯全体について、検挙件数は21,758件(21,129件、+3.0%)、検挙人員は17,987人(17,786人、+1.1%)
  • 入管法違反の検挙件数は1,738件(2,033件、▲14.5%)、検挙人員は1,266人(1,451人、▲12.7%)、ストーカー規制法違反の検挙件数じゃ306件(295件、+3.7%)、検挙人員は254人(232人、+9.5%)、貸金業法違反の検挙件数は27件(36件、▲25.0%)、検挙人員は22人(21人、+4.8%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は724件(886件、▲18.3%)、検挙人員は575人(738人、▲22.1%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は76件(210件、▲63.8%)、検挙人員は35人(40人、▲12.5%)、不正競争防止法違反の検挙件数は27件(28件、▲3.6%)、検挙人員は22人(32人、▲31.3%)
  • 麻薬等取締法違反の検挙件数は256件(274件、▲6.6%)、検挙人員は152人(143人、+6.3%)、大麻取締法違反の検挙件数は1,919件(1,621件、+18.4%)、検挙人員は1,543人(1,354人、+14.0%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は3,350件(3,241件、+3.4%)、検挙人員は2,238人(2,285人、▲2.1%)
  • 来日外国人による重要犯罪・重要窃盗犯国籍別検挙人員対前年比較について、総数192人(168人、+14.3%)、ベトナム56人(19人、+194.7%)、中国31人(33人、▲6.1%)、ブラジル15人(19人、▲21.1%)、フィリピン11人(7人、+57.1%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別検挙件数・検挙人員対前年比較について、検挙件数総数は3,599件(3,515件、+2.4%)、検挙人員総数は1,935人(2,175人、▲11.0%)、暴行の検挙件数は221件(262人、▲15.6%)、検挙人員は210人(255人、▲17.6%)、傷害の検挙件数は331件(437件、▲24.3%)、検挙人員は407人(507人、▲19.7%)、脅迫の検挙件数は109件(121件、▲9.9%)、検挙人員は107人(111人、▲3.6%)、恐喝の検挙件数は117件(117件、±0%)、検挙人員は140人(142人、▲1.4%)、窃盗犯の認知件数は1,843件(1,583件、+16.4%)、検挙人員は298人(316人、▲5.7%)、詐欺の検挙件数は481件(466件、+3.2%)、検挙人員は353人(362人、▲2.5%)、
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別検挙件数・検挙人員対前年比較について、検挙件数総数は1,994件(2,177件、▲8.4%)、検挙人員総数は1,342人(1,599人、▲16.1%)、暴排条例違反の検挙件数は10件(25件、▲3.6%)、60.0%)、検挙人員は32人(58人、▲44.8%)、銃刀法違反の検挙件数は27件(41件、▲34.1%)、検挙人員は20人(29人、▲31.0%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は38件(50件、▲24.0%)、検挙人員は10人(18人、▲44.4%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は1,327件(1,419件、▲6.5%)、検挙人員は848人(986人、▲14.0%)、

警察庁 令和3年3月の特殊詐欺認知
  • 令和3年1~3月における特殊詐欺全体の認知件数は3,136件(前年同期3,442件、前年同期比▲8.9%)、被害総額は0億円(65.9憶円、▲9.0%)、検挙件数は1,540件(1,516件、+1.6%)、検挙人員は510人(584人、▲12.7%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は621件(516件、+3%)、被害総額は17.7億円(13.7憶円、+29.2%)、検挙件数は296件(550件、▲46.2%)、検挙人員は135人(160人、▲15.6%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は728件(1,038件、▲29.9%)、被害総額は2億円(12.1憶円、▲15.7%)、検挙件数は595件(109件、+445.8%)、検挙人員は191人(149人、+28.2%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は433件(381件、+6%)、被害総額は14.1億円(18.5憶円、▲23.8%)、検挙件数は74件(143件、▲48.3%)、検挙人員は33人(43人、▲23.3%)
  • 還付金詐欺の認知件数は695件(340件、+4%)、被害総額は8.1億円(4.5憶円、+80.3%)、検挙件数は101件(101件、±0%)、検挙人員は26人(101人、▲74.3%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は51件(115件、▲55.7%)、被害総額は8億円(1.2憶円、▲33.3%)、検挙件数は5件(29件、▲82.8%)、検挙人員は2人(11人、▲81.8%)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は569件(989件、▲42.5%)、被害総額は4億円(14.8憶円、▲43.2%)、検挙件数は459件(551件、▲16.7%)、検挙人員は115人(182人、▲36.8%)
  • 口座開設詐欺の検挙件数は158件(204件、▲22.5%)、検挙人員は90人(119人、▲24.4%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は515件(640件、▲19.5%)、検挙人員は406人(526人、▲22.8%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は38件(46件、▲17.4%)、検挙人員は43人(41人、+9%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は8件(8件、±0%)、検挙人員は5人(7人、▲28.5%)、組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は36件(15件、+140.0%)、検挙人員は6人(2人、+200.0%)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では、男性8%:女性74.2%、60歳以上91.6%、70歳以上76.7%、オレオレ詐欺では、男性17.4%:女性82.6%、60歳以上97.6%、70歳以上95.7%、架空料金請求詐欺では、男性53.3%:女性46.7%、60歳以上57.7%、70歳以上32.3%など。種類別の65歳以上の割合と男女比は、特殊詐欺88.0%(男性22.7%:女性77.3%)、オレオレ詐欺97.4%(17.7%:82.3%)、預貯金詐欺98.9%(16.1%:83.9%)、架空料金請求詐欺47.2%(54.7%:45.3%)、還付金詐欺93.7%(28.6%:71.4%)、融資保証金詐欺17.4%(75.0%:25.0%)、金融商品詐欺50.0%(20.0%:80.0%)、ギャンブル詐欺27.8%(60.0%:40.0%)、その他の特殊詐欺42.9%(0.0%:100.0%)、キャッシュカード詐欺盗97.4%(17.3%:82.7%)

【2021年4月】

警察庁 サイバー犯罪対策プロジェクト
▼犯罪インフラ化するSMS認証代行への対策について
  1. 課題
    1. SMS認証とその機能
      • 「SMS認証」とは、ショートメッセージサービス(SMS)で利用者の番号に認証コードを通知し、当該コードを用いて認証する方式。
      • 通常は、利用者が自ら用いる本人確認済の携帯電話の番号に当該認証コードが通知されることから、金融機関等においては、ID・パスワードによる認証に加え、SMS認証を利用者に実施させる「二経路認証」を採用。なりすまし等による不正認証を防止。
    2. SMS認証代行とその問題点
      • 「SMS認証代行」は、通信事業者とSMS機能付データ通信に係る契約をし、利用者に当該契約に係る番号を提供。また、当該番号に通知された認証コードを利用者に代わって受領し利用者に提供。
      • 利用者は、SMS認証代行から番号・認証コードの提供を受けることにより、なりすまし等による不正アカウントの設定が可能。
      • 通信事業者の中には、本人確認をすることなくSMS認証代行と契約するものがおり、警察捜査における事後追跡性の確保に支障。
  2. サイバーセキュリティ政策会議及びIT業界団体の提言
    1. 令和2年度サイバーセキュリティ政策会議の提言
      • 報告書において、通信事業者による上記契約時の本人確認の徹底や犯罪インフラを提供する悪質事業者の摘発強化を提言。
    2. IT業界団体の提言
      • (一社)日本IT団体連盟は、SMSを用いた二経路認証の抜け道になっているとして上記契約時の本人確認の徹底を提言。
  3. 警察における対策
    1. 通信事業者の業界団体に対する要請
      • 令和3年1月、総務省と連携して、(一社)テレコムサービス協会MVNO委員会に対し、契約時の確実な本人確認を要請。同要請を受け、同月、加盟事業者の自主的な取組として、SMS機能付データ通信契約に係る本人確認を実施することを申し合わせ。
    2. 取締りの強化
      • 都道府県警察に対し、SMS認証代行を含む犯罪インフラに関し、法令に違反する悪質事業者に対する取締りの強化を指示。
▼警視庁 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催時におけるラストマイル(観客利用想定駅から会場までの動線)上の「駐車場・空き地等」対策について
  • 一昨年に開催された「ラグビーワールドカップ2019」において、外国人を含む多くの観客の方が来場する中で、ラストマイル上の駐車場や空地等において、いわゆるコピー商品の販売、チケットの転売等の違法行為、その他迷惑行為が行われ、施設等の管理者の方等とトラブルになる事案が発生しました。
  • これらの教訓を生かして、会場のラストマイル上の駐車場や空地等における以下などの行為を施設管理者の皆様と協力して防止していきたいと考えます。
    • 大会組織委員会等の知的財産権を侵害するコピー商品の販売
    • 大会チケットの不正転売
    • 管理者の許可等を得ていない露店等の出店
    • 許可を得ていないドローンの操縦
  • 具体的対策
    • 警視庁では、施設等の管理者の皆様が使用できるよう下記ポスター(目的に合わせて変更可)を準備しましたので、管理者の皆様には、大会開催までに施設の見やすい場所に張り出していただき、警察と連携して各種迷惑行為やトラブルの防止を図りましょう。

警察庁 犯罪統計資料(令和3年1~3月分)
  • 令和3年1~3月の刑法犯総数について、認知件数は132,501件(前年同期161,878件、前年同期比▲18.1%)、検挙件数は65,287件(65,422件、▲0.2%)、検挙率は49.3%(40.4%、+8.9P)
  • 窃盗犯の認知件数は89,289件(114,459件、▲22.0%)、検挙件数は40,569件(40,655件、▲0.2%)、検挙率は45.4%(35.5%、+9.9P)
  • 万引きの認知件数は21,980件(22,728件、▲3.3%)、検挙件数は15,811件(15,497件、+20.0%)、検挙率は71.9%(68.2%、+3.7P)
  • 知能犯の認知件数は8,419件(8,343件、+0.9%)、検挙件数は4,565件(4,156件、+9.3%)、検挙率は54.2%(49.8%、+4.4P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は16,712件(15,821件、+5.6%)、検挙人員は13,790人(13,361人、+3.2%)
  • 入管法違反の検挙件数は1,290件(1,439件、▲10.3%)、検挙人員は922人(1,013人、▲9.0%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は575件(681件、▲15.6%)、検挙人員は450人(565人、▲20.4%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は205件(200件、+2.5%)、検挙人員は121人(107人、+13.3%)、大麻取締法違反の検挙件数は1,424件(1,202件、+18.5%)、検挙人員は1,128人(1,021人、+10.5%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は2,489件(2,296件、+8.4%)、検挙人員は1,669人(1,638人、+1.9%)
  • 来日外国人による重要犯罪・重要窃盗犯国籍別検挙人員対前年比較について、総数152人(130人、+16.9%)、ベトナム50人(14人、+257.1%)、中国23人(22人、+4.5%)、ブラジル12人(16人、▲25.0%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別検挙件数・人員対前年比較について、検挙件数総数は2,591件(2,644件、▲2.0%)、検挙人員総数は1,427人(1,584人、▲9.9%)
  • 暴行の検挙件数は162件(199件、▲18.6%)、検挙人員は155人(190人、▲18.4%)、傷害の検挙件数は253件(312件、▲18.9%)、検挙人員は311人(370人、▲15.9%)、脅迫の検挙件数は79件(87件、▲9.2%)、検挙人員は79人(78人、+1.3%)、恐喝の検挙件数は86件(89件、▲3.4%)、検挙人員は99人(114人、▲13.2%)、窃盗の検挙件数は1,280件(1,239件、+3.3%)、検挙人員は211人(237人、▲11.0%)、詐欺の検挙件数は370件(326件、+13.5%)、検挙人員は263人(257人、+2.3%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別検挙件数・人員対前年比較について、検挙件数総数は1,436件(1,547件、▲7.2%)、検挙人員総数は980人(1,154人、▲15.1%)
  • 暴力団排除条例違反の検挙件数は10件(15件、▲33.3%)、検挙人員は29人(41人、▲29.3%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は30件(33件、▲9.1%)、検挙人員は9人(12人、▲25.0%)、大麻取締法違反の検挙件数は213件(226件、▲5.8%)、検挙人員は132人(171人、▲22.8%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は962件(986件、▲2.4%)、検挙人員は624人(677人、▲7.8%)

警察庁 令和2年における組織犯罪の情勢について
▼令和2年における 組織犯罪の情勢
  1. 暴力団情勢
    • 暴力団構成員及び準構成員等(以下、この項において「暴力団構成員等」という。)の数は、平成17年以降減少し、令和2年末現在で25,900人となっている。このうち、暴力団構成員の数は13,300人、準構成員等の数は12,700人となっている。また、主要団体等(六代目山口組、神戸山口組及び絆會並びに住吉会及び稲川会。以下同じ。)の暴力団構成員等の数は18,600人(全暴力団構成員等の71.8%)、うち暴力団構成員の数は9,900人(全暴力団構成員の74.4%)となっている。
    • 総会屋及び会社ゴロ等(会社ゴロ及び新聞ゴロをいう。以下同じ。)の数は、令和2年末現在、。970人と近年減少傾向にある。社会運動等標ぼうゴロ(社会運動標ぼうゴロ及び政治活動標ぼうゴロをいう。)の数は、令和2年末現在、5,060人と近年減少傾向にある。
    • 近年、暴力団構成員等(暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者をいう。以下同じ。)の検挙人員は減少傾向にあり、令和2年においては、13,189人である。主な罪種別では、傷害が1,629人、窃盗が1,157人、詐欺が1,249人、恐喝が575人、覚醒剤取締法違反(麻薬特例法違反は含まない。以下同じ。)が3,510人で、いずれも前年に比べ減少している。暴力団構成員等の検挙人員のうち、構成員は2,561人、準構成員その他の周辺者は10,628人で前年に比べいずれも減少している。また、暴力団構成員等の検挙件数についても近年減少傾向にあり、令和2年においては、21,050件である。主な罪種別では、傷害が1,366件、窃盗が6,712件、詐欺が1,545件、恐喝が434件、覚醒剤取締法違反が5,088件で、いずれも前年に比べ減少している。
    • 近年、暴力団構成員等の検挙人員のうち、主要団体等の暴力団構成員等が占める割合は約8割で推移しており、令和2年においても、10,543人で79.9%を占めている。このうち、六代目山口組の暴力団構成員等の検挙人員は、4,843人と暴力団構成員等の検挙人員の約4割を占めている。
    • 六代目山口組は平成27年8月末の分裂後も引き続き最大の暴力団であり、その弱体化を図るため、六代目山口組を事実上支配している弘道会及びその傘下組織に対する集中した取締りを行っている。令和2年においては、六代目山口組直系組長等5人、弘道会直系組長等13人、弘道会直系組織幹部(弘道会直系組長等を除く。)19人を検挙している。
    • 事務所使用制限命令の発出:対立抗争の激化を受け、令和元年10月、兵庫県警察、岐阜県警察、愛知県警察及び大阪府警察が暴力団対策法に基づき、対立抗争に関係する暴力団事務所の使用制限の仮の命令を発出し、その後、同年11月、これら4府県の公安委員会が、事務所使用制限命令を発出した。同命令により、これら事務所を多数の指定暴力団員の集合の用、対立抗争のための謀議、指揮命令又は連絡の用等に供することが禁止されることとなった。
    • 特定抗争指定暴力団等の指定:その後も、自動小銃を使用した殺人事件が発生するなど、六代目山口組と神戸山口組に関連する凶器を使用した殺傷事件が続発した状況を受け、令和元年12月、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府及び兵庫県の公安委員会が、暴力団対策法に基づき、3か月の期間及び警戒区域を定めて両団体を「特定抗争指定暴力団等」として指定することを決定し、令和2年1月、その効力が発生した。さらに、両団体に関連する殺傷事件が発生するなどしたことを受け、令和2年末現在、府県の公安委員会により、18市町を警戒区域とする指定が行われている。同指定によ警戒区域内での事務所の新設、対立組織の組員に対するつきまとい、対立組織の組員の居宅及び事務所付近のうろつき、多数での集合、両団体の事務所への立入り等の行為が禁止されることとなった。
    • 対立抗争状態にあると判断した平成28年3月7日から令和2年末までに、両団体の対立抗争に起因するとみられる事件は22都道府県で82件発生し、うち67件で259人の暴力団構成員等を検挙した。
    • 平成25年まで暴力団等によるとみられる事業者襲撃等事件が相次いで発生してきたが、平成26年以降大きく減少し、令和2年においては、1件発生している。令和2年においては、対立抗争に起因するとみられる事件は9件発生している。これらはいずれも六代目山口組と神戸山口組との対立抗争に関するものであり、白昼に拳銃を使用した殺人未遂事件が発生するなど、地域社会に対する大きな脅威となっている。
    • 暴力団等によるとみられる銃器発砲事件は、令和2年においては14件発生し、これらの事件による死者は3人で、負傷者は5人である。暴力団等によるとみられる銃器発砲事件は、依然として市民の身近な場所で発生しており、地域社会の大きな脅威となっている。暴力団からの拳銃押収丁数は、令和2年においては、54丁と前年に比べ減少している。依然として、暴力団が拳銃等を自宅や事務所以外の場所に保管するなど、巧妙に隠匿している実態がうかがえる。
    • 令和2年における暴力団構成員等に対する組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪処罰法」という。)の加重処罰関係の規定の適用状況については、組織的な犯罪の加重処罰について規定した第3条違反の検挙事件数は4件であり、組織的な犯罪に係る犯人蔵匿等について規定した第7条違反の検挙事件数は1件であった。
    • 覚醒剤取締法違反、恐喝、賭博といった伝統的資金獲得犯罪は、依然として、暴力団等の有力な資金源になっていることがうかがえる。これらのうち、暴力団構成員等の伝統的資金獲得犯罪の検挙人員に占める覚醒剤取締法違反の割合は近年、約8割で推移しており、令和2年中においても同様である。また、暴力団構成員等の検挙状況を主要罪種別にみると、暴力団構成員
    • 等の総検挙人員に占める詐欺の検挙人員は、ここ数年で高止まりしており、詐欺による資金獲得活動が定着化している状況がうかがえる。その他、金融業、建設業、労働者派遣事業、風俗営業等に関連する資金獲得犯罪が行われており、依然として多種多様な資金獲得活動を行っていることがうかがえる。
    • 令和2年における暴力団構成員等に係る組織的犯罪処罰法のマネー・ローンダリング関係の規定の適用状況については、犯罪収益等隠匿について規定した第10条違反事件数が27件であり、犯罪収益等収受について規定した第11条違反事件数が30件である。また、第23条に規定する起訴前の没収保全命令の適用事件数は20件である。
    • 伝統的資金獲得犯罪の全体の検挙人員のうち暴力団構成員等が占める割合は、近年、40~50%台で推移している。この割合は、刑法犯・特別法犯の総検挙人員のうち暴力団構成員等の占める。割合が5~7%台で推移していることからすると、高いといえる。令和2年の伝統的資金獲得犯罪に係る暴力団構成員等の検挙人員は4,313人で、暴力団構成員等の総検挙人員の32.7%を占めており、依然として、伝統的資金獲得犯罪が有力な資金源となっていることがうかがえる。
    • 近年、暴力団が資金を獲得する手段の一つとして、詐欺、特に特殊詐欺を行っている実態がうかがえる。
    • 令和2年における暴力団構成員等、総会屋等及び社会運動等標ぼうゴロによる企業対象暴力及び行政対象暴力事犯の検挙件数は312件となっており、このうち、企業対象暴力事犯は215件、行政対象暴力事犯は97件となっている。また、総会屋等及び社会運動等標ぼうゴロの検挙人員は49人、検挙件数は23件である。依然として暴力団構成員等の反社会的勢力が、企業や行政に対して威力を示すなどして、不当な要求を行っている実態がうかがえる。
    • 準暴力団は、暴力団と同程度の明確な組織性は有しないものの、これに属する者が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行っている、暴力団に準ずる集団であるが、近年、繁華街・歓楽街等において暴行、傷害等を敢行するとともに、違法な資金獲得活動を行っている実態がみられるほか、暴力団との関係を深め、犯罪行為の態様を悪質化・巧妙化している状況がうかがえる。
    • 近年、中止命令の発出件数は減少傾向にあるところ、令和2年においては、1,134件と前年に比べ22件増加している。形態別では、資金獲得活動である暴力的要求行為(9条)に対するものが771件と全体の68.0%を、加入強要・脱退妨害(16条)に対するものが101件と全体の8.9%を、それぞれ占めている。暴力的要求行為(9条)に対する中止命令の発出件数を条項別にみると、不当贈与要求(2号)に対するものが382件、みかじめ料要求(4号)に対するものが94件、用心棒料等要求(5号)に対するものが219件となっている。また、加入強要・脱退妨害(16条)に対する中止命令の発出件数を条項別にみると、少年に対する加入強要・脱退妨害(1項)が17件、威迫による加入強要・脱退妨害(2項)が77件、密接交際者に対する加入強要・脱退妨害(3項)が7件となっている。団体別では、住吉会に対するものが284件と最も多く、全体の25.0%を占め、次いで六代目山口組242件、稲川会146件、神戸山口組60件の順となっている。
    • 近年、再発防止命令の発出件数は減少傾向にあったが、令和2年においては52件と前年に比べ20件増加している。形態別では、資金獲得活動である暴力的要求行為(9条)に対するものが35件と全体の67.3%を占めているほか、準暴力的要求行為の要求等(12条の3)に対するものが6件となっている。暴力的要求行為(9条)に対する再発防止命令の発出件数を条項別にみると、不当贈与要求(2号)に対するものが15件、みかじめ料要求(4号)に対するもの及び用心棒料等要求(5号)に対するものが9件、高利債権取立行為(6号)に対するものが2件となっている。団体別では、六代目山口組に対するものが12件と最も多く、全体の23.1%を占め、次いで稲川会11件、道仁会7件の順となっている。
    • 令和2年における請求妨害防止命令の発出件数は1件である。この命令は、旭琉會に対するものである。
    • 令和2年における縄張に係る禁止行為についての防止命令の発出件数は3件である。団体別では、六代目山口組に対するものが2件、次いで松葉会1件となっている。
    • 令和2年における暴力行為の賞揚等についての禁止命令の発出件数は7件である。団体別では工藤會に対するものが4件、次いで道仁会2件、六代目山口組1件の順となっている。
    • 令和2年における事務所使用制限命令の発出件数は9件である。団体別では、神戸山口組に対するものが4件、次いで、六代目山口組3件、工藤會2件の順となっている。
    • 令和2年における命令違反事件の検挙事件数は5件である。これらの事件は全て、再発防止命令違反であり、団体別では、稲川会によるものが3件、六代目山口組及び松葉会によるものがそれぞれ1件となっている。
    • 平成23年10月までに全ての都道府県において暴力団排除条例(以下「条例」という。)が施行されており、各都道府県は、条例の効果的な運用を行っている。なお、市町村における条例については、令和2年末までに46都道府県内の全市町村で制定されている。各都道府県においては、条例に基づいた勧告等を実施している。令和2年における実施件数は、勧告54件、指導6件、説明等の要求を拒んだことによる公表1件、中止命令10件、再発防止命令2件、検挙33件となっている。
    • 警察においては、都道府県暴力追放運動推進センター(以下「都道府県センター」という。)、弁護士会民事介入暴力対策委員会(以下「民暴委員会」という。)等と連携し、暴力団員等が行う違法・不当な行為の被害者等が提起する損害賠償請求等に対して必要な支援を行っている。警察においては、都道府県センター、民暴委員会等と連携し、住民運動に基づく暴力団事務所の明渡請求訴訟等について、必要な支援を行っている。
    • 都道府県センターでは、暴力団が関係する多種多様な事案についての相談を受理し、暴力団による被害の防止・回復等に向けた指導・助言を行っている。令和2年中の暴力団関係相談の受理件数は48,936件であり、このうち警察で21,017件、都道府県センターで27,919件を受理した。
    • 都道府県センターでは、都道府県公安委員会からの委託を受け、各事業所の不当要求防止責任者に対し、暴力団等からの不当要求による被害を防止するために必要な対応要領等の講習を実施している。令和元年度中に実施された不当要求防止責任者講習の開催回数は1,547回、同講習の受講人数は延べ73,887人であった。
    • 都道府県センターは、平成26年7月までに全て適格都道府県センターとして国家公安委員会の認定を受けており、指定暴力団等の事務所の使用により生活の平穏等が違法に害されていることを理由として当該事務所の使用及びこれに付随する行為の差止めを請求しようとする付近住民等から委託を受け、当該委託をした者のために自己の名をもって、当該事務所の使用及びこれに付随する行為の差止めの請求を行っている。
    • 令和2年中、警察及び都道府県センターが援助の措置等を行うことにより暴力団から離脱することができた暴力団員の数については、約510人となっている。
  2. 薬物・銃器情勢
    • 薬物事犯(覚醒剤事犯、大麻事犯、麻薬及び向精神薬事犯及びあへん事犯をいう。以下同じ。)の検挙人員は、近年横ばいで推移している中、14,079人と前年より僅かに増加した。このうち暴力団構成員等の検挙人員は4,387人で、薬物事犯の検挙人員の31.2%を占めており、検挙人員・薬物事犯に占める割合とも減少傾向にあるが、覚醒剤事犯では、検挙人員に占める割合が42.2%と高い。外国人の検挙人員は888人と前年より減少し、薬物事犯の検挙人員の6.3%を占めているが、MDMA等合成麻薬やコカインなどの麻薬及び向精神薬事犯では、検挙人員に占める割合が20.6%と高い。
    • 覚醒剤事犯の検挙人員は、薬物事犯の検挙人員の60.2%を占め、その割合は平成24年以降減少している一方で、大麻事犯の検挙人員は、薬物事犯の検挙人員の35.8%を占め、その割合は平成25年以降増加している。
    • 薬物種類別でみると、覚醒剤が437.2キログラムと大幅に減少し、5年ぶりに1,000キログラムを割り込んだ。乾燥大麻は265.1キログラム、大麻樹脂は3.4キログラムと減少したが、大麻草は9,893本と増加した。MDMAは90,218錠と大幅に増加しており、近年の増加傾向が顕著である。
    • 覚醒剤事犯
      • 覚醒剤事犯の検挙人員は、第三次覚醒剤乱用期のピークである平成9年以降、長期的にみて減少傾向にあり、令和2年も8,471人と減少した。平成30年以降連続して1万人を下回っている。また、覚醒剤事犯の検挙人員のうち、暴力団構成員等は3,577人と検挙人員の42.2%、外国人は480人と検挙人員の5.7%を占めている。
      • 令和2年の人口10万人当たりの検挙人員は、20歳未満が1.4人、20歳代が7.9人、30歳代が14.4人、40歳代が15.4人、50歳以上が5.1人であり、最も多い年齢層は40歳代、次いで30歳代となっている。
      • 覚醒剤事犯の再犯者率は、平成19年以降14年連続で増加しており、令和2年は69.4%となっている。
      • 違反態様別でみると、使用事犯が4,933人、所持事犯が2,717人、譲渡事犯が344人、譲受事犯が127人、密輸入事犯が114人となっており、使用事犯及び所持事犯で検挙人員の90.3%を占めている。
      • 覚醒剤事犯の検挙人員は、薬物事犯の検挙人員の60.2%を占めており、依然として我が国の薬物対策における最重要課題となっている。その主な特徴としては、暴力団構成員等が検挙人員の4割以上を占めていることや、30歳代及び40歳代の人口10万人当たりの検挙人員がそれぞれ他の年齢層に比べて多いことが挙げられる。また、再犯者率が他の薬物に比べて高いことから、覚醒剤がとりわけ強い依存性を有しており、一旦乱用が開始されてしまうと継続的な乱用に陥る傾向があることがうかがわれる。
    • 大麻事犯
      • 大麻事犯の検挙人員は、平成26年以降増加が続き、令和2年も過去最多となった前年を大幅に上回る5,034人となった。また、大麻事犯の検挙人員のうち、暴力団構成員等は751人と検挙人員の14.9%、外国人は292人と検挙人員の5.8%を占めている。
      • 人口10万人当たりの検挙人員でみると、近年、50歳以上においては、横ばいで推移している一方、その他の年齢層においては増加傾向にあり、特に若年層による増加が顕著である。令和2年の人口10万人当たりの検挙人員は、20歳未満が12.9人、20歳代が20.1人と前年より大幅に増加しており、30歳代が7.1人、40歳代が2.5人、50歳以上が0.3人と僅かに減少した。最も多い年齢層は20歳代、次いで20歳未満となっており、20歳未満の年齢別でみると、年齢が高いほど検挙人員が多い。学識別では、高校生及び大学生の増加が顕著である。
      • 大麻事犯の初犯者率は78.9%と、近年の横ばい傾向が継続している。
      • 違反態様別でみると、所持事犯が4,121人、譲渡事犯が274人、譲受事犯が206人、密輸入事犯が53人、栽培事犯が232人となっており、所持事犯が検挙人員の81.9%を占めている。また、栽培事犯の検挙人員は、前年より大幅に増加した。
      • 大麻事犯の検挙人員は、薬物事犯の検挙人員の35.8%を占めており、その割合は覚醒剤事犯に次いで多くなっている。その主な特徴としては、初犯者率が高いことのほか、特に20歳未満、20歳代の人口10万人当たりの検挙人員がそれぞれ大幅に増加しており、若年層による乱用傾向が増大していることが挙げられる。
    • 大麻乱用者の実態
      • 令和2年10月から同年11月までの間に大麻取締法違反(単純所持)で検挙された者のうち748人について、捜査の過程において明らかとなった大麻使用の経緯、動機、認識等は次のとおりである(これらと対比した平成29年(「H29」)の記載については、平成29年10月から同年11月までの間に大麻取締法違反(単純所持)で検挙された者のうち535人についてとりまとめたもの。)。
        1. 大麻を初めて使用した年齢
          • 対象者が初めて大麻を使用した年齢は、20歳代以下の若年層で86.8%を占め、最年少は12歳(2人)であった。初回使用年齢層の構成比を29年と比較すると、「20歳未満」が195人・36.4%から361人・48.3%に増加しており、若年層の中でも特に「20歳未満」での乱用拡大が懸念される。
        2. 大麻を初めて使用した経緯、動機
          • 大麻を初めて使用した経緯は、「誘われて」が最多であり、初めて使用した年齢が低いほど、誘われて使用する比率は高く、その傾向は29年と同様に「20歳未満」が最多である。
          • また、その時の動機については、「好奇心・興味本位」、「その場の雰囲気」の順に多く、初めて使用した年齢が低いほど「その場の雰囲気」の割合が高くなる傾向にあり、また、「20歳未満」の「その他」の回答の中には「仲間外れにされないため」などの回答があった。
          • 29年においても同様で、若年層ほど身近な環境に影響されやすい傾向にあることがうかがわれた。
        3. 大麻に対する危険(有害)性の認識
          • 大麻に対する危険(有害)性の認識は「なし(全くない・あまりない。以下同じ。)」が78.2%であり、覚醒剤の危険(有害)性と比較して大麻の危険(有害)性の認識は低い。29年と比較すると、大麻の「なし」の割合だけが13.9ポイント増加しており、大麻の危険(有害)性の認識だけが一層低くなっていることが確認できた。
          • 犯行時の年齢層別での大麻に対する危険(有害)性の認識は、どの年齢層でも大差はないが、29年と比較すると、特に「20歳未満」において「なし」の割合が30.5ポイントと大きく増加している
        4. 大麻に対する危険(有害)性を軽視する情報源
          • 年齢層を問わず、大麻に対する危険(有害)性を軽視する情報を「友人・知人」や「インターネット」から入手している状況が確認できた。
          • 情報源について、割合が高い「友人・知人」と「インターネット」を比較すると、年齢層が低いほど、より身近な「友人・知人」の割合が大きい傾向にある。令和2年においては、その傾向が特に少年で顕著であり、ここからも、若年になるほど、より身近な環境に影響されやすい傾向がうかがわれる。
          • 特に少年は、心身が未発達であり、社会的・経済的な基盤も形成途上であることを踏まえると、周囲の環境を健全化させることが急務である。大麻を容易に入手できないように組織的な栽培・密売を始めとする違法な行為を厳正に取締ることに加えて、SNS等のインターネット上での違法情報・有害情報の排除や、大麻の危険(有害)性を正しく認識して周囲からの誘いを断ることができるような広報啓発活動を含めた更なる取組が必要である。
    • 薬物密輸入事犯の検挙件数は218件と前年より大幅に減少した。薬物事犯別でみると、覚醒剤事犯は73件と大幅に減少し、大麻事犯は66件、麻薬及び向精神薬事犯は79件とそれぞれ減少した。
    • 密輸入事犯における覚醒剤の押収量は418.2キログラムと前年より減少したものの、引き続き高い水準にある。乾燥大麻は19.9キログラムと大幅に減少し、大麻樹脂も1.6キログラムと減少した。
    • 覚醒剤密輸入事犯の検挙件数は73件と前年より大幅に減少した。検挙人員については、暴力団構成員等は20人と減少し、外国人は63人と大幅に減少した。また、国籍・地域別でみると、日本が51人と最も多く、次いでベトナムが16人、タイ及び香港が9人となっている。態様別でみると、航空機を利用した覚醒剤の携帯密輸入事犯の検挙件数は25件と前年より大幅に減少した。このほか、国際宅配便が31件、郵便物が11件、事業用貨物が4件となっている。仕出国・地域別でみると、マレーシア及びアメリカが8件(構成比率11.0%)と最も多く、次いでタイが7件(同9.6%)、以下、ベトナムが6件(同8.2%)、台湾、イギリス及びメキシコが5件(同6.8%)となっている。
    • 覚醒剤密輸入事犯の検挙件数は73件と大幅な減少となる中、密輸入事犯全体の検挙件数に占める国際宅配便利用の割合(構成比率42.5%)が高くなった。また、押収量についても、海上貨物の利用による大量密輸入事犯の検挙により、依然として高水準にある。こうした状況の背景には、我が国に根強い薬物需要が存在していることのほか、国際的なネットワークを有する薬物犯罪組織が、アジア・太平洋地域において覚醒剤の取引を活発化させていることがあるものと推認される。
    • 大麻密輸入事犯の検挙件数は66件と前年より減少した。態様別でみると、主なものとしては、郵便物が32件、国際宅配便が24件、航空機利用の携帯密輸が9件、その他が1件となっており、郵便物や国際宅配便を利用した密輸の占める割合は高い。仕出国・地域別でみると、アメリカが46件と最も多く、次いでカナダが6件、イギリス及びフランスが3件となっている。
    • 薬物の密売関連事犯(営利犯のうち所持、譲渡及び譲受をいう。以下同じ。)の検挙人員は649人であり、このうち、暴力団構成員等は314人(構成比率48.4%)、外国人は54人(同8.3%)となっている。覚醒剤の密売関連事犯の検挙人員は389人であり、このうち暴力団構成員等は258人(同66.3%)と、依然として覚醒剤の密売関連事犯に暴力団が深く関与している状況が続いている。また、外国人は32人(同8.2%)となっている。大麻の密売関連事犯の検挙人員は228人であり、このうち暴力団構成員等が53人(同23.2%)と、その割合は覚醒剤事犯に比べ低いものの、大麻の密売関連事犯にも暴力団の関与が認められる。また、外国人は19人(同8.3%)となっている。
    • 暴力団構成員等による刑法犯及び特別法犯検挙人員は13,189人であり、このうち、薬物事犯検挙人員は4,387人(構成比率33.3%)と最も多くなっており、暴力団による不法行為に占める薬物事犯の割合は高い。
      • 覚醒剤事犯:暴力団構成員等の検挙人員を組織別にみると、六代目山口組、神戸山口組、絆會(任侠山口組)、住吉会及び稲川会の構成員等は2,803人と、これらで覚醒剤事犯に係る暴力団構成員等の検挙人員全体の78.4%を占めている。
      • 大麻事犯:暴力団構成員等の検挙人員を組織別にみると、六代目山口組、神戸山口組、絆會(任侠山口組)、住吉会及び稲川会の構成員等は557人と、これらで大麻事犯に係る暴力団構成員等の検挙人員全体の74.2%を占めている。
    • 暴力団構成員等による覚醒剤事犯の検挙人員を主な違反態様別にみると、使用事犯が2,109人、所持事犯が1,142人、譲渡事犯が199人、譲受事犯が38人、密輸入事犯が20人となっている。また、暴力団構成員等による覚醒剤事犯の営利犯の検挙人員は278人と全営利犯検挙人員(490人)の56.7%を占めており、覚醒剤の密輸・密売に暴力団が深く関与している状況が続いている。暴力団構成員等による大麻事犯の営利犯の検挙人員は83人と全営利犯検挙人員(342人)の24.3%を占めており、大麻の密売等にも暴力団が関与している状況が続いている。
    • 外国人による覚醒剤事犯の営利犯の検挙人員は86人と覚醒剤事犯の全営利犯検挙人員(490人)の17.6%を占めている。また、このうち密輸入事犯は54人(構成比率62.8%)となっている。国籍・地域別でみると、ベトナムが21人と最も多く、このうち密輸入事犯が15人、密売関連事犯が6人となっている。次いでブラジルが10人で、このうち密輸入事犯が4人、密売関連事犯が6人、韓国・朝鮮も10人で、このうち密輸入事犯が2人、密売関連事犯が8人となっている。外国人による大麻事犯の営利犯検挙人員は28人と大麻事犯の全営利犯検挙人員(342人)の8.2%を占めている。国籍・地域別でみると、ベトナムが10人と最も多く、このうち密輸入事犯が1人、密売関連事犯が7人、栽培事犯が2人となっており、次いでブラジルが5人で、このうち密輸入事犯が2人、密売関連事犯が3人となっている。
    • 外国人による薬物事犯を国籍・地域別でみると、ブラジルが169人と最も多く、次いで韓国・朝鮮が156人、ベトナムが148人、以下、フィリピンが104人、アメリカが55人、中国が30人、スリランカが29人、ペルーが27人、タイが26人となっている。覚醒剤事犯では、韓国・朝鮮が123人と最も多く、次いでブラジルが94人、以下、フィリピンが75人、ベトナムが64人、タイが21人、中国が17人、イランが15人となっている。大麻事犯では、ブラジルが70人と最も多く、次いでベトナム及びアメリカが38人、韓国・朝鮮が30人となっている。
    • 危険ドラッグ事犯の検挙状況は138事件、150人と前年に引き続き減少した。適用法令別でみると、指定薬物に係る医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器法」という。)違反は前年に引き続き減少したが、麻薬及び向精神薬取締法違反は横ばいである。また、危険ドラッグ事犯のうち、暴力団構成員等による事犯は5事件、8人、外国人による事犯は30事件、33人、少年による事犯は2事件、2人となっている。
    • 危険ドラッグ事犯のうち、危険ドラッグ乱用者の検挙人員は140人(構成比率93.3%)となっている。年齢層別の構成比率を前年と比較すると、20歳代及び50歳以上の占める割合が増加しており、30歳代及び40歳代の占める割合は減少している。薬物経験別でみると、薬物犯罪の初犯者が97人(構成比率69.3%)、薬物犯罪の再犯者が43人(同30.7%)となっている。入手先別でみると、インターネットを利用して危険ドラッグを入手した者の割合が50.7%と最も高い。危険ドラッグの使用が原因と疑われる死者数は0人と減少した。危険ドラッグ密輸入事犯の検挙状況は43事件、47人と増加した。仕出国・地域別でみると、中国が17事件と最も多く、次いでフランスが6事件となっている。
  3. 銃器情勢
    • 銃器発砲事件の発生件数は17件であり、このうち暴力団等によるとみられるものは14件と前年から増加し、六代目山口組と神戸山口組との対立抗争に起因するとみられるものが5件発生した。銃器発砲事件による死傷者数は9人であり、このうち暴力団構成員等は6人となっている。死傷者数のうち、死者数は4人、負傷者数は5人である。
    • 拳銃の押収丁数は、暴力団からの押収を含めて、長期的には減少傾向にあり、令和2年は355丁と前年から減少した。このうち、真正拳銃は312丁(うち密造拳銃9丁)、改造拳銃は43丁となっている。暴力団から押収した拳銃は54丁であり、組織別でみると、六代目山口組が16丁(構成比率29.6%)、神戸山口組が13丁(同24.1%)、稲川会が2丁(同3.7%)、住吉会が5丁(同9.3%)、その他が18丁(同33.3%)となっている。これまでに押収された拳銃の隠匿場所をみると、土中や貸倉庫に隠匿するものなどがみられ、隠匿の巧妙化・分散化がみられる。暴力団以外から押収した拳銃301丁のうち、真正拳銃は261丁(同86.7%)となっている。
  4. 来日外国人犯罪情勢
    • 来日外国人犯罪の総検挙(刑法犯及び特別法犯の検挙をいう。以下同じ)状況をみると、近年、総検挙件数・人員ともほぼ横ばい状態で推移してきたが、令和2年は、前年に比べ、検挙件数・人員とも増加している。刑法犯検挙(日本人等の検挙を含む)に占める来日外国人犯罪の割合は、検挙件数が3.4%、検挙人員が3.1%となっている。
    • 総検挙状況を国籍等別にみると、総検挙、刑法犯、特別法犯のいずれもベトナム及び中国の2か国が高い割合を占めている。
    • 刑法犯検挙状況を包括罪種別にみると、凶悪犯及び風俗犯の検挙件数・人員が増加している。刑法犯の検挙全体に占める窃盗犯の割合は、検挙件数が61.1%、検挙人員が44.4%と依然として高い状態が続いており、特に、検挙件数は前年より大きく増加している。
    • 特別法犯検挙状況を違反法令別にみると、入管法違反及び銃刀法違反の検挙件数・人員が増加している。特に、特別法犯の検挙全体に占める入管法違反の割合は、検挙件数が78.2%、検挙人員が74.9%と、最も高い状態が続いている。
    • 在留資格別検挙状況について、総検挙人員を正規滞在・不法滞在別にみると、令和2年中は、正規滞在の割合が全体の61.0%、不法滞在の割合が39.0%となっている。平成27年からは不法滞在の割合が上昇傾向にある。また、総検挙人員の在留資格別の内訳(構成比率)は「技能実習」24.6%「留学」17.7%、「短期滞在」15.5%、「定住者」10.8%、「日本人の配偶者等」7.3%となっている。なお、令和元年4月に創設された在留資格「特定技能」を有する者の検挙は6人であった。
    • 来日ベトナム人犯罪の傾向
      • 刑法犯の検挙人員が概ね横ばいであるのに対して、特別法犯の検挙人員は5年間で約3.8倍に増加しており、平成30年以降は刑法犯を上回る状況が続いている。入管法違反(特に不法残留)の急激な増加(5年間で約4.1倍)がその主な要因である。
      • 刑法犯の包括罪種別では、窃盗犯が最も多い(特に万引きが多い)状態が続くものの、その割合は7割強から6割弱と徐々に下がってきている。他の罪種では、粗暴犯の増加が顕著(5年間で約3.2倍)である。
      • 特別法犯の違反法令別では、入管法違反が大半を占める傾向に大きな変化はない一方、薬物事犯が増加傾向にあり、特に令和2年は前年比+131%と大幅に増加している。
      • 在留資格別では、平成28年時点では留学が5割を超えていたところ、その比率は徐々に下がり、それに代わって技能実習の増加が顕著(5年間で約4.1倍)となっている。
      • 正規滞在、不法滞在別では、以前は正規滞在が7割を占めていたが、令和元年以降、不法滞在が正規滞在を上回り、その差は拡大傾向にある。不法滞在の中で刑法犯の占める割合は5年前の3割弱から徐々に低下しているが、人員数としては増加してきている。
    • 来日中国人犯罪の傾向
      • 刑法犯の検挙人員はやや減少傾向にある一方、特別法犯の検挙人員は多少の増減はあるものの、概ね横ばいの傾向にある。人員数については、刑法犯と特別法犯との間に大きな差はなく、ほぼ半々という状況が続いている。
      • 刑法犯の包括罪種別では、ここ5年間、窃盗犯がおおむね5割、粗暴犯がおおむね2割、知能犯が1割強という状況が続いている。
      • 特別法犯の違反法令別では、入管法違反(特に不法残留)が多く、全体の7割近くを占める状況が続いている。他の法令では、ここ2年間、風適法違反が減少傾向にある。
      • 在留資格別では、技能実習、留学において減少傾向が見られる一方で、短期滞在が増加する傾向にあったが、令和2年においては、コロナ禍における中国人旅行客の減少もあってか、短期滞在においても3割弱減少した。
      • 正規滞在、不法滞在別では、ここ5年間、正規滞在が7割、不法滞在が3割という傾向が続いている。不法滞在の中で刑法犯が占める割合はおおむね1割前後で推移しており、人員数としても100人に満たない。
    • 来日ベトナム人犯罪と来日中国人犯罪の傾向比較
      • 刑法犯検挙人員で比較した場合、ベトナム、中国とも窃盗犯が多い点では共通だが、中国における粗暴犯、知能犯の占める割合がベトナムに比して高い傾向にある。
      • 特別法犯検挙人員で比較した場合、双方とも入管法違反が多い点では共通だが、中国では1割程度を占める風適法違反がベトナムにおいてはほとんど見られないという違いがある。
      • 在留資格別で比較した場合、双方とも技能実習が多い点では共通だが、ベトナムにおいて留学が占める割合が中国に比して高く、一方、中国において短期滞在や日本人の配偶者等の占める割合がベトナムに比して高いという特徴がある。
      • 正規滞在・不法滞在別で比較した場合、5年前はベトナム、中国とも正規滞在7割、不法滞在3割という比率であったが、中国においては両者の割合に大きな変化は生じていない一方で、ベトナムにおいて不法滞在の占める割合が増加しているほか、不法滞在の中の刑法犯の人員数も多い。
    • 刑法犯検挙状況を包括罪種別にみると、近年、検挙件数・人員とも、ほぼ横ばい状態で推移しているところ、令和2年は、前年に比べ、検挙件数では、凶悪犯、窃盗犯、風俗犯が増加している一方、粗暴犯、知能犯が減少している。検挙人員では、凶悪犯、風俗犯が増加した一方、粗暴犯、窃盗犯及び知能犯が減少している
    • 令和2年中に検挙した来日外国人による財産犯の被害総額は約19億円に上り、このうち約14億円(構成比率71.8%)が窃盗犯被害、約5億円(同26.7%)が知能犯被害によるものである。窃盗犯の手口別では、侵入窃盗被害が約8億円(同42.3%乗り物盗被害が約7,000万円(同3.7%)となっている。また、知能犯の罪種別では、詐欺被害が約4億9,000万円(同26.1%)となっている。
    • 国籍等別の刑法犯検挙状況を包括罪種等別にみると、凶悪犯はベトナム及びブラジルが検挙件数・人員とも増加し、粗暴犯及び知能犯は中国が引き続き多くを占めているが、検挙件数・人員とも減少している。また、窃盗犯は全体的に侵入窃盗が増加しており、特に、中国及び韓国の侵入窃盗の検挙件数が大きく増加している。
    • 罪種等別の刑法犯検挙件数を国籍等別にみると、強盗はベトナム及びブラジル、窃盗はベトナム及び中国が高い割合を占めている。窃盗を手口別にみると侵入窃盗は中国及び韓国、自動車盗はスリランカ、万引きはベトナムが高い割合を占めている。また、知能犯を罪種別にみると、詐欺、支払用カード偽造とも中国が高い割合を占めている。
    • 刑法犯検挙人員を正規滞在・不法滞在別にみると、過去10年間、正規滞在の割合が9割以上を占め、ほぼ横ばい状態で推移している。包括罪種等別の構成比率を正規滞在・不法滞在別にみると、いずれの包括罪種等でも正規滞在が不法滞在を大きく上回っているが、強盗や侵入窃盗において不法滞在の占める割合が比較的高くなっている。
    • 刑法犯検挙件数に占める共犯事件の割合を日本人・来日外国人別にみると日本人は12.5%来日外国人は35.5%と日本人の約2.8倍となっている。また、来日外国人による共犯事件を形態別にみると、2人組は13.8%、3人組は10.0%、4人組以上は6.4%となっている。罪種等別にみると、窃盗犯のうち、住宅対象の侵入窃盗では、日本人は10.3%、来日外国人は56.7%と日本人の約5.5倍、万引きでは、日本人は3.1%、来日外国人は40.1%と日本人の約12.9倍となっている。
    • 特別法犯検挙状況は、近年、検挙件数・人員とも増加傾向が継続しており、これを違反法令別にみると、要因として、入管法違反の増加が挙げられる。国籍等別の特別法犯検挙状況を違反法令別にみると、検挙件数・人員とも、ベトナムによる入管法違反が大きく増加している一方、中国による入管法違反は減少している。特別法犯検挙人員を正規滞在・不法滞在別にみると、平成29年に不法滞在の割合が正規滞在の割合を上回って以降、不法滞在の割合が正規滞在の割合を上回っている。違反法令別の構成比率を正規滞在・不法滞在別にみると、入管法違反を除き、不法滞在より正規滞在の割合が高くなっている。入管法違反の検挙状況を違反態様別にみると、過去10年間、不法残留の検挙件数・人員が大きな割合を占めており、令和2年も、前年と比べ、検挙件数・人員とも増加している。国籍等別では ベトナム2,332人 構成比率50.8% 中国846人(同18.4%)、タイ368人(同8.0%)、フィリピン292人(同6.4%)、インドネシア171人(同3.7%)等となっている。入管法第65条の規定に基づき入国警備官に引き渡した人員は699人で、65条措置人員と検挙人員を合わせた人員は5,286人となっている。
    • 雇用関係事犯の検挙人員のうち、暴力団員は2人となっている。
    • 薬物事犯の検挙人員は525人で、事犯別にみると、覚醒剤事犯は279人、大麻事犯は160人等となっている。薬物事犯の検挙人員を国籍等別にみると、ベトナム141人、ブラジル101人、フィリピン66人、スリランカ29人、アメリカ23人等となっている。
    • 来日ベトナム人による犯罪の検挙は、来日外国人全体の総検挙件数の38.4%、総検挙人員の35.9%(刑法犯については検挙件数の30.8%、検挙人員の26.5%、特別法犯については、検挙件数の47.0%、検挙人員の44.5%)を占め、総検挙件数・人員ともに最も多くなっている。来日外国人全体の刑法犯検挙件数に占めるベトナムの割合を包括罪種等別にみると、万引きが60.5%、殺人が52.0%等となっている。検挙人員では、殺人が45.8%、万引きが38.5%等となっている。
    • ベトナム人の在留者は、近年「技能実習」や「留学」の在留資格で入国する者が増加しており、一部の素行不良者がSNS等を介して犯罪組織を形成するなどしている。ベトナム人による犯罪は、刑法犯では窃盗犯が多数を占める状況が一貫して続いており、手口別では万引きの割合が高い。ここのところ、ベトナム人同士のけんか等に起因した殺人や賭博における金の貸し借りに起因したベトナム人グループ内の略取誘拐、逮捕監禁等の事案の発生もみられる。また、特別法犯では入管法違反が多数を占める状況が続いており「技能実習」等の在留資格を有する者が、在留期間経過後、就労目的で不法に残留し、又は偽造在留カードを入手して正規滞在者を装うなどの事案が多くみられる。
    • 来日中国人による犯罪の検挙は、来日外国人全体の総検挙件数の24.6%、総検挙人員の23.0%(刑法犯については検挙件数の28.0%、検挙人員の26.1%、特別法犯については検挙件数の20.7%、検挙人員の20.0%)を占め、総検挙件数・人員ともにベトナムに次いで多くなっている。来日外国人全体の刑法犯検挙件数に占める中国の割合を包括罪種等別にみると、払出盗が%、支払用カード偽造が77.4%、詐欺が56.5%等となっている。検挙人員では、払出盗が63.6%、詐欺が50.6%、支払用カード偽造が30.8%等となっている。
    • 中国人犯罪組織は、地縁、血縁等を利用したり、稼働先の同僚等を誘い込むなどしてグループを形成する場合が多い。また、中国残留邦人の子弟らを中心に構成されるチャイニーズドラゴン等の組織も存在する。中国から「技能実習「留学」等の在留資格で入国した後、実習先から失踪する者や留学先の学校等を中途退学する者もおり、その後、不法就労や不法滞在を続けるうちに、その他の犯罪に加担する者も見られる。近年は、通信手段として匿名性の高いスマートフォンアプリが使われており、精巧な偽造クレジットカード等を利用して大量の商品をだまし取る犯罪や、旅券・在留カード等偽造などの犯罪インフラ事犯の検挙が比較的多くなっている。
  5. 犯罪インフラ
    • 犯罪インフラとは、犯罪を助長し、又は容易にする基盤のことをいう。外国人に係る犯罪インフラ事犯には不法就労助長旅券・在留カード等偽造偽装結婚地下銀行偽装認知のほか携帯電話不正取得、偽造在留カード所持等が挙げられる。不法就労助長及び偽装結婚には、相当数の日本人や永住者等の定着居住者が深く関わっており、不法滞在者等を利用して利益を得る構図がみられる。
    • 犯罪インフラ事犯の検挙状況をみると、不法就労助長は、昨今の人手不足を背景とし、就労資格のない外国人を雇い入れるなどの事例が引き続きみられるが、検挙件数・人員は減少傾向で推移している。旅券・在留カード等偽造は就労可能な在留資格を偽装するために利用されており、平成28年以降、増加傾向で推移し、検挙件数では最も多くなった。偽装結婚は、日本国内における継続的な就労等を目的に「日本人の配偶者等」等の在留資格を取得するための不正な手段であるが、近年、減少傾向にあるところ、ブローカー等への報酬等として多額の費用がかかることなどが一因になっているとみられる。地下銀行は、近年、検挙件数は10件前後で、偽装認知は3件前後で推移している。

