2022/06/27

危機管理トピックス

【省庁別記事(前半)】

【首相官邸】

【2022年6月】

首相官邸 知的財産戦略本部会合 議事次第
▼資料1 「知的財産推進計画2022」(案)概要
  • コロナ後のデジタル・グリーン成長による経済回復戦略を進める中で企業の知財・無形資産の投資・活用が鍵
  • 米国では企業価値の源泉が無形資産に変わる中、日本ではその貢献度が低い
  • 知財・無形資産による差別化により、マークアップ率を引き上げることが、成長と分配の好循環のために重要
  • 技術をいかに機動的かつスピーディーにグローバルに社会実装させるかの“イノベーション・スピード競争“へ
    • 従来のプレイヤーだけでは対応できず、イノベーション創出のプレイヤーの多様化(個人・スタートアップなど)が急務
  • デジタル空間の技術パラダイムの転換
    • Web3.0時代の到来。日本の豊富なコンテンツを活用してデジタル経済圏を拡大する機会
    • メタバース等のデジタル空間における知財の権利保護の在り方の検討が急務
  • 熾烈な技術覇権・国際連携競争と経済安全保障
    • 国際市場獲得・経済安全保障実現に向け、標準戦略が死活的に重要に
  • 新たな知財“データ”のガバナンスへの関心の高まり
    • データ利活用のルール形成を巡る主導権争い
    • イノベーションのランキングで日本は13位と低い評価 WIPO「グローバルイノベーション指数2021」 ※2007年は4位 米国:3位、英国4位、韓国5位、ドイツ10位、フランス11位、中国12位
  • スタートアップが、大学・大企業の保有する知財をフルに活用し、事業化につなげられる環境整備に向け、知財対価としての株式・新株予約権の活用制限の撤廃、共有特許のルール見直し、国際特許出願支援の抜本的強化などを措置
  • 大学の知財の事業化に向け、強い権利の取得やライセンスの促進など、スタートアップ・フレンドリーな知財マネジメントを浸透させるための大学知財ガバナンスガイドライン(仮称)を策定
  • 大学における共同研究成果の活用促進
    • 大学が共有特許をスタートアップなどの第三者にライセンスするには、企業の許諾が必要で、十分活用できていない。
    • 共有先企業が一定期間正当な理由なく不実施の場合に、大学が第三者にライセンス可能とするルール作り大学の交渉力を高めるための知財関連財源の充実
  • スタートアップが株式・新株予約権を活用しやすい環境整備
    • 国立大学等による株式・新株予約権の取得については、スタートアップの資力要件等の制限がある。
    • 国立大学等が、知財移転の対価としてスタートアップの株式・新株予約権を取得しやすい環境を整備するため、資力要件等の各種制限を撤廃
  • 日本企業の知財・無形資産投資が不足。コーポレートガバナンス・コード見直しによる企業の開示・ガバナンス強化に加え、投資家の役割を明確化することにより、知財・無形資産の投資・活用を促進
  • 中小企業が知財・無形資産を活用した融資を受けられるよう、事業全体を対象とする担保制度の創設を検討
  • 政府系研究開発事業の実行プロセスにおいて、民間企業に社会実装戦略、国際競争戦略、国際標準戦略の明示を求め、その取組、実行を担保する仕組みを導入。 *国際標準戦略=国際標準の戦略的な形成・活用
  • 準公共等の各分野のプラットフォームや、デジタル田園都市国家構想で構築されるデータ連携基盤において、「プラットフォームにおけるデータ取扱いルールの実装ガイダンスver1.0」(2022年3月公表)を参照し具体的なルール実装を推進
  • デジタル化の進展に伴うコンテンツ市場の構造変化や、個人による多様な創作活動の動向、仮想空間上におけるコンテンツ消費等の新たな動きを踏まえつつ、Web3.0時代におけるコンテンツビジネスのゲームチェンジの可能性等も見据え、コンテンツ・エコシステムの活性化に向けた戦略を推進。
  • 簡素で一元的な権利処理の実現に向け、2023年通常国会に著作権法の改正法案を提出
  • デジタル時代のコンテンツ戦略
    • あらゆる人々の創造性発揮を促し、新たな価値創出を拡大
    • クリエーター等主導によるコンテンツ・エコシステムを活性化
    • メディア・コンテンツ産業の構造転換・競争力強化を促進
      1. コンテンツの「利用」と「創作」の好循環による価値増殖の加速
        • デジタル時代に対応した著作権制度・関連政策の改革
        • 簡素で一元的な権利処理の実現【2023年常会に法案提出】
      2. Web3.0時代の新たなコンテンツ消費等への対応
        • メタバース上のコンテンツ等をめぐる法的課題の把握と論点整理。官民一体となったルール整備
        • NFTの活用に係るコンテンツホルダーの権利保護、利用者保護等
      3. 海外展開を見据えたビジネスモデルへの転換促進
        • 国内向け作品づくりから「世界で売れる」作品づくりへ
        • 制作システムの抜本的転換と国際販売力の強化
        • クリエーター等主導への転換を踏まえた人材育成等
  • 著作権制度・関連政策の改革
    • デジタル時代のスピードに対応し、権利処理にかかる手続きコスト・時間コストを大幅に削減
    • 分野を横断する一元的な窓口組織を活用した新しい権利処理の仕組みを創設(→権利者不明の著作物や意思表示のない著作物が利用可能に)
    • 分野横断的な権利情報データベースを構築し、権利者等の探索を実施
    • 将来的にデジタルで完結する仕組みを目指す
  • 新型コロナの長期化を踏まえ、クールジャパン(CJ)関連分野の存続に必要な支援を着実に実施。本年6月10日から外国人観光客の入国制限を見直し。来るべきインバウンドの全面再開を視野にCJの再起動が急務。2025年大阪・関西万博は、CJにとって絶好のチャンス
  • 知的財産推進計画2022の全体像
    1. スタートアップ・大学の知財エコシステムの強化
      • スタートアップが知財対価として株式・新株予約権を活用しやすい環境整備
      • 大学における事業化を見据えた権利化の支援
      • 大学等における共同研究成果の活用促進
      • 「大学知財ガバナンスガイドライン(仮称)」の策定と大学への浸透 等
    2. 知財・無形資産の投資・活用促進メカニズムの強化
      • 企業の開示・ガバナンス強化と投資家の役割の明確化
    3. 標準の戦略的活用の推進
      • 官民一丸となった重点的な標準活用推進 等
    4. デジタル社会の実現に向けたデータ流通・利活用環境の整備
      • データ取扱いルール実装の推進 等
    5. デジタル時代のコンテンツ戦略
      • Web3.0時代を見据えたコンテンツ戦略
      • デジタル時代に対応した著作権制度・関連政策の改革 等
    6. 中小企業/ 地方(地域)/農林水産業分野の知財活用強化
      • 中小企業の知財取引の適正化 等
    7. 知財活用を支える制度・運用・人材基盤の強化
    8. アフターコロナを見据えたクールジャパンの再起動

【2022年5月】

首相官邸 北朝鮮によるミサイル発射事案に係る関連情報について
  1. 北朝鮮は、本日(25日)5時59分頃、北朝鮮西岸付近から、1発の弾道ミサイルを東方向に発射した。詳細については現在分析中であるが、最高高度約550km程度で、約300km程度飛翔し、落下したのは北朝鮮東岸の日本海であり、我が国の排他的経済水域(EEZ)外と推定される。
  2. また、北朝鮮は、本日6時42分頃、北朝鮮西岸付近から、1発の弾道ミサイルを東方向に発射した。詳細については現在分析中であるが、最高高度約50km程度で、約750km程度を変則軌道で飛翔し、落下したのは北朝鮮東側の日本海であり、我が国の排他的経済水域(EEZ)外と推定される。
  3. 以上の弾道ミサイル2発以外に、ミサイルを発射した可能性があり、関連する情報を収集し、分析しているところである。
  4. 付近を航行する航空機や船舶への情報提供を行ったところ、現時点において被害報告等の情報は確認されていない。
  5. 総理には、本件について直ちに報告を行い、
    • 情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して、迅速・的確な情報提供を行うこと
    • 航空機、船舶等の安全確認を徹底すること
    • 不測の事態に備え、万全の態勢をとること
      の3点について指示があった。
  6. また、政府においては、官邸危機管理センターに設置している「北朝鮮情勢に関する官邸対策室」において、関係省庁からの情報を集約するとともに、緊急参集チームを招集し、対応について協議を行った。
  7. これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射も含め、一連の北朝鮮の行動は、我が国、地域及び国際社会の平和と安全を脅かすものである。また、このような弾道ミサイル発射は、関連する安保理決議に違反するものであり、我が国としては、北朝鮮に対して厳重に抗議し、強く非難した。
  8. 国民の生命・財産を守り抜くため、引き続き、情報の収集・分析及び警戒監視に全力を挙げ、今後追加して公表すべき情報を入手した場合には、速やかに発表することとしたい

首相官邸 全世代型社会保障構築会議(第5回)・全世代型社会保障構築本部(第2回)議事次第
▼資料2 全世代型社会保障構築会議 議論の中間整理(概要)
  1. 全世代型社会保障の構築に向けて
    • 「成長と分配の好循環」の実現のためには、全ての世代で安心できる「全世代型社会保障」の構築が必要。
    • 社会保障の担い手を確保するとともに、男女が希望どおり働ける社会をつくる「未来への投資」として、「子育て・若者世代」への支援や、「社会経済の変化に即応した社会保障制度」の構築が重要。
    • 包摂的で中立的な仕組みとし、制度による分断、格差、就労の歪みが生じないようにすべき。これにより、中間層を支え、厚みを増すことに寄与。
    • 短期的及び中長期的な課題について、「時間軸」を持って、計画的に取り組む。「地域軸」も意識。
    • 給付は高齢者中心、負担は現役世代中心という構造を見直し、能力に応じて皆が支え合い、人生のステージに応じて必要な保障を確保することが基本。
    • 世代間対立に陥ることなく、国民的な議論を進めながら対策を進めていくことが重要。
  2. 男女が希望どおり働ける社会づくり
    • 子育て支援・今なお子育て・若者世代は、「仕事か、子育てか」の二者択一を迫られる状況が多い。「仕事と子育ての両立」の実現のため、早急に是正されるべき。
    • このため、(1)妊娠・出産・育児を通じた切れ目ない支援が包括的に提供される一元的な体制・制度の構築、(2)働き方や子どもの年齢に応じて、育児休業、短時間勤務、保育・幼児教育など多様な両立支援策を誰もが選択し、利用できる環境の整備が望まれる。
    • 改正育児・介護休業法による男性育休の推進、労働者への個別周知・意向確認のほか、保育サービス整備などの取組を着実に推進。
    • 子育て・若者世代が不安を抱くことなく、仕事と子育てを両立できる環境整備のため更なる対応策について、国民的な議論を進めていく。
    • こども家庭庁の創設を含め、子どもが健やかに成長できる社会に向け、子ども・子育て支援の強化を検討。
  3. 勤労者皆保険の実現・女性就労の制約となっている制度の見直し
    • 働き方の多様化が進む中、働き方に対して「中立」な社会保障制度の構築を進めることが必要。
    • 勤労者皆保険の実現に向けて取り組んでいくことが必要。
    • 令和2年年金制度改正法に基づき、被用者保険の適用拡大を着実に実施。さらに、企業規模要件の撤廃も含めた見直しや非適用業種の見直し等を検討。
    • フリーランスなどについて、被用者性等をどう捉えるかを検討。その上で、より幅広い社会保険の適用の在り方について総合的に検討。
    • 女性就労の制約となっていると指摘されている社会保障や税制、企業の諸手当などについて働き方に中立的なものにしていく。
  4. 家庭における介護の負担軽減
    • 今後、要介護高齢者が大幅に増加し、単身・夫婦のみ世帯の増加、家族の介護力の低下が予想される。
    • 介護についても、仕事との両立が重要。
    • 認知症の人の増加など。
    • 圏域ごとの介護ニーズを踏まえたサービスの基盤整備、在宅高齢者について地域全体での基盤整備。
    • 介護休業制度の一層の周知を行うことを含め、男女ともに介護離職を防ぐための対応。
    • 認知症に関する総合的な施策を更に推進。要介護者及び家族介護者等への伴走型支援などの議論を進める。ヤングケアラーの実態を把握し、効果的な支援策を講じる。
  5. 「地域共生社会」づくり
    • 孤独・孤立や生活困窮の人々が地域社会と繋がりながら、安心して生活を送れる「地域共生社会」づくりに取り組む必要。
    • 「住まい」をいかに確保するかは、老齢期を含む生活の維持にとっても大きな課題。制度的な対応も含めた検討が求められる。
  6. 医療・介護・福祉サービス
    • 今後の高齢化の進展とサービス提供人材の不足を踏まえると、医療・介護提供体制の改革や社会保障制度基盤の強化は必須。
    • コロナ禍により、地域医療の機能が十分作動せず総合病院に大きな負荷がかかる課題に直面。機能分化と連携を重視した医療・介護提供体制等の国民目線での改革を進めるべき。
    • データの連携、総合的な活用は、社会保障の各分野におけるサービスの質の向上等に重要な役割を果たす。
    • サービスの質の向上、人材配置の効率化、働き方改革等の観点。
    • 「地域完結型」の提供体制の構築に向け、地域医療構想の推進、地域医療連携推進法人の活用、地域包括ケアシステムの整備などを、都道府県のガバナンス強化など関連する医療保険制度等の改革と併せて着実に推進。
    • かかりつけ医機能が発揮される制度整備を含め、機能分化と連携を一層重視した医療・介護提供体制等の改革を推進。
    • 地域医療構想について、第8次医療計画策定とあわせて議論を進める。さらに2040年に向けバージョンアップ。
    • データ活用の環境整備を進め、個人・患者の視点に立ったデータ管理を議論。社会保障全体のDXを進める。
    • ICTの活用、費用の見える化、タスクシェア・タスクシフティングや経営の大規模化・協働化を推進。

首相官邸 犯罪対策閣僚会議
▼子供の性被害防止プラン(児童の性的搾取等に係る対策の基本計画) 2022 (概要)
  • 現行プラン
    • 平成29年4月、犯罪対策閣僚会議において、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会までを視野に入れたプランを決定
  • 情勢・課題
    • 加害者との接触を媒介するツール等の普及、多様化等
    • SNSに起因する児童買春事犯・児童ポルノ事犯が高水準で推移
    • 国際社会との連携・情報発信強化の必要性 など
  • 新プランの策定
    • 現行プランの6つの柱を維持しつつ、各柱の施策について、今後継続すべき施策に現在の情勢・課題を踏まえた施策を新たに追加
    • 今後5年間を目途に現行法を前提として取り組むべき施策を取りまとめ
    • 進捗状況についてフォローアップを実施
  • 新規追加施策
    1. 児童の性的搾取等の撲滅に向けた国民意識の向上及び国民運動の展開並びに国際社会との連携の強化
      • 地域の関係機関への情報発信等を通じ、地域の関係機関・団体等の連携・協力による児童の性的搾取等の撲滅に向けた取組の促進
      • 児童買春等の法令違反のサービス提供が行われないよう、旅行業者等による自己点検や国・地方公共団体による立入検査を通じた指導の実施
      • 「若年層の性暴力被害予防月間」を実施し、関係府省、地方公共団体、関係団体等と連携・協力し、AV出演被害、「JKビジネス」等の若年層の様々な性暴力被害の予防啓発や被害に遭った場合の相談先の周知を推進
      • 虐待、性的搾取等・性暴力等の分野における取組を取りまとめた「子どもに対する暴力撲滅行動計画」に基づく、関係府省庁の連携した取組の実施
    2. 児童が性的搾取等の被害に遭うことなく健やかに成長するための児童及び家庭の支援
      • 性犯罪・性暴力の加害者にならない、被害者にならない、傍観者にならないための「生命(いのち)の安全教育」をはじめとする生命の尊さを学び生命を大切にする教育などの推進
    3. 児童の性的搾取等に使用されるツールや場所等に着目した被害の予防・拡大防止対策の推進
      • SNS事業者団体の青少年保護活動に参画し、被害実態に関する情報提供を行うとともに、個々の事業者における自主的な対策強化を促進
      • SNS上の不適切な書き込みをサイバーパトロールにより発見し、注意喚起のためのメッセージを投稿する取組を推進するとともに、AI技術の活用など効果的な手法の導入を検討
      • 官民が連携し、AV出演被害問題・「JKビジネス」・援助交際等の性的搾取等の根絶を目指し、被害防止に係る取組を推進
      • 被害場所の実態把握、被害場所に関する分析を実施し、関係府省庁の協力を得て関係団体等へ情報を提供
    4. 被害児童の迅速な保護及び適切な支援の推進
      • 児童相談所、教育機関、法務局等において面接等に加え、SNSの活用による相談しやすい環境整備を実施
    5. 被害情勢に即した取締りの強化と加害者の更生
      • 矯正施設に収容中の性犯罪者等について、矯正施設収容中から医療機関等の医師や社会福祉士等の専門家による面接を実施し、個々人の特性やニーズに応じた医療機関等による多様な方法、内容による退所後の治療等につなげ、再犯防止を推進
      • 刑事手続の終了後も、地域社会において性犯罪者に対するカウンセリング等再犯防止に向けた支援が提供されるようにするなど、国と地方公共団体とが連携した性犯罪者の再犯防止対策の推進
      • 仮釈放中の性犯罪者等へのGPS機器の装着義務付けなど、諸外国の法制度・運用や技術的な知見等を踏まえた所要の検討を実施
    6. 児童が性的搾取等の被害に遭わない社会の実現のための基盤の整備・強化
      • 過去40年間の懲戒免職処分歴等の情報検索が可能な「官報情報検索ツール」の更なる活用の促進や児童生徒に対して性暴力に及んだ教育職員の原則懲戒免職の徹底
      • 保育士資格について、特定免許状失効者等に対する教育職員免許法の特例と同様の仕組みを検討するとともに、性暴力等を行ったベビーシッターに対する業務停止命令等に関する情報を共有・公表する仕組みの構築を検討
      • 教育・保育施設等やこどもが活動する場等において働く際に性犯罪歴等についての証明を求める仕組み(日本版DBS)の導入に向けた検討
      • 児童が対象となる場合を含め、競技者に対する性的意図を持った写真や動画の撮影・流布等によるハラスメントについて、関係団体・関係省庁とも連携しつつ、問題に関する啓発等、防止に向けた取組を推進
      • 子供に対する性被害に対処するための刑事法の整備について、性犯罪に対処するための法整備に関する法制審議会の審議結果を踏まえた所要の検討を実施

首相官邸 日本はウクライナと共にあります- JAPAN STANDS WITH UKRAINE-
  • ロシア軍によるウクライナでの多数の無辜の民間人の殺害は重大な国際人道法違反であり、戦争犯罪です。断じて許されず、厳しく非難するものです。
  • こうした残虐な行為の真相は徹底的に明らかにされなければならず、ロシアは戦争犯罪の責任を問われなければなりません
  1. ウクライナ国民への支援
    • ドローン・防弾チョッキ・ヘルメット・防寒服・天幕・カメラ・衛生資材・非常用糧食・双眼鏡・照明器具・医療用器材等の提供
    • 1億ドルの緊急人道支援(注)(保健、医療、食料、ウクライナ及び周辺諸国の方々の保護等の分野における国際機関等を通じた支援。なお、追加で1億ドルの緊急人道支援を行うことを表明済み)(注)2014年以来ウクライナに対して18.7億ドルのODAを実施中
    • 財政支援について、1億ドルから3億ドルへの増額を表明
    • 希望する在留ウクライナ人の在留延長を許可
    • ウクライナから日本への避難民の受入れの推進
    • 周辺国に滞在する避難民支援のための物資協力、医療・保健等の分野における人的貢献の検討
  2. 金融措置
    • IMF、世界銀行、欧州復興開発銀行を含む主要な多国間金融機関からのロシアへの融資の防止
    • デジタル資産などを用いたロシアによる制裁回避への対応
    • ロシア中央銀行との取引を制限
    • プーチン大統領を含むロシア政府関係者、ロシアの財閥であるオリガルヒ等に対して、資産凍結等の制裁
    • 9金融機関(Sberbank, Alfa-Bank, 開発対外経済銀行(VEB)、Promsvyazbank、Bank Rossiya、対外貿易銀行(VTB Bank)、Sovcombank、Novicombank及びBank Otkritie)及びそれらの子会社に対して、我が国国内に有する資産を凍結
    • SWIFT(国際銀行間通信協会)からのロシアの特定銀行の排除を始め、ロシアを国際金融システムや世界経済から隔離させるための措置へ参加
    • ロシア政府による新たなソブリン債の我が国における発行・流通等を禁止。我が国における証券の発行等を禁止しているロシアの特定の銀行について、より償還期間の短い証券も対象に追加
    • ロシアへの新規投資を禁止する措置を導入
  3. 貿易措置
    • 「最恵国待遇」の撤回
    • 機械類、一部木材、ウォッカなどの輸入の禁止
    • 贅沢品の輸出の禁止
    • ロシアの軍事関連団体に対する輸出、国際的な合意に基づく規制リスト品目・半導体など汎用品・先端的な物品のロシア向け輸出、ロシア向け石油精製用の装置等の輸出に関する制裁
    • 石炭・石油輸入のフェーズアウトや禁止を含むエネルギー分野でのロシアへの依存低減
  4. 査証措置
    • ロシアの関係者に対して、日本への査証発給の停止
  5. ベラルーシ
    • 3金融機関(Belagroprombank、Bank Dabrabyt及びベラルーシ共和国開発銀行)及びそれらの子会社に対して、我が国国内に有する資産を凍結
    • ベラルーシの関係者に対して、日本への査証発給の停止
    • ルカシェンコ大統領を含むベラルーシの関係者に対する資産凍結等の制裁
    • ベラルーシの軍事関連団体に対する輸出、国際的な合意に基づく規制リスト品目や半導体など汎用品のベラルーシ向け輸出に関する制裁
    • ※「ドネツク人民共和国」及び「ルハンスク人民共和国」
      • 「ドネツク人民共和国」及び「ルハンスク人民共和国」関係者に対して、日本への査証発給の停止及び我が国国内に有する資産を凍結
      • 「ドネツク人民共和国」及び「ルハンスク人民共和国」との輸出入を禁止

首相官邸 第6回 デジタル市場競争会議 配布資料
▼資料2:モバイル・エコシステムに関する競争評価 中間報告(案) 概要
  • スマートフォンは我々の社会に急速に普及。スマートフォンを通じて、日常生活を営む上で必要な様々なサービスを享受できるようになっている。消費者は常時保有し、いつでもどこでもサービスを利用することができ、事業者にとっても強い顧客接点としてこれまでにない形で幅広いユーザーにアクセスできる機会が与えられ、両者にとって多大なるメリットをもたらし、経済社会の基盤となっている。
  • 一方で、スマートフォンを通じて顧客にアクセスする事業者は、OSやアプリストア、ブラウザ等によって設定される仕様や「ルール」等に則ってサービスを提供する必要がある。
  • モバイル・エコシステムを形成するプラットフォーム事業者は、デジタル空間のありようを決定する上で強い影響力を有する。これまで、オンラインモールやアプリストア、デジタル広告といった個別のデジタル市場に着目し、その課題解決に取り組んできた。しかしながら、これらの多くは、モバイル・エコシステムの中で機能するものであるところ、個別の市場を見るだけでは、デジタル市場における構造的な課題を把握することは困難。モバイル・エコシステムにおけるレイヤー構造が競争環境にどのような影響を与えているのかについて、競争評価を行う。
  • 経済社会において重要性を高める「モバイル・エコシステム」
    • スマートフォンが急速に普及し、86.8%の世帯に普及(2020年)。
    • 1日当たりのインターネット平均利用時間もモバイルネットが平日・休日とも大きな伸び。(平日は、37.6分→105.8分と3倍、休日は、53.7分→126.4分と2倍超の伸び。(2013年と2020年の比較))
    • モバイル・コンテンツ関連市場も拡大(7兆円超)。
  • モバイル・エコシステムの構造
    • モバイル・エコシステムの構造は、少数のプレーヤーのみ存在するOSレイヤーと、それを基盤とした各レイヤー(アプリストア、ブラウザ等)が階層化するレイヤー構造によって構成されている。
  • モバイル・エコシステムの特性
    • 利用者を惹きつけるアプリ等を呼び込みユーザーが増加、ユーザーが増加するとエコシステムに参加するアプリ事業者等がさらに増加するネットワーク効果、UIやデータ集積によるスイッチングコスト、高い開発コストによる規模の経済。これらが高い参入障壁となり、少数のプラットフォーム事業者による寡占構造に。
  • 2つの大きなエコシステム(Apple、Google)
    • モバイル・エコシステムの基盤を提供するモバイルOSは、iOS(Apple)とAndroid(Google)の2社の寡占状態。
    • 近年、この傾向に変動はみられず、固定的な状況。
  • 目指すべき姿と対応に向けた基本的な考え方
    1. モバイル・エコシステム全体に関する認識
      1. プラットフォーム事業者による寡占
        • 参入障壁、間接ネットワーク効果、スイッチングコストなどの存在
        • 主要なレイヤーは、少数のプラットフォーム事業者の寡占状態
        • Googleは、検索サービス等での強みをレバレッジにOS、アプリストア、ブラウザのレイヤーで有力な地位
        • Appleは、端末及びOSをベースに自社のアプリストアやブラウザ、主要アプリなどのプリインストール・デフォルト設定を自社で決定(垂直統合モデル)
      2. プラットフォーム事業者による様々なルール等の設定→エコシステムにおける影響力の強化・固定化
        • 各レイヤーでの強みをレバレッジにして、他のレイヤーにおけるルール等を規定
        • 自己が強みを有するレイヤーでの地位強化、他のレイヤーでの自社サービスの競争力強化
        • 各レイヤー内やレイヤーを跨ぐ様々な行為が複合的・相乗的に作用
        • エコシステム全体におけるプラットフォーム事業者の影響力が強化・固定化
      3. エコシステムにおける競争上の懸念
        • レベル・プレイング・フィールドの悪化(プラットフォームと第三者との間、第三者間)
        • プラットフォーム上の各レイヤーのコストアップ、バイアビリティの低下
        • 各レイヤー及びモバイル・エコシステム全体への排他・参入抑制、技術革新等イノベーションを通じた競争圧力の排除
    2. モバイル・エコシステム全体のあり方を考える上での「目指すべき姿」と検討の方向性
      1. 目指すべき姿
        • モバイル・エコシステム内の各レイヤーにおいて、多様な主体によるイノベーションや、消費者の選択の機会が確保されること。その実現のため、以下が確保されること。
        • モバイル・エコシステム全体及び各レイヤーに対し各方面から競争圧力が働き、イノベーションが促されること。更に、将来のパラダイムシフトの可能性の芽を摘まない競争環境が確保されること。
        • 各レイヤーが他のレイヤーにおける競争に影響を及ぼす場合において、当該他のレイヤーにおいて公平・公正な競争環境が確保されること。
        • 新たな顧客接点への拡張における競争において、モバイル・エコシステムにおける影響力をレバレッジとすることにより、公平・公正な競争環境が阻害されることのないようにすること。
      2. 対応に向けた基本的な考え方
        • 各レイヤーの特性に応じながら、以下の組み合わせによる対応をとるべきではないか。
        • モバイル・エコシステム全体や各レイヤーにおいて、競争圧力が働いているか。
        • 当該レイヤーにおける競争圧力を高めるための対応を図ることが必要か。
        • モバイル・エコシステム内の各レイヤーが、他のレイヤーにおける公平・公正な競争環境を阻害している懸念はないか。
        • 各レイヤーにおける強みをレバレッジに、他のレイヤーに及ぼす行為に対する一定の牽制が必要か。
        • 上記の観点については、同時に行っている「新たな顧客接点(ボイスアシスタント及びウェアラブル)に関する競争評価」の中間報告において、関連する評価を行っているところ
    3. 対応策のオプションを検討するにあたっての視点 現状修復の困難さ、今後のさらなる懸念
      1. デジタルの持つ特性(取引参加のコストが小さいため、ネットワーク効果が強く、急速に効く。そのため、一旦ティッピングが生じると一人勝ちになり、市場による治癒が困難)が複数のレイヤーで複合的に発揮。
        • プラットフォーム事業者の地位が極めて強固で固定的なものとして確立
      2. アルゴリズムの利用等により、ビジネス上の決定過程がブラックボックス化(情報の非対称性)。
        • プラットフォーム事業者は各レイヤーにおいて影響力を行使することが容易な状態
      3. デジタル技術を用いた取引は、事業者群と消費者群とで構成される両面市場が強いネットワーク効果によって大規模に形成されやすい。
        • 消費者に対しては低価格や無料で取引を提示する一方で、事業者サイドには不利な条件を提示。その間で、レントを享受可能。
        • 消費者へのアクセスを掌握することで、事業者がロックインされ、事業者側からの治癒は困難。
        • 消費者からは見えにくく、顕在化しにくいため、消費者側からの治癒も困難。
        • 市場機能による自然治癒に期待することは困難ではないか。
      4. 消費者の限定合理性(選択肢の認知の限界、現状維持バイアスによる選択・判断の合理性の制約)
        • モバイル端末の画面の小ささ、使用場面の特性(移動中など)と操作性の制約
        • 常時接続により購買活動や決済にも結び付くことから、懸念はより強まる。
        • プラットフォーム事業者が選択肢に対する制約や誘導を行う場合には、消費者の合理的判断の余地をさらに低下させる懸念
      5. モバイル端末という顧客への常時接続が可能な強力な接点を活用して、モバイル・エコシステムにおける影響力を拡張。消費者、事業者の活動への影響力をより深化させていく懸念。
        • この状況は、中長期的に継続するおそれが強いのではないか。
    4. 既存の枠組みによる対応の可能性
      • これまでの競争法は、(1)特定の行為について、(2)当該行為が特定の市場における競争上の弊害を発生させるセオリーを特定し、(3)セオリーに従って弊害が発生していることを具体的に立証し、(4)それを是正するレメディを実施させる、という手法。
      • しかしながら、デジタル市場、中でも今回競争評価の対象であるモバイル・エコシステムにおける競争上の問題は、
      • プラットフォーム事業者がレバレッジを効かせることが可能な任意のレイヤーにおいて行われる、不定形かつ同時的な(通常は)複数の行為によって引き起こされる。
      • 行為単体でみたときの競争上の弊害は比較的軽微でも、多数の行為が複合的・相乗的に作用して競争上の弊害を顕在化させる。その弊害がレイヤーを跨いで、すなわち、行為が行われるものとは別のレイヤーで影響力が行使される。
      • こうした特性に加え、無償市場や多面市場が多く、通常の手法を用いることができないこと、技術革新の予測が困難なため、将来の競争者を想定することが困難であることなども相まって、市場画定が困難な側面がある。
      • また、評価に必要な情報がプラットフォーム事業者側に偏在しているなどの事情もあり、質的な要素(価格以外のプライバシーや顧客体験等)の評価が難しいことも含め、多数の行為が競争上の弊害を発生させるプロセスに関するセオリーを特定し、セオリーに従って弊害が発生していることを具体的に立証したり、正当化事由を考慮したりするなどして判断することが困難な側面がある
      • 最終的な結論を得るまでに相当の時間を要する(その間、競争環境が変化するおそれも)
      • 違法性を立証できても、迂回的手段によって同種の競争上の弊害が繰り返されるおそれ
      • これまでの競争法によるアプローチとは異なるアプローチを考えていく必要があるのではないか。
    5. 本競争評価における対応策のオプションの検討に当たっての考え方
      • デジタル市場、中でも、今回競争評価の対象としているモバイル・エコシステムについては、一旦ティッピングが生じると一人勝ちの状態(ないしは寡占状態)になり、市場による治癒が困難、モバイル・エコシステムを形成したプラットフォーム事業者が競争に悪影響を及ぼす危険性の高い行為類型が明らかとなっている。
      • 競争に悪影響を及ぼす危険性の高い行為を事前に原則的に禁止するアプローチがあり得るのではないか。
      • その場合、例外的に何らかの理由を持つ場合(セキュリティ、プライバシー保護など)には、プラットフォーム事業者がそれを示した場合、十分に精査した上で正当な理由と認められる場合には、禁止から取り除くといった対応が可能か。
      • デジタルプラットフォーム事業者の行為については、データやアルゴリズムなどに関し、情報の非対称性が存在。そのため、規制当局に対して、広範な情報提供や説明を求める権限を付与する仕組みも考えられるか。
      • 本競争評価においては、以上のような考え方も対応策のオプションとして念頭に置きながら、あるべき姿の実現に向け、現行の法的枠組みの制約にとらわれずに、実効的に対応することができる方策を検討する。
      • なお、諸外国においても、新たなフレームワークについて、様々な検討がなされているところであり、こうした諸外国の動きにも留意しながら、検討を行っていく。
      • 今回提示する対応策のオプションは、あくまでも考えられる「オプション」であり、特定の対応策を決定するものではなく、むしろ、現行の法的枠組みにとらわれず、幅広い考え方を対応策のオプションとして提示し、それらに対する考え方を広く関係者から集め、最終報告に向けて議論を深めていくためのもの。
▼資料3:新たな顧客接点(ボイスアシスタント及びウェアラブル)に関する競争評価 中間報告(案) 概要
  • デジタル市場においては、強い顧客接点が重要であり、新たな顧客接点の獲得・拡大が競争力強化のカギ。
    • この際、既に強力な顧客接点を有する事業者が、その地位をレバレッジにして、新たな顧客接点の獲得・拡大を優位に行うことができる可能性。この結果、一旦、ネットワーク効果が生じ寡占化すると、市場による治癒が困難となり、既存の顧客接点における競争上の懸念が広がり、固定化してしまうおそれ。
    • 他方で、新規顧客接点は、発展途上であり、過度に市場に介入するとイノベーションを阻害してしまうリスクもある。
    • 本競争評価のテーマ 新たな顧客接点の獲得・拡大において、イノベーションや市場の成長を阻害せず、市場の成長と共に懸念される寡占化に伴う競争上の懸念を未然に防ぐために、どのような対応がなされるべきか。
      1. 新たな顧客接点 ボイスアシスタント
        • 話し言葉による問いかけや要求に対し、音声で回答したり、動作したりする機能・サービス
        • エコシステムに対する音声による入力・出力において顧客との接点となり、プラットフォーム事業者が新たなエコシステムを形成する際の基盤となり得る。
        • これまでのデータよりもはるかにリッチな情報を提供し得る。
        • 自社のアプリや製品への誘導がしやすいという点においてもプラットフォーム事業者は優位性を獲得しやすい。
      2. 新たな顧客接点 ウェアラブル端末
        • 身に着けて使用するタイプの端末。身体に近接した新たな顧客接点として市場が拡大中。
        • このうち、スマートウォッチは比較的市場規模が大きく、またバイタルデータ等を測定することが可能。
        • 特にスマートフォンと連携しながら、ヘルスケア分野を中心に様々なアプリを呼び込むエコシステムの形成にも寄与する可能性。
        • ユーザーのバイタルデータのプラットフォーム事業者への蓄積が進めば、スイッチングコストは極めて高くなる
      3. 共通事項
        • 上記いずれも、プライバシーの観点から機微なデータを扱う分野であり、競争促進とプライバシーのバランスの確保の観点からも、重要な論点を提起する分野
  • ボイスアシスタントは、音声認識技術、自然言語処理、音声合成技術等を組み合わせ、話し言葉による問いかけや要求に対し、適切に回答したり、動作したりする機能・サービス。スマートフォンとスマートスピーカーが、ボイスアシスタントの2つの主要なポータル。スマートフォンの世帯普及率は86.8%(2020年)、個人普及率は69.3%(2020年)。ほぼすべてのスマートフォンにボイスアシスタントは標準実装。スマートスピーカーの世帯普及率は13.5%(2021年)、約700万世帯に普及。スマートフォン所有者に対する個人所有率は14.7%(2019年)。ただし、ボイスアシスタント(スマートフォンとスマートスピーカーを含む)のアクティブユーザーは約2割と推定されることに留意が必要。
  • ボイスアシスタント(スマートフォンとスマートスピーカーを含む)のアクティブユーザーは約2割※と推定される。最もよく利用する音声アシスタントは、Apple Siriが51.1%。次いでGoogle Assistantが32.6%、Amazon Alexaは7.8%。この3社で9割以上。スマートスピーカーのみでは、GoogleとAmazonが上位を占めるが、Appleのシェアはほとんどない。他方で多様な事業者が参入。仮に②のAmazon Alexaの利用者(7.8%)が全てスマートスピーカーであったと仮定し、その同数程度がGoogleのスマートスピーカーの利用者であったと仮定して、スマートスピーカーの利用を大きく見積もったとしても、スマートスピーカーがほとんど普及していないApple Siriが5割を超えていることを踏まえれば、ボイスアシスタントは、スマートフォンでの利用が多くを占めていると考えられる。
  • 目指すべき姿
    • ボイスアシスタントを基盤として構築されていくエコシステムにおいて、多様な主体によるイノベーションと消費者の選択の機会が確保されること。その実現のために、以下が確保されること。
    • ボイスアシスタントを提供する事業者間で、公平・公正な競争環境が確保されること。
    • ボイスアシスタントを提供する事業者が、そのボイスアシスタントと連携するアプリやデバイスのベンダーにとっての競争環境に影響を及ぼす場合において、公平・公正な競争環境が確保されること。
    • これらを通じて、新規顧客接点としてのボイスアシスタントとそれを基盤としたエコシステムからなる新たな市場の健全な成長が実現されること。
  • 対応の検討に当たっての基本的な考え方
    • ボイスアシスタント市場は発展途上で、ネットワーク効果やスイッチングコストが強く働き市場支配が確立された状況には至っていないものの、参入障壁の高さから3社による寡占の状況。このため、
    • まずは、3社を含めたボイスアシスタントの提供事業者間の競争を機能させていくことが重要ではないか。
    • この競争が機能すれば、アプリやデバイスのベンダーにとっては、連携するボイスアシスタントを選択する余地が残るため、ロックインされ、依存せざるを得なくなるおそれが弱まることにつながり得る。このため、アプリやデバイスのベンダーから示される競争上の懸念については、ボイスアシスタントの提供事業者間の健全な競争を通じて改善を促していくことを基本としてはどうか。
    • ここでは、新たな市場が成長する過程におけるイノベーションを適切にガバナンスしていくことが求められる。かかる観点から、成長過程における市場環境を継続的に注視しながら、様々なステークホルダーとの対話を継続するなどエンゲージメントを図りつつ、ルールの整備・運用に当たっては、市場の変化に合わせてアジャイルな対応を図っていくことが求められるのではないか。
  • スマートウォッチ(リストバンド型の端末を含む)の2020年度通期(2020年4月~2021年3月)の国内販売台数は229.4万台(前年度比19.9%増)。当面、市場の拡大基調が続くとの予測。メーカー別シェアではAppleが54.5%でトップ。2位はFitbitで42.1万台(18.4%)。スマートフォン利用者のスマートウォッチ利用率は9.4%。各種センサーによって、バイタルデータ(心電図、心拍数、転倒検出、血中酸素濃度、睡眠、周期等)の強力な「測定」機器として機能する。最も利用が多い機能は「LINE・メール・電話の通知」で58.3%、次いで医療・健康関係が連なる。特に、Apple Watchにおいては、Appleのヘルスケアアプリ(以下「アップルヘルスケア」という。)がプリインストールされ、iPhone、Apple Watch、サードパーティアプリからデータを取得し、まとめて表示することができるなど、医療・ヘルスケア分野機能が充実。
  • Appleは、販売台数ベースで55%程度のシェアを占めており、高い参入障壁が形成され、他に有力な製品が存在しない状況。こうした中、iPhoneとApple Watchが連携する形でアプリやデバイスを取り込むことによりエコシステムの形成が進んでいる状況。今後、エコシステムの形成が進展し、医療・ヘルスケアス関連のデータ集積が進むと、スイッチングコストもさらに高まり、競争上の懸念が高まるおそれ。
  • スマートウォッチ市場の目指すべき姿
    • スマートウォッチを基盤として構築されていくエコシステムにおいて、多様な主体によるイノベーションと消費者の選択の機会が確保されること。その実現のために、以下が確保されること。
    • スマートウォッチを提供する事業者間で、公平・公正な競争環境が確保されること。
    • スマートウォッチを提供する事業者が、そのスマートウォッチと連携するアプリやデバイスのベンダーにとっての競争環境に影響を及ぼす場合において、公平・公正な競争環境が確保されること。
    • これらを通じて、新規顧客接点としてのスマートウォッチとそれを基盤としたエコシステムからなる新たな市場の健全な成長が実現されること。
  • 対応の検討に当たっての基本的な考え方
    • ここでは、新たな市場が成長する過程におけるイノベーションを適切にガバナンスしていくことが求められる。かかる観点から、成長過程における市場環境を継続的に注視しながら、様々なステークホルダーとの対話を継続するなどエンゲージメントを図りつつ、ルールの整備・運用に当たっては、市場の変化に合わせてアジャイルな対応を図っていくことが求められるのではないか。
    • ヘルスケアデータのセンシティビティに関連して、プライバシー保護と競争環境整備のバランスに配慮。
    • ヘルスケアに関するデータについては、公益的な観点からのヘルスケアデータの利活用のあり方に関する政策的な検討も必要。

【2022年4月】

首相官邸 岸田内閣総理大臣記者会見(令和4年4月8日)
  • 本日は、ロシアによるウクライナ侵略に対する我が国の更なる制裁を中心にお話させていただきます。
  • ロシアによる残虐で非人道的な行為がキーウ近郊のブチャのみならず、ウクライナ各地で次々と明らかになっています。ロシアは、これまでも民間人の殺害や原子力発電所に対する攻撃など、重大な国際人道法違反を繰り返してきました。断じて許されない戦争犯罪です。こうしたロシアによる非道な行為の責任を厳しく問うていかなければなりません。こうした観点から、我が国として国際刑事裁判所(ICC)による調査や国連による独立した調査を支持いたします。我が国のICCへの分担金の支払を前倒しして行うなど、ICC検察官による戦争犯罪の捜査を後押ししてまいります。
  • 昨晩、ロシア軍による残虐行為を最も強い言葉で非難し、ウクライナへの連帯を示すとともに、G7としての追加的な対露制裁措置を採ることを表明するG7首脳声明が発表されました。このG7首脳声明を踏まえ、我が国はロシアに対し、次の5つの柱から成る追加制裁を科し、ロシアに対する外交的、経済的圧力を強化いたします。
  • これ以上のエスカレーションを止め、一刻も早い停戦を実現し、侵略をやめさせるため、国際社会と結束して強固な制裁を講じてまいります。
    • 第1に、ロシアからの石炭の輸入を禁止いたします。早急に代替策を確保し、段階的に輸入を削減することでエネルギー分野でのロシアへの依存を低減させます。夏や冬の電力需給逼迫(ひっぱく)を回避するため、再エネ、原子力などエネルギー安保及び脱炭素の効果の高い電源の最大限の活用を図ってまいります。
    • 第2に、ロシアからの輸入禁止措置の導入です。機械類、一部木材、ウオッカなどのロシアからの輸入について、来週、これを禁止する措置を導入いたします。
    • 第3に、ロシアへの新規投資を禁止する措置を導入いたします。G7とも連携し、速やかに措置を導入いたします。
    • 第4に、金融制裁の更なる強化です。ロシアの最大手銀行のズベルバンク及びアルファバンクへの資産凍結を行います。
    • 第5に、資産凍結の対象の更なる拡大です。400名近くのロシア軍関係者や議員、更には国有企業を含む約20の軍事関連団体を新たに制裁対象に加えます。これにより、資産凍結の制裁の対象となる個人は合計約550名、団体は合計約40団体へと広がります。
  • 次に、ウクライナの方々に寄り添った支援及び在留邦人支援について、2点申し上げます。
    • 第1に、ウクライナ周辺国への人的貢献です。既にモルドバにJICA(独立行政法人国際協力機構)のニーズ調査団を派遣し、保健医療分野のニーズ調査に加え、WHO(世界保健機関)と連携した形で現地の医療データ管理等に貢献しています。また、今週からは、PKO(国連平和維持活動)の政府調査団も派遣いたしました。現地のニーズも踏まえ、更なる人的貢献を速やかに具体化してまいります。
    • 第2に、ウクライナ避難民受入れ及び在留邦人支援についてです。昨日も申し上げましたが、ウクライナ避難民の方々が、今後とも円滑に我が国に渡航できるようにするため、当面、毎週、政府がポーランドとの直行便の座席を借り上げ、我が国への渡航を支援いたします。その第1便は、早速本日、日本に向けて出発いたします。ウクライナ在留邦人についても、自力で渡航手段を確保することが困難な方については、この便を利用できるようにいたします。
  • ロシアのウクライナ侵略によってエネルギーや食料の価格が高騰しています。我が国のみならず、世界各国の人々がガソリン価格、電気代、食材価格などの高騰に苦しんでいます。エネルギー市場を安定化させるため、昨日発表しましたが、IEA(国際エネルギー機関)加盟各国とも協調し、日本としてIEAの割当て量の1.5倍の1,500万バレルの備蓄を放出することといたしました。日本として初めての国家備蓄の放出です。引き続き日本としてできることにしっかりと取り組んでまいります。
  • また、政府としては、この原油価格や物価の高騰による国民生活への影響に対し、緊急かつ機動的に対応するため、4月中に原油価格・物価高騰等総合緊急対策を取りまとめます。国民の皆様の生活を守るために、国際、そして国内、双方で最大限の対策を迅速に講じてまいります。非道な侵略を終わらせ、平和秩序を守るための正念場です。国民の皆さんの御理解と御協力をよろしくお願いいたします。
  • 先日、ゼレンスキー大統領は、日本の国会演説において、ロシアに対してアジアで最初に圧力をかけたのは日本、制裁を続けてほしい。また、ロシアが平和を追求するようになるために努力をしよう。こうした切実な思いを我々に対して訴えました。こうした声に日本はしっかりと応えていきます。
  • G7を始めとした関係国と連携して、日本が、国際社会が、ロシアによる暴挙を決して許さないこと。そして、日本がウクライナと共にあることを断固たる行動とウクライナの方々に寄り添った支援で示してまいります。

首相官邸 新型コロナウイルス感染症に係る水際対策について
  • 水際対策については、入国者の総数を段階的に引き上げてきたところであり、年度末における日本人の帰国需要も勘案し、3月14日より、1日当たり7,000人程度としてきています。今般、検疫体制の整備状況や、防疫措置の実施状況等を踏まえ、日本人の帰国需要や、留学生などの外国人の入国ニーズに適切に対応をするため、入国者総数の上限を見直し、4月10日より1日当たり1万人程度を目安とすることといたしました。今後とも水際対策の在り方については、新型コロナの内外の感染状況、主要国の水際対策の状況、日本人の帰国需要等を踏まえながら検討を進め、段階的に国際的な人の往来を増やしてまいりたいと考えております。

【衆議院/参議院】

※現在、該当の記事はありません。

【内閣府】

【2022年6月】

内閣府 子供・若者白書(旧青少年白書)について
▼概要版
  • 2000年代前半、我が国においては、若年無業者やひきこもりなど若者の自立をめぐる問題の深刻化や、児童虐待、いじめ、少年による重大事件、有害情報の氾濫など、子供1や若者をめぐる状況は厳しい状態が続いていた。次代の社会を担う子供や若者の健やかな成長が我が国社会の発展の基礎をなすものであることに鑑みれば、関連分野における知見を総合して諸課題に対応していくことが必要であると考えられた。このため、平成21年の通常国会(第171回国会)に政府提出法案として「青少年総合対策推進法案」が提出された。そして、衆議院における修正を経て、同年7月、
    • 国における本部の設置、子供・若者育成支援施策の推進を図るための大綱(以下「大綱」という。)の作成、地域における子供・若者育成支援についての計画の作成、ワンストップ相談窓口の整備といった枠組みの整備
    • 社会生活を円滑に営む上で困難を有する子供や若者を支援するための地域ネットワークの整備
      を主な内容とする「子ども・若者育成支援推進法」(平成21年法律第71号。以下本章においては「法」という。)が、全会一致で可決、成立し、平成22年4月1日に施行された
  • こども政策の新たな推進体制に関する基本方針
    1. こども家庭庁の必要性、目指すもの
      • こども政策をさらに強力に進めていくため、常にこどもの視点に立ち、こどもの最善の利益を第一に考え、こどもまんなか社会の実現に向けて専一に取り組む独立した行政組織と専任の大臣が必要。新たな行政組織として、こどもが、自立した個人としてひとしく健やかに成長することができる社会の実現に向けて、こどもと家庭の福祉の増進・保健の向上等の支援、こどもの権利利益の擁護を任務とするこども家庭庁を創設する。こどもにとって必要不可欠な教育は文部科学省の下で充実を図る。こども家庭庁と文部科学省が密接に連携して、こどもの健やかな成長を保障する。
    2. こども家庭庁の基本姿勢
      1. こどもの視点、子育て当事者の視点
      2. 地方自治体との連携強化
      3. NPOをはじめとする市民社会との積極的な対話・連携・協働
    3. 強い司令塔機能
      • 内閣総理大臣の直属の機関として、内閣府の外局とする。これまで別々に担われてきた司令塔機能をこども家庭庁に一本化し、就学前の全てのこどもの育ちの保障や全てのこどもの居場所づくりなどを主導する。各省大臣に対する勧告権等を有するこども政策を担当する内閣府特命担当大臣を必置化する。別々に運営されてきた総理を長とする閣僚会議を一体的に運営する。別々に作成・推進されてきた大綱を一体的に作成・推進する。
    4. 法律・事務の移管・共管・関与
      • 主としてこどもの権利利益の擁護、こどもや家庭の福祉・保健等の支援を目的とするものはこども家庭庁に移管。こどもの権利利益の擁護、こどもや家庭の福祉・保健等の支援とそれ以外の政策分野を含んでいるものは関係府省庁で共管。国民全体の教育の振興等を目的とするものは、関係府省庁の所管としつつ、個別作用法に具体的な関与を規定するほか、総合調整を行う。
    5. 新規の政策課題や隙間事案への対応
      • こども政策に関し他省に属しない事務を担い、各省庁の間で抜け落ちることがないよう必要な取組を行うとともに、新規の政策課題に取り組む。
    6. 体制と主な事務
      • 内閣総理大臣、こども政策を担当する内閣府特命担当大臣、こども家庭庁長官の下に、内部部局として、企画立案・総合調整部門、成育部門、支援部門の3部門の体制を設ける。移管する定員を大幅に上回る体制を目指し、地方自治体職員や民間人材を積極的に登用する。
    7. スケジュール、安定財源の確保
      • 令和5年度のできる限り早い時期に創設する。「こどもに関する政策パッケージ」等に基づき、こども家庭庁の創設を待たずにできることから速やかに実施。国民各層の理解を得ながら、社会全体での費用負担の在り方を含め、幅広く検討を進め、確保に努めていく。応能負担や歳入改革、企業を含め社会・経済の参加者全員が広く負担していく新たな枠組みについても検討する。
  • 経済協力開発機構(OECD)が行う「生徒の学習到達度調査(PISA)」によると、平成30年、「数学的リテラシー」及び「科学的リテラシー」は、引き続き世界トップレベルであり、調査開始以降の長期トレンドとしても、安定的に世界トップレベルを維持しているとOECDが分析している。なお、「読解力」は、OECD平均より高得点のグループに位置するが、前回より平均得点・順位が統計的に有意に低下しており、長期トレンドとしては、統計的に有意な変化が見られない「平坦」タイプとOECDが分析している。また、国際教育到達度評価学会(IEA)が行う「国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)」では、平成31年、小学校、中学校いずれも、算数・数学、理科ともに引き続き高い水準を維持していることがわかった。前回調査時の平成27年に比べ、小学校理科においては、平均得点が有意に低下、中学校数学においては平均得点が有意に上昇している。
  • 内閣官房では、「第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(2020改訂版)」(令和2年12月閣 6議決定)に基づき、地域における社会的課題の解決に資する起業への支援を行う地方公共団体の取組について、地方創生推進交付金を活用して支援している(地方創生起業支援事業の実施)。あわせて、移住希望者と地方の中小企業等とのマッチングや、当該中小企業等への就業に伴う移住、18歳未満の子供を帯同した移住への支援を行う地方公共団体の取組についても支援する(地方創生移住支援事業の実施)
  • 警察は、出会い系サイトやSNSの利用に起因する犯罪による被害及びインターネット上の違法情報・有害情報の影響から子供を守るための広報啓発を推進している。例年2月から5月にかけて、サイバーセキュリティに関する広報啓発を重点的に行い、子供や保護者、学校の教職員などに対しては、インターネット上の違法情報・有害情報に起因した犯罪、子供を被害者とするサイバー犯罪の具体的事例や対応策を紹介するとともに、フィルタリングの導入を勧めるなどしている。
  • 総務省は、地方の各総合通信局が地域の核としてコーディネーター役を務め、関係者を巻き込んだリテラシー向上の枠組み整備と、これを活用した周知啓発活動を推進している。具体的には、文部科学省及び情報通信分野の企業・団体等と協力しながら、子供たちのインターネットの安全な利用に係る普及啓発を目的とした出前講座である「e-ネットキャラバン」を、児童・生徒・保護者・教職員等を対象として全国で実施している。
  • 法務省の人権擁護機関では、「インターネットによる人権侵害をなくそう」を人権啓発活動の強調事項として掲げ、全国の中学校等において、携帯電話会社等が実施するスマホ・ケータイ安全教室と連携した「人権教室」を実施している。また、啓発冊子「あなたは大丈夫?考えよう!インターネットと人権」を作成・配布したほか、インターネットと人権をテーマとした啓発動画をYouTube法務省チャンネルで配信している。加えて、「インターネットと人権・オンラインフォーラム」を開催したほか、ウェブサイト等に、人権に関する正しい理解を深めることや相談先及び救済手続を案内することを目的としたインターネット広告を掲載するなど、各種人権啓発活動を実施している。
  • 法務省及び総務省は、SNS事業者団体と共同して、SNS利用に関する人権啓発サイトを開設し、利用する際のルールのほか、ブロック、ミュートなどのユーザー保護機能の活用方法や、SNSの投稿の削除手順等に係る啓発活動を展開している。
  • 内閣府及び関係省庁では、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」に基づき、官民一体となり、仕事と生活の調和実現に向けた取組を行っている。仕事と生活の調和推進官民トップ会議(経済界、労働界、地方公共団体の代表者、関係閣僚などにより構成)の下で開催する仕事と生活の調和連携推進・評価部会において、仕事と生活の調和の実現状況について最新の各種調査結果を基に点検・評価を行ってきた。同行動指針で定めている数値目標の期限が令和2年であることを機に、令和3年6月に、数値目標のこれまでの動向や、政労使の取組、評価部会委員の提言等を取りまとめた「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)総括文書-2007~2020-」を公表した。
  • また、内閣府及び関係省庁では、社会全体でワーク・ライフ・バランス等の実現に向けた取組を進めるため、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号。以下「女性活躍推進法」という。)等に基づき、国及び独立行政法人等が総合評価落札方式又は企画競争方式による調達を行う際に、女性活躍推進法、「次世代育成支援対策推進法」(平成15年法律第120号。以下「次世代法」という。)、若者雇用促進法に基づく認定を取得する等したワーク・ライフ・バランス等推進企業を加点評価する取組を実施することにより、これらの企業の受注機会の増大を図っている。また、努力義務となっている地方公共団体でも国に準じた取組が進むよう働き掛けを行っている。
  • さらに、内閣府では、社会的気運の醸成のため、国民運動「カエル!ジャパン」キャンペーンを展開している。令和3年度には、企業におけるワーク・ライフ・バランスの取組を推進するため、経済団体と連携し、経営者及び管理職を対象としたセミナーを開催した。
  • 厚生労働省は、平成31年4月から順次施行されている働き方改革関連法に基づき、年次有給休暇の時季指定義務や時間外労働の上限規制が円滑に施行されるよう、働き方改革推進支援センターや都道府県労働局等において、相談・支援を実施している。また、育児・介護休業法に規定されている育児休業・介護休業や所定労働時間の短縮等の措置などの両立支援制度を労働者が安心して利用できるよう周知・徹底を図るとともに、規定整備に関する相談対応を行っている。また、次世代法に基づき、一般事業主行動計画の策定・届出の促進や、厚生労働大臣の認定・特例認定制度の周知と認定マーク(愛称:トライくるみん、トライくるみんプラス、くるみん、くるみんプラス)、特例認定マーク(愛称:プラチナくるみん、プラチナくるみんプラス)の取得促進を図っている。さらに、両立支援等助成金の支給や「女性の活躍・両立支援総合サイト」による情報の一元的な提供、男性の仕事と育児の両立を推進するイクメンプロジェクトなどにより、仕事と家庭の両立に向けた職場環境の整備を促進している。
  • また、令和3年6月に公布された、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律」(令和3年法律第58号)において、男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設、育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産等の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け、育児休業給付に関する所要の規定の整備等を内容とする改正を行っており、令和4年4月から順次施行されている。引き続き、改正法の円滑な施行のための周知等を行っている。
  • 農林水産省では、農業現場における仕事と子育ての両立に資するよう、農作業や家事の役割分担などを取り決める家族経営協定の締結促進や、女性農業者の託児と農作業代替を地域で一体的にサポートする体制づくり支援を行っている。
  • 厚生労働省では、使用者が適切に労務管理を行い、労働者が安心して働くことのできる「良質なテレワーク」の導入・実施を進めていくため、令和3年3月に改定した「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」の周知を図っている。
  • また、令和3年4月より「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」を新たに創設し、中小企業事業主に対してテレワーク用通信機器等の導入等に係る経費の助成を行っている。なお、本助成金の一層の活用を図るために、令和3年12月に本助成金の支給要領を改正し、支給対象となる経費及び事業主を拡大したところである。
  • このほか、テレワーク導入・実施時の労務管理上の課題等についての相談対応やコンサルティングを行うテレワーク相談センターの設置、事業主を対象としたセミナー等の開催等により、適正な労務管理下における良質なテレワークの普及を図っている。
  • 令和4年度からは、テレワーク相談センターについて、総務省と連携し、テレワークに関する労務管理とICT(情報通信技術)の双方についてワンストップで相談できる窓口としていくとともに、これらの相談を契機として、各企業の課題の解決に活用可能な、国や自治体等の各種支援策の紹介や個別のコンサルティングによるきめ細かな支援を行うことを検討している。
  • 少年補導や非行少年の処遇に関する専門職
    • 少年補導職員(警察庁)
      • 警察は、令和3年4月1日現在、非行少年の立ち直り支援や被害少年への支援などを行う、少年問題に関する専門組織である少年サポートセンターを全国に199か所設置するとともに、全国に880人の少年補導職員を配置している。少年補導職員は、少年相談、継続補導、被害少年の支援などの専門的・継続的な活動を行っており、時代に応じて変化する少年の問題に的確に対応できるよう、都道府県単位、あるいは、全国規模で研修を行うなど必要な知識の修得に努めている。
    • 少年院の法務教官(法務省)
      • 法務省は、少年院在院者の矯正教育に当たる少年院の法務教官に対して、職務に必要な行動諸科学などに関する専門的な知識と技術を付与するための研修体制を整備している。また、日々の事例を通しての研究会を頻繁に行うなど、非行少年の処遇に関する指導力の向上を図っている。
    • 少年鑑別所の法務教官(法務省)
      • 法務省は、少年鑑別所在所者の観護処遇に当たる少年鑑別所の法務教官に対して、在所者に対する健全な社会生活を営むために必要な知識及び能力を向上させるための支援を始めとした各種場面において、有効に活用し得る処遇技法を体系的に付与するための研修を実施するとともに、これら研修のより一層の充実を図っている。
    • 保護観察官(法務省)
      • 法務省は、非行少年の社会での立ち直りや非行の予防等を担当している地方更生保護委員会事務局と保護観察所の保護観察官に対して、家族関係の不和や社会性が不十分であることなど、それぞれの非行少年が抱える問題を踏まえた効果的な処遇ができるよう、その能力を向上させるための研修を実施している

内閣府男女共同参画局 男女共同参画白書
▼令和4年版 概要版
  • 人生100年時代における結婚と家族~家族の姿の変化と課題にどう向き合うか~
    • コロナ下において、我が国における男女共同参画が進んでいなかったことが改めて顕在化した。問題の背景には、家族の姿が変化しているにもかかわらず、男女間の賃金格差や働き方等の慣行、人々の意識、さまざまな政策や制度等が、依然として戦後の高度成長期、昭和時代のままとなっていることが指摘されている。
    • 今や、女性の半数は90歳以上まで生きる。平均寿命は女性87.71歳、男性81.56歳であるが、死亡年齢最頻値は女性93歳、男性88歳であり、100歳を超える人は、令和2(2020)年時点で女性69,757人、男性9,766人となっている。まさに人生100年時代といえる。
    • もはや昭和ではない。昭和の時代、多く見られたサラリーマンの夫と専業主婦の妻と子供、または高齢の両親と同居している夫婦と子供という3世代同居は減少し、一人ひとりの人生も長い歳月の中でさまざまな姿をたどっている。
    • こうした変化・多様化に対応した制度設計や政策が求められている。
  • 家族の姿の変化・人生の多様化
    • 近年(平成27(2015)年~令和元(2019)年)は、婚姻件数は約60万件で推移。離婚件数は、約20万件と、離婚件数は婚姻件数の約3分の1で推移。
    • コロナ下の令和2(2020)年以降は、婚姻件数は、令和2(2020)年52.6万件、令和3(2021)年51.4万件(速報値)と、戦後最も少なくなった。
    • 昭和55(1980)年と令和2(2020)年の配偶関係別の人口構成比を見ると、この40年間で、男女ともに「未婚」と「離別」の割合が大幅に増加。
    • 令和2(2020)年時点の30歳時点の未婚割合は、女性は40.5%、男性は50.4%。
    • 50歳時点で配偶者のいない人の割合は、令和2(2020)年時点では男女ともに約3割。
    • 50代女性は19.4%、60代女性は18.4%、50代男性は13.3%、60代男性は12.9%が離婚経験がある。
    • 50~60代の現在独身の人に着目すると、女性は約半数が離婚経験があり、男性は半数以上がこれまで一度も結婚していたことはない
    • 「雇用者の共働き世帯」は増加傾向にある一方、「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」は減少傾向。
    • 令和3(2021)年の「雇用者の共働き世帯」は、「男性雇用者と無業の妻から成る世帯」の2倍以上。
    • 昭和55(1980)年から令和2(2020)年にかけて、20歳以上の女性の単独世帯は3.1倍(うち未婚は2.3倍)、男性の単独世帯は2.6倍(うち未婚は1.7倍)に増加。
    • 就業している単独世帯の女性と男性を比べると、世帯所得300万円未満の世帯は、女性は53.3%、男性は31.9%と、女性の割合が高い。
    • 単独世帯もそれ以外の世帯も、女性の場合は200~299万円に分布が集中している。
    • 昭和55(1980)年時点では、全世帯の6割以上を「夫婦と子供(42.1%)」と「3世代等(19.9%)」の家族が占めていた。
    • 令和2(2020)年時点では、「夫婦と子供」世帯の割合は25.0%に、「3世代等」世帯の割合も7.7%に低下している一方で、「単独」世帯の割合が38.0%と、昭和55(1980)年時点と比較して2倍近く増加。また、子供のいる世帯が徐々に減少する中、「ひとり親と子供」世帯は増加。
    • 「雇用者の共働き世帯」について、妻の働き方別に見ると、妻がフルタイム労働(週35時間以上就業)の世帯数は、昭和60(1985)年以降、400~500万世帯と横ばいで推移している一方、妻がパートタイム労働(週35時間未満就業)の世帯数は、昭和60(1985)年以降、約200万世帯から約700万世帯へ増加。
    • 母子世帯の母親の81.8%は働いており、国際的に見て就業率は高い。しかしながら、雇用されている人のうち、非正規雇用労働者の割合は52.3%と高く、母子世帯の平均年間就労収入は、一般世帯と比較して低い。
    • また、母子世帯では、離別した元夫から養育費を受け取っていない世帯が、全体の約4分の3となっている。
    • 有業の既婚女性の約6割は、年間所得が200万円未満。
  • 結婚と家族を取り巻く状況
    • 「配偶者、恋人はいない(未婚)」との回答は、男女ともに、全世代で2割以上。20代の女性の約5割、男性の約7割が、「配偶者、恋人はいない(未婚)」と回答。
    • 「配偶者(法律婚)がいる」と回答した人は、女性は20代で約2割、30代で約6割、40代以降で約7割。男性は20代で14%、30代で約5割、40代以降で6~8割。
    • 20代の独身者では、女性の方が男性よりも「結婚意思あり」の割合が高いが、40代以降は、女性は割合が減る一方、男性の場合は、40~60代も2~4割が結婚願望を持っている。
    • 「結婚意思なし」との回答をしたのは、女性は20代で14.0%、30代で25.4%、男性は20代で19.3%、30代で26.5%。
    • 積極的に結婚したいと思わない理由について、独身の男女で比較すると、女性の場合、5割前後となっている項目は、「結婚に縛られたくない、自由でいたいから」、「結婚するほど好きな人に巡り合っていないから」。
    • 男女間で差があり、女性の方が高いものは、「仕事・家事・育児・介護を背負うことになるから」「名字・姓が変わるのが嫌・面倒だから」など。男性の方が高いものは「結婚生活を送る経済力がない・仕事が不安定だから」。
    • 令和2(2020)年に離婚した人の別居を開始した年齢は、男女ともに30代が最も多く(女性32.5%、男性30.3%)、続いて40代(女性27.5%、男性28.8%)、20代(女性21.4%、男性15.8%)。
    • 将来、「離婚可能性あり」と回答した人は、男女ともに約15%。
    • 40~50代の男女について、既婚者と独身者(居住形態別)の個人年収を見てみると、独身女性で個人年収300万円未満(収入なし含む)なのは、「1人暮らし」が約5割、「親と同居」が約6割。
    • 独身男性では、「700万円台以上」の割合が既婚者と比較して低い。
  • 人生100年時代における男女共同参画の課題
    • 人生100年時代を迎え、日本の家族と人々の人生の姿は多様化し、昭和の時代から一変。
    • 今後、男女共同参画を進めるに当たっては、このことを念頭において、誰ひとり取り残さない社会の実現を目指すとともに、幅広い分野で制度・政策を点検し、見直していく必要がある。
    • 将来、「離婚可能性あり」と回答した人は、男女ともに40代が高く、20%前後となっている。
    • 夫婦関係が破綻した原因を見ると、男女ともに「性格の不一致」が一番多く、6~7割となっている。
    • 女性の場合は「精神的な暴力」がこれに続き、29.8%となっている
    • シングルマザーの結婚、出産、離婚の年齢も多様になっている。
    • 「20代でなった人」は、平均すると21.9歳で最初の結婚をし、22.8歳で第一子を持ち、25.8歳で離婚、(再婚する場合は)30.7歳で再婚。
    • 一方、「40代でなった人」は、平均すると26.8歳で最初の結婚をし、29.1歳で第一子を持ち、43.3歳で離婚。
    • 結婚後の収入について、女性は、結婚前の望み(理想)は、「結婚前と同様の収入」「結婚前を上回る収入」の累計値が60~70%となっているのに対し、実際どうだったか(現実)では、約50%となっている。
    • 結婚当初、子供が生まれる前から、就業調整※をする意識は高くないが、「現実」としては、就業調整をしている女性が約1~2割いる。
    • 女性は全ての年齢層で3~4割が「相手の年収はもっと高い方が望ましい」としている一方で、男性は全ての年齢層で2~3割が「相手の年収はもっと低くても良い」と回答している。
    • 女性は全ての年齢層で約1割が「相手の年収との関係で、家事・育児等は出来れば自分がやらなければならない」と考えている。
  • コラム
    • 理想の結婚年齢を尋ねると、「女性26歳、男性28歳」、理想の第一子を持つ年齢を尋ねると、理想の結婚年齢の2年後の「女性28歳、男性30歳」と回答している。
    • 「この年齢までは働きたい」と思う理想の年齢を尋ねると、女性の平均は54歳、男性の平均は62歳。「配偶者にこの年齢までは働いて欲しい」と思う年齢は、本人が「この年齢までは働きたい」と思う年齢よりも、2年長い年齢となっている。
    • 昭和より前の時代の我が国の家族の姿は、また異なっていた。
    • 明治16(1883)年の離婚率は3.39(人口千対)と、令和2(2020)年の約2倍。
    • 明治36(1903)年の婚外子の割合は9.4%と、令和2(2020)年の4倍近く
    • 就職氷河期世代は他の世代と比較して、将来に対する不安を強く感じるなど、現在も様々な課題に直面。
    • 各種調査の結果から、事実婚を選択している人は、成人人口の約2~3%程度いるものと考えられる。

内閣府 少子化社会対策白書
▼令和4年版 概要
  • 総人口は、2021年で1億2,550万人。年少人口(0~14歳)、生産年齢人口(15~64歳)、65歳以上人口は、それぞれ1,478万人、7,450万人、3,621万人となっており、総人口に占める割合は、それぞれ11.8%、59.4%、28.9%。
  • 2020年の出生数は、84万835人となり、過去最少。※将来推計人口の出生中位推計(90万2,281人)と出生低位推計(80万467人)の間に位置。2020年の合計特殊出生率は、1.33となり、前年より0.03ポイント低下。
  • 諸外国(フランス、スウェーデン、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア)の合計特殊出生率の推移をみると、1970年から1980年頃にかけて、全体として低下傾向となったが、1990年頃からは、合計特殊出生率が回復する国もみられる。ただし、2010年頃からはそれらの国々の出生率も再び低下傾向にある。
  • アジアの国や地域について、シンガポール、台湾、香港、韓国の合計特殊出生率の推移をみると、1970年の時点では、いずれの国や地域も我が国の水準を上回っていたが、その後低下傾向となり、現在では人口置換水準を下回る水準。
  • 2020年の全国の合計特殊出生率は1.33であるが、都道府県別の状況をみると、これを下回るのは12県。合計特殊出生率が最も高いのは沖縄県(1.83)、次は宮崎県(1.65)。最も低いのは東京都(1.12)、次は宮城県(1.20)。
  • 新型コロナウイルス感染症影響下における少子化の現状と対策
    • 新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、婚姻件数及び妊娠届出数に2020年同様減少傾向がみられる。※2021年の婚姻件数(速報値)は51万4,242組(対前年比4.3%減)2020年は53万7,583組(対前年比12.7%減)※2021年1月-7月の累計妊娠届出数は50万7,075件(対前年比0.8%減)
    • 出生数は月別で見ると、2021年1月は対前年同月比14.6%減、2月は10.3%減と大きく減り、その後は前年とほぼ同水準、若しくは低い水準で推移しているが、中長期的な推移を注視していく必要がある。※2021年の出生数(速報値)は84万2,897組(対前年比3.4%減)2020年は87万2,683人(速報値)(対前年比2.9%減)
  • 生活環境が変化する中で、新型コロナウイルス感染症拡大前(2019年12月)と比べると、
    • 20,30歳代では、他の世代より、「生活の維持、年収」「仕事」「結婚、家族」の不安が増しているのに加え、20歳代では「人間関係、社会との交流」の、30歳代では「子どもの育児、教育」の不安がそれぞれ増している傾向がみられる。
    • 結婚への関心の高さについては、20歳代、30歳代ともに約6割が「変わらない」と回答している一方、30歳代より20歳代の未婚者の方が、結婚への関心が高まっている傾向がみられる。
    • 家事・育児時間について、男女ともに約20~40%が「増加した」と回答(増加したと回答した割合は、女性は男性の2倍近くに。)。一方、テレワークの普及などにより、子育て中の柔軟な働き方が可能となったり、家庭内の家事・育児分担を見直すきっかけとなっている状況もうかがえる
  • 新型コロナウイルス感染症を踏まえた少子化対策の主な取組
    1. 結婚
      • 結婚新生活支援事業の支援内容の充実、地方公共団体によるAI活用等マッチングシステムの高度化やアプリ・SNS活用による子育て支援情報の「見える化」等を重点的に支援(補助率のかさ上げ) 等
    2. 妊娠・出産
      • 妊産婦に対する電話やオンラインによる相談支援・保健指導等の実施、幼児健康診査の個別健康診査への切替えに対する支援等を実施。 等
    3. 子育て
      • 子育て世帯への臨時特別給付
      • 保育所等、幼稚園、地域子ども・子育て支援事業における感染拡大防止対策に係る支援 等
  • 新型コロナウイルス感染症影響下における結婚・妊娠・出産・子育て支援
    1. 結婚-登録から引合せまでオンライン完結の結婚支援
    2. 妊娠・出産-小児科医、産婦人科医不足の地域でのオンラインを活用した安心して子供を生み育てる環境整備
    3. 子育て-オンラインを活用した子育て世代への支援情報発信、地方移住支援、「学び」の保障

内閣府 令和4年版高齢社会白書を公表しました
▼概要版
  • 高齢化率は28.9%
    • 我が国の総人口は、令和3年10月1日現在、1億2,550万人。
    • 65歳以上人口は、3,621万人。総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は28.9%。
    • 「65歳~74歳人口」は1,754万人、総人口に占める割合は14.0%。「75歳以上人口」は1,867万人、総人口に占める割合は14.9%で、65歳~74歳人口を上回っている。
    • 令和47年には、約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上。
  • 就業率の推移
    • 就業率の推移を見ると、60~64歳、65~69歳、70~74歳、75歳以上では、10年前の平成23年の就業率と比較して、令和3年の就業率はそれぞれ14.4ポイント、14.1ポイント、9.8ポイント、2.1ポイント伸びている。
  • 健康寿命は延伸し、平均寿命と比較しても延びが大きい
    • 日常生活に制限のない期間(健康寿命)は、令和元年時点で男性が72.68年、女性が75.38年となっており、それぞれ平成22年と比べて延びている(平成22年→令和元年:男性2.26年、女性1.76年)。さらに、同期間における健康寿命の延びは、平均寿命の延び(平成22年→令和元年:男性1.86年、女性1.15年)を上回っている。
  • 75歳以上の運転免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は減少傾向
    • 75歳以上の運転免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は減少傾向にある。ただし、令和3年における運転免許保有者10万人当たりの死亡事故件数は、75歳以上で5.7件、80歳以上で8.2件であり、前年と比較すると若干増加している。
  • 〈特集〉高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査(概要)
    • 生きがいを「十分感じている」が22.9%、「多少感じている」が49.4%となっており、合計すると72.3%となっている。
    • 82.8%が「会えば挨拶をする」、57.3%が「外でちょっと立ち話をする」と回答している。また、生きがいを「十分感じている」と回答した人の割合は、「趣味をともにする」と回答した人では33.2%、「お茶や食事を一緒にする」と回答した人では30.4%、「外でちょっと立ち話をする」と回答した人では26.2%と、いずれもこうした付き合いをしていない人に比べ、高くなっている。
    • 「普通に持っていると感じる」(39.1%)が最も高く、次いで、「少し持っていると感じる」(35.1%)となっており、「たくさん持っていると感じる」(5.3%)を合わせ、79.6%が親しい友人・仲間を持っていると回答している。また、親しくしている友人・仲間を、より多く持っていると回答した人ほど、生きがいを「十分感じている」と回答した人の割合は高くなっている。
    • 「よく外出する」が55.6%、「たまに外出する」が29.9%となっており、合計すると85.5%となっている。また、外出頻度が高い人ほど生きがいを「十分感じている」と回答した人の割合は高くなっている。
    • 「インターネットで情報を集めたり、ショッピングをする」(23.7%)が最も高い。一方、「情報機器を使わない」と回答している人が17.0%となっており、中でも75歳以上の人は「情報機器を使わない」と回答した割合が高い。また、生きがいを「十分感じている」と回答した人の割合は、「情報機器を使わない」と回答した人では10.3%であるのに比べて、「パソコンの電子メールで家族・友人などと連絡をとる」「インターネットで情報を集めたり、ショッピングをする」「SNS(Facebook、Twitter、LINE、Instagramなど)を利用する」と回答した人では3割を超えている。
    • 自営農林漁業、自営商工サービス業、会社または団体の役員、フルタイムの被雇用者、パートタイム・臨時の被雇用者を合わせて30.2%が、収入の伴う仕事をしていると回答している。また、収入の伴う仕事をしている人の方が、収入の伴う仕事をしていない人よりも、生きがいを「十分感じている」と回答した人の割合が高い。
    • 社会活動に参加した人は51.6%となっている。活動内容については、「健康・スポーツ(体操、歩こう会、ゲートボール等)」(27.7%)、「趣味(俳句、詩吟、陶芸等)」(14.8%)などとなっている。また、社会活動に参加した人の方が、参加していない人よりも、生きがいを「十分感じている」と回答した割合が高い。
    • 現在の健康状態について「良い」「まあ良い」と回答した人が31.2%となっている。また、健康状態が良い人の方が、良くない人よりも、生きがいを「十分感じている」と回答した割合が高い。
  • 今後も、一層の高齢化の進行が見込まれる中、高齢者が生きがいを持って満ち足りた人生を送るためには、身近な地域での居場所や役割、友人・仲間とのつながりを持つこと、デジタルデバイド解消に向けた支援等が重要となってくると考えられる。また、高齢者が、様々な就業や社会活動への参加の機会が得られるよう、環境整備を図るとともに、生涯にわたる健康づくりを推進していくことが重要である
    1. デジタルを活用し高齢者と地域のつながりを生み出している事例
      • 富山県朝日町は(株)博報堂と連携して、地域における高齢者の移動の課題を解決するため、住民の普段のマイカー移動の際に、自由に移動しづらい近所の高齢者を乗せる乗合サービス「ノッカル」の取組を令和3年10月から本格実施している。利用者向けの予約システム、ドライバー向け運行管理システムを活用し、高齢者の移動支援が行われるとともに、世代を超えた交流も生まれている。
    2. 高齢者雇用の推進の取組事例
      • (株)ノジマは社会に貢献する経営を目指し、高齢者の雇用機会の創出のため、平成25年4月に定年を60歳から65歳へ引き上げ、令和2年7月に定年後の再雇用年齢の年齢上限を80歳に引き上げた。再雇用された高齢者が同世代の客層の根強い支持を得るとともに、若い従業員の良き相談役となっている。
    3. 社会活動への参加促進の取組事例
      • 大阪市鶴見区において、定年退職後の高齢者の地域での居場所づくりや社会活動への参加が課題となっており、それを促すため、平成30年4月、野菜を栽培し地域のこども食堂等に無償で提供する「鶴見区シニアボランティアアグリ」が立ち上げられた。参加者は、収穫の達成感や地域貢献を通じた充実感を味わうとともに、子供からの感謝の声が高齢者のモチベーションとなっている。
    4. 誰もが健やかに暮らせる地域づくりの取組事例
      • 奈良県川上村では、誰もが健やかに暮らせる村づくりを目指して、平成29年4月より移動販売の機会に「コミュニティナース」が同行し、地域の診療所等と連携して早期診察や早期治療指導につなげる取組を開始している。健康体操を継続的に行うなどの取組により、低い介護保険料を実現した

内閣府 令和4年版障害者白書
▼概要版
  • 「合理的配慮の提供等事例集」の作成・活用。2022年3月に「障害者の差別解消に向けた理解促進ポータルサイト」を設置
  • 地域の関係機関が連携し、差別事案への効果的な対応や紛争解決の後押しを行えるよう、自治体における地域協議会の設置等を促進
  • 内閣府の障害者政策委員会による「障害者差別解消法」の施行3年後の見直しに関する意見書等を踏まえ、事業者による合理的配慮の提供の義務化等を内容とする同法の改正法が2021年6月に公布。施行期日は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内
  • 学校教育において、障害や障害者に関する理解を促進する取組を充実させるため、学習指導要領に基づいた交流及び共同学習の一層の推進等を進める
  • 「ユニバーサルデザイン2020行動計画」に基づく取組の推進
    • 「ユニバーサルデザイン2020行動計画」を基に共生社会の実現に向けた諸施策を推進する中で、障害のある人の視点を施策に反映させる仕組みとして「ユニバーサルデザイン2020評価会議」を開催
  • 「心のバリアフリー」の拡大・向上
    • 公共交通事業者による一定水準の接遇を確保するための「公共交通事業者に向けた接遇ガイドライン」に加えて、「認知症の人編」と新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた「追補版」を作成。小学校で2020年度から中学校で2021年度から新学習指導要領を踏まえた授業を全面実施
  • ユニバーサルデザインの街づくり
    • 2021年度からの5年間を目標期間とする新しいバリアフリー整備目標を策定。地方部を含めたハード・ソフト両面でのバリアフリー化をより一層推進
  • 「共生社会ホストタウン」の取組
    • 全国各地における共生社会の実現に向けた取組を加速し、東京パラリンピック競技大会のレガシーにもつなげていく「共生社会ホストタウン」の取組を推進
  • 拡大教科書など、障害のある児童生徒が使用する教科用特定図書等の普及を図ることに加えて、特別な配慮を必要とする児童生徒の学習上の困難の低減に資する学習者用デジタル教科書を、特別支援学校及び特別支援学級を含む全国約4割の小中学校等に、1教科分提供する事業等を実施
  • 障害のある子供の就学先決定や学びの場の充実に関する「障害のある子供の教育支援の手引」を改訂・周知、特別支援学校設置基準の策定、特別支援教育を担う教師の専門性向上に関する取組等を実施
  • 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関し、基本理念を定め、保育及び教育の拡充に係る施策その他必要な施策並びに医療的ケア児支援センターの指定等について定めた「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が施行
  • 障害のある人の就労支援の充実と活性化を図るため、雇用・福祉・教育・医療の一層の連携強化を図り、ハローワークを中心とした関係機関とのチーム支援や、一般雇用や雇用支援策に関する理解の促進、障害者就業・生活支援センター事業、トライアル雇用などを実施
  • 民間企業(43.5人以上規模の企業:法定雇用率2.3%)に雇用されている障害者の数(2021年6月1日現在、以下同じ)は597,786.0人で、前年同日より19,494.0人増加(前年同日578,292.0人)し、18年連続で過去最高国の機関(法定雇用率2.6%)に在職している障害者の割合、勤務している障害者数はそれぞれ2.83%、9,605.0人で、全ての機関において法定雇用達成
  • 個々の中小事業主における障害者雇用の進展に対する社会的な関心を喚起し、障害者雇用に対する経営者の理解を促進するための制度。2021年12月末時点、全国で117事業主が認定
  • 障害のある人の就労支援の充実と活性化を図るため、雇用・福祉・教育・医療の一層の連携強化を図り、ハローワークを中心とした関係機関とのチーム支援や、一般雇用や雇用支援策に関する理解の促進、障害者就業・生活支援センター事業、トライアル雇用などを実施
  • 障害福祉サービスの計画的な基盤整備
    • 地域共生社会の実現に向けた包括的な支援体制の構築、障害福祉人材の確保、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築、障害児支援の提供体制の整備
  • 在宅サービスの充実
    • 利用者の実態に応じた支援を行う観点から、利用者像やサービスの提供形態に応じ、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護及び重度障害者等包括支援を実施
  • 発達障害者支援の推進
    • 地域支援の中核である発達障害者支援センター等に発達障害者地域支援マネージャーを配置、ペアレントメンターの養成や活動の支援、青年期の発達障害者等の居場所作り等の支援などの実施
  • スポーツの振興
    • パラアスリート等の学校での講演やパラ競技体験、東京2020パラリンピック競技大会に出場したパラリンピアンと児童生徒の交流、県民パラスポーツ大会や学校区、企業対抗等の様々なレベルでのパラスポーツの体験会・交流会の実施
  • 文化芸術活動の推進
    • 鑑賞の機会の拡大や、作品等の創造への支援強化、地域での作品等の発表の機会の確保等、障害者の文化芸術活動の充実に向けた各種取組を実施。地方公共団体における文化芸術活動の推進に関する計画策定及び取組の推進を支援
  • 障害のある人に対する適切な保健・医療サービスの充実
    • 身体障害の状態を軽減するための医療及び精神疾患に対する継続的な治療を自立支援医療と位置づけ、その医療費の自己負担の一部又は全部を公費負担、2022年度の診療報酬改定において、入院医療における栄養管理に係る適切な評価及び精神疾患患者の地域定着の推進のための見直しを実施
  • 改正「バリアフリー法」の全面施行
    • 2021年4月に「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)の一部を改正する法律」が全面施行。公共交通事業者等に対するソフト基準適合義務の創設、優先席・車椅子使用者用駐車施設等の適正な利用や市町村等による「心のバリアフリー」を推進
  • 小規模店舗のバリアフリー化
    • 建築物のバリアフリー化のガイドラインである「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」を改正。小規模店舗内部における入口の段差解消、可動式の椅子席の設置等のバリアフリー整備を進めるための考え方を追加したほか、備品による移動支援や接遇、従業員教育等のソフト面の工夫を充実
  • 全国の鉄道駅におけるバリアフリー化の加速
    • 「第2次交通政策基本計画」が閣議決定、これを踏まえ、鉄道駅のバリアフリー化を進める枠組みとして新たな料金制度を創設、市町村が作成するバリアフリー基本構想に位置付けられた鉄道駅の施設整備に係る補助率を拡充することを令和4年度予算に盛込み
  • 「災害対策基本法」の一部改正
    • 2021年5月に、個別避難計画の作成を市町村長の努力義務とすること等を盛り込んだ「災害対策基本法」の一部改正。これを踏まえ「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」に個別避難計画の作成・活用に係る具体的手順等を追加。また、福祉避難所への直接の避難が促進されるよう「災害対策基本法施行規則」等を改正
  • 情報アクセシビリティの向上
    • 「デジタル活用共生社会」の実現を目指すべきであるとしたデジタル活用共生社会実現会議の報告に基づき、各企業等が自社のICT機器・サービスについてアクセシビリティ確保を自己診断する取組等を推進
  • 手話や点訳等によるコミュニケーション支援
    • 2020年に施行した「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」に基づき、「手話」や「文字」と「音声」とをオペレーターが通訳することにより、聴覚や発話に障害のある人とそれ以外の人を電話で双方向につなぐ公共インフラとしての「電話リレーサービス」が2021年7月から開始
  • 日本のインクルーシブ防災の取組を世界に
    • JICA(独立行政法人国際協力機構)が、エクアドルへの技術協力を実施。日本のインクルーシブ防災の実践例を共有し、計画策定や合意形成に至るステップを学ぶ研修を行うことで、エクアドルにおけるインクルーシブ防災のモデルの検討や、研修後のアクションプランの作成を支援

