2024/04/15

危機管理トピックス

【省庁別記事(前半)】

【首相官邸】

【2024年4月】

首相官邸 水循環政策本部会合(第6回)議事次第
▼ 資料1 新たな水循環施策の方向性について
  • 情勢の変化を踏まえた方向性案
    • 水道整備・管理行政の移管
      • 令和6年度より、水道整備・管理行政の一部が国土交通省に移管。
      • 人口減少やインフラの老朽化が進む中で、災害に強く、持続可能な上下水道の機能を確保するため、上下水道一体の取組が必要。
      • 施策の方向性
        • 上下水道一体として、補助制度を活用しつつ、広域化・ウォーターPPPをはじめとした官民連携やDX導入等による事業の効率化・高度化・基盤強化の取組を推進。
    • 令和6年能登半島地震の発生
      • 令和6年能登半島地震では、水インフラが甚大な被害。
      • 生活用水の確保が課題。
      • 被災地では地下水や雨水が活用されるなど、代替水源の重要性を再認識。
      • 施策の方向性
        • 水インフラの耐震化の推進。
        • 早期復旧を可能とする上下水道一体となった災害復旧手法の構築。
        • 代替水源の有効活用など、災害に強い水インフラ整備を推進。
    • 気候変動の影響の顕在化等
      • 気候変動の影響が顕在化しており、二酸化炭素排出量削減が急務であり、水力エネルギーの利活用が重要。
      • 人口減少やライフスタイルの変化等で、水需給バランスが変化。
      • 施策の方向性
        • 流域におけるカーボンニュートラルの推進。
        • 既存インフラを最大限活用のもと、流域の様々な関係者による総合的な水管理を実現し、水力発電を最大化。
  • 水道整備・管理行政の移管を踏まえた施策の方向性
    • 令和6年度より、水道整備・管理行政の一部が国土交通省に移管。
    • 人口減少やインフラの老朽化が進む中で、災害に強く、持続可能な上下水道の機能を確保するため、上下水道一体の取組が必要。
    • 上下水道一体として、補助制度を活用しつつ、広域化・ウォーターPPPをはじめとした官民連携やDX導入等による事業の効率化・高度化・基盤強化の取組を推進。
      • 流域全体として最適な上下水道施設の施設再編を推進
        • できるだけ浄水場は上流に集約し、下水処理場は下流に集約等することによりエネルギー消費、処理コストの最小化を実現
      • 新技術の活用による上下水道一体の業務効率化の推進
        • 例:ポンプ設備へのIoTセンサ設置による一括した維持管理の実施
        • 上下水道それぞれの設備の故障・劣化を自動感知
      • 上下水道一体でのウォーターPPP(官民連携)の取組推進
        • 維持管理・更新を上下水道一体でマネジメント
        • 官民連携による(1)(2)の実現
  • 令和6年能登半島地震の発生を踏まえた施策の方向性
    • 令和6年能登半島地震では、水インフラの甚大な被害が発生。
    • 大規模断水に対して、上下水道一体となった早期復旧とともに飲料水だけではなく生活用水の確保が課題。
    • 被災地では地下水や雨水が活用されるなど、代替水源の重要性を再認識。
    • これらを踏まえ、水インフラの耐震化を推進するほか、早期復旧を可能とする上下水道一体となった災害
    • 復旧手法の構築や代替水源の有効活用など、災害に強い水インフラ整備が重要。
  • 気候変動の影響の顕在化等を踏まえた施策の方向性
    • 気候変動の影響が顕在化しており、二酸化炭素排出量削減が急務であり、水力エネルギーの利活用が重要。
    • 人口減少やライフスタイルの変化等で、水需給バランスが変化。
    • 既存インフラを最大限活用のもと、流域の様々な関係者による総合的な水管理を実現し、水力発電を最大化。
    • 一部の流域では、官民が連携し、流域でカーボンニュートラルを目指すプロジェクトを展開。
      • 気候変動の影響の顕在化
        • 大雨の発生頻度は増加する一方で、無降水日も増加しており、雨の降り方が極端化。将来においても無降水日の増加や降雪・積雪が減少すると予測
        • 気候変動による水資源への影響に係る最新研究では、地域によっては将来における渇水リスクが高まる可能性
        • ただし、依然として気候変動の予測は、不確実性が大きく、計画に反映できるような定量的な評価を行うまでの精度には至っていない
      • 水需要の変化と新たなニーズの顕在化
        • 人口減少、ライフスタイルの変化、産業構造の変化、気候変動に伴う蒸発散量の増加、営農形態の変化による水需要の変化が想定
        • 現状、利水施設等の計画当時と比較して、想定水需要の減少等により水需給バランスが変化
  • 流域単位での水力エネルギーの有効活用など「流域総合水管理」の推進
    • 治水・利水の目的別のダム容量の管理から、事前放流も含めた治水機能の強化と水力発電の促進を両立させるハイブリッドダムの取組を推進しダムの機能を強化を進めてきたが、今後は、これまでの個別の多目的ダムでの取組を、電力ダムも含め流域全体に展開。
    • 「流域治水」から「流域における総合的な水管理」に進化。
      • 治水・利水の目的別にダムの容量を管理・運用
      • ハイブリッドダム 多目的ダムにおいて流域治水の観点からの治水機能の強化と水力発電の促進を両立
      • 「流域総合水管理」に進化 これまで進めてきた「流域治水」に加え、流域単位での水力発電の増強や上下水道施設の再編等による省エネ化を推進し、流域で治水とカーボンニュートラルに取り組む

首相官邸 コーポレートガバナンス改革の推進に向けた意見交換
  • 令和6年4月3日、岸田総理は、総理大臣官邸でコーポレートガバナンス改革の推進に向けた意見交換を行いました。総理は、本日の意見交換を踏まえ、次のように述べました。
    • 本日は、世界を代表する、資産運用の経験やコーポレートガバナンスに関する知見を有する皆様方から、貴重な御意見を承りました。
    • 皆様から頂いた日本市場への評価の高まりを確かなものとするために、コーポレートガバナンス改革を不断に強化していく必要があると考えています。
    • 東京証券取引所から報告いただいたように、上場企業にPBR(株価純資産倍率)等の資本コストや株価を意識した経営の実現を要請し、今年から、対応を進める企業の一覧の公表を開始いたしました。
    • 日本企業の稼ぐ力を更に強化するために、いまだ第一歩が踏み出せていない企業においても、投資家との対話を通じ、企業価値の向上に向けた取組を着実に実践に移すことが重要です。
    • さらに、コーポレートガバナンスの実質化に向けた環境整備を積極的に進めてまいります。来年4月からは、プライム市場上場企業に重要情報の英文開示を義務化いたします。また、先ほど御提言いただいたように、企業と投資家の一層の対話の促進に向けて、より多くの企業において有価証券報告書の開示が株主総会前のタイミングになるよう、その環境整備について、金融庁を中心に関係省庁と連携して検討を進めさせます。
    • 金融庁及び東京証券取引所においては、こうした取組を反映して、アクション・プログラムを今春にアップデートし、着実な実践に向けた改革を進めてください。
    • 最後になりますが、日本政府として、本日頂いた意見も踏まえ、継続してコーポレートガバナンス改革を推し進め、皆様の長期的な日本への期待にお応えしたいと思います。

首相官邸 年収の壁、突破へ 年収の壁を超えて希望通り働けるようになります。
  • 現在、扶養に入っているパートやアルバイトの方などが「年収の壁」を超えて働くと社会保険料の支払いが発生し、逆に手取りが減ってしまいます。「もっと働きたい」と思っても、手取りを気にして働けないという問題がありました。岸田政権は、この壁を超える皆さまを強力にサポートします。
  • 106万円の壁への対応
    • パート・アルバイトで働く方の厚生年金保険や健康保険の加入に合わせて、手取り収入を減らさないための取組(※)を実施する企業に対し、労働者一人当たり最大50万円の支援をします。企業が、壁を意識せず働くことができる環境づくりができるよう、政府が後押しします。
      • ※手取り収入を減らさないための取組
        • 社会保険適用促進手当の支給(社会保険料の算定対象外)
        • 賃上げによる基本給の増額
        • 所定労働時間の延長
  • 130万円の壁への対応
    • パート・アルバイトの方が、繁忙期に労働時間を延長したことなどにより、収入が一時的に上がっても、事業者(会社など)が「一時的に収入が上がった」ことを証明すれば、引き続き配偶者の扶養に入ることが可能となる仕組みを作ります。
  • さらに働きやすい社会へ
    • 企業が支給する配偶者手当も、収入要件がある場合、社会保障制度とともに、働き控えの一因になっています。配偶者手当の見直しの必要性・メリット・手順などの理解を深めていただくため、分かりやすい資料を作成・公表し、企業等へ働きかけます。
    • 「年収の壁」については、足もとでの対応として、期限を区切った形で上記の支援策を実施し、さらに、制度の見直しに取り組むこととしています。制度の見直しまでの間も「壁」を意識することによって、「働き控え」をする必要がないように強力なサポートを行います。

【2024年3月】

首相官邸 「東日本大震災追悼復興祈念式」における内閣総理大臣追悼の辞
  • 東日本大震災の発生から、13年の歳月が流れました。
  • ここ福島県においても、かけがえのない多くの命が失われ、いまだ行方不明の方々もいらっしゃいます。巨大地震と大津波、そして、東京電力福島第一原子力発電所の事故は、多くの県民の皆様から、日々の暮らしを奪いました。
  • 最愛の御家族や御親族、御友人を失われた方々のお気持ちを思うと、今なお哀惜の念に堪えません。ここに改めて、衷心より哀悼の誠を捧(ささ)げます。
  • また、原発事故の影響により、いまだ多くの方々が、避難生活を余儀なくされています。ふるさとに帰還することのできない方々を始め、被災された全ての皆様に、改めて心からお見舞いを申し上げます。
  • 震災から13年がたち、地震・津波被災地域の復興は着実に進展しています。
  • 福島の原子力災害被災地域においても、避難指示が解除された地域で生活環境の整備や産業・生業(なりわい)の再生に向けた取組が進められています。帰還困難区域においても、昨年11月までに全ての特定復興再生拠点区域の避難指示が解除されました。また、今年度創設された「特定帰還居住区域」制度に基づき、本年2月までに、大熊町、双葉町、浪江町及び富岡町の「特定帰還居住区域復興再生計画」が認定されるなど、復興に向けた取組が着実に進んでいます。
  • それが、地元の皆様や、福島県及び各市町村を始めとする関係機関の皆様の、絶え間ない御努力・御尽力のたまものであることは、言うまでもありません。
  • 原子力災害からの復興に向けては、中長期的な対応が必要です。引き続き、国が前面に立って、復興の前提となる東京電力福島第一原子力発電所の安全かつ着実な廃炉とともに、帰還に向けた生活環境の整備や産業・生業の再生支援に取り組んでまいります。昨年4月には、「創造的復興の中核拠点」を目指す福島国際研究教育機構(F-REI:エフレイ)が設立され、着実にその歩みを進めています。引き続き、福島の本格的な復興・再生、東北の復興に、全力を尽くしてまいります。
  • 我が国は、幾度となく、国難と言えるような災害に見舞われてきましたが、その度に、力を合わせて乗り越えてきました。今年1月に発生した能登半島地震では、ここ福島の方々からも、東日本大震災の経験・知見を踏まえた、温かく、心強い支援を頂いています。
  • 政府においても、震災の大きな犠牲の上に得られた教訓を風化させることなく、能登半島地震を始めとする自然災害への対応に活(い)かし、災害に強い国づくりを進めていくことを、改めて、ここに固くお誓いいたします。
  • 御霊の永遠に安らかならんことを改めてお祈り申し上げるとともに、御遺族の皆様の御平安を心から祈念し、私の追悼の言葉といたします。

首相官邸 国民の皆様へ
  • 東北地方を中心に未曾有の被害をもたらした東日本大震災の発生から13年を迎えようとしています。
  • この震災によりかけがえのない多くの命が失われました。最愛の御家族や御親族、御友人を失われた方々のお気持ちを思うと、今なお哀惜の念に堪えません。
  • 政府は、原発事故の被災者を含め、いまだ被災地の方々が様々な課題に直面している現実を心に刻み、復興に全力で取り組んでまいります。また、震災の大きな犠牲の上に得られた教訓を風化させることなく、令和6年能登半島地震をはじめとする自然災害への対応へと活(い)かし、災害に強い国づくりを進めてまいります。
  • この震災により犠牲となられた全ての方々に対し哀悼の意を表すべく、3月11日の午後2時46分に1分間の黙とうを捧(ささ)げ、御冥福をお祈りすることとしております。国民の皆様におかれましても、これに合わせて、それぞれの場所において黙とうを捧げるなど、犠牲者の御冥福をお祈りいただきますよう、お願いいたします。

【2024年2月】

首相官邸 外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議(第17回)
▼ 資料1-1 技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の最終報告書(概要)
  • 見直しに当たっての三つの視点(ビジョン)
    • 国際的にも理解が得られ、我が国が外国人材に選ばれる国になるよう、以下の視点に重点を置いて見直しを行う。
      • 外国人の人権保護
        • 外国人の人権が保護され、労働者としての権利性を高めること
      • 外国人のキャリアアップ
        • 外国人がキャリアアップしつつ活躍できる分かりやすい仕組みを作ること
      • 安全安心・共生社会
        • 全ての人が安全安心に暮らすことができる外国人との共生社会の実現に資するものとすること
  • 見直しの四つの方向性
    • 技能実習制度を人材確保と人材育成を目的とする新たな制度とするなど、実態に即した見直しとすること
    • 外国人材に我が国が選ばれるよう、技能・知識を段階的に向上させその結果を客観的に確認できる仕組みを設けることでキャリアパスを明確化し、新たな制度から特定技能制度への円滑な移行を図ること
    • 人権保護の観点から、一定要件の下で本人意向の転籍を認めるとともに、監理団体等の要件厳格化や関係機関の役割の明確化等の措置を講じること
    • 日本語能力を段階的に向上させる仕組みの構築や受入れ環境整備の取組により、共生社会の実現を目指すこと
  • 留意事項
    • 現行制度の利用者等への配慮
    • 見直しにより、現行の技能実習制度及び特定技能制度の利用者に無用な混乱や問題が生じないよう、また、不当な不利益や悪影響を被る者が生じないよう、きめ細かな配慮をすること
    • 地方や中小零細企業への配慮
    • とりわけ人手不足が深刻な地方や中小零細企業において人材確保が図られるように配慮すること
  • 提言
    1. 新たな制度及び特定技能制度の位置付けと両制度の関係性等
      • 現行の技能実習制度を発展的に解消し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設。
      • 基本的に3年間の育成期間で、特定技能1号の水準の人材に育成。
      • 特定技能制度は、適正化を図った上で現行制度を存続。
        • 現行の企業単独型技能実習のうち、新たな制度の趣旨・目的に沿うものは適正化を図った上で引き続き実施し、趣旨・目的を異にするものは、新たな制度とは別の枠組みでの受入れを検討。
    2. 新たな制度の受入れ対象分野や人材育成機能の在り方
      • 受入れ対象分野は、現行の技能実習制度の職種等を機械的に引き継ぐのではなく新たに設定し、特定技能制度における「特定産業分野」の設定分野に限定。
        • 国内における就労を通じた人材育成になじまない分野は対象外。
      • 従事できる業務の範囲は、特定技能の業務区分と同一とし、「主たる技能」を定めて育成・評価(育成開始から1年経過・育成終了時までに試験を義務付け)。
      • 季節性のある分野(農業・漁業)で、実情に応じた受入れ・勤務形態を検討。
    3. 受入れ見込数の設定等の在り方
      • 特定技能制度の考え方と同様、新たな制度でも受入れ対象分野ごとに受入れ見込数を設定(受入れの上限数として運用)。
      • 新たな制度及び特定技能制度の受入れ見込数や対象分野は経済情勢等の変化に応じて適時・適切に変更。試験レベルの評価等と合わせ、有識者等で構成する会議体の意見を踏まえ政府が判断。
    4. 新たな制度における転籍の在り方
      • 「やむを得ない事情がある場合」の転籍の範囲を拡大・明確化し、手続を柔軟化。
      • これに加え、以下を条件に本人の意向による転籍も認める。
        • 計画的な人材育成等の観点から、一定要件(同一機関での就労が1年超/技能検定試験基礎級等・日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)合格/転籍先機関の適正性(転籍者数等))を設け、同一業務区分に限る。
      • 転籍前機関の初期費用負担につき、正当な補填が受けられるよう措置を講じる。
      • 監理団体・ハローワーク・技能実習機構等による転籍支援を実施。
      • 育成終了前に帰国した者につき、それまでの新たな制度による滞在が2年以下の場合、前回育成時と異なる分野・業務区分での再入国を認める。
      • 試験合格率等を受入れ機関・監理団体の許可・優良認定の指標に。
    5. 監理・支援・保護の在り方
      • 技能実習機構の監督指導・支援保護機能や労働基準監督署・地方出入国在留管理局との連携等を強化し、特定技能外国人への相談援助業務を追加。
      • 監理団体の許可要件等厳格化。
        • 受入れ機関と密接な関係を有する役職員の監理への関与の制限/外部監視の強化による独立性・中立性確保。
        • 職員の配置、財政基盤、相談対応体制等の許可要件厳格化。
      • 受入れ機関につき、受入れ機関ごとの受入れ人数枠を含む育成・支援体制適正化、分野別協議会加入等の要件を設定。
        • ※優良監理団体・受入れ機関については、手続簡素化といった優遇措置。
    6. 特定技能制度の適正化方策
      • 新たな制度から特定技能1号への移行は、以下を条件。
        • 技能検定試験3級等又は特定技能1号評価試験合格
        • 日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等)合格
          • ※当分の間は相当講習受講も可
      • 試験不合格となった者には再受験のための最長1年の在留継続を認める。
      • 支援業務の委託先を登録支援機関に限定し、職員配置等の登録要件を厳格化/支援実績・委託費等の開示を義務付け。キャリア形成の支援も実施。
      • 育成途中の特定技能1号への移行は本人意向の転籍要件を踏まえたものとする。
    7. 国・自治体の役割
      • 地方入管、新たな機構、労基署等が連携し、不適正な受入れ・雇用を排除。
      • 制度所管省庁は、業所管省庁との連絡調整等、制度運用の中心的役割。
      • 業所管省庁は、受入れガイドライン・キャリア形成プログラム策定、分野別協議会の活用等。
      • 日本語教育機関の日本語教育の適正かつ確実な実施、水準の維持向上。
      • 自治体は、地域協議会への積極的な参画等により、共生社会の実現、地域産業政策の観点から、外国人材受入れ環境整備等の取組を推進。
    8. 送出機関及び送出しの在り方
      • 二国間取決め(MOC)により送出機関の取締りを強化。
      • 送出機関・受入れ機関の情報の透明性を高め、送出国間の競争を促進するとともに、来日後のミスマッチ等を防止。
      • 支払手数料を抑え、外国人と受入れ機関が適切に分担する仕組みを導入。
    9. 日本語能力の向上方策
      • 継続的な学習による段階的な日本語能力向上。
        • 就労開始前にA1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)合格又は相当講習受講
        • 特定技能1号移行時にA2相当以上の試験(〃N4等)合格※当分の間は相当講習受講も可
        • 特定技能2号移行時にB1相当以上の試験(〃N3等)合格
          • ※各分野でより高い水準の試験の合格を要件とすることを可能とする(4、6に同じ)。
      • 日本語教育支援に取り組んでいることを優良受入れ機関の認定要件に。
      • 日本語教育機関認定法の仕組みを活用し、教育の質の向上を図る。
    10. その他(新たな制度に向けて)
      • 政府は、人権侵害行為に対しては現行制度下でも可能な対処を迅速に行う。
      • 政府は、移行期間を十分に確保するとともに丁寧な事前広報を行う。
      • 現行制度の利用者等に不当な不利益を生じさせず、急激な変化を緩和するため、本人意向の転籍要件に関する就労期間について、当分の間、分野によって1年を超える期間の設定を認めるなど、必要な経過措置を設けることを検討。
      • 政府は、新たな制度等について、適切に情報発信し、関係者の理解を促進する。
      • 政府は、新たな制度の施行後も、運用状況について不断の検証と見直しを行う。

首相官邸 共生社会と人権に関するシンポジウム 岸田総理ビデオメッセージ
  • 皆さん、こんにちは。内閣総理大臣の岸田文雄です。「共生社会と人権」に関するシンポジウムの開催に当たり、一言御挨拶申し上げます。
  • 平成27年に国連で採択された持続可能な開発目標、SDGsでは、「誰一人取り残さない」との理念の下、17の目標が掲げられています。政府におけるSDGsの達成に向けた取組の一つでもある共生社会の実現は、我々の果たすべき重要な使命です。
  • しかし、残念ながら、我が国においては、雇用や入居などの場面やインターネット上において、外国人、障害のある人、アイヌの人々、性的マイノリティの人々などが不当な差別を受ける事案を耳にすることも少なくありません。
  • マイノリティの方々に対して不当な差別的取扱いを行ったり、不当な差別的言動を行ったりすることは、当然、許されるものではありません。
  • また、近年、外国にルーツを有する人々が、特定の民族や国籍等に属していることを理由として不当な差別的言動を受ける事案や、偏見等により放火や名誉毀損等の犯罪被害にまで遭う事案が発生しており、「次は自分が被害に遭うのではないか。」と、日々、恐怖を感じながら生活することを余儀なくされている方々もおられます。
  • 国会でも繰り返し申し上げてきたとおり、特定の民族や国籍の人々を排斥する趣旨の不当な差別的言動、まして、そのような動機で行われる暴力や犯罪は、いかなる社会においても決してあってはなりません。
  • 我が国は、「法の支配」や「基本的人権の尊重」といった普遍的価値を重視し、国際社会と共有してまいりました。我々が目指すべきは、全ての人が安全・安心に暮らすことができる「人間の尊厳」が守られた世界であって、これを脅かすことにつながる不当な差別や偏見に対しては、内閣総理大臣として、断固立ち向かってまいります。
  • 共生社会を実現するためには、他者との違いを理解し、そして互いに受け入れていくことが重要です。政府においては、不当な差別や偏見の解消に向けて様々な取組を行っています。その取組の一環として行う本日のシンポジウムは、「多様性と包摂性のある社会を目指して」をサブテーマに、共生社会の実現に資する様々な知識や気付きを得られる充実した内容となっています。是非、最後まで御視聴いただき、多様性に関する理解を深め、できることから第一歩を踏み出していただくようお願いいたします。
  • 政府においても、共生社会の実現に向けて、引き続きしっかりと取り組んでまいります。共に歩みを進めてまいりましょう。

【衆議院/参議院】

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【内閣府】

【2024年4月】

内閣府 令和6年第3回経済財政諮問会議
▼ 資料2 マクロ経済参考資料(内閣府)
  • マイナスのGDPギャップは縮小傾向になっているが、足下では、2四半期連続でマイナスとなっている。
  • 消費は、力強さを欠いている。物価高の中で非耐久財の消費は減少し、コロナ後におけるサービス消費の回復も一段落
  • 連合の第2回集計(3月22日公表)の賃上げ率は5.25%。第1回集計(3月15日公表)に続き、1991年以来33年ぶりの5%超えの水準。
  • 連合の集計対象外(特に中小企業)を含め、賃上げの流れが波及していくことが必要。
  • 賃金上昇率を継続的に高めるためには、労働生産性を引き上げていくことが必要。
  • 我が国では、各国と比較して、リスキリングや設備投資が十分でなく、これらの拡大が重要。
  • 足下で、名目GDP成長率、投資・雇用増加率に関する企業の将来見通しは上昇(過去最高)。
  • デフレ脱却と成長型経済への移行に向け、官民の連携を継続・強化する中で、投資・雇用の見通しを現実のものとし、成長期待を実現していくことが必要。
▼ 資料3 「新たなステージ」に向けた経済運営~日本経済の成長力強化に向けて~(有識者議員提出資料)
  • 今春の賃上げは5%を超え、名目成長率・投資・雇用に関する企業の中期(3年後の)見通しはいずれも過去最高を更新し、予想物価上昇率も高まりつつある。日本銀行はマイナス金利を解除する等、金融政策は一つの区切りを迎え、新しい段階に入った。
  • 今こそ、民需主導の経済成長を実現させる好機である。下請け構造が重層的な産業をはじめ、価格転嫁を強力に促し、来年以降の賃上げ環境を整えるとともに、民間投資を拡大させ、日本経済への「期待」を確実に「現実」のものとすべき時である。そのような「新たなステージ」に向けた経済運営について、以下提言する。
    1. 機動的な経済運営
      • 長年にわたって、概ね0で「凍っていた」物価・賃金・金利等が、とうとう動き出した。こうした新たな経済環境において、2%の物価安定目標の下で持続的な経済成長が実現するよう、政府・日銀の連携が引き続き求められる。
      • その際、消費・投資・GDP等の需要動向、雇用・賃金等の所得環境、CPI等の物価動向、長短の金利動向など経済動向の丹念な分析が重要であり、これに応じた機動的な経済運営が求められる。
    2. 生産性向上による持続的・構造的な賃上げと成長力強化
      • これまで「賃金も物価も上がらない」ことが当たり前になっていたが、「賃金も物価も上がる」という前向きな意識を定着させ、経済活性化につなげることが求められている。
      • そのためには、生産性を引上げて成長力を強化することが必要不可欠であり、
        • 生産性が高い分野に対する、計画的かつ集中的な設備・研究開発投資
        • リスキリング等による、生産性の高い仕事へのキャリアアップ、労働移動円滑化、正規化
        • デジタルの徹底活用、省人化投資等による業務の効率化
          などが民需主導で行われるよう、制度整備、規制改革の取組を強化すべき。
      • 以上の取組を通じた持続的・構造的な賃上げによって「賃金と物価の好循環」を力強く回していくべき。その際、賃上げにおいて物価上昇と生産性の変化を加味することが重要。
      • 今後、物価・賃金動向の詳細なモニタリングが必要。例えば、性別・年齢別・産業別・雇用形態別の賃金動向、リスキリングや労働移動による賃金上昇効果を分析すべき。
    3. 財政健全化
      • 共同声明において「政府は、日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する」とされており、経済が動き出した今こそ、改めて、政府は財政の持続性の確保に、真摯に取り組む必要がある。「金利のある世界」への移行を見据え、財政健全化に向けた取組を推進すべき。
▼ 資料4ー1 経済・財政一体改革の点検・検証(概要)(経済・財政一体改革推進委員会)
  • 骨太方針2021及び2023に基づき、「新経済・財政再生計画(計画期間:2019年度~)」における経済・財政一体改革の取組について点検・検証を実施。
    • 経済・財政一体改革は、DX・新技術の社会実装、EBPMの取組等を通じて、経済の回復や財政健全化の進捗に貢献。
    • 当初予算における歳出の目安に沿った予算編成は、歳出効率化によるPB改善と社会保障給付費対GDP比の安定化に貢献。依然として巨額な補正予算は、平時化に向けた道筋を定める必要。
    • 今後、経済財政政策を価格上昇下・成長力強化への対応にシフトさせる必要。多年度投資は、投資効率等の成果目標を設定・検証し、基金方式の必要性等を踏まえ、中長期的な計画の下、財源の一体的検討をし歳出と歳入を多年度でバランスさせることも課題。
    • EBPMの阻害要因(データ・予算・ノウハウ)を関係省庁の連携強化により克服し、政策立案段階からのエビデンス整備の体制構築が重要。主要分野の重点課題については、EBPMによるワイズスペンディングを徹底し、真に必要な改革にメリハリを付けて取り組む。
  • コロナ禍を経た我が国経済の変化と政策課題
    • 経済・財政一体改革は、DX・新技術の社会実装やEBPMの取組などを通じて、経済の回復や財政健全化の進捗に貢献。またインセンティブ改革等を通じて、後発医薬品の使用促進による医療費適正化、介護費の地域差の縮減や健康寿命の延伸に寄与。
    • 我が国は、コロナ禍を乗り越えて、「需要不足経済」から「人手不足経済」へと変貌しつつあり、物価・賃金・金利等が上昇。今後は、経済の変化に対応して、経済財政政策の質も変化させ、民需主導の成長と持続可能な財政構造の確保を進めていく必要。
    • PBは、コロナ対応で悪化したが、経済の回復に伴い徐々に改善。足下では、成長力強化重視の緊急経済対策の執行で改善は足踏みするが、高い成長と歳出改革努力の継続が実現すれば、2025年度PB黒字化は視野に入る。
  • 歳出の目安に沿った予算編成
    • 毎年度の当初予算の編成では、歳出の目安を継続。その改革努力等から、コロナ前まで社会保障給付費対GDP比は概ね横ばいで推移。また、財源とセットでの計画的な防衛力強化や物価・賃金上昇への対応等を同時に実施し、現下の課題にも対応。
  • 歳出効率化と2025年度PBの変化
    • これまで歳出の目安に沿った予算編成を着実に実施。2024年度までの歳出効率化の効果については、2021年度予算を発射台に政府経済見通しの物価・賃金の伸び等で延伸した推計値と、「目安に沿った予算」の差分とすると、年1.6兆円程度(5兆円程度÷3年)。これに経済への影響を加味すると、歳出効率化の収支改善効果は年1.3兆円程度。
    • 2025年度のPB対GDP比は、2024年1月試算では▲0.2%程度。2021年7月試算からのPB変化要因は主に3つあり、(1)目安に沿った歳出効率化、(2)追加歳出等要因(国土強靱化、防衛力強化、基金執行等、物価上昇見込みの上振れ等)、(3)歳入増要因(税収見込みの上振れ)。
  • 補正予算の平時化に向けた取組
    • 補正予算については、コロナ禍で膨らんだ社会保障費や中小企業対策費は、2023年度までに概ね平時化。他方、地方創生臨時交付金や科学技術振興費など、補正予算で措置された様々な経費は依然として巨額。平時化に向けた道筋を定める必要。
    • 経済成長や社会課題の解決に資する多年度投資を促進するため、GX投資フレームの整備のほか、補正予算による基金の計上が行われてきた。今後、原則として一定規模以上の基金については、基金方式による必要性、妥当性、継続性等を踏まえた上で、中長期的な計画を策定しつつ、財源の一体的検討をし歳出と歳入を多年度でバランスさせることも課題。
  • 経済・財政一体改革におけるEBPMの取組
    • エビデンスに基づく定量的なKPIの設定は、経済・財政一体改革のプロセス管理おいて重要。KPIの進捗に課題のある取組については、進捗が遅れている背景や要因を分析し、改善につなげていくことが必要。また、進捗が順調な取組については、棚卸も含めた改革工程の見直しを行いながら、真に必要な改革にメリハリを付けて取り組んでいくことが重要。
    • EBPMの3つの阻害要因(データ・予算・ノウハウ)の克服に向け、関係省庁のデータ活用や研究・分析機能の連携強化を図るとともに、骨太方針の策定に向けた政策立案段階からエビデンス整備の体制を構築すべき。
  • 社会保障
    • 国費ベースで約0.8兆円の削減を実現。全世代型社会保障の改革工程(令和5年12月閣議決定)に、これまでの経済・財政一体改革における議論等を踏まえた改革項目を盛り込み、2028年までの歳出改革の道筋を具体化。「医療DX」やICT・ロボット等の新技術に関する施策拡充等や分野横断的テーマの国民にわかりやすい情報提供を実施。
    • 医療費の地域差半減や地域医療構想の実現などは進捗がみられない原因等を分析し、課題解決に向けた対応策を骨太方針において示すべき。国民健康保険制度における普通調整交付金は、保険者努力支援制度の活用など一定の進捗はみられるものの、更なる医療費適正化等に向けた論点や改善点を整理。地域医療構想や医療費地域差半減の推進役を果たすべき都道府県に対するインセンティブの在り方についても検討を深める。
    • 今後の人口減少・少子高齢化を見据えた効率的で強靭な社会保障制度の構築
    • 主要課題
      • 医療費の地域差半減
        • 都道府県におけるPDCA管理の支援を毎年実施。2021年度時点での年齢調整後の一人当たり医療費の地域差は0.070であり、目標に達しない見込み。
        • 2024年度からスタートする第4期医療費適正化計画に、白内障手術や化学療法の外来実施など、地域差半減に向け、都道府県が取り組める目標・施策の具体的なメニューを提示。
      • 地域医療構想の推進
        • 病床機能報告の合計病床数(2022年で119.9万床、2025年には119.0万床の見込み)は、2025年の必要量(119.1万床)に近付く一方、構想区域別・機能別に必要量には差異が存在。
      • 国保の保険者インセンティブ・国保財政の健全化
        • 2018年から保険者努力支援制度を実施中。国保財政の健全化について、法定外繰入れの実施自治体、繰入額は減少。
        • 保険料水準統一に向けた取組の推進状況などを踏まえながら、国保の普通調整交付金については、所得調整機能の観点等から、論点や改善点を整理しつつ、保険者努力支援制度の活用と併せて、引き続き、地方団体等との議論を深める。
  • 社会資本整備等
    • 公共投資における効率化やPPP/PFIの推進に取り組んでおり、インフラ老朽化対策に関する計画策定・点検実施や維持管理・更新費見通しの公表等は概ね順調に進捗し、PPP/PFIの事業規模目標も前倒しで達成。新しい時代に対応したまちづくりの取組についても、デジタル実装に取り組む自治体は年々増加しており、立地適正化計画の策定等も着実に進捗。
    • 今後、人口減少とインフラ老朽化が加速する中、持続可能な地域社会を構築するためには、社会資本整備等の一層の効率化・高度化が必要。広域・多分野・官民の連携やデジタル等新技術の活用等を図りつつ、都市のコンパクト化とそれを踏まえたインフラ老朽化対策等をさらに推進する必要。
    • 主要課題
      • インフラ老朽化対策の推進
        • 計画策定や点検実施、地方自治体の維持管理・更新費見通しの公表(1,483団体)、新技術導入による効率化等は概ね着実に進捗しているが、修繕実施率の向上や施設の集約・複合化等が課題。
        • 今後、上記課題への対応に加え、地域の将来像を踏まえた広域的・戦略的なインフラマネジメント、更なる新技術導入・官民連携等が必要。
      • PPP/PFIの推進
        • 大型コンセッション事業等により、2013~2022年度の事業規模目標(21兆円)を前倒しで達成したが、地域における活用拡大、活用対象の拡大、PPP/PFI手法の進化・多様化等が課題。
        • 今後、10年間で事業規模30兆円を目指し、分野横断型・広域型案件の事業組成や中小規模の自治体への普及の促進、地域プラットフォームの各地方公共団体による有効活用等が必要。
      • 立地適正化計画の作成・実施の促進
        • 立地適正化計画の策定等は着実に進捗し、居住誘導・都市機能誘導は緩やかに進展しているが、計画の実効性の向上が課題。
        • 今後、更なる裾野拡大(広域連携を含む)や計画の高質化、インフラ老朽化対策や建築・都市のDXとの連携等が必要。
  • 地方行財政等
    • 人口減少による担い手不足や少子高齢化がより深刻化している地域もある中、地方財政については、平成23年度以降、「一般財源総額実質同水準ルール」のもとで、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源総額を確保しつつ、臨時財政対策債の発行額を抑制するなど財政健全化も進めてきたところ。
    • 今後、更に、人口減少・少子高齢化が進んでいく中にあっても、持続可能な地方行財政基盤を構築するため、地方自治体の業務改革や公営企業等の経営改革等に引き続き取り組むとともに、デジタル田園都市国家構想の実現など、デジタル技術の実装を通じた地域経済の活性化や地域機能向上、行政サービスの効率化に取り組むことが重要である。
    • 主要課題
      • 自治体の業務改革や広域連携等
        • 窓口業務改革などの着実な進展が認められる一方、自治体DXの推進による付加価値やコスト削減などの全体的な効果の定量的な把握の検討や、住民と行政との接点(フロントヤード)と内部事務(バックヤード)の一体的な改革等による持続可能な行政サービスの提供体制の確保が必要。
        • 地方自治体の広域連携については、適切なKPIの設定やデジタル技術の活用事例の横展開などにより、取組内容の深化を図っていくべき。
      • 地方公営企業等の経営効率化
        • 各公営企業は、今後見込まれる料金収入の減少、維持管理経費や営業費用の増大も見据え、経営戦略に基づく広域化・デジタル化・民間活用等の抜本的な改革や、計画的な料金水準の適正化を通じ、経営基盤の強化を更に図っていくべき。
      • デジタル田園都市国家構想の実現
        • デジタル実装に取り組む地方公共団体数の増加など着実な進展が認められる一方、これまでの地方創生の成果に関する振り返りや、デジタル田園都市国家構想交付金の効果検証の実施と優良事例の全国展開の推進、効果的かつ集中的な交付決定などが必要。
  • 文教・科学技術
    • 学校が抱える困難は多様化・複雑化する中、教育支出の効率化を図りつつ、世界トップレベルの学力の維持など一定の成果。全ての子供たちの個別最適な学びを実現するためDXを活用した教育改革を推進。メリハリある公的投資による大学改革等を通じて、大学の教育研究の成果展開や民間投資の呼び込み等に一定の成果。
    • 持続可能な社会の創り手を育成していくため、教育DXの更なる推進を図るとともに、社会ニーズ(理工系人材の充実等)を見据えた定員規模適正化を含む大学等の経営・ガバナンスの強化や、若手研究者の活躍促進に向けた研究環境の充実、国際卓越研究大学をハブとした施策間の連携拡大等の更なる推進が必要。
    • 主要課題
      • DXを活用した教育改革の推進
        • 情報活用能力の育成や個別最適な学び・協働的な学びの実現に向けて、令和5年度までに一人一台環境を整備。一方で、ハード・ソフト環境や利活用頻度等の地域差が顕著。校務DXや教育データの利活用含むPDCAの取組も道半ば。
        • 今後、地域間・学校間格差を解消するための環境を充実させ、個別最適・協働的な学びの充実と情報活用能力の向上につなげるとともに、クラウド環境を活用した校務DXの徹底、教育データの利活用促進が必要。
      • 競争力強化に向けた大学改革の推進
        • 大学の自律的な経営環境の確保・財源の多様化の一方、大学の定員規模適正化は道半ば(例:私大入学定員未充足割合増加、地方私大の3~4割が赤字経営)。他方で、デジタル時代の到来等の中で、OECD諸国の多くが近年理工系学生の割合を増やす中で我が国はほとんど変わっていない。科学技術イノベーション分野では、産学連携・成果展開の着実な強化(企業からの研究資金等受入額や大学発ベンチャー数が大きく増加)の一方で、若手研究者比率の向上や研究時間の確保は道半ば。
        • 今後、実効性ある経営改革支援や更なる高等教育の質保証とともに、研究環境の充実等による若手研究者の活躍促進や、大学ファンドによる着実な支援の実施と連携拡大促進による研究・イノベーション力向上が必要