警察庁 令和3年2月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和3年1月~2月における特殊詐欺全体の認知件数1,837件(前年同期2,100件、前年同期比▲12.5%)、被害総額は36.7億円(40.8憶円、▲10.0%)、検挙件数939件(693件、+35.5%)、検挙人員292人(258人、+13.2%)
  • オレオレ詐欺の認知件数368件(308件、+19.5%)、被害総額10.3億円(7.3憶円、+40.2%)、検挙件数170件(250件、▲32.0%)、検挙人員75人(73人、+2.7%)
  • 預貯金詐欺の認知件数453件(634件、▲28.5%)、被害総額6.5億円(7.1億円、▲8.8%)、検挙件数385件(53件、+626.4%)、検挙人員109人(69人、+58.0%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数234件(265件、▲11.7%)、被害総額9.3憶円(13.5億円、▲31.1%)、検挙件数44件(52件、▲15.4%)、検挙人員21任(17人、+23.5%)
  • 還付金詐欺の認知件数414件(161件、+157.1%)、被害総額4.6憶円(1.9憶円、+139.5%)、検挙件数64件(60件、+6.7%)、検挙人員20人(6人、+233.3%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数33件(86件、▲61.7%)、被害総額0.6憶円(1.0憶円、▲42.3%)、検挙件数1件(12件、▲91.7%)、検挙人員0人(4人)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数312件(616件、▲49.4%)、被害総額4.8憶円(9.5憶円、▲49.5%)、検挙件数269件(255件、+5.5%)、検挙人員64人(78人、▲17.9%)
  • 口座開設詐欺の検挙件数90件(124件、▲27.4%)、検挙人員47人(64人、▲26.6%)、盗品等譲受け盗の検挙件数1件(0件)、検挙人員0人(0人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数311件(377件、▲17.5%)、検挙人員246人(317人、▲22.4%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数30件(23件、+30.4%)、検挙人員31人(21人、+47.6%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数6件(3件、+100.0%)、検挙人員3人(3人、±0.0%)、組織的犯罪処罰法違反の検挙件数20件(7件、+185.7%)、検挙人員0人(2人)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では、60歳以上92.3%・70歳以上76.6%、男性24.5%・女性75.5%、オレオレ詐欺では、60歳以上97.3%・70歳以上95.7%、男性15.5%・女性84.5%、融資保証金詐欺では、60歳以上32.1%・70歳以上14.3%、男性64.3%・女性35.7%
  • 特殊詐欺被害者全体に占める高齢(65歳以上)被害者の割合について、特殊詐欺全体88.4%(男性21.4%、女性78.6%)、オレオレ詐欺97.0%(15.7%、84.3%)、預貯金詐欺98.9%(14.7%、85.3%)、架空料金請求詐欺47.0%(54.5%、45.5%)、還付金詐欺92.8%(27.1%、72.9%)、融資保証金詐欺21.4%(83.3%、16.7%)、金融商品詐欺57.1%(0.0%、100.0%)、ギャンブル詐欺41.7%(60.0%、40.0%)、交際あっせん詐欺0.0%、その他の特殊詐欺0.0%、キャッシュカード詐欺盗98.1%(17.0%、83.0%)

【2021年3月】

警察庁 スマートフォン決済サービスを利用した不正振替事犯に係る対策について
  1. 概要
    • スマートフォン決済サービスを利用した不正振替事犯に係る手口等が判明したことから、それら判明事項を活用して同種事案による被害防止等のための対策を実施した。
  2. スマートフォン決済サービスを利用した不正振替事犯の手口等
    1. 背景となる事案の概要
      • 事業者が提供するスマートフォン決済サービスに関して、同社と業務提携する金融機関に開設された口座情報を不正に入手・連携し、不正な振替(チャージ)を行うものであり、以下の特徴がみられた。
        • 犯行に用いるため、被疑者等がスマートフォン決済サービスのアカウントを作成
        • 口座番号等のほか、キャッシュカード暗証番号が分かればスマートフォン決済サービスとの連携が可能である金融機関に被害が集中
    2. 判明した主な手口等
      1. 携帯電話販売代理店が携帯電話サービス利用申込みに係る個人情報を無断で領得し、当該情報を用いて、不正出金の被害が生じた預貯金口座をスマートフォン決済サービスとひも付けて口座振替(チャージ)を実施
      2. 第三者の電子メールアカウントを正規利用者に無断で利用して、犯行に用いるスマートフォン決済サービスのアカウントを作成
      3. スマートフォン決済サービスのアカウント作成から被害口座との連携までを短期間で大量に行いつつ、買い子が別の携帯電話端末から短時間で連続決済を実施
  3. 対策
    1. 金融機関に対する不正に取得された口座情報の提供
      • Ⅱ2(1)の手口で領得された約3,600口座分の口座情報について、警視庁から、(一財)日本サイバー犯罪対策センター(JC3)の枠組みも活用して該当する金融機関に対して情報提供するとともに、金融機関における調査や被害防止対策への活用を働き掛けた。
    2. サービス提供事業者に対する「無断で用いられた電子メールアカウント」情報の提供
      • Ⅱ2(2)の手口で無断で用いられた約600の電子メールアカウントについて、警視庁から、電子メールサービスの提供事業者に対して情報提供するとともに、パスワードリセットやアカウント停止、正規利用者へ連絡などの対策の実施を働き掛けた。
    3. 金融機関及びスマートフォン決済サービス提供事業者における対策強化の要請
      • 警察庁から、金融庁及び関係団体に対して、Ⅱ2(1)から(3)の手口等について情報提供するとともに、それらを踏まえた金融機関及びスマートフォン決済サービス提供事業者における不正防止対策の強化を要請した。

警察庁 犯罪統計資料(令和3年1~2月)
  • 令和3年1~2月の刑法犯の総数は、認知件数は83,410件(前年同期104,071件、前年同期比▲19.9%)、検挙件数は40,567件(35,333件、+14.9%)、検挙率は48.6%(34.0%、+14.6P)
  • 窃盗犯の認知件数は56,450件(74,228件、▲24.0%)、検挙件数は25,210件(21,579件、+16.8%)、検挙率は44.7%(29.1%、+15.6P)
  • 万引き犯の認知件数は14,181件(14,839件、▲4.4%)、検挙件数は9,816件(9,337件、+5.1%)、検挙率は69.2%(62.9%、+6.3P)
  • 知能犯の認知件数は5,244件(4,969件、+5.5%)、検挙件数は2,788件(1,996件、+39.7%)、検挙率は53.2%(40.2%、+13.0P)
  • 詐欺の認知件数は4,745件(4,432件、+7.1%)、検挙件数は2,357件(1,636件、+44.1%)、検挙率は49.7%(36.9%、+12.8P)
  • 令和3年1~2月の特別法犯総数について、検挙件数は10,083件(8,927件、+12.9%)、検挙人員は8,316人(7,531人、+10.4%)
  • 入管法違反の検挙件数は734件(771件、▲4.8%)、検挙人員は531人(532人、▲0.2%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は148件(133件、+11.3%)、検挙人員は117人(110人、+6.4%)、貸金業法違反の検挙件数は13件(19件、▲31.6%)、検挙人員は10人(10人、±0%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は331件(390件、▲15.1%)、検挙人員は260人(326人、▲20.2%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は39件(56件、▲30.4%)、検挙人員は12人(18人、▲33.3%)、不正競争防止法違反の検挙件数は4件(11件、▲63.6%)、検挙人員は6人(20人、▲70.0%)、銃刀法違反の検挙件数は740件(695件、+6.5%)、検挙人員は662人(610人、+8.5%)
  • 麻薬等取締法違反の検挙件数は111件(103件、+7.8%)、検挙人員は73人(54人、+35.2%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は1,467件(1,236件、+18.7%)、検挙人員は991人(902人、+9.9%)、大麻取締法違反の検挙件数は863件(642件、+34.4%)、検挙人員は670人(535人、+25.2%)
  • 来日外国人による重要犯罪・重要窃盗犯の国籍別検挙人員について、総数104人(71人、+46.5%)、ベトナム37人(8人、+362.5%)、中国20人(8人、+150.0%)、ブラジル9人(6人、+50.0%)、フィリピン4人(4人、±0.0%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)総数について、検挙件数は1,469件(1,286件、+14.2%)、検挙人員は805人(769人、+4.7%)、暴行の検挙件数は101件(109件、▲7.3%)、検挙人員は100人(91人、+9.9%)、傷害の検挙件数は150件(169件、▲11.2%)、検挙人員は177人(197人、▲10.2%)、脅迫の検挙件数は45件(43件、+4.7%)、検挙人員は49人(35人、+40.0%)、恐喝の検挙件数は49件(49件、±0.0%)、検挙人員は53人(51人、+3.9%)、窃盗の検挙件数は751件(542件、+38.6%)、検挙人員は120人(102人、+17.6%)、詐欺の検挙件数は166件(181件、▲8.3%)、検挙人員は140人(113人、+23.9%)、賭博の検挙件数4件(1件、+300.0%)、検挙人員は22人(8人、+175.0%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)総数について、検挙件数は808件(837件、▲3.5%)検挙人員は547人(616人、▲11.2%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は7件(5件、+40.0%)、検挙人員は15人(7人、+114.3%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は18件(19件、▲5.3%)、検挙人員は4人(8人、▲50.0%)、大麻取締法違反の検挙件数は113人(118人、▲4.2%)、検挙人員は66人(87人、▲24.1%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は557件(533件、+4.5%)、検挙人員は364人(375人、▲2.9%)

警察庁 NTPサーバを悪用したDDoS攻撃対策に関する注意喚起について
  • 概要
    • 令和3年2月24日から、NTP(Network Time Protocol)で使用されるポート123/UDPに対するアクセス件数が増加しています。
    • ぜい弱なNTPサーバは、NTPリフレクション攻撃の踏み台(リフレクター)とされる場合があり、今回の観測は、攻撃の踏み台に悪用可能なNTPサーバを探索している可能性があります。
  • 123/UDPに対するアクセスの観測状況(グラフ)
    • このグラフは、全国の警察施設のインターネット接続点に設置されたセンサーで観測したアクセス(件数)の1センサー当たりの平均の推移を示したものです。なお、このグラフは一時間毎に更新致します。また、今後の観測状況によっては、予告なく更新を停止する場合があります。
  • 対策 各組織が管理する機器が、NTPリフレクション攻撃の踏み台として悪用されないために、次の対策を実施することを推奨します。
    • NTPサーバを外部に公開する必要がない場合には、適切なアクセス制限を実施して、インターネットからの通信を遮断する。
    • ルータ等のインターネットに接続されているネットワーク機器においても、意図せずに外部へNTPサーバの機能を公開していないか確認する。
    • 外部にNTPサーバを公開する必要がある場合には、最新の開発バージョンのソフトウェアにアップデートする。

警察庁 令和2年度事交通事故被害者サポート事業報告書
▼まえがき
  • 昨年、全国で24時間以内に交通事故で亡くなった方は2,839人で、警察庁が統計を保有する昭和23年以降最少となり、初めて3,000人を下回ったものの、今なお、多くの尊い命が交通事故で失われていることに変わりはなく、悪質・危険な運転により命を奪われる被害もいまだに後を絶ちません。
  • 被害を受けた方、その御家族や御遺族は、肉体的、精神的、あるいは経済的につらい体験をされています。政府はこれまでも関係機関と連携して交通事故被害者等の支援に努めてまいりましたが、新たに作成され令和3年度から実施される「第11次交通安全基本計画」においても「被害者支援の充実と推進」を道路交通安全対策の柱の1つに掲げ、引き続きその総合的かつ計画的な推進を図ってまいります。
  • 交通事故被害者サポート事業は、被害者やその御家族・御遺族が、つらい体験や深い悲しみから立ち直り、回復に向けて再び歩み出すことができるような環境を醸成するため、平成15年度より内閣府において実施されてきたものです。平成28年度に本事業が警察庁に移管された後も、引き続き検討会において有識者委員の御意見をいただきながら実施してまいりました。今年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、初めての試みとしてオンラインで一般の方にも御参加いただける「交通事故で家族を亡くした子供の支援に関するシンポジウム」、地域の関係機関における情報共有等を内容とした「交通事故で家族を亡くした子供の支援に関する意見交換会」、自助グループ活動の促進や自助グループ設立への支援を目的とした「自助グループ運営・連絡会議」を開催しました。
  • この報告書は、これらの事業について、御参加いただいた方々のお話や、専門家の講義等をまとめたものです。多くの皆様にこの報告書をお読みいただき、本事業について理解を深めていただくとともに、被害者やその御家族・御遺族の方々が尋常一様でなく経験される境遇や心情に少しでも思いを馳せ、より有効な支援の在り方について考えていただく一助となれば幸いです。

~NEW~
警察庁 令和2年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うテレワークの実施やキャッシュレス決済の普及などサイバー空間が日常生活を含む様々な活動を営む場となりつつある中、新たなサイバー犯罪やサイバー攻撃が国内外において発生している状況にあり、サイバー空間における脅威は、極めて深刻な情勢。
  • 社会のデジタル化の進展に伴う脅威
    • 国内において、防衛関連企業電気通信事業者等に対する攻撃、国外において、新型コロナウイルス感染症のワクチン開発に関連する攻撃が発生。
    • ランサムウェアによる二重恐喝(ダブルエクストーション)、スマートフォン決済サービスに係る不正振替事犯等が発生。
    • 新型コロナウイルス感染症に関連するサイバー犯罪が疑われる事案として、詐欺や不審メール・不審サイト等887件を都道府県警察からの報告により把握。
  • サイバー空間の脅威情勢
    • 警察庁が国内で検知したサイバー空間における探索行為等とみられるアクセスの件数は増加傾向。
    • インターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数・被害額は被害が急増した前年と比べて減少しているものの、発生件数は引き続き高い水準。
    • 警察によるサイバー犯罪の検挙件数は、前年と比べて増加し、過去最多を更新。
    • 警察庁が国内で検知した、サイバー空間における探索行為等とみられるアクセスの件数についても増加の一途を辿っている。Miraiボットに関連した多数のアクセスが引き続き観測されているほか、インターネットに接続されている機器やサービスのぜい弱性の有無を把握するための広範囲のポートに対するアクセスが多数行われるなど、サイバー攻撃の準備行為とみられる活動が広がりを見せている状況がうかがわれる。
  • 同年中のサイバー犯罪については警察による検挙件数が過去最多となった。また、インターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数・被害額は、下半期に被害が急増した前年と比べて、被害額は大幅に減少したものの、発生件数はやや減少したにとどまり引き続き高水準で推移している。これらの被害の多くは、前年から継続しているSMSや電子メールを用いて金融機関を装ったフィッシングサイトへ誘導する手口によるものと考えられる。このほか、特異な事案として、いわゆる「SMS認証代行」が確認されている「SMS認証代行」は、サイバー空間における本人確認の手段として広く用いられるSMS認証の信頼性を貶める悪質な行為であるとともに、特殊詐欺等に必要な犯行ツールを提供する犯罪インフラにもなっている。
  • 新型コロナウイルスの感染防止のため、各組織においてテレワークの導入が進む中、事業所と比較してセキュリティが確保されていない自宅等のテレワーク環境や、テレワーク用のソフトウェアのぜい弱性等を狙ったサイバー攻撃が発生している。警察庁のリアルタイム検知ネットワークシステムにおける観測においても、リモートデスクトップサービスを標的とした広範な宛先ポートに対するアクセスの増加が認められており、このようなテレワーク関連の既知のぜい弱性の悪用を企図していると思われる攻撃は今後も継続して実行される可能性がある。
  • また、事業所の拠点間や関連企業との間のシステムの連携が進む中、セキュリティ対策が不十分である事業所(支店、海外拠点等)や関連取引先企業等のシステムを経由した攻撃も複数確認されている状況にある。また、12月に発表された米国の大手ITインフラ管理ソフトウェア会社に係る攻撃では、当該事業者の製品に係るアップデートファイルに不正なコードが埋め込まれ、当該アップデートを行った顧客全体にぜい弱性が拡散するなど、影響がこれまでになく広がっており、各種サプライチェーンリスクへの対応は重要な課題となっている。
  • さらに、ランサムウェアによる被害の深刻化・手口の悪質化も全世界的に問題となっている。従来のランサムウェアによる被害は、重要データ等を暗号化し、復号の対価として金銭を要求するものが一般的であったが、最近の事例ではデータの暗号化のみならず窃取を敢行し、対価を支払わなければ当該データを公開するという二重恐喝(ダブルエクストーション)を行うより悪質なケースも認められている。また、犯行に用いられるランサムウェアやそれらを用いた二重恐喝の手法そのものが闇サイト上で商品として販売されるなど、これらのより悪質な手口の拡散も見られる。6月には、国内においても、産業制御型システムに影響を及ぼすランサムウェアが確認されている。
  • 国民の間での利用が広がるキャッシュレス決済においては、国内の事業者が提供するスマートフォン決済サービスにおいて、金融機関に開設された口座情報が不正に入手・連携され、不正なチャージが行われる事案が発生した。キャッシュレス決済の普及に伴い新たなサービスも次々と生まれているところ、これらのサービスにおいては利用者の利便性の観点に加えてセキュリティの確保や不正利用の防止の観点も十分に踏まえつつ、発生し得る脅威に応じて対策を講じる必要がある。
  • 近年、急速に被害が広がっているEmotetについても、パスワード付きzipファイルを利用した新たな拡散の手口が認められた。このようなパスワード付きzipファイルなどのファイルは、メール配信経路におけるマルウェア検知をすり抜けてしまうことからメールの受信前に駆除できないおそれが高く、同種の手法によるマルウェア被害拡大の可能性が引き続き懸念される。
  • このほか、新型コロナウイルス感染症に関連するサイバー犯罪が疑われる事案として、マスク不足に便乗した詐欺サイトや偽の給付金の申請サイトなどが確認されているところ、今後も、国民の不安感などの社会情勢に乗じた新型コロナウイルス感染症の感染状況やワクチン関連の情報を騙る不審メールや不審サイト、詐欺事案などが横行する可能性がある。
  • 新型コロナウイルス感染症に関連するサイバー犯罪が疑われる事案として、令和2年中に都道府県警察から警察庁に報告のあった件数は887件であった。その内訳としては、詐欺が446件で全体の50.3%と最も多く、次いで不審メール・不審サイトが135件で全体の15.2%を占めている。
  • 検知したアクセスの宛先ポートに着目すると、ポート番号1024以上のポートへのアクセス件数が増加し続けており、アクセス件数増加の大きな要因となっている。1024以上のポートは、主としてIoT機器が標準設定で使用するポート番号であることから、多くがIoT機器に対するサイバー攻撃やぜい弱性を有するIoT機器の探索行為であるとみられる。
  • また、単一の送信元からの広範な宛先ポートに対するアクセスは、近年増加傾向にある。1日に100個以上の宛先ポートに対してアクセスを行った送信元IPアドレス数の推移は、平成28年から30年上半期にかけて同水準で推移していたが、30年下半期から増加傾向となり、令和2年下半期に急増した。また、令和2年における送信元IPアドレス数は、1日当たり135.5個で、前年の59.1個と比較して、76.4個(129.3%)増加した。
  • 広範な宛先ポートに対するアクセスの増加の要因は、インターネットに接続されている機器やそれらが行っているサービス、さらに、そのぜい弱性の有無を網羅的かつ短期間に把握しようとする組織等が増加しているためと考えられる。
  • 令和2年にサイバーインテリジェンス情報共有ネットワークを通じて把握した標的型メール攻撃の件数は4,119件であった。これらには、「ばらまき型」攻撃の割合は全体の95%・送信先メールアドレスがインターネット上で公開されていないものが全体の75%・送信元メールアドレスが偽装されていると考えられるものが全体の97%などの特徴があった
  • 令和2年におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯による被害は、発生件数1,734件、被害額約11億3,300万円で、前年と比べて発生件数、被害額ともに減少した。
  • 令和2年は、被害が急増した前年と比べて、被害額は大幅に減少したものの、発生件数はやや減少と引き続き高水準で推移しており、被害の多くは、前年から継続しているSMSや電子メールを用いて金融機関を装ったフィッシングサイトへ誘導する手口によるものと考えられる。
  • フィッシングサイトへの誘導には金融機関を装ったSMS等のほか宅配事業者や通信販売事業者からの荷物の配達連絡を装ったSMSによって、金融機関を装ったフィッシングサイトへ誘導するものも確認されている。また、当該SMSからの誘導により、不正なアプリを携帯電話機等の端末にインストールさせ、当該アプリによって表示される偽の警告メッセージからフィッシングサイトへ誘導する手口も確認されている
  • 一次送金先として把握した2,181口座のうち、名義人の国籍は日本が37.8%と最も多く、次いでベトナムが17.9%、中国が2.4%であった。従来の手口である預貯金口座への不正送金のほか、暗号資産や電子マネーの購入、プリペイカードへのチャージ等の手口が確認されている。
  • サイバー犯罪の検挙件数は増加傾向にあり、令和2年における検挙件数は9,875件と、前年と比べて増加した。
  • 令和2年における不正アクセス禁止法違反の検挙件数は609件と、前年と比べて減少した。検挙件数のうち、576件が識別符号窃用型で全体の94.6%を占めている。識別符号窃用型の不正アクセス行為に係る手口では、フィッシングサイトにより入手したものが172件と最も多く、全体の29.9%を占めており、次いで言葉巧みに利用権者から聞き出したもの又はのぞき見たものが115件で全体の20.0%を占めている。識別符号窃用型の不正アクセス行為に係る被疑者が不正に利用したサービスは、社員・会員用等の専用サイトが174件と最も多く、全体の30.2%を占めており、次いでオンラインゲーム・コミュニティサイトが88件で全体の15.3%を占めている。