内閣府 令和4年版交通安全白書を公表しました。
▼概要版
  • 小学校の通学路を対象に合同点検を実施し,令和3年12月末時点で,全国で7万6,404か所の対策必要箇所を抽出した。
  • 小学生の死者重傷者数(平成29年~令和3年の合計)を,交通事故に遭った時の状態で見たところ,「歩行中」が半数以上を占めている。「歩行中」について,道路を通行する目的で見たところ,登下校中が約3分1を占めている。
  • 歩行中に交通事故に遭った死者重傷者(平成29年~令和3年)が,法令に違反しているか,違反しているのであればどのような違反なのかを見たところ,全ての年齢層では違反なしが約6割,小学生では違反なしが約4割。小学生の法令違反は飛出しが最多であった
  • 関係者が協働して対策を検討した事例(鹿児島県鹿児島市)
    • 鹿児島市真砂本町地区では,幹線道路の渋滞を避けるため,自動車等の車両が通学路に流入しており,児童と車両が当事者となる交通事故が発生する危険性があるなど課題があった。
    • このため,学校,警察,道路管理者等による通学路合同点検及び地域住民等との対策内容の検討を経て,可搬型ハンプを用いた実証実験を行った。
    • その後,実証実験により確認された速度抑制効果等について地域住民に説明し,ハンプ設置について意向を確認するなど,地域全体で通学路の交通安全対策について検討を行った。
    • これらの検討を踏まえ,ゾーン30の整備に併せてハンプ(スムーズ横断歩道)を設置したところ,通過交通の速度抑制に効果をあげている。
  • 「可搬式速度違反自動取締装置」の更なる整備の推進及び効果的な速度違反取締り 令和3年度末において46都道府県警察に117式が整備された。
  • スクールガード・リーダー等による見守り活動の充実を図ることや,スクールガード等のボランティアの養成・資質向上を促進することにより、警察や保護者,PTA等との連携の下で見守り体制の一層の強化を図っている。
  • 安全運転管理者の未選任事業所の一掃等,飲酒運転の根絶に向けた使用者対策の強化
    • 自動車を一定数以上保有する使用者は、道路交通法の規定により、安全運転管理者の選任が義務付けられている。安全運転管理者は,その管理下の運転者に対して,点呼等により運転者が飲酒状態でないかを確認することや,運転者に対する教育指導など,安全運転に必要な業務の実施が求められている。
      1. 安全運転管理者の未選任事業所の一掃
        • 安全運転管理者の選任義務を始めとした自動車の使用者の義務を周知
        • 自動車保管場所証明情報の活用により未選任事業所を把握
        • 安全運転管理者の選任状況を全ての都道府県警察のウェブサイト上で公開
      2. 飲酒運転の根絶に向けた使用者対策の強化
        • 道路交通法施行規則(昭35総理府令60)を改正し,安全運転管理者の業務として,運転者の運転前後におけるアルコール検知器を用いた酒気帯びの有無の確認等を義務化
        • 飲酒運転による死亡事故件数・重傷事故件共に減少傾向。しかし,依然としてこのような悪質・危険な運転による重大な交通事故は後を絶たず,令和3年中の飲酒運転による死亡事故は152件,重傷事故は288件発生している。
  • 昭和45年に交通事故死者数は,史上最悪の1万6,765人を記録。昭和54年には交通事故死者数は,8,466人まで減少。
  • その後増勢に転じるが,平成4年を境に再び減少に転じる。平成16年に交通事故発生件数は,95万2,720件,負傷者数は,118万3,617人とそれぞれ史上最悪を記録。令和3年中の交通事故死者数は,2,636人となり,現行の交通事故統計となった昭和23年以降で最少となった前年を更に下回った。令和3年中の重傷者数は2万7,204人であり,平成12年以降減少傾向である。交通事故発生件数,負傷者数は17年連続の減少。
  • 第11次交通安全基本計画(令和3年度~令和7年度)の目標値
    • 令和7年までに,年間の24時間死者数を2,000人以下にする。
    • 令和7年までに,年間の重傷者数を2万2,000人以下にする。
  • 高齢者の人口10万人当たりの交通事故死者数は引き続き減少しているものの,交通事故死者数のうち高齢者は1,520人であり,その占める割合は57.7%と依然として高い
  • 令和3年中の交通死亡事故発生件数を事故類型別にみると,正面衝突等(791件,構成率30.6%)が最も多く,次いで歩行者横断中(612件,構成率23.7%),出会い頭衝突(332件,構成率12.9%)の順で多くなっており,この3類型を合わせると全体の67.2%を占めている。
  • 状態別交通事故死者数は,歩行中(941人,構成率35.7%)が最も多く,次いで自動車乗車中(860人,構成率32.6%)が多くなっており,両者を合わせると全体の68.3%を占めている。
  • 歩行中死者数(人口10万人当たり)については,高齢者で多く,特に80歳以上(3.42人)では全年齢層(0.75人)の約5倍の水準となっている。
  • 生活道路等における人優先の安全・安心な歩行空間の整備
    • 生活道路については,最高速度30キロメートル毎時の区域規制とハンプや狭さく等の物理的デバイスとの適切な組合せにより交通の安全の向上を図ろうとする区域を「ゾーン30プラス」として設定し,人優先の安全・安心な通行空間の整備の更なる推進を図っている。また,これまでのゾーン30(令和3年度末までに4,186か所)の整備を含め,低速度規制を実施した。令和元年度末までに全国で整備したゾーン30(3,864か所)において,整備前年度の1年間と整備翌年度の1年間における死亡・重傷事故発生件数を比較したところ,全交通事故件数及び対歩行者・自転車事故件数はいずれも減少(それぞれ29.4%減,26.5%減)するなど,交通事故抑止及びゾーン内における自動車の通過速度の抑制に効果があることが確認された。
  • 段階的かつ体系的な交通安全教育の推進
    • 交通安全教育指針(平10国家公安委員会告示15)等を活用し,幼児から成人に至るまで,心身の発達段階やライフステージに応じた段階的かつ体系的な交通安全教育を実施した。特に,高齢化が進展する中で,高齢者(65歳以上)自身の交通安全意識の向上を図るとともに,他の世代に対しても高齢者の特性を知り,その上で高齢者を保護し,また,高齢者に配慮する意識を高めるための啓発指導を強化した。さらに,自転車を使用することが多い小学生,中学生及び高校生に対しては,交通社会の一員であることを考慮し,自転車利用に関する道路交通の基礎知識,交通安全意識及び交通マナーに係る教育の充実に努めた。
  • 高齢運転者対策の充実
    • 運転免許証の更新期間が満了する日における年齢が70歳以上の高齢者には,更新期間が満了する日前6月以内に高齢者講習を受講することが義務付けられている。令和3年中の高齢者講習の受講者は337万6,680人であった。
    • また、運転免許証の更新期間が満了する日における年齢が75歳以上の者については,運転免許証の更新期間が満了する日前6月以内に認知機能検査を受けなければならないこととされているが,検査の結果認知症のおそれがある又は認知機能が低下しているおそれがあると判定された者に対する高齢者講習は,ドライブレコーダー等で録画された受講者の運転状況の映像を用いた個人指導を含む3時間の講習とされており,このほかの者に対する高齢者講習は2時間の講習とされている。令和3年中の認知機能検査の受検者は208万6,706人であった。
    • 加えて、これらの認知機能検査や高齢者講習の受検・受講までの待ち期間の改善が課題となっている地域があることを踏まえ,これまで多くが自動車教習所に委託されてきた認知機能検査及び高齢者講習の警察による直接実施や運用の弾力化,相談対応の強化等,その適切かつ円滑な実施を確保するための取組を推進している。
  • 先進安全自動車(ASV)の開発・普及の促進
    • 先進技術を搭載した自動車の開発と普及を促進し,交通事故削減を目指す「先進安全自動車(ASV)推進プロジェクト」では,第7期ASV推進検討会を立ち上げ,令和3年度から令和7年度までの5年間で,既存のASV技術の正しい理解・利用のための効果的な普及戦略の検討,運転者が明らかに誤った操作を行った場合等であってもシステムが安全操作を行う安全技術のあり方の検討,通信や地図を活用した協調型の安全技術の実用化と普及に向けた共通仕様の検討,自動運転車においてシステムが負うべき責任の範囲の整理についての検討等に取り組むことを決定した。
  • 鉄道交通における運転事故は,長期的には減少傾向にあり,平成13年に908件であったものが,23年には850件,令和3年には534件で,前年比3.1%増であった。運転事故による死者数は259人で前年比5.7%増であり,乗客の死者数はゼロであった。
  • 踏切事故は,踏切保安設備の整備等により,長期的には減少傾向にあるものの,令和3年は225件で前年比30.1%増であり,踏切事故による死者数は94人で前年比23.7%増であった。
  • 令和3年の人身障害事故は266件で前年比14.2%減,死者数は165人で前年比1.8%減,このうちホームから転落して又はホーム上で列車と接触して死傷する事故(ホーム事故)は69件で前年比47件(40.5%)減であり,ホーム事故による死者数は15人で前年比4人(21.1%)減であった。
  • 気象情報等の充実
    • 鉄道交通に影響を及ぼす自然現象について,的確な実況監視を行い,適時・適切に予報・警報等を発表・伝達して,事故の防止及び被害の軽減に努めるとともに,これらの情報の内容の充実と効果的利用を図るため,気象監視体制の整備等の施策を講じた。また,地震発生時に走行中の列車を減速・緊急停止等させることにより列車転覆等の被害の防止に活用されるよう,鉄道事業者等に対し,緊急地震速報の提供を行っている。
  • 大規模な事故等が発生した場合の適切な対応
    • 国及び鉄道事業者における,夜間・休日の緊急連絡体制を点検・確認し,大規模な事故又は災害が発生した際に,迅速かつ的確な情報の収集・連絡を行った。
    • また,大都市圏,幹線交通における輸送障害等の社会的影響を軽減するため,鉄道事業者に対し,利用者への適切な情報提供を行うとともに,迅速な復旧に必要な体制を整備するよう指導した。
    • 鉄道の津波対策については,南海トラフ巨大地震等による最大クラスの津波からの避難の基本的な考え方(素早い避難が最も有効かつ重要な対策であること等)を踏まえた津波発生時における鉄道旅客の安全確保への対応方針と具体例等を取りまとめており,鉄道事業者における取組を推進している。
  • 我が国の周辺海域において,交通安全基本計画の対象となる船舶事故隻数の推移をみると,第9次交通安全基本計画期間(平成23~27年度)の年平均では2,256隻であったものが,令和3年では1,932隻となっており,約1割減少した。船舶事故による死者・行方不明者の数は,第9次交通安全基本計画期間の年平均で91人であったものが,令和3年では63人となっており,約3割の減少となった。また,令和3年における,ふくそう海域における大規模海難の発生件数はゼロであった。
  • 令和3年中の海難等及び海難救助の状況
    • 令和3年の船舶事故による死者・行方不明者数は,プレジャーボートによるものが最多であり,全体の49%を占めた。また,船舶からの海中転落による死者・行方不明者数は漁船が最多であり,全体の47%を占めた。
    • 令和3年の小型船舶の事故隻数は1,527隻であり,前年より23隻減少した。これに伴う死者・行方不明者数は46人であり,前年より5人増加した。
    • 第11次交通安全基本計画では,海難における死者・行方不明者を減少させるために救助率※を95%とする目標が定められており,海上保安庁において,救助・救急体制の充実強化,民間救助組織等との連携・協力に努めた結果,令和3年の救助率は95%であった。
    • 令和3年は,海難船舶の乗船者7,665人の中で自力救助の4,741人を除いた2,924人のうち2,874人が救助され,自力救助を除く海難船舶の乗船者に対する救助された人数の割合は98%であった。
    • 令和3年は,プレジャーボート等の海難船舶の乗船者2,607人の中で自力救助の844人を除いた1,763人のうち1,734人が救助され,自力救助を除くプレジャーボート等の海難船舶の乗船者に対する救助された人数の割合は98%であった。
  • プレジャーボートの安全対策
    • 国土交通省では,海難防止講習会や訪船指導等あらゆる機会を通じて,リーフレットを活用した定期的な点検整備の実施を呼び掛けた。このほか,海上保安庁では,海上交通ルールの遵守,インターネットや携帯電話等による気象・海象や航行警報等の安全情報の早期入手等についても,パンフレット等を活用して広く啓発を行った。
    • 国土交通省では,小型船舶の検査を実施している日本小型船舶検査機構と連携して,適切な間隔で船舶検査を受検するよう,関係者に周知を図った。
    • また,遵守事項に係るパトロール活動及び周知啓発活動において,遵守事項違反の取締り,リーフレットを配布する等関係機関と連携を図りながら実施した。
    • 警察では,港内その他の船舶交通のふくそうする水域,遊泳客の多い海水浴場,水上レジャースポーツが盛んな水域等に重点を置いて,警察用船舶,警察用航空機等によるパトロールのほか,関係機関・団体との連携により,水上レジャースポーツ関係者に対する安全指導等を通じて,水上交通安全の確保を図った
  • 我が国における航空事故の発生件数は,令和3年は11件,これに伴う死亡者数は3人,負傷者数は10人である。近年は,大型飛行機による航空事故は,乱気流等気象に起因するものを中心に年数件程度にとどまり,小型飛行機等が事故の大半を占めている
  • 運輸安全マネジメント評価の実施
    • 令和3年度においては,令和2年7月に策定,公表した,「運輸防災マネジメント指針」を活用し,運輸安全マネジメント評価の中で防災マネジメントに関する評価を実施した。
  • 飲酒に関する対策の強化
    • 平成30年10月末以降,航空従事者の飲酒に係る不適切事案が相次いで発生したことを踏まえ,31年1月から令和元年7月にかけて厳格な飲酒基準を策定した。3年度においては,前年度に引き続きこうした基準が適切に遵守されるよう,監査等を通じて指導・監督を実施するとともに,操縦士の日常の健康管理(アルコール摂取に関する適切な教育を含む。)の充実や身体検査の適正な運用に資する知識(航空業務に影響を及ぼす疾患や医薬品に関する知識を含む。)の普及啓蒙が図られるよう、航空会社の健康管理担当者に対する講習会等を通じて指導を実施した。また、客室乗務員による飲酒検査の不正事案が発生したことを踏まえ,国内航空会社に対し,飲酒検査体制の強化,アルコール教育の適切な実施(効果測定含む。)及び組織的な飲酒傾向の把握等が図られるよう,指導・監督を実施した。

内閣府 国家戦略特区 第54回 国家戦略特別区域諮問会議
▼資料3 国家戦略特区において取り組む規制改革事項等(案)
  1. スーパーシティ構想等の推進
    • デジタル田園都市国家構想の実現に向けて、データの連携や先端的サービスの実施を通じて地域課題の解決を図るため、スーパーシティ型国家戦略特区とデジタル田園健康特区について、2022年夏頃を目途に指定区域ごとに区域会議を立ち上げる。
    • 2022年3月の国家戦略特区諮問会議における議論を踏まえ、今後の規制改革の実現に当たっては、以下の方針で取り組む。
      1. 規制所管省庁とおおむね合意している項目について、早期に具体化する。
      2. 規制所管省庁と合意できていない項目について、国家戦略特区ワーキンググループ等を活用し規制所管省庁との調整を加速する。
      3. 新たな規制改革事項について、地方公共団体と連携し検討を推進する。
  2. 新たに講ずべき具体的な施策
    • 国家戦略特区では、これまでの取組に加えて、人への投資、地方活性化、多様性と包摂性、スタートアップ、デジタル田園都市国家構想、生産性向上など、地域課題の解決に資する規制改革に重点を置く。
      1. 更なる規制改革事項
        1. 企業の農地取得特例
          • 養父市において活用されている法人農地取得事業については、政府として現在実施している当該事業に関する特例制度のニーズと問題点の調査結果に基づき全国への適用拡大について調整し、2022年度中に結論を得て、必要な法案を提出する。
        2. 農地の適切な利用を促進するための施策
          • 2022年に成立した改正農業経営基盤強化促進法等の実施状況をフォローし、2025年度の本格施行に向け、農地の適切な利用を促進するために必要な施策を講ずる。また、農業者の成長段階に応じた資金調達の円滑化については、2022年6月の規制改革実施計画※を踏まえ検討する。
            ※農業者の成長段階に応じた資金調達の円滑化:
            農林水産省は、地域に根差した農地所有適格法人が、地元の信頼を得ながら実績をあげ、さらに農業の成長産業化に取り組もうとする場合、農業関係者による農地等に係る決定権の確保や農村現場の懸念払拭措置を講じた上で、出資による資金調達を柔軟に行えるようにする。特に、意欲的な若者による農業ベンチャー等の更なる成長や、事業の拡大を企図する農業者が自ら望む場合に、資金調達手段を柔軟に選択可能とするため、令和3年6月の閣議決定を踏まえ、食料安全保障を念頭に現場の様々な懸念を払拭する措置等を引き続き検討する。(引き続き検討を進め、結論を得次第速やかに措置)
        3. 土地利用の最適化を促進するための施策
          • 我が国の国際的な拠点である成田空港の機能強化に向けて必要な物流施設の投資促進等のため、空港周辺の農用地区域内に施設を迅速に計画・整備しようとする事業者が農振除外・農地転用の見通しを高められるよう必要な措置を2022年度内に検討し、所要の措置を講ずる。
        4. 外国人エンジニアの就労円滑化によるイノベーションの促進
          • 外国人エンジニアの就労促進を図るため、地方公共団体による受入企業の認定等を要件として在留資格認定証明書交付申請の審査期間を短縮することについて、2022年度早期に結論を得て、所要の措置を講ずる。
        5. 無医地区における巡回診療に係る負担軽減
          • 無医地区における移動診療施設以外の施設を利用して行われる巡回診療について、受診機会の確保に取り組もうとする医師負担軽減のために反復継続要件の緩和が求められている状況を踏まえ、医療法上の手続に係る負担軽減策を検討し、2022年度中できるだけ早期に結論を得て、所要の措置を講ずる。
        6. 看護系人材の活用による待機児童解消の促進
          • 0歳児が4人以上在籍する保育所及び認定こども園において看護師等を1人に限り保育士とみなすことができる措置に関して、保育士と看護師等が相互にフォローする体制を確保しつつ同一の場所で合同で保育に当たること、看護師等が乳児保育に関する知識経験を有する者であること等を要件として、0歳児の在籍人数を問わないような措置とすることについて、2022年度中できるだけ早期に所要の措置を講ずる。
        7. 柔軟な働き方を促進するための施策
          • 年5日以内とされている時間単位年次有給休暇について、労働者アンケート調査におけるニーズや利用実態等を踏まえ、柔軟な働き方を促進するために必要な措置を検討し、2022年度中に結論を得る。
        8. ドローンを含む無人航空機の製造等に係る規制の合理化
          • ドローンを含む無人航空機の製造等を規制する制度に関して、事業許可が必要となる機体総重量の閾値の適切な水準を含め、円滑な事業活動を推進する観点からの制度の改善について、活用ニーズや技術進展の状況等も踏まえ、検討を行い、2022年度中に結論を得て、所要の措置を講ずる。
      2. 国家戦略特区における規制の特例措置の全国展開
        • 国家戦略特区における規制の特例措置について、国家戦略特別区域基本方針(平成26年2月25日閣議決定、令和4年4月1日一部変更)を踏まえ、下記の項目について、2022年度中に全国展開の実施又は検討を行うとともに、それ以外の項目について可能なものから順次検討する。
          1. 高度人材ポイント制に係る特別加算の項目新設
            • 高度外国人材の受入れを積極的に推進するため、出入国在留管理上の優遇措置を講ずる高度人材ポイント制において、地方公共団体が支援する企業等に就労する外国人に対して特別加算を行う特例措置の全国展開について、2022年度内に所要の措置を講ずる。
          2. 農家民宿等の宿泊事業者による旅行商品の企画・提供の解禁
            • 地域限定旅行業務取扱管理者試験の試験科目の一部免除を観光庁長官が実施する研修を修了した者に認める特例措置について、2022年度中に見直すとともに、2023年度に全国展開するため、関係業界への周知等を行う。
          3. 「地域限定保育士」の創設及び多様な主体による地域限定保育士試験の実施
            • 登録日から3年間は事業実施区域内でのみ有効となる地域限定保育士の資格を付与する特例措置及び株式会社を含む多様な法人を地域限定保育士試験の指定試験機関として活用可能とする特例措置の全国展開について、今後の児童福祉法改正に向けて、2022年度中に検討を行った上で中間的な議論の整理を行う。
          4. 障害者雇用に係る雇用率算定の特例
            • 障害者雇用率の通算が可能な組合として有限責任事業組合(LLP)を追加する特例措置の全国展開について、2022年6月頃に取りまとめられる労働政策審議会の意見書を踏まえ、速やかに所要の措置を講ずる

内閣府 第7回 デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ
▼【参考資料】 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書概要
  • 自主規制の意義と限界
    • 意義:業界の実情に即した柔軟なルール策定、事業活動の適正化・業界への信頼性向上、消費者利益の保護、予見可能性の向上、規制コストの低下等。
    • 限界:十分な内容を定めることができない可能性、エンフォースメントの手段が不十分、事業者団体が未形成・形成途上の分野の存在等。
      • 公正な市場を実現するためには、自主規制と行政規制による適切な役割分担・連携が必要。特に、悪質事業者に対しては行政が積極的な役割を果たすことが必要。
  • 実効性の高い自主規制の整備・運用のための要件等の考察
    1. 一定の公的規範の存在
      • 法令やガイドライン等の公的規範の存在とその内容は、自主規制の形成とその内容に影響。
      • 自主規制は、行政規制の具体化、横出し・上乗せ等により、行政規制を補完・補強
    2. 事業者団体の存在
      • 組織率や遵法意識の高い事業者団体が、自主規制の策定、モニタリング、エンフォースメント、紛争解決機能等において重要な役割。
    3. 透明性確保
      • 整備段階:消費者代表等の第三者の意見の反映、パブコメの実施等。
      • 運用段階:取組状況、会員に対する処分結果の公表等。
    4. 事業者へのインセンティブの付与
      • 監督官庁:行政規制により必要な規律について一定の枠組みを提示し、詳細については自主規制に委任することにより、事業者・事業者団体による自主的な取組を促進。
      • 事業者団体:団体に所属することによる遵法意識の向上、事業者間の相互チェックによる規律付けの強化。
      • 消費者等:消費者等の市場のステイクホルダーが自主的な取組を積極的に評価することにより、事業者・事業者団体による更なる取組を促進。
  • 自主規制の整備が求められる新しい取引分野(WGで検討したもの)
    1. アフィリエイト広告
      • アフィリエイト広告は効率的な広告配信や需要喚起への効果も期待される一方、悪質なお試し商法等の消費者トラブルにも関連。
      • 事業者団体により悪質事業者の排除のための取組がなされているが、虚偽・誇大広告の基準の策定等も重要。
      • 自主規制の実効性 確保の観点からは、ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)がアフィリエイターの管理等により適正な広告表示を促進する役割を果たすことが強く期待される。
    2. 後払い決済サービス
      • 後払い決済サービスが悪質なお試し商法等の消費者トラブルにも関連。
      • 事業者において自主的な取組を進めている様子が見受けられたが、事業者によって対応の差が生じる可能性。
      • 加盟店審査等、業界の統一ルールの策定が必要と考えられる。
    3. ターゲティング広告
      • データの取得・利用について消費者に懸念等を生じさせていることから、データの取扱いについて事業者の適切な配慮が求められる。
      • 行政規制、事業者団体及び個別の事業者による取組(情報の開示等)が進められているが、より消費者の視点を踏まえた対応が必要(開示される情報等が消費者に理解しやすいものになっているか、オプトアウトの設定方法が消費者に利用しやすいものになっているか等)。
      • 消費者が事業者の取組を評価し、選択できるよう、積極的な情報開示を促すことが必要。
    4. CtoC取引
      • デジタルプラットフォームを利用して行われるCtoC取引。
      • 偽造品・違法品の排除、苦情対応等は事業者ごとの取組に委ねられており、対応の差が生じる可能性があるため、業界の統一ルールが策定がされることが望ましい。
      • 消費者が事業者の取組を評価し、選択できるよう、積極的な情報開示を促すことが必要。
    5. 新しい取引分野の特徴
      • 行政規制の不存在
      • 参考となる隣接分野の不存在
      • 個別事業者による対応の限界
      • 市場の選択圧力の弱
  • 望ましい自主規制の整備・運用の在り方
    • 自主規定の整備が進んでいる分野へのヒアリング結果等を踏まえ、行政規制が存在しない新しい取引分野において自主規制を実効的に整備・運用するための指針を提示。
    • 「共同規制」の考え方を踏まえ、各分野の実情に応じ、行政と事業者・事業者団体等が柔軟かつ適切に役割分担・連携することが重要。
      1. 自主規制の整備段階
        • 規範の提示
          • まずは、行政が行為規範の大枠を示すことが重要(法令に限らず、ガイドライン等でも可)。
        • 事業者団体等の創設・支援
          • 行政が事業者団体の創設を促進・支援。
          • 認証やモニタリングを行う第三者機関の設立を支援することも考えられる。
        • マルチステイクホルダープロセス・策定手続の透明性
          • 様々な利害関係者の意見を取り入れることにより、内容の適正性や消費者からの信頼性を担保(民間協議会や官民協議会の枠組みの整備・活用も)。
          • 策定手続の情報開示により、透明性を確保することも重要。
      2. 自主規制の運用段階
        • 実効性確保
          • 遵守状況のモニタリング、違反に対する制裁措置(事業者名の公表等)。
        • 消費者等からの評価
          • 消費者等から評価を受ける前提として、自主的取組の情報開示、消費者・消費者団体等との積極的なコミュニケーションが必要。
          • 評価を促進する方法として、表彰・認証制度を活用することも考えられる。
        • 紛争解決機能
          • ルールの実効性確保、消費者からの信頼向上のために整備。
          • 手続の公平性・透明性等を確保することが必要。
        • 制度全体のモニタリング
          • 運用状況の継続的なモニタリング通じて、制度を定期的に見直し。
        • 運用の透明性
          • 自主的な取組の状況等については積極的に情報開示、外部からの透明性を向上

内閣府 経済財政運営と改革の基本方針2022
▼経済財政運営と改革の基本方針2022 新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~(令和4年6月7日閣議決定)
  • 国際情勢の変化と社会課題の解決に向けて
    • 我々はこれまでの延長線上にない世界を生きている。世界を一変させた新型コロナウイルス感染症、力による一方的な現状変更という国際秩序の根幹を揺るがすロシアのウクライナ侵略、権威主義的国家による民主主義・自由主義への挑戦、一刻の猶予も許さない気候変動問題など我が国を取り巻く環境に地殻変動とも言うべき構造変化が生じるとともに、国内においては、回復の足取りが依然脆弱な中での輸入資源価格高騰による海外への所得流出、コロナ禍で更に進む人口減少・少子高齢化、潜在成長率の停滞、災害の頻発化・激甚化など、内外の難局が同時に、そして複合的に押し寄せている。我々に求められるのは、この難局を単に乗り越えるだけでなく、こうした社会課題の解決に向けた取組それ自体を付加価値創造の源泉として成長戦略に位置付け、官民が協働して重点的な投資と規制・制度改革を中長期的かつ計画的に実施することにより、課題解決と経済成長を同時に実現しながら、経済社会の構造を変化に対してより強靱で持続可能なものに変革する「新しい資本主義」を起動することである。こうして我々自身の資本主義をバージョンアップすることにより、自由で公正な経済体制を一層強化していく。
  • このため、本「経済財政運営と改革の基本方針2022」においては、
    • 当面の難局を乗り越えるためのマクロ経済運営の方針を示すとともに、
    • 成長と分配をともに高める「人への投資」を始め、科学技術・イノベーションへの投資、スタートアップへの投資、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資を柱とする「新しい資本主義」の実現に向けた重点投資分野についての官民連携投資の基本方針を示す。
    • あわせて、新しい資本主義が目指す民間の力を活用した社会課題解決に向けた取組や多様性に富んだ包摂社会の実現、一極集中から多極化した社会をつくり地域を活性化する改革の方向性を示す。
    • さらに、世界に開かれた貿易・投資立国であることをこれからも維持しつつ、厳しさを増す東アジア情勢や権威主義的国家の台頭など国際環境の変化に応じた戦略的な外交・安全保障や同志国との連携強化、経済安全保障等についての方向性を示す。
    • また、強靱で持続可能な経済社会に向けた防災・減災、国土強靱化の推進や東日本大震災等からの復興、国民生活の安全・安心に向けた基本的な方針を示していく。
    • その上で、これらの政策遂行の基盤となる強固で持続可能な経済・財政・社会保障制度の構築に向けた経済・財政一体改革の取組方針を示し、短期と中長期の整合性を確保した経済財政運営の方針と令和5年度予算編成の考え方を提示する。
  • 短期と中長期の経済財政運営
    1. コロナ禍からの回復とウクライナ情勢の下でのマクロ経済運営
      1. 当面のマクロ経済運営
        • 我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による強い下押し圧力を受けながらも、持ち直しの動きを続けてきた。この間、医療提供体制の強化やワクチン接種の加速など経済社会活動回復のための環境整備を行うとともに、あらゆる政策を総動員して国民の所得や雇用を下支えし、特に、厳しい影響を受けた方々や事業者に対する金融措置を含む万全の支援を行うことにより、新型コロナウイルス感染症の影響から国民生活を守り、ポストコロナの持続的な成長に向けた基盤整備を進めてきた。その中で生じたのが本年2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻である。
        • 国際商品・金融市場を始め世界経済の不確実性が大きく増す中、我が国のマクロ経済運営については、当面、2段階のアプローチで万全の対応を行う。コロナ禍からの回復が依然として脆弱であることに鑑み、まずは、ウクライナ情勢に伴う原油・原材料、穀物等の国際価格の高騰や希少物資の供給懸念等に対する緊急対策を講ずることにより、コロナ禍で傷んでいる国民生活や経済への更なる打撃をできる限り抑制し、厳しい状況にある方々を全力で支援する。これにより、経済の腰折れを防ぎ、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとしていく。
        • また、今後も感染症の再拡大やウクライナ情勢の長期化に伴う原油価格・物価の更なる高騰の可能性など予断を許さない状況は続くと見込まれることから、予備費の活用等により予期せぬ財政需要にも迅速に対応して国民の安心を確保する。
        • その上で、第2段階として、本基本方針や新しい資本主義に向けたグランドデザインと実行計画をジャンプスタートさせるための総合的な方策を早急に具体化し、実行に移す。
        • これにより、中長期的な課題に対応しつつ、コロナ禍で失われた経済活動のダイナミズムを取り戻し、新陳代謝と多様性に満ちた裾野の広い経済成長と成長の果実が隅々まで行き渡る「成長と分配の好循環」を早期に実現する。あわせて、国際的な人の往来や観光需要の回復、対日直接投資の更なる推進等を通じて旺盛な海外需要を日本経済に取り込む。また、エネルギー分野を始め国際環境の変化にも強靱な経済構造に向けた改革を進め、世界の構造変化を日本がリードしていく。
        • 今後とも、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進める経済財政運営の枠組みを堅持し、民需主導の自律的な成長とデフレからの脱却に向け、経済状況等を注視し、躊躇なく機動的なマクロ経済運営を行っていく。日本銀行においては、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
      2. 経済社会活動の正常化に向けた感染症対策
        • 新型コロナウイルス感染症対策については、必要な財政支援や見える化等により医療提供体制の強化を進めるとともに、感染状況や変異株の発生動向に細心の注意を払いつつ、段階的な見直しを行い、一日も早い経済社会活動の正常化を目指す。
        • 医療提供体制の強化について、国立病院機構等の公立公的病院に法律に基づく要求・要請を行うことによる新型コロナウイルス感染症の専用病床化とともに、個別の病院名を明らかにした病床の確保を行いつつ、感染拡大時には即応病床の増床や病床の使用率向上により、入院を必要とする者がまずは迅速に病床又は臨時の医療施設等に受け入れられ、確実に入院につなげる体制を整備する。
        • 感染拡大時に臨時の医療施設等が円滑に稼働できるよう、都道府県ごとに医療人材派遣の協力可能な医療機関数や派遣者数を具体化するほか、公立公的病院においても都道府県に設置する臨時の医療施設等に医療人材を派遣する。
        • 医療DXを推進し、医療情報の基盤を整備するとともに、G-MISやレセプトデータ等を活用し、病床確保や使用率、オンライン診療実績など医療体制の稼働状況の徹底的な「見える化」を進める。
        • ワクチン、検査、経口治療薬の普及等により、予防、発見から早期治療までの流れを強化して新型コロナウイルス感染症の脅威を社会全体として可能な限り引き下げる。マイナンバーカードを使ったワクチン接種証明書のデジタル化等により、入国時での効率的なワクチン接種履歴の確認など円滑な確認体制を進める。
        • 国際的な人の往来の活発化に向け、感染拡大防止と経済社会活動のバランスを取りながら、他のG7諸国並みの円滑な入国を可能とする水際措置の見直しなど水際対策の緩和を進める。また、新たな変異株が発生する場合にはこれに機動的に対処する。
        • 新型コロナウイルス感染症に関する罹患後症状(いわゆる後遺症)についての実態把握や病態解明等に資する調査・研究を進める。
        • その上で、これまでの新型コロナウイルス感染症対応を客観的に評価し、次の感染症危機に備えて、本年6月を目途に、危機に迅速・的確に対応するための司令塔機能の強化や感染症法の在り方、保健医療体制の確保など、中長期的観点から必要な対応を取りまとめる。
    2. 中長期の経済財政運営
      • 持続的な経済成長に向けて、官民連携による計画的な重点投資を推進する。これによる民間企業投資の喚起と継続的な所得上昇により成長力を高めつつ需要創出を促すとともに、今後の成長分野への労働移動を円滑に促す。また、省エネ・脱炭素を通じた国内所得の海外流出の抑制や同じ価値観を共有する国々との協力関係の強化を通じて、比較優位のメリットをこれまで以上に引き出すとともに国内投資を喚起する。さらには、インバウンドの再生、農林水産物・食品や中小企業の輸出振興といった取組を強化し、産業の構造変化を促す。
      • その際、危機に対する必要な財政支出は躊躇なく行い、万全を期す。経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない。経済をしっかり立て直す。そして、財政健全化に向けて取り組む。
  • 人への投資と分配
    • デジタル化や脱炭素化という大きな変革の波の中、人口減少に伴う労働力不足にも直面する我が国において、創造性を発揮して付加価値を生み出していく原動力は「人」である。自律的な経済成長の実現には、民間投資を喚起して生産性を向上することで収益・所得を大きく増やすだけでなく、「人への投資」を拡大することにより、次なる成長の機会を生み出すことが不可欠である。「人への投資」は、新しい資本主義に向けて計画的な重点投資を行う科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX、DXに共通する基盤への中核的な投資であるとも言える。
    • こうした考えの下、働く人への分配を強化する賃上げを推進するとともに、職業訓練、生涯教育等への投資により人的資本の蓄積を加速させる。あわせて、多様な人材の一人一人が持つ潜在力を十分に発揮できるよう、年齢や性別、正規雇用・非正規雇用といった雇用形態にかかわらず、能力開発やセーフティネットを利用でき、自分の意思で仕事を選択可能で、個々の希望に応じて多様な働き方を選択できる環境整備を進める。
      1. 人的資本投資
        • 成長分野における重点投資等を通じた質の高い雇用の拡大を図りつつ、「人への投資」を抜本的に強化するため、2024年度までの3年間に、一般の方から募集したアイデアを踏まえた、4,000億円規模の予算を投入する施策パッケージを講じ、働く人が自らの意思でスキルアップし、デジタルなど成長分野へ移動できるよう強力に支援する。
        • 企業統治改革を進め、人的投資が企業の持続的な価値創造の基盤である点について株主との共通の理解を作り、今年中に非財務情報の開示ルールを策定するとともに、四半期開示の見直しを行う。男女の賃金格差の是正に向けて企業の開示ルールの見直しにも取り組む。また、政府からの特に大規模な支援を受ける際には、人的資本投資などを通じ、中長期的な価値創造にコミットすることを企業に求める。
        • あわせて、社会全体で学び直し(リカレント教育)を促進するための環境を整備する。学び直しによる成果の可視化と適切な評価、学び直し成果を活用したキャリアアップや兼業・副業の促進、学ぶ意欲がある人への支援の充実や環境整備、成長分野のニーズに応じたプログラムの開発支援や学び直しの産学官の対話、企業におけるリカレント教育による人材育成の強化等の取組を進める。
        • 以上の人的投資に取り組む中で、雇用調整助成金の特例措置等については、引き続き、感染が拡大している地域・特に業況が厳しい企業に配慮しつつ、雇用情勢を見極めながら段階的に縮減していく一方で、人への投資や強力な就職支援を通じて円滑な労働移動を図り、成長分野等における労働需要に対応する。あわせて、同一労働同一賃金の徹底等を通じた非正規雇用労働者の処遇改善や正規化に取り組む。
        • 少子化対策・こども政策は、包摂社会の実現に向けて重要であるだけでなく、「人への投資」としても重要であり、強力に進める。
      2. 多様な働き方の推進
        • 人的資本投資の取組とともに、働く人のエンゲージメントと生産性を高めていくことを目指して働き方改革を進め、働く人の個々のニーズに基づいてジョブ型の雇用形態を始め多様な働き方を選択でき、活躍できる環境の整備に取り組む。
        • こうした観点から、就業場所・業務の変更の範囲の明示など、労働契約関係の明確化に取り組む。専門知識・技能を持った新卒学生や既卒数年程度の若者について、より一層活躍できるようにする観点から、その就職・採用方法を産・学と共に検討し、年度内を目途に一定の方向性を得る。裁量労働制を含めた労働時間制度の在り方について、裁量労働制の実態調査の結果やデジタル化による働き方の変化等を踏まえ、更なる検討を進める。フリーランスについて、事業者がフリーランスと取引する際の契約の明確化を図る法整備や相談体制の充実など、フリーランスが安心して働ける環境を整備する。
        • ポストコロナの「新しい日常」に対応した多様な働き方の普及を図るため、時間や場所を有効に活用できる良質なテレワークを促進する。労働移動の円滑化も視野に入れながら、労働者の職業選択の幅を広げ、多様なキャリア形成を促進する観点から副業・兼業を推進するほか、選択的週休3日制度については、子育て、介護等での活用、地方兼業での活用が考えられることから、好事例の収集・提供等により企業における導入を促進し、普及を図る。また、地域に貢献しながら多様な就労の機会を創る労働者協同組合についてNPO等からの円滑な移行等を図る。
        • 国家公務員について、既存業務の廃止・効率化、職場のデジタル環境整備、勤務形態の柔軟化などを通じた働き方改革を一層推進するとともに、採用試験の受験者拡大やデジタル人材を含めた中途採用の円滑化、リスキリングなど人材の確保・育成策に戦略的に取り組む。
      3. 質の高い教育の実現
        • 人への投資を通じた「成長と分配の好循環」を教育・人材育成においても実現し、「新しい資本主義」の実現に資するため、デジタル化に対応したイノベーション人材の育成等、大学、高等専門学校、専門学校等の社会の変化への対応を加速する。このため、教育未来創造会議の第一次提言等に基づき、以下の課題について、必要な取組を速やかに進める。
        • 新たな時代に対応する学びの支援の充実を図る。このため、恒久的な財源も念頭に置きつつ、給付型奨学金と授業料減免を、必要性の高い多子世帯や理工農系の学生等の中間層へ拡大する。また、減額返還制度を見直すほか、在学中は授業料を徴収せず卒業後の所得に応じて納付を可能とする新たな制度を、教育費を親・子供本人・国がどのように負担すべきかという論点や本制度の国民的な理解・受け入れ可能性を十分に考慮した上で、授業料無償化の対象となっていない学生について、安定的な財源を確保しつつ本格導入することに向け検討することとし、まずは大学院段階において導入することにより、ライフイベントも踏まえた柔軟な返還・納付(出世払い)の仕組みの創設を行う。官民共同修学支援プログラムの創設、地方自治体や企業による奨学金返還支援の促進等、若者を始め誰もが、家庭の経済事情にかかわらず学ぶことができる環境の整備を進める。
        • 未来を支える人材を育む大学等の機能強化を図る。このため、デジタル・グリーンなど成長分野への大学等の再編促進と産学官連携強化等に向け、複数年度にわたり予見可能性をもって再編に取り組める支援の検討や、私学助成のメリハリ付けの活用を始め、必要な仕組みの構築等を進めていく。その際、現在35%にとどまっている自然科学(理系)分野の学問を専攻する学生の割合についてOECD諸国で最も高い水準である5割程度を目指すなど具体的な目標を設定し、今後5~10年程度の期間に集中的に意欲ある大学の主体性をいかした取組を推進する。また、あらゆる分野の知見を総合的に活用し社会課題への的確な対応を図る「総合知」の創出・活用を目指し、専門性を大事にしつつも、文理横断的な大学入学者選抜や学びへの転換を進め、文系・理系の枠を超えた人材育成を加速する。若手研究者と企業との共同研究を通じた人材育成等により大学院教育を強化する。
      4. 賃上げ・最低賃金
        • 今年は、ここ数年低下してきた賃上げ率を反転させたが、ウクライナ情勢も相まって物価が上昇している。こうした中、賃上げの流れをサプライチェーン内の適切な分配を通じて中小企業に広げ、全国各地での賃上げ機運の一層の拡大を図る。
        • このため、中堅・中小企業の活力向上につながる事業再構築・生産性向上等の支援を通じて賃上げの原資となる付加価値の増大を図るとともに、適切な価格転嫁が行われる環境の整備に取り組むほか、抜本的に拡充した賃上げ促進税制の活用促進、賃上げを行った企業からの優先的な政府調達等に取り組み、地域の中小企業も含めた賃上げを推進する。
        • 新しい資本主義実現会議において、価格転嫁や多様な働き方の在り方について合意づくりを進めるとともに、データ・エビデンスを基に、適正な賃金引上げの在り方について検討を行う。
        • また、人への投資のためにも最低賃金の引上げは重要な政策決定事項である。最低賃金の引上げの環境整備を一層進めるためにも事業再構築・生産性向上に取り組む中小企業へのきめ細やかな支援や取引適正化等に取り組みつつ、景気や物価動向を踏まえ、地域間格差にも配慮しながら、できる限り早期に最低賃金の全国加重平均が1000円以上となることを目指し、引上げに取り組む。こうした考えの下、最低賃金について、官民が協力して引上げを図るとともに、その引上げ額については、公労使三者構成の最低賃金審議会で、生計費、賃金、賃金支払能力を考慮し、しっかり議論する。
      5. 「貯蓄から投資」のための「資産所得倍増プラン」
        • 我が国の個人金融資産2,000兆円のうち、その半分以上が預金・現金で保有されている。投資による資産所得倍増を目指して、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的拡充や、高齢者に向けたiDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革、国民の預貯金を資産運用に誘導する新たな仕組みの創設など、政策を総動員し、貯蓄から投資へのシフトを大胆・抜本的に進める。これらを含めて、本年末に総合的な「資産所得倍増プラン」を策定する。その際、家計の安定的な資産形成に向けて、金融リテラシーの向上に取り組むとともに、家計がより適切に金融商品の選択を行えるよう、将来受給可能な年金額等の見える化、デジタルツールも活用した情報提供の充実や金融商品取引業者等による適切な助言や勧誘・説明を促すための制度整備を図る。

内閣府 令和4年第7回経済財政諮問会議
▼資料1 経済財政運営と改革の基本方針2022(仮称)原案
  1. 国際情勢の変化と社会課題の解決に向けて
    • 我々はこれまでの延長線上にない世界を生きている。世界を一変させた新型コロナウイルス感染症、力による一方的な現状変更という国際秩序の根幹を揺るがすロシアのウクライナ侵略、権威主義的国家による民主主義・自由主義への挑戦、一刻の猶予も許さない気候変動問題など我が国を取り巻く環境に地殻変動とも言うべき構造変化が生じるとともに、国内においては、回復の足取りが依然脆弱な中での輸入資源価格高騰による海外への所得流出、コロナ禍で更に進む人口減少・少子高齢化、潜在成長率の停滞、災害の頻発化・激甚化など、内外の難局が同時に、そして複合的に押し寄せている。
    • 我々に求められるのは、この難局を単に乗り越えるだけでなく、こうした社会課題の解決に向けた取組それ自体を付加価値創造の源泉として成長戦略に位置付け、官民が協働して重点的な投資と規制・制度改革を中長期的かつ計画的に実施することにより、課題解決と経済成長を同時に実現しながら、経済社会の構造を変化に対してより強靱で持続可能なものに変革する「新しい資本主義」を起動することである。こうして我々自身の資本主義をバージョンアップすることにより、自由で公正な経済体制を一層強化していく。
    • このため、本「経済財政運営と改革の基本方針2022」においては、
      • 当面の難局を乗り越えるためのマクロ経済運営の方針を示すとともに、
      • 成長と分配をともに高める「人への投資」を始め、科学技術・イノベーションへの投資、スタートアップへの投資、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資を柱とする「新しい資本主義」の実現に向けた重点投資分野についての官民連携投資の基本方針を示す。
      • あわせて、新しい資本主義が目指す民間の力を活用した社会課題解決に向けた取組や多様性に富んだ包摂社会の実現、一極集中から多極化した社会をつくり地域を活性化する改革の方向性を示す。
      • さらに、世界に開かれた貿易・投資立国であることをこれからも維持しつつ、厳しさを増す東アジア情勢や権威主義的国家の台頭など国際環境の変化に応じた戦略的な外交・安全保障や同志国との連携強化、経済安全保障等についての方向性を示す。
      • また、強靱で持続可能な経済社会に向けた防災・減災、国土強靱化の推進や東日本大震災等からの復興、国民生活の安全・安心に向けた基本的な方針を示していく。
      • その上で、これらの政策遂行の基盤となる強固で持続可能な経済・財政・社会保障制度の構築に向けた経済・財政一体改革の取組方針を示し、短期と中長期の整合性を確保した経済財政運営の方針と令和5年度予算編成の考え方を提示する。
  2. 短期と中長期の経済財政運営
    1. コロナ禍からの回復とウクライナ情勢の下でのマクロ経済運営
      • 当面のマクロ経済運営
        • 我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による強い下押し圧力を受けながらも、持ち直しの動きを続けてきた。この間、医療提供体制の強化やワクチン接種の加速など経済社会活動回復のための環境整備を行うとともに、あらゆる政策を総動員して国民の所得や雇用を下支えし、特に、厳しい影響を受けた方々や事業者に対する金融措置を含む万全の支援を行うことにより、新型コロナの影響から国民生活を守り、ポストコロナの持続的な成長に向けた基盤整備を進めてきた。その中で生じたのが本年2月のロシアによるウクライナへの軍事侵攻である。
        • 国際商品・金融市場をはじめ世界経済の不確実性が大きく増す中、我が国のマクロ経済運営については、当面、2段階のアプローチで万全の対応を行う。コロナ禍からの回復が依然として脆弱であることに鑑み、まずは、ウクライナ情勢に伴う原油・原材料、穀物等の国際価格の高騰や希少物資の供給懸念等に対する緊急対策を講じることにより、コロナ禍で傷んでいる国民生活や経済への更なる打撃をできる限り抑制し、特に弱い立場にある方々を全力で支援する。これにより、経済の腰折れを防ぎ、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとしていく。
        • また、今後も感染症の再拡大やウクライナ情勢の長期化に伴う原油価格・物価の更なる高騰の可能性など予断を許さない状況は続くと見込まれることから、予備費の活用等により予期せぬ財政需要にも迅速に対応して国民の安心を確保する。
        • その上で、第2段階として、本基本方針や新しい資本主義に向けたグランドデザインと実行計画をジャンプスタートさせるための総合的な方策を早急に具体化し、実行に移す。
        • これにより、中長期的な課題に対応しつつ、コロナ禍で失われた経済活動のダイナミズムを取り戻し、新陳代謝と多様性に満ちた裾野の広い経済成長と成長の果実が隅々まで行き渡る「成長と分配の好循環」を早期に実現する。あわせて、国際的な人の往来や観光需要の回復、対日直接投資の更なる推進等を通じて旺盛な海外需要を日本経済に取り込む。また、エネルギー分野を始め国際環境の変化にも強靱な経済構造に向けた改革を進め、世界の構造変化を日本がリードしていく。
        • 今後とも、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進める経済財政運営の枠組みを堅持し、民需主導の自律的な成長とデフレからの脱却に向け、経済状況等を注視し、躊躇なく機動的なマクロ経済運営を行っていく。日本銀行においては、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
      • 経済社会活動の正常化に向けた感染症対策
        • 新型コロナ対策については、必要な財政支援や見える化等により医療提供体制の強化を進めるとともに、感染状況や変異株の発生動向に細心の注意を払いつつ段階的な見直しを行い、一日も早い経済社会活動の正常化を目指す。
        • 医療提供体制の強化について、国立病院機構等の公立公的病院に法律に基づく要求・要請を行うことによる新型コロナの専用病床化とともに、個別の病院名を明らかにした病床の確保を行いつつ、感染拡大時には即応病床の増床や病床の使用率向上により、入院を必要とする者がまずは迅速に病床又は臨時の医療施設等に受け入れられ、確実に入院につなげる体制を整備する。
        • 感染拡大時に臨時の医療施設等が円滑に稼働できるよう、都道府県ごとに医療人材派遣の協力可能な医療機関数や派遣者数を具体化するほか、公立公的病院においても都道府県に設置する臨時の医療施設等に医療人材を派遣する。
        • あわせて、G-MISやレセプトデータ等を活用し、病床確保や使用率、オンライン診療実績など医療体制の稼働状況の徹底的な「見える化」を進める。
        • ワクチン、検査、経口治療薬の普及等により、予防、発見から早期治療までの流れを強化して新型コロナの脅威を社会全体として可能な限り引き下げる。マイナンバーカードを使ったワクチン接種証明書のデジタル化等により、入国時での効率的なワクチン接種履歴の確認など円滑な確認体制を進める。
        • 国際的な人の往来の活発化に向け、感染拡大防止と経済社会活動のバランスを取りながら、他のG7諸国並みの円滑な入国を可能とする水際措置の見直しなど水際対策の緩和を進める。
        • 新型コロナウイルス感染症に関する罹患後症状(いわゆる後遺症)についての実態把握や病態解明等に資する調査・研究を進める。
        • その上で、これまでの新型コロナ対応を客観的に評価し、次の感染症危機に備えて、本年6月を目途に、危機に迅速・的確に対応するための司令塔機能の強化や感染症法の在り方、保健医療体制の確保など、中長期的観点から必要な対応を取りまとめる。
    2. 中長期の経済財政運営
      • 持続的な経済成長に向けて、官民連携による計画的な重点投資を推進する。これによる民間企業投資の喚起と継続的な所得上昇により成長力を高めつつ需要創出を促すとともに、今後の成長分野への労働移動を円滑に促す。また、省エネ・脱炭素を通じた国内所得の海外流出の抑制や同じ価値観を共有する国々との協力関係の強化を通じて、比較優位のメリットをこれまで以上に引き出すとともに国内投資を喚起する。さらには、インバウンドの再生、農林水産物・食品や中小企業の輸出振興といった取組を強化し、産業の構造変化を促す。
      • その際、危機に対する必要な財政支出は躊躇なく行い、万全を期す。経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない。経済をしっかり立て直す。そして、財政健全化に向けて取り組む。

内閣府 総合科学技術・イノベーション会議(第61回)議事次第
▼資料1-1 統合イノベーション戦略2022(案)(概要)
  • 科学技術・イノベーションは、経済成長や社会課題の解決、安全・安心の確保の観点から、国家の生命線であり、これを中核とする国家間の覇権争いは一層激化
  • 予測不能で混沌とした時代に直面する中、先見性を持って、官民が連携・協力して科学技術・イノベーションにより国家的重要課題に対応することが必要
  • 第6期基本計画の下での2年目の年次戦略として、政策の機動的な見直し・実行を図るとともに、効果的・効率的な政策推進モデルの確立につなげる
  • 現状認識・政権のアジェンダ
    1. 国内外における情勢変化
      • 変化の激しい時代を背景とした、気候変動をはじめ社会課題の複雑化、新興技術の急速な発展
      • 感染症や自然災害、サイバーテロ等の脅威の先鋭化
      • 安全保障を巡る環境の厳しさの増大
    2. 科学技術・イノベーション政策への要請
      • 国力を裏付け、国際社会におけるプレゼンスの向上と総合的な安全保障の実現を図るための政策の射程の拡大
      • 我が国の研究力とイノベーション力の相対的な低下の打開に向けた、新規ファンディングの駆使と第6期基本計画の強力な推進
      • 新しい資本主義の実現(社会課題を成長のエンジンへ転換)科学技術立国の実現、スタートアップの徹底支援、デジタル田園都市国家構想の推進、経済安全保障の確保、人への投資の抜本強化
      • これらのアジェンダと軌を一にするSociety 5.0の実現と、『「総合知による社会変革」と「知・人への投資」の好循環』による成長と分配の好循環の体現
  • 我が国が目指す社会(Society 5.0)の実現に向けたプロセス(いわゆる勝ち筋)を官民で共有し、力を結集できるよう、政策の方向性と実現構想の更なる具体化が不可欠
  • 科学技術・イノベーション政策の3本の柱
    • 大学改革やSTEAM教育が拓く知的資産と、経済安全保障等に対応する先端研究開発が生む技術シーズをゲームチェンジの両翼として、スタートアップを主軸に社会変革を実現
      1. 知の基盤(研究力)と人材育成の強化
        • 大学の機能強化により、基礎研究・学術研究を振興し、全国に面的・多層的な知の基盤を構築
        • 分野にとらわれず、創造的な研究をリードする多様な人材の育成や、社会ニーズを捉え、学び続ける姿勢に応える教育の促進により、大学等が生み出す知的資産を社会に還流
        • 大学ファンドがけん引する異次元の研究基盤の強化と大学改革
          • 大学ファンドからの助成を見据えた国際卓越研究大学の公募
          • 博士課程学生の処遇向上と活躍のキャリアパス拡大、若手等の研究環境の改善
          • 女性研究者の活躍促進、国際共同研究・国際頭脳循環の推進
          • 研究データの全国的な管理・利活用、研究インフラの整備・共用化
        • 地域中核・特色ある研究大学の振興
          • 総合振興パッケージの改定、強みや特色を伸ばす戦略的経営の後押し
        • 探究・STEAM教育とリカレント教育の推進
          • 特異な才能のある子供への支援、理数系のジェンダーギャップの解消
          • 企業・大学等における学び直しの支援充実や環境整備
      2. イノベーション・エコシステムの形成
        • イノベーションの担い手として、スタートアップを前面に押し出し、新たな業を起こしていくことで、経済社会を活性化
        • ディープテックやデジタル分野のスタートアップが次々と生まれ成長するエコシステムを抜本強化した上で、政策ツールを総動員して民間資金を誘発し、官民の研究開発投資を拡大
        • スタートアップの徹底支援と民間資金を巻き込む資金循環の促進
          • 機関投資家からのVC投資促進・環境整備など成長資金の強化
          • 民間VC育成や国内外VCと協調した事業化支援の強化
          • 未上場市場創設やアントレプレナーシップ教育による起業家支援
          • 国際的なスタートアップ・キャンパス構想の推進など都市・大学等の機能の強化
          • SBIR制度の強化と政府調達の活用
          • 資金循環の活性化による研究開発投資の拡大
        • デジタル田園都市国家構想の加速
          • スマートシティによる地域の好事例の創出・展開、ロードマップの策定
          • 各分野の拠点形成の連携を通じた地域の人材育成・課題解決
      3. 先端科学技術の戦略的な推進
        • AI・量子の新戦略の策定やシンクタンクの進化により、勝ち筋を見定め、経済安全保障重要技術育成プログラムや次期SIP等の推進により、社会実装につなげる取組を加速
        • デジタルやグリーン、半導体など、官民で重要課題に対応し、我が国が世界をリードすべき分野で反転攻勢を本格化
        • 重要技術の国家戦略の推進と国家的重要課題への対応
          • 国家戦略(AI、バイオ、量子、マテリアル、健康・医療、宇宙、海洋、食料・農林水産業等)における社会実装の強化を含む研究開発等の推進
          • データ戦略に基づく社会のデジタル化、デジタルツインの防災等への活用、カーボンニュートラル実現や多様なエネルギー源活用に向けた技術開発
        • 安全・安心に関する取組の推進
          • シンクタンク機能や経済安全保障重要技術育成プログラムの推進
        • 社会課題解決のための研究開発・社会実装の推進と総合知の活用
          • 総合知の発信、SIP第2期実装と次期準備、ムーンショットの推進
          • 国際標準戦略の強化、科学技術外交・国際共同研究の推進、研究インテグリティの確保
  • 統合イノベーション戦略2022において取り組む主な施策
    1. 知の基盤(研究力)と人材育成の強化
      • 多様で卓越した研究を生み出す環境の再構築
        • 博士課程学生の処遇向上、国家公務員における博士人材の待遇改善の検討など様々な分野で活躍できるキャリアパス拡大
        • 創発的研究支援事業の推進、人事給与マネジメント改革を通じた若手ポスト確保をはじめ研究者の研究環境の改善、女性研究者の活躍促進
        • 科学技術の国際展開に関する検討結果を踏まえた国際共同研究事業の推進や国際頭脳循環のハブ拠点形成
      • 新たな研究システムの構築(オープンサイエンスとデータ駆動型研究等の推進)
        • 研究データ基盤システムを用いた研究データの管理・利活用の推進
        • 研究DXを支えるスパコン等のインフラの整備・運用
        • 研究設備・機器の共用の推進
      • 大学改革の促進と戦略的経営に向けた機能拡張
        • 世界と伍する研究大学の実現に向けた、国際卓越研究大学の認定枠組みの構築と2022年度中の公募開始
        • 2024年度以降、国際卓越研究大学に対する、10兆円規模の大学ファンドからの助成を含む総合的な支援
        • 地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージの改定、産学官連携による共創拠点形成、強みや特色を伸ばす戦略的経営の後押し
      • 一人ひとりの多様な幸せと課題への挑戦を実現する教育・人材育成
        • Society 5.0の実現に向けた教育・人材育成に関する政策パッケージのロードマップに基づく施策の実施・フォローアップ
        • STEAM・アントレプレナーシップ教育の強化、特異な才能のある子供の指導・支援に関する実証的な研究等の推進
        • 理数の学びに対するジェンダーギャップの解消に向けたロールモデルの提示や調査を通じた要因分析
        • 学ぶ意欲がある人への3年間で4,000億円規模の支援の充実、企業や大学等におけるリカレント教育の強化
    2. イノベーション・エコシステムの形成
      • 価値共創型の新たな産業を創出する基盤となるイノベーション・エコシステムの形成
        • 機関投資家からのVC投資促進・環境整備、エンジェル投資家等の個人からの投資促進など成長資金の強化
        • 公的機関・官民ファンドによる民間VC育成や国内外VCと協調した事業化支援の強化
        • 未上場市場創設に向けた環境整備や初等中等教育段階からのアントレプレナーシップ教育の強化、グランド・チャレンジ等を通じた支援による起業家支援
        • スタートアップ・エコシステム拠点都市の支援や国際的なスタートアップ・キャンパス構想の推進など都市・大学等の機能の強化
        • SBIR制度について、同制度の「指定補助金等」の対象・規模の抜本的な拡充とともに、スタートアップの育成に向けた政府調達の活用促進
      • 次世代に引き継ぐ基盤となる都市と地域づくり(スマートシティの展開)
        • スーパーシティ等と併せ、デジタル田園都市国家構想実現に向けた、スマートシティによる地域資源を生かした多様な取組の好事例の創出・展開
        • 地域の官民による実装に向けた中長期ロードマップの策定、標準活用や研究開発等についての検討
        • 大学やスタートアップ等を中核とする各分野の地域拠点形成の連携を通じた、地域経営人材の育成・活動の場作りや、地域課題解決の体制・エコシステム作り
      • 知と価値の創出のための資金循環の活性化
        • 第6期基本計画期間中、政府30兆円、官民120兆円の研究開発投資目標の下、国際的な研究開発競争のリード
        • 科学技術関係予算の拡充、研究開発税制やイノベーション化、公共調達の促進等による民間投資の誘発
    3. 先端科学技術の戦略的な推進
      • サイバー空間とフィジカル空間の融合による新たな価値の創出
        • デジタル庁を中心とした包括的データ戦略に基づくベースレジストリの課題整理と2025年までの実現
        • データ連携プラットフォームの構築、Beyond 5Gの研究開発と国際標準化の推進
      • 地球規模課題の克服に向けた社会変革と非連続なイノベーションの推進
        • 今後策定するクリーンエネルギー戦略を見据え、グリーン成長戦略等に基づくカーボンニュートラルや多様なエネルギー源の活用に向けた省エネ・再エネ・原子力・核融合等の革新的な技術開発の拡充(基金等)
        • 生物多様性国家戦略の見直し等による脱炭素社会・循環経済・分散型社会への移行加速
      • レジリエントで安全・安心な社会の構築
        • デジタルツインの構築やシミュレーション技術の開発による、自然災害やインフラ老朽化等の脅威への対応
        • シンクタンク機能や経済安全保障重要技術育成プログラムの推進、技術流出対策等を通じた総合的な安全保障の確保
        • 経済安全保障推進法の下、官民技術協力や特許出願の非公開に関する施策の着実な実施
      • 様々な社会課題を解決するための研究開発・社会実装の推進と総合知の活用
        • 総合知の考え方や事例の発信強化・活用促進
        • SIP第2期の社会実装と次期SIPの課題検討、新目標・ステージゲートや国際連携を踏まえたムーンショットの充実
        • 国際標準戦略の強化、科学技術外交・国際共同研究の戦略的な推進、研究インテグリティの自律的な確保とフォローアップ
        • 医療用等のRIの製造・実用化・普及の推進
    4. 総合科学技術・イノベーション会議の司令塔機能の強化
      • エビデンスシステム(e-CSTI)の高度化、重要科学技術領域や日本の勝ち筋、資金配分に関する分析
      • 基本計画の進捗把握、関係司令塔会議や関係府省庁との連携促進
▼資料4-2 AI戦略2022(概要)
  • AI戦略では、「人間尊重」、「多様性」、「持続可能」の3つの理念のもと、Society 5.0の実現を通じて世界規模の課題の解決に貢献し、我が国の社会課題の克服や産業競争力の向上を目指す。
  • 具体的には、大規模災害等の差し迫った危機への対処のほか、特に、社会実装の充実に向けて新たな目標を設定して推進する。
  • なお、AIに関しては、経済安全保障の観点の取組も始まることを踏まえ、政府全体として効果的な重点化を図るための関係施策の調整や、量子やバイオ等の戦略的取組とのシナジーを追求すべきことを提示。
  • 「国家強靭化のためのAI」の確立(国家規模の危機への対処)
    • AIによる利活用の基礎となるデジタル・ツインの構築
    • 国内データ基盤の国際的連携による「データ経済圏」の構築など、民間企業のグローバル展開を支援する基盤の構築
  • 「地球強靭化のためのAI」でのリーダーシップの確立(地球規模の危機への対処)
    • 地球環境問題などのサステナビリティ(持続可能性)領域におけるAIの応用
  • 「強靭かつ責任あるAI」でのリーダーシップの確立(強靭な基盤づくり)
    • 「説明可能なAI」など「責任あるAI」の実現に向けた取組
    • 信頼性の向上につながる、サイバーセキュリティとAIの融合領域の技術開発等を推進
  • AIの信頼性の向上
    • 「説明可能なAI」など「責任あるAI」の実現に向けた取組(再掲)
    • 信頼性の向上につながる、サイバーセキュリティとAIの融合領域の技術開発等の推進
  • AI利活用を支えるデータの充実
    • AIによる利活用の基礎となるデジタル・ツインの構築
    • AIの利活用を促進する研究データ基盤、臨床データ基盤等の改善
    • 秘匿データの効果的な利用につながる、サイバーセキュリティとAIの融合領域の技術開発等の推進
  • 人材確保等の追加的な環境整備
    • AI等の先端技術分野における国際的頭脳循環の向上等
    • 民間企業による実践を通じてAIの実装を促すための、国研等からの技術情報の積極的な提供や実践型の人材育成等
    • AIによる学習や処理の対象となるデータの取扱いルールについての再点検
  • 政府におけるAI利活用の推進
    • 政府機関におけるAIの導入促進に向けた推進体制の強化と、それによる行政機能の強化・改善
    • AI利活用を通じたデータ収集など、持続的な改善サイクルの形成
  • 日本が強みを有する分野とAIの融合
    • 医療、創薬、材料科学等の分野におけるAI利活用の更なる注力
    • 我が国が強みを有する文化産業等におけるAI利活用の促進
    • 我が国ならではの課題((1)健康・医療・介護、(2)農業、(3)インフラ・防災、(4)交通インフラ・物流、(5)地方創生、(6)ものづくり、(7)安全保障)に対処するAIと我が国の強みの融合の追求

内閣府 男女共同参画局 すべての女性が輝く社会づくり本部(第12回)・男女共同参画推進本部(第22回)合同会議 議事次第
▼資料1 説明資料
  1. 女性の経済的自立
    1. 男女間賃金格差への対応
      • 社内格差(垂直分離)
        1. 男女間賃金格差に係る情報の開示
          • 令和4年夏に女性活躍推進法の制度改正を実施、常用労働者301人以上の事業主に対し、男性の賃金に対する女性の賃金の割合を開示することを義務化。有価証券報告書についても同内容の開示を義務付け。
        2. 非正規雇用労働者の賃金の引上げ(同一労働同一賃金の徹底)
          • 企業に対して、労務管理の専門家による無料相談や先進的な取組事例の周知等を実施。労働局による助言・指導等による法の履行確保。
      • 職種間格差(水平分離)
        1. 女性デジタル人材の育成
          • 女性デジタル人材育成プランに基づき、就労に直結するデジタルスキルの習得支援及びデジタル分野への就労支援を3年間集中的に推進。
        2. 看護、介護、保育などの分野の現場で働く方々の収入の引上げ
          • 令和4年2月から実施している賃金の引上げ措置について、令和4年10月以降も継続して実施。
        3. リカレント教育の推進
          • 大学等において、デジタルリテラシーの育成やDX推進のためのリスキリングを目的としたリカレント講座を開発・実施
    2. 地域におけるジェンダーギャップの解消
      • 全国355か所の男女共同参画センターを、人材育成やネットワークを通じて強力にバックアップするため、男女共同参画のナショナルセンターが必須。
      • このため、独立行政法人国立女性教育会館を内閣府に移管。同法人の業務の在り方について、令和4年度に有識者会議において検討。
      • 男女共同参画センターの機能の強化・充実に向け、専門人材の確保、関係機関・団体との連携強化、地域による取組の温度差の解消を強力に進める。
      • 地域女性活躍推進交付金を始めとする国の支援策を活用して、ジェンダーギャップを解消するための地方公共団体の効果的な取組を支援。
      • 「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」について、地域で活躍する女性役員や女性活躍に取り組む経営者が登壇する地域シンポジウムを全国各地で開催。
    3. 固定的な性別役割分担意識・無意識の思い込みの解消
      • 女性の人生の多様化の実態について広く周知し、家庭の役割の重要性と同時に、結婚すれば生涯、経済的安定が約束されるという価値観で女の子を育てることのリスクについて認識を広める。
      • 地方公共団体や経済団体等を対象としたワークショップ等の啓発を強化し、広報担当や管理職、経営層の意識改革と理解の促進を図る。
    4. 女性の視点も踏まえた社会保障制度・税制等の検討
      • 我が国の社会保障制度・税制は昭和時代に形作られたが、令和の時代を迎え、女性の人生や家族の姿は多様化。このため、
        1. 現行の制度は就業調整を選択する人を増やしているのではないか。
        2. 配偶者の経済力に依存しやすい制度は、男女間賃金格差も相まって、女性の経済的困窮に陥るリスクを高める結果となっているのではないか。
        3. 現行の制度は分配の観点から公平な仕組みとなっていないのではないか。
      • という主に3つの観点から、社会保障制度や税制等について検討。
    5. ひとり親支援
      1. 職業訓練
        • 高等職業訓練促進給付金等の拡充措置について成果や課題を検証した上で継続的な実施について検討。
        • 訓練後から就業までの企業との連携の在り方なども含めて総合的に検討し、中長期的な自立につながる支援策の強化。
      2. 養育費
        • 離婚の際に養育費を支払うのは当然のことであるという意識改革を強力に進める。養育費の「受領率」に関する達成目標を定める(現状約24%※母子家庭)。
    6. ジェンダー統計の充実に向けた男女別データの的確な把握
      • 「ジェンダー統計の観点からの性別欄検討ワーキング・グループ」において、各種統計等における多様な性への配慮についての現状を把握し、課題について検討を進め、令和4年の夏頃を目途に取りまとめ。
  2. 女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現
    1. アダルトビデオ出演被害対策等
      • AV出演被害防止・救済法案の審議状況を踏まえ、必要な対応策を講じる。
      • アダルトビデオ出演被害に係る緊急対策パッケージに基づき、集中的な広報・啓発の実施や、学校教育の現場などで教育啓発、各種法制度の運用を強化。
      • インターネット上の性的な暴力、児童買春・児童ポルノ等の根絶に向けて、関係法令の適用により、違法行為に対して、事案に応じたより一層厳正な対処。
    2. 性犯罪・性暴力対策
      • 令和5年度以降の「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」の後継となる方針を令和4年度中に策定。
      • 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの体制強化に向けて、交付金の充実によるワンストップ支援センターの安定的な運営や、相談員の処遇改善を図ることで職業として確立するよう支援。
      • 関係省庁が連携して痴漢撲滅に向けた取組を抜本的に強化するための「痴漢撲滅パッケージ」(仮称)を令和4年度中に取りまとめ。
      • 「生命(いのち)の安全教育」の令和5年度全国展開に向け、令和4年度は教材等を活用した指導モデルを作成、その普及・展開を図る。
      • ハラスメント防止対策の推進(就活セクハラ等)。
    3. 配偶者等からの暴力への対策の強化
      • ワーキング・グループ報告書素案(中間報告)を踏まえ、配偶者暴力防止法の改正が早期に実現できるよう、検討を行い、結論を得る。
      • 生活・就業・住宅・子育てなどの生活再建に必要な手続の見直しなどについて検討事項を夏までに整理、令和4年内に抜本強化策を取りまとめ。
      • 非同棲交際相手からの暴力(いわゆるデートDV)への対応として、予防や一時保護・緊急避難などについて必要な施策の整理を行い、令和4年内に必要な対策を取りまとめ。
    4. 困難な問題を抱える女性への支援
      • 「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」の令和6年4月の円滑な施行に向けて、各都道府県での支援体制の計画的な整備、人材の確保・養成・処遇改善の推進、民間団体との協働の促進など環境整備。
    5. 女性の健康
      • 「生理の貧困」への支援として、地域女性活躍推進交付金や地域子供の未来応援交付金により生理用品提供を支援、地方公共団体の取組の横展開。
      • フェムテックの更なる推進に向けて、薬機法上の位置付け等を整理。実証事業を実施し、働く女性の就業継続を支援。製品等に関連して消費者等から情報提供があれば、関係府省庁間で情報共有し、適切に対応。
      • 予期せぬ妊娠への対応として、緊急避妊薬を処方箋なしに薬局で適切に利用できるようにすることについて、令和4年度はパブリックコメントを実施し、着実に検討を進める。
      • 女性の健康に関する知識の向上に向けて、国が率先して取り組むため、国の職員を対象に研修など様々な機会を通じて周知することを検討。
    6. 夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方
  3. 男性の家庭・地域社会における活躍
    1. 男性の育児休業取得の推進及び働き方の改革
      1. 男性の育児休業取得の推進等
        • 「産後パパ育休」の創設などを内容とする改正育児・介護休業法の段階的施行を踏まえ、ハローワークにおける育児休業中の代替要員確保に関する相談支援や両立支援等助成金の周知等を実施。
      2. コロナ下で広まったテレワーク等多様な働き方の定着
        • コロナ収束後も多様な働き方を後退させずコロナ前の働き方に戻さない。
        • 中小企業におけるテレワークの導入を支援、テレワークに関してワンストップで相談できる窓口を設置。あらゆる地域で同じような働き方を可能とする環境を整えるため、地方創生に資するテレワークを推進。テレワーク推進に関する新たな政府目標を検討。
        • 幹部職員及び管理職が不慣れなことによってオンライン会議が避けられることがないよう、全府省で管理職のデジタル自立を実践。
    2. 男性の育児参画を阻む壁の解消
      1. 男性が育児参画するためのインフラの整備
        • 公共交通機関や公共施設において、ベビーベッド等の男性トイレへの設置、ベビーカー使用者のためのフリースペースの設置を促進。
      2. 学校関連の活動・行事におけるオンライン化の推進等
        • 保護者と学校の間の連絡のオンライン化を進める。PTAや保護者会など学校関連の活動・行事について、男女共同参画の観点から保護者や地域住民が参画しやすい工夫を行っている事例を取りまとめ、横展開。
      3. 子育て・介護など各種行政手続におけるオンライン化の推進
        • 子育て・介護に関する手続のサービス検索及びオンライン申請ができるワンストップサービスについて、令和4年度に地方公共団体における導入を促すとともに、地方公共団体のシステム改修等を支援。
      4. 仕事と子育て等の両立を阻害する慣行等への対応
        • 園と保護者の連絡が電話や紙で行われることなどについて、関係府省に対し対応を働きかけるとともに、使用済み紙おむつや布団の持ち帰りなどについて、令和3年度に実施した「仕事と子育て等の両立を阻害する慣行等調査」において収集した対応例を広く一般に周知。
    3. 男性の孤独・孤立対策
      1. 男性相談窓口の充実強化
        • 全国的に相談対応が行える体制の整備に向け、各地の相談ニーズ等につき実態を把握するとともに、課題を抽出し、具体的な支援方法を検討。男性相談を行っている男女共同参画センターの取組事例について、全国の男女共同参画センターに対して横展開
  4. 女性の登用目標達成(第5次男女共同参画基本計画の着実な実行)
    1. 政治分野
      • 政治分野におけるハラスメント防止のための研修教材について、各議会等における積極的な活用を推進するとともに、令和4年度以降、その活用状況等について、定期的に把握し、「見える化」を図る。
    2. 行政分野
      • 能力及び実績による人事管理を前提としつつ、従来の人事慣行を見直し、女性職員の職域の拡大に取り組む。
      • コロナ前の働き方に戻さないよう、テレワーク等の柔軟な働き方を推進。令和4年度内にフレックスタイム制の見直し等による勤務時間の弾力化や勤務間インターバルの確保の在り方についても検討。
    3. 経済分野
      • 「女性役員情報サイト」において、プライム市場上場企業を始め、市場ごとの女性役員がいない企業の状況や女性役員比率ランキングを掲載。
      • 令和4年度に全国の商工会及び商工会議所における役員の種別ごとの女性割合を一覧化して「見える化」。
      • 公共調達において企業等を加点評価する取組について、取組状況の更なる「見える化」を行い、各機関における取組を底上げ。
      • コース別雇用管理を行う企業に対し、より柔軟な運用に向けた見直しを行うよう周知啓発。転換制度を設けていない企業へ制度を設けるよう働きかけ。
    4. 科学技術・学術分野
      • 給付型奨学金や授業料等減免の制度について、理工系や農学系の分野に進学する女子学生を対象とした官民共同の修学支援プログラムを創設。
      • 入学後の専攻分野の決定(レイトスペシャライゼーション)や、入学後の専攻分野の転換、編入学など早期に文理選択を行う必要のない環境の構築。
      • 女子割合の少ない分野の大学入学者選抜における女子学生枠の確保等に積極的に取り組む大学等に対し、運営費交付金や私学助成による支援強化。
      • 大学への資源配分において、学長、副学長及び教授における女性登用に対するインセンティブを引き続き付与。
    5. 地域における女性活躍の推進
      1. 農業委員や農業協同組合役員等における女性割合の向上
        • 農業委員や農業協同組合、森林組合、漁業協同組合の役員及び土地改良区等の理事に占める女性の割合の向上や女性登用ゼロからの脱却に向けて、地方公共団体、農林水産団体等に対し働きかけ。
      2. 防災分野
        • 都道府県防災会議や市町村防災会議の委員に占める女性の割合の引上げに向けて、防災・復興ガイドラインに基づく取組を全国各地に展開。
        • 消防吏員や消防団員、自衛官、地方警察官など防災の現場等における女性割合の目標達成に向けて、女性の参画拡大の環境整備。
      3. 校長・教育委員会等における女性割合の向上
        • 校長、副校長及び教頭の女性割合について、教育委員会に対して、目標設定を促すとともに令和4年度中にフォローアップ。各学校法人にも、令和4年度中に分かりやすい情報公開を促す。
        • 女性教育委員がいない教育委員会に対し助言を行い、結果を公表。
    6. 国際分野
      • 在外公館の各役職段階に占める女性の割合(令和3年7月現在:公使、参事官以上7.5%、特命全権大使、総領事4.7%)を令和7年までに引き上げる目標(公使、参事官以上10%、特命全権大使、総領事8%)を着実に達成。(省内公募の活用、管理職や管理職候補への中途採用や民間登用の推進等)

【2022年5月】

内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
▼閣僚会議資料 5月
  • 日本経済の基調判断
    1. 現状【表現変更】
      • 景気は、持ち直しの動きがみられる。
      • (先月の判断)景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中で、持ち直しの動きがみられる。
    2. 先行き
      • 先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、中国における感染再拡大の影響やウクライナ情勢の長期化などが懸念される中で、供給面での制約や原材料価格の上昇、金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要がある。また、感染症による影響を注視する必要がある。
    3. 政策の基本的態度
      • 政府は、東日本大震災からの復興・創生、激甚化・頻発化する災害への対応に取り組む。デフレからの脱却に向けて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進に努める。
      • 「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を具体化する令和3年度補正予算及び令和4年度予算を迅速かつ適切に執行する。4月26日に取りまとめた「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」を実行し、ウクライナ情勢などに伴う原油価格や物価の高騰等による国民生活や経済活動への影響に緊急かつ機動的に対応し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとする。新型コロナウイルス感染症の再拡大や原油価格・物価の更なる高騰等による予期せぬ財政需要に対応するため、予備費の確保等を内容とする令和4年度補正予算の早期成立に努める。
      • その上で、新しい資本主義のグランドデザインや実行計画、そして骨太方針2022を6月までに取りまとめ、これらを前に進めるための総合的な方策を具体化する。
      • 日本銀行においては、中小企業等の資金繰り支援に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持する観点から、金融緩和を継続する措置がとられている。日本銀行には、感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行い、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
  • 我が国の実質GDP成長率
    • 2022年1-3月期の実質GDP成長率は、前期比▲0.2%と2期ぶりのマイナス。個人消費は横ばい。設備投資はプラス寄与。一方、供給制約の緩和やワクチン・治療薬の購入などに伴う輸入増加で外需はマイナス寄与、GDP全体としてはマイナス。内需が感染拡大の中でもプラスという姿は、「ウィズコロナ」の下、メリハリのきいた対策を講じ、経済社会活動を極力継続できるような取組の表れ。
    • 輸入物価上昇が内需に徐々に波及し、GDPデフレーターはプラス。
    • 年度でみると、2021年度は前年度比2.1%と3年ぶりのプラス成長。
  • 個人消費
    • 個人消費は、持ち直しの動き。まん延防止等重点措置の解除等を背景に、外食や旅行等のサービス消費は持ち直し。特にGW期間は、3年ぶりに行動制限がない中で、こうした分野を中心に活発な動き。
    • 直近までの週次の消費金額でみると、5月にかけても平年を上回る水準。
    • 一方、物価上昇の下、実質総雇用者所得の伸びは抑制されており、こうした動向が消費に与える影響には注意が必要
  • 物価
    • ウクライナ情勢等を背景とする原材料価格上昇等により、輸入物価は、4月は1974年以来の伸び(前月比)。国内企業物価は、需要段階別にみると、素原材料や中間財は大きく上昇。一方、最終財も上昇し、価格転嫁がうかがえるが、上昇幅は相対的に小さい。継続的な賃上げと価格転嫁が重要。
    • 消費者物価は、エネルギーや食料品の値上げを背景に上昇。4月は、携帯通信料引下げ効果の剥落もあり、前年比2.5%と約30年ぶりの高い伸び(総合指数、消費税増税期間を除く)。変動の大きい生鮮食品及びエネルギーを除いた品目からなる「コアコア」でみても、年率換算で2%程度(前月比0.2%、4か月連続)。
    • 民間調査によれば、今後も光熱費や食料品等の品目で値上げが行われる見込み。
  • 企業収益・設備投資・景況感
    • 1-3月期の上場企業の経常利益は、製造業・非製造業ともに増益となり、コロナ前の2019年を大きく上回る水準。機械製品の好調さや物流の活発化、資材の取引価格上昇の影響などを受け、多くの業種で増益。
    • 設備投資は、持ち直しの動き。ただし、1-3月期のGDP統計によれば、資本財価格等の上昇の下、実質ベースの伸びは名目を下回る。
    • 企業の景況感は、原材料価格の高騰などを背景に、持ち直しの動きに足踏み。
  • 雇用情勢
    • 雇用情勢は、持ち直しの動き。就業者数は緩やかに増加し、失業率は2か月連続で低下。1年以上の長期失業者も前年に比べて減少。
    • 求人は持ち直し。製造業や宿泊・飲食サービス業において求人は増加。ハローワークによるネット経由の日次有効求人も、引き続き増加。
    • 一人当たり賃金は、所定内給与の増加が続いたことなどから、3月は前年比プラス。また、パート・アルバイト募集時の時給についても、幅広い職種において増加傾向で推移。
  • 輸出入・生産
    • 我が国の輸出は概ね横ばい。アメリカや欧州向けは、持ち直しの動きがみられる一方、アジアは中国向けの落ち込みにより弱含み。輸入は、中国の活動制限の影響などから弱含み。
    • 生産は持ち直しの動き。供給制約等により、輸送機械は持ち直しに足踏みがみられる一方、生産用機械や電子部品・デバイスなどが緩やかに増加。足下では、中国での活動制限を受け、国内の様々な業種において、部品・製品調達の遅れや生産活動の停滞が生じており、今後の影響を注視。
  • 世界経済
    • 世界の景気は、中国等で感染再拡大の影響がみられるものの、持ち直し。
    • 1-3月期のGDPは、ユーロ圏、英国では引き続きプラス成長となり、この結果、アメリカ、ユーロ圏に続き、英国もコロナ禍前の水準を回復。アメリカでは生産は緩やかな増加が続き、失業率は欧米ともに引き続き低下。
    • 国際商品市場におけるエネルギーや食料の価格は、ウクライナ情勢等を背景に高水準で推移。
    • 中国では一部都市での厳しい防疫措置を受け、国内の消費、生産などが足下で大きく減少。海運など物流停滞もみられ、供給制約を通じた世界経済への影響に注視が必要。

内閣府 令和4年第6回経済財政諮問会議
▼資料2 今後の経済財政運営について(有識者議員提出資料)
  • 今週、本年1-3月期のGDP速報が公表される。民間機関の見通しでは、コロナの影響の下、実質成長率は前期比マイナスの見込みとなっている。さらに、低成長・低金利・低い物価上昇が継続していた世界経済では、ロシアのウクライナ侵攻を一つの契機に、内外の財・サービス、資金の流れが大きく変化し、我が国の企業活動や国民生活のコストも高まってきている。以下、今後のポリシーミックスの在り方など、短期・中期の経済財政運営に向けて、提案する。
  1. 短期・中期の経済財政運営に向けて
    • 現状、海外への所得流出を伴う物価上昇に加え、民需に力強さを欠く状況にあるほか、ロシアのウクライナ侵攻の長期化に伴い、今後、エネルギー確保や平和維持のコストが拡大していく可能性が高い。こうした中にあって、マクロ経済運営においては、機動的な財政政策、大胆な金融政策のもと、適切な実行を図るとともに、構造変化を牽引しつつ、成長と分配の好循環を拡大していく必要がある。
      1. 経済
        • 短期的には、企業の継続的な賃上げ努力を促すとともに、エネルギーや輸入物価の高騰に伴う国民生活へのダメージの緩和、コロナ禍で影響を受けた観光・サービス消費の下支えなど、必要な激変緩和策を講ずる。
        • その一方、中期的には、民間企業投資(成長)と継続的な所得上昇(分配)により成長力を高めつつ需要創出を促すとともに、今後の成長分野(予防・健康、GX・DX、食料、ソーシャルセクター等)への労働移動を円滑に促していくことが不可欠。これらについても、先延ばしをせず、今から積極的に対処すべき。併せて、比較優位のメリットをこれまで以上に引き出すとともに国内投資を喚起していくという観点から、省エネ・脱炭素を通じた国内所得の海外流出の抑制や同じ価値観を共有する国々との協力関係の強化、さらには、農水産品・インバウンド・中小企業の輸出振興といった取組を強化し、産業の構造変化を促すべき。
      2. 財政
        • 今後、世界的なインフレ基調が続くと見込まれる中、ポリシーミックスにおいても、需要創出・成長促進の観点では財政政策の重要性が増していくと考えられる。財政面においては、必要な者へのセーフティネットに万全を期す中で、経済や国民生活に係る重点を、上記に掲げた構造変化を促すインセンティブ・仕組みの構築、成長と分配の好循環に資する官民投資に移していくべき。
        • 同時に、今後、安全保障をはじめとする安全・安心に係る支出の重要性がより増していくとみられる中、経済・財政効果を効率的かつ最大限に引き出す観点から、予算をはじめとする制度改革を強化するとともに、歳出の効率化を図ることが不可欠。具体的には、事業の性質に応じた基金の活用等による単年度予算の弊害の除去、成果の徹底した見える化、PPP・PFIや共助など公的分野への民間活力の導入拡大、EBPMなくして財政支出なしの考え方の導入、を進めるべき。
        • こうした財政面での取組を踏まえ、財政健全化の道筋、給付と負担の在り方について、しっかりと検証し、進めていくべき。
      3. 今後の進め方
        • まずは、先般策定された「総合緊急対策」を早期に実行し、世界経済の減速懸念など、高まる経済の下振れリスクにしっかり対応し、民需中心の景気回復を着実に実現することで、最低賃金を含む賃上げや価格転嫁など成長と分配の好循環に向けた動きを確かなものとすべき。
        • 新しい資本主義の実行計画や骨太方針をとりまとめ、これらを前進させるための総合的な方策を打ち出すことにより、経済社会の構造変化を日本がリードすることが表明された。人への投資、デジタル、グリーンなど、社会課題の解決を経済成長のエンジンとする新しい資本主義を実現するために不可欠な官民投資を抜本拡大し、供給力強化と持続的な成長に向けた基盤を今こそ早急に構築すべき。
        • 来年のG7議長国として、新しい資本主義の考え方について、その理解を得て世界にアピールすべき。それに合わせて、世界に開かれた貿易・投資立国、世界の脱炭素のリーダーを目指すべく環境整備を強化するとともに、ルールメイキングや経済連携などの国際協調、日本の魅力についての国際発信の強化に取り組むべき。
  2. 来年度予算等に向けて~予見可能性の向上、中期の道筋に向けたPDCAの充実~
    • 機動的な財政政策を実現するとともに、官民連携を強化する観点からは、財政の単年度主義の弊害を是正し、民間投資を引き出すための財政の有効活用が不可欠。
    • 新しい資本主義の実現に不可欠な投資拡大に向け、岸田政権の投資重点分野については、2022年度以降の多年度にわたる計画的な官民投資と税制や規制・制度を含めた改革のロードマップを策定すべき。その際の予算対応として、できる限り当初予算で重点的に措置するなど、民間の予見可能性を高めるべき。また、適切かつ効果的な支出(ワイズスペンディング)を推進するため、EBPMの手法の導入を前提としたPDCAの枠組みをロードマップに盛り込むべき。
    • 年度末の「予算消化」の慣行など財政単年度主義に起因する弊害についても、年度を跨いだ柔軟な執行の中で無駄を排除すべき。また、コロナ禍での累次の補正予算について、その使い道、成果について、しっかりと見える化すべき。PPP・PFIや共助など公的分野への民間活力の導入拡大に向け、新規導入・導入拡大分野を明確にすべき。
    • 中長期試算に示された道筋を確固たるものとする観点から、ベースラインケースについて、日本経済の潜在力や財政の道筋について的確に現状を反映するほか、将来の選択肢を加味する等により、成長実現ケースへの移行に必要な政策対応の検討に資するべき。
    • 成長の源泉が、モノからコト(脱炭素や持続可能性といった社会課題の解決)、有形資産から無形資産(人材・研究開発等)、にシフトしている。GDP統計における無形資産の捕捉強化、各政策分野でのKPIにおけるwell-being指標の取込みを進めるべき。
▼資料3 「経済財政運営と改革の基本方針2022(仮称)」骨子(案)
  • 第1章 我が国を取り巻く環境変化と日本経済
    1. 本基本方針の考え方
    2. 短期と中長期の経済財政運営
      • 当面の経済財政運営(当面のマクロ経済運営、経済社会活動の正常化に向けた感染症対策)
      • 中長期の経済財政運営
  • 第2章 新しい資本主義に向けた改革
    1. 新しい資本主義に向けた対応
      • <計画的な重点投資>
        1. 人への投資
        2. 科学技術・イノベーションへの投資
        3. スタートアップへの投資
        4. グリーントランスフォーメーション(GX)への投資
        5. デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資
      • <社会課題の解決に向けた取組>
        1. 民間による社会的価値の創造
        2. 包摂社会の実現(少子化対策・こども政策、女性活躍、孤独・孤立対策、就職氷河期世代支援など)
        3. 多極化・地域活性化の推進(デジタル田園都市、分散型国づくり、関係人口、中堅・中小企業の活力、農林水産業・
        4. 食料安全保障、観光立国、文化芸術・スポーツ振興など)
    2. 国際環境の変化への対応
      1. 対外経済連携の促進
      2. 経済安全保障の強化
      3. 外交・安全保障の強化
    3. 防災・減災、国土強靱化の推進
    4. 国民生活の安全・安心
  • 第3章 中長期の経済財政運営
    1. 中長期の視点に立った持続可能な経済財政運営
    2. 持続可能な社会保障制度の構築
    3. 生産性を高める社会資本整備
    4. 国と地方の新たな役割分担
    5. 経済社会の活力を支える教育・研究活動の推進
  • 第4章 当面の経済財政運営と令和5年度予算編成に向けた考え方
    1. 当面の経済財政運営について
    2. 令和5年度予算編成に向けた考え方

内閣府 宇宙開発戦略本部 第26回会合 議事次第
▼資料1 宇宙基本計画工程表改訂に向けた重点事項(案)のポイント
  • 我が国の宇宙活動を支える総合的基盤の強化
    • 最近の情勢
      • 世界的にロケット打ち上げの需給がタイト化し、打ち上げ価格の上昇が見込まれる
      • 宇宙光通信ネットワーク等の技術は今後広く活用が見込まれ、経済安全保障上も重要
      • 技術基盤の強化には、プロジェクトを立ち上げてから研究開発する対応では不十分
    • 重点事項のポイント
      • 小型衛星コンステレーションの構築に向け増加する衛星打上げを国内で実施できるよう、H3ロケットのさらなる競争力強化(複数衛星同時打上げを可能にするなど)に向けた研究開発や、打上げ高頻度化に向けた射場等運用システムの整備・改善を進めるとともに、政府による活用等を通じて民間小型ロケットの事業化を促進する。また、将来宇宙輸送システムを研究開発する。
      • 小型衛星コンステレーションによる光通信ネットワーク等の技術について、できる限り早期に実証衛星を打ち上げることを念頭に、我が国が先行して獲得するための取組を行う。また、量子暗号技術など宇宙ネットワーク基盤技術の研究開発を進める。
      • 通信障害などをもたらすおそれのある太陽フレア(太陽表面の爆発現象)等を予測する宇宙天気予報の高度化に取り組む。
      • 日米豪印の4か国による宇宙分野の協力を推進する。
      • 小型衛星の開発等に参画する機会を提供する等を通じて、人材育成を推進する。
  1. 宇宙安全保障の確保
    • 最近の情勢
      • 我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさと不確実性を増しているところ、宇宙空間を活用した情報収集、通信、測位等の能力を一層向上していくことが重要
    • 重点事項のポイント
      • 準天頂衛星システム7機体制を2023年度目処に実現するとともに、情報収集衛星等の宇宙システムを着実に整備する。
      • 極超音速滑空弾(HGV)探知・追尾の実証に係る調査研究など、ミサイル防衛等のための小型衛星コンステレーションについて検討を進める。
      • 宇宙状況把握システムの実運用を2023年度から開始するとともに、宇宙状況監視衛星を2026年度までに打上げるなど、宇宙状況把握の体制強化を進める。
  2. 災害対策・国土強靭化や地球規模課題の解決への貢献
    1. 最近の情勢
      • 災害対策・国土強靭化が喫緊の課題となる中、衛星による貢献の可能性
      • 2050年カーボンニュートラル達成に向けた宇宙からの貢献への期待
    2. 重点事項のポイント
      • 高頻度観測が可能な我が国独自の小型のレーダー(SAR)衛星コンステレーションを2025年度までに構築すべく、関係府省による利用実証を行い、国内事業者による衛星配備を加速する。
      • 線状降水帯等の予測精度向上に向け、大気の3次元観測機能など最新の観測技術を導入した次期静止気象衛星を、2023年度を目途に製造に着手し、2029年度の運用開始を目指す。
      • 温室効果ガス・水循環観測技術衛星(GOSAT-GW)の2023年度打上げを目指すとともに、世界各国によるパリ協定に基づいた気候変動対策の削減効果の確認に活用されるよう、排出量推計方法等の国際標準化に向けた取組を進める。
      • 衛星から地上へのエネルギー伝送の実証を2025年度を目途に目指すなど、宇宙太陽光発電の実現に向けた取組を進める。
  3. 宇宙科学・探査による新たな知の創造
    1. 最近の情勢
      • 月面の有人探査等を目指すアルテミス計画について、米国を中心に取組が本格化
      • 欧米や中国等の火星探査計画が活発化
    2. 重点事項のポイント
      • アルテミス計画に参画し、ゲートウェイ(月周回有人拠点)の機器開発等を進めるとともに、有人与圧ローバ(宇宙服無しで長期間搭乗できる月面探査車)等の研究開発を民間と協働で推進し、米国人以外で初となることを目指して、2020年代後半に日本人の月面着陸の実現を図る。
      • 2029年度の人類初の火星圏からのサンプルリターン実現に向け、2024年度に火星衛星探査計画(MMX)の探査機を確実に打ち上げる。
  4. 宇宙を推進力とする経済成長とイノベーションの実現
    1. 最近の情勢
      • 宇宙産業の拡大には、宇宙利用の拡大とイノベーションの創出の好循環が重要
      • 米国では、ベンチャー企業が宇宙ビジネスの拡大をけん引
    2. 重点事項のポイント
      • 準天頂衛星システムや衛星データを利用した製品・サービスの開発・事業化を目指すベンチャー企業等への支援を強化し、地域の課題解決につながるデータ利用ソリューションなど、宇宙利用の拡大を図る。
      • 政府によるサービス調達等により、ベンチャー企業等の新たな取組を促進する。
      • 宇宙港の整備などによるアジアにおける宇宙ビジネスの中核拠点化を目指して、必要な制度環境を整備する。
      • 軌道利用ルールなど宇宙交通管理の国際的なルール整備に向けて取り組む。

