2023/12/04
危機管理トピックス
【省庁別記事(前半)】
【首相官邸】
【2023年11月】
首相官邸 超高齢社会の課題を解決する国際会議 岸田総理ビデオメッセージ
- 今年のカンファレンスでは、超高齢社会を全世代の視点から解決する道筋を、世界の産官学の第一人者が専門的な知見を基に議論すると伺っております。
- 超高齢社会がもたらす諸課題を克服するためには、全世代の生活の質の向上や社会・経済のイノベーションという観点が不可欠です。特に、現役世代の人口減少が加速する中、今後も日本社会が発展を続けるためには、活力ある健康長寿社会を構築し、高齢者の社会参加を促すとともに、若年世代に対しても、子育て支援などを強化することでその活力を引き出すことにより、年齢にかかわらず、誰もが活躍でき、安心して暮らせる社会を構築することが必要です。
- 日本には、何歳になっても働き続けたいという方が多くいます。60歳から64歳までの方の約7割、65歳から69歳までの方の約5割が就業されています。生涯現役社会の実現に向けて、高齢者の就労促進、高齢者が地域で働ける場や社会を支える活動ができる場の拡大に取り組んでいきます。就労など高齢期の社会参画の促進は、個人の疾病予防・健康維持にも寄与すると言われています。「健康で長生きしたい」、「年をとっても働き続けたい」。そうした高齢者の希望をかなえることで、人口減少という逆風の中にあっても、活力ある経済社会を創り上げていきます。
- また、人生100年時代を迎え、高齢者になっても働き続けられるためには、現役の間から、多様で柔軟な働き方を広げることで、雇用の選択肢を充実させることが重要です。このため、兼業・副業など多様で柔軟な働き方を推進するとともに、5年で1兆円に拡充された「人への投資」施策パッケージも活用しつつ、リスキリングによる能力向上を支援します。リスキリングについては、労働者個人の多様な選択を支え、賃金上昇を伴う労働移動を効果的に支援するため、これまでの企業経由の支援に加え、労働者個人への直接支援を強化していきます。
- さらに、子育て支援など若年世代への支援については、本年6月、「こども未来戦略方針」をまとめました。若い世代の所得を増やす、社会全体の構造・意識を変える、全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する、という三つの柱を掲げ、前例のない規模で少子化対策の強化に取り組んでいます。これにより、我が国の子供一人当たりの支援規模はOECD(経済協力開発機構)トップの水準に引き上がり、画期的に前進することとなります。
- また、人口減少に伴い人手不足が恒常化する中、デジタルの力を活用することが重要です。地方の生活インフラを支える行政・公的サービス、物流、教育、医療・介護、子育て・児童福祉、防災等の分野におけるデジタル技術の社会実装を進め、効率的なサービス提供につなげます。
- 日本は、高齢者の5人に1人の方が認知症の方となる時代を迎えつつあります。「支えられる側」としての「見守る」「支援する」対象としての認知症の方々。こうした考え方に囚(とら)われることなく、認知症の方が生きがいと役割、尊厳と希望を持って暮らす社会を構築していかなければなりません。
- 私は、今年の夏、認知症ケアを行っている介護施設を訪れ、御本人や御家族の方、ケアに携わっている方々からお話を伺う機会がありました。その際、印象に残っている言葉に「できないことではなく、できることに注目する」というものがあります。認知症をポジティブにとらえ、歳(とし)を重ねる力にすること。超高齢社会の課題を解決する答えは、正にこうした変化を力にすることにあります。
- このような共生社会の理念を具体化するものとして、本年6月、「認知症基本法」が成立しました。同法では、認知症の人が尊厳を保持しながら希望をもって暮らすことができるよう、認知症施策の基本理念を定めるとともに、国・地方自治体が計画を策定し、施策を推進していくこととしています。
- 法律の施行に先立ち、認知症の方御本人、御家族など関係者の声に耳を傾け、政策に反映するため、本年9月、「認知症と向き合う『幸齢社会』実現会議」を設置しました。私も毎回会議に出席し、認知症の方御本人の参画の下での地域づくり、独居高齢者・若年性認知症の方への支援、ワーキングケアラー対策など貴重な御意見を頂いています。更に年末まで議論を深め、国の計画策定にいかしていきます。
- 我が国は認知症や脳の研究で世界をリードしてきました。これが土台となって、世界初のアルツハイマー病の進行を抑制する治療薬レカネマブがアメリカと日本で承認を受けました。日本発で世界初のイノベーションが国境を越えて、認知症の方とその御家族に希望の光をもたらしたことになります。
- このイノベーションの動きを更に加速させるため、脳科学研究の更なる推進など、「認知症・脳神経疾患研究開発イニシアティブ」に早期に着手します。また、レカネマブの薬事承認による新たな時代の到来を受け、地域において、早期発見・早期介入の実証プロジェクトを推進し、検査・医療サービス等が円滑に提供される体制整備を進めます。
- さらに、独居高齢者等の増加を受け、省庁横断で、実態把握とともに、住まいの確保、入院時や入居時の身元保証等生活上の課題にも取り組んでいきます。
- 最後に、この超高齢社会、高齢化の問題は、日本固有の課題ではなく、世界共通の課題だということを改めて強調したいと思います。日本は、世界で最も早くこの問題に向き合わなければならない国です。だからこそ、大変困難な道のりではありますが、超高齢社会の下で、力強く成長を続ける持続可能な経済社会を創り上げるという挑戦を成し遂げ、我が国、そして、世界の未来を切り拓(ひら)いていきたいと思います。
- 結びに、本日御参加の皆様の御健勝とますますの御活躍、そして、本会議の成功を心より祈念し、私のメッセージとさせていただきます。
首相官邸 北朝鮮による衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイルの発射について
- 北朝鮮は、昨日22時43分頃、北朝鮮北西部沿岸地域東倉里(トンチャンリ)地区から、衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射を強行しました。発射された1発は複数に分離し、1つ目は、22時50分頃、朝鮮半島の西約350キロメートルの東シナ海上の予告落下区域外に落下しました。2つ目は、22時55分頃、沖縄本島と宮古島との間の上空を通過し、22時57分頃、沖ノ鳥島の南西約1,200キロメートルの太平洋上、我が国EEZ(排他的経済水域)外である予告落下区域内に落下しました。これ以上の詳細については現在分析中であります。なお、現時点において、地球周回軌道への衛星の投入は確認されておりません。
- 国民の皆様に対しては、Jアラート等により、当該発射の発射情報と通過情報を伝達するとともに、付近を航行する航空機や船舶への情報提供を行ったところ、現時点において、我が国領域への落下を含め、被害報告等の情報は確認されていません。政府としては、引き続き我が国の領域及びその付近の落下物の有無等について、関係機関を通じて確認作業を実施しているところであります。
- 北朝鮮は、昨年以降、我が国上空を通過したものも含め、弾道ミサイルをこれまでにない高い頻度で発射しています。これらの高い頻度で続く一連の挑発行動に加え、今般、再び日本列島上空を通過する形での発射が行われたことは、我が国の安全保障にとって一層重大かつ差し迫った脅威であるとともに、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものであり、国際社会全体にとっての深刻な挑戦であります。また、このような発射は、衛星打ち上げを目的とするものであったとしても、北朝鮮による弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射も禁止している、関連する安保理決議に違反し、国民の安全に関わる重大な問題であります。特に、発射について繰り返し中止を求めてきたにもかかわらず、今般北朝鮮が行った、日本列島上空を通過する形での発射は、航空機や船舶はもとより、付近の住民の安全確保の観点からも極めて問題のある行為であります。政府としては、北朝鮮による今般の発射について、直ちに北京の大使館ルートを通じ、北朝鮮に対して厳重に抗議し、最も強い表現で非難しました。
- また、先ほど国家安全保障会議の四大臣会合を開催しました。国家安全保障会議においては、今般の発射に関する情報を集約するとともに、更なる事実関係の確認をし、分析を行いました。その上で、北朝鮮による更なる発射等に備え、情報収集・警戒監視に当たることや、国民の安全と安心の確保に万全を期すことを改めて確認するとともに、外交・安全保障政策に関する今後の対応方針について議論を行ったところであります。その上で、こうした内容を含む内閣官房長官声明を審議し、お手元の配布資料のとおりとしたので、御参照ください。
- 政府としては、情報の収集及び分析に全力を尽くし、新たな情報については、国民の皆様に対して情報提供を行ってまいります。また、米国や韓国等の関係国と緊密に連携し、引き続き国民の安全と安心の確保に万全を期してまいりますので、国民の皆様におかれましては、冷静に、平常どおりの生活を送っていただきたいと思います。私からは以上です。
首相官邸 第3回 認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議 議事次第
▼参考資料1 第1回・第2回会議における有識者の主な意見
- 総論
- 「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」は、認知症の本人を含めすべての国民にとって重要かつ意義のある法律であり、共生社会の実現に向けて取組を進めることが重要。
- 老々介護、認認介護であっても、仕事と介護を両立しながら自分らしく生きられる社会を作っていくため、認知症基本法がより良いものになることが重要。
- 認知症のリスク低減、医療、ケアから研究開発まで認知症に関わるすべての活動を「共生社会」のもとで実現することが重要。
- 社会的孤立のリスクの高い独居高齢者の増加することが予想され、認知症かつ独居であっても社会的支援につながりやすい地域づくりを進めることが重要。
- 認知症になっても「その人」であることに変わりはなく、できないことは増えても「心は生きている」ということを知ってほしい。
- 認知症への取組は、共生とともに、予防を両輪に実効性を高めてきた。
- 自治体の計画策定にあたり、認知症の本人の意見を聞きながらわが町ならではの計画策定を進めるべきで、国も後押しすべき。
- 自治体の計画について、共生社会という共通のビジョンの実現に向けて、地域特性に応じ、分野横断的・体系的・戦略的・創造的に立案することが重要。
- ご本人・ご家族等の意見を聞き、課題を見える化・共有しながら、地域の特性を踏まえた施策を展開。
- 一人一人の思い・希望を大切にした地域づくりを促進。
- 認知症施策について、形だけでなく本人が企画の段階から参画し、着実に共生が進むよう、本人とともに毎年確認・評価することが重要。
- 認知症との共生に向けた自治体の取組は、地域の住民も主体性を持ちながら実施することが重要
- 普及啓発や本人発信の支援など
- 共生社会の実現に向けて認知症基本法の浸透を図ってほしい。
- 人々が認知症のことを自分ごととして考えてもらえる理解促進のための取組を自治体で進めてほしい。
- 家族が介護するという固定観念をやめて、第三者の手を借りるという意識改革が必要。
- 身寄りが誰もいない人ばかりだけではなく、家族のあり方の多様化により親族がいても頼れない人が増えており、その支援が大きな課題。
- 特に、独居の認知症高齢者が増加するため、意思決定支援が重要。地域のボランティア活動等が充実すると、身寄りのない高齢者の意思決定支援につながるのではないか。
- 家族が全面的に支援することを前提としない意思決定の支援の仕組みが必要。身元保証が重要。
- 全市役所職員、企業、学校等、幅広い普及啓発を実施
- 地域ぐるみの保健医療・福祉体制など
- 地域の特性に応じた認知症医療・介護サービス提供体制の整備、人材育成が重要。
- 認知症・独居高齢者の増加を踏まえ、柔軟なサービス提供が可能な小規模多機能型居宅介護等の活用が重要。認知度向上のための普及・啓発、自治体による計画的な事業所の設置を進めるべき。
- 若年性認知症について、早期診断・支援の体制整備と、当事者とともにニーズに合ったサービスの開発・普及が必要。
- 若年性認知症の方の働きたいというニーズをかなえる環境づくりが必要。謝礼という形ではなく、対価として報酬がもらえるサポート体制づくりが重要であり、それには地域と企業の支援が必要。
- 元気な高齢者が生きがいを持って、主体的にボランティア等の社会活動に参加する取組を実施。
- 様々な機会を捉えた認知症の早期発見・早期対応を実施。
- 我が国の認知症の専門医は少なく、国の主導でその充実を図ることが必要。
- 介護予防と認知症施策について、統合的に実施できるような工夫が必要。
- 地域包括支援センター、ケアマネジャー、若年性認知症コーディネーターの体制整備・普及が重要
- 家族等の支援
- 認知症の本人や家族が励まし合い、助け合うためのピアサポート活動が重要。
- ワーキングケアラーが増加しており、その対策が急務。
- 介護離職が減っておらず、仕事と介護の両立支援が必要。介護しながら家族も自分の人生も大切にできるという支援体制が急務
- 研究開発
- 認知症になってからも暮らしやすいと思える社会に向けて研究を推進していくことが重要。
- 脳内の変化は20年程度前から起こるため、早期の発見・診断・治療が重要。
- より重度の認知症の方、アルツハイマー病以外の認知症の方に対する治療法の開発が急務。
- 認知症に関するデータの収集・分析・活用が重要。
- 介護者の認知症ケアの充実、介護人材の不足等に対応していくため、ICT・AI等のテクノロジーを活用した研究開発が重要。
- データの国際連携を進めるとともに、研究の加速化・効率化を図る組織が必要。
- 認知症の研究を進めるため、脳の基礎研究を推進することが重要。
- 認知症の方や家族にとってメリットのある研究開発を行うという視点が重要。
- 我が国の認知症の研究開発は高いレベルを維持しており、引き続き、国等からの支援が重要。
- 脳の神経回路を修復する創薬の取組が重要
【2023年10月】
首相官邸 観光立国推進閣僚会議
▼第21回配布資料
- 2019年まで飛躍的に増加も、新型コロナの影響により、2020年以降、大幅な落ち込み。2022年10月の水際措置の緩和以降、堅調に増加の傾向。9月の訪日外国人旅行者数は約218万人と、コロナ前の96%の回復(中国からの訪日を除くと128%の回復)となり、1月から9月の累計では1700万人を超え、足元ではコロナ前の水準を概ね回復。
- 2023年1-9月までの合計の訪日外国人旅行消費額は約3.6兆円となり、年5兆円の政府目標達成も視野に入る勢い。2023年1-9月までの訪日外国人一人当たり旅行消費額単価は21万円となり、政府目標である20万円を超えている。※平均泊数が伸びたことや円安・物価上昇の影響等が考えられる
- 2023年8月の外国人延べ宿泊者数は1,034万人泊で、コロナ前水準超え(2019年同月比109%)。他方、観光需要の回復状況は宿泊先地域によって偏在傾向が見られ、三大都市圏のみで7割を超える。今後、三大都市圏以外の地方部への誘客を強力に推進していく
- オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた基本的な考え方
- 国内外の観光需要は急速に回復し多くの観光地が賑わいを取り戻しているが、都市部を中心とした一部地域への偏在傾向も見られ、観光客が集中する一部の地域や時間帯等によっては、過度の混雑やマナー違反による地域住民の生活への影響や、旅行者の満足度の低下への懸念も生じている状況であり、適切な対処が必要。
- 地方部への誘客をより一層強力に推進し、全国津々浦々あまねく観光客を呼び込んで行く。
- 観光客の受け入れと住民の生活の質の確保を両立しつつ、持続可能な観光地域づくりを実現するためには、地域自身があるべき姿を描いて、地域の実情に応じた具体策を講じることが有効であり、国としてこうした取組に対し総合的な支援を行う。
- 乗降時や車内等の混雑緩和
- 観光客が集中する路線バスから鉄道への分散・乗り換えを促進・支援
- 大型手荷物を持ち運ばない「手ぶら観光」の促進
- 空港業務人材の確保やスマートレーン導入等による生産性向上への支援
- 輸送力の増強
- 鉄道・バス車両の長大化への支援
- 改札口や乗換通路の新設等による鉄道駅改良への支援
- 供給力の徹底的な回復、観光客向けの乗合タクシー導入等、「タクシー不足に対応する緊急措置」実施
- タクシー不足に対応する緊急措置
- タクシーの供給力の徹底的な回復に向けた取組
- 女性・パートタイム運転者拡大のための勤務形態柔軟化・設備投資促進
- 新規採用や2種免許取得の支援、2種免許保有者へのPR
- 配車アプリの複数導入・タブレット統合の促進
- 富裕層向けタクシー・ハイヤーの導入の促進
- 事業者間における運行管理共同化の早期実施
- 地方部でのタクシー営業所維持のための設備・台数要件の緩和
- 個人タクシー運転者が地域交通に貢献できる制度の創設
- 自家用有償(全国700団体)の徹底的な活用に向けた取組
- 運賃の見直し(「タクシーの約1/2→約8割」として運転者の適正報酬を確保)
- 事業者協力型自家用有償の協力類型の追加
- 自家用有償への配車アプリの導入の促進
- タクシー不足が指摘されている観光地域の対策
- 複数のタクシー事業者が連携して行う乗合タクシーの運行(京都)
- タクシー乗り場の混雑解消のためのポーターの配置(東京駅、京都駅)
- 他の営業区域からの応援による繁忙期対策(ニセコ)
- 主として観光客が利用する乗合バス路線(観光地直行型バス)の創設(京都)
- タクシーの供給力の徹底的な回復に向けた取組
- 観光客が集中する地域の受入環境の充実
- 歩行空間の拡大や交通結節点の整備等によるまちづくりへの支援
- 道路・歩道整備、観光地での無電柱化加速化(低コスト工法・民間委託)やカーシェア発着場所増
- 国立公園を中心とした入域料の導入等
- ICTを活用した「スマートごみ箱」の導入支援
- 訪日観光客への民間医療保険加入促進
- 入域や交通の管理・規制
- エコツーリズム推進法や自然公園法に基づく入域規制やガイド同伴の義務化
- 富士山での適正な入山管理等に係る協議の開始
- 入域や交通の管理・規制
- 観光施設や、観光地における駐車場予約システム導入への支援
- パーク&ライド駐車場や代替交通の整備への支援による自動車乗入抑制
- 地域における協議を踏まえた交通規制の実施
- 地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり(11モデル地域)
- 地方誘客・分散化、地方での旅行消費額増加を通じて地域活性化に寄与することが必要。
- 特に、高付加価値旅行者(着地消費額100万円以上/人)の地方への誘客の強化が不可欠。
- 11モデル地域において、他事業とも連携の上、ヤド、ウリ、アシ、ヒト、コネの観点から総合的な施策を集中的に実施し、高付加価値旅行者のための観光地づくり事業を加速化。その成果やノウハウを他地域へも伝播させることで、観光を通じた地域活性化を促進。
- 自治体・DMOや事業者が地域住民に積極的に働きかける取組を促進
- 地域の実情に応じた対策を促進すべく、住民を含めた地域の関係者による協議に基づく計画策定や、取組の実施への包括的な支援
- 各地域における課題解決に係る相談窓口を観光庁に直ちに設置。各省庁が連携・協力して地域を支援する体制を整備
- 観光の意義や効果に係る地域住民等向け説明資料の作成、活用の促進
- 今年度中を目処に、地域における計画策定や具体的な取組実施の参考となる事例や留意事項をまとめた地域向け指針の策定
首相官邸 食料安定供給・農林水産業基盤強化本部 食料安定供給・農林水産業基盤強化本部(第5回)議事次第
▼資料1 食料安定供給・農林水産業基盤強化に向けた緊急対応パッケージ(案)
- 岸田政権が掲げる「農林水産物・食品の輸出促進」、「農林水産業のグリーン化」、「スマート農林水産業等による成長産業化」、「食料安全保障の強化」の4本柱について、緊急的に取り組むべき対策を取りまとめ。
- 今後、本パッケージの取りまとめ内容が確実に実施されるよう、経済対策へ反映させ、年末までを目途に食料安全保障強化政策大綱の改訂を行うものとする。
- 農林水産物・食品の輸出促進
- 品目団体によるオールジャパンの輸出力の強化
- 輸出の拡大に向けて、品目団体の認定数を早急に増やし、生産から販売までの事業者が一体となって行う輸出促進に係る規格の統一、プロモーション、海外市場調査といった取組を支援
- 輸出先国において販路開拓を推進する官民連携の体制の強化
- 主要な輸出先である8か国・地域において、在外公館、JETRO海外事務所等から構成される「輸出支援プラットフォーム」の活動を強化し、現地の小売業者と組んだマーケットインによる輸出の取組を支援
- 食料供給基盤を支える輸出産地の形成
- 海外の規制・ニーズに対応した輸出産地の形成への支援、輸出向けHACCP等対応施設の整備への支援、輸出等に取り組むスタートアップ企業への投資促進等
- 知的財産権の保護・活用
- 優良品種の海外流出を防止するための海外における品種登録出願の推進や、海外における模倣品の監視等
- 品目団体によるオールジャパンの輸出力の強化
- 農林水産業のグリーン化
- みどりの食料システム戦略の加速化
- 2030年までの化学肥料の使用量20%低減等の目標に向けて、化学肥料・農薬の使用低減などグリーンな栽培体系への転換や有機農業の拡大に向けたオーガニックビレッジの創出、省エネ施設の導入、バイオマスの地産地消等を支援
- 堆肥・下水汚泥資源など国内資源の活用
- ペレット化と広域流通に向けた支援、飼料・堆肥の相互供給の強化に向けた耕畜連携等への支援
- みどりの食料システム戦略の加速化
- スマート農林水産業による成長産業化
- 経営・技術等でサポートする事業体の育成・確保
- 経営体を支えるサービス事業体に対する機械導入への支援等
- スマート技術に適した生産・流通方式への変革
- スマート技術に適した栽培方法への転換支援、水産資源管理の推進等のためのICT活用への支援 等
- 経営・技術等でサポートする事業体の育成・確保
- 食料安全保障の強化
- 過度な輸入依存からの脱却に向けた構造転換
- 小麦、大豆、加工・業務用野菜等の生産拡大
- 畑地化・団地化による小麦・大豆の本作化への支援、野菜の一次加工の強化等に向けた支援
- 粗飼料、養殖飼料用魚粉等の生産拡大
- 飼料・堆肥の相互供給の強化に向けた耕畜連携等への支援、養殖飼料用魚粉の供給体制の構築等に向けた支援
- 堆肥・下水汚泥資源など国内資源の活用
- ペレット化と広域流通に向けた支援、飼料・堆肥の相互供給の強化に向けた耕畜連携等への支援)
- 米粉の利用拡大
- 米粉の利用拡大に向けた米粉商品の開発、米粉・米粉製品の製造能力の強化等への支援
- 食品原材料の国産切替え
- 原材料の安定調達と産地の育成に向けた食品製造事業者等と産地との連携により、国産原材料への切替え促進
- 小麦、大豆、加工・業務用野菜等の生産拡大
- 生産者の急減に備えた生産基盤の構造転換
- 将来の生産者の減少に備えた経営構造の確立
- 農業者が急速に減少する中で、農地を集約し地域の農業を担う経営体の機械等への追加投資の負担軽減等への支援
- 省力化に対応した基盤の整備・保全
- ほ場の大区画化、水利施設の省力化や集約・再編等
- 経営・技術等でサポートする事業体の育成・確保(再掲)
- 経営体を支えるサービス事業体に対する機械導入への支援等
- 将来の生産者の減少に備えた経営構造の確立
- 国民一人一人の食料安全保障の確立に向けた食料システムの構造転換
- 地域の食品アクセスの確保に向けた環境整備
- フードバンク・子ども食堂等への未利用食品・政府備蓄米の供給などの地域ぐるみでの課題解決の取組への支援
- 食品ロス削減
- 3分の1ルールなど商慣習の見直しの取組の推進、企業による食品ロス削減の取組の開示の推進等
- 安定的な輸入の確保
- 穀物等の海外の集荷・港湾施設への投資促進、野菜種子の採種適地の確保等への支援
- 地域の食品アクセスの確保に向けた環境整備
- 過度な輸入依存からの脱却に向けた構造転換
首相官邸 認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議
- 令和5年10月12日、岸田総理は、総理大臣官邸で第2回認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議を開催しました。
- 会議では、有識者ヒアリング及び意見交換が行われました。
- 総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
- 本日は会議への御協力、誠にありがとうございました。高齢者の5人に1人の方が認知症の方となる時代を迎えつつあります。支えられる側としての見守る、支援する対象としての認知症の方々、といった考え方にとらわれることなく、若年性認知症の方も含め認知症の方が生きがいと役割、尊厳と希望を持って暮らす社会を構築していかねばなりません。支える、支えられるという関係を超え、支え合う関係として人と人、人と地域がつながる姿を、お話を伺った先進的な自治体の取組が示しています。まずは、共生社会の実現を推進するための認知症基本法の施行準備に向けた都道府県・市町村の取組を支援してまいります。認知症の方御本人と一緒になって、地域づくりを進めてまいります。
- 研究開発の最前線のお話もお伺いしましたが、レカネマブの薬事承認によって認知症治療は画期的な進歩を遂げたとはいえ、まだ一里塚に過ぎません。早期発見・早期介入の実証プロジェクトを推進し、早期発見・早期介入、検査・医療サービスが円滑に提供される体制の整備を目指すとともに、更なる治療薬の研究開発を推進してまいります。このため、認知症・脳神経疾患研究開発イニシアティブに早期に着手し、その際、本日もお話があった神経回路の再生・修復等による治療法などムーンショット型の研究開発に挑戦してまいります。
- 独居高齢者の更なる増加が見込まれる中、高齢者の生活上の課題への取組が重要です。このため、内閣官房に省庁横断型の調整チームを立ち上げ、厚生労働省が始めた実態把握調査でも、関係府省の参画を得た検討会を近く設置いたします。こうした体制とともに、身寄りのない方々を含め、高齢者等への住まいの確保、入院時や入居時等の身元保証の課題、さらには消費者被害の防止に取り組んでまいります。
- 前回の会議で私が示した、認知症施策の推進や『幸齢社会』の実現のために緊急的に取り組むべき施策について、今申し上げたとおり進めることとし、今般の経済対策に盛り込み、速やかに実行してまいります。
- 認知症の方御本人・御家族等の関係者の方を交え、本日も貴重な御意見を伺うことができました。一つ一つの意見を大切に積み重ねながら、年末に取りまとめを行うべく、今後とも構成員の皆様方には忌憚(きたん)なく御意見をお聞かせいただければと思っております。どうぞ御協力をお願い申し上げます。
首相官邸 認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議
- 令和5年9月27日、岸田総理は、総理大臣官邸で認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議を開催しました。会議では、構成員プレゼンテーション及び意見交換が行われました。総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。
- 「本日は、認知症と向き合う『幸齢社会』実現会議、初めての会合を開かせていただきました。認知症の方御本人及びその御家族など、様々な関係者の皆様方に御参加いただきました。そして幅広い立場で構成員の皆様方から貴重な御意見を頂きましたこと、心から感謝申し上げます。
- 皆様方の御意見は、今後、十分に政策等に反映させていただきたいと思っておりますが、本日はひとまず3点申し上げさせていただきたいと思います。
- まず第1に、一昨日、レカネマブが薬事承認されました。これは画期的な新薬であり、認知症の治療は新たな時代を迎えました。しかし、治療対象の患者が限られているなど、課題もあります。まずは、新薬へのアクセスや投与後のモニタリング等が適切に確保されるように、必要な検査体制、また医療提供体制の整備について、厚生労働大臣に検討を進めてもらいたいと思います。
- そして第2に、治療薬の開発、これは引き続き推進する必要があります。国際競争が激化する中、我が国のリードを広げるべく、認知症、脳神経疾患、研究開発イニシアティブについて、健康・医療戦略担当大臣において具体的な検討を進めていただきたいと思います。あわせて、高額医薬品について、国民皆保険の持続性とイノベーションの推進の両立の観点から、薬価制度の改革を含めた対応を、厚生労働大臣を中心に検討してもらいたいと思います。
- そして3点目は、岸田政権では安心して歳(とし)を重ねることができる『幸齢社会』づくり、これを進めてまいります。身寄りのない方を含め、認知症になったとしても安心できる、このためには、身元保証等の課題、これを解決していかなければなりません。厚生労働大臣において、実態把握、そして課題の整理、これを進めていただきたいと思います。そして、それとともに、官房長官を中心として、課題解決に向けた省庁横断の体制、これを構築させていただきたいと思っています。
- そして今日、これ以外にも、様々な貴重な御意見や御指摘を頂きました。今申し上げた3点に限らず、緊急的に対応すべきものについては、来月をめどに経済対策を取りまとめることにしておりますが、その中にも是非反映させたいと考えております。
- 引き続き、構成員の皆様から御意見を伺い、年末に向けて議論を深めていただき、認知症基本法の施行に先立って意見の取りまとめを行いたいと考えておりますので、今後とも構成員の皆様方及び関係大臣におかれましては、御協力をお願いしたいと思います。
- 改めて、今日も御協力いただきましたことに感謝申し上げます。ありがとうございました。」
首相官邸 犯罪被害者等のための施策の推進に関する業務の基本方針について
- 犯罪被害者等のための施策(以下「犯罪被害者等施策」という。)の一層の推進を図るため、国家公安委員会において犯罪被害者等施策の推進に関する企画及び立案並びに総合調整を行うこととし、国家公安委員会において本業務に取り組むに当たり、内閣法(昭和22年法律第5号)第12条第2項第2号に規定する基本的な方針として本基本方針を定める。
- 基本的な方針
- 犯罪被害者等施策については、犯罪被害者等が、被害を受けたときから再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援等を途切れることなく受けることができるよう、講ぜられる必要がある。このため、国は、犯罪被害者等施策を総合的に策定し、及び実施すること、地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、当該地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施することがそれぞれ求められている。また、国、地方公共団体及びその他の関係機関並びに犯罪被害者等の援助を行う民間の団体等が相互に連携を図りながら協力することが、非常に重要である。
- 犯罪被害者等施策の推進については、犯罪被害者等基本法(平成16年法律第161号)及び4次にわたる犯罪被害者等基本計画に基づき、これまでも関係府省庁の協力の下、政府全体として取り組んできたところである。しかしながら、犯罪被害者等からは、犯罪被害者等を必要な支援につなげるための相談・支援体制の更なる強化といった、様々な実施主体による多様な支援の連携強化や内容の充実を求める声など、依然として多岐にわたる意見・要望が寄せられている。
- 犯罪被害者等が一日も早く被害から回復し、社会の中で再び平穏な生活を営むことができるようにするためには、様々な分野にわたる取組を関係府省庁等が一層緊密に連携、協力して推進していく必要がある。また、必要な支援等を途切れることなく犯罪被害者等に提供するため、多岐にわたる犯罪被害者等施策の推進状況について、これまで以上にきめ細やかに点検、検証及び評価を行い、犯罪被害者等施策の実施にいかしていくことが重要である。
- これを踏まえ、令和5年10月1日以降は、犯罪被害者等基本計画の作成及び推進を所掌する国家公安委員会が犯罪被害者等施策の全体を俯瞰しつつ、施策の推進に関する企画及び立案並びに総合調整を行うことで施策を一元的に牽引し、関係府省庁の緊密な連携、協力の下、政府全体で犯罪被害者等施策の推進に関する業務に効果的かつ効率的に取り組むこととする。
- 1.に基づき行う事務の内容と関係府省庁
- 1.の基本的な方針に基づき、関係府省庁においては、以下のとおり事務を分担し、相互に緊密な連携を取りつつ、一体的かつ効率的に犯罪被害者等施策の推進に取り組むものとする。
- 国家公安委員会は、関係府省庁間の必要な調整等を行うため、警察法(昭和29年法律第162号)第5条第6項に基づき、犯罪被害者等施策の推進に関して行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整(以下「総合調整等」という。)を行うとともに、関連する所掌事務に当たることとする。
- 警察庁は、警察法第17条に基づき、国家公安委員会が行う(1)の総合調整等を補佐するとともに、犯罪被害者等施策の推進に関連する所掌事務に当たることとする。
- 国家公安委員会及び警察庁以外の関係府省庁は、(1)及び(2)の事務の実施に際し、情報又は知見の提供その他の必要な協力を行うとともに、犯罪被害者等施策の推進に関連する所掌事務に当たることとする。
- 1.の基本的な方針に基づき、関係府省庁においては、以下のとおり事務を分担し、相互に緊密な連携を取りつつ、一体的かつ効率的に犯罪被害者等施策の推進に取り組むものとする。
- 基本的な方針
【2023年9月】
首相官邸 基本方針
- 私たちは、何十年に一度という難しい課題が次々と複合的に生じる、歴史の転換点ともいえる状況を迎えている。こうした難局を乗り越え、新しい時代を切り拓いていくために、新たな時代にふさわしい、経済、社会、外交を創り上げていかなければならない。
- 「信頼と共感」の政治姿勢を大切に、一人一人の国民の声に寄り添い、先送りできない課題に一つ一つ正面から取り組み、結果を出していく。その強い覚悟の下、内閣の総力を挙げて、以下の政策を推し進める。
- 物価高対策と新しい資本主義の加速
- エネルギー・食糧を始めとした物価高に直面する国民生活を守るため、スピード感をもって対応する。
- 人への投資を強化し、労働市場改革を進めることにより、構造的な賃上げ、消費拡大を実現し、持続的な成長と分配の好循環を成し遂げる。また、GX(グリーン・トランスフォーメーション)、DX(デジタル・トランスフォーメーション)、科学技術・イノベーション、スタートアップといった重点分野に官民の投資を集め、新たな産業構造への転換を進める。これによって、社会課題の解決と持続的な経済成長を同時に実現する。
- あわせて、交通・物流インフラなど地方を支える基盤づくりへの積極的な投資や、農業、観光、中小企業など地方を支える産業の支援に万全を期す。
- 人口減少に打ち勝つデジタル社会への変革
- 少子化対策とデジタル社会への変革の2つを車の両輪として、人口減少という国家的な課題に取り組む。
- デジタル田園都市国家構想の下、デジタルの技術を活用し、地方創生の取組を加速する。加えて、デジタル基盤と政府の仕組みの改革を推進し、地域の自治体が国民一人一人へのきめ細かな行政サービスを効率的に実現する、デジタル行財政改革に取り組む。
- 少子化のトレンドを反転させるべく、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造や意識を変える、全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援するという3つの基本理念を踏まえ、こども・子育て政策の抜本的な強化を図る。
- 国民を守り抜く、外交・安全保障
- 国民生活の安全と繁栄の確保、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化のための外交を積極的に展開する。あわせて、エネルギー、食料問題などグローバルな課題に各国と連携して対応する。また「ヒロシマ・アクション・プラン」に基づき、「核兵器のない世界」に向けた国際的な取組を主導する。「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日米同盟を基軸に、米豪印や韓国を始め各国・地域との協力連携を進める。
- 戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対応すべく、国家安全保障戦略等に基づき、防衛力を抜本的に強化する。
- 「すべての拉致被害者を必ず取り戻す」との決意の下、拉致問題の完全解決に向けて、政府全体で取り組む。
- 危機管理の徹底
- 万一、大規模な自然災害やテロなど、国家的な危機が生じた場合、国民の生命と財産を守ることを第一に、政府一体となって、機動的かつ柔軟に全力で対処する。
- そのために、「常に最悪を想定し」次なる感染症危機への対応も含め、平素から準備に万全を期す。
- 東日本大震災からの復興・国土強靱(きょうじん)化
- 東北の復興なくして日本の再生なしとの強い思いの下、被災者に寄り添い、被災者支援、農業・生業の再生、福島の復興・再生に全力を尽くすとともに、災害に強い地域づくり・国土強靱化を一層推進する。
- 廃炉に不可欠なALPS(多核種除去設備)処理水の放出に係る風評影響への対応に全力を挙げて取り組む。
- 物価高対策と新しい資本主義の加速
首相官邸 内閣感染症危機管理統括庁の発足等についての会見
- 本日は防災の日の訓練に参加するとともに、その後、内閣感染症危機管理統括庁の発足式に臨みました。災害や、感染症危機、これはいつ起こるかわからない、予測することができないものでありますが、だからこそ、常に万全の備えをしていかなければならない。こうしたことを感じ、また覚悟を新たにする1日にもなったと感じています。
- 本日は関東大震災100年ですが、新型コロナ禍もまた、スペイン風邪の発生から100年後に直面した歴史的な災禍です。新型コロナとの戦い、これは3年半に及ぶわけですが、本年5月には、新型コロナが5類感染症に移行しました。そして、足元ではGDP(国内総生産)が、名目、実質共に、新型コロナ前の水準を超え過去最高となっています。このグラフのとおりであります。この真夏には行動制限もマスクもない夏祭り、あるいは花火大会を楽しんだという国民の皆様の声も聞いています。そして先ほど内閣府からGDPギャップが15四半期ぶりのプラス、具体的にはプラス0.4パーセント、2兆円となったとの推計が発表されました。このグラフのとおりであります。プラスについては小幅であり、このプラスが今後継続するかどうか、安定して続くかどうか、これが重要であるとは思いますが、振り返りますと私が自民党の政調会長を務めていた時代、3年ほど前でありますが、その当時はGDPギャップ50兆円を超えておりました。50兆円を超える大幅なマイナスであった時代を振り返りますときに、この変化は画期的なものであると感じています。
- こうした経済社会活動を取り戻すということについては、ゴールが見えつつあると思います。しかしながら、日本経済がコロナ禍を乗り越えて、新しいステージに移れるかということについては、まだまだ正念場であると感じています。是非、物価高から国民生活を守り、構造的な賃上げと投資の拡大を図るための経済対策について検討を加速したいと思っています。
- 国民の皆様、そして現場で働く医師・看護師、介護士などエッセンシャルワーカーの皆様の御協力によって、幾度の感染の波、乗り越えてきました。改めて国民の皆様の御理解、御協力に感謝を申し上げるところですが、私は新型コロナとの戦いを通じて、常に最悪の事態を想定した対策の必要性、そして将来の感染症危機に備えた司令塔機能の強化の必要性、これを訴えて自民党の総裁選挙も戦いました。そして、その後、内閣総理大臣の指名もいただきました。こうした、経緯を経て、政権発足直後には、医療提供体制の取組を強化する全体像を取りまとめました。そして、次の感染症危機に備えた対応として、昨年の有識者会議の議論、その議論を踏まえた感染症法の改正、これを経て、本年の通常国会では内閣法を改正して、本日の統括庁発足、これに至ったところです。
- 統括庁は各省庁を強力に束ねる扇の要であり、統括庁の創設が、新たな歴史の起点になること、これを願ってやみません。これまでの戦いを振り返りつつ、万全の備えを期す、こういった決意をかみ締めながら、今日の発足式にも臨んだ次第です。そして今後を考えますと、一つは、新型コロナとの戦い、これは引き続き続いています。新型コロナへの対応に万全を期すということと、そしてもう一つ、次の感染症への備えに万全を期す、この二つをしっかりと念頭に置きながら取組を進めていかなければなりません。
- 一つ目の新型コロナへの対応に万全を期すということについては、ここにありますように医療提供体制について、今までは限られた医療機関による特別な対応でありましたが、今後は幅広い医療機関による自律的な通常の対応への移行、これを進めていかなければなりません。ここにありますように、この外来の対応医療機関、これは2月時点で約4.2万でありましたが、今、約2割増しと着実に増えている、こうしたことであります。もとより感染の再拡大については注視する必要があります。感染拡大が生じても、必要な医療が提供できるようにということで、こうした取組も、引き続き続けてまいります。
- そして一方、次の感染症の危機に備えるということについては、統括庁において、政府の行動計画の見直し、これに取り掛かります。平時からの医療提供体制の整備として、第8次医療計画による感染症医療と通常医療の両立確保、あるいは、掛かりつけ医機能が発揮される制度整備、これに向けて検討を進めてまいりたいと思います。
- 引き続き、国民の皆様の御理解をいただきながら、今の新型コロナへの対応、引き続き緊張感を持って続けるとともに、次の感染症への備え、万全を期してまいりたいと考えております。
【衆議院/参議院】
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【内閣府】
【2023年11月】
内閣府 月例経済報告(令和5年11月)
- 景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
- 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
- 基調判断
- 景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
- 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
- 政策態度
- 30年来続いてきたコストカット型経済から持続的な賃上げや活発な投資がけん引する成長型経済へ変革するため、新しい資本主義の取組を加速させる。
- このため、変革を力強く進める供給力の強化策と不安定な足元を固め物価高を乗り越える生活実感の改善策により、投資と消費の力強い循環につなげるべく「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージにむけて~」(11月2日閣議決定)を早期に実行する。その裏付けとなる令和5年度補正予算の早期成立に全力で取り組む。
- 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
- こうした取組を通じ、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進めつつ、デフレに後戻りしないとの認識を広く醸成し、デフレ脱却につなげる。
- 消費・投資等の需要動向
- 2023年7-9月期の実質GDP(国内総生産)の成長率は、政府最終消費支出がプラスに寄与したものの、民間在庫変動、民間企業設備、財貨・サービスの純輸出(輸出-輸入)、民間最終消費支出、民間住宅、公的固定資本形成がマイナスに寄与したことなどから、前期比で0.5%減(年率2.1%減)となった(3四半期ぶりのマイナス)。また、名目GDP成長率は前期比で0.0%減となった(4四半期ぶりのマイナス)
- 個人消費は、持ち直している。
- 「四半期別GDP速報」(2023年7-9月期1次速報)では、民間最終消費支出の実質値は前期比0.0%減となった。また、「消費動向指数(CTI)」(9月)では、総消費動向指数(CTIマクロ)の実質値は前月比0.0%増となった。
- 個別の指標について、需要側の統計をみると、「家計調査」(9月)では、実質消費支出は前月比0.3%増となった。販売側の統計をみると、「商業動態統計」(9月)では、小売業販売額は前月比0.4%増となった。
- 消費動向の背景をみると、実質総雇用者所得は、このところ持ち直しの動きがみられる。また、消費者マインドは、このところ持ち直しに足踏みがみられる。
- さらに、足下の状況について、ヒアリング結果等を踏まえると、新車販売台数及び家電販売は、おおむね横ばいとなっている。旅行は、持ち直している。外食は、緩やかに増加している。
- こうしたことを踏まえると、個人消費は、持ち直している。
- 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、持ち直しが続くことが期待される。ただし、消費者マインドの動向に留意する必要がある。
- 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。
- 設備投資は、持ち直しに足踏みがみられる。需要側統計である「法人企業統計季報」(4-6月期調査、含むソフトウェア)でみると、2023年4-6月期は前期比1.2%減となった。業種別にみると、製造業は同1.2%増、非製造業は同2.5%減となった。
- 機械設備投資の供給側統計である資本財総供給(国内向け出荷及び輸入)は、持ち直しの動きに足踏みがみられる。ソフトウェア投資は、増加している。
- 「日銀短観」(9月調査)によると、全産業の2023年度設備投資計画は、増加が見込まれている。「日銀短観」による企業の設備判断は、製造業に過剰感がみられるものの、全体では不足感がみられる。先行指標をみると、機械受注は、おおむね横ばいとなっている。
- 建築工事費予定額は、持ち直しの動きがみられる。
- 先行きについては、堅調な企業収益等を背景に、持ち直しに向かうことが期待される。
- 住宅建設は、弱含んでいる。
- 住宅建設は、弱含んでいる。持家の着工は、このところ横ばいとなっている。貸家の着工は、横ばいとなっている。分譲住宅の着工は、弱含んでいる。総戸数は、9月は前月比1.5%減の年率80.0万戸となった。なお、首都圏のマンション総販売戸数は、おおむね横ばいとなっている。
- 先行きについては、当面、弱含みで推移していくと見込まれる。
- 公共投資は、底堅く推移している。
- 公共投資は、底堅く推移している。9月の公共工事出来高は前月比0.7%増、10月の公共工事請負金額は同7.9%減、9月の公共工事受注額は同3.4%増となった。
- 公共投資の関連予算をみると、国の一般会計予算における公共事業関係費は、令和5年度当初予算では、前年度当初予算比0.0%増としている。また、2023年11月10日に閣議決定された国の令和5年度補正予算案においては、「国土強靱化、防災・減災など国民の安全・安心を確保する」取組などに係る予算措置を講じることとしている。さらに、令和5年度地方財政計画では、投資的経費のうち地方単独事業費について、前年度比0.0%としている。
- 先行きについては、関連予算の執行により、底堅く推移していくことが見込まれる。
- 輸出は、このところ持ち直しの動きがみられる。輸入は、おおむね横ばいとなっている。貿易・サービス収支は、赤字となっている。
- 輸出は、このところ持ち直しの動きがみられる。地域別にみると、アジア向けの輸出は、このところ持ち直しの動きがみられる。アメリカ向けの輸出は、このところ持ち直している。EU及びその他地域向けの輸出は、おおむね横ばいとなっている。先行きについては、持ち直しの動きが続くことが見込まれる。ただし、海外景気の下振れリスクに留意する必要がある。
- 輸入は、おおむね横ばいとなっている。地域別にみると、アジア及びアメリカからの輸入は、おおむね横ばいとなっている。EUからの輸入は、このところ持ち直しの動きに足踏みがみられる。先行きについては、次第に持ち直していくことが期待される。
- 貿易・サービス収支は、赤字となっている。
- 9月の貿易収支は、輸出金額が増加したことから、赤字幅が縮小した。また、サービス収支は、赤字幅が縮小した。
- 企業活動と雇用情勢
- 生産は、持ち直しの兆しがみられる。
- 鉱工業生産は、持ち直しの兆しがみられる。鉱工業生産指数は、9月は前月比0.5%増となった。鉱工業在庫指数は、9月は前月比1.3%減となった。また、製造工業生産予測調査によると10月は同3.9%増、11月は同2.8%減となることが見込まれている。
- 業種別にみると、輸送機械は底堅い動きとなっている。生産用機械はおおむね横ばいとなっている。電子部品・デバイスは振れを伴いながら持ち直しの動きがみられる。
- 生産の先行きについては、海外景気の下振れ等による影響に注意する必要があるが、持ち直しに向かうことが期待される。
- また、第3次産業活動は、持ち直している。
- 企業収益は、総じてみれば改善している。企業の業況判断は、総じてみれば緩やかに改善している。倒産件数は、増加がみられる。
- 企業収益は、総じてみれば改善している。上場企業の2023年7-9月期の決算をみると、経常利益は前年比で製造業は増益、非製造業は減益となった。「日銀短観」(9月調査)によると、2023年度の売上高は、上期は前年比2.5%増、下期は同1.4%増が見込まれている。経常利益は、上期は前年比3.8%減、下期は同1.5%減が見込まれている。
- 企業の業況判断は、総じてみれば緩やかに改善している。「日銀短観」(9月調査)によると、「最近」の業況は、「全規模全産業」で上昇した。12月時点の業況を示す「先行き」は、「最近」に比べやや慎重な見方となっている。また、「景気ウォッチャー調査」(10月調査)の企業動向関連DIによると、現状判断は低下、先行き判断は横ばいだった。
- 倒産件数は、増加がみられる。9月は720件の後、10月は793件となった。負債総額は、9月は6,919億円の後、10月は,080億円となった。
- 雇用情勢は、改善の動きがみられる。
- 完全失業率は、9月は前月比0.1%ポイント低下し、2.6%となった。労働力人口及び完全失業者数は減少し、就業者数は増加した。
- 就業率は緩やかに上昇している。新規求人数は横ばい圏内となっている。有効求人倍率はこのところ横ばい圏内となっている。民間職業紹介における求人動向は持ち直している。製造業の残業時間は増加した。
- 賃金をみると、定期給与及び現金給与総額は増加している。実質総雇用者所得は、このところ持ち直しの動きがみられる。
- 「日銀短観」(9月調査)によると、企業の雇用人員判断DIは、9月調査で-33と、6月調査(-32)から1ポイント不足超幅が拡大している。
- こうしたことを踏まえると、雇用情勢は、改善の動きがみられる。
- 先行きについては、改善していくことが期待される。
- 生産は、持ち直しの兆しがみられる。
- 物価と金融情勢
- 国内企業物価は、横ばいとなっている。消費者物価は、上昇している。
- 国内企業物価は、横ばいとなっている。10月の国内企業物価は、前月比0.4%下落し、夏季電力料金調整後では、前月比0.3%下落した。輸入物価(円ベース)は、このところ上昇している。
- 企業向けサービス価格の基調を「国際運輸を除くベース」でみると、緩やかに上昇している。
- 消費者物価の基調を「生鮮食品及びエネルギーを除く総合」でみると、政策等による特殊要因を除くベースで、上昇している。9月は、前月比では連鎖基準で0.1%上昇し、固定基準で0.2%上昇した。前年比では連鎖基準で4.5%上昇し、固定基準で4.2%上昇した。ただし、政策等による特殊要因を除くと、前月比では連鎖基準で0.1%上昇し、前年比では連鎖基準で4.1%上昇した(内閣府試算)。
- 「生鮮食品を除く総合」(いわゆる「コア」)は、上昇している。
- 9月は、前月比では連鎖基準で0.0%となり、固定基準で0.1%上昇した。
- 物価の上昇を予想する世帯の割合を「消費動向調査」(二人以上の世帯)でみると、10月は、1年後の予想物価上昇率別に、2%未満が10.8%(前月10.2%)、2%以上から5%未満が32.9%(前月32.4%)、5%以上が48.8%(前月51.1%)となった。
- 先行きについては、消費者物価(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)は、政策等による特殊要因を除くベースで、当面、上昇していくことが見込まれる。
- 株価(日経平均株価)は、30,800円台から33,500円台まで上昇した後、33,300円台まで下落した。対米ドル円レート(インターバンク直物中心相場)は、149円台から151円台まで円安方向に推移した後、149円台まで円高方向に推移した。
- 株価(日経平均株価)は、30,800円台から33,500円台まで上昇した後、33,300円台まで下落した。
- 対米ドル円レート(インターバンク直物中心相場)は、149円台から151円台まで円安方向に推移した後、149円台まで円高方向に
- 推移した。
- 短期金利についてみると、無担保コールレート(オーバーナイト物)は、-0.02%台から-0.01%台で推移した。ユーロ円金利(3か月物)は、-0.0%台で推移した。長期金利(10年物国債利回り)は、0.7%台から0.9%台で推移した。
- 企業金融については、企業の資金繰り状況におおむね変化はみられない。社債と国債との流通利回りスプレッドは、総じて横ばいとなっている。金融機関の貸出平残(全国銀行)は、前年比3.1%(10月)増加した。
- マネタリーベースは、前年比9.0%(10月)増加した。M2は、前年比2.4%(10月)増加した
- 国内企業物価は、横ばいとなっている。消費者物価は、上昇している。
- 海外経済
- 世界の景気は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直している。
- 先行きについては、持ち直しが続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めや中国における不動産市場の停滞に伴う影響、物価上昇等による下振れリスクに留意する必要がある。また、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響を注視する必要がある。
- アメリカでは、景気は回復している。
- 先行きについては、回復が続くことが期待される。ただし、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。
- 2023年7-9月期のGDP成長率(第1次推計値)は、個人消費や住宅投資が増加し、前期比で1.2%増(年率4.9%増)となった。
- 足下をみると、消費は増加している。設備投資はこのところ増勢が鈍化している。住宅着工は緩やかに増加している。
- 生産は緩やかに増加している。非製造業景況感はおおむね横ばいとなっている。雇用面では、雇用者数は増加しており、失業率はおおむね横ばいとなっている。物価面では、コア物価上昇率はおおむね横ばいで推移している。貿易面では、財輸出は緩やかに増加している。
- 10月31日~11月1日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の誘導目標水準を5.25%から5.50%の範囲で据え置くことが決定された。
- アジア地域については、中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。
- 先行きについては、各種政策の効果もあり、持ち直しに向かうことが期待される。ただし、不動産市場の停滞に伴う影響等に留意する必要がある。
- 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。台湾では、景気は持ち直しの動きがみられる。インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。
- タイでは、景気は持ち直している。インドでは、景気は緩やかに回復している。
- 中国では、景気は持ち直しの動きに足踏みがみられる。2023年7-9月期のGDP成長率は、前年同期比で4.9%増となった。消費は持ち直しに足踏みがみられる。固定資産投資は伸びが低下している。財輸出は弱含みとなっている。生産は持ち直しの動きに足踏みがみられる。消費者物価上昇率はおおむね横ばいとなっている。
- 韓国では、景気は持ち直しの動きがみられる。2023年7-9月期のGDP成長率は、前期比で0.6%増(年率2.4%増)となった。台湾では、景気は持ち直しの動きがみられる。2023年7-9月期のGDP成長率は、前年同期比で2.3%増となった。
- インドネシアでは、景気は緩やかに回復している。2023年7-9月期のGDP成長率は、前年同期比で4.9%増となった。タイでは、景気は持ち直している。2023年7-9月期のGDP成長率は、前年同期比で1.5%増となった。
- インドでは、景気は緩やかに回復している。2023年4-6月期のGDP成長率は、前年同期比で7.8%増となった。
- ヨーロッパ地域については、ユーロ圏では、景気は弱含んでいる。ドイツにおいては、景気は弱含んでいる。先行きについては、弱さが見込まれる。さらに、金融引締めやエネルギー情勢に伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。英国では、景気は弱含んでいる。先行きについては、弱さが見込まれる。さらに、金融引締めに伴う影響等による下振れリスクに留意する必要がある。
- ユーロ圏では、景気は弱含んでいる。2023年7-9月期のGDP成長率は、前期比で0.1%減(年率0.2%減)となった。消費は弱含んでいる。設備投資は持ち直している。生産は弱含んでいる。サービス業景況感は低下している。財輸出は弱含んでいる。失業率は横ばいとなっている。コア物価上昇率は低下している。
- ドイツにおいては、景気は弱含んでいる。2023年7-9月期のGDP成長率は、前期比で0.1%減(年率0.3%減)となった。
- 英国では、景気は弱含んでいる。2023年7-9月期のGDP成長率は、前期比で0.0%減(年率0.1%減)となった。消費は弱い動きとなっている。設備投資はおおむね横ばいとなっている。生産はおおむね横ばいとなっている。サービス業景況感はおおむね横ばいとなっている。財輸出は弱含んでいる。サービス輸出は緩やかに増加している。失業率は上昇している。コア物価上昇率はこのところ低下している。
- 欧州中央銀行は、10月26日の理事会で、政策金利を4.50%で据え置くことを決定した。イングランド銀行は、11月1日の金融政策委員会で、政策金利を5.25%で据え置くことを決定した。
- 国際金融情勢等
- 金融情勢をみると、世界の主要な株価は、アメリカ、ドイツでは上昇、英国ではやや上昇、中国ではおおむね横ばいで推移した。短期金利についてみると、ドル金利(3か月物)はおおむね横ばいで推移した。主要国の長期金利は、アメリカでは低下、英国では大幅に低下、ドイツではやや低下した。ドルは、ユーロ、ポンドに対して減価、円に対しておおむね横ばいで推移した。原油価格(WTI)は大幅に下落、金価格はおおむね横ばいで推移した
- アメリカでは、景気は回復している。
内閣府 令和5年第14回経済財政諮問会議
▼資料5 デフレ完全脱却のための総合経済対策のポイント(経済財政政策担当大臣提出資料)
- 5つの柱:熱量あふれる「新たなステージ」へスタートダッシュ
- 物価高から国民を守る
- 持続的な賃上げと所得向上
- 供給力強化・投資促進
- 人口減少を乗り越え変化を力に
- 安全・安心の確保
- 3つの狙い・視点・手法
- 3つの狙い
- 国民生活を守り抜く
- 人を育み、地域を活性化する
- 世界に出て、海外の活力を取り込む
- 3つの視点
- フロンティアの開拓
- デジタル技術の社会実装
- 省庁・制度間の連携
- 3つの手法
- 制度・規制改革
- 新たな予算・税制措置
- 新たなガイダンス
- 3つの狙い
- 3つの狙い-主要施策例
- 国民生活を守り抜く
- 物価高により厳しい状況にある生活者・事業者支援
- 2024年4月末まで燃料油の激変緩和対策を継続。
- 2024年4月末まで、電気・ガスの激変緩和措置を継続。
- 低所得世帯に対する計10万円の所得支援の給付。
- 一人当たり4万円の所得税・住民税減税等を通じ、国民の可処分所得を増加
- 家庭等の省エネ促進
- エネルギーコスト上昇への耐性を強化。
- 断熱窓への改修、高効率給湯器の導入、高い省エネ性能を有する住宅の取得等を支援
- 物価高により厳しい状況にある生活者・事業者支援
- 人を育み、地域を活性化する
- 教育DXフロンティア戦略の推進
- 各都道府県に基金を設置し、1人1台端末を計画的に更新。
- 生成AI等の利活用の可能性を含め、個別最適な学びのサポートを行う仕組の構築に向けた検討を加速
- リ・スキリングの支援
- 構造的賃上げの実現に向け、デジタル分野等でのスキル獲得を支援。業種別に、個人向けのリ・スキリング支援を拡充強化
- 半導体等の国内生産拠点整備支援
- 先端・次世代半導体や蓄電池の国内生産拠点の整備、関連産業及び人材の集積・育成等を通じて、地方経済を活性化。
- 医療・介護・こども政策DX
- DX化を推進し、利用者の利便性向上、働き手の負担軽減、サービス提供の効率化を図る。
- オンライン診療、介護ロボット等の導入・普及、プッシュ型子育て支援の拡大。
- 教育DXフロンティア戦略の推進
- 世界に出て、海外の活力を取り込む
- 農林水産品・食品や中小企業の輸出振興
- 円安を活かし、農林水産品・食品や中小企業の製品の輸出を拡大。 *農林水産品・食品:5兆円(2030年)、中小企業:1万者
- 地方における賃上げの原資確保や所得拡大につなげる。
- 宇宙政策の戦略的強化
- JAXA法の改正、「宇宙戦略基金」の創設、基幹ロケットの開発など、宇宙政策を強化。
- 準天頂衛星システムの整備を加速し、自動運転の社会実装など、新たなサービスを産業化。災害時の通信手段を確保。
- 農林水産品・食品や中小企業の輸出振興
- 国民生活を守り抜く
- 3つの視点-主要施策例
- フロンティアの開拓
- 「海洋開発重点戦略」に基づく海洋の開発・利用の推進
- 海底7,000m以深を探索可能なAUV(自律型無人探査機)の実証。
- 深海底からのレアアース採取のための技術開発を支援。
- 我が国独自の資源確保を目指す。
- 我が国独自の生成AIの開発
- AIの開発に不可欠な計算資源・学習用データの整備等を支援。
- 我が国独自の生成AIの開発を目指す。
- 核融合エネルギーの開発・実証
- フュージョンエネルギーの研究開発に加え、発電実証を目指す。
- 「海洋開発重点戦略」に基づく海洋の開発・利用の推進
- デジタル技術の社会実装
- デジタル時代の次世代物流の実現~「デジタルライフライン」の整備~
- デジタル情報配信道等を整備し、AIによるマッチング等を活用した物流に向けた実証を実施。
- 将来的に、FCV/EVの自動運転トラックの活用を含め、省人・省エネの円滑な物流の実現を目指す。
- 介護DX
- 介護現場におけるセンサー、ロボット等の実装を加速。
- ICT機器の活用など、一定の要件を満たす高齢者施設について、人員配置基準の特例的な柔軟化を検討。
- 自治体の社会変革への挑戦支援
- デジタル行財政改革に沿って、教育、子育て等の分野で、自治体横断のデータ連携やアプリの活用等を行う取組を横展開。
- 行政サービスの効率化・高度化を支援。
- デジタル時代の次世代物流の実現~「デジタルライフライン」の整備~
- 省庁・制度間の連携
- 企業の賃上げ促進のための税制措置
- 物価高に負けない賃上げを実現できるよう制度を強化。
- 中小企業等の赤字法人においても、賃上げを促進するための繰越控除制度の創設、措置の期限の在り方等を検討。
- リ・スキリングの支援
- 教育訓練給付(厚労省所管)の対象について、文科省・経産省が指定する講座に加え、各省庁所管の業界団体等が実施する講座を追加。
- グローバルサウス諸国との連携強化
- 「グローバルサウス諸国との連携強化推進会議」の下、質の高いインフラの輸出、DX/GX等の民間ビジネスの海外展開を支援。
- FOIPの実現、サプライチェーンの強靱化・経済安全保障の確保につなげる。
- 企業の賃上げ促進のための税制措置
- フロンティアの開拓
- 3つの手法-主要施策例
- 制度・規制改革
- ドローンによる物資配送の事業化
- 目視内飛行について、飛行計画の許可・承認申請手続を短期化。
- 無人地帯における目視外飛行について、立入管理措置の簡略化等を行い、物資配送を事業化。
- 産業立地円滑化のための土地利用転換の迅速化
- 地域未来投資促進法(経産省)に規定する事業について、都市計画法上の市街化調整区域の開発許可手続きを緩和(国交省)。
- 農地転用に係る手続きを並行して進めることを可能に(農水省)。
- 土地利用転換に要する期間を短縮。
- 資産運用立国
- 資産運用業とアセットオーナーシップの改革を推進。
- 資産運用業への国内外からの新規参入を促すため、バックオフィス業務の外部委託に係る規制改革や資産運用特区の創設等を検討。
- ドローンによる物資配送の事業化
- 新たな予算・税制措置
- 中小企業向け省力化投資支援
- ロボット等の汎用製品を「カタログ掲載」し、中小企業が選択式で導入することを可能に。
- 簡易な手続きと価格の明確化により、ロボット等の省力化を促進。
- イノベーションボックス税制
- 国内で自ら研究開発した特許権等の知的財産から生じる所得に対して優遇するイノベーションボックス税制を創設。
- 戦略分野国内生産促進税制(仮称)
- 民間として採算性に乗りにくい一方、国として特段に戦略的な長期投資が不可欠となる投資を対象とする。
- 生産量等に応じ新たに減税を行う戦略分野国内生産促進税制(仮称)を創設。
- 家事支援サービスの活用支援
- 家事負担が就労の制約となっている従業員に対し、家事支援サービス利用機会を提供する事業者の取組に関する実証を実施
- 中小企業向け省力化投資支援
- 新たなガイダンス
- 職務給の導入
- ジョブの整理・括り方、人材の配置・育成・評価方法、ポスティング制度、賃金制度、労働条件変更と現行法制・判例との関係等について、事例を整理・公表し、職務給の導入拡大につなげる。
- オンライン健康相談の普及
- オンライン健康医療相談について、医師以外の看護師等が回答可能な範囲を明確化。
- 電子契約の普及
- 電子契約サービスの利用者の懸念事項とされる電子署名の法的効力について、電子署名法の解釈を明確化。
- 職務給の導入
- 制度・規制改革
内閣府 男女共同参画局 令和5年度 女性に対する暴力をなくす運動
▼令和5年度「女性に対する暴力をなくす運動」実施要綱
- 目的
- 暴力は、その対象の性別や加害者・被害者の間柄を問わず、決して許されるものではないが、特に、配偶者等からの暴力、性犯罪・性暴力、ストーカー行為、売買春、人身取引、セクシュアルハラスメント等女性に対する暴力は、重大な人権侵害であり、男女共同参画社会を形成していく上で克服すべき重要な課題である。
- この運動は、都道府県、市区町村、男女共同参画推進連携会議、関係団体、有識者等との連携、協力の下、社会の意識啓発等、女性に対する暴力の問題に関する取組を一層強化することを目的とする。
- 特に、女性に対する暴力の根底には、人権の軽視があることから、人権の尊重のための意識啓発や教育の充実を図ることとする。
- 実施期間
- 令和5年11月12日(日)から11月25日(土)までの2週間(11月25日は「女性に対する暴力撤廃国際日」)
- 主唱
- 内閣府、内閣官房、警察庁、金融庁、消費者庁、こども家庭庁、デジタル庁、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省
- 協力を依頼する機関・団体等
- 都道府県、市区町村、男女共同参画推進連携会議、関係団体、有識者等
- 運動の重点
- 次の事項に重点を置く。
- 「女性に対する暴力根絶のためのシンボルマーク」や「パープルリボンバッジ」を積極的に活用するなどにより、配偶者等からの暴力、性犯罪・性暴力、ストーカー行為、売買春、人身取引、セクシュアルハラスメント等は女性に対する暴力であり、決して許されないものであるとの社会認識を更に醸成すること。
- 暴力の「未然防止」や「拡大防止」に向けた意識を高めるとともに、暴力の被害に遭っていながらその自覚がない人に被害を受けていることを認識してもらい、被害者や関係者が、相談窓口等の必要な情報を入手し、ためらうことなく相談できるようにすること。
- 次の事項に重点を置く。
- 運動の実施事項
- ポスター、リーフレットの作成・配布、テレビ、ラジオ、インターネット等のメディアを利用したキャンペーン、パープル・ライトアップ等の広報活動を、運動のより一層の広がりを目指し、効果的に実施する。
- 講演会・研修会等を開催し、女性に対する暴力根絶のための啓発活動を実施する。
- 相談窓口の周知を進め、被害者相談活動の一層の充実を図る。
- 女性に対する暴力に係る犯罪行為の未然防止を図るため、女性に対する防犯指導や青少年に対する生活指導、街頭補導等を重点的に実施する。
- 女性に対する暴力に係る犯罪行為の取締り及び関係営業に対する行政指導を強化する
内閣府 気候変動に関する世論調査
▼報告書概略版
- 気候変動とは、人間の活動に伴って発生する二酸化炭素などの温室効果ガスが増えることによって地球の気温が上昇する「地球温暖化」や、自然の要因などによって気温や降水量などが変動することをいいます。あなたは、気候変動が引き起こす問題に関心がありますか。(○は1つ)令和2年11月→令和5年7月
- 関心がある(小計)88.3%→89.4%
- 関心がある45.6%→48.0%
- ある程度関心がある42.8%→41.4%
- 関心がない(小計)9.3%→9.8%
- あまり関心がない7.9%→8.1%
- 全く関心がない1.4%→1.7%
- 関心がある(小計)88.3%→89.4%
- あなたは、2015年にフランスのパリで開催された国際会議「COP21」で採択された、気候変動対策のための国際的な枠組みである「パリ協定」を知っていますか。(○は1つ)令和2年11月→令和5年7月
- 知っている(小計)84.0%→78.8%↓
- 内容まで知っている19.1%→12.7%↓
- 名前は聞いたことがある64.9%→66.1%
- 知らない13.3%→20.1%↑
- パリ協定について何で知りましたか。(○はいくつでも)(上位2項目)令和5年7月
- テレビ・ラジオ89.4%
- 新聞・雑誌・本47.9%
- 国際連合によって設置されたIPCCという政府間の組織は、1990年から5~7年程度ごとに気候変動に関連する評価報告書を公表しています。あなたは、最新の同報告書において、初めて、人間の活動が地球を温暖化させてきたと断定する見解が示されたことを知っていますか。(○は1つ)令和5年7月
- 知っている42.3%
- 知らない56.5%
- その報告書の内容について何で知りましたか。(○はいくつでも)(上位2項目)令和5年7月
- テレビ・ラジオ90.4%
- 新聞・雑誌・本60.5%
- 「脱炭素社会」とは、人間の活動による温室効果ガスの排出量と森林などによる吸収量が等しくなり、排出実質ゼロとなる社会をいいます。あなたは、「脱炭素社会」について知っていましたか。(○は1つ)令和2年11月→令和5年7月
- 知っていた(小計)68.4%→83.7%↑
- 知っていた33.2%→43.8%↑
- 言葉だけは知っていた35.1%→40.0%↑
- 知らなかった31.1%→14.7%↓
- 知っていた(小計)68.4%→83.7%↑
- あなたは、「脱炭素社会」の実現に向け、一人一人が二酸化炭素などの排出を減らす取組について、どのようにお考えですか。(○は1つ)令和2年11月→令和5年7月
- 取り組みたい(小計)91.9%→90.2%
- 積極的に取り組みたい24.8%→25.1%
- ある程度取り組みたい67.1%→65.1%
- 取り組みたくない(小計)7.1%→8.0%
- あまり取り組みたくない5.7%→6.3%
- 全く取り組みたくない1.5%→1.7%
- 取り組みたい(小計)91.9%→90.2%
- 取り組みたくない理由は何ですか。(○はいくつでも)令和2年11月→令和5年7月
- 地球温暖化への対策としてどれだけ効果があるのかわからないから48.4%→47.5%
- どのような基準で選択し、どのように取り組めばよいか情報が不足しているから45.2%→30.3%↓
- 日常生活の中で常に意識して行動するのが難しいから27.8%→27.9%
- 手間が掛かるから18.3%→23.8%
- 経済的なコストが掛かるから19.0%→21.3%
- 地球温暖化への対策のための取組を行う必要性を感じないから15.1%→14.8%
- その他12.7%→14.8%
- 「脱炭素社会」の実現に向け、あなたが日常生活の中で、現在、取り組んでいることは何かありますか。(○はいくつでも)(上位5項目)令和2年11月→令和5年7月
- こまめな消灯、家電のコンセントを抜くなどによる電気消費量の削減70.7%→70.1%
- 軽装や重ね着などにより、冷暖房の設定温度を適切に管理70.9%→60.7%↓
- 冷蔵庫、エアコン、照明器具などの家電製品を購入する際に、省エネルギー効果の高い製品を購入57.2%→47.8%↓
- 移動時に徒歩・自転車・公共交通機関の利用35.2%→34.1%
- 宅配便の1回での受取り、または宅配ボックスでの受取りなどによる再配達の防止27.2%→32.4%↑
- 「脱炭素社会」の実現に向け、あなたが日常生活の中で、今後、新たに取り組んでみたいと思うことはありますか。(○はいくつでも。ただし、選択肢1~10のうち問9で回答したものと同じ取組は選択できません。)(上位4項目)令和2年11月→令和5年7月
- 地球温暖化への対策に取り組む企業の商品の購入やサービスの利用30.1%→26.6%↓
- 冷蔵庫、エアコン、照明器具などの家電製品を購入する際に、省エネルギー効果の高い製品を購入22.2%→23.1%
- 電気自動車などのエコカーの選択やゆっくり加速・減速などのエコドライブの実践24.1%→21.4%
- 宅配便の1回での受取り、または宅配ボックスでの受取りなどによる再配達の防止20.4%→19.2%
- 地球温暖化などの気候変動は、農作物の品質低下、野生生物の生息域の変化、大雨の頻発化に伴う水害リスクの増加、熱中症搬送者数の増加といった形で、私たちの暮らしの様々なところに影響を与えています。このような気候変動による影響を「気候変動影響」といいます。あなたは、地球温暖化などの気候変動により、このような様々な影響が出ることを知っていましたか。(○は1つ)令和2年11月→令和5年7月
- 知っていた93.6%→87.6%↓
- 知らなかった6.3%→11.0%↑
- 気候変動影響について何で知りましたか。(○はいくつでも)(上位2項目)令和2年11月→令和5年7月
- テレビ・ラジオ93.0%→92.4%
- 新聞・雑誌・本66.9%→59.0%↓
- あなたが、日常生活の中で気候変動影響を感じることは何ですか。(○はいくつでも)(上位4項目)令和2年11月→令和5年7月
- 夏の暑さ89.8%→94.8%↑
- 雨の降り方の激しさ81.6%→79.6%
- 桜の開花時期など身近な植物の変化38.5%→39.2%
- 冬の寒さや雪の降り方36.8%→30.1%↓
- 地球温暖化などの気候変動は、将来にわたって自然や人間生活に以下のような様々な影響を与えることが予測されています。あなたは、どのような影響を問題だと思いますか。(○はいくつでも)(上位4項目)令和2年11月→令和5年7月
- 農作物の品質や収穫量の低下、漁獲量が減少すること83.8%→85.7%
- 洪水、高潮・高波などによる気象災害が増加すること79.5%→76.4%↓
- 豪雨や暴風による停電や交通まひなどインフラ・ライフラインに被害が出ること73.9%→69.6%↓
- 熱中症のリスクが増大すること53.8%→66.7%↑
- 気候変動は私たちの生活にも影響を与えています。その影響に対処し、被害を防止・軽減する取組を「気候変動適応」といいます。あなたは、気候変動適応という言葉、その取組を知っていましたか。(○は1つ)令和2年11月→令和5年7月
- 知っていた11.9%→12.7%
- 言葉は知っていたが、取組は知らなかった29.9%→25.2%↓
- 言葉は知らなかったが、取組は知っていた7.7%→12.8%↑
- 知らなかった47.7%→48.5%
- 気候変動適応の言葉もしくはその取組について何で知りましたか。(○はいくつでも)(上位2項目)令和5年7月
- テレビ・ラジオ88.8%
- 新聞・雑誌・本59.6%
- あなたが、現在、実践している気候変動適応への取組は何ですか。(○はいくつでも)(上位3項目)令和2年11月→令和5年7月
- 塩分・水分補給やエアコンの適切な使用による熱中症対策68.7%→74.4%↑
- ハザードマップなどを活用した水災害リスク及び避難経路などの事前確認43.2%→39.3%↓
- 蚊の育つ水たまりを作らないなどの、デング熱などの蚊を媒介とする感染症の予防26.1%→18.5%↓
- 特にない15.0%→14.2%
- あなたが、今後、新たに実践したいと思う気候変動適応への取組は何ですか。(○はいくつでも。ただし、選択肢1~8のうち問17で回答したものと同じ取組は選択できません。)(上位4項目)令和2年11月→令和5年7月
- 気候変動影響や気候変動適応についての情報の入手による理解促進35.1%→32.2%
- 雨水利用や節水などの水資源の保全25.9%→27.2%
- ハザードマップなどを活用した水災害リスク及び避難経路などの事前確認24.1%→25.3%
- 蚊の育つ水たまりを作らないなどの、デング熱などの蚊を媒介とする感染症の予防22.0%→21.8%
- あなたが、気候変動適応を取り組む上で知りたいと思う情報は何ですか。(○はいくつでも)(上位5項目)令和5年7月
- 将来の夏の気温や台風が上陸する際の降水量などの気象情報58.8%
- 対策が必要な気候変動の影響54.6%
- 熱中症対策として個人でできる取組の情報43.2%
- 気候変動の影響による自然生態系の変化に関する情報39.4%
- ハザードマップなどの防災関連の情報39.1%
- あなたが、ご自身で気候変動適応を実践するに当たり、どのような課題があると思いますか。(○はいくつでも)(上位4項目)令和2年11月→令和5年7月
- どのような基準で選択し、どのように取り組めばよいか情報が不足していること63.3%→59.8%↓
- 経済的なコストが掛かること37.4%→47.4%↑
- 気候変動適応としてどれだけ効果があるのかわからないこと44.6%→46.0%
- 日常生活の中で常に意識して行動するのが難しいこと32.9%→37.8%↑
- あなたが、今後、気候変動適応を実践する上で、政府や地方公共団体にどのような取組を期待しますか。(○はいくつでも)(上位5項目)令和2年11月→令和5年7月
- 洪水、高潮・高波などへの防災対策68.3%→60.9%↓
- 農作物の品質や収穫量、漁獲量への対策64.1%→60.5%↓
- 停電時でも発電可能な再生可能エネルギーの設備導入の促進→52.7%
- 渇水対策や水資源の保全対策49.3%→47.7%
- 気候変動影響や気候変動適応の取組についての情報提供52.9%→47.2%↓
- あなたが、今後、気候変動適応を実践する上で、企業にどのような取組を期待しますか。(○はいくつでも)(上位4項目)令和5年7月
- 気候変動適応を実践するための商品の開発及び普及58.4%
- 災害後の社会・経済活動の早期復旧に向けた企業体制の整備51.9%
- 気候変動影響や気候変動適応に関する情報発信47.2%
- 予測精度の高い気象情報の提供46.3%
内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(2023年10月)
- 日本経済の基調判断
- 現状【判断維持】 景気は、緩やかに回復している。
- (先月の判断) 景気は、緩やかに回復している。
- 先行き 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
- 政策の基本的態度
- 30年来続いてきたコストカット型経済から持続的な賃上げや活発な投資がけん引する成長型経済へ変革するため、新しい資本主義の取組を加速させる。
- このため、変革を力強く進める供給力の強化策と不安定な足元を固め物価高を乗り越える生活実感の改善策により、投資と消費の力強い循環につなげるべく総合経済対策を策定する。その裏付けとなる補正予算を今国会に提出し、早期成立に全力で取り組む。
- 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
- こうした取組を通じ、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進めつつ、デフレに後戻りしないとの認識を広く醸成し、デフレ脱却につなげる。