~NEW~
警察庁 【令和2年度】生活様式の変化等に伴うサイバー空間の新たな脅威に対処するための官民連携の更なる推進
▼報告書 本編
  • 日本のキャッシュレス化は、海外と比べて遅れていると指摘されており、政府は、令和元年に26.8%であったキャッシュレス決済比率を、令和7年までに4割程度とすることを目標に掲げている。一般に、キャッシュレス決済サービスにおいては、アカウントの乗っ取り、アカウントと銀行口座の不正な連携、クレジットカードの不正な登録、不正なアカウントの作成等の不正利用が確認されており、事業者ごとに不正利用の防止対策が講じられているが、安全性と利便性のバランスをとる必要があるほか、事業者だけでは対処が難しい課題もあり、官民が連携した取組の強化が求められている。
  • コロナ禍により急速にテレワークが普及しているが、テレワークには、例えば、Windowsに標準装備されているリモートデスクトップとよばれる機能が活用されている。リモートデスクトップ機能により、外部から職場のパソコンに接続し、ファイルの編集やアプリケーションの起動が可能となるが、機能が攻撃者に悪用されれば、情報流出等の深刻な被害につながることとなる
  • コロナ禍の前より確認されていたフィッシングやマルウェア攻撃についても、その犯行手口等は悪質化しており、その被害も深刻化している実態があることから、官民が連携した対策が急務となっている
  • ランサムウェアは平成18年頃から存在し、PGPCoderとよばれるランサムウェアが、その例であるといわれており、パソコンのデスクトップ画像を変更して、脅迫文を表示させ、利用者に読むよう指示する手口が使われたが、この手口は、現在のランサムウェアでも踏襲されている。
  • その6年後に登場したCryptoLockerとよばれるランサムウェアは、身代金の支払いに暗号資産(仮想通貨)であるビットコインを要求し、暗号資産が身代金の取扱いに悪用される事例を作った。ビットコインが悪用された理由は、一つは、送金プロセスの中で、当事者の身元を匿名化できる性質を利用し、受取主である犯行グループの身元特定を困難にするためである。もう一つは、ビットコインが社会で普及し、より身代金の回収が容易になったためと考えられる。これ以後、ランサムウェアでは暗号資産を要求する手口が模倣されるようになった。
  • 平成26年には、CTB-Lockerとよばれるランサムウェアが登場し、ランサムウェアの生成技術がなくても、アフィリエイトプログラムへの参加により、誰でも収益を上げることが可能になった。アフィリエイトとは、ランサムウェアの生成や実行の基盤を提供して、実行役の参加者を募集する仕組みのことをいう。参加者はこのプログラムに参加して、実行基盤からランサムウェアをダウンロードし、被害者に送りつけてマルウェアに感染させ、身代金の支払いに応じさせた場合には、その実行役には身代金の7~8割程度を分配し、CTBLockerの提供元には身代金の2~3割程度が入る仕組みになっている。これにより、実行役は、ランサムウェアに関するITの詳細な知識がなくても、例えばメールで相手方をマルウェアに感染させることによって、収益を上げることができるようになった。
  • 平成27年には、GandCrabとよばれるランサムウェアが登場し、感染パソコンの一覧や暗号化ファイルの数などの進捗状況を一元管理できるようになり、実行役の管理コストが効率化された。こうした仕組みはRaaS(Ransomware-asa-Service)とよばれているが、RaaSの特徴として、アフィリエイトと同様、このシステムの提供元が身代金の2~3割程度を徴収する仕組みになっており、ランサムウェアの実行行為を可視化することにより、ゲーム性を高め、実行役を攻撃に加担、熱中しやすいように仕向けている。
  • 令和元年には、Mazeを名乗るサイバー犯罪グループによって二重恐喝(ダブルエクストーション)とよばれる手口が登場した。従来型のランサムウェアは、暗号化されたファイルの復号鍵や復号ソフトの購入を強要していたが、現在主流となっている二重恐喝は、ファイルを暗号化する前に盗み出したファイルをランサムウェアグループ自らが運営する暴露サイトを通じて漏出させると脅迫して、このための支払いも暗号化の復号の身代金に加えて要求する手口である。
  • 今後、第5世代移動通信システム(5G)の進展により、IoT(InternetofThings)機器の更なる普及が見込まれるところであるが、IoT機器もサイバー空間の脅威にさらされている。Miraiによる攻撃の最近の傾向の一つとして、攻撃の高度化が挙げられる。初期のMiraiは、基本的には機器を再起動するとマルウェアが消えたが、最近は持続感染型のIoTマルウェアが増えてきている。これにより、マルウェアが組織のネットワークに侵入したのちに長期の活動が容易になるなど、Miraiによる脅威は深刻さを増している。
  • サイバー攻撃の中には、国家が犯罪集団を支援するなど、国家の関与が疑われるものがあり、その被害やリスクが深刻化している。令和2年7月、米国、英国及びカナダは、新型コロナウイルス感染症に関連する研究及びワクチン開発に関連して、APT29(CozyBear,TheDukes)とよばれるサイバー攻撃集団が研究情報及び知的財産を窃取しようとしているとして、注意喚起を行った。APT29は、ロシアの諜報機関に属する集団であることが確実視されており、政府機関、医療機関等を標的としてサイバー攻撃を行っているとされる。さらに、同年12月、米国の大手ITインフラ管理ソフトウェア会社の顧客に密かにサイバー攻撃が仕掛けられ、同社のソフトウェアを利用していた米国の政府機関のメールがサイバー攻撃集団に傍受された可能性が判明したが、この攻撃について、FBI16等の米国の政府機関は、ロシアによるものとしている。このように、国家の関与が疑われるサイバー攻撃の被害が深刻化しており、諸外国との連携強化はもちろんのこと、官民が連携した対策が急務となっている。
  • サイバー空間が、重要な社会経済活動を営む公共空間へと変貌を遂げつつある一方で、令和2年9月に警察庁が実施したアンケート調査によると、回答者の75.3%がサイバー犯罪に不安を感じると回答するなど、サイバー空間に対する国民の不安感は払拭されていない状況にある。こうした目下の厳しい脅威情勢や今後の我が国に到来するデジタル社会の実現に適切に対処していくためには、サイバー空間に、公共空間として実空間と変わらぬ安全・安心が確保されることが必要である。すなわち、全国民が、心置きなくデジタル社会におけるあらゆる活動に参画し、個々の能力を創造的かつ最大限に発揮するとともに、生活の利便性向上や個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を通じて、ゆとりと豊かさを実感できるようになることが求められており、こうした誰もが安心して参画できる空間を実現するため、今後のサイバーセキュリティにおける新たな基本理念に、「公共空間としての安全性確保」を据えることが必要である。
  • サイバー空間に、公共空間としての安全性を確保するためには、犯罪対策の観点からだけでは十分なアプローチが難しく、警察においても国家安全保障の観点からのアプローチを強化する必要に迫られている。また、こうした国家の関与は一見して明らかなものではなく、高度な分析を通じて明らかとなるものであり、警察においては、犯罪対策と安全保障を一体として捉え、包括的な対策を講じていくことが求められている。
  • サイバー空間においても、実空間の公衆衛生に対応するサイバー・ハイジーン(Cyber Hygiene)とよばれる考え方があり、例えば、ソフトウェアに適切にパッチが適用されているかを確認する、定期的にデータのバックアップを取得するといった基本的な行動に平時から取り組むことをいう。欧州ネットワーク・情報セキュリティ機関(ENISA)では、サイバー・ハイジーンを、個人の公衆衛生にならい、組織のネットワーク環境が最適な状態を維持できるよう、単純な日常業務、良好な習慣及び定期的な確認を組織的に行うことと定義し、これにより、被害や被害拡大を最小限に抑えることができるとしている
  • 社会において、サイバーセキュリティを担う取組主体は多岐にわたる。サイバー空間を構築している各種インフラ事業者、多様なサービスを提供する事業者、専門的な研究・教育を担う学術研究機関、サイバー犯罪やサイバー攻撃の取締り、抑止等に取り組む警察など、産学官の各主体がそれぞれの強みを活かして対策に取り組んでいる。また、サイバー空間に参加する各個人も、その脅威から自らを守るための主体的な取組が求められるという意味では、サイバーセキュリティを担う重要な取組主体である。サイバーセキュリティは、こうした様々な取組主体による地道な活動の積み重ねから構築されるものであり、サイバー空間に、公共空間としての安全性を確保するためには、各主体がサイバー・ハイジーンを実践することが重要である。
  • 昨今、サイバー空間をめぐる脅威の特徴として、攻撃者の優位性や抑止の困難性ばかりが強調され、こうした認識の下、現状の対策においては、被害者側のリテラシー不足が殊更に課題として取り上げられ、どうしても犯行主体への対策の観点が欠けてしまう傾向にある。参加主体の更なる拡大が予想される今後のサイバー空間に、実空間と同様の法の支配を実現するため、あらためて法治国家として犯罪の行為者に帰責する健全な社会認識の必要性が確認されるとともに、警察における犯人の事後追跡可能性の向上やアトリビューションの強化・活用に取り組むことが必要である。
  • サイバー空間における警察の事後追跡を困難にし、犯罪行為を容易にする、いわば犯罪インフラを提供する悪質な事業者の存在が確認されている。SMS認証は、ID・パスワードによる認証と併用することにより、認証の安全性を高める方法として広く使用されており、SMS認証代行は、それ自体がサイバー空間における本人確認の信頼性を貶める悪質な行為であり、特殊詐欺等に必要な犯行ツールを提供する犯罪インフラにもなっている。各種サービスにおけるセキュリティ対策の一環として、海外からのアクセスを遮断する取組があるが、こうしたアクセス制限の回避を目的で日本に設置された中継サーバが利用されるケースが確認されている。中継サーバ事業者が運営するサービスの中には、ログをあえて残さないなど、犯罪インフラと化しているものがある。このように、犯罪インフラを業として提供する事業者が後を絶たず、サイバー犯罪を容易にしている実態を踏まえ、警察においては、官民の情報を活用しながら、こうした悪質な事業者の摘発を強化していくべきである。
  • キャッシュレス決済サービスのように、サイバー空間では、複数のサービスを連携させることにより利用者に新たな価値を提供するものが増えてきており、この場合には、法規制により求められている最低限の安全確保措置だけでは十分ではない場合も考えられる。こうしたサービスを提供する民間事業者は、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策におけるリスクベース・アプローチにならい、それぞれ連携して、自らが提供しているサービスに係るリスクを適切に評価し、必要な自主規制やモニタリング等の措置を検討・実施することが期待されており、官民が連携してこうした取組が促進されるよう働きかけていくべきである。
  • プロボノ活動とは、ボランティア活動の一種で、ボランティア活動の中でも特に、普段は専門家として稼働している人が、その専門スキルや経験を活かして行うものをいう。サイバー空間には、自らの専門的な知識や経験、技能を活かして社会貢献のために無償又は無償に近い形で活動を行っている技術者が数多く存在する。こうした技術者のプロボノ活動を支援するための取組を、官民が連携して推進していくべきである。
  • 警察では、捜査活動により犯罪の全体像を解明する中で、その具体的な方法・手口を把握し、各種システム・事業の脆弱性やリスクを知り得る場合がある。犯罪に悪用されるリスクの高いインフラ、技術など、警察捜査の過程で判明した情報を官民で情報共有することについては、サイバーセキュリティの確保の観点から高い公益性が認められるところであり、警察として積極的に情報発信を行うとともに、民間事業者に対して積極的な働きかけをしていくべきである。こうした取組により、国民一般に攻撃者のイメージを持たせ、適切に危機感を共有するとともに、行為者に帰責する健全な社会認識を醸成していくことが期待できる。
  • まず、サイバー空間の基盤となるプラットフォームへの対策である。サイバー空間で提供されるサービスについて脅威が確認された場合、当該サービスだけに着目しがちであるが、実効的な安全対策を講じるためには、当該サービスだけではなく、プラットフォームにも着目することが重要である。例えば、キャッシュレス決済サービスの不正利用について、当該サービスは、クレジットカード、電子マネー、デビットカード、スマートフォン等を使った支払いにより、現金を使用せずに支払いができるサービスであるが、当該サービスだけで完結する仕組みではなく、スマートフォン等のプラットフォームの利用を前提としているものである。こうしたプラットフォームにおける最も重要な課題の一つが、本人確認の信頼性の確保であり、その在り方について具体的な検討が必要である。
  • SMS認証はあくまでも電話番号に対応した携帯電話を所持していることのみを保証するものであり、当該携帯電話を所持している者の身元を保証するものではない。よって、携帯電話の契約時に厳格な本人確認がなされていなければ、第三者を騙ることが可能であり、SMS認証が信頼性のある本人確認の方法足り得るには、携帯電話を契約する際に公的身分証を用いた本人確認が徹底されていることが前提となっている。この点、携帯電話の契約時の本人確認義務は、携帯電話不正利用防止において携帯音声通信役務を提供する場合に限定されており、音声通信機能を有さないデータSIM契約は、SMS機能を有するものについても本人確認の義務付けの対象外となっている。
  • ハードウェア対策が求められるもう一つの課題は、サプライチェーンリスクである。米国の治安情報機関等において、通信機器メーカーが製品の製造段階でサイバーセキュリティを脅かす細工をすることや配送途中で製品を抜き取った上で当該製品に細工をすることが技術的に可能であり、こうしたサプライチェーンリスクへの対応の必要性が指摘されている。我が国においても、官民が連携してサプライチェーンリスクを洗い出し、必要な対策を講じていくべきである。

警察庁 脆弱性が存在する複数の IoT機器を標的としたアクセスの増加等について
  1. 脆弱性が存在する複数のIoT機器を標的としたアクセスの増加
    • 警察庁のインターネット定点観測において、複数のIoT機器を標的としたアクセスの増加を観測しました。
    • 令和2年11月下旬頃より宛先ポート37215/TCP、同12月中旬頃より宛先ポート52869/TCPに対するアクセスの増加を観測しました。これらのアクセスは、宛先IPアドレスとTCPシーケンス番号の初期値が一致するMiraiボットの特徴を有しています
    • 観測した宛先ポート37215/TCPに対するアクセスの多くは、外部サーバから不正プログラムのダウンロード及び実行を試みるものでした
    • 調査したところ、Huawei社製ルータ「HG532シリーズ」に存在する脆弱性(CVE-2017-17215)を標的としたアクセスであり、当該脆弱性を悪用されると任意のコードがリモートから実行される可能性があります。
    • また、宛先ポート52869/TCPに対するアクセスの多くは、細工されたSOAPリクエストになっており、外部のウェブサイトからファイルをダウンロードするコマンド等が挿入されていました
    • 当該アクセスは、その特徴からRealtek社が提供するSDKを使用して製造された特定のルータに存在する脆弱性を悪用し、不正にコマンドを実行する目的であると考えられます
    • 8728/TCPはMikroTik社製ルータのAPIがデフォルトで使用するポート番号であり、観測されたアクセスは、同ルータのAPIへの探索行為とみられます
    • また、同アクセスのTCPウィンドウサイズを調査すると、アクセスの多数が特定の値となっていました
    • また、TCPウィンドウサイズが8192である宛先ポート8728/TCPに対するアクセスの発信元について、他の宛先ポートへのアクセス状況を調査しました。その結果、8291/TCP及び22/TCPの比率が高く、宛先ポート8728/TCP、8291/TCP及び22/TCPに対してアクセスする同一発信元が多いことが判明しました
    • 8291/TCPは、MikroTik社製ルータに搭載されるMikroTik RouterOSの機器管理用ユーティリティソフトとの通信に使用されるポート番号です。観測された宛先ポート8291/TCPに対するアクセスの中には、MikroTik社製ルータに存在するMikroTik RouterOSにおける認証に関する脆弱性(CVE-2018-14847)を標的としたアクセスがありました
    • また、海外のセキュリティ調査会社によると、Gluptebaと呼ばれる不正プログラムは、前述のMikroTik社製ルータの脆弱性を悪用し、宛先ポート8291/TCPに対してアクセスすることが判明しており、観測されたアクセスと特徴が一致しています。さらに同不正プログラムは、感染拡大を意図したMikroTik社製ルータの探索行為として、8291/TCPに加えて、8728/TCP及び22/TCPを使用するとされています。これらのことから、観測されたアクセスは、MikroTik社製ルータの脆弱性を悪用した不正プログラムに感染した機器からの感染拡大を意図したアクセスである可能性があります。
    • このようにルータ等の既知の複数の脆弱性を標的としたアクセスを引き続き観測しており、管理が不十分なルータ等を狙った不正プログラムの感染拡大を図るアクセスも含まれると考えられます
    • ルータ等IoT機器の利用者は、以下の対策を参考に、総合的にセキュリティ対策を行うことを推奨します。
      • 製造元のウェブサイト等で周知される脆弱性情報に注意を払い、脆弱性が存在する場合にはファームウェアのアップデートや、必要な設定変更等の適切な対策を速やかに実施してください。
      • 製品によっては、ファームウェアの自動アップデート機能が存在するものもあります。このような製品を使用している場合には、同機能を有効にしてください。
      • インターネットからのアクセスを許可する場合は、必要なポートのみに限定してください。また、必要な発信元IPアドレスのみにアクセスを許可したり、VPNを用いて接続することも検討してください。
      • 必要がなければ、ルータのUPnP機能を無効にしてください。
      • 初期設定のユーザ名及びパスワードのままでは使用せず、必ず変更してください。また、変更する際は、ユーザ名及びパスワードを推測されにくいものにしてください。
      • 製造終了から年月が経過した製品は、製造元が脆弱性への対応を実施しない場合があります。脆弱性が存在するにも関わらず、製造元が対応しない製品は、対応製品への更新を推奨します。
  2. PJL(Printer Job Language)に対応した機器を標的としたアクセスの増加
    • 令和2年2月26日に@policeのWebサイトにおいて注意喚起を行いましたが、警察庁のインターネット定点観測において、令和2年1月中旬から観測されているPJL(Printer Job Language)を標的とした探索行為と思料されるアクセスが令和3年1月6日頃から再び増加しました
    • 観測したアクセスは、プリンタ等の情報を要求するものや設定の変更を試みるものでした
    • PJLを使用することで、プリンタのジョブの追加、キューの削除を行うことができ、印刷用紙の設定等も行えます。しかし、IPA(情報処理推進機構)の報告書によると、PJLを悪用することにより、プリンタの設定や印刷したデータ等を不正に取得、あるいはプリンタ内に記録されているデータを改ざんすることも可能であると指摘されています
  3. NoSQLデータベース「Redis」を標的としたアクセスの増加
    • 平成30年5月21日に@policeのWebサイトにおいて注意喚起を行いましたが、警察庁インターネット定点観測において、令和2年10月頃からNoSQLデータベース「Redis」で使用される宛先ポート6379/TCPに対して、バージョン情報等を取得する「info」コマンドを含むアクセスの増加を観測しました
    • その他にも宛先ポート6379/TCPに対するアクセスにおいて、任意のコマンドの実行を意図したアクセスを観測しています
    • また、宛先ポート6379/TCPに対する不正プログラムの感染を試みるアクセスを観測しています

警察庁 令和3年1月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和3年1月における特殊詐欺全体の認知件数は830件(前年同期999件、前年同期比▲16.9%)、被害総額は18.0憶円(19.7憶円、▲8.6%)、検挙件数は468件(308件、+51.9%)、検挙人員は143人(100人、+43.0%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は141件(135件、+5.9%)、被害総額は4.0憶円(3.3憶円、+23.0%)、検挙件数は74件(119件、▲37.8%)、検挙人員は34人(26人、+30.8%)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は149件(278件、▲53.6%)、被害総額は2.3憶円(4.3憶円、▲46.0%)、検挙件数は132件(114件、+15.8%)、検挙人員は32人(26人、+23.1%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は225件(328件、▲31.4%)、被害総額は3.2億円(3.4憶円、▲8.1%)、検挙件数は192件(16件、+207.2%)、検挙人員は54人(27人、+100.0%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は112件(138件、▲18.8%)、被害総額は5.9憶円(7.1憶円、▲17.4%)、検挙件数は23件(21件、+9.5%)、検挙人員は13人(11人、+18.2%)
  • 還付金詐欺の認知件数は175件(70件、+150.0%)、被害総額は2.0憶円(0.7憶円、169.1%)、検挙件数は43件(24件、+79.2%)、検挙人員は10人(3人、233.3%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は13件(36件、▲63.9%)、被害総額は0.07億円(0.6憶円、▲88.1%)、検挙件数は1件(9件、▲88.9%)、検挙人員は0人(3人)
  • 金融商品詐欺の認知件数は2件(5件、▲60.0%)、被害総額は0.3憶円(0.05憶円、+615.9%)、検挙件数は2件(3件、▲33.3%)、検挙人員は0人(1人)
  • ギャンブル詐欺の認知件数は10件(7件、+42.9%)、被害総額は0.2憶円(0.1憶円、▲68.9%)、検挙人員は0人(0人)
  • 口座開設詐欺の検挙件数は30件(51件、▲41.1%)、検挙人員は20人(32人、▲37.5%)、盗品譲受け等の検挙件数は1人(0人)、検挙件数は0人(0人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は144件(188件、▲23.4%)、検挙人員は113人(151人、▲25.2%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は19件(10件、+90.0%)、検挙人員は21人(9人、+133.3%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は3件(0件)、検挙人員は2人(0人)、組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は12件(2件、+500.0%)、検挙人員は0人(0人)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では65歳以上87.1%・70歳以上74.9%、男性23.6%・女性76.4%、オレオレ詐欺では65歳以上95.0%・70歳以上94.3%、男性12.8%・女性87.2%、キャッシュカード詐欺盗では65歳以上97.3%・70歳以上96.6%、男性16.8%・女性83.2%、架空料金請求詐欺では65歳以上49.1%・70歳以上29.5%、男性56.3%・女性43.8%、融資保証金詐欺では65歳以上9.1%・70歳以上9.1%、男性54.4%・女性45.5%
  • 特殊詐欺被害者全体に占める65歳以上の高齢被害者の割合について、特殊詐欺全体87.1%(男性20.4%、女性79.6%)、オレオレ詐欺95.0%(13.4%、86.6%)、預貯金詐欺99.1%(13.5%、86.5%)、架空料金請求詐欺49.1%(56.4%、43.6%)、還付金詐欺89.7%(25.5%、74.5%)、融資保証金詐欺9.1%(100.0%、0.0%)、金融商品詐50.0%(0.0%、100.0%)、ギャンブル詐欺50.0%(60.0%、40.0%)、キャッシュカード詐欺盗97.3%16.6%、83.4%)