内閣府 第5回 デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ
▼【資料2】 情報商材等に関する消費者被害の現状と法的課題
  • 典型的な事例を類型化すると以下のとおりとなる。消費者は当該情報商材の内容につき、「事業者等から不実告知や断定的判断提供を受け契約に至るケース」に加え(誤認類型)、「焦らされてよく理解しないまま契約に至るケース」や、「SNSでのやりとりを通じて、なんとなく断りがたい気持ちになって契約に至るケース」などもみられる。
  • 検索サイト端緒型
    • 【事例1】検索→ランキングサイト→SNS→通販+電話勧誘
      • 検索サイトの検索→結果に表示されたランキングサイト等にアクセス→同サイト上に上位表示されている副業サイトのQRコードを読み取るなどして、特定のアカウント※とのSNS上でのチャットを開始→当該アカウントからSNS上のチャット等で勧誘→低廉な商材(PDFのマニュアル等)を販売業者のサイトを通じて購入→購入した商材のサポート等と称して、販売業者担当者から電話をかける日時の予約をさせる→当該指定日時に担当者が電話をかけて勧誘をし、高額の商材を販売業者のサイトを通じて購入させる事例
        • ※個人名や情報商材の商品名に関連するアカウント名がみられる。なお、LINEが利用されるケースでは、こうしたアカウントの多くは公式アカウント(グレーバッジ)である。他方、マルチ取引等の事案では、通常のLINEアカウントが用いられているケースもみられる。具体的なSNS上のやりとりの画面については、消費者庁「簡単な作業をするだけで「誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる」などの勧誘により「副業」の「マニュアル」を消費者に購入させた事業者に関する注意喚起」(令和4年4月13日)を参照
    • 【事例2】検索→事業者ウェブサイトを見て自ら電話
      • 検索結果に表示された販売業者のウェブサイトにアクセスしたところ、販売目的を隠匿して電話をかけることを要請する表示があり、これをみて電話をかけた消費者にその電話で高額商材の勧誘をして購入をさせる事例
  • SNS端緒型
    • 【事例3】SNSフォロー後、ウェブ会議システム等へのアクセスを誘導され、同システム上の通話等で勧誘
      • SNS内検索を使い、例えば「副業」関係の情報を発信している特定のアカウント※をフォローする→当該アカウントからダイレクトメッセージが届き「副業」関係のSNSのグループへ招待される→グループ内のウェブ会議システム等を通じて勧誘を受ける→指定されたリンク先にアクセスしてカード決済により会費を支払って当該グループに加入させる事例
    • 【事例4】SNS広告→第三者ブログ→事業者ウェブサイト
      • SNS上に表示される広告から、第三者のブログ等を経て、最終的に販売業者のサイトに誘導され同サイトにおいて高額の商材を購入させる事例
  • 視点
    • 相手方との契約までに多様な立場で複数の第三者が介在して取引を形成している。
    • 相談者(消費者)が契約締結の意思形成をしたのはいつの時点か。その意思形成は誰の影響が大きいのか。
    • 上記の場所は、インターネット上か、対面か/オープンかクローズか(あるいは双方の組み合わせか)
    • 各レイヤーに属する者の法的位置づけは(被害未然防止・回復の観点)
  • 問題の所在
    • 【事例1】、【事例3】及び【事例4】のように、消費者の意思形成過程には、契約当事者たる販売業者のほか、第三者が関与しあるいはその端緒となるケースが少なくない。
    • この際、例えば、SNSでのやりとり等を通じて、第三者と一定の関係性を構築したうえで終局的に契約に至るなど、当該第三者が契約の申込みの意思形成過程に影響を及ぼしていると考えられるケースもみられる。
    • このように、意思形成過程に現れる第三者の特別法の適用関係はどのように整理されるのか。
  • インターネット上で事業者から委託を受けた第三者が宣伝行為をする場合(アフィリエイト等)
    • 例えば、アフィリエイトは、「ASPを通じて、事業者たる販売業者が消費者契約の目的につき、広告宣伝することを委託し、アフィリエイターがこれを受けて、広告宣伝を行う仕組み」であるから、消費者庁の解釈によれば、一般的には「媒介の委託を受けた第三者」に該当する可能性がある。
    • なお、「a事業者が第三者に消費者契約の締結について媒介をすることの委託をしたこと」(1)、「b当該第三者による
    • 法4条に該当する勧誘行為の存在」(2)及び「c上記bにより消費者が契約申込みに至った事実」(2/3/4/5)の立証責任は消費者。
    • とりわけaは、事業者と当該第三者の内部関係であり、消費者がこれを立証することは必ずしも容易ではない
  • 景品表示法 基本的な考え方
    • 景表法の不当表示に関する被規制者は、「供給主体性」および「表示主体性」を充足する必要がある(法5条)。
    • 販売業者等は、外観上、不当表示を第三者が行っていた場合であっても、自らがその表示をしていたといえる場合は、「供給主体性」に加え「表示主体性」も充足していることになり、当該第三者の不当表示につき、措置命令等の対象となる。
    • 他方、専ら広告・宣伝のみを行う第三者は、「供給主体性」を充足しているとはいえないから、当該第三者の表示は同法の不当表示規制の対象とはならない。
    • 本WGで対象とする事案との関係でいえば、消費者の意思形成過程において不当な表示を行ったアフィリエイター※、SNS上の特定アカウント等の第三者の表示が、販売業者等の表示であるといえるのはどのような場合か、その射程は適当であるのかが課題となる。
  • 問題の所在
    • 「第三者」の不当勧誘行為によって、消費者が契約締結に至った場合、消費者契約法5条に基づき当該消費者契約の取り消しによる解決が可能である場合もある。
    • 景表法では一定の第三者の表示を販売業者自身の表示とし、あるいは販売業者自身の表示であることを認定したうえで、販売業者を措置命令の対象とし、特商法では一定の第三者も「販売業者」等に該当するとして販売業者と併せて行政処分の対象となりうる場合もある。
    • もっとも、このような対応は、行政庁が法に基づく報告徴収や立入検査権限を行使することによってこそ可能であるともいえ、個別事案につき、個々の消費者が販売業者と第三者の内部関係を明らかにすることは、容易ではない。
    • また、被害の実情からすれば、その未然防止・回復の観点から、さらに、対象とすべき第三者の範囲が既存の法律の範囲で適切か、当該第三者を特別法の被規制者として明記することの意義などにつき、検討する必要があるのではないか。
  • 問題の所在(誤認類型・威迫困惑類型には必ずしもあてはまらない類型の存在)
    • 情報商材等の事案では、実際には面識のない者とSNS上でやりとりを繰り返すなかで、高額の金員を支払う事例がみられる。
    • こうした結果に至る事情として広告表示や勧誘文言によって契約内容等につき誤認をしたケースのほか、例えば、以下などがみられる。
      1. SNS上等で、焦らされて契約に至ったと思われるケース。
      2. SNS上等でのつながりを形成する時点では、情報商材等の勧誘を受けることは必ずしも認識していなかったと思われるケース
    • これらの事例では、論理的な思考が十分に稼働せずに、ヒューリスティックな判断により契約締結に至っているものもあるように思われる。
    • 実務では、前述のとおり、インターネット上の空間における勧誘によって、「誤認類型」・「威迫困惑類型」にはあてはまらない原因により、消費者の意思形成が歪められて契約に至った」ケースもあるように思われる。しかし、消費者契約法や特商法における各規定は、かならずしも、このような勧誘に対応したものではないと考えられる。
    • そこで、相談事例等の収集・分析を進めた上で、例えば以下などに着目して、インターネット上の空間における勧誘行為につき改めて、調査・検討することも考えられるのではないか。
      1. 「文字ベースと口頭ベース」、「インターネット空間と対面」等、勧誘方法の違いによる消費者の意思形成への影響の差異
      2. SNS上で相互フォローすることの心理的影響
      3. 日常生活におけるスマートフォンやSNSの利用状況(時間など)と信頼性・仲間意識醸成に因果関係
      4. 今後、いわゆるデジタルネイティブ世代(Z世代)が増加していくこともふまえ、同世代特有の心理状況
  • 相手方の特定困難
    • SNSが利用される消費者取引被害は、「意思形成過程において勧誘行為をした特定のアカウント」についてはアカウントID以外に情報がない場合や、「契約の相手方当事者」についても、架空の住所が表示されていたり、実在するのか調査困難な外国法人を名乗るケースなど、相手方の特定に困難を来す場合も少なくない。
    • 表示場所につき、当事者は契約の重要な事項であるから、一連の購買プロセスにおいて「容易に認識することができるような場所」に表示させることを徹底させるべきではないか。
    • 販売業者等の特定困難という事態を回避するためには、特商法11条の表示義務の真正性の担保が重要であることは明らか
    • である。例えば、その具体策として、表示義務の内容につき法人については、「会社法人等番号」(商業登記法7条)又は「法人番号」(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律第2条15項)を表示事項として追加することが考えられる。これらが表示事項となれば、少なくとも当該法人が実在するか否かは容易に調査可能となる。
    • 相手方の特定困難問題につき、契約当事者である「販売業者等」については、法11条の厳格化・執行強化といった方法も考えられる。他方、被害回復の観点からは相手方特定のための開示の迅速性が要求されるといった側面も存在する。そうであれば、「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」第5条の開示請求権(第5条)等も参照にしつつ、例えば「販売業者等」につき、取引DPF提供者との法的立場の比較、社会的な役割等を慎重に検討したうえで、新たな情報開示制度を創設することも考えられるのではないか。
  • 通信販売 問題の所在
    • (1)特商法の当事者の特定に関する表示規制は機能しているか、(2)SNS上でのメッセージは、法12条の「誇大広告等の禁止」の対象となる「広告」に該当するのか、(3)新設された取消権(法15条の4)は通信販売に関するトラブルにどのように活用できるのか、(4)ウェブ上の困惑型勧誘(ウェブ会議アプリを用いた勧誘、グループチャットによる多人数による勧誘、クローズチャットで執拗なメッセージ送信等)の消費者の意思形成に与える影響と現行法の規定の妥当性等が問題となる。
    • 表示主体が、販売業者であり、対象となるメッセージが「販売業者等がその広告に基づき通信手段により申込みを受ける意思が明らか」であって、「消費者がその表示により購入の申込みをすることができるもの」であれば、1対1のクローズ方式であっても該当すると考えられる。もっとも、通信販売における被規制者は販売業者等に限定される。このため、販売業者以外の第三者による不当表示に本条が適用されるのかといった問題は残る。
    • 令和3年改正により、通信販売の規定に新設された「取消権」である。本規定は未施行であり、実務において今度どのように活用できるのか未知数。もっとも、取消権の対象となる表示は、いわゆる「最終確認画面」であって、「提供条件広告」部分(事業者のウェブサイト上の広告表示等)は対象外。また、対象となる表示の内容は、目的物の「分量」、「対価」及び「支払時期」等に限定列挙され、商品や役務の内容に関する表示は含まれていない。
  • 電話勧誘販売 問題の所在
    • 電話勧誘販売では、(1)SNS音声通話サービスや、ウェブ会議アプリの利用は「電話」に該当するか、(2)「廉価商材購入+高額商材勧誘型」(以下「二段階型」という)事案において、2段階目の本丸となる高額契約の締結に際し、販売業者等が電話をかけ、あるいは消費者に電話をかけさせた場合の当該契約の「電話勧誘販売」該当性、(3)購入者が自発的にアクセスした、ウェブ表示に勧誘目的隠匿で電話をかけるように要請がある場合に「電話勧誘販売」に該当するか、といった問題がある。
    • 実務的には「電話勧誘販売ではない」と主張する事業者は存在する、しかし、SNSの音声通話サービス等は、IP電話の一種であり、「電話」に該当することは消費者庁の逐条解説等からも明らかである。
    • 一般的に、商品等の内容な価格等が表示されている事業者のウェブサイト上の表示は「通信販売」の提供条件広告に該当すると解される。電話勧誘販売との関係では、「勧誘目的隠匿型」(法2条3項、施行令2条1号)が問題となるが、ウェブサイト上の表示は、原則として「政令で定める方法」ではないから、電話勧誘販売には該当しないと解さざるを得ない。しかしながら、消費者が当該ウェブサイト上の表示にたどり着くまでの経路や、被害の実態からすれば、本事案についても、被害回復に向けた対応が必要であると思われる。

内閣府 令和4年第5回経済財政諮問会議
▼資料1-1 グローバル経済のダイナミズムを取り込む「成長と分配の好循環」の拡大(有識者議員提出資料)
  • 脱炭素化のグローバルな進展に加え、世界的な物価上昇やロシアのウクライナ侵攻を契機とする国際経済関係の変化など、世界全体で大きな構造変化が起きる中、グローバル経済のダイナミズムを取り込んだ成長力強化はますます重要となっている。
  • まずは、国際的な人流を早期に正常化し、コロナとの闘いの過程で進んだ内向き志向の打破により経済のダイナミズムを取り戻すべき。また、「対外経済面からの収益拡大と所得流出の抑制」と「対日直接投資やサプライチェーンの再構築を契機とした国内民間投資の拡大(貯蓄から投資へ)」を強力に推進することで、グローバル経済を巻き込んだ「成長と分配の好循環」を強化すべき。
  1. 経済社会活動の正常化に向けた準備とVisit Japanの再起動に向けて
    • 活発な海外との往来は、経済活性化の観点からも必要であり、2025年大阪・関西万博も見据え、その準備という観点からも、できるだけ早期の正常化を目指すべき。パンデミックからエンデミックの対応への移行と併せて、段階的に緩和されている水際対策について、一刻も早い正常化を目指す取組を一層強化すべき。併せて、我が国が国際的に持たれている鎖国イメージの改善に取り組み、文化、食などの我が国の魅力と経済社会の正常化についての対外発信の強化を図るべき。
      • 人流の増加に備える観点から、若者含めワクチン接種の促進のための広報強化やインセンティブ策を検討すべき。
      • 諸外国に比して遅れている水際対策(入国者総数上限引上げ、査証なし渡航等)について、合理性がなく、有効性がうすれた段階で早急に緩和するとともに、今後どのような条件を満たせば更なる緩和措置になるか分かりやすく示すことで予見性を高めるべき。
      • 入国に係る手続きの煩雑さ、空港での待機時間の長さなど、海外からの要望が多い事案を拾い上げ、速やかに改善を進めて行くべき。
      • 外国人観光客の大幅な落込みからの回復に向け、観光目的の入国を段階的に再開すべき。JETRO、JNTO、在外公館等とも連携し、ソーシャル・メディアも用いて対外発信を強化し、計画的なVisit Japanプロモーションを実行すべき。
  2. 収益拡大と所得流出の抑制に向けて
    • 我が国の経常収支は、貿易収支の黒字縮小とサービス収支の赤字拡大により、ここ数年黒字の縮小傾向が続いている。電気や素材産業の輸出競争力の低下と通信・コンピューター・情報サービス産業の輸入拡大といった構造的要因に加え、足元、医薬品の輸入増やインバウンドの大幅減、さらには資源価格の上昇等が黒字縮小圧力となっている。また、経常収支の黒字縮小の継続は、金融為替市場にも影響を与えかねない。
      • 対外的ショックに強い経済構造を構築するとともに、上述の旅行収支をはじめ経常収支の黒字幅の縮小をもたらしている要因の改善に向け、以下に取り組むべき。
      • エネルギー価格の高騰は当分の間続く可能性があり、安全性確保を大前提とした早期の原発再稼働、脱炭素を契機とした新エネ投資・省エネ投資等により、所得が海外に流出せず資金が国内で投資され、輸出増にもつながる仕組みに転換していくべき。
      • 通信・コンピューター・情報サービスについては、中長期的視点に立ち、今から人材育成を徹底すべき。高専や大学におけるデジタル人材育成の拡大、日本で就職を希望する外国人留学生の全員就業の実現、DXの実践的リカレント教育の普及等に取り組むべき。
      • 農林水産物・食品の輸出目標の達成に向けた計画的取組の推進に向け、短期的には輸出競争力の阻害要因の早期除去、中期的にはDX活用の加速や専門人材のマッチング・育成等を通じた付加価値強化に取り組むべき。また、現状の飼料・肥料・輸送費等の価格上昇への対応については、激変緩和としての臨時的な措置とすべき。
      • 脱炭素技術の強化に向け、多年度の投資に係る税制・予算を通じた国のコミットメントを見える化し、民間投資を喚起すべき。併せて、サステナブルファイナンス市場を早急に拡大すべき。また、創薬力の強化に向け、コロナ禍で遅れが明らかになった開発薬の実用化に要する治験・審査などの期間の短縮を目指し、税制・予算の支援や規制改革の推進を強化すべき。
  3. 対日直接投資やサプライチェーンの再構築を契機とした国内民間投資の拡大
    • 我が国の貯蓄・投資動向をみると、企業部門では貯蓄超過が継続する中にあって、ここ数年は、貯蓄、純投資額ともに減少するという負の環境が続いている。コロナ禍にあっても増加基調が継続している対日直接投資やサプライチェーンの再構築について、海外とのビジネス往来解禁も契機としながら、民間投資機会を増やし、成長力を高めるべき。
      1. 対日直接投資促進(Invest Japan)
        • 2030年対日直接投資残高80兆円目標の実現に向け、対日直接投資推進会議の下で、イノベーション創出やサプライチェーン強靱化につながる対日直接投資を戦略的に進めるべき。その際、行政手続のワンストップ化・デジタル化、法令や行政文書の英語化、人材確保のための教育・医療などの生活環境の改善などの重点課題について、KPIを掲げ、課題解決を迅速かつ着実に推進すべき。
        • 健康医療、脱炭素など、今後、新市場として成長が見込まれ、グローバルな課題解決にも資する分野については、対日直接投資の重点分野に位置付け、海外との連携を優先的に進めるため、関係省庁によるプッシュ型の支援(コンシェルジュ方式による手続の補助等)を検討すべき。
      2. サプライチェーンの再構築
        • グローバルな生産拠点を用いて比較優位の原理を活かすことは重要であり、我が国の生産活動に欠かせない物資の確保については、国産化、輸入代替と同時に、価値観を共有する国々との経済連携等を通じた調達の多角化等を促進し、サプライチェーンの安定化を実現すべき。
        • 民間投資の促進に向け、対外依存が大きい物資の内訳、国の取組内容等を明確に示すとともに、これらの物資の分散調達を進め、リスク分散を図るべき。併せて、官民協働で対外依存が大きい物資の確保に取り組むための協議会(プラットフォーム)を設け、特定国への依存の低減を進めることも検討すべき。
▼資料2-1 人への投資、官民連携で無形・有形の資本価値を高める(教育、科学技術、社会資本、PPP/PFI)(有識者議員提出資料)
  • 成長と分配の好循環のカギは、国全体として、人的資本や自然や文化も含めた広義の無形資本をしっかりと把握し、それらへの投資を適切な官民連携によって、推進していくことである。現在、民間企業における「人への投資」や無形資産への投資の見える化と積極的評価の仕組みが議論されている。国全体においても、こうした投資は経常的な経費・コストではなく、資産価値を高め、成長の源泉となり得る。財政においても、経常的な政府消費支出とこうした投資を区別し、適切な評価とそれに基づいた投資が重点的にできるようにすべき。また、それらを通じて、民間投資が積極的に誘発されるようにすべき。
  • その基盤となる教育や科学技術の質の向上に向けては、重点分野を明らかにするとともに、多年度にわたる道筋を明確化させることが重要である。また、国民生活や成長の基盤である社会資本が老朽化する中、民間の技術・人材・資金を最大限に活用して整備していく必要がある。成長の源泉としての資本価値の向上に向け、以下提案する。
  1. DXの利活用と教育機会の格差是正、若者活躍等を通じた人的資本の強化
    • 少子化の急速な進展の中、DX等の技術革新の活用や大学改革等をテコとして、国全体の人的資本の厚みを広げ、課題解決と経済成長をともに実現すべき。
      • 現行教育振興基本計画(2018~22年度)の成果と課題を評価し、教育におけるDX利活用、働き方改革、多様な教育人材の確保、教育機会の格差是正等をトータルに実現できるよう、最適な資源配分の方向性とKPIを、次期計画(2023~27年度)において再構築すべき。
      • GIGAスクール構想については、児童生徒の教育、生活等に与えた影響の分析を進めつつ、個人の状況に合わせた活用を推進すべき。
      • 中学・高校生期における産業の仕組みやリスク評価を含めた基礎からの起業家教育、理数・STEAM教育を強化すべき。
      • 大学ファンドによる支援をテコに大学の教育研究やガバナンス・経営の質などを引き上げるべく、基本方針を策定し、競争的な環境の下で支援対象の選定を進めるべき。その他の大学についても、デジタル関係等、今後必要とされる分野の学部創設・再編、地域の特性に応じた大学づくりや学び直しの促進に向け、大学設置基準等の見直し、私学補助金改革を進めるべき。
      • 大学における若手研究者比率は、低下し続けている。若手研究者数の増加に向け、国立大学運営費交付金等のメリハリ付けを強化すべき。また、海外大学との交換留学や単位互換を通じた人材交流、企業や大学などからの海外大学への派遣等を促進し、世界での若者の活躍を支援すべき。
  2. イノベーションや無形資本価値の拡大
    • 今後成長が見込まれる重要分野については、研究開発投資が過少になることのないよう、官民が適切に連携し、多年度にわたるメリハリのついた重点投資を行うことも必要。文化芸術についても、国の重要な無形資本と位置づけ、DX・民間資金・関係人口等を積極的に活用して、地域活性化と成長に結び付けていくことが重要。
      • 量子技術、AI、再生・細胞医療・遺伝子治療、バイオものづくり、クリーンエネルギー、さらには、革新的マテリアル等について、研究開発投資の重点分野とし、官民の投資工程の作成と課題解決に必要な制度改革、予算等のコミットメントを行い、多年度にわたる計画的な投資を含めた官民のロードマップを策定すべき。その際、研究開発やスタートアップ・エコシステムの構築等を効果的に促進する観点から、技術の特性に応じた政策手段の組合せを検討すべき。
      • 次期文化芸術推進基本計画(2023~27年度)において、文化芸術が日本の成長と地域活性化の一翼を担うことを明確化し、官民連携でDXを進めるとともに、関係人口を積極的に活用する等して、可能な分野については積極的に成長産業化すべき。
      • 文化芸術活動の多くが公的支援に支えられてきたが、今後は、寄附や民間資金の活用・拡大が課題。寄附拡大に伴って財政支援を削減されないインセンティブを講じた上でクラウドファンディングや企業版ふるさと納税の活用促進、スタジアムアリーナや国公立の博物館・美術館などへのPPP/PFIの活用等を通じた付加価値拡大を促すべき。
  3. DXの進展を踏まえた社会資本の質の向上
    • 「モノからヒトへ」の流れが進む中、社会資本整備についても、官民連携を強化しつつ、DX・GXと人材育成を前提とした資本整備の充実へと重点を移行していくべき。
      • 社会資本整備に関連する各種計画について、新しい資本主義の基盤としての重点分野のメリハリも付けた上で、横断的に整備・合理化すべき。その際、インフラ老朽化対策が各自治体でバラバラな状況にあり、司令塔機能の強化も含め、予防保全型の取組、ストックの集約化・統廃合、そのための財政支援等の取組を後押しすべき。
      • インフラ整備における新技術の活用については、建設現場の生産性向上、コスト低減等の観点から、デジタル原則を踏まえた規制の一括的・横断的な見直しを推進すべき。その際、インフラ整備の縦割りを克服するため、国と地方、各省庁と民間企業の間における情報・課題共有、人材の確保・移動などに、官民一体となって早急に取り組むべき。
      • 港湾のDX・GXは、成長を支える物流基盤の重要課題である。これまでの改革における課題を踏まえ、分散化した物流機能の集約、デジタル技術の活用、実質的な24時間化等を国家的戦略として国・自治体・民間事業者等が連携して推進し、主要港のハブ化やカーボンニュートラルポートの形成に必要なインフラを計画的に整備すべき。
  4. 社会資本整備への民間事業者の知恵と資金の最大限活用
    • PPP/PFIの抜本的拡充10をテコに、インフラの持続可能性等の地域課題を解決し活力ある地方を実現すべき。
      • PPP/PFIについて新たな推進計画を策定し、民間事業者の活力やチエが今まで以上に発揮されるよう、各府省や独法、地方自治体やPFI推進機構等、それぞれが果たすべき役割を一層明確化するとともに、プラットフォームの形成促進等を通じて、民間事業者の参入と進捗が進んでいない自治体等への横展開を強力に推進すべき。
      • 文教施設や、衛星、地方交通など今後官民連携の手法の拡大が期待される分野で、これまで導入が遅れてきた理由を洗い出し、それに対する適切な対処を行って具体的な案件形成を進め、新分野・領域への拡大と新たなモデル形成を推進すべき。
      • 先行事例から高水準のVFMが見込まれる施設や水道などを横展開の重点分野に位置付け、全国的な横展開を推進すべき。その際、地方自治体における優先的検討規程の活用が進むよう、予算との関連付け、規程の検討状況や事業効果の見える化、若者など地域住民への事例やノウハウの共有等を進めるべき。それ以外の分野についても、PPP/PFIの実施を前提とした各種交付金、地財措置なども組み合わせて、リスク管理を含めた民間活力を引き出し、公共サービスの質の向上と財政効率化の両立を目指すべき。
      • 民間リスクへの適切な対応と官民連携支援の強化に向け、次期計画期間中に、道路等収益の上がりにくいインフラの大量老朽化へのPPP/PFI導入の仕組みを推進すべき。また、コロナ禍における空港コンセッションの経験等を踏まえ、官民のリスク負担の在り方を見直し、適切に措置を講じていくべき。

【2022年4月】

内閣府 統合イノベーション戦略推進会議
▼AI戦略2021 本文
  • 「AI戦略2019」の策定以来これまで政府では、同戦略に掲げる4つの戦略目標を実現すべく、教育改革、研究開発体制の基盤づくり、社会実装、データ関連基盤整備、AI時代のデジタル・ガバメント、中小企業・ベンチャー企業の支援、倫理、その他に関する各種取組を鋭意推進してきている。
  • 2020年6月、2021年5月に実施した同戦略のフォローアップにおいても、施策の進捗率は、それぞれ約87%及び約90%と、各施策はほぼ計画通りに進められていると考えられる状況にあった。しかしながら、効果の発現に時間を要するものがあるとはいえ、人材育成、産業競争力、多様性を内包した持続可能な社会、研究開発等、いずれにおいてもまだ各施策の効果を十分に実感できるまでには至っていないと考えられる。
  • また、この間、我が国では、新型コロナウイルス感染症対策において露呈したデジタル化の遅れを取り戻すべく、政府情報システムのみならず、我が国の社会全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進される状況となってきている。具体的には、本年5月、いわゆるデジタル改革関連6法案が成立したことにより、本年9月のデジタル庁の設置のほか、政府の情報システムの共通的な基盤・機能を提供する複数のクラウドサービス(IaaS、PaaS、SaaS)の利用環境である「ガバメントクラウド(Gov-Cloud)」の早期整備・運用及び地方自治体による活用、地方自治体の業務システムの統一・標準化、個人情報保護制度の見直し等が今後進められる状況となった。一方で、新型コロナウイルス感染症対策は継続しており、それ以前には通常とされてきた生活環境や働き方がリモートを前提としたものに変化してきている。
  • その他、米中におけるAIの世界リーダーに関する覇権争いは、一層先鋭化するとともに、自然言語処理分野におけるBERT、GPTに代表されるように、AIの研究開発においても大きなブレークスルーがあった。また、AIを活用したサービスやシステムの導入が多くの分野で促進され、国内外のAI関連市場も拡大傾向にあるが、その一方で、AIの倫理に関する課題も顕在化し、複数のサービスが停止または見直しに至るなどしている。
  • こうした2年間のAIに関する国内外の環境変化や施策の進捗状況、特に、継続して新型コロナウイルス感染症への対応が必要となっている状況及びクラウドシステムを前提とした情報システムへの変革、を踏まえ、データの取扱いを含め、どのようにAIの社会実装を進めることが社会的・経済的効果を実感できるものとなるのか、そのために解決すべき課題は何か、改めて詳細な検討を加える時期に来ている。
  • ついては、「AI戦略2019」が掲げた戦略目標の早期実現に向けて、歩みを止めることが無いよう、これまでの施策の進捗状況についてのフォローアップと上記の環境変化等を踏まえたうえで継続的に取組む施策等を取りまとめ、「AI戦略2021」として推進していく。
  • これらに加え、本年度は、これまで前提としてきた社会・経済システムが大きく変革していること、諸外国におけるAI関連の動きが加速していること等を踏まえ、我々の社会生活に真に役立つAIの社会実装の促進に重点を置いた、新たな戦略の策定を進めていく。
  • 戦略のスコープ
    • 本戦略における「人工知能(以下、「AI」という)」とは、知的とされる機能を実現しているシステムを前提とする。近年のAIは、機械学習、特に深層学習(ディープラーニング)に基づくものが中心であるが、AI関連の技術は急速に進展しており、機械学習に基づく技術に限定してAIの定義とすることはしない。
  • 戦略の目的
    • 本戦略の目的は、Society5.0の実現を通じて世界規模の課題の解決に貢献するとともに、我が国自身の社会課題も克服するために、今後のAIの利活用の環境整備・方策を示すことである。
    • 世界への貢献と課題克服、さらには、その先の、我が国の産業競争力の向上に向けて、AIを取り巻く、教育改革、研究開発、社会実装などを含む、統合的な政策パッケージを策定する。
    • さらに、新型コロナの蔓延で顕在化した、我が国の官民双方でのデジタル化の致命的な立ち遅れ、非常事態における対応体制に関わるデータ連携やデータアクセスへの制度不備や統治機能の不全など、パンデミックや大規模災害が想定される我が国としては見逃すことができず、緊急の対応が必要である。この非常事態、さらにその発生が予見される切迫した事態における対応は、新たに戦略目標として追加することが必要であると認識した。
  • 戦略の背景となる理念
    • 2019年3月、政府は、「人間中心のAI社会原則」を取りまとめた。これは、AIの発展に伴って、我が国が目指すべき社会の姿、多国間の枠組み、国や地方の行政府が目指すべき方向を示すものであり、その基本理念として、
      1. 人間の尊厳が尊重される社会(Dignity)
      2. 多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会(Diversity & Inclusion)
      3. 持続性ある社会(Sustainability)
        の3点を定めている。本戦略は、これらの基本理念を尊重する。
  • 戦略の推進にあたっての基本的考え方
    • 基本理念を実現するため、すなわち、「多様性を内包した持続可能な社会」に向けて、AIを含めた新たな技術の導入と、その導入と並行した社会システムの変革が重要である。さらには、AIの導入によって、国民一人一人が具体的な便益を実感でき、新たな技術や社会システムが広く受け入れられていくことが不可欠である。
    • 加えて、Society5.0の実現を進める中で、我が国の国際的プレゼンスの向上と、産業競争力の抜本的強化を図っていかなければならない。その際、「人間中心のAI社会原則」を踏まえ、性別、年齢、政治的信条、宗教等の多様なバックグラウンドにかかわらず多様な人材が、幅広い知識、視点、発想等に基づき、貢献できるようにすることが重要である。
    • 国は、以上の観点を念頭におき、総合的なコーディネーターとして、以下の点にも留意しつつ、本戦略に記載される各種施策を着実に推進していく必要がある。
      1. 国家の最大の使命は、そこに暮らす人々の生命と財産を守ることであり、パンデミックや大規模災害なども含めた非常事態に迅速に対応できる体制とシステムの構築が必須であり、この分野の立ち遅れを早急に是正し、十分な基盤と運営体制を構築することが必要であること
      2. 産業の担い手は民間企業であり、民間企業がその力を発揮するために、基盤の整備(人材の育成と呼び込み、研究開発の促進、産業基盤の整備・事業化支援)、新たな技術の導入を加速する制度の構築と阻害要因の除去、多国間の枠組みの構築などが不可欠であること
      3. AIシステムの実装には、大規模データを収集・蓄積し、アクセスする基盤、超高速通信網、センサー群、ロボット等が必要であること
      4. AIの社会受容には、サイバーセキュリティやAI倫理を含む、システムの安全性や健全性を担保する技術の開発や実装、AIに関わるリテラシーの向上及び開発者・運用者とユーザの間での適切なコミュニケーション、さらにはAIの具体的な便益が感じられることなどが重要であること
  • 戦略目標
    • 本戦略では、以下の戦略的目標を設定する。
      1. 戦略目標0
        • 我が国が、パンデミックや大規模災害に対して、そこに住む人々の生命と財産を最大限に守ることができる体制と技術基盤を構築し、それを適正かつ持続的に運用するための仕組みが構築されること。
        • 新型コロナによるパンデミックは、その一定の収束まで一定の時間ときめ細かな対応が必要となる。同時に、これが最後のパンデミックではなく、将来においても新たなパンデミックの発生を前提とする必要がある。
        • また、首都直下型/南海トラフ地震、大型化する台風や水害など、まさに大規模災害等の非常事態、さらにそれが予見される非日常で切迫した事態が頻発することを想定する必要がある。新型コロナへの対応で露見したのは、我が国のデジタル化の信じ難い遅れであり、これは官民双方に見られる。また、これら非常事態の対応に関する体制や法体系も整備されているとは言い難い。本AI戦略に関わる部分においても、各種データのオーナーシップの不明確さ、紙ベースの情報伝達など、AI戦略以前の問題が山積している。この問題は、一刻の猶予もなく是正するべきであり、デジタル庁の発足とそれに伴う一連の法体系の整備を反映し、日本の人々の命と財産を守ることに資するAI関連の研究開発と迅速な実用化を目指す。この戦略目標は、今回あらたに加えられた目標であり、今年度は、現行プログラムを中心にできる限りの対応を行い、2022年度以降、一連のプログラムの立ち上げを検討する。
      2. 戦略目標1
        • 我が国が、世界で最もAI時代に対応した人材の育成を行い、世界から人材を呼び込む国となること。さらに、それを持続的に実現するための仕組みが構築されること。
        • 「AI時代に対応した人材」とは、単一ではなく、最先端のAI研究を行う人材・AIを産業に応用する人材・中小の事業所で応用を実現する人材・AIを利用して新たなビジネスやクリエーションを行う人材などのカテゴリーに分かれるが、いずれにしても、各々のカテゴリーでの層の厚い人材が必要となる。
        • 人材の増大には、女性も含む多様な人材や、海外から日本を目指す人々も含め、それぞれの層に応じた育成策、呼び込み策が重要である。そのため、今後、先進的な教育プログラムの構築が重要であり、さらに、これを海外にも提供できるレベルにまで充実させることも必要になる。
        • 日常生活では、より有効にAIを利用することで、生活の利便性が向上し、従来ではできなかったことができるようになる。ただし、そのためには、AIに関するリテラシーを高め、各々の人が、不安なく自らの意志でAIの恩恵を享受・活用できるようにならなければならない。
      3. 戦略目標2
        • 我が国が、実世界産業におけるAIの応用でトップ・ランナーとなり、産業競争力の強化が実現されること。
        • サイバースペース内で完結することがなく、人、自然、ハードウェアなどとの相互作用を通じて初めて価値が生み出される、「実世界産業」領域には、未だに系統的に取得されていない膨大な情報が含まれている。
        • 本領域において、多くの場合には、サービス・プラットフォームを軸とした高付加価値型産業への転換を促進することが極めて重要であるため、それに資するAI関連の開発支援、制度設計、社会実装に係る基盤形成を進め、産業競争力の向上と、世界のトップ・ランナーとしての地位の確保・維持を目指す。これはAI戦略以外の政策も連動した上で実現する目標となるが、AI戦略が重要な部分を担っていることは間違いない。産業競争力の尺度としては、労働生産性などが考えられる。参考として、今後10年程度で、その時点の米国、ドイツ、フランスなどと同等の労働生産性水準に到達するには、我が国は、6%強の名目労働生産性の成長率を10年間維持する必要があり、極めて大胆な産業構造の変革が必要であることが明確である。併せて、当該領域を通じた、世界規模でのSDGs達成に貢献する。例えば、SDG9で持続可能な産業化の促進とイノベーションの推進について掲げられているように、イノベーションを通じて持続可能な産業の促進やSDGsの達成に貢献することができ、その中で、AIは重要な役割を果たすことができる。
        • 加えて、公的サービス分野でAIを応用することにより、サービスの質の更なる向上、就労環境の改善、そして、究極的には財政の負担低減を目指すことも重要である。
        • なお、e-commerceやSNSなどのサイバースペースでほぼ完結するタイプのサービス産業については、今後の検討課題である。
      4. 戦略目標3
        • 我が国で、「多様性を内包した持続可能な社会」を実現するための一連の技術体系が確立され、それらを運用するための仕組みが実現されること。
        • 女性、外国人、高齢者など、多様な背景を有する多様な人々が、多様なライフスタイル実現しつつ、社会に十分に参加できるようになることが極めて重要である。AI関連の多様な技術体系の確立とそれを使うための社会の制度・仕組み作りを進め、国民一人一人が、具体的に便益を受けることができることを目指す。
        • また、この戦略目標は、日本国内のみを想定したものではなく、SDGs達成へ貢献するため、地球規模でこれを推進する前提で実行に向けた計画を策定することが重要である。
      5. 戦略目標4
        • 我が国がリーダーシップを取って、AI分野の国際的な研究・教育・社会基盤ネットワークを構築し、AIの研究開発、人材育成、SDGsの達成などを加速すること。
        • 経済・社会のグローバル化が急速に進む中、AI関連の人材育成・確保や産業展開などについては、決して国内で完結することはなく、常に国際的視点を有しなければならない。例えば、人材育成・確保では、海外の研究者・エンジニアが日本国内で活躍できる場を数多く提供するとともに、我が国と海外との共同研究開発・共同事業を増大させる必要がある。
        • このため、北米・欧州地域の研究・教育機関、企業との連携強化に加え、今後の成長が見込まれる、ASEAN、インド、中東、アフリカ等との連携を本格化し、当該地域のAI研究・実用化の促進に貢献する。これを実現するには、AI研究開発ネットワークの中核センターなどが、各々の重点領域において、どの領域で世界一の研究を行うのか、また、創発的研究において、どのように人材やテーマの多様性など国際的に人材をひきつけるかの方策を明確にする必要がある。
        • また、健康・医療・介護や農業、スマートシティなどの領域においても、人材、データ、市場の面で、相互にメリットを有する規模感の国際的連携・協力を目指す。
  • 官民の役割分担
    • 本戦略の実現には、官民の一体的取組が不可欠である。このうち国は、以下のような取組を行うことにより、今後の新たな社会(Society5.0)作りのための環境を整備し、民間が行う、生産性の向上、多様な価値の創造、スタートアップ企業群の創出や、それらを通じた産業構造のたゆみなき刷新をサポートする。
      • 戦略の策定と、それを実現するためのロードマップの策定
      • 制度的・政策的障害の迅速な除去
      • マルチステークホルダー間での課題解決のためのネットワークの構築
      • 国内外を包含した人材育成
      • 社会構造変革及び国家存続のための社会実装
      • 基盤的な研究開発、次世代の基礎研究
      • AI利活用の加速に向けた、共通的な環境整備
      • 倫理、国内・国際的なガバナンス体制の形成
      • 「グローバル・ネットワーク」のハブ作り
    • 他方、民間セクターは、本戦略の趣旨をしっかりと理解するとともに、AI社会原則を遵守し、優秀な人材に対する国際的競争力のある報酬体系の導入を図りつつ、他国・地域との国際連携や、多様なステークホルダーとの協働を推進する必要がある。そして、未来を共創するために、大きなチャレンジを行う主体としての自覚を持ち、今後の経済・社会の発展に積極的に貢献していくことが求められる

内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議
▼閣僚会議資料(4月)
  • 日本経済の基調判断
    1. 現状 【上方修正】
      • 景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中で、持ち直しの動きがみられる。
      • (先月の判断) 景気は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられる。
    2. 先行き
      • 先行きについては、感染対策に万全を期し、経済社会活動が正常化に向かう中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要がある。また、感染症による影響を注視する必要がある。
  • 政策の基本的態度
    • 政府は、東日本大震災からの復興・創生、激甚化・頻発化する災害への対応に取り組む。デフレからの脱却に向けて、大胆な金融政策、機動的な財政政策、成長戦略の推進に努める。
    • 「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を具体化する令和3年度補正予算及び令和4年度予算を迅速かつ適切に執行するとともに、3月4日に取りまとめた「原油価格高騰に対する緊急対策」を着実に実行する。加えて、ウクライナ情勢などに伴う原油価格や物価の高騰等による国民生活や経済活動への影響に緊急かつ機動的に対応し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとするため、「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」を4月中に取りまとめる。
    • 日本銀行においては、中小企業等の資金繰り支援に万全を期すとともに、金融市場の安定を維持する観点から、金融緩和を継続する措置がとられている。日本銀行には、感染症の経済への影響を注視し、適切な金融政策運営を行い、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を実現することを期待する。
  • 個人消費
    • 個人消費は、持ち直しの動き。外食や旅行等のサービス消費は、まん延防止等重点措置解除もあり、持ち直しの動きがみられる。消費金額を週次でみると、4月にかけて徐々に改善。
    • 交通機関の利用実績は、3月は上昇し、GW期間の鉄道の予約状況も前年を上回る。
    • 一方、消費者マインドは、生活関連品目の価格上昇等を背景に、弱含んでおり、今後の消費に与える影響には注意が必要。
  • 物価
    • 原油や穀物などの国際商品価格はウクライナ情勢を背景に引き続き高い水準で不安定な動き。国内企業物価は上昇が続いており、価格上昇品目にも広がりがみられる。
    • こうした中、販売価格を引き上げる動きもみられており、販売価格DIは1980年以来の高水準。ただし、仕入価格DIも引き続き上昇、価格転嫁の程度を表す疑似交易条件(販売価格DIと仕入価格DIの差)は悪化しており、企業収益への影響に注意が必要。
    • 消費者物価は、エネルギーや食料品価格の上昇を主因に、上昇率が高まっている。
  • 景況感・企業収益
    • 企業の景況感は、持ち直しの動きに足踏み。日銀短観3月調査によると、前回12月調査から低下。感染症の影響や原材料高を背景に、宿泊・飲食サービスをはじめ、多くの業種で低下。先行きもウクライナ情勢を背景に低下。
    • 民間機関の調査によると、ロシア・ウクライナ情勢に対して、既に燃料価格の高騰等の影響が出ており、今後も幅広い業種でマイナスの影響が予想されている。
    • 2022年度の経常利益は、2021年度と同程度の利益が見込まれているものの、一部の製造業では、前年度比マイナスの見込み。
  • 輸出・生産
    • 我が国の輸出は概ね横ばい。弱含んでいたアジア向けが、中国の生産活動の持ち直し等を背景に横ばいとなり、アメリカや欧州向けも横ばい。2月の輸出では、半導体製造装置などの一般機械やプラスチックなどの化学製品がプラスに寄与。
    • 生産は持ち直しの動き。生産用機械や電子部品・デバイスなどが緩やかに増加。工作機械受注は、内外需ともに底堅い動き。
  • 設備投資
    • 設備の過剰感は、日銀短観3月調査によると、製造業・非製造業ともに概ね解消。2022年度の設備投資計画は、引き続き前年より増加し、特にソフトウェア投資が大きく増加する見込み。ただし、業種別にみると、運輸・郵便や卸・小売など非製造業の一部で前年度比マイナス。
    • 利益水準に比べて設備投資の水準が低い傾向が続いていたが、今後の利益改善が積極的な設備投資につながることを期待。
  • 雇用情勢
    • 雇用情勢は、弱い動きとなっているものの、就業者数及び失業率は概ね横ばいで推移。就業率は全体として横ばいであるが、25~64歳の女性は上昇傾向。
    • 雇用の過不足感が、幅広い業種で不足超となる中で、ハローワークによるネット経由の日次有効求人件数は、前年比で増加が続いており、求人は持ち直しの動き。
    • 2月の一人当たり賃金は、人手不足などを背景としたパートタイム労働者の所定内給与の増加などから、前年比プラス。2022年春季労使交渉について、連合の第4回回答集計では、賃上げ率は2.11%(うちベアは0.62%)と昨年を上回る状況。
  • 世界経済
    • 世界の景気は持ち直し。IMF見通しでは、22年の世界全体の成長率は+3.6%と引き続きプラス成長だが、ウクライナ情勢による不透明感を背景にこれまでの見通しを下方修正。
    • 国際商品市場における価格上昇等を背景に、先進国、新興国ともにインフレ率は一層上昇。欧米の消費者マインドはこのところ低下。
    • 中国は、感染の早期抑え込みと減少を目指す「ダイナミックゼロ」の方針の下、一部都市で厳しい防疫措置を実施。企業マインドの低下、消費の下押し等がみられており、動向に注視が必要。

内閣府 令和4年第4回経済財政諮問会議
▼資料1-1 DXを活かした地方創生と地方行財政改革に向けて
  • コロナ禍において、東京への人口純流入の動きには歯止めがかかったものの、多くの地方公共団体で人口減少と若年人口の流出の動きが続いている。
  • 地域活性化に向けては、「集中から分散へ」がカギであり、大学を拠点としたイノベーション・エコシステムの強化や、一次産業・中小企業の活性化等を通じた雇用機会の拡大、脱炭素やサプライチェーンの再編等を契機とした国内投資の拡大が不可欠。そのためには、デジタル田園都市国家構想の下、全国隅々へのデジタル実装を進め、地域内外の多様な人材を活用することが重要となる。また、そうした動きを加速するためにも、多様な広域行政を含め、DXを前提とした地方行財政改革を推進する必要がある。
  1. 地方の輸出力、イノベーション力、無形資産価値の強化による雇用創出等
    • 地方の輸出力、イノベーション力、無形資産価値の強化に重点を置き、地域の特性を最大限に生かした雇用創出、新たな付加価値創造を促すべき
    • 世界的な部品不足の中、DXの活用、商社機能による橋渡しを通じて、世界の需要ニーズにこたえ、輸出競争力を強化するとともに、事業の新陳代謝を促し、地域中小企業を再生すべき。
    • 各地方大学や学術機関においては、それぞれの地域課題の解決に向け、オープンイノベーションと国際的人的ネットワークを備えた知的拠点となるよう、産学連携の強化、調達支援等の工夫を通じ、スタートアップや高度人材の集積を推進すべき。
    • DXの活用や副業・兼業の促進、関係人口の拡大により、内外の知恵を各地域に集結させ、雇用創出・付加価値創造を促すべき。そのためには、新規就農を進めるほか、一次産業の高度化・輸出産業化を積極的に推進すべき。その際、農地の所有・利用に係る国家戦略特区や国公有林の樹木採取権制度等の利活用を通じて企業経営の参入を促し、継承者不足や投資不足を解決すべき。
    • 地方では、脱炭素が投資拡大の契機となる。地方自治体のグリーン事業の推進のためのグリーン地方債等の発行拡大に向け、発行団体・債券保有者双方へのインセンティブの強化等を推進すべき。また、林業の脱炭素社会への寄与と成長産業化の両立に向け、新技術による生産性向上や木質資源の利活用を推進するほか、森林REITの組成等を含め、地方への民間資金の流れを強化するため、必要な制度整備や人材確保の方策等についても検討すべき。
    • コロナ禍で縮小したインバウンドの復活に向け、大阪・関西万博の開催も見据えて観光振興を推進していくべき。その際、コロナ禍で進んだデータ利用の取組も生かして、重要な無形資産として位置付けられるべき日本の文化・自然等が、地方経済や地方の生活に新たな付加価値を生み出し、結果としてこれら無形資産への再投資にもつながるような仕組みを検討・構築すべき。
  2. 関係人口の拡大と多様化
    • 地方では労働人口が大きく減少する中、上記1.に掲げた分野における多地域での居住、兼業・副業等の就労機会の拡大に加えて、オンラインでの交流も含め、多様な関係人口の拡大と関係人口の積極的な地域との交流が重要となる。
    • 関係人口拡大に向けては、多地域居住者等の動向をデジタル等で把握できるようにするとともに、多地域居住者等へのサービス提供の実態把握とふるさと納税等を活用した負担共有の仕組みを展開すべき。
    • 単に関係人口の数を増やすのではなく、いかに地方企業や地域人材との交流や連携を増やすかが地域活性化の大きなカギとなる。各地方公共団体は上記の実態把握のデータも生かしながら、各地域の大学と連携して大学を交流のハブとしたり、図書館や公民館等を交流の場として提供する等、交流や連携を積極的に促進すべき。
    • 地域内外の移動・滞在が多様化する中、利便性の高い公共交通と住居の提供が重要となる。地域公共交通における自動運転技術の導入やサブスクリプションの自由化をはじめとするダイナミック・プライシングを進めるべき。また、空き家の利活用を推進すべき。
  3. 未来を見据えた地方行財政改革
    • 人口減少・少子高齢化が進む中、業務のDXを大胆に進め、行政の機能を集約し、効率的かつ効果的に公的サービスを提供できるようにすべき。
      1. 業務の効率化
        • 地方行財政のDX接続、マイナンバーの徹底利活用の検討に加えて、地方自治体事務のコード化による業務共通化及び予算決算内容の縦覧性確保など、行財政全体を俯瞰・見える化が急務。
        • 公的給付の迅速かつ確実な支給にむけ、特定公的給付制度を拡張し、マイナンバーを用いた世帯の所得や公的サービスの受給等を把握する仕組みの構築を検討すべき。
        • 業務の効率化、簡素化の徹底に向け、国・県・市町村間の紙ベースの行政手続きとその重複を一括検証・是正すべき。また、国は法令上の新たな計画等の義務付け・枠付けについて必要最小限とするとともに、既存の計画との統合や他の地方公共団体等との共同策定ができることを原則とすべき。
      2. 広域行政化
        • 執行段階の事務の広域化は進んでいるが、計画・企画立案に係る業務は進捗していない。また、DXの進展の中で、今後、地域間の各種公共サービス格差が拡大することも懸念される。市町村連携、都道府県による市町村業務の補完・支援体制の強化等に向け、サービスの地域間格差等を目安にして、国等が広域行政化の更なる取組を後押しする仕組みを検討すべき。
        • 人口の移動が特に多い東京圏では、国とも連携し、東京圏全体として継続的に公共サービスの提供に係る協力・調整を行う体制の構築に着手すべき
        • 地方制度調査会の審議において、10~20年先の地域住民サービス(行政需要や老朽インフラの維持・管理、福祉需要等)の受益と負担のバランスを見据え、国・地方、自治体間の連携体制の在り方が明確化されることを期待。
      3. 2023年度予算に向けて
        • コロナ対応として行われた国から地方への多額の財政移転について、事業実施計画や決算等を踏まえて、その内容と成果の見える化を実施したうえで、成果と課題の検証をすべき。
        • 税収改善が見込まれるが、一般財源の総額について前年同水準を実質的に確保するとの目安に沿って対応すべき。また、早期に地方財政の歳出構造を平時に戻していくべき
▼資料4-1 成長と分配の好循環実現に向けた社会保障改革
  • ウクライナ情勢をはじめ、国際的な経済環境が大きく変化する中にあって、新型感染症の影響も続いている。新型感染症によって経済を停滞させることのないよう、ワクチン接種を加速するとともに、本年6月策定予定の感染症対応の体制強化策に基づき、国の司令塔機能の強化も含めて万全の体制を早急に構築すべき。
  • また、成長と分配の両面で、社会保障機能の強化は重要な役割を果たす。「人への投資」の拡大を通じて成長を牽引し、健康・予防や医療・介護分野でDXを含めたイノベーションを創発し成長市場を拡大するとともに国民生活のQOLを高める。分配面では、全世代型社会保障の下での現役世代の給付拡充・負担軽減、性別や正規非正規間の働き方の違いによる賃金格差の是正を通じて、可処分所得を拡大することが重要。その際、人への投資について、制度や財源ごとに仕組みが分かれていることで、子育てと仕事の両立、労働移動に向けた人的能力向上の障害とならないよう、その改善に向けて早期に取り組むことが不可欠である。
  • 同時に、社会保障分野でのDXの徹底を通じて、QOLや生産性を引き上げつつ財政負担を抑制するよう、経済・財政一体改革を継続・強化すべきである。こうした認識に立ち、以下、提案する。
  1. セーフティネット強化と積極的労働市場政策による人への投資
    • 若者、女性、高齢者など全ての人が、能力を最大限に発揮して活躍し、所得向上や雇用面での待遇改善を図ることが重要である。このためには、人手不足の状況の下、経済情勢を踏まえつつ、雇用維持から能力強化と兼業・副業を含む労働移動に重点を移していく必要があり、次の改革に取り組むべき。
      • 雇用保険の被保険者であっても受給資格を満たさない非正規雇用者の実態を把握し、例えば、失業給付要件の緩和や職業訓練の充実等、セーフティネットの強化に万全を期すべき。
      • 雇用保険の被保険者を対象とする「教育訓練給付」、「公共職業訓練」と、雇用保険を受給できない者を対象とする「求職者支援制度」を、制度横断的に公平性や効果最大化の観点から整理・見直しを行い、働く意思があれば、有業・無業、雇用形態を問わず、誰もがスキルアップできるよう取組を強化すべき。また、内閣府・厚生労働省で進めている公共職業訓練の効果分析の成果も活用しつつ、より効果的な積極的労働市場政策を実施すべき。
      • 育児休業給付は、支給対象が雇用保険の被保険者に限定されている。必要な者には、制度にかかわりなく、子供の養育のために休業・離職していずれ復職するまでの間、給付が行われるようにすべき。また、育休を必要なときに機動的に取得できる環境づくりを目指し、まずは、男性、非正規雇用者の育休取得率の改善等、改正育児・介護休業法に基づく取組を政労使で徹底して推進すべき。
      • 上記の雇用や子育て関連の追加的給付の提案実現には、歳出効率化も含め、新たな財源が必要となる。人への投資が成長の源泉となる中、財源の在り方についても、給付と負担の対応関係、新たな機能に対する適切な官民の役割分担、可処分所得への影響といった観点を踏まえて検討を進め、早期実現を図っていくべき。
  2. 全世代に対応した社会保障・こども政策
    1. 誰もが安心できる全世代型社会保障の構築
      • 我が国は、2025年に全ての団塊世代が後期高齢者となる。また、20年後の2042年には、65歳以上の高齢者数が最多となり、高齢化率は36%を超える。少子高齢化が加速する中、多くの高齢者が支え手に回るとともに、若者・女性の活躍を支援することが不可欠。2025年にかけての後期高齢者の急増、2040年以降の高齢化のピークを見据え、その間の局面ごとの人口動向の変化を踏まえつつ、必要な課題を整理し、改革事項を工程化すべき。
      • これまで議論の中心であった年金・医療・介護、少子化対策に加え、予防・健康づくり政策、雇用政策や住宅政策、更には財政負担を軽減する共助の強化、を一体として検討・改革すべき。併せて、給付と負担の在り方を見直し、現役世代の社会保険料負担の増加を抑制するとともに、将来世代に負担を先送ることのないようにすべき。
      • 今後、地方圏での急速な人口減による担い手確保の問題、さらに大都市圏での高齢者数の増加、特に、東京圏における介護需要増への対応が大きな課題となるなど、全国一律ではなく、地域特性に応じた対応を講じるべき。
    2. こども家庭庁の発足に向けて
      • 少子化に歯止めをかけるとともに、教育格差等による世代を超えた貧困の連鎖をなくすことは、こども家庭庁の重要なミッションである。未来を担うこどもへの投資、生活の苦しい子育て世帯への教育機会や居住への支援がとりわけ重要である。来年4月に発足するこども家庭庁には、その一元的な推進役としての十分な機能が求められる。
      • こども政策は、未成年期における保育や学校教育にとどまることなく、若い世代の就労や居住環境、結婚・出産・子育てに至るまでの環境整備を包括的に対象とし、その一元的な推進・調整のために、来年度に向けて、こども家庭庁に人材や予算をしっかり集約・確保すべき。
      • 関係省庁の協力の下、地方自治体が独自に展開している事業を含め、国・地方のこども政策の全体像を把握し、EBPMを徹底して施策を推進すべき。
  3. 医療・介護サービス改革の継続・強化
    • 社会保障の充実と成長力強化の両面に資する経済・財政一体改革について、改革工程表に基づき着実に推進し、医療・介護費の適正化を進めるとともに、DXを含む技術革新を通じたQOLや生産性の向上等に取り組むべき。
      • 新型感染症対応のこれまでの経験や検証を踏まえ、コロナ入院患者受入医療機関に対する財政支援の手法については、従来の交付金等から、より簡便かつ医療費として「見える化」される診療報酬による災害時の概算払いを参考に見直しを図るべき。また、投薬をはじめとする受診行動の変容を踏まえ、通院回数削減による患者負担軽減を図るため、リフィル処方箋の使用を、患者側の希望を確認・尊重する形で促進し、保険者へのインセンティブ措置も活用して、一気に普及・定着を図るべき。
      • 地域医療構想について、民間医療機関も含めた各医療機関の対応方針の策定や検証・見直しを着実に進め、医療機能の分化(入院・救急を中心とする高次機能の集約化と在宅医療を含めたかかりつけ機能への分化)を大きく推進していくべき。その際、ガバナンス強化のために医療法上の都道府県知事の権限強化を図るべき。
      • 国保の普通調整交付金の配分については、所得調整機能の観点や、加入者の性・年齢で調整した標準的な医療費を基準とする観点から、地方団体等と議論を継続することとなっているが、進捗していない。年内にも方向性を出すべく議論を加速すべき。
      • これまで、我が国医薬品産業の付加価値力向上に向けて創薬へのインセンティブを強化する方向で取組を進めてきたが、新型感染症の下、十分な成果は出せていない。イノベーション力と経済安全保障の強化に対して、国としてしっかり投資していけるよう、薬価、補助金・出資金等の在り方を含め、課題を再整理すべき。
      • PHRの推進を通じた検診の重複等によるコスト削減、KPIを掲げて取り組む電子カルテの標準化と導入、医療法人・介護サービス事業者の経営状況に関するデータベースの整備など、データの整備と共有を通じて医療・介護のDXを早急に進め、国民の利便性向上やコスト削減を徹底すべき。
      • 今後、医療・介護サービスを一体として、地域の実情に応じて、効率的・効果的に提供していくことの重要性が益々高まる。2025年に向けて構築を進めてきている地域包括ケアシステムについて、地域連携、多職種・多機関連携などの面で国がしっかりリードしながら、2040年を見据えたバージョンアップと実装化を進めるべき

内閣府 ウクライナ被災民に係る物資協力の実施について
  1. 経緯
    • 2022年2月24日にロシアがウクライナへの侵略を開始し、ウクライナからポーランド、ルーマニア、モルドバ、ハンガリー及びスロバキアなどの周辺国に既に400万人以上の避難民が流入しており、その数は今後更に増加すると見られている。今般、ウクライナ、ポーランド、ルーマニア、モルドバ、ハンガリー及びスロバキアの各国内において、被災民への人道的な国際救援活動を行っているUNHCR(国際連合難民高等弁務官事務所)から我が国政府に対し、緊急の対応が求められているウクライナ被災民に対する当面の支援活動に必要な毛布、ビニールシート及びスリーピングマットの譲渡要請がなされたところである。
    • 今回提供される毛布等は、UNHCRを通じてウクライナ被災民に配布される(物資協力の概要については別添を参照)。
  2. UNHCRへ提供する物品
    • 毛布 5,000枚
    • ビニールシート 4,500枚
    • スリーピングマット 8,500枚
  3. 別添
    • ウクライナ及び周辺国(ポーランド、ルーマニア、モルドバ、ハンガリー、スロバキア)において人道的な国際救援活動を行っている国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)に対し、国際平和協力法に基づき、先方から依頼のあった物資を提供する。
    • 2022年2月24日にロシアがウクライナへの侵略を開始。約650万人がウクライナ国内で避難生活を余儀なくされているほか、周辺国にも多くの避難民が流入している

内閣府 第370回 消費者委員会本会議
▼【参考資料1】 第28回「消費者問題シンポジウム(オンライン開催)」実施報告
  • 基調講演の概要
    • 「成年年齢引下げと若者の消費者被害の防止に向けて」をテーマに、成年年齢引下げの意義や懸念事項等について解説した後に、成年年齢引下げと契約の関係について、「問形式」(問1~問6)を用い、若者にとって、親しみやすく、自分事として捉えられるように、基調講演を行った。
    • 「未成年者取消権の喪失」については、「未成年者に与えられた強力な武器」がなくなることについて、国民生活センターの資料を引用しながら、注意喚起を促した。
    • 若者がトラブルに遭わないようにするためには、「契約する前によく考える」、「うまい話はうのみにしない」、「消費者保護のためのルール(クーリングオフや取消権等)を身につける」ことが必要である。
    • 消費者被害の防止に向けて、消費者庁をはじめとする関係省庁において、「若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラム」や「成年年齢引下げに伴う消費者教育全力キャンペーン」の実施を通じて、高等学校等における実践的な消費者教育や、地方公共団体、大学等、関係団体、メディア等を巻き込んだ重層的取組が推進されてきた。
    • しかし、若年者の消費者被害防止や自立した消費者の育成に向けては、「周知・広報活動の更なる強化」、「被害の防止・救済のための制度整備及び執行の強化」、「各取組の成果の検証及び評価」、「改正民法施行後の取組の具体化」等の残された課題も少なくない。
    • 知識・経験・判断力の不足等は、18歳、19歳だけの問題ではない。多様で複雑な契約が次々と現れ、若者の経済的な自立も比較的遅い今日では、少なくとも22歳位までを対象として若者の消費者被害への対策を考える必要がある。
    • 成年年齢引下げに伴う問題点が社会に周知され、社会全体で若者を支えていくことが不可欠である。
    • 消費者委員会としても、昨年「成年年齢引下げに伴う若年者の消費者被害防止に向けた対応策に関する意見」を発出する等、この問題に強い関心を持ってきた。「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ」も若者の被害が多い、SNS等をきっかけとした消費者トラブルの検討を中心的な課題としている。
    • 消費者委員会としては、引き続き、この問題を注視していく。
  • パネルディスカッションの概要
    • 参加申込者からの事前アンケートをもとに検討し、「成年年齢引下げが若年層に与える影響と行政が取り組むべき課題」をテーマとした上で、それぞれのパネリストのお立場から多様なご意見を伺いながら、4月1日以降の若年者による消費者被害の未然防止に向けた取組に向けて、下記のとおり、議論を行った。
      1. 成年年齢引下げの意義、懸念事項について
        • 18歳への成年年齢引下げは、18歳、19歳の自己決定権を尊重するものであり、若年層の社会参加を促進し、社会の活性化を図るもので大変意義あるものである。
        • その反面、未成年者取消権を喪失することにより、今後、消費者被害が18歳、19歳へ拡大する懸念があるため、若年者が消費者被害を避けるための方法や対処の仕方について、若者自身が学ぶことも重要である。
      2. 若年者の消費者被害の実例と対処方法について
        • 18歳・19歳と、20歳から22歳までの両年齢層で、共通する消費者被害が多い一方で、20歳から22歳までで特徴的なものは、お金・金融の「金(かね)」、美容・美しいの「美(び)」が多くなっており、成年年齢引下げにより18歳・19歳に拡大する可能性がある。・若者が学ぶべきことについて、行政による法執行強化や事業者による取組も必要であるが、若者自身がどのようにして自立した消費者になっていくかという点も重要である。
        • オンライン化やキャッシュレス化の急速な進展等、社会は変化し続け、新たな問題が次々と出現している。不安に感じたりトラブルに巻き込まれたりした場合には、消費者センターに相談することが基本となる。
      3. 成年年齢引下げ後に行政が行うべき施策について
        • 成年年齢引下げへの対応は、むしろ4月からが新たなスタートともいえるため、将来成年になる、高校生、中学生、小学生等を対象とした取組が重要である。
        • これまでに、政府広報等を活用した様々な周知・広報活動や、「社会への扉」等を活用した地道な教育を進めてきたが、4月以降も、SNS等のデジタルツールの活用等も含め、周知・広報を継続していく必要がある。
        • デジタル化を含む消費生活相談体制の強化や、制度整備・法執行の更なる強化も必要であるが、そもそも、消費者被害を起こさない社会を創っていくことの方が重要である。
        • 社会全体が、小さな失敗を受け入れる寛容性を持って、若者の自立を支えられるようなセーフティネットの整備が不可欠である。
        • 若者の皆さんには、エシカル消費など責任ある消費の実践を通じて、これからの社会を良い方向に牽引していただくことを期待する。

内閣府 社会意識に関する世論調査
  • 他の人と比べて、「国を愛する」という気持ちは強い方だと思うか聞いたところ、「強い」とする者の割合が51.6%(「非常に強い」9.5%+「どちらかといえば強い」42.1%)、「どちらともいえない」と答えた者の割合が38.8%、「弱い」とする者の割合が8.8%(「どちらかといえば弱い」7.2%+「非常に弱い」1.6%)となっている。
  • 今後、国民の間に「国を愛する」という気持ちをもっと育てる必要があると思うか聞いたところ、「そう思う」とする者の割合が84.0%(「そう思う」29.7%+「どちらかといえばそう思う」54.3%)、「そうは思わない」とする者の割合が15.0%(「どちらかといえばそうは思わない」11.8%+「そうは思わない」3.2%)となっている。
  • 国民は、「国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」という意見と、「個人生活の充実をもっと重視すべきだ」という意見があるが、どのように思うか聞いたところ、「国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」とする者の割合が58.1%(「国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」16.1%+「どちらかといえば国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」42.0%)、「個人生活の充実をもっと重視すべきだ」とする者の割合が40.3%(「どちらかといえば個人生活の充実をもっと重視すべきだ」33.1%+「個人生活の充実をもっと重視すべきだ」7.2%)となっている。
  • 日頃、社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと思っているか、それとも、あまりそのようなことは考えていないか聞いたところ、「思っている」と答えた者の割合が63.9%、「あまり考えていない」と答えた者の割合が35.1%となっている。
  • 日頃、社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと「思っている」と答えた者(1,144人)に、何か社会のために役立ちたいと思っているのはどのようなことか聞いたところ、「自分の職業を通して」を挙げた者の割合が41.3%、「環境美化、リサイクル活動、牛乳パックの回収など自然・環境保護に関する活動」を挙げた者の割合が38.2%などの順となっている。
  • 今後、日本人は、個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだと思うか、それとも、国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだと思うか聞いたところ、「個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだ」とする者の割合が60.6%(「個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだ」12.8%+「どちらかといえば個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだ」47.8%)、「国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだ」とする者の割合が37.0%(「どちらかといえば国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだ」31.2%+「国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだ」5.8%)となっている。
  • 地域での付き合いをどの程度しているか聞いたところ、「付き合っている」とする者の割合が56.6%(「よく付き合っている」8.9%+「ある程度付き合っている」47.7%)、「付き合っていない」とする者の割合が42.7%(「あまり付き合っていない」30.8%+「全く付き合っていない」11.8%)となっている。
  • 地域での付き合いは、どの程度が望ましいと思うか聞いたところ、「地域の行事や会合に参加したり、困ったときに助け合う」と答えた者の割合が32.2%、「地域の行事や会合に参加する程度の付き合い」と答えた者の割合が28.8%、「世間話をする程度の付き合い」と答えた者の割合が19.6%、「挨拶をする程度の付き合い」と答えた者の割合が17.8%、「地域での付き合いは必要ない」と答えた者の割合が0.9%となっている。
  • 現在の世相をひとことで言えば、明るいイメージとしては、どのような表現が当てはまると思うか聞いたところ、「平和である」を挙げた者の割合が59.1%と最も高く、以下、「安定している」(23.7%)、「おもいやりがある」(17.3%)などの順となっている。なお、「特にない」と答えた者の割合が16.0%となっている。
  • 現在の世相をひとことで言えば、暗いイメージとしては、どのような表現が当てはまると思うか聞いたところ、「ゆとりがない」を挙げた者の割合が40.1%、「自分本位である」を挙げた者の割合が37.7%、「無責任の風潮がつよい」を挙げた者の割合が35.8%、「不安なこと、いらいらすることが多い」を挙げた者の割合が33.5%などの順となっている。
  • 日本の国や国民について、誇りに思うことはどんなことか聞いたところ、「治安のよさ」を挙げた者の割合が60.2%と最も高く、以下、「美しい自然」(54.4%)、「すぐれた文化や芸術」(48.9%)、「長い歴史と伝統」(45.5%)などの順となっている。
  • 現在の社会において満足している点は何か聞いたところ、「良質な生活環境が整っている」を挙げた者の割合が47.2%と最も高く、以下、「心と身体の健康が保たれる」(19.8%)などの順となっている。なお、「特にない」と答えた者の割合が25.9%となっている。
  • 現在の社会において満足していない点は何か聞いたところ、「経済的なゆとりと見通しが持てない」を挙げた者の割合が55.5%と最も高く、以下、「若者が社会での自立を目指しにくい」(30.1%)、「働きやすい環境が整っていない」(28.6%)、「女性が社会での活躍を目指しにくい」(27.9%)などの順となっている。
  • 現在の社会に全体として満足しているか聞いたところ、「満足している」とする者の割合が58.9%(「満足している」3.8%+「ある程度満足している」55.1%)、「満足していない」とする者の割合が40.1%(「あまり満足していない」32.0%+「満足していない」8.1%)となっている。
  • 全般的にみて、国の政策に国民の考えや意見がどの程度反映されていると思うか聞いたところ、「反映されている」とする者の割合が31.8%(「かなり反映されている」1.5%+「ある程度反映されている」30.4%)、「反映されていない」とする者の割合が66.9%(「あまり反映されていない」50.2%+「ほとんど反映されていない」16.7%)となっている。
  • 国の政策に国民の考えや意見が「ある程度反映されている」、「あまり反映されていない」、「ほとんど反映されていない」と答えた者(1,741人)に、どうすればよりよく反映されるようになると思うか聞いたところ、「政治家が国民の声をよく聞く」と答えた者の割合が29.3%、「国民が国の政策に関心を持つ」と答えた者の割合が19.8%、「政府が世論をよく聞く」と答えた者の割合が15.3%、「国民が選挙のときに自覚して投票する」と答えた者の割合が11.0%、「国民が参加できる場をひろげる」と答えた者の割合が10.0%、「マスコミが国民の意見をよく伝える」と答えた者の割合が3.6%となっている。
  • 現在の日本の状況について、良い方向に向かっていると思われるのは、どのような分野か聞いたところ、「医療・福祉」を挙げた者の割合が30.9%と最も高く、以下、「防災」(23.8%)、「治安」(22.2%)、「通信・運輸」(18.4%)などの順となっている。なお、「特にない」と答えた者の割合が22.0%となっている。
  • 現在の日本の状況について、悪い方向に向かっていると思われるのは、どのような分野か聞いたところ、「国の財政」を挙げた者の割合が54.2%と最も高く、以下、「景気」(44.0%)などの順となっている。

【公正取引委員会】

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【金融庁】

【2022年6月】

金融庁 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」報告の公表について
▼(別紙) 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ報告」-中長期的な企業価値向上につながる資本市場の構築に向けて-
  • サステナビリティ開示に関する留意事項
    • サステナビリティ情報は、企業の中長期的な持続可能性に関する事項であり、将来情報を含むこととなる。有価証券報告書は、近年、経営方針や事業等のリスク等の記述情報の充実が図られており、これらの中で、将来情報の記載もみられてきている。前回ワーキング・グループ報告を踏まえた内閣府令改正の際には、将来情報の記載と虚偽記載の関係について、「一般に合理的と考えられる範囲で具体的な説明がされていた場合、提出後に事情が変化したことをもって虚偽記載の責任が問われるものではないと考えられる」ことを明らかにしている。
    • サステナビリティ開示について、投資家の投資判断にとって有用な情報を提供する観点では、事後に事情が変化した場合において虚偽記載の責任が問われることを懸念して企業の開示姿勢が委縮することは好ましくない。このため、上記の考え方について、実務への浸透を図るとともに、企業内容等開示ガイドライン等において、サステナビリティ開示における事例を想定して、更なる明確化を図ることを検討すべきである。
    • 有価証券報告書におけるサステナビリティ情報の「記載欄」への記載については、任意開示書類に記載した詳細情報を参照することが考えられるが、その際の虚偽記載の責任の考え方については整理が必要である。
    • 金融商品取引法は有価証券報告書の記載内容に虚偽記載があった場合の責任を規定しているが、任意開示書類に、事実と異なる実績が記載されている等、明らかに重要な虚偽記載があることを知りながら参照するなど、当該任意開示書類を参照する旨を記載したこと自体が有価証券報告書の重要な虚偽記載になり得る場合を除けば、参照先の任意開示書類に虚偽記載があったとしても、単に任意開示書類の虚偽記載のみをもって、同法の罰則や課徴金が課されることにはならないと考えられる。
    • なお、有価証券報告書には、投資家の投資判断にとって重要な情報を記載することが求められており、企業による重要性に関する合理的な判断を尊重することになるが、投資家が真に必要とする情報については有価証券報告書に記載しなければならない。今
  • 後、サステナビリティ情報などについて国際的な開示基準が策定される中で、有価証券報告書に何を記載し、何を参照するかについては、具体的に事例を積み重ねながら検討していくことが考えられる。
    • 有価証券報告書で任意開示書類を参照することに関しては、現在の実務では、両書類の公表時期に差がある16ことに留意する必要がある。海外では、サステナビリティ情報を財務情報と併せて開示することが想定されていること17を踏まえると、日本においても将来的にはサステナビリティ情報が記載された書類の公表時期を揃えていくことが重要であり、実務的な検討や環境整備を行っていくことが考えられる。
  • 我が国における気候変動対応に関する開示の対応
    • 日本は、TCFD賛同機関数で世界をリードしており、多くの気候変動関連開示に係る実務や事例が積み上がっている。しかしながら、我が国独自の開示項目を早急に決めてしまうのではなく、これまでの知見を基に国際的なルール形成を担い、国際的な比較可能性を確保することも重要である。
    • そこで、まずは、基準策定に向けた議論の途上にあるISSBの気候関連開示基準の策定に積極的に参画し、日本の意見が取り込まれた国際基準の実現を目指すことが望ましい。その後、本年中に最終化予定のISSBの気候関連開示基準を踏まえ、SSBJにおいて迅速に具体的開示内容の検討に取り掛かることが期待される。
    • そのため、現時点においては、有価証券報告書に設けるサステナビリティ情報の「記載欄」において、企業が、業態や経営環境等を踏まえ、気候変動対応が重要であると判断する場合、「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」の枠で開示することとすべきである。
    • なお、「指標と目標」の枠で開示することが考えられるGHG排出量に関しては、ISSBの気候関連開示基準案や米国SECの気候関連開示規則案において開示が求められるなど、国際的にも気候変動に関する指標として確立しつつある。また、2021年のTCFDの公開協議によると、国際的にGHG排出量は、多数の投資家が有用と考える気候変動に関する指標の1つとなっており、企業においても、他の指標と比較して、実際の開示や開示に向けた取組みが進んでいる指標となっている。こうした点を踏まえると、GHG排出量は、投資家と企業の建設的な対話に資する有効な指標となっている。
    • こうした状況に鑑み、各企業の業態や経営環境等を踏まえた重要性の判断を前提としつつ、特に、Scope1・Scope2のGHG排出量について、企業において積極的に開示することが期待される。
    • なお、我が国においては、相当程度多いGHGを排出する企業は、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき、Scope1・Scope2のGHG排出量の公表が求められている。
    • 当該企業は、相当程度多いGHGを排出するため、投資家の投資判断や企業価値との関係で重要性を持つ可能性も高くなることを踏まえると、特にその重要性を適切に評価した上で、開示を検討することが期待される。また、その他の企業においても、重要性に基づいた適切な対応が期待される。
  • 人的資本、多様性に関する開示の対応
    • 人的資本や多様性については、長期的に企業価値に関連する情報として、近年、機関投資家においても着目されており、企業価値との関係を示す研究結果も存在している。
    • 現時点において、人的資本や多様性に関する情報がISSBによる国際的な基準策定の対象となるかは未定であるが、多くの国際的なサステナビリティ開示のフレームワークで開示項目となっている。また、米国では前述のSEC規則の改正が行われたこともあり、多様性に関する取組みを含めた人的資本の情報開示が進んでいる。
    • こうしたことを踏まえ、我が国においても、投資家の投資判断に必要な情報を提供する観点から、人的資本や多様性に関する情報について以下の対応をすべきである。
      1. 中長期的な企業価値向上における人材戦略の重要性を踏まえた「人材育成方針」(多様性の確保を含む)や「社内環境整備方針」について、有価証券報告書のサステナビリティ情報の「記載欄」の「戦略」の枠の開示項目とする
      2. それぞれの企業の事情に応じ、上記の「方針」と整合的で測定可能な指標(インプット、アウトカム等)の設定、その目標及び進捗状況について、同「記載欄」の「指標と目標」の枠の開示項目とする
      3. 女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金格差35について、中長期的な企業価値判断に必要な項目として、有価証券報告書の「従業員の状況」の中の開示項目とする
    • この際、上記(3)の多様性に関する指標については、企業負担等の観点から、他の法律の定義や枠組みに従ったものとすることに留意すべきである。
    • なお、女性活躍推進法、育児・介護休業法等他の法律の枠組みで上記項目の公表を行っていない企業(現行制度を前提とすれば、女性管理職比率や男女別の育児休業取得率は女性活躍推進法に基づく公表項目として選択していない企業、男性の育児休業取得率は従業員1,000人以下の企業で任意の公表も行っていない企業等)についても、有価証券報告書で開示することが望ましい。開示する際には、投資判断に有用である連結ベースでの開示に努めるべきであるが、最低限、提出会社及び連結会社において、女性活躍推進法、育児・介護休業法に基づく公表を行っている企業は有価証券報告書においても開示することとすべきである。
    • また、定量的な指標の開示にあたっては、投資家が適切に指標を理解することが重要であるため、企業が指標に関する説明を追記できるようにすることが考えられる。
  • サステナビリティ基準委員会(SSBJ)の役割の明確化
    • SSBJ設立準備委員会の活動を土台に、本年7月にはSSBJが設立される予定であるところ、SSBJには、国際的な意見発信や我が国におけるサステナビリティ開示の具体的内容を検討するなどの重要な役割が期待されている。当ワーキング・グループにおいては、今後のSSBJによるサステナビリティ開示の具体的内容についての検討成果などを踏まえ、SSBJがその役割を一層積極的に果たせるよう、改めてその取扱いを議論する必要がある。
    • その際、企業会計基準やその設定主体である企業会計基準委員会(ASBJ)が法令上の枠組みの中で位置付けられていることを参考としつつ、SSBJが策定するサステナビリティ開示の具体的内容やSSBJ自身について、法令上の枠組みを含めて、どのように位置付けるかが論点となる。なお、仮に法令上の枠組みの中でSSBJを位置付ける場合、公正・透明な組織運営や独立性が確保されているか、具体的開示内容の検討に際して適切なデュー・プロセスがとられているか、といった点を含め検討が行われることが適当である。
  • サステナビリティ情報に対する信頼性確保
    • サステナビリティ情報については、信頼性確保を求める投資家の声の高まりから、我が国では、企業が、監査法人等から任意で保証を受ける動きがみられる。
    • また、国際的にも、サステナビリティ情報に対する保証の議論が進んでいる。欧州では、2023年度から開始されるCSRDに基づく報告には限定的保証を付け、徐々に保証水準を上げるアプローチを提案しているほか、米国では、SECが本年3月に公表した気候関連開示を義務化する規則案の中で、Scope1・Scope2のGHG排出量について、小規模企業を除き、大規模早期提出会社では2024会計年度、早期提出会社、非早期提出会社では2025会計年度から限定的保証を付けることを提案している。また、国際監査・保証基準審議会(IAASB)においても、今後、サステナビリティ情報に関する保証業務の基準についての議論が行われることになっている。
    • サステナビリティ情報に対する保証の検討を進めるに当たっては、
      • 保証の前提となる開示基準が国際的に議論の途上であること
      • サステナビリティ関連情報の保証基準については、今後、具体的な議論が行われること
      • 保証に必要な知見・専門性、独立性等の観点から、適切な保証主体については様々な意見があること
        を踏まえる必要がある。このため、当ワーキング・グループにおいて、前提となる開示基準の策定や国内外の動向を踏まえた上で、中期的に重要な課題として検討を進めていく必要がある。
  • IFRS財団アジア・オセアニアオフィスのサポート
    • ISSBは、マルチロケーションアプローチを採用することとしており、米州、欧州でそれぞれ2拠点の設置が公表されているほか、東京にあるIFRS財団アジア・オセアニアオフィスのISSB拠点としての活用も決定している。IFRS財団アジア・オセアニアオフィスについては、日本を含むアジア・オセアニア地域に開かれたオフィスであり、地域関係者へのアウトリーチの実施や、地域の課題を把握し基準設定に意見発信するなど、ISSBのアジア・オセアニア地域における拠点として機能することが期待される。
    • 加えて、マルチロケーションの特性を活かし、アジア・オセアニアオフィスがISSBの基準設定に積極的に関与していくことも考えられる。米州、欧州の拠点では、ISSBへのサポート体制が構築されているところ、日本もこれまで同様、IFRS財団による国際的な開示基準の策定に積極的に参画・貢献していくため、アジア・オセアニアオフィスの活動についても、日本の関係者が協力して物心両面でサポートしていくことが望まれる
  • 「一本化」の具体化に向けた検討課題
    • 法令上の四半期開示義務(第1・第3四半期)を廃止し、四半期決算短信への一本化を進めるに当たっては、以下をはじめとする課題についての検討が必要であり、当ワーキング・グループにおいて引き続き議論を深めていく。
      • 全部又は一部の上場企業を対象とした四半期決算短信の義務付けの有無をどう考えるか
      • 四半期決算短信の開示内容については、従来、速報性の観点から簡素化されてきた経緯がある中、「一本化」に当たり、その内容をどう見直すか
      • 四半期決算短信の虚偽記載に対するエンフォースメントの手段をどう確保するか。
      • この点に関し、四半期決算短信を金融商品取引法に基づく臨時報告書として開示することにより法令上のエンフォースメント手段を確保するとの対応策についてどう考えるか
      • 四半期決算短信に対する監査法人によるレビュー656667の必要性についてどう考えるか
      • 第1・第3四半期報告書の廃止後に上場企業が提出する「半期報告書」に対する監査法人の保証のあり方についてどう考えるか(「レビュー」、「中間監査」)
  • 適時開示のあり方
    • 取引所における企業情報の開示の枠組みとしては、業務執行を決定する機関が、一定の事項を行うことを決定した場合や一定の事実が発生した場合等に開示を求める適時開示の枠組みがある。
    • 投資判断にとって重要な情報の適時開示を求めるこうした枠組み(いわゆるtimelydisclosure)は主要国の取引所共通にみられるが、日本では取引所が開示すべき事項や重要性基準を定める細則主義を取っているのに対し、欧米では原則主義を取り、企業がより自主的に適時開示を行う事項を判断している。
    • こうした中、我が国の上場企業の中には過度に「間違いのない開示」を指向し、
      • 投資判断に重要と見込まれる情報でも「細則」に該当しない場合、開示に消極的
      • 経営環境が不透明で、「細則」への該当性が不明確な場合、開示に消極的といった事例がみられるとの指摘がある。
      • 例えば、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大時には、決算発表時期の到来前に適時開示を行った日本企業は1割程度であった。その後、2020年度第1四半期決算においては半数以上の企業において相当な業績のインパクトが生じていた。
      • また、ロシア・ウクライナ情勢について、事業活動や経営成績に及ぼす影響やリスクの説明に関する積極的な開示が要請されている中、これまでのところ日本企業の開示例は少数にとどまっている。
    • 以上を踏まえると、投資家の投資判断上、よりタイムリーに企業の状況変化に関する情報が企業から開示されるよう、取引所において適時開示の促進を検討すべきである。
    • その検討に当たっては、適時開示のエンフォースメントのあり方についても整理することが期待される。
    • 投資家は、リスク情報等について前広な開示を求める傾向にあることから、情報の作成者と利用者との間に生じている「期待ギャップ」の解消にも取り組んでいくことが望まれる。
    • 日本企業がより積極的に適時開示を行い、企業の取り巻く環境変化を踏まえた経営方針、収益への影響の可能性等を市場参加者に伝えることで、海外の機関投資家を含む幅広い資金を取り込むことができる環境を確立することができれば、必ずしも一律に四半期開示を求めなくても、投資家に充実した情報が提供されることになるとの指摘もある。
  • 重要情報の公表タイミング
    • 資本市場が価格発見機能を適切に発揮する上で、企業に関する情報がタイムリーに公表され、市場取引の中で評価されることが重要である。
    • この点、我が国では多くの上場企業による重要情報の公表タイミングは証券取引所の立会時間終了後(いわゆる「引け後」)の15時以降に集中していると指摘されており、前回ワーキング・グループ報告では、「重要な情報のより速やかな公表に向けた取組みが進められるべき」とされた。
    • その後の状況をみると、開示タイミングを前倒しする取組みは必ずしも進んでいない一方、今後予定されている東京証券取引所の立会時間の30分延伸82に伴い、開示タイミングが単純に30分後倒しされるリスクも指摘されている。
    • 決算情報を含む重要情報の公表タイミングについては、社内手続きなどを了したタイミングで速やかに開示することが基本であり、このような開示を促す取組みを進めるべきである。
  • 企業・株主間のガバナンスに関する合意
    • 企業と株主間のガバナンスに関する合意は、一般に、当該企業のガバナンスや支配権への影響が大きく、投資判断に重要な影響を及ぼすことが見込まれ、適切な開示が求められる。
    • 有識者へのヒアリング等によれば、企業と株主間のガバナンスに関する合意としては、以下の類型のものがみられる。
      1. 株主が会社の役員の一定数について、候補者を指名又は推薦する権利を有する旨の合意(役員候補者指名権等の合意)
      2. 株主による議決権行使に一定の制限や条件を付す内容の合意(議決権行使内容を拘束する合意)
      3. 提出会社による一定の行為(新株の発行、組織再編行為等)につき、株主の事前の承諾や協議等90を条件とする内容の合意(事前承諾事項等に関する合意)
    • 特に、上記(ⅰ)、(ⅲ)は、株主平等原則との関係においても開示の必要性が高いと考えられる。
    • 企業の開示状況をみると、株主側が大量保有報告書91(株主が大量保有者の場合)や海外の開示書類において合意内容等を開示しているにもかかわらず、企業側の開示において、
      • 当該合意の存在が示されていない事例
      • 当該合意の存在はうかがえるが、その具体的内容が示されていない事例
        もみられる。
    • こうした状況を踏まえると、少なくとも前記3類型の合意を含む契約が企業と株主との間で締結されている場合、「重要な契約」として当該契約の内容等の開示が求められることを明確化すべきである。
    • その場合における開示内容としては、
      • 契約の概要(締結日、契約当事者、契約の主要項目、当該合意の具体的内容等94)
      • 合意の目的
      • 当該契約の締結に関する社内ガバナンス(特に、取締役会における検討内容)
      • 企業のガバナンスに与える影響(影響を与えないと考える場合には、その理由)
        等を記載すべきことを明確化すべきである。
  • 英文開示
    • 近年、我が国上場企業の英語による企業情報の開示(以下「英文開示」という。)は着実に進展しており、全市場時価総額ベースで約9割の企業が決算短信、株主総会招集通知の英文開示を実施又は実施予定となっている。
    • 他方、有価証券報告書の英文開示については、海外機関投資家の約7割が一覧性を有する法定開示書類である有価証券報告書の英文開示は必要と回答しているものの、実施企業は少数にとどまっている。
    • こうした中、特に本年4月にスタートした東京証券取引所のプライム市場は、グローバルな投資家との建設的な対話を念頭に置いており、当該市場に上場する企業は、積極的に有価証券報告書の英文開示を行うことが期待される
    • 同時に、有価証券報告書全体の英文開示には相当の作業等を要するとの指摘がある。この点については、まずは、【事業等のリスク】、【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】、【コーポレート・ガバナンスの概要】、【株式の保有状況】など利用ニーズの特に高い項目について、英文開示を行うことが重要である。また、新たに「記載欄」を設けるサステナビリティ情報についても英文開示が期待される。
    • 現在、金融庁の提供する有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム(EDINET)の英語サイトにおいて、英訳した有価証券報告書を自社ウェブサイト上に掲載している企業の一覧を公表しているが、これに加えて、有価証券報告書上で特に英文開示が求められる上記項目を英訳した企業についても一覧として公表し、海外投資家に対して情報発信するべきである。
    • 加えて、EDINETにおいて、外部の翻訳ツールを利用しやすいよう改修を進める。また、中長期的には、法定開示書類の英訳に適した翻訳機能の精度向上に取り組むことも支援策として有効と考えられる109。
  • 有価証券報告書とコーポレート・ガバナンス報告書の記載事項の関係
    • コーポレートガバナンスに関する情報については、金融商品取引法に基づく有価証券報告書において企業統治の体制、役員の状況、役員報酬、政策保有株式などが開示され、取引所規則に基づくコーポレート・ガバナンス報告書においてコーポレートガバナンス・コードへの対応状況などが開示されている。両者の開示については、それぞれの特徴があるものの、内容の重複が指摘されている。
    • 本報告では、有価証券報告書のコーポレートガバナンスに関する情報として、取締役会、委員会等の活動状況の「記載欄」を設けるべきとした。
    • この項目は、コーポレート・ガバナンス報告書において「開示推奨項目」とされているが、両者の関係については、例えば、
      • 有価証券報告書では、提出前1年間の「基本的な活動状況」を記載することとした上で
      • コーポレート・ガバナンス報告書では、必要に応じ、時々の企業の置かれた状況を踏まえ、より具体的な活動内容や有価証券報告書提出後の活動等について記載することを推奨する
        などにより、有価証券報告書とコーポレート・ガバナンス報告書の特徴やそれぞれの開示システムの利便性等を踏まえて整理することが考えられる