- 企業の業況判断の改善と人手不足感の高まり
- 企業の業況判断は、総じて緩やかに改善。中小企業の製造業では厳しさが残るものの、コロナ禍から平時へと移行する中、非製造業の業況判断DIは、大企業・中小企業ともにバブル期以降の最高水準。
- 業況が改善する中で、人手不足への対応が課題。雇用人員判断は、業種・規模にかかわらず人手不足感が強まっているが、とりわけ中小企業の非製造業では、人手不足感が過去最高水準
- 人手不足の現状と課題
- 非製造業の人手不足感は、コロナ禍後の経済正常化やインバウンド復活で需要が回復している宿泊・飲食、建設、運輸など幅広い業種で拡大。これら分野の求人倍率は平均を大きく上回る。
- 多くの企業は、採用増加等により人手不足に対応している一方、省力化投資を行っている企業は未だ限定的。人手不足が厳しい業種では省力化・省人化投資への後押しが重要。
- 消費の動向
- 飲食や宿泊などサービス消費は持ち直しが継続。家電販売のうち、エアコンや洗濯機は猛暑の影響や共働き需要もあって増加し、携帯電話は新製品の発売もあり増加。
- 一方、消費者マインドは、食料など身近な品目の物価上昇率の高止まりもあり、持ち直しに足踏み。40年ぶりの物価上昇に直面する中、消費者心理は物価動向に、より影響を受けるようになっている。
- 30年ぶりとなる新たな経済ステージへの移行の好機を逃さず、賃金と物価の好循環に着実に結び付けていくためには、物価上昇を上回る継続的な賃上げを実現する中で消費が増加していくことが重要。
- 物価の動向
- 原油価格は産油国の減産などで本年7月頃から再び上昇し、足下では中東情勢の影響もみられる。それに伴いガソリン価格も上昇してきたが、9月からは激変緩和事業の新たな措置により、足下では175円程度に抑制。輸入物価は足下で上昇傾向に転じており、今後の川下の物価への波及にも注意が必要。
- 消費者物価は足下で前年比3%程度で推移。その中で、子育て関係の物価については、授業料や保育料は抑制されている一方、塾・習い事、紙おむつなどで上昇。
- 食料品価格の上昇が続く中、消費者は、保存性のある品目は低価格の商品にシフトしている可能性
- 消費者物価上昇率は、デフレに陥る前の80年代や90年代前半は平均2%程度であり、幅広い品目で上昇。最近は、輸入物価の上昇を起点に食料が物価上昇の大宗であるが、物価上昇品目数は8割超と広がりもみられる。
- 企業の物価見通しは、中期的に2%程度で安定化しつつある。消費者の物価上昇予想は、今般の物価上昇局面で5%以上の予想割合が増加していたが、足下では減少し、より安定的な2~5%の割合が増加。今後、人々や企業の予想物価上昇率が2%程度に収斂していくことを念頭に置いた政策運営が重要
- 賃金の動向
- デフレに陥る前の1980年代や90年代前半までは、物価上昇を上回って名目賃金が伸びていたため、実質賃金の伸びがプラスで推移。一方、足下では、物価上昇が名目賃金の伸びを上回り、実質賃金の下落が継続。デフレ脱却に向けて、物価上昇に負けない名目賃金の継続的な上昇が重要。
- 宿泊・飲食サービス等の業種では、人手不足感が強まる中で、賃金上昇率に高まりがみられる
- 設備投資の動向
- 今年度の企業の設備投資計画は前年度比13%増加と、投資マインドは引き続き堅調。ただし、中小企業では、非製造業で投資意欲の高まりがみられる一方、製造業はやや弱めの伸びである点に留意。
- 非製造業では、業況が改善し人手不足感が高まる中で、設備にも不足感。省力化投資や高付加価値化に資する投資への後押しが重要。製造業の投資計画は、各地域で堅調。半導体関連の集積が進む九州では、製造・非製造業ともに他地域に比べて伸びが顕著。
- 労働力の増加余地
- 追加的に労働供給を望み、働くことができる人口は約530万人。人手不足の中、意欲のある就業者・就業希望者の持てる力を十分に発揮できる環境整備が喫緊の課題。
- 労働時間の追加希望がある就業者には、「年収の壁」対策に加え、副業・兼業や転職の後押しが重要。
- 仕事内容や勤務条件等のミスマッチに対しては、効果的なマッチングやリ・スキリングの支援、多様で柔軟な働き方の促進が重要。
内閣府 令和5年度「防災週間」及び「津波防災の日」について
- 趣旨
- 我が国は、その位置、地形、地質、気象等の自然的条件から、台風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、高波、竜巻、暴風、がけ崩れ、土石流、地すべり、地震、津波、火山噴火等による災害が発生しやすい国土となっている。また、今後、気候変動の影響により、災害の更なる激甚化・頻発化が懸念されている。
- 昨年度も、8月の大雨や台風第14号、台風第15号等により、全国各地で土砂災害や浸水被害が発生した。
- こうした我が国の国土の特徴に鑑み、政府、地方公共団体等防災関係諸機関を始め、広く国民が、前述の災害についての認識を深めるとともに、これに対する備えを充実強化することにより、災害の未然防止と被害の軽減に資するよう、「防災の日」(9月1日)及び「防災週間」(8月30日から9月5日まで)を設けることとしている。更に、平成23年6月に「津波対策の推進に関する法律」(平成23年法律第77号)が制定され、国民の間に広く津波対策についての理解と関心を深めるため、11月5日が「津波防災の日」と定められたところであり、この「津波防災の日」においては、国及び地方公共団体は、その趣旨にふさわしい行事が実施されるよう努めることとされている。
- 平成27年9月には、各界各層の団体等のネットワークを活用し、幅広い層の国民の防災意識の向上を図ることを目的として、「防災推進国民会議」が発足するとともに、平成28年8月に「第1回防災推進国民大会」が開催されて以降、これまでに7回同大会が開催されてきたところである。
- 加えて、平成27年12月には第70回国連総会本会議で11月5日を「世界津波の日」と定める決議が全会一致で採択され、津波の脅威について関心が高まり、その対策が進むことが期待されている。こうした背景を踏まえ、平成29年3月に「津波対策の推進に関する法律」の一部が改正され、津波対策に関する国際協力の推進に資するよう配慮する旨が追加されたところである。
- 災害からの被害を軽減するためには、これまで発生した大規模自然災害から得られた教訓を的確に活かし、平素より災害時における被害軽減につながる備えを充実強化するとともに、災害時に迅速かつ適切な防災活動を行い、被災後の円滑な復旧・復興を可能としていくことが重要である。
- 平常時より災害に対する備えを心がけるとともに、発災時には、住民が「自らの命は自らが守る」意識を持って行動する「自助」、地域住民や企業等が連携してお互いに助け合う「共助」、行政による「公助」を組み合わせて、対応することが重要である。これによって社会全体における防災力を向上させるため、以下のとおり、国、関係公共機関、地方公共団体及びその他関係団体等の緊密な連携の下に、防災に関する各種の行事、「津波防災の日」の周知や広報活動等を全国的に実施する。
- とりわけ、今年の「防災の日」(9月1日)は、関東大震災から100年となる節目の日であることから、この機会を捉えて積極的に各種取組を実施すること。
- なお、防災訓練の実施に当たっては、訓練を実施する際の基本的な考え方について示す「令和5年度総合防災訓練大綱」(令和5年5月30日中央防災会議決定)を参考にするものとする。
- 実施主体
- 国、関係公共機関、地方公共団体、その他関係団体
- 防災週間に関する取組
- 実施期間
- 令和5年8月30日(水)から9月5日(火)まで
- 実施事項
- 国、地方公共団体等は、災害が発生した場合、災害応急対策から、災害復旧・復興までの一連の対策を迅速かつ円滑に行うための備えを十分に行う必要がある。一方、国民は、平常時より災害に対する備えを心がけ、発災時には自ら身の安全を守るとともに、地域住民や企業等が連携してお互いに助け合うことが非常に重要である。
- 国、地方公共団体等は、こうした「自助」、「共助」、「公助」それぞれが適切に役割を果たすよう、「災害被害を軽減する国民運動の推進に関する基本方針」(平成18年4月21日中央防災会議決定)及び「令和5年度総合防災訓練大綱」に基づき、行政における十分な準備と訓練を行うとともに、国民に対する防災知識の普及・啓発を図り、災害被害を減らす取組を推進することが必要である。
- これらを踏まえて、防災週間においては、地域の実情に応じて、次に掲げるような、防災週間の趣旨にふさわしい内容の行事等を実施するものとし、国は、関係公共機関、地方公共団体及びその他関係団体等に対して協力を要請するものとする。
- 実施期間
- 実施する行事等
- 「防災週間」を中心とする期間内に実施する行事等は次のものとする。
- 実施主体は連携を強化し、より実践的な防災訓練等を行うものとする。
- 風水害や土砂災害等各種災害の発生に備え、地域住民、地方公共団体、気象防災アドバイザー等の専門家等が連携し、ハザードマップ等に示された地域の災害リスクその他地域の実情を踏まえた避難訓練、大雨警報(土砂災害・浸水害)・洪水警報の危険度分布(キキクル)等の防災気象情報を踏まえた訓練の実施に努めるものとする。
- また、地域の防災関係機関との協力体制を構築した上で、災害時に避難情報の発令の必要性を判断し、あらゆる手段を活用して躊躇なく避難情報を伝達できるようにするとともに、住民が適切に避難行動をとれるよう、職員と住民の参加による避難情報の発令・伝達、避難判断のための訓練の定期的な実施に努めるものとする。
- 避難情報の発令・伝達の訓練に当たっては、避難情報の在り方が見直されたことを踏まえ、警戒レベル5(緊急安全確保)の発令を待つことなく、警戒レベル4(避難指示)までの段階で危険な場所から全員避難すること等について、住民等の理解が十分に促進されるよう周知徹底する。具体的な避難情報の発令基準や伝達方法、防災体制等を検討するに当たっては、「避難情報に関するガイドライン(内閣府、令和3年5月改定)」も参考にすること。
- また、視聴覚障害者、訪日外国人等の情報が伝わりにくい要配慮者に対しては、デジタルサイネージ、字幕・手話放送、防災行政無線、多言語(やさしい日本語を含む。)化、津波フラッグ(津波に限る。)等の災害情報伝達ツールを活用した訓練の実施に努めるものとする。
- 感染症拡大のおそれがある状況下での災害対応に備え、防災部局、保健福祉部局、保健所、消防等が十分に調整して、各機関が有する知見を活かし、医療専門家等の助言を受けるなどしつつ、感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練等を積極的に実施するものとする。
- デジタル技術を活用した災害対応に備え、電子地図を用いた関係機関相互の情報共有等、デジタル技術を活用した実践的な訓練の実施に努めるものとする。
- また、災害発生時の行動の適否を事後的に評価すること等を可能とする、スマートフォンアプリ等のデジタルツールを活用した訓練の実施に努める。
- 大規模災害の発生を想定し、広域的ネットワークを活用した訓練や地方公共団体間の緊密な連携の下に地方公共団体相互で締結されている協定等に基づく広域的応援・受援訓練の実施に努めるものとする。
- 防災に関し、災害時の防災活動の実施、防災意識の普及又は防災体制の整備の面で貢献した団体や個人(ボランティアや企業等も含む。)への表彰を行う。
- 実践的な防災行動の促進のため、次のような活動等を実施する。
- 防災意識の向上や普及・啓発の推進に係る活動
- 映画・ビデオ上映会、被災や災害対応の体験談を語る会、防災センター等における災害擬似体験、キャンプ等による避難生活体験、防災体験ツアー、防災マップづくり体験、非常食の調理体験、その他の教育啓発活動
- テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、広報誌、インターネット、携帯端末、コミュニティ放送、ポスター、屋外看板、懸垂幕等多様な手段の活用による広報活動
- パンフレット、リーフレット、災害の危険箇所や指定緊急避難場所・指定避難所等について明らかにした防災マップ等の配布
- 標語、図画等の募集
- 行事等の実施に当たっては、これまでの様々な災害も踏まえ、災害への備えに関する次の事項について普及・啓発を行う。
- 下(家屋内、高層ビル内、路上歩行時、自動車運転中、登山中等)においてとるべき行動(特に子どもの指導にも留意すること)
- 警報・注意報、大雨・洪水警報の危険度分布(キキクル)等の情報、風水害(津波を除く)、土砂災害における5段階の警戒レベルを用いた避難情報等、顕著な大雨に関する情報、南海トラフ地震に関連する情報、北海道・三陸沖後発地震注意情報等の発表時にとるべき行動の確認及び防災マップ等による指定緊急避難場所・指定避難所の位置や経路等の把握(特に子どもの指導にも留意すること)
- 火山災害の発生に備え、登山者や火山周辺地域の施設管理者等が行うべき取組
- 家族内及び事業所内における安否確認の連絡方法の確認及び指定緊急避難場所等でとるべき行動(特に子どもの指導にも留意すること)
- 非常用持出品(救急箱、懐中電灯、ラジオ、乾電池等)の準備
- 最低でも3日、出来れば一週間分程度の食料、飲料水等の備蓄
- ライフラインの途絶に備えた対応の確認(電気、ガス、上下水道、通信等)
- ペットの同行避難や指定避難所等での飼養等についての日頃からの準備
- 家具・家電製品等の固定による転倒防止対策や配置の見直し、収納物の落下に対する防止対策の重要性
- 建物の耐震診断及び補強の実施並びに耐震診断に対する地方公共団体等の助成制度、耐震化された公共建築物のリストの公表等公共建築物の耐震性に関する情報、被災建築物応急危険度判定活動等
- ブロック塀等建築物の既設の塀の安全点検
- 感震ブレーカー等の設置による出火の予防
- 地震保険加入の促進
- 緊急地震速報を広く一般の利用に供するため、緊急地震速報の特性と限界の周知、及び受信時に利用者がとるべき行動等(特に子どもの指導にも留意すること)
- 自主防災組織や次の事業所等における防災のための施設、設備及び資機材の点検
- 危険物を有する石油コンビナート等の事業所
- 電気、ガス、上下水道、通信等のライフライン関係及び廃棄物処理関係事業所
- ターミナル駅、高層ビル、地下街、ホテル、百貨店、劇場、遊園地等不特定多数の者が出入りする施設や事業所
- 病院、社会福祉施設等の施設
- 避難所の備蓄品及び受変電設備の浸水対策(嵩上げ・移設)等
- 自主防災活動の実施・参加及び消防団・水防団活動への参加・協力並びに地域住民、事業所従業員等と連携した防災訓練の実施
- 地区防災計画の作成及び地区防災計画に基づいた訓練等の実施
- 個別避難計画の作成並びに避難行動要支援者名簿及び個別避難計画を活用した訓練等の実施
- 個別避難計画と地区防災計画を連動させた訓練の実施
- 企業における、災害時に備えた中枢機能・情報システムのバックアップ、ライフライン系統の多重化、要員の確保等、事業継続計画(BCP)の策定及び事業継続マネジメント(BCM)の構築
- コンピュータ、情報通信ネットワークシステム等の保守点検及び機能停止に備えた代替手段の確認
- 初期消火、顧客の避難誘導、負傷者・要配慮者救助の心構えと準備
- 実施主体は連携を強化し、より実践的な防災訓練等を行うものとする。
- 「防災週間」を中心とする期間内に実施する行事等は次のものとする。
- 行事等実施に当たっての留意事項
- 地域における災害事例、防災体制、防災意識及び防災活動等の実情を踏まえ、かつ、東日本大震災を始めとする大規模地震・津波災害や近年の風水害・土砂災害、高潮・高波・暴風災害、火山災害、雪害等の経験と教訓を活かした効果的な行事等となるよう努めること。
- 若年層や要配慮者を含めた幅広い層の住民の防災意識や災害時の行動力の向上に資するため、新技術や災害時にも活用可能な機材等の積極的な活用や体験性・ゲーム性を加味した種々の行事を組み合わせ、多くの住民が興味や関心をもって参加・体験でき、身近な防災活動に活かせることができるような実践的な内容となるよう努めること。
- また、女性の積極的な参加が得られるよう努め、災害から受ける影響や被災時の支援ニーズには、女性と男性では違いがある点に留意すること。
- 防災に係る既存の各種訓練や運動等の関係行事と有機的関連を保持しつつ、相互の効率を上げるよう努めること。
- その一環として、自衛隊、海上保安庁等国の機関と地方公共団体及びその他関係団体等との連携や情報連絡の緊密化等が、地域の実情に応じて更に円滑に行われるよう配慮すること。
- 災害の各段階(平常時の備え、初動段階、避難生活、復旧・復興等)において、性別、年齢、国籍、障害の有無等の多様性に配慮した取組が更に進められるよう努めることとする。特に、女性の視点からの取組については、「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」(内閣府男女共同参画局、令和2年5月)を参考にすること。
- 高齢者、障害者、乳幼児等の要配慮者に十分配慮し、地域において要配慮者を支援する体制が整備されるよう努めること。
- また、社会福祉施設、医療施設等に対する的確な情報提供や地域と一体となった警戒避難体制の確立等への取組が更に推進されるよう努めること。
- 自主防災組織やボランティア、企業等民間の活動との連携を進めること。
- 災害時における企業の果たす役割(顧客・従業員の安全、二次災害の防止、経済活動の維持、地域社会への貢献)の大きさに鑑み、各企業がその役割を十分に認識して更に防災活動を推進するよう、企業の防災意識の高揚等に努めるとともに、行事の実施に当たっては、積極的に企業の参加を得るようにすること。
- 被災者支援を担う様々なNPOやボランティア等、これらの団体の活動調整を行う災害中間支援組織と連携を図るようにすること。
- 一般の国民が、復旧・復興や災害予防等の幅広い局面において、NPOやボランティア活動に参加する際の情報提供等の環境整備を行うこと。
- 避難所開設・運営訓練等の実施に当たっては、避難所運営の担い手育成の観点から、住民やNPO、ボランティア等の参加を得て避難生活環境の向上を意識した訓練となるよう努めるとともに、避難生活支援の担い手となるボランティアの確保・育成及び連携に努めること。
内閣府 「アルコール依存症に対する意識に関する世論調査」概略版
- アルコール依存症またはアルコール依存症者について、あなたは、どのようなイメージを持っていますか。(○はいくつでも)(上位4項目)
- 誰でもなりうる病気である54.2%
- 酒に酔って暴言を吐き、暴力を振るう51.7%
- 昼間から仕事にも行かず、酒を飲んでいる46.7%
- 本人の意志が弱いだけであり、性格的な問題である34.7%
- 飲酒とアルコール依存症との関係について、あなたが知っていることは何ですか。(○はいくつでも)(上位6項目)
- アルコール依存症は飲酒をコントロールすることができない精神疾患である76.5%
- 一度アルコール依存症になると非常に治りにくい62.2%
- 飲酒をしていれば、誰もがアルコール依存症になる可能性がある44.9%
- アルコール依存症はゆっくり進行していくため、飲酒をしていても、依存が作られている途中では自分では気付かない36.8%
- お酒に強くなくてもアルコール依存症になることがある33.5%
- 断酒を続けることにより、アルコール依存症から回復する29.8%
- あなたやあなたの家族にアルコール依存症が疑われる場合に、相談できる場所として知っているのはどのような所ですか。(○はいくつでも)(上位3項目)
- 病院や診療所などの医療機関77.1%
- 精神保健福祉センターや保健所などの公的機関29.3%
- 断酒会などの依存症の当事者やその家族の組織などの自助グループ20.7%
- 特にない15.5%
- お住まいの地域で、相談できる場所として具体的に知っている場所にはどのような所がありますか。(○はいくつでも)(上位2項目)
- 病院や診療所などの医療機関64.6%
- 精神保健福祉センターや保健所などの公的機関24.0%
- 知っている場所はない27.7%
- あなたやあなたの家族にアルコール依存症が疑われる場合、相談窓口を知っていれば、相談しますか。(○は1つ)
- する87.3%
- しない11.7%
- 相談しない理由は何ですか。(○はいくつでも)(上位2項目)
- 相談する必要を感じないから30.2%
- どのような対応をしてもらえるか不安だから29.6%
- その他21.8%
- 特にない11.2%
【2023年10月】
内閣府 第17回規制改革推進会議
▼資料3-1 規制改革推進会議の重要課題(案)(概要資料)について
- 「人材不足の解決」、「賃上げ」、「投資の拡大」を実現する社会変革を起動
- 多くの地域・広範な分野で人材不足による問題が噴出。これをスタートアップによるAI省人化など、国内未実装の革新的サービスを社会実装することで解決するために必要な規制・制度改革に取り組む。同時に、このような社会変革を成長のエンジンとして、成長力を引き上げる。
- 革新的サービスの利用を可能とし(市場創出)、投資を拡大し、併せて、ヒトを高生産性部門へシフトする改革を一体的に推進。
- ※関係府省の関連施策(中小企業等の生産性向上への支援策、省人化投資促進、外国人労働者受け入れ、パートタイム労働者の就業調整解消等)との相乗効果を図る。
- 革新的サービスの社会実装による課題解決~利用者起点で地域の社会的課題を解決する国内未実装の革新的サービスの市場創出~
- 物流:ドローン、ラストワンマイル配送、車両運行記録計(タコグラフ)のクラウド化、自動運転
- 医療:医薬品や医療サービスへのアクセス(オンライン診療、コンビニ等での医薬品販売)、タスク・シフト/シェア
- 建設:建設関係手続のデジタル化
- 移動:タクシー・バスの運転手確保、移動の円滑化(移動・買い物難民)
- 宿泊:旅館・ホテルでのフロント業務の省人化、民泊
- 生活:公金納付のデジタル化(国、地方、独法)、家電の遠隔操作
- 土地:相続手続、土地の有効活用
- 金融:顧客手続のデジタル化
- スタートアップの成長~省人化、余剰労働力・資産の共有などを通じ、社会的課題を解決するインパクトスタートアップなどの成長促進~
- 株式報酬、ストックオプション
- 外国人材の活躍、行政手続の英語化・デジタル化等
- 円滑なM&A、適切なコーポレートガバナンスに関する規制等の点検
- 国内投資の拡大~脱炭素化やデジタル化などの革新的な投資を阻む規制のアップデート~
- グリーン投資の拡大(蓄電池、EV、水素)
- データセンター等のための自治体間の光ファイバ敷設手続(迅速化・円滑化)
- グレーゾーン解消制度の迅速化、規制改革関連制度間の連携強化
- 良質な雇用の確保~高生産性、賃上げ可能な産業への労働移動~
- 副業・兼業の円滑化
- 本人の意思や世帯の事情(介護等)に応じた柔軟な働き方(診療報酬、介護報酬における常勤・専任要件等の緩和)
- 「自爆営業」への対策
- スタートアップなどにおける意欲ある人材の確保に資する働き方
- 官民連携・公共サービス改革~自治体を革新的サービスで支える基盤作り~
- 自治体調達手続の統一・デジタル化(スタートアップ等の革新的サービス導入)
- ローカルルールの見直し
- 自治体業務の外部委託
- 国立大学、独立行政法人における手続のデジタル化
内閣府 「がん対策に関する世論調査」の概要
- あなたは、がんについてどのような印象を持っていますか。(〇は1つ)
- 怖い印象を持っている(小計)90.2%(怖い印象を持っている49.3%、どちらかといえば怖い印象を持っている41.0%)
- 怖い印象を持っていない(小計)7.2%(どちらかといえば怖い印象を持っていない5.2%、怖い印象を持っていない2.0%)
- がんを怖いと思う理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
- がんで死に至る場合があるから81.6%
- がんそのものや治療により、痛みなどの症状が出る場合があるから62.6%
- がんの治療や療養には、家族や親しい友人などに負担をかける場合があるから58.6%
- がんの治療費が高額になる場合があるから57.7%
- がんの予防・早期発見のために胃の内視鏡検査やマンモグラフィ撮影などによるがん検診が行われています。あなたは、ここ1~2年くらいの間に、がん検診を受けたことがありますか。(〇は1つ)
- 2年以内に受診した(小計)42.7%(1年以内に受診した32.8%、2年以内に受診した9.9%)
- 2年以内に受診していない(小計)55.7%(2年より前に受診した20.8%、今までがん検診を受けたことはない34.9%)
- がん検診をなぜ受診しようと思いましたか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
- 家族・友人などの身近な人でがんにかかった人がいるから28.8%
- 職場・学校での健康診断ですすめられたから28.1%
- 自治体の広報で知ったから23.5%
- 他疾患の通院中、医療者にすすめられたから16.9%
- その他18.4%
- ここ1~2年くらいの間に、または、これまでがん検診を受診していない理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
- 心配なときはいつでも医療機関を受診できるから23.9%
- 費用がかかり経済的にも負担になるから23.2%
- 受ける時間がないから21.2%
- その他10.9%
- がん検診の対象者ではないから11.2%
- あなたは、がんと診断された場合、がんの治療法や病院に関する情報について、どこから入手しようと思いますか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
- 病院・診療所の医師・看護師やがん相談支援センター以外の相談窓口56.2%
- がん診療連携拠点病院の相談窓口であるがん相談支援センター43.8%
- 家族・友人・知人36.7%
- 「がん相談支援センター」でどのようなことが聞きたいと思いますか。(〇はいくつでも)(上位5項目)
- がんの治療内容に関する一般的な情報について82.7%
- 治療費・保険などの経済面について79.5%
- 退院後の生活など療養上の注意点について38.8%
- 他の専門的な医療機関の情報について36.2%
- 治療と仕事・学業の両立について31.3%
- インターネットなどで入手できるがんの治療法に関する情報の中には、手術や抗がん剤だけではなくさまざまな新しい治療法に関する情報があります。あなたは、これらの情報の中には、十分な科学的根拠がなく、注意を要するものがあると思いますか。(〇は1つ)
- あると思う(小計)90.1%(あると思う55.1%、ある程度あると思う35.0%)
- ないと思う(小計)6.8%(あまりないと思う5.5%、ないと思う1.4%)
- あなたは、がんと診断された場合に、セカンド・オピニオンを受けることについて、どのように思いますか。(〇は1つ)
- 良いことだと思う(小計)97.4%(良いことだと思う75.3%、どちらかといえば良いことだと思う22.0%)
- 良いことだと思わない(小計)1.4%(どちらかといえば良いことだと思わない1.0%、良いことだと思わない0.4%)
- がんの免疫療法とは、がん患者自身の免疫機能を高めることでがん細胞を排除する治療法です。あなたは、がんの免疫療法について、どのように思いますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
- 医師から薦められたら、がんの免疫療法を受けたいと思う52.5%
- がんの免疫療法に関する情報は、どれが正確な情報か判断が難しいと思う31.9%
- がんの免疫療法については知らなかった29.6%
- 効果は限定的だと思う24.8%
- がん医療における緩和ケアとは、がんやがんの治療に伴う体と心の痛みをやわらげることです。あなたは、がんに対する緩和ケアはいつから実施されるべきものと思いますか。(〇は1つ)
- がんと診断されたときから49.7%
- がんの治療が始まったときから25.5%
- がんが治る見込みがなくなったときから22.0%
- あなたは医療用麻薬について、どのように思いますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
- 正しく使用すればがんの痛みに効果的だと思う67.2%
- 正しく使用すれば安全だと思う43.9%
- 最後の手段だと思う29.0%
- だんだん効かなくなると思う27.7%
- あなたががんと診断されたら、家族や友人などだれか身近な人にがんのことを話せると思いますか。(〇は1つ)
- 話せると思う(小計)93.2%(話せると思う67.8%、どちらかといえば話せると思う25.4%)
- 話せると思わない(小計)6.2%(どちらかといえば話せると思わない5.1%、話せると思わない1.0%)
- あなたは、がんの治療や検査のために2週間に一度程度病院に通う必要がある場合、現在の日本の社会は、働き続けられる環境だと思いますか。(〇は1つ)
- そう思う(小計)45.4%(そう思う8.6%、どちらかといえばそう思う36.8%)
- そう思わない(小計)53.5%(どちらかといえばそう思わない39.1%。そう思わない14.5%)
- 働き続けることを難しくさせている最も大きな理由は何だと思いますか。(〇は1つ)
- 代わりに仕事をする人がいない、または、いても頼みにくいから22.3%
- 職場が休むことを許してくれるかどうかわからないから15.7%
- 休むと職場での評価が下がるから4.4%
- がんの治療・検査と仕事の両立が体力的に困難だから28.4%
- がんの治療・検査と仕事の両立が精神的に困難だから14.7%
- あなたは、がん対策について、政府としてどういったことに力を入れてほしいと思いますか。(〇はいくつでも)(上位5項目)
- 拠点病院の充実などのがん医療に関わる医療機関の整備68.2%
- 仕事・学校を続けられるための相談・支援体制の整備51.8%
- がんに関する専門的医療従事者の育成49.5%
- がんに関する相談やその支援46.0%
- がん検診によるがんの早期発見43.8%
- あなたは、「患者・市民参画」について知っていましたか。(〇は1つ)
- 内容も含め知っている2.0%
- 言葉だけは知っている13.6%
- 知らない83.9%
- 国は「患者・市民参画」を推進していますが、がん対策を進めるに当たって、あなたはどのように関わりたいと思いますか。(〇は1つ)
- 対策を進めるためには国民の協力が広く必要であり、積極的に関わりたい8.6%
- 対策を進めるためには国民の協力が広く必要であり、積極的に関わりたいが、どう関わればよいかよくわからない52.4%
- 対策を進めるためには国民の協力が広く必要であると思うが、積極的に関わりたいとは思わない28.5%
- 対策を進めるのは国や専門家であり、積極的に関わるつもりはない9.1%
- そのように考える理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
- がんの医療やその対策について知識がないから68.9%
- 地域でどのようにがんの医療が提供されているかについて知識がないから68.3%
- 医療保険制度などの公的な仕組みについて知識がないから53.9%
内閣府 令和5年第13回経済財政諮問会議
▼資料1 総合経済対策の策定について(経済財政政策担当大臣提出資料)
- コストカット型経済から脱却し、新たなステージへ移行する歴史的チャンス
- 設備投資に続き、物価や一人当たり賃金が上昇し、賃金と物価の好循環が生じつつある。
- バブル崩壊後30年来のコストカット型経済から脱却できる歴史的チャンスを迎えている。
- 「新たなステージ」に向けた総合経済対策の役割
- コストカット型経済から、活発な設備投資や賃上げ、人への投資による経済の好循環、熱量あふれる「新たなステージ」への変革に向け、総合経済対策でスタートダッシュを行う。
- 総合経済対策の役割
- 足元の物価高から国民生活を守る。今こそ、成長の成果を国民に適切に還元する。
- 長年続いたコストカット型経済から、活発な設備投資や賃上げ、人への投資による経済の好循環、熱量あふれる新たなステージに移行するチャンスであり、経済対策でスタートダッシュ。
- 目指すべき
- 人口減少を乗り越え、新技術や生産性が牽引する高い成長力
- 「成長と分配の好循環」による適度な物価上昇とそれを上回る賃金上昇 など
- 第1の柱 足元の急激な物価高から国民生活を守る
- 継続する物価高が国民生活を圧迫。
- 電気・ガス、ガソリン、食料品など身近な品目の物価上昇が大きく、賃金は上昇しているものの、低所得世帯を中心に、回復を実感しにくい状況。
- 物価高による生活圧迫は、消費を抑制し、景気を下振れさせるリスクに。
- リスクが顕在化すれば、動き始めた経済の好循環が後戻りしかねない。
- 足元の急激な物価高から国民生活を守る。今こそ、成長の成果を国民に適切に還元する。
- 景気下振れリスクに対応し、動き始めた経済の好循環の流れを戻さず、コストカット型経済に後戻りさせない
- 第2の柱 地方・中堅中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長の実現
- 30年ぶりの高い賃上げを中堅・中小企業や地方に浸透させ、一過性に終わらせない。
- 今春は、業績改善がなくても賃上げに踏み切った中小企業も多く、生産性向上を伴う構造的な賃上げが課題。
- 地方や中小サービス産業を中心に、人手不足が深刻化。インバウンド需要の取りこぼしなど地方の成長の制約に。
- 地方・中堅中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現する。
- <検討中の施策例>
- 賃上げ税制の減税制度の強化の検討
- リ・スキリング支援等を含め、構造的賃上げに向けた労働市場改革
- 中小・小規模企業の賃上げ・人手不足解消のため、省人化・省力化投資の簡易で即効性のある支援
- 農林水産品の輸出拡大、海外市場開拓 等
- 第3の柱 成長力の強化・高度化に資する国内投資の促進
- GDPギャップが解消に向かう中、日本経済の潜在成長力の強化が課題。
- 人手不足の顕在化、世界需要の取りこぼしなど、供給制約が成長の足かせに。
- 潜在成長力を高めないと、海外ショックやインフレに脆弱な経済となるおそれ。
- 新技術イノベーションの社会実装、フロンティア開拓等を通じた生産性向上、成長力の強化・高度化に資する国内投資を促進。海外需要を取り込める高い成長力を実現する。
- <検討中の施策例>
- 長期投資が不可欠な戦略分野の投資促進に向けた減税制度創設の検討
- 無形資産投資を後押しする、特許権等の知的財産から生じる所得に関する減税制度創設の検討
- 宇宙・海洋等先端技術開発や技術実証、商業化支援 イノベーションを牽引するスタートアップ等の支援 等
- 第4の柱 人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革の起動・推進
- 人口減少・少子高齢化の下、人手不足が常態化。
- 地方の生活インフラを支える行政・公的サービス、物流、教育、医療・介護など、労働力人口の減少に対応する社会変革が急務。
- デジタル技術の活用を徹底し、地方の活性化や行政・公的サービスの提供の高度化・効率化を推進する。
- 人手不足下における国民・企業の創意工夫・事業意欲を後押しするなど、様々な手法で社会課題にきめ細かく対応する。
- <検討中の施策例>
- デジタル田園都市国家構想の全国展開
- 公共サービス・行政手続きのデジタル改革
- 教育・医療・介護等のDX改革
- 人手不足対策
- 認知症対策 等
- 第5の柱 国民の安全・安心の確保
- 気候変動の影響等により、線状降水帯による豪雨や記録的大雨が相次ぐなど、自然災害の激甚化・頻発化が顕著。
- 厳しさを増す外交・安全保障環境の変化、こども・若者の性被害防止など、国民の安全・安心の確保に対し、改めて向き合う必要。
- 相次ぐ災害に屈しない国土づくりを進めるとともに、厳しさを増す外交・安全保障環境の変化に対して適切に対応を講じるなど、国民の安全・安心の確保に向けて万全を期す。
- <検討中の施策例>
- 防災・減災、国土強靱化の機動的な推進
- ALPS処理水の処分に関する風評影響や生業継続に対する不安等への対応
- 自衛隊の対処能力強化、戦略的海上保安体制の強化
- こども・若者の性被害防止のための緊急対策
- 花粉症対策 等
▼資料2 総合経済対策による新たなステージへの移行(有識者議員提出資料)
- 新たな経済対策によって、「持続的な賃上げや活発な投資がけん引する成長型経済」への新たなステージに移っていく必要がある。
- 低物価・低賃金・低成長に象徴される、従来の「コストカット型経済」ではなく、企業収益と賃金・資産所得の拡大に支えられて「成長と分配の好循環」へ。
- その循環エコシステムを支える源泉は、「社会課題の解決」。脱炭素やエネルギー問題、高齢社会と健康・活力、女性活躍、共助社会の構築等への対応が、新しいビジネスフロンティアを拡大。
- 持続的賃上げと適度で安定的な物価上昇の下、国民生活の安定と可処分所得の拡大。賃金や生涯所得に加え、人々のやる気、希望、社会の豊かさ(ウェルビーイング)を広げ、「明日は今日よりも良くなる」社会を実現させる。
- そのために、民間のグローバル展開、イノベーション創造、活発な新陳代謝に重点を置き、政府はインフラ投資、DX、人材、環境等の外部性のある分野等、民間だけでは対応が難しい分野に投資し、民間活動を支える。
- GDPギャップが解消に向かう中、物流のボトルネック解消や半導体のような地方における投資、エネルギー安全保障や食料安全保障にかかわる投資をはじめ、特に2~3年以内に供給力強化に資する施策に資源を集中させる。減税や制度改革を活用した民間投資促進、質の高い労働供給の拡大、消費につながる所得拡大策についてデジタル化を加速しながら推進。その際、各種の施策を中長期の計画の中で位置付け、企業の予見可能性を高め、民間投資を喚起することが重要。
- できる限り早期に、国民が安心した将来を見通せる全世代型社会保障を構築する。
- 総合経済対策に求められる役割と変革期間の対応
- 物価高と需要抑制のリスク、中国経済をはじめとする世界経済の鈍化へのリスクといった短期的課題への対応。物価対策は、経済・物価動向を注視しつつ、厳しい状況の方々をきめ細かく重点的に支援。その際、激変緩和策という趣旨を明確化し、平時を見据えたものに。
- 新しいフロンティア、ライフスタイル・働き方について、社会変革の大きなうねりを引き起こすための、社会実装の加速・見える化、政策総動員による効果最大化(参考参照)。
- (参考)社会変革により実現すべき将来像と必要な施策
- 賃上げ、投資拡大等の様々な社会課題は相互に連関しており、日本の経済社会の姿を俯瞰して将来像を構想した上で、取り組むべき施策を検討することが重要。例えば以下の課題に対して、予算・税制・制度をパッケージとして取り組むことで、社会変革を実現すべき。
- 構造的賃上げ
- 【課題】過去30年間で最大の賃上げ率だが、「物価高に負けない賃上げ」には至っていない。
- 【将来像】持続的賃上げが実現、可処分所得・生涯所得の見通しが高まり、「明日は今日よりも良くなる」社会を実感できる。
- 【施策例】賃上げ税制の強化(税)、補助金や公共調達での賃上げ企業の支援(予算・制度)、三位一体の労働市場改革(制度)。
- 投資の拡大
- 【課題】コストカット型経済の下、企業は内部留保を拡大し、国内投資を抑制し、設備は老朽化。
- 【将来像】今後の競争力を左右する戦略分野を中心に、企業の活発な国内投資が促され供給力が高まる。地方を中心に質の高い雇用が生まれるともに、競争力が確保される。
- 【施策例】日本経済の競争力・生産性向上に向けた、投資促進に関する予算・税制・規制改革。
- 自動運転等の新技術の社会実装
- 【課題】自動運転等の様々な新技術の開発が進展したが、社会実装・普及段階に至っていない。
- 【将来像】自動運転車の普及・専用レーンの設置に加え、各地における充電設備や物流拠点の整備により、物流効率化や地域・中小企業活性化につなげる。こうした「新技術の社会実装+α」の社会変革を各分野で実現。
- 【施策例】自動運転専用レーンや充電設備の整備支援(予算)、自動運転に係る規制改革(制度)。
- 人手不足の解消
- 【課題】生産年齢人口が減少する中で、人手不足が課題。特に物流・建設・医療では、2024年問題による人手不足の深刻化が懸念。
- 【将来像】省力化投資・規制改革等によって、労働生産性を高め、2024年問題を乗り越える。
- 【施策例】企業の省力化投資の促進(予算)、人手不足対応のための規制改革(制度)。
- 公的インフラのマネジメント
- 【課題】地方の公的インフラ(道路・橋・上下水道・公民館等の施設)が老朽化。地方の財政難・人材難により、公的インフラのマネジメントが効率的になされていない。
- 【将来像】生産年齢人口が減少し、インフラ管理の担い手が不足する中で、インフラ管理の広域化、民間活力の活用等により、効率的なマネジメントを実現。
- 【施策例】ウォーターPPPの加速(上下水道一体コンセッション、PFI等を要件化した改修支援)(予算・制度)。
内閣府 情報通信機器の利活用に関する世論調査(令和5年7月調査) 報告書概略版
- あなたは、スマートフォンやタブレットを利用していますか。
- 利用している(小計)77.8%(令和2年10月)→80.5%(令和5年7月)↑(よく利用している68.0%→68.8%、ときどき利用している9.8%→11.7%)
- 利用していない(小計)21.6%→19.3%(ほとんど利用していない4.1%→5.7%↑、利用していない17.6%→13.6%↓)
- スマートフォンやタブレットを利用していない理由は何ですか。
- どのように使えばよいかわからないから39.2%→51.0%↑
- 必要があれば家族に任せればよいと思っているから34.6%→37.9%
- 自分の生活には必要ないと思っているから50.7%→36.6%↓
- 情報漏洩や詐欺被害などのトラブルに遭うのではないかと不安だから27.8%→28.7%
- 購入や利用にかかる料金が高いと感じるから22.9%→23.6%
- あなたは、どんなことがあればスマートフォンやタブレットの利用につながると思いますか。
- 楽しさや便利さを知る機会がある54.8%→54.4%
- 機器の値段や通信料金が下がる65.1%→49.4%↓
- 利用することで家族や友人とのコミュニケーションを取る機会が増える50.5%→45.9%↓
- 操作や設定が簡単になる57.1%→45.4%↓
- あなたは、スマートフォンやタブレットを使って、どのようなサービスを利用したいと思いますか。
- Google、Yahoo!などの様々な情報を閲覧できる検索サイト70.9%→63.0%↓
- Google Map などによる目的地までの公共交通機関や道路ルートの検索65.5%→58.3%↓
- Amazon、メルカリ、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのインターネットショッピング51.1%→52.1%
- あなたは、新型コロナウイルス感染症を機に、「新たな生活様式」が求められ、スマートフォンやタブレットが生活に、より不可欠になったと感じますか。
- 感じる(小計)72.1%→73.0%(感じる45.9%→41.5%↓、どちらかといえば感じる26.3%→31.5%↑)
- 感じない(小計)26.0%→26.1%(どちらかといえば感じない11.8%→12.5%、感じない14.1%→13.5%)
内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
▼9月 閣僚会議資料
- 日本経済の基調判断
- 現状【判断維持】
- 景気は、緩やかに回復している。
- (先月の判断)景気は、緩やかに回復している
- 先行き
- 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
- 現状【判断維持】
- 政策の基本的態度
- 「経済財政運営と改革の基本方針2023」に基づき、30年ぶりとなる高い水準の賃上げ、企業部門における高い投資意欲などの前向きな動きをさらに力強く拡大すべく、未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現に向けた新しい資本主義の取組を加速させる。
- 8月30日に決定した燃料油価格の激変緩和事業の新たな措置や延長された電気・都市ガス料金の負担軽減策等を着実に実行していく。
- その上で、足元の急激な物価高から国民生活を守り抜くとともに、地方・中堅中小企業を含めた持続的賃上げと地方の成長の実現や、成長力の強化・高度化に資する国内投資促進に加え、人口減少を乗り越え変化を力にする社会変革の起動・推進や、国民の安全・安心の確保のため、10月末を目途に「総合経済対策」を策定する
- 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
- こうした取組を通じ、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進めつつ、デフレに後戻りしないとの認識を広く醸成し、デフレ脱却につなげる
- 今月のポイント
- 我が国の実質GDPはコロナ前の水準を超え、過去最高に。
- GDPギャップは解消に向かい、23年4-6月期には、3年3四半期ぶりにプラスに転換したものの小幅であり、また、外需の高い伸びによるもの。今後、内需中心の成長により、プラス傾向が安定的に続いていくことが重要。
- 一方、潜在成長率(潜在GDPの伸び率)は、G7諸国の中で最も低い。供給力の強化が課題。
- 物価の動向
- 消費者物価(生鮮食品を除く総合)は、激変緩和措置等によりエネルギー価格が抑制される中で、前年比3%程度で推移。その構成は、財(食料やエネルギー等)、サービス(家賃や外食・宿泊等)が半々。
- 消費者物価上昇の主因である食料品価格は、ロシアによるウクライナ侵略等を受けた世界的な価格高騰等により、食パンをはじめ、幅広い品目で価格が上昇。
- サービス物価は、宿泊料・外食等で大きく上昇。その他サービスでも、家賃や公共サービスを除き、上昇率が高まっている。
- 消費の動向
- 雇用・所得環境の改善が続く下、家計調査(二人以上世帯)は弱い一方、供給側の動きを捉えた指標やカード支出データ等の様々な指標によると、個人消費は持ち直し。
- 物価高が続く中で、相対的に低所得の世帯における消費動向には注意が必要。消費支出に占める食料品やエネルギーのシェアは、収入が低い世帯ほど高い。また、消費者マインドを見ると、収入が低い世帯ほど「暮らし向き」の回復が弱いなど、所得階層間のバラツキが拡大。
- 家計の所得と金融資産の動向
- 今年の春闘の賃上げ率は、ベースアップについても30年ぶりの高水準。デフレに陥る以前は、ベースアップが物価上昇率を上回っていた。デフレ脱却に向け、ベースアップを含め力強い賃上げの継続が重要。
- 春闘の反映により、一般労働者の給与は増加、パート労働者の給与も人手不足もあって増勢継続。
- 個人金融資産残高はコロナ禍で積みあがった貯蓄(超過貯蓄)もあって2,115兆円まで増加。これが消費に向かうことが期待。また、米欧と比べ現金・預金の比率が高く、物価が上昇する中、貯蓄から投資に回っていくことが重要。
- 住宅の動向
- 住宅着工は、持家や分譲住宅を中心に弱含み。木材価格の上昇は一服したものの、コンクリート等の資材価格は上昇。加えて、労務費上昇もあり、建築費が高止まりしていることが主な背景。
- 首都圏マンション新規販売平均価格は、都区部の高価格マンション供給の影響もあり上昇。住宅リフォームは、補助事業の効果もあり、23年以降増加
- 企業収益及び設備投資の動向
- 23年4-6月期の経常利益は過去最高を更新。設備投資も高水準で推移。今年度の設備投資計画において、大企業・中小企業ともにデジタル化や省力化を背景にしたソフトウェア投資を最も重視。
- 本業による収益である営業利益も総じてみれば増加。ただし、中小企業では、製造業は2期連続の減益。設備投資も減少。継続的な賃上げに向け、適切な価格転嫁とともに、中小企業が設備投資を進め、本業の収益力を高めるための後押しが重要
- 経済再開によるビジネスチャンスの取込み
- インバウンドは2019年の9割弱まで回復。インバウンド需要もあり、宿泊・飲食サービスではコロナ禍前と同水準まで人手不足感が拡大、宿泊料や外食の価格は上昇。
- 宿泊・飲食業の設備投資計画は、全産業平均と比べて弱い(4図)。売上げ拡大のチャンスを取りこぼさないよう、省力化投資を通じた効率化や、高付加価値化・差別化を通じた価格設定力強化が課題。
- 世界経済の下方リスク
- アメリカ経済は回復しているものの、中国は持ち直しの動きに足踏み、ドイツを始め欧州も足踏み状態。24年の世界経済は減速の見通し。中国における不動産市場の停滞による下振れリスクに注意。
- 中国の輸出入は、18年以降、米中貿易摩擦を受け減速。感染症収束後の現在も輸出入ともに弱含み。
- ドイツは、中国向け輸出が20年以降停滞。景況感は大幅に悪化。ドイツ政府は、国内企業の競争力強化のための経済対策を発表。
内閣府 令和5年第12回経済財政諮問会議
▼資料1 新内閣発足の下での諮問会議の重点課題(有識者議員提出資料)
- 諮問会議は、経済環境変化を適切に予測しつつ、中長期に渡って目指すべき経済構造を議論し、それを実現させるための政策全体のあり方を構築する。当面の課題に適切に対処しつつ、目指すべき大きな方向性を実現させる政策運営を行うべき。
- 重点課題
- 中長期的な課題への対応方針、目指すべきマクロ経済目標等を議論、明確化。その際、政策全体の整合性やバランスの確保が重要。急速な少子高齢化の下、人手不足が進む中での国造りの諸課題、具体的には、経済・財政・社会保障の持続可能性、分厚い中間層の拡大、気候変動とエネルギーコストの高まり、グローバル環境の変化等の課題への適切な対処も必要。
- 当面
- 新政権のスタートダッシュを担う「経済対策」の在り方として、以下が必要。
- 適度なインフレ経済への移行を実現させる経済運営の実行
- 社会課題の解決を成長に結び付けるメカニズムの具体化(鍵となる技術、市場、制度改革)
- 経済・財政一体改革を通じた歳出改革の徹底
- 新政権のスタートダッシュを担う「経済対策」の在り方として、以下が必要。
- 経済財政諮問会議の年度後半の具体的な取組み
- 内外の有識者の意見も踏まえ、2020年代の後半に持続可能な経済社会システムの構築を目指し、来年にかけて議論を行い、対応方針を明らかにする。
- 上記と合わせ、中長期の展望をより充実させ、来年夏の骨太方針において、今後3~5年程度の経済財政運営の中期計画を決定する。
- 関係会議体とも連携し、経済・財政一体改革の成果・課題について、財政金融政策と規制改革の適切な連携の具体化、政策効果についてのエビデンスの明確化を行う。
- マクロ経済戦略の方向性について、考え方を国民に示す。エネルギー関連価格の高騰に対する物価高対策の在り方、予算・制度改革・税制等の役割分担、財政の在り方や財政健全化目標との関連等、について、しっかり説明する。
- 政府経済見通しや予算編成の基本方針において、適度なインフレ下でのマクロ経済運営の在り方を示す。
- 重点課題
内閣府 企業間取引の成立におけるCEO間のジェンダーバイアスについて
- 要旨
- 女性CEOの割合が低い一方で、ビジネス環境において彼女たちが直面する障壁はまだ十分に理解されていない。本研究では、CEOのビジネスネットワーク形成におけるジェンダーバイアスの影響を調査する。日本企業100万社の取引データを用いると、同性CEO間は異性CEO間よりも有意に取引が多く、その多くをもたらしているのはCEOが取引に強く関与していると推定される中小企業間の取引である。ほとんどのCEOが男性であるため、このような同性バイアスは、男性CEOに比べて女性CEOの取引機会を減少させる。本研究独自に実施したサーベイ調査から、男性CEOが女性CEOと知り合うことを妨げる障壁の存在と、男性CEOが女性CEOよりも男性CEOとの交流を好む傾向の両方がメカニズムとして考えられることが明らかになった。
▼全文
【2023年9月】
内閣府 AI戦略会議 第5回
▼資料1-2 新AI事業者ガイドラインスケルトン(案)
- AI開発から運用・利用にあたってのガバナンス
- アジャイルガバナンス原則
- 一律の事前規制ではなく、民間の知見を活用しながら機動的で柔軟な改善を可能とするガバナンスのあり方を志向
- G7デジタル・技術大臣会合において合意した、アジャイルガバナンス5原則(法の支配、適正手続き、民主主義、人権尊重、イノベーションの機会の活用)
- AI原則
- 生成AIの普及等をふまえ既存のAI原則のアップデートの可能性も検討すべきではないか
- AI事業者に共通する事項
- 各主体は、法の支配、人権、民主主義、多様性、公平公正な社会、人間中心を尊重するようAIシステムを設計・利用する責務がある。具体的には、以下のような責務を負うべきではないか
- 各国の法制度を遵守する義務があり、法制度に違反した場合には処罰等の対象となる。
- 人権侵害、テロや犯罪等を目的とする、あるいは、助長する蓋然性の高い不適切な入出力を行うAIを提供又は利用してはならない。
- AIの不適切な入出力の抑止に資する技術の開発・導入に努めなければならない。
- AIに関する多様なリスクを認識し、計画を策定し、行動をとらなければならない。一定規模以上の組織においては、AIガバナンスポリシー及び体制を構築することが望ましい。
- AI原則にもとづく体制構築のあり方
- 経営層のリーダーシップの下でのAIリスクの分析、ゴール設定、システムデザイン、運用、評価及びリスク分析のアップデートを含む組織ガバナンスを求めるべきではないか
- AI事業者の行動目標、実践例
- AIガバナンス・ゴールとの乖離評価例
- AI事業者が実施すべき行動目標を提示するとともに、それぞれの行動目標に対応する仮想的な実践例やAIガバナンス・ゴールとの乖離を評価するための実務的な対応例(乖離評価例)を例示
- サプライチェーンを念頭に置いたリスク管理・ガバナンスの維持
- 複数プレイヤーにまたがる論点、プレイヤー間で問題になり得る点について、サプライチェーン/リスクチェーンの観点における連携確保のあり方の検討
- AI開発からサービス実施にわたるサプライチェーン・リスクチェーンが複数国にまたがることが想定される場合、データの越境移転における適切なガバナンスの検討(Data Free Flow with Trust)に留意し、民間の知見や取り組みを活用しながら、リスクチェーンの明確化とチェーンの段階ごとに適したリスク管理・ガバナンスのあり方について検討
- アジャイルガバナンス原則
- AIのアルゴリズム開発者向け
- 透明性確保・説明可能性のあり方
- AIシステムの目的、機能、予想される効果やリスクについての情報を開示するか、または利用者に説明すべきではないか
- 透明性確保の手法
- 外部監査のあり方の検討
- システムの動作についての利用者への情報提供の検討
- 主な検討事項
- 情報開示等の要否・あり方。透明性確保の目的(「何のために」)・対象(「何を」)・客体(「誰に向けて」)を踏まえた、透明性確保の内容(要求される基準の検討(実務的・技術的要素、国際法や外国法の法規制に照らした実現可能性を考慮)等)。外部監査の要否・あり方(検証可能性確保のために要求される基準の検討(実現可能性を考慮)等)。第3部と第4部の主体について区分けする要否。第2部に記載されたAI事業者に共通する事項に加え、第3部特有の責務について議論。
- 透明性確保・説明可能性のあり方
- AIの学習実施者向け
- 制御可能性の確保のための学習データ公開の要否・あり方
- 学習データの収集ルール及び除外ルール公開の要否・あり方
- その他の学習データの検証可能性確保の手法
- 外部監査のあり方の検討(あらゆるフェーズにおいて検討が必要な論点)
- 利用者からの問い合わせに迅速に対応できる仕組みの検討
- 適正な学習データ利用についてのあり方
- 主な検討事項
- 情報開示等の要否・あり方。情報開示の目的(「何のために」)・対象(「何を」)・客体(「誰に向けて」)を踏まえた、情報開示の内容。外部監査の要否・あり方(検証可能性確保のために要求される基準の検討(実現可能性を考慮)等)。第2部に記載されたAI事業者に共通する事項に加え、第4部特有の責務について議論。
- 主な検討事項
- AIシステム・サービス実装者向け
- AIを組み込んだシステム・サービスの安全性等の担保のあり方
- 安全性は、「セーフティ」(人の身体・生命の保護、未成年者の保護、詐欺的利用の防止等)の意味合いだけでなく、「セキュリティ」(機密保護、情報管理等)も含むべきではないか
- AIをクラウドにより(SaaS形式で)提供する場合の留意点
- 主な検討事項
- 第5部と第6部についてプレイヤー区分けの要否は今後の論点。第2部に記載されたAI事業者に共通する事項に加え、第5部特有の責務について議論。
- 主な検討事項
- AIを組み込んだシステム・サービスの安全性等の担保のあり方
- AIを活用したサービス実施者向け
- 公正・説明責任・透明性の確保
- AIアプリケーションの悪用対策等の責任分担のあり方
- ユーザー情報の管理方法
- 入力情報(プロンプト)及び出力情報の管理方法、その権利関係、フィルタポリシ
- 権利関係は、「AI・データの利用に関する契約ガイドラインAI編」を参照
- 入出力データや利用者情報の取扱いを含むセキュリティポリシーを策定・開示することが必要ではないか。個人情報を扱う場合には、プライバシーポリシーも策定・開示することが必要ではないか。
- 許容しない利用方法などの宣言及びその実効性の担保
- ディープフェイクや迷惑メール生成などの不適切な利用や許容しない利用を宣言することが必要ではないか。また、その宣言の実効性を担保する方法の検討が必要ではないか。
- AIの不適切な挙動、不適切な利用方法等に関する情報を収集・共有し、システム・サービスの改善に努めることが必要ではないか。
- AIを活用しているサービスであることの明示の要否・あり方
- 業務でAIを利用する者等との連携方法(B2B2Cやサプライチェーンを念頭においたリスク管理)
- 制御可能性、予測可能性に関して求めるレベル感の明確化
- 特に身体・生命の安全性に影響を与える場合や、雇用における利用の場合等のように、社会的な要保護法益性が大きい場合には、高度の制御可能性と予見可能性が求められるのではないか
- 主な検討事項
- AI利用者に対して、提供するAIの概要やリスク等の情報を提供することや、不適切な使用の抑制を検討。「AIを活用している」旨の明示の要否や方法の検討。リスクや分野等に応じて制御可能性、予測可能性をどのようにどこまで求めるか等の検討。第2部に記載されたAI事業者に共通する事項に加え、第6部特有の責務について議論。
- 業務でAIを利用する者向け
- 利用する業務と期待する効果とリスクの整理
- AIの利用に関するリスク(組織内の職員等による不適切な使用も含む)を認識し、リスクを抑止するための工夫を講じ、また、問題の発生を把握し、適切に対処することが求められるのではないか
- 外部サービスに情報入力し、生成結果を受け入れることのリスク
- 生成AIにより生成された結果に虚偽が含まれる可能性があるため、このような限界を認識し、根拠や裏付けを確認するようにすることが求められるのではないか
- 外部サービス利用により機密情報が公開されてしまうリスク
- レピュテーションリスク、顧客への説明責任、再発防止策の為の情報確保、紛争解決の為の証拠の保存
- 多様なリスクの洗い出し、リスクを現実化する脅威の洗い出し、リスクが現実となる可能性を低減する方法(いわゆるリスクアセスメント)
- 政府のAI利用に関する注意点についても記載を検討
- 主な検討事項
- 記載するリスク例の検討。AIの入出力等の検証可能性を確保するため、入出力等のログの記録・保存についての検討。業務でAIを利用する者の具体的な対象や範囲等の検討。第2部に記載されたAI事業者に共通する事項に加え、第7部特有の責務について議論。
- 主な検討事項
- 利用する業務と期待する効果とリスクの整理
内閣府 令和5年度 年次経済財政報告(経済財政政策担当大臣報告)―動き始めた物価と賃金―
▼説明資料
- 実質GDP、名目GDPともに過去最高水準。2022年以降の実質GDPの成長は、個人消費や設備投資など内需の持ち直しに伴い、緩やかに回復。経済社会活動の正常化を進める中で、消費と感染状況の関係性は弱まり、対面型サービス消費やインバウンドが回復。対面型サービス業の労働時間も回復。コロナ禍後の経済においては、テレワークの定着による平日の外食消費の減少など、一部のサービス消費には構造的な変化
- マクロの消費は、所得や金融資産から見込まれる水準から依然低く、賃金上昇に伴う所得増が期待されることも踏まえると、今後、持ち直しが継続することが期待される。ミクロでみると、21年度以降、物価上昇下で低所得世帯で消費が抑制。家電消費は、買替サイクル要因で抑制。一方、新車販売は、買替時期を迎えている車が多く、当面は増加の見込み。総雇用者所得は、女性正規労働者の人数や賃金の増加により増加(4図)。23年度は、30年ぶりの高い賃上げ率に支えられて一般労働者の所定内給与の増加が見込まれ、消費を取り巻く所得環境は改善
- 主要品目の生産・在庫の動向をみると、電子部品・デバイスで半導体を中心に在庫調整が継続。キャッシュフローは増加しているが、キャッシュフローに対する設備投資の比率は低い水準で推移。2010年代の生産的資本ストックはG7諸国と比較して伸び悩み、資本が老朽化。生産性向上のため、更新投資や新規投資の一層の積極化が課題。経常収支のうち、クラウド利用料、ウェブ広告、動画配信サービス等のデジタル関連サービスでは赤字幅が拡大。2000年代以降、輸送用機器、一般機械で比較優位を維持する一方、電気機器は比較優位を失ってきた。コロナ禍以降では、ブルドーザー・掘削機等の建機や半導体製造装置に強みを有している
- 消費者物価(コア)は、エネルギーの寄与が2022年秋以降低下する一方、食料を中心とした財が上昇することで3%を超える上昇。この間、サービスの物価上昇率は相対的に緩やか。財物価は輸入物価から半年程度遅れて動く傾向。国内のマクロ環境の影響が大きいサービス物価は、2000年代以降、単位労働コストとの相関が弱く、労務費の適正な転嫁が重要。個別品目分布をみると、財は価格上昇品目が増えているが、サービスは価格上昇率0%に止まる品目が多く粘着的。一方、足下では価格改定頻度が上昇するなど、物価が動き始めている。長く続いたデフレマインドを払拭し、デフレ脱却に確実につなげていくことが重要。
- 2013年以降の金融政策により、長期金利は大きく低下。実質金利の低下により、設備投資向けの貸出が活発化するなど、大規模な金融緩和は一定の効果。金利の上昇は分配を通じて経済主体別に異なる影響。家計部門は受取利子の上昇により全体の収支は改善方向が期待され、非金融法人企業部門全体は足下では受取金利が支払金利を上回って収支はプラスだが、資産・負債の保有状況に応じて影響は様々であり、注視が必要。コロナ禍での家計・企業向けの支援、感染症対応による政府消費等の増加で基礎的財政収支赤字が拡大し、債務残高対名目GDP比も上昇。コロナ禍後の経済社会へと移行する中、生活支援や需要喚起から、中長期的な成長に資する分野へのメリハリのついた財政支出の下での潜在成長率の引上げが重要
- 名目賃金には失業率の低下もあり上昇圧力がかかっている。持続的な賃金上昇には労働生産性の改善が重要であり、そのために労働移動による適材適所の推進や成長分野の雇用拡大が鍵。感染症下で弱まった転職の動きは正規間転職で回復。中低所得者層(第Ⅰ~第Ⅲ五分位)が中心だった転職活動に、近年は拡がりもみられる。正規間の自発的な転職は、自己啓発を伴う場合に賃上げ効果が高まるほか、非正規の正規転換転職にも賃金押上げ効果。転職はマインドも改善し、意欲の改善を通じた生産性上昇も期待できる。転職のしやすさは、配偶者の労働収入や資産収入、転職やリ・スキリングの経験がある場合に向上。他方、子育て世帯では転職しにくい。女性活躍や家計の資産形成支援の促進に加え、キャリアアップを考える在職者への学び直し支援や相談体制の整備により、転職希望者を後押ししていくことが重要
- 新規の就業や労働時間の延長を望む追加就業希望者は減少傾向にあるが、男女合計で840万人程度存在。「年収の壁」を意識せず働ける環境を含め、女性・高齢者が活躍できる環境整備や、副業の後押しを通じて、追加就業希望を実現させていくことが重要。勤続年数が同一でも、我が国の男女間賃金格差は大きい(8図)。賃金差の背景にある、出産による女性の労働所得の低下や、それに基づく「統計的差別」を抑えるためには、長時間労働・制約のない転勤・勤続年数重視の日本型雇用慣行を見直し、ジョブ型雇用への移行が必要。短時間労働を中心とした高齢労働者が増加(10図)。高齢期に正規から非正規に転換しても、マインド指標には顕著な悪化はみられない。高齢者が働きがいを感じられる就労環境の整備が重要
- 副業実施割合は、中間の所得層(第Ⅲ~第Ⅳ五分位)で低いU字型。直近5年間では第Ⅳ五分位以下を中心に幾分上昇。副業の実施は、正規・非正規を問わず追加就業により年収引上げにつながる傾向。民間企業での就業規則の見直しや、企業間の人材のマッチングを促す環境の整備が重要。我が国家計の金融資産は現預金に偏り。我が国家計の可処分所得に占める財産所得割合はアメリカや英国の半分程度。賃金カーブがフラット化していることを踏まえれば、若年層の将来不安の緩和に向けて、若年期からの資産形成を支援する意義は高い。株式保有家計は年収等が同じ非保有家計対比で消費支出が多い傾向もあり、貯蓄から投資への移行を進めることによる、消費水準の押上げにも期待。
- 少子化の進行により、労働投入量や個人消費を通じて経済活動に下押し圧力が生じている。2015年以降の出生数は、人口要因・有配偶率要因(結婚の減少)・有配偶出生率要因(夫婦の出産減少)の三重の下押し。特に、結婚の減少は1990年代以降、長らく出生数を下押し。男性では年収が上がると未婚率が下がることから、若年層の所得の増加が重要。30代後半には20代後半よりも男女間賃金格差が拡大。女性では、出産後の労働時間の減少や昇進の遅れ等のリスクを背景としたキャリアパスへの懸念もあって、高所得でも配偶者よりも年収区分が高い者の割合が低い。出産後の女性の労働所得下落を小さくする取組も、結婚のハードルを低くする可能性。
- 所得水準の中央値(550万)を下回る所得層では、高所得層に対し、第一子・二子ともに持ちにくくなる傾向が強い。都市別には、大都市では所得が増えても第二子を持つ割合が高まりにくい。また、補助学習費を含め教育費がかかる年齢で世帯主の収入が伸びにくくなっている。将来の所得上昇期待の低下や、都市部の高い生活費が出生行動に影響を及ぼしている可能性。賃上げ環境の構築や、経済的支援の強化に加え、公教育の充実も重要。家賃の高さは有配偶率、有配偶出生率のいずれも下押し。他方、賃金や潜在保育所定員率(若年女性の人数に対する保育所定数)の上昇は有配偶出生率を押上げ。公的住宅活用を含めた住宅費用の負担軽減や、待機児童解消のための保育所整備も出産を後押しする可能性。女性に偏った家事・育児負担の軽減に向けて、男性育休の取得割合の引上げやベビーシッター利用の推進により、「共働き・共育て」の環境を整えることも重要。
- 労働生産性(実質)の伸びに対する資本装備率の寄与は縮小傾向。資本のうち無形資産の寄与が小さい。無形資産投資のGDP比でみても、2010年代以降横ばいで推移。無形資産の中では研究開発を含む革新的資産の割合が高く、組織改編や人的資本からなる経済的競争能力の割合が小さい。無形資産の種別にTFPへの影響を推計すると、経済的競争能力が増加した時の影響が大きい。無形資産の特徴である、正の外部性(生産性や知識の波及効果など)や、補完性(ICT資産活用のための人的資本や組織改編など)に鑑み、無形資産投資の活性化が重要。2000年代以降、新規参入などを通じたTFP上昇率の押上げがみられる一方、生産性が高い企業の退出による下押しが継続。2010年代後半以降、後継者不在などを背景に、収益状況が相対的に良好な企業の退出が顕著。生産性の高い企業の参入促進とともに、優良企業の事業承継を後押しする仕組みの整備なども課題
- 企業の価格支配力や生産性を示す指標であるマークアップ率は、長期的にみれば、水準や企業ごとの分布に大きな変化はみられない。また、グローバルな市場で高い価格支配力を有する企業が少なく、欧米でみられるような上位企業と下位企業との格差の拡大も生じていない。一方で、短期的には、原油等の原材料価格の影響を受けて変動するなど、疑似交易条件と同じ動き。企業は原材料価格の上昇局面で、コスト増をマークアップ率を低下させることで対応。業種別には、製造業で相対的に高い水準。輸入価格の影響を大きく受ける素材業種では変動が大きいが、付加価値の高い輸送機械や一般機械等の加工業種では比較的高い水準を維持。非製造業では、長く続いたデフレの下で醸成された価格据置行動もあり、卸売・小売の水準が低く、かつ過去20年間でほとんど変化がみられない。
- マークアップ率の高い企業ほど利益率が高く、その背景には研究開発や従業員の能力開発への積極性。人への投資による人的資本の蓄積、研究開発、ソフトウェア、ブランドなど各種の無形資産への投資や、輸出等の海外展開はいずれもマークアップ率と正の関係。企業の稼ぐ力を高める上で、こうした取組が重要。また、企業の前向きな設備投資の拡大には、一定程度のマークアップ率の確保が重要。競争上の優位性が高まりマークアップ率が一定水準を上回る場合には、投資にマイナスの影響が生じ得るが、我が国企業の現状を踏まえると、マークアップ率の向上とともに投資が拡大する余地は十分。さらに、マークアップ率の高い企業ほど賃金水準(対生産性比)が高く、得られた利潤を従業員とシェアする特徴がある可能性。「賃金と物価の好循環」の実現という観点からも、マークアップ率の向上は重要
- 我が国では輸出により海外で稼ぐ力の差もあり、製造業の規模間の労働生産性の差が非製造業より大きい。自由貿易協定の進展が進むが、中小企業の利用割合は大企業対比で相対的に低い。中小企業では、輸出開始による生産性の改善効果が、大企業対比でやや遅れて発現する傾向。輸出開始~中期の公的機関や金融機関によるサポートが重要。消費財の輸出を希望する企業の割合が高く、越境ECの活用にも期待。現地需要を幅広く取り込む観点からはECモールの利用に引き上げ余地。研究開発に取り組み、技術力・開発力やブランド力を強みと認識する企業では輸出実施確率が高まる傾向。他方、価格競争力は非有意かつマイナス。価格転嫁の適正化を進め、技術開発力・ブランド力を養うことが重要。
- マクロ経済の動向と課題
- 5月に感染症が5類相当となる中、コロナ禍後の経済へと移行。
- 物価と賃金は動き始めている。サービス物価の上昇は緩やかだが、30年ぶりの賃上げが進むとともに価格改定頻度は上昇。来年度も高い賃上げを継続することにより「賃金と物価の好循環」を実現し、我が国経済の四半世紀の桎梏である「デフレ」からの脱却を実現・定着させていくことが重要。
- 経済政策は、財政出動による景気や生活の下支えから潜在成長率の上昇に軸足を移し、DX・GX等の民間投資の誘発や少子化対策等の中長期的な成長に資する取組が不可欠。
- 家計の所得向上と少子化傾向の反転に向けた課題
- 家計所得が着実に増加する環境を構築するためには、労働移動の活発化、副業・兼業の拡大や女性・高齢者の活躍促進に加え、資産形成を通じた所得の引上げも重要。
- 少子化対策の観点でも、(1)将来の所得上昇期待を高めて、結婚・出産の後押しをすることが重要。加えて、(2)住宅・教育費などの子育て負担の軽減策や、(3)出産後の女性の労働所得が下がりにくい環境を整備し、「共働き・共育て」を支援する仕組みとして、保育所整備・男性育休やベビーシッター利用の促進も必要。
- 企業の収益性向上に向けた課題
- マークアップ率(企業の価格設定力)の向上には、研究開発投資や人への投資などの無形資産投資が鍵。無形資産には正の外部性があるため、官民投資による後押しが必要。マークアップ率向上は、企業の収益性を改善させ、投資や賃上げ余力を高めるため、経済の好循環の観点からも重要。
- 無形資産投資によって、生産性を高める効果や、対外競争力のある製品の輸出拡大効果も期待できる。輸出の開始は生産性を更に高め、収益性向上にプラスの効果
内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
▼8月 閣僚会議資料
- 日本経済の基調判断
- 現状【判断維持】
- 景気は、緩やかに回復している。
- (先月の判断)景気は、緩やかに回復している
- 先行き
- 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある
- 政策の基本的態度
- 「経済財政運営と改革の基本方針2023」に基づき、30年ぶりとなる高い水準の賃上げ、企業部門における高い投資意欲などの前向きな動きをさらに力強く拡大すべく、未来への投資の拡大と構造的賃上げの実現に向けた新しい資本主義の取組を加速させる。
- 「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」及びそれを具体化する令和4年度第2次補正予算、「物価・賃金・生活総合対策本部」で取りまとめたエネルギー・食料品等に関する追加策、並びに令和5年度当初予算を迅速かつ着実に実行しつつ、物価や経済の動向を踏まえ、今後も、燃料油価格対策への取組を含め、機動的に対応していく。
- 賃金上昇やコストの適切な価格転嫁・マークアップの確保を伴う「賃金と物価の好循環」へとつなげるとともに、人への投資、グリーン、経済安全保障など市場や競争に任せるだけでは過小投資となりやすい分野における官民連携での国内投資の持続的な拡大を図ること等により、成長力の向上と家計所得の幅広い増加に裏打ちされた「成長と分配の好循環」の実現を目指す。
- 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
- こうした取組を通じ、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進めつつ、デフレに後戻りしないとの認識を広く醸成し、デフレ脱却につなげる。
- 現状【判断維持】
- GDPの動向
- 23年4-6月は、供給制約の緩和やインバウンド回復に伴う輸出増など外需に牽引され、3期連続のプラス成長。GDP水準は、名目に続き実質でも過去最高に。
- 実質個人消費は、2期連続増加の後、物価上昇の影響もあり減少。一方、設備投資については、実質は、ソフトウェア投資の増加により、2期連続で増加し、名目は、過去最高を更新し100兆円に。
- 雇用者報酬は、名目で増加が続く中、実質も7期ぶりにプラスに転換。今後も、30年ぶりの高い賃上げとなった春闘結果の反映や今年10月の最低賃金引上げが、所得環境の改善につながる見込み
- 雇用・所得環境の動向
- 春闘の賃上げの反映やボーナスの増加によって賃金は改善。6月のボーナスを含む特別給与は、コロナ禍前の水準を超えて増加。中小企業を含め、今後も賃上げの流れが継続していくことが重要。
- 民間職業紹介における求人(主に正社員)では、高収入の求人が大幅に増加。
- パート労働者の時給は、今年10月に最低賃金が引き上げられることもあり、さらに上昇の見込み。一方、既婚女性の非正規労働者では、就業調整を実施する割合が高まっており、「年収の壁」による労働供給の制約が強まっている
- 設備投資の動向
- 23年度の大企業の設備投資計画では、能力増強や製品高度化等を目的とした前向きな動き。また、供給網強靱化の観点から、今後、国内生産拠点を強化する企業の割合が大きく増加の見込み。
- 中小企業の設備投資計画も6月時点では7.2%増と堅調。このうちソフトウェア投資をみると、製造業や卸売・小売では大幅な増加の計画になっており、DXの取組がみられる。一方、宿泊・飲食では遅れ。
- 中小企業のうち価格転嫁実施企業では、設備投資に積極的な企業が多い。中小企業の設備投資促進のためには、引き続き適切な価格転嫁に向けた取組も重要。
- 個人消費の動向
- 23年4-6月期の消費は、物価上昇の影響もあって、食料品等の非耐久財や家電等の耐久財が減少した一方、経済活動正常化によりサービスの回復は継続。家電は、巣ごもり需要による増加の後、多くの世帯で買い替え時期を迎えておらず、エアコン、冷蔵庫、テレビ、パソコン等の販売は弱い状況が継続。
- 消費者マインドは、雇用環境の改善等を背景に持ち直しが継続。一方、8月は台風の影響があり、お盆期間の国内交通利用は、前年よりは回復したもののGWよりは弱い。また、例年よりも猛暑日が多く、空調の効いた商業施設等ではプラスの影響がみられるが、屋外型レジャー施設にはマイナスに影響も。
- 物価の動向
- 消費者物価上昇の約7割は食料品。電気・ガス代は、政策効果や既往の資源価格の低下により下落。8月については、円安の進行等を背景に、ガソリン価格が上昇。特にガソリン支出額の多い地方の消費者にとっては家計負担が増加。
- アメリカに比べ、我が国は、サービス部門の賃金と物価の伸びがともに緩慢。ただし、足下では、サービスの正規価格で改定頻度が上昇しており、これまでの価格が動きにくい状況に構造的な変化の兆し。賃上げの継続と適切な価格転嫁を通じて、賃金と物価がともに持続的・安定的に上昇していくことが重要
- 輸出の動向
- 財の輸出は、供給制約の緩和に伴う自動車生産の回復や、PC出荷台数の下げ止まりにみられる半導体需要の底打ちも背景に、各地域向けに増加しており、持ち直しの動き。ただし、輸出先の経済動向には留意が必要。
- サービスは、23年7月、中国以外からの訪日外客数はコロナ禍前の水準に回復。一方、デジタル関連や保険等のサービス分野では、支払(輸入)が受取(輸出)を超過し、赤字幅が拡大する傾向にあり、サービス分野の競争力強化も重要
- アメリカ経済の動向
- アメリカの景気は、消費を中心に回復。背景には雇用・所得環境の着実な改善。
- 感染症拡大期後は、労働供給の回復を上回るペースで労働需要が急増し、労働市場は更にひっ迫。
- レジャー・接客等の業種では、労働者不足が依然として高水準で継続。このため、レジャー・接客の賃金上昇率は、全体を上回って推移。
- 全体の賃金上昇率が物価上昇率を上回っていることに加え、21年半ば以降に約1.1兆ドル(対名目GDP比約4%)の超過貯蓄が取り崩されていることも消費の増加に寄与
- 中国経済の動向
- 中国の景気は、持ち直しの動きに足踏み。不動産市場の停滞が続き、住宅取引件数、不動産開発投資は減少。大手不動産企業は業績が悪化する中、債務再編交渉が難航。住宅需要の喚起や地方銀行等の金融リスク等に対応するため、政府は各種の政策措置を発表なお、IMFの推計では、地方融資平台(都市開発の資金調達のために地方政府が出資した特別目的会社)の債務残高は増加傾向。
- こうした中で、消費者物価上昇率は足下でマイナス転換。
【2023年8月】
内閣府 適格請求書等保存方式の円滑な導入等に係る関係府省庁会議
▼第3回 資料
- 登録申請状況等(令和5年7月末時点)
- 累計の申請件数は約370万件。
- 課税事業者(約300万者)の9割超の278万者程度が申請。免税事業者も92万者程度が申請。
- コールセンターの相談件数等
- インボイス制度に関する相談件数は、令和5年1月以降、確定申告期と原則の登録申請期限が重なった令和5年3月の約8万件をピークに、約4~6万件で推移。
- 相談内容は、制度の概要・趣旨に関するものは1割程度にとどまり、登録や公表制度に関する相談が半数以上を占める。また、足もとでは、インボイスの記載事項など、より実務的な相談の割合が増加傾向。
- 「免税事業者の登録」に係る考え方等
- 個々の免税事業者にとっては、必ずしも「登録する」ことだけが制度対応ではなく、税制改正や補助金等の支援策の内容も含め制度をよく理解し、まずは「登録要否の判断」を適切に行っていただくことが重要。具体的には、例えば、取引先のほとんどが一般消費者であるため登録しない、インボイスがなくとも一定割合仕入税額控除が可能な経過措置や自身の業界や取引先の動向を踏まえて、現時点での登録を見送り、制度開始後に必要があれば改めて登録を検討する(実際に、取引先である免税事業者に対し、「登録を求めない」等といった方針を明確に示す企業も現れてきている)といった選択も、インボイス制度への対応の一つとなる。
- 制度開始以降の対応について
- 国税庁においては、制度の円滑な定着に向けて、制度開始以降も、(1)制度開始後も登録するか否かを検討している事業者に対する対応、(2)インボイス発行事業者への登録を契機に課税転換した事業者への説明等に取り組んでいく。
- 登録するか否かを検討している事業者に対する寄り添った対応を継続
- 制度開始後も登録するか否か検討する事業者の方に向けて、引き続き、個々の事業者の実態を踏まえた個別相談や、インボイスコールセンターによる相談を実施
- ※上記の説明の際には、事務負担の軽減や事業者の業務のデジタル化等の観点から、引き続き、中小企業庁の補助金制度を紹介
- 制度開始後も登録するか否か検討する事業者の方に向けて、引き続き、個々の事業者の実態を踏まえた個別相談や、インボイスコールセンターによる相談を実施
- 課税事業者となった事業者の適正な消費税申告に向けての対応
- インボイス発行事業者への登録を契機に課税事業者となった事業者が適正に消費税申告をすることができるよう、以下の取組を行う。
- 登録通知書の送付時のほか、DMやe-Taxメッセージボックスへの通知等の各種広報を活用して、消費税申告が必要であることについて注意喚起。
- 各種説明会において、インボイス制度を含む消費税制度等の説明を実施。
- 登録するか否かを検討している事業者に対する寄り添った対応を継続
- 国税庁においては、制度の円滑な定着に向けて、制度開始以降も、(1)制度開始後も登録するか否かを検討している事業者に対する対応、(2)インボイス発行事業者への登録を契機に課税転換した事業者への説明等に取り組んでいく。