内閣府 第428回 消費者委員会本会議
▼ 【資料1】 第5期消費者基本計画等について(消費者庁提出資料)
  • 第5期消費者基本計画骨子の構成
    • 【第1章 消費者・消費者政策のパラダイム・シフトの必要性】
      • デジタル技術の飛躍
        • デジタル・非デジタルにおける消費者保護水準の格差
        • 消費者の取引環境の劇的な変化
      • 国際的な取引の普遍化
        • 国や地域による法規制及び商慣行の違い
      • 社会構造の変化
        • 少子高齢化の進行、家計の多様化
        • 物価や賃金に対する意識の変化
      • 国際協調への機運の高まり
        • 持続可能かつ包摂性のある社会への転換
        • 経済活動における社会価値への注目
      • 激甚化、頻発化する国家危機の到来
        • エネルギー・食料等の安定供給に関するリスクの高まり
        • 緊急時における消費行動の変化
    • 【第2章 達成すべき消費者政策の基本的方針】
      • 消費者が信頼できる公正な環境の確保→事業者を中心とした環境整備、消費者保護の仕組みづくり
      • 見抜ける消費者の増加・消費者力の成長→2030年のゴールに向けて消費者に求めるもの
      • 持続可能で包摂的な社会の実現
    • 【第3章 消費者政策の推進手法】
      • 行政の取組→規律のベストミックス、省庁連携、消費生活相談DX等
      • 事業者の取組→UDに配慮した商品開発、消費者との協働の場の形成 等
    • 【第4章 消費者が直面する課題への取組】
      • 消費者行政の方向性→第1章の各課題に対して中長期的に実施する施策
      • 消費者トラブルの解消、未然防止→政府全体で取り組むべき施
      • 消費者政策における基本的施策の取組→引き続き取り組むべき基本的施策(消費者白書と連携)
  • 消費者基本計画及び消費者基本計画工程表について
    • 消費者基本計画
      • 消費者基本計画は、消費者基本法第9条に基づき、消費者政策の計画的な推進を図るために定められる消費者政策の推進に関する基本的な計画(5か年計画)。
      • 令和2年度~令和6年度の5か年を計画期間とする第4期消費者基本計画を令和2年3月31日閣議決定
      • コロナ禍における「新しい生活様式」の実践に伴い、消費生活のデジタル化が加速するなど、消費者を取り巻く環境が大きく変化。これに的確に対応して消費者政策を推進するため、「新しい生活様式」の実践に関する記述を追加すべく、消費者基本計画を変更(令和3年6月15日閣議決定)。
    • 消費者基本計画工程表
      • 毎年度工程表を改定し、実績及びKPI(重要業績評価指標)の最新値の追加、今後の取組予定の時点更新、ロジックモデルの作成等を実施。⇒6月改定を目指し作業
      • 消費者基本計画に基づき、消費者政策を検証可能な形で体系的・包括的に推進するため、具体的な施策の工程表を策定(令和2年7月7日消費者政策会議決定)。

【2024年3月】

内閣府 第426回 消費者委員会本会議
▼ 【資料1】 脱毛エステにおける倒産トラブル(国民生活センター提出資料)
  • 事例紹介
    • 【事例1】永久に通えるという脱毛サロンに昨年から通っていたが、事業者が倒産した。個別クレジットを組み、30万円のうち15万円ほど支払い済みだ。支払停止の抗弁書を送ると支払いが止められると思い、2か月前にクレジット会社へ送った。その後何も連絡がなかったが、先週突然、残金を振り込むようにとSMSが届いた。クレジット会社に電話すると、「抗弁書は届いているが、あなたは契約回数よりも多い6回施術を受けているので、支払いを止めることはできない」と言われた。未払いのままでいると信用情報に傷がついてしまうので、支払うつもりだが、本当に支払いを止めることはできないのか。(契約当事者属性:20歳代 女性)
    • 【事例2】11月にエステ店に出向き、脱毛エステの契約をした。料金約15万円は個別クレジットを組み、翌月から引き落としが開始される。ところがその翌月、破産管財人から、エステ店が破産したので施術を提供できないという内容のメールが届いた。まだ1回も施術を受けていない。支払いだけするのは嫌なので、いろいろ調べて、個別クレジット会社に支払停止の抗弁書を送った。他に対処することはあるか。(契約当事者属性:20歳代 女性)
    • 【事例3】数年前に脱毛エステを契約し、契約時に現金一括で約40万円を支払った。一生通い放題という条件で、これまで相当回数施術を受けている。最近倒産したと知り、驚いた。返金は諦めているが、今後代わりに施術をしてくれるような事業者はないのか。(契約当事者属性:20歳代 女性)
  • 相談事例から見た課題―脱毛エステ
    • 被害救済について
      • 過去の例を踏まえると、エステサロンが倒産した場合は消費者への返金は困難
      • なお、サービスを引き継ぐ事業者が現れれば、一部被害救済(一部サービスの継続提供等)が図られる
    • クレジット会社との交渉について
      • 脱毛エステの「通い放題コース」に見られる「有償」と「無償」に分かれた契約では、中途解約の精算時に「有償」期間が過ぎているとしてトラブルになりやすい
      • エステサロンが倒産した場合、この「有償」期間が過ぎているとクレジット会社に対し支払停止の抗弁を主張しても応じてもらえないケースがある
    • 消費者がこうした被害に遭わないための方策について
      • 特定商取引法の特定継続的役務では、「前受金保全措置」の有無を契約書面で記載することとなっているが、現状として、前受金保全措置自体を確保している事業者は少ない
      • 消費者が主体的に「都度払い」を選べるような販売方法であれば、前払金の返金トラブルは生じない
▼ 【資料4】 経済産業省説明資料
  • ヘルスケア分野におけるエビデンス構築に係る課題
    • 医薬品や医療機器に比して、ヘルスケア分野部の一部の製品・サービスでは、適切な提供体制の整備やエビデンスの構築・検証がされていないことがある。
    • そのため、事業者団体による適切なサービス提供に向けたガイドラインの策定、 アカデミアによる医学的エビデンスを整理した指針の策定、の両面からオーソライズする仕組みの構築を支援する。
  • 科学的有用性が担保されたサービスの社会実装
    • 質の高いヘルスケアサービスの社会実装を進めるため、業界団体・医学会による信頼性担保の基準を策定すると共に、基準に基づいたサービス開発を促進するための仕組みを検討。
  • 業界自主ガイドラインの策定
    • 業界自主ガイドライン・認定制度を策定する際の指針として、「ヘルスケアサービスガイドライン等のあり方」(平成31年4月策定、令和3年6月改訂)において、どの業種にも通じる重要な要素を明示。
    • 業界が自主的にルールを作り、利用者等が安心してサービスを選択できる環境が整備されることを目指す。
  • 業界自主ガイドラインに関する業界団体会合の開催
    • 業界自主ガイドラインの策定を行った、あるいは行おうとしている業界団体関係者に参加いただき、サービス標準化の活用類型の紹介や、「品質の確保されたヘルスケアサービスが選ばれるような環境づくり」に向けた業界団体同士のネットワーキングを行った。
    • アンケート結果を踏まえ、経済産業省としては次年度以降も業界団体会合の開催を検討したい。
  • アカデミア:予防・健康づくりに関する医学会による指針等の策定・普及
    • 【現状・課題】ヘルスケアサービスの利用者(企業、自治体、保険者、個人など)による適切なサービス選択や、サービス開発事業者による適切な研究開発に活用されるための専門的・科学的な情報が不足している。
    • 【今後の取組】各疾患領域の中心的学会によるエビデンスの整理および指針等の策定をAMEDにて支援するとともに、策定された指針等が、ヘルスケアサービス開発事業者やヘルスケアサービスの利用者に広く利活用される仕組みを構築するための検討を実施。

内閣府 月例経済報告(月次)
▼ 月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(令和6年3月)
  • 日本経済の基調判断
    • 現状 【判断維持】
      • 景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
      • (先月の判断)景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
    • 先行き
      • 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある
    • 政策の基本的態度
      • 30年来続いてきたコストカット型経済から持続的な賃上げや活発な投資がけん引する成長型経済へ変革するため、新しい資本主義の取組を加速させる。
      • このため、「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージにむけて~」(11月2日閣議決定)及びその裏付けとなる令和5年度補正予算を迅速かつ着実に執行するとともに、令和6年度予算及び関連法案の早期成立に努める。また、「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」に基づき、令和6年能登半島地震の被災者の生活、生業の再建をはじめ、被災地の復旧・復興に至るまで、予備費を活用し切れ目なく対応する。
      • 日本銀行は、3月19日、金融政策の枠組みの見直しを決定し、引き続き2%の物価安定目標のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、短期金利の操作を主たる政策手段として、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営することとした。
      • 政府と日本銀行は、引き続き緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行っていく。
      • こうした取組を通じ、デフレに後戻りしないとの認識を広く醸成し、デフレ脱却につなげるとともに、新たな成長型経済への移行に向け、あらゆる政策手段を総動員していく
  • 賃金の動向
    • 2024年春闘(第1回集計)の賃上げ率は、定昇込みで5.28%、ベアで3.7%と、30年ぶりとなった昨年を大きく上回った。ベアは、中小企業でも3%近い伸びとなり、組合計のベースアップ額は、平均月1万円を超える水準に。
    • 賃金の改定は、昨年のパターンでは、5月頃から夏場にかけて実際の賃金支払に徐々に反映。現在、一般労働者の所定内給与の伸びは前年比1%台半ばだが、今後高まっていくことが見込まれる。
    • 昨年、3%以上の賃上げを行った中小企業は6割弱、うち価格転嫁ができた企業では7割強。すそ野の広い賃上げの実現のためには、重層的取引の先端に至るまでサプライチェーン全体での適切な労務費の価格転嫁と製品価格の設定が重要。
  • アメリカ経済の動向
    • アメリカの一人当たり名目GDPは約8.2万ドルで、日本の約2.4倍。長期的にみると実質GDPはおおむね2%以上の成長率で推移。足下では6四半期連続で2%以上のプラス成長が継続し、2023年は2.5%。2024年も2%程度の見通し。
    • 安定的な物価上昇と、それを超える名目賃金の上昇に支えられた個人消費の増加が、内需主導の経済成長をけん引。2008年の世界金融危機のような大きな経済的ショックに見舞われても、デフレには陥らず。
    • アメリカは世界の名目GDPの約25%を占める最大のマーケット。2023年の財輸入においては、カナダ・メキシコ・中国のシェアが全体の約4割。中国のシェアは、2001年のWTO加盟後に急上昇。2009年以降首位であったが、米中貿易摩擦を契機に、2023年のシェアは2位に低下。対内直接投資残高では日本は首位
    • コロナ禍後の就業者数をみると、55歳以上は伸びが停滞しており、外国生まれ労働者の増加にもかかわらず、労働供給の不足が継続。株価上昇を背景とした金融資産の増加がコロナ禍後の早期引退に繋がっている可能性。名目賃金上昇率は高水準で推移しており、物価上昇率は鈍化傾向にあるものの、金融政策に与える影響に留意が必要。
  • 物価の動向
    • 消費者物価の前年比は、昨年秋以降2%台で推移。なお、資源価格が落ち着く下で、電気・ガスの激変緩和事業の開始から1年が経過し、押下げ効果が薄まったことから、2月は上昇幅が拡大。一方、食料品は、値上げの一服から、引き続き上昇幅が緩やかに。
    • デフレに陥る前の1990年代前半以前は、サービスの物価上昇率は2%前後で推移。足下では、財の物価上昇が落ち着く一方で、一般サービスの上昇率が徐々に高まり、財の上昇率と同水準に。
  • 企業収益・業況・生産の動向
    • 昨年10-12月期の企業収益は、経常利益・営業利益ともに10-12月期として過去最高となるなど、総じて改善が継続。
    • 他方、1月の生産活動は、一部自動車メーカーの生産停止により低下。輸送機械では2月も減少が続く見込み。
    • 自動車産業は裾野が広く、関連品目の生産も低下。また、半導体品目の一部では、令和6年能登半島地震の影響も。
    • こうした中、1-3月期の大企業の景況感は、製造業で大きくマイナス。ただし、4-6月期以降の先行きは改善。
  • 個人消費の動向
    • 新車販売(消費に占める輸送機械の割合は2.6%)は、一部自動車メーカーの生産・出荷停止の影響により、このところ弱い動き。
    • 国内旅行消費については、宿泊施設の稼働率は、コロナ禍の落ち込みから回復。一方、宿泊業の就業者数はコロナ禍前に戻っておらず供給制約。こうした中で、客室単価は上昇する一方、日本人宿泊者数はこのところ横ばいに。
    • 消費者のマインドや資産価値(株式等)に関する見方は改善が継続
  • 住宅建設の動向
    • 住宅の新設着工戸数は、持家を中心に弱含みが続く。長期的にみると、1960年代後半に住宅戸数(ストック)が世帯数を上回り、持家など戸建の住宅を中心に、新規着工戸数は減少トレンドにある。
    • 世帯構造の変化をみると、単身世帯等の割合が増加する一方で、夫婦と子供のいる世帯や三世代同居世帯など戸建住宅の需要層と考えられる世帯の割合が減少。
    • 建築費の高止まりの中で、戸建住宅の新設着工が減少する一方で、中古住宅の販売量は増加傾向。リフォーム促進等を通じた中古住宅流通市場の拡大も重要
  • 設備投資の動向
    • 2023年10-12月期の設備投資は、実質前期比プラス2.0%と上方改定、名目金額(年率換算)は1991年以来初めて100兆円を超えた。半導体や自動車関連で生産能力強化のための工場新設等の投資が実行され始め、契約金等の支払が進んでいる結果とみられる。
    • 他方、企業の高い投資計画に比べ、実際の投資の伸びは依然、例年より弱く、引き続き供給制約等の影響に留意が必要。2024年度の投資計画(2月15日時点調査)は、2023年度の高い実績見込み(9.3%)の後、前年度比7.5%の強い伸び。
  • 輸出入の動向
    • 財の輸出は、アメリカ向けは増加傾向が続く一方、欧州向けが弱く、アジア向けも持ち直しの動きに足踏み。
    • インバウンドについて、訪日外客数は2月として過去最高。一人当たり旅行消費額は欧州等からの旅行者が高い。
    • 財の輸入は、弱含み。紅海危機の影響により、1月は、欧州からの輸入について、海上輸送割合が高いワイン、化粧品、自動車部分品等の輸入が大幅に減少。
  • 韓国経済の動向
    • 韓国経済は、世界的な半導体需要の持ち直しにより、景気は持ち直しの動き。長期的にみると、1997年のアジア通貨危機後、安定的なマクロ経済環境の維持に努めたこともあって着実に成長し、2023年の一人当たり名目GDPは3.3万ドル。
    • 他方、合計特殊出生率は0.72と低く、人口は50年後(2072年)には約3,600万人に減少することが見込まれている

内閣府 「社会意識に関する世論調査」の概要
  • 「国を愛する」という気持ちについてうかがいます。あなたは、他の人と比べて、「国を愛する」という気持ちは強い方だと思いますか。それとも、弱い方だと思いますか。(○は1つ)令和4年12月/令和5年11月
    • 強い(小計)51.2%→51.4%(非常に強い8.8%→10.0%どちらかといえば強い42.4%→41.4%)
    • どちらともいえない37.5%→35.9%
    • 弱い(小計)10.3%→11.8%(どちらかといえば弱い7.7%→9.9%↑非常に弱い2.6%→2.0%)
  • あなたは、今後、国民の間に「国を愛する」という気持ちをもっと育てる必要があると思いますか。それとも、そうは思いませんか。(〇は1つ)
    • そう思う(小計)82.1%→82.0%(そう思う29.8%→30.8%どちらかといえばそう思う52.4%→51.2%)
    • そうは思わない(小計)16.8%→17.2%(どちらかといえばそうは思わない11.9%→13.5%そうは思わない4.8%→3.7%)
  • 国民は、「国や社会のことにもっと目を向けるべきだ」という意見と、「個人生活の充実をもっと重視すべきだ」という意見がありますが、あなたは、どのように思いますか。(〇は1つ)
    • 国や社会のことにもっと目を向けるべきだ(小計)58.4%→55.3%(国や社会のことにもっと目を向けるべきだ15.1%→16.6%
    • どちらかといえば国や社会のことにもっと目を向けるべきだ43.3%→38.7%↓
    • 個人生活の充実をもっと重視すべきだ(小計)39.9%→43.8%↑(どちらかといえば個人生活の充実をもっと重視すべきだ30.9%→34.2%↑個人生活の充実をもっと重視すべきだ8.9%→9.5%)
  • あなたは、日頃、社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと思っていますか。それとも、あまりそのようなことは考えていませんか。(〇は1つ)
    • 思っている64.3%→61.4%
    • あまり考えていない34.1%→35.8%
  • 何か社会のために役立ちたいと思っているのはどのようなことですか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
    • 自分の職業を通して41.1%→43.2%
    • 環境美化、リサイクル活動、牛乳パックの回収など自然・環境保護に関する活動35.2%→38.3%
    • 高齢者・障害者・こどもに対する身の回りの世話、介護、食事の提供、保育など社会福祉に関する活動31.8%→31.3%
  • あなたは、今後、日本人は、個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだと思いますか。それとも、国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだと思いますか。(〇は1つ)
    • 個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだ(小計)54.4%→53.2%(個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだ10.3%→9.5%どちらかといえば個人の利益よりも国民全体の利益を大切にすべきだ44.1%→43.7%)
    • 国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだ(小計)38.6%→39.6%(どちらかといえば国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだ33.1%→33.8%国民全体の利益よりも個人個人の利益を大切にすべきだ5.5%→5.8%)
  • あなたは、地域での付き合いをどの程度していますか。(〇は1つ)
    • 付き合っている(小計)55.1%→52.9%(よく付き合っている8.6%→8.6%ある程度付き合っている46.5%→44.3%)
    • 付き合っていない(小計)43.4%→44.4%(あまり付き合っていない33.1%→32.6%全く付き合っていない10.3%→11.8%)
  • あなたは、地域での付き合いは、どの程度が望ましいと思いますか。(〇は1つ)
    • 地域の行事や会合に参加したり、困ったときに助け合う29.5%→29.8%
    • 地域の行事や会合に参加する程度の付き合い28.1%→27.2%
    • 世間話をする程度の付き合い20.9%→18.6%
    • 挨拶をする程度の付き合い18.5%→21.1%
    • 地域での付き合いは必要ない1.5%→0.6%↓
  • あなたは、現在の世相をひとことで言えば、明るいイメージとしては、どのような表現が当てはまると思いますか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
    • 平和である59.0%→58.4%
    • 安定している21.0%→19.0%
    • おもいやりがある19.6%→17.2%
    • 特にない20.0%→22.0%
  • あなたは、現在の世相をひとことで言えば、暗いイメージとしては、どのような表現が当てはまると思いますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • ゆとりがない44.9%→46.4%
    • 無責任の風潮がつよい37.4%→38.8%
    • 自分本位である37.9%→36.5%
    • 不安なこと、いらいらすることが多い29.1%→30.4%
  • あなたは、日本の国や国民について、誇りに思うことはどんなことですか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • 美しい自然57.1%→58.3%
    • 治安のよさ61.2%→56.9%↓
    • すぐれた文化や芸術45.7%→47.5%
    • 長い歴史と伝統44.0%→47.5%↑
  • あなたは、現在の社会において満足している点は何ですか。(〇はいくつでも)(上位2項目)
    • 良質な生活環境が整っている40.7%→41.1%
    • 心と身体の健康が保たれる19.0%→20.0%
    • 特にない30.6%→30.5%
  • あなたは、現在の社会において満足していない点は何ですか。(〇はいくつでも)(上位5項目)
    • 経済的なゆとりと見通しが持てない62.5%→63.2%
    • 子育てしにくい27.7%→28.6%
    • 若者が社会での自立を目指しにくい30.0%→28.2%
    • 女性が社会での活躍を目指しにくい25.4%→26.2%
    • 働きやすい環境が整っていない26.2%→25.8%
  • あなたは、現在の社会に全体として満足していますか。それとも、満足していませんか。(〇は1つ)
    • 満足している(小計)52.4%→50.3%(満足している3.0%→3.4%ある程度満足している49.5%→46.9%)
    • 満足していない(小計)46.2%→48.4%(あまり満足していない35.9%→36.3%満足していない10.3%→12.1%)
  • あなたは、全般的にみて、国の政策に国民の考えや意見がどの程度反映されていると思いますか。(〇は1つ)
    • 反映されている(小計)26.6%→22.5%↓(かなり反映されている2.2%→1.1%↓ある程度反映されている24.4%→21.4%↓)
    • 反映されていない(小計)71.4%→75.7%↑(あまり反映されていない52.0%→49.6%ほとんど反映されていない19.5%→26.1%↑)
  • それでは、どうすればよりよく反映されるようになると思いますか。あなたのお考えに最も近いものをお答えください。(〇は1つ)
    • 政治家が国民の声をよく聞く29.2%→27.7%
    • 国民が国の政策に関心を持つ16.8%→16.8%
    • マスコミが国民の意見をよく伝える4.5%→5.3%
    • 国民が選挙のときに自覚して投票する14.1%→13.7%
    • 政府が世論をよく聞く15.3%→16.7%
    • 国民が参加できる場をひろげる11.2%→10.5%
  • あなたは、現在の日本の状況について、良い方向に向かっていると思われるのは、どのような分野についてでしょうか。(○はいくつでも)(上位3項目)
    • 医療・福祉25.3%→25.5%
    • 防災21.6%→24.1%
    • 治安21.8%→18.6%↓
    • 特にない24.9%→25.5%
  • あなたは、現在の日本の状況について、悪い方向に向かっていると思われるのは、どのような分野についてでしょうか。(○はいくつでも)(上位4項目)
    • 物価70.5%→69.4%
    • 国の財政61.3%→58.4%
    • 景気60.8%→58.1%
    • 経済力46.7%→46.7%