金融庁 「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」(第5回)議事次第
▼資料1 事務局説明資料
  • 米国連邦法・NY州法におけるステーブルコインに関連する現行規制の概観
    1. 連邦法
      • いわゆるステーブルコインのみを対象とする固有の規制はないが、ステーブルコインを送付等する場合、連邦銀行機密法(BSA)のMoney Transmitterとして、AML/CFT規制に服する。
      • 現状、ステーブルコインに関して、複数の連邦規制当局からの監督を受ける可能性がある(連邦証券諸法、商品取引法等がステーブルコインに適用されるかについては、議論がある。)。
    2. ニューヨーク(NY)州法
      • いわゆるステーブルコインのみを対象とする固有の規制はないが、ステーブルコインの発行・移転等を含む暗号資産事業活動を行う場合、NY州暗号資産規制(23 NYCRR Part 200)に基づきBitLicenseを取得しなければならない。
        • NY州銀行法上の銀行・信託会社であって、当局の承認を得た者は、BitLicenseの取得は不要(NY州暗号資産規制には従う必要)。
        • 法定通貨を送金する場合には、NY州のMoney Transmitterライセンスが必要であり、Bitライセンシーが顧客の暗号資産(NY州法上はステーブルコインを含む)を償還するためには、BitLicenseに加えてNY州法上のMoney Transmitterのライセンスを取得するのが一般的とされている
  • 米国NY州において、いわゆるステーブルコインに関するビジネスを行う場合、
    • 連邦銀行機密法(BSA)に基づく基本的なAML/CFT規制
    • スキームの実態等に応じて送金・銀行規制、暗号資産規制、証券規制、商品先物規制等の中で該当する規制が重畳適用されることになる。
  • NY州における主なステーブルコイン規制の内容
    • ほとんどのステーブルコインは、NY州暗号資産規制上の「暗号資産」に該当すると考えられており、NY州においてステーブルコインに関する事業活動を行うためには、NY州暗号資産規制(23NYCRR Part200)に基づき、BitLicenseを取得する必要がある。
    • Bitライセンシーがステーブルコインの法定通貨への償還を行う場合は、一般的に送金業務に該当し、BitLicenseに加え、連邦法・NY州銀行法に基づくMoney Transmitter免許を取得する必要があるとされている
  • 米国預金保険制度とステーブルコインの関係
    • ステーブルコインと米国預金保険制度に関して、調査報告書によれば、
      • ステーブルコイン発行銀行等(FDIC(連邦預金保険公社)の被保険銀行等)が破綻した場合、ステーブルコインが預金債権に該当し、一定の要件(※1-②)を満たす限り、保有者は預金保険により一定額(各名義口座あたり25万米ドル)が補償されると考えられる。
      • 限定目的信託会社であるステーブルコイン発行者が、受託財産を資産保全先銀行等(被保険銀行等)において分別管理した場合には、発行者の破綻から当該資産が隔離されると考えられる。また、当該資産保全先銀行等の破綻時は、パススルー要件を満たしていれば、当該被保険銀行等における預金保険の補償範囲で償還を受けることが可能と考えられる。
      • いずれの場合も、預金保険制度による補償(償還)を受けるためには、被保険銀行等においてステーブルコインの所有者を認識し得る状態に置かれていることが求められる。
    • UST(Terra USD)の価格下落
      • 5月上旬、米ドルに連動するいわゆるアルゴリズム型(注)のステーブルコインであるUSTの価格が急落。
      • これを受けて、ステーブルコインや暗号資産全体に対する市場の警戒感が高まった。
      • USTでは、価格が変動するLUNAという暗号資産を用意し、常に1USTを1ドル分のLUNAと交換できるようにしてアービトラージのインセンティブを設けることで、価格を安定させるとしていた
    • イエレン米財務長官は以下のような発言を行っている。
      • 5月10日、上院銀行住宅都市委員会で、「テラUSDとして知られるステーブルコインから資金が流出し価値が下落した」と指摘。「これは急速に成長する商品であり、金融安定性へのリスクが存在するため適切な枠組みが必要なことを示していると考える」と発言した。
      • ステーブルコインの規制枠組みの法案を年内に通過させることが「極めて適切だ」と述べた。
      • さらに、現在の規制の枠組みは、新種の決済商品としてのステーブルコインのリスクに対し「一貫性のある」包括的な基準を提供していないとの見解をあらためて示した。
      • 同月12日、下院金融委員会でステーブルコインについて、テラ急落はドルに連動するように設計された暗号資産の危険性を示していると指摘。「現在の規模では金融安定への真の脅威とは見なさないが、非常に急速に成長しており、われわれが何世紀にもわたって経験した銀行取り付け関連のリスクと同様の危険性を呈している」と述べた。
  • 対ロシア制裁について(ウクライナ関連)-G7/FATF
    1. G7首脳声明(2022年3月11日)
      • 第四に、我々は、我々の制限的措置の有効性を維持し、回避を取り締まり、抜け穴を塞ぐことにコミットする。具体的には、回避を防止するために計画されている他の措置に加え、我々は、ロシア政府及びエリート層、代理勢力、オリガルヒが、国際的な制裁の影響を回避あるいは相殺するための手段としてデジタル資産を活用することができないことを確保し、これにより世界の金融システムに対する彼らのアクセスを更に制限する。我々の現在の制裁は、既に暗号資産を対象としていると一般に理解されている。我々は、あらゆる不正な活動をよりよく検知及び阻止するための措置をとることにコミットし、また各国の国内手続と整合的な形で、デジタル資産を用いて自身の富を拡大及び移転するロシアの不法行為者にコストを課す。
    2. G7首脳会合(ベルギー・ブリュッセル 2022年3月24日)
      • 制裁について、岸田総理大臣は、3月12日(日本時間)に発出したG7首脳声明を踏まえ、我が国としても、抜け穴を埋めながら、G7と緊密に連携してロシアへの外交的・経済的圧力を一層強める旨述べました。具体的には、(1)今後、貿易に関する「最恵国待遇」の撤回に向けた法令整備を迅速に進めること、(2)輸出禁止対象に81の軍事関連団体を追加すること、(3)多くのオリガルヒやその家族等を制裁対象に追加すること、(4)贅沢品の輸出禁止措置を速やかに導入すること、(5)デジタル資産を用いたロシアの制裁回避に対応するため、金融面での制裁の実効性を更に強化すべく、このための法令整備も迅速に進めることを表明しました。
    3. ウクライナ情勢に関するFATF声明のポイント
      • FATFは、ロシアのウクライナ侵攻が、マネー・ローンダリング、テロ資金供与および拡散金融に関するリスク環境、金融システム、経済、および、安全保障に与える影響について、重大な懸念を表明。
      • FATFは、現在、FATFにおけるロシアの役割をレビューしており、必要な追加的措置についても検討することに言及。
      • 金融機関や金融システムを標的とした悪意のあるサイバー活動がマネロン等管理体制に与えるリスクに言及。人道支援の観点からNPO活動の重要性を強調。
      • 各国に対し、暗号資産を含め、新たに特定したマネー・ローンダリング、テロ資金供与および拡散金融に関するリスクの評価・軽減に関する民間セクターへの助言提供や民間セクターとの情報共有の促進等を要請。また、制裁回避から生じる新たなリスクの可能性に対して各国が警戒すべき旨、指摘。
  • 米国財務省OFACによる暗号資産ウォレットアドレスの制裁指定
    • 米OFACでは、制裁対象者リストを公表する際、氏名(別称)、生年月日、住所、出生地等を判明した範囲で公表しているとみられる。
    • 制裁指定理由が暗号資産に関わり、かつウォレットアドレスが特定された場合には、ウォレットアドレスも合わせ、公表している。
    • 2018年には2名のイラン人のアドレス、2019年には中国人ハッカーのアドレス、2020年3月には北朝鮮ハッカーの20のアドレス、同年4月には米大統領選へ不正関与しようと試みた16の団体とその利用したアドレスが制裁指定されている。プレスリリースでは、州連邦地検、米司法省犯罪部、米麻薬取締局(DEA)等との連携によるもの、と言及されており、捜査過程で特定されたウォレットアドレスを指定・公表したとみられる。
  • ミキシングサービスとAML/CFT
    • ミキシングとは、第三者から資産移動経路(送金元と送金先のつながり)を秘匿する場合に用いる仕組みであり、ビットコインやイーサリアム等で利用可能である。具体的には、複数の送金元からのコインをプールした上で、それを再分配する。ミキシングサービスについては、送金元と送金先の紐付けは極めて困難(アドレスは無限に生成できるため)。
    • 米国財務省外国資産管理室(OFAC)は、2022年5月、ミキシングサービスの提供者に対して制裁措置を初めて発令。
  • デジタル資産に関する米国の主要な政策目標
    1. 利用者・投資家・企業の保護
      • デジタル資産の独自で多様な特徴は、適切な保護が行われない場合、利用者、投資家、企業に重大な財務リスクをもたらす可能性。
      • 利用者、投資家、企業を保護し、またプライバシーを維持し、人権侵害の一因となり得る違法な監視から保護するために、セーフガードを確保し、デジタル資産の責任ある開発を促進する必要。
    2. 米国及び世界の金融安定の保護、システミックリスクの軽減
      • デジタル資産取引プラットフォーム等は、急速に規模と複雑性を増すも、適切な規制や監督の対象になっていないか遵守していない可能性。
      • デジタル資産の発行者、取引所、取引プラットフォーム、金融安定性に対するリスクを増大させる可能性のある仲介者は、“同じビジネス、同じリスクには同じルールを適用する”という一般原則に沿って、必要に応じて、既存の市場インフラや金融機関を統制する規制監督基準に服し、それを遵守すべき。
      • デジタル資産がもたらす新しい独自の用途や機能は、更なる経済・金融リスクを生み出す可能性があることから、リスクへ適切に対処する規制アプローチの進化が必要。
    3. 不正金融と国家安全保障上のリスクの軽減
      • デジタル資産は、マネロン、サイバー犯罪、テロなどを含む、重大な不正金融リスクをもたらす他、金融制裁等を回避するツールとしても利用される可能性。さらに、一部の法域におけるFATF基準の未実施等は、米国及び世界の金融システムに対して重大な不正金融リスクをもたらす可能性。
      • 分散型金融エコシステム、P2P決済、不透明なブロックチェーンの増大も、将来的に、さらなる市場リスクと国家安全保障上のリスクをもたらす可能性。
      • 現在及び将来のデジタル資産システムに対して、不法行為に対抗し、国家安全保障手段の有効性を維持強化する透明性、プライバシー及びセキュリティの水準を高めるために、適切な管理と説明責任を確保する必要。
    4. 国際金融システム、技術・経済競争力における米国のリーダーシップの強化
      • デジタル資産、国際金融システムにおける新たな決済・資本フローを支える技術についての責任ある開発と設計の先頭に立ち続けること。特に、民主主義的価値、法の支配、プライバシー、利用者・投資家・企業の保護、デジタルプラットフォーム、レガシーシステム、国際決済システムとの相互運用性等を促進する基準の設定が重要。グローバルな金融システムにおける米国のリーダーシップは、米国の金融力を維持し、米国の経済的利益を促進する。
    5. 安全で安価な金融サービスへのアクセス促進
      • 国内外の資金移動をより安く速く安全にし、金融商品・サービスへの費用対効果の高いアクセス促進等を通して、金融サービスへの公平なアクセスを拡大する責任あるイノベーションを促進する必要。
      • 金融イノベーションの恩恵が全ての米国人に等しく享受され、金融イノベーションによるあらゆる格差の影響を緩和する必要。
    6. デジタル資産の責任ある開発と利用を促進する技術進歩の支援
      • プライバシーとセキュリティをアーキテクチャに含め、不正利用を防ぐ機能を有し、暗号資産のマイニングから生じ得る気候への悪影響と環境汚染を低減するよう、デジタル資産技術とデジタル決済エコシステムが、責任ある方法で、開発、設計、実装される必要。
▼資料2 討議いただきたい事項
  1. AML/CFTや利用者保護等の観点から電子決済手段(注)に求められる規律
    • (注)いわゆるステーブルコインは幅広いものを含みうる概念であるが、本日討議いただく電子決済手段は、法定通貨の価値と連動した価格(例:1コイン=1円)で発行され、発行価格と同額で償還を約するもの(及びこれに準ずるもの)であって、不特定の者と間で売買・交換等ができるもの。
    • 金融規制監督においては、技術中立という観点に配意することが重要である。こうした観点から、既存の金融サービスにおいて利用されているパーミッション型の分散台帳だけでなく、パーミッションレス型の分散台帳において流通する電子決済手段についても、中間論点整理で示された(1)~(3)の要件をどのように満たすか検討する必要がある。
    • <デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会「中間論点整理」より抜粋>
      • 送金分野において求められる諸要件
        • 社会経済で広く使われる可能性のある送金・決済手段に求められる水準としては、システムの安全性・強靱性等に加え、一般に
          1. 権利移転(手続、タイミング)に係る明確なルールがあること
          2. AML/CFTの観点からの要請に確実に応えられること
          3. 発行者や仲介者等の破綻時や、技術的な不具合や問題が生じた場合等において、取引の巻戻しや損失の補償等、利用者の権利が適切に保護されることが必要と考えられる。
        • これらの要件のうち、特に(2)AML/CFTの観点からの要請については、システム仕様等、技術的に対応することが重要である。そのための水準を満たす方法については、現時点においては、例えば、システム仕様等で、
          • 本人確認されていない利用者への移転を防止すること
          • 本人確認されていない利用者に移転した残高については凍結処理を行うこと
        • といった事項を求めることを検討することが考えられる。
        • こうしたシステム仕様については、実効性を確保・確認するため、仲介者(又は必要に応じて発行者)に対する業規制(体制整備義務)として、必要な水準を満たすために必要な要件を満たすシステムの採用及びその疎明を求めることが考えられる。
        • 足元の国際情勢等を踏まえ、ステーブルコインや暗号資産一般に、国際機関や各国において、P2P取引によるAML/CFTや金融制裁回避のリスクへの懸念や、こうしたリスクへの対応の必要性が指摘されている。
        • こうした中で、例えば、G7では、ロシアに対する経済制裁等に関する共同声明を発出し、暗号資産が制裁の対象であることを確認した。また、アメリカの財務省OFACは、制裁対象者リストを公表する際、氏名や生年月日に加えて、暗号資産のウォレットアドレスも公表している模様。加えて、本年3月、ホワイトハウスは、暗号資産を用いた違法取引への利用防止を含む措置の検討等を含む大統領令を公表している。
        • 【論点1】電子決済手段の発行者及び電子決済手段等取引業者の体制整備の内容として、上記(1)~(3)の規律を求めることが考えられるが、こうした規律は、足元の国際的な情勢等を踏まえて、十分と考えられるか。
  2. 具体的な方策
    • 【論点2】技術的・法律的に、上記(1)~(3)の規律を実現する方法として、具体的にどのようなものが考えられるか。例えば、以下のような仕組みについてどう考えるか。また、こうした仕組み以外に、上記(1)~(3)の規律を実現する方法があるか。
      1. (1)の体制整備については、法律上の権利移転に係るルールが明確であることに加え、分散台帳上の記録との不整合が生じないよう、適切な運用が図られることが必要と考えられる(注1)。これらの点について、例えば、セキュリティトークンの分野において、信託受益権原簿や社債原簿を用いること等による対抗要件具備が行われている(注2)ことに加え、信託受益権原簿等と分散台帳の記録を紐付けることにより、両者の間の不整合が生じないよう工夫がなされている。
        • CPMI-IOSCO「金融市場インフラのための原則」(2012年4月)の原則8(決済のファイナリティ)に係る重要な考慮要素として、システミックに重要な資金決済システムは、規則・手続で、決済がいつの時点でファイナルとなるのか、決済未了の支払・振替指図・その他の債務を参加者がいつの時点以降に取り消すことができなくなるのか等を明確にすべきとされている。
        • (注2)対抗要件を具備する方法として、例えば産業競争力強化法による第三者対抗要件特例の利用も考えられるか。
      2. (2)(3)に係る体制整備については、いわゆるパーミッションレス型の分散台帳であっても、本人確認されていない利用者間でのP2P取引の防止(注3)や技術的な不具合や問題が生じた場合の対応等を含め、発行者等の判断により、アプリケーションレイヤーにおいてスマートコントラクト等で実装することが可能と考えられる。
        • 実際に、海外におけるセキュリティトークンの分野においては、こうした本人確認や管理者権限の付与等の措置をパーミッションレス型の分散台帳で実現している例がある。
        • (注3)なお、(2)の体制整備に関連して、仮に本人確認されていない利用者間でのP2P取引を許容すると、ミキシングサービス等の利用によって、移転経路が不明確になるリスクが増すと考えられるが、こうした点についてどう考えるか。

金融庁 「サステナブルファイナンス有識者会議」(第12回)議事次第
▼資料3 サステナブルファイナンス有識者会議 報告書(案)
  • 持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の採択など、持続可能な社会の構築が大きな課題となる中で、新たな産業・社会構造への転換を促し、持続可能な社会を実現する金融(サステナブルファイナンス)の推進が不可欠である。こうした認識に立って、金融庁「サステナブルファイナンス有識者会議」においては、昨年6月、金融行政におけるサステナブルファイナンスの推進に向けた諸施策を報告書としてとりまとめ、公表した(以下、「報告書」)。
  • 報告書においては、サステナブルファイナンスを「持続可能な経済社会システムを支えるインフラ」として位置づけ、これを政策的に推進していく観点から、企業開示の充実、市場機能の発揮、金融機関の投融資先支援とリスク管理の3つの柱で施策を取りまとめるほか、横断的課題として、受託者責任、インパクト、トランジション等の論点・課題を掲げている。
  • これら論点・課題については、金融庁等の関係省庁ほか、民間主体の取組みも含めて、この1年間に様々な進捗が見られたところであり、進捗の状況や更なる課題について、取りまとめて発信していくことが重要と考えられる。
  • 持続可能な経済・社会の構築に向けた諸課題ついては、脱炭素をはじめとして、国内外で急速な環境変化が続いている。報告書の策定時に想定していた施策や論点について対応を進めると同時に、定期的にサステナブルファイナンスに係る全体状況・課題を取りまとめ、新たな課題に迅速に対応していくことも重要である。
  • 気候変動については、この1年の間に、COP26で今世紀中の気温上昇を1.5℃未満に抑えるための取組みの意義が改めて確認され、また、随時公表されたIPCC第6次評価報告書では、このために温室効果ガス排出量を2025年までにピークアウトさせる必要性が示されるなど、課題の緊急性が高まっている。
  • 報告書で横断的課題の1つとして掲げた脱炭素に向けたトランジションについては、COP26や直前10月に行われたG20で、その重要性が確認され、移行の実効性を確保していくための国際的な原則について官民双方で議論が進んでいる。わが国でも、トランジションに活用する技術の工程を示したロードマップが策定され、これに基づく多排出産業による資金調達等の動きが見られる一方、2030年の中間目標を含む排出量の削減計画の具体化に向けた金融界と産業界の対話などは引き続き大きな課題となっている。
  • 更には、国際的な需給ひっ迫やウクライナ侵攻を契機としたエネルギー価格の上昇、安全保障に係る懸念の高まり等も、広くサステナブルファイナンスの動向に様々な影響を与える可能性がある。各国では、エネルギー安定供給のための新たな資源や設備の開発の動きが見られる一方、化石燃料からの転換を加速することで、ロシア等へのエネルギー依存の低減を図る動きも見られる。また、安全保障関連産業や自立的な食料供給のあり方なども含めて、持続可能性を確保する取組みを全体としてどう捉えていくべきか、様々な議論が行われている。
  • 気候変動以外の課題についても、例えば、生物多様性について、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が、気候変動に係るTCFDの取組みも踏まえて、自然資本や生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価し、開示するための枠組みを構築すべく議論を進めている。
  • 同タスクフォースでは、本年後半に開催見込みである生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)第二部に向けて、3月に、TNFDの枠組み構築に向けた第一草稿案を公表し、TCFDにおけるガバナンス・戦略・リスク管理といった基本的な枠組みを踏襲し、この枠組みの中で生物多様性等に関するリスクも統合的に評価・開示するという提言の骨格を示している。
  • 後述のとおり、自然資本や生物多様性については、金融庁においても、さらに検討を深めるべきである。
  • 気候変動や生物多様性などの自然環境に係る課題のほか、経済的な格差、労働やダイバーシティ、そして人口減少・少子高齢化など、社会的課題についても、様々な進展が見られた。
  • 政府は、「新しい資本主義」において、市場だけでは解決できない、いわゆる外部性の大きい社会的課題について、新たな官民連携によって、その解決を目指していくとしている。社会面・環境面での責任を企業が果たすことが、事業をサステナブルに維持していくためには不可欠であるとし、社会的課題を成長のエネルギーとして捉え、解決していく仕組みを経済社会の中にビルトインしていくものとしている。
  • 6月に公表された新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画では、例えば、人的資本や男女間の賃金格差等の非財務情報の開示強化を進めていくこととされており、こうした企業開示の充実や投資家との建設的な対話を通じて、企業の持続的な価値創造につなげていくことが期待される。
  • 更に、有識者会議に設置されている「ソーシャルボンド検討会議」は、ソーシャルボンドの資金使途となるソーシャルプロジェクトの社会的な効果を開示する際の指標例の案について検討を進め、金融庁において、その案を5月に公表した。こうした取組みが広く社会的インパクトを意識した事業・投融資等の広がりにつながっていくことが期待される。
  • 総じて、この1年の間に、サステナブルファイナンスについては、更なる取組みの加速や議論の広がりが見られている。
  • 投資のすう勢を見ても、世界各国において、ESG投資額やESG関連債の発行額は引き続き増加しており、わが国としても引き続き取組みを実施・加速させていくことが重要である。
  • 本報告書は、昨年6月の報告書の公表以後のサステナブルファイナンスに関する施策の実施状況、国内外の動向変化、これらを踏まえた課題等を取りまとめたものである。
  • 本報告書で取りまとめた課題等については、今後も大きく変化していくことが想定されるものであり、継続的に対応状況と課題を取りまとめることなどにより、実効性ある対応を継続して進めていくことが重要である。
  • 企業開示の充実
    • 経済社会の持続可能性に係る課題が大きなものとなる中で、これらが自社の事業活動にどのようなリスクと機会をもたらすかを考え、対応戦略を練ることは、中長期的な企業価値の維持・向上にとって不可欠となっている。
    • 投資家・金融機関のほか、取引先や働き手を含む多様なステークホルダーにとって、外部環境を先んじて捉え、戦略の強靭性(レジリエンス)を検証し、成長につなげていく企業の取組みはこれまでになく重要になっている。
    • また、非財務情報を含む企業のサステナビリティに関する情報開示を活用しつつ、投資家や金融機関と企業が建設的な対話を進めることは、インベストメント・チェーン全体の機能向上に資すると考えられる。
    • こうした観点から、報告書においては、IFRS財団における国際的なサステナビリティ開示基準の策定に向けた議論に積極的に参画し、併せて、TCFDに基づく企業開示の質と量の充実を図り、気候変動情報の開示の充実に向けた検討を継続的に進めていくべきことを掲げている。
    • IFRS財団においては、昨年11月に国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)を設置し、併せて同月に気候変動を中心とするサステナビリティに関する開示基準のプロトタイプを公表、続いて本年3月には基準の公開草案につき市中協議を実施し、本年末までに基準を最終化することとしている。
    • わが国でも、本年4月から東京証券取引所の市場構造改革が実施され、プライム市場が発足した。同市場に上場する企業については、コーポレートガバナンス・コードにおいて、「国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである」こととされており、これに基づく開示の充実が進みつつある。
  • ESG評価・データ提供機関
    • サステナブルファイナンスが世界的に拡大する中で、企業のESGに関する取組み状況等について情報を収集・提供し、評価を行う「ESG評価・データ提供機関」の役割が増大している。
    • 報告書においては、ESG評価・データ提供機関について、評価の透明性と公平性、ガバナンスと中立性、人材の登用や企業の負担等について課題が指摘されており、金融庁において、IOSCOにおける国際的な議論に積極的に参画しつつ、ESG評価・データ提供機関の行動規範等について議論を進めるべき旨を提言している。
    • 金融庁においては、報告書を受けて、本年2月「ESG評価・データ提供機関等に関する専門分科会」を設置し、ESG評価・データ提供機関のほか、投資家、企業等も含めて、投資市場全体としてESG評価・データが信頼性のある形で利用されるための環境整備を図るため議論を進めている。
  • ソーシャルボンド
    • 持続可能性に係る課題については、気候変動、生態系と生物多様性の危機、海洋プラスチック問題などの自然環境に係る諸課題のほか、社会的課題として、例えば、貧困・飢餓、健康・福祉、教育、格差及びジェンダー平等など、多様な課題が存在する。また、わが国では、高齢社会への対応や地方創生・地域活性化などの課題も考えられる。
    • これら社会的課題の解決に向けた資金を調達するソーシャルボンドについては、世界的に発行が拡大する中で、国内では公的セクターによる発行例が多く、民間企業による発行は始まったばかりである。経済界等からも、わが国の状況に即した詳細なガイドライン(実務指針)の策定を望む声があり、昨年3月に有識者会議に「ソーシャルボンド検討会議」を設置した。
    • 同検討会議における議論やパブリックコメントを踏まえ、国際標準である国際資本市場協会(ICMA)のソーシャルボンド原則との整合性に配慮しつつ、先進国課題を多く抱えるわが国の状況にも対応する「ソーシャルボンドガイドライン」を、金融庁において昨年10月に確定・公表した。
    • 同ガイドラインでは、ソーシャルボンドの発行に当たって、発行体が、ソーシャルプロジェクトの社会的な効果等を適切な指標を用いて開示すべきとしている。一方、民間企業による国内のソーシャルボンドの発行は始まったばかりであり、国内では指標を用いた開示事例の十分な蓄積がなされていない。
    • このため、昨年12月に同検討会議の下に「ソーシャルプロジェクトのインパクト指標等の検討に関する関係府省庁会議」が設置され、発行体における社会的な効果の開示の参考となるよう、ソーシャルプロジェクトの社会的な効果に係る指標等の例示文書の作成を進め、本年5月、その案を金融庁が公表した。
    • 同例示文書においては、わが国の社会的課題に対処する具体的なソーシャルプロジェクトを17例示した上で、各例において当該プロジェクトの社会的な効果がどのような過程によりインパクトに至るかを図示し、アウトプット、アウトカム及びインパクトの各段階における社会的な効果を示すために用いる指標等を例示している。

金融庁 監査法人の処分について
  1. 処分の概要
    1. 処分の対象
      • 仁智監査法人(法人番号7010005018195)(所在地:東京都中央区)
    2. 処分の内容
      • 契約の新規の締結に関する業務の停止1年(令和4年6月1日から令和5年5月31日)
      • 業務改善命令(業務管理体制の改善。詳細は下記3.参照)
  2. 処分の理由
    • 当監査法人の運営が著しく不当なものと認められたとして、令和4年1月21日、金融庁は公認会計士・監査審査会(以下「審査会」という。)から行政処分勧告を受け、調査を行った結果、下記1.から3.までに記載する事実が認められ、当該事実は公認会計士法(昭和23年法律第103号)(以下「法」という。)第34条の21第2項第3号に規定する「運営が著しく不当と認められるとき」に該当する。
      1. 業務管理態勢
        • 当監査法人は、前回の審査会による検査の結果に関し、金融庁から業務改善命令(業務管理体制の改善)を受けているほか、日本公認会計士協会の品質管理レビューにおいても、複数回にわたり限定事項付き結論が付された品質管理レビュー報告書を受領して改善勧告を受けており、その都度、監査品質の改善に取り組んだとしている。
        • しかしながら、法人代表者及び品質管理担当責任者を含む各社員においては、各人の個人事務所等における非監査業務への従事割合が高く、当監査法人における監査の品質の維持・向上に向けた意識が希薄なものとなっていることから、上記の改善勧告等を法人の業務運営の根幹に関わる問題として認識していない。また、法人代表者及び品質管理担当責任者は、監査品質の改善に向けてリーダーシップを発揮していないなど、品質管理のシステムを有効に機能させる態勢を構築する意識が欠如している。さらに、当監査法人の各社員は、自らが関与していない個別監査業務における品質の改善状況を監視する必要性を認識していないなど、法人の業務運営に対する社員としての自覚に欠けている。このように、当監査法人においては、社員同士が互いに牽制し、監査品質の維持・向上を図る組織風土が醸成されておらず、組織的監査を実施できる態勢となっていない。
        • そのため、法人代表者及び品質管理担当責任者は、監査品質の維持・向上を図る意識が欠如していたことから、品質管理レビューでの指摘事項に関し、同様の不備の発生防止のための根本原因分析を十分に実施していないほか、実施していない改善措置を実施したものとして日本公認会計士協会に報告するなど、改善措置の実施に真摯に取り組んでいない。また、法人代表者及び品質管理担当責任者は、現行の監査の基準に対する理解や、基準が求めている品質管理及び監査手続の水準に対する理解が、自らを含む監査実施者に不足していることを十分に認識していない。さらに、当監査法人は、各社員の合意に基づいて品質管理活動を含む業務運営を行う方針としているにもかかわらず、各社員は、当監査法人における現状の品質管理態勢を批判的に検討していないなど、監査品質の維持・向上に貢献していない。
        • こうしたことから、下記2.に記載するとおり、品質管理レビュー等での指摘事項に対する改善が不十分で同様の不備が繰り返されていること、詳細な監査計画の策定等において重要な基礎データとなる執務実績時間を集計・管理する態勢を整備していないこと、適切な監査業務に係る審査を実施していないことなど、品質管理態勢において、重要な不備を含めて広範かつ多数の不備が認められている。
        • また、下記3.に記載するとおり、今回審査会検査で検証対象とした全ての個別監査業務において、業務執行社員及び監査補助者に監査の基準に対する理解が不足している状況及び職業的懐疑心が不足している状況が確認され、それらに起因する重要な不備を含めて広範かつ多数の不備が認められている。
      2. 品質管理態勢
        • (品質管理レビュー等での指摘事項の改善状況)
          • 法人代表者及び品質管理担当責任者は、品質管理レビュー等での指摘事項に対し、根本原因分析を行い、これを踏まえた改善措置の策定を行ったとしている。
          • しかしながら、法人代表者及び品質管理担当責任者は、監査品質の維持・向上を図る意識が欠如していたことから、同様の不備の発生防止のための根本原因分析を十分に実施していないほか、実施していない改善措置を実施したものとして日本公認会計士協会に報告するなど、改善措置の実施に真摯に取り組んでいない。
          • その結果、今回審査会検査で検証した個別監査業務の全てにおいて、これまでの品質管理レビュー等での指摘事項と同様の不備が繰り返されている。
        • (執務実績時間の管理)
          • 法人代表者及び品質管理担当責任者は、各専門要員の執務実績時間を集計・管理する態勢を構築せずとも、当監査法人の業務に支障はないと思い込んでいたことから、被監査会社への監査見積時間の提示、詳細な監査計画の策定、社員・職員の評価等の重要な基礎データとなるにもかかわらず、これを集計・管理する態勢を整備していない。
        • (監査業務に係る審査)
          • 品質管理担当責任者は、「監査の品質管理規程」に対する理解が不足していたことから、業務執行社員が新規に受嘱した上場被監査会社3社の審査担当社員を指名している状況を看過している。また、品質管理担当責任者は、不正事案が発生した監査業務について、「監査の品質管理規程」で定められた社員会における審査が実施されていない状況を看過している。くわえて、複数の審査担当社員は、監査の基準で求められる監査手続の水準を十分に理解しておらず、また、一部の審査担当社員は、特別な検討を必要とするリスク等に係る監査上の重要な監査調書を査閲していない。その結果、今回審査会検査において指摘した重要な不備を審査において指摘できていない。
          • このほか、「内部規程の整備及び運用」、「法令等遵守態勢」、「独立性」、「監査契約の新規の締結及び更新」、「監査実施者の教育・訓練及び評価」、「監査補助者に対する指示・監督及び監査調書の査閲」、「監査調書の整理・管理・保存」及び「品質管理のシステムの監視」に不備が認められる。
          • このように、当監査法人の品質管理態勢については、品質管理レビュー等での指摘事項の改善状況、執務実績時間の管理、及び監査業務に係る審査において重要な不備が認められるほか、広範かつ多数の不備が認められており、著しく不適切かつ不十分である。
      3. 個別監査業務
        • 業務執行社員及び監査補助者は、監査の基準や、監査の基準で求められる監査手続の水準の理解、特に、不正リスクの評価及び対応に係る手続に関する理解が不足しているほか、経営者の主張を批判的に検討していないなど、職業的懐疑心が不足している。
        • また、業務執行社員及び監査補助者は、監査品質の維持・向上に対する意識が不足しており、このため、リスク評価手続やリスク対応手続について、見直しの必要性を認識することなく、過年度と同様の監査手続を実施している。くわえて、業務執行社員は、自らが果たすべき役割を認識しておらず、被監査会社が行う事業や取引の十分な理解に基づき、監査上のリスクを適切に評価する意識が不足しているほか、監査補助者を過度に信頼していたことから、監査補助者に対する十分な指示・監督及び監査調書の適切な査閲を実施していない。
        • これらのことから、収益認識に関する不正リスクの識別及び不正リスクの対応手続が不適切かつ不十分、受注損失引当金に係る会計上の見積りに関する検討が不適切かつ不十分、重要な構成単位に関する監査手続が不適切かつ不十分などの重要な不備が認められる。
        • 上記のほか、継続企業の前提に関する検討が不十分、固定資産の減損に係る会計上の見積りの検討が不十分、工事進行基準に対するリスク対応手続が不十分、重要な勘定残高に対するリスク対応手続が不十分、監査チームメンバーの独立性の確認が不十分、重要性の基準値に関する検討が不十分、棚卸立会に係る手続が不十分、内部統制や財務報告に関連する情報システムの理解が不十分、監査役等とのコミュニケーションが不十分など、広範かつ多数の不備が認められる。
        • このように、検証した個別監査業務において、重要な不備を含めて広範かつ多数の不備が認められており、当監査法人の個別監査業務の実施は著しく不適切かつ不十分なものとなっている。
  3. 業務改善命令の内容
    1. 法人代表者及び品質管理担当責任者は、組織的に監査の品質を確保する必要性を十分に認識し、社員の職責の明確化、社員同士が互いに牽制する組織風土の醸成など、実効性のある品質管理のシステムの構築に向け、貴監査法人の業務管理態勢の改善に主体的に取り組むこと。
    2. 法人代表者及び品質管理担当責任者は、公認会計士・監査審査会(以下「審査会」という。)の検査及び日本公認会計士協会の品質管理レビューにおいて指摘された不備の根本原因を十分に分析したうえで改善策を策定及び実施するとともに、改善状況の適切な検証ができる態勢を整備すること。併せて、勤務実績時間の管理や、十分かつ適切な審査の実施により、監査の基準で求められる監査手続の水準を満たす監査を実施できる態勢を整備するなど、貴監査法人の品質管理態勢の整備に責任を持って取り組むこと。
    3. 現行の監査の基準に準拠した監査手続を実施するための態勢を強化すること(収益認識に関する不正リスクの識別及び不正リスクの対応手続、受注損失引当金に係る会計上の見積りに関する検討、重要な構成単位に関する監査手続など、審査会の検査において指摘された事項の改善を含む。)。
    4. 上記(1)から(3)に関する業務の改善計画について、令和4年6月30日までに提出し、直ちに実行すること。
    5. 上記(4)の報告後、当該計画の実施完了までの間、令和4年11月末日を第1回目とし、以後、6箇月ごとに計画の進捗・実施及び改善状況を取りまとめ、翌月15日までに報告すること。

金融庁 「海外のステーブルコインのユースケース及び関連規制分析に関する調査」報告書の公表について
▼(別添)「海外のステーブルコインのユースケース及び関連規制分析に関する調査」報告書
  • 金融のデジタル化の進展の中で、分散型台帳技術を利用した金融サービスに関しては、送金・決済の分野において、価値を安定させる仕組みを導入し、法定通貨と価値の連動等を目指すステーブルコインが登場し、米国等で急速に拡大している。2021年10月7日に公表された、金融安定理事会(以下「FSB」という。)「『グローバル・ステーブルコイン』の規制・監督・監視-金融安定理事会のハイレベルな勧告の実施に係る進捗報告書」(Regulation, Supervision and Oversight of “Global Stablecoin” Arrangements – Progress Report on the implementation of the FSB
  • High-Level Recommendations(以下「FSB Report」という。))によれば、ステーブルコインの時価総額は、2021年9月には1,230億米ドルを突破しているという状況にある。このようなステーブルコインのユースケースとしては、暗号資産取引の中で用いられるケースが多いものと考えられるが、米国大統領金融市場作業部会(the President’s Working Group on Financial Markets(以下「PWG」という。))が、2021年11月にステーブルコインの規制に関する提言をまとめた報告書
  • (Report on Stablecoins by President’s Working Group on Financial Markets(以下「PWG Report」という。))において指摘されているように、仮に精緻に設計され、適切に規制された場合は効率的かつ高速な支払手段になる可能性もある。
  • 他方で、PWG Reportにおいては、ステーブルコイン及び関連した活動について、市場の公正性や利用者保護上の課題及びマネーロンダリングに関連した懸念を含む広範なリスクの存在も指摘されている。例えば、非中央集権型の取引プラットフォームを介したデジタル資産の取引について、相場操縦、インサイダー取引やフロントランニングがなされ市場の透明性・公正性に欠けるという懸念が存在するとの指摘がなされている1。また、ステーブルコインを用いた取引については、顧客から受け入れた資金を適切に管理していない事業者が存在する、マネーロンダリング・テロ資金供与の潜在的リスクが高い2、との指摘もなされている。
  • ステーブルコインと暗号資産の関係
    • FinCENが所管する連邦レベルのAML/CFT規制との関係では、PWGReport20頁に、米国においては、ほとんどのステーブルコインは「convertible virtual currency 兌換性仮想通貨9」(以下「CVC」という。)とみなされる旨の記載があることから、既存の規制体系においては、基本的にステーブルコインと暗号資産(仮想通貨)の取扱いを同じものとしているものと考えられる。
    • SEC・CFTCが所管する連邦レベルの証券・商品先物規制との関係ではステーブルコインや暗号資産についてどのような規制を適用するか検討中であり、現時点で、ステーブルコインと暗号資産の関係について明確に述べている文献等は見当たっていない。しかし、PWG Report11頁では、「最初の問題として、その構造によっては、ステーブルコインやステーブルコインに関する契約(arrangements)の一部は、証券(securities)、商品(commodities)、デリバティブ(derivatives)となる可能性がある。」10と記載され、また、SEC の Gary Gensler委員長は、暗号資産(仮想通貨)に関する文脈において「トークンの法的位置付けはそれぞれの事実と状況によるが、50、100のトークンがある場合、どのプラットフォームにおいても、有価証券securities)がゼロとなる確率はかなり低い。」と述べている。
    • したがって、暗号資産・ステーブルコインいずれについても、その取扱いは、当該サービスを構成するスキーム(事実や状況)によって判断されるものと考えられる。
    • PWG Reportにおける現状の整理では、連邦法に関しては、ステーブルコインといった名称(サービス名)により形式的に定まるものではないとされている。例えば、当該ステーブルコインが証券(security)、商品(commodity)、デリバティブ(derivative)である場合、連邦証券諸法やCEAを適用することで、投資家や市場を保護し、透明性の面でも重要な効果が期待できると考えられている。
    • また、上記のとおりほとんどのステーブルコインは、CVCとみなされており、ステーブルコインを取り扱うに当たっては、下記のとおりCVCに関する規制であるMoney Transmitterに係る規制を遵守する必要があるものと考えられる。
  • 本報告書では、米国におけるステーブルコインに適用されうる法制度(連邦法・NY州法・WY州法に限る。)及び主要なステーブルコイン(Tether・USDC・BUSD)の概要を対象として、文献調査及びヒアリング調査により得られた情報をまとめてきた。これらを踏まえた重要な示唆についてまとめるとともに、今後の議論・検討に向けた課題等を提起することとする。
  • 米国においてステーブルコインに対して適用されうる法制度に関する重要な示唆
    • 米国においてステーブルコインに関するビジネスを行う場合、連邦法との関係ではサービス実態に応じて送金規制・暗号資産規制・証券規制・先物規制等の中で該当する規制が重畳適用されることになる。
    • PWG Reportに記載があるとおり、ほとんどのステーブルコインはCVC(convertible virtual currency)とみなされることから、ステーブルコインの受入れや送信、売買を行う者はBSAに基づきmoney transmitterとしてFinCENに登録するとともに、リスクに見合った AMLプログラムの開発・実施を中心とする資金洗浄防止に関する規制を遵守する必要があると考えられる。
    • その他、主要なところでは「証券(security)」とみなされる場合には連邦証券諸法に基づく証券規制が、「商品(commodity)」とみなされる場合にはCEAに基づく規制が課されることとなる。
    • また、NY州法との関係では、ステーブルコインと称されるプロダクトの多くは暗号資産(仮想通貨)に該当するとされ、ステーブルコインに係る事業活動を行うためにはBitLicenseの免許を取得する必要がある。
    • 現地法律事務所へのヒアリングによればBitLicenseを持つ事業者が送金業務に従事する場合は、追加的にNY州銀行法に基づくMoney Transmitterの免許を取得する必要がある。すなわち、Bitライセンシーが顧客の暗号資産(仮想通貨)を償還することで、金銭の移転(送金)業務を行うためにはMoney Transmitterの免許も取得することが一般的であることが明らかになった。
    • また、現地法律事務所へのヒアリングによれば、NY州法に基づきステーブルコインを発行する場合、NY州銀行法上の限定目的信託会社が信託証書としてステーブルコインを発行することも可能であることが分かった。限定目的信託会社は暗号資産(仮想通貨)事業活動に従事する場合、BitLicenseの取得は求められないが、NYDFSから暗号資産(仮想通貨)事業活動を行うことに関する認可を取得する必要がある。当該パターンにおいては、NY州銀行法に基づく銀行及び信託会社(限定目的信託会社)が送金業務に従事する場合は、Money Transmitterの免許を取得する必要はないとされている。他方で、限定目的信託会社の認可基準の要件は、BitLicenseの取得要件に比して厳しくなっている点が確認されている。
    • 当局の権限について、NYの金融規制当局であるNYDFSは、Bitライセンシーに対して、維持すべき資本金の額の決定や資産保全手法及び額の決定権限、新商品・サービスの導入又は既存商品・サービスに重要な変更を加える場合の承認権限などの一定の裁量を含む広範な監督権限を有することが分かった。
    • 顧客の本人確認との関係で特筆すべき事項として、Bitライセンシーは身元不明瞭な移転への関与が禁じられていることも分かった。
    • NYDFSは州法上の Money Transmitterに対しても、資産保全のための保証証券の提出義務や運用方法の制限、AMLプログラムの策定等の規制を課しており、ステーブルコインを償還することで送金業務を行う事業者は、Bitライセンシーと Money Transmitter の双方の規制を遵守しなければならないと考えられる。
    • ステーブルコインと米国預金保険制度との関係では、暗号資産(仮想通貨)事業活動としてステーブルコインを発行している銀行等(預金取扱機関)が破綻した場合は、個別のステーブルコインの保有者は、FDICによる預金保険制度によって一定額が保証されるものと考えられる。
    • 他方でステーブルコインについて預金取扱機関以外が発行し、準備金を他の預金取扱機関において保全した場合、発行者が預託している預金取扱機関自体の破綻は米国預金保険制度により保護されるが、ステーブルコイン発行者自体の破綻は米国預金保険制度の保護の対象外となっているとのことである。
    • また、上記の米国預金保険制度におけるパススルー要件に関しては「FDICのパススルー要件は、各預金保持者が識別可能であるという前提で運用されている。ステーブルコインの発行者は、直接ステーブルコインを売った相手を認識していても、その後当該ステーブルコインを保有している者を認識していない可能性がある。」という意見が米国弁護士事務所から示された。
  • ユースケースに共通して見られた特徴
    • 今回調査した3つのユースケースはいずれも、発行体が中央集権的な発行体が独自プラットフォーム上で、各種ブロックチェーン上で取引が可能なトークンの形でステーブルコインを発行しているスキームであった。
    • 各ステーブルコインの発行・流通市場に関して、プライマリー顧客(発行者から直接ステーブルコインを購入している者)とセカンダリー顧客(暗号資産取引所などを通りステーブルコインを売買する者であり、発行者とは直接の取引関係にない。)の2種類の利用者が存在することが確認できた。
    • 発行体は、ステーブルコイン流通に関する明確な二層構造を認識しており、本人確認や顧客管理に関する義務については、基本的にプライマリー顧客に対してのみ実施していることがうかがわれた。
    • 他方で、本章1で記載のとおり、仮に裏付資産が米国預金保険制度の対象となっている預金取扱機関で預金として管理されている場合に、当該預金取扱機関が破綻した際に各ステーブルコインの所有者に補償がなされるためには、パススルー要件に基づき当該ステーブルコインの現時点の所有者が特定できる必要があるが、上記のとおり発行者が把握している情報がプライマリーの購入者の情報のみである場合には、かかる要件を満たすことができない可能性が高い。
    • 本人確認手続やAMLプログラムに関して、各ユースケースの発行者は一定の取り組みを主張しており、不正取得や、偽造、複製、消滅等が発生した場合には、例えば、裁判所の命令を受けて、該当するユーザーの保有する各ステーブルコインのトークンを発行者にて凍結するという手段を行うことができるとされている。ただし、当該執行状況や基準が、AML/CFTの観点から既存の金融システムにおいて取られている対策に比して十分なものかは明確ではない。
  • ユースケースごとの差異が見られた特徴(具体的な発行形態とその法制度上の位置付けを含む。)
    • プライマリー顧客を法人に限定している発行体と、個人・法人を問わず発行している発行者の2パターンが確認された。なお、セカンダリーでの取引を通じて両種類のステーブルコインについて個人が利用することは可能となっている。
    • 発行償還の際の手数料や、ステーブルコイン発行の最低数量に関しても各ユースケースで差異が見られた。
    • また、各ユースケースにおいて発行体が取得しているライセンスの種類や有無に関して、大きな差異が生じており、米国の各州で送金事業者としてのライセンスを所有している者もいれば、他方で米国でのビジネスに関して発行体としては従事していないような状態となっている事例も見られた。
  • ステーブルコインの規制枠組み・市場に関する今後の課題について
    • 現状、ステーブルコインに関して、様々な課題の指摘があることは事実である。例えば
    • P2P取引プラットフォームを用いたステーブルコイン及び暗号資産(仮想通貨)の取引が、テロ資金供与・国際的な金融制裁の迂回のためのルートとして利用されているとの指摘
    • 規模の大きいステーブルコインに関しては、裏付資産の運用に関する金融市場での影響も大きくなっており、金融安定性に対するリスクに関して、既存の市場参加者と同等の規制枠組みに服するべきと考えられるが、適切な規制や監督の対象となっていないか遵守していない可能性があるとの指摘
    • 裏付資産の状況や運営会社の情報などの開示が不十分若しくは虚偽の内容を含むなど利用者保護上不適切な例が存在するとの指摘
    • 発行者やカストディサービスを提供する仲介者が破綻した際の顧客資産の保護に関して、破綻時の解決法域が特定されていない、具体的な払戻し手法が明確化されていないなど法的安定性の明確な具備などがなされないまま、サービス提供がされている事例が存在するとの指摘
  • 今後の議論に関して
    • PWG Reportは、ステーブルコインに係るリスクに対応するために、以下の法制上の対応を提言している。
      1. ステーブルコインの発行者について、単体及びホールディングス単位で適切に規制監督下にある米国預金保険制度対象の預金取扱金融機関等であることを法制上求めるべき。
      2. カストディサービスを提供しているウォレット業者についても、連邦政府の適切な監督に服することを法制上求めるべき。また議会はステーブルコインの発行者の規制当局にステーブルコインの枠組みにおける不可欠な機能を果たすいかなる主体に対しても適切なリスク管理基準を満たすことを求めることができる権限を認めるべき。
      3. ステーブルコインの発行者に対して、営利団体との連携に限定をかける行動規範に従うことを求めるべき。また監督当局はステーブルコインのインターオペラビリティーを促進する基準を設定する権限を持つべき。加えて、カストディサービスを提供するウォレット業者に関しても営利団体との連携や利用者の取引情報の利用の限定に関する別の基準を検討されるべき。
      4. 米国においては、今後、このような提案及び Executive Order on Ensuring Responsible Development of Digital Assets を受け、ステーブルコイン発行者、カストディ業者を含む仲介者に対する具体的な規律のあり方が今後議論されていくものと考えられる。当該議論の中で、発行体以外の者であってステーブルコイン枠組みで重要な機能を果たす主体への規制監督のあり方やステーブルコイン発行者・仲介者における営利企業との連携規範や顧客情報管理に関する基本的な考え方についてどういった検討がなされるのかを注視する必要がある。

【2022年5月】

金融庁 「ソーシャルボンド検討会議」(第5回)議事次第
▼資料3 ソーシャルプロジェクトの社会的な効果に係る指標等の例示文書(案)
  • ダイバーシティの推進・女性の活躍推進:男女の教育(特に高等教育)をめぐる状況
    • 内閣府「男女共同参画白書 令和3年版」によると、令和2(2020)年度の大学(学部)への進学率は、女子50.9%、男子57.7%と男子の方が6.8%ポイント高い。ただし、女子の短期大学(本科)への進学(7.6%)を合わせると、女子の大学等進学率は58.6%となる。また、大学(学部)卒業後、直ちに大学院へ進学する者の割合は、令和2(2020)年度では女子5.6%、男子14.2%となっている。
    • 同白書によると、令和2(2020)年度における大学(学部)、大学院(修士課程)及び大学院(博士課程)における女子学生の割合を専攻分野別に見ると、人文科学の全課程や薬学・看護学等及び教育の大学(学部)及び大学院(修士課程)では女子学生の割合が高い一方、理学及び工学分野等では全課程で女子学生の割合が低く、専攻分野によって男女の偏りが見られる。
    • 「第5次男女共同参画基本計画では、多様な選択を可能にする教育・能力開発・学習機会の充実に向けた具体的な取組として「女性が高等教育を受けることや理工系分野等女性の参画が進んでいない分野における仕事内容や働き方への理解を促進する」としている。
  • ダイバーシティの推進・女性の活躍推進:外国人児童生徒の教育をめぐる状況
    • 近年、日本の学校における外国人の子どもが多く在籍しており、今後も増加する可能性。
    • 外国人の子どもに就学義務はなく、文部科学省の調査によると就学していない可能性のある子どもは約1万人いるとされている。
    • また、日本語指導が必要な高校生等の進学・就職状況を見ると、就職者のうち非正規就業者が占める割合が39%で全高校生等の平均の3.3%を大きく上回っている。
  • 子育てと仕事を両立しやすい社会の実現、ダイバーシティの推進・女性の活躍推進
    • 第1子出産前後に女性が就業を継続する割合は上昇しているものの、依然5割弱の女性が退職している。
    • 男女共同参画白書によると、第1子の妊娠・出産を機に仕事を辞めた理由としては、「子育てをしながら仕事を続けるのは大変だったから」が最も高く、過半数の者が理由に挙げている。
    • このことの背景には、子どもがいる女性は同条件の男性より「家事時間」や「育児時間」が長く、仕事をしている場合には「仕事等時間」と「家事時間」「育児時間」の合計時間も長くなっていることがあると考えられる。
    • 子育てと仕事を両立しやすい社会の実現や、ダイバーシティの推進・女性の活躍推進のためには、「家事・育児・介護」の負担が女性に偏り、就業継続や仕事との両立の難しさにつながっている状況の改善が必要である。
    • さらに、子育てと仕事を両立しやすい社会の実現に向けて、職住育近接のまちづくりや職住育近接に資するサテライトオフィス、コワーキングスペース等の整備等の取組も進められている
  • 働き方改革とディーセントワークの実現、女性の活躍推進、高齢社会への対応
    • 少子高齢化が急速に進む中、単身高齢者も増加している。一方で、介護施設の需要に対する供給不足が続いている。
    • 厚生労働省によれば、要介護3以上で特別養護老人ホーム(地域密着型を含む)に入所を申し込んでいるが入所していない者の数は、2019年4月1日時点で29.2万人に上る。また、要介護1又は2で居宅での生活が困難な特例入所の対象者の数は3.4万人となっている。
    • 高齢者家族などが介護・看護を理由に離職等せざるを得ない状況も見られる。厚生労働省の雇用動向調査によれば、2019年に「介護・看護」を理由に離職した人の数は約10.0万人に上り、うち男性は約2万人、女性は約8万人と、女性の割合が高い。
  • バリアフリーの推進
    • 「令和元年度 年次経済財政報告」では、「労働市場を巡る環境が大きく変化する中、労働者側・企業側の双方からみて、性別・年齢・国籍等によらず、多様な価値観やバックグラウンドを持った人材が、個々の事情に応じて柔軟な働き方を選択でき、より多くの人が意欲や能力に応じてより長く活躍できる環境を整備することが重要となっている。」としている。
    • 「男女雇用機会均等法」に基づく「セクハラ指針」では、性や性自認に関するセクハラ防止対策が事業主に義務付けられている。
    • 民間企業に対して「障害者雇用促進法」により常時雇用する従業員の一定割合(法定雇用率、2.3%)以上の障がい者雇用を義務付けている。厚生労働省によれば、令和3年の雇用障がい者数、実雇用率ともに過去最高を更新した。
    • また、我が国では2020年東京オリパラ大会等を契機とする共生社会の実現に向け、「バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)」を改正しハード対策に加え、移動等円滑化に係る「心のバリアフリー」の観点からの
  • 施策の充実などソフト対策の強化が図られている。
    • 障害の有無、年齢、性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいよう都市や生活環境をデザインするユニバーサル・デザインの考え方を踏まえた取組みを進めることが、あらゆる人がその個性と能力を発揮し、自由に参画し、自己実現を図っていけるような社会づくりにつながる、と考えられる。
  • 子どもの貧困対策推進・あらゆる人々の教育機会の確保
    • 日本において義務教育就学率は約100%の水準であるものの、子どもの貧困は社会全体で取り組むべき課題である。
    • 政府により策定された「子供の貧困対策に関する大綱」において、子どもの貧困対策に関する重点施策として「幼児教育・保育の無償化の推進及び質の向上」が挙げられている。このうち「幼児教育・保育の無償化」は令和元年10月から開始され、今後も着実に実施していくことが規定されている。また、「幼児教育・保育の質の向上」については、「公私の別や施設種を超えて幼児教育を推進する体制を構築」との規定がなされ、更なる質の向上に向けた取組が展開されつつある。
    • 同大綱においては「国民一人一人が輝きを持ってそれぞれの人生を送っていけるようにすることが、活力ある日本社会の創造に直結する」との記載が基本方針の中で掲げられており、貧困状況にある子どもへの支援を包括的かつ早期に講じる方針が示されている。
  • 責任ある企業行動の促進
    • 国際社会は、企業に対し、企業内部での「ビジネスと人権」に関する取組の実施だけでなく、国内外のサプライチェーンにおける人権尊重の取組を求めており、企業はこの点に留意する必要がある。
    • 例えば、紛争鉱物とは、重大な人権侵害を引き起こす内戦や紛争に関わる武装勢力の資金源となる恐れのある鉱物を指す。米国金融規制改革法(ドッド=フランク法)では、錫、タンタル、タングステン、金の4つを紛争鉱物に指定し、製品に使われている紛争鉱物がコンゴ民主共和国およびその周辺国の武装勢力の資金源になっていないことを確認するよう企業に義務付けている。
    • 2013年4月にバングラデシュで起きた縫製工場などが入居するビル「ラナプラザ」の崩落事故では、少なくとも1,132人の死者と2,500人以上の負傷者を出し、類を見ない労働災害として注目が集まるとともに、国際労働機関(ILO)やアパレルメーカーが途上国のサプライヤーにおける労働安全や保安管理の強化に乗り出すこととなった。
    • 我が国の「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」(クリーンウッド法)では、全ての事業者に、合法伐採木材等を利用するよう努めることが求められ、特に木材関連事業者は、取り扱う木材等について「合法性の確認」等の合法伐採木材等の利用を確保するための措置を実施することとなった。米国、オーストラリア、EU及び韓国等にも類似規制がある。
    • 企業が人権課題に関心を払わず、人権に関するリスクを放置すると、その結果として、企業にとって様々なリスクが生じることになる。具体的には、訴訟や行政罰などの法務リスク、ストライキや人材流出などのオペレーショナルリスク、不買運動やSNSでの炎上などのレピュテーション(評判)リスク、株価下落や投資の引揚げ(ダイベストメント)といった財務リスクなど、様々なリスクが考えられる。
    • OECDでは、1976年、多国籍企業に対して、企業に対して期待される責任ある行動を自主的にとるよう勧告するためのOECD多国籍企業行動指針を策定している。その後、同方針をもとに「責任ある企業行動に関するデューディリジェンス・ガイダンス」及びセクター別のガイダンス等も策定している。また、2011年に国連人権理事会では「ビジネスと人権に関する指導原則」が採択され、日本政府においては、2020年、「『ビジネスと人権』に関する行動計画」を策定している。
  • 健康・長寿の達成(高齢社会への対応含む)
    • 医師、医療施設は都市部に集中する傾向にあり、令和3年版厚生労働白書によれば、都道府県間及び都道府県内の医師の地域的な偏在が生じている。
    • 高齢化の進展に伴い、高齢者の慢性疾患の罹患率の増加による疾病構造の変化が指摘されており、高齢になっても病気になっても自分らしい生活を送ることができるように支援する在宅医療・介護の環境整備が望まれている。
    • こうした状況下、直接の対面診療が困難な場合や病状の安定している患者(長期に診療してきた慢性期患者など)に対して、医師と患者が情報通信技術(ICT)を通して診察・診療行為を行うオンライン診療などの「遠隔医療」の取り組みが図られている。
    • 患者にとっては、受診における経済的・身体的負担の軽減が期待されるほか、対面診療と適切に組み合わせて提供することで、かかりつけ医による日常的な健康指導や疾病管理が向上する可能性が指摘されている。
  • ダイバーシティの推進、バリアフリーの推進、健康・長寿の達成(高齢社会への対応含む)
    • 高齢者の孤立化(内閣府「令和3年版 高齢社会白書より)
    • 「近所の人とのつきあいの程度」を世帯タイプ別に見ると、65歳以上の男性単身世帯においては、「あいさつをする程度」が半数以上であり、「つきあいはほとんどない」と回答する割合も他の世帯タイプより高い。
    • 東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は、令和元年に3,936人となっている。
    • 若年層の孤独・孤立(内閣府「令和3年版 子供・若者白書」より)
    • 新型コロナウイルス感染症の流行が長期化する中で、若年層の孤独・孤立の問題が深刻化している。
    • 2021年2月には、内閣官房に孤独・孤立対策担当室が設置され、孤独・孤立の問題に取り組む体制が整備された。
    • 孤独・孤立対策(「孤独・孤立対策の重点計画」より)
    • 孤独・孤立は、社会全体で対応しなければならない問題であり、心身の健康面への深刻な影響等も懸念される。
    • 孤独・孤立対策の基本方針として、見守り・交流の場や居場所づくりを確保し、人と人との「つながり」を実感できる地域づくりを行うことや、孤独・孤立対策に取り組むNPO等の活動を支援し、官・民・NPO等の連携を強化することなどが挙げられている。
  • 企業による新型コロナウイルス感染症対策(経済的影響への対応含む)
    • 新型コロナウイルスの感染は、2020年1月15日に国内最初の感染者が確認されて以降急速に拡大した。
    • 2020年4月7日には、7都府県を対象に緊急事態宣言が発出され、16日には対象が全国に拡大、外出自粛要請と飲食店等に対する休業要請が行われた。経済活動の多くを止める措置により、経済や雇用、人々の生活に大きな影響が生じ、2020年の実質GDP成長率は前年比-4.7%となった。
    • また、2020年4月には休業者数が急増。その後、緊急事態宣言は一旦解除され、2021年1月に再び発出されたが、2020年4月のような急激な動きは見られなかった。経済活動は徐々に戻りつつあるが、2021年3月現在で、感染拡大前と比べて完全失業率は高い水準にあり、有効求人倍率も大きく低下する等、雇用情勢は厳しさが見られる。
    • 「事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン」では、新型コロナウイルス感染症対策のため、業者が自主的に事業継続の検討を行い、準備を行うことは、企業の存続のみならず、その社会的責任を果たす観点からも重要である、としている。
  • 地方創生・地域活性化
    • 地域における就労・雇用の機会の確保
    • 第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、将来にわたる「活力ある地域社会」の実現と「東京圏への一極集中」の是正を目指している。日本全体として人口減少が進む中、働きがいのある魅力的な雇用機会を創出し、誰もが安心して働けるようにすることが重要である。
    • 中小企業基本法における21世紀の中小企業像
    • 中小企業は我が国経済を支える重要な存在として位置づけられており、1999年の中小企業基本法の改正では、就業機会の担い手や地域経済社会発展の担い手としての役割が期待されている。
    • 企業の資金投入意向と資金確保の状況
    • 『2021年版中小企業白書』によると、企業が今後3年間で資金を投じたい分野として「新規雇用の拡大」と「従業員の賃金の引き上げ」の合計は上位に位置する。
    • また、「国内の設備・施設等への投資の増加」も資金を投じたい分野として上位である。
    • 業種によって異なるが、そのための資金確保ができていない企業の割合は少なくない。
  • 地方創生・地域活性化
    • 総務省によれば、日本全体における固定系超高速ブロードバンドの整備状況(世帯カバー率)は、2020年3月末時点で99.1%(未整備世帯53万世帯)まで整備されている。しかし、県レベルでみると、東京都(100%)と比較し、離島や山間地等を多く有する地域等で一部整備が遅れている。
    • 地理的に条件不利な地域において5G・IoT等の高度な無線環境を着実に整備するため、無線局エントランスまでの光ファイバの設置を推進するなど支援策が講じられている。
    • ICT環境の整備により、地方における観光や教育、農業などのセクターでのIoT化が進むことで、地方創生に貢献すると考えられるほか、新型コロナウイルス感染症の影響でテレワークが推進される中、地方でのサテライトオフィスの活用などにより地域分散型の活力ある地域社会が実現することも考えられる。
    • また、地上の通信技術に加えて、人工衛星・HAPS等を利用した通信技術の活用・開発により、大規模災害等の発生地域における通信を可能とし、人命救助や復旧活動に役立てようとする動きがある。
  • 持続可能で強靭な国土(防災・減災対策、インフラ老朽化対策)
    • 我が国では、東日本大震災を経験し、防災対策における要配慮者(要介護高齢者、障がい児者、医療的ケア児、妊産婦、乳幼児、アレルギー等の慢性疾患を有する者、外国人等)に対する措置の重要性が一層高まったところである。避難所環境整備においては、要配慮者への支援も視野に、バリアフリーに対応したトイレ、障がい者用スロープなどの設備の整備に加え、更衣室・授乳室の設置等によるプライバシーの確保や子どもの遊びや学習のためのスペースの確保、障がい者や外国人に配慮した情報提供環境の整備等、良好な生活環境の確保に向けた取組が必要である[1]。食物アレルギー対応食品や育児・介護・医療用品等、要配慮者の利用にも配慮した備蓄や医療・福祉サービスの提供に取り組むことも必要である[1]。さらに、昨今は、避難所の感染症対策も重要となっている。
    • 日本政府の「SDGsアクションプラン2021」においては、国土強靱化や防災・減災対策等を重点に置いた社会資本の整備や、医療・福祉・商業等の生活機能の確保、また、高齢者等をはじめとする住民が安心して暮らせるまちづくり等が盛り込まれている。
  • 住宅確保要配慮者向けの住居支援
    • 我が国では、高齢者、障がい者、子育て世帯等の住宅の確保に配慮が必要な方が今後も増加する見込みである。住宅確保要配慮者には、低額所得者、被災者、高齢者、障がい者、子どもを養育している子育て家庭、外国人などが含まれるが、対象者が多く、日常的に接する機会が多い高齢者に対する住宅提供の推進は、不動産業界では、最優先の課題の一つと認識されている。
    • しかし、住宅確保要配慮者への住宅としての公営住宅の管理戸数は減少傾向にあり、今後、加速化する人口減少や厳しい行財政事情のもと、大幅な増加は見込めない状況である。一方、民間賃貸住宅は、空き家・空き室が増加しており、防災・防犯、衛生、景観、地域活性化等の観点から、その利活用等が求められている。
    • 我が国では、空き家・空き室を活用し、住宅セーフティネット機能を強化するため、新たな住宅セーフティネット制度が2017年より施行された。
  • 食品廃棄物・食品ロスの削減とリサイクル/国際協力(発展途上国の食料安全保障と栄養改善の達成)
    • 世界では10人に1人が飢えに苦しむ。一方で、世界の食料生産量の3分の1が毎年廃棄されている。我が国では、食品廃棄物等(食品由来の廃棄物等)のうち、本来食べられるにもかかわらず廃棄されている食品(食品ロス)の量は約570万トンと、2020年に国連WFP(世界食糧計画)が飢餓に苦しむ人々に行った食料支援量(420万トン)の1.4倍である。食品ロスの半分以上(54%)の309万トンが食品関連事業者から発生する事業系食品ロスであり、食品製造業(41%)と外食産業(33%)からの排出が大部分を占めている。
    • SDGsのゴール12「つくる責任つかう責任」では、2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させることがターゲットに掲げられている。我が国でも「食品リサイクル法」の令和元年7月基本方針で、事業系食品ロスを2000年度比で2030年度までに半減させる目標が設定された。
    • 一方で、途上国では、食料が生産の段階や収穫の後に廃棄される「ポストハーベスト・ロス」が問題になっている。これは、農家の保存設備が不十分であったり、収穫物を市場に届けるための輸送手段がないことなどが主な原因で起きている。
    • 食品ロスは、生産・加工・流通・小売・消費のサプライチェーンの各段階で発生している。
    • 食品リサイクル法では、食品製造等で生じる加工残さや、食品の流通・消費過程等で生じる売れ残りや食べ残し等の「発生抑制」を行い、発生した食品廃棄物等については、飼料や肥料として「再生利用」に取り組むことで、廃棄処分を減らすとともに、環境負荷の少ない循環型社会の構築を目指している。
  • 持続可能な生産・消費の促進
    • 2020年、日本の農業経営体数は107万6千経営体となり、5年前と比べて21.9%減少している。また、基幹的農業従事者数は136万3千人と10年前に比べて33.6%減少し、高齢化も進んでいる。
    • 日本の農業総産出額は長期的に減少していたが、近年はおおむね横ばいで推移している。
    • 一方、1経営体当たりの農業経営収支を見ると、農業粗収益は2017年以降横ばいで推移し、2019年は前年に比べ0.9%増加の892万円となっていた一方で、農業所得は、農業経営費が増加したことにより、前年に比べ1.7%減少の194万1千円となっている。
    • 労働力不足が深刻化する日本の農業においては、農業生産基盤整備や先端技術の活用などにより生産性の向上を引き続き図る必要があり、労働力投入以外の要素での取組が重要になってきている。
    • こうした技術支援等により農業の生産性の向上等を進め、農業経営の底上げを図ることが必要である。
  • ダイバーシティの推進、バリアフリーの推進、健康・長寿の達成
    • 2021年に東京オリンピック・パラリンピックが開催され、我が国には有形無形のレガシーが存在している。スポーツ基本法において、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、全ての人々の権利」であるとされており、障がい者も例外ではない。
    • 第3期スポーツ基本計画(令和4年3月)では、「障害者がスポーツを通じて社会参画することができるよう、障害者スポーツの実施環境を整備するとともに、スポーツを実施していない非実施層に対する関心を高めることや障害者スポーツの体験等による一般社会に対する障害者スポーツの理解啓発に取り組むことにより、人々の意識が変わり、共生社会が実現されることを目指す。」とされており、障がい者スポーツを振興するためのプロジェクトは、我が国のダイバーシティの推進に大きく貢献することになる。
    • また、スポーツ活動を通じ、障がい者の健康面の向上のみならず、社会参画の促進、生きがいの創出等にもつながり、健康・長寿も含めたウェルビーイングに貢献することも期待される。
  • 再犯防止の推進を通じた安全・安心な社会の実現
    • 我が国では、刑法犯検挙人員の約半数が以前にも犯罪により検挙されたことがある再犯者となっており、犯罪のない安全・安心な社会の実現のためには、犯罪の繰り返しを防ぐ再犯防止を推進する必要がある。
    • 犯罪をした者や非行のある少年(以下「犯罪をした者等」という。)は、貧困、高齢・障害、生育環境の不良など複合的な課題を抱えていることが少なくなく、そのために円滑な社会復帰が困難な状況にある。
    • 犯罪をした者等が再び犯罪をすることを防ぐ(再犯防止)ためには、犯罪をした者等の生活の安定に向けて、生活環境の改善等に向けた指導や支援を実施することが必要であり、国や地方公共団体だけでなく、リソースを有する企業の積極的な関与が望まれる。
    • 再犯防止の推進により、犯罪をした者等が社会において孤立し、取り残されることなく、企業を含む国民の理解と協力を得て再び社会を構成する一員となることにより、新たな犯罪ひいては新たな被害者を生まない安全・安心な社会の実現が図られる。

金融庁 「資産運用業高度化プログレスレポート2022」の公表について
▼(別添)「資産運用業高度化プログレスレポート2022(概要版)」
  • 経済社会の様々な変化に対応し、持続可能な経済成長を実現するために、インベストメント・チェーンの各参加者が、それぞれに期待される役割を十分に果たすことにより、資金の好循環を実現することが重要である。
  • 資産運用会社が中長期的に良好な運用成果を上げることを通じて、顧客の信頼・支持を獲得したうえで収益基盤を確立していくためには、顧客利益を最優先に考えた組織的な態勢整備と取組みを進めていくべきである。顧客利益最優先の業務運営と運用力の強化を確実に進めていくためには、適切にガバナンスを機能させ、「1.経営体制」、「2.商品組成・提供・管理(プロダクトガバナンス)」、「3.目指す姿・強みの明確化」の各課題について、改善や更なる高度化に向けて取り組んでいくことが重要。引き続き対話を行うことで、競争環境の醸成と各社の実効性のある取組みに繋げていく。
  1. 経営体制
    1. 独立性の確保と検証体制の整備
      • 資産運用会社の経営層は、投資家の利益を最大化するために、独立性と顧客利益最優先の立場での検証機能を確保することが重要。
      • 各会議体では取組実績の報告にとどまらず、議論を深化させ、顧客利益最優先の業務運営が行われているかについての継続的な検証が必要。
    2. 長期視点での運用を実現する専門性を重視した経営体制
      • 資産運用会社の経営層の人選を、専門性、経験や運用ビジネスへの意欲等を踏まえて行うなど、顧客利益最優先の業務運営と運用力強化の取組み推進に資する経営体制を構築することが必要。
    3. 独立社外取締役の機能発揮
      • 資産運用会社における独立社外取締役の属性については、各社が期待する目線にもよるが、運用ビジネスに関する知識・経験のある人材の選任が必要。
  2. 商品組成・提供・管理(プロダクトガバナンス)
    1. アクティブファンドの「シャープレシオ」
      • 公募アクティブファンドのシャープレシオは、ファンド数が少ない社では、旗艦ファンドに注力しリソースを集中させることで良好なパフォーマンスを実現している傾向が見られる。一方、100本以上のファンドを運用する社では良好なパフォーマンスを実現するファンドもあるが、シャープレシオがマイナスとなっているファンドも多く見られる。
    2. 国内株アクティブファンドの「アルファ」
      • アクティブ投資の付加価値である超過リターン(「アルファ」)を定量的に把握するために、国内株アクティブファンド444本の時系列データを用いて重回帰分析による統計的な推計を行った。アルファの推計値が有意にマイナスとなったファンドは32本。大手資産運用会社のファンドが多くを占め、独立系等の資産運用会社のファンドは見られない。また、そのうち約7割(23本)が設定から20年以上経過しているファンド。
        • 特にt値が-4を下回るものは、真のアルファがプラスである確率はわずか1万分の1以下と推定される。いずれのファンドも運用期間が20年前後と長期にわたっており、改善に向けた対応がもはや困難とも考えられる不芳ファンドが、結果として長期に継続していることは、組織のプロダクトガバナンス体制に深刻な問題があることを示唆している。経営陣が主導し、組織における検証体制自体の早期改善が必要と考えられる。
      • 一般的に投資家は、アクティブファンドに対して、パッシブ投資を上回るリターンを期待して投資を行う。アルファがマイナスとなっているファンドは、そうした投資家の期待に応えられていないことを示している。大半の大手資産運用会社の商品ラインナップには、中長期にアルファがマイナスとなっていると考えられるファンドが存在しており、商品組成後の品質管理に課題が認められる。
    3. 国内株アクティブファンドの信託報酬設定
      • 国内株アクティブファンドのうち約8割強のファンドは、コスト控除前では一定程度パッシブ投資を上回る運用成果を実現しているものの、その成果がコストに相殺されてしまい、顧客に付加価値を届けられていない可能性が考えられる。
      • コスト控除前アルファと信託報酬水準の分布からは、信託報酬の設定が、同種のアクティブファンドで横並びに行われており、個別ファンドの商品性に応じた信託報酬水準の設定や、設定後のパフォーマンス結果に基づいた信託報酬水準の見直しは行われていない可能性が推測される。
    4. 顧客利益最優先の実効性あるプロダクトガバナンス体制の確立
      • 大手資産運用会社において中長期にパフォーマンスが低迷するファンドが存在するため、各社における顧客利益を最優先とするプロダクトガバナンス体制の実効性に課題があると考えられる。
      • 全てのファンドについて、実効性あるプロダクトガバナンスを機能させることが重要。商品組成時に想定した運用が実践できているか、他社類似ファンドとの比較のみならず、それぞれ独立したファンドとして、コスト水準に見合ったリターンが実現できているか、長期視点での検証体制の確保が必要。
      • 商品組成時に想定していた運用の継続が困難である等と判断される場合には、コスト水準の見直しや繰上償還等の対応が検討される必要。
      • 経営陣が自社ファンドの実態を把握した上で、各部署を統率するプロダクトガバナンスの権限の明確化など、実効性ある検証プロセスの構築に責任を持って対応することが必要。
    5. 顧客利益最優先の商品組成と償還の検討
      • 商品組成時における類似商品の有無等の検証や顧客に不利益を生じさせている可能性のある小規模ファンドの繰上償還の要否を検討するなどの取組みが進められている。一方、償還ファンドの検討においては課題も見られた。
      • 全てのファンドに対してプロダクトガバナンスを機能させるため、自社の運用するファンド等の数やリソースに応じた体制整備を進めることが必要。
  3. 目指す姿・強み
    1. 注力する運用戦略等の確立
      • 各社は、選択と集中により、注力する分野において創意工夫を凝らすことで、目指す姿を実現し、競争力の強化に繋げていくことにより、他社との差別化を図っていくことが必要。
    2. 外部委託等における運用委託先の適切な調査
      • 運用資産残高上位のアクティブ公募株式投信の約半数(100本中56本)が外部委託運用。
      • 外部委託運用が用いられることの多い米国株アクティブファンドのほとんどは、パッシブ投資を上回ることが難しい状況。
      • 国内の資産運用会社が海外ファンドに投資するに当たって、投資対象先の運用体制や運用実績について十分な検証が行われていない事例等が認められている。
      • 各社は、外部委託やFOFsによる運用を行う場合には、委託先等の選定や管理を慎重に行う必要。
      • 投資家のニーズに応えるため、外部委託運用を自社の強みとすることはビジネスモデルの一つであると考えられるが、投資対象先の選定、管理を行う資産運用会社の責任は重大であることを踏まえ、投資家が安心して長期に投資できる商品の組成・運用を行うことが必要。
    3. 目指す姿を実現するための評価報酬体系
      • 各社においては、資産運用会社独自の運用実績を重視した評価・報酬制度の導入や変更等が進められている。
      • 各部門の役職員が顧客利益最優先の業務運営を貫徹するための評価報酬体系の構築と浸透に向けた創意工夫が必要。
    4. 運用や業務の効率化に向けた取組み
      • 各社においては、競争力強化のため、テクノロジー等の活用により、運用や業務の効率化を推進。
      • AIやデジタライゼーションの活用により、運用力の強化とコスト削減に向けた研究や取組みが一層進展することを期待。
  • 金融庁において、2021年10月末時点のESG関連公募投資信託(以下、ESG投信)(37社・225本)を調査。新規設定本数は増加しており、一部のESG投信に資金が集中している傾向。平均信託報酬率は、アクティブファンドにおいてはESG投信の方がその他投信よりも高い。一方、パッシブファンドにおいては、ESG投信の方が低い結果となった。全体としてパッシブファンドの低コスト化が進む中で、ESG投信の多くが最近設定されたものであることが要因であると考えられる。償還期限として10年以下の期間を設定しているESG投信は全体の37%。中長期的な視点が求められるESG投信であることに照らし、償還期限の設定が短いものについては、合理的な理由を説明する必要がある。
  • 多くの資産運用会社が、「運用プロセスにおいてESGを考慮すること(ESGインテグレーション)は、これまで評価されてこなかった投資機会や投資リスクの特定につながるものであり、ポートフォリオの長期的なパフォーマンスに優位に影響する可能性がある」と考えている。提供するESG投信の特徴や運用プロセスの説明として「ESG要素を考慮している」等の記載を行っている場合は、運用プロセス・アプローチの一層の強化を継続的に図るとともに、顧客が投資判断を適切に行えるよう、運用プロセスの実態に即して一貫性のある形で、明確な説明や開示を行うべき。
  • 一部の資産運用会社においては、ESG投資を推進するための部署を設置した場合であっても全員が他部署との兼務、そもそも専門部署・チームが無い、ESG専門人材はいないなど、ESG投資を実施するための実効的な体制整備が必要な例が見られた。
  • 約7割の資産運用会社においては、将来の企業価値を左右する重要なESG要素の特定に努めている。約8割の資産運用会社がESG評価に当たって、自社ESGスコアを活用しているが、その設計は多種多様(企業に対してESG課題を理解してもらうためのエビデンスとして有用。自社のESGインテグレーションにおいて、アナリスト・ESG専門家・運用者が議論する際の共通言語として機能)。企業価値に影響を与える潜在的な事業機会・リスクを効果的に分析・把握するため、ファンドマネージャーの属人的な判断のみに委ねず、組織としての一貫性や継続性が確保された体系的な対応も進めていくべき。
  • 多くの資産運用会社が、企業分析のために複数のESG評価・データ提供機関を活用。評価手法の透明性やデータの質などについて課題も指摘されるところであるが、一部の資産運用会社からは、「ESG評価機関によるESG評価は参考にしているだけなので、その適切性等を検証してはいない。」等の回答も得た。各ESG評価・データ提供機関において、質の向上に向けた取組みが継続的に進められているものの、利用する資産運用会社としてもESG評価・データ提供機関に対して適切な検証を行うべき。
  • 各資産運用会社においては、投資先企業のESGに関する事業機会や事業リスクについて理解を深めると共に、対話や働きかけ(エンゲージメント)等を重ねることにより長期的な企業価値向上を図っている例が多く見られた。しかしながら、各資産運用会社の対応状況はまちまち。より精緻なマイルストーン管理に基づくエンゲージメントの実施や、財務情報分析に基づく議題が中心となっているアクティブ運用先との対話の深化を検討している社も存在。投資戦略に応じて、積極的なスチュワードシップ活動を行い、銘柄選定時に特定したESG関連の事業機会の向上・事業リスクの低減により、企業価値の向上を図るべき。
  • 一部の資産運用会社は、レポート等を活用して、自社としてのESG投資に対する基本的な考え方や取組状況を開示する等の対応を行っていない。多くのESG投信において、目論見書上、運用プロセスにおけるESG要素の考慮方法に関する記載が抽象的。運用状況や投資銘柄に対する評価については、月報や運用報告書において、せいぜい投信への組入上位10銘柄のESGに関連する取組みを簡潔に記載する程度。顧客が投資商品の内容を誤解することなく正しく理解し、他の商品と比較するなどして適切な投資判断を行えるよう、運用プロセスの実態に即して一貫性のある形で、適切な情報提供や開示を積極的に進めるべき。
  • 調査対象としたESG投信のうち、約7割が運用の全部又は一部を外部へ委託。一部の資産運用会社からは、外部委託先のESG投資戦略やエンゲージメントの実施状況等の把握状況について、「具体的には把握しておりません。」「適宜実行されております。」と回答するなど、外部委託先の運用実態を十分に把握していないと思われる例も見られた。受託者責任を果たす観点から、外部委託等を活用する場合であっても、自社運用と同様に運用体制、運用戦略、運用実績等について、外部委託先に対して適切な頻度と深度で確認・把握するべき。
  • ファンドの国際比較においては、シャープレシオ・エクスペンスレシオの両レシオとも米国籍ミューチュアルファンドが優位にある。パッシブファンドとアクティブファンドの比較をみると、シャープレシオは、日本、UCITS、米国のいずれにおいてもパッシブファンドがアクティブファンドを上回っている。また、エクスペンスレシオは、日本、UCITS、米国のいずれにおいてもパッシブファンドがアクティブファンドより低くなっている。アクティブファンドのエクスペンスレシオの比較においては、米国では1%未満のファンドが過半数を占めているのに対して、日本においては1%以上2%未満に設定されているものが大半を占める。一方、UCITSはエクスペンスレシオのばらつきが大きい。欧州の様々な国・地域向けに、異なるフィー体系でファンドを組成・提供していることが背景として考えられる。
  • 同一ベンチマークに連動するインデックスファンドのうち、同一の資産運用会社・販売チャネルの中でも、信託報酬にばらつき(一物多価)が見られる。信託報酬の引下げをすでに実施している事例や販売会社等との間で適切な報酬水準への変更に向けた協議を進めている事例が見られる。信託報酬水準の適切な設定や見直しについては、顧客本位の観点から、商品の組成者である資産運用会社とともに販売会社や受託銀行を含めた業界全体で取り組んでいくことが期待される。
  • 好調なマーケット環境の恩恵を受け、2021年のパフォーマンスはプラスとなったファンドラップが多いが、その質には差がみられる。コスト控除後の5年間のシャープレシオを見ると、バランス型ファンドに劣るファンドラップが依然として多い。コストが高いファンドラップほど、パフォーマンスが劣る傾向がある。ファンドラップのコストは全体で年率1.5%以上のものが多い一方で、現状の低金利環境下で安全資産が1.5%を上回るリターンを上げることは難しいと考えられる。そのため、当該安全資産部分については「逆ザヤ」となっているファンドラップが多く、特にパフォーマンスの悪いファンドラップでは、安全資産の組入れ比率が高い傾向にある。安定的な資産運用を望む顧客が安全資産の組入れ比率を高めるのは当然であるが、安全資産についてはファンドラップ以外の選択肢も複数あり、あえて高コストのファンドラップを利用する必然性はないとも考えられる。「逆ザヤ」により負のリターンとなれば、顧客の資産はむしろ毀損する。一方、販売会社からすると、ファンドラップが残高ベースのフィー体系となっているため、安全資産を含め多くの顧客資産をファンドラップに含めたいという利益相反の誘因が働きやすい。高コストで安全資産の組入れ比率の高いファンドラップについては、真に顧客利益に資するものか、商品性についての再考が求められる。
  • 仕組債のうち一定の販売規模を占めるEB債(他社株転換可能債)の仕組みは、株式のプットオプションの売りポジションに類似しており、株価の大幅下落時には大きな損失が発生しやすい。サンプルの中には、僅か3か月で元本の8割を毀損した例もあり、リターンの分布を見ると、頻度は少ないものの損失率の裾野が広い。リスク(分布の標準偏差)は相応に高く、いわゆるテールリスクと呼ばれる性質を有している。他の資産クラスの長期的なリスク・リターン比と比べると、EB債のリターンはリスクに見合うほど高いとは言えない(図表22)。商品特性上、株式との相関が強い一方で、リスク・リターン比は劣後するため、株式に代えてEB債を購入する意義はほとんどないと考えられる。EB債の実質コスト(元本と公正価値の差)は、当庁による業界ヒアリングや公開情報からの推計に基づくと、投資元本に対して平均して5~6%程度と推定されるが、実現満期が0.6年程度と短いため、実質コストを年率換算すると8~10%程度に達すると考えられる。こうした高い実質コストが、図表22のリスク・リターン比の悪さにつながっていると考えられる。取扱金融機関(販売会社もしくは組成会社)側から見ると短期間で収益を上げやすいため、償還済み顧客に繰り返し販売する回転売買類似の行動に対する誘因が働きやすい商品性となっている。取扱金融機関各社や業界団体が自主的にデータを集計して定期的に公表するとともに、重要情報シートで組成・販売それぞれの実質コストを開示するなど、顧客向けの情報提供が充実されることが望ましい。
  • 日本の資産運用会社の運用受託額は、全体で800兆円を超える規模になっている。私募投信の残高は2021年12月末時点で約110兆円に増加。また、純資産総額で、私募投信はETFを除く公募投信を上回っている。機関投資家向けの私募投信においては、公募投信よりも低コストの商品が提供されている。顧客が大口の機関投資家中心であることが、その背景として考えられる。国内株式、海外株式、海外債券のいずれのアセットクラスでも、信託報酬水準に大きな乖離が存在する。
  • インベストメント・チェーンにおける「アセットオーナー」は、DBでは企業であり、受託機関(信託銀行、生保、投資顧問業者等)を通じて内外の株式・債券等で運用を行っている。DCでは「アセットオーナー」はDC加入者等であり、DCを実施する企業や運営管理機関(銀行、信託銀行、生損保、証券会社等)は、DC加入者が選択する運用商品ラインナップ(投資信託、預金、保険商品等)を選定・提示する重要な役割を担っている。DBについては、委託調査※によると、海外の年金に比べ、まず、日本の企業年金の情報公開の課題が指摘された。加入者だけでなく、拠出金を負担する株主を含めたステークホルダーに配慮し、人材や体制の拡充による運用高度化の余地が大きいとの提案がなされた。※委託調査「企業年金を取り巻く状況に関する調査」(金融庁 令和4年5月20日公表)
  • DC専用のインデックスファンドについては、依然として一物多価が続き、目立った改善の動きがない状況となっている。最終受益者である加入者の適切な資産形成のためには、日々の運営業務に加えて、以下が重要である。
    • 企業が適切な運用商品のラインナップ選択及び見直しに留意し、DC加入者に投資教育を行うこと
    • 運営管理機関が、企業や加入者に対してDCの商品ラインナップとその他のよりコスト効率のすぐれた商品との差異についての情報提供や投資教育の支援を行うこと

金融庁 「ESG評価・データ提供機関等に係る専門分科会」(第6回)議事次第
▼資料1 ESG評価・データ提供機関等の報告書素案
  • ESG評価・データをとりまく現状と課題
    • サステナブルファイナンスの急速な拡大3を受けて、企業のESGに関する取組み状況や債券の適格性等について情報を収集・集約し、評価を行う「ESG評価・データ提供機関」の利用が広まっている。
    • 生命保険会社等のアセットオーナーやアセットマネジメント会社等の資産運用機関では、投資方針の策定やポートフォリオの選定に当たって、いわゆるESGインテグレーション(ESGを投資判断に織り込むこと)を進める動きが広く見られるようになっている。
    • アセットオーナーや資産運用機関等の機関投資家4が、個別にESG評価・データ提供機関のESG評価・データを用いて投資判断を行うほか、評価機関等がESG評価・データに基づき企業の指数(ESG指数)を選定し、これに連動する形で投資が行われることも増えている。
    • また、ESG関連債などの発行に当たっても、ESGに関する評価を得ることが一般的となっている。いわゆるグリーンボンド5に係る国際的な基準として参照されることの多い、「グリーンボンド原則」(国際資本市場協会(ICMA))では、調達資金の使途や対象プロジェクトの選定方法等について、同原則への準拠状況を個別に評価機関が確認するよう、推奨している。6
    • さらに、機関投資家等によるESGに関しての、株式や債券等の発行体との目的をもった対話(エンゲージメント)が広まりつつある中で、ESG評価・データは、エンゲージメント対象の選定や、エンゲージメントの内容・方法等を検討するに当たって広く参照されている。
    • このように利用場面が多様化する中で、ESG評価・データの対象となる企業や事業分野も拡大している。例えば、専門分科会に参加したグローバルなESG評価・データ提供機関からは、世界1万社以上の企業に評価を行い、世界2万銘柄以上の債券・株式・指数について、評価を提供しているとの報告があった。
    • ESG評価・データの利用・対象が拡大する中で、サービスの提供のあり方については、いくつかの課題が指摘されている。
    • 有識者会議の昨年6月の報告書では、i)各社で基準が異なる評価について透明性や公平性を確保すること、ii)評価対象の企業に有償でコンサルティングサービスを提供する等の利益相反の懸念に対応すること、iii)評価の質を確保するために人材を確保すること、iv)多くの評価機関から評価内容の確認を求められる企業の負担に配慮すること、の4点を課題として掲げている。
    • 前述のIOSCOの報告書では、気候変動等のESGの財務的な影響に関心が高まる中で、ESGに係るパフォーマンスを評価するものとしてESG評価・データの需要が急増しており、潜在的に、投資家保護、市場の透明性・効率性、適切な価格付け等に係るリスクが懸念され得るとしている。
    • その上で、ESG評価・データの利用者の視点からみて、サービスの信頼性の確保、評価手法に関する透明性の確保、利益相反への対応、企業とのコミュニケーションに、改善の余地があるとしている
  • 本報告書の概要
    • 議論では、外部性を投資判断の中に取り込むサステナブルファイナンスは重要であり、これを育てていくためにも、市場関係者の情報の仲介役となる評価機関等の役割は大きい旨の指摘があった。実際にこれまでも、評価機関等がESG投資における評価の着眼点を明らかにし、市場を切り拓いてきたことも指摘された。
    • 他方で、評価やデータが誤認を招くものであった場合には、情報は転々流通して、幅広い投資家が意図するところと異なる事業や企業に投資を行ってしまうおそれがあることが指摘された。
    • この点、評価が各社によって異なることそれ自体は必ずしも問題でなく、評価の品質が確保され、その基本的な考え方が明らかにされることで、投資家や企業の納得感を高め、市場関係者全体としての取組改善・対話につなげていくことが重要、との指摘があった。
    • ESG投資のすそ野が急拡大する中で、ESG評価・データ提供機関においては、サステナビリティを巡る社会全体の動きを的確に理解しつつ、合理的な根拠と専門的・職業的な判断に基づき、適切に評価・データを提供することが期待される。
    • また、評価・データ提供に際して、ESG評価・データ提供機関が評価を受ける企業との間で建設的に対話を行い、評価等に対する企業の納得感を高めるとともに、ESGに関する取組みについての気づきを促すことは、企業と経済の成長・持続可能性の確保に寄与していくものと考えられる。
    • 評価を受ける企業は、一般に、経営戦略を不断に見直し、適切な業務執行を通じて、企業価値の向上と持続的な成長を図ることが求められているが、このためにも、ESG評価・データ提供機関の存在は有効なものと考えられる。
    • 機関投資家においても、企業の戦略について自ら理解を深めつつ、ESG評価・データをその特定や限界も踏まえつつ活用することで、的確な投資戦略を実行し、企業との対話を深め、投資資産の持続的な発展につなげていくことが出来ると考えられる。
    • 本報告書は、ESG評価・データが適切に利用されるための市場環境を整備することで、サステナブルファイナンスの促進を図り、わが国経済の成長・持続可能性に貢献していくよう、ESG評価・データ提供に係る市場関係者に期待される事項を提言として取りまとめたものである。
    • インベストメントチェーン全体にわたる建設的な取組み・対話を促す観点から、ESG評価・データ提供機関に係る提言のほか、投資家、企業に係る提言を含めて、包括的に取りまとめている。
    • また、ESG評価・データ提供機関についても、株式や企業単位で行われるESG評価(企業評価、ESGレーティング等)と、債券等の単位で行われるESG評価(債券評価、外部レビュー等)、及びこれらに係るデータ提供を包括的に取りまとめている。
    • 取りまとめに当たっては、ESG評価・データの提供サービスが発展途上にあること、ESGの概念と同様に様々なものが存在すること、諸外国でも規範や規制の議論の途上であること等、いくつかの留意点が存在した。
  • 原則1(品質の確保)
    • ESG評価・データ提供機関は、可能な限り公開情報によりつつ、必要に応じてその他情報ソースに基づき、提供するESG評価・データの品質を確保するべきであり、このために必要な基本的手続き等を定めるべきである。
    • 指針
      • ESG評価・データ提供機関は、原則1の実施のために、以下のような必要な措置を取るべきである。
        1. ESG評価・データについては、自らが入手可能な情報を詳細に分析し、策定・提供を行うよう、必要な手続き等を定めること
        2. 質の高いESG評価・データを提供するための論理的・体系的で、組織横断・継続的に適用される手法を定め、これを、機密性・知的財産等に配意しつつ、公開すること
        3. 定めた手法等が組織横断的に一貫して適用されるよう、組織内での浸透を図るほか、専門の委員会等で横断的な検証を行いつつ、知見を蓄積・共有する等の工夫を行うこと
        4. 上記のとおり定めたサービス提供手法について、定期的に、実際に自らのサービス提供の状況に照らして検証し、必要がある場合には改善を図り、改善の内容及びその影響を含めて、公表すること(評価に係るPDCAサイクルの実践)
        5. ESG評価・データを継続的に管理し、評価の時点を明確にするか、又は定期的に更新すること。また、評価の根拠となるデータの取得日や更新日を明らかにし、こうした裏付けについて、内部で記録を作成・保持すること
  • 原則2(人材の育成)
    • ESG評価・データ提供機関は、自らが提供する評価・データ提供サービスの品質を確保するために十分な人材等を確保・配置し、また、自社において、専門的能力の育成等を図るべきである。
    • 指針
      • ESG評価・データ提供機関は、原則2の実施のために、以下のような必要な措置を取るべきである。
        1. 適切な評価・データの提供を行うための必要な情報を収集・分析し、意思決定を行うために十分な人材や技術を保持すること
        2. 特に、ESG評価・データの提供に携わる人材が、専門的・職業的な知見を有し、誠実に職務を遂行するよう、社内外の関係者・関係機関と連携し、金融・ESG双方の知見に係る能力開発を図り、活用すること
        3. 質の高い評価・データの提供に取り組む人材が的確に評価されるよう、公正で専門的・職業的な評価を行っていることを人事評価に組み込むこと
        4. 人材の確保・育成が、質の高い評価を継続していく上で重要であることを、ESG評価・データ提供機関の経営者において認識し、このために必要な対応を行うこと
  • 原則3(独立性の確保・利益相反の管理)
    • ESG評価・データ提供機関は、独立して意思決定を行い、自らの組織・オーナーシップ、事業、投資や資金調達、その他役職員の報酬等から生じ得る利益相反に適切に対処できるよう、方針・手続きを定めるべきである。
    • 利益相反については、自ら、業務の独立性・客観性・中立性を損なう可能性のある業務・場面を特定し、潜在的な利益相反を回避し、又は適切に管理・低減・開示するべきである。
    • 指針
      • ESG評価・データ提供機関は、原則3の実施のために、以下のような必要な措置を取るべきである。
        1. 提供するサービスに関して、自らの組織・従業員が行う評価・分析に影響を与え得る利益相反の可能性を特定し、その上で、これらを回避し、又は適切に管理・低減・開示するための実効的な方針・手続きを定め、公表すること
        2. ESG評価・データの対象となる企業との間に、自社又は自社の関係会社と取引やその他のビジネス関係が存在する、又は検討中である場合には、当該関係がESG評価・データに影響を受けないことを確保するため、営業と評価の担当・部門間のファイアウォールを構築するなど、適切な手段を講じること
        3. 特に購買者負担のビジネスモデルに基づく場合について、提供するESG評価・データの内容・構成、この作成のために行われる調査等が著しく複雑又は理解しづらい場合に、調査等を理解し的確な回答を行うには事実上自らの有償サービスを利用する必要がある、といったことがないよう、調査等のわかり易さやサービス提供の構成について、留意すること
        4. 自らの職員が、ESG評価・データ提供サービスと利益相反が生じ得る有価証券取引やデリバティブ取引を行わないよう、適切な手段を講じること
        5. 自らの職員に関して、適切なレポーティングラインや報酬体系を整備し、ESG評価・データ提供サービスに係る利益相反の削減・管理を図ること。例えば、ESG評価・データサービスの営業を担当する職員と別に評価等を行う職員を割り当てる、ESG評価・データの対象となる企業から得る収益額に直接に基づき、報酬を支払い又は評価を行わない、といった対応を行うこと
        6. 評価等の対象となる企業との間で、取引やその他のビジネス関係が存在する場合には、守秘義務等に留意しつつ、当該取引における報酬の性質等について、明らかにすること
        7. 特に、発行者負担モデルは、評価対象となる企業から報酬を受け取るものであり、例えば、適切なファイアウォールを構築するほか、評価を付与する前に個別に、専門又は上部の委員会等が当該企業への評価について利益相反の懸念や評価の妥当性について検証を行うなど、より詳細な品質管理手続きを実施すること
  • 原則4(透明性の確保)
    • ESG評価・データ提供機関は、透明性の確保を本質的かつ優先的な課題と認識して、評価等の目的・考え方・基本的方法論等、サービス提供に当たっての哲学を明らかにするべきである。
      • また、提供するサービスの策定方法・プロセス等について、十分な開示を行うべきである。
      • 指針
        • ESG評価・データ提供機関は、原則4の実施のために、以下のような必要な措置を取るべきである。
          1. 取引上の必要な配慮は行いつつも、透明性の確保を本質的かつ優先的な課題と認識して、自らのサービスに係る透明性を確保すること
          2. ESG評価・データ提供サービスの利用者が、当該評価等が何を捉えることを目的とし、どのようにこれを計測するのかなど、評価の基本的内容を理解できるよう、評価等の目的・考え方・基本的方法論を含むサービス提供に当たっての哲学を明らかにすること
          3. 評価内容等がどのように決定されるか、利用者・評価対象の企業が基本的な仕組みを理解できるよう、評価等の策定方法・プロセス等について、十分な情報を開示すること。変更があった場合にはその旨を明らかにすること。特に、窓口を通じ、評価対象となった企業から問合せ等があった場合には、可能な範囲で、一般の情報開示に加えてより丁寧な説明を行うこととするか、又はこれを検討すること
          4. ESG評価・データの策定に利用した情報源を明らかにすること。特に、推計データを用いる場合には、その旨及び推計の基本的な方法を明らかにすること
          5. 上記を含めて、評価の目的・考え方・基本的方法論として、以下のような事項を、まとめてわかり易く公表すること
            • ESG評価・データの目的、考え方、測定の趣旨
            • 評価手法の具体的内容(評価の基準、評価結果の差異につながる重要な取組み、評価の対象等)
            • 評価のプロセス(評価の手続き、手順、けん制やモニタリング等)
            • 評価の目的・手法に照らした評価結果の具体的な説明が可能な窓口
            • 評価の基となる情報源や、推計データの利用の有無
            • 評価の実施時期、利用データの作成・利用時期
            • 評価手法を更新した際の変更点、とりわけ、自らのPDCAサイクルを経て改善を図った事項
          6. サービス利用者にとってわかり易いように、可能な限り、評価の趣旨や目的等を理解し易い名称等をサービスに付すこと
  • 原則5(守秘義務)
    • ESG評価・データ提供機関は、業務に際して非公開情報を取得する場合には、これを適切に保護するための方針・手続きを定めるべきである。
    • 指針
      • ESG評価・データ提供機関は、原則5の実施のために、以下のような必要な措置を取るべきである。
        1. 守秘義務契約に基づき、又は守秘を条件としてESG評価・データサービスに関して提供された情報を保護するための方針・手続きを定め、開示・実施すること
        2. 守秘情報について、特段の取決めがない限り、提供目的に沿って、ESG評価・データサービス以外に使われることがないよう、方針・手続きを定め、開示・実施すること
  • 原則6ESG評価・データ提供機関は、企業からの情報収集を評価機関・企業双方にとって効率的となるよう、工夫・改善すべきである。企業から問題提起があった場合には、ESG評価・データ提供機関は、これに適切に対処すべきである。
    • 指針
      • ESG評価・データ提供機関は、原則6の実施のために、以下のような必要な措置を取るべきである。
        1. 評価対象となる企業から情報を収集する場合、収集時期を十分前に当該企業に伝達することとし、依頼を行うに当たっては、公開情報や過去に提出を受けている情報等の既に知り得た情報を利用可能な場合には、評価機関等においてこれらを事前に入力した上で、企業に確認を求めること
        2. 企業がESG評価・データ提供に関して問合せ、問題提起を行うことが出来る統一的な窓口を設置し、対象企業に伝達する、もしくはわかり易い形で掲示しておくこと
        3. ESG評価・データを公表する事前に、公表する評価・データの基本的な情報ソースについて、評価対象企業に予め通知し、当該企業が、情報ソースを含めて評価・データ等に重大な欠陥がないかを確認する時間的猶予を、確保すること
        4. 評価・データの対象となる企業から、評価・データの情報ソースについて質問・問題提起があった場合には、少なくとも根拠となるデータ(インプット)の正確性を企業に確認することを許容し、誤りがあれば訂正するなど、適時・適切に対処すること
        5. ESG評価・データ提供機関として、自らの提供する評価・データについて、評価等の対象企業と通常どのように関わるかに関する「対話の手順」(terms of engagement)を公表すること。当該手順書には、状況変化による柔軟性も確保しつつ、評価の対象企業にいつ情報提供を依頼するのか、対象企業はいつ何について確認を行うことができ、課題等がある場合にはどのように問題提起を行うことが出来るか、また、評価機関等は問題提起にどう対応し得るか、といった内容を含めること
        6. 投資家・企業との間で、ESG評価・データのほか、投資家・企業を含む市場関係者の前向きな取組改善を促す観点から、例えば投資判断にどのように評価結果を利用したのかのフィードバック等それぞれに創意工夫を行いつつ、建設的に対話を行うこと
  • 投資家への提言
    • 投資家は、自らが投資判断等に用いているESG評価・データについて、評価の目的、手法、制約等を精査・理解し、評価結果に課題等があると考え得る場合には、評価機関や企業と対話を行うべきである。
    • また、この様な特性も踏まえながら、投資家自身がどのようにESG評価・データを投資判断において利用しているのか、明らかにすべきである。
  • 具体的な提言
    1. 投資家は、自らが投資判断等に用いているESG評価・データについて、評価の基本的な目的・方針のほか、手法、制約等として、例えば、
      • 評価等に用いられているデータの情報源・時点、推計の方法
      • 定量的・定性的な判断の程度、検証可能性、他の評価基準等との整合性
      • 当該評価・データを利用する際の留意点・制約条件
      • 等について理解し、評価方針と結果に不合理な乖離が見られると考えられる場合等には、評価機関や企業との間で対話を行うべきである
    2. 投資家は、アクティブ運用における自らの投資判断やパッシブ運用における活用において、どのようにESG評価・データを利用しているのか、具体的には、
      • どのようなESG評価・データをどのような目的で投資判断に利用しているか
      • 投資判断における重要性
      • 特に重視しているデータや留意している事項があればその内容
      • パッシブ運用において特定のESG評価・データ提供機関を選定した理由
      • 等について、明らかにすべきである。
      • また、自らが投資判断に関してESG評価を実施・利用している場合(いわゆる自家評価(インハウス評価)の場合)にも、同様に、自らがどのような基準・目的でESG評価を行い、投資判断で利用しているか、上記の点を明らかにすべきである
    3. ESG評価・データ提供機関・企業との間で、評価の質の改善に向けて、円滑かつ建設的なコミュニケーションを行うべきである。その際、個別の評価に際して取引関係等を背景とした不当な影響を行使しているとの誤認を与えないよう、留意すべきである
  • 企業への提言
    • 企業においては、規制動向等も踏まえつつ、サステナビリティ関連の情報をわかり易く開示すべきである。
  • 具体的な提言
    1. 企業は、自らのサステナビリティ関連の情報について、リスク情報も含めて、わかり易く整理し、公表すべきである
    2. 企業は、ウェブサイトや出版物において、公表する内容の更新日等の時期に係る情報を明らかにすべきである
    3. 企業は、ESG評価・データ提供機関からの企業の戦略・方針等に関する問合せに対応する窓口を明らかにし、併せて、どのような問合せについてどう対応を行うか等、基本的な対応の手順を明らかにするべきである
    4. 企業は、ESG評価・データ提供機関・投資家との間で、評価の質の改善に向けて、円滑かつ積極的にコミュニケーションを行うべきである。その際、個別の評価に際して取引関係等を背景とした不当な影響を行使しているとの誤認を与えないよう、留意すべきである