- インボイス制度後の税務調査の運用について
- これまでも、保存書類の軽微な記載不備を目的とした調査は実施していない。
- 従来から、大口・悪質な不正計算が想定されるなど、調査必要度の高い納税者を対象に重点的に実施。
- 仮に、調査等の過程で、インボイスの記載事項の不足等の軽微なミスを把握しても、
- インボイスに必要な記載事項を他の書類等※で確認する、
- ※相互に関連が明確な複数の書類を合わせて一のインボイスとすることが可能。
- 修正インボイスを交付することにより事業者間でその不足等を改める、といった対応を行う。
- インボイスに必要な記載事項を他の書類等※で確認する、
- これまでも、保存書類の軽微な記載不備を目的とした調査は実施していない。
- まずは制度の定着を図ることが重要であり、柔軟に対応していく。
内閣府 日本経済2022-2023―物価上昇下の本格的な成長に向けて
▼概要
- 世界経済の不確実性の高まりと日本経済の動向
- 2022年は民需中心に緩やかな持ち直し。世界的な物価上昇下、円安方向への為替変動もあり、40年ぶりの高い物価上昇。海外由来のショックに対し、エネルギー構造の転換などを通じた交易条件改善、サービス輸出拡大が課題。
- 物価上昇は輸入物価上昇を背景としており、国内需給や賃金による上昇圧力は限定的。価格上昇品目は増えているが、輸入物価上昇の転嫁は途上。賃上げ原資の確保にも、企業が適切に価格転嫁を行える環境整備が重要。
- 2023年の世界経済は減速が懸念されることからも内需振興が重要。成長分野への重点的な投資喚起、生産性向上に向けた人的資本投資の促進が鍵。中長期の持続的な成長には、貿易や投資関係強化による海外需要取込みが重要。
- 第2章 個人消費の力強い回復に向けた課題
- 物価上昇下での実質所得の減少を背景に、低所得層では実質消費支出が減少傾向。物価上昇の影響が大きい低所得層への重点的な支援が重要。超過貯蓄による一定の消費下支え効果が期待される一方、預貯金の増加による消費押上げ効果は限定的。消費の持続的な回復には、ベアなどによる定期収入の増加が鍵。
- 2010年代以降、若年層と高齢層を中心に消費性向は低下傾向。背景には、若年層では期待生涯所得の伸び悩みや老後の生活不安の高まり、高齢層では予備的動機や遺産動機の高まりがある。構造的な賃上げ環境の構築に加え、高齢者の就労促進や社会保障制度の持続性を高める取組が必要。
- 2022年の雇用環境は総じて改善したが、労働移動はコロナ禍前ほど活発ではなく、失業期間の長期化が懸念。国際的には、労働移動が円滑な国の賃金上昇率が高い。自発的な転職には賃金や意欲の上昇効果がみられ、人材配置の適正化を進めるためのリスキリングの強化やマッチング効率の改善などが課題。
- 第3章 企業部門の動向と海外で稼ぐ力
- 2022年は製造業のけん引により収益の回復が持続し、円安による収益増などもあり設備投資は大中堅企業中心に回復。一方、実質ベースでの投資の回復は道半ば。今後は官の投資を呼び水として、成長分野での企業の予見可能性と期待成長率を高め、投資を引き出すことが重要。
- リーマンショック以降の経常収支黒字要因は、貿易中心から投資中心に変化。輸入の変動は鉱物性燃料価格の影響が大きく、エネルギー構造転換が重要。直接投資は、投資先国の成長を背景に収益率が高く、残高も増加基調。
- 海外で稼ぐ力を規模別にみると、現地法人の売上や収益に加え、輸出金額も大中堅企業に偏在。輸出の伸びしろが大きい中小企業への人材面などでの支援や、農林水産物・食品の輸出支援体制の整備が重要
- ロシアによるウクライナ侵略後の不確実性の高まりと日本経済
- 2022年の我が国経済は、民需を中心に緩やかに持ち直し。感染症の影響が大きかったサービス部門は先進各国に比べ遅れて回復。全国旅行支援や水際対策の緩和の効果に期待。
- 対外関係をみると、交易条件(輸出物価と輸入物価の比率)は輸入物価上昇によって21年以降悪化方向にあったが、22年秋以降改善傾向。2000年代半ば以降、輸入物価は鉱物性燃料価格の影響が大きく、22年の上昇も原油等の価格上昇が背景。
- 22年秋までの円安の動きは、金利差やインフレ格差で説明できる以上に下落。近年、円安方向への為替変動により、短期的には輸入金額の増加から貿易収支が悪化、所得収支は改善する傾向
- 我が国の物価動向
- 2022年の消費者物価の上昇は輸入物価上昇を背景とするコストプッシュ型。品目別では、供給要因の寄与が大きい。経済全体では、国内需給のタイト化や賃金上昇による内生的な物価上昇とはなっていない。
- 需要段階別の投入物価の動向を日米で比較すると、我が国は生産フローが川上から川下へ流れる中で、大きく物価上昇率を低下させ、価格転嫁が進みにくい構造だが、米国は需要段階別の物価上昇率の差が小幅。
- 為替変動は輸入物価を通じて企業物価、消費者物価に影響。ただし、影響の度合いは、1%の円安に対して1年後に企業物価で約0.2%、消費者物価で約0.06%と小幅であり、デフレ下の価格硬直性の影響がみられる。
- 企業が付加価値を維持・増加させて投資・賃上げを実施するためには価格転嫁の促進や適切な価格設定が重要。
- 食料品の価格をみると、2022年以降は消費者が実際に購入した価格(POSデータ)と、代表品目の価格(CPI)の上昇率の乖離幅は拡大している。その背景には、低価格品で代替する消費者の動きもあるとみられる。
- CPIの品目別に価格上昇率の分布を見ると、足下ではゼロ近傍の品目が減少、上昇率が高い品目が増加し、物価上昇に広がり。物価上昇局面では輸入物価上昇の消費者物価への転嫁までのタイムラグは短くなるなど、企業が価格改訂しやすい傾向。
- サービス業では、需給の引き締まりに対応して価格が上昇する傾向。2020年以降の期間では、価格が上昇してから、賃金が上昇する傾向。
- 今後、企業が価格転嫁や適切な価格設定を進めやすい環境を整備し、賃上げ原資を確保して賃金上昇の定着・拡大を図ることが鍵。その下で、消費・投資などの需要増加を通じた内生的な物価上昇へとつなげていくことが重要
- 当面のリスクと我が国経済の中長期的な課題
- 当面のリスクは、物価上昇の影響に加え、世界経済の減速による輸出減。さらに、輸出の減少は生産や設備投資にもマイナスに影響する傾向。
- 中長期の課題は潜在成長力。2000年代前半までと比べ低い伸び。投資は、コロナ禍からの回復過程で増加しているが、資本装備率は先進国で最も低い。経済対策を着実に実行することで、半導体関連や電気自動車等の成長分野を中心に民需を誘発し、需給両面の成長につなげることが重要。
- 労働投入(人数)は、少子化(自然動態)によって構造的に低下。外国人(社会動態)は水際対策の緩和により22年に増加転換。少子化の背景には、経済的負担や心身両面の負担等により子供を希望通りの数まで持たないこと、未婚率の上昇が挙げられる。少子化対策では、経済的支援に加え、育児と仕事の両立をサポートする制度やサービスの充実が重要。
- 物価上昇下の個人消費
- 消費性向は、回復傾向が続いているが、2022年も依然として感染拡大前を下回る。低所得層では物価上昇もあり、実質消費支出が減少傾向。2022年を通じて消費者マインドも全体として低下しているほか、低所得世帯で下落幅がやや大きい。
- 消費者マインドの悪化はラグを伴って消費支出を下押しする傾向があり、今後の消費動向に留意が必要。
- 消費性向の抑制を背景に超過貯蓄の増加が続くが、世帯属性によって規模にばらつき。2022年の物価上昇負担による負担増加額(10万円弱)との対比でみると、平均的には10倍程度と相応の規模に達しているが、低所得世帯では相対的に小さい。
- 預貯金が1万円増加した場合の消費支出の増加幅は、最も大きい低所得世帯層でも250円と限定的。他方、世帯主収入に対する定期収入比率が高い世帯では、消費支出が押上げられており、消費性向を高めるには定期的に期待できる収入の割合が高まることが鍵。
- 若年層や高齢層で消費性向は低下傾向にあり、若年層ではコロナ禍以降さらに低下。貯蓄目的は、若年層では老後の生活資金、高齢層では遺産動機が上昇し、高齢無職世帯の貯蓄の取り崩しペースは貯蓄額の大きい世帯ほど慎重。2000年代以降、25~34歳を非正規雇用者として過ごす若年層も3割程度存在。
- ベースアップ実現による定期収入比率上昇などにつながる賃上げ環境の醸成や、正規転換を含めた非正規雇用の処遇改善・高齢者の就労促進等により、生涯所得に対する見通しを改善させつつ、社会保障制度の持続可能性を高めることが、個人消費を力強く回復させていく上で重要
- 労働市場の変化と賃上げに向けた課題
- 2022年は失業率が低水準で推移し、名目賃金が緩やかに持ち直すなど、労働市場は全体として改善。
- 実質賃金は、2022年には交易条件の悪化による下押しが強まっているが、中期的には労働生産性の伸びにより上昇。労働生産性の伸びを高めるには、労働市場のミスマッチ改善が課題。
- 2022年以降の労働市場の変化をみると、労働需要側では業績回復の遅れや省人化投資の進捗等を背景に、労働集約的な産業の新規求人の戻りが弱い。労働供給側では、長期失業者が全年齢層で増加。国際的には失業から就業への移動が円滑な国は実質賃金上昇率が高く、労働市場の仲介機能を高めることなどが重要。
- 処遇改善や会社の将来性不安を理由とした自発的な転職では、転職を通じて賃金の伸びは高まり、仕事に対する意欲も改善傾向。
- 感染拡大後に労働移動の動きは全体として若干弱まったが、若年層では持ち直しの動き。正規間転職や非正規雇用者の正規化にも持ち直しの動き。リスキリングの強化などによりこうした動きを活発化させ、成長産業への労働移動を促進する取組が重要。
- 最低賃金引上げは、非正規雇用者の時給を幅広く底上げする効果。他方、世帯の主稼得者以外の者で就業時間が短い層が増加しており、所得引上げに向けて諸制度の見直しも必要
- 企業部門の概観
- 企業収益は、製造業が牽引する形で回復が継続。製造業を規模別にみると、足下では原材料コスト増が下押し要因となる中、大企業では売上増加と円安による営業外収益の増加が利益を押し上げ。中小企業では売上回復が鈍い中、コスト削減によって利益を出す状況が続く。
- 好調な収益と経済活動の正常化を背景に、設備投資の回復も2022年は大企業を中心に回復が強まる。22年度は、先送りされてきた能力増強など攻めの動機を中心に全動機での投資が回復。
- 他方、物価上昇の中、過去の景気局面と比較しても実質ベースでみた投資の回復は道半ば。
- 我が国経済の対外経済構造
- リーマンショック頃を境に、経常収支の黒字要因は貿易中心から投資中心へと変化。
- 貿易収支は、輸入額の増加が輸出額の増加を上回ることで概ね均衡に至っている。一方、品目別にみた輸出入の構造は2000年代半ばから大きくは変わらない。
- こうした中、企業の高付加価値志向を反映して、輸出増加の主因は数量から価格へと変化。一方、輸入の変動は過去から継続的に価格によりもたらされている。貿易収支の安定化には、GXの促進等を通じ、化石燃料に過度に依存しないエネルギー構造への転換が重要。
- 2000年代半ば以降のサービス貿易の動向をみると、世界全体に比べ成長が遅く、特にコンピュータサービス等のデジタル関連の寄与が小さい。デジタル取引における環境整備や、デジタル人材育成等を通じた競争力強化が重要。
- 第一次所得収支の黒字は拡大を続け、その主因は証券投資収益から直接投資収益へと変化。
- 対外純資産残高は、直接投資を中心に堅調に増加。直接投資の収益率は、投資先国の経済成長等を背景に高く、対外資産全体の収益率を支えている。
- こうした直接投資増加の背景として、我が国企業の海外進出が進展。海外進出の進展は、営業外収益の増加を通じて企業の経常利益を押し上げ。円安は受取増に寄与。
- 一方、こうした海外から所得を稼ぐ力は大中堅企業に偏在。中小企業の海外現地法人は、企業数では全体の4分の1を占めるが、売上高・経常利益では2%台と限定的。
- 輸出を通じた海外で稼ぐ力の拡大
- 直接投資を通じた海外での売上や収益に加え、輸出面でも海外で稼ぐ力は大企業に偏在。大企業に比べ、中小企業の輸出割合は過去10年間で伸びていない。
- 輸出企業は非輸出企業に比べて生産性が高く、研究開発実施率も高いなど、輸出を通じた海外企業との競争環境の下、自社の稼ぐ力を高めている様子がうかがえる。
- 今後の伸びしろが大きい中小企業の輸出の促進に向け、中小企業が課題を有するマーケティングや人材面を支援することや、海外拠点設置に比べハードルが低いと考えられる、越境ECの活用拡大等が重要。
内閣府 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書
▼消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書(概要)
- 本報告書が念頭に置くいわゆる「破綻必至商法」事案の実態と制度的手当の必要性
- 念頭に置くのは、高配当、高利益が得られるとうたって多数の消費者を誘引し、多額の出資をさせて、多数の消費者の被害回復が困難になっている事案(ex.ジャパンライフ、WILL等、ケフィア事業振興会、MRIインターナショナル)
- 現行制度の課題
- 行政処分を潜脱して事業を継続したとみられる事業者の存在
- 被害回復のための手段が欠けていること
- 刑事的手法では迅速な対応が困難であること
- 以下の視点を踏まえた制度的手当が必要
- 消費者庁・消費者委員会設置法附則第6項の検討条項
- 横断的・一元的な対応の必要性
- 新たな被害者の発生抑止(潜脱的営業の禁止)
- 消費者の被害回復
- 行政の主体的・迅速な対応
- 制度の対象とすべき「破綻必至商法」について
- 本WGが対象事案と考える「破綻必至商法」は、以下1から4の全てを備えることが必要と考える
- 事業(事業の実施のために必要な行為を含む。以下同じ。)の実体がないにもかかわらず、
- 「事業の実体がない」は、事業が対象とする契約類型における本質的要素(例えば契約の目的物)が大幅に欠けていることや、事業を行うための人員が大幅に不足したり事業計画が極めてずさんであるなどの必要な体制が大幅に欠けているか等を踏まえて判断する。
- 金銭の出資若しくは拠出又は物品若しくは権利の提供(以下「金銭出資等」という。)をすれば事業の収益により一定期間経過後に金銭その他の経済的利益の配当等(以下単に「配当等」という。)を行う旨を示して消費者を勧誘し、
- 多数の消費者に金銭出資等をさせ(金銭出資等をした消費者を「出資者」という。以下同じ。)、
- そのため、新たな消費者を勧誘して金銭出資等をさせ、当該金銭出資等を原資として先行の出資者への配当等を継続的に行わざるを得ないスキーム。
- 事業(事業の実施のために必要な行為を含む。以下同じ。)の実体がないにもかかわらず、
- 本WGが対象事案と考える「破綻必至商法」は、以下1から4の全てを備えることが必要と考える
- 破綻必至商法を止めて被害を回復するための具体的方策
- 破綻必至商法の禁止の明確化 市場からの排除
- 破綻必至商法を停止するための行政処分の創設 被害の拡大防止
- 破綻必至商法を行う事業者に対して、その事業の全部又は一部を停止する旨の行政処分を創設
- 行政処分の潜脱防止のための手当てや、行政処分の実効性の確保のため必要な限度で行政に報告徴求・立入検査等の調査権限を与える必要
- 行政庁による破産申立て権限の創設 被害の拡大防止・被害回復
- 行政庁は、破綻必至商法を行う事業者に破産手続開始原因がある場合は、破産手続開始の申立てができる旨の制度を創設
- 破産法第91条第1項の保全管理命令の申立て等についても、行政庁に申立て権限を認めるべき
- 違法収益はく奪のための行政手法の創設 被害の拡大防止・被害回復
- 破綻必至商法に該当する取引がなかった状態への原状回復を内容とする違法収益の返金計画措置命令と、当該措置命令に従わない場合又は従う見込みがない場合の行政型没収の制度を創設
- 財産保全のため、権利移転せずに事業者の財産を凍結する制度を創設
- 繰り返しの違反行為を抑止するため、違法収益額に一定割合を乗じた額を加算金として納付させる制度を創設
- 会社法の解散命令の活用・拡充 被害の拡大防止・被害回復
- まず現行制度の活用として、破綻必至商法を行う会社に会社法第824条第1項各号に該当する事由がある場合には、行政庁は会社法第826条の法務大臣への通知を行う
- 加えて現行制度の拡充として、破綻必至商法を行う会社に限り、会社法の特例として、解散命令の申立権者に関係省庁の主務大臣を追加
- 上記方策の実効性を高めるための方策
- 現行制度の運用
- 事業者の内部に調査への協力者を確保(例えば公益通報者保護制度の活用)
- 関係機関(例えば国民生活センターなど)が相互に連携
- 運用面(PIO-NETなど)の更なる改善
- 制度的手当
- 行政に行政処分に必要な限度で報告徴求・立入検査等の調査権限の付与
- 調査を拒まれた場合等に備えて、行政に臨検の権限を与えることを検討するほか、不実証広告規制類似の制度、「高利率をうたう取引」への定期報告を含めた行政への届出義務等の検討も行ってはどうか
- 「臨検」…裁判所の許可状を得た上で、相手方の抵抗を有形力で排除することが可能な調査。
- 「不実証広告規制」…優良誤認表示の判断に必要な場合に、期間を定めて事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができ、事業者が求められた資料を期間内に提出しない等の場合には、当該表示は、措置命令との関係では不当表示とみなされる(景品表示法第7条第2項)。
- 現行制度の運用
- 残された課題
- 「破綻必至商法」の定義の更なる具体化による対象の明確化
- 具体的方策の内容や有効性等の更なる検討
- 新たな調査権限についての必要性と許容性の検討
内閣府 チャットを利用した勧誘の規制等の在り方に関する消費者委員会意見
- 意見
- 消費者庁は、チャットを利用して、事業者が消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える行為により消費者被害が発生していることを踏まえ、以下について、チャットの定義を必要に応じて明確にすること等も含め、その在り方等について十分に検討を行うことを求める。
- 特定商取引法の通信販売において、チャットを利用して事業者が消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える行為に対して、勧誘の規制等の導入に向けた検討を行うこと。
- 上記1に当たっては、以下の内容を含め検討を行うこと。
- チャットを利用した勧誘に先立って、消費者に対し、事業者名・販売目的等を明示すべき義務を設けること。
- チャットを利用した勧誘による販売に禁止行為等に関する行政規制を設けること。具体的には、訪問販売及び電話勧誘販売規制を参照し、再勧誘の禁止のほか、不実告知や故意の事実不告知等の事業者による不当性の強い行為については禁止行為とし、適合性原則違反等については指示対象行為とすること。
- チャットを利用した勧誘による販売に民事ルールを設けること。
- 消費者庁は、チャットを利用して、事業者が消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える行為により消費者被害が発生していることを踏まえ、以下について、チャットの定義を必要に応じて明確にすること等も含め、その在り方等について十分に検討を行うことを求める。
- 理由
- チャットを利用した勧誘及び同勧誘による販売とは
- 本意見において、「チャットを利用した勧誘」とは、通信販売において上述のチャットを利用して事業者10が消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える行為をいう。その行為により取引を行うものを「チャットを利用した勧誘による販売」という。
- なお、チャットを利用した勧誘による販売には、即時性があり、既読機能により相手に情報が届いていることが担保され、相手に応じて送信する情報を変更できることから、双方向性に優れているといった面がある。他方で、不意打ち性、密室性、商品情報が不正確、契約の非書面性、送信の容易性(容易かつ低コストな勧誘が可能)といった面もあり、電話勧誘販売における特徴で指摘されたものと同様の特徴が見られる。また、覆面性(相手が見えない)という特徴も見られる。
- チャットを利用した勧誘による販売の心理学的観点からの示唆
- チャットは、双方向性と即時性を有しており、また、既読機能により情報の受け手側が時間的切迫感を増すことから、電話に近い特徴を持つと言われている。さらに、利用の場面を考えてみると、メールは仕事、チャットはプライベートで使う、と使い分けて利用されることが多いことから、チャットのほうが、より相手に親しさを抱かせるとの指摘がある。このことから、チャットを利用したやり取りでは、相手の社会的存在感が高くなり、人間関係のルールが働きやすい状況になると考えられる。その結果、社会的望ましさの規範や返報性の規範により、相手の説得に応えたい気持ちが生じ、相手の誘いを断りにくくなり、消費者の意思の形成をゆがめる可能性があるとされている。
- チャットを利用した勧誘に対する規制の対象
- 勧誘規制の対象については、前述のチャットを利用した勧誘のうち、不意打ち性があるものに限定し、(1)事業者からチャットを利用した勧誘を開始するケース、(2)ウェブページ等により勧誘の対象となる商品等の販売目的を告げずに、消費者にチャットを開始させるケース、の2つのケースを対象とすることが考えられる。
- 一方、(3)ウェブページ等により勧誘の対象となる商品等の販売目的を告げ、消費者にチャットを開始させるケースは、従来の通信販売と同様に、勧誘規制の対象外とすることが考えられる。
- なお、事業者からの発信によるチラシ等の配信、クロスセル取引の一方向のものはチャットに含まれず対象外である。また、商品検索サポート(チャットサポートなど)、入力補助は従前のとおり勧誘規制の対象外と考えられる。
- チャットを利用した勧誘に対する規制の内容
- 勧誘に先立っての事業者名・販売目的等の明示
- チャットを利用した勧誘による販売には、広告規制がかかることとなる。
- 具体的には、特定商取引法第11条においては、広告中に一定事項を必ず記載することが規定されており、まずはこれを遵守させることが求められ、令和4年建議においても、消費者庁に表示を徹底させることを求めている。
- もっとも特定商取引法第11条においては、勧誘に先立って表示しなければならないこととはされていない。また、不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号。以下「景品表示法」という。)においては、事業者名や販売目的等の表示義務はない。
- チャットを利用した勧誘は、一般的な通信販売における広告とは異なり、短文で断片的なメッセージを送り、相手の反応に応じて情報を変更できるものであり、一覧性がないことや、前述のチャットを利用した勧誘による販売の特徴である不意打ち性、密室性等やその心理的影響を考慮すると、現行の広告規制ではなく、チャットを利用した勧誘に対する規制が必要と考えられる。チャットを利用した勧誘に先立って、事業者名や販売目的等を明らかにしないということは、消費者がそのような勧誘を受けるか拒否するか判断する最初の重要な機会を奪うものであると考えられ、訪問販売や電話勧誘販売においては勧誘に先立って、事業者名・販売目的等の明示義務が規定されていることと同様に捉えることが適切であると考えられる。
- したがって、チャットを利用した勧誘による販売においても事業者名・販売目的等の明示義務を設けることが求められる。
- 禁止行為等の創設
- 従来の通信販売は、消費者が合理的な選択の機会を確保するため、消費者が事業者からの圧力を受けずに契約締結の意思の形成を行うことを前提として、広告規制が設けられている。これに対して、訪問販売や電話勧誘販売における禁止行為等は、事業者の積極的な販売行為によって消費者が望まない契約を締結する恐れがあるという前提で規律が設けられており、両者は規制の前提が異なっている。
- 前述のとおり、チャットを利用した勧誘による販売は、広告規制がかかることとなる。具体的には、まずは特定商取引法第11条及び第12条などの規定を遵守させることが求められ、令和4年建議においても、消費者庁に対して執行の強化を求めている。チャットを利用した勧誘は、短文で断片的なメッセージを送り、相手の反応に応じて情報を変更できるものであり、一覧性がないことや、前述のチャットを利用した勧誘による販売の特徴である不意打ち性、密室性等やその心理的影響により、消費者が事業者からの圧力を受けずに契約締結の意思の形成を行う状況にはないこと、また、適合性原則違反等と考えられる行為や、契約後に解除を妨げる行為が見られることから、特定商取引法第11条及び第12条などの通信販売に関する規定に基づく対応には限界があると考えられる。また、景品表示法においても、チャットを利用した勧誘には対応できない場合があると考えられる。
- 訪問販売や電話勧誘販売においては、消費者被害の端緒ともいえる意思に反した勧誘行為を受けてしまう状況そのものから消費者を保護する観点から、再勧誘を禁止するほか、事業者による執拗で強引な勧誘に消費者が迷惑を覚えさせられたり、虚偽の事実や欺瞞的な勧誘、誇大な勧誘により消費者が適正な契約判断を阻害されたまま契約を締結させられていることから、不当性の強い行為を類型化し、不実告知や故意の事実不告知等の特に不当性の強い行為を「禁止行為」として規定し、違反者には刑事罰を科すこととしている。また、違法又は不当な行為が行われた場合において、事業者がその営業を継続しながら必要な是正又は改善措置を採らせることにより、法違反若しくは不当な状態を解消し、又はこうした状態に至った原因となる事由を除外して、訪問販売や電話勧誘販売の適正化を図るため、適合性原則違反等については、主務大臣による改善のための行政処分である「指示」の対象行為として規制し、是正を図っている。
- したがって、チャットを利用した勧誘による販売においても、訪問販売や電話勧誘販売における規制を参照し、再勧誘の禁止のほか、不実告知や故意の事実不告知等の事業者による不当性の強い行為については禁止行為とし、適合性原則違反等については指示対象行為とする等の行政規制を設けることが求められる。
- 民事ルールの創設
- 2で述べた、チャットを利用した勧誘に対する禁止行為や指示対象行為等を設けたとしても、違反行為があれば直ちに指示や業務停止命令等を発令できるわけではない。少数の消費者の被害例だけでは指示や業務停止命令等の発令まで至らないこともあるし、また、行政庁における調査や対応には人的資源等の面からも限界があると考えられる。
- したがって、消費者の被害回復の観点からは、自らが自己の権利を守り、損害を回復することができるよう民事ルールについても規定することが必要と考えられる。
- (ア)取消権
- チャットを利用した勧誘による販売に関する民事ルールとしては、特定商取引法第15条の4に通信販売における契約申込みの意思表示の取消しがある。同条は、「個別の消費者の申込みのプロセスの最終段階の表示において、当該消費者を誤認させるような表示をしたり、誤認をさせるために重要なことを表示しないといったような行為については、一対一で事業者と消費者が対峙する勧誘的な要素が支配する状況であり、訪問販売や電話勧誘販売における不実告知や重要事実不告知による勧誘がなされた場合の取消しルールとアナロジーで捉えることが適切なのではないか、という発想の下で立法された」とされているが、特定申込みをした消費者が同法第12条の6に違反する表示によって誤認した場合の取消権であり、最終確認画面等の表示に関するものであるため、チャットを利用した勧誘における不実告知等には対応できない場合があると考えられる。
- また、民法(明治29年法律第89号)の詐欺の場合には、事業者の故意の立証が必要になることや消費者契約法(平成12年法律第61号)では取消しの対象を「重要事項」としていることから、民法や消費者契約法でも対応できない場合があると考えられる
- 以上のとおりであるところ、消費者の被害回復を容易にするため、取消権についても検討することが求められる。また、取消権を設けることにより、仮に、後述するクーリング・オフ期間が経過し、クーリング・オフができない場合にも取消権を行使できることから、被害回復に資するといえる。また、違法な勧誘を前提とした悪質商法を抑止する効果も期待される。
- チャットを利用した勧誘において不実告知や故意の事実不告知がなされ、その結果、消費者が誤認をして契約をした場合には、一対一で事業者が消費者に勧誘を行う場面であり、訪問販売や電話勧誘販売において不実告知や故意の事実不告知による勧誘により誤認した場合の取消権が規定されていることと同様に捉えることが適切である。
- したがって、チャットを利用した勧誘による販売において不実告知や故意の事実不告知がなされ、消費者が誤認して契約した場合の取消権についても検討することが求められる。
- (イ)クーリング・オフ
- チャットを利用した勧誘による販売に関する民事ルールとして、特定商取引法第15条の3のいわゆる法定返品権があるが、特約で排除できること等から、同法を活用した被害回復ができない場合があると考えられる。
- チャットを利用した勧誘による販売においては、消費者が受動的な立場に置かれ、契約締結の意思の形成において事業者の文言に左右される面が強いため、契約締結の意思が不安定なまま契約の申込みや締結に至り、後日履行や解約をめぐって紛争が生じることが少なくないことから、被害回復の観点から、このような弊害を除去する必要があると考えられる。
- この点、チャットを利用した勧誘は、短文で断片的なメッセージを送り、相手の反応に応じて情報を変更できるものであり、一覧性がないことから契約内容が不安定であるため、契約内容を明らかにするためにも書面の交付が必要であり、検討することが求められる。また、訪問販売や電話勧誘販売と同様に、不意打ち性や密室性があることを考慮すると、契約の申込み又は締結後一定期間内は消費者が無条件で申込みの撤回又は契約の解除を行うことができる、クーリング・オフの導入についても検討することが求められる。
- 1~3の設け方
- チャットを利用した勧誘による販売の規制の設け方については、現行の通信販売の中に規制を設けるほか、通信販売から切り出した上で規制を設けることが考えられる。いずれの規制を設けるに当たっても、現行の通信販売、電話勧誘販売の規定との適用関係について整理することが求められるとともに、法執行及び被害回復の観点から実効性を確保できるよう留意する必要があると考えられる。
- 勧誘に先立っての事業者名・販売目的等の明示
- チャットを利用した勧誘及び同勧誘による販売とは
内閣府 第408回 消費者委員会本会議
▼【資料2】 消費者団体の現状及び今後に向けた論点整理~政策提言機能を担う消費者団体を中心とした調査報告~(案)概要
- 消費者団体の認知度等に関する消費者アンケートの概要
- 消費者団体について、消費者の認知度や活動参加の状況等を把握し、消費者団体に関する課題や、行政が消費者からの意見反映を行う上での課題等を明らかにすることを目的に、インターネット調査を行った。10代から70代以上までの各年代男女100名ずつ、1,400名から回答を得た。
- 消費者団体に関する認知度
- 「消費者団体がどのようなものか知っていた」との回答は9.9%であり、その回答者の年代構成をみると70代が最多であった。
- 「消費者団体という言葉を聞いて感じるイメージ」では、「市民の味方」「消費者を守ってくれる」「消費者の声を代弁してくれる」といったプラスのイメージ、「うさんくさい」「怪しい」「こわい」等のマイナスのイメージがあることがわかった。
- 活動への参加状況や関心度
- 「現在消費者団体の活動に参加していない理由」について、「消費者団体の組織の実情がわからないため」「生活上特に問題を感じていないから」という回答が多い。
- 関心のある社会課題として「消費者問題」を選択した者は15.8%であり、19ある選択肢中の8位であった。(なお、順位としては「地域安全」「災害救援」「環境の保全」「子どもの健全育成」「保健、医療又は福祉の増進」「経済活動の活性化」「まちづくりの推進」の次点であった。)
- 「どのような環境があれば消費者団体の活動に参加してみようと思うか」について、「場所や時間にとらわれず参加が可能である」「団体の活動内容や組織運営が透明である」の選択が多い。
- 消費者の意見反映を行う活動に関する認知度
- 自らの意見を事業者の事業活動や行政の政策決定に反映させるための意見発信方法について、「特に何もしない」との回答が60.7%を占めた。
- 行政が実施しているパブリックコメントや公聴会について、パブリックコメント、公聴会ともに「行われていることを知らない」との回答が75.4%を占めた。
- 「消費者の意見が事業者の事業運営に反映されていると思うか」について、反映されていない(あまり反映されていない、又は、全く反映されていない)との回答が78.7%であった。「行政の政策決定に反映されていると思うか」については、反映されていないとの回答が86.5%を占めた
- 消費者の意見表明や消費者団体の活動の活性化に向けた論点
- 消費者団体に関わる論点
- 消費者団体の活動・役割の認知度の向上
- 現状では、消費者団体について一般消費者に十分認知されているとは言い難い。消費者の権利の擁護・増進のための活動は、全ての消費者が利益を享受する公益的な機能であることを踏まえ、その取組に関しては、広く消費者に認知されるよう、周知広報に努めることが求められる。
- 消費者教育や広報啓発を通じて、国民一人一人の消費者問題への関心、消費者問題への取組の重要性の理解が増進し、消費者団体がその解決の一翼を担う存在であると認知されることが、消費者団体の担い手の増加にもつながるものと考えられる。
- 消費者団体に蓄積された知見、経験等の活用
- これまで団体が培ってきた知識・経験・ネットワーク等のリソースを活用して、消費者の声から社会課題を見つけ、求められる対応について論理立てて整理し、世論を盛り上げ、課題解決につなげていくことが求められるという意見があった。
- 多様化・複雑化する消費者問題に対応可能な専門性の維持、充実
- 専門家との連携や、調査活動、意見表明活動を継続的に実施するなど、専門性向上に向けた不断の研鑽が求められるという指摘があった。
- 消費者団体の活動時間、活動方法の工夫
- 本業を持ちながら社会貢献として消費者団体の活動に参画ができるよう、時間・場所にとらわれない活動(平日昼間に限らない活動、IT技術の活用)が求められる。また、隣接分野の団体との連携が求められるという意見があった
- 消費者団体の活動・役割の認知度の向上
- 国、地方公共団体に関わる論点
- 「行政は、審議会への委員参画や、見守りネットワークへの参画、消費者視点での意見を聴取するなど、様々な点において消費者団体と連携関係にあるが、消費者行政の中で消費者団体の政策的な位置づけがはっきりとしていない結果、日本の消費者団体の存在感・影響力は、海外と比較して弱い」という指摘があった。
- 消費者(団体)が意見表明や政策提言を行うにあたり、「行政側から消費者に対し分かりやすい情報提供などを積極的に行っているといえるか」という意見があった。
- 政策提言力を向上し継続的な政策形成過程への参画を促す観点でも、消費者の意見を一方的に聞き置くのみではなく、適切なフィードバックを行うなど、対話型の行政が必要であるという指摘があった。
- 政策提言機能を担う人材や、ひいては消費者問題に関わる人材が社会的に増えるような方策を進める必要がある。
- 行政による消費者団体への支援として、積極的な情報提供、IT活用に関する技術支援、交流・連携の場の設定、財政支援などの検討が必要である
- 事業者・事業者団体に関わる論点
- 消費者団体の市場監視・市場健全化に向けた活動は、悪質事業者の市場からの排除や消費者保護という点で、健全な事業活動を営む事業者と共通の課題に取り組むものであり、消費者教育等の消費者市民社会の構築に向けた活動は、健全な事業者が評価される市場の実現につながるものであるといえる。
- 消費者団体の持つ専門性や権限を社会的に有効活用するために、消費者団体との対話や、人材・財政・情報面での活動支援の取組が期待される。
- 今後に向けて
- 専門(ワンイシュー)型消費者団体
- 活動テーマの専門家が参画するなど、様々な分野について網羅的に取り組むよりもより専門的に活動や意見表明を行っている。
- 活動スタイルは、平日夜間や休日の活動を基本とするなど、会員に本業がある前提での組織運営を行っている。
- SDGs・エシカルへの取組
- 消費者問題の隣接分野も含む広範なテーマとして、SDGsや、エシカルの推進に取り組む団体が近年増加してきている。それらは、社会全体で取り組むべき課題であり、事業者の関心も高いテーマであることから、消費者団体が事業者と協働して社会課題の解決に取り組む動きが活発になってきている。
- 民間の政策提言プラットフォーム
- 国民や企業が政策づくりに参画しにくい現状により、政策が限られた人によってつくられていることを課題ととらえ、社会的起業を行った企業(株式会社PoliPoli)が存在する。同社が提供するプラットフォーム上で、行政機関が意見募集をした例では、パブリックコメントをはるかに上回る意見が寄せられた。意見募集ページ上で、情報を整理し読みやすくする等の工夫も行われており、行政の意見募集においても参考になる取組であると考えられる。
- SNSの活用
- 広く消費者の意見を集めるということにおいては、SNS等に投稿された情報から、消費者の考えや意見を把握するソーシャルリスニングという手法を導入することが考えられる。集められた情報の取捨選択や、消費者問題の課題を抽出するためには、一定の専門的な知識が必要となるため、消費者団体が消費者問題にかかる専門家として、その役割を担うことも考えられる。
- 審議会参画団体の広がり
- 都道府県の消費生活審議会の中には、委員として適格消費者団体や隣接分野の団体を入れている例や、学生を委員に入れている例もある。消費者団体や消費生活の幅を広く捉えることや、若年者の意見を政策に反映させるための取組も重要である。
- こども家庭庁が2023年度に開始した「こども若者★いけんぷらす」は、対面(リアル/オンライン)、Webアンケート、チャット等の方法を用いて意見を聴き、その意見を政策に反映したか、反映しなかった場合はその理由も含めてフィードバックする取組であり、消費者行政としても注目する必要がある
- 専門(ワンイシュー)型消費者団体
- まとめ
- 消費者団体の政策提言というボランタリーかつ公益的な活動の成果として消費者行政が充実・強化され、多くの人がその利益を享受している。このことを踏まえ、行政、事業者、消費者ともに、公益の実現に向けて、社会全体として、担い手や資金、情報が集積される、消費者問題に関する持続可能なエコシステムを構築することが重要である。
- 消費者団体に関わる論点
- おわりに
- 本調査報告は、我が国の消費者団体のうち、国や都道府県の審議会に参画している団体及び適格消費者団体など限られた団体を対象とした調査結果を取りまとめたものであり、全ての消費者団体の活動、役割、現状、課題を整理したものではない。行政の審議会等に参画しない形で政策提言に取り組む消費者団体や、消費者教育や見守りなどの政策提言機能以外の活動に取り組む消費者団体もあり、それらの団体も消費者市民社会の構築において重要な役割を担っている。したがって本調査報告で述べた論点については、こうした点について網羅できていない可能性があることに留意が必要である。
- 消費者団体が担ってきた役割の一つに、消費者の意見を表明する、いわゆる政策提言機能があり、それは行政のみならず、事業者や消費者全体にとっても重要で、公益的な活動と考えられる。この点に関して、消費者庁をはじめとする各行政機関は、政策への消費者の意見反映をより実効的に進める観点から、継続的に消費者団体の現状について把握し、活動の環境整備に努めるべきである。
- 本調査報告が消費者団体、行政、事業者・事業者団体、消費者など、消費者問題に関わる全てのステークホルダーに届き、消費者団体の担ってきた役割やその重要性に目を向け、消費者市民社会の構築に資する持続可能なエコシステム実現に向けた動きを生むことに期待する
【公正取引委員会】
【2023年9月】
公正取引委員会 ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査報告書について
- 調査趣旨等
- 近年、ニュースコンテンツに係る消費者の接点として、新聞、雑誌等の既存のニュースメディアの利用が減少する一方で、インターネット上でニュースをまとめて表示するニュースポータルやインターネット検索のサービスなどのニュースプラットフォームの利用が増加している。
- ニュースコンテンツが国民に適切に提供されることは、民主主義の発展において必要不可欠であり、また、消費者に情報を届けるという観点で、消費者における自主的かつ合理的な商品等の選択を通じた公正な競争環境の確保に資するものとしても重要である。この点について、ニュースプラットフォームを運営する事業者(以下「ニュースプラットフォーム事業者」という。)と取材に基づきニュースコンテンツを編集して提供する事業者(以下「ニュースメディア事業者」という。)との間の取引や、ニュースプラットフォームにおけるニュースコンテンツの利用の状況によっては、消費者が質の高いニュースコンテンツを享受することが困難になるおそれがあるなど、国民生活において重要な役割を担うニュースコンテンツの提供に影響を及ぼすとの懸念が指摘されている。
- 公正取引委員会は、令和3年2月に公表した「デジタル広告分野の取引実態に関する最終報告書」において、ニュースメディア事業者とニュースプラットフォーム事業者との間の取引等に係る問題のうち、ニュースプラットフォームにおけるニュースコンテンツ利用の許諾料や検索サイトにおける表示順位に関しニュースメディア事業者から指摘のあった課題について、取引条件の明確化や、当事者間での適切な交渉の実施等が競争政策上望ましい旨を明示した。しかしながら、当委員会が、同報告書の指摘事項に関するニュースプラットフォーム事業者における取組の状況を把握するため、新聞、雑誌、テレビ放送の各事業者及び事業者団体等を対象として、令和4年8月から同年11月の間に実施したヒアリングでは、当委員会が指摘した課題について実質的な改善が進んでいないことがうかがわれた。
- 以上の状況を踏まえ、公正取引委員会は、ニュースコンテンツ配信分野の取引実態を更に詳細に把握した上で、課題の解決に向けて、より実効性のある提言を行うことを目的として、ニュースコンテンツ配信分野に関する実態調査(以下「本調査」という。)を実施した。
- 調査対象
- ニュースプラットフォーム事業者とニュースメディア事業者との間の取引を中心に、ウェブサイトやアプリを通じた、文字情報によるニュースコンテンツの配信について調査を実施した。
- 調査方法
- ニュースメディア事業者及び消費者アンケート調査
- 令和4年11月から同年12月にかけて、ニュースメディア事業者を対象として、アンケート調査を行った(回答者数:220者)。
- また、令和5年2月に、携帯電話等で週に3日以上ニュースコンテンツを閲覧する人を対象として、アンケート調査を行った(回答者数:2,000名)。
- 聴取調査
- 65者(ニュースメディア事業者・事業者団体53者、ニュースプラットフォーム事業者7者及び有識者5者)に対してヒアリング等を行った。
- 国際協力
- 本報告書の取りまとめの過程において、米国連邦取引委員会、オーストラリア競争・消費者委員会及びフランス競争委員会との間でそれぞれ意見交換等を実施した。
- ニュースメディア事業者及び消費者アンケート調査
- 調査結果
- 報告書本体、別紙及び概要参照。
- 今後の取組
- ニュースプラットフォーム事業者及びニュースメディア事業者が相互理解の下で、当事者間の交渉を通じて課題の解消に向けた取組が進められるよう、引き続き、必要なコミュニケーションを取りながら関係事業者における取組の進捗を注視する。今後の競争の状況によっては、取引等の公正性・透明性を高め、公正な競争環境の確保を図るために必要な更なる対応について検討を行う。
- 著作権の問題が絡むことや、政府において競争上の懸念に対応するための検討が行われている分野があることから、引き続き、関係省庁等との緊密な連携・協力を図る。
- 海外の各国・地域の競争当局等においても様々な取組が進められていることから、今後とも様々なレベルで各国・地域の競争当局との意見交換を行うとともに、ICN(国際競争ネットワーク)やOECD(経済協力開発機構)等の場も活用しながら、海外関係当局と継続的に連携し、競争環境の整備を図る。
- 本報告書で指摘した行為を含め、ニュースプラットフォーム事業者に関する独占禁止法上問題となる具体的な案件に接した場合には、厳正・的確に対処する。
- 実態調査において、デジタルプラットフォーム事業者の事業活動等の実態をより精緻に把握し、一層効果的な対応を講じることができるよう、本調査においても実施したデータ分析等に関して、スクレイピング技術等の新たな技術を活用した調査手法の検討や導入について、今後も積極的に取り組む。
- 生成AIを始めとするAIの急速な普及に代表されるデジタル技術の進展により、ニュースプラットフォーム事業者及びニュースメディア事業者を取り巻く競争環境が更に変化していくことが見込まれるため、インターネットを介したニュースコンテンツの流通を含め、デジタル市場において、生成AI等が競争に与える影響について注視する。
▼報告書概要
- ニュースポータルに係る課題
- 取引の実態
- 許諾料単価(1,000PV当たり)の平均は124円(最大251円、最小49円)。なお、ニュースメディアサイト上での広告単価(1,000PV当たり)の平均は352円。
- ニュースポータルの閲覧数に占める、ニュースメディア事業者のウェブサイトへの送客数の平均割合は8.9%。
- 一方的な契約変更等による著しく低い許諾料の設定
- 許諾料の水準の決定根拠等について開示することが望ましい。一方的な契約変更等により著しく低い許諾料を設定する場合、独占禁止法上問題となり得る。
- 送客に影響し得るレイアウト等の変更
- 変更前に、事前に十分に説明することが望ましい。変更による送客減少後も十分協議せず取引条件を変更しない場合、独占禁止法上問題となり得る。
- 主要ニュース表示欄の選定基準の恣意的な運用
- 選定基準を具体的に明示し、変更時には事前に十分説明することが望ましい。明示した内容と異なる基準によりニュースコンテンツ掲載の機会を減少させた場合、独占禁止法上問題となり得る。
- ニュースコンテンツの配信制限
- 配信可能なニュースコンテンツの範囲を具体的に明示することが望ましい。事前に明示した範囲を超えてのニュースコンテンツ配信の制限、修正要請は、独占禁止法上問題となり得る。
- 取引の実態
- インターネット検索に係る課題
- アンケート結果
- インターネット検索結果からニュースメディアサイトにアクセスしないことがある消費者は8割超。
- 消費者がニュースコンテンツを探す際に利用するサービスは、Google検索が約28%、Yahoo!検索が約26%。
- 検索結果におけるニュースコンテンツの利用
- 著作権法を踏まえ、十分な交渉等を通じて共通認識が得られることが望ましい。著作権の行使が可能な場合に、一方的に著しく低い許諾料を設定等する場合、独占禁止法上問題となり得る。
- インターネット検索結果におけるニュースコンテンツの自社優遇
- ニュースメディア事業者が一次配信するものとニュースポータル事業者が二次配信するものを同等の条件で取り扱うことが望ましい。競争者の取引を妨害することにより、その取引機会を減少等させる場合には、独占禁止法上問題となり得る。
- アンケート結果
- ニュースポータルの影響力
- 消費者がニュースポータルで閲覧するニュースコンテンツを選択する際には、ニュースコンテンツの見出しが見やすい位置に表示されることが最も影響する。
- ニュースポータル事業者は、ニュースを選別して目立つ箇所に表示する「主要ニュース表示欄」に掲載するニュースコンテンツの選定や表示方法を通じて、消費者によるニュースコンテンツの選択に対する影響力を有する。
- 許諾料の設定方法の一つとして、PV数に契約で規定する1PV当たりの単価を乗じた金額を支払うものがあるところ、「中間ページ」と「詳細ページ」が設けられているニュースポータルでは、詳細ページのみがPV数の算定対象とされている場合がある。
- ニュースポータルの「トップページ」を閲覧するにとどまることが多い消費者は5割近く、また、ニュースポータルの「中間ページ」まで閲覧するが、「詳細ページ」までは閲覧しない傾向の消費者は2割強。そのうち6割強は、知りたい内容が中間ページの記載で足りることを理由に挙げる。
- ニュースポータル事業者は、中間ページの記載内容を通じて、消費者が詳細ページまで閲覧するか否かの選択に影響力を有する。
- ニュースメディア事業者は、ニュースポータル事業者との契約において、送客への期待を最も重視しており(全体の29.8%)、実際に、ニュースメディア・サイトへの流入の39.5%を関連ニュースリンク由来のものが占める。
- 消費者がニュースポータルで閲覧するニュースコンテンツを選択する際には、ニュースコンテンツの見出しが見やすい位置に表示されることが最も影響する。
- ニュースポータル事業者は、関連ニュースリンクの表示位置の設定・変更により、消費者による関連ニュースリンクの利用に対する影響力を有する。
- インターネット検索の影響力
- 消費者がインターネット検索を用いてニュースコンテンツを探す際に、検索結果として表示されたニュースコンテンツを選択するか否かに最も影響するのは、ニュースコンテンツがニュース枠に表示されていることである。
- 消費者の約5割は検索結果のニュース枠のみ、約3割は1ページ目まで、約1割は2ページ目までを閲覧することが多い。
- インターネット検索結果の表示形式は、消費者によるニュースコンテンツの選択に大きく影響する。
- インターネット検索事業者が有する二重の立場
- 主なインターネット検索事業者は、ニュースポータルも運営しているところ、ニュースメディア事業者との関係では、競争者の立場、競争に影響し得るサービスの提供者の立場という、二重の立場を有する。
- このような立場は、インターネット検索事業者が、インターネット検索結果の表示順位や検索結果の表示画面におけるニュース枠の利用により、競合する他社が配信するニュースコンテンツと比べて自ら配信するニュースコンテンツを優遇する、いわゆる自社優遇を行う誘因となり得る。
- 競争者の立場
- ニュースポータル事業者として、消費者に対するニュースコンテンツの配信に関して、他のニュースポータル事業者やニュースメディア事業者と競争関係にある。
- 競争に影響し得るサービスの提供者の立場
- インターネット検索事業者として、他のニュースポータル事業者やニュースメディア事業者が消費者に配信しようとするニュースコンテンツに関するインターネット検索結果を消費者に対して提供している。
- 調査により明らかとなった取引実態
- 1,000PV当たりの許諾料の水準は、2021年度は平均値が124円、最大値が251円、最小値が49円である。※ニュースメディアサイトにおけるデジタル広告に係る1,000PV当たりの広告単価の水準は、2021年度は352円である。
- ニュースポータル事業者は、ニュースポータルから得られた広告収入をニュースメディア事業者に対する許諾料支払の原資としているところ、ニュースポータル上の広告収入総額に占める、ニュースメディア事業者への許諾料の支払総額の割合は、約8%から約50%とばらつきが見られるものの、ニュースポータル事業者1社当たりの平均値は2021年度は約24%。
- ニュースコンテンツ利用の許諾料の支払対象となるページのPV数のうち、ニュースポータル上の関連ニュースリンクがクリックされた数の割合は、2021年度は9%程度
- ニュースメディア事業者のウェブサイトへの流入量の推移を見ると、新聞及び放送においては2019年12月から2020年4月にかけて増加傾向が、雑誌においては同期間において減少傾向がみられた。
- 当該ニュースポータル事業者がカノニカルタグの設置を開始した2019年11月以降のインターネット検索結果からニュースメディア事業者のウェブサイトへの流入量の推移に関して、ニュースメディア事業者全般において一貫して減少するといった傾向はみられなかった。
- なお、グーグルは、同じウェブサイト内の別のページを正規とするカノニカルタグの設置は、当該ウェブサイトと他のウェブサイトとの間でのインターネット検索結果における相対的な表示順位に影響しないとしている。
- スクレイピングによる自然検索結果の収集・比較
- 公正取引委員会において、同じ検索エンジンを使用するYahoo!検索とGoogle検索について、約2週間にわたり、特定の検索ワード(検索回数が急上昇したワードとして紹介されているもの)における自然検索結果上位2ページ分のデータを抽出(スクレイピング)し、そこに表示されるYahoo!ニュースのウェブサイト及びニュースメディアサイトの数につき、比較を行った。結果は下図のとおりであり、今般分析を実施した範囲においては、比較した2つのインターネット検索結果に統計的に有意な差があるという結果にはならなかったことから、Yahoo!検索の自然検索結果表示において、Yahoo!ニュース上のニュースコンテンツを優先して表示しているとは認められなかった。
- 経済分析の手法を用いた結果検証
- 経済分析の手法を用いて、Yahoo!検索とGoogle検索との結果の差が統計的に有意といえるかどうかについての検証を実施した。その結果、統計的に有意な差があるとはいえないという結果となった。
- 競争政策上(■)・独占禁止法上(★)の考え方
- ■ニュースメディア事業者による許諾料の水準の妥当性の検証やニュースポータル事業者との円滑な交渉が可能となるよう、ニュースポータル事業者は、ニュースコンテンツの利用(中間ページを含む。)によって得られた広告収入等、許諾料の水準の根拠となるデータや、実際に支払われた許諾料の算定方法等の情報を可能な限り開示することが望ましい。また、ニュースメディア事業者においては、ニュースポータル事業者に対して、情報開示に係る具体的な要望を伝えることが重要である。
- ■ニュースポータル事業者は、許諾料について、ニュースコンテンツの利用によって、ニュースポータルにおける広告収入以外に生じるニュースポータル事業者の収益への貢献の程度についても反映することが望ましい。
- ★取引上の地位が相手方に優越しているニュースポータル事業者が、その地位を利用して、取引の相手方であるニュースメディア事業者に対し、一方的に契約内容を変更するなどして、著しく低い許諾料を設定することにより、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合は、独占禁止法上問題(優越的地位の濫用)となる。
- ★独占禁止法違反行為の未然防止の観点からは、ニュースポータル事業者は、ニュースコンテンツ利用許諾契約の更新時において、ニュースメディア事業者から許諾料の水準について交渉の求めがあった場合には、許諾料の水準の決定根拠の開示を含め、ニュースメディア事業者との間において十分な協議が行われることが望ましい。
- ■ニュースポータル事業者は、ニュースメディアサイトへの送客に影響し得るようなニュースポータルのレイアウト等の変更を行う場合には、取引先のニュースメディア事業者に対して、事前に、十分に説明することが望ましい。また、技術的に可能な場合には、ニュースメディア事業者ごとにその意向を踏まえてレイアウト等の変更を行うことが望ましい。
- ★ニュースポータル事業者によるニュースポータルのレイアウト等の変更により、ニュースメディアサイトへの送客が減少した場合において、ニュースメディア事業者がニュースポータル事業者に対して、許諾料を含む取引条件の見直しを求めたときに、取引上の地位が相手方に優越しているニュースポータル事業者が、その地位を利用して、取引の相手方であるニュースメディア事業者に対し、取引条件の見直しのための交渉を拒絶し、十分な協議をしないまま、取引条件を変更しないことにより、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合は、独占禁止法上問題(優越的地位の濫用)となる。
- ■ニュースポータル事業者は、主要ニュース表示欄に掲載されるニュースコンテンツの選定基準について、可能な限り具体的に明示することが望ましい。また、当該選定基準を変更する場合には、事前に、当該変更内容を示した上で、問い合わせ対応を適切に行うなどして、十分に説明することが望ましい。
- ★取引上の地位が相手方に優越しているニュースポータル事業者が、その地位を利用して、あらかじめ明らかにされている選定基準とは異なる基準に基づいて主要ニュース表示欄に掲載するニュースコンテンツを選定し、取引の相手方であるニュースメディア事業者が提供したニュースコンテンツの掲載の機会を減少させることにより、当該ニュースメディア事業者に対し、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合は、独占禁止法上問題(優越的地位の濫用)となる。
- ■ニュースポータル事業者は、掲載ガイドライン等の内容について、取引先のニュースメディア事業者に対して、可能な限り具体的に明示することが望ましい。また、掲載ガイドライン等を変更する場合には、取引先のニュースメディア事業者に対し、事前に、当該変更内容を示した上で、問い合わせ対応を適切に行うなどして、十分に説明することが望ましい。
- ★取引上の地位が相手方に優越しているニュースポータル事業者が、その地位を利用して、取引の相手方であるニュースメディア事業者に対し、あらかじめ明らかにされている掲載ガイドライン等の範囲を超えて、ニュースポータルにおけるニュースコンテンツの二次配信を制限したり、ニュースコンテンツの表現方法等の修正を求めたりすることにより、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合は、独占禁止法上問題(優越的地位の濫用)となる。
- ■消費者の閲覧情報の開示の実現に当たっては、ニュースメディア事業者においては、ニュースポータル事業者に対して、情報開示についての具体的な要望を伝えること、ニュースポータル事業者においては、ニュースポータル事業者における開示の方針について、実際にニュースメディア事業者との交渉等を行う現場担当者まで周知・徹底されることが重要と考えられる。
- ■インターネット検索事業者によるスニペット等の形式でのニュースコンテンツの利用の在り方について、インターネット検索事業者とニュースメディア事業者の間における十分な交渉等を通じて、対価等の取引条件の設定を含め、共通認識が得られることが望ましい。
- ★インターネット検索結果におけるニュースコンテンツの利用について著作権者による権利行使が可能となる場合において、取引上の地位が相手方に優越しているインターネット検索事業者が、その地位を利用して、取引の相手方であるニュースメディア事業者に対し、一方的に著しく低い許諾料を設定し、又は、無償で取引することにより、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合は、独占禁止法上問題(優越的地位の濫用)となる。
- ■インターネット検索事業者は、インターネット検索の結果におけるニュース枠に掲載するニュースコンテンツや、自然検索結果として表示するニュースコンテンツについて、自社が二次配信するものとニュースメディア事業者が一次配信するものを同等の条件に基づいて取り扱うことが望ましい。
- ★ニュースコンテンツを探す際に利用するサービスの市場において有力なインターネット検索事業者が、インターネット検索の結果において、自社のニュースポータルにおいて二次配信するニュースコンテンツを、ニュースメディア事業者が一次配信するニュースコンテンツに比較して消費者に訴求しやすい位置に表示して、ニュースメディア事業者と消費者との取引を妨害することにより、ニュースメディア事業者の取引機会を減少させる又はニュースメディア事業者を排除する場合には、独占禁止法上問題(競争者に対する取引妨害等)となる
- ■インターネット検索事業者は、可能な限り、検索エンジンにおいて検索結果の順位を決定するために用いられる主要な事項(検索エンジンのパラメータ等)を開示することが望ましい。
- 公正取引委員会の今後の取組
- ニュースプラットフォーム事業者及びニュースメディア事業者が相互理解の下で、当事者間の交渉を通じて課題の解消に向けた取組が進められるよう、引き続き、必要なコミュニケーションを取りながら関係事業者における取組の進捗を注視する。今後の競争の状況によっては、取引等の公正性・透明性を高め、公正な競争環境の確保を図るために必要な更なる対応について検討を行う。
- 著作権の問題が絡むことや、政府において競争上の懸念に対応するための検討が行われている分野があることから、引き続き、関係省庁等との緊密な連携・協力を図る。
- 海外の各国・地域の競争当局等においても様々な取組が進められていることから、今後とも様々なレベルで各国・地域の競争当局との意見交換を行うとともに、ICN(国際競争ネットワーク)やOECD(経済協力開発機構)等の場も活用しながら、海外関係当局と継続的に連携し、競争環境の整備を図る。
- 本報告書で指摘した行為を含め、ニュースプラットフォーム事業者に関する独占禁止法上問題となる具体的な案件に接した場合には、厳正・的確に対処する。
- 実態調査において、デジタルプラットフォーム事業者の事業活動等の実態をより精緻に把握し、一層効果的な対応を講じることができるよう、本調査においても実施したデータ分析等に関して、スクレイピング技術等の新たな技術を活用した調査手法の検討や導入について、積極的に取り組む。
- 生成AIを始めとするAIの急速な普及に代表されるデジタル技術の進展により、ニュースプラットフォーム事業者及びニュースメディア事業者を取り巻く競争環境が更に変化していくことが見込まれるため、インターネットを介したニュースコンテンツの流通を含め、デジタル市場において、生成AI等が競争に与える影響について注視する
- ※本調査は、ニュースプラットフォーム事業者とニュースメディア事業者の取引等における公正性・透明性を高めるとともに、公正な競争環境を確保する観点から実施したものであるが、消費者が質の高いニュースコンテンツを持続的に享受することができる環境を維持・発展させていくためには、競争政策にとどまらず、関係者によるものを含め様々な取組が行われることが重要。
【金融庁】
【2023年11月】
金融庁 証券監督者国際機構(IOSCO)による最終報告書「暗号資産・デジタル資産に関する勧告」の公表について
▼ IOSCOメディアリリース(原文)*翻訳
- IOSCO、暗号通貨およびデジタル資産市場に対する政策勧告を最終決定
- 証券市場規制当局の世界的な基準設定者であるIOSCOは本日、最終報告書を発表しました。暗号通貨およびデジタル資産(CDA)市場に対する政策提言を含むレポート。これらの推奨事項は、世界規模で調整された規制対応を実施する上で中心となります。
- 暗号資産サービスプロバイダー(CASP)と呼ばれる集中暗号資産仲介業者によってもたらされる、重大な投資家保護と市場健全性リスク。IOSCOの詳細かつ対象を絞った推奨事項は、規制上の期待を詳しく説明しています。
- 状況に応じて、既存のルールの適用または新しいルールの開発を通じて、これらの市場で観察された主要な危害領域に対処するために、管轄権を強化します。CDA勧告は、明確かつ堅牢な国際規制ベースラインを設定し、CASPは従来の金融市場に適用されるビジネス行動の基準を満たしていること。この勧告は、IOSCOの目的と原則と一致する6つの主要分野をカバーしています。
- 証券規制および関連するサポートIOSCO基準、勧告、および良い習慣:
- 活動と機能の垂直統合から生じる利益相反、
- 市場操作、インサイダー取引、詐欺、
- 保管および顧客資産の保護、
- 国境を越えたリスクと規制協力
- 運用上および技術上のリスク、および
- 小売流通。
- IOSCO議長のジャンポール・セルベ氏は次のように述べた。
- IOSCO議長として、私は暗号とデジタルに関するIOSCOレポートの発行を嬉しく思います。資産市場は、投資家が保護され、暗号資産市場が公正、効率的かつ透明性をもって運営されることを保証するための最初の重要なステップです。このレポートは、G20とFSBが構想するこれらの市場のための国際枠組み。
- 次に、推奨事項の確実な採用と実施に注意を向けます。
- 暗号資産の市場と活動が世界全体で規制される方法の最適な一貫性をサポートするためIOSCO加盟国の管轄区域。
- IOSCO理事会レベルのフィンテックタスクフォースの委員長であるトゥアン・リー・リム氏が、このポリシーを策定するために設立されました。対策はこう言った。
- CASPの活動とそれに関連するリスクは、従来の社会で観察されたものを反映していることがよくあります。金融市場。したがって、採用された規制アプローチはIOSCOの原則と一致しています。および証券市場規制の関連基準。暗号通貨およびデジタル資産市場に対するこれらの18の推奨事項は、結果に焦点を当てたものであり、ベースに基づいています。「同じ活動、同じリスク、同じ規制結果」の原則に基づいています。
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼主要行等
- 金融機関の内部監査の高度化に向けたプログレスレポートの公表について
- 10月下旬に、大手銀行グループにおける内部監査の取組状況及び課題認識を整理したレポート(「金融機関の内部監査の高度化に向けたプログレスレポート【大手銀行グループ】」)を公表予定である。これには、内部監査の高度化に向けたモニタリングの主な論点についても盛り込む予定である。 ※2019年6月にも、「金融機関における内部監査の高度化に向けた現状と課題」と題する文書を取りまとめ公表。
- まず、大手銀行グループ各行においては、総じて、前回レポート以降、それぞれの形で内部監査の高度化に向けて積極的に取り組んでいることが確認されたと考えている。グローバルかつ様々な金融サービスを提供する大手銀行グループにとって内部監査の充実は大事な課題であると考えており、経営陣においても、本レポートを参考に、内部監査の重要性・有用性に対する認識を一層高めて、引き続き、内部監査の高度化に取り組んでいくことを期待したい。
- 信用リスク管理態勢の強化について
- 信用リスク管理は銀行業の基本であり、入口審査や期中管理等の高度化が重要である。こうした中、近時、金融機関ごとに異なる決算書を提出、または売上を水増し計上しているなど粉飾決算が発覚して破綻する事案など、突発的に信用コストが発生する事例も散見されており、改めて注意喚起したい。
- 各金融機関においては、これまでも信用コスト発生事案の振り返り等を行い、与信管理上の課題や改善に向けた対応を行っていると考えているが、粉飾決算期間が長期にわたっている事例が散見されていることなども踏まえ、与信先の的確な実態把握や融資実行時の使途確認、期中管理など、与信管理態勢の強化に引き続き努めていただきたい。
- 顧客本位の業務運営(FD)に関するモニタリング方針について
- FDに関するモニタリングについては、2022事務年度と同様、リスク性金融商品の各業態の販売動向や、個社別の販売額を基に重点モニタリング先を抽出し、「顧客本位の業務運営に関する原則」(以下「原則」という。)等を踏まえ、リスク性金融商品のプロダクト・ガバナンス態勢や販売・管理態勢等を着眼点として、リスクベースで実施する。
- 具体的には、足元で販売額が増加している外貨建一時払保険、仕組預金、新興国通貨建債券を含む外貨建債券について、各金融機関において、
- リスク・リターン、コスト等の商品性の検証や想定顧客層の特定ができているか
- 顧客が負担する全てのコスト開示と顧客視点での説明ができているか
- 他の金融商品と比較した際に、当該商品を提案・販売することの妥当性を確認しているか
といった点を検証していく。
- また、仕組債についても、「仕組債の販売勧誘に関するガイドライン」をミニマムスタンダードとして、特に、「原則」に基づく対応ができているかについて検証していく。
- このほか、インターネット取引や業績評価体系、三線管理の枠組みについても、実態把握・検証を進めていく。
- 経営陣においては、本日、申し上げた点を持ち帰って頂き、必要に応じ、先んじた検証や取組改善をお願いしたい。
- 重点モニタリング先となった金融機関においては、双方向の議論の中で、「顧客の最善の利益の追求」などに向けた気付きを共有していきたいと考えているので、協力をお願いしたい。
- 中国を背景とするサイバー攻撃グループBlackTechによるサイバー攻撃について
- 9月27日、警察庁及び内閣サイバーセキュリティセンターから、中国を背景とするサイバー攻撃グループBlackTechによるサイバー攻撃に関する注意喚起が発出された。
- この注意喚起では、BlackTechの手法への具体的な対処方法が推奨されているが、推奨されている対処方法は、BlackTechに限らず、一般的に有効な対策である。
- マネロン対策等に関する半期フォローアップアンケートについて
- マネロン等リスク管理態勢の整備については、2024年3月末の態勢整備期限に向けて、取組を進めていただいていると承知している。
- 期限まで残り半年を切る中、マネロンガイドラインに記載の「対応が求められる事項」の全項目について適切に対応いただくよう改めてお願いしたい。
- また、金融庁としては、各行の9月末時点の進捗状況を確認すべく、先日、半期フォローアップアンケートを発出したところ。回答への協力をお願いしたい。
▼全国地方銀行協会/第二地方銀行協会
- システムリスク管理の重要性について
- システムリスク管理の重要性について、先日、全銀システムにおいてシステム障害が発生し、一部の金融機関における振込みが遅延したことなどにより、国民生活等に影響が生じる事態に至った。
- 各行においては、重要な外部サービスの利用に当たって、
- システム更改等を外部サービスの提供者に一任することなく、自行においても適切なシステム上の対応・対策がなされているか評価・確認していただきたい。
- また、万が一、外部サービスの提供が途絶した場合でも、銀行業務に大きな支障が生じないよう対応するためのコンティンジェンシープランを予め策定し、外部サービス提供者との連携や顧客対応も含めて訓練等で検証しておくこと
などの重要性について、今一度、認識を新たにしていただきたい。
- 経営改革について
- 地域銀行の経営改革について、これまでも繰り返し申し上げているが、地域銀行が地域経済の回復・成長に貢献していくためには、地域銀行自身が、経営基盤を強化し、持続可能なビジネスモデルを確立することが重要。
- それぞれの地域銀行の規模・特性や強み・弱み等をしっかりと踏まえ、持続可能なビジネスモデルを確立することは、経営トップの最も重要な仕事と言える。金融機関を取り巻く環境の変化が非常に早い中、これまで以上に時間軸を意識し、躊躇することなく果断な経営判断を行い、経営改革を進めていただきたい。
- また、経営改革を進めていく上で重要となるのが、中長期的なビジョンを踏まえた意思決定を支えるガバナンスと、その実施と価値創出を支える人的資本である。こうした観点から、金融行政方針でも示しているとおり、金融庁・財務局において、株主や取締役会によるガバナンスの発揮状況や、人的投資・人材育成の取組状況について対話を実施していく。
- ガバナンスについては、その機能が適切に発揮されるためには、社外取締役の果たす役割が重要になってくると考えており、社外取締役の方々にも話を伺う予定なので、協力をお願いしたい。
- マネロン対策等に関する半期フォローアップアンケート等について
- マネロン等リスク管理態勢の整備については、2024年3月末の態勢整備期限まで半年を切る中、各行において、経営陣のリーダーシップのもと、対応いただいているものと承知している。
- また、当庁としては、各行の9月末時点の進捗状況を確認すべく、先日、半期フォローアップアンケートを発出したところ。回答へのご協力をお願いしたい。
- 本取組において、これまで、まずは規程等について8月末までに協会のコンメンタールと点検し、12月末までに整備を終えるよう要請してきたところ。
- 今回のアンケートは、各行においてコンメンタールとの点検が行われていることを前提として発出しているので、改めて当該コンメンタールを踏まえた詳細な点検が行われたかを確認する機会としても活用いただきたい。
- 経営陣においては、当該アンケートも活用しつつ自行の規程等の整備の現状を把握のうえ、今後の作業ボリュームに合わせた必要な人材の配置や、対応スケジュールの策定および確実な実行の確保など、12月末までに規程等の整備が完了するよう適切な対応をお願いしたい。
- なお、銀行持株会社及び銀行子会社を保有する銀行の経営陣においては、グループ傘下の銀行が8月末までの点検を適切に実施していたか、規程等の整備の進捗に遅れが認められている場合には12月末までに完了するための計画を策定・実行できているか、十分な目配りをお願いしたい。
- アンケート結果については、内容を確認・分析したうえで、規程等の整備に遅れが見られる先については、速やかな対応を促すべく、協会と連携して経営陣の方々にもお声がけさせていただく。
- 金融庁としては、今後も協会と連携し、各行の取組状況を適時に把握しつつ、ニーズに沿った勉強会を開催するなど、きめ細かい支援を行っていく。また、各行の課題や悩みを共有し、解決策を検討する場として、財務局とも連携の上、近隣地域毎にマネロン担当役員を対象とした業態横断的なフォーラムを開催するなど、サポートしてまいりたい。
▼日本暗号資産取引業協会
- Web3.0の推進に向けた取組みについて
- 「経済財政運営と改革の基本方針2023(2023年6月16日付閣議決定)」及び「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」において、分散型のデジタル社会の実現に向け、利用者保護にも配慮しつつ、Web3.0に係る環境整備に必要な取組みを行うこととされている。自民党の「web3PT」においても、そうした環境整備に係る議論が行われているところ。
- 金融庁においても、Web3.0に関する施策を金融面から推進するため、様々な取組みを行っているところ。その中で貴協会と取り組む施策の一つを例示すると、8月29日に公表した「金融行政方針(2023事務年度)」において、暗号資産交換業者がICO/IEOを含む本邦初の暗号資産を取り扱う場合、利用者保護に配慮しつつ、迅速な取扱いが実現できるよう、審査を行う貴協会と更なる改善策を講じる旨を盛り込んでいる。貴協会におかれても、ICO/IEOの審査ポイントの明確化、及び審査結果(付帯条件)の対外公表等について検討が進められていると承知しており、金融庁としても、その取組みに協力し、審査の効率化を後押ししていきたいと考えている。
- 次に、暗号資産投資詐欺についてである。最近、暗号資産投資に関する詐欺が疑われるような当庁宛ての相談が増えてきている。Web3.0や暗号資産の健全な発展のためには、こうした詐欺的事案を含む、無登録業者への対応が必須であると考えている。貴協会におかれても、無登録業者に対する様々な取組みが行われていると承知している。金融庁としては、貴協会とよく連携して取り組んでいきたいと考えているので、ご協力いただきたい。
- 令和6年度税制改正要望(暗号資産関係)について
- 令和6年度税制改正要望において、第三者が継続的に保有する暗号資産について、法人税の期末時価評価課税の対象外とすることを税務当局(財務省・総務省)に要望しているところ。
- 2024年3月末までのマネロン等リスク管理態勢整備等について
- 2024年3月末までのマネロン等リスク管理態勢整備について
- 2024年3月末の態勢整備期限まで半年を切る中、各社においては、態勢整備に向けて必要な取組を進めていただきたい。
- また、当庁としては、各社のマネロンガイドラインに基づく態勢整備の進捗を把握すべく、フォローアップアンケートを発出する予定としている。各社には、アンケートの回答にご協力いただきたい。
- 経営陣におかれては、当該アンケートも活用しつつ自社の態勢整備の現状を把握のうえ、今後の作業ボリュームに合わせた必要な人材の配置や、対応スケジュールの策定および確実な実行など、適切な対応をお願いしたい。
- 当庁としては、今後も協会と連携し、各社の取組状況を適時に把握しつつ、ニーズに沿った勉強会を開催するなど、きめ細かい支援を行っていく。
- 特殊詐欺事案の被害増加を踏まえた態勢強化について
- 本年2月以降、フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングに係る不正送金事犯のほか、特殊詐欺の被害金が第三者への資金移動が可能な暗号資産交換業者の金融機関口座に送金される被害が増加している。各社においては、こうした情勢に鑑み、更なる態勢強化に取り組んでいただきたい。
- マネロンレポートの公表について
- 2022事務年度版の「マネーローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題」(通称、マネロンレポート)を6月30日に公表した(これまで2018年、2019年、2022年に公表しており、今年で4回目)。
- レポートでは、検査やモニタリングを通じて把握した金融機関等の共通課題や、取組みの好事例、FATFにおける議論の状況等について記載している。
- 各社におかれては、本レポートも参考に、自らのマネロン等リスク管理態勢の改善や業界全体の底上げに向け、取り組んでいただきたい。
- ※レポート概要
- 技術の進歩による決済手段の多様化や取引のグローバル化等が進行し、金融取引が複雑化する中、コロナ禍における非対面取引の拡大等も要因として、金融機関等が直面するマネロン等に関するリスクも変化。特に、特殊詐欺やサイバー空間での犯罪件数が増加するとともに、暗号資産や資金決済(収納代行)等についても引き続きリスクが内在しており、金融機関等は、マネロン等リスクの変化に応じた継続的なリスク管理態勢の高度化が求められている。
- マネロンガイドラインで求める事項についての態勢整備の期限としている2024年3月末に向け、金融機関の全体的な態勢水準は高度化しているものの、包括的かつ具体的なリスクの特定・評価の実施や、態勢高度化に向けた行動計画の検討に時間を要し、実際の取組に遅れが認められる金融機関が存在。
- 金融庁は、検査やヒアリングを通じて、引き続き、金融機関等のリスクベースでの取組みの高度化を促していくため、ガイドラインで対応が求められる事項とされる取組みに関するギャップ分析の正確性、2024年3月末に向けた行動計画の進捗状況について検証を行っていく。
- ※レポート概要
- マネロン対策等に係る広報について
- 当庁は、本年7月より、金融機関による継続的顧客管理の重要性・必要性を訴求した国民向けインターネット広告の配信(ユーチューブ広告やバナー広告)を開始した。配信期間は来年3月中旬までを予定している。
- 各金融機関におかれては、例えば、当庁ウェブサイトに掲載されているURLのQRコードリンクを顧客宛ての確認書面に記載するなど、顧客に対してのご説明・ご案内の際に積極的に活用いただきたい。
- 今後も、より多くの一般利用者にマネロン対策等について理解と協力をいただけるよう、引き続き広報に力を入れていきたい。
- 2024年3月末までのマネロン等リスク管理態勢整備について
- ドメイン管理の徹底について
- 最近、ある資金移動業者が保有していたドメイン(ウェブアドレス)がオークションに出るケースが発生し、悪意の第三者に渡れば、そのドメインを悪用して偽サイトに誘導するような詐欺が生じるおそれがあった。一度取得したドメインを手放すことにはセキュリティ上の懸念が伴うため、十分留意いただきたい。
- ドメイン名(ウェブアドレス名)の登録、利用、廃止にあたっては、自社のブランドとして認識して管理する必要がある。また、管理の仕組みがあっても全社的に徹底されなければ、今回のようなケースを防ぐことはできないし、レピュテーションリスクにもつながる。委託業者に管理を任せているものについても漏れがないようにする必要がある。セキュリティ部署や管理部署だけではなく、各業務所管部まで徹底していただきたい。
金融庁 バーゼル銀行監督委員会によるディスカッション・ペーパー「デジタル詐欺と銀行業務:監督と金融安定上のインプリケーション」の公表について
▼プレスリリース(翻訳)
- バーゼル委員会がデジタル詐欺に関するディスカッションペーパーを発行
- このホワイトペーパーでは、銀行業務におけるデジタル詐欺が監督上および財務の安定性に及ぼす影響について、既存のデータの可用性やそのようなリスクを軽減するための対策を含めて検討しています。
- 委員会は、2024年2月16日までに論文に対するコメントを募集します。
- バーゼル銀行監督委員会は本日、デジタル詐欺と銀行業務に関するディスカッションペーパーを発行します。銀行業務の技術的進歩は、銀行の健全性と金融の安定性に利益をもたらすと同時に、リスクをもたらす可能性があります。その一例がデジタル詐欺で、犯罪者はデジタル化を悪用して、以前よりも大きな規模と範囲でオンライン詐欺を行っています。不正リスクは、Covid-19のパンデミックに対応して進化しました。このディスカッションペーパーは、デジタル詐欺が世界の銀行システムに与える監督上および金融安定性への影響について、ハイレベルな評価を提供します。その目的は、関心のある幅広い利害関係者からコメントやフィードバックを引き出すことです。このレポートは、大きく分けて3つの質問で構成されています。
- デジタル詐欺とは?その主な特徴は何ですか?デジタル詐欺は銀行にどのような影響を与え、政策立案者はそれについてどのように考えるべきでしょうか?