警察庁 犯罪収益移転防止に関する年次報告書(令和2年)
  • 犯罪による収益の移転防止に関する法律は、マネー・ローンダリング等を巡る国内外の情勢変化等に応じ数次にわたり改正され、その機能が強化されてきた。このことに加え、同法に規定された金融機関等の特定事業者が、不正な資金移動に対する監視態勢の強化等に継続して取り組んだ結果、令和2年中に特定事業者から所管行政庁に届け出られた疑わしい取引の件数は、平成28年以降5年連続で40万件を超える状況となっている。また、捜査機関等に対する疑わしい取引の届出に関する情報の提供件数は増加傾向を維持しており、疑わしい取引に関する情報を端緒として検挙に至った事件も7年連続で1,000件を超えるなど捜査機関等における対策にも有効に活用されている
  • 我が国のマネー・ローンダリング対策等に関する法制度は、1980年代から段階的に発展し、現在では次の4点を柱としている。(1)一定の範囲の事業者に顧客管理その他の防止措置を義務付けること(2)マネー・ローンダリングを刑事罰の対象とすること(3)犯罪により得られた収益を剥奪し得るものとすること(4)テロリズムに対する資金供与を防止すること。(1)は、犯罪による収益が移転された場合の追跡を容易にし、訴追や剥奪を免れようとする行為を困難にすることにより、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与を抑止するものであり、(2)と(3)は、犯罪を通じて形成された財産に着目し、犯罪組織の資金基盤に打撃を与えるものであり、(4)は、テロリスト等を資産凍結等の対象とすることにより、テロリストの活動に不可欠な資金を絶つものである。(1)は犯罪収益移転防止法及び外為法で、(2)と(3)は主に組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法で、(4)はテロ資金提供処罰法、外為法及び国際テロリスト財産凍結法で、それぞれ措置されている。
  • 最近の法令改正
    • マネー・ローンダリング及びテロ資金供与の防止の観点から、社会状況の変化や他法令の改正等に対応するため、犯罪収益移転防止法及びその下位法令について必要な改正を行うとともに、新たな制度の在り方について検討を行っている。
      1. 資金決済法等の一部改正に伴う犯罪収益移転防止法の改正(令和2年5月1日施行)
        • 近年の情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応し、金融の機能に対する信頼の向上及び利用者等の保護等を図るため、平成31年3月「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律案が第198回国会に提出されたその中で国際的な議論の場で仮想通貨(virtual currency)について「暗号資産(crypto asset)」という呼称が使われるようになっていること等を踏まえて、資金決済法に規定する「仮想通貨」の用語が「暗号資産」に改められることに合わせ、犯罪収益移転防止法についても仮想通貨交換業者「暗号資産交換業者」に改めるなど所要の改正を行うこととされた。同法案は、令和元年5月31日に可決、成立し同年6月7日に公布され、令和2年5月1日に施行された。
      2. 特定複合観光施設区域整備法の制定に伴う犯罪収益移転防止法の改正等
        • カジノ事業者には一部の金融業務が認められること、カジノでは多額の現金取引が行われること等の特徴を踏まえ、FATF勧告において、顧客が一定の基準額以上の金融取引に従事する場合には顧客管理措置をとること等が求められている。また、我が国では、平成29年7月に特定複合観光施設区域整備推進会議が決定した「特定複合観光施設区域整備推進会議取りまとめ」において、カジノ事業について、マネー・ローンダリング対策等のため、犯罪収益移転防止法に基づく他の特定事業者と同様の規制を行う必要があるとされている。これらを踏まえ、平成30年4月、カジノ事業者に対し、犯罪収益移転防止法上の特定事業者として、取引時確認の実施、確認記録の作成・保存、疑わしい取引の届出等の各種義務を課すための同法の一部改正などを含む「特定複合観光施設区域整備法案」が第196回国会に提出され、同年7月20日に成立し、同月27日に公布された(公布の日から3年以内に施行)。また、カジノ事業者に対し、取引時確認等の義務が課される特定取引として、カジノ口座の開設を内容とする契約の締結等を追加するための犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令の一部改正などを含む「特定複合観光施設区域整備法施行令」が、平成31年3月29日に公布された(特定複合観光施設区域整備法の施行の日から施行。
      3. 非対面取引における転送不要郵便物等又は本人限定受取郵便物等を利用する方法の見直し(令和2年4月1日施行)
        • 非対面取引におけるなりすましによる不正を防止するため、非対面取引における転送不要郵便物等又は本人限定受取郵便物等を利用する本人確認方法について犯罪収益移転防止法施行規則の改正を行い、関係規定は令和2年4月1日から施行された。なお、この改正において新たに盛り込まれた、FinTechに対応した効率的な本人確認の方法等を内容とする規定は、これらの改正に係る犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令の公布の日である平成30年11月30日から施行されている。
      4. 簡素な顧客管理を行うことが許容される取引に、特定事業者がその子会社等を顧客等として行う取引を追加すること等を内容とする犯罪収益移転防止法施行規則の改正(令和2年12月28日施行)
        • 「規制改革推進に関する第3次答申(平成30年6月4日規制改革推進会議決定)」及び「規制改革実施計画(平成30年6月15日閣議決定)において「貸金業法第2条第2項に規定する貸金業者である親会社から100%出資である子会社に対するSPC金銭の貸付けを内容とする契約の締結に係る貸金業者の取引時確認義務の緩和について検討し、結論を得る」こととされたこと、「規制改革実施計画(令和2年7月17日閣議決定)において、行政手続における押印規制の抜本的な見直しが掲げられたこと等を踏まえ、犯罪収益移転防止法施行規則の改正を行い、改正された規定は公布の日である令和2年12月28日に施行された。
          • 簡素な顧客管理を行うことが許容される取引:特定事業者がその子会社等を顧客等として行う取引であって、現に取引の任に当たっている自然人が委任状を有していること等により当該顧客等のために当該取引の任に当たっていると認められるものを簡素な顧客管理を行うことが許容される取引に追加し、取引時確認義務等の対象取引から除外した。
          • 押印の廃止:特定事業者が書面又は電磁的記録媒体により疑わしい取引を提出しようとするときは、犯罪収益移転防止法施行規則別記様式第1号(「疑わしい取引の届出について」)又は別記様式第4号(「電磁的記録媒体提出票」)によりこれまで押印が求められていたが、これらの別記様式の押印箇所を削除した。
      5. 豪雨等の災害に係る特例に関する犯罪収益移転防止法施行規則の改正
  • 疑わしい取引の届出状況等
    • 疑わしい取引の届出制度は、平成4年の麻薬特例法の施行により創設されたが、当初は届出の対象が薬物犯罪に関するものに限られていたことなどから、届出受理件数は同年から10年までは毎年20件未満であった。その後、平成11年の組織的犯罪処罰法制定により届出の対象が薬物犯罪から重大犯罪に拡大され、同法が施行された平成12年以降、届出受理件数は増加傾向にあり、令和2年中の届出受理件数は43万2,202件で、平成28年以降5年連続で40万件を超える状況となっている。
    • 増加傾向の背景には、社会全体のコンプライアンス意識の向上に伴い、金融機関等が反社会的勢力や不正な資金の移動に対する監視態勢を強化していること、金融機関等を対象とする研修会等において、疑わしい取引の届出の必要性等を周知してきた効果が出ていること等があるものと考えられる。
    • なお、令和2年中に抹消された疑わしい取引に関する情報は32万6,565件で、令和2年12月末における同情報の保管件数は486万4,978件となっている。
    • 令和2年中の疑わしい取引の届出受理件数を届出事業者の業態別に見ると、銀行等が31万9,812件で届出件数全体の74.0%と最も多く、次いでクレジットカード事業者(2万9,138件、6.7%、貸金業者(2万5,255件、5.8%)の順となっている。
    • 分析結果を捜査機関等へ提供した件数は毎年増加しており、令和2年中は、過去最多の1万1,176件であった。令和2年中に都道府県警察の捜査等において活用された疑わしい取引に関する情報数は32万5,643件であった。また、令和2年中に疑わしい取引に関する情報を端緒として検挙した事件(端緒事件)の数は1,028事件、既に着手している事件捜査の過程において、疑わしい取引に関する情報を活用して検挙した事件(活用事件)の数は1,397事件となっている。
    • 罪種別の端緒事件の数及び活用事件の数を類型別にみると、以下のとおりである。
      1. 詐欺関連事犯(詐欺、犯罪収益移転防止法違反等)については、端緒事件の数が計873件で端緒事件の数全体の84.9%活用事件の数が計589件で活用事件の数全体の42.2%を占めて、いずれも最も多く、預貯金通帳等の詐欺又は譲受・譲渡、生活保護費等の不正受給、ソーシャル・ネットワーキング・サービスを使用したチケット販売詐欺、還付金詐欺やキャッシュカード手交型詐欺等の特殊詐欺等の事件を検挙している
      2. 薬物事犯(覚醒剤取締法違反、大麻取締法違反等)については、端緒事件の数が計45件、活用事件の数が計224件であり、覚醒剤や大麻等の違法薬物の所持・譲受・譲渡、組織的に行われた違法薬物の売買等の事件を検挙している。
      3. 不法滞在関連事犯(入管法違反)については、端緒事件の数が計38件、活用事件の数が計27件であり、在留期間が経過した来日外国人の不法残留、就労資格のない来日外国人を不法に就労させた不法就労助長、偽造在留カードの所持等の事件を検挙している。
      4. 組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿・収受)については、端緒事件の数が計30件、活用事件の数が計40件であり、詐欺、窃盗等により得た犯罪収益等の隠匿・収受の事件を検挙している。
      5. 偽造関連事犯(偽造有印公文書行使、電磁的公正証書原本不実記録・同供用等)については、端緒事件の数が計8件、活用事件の数が計23件であり、偽造した自動車運転免許証を使用した口座開設、偽装結婚等の事件を検挙している。
      6. ヤミ金融事犯(貸金業法違反、出資法違反)については、端緒事件の数が計6件、活用事件の数が計18件であり、貸金業の無登録営業、高金利貸付等の事件を検挙している。
      7. 風俗関連事犯(風営適正化法違反)については、端緒事件の数が3件、活用事件の数が計12件であり、店舗型性風俗店の禁止場所営業、社交飲食店の無許可営業等の事件を検挙している。
      8. 賭博事犯(常習賭博、賭博場開張図利等)については、活用事件の数が計9件であり、インターネット賭博店における常習賭博、暴力団組員によるバカラ賭博等の事件を検挙している。
      9. その他の刑法犯(窃盗犯、粗暴犯、凶悪犯等)については端緒事件の数が計12件活用事件の数が計373件であり、他人のキャッシュカードを使用してATMから現金を不正に出金した窃盗、暴力団幹部による恐喝等の事件を検挙している。
      10. その他の特別法犯(商標法違反、銀行法違反等)については、端緒事件の数が計13件、活用事件の数が計82件であり、商標を使用する者の許可を受けずに模造した商品を販売譲渡した商標法違反、免許を受けずに不正に海外に送金を行った銀行法違反等の事件を検挙している。
  • マネー・ローンダリング関連事犯の取締り
    1. 令和2年中における組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯の検挙件数は、法人等経営支配事件2件、犯罪収益等隠匿事件413件、犯罪収益等収受事件182件の合計597件と、前年より69件(13.1%)増加した。
    2. 組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯を前提犯罪別に見ると、窃盗が227件と最も多く、詐欺が194件、電子計算機使用詐欺が73件、ヤミ金融事犯が28件等である。
  • 検挙事例からみるマネー・ローンダリングの手口
    1. 令和2年中の法人等事業経営支配事件は、風営適正化法違反及び銀行法違反をそれぞれ前提犯罪としたものであり、いずれも、前提犯罪により得た不法収益等を用いた株式会社の設立に際し、発起人としての地位を取得した上、発起人としての権限等を行使し、自己を設立した会社の取締役に選任するなどしている。
    2. 令和2年中の犯罪収益等隠匿事件は、詐欺、窃盗等を前提犯罪としたものである。他人名義の口座への振込入金の手口を用いるものが多くを占めており、他人名義の口座がマネー・ローンダリングの主要な犯罪インフラとなっている。このほか、盗品等をコインロッカーに隠匿する手口、詐取品に関する虚偽の売買契約書等を作成し正規の商品取引を装う手口、偽名を使用して盗品等を売却する手口等がみられ、様々な方法によって捜査機関等からの追及を回避しようとしている状況がうかがわれる。
    3. 令和2年中の犯罪収益等収受事件は、詐欺、窃盗、風営適正化法違反等を前提犯罪としたものである。これらの犯罪で得た犯罪収益等を直接又は口座を介して収受する手口、盗品等を買い取るなどして収受する手口等がみられ、犯罪者が入手した犯罪収益等が、様々な方法で別の者の手に渡っている状況がうかがわれる。
    4. 令和2年中に組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯で検挙されたもののうち、暴力団構成員等が関与したものは、犯罪収益等隠匿事件27件及び犯罪収益等収受事件30件の合計57件で、全体の9.5%を占めている。暴力団構成員等が関与したマネー・ローンダリング事犯を前提犯罪別に見ると、詐欺が15件、ヤミ金融事犯が11件、賭博事犯が10件、窃盗が9件等であり、暴力団構成員等が多様な犯罪に関与し、マネー・ローンダリング事犯を敢行している実態がうかがわれる。
      1. 犯罪収益等隠匿事件の前提犯罪は、詐欺及びヤミ金融事犯がそれぞれ9件、窃盗が4件等である。犯罪収益等隠匿の手口としては、犯罪収益を得る際に他人名義の口座を利用したり、偽名を使用して盗品等を売却するものがある。
      2. 犯罪収益等収受事件の前提犯罪は、賭博事犯が10件、詐欺が6件、窃盗が5件等である。犯罪収益等収受の手口としては、賭博事犯等の犯罪収益をみかじめ料や用心棒代の名目で収受しているものがある。
    5. 令和2年中に組織的犯罪処罰法に係るマネー・ローンダリング事犯で検挙されたもののうち、来日外国人が関与したものは、法人等事業経営支配事件1件、犯罪収益等隠匿事件58件及び犯罪収益等収受事件20件の合計79件で、全体の13.3%を占めている。来日外国人が関与したマネー・ローンダリング事犯を前提犯罪別に見ると、詐欺が34件、窃盗が23件、入管法違反が8件、電子計算機使用詐欺が6件等である。マネー・ローンダリング事犯の手口としては日本国内に開設された他人名義の口座を利用したり偽名を使用して盗品等を売却するものがある。
      1. 海外で行われた詐欺の犯罪収益を正当な資金のようにみせかけ、真の資金の出所や所有者、資金の実態を隠匿しようとするマネー・ローンダリング行為が行われている。
      2. 令和2年中における麻薬特例法が定めるマネー・ローンダリング事犯の検挙事件数は3件であった。覚醒剤等を密売し、購入客に代金を他人名義の口座に振込入金させていた薬物犯罪収益等隠匿事件のように、薬物事犯で得た資金が、マネー・ローンダリングされている実態がうかがわれる。
    6. 令和2年中の組織的犯罪処罰法に係る起訴前の没収保全命令の発出件数(警察官たる司法警察員請求分)は150件と、前年より19件(11.2%)減少した。前提犯罪別に見ると、賭博事犯が34件、入管法違反が22件、窃盗と風営適正化法違反がそれぞれ21件、詐欺とヤミ金融事犯がそれぞれ9件であった。起訴前の没収保全命令としては窃盗や賭博事犯、入管法違反、風営適正化法違反の犯罪収益等に対する没収保全が多くみられるほか、金銭債権を没収の対象としている組織的犯罪処罰法の利点を活かし、預金債権や給料の未払債権、立替払金支払請求権を没収保全した事例がみられる。また、平成29年における組織的犯罪処罰法の一部改正により、犯罪組成物件や犯罪供用物件の没収保全が可能となったことから、金密輸入事件の犯罪組成物件に当たる金塊や賭博事犯の供用物件に当たる準備金を没収保全した事例もあった。
    7. 犯罪収益移転防止法には、特定事業者(弁護士を除く)の所管行政庁による監督上の措置の実効性を担保するための罰則及び預貯金通帳等の不正譲渡等に対する罰則が規定されており、警察では、これらの行為の取締りを強化している。多くのマネー・ローンダリング事犯において、他人名義の預貯金通帳が悪用されているが、令和2年中における預貯金通帳等の不正譲渡等の検挙件数は2,636件と、前年より59件増加した。
  • マネー・ローンダリング対策等を推進するための行政庁及び特定事業者の取組
    • 令和2年11月に公表された犯罪収益移転危険度調査書では事業者が取り扱う各種「商品・サービス」を評価の対象として、それぞれのマネー・ローンダリング及びテロ資金供与に悪用されるリスクを記載した上で、取引形態、国・地域、顧客の属性の観点別にリスクに関わる要因について、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に悪用される固有のリスク、疑わしい取引の届出状況、悪用された事例、危険度を低減させるために執られている措置等を分析して、多角的・総合的にリスクの評価を行っている。また、近時の情勢等を踏まえ、我が国を取り巻くマネー・ローンダリング及びテロ資金供与に関する様々なリスクを俯瞰するため、我が国の環境について、新たに項目を設けて記載するとともに、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を踏まえ、同感染症に関連する犯罪情勢等を記載、特定事業者のより一層の理解と取組の更なる推進を図ることを目的として昨年から記載をしている「疑わしい取引の届出を端緒として検挙した事件例」において、より多様な特定事業者からの届出について記載、マネー・ローンダリング対策等に関する具体的な着眼点を提供するため、準暴力団や国際テロリストに関する記載を拡充するなどしている。
    • 令和2年12月、金融庁は「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」について、各金融機関等のマネー・ローンダリング及びテロ資金供与リスク管理態勢を検証するためのモニタリングの中で把握した課題等を整理し、同ガイドラインの趣旨の明確化を図るため、同ガイドラインの改正に向けた意見公募手続を実施した。なお、同ガイドラインについては、同ガイドラインに関するガイダンスとともに、令和2年度中に公表予定である。
    • 令和2年には、全銀協は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究委託事業として、取引フィルタリング(取引開始時及び継続的な顧客管理の過程において経済制裁対象者や反社会的勢力などの取引不可先との照合を行うこと)・取引モニタリング(取引開始時及び継続的な顧客管理の過程において不自然な取引や疑わしい取引を判断すること)についてAIを活用した実験用システムを開発し、現行実務の高度化・効率化が可能かどうかについて検証を行っている。
    • 信用組合業界内のシステムの共同センターにおいて、令和元年7月に展開した既存のデータベースを利用した顧客リスク格付けの判定ツールをさらに進化させ、新たに顧客管理の新システムを開発して、令和2年3月から会員に提供を開始するなど、信用組合業界全体におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与の防止に係る対策の高度化に努めている。
    • 一般社団法人日本仮想通貨交換業協会は、平成30年3月に設立され、同年10月24日に金融庁から資金決済法第87条第1項の規定に基づき、認定資金決済事業者協会の認定を受けた。令和2年5月1日には、金融商品取引法第78条第1項の規定に基づき、認定金融商品取引業協会の認定を受け、併せて名称を一般社団法人日本暗号資産取引業協会に改称した。
    • 令和2年においては、毎年開催される研修事業(専門講座)において、主にリース会社の管理者にマネー・ローンダリング対策等の専門研修をウェブ形式で実施した。またリース会社の実務担当者を対象とした研修事業(基礎講座)においても、マネー・ローンダリングのリスクが高い「架空のリース取引でリース会社から商品の売主へ商品代金を振り込ませる空リース・資金調達をするために、ひとつのリース物件につき複数のリース会社との間でリース契約を締結する多重リース」の防止等に関する講義をウェブ形式で実施した。また、業界団体の自主的な取組を一層強化するため、令和元年9月に策定した「ファイナンス・リース事業者におけるマネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」の浸透状況を確認するためフォローアップ調査を実施した。
    • 金価格が高騰傾向にあった令和2年6月には、会員に対し、各種法令遵守等について引き続き強化徹底するよう、経済産業省からの注意喚起文書を添付した周知文書を配布した。また、業界関係者及び一般消費者に対する法制度への理解を深めるため、経済産業省の後援を得てポスター等の作成・配布を行っている。
    • 日本リユース業協会及び東京都古物商防犯協力会連合会では、会員向け等のハンドブックに、貴金属取引を行う際における犯罪収益移転防止法上の義務等を掲載し、令和2年中においても、同ハンドブックを会員に配布することでマネー・ローンダリング対策等について継続して会員等への周知を図っている。
  • 報告徴収・意見陳述等の実施状況
    • 令和2年中、電話転送サービス事業者を対象として7件の報告徴収を行った。報告徴収により判明した具体的な違反内容は、偽造されたものと判別できる本人確認書類の提示等を受けて取引時確認を行っていたこと、顧客の取引目的や職業等の確認を怠ったこと、法人の顧客に関し、実質的支配者の本人特定事項を確認していないこと、確認記録の一部を保存していないこと等であった。また、これまで行った報告徴収の結果に基づき、同年中、特定事業者の犯罪収益移転防止法違反を是正するために必要な措置をとるべきとする旨の意見陳述を、電話転送サービス事業者の所管行政庁である総務大臣に対して7件行った。
    • 総務大臣が発した是正命令に違反した電話転送サービス事業者を、犯罪収益移転防止法違反(是正命令違反)で検挙した。是正命令違反による検挙は、犯罪収益移転防止法施行後2例目であり、電話転送サービス事業者の検挙については、施行後初となるものである(1例目は平成24年、郵便物受取サービス業者を検挙)。
  • 国際的な連携の推進
    • 我が国はこれまで平成6年(1994年)、平成10年(1998年)及び平成20年(2008年)の3次にわたりFATFの相互審査を受けており、第4次対日相互審査については令和元年(2019年)10月から11月にかけて、審査団による現地調査が行われた。令和2年中に予定されていたFATF全体会合におけるMERの採択は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い延期されているが、令和3年(2021年)6月の全体会合において行われる予定である。
    • FATFは、令和2年(2020年)2月に開催された全体会合において、北朝鮮及びイラン・イスラム共和国をリスクの高い国・地域とする声明を採択し、FATF参加国・地域に対し、北朝鮮及びイラン・イスラム共和国から生ずるマネー・ローンダリング、テロ資金供与等のリスクから国際金融システムを保護するための措置を適用するよう要請した。また、FATFは、同年4月から、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響で行動要請対象である高リスク国・地域のリストのレビュー・プロセスを休止しているが、同年6月及び10月に開催された全体会合においても、同様の声明の採択・要請を行った。これらの要請を受けて、警察庁は、関係省庁を通じて、特定事業者に対し、当該国・地域に係る取引に際し、取引時確認の徹底を図るよう要請している。
    • 国家公安委員会・警察庁は、疑わしい取引に関する情報の分析体制を強化しており、これに伴って、外国FIUとの情報交換も活発となっている。令和2年(2020年)は、疑わしい取引に関する情報の分析の結果浮かび上がった不自然・不合理な海外向けの送金又は海外からの送金について、関連する外国FIUに対し、海外に向けて送金された後の資金フロー、海外から送金された資金の原資等に関する情報提供要請を214件行った。また、これら情報提供要請のほか、各国のFIU間では、マネー・ローンダリング対策等上、有益と認められる情報について、自発的な情報提供が行われている。さらに、令和2年(2020年)中に、国家公安委員会・警察庁が外国FIUから提供された情報を捜査機関等へ提供した件数は162件であった。

【法務省】

※現在、該当の記事はありません。

【消費者庁】

【2021年5月】

消費者庁 第29回消費者教育推進会議
▼【資料1-2】社会のデジタル化に対応した消費者教育に関する分科会取りまとめ(概要)
  1. 検討の基本的視点
    • デジタル社会形成基本法案の基本理念:全ての国民がデジタル技術の恵沢を享受できる社会の実現等
    • 消費者教育が目指す自立した消費者(「被害に遭わない」+「より良い社会の発展に関与(消費者市民社会の形成)」)
    • 消費者教育としても、生活をより豊かにするためにデジタル技術の積極的な活用を促す視点が重要
  2. デジタル化に対応した消費者教育
    • デジタルサービスの仕組みやリスクの理解
      • インターネット上の取引における契約
      • デジタルサービス利用による個人情報の提供と広告表示
      • キャッシュレス決済の活用に伴う支出管理
    • 批判的思考力に基づく的確な判断
      • デジタル技術を活用した情報の収集・発信
    • 幼児期~中学生期
      • オンラインゲームの課金トラブル等
    • 高校生期・成人期(特に若者)
      • 成年年齢引下げの影響
    • 成人期(一般)
      • 保護者が子どものインターネット利用状況を把握し、話し合ってルール作り
    • 成人期(特に高齢者)
      • デジタル活用のメリット、安全・安心に利用するための注意点
      • 基本的な使い方の習得
  3. 国における今後の課題
    • デジタル化に対応した消費者教育をデジタル技術も活用し、地方公共団体とともに以下のとおり一層推進すべき。
      • 各主体による消費者教育の取組の把握と連携の促進(団体情報バンクの構築、コーディネーターの活用等)
      • 担い手への支援・育成(分かりやすくシンプルな教材開発、最新のトラブル事例の提供、オンライン講座の推進等)
      • 誰一人取り残さないデジタル化のための支援(高齢者向け消費者教育を担うサポーターの育成支援等)
      • デジタルメディアを活用した効果的な情報提供(SNSや動画の活用等)
      • スピード感を持った対応、デジタル化に対応した消費者教育の継続した検討が必要
  4. 各主体の取組の現状と課題(ヒアリング調査より)
    1. 事業者・事業者団体 消費者団体等
      • 若年者・保護者向け取組:自主的な取組として各サービスを安心・安全に利用するための注意事項について教材の作成・提供
      • 高齢者等向け取組:基本的な操作方法から、活用方法、トラブル回避方法について啓発活動。教員や相談員など、消費者教育の担い手への情報提供の取組
      • 課題:個々の事業者の取組となっている。取組の認知不足・人材不足、最新の相談事例の入手、教材等の情報鮮度の維持
    2. 国・地方公共団体
      • 若年者・保護者向け取組:インフラ整備として学校の端末整備、学習指導要領に基づく情報教育の取組の充実。e-ネットキャラバンの取組 等
      • 成人向け取組:事業所での従業員向け消費者教育研修支援(教材作成や講師派遣事業)
      • 課題:情報教育との一層の連携。事業所での従業員向け消費者教育の取組が多くない
    3. 消費者団体等
      • 高齢者向け取組:地域における啓発活動を担う人材の育成。新型コロナウイルス感染症の影響により、消費者教育の手法にデジタル化の進展(メールでの啓発やオンライン講座の開催、一人で学べる動画教材の提供等)
      • 若年者・保護者向け取組:子どもとメディアに関する意識調査の実施。トラブルや家庭内ルールの現状について周知・啓発リーフレットの配布 等
      • 課題:デジタル関連の専門人材を擁する業界団体等の支援・連携。地域におけるWi-Fi等デジタル環境の整備
    4. 地域におけるデジタル化に対応した消費者教育の充実
      • 基本的な技術や情報モラルについては、学校教育における情報教育、ICTリテラシーに関する各種啓発活動(e-ネットキャラバン)等においても取り扱われている。 ⇒ 消費者教育として重点化すべき内容について前頁のとおり整理
      • 国・地方公共団体、事業者、消費者団体等において関連する取組が実施されており、それぞれの内容は充実。しかし、現状は各主体の取組があまり認知されておらず、広がりが限定的。また、担い手支援や、デジタル化に取り残される層への支援等が課題。

消費者庁 5/14~5/20はギャンブル等依存症問題啓発週間です。
  • ギャンブル等依存症とは、ギャンブル等にのめり込んでコントロールができなくなる精神疾患の一つです。これにより、日常生活や社会生活に支障が生じることがあります。
  • 例えば、うつ病を発症するなどの健康問題や、ギャンブル等を原因とする多重債務や貧困といった経済的問題に加えて、家庭内の不和などの家庭問題、虐待、自殺、犯罪などの社会的問題を生じることもあります。
  • ギャンブル等依存症は、適切な治療と支援により回復が十分に可能です。しかし、本人自身が「自分は病気ではない」などとして現状を正しく認知できない場合もあり、放置しておくと症状が悪化するばかりか、借金の問題なども深刻になっていくことが懸念されます。
  • そこで、ギャンブル等依存症に関する注意事項や、対処に困った場合の相談窓口をお知らせします。相談の内容に応じ、これらの窓口をご利用ください。
  • なお、ギャンブル等依存症対策については、ギャンブル等依存症である方やそのご家族を含む国民の皆様への周知啓発や教育に関する取組、回復支援や治療に関する取組、借金の問題を抱えた方への相談支援の取組等が進められているほか、競技施行者・事業者による広範な取組も進められております(具体的施策は、ギャンブル等依存症対策推進基本計画(平成31年4月19日閣議決定)をご覧ください。)。
  • これらは、ギャンブル等依存症対策基本法に基づき設置されるギャンブル等依存症対策推進本部の総合調整の下、各省庁の連携を確保しながら推進されており、内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全)は、同本部の副本部長に特定されています。
  • ギャンブル等依存症からの回復に向けて
    • 本人にとって大切なこと
      • 小さな目標を設定しながら、ギャンブル等をしない生活を続けるよう工夫し、ギャンブル等依存症からの「回復」、そして「再発防止」へとつなげていきましょう(まずは今日一日やめてみましょう。)。
      • 専門の医療機関を受診するなど、関係機関に相談してみましょう。
      • 同じ悩みを抱える人たちが相互に支えあう自助グループに参加してみましょう。
    • 家族にとって大切なこと
      • ギャンブル等をしている方に、家族の行事を顧みなくなった、家庭内の金銭管理に関して暴言を吐くようになった等の変化が見られる場合、ギャンブル等へのめり込み始めている可能性を考慮しましょう。
      • 家族だけで問題を抱え込まず、家族向けの自助グループに参加するなど、ギャンブル等依存症が疑われる方に振り回されずに健康的な思考を保つことが何よりも重要です。
      • 自助グループのメンバーなど、類似の経験を持つ人たちの知見などをいかし、本人が回復に向けて自助グループに参加することや、借金の問題に向き合うことについて、促していくようにしましょう。ギャンブル等依存症が病気であることを理解し、本人の健康的な思考を助けるようにしましょう。
      • 借金の肩代わりは、本人の回復の機会を奪ってしまいますので、家族が借金の問題に直接関わることのないようにしましょう。
      • 専門の医療機関、精神保健福祉センター、保健所にギャンブル等依存症の治療や回復に向けた支援について相談してみましょう。また、消費生活センター、日本司法支援センター(法テラス)など借金の問題に関する窓口に、借金の問題に家族はどう対応すべきか相談してみましょう。

【2021年4月】

消費者庁 公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会
▼ 公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会 報告書
▼第5回 公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会 議事要旨
  • はじめにについて
    • 「はじめに」に、改正法の成立により公益通報対応業務従事者(以下「従事者」という。)の定めや内部公益通報対応体制が事業者に求められることとなった旨が記載されているが、刑事罰付きの守秘義務が法制化されたことも大きな改正事項であり、報告書に記載した方がよいのではないか。
    • 「はじめに」の最終段落において公益通報者の保護や公益通報を通じた法令遵守の取組が一層進展することを期待したいとあるが、SDGsの観点から、社会の持続可能性に資するといった記載が必要ではないか。
    • 従業員300人以下の中小企業については体制整備が努力義務になっているが、中には自らの企業価値を高めたい企業や、取引先からの要請で体制整備を行う企業が多数あると考えている。報告書の注4にも記載のとおり、中小企業が指針に沿った対応ができるよう、消費者庁には具体的なイメージができる解説やマニュアル、規程例等の整備をお願いしたい。
  • 内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置について
    • 報告書に記載されている「組織の長その他幹部」と指針に定義されている「役員」の関係がよく分からない。その他幹部は役員なのか、執行役員やそれ以上の幹部も含まれるのか分からないので、明確に定義をしておいた方がよいのではないか。
    • 利益相反の排除について、「事案に関係する者」の具体的範囲は、内部規程において明記しておくことが望ましいという表現になっているが、利益相反の範囲は事案によって異なるため、内部規程において具体的に例示しておくことが望ましいとする方がよい。
    • 顧問弁護士を内部公益通報受付窓口とする場合、利益相反が発生することは明らかであり、基本的には避けるべきと考える。仮に顧問弁護士を内部公益通報受付窓口とする場合には、当該窓口の弁護士は企業の顧問弁護士であることを告知する、トラブルになったときにどのような対応をするのか、あらかじめ事業者との間で覚書を交わしておくなどの手段を講じておかないとトラブルになりかねないと考える。
  • 公益通報者を保護する体制の整備について
    • 指針案には「労働者及び役員等」の定義が記載されていることから、報告書の10にも同様に定義を記載した方がよいのではないか。
    • 「不利益な取扱いを防ぐための措置として、」の後を「内部公益通報受付窓口において不利益な取扱いに関する相談を受け付け、それを労働者及び役員に対して教育・周知する必要がある」と修文する方がよいのではないか。
    • 内部公益通報対応体制を実効的に機能させるための措置について
    • 従事者に対する教育については、定期的に教育を実施する旨を追記する方がよいのではないか。
    • 通報対応の実務においては、まず通報を受け付けた段階で、通報者は無視されているかもしれないと思うため、調査を行うという意思表示をするために通知を行う。是正措置が終わった後の通知に関しては、どのような情報を通報者に伝えるべきなのか検討する必要がある。そのため、通知のタイミングについて「遅滞なく」という表現が馴染まない場面もあることから、修正した方がよいのではないか。
    • 内部公益通報受付窓口の担当者以外の者(いわゆる上司等)と記載されているが、いわゆる上司等についても、窓口と同様に、遅滞なく通知をしなければならないと読める。努力義務であれば、そのとおりだと思う。しかし、内部公益通報受付窓口を経由しない公益通報については、事業者において漏れなく集約的に把握していることを前提にするのは現実的でない。よって、義務となってしまうと、その義務を果たせないおそれがある。そのため、受け付けた者が窓口であれば義務とし、上司等であれば努力義務とするなど、記載を分ける必要があるのではないか。
    • 改正法によって新しい義務が事業者に課されたため、内部統制システムの整備という観点から、指針の定めを遵守しているか内部監査を通じて的確な運営がなされているかを確認していく必要が出てくる。適切な通報者情報の秘匿が行われているか、実効性をもって監査するという観点から、公益通報者を特定させる事項が内部監査の担当者に知られてもやむを得ない場面が想定される。この点も新法第12条の正当な理由がある場合に該当する旨を報告書に加えるべきではないか。
    • 実際の運用段階では18の注27にあるように、少なくとも管理職以上の職員については、従事者として定めるかどうかは別にして、公益通報を受けた段階で守秘義務が発生し、範囲外共有を防止する必要があることを徹底させる必要があると考える。これを徹底させるためには、消費者庁において教育や広報ツールを作成する必要があると考える。
    • いずれも必要が生じた都度定める従事者について記載されているが、まずはコンプライアンス部門や総務部門、管理部門などの内部公益通報受付窓口となる部門の職員が従事者となり得るという前提を記載すべきではないか。これらの部門以外の職員を、その都度従事者として定める必要がある場合についての記載は、その後での記載としないと内部公益通報受付窓口の担当者も含めて公益通報を受け付けるたびに従事者を設置すればよいという誤解をしてしまうのではないか。
    • 内部監査同様、内部統制システムの整備という観点からは、従事者が人事異動等する場合、OJT等によって新しい担当者にノウハウを伝承していかなければいけないことが想定される。そのため、必要不可欠な範囲においてなどという形で、一定の限定をつけ、このようなケースも新法第12条の正当な理由に含まれると読めるように手当した方がよいのではないか。
    • 業務の合理化が進んだ製造業では、ごく少人数の部署が、消費者に大きな影響を及ぼし得る工程を担っているケースがある。例えば、こういったケースにおいて製品の検査データの改ざんが行われた場合、誰が通報したのかは分かってしまうことになる。典型的には、管理者一名・担当者一名で構成される職場で、管理者がデータを改ざんし、それを担当者が通報するケースが該当する。この場合、消費者への影響を極小化するためには、短期間に多人数を動員して調査や再検査が必要になるが、調査等に協力した職員には誰が通報したのか分かってしまうと考えられる。このようなケースで、当該調査等に協力した職員は、主体的に公益通報対応業務を行っているものではないのであるから、今回の報告書案の記述に沿えば、従事者として定める必要はないと整理できるものと理解した。
    • 誰が守秘義務を負っていて公益通報者が誰なのかを知っているのか把握するため、従事者間で誰が従事者なのか共有しておくことが必要と考える。
    • 公益通報者が誰かということをどの範囲に伝達したのかを確認しておく必要があり、情報共有の範囲を明確にしておく必要があると考える。

消費者庁 ICPEN詐欺防止月間(2021年)
  1. 「環境への配慮」に対する関心の高まり
    • 2015年、国連サミットにおいて「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals(SDGs))」が採択されました。地球環境問題への対応を始め、持続可能な社会に向けた取組の重要性が国際的に認識され、「環境への配慮」に対する関心も高まりを見せています。
    • 消費者庁が2019年度に実施した消費者意識基本調査において、「消費者として心掛けている行動」について調査したところ、「環境に配慮した商品やサービスを選択する」という行動を「心掛けている」(「かなり心掛けている」+「ある程度心掛けている」)と回答した割合は、56.9%となっており、我が国でも「環境への配慮」に関心を持つ消費者は少なくありません。
  2. 消費者の誤解を招くおそれのある環境広告
    • 2020年11月、ICPEN加盟各国において、オンライン上に掲載された、消費者の誤解を招くおそれがある環境広告について調査を実施しました。その結果、各国で調査を実施した環境広告のうち約40%が、消費者の誤解を招くおそれがあることが判明しました。
    • ICPENによると、意図的か否かを問わず、環境に配慮しているという主張そのものが曖昧、正確でない又は誇張されているなど、消費者に誤解を与えるおそれがある広告を使用し、商品・サービスを販売している事例があることが明らかになったとしています。
    • また、2021年1月、欧州委員会がEU域内で同様の環境広告に関する調査を行った際には、調査対象となった環境広告のうち約半数が、十分な根拠を欠くものであったと公表しています。
    • このように、消費者の誤解を招くおそれのある環境広告は、国際的に問題視されています。
  3. 誤解を招くおそれのある環境広告事例
    • ICPENでは、世界的に「消費者の誤解を招くおそれのある環境広告」が広がっていることを懸念し、加盟国の消費者保護当局を通じ、環境への配慮に関して誤解を招くおそれのある環境広告の事例を示して注意喚起を行っています。以下は、ICPENが紹介している誤解を招くおそれのある環境広告の事例の一部です。
      1. 個々の製品に対する環境広告の事例
        1. 環境への配慮について具体的に記載していない商品の事例
          • 「持続可能」や「環境に優しい」と表示されているが、持続可能性等に関する具体的な説明やリサイクルマーク等がなかった。
          • 「当製品にはリサイクル素材が20%多く使われています」と記載されているが、従来製品との比較か又は競合他社の製品との比較かが分からなかった。
        2. 環境に配慮している一部の側面のみを主張する商品の事例
          • 希少資源を浪費していないことを記載しているものの、代替エネルギーを多く消費しており、結果的に環境に悪影響を与えていた。
          • 環境に配慮した製品とうたっているが、実際には製造工程のみが環境に配慮されたものであり、原材料等は環境に配慮されたものではなかった。
      2. 企業全体に対する環境広告
        • 環境に配慮していることを連想させるキャッチコピー等を使用する企業の事例
          • 企業が取り組む幅広い事業のうち、一部のみでしか環境に配慮した取組を行っていないにもかかわらず、あたかも企業を挙げて環境に配慮した取組を行っているかのようなキャッチコピーを使用した。
      3. ロゴや記号を使用した環境広告
        1. 環境に配慮しているような印象を与える視覚的なロゴや記号を使用する事例
          • 環境に配慮していることを示す視覚的なロゴや記号が使用されているが、環境保護当局等の認証基準を満たすものではなかった。
          • ロゴや記号に、緑色、木や葉の絵文字等を使用し、環境面の利点がある又は環境に配慮していることが認証されているという誤った印象を与えた。
  4. 終わりに
    • 持続可能な社会の実現に向けて、消費者一人一人が、商品やサービスを購入する際に環境に配慮したものを選択することは重要です。しかしながら、環境に配慮した商品である等とうたいつつも、その環境広告には誤解が潜んでいる可能性があることも忘れてはいけません。
    • 消費者庁では、今後とも景品表示法に基づき、消費者に誤認を与えるような不当表示について厳正に対処していきます。
    • 消費者の皆様も、商品やサービスを購入する際には、広告の内容等をしっかり吟味し、十分に注意して購入しましょう。

消費者庁 製造物責任法の概要Q&A
  • 製造物責任(PL)法とは、どのような法律ですか。
    • この法律は、製造物の欠陥が原因で生命、身体又は財産に損害を被った場合に、被害者が製造業者等に対して損害賠償を求めることができることを規定した法律です。この法律は、不法行為責任(民法第709条)の特則であり、不法行為責任に基づく損害賠償請求の場合には、加害者の過失を立証しなければならないところ、製造物責任については、製造物の欠陥を立証することが求められます。
  • この法律には、届出の制度やガイドラインはありますか。
    • この法律には、届出の制度やガイドラインはありません。Q1にあるように、この法律は、製造物の欠陥が原因で損害が生じた場合の損害賠償について定めた法律であり、事業者の事業活動に対する届出等の規制を定めたものではありません。
  • この法律の対象となる製造物とはどのようなものですか。
    • この法律では、製造物を「製造又は加工された動産」と定義しています(本法第2条第1項)。人為的な操作や処理が加えられ、引き渡された動産を対象としており、このため、不動産、電気、ソフトウェア、未加工農林畜水産物などは、この法律の対象にはなりません。
  • 「製造又は加工」とは、どのような行為をいいますか。
    • この法律には、「製造」及び「加工」を定義する規定はありません。
  • なお、一般に「製造」とは、製品の設計、加工、検査、表示を含む一連の行為として位置付けられ、「原材料に手を加えて新たな物品を作り出すこと」と解されています。また、一般に「加工」とは、「動産を材料としてこれに工作を加え、その本質は保持させつつ新しい属性を付加し、価値を加えること」と解されています。
  • ソフトウェアはこの法律の対象となりますか。
    • ソフトウェア自体は無体物であり、この法律の対象とはなりません。ただし、ソフトウェアを組み込んだ製造物についてはこの法律の対象と解される場合があります。ソフトウェアの不具合が原因で、ソフトウェアを組み込んだ製造物による事故が発生した場合、ソフトウェアの不具合がその製造物自体の欠陥と解されることがあり、この場合、その欠陥と損害との間に因果関係が認められるときには、その製造物の製造業者等にこの法律による損害賠償責任が生じます。
  • 中古品もこの法律の対象となりますか。
    • 中古品も「製造又は加工された動産」に該当する以上は「製造物」であり、この法律の対象となります。したがって、中古品であっても、製造業者等がその製造物を引き渡した時に存在した欠陥と相当因果関係のある損害については、製造業者等に賠償責任が発生することとなります。ただし、中古品として売買されたものについては、(1)以前の使用者の使用状況や改造、修理の状況が確認しにくいこと、(2)中古品販売業者による点検、修理や整備などが介在することも多く、製造業者等の責任については、このような事情も踏まえて判断されるものと考えられます。
  • この法律でいう「欠陥」とは、どのようなものですか。製品の調子や性能が悪いといった品質上の不具合も、この法律でいう「欠陥」に当たりますか。
    • この法律でいう「欠陥」とは、製造物に関する様々な事情を総合的に考慮して、「製造物が通常有すべき安全性を欠いていること」をいいます(本法第2条第2項)。このため、安全性に関わらないような単なる品質上の不具合は、この法律の損害賠償責任の根拠とされる「欠陥」には当たりません。
  • 訴訟になった場合、欠陥とは、どのように判断されるのですか。
    • 欠陥の判断において検討される、製造物の「通常有すべき安全性」の内容や程度は、個々の製造物や事案によって異なるものであり、製造物に係る諸事情を総合的に考慮して判断されます。この法律では、欠陥の判断に当たり、考慮事情として、「製造物の特性」、「通常予見される使用形態」及び「製造業者等が当該製造物を引き渡した時期」の3つを例示しています。
  • 具体的にはどのようなものが欠陥に当たりますか。
    • 一般に、欠陥は次の3つに分類することができます。
      1. 製造物の製造過程で粗悪な材料が混入したり、製造物の組立てに誤りがあったりしたなどの原因により、製造物が設計・仕様どおりに作られず安全性を欠く場合、いわゆる製造上の欠陥
      2. 製造物の設計段階で十分に安全性に配慮しなかったために、製造物が安全性に欠ける結果となった場合、いわゆる設計上の欠陥
      3. 有用性ないし効用との関係で除去し得ない危険性が存在する製造物について、その危険性の発現による事故を消費者側で防止・回避するに適切な情報を製造者が与えなかった場合、いわゆる指示・警告上の欠陥
  • この法律には、製造物についての注意表示を義務付ける規定はありますか。
    • この法律には、製造物等について何らかの表示を義務付ける規定はありません。注意表示に関する規定もありませんが、注意表示の欠如が欠陥に当たると判断される場合もあります。なお、一般論として、安全性の確保のため、安全に製品を使用できるような注意表示をすることにより、製品販売後の被害の発生・拡大の防止に努めるようお願いします。
  • 製造物への注意表示はどのようにすればよいですか。
    • この法律には、製造物等への注意表示に関する規定はありません。ただし、製造物の特性や想定される誤使用なども考慮して、使用者が安全に製品を使用できるように、明確かつ平易な注意表示をするようお願いします。
  • 製造物責任を負う対象となる者はどのように定められていますか。
    • この法律では、製造物責任を負う対象となる者を、製造物を業として製造、加工又は輸入した者としています(本法第2条第3項第1号)。さらに、自ら製造業者として製造物にその氏名等の表示をした者又は製造物にその製造業者と誤認させるような表示をした者(本法第2条第3項第2号)や、その実質的な製造業者と認めることができる表示をした者(本法第2条第3項第3号)も対象としています。
  • 販売業者は製造物責任を負う対象となっていますか。
    • 販売業者は、基本的にはこの法律の対象とされていません、ただし、販売業者であっても、輸入業者や、本法第2条第3項第2号又は第3号に該当する者(以下「いわゆる表示製造業者」といいます。Q12参照。)に当たる場合は、その観点から製造物責任を負う対象となります。
  • 「設置」や「修理」を行った者は、製造物責任を負う対象となっていますか。
    • 製品の設置・修理に関する製品の不適切な取扱いによって欠陥が生じた場合については、製品を流通させた後の問題であることから、設置・修理業者は、基本的には、製造物責任を負う対象にならないと考えられます。
  • 無償で試供品を提供する場合など営利目的でない場合は、製造物責任を負う対象となりませんか。
    • この法律では、製造物責任を負う対象を、製造、加工又は輸入を「業として」行う者に限っています。「業として」とは、同種の行為を反復継続して行うことと解されています。同種の行為が反復継続して行われていれば、営利を目的として行われることは必要ではなく、当初から無償で配布することを予定している製造物であっても、無償であることのみを理由にこの法律の対象から除外されるとは解されません。また、公益を目的とした行為であっても、同種の行為が反復継続して行われていれば、「業として」に当たるものと解されます。
  • 他の製造業者に生産を委託したプライベートブランド商品を販売した場合、販売業者は製造物責任を負う対象となりますか。
    • 販売業者等が製造業者と誤認させるような表示をした場合は、いわゆる表示製造業者に該当し、製造物責任を負う対象となります。また、販売業者等の経営の多角化の実態、製造物の設計、構造、デザイン等に係る当該販売業者の関与の状況からみて、当該販売業者がその製品の製造に実質的に関与しているとみられる場合は、いわゆる表示製造業者に該当し、製造物責任を負う対象となります。
  • OEMで自社のブランドを付して製造させた場合、製造物責任を負う対象となりますか。(OEMとは、相手先商標製品の供給のことであり、自社で生産した製品に相手先企業の商標をつけて供給する生産形態をいいます。)
    • 一般に、ブランドを付すことにより、製造業者としての表示をしたとみなされる場合や、当該製造物の実質的な製造業者とみなされる場合には、いわゆる表示製造業者に該当し、製造物責任を負う対象となります。
  • 完成品として引渡しを受けた製造物の部品に欠陥があって損害が生じた場合、この法律に基づく損害賠償請求は、部品の製造業者に対して行うのですか。
    • 製造業者については、当該製造物を業として製造した場合に製造物責任を負うこととされていますので、部品の製造業者だけでなく、完成品の製造業者に対しても、この法律により損害賠償を請求することができます。
  • この法律により損害賠償を請求することができるのはどのような場合ですか。
    • この法律により損害賠償を請求することができるのは、製造物の欠陥によって、人の生命、身体に被害をもたらした場合や、欠陥のある製造物以外の財産に損害が発生したとき(拡大損害が生じたとき)です。このため、欠陥による被害が、その製造物自体の損害にとどまった場合(例えば、走行中の自動二輪車から煙が上がり走行不能となったが、当該自動二輪車以外には人的又は物的被害が生じなかった場合)は、この法律の対象になりません。このような損害については、民法に基づく不法行為責任、契約不適合責任、債務不履行責任等の要件を満たす場合には、被害者はそれぞれの責任を追及することができます。
  • この法律は免責についての規定はありますか。
    • 本法第4条は、本法第3条により製造業者等が製造物責任を負う場合に、当該製造業者等が一定の事項を立証することによって、賠償責任が免責されることを規定しています。具体的な免責事由として、次の2つを規定しています。
    • 製造物を引き渡した時点における科学・技術知識の水準によっては、欠陥があることを認識することが不可能であったこと(本法第4条第1号、開発危険の抗弁)
    • 部品・原材料の欠陥が、専ら当該部品・原材料を組み込んだ他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示のみに起因し、欠陥の発生について過失がなかったこと(本法第4条第2号、部品・原材料製造業者の抗弁)
  • この法律により損害賠償請求をすることができる期間について規定はありますか。
    • この法律による損害賠償請求権は、原則として、損害及び賠償義務者を知った時から3年間行使しないとき、又は、製造業者等が当該製造物を引き渡した時から10年を経過したときは、時効によって消滅します(本法第5条第1項)。なお、人の生命又は身体を侵害した場合(本法第5条第2項)や製造物の使用開始後一定の期間の経過後に損害を生じる場合(本法第5条第3項)については、特則があります。
  • この法律の長期の消滅時効は、製造物を引き渡してから10年とされていますが、それは消費者の手に渡ってから10年ということですか。
    • この法律では、長期の消滅時効の起算点を、消費者の手に渡った時ではなく、製造業者等が製造物を引き渡した時、すなわち、製造物を流通させた時から10年としています。
  • 部品の保存期間についてこの法律で何か規定はありますか。
    • この法律は、Q1にあるように、製造物の欠陥が原因で損害が生じた場合の損害賠償について定めた法律であり、事業者に対する規制を定めたものではありません。部品の保存期間についてもこの法律に規定はありません。
  • A社の部品を使ってB社が完成品を製造しているが、AB間の契約に「その完成品による被害が発生した場合はB社が責任を持って対応する」という特約があればB社のみが製造物責任を負うことになりますか。
    • この法律に特段の定めがない事項については、民法の規定が適用されます(本法第6条)。上記のように、自己の製造物責任につき免責特約を付したとしても、その効力は自己の直接の取引の相手方に及ぶだけであり、製造物が引き渡された全ての者に及ぶわけではありません。このような場合においては、被害者との関係では免責特約にかかわらずこの法律に基づいて責任関係が判断され、免責特約の効力については、民法の不法行為の原則によることとなります。
  • 製造業者の製品保証について教えてください。
    • 製造業者による製品保証は、製造業者が自主的に行っているものであり、保証の有無・期間について、この法律において規定されているものではありません。また、製造業者による製品保証と製造物責任は別のものですので、製品保証の有無にかかわらず、製造物責任の要件を満たす場合には、この法律により損害賠償を請求することは可能です。
  • PL保険への加入はこの法律で義務付けられていますか。
    • この法律では、PL保険への加入を義務付ける規定はありません。PL保険は各保険会社・事業者団体等による保険商品又は共助制度の一つです。詳しい保険の対象や適用範囲等については、各事業者にお問い合わせください。
  • 個別の事例について相談したいのですが。
    • 消費生活についての御相談は、消費者ホットライン188又はお近くの消費生活センターにお電話してください。また、事業者の方は、弁護士等の法律の専門家にお問い合わせください。