金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼主要行等
  • 地銀等におけるシステム障害対応について
    • 3月26日に地方銀行など9つの銀行において、ATMが利用不能になる等のシステム障害が発生した。
    • 障害が発生し、顧客に影響がある可能性があることが判明した場合、迅速かつ適切な顧客対応が重要となる。今回の対応においては、初動の段階で速やかに支店やATMに人員が配置されるなど、利用者に寄り添った対応が図られたと認識している。
    • また、今回は、外部委託先において発生した障害であるが、そのような場合であっても、各金融機関は委託者としての管理責任を負っていることから、以下などについても、改めて検証を行っていただき、必要な改善をお願いする。
      • 障害発生時の外部委託先を含めた報告態勢、指揮・命令系統に問題はないか、
      • また、外部委託先との役割分担・責任、監査権限がどうなっているか
    • システム障害は、全ての銀行で起こり得る事象であることから、今回障害の対象となっていない各行においても、他行のことと認識せずに、先ほど申し上げた事項を、経営陣が先頭に立ち、改めて日頃の態勢を整備していただきたい。
    • 仮に障害が発生した場合は、速やかに第一報を金融庁に報告していただき、その後も連絡を密に取ってまいりたい。
  • ギャンブル等依存症対策推進基本計画の変更について
    • 3月25日、「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」について閣議決定されており、全国銀行協会においては、基本計画を踏まえ、引き続き、貸付け自粛制度の周知や適切な運用をお願いしたい。
    • なお、基本計画のパブリックコメントにおいて、「インターネットバンキングにおける公営競技等に係る広告宣伝を抑止するべき」との声が複数寄せられた。
    • ついては、2021年度に、公営競技の関係団体において「公営競技広告・宣伝指針」が策定・公表されていることを踏まえ、銀行業界においても、公営競技のインターネット投票に関するサービスを提供するにあたり、同指針を踏まえ、ギャンブル等依存症の抑止のため、のめり込みを防止し節度を促す等、適切な対応をお願いしたい。
  • 「第二期成年後見制度利用促進基本計画」の公表について
    • 3月25日に、第二期目となる「成年後見制度利用促進基本計画」が閣議決定の上、公表された。
    • 同計画において、金融機関には、地域連携ネットワーク(地方公共団体や地域の福祉機関等)の関係者との連携を図り、本人の意思を尊重しながら、見守り等の権利擁護支援で役割を発揮することが期待される旨、記載された。
    • 厚生労働省が運用する「成年後見制度利用促進ポータルサイト」を活用する等、顧客対応を行う営業店職員への周知を通じて、引き続き、成年後見制度の理解を促進していただきたい。
    • また、同計画において、後見制度支援預貯金・後見制度支援信託の普及等については、「必要に応じ最高裁判所や関係省庁とも連携しつつ、これらのしくみの導入や改善を図ることが期待される。また、利用者の立場からの意見を聴く場を設けるなどして、本人等の具体的なニーズや利用者側から見た課題等、利用者側の意見を聴取することも期待される」旨、記載された。
    • 成年後見制度を利用者にとって安心かつ安全な制度とする観点から、支援預貯金等の導入に向けた前向きな検討を進めていただくとともに、導入済みの金融機関においても、高齢者等のニーズに適確に対応した金融サービスの提供に向けた取組みを継続していただきたい。
  • 国連安保理決議の着実な履行について(北朝鮮関連)
    • 4月1日、国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会の専門家パネルが、2021年8月から2022年1月にかけての加盟国による北朝鮮制裁の履行状況等の調査結果と加盟国への勧告を取りまとめた最終報告書を公表した。
    • 同報告書では、以下などについて記載されている。
      • 北朝鮮が金融機関や暗号資産取引所等へのサイバー攻撃を継続し、暗号資産を窃取して資金洗浄を行っていること
      • 複雑なネットワークを用いた、巧妙な海上制裁回避が継続していること
    • サイバーセキュリティ対策を徹底していただくとともに、安保理決議の実効性を確保していく観点から、報告書に記載・言及のある企業や個人、船舶については、以下などに、しっかりと対応いただく必要がある。その上で、同報告書への掲載そのものは、当該企業や個人が制裁対象と認定されたものではない点に留意していただくとともに、上記の確認や調査結果を踏まえ、適切な顧客対応をお願いする。
    • 融資や付保などの取引が存在するかどうかに関する確認、
    • 取引がある場合には、同報告書で指摘されている事案に係る当該企業・個人等への調査・ヒアリング
  • 市場急変時の波及経路の認識、的確な与信先の実態把握について
    • 昨今のウクライナ情勢は、経済・金融市場に様々な影響を及ぼしている。例えば、コモディティ市場等でボラティリティの高まりが見られ、この際、欧州・中国等の企業が取引金融機関からデリバティブのマージン・コールを要求されるといった事態も報道された。
    • このように市場急変時に企業が保有するデリバティブのポジションの時価が急激に変動し、大きな損失や資金不足が生じた場合、例えば緊急の流動性供給が必要になるなど、当該企業に対する銀行の与信にも影響を与える可能性がある。
    • 銀行としては、こうした波及経路にも十分な着意を持つことが重要。また、そのためには平素からオフバランス・ポジションを含めた与信先企業の的確な実態・リスクの把握が不可欠。
    • 引き続き、各行と、ウクライナ情勢がマクロ経済や金融市場・コモディティ市場等に及ぼす様々な影響の認識や、リスク管理の高度化について議論してまいりたい。
  • 金融環境の変化に対するフォワードルッキングな認識・対応等について
    • このところ、インフレ持続懸念等を受けて金融環境が引締め方向にあり、欧米を中心に金利水準が押し上げられているほか、他の市場への波及もみられる。
    • こうした金融環境の変化が先進国・新興国経済、ひいては金融機関自身の資産・流動性に及ぼす様々な影響についてフォワードルッキングに認識し、必要な対応を行うなど、適切なリスク管理が重要であり、引き続き、これらについて緊密に意見交換してまいりたい。
    • なお、一般論として、長期にわたる金融緩和局面における市場運用・リスク管理等の考え方・戦略・実務が、金融引締め局面において必ずしも有効でない可能性も考えられることから、局面の転換を踏まえた考え方等についても、予断を持つことなく意見交換してまいりたい。
  • 経済制裁について
    • 経済制裁への対応は、今までどおり、リスクベースでのマネロン管理態勢を適切に実施することが重要。例えば、制裁対象者のスクリーニングや実質的支配者の確認、また、貿易関係の決済においては、商流と資金の流れをリスクに応じて確認する必要がある。マネロン管理態勢に関し、もし個別の判断に迷うものがあれば、前広に相談いただきたい。
  • 継続的な顧客管理に係るFAQ改訂について
    • マネロン等対策については、継続的顧客管理に係る負担軽減に繋げる観点から、「マネロンガイドラインに関するよくある質問(FAQ)」における、“簡素な顧客管理(SDD; Simplified Due Diligence)”の改訂版を、3月30日に公表した。また、各金融機関から寄せられた意見・質問については、同日に協会を通じて回答している。
    • 今回のFAQの改正により、簡素な顧客管理(SDD)の考え方が一層整理され、マネロン等対策に係る負担軽減に繋がれば幸い。不明な点等があれば、勉強会等を通じて回答するので、連絡いただきたい。
    • 金融庁でも、引き続き、広報や勉強会等を通じて、皆様の取組みを支援していく所存であり、マネロンガイドラインで対応を求める事項について、2024年3月までの期限を目標に、態勢整備を着実に進めていただきたい。
      • ※リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD; Simplified Due Diligence)
        SDDとは、リスク評価の結果、マネロンリスクが低いと判断できる一定の顧客については、(DMを送付して顧客情報を更新する等の)積極的な対応を留保する対応のことであり、SDDの対象先をしっかりと特定することで、継続的顧客管理の負担軽減に繋がる。
      • ※FAQ改訂案の概要
        FAQで提示しているSDDの6要件の一つである「本人確認済であること」について、現在は2003年1月の本人確認法の施行以降に取引開始した顧客を本人確認済みと整理可能としているが、改定案では1990年10月以降(大蔵省銀行局通達の効力発生後)に取引開始した顧客等についても、当時、通達に沿った手続が行われていると確認できれば、「本人確認済み」と整理可能とする。また、1990年10月以前に取引を開始した顧客についても、その後の各種手続の中で、公的書類又は他の信頼できる証明書類等に基づき、氏名、住所、及び生年月日を確認した証跡が存在する場合には「本人確認済み」と整理可能とする。その他、現行FAQでは疑わしい取引の届出審査対象となればSDD対象から除外すべきとしており、取引モニタリングの誤アラートが多いことなどを踏まえ、疑わしい取引の届出を実施した場合にはじめてSDD対象から除外すべき、とするなどの考え方を示している。
  • マネロンレポートの公表について
    • 金融庁では、マネロン等対策について、2022年3月末時点の金融庁所管事業者の対応状況や金融庁の取組み等をまとめた、「マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題」(通称マネロンレポート)を4月8日に金融庁ウェブサイトに公表した。
    • 金融庁としては、金融庁がモニタリングで得られた情報や考え方を還元することにより、金融機関等の実効的な態勢整備の一助となればと考えている。
    • レポートに目を通していただき、金融庁の考えるリスクや確認された金融機関の事例等を考慮しつつ、引き続き、マネー・ローンダリングやテロ資金供与等に利用されない金融システムを確保するため、態勢の強化に努めていただきたい。
  • 現下の情勢を踏まえたサイバーセキュリティ対策の強化について
    • サイバー攻撃のリスクの高まりを踏まえた注意喚起については、2月23日、3月1日にも行っているが、その後も、
      1. 国内では、企業に対して、ランサムウェアやエモテット(※)によるサイバー攻撃が発生しており、また、
      2. 米国では、3月21日に、バイデン大統領が米国内の重要インフラ事業者等に対してサイバー攻撃への警戒等を呼びかけていることを踏まえ、3月24日に、改めて、3回目の注意喚起を行った。
        • エモテットとは、非常に強い感染力を持つマルウェアで、不正メールの添付ファイルが主要な感染経路。情報窃盗や他のウイルスの媒介も行い、一度侵入されれば他のウイルスにも次々と感染するため、甚大な被害に発展する危険性が高い。
        • ▼3月1日
        • ▼3月24日
      3. 経営層のリーダーシップの下、セキュリティ対策の徹底を図るとともに、仮に、サイバー攻撃を受けた場合は、事案の詳細が判明していない段階においても、速やかに金融庁・財務局の担当部署まで報告をお願いしたい。
    • サイバーセキュリティ強化に向けた主な対策
      1. リスク低減のための措置(本人認証の強化、セキュリティパッチの迅速な適用、不用意に添付ファイル、URLを開かないこと等の組織内での周知など)
      2. インシデントの早期検知(ログの確認、通信の監視・分析やアクセスコントロールの再点検)
      3. インシデント発生時の対処・回復(データのバックアップの実施、復旧手順の確認、インシデント発生時の連絡体制等の準備)
  • 顧客本位の業務運営に関する取組みの「見える化」について
    • 4月1日、金融庁ウェブサイトにおいて、「『金融事業者リスト』に係る今後の取扱いについて」を公表した。これは、『金融事業者リスト』の掲載要件について、これまでの(1)「顧客本位の業務運営に関する原則」(FD原則)と金融事業者の取組方針との対応関係に加えて、今後は、(2)取組状況の公表と、(3)原則と取組状況の対応関係も確認対象とし、これらの点が確認できた金融事業者を掲載することとしたが、次の2点を補足したい。
    • 1点目は、金融事業者の取組方針については、FD原則とほぼ同じ文言を踏襲している事例や、抽象的な記載に止まっている事例など、自らの業務特性等を踏まえていない事例が見受けられた。
      • ※具体的には、『金融事業者リスト』に掲載されている金融事業者の中にも、取組方針の記載内容にオリジナリティがなく、記載上の工夫も認められないなどといった事例も見受けられている。これらについては、取組方針の記述内容等の一層の充実が求められることから、取組状況の検証を通じて、自らの規模や業務特性を踏まえた見直しを検討していただきたい。
    • 2点目は、顧客本位の業務運営に係る「見える化」については、単なるペーパーワークではなく、経営陣から営業職員までが顧客に向き合う姿勢を検証する契機としていただきたい。
      • ※具体的には、顧客本位の業務運営に係る「見える化」については、金融事業者における取組方針や具体策の策定→実践→振り返り→次年度に向けた取組みといったサイクルが重要であり、取組方針に基づく営業現場における実践結果について、取組状況の中に具体的に記述していただきたい。
    • 金融庁では、金融事業者におけるリスク性金融商品の販売動向のモニタリングや具体的な取組みに関する対話を実施し、必要に応じて把握した事項を公表する予定。
▼全国地方銀行協会/第二地方銀行協会
  • 事業者支援について
    • 年度末の資金繰り対応について感謝申し上げる。3月21日に、まん延防止等重点措置が全面解除され、経済活動も徐々に再開されつつあるが、足元では感染者の減少が下げ止まりしているほか、原油価格・原材料価格の上昇やウクライナ情勢等もあり、各地域の事業者を取り巻く経営環境は引き続き厳しいところもあると懸念している。事業者のニーズに応じたきめ細かな支援を改めてお願いしたい。
  • 新しい資本主義実現会議について
    • 4月12日に開催した新しい資本主義実現会議(第5回)において、鈴木大臣より、「コロナ後に向けた経済システムの再構築」に関連して、マーケット活性化に向けて今後金融庁が取り組むべき施策をまとめた資料を提出し、発言したので、紹介したい。
    • 新しい資本主義により、持続的成長を実現するとともに、その成果を家計に還元することが重要。また、国内外の資金を成長分野へと繋ぐ国際金融センターとして、魅力あるマーケットを構築していくことが必要。このための方策としては以下の3点。
      1. 家計に対する金融の分配機能を強化しつつ、スタートアップ等への円滑な資金供給を促進することなどにより、成長と分配の好循環を実現していく。具体的には、
        • 企業価値向上において重要な人的投資や多様性確保などの非財務情報開示を充実しつつ、コスト軽減の観点から、法令上の四半期報告を廃止し、取引所の四半期決算短信に「一本化」していく。
        • また、スタートアップ企業等が、不動産担保などによらず、事業全体を担保に成長資金を調達できる制度の導入を、金融庁においても検討していく。
      2. 2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、日本企業の取組みや強みが適切に評価され、内外の投資資金が円滑に供給されるための環境を整備していく。具体的には、
        • ESG市場の透明性や信頼性の向上を図るため、ESG評価機関向けの行動規範の策定や、
        • 企業の気候変動対応を金融機関が支援するよう、金融機関と企業の対話を促進するためのガイダンスの策定を行う。
      3. 我が国の国際金融センターとしての地位を更に高めていくため、ポストコロナを見据えて、海外金融事業者の参入促進に向けた取組みを本格稼働していく。
        • こうした取組みを進め、持続可能な経済成長を牽引する魅力あるマーケットを構築していく。
  • 脱炭素に係る補助事業等の金融機関への説明会について
    • 気候変動対応に係る金融機関の対応については、金融庁において、気候変動ガイダンスの案を早々に公表する予定であるなど、様々な取組みを進めているが、地域金融機関や地域の事業者からは、実際に対応を進めていくにあたって、
    • 脱炭素に利用可能な政府の支援事業について、様々に存在することは理解しているが、必ずしも情報が整理されていない、
    • 特に重要な補助事業については、対象範囲や補助条件などについて、より詳細な説明がほしい
    • との声があると承知しており、今般、金融機関を対象に、脱炭素に係る政府支援事業に関する省庁横断の説明会を実施する予定。
    • 具体的には、関係省庁と連携して、4月下旬から5月にかけて、金融機関の諸団体に対し、政府事業の全体像と主要施策について随時説明する予定としており、顧客企業の支援等の取組みに活用していただきたい。
▼日本証券業協会
  • ウクライナ情勢に係る対応について
    • 現下のウクライナ情勢を踏まえ、ロシア・ベラルーシの一部銀行のSWIFTからの排除を含め、国際的に様々な制裁措置が実施されており、我が国においても、2月下旬以降、当該銀行を含む団体・関係者の資産凍結、輸出管理措置等の制裁措置が順次実施されている。
    • このように刻々と状況が変化していくなかで、引き続き、現下の情勢や制裁措置の動向を注視し、確実に実施していただくとともに、取引の適切なモニタリングなどに取り組んでいただきたい。
    • あわせて、顧客資産への影響については、ロシア関連の金融商品やルーブル建て債権を保有している顧客もいると認識しており、中でも、例えばロシアの国債や株式等を組み入れている公募投資信託については、投資家からの買付や売却の受付を停止している商品もあると承知。
    • 顧客保護の観点から、発行体や商品を組成する資産運用会社等と連携を図りながら、顧客への丁寧な説明や、適時・適切な情報提供に努めるなど、引き続き、顧客対応に万全を期していただきたい。
  • 銀証ファイアーウォール規制の見直しを踏まえた体制整備について
    • 銀証ファイアーウォール規制の見直しに関する内閣府令・監督指針の改正については、現在、公布に向けた準備を行っている。
    • 監督指針改正においては、情報授受規制の見直しを行う一方、弊害防止措置の実効性強化のため、顧客情報管理などについて監督上の着眼点を明確化している。例えば、以下など今回の改正を踏まえた体制の強化が必要。
      • 法人関係情報に当たらない非公開情報のようなものも含め、顧客等に関する情報一般について、Need to know 原則を十分に踏まえた情報管理を徹底することや、
      • 当該情報の管理状況をコンプライアンス部門の関与の下で適時・適切に検証すること、情報の漏えい等に際して経営上重要な事案には経営陣が適切に関与すること
    • 同時に、そもそも改正前から求められてきた体制整備についても、万全と言える状態になっているのか、改めて自らの顧客情報管理態勢を顧みていただきたい。
  • LIBORからの移行対応について
    • LIBORについては、ドルの一部テナーを除き、2021年12月末をもってパネル方式での公表が停止された。一方、円及びポンドLIBORの一部テナーについては、市場データを用いて算出する擬似的なLIBOR、いわゆるシンセティックLIBORが、1月以降、時限的に公表されている。
    • 金融庁は、パネルLIBORの公表停止を踏まえ、日本銀行と合同で、2021年12月末基準での「第3回LIBOR利用状況調査」を実施し、3月31日に調査結果を公表したが、2021年12月末に公表が停止されたLIBORを参照する既存契約については、移行対応が概ね完了したこと、及びシンセティックLIBORの利用は限定的となる見込みであることが確認された。また、2023年6月末に公表停止が予定されているドルLIBORについては、米当局の指針に沿って、1月以降新規取引での利用を原則停止するよう求めており、大半の金融機関においては、1月以降ドルLIBORを参照する新規取引の停止に向けた体制整備は完了し、新規取引を原則として停止していることが確認された。他方、ドルLIBORを参照する既存契約については、依然として多くの契約においてフォールバック条項が未導入であることが確認された。
    • シンセティックLIBOR参照契約を含め移行対応が完了していない一部の残存契約の適切な管理と移行対応、及び時間軸を意識したドルLIBORからの移行対応をしっかりと進めていただきたい。金融庁としては、本調査の結果も踏まえて、引き続き、日本銀行とも連携して各金融機関の移行対応をモニタリングするとともに、その状況に応じた対応の徹底を求めていく。
  • アルケゴス事案に係るレターの発出について
    • 2021年3月、米国投資会社アルケゴスが債務不履行となったことにより、日系金融機関を含む複数の大手金融機関において巨額の損失が発生した。
    • 金融庁は、関係する金融機関におけるリスク管理態勢やガバナンスの脆弱性について、海外当局と共同で分析を行ってきたところ、将来の類似事案発生を防ぐためにも、本事案からの教訓、及びそれを踏まえた金融庁の今後の対応についてまとめたものを、改めて金融機関宛のレターとして近日中に公表する予定。
    • 必ずしもすべての金融機関に当てはまるものではないが、特にグローバルにビジネスを展開する金融機関においては、ガバナンスやリスク管理態勢の整備を行う上で参考にしていただきたい。また、それ以外の金融機関においても参考になる部分もあると思うので、参照いただきたい。本レターが健全なリスク・カルチャーを醸成する一助となることを期待している。
  • IOSCOのサステナビリティに関する取組み
    • IOSCO(証券監督者国際機構)では、サステナブルファイナンスへの取組みを強化すべく、2020年6月にサステナブルファイナンスタスクフォースを設置している。2022年3月9日に開催されたIOSCO代表理事会において、同タスクフォースの2022年の新たなワークプランが承認された。今回のワークプランでは、IFRS財団によるサステナビリティ開示基準の評価を含む企業報告に関する作業は継続しつつ、IOSCOが2021年に公表したグリーンウォッシング及びESG格付けに関する提言の実施状況のモニターを含むグッドプラクティスの奨励や、排出権取引を含む炭素市場の透明性や公正性、脆弱性の特定などについても、新たに取り組むこととなっている。今後、開示を含めサステナビリティに関する国際的な議論が益々活発になることが予想されるため、引き続き、密接に意見交換・情報交換を行ってまいりたい。
  • IOSCO社債市場に関するディスカッション・ペーパー
    • 4月6日、IOSCOはCOVID-19発生下における社債市場の状況について広く意見と経験を求めるディスカッション・ペーパーを発表した。本ペーパーは、2020年3月の混乱期及びその後の数か月間における社債市場の流動性や、ディーラーその他の市場参加者の行動と背景を、取引データ、市場参加者向けサーベイやラウンドテーブル会合での議論などを踏まえて検討し、まとめた上で、これに対する市場の意見の提供を呼び掛けるもの。
    • 金融庁も本作業に関与しており、協会及び多くの会員に協力をいただいた。この場を借りて感謝申し上げる。本ペーパーについても引き続き意見などがあれば提供いただきたい。
  • IOSCO報告書「分散型金融(DeFi)」について
    • IOSCOは、3月24日に「分散型金融(DeFi)についての報告書」を公表した。
    • 本報告書は、IOSCOがDeFiについて公表した初めての報告書であり、DeFiの構造を包括的に分析し、DeFiによる斬新な金融商品やサービスと従来型の金融商品やサービスとの比較を行っている。また、DeFiによる金融商品やサービスが有しうるリスクを示している。
    • 本報告書の中で、IOSCOは、DeFiによる金融商品やサービスが、従来型の金融商品やサービスを複製したものといえるにもかかわらず従来型と同様の規制を受けていないために投資家のリスクが高まっている点や、DeFiが中央集権的な内部者のコントロールを受けないピア・ツー・ピア市場であると言われていても、ガバナンス・トークンの配布を通じてコントロールすることができる中心的な主体が存在しうる点等を指摘している。
    • IOSCOは、今後、市場参加者から幅広くフィードバックを得たいと考えている。一読いただき、意見などがあれば提供いただきたい。

金融庁 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第9回) 議事次第
▼資料2 金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告の概要(案)
  • ディスクロージャーワーキング・グループでは、昨今の経済社会情勢の変化を踏まえ、非財務情報開示の充実と開示の効率化等についての審議を実施。これまでの審議に基づき、以下の内容を取りまとめ
  • 非財務情報開示の充実
    1. 全般 サステナビリティ情報の『記載欄』を新設
      • 「ガバナンス」と「リスク管理」は、全ての企業が開示
      • 「戦略」と「指標と目標」は、各企業が重要性を判断して開示
    2. 人的資本
      • 「人材育成方針」、「社内環境整備方針」を記載項目に追加
    3. 多様性
      • 「男女間賃金格差」、「女性管理職比率」、「男性育児休業取得率」を記載項目に追加
    4. 取締役会の機能発揮
      • 「取締役会、指名委員会・報酬委員会の活動状況」の『記載欄』を追加
  • 開示の効率化
    1. 四半期開示の見直し
      • 金融商品取引法の四半期開示義務(第1・第3四半期)を廃止し、取引所規則に基づく四半期決算短信に「一本化」
      • 「一本化」の具体化に向けた課題(義務付けのあり方、開示内容、虚偽記載に対するエンフォースメント、監査法人によるレビュー等)は、検討を継続

金融庁 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第18回) 議事次第
▼資料1 事務局説明資料(本日討議いただきたい事項)
  • 1990年代以降、金融システム改革、証券市場の構造改革プログラム、金融商品取引法の施行、金融・資本市場競争力強化プラン等、継続的に、金融・資本市場の機能を強化し、成長資金を供給するとともに、家計が多様な金融商品・サービスを利用し、資産を形成していくための環境整備が進められてきた。この結果、例えば、ベンチャー企業の新規上場や上場企業の時価総額は増加してきており、金融商品販売の担い手や金融商品の多様化は進んできた。
  • 他方、金融・資本市場が持続的でより力強い経済成長を後押しし、家計が経済成長のもたらす大きな果実を、ニーズに沿った金融商品を選択することを通じて享受するための環境整備に向けた取組は道半ばと考えられる。
  • 例えば、今後の我が国の経済成長の原動力となる国内スタートアップへの資金供給は増加しているものの、欧米と比べてその規模は小さい。スタートアップに成長資金をしっかりと供給していくためには、機関投資家、特に非上場段階での成長を可能とする長期資金を提供できるアセットオーナーやエンジェル投資家による資金提供の拡大が必要であるとの指摘がある。
  • また、家計の金融資産を見ると、リスク資産の保有額はやや増加しているものの、資産構成の変化は小さく、現預金が引き続きほぼ半分を占めている。こうした資産構成を理由の一つとして、家計の金融資産の伸びは欧米諸国に比べ相対的に低いものとなっている。家計がそのライフプラン等に応じ、必要とする資金フローやリスク許容度に応じてニーズに沿った金融商品を選択し、経済成長の果実を享受するためには、金融機関による勧誘・助言や金融商品組成における顧客本位の業務運営の確保、家計自体のリテラシーの向上のための環境整備が必要であるとの指摘がある。
  • スタートアップ、非上場企業、上場企業等への円滑な成長資金の供給を通じて持続的で力強い経済成長を実現するとともに、家計による適切な金融商品の選択を通じて経済成長の成果を家計に還元し、安定的な資産形成を促進していく、すなわち、「成長と分配の好循環の実現」が必要であり、その観点から、金融・資本市場に関する諸施策を進めることが求められている。
  • 今後の我が国の持続的な経済成長を牽引する新たなビジネス・産業を創出するとともに、既存のビジネスの更なる成長や事業再生・承継を円滑に進めていくためには、非上場・上場を問わず、企業の成長を支えながら、必要な資金を円滑に供給できる資本市場を整備する必要がある。このうち、上場企業については、資本市場におけるより高度なガバナンス・透明性の確保等の重要性に鑑み、コーポレートガバナンス改革やディスクロージャーの充実等を通じた企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上の取組が進められているが、スタートアップ・非上場企業についても、起業をより円滑に行えるようにするとともに、企業価値を高めていけるよう、成長資金供給の円滑化や投資家による経営支援の強化を進めていく必要がある。
  • このため、長年我が国の課題として指摘されている機関投資家による資金供給の拡大を促すとともに、レイターステージや上場前後を跨いだ資金供給の拡大や企業の成長に資するエグジットの多様化への取組を行っていくことが考えられる。
  • また、少子高齢化が進展し、新型コロナウイルス感染症の社会経済への影響が長期化する中、地域企業の事業再生や事業承継も課題となっている。こうした地域企業のニーズに応えるための金融サービス・支援の高度化も求められている。
  1. スタートアップ・非上場企業への成長・事業再生資金の円滑な供給
    1. 機関投資家による資金供給の拡大
      1. アセットオーナー等による資金供給の拡大
      2. 投資信託による非上場企業への資金供給
    2. 非上場株式のセカンダリー取引の円滑化(PTSによる「特定投資家向け有価証券」の取扱い)
    3. 金融サービス・支援の高度化
      1. デットファイナンスの拡充(事業全体に対する担保制度)
      2. 地域企業の事業再生・事業承継の円滑化に向けた非上場株式の取引
      3. 銀証ファイアーウォール規制
        • 第二次報告においては、銀証ファイアーウォール規制に関連し、外務員の二重登録禁止規制について見直しの検討を行う場合には、責任の所在が不明確になることの問題点や、そのような誤認防止措置が考えられるか等の論点について検討を行う必要があるとされ、その見直しの必要性を含め、今後更に議論を行う必要があるとされた。また、中堅・中小企業や個人顧客に関する規制の取扱いについては、仮に見直した場合における銀行の優越的地位の濫用等に係る懸念が指摘された一方、コロナ後の経済社会を見据え、重要な課題となることが見込まれる事業承継の円滑化の観点から取扱いを検討すべきとの指摘もあり、引き続き検討していく課題であると考えられるとされた。こうした課題等については、スタートアップを含む中堅・中小企業の資金調達の円滑化等に資するかといった観点も踏まえつつ、引き続き制度のあり方について検討を行っていくことが考えられるが、どうか。
  2. 企業の成長に資するエグジットの多様化
    1. 新規公開(IPO)プロセスのあり方
      • IPOの公開価格設定プロセス等については、日本証券業協会のワーキング・グループにおいて、公正な価格発見機能や新規上場企業及び投資家の納得感の向上に向けた改善策が取りまとめられた。今後、新規上場企業への説明や情報提供の充実、より実需を反映した柔軟な公開価格設定、上場日程の短縮等の改善策が、順次実施される予定である。この公開価格設定プロセス等の見直しを、必要な制度的対応を行いつつ、着実に進展させる必要がある。
      • 一方、上場に当たって取引所及び主幹事証券会社が行う審査については、新たなビジネスモデルにも対応した審査の考え方やポイントを例示するなどの取組等が行われてきたが、IPOを目指す企業のビジネスモデルには、これまでの取組を超えた更なる多様化が見られる。
      • これまでの目線では評価が困難なビジネスモデルや技術を活用する企業について、よりイノベーション促進的な観点から上場審査を行うことが求められているが、取引所において、どのような対応を行っていくことが考えられるか。
    2. エグジットの多様化
      • ダイレクトリスティング
      • 合併・買収(M&A)
      • SPAC(特別買収目的会社)
  • これまでの家計による資産形成を促進するための継続的な環境整備や関係者の努力にも関わらず、結果として、我が国の家計全体の資産構成の変化は小幅にとどまっており、結果として、米国の家計全体等と比較すると、この間の世界経済の成長の果実を享受できてこなかったのではないかと指摘されている。その要因の一つとして、母国の株式市場のパフォーマンスなどと並んで、例えば、いわゆる回転売買や、運用内容やコストが顧客ニーズに適合していないと指摘される投資信託等の販売、さらには運用実態やその内容の把握に問題があるような投資商品について指摘されているように、顧客と金融商品の販売者の目線が揃っていないことから、家計のニーズに合った金融商品の販売や、手数料やリスクに関する十分な情報提供が行われておらず、その結果、家計が投資による成功体験を得られなかったことがあげられるのではないかといった意見もある。
  • 経済成長の成果を家計に還元し、その安定的な資産形成につなげていくためには、Ⅰに掲げた金融面での取組を含め、政府全体としての経済成長に向けた取組を通じて、経済成長の果実をより大きなものとしていくとともに、金融商品の組成・販売・管理等の各段階における金融事業者が顧客の最善の利益のために行動するための顧客本位の業務運営の確保と、家計の金融リテラシーの向上に向けた取組を総合的に進めていくことが不可欠である。
  • 具体的には、顧客がそれぞれのライフプランやリスク許容度に応じ、適切に資産形成を行うためには、投資判断に資する重要な情報が分かりやすく提供されることをはじめ、販売にあたる金融事業者から、顧客ニーズに沿った適切な勧誘、助言を受けることが重要である。商品の組成に携わる金融事業者においては、既に提供されている商品の検証・見直しを含め、想定する顧客を明確にし、その利益に適う商品を組成するとともに、そうした商品が想定した顧客に必要な情報とともに提供されるよう、販売にあたる金融事業者に必要な情報提供等を行うなど、プロダクトガバナンスの確保に注力すべきである。
  1. 顧客本位の業務運営の確保と金融サービスの向上
    • 「顧客本位の業務運営に関する原則」が策定され、金融事業者において顧客本位の商品・サービスを提供する取組が広がりつつあり、顧客の資産形成に向けたコンサルティングやアドバイスを重視する動きも出てきている。他方、デリバティブ商品を組み合わせた複雑でコストの高い仕組債の販売等について、顧客の資産形成ニーズに適さない商品の組成や販売が行われているのではないかとの懸念が未だに指摘されている。
    • 家計の資産構成が変わってこなかった要因や、金融商品の販売者・組成者による「顧客本位の業務運営の確保」に向けた取組の現状についてどのように考えるか。家計によるライフプランに応じた適切な資産構成の実現を後押しし、貯蓄から資産形成への動きを確実なものとしていくため、どのように取り組んでいくべきか。
      1. 販売・助言サービスの態様に応じた制度の柔構造化
      2. 金融機関によるデジタルツールも活用した顧客への情報提供の充実
        1. 深度ある、より分かりやすい情報提供
        2. 情報提供のデジタル化
      3. プロダクトガバナンスと資産運用業の高度化
        1. 資産運用会社等におけるプロダクトガバナンスの確保
        2. 二種ファンドの募集・運用の適切性の確保のためのルールの見直し
        3. 投資運用業者等の受託者責任の明確化
  2. 家計の資産形成に向けた金融リテラシーの向上
    1. 学校における取組の支援
    2. 職域における取組の支援
    3. 関係機関・団体の連携
  • 1998年の金融システム改革においては、国内各市場間において、利用者の多様なニーズに応え、魅力あるサービスをいかに効率的に提供し得るか、という競争が行われることを企図して、上場株式の取引所集中義務が廃止された。その後も、市場間競争の重要性については繰り返し議論が行われ、制度が整備され、市場全体としての機能向上が図られてきた。本年5月にも、金融審議会「最良執行のあり方等に関するタスクフォース」での議論を受けて、個人投資家の注文に係る最良執行方針等について、価格重視の方向に見直す関係政令等の整備が行われたところである。
  • また、この間、決済リスクを低減するため、紙媒体(券面)であった有価証券をデジタル化し、口座振替とするとともに決済を短期化するための証券決済制度の整備も進められてきた。さらに、近年では、我が国においても「証券トークン」の発行がはじまっている。
  • 利用者ニーズに応えるとともに、我が国市場の国際金融センターとしての機能を向上させていくため、取引所・PTS・証券会社(店頭)が、取扱商品の特性に応じて安定的・効率的で公正な取引手段を提供し、価格発見機能を適切に発揮するよう、必要な取組を行うことが重要である。
  1. 上場株式等
    1. PTSの売買高上限等のあり方
    2. その他
  2. 非上場有価証券等
    1. 認可審査の明確化・柔軟化・迅速化等
    2. 非上場有価証券等の取扱いに関する留意点
  • 社債市場が有効にその機能を更に発揮するためには、以下のような点から総合的(holistic)に進められることが重要である。
    • 「社債発行」から「信用モニタリング」、さらには「償還、あるいは破綻時の対応」に至る一連のプロセス全体における適切な社債権者保護
    • 社債の現物市場のみならず、社債レポ市場やデリバティブ市場(CDS)全体としての機能発揮
    • 社債市場のみならず、銀行融資やシンジケート・ローンを含む、クレジット市場全体としての機能発揮
    • 国債をはじめとする金利市場、さらには海外クレジット市場、為替市場などとの円滑な裁定機能の発揮
  • この点、我が国社債市場の発行額は増加しており、近年はSDGs債と呼ばれる債券の発行等も大きく増加が見られる。また、特に2009年以降は、市場関係者において、我が国社債市場の活性化に向けて様々な検討・取組が進められてきている。
  • こうしたなか、低格付債市場の拡大も含め更なる社債市場の活性化を図るためには、引き続き、他の債務との優先劣後関係を踏まえつつ、社債評価にあたって必要な情報の提供、十分な社債権者保護、発行流通市場インフラの整備を図っていくことが重要と考えられる。
  • このような観点から、今後も、他債務のコベナンツ等に関する情報開示や必要なコベナンツの付与、社債管理者や社債管理補助者による社債権者保護や利益相反管理の高度化、発行・流通市場におけるより透明性の高い仕組みの定着やレポ市場の育成等に向けて、関係者による適切な対応が期待されるが、これらの課題や関係者による取組のあり方についてどう考えるか。

金融庁 「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(第27回)議事次第
▼資料2 事務局説明資料
  • 2014年のスチュワードシップ・コード策定以降、累次のコーポレートガバナンス改革を実施。2021年のコーポレートガバナンス・コードの再改訂を受けて、各企業におけるガバナンス改革の取組みは一層進展。2022年4月時点の上場企業のコーポレートガバナンス体制を見ると、以下の進展がみられる。
    • プライム市場上場企業の8割超(81.6%)が、3分の1以上の独立社外取締役を選任。
    • プライム市場上場企業の8割弱(79.8%)が、指名委員会(任意を含む)を設置。8割超(82.0%)が報酬委員会(任意を含む)を設置。
  • コーポレートガバナンス改革の取組みが進展する一方、次のような指摘も聞かれる。
    1. 企業からの指摘
      • コードは「コンプライ又はエクスプレイン」の枠組みだが、実際には「エクスプレイン」すると投資家に十分理解されるか不安。また、そのエクスプレインのための検討が大変。こうした中、一部において、コードへの対応が形式的になっているおそれ。
      • コード改訂やガバナンス改革の取組みが、企業価値や「稼ぐ力」の向上につながっているか検証が必要。
    2. 機関投資家からの指摘
      • 企業との充実した対話の実現に向け、対話を支える制度的要素も含め、一層の改革が必要。
      • 持続的な成長に向け、現預金・内部留保の一層の活用などを検討すべき。
      • 改訂版コーポレートガバナンス・コードへの企業の対応状況が出そろい、東証の市場再編が実施されたタイミングに合わせ、コーポレートガバナンス・コード再改訂後の中間点検の一環として、次の2点を実施。
  • コーポレートガバナンス改革に関する実証研究の整理
  • コーポレートガバナンスに関する取組みについての企業へのインタビュー
  • 海外では、コーポレートガバナンス制度の整備や機関投資家による株式保有が、どのような条件の下で企業のパフォーマンスに影響を与えるかについて、実証研究の蓄積がある。他方、日本のコーポレートガバナンス改革実施以降の期間を対象とした実証研究の数は必ずしも多くなく、その結果も区々であることから、日本の実証研究においては、改革の評価は定まっていない。
  • 国内のコーポレートガバナンス改革実施以降を対象とした実証研究の数は、現時点では必ずしも豊富ではない。社外取締役と企業価値の関係についての実証研究では、改革実施前には、社外取締役の導入が市場からの評価を上げるとするものが比較的多い一方、改革実施後の研究では、企業価値との間に有意な関係が見られないとしているものが多く、評価は定まっていない。
  • 委員会設置についての研究では、指名委員会、報酬委員会の設置等は、ROAを向上させるとの示唆を得たものがある。資本政策についての研究では、資本効率が悪い企業が余剰現預金を減少させると、市場からの評価が上昇するとの示唆を得たものがある。
  • 政策保有株式の保有が多い企業ほど利益率等が低く、売却によって利益率等が改善するとの示唆を得た研究がある一方で、政策保有株式の売却は、自社株買いや配当を増加させる一方で、R&D、実物投資、M&Aの増加には貢献しないとの示唆を得たものもある。
  • 機関投資家とのエンゲージメントがガバナンス改善や株価向上に寄与するとの示唆を得た研究がある。アクティブ投資家比率は製造業のR&D成果を向上させる一方、パッシブ投資家はそうした効果を持たないとの示唆や、機関投資家や海外投資家の比率は、生産性(ROA)や市場からの評価を上げるとの示唆を得た研究がある。
  • 2010年の開示規制導入以降、政策保有株式の平均保有銘柄数は約34%減少。2015年のコーポレートガバナンス・コードの策定前後で、政策保有株式の売却確率は上昇しており、コードの原則1-4(政策保有株式)、原則4-8(独立社外取締役の有効な活用)等が政策保有株式の売却を促進した可能性。一方で、売却は持分の小さい銘柄に集中しており、発行済み株式数に占める持株比率で見ると、約0.8%ptしか減少しておらず、事業会社間の政策保有株式の売却が順調に進んでいるとは言いがたい。
  • 2010年以降の各社の政策保有銘柄を分析したところ、持合い関係にある銘柄は売却されにくいことや、取引関係が弱いと考えられる銘柄は売却されやすいとの示唆が得られた。また、社外取締役の増加は、持分の大きい銘柄、持合い関係にある銘柄の売却も含め、政策保有株式の売却を促進するとの示唆も得られた
  • コーポレートガバナンス改革に関する企業へのインタビュー 概観
    • 執行陣を含め多くの企業から、取締役会の審議の充実・中長期的な経営戦略の議論の深化によって企業経営に良い影響が生じた、投資家との対話から経営に有益な示唆を得られた、といった声が聞かれ、コーポレートガバナンス改革の方向性及び有効性は広く支持されていることを示唆。
    • コンプライへのプレッシャーが企業にある中で、コーポレートガバナンス・コードが、企業経営の細部に至る要請を行うことで、かえって企業が形式のみを整えることとなり、改革が形骸化することを懸念する声があった。
    • 機関投資家の形式的な議決権行使、特に中堅以下の規模の企業における対話の機会不足、実質株主把握の困難等の課題へ対応することにより、より質の高い対話を促進すべきとの指摘もあった。
    • コーポレートガバナンス改革は、長期的には企業価値向上に有益であり、企業価値向上を志向したコーポレートガバナンス・コードの方向性は評価する。
    • 執行側からの説明方法を創意工夫すること等により、取締役会の審議が充実し、社外取締役から有益な指摘・助言が得られ、果断な意思決定が行えた。
    • 指名委員会が社内の信頼を得ることで、その指名委員会に指名された執行陣が強いリーダーシップを持てる。
    • 社長や取締役会議長、社外取締役が積極的・継続的に対話に取り組むことや、中長期的な視点で企業を見てくれる投資家と対話を行うことで、投資家から経営に対する有益な示唆を得られた。
    • 取締役会で中長期的な経営戦略を議論し、執行に権限移譲。その執行の進捗確認を通じてモニタリングする形により、経営のスピードが上がり、中長期的な戦略に沿った経営ができた。
    • 取締役会の実効性評価を通じて、コーポレートガバナンス改革のPDCAを回すことにより、取締役会の質の向上につながった。
  • コーポレートガバナンス改革は、中長期的な企業価値の向上に向けて、経営陣の果断なリスクテイクを支えることを狙いとしてきたが、日本企業の成長投資(設備投資、研究開発・知財投資、人的投資等)は、コーポレートガバナンス・コード策定以降、小幅な伸びに留まっている。
  • コーポレートガバナンス・コード再改訂後も、政府等において、企業の知的財産や人的資本等への経営資源の配分に関する議論は進展。しかし、投資家と比較すると、未だ企業には、その重要性が十分に認識されていない。
  • 足元、日本の大企業の内部留保は242兆円まで、現預金は79兆円まで積み上がっている。
  • 株主還元の水準を見てみると、日本企業の配当や自社株買いは、米国や英国と比べても、必ずしも過大とは言えない。
  • 近年、株式のパッシブ運用はますます増加。それに伴い、協働エンゲージメントを行ったことがある投資家も増加してきている。
  • スチュワードシップ・コードの有識者検討会からは、建設的な対話を支える制度的要素(協働エンゲージメントに係る法的枠組み等)についての指摘が行われていた。直近の調査では、半数以上の投資家が、協働エンゲージメントの際の課題として、「共同保有者」や「重要提案行為」への該当性判断が不明確なことを挙げている。
  • 近時、株主提案等が増加傾向にある中、上場会社が株主との対話を深めていく観点から、「実質株主」を確認できるようにする制度について検討すべきとの指摘がなされている。
  • ご議論いただきたい事項
    1. コーポレートガバナンス・コード再改訂(2021年)後の中間点検
      • 2014年のスチュワードシップ・コード策定以降、累次のコーポレートガバナンス改革を実施してきたが、改革の効果についての実証研究の蓄積は未だ多くなく、改革の効果に関する評価は定まっていない。
      • 他方、創意工夫でコーポレートガバナンス改革に取り組んだ企業からは、取締役会審議の充実化等、一定の効果を感じているとの指摘がある。
      • このような状況を踏まえ、
        • これまでのコーポレートガバナンス改革の効果をどのように評価しているか。
        • その際、コーポレートガバナンス改革の効果についての企業の実感、コードを細則化すべきでない等の批判をどのように受け止めるべきか。
        • 資料で挙げている分析以外に、改革の点検として見るべき分析はあるか。
        • 分析結果を踏まえ、今後のコーポレートガバナンス改革で対応していくべき課題はあるか。
        • 企業の取組みの中で、今後フォローアップ会議として取り上げるべきものはあるか。
    2. 持続的な成長に向けた課題
      • コーポレートガバナンス改革を通じて、企業に持続的な成長に資する投資(設備投資、研究開発・知財投資、人的投資等)を促してきたが、米国と比較すると、それらの投資は小幅な伸びに留まっており、内部留保が特に現預金として積み上がる結果となっている。また、価値創造の基盤となる知的財産や人的資本に関する投資の重要性は政府等において議論されてきたものの、企業における取組みは、未だ道半ばであると考えられる。
      • 積み上がり続ける日本企業の内部留保(特に現預金)の有効活用に向け、下記の点をどう考えるか。
        • 中長期的な企業価値の向上に向けた経営資源の適切な配分(設備投資、研究開発・知財投資、人的投資等)。その際の成長投資と、資本コストを踏まえた株主還元のバランス
        • コロナ禍、資源高、ウクライナ情勢等、不確実性の高い状況における現預金保有の方針
        • 企業が上記の課題に取り組む際の取締役会や株主、両者の対話の役割、及び企業の説明責任のあり方
    3. 企業と投資家との対話に係る課題
      • 企業と投資家の建設的な対話のあり方については様々な議論・検討が進展している一方、過去のフォローアップ会議やスチュワードシップ・コードの有識者検討会において、協働エンゲージメントの範囲が明確ではない等の指摘がなされている。
      • これまでの指摘を踏まえて何らかの対応を検討すべきと考えるか
      • これまでの指摘以外にも、関連する制度において検討すべき論点はあるか。

金融庁 「サステナブルファイナンス有識者会議」(第11回)議事次第
▼資料3-1 金融機関における気候変動への対応についての基本的な考え方(案)概要
  • 金融庁の検査・監督基本方針(平成30年6月29日公表)を踏まえ、分野別の考え方と進め方として、金融機関の気候変動への対応についての金融庁の基本的な考え方を整理し、意見募集に付すもの。
  • 本ガイダンスでは、顧客企業の気候変動対応の支援や気候関連リスクの管理に関する金融庁と金融機関との対話の着眼点や金融機関による顧客企業の気候変動対応の支援の進め方などを示している。
  • 各金融機関におけるよりよい実務の構築に向けた金融庁と金融機関の対話の材料であり、金融機関に対し一律の対応を義務付ける性質のものではない。
  1. 気候変動対応に係る考え方・対話の着眼点
    1. 基本的な考え方
      • 気候変動に関連する様々な環境変化に企業が直面する中、金融機関において、顧客企業の気候変動対応を支援することで、変化に強靭な事業基盤を構築し、自身の持続可能な経営につなげることが重要。
    2. 金融機関の態勢整備
      • 気候変動対応に係る戦略の策定・ガバナンスの構築
      • 気候変動が顧客企業や自らの経営にもたらす機会及びリスクのフォワードルッキングな認識・評価
      • トランジションを含む顧客企業の気候変動対応の支援
      • 気候変動に関連するリスクへの対応
      • 開示等を通じたステークホルダーへの情報の提供 等
  2. 金融機関による顧客企業の支援の進め方・参考事例
    • 金融機関においては、気候変動に関する知見を高め、気候変動がもたらす技術や産業、自然環境の変化等が顧客企業へ与える影響を把握し、顧客企業の状況やニーズを踏まえ、例えば以下のような観点で支援を行うことが考えられる。
      1. コンサルティングやソリューションの提供
        • 顧客企業の温室効果ガス排出量の「見える化」の支援
        • エネルギーの効率化技術を有する顧客企業の紹介(顧客間のマッチング)
      2. 成長資金等の提供
        • 顧客企業のニーズに応じた、脱炭素化等の取組みを促す資金の提供(トランジション・ローン、グリーンローンなど)
        • 気候変動に対応する新たな技術や産業育成につながる成長資金のファンド等を通じた供給
      3. 面的企業支援・関係者間の連携強化
        • 中核メーカーの対応も踏まえた、地域の関連サプライヤー企業群全体での戦略検討等の面的支援
        • 自治体や研究機関等との連携による地域全体での脱炭素化や資源活用の支援

【2022年4月】

金融庁 IOSCOによるディスカッション・ペーパー「COVID-19による市場ストレス下における社債市場の流動性要因」の公表について
▼IOSCO は、ストレス下の社債市場に影響を及ぼす市場流動性の問題と、ETF に関するグッド・プラクティスについてフィードバックを求める(仮訳)
  • 社債市場
    • 証券監督者国際機構(IOSCO)の代表理事会は、COVID-19による市場ストレス下における社債市場の流動性要因に関する報告書を公表し、ステークホルダーからのフィードバックを求めている。フィードバックは、IOSCOが現在取り組む社債市場分野のレビュー、ストレス下における市場機能の改善および流動性供給の強靭性に関する将来の検討のための情報となる。
    • 本社債市場分析は、ETF(Exchange Traded Funds <上場投資信託>)や伝統的なオープン・エンド型ファンドなどのバイサイド投資家による投資が増大しつつある社債市場に関して、より幅広い文脈を提供する。これらの市場は、世界金融危機以降、指数関数的に成長してきた。COVID-19を端緒とする市場ストレスは、無秩序な社債取引と流動性機能障害の潜在的なシステム上の重大性を浮き彫りにした。ETFなどの新規参入者や電子化の増加により市場ダイナミクスが進展する一方で、社債のセカンダリー取引は依然として相当程度流動性の低い市場であり、少数のOTCディーラーのネットワークに大きく依存している。2020年3月の出来事は、市場の機能について疑問を提起した上で、流動性を強化してストレス時の流動性供給側の制約を緩和するための改善の可能性を問い掛けた。
  • ETF
    • IOSCOは本日、IOSCOのメンバー当局、資産運用会社および取引所がETFの運用・取引に関連して考慮するためのグッド・プラクティスについて市中協議を行う。本市中協議は、IOSCOの2013年のETF規制に係る原則を補完するものである。
    • ETFに関して提案された11のグッド・プラクティスは、プロダクト・ストラクチャリング(効果的な裁定を促進する手段、ETFオファリングのための様々な資産と戦略を含む)、開示、流動性供給およびボラティリティ・コントロールのメカニズムを対象としている。これらは、最近の世界的なETF市場の著しい成長や、新たな流動性の低い資産クラスへのエクスポージャーを有する新商品の増加、より複雑な投資戦略の増加に対応するものである。
    • 2020年3月においては、一部の債券ETFについて、より流動性の高い原資産を持つETFと比較して、一時的にプレミアムまたはディスカウントが急上昇し、スプレッドが拡大するなど、ETFに関する課題が提起された。
    • アシュリー・オルダーIOSCO議長兼香港証券先物取引委員会(SFC)CEOは、「社債市場が秩序ある形で機能することは実体経済のニーズに不可欠であり、オープン・エンド型ファンド(ETFを含む)が投資する金融商品の多くを支えている。ETFはますます普及が進む金融商品であり、IOSCOのグッド・プラクティスは、これらの金融商品が引き続き機能するために役立つものであり、投資家のニーズを支援するだろう。私は、ステークホルダーに対して、両方の公表物についてフィードバックを提供することを奨励する」と述べ、両プロセスへのインプットを奨励した。
    • カルミン・ディ・ノイア経済協力開発機構(OECD)金融・企業局長は、「規制当局と中央銀行の迅速な対応により、社債発行市場はCOVID-19危機の間も継続し、2020年だけで3兆米ドルという記録的な金額を調達した。しかし、企業債務水準は、クレジット・クオリティの悪化が景気回復にどの程度影響するかについて懸念を生じさせている。IOSCOの報告書は、活発な資本市場が引き続き企業セクターの強靭性を支えることを確かなものにする上で、有益な教訓を提供している。
    • OECDは、この重要な取組みについてIOSCOと協働することを楽しみにしている。」と述べた。
  • フィードバックの提供方法
    • ディスカッション・ペーパー「Corporate Bond Markets-Drivers of Liquidity During COVID-19 Induced Market Stresses」に関する意見提供(ディスカッション・クエスチョンへの回答)は、2022年6月30日(木)までにCBML-feedback@iosco.org宛てに送付されたい。また、今夏、IOSCOはOECDと共に、社債市場に関する見解を追加的に取得するための会議を開催する。
    • 市中協議文書「Exchange Traded Funds – Good Practices for Consideration」に関するフィードバックは2022年7月6日(月)まで募集している。コメントはIOSCO-ETF-consultation@iosco.org宛てに送付されたい。また、グッド・プラクティスを最終報告書に反映する際の助けとなるように、ETFに影響を及ぼす最新の市場事象についてもフィードバックを提供することが奨励される。

金融庁 金融審議会「市場制度ワーキング・グループ」(第17回) 議事次第
▼資料2 事務局説明資料(Ⅰ 顧客本位の業務運営の確保と金融サービスの向上(2)(顧客への情報提供の充実とデジタル化)Ⅱ 我が国社債市場の課題と取組み)
  • 家計の中長期的に安定した資産形成を実現していくためには、顧客本位の業務運営の確保、金融リテラシーの向上を総合的に進めることが不可欠。これまでプリンシプルベースで進めてきた「顧客本位の業務運営の確保」については、それを支える制度的枠組みの検討が必要ではないか(販売面:販売・助言サービスの態様に応じた制度の柔構造化、組成面:プロダクトガバナンスの確保)。
  • 社会経済全体のデジタル化が進展する中、金融商品取引における情報提供に関しては、
    1. 顧客に対し、充実した内容の情報がデジタルツールの特性を活かした分かりやすい形で提供されることが「顧客本位の業務運営」の進展、ひいては、経済成長の果実の家計への還元の観点から重要。
    2. こうしたデジタル化のメリットを幅広く顧客に拡げ、同時に、紙資源の節減や金融事業者のコスト削減にもつながるよう、「紙による情報提供を原則とする枠組み」から「デジタル・リテラシー等の顧客属性に応じた保護を図りつつ、デジタルによる情報提供を原則とする枠組み」への移行についての検討が求められている。
  • 金融商品取引における情報提供は、(1)顧客にとって必要な情報が、(2)顧客にとって分かりやすく提供されるよう、行われる必要がある。より良い取組みを行う金融事業者が顧客から選択されるメカニズムの実現を目指して2017年に策定された「顧客本位の業務運営に関する原則」(FD原則)には「重要な情報の分かりやすい提供」が挙げられている。さらに、FD原則は2021年1月に改訂され、「重要情報シート」が導入された。
  • 近年では、デジタルツールを効果的に活用し、ウェブやアプリの画面表示を工夫することなどにより、書面や、単に書面を電子化したPDFよりも分かりやすい情報提供が可能となっている。情報提供のデジタル化は、従来の書面の電子化ではなく、これまでの「顧客本位の業務運営」に向けた取組みを踏まえつつ、デジタルツールの特性を活用し、より充実した情報のより分かりやすい提供につながるよう進める必要がある。
  • 金融商品取引法等は、顧客に提供すべき情報を記載した書面として、目論見書、契約締結前交付書面、取引残高報告書、運用報告書等を定めている。これらは、顧客が同意すればデジタルによる情報提供に代えることが可能とされている。(注)金融商品取引法の規定を準用している特定預金等契約や特定保険契約、特定信託契約、特定金融サービス契約に係る情報提供(書面交付)についても、分野横断的な規律を図る観点から、同様の取扱いとされている。また、一定の場合には顧客同意は不要とされている。(顧客同意が不要とされる例)
    • 投資信託について、交付運用報告書は書面交付が原則だが、運用報告書(全体版)については、投資信託約款で電磁的方法による提供を規定している場合には(顧客同意がなくとも)ウェブ掲載等による提供が認められている。
    • 上場株式などのプレーンな商品に係る契約締結前交付書面は、一度交付すれば、その後はウェブ掲載等による提供が認められている。
  • 金融商品取引法等に基づく情報提供のデジタル化について、現状、「新規顧客」については、対面営業を主とする証券会社(以下「対面証券」)で7~8割、ネット証券で8~9割の顧客が電子提供に同意している一方、対面証券の「既存顧客」の電子提供率は低いという調査がある。デジタルツールの特性を活用した、深度ある、より分かりやすい情報提供がより多くの顧客に享受されるとともに、紙資源節減やコスト削減等につながっていくよう、以下の点を踏まえつつ、「紙による情報提供を原則とする枠組み」から「デジタル・リテラシー等の顧客属性に応じた保護を図りつつ、デジタルによる情報提供を原則とする枠組み」への移行についての検討が求められている。
    • 顧客属性(デジタル・リテラシー等)や商品類型(複雑性等)等には差異があること
    • 既存契約に関し書面(購入済の投資信託の運用報告書等)交付を受けている顧客の中には、契約にあたり能動的に電子提供に同意しなかった(書面を「選択」した)者も一定数存在すると考えられること
  • 2020年の割賦販売法改正では、クレジットカード会社(包括信用購入あっせん)によるカード交付時・利用時の情報提供(規約、利用明細等)について、顧客の事前承諾を要することなく電子提供を行うことが許容された。一方、クレジットカード会社による契約解除等の「催告」は、顧客の法的な契約関係に影響する特に重要な情報提供であるとして原則は書面とされた。また、個別信用購入あっせんについても原則は書面とされた。2021年の特定商取引法改正では、従来電子提供が認められていなかった販売業者等による交付書面について、消費者の事前承諾を得た場合には電子提供を行うことが許容された。
  • 社債市場を通じた資金供給は、銀行等による貸出とともに、事業リスク等を踏まえた企業への効率的・効果的な資金供給、その成果の家計への還元との面において、重要な役割を担っている。
  • 2009年7月の「社債市場の活性化に関する懇談会」設置以降、社債市場の活性化に関し、様々な課題についての検討及び取組み・見直しが進められてきた。
  • 社債の保有者構成は、銀行を含む預金取扱機関、保険・年金基金が約6割を占めている。本邦社債保有における海外機関投資家等(注;一般にリスクテイクに積極的でリスク・リターンのバランスを厳しく評価するといわれる)の比率は極めて低水準にとどまっている。これについては、言語や低金利環境といった要因に加え、コベナンツの設定・開示や社債管理者の設置状況など本邦社債市場の構造的な課題も原因となっているとの指摘がある。投資信託や小規模な年金等の社債投資を制約している要因として、以下のようなことが挙げられるのではないか、といった指摘もある。
    • 多くの社債が、社債管理者不設置で社債の額面1億円以上で発行されていることで、パッシブ運用において一定の運用規模が必要となっている
    • これらの投資家が現に積極的に活用している社債インデックスや日本社債に特化した大規模なパッシブファンドが存在しない
  • 我が国の社債発行額は増加してきているが、格付別ではA格以上が大宗を占めており、非投資適格(BB格以下)は、2019年~2021年のアイフルの発行を除いて見られない。また、投資適格の中でもBBB格の発行は米国に比して極めて少ない。こうした信用リスクが相対的に高い企業の社債発行を促進するためには、コベナンツの設定・開示や社債管理の担い手の確保・利益相反への対応等が課題として指摘されている。いわゆるSDGs債の発行が増加しており、発行体の裾野の広がりにつながっている。
  • 社債評価にあたって必要な情報が十分に開示されることが重要。特に、我が国実務では担保提供制限条項(ネガティブプレッジ)(注)の範囲を「社債間」に限定することが一般的であり、ローンに関する情報開示の重要性は特に高いと考えられる。(注)担保提供制限条項とは、社債・借入等の債務について、担保権を設定することを制限し、本社債の法的な支払順位を確保しようとするものをいう。本邦社債では、債務間同順位の担保提供制限条項を規定している例は極めて限定的。一方、米国では、1971年にひな形として作成された模範社債信託証書条項に記載されている担保提供制限条項はローンを含む債務全体を対象としており、ローンも対象とする担保提供制限条項の付与が従来から定着していると言われている。現在、金融審議会「ディスクロージャーWG」において、ローン等に付されたコベナンツの開示につき議論が行われている。
  • 社債コベナンツの内容は、諸外国の例も踏まえ、社債権者保護の観点からみて適切・十分であることが求められる。この点、例えば、米国では多くの低格付債に付与されているチェンジ・オブ・コントロール条項が、我が国実務では盛り込まれていないとの指摘がある。機関投資家等による社債の評価において、コベナンツの付与や社債管理者等の設置が適切に反映される必要があるとの指摘もある。
  • 社債管理者は「公平誠実義務」及び「善管注意義務」を負い、社債権者保護に重要な役割を担う。我が国ではメインバンクが社債管理者となっている場合が多い(例えば、メガバンク以外の銀行や信託銀行が社債管理者を務める社債は2021年発行分では4銘柄)。メインバンクの就任について、与信取引等で得た情報を活用できるといったメリットがある一方、利益相反への対応が必要ではないか、との指摘がある。(注)米国のトラスティーについては、デフォルト後、社債権者との利益相反規制があり、法定の利益相反事項に該当した場合、90日以内にトラスティーを辞任又は当該利益相反関係を解消しなくてはならないとされている。
  • 我が国においては、社債管理者が設置されないケースが多い(額面1億円以上の発行が79%、うち不設置債97%)。2019年の会社法改正で「社債管理補助者制度」が導入されたところ(2021年3月施行)、今後の活用を促していく必要がある。
  • 日証協では、発行市場の透明性及び流通市場の流動性の向上等について検討・取組みを行っている。発行市場については、より透明性の高い発行条件の決定手続きに向け、2020年に、発行者への「需要情報」、「販売先情報」の提供に係る自主規制規則を制定(トランスペアレンシー方式の導入)。透明性の高い発行市場に向けた取組みが進められている。
  • 日証協では、流通市場における流動性の向上策の1つとして、社債レポ取引に関する一定のニーズが確認されたことから、同市場の整備に向けた検討が進められている。また、価格の透明性については、社債の取引情報の報告・発表制度が2015年に開始しており、現在では、発表対象がA格相当で発行額500億円以上の銘柄(注)まで(全取引数量の49%)拡大されており、着実な進展が期待される。(注)A-相当、劣後特約付きのもの及び残存年数が20年以上のものを除く。
  • 金融緩和や銀行間の競争等を背景にした、借入に伴う低い調達コストが、大企業が社債ではなく銀行融資を選択する一因となっているのではないか、との指摘がある。上場企業等に係るファイアーウォール規制の見直しに伴い銀行グループの業務運営の一体性が高まることで、「融資と社債引受」、「資本性ローンと劣後債引受」等を比較し、より顧客ニーズを反映したサービス提供につながることが期待される。
  • ご議論いただきたい事項
    1. 顧客本位の業務運営の確保と金融サービスの向上②(顧客への情報提供の充実とデジタル化)
      1. 金融商品取引における情報提供は、(1)顧客にとって必要な情報が、(2)顧客にとって分かりやすく提供される必要がある。情報提供のデジタル化を進める中で、デジタルツールの特性を活用し、「深度ある、より分かりやすい情報提供」を推進していくため、どのような取組みが必要か。また、顧客に提供される情報を充実させる観点から、見直すべき点はあるか。
      2. デジタルによる情報提供のメリットが多くの顧客に享受されるよう、「原則デジタル化」のあり方を検討するにあたり、以下なども踏まえ、どのような制度としていくことが考えられるか。
        1. 顧客属性(デジタル・リテラシー等)や商品類型(複雑性等)等には差異があること
        2. 既存契約に関し書面交付を受けている顧客の中には、契約にあたり能動的に電子提供に同意しなかった者も一定数存在すると考えられること
    2. 我が国社債市場の課題と取組み
      • 社債市場が有効にその機能を発揮するためには、以下等が総合的(holistic)に進められることが重要。
        1. 「社債発行」から「信用モニタリング(情報提供や担保設定などを含む)」、さらには「償還、あるいは破綻時の対応」に至る一連のプロセス全体における適切な社債権者保護
        2. 社債の現物市場のみならず、社債レポ市場やデリバティブ市場(CDS)全体としての機能発揮
        3. 社債市場のみならず、銀行融資やシンジケート・ローンを含む、クレジット市場全体としての機能発揮
        4. 国債をはじめとする金利市場、さらには海外クレジット市場、為替市場などとの円滑な裁定機能の発揮
      • この点、いわゆるSDGs債の増加が進む等、我が国の社債発行額は増加してきている。また、特にリーマン危機以降、銀行融資との利益相反関係なども視野に入れた取組みが進められているが、長期にわた超低金利環境の継続もあり、社債市場の活性化は道半ば。こうした中、上場企業顧客に関する銀証ファイアーウォール規制の見直しが進み、社債・融資合わせたクレジット市場全体としての機能発揮を考える環境整備が進む現状において、社債活性化に向け、さらにどのような取組みが求められるか、重点的に進めるべき施策は何か

金融庁 「ESG評価・データ提供機関等に係る専門分科会」(第5回)議事次第
▼資料1 事務局資料
  • 本専門会議においては、ESG評価の質を高め、インベストメントチェーン全体でESGに係る評価やデータが信頼ある形で利用されるよう、議論を進めてきたところ。報告書や行動規範の策定を通じて、ESG評価の質の向上を図り、評価やデータの信頼性を高めることで、企業のESGの取組みと、経済の持続可能な成長を確保していくことが重要と考えられるが、他に重要な点はあるか
  • また、こうした点から、評価・データ提供機関に係る行動規範に止まらず、企業や投資家に期待される事項含めて包括的に取りまとめていくことが考えられる
  • ESG評価に係る市場の動向は今後も大きく変化していくことを前提に、IOSCOの原則ベースの報告書を基礎としつつ、必要に応じて追加的な論点も盛り込んだ上で、行動規範を策定していくことが考えられるのではないか
  • ESG市場全体が発展過程にある中で、依然、企業の保有するESGデータを収集・分析し、これに基づく評価を行い、投資家等に提供するESGデータ提供・評価機関の重要性は高い。今後のESGデータの充実やこれに伴う市場構造やサービス提供の変化も見据えた柔軟な改定が可能な形が望ましいか
  • Issuer Pay、Subscriber Payモデル双方の役割がサステナブルファイナンス市場の発展には不可欠であり、両者を対象とすることが望ましいのではないか。IOSCOの報告書を基礎とした場合、Issuer PayとSubscriber Payを包含できる内容も多いと考えられるが、いずれかのビジネスモデルを想定した場合に対象とすべきない、又は加筆すべき項目として、特段の内容があるか
  • 報告書については、内外の、ESG評価・データ提供機関、投資家、企業、その他幅広い市場関係者に積極的な発信を行っていくことが重要であり、早々に英語版も含めて開示していくことが考えられるが、他にどのような普及策が考えられるか
  • ESG評価・データ提供機関に対する行動規範については、スチュワードシップコード等の例も踏まえて、わが国市場でESG評価・データを提供する機関に幅広く賛同を呼び掛け、賛同する場合には、行動規範のそれぞれの項目について、遵守する、又は遵守しない項目についてはその旨と理由を明らかにする(いわゆるコンプライオアエクスプレイン)ことを求めることが考えられるか
  • 行動規範については、内容をIOSCOの報告書を基にすることで国際協調の基礎としつつ、公表に当たって、IOSCOや各国当局を含め情報発信を行うことで、国際的に歩調の取れた対応を促していくことが考えられるか
  • ESGデータはESG評価の基礎をなすものであり、その重要性を踏まえれば、データの品質確保は喫緊の課題であり、データも併せて対象とすることが基本となると考えられるか。IOSCOの原則ベースの報告書を基礎とした場合に、データ提供を対象とした場合に、具体的にどのような課題があるか
  • 非営利法人等も含めて、わが国でESGレーティングやデータを業として提供する機関を対象とすることとした場合、範囲や定義の面で具体的などのような留意点があるか
  • インベストメントチェーンにおけるイノベーションも含めて、ESG評価・データ提供機関がこれまでに果たしてきた役割が、今後も更に発揮されることが期待される旨を、報告書・行動規範に盛り込むことが考えられるか
  • ESG評価においては、評価の目的、考え方、基本的方法論などの評価の哲学を明らかにすることが重要であり、こうしたものに沿った評価が行われている限りにおいては、企業の評価結果そのものが評価機関によって異なることは必ずしも問題ではなく、むしろESGに係る多様な視点を提供する観点から有益とも捉えられる、との意見があるが、そのような理解でよいか
  • 企業の客観的な取組状況や事実関係を表すESGデータについては、開示の充実などを通じて収れんしていく方向にある一方、ESG評価については、ESGはそもそも多様な概念を包含するものであり、今後も多様であり続けるものである、との理解でよいか
  • ESG債における外部評価の種別については、国際資本市場協会(ICMA)による外部レビューに関する整理も踏まえて用語の整理を行うことが考えられるか
  • その上で、行動規範については、IOSCOの報告書を基礎とした場合、こうした評価の種別を包含できる内容も多いと考えられるが、いずれかの評価を前提とした場合に対象とすべきない、又は加筆すべき項目として、特段の内容があるか
  • 種別によらず求められる行動規範は同一であることを改めて確認することは考えられるか
  • 評価の品質管理(PDCAの確立)、人材の確保、データの品質確保については、質が高く信頼性のあるESG評価・データの提供に欠かせない要素であり、以下のIOSCO報告書の記載も踏まえ、報告書・行動規範に盛り込むことが考えられるか
  • IOSCO報告書には例示として以下の記載があるが、特段の留意点はあるか
  • いずれも重要な論点であり、幅広い関係者からの独立性確保について、IOSCO報告書も踏まえて、指摘事項を報告書・行動規範に盛り込むことが考えられるか
  • ビジネスモデルによって、異なる利益相反のあり方や防止の方策について、具体的にどのような違いが考えられるか。少なくとも、IOSCO報告書(関連記載は3・4-1、2)にもあるとおり、評価機関において、自ら提供する関連サービスについて、潜在的な利益相反としてどのようなものが存在するかを特定し、管理、低減する枠組みの整理が重要ではないか
  • 設問や評価基準の詳細については、企業にとって使いやすく・理解しやすいものである必要があるのではないか
  • 利益相反管理のあり方については、評価のあり方にも応じて変わってくるとの指摘がある。例えば、評価手法が客観的、簡潔でわかりやすい、透明性が高い場合と、評価が主観的、多岐にわたり複雑である、透明でない場合に、求められる利益相反管理のあり方が異なるべき旨などを行動規範に盛り込むべきか。盛り込む場合、特段の留意点はあるか
  • 透明性を確保すべき項目として報告書・行動規範に盛り込むべき事項としては、上記のような指摘やIOSCOの報告書を踏まえて、たとえば、以下のような点が考えられるか
    • 評価の基本的な哲学・目的・方針(IOSCO2-2、5-5関連)
    • 評価手法の具体的な内容(評価結果の差異につながる重要な取組みなど)(IOSCO2-2、5-5関連)
    • 評価のプロセス(評価の手続き、手順、けん制やモニタリングなど)(IOSCO2-2、5-5関連)
    • 評価の目的・手法に照らした評価結果の具体的な説明が可能な窓口(IOSCO8・9-3関連)
    • 評価の基となるデータソースや、推計データの利用の有無(IOSCO2‐5、5-5関連)
    • 評価手法等に更新があった場合の変更点(IOSCO2-4、2‐5関連)
  • 一般的な情報開示に加えて、個別の評価対象企業に対しては、求めに応じてより丁寧な説明等が必要となるといった旨を報告書・行動規範に盛り込むことは適切か。盛り込む場合、どの点に留意すべきか
  • 設問や質問票、評価手法・基準等の詳細については、企業にとって使いやすく・理解しやすいものである必要があるのではないか
  • 守秘義務についての指摘事項は、IOSCO報告書の以下の記載も踏まえて、報告書に盛り込むことが考えられるか
  • 事前の説明については、IOSCO報告書(8・9‐2、6関係)も踏まえて、行動規範に盛り込むことが考えられるか
  • 市場全体として持続的な成長を促していくといった観点から、評価機関には、企業の行動変容などにつながる建設的な対話が期待されるのではないか
  • 評価機関においては、評価手法などの具体的な問合せに対してどう対応するか、回答の難しい場合としてどのような場合があるか、少なくともインプットデータの確認は可能である旨を明らかにするといった方針を明らかにすることが重要でないか
  • ESGの評価やデータが、実際にどのようなインパクトを持つのか企業が具体的に理解できるよう、投資家においても、自らのESG評価・データ利用のあり方や、自らESG評価を行っている場合の考え方などを明らかにすることが重要との指摘があり、こうした趣旨を報告書に盛り込むことが考えられるか
  • 評価にあたって、または評価の後に、評価機関と企業との間で密接なコミュニケーションが図られること自体は、評価の質を適格にし、企業としての取組み改善につなげてもらう観点からも、重要ではないか。このため、コミュニケーションを限定するよりは、これを促していく方向で検討すべきか
  • 中立性の確保や評価先が多数に及ぶ場合の対応・工夫については、例えば、評価を行う担当者とコミュニケーションを行う担当者を分ける、対応の基本的方針を予め明らかにする、といったことが考えられるか。他にどのような方策・工夫が考えられるか
  • 投資家においても、自らのESG評価・データ利用のあり方や考え方などを明らかにすることが重要との指摘があり、こうした趣旨を報告書に盛り込むことが考えられるか
  • インハウスで行う評価についても、投資家におけるESG評価・データの利用の一環として、そのあり方を明らかにすることが重要か
  • 評価特性への理解ならびに評価機関・企業との対話についても、上記指摘を報告書に盛り込んでいくことが考えられるか
  • 企業開示については、ISSBにおける国際的な検討のほか、金融庁でも、「ディスクロージャーワーキンググループ」で議論を進めているところ。ESG評価・データの品質確保の観点からも、こうした議論の進展が重要か
  • 評価においてどのような情報が活用されているかについても、P13のとおり行動規範に盛り込むことが考えられるか
  • 企業へのベネフィットについては、既述のとおり、投資家が、評価やデータがどのように利用されているのかを明らかにしていくことで、理解し易くなるか。また、評価機関が、企業に対して、取組みの課題や他社との比較などのフィードバックを行うことも考えられるか。他にどのようなものがあるか
  • ESG評価は多様であり、また投資家による利用のされ方も多様である点を、企業も含めて幅広い関係者に理解してもらうことも重要。こうした観点から、関係者間の対話の促進等が重要となるか
  • 相互の理解向上などを図る場としては、具体的にどのようなものが考えられるか

金融庁 金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(第8回) 議事次第
▼資料1 事務局説明資料
  • 金融商品取引法に基づく四半期報告書と取引所規則に基づく四半期決算短信の「一本化」の方向性については、コスト削減等の観点から幅広い支持。「一本化」する四半期開示については、開示内容、虚偽記載に対する責任、情報の信頼性等の論点がある
  • 四半期決算短信を30日以内に開示し、四半期報告書を法定期限近くに提出する企業が一定数存在している
  • 上場企業では、四半期決算短信の発表と合わせて、決算説明資料や決算説明会の模様等を公表するなど投資家への積極的情報開示が行われている
  • 米国では、プレスリリース等で開示された登録者の事業や財務状況の結果に関する情報については、Form8-K(臨時報告書)により開示することが求められている
  • 仮に四半期開示を四半期決算短信に「一本化」する場合であっても、同じ内容を臨時報告書で開示する仕組みとすることで、四半期報告書と同様の虚偽記載の責任を課すことが可能。監査法人のレビューの有無については、「一本化」する書類の制度設計次第となる
  • 四半期決算短信の内容は、四半期報告書の記載事項と比較し、簡易なものとなっている
  • 2016年のディスクロージャーWG報告は、四半期を含む決算短信について、速報としての性格に比した作成・公表の事務負担や記載内容の有価証券報告書(四半期報告書)との重複についての指摘を踏まえ、速報性の観点から、整理・合理化を提言
  • 有価証券報告書を提出する非上場企業(資金調達のために過去に有価証券届出書を提出した企業等)は、金融商品取引法により半期報告書の提出が求められている(決算短信の提出はなし)
  • 日本(東証)では、経済界の要請を踏まえ、開示対象や重要性基準を定める細則主義を採用。一方、米国、英国では、原則主義に基づき、企業が開示すべき事項や重要性を判断している
  • 2020年の新型コロナウイルス感染症拡大時、決算発表時期の到来前に適時開示を行った企業は、1割程度
  • 2020年の新型コロナウイルス感染症拡大時、企業会計基準委員会(ASBJ)から、会計上の見積りに用いた仮定を具体的に開示するよう周知し、金融庁も充実した開示を要請。これを踏まえて、有価証券報告書や四半期報告書では、一定の開示が進展
  • ロシア・ウクライナ情勢について、事業活動や経営成績に及ぼす影響やリスクの説明に関する積極的な開示が要請されている。日本企業の中にも、ロシア・ウクライナ情勢の影響について開示している事例が見られる
  • 時価総額ベースでは約9割が決算短信、株主総会招集通知の英文開示を実施。英文資料の和文資料との同時開示は、決算短信は73.0%、株主総会招集通知は61.4%
  • 2021年6月改訂のコーポレートガバナンス・コードにおいて、特に、プライム市場上場会社は、開示書類のうち必要とされる情報について、英語での開示・提供を行うべきであることを記載(補充原則3-1②)
  • 英文開示の状況については、海外投資家が近年の取組みの進展を肯定的に評価している一方、日本語の開示資料と比べて情報量に差があることや開示のタイミングが遅いとの指摘もある
  • 日本の上場会社に投資を行う上で、上場会社による英文開示が必要かどうかについて、資料ごとに選択した結果、有価証券報告書の英文開示を必須又は必要と回答した割合は7割
  • 有価証券報告書では投資家の投資判断に必要とされる情報、コーポレート・ガバナンス報告書ではコーポレートガバナンス・コードへの対応状況を含むガバナンス情報が開示されている
  • 有価証券報告書に「取締役会、指名委員会・報酬委員会等の活動状況の記載欄」を新設する場合には、現在のコーポレート・ガバナンス報告書の類似の記載事項を整理することが考えられる
  • ご議論いただきたい事項
    1. 情報開示の頻度・タイミング
      • 四半期開示については、経営が短期主義になるとの意見、経営の短期主義とは無関係である等、幅広い意見があるが、実証研究においては四半期開示と短期主義との関係に対する明確な答えが出ていない。この点については、引き続き、幅広く企業、投資家をはじめとするステークホルダーの意見や海外の実務を検証しつつ、議論を深めていく必要がある。
      • 第6回会合の議論では、コスト削減の観点等から、取引所規則に基づく四半期決算短信と金融商品取引法に基づく四半期報告書との「一本化」には幅広い支持が寄せられた。「一本化」の進め方については、四半期決算短信を基本とする方向、四半期報告書を基本とする方向の両論があり得るが、
        • 開示のタイミングがより遅い四半期報告書に集約させることは、情報の有用性・適時性を低下させるおそれがあること
        • 四半期決算短信に関しては、投資家に広く利用されていること。また、一部の企業においては、その発表と併せて充実した決算説明資料を公表し、さらには経営幹部によるアナリスト等とのQ&Aの模様などを公表する動きが進んでおり、こうした積極的な開示姿勢の後押しも必要であること
        • 監査法人のレビューがある四半期報告書を期待する意見もあるが、「正確性の担保」という点からは、四半期報告書の形でなくても、代替的な手法(例えば、適時開示を臨時報告書とすることにより担保する方策等)により確保することも考えられるとの指摘があること等を踏まえると、四半期決算短信への一本化を基本に検討することが考えられる(注1)。
          • (注1)四半期報告書については、以下のような指摘も見られている。
            • 「(アナリストを含め)正確性の担保との意義はあるが、実際には必ずしもよく利用されているわけではない」との指摘
            • レビューについては、少なくとも有価証券報告書の虚偽記載などの事案が生じた企業については義務付ける必要があるのではないかとの指摘
            • 経済界からは、開示書類を作成する立場としては、法定の書類でなくとも、きっちりしたものを出しているという指摘
      • これらを踏まえると、今春時点においては、以下のような方針とすることとしてはどうか。
        • 上場企業について、法令上の四半期開示義務(第1・第3四半期)を廃止し、取引所の規則に基づく四半期決算短信に「一本化」
        • 任意化を含め四半期開示(「一本化」する四半期決算短信)の位置づけについては、四半期以外の適時開示のあり方と併せて、さらに幅広く企業・投資家などの市場関係者の声や海外動向(欧州等)を踏まえて検討すること
      • その上で、今夏以降も、本WGにおいて、「一本化」する四半期決算短信に係る諸論点の議論を深めることが考えられるが、具体的にどのような点を整理すべきと考えるか(例:四半期開示の内容、虚偽記載に対するエンフォースメント、監査法人によるレビューの有無)。
      • 投資家の投資判断上、よりタイムリーに企業の状況変化に関する情報が企業から開示されることが重要と考えられる。四半期以外の適時開示の充実を図るためにどのようなことが考えられるか。
      • なお、適時開示と四半期開示との関係については、仮に四半期開示義務が廃止されても、大半の企業で任意で四半期開示を継続したり、四半期以外の適時開示において投資家への充実した情報提供が行われていたりするのであれば、四半期開示は任意でもよいとの考え方もある(注2)。この点について、日本の上場企業は「間違いのない開示」を行おうとする傾向が強いと指摘される一方で、投資家側はリスク情報等について前広な開示を求める傾向にあり、情報の作成者と利用者との間に「期待ギャップ」が生じがちであるとの指摘がある。
        • (注2)四半期開示の任意化については、虚偽記載などの問題が生じた企業については、しっかりとした規律付けが行われることが重要との指摘もある。
    2. 英文開示
      • 東京証券取引所の調査によると、全市場時価総額ベースでは約9割が決算短信、株主総会招集通知の英文開示を実施又は実施予定となっている。一方で、他の開示書類と比較すると、有価証券報告書の英文開示は進んでいない状態である。海外も含めた投資家に有用な情報を提供する観点から、有価証券報告書の英文開示について、どのように考えるか。また、以下の点について、どのように考えるか。
        • 有価証券報告書の英文開示のタイミング(例:日本語の開示書類と同時公表)
        • 有価証券報告書の中で、特に英文開示が求められる開示項目
      • 海外投資家へのアンケート結果によると、開示書類が日本語版しかない場合は、翻訳ツールを利用する投資家もいるが、有価証券報告書については、情報量の多さや表示方法により、機械翻訳が難しいとの意見もある。こうしたことを踏まえ、短期的には、外部の翻訳ツールを利用しやすいようにEDINETの表示方法を改修する予定であるが、中長期的には、法定開示書類の英訳に適した翻訳機能の精度向上に取り組むことについて、どのように考えるか。
    3. 有価証券報告書とコーポレート・ガバナンス報告書の記載内容の関係
      • 上場企業は、取引所規則により、企業のガバナンス関連情報を記載したコーポレート・ガバナンス報告書の提出が求められている。第4回会合では、コーポレート・ガバナンス報告書において開示推奨項目となっている取締役会、指名委員会・報酬委員会等の活動状況を有価証券報告書でも記載すべきという意見が多かったが、そうした見直しとともに、有価証券報告書とコーポレート・ガバナンス報告書の記載を整理することも考えられる。企業の負担や投資家の一覧性を確保する観点から、記載事項を整理することについて、どのように考えるか。また、具体的にどのような項目を整理することが望ましいと考えるか。