- 監督上および金融安定性への影響は?デジタル詐欺は監督と財務の安定性にどのような影響を与えますか?デジタル詐欺が委員会とその任務に関連するのはなぜですか?その規模と有病率を評価するためにどのような経験的データが利用可能ですか?
- 銀行セクターにおけるデジタル詐欺のリスクを軽減するために何が行われているのか?国内、地域、世界レベルでどのような取り組みが進められてきたか、あるいは計画されているか。
- このディスカッションペーパーは、これらの質問の高レベルの評価を提供することを目的としています。これは、デジタル詐欺の包括的かつ網羅的な分析ではありません。このディスカッションペーパーに含まれる実証分析は、すぐに入手できるデータに基づいています。
- 委員会は、2024年2月16日までにここに提出する必要がある特定の質問を含む、ディスカッションペーパーに対する幅広い利害関係者からのコメントを歓迎します。すべての提出物は、回答者が特に機密扱いを要求しない限り、BISのウェブサイトで公開されます。
金融庁 FATF声明の公表について
▼行動要請対象の高リスク国・地域
- 高リスク国・地域は、資金洗浄、テロ資金供与及び拡散金融の対策体制に重大な戦略上の欠陥を有する。高リスクと特定された全ての国・地域に関して、FATFは、厳格な顧客管理を適用することを加盟国・地域に要請し、かつ全ての国・地域に強く求める。そして、極めて深刻な場合には、各国・地域は、高リスク国・地域から生じる資金洗浄、テロ資金供与及び拡散金融のリスクから国際金融システムを保護するため、対抗措置の適用を要請される。このリストは対外的に、しばしばブラックリストと呼ばれる。すでにFATFの対抗措置の要請に服していることに鑑み、新型コロナウイルスのパンデミックに照らして、2020年2月以降、FATFはイラン及び北朝鮮に対するレビュープロセスを一時休止している。イランは自身のアクションプランの状態に重要な変更が無いことを2023年7月に報告した。従って、FATFは、2020年2月21日の声明に含まれるこれらの高リスク国・地域に対する対抗措置の適用を改めて要請する。
- 対抗措置の適用が要請される国・地域
- 北朝鮮(DPRK)[2020年2月以降声明変更なし]
- FATFは、DPRKが資金洗浄・テロ資金供与対策の体制における重大な欠陥に対処していないこと、及びそれによってもたらされる国際金融システムの健全性への深刻な脅威について、引き続き憂慮している。FATFは、DPRKが資金洗浄・テロ資金供与対策の欠陥に対して直ちにかつ意義ある対応を講じることを強く求める。さらに、FATFは大量破壊兵器の拡散や拡散金融に関連したDPRKの違法な行為によってもたらされた脅威について深刻に憂慮している。
- FATFは、2011年2月25日の加盟国への要請を再確認するとともに、全ての国・地域が、DPRK系企業・金融機関及びそれらの代理人を含めたDPRKとの業務関係及び取引に対し、特別な注意を払うよう、自国の金融機関に助言することを強く求める。FATFは、強化された監視に加え、DPRKより生じる資金洗浄・テロ資金供与・大量破壊兵器の拡散金融リスクから金融セクターを保護するために、効果的な対抗措置を適用すること、及び適用される国連安保理決議に基づく、対象を特定した金融制裁を加盟国に要請し、かつ全ての国・地域に強く求める。各国・地域は、関連する国連安保理決議が要請するとおり、領域内のDPRK系銀行の支店、子会社、駐在員事務所を閉鎖、及びDPRK系銀行とのコルレス関係を終了するための必要な措置をとるべきである。
- イラン[2020年2月以降声明変更なし]
- 2016年6月、イランは戦略上の欠陥に対処することにコミットした。イランのアクションプランは2018年1月に履行期限が到来した。2020年2月、FATFは、イランがアクションプランを完了していないことに留意した。
- 2019年10月、FATFは、イランに本拠を置く金融機関の支店・子会社に対する強化した金融監督の実施、金融機関によるイラン関連の取引に係る強化した報告体制又は体系的な報告の導入、イランに所在する全ての支店・子会社に対して金融グループが強化した外部監査を行うことを求めることを加盟国に要請し、かつ、全ての国・地域に強く求めた。
- そして今、イランがFATF基準に従った内容でパレルモ条約及びテロ資金供与防止条約を締結するための担保法を成立させていないことに鑑み、FATFは勧告19に則し、対抗措置の一時停止を完全に解除し、効果的な対抗措置を適用するよう加盟国に要請し、かつ、全ての国・地域に強く求める。
- イランは、アクションプランの全てを完了するまで、行動要請対象の高リスク国・地域についてのFATF声明にとどまる。イランがFATF基準に従った内容でパレルモ条約及びテロ資金供与防止条約を批准すれば、FATFは、対抗措置を一時停止するかどうかを含め、次のステップを決定する。同国がアクションプランにおいて特定されたテロ資金供与対策に関する欠陥に対処するために必要な措置を履行するまで、FATFは同国から生じるテロ資金供与リスク、及びそれが国際金融システムにもたらす脅威について憂慮する。
- 北朝鮮(DPRK)[2020年2月以降声明変更なし]
- 対象となる国・地域から生じるリスクに見合った厳格な顧客管理措置の適用が要請される国・地域
- ミャンマー
- 2020年2月、ミャンマーは戦略上の欠陥に対処することにコミットした。ミャンマーのアクションプランは2021年9月に履行期限が到来した。
- 2022年6月、FATFは、ミャンマーに対し2022年10月までにアクションプランを速やかに完了させるよう強く求め、それが適わない場合は、FATFは、ミャンマーとの業務関係及び取引に厳格な顧客管理を適用するよう加盟国・地域に要請し、全ての国・地域に強く求めることとした。アクションプランの履行期限を1年過ぎても進展がなく、アクションプランの大半の項目が対応されていないことを踏まえると、FATFは、手続きに沿ってさらなる行動が必要となり、加盟国・地域及び他の国・地域に対し、ミャンマーから生じるリスクに見合った厳格な顧客管理の適用を要請することを決定した。厳格な顧客管理措置を適用する際は、各国は、人道支援、合法的なNPO活動及び送金のための資金の流れが阻害されないようにする必要がある。
- ミャンマーは、不備に対応するため下記を含めたアクションプランを実施する取組を続けるべきである。
- 重要な分野における資金洗浄リスクについて理解を向上したことを示すこと
- オンサイト・オフサイト検査がリスクベースであること、及び「フンディ」を営む者が登録制であり監督下にあることを示すこと
- 法執行機関による捜査において金融インテリジェンス情報の活用を強化したことを示すこと、及び資金情報機関(FIU)による対策の執行のための分析及び分析情報の配信を増やすこと
- 資金洗浄が同国のリスクに沿って捜査・訴追されることを確保すること
- 国境を越えて行われた資金洗浄の事案の捜査を国際協力の活用で行っていることを示すこと
- 犯罪収益、犯罪行為に使用された物、及び/又はそれらと同等の価値の財産の凍結・差押え、及び没収の増加を示すこと
- 没収されるまでの間、差し押さえた物の価値を保つために、差し押さえた資産を管理すること
- FATFは、ミャンマーに対し、資金移動業者(MVTS)のモニタリング及び監督が、正当な資金の流れに対する過度な審査を低減するために、文書化され、且つ資金洗浄・テロ資金供与リスクの健全な理解に基づいていることを示すことを含め、資金洗浄・テロ資金供与の欠陥に完全に対応するよう取り組むことを強く求める。
- 同国がアクションプランを完全に履行するまでは、行動要請対象国のリストに引き続き掲載される。
- ミャンマー
▼強化モニタリング対象国・地域
- 強化モニタリング対象国・地域は、資金洗浄、テロ資金供与及び拡散金融の対策体制における戦略上の欠陥に対処するためにFATFと活発に協働している。ある国をFATFが強化モニタリング対象に据えることは、その国が、特定された戦略上の欠陥を合意した期間内に迅速に解決することにコミットし、強化モニタリング対象に服することを意味する。このリストは対外的に、しばしばグレイリストと呼ばれる。
- FATF及びFSRB(FATF型地域体)は、以下の国・地域が戦略上の欠陥への対処に関して達成された進捗の報告を行う中で、これらの国との協働を継続する。FATFは、これらの国・地域に対し、アクションプランの迅速かつ合意した期間内での履行を要請する。FATFは、これら国・地域のコミットメントを歓迎し、進捗状況を注意深く監視する。FATFはこれらの国・地域に対する厳格な顧客管理措置の適用を求めない。FATF基準では、リスク回避が行われること、又は顧客全体を(取引関係等から)断ち切ることは想定しておらず、リスクベース・アプローチを適用することを求める。従って、FATFは、加盟国及び全ての国・地域に対し以下に提示するリスク分析に関する情報について考慮することを慫慂する。
- FATFは、資金洗浄、テロ資金供与及び拡散金融の対策体制における戦略上の欠陥を有する、更なる国・地域を特定する。未だ多くの国・地域が、FATF及びFSRBによる検証を受けていないが、追って検証は実施される。
- FATFは、期限がすぐに到来しない国・地域に対し、自主的に進捗を報告させて、ある程度の柔軟性を与えている。次の国・地域(アルバニア、バルバドス、ブルキナファソ、ケイマン諸島、コンゴ民主共和国、ジブラルタル、ハイチ、ジャマイカ、ヨルダン、マリ、モザンビーク、ナイジェリア、パナマ、フィリピン、セネガル、南アフリカ、南スーダン、タンザニア、トルコ、UAE、ウガンダ)は2023年6月以降FATFによって進捗をレビューされた。これらの国・地域に関し、最新の声明は以下に提示されている。カメルーン、クロアチア、シリア、およびベトナムは報告を延期することを選択した。したがって、この対象国に対して先般採択された声明は以下に含まれているが、これは対象国のAML/CFT体制の直近の状態を必ずしも反映したものではない。レビューを受けて、FATFは今回ブルガリアも特定した。
金融庁 「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第12回)議事次第
▼資料2 事務局 説明資料
- IMF-FSB統合報告書
- 暗号資産に係る包括的な政策枠組みの策定に向けて、金融安定の観点からFSBが作業を行い、マクロ経済の観点からIMFが作業を実施。本年9月に「IMF-FSB統合報告書」がG20首脳会議に提出。今般、10月開催のG20財務大臣・中央銀行総裁会議にて、同報告書内で提示されたロードマップが採択された。
- 今後は、ロードマップで示された作業の実効的な実施を適時に行うことが重要。
- 報告書のポイント
- 暗号資産(分散型金融(DeFi)を含む)やステーブルコインが金融システムやマクロ経済に与えるリスクに対処するためには、適切な規制・監督の枠組みがベースライン(最低基準)。また、暗号資産業者が比較的規制・監督が緩い法域に拠点を置きながらグローバルにサービスを提供できる特徴を有することから、G20メンバー国を超えて政策枠組みを整備することが重要。
- 実効的で柔軟かつ強調された包括的な政策枠組みの実施を確保するため、FSB、IMF、金融活動作業部会(FATF)及び各基準設定主体による取組を集約し、ロードマップとして提示。
- ロードマップの概要
- 各国による規制枠組みの実施
- FSBハイレベル勧告(本年7月最終化)をグローバルに実施するため、FSBと基準設定主体による共同作業計画を提示。
- FSBによる分散型金融(DeFi)及び暗号資産金融仲介業者に係る政策対応の検討。
- トラベルルールを含む、FATF基準のグローバルな実施の促進。
- 非G20メンバー国へのアウトリーチ
- IMF等がアウトリーチ・プログラム等を作成。G20メンバー国は率先して規制・監督枠組みを実施。
- 国際協調・協力、情報共有
- データギャップへの対処
- 各国による規制枠組みの実施
- 暗号資産とグローバル・ステーブルコインの規制・監督・監視に関するハイレベル勧告【FSB】
- 2023年7月、金融安定理事会(FSB)は、2022年の暗号資産市場における事象や広範な金融システムに及ぶ潜在的な脅威に照らして主要な分野の強化を反映した暗号資産とグローバル・ステーブルコインの規制・監督・監視に関するハイレベルな勧告(2種類)を公表。
- 暗号資産とグローバル・ステーブルコインの規制・監督・監視に関するハイレベル勧告の位置づけ
- 暗号資産に関するハイレベル勧告(CA勧告)は、暗号資産関連の活動・市場について、包括的かつグローバルに整合性のとれた規制・
- 監督を促進するために策定。当該ハイレベル勧告は、金融システムの安定にリスクを及ぼしうる全ての暗号資産の活動、発行者、サービス提供者に適用される。
- グローバル・ステーブルコインに関するハイレベル勧告(GSC勧告)は、潜在的にグローバル・ステーブルコインになりうる全てのステーブルコインに適用されるものであり、2020年10月に策定された「グローバル・ステーブルコインの規制・監督・監視に係るハイレベル勧告」を見直したもの
- 暗号資産・デジタル資産に関する勧告(CDA勧告)に係る市中協議【IOSCO】
- 証券監督者国際機構(IOSCO)は、2023年5月、暗号資産市場内での市場の公正性・投資家保護に関する懸念に対処するため、暗号資産活動に適用されるIOSCOの基準に係る18の政策勧告(CDA勧告)の市中協議案を公表。2023年末までに最終化予定。
- 勧告の主なポイント
- 投資家保護と市場の公正性のための規制上の成果に関する共通の基準を達成するよう努めるべきである。
- 暗号資産サービス提供者(CASP)に対して、その活動に見合った効果的なガバナンスと組織的な取決めを持つことを要求すべきである。
- CASPに対して、その活動におけるそれぞれの役割と能力を常に開示するよう要求すべきである。
- CASPに対して、全ての顧客注文を公正・公平・迅速に処理し、手続等を開示することを要求すべきである。
- 市場を運営し又は仲介者となるCASPに対し、伝統的な金融市場で要求されるもの又はそれと整合的な規制上の成果を達成する形式及び方法で、(取引の透明性に資する情報を、)取引前及び取引後に開示することを要求すべきである。
- CASPに対して、暗号資産の上場/承認及び取引排除に係る基準の策定、維持及び一般公衆への適切な開示を求めるべきである。
- CASPに対して、暗号資産の発行、取引、上場を巡る利益相反を管理・軽減することを要求すべきである。
- 既存の規制枠組みでカバーされていない程度を考慮しながら、暗号資産市場における詐欺や不正取引を伴う違反行為に対して執行を行うべきである。
- 各CASPに適用される市場監視要件を整備することで、不正取引リスクが効果的に軽減されるようにすべきである。
- CASPに対して、重要な非公開情報の管理に係るシステム、ポリシー、手続を整備するよう求めるべきである。
- 暗号資産の発行、取引及びその他の活動に関して、他の法域の規制当局及び関係当局と情報を共有し、協力する能力を有するべきである。
- 顧客資産を保有又は保護するCASPをカバーする既存又は新規の枠組みを検討する際には、顧客資産の保護に関するIOSCOの勧告を適用すべきである。
- CASPに対して、顧客の資産を信託するか、CASP自身の財産から分離するよう要求すべきである。
- CASPに対して、カストディ及び保護の取決めを、明瞭・簡潔・非技術的な文言で顧客に開示するよう要求すべきである。
- CASPに対して、適切な独立保証に服する顧客資産の定期・頻繁な照合を行うためのシステム、ポリシー、手続を設けるよう要求すべきである。
- CASPに対して、顧客資産の損失、窃取又はアクセス不能のリスクを軽減するための適切なシステム、ポリシー、手続を採用するよう要求すべきである。
- CASPに対して、IOSCOの勧告及び基準に従って、運用上及び技術上のリスクを管理し、それを開示することを要求すべきである。
- CASPに対して、個人顧客の勧誘に伴う適格性評価を含む管理態勢の構築や、情報開示を行うべきである。
- 分散型金融に関する勧告(DeFi勧告)に係る市中協議【IOSCO】
- 証券監督者国際機構(IOSCO)は、2023年9月、「分散型金融に関する勧告」(DeFi勧告)の市中協議案を公表。
- DeFi市場で提供される一般的な商品・サービスが、従来の金融市場で提供される商品・サービスと実質的に異なるものではなく、同じリスク及び提供方法による追加的なリスクが存在することを指摘した上で、勧告案を提示。2023年末までに最終化予定。
- 勧告の主なポイント
- 「同じ活動・同じリスクには同じ規制を適用する」の原則に従って、既存の枠組み又は新たな枠組みを適切に適用するために、その管轄法域内で発生している又は所在するDeFiの商品、サービス、取決め及び活動を分析すべきである。規制当局が応答することになるDeFiの商品、サービス、取決め及び活動を、規制当局が理解して分析するために、どのような技術的知識、データ及びツールを規制当局が必要としているのかを評価すべきである。
- 適用される規制枠組みの対象となり得る、DeFiの取決め又は活動の主体とされる自然人及び事業体(責任者)の特定を目指すべきである。
- 既存の枠組み又は新たな枠組みを用いて、IOSCO基準と整合的な方法で、DeFiの商品、サービス、取決め及び活動を規制、監督、監視し、それらから生じるリスクに対処すべきである。
- 既存の枠組み又は新たな枠組みを適用する際、DeFi商品・サービスの提供者及びその他の責任者に対して、必要に応じて、利益相反、特に、特定の提供者及び/又はその関連会社の異なる役割及び能力並びに提供する商品及びサービスから生じる利益相反を特定し、対処することを要求すべきである。
- 既存の枠組み又は新たな枠組みを適用する際には、DeFi商品・サービスの提供者及びその他の責任者に対して、必要に応じて、運用上及び技術上のリスクを含む重大なリスクを特定し、対処することを要求すべきである。
- 既存の枠組み又は新たな枠組みを適用する際には、投資家保護と市場の完全性を促進するために、DeFi商品・サービスの提供者及びその他の責任者に対して、提供する商品・サービスに関する包括的かつ明確な情報資料を、利用者及び投資家に正確に開示することを要求すべきである。
- 既存の枠組み及び新たな枠組みの対象となるDeFiの商品、サービス、取決め及び活動に対して、適用される法律及び規制の違反を発見、抑止、執行、制裁、救済及び是正するための措置を含む、包括的な権限付与、検査、調査、監視及び執行の権限を、その権限と整合的に適用すべきである。適用される法律を執行するためにどのような技術的知識、データ及びツールを規制当局が必要としているのかを、評価すべきである。
- DeFiの商品、サービス、取決め及び活動の国境を越える性質を認識し、そのような取決め及び活動に関して、他の管轄区域の規制当局及び関係当局と協力し、情報共有する能力を有するべきである。
- DeFiの商品、サービス、取決め及び活動を分析する際、DeFiの取決め、より広い暗号資産市場全体及び伝統的金融市場の間の相互関連性を理解するよう努めるべきである。
- 米国における暗号資産規制・執行の主な動向
- 執行・裁判
- SECによる暗号資産取引所等に対する処分・提訴や和解がなされる事例が見られる。
- 例1:2023年6月、SECが証券取引法違反で、バイナンス、コインベースを提訴(証券として登録(開示)すべき暗号資産を登録せずに、暗号資産取引所を違法に運営している等の理由)
- 例2:2023年2月 暗号資産取引所クラーケン社と和解(3,000万ドルの制裁金支払・ステーキング事業撤退)8月 暗号資産取引所ビットトレックス社と和解(2,400万ドルの制裁金支払)
- 2023年7月、連邦地方裁判所は、米リップル社が取り扱う暗号資産XRPについて、Howey Testを適用したうえで、
- 機関投資家向けの当初発行は「有価証券に該当する」と判断する一方、
- 取引所においてプログラム上で個人等向けに販売・取引されるもの等については「有価証券に該当しない」と判断
- 現在訴訟続行中。
- 2023年1月、倒産裁判所は、セルシウス・ネットワーク社(暗号資産レンディングプラットフォーム)の破綻処理に関する判決の中で、顧客が口座に預け入れていた暗号資産の大半がセルシウス社に帰属すると判断。
- SECによる暗号資産取引所等に対する処分・提訴や和解がなされる事例が見られる。
- 議会の動き
- 2023年7月、連邦議会下院の委員会において、暗号資産・ステーブルコインに関する連邦法案が通過。
- 当該法案が上下院の本会議において可決されるか否かを含めた今後の見通しは不明。
- 執行・裁判
- 欧州における暗号資産規制(MiCA)
- 概要
- 暗号資産市場規制(The Markets in Crypto Assets Regulation: MiCA)は、ステーブルコイン(SC)を含む暗号資産の発行(募集)、暗号資産サービスの提供、暗号資産の不公正取引の規制を含む、包括的な規制。
- 欧州レベルでの統一的な暗号資産規制を整備することで、消費者保護・市場の公正性を図りつつ、イノベーションや公正な競争を促進することを目的とする。
- 2023年5月、欧州理事会(EC)が暗号資産市場規制案(MiCA)を承認。2024年以降順次施行予定。
- 規定事項
- 暗号資産の発行、募集、取引所への上場に係る透明性・開示要件
- 暗号資産サービス提供者、資産参照型トークン、電子マネートークンの発行者に係る認可・監督、これらの者の業務運営、組織、ガバナンスに係る要件
- 暗号資産の発行、募集、取引所への上場における暗号資産の保有者保護に係る要件
- 暗号資産サービス提供者の顧客保護に係る要件
- 暗号資産市場の公正性を確保するための暗号資産関連のインサイダー取引、相場操縦の防止に係る措置
- 概要
金融庁 当庁を騙った電子メールや動画にご注意ください
- 当庁から送られたメールのように装い(アドレスを偽装する、当庁のロゴマークを使う、など)、皆様の本人確認を求める不審な電子メールや現金等をだまし取る特殊詐欺の電子メールが送付されているとの情報が寄せられています。また、当庁職員を名乗る人物が動画に登場して投資取引を勧誘しているとの情報も寄せられています。
- 当庁から直接皆様へ本人確認を行うことや現金等の支払いを要求することはありません。当該電子メールの添付ファイルや本文に記載されたリンクを開くと、コンピュータウイルスに感染する可能性や金銭的な被害にあうおそれがあります。また、当庁職員が投資取引を勧誘することもありませんのでご注意ください。
- 不審なメールやホームページに関する情報をご連絡いただいた方におかれましては、貴重な情報のご提供ありがとうございます。個別の回答は行っておりませんが、ご提供いただいた情報をもとに関係機関と連携して対応を行っております。
金融庁 「サステナブルファイナンス有識者会議」(第19回)議事次第
▼資料1 事務局説明資料
- PRI in Person2023 岸田総理基調講演(抜粋)
- GX投資
- 1つ目は、GX、すなわちグリーン・トランスフォーメーションへの投資です。化石燃料からクリーンエネルギー中心の産業・社会構造への転換は大きな課題ですが、同時に、成長の源ともなります。日本では、2050年のネットゼロ実現に向け、10年間で150兆円超の官民投資を実現するため、カーボンプライシングの実施方針を含む基本的戦略を、本年7月にまとめました。
- まず、世界初の、国が発行するトランジション・ボンドを、「クライメート・トランジション・ボンド」と名付け、国際基準に適合する形で、本年度から発行します。これを通じて、再生可能エネルギーの導入拡大に向けた技術革新、水素等の新たなエネルギー源、鉄鋼・化学・自動車等の産業設備など、民間投資のリード役となる、明確な戦略と先進性を備えた、研究・開発・技術実装等に、20兆円規模の国による先行投資を行います。
- 日本企業の技術は世界の排出削減に貢献するものであり、削減貢献が可視化できるよう、グローバルなルールメイキングもリードしていきます。
- また、GX経済移行債を皮切りに、トランジション・ファイナンスを更に推進します。経済全体を脱炭素に導くトランジション・ファイナンスは、世界の構造転換に必要不可欠であり、本年5月のG7広島サミットでも、重要性が確認されました。
- そして、新NISAを活用した日本の一般投資家からグローバルな投資家まで、幅広い投資家層に魅力的なGXに関する投資商品の開発を促進していきます。これにより、グローバルな投資家と、途上国を含む投資先がGXに参画する世界を実現していきます。
- こうした観点から、個人投資家・機関投資家によるGX・ESG投資をさらに進めるための環境整備に向け、金融庁に、「サステナビリティ投資商品の充実に向けたダイアログ」を年内に設置します。
- さらに、アジア諸国を含めた世界のネットゼロ実現にも貢献していきます。各国の強みや特性を活かした、トランジション・ファイナンスの実装を進めるよう、「GFANZ日本支部」とも連携し、官民でアジアのGX投資を進める「アジアGXコンソーシアム」を来年前半に設立します
- インパクト投資
- 2つ目は、社会課題の解決に尽力するスタートアップへの支援です。スタートアップは、社会課題を成長の源に転換する起爆剤となるものです。日本の技術力を支える、今では代表的な製造企業も、戦後直後は、20代、30代の若者が創業したスタートアップでした。
- 世界的な課題解決にチャレンジし、世界と日本の成長をリードするスタートアップを育てるよう、昨年をスタートアップ創出元年として5か年計画を策定しました。投資額を5年で10倍の10兆円に拡大していきます。
- 投資推進の1つの鍵が「インパクト投資」です。課題解決への「インパクト」に着目し、この実現に必要な技術とビジネスモデルの革新を促す投資であり、投資家のコミットメントが欠かせません。インパクト投資に関する「基本的指針」を策定し、官民協働のコンソーシアムを本年中に設立するなど、社会変革につながる資金調達のけん引役を果たしていきます。
- 実際に、脱炭素、水資源、ヘルスケアなど、様々な分野で有望なインパクトスタートアップが生まれています。政府として投資環境を整備し、この動きを更に支援し、グローバルなステークホルダーとともにインパクト投資を有力な手法・市場として発展させたいと考えています。本年設立するインパクトコンソーシアムは世界に開かれたものであり、皆様の積極的な参画を是非お願いしたいと考えております。
- 人的資本の充実
- 3つ目は、人的資本の充実です。リスキリングをはじめとする人材育成の充実、大規模な予算の拡充を伴うこども・子育て世帯の支援、女性の登用拡大など、人的資本の充実は、日本と世界の最優先課題です。
- 中長期的な企業価値の向上に不可欠な人的資本の充実について、企業と投資家の対話を促進すべく、日本では2023年3月期決算から、上場企業等に人的資本に関する情報開示を求めています。
- さらに、企業による「人への投資」に対する投資家の関心に応えるため、人的資本などの開示に関する国際的な基準開発の議論に、日本の経験を提供し、積極的に貢献していきます。
- 資産運用業・アセットオーナーシップの改革
- 最後に、サステナビリティの取組みを促す金融機能の強化です。日本の2,100兆円を超える家計金融資産のうち、530兆円程度は、保険や年金として、大部分を資産運用業者やアセットオーナーが運用しています。また、公的年金を運用するGPIFの資産規模は約220兆円で世界最大規模となっています。
- 持続可能な社会の実現には、社会課題に応える企業に投資を振り向け、課題に応えない企業に必要な対応を求めることが大切です。
- このため、個人の長期投資を預かる資産運用業者やアセットオーナーの運用力が重要です。これらの運用力向上やガバナンス改善、資産運用業への新規参入と競争の促進など、資産運用立国の実現に向けた政策プランを年内に策定します。
- 投資を通じて社会課題に取り組むことは、変革に取り組む企業の背中を押し、経済社会の成長・持続可能性を高めることで、投資家の皆様、ひいては皆様に資金を預けた受益者にとっても、長期的な収益機会となるものです。まさに、受託者責任に基づく責任ある投資の一環と考えます。
- 資産運用業者やアセットオーナーが企業と対話を深め、企業の成長・持続可能性の取組みを進めるため、責任投資の取組みをけん引するPRIへの署名機関が増えることは大変有意義です。日本においても、GPIFをはじめ多くの機関がPRIに署名しておりますが、さらにできるだけ多くの機関が署名することを期待いたします。その流れを推し進めるため、政府として所要の環境整備を行い、代表的な公的年金基金、少なくとも7基金90兆円規模が新たにPRIの署名に向けた作業を進めることを、ここで表明させていただきます。公的年金基金がサステナブルファイナンスへの取組みを強化し、その流れを市場全体に波及させていくことを目指します。
- GX投資
- 人材育成(サステナブルファイナンス)についてご議論いただきたい点
- 行政、業界団体、教育機関等の人材育成に関する取組状況の評価
- 更なる取組みが期待される事項・分野
- 取組みを進めるべき主体・タイムライン
【2023年10月】
金融庁 「金融機関の内部監査の高度化」に向けたプログレスレポート(中間報告)の公表について
▼「金融機関の内部監査の高度化」に向けたプログレスレポート(中間報告) 主なポイント
- はじめに(「金融機関の内部監査の高度化に向けた現状と課題」について)
- 金融庁は2019年6月、「金融機関の内部監査の高度化に向けた現状と課題」(以下「現状と課題」)を公表
- 「現状と課題」は、2018事務年度に実施した、金融機関のモニタリング結果及び外部有識者から得た知見等を踏まえ、内部監査の高度化に向けた現状と課題について整理・取りまとめたもの
- 内部監査の水準について、四段階の段階別評価ができることを示している
- 第一段階(1.0)(事務不備監査)
- 第二段階(2.0)(リスクベース監査)
- 第三段階(3.0)(経営監査)
- 第四段階(4.0)(信頼されるアドバイザー)
- 大手金融機関
- 内部監査の水準:第二段階~第三段階
- 第三段階のレベルの態勢を整備し、その上で、海外G-SIFIs等の先進的な取組等も参考に、一層の高度化を図ることを求めている
- 地域金融機関を含むその他金融機関
- 内部監査の水準:第一段階~第二段階
- 規模・特性等に応じた底上げや高度化を図ることを求めている
- 「金融機関の内部監査の高度化」に向けたプログレスレポート(中間報告)【主なポイント】
- 大手銀行グループでは、総じて「現状と課題」公表後も、内部監査の高度化に向けて積極的に取り組んでいる
- ただし、内部監査の水準に関する自己評価には、大手銀行グループ間で一定の差が見られた
- 対話を踏まえ、金融機関が実効性ある内部監査を通じて、業務の適切性・財務の健全性を確保し、企業価値を向上させるために必要な3つの観点を明示
- 経営陣や監査委員・監査役による内部監査部門への支援
- 内部監査の重要性・有用性を強く認識し、積極的に支援すること
- 内部監査部門における高度化に向けた取組
- 環境の変化に応じて、監査態勢を高度化し、かつ、監査基盤を強化すること
- 被監査部門に対する取組
- 被監査部門に対して内部監査への理解・浸透やリスクオーナーシップの醸成を図ること
- 経営陣や監査委員・監査役による内部監査部門への支援
- 大手銀行グループに対するモニタリングでは、経営陣や監査委員・監査役が、内部監査の重要性・有用性を理解していると考えられる取組事例や、内部監査部門に対して一層の高度化を期待していることを確認
- また、内部監査部門が、内部監査の高度化のほか、被監査部門に対する内部監査への理解・浸透や、リスクオーナーシップの醸成を図っていることを確認。一方、監査態勢・監査基盤等に関する課題も確認
- 第三段階の水準と自己評価した銀行グループ
- 機動的な監査
- 経営戦略等※を対象とした監査
- 戦略遂行上の課題や業務効率化の観点からの提言
- あらゆるステークホルダーの視点を意識した監査
- 経営課題に関する真因の特定
- 第1線・第2線と第3線との間での人材の好循環化の確立
- 第四段階に向けた取組
- 経営や内部監査部門から被監査部門に対して「経営に資する監査」の意義の説明・浸透
- 被監査部門が内部監査を積極的に受け入れ、協力する風土の醸成
- 被監査部門に対する内部監査の役割の理解・浸透
- 第二段階から第三段階へ向けた途上水準と自己評価した銀行グループ
- 第三者の立場から、言いにくいことであっても事実に基づき自由に発言
- 内部管理態勢に対するアシュアランス機能の発揮
- 経営目線での監査
- 準拠性監査から業務プロセスに係る整備・運用状況を検証する監査への移行
- 分析のためのフレームワークを活用した問題の根本原因の追及
- グループ全体のリスクを網羅的に把握し、的確に評価する仕組の構築
- 経営監査を担う人材確保・育成
- 被監査部門が内部監査を積極的に受け入れ、協力する風土の醸成
- 共通目標を達成するための仲間であることの被監査部門の理解
- 第三段階の水準と自己評価した銀行グループ
- 3つの観点から、今後のモニタリングの主な論点を明示。金融庁は、今後、大手銀行グループはもとより、地域銀行、証券会社、保険会社、その他の金融業態に対して、主な論点に基づいて深度あるモニタリングを通じて内部監査の高度化を促していく
- 金融行政の効率化を高めるため、各金融機関の内部監査水準に応じてモニタリングの対象領域・深度を決定していく
- 金融機関へのモニタリングや内部監査に関する国際的な動向も踏まえて、グループ・グローバルベースの内部監査の一層の高度化を促す観点も含め、「現状と課題」の更新の必要性等を検討していく
- 経営陣や監査委員・監査役による内部監査部門への支援
- 内部監査の在り方の検討
- 内部監査の高度化支援
- 内部監査機能の活用に関する取組状況
- 内部監査部門の監査態勢高度化・監査基盤強化
- 監査態勢高度化
- 経営陣や監査委員・監査役との意見・情報交換
- 独立性の確保
- リスクの洗い出し・絞り込み
- リスク変化への機動的対応
- 監査深度(真因分析含む)
- IT・データ分析の活用
- 継続的な監査品質の向上
- グループ・グローバルでの態勢整備の取組状況
- 監査基盤強化
- 人材確保・育成の取組状況
- 監査システムの導入状況
- コソーシング
- 活用方針
- 最終評価に関する責任
- 知見やノウハウの吸収に関する取組状況
- 監査態勢高度化
- 被監査部門に対する内部監査への理解・浸透やリスクオーナーシップ醸成
- 被監査部門に対する内部監査への理解・浸透
- 被監査部門のリスクオーナーシップの評価や醸成、被監査部門とのコミュニケーションに関する取組状況
- 経営陣や監査委員・監査役による内部監査部門への支援
金融庁 「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅷ)」について
▼(別添)PDF「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅷ)について」
- 金融分野のサイバーセキュリティを巡る状況
- 世界各国において、大規模なサイバー攻撃が発生しており、攻撃手法は一層高度化・複雑化
- 我が国においても、サイバー攻撃による業務妨害、重要情報の窃取、金銭被害等の被害が発生している状況
- こうしたサイバー攻撃の脅威は、金融システムの安定に影響を及ぼしかねない大きなリスクとなっており、金融業界全体のインシデント対応能力の更なる向上が不可欠
- これまでの演習の概要
- 過去7回、演習を実施
- 2016年度は77先・延べ約900人、2017年度は101先・延べ約1,400人、2018年度は105先・延べ約1,400人、2019年度は121先・延べ約2,000人、2020年度は114先・延べ約1,700人、2021年度は150先・延べ約2,700人、2022年度は160先・延べ約3,500人が参加
- 参加金融機関の多くが規程類の見直しを実施・予定しているほか、社内及び外部組織との情報連携の強化に関する対応を実施・予定しており、本演習を通じて対応態勢の改善が図られている
- 金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅷ)
- 2023年10月、金融庁主催による8回目の「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習」(Delta Wall Ⅷ(注))を実施
- (注)Delta Wall:サイバーセキュリティ対策のカギとなる「自助」、「共助」、「公助」の3つの視点(Delta)+防御(Wall)
- 昨年度対象外としていた保険会社を対象としつつ、重要インフラ事業者の参加率向上の観点から、165先が参加予定(昨年度から5先増)
- 銀行業態については、これまでの演習の成熟度を踏まえ、重要な業務に影響が波及するようなシナリオで難度を高めつつ、インシデント時の業務の優先度など経営層を含めたディスカッションの内容や十分性を検証。その他のシナリオについてもインフラシステムの停止等を含め難度を高めつつ、演習の高度化を図る
- 昨年度に引き続き、テレワーク環境下での対応も含めたインシデント対応能力の向上を図るため、参加金融機関は自職場やテレワーク環境下で演習に参加
- 演習の特徴
- インシデント発生時における初動対応、技術的対応を含めた攻撃内容の調査・分析、封じ込め・根絶、顧客対応、復旧対応等の業務継続を確認
- 経営層や多くの関係部署(システム部門、広報、企画部門等)が参加できるよう、自職場参加方式で実施
- 対応できなかった項目の自己分析結果を提出することとし、評価の要因を明確化することで、演習効果を高める
- 参加金融機関がPDCAサイクルを回しつつ、対応能力の向上を図れるよう、具体的な改善策や優良事例を示すなど、事後評価に力点
- 本演習の結果は、参加金融機関以外にも業界全体にフィードバック
- 演習スキーム
- 銀行
- (ブラインド方式のため非開示)
- 信金・信組
- 業務システムや端末の停止等が発生(業態内インフラシステムの停止含む)
- 証券
- 業務システムの停止等が発生(証券インフラシステムの一部停止含む)
- 生命保険会社・損害保険会社・資金移動業者・前払式支払手段発行者・暗号資産交換業者
- ネットワーク機器の脆弱性を端緒とした業務システムの停止等が発生
- 銀行
金融庁 バーゼル銀行監督委員会による議事要旨及び「2023年の銀行を巡る混乱に関する報告書」の公表について
▼議事要旨(仮訳)
- バーゼル銀行監督委員会(以下「バーゼル委」)は、2023年の銀行を巡る混乱に関する報告書を公表。
- 気候関連金融リスクおよび銀行の暗号資産エクスポージャーに関する開示の枠組みについて市中協議を行うことに合意。
- グローバルなシステム上重要な銀行(G-SIBs)の2023年選定結果を承認。
- バーゼル委は、10月4日、5日にスイス・バーゼルで会合を開催し、最近の市場動向やグローバルな銀行システムにおけるリスクについて状況把握(ストックテイク)を行うとともに、さまざまな政策・監督上の取組みについて議論した。
- グローバルな銀行システムにおけるリスクと脆弱性
- バーゼル委は、最近の経済及び金融市場の動向に照らして、グローバルな銀行システムの見通しについて議論した。金利上昇は、銀行の資金利鞘と関連収益を支える可能性がある一方で、長期にわたる低金利の時代に蓄積した脆弱性を露呈する可能性がある。こうした脆弱性には、債務者の債務返済比率の上昇に関連する潜在的な信用損失や、銀行預金者の金利感応度から生じるリスクが含まれる。
- 加えて、銀行は幅広い経路を通じてノンバンク金融仲介(NBFI)セクターにエクスポージャーを有している。銀行および監督当局は、オペレーショナル・レジリエンスの確保を含め、今後進展する見通しに常に警戒する必要がある。この点に関して、バーゼル委は、「オペレーショナル・レジリエンスのための諸原則」および改訂された「健全なオペレーショナル・リスク管理のための諸原則」の実施状況について、監督上のニューズレターを今後公表する予定である。
- 2023年の銀行を巡る混乱
- 2023年3月に発生した銀行を巡る混乱は、その規模と範囲において、世界金融危機(GFC)以降で最も深刻なシステム全体に亘る銀行のストレスであった。これを受け、バーゼル委は本日、混乱の原因、規制・監督上の対応、及び得られた初期的な教訓を評価した報告書を公表する。
- 本報告書の調査結果を踏まえ、バーゼル委は、以下を含む一連のフォローアップ作業に取り組んでいる。
- 監督の実効性を強化するための作業を優先し、グローバルなレベルで追加的なガイダンスに値する可能性のある論点を特定する。
- 流動性リスクや銀行勘定の金利リスクなど、バーゼル枠組みの特定の要素が最近の混乱の間に意図したとおりに機能したか否かを評価するために、実証的根拠に基づく追加的なフォローアップの分析作業に取り組み、政策オプションを探求する必要性を中期的に評価する。
- このフォローアップ作業は、バーゼル委の上位機関である中央銀行総裁・銀行監督当局長官グループによって最近再確認されたように、バーゼルⅢ基準を完全かつ整合的に、可能な限り早期に実施するという要請に完全に沿うものである。
- グローバルなシステム上重要な銀行
- バーゼル委は、G-SIBsの年次選定の結果を承認した。この結果は金融安定理事会(FSB)に提出され、後日、FSBは2023年のG-SIBsリストを公表する予定である。
- 気候関連金融リスク
- バーゼル委は、気候関連金融リスクに対する銀行のエクスポージャーに関する第三の柱の開示枠組みについて市中協議を行うことに合意した。バーゼル委は、提案された枠組みに関する市中協議文書を11月までに公表する。
- 暗号資産
- バーゼル委は、銀行の暗号資産エクスポージャーに関連する一連の開示要件について市中協議を行うことに合意した。これらの開示は、2022年12月に公表された暗号資産エクスポージャーに関する健全性基準を補完するものである。市中協議文書は近日中に公表される予定である。
- 金融のデジタル化
- デジタル化と金融技術の進展は、銀行サービスの提供を含め、金融システムに引き続き影響を及ぼしている。バーゼル委メンバーは、ノンバンク仲介者を通じた銀行サービスの提供(BaaS)を含む、この分野におけるいくつかの動向について意見交換を行った。バーゼル委は、金融のデジタル化の進展と、それが銀行や監督当局に与える示唆に関する報告書を、来年半ばまでに公表する予定である。
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼主要行等
- 銀行代理業における法令等の遵守を確保する業務に係る責任者等について
- 政府においては、「デジタル原則」(2021年12月閣議決定)や「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」(2022年6月デジタル臨時調査会決定)を踏まえ、「人の介在(対面、常駐、資格者配置、拠点設置、目視、立入等)を見直し、点検等の遠隔実施、自動化・機械化等の最大限のデジタル化を基本とすること」としている。
- これに関して、銀行等代理業において、法令等遵守に係る責任者や、その指揮をする統括責任者の営業所等ごとへの配置を求めているが、「デジタル原則」を踏まえ、適切に業務を遂行することが出来る限りにおいて情報通信技術を利用する方法により業務に従事すること(テレワークを想定。)が可能である旨を明確化し、業界団体宛てに周知したので、各金融機関においては、提携する銀行等代理業者への周知をお願いしたい。
- 金融行政方針の公表について
- 2023年8月29日、2023事務年度の金融行政方針を公表した。これは、事務年度ごとに、金融庁として進める施策の方向性を明らかにするものであり、本事務年度においては、4本柱で構成している。
- 基本的にこれまでの金融庁の行政の考え方や課題意識を踏まえたものとなっていると考えている。
- 金融庁としては、各金融機関と課題認識等を共有し、建設的な対話を行うことが重要であり、この金融行政方針は、その点で良い材料になると考えている。
- 金融庁では、今後、本方針等に関する説明会を各地域で開催する予定であるが、行政方針の内容で不明な点、懸念点、提言したい点があれば、気楽に問合せ等をしていただきたい。
- 業態横断的なモニタリング方針等について
- 8月末に2023事務年度の金融行政方針を公表した。その中で、業態横断的なモニタリング方針等についても記載しているので、確認いただきたい。
- 金融庁としては、各項目について、データ分析や金融機関との対話を通じ、深度あるモニタリングを実施していきたいと考えている。効率的な運営に配意するので、協力をお願いしたい。
- (参考)例えば、以下などに取り組む旨を記載している。
- 金融機関の持続可能なビジネスモデルの構築に向け、金融機関の経営戦略を確認するとともに、営業基盤、財務基盤、ガバナンスや信用・市場・流動性等の各種リスク管理態勢(ストレス時の対応プロセスを含む)、内部監査等について対話等を通じたモニタリングを行い、それぞれの状況に応じて経営基盤の強化を促す。
- 国内外の金融政策・金利動向を含め、グローバルな金融経済情勢等の動向を注視し、その動向が金融システムの安定に与える影響について分析を行う。
- 金融機関による顧客本位の業務運営の確保に向け、顧客の最善の利益に資する商品組成・販売・管理等を行う態勢が構築されているかについてモニタリングを行う。
- 特に、(ア)リテールビジネスへの経営陣の関与状況、(イ)顧客本位に基づく持続可能なビジネスモデルの構築状況、(ウ)「取組方針」の質の改善と営業現場への定着状況・動機付け、(エ)業界規則等を踏まえた仕組債への対応状況、販売実績や苦情に照らして留意すべき高リスクの金融商品の販売・管理態勢、(オ)実効性ある検証・牽制態勢を含めたPDCAの実践状況といった点について、重点的にモニタリング。
- マネロンガイドラインで求めている実効的な態勢整備を金融機関が2024年3月までに完了するよう、業界団体と連携し、フォローアップを行う。・特に、規程類の整備を含め、実効的な取組の前段階となる部分において進捗に遅れが見られる金融機関には、集中的にモニタリングを行い、期限を意識した着実な対応を促す。また、2024年4月以降の態勢の有効性検証等のため、検査・監督体制のあり方について検討を進める。
- 「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」等を踏まえつつ、他省庁等と連携して、金融機関における防犯対策の強化や本人確認手法の見直し等について検討を行う。
- 経営陣のリーダーシップの発揮状況を含め、金融機関におけるサイバーセキュリティ管理態勢の実効性について検証し、その強化を促す。特に、定期的な脆弱性診断・ペネトレーションテスト等を通じた自社対策の有効性の検証や、演習等を通じたインシデント対応能力の検証が適切に行われているか、把握された課題について計画的に対策を講じているか、といった点について、重点的にモニタリング。
- サイバーセキュリティ管理態勢の成熟度を評価する点検票に基づく自己評価の実施を地域金融機関、保険会社及び証券会社に求め、自律的な態勢の強化を促す。
- 金融庁が主催する金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅶ)を通じ、金融業界全体の事態対処能力の向上を促す。
- 経済安全保障推進法の円滑な制度開始(2024年春)に向けて、政令等の整備、関係機関との連携、「基幹インフラ制度に関する相談窓口」の運営等を通じた関係事業者との丁寧な対話を進める。
- 金融機関のシステムについて、重大な顧客被害が発生した場合又は発生するおそれがある場合、機動的に金融機関のシステムリスク管理態勢(外部委託先の管理態勢を含む)を検証し、必要に応じて改善を促す。
- リスクの高いシステム統合や更改については、あらかじめ金融機関のプロジェクト管理の実効性を検証する。
- 大手金融機関を中心に、ITレジリエンスについて実態把握や対話を行う。
- 金融機関との対話等においては、金融機関の役職員の心理的安全性の確保に努める。また、金融機関や新規参入希望者からの法令解釈に関する問い合わせ等に対しては、可能な限り、迅速で明確な回答に努める。
- 金融機関の持続可能なビジネスモデルの構築に向け、金融機関の経営戦略を確認するとともに、営業基盤、財務基盤、ガバナンスや信用・市場・流動性等の各種リスク管理態勢(ストレス時の対応プロセスを含む)、内部監査等について対話等を通じたモニタリングを行い、それぞれの状況に応じて経営基盤の強化を促す。
- フィッシング対策の強化について
- 2023年上半期において、フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングによる預金の不正送金被害が急増している。※1 被害件数は過去最多の2,322件、被害額は約30億円(8月4日時点)。※2 主な手口として、銀行を騙ったSMS等のフィッシングメールを通じて、インターネットバンキング利用者を銀行のフィッシングサイト(偽のログインサイト)へ誘導し、インターネットバンキングのIDやパスワード、ワンタイムパスワード等の情報を窃取して預金の不正送金を行った事例が見られる。
- こうした状況を踏まえ、8月8日に警察庁と連名で、金融庁ウェブサイト等により、一般の利用者に向けて注意喚起を行った。※3 「フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングに係る不正送金被害の急増について(注意喚起)」(https://www.fsa.go.jp/ordinary/internet-bank_2/10.pdf)。なお、金融庁ウェブサイトでの注意喚起と合わせて、金融庁公式Twitterにおいても継続的に注意喚起を実施。なお、2022年9月と2023年4月にも同様の注意喚起を実施。
- サイバーセキュリティの強化について
- 金融業界全体のインシデント能力向上のため、2023年も10月にサイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅶ)を実施予定。
- 参加金融機関においては、経営層も積極的に参加いただき、インシデント発生時の意思決定、サイバー攻撃の検知・顧客対応・業務復旧など、コンティンジェンシープランの実効性について確認いただきたい。
- 経済安全保障推進法に基づく内閣府令の公表等について
- 経済安全保障推進法で規定された「特定社会基盤役務の安定的な提供の確保」に関する制度(2024年春制度開始)では、「特定社会基盤事業者」が、「特定重要設備」の導入や、他の事業者に委託して特定重要設備の「重要維持管理等」(※1)を行う場合に、主務大臣に計画書を事前届出することを求めている。
- (※1) 特定重要設備の機能を正常な状態に保つため、その保守点検、機器の修理・部品の交換、プログラムの更新等を行うことや、その運用、制御等を行うこと。
- 先般、「特定社会基盤事業者の指定基準」及び「特定重要設備」に関する内閣府令(案)の意見公募を行った(※2)ところであるが、近く、「重要維持管理等」及び各種手続等に関する内閣府令(案)の意見公募も予定している。
- (※2) 6月15日開始、7月14日締切、8月9日に結果等を公表。
- 金融庁としては、円滑な制度開始に向けて、金融機関との間で丁寧な対話に努めていく所存であり、引き続き協力いただきたい。なお、金融庁を含む関係省庁は、特定重要設備の導入等に関する事前相談を受け付け、対象事業者を含む関係事業者等との恒常的な意思疎通を行うことを目的に、「相談窓口」を設置している。各金融機関においては、こちらも積極的に活用いただきたい。
- 経済安全保障推進法で規定された「特定社会基盤役務の安定的な提供の確保」に関する制度(2024年春制度開始)では、「特定社会基盤事業者」が、「特定重要設備」の導入や、他の事業者に委託して特定重要設備の「重要維持管理等」(※1)を行う場合に、主務大臣に計画書を事前届出することを求めている。
- マネロン対策等に係る広報について
- 金融庁は、7月より、金融機関による継続的顧客管理の重要性・必要性を訴求した国民向けインターネット広告の配信(ユーチューブ広告やバナー広告)を開始した。配信期間は2024年3月中旬までを予定している。
- 各金融機関におかれては、例えば、金融庁ウェブサイトに掲載されているURLのQRコードリンクを顧客宛ての確認書面に記載するなど、顧客に対しての説明・案内の際に積極的に活用いただきたい。
- 今後も、より多くの一般利用者にマネロン対策等について理解と協力をいただけるよう、引き続き広報に力を入れていきたい。
- マネロン等リスク管理態勢の整備について
- マネロン等リスク管理態勢の整備については、2024年3月末の態勢整備期限に向けて、取組を進めていただいていると承知している。
- 期限まで残り半年となる中、マネロンガイドラインに記載の「対応が求められる事項」の全項目について適切に対応いただくよう改めてお願いする。
- また、これまでに整備された管理態勢については、継続的な検証等により、その実効性や効率性を高めていくことが重要であり、FATF第5次審査も見据えつつ、各行の取組を進めていただきたい。
- 特殊詐欺事案対策の検討状況について
- 特殊詐欺事案に対しては、3月の犯罪対策閣僚会議で決定した「緊急対策プラン」に基づき、現在、警察庁をはじめとする関係省庁と業界団体において、具体策の策定に向け検討を行っている。※「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」
- 緊急対策プランには、預貯金口座の不正利用防止対策の強化など、金融機関の実務に大きな影響がある項目も含まれており、金融庁としては、具体策の検討に当たって、犯罪抑止効果と顧客利便とのバランスを確保することが重要であるものと認識している。
- 今後も、関係する業界団体と意見交換を行い、具体策の策定に向け、丁寧な調整を行っていきたいと考えている。
▼日本損害保険協会
- 損保業界における不適切事案を踏まえた対応について
- 保険金の不正請求や価格調整行為といった、損害保険業界においては顧客の信頼を失うような事案が立て続けに起こっており、国民全体から厳しい目を向けられている。金融庁としても大変遺憾であり、現在、報告徴求命令や立入検査などを通じて実態把握を進めているところ、保険契約者保護に欠ける問題が認められた場合には、法令に基づき厳正に対応していく。
- 一方、損害保険業界が国民からの信頼を取り戻していくためには、個社としての取組みだけでは不十分であり、業界全体としての対応も必要である。
- 損害保険協会におかれては、金融庁とも十分に連携の上、信頼回復に向けた取組みの後押しをお願いしたい。
- 金融行政方針の公表について
- 2023年8月29日、2023事務年度の金融行政方針を公表した。
- 損害保険について申し上げると、先ほど申し上げた昨今の不適切事案への対応のほか、
- 近年の自然災害の頻発・激甚化を踏まえた持続可能なビジネスモデルの構築及び有効な対応策の策定
- グループ・グローバルのガバナンスの高度化の促進
- 経済価値ベースのソルベンシー規制の円滑
などが記載されている。
- 金融庁としては、これらの措置を着実に進めていくことで、我が国保険業・保険市場の健全な発展に貢献したいと考えているところ、保険会社の皆様にも引き続きご協力をお願いしたい。
- 保険会社には、法令遵守、保険契約者の保護が厳しく求められる。また、保険代理店との適切な関係の構築、管理が必要であることも言うまでもない。昨今の不適切事案については、不適切な行為の全体像やその原因の究明を徹底して行い、その上で、保険契約者の保護に欠ける問題が認められた場合には、法令等に基づき厳正に対応していくとともに、有効な再発防止策の策定及び実施に取り組む。
- また、保険会社には、少子高齢化や自然災害の頻発・激甚化、自動車保険市場の縮小等の中長期的な事業環境の変化を見据え、デジタル化を活用した効率的な業務運営や顧客ニーズの変化に即した商品開発等を通じて、持続可能なビジネスモデルを構築することが求められている。
- 保険会社の海外進出及び子会社の設立等が進む中、グループ・グローバルのガバナンスの高度化を進めることが重要である。これらの取組の着実な進展を、海外当局とも連携しつつ、対話を通じて促していく。
- 資産運用の状況を含めた財務の健全性については、金融市場の動向を踏まえ、モニタリングを行っていく。くわえて、経済価値ベースのソルベンシー規制の円滑な導入に向けて、具体的な検討を進めていく。
- 自然災害への対応については、近年の自然災害の頻発・激甚化による保険金支払いの増加等により、火災保険料率が上昇傾向にある。こうした中で、自然災害に対する備えとしての機能をより適切に発揮していくため、損害保険会社に対して、統合的リスク管理(ERM)の高度化、顧客ニーズやリスク実態等を踏まえた補償内容・保険料率の見直し、防災・減災のサポート等に向けた対応を促していく。
- あわせて、財務局と連携し、顧客本位の業務運営の更なる推進に向けた損害保険業界における取組を促していく。
- 生命保険会社については、営業職員による不適切事案が継続的に発生している状況を踏まえ、生命保険協会と連携しつつ、営業職員管理態勢の高度化に向けたフォローアップを行う。また、公的保険制度を踏まえた保険募集の推進を行っていく。
- 少額短期保険業者については、財務局と連携し、監督指針の見直しを踏まえたモニタリングの高度化を進める。さらに、少額短期保険業者に対し、財務の健全性や業務の適切性を確保するための態勢整備を引き続き促していく。
金融庁 偽造キャッシュカード等による被害発生等の状況について
- 偽造キャッシュカード、盗難キャッシュカード、盗難通帳、インターネットバンキング及び連携サービスによる預金等の不正払戻し等の被害について、各金融機関からの報告を基に、被害発生状況及び金融機関による補償状況を別紙1~5のとおり取りまとめました。
- 当庁HP「フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングによる預金の不正送金被害が急増しています。」
- インターネットバンキングによる預金の不正送金事案が引き続き増加しています。被害の多くは、メールやショートメッセージサービス(SMS)、メッセージツール等によりフィッシングサイト(偽のログインサイト)へ誘導し、IDやパスワード等の情報を窃取する手口によるものです。こうした状況を踏まえ、不正送金の主な手口や注意点について以下の通り公表し、注意喚起を行っています。
- 当庁HP「キャッシュカード窃取等による預金の不正引出しが多発しています。」
- キャッシュカード窃取等による預金の不正引出し事案が多発しています。被害の多くは、警察官等を装った犯人が被害者を往訪し、キャッシュカードを騙し取ったり、被害者が目を離したすきにキャッシュカードをすり替えて窃取する手口によるものです。こうした状況を踏まえ、キャッシュカード窃取等の主な手口や注意点について以下の通り公表し、注意喚起を行っています。
【2023年9月】
金融庁 「サステナブルファイナンス有識者会議」(第18回)議事次第
▼資料2 事務局説明資料
- これまで頂いた主な意見
- ネットゼロの実現は緊急的な課題であるが、サステナブルファイナンスは経済・社会の持続可能性に係る様々なテーマを包含するもの。生物多様性、人的資本、人権など、脱炭素にとどまらない「その他のESG課題」についても金融の役割を議論すべきではないか。
- 様々なファイナンスの出し手を切り口に議論することも考えられる。例えば、スタートアップの文脈では、企業側のみならず、政府全体で進める資産運用立国とも関連するが、ファイナンスの出し手側である新興運用会社等の議論も重要ではないか。
- 特に気候変動は世界的な課題であるが、各国の脱炭素に向けたアプローチは異なる。そうした中、アジアに適したアプローチを探るため、まずは、どのような課題やファイナンスの需要があるか、整理してはどうか。
- SDGsに対する認知度は高まっている一方、ESG投資やサステナブルファイナンスに関する認知度は必ずしも高くない。サステナブルファイナンスに関する国内外の発信や人材育成を通じて、最終的な顧客や株主、預金者となる個人も含め、社会全体で認知・理解を浸透させることが重要ではないか。有識者会議の議論への若い世代の参画や、昨年公表したスキルマップの実現に向けた議論を検討してはどうか。
- これまで有識者会議では、企業開示の充実、市場機能の発揮、金融機関の投融資先支援とリスク管理という3つの柱とその他の横断的課題について、関係者の取組状況の確認や、施策の提言等を行ってきた。
- 第一報告書に記載された取組み・施策は着実に進展する一方、課題は多様化が見られ、考え方・取組みも深化が必要と考えられる。これまでの区分と異なる例えば以下の切り口で改めて議論し、今後検討を深めるべき領域・課題等を議論してはどうか。
- サステナブルファイナンスの基礎となる考え方と手法、インフラ整備等
- 基本的視座の深堀り:受託者責任との整合性(PRIレポート)
- ファイナンスの手法とプレーヤー:インパクト投資、トランジションファイナンス、ブレンデッドファイナンス:金融機関、VC、CVC、アセットオーナー、アセットマネジャー
- 投資の基盤となるインフラ整備の状況:ESGデータの集約、ESG評価・データ提供
- サステナブルファイナンスの課題と更なる浸透
- 多様化するESG課題:生物多様性、人的資本、人権、健康等のその他のESG課題
- サステナブルファイナンスの更なる浸透:人材育成(若者)、国内外への発信強化
- 国内外におけるサステナブルファイナンスの推進
- アジアを含む世界の脱炭素の加速:アジアにおけるトランジションファイナンスの実装
- 国内の各地域における推進:地域企業へのインパクト投資、脱炭素支援(トランジション計画の策定支援、開示)
- サステナブルファイナンスの基礎となる考え方と手法、インフラ整備等
- 「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(2022年6月)では、国際公約の達成と、わが国の産業競争力強化・経済成長の同時実現に向け、今後10年間に官民協調で150兆円規模のグリーン・トランスフォーメーション(GX)投資を実現することとしている。2023年2月には、「GX実現に向けた基本方針」を閣議決定し、「GX実行会議」における議論を踏まえ、今後10年を見据えた取組みの方針を取りまとめ。2023年5月には関連法案が国会で成立
- 2021年11月3日、国際会計基準財団(IFRS財団)は、「国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)」の設置を公表。IFRS財団の拠点について、官民一体で積極的に働きかけ、東京のISSB拠点としての活用が決定。IFRS財団は、「全般的な開示要求事項」および「気候関連開示基準」について、2023年6月に最終化。また、2023年5月4日、ISSBの基準策定における優先アジェンダ(例:生物多様性、人的資本等)を決定するための市中協議を開始(コメント期限:9月1日)。日本では、「サステナビリティ基準委員会」が国内のサステナビリティ開示基準の開発および国際的な意見発信を担う。
- 2023年3月に改正。「資産運用業高度化プログレスレポート2022」における実態調査の結果を踏まえ、「金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針」の一部改正案を策定し、ESG投信の範囲やESGに関する公募投資信託の情報開示、投資信託委託会社の態勢整備について、具体的な検証項目を定めた
- 金融庁「ESG評価・データ提供機関に係る専門分科会」において、企業のESGの取組みを評価する「ESG評価機関等」について評価の透明性・公平性を確保するための「行動規範」の案を取りまとめ。併せて、評価を利用する機関投資家や、評価を受ける企業への提言と併せて、報告書として公表。(2022年7月)「行動規範」について、7月~9月に実施したパブリックコメントを踏まえ最終化(2022年12月)。
- カーボンクレジット(CC)の国内取引は、現状、基本的には取引所を介さない相対取引で行われているものの、東証が2023年度中に正式にCC取引所を開設予定。GXリーグでは、第1フェーズ(2023-2025年)の削減不足分について、2026年夏頃までに市場で調達することを求める。省エネや森林保全由来のJクレジット等の供給量も増加していく見込みであり、CC市場での取引拡大が見込まれる。
- 脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会報告書
- 脱炭素への移行に向けた世界的取組みが加速する中で、企業と対話を行い資金供給を行う金融機関の役割が高まっている。一方で、金融機関が脱炭素に向けた戦略を検討し、企業と対話を行う際の実務的課題や留意点等は国際的にも模索の途上。金融庁の検討会で昨秋より議論を行い、6月27日、検討会としての報告書を取りまとめ・公表。
- 報告書では、脱炭素への移行には、金融機関における継続的・実効的な対話(エンゲージメント)が重要である点を指摘し、移行の戦略と進捗を理解・促進する観点から、以下を金融機関への提言(ガイド)として提示
- インパクト投資等に関する検討会報告書概要
- 脱炭素や少子高齢化等の社会・環境課題の重要性が高まる中で、課題解決に資する技術開発や事業革新に取り組む企業の支援は喫緊の課題となっている。インパクト投資は「社会・環境的効果」(インパクト)と投資収益の双方を企図する投資として、国際的にも推進の重要性が指摘されている。
- 金融庁が2022年10月に設置した「インパクト投資等に関する検討会」では、「インパクト投資」の基本的意義等について議論を進め、投資の要件、推進のための施策等と併せて取りまとめ、6月に報告書として公表。
- 日本が中心となってインパクト投資を推進するよう、インパクト投資の基本的指針を策定する。また、投資家や企業等が参加し、事業評価に関するデータ整備や人材育成等を促進するための対話の場(コンソーシアム)を立ち上げる。加えて、日本政策投資銀行や自治体の推進策と協働し、投資実績の蓄積を図る。
- 「社会・環境的効果」(インパクト)と「収益性」の双方の実現を図る「インパクト投資」の基本的な考え方等を「基本的指針案」として取りまとめ。最終化に向けて、市中協議を実施し、国内外の市場関係者に能動的に発信・対話を行う。
【2023年8月】
金融庁 フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングによる預金の不正送金被害が急増しています。
- メールやショートメッセージサービス(SMS)、メッセージツール等を用いたフィッシングと推察される手口により、インターネットバンキング利用者のID・パスワード等を盗み、預金を不正に送金する事案が多発しています。令和4年8月下旬から9月にかけて被害が急増して以来、落ち着きを見せていましたが、令和5年2月以降、再度被害が急増しています。8月4日時点において、令和5年上半期における被害件数は、過去最多の2,322件、被害額も約30.0億円となっています。
- SMS等を用いたフィッシングの主な手口
- 銀行を騙ったSMS等のフィッシングメールを通じて、インターネットバンキング利用者を銀行のフィッシングサイト(偽のログインサイト)へ誘導し、インターネットバンキングのIDやパスワード、ワンタイムパスワード等の情報を窃取して預金の不正送金を行うもの。
- 被害に遭わないために
- こうした被害に遭わないために、以下のような点を参考にしてください。
- 日々の心がけ
- 心当たりのないSMS等は開かない。(金融機関が、ID・パスワード等をSMS等で問い合わせることはありません。)
- インターネットバンキングの利用状況を通知する機能を有効にして、不審な取引(例えば、ログイン、パスワード変更、送金等)に注意する。こまめに口座残高、入出金明細を確認し、身に覚えのない取引を確認した場合は速やかに金融機関に照会する。
- 金融機関のウェブサイトへのアクセスに際しては、SMS等に記載されたURLからアクセスせず、事前に正しいウェブサイトのURLをブックマーク登録しておき、ブックマークからアクセスする。または、金融機関が提供する公式アプリを利用する。
- スマートフォンやパソコン、アプリの設定
- 大量のフィッシングメールが届いている場合は、迷惑メールフィルターの強度を上げて設定する。
- 金融機関が推奨する多要素認証等の認証方式を利用する。
- 金融機関の公式サイトでウイルス対策ソフトが無償で提供されている場合は、導入を検討する。
- パソコンのセキュリティ対策ソフトを最新版にする。
- 日々の心がけ
- こうした被害に遭わないために、以下のような点を参考にしてください。
金融庁 アクセスFSA(金融庁広報誌)
▼顧客本位の業務運営のモニタリング結果について(令和4事務年度)
- 金融庁は、国民による「貯蓄から投資へ」の動きを促進するため、平成29年3月、「顧客本位の業務運営に関する原則」(以下「本原則」)を提示し、販売会社が「本原則」を基に、創意工夫を発揮し、ベストプラクティスを目指して顧客本位の良質な金融商品・サービスの提供を競い合うことを期待しています。
- 令和4事務年度は、リスク性金融商品の各業態の販売動向や個社別の規模対比での販売額等を基に、リスクベースで重点的にモニタリングする先(以下「重点先」)を抽出し、仕組債や外貨建て一時払い保険の販売・管理態勢を中心に、深度あるモニタリングを実施しました。また、重点先以外の販売会社についても、定量・定性アンケート調査を実するなど、幅広く顧客本位の業務運営に関する実態把握や質の向上に努めました。
- そのモニタリング結果について、6月に、「リスク性金融商品の販売会社による顧客本位の業務運営のモニタリング結果(令和4事務年度)」(以下「本レポート」)として公表したので、主要なポイントについて、ご紹介します。
- プロダクト・ガバナンス態勢
- 販売会社は、顧客の最善の利益の追求に資するリスク性金融商品を導入し、想定顧客層の明確化を図るとともに、商品導入後も販売実績を基に商品性を事後検証した上で、必要に応じて商品を見直し・廃止するなど、強固なプロダクト・ガバナンス態勢を構築する必要があります。特にインターネット取引は、対面取引と比較して、顧客の真のニーズを把握することが難しいため、顧客の自己責任のみに帰することはせず、顧客が真のニーズにふさわしい商品を選択できる枠組みを構築することが重要です。
- しかしながら、多くの重点先では、仕組債等で典型的に見られたとおり、(1)導入する金融商品のリスク、(2)リスクと顧客の期待リターンとの合理性、(3)顧客が負担する全てのコストと期待リターンとの関係等を、十分に検証していませんでした。
- 現在取り扱っている金融商品とリスク特性が異なる商品を導入する場合は、経営陣は、自社の顧客基盤や「取組方針」に照らして導入すべき商品か等の判断に関与する必要があります。
- リスク性金融商品の販売・管理態勢
- 仕組債
- 販売会社は、顧客の最善の利益を確保する観点からリスク・リターンを検証し、顧客がリスクに見合うリターンを得られるような商品性に見直す必要があります。その上で、投資判断に必要なリスク・リターン・コスト等の情報を他のリスク性金融商品と比較しながら、顧客に提案し、リスク特性等を丁寧に説明する必要があります。
- しかしながら、多くの重点先で、収益確保に焦点を置き、想定顧客層や商品性を十分に検証しないまま、リスク許容度の低い資産形成層にまで仕組債を販売していた結果、一部の重点先では、多くの苦情が寄せられていました。
- 外貨建て一時払い保険
- 販売会社は、運用・保障・相続等の顧客ニーズを的確に把握し、外貨建て一時払い保険がそのニーズに最適な商品かを検証する必要があります。その上で、顧客に対して、商品の特徴やリスク特性等を丁寧に説明する必要があります。また、商品性を十分に理解できる顧客に対し、長期保有を前提に提案・販売する必要があります。
- しかしながら、多くの重点先で、目的別の販売において以下の課題が認められました。
- 運用:他のリスク性金融商品とのリスク・リターン・コスト等を比較説明していなかった
- 保障:目標(ターゲット)到達型保険で、目標到達後に当該保険を解約させて保障期間を途絶えさせていた
- 相続:非課税枠を大きく超える保険金等の額を契約時に設定していた
- 仕組債
- 従業員に対する適切な動機付け
- 販売会社が顧客本位の業務運営を推進するためには、営業職員に「取組方針」に則した行動を促す業績評価となっているか、業績評価の改定によって営業現場の行動がどのように変化しているか等について、第1線はもとより、経営陣や第2線・第3線が継続的に検証する必要があります。
- しかしながら、多くの重点先で、「取組方針」で「収益に偏重しない業績評価体系とすることで顧客本位のコンサルティングを行う」旨を掲げているにもかかわらず、販売手数料の高い外貨建て一時払い保険の販売に係る個人評価のウェイトが高いため、営業現場が当該保険への販売に傾注していました。このことは、仕組債でも同様に認められました。
- また、販売会社が真の顧客ニーズに即した金融商品を提案するためには、営業職員に対して提案に必要な専門性を身に付けさせることができる研修や人事制度の整備が必要です。
- 仮に、それができない場合には、営業職員の経験等を考慮し、金融商品を現状の職員の説明能力で販売できる範囲に限定する必要があります。
- しかしながら、多くの重点先で、研修が形式的にとどまっていたほか、一部の先では、取扱金融商品の多さから、営業職員が商品性を十分に理解していない懸念が窺われました。