内閣府 「国民生活に関する世論調査」の概要
  • あなたのご家庭の生活は、去年の今頃と比べてどうでしょうか。(○は1つ)令和4年10月/令和5年11月
    • 向上している4.7%→5.4%
    • 同じようなもの62.4%→58.3%↓
    • 低下している32.6%→35.9%↑
  • あなたは、全体として見ると、現在の生活にどの程度満足していますか。(〇は1つ)
    • 満足(小計)51.8%→49.0%(満足している7.5%→7.2%まあ満足している44.3%→41.8%)
    • 不満(小計)47.8%→50.7%↑(やや不満だ35.4%→36.2%不満だ12.4%→14.5%↑)
  • あなたは、所得・収入の側面では、どの程度満足していますか。(〇は1つ)
    • 満足(小計)34.9%→31.4%↓(満足している4.7%→4.8%まあ満足している30.1%→26.6%↓)
    • 不満(小計)64.8%→68.0%↑(やや不満だ40.4%→42.0%不満だ24.4%→26.0%)
  • あなたは、資産・貯蓄の側面では、どの程度満足していますか。(〇は1つ)
    • 満足(小計)29.3%→27.6%(満足している3.8%→4.2%まあ満足している25.5%→23.4%)
    • 不満(小計)70.2%→71.9%(やや不満だ39.1%→39.2%不満だ31.1%→32.7%)
  • あなたは、食生活の側面では、どの程度満足していますか。(〇は1つ)
    • 満足(小計)71.7%→66.7%↓(満足している18.1%→16.8%まあ満足している53.6%→49.9%↓)
    • 不満(小計)28.1%→32.9%↑(やや不満だ21.7%→24.1%不満だ6.4%→8.8%)
  • あなたは、自己啓発・能力向上の側面では、どの程度満足していますか。(〇は1つ)
    • 満足(小計)53.5%→50.8%(満足している6.7%→6.1%まあ満足している46.9%→44.8%)
    • 不満(小計)44.1%→44.8%(やや不満だ37.2%→37.1%不満だ6.9%→7.7%)
  • あなたは、日頃の生活の中で、どの程度充実感を感じていますか。(〇は1つ)
    • 感じている(小計)58.6%→56.4%(十分感じている7.2%→7.2%まあ感じている51.4%→49.3%)
    • 感じていない(小計)39.1%→39.1%(あまり感じていない32.0%→31.7%ほとんど感じていない7.1%→7.5%)
  • 日頃の生活の中で、充実感を感じるのは、主にどのような時ですか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • ゆったりと休養している時52.3%→54.5%
    • 趣味やスポーツに熱中している時46.8%→47.4%
    • 家族団らんの時47.4%→46.2%
    • 友人や知人と会合、雑談している時42.3%→41.3%
  • あなたは、日頃の生活の中で、悩みや不安を感じていますか。それとも、悩みや不安を感じていませんか。(〇は1つ)
    • 感じている(小計)78.0%→75.9%(感じている35.0%→34.8%どちらかといえば感じている43.1%→41.1%)
    • 感じていない(小計)17.0%→15.5%(どちらかといえば感じていない14.0%→12.4%感じていない3.0%→3.2%)
  • 悩みや不安を感じているのはどのようなことについてですか。(〇はいくつでも)(上位5項目)
    • 老後の生活設計について63.5%→63.6%
    • 今後の収入や資産の見通しについて57.1%→59.8%
    • 自分の健康について59.1%→59.2%
    • 家族の健康について51.5%→50.7%
    • 現在の収入や資産について43.8%→47.0%
  • あなたは、日頃の生活の中で、休んだり、好きなことをしたりする時間のゆとりがありますか。それとも、仕事や家事、学業などに精一杯で時間のゆとりがありませんか。(〇は1つ)
    • ゆとりがある(小計)62.2%→59.4%(かなりゆとりがある12.2%→12.0%ある程度ゆとりがある50.0%→47.5%)
    • ゆとりがない(小計)35.2%→36.0%(あまりゆとりがない26.6%→26.9%ほとんどゆとりがない8.6%→9.1%)
  • あなたは、現在、どのようなことをして、自分の自由になる時間を過ごしていますか。(〇はいくつでも)(上位5項目)
    • 睡眠、休養53.0%→51.9%
    • テレビやDVD、CDなどの視聴48.8%→47.1%
    • 映画鑑賞、コンサート、スポーツ観戦、園芸などの趣味・娯楽39.5%→40.8%
    • インターネットやソーシャルメディアの利用33.0%→34.9%
    • 家族との団らん35.2%→33.6%
  • あなたのご家庭の生活の程度は、世間一般から見て、どうですか。(〇は1つ)
    • 上1.8%→1.7%
    • 中の上13.9%→14.7%
    • 中の中48.9%→46.3%
    • 中の下26.2%→25.5%
    • 下7.2%→8.1%
  • あなたは、今後の生活において、特にどのような側面に力を入れたいと思いますか。(〇はいくつでも)(上位5項目)
    • 健康71.7%→69.0%↓
    • 資産・貯蓄38.7%→41.8%↑
    • 食生活38.6%→37.0%
    • 所得・収入33.1%→34.6%
    • レジャー・余暇生活30.8%→32.2%
  • あなたは、今後の生活において、心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたいと思いますか。それとも物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたいと思いますか。(○は1つ)
    • 物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい(小計)51.7%→48.8%↓
    • 物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい8.5%→9.5%
    • どちらかといえば物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい43.2%→39.3%↓
    • まだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたい(小計)46.9%→50.0%↑
    • どちらかといえばまだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたい31.8%→33.4%
    • まだまだ物質的な面で生活を豊かにすることに重きをおきたい15.1%→16.6%
  • あなたにとって家庭はどのような意味をもっていますか。(○はいくつでも)(上位4項目)
    • 休息・やすらぎの場61.9%→62.5%
    • 家族の団らんの場63.3%→61.9%
    • 家族の絆を強める場44.9%→43.0%
    • 親子が共に成長する場33.3%→33.5%
  • あなたが働く目的は何ですか。あなたの考え方に近いものをお答えください。(○は1つ)
    • お金を得るために働く63.3%→64.5%
    • 社会の一員として、務めを果たすために働く11.0%→10.8%
    • 自分の才能や能力を発揮するために働く6.7%→7.2%
    • 生きがいをみつけるために働く14.1%→12.8%
  • 世の中には、いろいろな仕事がありますが、あなたにとってどのような仕事が理想的だと思いますか。(○はいくつでも)(上位5項目)
    • 収入が安定している仕事62.8%→62.2%
    • 私生活とバランスがとれる仕事53.7%→55.2%
    • 自分にとって楽しい仕事51.9%→54.2%
    • 自分の専門知識や能力がいかせる仕事35.9%→36.4%
    • 健康を損なう心配がない仕事33.7%→35.2%
  • あなたは、今後、政府はどのようなことに力を入れるべきだと思いますか。(○はいくつでも)(上位4項目)
    • 物価対策64.4%→68.1%↑
    • 景気対策62.6%→64.4%
    • 医療・年金等の社会保障の整備64.5%→62.8%
    • 高齢社会対策52.0%→50.8%

内閣府 令和6年第2回経済財政諮問会議
▼ 資料2 マクロ経済参考資料(内閣府)
  • 企業の設備投資意欲は高い一方で、実際の設備投資には結び付いていない。足下では計画と実績の乖離が拡大。企業の人手不足感は高まっている。特に、建設業、宿泊・飲食サービスで顕著。人手不足への対応策について、採用活動の強化と比べると、デジタル・機械・ロボットの活用は進んでいない。
  • 民間予測平均では、2024年度後半以降にかけて、賃金上昇が物価上昇を上回ることが視野に入る。ただし、名目賃金は民間平均よりも下振れるリスクもあり、賃上げに向けた取組を強化することが重要。
  • 今春の賃上げに向けて、2023年よりも前向きな動きが広がっている。
  • 高い水準の賃上げを実現するためには、価格転嫁が重要。賃上げ分の価格転嫁は進みつつあるが、更なる取組が期待される。コスト増に対する転嫁率には、産業別にバラつきが見られる。業種の特性等に応じたきめ細かい対応が求められる。
▼ 資料3 正念場を迎える日本経済(有識者議員提出資料)
  • 我が国経済は、海外での収益増や円安等も反映し、企業収益や株価が過去最高水準となる一方、足下では消費・投資は力強さを欠いており、実質GDP成長率は2四半期連続のマイナスとなるなど、新たなステージに移行する上での正念場を迎えている。
  • 日本経済が、コロナ後の「需要不足経済」から「人手不足経済」へと構造変化しつつある中、経済政策の方向性を雇用維持重視から労働移動円滑化に大きく変え、この構造変化を経済の一層の活性化につなげていくことが必要。「人手不足経済」をチャンスに変えて、人材を確保したい企業の賃上げを後押しし、高付加価値生産性を実現できる産業や企業で働きたい労働者の動きを後押しする。こうして経済の好循環を回すことで、各企業や国民1人1人が「日本経済は良くなった」と実感し、「日本経済は今後もよくなる」と期待を持てるようにする。
  • 投資の制約要因の解消と「人手不足経済」への対応
    • 企業の投資計画は高水準であるが、人手不足や資材価格上昇等の中で、実際の投資増に十分に結び付いておらず、投資拡大を「計画段階」から「実行段階」に移すための後押しが重要。あわせて、「人手不足経済」をチャンスに変える改革が必要。
    • 各省が所管分野において、投資の制約となっている要因がないか急ぎ検証し、その解消に向けた方策を早急に洗い出すべき。
    • 人手不足に対応するためには、徹底的なデジタル化と省人化投資が重要。デジタル技術の活用を妨げる規制の改革推進を。
  • 物価上昇を上回る賃上げ
    • 多くの企業が人手不足を感じている今こそ、好調な企業業績を賃上げにつなげ、人材確保・人材定着につなげる好機。
    • 企業の持続的な賃上げインセンティブを高めるため、税・補助金・政府調達等を総動員。
    • 2024年度予算案において、医療・介護分野の賃上げに必要な予算が措置されたが、施策効果が実際に現場職員に行き届いているか検証。
    • 「賃金は上がることが当たり前」という意識を社会に定着させ、2%程度の物価上昇とそれを上回る賃金上昇の実現を目指すべき。
    • 円滑な労働移動とスキルアップによって、企業だけではなく人も、高付加価値生産性と、その結果としての高い賃金が持続的に得られるようにすべき。リスキリング支援を含め、そのための政策的な後押しが必要。
  • 中小企業の付加価値創造
    • 中小企業が賃上げを実現するためには、「良いものには値がつく」ことを社会の共通理解とし、適切な値上げを積極的に評価する機運の醸成が必要。また、これまで以上に中小企業が付加価値を創造していくことも重要。
    • 重層的な下請け構造が存在する業界(例:建設、物流、自動車等)では、3次・4次・5次…と下請けが下位になるにつれて、中小企業への「しわ寄せ」が生じる懸念がある。これまでの転嫁対策の効果・課題を洗い出し、転嫁対策を徹底すべき。
    • 中小企業による他企業と差別化できる新商品の開発、デジタル化や省人化投資、海外等の新たな販路拡大などを支援することで、適切なマークアップ率の確保、付加価値創造の強力な後押しを。
▼ 資料5 中長期の経済財政運営における政策課題(有識者議員提出資料)
  • 足下の人手不足の大きな要因でもある人口減少は、今後本格化することが見込まれ、中長期的に我が国経済の重石になりかねない。この克服に向けて、生産性の向上、労働参加の拡大、出生率の向上等に構造的に対応していく必要がある。
  • 人口減少が本格化する2030年より前に制度改革を遂行する必要があり、そのためには、今後3年程度の包括的な政策パッケージを策定すべき。その際には、以下に掲げるように、国内のマクロの視点だけでなく、ローカルとグローバルの視点も備えた形とすべき。
    • 先端技術実装と競争力強化
      • 企業の稼ぐ力を引き上げ、現役世代の所得が継続的に増加する経済を実現するため、DXによる省人化や新技術の社会実装を推進し、それによって付加価値生産性が向上するよう規制改革・環境整備を徹底すべき。
      • 民間による積極的な投資と起業によって、GX・HXなど、世界に先駆けて競争力を持つべき分野の研究開発とビジネス化を一体となって加速させる。また、国はそのための環境整備をしっかりと行うべき。
    • 生涯活躍と希望出生率の実現
      • 国民一人一人のライフプランに応じて、生涯活躍できる社会の構築が重要。そのためには、全世代型リスキリングや個別最適な学びの実現、若年期からの健康意識向上、高齢期就労を促す制度改革を、DXを活用しつつ、統合的に進め、将来の方向性を国民に分かり易く提示すべき。
      • 安心して結婚・出産・子育てに取り組める社会の構築も重要。そのためには、構造的賃上げに加え、賃金カーブの是正やジェンダーギャップ解消等により、たとえば初任給から30万円を支給するなど若年労働者の能力に応じた賃金水準の引上げ等、結婚・子育て世代の安心を抜本的に高める必要がある。また、EBPMに基づく真に効果的なこども・子育て政策を推進すべき。
      • これらの取組により、一人ひとりのウエルビーイング向上と消費の拡大により需要不足に陥りにくい経済構造の実現につなげる。
    • 財政・社会保障構造の強靭化
      • 将来の金利上昇に備え財政の信認を確保する。全ての世代で能力に応じて負担し支え合う全世代型社会保障の実現や応能負担の徹底を通じた現役世代・高齢世代など給付・負担構造の見直し、人口減少社会に対応できる効率的で強靭な医療介護サービス提供を図りつつ、将来の成長につながる分野への重点配分を実現すべき。
    • 地域活力の創生
      • 都市圏へのコンパクト化と強靭な国土構造を両立させるため、広域での住民の意見集約を図りつつ、デジタル・遠隔・自動運転技術等の次世代インフラ活用による地域機能の向上を図るとともに、インフラ・社会機能(医療・介護、交通、教育など)の維持コストの抑制を図るべき。
    • グローバル対応と脱炭素
      • 米中関係の変化、東アジアの高齢化・人口減等グローバルな変化・リスクに効果的に対処するため、対日直投やアジアトップ若手人材の受入れ等海外活力を取り込み、わが国経済の強靭性を高めるための構造変化を進めるべき。
      • 気候変動やエネルギー・資源制約の高まり等に対し、再生可能エネルギーの主力電源化や原子力、水素の利活用拡大を含め脱炭素を通じたエネルギー自給の強化を図るべき。
      • 今後、以上のような中長期の経済財政運営の検討に当たり、経済・財政・社会保障の持続可能性を確保するための条件を明らかにすることが重要。内閣府においては、今回の議論も踏まえた長期試算を作成し、それらの条件を経済財政諮問会議に提示すべき。その上で、定量的な政策目標・KPIの考え方を合わせて打ち出すべき。

内閣府 世界経済の潮流2023年Ⅱ ~中国のバランスシート調整・世界的なサービス貿易の発展~
▼ 説明資料
  • アメリカの景気動向
    • アメリカ経済は、消費を中心に回復が継続。堅調な消費の背景には良好な家計のバランスシートがあり、総資産に対する負債の比率は過去20年間で最低水準。
    • 設備投資は、半導体法等を受けて、構築物投資(工場建設等)が増加傾向。半導体工場新設の動きも活発。
    • 住宅市場は、中古住宅の供給不足を背景に、住宅着工件数(新築)は回復傾向に転じている。
  • 欧州の景気動向
    • ユーロ圏及び英国の実質GDPは、感染症拡大前の水準を回復したものの、2023年後半は横ばいから微減となり、景気は弱含み。特に英国は消費の回復の遅れ。
    • 背景には消費者マインドの悪化。特に英国は、2016年のEU離脱決定以降の経済への先行き懸念の高まりと、金利上昇に伴う利払い負担増への懸念が悪化に寄与(英国は短期借換えの住宅ローン割合が高い)。
  • 欧米の物価・金融政策
    • 欧米では、エネルギー及び食料価格の下落を受けた輸入インフレ圧力の弱まりを受けて、物価上昇率は低下傾向。
    • 欧米中銀は2023年秋以降、政策金利を据え置くとともに、量的引締めを継続。アメリカでは前回量的引締め局面を大きく上回るペースで、FRB保有資産の削減が進む。
  • 中国の景気とバランスシート調整
    • 中国では、感染症収束後に景気は持ち直しの動きがみられたが、2023年後半はその動きに足踏み。
    • 背景にある不動産市場の停滞は、一過性の景気要因ではなく構造問題。不動産関連貸出は、融資規制が導入された2020年をピークに低下。不動産セクターでは、負債の圧縮を優先し投資を抑制するバランスシート調整が進展。家計部門にも波及し、一人当たり可処分所得、消費支出を押下げ
  • 世界経済のリスク
    • 中国では、不動産市場停滞が最大のリスク。住宅ローン等の不良債権が証券化され、リスク拡散の可能性。
    • アメリカでは、金融引締めを受け、商業用不動産価格が下落。商業用不動産ローンの返済延滞・不履行が増加した場合、中小銀行の資産を毀損する可能性。
    • 中東地域の緊迫が続く中で、スエズ運河を回避し喜望峰周りとなる動きが増え、物流コスト上昇の動き。
    • 2024年は世界各国で選挙が予定。貿易・投資を通じて各国の経済に影響を与える可能性など、国際政治情勢の変化が世界経済に与える潜在的なリスクについて注視する必要
  • 財貿易
    • 世界の財貿易量の伸びは、内製化の進展等により、2010年以降、GDP成長率をおおむね下回る。
    • 米中貿易摩擦の影響は、中国と世界の貿易のトレンドの変化としては現れていない。アメリカの対中貿易赤字額も、中国国内での生産活動の実態を反映した付加価値統計ベースでは、貿易統計ベースよりも小さい。
    • ASEANは複数の経済大国・経済圏と関係性を維持しており、米中貿易摩擦の中で重要性が高まる
  • サービス貿易
    • 世界のサービス輸出は、GDP及び財輸出の伸びを上回り安定的に増加し、世界経済の新たなけん引役。
    • サービス貿易収支は、各国の分野別の競争力を示唆。(例)アメリカは知的財産権・金融、英国は金融・保険で大幅な黒字。
    • デジタルサービス貿易にかかる規制は、データローカライゼーション(注)等を背景に一部の国で強化。こうした規制強化は、サービス貿易の下押し要因となる可能性。(注)事業活動に必要なサーバーやデータ自体の国内設置・保存を求める規制。
  • 直接投資
    • 世界の直接投資は、2010年代の財貿易の鈍化を受けて、2015年をピークに減少傾向。
    • 米中貿易摩擦の高まりや感染症拡大以降、安全保障関連の投資審査を導入・拡大する国が増加。
    • 米中貿易摩擦を含む経済環境の不確実性の高まりを受け、対中直接投資は減速が継続。半導体産業など戦略的分野の直接投資は地域的に分化がみられ、地政学的距離(Geopolitical distance)(注)が影響。(注)同盟の有無等に起因する、2国間の地政学的な立場の隔たりを指す。国連理事会における投票行動等から推計
  • 今後の展望
    • 財貿易の動向
      • GVCにおける米中の関係性は深く、米中貿易摩擦の更なる高まりは両国にも大きな影響が生じる可能性。
      • 米中貿易摩擦は輸出規制等の強化が継続するものの、その規制対象の明確化が進むことにより、アメリカでは経済安全保障の観点からの規制強化と経済活動の両立が図られる可能性。
    • サービス貿易の動向
      • サービス部門に競争力のある国においては伸び率が高く、引き続き各国の成長をけん引することが考えられる。
      • データローカライゼーションを始めとしたデータ流通規制は程度の差はあれ強化する傾向の国・地域が多く、今後のサービス貿易の伸びを抑制する可能性がある点には留意が必要。
    • 直接投資の動向
      • 米中貿易摩擦の継続に加え、国内回帰やフレンドショアリング、ニアショアリングが進展。
      • 地政学的な観点から、半導体など戦略的分野における地域的分断化が進行する中、今後も直接投資全体の伸び率の低下や地域間の偏りが続く可能性。

内閣府 「生活設計と年金に関する世論調査」の概要
  • あなたは、何歳頃まで収入を伴う仕事をしたいと考えますか。既に退職し、今後働く予定のない方は、何歳頃に収入を伴う仕事を退職しましたか。(○は1つ)令和5年11月
    • 50歳以下7.8%
    • 51歳~60歳14.8%
    • 61歳~65歳28.5%
    • 66歳~70歳21.5%
    • 71歳~75歳11.4%
    • 76歳~80歳6.1%
    • 81歳以上3.6%
    • これまで働いておらず、これから働く予定もない2.0%
  • その年齢まで働きたい理由は何ですか。既に退職した方は、退職した年齢まで働いた理由は何ですか。(○はいくつでも)(上位4項目)
    • 生活の糧を得るため75.2%
    • いきがい、社会参加のため36.9%
    • 健康にいいから28.7%
    • 時間に余裕があるから14.6%
  • 61歳以降も収入を伴う仕事をする場合、どのような形態での就労を最も希望しますか。既に退職した方は、退職した年齢まで主にどのような形態で就労されましたか。(○は1つ)
    • 役員を含む、正規の職員・従業員34.9%
    • 期間従業員、契約社員、派遣社員を含む、非正規の職員・従業員39.5%
    • 自分で、または共同で事業を営んでいる自営業主・自由業12.2%
    • 家族従業者・家族が営んでいる事業を手伝う4.0%
  • あなたは、老後の生活設計の中で、公的年金をどのように位置づけていますか。(○は1つ)
    • 全面的に公的年金に頼る26.3%
    • 公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる53.8%
    • 公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える11.7%
    • 公的年金には全く頼らない1.6%
  • あなたは、老後に向け、公的年金以外の資産をどのように準備したいと考えますか。または、準備をしてきましたか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • 預貯金67.6%
    • 退職金や企業年金32.9%
    • NISAと呼ばれる少額投資非課税制度20.9%
    • 民間保険会社などが販売する個人年金14.5%
    • 老後に向けた資産形成はしない、またはしなかった12.5%
  • あなたは、ご自身が将来公的年金をいくら受け取れるのかについて考えたことがありますか。既に年金を受け取っている方は、これから年金をいくら受け取れるのかについて考えたことがありますか。(○は1つ)
    • 考えたことがある70.2%
    • 考えたことがない27.2%
  • あなたは、どのようなときに年金額について考えましたか。年金額について考えたことがない場合は、どういうときであれば今後考えたいと思いますか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
    • テレビや新聞などのマスメディアで年金に関する内容に触れたとき55.9%
    • 老齢年金を受給できる年齢になったとき28.3%
    • ニュースサイトなどのWebメディアで年金に関する内容に触れたとき23.8%
  • 厚生年金を受け取りながら会社などで働く場合、一定以上の収入があると、受け取る年金額が減ることとなります。あなたが厚生年金を受け取る年齢になったとき、どのように働きたいと思いますか。また、既に厚生年金を受け取っている方は、現在の就労状況に近いものはどれですか。(〇は1つ)
    • 働かない23.6%
    • 年金額が減らないように、就業時間を調整しながら会社などで働く44.4%
    • 年金額が減るかどうかにかかわらず、会社などで働く14.0%
    • 会社などで働かず、自営業主・自由業などとして働く9.1%
    • 厚生年金の加入期間・加入予定がなく、受給する見込みがない3.7%
  • あなたは、公的年金制度について、どこからの情報を信頼していますか。(〇はいくつでも)(上位5項目)
    • 厚生労働省や日本年金機構の広報やセミナー43.1%
    • テレビやラジオで放送されている情報41.9%
    • 新聞・ニュースサイトの記事や雑誌40.0%
    • 都道府県や市区町村の広報やセミナー19.8%
    • 友人や家族からの口コミ17.8%
  • あなたは、公的年金制度の内容について、多くの方に理解してもらうためには、政府によるどのような取組が必要だと思いますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • テレビや新聞などのマスメディアを活用した広報59.5%
    • 中学・高校における年金に関する授業の充実40.3%
    • 相談窓口の設置や専門家の紹介など、年金について個別に相談できる機会の増加38.5%
    • ニュースサイトなどのWebメディアを活用した広報32.1%
  • あなたは、「老齢年金」の仕組みや役割などについて以下に記載する内容のうちどのようなことを知っていますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • 学生を含めた20歳以上の国民は、国民年金に加入する義務がある82.0%
    • 本人の希望により60歳から75歳の間で受け取り始める時期を選択できる73.0%
    • 現役で働いている世代が、年金を受け取っている高齢者を扶養する制度である66.8%
    • 保険料の納付状況に応じて年金額が変動する62.5%
  • あなたは、障害を負ったときに受け取る公的年金である「障害年金」の仕組みがあることを知っていますか。(〇は1つ)
    • 知っている59.6%
    • 知らない39.6%
  • あなたが、以下に記載する「障害年金」の内容のうち詳しく知りたいと思うことは何ですか。(〇はいくつでも)(上位6項目)
    • 障害の程度・保険料納付実績など障害年金を受給するために必要な要件67.1%
    • 障害年金を請求する方法31.6%
    • 障害年金の額や計算方法、シミュレーションの仕方27.2%
    • 障害年金における税金や社会保険料の取扱い26.7%
    • 配偶者やこどもがいる場合に障害年金の額に違いがあること26.0%
    • 障害年金の相談窓口26.0%
    • 特にない19.9%
  • あなたは、死亡したときに遺族が受け取る公的年金である「遺族年金」の仕組みがあることを知っていますか。(〇は1つ)
    • 知っている77.3%
    • 知らない22.2%
  • あなたが、以下に記載する「遺族年金」の内容のうち詳しく知りたいと思うことは何ですか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • 遺族の属性・保険料納付実績などの遺族年金を受給するために必要な要件63.6%
    • 遺族年金の額や計算方法、シミュレーションの仕方39.7%
    • 遺族年金を請求する方法39.6%
    • 遺族年金の支給年数は遺族の年齢に応じてどのように変わるのか34.8%
    • 特にない16.4%
  • あなたは、私的年金制度のうちどの制度の存在を知っていますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • 国民年金基金56.1%
    • 厚生年金基金53.2%
    • iDeCoイデコと呼ばれる個人型確定拠出年金32.5%
    • 企業型DCとも呼ばれる企業型確定拠出年金23.5%
    • 知っている制度はない19.4%
  • 現在の私的年金制度の仕組みや役割について、どのようなことを知っていますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • 国民年金基金は、自営業主・自由業などの国民年金の第1号被保険者などが加入できること45.2%
    • 一人ひとりの多様なニーズにあわせ、老後に向けた資産形成を行うことができる制度であること39.7%
    • 私的年金の受給開始時期は原則60歳以降であること36.0%
    • 拠出した掛金について税制優遇を受けられること29.2%
    • 知っていることはない13.4%
  • 現在、あなたは次の私的年金のいずれかに加入していますか。また、現在60歳以上で国民年金・厚生年金の被保険者でない方については、以前私的年金のいずれかに加入していましたか。(〇はいくつでも)(上位2項目)
    • 厚生年金基金35.7%
    • 国民年金基金18.6%
    • いずれにも加入していない、または加入していなかった41.4%
  • 私的年金に加入している、または加入していた理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
    • 勤めている会社でDB・企業型DC・厚生年金基金を実施していたから57.5%
    • ゆとりある老後生活を送りたいから33.6%
    • 税制優遇を受けられるから16.5%
  • 私的年金で改善を希望する点は何ですか。(〇はいくつでも)(上位2項目)
    • 手続きをより簡単にしてほしい36.2%
    • 公的年金・私的年金を併せて自分の年金情報を確認できるツールがほしい31.0%
    • 特にない19.5%
  • 私的年金に加入していない理由は何ですか。また、現在60歳以上で国民年金・厚生年金の被保険者でない方など、私的年金の加入要件を満たさない人については、これまで加入していなかった理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位2項目)
    • 私的年金制度についてよく知らないから48.0%
    • 私的年金に拠出する余裕がないから27.9%
    • 特にない16.4%
  • 私的年金制度がどのような制度であれば加入したいと思いますか。(〇はいくつでも)(上位6項目)
    • 制度がわかりやすい42.2%
    • 手続きが簡単37.5%
    • 少額の掛金から始められる36.9%
    • 手数料負担が小さい25.7%
    • 運用リスクが小さい25.6%
    • 十分な資産形成ができるほど掛金を拠出できる23.3%
    • 加入したいと思わない18.1%
  • あなたが、私的年金制度について、詳しく知りたいと思うことは何ですか。(〇はいくつでも)(上位2項目)
    • 加入のメリット48.9%
    • 将来の受給可能見込額41.4%
    • 特にない21.4%
  • あなたは、私的年金制度について、どこからの情報を参考にしたいと思いますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • 新聞・ニュースサイトの記事や雑誌38.1%
    • テレビやラジオで放送されている情報37.5%
    • 厚生労働省の広報やセミナー35.1%
    • 職場から提供される福利厚生に関する情報やセミナー27.5%

【2024年2月】

内閣府 総合科学技術・イノベーション会議(第71回)議事次第
▼資料1 今後の科学技術・イノベーション政策の方向性について
  • 我が国の科学技術・イノベーションを取り巻く情勢
    • 科学技術・イノベーションは、我が国の経済成長における原動力であり、社会課題の解決や災害への対応等においてもその重要性が一層増している。
    • ウクライナ情勢やイスラエル・パレスチナ情勢など、世界の安全保障環境が厳しさを増す中で、先端科学技術等を巡る主導権争いは激化し、世界規模でのサプライチェーンの分断も起こっている。
    • 一方で、相対的な研究力の低下やエコシステム形成の遅れは、我が国の将来的な経済成長や雇用創出に大きな影響を及ぼす可能性が懸念される。
  • 第6期科学技術・イノベーション基本計画の進捗状況
    • 科学技術・イノベーション政策は、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(令和5年6月16日閣議決定)や「経済財政運営と改革の基本方針」(令和5年6月16日閣議決定)の政府方針の下で推進している。
    • 具体的には、「統合イノベーション戦略2023」(令和5年6月9日閣議決定)を踏まえ、(1)先端科学技術の戦略的な推進、(2)知の基盤(研究力)と人材育成の強化、(3)イノベーション・エコシステムの形成の3つを基軸として取組を進めるとともに、基本計画の進捗状況の把握・評価を実施している。
    • また、今般の能登半島地震では、これまでの研究開発の成果が災害現場での情報集約支援等に活用されたり、スタートアップの技術・製品が積極的に活用されたりするなど、社会実装が具体的に進んでいる。
      1. 先端科学技術の戦略的な推進
        • 分野別戦略に基づく取組
          • 広島AIプロセス包括的政策枠組みの合意、AI事業者ガイドライン案の策定、AIセーフティ・インスティテュート設立
          • 量子・AI融合技術ビジネス開発グローバル研究センター(G-QuAT)設立
          • 核融合産業協議会(フュージョンエネルギーフォーラム(仮称))の設立準備
        • 安全・安心の確保に向けた取組
          • K program研究開発ビジョン(第二次)の決定、公募開始
          • 研究開発・社会実装の強化
          • SIP第3期始動、BRIDGEとの一体的運用、ムーンショット型研究開発の推進
      2. 知の基盤(研究力)と人材育成の強化
        • 研究基盤の強化と大学改革
          • 国際卓越研究大学の認定候補の選定
          • 地域中核・特色ある研究大学総合
        • 振興パッケージの推進
        • 人材育成・活躍促進
          • 産学における博士人材を中心とした人材流動性強化の検討開始
        • 同志国・パートナー国との連携
          • 国際連携の推進(G7仙台科学技術大臣会合の開催等)
          • オープンアクセスの実現に向けた基本方針の策定
          • 研究セキュリティ・インテグリティの確保に向けた取組の推進
      3. イノベーション・エコシステムの形成
        • スタートアップ育成5か年計画に基づく徹底支援
          • グローバル・スタートアップ・アクセラレーションプログラムの推進、スタートアップ・エコシステム拠点都市の機能強化
        • SBIR制度の抜本拡充
          • スタートアップの公共調達促進(行政とのマッチング促進等)
          • グローバル・スタートアップ・キャンパス構想の具体化
  • 統合イノベーション戦略2024に向けた方向性
    • グローバルな視点で研究力や産業競争力、経済安全保障への対応を一層強化していくことが重要であり、同盟国・同志国やASEANなどをはじめとする国際社会との連携を強化していくことが必要。
    • 国内では、人手不足の顕在化に伴い、AI・ロボティクスによる自動化・省力化が急務であり、また、頻発する災害への備えや対応も喫緊の課題となっている。これらに科学技術・イノベーションが果たす役割は一層重要となっており、テクノロジーの社会実装を加速していくことが必要
    • グローバルな視点での連携強化
      • AIをはじめとする重要技術に関する国際的なルールメイキングの主導・参画(安全性確保等)
      • 科学技術・イノベーション政策と経済安全保障政策の連携強化(重要技術育成、研究セキュリティ・インテグリティ等)
      • グローバルな視点でのリソースの積極活用、戦略的な協働(アライアンス構築等)
      • 能登半島地震における研究開発成果の活用等
    • 「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」では、国民の安全・安心に繋がる防災に関する
      • 研究開発を2014年度から継続的に実施。今般の能登半島地震では、これまでの研究開発の成果が災害現場での情報集約支援等に活用されている。
      • また、被災地の支援では、スタートアップの技術・製品も積極的に活用されている。
    • AIに関する取組
      • 生成AIなどの技術により、AIとの自然な対話が可能となり、精巧な画像生成も容易になるなど、大きな便益やイノベーションがもたらされている。一方で、AIに関するリスクもより切迫したものとなっている。こうした状況を踏まえ、AI戦略会議において「AIに関する暫定的な論点整理」(令和5年5月)をとりまとめた。
      • 「暫定的な論点整理」も踏まえ、国内では、AIのリスクへの対応や利用促進、開発力の強化について議論を進め、AI事業者ガイドライン案の作成等を進めるとともに、国際場裡においては、2023年のG7広島サミットにおいて立ち上げられた広島AIプロセスを通じて、安全、安心で信頼できるAIの実現に向けた取組を推進。
    • フュージョンエネルギー・イノベーション戦略を踏まえた取組
      • 2023年4月に初の国家戦略として、「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を策定。
      • フュージョンエネルギーを新たな産業として捉え、構築されつつある世界のサプライチェーン競争に我が国も時機を逸せずに参入。
      • ITER計画/BA活動、原型炉開発と続くアプローチに加え、産業化等の多面的なアプローチにより、実用化を加速。
    • バイオ戦略を踏まえた今後の取組
      • バイオ戦略(令和元年6月11日統合イノベーション戦略推進会議決定)において掲げた目標である「2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現」に向け、バイオ関連市場の拡大に向けた取組を推進中。
      • 気候変動、食料安全保障等の社会課題に対応すべく、バイオエコノミーの取組が国内外で加速しており、バイオ戦略も最新の動向を踏まえて改定することが必要となっている。
    • 農業・食料イノベーションの強化
      • 我が国の農業は、低迷する食料自給率のみならず、食料生産のための化学肥料の原料のほとんどを海外に依存していることや、農業従事者の急速な減少・高齢化の進展などの諸問題を抱えていることから、農業・食料イノベーションの強化が必要。
      • 「食料・農業・農村政策の新たな展開方向に基づく施策の全体像」(2023年12月27日食料安全供給・農林水産業基盤強化本部決定)を踏まえつつ、科学技術・イノベーションによる食料の安定供給の確保に向けた対応方策を具体化し、各施策を推進中。
    • 大学ファンドによる国際卓越研究大学への支援
      • 2023年8月、文部科学省に設置した国際卓越研究大学の認定等に関する有識者会議(アドバイザリーボード )において、一定の条件を満たした場合に認定するという留保を付して、東北大学を認定候補に選定。
      • 今後、2023年秋の臨時国会で改正された国立大学法人法も踏まえた対象大学におけるガバナンス体制の変更等を経て、2024年度中の支援開始を予定。
    • 地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ
      • 求められる『機能』の観点から大学自身の立ち位置を振り返る「羅針盤」の基本的な考え方を示しつつ、各府省の事業等を(1)大学自身の取組の強化、(2)繋ぐ仕組みの強化、(3)地域社会における大学の活躍促進の3段階に整理して、1つの政策パッケージとしてとりまとめ。
      • 大学による、自らのミッションに応じたポートフォリオ戦略に基づく、選択的かつ、発展段階に応じた機能強化を加速。
      • 地域の中核大学等が地域社会の変革のみならず、我が国の産業競争力強化やグローバル課題の解決に大きく貢献することを目指す。
    • オープンアクセスの推進
      • 公的資金による学術論文等の研究成果は国民に広く還元されるべきものであるが、その流通はグローバルな学術出版社等(学術プラットフォーマー)の市場支配下に置かれ、購読料や論文のオープンアクセス掲載公開料(APC)が高騰している。また、研究評価における定量的指標への過度な依存が懸念されている。
      • これらは、学術研究の根幹に係る大学、研究者等の費用負担を増大させ、研究競争力を低下させる恐れがある。
      • G7首脳会合(広島)及びG7科学技術大臣会合(仙台)の共同声明において、公的資金による研究成果への即時オープンアクセス支援を含むオープンサイエンスの推進が盛り込まれた。
      • 「統合イノベーション戦略2023」(令和5年6月9日閣議決定)を踏まえ、CSTI有識者議員が 「公的資金による学術論文等のオープンアクセスの実現に向けた基本的な考え方」(令和5年10月30日)をとりまとめた。
    • 国立研究開発法人の機能強化に向けた取組
      • 国立研究開発法人(国研)は、我が国の科学技術・イノベーションを支える中核的な機関であり、これまで以上に研究力及びイノベーション創出力を高めていくことが求められている。
      • 今後も研究人材や研究マネジメント人材、知財人材などの優秀な人材を国内外から集めるとともに、国際共同研究等のオープンイノベーションを活性化していく必要があるが、人材確保競争の激化や専門人材不足、研究成果の社会実装、研究セキュリティ・インテグリティ確保に関する問題意識が顕在化しており、以下のとおり対応の方向性を取りまとめる予定。