金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼主要行等
  • ウクライナ情勢に係る対応について
    • 現下のウクライナ情勢を踏まえ、ロシア・ベラルーシの一部銀行のSWIFTからの排除を含め、国際的に様々な制裁措置が実施されており、我が国においても、2月下旬から3月にかけて、当該銀行を含む団体・関係者の資産凍結、輸出管理措置等の制裁措置が順次実施されている。
    • このように刻々と状況が変化していくなかで、引き続き、現下の情勢や制裁措置の動向を注視し、確実に実施していただくとともに、取引の適切なモニタリングなどに取り組んでいただきたい。また、顧客への丁寧な説明や、適時・適切な情報提供に努めるなど、引き続き、顧客対応に万全を期していただきたい。
    • なお、顧客からのロシア・ベラルーシ向け送金等について照会があり、判断に迷うような場合は、早めに相談いただきたい。当局でしっかりサポートさせていただく。
    • また、現下の情勢や制裁措置は、ロシア以外の国の経済状況、金融市場や商品市場にも大きな影響を与えており、これらが与信先や金融機関の有価証券運用等に与える影響について注視し、適切なリスク管理を実施していただきたい。
    • あわせて、顧客資産への影響については、例えばロシアの国債や株式等を組み入れている公募投資信託の中には、投資家からの買付や売却の受付を停止している商品もあると承知。顧客保護の観点から、商品を組成する資産運用会社等と連携を図りながら、顧客への丁寧な説明や、適時・適切な情報提供に努めるなど、引き続き、顧客対応に万全を期していただきたい。
  • 事業者等に対する金融の円滑化について
    • 3月7日に「中小企業等の金融の円滑化に関する意見交換会」を開催し、金融担当大臣より、官民の金融関係団体等に対し、年度末の資金繰りについて、万全の対応に努めていただくようお願いするとともに、8日、事業者等に対する金融の円滑化について要請を行った。
    • オミクロン株による感染拡大に加え、ウクライナ情勢、原油価格の上昇等の影響を踏まえ、返済期間・据置期間の長期の延長等を積極的に提案するなど、事業者のニーズに応じたきめ細かな支援を徹底いただくよう改めてお願いしたい。
    • また、2022年度は、増大する債務に苦しむ事業者の再生支援等も、一層重要な課題となることから、全国銀行協会が中心になってとりまとめた「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」や経営者の個人破産回避に向けた関係者の対応等を明確化した「廃業時における『経営者保証に関するガイドライン』の基本的考え方」を積極的に活用しながら、事業者の再生支援等に取り組んでいただきたい。
    • 加えて、3月4日、財務省・経済産業省とともに、「中小企業活性化パッケージ」を発表した。6月末まで期限が延長された実質無利子・無担保融資など、パッケージに掲げられた政府の支援メニューも有効に活用いただいた上で、厳しい経営環境にある事業者支援にしっかりと取り組んでいただきたい。
  • 還付金詐欺の被害増加に係る要請について
    • 還付金詐欺の被害については、2021年に入ってから大きく増加。
    • これを受け、1月25日付で警察庁生活安全局長と金融庁監督局長の連名で「還付金詐欺の被害防止対策の推進について」を、3月7日付で警察庁刑事局長と金融庁監督局長の連名で「還付金詐欺捜査に係る都道府県警察との協力体制の構築について」を全国銀行協会宛に発出した。
    • 各都道府県警察から協力体制の構築について、申出があった場合には積極的に協力いただくとともに、引き続き、還付金詐欺を始めとする特殊詐欺被害の防止に向けた取組みを強化していただきたい。
  • 「銀行の引当開示の充実に向けて」の公表について
    • 2019年12月に「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方」を公表して以降、各金融機関において引当方法の多様化が進んでいる。
    • アナリストなどからは、より丁寧な開示が求められる一方、金融機関からは、具体的にどこまで開示の充実を図るべきか、開示の望ましい水準について議論を求める声が聞かれた。
    • また、引当方法を見直そうとする金融機関からは、先行事例を自らの検討に活かす観点から、引当開示の充実を求める声が聞かれた。
    • そこで、金融庁では、アナリスト、日本公認会計士協会、全国銀行協会を招いて、「銀行の引当開示の充実に向けた勉強会」を2月21日に開催し、勉強会で出された意見や実例等を取りまとめ、3月1日に「銀行の引当開示の充実に向けて」として公表。
    • 本資料も参考に、それぞれの実態に即して引当方法の開示の充実を図られることを期待している。
  • 金融分野におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組みについて
    • ≪金融分野におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組方針の公表について≫
      • 「金融分野におけるサイバーセキュリティ強化に向けた取組方針(3.0)」を、2月18日に公表。
      • 本方針においては、
        1. 高度化するサイバー攻撃に対し、金融機関のサイバーセキュリティを確保するため、モニタリングや演習の高度化を図るとともに、
        2. 新たなリスクへの備えとして、
          • 利用が拡大しているキャッシュレス決済における安全性の確保・セキュリティバイデザインの実践
          • 利用が拡大するクラウドサービスの特性・仕様を踏まえたセキュリティの確保、適切なインシデント対応の確保
          • 委託先・サプライチェーンの複雑化を踏まえたサイバーハイジーンの徹底や、サイバーレジリエンスの強化に加え、
        3. サイバー攻撃の脅威動向の把握強化や、金融犯罪への対応を後押しするため、NISCや捜査当局等との連携強化を行うこと
          など、金融庁として、金融分野におけるサイバーセキュリティを強化するため、特に力を入れる分野を掲げている。
      • サイバーセキュリティの強化が一層重要な課題となっている中、経営層の積極的なリーダーシップの下、組織全体でサイバーセキュリティの向上に取り組んでいただきたい。
    • ≪金融機関におけるサイバーセキュリティ対策の強化について≫
      • 昨今の情勢を踏まえサイバー攻撃のリスクが高まっていることから、サイバーセキュリティ対策の強化に関する注意喚起(2月23日、3月1日)を行った。
      • 取引先などのサプライチェーンや、海外拠点も含めて、適切なセキュリティ対策を実施するとともに、仮に、サイバー攻撃を受けた場合は、事案の詳細が判明していない段階においても、速やかに金融庁・財務局の担当部署まで報告をお願いしたい。
      • マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策について
    • ≪継続的な顧客管理に係るFAQ改訂について≫
      • マネロン等対策については、リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD; Simplified Due Diligence)に係る「マネロンガイドラインに関するよくある質問(FAQ)」の改訂案について、業界団体を通じて、2月末を期限として意見照会を行った。
      • 業界からの意見等はすべて確認の上、回答を作成しており、追って協会を通じて回答する。その上で、3月中にFAQの改訂を公表する予定。
    • ≪マネロン広報について≫
      • 金融庁では、各業界団体と連携して、マネロン等対策に係る確認手続きについて国民の周知に一層努めている。
      • 3月からは、マネロン等対策の継続的顧客管理について、ラジオCM等の政府広報を実施。
      • 引き続き、マネロン等対策に係る周知・広報策について、積極的に検討してまいりたい。
  • バーゼルⅢの国内実施について
    • バーゼルⅢの国内実施時期については、以下の方針とする。
      • 国際統一基準金融機関及び内部モデルを採用する国内基準金融機関については、実施時期を国際合意から1年延期し、2024年3月末からとする。
      • 内部モデルを採用しない国内基準金融機関については、引き続き、2025年3月末からとする。
      • 早期の実施を希望する金融機関については、金融庁への届出をもって、これを可能とする。

金融庁 「気候変動関連リスクに係るシナリオ分析に関する調査」報告書の公表について
▼気候変動関連リスクに係るシナリオ分析に関する調査
  • 気候変動を金融機関の健全性や金融システムの安定性に影響するリスクとして捉え、金融機関におけるリスク管理や、金融監督に取り入れる動きが、国際的に進展しています。気候関連リスクは、従来の金融リスクに比べて、リスクの発現期間が長く、不確実性が高いことが指摘されており、従来の金融機関のリスク管理のスコープを超えるため、現在は、将来的な気候シナリオを想定し、そのシナリオに基づいて金融リスクを測定するシナリオ分析が、主要なリスク測定手法となりつつあります。
  • 金融機関には、適切なガバナンス態勢のもと、気候関連リスクを計測及び管理することが期待されます。このためには、リスク管理部署などの担当部署だけでなく、金融機関の経営陣をはじめとする組織全体が、気候関連リスクの管理の重要性を認識し、同リスクを測定するための有力な手法であるシナリオ分析への理解を深めることが重要です。しかし、シナリオ分析に関する公表物は技術的な記述も多く、日本語で紹介する資料も未だ十分とは言えません。
  • そこで、今般、金融庁では、NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)が公表した共通シナリオ等、国際的に広く用いられているシナリオ及びデータに関する基礎資料を作成することにより、我が国金融機関におけるシナリオ分析への理解の早期向上を図り、我が国におけるシナリオ等の有用性を高めるとともに、今後予定されているシナリオの改定やデータ整備に関する国際的な議論に貢献していくことを目的として、一般財団法人電力中央研究所に調査を委託しました。
  • 気候関連の金融リスク分析とNGFSシナリオの貢献
    • NGFSシナリオが整備された背景には、信頼性・比較可能性が高い共通シナリオを提供することにより、各国の中央銀行・金融監督当局及び市中金融機関による気候関連リスク分析を支援することがある(NGFS,2021b)。
    • 本報告書では、NGFSシナリオ(第2版)の主要な変数に着目し、シナリオ・IAMの特徴を世界全体(4.1節)・日本(4.2節)・世界の主要地域(4.3節)ごとに詳細に分析した。その結果、NGFSシナリオ(第2版)では、排出削減政策の野心度や将来の技術導入の想定が異なる6本のシナリオを設定した上で、それぞれについて将来のCO2排出量、エネルギー供給や部門ごとのエネルギー需要、排出削減技術の導入量の変化等が定量的に示されていることが明らかになった。また、本報告書では分析対象としなかったが、NGFSシナリオ(第2版)では、移行リスクに関連する変数を定量化するIAMの出力が、気候モデル・気候影響モデル、さらにマクロ経済モデルに多段階的に接続されることで、これらのモデルの出力が同一のシナリオ内で整合している。
    • また、7.2節で述べる点を除けば、NGFSシナリオ(第2版)のIAMが出力する主要変数の多くは、現時点の気候科学の成果を元に作成された既存のシナリオとも整合的であることが確認された(4.4節)。
    • NGFSシナリオ(第2版)では、同一のシナリオのナラティブを3種類のIAMによってそれぞれ定量化することで、シナリオに幅を持たせ、将来の不確実性に照らして計算結果が妥当な範囲に含まれていることを担保している。また、既存の気候関連のシナリオが整合していることは、将来予測の正確さを保証するわけではない点に留意する必要はあるが、NGFSシナリオ(第2版)による定量結果には、一定の妥当性を与えるものであると言える。
    • これらから、NGFSシナリオ(第2版)が整備・公表されたことにより、世界の主要地域における移行リスク・物理的リスクの双方が金融機関や金融システムの健全性に与える影響を、同一の前提条件の元で計測することが可能となったと言える。従来、気候科学のリスク分析においては、同程度の排出削減政策の野心度を想定する場合であっても、分析の対象や地域によって異なるシナリオを組み合わせて使用することが一般的であった(TCFD,2020)。NGFSによって共通シナリオが整備されることにより、気候関連のリスク分析の比較可能性が向上し、中央銀行・金融監督当局による金融リスク分析の質が向上することが期待できる。
    • また、中央銀行・金融監督当局によるNGFSシナリオの利用例を整理・分析した結果、分析に用いるシナリオの種類や変数には、一定の共通性があることが明らかになった(第5章)。気候関連の金融リスク分析はまだ新しい分野であり、現時点において確立した分析の手法は存在しない。そのため、NGFSは各国の中央銀行・金融監督当局による事例共有を促進しつつ(NGFS,020;NGFS,2021c)、様々な分析アプローチを想定したシナリオを公表している。今後、中央銀行・金融監督当局による分析のアプローチがどの程度まで収斂するかは分からないが、各国で得られた知見の共有を促進するための土台としてNGFSシナリオが重要な役割を果たしてきたと言える。
  • 我が国における気候関連の金融リスク分析を想定した留意点と提案
    • 第4章では、NGFSシナリオ(第2版)の主な変数について、各シナリオ・IAMの特徴を整理した上で、分析において留意すべき点をいくつか取り上げた。第5章では、中央銀行・金融監督当局による気候関連のストレステストの事例に着目し、金融リスク分析におけるNGFSシナリオの使い方を整理した。さらに第6章では、我が国のエネルギー基本計画との比較を行い、NGFSシナリオ(第2版)の十分性や有用性を検討した。本節では、これらの結果にもとづいて、我が国における気候関連リスク分析を想定した場合に考えられる留意点や、NGFSに対する改善・修正の提案を行う。
  • 炭素価格
    • NGFSシナリオ(第2版)では、IAMによって計算された炭素価格を用いて、マクロ経済変数への影響が計算される。また、海外の中銀・金融監督当局によるNGFSシナリオの利用例を参照しても、すべての事例でNGFSシナリオのIAMが計算した炭素価格を用いて、移行リスクの計測が行われている。このことから、IAMによって計算される炭素価格は、NGFSシナリオによる移行リスク分析においてもっとも重要な変数であると言える。
    • NGFSシナリオ(第2版)の野心的な排出削減政策が導入されるシナリオでは、炭素価格は2030年時点で$96.8/t-CO2~$197.7/t-CO2、2050年には$486.2/t-CO2~$672.7/t-CO2(いずれもNetZero2050の世界平均、US$2010年換算)まで上昇し、先進国では世界平均よりも上昇幅が大きかった。一方、同一のシナリオであってもIAMによって炭素価格の値には幅があることも明らかになった。これらの炭素価格は、IAM内部で「シャドウプライス」として定義され、基本的に排出削減と炭素価格の時間変化が1対1で対応していると考えられる。
    • 一方、WEO-2021では、カーボンプライシングに関する各国の政策導入・宣言や各シナリオの排出削減の度合いに応じて、外生的に炭素価格が設定されている。NetZero2050に相当するシナリオの2050年時点の炭素価格は、地域によって$160/t-CO2~$200/t-CO2(APS)、$55/t-CO2~$250/t-CO2(NZE)(いずれもUS$2020換算38)であり、NGFSシナリオ(第2版)の水準よりはかなり低くなっている。この違いは、両者の間の炭素価格決定の考え方や関連する化石燃料価格や技術コストの違いに起因する。NGFSシナリオ(第2版)のIAMが算出する炭素価格は、理想化(簡略化)されたエネルギー・経済の前提で、所定の排出削減を各IAMで定められた価値評価(最適化、Box1参照)の下で達成する過程で決まる。一方、WEO2021のシナリオでは、炭素価格に加えて、排出削減に寄与する炭素価格以外の施策も幅広く考慮されており、炭素価格は最適化計算で導かれる限界削減費用にはなっていない。このように、IAMの定式化の中で排出削減と対応づけられた炭素価格と、炭素価格以外の政策手段も存在する中で設定される炭素価格は異なる性質のものとなり、一般に前者の方が高く、IAMの定式化にも強く依存すると理解される。
    • 移行リスク分析において、IAMの炭素価格を用いる際には、炭素価格以外の施策も排出削減に寄与する現実世界における炭素価格とは性質が異なることに留意する必要がある。
  • 化石燃料(一次エネルギー)
    • 化石燃料(一次エネルギー)については、IAM間での傾向が異なり、一部で極端な価格の変動が認められた。IAM(NGFSシナリオ(第2版)では、REMIND-MAgPIE2.1-4.2とMESSAGEix-GLOBIOM1.1が該当する)によって計算される化石燃料の価格は、長期的な均衡における石油・ガス市場の動学を反映したもので、現実とは異なる仕組みで算出される。この価格算出では、資源供給コスト、燃料需要、気候政策といった要因が、IAMにおける最適化対象の目的関数を通じて影響する。化石燃料の価格変動の幅が大きいことは、将来の不確実性が大きいことを示しているとも言える。その一方で、化石燃料価格はインフレ率のような重要なマクロ経済変数に影響を与えるため、採掘コストや可採埋蔵量等の前提条件の透明性を高めたうえで、変動の要因を検証できるようにすることが有用である。
    • また、将来のパスの推計に用いるためにモデルに取り込まれている実績データの期間がIAMによって異なるため、直近時点(2020年)の化石燃料価格(特にガス、石油)がIAM間で大きく異なっており、他の変数の2020年値と比べても、エネルギー価格はIAM間のばらつきが大きい。そのため、価格の絶対値をモデル間で比較することが難しくなっており(4.1.9節及び4.2.9節を参照)、本報告書では、2020年の値に対する増減率でモデル間比較を行った。金融リスク分析でNGFSのデータを用いる際にも、価格の絶対値ではなく、2020年比の増減率を用いる等の工夫が必要となるかもしれない。また、本来的には、実績データの取り込み期間をそろえ、IAMの基準年(Box2、表2.1を参照)を直近の年に設定した上で、その時点の現実の価格との整合性がある程度担保されることが望ましい。
    • MESSAGEix-GLOBIOM1.1は日本についてはダウンスケーリングの値が報告されているが、エネルギー価格は地域内で同じ値となっている。日本に対するリスク分析を行う際には、MESSAGEix-GLOBIOM1.1の値が日本向けの調整がなされていないことに注意する必要がある。
    • なお、中央銀行・金融監督当局による気候変動ストレステストで採用されている化石燃料の価格は、NGFSシナリオだけでなく、外部データや独自の計算によって決定されていることが伺えた。外部データや独自の計算が別途用いられている原因を踏まえ、IAM側でその原因に対応できるような改良が行われることが望ましい。
  • 電力価格(二次エネルギー)
    • 電力価格(二次エネルギー)についても、REMIND-MAgPIE2.1-4.2では野心的な排出削減政策が導入されるシナリオの一部で、極端な価格上昇とその後の急下降がみられた(4.1.9節及び4.2.9節を参照)。これは、世界全体よりも日本で特に顕著であった。一次エネルギーと同様に、IAMにおける二次エネルギーの価格も現実とは異なる仕組みで算出されている。REMIND-MAgPIE2.1-4.2の場合、電力の価格は、電力バランスと所得恒等式の変化の関係式を用いて定義されている。所得恒等式には、電源や送配電への投資額や化石燃料の費用等が含まれているが、低炭素電源への投資拡大と価格上昇の時期が一致していることから、関連する設備投資の一時的な増加が影響している可能性がある。他方、MESSAGEix-GLOBIOM1.1も野心的な排出削減政策が導入されるシナリオで、日本について電力価格の大幅な上昇が報告されているが(※世界全体の値は報告されていない)、REMIND-MAgPIE2.1-4.2のような鋭いピークはなく、シナリオ間での相違はあるものの、2030年から2050年にかけて高止まりしていた。これは価格決定に対する設備投資の影響が、REMIND-MAgPIE2.1-4.2ほどには直接的ではないためと考えられるが、MESSAGEix-GLOBIOM1.1は、エネルギー価格が日本向けにダウンスケーリングされていない点にも注意が必要である。GCAM5.3は、将来の予見性なしに地域・部門別の市場で供給と需要が均衡するように価格を算出する方式を採っており(Box1)、大きな価格変動は起きにくくなっている。
    • このように、IAM間で価格決定のメカニズムが異なっており、分析者はIAMが出力する電力価格を使用する際に、このメカニズムの違いに留意する必要がある。
    • また、化石燃料価格と同様に、2020年という過去時点の価格がIAM間で大きく異なっており、金融リスク分析でNGFSのデータを用いる際にも、価格の絶対値ではなく、2020年比の増減率を用いる等の工夫が必要となるかもしれない。
    • なお、中央銀行・金融監督当局による事例を参照すると、ECBのSSMStressTest2022では、NGFSシナリオ(第2版)を参照し、REMIND-MAgPIE2.1-4.2が出力する電力価格がそのまま採用されていた(ECB,2021)。
  • エネルギー需要部門
    • NGFSシナリオ(第 2版)では、産業部門・民生部門・運輸部門のそれぞれについて、主要なセクターの排出量や生産量等が計算されている。これらの情報は、セクター単位の分析において現状の移行経路とシナリオの整合性を検証する上で、必要となる情報である。ところが、化石燃料の需要やエネルギー供給と比較するとエネルギー需要部門については変数の種類が少なく、個別技術の分解能も低い。
  • 産業部門
    • NGFSシナリオ(第2版)には、CO2の主要な排出源である「鉄鋼」「セメント」「化学」といった多排出セクターの情報が存在するが、製品の炭素強度や生産量等、利用できるのはごく一部の変数のみである。
    • 「鉄鋼」を例にすれば、「高炉」「電炉」の内訳や、高炉へのCCS導入量、低排出技術への投資額、輸出入量といった情報は存在しない。産業部門の主要なセクターについては、技術や変数の分解能を向上することにより、分析者がシナリオを元に、移行経路を詳細に検証できるようにできることが望ましい。
    • また、NGFSシナリオ(第2版)と我が国の政策との比較では、Net Zero 2050 では、IAMによる計算結果と第6次エネルギー基本計画の想定の間で、粗鋼生産量やセメント生産量に大きな開きがあった。要因の1つとして、NGFSシナリオにおける炭素価格の影響が考えられるが、NGFSに報告されている数字だけでは検証が困難である。産業部門の主要なセクターについては、生産量(活動量)の算出根拠や妥当性についても、輸出入量も踏まえた検証が必要である。
    • 生産量は、炭素価格と併用されうる国境炭素調整(border carbon adjustment)次第で大きく変動する。現在、EUは域内排出量取引制度(EUETS)と連動する国境炭素調整の導入を検討しており、今後、IAMの分析においても、現実の動きを踏まえ、国境炭素調整をモデル化することが望ましい。
  • 産業以外の部門
    • NGFSシナリオ(第2版)では、民生部門・運輸部門でもCO2排出量やエネルギー需要といった変数が報告されているが、産業部門と同じく、変数の種類は限られ、個別技術の分解能も低い。これらの変数については、IAMで分解能を向上させることも考えられるが、一方で、分析者が外部のデータやモデルを用いて、必要な情報を補足することも検討すべきである。中央銀行・金融監督当局の利用例では、英BoE(2021)が新車販売に占める自動車の車種別の割合を補足していた(BoE,2021)。
    • IAMは温室効果ガスの排出制約のもとで、経済・社会・技術の変化を整合的に記述するものであるが、モデルの複雑性が増加するほど、計算は困難になる。NGFSは、IAMの改良だけでなく、IAMを補足するアプローチについても指針や事例を示すことが期待される。
  • 新技術や新たな科学的知見の統合
    • NGFSは定期的にシナリオを更新する予定であり、技術進歩や気候科学の最新の知見が反映させることが期待される。
    • 気候変動の緩和における重要な技術の1つであるが、NGFSシナリオ(第2版)に反映されていないものの1つが、大気中直接CO2回収・貯留技術(DACCS)である。NGFSシナリオ(第2版)では、CO2除去技術としてバイオマスを用いるBECCSと植林が含まれているが、これらはいずれも土地利用の制約を受けるため、導入量に限界がある。DACCSは、コストやエネルギー需要の制約があるものの、CO2排出削減とCO2除去のバランスを変化させる可能性がある。
    • また、2021年から2022年にかけて、IPCC第6評価報告書(IPCCAR6)が公表されている。ここでは、最新の気候科学の知見に基づいて、CO2排出量と温度上昇の関係が更新されている。NGFSシナリオは、可能な限り、これらの最新の科学的知見を統合することが望ましい。

金融庁 マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題(2022年3月)
▼ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドラインVer.3.0(概要)
  • テロ資金供与については、FATF勧告8「非営利団体(NPO)」において、管理態勢の脆弱な非営利団体が、合法的な団体を装う形態、合法的な団体をテロ資金供与のパイプとして利用する形態、合法目的の資金をテロ組織に横流しするために利用する形態によりテロリスト等に悪用されないよう、各国は、法令等が十分か見直すべきであるとしている。また、拡散金融についても、FATF勧告7「大量破壊兵器の拡散金融」において、各国は、大量破壊兵器の拡散及びこれに対する資金供与の防止・抑止・撲滅に関する国連安保理決議を遵守するため、対象を特定した金融制裁措置を実施しなければならないとしており、加盟国に対して、国際連合憲章第7章に基づく国連安保理により指定されたあらゆる個人又は団体が保有する資金その他資産を遅滞なく凍結するとともに、いかなる資金その他資産も、直接又は間接に、これらの指定された個人又は団体によって、若しくはこれらの個人又は団体の利益のために利用されることのないよう求めている。
  • 2021年4月時点で、暗号資産について法規制を導入(あるいは法規制で禁止と明示)しているのは58の国・地域に留まるとされている。海外の事業者の中には、日本の居住者に対して、無登録で暗号資産の販売等のビジネスを行う者も見受けられ、当庁として警告書を発出してきている。
  • このほか、暗号資産については、実際には、特に高額の暗号資産の現金化に際しては金融機関の関与が欠かせない実態はあるものの、一般的には既存の法定通貨による取引のように金融機関による仲介や規制なしに取引が完了し得ることから、テロリストやテロ支援者等が、暗号資産を経済制裁の回避手段として悪用している可能性がある。また、これについては、その実態規模の把握が困難であるとされている。この点、海外では、ツイッターで暗号資産ウォレットアドレスを周知することで、氏名を特定しないままISIL(Islamic State of Iraq and the Levant)への暗号資産による資金提供を求める方法や、シリアへの渡航を企図するISIL支持者へ渡航資金を援助する方法を提供した事例も確認されている。
  • また、国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネルの報告書では、北朝鮮による暗号資産交換所への攻撃が継続していると指摘されている。また、2020年4月の米国連邦政府関係省庁合同の北朝鮮によるサイバー攻撃に関する報告書においても、北朝鮮が、企業・金融機関・中央銀行・暗号資産交換所へのサイバー攻撃により不法にドル資産等を取得していることを注意喚起している。
  • 2020年10月のG7財務大臣・中央銀行総裁会議総裁の声明、2021年5月のG7コーンウォールサミット首脳声明でも、データ復旧等に身代金を要求するランサムウェアの感染被害や、その脅威が増していることが指摘されている。国内外において、大きな感染被害が相次いで報告されるなか、この支払を暗号資産で求める事例も発生している。なお国外の事例では、大規模な組織犯罪の活動資金としてランサム攻撃を行ったとみられる事案が確認されている。
  • このような、ランサムウェア、詐欺、恐喝により被害者から暗号資産を入手しようとする行為は、FATFによる調査17で新たな犯罪類型として指摘されている。その他の犯罪者の暗号資産の利用事例としては、規制の課された品目(銃器・児童搾取・人身売買を含む)の違法取引や、脱税、経済制裁回避のために、暗号資産を支払手段として直接利用することや、暗号資産を犯罪収益の送金・回収・レイヤリングといったマネロンの手段の一つとして利用することが指摘されている。
  • 暗号資産に係るマネロン等リスクの傾向
    • 2021年7月にFATFが公表した「暗号資産・暗号資産交換業者に関するFATF基準についての2回目の12ヵ月レビュー報告書」(原題:「SECOND 12-MONTH REVIEW OF THE REVISED FATF STANDARDS ON VIRTUAL ASSETS AND VIRTUAL ASSET SERVICE PROVIDERS」)において、暗号資産に関するマネロン等リスクの継続的な傾向として「FATF基準不遵守又は不十分な法域が数多く存在することによる、これら法域への逃避(Regulatory Arbitrage:規制裁定)」、「規制を遵守しない又は遵守が脆弱な暗号資産交換業者の悪用」及び「匿名性を高めるツールや手法の悪用」を挙げている。
    • 各国でのFATF基準実施状況として、サーベイ(2021年4月時点)に回答した128法域のうち、58法域が何らかの必要な立法措置を講じたと報告(うち、6法域は暗号資産交換業者の業務を禁止)したものの、検査・監督や行政処分まで実施している法域は、それぞれ29法域、18法域にとどまり、一部の暗号資産交換業者が、こうした規制・監督体制が脆弱な法域に進出し、更には、不正行為者が、これらの暗号資産交換業者の脆弱なマネロン等対策の態勢を悪用していると指摘している。
    • また、匿名性を高めるツール及び悪用手法として、
      • タンブラー・ミキサー(取引を、複数の他者による取引と混合し一つに集約した後、各々の移転先に再分配することにより、移転元とのつながりを不明瞭にする技術)の利用
      • AECs(Anonymity Enhanced Coins)やプライバシーコイン(匿名技術をブロックチェーン基盤に組み込んだ暗号資産)の使用
      • プライバシーウォレット(暗号資産交換業者のような仲介者を持たず、個人が秘密鍵の管理も行い、個人のみで取引が完了できるウォレット)の使用
      • チェーンホッピング(暗号資産を別の暗号資産に換えること。ブロックチェーンはその種別ごとに異なるため、一暗号資産の取引として履歴を追えなくなる)
      • ダスティング(匿名化を意図し、少量の暗号資産をランダムにウォレットへ移転させ、暗号資産の所有者を隠そうとする行為。これを攻撃や、こうした分散の特定に用いようとする「ダスティング攻撃」もある)
      • 分散型アプリケーションや分散型取引所の利用
    • などを挙げ、2020年頃からは、複数の取引を1つにまとめて匿名性を高めるCoinJoinと呼ばれる手法(コインをプーリングすることで、送金元アドレスと送金先アドレスの関係を第三者から隠蔽する手法)が大幅に増加したと指摘している。
    • なお、暗号資産取引が、規制回避目的で、仲介業者を利用せず、個人間で行われる取引(P2P取引)にどの程度の規模で移行していくかは留意する必要がある。本FATFの報告書では、ブロックチェーン分析会社7社からのデータを利用して、P2P取引に関する初の定量的な市場データを示したものの、調査を実施したブロックチェーン分析会社7社の結果にバラツキがあるなど、技術的制約も含めてP2P取引の実態把握には課題が残るが、(1)2P取引は相応の規模(ビットコインでは、調査を行った7社のうち5社が、取引額の約50%又はそれ以上がP2P取引と報告)、(2)不正な取引の割合は、暗号資産交換業者経由の取引よりもP2P取引の方が高い、といった傾向が見られるものの、FATF基準最終化(2019年)以降、P2P取引のシェアに顕著な増加は見られず、現時点で、業者規制を通じたアプローチの変更は必要ないと結論付けている。また、暗号資産については、現時点では、商品・サービスへの支払手段として普及が限定されており、暗号資産での支払い等には暗号資産交換業者を経由して法定通貨に換金される必要があるため、まずは、各法域において、暗号資産交換業者へのFATF基準規制の早期実施が、P2Pリスクへの対応においても最も効果的な対応であるとしている。
    • もっとも、グローバル・ステーブルコインやその他の暗号資産が、今後、広範に普及した場合には、暗号資産と法定通貨との換金ポイントでリスクを低減するという現行アプローチが十分に機能しなくなることから、今後も、注意深くモニタリングする必要があるとしている。
    • 金融庁においては、従来から上記のような事案に係る疑わしい取引の参考事例を示し、暗号資産交換業者において把握した件数の報告も受けてきているところ。暗号資産交換業者等においては、引き続きこうした事案の検知を確保するためのモニタリング等の措置を講じることが重要である。
  • 資金移動業者のビジネスモデルは様々であり、例えば、個人や中小・個人事業主のインターネットを使った商品・サービス取引用のモバイル送金・決済サービスを提供する事業者、来日外国人の母国向け海外送金サービスを提供する事業者、海外留学・出張等の際に加盟店でのショッピングやATMからの現地通貨の引き出しができるカードを発行する事業者、事業者からの委託を受けて商品返品やイベント等の中止等に伴い、多数の利用者に対し返金・払戻しを担当する事業者等が存在している。
  • また、事業者の規模や取引形態も様々であり、直面するリスクも異なっている。資金移動業者も預金取扱金融機関と同様に、内外の為替取引に係るマネロン等リスクに対応する必要がある。すなわち、国内の資金移動に加え、法制度や取引システムの異なる外国へ犯罪収益が移転され、その追跡を困難にさせるといった為替取引に共通するリスクに直面している。資金移動業者によっては、代理店における不適切な本人確認により、マネロン等リスクが生じうる可能性もある。
  • また、海外送金サービスを提供する事業者が、国内拠点と海外拠点との間で複数の小口送金取引を取りまとめて決済を行う場合(いわゆる、バルク送金取引)、資金移動業者に口座を提供している銀行から見れば、小口送金の実態は国境を跨ぐ資金決済でありながら、バルク送金の中に含まれる個々の送金人や受取人に関する情報が不透明となるリスクがある。資金移動業者と口座を提供する銀行との間で、お互いのマネロン等対策の実施状況を確認し合う等、マネロンに利用されたり、制裁対象者等が含まれたりすることのないよう、リスクに応じた対応を講じることが重要となる。
  • さらに、収納代行業者の中には、マネロン等リスクの高い、国境を跨ぐ資金決済を行う場合がある。例えば国外取引の資金決済を海外の収納代行業者等と連携して、国際的な資金決済ネットワークであるSWIFTを利用して資金決済を行っている内外の銀行に口座を開設し、国内為替との組み合わせで、経済効果としては外為送金と同様の機能を国内顧客に提供している事業者もある。そのような事業者に口座を提供している銀行は、リスクに応じた対応として、自らの顧客である収納代行業者の取り扱う資金の流れについてリスクの特定・評価を行い、リスクに応じた、収納代行業者への顧客管理措置を通じて、海外送金に関するマネロン等のリスクの低減措置を講じることが重要である。
  • 非対面でモバイル送金・決済サービスを提供する事業者は、マネロン等を企図する者が、何らかの方法によって不正入手したID・パスワードを利用し、正規のアカウント所有者になりすまして資金の移転や引き出しを行うリスクに直面している。
  • 資金移動業者に認められている取引時確認の方法の一つとして銀行依拠による取引時確認がある。これは、一定の特定取引のうち、預貯金口座における口座振替の方法により決済されるものについて、当該口座を開設した事業者が預貯金契約の締結を行う際に、顧客等又は代表者等について取引時確認を行い、その記録を保存していることを資金移動業者が確認する方法20であり、資金移動業者において、顧客が保有する銀行の預貯金口座と当該資金移動業者における口座を連携するとともに、取引時確認を完了させる方法として用いられている。
  • こうした中、2020年、悪意のある第三者が、何らかの方法により不正に入手した預金者の口座情報等を基に、当該預金者の名義で資金移動業者のアカウントを開設し、銀行口座と連携した上で、銀行口座から資金移動業者のアカウントへ資金をチャージすることで不正な出金を行った事案が複数発生した。
  • 当事案は、資金移動業者において口座振替契約(チャージ契約)の締結に際して、銀行口座のキャッシュカードの暗証番号のみで取引時の確認及び認証を行っていた点に脆弱性があったものと認められる。
  • ガイドラインでは、資金移動業の利用者について、公的個人認証その他の方法により実効的な取引時確認を行い、本人確認書類等により確認した当該利用者の情報と連携先が保有する情報を照合することにより、当該利用者と預貯金者との同一性を確認するなど、適切かつ有効な不正防止策を講じること、また、連携先の銀行等において実効的な要素を組み合わせた多要素認証等の認証方式が導入されていることを確認していること等を求めている。
  • 金融機関等が、当該e-KYC業務の委託先に対して、適切な研修や指導を実施しなかった場合やe-KYCの本人確認手続の一部を受託した事業者が適切な確認作業を実施していない場合、委託先におけるe-KYC業務が適切に実施されず、適切な取引時確認がなされない可能性があることから、金融機関等は、委託先における確認手続が法令等に基づき適切に実施されることを確保するためのモニタリング等の措置を講じることが重要である。
  • 近年、我が国においては、特殊詐欺が多発している。特殊詐欺の犯行グループは、首謀者を中心に、だまし役・詐取金引出役・犯行ツール調達役等の役割を分担した上で、預貯金口座、携帯電話、電話転送サービス等の各種ツールを巧妙に悪用し、組織的に詐欺を敢行するとともに、詐取金の振込先として架空・他人名義の口座を利用するなどし、マネロンを敢行している。また、自己名義の口座や偽造した本人確認書類を悪用するなどして開設した架空・他人名義の口座を遊興費や生活費欲しさから安易に譲り渡す者等がおり、マネロンの敢行をより一層容易にしている。
  • また、特殊詐欺ではないものの、いわゆる副業ビジネスと呼ばれる事案も確認されている。例えば、インターネット上に副業のあっせんを行うホームページを開設し、当該副業のあっせんを申し込んできた者から、必要費用等の名目で金銭を支払わせる事例も見られる
  • 金融機関等においても、昨今の世界情勢やテロ資金供与の危険度が高い国・地域、取引等について、日ごろから情報蓄積及び分析を行うとともに、NPOが口座を開設している場合には、海外送金を行っているか、支援している地域や団体も踏まえ、リスクの特定・評価を行い、テロ資金供与リスクに対して、継続的かつ予防的なリスク対応を行うことが重要である。
  • なお、テロ資金供与に関連する我が国の措置として、公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律(以下、「テロ資金提供処罰法」という。)の施行に加え、タリバーン・ISIL及びアル・カーイダの関係者等に対して、国連安保理決議に基づき、資産凍結等の措置を実施しており、資産凍結措置は、外国為替及び外国貿易法(以下、「外為法」という。)、国際テロリスト財産凍結法30に基づき実施されている。
  • 野生動植物の違法取引に関連するマネー・ローンダリング
    • 昨今、環境に対する世界的な関心が高まっているところ、環境犯罪を助長する資金の流れや洗浄手法等に対する認識向上を目的として、2020年6月にFATFは「マネー・ローンダリングと違法野生生物取引」(原題「Money Laundering and the Illegal Wildlife Trade」)、2021年6月には「環境犯罪にかかるマネー・ローンダリング」(原題「Money Laundering from Environmental Crime」)を公表した。
    • 警察庁によれば、我が国では、野生動植物の違法取引に係るマネロンとして検挙された事例は認められていないが、実際に国内で、野生動植物密輸等に関連した摘発事例は発生している。
      • 必要な承認・許可を受けることなく、生きているコツメカワウソをボストンバッグに隠匿して、タイから輸入するなどした事例
      • 必要な許可を受けることなく、象牙等をスーツケース等に隠匿して、ラオスに輸出しようとした事例
      • 必要な登録を受けることなく、象牙の印材をインターネットオークションサイトで広告して、顧客に販売した事例
    • 我が国においても、FATFや国際的な議論を踏まえ、環境犯罪をリスクと認識して対応することが必要であり、国際的に希少な野生動植物やその製品の取引等を前提としている場合等には、マネロンのリスクを意識した対応を行うことが必要である。金融機関として気を付けるべきは、貿易決済に関する送金を取り扱う場合の注意事項と同様に、顧客の職業やビジネスの内容と送金の送付先、裏付けとなる商取引に不自然なものがないか、取引されているモノが野生動物や希少動物、もしくは象牙といったものでないかという確認するなどのリスクの特定・評価を行い、リスクに応じて、必要な場合には、更なる深掘り調査をするということがリスクベースの対応であると言える。
  • マネロン及びテロ資金供与のほかにも、拡散金融(核兵器をはじめとした大量破壊兵器等の製造・取得・輸送などに係る活動への資金提供)に係るリスクに対しても十分に対策をとることが必要である。拡散金融については、テロリストと同様に国連安保理決議等により指定される大量破壊兵器に関連する活動に関与する者に対する資産凍結等措置をはじめとする経済制裁措置を実施している。同措置遵守に関し、国連安保理決議により設立された制裁委員会に指定される経済制裁対象者に係る外務省告示等が発出された場合に、直ちに該当する当該経済制裁対象者との取引がないことを確認し、取引がある場合には資産凍結等の措置を講ずる必要がある。テロ資金供与対策と同様に、拡散金融に係る経済制裁対象者についても、金融機関等は、公表後遅滞なく自らの制裁リストを更新して、より厳格な顧客管理を行うなど、対応を確実に実施することが必要である。
  • ロシア軍のウクライナへの侵略に対する懸念はG7諸国等にとどまらず、2022年3月1日から4日に行われたFATF総会の最終日、「ウクライナ情勢に関するFATF声明(原題:FATF Public Statement on the Situation in Ukraine)」が採択・公表された。声明のポイントは、以下のとおりである。
    • FATFは、ロシアのウクライナ侵攻が、マネー・ローンダリング、テロ資金供与および拡散金融に関するリスク環境、金融システム、経済、および、安全保障に与える影響について、重大な懸念を表明。
    • FATFは、現在、FATFにおけるロシアの役割をレビューしており、必要な追加的措置についても検討することに言及。
    • 金融機関や金融システムを標的とした悪意のあるサイバー活動がマネロン等管理体制に与えるリスクに言及。人道支援の観点からNPO活動の重要性を強調。
    • 各国に対し、暗号資産を含め、新たに特定したマネー・ローンダリング、テロ資金供与および拡散金融に関するリスクの評価・軽減に関する民間セクターへの助言提供や民間セクターとの情報共有の促進等を要請。また、制裁回避から生じる新たなリスクの可能性に対して各国が警戒すべき旨、指摘。
  • 我が国では、資産凍結等の金融制裁は、外為法の支払規制や資本取引規制等により実施している。また、外為法では金融機関は顧客の海外送金等が当該規制に該当しないことを確認した後でなければ、当該海外送金等を行ってはならないこととなっている。今般の、ロシアによるウクライナ侵略をめぐる現下の国際情勢に鑑み、閣議了解33に基づき、外為法に基づく当該種々の経済制裁による諸般の義務の遵守を要請している。自ら又は他の金融機関等を通じて海外送金等を行う場合に、これら外為法をはじめとする海外送金等に係る国内外の法規制等に則り、関係国等の制裁リストとの照合等の必要な措置を講ずることは、もとより当然である。マネロン等対策と同様、金融機関は日ごろから制裁への対応を確実にして、制裁が発動された際には早急に必要な措置を取れるよう備えておく必要がある。
  • なお、外為法における支払規制では、暗号資産も含めたあらゆる制裁対象者への支払いが規制対象となっている。今般のウクライナをめぐる資金凍結等の制裁措置の実施に当たって、暗号資産交換業の適正かつ確実な遂行を確保する観点から、2022年3月14日、金融庁及び財務省は、暗号資産交換業者に対し、顧客が指定する受取人のアドレスが資産凍結等の措置の対象者のアドレスであると判断した場合には、顧客に外為法の支払許可義務が課されていることを踏まえ、暗号資産の移転を行わないことなどについて要請を行った。
  • リスクの特定・評価【取組に遅れが認められる事例】
    • 業界団体から提供を受けたリスク評価書のひな形に基づき、犯罪収益移転危険度調査書記載の事案を列挙するにとどまり、自らが提出した疑わしい取引の届出の傾向と分析、警察から凍結要請を受けた口座の分析、金融犯罪の被害状況等の自らの規模・特性を踏まえたリスクの特定には至っていない。
    • 犯罪収益移転危険度調査書の自らの金融機関に関する記載のみを参照し、顧客のリスクに関する記載を考慮していない。
    • 非対面取引形式による商品・サービスを提供しているにもかかわらず、これらの商品・サービスに対するリスクの特定・評価を行っておらず、全ての商品・サービス等のリスクを包括的に評価していない。
    • 自らが提供する一部の商品・サービスについて、リスクが存在することを認識しつつも、当該リスクが顕在化することはないと判断し、リスクの特定・評価、及び、リスクに応じた対応方針を検討していない。
    • 自らの顧客が対象となった金融犯罪の傾向、疑わしい取引の届出等の分析に基づく、自らの個別具体的な特性を考慮したリスク評価を実施していない。
    • 直接・間接の取引可能性のある「国・地域」を包括的に洗い出す、あるいは日本と国交のある国及び北朝鮮(196か国)を洗い出していない。
    • 従来からのリスク評価書を更新するにとどまり、誰が、どのようなデータ・資料を用いて、どのようにリスクの特定・評価を行うかなどの手順を文書化した規程を作成していない。
  • 継続的な顧客管理【取組に遅れが認められる事例】
    • 顧客のリスクに応じた調査頻度や具体的な調査方法等の継続的な顧客管理を実施するに当たって、計画を策定していない。
    • 継続的顧客管理の実施計画上、取組開始時期が後ろ倒しとなっており、2024年3月末までに完了する計画となっていない。
    • 疑わしい取引の届出を提出した先については、高リスク先として管理しているものの、その他の顧客については顧客ごとのリスク評価を実施しておらず、リスクに応じた管理を実行するに至っていない。
    • 既存先の情報更新に関して、アンケートの郵送・回収のみで対応しようとし、回収率が低水準である中で、その他の情報更新の方法について検討できていない。
    • 顧客リスクに応じた頻度でリスク評価の見直しを行うとの手続としているものの、顧客リスクに影響を与える事象が発生した場合の検知方法、リスク評価の見直し手続について規程化・文書化していない。
  • 取引モニタリング・フィルタリング【取組に遅れが認められる事例】
    • 取引モニタリングシステムのシナリオや検知ルールを当初設定のまま使用しており、シナリオの見直しやリスクに応じた敷居値の設定が行われていない。
    • 職員の気づきにより、疑わしい取引を発見したものの、担当部署に報告する手続を制定しておらず、疑わしい取引の届出の判断は、拠点の裁量に任されている。
    • 自らの営業地域における犯罪傾向や疑わしい取引の届出実績等に係る分析を行っていない。
    • 自らの営業地域における犯罪傾向や疑わしい取引の届出実績等に係る分析を行っているものの、分析結果をモニタリングシステム検知基準の見直しや疑わしい取引の判断に係るばらつきの解消といった検知態勢の改善に十分に繋げられていない。
    • 口座を開設している法人について、代表者や実質的支配者が個人口座を開設していない場合、その代表者や実質的支配者が取引フィルタリングの対象となっていない。
    • システム上の不具合により、取引フィルタリングシステムを通さずに職員による目検のみでリスト照合を行ったものの、一部、検証未済の取引を実行してしまった。
    • システム上の不具合が発生した場合に代替システムを用意していたものの、予行演習を行っておらず、代替システムを稼働できなかった。
    • 制裁者リストが更新された際に、既存口座との夜間バッチ処理による差分チェックを行っているものの、新たな指定から24時間以内での検証が行われていない。
    • 制裁対象国名のリスト照合のみで、主要港湾都市名やオフショアセンターの住所に該当するかを検証対象としていない。
    • 制裁対象者名や地名では、慣行や非英語名称からのアルファベット変換により複数のスペリングがあるにもかかわらず、取引フィルタリングシステムにおいて、複数候補を検知できるよう、あいまい検索機能が適切に設定されていない。
    • 取引フィルタリングシステムのあいまい検索機能について、システムベンダーに設定レベルの確認を行っておらず、ベンダー任せになっている。
  • 疑わしい取引の届出【取組に遅れが認められる事例】
    • 疑わしい取引の届出の判断に際して、考慮する要素や判断基準が規程等により定められておらず、届出の要否を十分に検討しないまま、届出不要と判断している。
    • 届出を行った疑わしい取引について、届出の種類別の件数を集計しているものの、届出の内容や傾向等の分析、及び、顧客や商品・サービス等のリスクの特定・評価への活用が行われていない。
    • 職員の気づきによる疑わしい取引の届出を軽視し、疑わしい取引の届出参考事例の職員向けの研修を実施していない。職員の気づきによる検知を拠点の判断で届出不要とし、記録も残していない。
    • 疑わしい取引の検知から判断、判断から提出までの時間測定や期日管理が行われておらず、提出に時間がかかっている。また、疑わしい取引と判断したものを即時に提出せず、月に一回まとめて提出している。
  • 経営陣の関与・理解【経営陣の主導的な関与がなされていない事例】
    • 経営陣は、担当部署からマネロン等対策に関する取組状況の報告を受けるにとどまり、ギャップ分析結果に基づき、ギャップを埋めるための行動計画の策定を指示していないなど、マネロン等リスク管理態勢の整備に向けた主導的な関与は十分なものとなっていない。
    • 経営陣は、マネロン等対策が経営の重要課題の一つであるとの認識が不足しており、また、四半期毎にマネロン等対策の行動計画の進捗状況が報告されているものの、計画どおり実施できなかった施策について、担当部署に対し、その要因分析を指示しておらず、進捗管理が十分に行われていない。
    • 経営陣は、関係法令やガイドラインのみならず、自らの事務手続について熟知していない者をマネロン等対策担当部署の役席に任命する、又は十分な人員数を配置しないなど、経営として最も対応が期待される人的資源配分を適切に行っていない。
  • リスクの特定・評価【取組に遅れが認められる事例】
    • 一部の暗号資産交換業者において、新たな商品・サービス提供開始の都度リスク評価書を見直すとしているものの、実態としては年1回の更新に留まっており、最新のリスク認識や低減策、残存リスクについて経営への報告やリスク評価書への反映の遅れが見られた。
  • リスクの低減【取組に遅れが認められる事例】
    • リスクベースの継続的顧客管理措置の取組について、顧客情報の更新のための検討はなされるものの、実施に遅れが見られる暗号資産交換業者も限定的ながら存在する。
    • 一部の暗号資産交換業者においては法人顧客の実質的支配者の確認や事業実態に関する深度ある調査態勢の構築には、顧客属性に対するノウハウの蓄積も含め、いまだ向上の余地がある
  • ITシステムの活用及びデータ管理(データ・ガバナンス)【改善が求められる事例】
    • 取引モニタリングシステムのシナリオにおいて、顧客属性と紐付けた高額暗号資産検知シナリオが欠落していたため、顧客属性に対して高額な暗号資産入出金取引を検知できていない。
    • 取引モニタリングシステムのシナリオ自体は適切に検討されていたものの、仕様どおりシステムに実装されず、またシステム稼働時に検証されなかった。この結果、検知すべき取引が検知出来ていないことを看過していた。
    • 親族間や利害関係者間といった顧客間の関係性に着眼した調査が必要となる認識がなかったことから、これを可能とする検索機能は実装されなかった。この結果、検知すべきグループとしての不審な取引が、適時に把握できていなかった。
  • 経営管理態勢【取組に遅れが認められる事例】
    • 第3線である内部監査部門に、暗号資産のマネロン等対策に関する監査を実施するための専門性・能力を備えた監査要員を確保していない。
    • 第2線であるリスク管理部門においても、口座開設、暗号資産取引に係る各種規制の理解、暗号資産のリスク特性を踏まえた専門性や能力を有する要員が確保されていない。
  • リスクの特定・評価【取組に遅れが認められる事例】
    • 上記記載の資金移動業者の決済サービスを利用した不正出金事案のように、連携先の一部銀行側の認証方式が暗証番号のみ(1要素認証)で行っていたことについて、ヒアリングを通じて把握するのみで、連携先の認証方式を踏まえたリスクの検証を行っていない。
    • 下記記載のとおり、資金移動業者における取引時確認の不備及び取引時確認記録の事後検証の未実施により、顧客情報の正確性を欠いていることから、顧客属性等のリスクを包括的かつ具体的に検証することができる状態になっていない。
    • 疑わしい取引の届出の分析等を実施しておらず、具体的かつ客観的な根拠に基づくリスク評価を実施していない。
  • リスクの低減【取組に遅れが認められる事例】
    • 上記のとおり、取引時確認により確認を行った「本人特定事項(氏名・住居・生年月日)」・「職業」・「取引目的」の記録に、通常あり得ない職業「回答しない」との記載、絵文字や記号が含まれる記載がされている。
    • 取引時確認業務を外部に委託している場合に、委託先に対する研修や指導を十分に実施していない、又は委託先が業務を適正かつ確実に遂行しているかを検証し、必要に応じ改善させていない。
  • 経営管理態勢【取組に遅れが認められる事例】
    • 経営陣が、スピードを重視したビジネスモデルのもと営業を推進しマネロン等リスク管理について、ビジネスモデルに見合った適切な資源配分を行わないなど、同管理態勢の整備を劣後させている。
  • 2019年10月の未来投資会議において、AIによるビックデータ分析の進展などにより、画一的な方法によらない規制制度を構築できる可能性が広がっていることから、モビリティ、金融、建築の3分野での将来の規制像の在り方の検討が指示された。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)において、研究委託事業の公募が行われ、金融分野では「マネー・ロンダリング対策に係るシステム開発及び調査」として、調査分野は全国銀行協会とあずさ監査法人(KPMG)が、研究開発分野は日本電気株式会社(NEC)が実施主体となり、3社によるAIを活用したマネロン等対策に係るシステム開発に係る実証実験が2020年4月より行われた。
  • この実証実験の背景としては、マネロン等に関係する取引モニタリングや制裁対象取引の検知(取引フィルタリング)といったシステム検知業務の導入、運用コスト負担が大きいことがある。現在、各金融機関が個別にシステムを導入し運用しているが、金融機関毎の対応能力には差異がある上、多くの金融機関が採用している簡便なシステムや人手を要する対応では、効率性や正確性、誤検知の処理負担などの面で相当の負担がある。また、IT技術の進歩や経済・金融サービスのグローバル化等が進み、マネロン等対策に対する国際的な要求水準が高まっている。それらを背景として、当実証実験ではAI等の技術を活用した高度なシステムを共同化することによって、効率的かつ実効的なマネロン等対策を実現できないか検証するとともに、共同体の運用に必要な規制の精緻化について検証することを目的とするものである。
  • 実証実験では、(1)取引フィルタリングシステムや(2)取引モニタリングシステムに関してAIを活用した実験用のミニシステムを開発・構築し、金融機関の協力を得て、実際の取引データを活用して検知・判断がどの程度正確に行われるかについての検証が行われ、2021年3月に報告書が作成された(NEDOによる公表は2021年7月)。実証実験の主な結果は以下のとおりであった。
    • 複数の金融機関の取引データより生成したAIモデルを用いて、各金融機関の取引データに適用してフィルタリング・モニタリングを行ったところ、判別精度が高く、有効性を確認できた。・本実証実験の中で開発したAIモデルが、取引モニタリング業務と取引フィルタリング業務のアラートの一次判定を行い、AIの出力結果のスコアに応じて人間の二次判定における確認深度に濃淡をつけること等によって、業務効率化が可能であることが確認できた。

金融庁 「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」の改訂版公表について
▼新旧対照表
  • 【Q】「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」を行う対象を整理するに当たっての留意点を教えて下さい。
    • 【A】「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」を行う対象は、一般的に、なりすましや不正利用等のリスクが低いことが考えられる顧客や口座を想定しています。
    • その上で、以下の点に留意することが必要と考えており、当庁としては、以下の①から⑥及び(注1)から(注3)に即している限り、SDDの対象とすることが可能と考えます。
      1. 法人及び営業性個人の口座は対象外であること(注1)
      2. 全ての顧客に対して、具体的・客観的な根拠に基づき、商品・サービス、取引形態、国・地域、顧客属性等に対するマネロン・テロ資金供与リスクの評価結果を総合して顧客リスク評価を実施し、低リスク先顧客の中からSDD対象顧客を選定すること
      3. 定期・随時に有効性が検証されている取引モニタリングを活用して、SDD対象口座の動きが把握され、不正取引等が的確に検知されていること
      4. SDD対象顧客については、本人確認済みであること(注2)
      5. SDD対象顧客は、直近1年間において、捜査機関等からの外部照会、疑わしい取引の届出及び口座凍結依頼を受けた実績がないこと
      6. SDD対象顧客についても、取引時確認等を実施し、顧客情報が更新された場合には、顧客リスク評価を見直した上で、必要な顧客管理措置を講ずること(注3)
        • 法人や営業性個人は、取引関係者や親子会社等、関与する者が相当に多いことが一般的であり、法人や営業性個人の行う取引に犯罪収益やテロリストに対する支援金等が含まれる可能性が相応にあるものと考えられるため、SDD対象とすることは相当ではないと考えます。
        • (注2)(4)の「本人確認済み」とは、基本的には、2016年10月の改正犯収法施行以降に同法に基づく取引時確認を実施したことを意味しています。また、1990年10月1日以降に取引を開始した顧客についても、当時の規制等に沿った手続が確認されれば、「本人確認済み」と整理することは可能であると考えます。一方で、1990年10月1日より前に取引を開始した顧客については、公的又は他の信頼できる証明書類等に基づき、氏名、住所及び生年月日を確認した証跡が存在しない限り、「本人確認済み」と整理することはできないものと考えます。
        • (注3)(6)については、SDD対象顧客に対して顧客リスク評価の見直しを実施した場合に、再度SDD先と整理することを妨げるものではありません。
  • 【Q】具体的には、どのような顧客について、「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」とする余地があるのでしょうか。
    • 【A】当庁としては、【Q3】の【A】記載の(1)から(6)の留意点及び(注1)から(注3)に即している限り、SDD対象とすることが可能であると考えます。
    • 多くの場合は、経常的に同様の取引を行う口座であって保有している顧客情報と当該取引が整合するもの(給与振込口座、住宅ローンの返済口座、公共料金等の振替口座その他営業に供していない口座)等については、【Q3】記載の(1)から(6)の留意点及び(注1)から(注3)に即していると考えられますが、いずれにしても、個々の顧客について【Q】記載の(1)から(6)の留意点及び(注1)から(注3)に即しているか検証した上で、SDD対象の顧客を判断することが必要になるものと考えます。
  • 【Q5】「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」を実施することとした場合、どのような管理を実施することになるのでしょうか。
    • 【A】本ガイドラインにおける「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」とは、顧客リスク評価の結果、「低リスク」と判断された顧客のうち、一定の条件を満たした顧客について、DM等を送付して顧客情報を更新するなどの積極的な対応を留保し、取引モニタリング等によって、マネロン・テロ資金供与リスクが低く維持されていることを確認する顧客管理措置のことをいいます。
    • SDD対象とした顧客であっても、特定取引等に当たって顧客との接点があった場合、不芳情報を入手した場合、今までの取引履歴に照らして不自然な取引が行われた場合等には、必要に応じて積極的な対応による顧客情報の更新を実施し、顧客リスク評価の見直しを行うことが必要になるものと考えます。
    • 特に、公的書類等の証跡が不足しているSDD対象顧客が来店した場合等、本来更新すべき情報を最新化する機会があれば、当該機会を活用し、必要な情報更新を実施する態勢を構築することが必要であるものと考えます。
  • 【Q】上場企業等や、国・地方公共団体等については、SDDの対象にはなり得ないのでしょうか。これらの顧客をSDD対象としない場合、どのように顧客管理することが考えられますか。
    • 【A】上場企業等や国・地方公共団体等は基本的にはSDD対象とはなりません。
    • 上場企業等、法律上の根拠に基づく信頼性のある情報が定期的に公表されている場合(有価証券報告書等)には、当該情報を基に顧客リスク評価を実施し、当該リスク評価に応じたリスク低減措置を実施することも考えられます。
    • また、国・地方公共団体及びその関連団体(法律上の根拠に基づき設立・資金の運用が実施されている団体等)については、定期的な情報更新までは不要と考えますが、犯収法第11条柱書に則った対応をする必要はあるものと考えます。
  • 【Q】継続的な顧客管理を実施する際の「調査」する情報について、具体的な内容を教えてください。例えば、本人特定事項や取引目的、職業、事業内容等の再確認がこれに該当するとの理解でよいでしょうか。
    • 【A】まず、「調査」の目的は、調査結果を踏まえて顧客リスク評価を見直すことにより、実効的なリスク低減措置を講ずることにあります。そのため、個別の顧客について、保有している全ての情報を一律に更新することは、必ずしも必要ではなく、同顧客について、リスク管理上必要な情報を調査することが必要となります。
    • 調査すべき情報としては、ご指摘の例のほか、顧客のリスクに応じて、例えば、顧客及びその実質的支配者の資産・収入の状況、資金源等が含まれ得るものと考えます。また、申告されている属性から判断した資産・収入に比べて、入出金金額が不自然に高額な場合には、疑わしい取引の届出の対象として検証する仕組みの構築が求められます。
    • いずれにせよ、いかなる項目を調査対象とするかについては、対象となる顧客の顧客リスク評価や取引の特性等に応じて、個別具体的に判断することになりますが、顧客リスク評価に必要な情報を収集するために必要な調査を実施することが求められています。
    • なお、継続的顧客管理における顧客情報の更新については、顧客に対してより一層丁寧な説明を行うことが必要になるものと考えます。
  • 【Q】継続的な顧客管理を実施する際の「調査」について、どのような手法が考えられますか。
    • 【A】「調査」の目的は、調査結果を踏まえて顧客リスク評価を見直すことにより、実効的なリスク低減措置を講ずることにあります。
    • 例えば、郵送物を送付し、顧客から回答を得る方法が一般的ではありますが、そのほか、支店等における対面での対応や、アプリを利用する方法等、リスクに応じた対応が考えられます。
    • いずれにせよ、金融機関等において、リスクに応じて、調査の目的を達成できる手段を検討・実施することが必要となります。
  • 【Q】「調査の対象」については、どのように考えればよいのでしょうか。
    • 【A】基本的には、全ての顧客が継続的顧客管理の対象となり、「調査の対象」となるものと考えます。
    • 但し、1年以上不稼働の口座等長期不稼働口座や、取引開始後に取引不可先と整理された顧客等については、そのほかの顧客とは異なる管理が必要となるものの、定期的な情報更新は不要となるものと考えます。

金融庁 「火災保険水災料率に関する有識者懇談会」報告書の公表について
▼「火災保険水災料率に関する有識者懇談会」報告書の概要
  • 懇談会の目的
    • 水災リスクに応じた火災保険水災料率の細分化について、損害保険会社等に対しより適切な検討を促すため、保険の購入可能性と保険料負担の公平性のバランスなど、料率体系のあり方や留意点等について有識者の意見を取りまとめるもの
  • 火災保険の現状
    • 近年、自然災害の多発・激甚化等により、火災保険料率の引上げが継続
    • その主な要因の一つは台風、豪雨災害の多発・激甚化による水災リスクの上昇
    • こうした中、個人向け火災保険の水災料率には、保険契約者ごとの水災リスクの違いが反映されていない実態
  • 水災料率の課題と保険会社等の対応
    • 現在の水災料率体系では、水災リスクが比較的低い地域に居住する保険契約者の納得感が得られにくい状況
    • 洪水ハザードマップ上の浸水深が浅い地域の顧客が、火災保険から水災補償を外す傾向が認められており、万一の大規模水災の発生時に予期せぬ補償不足も懸念される
    • このため、損害保険会社等においては、保険料負担の公平性の向上の観点から、居住地域ごとのリスクを反映した水災料率の細分化を行うことを検討
  • 水災料率細分化の方向性・留意点
    • 火災保険における水災料率細分化の導入には、次のとおり社会全体として水災に対する経済的な備えを高めていく効果が期待されるなどの意義が認められ、社会にとって望ましい方向性。
    • 保険料の多寡により顧客がリスクの大小を認識することで高リスク契約者のリスク認識を向上させる効果(リスクアナウンスメント効果)
    • 保険料負担の公平性の向上により、低リスク契約者の水災補償離れを抑制するなどの効果
  • 細分化に用いる基礎データ
    • 細分化を行う上での基礎データとして、例えば、外水氾濫の評価に「洪水浸水想定区域図(洪水ハザードマップ)」を用いることは、情報の網羅性・客観性があり、消費者の理解も得られやすいと考えられる
    • 国土交通省において、浸水頻度ごとの浸水範囲を示す水害リスクマップ※の作成を進めるなど、水災リスク情報の充実を図っている。今後の水災料率の見直しの際には、こうしたリスク情報の変化を的確に反映することが期待される
      • 外水氾濫を対象とした水害リスクマップのほかに、内水氾濫も考慮した水害リスクマップの作成を進めている
    • 細分化における地域区分
      • 細分化における地域区分については、なるべく「洪水浸水想定区域図(洪水ハザードマップ)」のリスク評価に応じた区分とした方が、消費者の納得感は得られやすいと考えられる
      • 他方、消費者に可能な限り安く保険を提供すべきとの観点からは、地域区分を細かくし過ぎると、システムコスト等の上昇により保険料が上昇することが懸念される
      • 地域区分の設定にあたっては、これらの点を勘案して、消費者の利益に資するものとなるよう留意する必要(※)
        • 上記の点等を踏まえると、損害保険会社が自社の料率算出の参考に用いる参考純率については、まずは市区町村等の行政区分を地域区分に活用することが考えられるが、その場合であっても損害保険会社が独自により細分化した地域区分を設定することは可能であり、自社の経営戦略の中で創意工夫により細分化を実施することも考えられる
      • 細分化における料率較差
        • リスクアナウンスメント効果の観点からは、リスクの差をよりきめ細かく料率較差として反映した方が良いという考え方もある
        • 一方、水災リスク情報におけるリスク較差をそのまま反映させると、高リスク地域に居住する顧客が保険に加入できなくなり、水災への備えが不足することが懸念される
        • 高リスク契約者の保険の購入可能性にも配慮した料率体系とすることが適当と考えられる
      • 保険会社に期待される取組み
        • 細分化によるリスクアナウンスメント効果の実効性を高める観点から、損害保険会社においては、最新のリスク情報の収集に努め、引き続き水災リスクをはじめとする各種リスク情報の提供等に努める必要
        • 水災料率細分化実施後の保険募集等に際しては、細分化の考え方や料率適用の状況等について、顧客に対して丁寧な説明を行うことが期待される

【財務省】

【2022年5月】

財務省 令和3年末現在本邦対外資産負債残高の概要
  • 令和3年末現在の対外の貸借に関する報告書(本邦対外資産負債残高)の概要は以下のとおりです。
  1. 対外資産残高:1,249兆8,789億円(対前年末比+105兆2,504億円、+9.2%)
    • 為替相場変動に伴う外貨建て資産の円評価額の増加(+81.8兆円)や、居住者による対外資産の取得超(直接投資+16.4兆円、その他投資+8.1兆円)等により、対外資産残高は13年連続で増加した。
  2. 対外負債残高:838兆6,948億円(対前年末比+49兆975億円、+6.2%)
    • 為替相場変動に伴う外貨建て負債の円評価額の増加(+19.5兆円)や、非居住者による本邦資産の取得超(直接投資+3.0兆円、証券投資+21.4兆円)等により、対外負債残高は3年連続で増加した。
  3. 対外純資産残高:411兆1,841億円(対前年末比+56兆1,529億円、+15.8%)
    • 対外資産の増加額が対外負債の増加額を上回ったことから、対外純資産残高は2年振りに増加した。

【警察庁】

【2022年6月】

警察庁 警察庁のウェブサイトを模倣した偽サイトに注意(令和4年6月15日)
  • 警察庁のウェブサイトを模倣した偽サイトがあることが分かりました。偽サイト内のアイコンなどをクリックすると、悪質なサイトに誘導され、サイバー犯罪等の被害に遭う可能性がありますのでご注意ください。
  • 注意すべき点
    1. URLのアドレスを確認する。
      • アドレス欄をよく見る、リンクにポインタを置きアドレスを表示させるなどして、アドレスを必ず確認してください。
      • 警察庁のウェブサイトの正しいアドレスはwww.npa.go.jpです。
    2. 不審と思われるアドレスにアクセスしない。
      • 不審と思われる場合には、安易にアクセスしたり、当該ウェブサイト上のリンクをクリックしたりしないでください。
▼参考:内閣官房内閣サイバーセキュリティセンターからの注意喚起 我が国の公的機関や企業等の偽サイトにご注意ください(注意喚起)

警察庁 犯罪統計資料(令和4年1~5月分)
  • 令和4年1~5月の刑法犯総数について、認知件数は222,829件(前年同期227,121件、前年同期比▲1.9%)、検挙件数は96,506件(104,961件、▲8.1%)、検挙率は43.3%(46.2%、▲2.9P)
  • 粗暴犯の検挙件数は20,286件(19,967件、+1.6%)、検挙件数は16,649件(17,221件、▲3.3%)、検挙率は82.1%(86.2%、▲4.1P)
  • 窃盗犯の認知件数は150,021件(152,803件、▲1.8%)、検挙件数は58,060件(64,805件、▲10.4%)、検挙率は38.7%(42.4%、▲3.7P)
  • 万引きの認知件数は35,243件(37,213件、▲5.3%)、検挙件数は23,930件(26,177件、▲8.6%)、検挙率は67.9%(70.3%、▲2.4P)
  • 知能犯の認知件数は14,668件(13,877件、+5.7%)、検挙件数は7,094件(7,129件、▲0.5%)、検挙率は48.4%(51.4%、▲3.0P)
  • 詐欺の認知件数は13,311件(12,626件、+5.4%)、検挙件数は5,917件(6,084件、▲2.7%)、検挙率は44.5%(48.2%、▲3.7P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は25,713件(27,000件、▲4.8%)、検挙人員は21,141人(22,314人、▲5.3%)
  • 入管法違反の検挙件数は1,616件(2,129件、▲24.1%)、検挙人員は1,216人(1,554人、▲21.8%)、軽犯罪法違反の検挙件数は2,942件(3,151件、▲6.6%)、検挙人員は2,928人(3,131人、▲6.5%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は3,465件(3,087件、+12.2%)、検挙人員は2,653人(2,441人、+8.7%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,306件(919件、+42.1%)、検挙人員は1,077人(739人、+45.7%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は184件(94件、+95.7%)、検挙人員は75人(41人、+82.9%)、不正競争防止法違反の検挙件数は25件(35件、▲28.6%)、検挙人員は26人(31人、▲16.1%)、銃刀法違反の検挙件数は1,924件(1,943件、▲1.0%)、検挙人員は1,666人(1,698人、▲0.7%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は399件(313件、+27.5%)、検挙人員は236人(186人、+26.9%)、大麻取締法違反の検挙件数は2,297件(2,447件、▲6.1%)、検挙人員は1,803人(1,933人、▲6.7%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は3,374件(4,239件、▲20.4%)、検挙人員は2,300人(2,857人、▲19.5%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、刑法犯総数について、検挙件数は3,363件(4,736件、▲29.0%)、検挙人員は2,110人(2,579人、▲18.2%)
  • 暴行の検挙件数は230件(292件、▲21.2%)、検挙人員は222人(272人、▲18.4%)、傷害の検挙件数は368件(453件、▲18.8%)、検挙人員は390人(541人、▲27.9%)、脅迫の検挙件数は135件(132件、+2.3%)、検挙人員は137人(126人、+8.7%)、恐喝の検挙件数は123件(147件、▲16.3%)、検挙人員は162人(175人、▲7.4%)、窃盗の検挙件数は1,444件(2,350件、▲38.6%)、検挙人員は287人(393人、▲27.0%)、詐欺の検挙件数は548件(663件、▲17.3%)、検挙人員は460人(508人、▲9.4%)、賭博の検挙件数は10件(16件、▲37.5%)、検挙人員は50件(47件、+6.4%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、特別法犯総数について、検挙件数は2,085件(2,760件、▲24.5%)、検挙人員は1,410人(1,880人、▲25.0%)
  • 暴力団員不当行為防止法違反の検挙件数は1件(5件、▲80.0%)、検挙人員は2人(18人、▲88.9%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は14件(13件、+7.7%)、検挙人員は28人(42人、▲33.3%)、銃刀法違反の検挙件数は33件(41件、▲19.5%)、検挙人員は19人(32人、▲40.6%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は71件(53件、+34.0%)、検挙人員は27人(14人、+92.9%)、大麻取締法違反の検挙件数は355件(456件、▲22.1%)、検挙人員は209人(278人、▲24.8%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は1,215件(1,798件、▲32.4%)、検挙人員は785人(1,163人、▲32.5%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は72件(56件、+28.6%)、検挙人員は45人(39人、+15.4%)

警察庁 令和4年4月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和4年1月~4月における特殊詐欺全体の認知件数は4,711件(前年同期4,418件、前年同期比+6.6%)、被害総額は97.5憶円(85.6憶円、+13.9%)、検挙件数は1,818件(2,015件、▲9.8%)、検挙人員は628人(672人、▲6.5%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は1,055件(895件、+17.9%)、被害総額は31.4憶円(24.9憶円、+26.1%)、検挙件数は473件(406件、+16.5%)、検挙人員は237人(180人。、+31.7%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は713件(1,007件、▲29.2%)、被害総額は8.1憶円(14.2憶円、▲43.0%)、検挙件数は420件(760件、▲44.7%)、検挙人員は156人(242人、▲35.5%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は791件(612件、+29.2%)、被害総額は28.9憶円(20.8憶円、+38.9%)、検挙件数は42件(86件、▲51.2%)、検挙人員は30人(42人、▲28.6%)
  • 還付金詐欺の認知件数は1,214件(1,002件、+21.2%)、被害総額は13.5憶円(11.7憶円、+15.4%)、検挙件数は231件(152件、+52.0%)、検挙人員は39人(34人、+14.7%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は32件(68件、▲52.9%)、被害総額は0.8憶円(1.1憶円、▲28.8%)、検挙件数は6件(7件、▲14.3%)、検挙人員は3人(3人、±0%)
  • 金融商品詐欺の認知件数は8件(13件、▲38.5%)、被害総額は0.9憶円(0.5憶円、+57.7%)、検挙件数は0件(3件)、検挙人員は6人(7人、▲14.3%)
  • ギャンブル詐欺の認知件数は15件(22件、▲31.8%)、被害総額は1.5憶円(0.5憶円、+201.2%)、検挙件数は6件(1件、+500.0%)、検挙人員は4人(1人、+300.0%)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は872件(793件、10.0%)、被害総額は12.3憶円(11.8憶円、+11.0%)、検挙件数は639件(596件、+7.2%)、検挙人員は147人(162人、▲9.3%)
  • 口座開設詐欺の検挙件数は242件(204件、+18.6%)、検挙人員は127人(122人、+4.1%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,014件(677件、+49.8%)、検挙人員は800人(535人、+49.5%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は32件(51件、▲37.3%)、検挙人員は32人(47人、▲31.9%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は5件(9件、▲44.4%)、検挙人員は2人(10人、▲80.0%)、組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は41件(46件、▲10.9%)、検挙人員は8人(6人、+33.3%)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では60歳以上91.4%、70歳以上73.2%、男性(25.1%):女性(74.9%)、オレオレ詐欺では60歳以上97.5%、70歳以上95.1%、男性(19.0%):女性(81.0%)、融資保証金詐欺では60歳以上7.7%、70歳以上0%、男性(88.5%):女性(11.5%)、特殊詐欺被害者全体に占める高齢(65歳以上)被害者の割合について、特殊詐欺 87.7%(男性22.0%:女性78.0%)、オレオレ詐欺 97.1%(18.5%:81.5%)、預貯金詐欺 98.2%(11.6%:88.4%)、架空料金請求詐欺 49.4%(56.3%:43.7%)、還付金詐欺 93.6%(25.8%:74.2%)、融資保証金詐欺 3.8%(100.0%:0.0%)、金融商品詐欺 25.0%(50.0%:50.0%)、ギャンブル詐欺 60.0%(55.6%:44.4%)、交際あっせん詐欺 0.0%、その他の特殊詐欺 40.0%(100.0%:0.0%)、キャッシュカード詐欺盗 98.7%(13.6%:86.4%)

【2022年5月】

警察庁 令和3年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(確定値版)
  1. 特殊詐欺の認知状況
    1. 情勢全般
      • 令和3年の特殊詐欺の認知件数(以下「総認知件数」という。)は14,498件(+948件、+7.0%)、被害額は282.0億円(-3.2億円、-1.1%)と、前年に比べて総認知件数が増加したものの、被害額は減少。被害額は過去最高となった平成26年(565.5億円)から半減。しかしながら、依然として高齢者を中心に被害が高い水準で発生しており、深刻な情勢。
      • 被害は大都市圏に集中しており、東京の認知件数は3,319件(+423件)、大阪1,538件(+431件)、神奈川1,461件(-312件)、千葉1,103件(-114件)、埼玉1,082件(+56件)、愛知874件(+305件)及び兵庫859件(-168件)で、総認知件数に占めるこれら7都府県の合計認知件数の割合は70.6%(-0.4ポイント)。
      • 1日当たりの被害額は約7,730万円(-約60万円)。
      • 既遂1件当たりの被害額は202万円(-18.2万円、-8.2%)。
    2. 主な手口別の認知状況
      • オレオレ詐欺、預貯金詐欺及びキャッシュカード詐欺盗(以下3類型を合わせて「オレオレ型特殊詐欺」と総称する。)の認知件数は8,118件(-1,139件、-12.3%)、被害額は160.7億円(-8.1億円、-4.8%)で、総認知件数に占める割合は56.0%(-12.3ポイント)。
      • オレオレ詐欺は、認知件数3,085件(+813件、+35.8%)、被害額90.6億円(+22.7億円、+33.4%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は21.3%(+4.5ポイント)。
      • 預貯金詐欺は、認知件数2,431件(-1,704件、-41.2%)、被害額30.6億円(-27.6億円、-47.5%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は16.8%(-13.7ポイント)。
      • また、キャッシュカード詐欺盗は、認知件数2,602件(-248件、-8.7%)、被害額39.5億円(-3.2億円、-7.4%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は17.9%(-3.1ポイント)。
      • 架空料金請求詐欺は、認知件数2,117件(+107件、+5.3%)、被害額68.1億円(-11.7億円、-14.6%)と、認知件数が増加したものの、被害額は減少し、総認知件数に占める割合は14.6%(-0.2ポイント)。
      • 還付金詐欺は、認知件数4,004件(+2,200件、+122.0%)、被害額45.2億円(+20.3億円、+81.4%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は27.6%(+14.3ポイント)。他の手口と比べ7都府県以外に被害が拡散傾向。
      • オレオレ型特殊詐欺に、架空料金請求詐欺及び還付金詐欺を合わせた認知件数は14,239件、被害額は273.9億円で、総認知件数に占める割合は98.2%(+1.7ポイント)、被害額に占める割合は97.1%(+1.3ポイント)。
    3. 主な被害金交付形態別の認知状況
      • キャッシュカード手交型の認知件数は2,698件(-1,619件、-37.5%)、被害額は39.8億円(-23.9億円、-37.5%)、キャッシュカード窃取型の認知件数は2,602件(-248件、-8.7%)、被害額は39.5億円(-3.2億円、-7.4%)と、いずれも減少。両交付形態を合わせた認知件数の総認知件数に占める割合は36.6%。
      • 現金手交型の認知件数は2,793件(+724件、+35.0%)、被害額は94.4億円(+16.9億円、+21.8%)と、いずれも増加。キャッシュカード手交型、キャッシュカード窃取型及び現金手交型は、被害者と直接対面して犯行を敢行するものであり、これら3交付形態を合わせた認知件数の総認知件数に占める割合は55.8%(-12.3ポイント)。
      • 振込型の認知件数は5,095件(+2,297件、+82.1%)、被害額は79.1億円(+28.8億円、+57.2%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は35.1%(+14.5ポイント)。
      • 現金送付型の認知件数は189件(-164件、-46.5%)、被害額は20.5億円(-20.0億円、-49.5%)と、いずれも減少。
      • 電子マネー型の認知件数は1,096件(-37件、-3.3%)、被害額は8.5億円(-1.4億円、-14.1%)と、いずれも減少。
    4. 高齢者の被害状況
      • 高齢者(65歳以上)被害の認知件数は12,724件(+1,137件、+9.8%)で、法人被害を除いた総認知件数に占める割合(高齢者率)は88.2%(+2.4ポイント)。65歳以上の高齢女性の被害認知件数は9,907件で、法人被害を除いた総認知件数に占める割合は68.7%(+2.6ポイント)。
    5. 欺罔手段
      • 被害者への欺罔手段として犯行の最初に用いられたツールは、電話が88.9%、電子メールが7.0%、はがき・封書等(はがき、封書、FAX、ウェブサイト等をいう)は4.1%と、電話による欺罔が大半を占めている。主な手口別では、オレオレ型特殊詐欺は約99%、還付金詐欺は100%が電話。その一方で、架空料金請求詐欺は電子メールが約46%、電話が約33%。
    6. 予兆電話
      • 特殊詐欺の被疑者による、電話の相手方に対して住所・氏名等の個人情報及び現金の保有状況等の犯行に資する情報を探る電話(以下「予兆電話」という。)の件数は100,515件で、月平均は8,376件(+170件、+2.1%)と増加。東京が34,661件と最も多く、次いで大阪9,084件、埼玉8,960件、千葉7,377件、神奈川6,864件、愛知5,015件、兵庫2,985件の順となっており、全国の予兆電話件数に占めるこれら7都府県の割合は74.6%。
    7. トピックス1
      1. 新型コロナウイルス感染症に関連した特殊詐欺(警察庁集計)
        • 令和3年中の新型コロナウイルス感染症に関連した特殊詐欺の認知件数は44件、被害額は約1.1億円と、総認知件数に占める割合は約0.3%。また、検挙件数は4件、検挙人員は7人。
      2. 検挙事例
        • 令和3年1月、80代男性が、息子を名のる男から「会社を辞めた人が取引先から1,000万円を借りたが、コロナでうまくいかず行方不明になった。保証人の自分が返さないといけなくなった。」等の電話を受け、息子の代理を名のる男に現金300万円をだまし取られた特殊詐欺事件で、被疑者(受け子)を同年8月に逮捕した。(京都)
  2. 特殊詐欺の検挙状況
    1. 検挙全般
      • 令和3年の特殊詐欺の検挙件数は6,600件(-824件、-11.1%)、検挙人員(以下「総検挙人員」という。)は2,374人(-247人、-9.4%)と、いずれも減少。
      • 手口別では、大幅に被害が増加した還付金詐欺の検挙件数は747件(+297件、+66.0%)、検挙人員は111人(+53人、+91.4%)と、大幅に増加。
      • 中枢被疑者(犯行グループの中枢にいる主犯被疑者(グループリーダー及び首謀者等)をいう)を43人(-17人、-28.3%・被害者方付近に現れた受け子や出し子、それらの見張り役を職務質問等により1,872人検挙(-112人、-5.6%)。
      • 預貯金口座や携帯電話の不正な売買等の特殊詐欺を助長する犯罪を、3,393件(-163件)、2,530人(-180人)検挙。
    2. 犯行拠点の摘発
      • 東京都をはじめ、大都市圏に設けられた犯行拠点(欺罔電話発信地等)23箇所を摘発(-7箇所)。
    3. 暴力団構成員等の検挙人員
      • 暴力団構成員等(暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者の総称。)の検挙人員は323人(-79人、-19.7%)で、総検挙人員に占める割合は13.6%。
      • 中枢被疑者の検挙人員(43人、-17人)に占める暴力団構成員等の検挙人員(割合)は17人(39.5%)であり、出し子・受け子等の指示役の検挙人員に占める暴力団構成員等の検挙人員(割合)は21人(53.8%)、リクルーターの検挙人員に占める暴力団構成員等の検挙人員(割合)は62人(39.0%)であるなど、暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与している実態がうかがわれる。このほか、現金回収・運搬役の検挙人員に占める暴力団構成員等の人員・割合は33人(26.4%)、道具調達役の検挙人員に占める暴力団構成員等の検挙人員・割合は8人(24.2%)。
    4. 少年の検挙人員
      • 少年の検挙人員は433人(-58人)で、総検挙人員に占める割合は18.2%。少年の検挙人員の77.1%が受け子で、検挙された受け子に占める割合は20.4%と、5人に1人が少年。
    5. 外国人の検挙人員
      • 外国人の検挙人員は117人(-19人)で、総検挙人員に占める割合は4.9%。外国人の検挙人員の63.2%が受け子で、出し子は18人(-3人)となっている。
      • 主な外国人被疑者の国籍別人員(割合)は、中国72人(61.5%)、韓国13人(11.1%)、ペルー9人(7.7%)、ベトナム8人(6.8%)、ブラジル4人(3.4%)。
    6. 主要事件の検挙
      • 令和3年6月までに、家電販売店店員等をかたる特殊詐欺事件に関し、主犯である指定暴力団神戸山口組系幹部組員ら十数人を詐欺罪等で逮捕した。また、同事件を契機として、同年8月までに同組織の別の幹部の男を含む合計4人を京都府暴力団排除条例違反(用心棒代受供与)等で逮捕した。(京都)
      • 令和3年7月までに、携帯電話会社の定額プランを悪用し、特定の電話番号に機械的多数発信を繰り返し、多額の通話料の支払いを不正に免れたとして、特殊詐欺グループに犯行電話が供給されていた電話転送事業者の経営者ら5人を組織的犯罪処罰法違反(組織的詐欺)で逮捕した。(愛知、山口、千葉)
      • 令和3年8月までに、架空料金請求詐欺事件に関し、特殊詐欺の犯行に使用されると知りながら、IP電話回線利用サービスを提供した電話転送事業者3社の経営者ら6人を詐欺幇助で逮捕した。(広島)
      • 令和3年11月までに、電話転送事業者らが特殊詐欺グループらと結託して、特殊詐欺でだまし取った電子マネーを買い取り業者に買い取らせ、その代金数十万円について、別の電話転送事業者の個人口座に振込入金させていたことから、電話転送事業者2社の経営者ら6人を組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)で逮捕した。(福岡、秋田、岡山、青森)
      • 令和3年12月までに、ギャンブル詐欺事件に関し、特殊詐欺の犯行に使用されると知りながら、IP電話回線利用サービスを提供した電話転送事業者の経営者1人を詐欺幇助で逮捕した。(宮城)
  3. 特殊詐欺予防対策の取組
    1. 広報啓発活動の推進
      • 杉良太郎特別防犯対策監をはじめ、幅広い世代に対して高い発信力を有する著名な方々により結成された「ストップ・オレオレ詐欺47~家族の絆作戦~」プロジェクトチーム(略称:SOS47(エス・オー・エス・フォーティーセブン))による広報啓発活動を、公的機関、各種団体、民間事業者等の幅広い協力を得ながら展開。
      • 令和3年中は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、各種イベントの開催が制限される中、SOS47のメンバーによる動画・ポスター等の制作、テレビ・ラジオ等各種メディアへの出演など、あらゆる広報媒体・機会を通じて特殊詐欺被害防止に係るメッセージを発信。9月には落語家の吉原朝馬氏を新たなメンバーに加え、特殊詐欺被害防止に向けた取組を全国的な国民運動として定着させるべく、継続的に活動を展開。
    2. 関係事業者と連携した被害の未然防止対策を推進
      • 金融機関等と連携した声掛けにより、15,006件(+4,103件)、約57.4億円(+6.3億円)の被害を防止(阻止率(阻止件数を認知件数(既遂)と阻止件数の和で除した割合)51.8%)。高齢者の高額払戻しに際しての警察への通報につき、金融機関との連携を強化。
      • 還付金詐欺対策として、金融機関と連携し、一定年数以上にわたってATMでの振込実績のない高齢者のATM振込限度額をゼロ円(又は極めて少額)とし、窓口に誘導して声掛け等を行う取組を推進(令和3年12月末現在、47都道府県、401金融機関)。全国規模の金融機関等においても取組を実施。
      • キャッシュカード手交型とキャッシュカード窃取型への対策として、警察官や金融機関職員等を名のりキャッシュカードを預かる又はすり替える手口の広報による被害防止活動を推進。また、被害拡大防止のため、金融機関と連携し、預貯金口座のモニタリングを強化する取組のほか、高齢者のATM引出限度額を少額とする取組を推進(令和3年12月末現在、40都道府県、204金融機関)。全国規模の金融機関においても取組を実施。
      • 電子マネー型への対策として、コンビニエンスストア、電子マネー発行会社等と連携し、電子マネー購入希望者への声掛け、チラシ等の啓発物品の配布、端末機の画面での注意喚起などの被害防止対策を推進。
      • 宅配事業者と連携し、過去に犯行に使用された被害金送付先のリストを活用した不審な宅配便の発見や警察への通報等の取組のほか、荷受け時の声掛け・確認等による注意喚起を推進。
      • SNS上における受け子等募集の有害情報への対策として、Twitter利用者に対し特殊詐欺に加担しないよう呼び掛ける注意喚起の投稿(ツイート)や、実際に受け子等を募集していると認められるツイートに対して、返信機能(リプライ)を活用した警告等を実施(令和3年12月末現在、15都道府県)。
    3. トピックス2 「ATMでの携帯電話の通話は、しない、させない」取組
      • 令和3年中、特殊詐欺の手口のうち被害が最も多かった還付金詐欺は、被害者がATM設置場所において携帯電話を使って犯人と会話することで被害が発生することから、「ATMでの携帯電話の通話は、しない、させない」ことを社会の常識として定着させるため、街頭キャンペーンやATM周辺でのポスター貼付を行っている。
    4. 防犯指導の推進
      • 特殊詐欺等の捜査過程で押収した名簿を活用し、名簿登載者に対する注意喚起を実施。
      • 犯人からの電話に出ないために、高齢者宅の固定電話を常に留守番電話に設定することなどの働き掛けを実施。
      • 自治体等と連携して、自動通話録音機の普及活動を推進(令和3年12月末現在、全国で約26万台分を確保)。全国防犯協会連合会と連携し、迷惑電話防止機能を有する機器の推奨を行う事業を実施。
  4. 犯行ツール対策の推進
    • 主要な通信事業者に対し、犯行に利用された固定電話番号の利用停止及び新たな固定電話番号の提供拒否を要請する取組を推進。令和3年中は4,119件の電話番号が利用停止され、新たな固定電話番号の提供拒否要請を3件実施。
    • 犯行に利用された固定電話番号を提供した電話転送サービス事業者に対する報告徴収を10件、総務省に対する意見陳述を10件実施。なお、国家公安委員会が行った意見陳述を受け、令和3年中、総務大臣が電話転送サービス事業者に対して是正命令4件を発出。
    • 犯行に利用された携帯電話(MVNO(Mobile Virtual Network Operatorの略。自ら無線局を開設・運用せずに移動通信サービスを提供する電気通信事業者)(仮想移動体通信事業者)が提供する携帯電話を含む)について、役務提供拒否に係る情報提供を推進(6,935件の情報提供を実施)。
    • 犯行に利用された電話番号に対して、繰り返し架電して警告メッセージを流し、電話を事実上使用できなくする「警告電話事業」を継続実施。
    • トピックス3 特殊詐欺に利用された050IP電話番号に係る利用停止等の対策について
      • 近年、特殊詐欺の犯行に050IP電話番号が利用されるケースが多く見られることから、特殊詐欺の犯行に利用された固定電話番号を警察の要請に基づいて電気通信事業者が利用停止等する枠組みの対象に、050IP電話番号を追加し、令和3年11月26日から運用を開始。令和3年12月末までに、3件の050IP電話番号が利用停止され、新たな050IP電話番号の提供拒否の要請を4件行った。
  5. 今後の取組
    • 引き続き、「オレオレ詐欺等対策プラン」に基づき、関係行政機関・事業者等と連携しつつ、特殊詐欺等の撲滅に向け、被害防止対策、犯行ツール対策、効果的な取締り等を強力に推進。
    • 暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与し、有力な資金源としている実態も認められることから、引き続き、暴力団、準暴力団等の犯罪者グループの壊滅に向けた多角的・戦略的な取締りを推進

警察庁 犯罪統計資料(令和4年1~4月分)
  • 2022年1~4月における刑法犯総数について、認知件数は169,948件(前年同期180,011件、前年同期比▲5.6%)、検挙件数は76,415件(85,081件、▲10.2%)、検挙率は45.0%(47.3%、▲2.3P)
  • 窃盗犯の認知件数は114,047件(121,146件、▲5.9%)、検挙件数は45,895件(52,642件、▲12.8%)、検挙率は40.2%(43.5%、▲3.3P)
  • 万引きの認知件数は27,647件(29,738件、▲7.0%)、検挙件数は19,167件(21,034件、▲8.9%)、検挙率は69.3%(70.7%、▲1.4P)
  • 知能犯の認知件数は11,721件(11,195件、+4.7%)、検挙件数は5,901件(5,811件、+1.5%)、検挙率は50.3%(51.9%、▲1.6P)
  • 詐欺の認知件数は10,613件(10,188件、+4.2%)、検挙件数は4,903件(4,959件、▲1.1%)、検挙率は46.2%(48.7%、▲2.5P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は20,336件(21,698件、▲6.3%)、検挙人員は16,750人(17,909人、▲6.5%)
  • 入管法違反の検挙件数は1,301件(1,737件、▲25.1%)、検挙人員は972人(1,262人、▲23.0%)、軽犯罪法違反の検挙件数は2,165件(2,468件、▲12.3%)、検挙人員は2,162人(2,467人、▲12.4%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は2,799件(2,531件、+10.6%)、検挙人員は2,152人(1,987人、+8.3%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は1,100件(723件、+52.1%)、検挙人員は897人(574人、+56.3%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は140件(75件、+86.7%)、検挙人員は64人(32人、+100.0%)、不正競争防止法違反の検挙件数は18件(27件、▲33.3%)、検挙人員は23人(22人、+4.5%)、銃刀法違反の検挙件数は1,476件(1,546件、▲4.5%)、検挙人員は1,290人(1,345人、▲4.1%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は309件(255件、+21.2%)、検挙人員は178人(152人、+17.1%)、大麻取締法違反の検挙件数は1,812件(1,917件、▲5.5%)、検挙人員は1,433人(1,529人、▲6.3%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は2,596件(3,347件、▲22.4%)、検挙人員は1,763人(2,232人、▲21.0%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数148人(193人、▲23.3%)、ベトナム49人(56人、▲12.5%)、中国22人(31人、▲29.0%)、スリランカ15人(2人、+650.0%)、ブラジル8人(12人、▲33.3%)、韓国・朝鮮8人(8人、±0%)、パキスタン6人(2人、+200.0%)、インド5人(4人、+25.0%)、フィリピン5人(11人、▲54.5%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較における刑法犯総数について、検挙件数は2,756件(3,854件、▲28.5%%)、検挙人員は1,674人(2,083人、▲19.6%)、暴行の検挙件数は185件(237件、▲21.9%)、検挙人員は188人(220人、▲14.5%)、傷害の検挙件数は274件(366件、▲25.1%)、検挙人員は302人(447人、▲32.4%)、脅迫の検挙件数は109件(112件、▲2.7%)、検挙人員は118人(110人、+7.3%)、恐喝の検挙件数は90件(120件、▲25.0%)、検挙人員は124人(143人、▲13.3%)、窃盗の検挙件数は1,261件(1,944件、▲35.1%)、検挙人員は226人(330人、▲31.5%)、詐欺の検挙件数は435件(522件、▲16.7%)、検挙人員は374人(381人、▲1.8%)、賭博の検挙件数は8件(13件、▲38.5%)、検挙人員は43人(45人、▲4.4%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較における特別法犯総数について、検挙件数は1,635件(2,141件、▲23.6%)、検挙人員は1,107人(1,471人、▲24.7%)、軽犯罪法違反の検挙件数は23件(30件、▲23.3%)、検挙人員は20人(25人、▲20.0%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は28件(29件、▲3.4%)、検挙人員は25人(28人、▲10.7%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は11件(10件、+10.0%)、検挙人員は23人(32人、▲28.1%)、銃刀法違反の検挙件数は26件(31件、▲16.1%)、検挙人員は17人(25人、▲32.0%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は53件(39件、+35.9%)、検挙人員は21人(11人、+90.9%)、大麻取締法違反の検挙件数は282件(346件、▲18.5%)、検挙人員は175人(215人、▲18.6%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は938件(1,403件、▲33.1%)、検挙人員は601人(909人、▲33.9%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は65件(46件、+41.3%)、検挙人員は44人(31人、+41.9%)