- プロダクト・ガバナンス態勢
- 金融庁では、販売会社が、本レポート参考に、顧客本位の業務運営の確保に向けた取組みの改善にとどまらず、ベストプラクティスを目指すことを通じて、国民の「貯蓄から投資へ」の動きを後押しして頂くことを期待しています。
- 今事務年度も、販売会社にこうした取組みを促すとともに、顧客の最善の利益を追求する販売・管理態勢が構築できているか等について、モニタリングを実施します
金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼主要行等
- マネロンレポートの公表及び態勢整備について
- 2022事務年度版の「マネーローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題」(通称、「マネロンレポート」)を2023年6月30日に公表した(これまで2018年、2019年、2022年に公表しており、2023年で4回目)。
- レポートでは、検査やモニタリングを通じて把握した金融機関の共通課題や、取組みの好事例、FATFにおける議論の状況等について記載している。
- 各金融機関においては、本レポートを参考に、自らの態勢の改善や業界全体の底上げに向け、取り組んでいただきたい。
- レポート概要
- 技術の進歩による決済手段の多様化や取引のグローバル化等が進行し、金融取引が複雑化する中、コロナ禍における非対面取引の拡大等も要因として、金融機関等が直面するマネロン等に関するリスクも変化。特に、特殊詐欺やサイバー空間での犯罪件数が増加するとともに、暗号資産や資金決済(収納代行)等についても引き続きリスクが内在しており、金融機関等は、マネロン等リスクの変化に応じた継続的なリスク管理態勢の高度化が求められている。
- マネロンガイドラインで求める事項についての態勢整備の期限としている2024年3月末に向け、金融機関の全体的な態勢水準は高度化しているものの、包括的かつ具体的なリスクの特定・評価の実施や、態勢高度化に向けた計画検討に時間を要し、実際の取組に遅れが認められる金融機関が存在。
- 金融庁は、検査やヒアリングを通じて、引き続き、金融機関等のリスクベースでの取組みの高度化を促していくため、ガイドラインで対応が求められる事項とされる取組みに関するギャップ分析の正確性、2024年3月末に向けた行動計画の進捗状況について検証を行っていく。
- 「金融機関のシステム障害に関する分析レポート」の公表について
- 2022年度に発生したシステム障害の傾向・事例をまとめた「金融機関のシステム障害に関する分析レポート」を2023年6月30日に公表した(2019年から公表しており、2023年で5回目)。
- 2022年度のレポートと同様に、「障害発生の端緒」毎に、障害の傾向、原因及び課題を分析している。加えて、障害時に業務を早期復旧させるレジリエンスの重要性が高まっていることを踏まえて、新たにインシデント対応の良好事例を盛り込んでいる※2。
- 各金融機関においては、本レポートを参考に、安定したサービス提供のため、一層のシステムリスク管理の強化に取り組んでいただきたい。
- 以下の1~4の障害発生の端緒毎に、システム障害の傾向、原因及び課題を整理。
- サイバー攻撃、不正アクセス等
- 不正アクセスによる情報漏えい、サポート期限切れ機器のマルウェア感染、DDoS攻撃によりホームページが閲覧できない状態が発生。重要な外部委託先を含めたセキュリティ対策の強化とインシデント発生時のレジリエンスの強化が課題。
- 日常の運用・保守等
- 障害時に冗長構成が機能しない状態や、外部委託先のシステム障害で復旧が遅延する状態が発生。外部委託先における対応を含めた復旧手順を整備し、外部委託先との共同訓練を通じた、復旧手順の実効性の確保が課題。
- システム統合・更改や機能追加等
- 機能追加のためのプログラム改修時等に障害が発生。システム仕様書などのIT資産の整備や、有識者の適切な配置等によるレビュー態勢の整備が課題。
- プログラム更新、普段と異なる特殊作業等
- プログラム更新時や不定期作業時に、外部委託先による設定ミスや作業の誤りによって、ATM等が停止。システム変更に関する作業手順の検証態勢の整備、本番環境に即したテストの実施、多層的なチェック態勢の整備など、作業品質の向上が課題。
- 良好事例
- クラウド障害によりATMが停止。コンティジェンシープランに基づき、職員が迅速にATMを手動復旧させた。また、担当でない職員も復旧対応できるようマニュアルを整備し、訓練を実施している。
- プログラム更新時や不定期作業時に、外部委託先による設定ミスや作業の誤りによって、ATM等が停止。システム変更に関する作業手順の検証態勢の整備、本番環境に即したテストの実施、多層的なチェック態勢の整備など、作業品質の向上が課題。
- サイバー攻撃、不正アクセス等
- リテールビジネスの在り方について
- 2023年6月30日に、「リスク性金融商品の販売会社における顧客本位の業務運営のモニタリング結果」を公表した(2018年から公表しており、2023年で6回目)。
- モニタリング結果については省略するが、例えば、積立投資信託を行っている顧客の割合が増加しているなど、「貯蓄から投資」に対する国民の意識は一段と高まっていると考えられる。一方で、安定的な資産形成を目指す顧客等への仕組債や外貨建て一時払い保険の販売で典型的に見られたとおり、「顧客の利益」よりも、「金融機関の収益」を重視した販売を行えば、「貯蓄から投資」の流れを阻害するおそれがある。
- 各金融機関においては、「顧客の最善の利益」の実現に向けて、指摘された問題点のみを正すというミニマムな対応にとどまらず、より顧客のためになるベストプラクティスを目指し、国民の安定的な資産形成に向けたサポートをお願いしたい。
- 金融庁としても、顧客本位の業務運営の確保がより一層進展するよう、モニタリング等を続けていきたいと考えている。
- 経済安全保障推進法に基づく内閣府令(案)公表について
- 2023年4月5日、経済安全保障法制に関する有識者会議が開催され、そこで示された内容のうち以下について、内閣府令(案)の意見公募手続(7月14日締切)を行った。
- 規制対象となる事業者の指定基準
- 特定重要設備
- 本制度は、金融を含む基幹インフラの指定事業者に対して、その特定重要設備の導入等に当たり、当局による事前審査を求めるものである。金融庁としては、制度の施行に向けて、各金融機関との間で丁寧な対話に努めていく所存であり、引き続き協力いただきたい。
- 金融庁を含む関係省庁は、特定重要設備の導入等に関する事前相談を受け付け、対象事業者を含む関係事業者等との恒常的な意思疎通を行うことを目的に、「相談窓口」を設置しており、金融庁では総合政策局リスク分析総括課の経済安全保障室で運営している。各金融機関においては、経済安全保障上のリスクへの対応を確保していくために活用いただきたい。
- 2023年4月5日、経済安全保障法制に関する有識者会議が開催され、そこで示された内容のうち以下について、内閣府令(案)の意見公募手続(7月14日締切)を行った。
- サステナブルファイナンスの取組について
- 2023年6月に、報告書をいくつか公表したので紹介する。
- 1つ目は、6月30日に「サステナブルファイナンス有識者会議第三次報告書」を公表した。サステナブルファイナンスに係る直近1年間の施策の状況と今後の課題・施策をまとめている。人材育成については、各業界団体にもアンケートに協力いただいた。アンケートからは中途採用よりも社内育成のニーズが高く、即戦力人材を確保する観点から業界全体としての取組みの重要性が指摘されている。業界団体等による研修等の対応への期待が大きいものであり、報告書も参考にしながら取り組んでいただければ幸いである。
- 2つ目は、6月30日に「インパクト投資等に関する検討会報告書」を公表した。検討会で計8回にわたり議論を行い、社会課題と事業性の両立に必要なイノベーションを担うスタートアップ等への支援に資する、インパクト投資の意義や基本的な考え方をまとめている。また、インパクト投資の基本的な考え方や要件等をとりまとめた「基本的指針案」のパブリックコメントを開始した。2023年10月10日までコメント期間としており、コメントを踏まえて最終化していく予定である。報告書では、更なる投資促進策として、企業、投資家・金融機関、アカデミア、自治体等の幅広い関係者が、データや測定方法、事例等を収集・共有する「コンソーシアム」の立ち上げについて提案されている。インパクト投資については、地域で創業等を図る企業についても活用可能性が指摘されている。国内外での検討はこれからという段階であるが、2023年中にも設置予定の「コンソーシアム」等の議論を是非フォローあるいは参加していただけると幸いである。
- 3つ目は、6月27日に「脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会報告書」を公表した。検討会で計7回にわたり議論を行い、カーボンニュートラルに向けての重要なテーマである企業の移行計画策定について、金融機関によるエンゲージメントの拡大に資するよう、(1)移行に関する様々な指標の活用、(2)排出量データの充実、(3)パスウェイの適格性理解などについて、金融機関への提言を「ガイド」としてまとめている。主要行等においては報告書も参考にしながら、取り組んでいただけると幸いである。
- 7月G20の成果物について
- 2023年7月17日から18日にかけて、インドのガンディーナガルにおいてG20財務大臣・中央銀行総裁会議が開催された。会合後に発出された議長総括における主なポイントを紹介したい。
- 暗号資産やステーブルコインの規制・監督に関して、今回のG20会合ではFSBのハイレベル勧告を承認するとともに、FSB及び基準設定主体に対し、これらの勧告の実効的かつ適時の実施の促進を求めた。加えて、2023年9月のG20首脳会議に向けて、IMF及びFSBによる統合報告書提出への期待が示された。同報告書においては、FSBの作業と併せて、IMFが検討する暗号資産がマクロ経済に与える影響等の議論が盛り込まれる見込み。また、暗号資産に関するFATF基準のグローバルな実施の加速や、DeFi及び個人間で行われる取引(P2P取引)を含む新たな技術やイノベーションのリスクに関する作業への支持が示された。
- サステナブルファイナンスに関しては、2021年に策定された「G20サステナブル・ファイナンス・ロードマップ」で推奨された行動を推進するための更なる努力が求められている。これには、2022年のG20で策定された「トランジション・ファイナンス枠組」の実施も含まれている。
- サステナビリティ開示に関しては、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)によって公表された2023年6月のサステナビリティ及び気候関連の情報開示基準最終化が歓迎された。
- また、2023年6月に公表された「サードパーティーリスク管理及び監視の強化」に関するFSBの市中協議報告書が歓迎された。当該市中協議報告書には、金融機関のリスク管理や金融当局のオーバーサイトを向上させるためのツールキットが含まれており、これらのツールキットが、金融機関のオペレーショナル・レジリエンスを高め、重要なサードパーティへの依存度の高まりから生じる課題に対処することに期待が示された。
- その他の金融セクターの課題については、OECD閣僚理事会で採択されたG20/OECDコーポレート・ガバナンス原則の改訂版を承認するとともに、オープンエンド型ファンドの流動性ミスマッチ、サイバーインシデント報告に関するFSBの市中協議報告書等が歓迎された。
- 今後は、2023年9月にインドでG20首脳会議が開催される予定。引き続き、主要行等の意見もよく聞きつつ、国際的な議論に貢献していきたい。
- SVB破綻等を踏まえた国際的な議論の動向について
- シリコンバレー・バンクの破綻等を踏まえた国際的な議論について、足元の状況を紹介する。
- まず2023年6月6日にバーゼル銀行監督委員会(BCBS)が開催され、プレス・リリースが公表された。この中で最近の銀行の混乱について以下の認識を共有している。
- 銀行の財務・業務運営上の強靭性を強化するためには、銀行自身のリスク管理やガバナンス態勢の強化が最優先事項
- 銀行実務の課題を特定し即座に改善させるためには、監督当局が早期かつ実効的に行動する能力と意思を備えていることが不可欠
- グローバルな銀行システムの強靭性を強化するためには、バーゼルIII改革の早期、完全かつ一貫した形での実施が重要
- 加えて、BCBSは、銀行監督の実効性の強化、流動性リスク管理及び銀行勘定金利リスクを含め、最近の銀行の混乱から得られる規制監督上の含意について検討を継続するとしている。
- また、2023年7月6日に金融安定理事会(FSB)本会合が開催され、プレス・リリースが公表された。この中でFSBによる作業計画の見直しに言及がなされている。具体的には、金利と流動性リスクの相互連関性、テクノロジーやSNSが預金流出に果たす役割、に関する作業に注力するとしているほか、破綻処理枠組みに関する教訓に対する詳細なレビューにも取り組むとしている。また、NBFI(Non-Bank Financial Intermediation)セクターの脆弱性の対処にも継続して取組む旨が記載されており、2023年9月のG20にNBFIセクターのレバレッジや作業計画の進捗状況について報告書を提出する予定とされている。
- このほか気候変動や暗号資産についても本会合では議論がなされた。
- 引き続き、皆さんの意見もよく聞きつつ、国際的な議論に貢献していきたい。
▼日本損害保険協会
- 共同保険契約の入札における保険料の調整行為について
- 今般、損害保険大手4社が、法人向けの共同保険契約の入札において保険料の調整行為に関与したことが明らかになった。
- このような価格調整行為は、独占禁止法に違反する恐れがあるとともに、顧客本位の業務運営に対する意識が著しく欠如したものであり、極めて遺憾。関与した当事者のみならず、日本の損害保険業界全体の信頼を根底から揺るがしかねない事態であると重く受け止めている。
- まずは、関与した各社において、十分な余件調査を行い、しっかりと膿を出し切る必要がある。その上で、本件に関与した社はもちろん、その他の社におかれても、同様の事態を起こすことがないよう、独占禁止法を含む自社の法令遵守態勢について、改めて経営主導で見直すようお願いしたい。
- ゲノム情報の適切な取扱いについて
- 第211回通常国会において、「良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律案」(いわゆるゲノム医療法案)が可決・成立した。
- この法律では、良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにする目的のもと、国は、ゲノム医療の研究開発及び提供に係る体制の整備、生命倫理への適切な配慮の確保、ゲノム情報による不当な差別等への対応の確保等のため、必要な施策を講ずることが求められている。
- 今後、政府において、不当な差別への具体的な対応を含め、基本計画を策定することが求められており、金融庁としても、関係省庁と連携しながら対応を検討していくこところ、保険業界の皆様にもご協力をよろしくお願いしたい。
- また、ゲノム情報の取扱いについては、現在の保険の引受・支払実務において、遺伝学的検査結果やゲノム解析結果の収集・利用は行ってはいないものと承知しているが、給付金の請求等の場面において、保険会社からゲノム情報を求められたとの声も聞かれるところである。
- 各保険会社においては、引受や支払の際に遺伝学的検査結果やゲノム解析結果の収集・利用は行っていないことや、また、ゲノム情報による不当な差別を決して行わないことについて改めて徹底するなど、引き続き適切な対応をお願いしたい。
- 火災保険の参考純率の改定について
- 2023年6月21日、損害保険料率算出機構より火災保険参考純率の改定届出があり、金融庁は6月28日、届出内容に関する適合性通知を行った。
- 本改定は、料率水準の改定(住宅物件で平均で+13%)に加え、水災料率について、全国一律の保険料体系から、市区町村単位でリスクに応じて5区分に細分化する体系に変更するものである。
- 近年、水災補償の付帯率は、洪水ハザードマップ上で浸水深が浅いなどの低リスク契約者を中心に低下する傾向がある。このような低リスク契約者においても、洪水以外の水災リスクはあり、集中豪雨などの大規模災害発生時における補償不足が懸念される。
- こうした点を踏まえれば、水災料率の細分化は、
- 低リスク契約者に対し、保険料負担の公平性向上と経済的負担感を軽減させ、水災補償への加入を検討する契機となり、
- 高リスク契約者に対し、保険料率のリスクアナウンスメント効果により、リスク認識を向上させ、水災補償への継続的な加入を促すことが期待される。
- 保険会社におかれては、自社の商品改定を行う際には、水災補償の付帯率向上に資するよう、商品内容を検討いただきたい。また、自然災害に関するリスク認識向上の観点から、募集時の顧客への水災リスクをはじめとするリスク情報の提供等について、引き続き適切にご対応いただきたい。
【財務省】
※現在、該当の記事はありません。
【警察庁】
【2023年11月】
警察庁 犯罪統計資料(令和5年1~10月分)
- 令和5年1~10月の刑法犯総数について、認知件数は584,684件(前年同期491,823件、前年同期比+18.9%)、検挙件数は216,060件(202,201件、+6.9%)、検挙率は37.0%(41.1%、▲4.1P)
- 凶悪犯の認知件数は4,640件(3,676件、+26.2%)、検挙件数は3,797件(3,136件、+6.9%)、検挙率は81.8%(85.3%、▲3.5P)、粗暴犯の認知件数は48,955件(43,493件、+12.6%)、検挙件数は38,992件(35,461件、+10.0%)、検挙率は79.6%(81.5%、▲1.9P)、窃盗犯の認知件数は402,813件(333,807件、+20.7%)、検挙件数は125,862件(120,248件、+4.7%)、検挙率は31.2%(36.0%、▲4.8P)、知能犯の認知件数は40,355件(32,239件、+25.2%)、検挙件数は15,563件(14,615件、+6.5%)、検挙率は38.6%(45.3%、▲6.7%)
- 万引きの認知件数は77,040件(69,154件、+11.4%)、検挙件数は51,021件(48,307件、+6.2%)、検挙率は66.2%(69.5%、▲15.6P)
- 詐欺の認知件数は37,168件(29,527件、+25.9%)、検挙件数は13,289件(12,470件、+6.6%)、検挙率は35.8%(42.2%、▲6.4P)
- 特別法犯総数について、検挙件数56,573件(53,990件、+4.8%)、検挙人員は46,161人(44,259人、+4.3%)
- 入管法違反の検挙件数は4,820件(3,255件、+48.1%)、検挙人員は3,394人(2,400人、+41.4%)、軽犯罪法違反の検挙件数は6,127件(6,223件、▲1.5%)、検挙人員は6,051人(6,178人、▲2.1%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は8,342件(7,809件、+6.8%)、検挙人員は5,356人(5,947人、+6.9%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は1,009件(834件、+21.0%)、検挙人員は827人(653人、+26.6%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は2,668件(2,523件、+5.7%)、検挙人員は2,116人(2,111人、+0.2%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は412件(418件、▲1.4%)、検挙人員は121人(135人、▲10.4%)、不正競争防止法違反の検挙件数は44件(48件、▲8.3%)、検挙人員は52人(63人、▲17.5%)、銃刀法違反の検挙件数は4,027件(4,062件、▲0.9%)、検挙人員は3,378人(3,572人、▲5.4%)、火薬類取締法違反の検挙件数は95件(84件、+13.1%)、検挙人員は70人(58人、+20.7%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は1,082件(802件、+34.9%)、検挙人員は636人(467人、+36.2%)、大麻取締法違反の検挙件数は6,025件(5,123件、+17.6%)、検挙人員は4,902人(4,044人、+21.2%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は6,406件(6,862件、▲6.6%)、検挙人員は4,475人(4,720人、▲5.2%)
- 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数543人(465人、+16.8%)、ベトナム168人(143人、+17.5%)、中国68人(73人、▲6.8%)、ブラジル37人(35人、+5.7%)、スリランカ26人(31人、▲16.1%)、フィリピン22人(18人、+22.2%)、韓国・朝鮮22人(17人、+29.4%)、インド15人(11人、+36.4%)、パキスタン12人(15人、▲20.0%)
- 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較、刑法犯総数について、検挙件数は7,538件(8,727件、▲13.6%)、検挙人員は4,709人(4,909人、▲4.1%)
- 暴行の検挙件数は471件(513件、▲8.2%)、検挙人員は439人(499人、▲12.0%)、傷害の検挙件数は786件(853件、▲7.9%)、検挙人員は890人(949人、▲6.2%)、脅迫の検挙件数は256件(300件、▲14.7%)、検挙人員は240人(303人、▲20.8%)、恐喝の検挙件数は288件(282件、+2.1%)、検挙人員は363人(357人、+1.7%)、窃盗の検挙件数は3,347件(4,098件、▲18.3%)、検挙人員は647人(671人、▲3.6%)、詐欺の検挙件数は1,274件(1,483件、▲14.1%)、検挙人員は1,039人(1,113人、▲6.6%)、賭博の検挙件数は32件(42件、▲23.8%)、検挙人員は131人(105人、+24.8%)
- 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較、特別法犯総数について、検挙件数は3,890件(4,547件、▲14.4%)、検挙人員は2,705人(3,079人、▲12.1%)
- 入管法違反の検挙件数は16件(17件、▲5.9%)、検挙人員は13人(22人、▲40.9%)、軽犯罪法違反の検挙件数は58件(64件、▲9.4%)、検挙人員は45人(59人、▲23.7%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は55件(83件、▲33.7%)、検挙人員は55人(74人、▲25.7%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は16件(18件、▲11.1%)、検挙人員は31人(42人、▲26.2%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は168件(151件、+11.3%)、検挙人員は77人(59人、+30.5%)、大麻取締法違反の検挙件数は814件(839件、▲3.0%)、検挙人員は540人(486人、+11.1%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は2,174件(2,649件、▲17.9%)、検挙人員は1,469人(1,753人、▲16.2%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は91件(126件、▲27.8%)、検挙人員は44人(69人、▲36.2%)
警察庁 正規の求人サイトに掲載されている有害求人情報に注意!!~そのバイト、受け子かも~
- 正規の求人募集を装って、募集した人を受け子等として特殊詐欺などの犯罪に加担させる手口があります。
- このような場合は、連絡を続けること無く、警察に相談して下さい。
- 応募又は契約時に匿名性の高い通信アプリをインストールするように指示される。
- 正規のバイトでこのようなアプリは必要ありません。匿名性の高い通信アプリとは、「Telegram、Signal」など、一定期間が経過すると通信履歴が消去されるなどの機能を有する通信アプリを指します。
- 本人だけでなく、家族、友人等の個人情報を執拗に要求される。
- 家族等に危害を加える等の脅しにより、受け子等と分かってもやめることができません。
- 勤務地や業務実態を教えてくれないなど、実態が確認できない。
- 会社が実在しない、所在する住所表示そのものがないこともあります。インターネットで検索してみたり、ご自身の目で直接確認してみてください。
- 募集内容と実際の仕事内容が異なる。
- 示された仕事内容と報酬金額が釣り合わない。
- 高額な給料を示し、「運搬するだけ」、「物を受け取るだけ」などと、誰にでもできて、簡単に高額を稼げるという仕事は存在しません。
- 応募又は契約時に匿名性の高い通信アプリをインストールするように指示される。
警察庁 キャッシュレス社会の安全・安心の確保に関する検討会の開催について
- 開催趣旨
- 我が国における重要な社会経済基盤であるクレジットカードの不正利用及びインターネットバンキングに係る不正送金の被害が過去最多となっているなど、キャッシュレス社会の安全・安心の確保は喫緊の課題となっている。
- こうした状況を踏まえ、官民連携の更なる推進によるクレジットカードの不正利用被害等に関する効果的な対策を講じるため、多様な観点から議論してもらうことを目的として、「キャッシュレス社会の安全・安心の確保に関する検討会」を開催するもの。
- 検討会委員の構成
- クレジットカード不正利用対策、インターネットバンキングの不正送金対策に関する知見を有する金融業界、EC業界、法曹界、学術界及びセキュリティ関係団体の有識者を選定
- 検討テーマ案
- 最先端技術の活用等によるフィッシング対策の高度化・効率化
- 大手のEC事業者とのクレジットカード不正利用に関する情報共有による被害防止対策・捜査の推進
- 金融機関等における送金先口座対策等、不正送金対策の推進
- 関係機関等との連携による被害防止対策の推進
- 警察の対処能力の向上
- 日程
- 11月9日に第1回検討会を開催。年度内に計3回検討会を開催
- 年度内に報告書の取りまとめ及び公表を予定
警察庁 令和5年9月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
- 令和5月1~9月の特殊詐欺全体の認知件数は14,024件(前年同期12,206件、前年同期比+12.9%)、被害総額は302.1憶円(252.1憶円、+19.8%)、検挙件数は5,057件(4,537件、+11.5%)、検挙人員は1,684人(1,641人、+2.6%)
- オレオレ詐欺の認知件数は3,006件(2,839件、+5.9%)、被害総額は90.9憶円(84.5憶円、+7.5%)、検挙件数は1,549件(1,225件、+26.4%)、検挙人員は685人(656人、+4.4%)
- 預貯金詐欺の認知件数は2,079件(1,654件、+25.7%)、被害総額は26.1憶円(19.8憶円、+31.8%)、検挙件数は1,170件(965件、+21.2%)、検挙人員は380人(373人、+1.9%)
- 架空料金請求詐欺の認知件数は3,755件(1,996件、+88.1%)、被害総額は100.3憶円(69.4憶円、+44.6%)、検挙件数は217件(129件、+68.2%)、検挙人員は90人(94人、▲4.3%)
- 還付金詐欺の認知件数は3,010件(3,262件、▲7.7%)、被害総額は35.3憶円(37.9憶円、▲6.9%)、検挙件数は697件(626件、+11.3%)、検挙人員は130人(103人、+26.2%)
- 融資保証金詐欺の認知件数は134件(104件、+28.9%)、被害総額は1.9憶円(1.8憶円、+10.0%)、検挙件数は19件(32件、▲40.6%)、検挙人員は14人(23人、▲39.1%)
- 金融商品詐欺の認知件数は184件(21件、+776.2%)、被害総額は23.1憶円(1.8憶円、+116.8%)、検挙件数は16件(5件、+220.0%)、検挙人員は22人(11人、+100.0%)
- ギャンブル詐欺の認知件数は16件(39件、▲59.0%)、被害総額は0.5憶円(2.6憶円、▲82.3%)、検挙件数は0件(11件)、検挙人員は0人(8件)
- キャッシュカード詐欺盗の認知件数は1,722件(2,278件、▲24.4%)、被害総額は21.6憶円(34.0憶円、▲36.5%)、検挙件数は1,370件(1,544件、▲11.3%)、検挙人員は337人(371人、▲9.2%)
- 組織的処罰法違反の検挙件数は228件(84件、+171.4%)、検挙人員は83人(14人、+492.9%)、口座開設詐欺の検挙件数は505件(509件、▲0.8%)、検挙人員は282人(285人、▲1.1%)、盗品等譲受け等の検挙件数は2件(0件)、検挙人員は1人(0人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は2,007件(2,075件、▲3.3%)、検挙人員は1,575人(1,673人、▲5.9%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は95件(69件、+37.7%)、検挙人員は92人(72人、+27.8%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は13件(7件、+85.7%)、検挙人員は11人(4人、+175.0%)
- 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では、60歳以上87.8%、70歳以上68.2%、男性31.1%:女性68.9%、オレオレ詐欺では60歳以上96.7%、70歳以上94.4%、男性19.8%:女性80.2%、預貯金詐欺では60歳以上99.5%、70歳以上97.1%、男性8.3%:女性91.7%、架空料金請求詐欺では60歳以上68.8%、70歳以上41.5%、男性58.9%:女性41.1%、融資保証金詐欺のでは60歳以上15.4%、70歳以上4.1%、男性74.8%:女性25.2%
警察庁 特殊詐欺被疑者の一斉公開捜査について
- 埼玉県警察、千葉県警察、神奈川県警察、大阪府警察、奈良県警察、山口県警察、福岡県警察において、特殊詐欺被疑者の一斉公開捜査を実施しています。
- 各画像をクリックすると、公開捜査を実施している警察のホームページで、事件の詳細や他の画像などを見ることが出来ます。
- 小さなことでも構いませんので、情報提供をお願いします。
- また、昨年実施分の特殊詐欺被疑者の画像も公開しています。
- 情報提供は、公開捜査をしている警察までお願いします。
【2023年10月】
警察庁 犯罪統計資料(令和5年1~9月分)
- 令和5年1~9月の刑法犯総数について、認知件数は517,441件(前年同期434,225件、前年同期比+19.2%)、検挙件数は190,176件(179,956件、+5.7%)、検挙率は36.8%(41.4%、▲4.6P)
- 凶悪犯の認知件数は4,103件(3,268件、+25.6%)、検挙件数は3,311件(2,777件、+19.2%)、検挙率は80.7%(85.0%、▲4.3P)、粗暴犯の認知件数は43,779件(38,724件、+13.1%)、検挙件数は34,709件(31,538件、+10.1%)、検挙率は79.3%(81.4%、▲2.1P)、窃盗犯の認知件数は356,146件(294,382件、+21.0%)、検挙件数は110,553件(107,285件、+3.0%)、検挙率は31.0%(36.4%、▲5.4P)、知能犯の認知件数は35,772件(28,320件、+26.4%)、検挙件数は13,706件(12,978件、+5.6%)、検挙率は38.3%(45.8%、▲7.5P)
- 万引きの認知件数は68,725件(62,240件、+10.4%)、検挙件数は45,396件(43,075件、+5.4%)、検挙率は66.1%(69.2%、▲3.1P)
- 詐欺の認知件数は32,926件(25,917件、+27.0%)、検挙件数は11,703件(11,066件、+5.8%)、検挙率は35.5%(42.7%、▲7.2P)
- 特別法犯 主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は50,483件(48,493件、+4.1%)、検挙人員総数は41,249人(39,753人、+3.8%)
- 入管法違反の検挙件数は4,276件(2,915件、+65.4%)、検挙人員は2,991人(2,168人、+38.0%)、軽犯罪法違反の検挙件数は5,562件(5,646件、▲1.5%)、検挙人員は5,494人(5,602人、▲1.9%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は7,600件(6,925件、+9.7%)、検挙人員は5,794人(5,258人、+10.2%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は902件(739件、+22.1%)、検挙人員は738人(587人、+25.7%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は2,368件(2,254件、+5.1%)、検挙人員は1,874人(1,878人、▲0.2%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は342件(377件、▲9.3%)、検挙人員は103人(125人、▲17.6%)、不正競争防止法違反の検挙件数は40件(42件、▲4.8%)、検挙人員は48人(53人、▲9.4%)、銃刀法違反の検挙件数は3,588件(3,676件、▲2.4%)、検挙人員は3,015人(3,248人、▲7.2%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は922件(716件、+28.8%)、検挙人員は552人(423人、+30.5%)、大麻取締法違反の検挙件数は5,268件(4,517件、+16.6%)、検挙人員は4,316人(3,566人、+21.4%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は5,563件(6,253件、▲11.0%)、検挙人員は3,881人(4,292人、▲9.6%)
- 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数467人(404人、+15.6%)、ベトナム148人(115人、+28.7%)、中国57人(67人、▲14.9%)、ブラジル29人(30人、▲3.3%)、スリランカ24人(30人、▲20.0%)、韓国・朝鮮21人(15人、+40.0%)、フィリピン20人(14人、+42.9%)、インド13人(9人、+44.4%)
- 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は6,461件(7,792件、▲17.1%)、検挙人員総数は4,129人(4,349人、▲5.1%)
- 暴行の検挙件数は414件(457件、▲9.4%)、検挙人員は382人(442人、▲13.6%)、傷害の検挙件数は700件(767件、▲8.7%)、検挙人員は795人(837人、▲5.0%)、脅迫の検挙件数は234件(275件、▲2.4%)、検挙人員は217人(263人、▲17.5%)、恐喝の検挙件数は249件(255件、▲2.4%)、検挙人員は320人(314人、+1.9%)、窃盗の検挙件数は2,803件(3,657件、▲23.4%)、検挙人員は568人(593人、▲4.2%)、詐欺の検挙件数は1,128件(1,293件、▲12.8%)、検挙人員は923人(981人、▲5.9%)、賭博の検挙件数は18件(40件、▲55.0%)、検挙人員は67人(102人、▲34.3%)
- 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は3,375件(4,115件、▲18.0%)、検挙人員は2,336人(2,783人、▲16.1%)
- 入管法違反の検挙件数は16件(15件、+6.7%)、検挙人員は13人(21人、▲38.1%)、軽犯罪法違反の検挙件数は49件(53件、▲7.5%)、検挙人員は39人(49人、▲20.4%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は48件(73件、▲34.2%)、検挙人員は47人(64人、▲26.6%)、暴力団不当行為防止法違反の検挙件数は6件(3件、+100.0%)、検挙人員は4人(3人、+33.3%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は14件(17件、▲17.6%)、検挙人員は29人(36人、▲17.6%)、19.4%)、銃刀法違反の検挙件数は67件(74件、▲9.5%)、検挙人員は46人(45人、+2.2%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は148件(137件、+8.0%)、検挙人員は69人(54人、+27.8%)、大麻取締法違反の検挙件数は701件(738件、▲5.0%)、検挙人員は463人(425人、+8.9%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は1,917件(2,431件、▲21.1%)、検挙人員は1,289人(1,614人、▲20.1%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は78件(105件、▲25.7%)、検挙人員は37人(59人、▲37.3%)
警察庁 犯罪統計資料(令和5年1~8月分)
- 令和5年1月~8月における刑法犯総数について、認知件数は456,942件(前年同期379,725件、前年同期比+20.2%)、検挙件数は169,270件(159,574件、+6.1%)、検挙率は37.1%(42.0%、▲4.9P)
- 凶悪犯の認知件数は3,540件(2,852件、*24.1%)、検挙件数は2,901件(2,457件、+6.1%)、検挙率は81.9%(86.2%、▲4.9P)、粗暴犯の認知件数は39,039件(34,129件、+14.4%)、検挙件数は30.996件(27,989件、+10.7%)、検挙率は79.4%(82.0%、▲2.6P)
- 窃盗犯の認知件数は33,872件(256,957件、+22.1%)、検挙件数は98,494件(95,078件、+3.6%)、検挙率31.4%(37.0%、▲5.6P)
- 万引きの認知件数は61,499件(55,453件、+10.8%)、検挙件数は40,553件(38,403件、+5.9%)、検挙率は66.1%(69.3%、▲3.2P)
- 知能犯の認知件数は31,381件(24,512件、+28.0%)、検挙件数は12,300件(11,648件、+5.6%)、検挙率は39.2%(47.5%、▲8.3P)
- 詐欺の認知件数は28,902件(22,406件、+29.0%)、検挙件数は10,530件(9,897件、+6.4%)、検挙率は36.4%(44.2%、▲7.8P)
- 特別法犯総数について、検挙件数は44,854件(43,292件、+3.6%)、検挙人員は36,813人(35,471人、+3.8%)
- 入管法違反の検挙件数は3,844件(2,657件、+44.7%)、検挙人員は2,701人(1,967人、+37.3%)、軽犯罪法違反の検挙件数は5,028件(5,055件、▲0.5%)、検挙人員は2,701人(1,967人、+37.9%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は6774件(6,025件、+12.4%)、検挙人員は5,290件(4,582件、+14.1%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は793件(670件、+18.4%)、検挙人員は651人(531人、+22.6%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は2,093件(2,015件、+3.9%)、検挙人員は1,650人(1,677人、▲1.6%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は300件(312件、▲2.6%)、検挙人員は79人(111人、▲28.9%)、不正競争防止法違反の検挙件数は34件(36件、▲5.6%)、検挙人員は40人(42人、▲4.8%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は791件(638件、+24.0%)、検挙人員は476人(375人、+26.9%)、大麻取締法違反の検挙件数は4,635件(4,032件、+15.0%)、検挙人員は3,928人(3,174人、+20.6%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は4,900人(5,706件、▲14.1%)、検挙人員は3,420人(3,904人、▲12.4%)
- 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、刑法犯総数における検挙件数は5,862件(6,818件、▲14.0%)、検挙人員は3,681人(3,894人、▲5.5%)
- 強盗の検挙件数は59件(58件、+1.7%)、検挙人員は151人(73人、+106.8%)、暴行の検挙件数は360件(406件、▲11.8%)、検挙人員は336人(395人、▲14.9%)、傷害の検挙件数は628件(679件、▲7.4%)、検挙人員は716人(749人、▲4.4%)、脅迫の検挙件数は209件(240件、▲12.9%)、検挙人員は191人(233人、▲18.0%)、恐喝の検挙件数は229件(222件、+9.2%)、検挙人員は289人(269人、+7.4%)、窃盗の検挙件数は2,596件(3,142件、▲17.4%)、検挙人員は497人(528人、▲5.9%)、詐欺の検挙件数は1,029件(1,149件、▲10.4%)、検挙人員は826人(881人、▲6.2%)、賭博の検挙件数は16件(39件、▲59.0%)、検挙人員は66人(100人、▲34.0%)
- 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、特別法犯総数における検挙件数は2,960件(3,688件、▲19.7%)、検挙人員は2,060人(2,492人、▲17.3%)
- 入管法違反の検挙件数は14件(11件、+27.3%)、検挙人員は12人(15人、▲20.0%)、軽犯罪法違反の検挙件数は46件(45件、+2.2%)、検挙人員は36院(41人、▲12.2%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は41件(66件、▲37.9%)、検挙人員は40人(59人、▲32.2%)、暴力団員不当行為防止法違反の検挙件数は5件(3件、+66.7%)、検挙人員は1人(3人、▲66.7%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は13件(17件、▲23.5%)、検挙人員は26人(36人、▲27.8%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は136件(124件、+9.7%)、検挙人員は64人(49人、+30.6%)、大麻取締法違反の検挙件数は623件(650件、▲4.2%)、検挙人員は422人(374人、▲+12.8%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は1,665件(2,195件、▲24.1%)、検挙人員は1,119人(1,450人、▲22.8%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は74件(96件、▲22.9%)、検挙人員は36人(56人、▲35.7%)
警察庁 令和5年8月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
- 令和5年1月~8月の特殊詐欺全体の認知件数は12,555件(前年同期10,539件、前年同期比+19.1%)、被害総額は264.3憶円(216.2憶円、+22.2%)、検挙件数は4,556件(4,022件、13.3%)、検挙人員は1,487人(1,457人、+2.1%)
- オレオレ詐欺の認知件数は2,713件(2,443件、+11.1%)、被害総額は80.1憶円(72.7憶円、+10.2%)、検挙件数は1,425件(1,066件、+33.7%)、検挙人員は618人(581人、+6.4%)
- 預貯金詐欺の認知件数は1,833件(1,424件、+28.7%)、被害総額は23.1憶円(17.2憶円、+34.3%)、検挙件数は1,033件(860件、+20.1%)、検挙人員は330人(328人、+0.6%)
- 架空料金請求詐欺の認知件数は3,391件(1,698件、+99.7%)、被害総額は89.4憶円(58.7憶円、+52.3%)、検挙件数は193件(119件、+62.2%)、検挙人員は71人(80人、▲11.3%)
- 還付金詐欺の認知件数は2,703件(2,817件、▲4.0%)、被害総額は31.1憶円(32.8憶円、▲5.2%)、検挙件数は644件(562件、+14.6%)、検挙人員は118人(97人、+21.6%)
- 融資保証金詐欺の認知件数は121件(95件、+27.4%)、被害総額は1.8憶円(1.7憶円、+6.3%)、検挙件数は17件(24件、▲29.2%)、検挙人員は10人(22人、▲54.5%)
- 金融商品詐欺の認知件数は137件(16件、+756.3%)、被害総額は16.3憶円(1.4憶円、+1069.8%)、検挙件数は15件(5件、200.0%)、検挙人員は22人(10人、+120.0%)
- ギャンブル詐欺の認知件数は14件(32件、▲56.3%)、被害総額は0.4憶円(2.2憶円、▲82.2%)、検挙件数は0件(11件)、検挙人員は0人(8人)
- キャッシュカード詐欺盗の認知件数は1,544件(2,004件、▲23.0%)、被害総額は19.9憶円(29.1憶円、▲31.6%)、検挙件数は1,214件(1,375件、▲11.7%)、検挙人員は299人(329人、▲9.1%)
- 組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は191件(62件、+208.1%)、検挙人員は65人(11人、+490.9%)
- 口座開設詐欺の検挙件数は457件(466件、▲1.9%)、検挙人員は259人(253人、+2.4%)、盗品等譲受け等の検挙件数は2件(0件)、検挙人員は1人(0人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,782件(1,871件、▲4.8%)、検挙人員は1,396人(1,502人、▲7.1%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は79件(64件、+23.4%)、検挙人員は83人(65人、+27.7%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は13件(7件、85.7%)、検挙人員は11人(4人、+175.0%)
- 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では、男性(31.1%):女性(68.7%)、60歳以上88.0%、70歳以上68.7%、オレオレ詐欺では、男性(20.2%):女性(79.8%)、60歳以上97.0%、70歳以上94.9%、融資保証金詐欺では、男性(77.3%):女性(22.7%)、60歳以上17.3%、70歳以上4.5%、特殊詐欺被害者全体に占める高齢被害者(65歳以上)の割合は、特殊詐欺全体 80.3%(男性28.0%、女性72.0%)、オレオレ詐欺 96.4%(19.9%、80.1%)、預貯金詐欺 99.2%(8.5%、91.5%)、架空料金請求詐欺 56.9%(62.5%、37.5%)、還付金詐欺 77.5%(33.7%、66.3%)、融資保証金詐欺 7.3%(75.0%、25.0%)、金融商品詐欺 32.8%(44.4%、55.6%)、ギャンブル詐欺 28.6%(75.0%、25.0%)、交際あっせん詐欺 12.5%(100.0%、0.0%)、その他の特殊詐欺 31.4%(48.1%、51.9%)、キャッシュカード詐欺盗 99.1%(12.4%、87.6%)
警察庁 中国を背景とするサイバー攻撃グループBlackTechによるサイバー攻撃について
▼中国を背景とするサイバー攻撃グループBlackTechによるサイバー攻撃について(注意喚起)
- 警察庁及び内閣サイバーセキュリティセンターは、米国家安全保障局(NSA)、米連邦捜査局(FBI)及び米国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラ庁(CISA)とともに、下記の中国を背景とするサイバー攻撃グループ「BlackTech」(ブラックテック)によるサイバー攻撃に関する合同の注意喚起を発出しました。
- BlackTechは、2010年頃から日本を含む東アジアと米国の政府、産業、技術、メディア、エレクトロニクス及び電気通信分野を標的とし、情報窃取を目的としたサイバー攻撃を行っていることが確認されています。
- この注意喚起は、BlackTechによるサイバー攻撃の手口を公表することで、標的となる組織や事業者に、直面するサイバー空間の脅威を認識いただくとともに、サイバー攻撃の被害拡大を防止するための適切なセキュリティ対策を講じていただくことを目的としております。あわせて、ネットワークの不審な通信を検知した際には、速やかに所管省庁、警察、セキュリティ関係機関等に情報提供いただきますようお願いします。
- なお、注意喚起に示したBlackTechの手口及び対処例の主な内容は、以下のとおりとなります。
- 初期侵入
- BlackTechは、インターネットに接続されたネットワーク機器に対し、ソフトウェアの脆弱性を狙うほか、ネットワークの設定の不十分さ、サポートの切れた機器・ソフトウェアなど、標的ネットワークの様々な脆弱な点をサイバー攻撃することにより侵入します。
- 海外子会社からの侵入
- BlackTechは、最初の足がかりとなる侵害拠点を構築すると、侵害活動を拡大させるため、海外子会社の拠点において、本社との接続のために使用される小型のルーターを、攻撃者の通信を中継するインフラとして利用します。このようにBlackTechは、信頼された内部のルーターを通じて、本社や別の拠点のネットワークへ侵入を拡大することが確認されています。
- 特に複数の拠点を有するネットワークの管理に携わる事業者においては、サイバー攻撃が常にインターネット側から行われるとは限らず、既に侵害された組織内部のネットワークから攻撃が行われ得ることを念頭に置いていただき、自組織だけでなく関連するグループ組織、システムの開発・保守業者等と連携して対策を講ずることが必要です。
- ルーターの侵害手口
- BlackTechは、様々なメーカーのネットワーク機器を侵害するために脆弱性を調査していると考えられます。BlackTechは、稼働中のシスコ社製ルーターのファームウェアを、改変されたファームウェアに取替えることが確認されています。改変されたファームウェアに取替えることにより、BlackTech自身の悪意あるサイバー活動のログを隠蔽し、より長期にわたり、標的ネットワークへのアクセスを維持することが目的と考えられます。
- 初期侵入
- リスク低減のための対処例
- 対処例の主な内容は、次のとおりです。注意喚起本文もあわせて参照の上、サイバー攻撃を検知し、自組織のネットワークを守るための緩和策を講じていただくようお願いします。
- セキュリティパッチ管理の適切な実施
- ソフトウェアや機器の脆弱性に対して、迅速にセキュリティパッチを適用する。パッチ適用を可能な限り迅速化し、適用漏れをなくすため、脆弱性管理やパッチ管理を行うプログラムの導入を検討する。
- 端末の保護(いわゆるエンドポイント・プロテクション等)
- 端末(PC、タブレット端末、スマートフォン等)のセキュリティ機能の活用や、セキュリティ対策ソフトの導入を行う。
- ソフトウェア等の適切な管理・運用、ネットワーク・セグメンテーション
- ソフトウェア及び機器のリストを管理し、不要と判断するものは排除する。また役割等に基づいてネットワークを分割する。
- 本人認証の強化、多要素認証の実装
- パスワードスプレー攻撃やブルートフォース攻撃によって認証が破られるリスクを低減するために、パスワードは十分に長く複雑なものを設定する。また、複数の機器やサービスで使い回さない。システム管理者等においては、多要素認証を導入し本人認証をより強化する。
- また、不正アクセスを早期に検知できるようにするために、ログイン試行を監視する。
- アカウント等の権限の適切な管理・運用
- アカウントやサービスの権限は、そのアカウント等を必要とする業務担当者にのみ付与する。特権アカウント等の管理・運用には特に留意する。
- 侵害の継続的な監視
- ネットワーク内で不審な活動が行われていないか継続的に監視を行う。たとえば、業務担当者以外がシステムやネットワークの構成に関する資料へアクセスするといった通常の行動から外れた活動や、外部の様々な脅威情報と一致するような不審な活動の監視を行う。
- インシデント対応計画、システム復旧計画の作成等
- インシデント発生時に迅速な対応をとることができるように、インシデント対応の手順や関係各所との連絡方法等を記した対応計画を予め作成し、随時見直しや演習を行う。また包括的な事業継続計画の一部としてシステム復旧計画の作成等を行う。
- ゼロトラストモデルに基づく対策
- 境界防御の効果が期待できない場合を踏まえた認証等の強化を図るとともに、インシデントの予兆を把握した段階で即時に検知と対処ができるような仕組みや体制を整備する。
- セキュリティパッチ管理の適切な実施
- 対処例の主な内容は、次のとおりです。注意喚起本文もあわせて参照の上、サイバー攻撃を検知し、自組織のネットワークを守るための緩和策を講じていただくようお願いします。
【2023年9月】
警察庁 サイバー空間をめぐる脅威の情勢等
▼令和5年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
- 令和5年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威については、ランサムウェア被害が依然として高水準で推移するとともに、フィッシング被害等に伴うクレジットカード不正利用被害やインターネットバンキングに係る不正送金被害も急増しているほか、インターネット上では児童ポルノや規制薬物の広告等の違法情報や、自殺サイトや爆発物・銃砲等の製造方法、殺人や強盗の請負等の有害情報が氾濫するなど、極めて深刻な情勢が続いている。
- 企業・団体等を対象とした不正アクセス等
- 大手システム事業者、電子部品関連企業等に対する不正アクセスが確認されたほか、特定の事業者等に対する標的型メール攻撃が確認された。
- DDoS攻撃による被害とみられるウェブサイトの閲覧障害
- DDoS攻撃による被害とみられるウェブサイトの閲覧障害が複数発生し、一部の事案については、障害発生と同じ頃、SNS上でハクティビストや親ロシア派ハッカー集団からの犯行をほのめかす投稿が確認された。
- フィッシングの報告件数の増加
- 令和5年上半期におけるフィッシングの報告件数は、フィッシング対策協議会によれば右肩上がりで増加しており(前年同期比で17.9%増加)、クレジットカード事業者等を装ったものが多くを占めた。
- クレジットカード不正利用被害額の増加
- 一般社団法人日本クレジット協会によれば、令和4年のクレジットカード不正利用被害額は436.7億円であり、統計を取り始めた平成9年以降、過去最悪となった。また、令和5年第1四半期におけるクレジットカード不正利用被害額は、121.4億円で前年同期と比較して増加している(21.3%増加)。
- インターネットバンキングに係る不正送金事犯による被害の急増
- 令和5年上半期におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯による被害は、発生件数が2,322件(令和4年の年間発生件数と比較して104.4%増加)であり、年間の被害件数と比較しても過去最多となり、被害総額も約29億9,600万円(令和4年の年間被害総額と比較して97.2%増加)であり、年間の被害額と比較しても過去最多に迫る状況にある。
- ランサムウェア被害の情勢等
- 令和5年上半期におけるランサムウェアによる被害件数は103件(前年同期比で9.6%減少)であり、引き続き高い水準で推移している。手口としては、データの暗号化のみならず、データを窃取した上、企業・団体等に対し「対価を支払わなければ当該データを公開する」などと対価を要求する二重恐喝(ダブルエクストーション)が多くを占める。
- ランサムウェアによる被害のほか、データを暗号化する(ランサムウェアを用いる)ことなくデータを窃取し対価を要求する手口(「ノーウェアランサム」)による被害が、新たに6件確認された。
- サイバー事案の被害の潜在化防止
- サイバー事案の被害については、社会的評価の悪化の懸念等から警察への通報・相談がためらわれる傾向にあり、いわゆる「被害の潜在化」が課題となっているところ、各界の有識者からなる「サイバー事案の被害の潜在化防止に向けた検討会」を開催し、被害の潜在化防止に関する今後の方策等について報告書を取りまとめ、令和5年4月に公表した。
- 医療機関等との連携強化
- 医療機関におけるランサムウェア等のサイバー事案に係る被害の未然防止、事案発生時における警察への迅速な通報・相談を促進するため、令和5年4月、公益社団法人日本医師会と覚書を締結した。また、令和5年5月、四病院団体協議会*2及び各国公私立大学病院に対してサイバー事案に係る連携強化に関する依頼を行った。
- サイバー空間におけるぜい弱性探索行為等の観測状況
- 警察庁が検知したサイバー空間におけるぜい弱性探索行為等とみられるアクセス件数は、1日・1IPアドレス当たり8,219.0件(前年同期比で5.4%増加)と、増加の一途をたどっており、海外を送信元とするアクセスが大部分を占めている。
- インターネット上の違法・有害情報の実態等
- インターネット上において、違法情報や、爆発物・銃砲等の製造方法等の重要犯罪密接関連情報*3が容易に入手できる状況にある。
- サイバー事案の検挙件数
- 令和5年上半期におけるサイバー事案の検挙件数は、1,181件であった。
- 不正アクセス禁止法違反*6の検挙件数及び特徴
- 令和5年上半期における不正アクセス禁止法違反の検挙件数は、188件(前年同期比で19.3%減少)であり、そのうち157件が識別符号窃用型で全体の83.5%を占める。
- コンピュータ・電磁的記録対象犯罪の検挙件数及び特徴
- 令和5年上半期におけるコンピュータ・電磁的記録対象犯罪の検挙件数は、403件(前年同期比で15.8%増加)であり、そのうち380件が電子計算機使用詐欺で全体の94.3%を占める。
- フィッシングの状況
- フィッシングとは、実在する企業・団体等や官公庁を装うなどしたメール又はショートメッセージサービス(以下「SMS」という。)を送り、その企業等のウェブサイトに見せかけて作成した偽のウェブサイト(フィッシングサイト)を受信者が閲覧するよう誘導し、当該フィッシングサイトでアカウント情報やクレジットカード番号等を不正に入手する手口であり、インターネットバンキングに係る不正送金やクレジットカードの不正利用に使われている。
- 令和5年上半期のフィッシング報告件数は、フィッシング対策協議会によれば、53万804件(前年同期比で8万722件増加)で、右肩上がりで増加となった。また、フィッシングでかたられた企業等は、クレジットカード事業者、EC事業者を装ったものが多くを占めた。
- インターネットバンキングに係る不正送金事犯におけるフィッシングの実態
- 令和5年上半期におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯による被害は、2月以降被害が多発しており、発生件数は過去最多の2,322件、被害総額は約29億9,600万円である。
- また、被害者の大部分は個人であり(96.8%)、そのうち40代から60代の被害者が約7割を占めている。
- さらに、フィッシングの内訳を見ると、電子メールによる誘導が61%、SMSによる誘導が12%である。
- クレジットカード不正利用の情勢
- キャッシュレス決済等の普及に伴い、クレジットカード決済市場の規模が増加する一方、クレジットカード不正利用被害も多く発生している。一般社団法人日本クレジット協会(以下「日本クレジット協会」という。)で実施している国内発行クレジットカードの不正利用被害の実態調査によると、クレジットカード不正利用被害額は平成25年以降増加傾向にあり、令和4年の被害額については、436.7億円で統計を取り始めた平成9年以降、過去最悪となった。令和5年第1四半期(令和5年1月~同年3月)の被害額は121.4億円であり、前年同期比(令和4年第1四半期(令和4年1月~同年3月))では21.3%増加しており、厳しい情勢にある。
- SIMスワップ対策
- SIMスワップによる不正送金事案が増加していた状況を踏まえ、令和4年9月、総務省と連携し、携帯電話事業者に対して、携帯電話機販売店における本人確認の強化を要請し、令和5年2月までに、大手携帯電話事業者において同要請への対応を完了した。その結果、令和5年上半期におけるSIMスワップによる不正送金の被害が激減した。
- クレジットカード番号等の盗用防止対策
- クレジットカード不正利用被害の大部分が、クレジットカードの番号盗用によるものであり、フィッシング等によりクレジットカード番号等を窃取し、利用権者になりすます手口が主要な要因となっている。こうした情勢を踏まえ、クレジットカード番号等の不正利用の原因となるフィッシング被害が増加していることから、警察庁、経済産業省及び総務省は、令和5年2月、日本クレジット協会に対し、送信ドメイン認証技術(DMARC)の導入をはじめとするフィッシング対策の強化を要請した。
- 外国捜査機関と連携したフィッシング事犯の検挙
- サイバー特別捜査隊及び大阪府警察は、インドネシア国家警察と連携し、フィッシングツール「16SHOP」を用いて不正に入手したクレジットカード番号等を使用して通販サイトの商品を窃取するなどしたインドネシア在住の同国人被疑者を特定し、令和5年7月9日に同国国家警察が同被疑者を逮捕した。本件は、日本警察の捜査がフィッシング事犯に関する国外被疑者の検挙に結びついた初めての事案となった。
- ランサムウェア被害の情勢等
- ランサムウェアとは、感染すると端末等に保存されているデータを暗号化して使用できない状態にした上で、そのデータを復号する対価(金銭又は暗号資産)を要求する不正プログラムである。
- 手口としては、データの暗号化のみならず、データを窃取した上、企業・団体等に対し「対価を支払わなければ当該データを公開する」などと対価を要求する二重恐喝(ダブルエクストーション)が多くを占める。
- 感染経路は、令和4年に引き続き、ぜい弱性を有するVPN機器等や強度の弱い認証情報等が設定されたリモートデスクトップサービスが多くを占めた。
- 被害件数
- 企業・団体等におけるランサムウェア被害として、令和5年上半期に都道府県警察から警察庁に報告のあった件数は103件であり、令和4年上半期以降、高い水準で推移している。
- 特徴
- 二重恐喝(ダブルエクストーション)による被害が多くを占める
- 被害(103件)のうち、手口を確認できたものは83件あり、このうち、二重恐喝の手口によるものは65件で78%を占めた。
- 「ノーウェアランサム」による被害
- ランサムウェアによる被害のほか、最近の事例では、企業・団体等のネットワークに侵入し、データを暗号化する(ランサムウェアを用いる)ことなくデータを窃取した上で、企業・団体等に対価を要求する手口(「ノーウェアランサム」)による被害が、新たに6件確認された。
- 暗号資産による対価の要求が多くを占める
- 被害(103件)のうち、直接的な対価の要求を確認できたものは22件あり、このうち、暗号資産による支払いの要求があったものは21件で95%を占めた
- 二重恐喝(ダブルエクストーション)による被害が多くを占める
- 被害企業・団体等の規模
- 被害(103件)の内訳を企業・団体等の規模別*12に見ると、大企業は30件、中小企業は60件であり、その規模を問わず、被害が発生した。また、業種別*13に見ると、製造業は34件、サービス業は16件、卸売・小売業は15件であり、その業種を問わず、被害が発生した。
- 感染経路
- ランサムウェアの感染経路について質問したところ、49件の有効な回答があり、このうち、VPN機器からの侵入が35件で71%、リモートデスクトップからの侵入が5件で10%を占め、テレワーク等に利用される機器等のぜい弱性や強度の弱い認証情報等を利用して侵入したと考えられるものが82%と大半を占めた。
- 復旧等に要した期間・費用
- 復旧に要した期間について質問したところ、60件の有効な回答があり、このうち、復旧までに1か月以上を要したものが10件あった。
- また、ランサムウェア被害に関連して要した調査・復旧費用の総額について質問したところ、53件の有効な回答があり、このうち、1,000万円以上の費用を要したものが16件で30%を占めた。
- バックアップの取得・活用状況
- 被害に遭ったシステム又は機器のバックアップの取得状況について質問したところ、62件の有効な回答があり、このうち、取得していたものが57件で92%を占めた。また、取得していたバックアップから復元を試みた57件の回答のうち、バックアップから被害直前の水準まで復旧できなかったものは45件で79%であった。
- ランサムウェアと関連するリークサイトの状況
- 令和5年上半期においても、ランサムウェアによって流出した情報等が掲載されているダークウェブ上のリークサイトに、国内の事業者等の情報が掲載されていたことを確認した。掲載された情報には、製品に関する情報や顧客の個人情報等が含まれていた。
- サイバー特別捜査隊によるランサムウェア事案の実態解明等
- サイバー特別捜査隊では、ランサムウェアが用いられた事案の捜査及び実態解明を推進している。ランサムウェアには様々な種類があるが、ランサムウェアの開発・運営を行う者(Operator)が、攻撃の実行者(Affiliate)にランサムウェア等を提供し、その見返りとして身代金の一部を受け取る態様(RaaS:Ransomware as a Service)のものが確認された。また、ランサムウェアの標的となる企業等のネットワークに侵入するための認証情報等を売買する者(IAB:Initial Access Broker)も存在する。このため、攻撃の実行者が必ずしも技術的な専門知識を有している必要はなく、同種のランサムウェアが用いられた事案であっても攻撃の実行者が異なる場合や、異なる種類のランサムウェアが用いられた事案であっても攻撃の実行者が同じである場合がある。
- さらに、サイバー特別捜査隊の捜査により、ランサムウェアが用いられた複数の事案において、(1)侵入時、(2)侵入後、(3)攻撃実行時の各段階で共通してみられる攻撃者の手口についても明らかとなってきた。(1)~(3)のいずれかの段階で攻撃者の行動を止めることができれば被害は発生しないため、各段階において適切なセキュリティ対策を講じることで、ランサムウェアによる被害を未然に防止・軽減することができる
- 海外を送信元とするアクセスが高水準で推移
- 検知したアクセスの送信元の国・地域に着目すると、海外の送信元が高い割合を占めている。令和5年上半期においても、国内を送信元とするアクセスが1日・1IPアドレス当たり54.8件であるのに対して、海外を送信元とするアクセスが8,164.2件と、検知したアクセスの大部分を占めており、海外からの脅威への対処が引き続き重要となっている。
- IoT機器を対象としたぜい弱性探索行為等
- 検知したアクセスの宛先ポートに着目すると、ポート番号1024以上のポートへのアクセスが多数を占めており、全体のアクセス件数が増加する要因となっている。
- IoT機器では標準設定として1024番以上のポート番号を使用しているものが多いことから、ポート番号1024以上のポートへのアクセスの多くが、ぜい弱性を有するIoT機器の探索やIoT機器に対するサイバー攻撃を目的とするためのものであるとみられる。
- IoT機器に対する不正プログラムの感染拡大を狙ったと思われるアクセスの観測
- 令和5年上半期において、国内を送信元とするMiraiボットの特徴を有するアクセスを宛先ポート別に見ると、5月中旬頃から宛先ポート52869/TCPに対するアクセスが増加していた。
- このポートは、過去にMiraiの亜種が、家庭用ルーターやIPカメラ等のIoT機器に存在するぜい弱性を悪用して感染拡大を行う際に狙われたポートであることから、今回増加が観測されたアクセスについても、IoT機器に対して、Mirai等の不正プログラムの感染拡大を狙ったものであると考えられる。
- IoT機器を利用する際は、適切なアクセス制御、初期設定のユーザ名及びパスワードの変更、セキュリティパッチの適用、サポートが終了した機器の更新等の対策を継続的に実施する必要がある。
- VPN機器等のぜい弱性を狙ったと思われるアクセスの観測
- 令和5年上半期において、ぜい弱性を有するVPN機器等を探索する目的と思われる複数種類のアクセスが断続的に観測された。
- VPN機器等のぜい弱性を悪用されてネットワークに侵入された場合は、情報を窃取される、ランサムウェアの感染によりデータを暗号化されるなどの被害に遭う可能性がある。
- 観測されたアクセスは、ぜい弱性公開後からごく短時間のみ観測されたものがある一方で、継続的に観測されたものもあった。
- VPN機器等については、適切なアクセス制御やセキュリティパッチの適用等の対策を継続的に実施する必要がある。
- また、セキュリティパッチ適用前にぜい弱性が悪用されてIDやパスワードが漏えいしている可能性も考慮し、パスワードの変更等を検討することも重要である
- 令和5年上半期における違法情報の対処状況
- 令和5年上半期におけるIHCの通報受理件数は192,591件であり、運用ガイドラインに基づいて192,654件を分析した結果、違法情報を13,875件、重要犯罪密接関連情報を172件、自殺誘引等情報を3,686件と判断した。違法情報と判断した通報のうち、通報前に削除された82件を除く1,584件を警察に通報し、削除依頼を行う前に削除されたもの等を除く1,106件についてサイト管理者等に対して削除依頼を行い、そのうち924件(83.5%)が削除された。
- 犯罪実行者募集情報対策の推進
- 近年、インターネット上において、犯罪実行者募集情報が氾濫している状況を踏まえ、警察庁では、令和5年2月、都道府県警察に対し、これらの投稿に関する情報収集を強化し、取締りや削除依頼、警告につなげるよう指示した。
- また、令和5年3月、犯罪対策閣僚会議において、「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」が決定し、IHC及びCPCの効果的な運用により、犯罪実行者募集情報の排除に向けた更なる取組の推進等が示された。これを踏まえ、令和5年9月、IHC及びCPCの取扱情報の範囲に犯罪実行者募集情報を追加するとともに、同月、情報収集の体制強化・高度化を図るため、CPCにおいてAIシステムを導入し、犯罪実行者募集情報を含む重要犯罪密接関連情報や自殺誘引等情報に関するサイバーパトロールの高度化を図る予定である。
- サイバー特別捜査隊によるランサムウェア事案の実態解明等
- サイバー特別捜査隊では、ランサムウェアが用いられた事案の捜査及び実態解明を推進している。ランサムウェアには様々な種類があるが、ランサムウェアの開発・運営を行う者(Operator)が、攻撃の実行者(Affiliate)にランサムウェア等を提供し、その見返りとして身代金の一部を受け取る態様(RaaS:Ransomware as a Service)のものが確認された。また、ランサムウェアの標的となる企業等のネットワークに侵入するための認証情報等を売買する者(IAB:Initial Access Broker)も存在する。このため、攻撃の実行者が必ずしも技術的な専門知識を有している必要はなく、同種のランサムウェアが用いられた事案であっても攻撃の実行者が異なる場合や、異なる種類のランサムウェアが用いられた事案であっても攻撃の実行者が同じである場合がある。