内閣府 月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料(令和6年2月)
  • 日本経済の基調判断
    • 現状
      • 【下方修正】景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
      • (先月の判断)景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している。
    • 先行き
      • 先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある。
    • 政策の基本的態度
      • 30年来続いてきたコストカット型経済から持続的な賃上げや活発な投資がけん引する成長型経済へ変革するため、新しい資本主義の取組を加速させる。
      • このため、「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージにむけて~」(11月2日閣議決定)及びその裏付けとなる令和5年度補正予算を迅速かつ着実に執行するとともに、令和6年度予算及び関連法案の早期成立に努める。また、「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」に基づき、令和6年能登半島地震の被災者の生活、生業の再建をはじめ、被災地の復旧・復興に至るまで、予備費を活用し切れ目なく対応する。
      • 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することを期待する。
      • こうした取組を通じ、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進めつつ、デフレに後戻りしないとの認識を広く醸成し、デフレ脱却につなげる。
  • 今月のポイント(1)GDPの動向
    • 2023暦年のGDP成長率は、実質で1.9%、名目で5.7%と高い伸び。名目成長率は1991年(6.5%)以来の水準。
    • 2023年10-12月期のGDP成長率は、実質では前期比マイナス0.1%と2四半期連続のマイナスの一方、名目では同プラス0.3%と2四半期ぶりのプラス。名目GDPの実額は596兆円と過去最高を更新。
    • 実質GDP成長率の内訳をみると、外需はプラスに寄与した一方、個人消費はマイナス0.2%、設備投資はマイナス0.1%と3四半期連続マイナス。内需は力強さに欠ける。
  • 今月のポイント(2)設備投資の動向(建設投資における供給制約)
    • 企業の設備投資意欲は高いが、実際の設備投資には必ずしも結び付いていない。建設投資(工事出来高)は、これまでの大型工事の一服で減少傾向にあったが、建築工事費予定額は持ち直しており、今後、建設投資につながることが期待。
    • 他方、建設技能者は不足しており、特にエレベーターの設置等に携わる電気工事士等では過去最高水準の不足超に。こうした中、エレベーター等の建設関連設備は受注が伸び、需要は堅調である一方、受注残が積み上がり。
    • 電工や配管工の就業者数は、長期的に減少傾向が続き、過去20年でそれぞれ10万人強ずつ減少。
  • 今月のポイント(3)日本とドイツの比較
    • 2023年のドイツの名目GDPは、米ドル換算で日本を上回った(1図)。米ドル換算のGDPは、為替レートの影響を受けること、また、日本に比べ、ドイツの物価上昇率が高いことに留意が必要。ただし、ドイツは、日本の3分の2の人口、約6割の就業者数、約8割の労働時間で日本と同程度の名目GDPを実現(2図)、生産性が高い。
    • ドイツは、2000年以降、平均で実質1%、名目2%以上の成長を実現。日本では、バブル崩壊以降の約30年の間、デフレ心理とコストカットの縮み志向の中、名目・実質ともに低成長(3図)。デフレから脱却し、経済を熱量溢れる新たなステージに移行させる千載一遇のチャンスを逃さず、「物価上昇を上回る賃上げ」の実現と潜在成長率の引上げに取り組むことが必須。
  • 今月の指標(1)景気ウォッチャー調査による現状及び先行きの景況感
    • 景気に敏感な職場で働く人々(景気ウォッチャー)に景気の状況を尋ねた「景気ウォッチャー調査(2024年1月調査)」によれば、(1)景気の現状判断(3か月前と比べた景気の方向性)については4か月ぶり低下した一方、(2)景気の先行き判断(現状と比べた2~3か月先の景気の方向性)は3か月連続の上昇となっている。
    • 景気ウォッチャーのコメントでは、春闘での賃上げに対する期待、インバウンドの増加、新生活シーズンや歓送迎会・卒業・入学といったイベントへの期待がみられる。
  • 今月の指標(2)令和6年能登半島地震の影響
    • 北陸地域の景気ウォッチャーからは、令和6年能登半島地震の影響について、地域の景気への影響や自粛ムードが長引くことなどを懸念するコメントが多く寄せられている。先行きについては、北陸新幹線延伸や北陸応援割、復興需要に期待するコメントもみられる。
    • 地震で被災したサプライヤー企業からの部品調達が滞り、県外でも一部で生産活動に影響が生じている。
    • 北陸地域の人流に関するビックデータをみると、震災直後の落ち込みからもとに戻る動きもみられる。
  • 今月の指標(3)物価の動向
    • 消費者物価の前年比は、昨年1月のピーク時は4.3%まで上昇したが、激変緩和措置もあり、足下は2%台で推移。
    • 財のうち食料品については、昨年までの値上げラッシュが一服。2024年の年明け後の値上げについては、原材料高等を理由とする企業の割合が低下し、人件費の転嫁を理由とする割合が増加。
    • サービス物価の上昇も、当初は、原材料高を受けた外食や設備修繕等が中心であったが、昨年以降は、宿泊料に加え、塾や習い事、理美容など人件費割合が相対的に高い分野の寄与が徐々に高まってきている。人件費を含む適切な価格転嫁が着実に進展していくことが、賃金と物価の好循環のために重要
  • 今月の指標(4)賃金の動向
    • 一般労働者の賃金は1%台の上昇の一方、パート労働者の時給は、需給のひっ迫や最低賃金引上げもあり足下で4%まで上昇。2023年の一般労働者の賃金上昇率をみると、若年層で高めとなっている。
    • 主要国やデフレ前の日本では、物価上昇と労働生産性向上が名目賃金上昇をけん引。物価上昇を賃金に反映させ、物価に負けない名目賃金上昇率を実現・継続し、賃金と物価の好循環を回すとともに、労働生産性を高めていくことが重要。
  • 今月の指標(5)個人消費の動向
    • 個人消費は、サービス消費回復の一服に加え、物価上昇や暖冬の影響もあり、半耐久財や非耐久財が減少。一方、雇用環境の改善に加え、物価上昇の落ち着きにより、消費者マインドは持ち直し、実質総雇用者所得も持ち直しの動き。
    • コロナ禍で積み上がった超過貯蓄は、アメリカでは取り崩しが進む一方、日本では取り崩しは限定的。賃金・所得の増加が継続していくという成長期待が重要。
    • 本年開始の新NISAに向け、口座開設数は、30~40代を中心に増加。貯蓄から投資への流れも期待。
  • 今月の指標(6)国際収支の動向
    • 2023年の経常収支は、海外からの配当受取等の第一次所得収支が過去最高水準となる中で、コロナ禍前並みの黒字に。
    • 財の貿易収支は、自動車等の輸出増加と、鉱物性燃料の価格下落を受けた輸入減少により、2022年に比べ赤字幅が縮小。
    • サービス収支は、輸出面では、インバウンドの回復等を受けて増加。一方、輸入面では、デジタル関連や保険分野の輸入が増加し、収支は引き続き赤字。デジタルや知財等のサービス分野の競争力強化も重要。
  • 今月の指標(7)世界経済の動向
    • アメリカは、2023年の実質成長率は2.5%と、個人消費主導で景気は拡大。スマートフォンや音楽ライブなどが好調。
    • 中東地域の緊迫が続く中で、昨年末から海上貿易はスエズ運河を回避しアフリカの喜望峰周りとなる動きが増加。また、昨年末にみられた物流コストの急上昇には一服感がみられるものの、今後の動向には留意が必要。

内閣府 令和6年能登半島地震について
▼ 資料
  • 住まいの確保に向けた検討状況
    • 住まいを失った被災者の方々に、1日も早く、応急的な住まいに移っていただくことが必要。
    • このため、2次避難の推進や公営住宅・民間賃貸住宅の空室活用、応急仮設住宅の建設を速やかに進める。
  • ふるさと回帰型 建設仮設住宅のイメージ
    • 集落内の空き地等に仮設住宅を建設
    • 仮設住宅に居住しながら、自力再建・改修を行い、生活再建を図る
    • 一部の仮設住宅について、供与期間終了後、被災者のために有効活用されることを条例等により制度的に担保した上で
      • 自力再建等が困難な被災者については、一定の改修工事を経た上で、市町の所有住宅として管理し、被災者に貸与
      • 更に、一定期間経過後、被災者が希望する場合には、市町の所有住宅を適正な対価で被災者へ譲渡
  • 能登復興事務所の設置
    • 国土交通省は、令和6年能登半島地震からの復旧・復興に向けて、能越自動車道や国道249号沿岸部の本格復旧、沿線の地すべり対策、河原田川の河川・砂防事業、宝立正院海岸の復旧など、国が権限代行などにより行う復旧・復興事業を迅速に進めるため、能登復興事務所を七尾市に設置。
    • 本日2月16日に16名体制で設置し、4月に50名程度の体制に拡充。以降、事業進捗に応じて順次体制強化予定。
  • 令和6年能登半島地震による土砂災害対応状況
    • 能登半島地震により土砂災害が371件発生(石川県340件、新潟県18件、富山県13件)(令和6年2月14日13時時点)。また、石川県では6河川(14箇所)で河道閉塞等を確認。国は県と連携し、TEC-FORCEによる調査や監視カメラを設置するなど、監視体制を構築し自治体にも監視映像を提供。
    • 土砂災害発生箇所のうち、不安定な状態で斜面や渓流内に土砂・流木が堆積し、今後の降雨により二次災害が発生するおそれが高い、石川県河原田川、町野川及び国道249号の沿岸部において、国直轄による緊急的な土砂災害対策等を実施中。
  • 令和6年能登半島地震に伴う下水道施設の対応状況(石川県)
    • 全国自治体の下水道職員や民間事業者(下水道管路管理業協会等)が下水道管路の復旧支援を実施(1/5~)
    • 日本下水道事業団により、稼働停止の下水処理場、ポンプ場の緊急支援を実施(1/7~)
    • 下水道の復旧については、水道の復旧状況に遅れることがないよう、上下水道一体となって早期復旧に向けた支援を実施(1/8~)
    • 集落排水施設(農水省)、浄化槽(環境省)と連携し、早期復旧に取り組む
  • 能登半島地震による宅地の液状化の状況と対応
    • 石川県、富山県、新潟県の広い範囲で、液状化による面的な宅地被害を確認(件数は1万件を超えるものと推定)。
    • 引き続き被害の全容把握を進めるとともに、特に大きな被害を受けた内灘町等については、詳細な被害状況の調査を国において実施中。
    • 被災自治体と連携し、再度災害防止のための液状化対策事業等の実施について検討を進めているところ。
    • 国土交通省の対応
      1. 被災自治体との意見交換等
        • 新潟県、富山県、石川県内の被災自治体に対して、液状化対策に関する支援制度や過去の対策事例等の情報提供や意見交換を行う会議を開催(1/29,2/14)
        • 富山県内の被災自治体に対して、内閣府と連携して、液状化対策に関する勉強会を開催(1/30)
      2. 液状化による宅地被害の調査
        • 特に被害が大きい地域(内灘町等)について、被災自治体の体制をサポートするため、国が詳細な被害状況の調査を実施中
      3. 被災自治体に対する技術的支援
        • 被災自治体に対して、液状化対策の必要性への助言や、特に被害が大きい地域(内灘町等)については今後の対策の具体的な提案を行うなど、技術的に支援
  • インフラ復旧工事従事者の宿泊対策
    • インフラ・ライフラインの早期復旧に向け、全国から約3,500人が宿泊を伴いながら工事に従事。
    • 地元自治体や関係省庁の協力を得て、
      1. キャンピングカー等の手配窓口と、道の駅等の停泊可能場所
      2. コンテナ等の仮設宿泊設備の手配窓口と、グラウンド等の設置可能場所
      3. ホテル等、利用可能な民間宿泊施設等(通常のサービスを提供できない施設を含む。)
        等の情報を集約し、関係業界団体に周知する枠組みを構築。
  • 令和6年能登半島地震の影響による鉄道の状況について
    1. のと鉄道 七尾線(33.1km)
      • 運休区間:能登中島駅~穴水駅間(16.8km) 和倉温泉駅~能登中島駅間は、2月15日(木)から運転再開
      • 能登中島駅~穴水駅間は、4月上旬の運転再開を目指してJR西日本において復旧工事中※
      • 能登中島駅~穴水駅間で代行バスを運行中※2月9日 のと鉄道、JR西日本より発表
      • 1月9日~10日現地調査実施(合計12名):TEC-FORCE5名、鉄道・運輸機構 鉄道災害調査隊(RAIL-FORCE)7名
      • 1月18日~TEC-FORCE3名をのと鉄道に派遣・常駐。ー復旧作業支援のための連絡調整等
    2. JR西日本 七尾線(59.5km)
      • 区間:七尾駅~和倉温泉駅間(5.1km) 七尾駅~和倉温泉駅間は、2月15日(木)から運転再開
      • 1月11日現地調査実施:TEC-FORCE5名
    3. 事業間連携による早期鉄道復旧に向けた取り組み
      • 1月19日 鉄道等の災害復旧に係る事業間連携に関する連絡調整会議(省内関係局、鉄道事業者)を開催
      • 1月25日 鉄道等の災害復旧に係る事業間連携に関する地方連絡調整会議(北陸地整局、北信運輸局、石川県、鉄道事業者等)を開催
      • 2月1日~線路内の流入土砂等撤去のための進入路の盛土材に道路復旧用砕石を活用し、土砂・倒木撤去作業を実施
  • のと鉄道の早期復旧に向けた連携・調整状況
    • のと鉄道七尾線(能登中島駅~穴水駅間)の被災箇所のうち、特に被害の大きな土砂流入2箇所について、並行する国道249号等の道路復旧工事(国土交通省北陸地方整備局)との連携・調整により、土砂撤去作業の早期着手や土砂搬出作業の円滑化を実現。
      1. 線路内に流入した土砂を搬出するため、道路復旧工事のために確保していた砕石の一部を、土砂流入箇所にアクセスする仮設斜路・進入路用の資材として一時的に活用し、土砂撤去作業に早期着手。
      2. 上記により撤去した土砂を、道路復旧工事のために確保している残土処理地へ搬出することで、土砂搬出作業を円滑化。
  • 観光復興に向けた支援
    • 宿泊施設の被害・キャンセル状況
      • 能登地域については、ほとんどの宿泊施設で甚大な被害が出ており、稼働できていない。
      • 金沢・加賀地域等の石川県内の宿泊施設、富山県、福井県、新潟県の宿泊施設は、稼働しているものの、多数のキャンセル・予約控えが発生。
    • 観光復興に向けた取組の柱
      • 被災した施設の建物・設備の復旧(経済産業省と連携)
      • 被災事業者の従業員の雇用維持(厚生労働省と連携)
  • 石川県における断水の解消見込み
    • 断水は現時点で約7割解消済 断水解消戸数/最大断水戸数=約81,000戸/約111,620戸=72.6% 注)2月1日時点では約6割
    • 3月末までに9割強の解消が見込まれる。
  • 建設作業員の宿泊対策
    • 能登半島地震の被害が甚大な地域は主要都市から離れており、復旧・復興にあたり、建設需要が増大していく中で、建設労働者を確保しようとする中小建設事業主が工事現場で作業員宿舎等を賃借する場合の費用について、人材確保等支援助成金により支援する。
    • 人材確保等支援助成金(作業員宿舎等設置助成コース)
      • 建設労働者の雇用管理の改善を図り、人材確保を行う中小建設事業主に対して助成するもの。大規模災害の復旧・復興にあたっては広域的な人材の確保を行う必要があることから、作業員宿舎等の設置に対する支援を実施
  • 被災者の医療・健康支援や高齢者等の支援
    • 被災者の命と健康を守るため、被災地の医療・福祉の復旧・復興に向けた取組を強力に推進。
    • 被災地の避難所、医療機関・福祉施設等の支援や在宅等で避難生活を送る被災者等の見守り活動を推進。
  • 放送・通信インフラの復旧状況
    • ケーブルテレビインフラ(放送・通信)の復旧
      • センター施設(送信側設備)は、応急復旧完了
      • 各地域のケーブル網(各戸への引き込み含む)は応急復旧作業中
      • 応急復旧と並行して順次本格復旧を推進
        • ※地上波は県内全域で停波解消
        • ※NHKは衛星放送でも金沢局の番組を放送中
    • 通信インフラ(携帯電話)の復旧
      • 立入困難地点を除き、応急復旧が1月中旬に概ね終了(立入困難地点については、原則、道路啓開後3日以内に応急復旧予定)
      • 応急復旧後もサービスの提供を維持しつつ、官民の連携のもと、順次本格復旧を推進
  • 応援職員の派遣・支援者への支援
    • 応援職員の派遣
      • 総括支援チームの派遣(災害マネジメント支援等のための専門チームの派遣)
        • 被災6市町に、6県市から26人を派遣中。
      • マンパワーの派遣(避難所の運営・罹災証明書の交付等の災害対応業務を担う職員の派遣)
    • 支援者の宿泊対策
      • 全国の自治体からの応援職員やインフラ復旧工事事業者等の宿泊場所について、石川県が一元的に確保・費用負担する場合に、その費用の8割を新たに特別交付税により措置。(※インフラ復旧工事事業者が宿泊場所の費用を負担する場合は、国庫補助金の対象)
    • 今後の取組
      • 復旧・復興に向けた中長期の職員派遣について、被災自治体における具体的な派遣人数や職種のニーズ調査を実施中。現在、被災6市町を中心に、石川県・富山県の市町村から300名を超える派遣要望(うち、災害復旧事業に係る設計・施工管理等に必要な技術職員(※)が100名超)があるほか、両県庁からも要望をいただいている。(※土木、建築、農業土木、林業の4職種)
      • 要望を充足できるよう、令和2年度に創設した「復旧・復興支援技術職員派遣制度」等により、速やかに派遣元自治体との調整を行い、準備が整い次第、派遣を実施。
  • 災害廃棄物処理及び浄化槽復旧の推進について
    • 膨大に発生する災害廃棄物を令和7年度末までに処理完了するという目標達成に向けて、経験・知見を持つ職員や、他の自治体職員の派遣・常駐等による人的支援、技術支援を行うとともに、特例的な財政支援を行うことにより、広域処理も含めて処理が円滑・迅速に進むよう、総力を挙げて被災自治体を支援する。
    • 浄化槽について、上水道の復旧スケジュールを踏まえ、各住民の帰還希望に対応した早期復旧を実現すべく、財政支援・人的支援を行う。
  • 中小企業・小規模事業者向け支援施策の状況・相談体制強化
    • 復旧復興フェーズを踏まえつつ「なりわい補助金」等の説明会を順次開始。全国から経営指導員の応援を得て面的に展開。
    • 官民ファンドを通じた二重債務問題への対応、クラウドファンディング、被災地企業と全国を結ぶビジネスマッチングを実施。
      • なりわい再建・相談支援の状況
        • なりわい補助金:2月28日から受付開始予定
        • 小規模持続化補助金:1月25日から公募開始【済】
        • 商店街補助金:2月15日から受付開始【済】
        • 仮設施設整備支援:関係自治体と随時相談中
        • 金融支援:日本公庫金利引き下げ、災害関係保証 等
      • 官民ファンドを通じた対応
        • 中小機構、REVIC、地域金融機関、石川県等の出資による100億円のファンドを年度内に組成予定
        • 債権買取や出資等を通じ二重債務問題に対応
      • クラウドファンディング支援等
        • クラウドファンディングの利用促進に係る支援
        • ビジネスマッチング支援(ジェグテック)
        • 復興支援アドバイザー派遣 等
      • 伝統産業の復興
        • 伝統産業補助:2月1日から受付開始【済】
        • 海外PR:外交や在外公館を活用したPR
      • 観光産業の復興
        • 将来の「まちづくり」も視野に入れた総合的な対応
        • 金融支援、雇用維持、観光需要喚起等、ハンズオン支援
  • 電力の復旧状況
    • 石川県内の停電戸数は、発災時の約4万戸から約1,400戸(2月15日11時時点)にまで減少。県全体で99%以上の送電率、輪島市・珠洲市においても9割以上の送電率であり、全ての避難所、医療・福祉施設に送電できているなど、全体として、概ね復旧した状況。
    • 復旧の長期化が見込まれる地域においては、現場へのアクセス改善に応じて順次、復旧作業を進めていく。
  • 令和6年能登半島地震に関する農林水産省における取組状況
    • これまでの支援パッケージの周知活動
      1. 逆引き式の支援策説明資料による周知
      2. 生産現場での周知活動の実施
        • 石川県、富山県、新潟県等における説明会の開催。
        • JA単位や地域の生産組合長会議等での説明。
      3. 政府広報等を活用した周知
      4. 支援策の事業の申請受付の開
    • 今後の取組について
      • 農林漁業者・関係団体等への周知活動
      • 支援策の円滑な申請のための伴走支援
      • 被災した農地、用排水施設等の復旧のための人的・技術的支援
      • 漁港等の直轄調査・直轄代行工事の方針
      • 七尾湾沿いの農地海岸の直轄代行
  • 就学支援(学校再開に向けた取組)
    • 珠洲市、能登町、穴水町、七尾市、志賀町では、全ての小中学校が始業。いずれの市町も昼食を提供(一部の学校において自校給食を再開)。また、依然として多くの学校が避難所となっている。
    • 輪島市では、全ての小中学校で始業には至っていないが、登校等開始となっており、学びの継続が図られている。昼食を提供。他市町と同様、依然として多くの学校が避難所となっている。
    • 子供のおかれている環境に応じた支援を継続しつつ、本格的な学校再開に向けて、子供や教職員の住環境の確保やインフラ復旧とともに、右下記のような支援による学びの継続や、仮設校舎の設置を含めた学校施設の復旧を図る。

内閣府 高齢社会対策大綱の策定のための検討会(第1回)
▼ 資料1 新たな高齢社会対策大綱の案の作成について
  1. 平成30年2月16日に閣議決定された高齢社会対策大綱においては、「経済社会情勢の変化等を踏まえておおむね5年を目途に必要があると認めるときに、見直しを行うもの」とされている。
  2. 我が国においては、少子高齢化が進行し、健康寿命や平均寿命の延伸、高齢者の単身世帯の増加など、経済社会における様々な変化が急速に進んでおり、これらの変化に伴う社会課題に適切に対処し、持続可能な経済社会を構築するための変革を進めていく必要がある。
  3. このため、高齢社会対策会議は、高齢社会対策基本法(平成7年法律第129号)第15条第2項第1号の規定に基づき、現下の経済社会情勢の変化等を踏まえて、令和6年夏頃を目途に、新たな高齢社会対策大綱(以下「新大綱」という。)の案の作成を行う。
  4. 新大綱の案の作成に当たっては、内閣府を中心に、関係行政機関が連携・協力して、現大綱に基づく諸施策の進捗状況を把握し、有識者から意見を幅広く聴取することとする
▼ 資料5 高齢社会をめぐる現下の情勢
  • 高齢化の更なる進展
    • 2025年には「団塊世代」が75歳以上に、また2040年には「団塊ジュニア世代」が65歳以上となる等、高齢者の数は2040年代前半まで増加を続け、高齢化率は総人口の減少に伴いそれ以降も上昇を続ける見込み。
    • 我が国における高齢者の総人口に占める割合は、29.1%(令和5年8月時点)と世界で最も高い。
  • 経済社会の状況
    • 生産年齢人口は、2040年までに約1200万人減少。65歳以上人口は増加を続ける見込み。
    • 労働力人口も減少の見込みであるが、経済成長と女性や高齢者の労働参加が進むことにより減少を一定程度抑えることが可能。
    • 主な産業別の高齢者就業割合を見ると、農業・林業が最も高くなっている。
    • 農業従事者や中小企業経営者の高齢化が一因となり、荒廃農地の発生等による農地面積の減少や中小企業の休廃業・解散件数が増加している。
  • 高齢者の活躍(就業・所得、学習・社会参加)
    • この20年間で、健康寿命と平均寿命は男女共に約3歳延伸。
    • 疾病状況で評価すると、世界の65歳と同等となる日本の年齢は76歳となり、世界第1位。
    • 65歳以上の就業者数は912万人と過去最多。この10年間で、65~69歳、70~74歳の就業率はいずれも10%以上上昇。
    • 60歳以上で現在収入のある仕事をしている人の約9割が「70歳くらいまで」又はそれ以上まで働きたいと回答。
    • 60歳以上で現在収入のある仕事をしている人のうち、仕事をしている理由として「仕事そのものが面白いから、自分の知識・能力を生かせるから」等、「収入がほしいから」以外の理由が約5割。70代以上では更に高くなる傾向。
    • 平成25年4月に65歳までの「雇用確保措置」が義務化され、ほぼ全ての企業で実施済み。一方で、70歳までの「就業確保措置」が令和3年4月から努力義務化されたが、実施している企業は全体の3割程度にとどまっている。
    • 65歳以上の社会活動への参加は近年増加。社会参加活動をしている者は、60代では約4割、70代以上では男女共に5割を超えている。
    • 社会活動に参加して良かったと思うことは、「生活に充実感ができた」が約5割で最も多く、次いで「新しい友人を得ることができた」が約4割となっている。
    • 社会参加活動をしない理由として、「気軽に参加できる活動が少ないから」が70代では3割強と最も多く、60代でも2割強となっている。また、年代を問わず「どのような活動が行われているか知らないから」が約2~3割となっている。
    • インターネット利用率は、年齢階層が上がるにつれて低下するものの、60歳以上で近年上昇が見られる。
    • 経済的な暮らし向きについて、65~74歳の3割強、75歳以上の3割弱が「多少心配」又は「非常に心配」と回答。
  • 健康・福祉
    • 65歳以上の要介護者等数は年々増加。
    • 介護に従事する職員の必要数は、2025年度には約32万人、2040年度には約69万人増加する見込み。
    • 今後、高齢化の進行とともに認知症の人は増加が見込まれる。
    • 介護離職者数は、年間10万人程度で推移。家族の介護をしながら就業する者は増加傾向。
    • 2030年における介護による経済損失は9兆1,792億円と試算。
    • 社会保障給付費は年金、医療、福祉その他それぞれの分野において、年々増加。
  • 生活環境
    • 65歳以上の一人暮らしの数は、更なる高齢化と、未婚化、単身世帯化の進行により、2040年には現在より約220万人増加(約896万人、65歳以上男性の約21%、女性の約25%)する見込み。
    • 地域における将来の高齢者の介護や生活支援に対する不安なこととして、「老後に一人で生活することになる」が3割弱となっている。
    • 高齢者の入居に対し、賃貸人(大家等)の約7割は拒否感を有している。
    • 持ち家率は、近年、20~50代で減少傾向。
    • 居住目的のない空家はこの20年で約2倍となっており、今後更に増加の見込み。(2030年には470万戸と推計)
    • 交通事故死者数に占める高齢者の割合は54.7%。
    • 市町村における個別避難計画の策定状況をみると、「全部策定済」は全体の8.7%。
    • 特殊詐欺の被害者の約9割が65歳以上となっている。
    • 65歳以上の者で、自分は取り残されていると感じることが「時々ある」又は「常にある」との回答、自分は他の人たちから孤立していると感じることが「時々ある」又は「常にある」との回答はそれぞれ約2割となっている。
    • 60代、70代の6割強が、日常生活におけるバリアフリーがあまり進んでいない、または、ほとんど進んでいないと回答しており、他の年代よりも高い。
    • 60代以上で、老後の生活に関してどのようなことに不安を感じるかについて、「移動が困難になる」と回答した人の割合は、人口規模が小さい市町村では7割弱に上る。
    • 70歳以上で、運転免許証の自主返納を考えたことがあるが、自主返納しなかった理由として、「車がないと生活が不便だから」が75.1%となっている。