警察庁 令和4年3月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和4年1~3月における特殊詐欺全体の認知件数は3,500件(前年同期3,136件、前年同期比+11.6%)、被害総額は72.8憶円(60.3憶円、+20.7%)、検挙件数は1,346件(1,540件、▲12.6%)、検挙人員は484人(510人、▲5.1%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は759件(621件、+22.2%)、被害総額は21.9憶円(17.7憶円、+23.7%)、検挙件数は353件(296件、19.3%)、検挙人員は187人(135人、+38.5%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は514件(728件、▲29.4%)、被害総額は5.7憶円(10.2憶円、▲44.1%)、検挙件数は299件(595件、▲49.7%)、検挙人員は120人(191人、▲37.1%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は612件(433件、+41.3%)、被害総額は24.0憶円(14.1億円、+70.2%)、検挙件数は31件(74件、▲58.1%)、検挙人員は24人(33人、▲27.3%)
  • 還付金詐欺の認知件数は925件(695件、+33.1%)、被害総額は9.9憶円(8.1憶円、+22.2%)、検挙件数は170件(101件、+68.3%)、検挙人員は28人(26人、+7.7%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は23件(51件、▲54.9%)、被害総額は0.4憶円(0.8憶円、▲52.8%)、検挙件数は3件(5件、▲40.0%)、検挙人員は2人(2人、±0%)
  • 金融商品詐欺の認知件数は6件(10件、▲40.0%)、被害総額は0.7憶円(0.5憶円、+42.1%)、検挙件数は0件(4件)、検挙人員は6件(5件、+20.0%)
  • ギャンブル詐欺の認知件数は12件(18件、▲33.3%)、被害総額は1.4憶円(0.4憶円、+256.1%)、検挙件数は5件(0件)、検挙人員は2人(0人)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は638件(569件、+12.1%)、被害総額は8.8憶円(8.4憶円、+4.5%)、検挙件数は484件(459件、+5.4%)、検挙人員は109人(115人、▲5.2%)
  • 口座開設詐欺の検挙件数は206件(158件、+30.4%)、検挙人員は112人(90人、+24.4%)、盗品等譲受け等の検挙件数は0件(1件)、検挙人員は0人(0人)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は810件(515件、+57.3%)、検挙人員は629人(406人、+54.9%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は25件(38件、▲34.2%)、検挙人員は23人(43人、▲46.5%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は1件(8件、▲87.5%)、検挙人員は0人(5人)、組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は38件(36件、+5.6%)、検挙人員は7人(6人、+16.7%)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では、男性(25.2%):女性(74.8%)、60歳以上90.8%、70歳以上71.8%、オレオレ詐欺では、男性(19.0%):女性(81.0%)、60歳以上97.0%、70歳以上94.5%、架空料金請求詐欺では、男性(53.8%):女性(46.2%)、60歳以上60.5%、70歳以上35.3%、キャッシュカード詐欺盗では、男性(13.0%):女性(87.0%)、60歳以上99.1%、70歳以上97.3%、特殊詐欺被害者全体に占める高齢(65歳以上)被害者の割合について、特殊詐欺 87.2%(男性22.2%、女性77.8%)、オレオレ詐欺 96.4%(18.4%、81.6%)、預貯金詐欺 98.2%(10.5%、89.5%)、架空料金請求詐欺 49.3%(58.6%、41.4%)、還付金詐欺 94.0%(25.6%、74.4%)、融資保証金詐欺 5.0%(100.0%、0.0%)、金融商品詐欺 16.7%(0.0%、100.0%)、ギャンブル詐欺 50.0%(83.3%、16.7%)、交際あっせん詐欺 0.0%、その他の特殊詐欺 40.0%(100.0%、0.0%)、キャッシュカード詐欺盗 98.7%(13.0%、87.0%)

警察庁 マルウェアEmotetの新たな手口に係る注意喚起について
  • 警察庁では、国内においてEmotetの攻撃によるものとみられる被害を確認しております。Emotetは、主にメールを感染経路としたマルウェア(不正プログラム)です。メールソフトに登録されている連絡先から知り合いのメールアドレスを盗んで使うなどして、本人作成のメールであると信じ込ませ、不審に思わず開封してしまいそうなメールの返信を装うなど巧妙化が進んでいます。感染すると、情報を盗まれる、ランサムウェア等の他のマルウェアにも感染するといった被害に遭うおそれがあります。
  • これまでは、添付ファイルのマクロを有効化した場合にEmotetに感染させる手口等が確認されていました。これに加えて本年4月下旬以降、ショートカットファイル(LNKファイル)を添付し、これをダブルクリックなどで開いた場合にEmotetに感染させる手口が新たに確認されています。
  • 不用意にメールの添付ファイルを開かないようにするなど、マルウェアに感染しないように注意してください。
  • 関連サイト
    • 春の大型連休に向けて実施いただきたい対策について(注意喚起)
▼警察庁(@police)Emotetの解析結果について
▼マルウェアEmotetに係る注意喚起について
▼マルウェアEmotetに係る注意喚起について

【2022年4月】

警察庁 犯罪統計資料(令和4年1~3月分)
  • 令和4年1~3月の刑法犯全体の認知件数は123,109件(前年同期132,376件、前年同期比▲5.5%)、検挙件数は58,811件(65,228件、▲9.8%)、検挙率47.0%(49.3%、▲2.3P)
  • 窃盗犯の認知件数は84,074件(89,249件、▲5.8%)、検挙件数は35,359件(40,541件、▲12.8%)、検挙率は42.1%(45.4%、▲3.3P)
  • 万引きの認知件数は20,984件(21,974件、▲4.5%)、検挙件数は14,753件(15,802件、▲6.6%)、検挙率は70.3%(71.9%、▲1.6P)
  • 知能犯の認知件数は8,866件(8,389件、+5.7%)、検挙件数は4,669件(4,556件、+2.5%)、検挙率は52.7%(54.3%、▲1.6P)
  • 詐欺の認知件数は8,006件(7,611件、+5.2%)、検挙件数は3,851件(3,866件、▲0.4%)、検挙率は48.1%(50.8%、▲2.7P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は15,596件(16,635件、▲6.2%)、検挙人員は12,881人(13,700人、▲6.0%)
  • 入管法違反の検挙件数は920件(1,289件、▲28.6%)、検挙人員は708人(918人、▲22.9%)、軽犯罪法違反の検挙件数は1,588件(1,881件、▲15.6%)、検挙人員は1,582人(1,884人、▲16.0%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は2,197件(1,942件、+13.1%)、検挙人員は1,682人(1,498人、+12.3%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は870件(574件、+51.6%)、検挙人員は701人(449人、+56.1%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は119件(62件、+91.9%)、検挙人員は57人(24人、+137.5%)、不正競争防止法違反の検挙件数は18件(21件、▲14.3%)、検挙人員は23人(16人、+43.8%)、銃刀法違反の検挙件数は1,114件(1,176件、▲5.3%)、検挙人員は980人(1,028人、▲4.7%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は248件(200件、++24.0%)、検挙人員は137人(121人、+13.2%)、大麻取締法違反の検挙件数は1,386件(1,416件、▲2.1%)、検挙人員は1,109人(1,116人、▲0.6%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は1,930件(2,485件、▲22.3%)、検挙人員は1,297人(1,657人、▲21.7%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数121人(152人、▲20.4%)、ベトナム42人(50人、▲16.0%)、中国15人(23人、▲34.8%)、スリランカ15人(2人、+650.0%)、ブラジル6人(12人、▲50.0%)、韓国・朝鮮5人(5人、±0%)、フィリピン5人(7人、▲28.6%)、パキスタン5人(2人、+150.0%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、刑法犯全体の検挙件数は2,182件(2,890件、▲24.5%)、検挙人員は1,295人(1,556人、▲16.8%)、暴行の検挙件数は129件(178件、▲27.5%)、検挙人員は140人(163人、▲14.1%)、傷害の検挙件数は216件(280件、▲22.9%)、検挙人員は233人(344人、▲32.3%)、脅迫の検挙件数は78件(82件、▲4.9%)、検挙人員は75人(82人、▲8.5%)、恐喝の検挙件数は74件(93件、▲20.4%)、検挙人員は100人(106人、▲5.7%)、窃盗の検挙件数は1,026件(1,436件、▲28.6%)、検挙人員は185人(236人、▲21.6%)、詐欺の検挙件数は339件(405件、▲16.3%)、検挙人員は289人(283人、+2.1%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、特別法犯全体の検挙件数は1,224件(1,577件、▲22.4%)、検挙人員は827人(1,080人、▲23.4%)、軽犯罪法違反の検挙件数は16件(23件、▲30.4%)、検挙人員は14人(20人、▲30.0%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は12件(21件、▲42.9%)、検挙人員は12人(20人、▲40.0%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は11件(10件、+10.0%)、検挙人員は23人(29人、▲20.7%)、銃刀法違反の検挙件数は16件(24件、▲33.3%)、検挙人員は12人(19人、▲36.8%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は44件(31件、+41.9%)、検挙人員は15人(10人、+50.0%)、大麻取締法違反の検挙件数は219件(241件、▲9.1%)、検挙人員は139人(148人、▲6.1%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は676件(1,031件、▲34.4%)、検挙人員は436人(673人、▲35.2%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は55件(42件、+31.0%)、検挙人員は36人(25人、+44.0%)

警察庁 令和3年における組織犯罪の情勢
  • 暴力団構成員及び準構成員等(以下、この項において「暴力団構成員等」という。)の数は、平成17年以降減少し、令和3年末現在で24,100人となっている。このうち、暴力団構成員の数は12,300人、準構成員等の数は11,900人となっている。また、主要団体等(六代目山口組、神戸山口組、絆會及び池田組並びに住吉会及び稲川会。以下同じ。)の暴力団構成員等の数は17,200人(全暴力団構成員等の71.4%)、うち暴力団構成員の数は9,100人(全暴力団構成員の74.0%)となっている。
  • 総会屋及び会社ゴロ等(会社ゴロ及び新聞ゴロをいう。以下同じ。)の数は、令和3年末現在、965人と近年減少傾向にある。
  • 社会運動等標ぼうゴロ(社会運動標ぼうゴロ及び政治活動標ぼうゴロをいう。以下同じ。)の数は、令和3年末現在、4,730人と近年減少傾向にある。
  • 近年、暴力団構成員等(暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者をいう。以下同じ。)の検挙人員は減少傾向にあり、令和3年においては、11,735人である。主な罪種別では、傷害が1,353人、窃盗が1,008人、恐喝が456人、覚せい剤取締法違反(麻薬特例法違反は含まない。以下同じ。)が2,985人で、前年に比べそれぞれ276人、149人、119人、525人減少している一方、詐欺が1,555人で、前年に比べ306人増加している。
  • 暴力団構成員等の検挙人員のうち、構成員は2,238人、準構成員その他の周辺者は9,497人で前年に比べいずれも減少している。また、暴力団構成員等の検挙件数についても近年減少傾向にあり、令和3年においては、19,425件である。主な罪種別では、傷害が1,119件、窃盗が6,012件、恐喝が391件、覚せい剤取締法違反が4,512件で、前年に比べそれぞれ247件、700件、43件、576件減少している一方、詐欺が1,933件で、前年に比べ388件増加している。
  • 近年、暴力団構成員等の検挙人員のうち、六代目山口組、神戸山口組、絆會、住吉会及び稲川会の暴力団構成員等が占める割合は約8割で推移しており、令和3年においても、9,354人で79.7%を占めている。このうち、六代目山口組の暴力団構成員等の検挙人員は、4,496人と暴力団構成員等の検挙人員の約4割を占めている。
  • 六代目山口組は平成27年8月末の分裂後も引き続き最大の暴力団であり、その弱体化を図るため、六代目山口組を事実上支配している弘道会及びその傘下組織に対する集中した取締りを行っている。令和3年においては、六代目山口組直系組長等7人、弘道会直系組長等12人、弘道会直系組織幹部(弘道会直系組長等を除く。)31人を検挙している。
  • 六代目山口組・神戸山口組の対立抗争等
    • 対立抗争の激化を受け、令和元年10月、兵庫県警察、岐阜県警察、愛知県警察及び大阪府警察が、対立抗争に関係する暴力団事務所の使用制限の仮の命令を発出し、その後、同年11月、これら4府県の公安委員会が、事務所使用制限命令を発出した。同命令により、これら事務所を多数の指定暴力団員の集合の用、対立抗争のための謀議、指揮命令又は連絡の用等に供することが禁止されることとなった。
    • その後も、自動小銃を使用した殺人事件が発生するなど、六代目山口組と神戸山口組に関連する凶器を使用した殺傷事件が続発した状況を受け、令和元年12月、岐阜県、愛知県、三重県、京都府、大阪府及び兵庫県の公安委員会が、3か月の期間及び警戒区域を定めて両団体を「特定抗争指定暴力団等」として指定することを決定し、令和2年1月、その効力が発生した。さらに、両団体に関連する殺傷事件が発生するなどしたことを受け、令和3年末現在、9府県の公安委員会により、17市町を警戒区域とする指定が行われている。同指定により、警戒区域内での事務所の新設、対立組織の組員に対するつきまとい、対立組織の組員の居宅及び事務所付近のうろつき、多数での集合、両団体の事務所への立入り等の行為が禁止されることとなった。
  • 令和3年においては、対立抗争に起因するとみられる事件は3件発生している。これらはいずれも六代目山口組と神戸山口組との対立抗争に関するものであり、火炎瓶や銃器を使用した事件が住宅街で発生するなど、地域社会に対する大きな脅威となっている。
  • 覚せい剤取締法違反、恐喝、賭博といった伝統的資金獲得犯罪は、依然として、暴力団等の有力な資金源になっていることがうかがえる。これらのうち、暴力団構成員等の伝統的資金獲得犯罪の検挙人員に占める覚せい剤取締法違反の割合は近年、約8割で推移しており、令和3年中においても同様である。また、暴力団構成員等の検挙状況を主要罪種別にみると、暴力団構成員等の総検挙人員に占める詐欺の検挙人員は、覚せい剤取締法違反に次いで多く、詐欺による資金獲得活動が定着化している状況がうかがえる。特に、近年、暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与し、有力な資金源の一つとしている実態が認められる。その他、金融業、建設業、労働者派遣事業、風俗営業等に関連する資金獲得犯罪が行われており、依然として多種多様な資金獲得活動を行っていることがうかがえる。
  • 令和3年における暴力団構成員等に係る組織的犯罪処罰法のマネー・ローンダリング関係の規定の適用状況については、犯罪収益等隠匿について規定した同法第10条違反事件数が32件であり、犯罪収益等収受について規定した同法第11条違反事件数が28件である。また、同法第23条に規定する起訴前の没収保全命令の適用事件数は22件である。
  • 準暴力団とは、暴力団のような明確な組織構造は有しないものの、これに属する者が集団的又は常習的に暴力的不法行為等を行っている、暴力団に準ずる集団である。近年、準暴力団やこれに準ずる集団(以下「準暴力団等」という。)に属する者が、繁華街・歓楽街等において、集団的又は常習的に暴行、傷害等の事件を起こしているとともに、違法な資金獲得活動を活発化させている実態がみられるほか、暴力団との関係を深め、犯罪行為の態様を悪質・巧妙化している状況がうかがえる。
  • 警察では、準暴力団等の動向を踏まえ、繁華街・歓楽街対策、特殊詐欺対策、組織窃盗対策、暴走族対策、少年非行対策等の関係部門間における連携を強化し、準暴力団等に係る事案を把握等した場合の情報共有を行い、部門の垣根を越えた実態解明の徹底に加え、あらゆる法令を駆使した取締りの強化に努めている。
  • 近年、中止命令の発出件数は減少傾向にあり、令和2年においては増加に転じたものの、令和3年においては、866件と前年に比べ268件減少している。形態別では、資金獲得活動である暴力的要求行為(暴力団対策法第9条)に対するものが597件と全体の68.9%を、加入強要・脱退妨害(同法第16条)に対するものが100件と全体の11.5%を、それぞれ占めている。暴力的要求行為(同法第9条)に対する中止命令597件を条項別にみると、不当贈与要求(同条第2号)に対するものが266件、みかじめ料要求(同条第4号)に対するものが45件、用心棒料等要求(同条第5号)に対するものが213件となっている。また、加入強要・脱退妨害(同法第16条)に対する中止命令の発出件数を条項別にみると、少年に対する加入強要・脱退妨害(同条第1項)が6件、威迫による加入強要・脱退妨害(同条第2項)が88件、密接交際者に対する加入強要・脱退妨害(同条第3項)が6件となっている。団体別では、住吉会に対するものが225件と最も多く、全体の26.0%を占め、次いで六代目山口組159件、稲川会135件、神戸山口組40件の順となっている
  • 平成23年10月までに全ての都道府県において暴力団排除条例(以下「条例」という。)が施行されており、各都道府県は、条例の効果的な運用を行っている。なお、市町村における条例については、令和3年末までに46都道府県内の全市町村で制定されている。
  • 各都道府県においては、条例に基づいた勧告等を実施している。令和3年における実施件数は、勧告45件、中止命令17件、再発防止命令3件、検挙27件となっている。
    • 利益供与事業者等に対する勧告(令和3年6月、大分)
      • 無店舗型性風俗特殊営業店の経営者は、令和3年1月から同年4月にかけて、暴力団の威力を利用する目的で、六代目山口組傘下組織会長に現金合計4万円を供与した。同年6月、同経営者及び同会長に対し、勧告を実施した。
    • 暴力団排除特別区域における禁止行為(令和3年10月、愛知)
      • 六代目山口組傘下組織幹部らは、平成30年9月頃から令和3年4月頃にかけて、条例により定められた暴力団排除特別区域において、飲食店営業を営む者から、用心棒の役務の提供をすることの対償として、現金合計43万円の供与を受けた。同年10月までに、同幹部及び同飲食店営業を営む者ら5人を同条例違反(特別区域における暴力団員の禁止行為、特別区域における特定接客業者の禁止行為)で検挙した。
    • 警察においては、都道府県暴力追放運動推進センター(以下「都道府県センター」という。)、弁護士会民事介入暴力対策委員会(以下「民暴委員会」という。)等と連携し、暴力団員等が行う違法・不当な行為の被害者等が提起する損害賠償請求等に対して必要な支援を行っている。
  • 警察においては、都道府県センター、民暴委員会等と連携し、住民運動に基づく暴力団事務所の明渡請求訴訟等について、必要な支援を行っている。
  • 暴力団排除条例の施行と暴力団の活動実態等の多様化・不透明化に伴い、事業者等からの暴力団情報の提供要請が拡大しており、このような情勢の変化に的確に対応し、社会における暴力団排除を一層推進するため、平成23年12月及び平成25年12月に暴力団情報の部外への提供の在り方を見直した。具体的には、これまでの「暴力団犯罪による被害防止等」や「暴力団の組織の維持又は拡大への打撃」という提供要件に、「条例上の義務履行の支援」という要件を追加したほか、共生者等についても情報提供の対象とするなど、実態を踏まえた運用を行っている。
  • 都道府県センターでは、暴力団が関係する多種多様な事案についての相談を受理し、暴力団による被害の防止・回復等に向けた指導・助言を行っている。令和3年中の暴力団関係相談の受理件数は46,058件であり、このうち警察で19,287件、都道府県センターで26,771件を受理した
  • 都道府県センターでは、都道府県公安委員会からの委託を受け、各事業所の不当要求防止責任者に対し、暴力団等からの不当要求による被害を防止するために必要な対応要領等の講習を実施している。令和2年度中に実施された不当要求防止責任者講習の開催回数は1,307回、同講習の受講人数は延べ44,463人であった。
  • 都道府県センターは、平成26年7月までに全て適格都道府県センターとして国家公安委員会の認定を受けており、指定暴力団等の事務所の使用により生活の平穏等が違法に害されていることを理由として当該事務所の使用及びこれに付随する行為の差止めを請求しようとする付近住民等から委託を受け、当該委託をした者のために自己の名をもって、当該事務所の使用及びこれに付随する行為の差止めの請求を行っている。
  • 令和3年中、警察及び都道府県センターが援助の措置等を行うことにより暴力団から離脱することができた暴力団員の数については、約430人となっている。
  • 令和3年における薬物情勢の特徴としては、以下のことが挙げられる。
    • 薬物事犯検挙人員は、近年横ばいが続く中、13,862人と前年より僅かに減少した。このうち、覚醒剤事犯検挙人員は7,824人と前年より減少し、第三次覚醒剤乱用期のピークであった平成9年(19,722人)から長期的に減少傾向にある。一方で、大麻事犯検挙人員は、30歳未満の若年層を中心に平成26年以降増加が続き、令和3年も過去最多となった前年を上回る5,482人となった。
    • 営利目的の薬物事犯の検挙人員は975人と前年より増加した。このうち、覚醒剤事犯については455人と前年より減少したものの、暴力団構成員等の検挙人員が前年に引き続き過半数(54.1%)を占める。また、大麻事犯は426人と大幅に増加し、暴力団構成員等の検挙人員が24.4%(104人)を占めるほか、外国人の検挙人員(50人、11.7%)が前年比で22人、78.6%増加している。
    • 覚醒剤の総押収量は688.8キログラム、乾燥大麻の総押収量は329.7キログラムといずれも前年より増加し、高い水準にある。また、電子たばこ用等の大麻濃縮物を22.2キログラム押収した。
  • 上記のとおり、営利を目的とした薬物事犯が増加し、覚醒剤や大麻の供給網に暴力団や外国人の関与がうかがわれることから、引き続き、密輸入・密売事犯や栽培事犯の検挙を通じた薬物の供給網遮断に取り組むこととしている。また、大麻事犯検挙人員は、前年に続いて過去最多を更新しており、厳正な取締りに加え、若年層による乱用防止を主な目的としてSNS等のインターネット上での違法情報・有害情報の排除や広報啓発活動を推進することとしている
  • 覚醒剤事犯検挙人員の39.0%(3,051人)を暴力団構成員等が占める。これを組織別にみると、六代目山口組、神戸山口組、絆會(任侠山口組)、住吉会及び稲川会の構成員等は2,398人と、これらで覚醒剤事犯に係る暴力団構成員等の検挙人員全体の78.6%を占めている
  • 大麻事犯検挙人員の14.4%(789人)を暴力団構成員等が占める。これを組織別にみると、六代目山口組、神戸山口組、絆會(任侠山口組)、住吉会及び稲川会の構成員等は598人と、これらで大麻事犯に係る暴力団構成員等の検挙人員全体の75.8%を占めている
  • 外国人による覚醒剤事犯の営利犯の検挙人員は66人と覚醒剤事犯の全営利犯検挙人員(455人)の14.5%を占めている。また、このうち密輸入事犯は32人(構成比率48.5%)となっている。国籍・地域別でみると、ベトナムが16人と最も多く、このうち密輸入事犯が7人、密売関連事犯が9人となっている。次いでイランが11人で、このうち密輸入事犯が5人、密売関連事犯が6人となっている。
  • 外国人による大麻事犯の営利犯の検挙人員は50人と大麻事犯の全営利犯検挙人員(426人)の11.7%を占め、前年(28人)より増加しており、今後の動向に注意を要する。また、このうち密輸入事犯は10人(構成比率20.0%)となっている。国籍・地域別でみると、ベトナムが22人と最も多く、このうち密輸入事犯が5人、密売関連事犯が10人、栽培事犯が7人となっている。次いでブラジルが6人で、このうち密売関連事犯が5人、栽培事犯が1人となっている。
  • 覚醒剤密輸入事犯の検挙件数は56件と減少する中、昨年に引き続き、密輸入事犯全体の検挙件数に占める国際宅配便利用の割合(構成比率57.1%)が高い。また、押収量についても、海上貨物の利用による大量密輸入事犯の検挙により、依然として高水準にある。こうした状況の背景には、我が国に根強い薬物需要が存在していることのほか、国際的なネットワークを有する薬物犯罪組織が、アジア・太平洋地域において覚醒剤の取引を活発化させていることがあるものと推認される。
  • 大麻密輸入事犯の検挙件数は72件と増加する中、密輸入事犯全体の検挙件数に占める郵便物及び国際宅配便利用の割合(構成比率93.1%)が高い。また、乾燥大麻は、総押収量に占める密輸入事犯での押収量が2.6%であるところ、電子たばこ用等の大麻濃縮物については、総押収量の82.4%を密輸入事犯で押収している。
  • 令和3年の人口10万人当たりの検挙人員は、20歳未満が1.7人、20歳代が8.5人、30歳代が13.2人、40歳代が14.1人、50歳以上が4.9人であり、最も多い年齢層は40歳代、次いで30歳代となっている
  • 大麻事犯の検挙人員は、平成26年以降増加が続き、令和3年も過去最多となった前年を上回る5,482人となった。このうち、電子たばこ用等の大麻濃縮物に関する検挙人員は573人と全体の10.5%を占める。また、大麻事犯の検挙人員のうち、暴力団構成員等は789人と検挙人員の14.4%、外国人は350人と検挙人員の6.4%を占めている。人口10万人当たりの検挙人員でみると、近年、50歳以上においては、横ばいで推移している一方、その他の年齢層においては増加傾向にあり、特に若年層による増加が顕著である。令和3年の人口10万人当たりの検挙人員は、20歳未満が14.9人、20歳代が23.6人、30歳代が7.1人、40歳代が2.8人、50歳以上が0.4人と30歳代を除いた全ての年齢層で増加した。最も多い年齢層は20歳代、次いで20歳未満となっており、かつ、この年齢層の増加が顕著である
  • 令和3年10月から同年11月までの間に大麻取締法違反(単純所持)で検挙された者のうち829人について、捜査の過程において明らかとなった大麻使用の経緯、動機、大麻の入手先を知った方法等は次のとおりである
    1. 大麻を初めて使用した年齢
      • 対象者が初めて大麻を使用した年齢は、20歳未満が47.0%、20歳代が36.2%と、30歳未満で83.2%を占める(最低年齢は12歳(5人))。
      • 初回使用年齢層の構成比を平成29年と比較すると、20歳未満が36.4%から47.0%に増加しており、若年層の中でも特に20歳未満での乱用拡大が懸念される。
    2. 大麻を初めて使用した経緯、動機
      • 大麻を初めて使用した経緯は、「誘われて」が最多であり、初めて使用した年齢が低いほど、誘われて使用する割合が高い。
      • 使用した動機については、いずれの年齢層でも「好奇心・興味本位」が最多で、特に30歳未満では過半数を占めた。次いで、30歳未満では「その場の雰囲気」が多く、「クラブ・音楽イベント等の高揚感」、「パーティー感覚」と合わせて、身近な環境に影響されて大麻を使用する傾向も顕著である。
      • 他方で、30歳以上では、「ストレス発散・現実逃避」や「多幸感・陶酔効果を求めて」が比較的多数を占めた。
    3. 大麻使用時の人数
      • 大麻使用時の人数については、年齢が低いほど、複数人で使用する割合が高く、このことからも30歳未満の乱用者の多くが身近な環境に影響されて大麻を使用する傾向がうかがわれる。
    4. 大麻の入手先(譲渡人)を知った方法
      • 検挙事実となった大麻の入手先(譲渡人)を知った方法は、30歳未満で「インターネット経由」が3分の1以上を占め、そのほとんどがSNS等の「コミュニティサイト」を利用していた。
      • 他方、「インターネット以外の方法」では、全ての年齢層で「友人・知人」から大麻を入手しているケースが半数程度に上り、30歳未満では半数を超える。
    5. 大麻に対する危険(有害)性の認識
      • 大麻に対する危険(有害)性の認識は、「なし(全くない・あまりない。)」が77.0%で、覚醒剤に対する危険(有害)性の認識と比較すると、引き続き、著しく低い。また、大麻に対する危険(有害)性を軽視する情報の入手先についても、引き続き、「友人・知人」や「インターネット」が多く、年齢層が低いほど「友人・知人」の占める割合が大きい。
  • 「令和2年における組織犯罪の情勢」に掲載した「大麻乱用者の実態」では、30歳未満の大麻乱用者の多くが身近な環境に影響されやすい傾向がうかがわれたが、令和3年も、初めて大麻を使用した経緯や動機、大麻使用時の状況、大麻の入手先、大麻の危険(有害)性に関する誤った認識の形成等多くの面で、身近な環境に影響されている実態が裏付けられた。また、大麻の入手や大麻の危険(有害)性に関する誤った認識の形成に関しては、SNS等のコミュニティサイトの利用がこれを助長している面もうかがわれた。
  • 昨年に引き続き、少年等若年層の周囲の環境を健全化させるための施策が求められるとともに、大麻を容易に入手できないように組織的な栽培・密売を厳正に取り締まり、SNS等における違法・有害情報の排除や大麻の危険(有害)性を正しく認識できるような広報啓発等を推進することが重要である。
  • 令和3年における銃器情勢の特徴としては、以下のことが挙げられる。
    • 銃器発砲事件数は10件と前年より減少した。
    • 拳銃押収丁数は、長期的に減少傾向にあるところ、令和3年は295丁で、このうち暴力団からの押収丁数は31丁と、いずれも前年より減少した。
  • 暴力団等によるものをはじめ、依然として平穏な市民生活に対する重大な脅威となる銃器発砲事件が発生しているほか、暴力団の組織防衛の強化による情報収集の困難化や、拳銃の隠匿方法の巧妙化がみられることから、暴力団の組織的管理に係る拳銃の摘発に重点を置いた取締りを強化することとしている。
  • 来日外国人犯罪の検挙件数・人員については、近年はほぼ横ばい状態で推移してきたが、令和3年は、前年に比べ、検挙件数・人員とも減少している。このような中、来日外国人による犯罪は、日本人によるものと比べて多人数で組織的に行われる傾向がうかがわれ、出身の国・地域別に組織化されている場合が多くみられる。令和3年中の来日外国人による刑法犯の検挙件数に占める共犯事件の割合は40.1%と、日本人(12.6%)の約3.2倍になっている。また、形態別にみると、2人組は16.5%、3人組は13.0%、4人組以上は4.0%となっている。罪種等別にみると、窃盗犯のうち、住宅対象の侵入窃盗では63.4%と、日本人(14.2%)の約4.5倍、万引きでは48.9%と、日本人(2.8%)の約17.5倍になっている
  • 来日外国人で構成される犯罪組織についてみると、出身国や地域別に組織化されているものがある一方で、より巧妙かつ効率的に犯罪を実行するため、様々な国籍の構成員が役割を分担するなど、構成員が多国籍化しているものもある。このほか、面識のない外国人同士がSNSを通じて連絡を取り合いながら犯行に及んだ例もみられる。
  • また、犯罪行為や被害の発生場所等の犯行関連場所についても、日本国内にとどまらず複数の国に及ぶものがある。特に近年は、他国で敢行された詐欺事件による詐取金の入金先口座として日本国内の銀行口座を利用し、詐取金入金後にこれを日本国内で引き出してマネー・ローンダリングを行うといった事例があるなど、世界的な展開がみられる。
  • 犯罪インフラとは、犯罪を助長し、又は容易にする基盤のことをいう。来日外国人で構成される犯罪組織が関与する犯罪インフラ事犯には、地下銀行による不正な送金、偽装結婚、偽装認知、不法就労助長、旅券・在留カード等偽造等がある。地下銀行は、不法滞在者等が犯罪収益等を海外に送金するために利用されている。また、偽装結婚、偽装認知及び不法就労助長は、在留資格の不正取得による不法滞在等の犯罪を助長しており、これを仲介して利益を得るブローカーや暴力団が関与するものがみられるほか、近年では、在留資格の不正取得や不法就労を目的とした難民認定制度の悪用が疑われる例も発生している。偽造された旅券・在留カード等は、身分偽装手段として利用されるほか、不法滞在者等に販売されることもある。
  • 犯罪インフラ事犯の検挙状況をみると、不法就労助長は、昨今の人手不足を背景とし、就労資格のない外国人を雇い入れるなどの事例が引き続きみられるが、検挙件数・人員は減少傾向で推移している。旅券・在留カード等偽造は、就労可能な在留資格を偽装するために利用されており、平成28年以降、増加傾向にあったが、令和3年は減少した。偽装結婚は、日本国内における継続的な就労等を目的に「日本人の配偶者等」等の在留資格を取得するための不正な手段であり、近年、減少傾向にあったところ、令和3年は増加した。地下銀行は、近年、検挙件数は10件前後で、偽装認知は3件前後で推移している
  • 来日ベトナム人犯罪と来日中国人犯罪の傾向
    • 近年の来日外国人犯罪の検挙状況において、ベトナムと中国の2か国で全体の5割以上を占める状況が続いている。
    • 令和3年におけるベトナムと中国の総検挙(刑法犯及び特別法犯の検挙をいう。以下同じ。)人員の割合は、ベトナム37.5%、中国21.6%(合計59.1%)となっており、刑法犯検挙人員ではベトナム34.2%、中国23.5%(合計57.7%)、特別法犯検挙人員ではベトナム41.1%、中国19.5%(合計60.6%)となっている。
      1. 来日ベトナム人及び来日中国人による犯罪の検挙人員
        • 来日ベトナム人の総検挙人員は、特別法犯の増加を受け、近年増加傾向にあったものの、令和3年は減少した。刑法犯の検挙人員は、近年、増減を繰り返しながらほぼ横ばいで推移していたが、令和3年は増加しており、特別法犯の検挙人員は令和2年まで増加傾向にあったものの、令和3年は減少した。
        • 来日中国人の検挙人員は、刑法犯及び特別法犯ともにやや減少傾向にあり、令和3年もその傾向が継続している。
      2. 来日ベトナム人と来日中国人の刑法犯の検挙状況
        • ベトナムは、窃盗犯の割合が最も高く、平成29年は68.5%を占めていたものの、その割合は徐々に下がり、令和3年は49.1%であった。近年は、凶悪犯、粗暴犯及び知能犯の検挙人員及び割合が増加傾向にある。
        • 中国は、窃盗犯がおおむね5割、粗暴犯がおおむね2割、知能犯がおおむね1割という傾向が継続している。
        • 令和3年の窃盗犯の内訳をみると、ベトナムでは万引きが約7割を占めている一方、中国では約5割となっており、侵入窃盗については、ベトナムが6.4%、中国が5.6%とほぼ同じ割合となっている。
      3. 来日ベトナム人と来日中国人の特別法犯の検挙状況
        • ベトナムは、近年、入管法違反が8割以上を占めていたが、令和3年は前年と比較して903人減少し、その割合も68.1%と減少した。一方、薬物事犯は、平成29年と比較すると154人増加しており、その割合も10.6%と増加している。
        • 中国については、入管法違反の割合が高く7割前後で推移していたが、令和3年の割合は62.8%と減少した。入管法以外の違反法令の割合について大きな変化はないが、ベトナムとの相違点として、中国は風適法違反及び売防法違反の検挙が一定程度みられる。
        • 令和3年の入管法違反の検挙人員についてみると、ベトナム、中国ともに約7割を不法残留が占めており、次いで偽造在留カード所持等となっている。
      4. 来日ベトナム人と来日中国人の在留資格別の検挙状況
        • 在留資格別の総検挙人員は、ベトナムでは技能実習と留学の占める割合が高い状況が継続しているが、令和3年の検挙人員はいずれも減少した。中国では、近年、技能実習と留学において減少が見られる一方で、短期滞在が増加する傾向にあったが、中国人旅行客の減少もあってか、令和2年に引き続き令和3年も減少した。
        • 在留資格別の刑法犯の検挙状況をみると、ベトナムでは技能実習と留学で約6割を占める一方、中国では技能実習と留学の割合がそれぞれ2割弱となっている。
        • 在留資格別の特別法犯の検挙状況をみると、ベトナムでは技能実習と留学で約7割を占める一方、中国では技能実習と短期滞在で約5割を占めている。
  • 令和3年中の来日外国人犯罪については
    • 総検挙状況、刑法犯検挙状況、特別法犯検挙状況のいずれをみても、前年との比較では、検挙件数・人員とも減少している。
    • 総検挙状況を国籍等別にみると、総検挙件数・人員ともベトナムと中国の2か国で全体の約6割を占めており、いずれもベトナムが最多となっている。
    • 総検挙人員10,677人の国籍等別の内訳は、ベトナム4,007人(構成比率37.5%)中国2,305人(同21.6%)、フィリピン695人(同6.5%)、ブラジル496人(同4.6%)、タイ389人(同3.6%)等となっている。
    • 総検挙人員10,677人の在留資格別の内訳は「技能実習」2,538人(構成比率23.8%)、「留学」1,515人(同14.2%)、「定住者」1,368人(同12.8%)、「短期滞在」1,193人(同11.2%)、「日本人の配偶者等」882人(同8.3%)等となっている。
    • 刑法犯の検挙件数が減少した要因としては、中国、韓国等による窃盗犯が減少したことが挙げられ、検挙人員が減少した主な要因としては、中国による窃盗犯が減少したことが挙げられる。
    • 特別法犯の検挙件数・人員が減少した主な要因としては、ベトナム、中国等による入管法違反が減少したことが挙げられる。
  • 罪種等別の刑法犯検挙件数を国籍等別にみると、強盗及び窃盗はベトナム及び中国が高い割合を占めている。窃盗を手口別にみると、侵入窃盗は中国及びベトナム、自動車盗はウガンダ及びブラジル、万引きはベトナムが高い割合を占めている。また、知能犯を罪種別にみると、詐欺は中国、支払用カード偽造はマレーシアが高い割合を占めている。

警察庁 令和3年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
  • 企業・団体等におけるランサムウェア被害として、令和3年に都道府県警察から警察庁に報告のあった件数は146件(令和3年上半期61件、下半期85件)であり、前年下半期(21件)以降、右肩上がりで増加した。
  • 二重恐喝(ダブルエクストーション)による被害が多くを占める:被害件数(146件)のうち、警察として金銭の要求手口を確認できた被害は97件あり、このうち、二重恐喝の手口によるものは82件で85%を占めている。
  • 暗号資産による金銭の要求が多くを占める:被害件数(146件)のうち、直接的に金銭の要求があった被害は45件あり、このうち、暗号資産による支払いの要求は41件で91%を占めている。
  • 企業・団体等の規模を問わず被害が発生:被害件数(146件)の内訳を被害企業・団体等の規模別*3 にみると、大企業は49件、中小企業は79件であり、その規模を問わず、被害が発生している。
  • 復旧に要した期間について質問したところ、108件の有効な回答があり、このうち、1週間以内に復旧したものが32件と最も多かったが、復旧に2か月以上要したものもあった。また、ランサムウェア被害に関連して要した調査・復旧費用の総額について質問したところ、97件の有効な回答があり、このうち、1,000万円以上の費用を要したものが42件で43%を占めている。
  • ランサムウェアの感染経路について質問したところ、76件の有効な回答があり、このうち、VPN機器からの侵入が41件で54%、リモートデスクトップからの侵入が15件で20%を占めており、テレワークにも利用される機器等のぜい弱性や強度の弱い認証情報等を利用して侵入したと考えられるものが大半を占めている。
  • 警察では、ダークウェブ上のサイトを観測しており、令和3年において、ランサムウェアによって流出した情報等を掲載しているリークサイトに、日本国内の事業者等の情報が掲載されたことを確認した。掲載されている情報には、財務情報や関係者、消費者等の情報が含まれ、会社の評判を落とすなどといった記載がある。
  • テレワークを実施していると回答した企業・団体等は全体(716件)の70.5%を占め、このうち、新型コロナウイルス感染症の拡大により、新たにテレワークを開始したと回答した企業・団体等が7割以上を占めている。テレワークの実施等により、業務上、外部から社内ネットワークへの接続を許可している企業・団体の割合は全体(716件)の63.4%を占めており、年々増加している。
  • 令和3年中におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯による被害は、犯行手口等の関係機関との迅速な情報共有等の取組を進めたところ、発生件数584件、被害総額約8億2,000万円と、前年と比べて発生件数、被害額ともに減少した。
  • インターネットバンキングに係る不正送金事犯は、令和元年に、SMS等を用いて金融機関を装ったフィッシングサイトへ誘導する手口が急増し、ID・パスワード、ワンタイムパスワード等が窃取され、金融機関のインターネットバンキングから不正送金される被害等が多発し、同年には、発生件数1,872件、被害額約25億2,100万円に達した。こうした情勢を踏まえ、金融機関では、警察、JC3等と緊密に連携し、モニタリングの強化、利用者への注意喚起などといった諸対策を推進した結果、フィッシングを主な手口とするインターネットバンキングに係る不正送金事犯は、令和3年まで発生件数、被害額ともに減少した。他方、フィッシング対策協議会によれば、令和3年のフィッシング報告件数は52万6,504件と、一貫して増加傾向にあるほか、JC3の分析結果によれば、令和3年に観測したフィッシングサイトは、銀行を装ったものの割合は少なく、インターネット通信販売サイト等のeコマースや、通信事業者、クレジットカード事業者を装ったものが多くを占めている。
  • 一般社団法人日本クレジット協会によれば、令和3年1月から9月までの間における番号盗用型のクレジットカード不正利用被害額は約223億9,000万円と、既に令和2年中の不正利用被害額を超えている
  • JC3では、クレジットカード不正利用が増加した要因の一つとして、クレジットカード情報を窃取するフィッシングサイトの存在を指摘しており、犯罪者らが、官民連携により対策が強化された金融機関から、eコマースやクレジットカード事業者にフィッシングの標的を移していることがうかがわれる。
  • 令和元年12月に発生した不正送金事犯を端緒として、令和2年6月から令和3年10月までに、口座売買組織の犯行指示役、口座譲渡者等7名を検挙した。被害金融機関に対し、口座開設時の開設目的の確認や犯罪に利用された口座の凍結を依頼するなどの犯行ツール対策を行った。
  • 警察庁では、インターネット上にセンサーを設置し、当該センサーに対して送られてくる通信パケット*12 を収集している。このセンサーは、外部に対して何らサービスを提供していないため、本来であれば外部から通信パケットが送られてくることはないが、攻撃者が攻撃対象を探索する場合等に、不特定多数のIPアドレスに対して無差別に送信される通信パケットを観測することができる。この通信パケットを分析することで、インターネットに接続された各種機器のぜい弱性の探索行為やそれらを悪用した攻撃、不正プログラムに感染したコンピュータの動向等、インターネット上で発生している各種事象を把握することができる。令和3年に本システムにおいて検知したアクセス件数は、1日・1IPアドレス当たり7,335.0件と増加傾向にある。アクセス件数が増加傾向にあるのは、IoT機器の普及により攻撃対象が増加していること、技術の進歩により攻撃手法が高度化していることなどが背景にあるものとみられる。
  • 検知したアクセスの送信元の国・地域に着目すると、過去5年において、海外を送信元とするアクセス件数が全アクセス件数に対して、高い割合を占めている。令和3年においては、国内を送信元とするアクセス件数は1日当たり33.3件で、前年の61.9件から減少する中、海外を送信元とするアクセス件数は7,301.6件で、前年の6,444.6件から大きく増加しており、海外からの脅威への対処がこれまでに引き続き重要となっている。
  • 令和3年のMiraiボットの特徴を有するアクセス件数は1日・1IPアドレス当たり257.3件で、前年(461.7件)よりも減少していることが確認されている。一方で、国内を送信元とするMiraiボットの特徴を有するアクセスに注目すると、令和2年には1日・1IPアドレス当たり2.8件だったアクセス件数が令和3年には3.6件に増加している。国内を送信元とするアクセス件数の総数が前年と比較して減少している中、Miraiボットの特徴を有するアクセスはむしろ増加していることから、ぜい弱性を持つIoT機器等が国内に一定数存在し、Miraiボットに感染した後に他のIоT機器等に二次感染活動を行っている状況が継続していることがうかがえる。
    • 2月上旬から、海外製ルータのぜい弱性を悪用し、不正プログラムの感染拡大を狙ったとみられる宛先ポート37215/TCPに対するアクセスの増加を観測。
    • 5月下旬から、海外製ビデオレコーダ等において遠隔から任意の操作が可能となるぜい弱性を探索したものとみられる宛先ポート9530/TCPに対するアクセスの増加を観測。
    • 9月下旬から、ネットワーク機器等のぜい弱性を標的としたとみられる宛先ポート23/TCPに対するアクセスの増加を観測。
  • Javaライブラリ「Apache Log4j」はApache Software Foundationがオープンソースで開発しているJava言語用のログ出力ライブラリであり、Java言語で開発された多数のソフトウェアにおいて、サーバのログの記録や管理に使用されている。12月10日に「Apache Log4j」のぜい弱性が公表されたことを契機とし、同ぜい弱性を標的としたアクセスの急増を観測した。これは、「Apache Log4j」を使用してログの記録を行うソフトウェアに対して、遠隔の第三者が細工した文字列を送信し、その文字列がログに記録されることで、外部から第三者による任意の操作が可能となるぜい弱性を標的とした攻撃が行われたとみられる。
  • 令和3年中における検挙件数は12,209件と、前年と比べて増加した。令和3年中における不正アクセス禁止法違反の検挙件数は429件と、前年と比べて減少した。検挙件数のうち、398件が識別符号窃用型*15 で全体の92.8%を占めている。識別符号窃用型の不正アクセス行為に係る手口では、「利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んで入手」が153件と最も多く、全体の38.4%を占めており、次いで「フィッシングサイトにより入手」が70件で全体の17.6%を占めている。識別符号窃用型の不正アクセス行為に係る被疑者が不正に利用したサービスは、「オンラインゲーム・コミュニティサイト」が144件と最も多く、全体の36.2%を占めており、次いで「インターネットバンキング」が96件で全体の24.1%を占めている。
  • 令和3年中におけるコンピュータ・電磁的記録対象犯罪の検挙件数は729件で、前年と比べて増加した。検挙件数のうち、電子計算機使用詐欺が692件と最も多く、全体の94.9%を占めている

警察庁 令和4年2月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和4年1~2月の特殊詐欺全体の認知件数は2,147件(前年同期1,837件、前年同期比+16.8%)、被害総額は44.2憶円(36.7憶円、+20.4%)、検挙件数は778件(939件、▲17.1%)、検挙人数は300人(292人、+2.7%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は443件(368件、+20.4%)、被害総額は13.4憶円(10.3憶円、+30.0%)、検挙件数は206件(170件、+21.1%)、検挙人数は115人(75人、+53.3%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は317件(453件、▲30.0%)、被害総額は3.3憶円(6.5憶円、▲49.4%)、検挙件数は191件(385件、▲50.4%)、検挙人数は83人(109人、▲23.9%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は404件(234件、+72.6%)、被害総額は14.2憶円(9.3憶円、+52.7%)、検挙件数は17件(44件、▲61.4%)、検挙人数は16人(21人、▲23.8%)
  • 還付金詐欺の認知件数は542件(414件、+30.9%)、被害総額は5.8憶円(4.6憶円、+26.1%)、検挙件数は79件(64件、+23.4%)、検挙人数は17人(20人、▲15.0%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は13件(33件、▲60.1%)、被害総額は0.2憶円(0.6憶円、▲59.6%)、検挙件数は1件(1件、±0%)、検挙人数は1人(0人)
  • 金融商品詐欺の認知件数は3件(7件、▲57.1%)、被害総額は0.5憶円(0.5憶円、+2.4%)、検挙件数は0件(2件)、検挙人数は1人(2人、▲50.0%)
  • ギャンブル詐欺の認知件数は7件(12件、▲41.7%)、被害総額は1.4憶円(0.2憶円、+457.7%)、検挙件数は2件(0件)、検挙人数は0人(0人)
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は408件(312件、+30.8%)、被害総額は5.5憶円(4.8憶円、+16.1%)、検挙件数は281件(269件、+4.5%)検挙人数は63人(64人、▲1.6%)
  • 口座開設詐欺の検挙件数は138件(90件、+53.3%)、盗品譲受け等の検挙件数「は0件(1件)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は482件(311件、+55.0%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は21件(30件、▲30.0%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は1件(6件、▲83.3%)、組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は26件(20件、30.0%)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体では60歳以上90.0%、70歳以上71.2%、男性25.1%・女性74.9%、オレオレ詐欺では60歳以上97.5%、70歳以上95.0%、男性19.4%・女性80.6%、融資保証金詐欺では60歳以上9.1%、70歳以上0%、男性90.9%・女性9.1%など。殊詐欺被害者全体に占める65歳以上の高齢被害者の割合について、特殊詐欺 86.5%(男性22.2%・女性77.8%)、オレオレ詐欺 96.6%(19.2%・80.8%)、預貯金詐欺 98.4%(1.9%・88.1%)、架空料金請求詐欺 48.8%(58.4%・41.6%)、還付金詐欺 93.8%(24.5%・75.5%)、融資保証金詐欺 0.0%、金融商品詐欺 33.3%(0.0%・100.0%)、ギャンブル詐欺 42.9%(100.0%・0.0%)、交際あっせん詐欺 0.0%、その他の特殊詐欺 33.3%(100.0%・0.0%)、キャッシュカード詐欺盗 98.8%(11.9%・88.1%)

【法務省】

※現在、該当の記事はありません。

【消費者庁】

【2022年6月】

消費者庁 令和3年度 特定保健用食品の疾病リスク低減表示に係る調査・検討事業 調査報告書
  • 口腔内の健康維持を目的とした製品を販売している事業者は26.5%(18事業者)、販売していないが開発中の事業者は14.7%であった。販売中の18事業者のうち、保健機能食品としての販売をしている事業者は11.1%(2/18事業者)と少なく、いずれも特定保健用食品としての販売であり、今後も継続して販売すると回答があった。一方、機能性表示食品として販売をしている事業者はいなかった。Q4の設問で、口腔内の健康維持を目的とした製品を販売していないと回答した40事業者のうち55%の事業者で口腔内の健康維持を目的とした製品の開発に興味があった
  • Q4の設問で、口腔内の健康維持を目的とした製品を販売中又は開発中と回答した28事業者のうち、60.7%の事業者がう蝕に対する疾病リスク低減トクホの申請をしたいと思うと回答した。
  • Q4の設問で、口腔内の健康維持を目的とした製品を販売中又は開発中と回答した28事業者のうち、39.3%の事業者がう蝕に対する疾病リスク低減トクホの申請をしたいと思わない又はどちらともいえないと回答したが、その理由としては、該当製品がない(4件)、う蝕に対する疾病リスク低減トクホの必要性に対する疑問(2件)、その他(4件)であった。事業者の疾病リスク低減トクホの必要性に対する疑問は、フッ素入り歯磨き粉の使用で十分、う蝕に対する疾病リスク低減のメリットが分からない、といった意見があった。
  • Q4の設問で、口腔内の健康維持を目的とした製品を開発中又は販売していないと回答した50事業者のうち、50.0%の事業者で口腔関連の疾病リスク低減トクホとして開発したい疾病ありと回答があり、主に歯周病を開発対象としたいと回答があった。
  • 葉酸含有製品を販売している事業者は26.5%(18事業者)であった。このうち、栄養機能食品として販売をしている事業者は66.7%(12/18事業者)と多く、一方で、特定保健用食品として販売をしている事業者はいなかった。
  • Q14の設問で、葉酸含有製品を販売中又は開発中と回答した20事業者のうち55%の事業者でコストを、35%の事業者でメリットを感じないことを理由に疾病リスク低減トクホとして申請しないと回答した。(Q16)その他の理由として、例えば、葉酸の栄養素摂取が目的でないため疾病リスク低減トクホとして申請しないと回答があった。
  • Q14の設問で、葉酸含有製品を販売中又は開発中と回答した20事業者、及びQ18の設問で葉酸含有製品の開発に興味ありと回答した12業者の計32事業者に対し尋ねた。
  • 「神経管閉鎖障害予防のため、葉酸は妊娠1カ月以上前から妊娠3カ月まで摂取することが推奨されていますが、知っていましたか。」の質問に対して、32事業者のうち、96.9%の事業者で知っていると回答があった。
  • 葉酸における疾病リスク低減トクホの許可文言については、32事業者のうち、71.9%の事業者で知っていると回答があったが、この許可文言を表示した疾病リスク低減トクホを申請したいという事業者は21.9%と少数であった。
  • 一方、葉酸における栄養機能食品の許可文言については、全ての事業者で知っていると回答があり、この許可文言を表示した栄養機能食品を「販売したい」又は「表示していないが今後したいと思う」と回答した事業者の合計は71.9%であった。
  • この許可文言を表示した栄養機能食品を販売したくない9事業者から、その理由としては、表示が長く消費者に分かりづらい(1件)、栄養機能食品の表示は一律であり他社との差別化が困難(1件)、購買層が限定される(1件)といった回答があった。
  • Q4の設問で、販売中又は開発中と回答した事業者、及びQ7の設問で開発に興味ありと回答した計50事業者に対し尋ねた。
  • 「消費者のトクホの利用状況を考慮した上で、適切かつ継続利用が可能な疾病リスク低減トクホの製品設計は可能ですか。」の質問に対して、34.0%の事業者が可能と回答した。
  • 適切かつ継続利用が可能な疾病リスク低減トクホの製品設計が可能でないと回答した6事業者から、その理由としては、設備はない(1件)、消費者が適切な摂取量を遵守できるとは言い切れない(1件)といった回答があった。どちらともいえないと回答
  • した27事業者から、その理由としては、コスト(5件)、、製品設計だけではなく消費者側の活用や意識が大事である(8件)といった回答があった。
  • Q14の設問で、販売中又は開発中と回答した事業者、及びQ18の設問で開発に興味ありと回答した計32事業者に対し尋ねた。
  • 「消費者のトクホの利用状況を考慮した上で、適切かつ継続利用が可能な疾病リスク低減トクホの製品設計は可能ですか。」の質問に対して、34.4%の事業者が可能と回答した。
  • 適切かつ継続利用が可能な疾病リスク低減トクホの製品設計が可能でないと回答した5事業者から、その理由としては、製品設計だけではなく消費者側の活用や意識が大事(3件)といった回答があった。どちらともいえないと回答した16事業者から、理
  • 由として、製品設計だけではなく消費者側の活用や意識が大事(5件)、コスト(3件)、訴求内容が消費者に理解されるかが分からない(1件)といった回答があった。
  • 全事業者に対して、疾病リスク低減トクホでの柔軟な許可表示に対するニーズを尋ねたところ、既存若しくは新規製品を申請したいと回答した事業者は38.2%であった。
  • 既存若しくは新規製品を申請しないと回答した18事業者から、その理由としては、該当製品がない(5件)、興味がない(2件)、事業戦略との不一致(2件)といった回答があった。どちらともいえないと回答した理由として、コスト(8件)、柔軟な許可表示の内容次第(4件)といった回答があった。
  • 全事業者に対して、疾病リスク低減トクホ制度の必要性を尋ねたところ、必要と回答した事業者は75.0%であった。
  • 必要であると回答した51事業者から、その理由としては、疾病予防(12件)、消費者のメリット(7件)、医療費削減(5件)といった回答があった。一方、不要であると回答した17事業者から、その理由としては、機能性表示食品制度への期待(5件)、消費者にとって複数あるカテゴリの違いが分かりにくい(3件)といった回答があった
  • 全事業者に対して、誰が消費者教育を主導すべきかを尋ねたところ、77.9%の事業者で、国と回答があった。次いで、企業(47.1%)、教育機関(38.2%)、医療機関(38.2%)と回答があった
  • 全事業者に対して、アドバイザリースタッフを知っているか尋ねたところ、52.9%の事業者で知っていると回答があった。
  • 全事業者に対して、『健康食品』の安全性・有効性情報」サイトを知っているか尋ねたところ、55.9%の事業者で知っていると回答があった。さらに、33.8%の事業者で実際に使用していると回答があった。

消費者庁 株式会社あきんどスシローに対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 本件料理
    • あきんどスシローは、本件料理(1)の材料であるうにの在庫が本件企画(1)実施期間の途中に足りなくなる可能性があると判断したため、令和3年9月13日に、同月14日から同月17日までの4日間は本件店舗における本件料理(1)の提供を停止することを決定し、本件店舗の店長等に対しその旨周知し、その後、前記決定に基づき、別表1-1「店舗名」欄記載の各店舗において、同表「終日提供されなかった日」欄記載の日に本件料理(1)を提供しなかった(令和3年9月14日から同月17日までの期間において、本件料理(1)を終日提供しなかった日がある店舗は別表1-1「店舗名」欄記載の583店舗である)。
  • 本件料理(2)
    • あきんどスシローは、本件料理(2)の材料であるうにの在庫が本件企画(2)の実施期間の途中に足りなくなる可能性があると判断したため、令和3年9月13日に、同月18日から同月20日までの3日間は本件店舗における本件料理(2)の提供を停止することを決定し、本件店舗の店長等に対しその旨周知し、その後、前記決定に基づき、別表1-2「店舗名」欄記載の各店舗において、同表「終日提供されなかった日」欄記載の日に本件料理(2)を提供しなかった(令和3年9月18日から同月20日までの期間において、本件料理(2)を終日提供しなかった日がある店舗は別表1-2「店舗名」欄記載の540店舗である)。
  • 本件料理(3)
    • あきんどスシローは、別表1-3「店舗名」欄記載の各店舗において、同表「終日提供されなかった日」欄記載の日に、本件料理(3)を提供するための準備をしておらず、取引に応じることができないものであった(令和3年11月26日から同年12月12日までの期間において、本件料理(3)を終日提供しなかった日がある店舗は別表1-3「店舗名」欄記載の583店舗である)。
  • 命令の概要
    • 前記の各表示は、それぞれ、上記のとおりであって、合理的理由がないのに実際には取引する意思がない場合の本件料理(1)若しくは本件料理(2)についての表示又は取引を行うための準備がなされていない場合の本件料理(3)についての表示であり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
    • 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
    • 今後、同様の表示を行わないこと。

消費者庁 食品表示の適正化に向けた取組について
  • 消費者庁は、食品衛生の監視指導の強化が求められる夏期において、食品の表示・広告の適正化を図るため、都道府県等と連携し、食品表示法等の規定に基づき下記の取組を実施することとしましたので、お知らせいたします。
    1. 基本方針
      • 不適切な食品の表示に対しては、消費者庁が横断的に取締りを行いつつ、地方出先機関を有し、監視業務についてのノウハウを有する農林水産省及び財務省並びに都道府県・保健所等が相互に連携し、食品表示の関係法令の規定に基づき効果的・効率的な取締りの執行体制を確保しているところです。
      • このような体制の下、食品衛生の監視指導の強化が求められる夏期においては、次のとおり、食品表示の重点事項について、取締り等を行うこととしました。
    2. 夏期一斉取締りの実施について
      • 国及び都道府県等においては、食品衛生の監視指導の強化が求められる夏期において、食中毒などの健康被害の発生を防止するため、従来から食品衛生の監視指導を強化してきたところですが、例年どおり、この時期に合わせ、食品等の表示の信頼性を確保する観点から、食品表示の衛生・保健事項に係る取締りの強化を全国一斉に実施します。
        1. 実施時期:令和4年7月1日から同月31日まで
        2. 主な監視指導事項
          • アレルゲン、期限表示等の衛生・保健事項に関する表示
          • 保健機能食品を含めた健康食品に関する表示
          • 生食用食肉、遺伝子組換え食品等に関する表示
          • 道の駅や産地直売所、業務用加工食品に関する表示
          • 食品表示基準に基づく表示方法の普及・啓発
  • 表示の適正化等に向けた重点的な取組について
    • 国及び都道府県等においては、食品表示の適正化を図るため、従来から食品表示法や景品表示法等に基づく各種通知やガイドライン等により、監視指導を実施してきたところです。
    • 近年、日本で発生している細菌性食中毒の中で、カンピロバクター食中毒の発生件数が最も多いこと、原料原産地表示制度が完全施行されたことなどを踏まえ、夏期一斉取締りに当たっては、改めて、次のとおり監視指導及び啓発活動を実施します。
      1. カンピロバクター食中毒対策の推進について
        • 近年、日本で発生している細菌性食中毒の中で、カンピロバクター食中毒の発生件数が最も多いこと、及び「食品健康影響評価のためのリスクプロファイル~ 鶏肉等における Campylobacter jejuni/coli ~(改訂版)」(令和3年6月、内閣府食品安全委員会公表)において、「加熱用」等の表示に係る情報伝達の重要性等が示されていることなどに鑑み、カンピロバクター食中毒の予防対策について、引き続き、加熱が必要な旨の確実な情報伝達等により、加熱用の鶏肉等が生食又は加熱不十分で提供されることのないよう、別添の啓発パンフレット等を活用し、食品衛生部局と連携しつつ、食品関連事業者等への周知啓発を図る。
      2. 食中毒等の健康被害発生時の連携について
        • 食中毒等の健康被害事案に関連し、原産地表示等の食品表示法の規定に係る遡及確認等が生じた場合には、被害拡大及び再発防止の観点から、速やかに関係部署及び関係機関が連携して調査等を実施する。
      3. 原料原産地表示制度の普及啓発の協力依頼について
        • 令和4年4月から完全施行された、全ての加工食品を対象とした食品表示基準に基づく原料原産地表示制度について、適切な表示により消費者の自主的かつ合理的な食品の選択の機会を確保する観点から、原料原産地表示制度に関する中小企業向けマニュアル(https://www.caa.go.jp/policies/policy/local_cooperation/local_consumer_administration/advancedmodel/assets/cms_local201_220427_4-2.pdf)等を活用し、関係部署及び関係機関が連携して、食品関連事業者等への積極的な普及啓発を図る。

消費者庁 令和3年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業 報告書
  • 原因食物は鶏卵が最も多く33.4%(2,028例)を占めた。以下、牛乳が18.6%(1,131例)、木の実類が13.5%(819例)であった。前回の調査まで原因食物の上位3品目は鶏卵・牛乳・小麦であったが、今回の調査では木の実類の割合が増加し、第3位となった(前回8.2%、第4位)。落花生までの上位5品目で80.4%を占め、さらに、魚卵、果実類、甲殻類、魚類、大豆、ソバと続いた。
  • 木の実類の内訳を表1に示す。クルミが463例(木の実類の56.5%)で最も多く、全体に対する割合は7.6%で、落花生の6.1%より上位であった。次いで、カシューナッツが174例(木の実類の21.2%)、マカダミアナッツ45例(木の実類の5.5%)が上位3品目であった。その他は、アーモンド、ピスタチオ、ペカンナッツ、ヘーゼルナッツ、ココナッツ、カカオ、クリ、松の実の報告があった。
  • 各年齢群において5%以上占める食物について、0歳群は鶏卵、牛乳、小麦で96.2%を占めた。1・2歳群から7-17歳群までは、鶏卵、牛乳、木の実が上位3品目を占めた。鶏卵・牛乳の占有率は加齢に伴い低下傾向にあり、0歳群では85.3%であったが、7-17歳群31.3%であった。木の実類は、1・2歳群で3位(15.4%)、3-6歳群で1位(27.8%)、7-17歳群で2位(16.9%)であった。18歳以上群では、小麦、甲殻類、果物類の順であった。各年齢群において5%以上の頻度の原因食物が全体に占める割合は、0歳群は96.2%を占めるが、加齢とともに漸減し、18歳以上群では67.8%まで低下した。
  • 誤食例の原因食物は0歳群、1・2歳群は鶏卵、牛乳、小麦が上位3品目を占めていた。3-6歳群、7-17歳群は牛乳、鶏卵、木の実類、18歳以上群は小麦、甲殻類、鶏卵・果物類・牛乳・木の実類の順であった。小麦は7-17歳群で誤食例としての割合は一時低くなったが、18歳以上群で1位(25.9%)と再び高くなっていた。木の実類は3-6歳群で3位(13.2%)、7-17歳群で3位(14.9%)、18歳以上群で3位(6.5%)で、幼児期(1-6歳)以降に割合が高くなった。落花生は3-6歳群で5位(11.4%)、7-17歳群で4位(12.7%)であったが、18歳以上群では7位(5.2%)であった。甲殻類は18歳以上群でのみ認められ、2位(18.1%)であった
  • 皮膚症状が85.2%(5,182例)、呼吸器症状が36.4%(2,216例)、消化器症状が30.8%(1,870例)、粘膜症状が30.5%(1,853例)、ショック症状が10.9%(660例)であった。
  • ショック症状を認めた660例(10.9%)において、年齢は中央値3歳、最高齢は92歳であった。最頻値は0歳群152例であった。年齢群別のショック率は、0歳群が8.1%、1・2歳群が8.2%、3-6歳群が13.0%、7-17歳群が12.1%、18歳以上群が24.6%で、18歳以上群の発症率が高かった。初発でショック症状を引き起こした症例は357例(54.1%)であった。
  • ショック症状を引き起こした原因食物の上位3品目はこれまで鶏卵、牛乳、小麦であったが、木の実類の割合が増加し、第3位となった(前回12.8%、第4位)。木の実類の内訳を表5に示す。クルミは58例(8.8%)で最も多く、全体に対する割合は落花生7.0%より上位であった。次いで、カシューナッツが30例(4.5%)であった。即時型食物アレルギーの原因食物として20例以上報告のあった食物でショック症状発生頻度が高かった上位5品目は、ピスタチオ27.3%(6/22例)、アーモンド20.6%(7/34例)、小麦18.4%(98/533例)、カシューナッツ17.2%(30/174例)、牛乳12.7%(144/1,131例)であり、木の実類のショック発生頻度が高かった。一方でカニ4.8%(2/42例)、リンゴ5.0%(1/20例)、イクラ6.7%(20/300例)、バナナ6.9%(2/29例)、鶏卵7.7%(156/2,028例)は低かった。ショック症状を認めた症例のその他の出現症状は、皮膚症状が84.8%、呼吸器症状が53.2%、粘膜症状が30.8%、消化器症状が48.6%であった。全体と比べて、ショック症例の呼吸器症状及び消化器症状の出現率が明らかに高かった。
  • 即時型症例6,080例において、特定原材料7品目によるものは71.3%(4,332例)を占め、特定原材料等21品目によるものを含めると93.4%(5,676例)を占めた。ショック症例660例において、特定原材料7品目によるものは70.8%(467例)、特定原材料等21品目によるものを含めると92.9%(613例)を占めた。これら特定原材料及び準ずるものの原因食物のカバー率はこれまでの報告と比較して変化していない。また、前回・前々回に引き続き、まつたけの症例報告はなかった。その他、前回に引き続き報告が少なかった品目はゼラチン(前回1例・今回1例)、アワビ(同4例・1例)、鶏肉(同3例・4例)、豚肉(同1例・4例*)、牛肉(同3例・5例*)であった(*「牛肉・豚肉」2例を重複計上)。
  • 全体の35.8%が誤食による症状誘発であり、これまでの調査と同様に引き続き高い割合を示した。誤食例の中で“表示ミス”による健康被害は7.0%に認められた。食品表示法で食物アレルギー表示が管理されているにも関わらず“表示ミス”による誤食は経年的に減少していない。本調査からそれらの要因について明らかにすることはできないため、引き続き違反事例及び自主回収事例に関する情報並びに行政による監視の結果に関する情報の収集に努める必要があると考える。食品製造及び販売会社における徹底した管理が、食物アレルギー患者が安心して生活できる社会へと繋がる。また食物アレルギー表示を正しく理解し、安全に食品を購入できるように、医師や管理栄養士などへの啓発は引き続き必要である。
  • 2020年の調査では、全体の症例数及び原因食物における木の実類の増加傾向が顕著であった。新規発症による症例の増加(初発例の比率は2017年57.8%→2020年64.2%)を認めており、食物アレルギーの有病率が増加している可能性はあるが、食物アレルギーに関する一般の人の関心の高さ、診療レベルの向上、本研究の反復性による協力の得られやすさ等、種々の要因が考えられる。そのため本調査から特定の要因を判断することは難しい。また、前回調査から引き続きクルミを筆頭に木の実類の即時型食物アレルギーの健康被害は増加していることが明らかになった。国民の健康を守るため、誤食症例の発症を予防するための施策が求められ、アナフィラキシー対応の一貫として加工食品の食物アレルギー表示の制度の更なる充実が必要である。

消費者庁 消費者意識基本調査 令和3年度実施(令和3年11月調査)
▼「令和3年度消費者意識基本調査」の結果の概要
  • 消費者庁は「令和3年度消費者意識基本調査」を実施し、全国の満15歳以上の消費者1万人に対し、日頃の消費生活での意識や行動、消費者事故・トラブルの経験等を中心に、アンケート調査を行いました(有効回収率:54.9%)。主な結果は令和4年版消費者白書に反映させていますが、ここでは、紙幅の関係で白書で取り上げることのできなかった結果のうち、特徴的なものを紹介します。
  • 調査結果のポイント
    1. 高齢層は消費者トラブルへの不安を感じている割合が低く、被害発生率は他の世代と同程度である一方、被害金額が大きい
      • 高齢層は消費者被害・トラブルへの不安を感じている割合が低いが(全世代66.1%、70歳代52.9%、80歳以上49.9%)、消費者被害の発生率は他の世代とほぼ変わらない(全世代16.9%、70歳代18.3%、80歳以上15.2%)。
      • 一方、消費者被害に遭った際の「商品・サービスの金額」は、全世代の平均が約10.0万円であるのに対し、70歳代は約14.0万円、80歳以上は約23.6万円と高い。なお、高齢層は、住宅リフォームを含む「工事・建築」に関する消費生活相談が他の世代より多い。
    2. SNSの利用比率は、高齢層でも低くない。
      • 若年層の9割以上がSNSを利用している。さらに、約4割が1日に3時間以上利用しており、利用比率、利用時間とも高い水準にある。一方、60歳代でも過半数が、70歳代でも5人に1人がSNSを利用しており、高齢層のSNSの利用比率は低くない。ただし、1日の利用時間は若年層よりかなり短い
    3. 困っていることや心配事の相談先として重視されているのは「親」、「家族」、「友人・知人」。若年層は、SNSも相談先として考えている。
      • いずれの世代でも、困っていることや心配事の相談先として、家族や親、友人・知人を挙げる人が多い(親64.2%、家族87.4%、友人・知人73.0%)。若年層では、特に親や友人・知人を挙げる人の割合が高い(親:10歳代後半95.4%、20歳代95.6%、友人・知人:10歳代後半91.3%、20歳代86.6%)。
      • 一方、SNS上のフォロワー等を相談先と考えている人は少ないが(8.2%)、若年層では相談先と考えている人が比較的多い(10歳代後半25.8%、20歳代24.1%)。
    4. その他のポイント
      • お金のかけ方について、「食べること」に現在も今後もお金をかけたいと考えている人が多い(48.6%)。また、「旅行」に今後もお金をかけたいと考える人が多い一方(38.9%)、「ファッション」、「通信(電話、インターネット等)」、「車」への支出を減らしていきたいと考えている人が多い(ファッション46.2%、通信44.5%、車43.0%)。このほか、好きなことにお金を惜しまず使う考えの人も多い(42.8%)。
      • 買物をする際、同じ店舗やサイトを利用する人は56.6%であり、消費者は同じ店舗やサイトを利用する傾向が強い(どちらともいえない22.1%、当てはまらない18.8%、無回答2.4%)。
      • サブスクリプションサービスの利用率は、全世代で26.9%だが、20歳代で65.3%、30歳代で53.8%と、若年層の利用率が高い。また、フリーマーケットサービスやオークションサイトで購入した経験がある人は38.4%に対して、不用品等を売却した経験がある人は22.9%にとどまり、CtoC市場への参加方法には個人差がある。
  • 消費者庁 若者の除毛剤による皮膚障害に注意!- 顔面には使用しないで!使用方法とともに、契約内容も必ず確認を! –
    • 全国の消費生活センター等に寄せられた情報によると、15-19歳男性の除毛剤等に関する相談が、若者の商品・サービス別相談件数のランキングで、令和元年、2年ともにトップになっています。
    • 除毛剤等に関する相談のうち、危害情報については、被害者の年代別で見ると、全年代に占める10歳代、20歳代の割合が、平成29年度の約3割から令和2年度以降は6割を超え、若い世代が中心となってきています。
    • 除毛剤は、化学的作用により手足やわきの下などの体毛を取り除くものであり、人によってはまれに皮膚に炎症を起こすことがあります。
    • 除毛剤を購入・使用する際は以下の点に注意しましょう。
      • 除毛剤は医薬部外品です。顔面には使用できないなど用法・用量や使用上の注意をよく確認し、正しく使用しましょう
      • まずは1回分を購入し、使用前にテストをして自分の肌に合うかどうか確認してから使用しましょう
      • 肌に異常が生じた場合は直ちに使用を中止し、症状がひどい場合などは皮膚科医を受診しましょう
      • 特に通信販売で除毛剤を購入する場合は、1回限りか、2回目からはいくらか、解約の方法など契約内容を必ず確認しましょう
      • なお、特定商取引法の改正により、令和4年6月1日から、通信販売の注文時に内容を確認する際の表示がより明確になりますが、今後も、通信販売の契約内容をよく確認してから購入するようにしましょう。
      • 除毛剤等を使って異常が生じた場合や定期購入の解約など困った場合等は「消費者ホットライン」188(いやや)に電話して相談しましょう。

    消費者庁 第1回取引デジタルプラットフォーム官民協議会(2022年6月2日)
    ▼資料5-1 事務局説明資料
    • 電子商取引市場の動向
      • 物販系分野を中心に、市場規模は拡大傾向
    • インターネット通販に関する相談の動向
      • 2020年と比較して2021年の相談件数は減少しているが、依然として多くの相談がある。
      • 2020年と2021年は、「商品」に関する相談が約3分の2を占めている。
      • 商品未着・連絡不能等のトラブルも減少しているが、被服品、保健衛生品等で依然としてトラブルが発生。
      • 定期購入に関する相談件数は減少。
      • 商品別では、「健康食品」の相談は大きく減少しているが、「化粧品」の相談は増加。
    • 詐欺的な定期購入商法に係る特定商取引法改正の概要(令和4年6月1日施行)
      1. 改正事項1
        • 通信販売の申込みに係る最終確認画面等において、(1)一定の事項(※)を表示するよう義務付け、(2)契約の申込みとなることや一定の事項につき、人を誤認させるような表示を禁止
          • ※ 商品等の分量、対価、支払時期、引渡し時期、契約の解除に関する事項等 ⇒(1)に違反して表示すべき事項を表示しなかった場合や不実の表示をした場合、(2)に違反して誤認させるような表示をした場合には、いずれも、行政処分のみならず直罰の対象に
      2. 改正事項2
        • 通信販売において広告をする際に義務付ける表示事項として以下の内容を追加
          1. 申込みの期間に関する定めがある場合は、その旨とその内容
          2. 役務提供契約の解除等に関する事項
      3. 改正事項3
        • 通信販売に係る契約の解除等を妨げるため、当該契約の解除等に関する事項等につき、不実のことを告げる行為を禁止 ⇒違反した場合には、行政処分のみならず直罰の対象に
      4. 改正事項4
        • 「改正事項1」の規定に違反する表示により消費者が誤認して申込みをした場合の取消権を創設
        • 「改正事項1」及び「改正事項3」の規定に違反する行為を適格消費者団体の差止請求の対象に追加
    • 景品表示法第26条第2項に基づく指針の改正について
      • アフィリエイト広告の課題を明らかにし、不当表示が生じない健全な広告の実施に向けた対応方策を検討するため、令和3年6月から消費者庁において「アフィリエイト広告等に関する検討会」を開催(令和4年2月15日に報告書を公表。)。
      • 報告書の概要は以下のとおり。
        1. アフィリエイト広告は表示内容の決定に関与した広告主が責任を負うべき主体であることを周知。
        2. 悪質な事業者に対しては、業務禁止命令も視野に入れた特定商取引法の適用を行う。
        3. 事業者が講じる不当表示の未然防止策の参考として、景表法第26条第2項に基づく指針を改正
    • 事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針 改正案
      • 複数の事業者(広告主やアフィリエイター)が表示の作成に関わる場合も指針に含まれることを明確化。
      • アフィリエイト広告に係る事例(広告主が講ずべき措置内容の事例)の追加。
      • アフィリエイト広告が事業者の『広告』であることの明示
    • 報告書には、今後の対応としてステルスマーケティングの検討を行うべき旨記載。 → 現在開催中の景品表示法検討会において、ステルスマーケティングの検討を進めているところ。
    • 「インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブック」策定について
      • 近年、インターネットを介した電子商取引サイト(eコマースサイト。以下「ECサイト」という。)による購買が増加しており、そのなかでも食料の購買は、新型コロナウイルスの感染拡大によって大きく増加している。
      • 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)の適用範囲は、食品の容器包装上であり、ECサイトの掲載は対象外となっている。現状、ECサイトにおける食品表示情報の提供に関するルールは定められていない。
      • 現在、国際的な食品規格を定めるコーデックスにおいて、ECサイトにおける食品情報の提供に関する議論が行われている。
      • ガイドブックの目的・位置づけ
        • ECサイトで食品表示情報を掲載する上での事業者等向けの参考ツールとして策定
        • ECサイト上でどのような食品表示情報をどのような方法でどの程度提供すればよいか、その考え方や効用を掲示
        • 具体的な提供例や、それを支えるための情報入手方法・管理方法についても提示
    • ECサイトにおける食品表示情報提供に関する基本方針
      1. できるだけ食品表示基準に準じて情報提供しよう!
        • ただし、期限情報など正しい情報提供が難しい場合や、ECサイトの特性を踏まえた別途の表示が望ましい場合等は、下記を参考に可能な限り充実した情報提供を!
      2. 消費者の安全を第一に、
        • 正しく分かりやすく情報を伝達しよう!
        • 消費者が見やすいサイトを構築しよう!
        • 問合せに適切に回答できる体制を整えよう!
    • 消費者契約法の改正(概要)(令和4年5月25日成立、一部の規定を除き公布の日から1年後施行)
      • 消費者契約を取り巻く環境の変化を踏まえつつ、平成30年改正時の附帯決議に対応し、消費者が安全・安心に取引できるセーフティネットを整備
        1. 契約の取消権を追加(第4条第3項)
          • 勧誘をすることを告げずに、退去困難な場所へ同行し勧誘
          • 威迫する言動を交え、相談の連絡を妨害
          • 契約前に目的物の現状を変更し、原状回復を著しく困難に
        2. 解約料の説明の努力義務
          • 消費者に対し算定根拠の概要(第9条第2項)
          • 適格消費者団体に対し算定根拠(営業秘密を除く)(第12条の4)
        3. 免責の範囲が不明確な条項の無効
          • 賠償請求を困難にする不明確な一部免責条項(軽過失による行為にのみ適用されることを明らかにしていないもの)は無効
          • (無効となる例) 法令に反しない限り、1万円を上限として賠償します
          • (有効となる例) 軽過失の場合は1万円を上限として賠償します
        4. 事業者の努力義務の拡充
          • 契約締結時だけでなく解除時に努力義務を導入(第3条第1項第4号等) ⇒解除権行使に必要な情報提供、解約料の算定根拠の概要説明
          • 勧誘時の情報提供(第3条第1項第2号) ⇒消費者の知識・経験に加え、年齢・心身の状態も総合的に考慮した情報提供(知ることができたものに限る)
          • 定型約款の表示請求権に関する情報提供(第3条第1項第3号)
          • 適格消費者団体の要請に対応(第12条の3から5)⇒不当条項を含む契約条項・差止請求に係る講じた措置の開示要請、 解約料の算定根拠の説明要請に応じる努力義務

    消費者庁 消費者庁をかたる商品の送り付けに御注意ください。
    • 消費者庁をかたり、注文していない商品を着払いで送り付ける事案が発生していることが報告されています。消費者庁から、消費者の皆様に着払いで商品を送り付けたり、商品を送り付けて代金の支払を請求したりすることはありません。不審な荷物が届いたら受け取らないようにしましょう。
    • 詳細
      1. 報告されている事案について
        • 送り主やその住所の記載が消費者庁となっている着払いの荷物が、個人宅に届いたという事案があったとの情報が寄せられました。
        • 消費者庁から、消費者の皆様に着払いで商品を送り付けたり、商品を送り付けて代金の支払を請求したりすることはありませんので、十分に御注意ください。
      2. 一方的な送り付けがあったときの対応
        • 本件にかかわらず、もし、一方的に荷物が送り付けられた場合には、以下のように対応しましょう。
          1. まずは、身に覚えのない商品が届いた場合には、受け取らないようにしましょう。着払いであれば、注文した商品ではない旨を運送業者に伝えた上で、代金を支払わないようにしましょう。
          2. 自分宛てに送られてきた注文していない商品は、仮に受け取ってしまった場合でも、直ちに処分することが可能です。また、事後的に金銭の支払を請求をされた場合にも、支払う必要は全くありません。
          3. 対応に困った場合には、最寄りの消費生活センターに相談しましょう。(困ったときは、一人で悩まずに消費者ホットライン「188(いやや!)」に御相談ください。)

    【2022年5月】

    消費者庁 投てき消火用具の販売事業者5社に対する景品表示法に基づく措置命令について
    ▼投てき消火用具の販売事業者5社に対する景品表示法に基づく措置命令について
    • 消費者庁は、令和4年5月24日及び同月25日、投てき消火用具の販売事業者5社(以下「5社」といいます。)に対し、5社が供給する投てき消火用具に係る表示について、それぞれ、景品表示法に違反する行為(同法第5条第1号(優良誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令)を行いました。
    • 実際
      • (ア)栄徳、ファイテック、ボネックス及びメディプラン(以下「4社」という。)
        前記ア(イ)a、c、d及びeの表示について、消費者庁は、景品表示法第7条第2項の規定に基づき、4社に対し、それぞれ、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、4社から資料が提出された。しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
      • (イ)エビス総研
        • a. 前記ア(イ)b(a)の表示について、消費者庁は、景品表示法第7条第2項の規定に基づき、エビス総研に対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、エビス総研から資料が提出された。しかし、当該資料は、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
        • b. 前記ア(イ)b(b)の表示について、実際には、消防庁が、本件商品(2)及び本件商品(3)に前記ア(イ)b(b)のとおりの消火性能が備わっていることを認定した事実はない。
    • 命令の概要
      1. 栄徳
        • (ア)前記(2)ア(イ)aの表示は、本件商品①の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
        • (イ)再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
        • (ウ)今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記(2)ア(イ)aの表示と同様の表示を行わないこと。
      2. エビス総研
        • (ア)a 前記(2)ア(イ)b(a)の表示は、それぞれ、本件商品(2)及び本件商品(3)の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
          b 前記(2)ア(イ)b(b)の表示は、前記(2)イ(イ)bのとおりであって、それぞれ、本件商品(2)及び本件商品(3)の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
        • (イ)再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
        • (ウ)a 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記(2)ア(イ)b(a)の表示と同様の表示を行わないこと。
          b 今後、前記(2)ア(イ)b(b)の表示と同様の表示を行わないこと。
      3. ファイテック、ボネックス及びメディプラン
        • 本件商品④ないし本件商品⑪について、「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく行っている同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも同表「効果」欄記載のとおりの効果が得られるかのように示す表示をしている行為を速やかに取りやめること。
        • 前記(2)ア(イ)c、d及びeの表示は、それぞれ、本件商品(4)ないし本件商品(11)の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
        • 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
        • 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記(2)ア(イ)c、d及びeの表示と同様の表示を行わないこと

    消費者庁 令和3年度地方公共団体における食品ロス削減の取組状況について
    ▼令和3年度取組状況
    • 令和3年度は全ての都道府県及び指定都市で、食品ロス削減の取組を実施(実施率100%は5年連続)。 市区町村における実施割合は、63.0%であり、令和2年度と比較して、約3%増加
    • 令和3年度に、全国で最も多く取り組まれたのが「住民・消費者への啓発」で約900自治体。次いで「子どもへの啓発・教育」、「災害用備蓄食料の有効活用」、「フードバンク活動と連携」。都道府県、指定都市、市区町村別により多く取り組まれた内容に大きな差はなかった。
    • 令和3年度には、令和2年度に続き、全ての都道府県で「住民・消費者への啓発」を実施。このほか、「子どもへの啓発・教育」、「フードバンク活動と連携」を多くの都道府県で実施された。
    • 令和3年度には、令和2年度に続き、全ての指定都市で「住民・消費者への啓発」を実施。このほか、「子どもへの啓発・教育」、「フードバンク活動と連携」、「飲食店での啓発促進」を多くの指定都市で実施。
    • 令和3年度には、「住民・消費者への啓発」を実施した市区町村が最も多い。また、「災害用備蓄食料の有効活用」、「フードバンク活動と連携」を実施した市区町村は、令和2年度と比較し、大幅に増加。
    • 都道府県において、「策定・公表済み」と回答したのは、45自治体。「令和4年度に策定予定」は、1自治体。「令和5年度以降に策定予定」は、1自治体。
    • 指定都市において、「策定・公表済み」と回答したのは、9自治体。「令和4年度に策定予定」は、4自治体。「令和5年度以降に策定予定」は、7自治体。
    • 市区町村において、「策定・公表済み」と回答したのは、100自治体。「令和4年度に策定予定」は、53自治体。「令和5年度以降に策定予定」は、47自治体。半数以上の自治体が「現時点では策定予定はない」と回答。
    • 食品ロス削減計画の策定に係る具体的な実績・計画を有する都道府県においては、「新規の計画を策定」と、「既存の計画の一部として対応」との回答がほぼ同程度。指定都市においては、全ての自治体で「既存の計画の一部として対応」と回答。

    消費者庁 令和4年度消費者月間
    ▼令和4年度消費者月間統一テーマについて
    1. テーマ
      • 考えよう!大人になるとできること、気を付けること~18歳から大人に~
    2. 趣旨
      • 2022年4月1日から成年年齢は18歳になり、「18歳から大人」になります。大人になると、例えば住宅賃貸やクレジットカード等の契約を一人でできるようになると同時に、一度結んだ契約は簡単には取り消せなくなります。できることが増える分、責任も生じることになります。
      • 消費者トラブルに巻き込まれないよう、契約は慎重に行い、「だまされない消費者」になることが重要です。
      • また、自分の消費が社会や世界とつながっており、未来や他者のための行動が最終的により良い社会の形成につながります。これを踏まえ、「今だけ」「ここだけ」「自分だけ」の消費行動から転換し、人や社会、地域などにも配慮した「自分で考える消費者」になることが必要です。
      • そこで、このようなことについて、周囲の大人も含め、改めて考えるとともに、自分事として捉え、実践につなげるきっかけとなるよう令和4年度の消費者月間においては、「考えよう!大人になるとできること、気を付けること~18歳から大人に~」を統一テーマとして掲げます。

    消費者庁 第372回 消費者委員会本会議
    ▼【資料1-2】 書面電子化WTで指摘された論点について(案)
    1. 真意に基づく明示的な意思表明方法に関する論点
      1. 消費者の真意性
        • 承諾取得にあたっては、消費者が契約書面の重要性や、受領をもってクーリング・オフ期間が起算されることを理解していること(←附帯決議)は、真意の承諾を得る上での必要条件と解される。そのため、事業者は承諾を得るに際し、書面交付が原則であること、提供される情報の意義を告知したうえで承諾を取得することが必要であるとの御意見があった。
        • 事業者(又は事業者と意向を同じくする者)との物理的・電磁的な接触による電磁的記録提供への勧誘、不実告知、困惑行為や、電磁的方法による提供と書面交付との間で各種のメリット・デメリットを設けることによる差別的な扱い等は、消費者の自由な意思表明を妨げる要因となることから、これらを禁止すべきとの御意見が寄せられた。一方で、承諾を得るにあたっての禁止行為の範囲については、様々な御意見があった。
      2. 承諾取得の方法
        • 2.の項で述べるとおり、事業者にとっては、消費者の真意と能力を確認できた場合に限って電磁的方法による提供が可能となることに鑑みると、それらと承諾の事実が明確に判別可能で証拠として残る方法によりなされる仕組みとした上で、客観的な要件とすることが、トラブルを防止する観点からも望ましいとの御意見が表明された。一方で、承諾に関する証拠の残し方については、音声の録音又は書面への承諾のサインを求めるべきとする御意見と、デジタル機器の操作に不慣れな消費者による承諾を防止するために消費者本人によるデジタル機器を操作して承諾を得るべきとする御意見とがあった。同時に、対面勧誘の場から勧誘員が離れて影響がない状態で、消費者が電子メールで電子化の承諾を行う方法とすべきとの御意見と、対面勧誘の場から勧誘員が離れて電子化の承諾を得る方法については、申込書面を直ちに交付する義務が履行されない場合もあり得ること、訪問販売に関する規定の適用を潜脱するおそれがある場合もあり得るとの御意見があった。ただし、口頭や電話による方法や、事業者の保有するデジタル機器にチェックをするだけのような簡易な方法では承諾できないようにすべきとの御意見も同時に寄せられた。これらとは別に、書面で消費者の真意を立証する方法を超える形で、電磁的交付の場合にだけ真意の証明を求める方法は過剰であるとの御意見も寄せられた。
      3. 取引類型ごとの検討
        • 取引類型(訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引、訪問購入、預託等取引によって、取引特有の性質、契約に至る流れや書面交付のタイミング等が異なることから、取引類型ごとに、承諾の取得方法(書面により又は電磁的方法により承諾を取得するかを含む)について検討すべきとの御意見が寄せられた。その場合は、不意打ち性の有無、利益誘引型に該当するか否か、不確実性の程度といった性質に照らして分類することが適切との御意見があった。加えて、取引がオンラインで完結する場合と、一部が対面で行われる場合とでは、電子化の要求度合いが異なることに留意すべきとの御意見も寄せられた。
    2. 電磁的提供方法に関する論点
      • 消費者保護機能の確保という観点からは、消費者が電磁的な提供について真意に基づき明示的に承諾をするということだけでなく、その提供方法自体が、消費者保護機能の確保のために必要な要件を充足する必要がある。承諾取得の要件と提供方法の要件のいずれか1つでも欠けている場合には、たとえ何らかの電磁的方法による提供があったとしても、それによって交付義務が尽くされたとはみなされず、従前からの原則どおり書面交付がされなければならないと考えられる。
        1. 論点の概要
          • WTによるヒアリングでは、電磁的提供方法に関する論点として、主に以下の点が挙げられた:
            1. 全体論
              • 要件を満たさない電磁的方法による提供は無効とされるべき、また要件は有効・無効の判断の根拠とされることから、その設定は客観的なものであるべき、との御意見があった。
              • 特商法上の取引類型に応じて交付方法に差を設けるべきとの御意見があった(1.(3)でも既述)。
              • 消費者保護の高度化のために、むしろデジタル技術を活用すべきとの御意見があった。
              • 他法令との制度の差異に配慮すべきとの御意見と、特商法と同時に適用される他法令との整合性に配慮すべきとの御意見があった。
            2. 消費者(及び保有機器)の適合性
              • 電磁的方法による提供は、デジタル技術に対する一定のリテラシー(保有する電子機器のセキュリティを適切に保持し、電子メールの送受信や添付ファイルの開封・保存が自らできること等)や、書面並みの一覧性(画面サイズ、印刷)をもって表示可能な機器を有する消費者に限って電磁的方法による提供を選択できることとすべきとの御意見があった。
            3. 事業者の適合性
              • 電磁的方法による提供を実施しようとする事業者は、書面と電子の両方の交付方法に常時対応できるべきとの御意見はあった。他方で、事業者の有する技術や情報管理の水準についての御意見はなかった。
            4. 具体的な提供方法
              • 具体的な提供方法についての御意見は、ほぼ全ての団体から寄せられた。これらの御意見は、提供の手順に関すること、手段に関すること及びクーリング・オフの起算点に関することにほぼ集約される。具体的には、(2)のとおりである。
        2. 提供方法に関する御意見
          1. 提供の手順に関して寄せられた主な御意見
            • 電磁的方法による提供にあたって注意事項を書面や口頭、電子メールの本文で示すこと
            • 消費者からの自発的な行動を求めること
            • 開封確認の返信を消費者から行うこと
            • 再交付の求めや、書面交付の求めがあれば事業者はこれに応じること(ただし、この手順に伴う改ざん可能性に関する指摘もあった)
            • 電磁的方法による提供の手順が完了したことの挙証は事業者が行い、手順が完了しない場合は、書面交付をすること
            • 事業者においても電子ファイルを保管すること
          2. 提供の手段に関して寄せられた主な御意見
            • 提供の手段に関する基本的な考え方としては、完全性、普遍性及び持続可能性等の確保が必要であるとの御意見があった。
            • より具体的な手段については、以下のような御意見があった。なお、類似手法の取扱いや将来の技術的進展により生じた新たな手法の利用の可否を判断していくためには、提供手段につき、基本的な考え方(手段限定の根拠)との関係も含めてさらに整理することが必要であると考えられる。
              • 電子メールを用いて情報を伝達し、SNSやアプリには依らないこと
              • 電子書面は添付ファイルとし、PDFを用いること、改ざん防止措置を施すこと
              • ウェブサイトからのダウンロードの扱いについては、意見が分かれた
              • 電子書面はクラウド上で保管し、随時閲覧可能とすること
          3. クーリング・オフの起算点に関して寄せられた主な御意見
            • クーリング・オフの起算点は明確に判別されるべきこと
            • 電磁的方法による提供の到達時点に関しては、情報の到達は確認できても、開封や閲覧ができたことまでの確認は困難であり、消費者からの確認メール等のアクションで認定することが事実上必要なこと
            • 再交付に関しては、クーリング・オフ期間に影響しないこと
        3. 第三者の関与に関する論点
          • 消費者が高齢者である場合などにおける第三者の関与の在り方について、多様な御意見が寄せられた。少なくとも高齢者など一定層の消費者については、電磁的方法による提供の承諾に関して第三者の承諾が必要とする御意見と、電磁的方法による提供に際して契約者たる消費者の指定する第三者への同時交付が必要とする御意見があった。これらに関し、どのような消費者を第三者関与の対象とすべきか(高齢者の定義を含む)、第三者が誰であるべきか、第三者の連絡先情報提供や第三者としての指名に先んじて当該第三者本人の了承を得る必要があるかといった論点も挙げられた。
          • また、第三者への同時提供が必要となる場合に関して、消費者本人からの希望があった場合とする、との御意見もあった。
        4. その他の論点
          • これまで述べてきた論点に関し、法令上の義務とする性質のものか、業界や企業の自主規制とすることが適切な性質のものかについても検討されるべきとの御指摘があった。また、電磁的方法による提供について登録・届出制とするといった、政省令で規定できる範囲を超えると考えられる事項に関する御意見もあった