- さらに、サイバー特別捜査隊の捜査により、ランサムウェアが用いられた複数の事案において、(1)侵入時、(2)侵入後、(3)攻撃実行時の各段階で共通してみられる攻撃者の手口についても明らかとなってきた。(1)~(3)のいずれかの段階で攻撃者の行動を止めることができれば被害は発生しないため、各段階において適切なセキュリティ対策を講じることで、ランサムウェアによる被害を未然に防止・軽減することができる。
- 外国捜査機関との連携
- 米国でのランサムウェア事案について、サイバー特別捜査隊等の捜査において得られた情報をFBIに提供するなどの協力を行ったところ、令和5年5月、米国司法省から被疑者の一人を起訴した旨の発表があり、捜査に当たって日本警察の支援が有益であったとの言及があった。
- 外国捜査機関と連携したフィッシング事犯の検挙
- 警察庁では外国捜査機関等との連携を推進しており、クレジットカード情報等を窃取するフィッシングサイトの作成ツールである「16SHOP」を利用した犯罪の被害拡大に対処するため、サイバー特別捜査隊及び大阪府警察が「キングフィッシャー作戦」と呼称される作戦にインドネシア国家警察等と連携して従事してきた。
- インドネシア国家警察に対して必要な協力を行ってきたところ、国内居住共犯者と共謀の上、上記フィッシングツールを用いて不正に入手したクレジットカード番号等を使用して通販サイトの商品を窃取するなどしたインドネシア在住同国人被疑者を、令和5年7月9日に同国国家警察が逮捕した。
- 本件は、サイバー特別捜査隊と都道府県警察が初めて警察庁長官の態勢の指示に基づく合同捜査を行った事例であり、また、日本警察の捜査がフィッシング事犯に関する国外被疑者の検挙に結びついた初めての事案である
- サイバー事案の検挙状況
- 令和5年上半期のサイバー事案の検挙件数は、1,181件であった。
- 令和5年上半期における不正アクセス禁止法違反の検挙件数は、188件と前年同期と比べて45件減少した。
- 検挙件数のうち、157件が識別符号窃用型で全体の83.5%を占めた。
- 「利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んで入手」が最多
- 識別符号窃用型の不正アクセス行為に係る手口では、「利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んで入手」が61件と最も多く、全体の38.9%を占めており、次いで「他人から入手」が28件で全体の17.8%を占めた。
- 被疑者が不正に利用したサービスは「オンラインゲーム・コミュニティサイト」が最多
- 識別符号窃用型の不正アクセス行為に係る被疑者が不正に利用したサービスは、「オンラインゲーム・コミュニティサイト」が75件と最も多く、全体の47.8%を占めており、次いで「インターネットバンキング」が21件で全体の13.4%を占めた。
- 令和5年上半期におけるコンピュータ・電磁的記録対象犯罪の検挙件数は403件で、前年同期と比べて55件増加した。
- 検挙件数のうち、電子計算機使用詐欺が380件と最も多く、全体の94.3%を占めた
警察庁 令和5年7月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
- 令和5年1月~7月における特殊詐欺全体の認知件数は10,979件(前年同期8,838件、前年同期比+24.2%)、被害総額は228.8憶円(181.2憶円、+26.7%)、検挙件数は3,912件(3,500件、+11.8%)、検挙人員は1,281人(1,252人、+2.3%)
- オレオレ詐欺の認知件数は2,411件(2,018件、+19.5%)、被害総額は69.9憶円(61.0憶円、+14.5%)、検挙件数は1,225件(911件、+34.5%)、検挙人員は539人(483人、+11.6%)
- 預貯金詐欺の認知件数は1,550件(1,219件、+27.2%)、被害総額は19.9憶円(14.9憶円、+33.6%)、検挙件数は843件(760件、+10.9%)、検挙人員は269人(290人、▲7.2%)
- 架空請求詐欺の認知件数は2,929件(1,372件、+113.5%)、被害総額は78.6憶円(47.0憶円、+67.2%)、検挙件数は171件(105件、+62.9%)、検挙人員は59人(70人、▲15.7%)
- 還付金詐欺の認知件数は2,408件(2,404件、+0.2%)、被害総額は27.6憶円(28.4憶円、▲2.8%)、検挙件数は573件(482件、+18.9%)、検挙人員は101人(83人、+21.7%)
- 融資保証金詐欺の認知件数は109件(77件、+41.6%)、被害総額は1.6憶円(1.3憶円、+19.5%)、検挙件数は15件(21件、▲28.6%)、検挙人員は8人(19人、▲57.9%)
- 金融商品詐欺の認知件数は114件(14件、+714.3%)、被害総額は12.0憶円(1.4憶円、+779.4%)、検挙件数は15件(4件、+275.0%)、検挙人員は18人(9人、+100.0%)
- ギャンブル詐欺の認知件数は13件(29件、▲55.2%)、被害総額は0.4憶円(2.2憶円、▲81.9%)、検挙件数は0件(9件)、検挙人員は0人(8人)
- キャッシュカード詐欺盗の認知件数は1,375件(1,699件、▲19.1%)、被害総額は17.2憶円(24.9憶円、▲30.7%)、検挙件数は1,058件(1,699件、▲37.7%)、検挙人員は274人(288人、▲4.9%)
- 組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は145件(50件、+190.0%)、検挙人員は53人(10人、+430.0%)、口座開設詐欺の検挙件数は408件(419件、▲2.6%)、検挙人員は230人(218人、+5.5%)、盗品等譲受け等の検挙件数は2件(0件)、検挙人員は1件(0件)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,534件(1,649件、▲7.0%)、検挙人員は1,202人(1,315人、▲8.6%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は73件(58件、+25.9%)、検挙人員は77人(53人、+45.3%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は13件(6件、+116.7%)、検挙人員は11人(3人、+266.7%)
- 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では男性(31.6%):女性(68.4%)、60歳以上88.2%、70歳以上68.9%、オレオレ詐欺では男性(19.8%):女性(80.2%)、60歳以上97.3%、70歳以上95.1%、融資保証金詐欺では男性(76.0%):女性(24.0%)、60歳以上16.0%、70歳以上4.0%、特殊詐欺被害者全体に占める高齢被害者(65歳以上)の割合について、特殊詐欺 80.9%(男性28.1%、女性71.9%)、オレオレ詐欺 96.7%(19.5%、80.5%)、預貯金詐欺 99.3%(8.9%、91.1%)、架空料金請求詐欺 57.5%(63.3%、36.7%)、還付金詐欺 78.6%(33.9%、66.1%)、融資保証金詐欺 6.0%(66.7%、33.3%)、金融商品詐欺 30.7%(42.9%、57.1%)、ギャンブル詐欺 23.1%(100.0%、0.0%)、交際あっせん詐欺 14.3%(100.0%、0.0%)、その他の特殊詐欺 32.3%(55.0%、45.0%)、キャッシュカード詐欺盗 99.2%(12.2%、87.8%)
警察庁 痴漢・盗撮被害の申告・相談をしやすい環境を整備するための啓発パンフレットの公表について
- 警察では、被害に遭われた方の心の負担の軽減に配慮し、犯人検挙のための捜査を行います。決して泣き寝入りせずに、警察を頼ってください。
- 警察官による現場の確認
- 警察官が被害が発生した現場に出向いて状況を確認し、写真撮影などを行います。被害者のプライバシーの保護などには十分に配慮します。
- あなたのプライバシーを守りながら被害状況を調べます
- 衣服など証拠品の確認
- 被害に遭った時に着ていた衣服や持ち物には、検挙につながる証拠が見つかることがあるため、お借りする場合があります
- 犯人を見つけるために衣服なども調べます
- 警察署での事情聴取
- 可能な限り、被害に遭われた方の希望に応じた性別の警察官がお話をお聞きします。
- あなたが安心して話せる警察官が対応します
- 被害状況の再現見分の実施
- 被害者の方に立ち会っていただきながら、被害当時の状況を再現して捜査を行うことがあります。
- つらいと思ったら、すぐに言ってください。
- つらいときはすぐに警察官にご相談ください
- 警察官による現場の確認
- 痴漢・盗撮は、重大な犯罪です!被害者は全く悪くありません
- 被害に遭われた方へ
- 周りの人に助けを求めてください
- お尻などの身体を触られた、下着等の写真を撮られたなどの被害に遭った際はあなたの安全を確保するため、声を上げる、防犯アプリを活用するなどの方法で、周りの人に助けを求めてください。
- 警察に110番通報、または相談してください
- 安全を確保することができたら、すぐに110番通報してください。また、被害に遭ってから時間が経っていてもかまいませんので、いつでも警察に相談してください。どんな小さなことでもかまいません。
- 周りの人に助けを求めてください
- 被害を目撃された方へ
- 被害者に声をかけてください
- 被害を目撃したら、見て見ぬふりをせずに、「大丈夫ですか?」「警察を呼びましょう」などと、声をかけてあげてください。
- 駅員、警察官などに知らせてください
- 駅員や周りの人に声をかけて協力を求めたり、警察に110番通報をしたりしてください
- 被害者に声をかけてください
- 被害に遭われた方へ
【2023年8月】
警察庁 令和5年警察白書
▼特集 複雑化する社会に適応する警察組織と多彩な人材
- 情報通信技術の発展、サイバー空間の変容と治安課題の変化
- 情報通信技術の著しい発展や、日常生活や経済活動へのサイバー空間の浸透は、社会に様々な便益をもたらす反面、サイバー空間を舞台とした犯罪をはじめ、新たな治安課題を生み、また深刻化させている。
- 1990年代以降急速に発展したインターネット、パソコン、携帯電話等の情報通信技術は、それ以前の固定電話を中心とする通信手段に大きな変化をもたらした。特に、近年、スマートフォンが様々なコンテンツやアプリケーションの利用が可能なモバイル端末として急速に普及し、サイバー空間が日常生活に浸透してきたことにより、新たな治安課題が生じているところである。
- サイバー空間における技術・サービスの犯罪インフラ化
- インターネット上で提供される技術・サービスの利用により匿名でのコミュニケーションや経済取引が可能となる中、これらの技術・サービスは、犯罪の実行を容易にし、あるいは助長するツールとして悪用されており、いわば犯罪のインフラとして利用されるようになっている。
- 例えば、他人の携帯電話番号や認証コードを利用したSMS認証により不正に設定されたアカウントがサイバー事案や特殊詐欺に悪用される実態がみられるなど、インターネット上で提供されるサービスが、規制の間隙を突いて不正に用いられている。
- また、「Tor」等の匿名化技術は、情報統制が行われている海外の国々において、インターネット上での自由な活動と当該活動におけるプライバシーの保護等の目的で利用される一方で、これらの技術が活用されたダークウェブについては、ランサムウェアにより窃取された情報や児童ポルノ画像等が掲載されるなど、犯罪インフラとして悪用されている。
- さらに、SNS上では、犯罪の実行者を募集する投稿(犯罪実行者募集情報)等が発信されている実態がみられる。こうした犯罪実行者募集情報等においては、「高額バイト」等の表現が用いられたり、仕事の内容を明らかにすることなく著しく高額な報酬を示唆したりするなど、犯罪の実行者を募集する投稿であることを直接的な表現で示さないものがみられる。こうした犯罪実行者募集情報等は、青少年等が安易に犯罪に加担する契機となっている。
- サイバー空間における犯罪やテロを助長する情報等の拡散
- 個人の誹謗中傷に類する言説やプライバシーに関わる画像・映像等のほか、企業における秘密情報が、インターネットを通じて急速かつ広範囲に拡散されるようになるなど、情報をめぐる違法行為が治安課題となっている。
- また、インターネット上の情報量が増大する中、爆発物を製造する方法や銃砲を3Dプリンタを用いて製造する設計図等がインターネット上に匿名で投稿され、容易に入手することができるようになるなど、テロ等の準備・実行に利用されるおそれがある情報がインターネット上で流布されている。また、インターネット上における様々な言説等を契機として、特定のテロ組織等と関わりのない個人が過激化するいわゆるローン・オフェンダーの脅威も現実化している。
- サイバー空間を通じた犯罪・テロのグローバル化
- サイバー空間が、全世界において重要な社会経済活動が営まれる公共空間となる中、サイバー空間をめぐる脅威は、グローバル化し、深刻の度を増している。
- 国境を越えて敢行されるサイバー事案・組織犯罪
- ランサムウェアと呼ばれる不正プログラムによる被害は、全世界で深刻化しており、国内においても、サプライチェーン全体の事業活動や地域の医療提供体制に影響を及ぼす事例が確認されるなど、被害が拡大し続けている。
- 令和4年中、ランサムウェアの感染経路については、VPN機器やリモートデスクトップからの侵入が全体の8割以上を占め、テレワーク等に利用される機器等のぜい弱性や強度の弱い認証情報等を利用して侵入されたと考えられるものが大半を占めている。
- また、SNSの普及等により国内外の間の連絡が容易となる中、犯罪者グループの中には、犯罪の実行に当たっての役割分担を細分化させ、そのネットワークを海外にまで広げているものもみられる。こうした犯罪者グループには、指示役と実行役との間の指示・連絡に秘匿性の高い通信手段を用いているものや、国内外の金融機関を利用してマネー・ローンダリングを行うものがあるなど、情報通信技術やサイバー空間を利用しながら国境を越えて犯罪を敢行している。
- 国家を背景に持つサイバー攻撃集団等によるサイバー攻撃
- 近年、我が国の事業者や学術関係者等を標的としたサイバー攻撃が発生しており、これらの中には、国家を背景に持つサイバー攻撃集団によるものがみられる。
- 例えば、北朝鮮当局の下部組織とされるラザルスと呼称されるサイバー攻撃集団が用いる手口と同様のサイバー攻撃が、我が国の暗号資産交換業者に対してなされており、数年来、我が国の関係事業者もこのサイバー攻撃集団によるサイバー攻撃の標的となっていることが強く推察される状況にある。
- また、海外の政府機関や重要インフラ分野の関連企業・施設等に対するサイバー攻撃も後を絶たず、これらの攻撃についても、国家を背景とするサイバー攻撃集団の関与が疑われるものがみられる。我が国においては、令和4年9月、「e-Gov」等の政府機関等が運営する複数のウェブサイトが一時的に閲覧不能となる事案が発生し、時期を同じくして、親ロシアのハッカー集団とされる「Killnet」等が犯行をほのめかす声明を発表したことが確認されている
- サイバー空間における技術・サービスの犯罪インフラ化
- 我が国の治安情勢全般に関する国民の認識
- 犯罪情勢に関する指標の動向
- 我が国における刑法犯認知件数は、官民一体となった総合的な犯罪対策や様々な社会環境の変化を背景に、総数に占める割合が大きい自動車盗、傷害及び暴行等の街頭犯罪及び侵入強盗や侵入窃盗等の侵入犯罪を中心として、平成15年以降大幅に減少している。令和4年の刑法犯認知件数は60万1,331件と、ピーク時の平成14年と比べ約225万件(78.9%)減少している。
- 国民の体感治安の動向
- 内閣府の最新の治安に関する世論調査(注2)によれば、「日本は安全・安心な国だと思う」と回答した者の割合は85.1%(平成16年の調査では42.4%)となっており、国民の体感治安には一定の改善がみられる。一方、「ここ10年で日本の治安は悪くなった」と回答した者の割合は54.5%で、依然として半数以上を占めている。
- また、治安に関連した現在の日本社会に関する認識として、「偽の情報を含め様々な情報がインターネット上で氾濫し、それが容易に手に入るようになった」と回答した者の割合は64.4%、「人と人のつながりが希薄となった」は54.1%、「国民の規範意識が低下した」は33.0%となっている
- 犯罪情勢に関する指標の動向
- 多様な治安課題に対する国民意識の高まり
- 我が国の犯罪情勢は、全体的に改善されてきたものの、1で述べたような社会情勢の変化に伴い、被害が深刻化しているサイバー事案や特殊詐欺等、従来の街頭犯罪や侵入犯罪に重点を置いた犯罪対策では捉えられない事象が生じており、治安課題が多様化している。ここでは、治安に関する世論調査において「自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪等」として高い割合が示されている犯罪等を中心に、その結果も引用しつつ、近年における国民意識の変化に触れる。
- サイバー空間をめぐる脅威に対する国民の不安
- 治安に関する世論調査によれば、自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪等として、不正アクセスやフィッシング詐欺等のサイバー犯罪を挙げた者の割合は52.3%(平成16年は24.2%)となっているほか、自分や身近な人が犯罪に遭うかもしれないと不安になる場所としてインターネット空間を挙げた者の割合は53.9%(平成16年の調査では19.1%)となっている。
- サイバー空間をめぐる脅威は、依然として深刻な情勢にあるところ、社会のデジタル化が進展し、インターネットの利用が日常生活に不可欠なものとなる中で、国民がサイバー空間をめぐる脅威に不安を感じているものとみられる。
- 特殊詐欺をめぐる国民意識
- 治安に関する世論調査によれば、自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪等として、特殊詐欺や悪質商法等の犯罪を挙げた者の割合は52.6%(平成16年は28.4%)となっている。特殊詐欺については、暴力団、匿名・流動型犯罪グループ(注3)が、犯行手口を巧妙化させ、犯行の分業化と匿名化を図った上で、組織的に敢行している実態にある
- 女性や子供に対する犯罪をめぐる国民意識
- 治安に関する世論調査によれば、自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪等として、配偶者からの暴力や児童虐待等の家庭内での犯罪を挙げた者の割合は26.0%(女性は28.8%)、児童ポルノ、児童売春等の子供に対する犯罪を挙げた者の割合は24.4%(女性は26.6%)、痴漢や強制わいせつ等の性犯罪を挙げた者の割合は23.9%(女性は26.1%であり、平成16年は23.2%)となっており、いずれも4分の1程度の割合を占めている。
- 性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を著しく踏みにじる行為であり、その心身に長期にわたり重大な影響をもたらすものであることから、その根絶に向けた取組や被害者支援の強化が求められている。こうした中、「性犯罪・性暴力対策強化のための関係府省会議」において、令和2年6月に「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」が決定され、令和5年3月には、取組の継続・強化を目的とした「性犯罪・性暴力対策の更なる強化の方針」が決定されるなど、政府による取組が推進されているほか、累次の立法措置が講じられた。
- 児童虐待については、児童虐待又はその疑いがあるとして警察から児童相談所に通告した児童数が年々増加しており、令和4年中の通告児童数は過去最多の11万5,762人となっている。さらに、配偶者からの暴力事案等の相談等件数は増加傾向にあり、令和4年は8万4,496件と、配偶者暴力防止法の施行以降で最多となった。
- 重要犯罪をめぐる国民意識
- 治安に関する世論調査によると、自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪等として、殺人、強盗、暴行、傷害等の凶悪・粗暴な犯罪を挙げた者の割合は43.5%(平成16年は、殺人、強盗等の凶悪な犯罪が34.7%、暴行、傷害等の粗暴な犯罪が43.0%)となっている。
- 国民の体感治安に影響するとみられる殺人、強盗、強制性交等の重要犯罪の認知件数は、令和4年は9,535件で、9年ぶりに前年を上回った。また、世論調査後には、一般住宅等において多額の現金や貴金属等が強取される強盗等事件が連続して発生したことなどにより、国民の間で不安が広がっていることが懸念される。
- 交通事故をめぐる国民意識
- 治安に関する世論調査によれば、自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪等として、飲酒運転による交通事故やひき逃げ、妨害運転(あおり運転)等の悪質・危険な交通法令違反を挙げた者の割合が50.2%(平成16年は30.5%(注4))となっている。
- 交通事故情勢については、令和4年中の交通事故による死者数(注5)は2,610人と、7年連続で減少し、警察庁が統計を保有する昭和23年以降の最少を更新した一方、子供が犠牲となる痛ましい交通事故や、高齢運転者による悲惨な交通事故が相次いで発生しており、子供をめぐる交通安全対策や高齢運転者対策の充実・強化に対する社会的要請が高まっている。
- サイバー空間をめぐる脅威に対する国民の不安
- 我が国の犯罪情勢は、全体的に改善されてきたものの、1で述べたような社会情勢の変化に伴い、被害が深刻化しているサイバー事案や特殊詐欺等、従来の街頭犯罪や侵入犯罪に重点を置いた犯罪対策では捉えられない事象が生じており、治安課題が多様化している。ここでは、治安に関する世論調査において「自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪等」として高い割合が示されている犯罪等を中心に、その結果も引用しつつ、近年における国民意識の変化に触れる。
▼第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動
- 特殊詐欺への対策
- 特殊詐欺の情勢等
- 令和4年中の特殊詐欺の認知件数及び被害額は、いずれも前年より増加し、高齢者を中心に多額の被害が生じており、依然として高い水準にある。
- 令和4年中の認知件数は、手口別にみると、還付金詐欺が4,679件と最も多く、次いでオレオレ詐欺(注4)が4,287件となっている。
- 警察では、職務質問等による「受け子」等の検挙、架け場等の摘発、悪質な犯行ツール提供事業者に対する取締り、犯行グループ及びその背後にいるとみられる組織の実態等に関する情報の収集・集約・分析を徹底することにより、特殊詐欺の根絶に向けた取組を推進している。
- 「オレオレ詐欺等対策プラン」等に基づく対策の推進
- 令和元年6月に開催された犯罪対策閣僚会議において、特殊詐欺等から高齢者を守るための総合対策として「オレオレ詐欺等対策プラン」が決定され、これに基づき、国民、各地方公共団体、各種団体、民間事業者等の協力を得ながら、各府省庁において施策を推進していくこととされた。警察では、増加傾向にある還付金詐欺への対策として、「ATMでの携帯電話はしない、させない」ことを社会の常識として定着させるための「ストップ!ATMでの携帯電話」運動を引き続き推進するなど、金融機関やコンビニエンスストア等と連携した各種被害防止対策、特殊詐欺に悪用される電話への対策等の犯行ツール対策及び効果的な取締り等を推進している。また、幅広い世代に対して高い発信力を有する著名な方々で構成される「ストップ・オレオレ詐欺47~家族の絆作戦~」プロジェクトチーム(略称:SOS47)では、全国各地における広報イベントを実施するとともに、各種メディアを通じて被害防止に向けたメッセージを継続的に発信している。
- このほか、警察庁では、令和5年4月、特殊詐欺に用いられる通信手段等の手口を分析し、「特殊詐欺の手口と対策」を取りまとめ、今後の特殊詐欺対策の推進に役立てることとしている。
- 特殊詐欺の情勢等
- 犯罪インフラ対策の推進
- 犯罪インフラに関する取組
- 犯罪インフラとは、犯罪を助長し、又は容易にする基盤のことをいい、本人確認書類を偽造して携帯電話やクレジットカード等の契約をするなどその行為自体が犯罪となるもののほか、それ自体は合法であっても、特殊詐欺等の犯罪に悪用されている各種制度やサービス等がある。
- 警察では、犯罪インフラに関連する情報を広範に収集・分析をし、関係事業者等との連携を強化することによって、犯罪インフラの解体等を図るとともに、関係事業者が提供するサービス等に関する捜査に必要な情報を適時かつ円滑に確保することができるようにすることにより、迅速かつ的確な捜査に資する捜査環境(捜査インフラ)を構築するための取組を推進している。
- 警察庁においては、関係省庁及び事業者と連携し、技術の発展等に伴う新たな制度やサービス等が犯罪に悪用されることの防止・解消をするための取組を推進している。
- 携帯電話への対策
- 特殊詐欺等を実行する犯行グループには、自己への捜査を免れるために不正に取得した携帯電話を悪用する実態が認められ、特に近年では、MVNOに対して偽造した本人確認書類を提示したり、本人確認書類に記載された者になりすまして契約したりするなどの方法により、不正に取得された架空・他人名義の携帯電話が特殊詐欺等に悪用される事例が目立っている。
- このような状況に鑑み、警察では、不正に取得された携帯電話について、携帯電話不正利用防止法に基づく役務提供拒否がなされるよう携帯電話事業者に情報提供を行うとともに、悪質なレンタル携帯電話事業者を検挙するなど、犯罪に悪用される携帯電話への対策を推進している。
- 固定電話番号への対策
- 特殊詐欺の犯行では、電話転送の仕組みを悪用して、犯行グループの携帯電話等から相手方に固定電話番号を表示させて架電したり、官公署を装った電話番号への架電を求める文面のはがき等を送り付けたりする手法が多用されている。
- このような状況に鑑み、令和元年9月以降、電気通信事業者において、犯行に利用された固定電話番号の利用を警察の要請に基づき停止することとしているほか、電気通信事業者が連携して、複数回にわたって利用停止の要請がなされた固定電話番号の契約者には新たな電話番号の提供を一定期間行わないなどの対策を推進している。警察による利用停止の要請に基づき、令和4年末までに1万1,785件の利用停止が実施されている。
- 特定IP電話番号への対策
- 近年、特定IP電話番号(050IP電話番号)が特殊詐欺の犯行に悪用される事例がみられていることに鑑み、令和3年11月、犯行に利用された固定電話番号の利用停止等についての電気通信事業者における枠組みの対象に、特定IP電話番号が追加された。警察による利用停止の要請に基づき、令和4年末までに2,110件の特定IP電話番号の利用停止が実施されている
- 犯罪インフラに関する取組
▼第3章 サイバー空間の安全の確保
- ランサムウェアの情勢
- 令和4年中のランサムウェアによる被害の報告件数は230件(令和4年上半期114件、下半期116件)であり、令和2年下半期(21件)以降、連続して増加している。従来の被害においては、暗号化したデータを復元する対価として企業等に金銭や暗号資産を要求する手口が一般的であったが、最近の事例では、データを窃取した上で、企業等に対し「対価を支払わなければ当該データを公開する」などと対価を要求するダブルエクストーション(二重恐喝)という手口が認められる。対価を要求する手口を警察として確認したランサムウェアによる被害の報告件数182件のうち、ダブルエクストーション(二重恐喝)の手口によるものは119件であり、65%を占めている。
- また、ランサムウェアによる被害の報告件数を被害企業・団体等の規模別にみると、大企業は63件、中小企業は121件と、企業・団体等の規模を問わず被害が発生している。さらに、企業・団体等におけるランサムウェア被害の実態を把握するため、被害企業・団体等を対象としてランサムウェアの感染経路に関するアンケート調査を実施したところ、有効回答数102件のうち、VPN機器を利用して侵入された事例は63件(62%)、リモートデスクトップサービス(注4)を利用して侵入された事例は19件(19%)と、テレワークに利用される機器等の弱性や強度の弱い認証用パスワード等の情報を利用して侵入したと考えられるものが大半を占めている。
- サイバーテロ・サイバーインテリジェンスの情勢
- 重要インフラの基幹システムを機能不全に陥れ、社会の機能を麻痺させるサイバーテロや情報通信技術を用いて政府機関や先端技術を有する企業から機密情報を窃取するサイバーインテリジェンス(サイバーエスピオナージ)が、世界的規模で発生している。
- サイバーテロの情勢
- 情報通信技術が浸透した現代社会において、重要インフラの基幹システムに対する電子的攻撃は、インフラ機能の維持やサービスの供給を困難とし、国民の生活や社会経済活動に重大な被害をもたらすおそれがある。海外では、電力会社がサイバーテロの被害に遭い、広範囲にわたって停電が発生するなど国民に大きな影響を与える事案が発生している。
- サイバーインテリジェンスの情勢
- 近年、情報を電子データの形で保有することが一般的となっている中で、軍事技術への転用も可能な先端技術や、外交交渉における国家戦略、新型コロナウイルス感染症に関連する研究等の機密情報の窃取を目的としたサイバーインテリジェンスの脅威が世界各国で問題となっている。また、我が国に対するテロの脅威が継続していることを踏まえると、現実空間でのテロの準備行為として、重要インフラ事業者等の警備体制等の機密情報を窃取するためにサイバーインテリジェンスが行われるおそれもある。我が国においても、不正プログラムや不正アクセスにより、機密情報が窃取された可能性のあるサイバーインテリジェンスが発生している
- サイバーテロの情勢
- 重要インフラの基幹システムを機能不全に陥れ、社会の機能を麻痺させるサイバーテロや情報通信技術を用いて政府機関や先端技術を有する企業から機密情報を窃取するサイバーインテリジェンス(サイバーエスピオナージ)が、世界的規模で発生している。
▼第4章 組織犯罪対策
- 暴力団情勢
- 暴力団構成員及び準構成員等の推移
- 暴力団構成員及び準構成員等の過去10年間の推移は、図表4-1のとおりであり、その総数は平成17年(2005年)以降減少し、令和4年(2022年)末には、暴力団対策法が施行された平成4年以降最少となった。この背景としては、近年の暴力団排除活動の進展や暴力団犯罪の取締りに伴う資金獲得活動の困難化等により、暴力団からの構成員の離脱が進んだことなどが考えられる。
- また、六代目山口組からの分裂組織を含む主要団体等の暴力団構成員及び準構成員等の総数に占める割合は、令和4年末も7割を超えており、寡占状態は継続している。
- 暴力団の解散・壊滅
- 令和4年中に解散・壊滅をした暴力団の数は106組織であり、これらに所属していた暴力団構成員の数は369人である。このうち主要団体等の傘下組織の数は67組織(63.2%)であり、これらに所属していた暴力団構成員の数は121人(32.8%)である。
- 暴力団の指定
- 令和5年6月1日現在、暴力団対策法の規定に基づき25団体が指定暴力団として指定されている。令和4年中は14団体が、令和5年中は6月までに4団体が、それぞれ指定の有効期間を満了したことから、引き続き指定を受けた。
- 暴力団構成員及び準構成員等の推移
- 暴力団犯罪の取締りと暴力団対策法の運
- 検挙状況
- 暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者(以下「暴力団構成員等」という。)の検挙人員は、図表4-3のとおりである。令和4年中は9,903人と、前年と比べ1,832人(15.6%)減少した。また、平成4年以降の検挙人員の罪種別割合をみると、図表4-4のとおりであり、恐喝、賭博及びノミ行為等の割合が減少しているのに対し、詐欺の検挙人員が占める割合が増加傾向にあり、暴力団が資金獲得活動を変化させている状況がうかがわれる。
- 資金獲得犯罪
- 暴力団は、覚醒剤の密売、繁華街における飲食店等からのみかじめ料の徴収、企業や行政機関を対象とした恐喝・強要のほか、強盗、窃盗、各種公的給付制度を悪用した詐欺等、時代の変化に応じて様々な資金獲得犯罪を行っている。特に、近年、暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与し、暴力団が特殊詐欺を有力な資金源の一つとしている実態がうかがわれる。
- また、暴力団は、実質的にその経営に関与している暴力団関係企業を利用し、又は共生者と結託するなどして、その実態を隠蔽しながら、一般の経済取引を装った違法な貸金業や労働者供給事業等の資金獲得犯罪を行っている。
- 警察では、巧妙化・不透明化をする暴力団の資金獲得活動に関する情報の収集・分析をするとともに、社会経済情勢の変化に応じた暴力団の資金獲得活動の動向にも留意しつつ、暴力団や共生者等に対する取締りを推進している。
- 特殊詐欺
- 令和4年中の特殊詐欺の検挙人員2,458人のうち、暴力団構成員等の人数は434人であり、その割合(17.7%)は、刑法犯・特別法犯総検挙人員に占める暴力団構成員等の割合(4.4%)と比較して、依然として高い割合となっている。また、主な役割別検挙人員に占める暴力団構成員等の割合をみると、現場実行犯である「受け子」では11.2%、「出し子」では14.6%となっている一方、中枢被疑者では41.5%、「受け子」等の指示役(注1)では34.3%、リクルーター(注2)では54.9%と、犯行グループ内で主導的な立場にある者の割合が高い水準で推移しており、暴力団が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与している実態がうかがわれる。さらに、近年は、匿名・流動型犯罪グループが特殊詐欺事件に関与している事例も確認されている。
- 警察では、特殊詐欺事件の背後にいるとみられる暴力団や匿名・流動型犯罪グループを弱体化し、特殊詐欺の抑止を図るため、各部門が連携した多角的な取締りを推進するとともに、積極的な情報収集等により、こうしたグループの活動実態や特殊詐欺事件への関与状況等の解明を推進している
- 対立抗争事件等の発生
- 暴力団は、組織の継承等をめぐって銃器を用いた対立抗争事件を引き起こしたり、自らの意に沿わない事業者を対象とする報復・見せしめ目的の襲撃等事件を起こしたりするなど、自己の目的を遂げるためには手段を選ばない凶悪性がみられる。
- 近年の対立抗争事件、暴力団等によるとみられる事業者襲撃等事件等の発生状況は、図表4-8のとおりである。これらの事件の中には、銃器が使用されたものもあり、市民生活に対する大きな脅威となるものであることから、警察では、重点的な取締りを推進している
- 暴力団対策法の運用
- 指定暴力団員がその所属する暴力団の威力を示して暴力的要求行為を行った場合等において、都道府県公安委員会は、暴力団対策法に基づき、中止命令等を発出することができる。中止命令等の発出件数の推移は、図表4-9のとおりである。
- 検挙状況
- 地方公共団体における暴力団排除に関する条例の運用
- 各都道府県は、地方公共団体、住民、事業者等が連携・協力をして暴力団排除に取り組む旨を定め、暴力団排除に関する基本的な施策、青少年に対する暴力団からの悪影響排除のための措置、暴力団の利益になるような行為の禁止等を主な内容とする暴力団排除に関する条例の運用に努めている。
- 各都道府県では、条例に基づき、暴力団の威力を利用する目的で財産上の利益の供与をしてはならない旨の勧告等を実施している。令和4年中における実施件数は、勧告が38件、指導が3件、中止命令が10件、再発防止命令が4件、検挙が14件となっている。
- 暴力団員の社会復帰対策の推進
- 暴力団を壊滅するためには、構成員を一人でも多く暴力団から離脱させ、その社会復帰を促すことが重要である。警察庁では、令和5年に閣議決定された「第二次再犯防止推進計画」等に基づき、関係機関・団体と連携して、構成員に対する暴力団からの離脱に向けた働き掛けの充実を図るとともに、構成員の離脱・就労、社会復帰等に必要な社会環境及びフォローアップ体制の充実に関する効果的な施策を推進している。
- 匿名・流動型犯罪グループの動向と警察の取組
- 匿名・流動型犯罪グループの動向と特徴
- 暴走族の元構成員等を中心とする集団に属する者が、繁華街・歓楽街等において、集団的又は常習的に暴行、傷害等の事件を起こしている例がみられるところ、こうした集団の中には、暴力団のような明確な組織構造は有しないが、暴力団等の犯罪組織との密接な関係がうかがわれるものも存在しており、警察では、こうした集団を暴力団に準ずる集団として「準暴力団」と位置付け、取締りの強化等に努めてきた。
- こうした中、近年、準暴力団として位置付けられる集団以外に、SNSや求人サイト等を利用して実行犯を募集する手口により特殊詐欺等を広域的に敢行するなどの集団もみられ、治安対策上の脅威となっている。これらの集団は、SNSを通じるなどした緩やかな結び付きで離合集散を繰り返すなど、そのつながりが流動的であり、また、匿名性の高い通信手段等を活用しながら役割を細分化したり、特殊詐欺や強盗等の違法な資金獲得活動によって蓄えた資金を基に、更なる違法活動や風俗営業等の事業活動に進出したりするなど、その活動実態を匿名化・秘匿化する状況がみられる。こうした情勢を踏まえ、警察では、準暴力団を含むこうした集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と位置付け、実態解明を進めている。
- また、匿名・流動型犯罪グループの中には、資金の一部を暴力団に上納するなど、暴力団と関係を持つ実態も認められるほか、暴力団構成員が匿名・流動型犯罪グループと共謀して犯罪を行っている事例もあり、このような集団の中には、暴力団と匿名・流動型犯罪グループとの結節点の役割を果たす者が存在するとみられる。
- 警察の取組
- 警察では、匿名・流動型犯罪グループの動向を踏まえ、繁華街・歓楽街対策、特殊詐欺対策、侵入強盗対策、暴走族対策、少年非行対策等の関係部門間における連携を強化し、匿名・流動型犯罪グループに係る事案を把握するなどした場合の情報共有を行い、部門の垣根を越えた実態解明の徹底に加え、あらゆる法令を駆使した取締りの強化に努めている。
- 暴力団構成員の男(22)は、自らがリーダーとなっている集団のメンバーらと共に、令和4年5月、知人の男性を車両後部座席に乗車させ、同男性の顔面等を殴るなどの暴行を加えて負傷させるとともに、同男性の両手首等を結束バンド等で緊縛し、同男性の目等を粘着テープで塞ぎ、同車からの脱出を不能にした。さらに、これらの暴行等により反抗を抑圧されている同男性から腕時計等を強取した。同年8月までに、同男ら5人を逮捕監禁罪等で逮捕した(警視庁、福岡)。
- 特殊詐欺等の事件を起こしていた集団のメンバーの男(24)らは、令和3年9月、知人女性とトラブルになった男性に制裁を加えようと考え、出会い系サイトを利用して同男性をおびき出し、熊本県内の駐車場において、車両に乗車中の同男性に対し、木刀等を手に持って同車両を取り囲んだ上、「お前昨日何かしよったやろが」などと言い、運転席窓ガラス等を殴打するなどし、さらに、運転席ドアを開けて木刀を車内に突き入れるなどの暴行を加えて脅迫した。令和4年8月、同男ら7人を暴力行為等処罰に関する法律違反で逮捕した(熊本)。
- 暴力団と密接に関係し、その資金源となっている状況がうかがわれる集団のメンバーであり、飲食店の個人事業主である男(40)は、令和3年1月から同年11月にかけて、国の雇用調整助成金制度の特例措置及び緊急雇用安定助成金制度を利用して同助成金の名目で現金をだまし取ろうと考え、虚偽の雇用調整助成金支給申請書等を厚生労働省福岡労働局に提出して同助成金の支給を申請し、現金合計約2,554万円をだまし取った。令和4年6月、同男を詐欺罪で逮捕した(福岡)。
- 電磁的公正証書原本不実記録(偽装結婚等)等の事件を起こしていた集団のメンバーの男(36)らは、住宅ローン融資の名目で金融機関から現金をだまし取ろうと企て、令和3年4月から同年6月にかけて、勤務先や年収等について虚偽の内容を記載した住宅ローンの借入申込書を提出するなどして金融機関に融資を承認させ、総額2,498万円をだまし取った。令和4年8月までに、同男ら3人を詐欺罪で逮捕した(岐阜)。
- 表向きにはラップグループとして活動している集団を特殊詐欺事件の捜査過程で把握したことを端緒として、同集団に対する実態解明を進めた結果、同集団がSNSを利用して大麻の密売をしていることが明らかになった。令和4年9月までに、同集団のリーダーの男(26)ら13人を詐欺罪、大麻取締法違反(営利目的譲渡等)等で検挙し、同集団を壊滅させた(群馬、沖縄)。
- 匿名・流動型犯罪グループの動向と特徴
- 薬物情勢
- 令和4年(2022年)中の薬物事犯の検挙人員は1万2,142人と、引き続き高い水準にあり、我が国の薬物情勢は依然として厳しい状況にある。薬物は、乱用者の精神や身体をむしばむばかりでなく、幻覚、妄想等により、乱用者が殺人、放火等の凶悪な事件や重大な交通事故等を引き起こすこともあるほか、薬物の密売が暴力団等の犯罪組織の資金源となることから、その乱用は社会の安全を脅かす重大な問題である。
- 覚醒剤事犯
- 令和4年中、覚醒剤事犯の検挙人員は前年より減少したが、全薬物事犯の検挙人員の50.4%を占めている。また、押収量は289.0キログラムと、前年より399.8キログラム減少した。覚醒剤事犯の特徴としては、検挙人員のうち約4割を暴力団構成員等が占めていることのほか、30歳代以上の検挙人員が多いことや、他の薬物事犯と比べて再犯者の占める割合が高いことが挙げられる。
- 大麻事犯
- 大麻事犯の検挙人員は過去最多となった前年から横ばいで推移しており、覚醒剤事犯に次いで検挙人員の多い薬物事犯である。近年では、面識のない者同士がSNSを通じて連絡を取り合いながら大麻の売買を行う例もみられる。大麻事犯の特徴としては、他の薬物事犯と比べて、検挙人員のうち初犯者や20歳代以下の若年層の占める割合が高いことが挙げられる。
- 覚醒剤事犯
- 令和4年(2022年)中の薬物事犯の検挙人員は1万2,142人と、引き続き高い水準にあり、我が国の薬物情勢は依然として厳しい状況にある。薬物は、乱用者の精神や身体をむしばむばかりでなく、幻覚、妄想等により、乱用者が殺人、放火等の凶悪な事件や重大な交通事故等を引き起こすこともあるほか、薬物の密売が暴力団等の犯罪組織の資金源となることから、その乱用は社会の安全を脅かす重大な問題である。
- 薬物密輸入事犯の検挙状況
- 令和4年中の薬物密輸入事犯の検挙件数は294件と、前年より82件(38.7%)増加し、検挙人員は376人と、前年より108人(40.3%)増加した。
- 覚醒剤密輸入事犯の検挙状況の推移は、図表4-13のとおりである。令和4年中は、覚醒剤の押収量が前年より減少したものの、暴力団構成員等や来日外国人の検挙人員は前年より増加し、覚醒剤密輸入事犯の検挙件数は、3年ぶりに100件を超えており、覚醒剤に対する根強い需要が存在しているものと考えられる。
- 犯罪組織等の動向
- 暴力団による薬物事犯
- 令和4年中の薬物事犯の検挙人員(1万2,142人)のうち、暴力団構成員等が24.0%(2,915人)を占めている。また、密売関連事犯(注)の検挙人員(626人)のうち、暴力団構成員等が33.9%(212人)を占めているところ、これらを薬物事犯別でみると、覚醒剤の密売関連事犯の検挙人員(280人)のうち53.6%(150人)を、大麻の密売関連事犯の検挙人員(305人)のうち20.0%(61人)を、それぞれ暴力団構成員等が占めており、覚醒剤や大麻の密売に暴力団が深く関与していることがうかがわれる。
- 来日外国人による薬物事犯
- 令和4年中の来日外国人による薬物事犯の検挙人員は652人と、前年より62人(8.7%)減少した。このうち、営利目的輸入事犯の検挙人員は150人であり、国籍・地域別でみると、ベトナムが48.0%(72人)を占めているほか、密売関連事犯の検挙人員は36人であり、国籍・地域別でみると、ベトナムが38.9%(14人)を占めている。
- 暴力団による薬物事犯
- 来日外国人犯罪の情勢
- 来日外国人犯罪の組織化の状況
- 令和4年(2022年)中の来日外国人による刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合は37.5%と、日本人(13.0%)の約2.9倍に上っている。罪種別にみると、万引きで46.7%と、日本人(2.6%)の約18.0倍に上る。
- このように、来日外国人による犯罪は、日本人によるものと比べて組織的に行われる傾向がうかがわれる。
- 組織の特徴
- 来日外国人で構成される犯罪組織についてみると、出身国や地域別に組織化されているものがある一方で、より巧妙かつ効率的に犯罪を行うために様々な国籍の構成員が役割を分担するなど、構成員が多国籍化しているものもある。このほか、面識のない外国人同士がSNSを通じて連絡を取り合いながら犯行に及んだ例もみられる。
- また、近年、他国で行われた詐欺事件による詐取金の入金先口座として日本国内の銀行口座を利用し、詐取金入金後にこれを日本国内で引き出してマネー・ローンダリングを行うといった事例があるなど、犯罪行為や被害の発生場所等の犯行関連場所についても、日本国内にとどまらず複数の国に及ぶものがある。
- 犯罪インフラの実態
- 来日外国人で構成される犯罪組織が関与する犯罪インフラ事犯には、地下銀行による不正な送金、偽装結婚、偽装認知、不法就労助長、旅券・在留カード等偽造等がある。
- 地下銀行は、不法滞在者等が犯罪収益等を海外に送金するために利用されている。また、偽装結婚、偽装認知及び不法就労助長は、在留資格の不正取得による不法滞在等の犯罪を助長しており、これを仲介して利益を得るブローカーや暴力団が関与するものがみられるほか、近年では、在留資格の不正取得や不法就労を目的とした難民認定制度の濫用・誤用が疑われる例も発生している。偽造された旅券・在留カード等は、身分偽装手段として利用されるほか、不法滞在者等に販売されることもある
- 来日外国人犯罪の組織化の状況
- 犯罪収益移転防止法に基づく活動
- 暴力団等の犯罪組織を弱体化させ、壊滅に追い込むためには、犯罪収益の移転を防止するとともに、これを確実に剥奪することが重要である。警察では、犯罪収益移転防止法、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法を活用し、関係機関、事業者、外国のFIU等と協力しながら、総合的な犯罪収益対策を推進している。
- 犯罪収益移転防止法の適切な履行を確保するための措置
- 国家公安委員会では、犯罪収益移転防止法に基づき、毎年、犯罪収益の移転に係る手口等に関する調査及び分析を行った上で、特定事業者等が行う取引の種別ごとに、当該取引による犯罪収益の移転の危険性の程度等、当該調査及び分析の結果を記載した犯罪収益移転危険度調査書を作成・公表している。
- また、国家公安委員会では、関係機関と連携し、犯罪収益移転防止法に基づき、顧客等の本人確認、疑わしい取引の届出等を行う特定事業者に対する研修会等を実施しているほか、特定事業者が犯罪収益移転防止法上の義務に違反していると認めた場合には、当該特定事業者に対して報告を求めるなどの必要な調査を行うとともに、当該特定事業者を所管する行政庁に対して、是正命令等を行うべき旨の意見陳述を行っている。
- 疑わしい取引の届出
- 犯罪収益移転防止法に定める疑わしい取引の届出制度により特定事業者がそれぞれの所管行政庁に届け出た情報は、国家公安委員会が集約して整理・分析を行った後、都道府県警察や検察庁をはじめとする捜査機関等に提供され、各捜査機関等において、マネー・ローンダリング事犯の捜査等に活用されている。
- 疑わしい取引の届出の年間通知件数は、図表4-24のとおりであり、おおむね増加傾向にある。
- 犯罪収益移転防止法の適切な履行を確保するための措置
- 暴力団等の犯罪組織を弱体化させ、壊滅に追い込むためには、犯罪収益の移転を防止するとともに、これを確実に剥奪することが重要である。警察では、犯罪収益移転防止法、組織的犯罪処罰法及び麻薬特例法を活用し、関係機関、事業者、外国のFIU等と協力しながら、総合的な犯罪収益対策を推進している。
- マネー・ローンダリング事犯の検挙状況
- マネー・ローンダリング事犯の検挙件数は、図表4-26のとおりであり、令和4年中は726件(前年比94件(14.9%)増加)であった。前提犯罪別にみると、主要なものとしては窃盗に係るものが257件、詐欺に係るものが254件、電子計算機使用詐欺に係るものが105件となっている。
- 令和4年中におけるマネー・ローンダリング事犯の検挙件数のうち、暴力団構成員等が関与したものは64件と、全体の8.8%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが28件、電子計算機使用詐欺に係るものが11件、窃盗に係るものが9件、恐喝に係るものが7件と、暴力団構成員等が多様な犯罪に関与し、マネー・ローンダリング事犯を行っている実態がうかがわれる。
- また、令和4年中における来日外国人が関与したマネー・ローンダリング事犯は108件と、
- 全体の14.9%を占めている。前提犯罪別にみると、主要なものとしては詐欺に係るものが36件、窃盗に係るものが35件、電子計算機使用詐欺に係るものが11件、入管法違反に係るものが6件と、日本国内に開設された他人名義の口座を利用したり、不正入手した他人の電子決済コードを利用したりするなど、様々な手口を使ってマネー・ローンダリング事犯を行っている実態がうかがわれる
警察庁 犯罪統計資料(令和5年1~7月分)
- 令和5年1~7月の刑法犯総数について、認知件数は393,895件(前年同期324,680件、前年同期比+21.3%)、検挙件数は146,344件(139,118件、+5.2%)、検挙率は37.2%(42.8%、▲5.6P)
- 凶悪犯の認知件数は2,987件(2,469件、+21.0%)、検挙件数は2,469件(2,148件、+14.9%)、検挙率は82.7%(87.0%、▲4.3P)、粗暴犯の認知件数は33,792件(29,571件、+14.3%)、検挙件数は26,772件(24,295件、+10.2%)、検挙率は79.2%(82.2%、▲3.0P)、窃盗犯の認知件数は271,057件(219,326件、+23.6%)、検挙件数は85,456件(83,069件、+2.9%)、検挙率は31.5%(37.9%、▲6.4P)、知能犯の検挙件数は27,112件(20,777件、+30.5%)、検挙件数は10,573件(10,254件、+3.1%)、検挙率は39.0%(49.4%、▲10.4P)
- 万引きの認知件数は54,253件(48,509件、+11.8%)、検挙件数は35,481件(33,847件、+4.8%)、検挙率は65.4%(69.8%、▲4.4P)
- 詐欺の認知件数は24,953件(18,941件、+31.7%)、検挙件数は9,031件(8,689件、+3.9%)、検挙率は36.2%(45.9%、▲9.7P)
- 特別法犯総数について、検挙件数は38,996件(37,606件、+3.7%)、検挙人員は31,948人(30,926人、+3.3%)
- 入管法違反の検挙件数は3,274件(2,280件、+43.6%)、検挙人員は2,318人(1,688人、+37.3%)、軽犯罪法違反の検挙件数は4,386件(4,395件、▲0.2%)、検挙人員は4,343人(4,374人、▲0.7%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は5,907件(5,154件、+14.6%)、検挙人員は4,559人(3,982人、+14.5%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は691件(588件、+17.5%)、検挙人員は570人(463人、+23.1%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は257件(285件、▲9.8%)、検挙人員は71人(96人、▲26.0%)、不正競争防止法違反の検挙件数は27件(31件、▲12.9%)、検挙人員は33人(35人、▲5.7%)、銃刀法違反の検挙件数は2,761件(2,831件、▲2.5%)、検挙人員は2,321人(2,493人、▲6.9%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は668件(543件、+23.0%)、検挙人員は405人(325人、+24.6%)、大麻取締法違反の検挙件数は4,042件(3,514件、+15.0%)、検挙人員は3,352人(2,776人、+20.7%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は4,244件(5,031件、▲15.6%)、検挙人員は2,924人(3,471人、▲15.8%)
- 来日外国人による重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数338人(306人、+10.5%)、ベトナム117人(88人、+33.0%)、中国42人(55人、▲23.6%)、ブラジル24人(23人、+4.3%)、スリランカ13人(25人、▲48.0%)、フィリピン12人(10人、+20.0%)
- 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は5,032件(5,657件、▲11.0%)、検挙人員総数は3,239人(3,300人、▲1.8%)
- 暴行の検挙件数は321件(361件、▲11.1%)、検挙人員は304人(358人、▲15.1%)、傷害の検挙件数は536件(592件、▲9.5%)、検挙人員は630人(647人、▲2.6%)、脅迫の検挙件数は180件(207件、▲13.0%)、検挙人員は165人(195人、▲15.4%)、恐喝の検挙件数は2,169件(2,469件、▲12.2%)、検挙人員は440人(436人、+0.9%)、詐欺の検挙件数は936件(1,009件、▲7.2%)、検挙人員は746人(747人、▲0.1%)
- 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は2,571件(3,253件、▲21.0%)、検挙人員は1,777人(2,216人、▲19.8%)
- 入管法違反の検挙件数は13件(8件、+62.5%)、検挙人員は12人(9人、+33.3%)、軽犯罪法違反の検挙件数は42件(38件、+10.5%)、検挙人員は33人(34人、▲2.9%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は38件(53件、▲29.3%)、検挙人員は37人(46人、▲19.6%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は12件(17件、▲29.4%)、検挙人員は23人(35人、▲34.3%)、風営適正化法違反の検挙件数は32件(62件、▲48.4%)、検挙人員は32人(81人、▲60.5%)、銃刀法違反の検挙件数は45件(54件、▲16.7%)、検挙人員は29人(32人、▲9.4%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は111件(103件、+7.8%)、検挙人員は51人(40人、+27.5%)、大麻取締法違反の検挙件数は549件(563件、▲2.5%)、検挙人員は369人(330人、+11.8%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は1,442件(1,933件、▲25.4%)、検挙人員は959人(1,283人、▲25.3%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は65件(92件、▲29.3%)、検挙人員は29人(56人、▲48.2%)
警察庁 令和5年6月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
- 令和5年1月~6月の特殊詐欺全体の認知件数は9,464件(前年同期7,520件、前年同期比+25.9%)、被害総額は193.0憶円(152.3憶円、+26.7%)、検挙件数は3,322件(2,892件、+14.9%)、検挙人員は1,086人(1,048人、+3.6%)
- オレオレ詐欺の認知件数は2,076件(1,699件、+22.2%)、被害総額は57.0憶円(50.2憶円、+13.5%)、検挙件数は1,043件(752件、+38.7%)、検挙人員は451人(403人、+11.9%)
- 預貯金詐欺の認知件数は1,300件(1,059件、+22.8%)、被害総額は15.7憶円(12.7憶円、+23.6%)、検挙件数は701件(655件、+7.0%)、検挙人員は224件(249件、▲10.0%)
- 架空料金請求詐欺の認知件数は2,549件(1,183件、+115.5%)、被害総額は68.8憶円(40.3憶円、+70.7%)、検挙件数は138件(87件、+58.6%)、検挙人員は51人(54人、▲5.6%)
- 還付金詐欺の認知件数は2,093件(2,058件、+1.7%)、被害総額は24.0憶円(23.7憶円、+1.3%)、検挙件数は506件(354件、+42.9%)、検挙人員は89人(68人、+30.9%)
- 融資保証金詐欺の認知件数は95件(60件、+58.3%)、被害総額は1.4憶円(1.1憶円、+22.5%)、検挙件数は12件(18件、▲33.3%)、検挙人員は8人(16人、▲50.0%)
- 金融商品詐欺の認知件数は93件(12件、+675.0%)、被害総額は9.7憶円(0.9憶円、+927.7%)、検挙件数は14件(4件、+250.0%)、検挙人員は15人(9人、+66.7%)
- ギャンブル詐欺の認知件数は11件(27件、▲59.3%)、被害総額は0.4憶円(2.1憶円、▲82.3%)、検挙件数は0件(9件)、検挙人員は0人(8人)
- キャッシュカード詐欺盗の認知件数は1,194件(1,416件、▲15.7%)、被害総額は15.0憶円(21.0憶円、▲28.6%)、検挙件数は897件(1,013件、▲11.5%)、検挙人員は237人(239人、▲0.8%)
- 組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は112件(47件、+138.3%)、検挙人員は42人(10人、+320.0%)
- 口座開設詐欺の検挙件数は352件(353件、▲0.3%)、検挙人員は200人(185人、+8.1%)、盗品等譲受け等の検挙件数は2件(0件)、検挙人員は1人(0人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,330件(1,463件、▲9.1%)、検挙人員は1,040人(1,162人、▲10.5%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は63件(42件、+50.0%)、検挙人員は65人(44人、+47.8%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は検挙件数は7件(6件、+16.7%)、検挙人員は7人(3人、+133.3%)
- 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体について、60歳以上88.7%、70歳以上69.4%、男性(32.2%):女性(67.8%)、オレオレ詐欺について、60歳以上97.8%、70歳以上95.6%、男性(19.4%):女性(80.6%)、預貯金詐欺について、60歳以上99.6%、70歳以上97.5%、男性(9.5%):女性(90.5%)、融資保証金詐欺について、60歳以上14.9%、70歳以上3.4%、男性(78.2%):女性(21.8%)、特殊詐欺被害者全体に占める高齢被害者(65歳以上)の割合について、特殊詐欺全体 81.4%(男性28.8%、女性71.2%)、オレオレ詐欺 97.2%(19.2%、80.8%)、預貯金詐欺 99.5%(9.5%、90.5%)、架空料金請求詐欺 58.3%(64.5%、35.5%)、還付金詐欺 79.5%(34.5%、65.5%)、融資保証金詐欺 4.6%(75.0%、25.0%)、金融商品詐欺 30.1%(39.3%、60.7%)、ギャンブル詐欺 18.2%(100.0%、0.0%)、交際あっせん詐欺 0.0%、その他の特殊詐欺 32.6%(60.0%、40.0%)、キャッシュカード詐欺盗 99.2%(12.4%、87.6%)
【法務省】
※現在、該当の記事はありません。
【消費者庁】
【2023年11月】
消費者庁 ひとりで悩まず、ちょっとアクセス オンラインチャット消費者相談
- 消費者被害にあわれた方の中には、まわりに相談できる人がおらず、ひとりで悩んでいる方が少なくないと考えられます。そのような方が、抵抗感少なく相談できるよう、オンラインチャットでの相談窓口を臨時に設置します。補完的に電話でもご相談いただけるようにしています。消費生活相談員がお話をうかがい、適宜ご助言します。
▼ ひとりで悩まず、ちょっとアクセス オンラインチャット消費者相談
消費者庁 レック株式会社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について
- 消費者庁は、本日、レック株式会社(以下「レック」といいます。)に対し、同社が供給する「ノロウィルバルサン」と称する商品に係る表示について、景品表示法第8条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令(別添参照)を発出しました。
- 違反行為者の概要
- 名称 レック株式会社(法人番号7010001128155)
- 所在地 東京都中央区京橋二丁目1番3号
- 代表者 代表取締役 永守 貴樹
- 設立年月 昭和53年8月
- 資本金 54億9129万8608円(令和5年11月現在)
- 課徴金納付命令の概要
- 課徴金対象行為(違反行為)に係る商品
- 「ノロウィルバルサン」と称する商品(以下「本件商品」という。)
- 課徴金対象行為
- 表示媒体
- 「楽天市場」と称するウェブサイトに開設した「レック公式通販サイト楽天2号店 レックダイレクト レックホームストア」と称する自社ウェブサイト(以下「自社ウェブサイト」という。)
- 「YouTube」と称する動画共有サービス又は小売業者等の店頭における動画広告(以下「本件動画広告」という。)
- 課徴金対象行為をした期間
- 令和元年11月28日から令和2年10月28日までの間
- 表示内容
- 例えば、令和2年9月8日から同年10月19日までの間、自社ウェブサイトにおいて、「クロラス酸で空間除菌 目に見えないウイルス・菌を99.9%除去」、「空間の気になるウイルスに効く」、「空気中のウイルスに対するの除菌効果はありますが、あくまで対策としてご利用ください。」、「空間のウイルス除去・除菌」等と表示するなど、本件商品について、別表「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件商品を空間に噴霧することで、本件商品に含有されるクロラス酸の作用により、リビング等の室内空間に浮遊するウイルス又は菌を99.9パーセント除去又は除菌する効果等の同表「効果」欄記載のとおりの効果が得られるかのように示す表示をしていた。
- 実際
- 前記(3)の表示について、消費者庁は、景品表示法第8条第3項の規定に基づき、レックに対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。
- しかし、当該資料は、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
- なお、前記(3)の表示について、令和2年9月8日から同年10月19日までの間、自社ウェブサイトにおいて、「※すべてのウイルス・菌を除去できるわけではありません」、「●すべてのウイルス・菌・ニオイを除去できるわけではありません。」及び「※すべてのウイルス・菌を除去できるわけではありません。」と表示していたが、当該表示は、一般消費者が前記ウの表示から受ける本件商品の効果に関する認識を打ち消すものではない。
- 表示媒体
- 課徴金対象期間
- 令和元年11月28日から令和3年3月2日までの間
- 景品表示法第8条第1項ただし書に該当しない理由
- レックは、本件商品について、前記(2)ウの表示の裏付けとなる根拠を十分に確認することなく、前記(2)の課徴金対象行為をしていた。
- 命令の概要(課徴金の額)
- レックは、令和6年6月24日までに、669万円を支払わなければならない。
- 課徴金対象行為(違反行為)に係る商品
消費者庁 公益通報者保護制度相談ダイヤルへの相談件数について
- 令和4年度3,174件
- 令和5年度(4月~9月)1,602件
- (参考)公益通報者保護制度相談ダイヤルについて
- 公益通報者保護法の内容や解釈に関する企業や従業員の方々からのお問い合わせ
- 通報対応に関する行政機関からの相談
- 通報を考えている方の適切な通報先に関するお問い合わせ
などを受け付ける窓口として消費者庁に設置している。
消費者庁 令和5年度第3回消費生活意識調査結果について
- 「エシカル消費の認知度」について
- 「エシカル消費(倫理的消費)」を知っているか聞いたところ、知っていると回答した人(「言葉と内容の両方を知っている」又は「言葉は知っているが内容は知らない」と回答した人)の割合は、29.3%であった。年代別では、30歳代の認知度が35.6%と最も高かった。
- ※令和4年度「消費生活意識調査」におけるエシカル消費の認知度(全体)は26.9%、令和元年度「エシカル消費に関する消費者意識調査」(以下「エシカル意識調査」という。)では12.2%、平成28年度エシカル意識調査では6.0%であった。
- 「エシカル消費(倫理的消費)」を知っているか聞いたところ、知っていると回答した人(「言葉と内容の両方を知っている」又は「言葉は知っているが内容は知らない」と回答した人)の割合は、29.3%であった。年代別では、30歳代の認知度が35.6%と最も高かった。
- 「購入経験のあるエシカル消費につながる商品・サービス」について
- 購入経験のあるエシカル消費につながる商品・サービスについて、「リサイクル製品(古紙製品、日用品、文房具、事務用品等)(34.5%)」と回答した人の割合が最も高く、次いで「地産地消・地元の特産品(30.5%)」、「省エネ・CO2削減製品(冷蔵庫、エアコン、テレビ、照明器具等)(23.9%)」となった。いずれかの購入経験があると回答した人は62.5%であった。
- 「エシカル消費に取り組む理由」について
- エシカル消費に取り組む理由について、「同じようなものを購入するなら環境や社会に貢献できるものを選びたい(53.7%)」と回答した人の割合が最も高く、次いで「節約につながる(47.3%)」、「環境問題や社会問題を解決したい(43.1%)」となった。若い世代に注目すると、20歳代及び30歳代では「ストーリー性に共感する」と回答した人の割合が他の年代より高かった。
- 「エシカル消費に取り組んでいない理由」について
- 「エシカル消費につながる行動をどの程度実践しているか」について「あまり実践していない」又は「全く実践していない」と回答した人(72.6%)に対し、エシカル消費に取り組んでいない理由を聞いたところ、上位の理由は「どれがエシカル消費につながる商品やサービスか分からない(22.1%)」、「経済的余裕がない(21.0%)」、「参加方法が分からない(19.7%)」となっており、いずれも昨年と同程度の割合となっている。
- 年代別では、70歳代以上が「どれがエシカル消費につながる商品やサービスか分からない」と回答した人の割合が他の年代より高かった一方、20歳代及び30歳代は低かった。
- また、10歳代は「参加方法が分からない」と回答した人の割合が他の年代より高かった。
- 「エシカル消費につながる商品の価格の許容度」について
- エシカル消費につながる商品を今後購入したいと回答した約6割の人に対し、エシカル消費につながる商品がどの程度なら割高であっても購入したいか聞いたところ、最も許容度※の高かった商品は「食料品」で73.5%、最も低かったのは「電力」で60.1%であった。
- ※「30%以上」と「10%以上~30%未満」と「0%より高いが10%未満」のいずれかを回答した人の割合
- エシカル消費につながる商品を今後購入したいと回答した約6割の人に対し、エシカル消費につながる商品がどの程度なら割高であっても購入したいか聞いたところ、最も許容度※の高かった商品は「食料品」で73.5%、最も低かったのは「電力」で60.1%であった。
消費者庁 寄附の不当勧誘に係る情報の受理・処理等件数表(令和5年度上半期)
- 情報の受付件数 809件
- 調査対象情報件数 70件
- 新受 (当期新たに生じた受理件数) 70件
- 旧受 (前期調査中件数) 0件
- 処理件数 43件
- 勧告又は命令を実施したもの0件
- 勧告又は命令を実施する法令上の要件を満たさないもの 0件
- 寄附の不当勧誘の事実が認められないもの 2件
- 匿名又は連絡不通等により調査が不能なもの 32件
- 法律施行日前の事案と認められるもの等 9件
- 調査中件数 27件
【2023年10月】
消費者庁 シーズン初めの石油ストーブ安全大作戦~5つのポイントで火災事故を防ごう!~
- 部屋を暖かく快適にしてくれる石油ストーブ及び石油ファンヒーター(以下、「石油ストーブ等」という。)ですが、事故がシーズン初めの毎年11月頃から多く発生しています。使い始めのこの季節こそ、使用前の5つのチェックポイントを確認し、正しい使い方を身に付けて事故を防ぎましょう。
- 事故の発生状況
- NITEに通知があった製品事故情報(※)では、2018年度から2022年度の5年間における石油ストーブ等の事故は269件あり、調査が終了した事故233件のうち、原因別では誤使用・不注意による事故が115件と最も多くなっています。また、被害者の年代が判明した206件のうち、70歳以上の高齢者が被害者となる事故が131件と、年代が上がると事故件数も増加する傾向があり、死亡事故47件のうち当該年代が31件と多数を占めています。
- ※消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故203件に加え、事故情報収集制度により収集された66件の非重大製品事故やヒヤリ・ハット情報(被害なし)を含みます。
- NITEに通知があった製品事故情報(※)では、2018年度から2022年度の5年間における石油ストーブ等の事故は269件あり、調査が終了した事故233件のうち、原因別では誤使用・不注意による事故が115件と最も多くなっています。また、被害者の年代が判明した206件のうち、70歳以上の高齢者が被害者となる事故が131件と、年代が上がると事故件数も増加する傾向があり、死亡事故47件のうち当該年代が31件と多数を占めています。
- 石油ストーブ等を使用する前の5つのチェックポイント
- ほこりがたまっていれば取り除く。
- 対震自動消火装置が正しく作動することを確認する。さらに、石油ストーブの場合は、燃焼筒が正しく取り付けられていることを確認する。
- 燃料は新しい灯油を使い、昨シーズンの灯油は使わない。ガソリンの誤給油を防ぐための対策を徹底する。
- カートリッジタンクの給油口蓋が確実に閉まっていること、漏れがないことを確認する。
- 機器と周囲の壁や可燃物との十分な距離が確保できていることを確認する。
- 高齢者による石油ストーブ等の事故を防ぐために
- 長年使い慣れていても、今一度、正しい使い方を確認しましょう。御家族や周囲の方は機器の状態と使い方の確認等の見守りをお願いします。
消費者庁 第24回消費者志向経営に関する連絡会
▼資料:「顧客志向のイノベーション」 ボストンコンサルティンググループ マネージング・ディレクター&パートナー 竹内 達也氏
- 顧客志向のイノベーションを支える”デザイン思考”とは?
- 今は存在しないモノやコトを構想し、新たなサービスやプロダクトを生み出すことでイノベーション創出するフレームワーク
- 日本では、一般的に「デザイン」は、意匠、装飾、審美的な工夫と捉えられがち
- 一方、語源であるラテン語では設計する、計画を記号に表すという意味があり
- 「デザイン」とは、今は存在しないモノやコトを構想/設計し顧客の課題を解決するものと捉え直す必要
- 人間中心設計、共感:「共感」とは何か?