消費者庁 第16回消費者契約に関する検討会
▼【資料1】消費者契約の条項の開示について
  • 必要性
    • 定型約款の表示請求権(民法548条の3)は、定型約款の内容を知る権利であり、消費者(定型約款準備者の相手方)にとって重要な権利である。
    • しかし、事業者が知らせない限り、定型約款の表示請求権があることを知らない消費者も多いと思われる。
    • 定型約款の表示請求権は、「消費者契約の内容」とは言い難いため、法3条1項2号による努力義務が及ばないおそれがある。
  • 許容性
    • 定型約款中の条項が契約の内容となるためには、(ⅰ)定型約款を契約の内容とする旨の合意、又は、(ⅱ)あらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたことが必要である(民法548条の2第1項)。
    • 事業者(定型約款準備者)は、(ⅰ)または(ⅱ)の際、相手方(消費者)に対し、定型約款の表示請求権の存在について情報提供することができるはずである。
    • 事業者(定型約款事業者)に過度な負担を強いるものではないのではないか。
    • 事業者の努力義務として、事業者が消費者契約の条項として定型約款を用いるときは、消費者に対し、定型約款の表示請求権がある旨の情報提供をすることを定めることについてどう考えるか。
  • 事業者が作成する約款内容の適正化
    • 開示の徹底化に伴い社会的監視が容易となり、その分だけ約款準備者にも自己抑制が働く。
    • 強制開示は、開示者の行動を清浄化する原因となる。
    • 消費者による開示請求とは別の形で事業者に約款を開示させることで、約款内容の適正化を図ることができるのではないか。
    • 適格消費者団体が請求しても事業者が約款を開示しないことがあり、その結果、次のようなケースが生じている。(ⅰ)開示に応じない事業者が改善を免れたケース。(ⅱ)改善すると回答した事業者が実際に契約条項等の改善を実施したか判断できないケース。
    • (ⅱ)に関しては、現状確認のため証拠保全手続を利用したが、適格団体に過大な負担となっている。
  • 必要性
    • 適格消費者団体は、契約条項を確認しなければ、事業者が不当条項を使用しているかどうかを判断することができない。
    • 差止請求権の実効性を確保するための前提として、適格消費者団体による契約条項の開示請求権を設けるべきではないか。
  • 許容性
    • 2017年の民法改正により、定型約款準備者の相手方(消費者)は、定型約款準備者(事業者)に対し、定型約款の表示(開示)を請求することができることとなった(民法548条の3)。
    • 適格消費者団体は、不特定かつ多数の消費者の利益擁護を担う適格性を有すると行政が認定した者であり(法13条)、契約条項の開示請求権を適格消費者団体に付与することも許容されるのではないか。
    • 差止請求権の実効性を確保するための前提として、適格消費者団体は、事業者に対し、消費者契約の条項の開示を請求することができる旨を定めることについてどう考えるか。
▼【資料2】情報提供の努力義務における考慮要素について
  • 法3条1項2号の意義 基本的な考え方
    • 「消費者の理解を深めるため」の情報提供=消費者が理解を深めた上で契約をするか否かの判断をすることができるようにする。
  • 2018年改正
    • 事業者の消費者に対する情報提供は、個別の消費者の事情についても考慮した上で実質的に行うべき(情報提供の実質化)。
    • 個別の消費者の事情として、「知識及び経験」を明示。
    • 知識や経験の乏しさは、消費者の理解の不十分さを伺わせる指標となる。
    • 消費者の理解を深めるため、個々の消費者の知識や経験が乏しいときは、事業者は、より丁寧に情報を提供すべき。
    • 例:知識や経験が十分でないようなときには、この点を考慮して、一般的・平均的な消費者のときよりも、より基礎的な内容から説明を始めること(消費者庁逐条解説)。
    • 考慮要素は個々の消費者の事情なので、事業者が知っているとは限らない。事業者が考慮要素を知ることができた場合には考慮した上で情報提供をする。
  • 年齢 消費者の理解との関係
    • 知識及び経験:知識や経験の乏しさは、消費者の理解の不十分さを伺わせる指標となる。
    • 年齢:同じ「年齢」であっても、消費者の理解の程度は、個々の消費者により異なる。しかし、「年齢」(若者や高齢者であること)は、理解の不十分さを伺わせる手がかりになる(一定の関連性がある)のではないか。
    • 若者 消費生活全般に関する知識や経験が不足
    • 高齢者 判断力の低下により知識や経験を活用できないおそれ
  • 年齢 事業者の認識可能性
    • 知識及び経験:現行法において考慮要素として明示されているものの、事業者からは分からないことが多い。情報提供の際に考慮できる場面は限られている
    • 年齢:取引の態様(例:対面取引)によっては、消費者の年齢(若者や高齢者であること)を事業者が知ることは容易である。情報提供の際に考慮できる場面がより広がるのではないか。
  • 年齢 検討の方向性
    • 事業者は、勧誘に際し、消費者の「年齢」(若者や高齢者であること)を知ることができたのであれば、「年齢」を考慮して、より丁寧に情報を提供すべきではないか。
  • 財産の状況 消費者の理解との関係
    • 知識及び経験:知識や経験の乏しさは、消費者の理解の不十分さを伺わせる指標となる。
    • 財産の状況:消費者の「財産の状況」は、一般的には、消費者の理解の程度とは関連性が低いのではないか。
  • 財産の状況 金融商品に関する規律
    • 規律の概要:金融商品販売業者の説明義務においては、「財産の状況」が情報提供の考慮要素とされている。
    • 考え方:金融商品はリスクを伴うものであり、消費者契約の目的となるものの性質上、「財産の状況」によっては、消費者が理解を深めた上で契約をする必要性が特に認められる。
  • 財産の状況 検討の方向性
    • 「財産の状況」については、消費者契約の目的となるものの性質によって、情報提供の際に考慮すべき場合とそうではない場合があるのではないか。
  • 生活の状況 消費者の理解との関係
    • 知識及び経験:知識や経験の乏しさは、消費者の理解の不十分さを伺わせる指標となる。
    • 生活の状況:消費者の「生活の状況」は、消費者の理解の程度とは関連性が低いのではないか。
  • 生活の状況 検討の方向性
    • 「生活の状況」については、一般的には、情報提供の際に考慮すべき事情とはいえないのではないか。
  • 規定の在り方
    • 事業者が知ることができた場合には考慮すべき要素として、「知識及び経験」のみならず「年齢」も明示しつつ、
    • 個々の消費者の事情を総合的に考慮した上で情報提供を行うべきであることが分かるような規定にすべきではないか。
  • 提案
    • 情報提供の努力義務(法3条1項2号)に関し、事業者は、(1)物品、権利、役務のその他の消費者契約の目的となるものの性質に応じ、(2)事業者が知ることができた個々の消費者の年齢、知識及び経験を総合的に考慮した上で、情報を提供すべきである旨を明らかにすることについてどう考えるか。

消費者庁 第5回社会のデジタル化に対応した消費者教育に関する分科会の資料を掲載しました
▼【資料2】社会のデジタル化に対応した消費者教育に関する分科会取りまとめ(案)
  • 本分科会の趣旨
    • 「高度情報通信ネットワーク社会の発展に対応した消費者教育の推進」に関し、新型コロナウイルスによるデジタル化の加速化も踏まえ、消費者が身に付けることが望ましい内容やデジタル化等を踏まえた消費者教育の場や情報発信手法について検討。
  • 検討の基本的視点
    • デジタル社会形成基本法案の基本理念:全ての国民がデジタル技術の恵沢を享受できる社会の実現等
    • 消費者教育が目指す自立した消費者(「被害に遭わない」+「より良い社会の発展に関与(消費者市民社会の形成」)
    • 消費者教育としても、生活をより豊かにするためにデジタル技術の積極的な活用を促す視点が重要
  • デジタル化に対応した消費者教育 消費者教育として重点化すべき内容
    1. デジタルサービスの仕組みやリスクの理解(ⅰ)インターネット上の取引における契約(ⅱ)デジタルサービス利用による個人情報の提供と広告表示(ⅲ)キャッシュレス決済の活用に伴う支出管理
    2. 批判的思考力に基づく的確な判断
    3. デジタル技術を活用した情報の収集・発信
    4. ライフステージに応じた内容
      • 幼児期~中学生期:オンラインゲームの課金トラブル等
      • 高校生期・成人期(特に若者):成年年齢引下げの影響
      • 成人期(特に高齢者):デジタル活用のメリット、安全・安心に利用するための注意点基本的な使い方の習得
    5. デジタル化を踏まえた消費者教育の場や情報発信手法
    6. 消費者一人ひとりの豊かな生活持続可能な社会の実現に資する
  • 各主体の取組(ヒアリングにより確認されたこと)
    • 国・地方公共団体、事業者、消費者団体等において関連する取組が実施されており、それぞれの内容は充実。しかし、現状は各主体の取組があまり認知されておらず、広がりが限定的。また、担い手支援や、デジタル化に取り残される層への支援等が課題。
  • 国における今後の課題 デジタル化に対応した消費者教育をデジタル技術も活用し、以下の通り一層推進すべき。※スピード感を持った対応、デジタル化に対応した消費者教育の継続した検討が必要
    • 各主体による消費者教育の取組の把握と連携の促進(消費者教育ポータルサイトでの集約、情報提供等)
    • 担い手への支援・育成(わかりやすくシンプルな教材開発、最新のトラブル事例の提供、オンライン講座の推進等)
    • デジタル化に誰一人取り残さないための支援(高齢者向け消費者教育を担うサポーターの育成支援等)
    • デジタルメディアを活用した効果的な情報提供(SNSや動画の活用等)
  • ヒアリングに基づき把握した各主体の取組 地域におけるデジタル化に対応した消費者教育の充実
    1. 事業者・事業者団体
      • 若年者・保護者向け 自主的な取組として各サービスを安心・安全に利用するための注意事項について教材の作成・提供
      • 高齢者等向け 基本的な操作方法から、活用方法、トラブル回避方法について啓発活動・教員や相談員など、消費者教育の担い手への情報提供の取組
    2. 国・地方公共団体
      • 若年者・保護者向け インフラ整備として学校の端末整備、学習指導要領に基づく情報教育の取組の充実・e-ネットキャラバンの取組等
      • 成人向け 事業者による従業員向け消費者教育研修支援(教材作成や講師派遣事業)
    3. 消費者団体等
      • 高齢者向け 地域における啓発活動を担う人材の育成・新型コロナウイルス感染症の影響により、消費者教育の手法にデジタル化の進展(メールでの啓発やオンライン講座の開催、一人で学べる動画教材の提供等)
      • 若年者・保護者向け 子どもとメディアに関する意識調査の実施・トラブルや家庭内ルールの現状について周知・啓発リーフレットの配布等
  • 消費者教育の場や情報発信手法
    • 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、学校や、高齢者等に向けた地域で行う消費者教育の場においてもオンラインの導入が検討され、拡大の動き
    • 各世代におけるスマートフォンの普及
    • デジタル技術を導入した教育の場の活用が重要
    • サービスの利用動向を踏まえ、目に触れる機会の多い媒体に向けた情報発信が必要。

【2021年3月】

消費者庁 公益通報者保護制度相談ダイヤル(一元的相談窓口)
  1. 公益通報者保護制度相談ダイヤル(一元的相談窓口)の概要
    • 消費者庁では、公益通報者保護法の解釈や公益通報制度についての御質問(通報方法、通報者の保護要件、各種ガイドライン等)にお答えしたり、通報を行う際に想定される行政機関の照会や通報に関する不適切な対応等に関するご相談を受け付けるため、電話による相談窓口を設置しています。
      ※なお、当該相談窓口では、個別の通報の受付は行っておりません。
      ※電話番号 (03)3507-9262
      ※受付時間 平日9:30~12:30、13:30~17:30(土日祝日及び年末年始を除く)
    • 聴覚障害者の方は下記のメールからご相談下さい。 聴覚障害者用電子メール相談の受付
    • なお、ご相談のお電話は、相談内容の正確な把握のため、録音させていただくことがあります。
    • 相談は、匿名でもご相談頂けます。折り返し御連絡するためなど円滑な相談対応の実施のために、ご連絡先、職業等をお聞きすることがあります。個人情報に該当する事項については、相談処理に利用し、御本人の同意を得ずに他の目的で利用することや第三者に提供することはいたしません。
    • 提供いただいた情報は、特定の個人を識別できる情報を除いて、今後の公益通報の施策の基礎資料として活用させていただく場合があります。
  2. 相談ダイヤルで受け付ける相談内容
    • よくあるQ&Aはこちら
      • 公益通報者保護法の法制度に関する相談(通報者、通報先、通報対象事実、保護要件等公益通報者保護法及び各種ガイドラインに関する解釈など)
      • 外部通報先の行政機関に関する照会
      • 公益通報の通報先・相談先行政機関検索システム
      • 公益通報を理由とする不利益取扱いに関する相談
      • 公益通報に関する通報先(権限を有する行政機関の特定が難しい通報事案)に関する相談
      • 公益通報に関する行政機関の不適切な対応があった場合の苦情に関する相談(不当に通報を受理又は教示しない場合、明白に通報を放置された場合、秘密情報を漏洩された場合)
  3. 公益通報における他の窓口で受け付ける相談等
  4. 個別の通報や通報後の不利益取扱いに関わる法律相談はこちら
  5. 内部通報制度認証に関する問合せは、こちら
  6. 公益通報をしたことを理由とする解雇等の不利益取扱いを受けた場合に関する相談は、こちら
  7. 消費者庁への公益通報窓口及び公益通報以外の当庁の相談窓口は、こちら

消費者庁 第5回 公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会(2021年3月22日)
▼公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会 報告書(案)
  • 事業者において、通報対象事実に関する情報を早期にかつ円滑に把握するためには、部門横断的に内部公益通報を受け付ける窓口(以下「内部公益通報受付窓口7」という。)を設けることが極めて重要である。そして、内部公益通報を受け、並びに当該内部公益通報に係る通報対象事実の調査をし、及びその是正に必要な措置をとる業務(以下「公益通報対応業務」という。)が責任感を持って実効的に行われるためには、責任の所在を明確にする必要があるため、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関する公益通報対応業務を行う部署及び責任者を明確に定める必要がある。このような窓口及び部署は、職制上のレポーティングラインも含めた複数の通報・報告ラインとして、法令違反行為を是正することに資するものであり、ひいては法令違反行為の抑止にもつながるものである。
  • また、組織の長その他幹部が主導・関与する法令違反行為も発生しているところ、これらの者が影響力を行使することで公益通報対応業務が適切に行われない事態を防ぐ必要があること、これらの者に関する内部公益通報は心理的ハードルが特に高いことを踏まえれば、組織の長その他幹部から独立した内部公益通報対応体制を構築する必要がある。
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口を設置し、当該窓口に寄せられる内部公益通報を受け、調査をし、是正に必要な措置をとる部署及び責任者を明確に定めなければならない。
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に係る公益通報対応業務に関して、組織の長その他幹部に関係する事案については、これらの者からの独立性を確保する措置をとらなければならない。
  • 内部公益通報に係る事案に関係する者が公益通報対応業務に関与する場合には、中立性・公正性を欠く対応がなされるおそれがあり(内部公益通報の受付や調査を行わない、調査や是正に必要な措置を自らに有利となる形で行う等)、法令の遵守を確保することができない。少なくとも、内部公益通報受付窓口に寄せられる内部公益通報については、実質的に公正な公益通報対応業務の実施を阻害しない場合を除いて、内部公益通報に係る事案に関係する者を公益通報対応業務から排除する必要がある。
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口において内部公益通報(匿名による場合を含む。)を受け付け、正当な理由がある場合を除いて、必要な調査を実施しなければならない。
    • 事業者は、上記の調査の結果、通報対象事実に係る法令違反行為が明らかになった場合には、速やかに是正に必要な措置をとらなければならない。また、是正に必要な措置をとった後、当該措置が適切に機能しているかを確認し、適切に機能していない場合には、改めて是正に必要な措置をとらなければならない。
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関し行われる公益通報対応業務(外部委託する場合も含む。)について、事案に関係する者を公益通報対応業務に関与させない措置をとらなければならない。
  • 労働者及び役員並びに退職者が通報対象事実を知ったとしても、公益通報を理由とした解雇その他不利益な取扱い(以下「不利益な取扱い」という。)を受ける懸念があれば、公益通報を躊躇することが想定される。このような事態を防ぐためには、事業者の労働者及び役員等による不利益な取扱いを禁止するだけではなく、あらかじめ防止するための措置が必要であるほか、実際に不利益な取扱いが発生した場合には、救済・回復の措置をとり、不利益な取扱いを行った者に対する厳正な対処をとることにより、公益通報を行うことで不利益な取扱いを受けることがないという認識を十分に労働者及び役員並びに退職者に持たせることが必要である。
    • 事業者は、その労働者及び役員等が不利益な取扱いを行うことを防ぐための措置をとるとともに、公益通報者が不利益な取扱いを受けていないかを把握する措置をとり、不利益な取扱いを把握した場合には、適切な救済・回復の措置をとらなければならない。
    • 事業者は、不利益な取扱いが行われた場合に、当該行為を行った労働者及び役員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分その他適切な措置をとらなければならない。
  • 範囲外共有等を防止する体制の整備
    • 事業者は、その労働者及び役員等が範囲外共有を行うことを防ぐための措置をとり、範囲外共有が行われた場合には、適切な救済・回復の措置をとらなければならない。
    • 事業者は、その労働者及び役員等が、公益通報者を特定した上でなければ必要性の高い調査が実施できないなどのやむを得ない場合を除いて、通報者の探索を行うことを防ぐための措置をとらなければならない。
    • 事業者は、範囲外共有や通報者の探索が行われた場合に、当該行為を行った労働者及び役員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分その他適切な措置をとらなければならない。
  • 労働者及び役員並びに退職者に対する教育・周知
    • 事業者は、公益通報者保護法及び内部公益通報対応体制について、労働者及び役員並びに退職者に対して教育・周知を行わなければならない。また、従事者に対しては、公益通報者を特定させる事項の取扱いについて、特に十分に教育を行わなければならない。
    • 事業者は、労働者及び役員並びに退職者から寄せられる、内部公益通報対応体制の仕組みや不利益な取扱いに関する質問・相談に対応しなければならない。
  • 内部公益通報をした者は、事業者からの情報提供がなければ、内部公益通報について是正に必要な措置がとられたか否かについて知り得ず、事業者外部に公益通報すべきか、調査の進捗を待つべきかを判断することが困難である。そのため、利害関係人のプライバシーを侵害するおそれがある等、内部公益通報をした者に対してつまびらかに情報を明らかにすることに支障がある場合を除いて、内部公益通報への対応結果を内部公益通報をした者に伝える必要がある。
    • 事業者は、書面により内部公益通報を受けた場合において、当該内部公益通報に係る通報対象事実の中止その他是正に必要な措置をとったときはその旨を、当該内部公益通報に係る通報対象事実がないときはその旨を、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、当該内部公益通報を行った者に対し、遅滞なく通知しなければならない。
  • 記録の保管、見直し・改善、運用実績の労働者及び役員への開示
    • 事業者は、内部公益通報への対応に関する記録を作成し、適切な期間保管しなければならない。
    • 事業者は、内部公益通報対応体制の定期的な評価・点検を実施し、必要に応じて内部公益通報対応体制の改善を行わなければならない。
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口に寄せられた内部公益通報に関する運用実績の概要を、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において労働者及び役員に開示しなければならない。
  • 内部規程の策定及び運用
    • 事業者は、この指針において求められる事項について、内部規程において定め、また、当該規程の定めに従って運用しなければならない。
  • 公益通報者を特定させる事項の秘匿性を高め、内部公益通報を促すためには、公益通報対応業務のいずれの段階においても公益通報者を特定させる事項が漏れることを防ぐ必要がある。また、法第11条第2項において事業者に内部公益通報対応体制の整備等を求め、同条第1項において事業者に従事者を定める義務を課した趣旨は、公益通報者を特定させる事項について、法第12条26の規定により守秘義務を負う従事者による慎重な管理を行わせるためであり、同趣旨を踏まえれば、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して、公益通報者を特定させる事項を伝達される者を従事者として定めることが相当といえる。
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して公益通報対応業務を行う者であり、かつ、当該業務に関して公益通報者を特定させる事項を伝達される者を、従事者として定めなければならない。
  • 従事者は、法第12条において、公益通報者を特定させる事項について、刑事罰により担保された守秘義務を負う者であり、公益通報者を特定させる事項に関して慎重に取り扱い、予期に反して刑事罰が科される事態を防ぐため、自らが刑事罰で担保された守秘義務を負う立場にあることを明確に認識している必要がある。
    • 事業者は、従事者を定める際には、書面により指定をするなど、従事者の地位に就くことが従事者となる者自身に明らかとなる方法により定めなければならない。

消費者庁 消費者志向経営の推進に関する有識者検討会
▼消費者志向経営の推進に関する有識者検討会 報告書
  • 平成28年4月の報告書においては、消費者志向経営が求められる背景として、消費者と事業者の関係の多様化・希薄化、消費者と事業者のコミュニケーションの複線化、消費者の信頼を損なうような一部事業者の問題といった、消費者と事業者を取り巻く環境の変化が指摘されていた。その後も、消費者及びそれを取り巻く社会の状況は著しい変化を続けている。
  • 例えば、単純な人口の推移だけみても、日本の総人口は2010年までは1億3千万程度であったものの、2048年には1億人を割って9900万人程度まで減少することが見込まれている。また、総世帯に占める「単身世帯」の割合は、2015年時点で34.5%と過去最大の割合を占め、その後も「単身世帯」の増加が予想される。さらに、消費者が多様化している一例として、訪日外国人の増加を挙げることができる。具体的には、2011年に約600万人であった訪日外国人は、2018年に3000万人を超える伸びを見せている。このように、消費者・生活者の多様化が進んでいる。
  • 社会もSociety5.0の旗の下、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有されるようになったり、少子高齢化、地方の過疎化などの課題をイノベーションで克服したり、ロボットや自動運転が実装されたり、AI(Artificial Intelligence:人工知能)により多くの情報の分析から解放される等、デジタル化と技術革新により、消費者を取り巻く環境は大きく変化している。
  • 一方で、2015年に国連にて採決されたSDGs(SustainableDevelopmentGoals:持続可能な開発目標)も消費者を取り巻く環境に変化をもたらす要因となった。2016年5月には、持続可能な開発目標(SDGs)推進本部を設置し、「SDGsアクションプラン2018」の公表や「ジャパンSDGsアワード」の開催によるSDGsの主要な取組の発信により、持続続可能な社会の実現に向けた機運が醸成され、事業者の取組が進展した。特に、ゴール12「つくる責任つかう責任」は、消費者の消費行動において、環境に配慮したものを選んだり、食品ロスの削減を考慮した適切な買い方をしたりすることを促す一方、事業者もそのような商品・サービスを提供することなどによって、協働の形で持続可能な社会に貢献することを目指すものである。その他のゴールも含めて、消費者のSDGsへの関心も高まっており、消費行動により社会を変えていこうという気運がみられている。
  • さらに、本年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による外出自粛や在宅勤務に伴い、消費者が自宅で過ごす時間が増えたことで、インターネットショッピングや食事の宅配サービスを利用するなど、いわゆる「巣ごもり消費」が生まれ、消費者の消費行動が変化している。また、感染防止の観点から、身体的距離の確保やマスクの着用、手洗いの励行など、消費者の日常生活において新しい生活様式を求められるなど日常生活に変化が見られる。
  • このように、消費者志向経営が始まる背景にあった社会情勢が変化し、さらに、持続可能な社会への関心の高まりがみられる。新たな関心に応えるよう活動内容を強化した消費者志向経営の取組が求められている。
  • 持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現に向けた機運の高まりに対し、令和2年3月に閣議決定された第4期消費者基本計画では、「持続可能な社会の実現に向けた社会的課題を解決する観点から、消費者と事業者とが共通の目標の実現に向けて協力して取り組むこと(協働による取組)を促す必要がある。」とされた。
  • このため、令和2年度より「消費者志向経営の推進に関する有識者検討会」を開催し、消費者志向経営の推進の在り方について見直しの議論を行ってきた。令和2年度においては、消費者志向経営の概念を整理し、それに基づく優良事例表彰の客観的評価軸及び評価基準を作成して表彰を実施し、検証を行うこととされた。
  • 令和3年度見直しの方向性
    • 今年度は新たな消費者志向経営の概念を策定し、それに基づいて消費者志向経営優良事例表彰を実施した。前節まで見てきたように、今年度の取組については、効果があり今後も続けるべきものがあった一方、今後対応すべき課題も残されている。本節では、前節までの検証を踏まえ、令和3年度に行うべき見直しの方向性についてみていく。
      1. 優良事例表彰の結果を踏まえた見直し
        上述のとおり、令和2年度の優良事例表彰で行った「特別枠」の創設や新たな評価軸は一定の成果を収めたと考えられる。更なる消費者志向経営の広範な普及のため、前節で挙げられた課題の改善に向け検討を進めるとともに、中小企業に配慮した見直しを進めていく。
        1. 中小企業の取組の評価
          • 今年度の優良事例表彰では、中小企業から過半数を超える応募があったにもかかわらず、選考委員会の選考対象に残る事業者はほとんどなかった。大企業に比べ、中小企業における取組は、評価軸の全ての項目を満たすような形でなく、一部の内容に特化した取組を行っていることが考えられる。このため、中小企業の優れた取組を拾い上げることができるよう、評価軸について検討する。
        2. 消費者や社会等の利益に関わり、事業者のリスクとなる社会課題の把握
          • 主に大企業が対象となるが、前節の客観的評価軸の検証では、事業を通じて解決する社会課題として、ビジネスのチャンスとなる健康問題、環境問題、高齢化、感染症等が挙げられている。
          • 一方、児童労働、LGBT、動物福祉や人権課題等の消費者や社会等の利益に関わり、事業者のリスクとなる社会課題を認識し、社会の要請に応えることも重要である。
          • どのような社会課題が自社にとって財務面で影響を及ぼす可能性を把握しているかについて問う設問を追加することを検討する。
        3. 消費者の行動変容の効果の把握
          • 多くの事業者が消費者への啓発活動や情報発信に取り組んでいるが、消費者の主体的な活動による効果が出ているとの認識には至っていない。目的とした事業活動を通じて、消費者の主体的な活動につながっているか、消費者の行動変容の効果等を具体的に問う設問の追加を検討する。
        4. 「特別枠」の在り方について
          • 今年度に新設した「特別枠」は、参加事業者の拡大、中小企業の参加促進に効果がみられた。今後も幅広い業種・業態からの応募拡大の観点から、「特別枠」の位置付けや具体的な応募の要件について、改めて整理する。
      2. 金融との結び付き
        • 消費者志向経営においては、第4期消費者基本計画に記載があるように資金調達の容易化につながるよう、事業者の参加のメリットとして、例えば、ESG投融資やCSV等の経営概念を反映した金融とのひも付けの検討が求められている。
        • 令和2年度においては、資金調達の容易化に取り組めていなかったが、令和3年度においては、金融機関や機関投資家等に対する個別ヒアリングを通じて、ターゲット範囲やターゲットごとの着地点の検討を行い、検討会での議論を基に、令和4年度以降活動方針の決定・着地点実現に向けたスケジュールを作成する。
      3. 消費者志向経営の普及のための活動
        1. 消費者志向経営優良事例表彰を中心とする広報活動の継続
          • 従来の消費者志向経営の推進活動を通じた消費者志向経営優良事例表彰の実施において、一定の成果が見られることから、今後も継続して進めるが、より効果的な普及活動とする観点から、各種媒体との連携を強化していく。さらに、消費者志向経営と関連する他の広報活動と協働・連携し、より広範な広報活動を進める。
        2. 消費者志向自主宣言・フォローアップ活動の見直し
          • 令和2年度は、優良事例表彰の実施に向け消費者志向経営の概念の見直しを行ってきた。令和3年度については、新しい概念に沿って消費者志向自主宣言・フォローアップ活動の在り方を参画事業者の負担軽減も加味し、見直していく予定である。
        3. 事業者との協働による新しい取組
          • 消費者志向経営を社会の共通認識とすべく、新しい消費者志向経営の概念を事業者へ普及・促進を図るとともに、消費者志向経営の今後の在り方を事業者と協働し、検討する機会を創出する必要がある。そのための体制や仕組み作りについても検討していく。