内閣府 日本経済レポート(2023年度)―コロナ禍を乗り越え、経済の新たなステージへ― 概要
  • 日本経済の動向と持続的な回復に向けた課題
    • コロナ禍後の回復で、23年後半以降、日本はアメリカほどではないものの欧州各国と比べ回復
    • 日本の個人消費の回復はアメリカと比べて弱く、力強さに欠けている
    • 超過貯蓄は、預金残高が小さい層では取り崩され、残高が大きい層では逆に拡大
    • 日本の回復は、他国に比べて輸出の回復によるところが大きい
    • コロナ禍で積み上がった超過貯蓄は、取り崩されつつあるが、米欧よりも高い水準
    • 貯蓄率は高所得者中心に勤労世帯で上振れ。所得が増加していくという成長期待が重要
    • 脱炭素化により、各国・地域でEVなど自動車の電動化が進む中で、自動車部品の需要も構造変化しており、我が国でも電動化に向けた研究開発、設備投資が重要
    • 2023年度の企業の投資計画は堅調であるが、実際の投資には十分に結びついていない
    • 訪日外国人一人当たりの消費は、円安のほか、滞在長期化もあってコロナ禍前より大幅増
    • 旅行以外については、デジタル関連や保険分野を中心にサービス赤字が拡大
    • 供給力引上げには国内の新規投資拡大、研究開発等の無形資産投資を通じた生産性向上が課題
  • デフレ脱却に向けた展望
    • 消費者物価は輸入物価を起点に40年ぶりの上昇となった後、上昇が徐々に緩やかに
    • 輸入物価を起点とした財の物価上昇は、食料品を中心に落ち着きつつある
    • 主要国では実質賃金がプラスに回復。我が国は実質賃金のマイナスが続いているが、デフレ前は賃金上昇が物価上昇を上回っていた
    • 電気・ガスの激変緩和措置等の政策要因はこれまでの物価上昇を和らげることに寄与
    • 食料品値上げが一服する中、物価上昇の主因はサービスに移りつつある
    • デフレに後戻りする見込みがないかどうかを判断していくに当たっては、物価の基調と背景について様々な指標をみる必要があるが、特に、賃金上昇、企業の価格転嫁の動向、物価上昇の広がり、予想物価上昇率など、幅広い角度から総合的に経済・物価動向を確認することが重要
    • 主要先進国やデフレ前の日本では、物価上昇と労働生産性向上が名目賃金上昇をけん引。
  • 物価上昇を賃金に反映させ、物価に負けない名目賃金上昇率を実現・継続し、賃金と物価の好循環を回すとともに、労働生産性を高めていくことが重要
    • 日本は、アメリカに比べ、川上から川下への物価への転嫁が弱く、速度が遅い傾向
    • 今回物価上昇局面ではデフレ前と同様、販売価格引上げ企業が多く、引下げ企業は少ない
    • サービス物価の上昇は、低人件費比率品目に牽引されているが、高比率品目でも上昇
    • サービス価格上昇の広がりはデフレ前に近づいている
    • 企業の予想物価上昇率は2%程度にレベルシフト。販売価格予想の粘着性には留意
    • 中小企業では、原材料費に比べて労務費の転嫁が進んでおらず、転嫁しやすい環境整備が重要
    • コロナ禍前は、財の物価は日米欧とも0%に分布の山があるが、サービス物価は米欧ではプラス領域に山。日本もその姿に徐々に近づきつつある
  • コロナ禍を経た労働供給の動向
    • 2010年代前半以降、女性の労働参加が進み、労働力人口は、人口構造要因で説明される推計値を常に上回って増加
    • 労働需給は未充足求人の増加でコロナ禍後に再びひっ迫へ
    • 高齢者就業の促進により、男性の労働力人口も人口構造要因による推計値を超えてきたが、その動きが止まりつつある
    • 労働時間の追加希望者の半分は女性の短時間労働者。小学生等の子を持つ、正規雇用の仕事が見つからない女性などが追加就業を希望
    • 6歳未満の子どもを持つ有配偶女性の有業率は大きく上昇
    • 副業実施者数は直近5年で64万人増加、実施率は5%に上昇。高齢者と40代以下で副業実施率が上昇
    • 副業の推進には企業側の制約を緩めていくことが必要
    • 子の年齢が上がるにつれ、労働市場に戻る女性は増える一方、非正規雇用比率が高く、追加就業希望の実現が重要
    • 加えて、副業実施者の2割以上が、複数の副業を行っている
    • 都市圏に比べ、テレワークの実施率は地方部で低く、引上げ余地がある
  • 転職や最低賃金引上げを通じた家計所得拡大
    • コロナ禍を経て、男女ともに正規雇用間で転職者数が増加
    • 年収が高い層では、転職により賃金が増加する割合がコロナ禍後にかけ上昇。より広い層での年収増に向けリ・スキリング支援が重要
    • 転職希望者数は1,000万人に増加、就業者数の15%に拡大
    • 近年、40歳以下で、正規雇用間の転職により賃金が上昇する者の割合が増加
    • 高年収の職種間の転職は、年収増加が主な理由である一方、職場環境の改善を求めた低年収の職種への転職もみられる
    • 最低賃金は近年高い伸び。最低賃金とともにパート時給も大きく上昇。
    • 各国は最賃を名目で大きく引上げ。日本は実質も上昇。フランスは物価上昇に応じ随時改定し、購買力を維持
    • 結婚後女性(非正規)は、年収の壁を意識し結婚前より労働時間を減らしている
    • 最低賃金近傍の労働者は増加。最低賃金水準の低い地方部でその影響は大きい
    • 就業調整は15~64歳の有配偶女性が約6割を占める一方、近年は65歳以上の女性等で増加
    • 社会保険制度と就業時間には関係性がみられる。就業調整を解消する恒久的な制度の整備が重要
  • 我が国企業の貯蓄超過の実態
    • 経常利益の増加に比して国内設備投資は抑制的であり、その傾向は次第に強くなってきた
    • 利益が増加する中で、総資本の面では、借入金が総じて抑制される一方、利益剰余金等の自己資本が強化。企業の資金調達は、他人資本から自己資本へとシフト
    • 過去30年間の経常利益の増加要因は、主に、コスト抑制や海外生産の拡大による利益の還流
    • 総資産の面では、国内投資が抑制される一方、海外向け投資の拡大により投資有価証券が増加。また、リーマンショック等の経済危機を経て、現預金も増加傾向
    • アメリカや英国では、総貯蓄と総投資がおおむねバランスしているのに対し、日本では1990年代終盤以降、一貫して貯蓄超過であり、その度合いも大きい
    • 期待成長率は設備投資キャッシュフロー比率と正の関係。非製造業の期待成長率の向上が重要
    • 企業の収益性や財務状況は、企業の設備投資における重要な決定要因。これまでの利益率向上や自己資本の強化等の取組により、今後の投資拡大に向けた前提条件は整っている
  • 国際的にみた日本企業のマークアップ率の現状と課題
    • 企業のマークアップ率は、アメリカで近年上昇傾向だが、日本では総じて変化なし
    • アメリカ企業はITサービス等のプラットフォーム分野で価格支配力が向上
    • 日本では分布の山周辺に企業が集中し、その割合も長期的に変化がみられず、分布構造は概ね不変
    • 日本が競争力を有する一般機械工業では、日本企業のマークアップ率が高い
    • アメリカ企業のマークアップ率の上昇は、上位10%の企業がけん引
    • アメリカでは分布に広がり。長期の変化では分布の山の高さが切り下がり、右方への広がりが増大
    • 過去20年間における日本企業の研究開発投資の増加は、アメリカに比して限定的
    • ソフトウェアなど研究開発以外の無形固定資産への投資も、アメリカ企業は日本企業より積極的
    • 研究開発を含む無形固定資産への投資は、マークアップ率とプラスの関係性。ただし、その効果はアメリカの方が大きく、投資効率性の面で課題。無形固定資産への投資拡大とともに、それが収益力の向上につながるよう、投資の成果の社会実装を進める必要
    • アメリカではプラットフォーム分野を中心に、非製造業の研究開発投資が旺盛
    • マクロでみても、日本の民間企業部門の知的財産投資の割合はアメリカに比べ伸びが小さく低水準

内閣府 第423回 消費者委員会本会議
▼ 【資料1】 食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ(概要)
  • 2030年度までに2000年度比で食品ロス量を半減させる政府目標達成に向け、今回の施策パッケージに盛り込まれた施策を中心に、関係府省庁が地方公共団体や関係民間団体とも連携しながら来年度中に着実に実行し、来年度末に予定している「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」(2020年3月31日閣議決定)の見直しに反映させる。
  • 食品ロス量 ※コロナ禍影響年を除く直近5か年(平成27年~令和元年度)平均614万トン(家庭系:280万トン 事業系334万トン)
    • 2021年度:523万トン ※家庭系:244万トン 事業系:279万トン
    • 目標値:489万トン ※家庭系:216万トン 事業系:273万トン
  • 施策パッケージの主な内容とその後の施策の展開方向
    1. 未利用食品等の提供(食品寄附)の促進
      • 食品の期限表示の在り方
        • 期限表示の設定根拠や安全係数の設定等の実態調査、検討会を通じた「食品期限表示の設定のためのガイドライン」の見直し、その際「まだ食べることのできる食品」の取扱いについて具体的に検討[消]
        • 新たな期限表示ガイドラインを踏まえた施策の展開
      • 食品の提供に伴って生ずる法的責任の在り方を含めた食品提供を促進するための措置の具体化
        • 一定の管理責任を果たすことができる食品寄附関係者(寄附者、フードバンク等)を特定するためのガイドライン(食品寄附ガイドライン)の官民による作成(関連モデル事業の実施)[消、農、環、厚、こ、法]
        • 食品寄附関係者が加入しやすい保険の仕組みに関する官民協力の下での検討[消]
        • 食品関連事業者に対する税制上の取扱いや優良事例の周知・発信[農、消]
        • 一連の施策実行後、一定の管理責任を果たせる食品寄附関係者による食品寄附活動の促進による食品寄附への社会的信頼の向上し、その上で、食品寄附実態把握、社会福祉や食品アクセスの確保の観点からの食品寄附促進の必要性、社会全体のコンセンサス醸成等を踏まえ、食品寄附に伴って生ずる民事責任の在り方について最終受益者の被害救済にも配慮して法的措置を講じる
      • フードバンク団体等を介した食品提供円滑化の強化支援
        • 先進的なフードバンクへの輸配送等支援[農]、地方自治体や食品事業者、フードバンク、福祉に関する関係者等が連携して、買物困難者や経済的に困窮している者への食料提供を円滑にする地域の体制づくり支援[農,こ,厚]、食品の無償提供に関わる多様な主体のデータ連携に関するモデル事業の実施[消]、重層的支援体制整備事業等を活用したフードバンク団体等・地方自治体等の連携促進[厚]、食事の提供等を行うこども食堂の支援[こ]
        • 寄附食品の管理・流通体制の高度化、地域現場のニーズとの連携の取組の推進
    2. 外食
      • 食べ残しの持ち帰り促進
        • 消費者の自己責任を前提としつつ協力する飲食店等が民事・食品衛生上留意すべき事項を規定するガイドライン(食べ残し持ち帰りガイドライン)の策定(関連モデル事業の実施)[消、農、環、厚、法]
        • 食べ残し持ち帰りガイドラインを踏まえた食べ残し持ち帰りの意識変化の推進
    3. 食品廃棄物の排出削減の促進(事業系)
      • 企業の排出抑制の具体的取組の公表
      • 1/3ルール等商慣習見直し促進
      • 食品のリユース促進
        • 食品業界・消費者・行政が構成員となる「食品廃棄物等の発生抑制に向けた取組の情報連絡会」の設置、商慣習(納品期限、賞味期限の安全係数・大括り表示等)の見直し等に係る取組の促進[農]
        • 事業系食品ロス削減対策の更なる強化
    4. 食品廃棄物の排出削減の促進(家庭系)
      • 食品ロス状況把握と削減策促進
        • 家庭系食品ロス発生要因の分析、家庭系食品ロスの効果的削減策に関する手引きの作成[環]
      • 国民運動「デコ活」によるライフスタイルの変革促進
        • デコ活の推進、新しい豊かな暮らし製品・サービス実装支援、デコ活アクション呼び掛け[環]
        • 家庭系食品ロス削減対策の更なる強化
        • ライフスタイルの変革促進
      • 期限表示の正しい理解の促進
        • 賞味期限の愛称(「おいしいめやす」)の周知[消]
        • 期限表示の理解促進
    5. 食品廃棄物の排出削減の促進(その他)
      • 経済損失と環境負荷試算
        • 算出法確立 食品ロス量と併せて経済損失と温室効果ガス排出量の試算値を公表[消,農,環]
        • 期限表示の理解促進
      • 地域主体モデル事業取組強化
        • サーキュラーエコノミー地域循環モデル構築[経]、食品廃棄ゼロエリア創出[環]
        • サーキュラーエコノミー加速化、食品廃棄ゼロエリア創出
      • 学校,保育所,認定こども園,幼稚園への栄養教諭・栄養士等の配置拡大
        • 栄養教諭を中核とした指導の充実[文]、栄養教諭に係る定数改善と計画的な採用等の働きかけ[文]、保育所・認定こども園・幼稚園への栄養士・栄養教諭の配置支援[こ,文]
      • 国主催イベント等での削減取組
        • 2025大阪・関西万博啓発手法検討、資材開発[消]
        • 2025大阪・関西万博、園芸博会場での啓発
      • ICT等の活用
        • ICTを活用した売れ残り等の課題解決[農]、サプライチェーン効率化のための調査・実証・啓発[経]
  • フードバンク団体等を介した食品提供円滑化の強化支援
    1. 地方消費者行政強化交付金(消費者庁)
      • 地方公共団体が実施する食品ロス削減推進の取組として、フードバンクやフードドライブ活動等を支援する。
        • ※事業実施主体:都道府県・市町村
        • ※想定支援個所数:10自治体程度(フードバンク等支援関係)
    2. 食品アクセス緊急対策事業(農林水産省)
      • 円滑な食品アクセスを確保するため、地域の関係者(都道府県、市町村、社会福祉協議会、生産者、食品事業者、NPO、フードバンク・こども食堂・こども宅食等)が連携して組織する協議会の設置や地域における食品アクセスの現状・課題の調査、課題解決に向けた計画の策定・実行といったモデル的な取組を支援する。
        • ※事業実施主体:団体(都道府県、市町村、農業協同組合、消費生活協同組合、社会福祉協議会等)
        • ※想定支援個所数:10地域
    3. 共通API等を用いた地域単位での食品寄附データ統合モデル事業(消費者庁)
      • 企業や自治体、フードバンク、こども食堂などが有している食品寄附に係るデータについて、モデル地域において、APIを通じたデータ連携・マッチングを行い、データ連携によって食品寄附を促進するモデルケースを構築する。
        • ※事業実施主体:民間団体
        • ※想定支援個所数:1~2地域
    4. 食品ロス削減緊急対策事業 食品ロス削減総合対策事業(農林水産省)
      • 食品衛生管理水準の向上や効率的な配送システムの構築等フードバンク活動の強化に向け専門家派遣等のサポートを実施する。70団体
      • 大規模かつ先進的な取組を行うフードバンク等に対して、輸配送費、倉庫・車両等の賃借料、情報交換会の開催費等、先進的取組に必要な経費を支援する。31団体
        • ※事業実施主体:民間団体
    5. 税制上の取扱いの周知(農林水産省、消費者庁)
      • 食品寄附を行う場合の輸送費等のコストを損金算入できる税制上の取扱いを食品関連事業者等に周知する。
    6. 地域こどもの生活支援強化事業(こども家庭庁)
      • 多様かつ複合的な困難を抱えるこどもたちに対し、安心安全で気軽に立ち寄ることができる食事等の提供場所を設ける。
        • ※事業実施主体:都道府県・市町村
        • ※想定支援個所数:184自治体程度(地域子供の未来応援交付金、令和4年度実績)
    7. ひとり親家庭等のこどもの食事等支援事業(こども家庭庁)
      • 困窮するひとり親家庭を始めとする要支援世帯のこども等を対象とした、こども食堂、こども宅食、フードパントリー等を実施する事業者を対象として広域的に運営支援、物資支援等を行う民間団体の取組を支援し、こどもの貧困や孤独・孤立への支援を行う。
        • ※事業実施主体:民間団体
        • ※想定支援個所数:7団体程度
    8. 重層的支援体制整備事業(厚生労働省)
      • 地域住民が抱える様々な地域生活課題の解決に向けて、フードバンク団体等と、地方自治体(子ども・高齢者・障害者・困窮者支援の関係機関)や他の支援団体等との連携・協働を促進する。
        • ※事業実施主体:市町村(フードバンク団体やこども食堂等を含む様々な支援団体と連携)
        • ※想定支援個所数:重層事業実施自治体数(※令和5年度189)

内閣府 第422回 消費者委員会本会議
▼ 【資料1】 消費者庁提出資料
  • 取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律 概要
    • オンラインモール等の取引デジタルプラットフォーム(取引DPF)において、危険な商品の流通や販売業者が特定できず紛争解決が困難になるといった問題が発生。これに対応し、通信販売取引の適正化及び紛争解決の促進に関し取引DPF提供者の協力を確保し、消費者の利益の保護を図ることを目的とする法律を制定。
  • 法の内容
    1. 取引DPF提供者の努力義務(第3条)
      • 取引DPFを利用して行われる通信販売取引の適正化及び紛争の解決の促進に資するため、以下の(1)~(3)の措置の実施及びその概要等の開示についての努力義務(具体的な内容については指針を策定)
        • 消費者が販売業者等と円滑に連絡することができるようにするための措置
        • 消費者から苦情の申出を受けた場合の販売条件等の表示の適正を確保するための措置
        • 販売業者等の特定に資する情報の提供を求める措置
    2. 取引DPFの利用の停止等に係る要請(第4条)
      • 内閣総理大臣は、重要事項(商品の安全性の判断に資する事項等)に著しく事実に相違等する表示があり、かつ、販売業者等による表示の是正が期待できない場合、取引DPF提供者に対し、販売業者等による取引DPFの利用の停止を要請することが可能
    3. 販売業者等に係る情報の開示請求権(第5条)
      • 消費者が損害賠償請求等を行う場合に必要となる販売業者等の情報の開示を請求できる権利を創設
      • 消費者が取引DPF提供者に開示を請求するもの。なお、損害賠償請求額が一定の金額以下の場合や不正目的の請求の場合は対象外
    4. 官民協議会(第6条~第9条)/申出制度(第10条)
      • 取引DPF提供者からなる団体、消費者団体、関係行政機関等により構成される官民協議会を組織し、取組状況の共有等の情報交換を実施
      • 消費者等が内閣総理大臣(消費者庁)に対し取引DPFを利用する消費者の利益が害されるおそれがある旨を申し出て、適当な措置の実施を求めることができる申出制度を創設
  • 取引DPF提供者の努力義務に関する指針
    • 取引DPF提供者の努力義務に関し、法の規定の「趣旨・目的・基本的な取組」を明らかにするとともに、「望ましい取組(ベストプラクティス)の例」を示すもの。
      • 消費者が販売業者等と円滑に連絡することができるようにするための措置(法第3条第1項第1号)
        • 基本的な取組:連絡先や連絡手段が、消費者が容易に認識することができるように示されていること、消費者が合理的な期間にわたり、社会通念に照らして相当な時間帯において、必要に応じ販売業者等と連絡が取れるようにすること
        • 望ましい取組の例:販売業者等の連絡先の表示の徹底、専用のメッセージ機能の提供、連絡手段が機能しているか否かの確認、連絡手段が機能しない場合の取引DPF提供者の対応に関し、それぞれ取組を例示
      • 消費者から苦情の申出を受けた場合の販売条件等の表示の適正を確保するための措置(法第3条第1項第2号)
        • 基本的な取組:消費者が苦情の申出を行いやすい仕組みを設けること、消費者から苦情の申出を受けた場合に取引DPF提供者が当該苦情に係る事情の調査を行うこと
        • 望ましい取組の例:消費者からの苦情の申出の受付、関係者への照会等、不適正な表示が行われた場合の対応に関し、それぞれ取組を例示するとともに、前段階として販売条件等の表示に関するルールの設定についての取組も例示
      • 販売業者等の特定に資する情報の提供を求める措置(法第3条第1項第3号)
        • 基本的な取組:販売業者等の表示について問題のおそれのある事例に接した場合にその特定に資する情報の提供を求めること
        • 望ましい取組の例:販売業者等の公的書類の提出を受ける、販売業者等の氏名又は名称が登録された銀行口座と一致しているか確認、取引の過程で登録情報と異なる情報に接したときは事実確認を行い、正しい情報の記載を求めることなどを例示
      • 開示の内容及び場所についての基本的な考え方(法第3条第2項)
        • 消費者からの連絡手段、苦情申出の方法、販売業者等を特定する情報の真正性の確保に係る取組等の開示が考えられる
        • 各取引DPF上における開示のほか、事業者団体のホームページで各取引DPF提供者の措置を表示することも考えられる
▼ 【資料2】 経済産業省提出資料
  • 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律
    • (目的)
      • この法律は、近年の情報通信技術の分野における技術革新の進展により、データを活用した新たな産業が創出され、世界的規模で社会経済構造の変化が生じ、デジタルプラットフォームの果たす役割の重要性が増大している中で、デジタルプラットフォーム提供者の自主性及び自律性に配慮しつつ、商品等提供利用者等の利益の保護を図ることが課題となっている状況に鑑み、特定デジタルプラットフォーム提供者の指定、特定デジタルプラットフォーム提供者による提供条件等の開示、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性についての評価その他の措置を講ずることにより、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上を図り、もって特定デジタルプラットフォームに関する公正かつ自由な競争の促進を通じて、国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
    • (基本理念)
      • 第三条 デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する施策は、デジタルプラットフォームが、利用者の便益の増進に寄与し、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展にとって重要な役割を果たすものであることに鑑み、デジタルプラットフォーム提供者がデジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上のための取組を自主的かつ積極的に行うことを基本とし、国の関与その他の規制を必要最小限のものとすることによりデジタルプラットフォーム提供者の創意と工夫が十分に発揮されること及びデジタルプラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の取引関係における相互理解の促進を図ることを旨として、行われなければならない。
    • (公正取引委員会への措置請求)
      • 第十三条 経済産業大臣は、特定デジタルプラットフォーム提供者について特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性を阻害する行為があり、その事実が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第十九条の規定に違反していると認めるときは、公正取引委員会に対し、同法の規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができる。(略)
    • 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律のポイント
  • 基本理念
    • デジタルプラットフォーム提供者が透明性及び公正性の向上のための取組を自主的かつ積極的に行うことを基本とし、国の関与や規制は必要最小限のものとすることを規定。(規制の大枠を法律で定めつつ、詳細を事業者の自主的取組に委ねる「共同規制」の規制手法を採用。)
  • 規制の対象
    • デジタルプラットフォームのうち、特に取引の透明性・公正性を高める必要性の高いプラットフォームを提供する事業者を「特定デジタルプラットフォーム提供者」として指定し、規律の対象とする。
      • ※政令でオンラインモール・アプリストアを規制対象と定め、2021年4月1日、規制対象事業者を指定。
      • ※デジタル広告を規制対象に追加し、2022年10月3日、規制対象事業者を指定。
  • 特定デジタルプラットフォーム提供者の役割
    • 特定デジタルプラットフォーム提供者が、(1)取引条件等の情報の開示及び(2)自主的な手続・体制の整備を行い、(3)実施した措置や事業の概要について、毎年度、自己評価を付した報告書を提出。
      • ※利用事業者への取引条件変更時の事前通知、利用事業者の苦情・紛争処理のための自主的な体制整備等を義務付け。
  • 行政庁の役割
    • 報告書等をもとにプラットフォームの運営状況のレビューを行い、報告書の概要とともに評価の結果を公表。その際、利用事業者、有識者等の意見も聴取し、関係者間での課題共有や相互理解を促す。
    • 独占禁止法違反のおそれがあると認められる事案を把握した場合、経済産業大臣は公取委に対し、同法に基づく対処を要請。
  • 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性についての評価(案)例
    • オンラインモール
      • 商品の表示順位:恣意的な運用を行っていないことの説明を行うなど、透明性・公正性の確保につながる追加的な取組や説明を行うことが求められる。
      • 返品・返金の取扱い:co.jpにおいては、利用事業者が提供する商品等について、アマゾンが返品・返金に関する条件の設定や個々の返品・返金に関する対応を行う場合があり、利用事業者からの不満が生じやすい状況にあると考えられる。アマゾンには、利用事業者の不満の声が多い類型ごとに、(1)返品・返金の条件、(2)返品・返金の判断権者、(3)アマゾン・利用事業者・消費者のそれぞれの金銭的負担の在り方(返送時の送料を含む)をわかりやすく整理・説明することが求められる。
    • アプリストア
      • アプリ削除の措置:ポリシー違反の程度やユーザーへのセキュリティ上の影響が軽微である等、一定の条件を定めた上で当該条件を満たす場合にはアプリ削除の事前通知及び具体的な削除理由の開示を行うことで、利用事業者がアプリ削除前に修正対応や異議申立てができるようにするなど、利用事業者の事業運営にも配慮した取組を行うことが求められる。
      • 返金の取扱い:自らの判断で返金する場合に利用事業者がその返金の妥当性を理解できるよう、利用事業者の求めに応じて、個別の事案における返金要求を認容した理由(例:ユーザーが誤購入を理由に返金要求をした場合に、誤購入であることを認定した理由)を示すことが求められる。
      • アプリ審査の予見可能性、公平性・公正性:再審査を受ける上での参考となる情報を提供する観点から、リジェクト(拒絶)の根拠となる提供条件や認定した事実関係を詳細に利用事業者に示すことが求められる。
    • デジタル広告
      • 広告審査・広告配信の停止プロセスの改善
        1. 広告主や媒体主向けの審査基準を具体化する、審査基準をわかりやすく説明する、審査時の着目点や留意点を説明するなど、審査に関する情報提供を充実させる、
        2. 広告主・媒体主が再審査に出す際に参考になるか否かという観点から違反の具体的な内容を示す、違反箇所を特定するなど、違反内容の通知文を見直す、
        3. 審査後の問い合わせにおいて広告主・媒体主が簡易かつ迅速に審査結果の補足説明を受けられる仕組みを構築することなどが求められる。

内閣府 「森林と生活に関する世論調査」の概要
  • あなたは、ここ1年くらいの間に、何回くらい森林に行きましたか。(〇は1つ)令和5年10月
    • 1~2回22.5%
    • 3~4回12.1%
    • 5~12回8.1%
    • 13回以上5.4%
    • 行っていない47.4%
  • ここ1年くらいの間に森林に行った目的は何ですか。(○はいくつでも)(上位3項目)
    • すぐれた景観や風景を楽しむため56.4%
    • 森林浴により森林の癒やし効果でリフレッシュするため44.9%
    • 自然豊かなところでのんびりするため44.1%
  • 休暇に森林や農山村を訪れるだけでなく、仕事、子育て、健康づくりなど日常の生活の一部として、継続的に森林との関わりをもつ様々な取組が見られます。あなたは、日常の生活の中で、森林でどのようなことを行いたいと思いますか。(○はいくつでも)(上位4項目)
    • 心身の健康づくりのための森林内の散策やウォーキング70.0%
    • 森林の中でのランニングや自転車による走行24.4%
    • 森林の中での音楽鑑賞及び芸術鑑賞などの文化的活動22.4%
    • 森林の中で自然を活用した保育・幼児教育21.1%
    • 特にない15.1%
  • あなたは、森林や農山村に滞在して休暇を過ごす場合、どのようなことをして過ごしてみたいと思いますか。(○はいくつでも)(上位4項目)
    • 自然豊かなところでのんびりする58.4%
    • 森林浴により森林の癒やし効果でリフレッシュする55.7%
    • 森や湖、農山村の家並みなど魅力的な景観を楽しむ46.0%
    • 地域の伝統的な文化や地元食材を使った料理を楽しんだり、特産品を購入したりする40.3%
  • あなたは、農山村に定住してみたいと思いますか。(〇は1つ)
    • 定住してみたい(小計)25.2%(・定住してみたい5.1%・どちらかといえば定住してみたい20.1%)
    • 定住したくない(小計)62.6%(・どちらかといえば定住したくない32.2%・定住したくない30.4%)
    • 既に定住している9.7%
  • あなたは、森林のどのような働きを期待しますか。(○はいくつでも)(上位6項目)
    • 二酸化炭素を吸収することにより、地球温暖化防止に貢献する働き67.6%
    • 山崩れや洪水などの災害を防止する働き63.2%
    • 水資源を蓄える働き55.4%
    • 空気をきれいにしたり、騒音をやわらげる働き51.7%
    • 心身の癒やしや安らぎの場を提供する働き51.5%
    • 貴重な野生動植物の生息・生育の場としての働き48.8%
  • 我が国の森林の3割は国が管理する国有林です。あなたは、国有林に、どのような役割を期待しますか。(○はいくつでも)(上位5項目)
    • 二酸化炭素を吸収することにより、地球温暖化防止に貢献する役割68.4%
    • 山崩れや洪水などの災害を防止する役割67.2%
    • 水資源を蓄える役割58.5%
    • 貴重な野生動植物の生息・生育の場としての役割50.4%
    • 空気をきれいにしたり、騒音をやわらげる役割47.3%
  • あなたは、どのような機会があれば植樹や下草刈りなどの森林づくりのボランティア活動に参加したいと思いますか。(○は1つ)
    • 家族や知人・友人から誘われれば参加したい26.5%
    • 学校・職場から案内があれば参加したい6.1%
    • 企業・団体から案内があれば参加したい3.4%
    • インターネットや広報誌に掲載されていれば参加したい2.2%
    • 居住地の近隣で開催されていれば参加したい19.5%
    • 観光地・史跡名勝で開催されていれば参加したい5.0%
    • 森林づくりのボランティア活動に参加しようと思わない31.5%
  • どのような形で森林づくりのボランティア活動に参加したいと思いますか。(○は1つ)
    • 地方公共団体やボランティア活動を行っている団体などが実施する森林づくりのイベントなどに参加したい55.8%
    • ボランティア活動を行っている団体に所属して、森林づくりの活動のみに参加したい3.4%
    • ボランティア活動を行っている団体に所属して、森林についての環境教育の取組、農山村の振興の取組などをしながら、森林づくりの活動に参加したい6.0%
    • ボランティア活動を行っている団体に所属せず、個人や仲間で独自に森林づくりのボランティア活動を行いたい28.4%
  • あなたは、様々な建物や製品に木材を利用すべきと思いますか。あるいは利用すべきではないと思いますか。(〇は1つ)
    • 利用すべきである(小計)90.6%(・利用すべきである45.4%・どちらかといえば利用すべきである45.3%)
    • 利用すべきではない(小計)7.1%(・どちらかといえば利用すべきではない6.2%・利用すべきではない0.9%)
  • 利用すべきと思う理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位5項目)
    • 触れた時にぬくもりが感じられるため64.8%
    • 気持ちが落ち着くため51.7%
    • 日本らしさを感じるため47.4%
    • 香りが良いため41.0%
    • 植林することにより、再生産できる資材であるため39.9%
  • 利用すべきではないと思う理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位6項目)
    • 森林破壊につながる印象があるため65.5%
    • 火に弱い印象があるため29.3%
    • 森林は保護するものだと学校で習ったため25.9%
    • 劣化しやすい印象があるため23.3%
    • 地震に弱い印象があるため15.5%
    • 手入れが面倒な印象があるため12.9%
  • あなたは木材を使った製品を購入する場合、原料となった木材の産地についてどのようなことを意識しますか。(○は1つ)
    • 国産材を使用していること31.3%
    • 国産材のうち生産された地域が明らかであること9.7%
    • 輸入材を使用していること0.7%
    • 輸入材のうち生産された地域が明らかであること1.8%
    • 産地は特に意識しない55.7%
  • 木材を使った製品を購入する際に産地を気にする理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
    • 産地がわかることで安心感が得られるため67.4%
    • 産地によって、材質が異なるため37.4%
    • 産地によって、森林環境への影響や負荷が異なるため18.1%
  • 木材を使った製品を購入する際に産地を特に意識しない理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
    • 木材の産地よりも、商品のデザインや機能性を重視するため62.6%
    • 木材の産地よりも、木材の色や触感といった特性を重視するため44.5%
    • 木材の産地よりも、商品の価格を重視するため33.5%
    • 特に理由はない12.3%
  • あなたは、木材を使った製品を購入する場合、環境や社会的な観点からどのようなことを意識しますか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • 原材料となる木材が法令などに適合して合法的に伐採されたものであること37.8%
    • 持続的な森林経営がされた森林から生産されたものであること25.3%
    • 多様な生物の生息環境の保全に配慮された森林から生産されたものであること24.8%
    • 第三者機関が適切に管理されていると認めた森林から生産された森林認証材であること21.2%
    • 特に意識しない42.9%
  • あなたが仮に、今後、住宅を建てたり買ったりする場合、どのような住宅を選びたいと思いますか。(〇は1つ)
    • 在来工法の木造による戸建住宅48.2%
    • ツーバイフォー工法など在来工法以外の木造による戸建住宅18.4%
    • 木造によるマンションなど集合住宅2.9%
    • 鉄筋、鉄骨、コンクリート造りなど非木造による戸建住宅16.7%
    • 鉄筋、鉄骨、コンクリート造りなど非木造によるマンションなど集合住宅12.4%
  • 木造住宅よりも非木造住宅を選びたいと思う理由は何ですか。(〇はいくつでも)(上位4項目)
    • 地震に強い印象があるため76.3%
    • 火に強い印象があるため57.8%
    • 遮音性が高い印象があるため44.9%
    • 劣化しにくい印象があるため43.2%
  • あなたは、どのような施設に木材が利用されることを期待しますか。(○はいくつでも)(上位4項目)
    • 幼稚園・保育所・認定こども園や、小・中学校などの教育施設69.6%
    • 旅館、ホテルなどの宿泊施設51.1%
    • 公設のスポーツ施設、図書館、公民館などの社会教育施設45.4%
    • 病院などの医療施設や老人ホームなどの福祉施設36.8%
  • あなたは、店舗やオフィスビル、ホテルなどの住宅以外の建物に木材が利用されることをどのように思いますか。(〇はいくつでも)(上位3項目)
    • 気持ちが落ち着く、快適そうなど、良い印象を持つと思う73.8%
    • 環境意識が高いと思う33.3%
    • 木材が利用された店舗などがもっと増えてほしいと思う28.3%