- 「共感」とは、ユーザーと同じ目線に立ち、無意識のバイアスを取り払って、その背景や感情、考えに思いを巡らせることで、ユーザーの課題やニーズに気づくこと
- インサイトをみつける
- ユーザーが言葉にして顕在化しているニーズのみに限らず、ユーザーが意識していないアンメットニーズ捉えることが重要
- 適切な問いを立てる:問いを立てる手法「How Might We」
- 問題を明確にしてアイディアやソリューションを探っていく際の問いを定義し整理するメリット
- アイディアやプロセスの方向性が定まる
- そもそも自分たちがどんな課題を解決しようとしているのか見失わない
- チームの目指すべぎ方向性や目的地が定まる
- 問題を明確にしてアイディアやソリューションを探っていく際の問いを定義し整理するメリット
- 反復するプロセス:ダブルダイアモンドを活用した検討プロセス
- クリエイティブのプロセスは、発散と収束を繰り返す、イテレーティブなプロセスこそがもっとも重要
- イギリスの公的機関「デザインカウンシル」が策定したデザイン思考のフレームワーク「ダブルダイアモンド」
- デザイン原則
- サービスに関わるステークホルダーや全ての人々を考える
- 視覚的かつ包括的にコミュニケーションしよう
- コラボレーションし共創しなさい
- とにかく繰り返しつくって試す
- メソッドバンク
- 探索する
- 形づくる
- 構築する
- デザイン原則
- 共創するチーム:イノベーションに必要なBTC(Business/Technology/Creative)
- ビジネスオリエンテッドでも、テックドリブンやデザインドリブンでもなく、3つのバランスをとりいれた共創するチームづくりが重要
- デザイン思考はユーザーのリアルな課題を人間中心設計の視点でBTCをつなぐ合意形成に役立つ
- ユーザー視点になり「美意識」をとりこみブランドや一貫性のあるデザインを生み出す役割
- 場合によってはエンドユーザーそのものがチームに参画
- 共創するチーム:近年は検討チームにユーザー(顧客)を巻き込み、共創するチーム形態も広がりつつある
- イノベ―ションにおける「実験」の重要性
- 顧客の真のニーズを捉え、より早く、より小さく顧客価値を出し続け進化させる
- 完璧なアウトプットを時間を掛けて提供するのではなく顧客が求める最低限必要なアウトプット提供にフォーカス
- 実験する組織を阻害する5つの”壁”
- 組織構造の壁
- タテの壁(重層的な階層)
- ヨコの壁(サイロ、縦割り)
- 意思決定の壁
- 柔軟性・リスクテイクに欠ける予算
- 現場の意思決定での権限不足
- 人材・人事の壁
- 必要な専門性の確保不足
- 人事制度・働き方の硬直性
- ダイバーシティ・インクルージョンの壁
- ジェンダー・国籍等の多様性不足
- 専門人材の孤立
- リーダーシップの壁
- 長期視点やリスクテイクの動機不足
- 従来とは異質な人材の登用不足
- 組織構造の壁
- イノベーションには実験する組織文化が必要
- リーダーシップ
- 経営者の長期やリスクテイクのインセンティブ見直し
- 社外取締役によるイノベーションやリスクテイクの後押し
- 実験やリスクテイクの実践を通じた次世代リーダーの育成
- ダイバーシティ・インクルージョン
- 異能人材を際物にさせない経営のメッセージ発信
- 健全な衝突を通じた相互理解・融合
- 多様性を束ねるパーパスやビジョンの共有
- 組織構造・運営
- 機能横断チームへの権限移譲によるアジャイル型組織への転換
- 「出島」でのアジャイル型組織の実験と経営のコミットメントの明確化
- 意思決定
- 一部の失敗を許容する、案件ポートフォリオ管理への転換
- 高頻度の案件レビューと柔軟な予算の再配分
- 経営と現場間の意思決定における役割分担の明確化
- 人材・人事
- 実験に必要な人材ポートフォリオの確保
- 専門人材向けの報酬・キャリアパス
- 実験やチャレンジを促す評価
- リーダーシップ
- 組織構造・運営
- ウォーターフォール型からアジャイル型の組織へ
- アジャイルは高速サイクルで顧客へ価値を提供
- アジャイルにより得られる価値
- デリバリースピード
- 企画、開発、ローンチまでのサイクルを高速化と、効果の早期に刈り取り
- 実績値50%の期間短縮の実現も
- 機能横断チームによるコミニケーションの高速化、権限付与による意思決定の高速化、速やかな計画変更によるアイドルタイムの解消
- 効率化
- 人的リソース、金銭的リソース、時間等のリソースの効率的活用
- 効果的な追加投資する、無駄ならやめる、といった判断サイクルの短縮化
- 継続改善の思想を軸にした、「やり方」の継続改善
- 部門間調整等の内向きなエネルギー消費の最小化
- 顧客視点の強化
- 顧客フィードバックを受け、改善することを前提とした進め方
- ウォーターフォールでは、計画以上のものはできない
- 時に、顧客の声を起点に、当初とは異なるモノ/サービスづくりへシフト
- 従業員モチベーション
- 社員のオーナーシップの強化、結果指標を軸にした権限と責任の明確化
- 「自分で考え、早く作り、形にする」サイクルの短縮化を通じた結果への満足度向上
- 透明性の高いコミニケーション環境の構築
- 硬直的な文化の破壊
- デリバリースピード
- 意思決定
- イノベーションの案件全体をVCファンドのように捉え、失敗も含めたポートフォリオとしてマネージする
- 案件のゲート管理を通じて、顧客価値の最大化とリスク管理を両立する
- 人材・人事
- 実験(=イノベーション)に必要な人材ポートフォリオ確保
- 優秀な人材を惹きつける人事制度・働き方・戦略
- ダイバーシティ・インクルージョン
- 多様なチームはイノベーションを加速化する
- イノベーション由来の収益の平均割合
- 平均より下のダイバーシティスコアの企業 26%
- 平均より上のダイバーシティスコアの企業 45%
- リーダーシップ
- 次世代リーダー育成とインセンティブ
- インセンティブ
- 想定任期の長さ(⇔4-6年のローテーション)
- リスクテイクに見合う成果 報酬の水準
- 長期インセンティブ
- ガバナンス
- 社外取締役によるイノベーションやリスクテイクの後押し
- 投資家からの健全なプレッシャー
- インセンティブ
- 次世代リーダー育成とインセンティブ
消費者庁 消費者教育コーディネーター会議
▼【資料1】令和5年度消費者教育コーディネーター会議開催に向けたアンケート調査結果
- 工夫している取組(抜粋)
- 毎年度、各学校へ積極的に出前講座の活用を呼びかけしている。
- 学校を個別訪問して、出前講座の活用を呼びかけしている。
- 依頼者側の希望に添う内容になるように、打合せや連絡調整を行い、資料作成している。
- 最近多い相談事例を取り上げ、参加者に有益な講座となるよう工夫している。
- できるだけ全ての講師派遣依頼に対応すべく、多様な機関と連携し、講師の確保・選定に努めている。
- 成年年齢引下げ特別講座として、弁護士と消費生活相談員とのコラボ授業を高等学校で実施した。
- 県内で消費者教育を支援している団体をリストにして、最新の支援メニューの情報を高等学校等に毎年提供している。
- 市町と連携し、毎年200回以上の消費者教育講座の開催を計画している。
- 「小学生・中学生にわかりやすい出前講座」「参加体験型の出前講座」とするために講師派遣元との情報交換・連携を密に行った。
- 課題・悩み(抜粋)
- 連携先や学校の担当者変更、コーディネーターの代替わりにより、継続的な取組とならず、連携先との関係維持が難しい。
- 講座・イベント等の参加者が集まらない。既存のリピーターが多く、新規層の獲得や幅広い世代に関心を持ってもらうための工夫が必要。
- できる限り学校の要望に沿った内容にしたく、資料作りや学校との打合せ等、講師にかかる負担が大きくなってしまう。
- 昨年度まで教育OBの消費者教育コーディネーターを専任配置していたが、今年度より行政職員がコーディネーターとなった。専任時は、学校・大学や地域の団体に対し、教員OBの人脈を生かして訪問による出前講座の広報等を行っていたが、行政職員の場合、個別訪問等は業務量的にも難しい。
- コーディネーターの専任配置にかかる財源、人手不足。
- 消費者教育啓発教材に関して、公表済の教材は、研修・講座等の資料として他県・他市との間において自由に使えたら便利である。
消費者庁 「令和5年度消費生活意識調査(第2回)」の結果について
- 「食品ロス問題の認知度」について
- 食品ロス問題を知っているか聞いたところ、知っている(「よく知っている」と「ある程度知っている」のいずれか)と回答した人は80.9%であった。年代別では、70歳代以上の認知度が90.7%と最も高く、20歳代の認知度が69.2%と最も低かった。
- 「賞味期限・消費期限に対する理解度」について
- 賞味期限・消費期限を正しく理解しているか聞いたところ、理解している(「よく理解している」と「ある程度理解している」のいずれか)と回答した人は77.2%であった。
- 「食品を購入する際の賞味・消費期限の意識」について
- 食品を購入する際に賞味・消費期限を意識しているか聞いたところ、「消費予定に関係なく、なるべく期限の長い商品を購入している」と回答した人は45.6%であった。
- 「家庭で余った食品の寄附を行うための効果的な取組」について
- より多くの方が家庭で余った食品の寄附を実施するため、効果的だと思う取組について聞いたところ、「食中毒等が起こらないように、寄附先が食品の安全に配慮し、適切な温度管理や衛生管理をしている」ことが効果的と回答した人の割合が最も高く32.3%であった。次いで「余った食品を回収するボックスがスーパーや自治体施設等に設置されている(29.2%)」となった。他方で、「寄附をしたくない」と回答した人の割合は36.2%であった。
- 年代別にみると、20歳代及び30歳代と比べ、60歳代以上では寄附に対して肯定的な傾向がうかがえる。
- 「飲食店で食べきれなかった料理を持ち帰ること」について
- 飲食店側が、料理を持ち帰った以降の不適切な管理によって食中毒等の事故が発生することを危惧し、持ち帰りを認めない事があるが、それについてどう思うかを聞いたところ、「持ち帰りを意識したことはない」、「食中毒等の事故が発生する危険性を考えれば、店側が持ち帰りを認めないことはやむをえない」、「持ち帰った後の食品の管理は自分で注意すればよく、店側の十分な注意喚起や容器包装の提供を前提に、持ち帰りを認めるべき」で大きく三分され、それぞれの回答割合は36.2%、36.1%、27.2%となった。
- 「食品ロス問題を認知して食品ロス削減に取り組む人の割合」について
- 食品ロス問題を認知して食品ロス削減に取り組む人の割合を集計したところ、食品ロス問題を「知っている」と回答し、かつ食品ロスを減らすための取組を行っていると回答した人は76.7%であった。※「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針(令和2年3月31日閣議決定)」において、「食品ロス問題を認知して削減に取り組む消費者の割合を80%とする」との目標を設定。
消費者庁 PIO-NETを利用した消費者問題の傾向分析 ~テキストマイニングを用いた時系列データのトピック比較~
- 論文要旨
- 本稿は、2021年1月から2021年12月の1年間に受け付け、全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET)へ登録された相談内容のうち、新型コロナウイルス感染症関連の話題について抽出したものについて独自に分析し、消費者問題の傾向分析を行ったものである。PIO-NETの相談内容に含まれる話題の分析には、統計分析手法のトピックモデリングを用いる。話題の分類と特徴的なキーワードの抽出を行い、月ごとの新型コロナウイルス感染症関連の主な出来事について分析を行った。その結果、新型コロナウイルス感染症の流行が継続し、会社や家賃といった収入に関する相談や、ワクチン接種のような国の施策に関連する相談が目立った。同様の手法で2020年1月から2020年12月の1年間に受け付けた相談内容について分析を行った結果と比較した結果、新型コロナウイルス感染症の流行が始まったばかりの混乱期である2020年に多かったマスク等の商品の品不足関連の相談は2021年には目立たなくなり、送り付け商法等に関する相談や副業や会社、家賃といった経済的な理由に基づく相談が多くなったことが分かった。国の施策に関する相談についても、2020年に多かった給付金やGo Toトラベル等の相談に代わり、2021年にはワクチン接種関連の相談が増加した。
- さらに、2020年1月から2021年12月の2年間の相談内容について、トピックモデリングで得られたトラブルキーワードを用いて、連続する2ヶ月のトピックの類似度を計算することにより、トピックの変動を分析し、新型コロナウイルス感染症に関連する主な出来事との関連を考察した結果、緊急事態宣言の発出の前後では、大きくトピックの内容が変化している等、国の施策が消費者の相談内容に少なからず影響を与えていることが分かった。
消費者庁 食品ロス削減に向けた取組について
▼食品ロス削減関係参考資料(2023年8月23日)全体版
- 食品ロス量は年間523万トン(令和3年度推計)≒国連世界食糧計画(WFP)による食料支援量(約480万トン)の1.1倍。毎日大型(10トン)トラック約1,433台分を廃棄。年間1人当たりの食品ロス量は42kg→毎日おにぎり1個分(114g)の食べ物を捨てている計算
- 「食品ロス」=本来食べられるのに捨てられる食品。我が国の食品廃棄等は年間2,402万トン、うち食品ロスは523万トン。国連世界食糧計画(WFP)による食料支援量(約480万トン)の1.1倍。
- 食品ロスの内訳 事業系:279万トン(53%)、家庭系:244万トン(47%)食品ロスの約半分は家庭から
- 我が国は食料を海外からの輸入に大きく依存。食料自給率(カロリーベース)は令和4年度では38%
- ごみ処理事業経費(一般廃棄物処理事業のうち、し尿処理事業経費を除く)約2.1兆円
- 食費は消費支出の中で1/4以上を占めている。9人に1人の子どもが貧困状態
- 世界の食料品廃棄の状況
- 1年当たり13億トンを廃棄。食料は、農業生産から世帯での消費に至るフードサプライチェーン全体を通して捨てられている
- 研究の結果は、世界全体で人の消費向けに生産された食料のおおよそ3分の1、量にして1年当たり約13億トンが失われ、あるいは捨てられていることを示唆している。これは、食料生産に費やされた膨大な量の資源が無駄に使われ、また、失われあるいは捨てられた食料を生産するために発生した温室効果ガスもまた無駄に排出されたことを意味する。
- 食料は、農業によって生産されてから最終的に家庭で消費されるまでのフードサプライチェーンを通る過程で失われ、あるいは捨てられている。
- 中・高所得国では、食料はかなりの割合が消費の段階で無駄にされるが、これは、それらがまだ人の消費に適していても捨てられていることを意味する。低所得国では、食料はフードサプライチェーンの早期あるいは途中の段階で失われることが多く、消費者段階で捨てられる量はごく少ない。
- 低所得国における食料のロス・廃棄の原因は、主として、収穫技術、厳しい気候条件での貯蔵と冷却施設、インフラ、包装及びマーケティング・システムにおける財政的、経営的及び技術的制約に関連している。
- 中・高所得国における食料の損失・廃棄の原因は、主としてフードサプライチェーンにおける各アクター間の協調の欠如と消費者の習慣にある。
- 先進工業国における食料の廃棄は、食品産業、小売業者及び消費者の関心を高めることによって減らすことができる。現在は捨て去られている安全な食料の、優れた、そして有益な利用方法を見出す必要がある。
- 世界人口は急速に増加し、2050年には約97億人。世界の栄養不足人口(2021年)は、7億6,800万人(世界人口10人に1人の割合)
- 2030年度に、2000年度と比べ、家庭系食品ロス量、事業系食品ロス量いずれも半減できるよう取組を推進。
- 食品ロス問題の認知度(81.1%)。食品ロスを減らすための取組で、最も多いのは「残さずに食べる」(61.1%)。食生活の中で「もったいない」を意識した場面で、最も多いのは「食品廃棄に関する問題のニュースを見たとき」(43.6%)。
- 事業系食品ロスの発生要因は、いわゆる3分の1ルール等の商慣習や消費者の過度な鮮度志向など。食品ロス削減に向けて、製配販(製造・配送・販売)の連携や消費者の理解の促進などフードチェーン全体での取組が必要。家庭系食品ロスの発生要因は、作りすぎや賞味期限切れによる廃棄など。食生活における適量の食材購入や食事量の調整など消費者への啓発が必要。
- 過剰在庫や返品等によって発生する食品ロス等は、フードチェーン全体で解決する必要。このため、製造業・卸売業・小売業の話合いの場である「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム」を設置。平成24年度から、常温流通の加工食品は「納品期限の緩和」、「賞味期限の年月表示化」、「賞味期限の延長」を三位一体で推進。
- 経済産業省は日本気象協会と連携し、気象情報等を活用して食品ロス等のサプライチェーンのムダを削減する「需要予測の精度向上・共有化による省エネ物流プロジェクト」を実施。日本気象協会では、天気予報で培った最先端の解析技術で商品の需要予測を行い、食品メーカーでの生産量の調整や小売店での仕入れの見込みをサポートし、食品ロスを削減する取組を実施。
- 消費者の過度な鮮度志向や購買行動が食品ロスにつながることもある。→お客様がすぐに行動にうつせる小売店舗で、呼び掛けを行うことが重要。
- 農林水産省補助事業において、大手流通業者と連携して、店頭における消費者への啓発資材による食品ロス削減効果を実証。消費者の購買行動に対する意識調査では、半数近くの消費者が食品ロス削減に向けた買物をするという反応。また、実施店舗において食品廃棄率等が改善したことを確認。
- 農家・漁業関係者から規格外の食材を提供いただいたり、食品メーカーから割れてしまい商品にならない菓子などを提供いただいたりして、加工等することで新たな価値として食品を提供。
- 食品ロス削減推進計画を「策定・公表済み」と回答したのは、46自治体。「令和6年度以降に策定予定」は、1自治体。指定都市において、「策定・公表済み」と回答したのは15自治体。「令和5年度に策定予定」は3自治体。「令和6年度以降に策定予定」は2自治体。
- 災害用備蓄食料の有効活用の促進
- 各府省においては、「政府業務継続計画(首都直下地震対策)」及び「中央省庁業務継続ガイドライン第2版(首都直下地震対策)」等に基づき、災害時に非常時優先業務が実施できるよう、必要な食料を備蓄。
- 各府省における災害時用備蓄食料の更新時の取扱いについて現状を確認したところ、廃棄との回答が複数みられたことから、災害時用備蓄食料の更新・契約の際には、食品ロス削減の観点から、備蓄食料の有効活用について検討するよう通知。(平成31年4月5日付け内閣府防災担当、消費者庁及び環境省連名通知)
- 令和元年度には、農林水産省において、役割を終えた災害用備蓄食品をフードバンク団体等へ提供する取組を開始。令和2年度には、「食品ロス削減関係省庁」においてこのような取組を推進すべく呼び掛け、文部科学省、消費者庁でも提供を実施。
- このような取組を踏まえ、食品ロス削減及び生活困窮者支援等の観点から、令和3年4月21日に、国の災害用備蓄食品については、不用決定を行ったものは、必要なものを除き、原則フードバンク団体等へ提供する旨、関係府省庁において申合せ。
- 生産・流通・消費などの過程で発生する未利用食品を食品企業や農家などからの寄付を受けて、必要としている人や施設等に提供する取組。もともと米国で始まり、既に約50年の歴史があるが、我が国では、ようやく広がり始めたところ。(日本では北海道から沖縄まで2022年3月時点で215団体が活動)。食品の品質管理やトレーサビリティに関するフードバンクの適切な運営をすすめ、信頼性向上と取扱数量の増加につなげるため、フードバンク活動における食品の取扱い等に関する手引きを作成。(2016年11月公表、2018年9月改正)
- フードドライブは、購入したが好みが合わなかったり、たくさんもらって食べきれないなど、家に眠っている未開封で賞味期限前の食品を提供してもらい、フードバンクなど食事に困っている人たちに寄付する活動。地方公共団体、店舗、学校の行事などフードドライブ活動が展開されている。
消費者庁 電話勧誘販売業者【塚本水産株式会社及び株式会社P.Sホールディングス】に対する行政処分について
- 消費者庁は、海産物の販売を連携共同して行う電話勧誘販売業者である塚本水産株式会社(本店所在地:北海道札幌市)(以下「塚本水産」といいます。)及び株式会社Sホールディングス(本店所在地:北海道札幌市)(以下「P.Sホールディングス」といいます。)に対し、令和5年9月28日、特定商取引法第23条第1項の規定に基づき、令和5年9月29日から令和7年6月28日までの21か月間、電話勧誘販売に関する業務の一部(勧誘、申込受付及び契約締結)を停止するよう命じました。
- あわせて、消費者庁は、塚本水産及びSホールディングスに対し、特定商取引法第22条第1項の規定に基づき、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築することなどを指示しました。
- また、消費者庁は、塚本水産の代表取締役である塚本志穂子(つかもと しほこ)及びSホールディングスの代表取締役である塚本篤(つかもと あつし)に対し、特定商取引法第23条の2第1項の規定に基づき、令和5年9月29日から令和7年6月28日までの21か月間、塚本水産及びP.Sホールディングスに対して前記業務停止命令により業務の停止を命ずる範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含みます。)の禁止を命じました。
- なお、Sホールディングスの代表取締役であり、かつ、塚本水産の「取締役、執行役、代表者、管理人又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力」を同社に対して有していた者である塚本篤は、消費者庁が令和元年7月4日、特定商取引法第23条第1項の規定に基づく業務停止命令等の行政処分を行った合同会社BBC(以下「BBC」といいます。)の役員として同法第23条の2第1項の規定に基づく業務禁止命令を受けた者であるところ、かかる状況において、塚本水産及びP.Sホールディングスは、前記のBBCに対する行政処分の理由となった特定商取引法違反の行為と同様の違反行為を繰り返していました。
【2023年9月】
消費者庁 訪問販売業者【株式会社エヌケージー及び株式会社野田建工】に対する行政処分について
▼訪問販売業者【株式会社エヌケージー及び株式会社野田建工】に対する行政処分について
- 詳細
- 消費者庁は、屋根瓦のふき替え及び外壁塗装の工事等に係る役務の提供を連携共同して行う訪問販売業者である株式会社エヌケージー(以下「エヌケージー」といいます。)及び株式会社野田建工(以下「野田建工」といいます。)(上記いずれの事業者の本店所在地:大分県大分市)(注)に対し、令和5年9月21日、特定商取引法第8条第1項の規定に基づき、令和5年9月22日から令和6年12月21日までの15か月間、訪問販売に関する業務の一部(勧誘、申込受付及び契約締結)を停止するよう命じました。(注)各処分対象事業者については、同名の別会社と間違えないよう会社所在地なども確認してください。
- あわせて、消費者庁は、エヌケージー及び野田建工に対し、特定商取引法第7条第1項の規定に基づき、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築することなどを指示しました。
- また、消費者庁は、エヌケージーの代表取締役である野田武政(のだ たけまさ)及び同社取締役副社長である村上東洋一(むらかみ とよかず)に対し、特定商取引法第8条の2第1項の規定に基づき、令和5年9月22日から令和6年12月21日までの15か月間、前記業務停止命令により業務の停止を命ずる範囲の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含みます。)の禁止を命じました。
- なお、消費者庁は、野田建工が勧誘目的の明示義務に違反する行為及び顧客が役務提供契約の締結を必要とする事情に関する事項につき、不実のことを告げる行為をしていたとして、平成30年10月30日、野田建工に対して業務停止命令等を行ったところです。
消費者庁 第4回「送料無料」表示の見直しに関する意見交換会(2023年8月10日)
▼一般社団法人セーファーインターネット協会提出資料(「送料無料」表示について)
- 物流革新に向けた政策パッケージに関する認識
- 我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議において令和5年6月2日に取りまとめられた「物流革新に向けた政策パッケージ」は、「2024年問題」をはじめとする我が国が直面する輸送力不足の解消が目的。
- 「送料無料」表示の見直しは、「商慣習の見直し」の「担い手の賃金水準向上等に向けた適正運賃収受・価格転嫁円滑化等」の中で、「運賃・料金が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されるべきという観点から」取り組む旨記載(なお、消費者の行動変容が観点に含まれないことには違和感)。
- SIA会員社においても、ECの市場規模拡大に伴い宅配便取扱実績が増加するなどしていることから、我が国物流の輸送力不足はインターネットにまつわる社会問題でもあると認識。
- SIAの会員社においても、輸送力不足の解消につながる取組を行っているなど(後述)、物流業界の負担軽減に努めて参る所存。
- 「送料無料」表示に関する認識
- Eコマースにおける「送料無料」表示の意味合い
- 「送料無料」表示の場合、(1)運賃全部を売主が負担するか、(2)運賃の一部または全部が商品価格に転嫁されている、のいずれか。(1)および(2)のうち商品価格に転嫁されない分が、売主の負担=買主へのサービス(なお、(1)は売主の利益を圧迫するため、一定の価格以上の商品を購入する場合のみ可能なことが多い)。
- 以上の構図は、「送料●円」表記でも同じである。すなわち、「送料●円」表記は、必ずしも実際の運賃が●円という意味ではなく、運賃のうち●円はお客様に負担してもらうという意味であり、これを超えた分は売主の負担(買主へのサービス)。
- 運賃のお客様への転嫁という意味では、送料無料も送料●円も大きな差異はないと考えられる。
- 「送料無料」表示のメリット
- 「送料無料」表示のある商品の方が、「送料●円」表示のある商品よりも注文が多い。
- 一般的に、お客様にとって送料無料の商品同士の方が価格の比較がしやすい。
- 「送料無料」表示のデメリット
- お客様が配送をまとめるインセンティブがなくなり、配送ロットは小さくなる傾向。1回の注文あたりに占める物流コストが増大し、荷主の利益を圧迫する。
- 多頻度少量の配送増加により、物流現場の業務負荷や、環境への負荷がかかる
- 「送料無料」表示を見直すことにより、「運賃・料金が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映される」ことになる根拠等を示していただきたい。
- 運賃・料金が消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されていない事実はあるのか。
- 「送料無料」表示により、消費者が運賃・料金が発生していないという誤解をしているとの事実が前提になっているようだが、そのような事実は存在するのか。
- 仮に、誤解をしているとして、この事実が、運賃・料金の消費者向けの送料への適正な転嫁・反映とどのように結びつくのか。
- その他、「送料無料」表示が、運賃・料金の消費者向けの送料に適正に転嫁・反映されていない理由といえる根拠はあるのか
- Eコマースにおける「送料無料」表示の意味合い
- SIAの意見
- 政策効果を立証できないなら、安易に「送料無料」表示の見直しを求めるべきでない。
- 政策効果があるとして「送料無料」表示の見直しに取り組む場合には、以下の点に留意すべきである。
- 国内で営業する全事業者が一斉に服するルールとすべき。「送料無料」表示のある商品の方が注文が多いことから、一部の事業者が「送料無料」表示を止めると、お客様は「送料無料」表示を継続する事業者に流れるおそれ。また、ストアは複数のモール等に出店する傾向があり、異なった対応は中小を中心とする出店者に負担となる。
- 表現の幅は広く認めるルールとすべき。消費者が運賃・料金の発生を認識できる限り、各事業者のサービスに合った表現が許容されるべき。(例)「送料込み」「送料当社負担」「送料円」など
- 会員社による輸送力不足の解消につながる取組例
- Yahoo!ショッピング おトク指定便
- 「おトク指定便」とは、消費者が急がない荷物は余裕のあるお届け日を指定すると、指定日によって「PayPayポイント」がもらえるサービス
- Yahoo!ショッピング おトク指定便
- 22/8/28~23/3/25まで実施した実証実験を経て、23/4/11から本格展開
- 実証実験では、全体の注文者のうち、約半数の51%のユーザーが本サービスを利用
- また、ストアを対象としたアンケート※では、出荷作業の逼迫に課題を感じ、本サービスを利用してみたいと答えたストアは、半数以上の55%
- Yahoo!ショッピング おトク指定便
消費者庁 インターネット通販における表示内容と消費者の心理的特性等に関する調査
▼〔概要〕インターネット通販における表示内容と消費者の心理的特性等に関する調査
- 調査対象であった表示内容8種は、クリック及び後悔のしやすさの観点から、3つのグループに分類することができる。
- 表示をクリックしたことのある人の割合は少ないものの、後悔・トラブルを経験したことのある人の割合が30%を超え、かつ比較的購入金額も高いグループAの表示内容については、とりわけ注意が必要と考えられる。
- グループAの後悔・トラブルの経験をしやすい消費者の主な特性として、「ハロー効果」(一般的に良いとされる外見や身分などの目立つ特徴に引きずられて人の評価を決めてしまう人物)が共通している
- 心理特性の観点から、多くの表示内容に共通して、うつ傾向が高い者や喫煙者の場合に後悔・トラブルを経験しやすい。一方で、主観的な社会的地位が高い者や注意力が高い者ほど後悔・トラブルを経験しづらいことが分かった。
- 多くの表示内容に共通して、リスキーな心理傾向を測るチェックシートの合計点数が高いほど、後悔・トラブルを経験しやすいこと等が分かった。
- クリックする人は少ないが、後悔する人は多い表示
- 周りの人に好かれ、依存する人物(期待を受けることが動機付けにつながる傾向がある)
- 一般的に良いとされる外見や身分などの目立つ特徴に引きずられて人の評価を決めてしまう人物
- 人生の意義が明確で、自己実現をしようと努力している人物(主観的幸福度が高い傾向がある)
- 他人に対して誠実な人物
- 一般的に良いとされる外見や身分などの目立つ特徴に引きずられて人の評価を決めてしまう人物
- 楽観的で気持ちの切り替えが早い人物(主観的幸福度が高い傾向がある)
- 周りの人に好かれ、依存する人物(期待を受けることが動機付けにつながる傾向がある。)
- 一般的に良いとされる外見や身分などの目立つ特徴に引きずられて人の評価を決めてしまう人物
- クリックする人、後悔する人ともに一定数いる表示
- 他人を気遣う人物
- 自分は所属するチームの意思に従わされていると感じる、リーダーや明確な役割分担がなくても個々のメンバーに任せればよいと考える傾向がある人物
- 人生の意義が明確、自己実現をしようと努力している人物(主観的幸福度が高い傾向がある)
- 利他的でボランティア精神が強い人物
- 誇りを持ち、有頂天になりやすい傾向がある人物
- 低確率を過小に評価し、高確率を過大に評価する傾向がある人物
- 利他的でボランティア精神が強い人物
- 周りの人に好かれ、依存する人物(期待を受けることが動機付けにつながる傾向がある)
- 身近な大人から叱られた経験が多い人物
- クリックする人は多いが、後悔する人は少ない表示
- 低確率を過小に評価し、高確率を過大に評価する傾向がある人物
- 利他的でボランティア精神が強い人物
- 全ての表示内容において、20代男性の後悔・トラブル経験率が高い傾向が見られ、さらにリスキーな心理傾向を測るチェックシートの合計得点も高い傾向が見られた。※例示として「期間限定や先着順等、限定を強調する表示」の結果を示している。
- インターネット取引に係る商品・サービス購入後の後悔・トラブル経験がある人は、欲しい商品・サービスが表示された際にクリックする可能性が高いことが示唆された。
- 後悔・トラブルの経験率が高い表示に共通する心理的特性
- 表示の種類によって、表示をクリックした人の割合及び後悔・トラブルに至った人の割合に違いがあることが分かった。
- クリックしやすく後悔もしやすい表示は無かったが、「高額サービスの無料体験やキャンペーン表示」、「効き目を強調する表示」、「無料解約や返金保証をうたう表示」の3種は、商品の質に対する不満や、意図しない定期購入契約の締結といった後悔・トラブルの経験率が30%を超え、かつ比較的購入金額も高いことからとりわけ注意が必要と考えられる。
- クリックする人は少ないが、後悔する人は多い表示
- 後悔・トラブル経験がある人の特徴
- デモグラフィックな属性の観点では、どの表示においても、20代男性での後悔・トラブル経験率が高い傾向が見られた。
- また、「リスキーな心理傾向を図るチェックシート」の合計得点についても、20代男性において特に点数が高い傾向が見られた。
- 心理特性の観点からは、うつ傾向が高い者や喫煙者の場合に後悔・トラブルを経験しやすい一方で、主観的な社会的地位が高い者や注意力が高い者ほど後悔・トラブルを経験しづらいことが分かった。
- 「リスキーな心理傾向を図るチェックシート」の有用性
- 統計解析の結果、「リスキーな心理傾向」を測るチェックシートの合計点数は、全ての表示において、後悔・トラブルの経験しやすさと有意に関係していた。
- 啓発のアプローチ
- うつ傾向の高い人には、日常の生活支援等を通して本人の精神状態を安定させることや、精神が不安定なときに契約しないよう見守るなど、その周囲の人を巻き込んだ啓発の必要性があるのではないかと推察される。
- 過去にインターネット上の商品・サービスに係る表示に起因する後悔やトラブルの経験があり、そのことに自覚的であったとしても、なかなか行動は変えられないという実態がある可能性が考えられることから、仮想シミュレーション的な消費者教育を実施することにより、行動を変える練習を行っていくことが重要と示唆される。
- リスキーな心理傾向を測るチェックシート(若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会(平成30年度)を踏まえ作成)
- 消費者庁消費者行政新未来創造オフィスにおいて、1万人の若者を対象としたアンケート調査結果を分析し、だまされやすさ(契約への至りやすさ)をセルフチェックできる啓発物を作成。
消費者庁 食品ロス削減啓発絵本の活用に係る調査報告書
- 子どもにとっての令和3年度絵本の難易度については、保護者のうち42.6%が「簡単だった」「やや簡単だった」と回答した一方で、12.0%が「やや難しかった」「難しかった」と回答した。また、幼稚園教諭は32.6%が「やや難しかった」「難しかった」と回答した
- 保護者向けアンケートの結果、読み聞かせ後に自ら令和3年度絵本を読み返した子どもは44.3%、読み返さなかった子どもは55.7%であった
- 令和3年度絵本の読み聞かせ後における子どもの行動変化について、保護者と幼稚園教諭にそれぞれ質問した。その結果、保護者のうち54.5%、及び幼稚園教諭のうち62.5%が、子どもに行動変化があった旨回答した。
- また、保護者の回答を基に集計すると、令和3年度絵本の読み聞かせ後に、自ら読み返した子どもの60.3%に行動変化が見られた(図4)。また、自ら読み返さなかった子どもにおいても、50.0%に行動変化が見られた。
- ここでの行動変化とは、「調理の手伝いをするようになった」「食べ物の大切さについて話すようになった」等、食品ロス削減への意識をはじめ、食べ物を大切にする心や、生産者・調理する人を思いやる心が養われたと思われる行動の変化のことをいい、その内訳は図5のとおりである。
- 保護者のうち71.7%において、読み聞かせ後に食品ロス削減に向けた行動変化が見られた。行動変化の内訳は、図7のとおりである。
- まとめ
- 半数以上の保護者が、令和3年度絵本の読み聞かせ後に「調理の手伝いをするようになった」「食べ物の大切さについて話すようになった」等、子どもに食品ロス削減につながる行動変化がみられたと回答した。また、多くの子どもを一度に観察する幼稚園教諭からも同様に、子どもの行動が変化したと回答があった。
- また、保護者についても、読み聞かせ後には「子どもや家族と食べ物の大切さについて話すようになった」「食材の生産者や生産地のことを考えるようになった」等、食品ロス削減につながる行動変化が確認できた。
- 以上のことから、令和3年度絵本を用いた読み聞かせを行うことは、子どものみならず保護者に対しても、食品ロス削減への啓発として有効であることが示唆された。
- なお、保護者向けアンケートには令和3年度絵本の感想を尋ねる自由記述の設問を設けた。その回答としては、食品ロス削減に関する親子でのコミュニケーションや、食事を食べきる頻度等が増加したといった好意的な感想が多かったものの、文章の多さや内容のわかりづらさを指摘する感想も見受けられた。また、幼稚園教諭においては、令和3年度絵本が子どもにとって難しいと回答した割合が保護者以上に多かった。令和3年度絵本の作成方針及び趣旨として「食べ物を大切にする」ことや「生産者や食事を作る人のことを思いやる」こと等があったことから、食事やおやつを作ってくれる母親をいたわり、父親と一緒に調理に挑戦する場面や、食べ物の生産・流通・消費といったサプライチェーンの流れ等の内容を表現した結果、伝える要素が多く、また物語も長くなったため、上記のような感想及び回答があったものと思われる。
- 加えて、読み聞かせ後に、自ら読み返した子どもよりも、読み返さなかった子どもが多かったことについても、伝える要素が多いことや物語が長いことが1つの要因で、子どもの興味・関心が多少薄れてしまった可能性があることも考えられる。
- これらのことから、令和4年度では、5~6歳の子どもにより興味・関心を持ってもらうこと、また啓発の効果をより高くすることを目指し、新たな絵本を作成し、その活用に係る調査を実施することとした。なお、令和3年度絵本は、5~6歳の子どもを対象年齢として想定していたものの、伝える要素の多さなどから、対象年齢を引き上げて啓発に活用することも可能ではないかとも推察される。
消費者庁 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による消費行動の変化等に関する研究
▼概要版
- 2020年初め、新型コロナウイルス感染症の感染拡大初期において、日用品や食品等のパニック買いが世界的に見られた。日本でも同年2月-3月頃のマスク・トイレットペーパーの品切れや、同年4月の緊急事態宣言発令前後の食品・日用品の購入急増が報道されている。購入した商品は各世帯でどのように消費・備蓄されたのだろうか。本研究では、緊急事態宣言前後と感染拡大から約1年後の2時点についてとくしま生協組合員を対象として消費者の購買・備蓄行動に関する調査を実施した。約7,000名から回答を得、計量経済学を用いて分析したところ、調査地では近隣府県に比べ新規感染者数や死亡数は多くはないものの、年齢、所得、世帯規模、職業、不安等が過剰な購買行動に大きく影響することがわかった。
- また、著者らは2021年3-4月にフィールド実験の手法を用いて3回にわたり備蓄に関する情報提供を行った。具体的には、専門家監修のもと、日用品・衛生用品・食品に関して、必要最低限の備蓄内容や個数、収納・保管の仕方、ローリングストック等に関するチラシを作成した。チラシは(1)意識高揚(2)具体的な知識(3)生協広告(4)消費者庁からの注意喚起事項で構成され、年齢・性別・所得階層に基づいて割り付けた4グループ(3つの介入群+統制群)に異なる内容を提供した。
- 介入効果を推計したところ、介入群は、何をどれだけ備蓄するかについて、有意に意識を高め、知識と技能を得たことが分かった。また、「チラシを実際に読んだ」と回答した人ほど効果が大きかった。スキルや行動に関するアウトカムについては、全体的なインパクトはあまり大きくないことが判明した。これは、パンデミックの長期化に伴い統制群も備蓄品の管理について考えるようになったためや、デルタ株の拡大等により予防策が変遷してきたためと考えられる。
- また、上述の2度の調査で回答を得た品目別の備蓄量についても分析を行った結果、統制群では、食品や日用品の備蓄量に有意に大きな変化が見られた。つまり、統制群の多くの人がこれらの品を多く購入したり、多く消費したと考えられる。一方、介入群では、水・飲料、米・乾麺、消毒薬で備蓄量の変化が有意に小さいことがわかった。この結果から、介入群では、備蓄量がチラシによる情報提供で推奨された量に近づいた傾向や、パニック買いを回避するためのレジリエンス(変化や困難に適応する力)や十分な備えができるようになった傾向が示唆される
消費者庁 SNSなどを通じた投資や副業といった「もうけ話」にご注意ください!
- 投資や副業といった儲け話をきっかけにした消費者トラブルが年齢を問わず依然として続いています。
- SNSをきっかけに「もうけ話」をすすめられたとの消費生活相談が寄せられています。中には、著名人・有名人のなりすましと考えられる事例もあります。
- 儲け話をすすめられたら、まずは疑いましょう。
- 少しでも不安に思ったら消費生活センター等にご相談ください
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」番 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
消費者庁 食品ロス削減ガイドブック(令和5年度版)を公表しました。
▼食品ロス削減ガイドブック(令和5年度版)
- 「食品ロス」は、まだ食べられるにもかかわらず、捨てられてしまう食品のことをいいます。日本における食品ロスは、年間523万トン発生しており、この値は、国連世界食糧計画(WFP)による2021年の食料支援量(約440万トン)の1.2倍にもなります。日本の食品ロスは、事業者から279万トン(53%)、家庭から244万トン(47%)排出されています。食品ロスを減らすためには、事業者、家庭双方で取り組む必要があります。
- 生産者から消費者まで、食品が届くまでの一連の流れを、フードサプライチェーン(food supply chain)と呼びます。食品を取り扱うときに、フードサプライチェーンの各段階で、食品ロスが発生しています。まずは、私たち消費者まで、食べものがどのように運ばれてくるのか、その過程でどのような食品ロスが発生しているのか、確認してみましょう。
- 日本の食料自給率はカロリーベースで38%です。
- 日本は諸外国に比べて食料供給に対する国内生産の割合が低く、食料の多くを輸入に頼っています。また、日本では、9人に1人の子どもが貧困であるとされています。日々の食事に困っている子どもも少なくありません。
- 日本は、多くの食料を海外から輸入している一方で、たくさんの食品ロスを排出しています。また、食品ロスを含む一般廃棄物の処理費用に、年間約2兆円使われています。さらに、船舶・飛行機による輸入や、ごみを燃やす際に排出される二酸化炭素、焼却後の灰を埋める土地の問題もあります。
- 政府では、日本の食品ロス量を、家庭系食品ロス量、事業系食品ロス量のいずれも、2000年度と比べて、2030年度に半減することを目標として、様々な取組を進めています。近年は減少傾向にあり、コロナの影響もあるとは思われますが、目標に近づいている状況です。この半減目標を達成するためには、一人一人が、他人事ではなく我が事として意識をもって、身近にできることから着実に取り組んでいくことが大切です。
- 食品ロスを削減することは、環境にやさしく、人や社会等の配慮にもつながる消費行動であり、「エシカル消費」の1つです。食品ロス削減においても、「今だけ」「ここだけ」「自分だけ」ではなく、将来のこと、地域のこと、周りの人のことも考えた消費行動を考えてみましょう。
- 3R(スリーアール)は、大量生産、大量消費で増えるごみ処理の対策として、資源を有効活用するために、導入された考え方です。
- 世界の栄養不足(飢餓)人口は増加しており、2021年には7億6800万人に達しています。これは、世界の人口の10人に1人が飢えに苦しんでいることを意味します。
- 米国では、農務省(USDA)、環境保護庁(EPA)、食品医薬品局(FDA)が共同して、食品ロス削減のインパクトや重要性を消費者に伝えるための関係者間での調整やコミュニケーションを加速化させるため、「Winning on Reducing Food Waste Initiative」(食品廃棄物削減推進イニシアティブ)を設けており、それぞれの機関が協力して取組を進めています
- EUでは、「Farm to Fork Strategy」において、以下などにより、持続可能な食料システムへの移行の加速化をめざしています。
- 環境への影響の中和又は改善
- 気候変動の緩和やその影響への適応
- 全ての人が十分、安全、栄養のある、持続可能な食品へのアクセスの確保
- また、この一環として、加盟国に対し、以下などを求めています。
- 食品廃棄防止プログラムの策定
- 食品の寄附を始めとする食品の再配分などによる廃棄の抑制
- オーストラリア政府は、2030年までに食品ロスを半減させる目標を掲げています。2017年には、「NATIONAL FOOD WASTE STRATEGY」を発行し、食品ロスの現状や多様な主体による対策の手法を紹介しています
- 食品廃棄防止プログラムの策定
消費者庁 中古自動車の購入・売却等トラブルにご注意ください!
- 中古自動車に関する相談は、購入の際のトラブルのほか、中古車買取業者に売却する際のトラブルもみられます。
- 取引を行う際の注意
- 査定の場では契約しないようにしましょう。
- 事前に契約書を確認するようにしましょう。
- トラブルになったときは、消費生活センター等や業界団体の相談窓口に相談しましょう。
- 消費生活相談窓口
- ※消費者ホットライン「188(いやや!)」番
最寄りの市区町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
- ※消費者ホットライン「188(いやや!)」番
- JPUC車売却消費者相談室
- 車買取の事業者団体である一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)には、車の売却に関する専門の消費者相談窓口が設置されており、不安に思った場合やトラブルになった場合に相談することができます(無料)。
- ※電話番号:0120-93-4595
- ※受付時間:平日9:00-17:00
- 車買取の事業者団体である一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)には、車の売却に関する専門の消費者相談窓口が設置されており、不安に思った場合やトラブルになった場合に相談することができます(無料)。
消費者庁 令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。
- 広告であるにもかかわらず、広告であることを隠すことがいわゆる「ステルスマーケティング」です。
- 景品表示法は、うそや大げさな表示など消費者をだますような表示を規制し、消費者がより良い商品・サービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守ります。
- 消費者がより良い商品・サービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守るためには、ステルスマーケティングを規制する必要があります。
- 消費者は、企業による広告・宣伝であれば、ある程度の誇張・誇大が含まれているものと考えており、そのことを含めて商品・サービスを選んでいます。
- 一方で、広告・宣伝であることが分からないと、企業ではない第三者の感想であると誤って認識してしまい、その表示の内容をそのまま受けとってしまい、消費者が自主的かつ合理的に商品・サービスを選ぶことが出来なくなるかもしれません。
- 景品表示法で規制されるのは、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないものです。
- ※広告には、企業がインフルエンサー等の第三者に依頼・指示するものも含まれます。
- ※インターネット上の表示(SNS投稿、レビュー投稿など)だけでなく、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌等の表示についても対象です。
- 個人の感想等の広告でないものや、テレビCM等の広告であることが分かるものは対象外です。
- 景品表示法の対象となるのは事業者だけです。
- 規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。
- 企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはなりません。
消費者庁 インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に 対する改善指導について(令和5年4月~6月)
- 消費者庁は、インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示について、改善指導等を行いました。
- 消費者庁では、令和5年4月から6月までの期間、インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示の監視を実施しました。
- この結果、インターネットにおいて健康食品等を販売している133事業者による136商品の表示について、健康増進法第65条第1項の規定に違反するおそれのある文言等があったことから、これらの事業者に対し、表示の改善指導を行うとともに、当該事業者がショッピングモールに出店している場合には、出店するショッピングモール運営事業者に対しても、表示の適正化について協力を依頼しました。
- 消費者庁では、引き続き、健康食品等の広告その他の表示に対する継続的な監視を実施し、法に基づく適切な措置を講じてまいります
- 主な検索キーワード等
- 「高血圧」、「花粉症」、「アレルギー」等の疾病の治療又は予防を目的とする効果があるかのような表現
- 「治癒力」、「口臭」、「デトックス」、「アンチエイジング」等の身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効果があるかのような表現
- 「ダイエット」等の身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変える効果があるかのような表現
- 監視結果及び改善指導
- 監視の結果、インターネットにおいて健康食品等を販売している133事業者による136商品について、健康増進法第65条第1項の規定に違反するおそれのある文言等を含む表示を行っていたことが確認されたため、当該事業者に対し、当該表示の改善指導を行った。
- また、当該事業者がショッピングモールに出店している場合には、出店するショッピングモール運営事業者に対しても、同指導を行った旨を通知し、当該運営事業者に表示の適正化について協力を依頼した
消費者庁 停電時の発電機によるCO中毒や、復旧後の通電火災に注意!~災害をきっかけにした製品事故を防ぎましょう~
- 9月1日は防災の日。台風等による停電の際に使用される携帯発電機において、不十分な換気により一酸化炭素中毒となる事故が毎年発生しています。さらに、停電復旧後の通電に伴う火災にも注意が必要です。改めて事故を防ぐための対策をお願いします。
- 自然災害が発生したとき、災害そのものによる被害だけでなく、災害をきっかけに製品事故が発生することがあります。携帯発電機・通電火災による事故を防ぐため、以下の注意点に従って、安全に使用しましょう。
- 携帯発電機
- 災害による停電が長期化する場合の非常電源として携帯発電機をお持ちのご家庭が増えています。しかし、携帯発電機の排ガスには毒性の強い一酸化炭素(CO)が含まれており、屋内や風通しの悪い場所での使用による死亡事故も報告されています。
- 携帯発電機の使用時の注意
- 屋内では絶対に使用しないでください。発電機運転中の排ガスには一酸化炭素が含まれており、屋内で使用すると一酸化炭素中毒になるおそれがあります。
- 屋外であっても、自動車内やテント内で使用すると屋内と同等以上の危険性があります。排ガスが逆流しないように出入口、窓など開口部から離れたところ、かつ、風通しの良いところで使用してください。
- 通電火災
- 停電復旧後の通電により、電熱器具が周囲の可燃物に接触していたことによる発火や、家電製品の水没や部品の破損によりショートして発火するなどの製品事故も発生しています。
- 通電火災の注意
- 自宅から避難する際に時間的な猶予がある場合は、停電復旧時に異常のある製品に通電されることによる事故を防止するため、分電盤のブレーカーを切ってください。普段から分電盤の位置や操作方法を確認しておきましょう。
- 特にヒーターを内蔵した電気こんろや電気ストーブなどの電熱器具は、停電復旧時における意図しない作動による火災を防ぐため、停電時には電源プラグをコンセントから抜きましょう。
- 停電復旧後、浸水や落雷などによる損傷を免れた製品を使う際は、機器などの外観に異常がないか(電源プラグやコードに損傷はないか、製品に焦げた痕はないか、など)を確認の上、分電盤のブレーカーを入れ、機器の電源プラグを1台ずつコンセントに差し、様子を確認しながら使用してください。異音や異臭がする場合は、必ず使用を中止し、メーカーや販売店に御相談ください。
- 携帯発電機
【2023年8月】
消費者庁 ウェブサイト上では低額な料金を表示しているが、 実際には高額な料金を請求するトイレの詰まり修理業者に関する注意喚起
- 令和4年夏以降、トイレの詰まり修理を提供する事業者のウェブサイト上の「水漏れ・つまり修理 関東最安値220円(税込)~」などの表示を見た消費者が、低額な料金でトイレの詰まり修理が受けられるものと思い修理を依頼したところ、追加工事が必要などと言われ、高額な料金を請求されたといった相談が、各地の消費生活センターなどに数多く寄せられています。
- 消費者庁及びさいたま市が合同で調査を行ったところ、RS設備と称する事業者(以下「本件事業者」といいます。)による、消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある行為(虚偽・誇大な広告・表示)を確認したため、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼び掛けます。また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します。
- 具体的な事例の内容
- 本件事業者は以下のような行為を行っていました。
- トイレが詰まり困っている消費者がウェブサイトで修理業者を検索し、「水漏れ・つまり修理 関東最安値220円(税込)~」などと、低額な料金でトイレの詰まり修理を行う旨を表示する、本件事業者が運営するウェブサイトである「水の関東24」(以下「本件ウェブサイト」といいます。)を見つけます。
- 夜間といった他の事業者に連絡がつきにくいときなどに、トイレの詰まりに困った消費者は、本件ウェブサイトの以下のような表示を見ることにより、トイレの詰まり修理を、一般的な料金よりも低額な料金で行ってもらえるという印象を持ちます。
- 「水漏れ・つまり修理 関東最安値220円(税込)~」
- 「トイレのつまり・水漏れ解決 通常1,580円(税込)→220円(税込)~」
- 「明確な金額を提示!追加料金一切なし!水まわりの交換や修理といった作業時には、作業を開始する前に必ず明確な金額を提示します。また、特殊な例を除いて、お見積もり時になかった追加費用が発生することはありません。」
- 「悪徳工事業者にご注意ください!!関東の水道業者の中には、修繕を依頼したお客様に対し、依頼した以外の作業を行い、わけの分からない高額な請求をする業者がございます。」、「私たちは業界の健全化を目指し、そういった悪徳水道業者の排除に努めて参ります。」
- 夜間といった他の事業者に連絡がつきにくいときなどに、トイレの詰まりに困った消費者は、本件ウェブサイトの以下のような表示を見ることにより、トイレの詰まり修理を、一般的な料金よりも低額な料金で行ってもらえるという印象を持ちます。
- 消費者からの電話を受け、作業員を派遣します。
- 消費者が、前記(1)の広告を見て、本件ウェブサイトに表示された本件事業者の電話番号に電話するとコールセンターにつながり、消費者から故障内容などを聞き取って、「今から30分くらいで伺います」などと答えて作業員を派遣します。
- なお、このときに、コールセンターから、見積りや誰が訪問するかなど詳細な説明はしないこともありました。
- 消費者宅を訪問した作業員は作業を開始しますが、追加工事が必要と説明します。
- 作業員は消費者宅を訪問し、当初は、「たぶんこれで直ります」などと説明して、数千円から数万円程度の比較的低額な料金を示しながら作業を進めます。
- しかし、作業を進めていくと、「排水管の奥が詰まっているかもしれない」などと、当初の作業ではトイレの詰まりは解消できないとして、便器を外して配管に薬剤を投入したり、機械を使ったりする作業が必要だとして、数万円から十数万円の追加工事が必要であると説明します。
- 消費者としては、本件ウェブサイトを見て想定していた料金よりも大幅に増額していることは認識しますが、既に修理作業が行われており、ここで作業をやめられても困るなどと考え、追加工事を承認します。
- 作業員は追加工事を開始しますが、更に追加工事が必要と説明することがあります。
- 作業員は、追加工事を開始した後、大掛かりな工事が必要などとして、数十万円の更なる追加工事が必要であると説明することもありました。同様にここで作業をやめられても困るなどと考えた消費者が作業員から提案された追加工事を承認すると、作業員は、消費者に対し、会社に追加工事を依頼する電話をしてほしいとして、「工事請負契約書」に記載の電話番号に電話するよう依頼することがありました。消費者は、なぜわざわざ作業員の会社に電話しなければならないのか疑問に思いながらも、作業員から指定された電話番号に電話し、改めて追加工事の依頼をしていました。
- 最終的には、一般的な修理料金よりも数倍高額な料金を請求します。
- 作業員は工事が終了すると、修理作業の内容と請求金額が記載された「工事請負契約書」を消費者に渡し支払を請求しますが、その金額は、同内容の修理作業の一般的な料金よりも数倍高額なものとなっていました。また、「工事請負契約書」には、事前に消費者に説明のなかった修理作業の費用が計上されていることがありました。
- 消費者は、トイレの詰まりは修理されたこと、作業員と減額等の交渉をする時間がなかったことなどから請求された料金を支払っていました
- トイレが詰まり困っている消費者がウェブサイトで修理業者を検索し、「水漏れ・つまり修理 関東最安値220円(税込)~」などと、低額な料金でトイレの詰まり修理を行う旨を表示する、本件事業者が運営するウェブサイトである「水の関東24」(以下「本件ウェブサイト」といいます。)を見つけます。
- 本件事業者は以下のような行為を行っていました。
- 消費者庁から皆様へのアドバイス
- ウェブサイトに表示された低額な料金をうのみにせず、依頼する前に、作業内容や料金を確認しましょう。
- 本件事業者はウェブサイトで低額な料金を表示し、一般的な料金よりも低額な料金でトイレ修理が受けられると思わせていました。インターネットで検索をすると、他にも低額な料金を表示するウェブサイトは存在します。これらが全て悪質業者というわけではありませんが、表示された料金で修理作業が完了するとは限りませんので注意が必要です。会社概要や所在地、水道局指定業者か否かなどをチェックして、信頼のおける事業者かを確認しましょう。
- 自宅に来た作業員は信頼できる作業員でしょうか。作業内容や請求された料金に納得できないときは、その場で料金を支払うことに慎重になりましょう。
- 自宅に来た作業員は、依頼した事業者から委託を受けた別の事業者から派遣されてくることもあります。後にトラブルになった場合のためにも、まずは自宅に来た作業員の身元をしっかりと確認し、作業手順やどこが詰まっているのかなどの説明を受けて、見積りを示してもらい、高額だと感じた場合は他の事業者にも料金を問い合わせてみるなどしてみましょう。
- また、悪質業者は作業をしながら次々と工事を追加し高額な料金を請求します。事前に説明のなかった修理作業の費用が計上されていたりして、作業内容や請求された料金に納得できないときは、家族に相談するなどと伝え、その場で料金を支払うことに慎重になりましょう。
- トイレが詰まってしまっても慌てずに、まずは冷静になりましょう。
- トイレが詰まっても慌てずに、まずは冷静になりましょう。普段から、簡易トイレを数日分備蓄しておいたり、信頼のおける事業者を探しておくとよいでしょう。
- ウェブサイトを見て修理依頼した場合であっても、クーリング・オフできる可能性もあります。
- ウェブサイトの低額な料金を見て訪問修理を依頼したにもかかわらず、実際には消費者のお宅において高額な修理の勧誘を受けて契約した場合、クーリング・オフできる可能性もあります。
- 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
- ウェブサイトに表示された低額な料金をうのみにせず、依頼する前に、作業内容や料金を確認しましょう。
消費者庁 第6回「送料無料」表示の見直しに関する意見交換会
▼公益社団法人日本通信販売協会提出資料(送料無料表示の見直しについて)
- 協会としての意見・提言
- 送料無料表示を見直す場合、小売業全体で取り組むことを希望します
- 協会としては、物流の下請け配送事業者の地位向上に向け、小売業一体となって取り組みたい。
- その際には、大手プラットフォーマーも含め、市場に影響のある事業者・関係者の協力が不可欠と考える。
- まずは、送料無料表示を見直すかどうかは事業者の選択に委ねつつ、
- 送料無料表示をやめ適切な物流コスト負担を表示する事業者にインセンティブを与える奨励策も考えられる。万一、法規制化を検討する場合は「送料弊社(社名)負担」等、コスト負担を表示するよう求める規制を希望。
- ※通販事業者だけでなく、プラットフォーマー、配送サービス無料をうたう店舗型小売業者も規制対象に含め、公正な競争環境を。
- 政策の効果を数値検証できる制度を希望します
- そもそも、日本の総貨物量に占める宅配便の割合はごく限られている。(「宅配便が日本の総貨物量に占める割合は、実際には1.4%をはるかに下回るとみられる。」
- 政策により下請け配送事業者の地位向上が図られているか、結果を確認できる基準をもって取り組みたい。
- 送料無料表示を見直す政策を実施する場合、その効果を数値として測定し共有してほしい。
- 送料無料表示を取りやめる場合は表示変更など事業者もコストを負担して対応せざるを得ない。相応の負担にかなうよう、政策の実施効果は数値検証してほしい。
- 送料無料表示を見直す場合、小売業全体で取り組むことを希望します
- 通販業界および協会の立場について
- 通販業界も物流業界と問題意識を共にしています
- 通販は商品を消費者までお届けすることで成り立つ。通販と物流は不可分の関係。通販事業者としても、物流コストの止まらない上昇を防ぐため、下請け配送事業者の待遇改善への抜本的対策を希望。
- ※通販業界としては、物流コストが度々上昇している実態について社会的な理解を求めたい。これ以上の配送運賃の上昇は、商材によっては、商売が成り立たなくなる通販事業者を生むおそれがある。
- 通販は商品を消費者までお届けすることで成り立つ。通販と物流は不可分の関係。通販事業者としても、物流コストの止まらない上昇を防ぐため、下請け配送事業者の待遇改善への抜本的対策を希望。
- 通販事業者は配送費の値上げ要請に応じてきています
- ヤマト運輸のドライバーへの未払残業問題を契機に注目を集めた2017年の宅配クライシス以降、通販業界は配送各社の度重なる値上げ要請に応じ適切なコストを負担してきた。2017年以降に配送料値上げ要請があった会員のうち、値上げ要請に応じた会員割合およそ98%(令和5年7月実施の会員アンケートより)。
- 通販業界も物流業界と問題意識を共にしています
- 法規制化する場合、全事業者・関係者を対象に実効性ある規制を希望します
- 「(法規制案も奨励案も)いずれも不要」とする回答が最も多かったが、法規制に賛成する事業者のなかでは、通販事業者に加え、プラットフォーマーや店舗型小売業者なども規制対象に含め、実効性ある規制にすることを前提にした意見が目立つ。
- 送料無料表示に替わる表記は「送料弊社(社名)負担」への賛成が多く、送料を事業者が負担していることが分かり、かつ送料金額を明らかにしない表示を希望する。
- 事業者が負担する送料金額を表示することを求めると、「送料1円」等の送料の低価格化競争を招くため反対
- 会員通販事業者からのコメント
- 「消費者の理解度が低く流通コストが発生していないと誤解される」という論調に疑問。この規制が物流業界の人手不足に対しどのような影響があるのか疑問。
- Web通販は「送料無料」にしないと検索上位に表示されない等の事情がありやむなく送料無料対応している。大手オンラインモールも含めて抜け道を作らず全事業者が従うことが必要。
- 「送料無料」とサイト内で表示したとしても、送料は通販事業者で負担するので「送料弊社負担」という表示が嘘偽りのない内容で、ユーザーにとっても分かり易いと思う。
- 送料無料を謳うことをもし法律で禁止するのであれば、相応の準備期間を用意し、各種チラシやCM広告の修正などの変更費用を補助すべき。
- 議論の進み方によっては、表記変更コストが発生し、結果的に消費者に要らぬ負担をさせることに繋がる。
- 弊社は取扱い商品が多岐に渡り、商品によって送料が弊社負担、または仕入先負担(メーカー負担)のケースがあり、一概に「送料弊社負担」とは言いきれない状況となっている。
- 送料を誰かが負担していることを消費者に認識させるという趣旨からすれば、「○○円以上の注文は送料無料」の表示であれば本来は送料がかかると認識できる。規制する場合でも、「送料無料」を一律に不可とするのではなく、趣旨に反しないのであれば柔軟に工夫できる内容の表示規制を望む。
- 法規制等によりある一定の強制力をもって「送料無料」表示を禁止することとして決めた方がよいと思う。実際には送料が商品価格に含まれている場合でも「送料無料」として表示する事業者がいると、不公平が残る。
- 多くの通販事業者にとって送料無料は上位顧客向けの特典や、一部商品のみが対象であり限定的に運用されている。送料無料が消費者に広まっている要因は、消費者の利用が圧倒的に多い大手ECモールが出店者の負担のもとに送料無料をうたっていることや、小売以外のサブスクリプション型サービスを含む有料会員制度によって運送コストを回収することで送料無料をうたっていることなどが考えられる。まずはそういったサービスを提供している事業者を対象に限定的な規制を。
- 「送料無料」とはいえ販売側が費用負担をしている。消費者も「送料無料」の実態が配送費用が生じていないとの認識はないと思われる。「送料無料」表示の目的は他社との差別化のため自社負担によるサービスである。「送料無料」表示をやめて何か変わるとは思えず、2024年問題の論点は別のところにある。
- 送料無料表示を禁止すれば、「送料1円」「送料分ポイント還元」など不適正な競争になり、消費者にとっても負担額がわかりにくい。消費者利益を損なうことになる。
- 通販業界にとって宅配事業者との関係はビジネスの生命線であり、現実的に取引先の選択肢も限られる。値上げだけでなく集荷時間など配送業務関連の要望があれば応じてきた。値上げによる増収分が現場ドライバーに回ってないとすれば、表示の問題よりもそれを改善することが優先課題では。
消費者庁 無登録業者との外国為替証拠金取引(FX)にご注意ください!
- 「外国為替証拠金取引(FX)」とは、業者に一定の委託証拠金を預け、その額の何倍もの額を外貨取引するハイリスクな取引です。外国為替を英語で”Foreign Exchange”と表すことに由来して、外国為替証拠金取引は、通称、「(FX)」などと言われます。
- 取引を行う際の注意
- 金融商品取引業の登録を受けていない業者(無登録業者)とのFX取引にかかるトラブル(※1)が多発しています。消費者保護の観点から、無登録業者との取引はしないでください。(※1)利益が出たが出金できない、出金申請をしたが返金がない、連絡がとれないなど。
- 日本に居住する者に対してFX取引を業として行うには、金融商品取引業の登録が必要です。たとえ海外で金融商品取引のライセンスを持つ業者であっても、日本で登録を受けずに日本に居住する者に対して金融商品取引を業として行うことは禁止されています。
- 特に海外所在の無登録業者は、業務の実態等の把握が難しく、仮にトラブルが生じたとしても、業者への追及は極めて困難です。取引を始める前には、業者が金融商品取引法の登録を受けているかを金融庁HP上(※2)で必ず確認すると同時に、取引の仕組やそれに伴うリスク等について理解したうえで、取引を行うようにしましょう。(※2)金融商品取引法の登録を受けている業者は、金融商品取引業者登録一覧(金融庁)で確認できます。
▼金融庁 金融商品取引業者登録一覧
消費者庁 第1回「送料無料」表示の見直しに関する意見交換会
▼全日本トラック協会提出資料(「送料無料」表示について)
- 送料無料について(運送業界の主張)
- 荷物を消費者に届けるためには様々なコストがかかっている。送料は運送の対価として収受するものであり「無料」ではない。
- 燃料価格、車両価格、人件費等が上昇し、価格転嫁が必要となっており、これらの価格転嫁を理解いただくためには、荷主の先にいる「消費者」の理解が欠かせない。
- 「送料無料」という言葉が物流に対する消費者のコスト意識をないものにし、「輸送にはコストがかからない」という間違った考え方を植えつけることになる。
- 特定のところにしわ寄せがいくのではなく、サプライチェーン全体で考えていかなければ、物流が維持できなくなり、物流の2024年問題にも対応できなくなる。
- 「送料無料」の表現はやめてもらいたい。
- 送料がかかっていることがわかる表現にしてもらいたい。
- (例)「送料は当社にて負担します」「送料は〇〇円いただきます」「送料は別途負担いただきます」
- トラック運送事業者の規模
- 保有車両台数10両以下の小規模事業者が6割近く占める。
- 営業損益率の推移
- 保有車両台数の少ない事業者ほど営業損益率のマイナスが大きい。
- 送料無料について(運送事業者・ドライバーの声)
- 苦労して再配達までしているのに、かたや「送料無料」と言われると、やりきれない気持ちになる。
- 「送料無料」の表現により業界の地位が著しく低下し、人手不足にも繋がっている
- 「送料無料」なんて表現を許しているから、賃金があがらない。
- 「送料無料」という表記を禁止してほしい。無料で荷物を運んでいる運送事業者は無く、誰かが必ず負担しており虚偽表現である。
- 物流を軽くみている表現だ。消費者の物流に対する意識を変えてほしい。
- 「送料無料」が当たり前の時代を終わらせないと、いつまでも安く使われる。業界の仕事はタダではない。
- 全日本トラック協会の取り組み
- 「送料無料じゃありません」のインターネット広告(Yahoo! JAPAN)による配信(2021年6~9月、2023年1月~)
- NHKのWEBニュースを通じ、運送事業者の仕事は、無料でないことを主張(2021年6月10日)
- 通販系の荷主業界紙日本流通産業新聞を通じ、運送事業者の仕事は、無料でないことを主張(2023年3月30日)
- 荷主団体等が主催する荷主対象のセミナーや外部フォーラム等での講演の際に、「送料無料」に対する協会としての考え方を説明
- 都道府県トラック協会の取り組み
- YouTube等への動画広告
- ラジオへのCM
- 新聞への広告掲載
- 各種団体等の会報誌への掲載
- テレビでのインタビュー動画の配信
【国民生活センター】
【2023年11月】
国民生活センター スマホのガラス製フィルム 割れたまま使うのは危険!
- 内容
- 事例1:スマートフォンをショップで購入した時に勧められ、ガラスフィルムを貼ってもらった。後日、スマートフォンを落とした時にガラスフィルムが割れたが、そのまま使用していた。ポケットの中に手を入れた際、左手の小指にガラスフィルムが刺さり、7針縫うけがをした。ショップに苦情を伝えたが、割れたままの状態で使用していた場合、補償はできないと言われた。(当事者:学生)
- 事例2:スマートフォンの液晶画面用のガラスフィルムが元々割れていたが、そのまま使っていた。おしりのポケットに入れていたスマートフォンを取り出したところ、右人差し指を切った。(当事者:10歳代)
- ひとことアドバイス
- スマートフォン用ガラス製フィルムに使用されている強化ガラスは、割れると破断面が鋭利になります。そのまま使用しているとポケットやカバンなどから出し入れする時などに触れてけがをする恐れがあります。
- ガラスフィルムが破損したら交換しましょう。割れたガラスフィルムを剥がす時は、フィルムがそれ以上割れないようにゆっくり丁寧に剥がしましょう。また、廃棄する際にも注意しましょう。
- 割れていないガラスフィルムでも、端部や角でけがをする事故が起きていますので、取り扱いには気を付けましょう。
国民生活センター お使いの製品 リコール対象製品ではありませんか?
- 内容
- 台所に置いていたヒーターから火が出た。水を掛けて火を消したが、ヒーターを外に出そうとした際に、やけどや擦り傷を負った。購入した家電量販店に連絡し調べてもらったところ、そのヒーターがリコール対象製品であることが分かった。(80歳代)
- ひとこと助言
- 製品などに何らかの欠陥や不具合があり、安全上問題が生じる可能性がある場合に、事業者が製品の回収、修理などのリコールを実施することがあります。
- リコール対象製品の使用を続けると、火災やけがなどの事故につながる危険性があります。
- 消費者庁の「リコール情報サイト」などを利用し、お使いの製品の安全情報を確認しましょう。リコール対象製品である場合は、すぐに使用を中止し、メーカーや販売店などの事業者に連絡してください。
- メーカーが、所有者登録サービスを実施している場合があります。このサービスでは、リコールなどの安全情報を受け取ることができるので、利用するとよいでしょう。
- 事業者と連絡が取れないなど、困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
国民生活センター 海産物の電話勧誘トラブル 年末にかけて特に注意してください!
- 海産物の電話勧誘トラブルに関する相談が、全国の消費生活センター等に寄せられています。2023年度上期の相談件数は1,183件(注1)となっており、前年度同期(2,408件)に比べ減少はしていますが、引き続き多くの相談が寄せられています。
- 北海道警察本部では悪質業者の摘発を強化しており、今年6月には特定商取引法違反の疑いで札幌市内の会社役員らを逮捕しています。この事件では、消費者に「北海道内の水産業者」を名乗って電話をかけてきて、「北海道産の海産物」と言って、価格に見合わない海外産などの海産物を販売していました。
- 直近では、一部の国・地域による日本産の海産物の輸入規制強化等に関連した勧誘トーク(困っているので支援してほしい など)も見られます。カニなどの海産物の購入機会が増える年末にかけて、こうしたトラブルが増加する可能性がありますので、特に注意してください。
- ※ 本公表は、北海道警察本部と国民生活センターが連名で、消費者に向けて注意喚起を行うものです。
- (注1) 相談件数は2023年10月10日までのPIO-NET登録分。消費生活センター等からの経由相談は含まれていない。
- 相談事例
- 母のところに、「以前購入された方に電話をしています。現在日本の海産物が海外で問題になっていて、売れない状況にあります。助けてください」と電話があった。2~3万円と高額だったため、母は曖昧に返事をしたようだが、電話を切ってから、商品が届くのではないかと不安に思い、私に相談してきた。電話口で会社名を聞いたがはっきり言わず、電話番号もわからない状況だったため、私が母の携帯電話の着信履歴を見て、相手先事業者と思われる番号に電話をしているがコール音が鳴るだけで誰も出ない。商品が届いた場合の対処法を知りたい。(2023年9月受付 契約当事者:80歳代 女性)
- 消費者へのアドバイス
- 電話で勧誘を受けた際、少しでもおかしいと感じたら、きっぱりと断りましょう。
- 電話勧誘で契約をしたときは、クーリング・オフ(注2)ができます。
- 断ったのに一方的に商品が届いても受け取りを拒否し、代金を支払わないようにしましょう。受け取ってしまった場合でも、販売業者に対し返金を求めることができます(注3)。
- 不安なとき、トラブルになったときは消費生活センターや警察等に相談しましょう。
- (注2)クーリング・オフの通知書面の書き方や手続き方法
- (注3)注文や契約をしていないのに金銭を得ようとして送り付けられた商品は、消費者が自由に処分してよいことになっています。
国民生活センター そのURLのクリック、ちょっと待って!-SMSやメールでの“フィッシング詐欺”の相談が依然高水準!-
- 全国の消費生活センター等には、事業者や公的機関などの実在する組織をかたるSMS(ショートメッセージサービス)やメールを送信し、パスワードやID、暗証番号、クレジットカード番号などの個人情報を詐取したうえ、クレジットカード等を不正利用するフィッシングに関する相談が引き続き多く寄せられています。フィッシング対策には日頃からの心構えが重要です。以下のチェックリストを活用し、より一層ご注意ください。
- フィッシング対策のチェックリスト
- 事業者や公的機関などのSMSやメールを見るときは
- 日頃利用している事業者等からでも、まずフィッシングを疑う。
- 記載されているURLにはアクセスせず、事前にブックマークした正規のサイトのURLや、正規のアプリからアクセスする。
- 事前のブックマークがない場合や、少しでも不安に思う点があれば、事業者等の正規のサイトでフィッシングに関する情報がないか確認する。
- フィッシングサイトにアクセスしたと気づいたら
- ID・パスワード、クレジットカード番号等は絶対に入力しない。
- フィッシングサイト上のアプリをダウンロードしない。
- フィッシングサイトに情報を入力してしまったら
- 同じID・パスワード等を使い回しているサービスを含め、すぐに変更する。
- クレジットカード会社や金融機関などにも連絡する。
- 日ごろからの事前対策
- セキュリティソフトや携帯電話会社の対策サービス等を活用する。
- ID・パスワード等の使い回しをしない。
- クレジットカードやキャリア決済、インターネットバンキングの利用明細はこまめに確認する。
- あわせて、利用限度額を確認し必要最低限の金額に設定する。
- 事業者や公的機関などのSMSやメールを見るときは
- 相談事例
- 通販サイトからメールが届き、クレジットカード番号を入力したら不正利用された
- 大手通販サイトから携帯電話に「会員満期通知」という件名でメールが届いた。メールを開くと、「月会費550円が引き落としできませんでした」と書いてあり「会員ログイン」という記載があったのでタップして遷移した。切り替わったページにはクレジットカード番号を入力する欄があったのでクレジットカード番号を入力した。しばらくして、クレジットカード会社から連絡があり、第三者に5万円使われたことがわかった。どうすればいいか。(2023年5月受付 年代不明 女性)
- 通販サイトからメールが届き、クレジットカード番号を入力したら不正利用された
国民生活センター 貴金属の買い取りが目的!? 強引な訪問購入に注意
- 内容
- 年配の女性から「どんなものでも買い取ります」と丁寧な電話があり、洋服の訪問買い取りを了承した。しかし、訪問してきたのは若い男性で、突然「貴金属はないか」と強く言われ、用意していた洋服は車に放り込まれた。怖くなって、亡くなった夫の金歯やネックレスなどを探して渡してしまった。それらを探している間に、買取書のチェック欄に勝手に記入され、近くに置いていた印鑑で捺印までされていた。男性は買い取り代として約2万5千円を置いて帰った。(70歳代)
- ひとこと助言
- 訪問購入をしようとする購入業者が突然訪問して勧誘をすることは禁止されています。このような禁止行為を行う購入業者を家に入れないようにしましょう。
- 前もって電話等で訪問を約束した場合でも、購入業者は、消費者が事前に承諾していない物品の売却を求めることはできません。売るつもりのない貴金属などの売却を迫られても、むやみに見せず、きっぱり断りましょう。
- 売却する場合は、必ず契約書を受け取り、すぐに物品の種類や買取価格、事業者の連絡先などを確認することが大切です。
- 訪問購入は、条件を満たせばクーリング・オフができ、クーリング・オフ期間中は引き渡しを拒むこともできます。困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
国民生活センター 断っているのにしつこい勧誘電話 法律違反です
- 内容
- 事例1 毎日のように「何にでも効く」という健康食品の勧誘電話がかかってくる。あまりにしつこいので購入を承諾してしまった。届いたサプリを飲んでみたが効果もないし、金額も約11万円と高額だ。年金生活で支払いも厳しく、解約したい。(80歳代)
- 事例2 お得な電気料金のプランがあると電話がかかってくる。現在の契約業者や家族構成を聞かれるが、それには答えず「必要ない」と言っているのに、何度も電話がある。電話が来ないようにしてほしい。(80歳代)
- ひとこと助言
- はっきり断っているのに、事業者が再度勧誘の電話をすることは、特定商取引法で禁止されています。しつこい事業者には、法律違反であることを伝え、きっぱり断りましょう。
- 断る際は、事業者名、連絡先等を聞いた上で「いりません」「興味ありません」「取引するつもりはありません」などと、はっきりした言葉で意思を伝えましょう。
- 迷惑電話対策機能が付いた電話や留守電機能を活用して、知らない人からの電話にはすぐに出ないことも、しつこい勧誘電話対策として有効です。
- 断り切れず購入しても、クーリング・オフ等ができる場合があります。困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
【2023年10月】
国民生活センター 【20代特に注意!】簡単に稼げるという副業
- 【#副業 #簡単 #稼げる】
- お金稼ぎたいし副業を検索してみよ!1日10分の簡単作業、1日1万円、準備はスマホだけ…タイパも良さそうでいいじゃん
- と思って登録したらマニュアル代やサポート費用がかかるだって?!こんなの想定外⇒消費者ホットライン188に相談!
- 相談事例
- 副業ランキングサイトを見てスマホで簡単に稼げるマニュアルを申し込んだが怪しい。このまま無償でキャンセルしたい
- 検索サイトで副業を探していたところ、副業のランキングサイトを見つけた。「準備はスマホだけ」「1日10分の簡単作業」という第1位の仕事に興味を持ち、LINEの友だち登録をした。メッセージが届き、「仕事の内容を知るには2万2,000円のテンプレートマニュアルの購入が必要だ」と言われ、申し込んだ。「仕事内容の詳細は電話で説明する」というので日時を約束したが、インターネットで調べると怪しい事業者とわかった。まだマニュアルは届いていないので、キャンセルを申し出たら「継続することを強制してはいないが、30日以内にマニュアル代を払ってほしい」と返信があった。無償でキャンセルできないか。(2023年3月受付 20歳代 女性)
- ネット検索で出てきた副業広告からLINEに友だち登録したら初期費用無料のはずが電子書籍代を請求された!
- インターネットで副業を検索したら「1日1万円簡単に稼げる副業」という広告が出てきた。LINEで友だち登録し、「初期費用0円でできる」と説明を受け、サポート事務局という別のLINEアカウントに誘導された。怪しいと感じ、「副業はやりません」と断ったら、受け取ってもいない電子書籍代約2万円を請求された。払わなければ所定の手続きを取る等と脅しのようなメッセージもある。どうしたらよいか。(2023年8月受付 20歳代 女性)
- 簡単にもうかるという情報商材の契約をしたが、事業者と連絡が取れない
- 「アフィリエイトで簡単にもうかる」というインターネットの広告を見て、約3,000円のマニュアルを購入した。マニュアルにはたくさんの有料プランが紹介されており、事業者から電話で「有料プランに入らなければもうからない。高額なプランほど色々なサポートが受けられる」と言われ、約60万円のプランを契約した。指示通りにブログを作り、毎日記事を書いたがもうからず、事業者と連絡も取れなくなった。(2021年1月受付 20歳代 女性)
- 副業ランキングサイトを見てスマホで簡単に稼げるマニュアルを申し込んだが怪しい。このまま無償でキャンセルしたい
- トラブル防止のポイント
- 「簡単に稼げる」「もうかる」ことを強調する広告やランキングサイトをうのみにしない
- SNSや動画広告、検索で表示されたランキングサイトなどで、「短時間で簡単に稼げる」「放置したままで報酬」「スタンプを送るだけで稼げる」といった、安さや気軽さ、メリットのみが強調された文言が用いられている場合があります。こうした文言をうのみにしないようにしましょう。
- 作業内容や利益が出る仕組みがよくわからなければ契約しない
- 「すぐに元を取ることができる」「サポート費用は稼いだ分で後から支払えばよい」などと言われて高額なサポート契約を勧誘されているケースがみられます。事業者の説明をうのみにせずに、どのような作業を行うのか、利益が出る仕組みとはどのようなものかなどを自分で調べて、よくわからなければ契約しないようにしましょう。
- 少しでも不安に思ったら早めに消費生活センター等に相談する
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
- 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
- 「簡単に稼げる」「もうかる」ことを強調する広告やランキングサイトをうのみにしない
国民生活センター マイナポイント事務局をかたる“詐欺メール”にご注意!-メールが届いたら詐欺を疑い、URLにはアクセスしないで-
- 「マイナポイント第2弾のお知らせ」「マイナポイントがもらえる」などとマイナポイント事務局をかたり、個人情報やクレジットカード情報を不正に得ようとする“詐欺メール”に関する相談が2023年9月ごろより全国の消費生活センター等に相次いで寄せられています。
- マイナポイント事務局からこのようなメールが送られることは絶対ありません。マイナポイント関連のサイトに誘導するメールが届いたら詐欺を疑い、URLにはアクセスしないようにしましょう。
- 相談事例
- マイナポイント事務局からのメールと誤信してクレジット番号等を入力してしまった
- スマートフォンにマイナポイント第2弾のお知らせメールが届き、本文に「マイナポイント事務局」との記載があった。すでにポイントを受け取っていたが、2回目のポイント付与があるのかと思いメール記載のサイトに移動して、個人情報、クレジットカード情報やそのパスワード、マイナンバー関連の情報を入力して送信してしまった。後で気になってネットで調べたところ詐欺メールだと気づき、クレジットカード会社に申し出てクレジットカードの番号は変更した。しかし、私は他のクレジットカードも同じパスワードに設定にしているため不安だ。どのように対処したらよいか。(2023年10月受付 60歳代 女性)
- マイナポイント事務局からのメールと誤信してクレジット番号等を入力してしまった
- 消費者へのアドバイス
- マイナポイント関連のサイトに誘導するメールが届いたら詐欺を疑い、URLにはアクセスしないようにしましょう
- マイナポイント事務局がメールでマイナポイント関連のサイトに誘導することは絶対にありません。URLにアクセスすると、ニセサイトに誘導され氏名や住所、電話番号、クレジットカード番号等を入力させられることにより個人情報を取得され、詐欺被害にあうおそれがあります。
- マイナポイント関連のサイトに誘導するメールが届いた場合は詐欺を疑い、メールに記載されたURLにはアクセスしないようにしましょう。不安に思ったら、自分でマイナポイント事務局のホームページや問い合わせ窓口を調べて問い合せましょう。
- 不審に思った場合や、トラブルにあった場合は、最寄りの消費生活センターや警察等に相談しましょう
- 「第2弾マイナポイント」の申し込み受付は2023年9月30日で終了していますが、10月に入り「この活動は2023年10月末まで続きます。お早めのお手続きをお願いします。」という新たな手口の詐欺メールもみられます。今後さらに新たな手口で詐欺メールが送られる可能性もありますので、少しでもおかしいと感じたら早めにご相談ください。
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
- お住いの地域の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
- 警察相談専用電話「#9110」
- 生活の安全に関わる悩みごと・困りごとなど、緊急でない相談を警察にする場合は、全国統一番号の「#9110」番をご利用ください。電話をかけると発信地を管轄する警察本部等の相談の総合窓口に接続されます。
- マイナンバー総合フリーダイヤル「0120-95-0178」
- 「通知カード」「個人番号カード」に関することや、その他マイナンバー制度に関するお問合せにお答えしています。音声ガイダンスに従って「1番」を選択してください。また、マイナポイント第2弾に関するお問い合わせは、音声ガイダンスに従って「5番」を選択してください。
- マイナポイント関連のサイトに誘導するメールが届いたら詐欺を疑い、URLにはアクセスしないようにしましょう
国民生活センター 道路交通法の基準に適合しない電動アシスト自転車に注意-道路を通行すると法令違反となるおそれがあり、交通事故も発生しています-
- 走行中にペダルをこぐ力を、搭載されている電動モーターが補助(アシスト)する仕組みの電動アシスト自転車に関して、道路交通法施行規則では、搭乗者がペダルをこがないと走行しない構造であること、アシスト比率は人の力:電動力が最大で1:2であること、24km/hまでアシストしそれを超えるとアシスト機能を停止することなどが定められています。
- そのような中、基準に適合しない車両で歩道を走行中、他の自転車に衝突する交通事故が発生し、当該車両の運転者が有罪判決を受けたほか、アシスト比率が道路交通法の基準を超えている車両を「電動アシスト自転車」と称して販売していた事業者が検挙されるなどの事例が発生しています。
- そこで、大手インターネット販売サイトで販売されている「電動アシスト自転車」について、道路交通法の基準に適合するかを調査し、消費者に情報提供することとしました。
- 動画【YouTube】
- 左脚は添えるだけ…道交法不適合の電動アシスト自転車に注意<危険>罰則の対象は「運転者」です
※大きな音がします。視聴に際して、ご注意ください。
- 左脚は添えるだけ…道交法不適合の電動アシスト自転車に注意<危険>罰則の対象は「運転者」です
- テスト結果
- 10銘柄中9銘柄でアシスト比率が道路交通法の定める上限値を超え、基準に適合していませんでした。うち6銘柄は、その上限値を大きく超え、人の力をほとんど要さずに一定の速度まで加速してしまいました。
- 10銘柄中5銘柄は、商品が届いた状態でスロットルのような装置が付いており、その内の2銘柄は操作すると加速してしまい、基準に適合していないと考えられました。
- 10銘柄中7銘柄に押し歩き補助機能と類似した機能が搭載されていましたが、いずれも乗車した状態で作動してしまい、基準に適合していないと考えられました。
- 表示の調査
- すべての銘柄で、購入した販売サイトに、自転車として道路の通行が可能である旨を明示、もしくはそれをほのめかす表現がありました。
- 3銘柄の取扱説明書に24km/hを超えるアシスト機能を停止する速度が記載されていたほか、その速度の変更方法に関する記載がありました。
- すべての銘柄にバッテリーとバッテリー充電用の充電器が付属していましたが、7銘柄では電気用品安全法のPSEマーク等が正しく表示されていませんでした。
- 消費者へのアドバイス
- 道路交通法の基準に適合していない、またはその可能性がある電動アシスト自転車をお持ちの方は、道路の通行を控え、購入先・製造元等に対応を確認しましょう。
- 購入の際は、今回のテスト結果を参考にするほか、型式認定のTSマークやBAAマークを目安にしましょう。
- 購入後にアシスト機能を停止する速度を変更出来ることや、スロットル操作で走行してしまう仕様から電動アシスト自転車に仕様変更できることをうたった商品は、道路交通法の基準に適合していない可能性があるので、購入前に事業者に問い合わせるなどして慎重に確認しましょう。
- 事業者への要望
- 道路交通法の基準に適合していない銘柄について、消費者への周知、問い合わせに対応する窓口の設置、希望者への当該商品の回収等、消費者へ適切に対応するよう要望します。
- 道路交通法の基準に適合していないにもかかわらず、道路を通行できるかのような紛らわしい表現等で販売することがないよう、広告表示等の改善を要望します。
- 商品の付属品について、関連法令を遵守し、適切に製造・輸入・販売されることを要望します。
- インターネットショッピングモール運営事業者への協力依頼
- 出品者に対し、付属品を含めて関連法令を遵守し、適切に製造・輸入・販売するよう周知するとともに、明確な広告表示によって消費者の求める商品を選択できるよう、出品者に対し広告表示について注意喚起の協力を依頼します。
- 行政への要望
- 道路交通法上の電動アシスト自転車の基準に適合しておらず、自転車として道路を通行することができない車両に関して、関係機関へ引き続き周知するよう要望します。
- 交通事故や消費者被害の未然防止、拡大防止のため、アシスト比率が基準を超えている電動アシスト自転車の利用を控えるよう消費者へ引き続き周知するよう要望します。
- 商品に付属する電気用品安全法対象のバッテリーや充電器について、同法に基づく表示に適合しない銘柄を製造・輸入または販売している事業者に対し、関連法令を遵守し、適切に製造・輸入・販売されるよう指導等を要望します。
国民生活センター 中綿の組成が表示と異なっていたコート(相談解決のためのテストからNo.180)
- 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
- 依頼内容
- 「購入したコートの中綿の組成が疑わしい。表示に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
- 調査
- 当該品は、中綿のダウン、フェザー、ポリエステルについての組成表示がある紳士用のコートで、相談者は通信販売にて購入し、薄くてペラペラであったため、表示とのギャップを感じたとのことでした。
- 家庭用品品質表示法 繊維製品品質表示規程において、コートのうち詰物を使用しているものについては、表生地、裏生地及び詰物の組成繊維の名称とそれぞれの繊維の混用率(羽毛製品の場合は組成混合率)を表示することとされています。
- 当該品の中綿について、JIS L 1903「羽毛試験方法」及びJIS L 1030「繊維の混用率試験方法」により組成混合率を調べたところ、フェザーは表示に近い割合でしたが、ダウンが表示の半分程度の割合、その分、ポリエステルの割合が高く、同規程に定められた誤差の許容範囲を大幅に逸脱していました。
- 解決内容等
- 依頼センターがテスト結果を販売事業者に説明したところ、製造事業者内で仕様に関する認識のずれが生じ、表示と異なるものが製造されたとの回答がありました。販売事業者は今後、管理や検査の体制を徹底するとともに、当該品の購入者に対しては、中綿の組成混合率が表示どおりの商品を送付するとのことでした。
国民生活センター 就活の不安につけ込む高額な勧誘に注意
- 内容
- 事例 就活に悩み、SNSで就活塾の広告を見てサイトに登録し、Web会議での無料カウンセリングを受けた。その際「セミナーを受ければ大手企業に100%内定する」と、約50万円のセミナーを勧誘された。その場で判断を迫られ、考える余裕もなく申し込んだ。後日「高額で支払えない」と事業者に解約を申し出たが、解約料として契約金額の20%を請求された。納得できない。(当事者:学生)
- ひとことアドバイス
- 就職に関する無料カウンセリングを受けるためにWeb会議に参加したら、いきなり高額なセミナーやビジネススクール等を勧誘されるケースがあります。事前に無料カウンセリングの内容や有料サービスの勧誘の有無等をよく確認しましょう。
- 「100%内定」などの断定的な説明や、「このままでは失敗する」などの不安をあおる言葉をうのみにせず、焦って契約しないようにしましょう。
- 「就活の相談に乗ってあげる」など、SNSで知り合った人の一見親切な誘いは、高額な契約の勧誘が目的の恐れがあり、注意が必要です。
- クーリング・オフや契約を取り消すことができる場合があります。困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
国民生活センター 国民生活 2023年10月号
▼クレジットカード取引におけるセキュリティ対策-クレジットカード不正利用被害防止に向けた取組みについて-
- クレジットカード市場と不正利用被害の発生状況
- わが国では、政府が成長戦略の一環としてキャッシュレス決済の推進を図っています。具体的には大阪万博が開催される2025年6月までにキャッシュレス決済比率40%をめざすことにしています。このため政府はこれまで、2019年10月~2020年6月にかけて、消費税率引上げに伴う需要平準化の対策として、中・小規模事業者を対象とした「キャッシュレス・ポイント還元事業」を実施するなどの後押しをしてきました。
- また社会的にも、2020年以降新型コロナウイルスの流行による巣ごもり消費などにより、インターネットによる通信販売(EC取引)が、2021年には20.7兆円(前年比7.35%増)と大きく伸びていますが、このようなEC取引の決済方法として、キャッシュレス決済が利用されることが多く、キャッシュレス決済にとっては追い風となっています。さらに、コロナ禍では、対面での取引においても人と接触する機会をなるべく少なくしたいという衛生面の観点から、キャッシュレス決済を利用するという消費者の方が増えています。
- このような動きもあり、2022年のわが国のキャッシュレス決済は111兆円、比率としては36.0%に達しています。もちろん、これらのすべてがクレジットカード(カード)によるものではありません。電子マネーやコード決済も含まれており、これらの決済方法も順調に推移していますが、カードによる決済はそのうち93.8兆円、比率で30.4%と圧倒的なウェイトを占めています。
- しかし、このようにキャッシュレスの市場が拡大することにより、残念ながらそのしくみを悪用する不正利用被害も増大しています。2022年のカード不正利用による被害額は436.7億円に上ります。そのうち、EC取引など「非対面取引」で不正に利用される「番号盗用」という手段による被害額が411.7億円と全体の94.3%を占めています。一方で、約300億円まで被害額が拡大していた2002年当時は、「偽造カード」による不正利用被害額は165億円、全体の56.6%を占めていましたが、カードのIC化対応により2022年には1.7億円、0.4%まで減少しています。
- カード取引における不正利用防止対策
- カード取引における不正利用の防止対策については、これまでもカード会社や加盟店を中心に取り組んできたところですが、カード取引に携わるプレーヤーの多様化や不正利用手口の巧妙化等に対応していくため、2015年からはカード取引にかかわる幅広い事業者や業界・消費者団体、行政等から成る「クレジット取引セキュリティ対策協議会」(以下、協議会)を設置し、取組みを強化しています。
- 協議会では、2016年以降「カード情報保護対策」や「対面取引、非対面取引における不正利用防止対策」を実行計画として取りまとめ、推進しています。2020年4月からはカード取引に関係する事業者が実施する具体的なセキュリティ対策を示す「クレジットカード・セキュリティガイドライン」を策定し、安全・安心なカード利用環境の整備に取り組んでいます。特に、昨今のカードの不正利用被害のほとんどが、既に述べたように、番号盗用による「非対面取引」によるものであることから、協議会では、特に「非対面取引におけるセキュリティ対策」に力を入れて取り組んでいます。
- 最近のカードの不正利用を目的とした、カード情報等盗用の主な手口と対策
- サイバー攻撃等不正アクセスによるカード情報等の漏えい防止対
- 不正利用者は、カード情報等を不正に詐取するため、カード決済に関係する事業者に対して、サイバー攻撃などによる不正アクセスやマルウェアを用いたシステムの改ざんなどを行ってきます。このためカード情報を取り扱う事業者は、VISA(ビザ)やMastercard(マスターカード)、JCBといった国際ブランドが共同で策定した国際的なデータセキュリティ基準である「PCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)」に準拠することにより防御することが求められています。これに加え、多くの加盟店はカード情報等の漏えいをしないよう、そもそもカード情報を持たない「非保持化」という方法でも対応しています。
- フィッシングによるカード情報漏えい防止対策
- 「フィッシング」とは、カード会員等にカード会社や宅配便業者、ショッピングサイトなど実在する企業を装った電子メールを送り、企業のホームページと酷似した偽物のウェブサイトに誘い込み、カード番号、アカウント情報(ユーザID、パスワード等)、暗証番号等を入力させて詐取し、当該カード会員本人になりすましてネット通販などで買い回りや、サービスの不正受領を行う“不正行為”です。
- このようなフィッシングに対して、カード会社では、第三者がカード会社のドメイン名に「なりすまし」て消費者に送信するメールを検出することができる送信ドメイン認証技術(DMARC等)の導入を進めています。このしくみを導入することにより、メール受信者に表示される送信者アドレスの詐称によるなりすまし送信を検出し、なりすましメールを受信拒否するなどの対応を行っています。
- カード決済時の不正利用防止対策
- このように不正アクセスやフィッシングなどに対して防止対策を講じていますが、それでも防ぎ切れずにカード情報等が漏えいしてしまった場合、カード決済時の不正利用を防止する対策を講じています。
- カードが利用者の手元にあるかどうか確認するためのセキュリティコードや、利用者が真正なカード会員本人かを認証するサービスである3-Dセキュアなどを活用しています。
- 現在は、さらにセキュリティレベルを上げるため、3-Dセキュアの後継でより精度の高い“EMV 3-Dセキュア”の導入に取り組んでいます。EMV 3-Dセキュアは、カード決済時に、カード会員本人かどうかを利用者の属性情報やデバイス情報などを活用することによりリスク判定し、一定以上のリスクが認められた場合に、カード会員がカード会社に事前に登録しているID・パスワードの入力や、事前に登録している携帯電話番号やメールアドレスにワンタイムパスワードを受信して入力することにより、カード会員本人であることを確認したうえで決済が行われるようにするというものです。
- サイバー攻撃等不正アクセスによるカード情報等の漏えい防止対
- カード会員が取り組むセキュリティ対策の重要性
- 前述のとおりカードの不正利用に対してさまざまな防止措置を講じていますが、これらの対策の多くはカード会員の方々の協力がないとその効果が限定的になる、あるいは、そもそも対策自体が成り立たないというものになります。
- 不正利用の被害にあわないためには、カード会員ご自身も、カード決済システムの一員であることをご理解いただき、セキュリティ対策に取り組んでいただくことが重要になります。
- 「フィッシング」被害にあわないための対策
- フィッシングメールにより、偽サイトに誘導され、不正利用に必要な各種情報を詐取されてしまうと、真正なカード会員の情報でのアクセスが可能になり、不正利用を防ぐことが難しくなってしまいます。メールやメールに記載されたリンク先で、カード番号、アカウント情報(ユーザID、パスワード等)、暗証番号等についての問い合わせや、回答を求められた場合には、そのまますぐに情報の入力や回答をせず、改めて当該事業者等の公式ホームページや問い合わせ窓口からアクセスし直すなど、情報を詐取されないよう注意する必要があります。
- なお、複数のウェブサイト(オンラインサービス)等で同じIDやパスワードを利用すると、フィッシング等によりユーザIDやパスワードが詐取された場合、ほかのウェブサイト(オンラインサービス)等にもアクセスされ、不正利用被害にあうリスクが高くなります。IDやパスワードの使い回しはせず、ウェブサイトごとにどのような情報が登録されているかをしっかり把握しておくことが必要です。
- 番号盗用による「なりすまし」被害にあわないための対策
- EC取引において第三者のなりすましによる不正利用がなされないために、カード会社や加盟店で取り組んでいるEMV 3-Dセキュアにおいては、カード決済をしようとしている人が、カード会員本人であることを証明するためにあらかじめカード会社に手続きをしておく必要があります。
- 具体的には、各カード会社に対してカード会員本人しか知らないID・パスワードを登録しておく、あるいはワンタイムパスワードを受け取るために携帯電話番号やメールアドレスを登録しておく、または、ワンタイムパスワードを組成するためのアプリケーションをダウンロードしておくなどの方法があります。このような登録等がなされていないと、EC取引等のカード決済で、本人を確認する必要が生じた場合に、カード会員本人を証明する術がないため、カードの決済が利用できない可能性もありますので、この点からも注意が必要です。
- 経済産業省の審議会においても、2025年4月以降、原則としてすべてのEC加盟店においてEMV 3-Dセキュアの導入を義務づけることについての提言がなされています。カード会員の方々には、それまでに各カード会社が求めるID・パスワードや、携帯電話、メールアドレス等の登録手続きを完了していただく必要があります。そのため、カード業界では、業界のセキュリティ対策の取組状況とカード会員の方々の協力を得るための周知・啓発活動を継続的に実施しています。
国民生活センター 屋根工事の点検商法のトラブルが増えています-典型的な勧誘トークを知っておくことで防げます!-
▼報告書本文
- 全国の消費生活センター等に寄せられる「屋根工事の点検商法」に関する相談が増加しています。
- 点検商法とは、「近所で行う工事の挨拶に来た」などと言って突然訪問し、「屋根瓦がずれているため点検してあげる」と言って点検した後、「このままだと瓦が飛んでご近所に迷惑がかかる」などと不安をあおって工事の契約をする手口です。
- 2022年度の屋根工事の点検商法に関する相談件数は過去5年で最も多くなり、2018年度の約3倍になっています(図)。また、契約当事者の8割超が60歳以上で、特に高齢者に注意してほしいトラブルです。悪質な業者は巧妙なトークで消費者に近づき、本来消費者が望んでいない高額の屋根工事を契約させています。
- そこで、屋根工事の点検商法について、最近の相談事例や典型的な勧誘トークを紹介し、注意喚起します。
- 年度別相談件数:2018年度は923件、2019年度は1,157件、2020年度は1,824件、2021年度は2,352件、2022年度は2,885件、2023年度は8月31日までで1,346件です。
- 点検商法の相談全体に占める屋根工事の相談割合:2018年度は16.2%、2019年度は20.1%、2020年度は26.0%、2021年度は31.6%、2022年度は35.4%、2023年度は8月31日までで35.9%です。
- 相談事例
- 【事例1】「屋根瓦がずれているのが見えた」と来訪した業者との契約をクーリング・オフしたい。
- 【事例2】実家の父がずれた瓦の写真を見せられ修理工事の契約をしたがキャンセルできるか。
- 【事例3】屋根や外壁、床下等の修繕を次々と勧誘され契約した。
- 【事例4】「近所で工事している」と言うので点検を依頼したが、近所の工事はうそだった。
- 【事例5】ドローンで撮影したという写真を見せられ契約したが解約したい。
- 相談事例からみる勧誘トーク
- 訪問・点検のきっかけとなるトーク
- 「近くで工事をしている者です」
- 「工事の挨拶に来ました」
- 「お宅の瓦がずれているのが見えましたよ」
- 「屋根が浮いているみたいですね。無料で点検してあげます」
- 「近所をドローンで撮影していたら屋根が傷んでいるのが見えました」
- 「知り合いに業者がいないなら見てあげますよ」
- 消費者の不安をあおるトーク
- 「このままだと台風が来たら雨漏りしますよ」
- 「瓦が飛んで近所の人にも迷惑がかかってしまいます」
- 「すぐに直さなければ大変なことに…」
- 「ドローンで見るとこんなに傷んでいます」
- 消費者の負担が軽くなると思わせるトーク
- 「この場で契約するなら特別に安くしますよ」
- 「通常より大幅に割り引いた価格です」
- 「保険金を使って修理すればいいじゃないですか」
- 「保険申請の手続きもしてあげます」
- 次々に違う工事やサービスを勧誘するトーク
- 「外壁も傷んでいて工事が必要だ」
- 「シロアリがいたので駆除しなければ」
- 訪問・点検のきっかけとなるトーク
- 消費者へのアドバイス
- 突然訪問してきた業者には安易に点検させないようにしましょう。
- 屋根工事はすぐに契約せず、十分に検討したうえで契約しましょう。
- 保険金を利用できるというトークには気をつけましょう。
- クーリング・オフ等ができる場合もあります。
- 少しでも不安を感じたら、すぐに消費生活センター等に相談しましょう。
- ※消費者ホットライン「188(いやや!)」番
- 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
- ※公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター
- 住宅のリフォーム工事に関するトラブルや工事費用等に関する相談を受け付けています。
- 「住まいるダイヤル」:0570-016-100/03-3556-5147
- ※消費者ホットライン「188(いやや!)」番
- 身近な高齢者を守るために
- 消費生活センター等への相談は、家族やホームヘルパー、地域包括支援センターなどの職員からでも可能です。高齢者の消費者トラブルを防ぐためには、不審な人間が出入りしていたり、困った様子がうかがえたりしないか等、日頃から高齢者の生活や言動、態度などを見守り、身近にいる周りの方が変化にいち早く気づくことがとても重要です。身近な高齢者がトラブルにあっているのではないかと気づいた場合は、できるだけ早く相談してください。
国民生活センター 【20代トラブル急増中!18・19歳も!】転売チケットトラブル
- 相談事例
- 【事例1】転売仲介サイトと気づかず、高額なライブチケットを購入してしまった
- 検索サイトで「○○(女性歌手)ライブ」と検索し、一番上に表示されたサイトにアクセスした。画面に制限時間のカウントダウンが表示されたので、急いでチケット2枚、約4万円をクレジットカードで支払った。購入後、このサイトを調べたら、海外の転売仲介サイトだったことが分かった。ライブのチケットを購入したのは今回が初めてで、あせってしまった。本当にチケットが届くのかどうかも怪しいので、キャンセルしたい。(2022年4月受付 20歳代 女性)
- 【事例2】SNSで知り合った個人からチケットを譲り受けるためコード決済サービスで代金を送金した直後、連絡が取れなくなった
- SNSで個人からチケットを譲り受けるために、1枚約2万5,000円で2枚の合計約5万円をコード決済サービスで代金を送金した。不安だったので、あらかじめ相手の住所、氏名、電話番号の個人情報を聞き、事前に電話をかけ相手と話をして確認を取ったうえで代金を送金した。ところが、送金をした直後にSNSをブロックされ、連絡が取れなくなった。返金をしてほしい。(2023年5月受付 10歳代 男性)
- 【事例1】転売仲介サイトと気づかず、高額なライブチケットを購入してしまった
- トラブル防止のポイント
- チケットは公式の販売サイトから購入する
- チケットは、興行の主催者、主催者より正式に販売許可を得たプレイガイド、ファンクラブ、アーティスト公式ホームページなどの正規販売ルートから購入しましょう。チケットが定価で購入できるだけでなく、公演が延期や中止になったときには、払い戻しなどの補償を受けられる場合があります。Web検索をする際は、検索結果に表示されたサイトが転売仲介サイトでないか、利用規約や運営事業者の所在地・連絡先などが明示されているかを確認してから利用しましょう。
- 転売仲介サイトを利用する場合は、事前に購入予定のチケットの公式ホームページを確認する
- コンサートやイベントの公式ホームページには、チケットの転売禁止や、転売サイトから購入したチケットだと判明した場合は入場できないことなどのルールが記載されています。転売仲介サイトでチケットを購入する前に公式ホームページの情報を確認するようにしましょう。
- チケットの不正転売は絶対にしない
- チケットのうち、特定興行入場券の要件を満たすチケットについて不正転売をおこなった場合、チケット不正転売禁止法違反として、1年以下の懲役や100万円以下の罰金が科されることがあります。不正転売は絶対にしないようにしましょう。チケットを譲りたい場合は、公式のリセールサービス(チケットを購入した公演にやむを得ず行けなくなった場合に、そのチケットを希望する人に定価にてチケットを再販できるサービス)を利用しましょう。
- 少しでも不安に思ったら早めに消費生活センター等に相談する
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
- 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
- チケットは公式の販売サイトから購入する
- チケット不正転売禁止法
- 特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律(チケット不正転売禁止法)では、特定興行入場券を、業として、興行主等の販売価格(定価)を超える価格で、転売すること(不正転売)の禁止等が定められています。
- 特定興行入場券とは
- 特定興行入場券とは、以下のいずれの要件をも満たす映画、演劇、演芸、音楽、舞踊その他の芸術及び芸能又はスポーツの入場券のことです。
- 不特定又は多数の者に販売され、
- 開催日時および場所が指定され、
- 入場資格者又は座席が指定され、
- 販売時に入場資格者又は購入者の氏名及び連絡先を確認する措置を講じその旨が券面に表示され、
- 興行主の同意のない有償譲渡を禁止しその旨が券面に表示される入場券
- 特定興行入場券とは、以下のいずれの要件をも満たす映画、演劇、演芸、音楽、舞踊その他の芸術及び芸能又はスポーツの入場券のことです。
国民生活センター 国民生活センターADRの実施状況と結果概要について(令和5年度第2回)
- 実施状況(平成30年度~令和5年7月末日)
- 平成30年度累計申請件数 177件
- 令和元年度累計申請件数 204件
- 令和2年度累計申請件数 166件
- 令和3年度累計申請件数 136件
- 令和4年度累計申請件数 142件
- 令和5年度累計申請件数 40件
- 結果の概要
- 紛争解決委員会(第60回会合、9月1日開催)での審議を踏まえ、結果の概要を公表。
- 寝具等の訪問販売の解約に関する紛争(6)(7)
- ネットショッピングの規約に関する紛争
- マンション購入契約に関する紛争
- マンションの補修に関する紛争(2)
- 除湿シート等の訪問販売の解約に関する紛争(2)
- 住宅リフォーム工事の解約に関する紛争(12)
- 結婚式と披露宴の解約に関する紛争(41)
- 予備校の授業料の返還に関する紛争(2)
- 洋服の定期レンタルサービスの解約に関する紛争(2)~(5)
- カップ麺の容器の破損に関する紛争
- 学習教材の解約に関する紛争
- 電動自転車等の返金に関する紛争
- FXトレードシステムに関する紛争(12)
- 出張配管洗浄サービスの料金に関する紛争(35)
- コンサルタント契約の解約に関する紛争(31)
- 美容手術費の返金に関する紛争(3)
- 出張配管洗浄サービスの料金に関する紛争(36)
- ロードサービスの料金に関する紛争
- スポーツジムの中途解約に関する紛争(8)
- 顔のシミ取りにかかる施術代等の返金に関する紛争
- 学習塾の授業料の返還に関する紛争(3)
- 英会話学習サービスの解約に関する紛争
- 専門学校の授業料等の返還に関する紛争(10)
- 光回線契約の解約に関する紛争(6)
- 紛争解決委員会(第60回会合、9月1日開催)での審議を踏まえ、結果の概要を公表。
国民生活センター インターネット通販トラブル 代引き配達で偽物が!