消費者庁 第4回 公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会(2021年2月9日)
▼議事要旨
  • 内部公益通報受付窓口の設置等について
    • 「内部公益通報受付窓口を設置し」という文言が、企業の内部に設置されることを前提にしているように感じられる。企業の外部に設置することや親会社に受付を担ってもらうという方法もあり得るので、あたかも従業員数が300人超の事業者は自社内に必ず窓口を持っていなければいけないと読まれかねない表現は修正してほしい。
  • 組織の長その他幹部からの独立性を確保する措置について
    • 7において「小規模な事業者においても、組織の長その他幹部からの影響力が不当に行使されることを防ぐためには、独立性を確保する仕組みを設けるよう特に努めるべきであること。」とあるが、小規模な事業者は特に独立性の確保に努めるべきなのか。もしそうであるなら、大企業と違い独立性の確保を立案する人材がいないため、モデルを示す必要があるのではないか。「特に」の趣旨によるが、小規模な事業者には大企業とは違ったことを要求しているとも読めるため、表現振りを修正した方がよい。
    • 組織の長その他幹部からの独立性に関して、現在は、従業員数300名以下の事業者に関しては努力義務となっているが、今後、法的義務の対象を広げていくことを想定し、従業員数300名以下の事業者においても独立性を確保する仕組みを設けるべきだということは記載しておくべきではないか。
  • 受付、調査、是正に必要な措置について
    • 公益通報対応業務従事者(以下「従事者」という。)か否かで大きく違うところは、あくまでも刑事罰付きの守秘義務が課せられるかどうかである。それ以外については、従事者であろうがなかろうが、通報に対して対応すること、対応すべきことに違いはないと考えている。指針の解説には、従事者に該当しなくても、当然通報の対応をする義務は課せられると記載する方がよいのではないか。
    • 公益通報者の意向に反して調査を行う場合に関して、「公益通報者の利益が害されないように配慮すべきこと」と記載されているが、通報者が保護されるということを明確に記載すべきではないか。
  • 公益通報対応業務における利益相反の排除について
    • 事業者が設置した外部窓口の弁護士が、上層部へ通報内容を流していたとの報道があったことから、顧問弁護士や役員個人の弁護士などが排除された窓口とすることが必要ではないか。
    • 事業者ごとに利益相反の場面が異なるということが前提になった記載となっているが、利益相反の場面は幾つかの類型に分類ができることから、事業者ごとに異なることは考えにくいのではないか。経験が乏しい従事者のために、どのような場合に利益相反になるのかを例示する意味はあるが、事業者の内部規程に利益相反について定める意義があるのかは疑問である。
    • 中立性、公平性が保てないような者が従事者になってしまうことを避ける趣旨の規制であることから、その具体例等を記載した方が分かりやすくなるのではないか。
    • 解決済みと思われる通報内容について、通報者が解決したとは思っていない、すなわち、通報者から見て満足のいくようなフィードバックがなかったような場合があることから、通報者の認識と事業者での調査結果というのは必ずしも一致しないということも念頭に例示してほしい。
    • 匿名の内部公益通報者と連絡をとる方法について、外部の弁護士に一旦受付していただき、通報者情報を削除した状態で事業者に転送していただくことで双方向通信が可能になると認識している。弁護士以外にも、内部公益通報者が匿名のまま、会社側との双方向の交信ができるような、通報仲介サービスを提供している事業者もある。ただし、それらに係る費用が、中小企業にとっても容易に導入できるほど低額といえるか否かには懸念がある。ついては、匿名による双方向交信を実現する方法としては示しつつ、あくまで例示に留めることとしてはどうか。
  • 内部公益通報対応体制を実効的に機能させるための措置について
    • 運用実績の役職員等への開示、記録の保管等に関して、記録の作成、保管が運用実績の開示より先に行われるので、記載の順序を変えるべきではないか。また、記録の保管期間については、記録は電子化をすることができることから、できるだけ長く保管した方がよいのではないか。
    • 消費者庁には、従事者向けの教育ツールを作成していただきたい。そして、事業者はそのツールを用いて従事者に教育・周知する旨を報告書に記載してほしい。
    • 是正措置の通知に関して、通知するまでの具体的な期間として、3か月以内、合理的な理由があるときには1年など具体的な数字を記載した方がよいのではないか。
  • 従事者として定めなければならない者の範囲について
    • 従事者として定める範囲について、「内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報」と限定されているが、このような限定的な書き方をしなくてもよいのではないか。
    • 従事者の範囲を広げ過ぎないほうがよいという観点から、内部公益通報受付窓口に寄せられた内部公益通報に限定することでよいのではないか。
    • 現時点では公益通報窓口は設置していないが、ハラスメント窓口は設けている事業者は多いと思われる。ハラスメント窓口においては、匿名では必要な調査ができないので是正できる部分は限られることを説明し、名前を特定してハラスメントの申立をするかどうかを打診している。その際の手続についても書面で説明して、書面による同意を得るという形をとっているのではないか。その上で申立をして調査委員会を立ち上げる。また、ハラスメントの疑いをかけられている人は被害者が誰であるか分からないと自分の権利を守れず、疑いをかけられた人が不利益を被るおそれがある。よって、ハラスメントのような場合には氏名を特定することは調査においては自ずと必要になるのではないか。
    • 通報者が必然的、排他的に特定されざるを得ないようなケースに関して、通報者を特定させる事項を知らされた者が臨時従事者に当たらないと整理ができるのであれば、現在の従事者の範囲設定に関する文案に問題はないと考える。
    • 是正、被通報者に対する処分、職場環境の改善は重要な課題である。対応の実態としては、被害者を取り巻く社員に働きかけて、事実関係の調査をし、是正をし、そして、再発防止策を図っていくことになる。その際、被害者が誰であるかは、少なくともその職場の中においては必然的に多くの人に知れ渡ることになる。ハラスメント事案のように、被害者が通報者と同一人物である場合に、それをもって通報者の排他的な特定であるとみなされると、その職場にいる者全員が従事者にならなければいけないということになってしまい、刑事罰の対象となる者が過度に広がり刑法の謙抑性の原則に照らして望ましくない。
    • ハラスメント事案では、被害者の所属している職場の全員が被害者を認識し得ることから、通報者が誰かということについてもほとんど分かってしまう。是正措置等に従事する者が従事者であるとするならば、職場環境の改善に取り組む職員全員が従事者になってしまう。偶然知った者を除くとしても、同じ職場で再発防止に取り組む者を偶然知った者と整理することには無理があるのではないか。これらの実態を十分加味して、従事者設定範囲を過度に広げることにならないよう、文言を修正していただきたい。
    • ハラスメントに関する調査を行うと、その部局の人にまんべんなく調査をしなければいけないので、調査された者は全員その事実を知ることになる。当該調査された者は調査の業務に従事しているのか。調査・是正に必要な措置をとる業務に従事しているというのは、いかなる人のことを指すのかを整理することも重要ではないか。職場環境の是正に努めることは、その職場にいる人たちが一人一人気をつけなければいけないことであるが、是正に必要な措置をとる業務をしていることにはならないのではないか。むしろ、当該業務を担う責任者の指示を得て協力しているだけなのではないか。これに関して何らかの限定がないと、従事者の範囲が際限なく広がる可能性もあり、また、調査対象になっている職員は皆ハラスメントの被害者の話を聞くので、特定させる事項を知ることは明らかであるため、そこで限定することもできない。公益通報対応業務とは何かということを整理する必要があるのではないか。
  • 新法第12条の解釈について
    • 従事者の範囲を一定範囲に限定したとしても、ハラスメント事案では、通常、被害者と通報者が同一人物であるため、従事者自身が、調査・是正を進めていく過程において、被害者特定情報をその職場の関係者に対して必然的に知らしめてしまうことになる。これをもって、新法第12条の公益通報者を特定させるものを漏らしたに当たるとなると、従事者としては、どのように通報者の特定を避けながら調査・是正をすればよいか、分からなくなってしまう。この点について非常に強い問題意識を持っており、新法第12条の中で述べられている刑事罰の対象となる行為、犯罪の構成要件については指針の解説など何らかの形で明確化を図るべきと考える。
    • 新法第12条の正当な理由を考えるに当たり、従事者の立場からすると通報者からの承諾が大きな盾になると考える。実務では、ハラスメント事案など被害者から通報者が容易に推認されてしまうようなケースでは、通常、通報者からの承諾をとるように努めているが、問題が二つある。一つ目は承諾をしない人が時々いること、二つ目は、通報者が承諾をするも通報者から後で非難されることがあることである。二つ目に関しては、通報者に対して、事実確認のために誰にヒアリングを行ったかを開示しないという実務に由来する。通報者にとって不満足な調査結果となった場合には、ヒアリング対象者が通報者から非難を受ける恐れがある。そこで、調査をする過程で、誰にヒアリングをするかを通報者には説明しないことが通例である。そのため、通報者から情報開示範囲の承諾を取る際には、関係者というように曖昧な形の表現を用いることになるが、承諾をとった範囲が通報者の意図していた範囲と一致していないことも考えうる。したがって、承諾の有効性についても、100%安全とは言えない。このような実務も念頭に、従事者を萎縮させないように文言の明確化を図ることが必要。公益通報者が排他的に特定されざるを得ないような状況については、それが調査・是正に必要不可欠なのであれば、特定されたとしても、正当な理由に当たると整理する必要がある。
    • 調査をするために氏名を特定しなければならない場合については、漏らすことが正当化される理由、新法第12条の正当な理由として整理すべきである。
    • 新法第12条の正当な理由に関して、書面による説明をした上で同意を得ていれば、通報者が自分の利益が守られる範囲を誤解していたとしても、法的には事業者のほうが正当であると認められるのではないか。指針や指針の解説において、新法第12条の正当な理由の解釈としてこの点を示すことは考えられるのではないか。
    • 新法第12条の正当な理由を考えるに当たっては、最終的にはどのようにすれば事業者にとっての予測可能性や過度の萎縮を招かないようにしつつ、通報者に安心して通報してもらえるかというバランスが重要である。その議論の過程をなるべく明らかにし、分かりやすくすべきではないか。
    • 新法第12条の正当な理由の解釈は明確化しないと、事業者にとって予測可能性がない。この指針が策定されれば正当な理由とは何かという議論になると思うので、可能な範囲で報告書に盛り込む必要があるのではないか。
    • 新法第12条の正当な理由が明確にならないと事業者が何をやればいいのか、何をやってはいけないのかということが明確にならず、事業活動はできない。表現が抽象的になるのであれば、ガイドラインその他で具体的に書いていただきたい。
  • 公益通報者を特定させる事項の解釈について
    • 「『公益通報者を特定させる事項』とは、公益通報をした人物が誰であるか『認識』することができる事項をいい、単に『想像』や『推測』ができるにすぎない場合は該当しない」との点について、ハラスメント等の被害者と通報者が同一人物であるような事案については、公益通報者を特定させる事項から単に想像や推測を排除するということは、実務を阻害する要素が相当削減されるため、妥当である。
    • ハラスメントに関する通報対応の実態に照らすと、通報者と被害者が同一人物であるケースが非常に多い。また、被害者が誰か分からない限り調査はできない。「通報者と被害者が同一人物である等のために、調査・是正を進める上で、公益通報者の排他的な特定を避けることが著しく困難な場合には、『公益通報者を特定させる事項』には該当しない」などと「排他的に特定の人物が公益通報者であると判断できる場合」を、さらに明確化すべきではないか。
    • 実態に照らして考えると、ハラスメントの通報があった際、それが公益通報に該当するかどうかは最初の通報を受け付けた段階では分からないが、従事者でなくとも、通報窓口の担当者には社内規程により守秘義務が発生している。他方、その後、調査・是正措置をとっていく過程では、どういったハラスメントがあったのか、誰が被害を受けているのかということを伝えていかないと、是正につながらないと認識している。被害者と通報者が同一のケースと、被害者の周りの人が通報したケースを分けて考えるべきではないか。また、いわゆる企業、組織ぐるみの経営陣が関与している不正事案と、公益通報に該当するようなハラスメント事案を分けて整理することが望ましいと考えるが、指針を二つ策定するわけにもいかないことから、指針の解説で整理する点は賛成である。
    • 公益通報者を特定させる事項に、単に公益通報をした人物が誰であるか「想像」や「推測」できるにすぎない場合は該当しないとあるが、想像させるようなことを伝えることも避けるべきであり、このような記載は見直した方がよいのではないか。可能かどうかは別として、通報者と被害者が同一のケースにおいて、調査・是正措置をとる上でやむを得ない場合は、従事者の守秘義務自体を免除し、刑事罰もまた免除したほうがよいと考える。また、通報者に関する情報を伝える際は、被害者の承諾をとることが重要である。調査・是正に携わる者は基本的に従事者として定めることになると考える。そのため、調査・是正に関係ない部署や職員に通報内容を漏らすことは許されないと考えるが、これらを許すようなメッセージになりかねないように感じた。
    • 被害者と通報者が同一である場合を従事者の範囲、つまり、主体の問題にして、従事者にあたらないとしてしまうと、想定外の形で担当者が外部に通報者に関する情報を漏らしてしまうというような事態は避けられず、刑事罰で抑止効果を定めることにした改正法の趣旨に少し反するのではないか。窓口の担当者が新法第12条の正当な理由の判断が難しいということが問題なのであれば、指針の解説や新法第12条の解釈の中で明記すればよく、主体の中から一部の場面だけを除くことはかえって無理があると考える。
  • 指針の解説の策定にあたり留意すべき事項について
    • 実務を行う立場とすれば、何が問題になり、問題にならないのかが一番重要であるため、できるだけ分かりやすい事例を報告書や指針、指針の解説などに記載していただきたい。
    • 指針の解説に例示を書きすぎることによって、これ以外のケースは守秘義務がかからないという反対のメッセージになることを懸念している。指針の解説に具体例を記載するのは限定的にしたほうがよいのではないか。
    • 指針には、このようにしなければ通報者は保護されないということで、通報者を保護するという面と、このようにすれば許容されるという事業者にとっての予測可能性を確保するという面がある。明確にできるものについてはできるだけ指針に書くことが考えられるが、アナウンスメント効果として、こうしておけば大丈夫であろうというような事業者を過度に安心させるという弊害があるならば、その部分については指針の解説で説明することも考えられる。

消費者庁 乳幼児のたばこの誤飲に注意しましょう!-加熱式たばこは紙巻たばこより誤飲しそうになった割合が高く、より注意が必要です-
  • 家庭内における、乳幼児のたばこの誤飲実態を把握するため、消費者庁でアンケート調査を実施しました。
  • 調査結果のポイント
    • 保護者が喫煙する家庭の2割で、乳幼児がたばこや吸い殻を口に入れた又は入れそうになったことがある
    • 乳幼児が誤飲しそうになった割合は、加熱式たばこの方が高かった
    • 誤飲しそうになった年齢は0~2歳が多い
    • 3割近くの家庭でたばこや灰皿が乳幼児の手が届く所に置かれている
    • 約5割の保護者が乳幼児の前で喫煙している
    • テーブルの上のたばこや灰皿にあった吸い殻を口にしている乳幼児が多い
    • 子どもが誤ってたばこを食べたり、ニコチンが溶け出した液体を飲んだりすると中毒を起こす危険性があります。子どもがたばこや吸い殻を誤飲することがないよう、周囲の大人が以下の点に注意することが必要です。
  • アドバイス
    • 家では禁煙を心掛け、子どもの目の前でたばこを吸わないようにしましょう。
    • 子どもの手の届く場所にたばこや灰皿などを置かないようにしましょう。
    • 飲料の缶やペットボトルを灰皿代わりに使用することはやめましょう。
      ※ たばこが浸っていた液体を飲んだ場合、普段と違う様子がある場合は、何も飲ませず、直ちに医療機関を受診しましょう。

~NEW~
消費者庁 「保険を使って無料で修理します」と勧誘を受けた時にトラブルに遭わないためのポイント
  • まずはご自身で損害保険会社・代理店へ連絡を!
    • 保険金の請求は、ご自身で簡便に行うことができます。
    • 壊れた原因・物が保険の補償対象になるかご自身で確認しましょう。うその理由で保険金請求をすると詐欺に該当する場合があり、トラブルに巻き込まれる可能性があります。
    • 消費生活相談事例:保険金申請代行業者が訪問し、台風や大雨で被害を受けたことにして保険金を請求できると勧誘され契約したが、問題はないか。
  • 修理等の依頼時は契約内容をしっかり確認
    • 修理をキャンセルした時の違約金や保険申請サポート費用等の名目で、高額な請求を受ける可能性があります。
    • 消費生活相談事例:火災保険で雨どいの修理ができると来訪した業者に保険金請求を依頼した。その後、修理をしないと伝えたら30%の違約金を請求された。

~NEW~
消費者庁 「世界消費者権利デー」を迎えるに当たって
  • 世界消費者権利デーは、1962年3月15日に、米国のケネディ大統領によって消費者の権利(安全への権利、情報を与えられる権利、選択をする権利、意見を聴かれる権利)が初めて明確化されたことを記念し、消費者の権利を促進するために国際消費者機構(CI: Consumers International)が提唱している世界的な記念日です。
  • 今年の世界消費者権利デーのテーマは、「プラスチック汚染問題への取組(Tackling Plastic Pollution)」です。
  • 我が国では2030年までにワンウェイ(通常一度使用した後にその役目を終える)プラスチックを累積で25%排出抑制するなどの目標を掲げて施策を講じています。去る3月9日には、国内におけるプラスチックの資源循環を一層促進するための法律案を閣議決定し、国会に提出したところです。また、昨年7月にプラスチック製買物袋が有料化されるなど、消費者の身近なところでの取組も進められています。
  • 一方、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い新たな生活様式の実践が求められる中で、不織布マスクやテイクアウト・デリバリーの容器にもプラスチックが用いられており、家庭からのプラスチックごみ排出量の増加が懸念されています。
  • 2015年9月に国連サミットにおいて採択された「持続可能な開発目標」(SDGs:Sustainable Development Goals)の12番目の目標には、「つくる責任、つかう責任」が掲げられています。また、国際消費者機構は冒頭に紹介した消費者の4つの権利に追加する形で「消費者の8つの権利と5つの責任」を提唱していますが、その責任の中には「環境への配慮責任」が含まれています。プラスチック汚染問題においても、消費者一人一人が消費と社会のつながりを「自分ごと」として捉え、未来を変えるための行動が求められているといえるでしょう。とりわけ、消費者の身近に寄り添い、その声を代弁することを使命とする消費者団体は、こうした普遍の目標に向かって取り組む上で欠かすことのできない存在として大きな期待が寄せられています。
  • プラスチック汚染問題を始め、消費者を取り巻く社会課題を解決するには、消費者と事業者が共通の目標の実現に向けて、互いの強みをいかして協力して取り組むことが重要です。消費者庁では、消費活動自体を「未来への投資」と考え、こうした消費者と事業者との「協働」の枠組みを構築するための取組を進めています。
  • 特に、食品ロスの削減を最重要課題の一つと位置付け、この一年間で、「食品ロスの削減の推進に関する法律」に基づく基本方針の策定や、賞味期限の愛称に選ばれた「おいしいめやす」の普及等に取り組んできました。しかし、現状は必ずしも十分とはいえません。引き続き、関係省庁と連携して、制度的な課題の検証を含め、国、地方公共団体、事業者、消費者等の多様な主体による食品ロスの削減に取り組んでまいります。
  • 持続可能な社会の実現に加え、消費者は、新型コロナウイルス感染症の拡大や、消費生活のデジタル化など、様々な新しい課題に直面しており、消費者庁はこうした新しいタイプの消費者問題にも迅速に対応しています。
  • 新型コロナウイルスのワクチン接種をかたる詐欺やコロナに効くと称する不当表示など、悪質商法による消費者被害の防止に引き続き万全を期してまいります。
  • また、デジタル分野における新たな消費者トラブルを抑止すると同時に、消費者のデジタルサービス等に係る利便性向上を強力に推進します。今国会において、取引デジタルプラットフォームにおける消費者の安全・安心の確保のための新しい法律案、ネット通販における詐欺的な定期購入商法対策等のための特定商取引法や預託法等の改正法案を提出しました。また、SNSの活用や全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)改革など、消費者行政のデジタル化を進めてまいります。
  • このほか、来年4月の成年年齢18歳への引下げを見据えた消費者教育の充実、孤独・孤立に陥りやすい高齢者や障害者の見守りを含む地方消費者行政の基盤強化、消費者ホットライン「188」(いやや)の周知・広報、所管法令の厳正な執行、消費者契約法の見直しに向けた検討等にも全力で取り組みます。
  • 今後も消費者を取り巻く環境の変化に伴って生じる様々な課題に対し、消費者行政の司令塔として、関係省庁と連携し、スピード感を持って対応してまいります。
  • 世界消費者権利デーが、全てのステークホルダーが共に消費者を取り巻く課題について思いをはせる機会となることを願い、ここにメッセージを発信いたします。

~NEW~
消費者庁 社会への扉 ―12のクイズで学ぶ自立した消費者―(高校生(若年者)向け消費者教育教材 生徒用教材・教師用解説書)
▼生徒用教材「社会への扉―12のクイズで学ぶ自立した消費者―」
  • 店で買い物をするとき、契約が成立するのはいつ?
    • 店員が「はい、かしこまりました」と言ったとき。
    • ライフステージと契約:消費者と事業者とが、お互いに契約内容(商品の内容・価格・引き渡し時期等)について合意をすれば契約は成立する。つまり、口約束でも契約は成立する。契約書や印鑑・サインは証拠を残すためのもの。
  • 店で商品を買ったが、使う前に不要になった。解約できる?
    • 解約できない。
    • 契約は「法的な責任が生じる約束」なので拘束力がある
  • 17歳の高校生が、保護者に内緒で10万円の化粧品セットを契約した。この契約は取り消せる?
    • 未成年者取消しができる。
    • 社会経験の少ない未成年者が法定代理人(親権者などの保護者)の同意を得ずに契約した場合、契約を取り消すことができる。
    • 未成年者取消しは、未成年者自身からでも、法定代理人からでもできる。
    • 取消しにより、未成年者は受け取った商品があれば事業者に返品し、支払った代金があれば返金される。ただし、小遣いの範囲の少額な契約、結婚をしている者、成人であると積極的にウソをついたり、法定代理人の同意があるとウソをついたりした場合等は、未成年者取消しができない。
  • 街で呼び止められ、展示会場に行ったら勧誘され、断れなくて10万円の絵画を契約してしまった。この契約をクーリング・オフすることはできる?
    • 契約してから8日間であれば、クーリング・オフできる。
    • 「契約は守らなければならない」のが原則だが、消費者トラブルになりやすい取引については、契約をやめることができる特別な制度としてクーリング・オフがある(特定商取引法)。理由は関係ない
    • クーリング・オフをすると、消費者は受け取った商品を事業者に返品し、支払った代金は全額返金される。
  • ネットショップでTシャツを買ったけれど似合わない。クーリング・オフできる?
    • クーリング・オフできない。
    • ネットショッピングは法律上のクーリング・オフ制度はない。
    • ただし、ネットショップ独自に、返品の可否や、その条件についてのルールを定めている。
    • 返品のルール(利用規約)を、注文前に必ず確認しよう
  • 買い物をした後日に代金を支払うことになるのはどれ?
    • クレジットカードで買う。
    • カード会社が代金を立て替えて販売店に支払う。消費者は先に商品を手に入れて、支払期日までに一括または分割でカード会社に支払う。
    • 支払期日までに、お金を用意しておく必要がある。
  • クレジットカードの支払方法で、1つ1つの商品の残高が分かりにくいのは?
    • リボルビング払い(リボ払い)
    • リボ払いは、月々の支払を一定額または残高に対する一定の割合に抑えられるが、支払期間が長くなりがちなので、手数料がかさみ、その結果支払総額も増える。
    • リボ払いは定期的な支払が続き、残高が分かりにくくなる。
  • 自動車教習所へ通うため金融機関から20万を年利(金利)17%で借りた。毎月5,000円ずつ返済した場合の返済総額は?
    • 約29万円(60か月(5年)で完済(返済が終了)する。)
    • 金融機関からお金を借りたら利息を付けて返す。利息=借りた金額(元金)×年利(金利)×借入期間
    • 月々決まった金額を返済した後の残金に対して、また利息が付くので、少額ずつ返済する場合は返済期間が長くなり返済額の合計は高くなる。
    • 奨学金制度(返済が必要な貸与型)、住宅ローンも借金であることは同じ。
    • 借りる前に、金融機関が提示する返済計画表を確認し、目的の実現後の返済計画を具体的に考えてみよう。
  • 「必ずもうかる投資」ってあるの?
    • 「必ずもうかる投資」はない。
    • 金融商品の中には、元本保証があるものと元本保証がないものがある。
    • 一般的に高収益であるほどリスクも高くなる。また、元本以上の損失が発生する可能性のある仕組みの金融商品もある。
    • 多様な金融商品が出回っているが、仕組みやリスクをよく理解できない場合は、絶対に手を出さない。
    • リスクをよく理解し、認識した上で投資をすることも、選択肢の一つ。
  • 製品による事故が発生したとき損害賠償を求めることができる?
    • 欠陥による損害であれば、治療費なども含め、広く損害賠償を求めることができる。
  • 消費者トラブルにあったとき、あなたならどうする?
    • 消費生活センターや事業者(お客様相談室)に相談する。

消費者庁 虚偽・誇大なアフィリエイト広告に関する注意喚起
  • アフィリエイト広告を見て、通信販売の化粧品を購入した消費者から、「シミが消えるなどと表示されていたので信じて購入したが、表示されていたような効果はなかった。」といった相談が、各地の消費生活センターなどに数多く寄せられています。
  • 消費者庁と長野県が合同で調査を行ったところ、株式会社Libeiro(以下「Libeiro」といいます。)が販売する「エゴイプセビライズ」と称する化粧品(以下「エゴイプセビライズ」といいます。)と、株式会社シズカニューヨーク(以下「シズカニューヨーク」といいます。)が販売する「シズカゲル」と称する医薬部外品(以下「シズカゲル」といいます。)の販売において、それぞれ消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為(虚偽・誇大な広告・表示)を確認したため、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。
  • また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します。
  • 具体的な事例の概要
    1. アフィリエイト広告による集客
      • Libeiroとシズカニューヨークは、それぞれ、アフィリエイトサービスプロバイダ(以下「ASP」といいます。)に対し、アフィリエイトプログラム1による広告宣伝を委託しています。
    2. Libeiroのアフィリエイト広告によるトラブル事例の概要
      • Libeiroが販売する「エゴイプセビライズ」のアフィリエイト広告には、例えば、肌のシミが数日で確実に消えるかのような内容(SNSの投稿画像、体験談など)が表示されています。
      • これにより、消費者は、「エゴイプセビライズ」を使用することにより、肌のシミが数日で確実に消えると認識して、当該商品に興味を持ちます。
      • また、アフィリエイト広告には、「定期縛り無し!いつでも解約OK!」などと強調して表示されていたり、通常価格9,800円の「エゴイプセビライズ」が2,980円で購入できるかのように表示されていたりすることから、消費者は、特別セール価格で試してみて、気に入らなければ解約すればよいなどと考え、アフィリエイト広告の「お得に購入できる公式サイトはこちら」などと表示されたバナー広告などをクリックして販売用ウェブサイトにアクセスし、当該サイトにおいて当該商品を購入します。
      • 「エゴイプセビライズ」到着後、消費者は、実際に当該商品を使用してみますが、広告に表示されていたような、肌のシミが数日で消えるなどといった期待していた効果が感じられないことに落胆し、Libeiroに解約を申し出て、当該商品の使用を中止します。
    3. シズカニューヨークのアフィリエイト広告によるトラブル事例の概要
      • シズカニューヨークが販売する「シズカゲル」のアフィリエイト広告には、例えば、肌のシミが数日で確実に消えるかのような内容(SNSの投稿画像、体験談など)が表示されています。
      • これにより、消費者は、「シズカゲル」を使用することにより、肌のシミが数日で確実に消えると認識して、当該商品に興味を持ちます。
      • また、アフィリエイト広告には、「定期縛り無し!1回で解約OK!」などと強調して表示されていることも相まって、消費者は、試してみて気に入らなければ解約すればよいなどと考え、アフィリエイト広告の「お得に購入できる公式サイトはこちら」などと表示されたバナー広告などをクリックして販売用ウェブサイトにアクセスし、当該サイトにおいて当該商品を購入します。
      • 「シズカゲル」到着後、消費者は、実際に当該商品を使用してみますが、広告に表示されていたような、肌のシミが数日で消えるなどといった期待していた効果が感じられないことに落胆し、シズカニューヨークに解約を申し出て、当該商品の使用を中止します。
  • 消費者庁から皆様へのアドバイス
    • インターネットにおいては、「エゴイプセビライズ」や「シズカゲル」のアフィリエイト広告のように、シミやシワを短期間で確実に消す効果がないにもかかわらず、事実とは異なる表示を行う等の虚偽・誇大なアフィリエイト広告によって、消費者を商品販売サイトに誘い込む手口がみられますので、十分に注意しましょう。
    • 通信販売で化粧品や健康食品などを購入する際に、お試しで購入できるかのように、通常販売価格よりも安い「初回限定価格」などの好条件が強調されているような場合には、定期購入なのかどうか、支払総額はいくらか、購入回数の縛りはないか、解約・返品の方法など、契約内容を最後まで確認しましょう。
    • 商品を購入後、定期購入になっていることに気付き、商品を返品したり、メールで解約を申し出たりすることで、解約できたものと考えがちですが、契約上、規約にのっとった解約手続をしなければならない場合があるので、解約のためにはどのような手続が必要かよく確認しましょう。
    • 取引に関して不審な点があった場合には、各地の消費生活センターなどや警察に相談しましょう。

消費者庁 第204回国会(常会)提出法案
▼消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案 概要
  • 消費者の脆弱性につけ込む悪質商法に対する抜本的な対策強化、新たな日常における社会経済情勢等の変化への対応のため、特定商取引法・預託法等の改正による制度改革によって、消費者被害の防止・取引の公正を図る
    1. 特定商取引法の主な改正内容
      1. 通販の「詐欺的な定期購入商法」対策
        • 定期購入でないと誤認させる表示等に対する直罰化
        • 上記の表示によって申込みをした場合に申込みの取消しを認める制度の創設
        • 通信販売の契約の解除の妨害に当たる行為の禁止
        • 上記の誤認させる表示や解除の妨害等を適格消費者団体の差止請求の対象に追加
      2. 送り付け商法対策
        • 売買契約に基づかないで送付された商品について、送付した事業者が返還請求できない規定の整備等(現行では消費者が14日間保管後処分等が可能→改正後は直ちに処分等が可能に)
      3. 消費者利益の擁護増進のための規定の整備
        • 消費者からのクーリング・オフの通知について、電磁的方法(電子メールの送付等)で行うことを可能に(預託法も同様)
        • 事業者が交付しなければならない契約書面等について、消費者の承諾を得て、電磁的方法(電子メールの送付等)で行うことを可能に(預託法も同様)
        • 外国執行当局に対する情報提供制度の創設(預託法も同様)
        • 行政処分の強化等
    2. 預託法の主な改正内容
      1. 販売預託の原則禁止
        • 販売を伴う預託等取引を原則禁止とし、罰則を規定
        • 原則禁止の対象となる契約を民事的に無効とする制度の創設
        • 預託等取引契約:3か月以上の期間にわたり物品の預託を受けること及び当該預託に関し財産上の利益の供与を約するもの
        • 例外的に認める場合には、厳格な手続の下、消費者庁が個別に確認
      2. 預託法の対象範囲の拡大
        • 現行の預託法の対象の限定列挙の廃止→全ての物品等を対象に
      3. 消費者利益の擁護増進のための規定の整備
        • 行政処分の強化等
    3. 消費者裁判手続特例法の改正内容
      • 被害回復裁判に資するために、特定適格消費者団体に対し、特定商取引法及び預託法の行政処分に関して作成した書類の提供を可能に
▼取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律案 概要
  • オンラインモールなどの「取引デジタルプラットフォーム(取引DPF)」においては、危険商品等の流通や販売業者が特定できず紛争解決が困難となる等の問題が発生。これに対応し消費者利益の保護を図るための新法案を整備
    1. 取引DPF提供者の努力義務(第3条)
      • 取引DPFを利用して行われる通信販売取引(BtoC取引)の適正化及び紛争の解決の促進に資するため、以下の(1)~(3)の措置の実施及びその概要等の開示についての努力義務(具体的内容については指針を策定)
        1. 販売業者と消費者との間の円滑な連絡を可能とする措置
        2. 販売条件等の表示に関し苦情の申出を受けた場合における必要な調査等の実施
        3. 販売業者に対し必要に応じ身元確認のための情報提供を求める
    2. 商品等の出品の停止(第4条)
      • 内閣総理大臣は、危険商品等(※1)が出品され、かつ、販売業者が特定不能など個別法の執行が困難な場合(※2)、取引DPF提供者に出品削除等を要請
      • 要請に応じたことにより販売業者に生じた損害について取引DPF提供者を免責

        ※1 重要事項(商品の安全性の判断に資する事項等)の表示に著しい虚偽・誤認表示がある商品等

        ※2 販売業者が特定可能等の場合は特商法等により対応
    3. 販売業者に係る情報の開示請求権(第5条)
      • 消費者が損害賠償請求等を行う場合に必要な範囲で販売業者の情報の開示を請求できる権利を創設

        ※1 取引DPF提供者は、適切な手順に従って開示請求に応じた場合、販売業者に対し責任を負わない

        ※2 損害賠償請求額が一定金額以下の場合や不正目的の場合は対象外
    4. 官民協議会(第6条~第9条)・申出制度(第10条)
      • 国の行政機関、取引DPF提供者からなる団体、消費者団体等により構成される官民協議会を組織し、悪質な販売業者等への対応など各主体が取り組むべき事項等を協議
      • 消費者等が内閣総理大臣(消費者庁)に対し消費者被害のおそれを申し出て適当な措置の実施を求める申出制度を創設
  • 公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行
  • あわせて、施行状況及び経済社会情勢の変化を勘案した施行後3年目途の見直しを規定

消費者庁 インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する要請について(令和2年10月~12月)
  • 消費者庁では、令和2年10月から12月までの期間、インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示の監視を実施しました。
  • この結果、インターネットにおいて健康食品等を販売している150事業者による152商品の表示について、健康増進法第65条第1項の規定に違反するおそれのある文言等があったことから、これらの事業者に対し、表示の改善を要請するとともに、当該事業者がショッピングモールに出店している場合には、出店するショッピングモール運営事業者に対しても、表示の適正化について協力を要請しました。
  • 消費者庁では、引き続き、健康食品等の広告その他の表示に対する継続的な監視を実施し、法に基づく適切な措置を講じてまいります。
  • 検索方法
    • ロボット型全文検索システムを用いて、検索キーワードによる無作為検索の上、検索された商品のサイトを目視により確認。
  • 主な検索キーワード
    • 「がん」、「生活習慣病」、「インフルエンザ」、「風邪」等の疾病の治療又は予防を目的とする効果があるかのような表現
    • 「免疫力」、「冷え性」等の身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果があるかのような表現
    • 「肌荒れ」、「ダイエット」等の身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変える効果があるかのような表現
  • 監視結果及び改善要請
    • 監視の結果、インターネットにおいて健康食品等を販売している150事業者による152商品について、健康増進法第65条第1項の規定に違反するおそれのある文言等を含む表示を行っていたことが確認されたため、当該事業者に対し、当該表示の改善を要請した。
    • また、当該事業者がショッピングモールに出店している場合には、出店するショッピングモール運営事業者に対しても、同要請を行った旨を通知し、当該運営事業者に表示の適正化について協力を要請した。

消費者庁 対応困難者への相談対応標準マニュアル作成
▼概要
▼報告書
  1. 対応困難者への相談対応標準マニュアルの作成について
    • 現状
      • 消費生活センター等の消費生活相談において、丁寧な説明を繰り返しているにもかかわらず、社会通念から逸脱する主張・要求を止めようとしない相談者(対応困難者)への対応が課題。
      • 無理な対応を強要、執拗な電話、言葉(大声、罵詈雑言など)、圧力(「ネットに書き込む」など)、暴力など
      • 消費生活相談の現場からは、コロナ禍において、こうした相談者が増えているとの声もある。
    • 社会への負の影響
      • 相談員が一人の対応困難者に掛かりきりになることにより、他の相談者の相談機会(時間)が失われる
      • 消費生活相談員の精神的な疲弊
    • 標準マニュアル
      • 地域の現場における対応困難者への対応について、実践的な対処法、行政サービスとしての判断のよりどころとして、標準的な方向性を示したもの。
      • (公社)全国消費生活相談員協会へ作成を委託。
      • 有識者検討会、試用版を活用した実証実験、地方自治体(名古屋市)からのヒアリング等を基に作成。
  2. 対応困難者への相談対応標準マニュアルポイント
    1. 初期対応の重要性
      • 対応困難者をできるだけ少なくすることが対策の一つ。
        • 先入観を持たず、平常心で対応
        • 丁寧に聞く姿勢
        • 対応できないことは「できない」と率直に伝える
        • 相談者に応じた分かりやすい説明・説得
    2. 相談終了への流れ
      • 相談者を説得できず、主張の繰り返し、罵詈雑言等消費生活相談とは言えない状況になったら、「傾聴」から「相談終了」へと対応を切り替える。
        1. 一定時間、相談者の主張を聞き取り、説明。
          • 更に一定時間説明を尽くしても、主張の繰り返し、大声を出すなど話が進展しないときは、相談終了の旨を伝え電話を終了。
        2. 罵詈雑言が始まったら、相談者の言動を制止し、それでも止まなければ相談を終了。
          • 一定時間としては、例えば目安として概ね30分程度が考えられるが、相談内容、相談者によって異なる。
    3. 組織での対応
      1. 二次対応者(職員)への引継ぎ
        • 電話を切ることができない場合、相談員に対する非難等の場合、二次対応者(職員)へと対応者を交替
      2. 複数の職員、庁内関係者との連携した対応
        • 来所相談の場合には、複数の職員で対応、時間を区切って組織的に対応することが考えられる。
        • 相談員から引き継いだ職員が相談終了を告げ、退去を促す→庁舎管理規則に基づく退去要請(警備員へ通報)→従わない場合、警察に通報
    4. 日常の取組
      1. 相談員・職員のメンタルケア
        • 相談員、相談担当職員全員の課題として共有(1人で抱え込まない)
        • 臨床心理士など専門家の活用
      2. 研修(意見交換、ロールプレイなど)の実施