【公正取引委員会】

※現在、該当の記事はありません。

【金融庁】

【2024年4月】

金融庁 金融活動作業部会(FATF)による「FATFメンバー法域及び重要な暗号資産サービス・プロバイダー(VASP)の活動がある法域における勧告15の実施状況一覧表」の公表について
▼ プレス・リリース(翻訳)
  • 多くの国は、不正な金融への悪用を防止するために、仮想資産および仮想資産サービスプロバイダーに関するFATFの要件をまだ完全に実施していません。これらの要件(勧告15)が実施されていないため、犯罪者やテロリストが悪用する重大な抜け穴が世界的に残されています。
  • 2023年2月、FATF総会は、仮想資産および仮想資産サービスプロバイダー(VASP)に関するFATF基準の実施を強化するためのロードマップに合意しました。FATFは、グローバルネットワーク全体の実施状況の現状を把握しました。
  • FATFは、12ヶ月の情報収集・評価プロセスを経て、FATF加盟国及びVASP活動において最も重要なその他の国・地域による勧告15の実施状況を示す表を公表しています。この表は、FATFの仮想資産コンタクトグループメンバーの作業と、FATFメンバーおよびFATFスタイル地域機関のFATFグローバルネットワークによる広範なインプットに基づいています。また、さまざまな民間セクターの利害関係者や、仮想資産および仮想資産サービスプロバイダーコミュニティのその他の代表者との協議からも恩恵を受けました。

金融庁 「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問(FAQ)」の改訂版公表について
▼ (別紙2)新旧対照表
  • 国内PEPs及び国際機関PEPsの顧客管理についてはどのように考えれば良いでしょうか。
    • 【A】金融機関等においては、全ての顧客について顧客リスク評価を行うとともに、リスクに応じた顧客管理を行うことが求められます。
    • この点、国内PEPs及び国際機関PEPs(注)についても同様であり、口座開設時、継続的顧客管理等の過程において得た情報等に基づき、他の顧客と同様に顧客リスク評価を行い、本ガイドラインⅡ―2(3)(ⅱ)で求めるリスクに応じた対応を行うことが重要と考えます。
    • (注)国際機関PEPsとは、例えば当該機関の長官、副長官及び理事会やそれと同等な委員会のメンバーといった、上級管理者をいう。なお、国際機関とは条約締結権を有するメンバー国間の正式な政治協定により設立された団体をいう。
  • 「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」とは、具体的にどのような措置をいうのでしょうか。
    • 【A】本ガイドラインにおける「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」とは、顧客リスク評価の結果、「低リスク」と判断された顧客のうち、一定の条件を満たした顧客について、(DM等を送付して⇒削除)顧客情報を更新するなどの積極的な対応を留保し、取引モニタリング等によって、マネロン・テロ資金供与リスクが低く維持されていることを確認する顧客管理措置のことをいいます。
  • 「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」を行う対象を整理するに当たっての留意点を教えて下さい。
    • 【A】「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」を適用できる対象は、なりすましや不正利用等のリスクが低いことが一般的に考えられる以下(1)から(3)までに則していることを想定しています。
      • (1)全ての顧客に対して、具体的・客観的な根拠に基づき、商品・サービス、取引形態、国・地域、顧客属性等に係るマネロン・テロ資金供与リスクの評価結果を総合して顧客リスク評価を実施し、低リスク先顧客の中からSDD対象顧客を選定すること
      • (2)定期・随時に有効性が検証されている取引モニタリングを適用して、SDD対象顧客の取引が把握され、不正取引等を的確に検知するための態勢を構築していること
      • (3)SDD対象顧客についても、取引時確認等を実施し、顧客情報が更新された場合には、顧客リスク評価を見直した上で、必要に応じて顧客管理措置を講ずること(SDD対象顧客に対して顧客リスク評価の見直しを実施した場合に、再度SDD先と整理することを妨げるものではありません)
      • 上記(1)から(3)までを充たした上で、自社の顧客等のリスクを分析し、SDD対象顧客を選定することが求められます。
    • また、以下(注1)から(注3)までも、リスク分析にあたって考慮することが考えられます。
      • (注1)法人や営業性個人は、取引関係者や親子会社等、関与する者が相当に存在することが多く、法人や営業性個人の行う取引に犯罪収益やテロリストに対する支援金等が含まれる可能性が相応にあるものと考えられます。
      • (注2)本人確認済みでない顧客(1990年10月1日より前に取引を開始した顧客等)は、顧客情報が正確でないことによりリスク評価や疑わしい取引の検知を適切に実施できない可能性があるため、本人確認済みでないという事実や当該顧客の取引履歴データ等も踏まえてリスクを分析する必要があるものと考えられます。
      • (注3)直近1年間において、捜査機関等からの外部照会又は口座凍結依頼を受けた実績がある顧客や疑わしい取引の届出実績のある顧客は、犯罪に関与又は巻き込まれている等のリスクが相応にあるものと考えられます。
  • 具体的には、どのような顧客について、「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」とする余地はあるのでしょうか。
    • 【A】例えば、経常的に同様の取引を行う口座であって保有している顧客情報と当該取引が整合するもの(給与振込口座、住宅ローンの返済口座、公共料金等の振替口座その他営業に供していない口座)等については、SDD対象とすることが可能であると考えられますが、いずれにしても、個々の顧客について検証した上で、SDD対象の顧客を判断することが必要になるものと考えます。
  • 「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」を実施することとした場合、どのような管理を実施することになるのでしょうか。
    • 【A】本ガイドラインにおける「リスクに応じた簡素な顧客管理(SDD)」とは、顧客リスク評価の結果、「低リスク」と判断された顧客のうち、一定の条件を満たした顧客について、顧客情報を更新するなどの積極的な対応を留保し、取引モニタリング等によって、マネロン・テロ資金供与リスクが低く維持されていることを確認する顧客管理措置のことをいいます。
    • SDD対象とした顧客であっても、特定取引等に当たって顧客との接点があった場合、不芳情報を入手した場合、今までの取引履歴に照らして不自然な取引が行われた場合等には、必要に応じて積極的な対応による顧客情報の更新を実施し、顧客リスク評価の見直しを行うことが必要になるものと考えます。
    • 特に、公的書類等の証跡が不足しているSDD対象顧客が来店した場合等、本来更新すべき情報を最新化する機会があれば、当該機会を活用し、必要な情報更新を実施する態勢を構築することが必要であるものと考えます。
    • 2016年10月に施行された改正犯収法施行規則に定める方法により、本人特定事項(実質的支配者を含む)、取引目的及び職業等を確認することができていない顧客については、時機を捉えて、同規則に定める方法で確認することが考えられます。
  • 上場企業等や、国・地方公共団体等は、どのように顧客管理することが考えられますか。
    • 【A】上場企業等、法律上の根拠に基づく信頼性のある情報が定期的に公表されている場合(有価証券報告書等)には、当該情報を基に顧客リスク評価を実施し、当該リスク評価に応じたリスク低減措置を実施することも考えられます。
    • また、国・地方公共団体及びその関連団体(法律上の根拠に基づき設立・資金の運用が実施されている団体等)については、定期的な情報更新までは不要と考えますが、犯収法第11条柱書に則った対応をする必要はあるものと考えます。
  • 「確認の頻度を顧客のリスクに応じて異にすること」とありますが、どのような頻度を想定しているのでしょうか。また、情報の網羅的な更新を求めるものではなく、例えば現住所地等一定の情報に着目し、リスク評価を変更する契機とすべき事象が生じていないかを確認し、当該事象が発生している場合にのみ、深度ある確認を実施しようとすることで良いでしょうか。
    • 【A】継続的な顧客管理については、顧客に係る全ての情報を更新することが常に必要となるものではなく、顧客のリスクに応じて、調査の頻度・項目・手法等を個別具体的に判断していただく必要があります。
    • リスクベース・アプローチにより講ずべき低減措置を判断・実施するためには、最新の情報に基づく適切なリスク評価が不可欠です。そのため、例えば、高リスク先については1年に1度、中リスク先については2年に1度、低リスク先については3年に1度といった頻度で情報更新を行うことが考えられます。なお、この例に限らず情報更新の頻度を決定することも考えられます。
    • また、更新する情報は、顧客リスク評価の見直しをするために必要な範囲で、個別具体的な事情に照らして判断していただく必要があります。情報更新に際しては、信頼できる公開情報を参考にすることもあり得ますし、顧客に対面で確認するべき場合もあり得るものと考えます。
    • なお、継続的顧客管理において、顧客リスク評価の見直し手続に係る期日管理や期日までに見直しができない顧客の管理、期日超過分の速やかな解消については、第1線と第2線が連携し、適切な管理が行われることが重要であり、期日超過の管理状況については、定期的に経営陣に報告され、解消のための措置を講ずることが期待されます。
  • Q10の例(高リスク先1年に1度、中リスク先2年に1度、低リスク先3年に1度)に限らず情報更新の頻度を自ら決定する場合どのような検討をすることが考えられますか。
    • 【A】Q10に記載の、高リスク先については1年に1度、中リスク先については2年に1度、低リスク先については3年に1度といった頻度に限らず情報更新の頻度を決定する場合、全顧客のリスク格付を行っていることを前提として、自らの顧客リスク評価を適切に行う観点から更新頻度の妥当性を検証した上で、それ以降も定期的に更新頻度の妥当性に問題がないことを検証することが必要であると考えます。
    • 具体的には以下の対応を行うことが考えられます。
      • 過去の定期的な情報更新による顧客リスクスコアの上昇度合い等を分析し、顧客リスク評価を適切に保つために合理的な頻度を設定
      • リスクが上昇するイベント発生時に調査し、必要に応じて顧客情報更新・顧客リスク評価見直し
      • 顧客情報更新に取引モニタリング・フィルタリングを活用。検知した顧客を調査、必要に応じて情報更新・顧客リスク評価見直し
      • 上記の有効性を定期的(例えば年次)に検証し、その結果を踏まえて適宜対応を見直し
  • 「顧客リスク評価を見直し、リスクに応じたリスク低減措置を講ずること」に関して、顧客が調査に応じることができない場合においては、どのように顧客リスク評価を見直すことが考えられますか。
    • 【A】定期的に情報を更新することが必要な顧客については、顧客・取引等の特性も踏まえ、情報更新に有効であると考えられるあらゆる手段を講じて、情報を更新することが必要です。
    • 情報更新に有効であると考えられるあらゆる手段を講じても、顧客が調査に応じることができない場合には、そうした事実や、取引履歴データ等も踏まえて、顧客等のリスクを分析し、適切に自社の顧客リスク評価に反映することが考えられます。
    • 具体的には、各金融機関等において、調査に応じてもらえない顧客であることや、郵送物が届出住所に到達しない顧客であること等の事実を把握した上で、当該顧客群のリスクを分析し、分析結果を顧客リスク評価に反映すること、及び当該顧客群の管理状況・評価結果等の妥当性を定期的に検証し、経営陣に報告の上、適切なリスク低減措置を講じることが必要となるものと考えます。
    • また、高リスク顧客の中には、営業実態の把握や実地調査、顧客に対して対面で確認することが必要な場合もあり得るため、顧客リスク評価の見直しの方法についても、リスクに応じて検討・判断することが必要であるものと考えます。
    • なお、高リスク顧客に限らず、特に届出住所宛ての郵送物が届かない顧客については、本人特定事項の一部が不明であることとなります。特に、こうした状態の顧客のうち連絡を取ることもできず、かつ、口座も不稼働状態となっていない場合には、届出住所宛ての郵送物が届かない状態を解消するための施策を優先的に講ずることが必要であると考えられます。
  • 「遅滞なく照合する」について、具体的にどのようなことが求められているのでしょうか。
    • 【A】外務省告示の発出日以降、金融機関等が、速やかに制裁対象者リストの更新に着手し、合理的な期日までに差分照合を完了することを求めています。(国際連合安全保障理事会決議等で経済制裁対象者等が指定された際には、金融機関等は、数時間、遅くとも24時間以内に自らの制裁リストに取り込み、取引フィルタリングを行い、各金融機関等において既存顧客との差分照合が直ちに実施される態勢を求めています。→ 削除)

金融庁 リスク性金融商品の販売会社等による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果(2023事務年度中間報告)
▼ リスク性金融商品の販売会社等による顧客本位の業務運営に関するモニタリング結果(2023事務年度中間報告)
  • リスク・リターンの検証等
    • 販売会社及び組成会社は、まず、適切な検証期間の下でリスク・リターンの合理性などを十分に検証すべき
    • 外貨建一時払保険:全ての重点モニタリング先で、リスク・リターン検証が行われていない
    • 仕組預金:全ての重点モニタリング先で、リスク・リターン検証が行われていない
  • 顧客の最善の利益追求に資する商品導入の判断、商品性の事後検証と見直し・廃止
    • 販売会社及び組成会社は、リスク・リターンを十分に検証等した上で、顧客の最善の利益に資する商品の導入を判断すべき。また、導入後も、販売・実績等を基に商品性を事後検証し、必要に応じて商品性を見直し・廃止すべき
    • 外貨建一時払保険:トータルリターンを把握しないまま、「積立利率」といった表面利回りの情報等に基づき、実質的な議論なく、導入を判断
    • 仕組預金:金融庁よりリスク・リターン検証を依頼したところ、多くの仕組預金(外貨償還特約付預金)でトータルリターンがマイナスとなっているものの、実質的な議論なく、導入を判断
  • 顧客の属性に応じた販売
    • 顧客の資産・収入状況、取引経験、知識、取引目的・ニーズ及び判断能力等の属性に応じて、当該顧客にふさわしい商品を販売・推奨すべき
    • 外貨建一時払保険:多くの重点モニタリング先で、知識・投資経験の不足や投資方針との不一致に懸念がある顧客に販売
    • 仕組預金:全ての重点モニタリング先で、仕組預金のリスク特性(プットオプション売却等)を理解していない懸念がある知識・投資経験が乏しい顧客に販売
  • 他にリスク性金融商品との比較説明
    • 顧客が投資判断に必要となるリスク・リターン・コスト等について、「原則」等を踏まえ、他のリスク性金融商品と比較しながら説明・提案すべき
    • 外貨建一時払保険:多くの重点モニタリング先で、比較説明しているものの、マネープランガイド等によるリターン・コスト等の大小比較や、保険商品間での重要情報シートの活用にとどまる
    • 仕組預金:全ての重点モニタリング先で、運用商品として位置付けているものの、比較説明が行われていない
  • 外貨建一時払保険の運用パフォーマンス分析及びターゲット型保険に関する販売・管理態勢の検証結果
    • 運用パフォーマンスの検証結果
      • 金融庁が、代表的な外貨建一時払保険(運用型)8商品の運用パフォーマンスを分析したところ、2023年8月末時点での運用終了分(継続期間2.5年)の外貨建一時払保険は、継続期間5年以上の同保険(又は同種商品に投資する先進国債券の投資信託)と比べて劣後している
      • 現状の販売・管理態勢の下では、ターゲット型保険を中心に、外貨建一時払保険購入後4年間で約6割の解約等が発生しており、同保険組成時の長期運用前提の想定より契約継続期間が短期化している。また、解約等に伴い発生する費用が利幅を押し下げている状況(※)が窺われる ※ 運用終了分のパフォーマンスを運用成果要素別で分析すると、積立金増加効果は薄く利益のほとんどは円安で、解約等費用(市場価格調整と解約控除費)がその利幅を押下げ
    • ターゲット型保険に関する販売・管理態勢の検証結果
      • 全ての重点モニタリング先で、運用型商品の一つであるターゲット型保険のほとんどが目標値に到達すると解約され、同時に同一商品を同一顧客に販売する事例が多数発生している。こうした乗換販売によって販売手数料等が二重に発生することを考慮すると、顧客にとって経済合理性があるとは言えない。販売会社は、目標値到達前に顧客に対して無償で目標値の引き上げが可能である旨を伝達した上で顧客の意向を踏まえてアドバイスするなど、顧客を適切にフォローアップすべき
      • 多くの重点モニタリング先で乗換販売の実態を把握していないほか、顧客本位の業務運営を確保する観点からの実効的な検証・監査ができていない
      • 全ての重点モニタリング先で、保障・相続ニーズがある顧客にターゲット型保険を販売しているが、少なくとも、中途解約した顧客については、これらのニーズを充たせていないと考えられる
  • 外貨建一時払保険における顧客の属性に応じた販売・管理態勢の検証結果
    • 顧客層の検証結果
      • 多くの重点モニタリング先で、「元本毀損するとは聞いていない」といった苦情が発生しているため、金融庁が、当該保険を販売した287名の顧客カードを分析したところ、全体では2割で知識・投資経験の不足や投資方針との不一致に懸念があった(a)。苦情が発生した顧客(87名)に限れば、その割合は3割弱となる
    • 適切な動機付けの検証結果
      • 全ての重点モニタリング先で、ターゲット型保険については、乗換販売といった顧客にとって経済合理性があるとは言えない事例が多く確認されている
      • ターゲット型保険に係る役務を見ると、全ての重点モニタリング先で、初年度の負担(商品説明・契約等)に比べ、2年目以降から満期までの合計負担(顧客へのフォローアップ等)の方が大きい状況が見受けられる。一方、販売会社が保険会社から受け取る手数料体系を見ると、全ての重点モニタリング先で、初年度の比重が高いL字型(例えば、初年度5.5%、2年目以降0.1%等)が採用されている
      • こうした役務に係る負担に見合った手数料体系となっていないことが、乗換販売に繋がっている一因と考えられる
      • 金融庁は、外貨建一時払保険を含むリスク性金融商品の手数料体系が過度にフロービジネスを助長する販売姿勢に影響を及ぼしていないか、検証を継続していく

金融庁 損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議(第1回)議事次第
▼ 資料2 事務局説明資料、参考資料
  • ご議論いただきたい事項
    • 保険金不正請求事案
      • 現在の保険業法は、保険会社が代理店を適切に指導・管理することを求めているが、大規模な乗合代理店に対しては、実効的な指導・管理が行われていないおそれがある。大規模な乗合代理店に対する実効的な指導・監督をどのように確保していくべきか。また、損害保険代理店の従業員(使用人)の品質向上をどのように図っていくか。
      • 大規模な乗合代理店の影響力が高まる中、損害保険会社がそうした代理店との関係を優先することによって、保険金の支払査定が適切に行なわれていないおそれがあるが、損害保険会社における支払管理態勢をどのように強化していくべきか。
      • 損害保険会社による代理店手数料ポイント制度にて規模や増収面を重視していたことが、大規模な乗合代理店に業務品質を軽視する不適切なインセンティブを与えていたおそれがあるが、損害保険会社による損害保険代理店の評価を適切に行うためには、どのような見直しが必要か。
      • 乗合代理店は保険募集時に複数の保険商品を比較推奨する、また、比較推奨しない場合には、当該提案の理由を説明することが求められている。しかし、今般の事案では、入庫紹介の実績等の本業支援の結果に基づき、特定の保険会社の商品を顧客に推奨していたにもかかわらず、別の理由を装っていたなど、保険業法で求める比較推奨が適切に実施されておらず、顧客の適切な商品選択が歪められていたおそれがある。乗合代理店が適切な比較推奨を行い、消費者が適切な保険商品を選択するため、どのような見直しが必要か。
      • 損害保険代理店が自動車修理工場等を兼業することで、損害保険代理店による利益相反行為が行われやすくなり、保険契約者の利益が損なわれるおそれもある。損害保険代理店に対し、利益相反が生じる業務の兼業を禁止すべきか。または、兼業は認めつつも、利益相反を防止する措置を実施すべきか。後者の場合にはどのような措置が考えられるか。
    • 保険料調整行為等事案
      • 現在の共同保険では、最も安い保険料を提示した社が幹事社となり当該社の保険料を基準として組成されるビジネス慣行が存在しており、独占禁止法等の抵触リスクが発現しやすい環境にあると考えられるが、適正な競争環境を整備するためには、どのような対応が必要か。
      • 企業向け保険契約の入札等においては、政策株式保有や本業支援など、保険契約の条件以外の要素が少なからずシェアに影響を及ぼす場合があったと考えられるが、こうした慣行をどのように是正していくべきか。
      • 営業部門が幹事やシェアの維持を求められ、リスクに応じた適正な保険料を提示することが困難になる中、適切な契約内容の提案を含め、実効的な保険引受管理態勢をどのように確立するか。
      • 企業内代理店は企業グループに属し、企業の元従業員等を多く受け入れている先もある一方、損害保険会社の代理店であり損害保険会社から手数料を得ているなど、その位置づけは不明確である。企業内代理店のあるべき姿をどのように考えるか。
      • 今般の事案では、損害保険会社の従業員や代理店の社員において、独占禁止法に関する知識が不足していたと考えられるが、独占禁止法等を遵守するための適切な法令等遵守態勢をどのように確立するか。
    • 双方の事案に共通する論点
      • 損害保険会社による代理店への本業支援(入庫紹介、物品・サービスの購入、社員の出向等)が、代理店による保険商品の比較推奨を歪ませ、その結果、保険契約者の適切な商品選択が歪められていたおそれもあるが、保険会社による代理店への本業支援の在り方をどのように考えるか。
      • 当局による保険会社及び代理店への実効的な検査・監督をどのように確保するか。
  • 大手損害保険会社の保険料調整行為等に係る調査結果について
    • 大手損害保険会社4社からの報告によれば、少なくとも1社の保険会社において、不適切行為等があるとされた保険契約者が576先※あった(令和5年12月26日時点。1社から報告458先、2社以上から報告118先)。※保険契約者数は金融庁による名寄せ後の数字。なお、保険契約者数について、最終的な保険契約者数は多数になるが、代理店が包括的に契約条件の決定権限を持っていた契約や複数団体向けの契約は1件として集計している。
    • 幹事・シェア等を現状維持したいために不適切行為等に及んだものが50%、他社から打診があり応じたものが39%あった。
    • 全体として、不適切行為等の開始時期としては、2017~2020年に件数が増加し、2021年に一旦減少したあと、概ね横ばいになっている。
    • 書面又は口頭で引継ぎがあったケースが41%あった。
    • 違法又は不適切と認識していたケースが33%あった。
    • 上司(課長以上)が認識していなかったケースは53%だった。上司が認識・指示していたケース、課長自身の行為も見られた。
    • 第2線に相談・報告が行われなかったケースが99%だった。
    • 現状維持を目的としたものは50%。そのうち、33%が互いの既契約を維持するため、37%がポジションダウンを避けるため、30%が料率算出の負担等を鑑み他社保険料を上回る保険料を提示したものだった。
    • 他社から保険料調整等の打診があり、応じたものは39%。そのうち、53%は悪いことだと認識していたが応じたものだった。
    • より有利な条件(保険料等)で契約をするために(不利とならない場合を含む)、他社と調整をしたものは18%。そのうち、幹事社としての引受やキャパシティ確保が困難だったために不適切行為等に及んだケースが11%、料率改善を目的としたものが89%あった。
    • 既存の取引への影響を懸念したものは15%。そのうち、39%は同じ代理店が扱う他の契約、61%は同じ契約者の他の契約への影響を懸念したものだった。
    • 代理店から保険料調整等の打診があり、応じたケースは12%。そのうち、85%は代理店からシェアや幹事社の変更が無いよう指示があったものだった。
▼ 資料3 日本損害保険協会説明資料
  • 保険料調整行為に関する取組み
    • 自然災害が頻発化・激甚化し、火災保険の大幅な赤字が常態化したことによって、一部の会員各社では、収支改善のために一定の保険料水準を確保したいとの意向が強まったと考えます。
    • そうした環境とあわせて、業界再編等により、限られた営業担当者同士の接触機会も増加する中、独禁法についての意識が希薄となり、保険契約引受時に行ってはいけない行為が曖昧だったことが、保険料調整行為の要因の一つとして挙げられると考えます。
    • そのため、保険契約引受業務等に関する「基本的な考え方」や「留意点」を示し、会員各社において適切なルール作りを進めることにより、独禁法上の不適切な行為を防止していきます。
    • 独禁法全般に関する理解促進を図る観点から、会員会社社員や、代理店・募集人に対しての教育を徹底し、業界全体として、募集時における違反行為の根絶に努めていきます。
    • また、【業界指針等】に基づく会員各社の取組状況を確認し、好事例を共有することを通じて、会員各社の取組みを後押ししていきます。
  • 保険金不正請求等に関する取組み
    • 事故車の修理先紹介(入庫紹介)において、お客さま利益よりも保険契約獲得を優先したと受け止められても仕方ない事象や、不正請求が疑われた後も十分な調査を行わず、保険金不正請求に対する牽制機能が不十分だった事象が、確認されました。
    • そのため、お客さまの意向に沿った入庫紹介や、事案に応じた適切な損害調査手法の採用がなされるよう、ガイドラインにおいて必要な考え方の明確化を図りました。
    • 修理工場による不適切な保険金請求の手口を見抜けなかったことが、ビッグモーター社による保険金不正請求を許してしまった要因の一つとして挙げられると考えます。
    • そのため、不正請求に対する対策例の整理や、既存の不正請求対策の点検等を実施しています。
    • 一部の代理店におけるコンプライアンス意識が不足していたことに鑑み、改めて代理店や募集人に対して、不正請求の事例や当協会・会員各社の対策についての理解向上を図り、業界全体として取組みを着実に進めていきます。
  • 信頼回復に係るプロジェクトチーム(業務抜本改革推進PT)の設置
    • これまで実施している取組みに加え、業界としても、今後更なる追加検討が必要と認識しています。
    • そのため、2024年3月、保険料調整行為・保険金不正請求の両問題を踏まえ、会員会社・代理店との関係や、商慣習の見直し、適正な競争環境などをより早期に整備する観点から、当協会内に、3月21日付にて業務抜本改革推進PTを設置しました。
    • 本有識者会議でのご議論も踏まえながら、課題解決を進めていきます。

金融庁 「AI技術を活用した経営改善支援の効率化に向けた調査・研究」に係る最終報告書等の公表について
▼ 「AI技術を活用した経営改善支援の効率化に向けた調査・研究」の概要
  • 物価高騰や人手不足等の影響を受けた事業者が多く存在する中、地域金融機関が事業者の実情に応じた経営改善支援等を実施していくことが重要となっている。
  • 経営改善の可能性を高めるためには、打ち手の選択肢が多い早期の段階から経営改善支援に着手することが重要。
  • 事業者の状況変化の兆候を効率的・効果的に把握するに際してのAI技術の活用可能性について調査・研究を実施。
  • 本調査・研究では、金融機関の取引先を経営改善の必要性に応じて優先順位付けすることに資するAIモデルを構築するとともに、一部の地域金融機関への実務適用支援を通じて、AIモデルの実務での活用可能性や活用上の留意点等を整理した。
  • その結果、AIモデルを活用することで、地域金融機関における要支援先の優先順位付けが、より効果的・効率的に行えるようになる可能性が示唆された。