- 内容
- SNSを見ていたところ、国内ブランドの下着の広告が表示された。公式通販サイトの広告と思い、リンク先になっていた通販サイトにアクセスして、ブラジャー2枚を5千円で代引き配達で注文した。後日、宅配業者に代金を支払って荷物を受け取り、開封して商品を確認したら偽物だった。通販サイトの画面は残しておらず、販売業者の情報はメールアドレスしかわからない。宅配業者には「荷物を開封した後は受け取り拒否にはできない。返金はできない」と言われた。送り状の依頼主の欄には、発送代行業者と思われる事業者の連絡先が記載されており、販売業者の情報は不明である。(60歳代)
- ひとこと助言
- 「偽物」が届く通販サイトには、(1)大幅に値引きされている(2)日本語の字体、文章表現がおかしい(3)代引き配達しか選択できない(4)送り状の依頼人が販売業者の名称とは異なっている等の特徴がよく見られます。少しでも怪しいと感じたら取引は控えましょう。
- 代引き配達で宅配業者等に代金を支払って商品を受け取ってしまうと、後で商品が「偽物」だとわかっても宅配業者からの返金は困難です。代金を支払う前に、送り状に記載されている「依頼人」の情報を確認し、注文した販売業者とは違う場合は、代金を支払わず、受け取りを拒否しましょう。
- 不安に思った場合や、トラブルが生じた場合は、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等へご相談ください(消費者ホットライン188)。
国民生活センター 不用なお皿の買い取りのはずが、大切な貴金属も強引に買い取られた!-訪問購入のトラブルが増えています-
- 購入業者が自宅に来て物品を買い取る、いわゆる「訪問購入」に関する相談が、全国の消費生活センター等に寄せられており、ここ数年増加しています。契約当事者が60歳以上の割合が全体の8割近くを占めているという特徴があり、特に高齢者に注意してほしいトラブルです。
- 訪問購入については、特定商取引に関する法律(以下、特商法)においてルールが定められていますが、相談の内容をみると、ルールを守らない購入業者によるトラブルが生じています。
- そこで、訪問購入に関するトラブル事例を紹介し、消費者に注意喚起します。
- 年度別相談件数:2018年度は6,603件、2019年度は5,220件、2020年度は6,018件、2021年度は6,924件、2022年度は7,722件、2023年度は8月31日までで3,071件です。
- 相談事例
- 【事例1】困っている人の役に立つと言われ訪問を承諾したが、とにかく家に上がろうとする。
- 【事例2】断ってもしつこく勧誘され、長く話し込んで個人情報を話してしまった。
- 【事例3】皿だけのはずが、売るつもりのない貴金属まで強引に買い取られてしまった。
- 【事例4】断ってもしつこく居座られ、二束三文で貴金属を買い取られてしまった。
- 【事例5】クーリング・オフ後返品してもらったが、指輪が2つ足りない。
- 相談事例からみる特徴と問題点
- 電話であの手この手で来訪の承諾を得ようとする。
- 突然訪問してきてしつこく勧誘、とにかく家に上がろうとする。
- 購入業者名や、どの種類の物品について訪問購入の勧誘をするか告げていない。
- 売るつもりがなかった物品も強引に買い取られる。
- 物品名や価格を具体的に記載した書面を渡されない。
- 消費者はクーリング・オフ期間中、物品の引渡しを拒むことができることを伝えていない。
- アドバイス
- 購入業者から電話がかかってきても、安易に訪問を承諾しないようにしましょう。
- 突然訪問してきた購入業者は家に入れないようにしましょう。
- 事前に、購入業者の名称、買い取ってもらう物品の対象をしっかり確認しましょう。
- 買い取りの勧誘を承諾していない貴金属の売却を迫られたら、きっぱり断りましょう。
- 購入業者から交付された書面をしっかり確認しましょう。
- クーリング・オフ期間内は、購入業者に物品の引渡しを拒むことができます。
- トラブルになった場合や不安がある場合は、消費生活センターに相談しましょう。
国民生活センター 【新手の詐欺】「○○ペイで返金します」に注意!-ネットショッピング代金を返金するふりをして、送金させる手口-
- ネットショッピングで商品を購入した消費者が、販売業者から「決済アプリを使って返金する」と言われ、スマートフォンで返金手続きを誘導されているうちに、「返金」してもらうはずがいつの間にか「送金」してしまっていた、という新手の詐欺に関する相談が全国の消費生活センター等に寄せられています。「○○ペイで返金します」と言われたら詐欺を疑ってください!
- 相談事例
- 【事例1】美容機器をインターネット通販で注文し、支払いは外国人と思われる個人名義の口座に代金を振り込んだ。商品到着は入金確認後1週間程度のはずが、予定日を過ぎても届かなかったため電話をしたが、呼び出し音が鳴るだけで繋がらず、メールで問合せをしても2、3日後に連絡すると返信があったきり連絡がなかった。ところが、昨日、外国人と思われる男性から「注文商品の件で」と突然電話があり、「商品が準備できないので返金する」と言われ、LINEでの友達登録を求められた。その理由を尋ねると、「○○ペイでしか返金対応していないから」と言われた。怪しい。(2023年8月受付 40歳代 女性)
- 【事例2】ネット通販で約7,000円のアクセサリーを購入した。支払方法は銀行振込のみで、事業者に振り込み完了メールを送った後、「在庫が欠品しているため、注文をキャンセルします」というメールが届いた。「払い戻しは○○ペイで行います」との内容で、LINEの友達登録をするよう指示があり、ビデオ通話で指示をされるがまま○○ペイに数字を言われて入力した。何度か相手から「失敗している」と言われ、複数回操作した結果、約10万円の送金していることが分かった。返金してほしい。(2023年9月受付 50歳代 男性)
- 詐欺の手口
- ネットショッピングしたが商品が届かない。
- メールや電話でショップから返金の連絡がある。
- LINEでやり取り。
- リンクをタップすると○○ペイの画面が開き、言われるままに操作する。
- 返金してもらうはずが送金しちゃった。
- 消費者へのアドバイス
- 「○○ペイで返金します」と言われたら詐欺を疑ってください!
- ネットショッピングの代金を銀行振込しているにもかかわらず、返金は決済アプリで行うのは極めて不自然です。「○○ペイで返金します」と言われたら詐欺を疑い、相手の指示に従ってスマートフォン等を操作することはせず、最寄りの消費生活センターや警察等に相談してください。
国民生活センター 防ごう 子どものベランダや窓からの転落事故
- 内容
- 事例 自宅マンションの1階にあるポストを見に行った約1分の間に、子どもが3階のベランダから転落した。当日は、ベランダへ出る窓は閉めていたが鍵はかけておらず、ベランダの柵の下には台や植木鉢を置いていた。救急要請し、肝臓損傷の疑いで7日間の入院となった。(当事者:3歳)
- ひとことアドバイス
- ベランダや窓のある部屋には、短時間であっても小さな子どもだけにしないようにしましょう。
- 子どもは、何でも踏み台にして登れそうなところには登ってしまいます。ベランダの手すりや窓の近くには、子どもの足掛かりになるようなものは置かないことが大切です。特に、エアコンの室外機の置き場所は工夫しましょう。
- 勝手に窓を開けないよう、窓や網戸には子どもの手の届かない位置に補助錠を付けましょう。
- 窓枠や出窓に座って遊んだり、窓や網戸に寄り掛かったりさせないようにしましょう。
- 日ごろからベランダや窓からの転落の危険性について子どもに教えることも大切です。
国民生活センター リーフレット「くらしの危険」
▼【No.375】自転車用ヘルメット
- 2023年4月1日から、道路交通法が一部改正され、すべての自転車の利用者に自転車用ヘルメット(以下、ヘルメット)着用の努力義務が課されました。また、同年7月1日からは、特定小型原動機付自転車(いわゆる電気キックボード等)の利用者のヘルメット着用が努力義務となりました。
- 国内では、ヘルメットの安全性に関する任意の規格等がありますが、市販されているヘルメットには、任意の規格等への適合マークが表示されているものと、いないものが販売されています。商品を選ぶ時にはSGマークなど安全性を示すマークが表示されたヘルメットを選びましょう。
- こんな事故が起きています
- 事例1
- 補助輪付き自転車で下り坂を走行中に自転車ごと転倒した。ヘルメットは着用していなかった。アスファルトで顔面を打撲して出血し嘔吐を繰り返した。頭部CTに異常はなく、脳振とうと診断されたが嘔吐が改善しないため、輸液を行い2日間入院した。(事故発生年月:2022年10月、7歳4カ月・女児)
- 事例2
- 自転車のカギに付けていたキーホルダーが後車輪に入り込み、コントロールを失って停車中の自動車にぶつかった後、自転車ごと2mほどの溝に転落した。ヘルメットはしていなかった。自力で保護者に連絡後、救急搬送された。左顔面に擦過傷あり。CTでは左眼窩底ふきぬけ骨折があり同日より入院。(事故発生年月:2018年10月、18歳3カ月・女性)
- 事例1
- ヘルメットの安全性を調べました
- 市販されているヘルメットのうち、安全性に関する規格等の適合マークが表示されていない9銘柄を調査しました
- 衝撃吸収性:転倒時に頭部に受ける衝撃をヘルメットが正しく吸収できるかどうか
- 9銘柄すべてで基準を満たさず
- 締結具を含むあごひもの強さ:事故時にあごひもが切れる可能性がないか
- 9銘柄中8銘柄が基準を満たさず。バックルが破損したものも
- ヘルメットの脱落しにくさ:事故時にヘルメットが脱げる可能性がないか
- 9銘柄中6銘柄が基準を満たさ
- 消費者へのアドバイス
- 自転車と特定小型原動機付自転車に乗車する際は、安全のためにヘルメット着用に努めましょう
- ヘルメットは、SGマークなど安全性を示すマークが表示されたものを選びましょう
- ヘルメットは、頭部に適合した大きさ・形状のものを正しく着用することで効果を発揮します。取扱説明書をよく読んで正しく使用しましょう
- 1歳未満の子どもを安全に自転車に同乗させることは現状では困難です。別の移動方法の検討を!
【2023年9月】
国民生活センター 棺内のドライアイスによる二酸化炭素中毒に注意
- 葬儀の際、ご遺体の保冷目的で棺(ひつぎ)内に置かれていたドライアイスによる二酸化炭素中毒が疑われる死亡事故の情報が消費者庁に寄せられています。当センターが行ったテスト結果を踏まえ、葬儀で棺に接する際に注意してほしいポイントをご紹介します。
- 事故事例
- 葬儀場において、ドライアイスを敷き詰めた棺桶の小窓を開けたそばで、意識不明の状態で発見され、搬送先の病院で死亡した。
- 葬儀場において、ドライアイスを敷き詰めた棺桶内に顔を入れた状態で発見され、搬送先の病院で死亡が確認された。
- 自宅において、ドライアイスを敷き詰めた棺桶内に顔を入れた状態で発見され、死亡が確認された。
- 棺内にドライアイスを設置した際の二酸化炭素及び酸素濃度の測定
- 棺の蓋を閉めた状態
- 棺内にドライアイスを設置し、蓋を閉めた状態で棺内の濃度を調べました。
- 二酸化炭素濃度は、テスト開始20分後には「ほとんど即時に意識消失」するとされる濃度(30%)を超え、4時間(240分)後には90%前後でほぼ一定となりました。
- 酸素濃度は、テスト開始1時間後には「意識消失」するとされる10%程度まで低下しました。
- 棺の蓋を開けた状態
- 棺内の二酸化炭素濃度が90%前後でほぼ一定となった状態から、静かに蓋をすべて開けた時の濃度を調べました。
- 二酸化炭素濃度は、蓋を開けた直後に約60%まで急激に低下しましたが、その後、低下は緩やかになり、約50分が経過しても「ほとんど即時に意識消失」するとされる30%以上を維持していました。
- 酸素濃度は、蓋を開けた直後は約10%で、そこから緩やかに上昇し、50分後には約15%となりました。
- 棺の蓋を閉めた状態
- 消費者へのアドバイス
- ご遺体に話しかける等の際は、棺の中に顔を入れて高濃度の二酸化炭素を吸い込まないようにしましょう。
- 室内に二酸化炭素が滞留しないよう、十分な換気を行いましょう。
- 寝ずの番(線香番)を行う際は、万が一の場合に備え、一人にならず、なるべく複数人で見守りましょう。
- 棺に顔を近づけて気分が悪くなったら、すぐに棺から離れて換気の良い場所に移動しましょう。異常があれば直ちに119番通報をしましょう。
- 棺の窓や蓋の開閉等、棺を取扱う上で不明なことがあれば、葬儀業者に確認しましょう。
国民生活センター インターネットで予約したホテルや航空券のトラブル-キャンセル条件など、契約内容は自分自身でよく確認!-
- 新型コロナウイルス感染拡大に伴う制限がなくなり、旅行をする機会が増えています。2022年度に全国の消費生活センター等に寄せられた旅行に関する相談をみると、OTA(Online Travel Agent:オンライン旅行取引事業者)の利用など、インターネットで予約した旅行に関する相談が増え、件数は2021年度に比べ約2倍に増加しました。
- インターネットでの予約は便利ですが、「キャンセル料が100%かかる」等の条件が付いている場合があります。また、日本語表示のサイトでも運営事業者は海外の事業者である場合もあります。インターネットで予約する際は、契約内容や、事業者の問い合わせ先(カスタマー対応窓口)を自分自身でしっかり確認して利用しないと、思わぬトラブルにあうことがあります。
- そこでインターネットで旅行を予約する際に注意すべきポイントや相談事例を紹介します。
- 年度別件数:2018年度は4,600件、2019年度は6,198件、2020年度は4,742件、2021年度は2,306件、2022年度は4,488件です。
- 旅行トラブル全体に占めるインターネット予約の割合:2018年度は49.7%、2019年度は49.9%、2020年度は49.4%、2021年度は46.1%、2022年度は51.9%です。
- 相談事例
- 航空券の申し込み内容を訂正したいが、「キャンセルして取り直す必要がある。キャンセル分の航空券の代金は返金しない」と言われた
- 国内事業者が運営する旅行予約サイトから、国際線の航空券を予約した。その後、姓と名を逆にしていたと分かったので、旅行予約サイトに訂正を申し出るため架電したが、「キャンセルをして取り直す必要がある。キャンセル分の航空券の代金は返金しない。規約とおりの対応だ」と言われた。自分の確認不足だったことは否めないが些細なミスで全額返金されず、航空券の代金を二重に支払うことに不満だ。
- その他、以下のような相談も寄せられています
- ホテルの公式サイトから申し込んだ宿泊予約をキャンセルしたところ、宿泊予定日の1週間前に申し出たにもかかわらず、キャンセル料が宿泊料の100%かかると言われた。
- 旅行予約サイトからホテルと航空券を予約しキャンセルしたところ、ホテルは無料でキャンセルできたが航空券はキャンセル料がかかった。
- 予約した航空券が欠航となったが全額返金されない。旅行予約サイトと航空会社のそれぞれに問い合わせたが対応されない。
- 返金を求めるため、旅行予約サイトにメールしても「24時間以内に返答する」という返信しか来ない。
- 航空券の申し込み内容を訂正したいが、「キャンセルして取り直す必要がある。キャンセル分の航空券の代金は返金しない」と言われた
- 相談事例からみる特徴と問題点
- 「キャンセル料が100%かかる」との条件になっている場合は返金されない。
- 航空券と宿泊施設を同時に予約しても、キャンセル等の条件はそれぞれ異なる。
- 旅行予約サイトを利用してトラブルにあった場合、対応してくれる事業者がどこかわからず、対応を求めても、適切な対応が得られないことがある。
- 海外事業者が運営する旅行予約サイトの場合、コミュニケーションを取るのが難しい場合がある。
- 海外事業者が運営する旅行予約サイトの場合、日本の法律等を用いた交渉が難しい場合がある。
- 消費者へのアドバイス
- 申し込みを完了する前に、キャンセル等の条件や契約内容をよく確認しましょう。
- 申し込み後は、予約確認メールやマイページを確認しましょう。事業者に問い合わせを行う場合は、その内容を保管しましょう。
- 旅行予約サイトを利用する前に、サイト運営事業者の情報を確認しましょう。
- 不安に思った場合やトラブルになった場合は消費生活センター等に相談してください。
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
- 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
- 海外の事業者とのトラブルについては国民生活センター越境消費者センター(CCJ)でも相談を受け付けていますので、ご利用ください。
国民生活センター 電動のこぎり使用中の事故に注意!
- 内容
- 事例1 DIY中、電動のこぎりで左手の指を切った。親指は完全に切断され、人差し指もほとんど切断された状態となった。(80歳代)
- 事例2 電動のこぎりを操作中、のこぎりが跳ね上がった際に、右足に傷を負った。受診したところ、骨折もしていたことが分かった。(80歳代)
- ひとこと助言
- 電動のこぎりは、使い方や対処法を誤ると、死亡や重傷などの重大な事故につながることがあります。使用前には取扱説明書をよく読み、その製品の特性や正しい操作方法を十分に理解してから使用しましょう。
- 刃に材料等が詰まって動かなくなったときに、その反動でのこぎりの本体や材料が作業者側に跳ね飛ばされ、事故につながるケースもみられます。固定できる材料の場合は万力などで固定し、慎重に作業しましょう。
- 作業は適切な服装で行い、防護めがね、防塵マスク、耳栓などの安全防護具を着用しましょう。明るく整理整頓された場所で行うことも大切です。
- 万が一事故が起こった際に、発見や救護が遅れないよう、家族などへ声を掛けてから作業を始めましょう。
国民生活センター 個人輸入した医薬品、化粧品等にご注意!-インターネット通信販売で購入した美白クリームで皮膚障害が発生-
- 2023年6月、国民生活センターの「医師からの事故情報受付窓口」に、患者(20歳代、女性)がインターネットの評判を見て購入した美白クリームを、皮膚の色素沈着のある部位に使用したところ、かぶれて色素沈着がより強くなったとの情報が寄せられました。
- 医師によると、患者は同年5月に当該品を化粧品の美白クリームとの認識でインターネット通信販売で購入して使用したようだが、当該品の表示等について調べたところ、国内では医師の処方が必要な医薬品成分が含まれていたとのことでした。また、含まれているとされた医薬品成分は作用が強く、基本的に軟膏(なんこう)として顔への使用は禁忌とされているものだが、当該品を販売しているサイトには、顔にも使っている事例を宣伝しているところもあるとのことでした。当センターで当該品について調べたところ、主に医薬品の個人輸入サイトで購入が可能な商品でした。
- そこで、インターネット通信販売等を利用して海外から医薬品や化粧品等を購入し、使用する場合の注意点をまとめ、消費者へ注意喚起することとしました。
- 海外の医薬品、化粧品等を購入して使用する場合のリスク等について
- インターネット通信販売で医薬品や化粧品等を購入し、海外から商品が直送されてくる場合は、個人輸入に該当します。また、個人輸入代行業者を利用した場合や海外の旅行先で購入して持ち帰る場合も同様です。
- 個人輸入した医薬品、化粧品等は、品質、有効性及び安全性について、国内の法的規制を受けず、国内での基準から外れるものもあります。また、販売サイト等での記載や商品の表示や説明が日本語ではない場合もあり、使用方法や注意表示等の内容を正しく十分に理解できないまま、購入したり、使用してしまうことも考えられます。そのため、期待した効果が得られないばかりか、体調不良を起こすなど、思わぬ健康被害を受けてしまう危険性があります。
- 消費者へのアドバイス
- 医薬品や化粧品等を個人輸入する場合は、販売サイトの記載内容をよく確認した上で購入の判断をし、商品の表示等を十分に理解してから使用するようにしましょう。
- 個人輸入した医薬品や化粧品等の使用に伴い体調に異変が生じた場合には、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
- 行政への要望
- 個人輸入する医薬品や化粧品等には、品質、有効性及び安全性の確認が不十分なものがあります。そのようなものを使用した場合、思わぬ危害に遭う可能性があることを、引き続き消費者に注意喚起するよう要望します。
国民生活センター カンナビノイド「THCH」は指定薬物です!-THCHを含む商品を入手したり使用したりしてはいけません-
- 2023年7月25日、厚生労働省は、危険ドラッグに含まれるカンナビノイドの2物質(THCH:Tetrahydrocannabihexol/テトラヒドロカンナビヘキソール)を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の「指定薬物」として新たに指定する省令を公布し、8月4日に施行されました。「指定薬物」は医療等の用途以外の目的での製造、輸入、販売、所持、使用等が禁止されている成分です。
- 医療機関ネットワークやPIO-NETには、THCHを含む食品を摂取した後に救急搬送された等の事例が複数見られます。THCHは購入や所持等も禁止された成分ですので、これを含む商品を絶対に購入や使用しないよう消費者に注意喚起します。
- 医療機関ネットワークに寄せられた情報
- THCHグミを食べた後に気分が悪くなり、幻視(視覚領域に現れる幻覚)が見えると訴えたため、救急搬送された。
- PIO-NETに寄せられた事例
- インターネット通販で購入したTHCHカプセルを飲んだところ、上半身と顔が痺れ、目の焦点が合わなくなり、激しいめまいのあと意識不明になり救急搬送された。2日間意識不明となり集中治療室で治療を受けた。
- インターネット通販で購入したTHCHグミを食べたところ、体調が悪くなった。商品説明に記載があった成分について、知識がないまま購入してしまった。
- 消費者へのアドバイス
- THCHは、医療等の用途以外の目的での製造、輸入、販売、所持、使用等が禁止されました。THCHを含む商品を絶対に入手したり、使用したりしないでください。
国民生活センター 検挙された事業者が販売した「電動アシスト自転車」のさらに1銘柄が道路交通法の基準に適合しないことが判明-該当の銘柄での道路の通行はやめましょう!-
- 「使用している電動アシスト自転車が公道を走れるものなのか不安を感じる。アシスト比率に問題がないか調べてほしい。」というテスト依頼を2023年6月に受け付けました。当該品は、京都府警察本部等が不正競争防止法違反の被疑者として検挙した事業者が「電動アシスト自転車」として販売していた車両の1銘柄で、アシスト比率を調べた結果、道路交通法の定める基準の上限を大きく超えていました。この事業者が販売していた10銘柄のうち、これまでの京都府警察本部等における捜査の過程で2銘柄が道路交通法の基準に適合しておらず、残りの8銘柄もそのおそれがあると警察庁が公表しました。その後、国民生活センターの商品テストで他の2銘柄が道路交通法の基準に適合していないことが判明し、今回の商品テストで5銘柄目の不適合が判明したことになります。
- 道路交通法上の基準に適合していない「電動アシスト自転車」で道路を通行すると法令違反ともなり、法令違反となった場合、運転者が罰則の対象となります。また、アシスト比が過大なものではアシスト力が不意に加わってバランスを崩したり、スピードが出過ぎるなど、事故につながるおそれもあります。ご自身が使用しないばかりではなく、他者も当該電動アシスト自転車で道路を通行しないよう管理し、不要となった場合は適切に廃棄するようにしてください。
- 当該品の概要
- 当該品は、株式会社THE NeO(ブランド名:京の洛スク)が販売していた「Passe-L(パッセL)」でした。
- 調査
- 道路交通法の定める基準に適合しているかを調べるため、JIS D 9115:2018に準じてアシスト比率の測定を行いました。
- 測定の結果、道路交通法の定める基準の上限を大きく超えており、事故につながるおそれがあり危険であると考えられました。
- 消費者へのアドバイス
- 当該品をお持ちの方は、当該品での道路の通行をやめましょう。道路交通法上の基準に適合しない「電動アシスト自転車」で道路を通行すると、乗車している人が法令違反に問われ、アシスト比が過大なものでは事故につながるおそれもあります。自身が使用しないばかりではなく、他者が当該品を電動アシスト自転車と誤認等して道路を通行しないよう管理し、不要となった場合は適切に廃棄するようにしてください。
- なお、当該事業者の販売サイトはサービスを終了しています。購入先等に相談しましょう。
国民生活センター 2022年度 全国の危害・危険情報の状況-PIO-NETより-
- この資料は、全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET:パイオネット)により収集した2022年度の危害・危険情報(注)をまとめたものです。
- (注)危害・危険情報とは、商品・役務・設備に関連して、身体にけが、病気等の疾病(危害)を受けたという情報(「危害情報」)と、危害を受けたわけではないが、そのおそれがある情報(「危険情報」)をあわせたもの。データは、2023年5月末日までの登録分。なお、消費生活センター等からの経由相談を除いています。
- 2022年度の傾向と特徴
- 全国の消費生活センター等から収集した「危害・危険情報」は14,888件で、対前年度比でみると12.5%増となりました。
- 「危害情報」は12,847件で、上位3商品・役務等は「化粧品」「健康食品」「医療サービス」でした。
- 「危険情報」は2,041件で、上位3商品・役務等は「四輪自動車」「調理食品」「菓子類」でした。
- 「危害情報」は、2021年度より1,553件増加しました。「化粧品」が1,023件増加したことが影響しています。被害者の性別は女性が8割近くを占めていました。
- 「危険情報」は、2021年度より99件増加しました。
国民生活センター 増加する美容医療サービスのトラブル-不安をあおられたり、割引のあるモニター契約を勧められても慎重に判断を!-
- 全国の消費生活センター等には美容医療サービスに関する相談が多く寄せられています。相談件数は年々増加傾向にあり、2022年度は3,000件を超え、過去5年で最多になりました。
- 相談事例をみると、カウンセリングのために来院したところ、「今やった方がいい」「今やらなければ間に合わない」などと、その場での契約と施術を迫る勧誘がみられます。また、割引のあるモニター契約を勧めることで消費者に割安感を抱かせ、広告に載っている金額や消費者の予算よりも高額な契約をさせているケースが目立ちます。
- 美容目的の施術は、多くの場合、緊急性がありませんが、カウンセラー等から不安をあおられ急かされて契約し、即日施術を受けた後で後悔しているケースなどがみられます。
- そこで、トラブル防止のため相談事例を紹介するとともに、消費者への注意喚起を行います。
- 年度別相談件数:2018年度は1,980件、2019年度は2,036件、2020年度は2,209件、2021年度は2,767件、2022年度は3,709件、2023年度は7月31日までで1,845件です。
- 相談事例
- 鼻の施術のカウンセリングに行き、「モニター価格もある」「今やった方がいい」と強く勧められ、その場で契約して施術を受けたが、鼻が腫れてしまった。元に戻してほしい
- 鼻先を尖らせる施術を検討しており、インターネットで検索して見つけた美容外科の無料メッセージアプリのアカウントを登録した。カウンセリングのみのつもりで予約して来院すると、個室に案内され、カウンセラーによるカウンセリングを受けた。「鼻の先端を尖らせたい。切らない手術を受けたい」と伝えると、「メッシュを入れると鼻筋が通る」と言われた。施術前後の画像を見せられ、「モニター価格もある」「これからマスクを外す生活になったら手術したことが周りにわかってしまう。今やった方がいい」と1時間半勧誘を受けた。「考える」と言ったが、「私も施術を受けた。大丈夫だ」などと強く勧められ、圧を感じた。その後医師から説明を受け、鼻尖形成と鼻先尖鋭、そのほか麻酔代等で、合計約100万円の契約をした。クレジットカード2枚で決済し、そのまま施術を受けたが、鼻が腫れてしまった。元に戻してほしい。
- その他、以下のような相談も寄せられています
- インターネットで見つけたAGA治療クリニックで「今やらなければ間に合わない」と言われて約190万円のモニター契約をした。不安をあおられて契約したので取り消したい。
- 美肌治療のカウンセリングを予約したがリフトアップのモニター契約を勧められた。顔が少し腫れる程度と聞いて施術を受けたが、ひどく腫れてしまい、支払いに納得できない。
- 駅前で声をかけられ、無料の医療脱毛の施術後にモニター価格で約46万円の契約をした。嘘の収入を書くよう指示されて個別クレジットを申し込んだので、解約したい。
- 鼻の施術のカウンセリングに行き、「モニター価格もある」「今やった方がいい」と強く勧められ、その場で契約して施術を受けたが、鼻が腫れてしまった。元に戻してほしい
- 相談事例からみる問題点
- 消費者の不安をあおったり、モニター契約等による大幅な割引を提案して、即日契約・施術を急かす。
- 施術の手軽さを強調する説明により、消費者がリスクや副作用を十分に理解できていない。
- クレジット契約等の分割払いをしてでも契約をする消費者が多いように説明したり、虚偽の年収や貯金額を申請するよう案内している。
- 消費者へのアドバイス
- 今すぐ施術が必要だと不安をあおられたり、モニター契約等を勧められても、その場で契約・施術をしないようにしましょう。
- 施術前にリスクや副作用の確認をしましょう。
- クレジットを組んでまで必要な施術なのかよく考えましょう。
- 不安に思った場合やトラブルになったときは、消費生活センター等に相談しましょう。
国民生活センター 【10代・20代、トラブル増加中!】男性の脱毛エステ
- 相談事例
- 【事例1】カウンセリングだけのつもりが高額な契約をしてしまった
- SNS広告を見て、無料カウンセリングだけのつもりで脱毛サロンに来店した。すぐに個室に案内され、コース契約の説明が始まった。断れる雰囲気ではなく、総額は高額ではあったが1カ月1万円なら支払えない金額ではないと思った。また、学生だが、長期休みの間はたくさんアルバイトが出来るので大丈夫と説得され、約40万円のコースを4年払いのローンを組んで契約してしまった。(2023年1月受付 10歳代 男性 学生)
- 【事例2】広告に掲載されていた施術を希望したが、高額なプランを勧められた
- SNSでひげ脱毛が月額約1,000円、全身脱毛が約3,000円とうたう広告が表示され、エステ事業者のサイトで予約をした。エステサロンに行くと、ひげや脱毛をしたい部分を選べる約50万円のコースを勧められた。高額だったため、広告掲載のひげ脱毛を受けたいと申し出たところ、「納得のいく脱毛をする場合は、これぐらいの料金がかかる」と言われ、契約した。クレジットの分割払いは36回払いで、分割手数料が付き総額約60万円だった。大学生のため支払っていくことが難しい。クーリング・オフしたい。(2022年4月受付 20歳代 男性 学生)
- 【事例1】カウンセリングだけのつもりが高額な契約をしてしまった
- トラブル防止のポイント
- 「お試し施術」「月額○○○円」など低価格の広告をうのみにしない
- 低価格の広告を見て店舗に出向いたところ高額なコースを勧誘されたというケースが目立ちます。気軽さや安さを強調した広告だけで判断しないようにしましょう。
- 強引に契約を迫られてもきっぱりと断る
- 「割引は今日だけ」などとせかされるケースも見受けられます。金額やコース内容に不安がある場合は、安易に契約せずきっぱりと断りましょう。
- 契約は慎重に検討する
- 分割払い(個別クレジット)の場合は、手数料を含めた金額や分割払いの期間を必ず確認してください。また、長期間にわたる契約では、脱毛機器が肌に合ってなかったり、事情が変わって通えなくなったりと、解約せざるを得ない状況も想定されます。都度払いができる店やコースも検討しましょう。
- 契約にあたっては、施術内容や契約条件について契約書面等と突き合わせて理解できるまでしっかりと説明を受けましょう。
- クーリング・オフできる場合があります
- 特定商取引法の特定継続的役務提供に該当するエステティックサービスの契約であれば、特定商取引法に定める契約書面を受け取った日から数えて8日以内であれば書面またはメール等によりクーリング・オフ(無条件での契約解除)をすることができます。
- 「お試し施術」「月額○○○円」など低価格の広告をうのみにしない
▼クーリング・オフ
- 少しでも不安に思ったら早めに消費生活センター等に相談する
国民生活センター 慌てないで! ネットで探したロードサービスのトラブル
- 事例
- 外出先の駐車場で車のバッテリーが上がり、ネットで調べたロードサービス業者に出張修理を依頼した。ネットの広告では「3,450円から」と格安だったが、修理後、業者から7万円を請求された。現金を持っていなかったので支払えないと言うと、自宅まで業者がついてきたので、仕方なく全額現金で支払ってしまった。(当事者:学生)
- ひとことアドバイス
- 自動車の故障や事故の際、インターネットで見つけたロードサービス業者に作業を依頼したところ、事前に説明のなかった高額な費用を請求されたなどの相談が寄せられています。
- 修理等を急ぐあまり、慌ててインターネットを検索し、ロードサービス業者に依頼しているケースが見受けられます。自動車保険にはロードサービスが付帯しているケースが多くあるため、日ごろから保険の内容をよく確認し、トラブルが発生した場合は、まずは契約している損害保険会社や保険代理店に問い合わせましょう。
- 現場の状況次第では、広告表示や説明通りの料金で依頼できるとは限りません。事前に作業内容や料金、キャンセル料等を必ず確認するようにしましょう。
- 広告等の表示額と実際の請求額が大きく異なる場合等は、クーリング・オフができる可能性があります。困ったときは、早めにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
【2023年8月】
国民生活センター 健康食品で体調不良 医師などに相談しよう
- 内容
- 健康食品を購入し、数日食べたところ激しい腹痛と下痢を繰り返した。かかりつけ医に相談すると健康食品が原因ではないかと言われ、食べるのをやめると腹痛も下痢も治まった。販売店は「下痢を起こすような材料は入っていない。悪いものが身体から出ただけ」と言う。(70歳代)
- ひとこと助言
- 健康の維持・増進の基本は、「栄養バランスのとれた食事、適度な運動、十分な休養」です。健康食品を摂る選択をする前に、今の自分にとって本当に必要かをよく考えましょう。
- 健康食品を複数利用したり、医薬品的な効果を期待して利用したりしないようにしましょう。
- 自己判断での医薬品との併用は避け、不調を感じたら必ず医師や薬剤師などに相談しましょう。
- 一般的に「好転反応」と呼ばれるような、体調が良くなる過程で不調の症状が出たり、体調がより悪くなったりする現象は、科学的には存在しません。体調が悪くなるのはその健康食品が身体にあっていない証拠です。体調に異変を感じたらすぐに使用を中止しましょう。
国民生活センター 国民生活 2023年8月号
- ネットを悪用した手口に騙されないために4つの代表的な罠を知ろう
- パソコンやスマートフォン(以下、スマホ)を使ったインターネットサービスは、生活に欠くことができないものになりました。その一方で、インターネットには個人を狙う罠が仕掛けられている場合があります。
- 罠のほとんどは、偽の警告などの嘘で利用者を巧みに「騙す仕掛け」です。こうした仕掛け(=手口)を知ることが、騙されないための対策になります。そこで、本稿では、IPAが開設している「情報セキュリティ安心相談窓口」に数多くの相談が寄せられている騙しの手口について解説します。
- 偽のセキュリティ警告を使用したサポート詐欺
- パソコンでウェブサイトを閲覧中に突然、「パソコンがウイルスに感染して個人情報が漏えいしている」などの警告が表示されることがあります。警告が画面いっぱいに表示され、電話番号が表示されているなどの場合、それは偽の警告です。パソコンから、けたたましい警告の音声が鳴りやまないこともあります。
- これは、警告を消せず焦った利用者に、偽のサポート窓口に電話をさせ、サポート料金と称して高額の金銭を騙し取る、「サポート詐欺」と呼ばれる手口です。
- 電話をすると、片言の日本語を話す外国人のオペレーターにつながります。相手は、マイクロソフト社などの著名な企業のサポート技術者であると偽り、パソコンに遠隔操作ソフトをダウンロードさせます。
- 遠隔操作ソフトを使用すると、遠隔地にあるパソコンから、操作対象のパソコンの画面を見ながらマウスやキーボードの操作が可能になります。相手はこの機能を悪用して次々と画面を開き、パソコンに問題があるという嘘の説明を繰り返します。被害者がこの説明を信じると、ウイルスの除去やセキュリティサポートサービスと称して高額な金銭を要求します。
- 偽警告の被害にあわないために
- 偽の警告で被害者を焦らせ、不安をあおり、そのうえで言葉巧みに信用させ、金銭を騙し取るやり方は、オレオレ詐欺などの特殊詐欺にも共通する手口と言えます。ところが、特殊詐欺の手口に関する知識があり、日頃から注意をしていてもサポート詐欺に騙されてしまうことがあります。「ウェブサイト閲覧中のウイルス感染」など、経験したことがない騙しの手口を使われると、従来の知識が通用せず、嘘が見破れないことがあるためだと考えられます。騙されないためには、こうした手口を知ることが重要です。
- 加えて、普段目にしない警告が突然表示された場合、それは正しいものなのかを立ち止まって考えることも重要です。
- 正規のウイルス対策ソフトがウイルス感染を検知した際も警告が出ますが、今すぐ電話をするように求めることは基本的にありません。
- 現在のパソコンはセキュリティが強化されています。個人の利用では、基本的なセキュリティ対策を行っている場合、ウイルスに感染することは非常に少なくなりました。
- そのため、正規のウイルス対策ソフトが動作した際の表示を見る機会がないため、突然表示された「偽のウイルス警告」を本物と勘違いしてしまうことが考えられます。
- 偽の警告が表示された際の対処
- パソコンに偽の警告が表示された際の対処は、所定のキー操作を行い、ウェブブラウザーを閉じるだけで問題ありません。詳細は「IPA安心相談窓口だより『偽のセキュリティ警告に表示された番号に電話をかけないで!』」の5項をご参照ください。
- 電話をかけて、パソコンを遠隔操作されてしまった場合は、Windowsの「システムの復元」機能を使用して、遠隔操作ソフトをインストールする前の状態にシステムを戻すことを推奨します。システムの復元ができない場合、遠隔操作の及ぼす影響について判断ができないため、パソコンの初期化を推奨します。詳細は前出の資料の3項をご参照ください。
- 偽警告の被害にあわないために
- フィッシング
- フィッシングとは、実在する企業・団体名をかたり、その企業・団体の公式サイトにそっくりな「偽サイト」に誘導し、利用者を騙して情報を入力させて、その情報を奪う手口のことです。
- フィッシングを目的とした、メール、ショートメッセージサービス(以下、SMS)、ソーシャルネットワーキングサービス(以下、SNS)の投稿などに記載されたURLをクリックし、パスワードやクレジットカード番号などを入力すると被害が発生します。
- 逆の見方をすると、フィッシングメールを受信しても、URLのクリックさえしなければ被害は発生しません。そのため攻撃者は、さまざまな騙しのテクニックを使ってURLをクリックさせようとします。主な手口は次のとおりです。
- アカウントが凍結されるなどの、受信者に不安を抱かせる内容を記載
- 偽の当選や還付金の通知など、思わずURLをクリックしたくなる内容を記載
- 新型コロナウイルスワクチンの接種予約など、その時々の社会情勢に乗じた内容を記載
- メールの送信元やロゴマークを偽装して公式からの通知であると錯覚させる など
- フィッシングの被害にあわないために
- フィッシングメールは、本物らしい文面を使用し、送信元などを偽装しているため、真偽の判断が難しいことが多くなっています。本物かどうかの判断に迷った場合は、公式サイトなど確かな情報源を使ってご確認ください。真偽がはっきりしないメールについては、次の対応をしてください。
- URLをクリック、タップしない
- 添付ファイルを開かない
- 記載の電話番号に電話をしない
- 返信しない
- フィッシングメールは、本物らしい文面を使用し、送信元などを偽装しているため、真偽の判断が難しいことが多くなっています。本物かどうかの判断に迷った場合は、公式サイトなど確かな情報源を使ってご確認ください。真偽がはっきりしないメールについては、次の対応をしてください。
- フィッシングの被害にあわないために
- SMSを悪用した手口
- 従来、フィッシングサイトへの誘導は、主にメールで行われていました。近年は、新たな手口として、SMSを悪用したものが増えています。その代表例が、宅配事業者をかたる偽の不在通知SMSです。
- フィッシングメールに関する知識があり、不審なメールに注意をしていても、この偽のSMSに騙されてしまうことがあります。SMSでもフィッシングが可能であることを知らない場合に、荷物の配達予定日にたまたまこうしたSMSが届くと、思わずURLをタップしてしまうことがあるためです。
- 偽のSMSは、宅配事業者をかたるものに加えて、通信キャリアや公的機関をかたる架空請求、金融機関をかたるフィッシングなど、複数のバリエーションがあります。
- 悪意の攻撃者は、SMSに偽の不在連絡や、支払い請求などを記載し、受け取った人を驚かせて、SMSのURLをタップさせようとします。URLをタップしてしまうと、スマホの種別や偽SMSのタイプによって、次に示すさまざまな被害が発生します。
- Androidでは多くの場合、不正アプリのインストールに誘導される
- iPhoneではフィッシングサイトに誘導され、「Apple IDとパスワード」や「クレジットカードの情報」を入力させられ、それらを奪われる
- 架空請求SMSでは、フィッシングサイトへ誘導され、コンビニで買ったプリペイドカードで支払うように指示され、フィッシングサイトに「プリペイドカードの発行番号」を入力させられて金銭を奪われる。クレジットカード番号を窃取されることもある
- 偽SMSの被害にあわないために
- 不審なSMSのURLをタップしない限り前記の被害にあうことはありません。不審なSMSが届いた際は削除し、URLはタップしないようにしてください。
- Androidに不正なアプリをインストールしてしまうと、そのスマホから、同じ内容の偽SMSが見知らぬ宛先に多数送信されてしまいます。
- 偽SMSの発信元には、不正なアプリをインストールしてしまった被害者の電話番号が使われます。そのため、荷物の問い合わせの電話が複数の人からかかってくるようになり、この時点で異常に気がつくことがあります。
- 被害者に不正なアプリをインストールさせる際も、騙しのテクニックが使われます。Androidには不正なアプリを誤ってインストールしないための保護機能があります。ところが、攻撃者は、利用者を騙してこの機能を解除させようとします。
- SMSのURLをクリックすると、「使っているアプリが古いため更新が必要」などの偽の警告を表示して、不正なアプリをインストールすることを求めます。アプリの更新に見せ掛けて、利用者に保護機能を解除して不正なアプリをインストールさせようとするのです。このような不審な警告が出た場合は、指示には従わないでください。
- この手口の詳細や、不正なアプリをインストールしてしまった際の対処方法は、IPA安心相談窓口だよりをご参照ください。
- 偽SMSの被害にあわないために
- 性的な映像をばらまくと恐喝し、暗号資産で金銭を要求する迷惑メール
- 「あなたのパソコンをハッキングしてアダルトサイトを閲覧している姿をウェブカメラで撮影した。家族や同僚にばらまかれたくなければ暗号資産で金銭を支払え」というメールを受信したという相談が寄せられています。この手口では、ハッキングなどの言葉で相手を不安にさせたうえで、性的な映像をばらまくと脅しています。こうした脅しに騙されてはいけません。
- このメールは同じような文面で不特定多数にばらまかれています。実際の動画へのリンクや添付などがないことから、このメールの内容について根拠はないと考えられます。そのため、メールを無視して削除するだけで問題ありません。
- 手口を知る、立ち止まって考える
- インターネットを悪用して個人を狙う代表的な騙しの手口についてご説明しました。こうした手口を知ることで、安全にネットを楽しむことができます。より多くの手口を知りたい場合は、警察庁、IPA、国民生活センターなどの注意喚起情報をご参照ください。
- もう1つ、騙されないためのポイントをご紹介します。前述のとおり、騙しの手口には、落ち着いて考えると通常は発生しない不自然な点が多々あります。そのため、初めて見る警告、もしくは不自然な状況に遭遇した場合、それらは偽物である可能性が高いです。従来と異なる状況に遭遇した際に、これは騙しの手口ではないかを「立ち止まって考える」ことが重要です。
- どうしたらよいかが分からない場合は、相手の指示には従わず、近くの詳しい人やIPAなどの窓口に相談するようにしてください。
- サイバー攻撃を知る
- JPCERTコーディネーションセンターはサイバーセキュリティ上の問題・事件(以下、インシデント)の発見と対処、被害の抑止に向けた活動を行っており、国内外のさまざまな個人・組織からインシデントの報告を受けています。当センターに寄せられた過去5年間のインシデントの報告の推移を図1に示します。図から分かるように、年々増加しており、消費者がサイバー攻撃に遭遇するケースが増えているといえます。
- 報告を受けたインシデントをカテゴリー別に分類したものが図2になります。全体の報告のうち、3分の2はフィッシング攻撃に関する報告であり、標的となっているのは個人消費者です。それ以外のスキャン*1やウェブサイト改ざんなども個人消費者が標的となっているものが多いです。
- 高度な標的型攻撃と呼ばれるものを除くと、一般的にサイバー攻撃というのは、金銭やそれに代わるものを窃取することを目的としています。その手段として被害者を騙すことで攻撃を成功させようとします。そのため、サイバーセキュリティ対策として必要なことは、まずはどのような攻撃があるかを知り、注意すべき点を知ることです。昨今のサイバー攻撃の傾向や事例について知り、どのような時にどのような点について注意を払って行動するべきかを知ることが重要です
- パスワードの監理
- サイバー攻撃で最も狙われる対象の1つはアカウントとパスワードの「認証情報」です。パスワードは文字数や使う文字によって安全さが異なります。当センターでは安全なパスワードの条件として次の条件を満たすものを推奨しています。
- 安全なパスワードの条件
- パスワードの文字列は、長めにする(12文字以上を推奨)
- 大小英字だけでなく、さまざまな文字種(数字、記号)を組み合わせる
- 推測されやすい単語、生年月日、数字、キーボードの配列順などの単純な文字の並びやログインIDは避ける
- ほかのサービスで使用しているパスワードは使用しない
- しかし、複雑で安全なパスワードをサービスごとに作成し管理するのは利用するサービスが少なければ可能ですが、多くなると管理するのは困難になります。管理が難しい場合は、信頼性のあるパスワード管理ツールを使用しましょう。
- 多くのパスワード管理ツールでは、インターネットサービスごとにアカウントIDとパスワードを一度登録しておけば、利用する際にツールから呼び出して自動入力することができます。したがって、利用者はツールを起動するためのパスワード1つを覚えてさえいればよく、サービスごとに異なる複雑なパスワードをすべて覚えておく必要はありません。サービスごとの複雑で安全なパスワードもパスワード管理ツールが自動的に作成することも可能です。
- 多くのパスワード管理ツールはパソコンとスマートフォンどちらでも一貫して利用することが可能となっています。
- パスワード管理ツールを使うことのメリットは、複雑なパスワードを覚えておくのを任せることができるという点だけではありません。そのパスワードを入力するべきサイトをセットで覚えているため、ほかのサイトに誤入力することがないという点です。例えば、フィッシングサイトを訪れてしまってパスワードを入力しようとしても、正規のサイトではないためパスワード管理ツールが入力を行いません。そのことを理解していれば、フィッシングサイトであることに気がつきパスワードを入力してしまうこともなくなるでしょう。
- さらに、より強固なセキュリティ対策として携帯電話へのSMSやトークン、スマートフォンアプリなどを使用したワンタイムパスワードを使った2段階認証があります。アカウントIDとパスワードによる認証に加えて、ログイン時に一定時間だけ有効なパスワードを使用してログインを行うしくみです。もしパスワードとワンタイムパスワードが盗まれてしまった場合でも、ワンタイムパスワードは毎回変化するため、利用者の手元で確認する最新のワンタイムパスワードがない限り、不正なアクセスを防ぐことができます。パスワード管理ツールと合わせて使うとより効果的です
- サイバー攻撃で最も狙われる対象の1つはアカウントとパスワードの「認証情報」です。パスワードは文字数や使う文字によって安全さが異なります。当センターでは安全なパスワードの条件として次の条件を満たすものを推奨しています。
- ウイルス対策ソフトの利用
- ツールでできるセキュリティ対策はほかにもあります。まず優先すべきことはパソコンへウイルス対策ソフト、スマートフォンへウイルス対策アプリなどのツールを導入しておくことです。
- ウイルス対策ソフトは、パソコンがコンピューターウイルスに感染した時に見つけ出すことができます。初めからインストールされているウイルス対策ソフトでもある程度はブロックしてくれますが、製品によってはインターネットでアクセスするウェブサイトが不審なものかどうかを判定しブロックしてくれる製品もあります。
- 例えば、コンピューターウイルスに感染するおそれのあるウェブサイトやフィッシングサイト、偽ショッピングサイトなどを検知してブロックしてくれます。こういった製品を選んで導入すれば、ウイルス対策ソフト1つでコンピューターウイルスの被害と悪意あるウェブサイトの被害の双方からデバイスを守ることができますので検討してください。
- なお、ウイルス対策ソフトが新しい脅威を検知するためには、定期的にセキュリティサービス提供元へ通信し、脅威情報をアップデートする必要があります。ウイルス対策ソフトを導入すると定期的に自動で通信する設定になっているため、そのままの設定にしていれば問題はありませんが、有償のウイルス対策ソフトであれば1年ごとなど定期的にライセンスを購入し更新する必要があります。ライセンスの切れたウイルス対策ソフトは導入していても効果はほぼありませんので、注意してください。
- ただし、ウイルス対策ソフトといえども、ウイルスの発見も危険なウェブサイトのブロックも完璧に行えるものではないことには注意が必要です。・ウイルス対策ソフトが警告を出さなかったからといって必ずしも安全といえるわけではありませんので、不審なファイル、不審なサイトだと思われたときには、より安全な対応となるように不審なものは触れないようにしてください。
- ソフトウェアの定期更新
- 定期的に更新が必要なものはウイルス対策ソフトだけではありません。すべてのソフトウェア、アプリは新しいバージョンが出たら更新する必要があります。なぜ更新が必要なのでしょうか?
- ソフトウェアのバージョンアップには主に2つの内容が含まれています。1つは機能の追加、もう1つはソフトウェアの不具合の修正です。
- 後者の不具合の修正には、ソフトウェアにできてしまったセキュリティ上の“穴”を修正するものが含まれます。ソフトウェアを作る際にはセキュリティに考慮して作成されますが、それでも意図しない挙動が発生してしまうことがあります。それは脆弱性と呼ばれるセキュリティ上の“穴”(セキュリティホール)となり、これがサイバー攻撃に悪用されることがあります。
- こういった脆弱性を防ぐためにソフトウェアに新しいバージョンが出たらバージョンアップする必要があります。製品によってはセキュリティの適用をまとめたものをバージョンアップとしてではなく「パッチ」と呼んで提供しているケースもあります。その場合は「パッチの適用」と呼ばれます。
- バージョンアップが必要なソフトウェアの中で一番重要なのは、パソコンやスマートフォンの基本のソフトウェアであるOSです。パソコンであればWindows、Mac OS、スマートフォンであればAndroid、iOSです。これらは基本のソフトであるために最もセキュリティ上の穴になりやすく、OSの提供元が定期的にバージョンアップの提供を行っています。例えばWindowsであれば毎月OSのアップデートが提供されていますので、提供されたらアップデートを適用しましょう。スマートフォンの場合はOSのアップデートまでの期間が長い傾向がありますが、代わりにアプリの更新が頻繁に行われています。
- 設定可能であれば自動で更新されるように設定しましょう。ただし、OSにはサポート期間という概念があります。古い製品を使い続けているとサポート期間が終了して、バージョンアップやセキュリティパッチの提供がなくなってしまいます。そういった製品を使い続けることはセキュリティが担保できなくなるため、よくありません。古いパソコンやスマートフォンは性能も低くなりますので、OSを更新する意味でもパソコンであれば3~5年、スマートフォンであれば2~4年に1度を目安に買い換えるのがよいでしょう。
- バージョンアップが必要なのはOSだけではありません。特にサイバー攻撃で狙われることが多いのは、ほかにブラウザー、オフィスソフト、メールソフト等です。また家庭にある機器で狙われるものにルーターがあります。ルーターは基本的には自動で更新されますので、標準のパスワードを変更したうえで、定期的に更新される設定になっていることを確認してください
- ウェブサイトのセキュリティ対策
- ソフトウェアの定期的な更新が必要なのは家庭内の機器だけではありません。人によってはサーバーを借りるなどして、ウェブサイトを持っていることもあるのではないでしょうか。
- その場合にはウェブサイトを構成するソフトウェアもまた同様に定期的な更新が必要になります。ウェブサイトは基本的には誰からも見られるようインターネットに公開されているため、利用者と同じように攻撃者もアクセスができます。そのため、セキュリティ対策の“穴”があればすぐに狙われてしまいます。
- サーバーを借りている場合にはどのようなOSやソフトウェアが使われているかを把握しておく必要があります。特にWordPressなどのコンテンツ管理ソフトを使っている場合には、プラグインも含めて把握したうえで、パソコンと同様にOSとソフトウェア、プラグインのアップデートを定期的に行う必要があります。対して、クラウドサービスを利用してウェブサイトを公開している場合にはサービス提供側がソフトウェアを一括して管理していますので、アップデートを個人が管理する必要はなくなります。ウェブサイトのソフトウェアの管理が難しい場合にはクラウドサービスを使うことも検討してください。
- どちらの場合でも、管理者アカウントのパスワードは、複雑で安全なものにする必要があります。ウェブサイトは公開するという意識とともに管理するという意識も必要になります。管理できない場合にはウェブサイトをクローズする、あるいは管理できる人に依頼する、といったことも考える必要があります。
- サイバー攻撃は誰もが狙われる
- 昨今のサイバー攻撃は企業や個人、業種業界を問わず標的とします。その中でも特に狙われるのは、セキュリティ対策が不足している所です。セキュリティ対策が不足している人からアカウント情報を窃取し、セキュリティ対策が不足しているパソコンやアプリは踏み台として他所への攻撃に悪用されたり、自組織への侵入経路として使われたりします。
- インターネットを利用するうえでは誰もがセキュリティ対策をする必要があります。セキュリティの脅威を知らないということは、詐欺師に騙される可能性が高くなるのと同じであり、セキュリティ対策を行わないということは、家に鍵をかけずに留守にするのと同じようなものです。本記事をきっかけとして、取り組めそうなものからセキュリティ対策を行っていただければと思います
- 手口を知る、立ち止まって考える
- 偽のセキュリティ警告を使用したサポート詐欺
国民生活センター いつの間にか高額に… 占いサイトに気を付けて!
- 内容
- スマホのゲーム中に「宝くじに当選するよう導いていく」という広告が出て、アクセスすると占いサイトだった。老後の生活が心配で、家族のことも考え、宝くじに当たるならと思った。サイトから来るメールに言葉や数字のら列が書いてあり、それを一文字ずつ送り返すと運気が上がるという。送信1回につき1,500円かかるが、指示通りに、一文字ずつ何回も送った。足の具合が悪くて友人に会えない寂しさもあり、楽しかった。「もう少しで当たる」や「運気が上がる」という言葉を信じ、コンビニ決済やクレジットカードなどで、約400万円支払ってしまった。(70歳代)
- ひとこと助言
- 占いサイトの中には、占い師や鑑定士を名乗る者から「もう少しで宝くじの当選番号を教える」などと言われてやりとりの期間を引き伸ばされたり、「最後まで鑑定を受けないと不幸になる」などと言葉巧みに引き止められたりして、いつの間にか高額な費用となるケースがみられます。相手の言葉をうのみにせず、冷静になりましょう。
- やりとりの内容は、トラブルになったときのための証拠になります。占いサイトを退会すると、今までのメッセージのやりとりを確認できなくなる可能性がありますので、スクリーンショット等で残しておきましょう。
- 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
国民生活センター 2022年度 全国の消費生活相談の状況-PIO-NETより-
- この資料は、「全国消費生活情報ネットワークシステム(PIO-NET:パイオネット)(注)」によって収集した2022年度の消費生活相談情報をまとめたものです(対象データは、2023年5月末日までにPIO-NETに登録された苦情相談)。(注)PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのこと。2008年度以降は、消費生活センター等からの経由相談は含まれていません。
- 2022年度の傾向と特徴
- 2022年度の相談件数は89.6万件で、2021年度の84.8万件に比べ約5万件増加した。
- 特に「定期購入」に関する相談が約10.2万件(2021年度に比べ約4万件増)となり、相談件数全体の約1割を占める。
- 契約当事者の年代は、依然として70歳以上の割合が最も高く、23%であった。
- 商品・役務等別でみると、2021年度に比べ、「化粧品」(SNSやインターネット上の広告をきっかけとしたインターネット通販での定期購入トラブルなど)、「エステティックサービス」(解約の電話がつながらないという相談、サロンの破産による相談など)、「商品一般」(身に覚えのない商品が届いたという相談、架空請求の相談など)、「他の行政サービス」(行政機関を名乗り金銭の支払いを求めるメッセージが届いたという相談など)、「その他金融関連サービス」(クレジットカードの入退会や会費等の相談など)の増加が目立った。
- 販売購入形態別では、「通信販売」の割合が最も高く、全体の4割(40.6%)を占める。
- 契約購入金額は、合計金額が3,936億円、平均金額が80万円、既支払金額は、合計金額が1,563億円、平均金額が40万円であり、2021年度に比べいずれも増加した。
- 販売方法・手口別でみると、「インターネット通販」と「定期購入」では化粧品や健康食品の定期購入に関する相談が多い。「家庭訪販」では屋根工事や修理サービスに関する相談が、「電話勧誘販売」ではインターネット接続回線に関する相談が多い。
国民生活センター 2022年度 越境消費者相談の状況-越境消費者センター(CCJ)より-
- この資料は、国民生活センター越境消費者センター(CCJ)に寄せられた越境消費者取引に関する相談情報をまとめたものです。
- 2022年度は、「航空券」や「宿泊」に関する相談が増加しました。相手方事業者の所在地でみると、海外OTA(Online Travel Agency)が所在する地域の割合が増加し、また「現地購入」でのトラブルも増加しました。渡航制限が緩和されたことが要因と考えられます。
- 2022年度の傾向と特徴
- 2022年度にCCJに寄せられた越境消費者相談の件数は5,006件で、2021年度の4,809件から増加した。
- 相談者の年代を見ると、「20歳代」から「50歳代」の各年代がそれぞれ約20%を占め、「40歳代」が23.9%と最も多い。「60歳以上」の割合は13.3%であった。
- 取引類型は、2021年度同様、「電子商取引(オンラインショッピング)」によるものがほとんど(99.2%)であるものの、「現地購入」に関する相談は増加した。
- 決済手段は、例年「クレジットカード」が約半数を占めるが、2022年度は59.2%で、2021年度の50.8%よりも増加した。
- トラブル類型は、「解約トラブル」が41%を占める。「詐欺疑い」「不良品」に関する相談が増加した。
- 商品・サービス別に見ると、「航空券」、「宿泊」に関する相談が増加し、海外OTAに関する相談もみられた。39.7%と最も多く占める「役務・サービス」ではサブスクリプションサービス会員の解約や返金、チケット転売仲介サイトの利用、投資詐欺などの相談が寄せられた。「趣味用品」は減少に転じた。
- 相手方事業者の所在地は、「アメリカ」(19.6%)、「中国」(9.8%)、「香港」(9.7%)、「イギリス」(7.7%)、の順となっているが、いずれも全体に占める割合は減少した。一方、「シンガポール」「スイス」「マレーシア」「台湾」「スペイン」の割合は増加した。「シンガポール」「スペイン」は海外OTAに関する相談が目立つ。
国民生活センター 2022年度 訪日観光客消費者相談の状況-訪日観光客消費者ホットラインより-
- 国民生活センターでは、日本を訪れた外国人観光客が、日本滞在中に消費者トラブルにあった場合に相談できる電話相談窓口として「訪日観光客消費者ホットライン(Consumer Hotline for Tourists)」(以下、「訪日窓口」とする)を開設しています。この窓口では、三者間通訳サービスを利用して、英語、中国語、韓国語、タイ語、ベトナム語、フランス語、日本語の計7カ国語で相談を受け付けています。以下では、2022年度に訪日窓口に寄せられた相談状況を報告します。
- 2022年度の傾向と特徴 訪日窓口に寄せられた相談
- 2022年度の相談件数は134件で、そのうち訪日観光客からの相談が68件、在日外国人からの相談が55件、在外外国人及び在外日本人からの相談が9件、その他(不明)の相談が2件であった。
- 2022年6月10日以降の外国人観光客への段階的な水際政策の緩和、同年10月11日からの個人旅行受入れや査証免除措置の再開等により、訪日観光客が増加したこともあり、訪日窓口への相談件数は、2021年度90件から2022年度134件に増加した。なお、2022年10月以降、訪日窓口における訪日観光客からの相談割合は半数以上を占めた。
国民生活センター 冷静に判断して! 美容医療サービスのトラブル
- 内容
- 顔のリフトアップが約1万4千円というCMを見て美容整形外科に行った。医師ではない人にカウンセリングを受け「年齢的に安価な施術より他の施術と組み合わせた方がよい、約半額にできる」などと言われた。症例を見せながら「こんなに変わる、絶対に失敗はない」と強調され、約50万円で契約した。リスクの説明はなかった。「今すぐに」と勧められ、当日施術を受けたが、リフトアップの効果が感じられず左右のバランスが違った。(60歳代)
- ひとこと助言
- 美容医療サービスの施術には身体への危険が伴います。広告等の情報をうのみにせず、他の医療機関や法に基づき設置されている医療安全支援センターでも情報収集を行いましょう。
- 施術を受けるかは、医師から施術内容や料金、効果やリスクなどについて、十分な説明を受けた上で、慎重に判断することが重要です。
- 医師から十分な説明を受けたとしても、美容医療は多くの場合、今すぐに施術する必要はありません。いったん家に戻って落ち着いてから決めましょう。クリニックに行ったその当日に施術を勧められたり「今日契約すれば割り引く」などと契約を急かされたりしたら要注意です。
- 施術の内容や期間、金額によっては、クーリング・オフできる場合もあります。困ったことがあれば、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。