消費者庁 第4回 公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会
▼資料2 公益通報者保護法に基づく指針等に関する検討会 報告書(案)
  1. 部門横断的な窓口の設置等
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口を設置し、当該窓口に寄せられた内部公益通報について調査をし、是正に必要な措置をとる部署及び責任者を明確に定めなければならない
      • 内部公益通報受付窓口については、事業者内の部署に設置するだけではなく、事業者外(外部委託先、親会社等)に設置することや、双方に設置することも可能であること。
      • 組織の実態に応じて、内部公益通報受付窓口が他の通報窓口(ハラスメント通報・相談窓口等)を兼ねることや、内部公益通報受付窓口を設置した上、これとは別に不正競争防止法違反等の特定の通報対象事実に係る通報のみを受け付ける窓口を設置することが可能であること。
      • 人事部門に内部公益通報受付窓口を設置することが妨げられるものではないが、人事部門に内部公益通報をすることを躊躇する者が存在し、そのことが通報対象事実の早期把握を妨げるおそれがあることにも留意する必要があること。
      • 「部署及び責任者」とは、内部公益通報受付窓口を経由した内部公益通報に係る公益通報対応業務について管理・統括する部署及び責任者をいい、調査や是正に必要な措置について別の部署や役職員が対応することも可能であること。
  2. 組織の長その他幹部からの独立性を確保する措置
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口に寄せられた内部公益通報に係る公益通報対応業務を行うに当たって、組織の長その他幹部に関係する事案については、これらの者からの独立性を確保する措置をとらなければならない。
      • 組織の長その他幹部からの独立性(以下単に「独立性」という。)を確保する方法として、監査機関(監査役・監査等委員・監査委員等)も報告ラインに加える、これらの監査機関からモニタリングを受けながら公益通報対応業務を行う、といった方法が考えられること。
      • 単一の内部公益通報受付窓口を設ける場合にはそれを経由する公益通報対応業務に独立性を持たせるほか、複数の窓口を設ける場合にはそれらのうち少なくとも一つを経由する公益通報対応業務に独立性を持たせるなど、事業者の規模に応じた方法も考えられること。
      • 法第11条第2項について努力義務を負うにとどまる小規模な事業者においても、組織の長その他幹部からの影響力が不当に行使されることを防ぐためには、独立性を確保する仕組みを設けるよう特に努めるべきであること。
  3. 受付、調査、是正に必要な措置
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口において内部公益通報(匿名による場合を含む。)を受け付け、正当な理由がある場合を除いて、必要な調査を実施しなければならない。
    • 事業者は、上記の調査の結果、通報対象事実に係る法令違反行為が明らかになった場合には、速やかに是正に必要な措置をとらなければならない。また、是正に必要な措置をとった後、当該措置が適切に機能しているかを確認し、適切に機能していない場合には、改めて是正に必要な措置をとらなければならない。
      • 匿名の内部公益通報者との連絡をとる方法として、受け付けた際に個人が特定できないメールアドレスを利用して連絡するよう伝える、匿名での連絡を可能とする仕組み(外部窓口から事業者に公益通報者の氏名等を伝えない仕組み、チャット等の専用のシステム等)を導入する、といった方法が考えられること。
      • 調査を実施しない「正当な理由」がある場合として、解決済みの案件に関する情報が寄せられた場合、匿名による内部公益通報であるために事実確認が困難である場合等が考えられること。
      • 公益通報者の意向に反して調査を行うことが原則として妨げられるものではないが、公益通報者の意向に反して調査を行う場合においても、公益通報者とコミュニケーションを十分にとるよう努め、プライバシー等の公益通報者の利益が害されないように配慮すべきこと。
      • 是正に必要な措置が適切に機能しているかを確認する方法としては、是正措置から一定期間後に主体的に調査を行う方法のほか、特定の個人が被害を受けている事案においては問題があれば再度申し出るよう公益通報者に伝える等、状況に応じた様々な方法が考えられること。
      • 内部公益通報受付窓口を経由しない内部公益通報を受けた役職員においても、自ら事実確認を行い是正する、公益通報者の秘密に配慮しつつ調査を担当する部署等に情報共有する等の方法により、調査や是正に必要な措置を速やかに実施することが望ましいこと。
  4. 公益通報対応業務における利益相反の排除
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関し、公益通報対応業務を行う者(外部委託する場合も含む。)について、その者が関係する事案の公益通報対応業務に関与させない措置をとらなければならない
      • 「その者」の具体的な範囲については、公正な公益通報対応業務の実施を阻害する事態を防ぐ観点から、各事業者において、法令違反行為の発覚や調査の結果により不利益を受ける者、公益通報者や被通報者と一定の親族関係がある者等、適切な範囲を検討の上、内部規程において具体的な範囲を明確にすることが望ましいこと。
      • 外形的に内部公益通報に係る事案と一定の関係を有する者であっても、公正さが確保できる部署のモニタリングを受けながら対応をする等、実質的に公正な公益通報対応業務の実施を阻害しない措置がとられている場合には関与させることが妨げられないこと。
      • 当初から内部公益通報に係る事案に関係するか判明しない場合には、事案に関係することが判明した段階において、公益通報対応業務への関与から除外することが必要であること。
  5. 不利益な取扱いを防止する体制の整備
    • 事業者は、その役職員等が不利益な取扱いを行うことを防ぐための措置をとるとともに、公益通報者が不利益な取扱いを受けていないか把握する措置をとり、不利益な取扱いを把握した場合には、適切な救済・回復の措置をとらなければならない。
    • 事業者は、不利益な取扱いが行われた場合に、当該行為を行った役職員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分その他適切な措置をとらなければならない。
      • 不利益な取扱いを防ぐための措置の例としては、役職員等に対する教育・周知、内部公益通報受付窓口において不利益な取扱いに関する相談を受け付けること等が考えられること。
      • 不利益な取扱いを受けていないかを把握する措置としては、公益通報者に対して能動的に確認する方法のほか、不利益な取扱いを受けた際に内部公益通報受付窓口に連絡するよう公益通報者にあらかじめ伝えておく方法等が考えられること。
  6. 範囲外共有等を防止する体制の整備
    • 事業者は、その役職員等が範囲外共有を行うことを防ぐための措置をとり、範囲外共有が行われた場合には、適切な救済・回復の措置をとらなければならない。
    • 事業者は、その役職員等が、公益通報者を特定した上でなければ必要性の高い調査が実施できないなどのやむを得ない場合を除いて、通報者の探索を行うことを防ぐための措置をとらなければならない。
    • 事業者は、範囲外共有や通報者の探索が行われた場合に、当該行為を行った役職員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分その他適切な措置をとらなければならない。
      • 範囲外共有を防ぐための措置の方法としては、公益通報者を特定させる事項の秘匿性に関する社内教育の実施、公益通報に関する記録の保管方法やアクセス権限等の規程における明確化等が考えられること。
      • 特に、ハラスメント事案等で被害者と公益通報者が同一の事案においては、公益通報者を特定させる情報を共有する際に、当該公益通報者からの書面による承諾をとることが望ましいこと。
  7. 範囲外共有及び通報者の探索を防止すべき「役職員等」には内部公益通報受付窓口に関する外部委託先も含むこと。
    • 役職員及び退職者に対する教育・周知
    • 事業者は、公益通報者保護法及び内部公益通報対応体制について、役職員及び退職者に対して教育・周知を行わなければならない。特に、従事者に対しては、公益通報者を特定させる事項の取扱いについて、特に十分に教育を行わなければならない。
      • 事業者は、役職員及び退職者から寄せられる、内部公益通報対応体制の仕組みや不利益な取扱いに関する質問・相談に対応しなければならない。
      • 教育・周知に当たっては、単に規程の内容を役職員に形式的に知らせるだけではなく、組織の長が主体的かつ継続的に制度の利用を呼びかける等の手段を通じて、公益通報の意義や組織にとっての内部公益通報の重要性等を役職員に十分に認識させることが必要であること。
      • 内部公益通報対応体制の仕組みを周知する際には、内部公益通報受付窓口の設置先、通常のレポーティングラインにおいても部下等から内部公益通報を受ける可能性があること、内部公益通報受付窓口に内部公益通報した場合と通常のレポーティングラインにおいて内部公益通報をした場合との保護の差異についても、明確に示す必要があること。
      • 教育・研修の内容を役職員の立場・経験年数等に応じて用意する(階層別研修等)、周知のツールに多様な媒体を用いる(イントラネット、社内研修、携行カード・広報物の配布、ポスターの掲示等)など、実効的な方法を各事業者の創意工夫により検討し、実行する必要があること。
      • 公益通報者保護法について教育・周知を行う際には、権限を有する行政機関等への公益通報も公益通報者保護法において保護されているという点も含めて、公益通報者保護法全体の内容を伝える必要があること。
      • 退職者に対する教育・周知の具体例として、在職中に、退職後も公益通報ができることを教育・周知することが考えられること。
      • 従事者に対する教育については、実施状況の管理を行うなどして、通常の役職員と比較して、特に実効的に行う必要があること。
      • 臨時に従事者となる者に対する教育については、実際に従事する業務の実態に応じて、常時の従事者への教育とは内容が異なり得ること。
      • 内部公益通報対応体制の仕組みの質問・相談については、内部公益通報受付窓口以外においても対応することが可能であること。
      • 不利益な取扱いに関する質問・相談については、内部公益通報受付窓口においても対応することが適切であること。
  8. 是正措置等の通知
    • 事業者は、書面により内部公益通報を受けた場合において、当該内部公益通報に係る通報対象事実の中止その他是正に必要な措置をとったときはその旨を、当該内部公益通報に係る通報対象事実がないときはその旨を、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において、当該内部公益通報を行った者に対し、遅滞なく通知しなければならない。
      • 通知の方法としては、通報者個人に通知をする方法のほか、全社的な再発防止策をとる必要がある場合に役職員全員に対応状況の概要を定期的に伝えるなど、状況に応じた様々な方法が考えられること。
      • 通報の受付や調査の開始についても通知する、通知するまでの具体的な期間を示すなど、適正な業務の遂行等に支障が生じない範囲内において、公益通報者に対してより充実した情報提供を行うことが望ましいこと。
      • 内部公益通報受付窓口の担当者以外の者(いわゆる上司等)も内部公益通報を受け得るが、内部公益通報を受けた者の立場に応じて、実施すべき通知の内容は変わり得るものであること(内部公益通報を受けた者が職制上の明確な権限を有しない者である場合には、通知を求められた場合に対応するなどの方法もあり得ること)。
  9. 運用実績の役職員への開示、記録の保管、見直し・改善
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口に寄せられた内部公益通報に関する運用実績の概要を、適正な業務の遂行及び利害関係人の秘密、信用、名誉、プライバシー等の保護に支障がない範囲において役職員に開示するとともに、内部公益通報への対応に関する記録の作成・保管、内部公益通報対応体制の定期的な評価・点検を実施し、必要に応じて内部公益通報対応体制の改善を行わなければならない。
      • 運用実績の役職員への開示に当たっては、公益通報とそれ以外の通報とを厳密に区別する必要は必ずしもないこと。
      • 運用実績を役職員に対してのみならず外部にも開示することは、実効性の高いガバナンス体制を構築していることを対外的に示すことができるメリットがあること。
      • 運用実績とは、例えば、過去一定期間における通報件数、是正の有無、対応の概要、内部公益通報を促すための活動状況等が考えられるが、開示の内容・方法を検討する際には、公益通報者を特定させる事態が生じないよう十分に留意する必要があること。
      • 記録の保管期限については、個々の事業者が、評価点検や個別案件処理の必要性等を検討した上で適切な期間を定めるべきであるが、記録には公益通報者を特定させる事項等の機微な情報が記載されていることを踏まえ、文書記録の閲覧やデータへのアクセスに制限を付すなど、慎重に保管すべきこと。
  10. 内部規程の策定及び運用
    • 事業者は、この指針において求められる事項について、内部規程において定め、また、当該規程の定めに従って運用しなければならない。
  11. 従事者として定めなければならない者の範囲
    • 事業者は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して、公益通報対応業務を行う者で、公益通報者を特定させる事項を伝達される者を、従事者として定めなければならない。
      • 上記の指針の内容を踏まえれば、内部公益通報受付窓口を経由した内部公益通報について、公益通報者を特定させる事項14を伝達された上で、臨時に公益通報対応業務を行う者については、常時に従事者として定める必要はなく、必要が生じた都度臨時に定める必要があること
      • コンプライアンス部、総務部等の名称にかかわらず、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に関して、公益通報対応業務を行う者で、公益通報者を特定させる事項を伝達される者であるかを実質的に判断して、従事者として定める必要があること。
  12. 従事者を定める方法
    • 事業者は、従事者を定める際には、書面により指定をするなど、従事者の地位に就くことが従事者となる者自身に明らかとなる方法により定めなければならない。
      • 従事者を定める方法としては、個別に通知する方法のほか、部署・部署内のチーム・役職等の特定の属性で指定することも可能であること。
      • 従事者を外部に委託する際においても、同様に、従事者の地位に就くことが従事者となる者自身に明らかとなる方法により定めなければならないこと。
      • 範囲外共有がされないとの安心感により内部公益通報を促すため、役職員や退職者に対しても、従事者が誰であるのかを、業務の遂行等に支障が生じない範囲で明らかにすることが望ましいこと。

【国民生活センター】

【2021年5月】

~NEW~
国民生活センター 眼鏡型の拡大鏡 着用したまま歩くと危険です
  • 内容
    • 事例1:父が眼鏡型の拡大鏡を着用したまま歩いたところ、段差で転倒し、肋骨を骨折した。(当事者:80歳代 男性)
    • 事例2:眼鏡型の拡大鏡を30分ほど使用したところ、外した後、目の焦点が合わず、吐き気をもよおし、しばらく横になるほど気分が悪くなった。(当事者:60歳代 男性)
  • ひとこと助言
    • 眼鏡型の拡大鏡は、手の届く程度の距離にあるものを拡大して見るための商品で、視力を矯正するものではありません。手の届かないほど離れた距離のものは明瞭に見ることができないため、着用したまま歩行すると転倒する恐れがあるのでやめましょう。
    • 既製品である眼鏡型の拡大鏡は一人ひとりに合わせて作られていません。できるだけ購入前に使用感等を確認し、眼鏡を持っている場合は、眼鏡との重ね掛けも試しましょう。
    • 見え方に異常が生じて気分が悪くなったり、頭痛やめまいが起きたりすることもあります。眼や見え方に異常を感じたら、使用を中止しましょう。

~NEW~
国民生活センター 不用な家電を回収するという回収業者にビデオデッキのリサイクル料金を徴収された
  • 質問
    • 「家電製品などの不用品を回収する」という回収業者が軽トラックで近くに来たので、壊れたビデオデッキの回収を依頼したところ、リサイクル料金として2,000円を請求されました。ビデオデッキにも法律上のリサイクル料金がかかるのですか?
  • 回答
    • ビデオデッキについて、リサイクル料金等を定めている法律はありません。2,000円は回収業者が設定した価格と思われます。
    • 廃棄にあたっては、お住まいの自治体のルールに従ってごみとして出すか、一般廃棄物収集運搬業の許可等を得ている業者に処分を依頼することが必要です。
    • また、ビデオデッキは「小型家電リサイクル法」の対象品となっているため、自治体によっては小型家電として回収している場合等があります。
    • まずは、お住まいの自治体に、ビデオデッキの廃棄方法について確認をしましょう。
  • 解説
    • 家庭の廃棄物を業者が回収するには、廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)に基づく市区町村の”一般”廃棄物収集運搬業の許可または委託を受けることが必要です。”産業”廃棄物収集運搬業の許可や古物商の許可では、家庭の廃棄物を回収することはできません。
    • また、ビデオデッキは、小型家電リサイクル法(使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律)の対象製品です。
    • お住まいの自治体において、小型家電としてビデオデッキのリサイクル回収を案内している場合には、それに従ってリサイクル回収にご協力ください。料金についても自治体の案内に従ってください。
    • なお、家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)では、家庭用の以下の品目がリサイクルの対象となっており、これらの処分については、所定のリサイクル料金(再商品化等料金)と収集運搬料金が必要となります。
      • エアコン
      • テレビ(ブラウン管/液晶/プラズマ)
      • 冷蔵庫/冷凍庫
      • 洗濯機・衣類乾燥機
    • トラブルに遭わないために
      • ビデオデッキをはじめ家電リサイクル法の対象品以外は、法律上、リサイクル料金について定めはありませんが、処分のために費用がかかることがあります。
      • 廃棄の際は、お住まいの自治体にてリサイクル回収を行っていればそのルールに従い、行っていない場合は自治体の廃棄ルールに従い、大きさや重量によって、不燃ゴミあるいは粗大ゴミとして処分してください。
      • 高額な費用を請求する、許可の確認ができない業者とのトラブルが全国の消費生活センター等に寄せられています。無許可の業者が家庭の不用品を回収することは基本的には認められておらず、引き渡すと、法律を守った適正な処理の確認ができません。
      • 不用品の回収を業者に依頼する際は、以下の点に注意しましょう。
        • 依頼する前に、お住まいの自治体のホームページや窓口で、営業許可の有無を確認しましょう
        • 依頼する前に、追加料金が発生する可能性の有無を確認しましょう
        • 業者から納得できない請求を受けたら、支払う前に最寄りの消費生活センター等に相談しましょう
      • お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

国民生活センター 「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」の受付状況について(2)-「予約代行する」、「接種の説明に行く」など言われても、すぐには応じない!-
  • 国民生活センターでは、新型コロナワクチンの接種に便乗した消費者トラブルや悪質商法(ワクチン詐欺)に関する相談を受け付けるため、令和3年2月15日(月曜)より「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」を開設しています。
  • 各自治体でワクチン接種の予約が開始されていますが、「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」には自治体職員をかたり、「ワクチン接種の予約を代わりに申請する」と来訪してきたり、「ワクチン接種の説明に行く」と電話をかけ、来訪しようとする事例がみられます。そこで、被害の未然防止のために相談事例と消費者へのアドバイスを紹介します。
  • ワクチン接種に便乗した詐欺だと疑われる相談事例
    • 「ワクチン接種の予約代行をする」と市職員を名乗った人が訪ねてきた。詳しく質問しようとしたところ、ごまかして帰って行った
      • 先日、自宅マンションに「新型コロナワクチン接種の予約がなかなかとれないので、予約の代行をします」と男性が訪ねてきた。「市役所から来ました」というので部署名や担当者の名前を尋ねたところ、ごまかして帰って行った。料金については何も言っていなかった。(相談者:40歳代 男性)
    • 接種の予約をしていないのに、「ワクチン接種の説明に行く」と電話があり、個人情報の確認をされた
      • 高齢の母親が住む自治体の職員を名乗った電話があり、「新型コロナワクチン接種の申し込みを受け付けた。役員が説明に伺うので都合のいい日を教えてほしい。住所はこれで合っているか」と住所の確認をされたうえ、翌日の午後に約束をしたそうだ。予防接種の予約はしていないが、母は娘である私が予約をしたと思い、質問に答えたそうだ。(相談者:60歳代 女性、母親:80歳代)
  • 消費者へのアドバイス
    1. 自治体名を出して、「ワクチン接種の予約代行をする」と言われてもその場では応じず、お住まいの自治体に確認してください
      • 予約代行の費用として金銭を要求されたり、接種予約に関連して個人情報を聞かれたりする可能性もあるので応じないようにしましょう。
      • 接種については、市町村から「接種券」と「接種のお知らせ」が届くので、電話やインターネットで予約をする、という流れになります。予約の方法等については、「接種のお知らせ」等の記載を確認するとともに、自治体によってはホームページに電話が混み合う時間帯を記載していたり、予約をサポートする取り組みを行っていたりすることもありますので、各自治体にご確認ください。
    2. ワクチン接種に関連付けて金銭を求められたり、個人情報を聞かれたりしても応じないでください
      • ワクチン接種は無料です。「ワクチン接種の費用」、「優先して接種を受けるための費用」など、ワクチン接種に関連付けて金銭を求められても決して応じてはいけません。
      • また、行政機関(国や市区町村等)や団体等が、「ワクチン接種の説明に行く」などと来訪したり、「ワクチン接種に必要」などと言って個人情報や金融機関情報などを電話やメールで聞くことはありませんので、個人情報や金融機関情報などを聞かれても答えないでください。
    3. 少しでも「おかしいな?」、「怪しいな?」と思ったり、不安な場合はご相談ください
      • 新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン
      • 電話番号 フリーダイヤル:0120-797-188
      • 相談受付時間 10時~16時(土曜、日曜、祝日を含む)

国民生活センター 【若者向け注意喚起シリーズ<No.1>】美容医療サービスのトラブル-「10万円」のつもりが「70万円」の契約!?即日施術は避けリスク等の確認を!-
  • 美容医療サービスのトラブルが10~20歳代の若者に増えています。全国の消費生活センター等には、以下のような相談が寄せられています。
  • 相談事例
    • 【事例1】「10万円全身脱毛」の広告を見たが、実際は70万円の高額コースを勧められ解約したい
    • 【事例2】「手術当日に化粧できる」という二重まぶた形成術を受けたが、術後の腫れが引かない
  • トラブル防止のポイント
    • その場で契約・施術をしないようにしましょう
    • クリニックの広告には「誤認させるおそれのあるビフォーアフター写真」「費用を強調した広告」などのNG表現があることを知っておきましょう
    • 施術前にリスクや副作用を確認し、医師から十分に説明を受けて検討しましょう
    • 「お金がない」なら「契約しない」ときっぱり断りましょう
    • 2022年4月から『18歳で大人』に!一人で契約できる半面、原則として一方的にやめることはできません。不安に思った時、トラブルにあった時は「188」に相談しましょう

国民生活センター やめられない!? 占いサイトに気を付けて
  • 内容
    • 占いサイトの広告を見て、無料で鑑定してくれるというのでサイトに登録した。占い師から「あなたには強い守護霊がいる」などというメッセージをもらい、信用してしまった。その後、占い師が指示する言葉を送り返すように言われ、返信し続けた。やりとりには有料のポイントが必要で「今やめたら幸せは来ない」と言われ、気が付いたら約120万円も支払っていた。(60歳代 女性)
  • ひとこと助言
    • 占いサイトの中には、インターネットやSNS広告等で「無料鑑定」とうたっていても有料のやりとりへ誘導させるサイトもあります。また、氏名や生年月日、メールアドレス等の個人情報を入力すると、大量の迷惑メールが届くこともあります。無料だからといって、気軽に登録しないでください。
    • やりとりをすることで有料ポイントを消化させられることがあります。金運や恋愛運等について良い言葉が書かれたメッセージが届いても、安易に返信してはいけません。
    • 怪しい、やめたいと思ったら、退会する前にやりとりの内容などをスクリーンショット等で残しておきましょう。支払った料金等の返金を求めるための証拠となります。
    • 不審に思ったり困ったりしたときは、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

国民生活センター 「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」の受付状況について-ワクチン接種に関して「優先順位を上げる」「費用がかかる」などの相談が寄せられています-
  • 国民生活センターでは、新型コロナワクチンの接種に便乗した消費者トラブルや悪質商法(ワクチン詐欺)に関する相談を受け付けるため、令和3年2月15日(月曜)より「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」を開設しています。
  • 今回、開設から令和3年4月22日(木曜)までの受付状況をとりまとめるとともに、主な相談事例と消費者へのアドバイスを紹介します。
  • 受付状況
    • 741件の相談等を受け付け、そのうち、ワクチン詐欺が疑われる相談件数は17件でした。
    • ワクチン詐欺が疑われる相談事例
    • スマートフォンに「ワクチン接種の優先順位を上げる」というメッセージが届いた
    • 「ワクチンを優先的に接種できる」と所管省庁をかたった電話があった
    • 余ったワクチンを案内していると電話があった
    • 中国製ワクチンを有料で接種しないかという勧誘があった
    • 携帯電話に新型コロナワクチンの関連で私の口座情報等を尋ねる電話があった
  • 消費者へのアドバイス
    1. ワクチンの接種は無料です
      • 「ワクチン接種の費用」、「優先して接種を受けるための費用」など、ワクチン接種に関連付けて金銭を求められても決して応じないでください。
    2. ワクチンの接種に関連付けて個人情報等を聞きだそうとする電話等に注意してください
      • 行政機関(国や市区町村等)等が、「ワクチン接種に必要」などと言って個人情報や金融機関情報などを電話やメールで聞くことはありませんので、個人情報や金融機関情報などを聞かれても答えないでください。
    3. 少しでも「おかしいな?」、「怪しいな?」と思ったり、不安な場合はご相談ください

国民生活センター 新型コロナ ワクチン詐欺に注意
  • 内容
    • スマートフォンに「ワクチン接種の優先順位を上げる」というメッセージが届いた
    • 「ワクチンを優先的に接種できる」と所管省庁をかたった電話があった
    • 余ったワクチンを案内していると電話があった
    • 中国製ワクチンを有料で接種しないかという勧誘があった
    • 携帯電話に新型コロナワクチンの関連で私の口座情報等を尋ねる電話があった
  • ひとこと助言
    • 新型コロナワクチンの接種に便乗した消費者トラブルや悪質商法に関する相談が寄せられています。
    • 新型コロナワクチンの接種は無料です。ワクチン接種に関連付けて費用を求められても決して応じないでください。
    • 国や市町村などの行政機関等が「ワクチン接種に必要」などと言って個人情報や金融機関の情報を電話やメールで聞くことはありません。聞かれても答えないでください。
    • 少しでもおかしい、不安だと感じたときは、すぐに「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン0120-797-188」または、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

国民生活センター 「転売」で稼ぐ!? 簡単にはもうかりません
  • 事例
    • 友人から、ネットビジネスで稼げる話があると誘われ、カフェに行った。そこで会った男性から「仕入れたものをネットオークションやフリマサイトで転売すればもうかる。まずは、50万円払ってノウハウを学ぶ必要がある」と言われた。「お金がない」と言うと消費者金融に連れていかれ、指示されるままに借金をし、その場で男性に渡した。その後、数回男性からノウハウを聞いたが、役立つ内容ではなかった。解約して全額返してほしいが、連絡が取れなくなった。(当事者:大学生 女性)
  • ひとことアドバイス
    • インターネット通販等で仕入れた商品を、フリマサイトやネットオークションで販売する「転売ビジネス」のトラブルが寄せられています。
    • もうけるためのノウハウ、サポート、会員登録などで高額な費用が必要と言われたら要注意です。「簡単にもうかる」「すぐに元が取れる」などと説明されても、安易に信用せず、必要なければきっぱり断りましょう。
    • 「お金がない」と断ると、借金をするように勧められ、断り切れなくなる場合があります。「契約しない」「やらない」と明確に伝えましょう。
    • 未成年の契約は、取り消しができることもあります。困ったときは、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

【2021年4月】

国民生活センター 宅配便業者を装ったSMS URLにアクセスしないで
  • 内容
    • スマホの通信費が前月より2万円ほど高かったので、携帯電話会社に確認したところ、自分のスマホから海外にSMSを送信していたと判明した。数カ月前に「荷物を預かっている」というSMSが届き、URLをタップした。そのときに不審なアプリをダウンロードしてしまったのかもしれない。(70歳代 女性)
  • ひとこと助言
    • 宅配便業者の不在通知を装って送られてくるSMS(ショートメッセージサービス)に、偽サイトに誘導するためのURLが記載されており、アクセスしたことにより、自分のスマホが不正利用されるという被害が起きています。
    • SMSで不在通知が届いても、記載されているURLにアクセスしてはいけません。電話窓口や公式ホームページ等で、宅配便業者の正式なサービスか調べ、真偽を確認しましょう。
    • URLにアクセスしてしまった場合は、不審なアプリがインストールされていないか確認しましょう。また、IDやパスワード、暗証番号等の個人情報を入力してはいけません。
    • 困ったときは、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

国民生活センター 狙われる!?18歳・19歳「金(かね)」と「美(び)」の消費者トラブルに気をつけて!
  • 民法改正により、2022年4月1日から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられます。未成年者が親の同意を得ずに契約した場合には、民法で定められた未成年者取消権によってその契約を取り消すことができますが、成年になって結んだ契約は未成年者取消権の行使ができなくなります。また、20歳代前半(20~24歳)で多くみられる儲け話や美容関連の消費者トラブルに、成年になったばかりの18歳・19歳も巻き込まれるおそれがあります。
  • そこで、若者の消費者トラブルの防止・解決のため、現在は「未成年」ですが民法改正で新たに「成年」となる18・19歳と、成年になって間もない20歳代前半にみられる傾向やアドバイスをまとめました。
    1. 相談事例
      • 未成年時に投資用USBを勧誘され、成人してすぐに借金を指南されて契約した:大学の寮の先輩から「バイナリーオプションで儲かっている。もっと儲かっている人から話を聞いてみないか」と誘われて、3人で会うことになった。先輩に紹介された人から「投資用USBを使用すると、1万円を1年間で何百万にすることができる。定年までの生涯年収では一生を暮らすことができない。投資用USBは50万円だが、今投資すれば後で楽に暮らすことができる」と説明された。その時はまだ19歳だったため、20歳になってから投資用USBを購入することになった。20歳になってすぐ契約書を記入したところ、学生ローンからの借り入れを指南され、学生ローン3社から合計50万円を借り入れて代金を支払った。その後、販売業者のセミナーに複数回参加したり、購入した投資用USBを使ってバイナリーオプションをやってみたりしたが、勧誘時の説明と異なり儲からない。契約を解約し、返金してほしい。
    2. その他、以下のような相談も寄せられています。
      • SNSで知り合った人に儲かる情報商材を勧誘され、契約したが儲からなかった
      • 無料エステ体験後、別室で執拗な勧誘を受け、高額なコースを契約してしまった
      • 包茎の無料相談に行ったら、親の同意なく即日施術されてしまった
      • 低価格で1回限りの購入だと思って申し込んだが、支払総額が高額な定期購入だった
      • 支払総額が高額な定期購入だとわかり、販売業者に未成年者契約の取り消しを求めたが拒否された
    3. 「18・19歳」「20~24歳」の消費生活相談の傾向
      • 「18・19歳」「20~24歳」の消費生活相談の傾向をみると、「18・19歳」「20~24歳」とも、ダイエットサプリメントやバストアップサプリメント、除毛剤などの詐欺的な定期購入商法、洋服などの詐欺・模倣品サイト、アダルト情報サイトや出会い系サイトといったインターネット通販のトラブルが多くみられます。
      • 「20~24歳」は「18・19歳」に比べて、情報商材、オンラインカジノ、暗号資産(仮想通貨)、投資用USBなどの儲け話のトラブル、エステティックサービスや医療脱毛、包茎手術等の美容医療などのトラブルが多くみられます。これらのトラブルのきっかけとしては(1)インターネット・SNSの広告・書き込み等を見て連絡をするケース、(2)SNSで知り合った人から誘われるケース、(3)学校や職場の友人・知人から誘われるケースがあります。
      • 「販売目的隠匿」「説明不足」「虚偽説明」「強引」「長時間勧誘」や「クレ・サラ強要商法」など問題のある販売方法・手口も目立ちます。
    4. 若者へのアドバイス
      • うまい話はうのみにせず、きっぱり断りましょう
      • クーリング・オフや消費者契約法など、消費者の味方になるルールを身につけましょう
      • トラブルに遭ったと感じた場合は、最寄りの消費生活センター等に相談しましょう

国民生活センター 液体芳香剤の誤飲事故等に注意!-乳幼児がリードディフューザーの液を誤飲して入院する事故が発生-
  • ボトルに入った液体芳香剤の液に「リードスティック」と呼ばれる木製の棒などの一端を浸して、吸い上げられた液を気化、拡散させるもの(以下、「リードディフューザー」とします。)(図参照)が家庭などで広く利用されています。
  • 2020年11月、「医師からの事故情報受付窓口」に、乳幼児がリードディフューザーに入っている液を誤飲し、肺の一部が空洞のようになる呼吸器障害を負って2週間程度入院、その後も通院を要しているという事故情報が寄せられました。
  • また、医療機関ネットワークには、2010年12月から2020年12月末までの約10年間に、乳幼児が液体芳香剤を誤飲したなどの事故情報が31件(注)寄せられています。
  • そこで、これらの事故情報を分析するとともに、販売されているリードディフューザーの表示や液の成分を調べ、リードディフューザーなどを使用する際の注意点等について、消費者へ情報提供することとしました。
    1. 液体芳香剤及びリードディフューザーとは
      • 液体芳香剤は、開封して使用を開始すると、芳香成分等が溶解した液が徐々に揮散し、液がなくなるまでの数カ月程度持続するものです。主流は、ろ紙、不織布、スポンジ、竹ひご等の一端を芳香成分を含む液に浸して吸い上げさせ、徐々に周囲に芳香成分が拡散するものです。その中で、リードスティックにより芳香成分を拡散する商品が、リードディフューザーと呼ばれています。リードスティックの本数や太さなどにより、香り立ちの強さを調整できるのが特徴です。
      • さまざまな香りをうたった商品がありますが、芳香成分を含む液には、水や10%前後のエタノールを含有し、植物抽出物や数%の有機酸、10~20%程度の界面活性剤を配合しているタイプや、香料や精油を溶剤(30~70%程度のイソパラフィン系などの炭化水素類やグリコールエーテル類等を含むもの)で希釈した、揮発性の低い液体のタイプなどがあります。エタノール、炭化水素類、グリコールエーテル類はいずれも、粘膜の刺激作用、中枢神経の抑制作用があるとされているもので、これらの成分を含む芳香剤の液が目に入ると痛みや充血、誤飲すると悪心(おしん)、嘔吐(おうと)のほか、量が多い場合は意識障害などが起こる可能性があります。また、誤えんすると肺炎につながる可能性もあります。
      • 参考:公益財団法人 日本中毒情報センター編「発生状況からみた急性中毒初期対応のポイント 家庭用品編」株式会社へるす出版、2016、「芳香剤・消臭剤-設置タイプ」(283-288)から一部引用。
      • 「医師からの事故情報受付窓口」に寄せられた事故情報:2020年11月、「医師からの事故情報受付窓口」に、リードディフューザーの液を誤飲して乳幼児が入院を要した事故(以下の【症例】)の情報が寄せられました。
    2. 症例
      • リードディフューザーの液を誤飲し、胸部CTにて肺の一部に空洞影がみられた。
      • 医療機関ネットワークに寄せられた事故情報:医療機関ネットワークには、2010年12月から2020年12月末までの約10年間に、3歳以下の乳幼児の「液体芳香剤」に関する事故情報が31件寄せられています。
    3. 主な「誤飲・誤えん」の事故事例
      • 【事例】リードディフューザーの液を誤飲し、誤えん性肺炎のおそれがあった。
      • 【事例】リードディフューザーの液を誤飲し、中毒症状を発症した。
      • 【事例】高さ1mの棚に置いてあったリードディフューザーの液を誤飲。
    4. 調査
      • インターネットショッピングモール(「co.jp」、「Yahoo!ショッピング」、「楽天市場」)で「リードディフューザー」が分類されるカテゴリにおいて、売れ筋ランキングの高い商品や、神奈川県相模原市、神奈川県横浜市、東京都町田市内の百貨店、ホームセンター、チェーンドラッグストア、チェーンストアで販売されている商品、合わせて10銘柄について、商品本体やパッケージの表示や液の成分を調べました。(検体購入:2020年11月~2021年1月、調査期間:2020年12月~2021年2月)
      • 10銘柄とも、乳幼児の手の届かないところで使用・保管するといった記載がありました。
      • 10銘柄とも、飲用ではないとの記載がありました。そのうち6銘柄では、誤飲した場合に医師の診察を受ける旨の記載があり、別の2銘柄では、誤飲して異常がある場合に医師の診察を受ける旨の記載がありました。
      • 4銘柄では、誤飲した際に吐かせないよう記載がありましたが、その理由まで記載している銘柄はありませんでした。
      • 10銘柄中2銘柄には、目に入った場合、医師の診察を受ける旨の記載があり、別の6銘柄では、目に入って異常がある場合に、医師の診察を受ける旨の記載がありました。なお、8銘柄では、流水で洗い流すなど対処法が記載されていました。
      • 10銘柄中7銘柄では、液や液を吸い上げたリードスティックに、皮膚や衣類が触れないよう記載がありました。6銘柄では、皮膚に付着して異常がある場合、医師の診察を受ける旨の記載がありました。また、9銘柄では、石けんや流水でよく洗うなど対処法の記載がありました。そのうち3銘柄ではその理由として、かぶれるおそれがあると記載していました。
      • 全10銘柄について、水以外の主な溶剤の成分を調べたところ、6銘柄からはイソパラフィン系の炭化水素類、残りの4銘柄からはエタノールとグリコールエーテル類と推定される物質が検出されました。
    5. 消費者へのアドバイス
      • 液体芳香剤は、乳幼児の手や目が届かない場所で使用・保管するようにしましょう。
      • 誤飲した液体芳香剤の液が気管に入ると、化学性肺炎を生じる危険がありますので、誤飲した場合は慌てて吐かせずに、直ちにかかりつけ医等に相談しましょう。
      • 液体芳香剤の液が目に入った場合は、すぐに流水で洗い流しましょう。また、皮膚に付着した場合はかぶれるおそれがあるため、石けんなどで洗いましょう。
    6. 業界・事業者への要望
      • 液体芳香剤を乳幼児の手や目の届かない場所で使用・保管することについて、より一層啓発等を含めた安全対策を推進することを要望します。