【2024年3月】

金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼ 主要行等
  • ロシア産原油等に係るプライス・キャップ制度のコンプライアンス強化について
    • ロシアによるウクライナ侵攻を受け、G7及びオーストラリアは、ロシアのエネルギー収入を減少させつつ、世界的なエネルギー市場の安定を確保するため、2022年12月以降、ロシア産原油及び石油製品(以下「原油等」という。)に係る当面の上限価格(プライス・キャップ)に合意。
    • この合意に沿って、我が国においても、外国為替及び外国貿易法に基づき、当該上限価格を超える価格で取引されるロシア産原油等については、海上輸送に関連するサービス(海上保険、貿易金融、海運、通関)の提供を禁止する措置を実施してきたところ。
    • 今般、上記措置(上限価格制度)のコンプライアンス強化のため、取引の契約期間等に合わせて入手していた原油等に係る宣誓書を、航海毎に入手すること、当局の求めに応じて原油等の取引に関連する付随費用の内訳を入手・提供することを求めることで合意した。
    • 当該合意を踏まえ、我が国においても、必要となる告示等の見直しを行うところ、2024年2月20日より適用となるため、各行においては、適切に対応いただきたい。
    • プライス・キャップ制度の運用上の留意点を整理した「ロシア産原油等に係る上限価格措置(プライス・キャップ制度)のQ&A」についても、今般の措置を踏まえ改定されているので、あわせて参照いただくとともに、不明な点は金融庁に照会いただきたい。
  • 顧客本位の業務運営について(外貨建一時払保険の販売・管理態勢等)
    • 2023事務年度、リテールビジネスへの経営陣の関与状況等とともに、個別のリスク性金融商品におけるプロダクトガバナンス態勢や販売・管理態勢等についてモニタリングを実施している。
    • 今般は、モニタリングを踏まえ、販売額の大きい外貨建一時払保険を念頭に、販売会社(銀行等)や組成会社(保険会社)における金融商品の販売・管理等態勢の改善に向け、取り組むべき事項を紹介したい。
    • 各社において真摯に検討いただくとともに、販売会社(銀行等)・組成会社(保険会社)で連携し、業界としての対応についても検討いただきたい。
    • 外貨建一時払保険は、保険商品であると同時に、資産運用商品でもあることから、他のリスク性金融商品と同様に、適切な販売・管理等態勢の構築が重要である。具体的には、
      • 組成会社(保険会社)において、商品組成段階で想定顧客層を明確に設定し、販売会社(銀行等)は、その想定顧客層に、顧客ニーズ等を踏まえて適切に販売することが求められる。
      • 組成会社(保険会社)・販売会社(銀行等)は、リスク・リターン・コストを十分に検証・把握した上で、他の金融商品との比較も含めた分かりやすい説明を顧客に対して行う必要がある。
      • その上で、組成会社(保険会社)は、募集人管理の観点から、販売会社における販売状況を適切に検証・管理することが求められており、販売会社(銀行等)においても、組成会社(保険会社)の管理・指導に基づき、適切に対応いただきたい。
    • 当該保険は、基本的には、長期運用を想定して組成されている商品であるが、金融庁における分析では、契約継続期間に関して4年で6割以上が解約・運用終了している等、商品組成時の想定と販売結果に齟齬がある。
    • 組成会社(保険会社)・販売会社(銀行等)間で協力しつつ、顧客の意向に基づき、ターゲット機能の適切な活用を含め、長期的な視点にも配慮した丁寧かつ適切なフォローアップを行うことが重要である。
    • 併せて、組成会社(保険会社)・販売会社(銀行等)は、顧客の最善の利益を追求する観点から、フォローアップも含めた適切な販売管理等が促されるよう販売手数料体系や業績評価体系を策定・整備するなど、適切な動機付けの検討も重要と考えている。
    • 金融庁としては、今後、更に実態把握を進めた上で、FDモニタリングレポート(公表時期:6月末~7月目途)(注)において、その他の課題も含めて、お示ししたい。 (注) モニタリングの中間報告の内容については、3月中を目途に公表予定。
  • サイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅷ)の結果還元について
    • 2023年10月に実施した「金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習(Delta Wall Ⅷ)」の結果について、先般、参加金融機関に還元したところ。
    • まず、演習結果が不芳となった金融機関の経営陣においては、問題点が何かをよく確認いただき、コンティンジェンシープランの見直しをはじめとして、優先順位をつけて改善を進めていただきたい。加えて、改善の進捗を経営陣が確認し、遅延等があれば原因を特定し、問題を是正いただきたい。さらに、人員・予算不足が問題の背景にある場合はその是正を計画的に進めていただきたい。
    • また、今回の演習結果が良好であった金融機関においても、今回は一つのシナリオの下での演習に過ぎないので、最新の脅威動向を考慮して様々なシナリオを想定し、インシデント対応態勢の整備、検証を進めていただきたい。
    • さらに、演習へ非参加の金融機関に対しても、今後、協会を通じて、演習を通じて認められた業態に共通する課題や良好事例を還元する予定である。
    • 非参加金融機関においても、金融庁からの還元内容を参考にして、サイバーセキュリティの強化に取り組んでいただきたい。
  • 暗号資産交換業者あての不正送金対策の強化について
    • 近年、インターネットバンキングに係る不正送金事犯をはじめ、還付金詐欺や架空料金請求詐欺等をはじめとする特殊詐欺の被害金が、暗号資産交換業者の金融機関口座に送金される事例が多発している。
    • こうした状況を踏まえ、2024年2月6日に警察庁と連名で、全国銀行協会を含めた各業界団体等に対し、暗号資産交換業者あての不正送金対策の強化を要請した。各行においては、既に対策を実施している金融機関の事例も参考にしつつ、送金利用状況などリスクに応じ、利用者保護等のための更なる対策の強化に取り組んでいただきたい。
  • マネロン対策における法人向けの広報の強化
    • マネロン対策の基礎となる継続的顧客管理について、各金融機関において、ダイレクトメールの郵送等により顧客情報の取得・更新に取り組んでいるところと承知。
    • 金融庁はこれまで、金融機関の利用者に対してこうした取組への理解及び協力を求めるため、各種広報を実施してきたところであるが、特に中小零細事業者や個人事業主など、金融機関の顧客となる法人側の理解や協力が未だ十分ではないことから、苦情や協力拒否につながっており、金融機関の現場で負担になっているとの声も寄せられている。
    • このため、金融庁は警察庁と連携し、法人向けのチラシ・ポスターを作成し、関係各省庁の協力の下、日本商工会議所をはじめとした様々な業界団体を通じて配布を行い、中小零細企業や個人事業主に対するマネロン広報を2024年1月より展開している。
    • 法人向けチラシ・ポスターは金融庁ウェブサイトにも掲載し誰でも活用できるようにしており、各金融機関においても、このチラシ・ポスターを活用し、取引先企業にぜひとも周知していただきたい。
    • 一般の方に対して今後どのような広報活動を行っていくかについては、各協会とも連携しつつ検討をしているところ。官民一体となって戦略的かつ強力なマネロン広報を実施したいと考えており、引き続き協力をお願いしたい。
▼ 全国地方銀行協会/第二地方銀行協会
  • マネロン等対策に係る態勢整備の完了に向けて
    • 2023年3月末の「マネロンガイドラインに基づく態勢整備」の対応期限が目前に迫る中、対応未了項目がある各行においては、経営陣がリーダーシップを発揮いただき、3月末に向けての作業進捗管理を徹底し、対応の遅れが人員不足を原因としているなど、追加対応が必要な場合には、速やかに経営資源を割り当て、早急に対応を講じていただきたい。
    • 金融庁としても引き続き協会と連携し、各行の取組を最大限サポートしていく。各行においては、期限までに確実に態勢整備を完了するよう、引き続き取組を進めていただきたい。
    • 加えて、傘下に子会社・関連会社の銀行を有する持株会社・親会社にあっては、グループ全体として期限までに対応が完了するよう目配りいただきたい。
▼ 日本損害保険協会
  • 令和6年能登半島地震にかかる災害等に対する金融上の措置について
    • 冒頭、1月1日夕刻に発生した令和6年能登半島地震においてお亡くなりになられた方に心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げる。
    • 今回の地震に伴う災害等に対し、石川県、富山県、福井県及び新潟県に災害救助法が適用されたことを受け、適用地域を管轄する北陸財務局及び関東財務局より日本銀行との連名で「金融上の措置要請」を関係金融機関等に発出させていただいた。
    • 各社及び協会におかれては、対策本部の設置や、損害調査に係る体制構築や確立のための関係者への支援要請、保険金に関する災害便乗商法等への注意喚起の周知、など、迅速かつ適切な保険金の支払いに向け、被災者への丁寧な情報提供と合わせた取組を行っていただいているところと承知している。
    • 引き続き、被災者の声やニーズを十分に把握の上、きめ細かな対応を改めてお願いしたい。
  • 損害保険業界における不適切事案を踏まえた対応について
    • 保険料等の調整行為及び自動車保険における保険金不正請求に関し、2023年末より複数社に対して、業務改善命令の発出を行った。
    • これほど短期間に複数の業務改善命令を発出する事態となったことは極めて遺憾であり、こうした事態を二度と起こさぬよう、一連の業務改善命令を重く受け止め、抜本的な改善対応をとっていただきたい。
    • 金融庁としても、業務改善計画の進捗をしっかりと確認し、企業文化や経営のあり方にまで踏み込んで必要な改善が進んでいるか等について、丁寧にフォローするとともに、協会を中心に進められている業界としての取組とも連携しながら、制度や監督のあり方について、しっかりと必要な対応を検証していく。
  • ビジネスモデル対話について
    • ビジネスモデル対話については、国土強靭化をテーマに、2023年11月から12月にかけて火災保険の販売量が多い大手・中堅の損害保険会社と対話を実施し、主に、自然災害リスクに関する保険引受、損害サービスおよび防災・減災・早期復旧サービスの現状と課題について深度ある対話を行った。
    • 各社における好取組事例等、対話の結果については次期保険モニタリングレポート等でフィードバックを行う予定である。
    • 地震や風水災等の自然災害が頻発・激甚化する中で、災害保険の普及や防災・減災・早期復旧サービスの提供について、損害保険業界への社会的な期待が高まっている。これらの取組は火災保険の収益改善に加え、持続可能なビジネスモデルの確立にも繋がるものであり、各損害保険会社においては、自社の規模・特性・体力等に応じた不断の工夫を重ねていただきたい。
    • また、災害保険の普及に当たっては、統合的リスク管理(ERM)の視点に基づき資本・リスク・リターンのバランスを取った再保険手配や異常危険準備金の積立が必要であり、2023事務年度も4月以降にこれらのモニタリングを行う予定であるところ、引き続きのご協力をお願いしたい。

金融庁 FATF声明の公表について
▼ 行動要請対象の高リスク国・地域(仮訳)
  • 高リスク国・地域は、資金洗浄、テロ資金供与及び拡散金融の対策体制に重大な戦略上の欠陥を有する。高リスクと特定された全ての国・地域に関して、FATFは、厳格な顧客管理を適用することを加盟国・地域に要請し、かつ全ての国・地域に強く求める。そして、極めて深刻な場合には、各国・地域は、高リスク国・地域から生じる資金洗浄、テロ資金供与及び拡散金融のリスクから国際金融システムを保護するため、対抗措置の適用を要請される。このリストは対外的に、しばしばブラックリストと呼ばれる。すでにFATFの対抗措置の要請に服していることに鑑み、新型コロナウイルスのパンデミックに照らして、2020年2月以降、FATFはイラン及び北朝鮮に対するレビュープロセスを一時休止している。イランは自身のアクションプランの状態に重要な変更が無いことを2024年1月に報告した。高まる拡散金融リスクを考慮し、FATFは、これらの高リスク国・地域に対する対抗措置の適用を改めて要請する。
  • 対抗措置の適用が要請される国・地域
    • 北朝鮮(DPRK)
      • FATFは、DPRKが資金洗浄・テロ資金供与対策の体制における重大な欠陥に対処していないこと、及びそれによってもたらされる国際金融システムの健全性への深刻な脅威について、引き続き憂慮している。FATFは、DPRKが資金洗浄・テロ資金供与対策の欠陥に対して直ちにかつ意義ある対応を講じることを強く求める。さらに、FATFは大量破壊兵器の拡散や拡散金融に関連したDPRKの違法な行為によってもたらされた脅威について深刻に憂慮している。
      • FATFは、2011年2月25日の加盟国への要請を再確認するとともに、全ての国・地域が、DPRK系企業・金融機関及びそれらの代理人を含めたDPRKとの業務関係及び取引に対し、特別な注意を払うよう、自国の金融機関に助言することを強く求める。FATFは、強化された監視に加え、DPRKより生じる資金洗浄・テロ資金供与・大量破壊兵器の拡散金融リスクから金融セクターを保護するために、効果的な対抗措置を適用すること、及び適用される国連安保理決議に基づく、対象を特定した金融制裁を加盟国に要請し、かつ全ての国・地域に強く求める。各国・地域は、関連する国連安保理決議が要請するとおり、領域内のDPRK系銀行の支店、子会社、駐在員事務所を閉鎖、及びDPRK系銀行とのコルレス関係を終了するための必要な措置をとるべきである。
    • イラン
      • 2016年6月、イランは戦略上の欠陥に対処することにコミットした。イランのアクションプランは2018年1月に履行期限が到来した。2020年2月、FATFは、イランがアクションプランを完了していないことに留意した。
      • 2019年10月、FATFは、イランに本拠を置く金融機関の支店・子会社に対する強化した金融監督の実施、金融機関によるイラン関連の取引に係る強化した報告体制又は体系的な報告の導入、イランに所在する全ての支店・子会社に対して金融グループが強化した外部監査を行うことを・求めることを加盟国に要請し、かつ、全ての国・地域に強く求めた。
      • そして今、イランがFATF基準に従った内容でパレルモ条約及びテロ資金供与防止条約を締結するための担保法を成立させていないことに鑑み、FATFは勧告19に則し、対抗措置の一時停止を完全に解除し、効果的な対抗措置を適用するよう加盟国に要請し、かつ、全ての国・地域に強く求める。
      • イランは、アクションプランの全てを完了するまで、FATF声明における行動要請対象の高リスク国・地域にとどまる。イランがFATF基準に従った内容でパレルモ条約及びテロ資金供与防止条約を批准すれば、FATFは、対抗措置を一時停止するかどうかを含め、次のステップを決定する。同国がアクションプランにおいて特定されたテロ資金供与対策に関する欠陥に対処するために必要な措置を履行するまで、FATFは同国から生じるテロ資金供与リスク、及びそれが国際金融システムにもたらす脅威について憂慮する。
      • 2016年6月、FATFは、イランによる資金洗浄・テロ資金供与対策の戦略上の欠陥に対処するための高いレベルの政治的コミットメント、及びイランのアクションプランの履行に向けた技術的支援の要請の決定を歓迎した。2016年以降、イランは現金申告制度を制定し、テロ資金供与対策法の改正法及び資金洗浄対策法の改正法を制定し、資金洗浄対策法施行規則を採択した。
      • 2020年2月、FATFは、未だ完了していないアクションプラン項目が存在し、イランは、(1)「他国による占領を終焉させ、植民地主義、及び人種差別主義の根絶を図る」指定団体への適用除外の削除を含む、テロ資金供与の適切な犯罪化、(2)関連する国連安保理決議に沿ったテロリストの資産の特定及び凍結、(3)適切かつ強制力のある顧客管理制度の確保、(4)当局が無許可の資金移動業者を如何に特定し、制裁を課しているかについて証明すること、(5)パレルモ条約とテロ資金供与防止条約の批准と履行、及び司法共助の提供能力の明確化、(6)電信送金が送金人及び受取人の完全な情報を含んでいることを金融機関が証明することの確保、に完全に対処するべきであることに留意する。
      • 各国は、FATFによって求められた場合には、適切な対抗措置を講じることが可能であるべきである。また、各国は、FATFからの要請とは別に、対抗措置を講ずることができるべきである。かかる対抗措置は、リスクに対して効果的かつ整合的であるべきである。
      • 勧告19に関する解釈ノートには、各国が実施しうる対抗措置の例を記載している。
  • 対象となる国・地域から生じるリスクに見合った厳格な顧客管理措置の適用が要請される国・地域
    • ミャンマー
      • 2020年2月、ミャンマーは戦略上の欠陥に対処することにコミットした。ミャンマーのアクションプランは2021年9月に履行期限が到来した。
      • 2022年10月、アクションプランの履行期限を1年過ぎても進展がなく、アクションプランの大半の項目が対応されていないことを踏まえると、FATFは、手続きに沿ってさらなる行動が必要となり、加盟国・地域及び他の国・地域に対し、ミャンマーから生じるリスクに見合った厳格な顧客管理の適用を要請することを決定した。厳格な顧客管理措置を適用する際は、各国は、人道支援、合法的なNPO活動及び送金のための資金の流れが阻害されないようにする必要がある。
      • 2023年10月以来、ミャンマーは、リスクに応じて特定の指定非金融業者及び職業専門家の検査の優先順位を付けるための措置を講じたが、全体の進捗は引き続き遅れている。ミャンマーは、不備に対応するため下記を含めたアクションプランを実施する取組を続けるべきである。
        • 重要な分野における資金洗浄リスクについて理解を向上したことを示すこと
        • 「フンディ」を営む者が登録制であり監督下にあることを示すこと
        • 法執行機関による捜査において金融インテリジェンス情報の活用を強化したことを示すこと、及び資金情報機関(FIU)による対策の執行のための分析及び分析情報の配信を増やすこと
        • 資金洗浄が同国のリスクに沿って捜査・訴追されることを確保すること
        • 国境を越えて行われた資金洗浄の事案の捜査を国際協力の活用で行っていることを示すこと
        • 犯罪収益、犯罪行為に使用された物、及び/又はそれらと同等の価値の財産の凍結・差押え、及び没収の増加を示すこと
        • 没収されるまでの間、差し押さえた物の価値を保つために、差し押さえた資産を管理すること
        • 拡散金融に関連する、対象を特定した金融制裁の効果的な実施を確保するため、勧告7に関する技術的遵守状況の欠陥に対処すること
    • FATFは、ミャンマーに対し、資金移動業者(MVTS)のモニタリング及び監督が、正当な資金の流れに対する過度な審査を低減するために、文書化され、且つ資金洗浄・テロ資金供与リスクの健全な理解に基づいていることを示すことを含め、資金洗浄・テロ資金供与の欠陥に完全に対応するよう取り組むことを強く求める。
    • 同国がアクションプランを完全に履行するまでは、行動要請対象国のリストに引き続き掲載される。

金融庁 FATFによる市中協議文書「FATF勧告16の改訂に関する説明文書及び勧告改訂案」の公表について
▼ 「FATF勧告16の改訂に関する説明文書及び勧告改訂案」(原文を自動翻訳)
  • 金融活動作業部会(FATF)は、勧告16(R.16)、その解釈ノート(INR.16)、および関連する特定の用語の用語集の改訂を検討しており、決済ビジネスモデルとメッセージング標準の変化に適応させています。
  • 16/INR.16は、FATF基準が技術的に中立であり続け、「同じ活動、同じリスク、同じルール」の原則に従うことを保証するために更新される必要があります。これらの改正案は、国境を越えた決済をより速く、より安く、より透明で包括的なものにすると同時に、安全性と安心感を維持することも目的としています。G20優先行動計画の一部である目標です。
  • FATFは、16/INR.16の改訂案とR.16で使用されている特定の用語の用語集について、R.16/INR.16の改訂案について、すべての利害関係者、特に決済業界から意見を聞きたいと考えています。改訂案は、主要な改正案の政策意図を詳細に説明する説明覚書に添付されています。また、説明覚書には、次のようなさまざまな問題に関する協議のための18の質問が提示されています。
    • カードを使用した商品およびサービスの購入の免除に関する追加の透明性要件。
    • 特定の条件を条件として、16免除からの現金または現金同等物の引き出しまたは購入の解除。
    • 支払いメッセージの基本的な発信者と受取人情報の内容と品質を改善します。
    • 受取人金融機関に対して、支払メッセージにおける受取人情報の整合性を確認する義務。そして
    • 支払チェーンの定義と正味決済の条件。
  • FATFは、この問題の技術的な性質上、十分な協議には、公的部門と民間部門の両方の関連機関および専門家との継続的な対話が必要であることを認識しています。この書面による協議は、より広範な協議プロセスの最初のステップであり、この最初の協議への回答から情報を得て、必要に応じてさらなる議論と関与も含まれます。2024年5月3日までに、この最初の相談に回答してください。
  • 「16/INR.16の改訂案に関する[著者]のコメント」という件名でFATF.Publicconsultation@fatf-gafi.orgする説明覚書に記載されている協議の質問への回答を含む、提案の起草を含むあなたの意見を提供してください。
  • 回答を送信する際には、組織名、事業内容、連絡先の詳細を明記してください。「ご相談のご質問」への回答は、どのような形式でも提出できます。また、特定の下書き提案を、変更履歴の改訂下書きのテキストに直接挿入することもできます。お客様の連絡先情報は、このパブリックコンサルテーションの目的と、この問題に関するお客様とのさらなる関与のためにのみ使用されます。また、皆様からのコメントは、特に明記しない限り、この作業の過程でFATF代表団と共有されます。ただし、FATFは、お客様の同意なしにこの情報を第三者と共有することはありません。
  • 現段階では、FATFは16/INR.16の改訂草案を承認しておらず、改訂を最終決定するためにパブリックコンサルテーションで受け取ったフィードバックを検討します。
  • 事前にご意見をお待ちしております。

金融庁 太陽有限責任監査法人による財務書類の虚偽証明に対する課徴金納付命令の決定について
  • 金融庁は、令和5年12月26日に太陽有限責任監査法人に対する課徴金納付命令に係る審判手続開始の決定(令和5年度(判か)第1号公認会計士法違反審判事件)を行ったところ、被審人から課徴金に係る公認会計士法第34条の21第2項第2号に掲げる事実及び納付すべき課徴金の額を認める旨の答弁書の提出があり、これを受けた審判官から公認会計士法第34条の52の規定に基づき、課徴金の納付を命ずる旨の決定案が提出されたことから、以下のとおり決定を行いました(詳細は、PDFのアイコンの画像です。決定要旨(PDF:326KB)を参照してください。)。
  • 決定の内容
    • 被審人(太陽有限責任監査法人(法人番号4010405002470))に対し、次のとおり課徴金を国庫に納付することを命ずる。
      • 納付すべき課徴金の額 金9595万円
      • 納付期限 令和6年4月30日
▼ 決定要旨
  • 株式会社ディー・ディー・エス(以下「DDS」という。)の平成29年12月期、平成30年12月期及び令和元年9月第3四半期から令和3年12月期における各事業年度及び各四半期(以下「訂正対象期」という。)に係る開示書類の訂正報告書に記載された財務書類の監査並びに令和4年3月第1四半期に係る財務書類の監査を実施したところ、被審人の監査証明に係る業務を執行する社員(以下「業務執行社員」という。)が、別紙2に記載のとおり、相当の注意を怠ったことにより、本来整合すべき、貸借対照表の当事業年度の繰越利益剰余金の額から前事業年度の繰越利益剰余金の額を差し引いた金額と、損益計算書の当事業年度の純損益の額とが整合していなかったなどの多くの誤りが存在する訂正対象期及び令和4年3月第1四半期におけるDDSの下表の番号1から同13の財務書類に対して、財務諸表の全体的な表示が、適用される財務報告の枠組みに準拠しているかどうかに係る確認を怠り、もって重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽がないものとして証明したものである。
  • (別紙2)一般に公正妥当と認められる監査に関する基準及び慣行に照らして相当の注意を怠った事実の主な内容
    • 被審人の業務執行社員は、平成29年12月期、平成30年12月期及び令和元年9月第3四半期から令和3年12月期に係る開示書類の訂正報告書に記載された財務書類の監査及び令和4年3月第1四半期の財務書類の監査(以下「訂正監査等」という。)を実施するに当たり、監査チームから情報を適切に収集することができておらず、監査意見を表明するまでに必要な時間を正しく認識できていなかったほか、監査補助者が実施した監査手続の状況を十分把握していなかった。
    • また、業務執行社員は、訂正監査等において、DDSに対して主要な論点を提示し訂正の指導を行い、当該指導内容が連結財務諸表等に適切に反映されていることで、適切な連結財務諸表等が作成されたと思い込み、DDSが作成した連結財務諸表等について、その表示方法が適切であるかどうかについての確認を行わず、また、監査補助者に対して表示方法が適切か確認を行うよう指示を行いその結果の査閲を行うような手続きも実施しないまま、重大な虚偽のある財務書類について、重大な虚偽のないものとして意見表明を行った。

金融庁 「サステナブルファイナンス有識者会議」(第21回)議事次第
▼ 資料1 事務局説明資料
  • 金融機関における気候変動への対応についての基本的な考え方
    • 金融庁の検査・監督基本方針(2018年6月29日公表)を踏まえ、分野別の考え方と進め方として、金融機関の気候変動への対応についての金融庁の基本的な考え方(ガイダンス)を整理し、2022年7月12日に公表。
    • 本ガイダンスでは、顧客企業の気候変動対応の支援や気候関連リスクの管理に関する金融庁と金融機関との対話の着眼点や金融機関による顧客企業の気候変動対応の支援の進め方などを示している。
    • 各金融機関におけるよりよい実務の構築に向けた金融庁と金融機関の対話の材料であり、金融機関に対し一律の対応を義務付ける性質のものではない。
    • 気候変動対応に係る考え方・対話の着眼点
      • 基本的な考え方
        • 気候変動に関連する様々な環境変化に企業が直面する中、金融機関において、顧客企業の気候変動対応を支援することで、変化に強靭な事業基盤を構築し、自身の持続可能な経営につなげることが重要。
      • 金融機関の態勢整備
        • 気候変動対応に係る戦略の策定・ガバナンスの構築
        • 気候変動が顧客企業や自らの経営にもたらす機会及びリスクのフォワードルッキングな認識・評価
        • トランジションを含む顧客企業の気候変動対応の支援
        • 気候変動に関連するリスクへの対応
        • 開示等を通じたステークホルダーへの情報の提供 等
    • 金融機関による顧客企業の支援の進め方・参考事例
      • 金融機関においては、気候変動に関する知見を高め、気候変動がもたらす技術や産業、自然環境の変化等が顧客企業へ与える影響を把握し、顧客企業の状況やニーズを踏まえ、例えば以下のような観点で支援を行うことが考えられる。
        • コンサルティングやソリューションの提供
          • 顧客企業の温室効果ガス排出量の「見える化」の支援
          • エネルギーの効率化技術を有する顧客企業の紹介(顧客間のマッチング)
        • 成長資金等の提供
          • 顧客企業のニーズに応じた、脱炭素化等の取組みを促す資金の提供(トランジション・ローン、グリーンローンなど)
          • 気候変動に対応する新たな技術や産業育成につながる成長資金のファンド等を通じた供給
        • 面的企業支援・関係者間の連携強化
          • 中核メーカーの対応も踏まえた、地域の関連サプライヤー企業群全体での戦略検討等の面的支援
          • 自治体や研究機関等との連携による地域全体での脱炭素化や資源活用の支援
  • ご議論いただきたい点
    • 取組状況の評価
    • 更なる取組みが期待される事項・分野
    • 取組みを進めるべき主体・タイムライン
      • 金融機関への監督・対話、金融機関と企業との対話、企業における取組みといった本邦における官民の取組みの全体状況について、どう考えるか、また、今後対応が期待される分野・事項はあるか
      • 特に金融機関との対話・監督については、移行計画のあり方について国内外で様々な議論が見られるところ、ガイダンスの整備等のこれまでの取組みを踏まえて、今後さらにどのような議論が有効か
      • 対応事項のそれぞれについて、どのような主体タイムラインを想定するか

金融庁 「サステナビリティ投資商品の充実に向けたダイアログ」(第2回)議事次第
▼ 資料2 事務局資料
  • 第1回で聞かれた参加者からの声
    • サステナビリティ投資は、例えばトランジションのような長期的に不可逆的なトレンドを見極めた上での投資である。投資プロセスにおいてESGのスコアリングを活用するようなインテグレーションの方法のみでは、ESG投資の戦略であると呼ぶことはできない。
    • サステナビリティの観点からの運用を手掛けていないと、長期的な経済あるいは企業の持続的な発展・成長を担保することができないという局面に来ている。しかし、ESGという言葉を使ってしまうと、単なるテーマ投資として捉えられてしまう。
    • 個人にとっても、自身の資金が地域や社会のサステナビリティにつながることが想像できる商品でもある。地方自治体が発行するグリーンボンドは、地元の中堅企業のオーナー等、その地域に住むお客様からのニーズがとても高い。資金使途が分かりやすく、地元の地域貢献につながるところが決め手であると思われる。
    • 資産運用会社の社会的使命として、投資信託を通じた責任ある投資活動によって社会課題の解決を図り、サステナブルな社会の実現に貢献する、ということを公にしている。現在ESG投信は全体の1%程度に留まっており、約300兆円の投資信託全体にもESGやサステナビリティの考え方を取り入れていくことで、業界全体の底上げを図ることも必要ではないか。
    • 投資商品の戦略そのものよりも、投資商品の担当者のサステナビリティに関するエピソードの方が共感できる個人投資家もいる。サステナビリティが最終的に企業の価値向上につながる点は理解できるかもしれないが、リターンだけでなく、商品性の理解など長期的な目線をもって投資判断を行えるような丁寧な説明が、運用会社や販売員には求められる。
    • その上で更に、運用を通じてサステナビリティに係る課題解決を実現していくという観点は、個人投資家の市場においてはあまり浸透していないため、伝え方の工夫も含め、課題がある。
    • 投資先の企業に対するエンゲージメントの結果を含め、ポートフォリオに組み込まれている個別企業の具体的な事例を知ってもらうことで、個人の資産を通じてどう社会が良くなっているかを伝えることが、購入動機にもつながるのではないか。
  • 2020年運用残高上位5位のアクティブ運用投資信託の運用方針の説明内容
    • ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)
      • 日常生活に不可欠な公益サービスを提供する世界の公益企業が発行する株式を主な投資対象とします。公益企業には電力・ガス・水道・電話・通信・運輸・廃棄物処理・石油供給などの企業が含まれます。これらの公益株の中から、配当利回りの高い銘柄に注目して投資を行います。
    • グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)
      • ボトムアップ・アプローチを基本に、持続可能な競争優位性を有し、高い利益成長が期待される銘柄を選定します。積極的なESG課題への取り組みとその課題解決を通じて、当該企業の競争優位性が持続的に維持され、成長が期待される銘柄に注目します。上記を通じて、当ファンドの運用におけるESGの観点に強く適合した企業の成長の促進をめざします。
    • グローバル・プロスペクティブ・ファンド
      • 主に、世界の上場株式の中から、破壊的イノベーションを起こし得るビジネスを行なう企業の株式を実質的な投資対象とします。イノベーションの普及度合いや市場での評価は時間と共に変化することから、投資対象とするイノベーションは固定せず、随時見直しを行ないます。
    • アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型
      • 企業のファンダメンタルズ分析と株価バリュエーションに基づく銘柄選択を基本としたアクティブ運用を行います。高い利益成長もしくは持続的な利益成長の可能性が高いと判断される企業を発掘します。
      • ファンダメンタルズ・リサーチにおいては、財務分析だけでなく、ESG(環境、社会、ガバナンス)など非財務分析も考慮に入れ、多面的な企業分析により持続的な成長企業を選別します。
    • グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)
      • ポートフォリオの構築にあたっては、投資アイデアの分析・評価や、個別企業の競争優位性、成長力の評価に基づき選定した質の高いと考えられる企業(「ハイクオリティ成長企業」といいます。)の中から、市場価格が理論価格より割安と判断される銘柄を厳選して投資を行います。
  • 大手金融機関グループに属さないいわゆる独立系国内運用会社の投信の運用方針の説明内容の一例
    • ひふみプラス
      • 長期的な産業のトレンドを勘案しつつ、定性・定量の両方面から徹底的な調査・分析を行ない、業種や企業規模にとらわれることなく、長期的な将来価値に対してその時点での市場価値が割安と考えられる銘柄に長期的に選別投資します。
    • セゾン・グローバルバランスファンド
      • インデックスファンドへの投資を通じて、世界各国の株式および債券に実質的に分散投資します。投資対象ファンドへの配分比率は、各地域の株式および債券市場の時価総額(規模)を勘案して決定します。また、配分比率は適宜見直しを行います。
    • さわかみファンド
      • 経済の大きなうねりをとらえて先取り投資することを基本とし、その時点で最も割安と考えられる投資対象に資産を集中配分します。その投資対象資産の中で、将来価値から考えて市場価値が割安と考えられる銘柄に選別投資し、割安が解消するまで持続保有する「バイ・アンド・ホールド型」の長期投資を基本とします。
    • スパークス・新・国際優良日本株ファンド
      • 高い技術力やブランド力があり、今後グローバルでの活躍が期待出来る日本企業を中心に投資します。ベンチマークは設けず、20銘柄程度に厳選投資を行います。原則として短期的な売買は行わず、長期保有することを基本とします。
    • コモンズ30ファンド
      • 長期安定株主として企業に寄り添い、企業の長期的な価値創造に貢献します。投資家に対して、本格的な長期資産形成の手段を提供します。非財務情報となる「見えない価値」の多面的な評価を通じて、世代を超えて「進化」し企業価値創造を続けることができると判断した強い企業のみに投資します。
    • 東証REIT ETF
      • 東証REIT指数を対象指標とし、対象指標に採用されている不動産投資信託証券への投資を行うことにより、基準価額の変動率を対象指標の変動率に一致させることを目指します。
    • 結い 2101
      • 国内を中心に、事業性と社会性を兼ね備え、社会の持続的発展に貢献する「いい会社」の株式に分散投資します。高い収益を追求するのではなく、相場変動等による値下がり時の不安を軽減する「守りながらふやす」運用を目指します