    【2022年4月】

    消費者庁 第2回特定商取引法等の契約書面等の電子化に関する検討会(2022年4月21日)
    ▼【資料2】書面電子化WTで指摘された論点について(案)
    1. 真意に基づく明示的な意思表明方法に関する論点
      1. 消費者の真意性
        • 承諾取得にあたっては、消費者が契約書面の重要性や、受領をもってクーリング・オフ期間が起算されることを理解していること(←附帯決議)は、真意の承諾を得る上での必要条件と解される。そのため、事業者は承諾を得るに際し、書面交付が原則であること、提供される情報の意義を告知したうえで承諾を取得することが必要であるとの御意見があった。
        • 事業者(又は事業者と意向を同じくする者)との物理的・電磁的な接触による電磁的記録提供への勧誘、不実告知、困惑行為や、電磁的方法による提供と書面交付との間で各種のメリット・デメリットを設けることによる差別的な扱い等は、消費者の自由な意思表明を妨げる要因となることから、これらを禁止すべきとの御意見が寄せられた。一方で、承諾を得るにあたっての禁止行為の範囲については、様々な御意見があった。
      2. 承諾取得の方法
        • 事業者にとっては、消費者の真意と能力を確認できた場合に限って電磁的方法による提供が可能となることに鑑みると、それらと承諾の事実が明確に判別可能で証拠として残る方法によりなされる仕組みとした上で、客観的な要件とすることが、トラブルを防止する観点からも望ましいとの御意見が表明された。一方で、承諾に関する証拠の残し方については、音声の録音又は書面への承諾のサインを求めるべきとする御意見と、デジタル機器の操作に不慣れな消費者による承諾を防止するために消費者本人によるデジタル機器を操作して承諾を得るべきとする御意見とがあった。同時に、対面勧誘の場から勧誘員が離れて影響がない状態で、消費者が電子メールで電子化の承諾を行う方法とすべきとの御意見と、対面勧誘の場から勧誘員が離れて電子化の承諾を得る方法については、申込書面を直ちに交付する義務が履行されない場合もあり得ること、訪問販売に関する規定の適用を潜脱するおそれがある場合もあり得るとの御意見があった。ただし、口頭や電話による方法や、事業者の保有するデジタル機器にチェックをするだけのような簡易な方法では承諾できないようにすべきとの御意見も同時に寄せられた。これらとは別に、書面で消費者の真意を立証する方法を超える形で、電磁的交付の場合にだけ真意の証明を求める方法は過剰であるとの御意見も寄せられた。
      3. 取引類型ごとの検討
        • 取引類型(訪問販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引、訪問購入、預託等取引)によって、取引特有の性質、契約に至る流れや書面交付のタイミング等が異なることから、取引類型ごとに、承諾の取得方法(書面により又は電磁的方法により承諾を取得するかを含む)について検討すべきとの御意見が寄せられた。その場合は、不意打ち性の有無、利益誘引型に該当するか否か、不確実性の程度といった性質に照らして分類することが適切との御意見があった。加えて、取引がオンラインで完結する場合と、一部が対面で行われる場合とでは、電子化の要求度合いが異なることに留意すべきとの御意見も寄せられた。
    2. 電磁的提供方法に関する論点
      1. 消費者保護機能の確保という観点からは、消費者が電磁的な提供について真意に基づき明示的に承諾をするということだけでなく、その提供方法自体が、消費者保護機能の確保のために必要な要件を充足する必要がある。承諾取得の要件と提供方法の要件のいずれか1つでも欠けている場合には、たとえ何らかの電磁的方法による提供があったとしても、それによって交付義務が尽くされたとはみなされず、従前からの原則どおり書面交付がされなければならないと考えられる。
      2. 論点の概要
        • WTによるヒアリングでは、電磁的提供方法に関する論点として、主に以下の点が挙げられた:
          1. 全体論
            • 要件を満たさない電磁的方法による提供は無効とされるべき、また要件は有効・無効の判断の根拠とされることから、その設定は客観的なものであるべき、との御意見があった。
            • 特商法上の取引類型に応じて交付方法に差を設けるべきとの御意見があった(1.(3)でも既述)。
            • 消費者保護の高度化のために、むしろデジタル技術を活用すべきとの御意見があった。
            • 他法令との制度の差異に配慮すべきとの御意見と、特商法と同時に適用される他法令との整合性に配慮すべきとの御意見があった。
          2. 消費者(及び保有機器)の適合性
            • 電磁的方法による提供は、デジタル技術に対する一定のリテラシー(保有する電子機器のセキュリティを適切に保持し、電子メールの送受信や添付ファイルの開封・保存が自らできること等)や、書面並みの一覧性(画面サイズ、印刷)をもって表示可能な機器を有する消費者に限って電磁的方法による提供を選択できることとすべきとの御意見があった。
          3. 事業者の適合性
            • 電磁的方法による提供を実施しようとする事業者は、書面と電子の両方の交付方法に常時対応できるべきとの御意見はあった。他方で、事業者の有する技術や情報管理の水準についての御意見はなかった。
          4. 具体的な提供方法
            • 具体的な提供方法についての御意見は、ほぼ全ての団体から寄せられた。これらの御意見は、提供の手順に関すること、手段に関すること及びクーリング・オフの起算点に関することにほぼ集約される。具体的には、(2)のとおりである。
      3. 提供方法に関する御意見
        1. 提供の手順に関して寄せられた主な御意見
          • 電磁的方法による提供にあたって注意事項を書面や口頭、電子メールの本文で示すこと
          • 消費者からの自発的な行動を求めること
          • 開封確認の返信を消費者から行うこと
          • 再交付の求めや、書面交付の求めがあれば事業者はこれに応じること(ただし、この手順に伴う改ざん可能性に関する指摘もあった)
          • 電磁的方法による提供の手順が完了したことの挙証は事業者が行い、手順が完了しない場合は、書面交付をすること
          • 事業者においても電子ファイルを保管すること
        2. 提供の手段に関して寄せられた主な御意見
          • 提供の手段に関する基本的な考え方としては、完全性、普遍性及び持続可能性等の確保が必要であるとの御意見があった。より具体的な手段については、以下のような御意見があった。なお、類似手法の取扱いや将来の技術的進展により生じた新たな手法の利用の可否を判断していくためには、提供手段につき、基本的な考え方(手段限定の根拠)との関係も含めてさらに整理することが必要であると考えられる。
          • 電子メールを用いて情報を伝達し、SNSやアプリには依らないこと
          • 電子書面は添付ファイルとし、PDFを用いること、改ざん防止措置を施すこと
          • ウェブサイトからのダウンロードの扱いについては、意見が分かれた
          • 電子書面はクラウド上で保管し、随時閲覧可能とすること
        3. クーリング・オフの起算点に関して寄せられた主な御意見
          • クーリング・オフの起算点は明確に判別されるべきこと
          • 電磁的方法による提供の到達時点に関しては、情報の到達は確認できても、開封や閲覧ができたことまでの確認は困難であり、消費者からの確認メール等のアクションで認定することが事実上必要なこと
          • 再交付に関しては、クーリング・オフ期間に影響しないこと
    3. 第三者の関与に関する論点
      • 消費者が高齢者である場合などにおける第三者の関与の在り方について、多様な御意見が寄せられた。少なくとも高齢者など一定層の消費者については、電磁的方法による提供の承諾に関して第三者の承諾が必要とする御意見と、電磁的方法による提供に際して契約者たる消費者の指定する第三者への同時交付が必要とする御意見があった。これらに関し、どのような消費者を第三者関与の対象とすべきか(高齢者の定義を含む)、第三者が誰であるべきか、第三者の連絡先情報提供や第三者としての指名に先んじて当該第三者本人の了承を得る必要があるかといった論点も挙げられた。
      • また、第三者への同時提供が必要となる場合に関して、消費者本人からの希望があった場合とする、との御意見もあった。
    4. その他の論点
      • これまで述べてきた論点に関し、法令上の義務とする性質のものか、業界や企業の自主規制とすることが適切な性質のものかについても検討されるべきとの御指摘があった。また、電磁的方法による提供について登録・届出制とするといった、政省令で規定できる範囲を超えると考えられる事項に関する御意見もあった。

    消費者庁 新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による消費行動の変化等に関する研究プロジェクト 令和2年度アンケート調査結果
    ▼【全体版】 令和2年度アンケート調査結果
    • マスクなど不足していた物の買物の経験について、「あった(『何度もあった』+『2・3度あった』+『一度だけあった』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「心配で、手元にあってもさらに買った」が57.5%(7.9%+22.9%+26.7%)と最も高く、次いで、「とにかく手に入れようと、複数の店を渡り歩いた」が40.5%(8.3%+16.5%+15.7%)、「離れて住む家族・親戚や友人の分も手に入れた」が34.1%(3.5%+10.5%+20.0%)であった
    • 品薄になった商品の購入で経験したことについて、「あった(『何度もあった』+『2・3度あった』+『一度だけあった』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「商品の機能・品質が思っていたよりも悪かった」が37.1%(2.8%+10.7%+23.6%)と最も高く、次いで、「高額な商品や転売品ばかりで、買えなかった」が26.1%(9.0%+9.1%+8.0%)、「説明・表示と実際の内容がかなり違っていた」が14.5%(0.8%+3.7%+10.0%)であった
    • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大前、緊急事態宣言の期間、回答時現在と時点を分け、自宅で何人分の食事の支度をしていたかについて、「朝食」、「弁当づくり」、「夕食」は、いずれの期間も大きな変化は見られなかった一方、「昼食」は、緊急事態宣言の期間に食事の支度量が増えている
    • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大前、緊急事態宣言の間、先月(2020年12月)と時点を分け、食料品と日用品の購入金額のうちとくしま生協(宅配)で購入した割合は、いずれの時点も「半分以下(2~4割)」が最も高く、緊急事態宣言の間と先月ではコロナ前と比較して「ほぼ全て(8~10割)」、「半分以上(5~7割)」が増加している
    • 感染拡大以前と比べた緊急事態宣言の前後(2020年4~5月)について、「減った(『とても減った』+『やや減った』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「友人・知人との交流時間」が80.3%(53.8%+26.6%)と最も高く、次いで、「買物の頻度」が53.6%(15.5%+38.1%)、「運動や体を動かす時間」が42.5%(14.8%+27.7%)であった
    • 感染拡大以前と比べた回答時現在(2021年1月)について、「減った(『とても減った』+『やや減った』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「友人・知人との交流時間」が79.4%(52.9%+26.5%)と最も高く、次いで、「買物の頻度」が48.2%(12.2%+36.0%)、「運動や体を動かす時間」が39.2%(13.4%+25.8%)であった
    • 普段と比べた買物量の変化について、「買えなかった(『買えなかった』+『少ししか買えなかった』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「マスク」が29.8%(13.2%+16.6%)と最も高く、次いで、「除菌・消毒剤」が27.8%(11.8%+16.0%)、「小麦粉、ホットケーキミックス」が16.5%(5.6%+10.9%)であった
    • 食料品・日用品の購入で、とくしま生協(宅配)以外に利用する場所について、「スーパーマーケット(生協以外)・ショッピングモール」が89.6%と最も高く、次いで、「ドラッグストア」(72.7%)、「コンビニエンスストア」(35.3%)であった。また、その中で最も利用している場所は、「スーパーマーケット(生協以外)・ショッピングモール」が75.0%と最も高く、次いで、「ドラッグストア」(8.1%)、「とくしま生協のスーパーマーケット」(2.6%)であった
    • 生活必需品の備蓄状況について、「4日分以上(『2週間分以上』+『1~2週間分』+『4日~1週間分』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「トイレットペーパー」が95.5%(71.8%+17.6%+6.0%)と最も高く、次いで、「マスク」が94.8%(77.2%+11.8%+5.8%)、「衛生用品(石鹸・歯磨き粉など)」が94.2%(74.8%+14.5%+5.0%)であった
    • 自宅で災害用に備えているものは、「懐中電灯」が87.6%と最も高く、次いで、「乾電池・バッテリー」(65.9%)、「非常用持ち出し袋」(56.3%)であった
    • 食品や日用品の備蓄について、「当てはまる(『当てはまる』+『やや当てはまる』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「期限の確認や、買替えが面倒で続かない」が52.9%(16.5%+36.4%)と最も高く、次いで、「必要な分量がどれだけなのか分からない」が46.2%(10.3%+35.9%)、「種類が多く、何を備蓄したらよいか分からない」が38.4%(7.6%+30.9%)であった
    • 生活に身近な情報への関わりについて、「する(『いつもする』+『よくする』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「ウマい話を聞いたら、疑ってかかる」が64.7%(29.6%+35.2%)と最も高く、次いで、「いつの情報なのか、日時を確認する」が44.6%(14.0%+30.6%)、「信じてよい情報かどうか、情報源を確認する」が29.8%(6.3%+23.6%)であった
    • 普段の行動について、「当てはまる(『当てはまる』+『やや当てはまる』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「マスコミで取り上げられた商品はすぐ試したくなる」が26.5%(3.6%+22.9%)と最も高く、次いで、「無料だったり返金保証があるならいろいろ試してみたい」が17.5%(3.4%+14.1%)、「専門家や肩書がすごい人の意見には従ってしまう」が14.7%(1.2%+13.5%)であった
    • 新型コロナウイルス感染症の感染について、参考にしている情報は、「新聞・テレビ等の報道」が95.5%と最も高く、次いで、「ネットニュースサイト」(51.1%)、「友人・知人・家族」(47.1%)であった。また、そのうちで最も重視している情報は、「新聞・テレビ等の報道」が77.5%と最も高く、次いで、「ネットニュースサイト」(8.9%)、「行政による情報(広報誌、ポスター、ウェブサイト等)」(6.2%)であった
    • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大について不安に思うことは、「当てはまる(『当てはまる』+『やや当てはまる』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「家族の健康や感染したときのこと」が93.9%(77.3%+16.6%)と最も高く、次いで、「自分の健康や感染したときのこと」が93.7%(75.1%+18.6%)、「感染拡大がいつ収まるのか分からないこと」が92.4%(69.6%+22.7%)であった
    • 自宅で何人分の食事の支度をしていたかについて、「夕食」が2.79人分と最も高く、次いで、「朝食」(2.46人分)、「昼食」(1.34人分)であった
    • 日々の食事の支度をどの程度ご自身で行っているかについて、「ほぼ全て(8~10割)」が72.4%と最も高く、次いで、「半分以上(5~7割)」(14.5%)、「半分以下(2~4割)」(8.1%)であった
    • 新型コロナウイルス感染拡大以前(2020年2月以前)と比べた回答時現在(2021年7月)の生活の変化について、「減った(『とても減った』+『やや減った』)」と回答した人の割合が高い順に見ると、「友人・知人との交流時間」が80.8%(49.9%+30.8%)と最も高く、次いで、「買物の頻度」が48.1%(9.8%+38.3%)、「運動や体を動かす時間」が38.1%(9.7%+28.4%)であった
    • 少なくとも3日分以上必要とされる食料品の備蓄状況について尋ねた。「4日分以上(『2週間分以上』+『1~2週間分』+『4日~1週間分』)」と回答した人の割合(図中の赤枠に該当)が高い順に見ると、「主食に調理できる食材(米、乾麺など)」が75.6%(39.8%+14.9%+21.0%)と最も高く、次いで、「すぐに食べられるおかず(缶詰、レトルト食品、冷凍食品など)」が45.9%(6.2%+12.5%+27.2%)、「水・飲料」が40.4%(7.8%+9.8%+22.9%)であった
    • 4週間分が目安とされる生活必需品の備蓄状況について尋ねた。「4週間分以上」と回答した人の割合(図中の赤枠に該当)が高い順に見ると、「マスク」が55.9%と最も高く、次いで、「トイレットペーパー」が50.2%、「衛生用品(石鹸・歯磨き粉など)」が50.1%であった
    • 自宅で災害用に備えているものは、「懐中電灯」が89.0%と最も高く、次いで、「乾電池・バッテリー」(67.7%)、「携帯ラジオ」(59.7%)であった

    消費者庁 簡単な作業をするだけで「誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる」などの勧誘により「副業」の「マニュアル」を消費者に購入させた事業者に関する注意喚起
    • 令和元年から令和3年の夏までにかけて、簡単な作業をするだけで「誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる」などというLINE
    • のメッセージによる勧誘を受け「副業」の「マニュアル」を購入してしまったが、実際の「マニュアル」に記載された「副業」の内容は告げられたものとは異なっていたなどという相談が、各地の消費生活センター等に数多く寄せられています。
    • 消費者庁が調査を行ったところ、株式会社サポート(以下「サポート」といいます。)及び個人事業主5名(以下「本件6事業者」といいます。)が、消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(不実告知及び断定的判断の提供)を行っていたことを確認したため、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します
    • 具体的な事例の内容
      • 本件6事業者が販売した「マニュアル」は、一部の重複を除いてそれぞれ内容が異なりますが、消費者に「マニュアル」を購入させる手口はほとんど同じであり、概要は次のとおりです。
        1. リスティング広告により「副業」の「ランキングサイト」等へ誘導されます
          • 消費者がスマホやパソコンを用いて、検索サイトで「副業」などと検索すると、本件6事業者が紹介する「副業」の広告が表示されます。消費者が広告内のリンクをクリックすると、「副業」の「ランキングサイト」にアクセスします。
        2. 育児中の母親と称するLINEアカウント等とのトークへ誘導されます
          • 消費者が、前記(1)の「副業」の「ランキングサイト」内から、LINEの友だち登録のバナーをクリックし友だち登録をすると、育児中の母親であると名乗る者のLINEアカウント(以下「勧誘LINEアカウント」といいます。)等とのトークに誘導され、勧誘LINEアカウントからメッセージが送信されてきます。なお、本件6事業者は、一部の事業者を除き、それぞれ、勧誘LINEアカウントを複数使用していました。
        3. 勧誘LINEアカウントから稼げる「副業」を紹介すると勧誘するメッセージが送信されてきます
          • 本件6事業者はそれぞれ、勧誘LINEアカウントから、消費者に対し、簡単な作業で稼げる「副業」を紹介すると勧誘するメッセージを送信し、この「副業」に興味を持った消費者に対して、この「副業」を行うためには、「マニュアル」を購入する必要があると伝え、「マニュアル」の料金として2万円前後の代金を支払わせるよう仕向けます。
          • 勧誘のメッセージの内容は別紙2のとおりであり、「マニュアル」を購入すれば1日数分の簡単な作業をするだけで誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる「副業」を行うことができるなどと勧誘していますが、具体的にどのような作業を行うものであるかは明かされません。
        4. 提供される「マニュアル」に記載された「副業」の内容は、勧誘LINEアカウントのメッセージによる勧誘の際の「副業」の内容と異なっていました
          • 消費者が、前記(3)のメッセージによる勧誘に興味を持ち、「マニュアル」を購入し代金を支払うと、「マニュアル」を閲覧するためのURLが勧誘LINEアカウントから送信されてきます。
          • 消費者は、そのURLをクリックして「マニュアル」を読みますが、そこに記載されていた「副業」の内容は別紙3のとおりであり、前記(3)の勧誘LINEアカウントのメッセージによる勧誘の内容と異なった内容でした。
        5. 代金の後払いを選択した消費者に対し、訴訟を提起すること等を示唆して支払を催促するメッセージが送られてくることがあります
          • 代金の支払に当たり、勧誘LINEアカウントから、先払いとするか後払いとするかを問われます。代金の後払いを選択した消費者には、代金を支払わない場合は、「裁判を起こす」、「金融事故扱いとなり全ての信用情報機関に登録される」、「被害届を提出する」などと示唆して、消費者に「マニュアル」の代金の支払を強く催促するメッセージが送られてくることがありました。
    • 消費者庁が確認した事実
      1. 不実告知
        • 本件6事業者は、それぞれ「副業」の「マニュアル」を販売するに当たり、前記2(3)のとおり、勧誘LINEアカウントから送信する勧誘メッセージにおいて、あたかも、1日数分の簡単な作業をするだけで相当の稼ぎを得られる「副業」であるかのように勧誘していましたが、実際に提供していた「マニュアル」に記載されていた「副業」の内容は別紙3のとおりであり、勧誘時の説明と異なるものでした。
      2. 断定的判断の提供
        • 別紙3のとおり、消費者に対し、簡単な作業をするだけで「誰でも1日当たり数万円を稼ぐことができる」と勧誘していましたが、当該金額を稼げるかどうかは、自身で用意した情報が売れるか否か、自身が提供した役務の出来等の事情によって左右されるものであって不確実なものでした。
      3. 本件6事業者の「マニュアル」販売に関与する会社について
        • 本件6事業者の集客のためのリスティング広告の掲載には、「株式会社USグループ」という会社が関与していました。同社は、本件6事業者のうち一部の事業者の「マニュアル」の販売に関して、勧誘LINEアカウントから消費者に送信するLINEメッセージについてアドバイスを行ったり、消費者の「マニュアル」の代金の支払先となるなど、「マニュアル」の販売に深く関与していました。
    • 消費者庁から皆様へのアドバイス
      1. 具体的な仕事内容を一切明らかにせず「副業」を行うための「マニュアル」を売りつけようとする事業者には注意しましょう
        • コロナ禍の影響により本業の収入が減るなどして、「副業」に興味を持つ消費者が増加していると考えられますが、インターネット上には、そのような消費者に対して、具体的な仕事内容を一切明らかにせず、簡単な作業をするだけで誰でも稼ぐことができるなどと勧誘し、「副業」を行うためには「マニュアル」等が必要であるとして情報商材を売りつけようとする事業者が多数みられますので注意しましょう。
        • これまでの消費者庁などによる調査、消費生活センターに寄せられた相談の内容によれば、インターネット上で販売される「副業」の「マニュアル」等の情報商材を購入すれば、簡単な作業を短時間するだけで誰でも1日数万円を稼ぐことができる、ということはまずあり得ません。
      2. 実際には初期費用が掛かるにもかかわらず、掛からないと勧誘をしてくる事業者には注意しましょう
        • 「副業」を行うか否かを判断するに当たって、最初にどのような費用が掛かるかという点は重要な考慮要素となります。この初期費用について、最初は、一切掛からないなどと勧誘していたにもかかわらず、興味を持って話を聞いてみると、「マニュアル」等の購入費用が掛かるということを後から説明されることがあります。
        • また、「費用については副業の収益が出た後の後払いでも構いません」などと説明し、実際に「マニュアル」を見た消費者が、最初に説明されていた「副業」の内容と全く異なることを理由にキャンセルを申し出ても、キャンセルできないと主張し、代金を支払わせようとすることもあります。
        • この初期費用に関する説明のように、事業者の説明に事実と異なる点があったり、事業者の説明に違和感を覚えた場合は注意しましょう。
      3. 「副業」に関して被害に遭ったらあきらめずにすぐに「188(いやや!)」へ電話してみましょう
        • 本件では、消費者が消費生活センターに相談し、消費生活センターのあっせんにより「マニュアル」の代金を取り戻すことができたという事例や、「副業」についての広告や勧誘の内容と実際に「マニュアル」に記載されていた副業の内容が異なっていたことを理由に、代金を支払うよう強く催促するメッセージに応じず、代金を支払わないで済んだという事例が複数確認されています。
        • 「副業」の「マニュアル」を購入してしまった場合でも、代金を取り戻すことができる、又は代金を支払わずに済む可能性があるので、金額の多寡にかかわらず、あきらめずに「188(いやや!)」へ電話して相談してみましょう(最寄りの消費生活センターに繋がります。)。

    消費者庁 第2回 景品表示法検討会(2022年4月14日)
    ▼【資料2】第1回検討会における主な御意見の概要
    1. 景品表示法を取り巻く社会環境の変化への対応に関するもの
      1. ステルスマーケティング等
        • ステルスマーケティング等への対応として、必ずしも違反認定をして命令を行うという枠組みに捉われることなく、何ができるかを検討することが必要ではないか。
        • アフィリエイトサイト、ステルスマーケティング、サクラレビューなど、商品・役務の供給主体が表示を行うという前提が崩れており、対応策を検討する必要があるのではないか。また、プラットフォーム提供者の責任もポイントとなるのではないか。違反要件のうち、特に供給主体性についての検討が必要ではないか。
        • イーコマース、キャッシュレスなどデジタル化が進展しているところ、景表法がそれに追いついていない部分もあるのではないか。デジタル分野の景表法の規制について事業者の予測可能性が十分とはいえない部分があるのではないか。
        • 最近は、特にインターネット上ではダークパターンと呼ばれる人間の認識や決定を誘導する技術が利用されており、対応策を検討する必要があるのではないか。
        • インターネット取引におけるトラブルの多くが、表示・広告を誤認したことによるものというのが消費者相談現場の実感である。
      2. プラットフォーム
        • プラットフォーム上で行われる不当表示について、全ての事業者の不当表示に行政が対処することは困難なので、プラットフォーム提供者を通じた普及啓発なども必要ではないか。
    2. 厳正・円滑な法執行の確保及び不当表示等の早期是正等のための方策に関するもの
      1. 命令以外の対応
        • ステルスマーケティング等への対応として、必ずしも違反認定をして命令を行うという枠組みに捉われることなく、何ができるかを検討することが必要ではないか(再掲)。
      2. 課徴金制度
        • 課徴金制度の運用における問題点の有無を明らかにし、実効的かつ望ましい姿を検討してはどうか。
      3. 執行の連携等
        • 健康食品などについては、薬機法や健康増進法との執行連携も必要ではないか。消費者被害の回復の観点では、不当表示事案において、景品表示法のみならず、不実告知に基づく契約取消権の規定もある特商法との執行連携が重要ではないか。
        • 消費者被害を防ぐための消費者教育は重要だが限界もあるので、事業者による適切な措置、行政による規制・執行の強化、景表法と特商法などとの強い執行連携も必要ではないか。
      4. 海外法人に対する調査・法執行
        • 海外法人への執行権限の強化が必要ではないか。現状のインターネット環境等を踏まえると、日本国内に拠点を置かずに事業を行っている事業者も多い。国内に事業者の拠点がないと調査・執行が行えず、当該事業者が野放しになってしまうとしたら問題ではないか。
      5. 誤認解消措置(一般消費者への周知)の方法)
        • 現在の誤認解消措置として承認されている周知方法である、日刊新聞紙への掲載は、デジタル化が進展している現在の社会環境を踏まえ、見直す必要があるのではないか。
      6. 管理上の措置
        • 事業者が講ずべき管理上の措置については、ホテル・レストランのメニュー偽装問題を契機として作られたため、別添資料ではそれに関連する例示が多いが、様々な業種・分野に馴染むようなものにし、より多くの事業者の体制整備を促進してはどうか。
        • 広告主によるアフィリエイター等の管理に限界があると認められる場合には、広告主体・表示主体の拡大も視野に入れた見直しも必要ではないか
    3. その他
      1. 見直しの視点等
        • 法改正ありきではなく、どのような目的のために、どのような手段を用いるのが適切なのかを十分に検討する必要があるのではないか。故意により不当表示を行う悪質業者だけでなく、過失により不当表示を行い、処分を受けた事業者もある。経済成長という観点からも、過度に事業活動を委縮させない観点も必要ではないか。
        • 現場で何が起こっているのかを把握するために、中小企業を含む事業者からもヒアリング等を行ってはどうか。
      2. 適格消費者団体との連携
        • 適格消費者団体は景品表示法違反に対する差止め請求ができるが、消費者庁との協働・連携はどうなっているのか。
      3. 都道府県の執行
        • 都道府県にも措置命令権限が付与されたが、都道府県の中には、執行件数が少ないところもあるのではないか。
      4. 被害回復策
        • 効率的な法執行と抑止力の向上のために、違法収益を用いた被害回復の促進策についても検討してはどうか。
      5. 公正競争規約
        • 公正取引委員会から消費者庁に所管が移り、「公正競争規約」から「協定又は規約」に名称が変更されたが、今でも「公正競争規約」が一般的に使用されており、「協定」、「規約」のみでは意味が分からないので、名称を変更することを検討してよいのではないか。

    消費者庁 令和3年度消費者の意識に関する調査結果報告書
    • 食品ロス問題を知っているか聞いたところ、「知っている」と回答した人が80.9%(「よく知っている」23.1%+「ある程度知っている」57.8%)であった。一方で、「知らない」と回答した人が19%(「あまり知らない」12%+「全く知らない」7%)であった。
    • 食品ロス問題の認知度を年代別に集計したところ、「知っている」と回答した人の割合が最も高かった年代は70歳代以上で90.7%(「よく知っている」30.9%+「ある程度知っている」59.8%)であった。一方で、「知らない」と回答した人の割合が最も高かった年代は20歳代で33.9%(「あまり知らない」18.8%+「全く知らない」15.1%)となっている。
    • 食品ロスを減らすための取組について聞いたところ、「残さずに食べる」と回答した人が69.3%と最も多くなっている。一方で、「取り組んでいることはない」と回答した人は10.1%であった。
    • 食品ロス問題を認知して食品ロス削減に取り組む人の割合を集計したところ、食品ロス問題を「知っている」と回答し、食品ロスを減らすための「取組を行っている」と回答した人は78.3%であった。令和2年度の調査結果と比較したところ、食品ロス問題を認知して食品ロス削減に取り組む人の割合は1.7%増加した。
    • 新型コロナウイルス感染症拡大による食品に関する消費行動の変化について集計したところ、「外食の回数が減った」と回答した人は60%であった。その他の消費行動の変化については、「(自身や家族が)家庭内で料理を作る回数が増えた」と回答した人は24.3%、「冷凍食品や加工食品など保存がきく食材の購入が増えた」と回答した人は23.1%、「食材の買い物(一度の購入量)が増えた」と回答した人は19.7%であった。
    • 賞味期限と消費期限の違いを知っているか聞いたところ、「知っていた」と回答した人が71.9%となっている。一方で、「知らなかった」と回答した人は10.2%であった。
    • フードバンク活動及びフードドライブ活動について知っているか聞いたところ、「両活動とも知らなかった」と回答した人が51.4%と最も多く、次いで「フードバンク活動のみ知っていた」(30%)、「両活動とも知っていた」(13.4%)、「フードドライブ活動のみ知っていた」(5.2%)の順となっている。
    • 規格外農産物・食品について知っているか聞いたところ、「知っていた」と回答した人が48%と最も多く、次いで「知らなかった」(32.1%)、「言葉は知っていたが、内容は知らなかった」(20%)の順となっている。また、規格外農産物・食品についてどのように考えているか聞いたところ、「形や見た目が悪くても品質(味)が変わらなければ購入する」と回答した人が51.1%と最も多く、次いで「通常品よりも値下げされるのであれば購入する」(36.6%)、「購入しない」(12.3%)の順となっている。
    • なお、規格外農産物・食品の認知(図8)と規格外農産物・食品についての考えとの関係を集計したところ、規格外農産物・食品を「知っていた」と回答した人では、「形や見た目が悪くても品質(味)が変わらなければ購入する」が73.1%と最も多く、次いで「通常品よりも値下げされるのであれば購入する」(26.2%)、「購入しない」(0.7%)の順となっている。一方で、規格外農産物・食品を「知らなかった」と回答した人では、「通常品よりも値下げされるのであれば購入する」が41.3%と最も多く、次いで「購入しない」(35%)、「形や見た目が悪くても品質(味)が変わらなければ購入する」(23.6%)の順となっている
    • 消費者庁等がコンビニエンスストア等と連携して2021年6月から行った「てまえどり」の取組について知っているか聞いたところ、「知らなかった」が49.4%と最も多く、次いで「取組は知っていたが、店舗で掲示物を見たことがない」(27.5%)、「店舗で掲示物を見たことがある」(23.1%)の順となっている。また、「てまえどり」についてどのように考えているのか聞いたところ、「「てまえどり」を実
    • 践している」と回答した人が39.4%(「普段から「てまえどり」を実践している」33%+「店舗で掲示物を見て「てまえどり」を実践した」6.4%)であった。一方で、「「てまえどり」は実践していない」と回答した人が60.6%(「店舗で掲示物を見ていないが、「てまえどり」は実践していない」54.9%+「店舗で掲示物を見たが、「てまえどり」は実践していない」5.7%)であった。
    • なお、「てまえどり」の認知と「てまえどり」についての考えとの関係を集計したところ、「店舗で掲示物を見たことがある」と回答した人では、「「てまえどり」を実践している」と回答した人が75.3%(「普段から「てまえどり」を実践している」47.7%+「店舗で掲示物を見て「てまえどり」を実践した」27.6%)となっており、「「てまえどり」は実践していない」と回答した人が24.7%(店舗で掲示物を見たが、「てまえどり」は実践していない)であった。一方で、「「てまえどり」を知らない」と回答した人では、「「てまえどり」を実践している」と回答した人が21.4%となっており、「「てまえどり」は実践していない」と回答した人が78.6%であった。

    消費者庁 株式会社 W-ENDLESSに対する景品表示法に基づく措置命令について
    • 消費者庁は、本日、株式会社W-ENDLESS(以下「W-ENDLESS」といいます。)に対し、同社が供給する「 Dr.味噌汁」と称する食品に係る表示について、景品表示法に違反する行為(同法第5条第1号(優良誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を行いました。
    1. 違反行為者の概要
      • 名称 株式会社W-ENDLESS(法人番号 9120001187997)
    2. 措置命令の概要
      1. 対象商品
        • 「Dr.味噌汁」と称する食品(以下「本件商品」という。)
      2. 対象表示
        1. 表示の概要
          1. 表示媒体
            • 「beauty award」と称するW-ENDLESSが運営するウェブサイト(https://beauty-award.jp/ad/mis_1112y)
          2. 表示期間
            • 令和2年11月20日から同年12月28日までの間
          3. 表示内容
            • 「それは今までとは全く違う、“我慢しない”ボディメイク法で、『これだ!』と思って試してみることに。 辛い食事制限や運動ではダメだった僕も、 その方法を試してみると…」との記載と共に、細身で筋肉質な上半身の人物の画像、「いいカラダじゃん。 自分でもほれぼれしてしまうくらいです!(笑) その方法を試し始めて数ヶ月たちましたが、明らかに周りの対応が違うんです。 『ステキですね』 『ジムでも通ったの?』といろんな人に言われましたが、違うんです!! ★無理な食事制限ナシ★ ★辛い運動ナシ★ それだけ? と思いますよね。それだけなんです!」等と、別表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件商品を摂取するだけで、本件商品に含まれる成分の作用により、容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
        2. 実際
          • 前記の表示について、消費者庁は、景品表示法第7条第2項の規定に基づき、W-ENDLESSに対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料は、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
      3. 命令の概要
        1. 前記の表示は、本件商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
        2. 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
        3. 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記(2)1の表示と同様の表示を行わないこと。

    消費者庁 成年年齢引下げ後の若年者への消費者教育推進方針―消費者教育の実践・定着プラン―
    ▼【概要】成年年齢引下げ後の若年者への消費者教育推進方針―消費者教育の実践・定着プラン―(令和4年3月31日決定)
    • 高等学校段階のみならず、社会人も含めた若年者への切れ目のない消費者教育へと進展させ、消費者被害の状況等も踏まえつつ、成年年齢引下げ後の消費者教育の実践・定着に向けて関係4省庁が連携し、若年者への消費者教育に取り組む。
    • 4省庁決定事項:消費者庁 法務省 文部科学省 金融庁
      1. 実践的な取組の推進・環境整備
        1. 学校等における消費者教育の推進
          1. 高等学校等における消費者教育の推進
            • 学習指導要領の趣旨の周知・徹底 【文部科学省】
            • 実践的な消費者教育等の推進 【消費者庁・法務省・文部科学省・金融庁】
            • 実践的な教材や啓発資料、実務経験者の活用促進
            • 消費者教育コーディネーターの配置促進・活動の底上げ
            • 教員の養成・研修の推進 【文部科学省・消費者庁・金融庁】
            • 教職課程における消費者教育の内容の充実
            • 現職教員に対する研修等の充実 等
          2. 大学等における消費者教育の推進
            • 大学、専門学校等と消費生活センター等の連携、実務経験者の活用の促進 【消費者庁】
            • 成年となる大学の学生に対する消費者被害防止に向けた指導等【文部科学省】
            • 大学等における金融経済教育講座の実施 【金融庁】 等
          3. 事業者等における若年者向け消費者教育の推進
            • 事業者等の新人研修等を活用した消費者教育の促進 【消費者庁・金融庁】 等
            • 若年者に対する広報・啓発(注意喚起・情報発信等)
        2. 若年者の消費生活相談の状況や消費トラブルへの対処等の傾向を踏まえた注意喚起 【消費者庁】
          • 若年者が社会の一員として相互に情報共有する活動の推進【消費者庁】
          • 成人式、入学時ガイダンス等を活用した情報発信 【消費者庁・文部科学省】
          • シンポジウム等を活用した啓発 【消費者庁・法務省・文部科学省・金融庁】
          • SNS等を活用した情報発信 【消費者庁・法務省・文部科学省・金融庁】 等
        3. 若年者を支える社会的な環境の整備
          • 消費者ホットライン188の周知広報【消費者庁】
          • 消費生活相談のデジタル化等若年者が相談しやすい体制整備及び周知【消費者庁】
          • 親世代を含めた若年者周辺の人へのシンポジウム等を活用した啓発・情報発信【消費者庁・法務省・文部科学省・金融庁】(一部再掲) 等
      2. コンテンツの充実・活用の促進
        • 実践的な消費者教育に資する動画、教材等について、SNSやウェブサイト・ポータルサイト等を通じて活用を促進 【消費者庁・法務省・文部科学省・金融庁】 等
      3. 推進状況のフォローアップと推進方針の見直し
        • 推進方針に基づく各施策の進捗状況のフォローアップを毎年度行い、推進方針の着実な実施を確保するとともに、若年者に対する調査を行い、必要な施策について検討する。その際、必要に応じて消費者教育推進会議等の意見を聴く。
        • 施策の進捗状況や社会経済情勢の変化を踏まえ、必要に応じて推進方針の見直しを行う。 等

    【国民生活センター】

    【2022年6月】

    国民生活センター 被災地域は特に注意!災害後の住宅修理トラブル
    • 近年、台風や大雨・大雪、地震などによる自然災害が毎年のように全国各地で発生しています。
    • 自然災害が発生した場合、それに便乗した悪質商法など、自然災害に関連した消費者トラブルが多く発生する傾向があり、特に被災地域では、多くの相談が寄せられています。また、災害直後でなくとも過去の災害を持ち出したり、将来の不安をあおったりして勧誘され、トラブルになるケースも見られます。
    • そこで、災害に関連した消費者トラブルとして、特に多く寄せられる住宅の修理トラブルについてまとめました。事前に知っておいて、こうした消費者トラブルにあわないように注意してください。
    • 相談事例
      1. 住宅修理の強引な勧誘
        • 【事例1】「すぐに直さなければ雨漏りする」と2時間以上、執拗に工事を勧めてきた
      2. 不安をあおられて結ぶ高額な契約
        • 【事例2】「今直さないと大変なことになる」と不安をあおられて屋根修理工事を契約した
        • 【事例3】外壁修理工事を契約した事業者から「今度大きな地震が来ると倒壊する可能性がある」と不安をあおられて解体工事を契約したが、見積金額より高い工事費になった
      3. 住宅の杜撰な修理工事
        • 【事例4】塗装工事の内容が杜撰でやり直しが必要なうえ、工事完了も大幅に遅れている
      4. 公的機関からの委託を受けたと称し、点検に来る
        • 【事例5】県の防災部署から委託されていると電話があり、県に確認すると無関係だった
      5. 保険金が使えると勧誘する住宅修理サービス
        • 【事例6】先月の雪害により雨どいが壊れていると言われ、保険金の申請サポート契約をした
        • 【事例7】台風で壊れたのであれば自己負担なく修理できると訪問を受けた
    • アドバイス
      • 契約を迫られても、その場では契約せず、複数の事業者で比較検討してください
      • 不安をあおる勧誘を受けた場合は、業者の話だけを信じずに特に注意しましょう
      • 契約する際には、工期や費用を十分確認しましょう
      • 「保険を使って自己負担なく修理できる」「申請サポートをする」と勧誘されたら要注意!
      • 請求期限が迫っている等の勧誘をうのみにせず、安易に契約しないようにしましょう
      • 訪問販売や電話勧誘販売で契約した場合、クーリング・オフができます

    国民生活センター 「消費者トラブルメール箱」2021年度のまとめ
    • 消費者被害の実態を速やかに把握し、同様な消費者被害の発生の防止に役立てるため、インターネットを利用した情報収集コーナーとして、2002年4月から「消費者トラブルメール箱(以下:トラブルメール箱)」を国民生活センターのホームページ上に開設しています。今回は、2021年度に寄せられた情報の傾向等について報告します。
    • 情報の傾向
      • 「トラブルメール箱」に2021年度に寄せられた情報の主な内容は、以下のとおりです。
        • インターネット通販に関するトラブル
        • スマートフォン、光回線などの通信サービスに関するトラブル
        • 架空請求・不当請求関連のトラブル
        • 個人間取引に関するトラブル
        • その他のトラブル(オンラインゲームに関するトラブル、会費請求に関するトラブル、賃貸住宅の退去の際のトラブル等)
      • 消費者庁への情報提供
        • 重大事故(死亡・治療期間30日以上等)、および重大な事故につながる可能性が考えられる、いわゆる「ヒヤリハット」に類する情報について、消費者安全法に基づいて、速やかに消費者庁(消費者安全課)へ通知および情報提供を行っています。2021年度は重大事故6件、ヒヤリハット43件について、消費者庁へ通知および情報提供を行いました。
    • 参考
      1. 受信件数
        • 受信件数は、2021年度は11,682件でした。1日当たりの平均受信件数は約32件でした。
      2. アクセス(閲覧)件数
        • トップページへのアクセス件数は、11万9,664件でした。また、「トラブルメール箱」によく寄せられる情報をまとめた身近な消費者トラブルQ&A(FAQ)のトップページへのアクセス件数は69万2,312件でした。
      3. FAQの件数
      4. 送信者について
        • 性別:男性59.8%、女性40.2%と、男性が約6割を占めています。
        • 年代別:30歳代から50歳代で約7割を占めています。
        • 職業別:給与生活者と自営・自由業の割合が高く、8割弱を占めています。
        • 時間帯別:情報提供の送信が行われた時間帯について3時間ごとに集計したところ、9時から24時までは時間帯による差がそれほどありませんでした。深夜~早朝の時間帯(0時~5時59分)においても、全体の約8%を占めています。

      国民生活センター 国民生活センターと消費者庁をかたる偽ハガキにご注意ください
      • 全国の消費者宛てに、国民生活センターと消費者庁をかたるハガキが届いており、国民生活センターでも実際に送られたハガキを入手しました(図)。
      • 国民生活センター、消費者庁とも、このようなハガキは一切発出しておりません。
      • もしこのようなハガキが届いたら!-消費者へのアドバイス-
        • このハガキに記載されている内容は、国民生活センター・消費者庁が記載したものではありません。ハガキには「数年前の通販の(代理請求)弁護士事務所からの請求は無効。時効は2年です。」と記載されていますが、この記述も正しくありません。偽ハガキが届いても無視してください。
        • その後、関係する電話やメール等があったとしても対応しないでください。
        • お金を要求される等、不審な点や不明な点があればすぐに最寄りの消費生活センター等に相談してください。
      • 国民生活センターと消費者庁をかたる偽のハガキの内容
        1. 宛名面
          • 弁護士事務所からの請求はご注意ください。
          • 数年前の通販の(代理請求)弁護士事務所からの請求は 無効。時効は2年です。【時効の援用】を主張。
          • 数年前の請求は時効が成立しています。
          • 悩まず各地の消費者センターに相談を
          • 局番なし『188』消費者ホットライン
          • 国民生活センターお昼の消費生活相談03-3446-0999
          • 消費者庁(センター)ホットライン 局番なし「188」
        2. 通信面
          • 弁護士事務所からの請求は「時効」です
          • 国民生活センターお昼の消費生活相談03-3446-0999
          • 消費者庁(センター)
          • 局番なし「188」でご相談ください。
          • 数年前の請求は[時効の援用]で(支払義務なし)
          • 消費者庁(センター)
          • 過去の請求は 悩まずにご相談ください。

        国民生活センター 「置き配」でのトラブルに注意
        • 内容
          • 事例1 通販サイトに本などを注文した。数日前、置き配での配達完了メールが来たが、商品は届いていない。添付されていた玄関の写真も我が家のものではなかった。(70歳代 女性)
          • 事例2 ネット通販でCDを注文した。置き配を希望したつもりはないが、玄関前に置かれたようで、配達された写真をサイトで確認した。しかし、数時間放置されていたため盗まれたようで、商品を受け取っていない。(70歳代 男性)
        • ひとこと助言
          • 玄関先などの指定した場所に置くことで配達を完了する「置き配」は、ネット通販を中心に、急速に普及していますが、誤配、盗難などのリスクもあります。メリットとデメリットを理解して利用しましょう。
          • ネット通販で商品を注文する際に、初期設定が置き配になっている場合があります。意図せず置き配を選択していないか、注文前に確認しましょう。
          • 置き配を利用する場合は、注文前に利用規約をよく読み、誤配、盗難などのリスクを理解し、トラブルの際の補償、連絡先を把握しておきましょう。
          • 宅配業者からの配達完了通知などで到着を確認したら、早めに引き取りましょう。置き配用の宅配ボックスや宅配バッグなどを利用するのもよいでしょう。

        国民生活センター 保険金で住宅修理ができると勧誘する事業者に注意!
        • 「火災保険を使って自己負担なく住宅の修理ができる」や「保険金が出るようサポートする」など、「保険金が使える」と勧誘する住宅修理サービスに関する相談が急増しています。
        • 相談件数
          • 年度別相談件数:2018年度は2,610件、2019年度は3,531件、2020年度は6,560件、2021年度は5,093件です。
          • PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのこと。相談件数は2022年4月30日までの登録分。消費生活センター等からの経由相談は含まれない。
          • 本資料では「集合住宅」「戸建住宅」「住宅構成材」「車庫」の修理に関する相談と保険金請求代行サービスのうち、特に相談の多い「訪問販売」「通信販売」「電話勧誘販売」による相談について「『保険金が使える』と勧誘する住宅修理サービス」とし、共済を利用した住宅修理に関する相談を含んでいる。
          • 今回の公表に伴い集計方法の一部を見直した。
        • 消費者へのアドバイス
          • 請求期限が迫っている等の勧誘やインターネット広告をうのみにせず、安易に契約しないようにしましょう
          • 申請サポート会社に頼らずとも、保険金の請求は加入者自身で行えます
          • うその理由で保険金を請求することは絶対にやめましょう
          • 不安に思った場合やトラブルになった場合は早めに消費生活センター等に相談しましょう
        • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

        国民生活センター 通い放題の脱毛エステ 中途解約に注意
        • 事例
          • 2年間通い放題の脱毛エステを約20万円で契約した。その後、中途解約したいと申し出たら「この契約は5回のプランでそれ以降は無料のアフターサービスとして提供している。5回を消費しているので解約しても返金はない」と言われた。契約期間は2年間のはずなのにおかしいのではないか。(当事者:学生 男性)
        • ひとことアドバイス
          • 脱毛エステの長期間にわたる契約の場合、中途解約や返金の条件もよく確認し慎重に検討しましょう。
          • 通い放題コースの場合「有償での施術期間・回数」と「無償での施術期間・回数(アフターサービス)」に分かれているケースが多くあります。全体の施術可能期間だけを見ず、詳細を書面で確認しましょう。
          • 中途解約して返金がされる期限や1回の施術にかかる料金も確認しましょう。契約前には、施術内容や契約条件について説明を受け、よく理解することが大切です。
          • 不安なときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

        国民生活センター 「おトクにお試しだけ」のつもりが「定期購入」に!?-「詐欺的な定期購入商法」の規制が強化された改正特定商取引法が施行されました!-
        • 販売サイト等で「1回目90%OFF」「初回実質0円(送料のみ)」など通常価格より低価格で購入できることを広告する一方で、定期購入が条件となっている健康食品、化粧品、飲料の通信販売に関する相談が全国の消費生活センター等に引き続き多く寄せられています。
        • 本年6月1日に、「詐欺的な定期購入商法」の規制が強化された改正特定商取引法が施行され、販売業者等は、取引における基本的な事項を最終確認画面等で明確に表示することが義務付けられました。また、販売業者等の誤認させるような表示等により、誤認して申込みをした消費者は、申込みの意思表示を取り消すことができるようになりました。
        • 相談事例
          • 【事例1】「初回550円」という表示を見て化粧品を注文したところ、2回目以降が高額な定期購入契約だった
          • 【事例2】「いつでも解約可能」という表示を見て、定期購入のダイエットサプリメントを注文したところ、初回のみで解約するには条件がついていた
        • 消費者へのアドバイス(インターネット通販中心)
          1. 低価格を強調する広告の場合は、注文する前に販売サイトや「最終確認画面」の表示をよく確認しましょう
            • 必ず「最終確認画面」で、定期購入が条件となっていないか、2回目以降の分量や代金などの販売条件、解約条件等を確認しましょう。
            • 改正特定商取引法では、販売業者等は、販売サイトの「最終確認画面」において、顧客が「注文確定」の直前段階で、分量、販売価格・対価、支払の時期・方法、引渡・提供時期、申込期間(期限のある場合)、申込みの撤回、解除に関することなどの契約の申込みの内容を簡単に最終確認できるように表示することを義務付けています。
            • また、販売業者等がこれらの契約の申込みの内容について、表示しなかったり、不実の表示や消費者を誤認させるような表示を行った場合、これにより誤認して申込みをした消費者は、申込みの意思表示を取り消すことができます。
        • 「最終確認画面」のチェックリスト
          1. 注文する前
            1. 定期購入が条件になっていませんか?
              • 「初回特別価格」「○カ月コース」「定期コース」などと表示されている場合は、特によく確認しましょう。
            2. (定期購入が条件になっている場合、)継続期間や購入回数が決められていませんか?
              • 「○回をお受け取り後に解約できます」「○回のお受け取りが条件になっています」などと表示されている場合はよく確認しましょう。
            3. 支払うことになる総額はいくらですか?
              • 各回の分量、2回目以降の代金は、初回の分量、代金と異なるケースがあります。
            4. 解約の際の連絡手段を確認しましたか?
              • 解約手段が電話やメッセージアプリに限定されている場合は、電話がつながらない、メッセージアプリの操作がうまくできないことも想定しておきましょう。
            5. 「解約・返品できるか」「解約・返品できる場合の条件」(返品特約)、解約条件を確認しましたか?
              • 特に、「次回商品発送の○日前までに連絡をすれば解約できる」など解約の申出に期限がある場合には申出の期限、解約時に違約金などの支払いが必要であればその内容など解約条件の詳細を確認しましょう。
            6. 利用規約の内容を確認しましたか?
              • 利用規約の内容をよく確認しましょう。
            7. 「最終確認画面」をスクリーンショットで保存しましたか?
              • 契約を取り消す際の証拠になります。
          2. 未成年者の場合は以下の点も確認してください*
            • 販売サイトに「法定代理人の同意を得ている」のチェック欄があった際は、同意を得てチェックを入れていますか?
            • 年齢や生年月日を成人であると偽らず、正確に入力して申込んでいますか?
            • 法定代理人が目的を定めて処分を許した財産をその目的のために使う行為や、自由な処分を許された財産を使う行為などは法定代理人の同意は不要。また、未成年者が相手を誤信させる目的で、成年者であると伝えたり、法定代理人の同意を得ていないにもかかわらず同意を得ているなどとうそをついたりすること(詐術)により相手を信用させて契約した場合には原則として取り消しはできない。

        国民生活センター 蜂の巣の駆除で思わぬ高額請求
        • 内容
          • 5センチ大の蜂の巣を見つけたので、ネットで調べた業者に電話をした。その際、料金を確認すると「蜂の巣1個で4千円。他の処置をしても2万円まで」と言われたので依頼した。作業終了後、巣を1個だけ持参し「これ以外にも2個巣があった」と合計11万円の明細を見せられた。他の2個分の巣は見せられていない。車に乗せられ銀行に行って支払ったが、高額ではないか。(60歳代 女性)
        • ひとこと助言
          • 駆除業者の紹介などを行っている自治体もあります。慌てて事業者を呼ばずに、まずはお住まいの自治体に確認してみましょう。また、日頃から自分での駆除方法や信頼できる事業者を調べておくと安心です。
          • 作業前に、作業内容と料金を確認し、当初の想定とかけ離れた料金の場合は、すぐに依頼せず、複数社から見積もりを取り比較検討するのもよいでしょう。
          • 巣が大きくなると駆除が困難になり、費用も高額になる傾向があります。定期的な点検を行いましょう。
          • 請求額に納得できない場合は、料金を支払わずに、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

        【2022年5月】

        国民生活センター 雑音で音声が聞き取りにくい耳かけ集音器(相談解決のためのテストからNo.164)
        • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
          • 依頼内容
            • 「集音器を購入したが、雑音で会話等の声が聞き取りにくい。商品に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
          • 調査
            • 当該品は本体を耳にかけて使用する充電式の集音器でした。実際に装着して動作確認をしたところ、イヤホンにより耳がふさがれるため、音がこもった様に聞こえたほか、本体のボリュームを上げていくと、周囲の雑音も含め大きくなりました。
            • 次に、当該品による音の増幅を確認するため、入力信号に対する出力測定を行いました。テストは、周波数の異なる8種類の正弦波の音源を用いて、音量を「最小」から「最大」に上げたときの出力信号の変化を調べました。
            • その結果、いずれの周波数においても音量「最小」から「最大」に上げることで周波数は変化せずに信号が増幅されていました。当該品を使用することで音は増幅されるものの、音の聞こえについては、会話やテレビの音声などの聞き取りたい音だけではなく、周囲の雑音も含めて増幅されるため、聞き取りにくい状況が生じているものと考えられました。
        • 消費者へのアドバイス
          • 耳かけ集音器は、本体のマイクに入力された音を増幅する単機能のものが多く、周囲の雑音を含めて増幅するほか、耳にイヤホンを装着するため、思ったような聞こえ方にならないことがあります。集音器にはさまざまな形状・機能を有したものがありますので、このような特性を理解した上で、使用する目的に合っているか確認するようにしましょう。

        国民生活センター 組成表示が異なっていた婦人パジャマ(相談解決のためのテストからNo.165)
        • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
          • 依頼内容
            • 「綿100%と表示されたパジャマを購入したが、綿100%とは思えない。表示に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
          • 調査
            • 当該品について、JISの試験方法によって繊維混用率(製品に使用されている繊維ごとの、その製品全体に対する質量割合を百分率で表したもの)を調べたところ、表示とは組成が異なっていました。
            • 家庭用品品質表示法おいて、混用率が100%である旨を表示する場合、その誤差の許容範囲は、毛以外の繊維では-1%以内とされています。
            • 当該品は「綿100%」と組成表示されていましたが、繊維混用率は、同法規程に定められている誤差の許容範囲を大幅に超えていました。
            • また、当該品から糸を採取し、ほぐして拡大観察したところ、扁平(へんぺい)でよじれが特徴的な綿と考えられる繊維と、均一な太さのポリエステルと考えられる繊維がみられました。
          • 解決内容等
            • 依頼センターがテスト結果を販売店に説明したところ、このテスト結果を知った製造事業者から、海外の工場でミスがあったものと思われるとの連絡があり、相談者への返金対応が行われました。

        国民生活センター 一度に中身がすべて噴出したスプレー缶(相談解決のためのテストからNo.166)
        • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
          • 依頼内容
            • 「制汗スプレーを使用したところ、空になるまで噴射し続けた。原因を調べてほしい。」という依頼を受けました。
          • 調査
            • 当該品は本体がアルミ製のスプレー缶で、開封後の最初の使用時に噴射ボタンを1回押しただけで内容物が出続けて空になったとのことでした。
            • 一般的なスプレー缶では、ステムガスケットがステム孔を塞いで内容物が漏れ出ないように密閉しています。噴射ボタンを押すと、ステムとステムガスケットが下がり、ステム孔が開放され、容器内で圧力がかかっている噴射剤及び原液の混合内容物がディップチューブを通って噴射ボタンの孔から噴射されます。
            • 当該品の外観に腐食や損傷等は見られず、X線の装置により内部の様子を観察したところ、ハウジングが脱落している様子が見られました。そこで、当該品を切り開き、内部の様子を観察したところ、分離したハウジングは樹脂製でもろくなって破断している様子が見られ、樹脂製のステムももろくなっている様子が見られました。
            • 当該品は噴射ボタンを押した際に、もろくなっていたハウジングが脱落したことでスプリングによって戻る力がなくなり、ステム孔が開放状態となって内容物が出続けたものと考えられました。また、開封後の最初の使用時に噴射ボタンを1回押しただけで内容物が出続けたとのことから、使用時には既にハウジングがもろくなっていたものと考えられました。
            • なお、当該品に表示されていた製造者名は20年以上前に変わっており、当該品はその前に製造されたものと考えられました。
        • 消費者へのアドバイス
          • 古いスプレー缶は今回の事例のように内部の部品が劣化して噴射剤等が漏れたり、噴射が止まらなくなってしまう可能性があります。また、缶本体が腐食して破裂したり、漏れた噴射剤に引火する等の事故を引き起こす危険性もあります。製造から長期間経過したものや製造時期が不明なもの、異常が見られるスプレー缶は使用しないようにしましょう。なお、廃棄方法についてはスプレー缶に表示されているメーカー連絡先か、お住まいの自治体の指示に従うようにしましょう(注1、2)。
          • また、多くのスプレー缶の噴射剤には可燃性ガスが使われており、近くに火気があれば引火の危険性もあります。スプレー缶を使用するときや使用直後には火気を近づけないようにし、換気にも注意しましょう。

        国民生活センター 実在する組織をかたるフィッシングメールに注意!
        • 内容
          • 事例1 大手通販サイトからクレジットカード番号を登録し直すようにとのメールが来たので、記載されていたURLをクリックし名前やカード番号などを入力した。その後、約1万7千円分のカード利用がされていたことが判明した。(80歳代 男性)
          • 事例2 大手カード会社から「不正利用の事例が多いので確認するように」とメールが届き、URLをクリックしカード番号などを入力した。その後、カード会社から「通信販売で不正な利用が確認された」と連絡があった。5万円ほどの買い物をされていた。(70歳代 男性)
        • ひとこと助言
          • 通販サイト、クレジットカード会社、フリマサービス運営事業者、携帯電話会社などの実在する組織をかたり、パスワードやアカウントID、暗証番号、クレジットカード番号などの情報を詐取するフィッシングの手口が多く発生しています。
          • メールに記載されたURLには安易にアクセスせず、事業者の正規のホームページでフィッシングに関する情報がないか確認しましょう。日ごろから公式アプリやブックマークした事業者のサイトにアクセスすることを習慣にしましょう。
          • メールのURLにアクセスし、個人の情報を入力してしまうと、クレジットカードや個人情報を不正利用されるおそれがあります。もし、アクセスしてしまっても、個人情報は絶対に入力してはいけません。
          • 困ったときは、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

        国民生活センター タレント・モデルなどの契約トラブルに注意
        • 事例
          • ネット広告を見て声優のアルバイトに応募し、所属契約をした。後日ボイスドラマ用のボイスサンプルを収録したが、審査に落ちた。しかし「やる気があるなら新人枠で推薦する」と言われ、お願いしたところ「条件付きで新人枠に入れた」とプロデューサーを名乗る人から電話があり、スタジオに出向いた。ところが、約8万円でレッスンを受けることが出演の条件であり、親に反対されたので断ると罵倒された。所属契約を解除したい。(当事者:大学生 男性)
        • ひとことアドバイス
          • 芸能人にあこがれる気持ちに付け込まれ「あなたは向いている」「審査は不合格だが才能がある」などの甘い言葉で芸能事務所の所属契約を勧められることがあります。その場で契約せず、具体的な活動内容やサポート体制などの契約内容を確認しましょう。
          • クレジット契約や借金をしてでも有料のレッスンの受講等を契約するように勧める事業者もいますが、必ず仕事や報酬につながるわけではありません。家族や周囲の人に相談するなどして冷静に判断しましょう。
          • 不安なときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
        • 2022年4月から18歳で大人に! 一人で契約ができる反面、原則として一方的にやめることはできません。成年になったばかりの若者にどんな消費者トラブルがあるのか知っておくこともトラブル回避に役立ちます。

        国民生活センター マッチングアプリで知り合った人から勧められた暗号資産の投資サイトに手数料を支払ったが、出金できない
        • 質問
          • マッチングアプリで知り合った自称外国人女性と、無料会話アプリでやり取りしていると、海外の暗号資産(仮想通貨)の取引所で投資をするように勧誘された。勧められたアプリで指示どおり投資したところ利益が出たので、アプリから資金を国内の暗号資産交換業者に送付しようとしたら、アプリの運営事業者から「保証金を支払う必要がある」と連絡があった。さらに「手数料」等の名目で次々に費用を請求されている。一部支払ったが、結局アプリ内の資金を出金できなかった。どうしたらよいか。
        • 回答
          • 「出会い系サイトやマッチングアプリ等で出会った人物から、海外の投資サイトやアプリを紹介され、投資したが、出金できなくなった」等の相談が多数寄せられています。投資したところ、出金するためには税金や手数料等の支払いが必要などとして振り込みを要求され、請求通り支払っても結局出金できなかったケースも見られます。このような恋愛感情や、投資資金をなんとか取り戻したいという消費者の心理につけ込む手口は「ロマンス投資詐欺」と考えられます。運営会社や投資の運用の実態が確認できないことが多く、その資金を取り戻すことは極めて困難です。支払う前に消費生活センターに相談しましょう。
        • 解説
          • 質問のような相談事例の他にも、以下のような流れの手口で財産的被害が発生しています。
            • 出会い系サイトやマッチングアプリ等で出会った人物から、無料会話アプリでのやりとりに誘われ、その中で投資サイトでの投資を勧められる。
            • 勧めに従い、投資のために送金する。
            • 出金しようとすると、さまざまな名目で追加の送金を要求され、結局出金できない。
            • マッチング相手や、投資サイト運営事業者と連絡が取れなくなり、返金されない。
          • このようなケースでは、運営会社や投資の運用の実態が確認できないことが多く、支払ってしまった後に資金を取り戻すことは極めて困難となります。
          • 投資サイト上で利益が出ている様子が見られたとしても、見せかけのデータにすぎない可能性があります。
          • 出金のために保証金や税金、手数料等さまざまな名目で請求を受けたとしても、安易に支払わないでください。
            1. マッチング相手に不審な点はないか確認
              • マッチングアプリ等の利用規約では、外部サイト・外部サービスへ誘導する行為を禁じている場合があります。事前に規約や注意事項をよく読み、違反する行為や疑わしい行為を持ち掛けてくる相手とはやり取りを行わないようにしましょう。また自身も違反行為をしないようにするだけでなく、そうした行為を受けたことをサイトやアプリ運営会社に報告しましょう。
              • この手口では、マッチングの相手が外国人を名乗っていることがあります。会う前から将来の話をする、投資を何度も勧めてくるなど、行動に不自然な点がないか確認しましょう。一度も直接会っていない相手を安易に信じて、投資を行うことはやめましょう。
            2. 投資サイトを確認
              • 紹介した手口に当てはまる場合、詐欺が疑われます。投資サイトの運営事業者が海外に所在する場合でも、日本の居住者のためにまたは日本の居住者を相手方として金融商品取引を業として行う場合は、金融商品取引業の登録が必要です。契約の対象が暗号資産の取引に当たる場合、暗号資産交換業者は金融庁・財務局への登録が義務付けられています。手口に当てはまる場合や、登録がない事業者である場合には、送金しないようにしましょう。
            3. 国内の預金口座等へ振り込んだ場合
              • 紹介した手口に当てはまる場合、振り込め詐欺救済法に基づく届け出を行うことが考えられます。振込先の金融機関にも問い合わせを行いましょう。
              • お困りの際にはお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

        国民生活センター このままでは固定電話が使えなくなる!?それって光回線の“便乗”勧誘かも-固定電話のIP網移行に伴う利用者側での手続きは不要です-
        • NTT東日本およびNTT西日本は2024年1月以降、固定電話のIP網への移行に伴い同社の局内設備の切替を予定していますが、これに便乗した光回線などの勧誘が見られますので、十分に注意しましょう。
        • 相談事例
          • 【事例1】今後固定電話が使えなくなると言われて、光回線の契約をしたがやめたい
            • 突然実家に訪問してきた事業者から「今後固定電話が使えなくなる。光回線にした方がいい」と言われ、父が光回線の契約を了承したようだ。父は契約内容を理解しておらず、アナログ回線のままを希望している。光回線を解約したい。(2021年11月 70歳代 男性)
          • 【事例2】2024年にアナログ回線がなくなると言われて、光回線を勧誘された
            • 事業者から電話があり、「光回線にすると電話の基本料が安くなる。2024年にアナログ回線がなくなるため、光回線に変更するには工事料が発生するが、今だと工事料は無料だ」などと言われ、曖昧な返事をした。すると後日、工事日を決める電話がきたため、「契約した覚えがない」と断ったが、今日になって契約書が届いた。契約した覚えはなく、もし契約したことになっているなら解約したい。(2021年4月 60歳代 男性)
        • 消費者へのアドバイス
          • 固定電話のIP網移行に伴う局内設備切替では、利用者側での手続きや自宅での工事は不要です。また、利用中の電話機や電話番号はそのまま利用できます
          • 固定電話やアナログ回線が使えなくなるなどといった、固定電話のIP網移行等に便乗した光回線などの販売勧誘には十分に注意しましょう。もし不要な契約であれば、きっぱり断りましょう
          • 不安に思った場合や、トラブルが生じた場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう
            • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

        国民生活センター 点検中に屋根を壊された? 点検商法に注意
        • 内容
          • 近所で工事しているという事業者が来訪し「お宅の屋根がめくれているのが見えた。屋根に登って点検する」と言うので依頼した。点検後、屋根が浮いている写真を見せられ、そのままにしておけないと思い、約30万円の修理を契約した。その後、家族の勧めでハウスメーカーに確認してもらうと「釘を引き抜いたような新しい傷がある」と言われた。(60歳代 女性)
        • ひとこと助言
          • 突然訪問してきた事業者に安易に点検させないようにしましょう。点検箇所をわざと壊して撮影し勧誘するなど、悪質なケースもみられます。
          • 点検後に修理を勧められてもその場で契約しないようにしましょう。別の専門家に確認を依頼したり、複数の事業者から見積もりを取ったりするとよいでしょう。
          • 家族や周囲の人は、不審な人物が来ていないか、見慣れない書面がないかなど、高齢者の様子に気を配りましょう。
          • 工事終了後でも、クーリング・オフできる場合があります。困ったときは、すぐにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

        【2022年4月】

        国民生活センター 破損したマグネットパズルの磁石を誤飲!
        • 事例
          • マグネットパズルが剥がれるように壊れ、パーツ内の磁石を2個誤飲した。腹痛と嘔吐があったため医療機関を受診し、検査した結果、お腹の中に磁石があることが分かり、排泄されなかったので手術で磁石を取り出した。強力な磁力により、磁石が腸管壁を破っていた。(当事者:2歳 男児)
        • ひとことアドバイス
          • マグネットパズルは、三角形や四角形などの枠状のパーツを磁力でくっつけ、いろいろな形を作って遊ぶおもちゃですが、磁力の強いネオジム磁石が内蔵されているものがあります。
          • マグネットパズルで遊ばせる前に、壊れたパーツがないか確認し、剥がれかけていたり亀裂が入っていたりするパーツは、磁石が外に出る恐れがあるので使わないでください。
          • 複数の磁石を誤飲すると、体内で磁石同士が消化管を隔ててつながり、穴が開いてしまうことがあり大変危険です。誤飲した可能性があるときは、症状がなくてもすぐに医療機関を受診しましょう。
          • 対象年齢未満の子どもが触らないよう手の届かないところに保管しましょう。

        国民生活センター 「パーソナル筋力トレーニング」でのけがや体調不良に注意!-コロナ禍でより高まる健康志向や運動不足解消の意外な落とし穴!?-
        • スポーツ庁の調査によると、新型コロナウイルス感染症の流行後、運動・スポーツを実施する意欲を持つ人の割合が増加し、また、実施時には、三つの密(密閉・密集・密接)の条件がそろう場所で実施しない、人と人の間隔を意識して実施する、といった感染対策を重視している人が多いとされています。そのような中、多くの人と接近する場を避け、トレーナーから1対1で指導を受ける「パーソナル筋力トレーニング」があります。その指導を受ける範囲は、トレーニングに留まらず、日々の食事指導にまで及ぶものもあります。
        • 国民生活センターの「医師からの事故情報受付窓口」には、2021年6月に、筋力トレーニング指導や食事指導を受けていた消費者が、スポーツジムにおいて、パーソナルトレーナーの指導により、前屈位の状態で重量のあるバーベルを上げるトレーニングを行ったところ、腰椎(ようつい)骨折等の全治1カ月以上を要する重傷を負った、という事故情報が寄せられました。
        • また、PIO-NETにはパーソナル筋力トレーニングでの危害に関する相談が、2017年度以降の約5年間に105件寄せられており、その4人に1人は治療に1カ月以上を要し、中には「神経・脊髄の損傷」、「筋・腱の損傷」をした人もいました。
        • そこで、パーソナル筋力トレーニングにおける事故について情報を取りまとめ、消費者に注意喚起することとしました。
        • 主な事例
          • パーソナルトレーナーの指示によるトレーニングで腰にしびれや痛みが生じた
          • ジムのパーソナルトレーナーの指導で筋肉痛のようになり治療を2カ月以上継続
          • パーソナルトレーニングジムでバーベルを持ち上げる動作により腱板(けんばん)損傷
        • 消費者へのアドバイス
          • トレーニングを始める前に、運動習慣や体力等の調査、マシン等を使用した体力テストなどが実施された上でトレーニングプランが作成されることを確認しましょう
          • トレーニング中に違和感を覚えたときは、無理をせず中断しましょう
          • 異常な痛みを感じたり体調が悪くなったときは、トレーナーやフィットネスクラブ等に伝えた上で、必要な場合は医療機関を受診しましょう
        • 事業者への要望
          • パーソナル筋力トレーニングは、トレーナーの指導の下で実施されますが、けがや体調不良の事故情報が寄せられており、件数は増加傾向にあります。中には、骨折等で治療に1カ月以上を要した事例もみられます。
          • パーソナル筋力トレーニングでのけがや体調不良の未然防止のため、トレーナーが個々の消費者に合った適切な指導を行うことができる仕組み作りなど、安全性向上に取り組むことを要望します。
          • パーソナル筋力トレーニングの指導を受ける消費者に合ったトレーニングプランが作成されることを要望します
          • パーソナル筋力トレーニングを指導するトレーナーが安全管理を行い、個々の消費者に適切な運動強度でトレーニングが実施されるよう要望します
          • トレーナーの質が確保される仕組み作りを要望します
        • 行政への要望
          • パーソナル筋力トレーニングでのけがや体調不良の未然防止のため、トレーナーの質が確保される仕組み作り等、業界自主ガイドラインを策定して安全性向上に取り組む事業者等に対して支援を行うことを要望します
          • パーソナル筋力トレーニングでのけがや体調不良の未然防止のため、消費者への注意喚起、啓発の実施を要望します

        国民生活センター SNSでPRをすれば商品代金やサービス利用料が無料になる?!-「キャッシュバックで実質無料」「自己負担なし」などの勧誘に注意-
        • SNSの投稿で商品やサービスをPRすれば、後からキャッシュバックを受けることができ、一切の負担なくそれらを利用できるなどと勧誘して商品等の契約をさせる手口について、全国の消費生活センター等に相談が寄せられています。
        • 相談事例をみると、「商品等をPRしているのにキャッシュバックが振り込まれない」「費用はかからないと聞いていたのに、後から請求を受けた」など、勧誘時の説明とは異なり、商品代金やサービス利用料等が消費者の負担となり、トラブルになっています。
        • そこで、トラブルの未然・拡大防止のために、消費者に向けて注意喚起を行います。
          • 消費者のSNSにダイレクトメールが届き、「SNSでPRをすれば実質無料でWi-Fiを利用できる」などと勧誘される。
          • キャッシュバック等の説明を受け、消費者が自分の名義でWi-Fi等の商品を契約する。
          • 消費者がWi-Fi等の商品を受け取り、SNSでPRをする。
          • キャッシュバックが振り込まれなかったり、事前に聞いていない費用が発生し、商品代金やサービス利用料等が消費者の負担になる。
        • 相談事例
          1. モバイルWi-Fiとタブレット端末をPRすれば、実質無料で利用できると勧誘されたが、キャッシュバックが一度も振り込まれない
            • 昨年の秋頃、私の画像専用SNSのアカウントに、「モバイルWi-Fiが無料で使えるモニターに興味があれば、無料通話アプリで連絡してほしい」とのダイレクトメールがA社から届いた。ちょうどモバイルWi-Fiを使いたいと思っていたので、無料通話アプリのアカウントを追加登録すると、担当者からURL付きのメッセージが届いた。B社のモバイルWi-Fiとタブレット端末を契約して使い、SNSでPRすれば、A社からそれらの月額利用料金がキャッシュバックされるため、実質無料になるとのことだった。A社の担当者から引き続き説明を受け、添付のURLから開いたサイト内でクレジットカード情報の入力等をした。その後Wi-Fiルーターやタブレット端末が届き、クレジットカードから11月に約1万2,000円、12月に約8,000円が引き落とされた。しかし、商品をPRしているのに、A社からのキャッシュバックが一度も振り込まれない。無料通話アプリで問い合わせてみたが明確な回答をもらえない。どうしたらよいか。
          2. その他、以下のような相談も寄せられています。
            • スマートスピーカーのPRを依頼され、料金の負担はないと聞いていたが、商品が届かないまま利用料金がクレジットカードで決済された
            • PRすれば無料で受講できるオンライン講座で、別途商品の購入が条件になっていた
        • アドバイス
          1. 「キャッシュバックで実質無料」「自己負担なし」などと言われても安易に契約しないようにしましょう
            • キャッシュバックを前提に、まずは消費者の名義で商品やサービスを契約するよう指示されています。また、費用の負担はないと言われていても後から請求されたり、別の商品等の購入を勧められることもあります。SNSのメッセージ等で勧誘されても、安易に契約せず、慎重に判断してください。
          2. 商品やサービスによっては違約金や端末代金の残債等解約にかかる費用が大きくなります
            • キャッシュバックが入金されず、購入金額がそのまま残ったり、月額利用料金の支払いだけが続くトラブルが目立ちます。支払いが難しくなり解約を申し出ると、違約金を請求されることもあります。
            • なお、Wi-Fiのルーターやタブレット端末等を割賦で購入している場合は、解約時に残債を一括で請求されることがあります。請求金額を支払わないままでいると、信用機関に事故情報として登録されてしまう恐れがあり、登録されると、新たなクレジットカードの申込みや各種ローンの審査が通らなくなるなどの影響があります。
          3. 不安に思った場合やトラブルになった場合はすぐに最寄りの消費生活センター等に相談しましょう
            • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
            • 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

        国民生活センター 【若者向け注意喚起シリーズ<11>】電気代が安くなる!?電力契約の訪問販売トラブル
        • 2016年から電力の小売りが全面自由化され、従来の地域の電力会社以外の電力事業者と自由に契約できるようになりました。しかし、訪問してきた事業者の担当者が、「電気代が安くなる」等といって検針票を見せるように迫ったり、「マンション(アパート)全体で契約先の電力会社が当社に変更になる」と事実と異なる説明をしたりして、電力の契約を迫るという相談が寄せられています。中には、検針票を見せただけで、意図せず契約先の電力会社が変更されていたという相談も寄せられています。
        • 契約先事業者が確認できない場合や契約内容が理解できない場合には、その場で契約しないでください。一人暮らしなどで転居し、新生活が始まるこの時期にも十分注意が必要です。
        • 全国の消費生活センター等には、以下のような相談が寄せられています。
        • 相談事例
          • 【事例1】大手電力会社からの委託と名乗り、検針票を見せるように言われた
          • 【事例2】マンション全体で契約する電気会社が変わると言われた
        • トラブル防止のポイント
          1. このフレーズの勧誘があった際は要注意!
            • 「大手電力会社の委託を受けている」と言われたら…
              • 訪問してきた会社の社名や連絡先等の情報や訪問の目的、電力契約をどこと結ぶのかを必ず確認してください。
            • 「電気代が安くなる」と言われたら…
              • 契約プランによっては、現在よりも電気料金が高くなる可能性もあります。現在の契約と必ず比較検討しましょう。
            • 「このマンション全体の契約が切り替わる」と言われたら…
              • マンション・アパートの管理会社や大家さん等に連絡して、事実かどうかを必ず確認しましょう。
            • 「検針票を見せて」と言われたら…
              • 検針票の情報がわかれば電力契約の手続きができてしまいます。検針票の取り扱いには十分注意してください。
          2. 訪問販売で契約した場合、クーリング・オフができます
            • 事業者から訪問を受けて契約した場合、特定商取引法に定める書面を受け取った日から数えて8日以内であればクーリング・オフ(無条件での契約解除)をすることができます。意図しない契約をしてしまった場合には、速やかに書面でクーリング・オフを申し出てください。
          3. 不安に思った場合やトラブルになった場合は早めに消費生活センター等に相談しましょう

        国民生活センター ウクライナ情勢を悪用した手口にご注意!(No.2)-貴金属の訪問購入トラブル等-
        • ウクライナ情勢を悪用した消費者トラブルが引き続き生じていますので、注意してください。
        • 相談事例
          1. 「ウクライナに送る冬物の衣類を買い取りたい」という勧誘の電話があり了承したら、来訪した事業者に貴金属を見せろと言われた
            • ウクライナの戦地に送る冬物の衣類を買い取りたいと、訪問購入業者から自宅に勧誘の電話があった。寒い地域の避難民に役立ててもらえればと思い、冬物の衣類をまとめて来訪を待っていたが、来訪した訪問購入業者に「冬物衣類はいらないので貴金属を見せてほしい」と言われた。我が家に売れるような貴金属はないと断り、冬物の衣類を戦地に届けてほしいと頼むと、衣類は別のトラックで夕方以降取りに来ると言い残して退去した。しかし結局引き取りのトラックが来ることはなく、ウクライナ情勢を悪用した手口だと感じた。(2022年3月受付 40歳代 女性)
          2. 「コロナやウクライナ侵攻の影響により売り上げが激変したため協力してほしい」と電話で海産物の勧誘を受けて注文したが、クーリング・オフしたい
            • 先日「以前、海産物を頼まれた伝票をもとに電話をかけている。コロナやウクライナ侵攻の影響により売り上げが激変したため、協力してもらえないか」と北海道の事業者と名乗る電話があり、断り切れず海産物を注文した。本日商品が届き代引きで支払ったが、冷静になってみると商品は北海道の商品ではなく、金額も高いのでクーリングオフの手続きをしたい。(2022年3月受付 30歳代 女性)
        • 消費者へのアドバイス
          • 上記のような手口のほかにも、今後、ウクライナ情勢に関連した様々なパターンのトラブルが生じる可能性がありますので、十分に注意してください。
          • 少しでもおかしいと思ったら、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください。

        国民生活センター 電動キックボードでの公道走行に注意-公道走行するためには運転免許や保安基準に適合した構造及び保安装置が必要です- 業界の対応 ※2022年4月7日 追加
        • 「株式会社 オオトモ」より
          • この度は、テストして頂き有難うございました。ご指摘の警音器についてご回答させていただきます。
          • 改善策としましては、次回生産分から定められた音の範囲の警音器に変更する予定でございます。新たな警音器を探すと同時に現在庫の警音器に個体差があるかも調査させて頂きます。
        • 「株式会社 FUGU INNOVATIONS JAPAN」より
          • 報道発表資料「電動キックボードでの公道走行に注意」につきまして、弊社製品の事実に相違する内容はございませんが、弊社ですでに対応または検討している事項につきまして連絡いたします。
            1. 制動装置について前輪のみの制動距離が規格を満たしていない件につきまして
              • 社内計測では基準を満たしていましたが、御社での測定を重視いたします。
              • 新しい製品はブレーキを強化して確実に停止できるブレーキに変更いたします。
            2. 後写鏡について大きさの不足について
              • 新しい規格を満たすミラーを用意して交換対応を行っています。(円形でミラー部分直径が100mmです。)
            3. 特定電気用品の表示について
              • 新しい製品は下記の表示の物(省略)に変更いたします。
              • 製品に付与されている特定電気用品の表示に関する全体の写真と一部を拡大して、左側にTÜV SÜD、右側にGSと表示されたテュフズード認証マークの写真
            4. 方向指示器の装備につきまして
              • 今後の製品について装備する事を前向きに検討いたします。
        • 「万方商事 株式会社」より
          • 現在の販売分につきましては、下記のとおり改良しております。
            • 前方のライトのON・OFFスイッチはなくなっております。
            • 前方ライトの位置は下の方に移動しており、明るさも明るくなっております。
            • その他ご指摘部分は随時改善していきます。
          • その都度ご報告いたします。

        国民生活センター リーフレット「くらしの危険」
        ▼【No.366】調べてみました、飲料のカフェイン含有量
        • 多くの消費者が日常的に飲用している緑茶飲料・紅茶飲料・コーヒー等には、原材料に由来するカフェインが含まれています。
        • カフェインは、適量を摂取すれば頭が冴える、眠気を覚ます等の効果があるとされていますが、過剰に摂取するとめまいや心拍数の増加、震え等の健康被害をもたらすことも知られています。
        • カフェインの摂取に気を付けている方に向けた、「ノンカフェイン」、「デカフェ」等のカフェインが含まれていない、除かれていることをうたった飲料も販売されています。
        • 飲料等へのカフェイン含有量の表示は義務ではないため、表示されていない商品も多く販売されており、消費者が意図せず多量のカフェインを摂取する場合もあると考えられます。
        • カフェインを含まないとうたった銘柄を除く、茶系飲料のすべての銘柄にカフェインが含まれており、その量は成分表における「コーヒー浸出液」の5~40%程度でした。また、カフェインが少ないとうたった銘柄のカフェイン含有量は、同じ分類の他の銘柄よりも必ずしも少ないわけではありませんでした。
        • こんな相談が寄せられています
          • ペットボトル飲料にカフェインゼロと書いてあるのに、後ろの表示を見ると少し含まれているような数字が書いてある。分かりにくい。(受付年月:2019年3月、40歳代・男性)
          • ペットボトル入りコーヒー飲料を中学生の子どもが飲んだところ、急性カフェイン中毒になった。500mlの量を飲んで1時間以内に、頭痛、吐き気、動悸を訴え、病院に救急搬送され、点滴治療を受けて日帰りで退院した。商品にはカフェイン含有量の表示はなかったが、コーヒー飲料は子どもが飲む機会も多く、含有量が高い商品については表示すべきではないか。(受付年月:2018年9月、40歳代・女性)
        • カフェイン摂取量について
          • カフェインに対する人の感受性は、個人差が大きく、感受性の高い人、子ども、妊婦、授乳婦では特に摂取量に注意が必要であるとされています。
          • 国内ではカフェインの許容一日摂取量等は定められていませんが、海外でのリスク評価によると、悪影響のない一日当たりの最大摂取量は、健康な成人では400mg、妊婦では200mgや300mg、健康な子ども及び青少年では年齢などによって異なりますが、体重1kg当たり2.5mgや3mgなどとされています。
          • 一方、カフェインを多く含むエナジードリンクの多用により中毒死した事例もあり、カフェインの過剰摂取に対し、厚生労働省等は注意喚起を行っています。
        • カフェインの過剰摂取を避けるには…
          1. 置き換えてみましょう
            • カフェインが含まれているコーヒーをはじめ、茶系飲料、紅茶飲料や一部の炭酸飲料を多く摂り、めまい、心拍数の増加、震え等の体調の異変を感じたらカフェインの摂取に注意し、「カフェインゼロ」や「カフェインレス」のようにカフェインを含まない、もしくは、少ない飲料に置き換えるようにしましょう。
          2. 含有量を確認してみましょう。
            • 商品のカフェイン含有量やカフェインが含まれているかを確認する際は、まずは商品本体の表示を確認し、表示がない場合は、販売者等のウェブサイトも確認したり、販売者等に問い合わせることで情報が得られることがあります。

        国民生活センター 専門家に質問するサイトを利用したらその後も料金を請求された
        • 質問
          • パソコンがうまく動かなくなり、500円で専門家が解決してくれるという質問サイトを利用しました。一回だけのつもりでしたが、後日、登録時に入力したクレジットカードから5,000円が引き落とされました。そのような契約をしたつもりはないので、返金してもらえないでしょうか。
        • 回答
          • 「サブスクリプション(サブスク)」の契約になっている可能性があります。申し込みの画面や、契約時に届いた申し込み完了メール等を見て、契約内容を確認しましょう。解約手続きを行わない限り契約が自動更新されますので、必要のない契約の場合は、事業者が定めた手順に従って解約しましょう。
          • 返金については、原則として、利用規約に基づいて対応されるため、必ずしも返金が認められるとは限りません。まずは利用規約を確認し、不明な場合は、事業者に問い合わせましょう。
        • 解説
          • サブスクリプション(サブスク)とは?
            • 「サブスク」とは、定められた料金を定期的に支払うことにより、一定期間、商品やサービスを利用できるサービスのことです。
            • サブスクの契約では、お試し期間として、無料やお試し価格でサービスを受けられることがあります。無料期間中に解約しなければ、有料プランに自動で移行し、1カ月・1年など定期的に決まった料金が引き落とされます。
            • インターネット上のサブスクの申し込み画面では、クレジットカード番号の入力を求められることがあります。また、「無料期間を過ぎて解約されない場合には、自動的に有料プランに移行する」など、契約条件が表示されています。
          • 利用していないのに支払わなければならないの?
            • 代金の支払いは、原則、利用規約に従うことになります。サブスクの利用規約には、解約手続きを行わない限り、契約が自動更新される旨が記載されています。
            • さらに、サブスクは「契約している間は、いつでもサービスを受けられる状態にある」という特徴があります。実際にサービスを利用しなかったとしても、契約期間中であれば、料金が発生することになります。
            • したがって、利用していなかったことを理由に返金を求めても、対応されないことがあります。
          • 解約するには?
            • サブスクを解約するには、事業者の定める方法で手続きをする必要があります。事業者のホームページ等に記載されている、解約手続きの案内を確認しましょう。
            • 解約できているか不安な場合は、インターネット上のマイページ等で契約状況を確認するか、事業者に問い合わせましょう。
            • 解約手続きが正しくできていないと、サブスクの契約は継続になり、利用料金が発生しますのでご注意ください。

        国民生活センター 通販サイトの有料会員サービスのIDとパスワードを忘れた
        • 質問
          • クレジットカードの明細を見ていたら、通販サイトの有料会員サービスの月額料金が引き落とされていることに気が付きました。以前、このサイトを使ったときに間違って登録してしまったようです。すぐに解約したいのですが、IDもパスワードもわかりません。どうしたらよいでしょうか。
        • 回答
          • 通販サイト内のヘルプページや「よくある質問(FAQ)」などに、ID(メールアドレス)やパスワードを忘れた場合の対処方法が記載されています。よく読んで、定められた方法で解約手続きを行いましょう。
        • 解説
          1. 通販サイトの有料会員サービスとは?
            • 通販サイトでは、無料会員とは別に、会費を支払うと特典が利用できる、有料会員サービスを提供していることがあります。この有料会員サービスは、定められた料金を定期的に支払うことで一定期間サービスを受けられる、「サブスクリプション(サブスク)」形式の契約となっていて、解約をしない限り定期的に支払いが続くのが一般的です。
            • 多くの通販サイトでは、会員登録の際にID(メールアドレス)とパスワードを設定します。IDとパスワードは、有料会員サービスの契約状況の確認や、解約手続きをする際に必要になるので、大切に保管しておくことが重要です。
            • 解約方法が複雑だったり、わかりにくかったりして、解約手続きができないという相談もありますので、申し込む前に、解約方法もよく確認する必要があります。
          2. IDやパスワードを忘れたときは?
            • 通販サイト内のヘルプページや、「よくある質問(FAQ)」などに、IDやパスワードを忘れたときの対処法が記載されています。よく読んで、定められた方法で手続きを行いましょう。
            • なお、記載されたとおりの方法でうまく解約ができないなど、直接事業者に問い合わせたいという場合、電話の問い合わせ窓口がなく、メールやチャットに限られていることがあります。自分一人で問い合わせることが難しい場合は、周りの人に協力をお願いしましょう。
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