国民生活センター アルコール消毒で合成樹脂製のドアノブが破損(相談解決のためのテストからNo.153)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
    • 「トイレのドアノブをアルコール消毒していたところ、ひびや亀裂が生じ、破損した。破損した原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。
    • 当該品は、幼稚園のトイレで使用されていたドアノブで、赤色のアクリル樹脂の中に金属部品が組み込まれているものでした。外観調査を行ったところ、当該品は金属部品を覆っているアクリル樹脂に複数の亀裂が生じており、亀裂の破面を見るとソルベントクラックに特徴的な鏡面を示していました。
    • 相談者によると、新型コロナウイルス対策のためドアノブの消毒が不可欠となり、1日に5回程度、市販のアルコール消毒液(エタノール濃度:約65容量%)等で消毒を行っていたところ、当該品が使用開始から約2カ月で破損したとのことでした。
    • そこで、エタノールによる影響を調べるために、新品の同型品を用いて、JIS K 7114「プラスチック-液体薬品への浸せき効果を求める試験方法」を参考に、エタノール(99.5容量%)への24時間浸せきテストを行った結果、同型品は、当該品と同様に、アクリル樹脂の部分に複数の亀裂が生じ、亀裂の破面は鏡面を示しました。
    • なお、同型品の取扱説明書には清掃時の取り扱いに関する注意表示として、「アルコール類~(中略)~は絶対に使用しないで下さい。クラック(ひび割れ)や破損の原因になり、手を傷つける恐れがあります。」との記載がありました。
    • 以上のことから、当該品は、消毒の際に付着したアルコール(エタノール溶液)によって、ソルベントクラックを生じたものと考えられました。
    • 依頼センターがテスト結果を事業者に説明したところ、取扱説明書に記載されている清掃時の取り扱いに関する注意と同様な内容が、事業者のウェブサイトにも記載されることになりました。
    • 当該品に限らず、アクリル樹脂製品はアルコール消毒により、亀裂が生じて破損に至る可能性があります。そのため、消毒する前にアルコールの使用が可能かを取扱説明書等で確認するとともに、アクリル樹脂であった場合には台所用洗剤を使用するなど、厚生労働省「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」を参考にして消毒・除菌を行うようにしましょう。
▼新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について(厚生労働省・経済産業省・消費者庁特設ページ)(厚生労働省)

国民生活センター 通販サイトで購入した商品が届かず、販売業者と連絡が取れない
  • 質問
    • 通販サイトで商品を購入し、代金を銀行振り込みしましたが商品が届きません。返金してほしいとメールで申し出ましたが返信がなく、サイト上に表示されていた販売業者の住所や電話番号は存在しないことがわかりました。どうすればよいですか。
  • 回答
    • 販売業者と連絡が取れない場合、銀行振り込みで既に支払ったお金を返してもらうことは難しい状況です。このような悪質な通販サイトのトラブルに遭った場合は、消費生活相談窓口や最寄りの警察署に相談し、振込先の銀行に口座凍結を申し出ましょう。
  • 解説
    • 通販サイトでは、店舗購入と違い、代金を払ったのに商品が届かないトラブルが起こる場合があります。
    • 質問のような事例の他にも「配達予定日を過ぎても商品が届かない」「商品が届かず返金もされない」などの相談が、全国の消費生活センター等に寄せられています。
      1. 配達予定日に商品が届かない場合
        • 販売業者に対して、「この日までに配達してほしい」と、ある程度余裕をもった期限を定めて商品を送付するよう求めましょう。そのうえで期限までに届かなかった場合は、解約して返金を求めることが可能です(催告解除)(注1)。なお事業者の連絡先は、サイト内にある「特定商取引法に基づく表示」項目で確認することができます。
        • もしも、商品が届かず事業者の住所や連絡先が存在しない、または不明であるなど、悪質な通販サイトによる被害に遭った場合は、代金の支払い方法により対応が異なります。
        • (注1)クリスマスケーキやおせち料理など、一定の日時や期間内でないと意味の無いものを購入していた場合は、催告をすることなく、契約を解除して返金を求めることができます(民法542条1項4号参照)。
      2. 銀行振り込み等の前払いの場合
        • お金を取り戻すことは非常に困難ですが、消費生活相談窓口や最寄りの警察署に相談し、振込先の金融機関に口座凍結を申し出ましょう。振り込め詐欺救済法により、払ったお金の一部が戻ることがあります(注2)。なお、手続きの際には、振り込みの事実を確認できる書類が必要です。
        • (注2)振り込め詐欺救済法は、オレオレ詐欺等の犯罪により金融機関にお金を振り込んでしまった人に、その振込先となった預金口座(犯罪利用口座)の残金を支払う手続き等について定めた法律です。なお、犯罪利用口座から被害金を受け取るための申請窓口は、振込先の金融機関です。
      3. クレジットカード決済の場合
        • カード会社に相談することにより返金される可能性があるため、できるだけ早くカード会社に相談しましょう。相談する際に備え、通販サイトを利用した際の最終確認画面等をスクリーンショットで残しておき、事業者とのやり取りの記録などの資料を保管しておきましょう。
  • ショッピングモール内の販売店とトラブルになった場合
    • インターネットショッピングモール内の販売店を利用してトラブルに遭った場合、ショッピングモールの運営事業者に販売店の連絡先を確認するなど、トラブルを解決するために協力を求めましょう。それでも解決することが難しい場合、ショッピングモールが設けている補償制度を利用することで返金等の救済を受けられる可能性があります。利用するショッピングモールの補償制度等について事前に調べておくとともに、トラブルに遭った場合は、補償制度の利用を検討しましょう。
  • 悪質な通販サイトを見分けるポイント
    • 悪質な通販サイトを利用してトラブルになった場合、解決が困難になる可能性が高いため、通販サイトを利用する前に「特定商取引法に基づく表示項目」等で販売業者の所在地や連絡先、販売責任者名など販売業者の情報をしっかり確認しましょう。
    • 以下のようなサイトは悪質な通販サイトの可能性があります。
      • サイト上に販売業者の名称、住所、電話番号が明確に表記されていない
      • 日本語の表現が不自然である
      • 支払い方法が前払い等の銀行振り込みに限定されている
      • ブランド、メーカー品で価格が極端に安い
    • お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

国民生活センター 電子レンジでさつまいもを加熱したら、庫内で発火した
  • 質問
    • さつまいもを調理するため電子レンジで数分加熱したら、庫内で発火しました。使い方に問題があったのでしょうか。
  • 回答
    • 食品の加熱しすぎは発煙・発火の原因となります。さつまいもをはじめとする根菜類など、水分が少ない食品の場合は、思っているよりも短時間で加熱が進むことがあります。電子レンジを使用する際は、取扱説明書を読み、正しく使いましょう。電子レンジ内の汚れや、使用する容器も発火の原因となることがあります。
    • もし発煙・発火したときは、扉は開けずに電子レンジを停止させ電源プラグを抜き、煙や火が収まるのを待ちましょう。
  • 解説
    • 電子レンジは、一般家庭において日常的に使用されており、広く普及しています。便利な道具として定着しましたが、その使い方が原因と考えられるトラブルが全国の消費生活センター等に寄せられています。
      • 電子レンジで冷凍のおにぎりを解凍しようとしたら、庫内上部から発火した
      • 離乳食用に少ない量の食材を解凍しようとしたら、食材から発煙して焦げた
      • 店舗で購入して持ち帰ったカレーを、プラスチック容器のままオート機能で温めたら容器の底が溶けた
    • 発煙・発火を防ぐためのポイント 電子レンジによる発煙・発火のトラブルを防ぐために、以下の点に注意しましょう。
      1. 取扱説明書に従って加熱しすぎないように注意し、判断が難しい場合は加熱時間を短めに設定して様子を見ながら加熱しましょう
        • 発煙・発火に注意が必要な食品の例
          • 水分の少ない食品(さつまいも・じゃがいもなどの根菜類、干物など)
          • 高温になりやすい食品(中華まんじゅうなど)
          • 油脂の多い液体(バター、生クリームなど)
          • コロモ等のついた食品(フライ、てんぷらなど)
            • また少量(特に100g未満)の食品を加熱する際にオート機能を使用すると、センサーが食品の温度を正確に検知できず加熱しすぎることがあります。
      2. こまめに庫内や扉を手入れして、付着した食品カスや汚れを取り除きましょう
        • 食品カスや汚れが加熱されることにより、その部分から火花が生じたり、発煙・発火の原因となります。
      3. 金属類など、電子レンジ不可の容器や包装を加熱しないようにしましょう
        • アルミ箔(レトルト食品や弁当のおかずカップなど)や金線のついた食器などは、加熱により、火花が発生したり発火することがあります。
      4. 庫内で発煙・発火したときは
        • 扉を開けて庫内に空気が入ると、炎が大きくなることがあるため危険です。扉は開けずに電子レンジを停止させ電源プラグを抜き、煙や火が収まるのを待ちましょう。鎮火しない場合や、扉が開いてしまった場合は、水などで消火するようにしましょう。
        • また、普段から電子レンジの周囲には、燃えやすいものを置かないよう注意しましょう。
        • お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

【2021年3月】

国民生活センター レンタカー、カーシェアのトラブルに注意-事前に保険等の契約条件、車体の傷等を念入りに確認しましょう-
  • 全国の消費生活センター等には、レンタカーやレンタカー型カーシェアリング(以下、レンタカー等)といった、「消費者が事業者から車を借りるサービス」に関する相談が寄せられています。
  • ここ数年、相談件数は年間500件程度で推移しています。相談内容を見ると「つけた覚えのない傷の修理代等を請求された」等の返却時の修理代に関するトラブルが多く寄せられており、その他には利用中に発生した車両の不具合に関するトラブル、カーシェアのトラブル等も寄せられています。
  • レンタカー等の事業者数及び車両数は増加し、カーシェアのような比較的新しい形態も出てきていることから、消費者トラブルの未然防止・拡大防止のために注意喚起を行います。
  • パターン別の主な相談事例
    1. 返却時の修理代等に関するトラブル
      1. つけた覚えがない車体の傷を指摘されて修理代を請求された
        • 数回利用したことがあるレンタカー会社に車を借りに行った。見るからに使いこんである全面傷だらけの車ではあったが、国産車で価格も安いので、傷は気にせずに借りることにした。ところが、車を返却しに行くと、「助手席側のドアの縁に傷がついているので補償金を払ってください」と言われた。そもそも傷だらけなのに、つけてもいない傷の修理代を返却時に請求されるのは納得がいかない。その後、修理代と休業補償等として、4万5000円を請求された。(2019年9月受付 40歳代 男性)
      2. その他の事例
        • 返却時に問題ないと言われたのに後から電話があり、覚えのない傷を指摘された
        • 保険が適用されず高額な修理代20万円を請求された
        • カーシェアで鍵を紛失したら交換費用として18万円請求された
    2. 利用中に発生した車両の不具合に関するトラブル
      • レンタカーを借りて1時間走ったら警告ランプが点灯し走行不能になった
      • レンタカーのカーナビの電源がオフにならないためバッテリーが上がった
      • 電気系統の故障によってカーシェアで借りた車が動かなくなった
    3. 無人ステーションに起因するカーシェア特有のトラブル
      • サイドブレーキの位置が分からなかった
      • 返却翌日にバッテリーが上がっていたと指摘された
      • 返却手続きが完了していなかった
    • 相談事例からみる問題点
      • 保険や補償制度の適用、休業補償等に関する契約条件が複雑で、消費者の理解不足を招きやすい
      • レンタカーでは利用前後の車両チェックが的確に行われていない場合がある
      • 車の機能が高度化・複雑化したことに伴い、思わぬ高額な費用負担がある
      • 車両整備が十分でなかった場合がある
      • 無人ステーションを起因とするカーシェアのトラブルがある
    • 消費者へのアドバイス
      • 契約前に保険や補償制度の適用条件を十分に確認し、不明な点は事業者へ確認しましょう
      • 利用前と返却時には、必ず車の状態を確認して記録しましょう
      • 事故を起こした場合には所定の手続きをとりましょう
      • カーシェアは利用前後に必ず自分で確認しましょう
      • トラブルにあった場合は、最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう
        • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
      • 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
    • 業界への要望
      • 以下の4点について、業界団体に会員事業者へより一層周知するよう要望します。
        1. 保険の内容等の契約条件、事故時の対応方法等について、一層の周知
        2. 車体の傷等のチェック及びその記録の実施
        3. 車両の整備・点検の実施
        4. カーシェアにおける、「無人」に起因して発生するトラブル防止対策の強化

国民生活センター 消費生活センターのICT対応に関する現況調査<結果・概要>-ICTを使った情報提供・相談受付の現況-
  • 第4期「消費者基本計画」等において、SNS等のICT(情報通信技術、Information and Communication Technology)を活用した取組が消費生活センター等に期待されています。
  • 消費生活センターにおいては、これまでもホームページやSNSを活用した情報提供や、メール等を使った相談受付が実施されていることから、消費生活センターにおけるICTを使った情報提供や相談受付の現況、効果的な手法や課題、先駆的な取組を調査しました。
    • 調査対象、調査方法等
    • 調査対象:全国の消費生活センター801カ所
    • 調査方法:調査対象に調査票を郵送し、郵送にて回収
    • 有効回収数:716、有効回収率:89.4%
    • 調査時期:2020年10月~11月
  • 調査結果のポイント
    1. ICTを使った情報提供・注意喚起
      • ICTを使った情報提供・注意喚起を行っているセンターは9割以上
      • タイムリーなテーマ選定や地域性のある注意喚起に反響や効果を感じている
      • 注意喚起したい消費者層に情報が届いているか分からないことを課題として挙げるセンターが多かった
    2. ICTを使った相談受付
      • ICTを使って相談を受け付けるセンターは2割
      • 相談窓口の開設時間帯以外でも対応可能、電話や来訪相談に困難を抱える消費者に対応可能というメリットが挙がった
      • 相談者から必要な情報が得にくいことを課題とするセンターが多かった
  • 今後の展望
    1. 柔軟に手法を併用する重要性
      • 迅速な情報提供はICTを使い、ICTを使わない層には紙媒体で伝える、ICTを使う相談受付で聞き取りが必要な場合は電話相談等を案内する、相談者に電話するなど、各地の実情を勘案しつつ、できる限り間口を広く、ICTを使う方法、使わない方法のバランスを取りながら取り組むことによって、より多くの消費者に情報が届き、相談窓口へのアクセスの向上が期待されます。
    2. 各地の独自性ある取組への期待
      • 国の機関等や都道府県では、引き続き、分かりやすい情報発信が求められます。各地の消費生活センターにおいても、その地域の中で適切なタイミングで注意喚起したり、その地域のご当地キャラクターや著名人等と連携した取組、地域に定着した情報通信機器やアプリを活用するなど、より着実に消費者に情報が届く地域独自の取組が進むことも期待されます。

国民生活センター 有名企業の公式サイトだと思ったら模倣サイトだった
  • 事例1
    • 有名家具店の公式サイトだと思い、ソファが約2万円と安くなっていたので購入した。受注メールが届かないので、改めてサイトを確認したところ、URLが公式サイトと違っており、偽サイトだと気付いた。(70歳代 男性)
  • 事例2
    • 有名家電メーカーの公式サイトだと思い、格安で販売されていた掃除機を注文した。受注メールは届いたが、なかなか商品が届かず不審に思っていたところ、偽ブランドのマフラーが送られてきた。家電メーカーに確認し、偽サイトを利用したことが分かった。(60歳代 女性)
  • ひとこと助言
    • 有名企業等の公式サイトによく似た模倣サイトで商品を注文し、代金を支払ってしまったという相談が寄せられています。
    • 模倣サイトでは、日本語などが明らかにおかしいものもありますが、最近では見分けがつかないほどよく似ているものもあります。販売価格が大幅に値引きされている場合などは、模倣サイトの可能性が高く、注意が必要です。
    • 模倣サイトでクレジットカード決済をしたことに気付いたときは、すぐにクレジットカード会社に連絡をしましょう。
    • 困ったときは、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。海外事業者とのトラブルについては、国民生活センター越境消費者センターで、ウェブフォームにて相談を受け付けています。

国民生活センター リチウムイオン電池及び充電器の使用に関する注意
  • 充電することにより繰り返し使用できるリチウムイオン電池は、高容量化、小型化、そして安全性の確保によって利便性が向上し、さまざまな商品に使用されるようになっています。日常の生活に身近な商品であるスマートフォンやタブレット端末をはじめ、モバイルルーター、モバイルバッテリーといった機器にもリチウムイオン電池が使用されています。
  • リチウムイオン電池は多くのエネルギーを蓄えられる一方で、近年、電車内などで、カバンに入れていたモバイルバッテリー等からの発煙、発火といった事故がしばしば報道され、それらは機器に内蔵されたリチウムイオン電池が出火元とされています。また、東京消防庁の「令和2年版 火災の実態」(令和2年9月発行)では、リチウムイオン電池関連の製品からの火災は年々増加していると報告されています。
  • PIO-NETにも、「充電端子が発熱、発煙した」、「リチウムイオン電池が膨張した」、「スマートフォン本体が発熱した」といったリチウムイオン電池や充電の際の危害や危険に係る相談が継続的に寄せられており、中には充電中に爆発し火災になったという事例もみられました。
  • そこで、当センターで依頼をもとにテストを実施した事例を紹介するとともに、事故の再現テスト等を実施し、消費者へ情報提供することとしました。
  • 関連する法令・表示について
    • 電気用品安全法の対象となる品目について、法令に定められた技術基準適合などの義務を届出事業者が果たした証として、PSEマーク等を商品に表示することができます。このPSEマーク及び定められた表示がされている電気用品でなければ、販売、又は販売のための陳列を行うことが禁止されています。なお、インターネット通販サイトなどで「PSE認証済み」などと謳い販売されている商品がみられますが、PSEマークは、事業者が電気用品安全法に定められた義務を履行していることを自ら証明するもので、「国から取得」したり、「PSE認証取得」するようなものではありません。
  • 発熱及び焼損に関わる再現テスト
    • 充電端子に異物が混入した際の発熱
      • 充電端子内に導電性の異物が混入した状態でモバイルバッテリーを充電すると、充電端子が発熱・発煙し、樹脂部分の溶融がみられました
    • 充電器の出力電流による発熱の違い
      • 外観に違いはみられなくても、充電器の出力電流によって表面温度に差がみられました
    • 充電及び動作中のスマートフォンの発熱
      • スマートフォンを充電しながら動画を連続再生すると、表面温度が上昇したほか、放熱が妨げられるとさらに温度が上昇しました
    • モバイルバッテリーの異常による事故を想定したテスト
      • リチウムイオン電池が熱暴走すると、急激に温度が上昇して勢いよく発煙し、周辺物が焼損する様子がみられました
      • 消費者へのアドバイス
      • 充電端子が熱くなったり、異臭がするなど異常を感じた場合は直ちに使用を中止しましょう
      • リチウムイオン電池に膨張がみられたら使用を控え、交換または適切に廃棄しましょう
      • 充電器の定格出力を確認し、接続するスマートフォンやモバイルバッテリーなどの仕様に応じて適切な充電器を使うようにしましょう
      • リチウムイオン電池を搭載した機器や充電器を放熱が妨げられる環境下で使用すると高温になるおそれがあります。使用中や充電中は発熱することを認識しておきましょう
      • 製造・販売元や型式が明示されていない商品や、仕様が不明確な商品を購入するのは避けましょう
  • 業界・事業者への要望
    1. モバイルコンピューティング推進コンソーシアム
      • リチウムイオン電池を搭載した機器や充電器の使用上の注意について、継続した啓発活動を要望します
    2. 製造・販売事業者
      • 取り扱う商品について、関連法令を遵守し、適切に製造・販売されることを要望します
  • インターネットショッピングモール運営事業者への協力依頼
    • 法令に基づく基準を満たしていない商品が販売されないよう協力を依頼します
  • 要望先
    • モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(法人番号9700150005356)

国民生活センター 危険!食品による窒息事故
  • 内容
    • 事例1 薄くスライスしたリンゴを自分で持たせ、食べさせていたところ、えずいて顔が真っ赤になった。苦しそうな様子が続き、嘔吐した。 (当事者:0歳10カ月 男児)
    • 事例2 あめ玉の形をしたチーズを食べさせたところ、のどに詰まらせた。すぐに吐き出したので大事には至らなかったが、危険だと思う。 (当事者:3歳)
  • ひとことアドバイス
    • 乳幼児は食品をかみ砕く力、飲み込む機能が未発達です。
    • 窒息事故を防止するため、食べ物は小さく切ったり、形態を変えたりした上で、よくかんで食べさせましょう。
    • 寝転んだ姿勢や、口に入れた状態での遊びやおしゃべりは危険です。正しい姿勢で座らせ、食べることに集中させましょう。
    • 日本小児科学会のホームページなどを参考に、窒息事故の要因と対策を正しく理解することも大切です。

~NEW~
国民生活センター 偽警告表示 プリペイド型電子マネーで支払わせる手口に注意
  • 内容
    • 突然、警告がパソコン画面いっぱいに表示された。慌てて表示された連絡先に電話すると「パソコンが汚染されており、緊急を要する。電話を切らずにプリペイド型電子マネーで2万円を支払え」と指示された。すぐにコンビニで2万円分購入し、番号を伝えたが「番号が間違っている。再度2万円分購入してきて」と言われ、再度購入し番号を伝えた。翌日「さらに2万円支払えば4万円返金する」と意味の分からないことを言われた。(60歳代 女性)
  • ひとこと助言
    • プリペイド型電子マネー(以下「電子マネー」という。)での支払いを指示する詐欺的な手口として「パソコンやスマートフォンに突然偽の警告画面を表示して慌てさせ連絡させる」というものが出てきています。
    • カード番号だけで利用できる電子マネーは、番号を一度相手に伝えてしまうとお金を取り戻すことは非常に困難です。絶対に番号を伝えてはいけません。
    • セキュリティ対策には、あらかじめ信頼できるセキュリティソフトをインストールしておく等の対応を行い、見慣れない警告画面の指示に従ってはいけません。
    • 対処に困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等(消費者ホットライン188)や、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の情報セキュリティ安心相談窓口に相談したり、IPAのホームページを参考にしたりしましょう。

国民生活センター 各種相談の件数や傾向
▼架空請求
  • 「利用した覚えのない請求が届いたがどうしたらよいか」という架空請求に関する相談が多く寄せられています。請求手段は、電子メール、SMS、ハガキ等多様で、支払い方法も口座への振込だけではなく、プリペイドカードによる方法や詐欺業者が消費者に「支払番号」を伝えてコンビニのレジでお金を支払わせる方法等様々です。
  • PIO-NETに寄せられた2020年の相談件数 21,225件(前年同期 91,957件)
  • 最近の事例
    • スマートフォンのSMSに大手通販サイトの請求金額の確認が届いた。URLをタップしてIDとパスワードを入力したが、クレジットカード番号を求められ、不審だ。
    • スマートフォンのキャリアメールに、注文した覚えのない約13万円のゲーム用パソコンを代金引換で配送するとのメールが届いた。購入内容の詳細はURLをタップすると出てくるようだが、どうしたらいいか。
    • 契約している電話会社名で「料金未払い」を知らせるメールが届き、慌てて電話してしまったところ、サイト利用料として約30万円を請求された。
    • スマートフォンにデジタルコンテンツの未納料金に関するSMSが届き、電話をすると支払いを求められた。心当たりがないがどうするべきか。
    • スマートフォンに身に覚えのない請求メールが届いた。電話をすると有料動画サイト料金約25万円が未納だという。どうすればよいか。
▼次々販売
  • 1人の消費者に業者(複数の業者の場合も含む)が商品等を次々と販売する「次々販売」に関する相談が寄せられています。
  • PIO-NETに寄せられた2020年の相談件数 2,804件(前年同期 3,464件)
  • 最近の事例
    • バイナリーオプション投資システムの購入をきっかけに、個別サポート、FX自動売買ソフト等を次々に契約してしまった。解約したい。
    • 占い師から商品を勧められ、ベッドマット、化粧品、水素水発生器等を購入した。開封してしまったが返品したい。
    • 父が業者に訪問されて屋根のリフォーム契約をした。現在工事中だが追加で防水工事や他の工事の契約もしてしまった。高額であり不信感もあるので解約したい。
    • 高齢の母がエアコン掃除の勧誘電話をきっかけに、その後、換気扇掃除、風呂掃除と次々と申し込みをした。必要がないものなら解約したい。
    • エステ体験をした後、約40万円の痩身エステを契約した。その後も次々にエステの契約をさせられ約60万円の決済をしたが、また新たな契約を勧めてくるので嫌気がさした。中途解約して返金してほしい。
▼健康食品や魚介類の送りつけ商法
  • 健康食品や、カニなどの魚介類の購入を勧める電話があり、強引に契約をさせられてしまったり、断ったのに商品が届いたりするという相談が寄せられています。
  • PIO-NETに寄せられた2020年の相談件数 2,739件(前年同期 3,090件)
  • 最近の事例
    • ポストに宅配便の不在票が入っていたので再配達をしてもらったら、注文した覚えのない海産物だった。後から請求を受けるのではないかと不安だ。
    • 近所に住む高齢の叔母から、「注文していないカニが届いたが、仕方なく代金を支払った」と相談があった。送りつけ商法なら返品させたい。
    • 地方の海鮮市場を名乗る人物から電話があり、一方的に「鮭を送った。送料込みで1万円」と言われて断る間もなく電話を切られた。不要だが、届いた場合はどうすればよいか。
    • 知らない事業者から健康食品の勧誘電話があり断ったにもかかわらず商品が届いた。このまま送り返してよいか。
▼マルチ取引
  • マルチ取引(※)で扱われる商品・サービスは、健康器具、化粧品、学習教材、出資など様々です。マルチ取引の相談では、解約・返金に関するものが多くなっています。
    • マルチ取引とは、商品・サービスを契約して、次は自分が買い手を探し、買い手が増えるごとにマージンが入る取引形態です。
  • PIO-NETに寄せられた2020年の相談件数 6,874件(前年同期 7,875件)
  • 最近の事例
    • 母が友人に勧められて高額なマットレスを購入し、マルチ組織にも加入したようだ。クーリング・オフできるか。
    • 知人の紹介でビジネスセミナーの契約をした。このセミナーを人に紹介すると報酬がもらえると説明されたが、不審なので解約したい。
    • 娘が友人に勧められてアフィリエイトに関するマルチ組織に入会し高額な費用を支払った。解約させたい。
    • 大学生の息子が友人に誘われ暗号資産の投資の契約をした。人の勧誘も勧められている。対処方法を知りたい。
    • 母がマルチで水素水生成器等を契約しているようだ。やめさせたいがどうしたらよいか。
▼フィリエイト・ドロップシッピング内職
  • 「『ネット上で簡単にできるお仕事』と誘われて契約したが、まったく収入にならない」など、アフィリエイト(※1)・ドロップシッピング(※2)に関する相談が寄せられています。
    • 1 アフィリエイトの仕組みは、消費者がホームページやブログなどを作成し、製品、サービスなどの宣伝を書き、広告主(企業など)のサイトへのリンクを張ります。ホームページやブログの閲覧者がそこから広告主のサイトへ移行して、実際に商品の購入などにつながった場合、売上の一部が自分の収入(利益)になるというものです。
    • 2 ドロップシッピングは、消費者が実際に自分のホームページなどで、商品を販売します。販売用の商品の仕入れ費用や売れた場合の手数料の支払いなどもあるため、売れたとしても、思ったほど簡単に収入にならないという場合があります。
  • PIO-NETに寄せられた2020年の相談件数 1,112件(前年同期 1,138件)
  • 最近の事例
    • アフィリエイトの副業に申し込み、事業者からサポートを受けていたが、突然連絡が取れなくなった。まったく稼げないため、支払金額の一部を返金してほしい。
    • 友人に誘われてアフィリエイトの説明会に行った。儲かると勧められて高額な初期費用を支払ったが解約したい。
    • アフィリエイトのコンサルタント契約をしたが、コンサルティングは受けられずノウハウも教えてもらえなかった。解約を申し出たが返金できないと言われ不満だ。
    • 知人からオンラインカジノやブックメーカーの情報商材をアフィリエイトで広めるだけで稼げる副業を勧誘され申し込んだ。怪しいのでクーリング・オフしたい。
    • インターネットで見つけた副業サイトに登録した。後日、電話で「絶対儲かる」と説明され、アフィリエイトの情報商材を契約したが、解約・返金してほしい。
▼訪問購入
  • 「不用品や和服の買い取りのはずが貴金属を買い取られた」といった相談が寄せられています。
  • PIO-NETに寄せられた2020年の相談件数 4,128件(前年同期 3,666件)
  • 最近の事例
    • 不用品買取業者から、「何でも買い取る」と電話勧誘を受け、来訪を承諾して住所を伝えたが後から心配になり断りたい。どうしたらいいか。
    • 高齢の母宅に業者から電話があり、その後訪問して貴金属類を安価で買い取って行った。母はクーリング・オフしたいと言っている。
    • 高齢独居の父宅に不用品を買い取るという業者から電話があり、明後日来訪されることになった。不審なので断り方を相談したい。
    • 訪問してきた業者に金のネックレスを売った。安く売ってしまったと後悔し業者に電話をかけているが電話にでない。クーリング・オフしたい。
    • 不要な衣服等を買い取るという業者が自宅に来て、売りたくないと断っているのに指輪やブレスレットなどを査定され持って帰られてしまった。その際クーリング・オフはできないと言われたが、今からでも取り戻せないか。
▼暗号資産(仮想通貨)
  • インターネットを通じて電子的に取引される、暗号資産(仮想通貨)に関するトラブルの相談が寄せられています。
  • PIO-NETに寄せられた2020年の相談件数 1,075件(前年同期 1,824件)
    • 「暗号資産」(「仮想通貨」または「暗号通貨」または「価値記録」を含む)に関する相談を集計したものであり、オンラインゲームのアイテム購入等に使われるゲーム内通貨(電子マネー)などに関するものは対象外としています。
  • 最近の事例
    • アプリで知り合った人に紹介され、暗号資産を購入して海外のサイトに送金した。さらに本人確認資料として運転免許証の画像を送付したが、サイトと連絡が取れなくなった。
    • 息子が友人から仮想通貨に関する投資に誘われ、学生ローンの申し込みをしたようだ。投資の契約を解約し、借金を返済したい。
    • SNSで知り合った女性に海外取引所未上場の暗号資産を紹介され購入したが、騙されたと思う。返金してほしい。
    • インターネットの投資コミュニティに入会し、「これから上場予定の仮想通貨を購入すれば最低20倍になる」と言われてお金を振り込んだが、担当者と連絡が取れなくなった。
    • 上場前の仮想通貨を購入すると儲かるというICOに出資したが、いまだに上場しない。金融庁に届け出のない事業者で、いつも担当者が不在である。
▼多重債務
  • 2006年に貸金業法が改正されましたが、多重債務の相談は依然として寄せられています。
  • PIO-NETに寄せられた2020年相談件数 13,415件(前年同期 15,638件)
  • 最近の事例
    • 消費者金融からの借金の返済ができず、裁判所から通告書が届いている。今までにいくら借りているのかよくわからない。どうしたらよいか。
    • クレジットカードの支払方法が、知らないうちにリボ払いになっていた。残債が高額で返済困難だ。
    • 消費者金融の借金が返済できず任意整理中だが、最近はスマートフォンのQRコード決済やバーコード決済をつい使いすぎてしまう。どうしたらよいか。
    • 消費者金融などに借金があり、返済のために国民健康保険料を滞納したら給料を差し押さえられた。口座残高が0円となり生活できない。
    • 娘がクレジットカードで買い物を繰り返し、支払が困難なようだ。どうしたらよいか。

国民生活センター 災害に備えた食品の備蓄に関する実態調査-いざというとき、困らないために-
  • 2011年3月11日に発生した東日本大震災から、この3月で10年の節目を迎えます。
  • 内閣府が2016年に実施した意識調査によると、住んでいる地域に大地震、大水害などの大災害が発生すると考えている人は6割を超え、災害に対する取組みとして、38.2%の人が食料や飲料水を蓄えているとされています。また、「令和元年 国民健康・栄養調査」(厚生労働省)によると、災害時に備えて非常用食料を用意している世帯の割合は53.8%にのぼります。
  • 一方、PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)には、災害用に備蓄している食品(以下、「備蓄食品」とします。)に関する相談が、2015年度以降の5年あまり(2021年1月末日までの登録分)の間に207件寄せられており、カビが生えた等、「安全・衛生」、「品質・機能、役務品質」に関する相談もみられます。
  • 備蓄食品は家庭で長期間保存することが想定されるため、保存状況によっては安全性や品質に問題が発生する可能性が考えられます。
  • そこで、災害に備えた食品の備蓄に係る消費者アンケートを実施するとともに、消費者が自宅で備蓄している食品を収集し、品質等に係るテストを行い、消費者に情報提供することとしました。
  • 消費者へのアンケート調査
    • 飲料水、乾麺、缶詰を備蓄している人が多くみられました
    • 約半数の人が、1年に1回以上、備蓄食品の入れ替えを行っていました
    • 1割以上の人に、備蓄食品の品質に何らかの異常がみられた経験がありました
    • 6割以上の人は、備蓄食品の賞味期限が切れた経験がありました
  • 消費者から収集した備蓄食品に関するテスト
    1. 外観調査
      • 容器包装の外側に凹みや汚れ、サビ等がみられたものがありました
    2. 微生物試験
      • 調べた81商品のうち4商品から細菌が検出されましたが、衛生上問題となるものはありませんでした
    3. 含まれている油脂の劣化
      • カップ麺とスナック菓子について、含まれている油脂の劣化の程度を調べたところ、衛生上問題となるものはありませんでした
    4. 糊化度
      • アルファ化米とパックごはんのでんぷんの糊化状態を調べたところ、アルファ化米は炊飯直後~24時間後と同程度の状態、パックごはんは加熱して食べる必要がある状態でした
  • 消費者へのアドバイス
    • 備蓄食品は賞味期限や包装状態等を定期的に確認し、入れ替えを行いましょう。賞味期限が切れた食品は一律に廃棄するのではなく、適切な消費を心掛けましょう
    • 食品の備蓄を行う場合は、栄養バランスを考え、ライフラインが停止した場合なども想定し、各家庭に合った食品を備えておくと良いでしょう

国民生活センター 店舗での買い物は、クーリング・オフできません
  • 内容
    • 事例1
      • 1週間前に夫が店舗で補聴器を購入したが、家で使ってみると聞こえづらいと言う。調整してもらったが改善しないので、クーリング・オフしたい。できるだろうか。(当事者:80歳代 男性)
    • 事例2
      • 1週間前に店舗で購入した扇風機と同じ商品が、2千円も安い値段で広告に載っていた。返品して再度購入したいと店舗に伝えたところ、できないと言われた。クーリング・オフできないのか。(60歳代 女性)
  • ひとこと助言
    • 店舗での購入は、クーリング・オフできません。
    • クーリング・オフは、訪問販売や電話勧誘等、事業者側からの不意打ち的な勧誘により契約した場合等に、一定の期間内であれば無条件で申し込みの撤回や契約を解除できる制度です。なお、クーリング・オフ可能な取引の対象は法律等で決められています。
    • よく分からないときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
Back to Top