金融庁 「金融庁職員」等を装った詐欺等にご注意ください!!
  • 「金融庁職員」等が個人の個人情報をお聞きしたり、金銭の支払いを求めることなどはありません!!
  • 金融庁や証券取引等監視委員会の職員を装った、詐欺的な行為に関する相談が寄せられております。
  • 個人情報の収集
    • 金融庁職員を名乗る者から「銀行の顧客名簿が流失し、あなたの個人情報が漏洩した。クレジットカードが不正に作成された恐れがある。調査に当たり、口座名義人や口座番号、生年月日等を確認したい。」などと言われ、個人情報を伝えてしまった。
    • 警察、銀行等を名乗る者から電話があり、口座が不正に利用されており、後ほど金融庁から連絡が入ると言われた後、金融庁職員を名乗る者から調査協力依頼があったので、キャッシュカードを預け、暗証番号も伝えてしまった。
    • 警察や郵便局を名乗る者から電話があり、クレジットカードの不正利用がなされ、明日引き落としがなされる等と言われ、その直後、金融庁職員を名乗る者から「警察と連携する。」「救済制度につなぐ。」などと言われ、生年月日等の個人情報や銀行の口座番号を尋ねられた。
      • →金融庁職員が、電話や自宅を訪問し、口座番号や暗証番号、生年月日等の個人情報をお聞きすること、キャッシュカードをお預かりすることはありません。
  • 金銭の要求
    • 金融庁職員を名乗る者が自宅を訪問し、災害被害者への寄付を要求された。
    • 個別の会社名等を名乗る者から、入居権や債券の購入権等を代理で購入するとの電話があり、その後、金融庁や証券取引等監視委員会を名乗る者から、これらの取引方法等が法令違反であるとして、取消し等のために金銭を要求された。
    • パソコンの画面に、ウイルスが検出されたとの警告画面を表示させ、駆除を名目に金融庁指定の銀行口座に金銭を振り込むよう要求された。
      • →金融庁指定の口座を案内されますが、金融庁が口座を指定して振り込ませることはありません。絶対に振り込まないでください。
    • クレジットカード会社を名乗る者から、「あなたのクレジットカードに不正使用があり、マネロンの疑いがあることから、海外捜査当局(FBI等)による捜査が行われる。後刻、金融庁から連絡があるので、その指示に従うこと」という電話が入る。次いで、金融庁職員を名乗る者から電話があり、「生年月日等の個人情報や預金口座の状況を聴取後、マネロンの疑いによる口座凍結を煽られ、指定する他人名義の銀行口座へ入金すること」との指示があった。なお、偽造された金融庁職員の名刺や海外捜査当局の文書が送付されることもある。
      • (参考)PDF偽造名刺の例
      • →金融庁職員がそのような連絡をすることはありません。また、金融庁が口座を指定して金銭等を振り込ませることはありません。絶対に振り込まないでください。
  • 融資
    • 個別の団体の職員を名乗る者から「資金を提供(融資を実行)したい。資金受取の手続きは、金融庁幹部職員が対応するため、面談されたい。」との連絡があった。
      • →資金の提供や融資の実行に当たり、金融庁職員が対応することはありません。
  • 投資勧誘
    • 事業者から投資勧誘の電話が繰り返しかかってきた後、金融庁や証券取引等監視委員会を名乗る者から、「安心してよい」との連絡があった。
    • 事業者からの投資勧誘を受け金銭を支払ったところ、金融庁や証券取引等監視委員会を名乗る者から、当該投資について追加の出資または取引の継続が必要となるといった連絡があった。
    • 金融庁や証券取引等監視委員会を名乗る者から、過去の投資詐欺等について被害の回復を受けるためには、別の投資商品の購入や手数料等の支払いを行う必要があるといった連絡があった。
      • ※投資対象として、「未公開株」・「私募債」・「ファンド」・「エネルギー資源」・海外の「不動産所有権」や「農地の権利」など様々な投資商品について、同様のトラブルが発生しています。
      • →金融庁職員や証券取引等監視委員会職員が、個別の投資について、情報提供やアドバイスを行うなど関与することはありません。
    • (参考)
    • 金融庁の職員を名乗り、預金口座の番号を聞き出す等して財産を狙う詐欺事案の相談が多数みられます。
  • 怪しいと思ったら…
    • 上記のようなケースに限らず、不審に思った場合は、安易に個人情報等を伝えたりお金を振り込んだりせず、最寄の警察や金融庁金融サービス利用者相談室に情報提供・ご相談をお願いします。

【2024年2月】

金融庁 「インパクト投資等に関する検討会」(第9回)議事次第
▼資料1 インパクト投資に関する基本的指針(案)
  • 基本的要素1:実現を「意図」する「社会・環境的効果」が明確であること
    • 一定の「投資収益」確保を図りつつ、「社会・環境的効果」の実現を企図する投資として、投資を通じて実現しようとする社会・環境的効果が明確であること
    • 実現に向けた投資の戦略や方針が示され、またこれに基づく対話を通じ、投資先の事業が如何にして市場を拡大・開拓・創造し、又はその支持を得て、社会・環境的効果と収益の双方を実現するか、長期的に実現する場合を含め具体化されていること
    • 社会・環境的効果の創出を目的とするファンドを設定する場合は、ファンド単位でこうした効果と市場創造に関する基本的な戦略・方針等を明確化すること
    • 意図する目標が、投資家・金融機関の経営戦略・投資方針等との関係で明確であること
    • 投資先企業の事業上の意図が、投資家・金融機関の意図と基本的に整合していることを確認し、投資後の投資先との対話の方針が検討されていること
    • 「意図」と異なる他の社会・環境的効果への重大な負の副次的効果等も考慮し投資が実行されていること
  • 基本的要素2:投資の実施により、効果の実現に貢献すること
    • 投資の実施により、当該投資がなかった場合と比べて、投資先の企業・事業が社会・環境的効果と事業性を創出することが、長期的に実現する場合を含め具体的に見込まれること
    • 資金支援に止まらず、エンゲージメント等による非資金的な支援も含めて適切な貢献の手法を検討し、実施するとしていること
  • 基本的要素3:効果の「特定・測定・管理」を行うこと
    • 投資により実現する「効果」が、定量的又は定性的に「特定・測定・管理」されること
    • 具体的には、投資家・金融機関において、「社会・環境的効果」について、市場特性・規模・広がり、潜在力等を特定した上で、投資の実行後も含めて継続的に、測定・管理が行われること
    • 特定・測定・管理で参照する指標等の手法については、国際的に整備された枠組みを参考とし又は活用するなど、客観性を確保するための適切な検討を行うこと
    • 投資・事業の推進に係る関係者間の対話に資するよう、参照する指標等や、投資効果の特定・測定・管理の方法と実績等について、関係者に適切に開示されること
  • 基本的要素4:市場や顧客に変革をもたらし又は加速し得るよう支援すること
    • 投資先の企業・事業が具体的な「社会・環境的効果」と事業性を創出するよう、投資先の企業・事業について、市場や顧客に変革をもたらし、又は加速し得る特性・優位性を見出し支援していくこと
    • 投資先企業等との対話等についても、企業等の有する潜在性を引き出し、市場の拡大・開拓・創出・支持の実現につながるよう実施していくこと

金融庁 業界団体との意見交換会において金融庁が提起した主な論点
▼ 主要行等
  • 令和6年能登半島地震への対応について
    • 冒頭、1月1日夕刻に発生した令和6年能登半島地震においてお亡くなりになった方に改めて心からお悔やみを申し上げるとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞いを申し上げる。
    • 今回の地震に伴う災害等に対し、石川県、富山県、福井県及び新潟県に災害救助法が適用されたことを受け、適用地域を管轄する北陸財務局及び関東財務局より日本銀行との連名で「金融上の措置要請」を関係金融機関等に発出した。
    • 被災地で営業している金融機関においては、顧客及び従業員の安全に十分配慮した上で、こうした要請も踏まえ、被災者の声やニーズを十分に把握の上、被災者の立場に立ったきめ細かな対応を改めてお願いしたい。
    • 特に、今後住宅ローンなどの返済に関し、被災者から「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」の手続着手の申出が増加する見込みであるところ、主たる債権者は、当該ガイドラインの要件に該当しないことが明白である場合を除いて、当該申出への不同意を表明してはならないと規定されており、まずは、登録支援専門家(弁護士等)につないだ上で内容の精査をするという実務になっていることに留意されたい。
    • また、今回の災害を踏まえた特例措置として、寄付のための現金振込みや被災者が本人確認書類を亡失した場合等において、本人確認を簡素化、柔軟化できることとする犯罪収益移転防止法施行規則の一部改正が1月11日に公布・施行された。
    • これを踏まえ、金融庁では同日付で要請文を発出したところだが、今般の改正については、犯罪収益の移転や義援金詐欺に悪用されることのないよう、災害義援金募集のための口座開設の申出に応じる場合には取引時確認を厳格に行う等、適切な対応に努めていただきたい。
    • さらに、被災者のために有益な情報を提供できるよう、金融庁ウェブサイトに今般の地震に関する特設ページを開設するとともに、被災者と金融機関との取引に関する問合せ・相談を受け付けるため、「令和6年能登半島地震金融庁相談ダイヤル」を開設した。
  • 事業者支援について
    • コロナ禍を経て、実質無利子・無担保融資の返済が本格化する中、資金繰り支援に注力した段階から、一歩先を見据えて、事業者の実情に応じた経営改善・事業再生支援等に取り組むという新しい段階へと移行していく必要がある。
    • こうした認識のもと、経営改善・事業再生支援の本格化を推進するため、金融機関等による一歩先を見据えた早め早めの対応を促すとともに、事業者に対するコンサルティング機能の強化に関する監督上の着眼点等を盛り込んだ監督指針改正案を公表し、1月31日、パブリックコメントの結果等を公表したところ。
    • 今後所要の修正を行った上で、4月1日から適用開始する予定だが、主要行等においては、適用開始を待つことなく、その趣旨を十分に理解いただき、営業現場の第一線にまで、それを浸透させるとともに、新しい段階における事業者支援を徹底していただくよう、お願いする。
    • また、能登半島地震で被災された事業者等については、今後、被災状況の全容等が明らかとなってくる中で、復興・再建に向けた具体的な支援ニーズが出てくることになる。地震の影響を受けている事業者等の復興・再建の支援に万全を期するべく、政府としても取り得るあらゆる施策を講じていくので、主要行等においても、そうした事業者等に最大限寄り添った柔軟かつきめ細かな支援の徹底をお願いする。
  • フィッシング対策の強化について
    • 2023年初から11月末までにおけるフィッシングによるものとみられるインターネットバンキングにおける預金の不正送金の被害件数及び被害額は、いずれも過去最多を更新し、被害件数5,147件、被害額約80億円となっている。これを踏まえ、2023年12月25日に、金融庁及び警察庁から改めて、一般利用者向けに注意喚起を行っている。また、預金取扱金融機関以外の金融機関の顧客に対しても、フィッシング攻撃による被害が発生している。
    • 被害が発生してから対策を講ずるのではなく、予め対策を進めていただきたい。顧客本位の経営の実現には、顧客資産を守ることが不可欠である。対応が不十分と認められる場合は、経営陣自らの問題としてしっかりと対応していただきたい
▼ 全国地方銀行協会/第二地方銀行協会
  • マネー・ローンダリング対策について
    • 態勢整備の期限が2024年3月末に迫る中、各行におかれては、経営陣のリーダーシップのもと、対応いただいているものと承知している。
    • 各行における態勢整備の進捗については、協会の皆様の協力のもと、2023年12月末時点の状況をアンケートの形で把握させていただいているところ。その結果、態勢整備に遅れが見られる先については、速やかな対応を促すべく、個別にお声がけさせていただく予定。
    • 各行におかれては、3月末までに業界全体として態勢整備を完了すべく、適切に自己点検を実施し、把握された未対応事項について計画的に取り組んでいただきたい。
    • なお、これまでも申し上げてきたが、来年度以降も態勢整備が不十分な金融機関に対しては、必要に応じ、個別に行政対応を検討していくことを改めてお伝えさせていただく。
  • 共同データプラットフォームに係る高粒度データの報告徴求について(第二地銀協のみ)
    • 金融機関と当局の間で実効的・効率的なデータ収集・管理を行うための共同データプラットフォームについては、
      • 2022事務年度に、主要行と一部の地銀を対象に行った実証実験を通じて、金融機関から提出いただく様々な計表の代替可能性や、モニタリングや分析の高度化に高粒度データを活用できる余地が大きいことを確認した。
      • 実証実験の結果も踏まえ、第二地銀については、これまで、高粒度データの提出可能時期や負担感等を確認するアンケートに御協力をいただいたところ。
    • こうしたアンケート結果も踏まえ、今般、2023年9月期のデータをトライアルデータとして提出いただき、フォーマットを確定のうえ、2025年3月期データより定期徴求を開始したいと考えている。
    • 共同データプラットフォームは新しい取組みであり、金融機関における十分な準備・確認期間を考慮したスケジュールとするなど、引き続き各金融機関の負担に配慮しつつ進めていきたいと考えているので、御協力いただけると幸い。

金融庁 「主要国におけるファンドを介したクロスボーダー取引に係る租税条約の適用に関する調査」の公表
▼ 「主要国におけるファンドを介したクロスボーダー取引に係る租税条約の適用に関する調査」
  • OECDコメンタリーにおける整理
    • OECDコメンタリーは、「広範に保有され、多様な有価証券ポートフォリオを有し、設立国における投資家保護規則の対象となるファンド」をcollective investment vehicles (CIVs)として、これについて租税条約の適用可能性について一定の解釈を示している。以下では、OECDコメンタリーで示されている「者」、「居住者」および「受益者」に該当するか否かの判断基準を整理する。
      • 「者」(Person)の該当性
        • 「者」には、個人、法人、その他の団体が含まれ、この法人とは、租税法上、法人格を有するものとして取り扱うものをいうこととされている。OECDコメンタリーでは、CIVがこの「者」として扱われるか否かは、まずは法律上の形態で判断するべきとしており、一般に、法人として組織されたCIVは「者」として取り扱われるものと考えられる。そして、法人以外にも、CIVの設定国によって信託、契約形態等さまざまな法形式のビークルが存在し、さらに、租税法上の取扱いとして、信託、または、信託の受託者を課税主体とする国もあることに鑑みると、「者」の定義は、広い意味で解釈すべきであるとしている。
      • 「居住者」該当性
        • 「居住者」とは、居住地国において課税を受けるべきもの(liable to tax)とされている者をいう。OECDコメンタリーでは、CIVが「居住者」として扱われるか否かは、その設立地国における課税上の取扱いにより判断するべきとしている。つまり、CIVが課税主体となる場合には「居住者」として取り扱われるものと考えられるが、CIVが受領したある所得に対してCIVレベルでは課税されず、当該CIVの受益権の持分所有者が課税される場合には、CIVは透明な事業体であり、「居住者」としては取り扱わないとしている。
        • また、(i)原則として課税主体と取り扱った上で、CIVの集団投資のためのビークルであるという性質に鑑み、分配に関する最低限度額など一定の要件を充足した場合に免税とする、(ii)投資家への分配額を参照して課税を減免する、(iii)CIVに対しては特別な優遇税率を適用する、さらに、(iv)二重課税の排除を目的として、CIVに対して、投資家レベルと合わせて課税する国もある。これらの例におけるCIVは、その設立国において、実際には租税を課されなかったとしても、包括的な課税の対象とされ、居住者として取り扱われているため、租税条約の適用においても「居住者」として取り扱うこととしている11。さらに、CIVが(一定の要件を満たせば)免税とされていたとしても、免税となるための要件が十分に厳格であると考えられればCIVが居住者として取扱われるための要件を満たしていると考えられる。
      • 「受益者」該当性
        • CIVは、「広範に保有され、多様な有価証券ポートフォリオを有し、設立国における投資家保護規則の対象となるファンド」を前提としており、ファンドマネージャーが投資資産の運用に関して重要な機能を果たしている。
        • CIVの投資家としての立場は、投資資産の所有者としてのそれとは法律的および経済的観点から実質的に異なることに鑑みると、CIVが受領する所得について、投資家を受益者として課税するのは適当ではない、としている。
        • したがって、CIVのファンドマネージャーが投資資産を運用する裁量権を有する限り、CIVが受領する配当等については、当該CIVが受益者であるとしている。

金融庁 第三者への資金移動が可能な暗号資産交換業者への不正送金対策の強化について
  • 現在、インターネットバンキングに係る不正送金事犯をはじめ、還付金詐欺や架空料金請求詐欺等をはじめとする特殊詐欺の被害金が、暗号資産交換業者あてに送金される事例が多発している情勢を踏まえ、2月6日、金融庁は下記の団体等に対して、警察庁と連名で、暗号資産交換業者あての送金利用状況などリスクに応じ、次の対策事例も参考にしつつ、利用者保護等のための更なる対策の強化を要請しました。
  • 暗号資産交換業者への不正な送金への対策事例
    • 振込名義変更による暗号資産交換業者への送金停止等
      • 暗号資産交換業者の金融機関口座に対し、送金元口座(法人口座を含む。)の口座名義人名と異なる依頼人名で行う送金については、振込・送金取引を拒否する。
      • この際、あらかじめ、ウェブページ等により利用者への周知を図る。
    • 暗号資産交換業者への不正な送金への監視強化
      • 暗号資産と法定通貨との換金ポイントとなる暗号資産交換業者との取引に係る取引モニタリングは、リスク低減措置の実効性を確保する有効な手法であることからパターン分析のためのルールやシナリオの有効性について検証・分析の上、抽出基準の改善を図るなど、暗号資産交換業者への不正な送金への監視を強化する。
  • 要請先
    • 一般社団法人全国銀行協会
    • 一般社団法人全国地方銀行協会
    • 一般社団法人第二地方銀行協会
    • 一般社団法人全国信用金庫協会
    • 一般社団法人全国信用組合中央協会
    • 一般社団法人全国労働金庫協会
    • 株式会社ゆうちょ銀行
    • 農林中央金庫
    • 株式会社商工組合中央金庫
  • 警察庁ウェブサイト
    https://www.npa.go.jp/bureau/cyber/koho/news/20240206.html

【財務省】

【2024年3月】

関東財務局 FTX Japan株式会社に対する行政処分について
  • FTX Japan株式会社(本社:東京都千代田区、法人番号:7010401115356、以下「当社」という。)に対して令和5年12月8日付で発出した資産の国内保有命令の期限が令和6年3月9日に到来するものの、当社は、親会社であるFTX Trading LimitedによるFTXグループ会社に係る米国連邦破産法手続の対象に含まれている状況であり、当社の資産が国外の関連会社等に流出し、投資者の利益が害されるといった事態を招かぬよう、引き続き、万全を期する必要がある。
  • 当社のこうした状況は、金融商品取引法(昭和23年法律第25号。以下「法」という。)第56条の3に定める「公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認める場合」に該当するものと認められる。
  • 以上のことから、本日、当社に対し、法第56条の3の規定に基づき、下記のとおり行政処分を行った。なお、令和4年11月10日付で命じた法第51条の規定に基づく業務改善命令は継続している。
  • 資産の国内保有命令
    • 令和6年3月10日から令和6年6月9日まで、各日において、当社の貸借対照表の負債の部に計上されるべき負債の額(保証債務の額を含む)から非居住者に対する債務の額を控除した額に相当する資産を国内において保有すること(公益又は投資者保護の観点から問題がないものとして、当局が認めた場合を除く)。

【警察庁】

【2024年4月】

警察庁 令和5年度犯罪被害類型別等調査 調査結果報告書
▼ 報告書全体版
  • 犯罪被害者等と一般対象者との比較
    • 犯罪被害者等は、一般対象者と比較して、転居、休学・休職、中退・転校、辞職・転職、家族間不和、長期入院、別居・離婚等との回答比率が高く、生活や対人関係への影響がうかがえる。
    • 犯罪被害者等は、一般対象者と比較して、過去30日間に身体上の問題を感じたとの回答比率が高く、一般対象者よりも高い割合で身体上の問題を抱えている。
    • 犯罪被害者等は、一般対象者と比較して、過去30日間に精神的な問題や悩みを感じたとの回答比率、重症精神障害相当の状態に達している比率、孤独感を感じている比率が高い上、直近1年間で仕事や日常生活を行えなかったと感じた日数も多く、一般対象者よりも高い割合で精神的な問題を抱えている。
    • 犯罪被害者等は、一般対象者と比較して、生活に困難を感じているとの回答比率が高い。
  • 犯罪被害類型別の特徴
    • 事件と関連がある生活上の変化について、配偶者暴力は別居・離婚(36.0%)、ストーカー行為等(以下「ストーカー」という。)は中退・転校や辞職・転職(23.2%)、児童虐待は家庭間不和(31.2%)、交通事故、暴力被害は休学・休職(それぞれ25.0%、22.9%)が最も多くなっている。
    • 過去30日間に身体上の問題を感じたとの回答比率は、暴力被害(45.9%)、配偶者暴力(40.4%)、児童虐待(38.5%)の順で高く、事件と関連があるとする割合は、ストーカー(55.5%)、性的な被害(38.7%)、暴力被害(36.0%)の順で高い。
    • 過去30日間に精神的な問題や悩みを感じたとの回答比率は、配偶者暴力(51.8%)、暴力被害(49.5%)、児童虐待(45.9%)の順で高く、事件と関連があるとする割合は、児童虐待(58.0%)、ストーカー(54.2%)、配偶者暴力(50.8%)の順で高い。直近1年間で仕事や日常生活を行えなかったと感じた日数は、児童虐待(50.0日)、暴力被害(44.2日)の順で多い。
    • 経済的状況について、配偶者暴力、暴力被害、児童虐待では、生活に困難を感じている割合が他類型と比較して高い傾向がみられる。
  • 通報・相談状況
    • 警察への通報率は、交通事故(83.6%)が最も高く、次いで財産被害(62.5%)となっている。一方、児童虐待(3.7%)、性的な被害(10.9%)、配偶者暴力(15.7%)では低い。また、加害者と面識のある場合に通報率が低くなっている。
    • 被害にあった際の相談状況について、犯罪被害者等全体で44.2%がどこにも(誰にも)相談していないと回答しており、その割合は、犯罪被害類型別にみると、児童虐待(84.4%)、性的な被害(51.3%)、配偶者暴力(50.9%)の順で高く、被害の時期別にみると、10年以上前(50.7%)、10年前から3年前の間(30.8%)、3年以内(25.5%)と近年になるほど低くなっている。最初に相談した相手・機関は、多くの類型で家族との回答比率が高い。
    • 被害にあってから最初に通報・相談するまでに要した期間は、交通事故、性的な被害、財産被害、暴力被害は1日未満との回答比率が高い。一方、ストーカーでは1週間以上1か月未満、児童虐待では3年以上との回答比率が高い。
    • 警察に通報・相談しなかった理由について、児童虐待、性的な被害では低年齢であったため、配偶者暴力では警察に相談するほどの被害ではなかったからとの回答比率が最も高い。また、どこにも(誰にも)相談しなかった理由についても、児童虐待、性的な被害、配偶者暴力では同様の回答比率が高い。
    • 警察を含む関係機関・団体に通報・相談しやすくなるための条件について、ストーカー、配偶者暴力、性的な被害、児童虐待では守秘性を重視する回答が多い。さらに、女性の場合は、男性に比べ、希望する性別の職員に対応してもらえること、周りの人に知られずに相談できることとの回答比率が高い。地方公共団体や民間の機関・団体等に対しては、無料相談できることとの回答も多い。
    • 事件後に気持ちが傷つけられた相手について、児童虐待、配偶者暴力、暴力被害では家族・親族との回答比率が高く、配偶者暴力では加害者関係者との回答比率も高くなっている。また、事件後に精神的・情緒的に支えられた相手については、いずれの類型でも家族・親族、友人・知人との回答比率が高い。
  • 児童虐待の被害状況
    • 児童虐待の加害者は、父(50.5%)、母(27.5%)が多くを占める。
    • 自分以外に被害にあっていた人は、49.5%がいないと回答しており、被害者としては兄弟姉妹(38.5%)、母(27.5%)との回答比率が高い。
    • 虐待に気づいていた人は、母(37.6%)、兄弟姉妹(28.4%)、祖父母(11.9%)の順で回答比率が高い。一方、気づいていた人がいないとの回答比率も35.8%と高くなっている。
    • 虐待に気づいていた人の介入状況について、72.9%が介入者はいないと回答しており、介入者としては母(15.7%)、祖父母(5.7%)、兄弟姉妹(4.3%)の順で回答比率が高い。
  • 配偶者暴力・ストーカー行為等の再被害の状況
    • 被害後の対処行動について、配偶者暴力では自衛のための行動はとっていない(36.0%)、別居・離婚した(34.2%)、ストーカーでは自分が相手に働きかけた(26.4%)、自分以外の人に相手に働きかけてもらった(25.6%)との回答比率が高い。
    • 警察への通報率は、配偶者暴力で15.7%、ストーカーで32.0%、行政への相談率は、配偶者暴力で3.5%、ストーカーで1.6%となっている。また、通報・相談を受けて警察や行政がとった対応は、配偶者暴力では措置を希望しなかった(31.8%)、ストーカーでは警察が加害者を呼び出して警告した(33.3%)との回答比率が最も高い。
    • 警察や行政に通報・相談した後に再被害を受ける不安を感じたとの回答比率は、配偶者暴力で95.5%、ストーカーで85.7%と非常に高くなっている。また、再被害を受けたとの回答比率は、配偶者暴力で63.6%、ストーカーで40.5%となっている。
  • 被害と加害者との関連
    • 加害者の属性について、財産被害、交通事故では知らない人・わからない人、配偶者暴力では配偶者・交際相手、児童虐待では家族が大多数を占める。ストーカーでは知人・友人・職場・学校の関係者、知らない人・わからない人、性的な被害では知らない人・わからない人、知人・友人・職場・学校の関係者の順に多く、暴力被害では加害者構成が多様である。また、配偶者暴力、児童虐待では、加害者が家族である場合に被害が長期化している傾向がうかがえる。
    • 警察への通報率は、加害者が家族の場合(15.6%)に最も低く、知人・友人・職場・学校の関係者、配偶者・交際相手、知らない人・わからない人の順に高くなっている。また、加害者が家族の場合にはどこにも(誰にも)相談をしなかったとの回答も多い(72.7%)。
    • 被害からの回復状況について、半分以上回復したとの回答比率は、加害者が家族の場合(62.6%)に最も低くなっている。
  • 被害の構造に関する考察
    • 身体上の問題が事件に関係している、あるいは、精神的な問題が事件に大いに関係していると認識している回答者は、重症精神障害相当の状態に達している比率、孤独感を感じている比率、仕事や日常生活が行えなかった日数ともに高い数値となっている。
    • 身体上の問題と事件が関係していると認識している回答者は、精神的な問題と事件が関連しているとの回答比率も高くなっており(逆も同様)、事件に関する身体上の問題と精神的な問題が相互に密接に関連していることがうかがえる。
  • 加害者による損害賠償状況
    • 事件に関連して受領した給付、支給、賠償について、犯罪被害者等全体で79.9%がいずれも受けていないと回答しており、加害者からの賠償(加害者側保険の支払を除く)を受けたとの回答比率は3.1%にとどまっている。
    • 加害者側との損害賠償に関する訴訟・交渉等について、犯罪被害者等全体で88.0%が訴訟・交渉等を行っていないと回答しており、その割合は、被害の時期別にみると、10年以上前(91.5%)、10年前から3年前の間(81.8%)、3年以内(76.5%)と近年になるほど低くなっている。訴訟・交渉等を行って賠償額が定まった回答者のうち賠償が支払われた割合は、半分以上支払われたとの回答比率が32.2%、全く支払われていないとの回答比率が18.6%となっている。
    • 訴訟・交渉等を行っていない又は合意に至らなかった場合の加害者側の賠償の支払状況について、93.2%が支払なしと回答している。また、訴訟・交渉等を行わなかった理由は、手続がわからなかったから(32.5%)、加害者側と関わりたくないから(27.6%)との回答比率が高くなっている。
  • 回復状況とその影響要因
    • 被害からの回復状況について、多くの類型で半分以上回復したとの回答が約8~9割を占める中、児童虐待は65.1%にとどまっており、児童虐待、暴力被害、配偶者暴力では、回復度が2割以下との回答比率が他の類型に比べて高い。
    • 加害者との関係別にみると、半分以上回復したとの回答比率は、加害者が無関係の人・知らない人、交際相手・元交際相手等の場合に高い一方、父、母等の場合には比較的低くなっている。また、加害者との面識がない回答者は、面識がある回答者と比較して、回復度が高い。
    • 生活上の変化別にみると、半分以上回復したとの回答比率は、学校や職場・地域の人々との関係が親密になった、結婚した、こどもが生まれた、転居したなどとの回答がある場合に高くなっている。
    • 経済的状況に関する意識別にみると、半分以上回復したとの回答比率は、生活にとても困っているとの回答の場合は59.1%であり、他の場合と比べて低くなっている。
    • 相談の有無別にみると、半分以上回復したとの回答比率は、相談経験がある場合が87.6%であるのに対し、相談経験のない場合は80.6%となっている。
  • 支援・制度の利用状況とニーズ
    • 支援を受けた/制度を利用した機関・団体について、犯罪被害者等全体で74.8%がいずれの機関・団体の支援も受けていない/制度も使っていないと回答しており、その割合は、被害の時期別にみると、10年以上前(82.0%)、10年前から3年前の間(58.7%)、3年以内(56.1%)と近年になるほど低くなっている。支援を受けた/制度を利用した機関・団体は、警察(16.6%)が最も多く、次いで医療機関(3.3%)、弁護士会(2.7%)となっている。
    • 被害直後に必要とした支援・配慮、現在必要としている支援・配慮は、ともに、どのような支援・配慮が必要かわからなかった(それぞれ46.0%、43.6%)との回答比率が最も高い。被害直後の具体的な支援・配慮としては、事件・被害に関する話を聞いてもらう(20.1%)、警察・検察との応対の手助け・付添い(12.5%)、精神的な支援(9.0%)の順で回答比率が高い。
    • 総合的対応窓口について、犯罪被害者等における認知度は15.6%であり、一般対象者における認知度は 2.8%である。利用状況は、犯罪被害者等全体で、窓口を知っていた方のうち、16.4%が利用したと回答している。犯罪被害者等における認知度及び利用率は、被害の時期別にみると、ともに近年になるほど高くなっている。

警察庁 令和5年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯等の取締り状況について
  • 過去5年間の風俗営業(接待飲食等営業、遊技場営業)の許可数(営業所数)は、継続して減少している。令和5年末の許可数は7万7,311件で、前年より1,623件(2.1%)減少した。
  • 過去5年間の接待飲食等営業の許可数(営業所数)は、継続して減少している。令和5年末の許可数は5万9,490件で、前年より745件(1.2%)減少した。
  • 過去5年間のぱちんこ等営業(まあじやん営業、ぱちんこ営業、その他)の許可数(営業所数)は、継続して減少している。令和5年末の許可数は1万3,906件で、前年より899件(6.1%)減少した。
  • 令和5年末の特定遊興飲食店営業の許可数(営業所数)は520件で、前年より26件(5.3%)増加した。
  • 令和5年末の深夜酒類提供飲食店営業の届出数(営業所数)は25万7,930件で、前年より2,800件(1.1%)減少した。
  • 過去5年間の業・映像送信型性風俗特殊営業・電話異性紹介営業)の届出数(営業所等数)は、継続して減少し、無店舗型性風俗特殊営業及び映像送信型性風俗特殊営業の届出数は、継続して増加している。
  • 令和5年の風営適正化法に基づく行政処分(取消し・廃止命令等、停止命令等、指示)件数は3,601件、違反態様別の件数は、取消・廃止命令等は65件、停止命令等は225件、指示は3,311件である。
  • 風営適正化法違反の主要検挙事例
    • 飲食店における無許可営業事件
      • 飲食店の経営者らは、公安委員会から風俗営業の許可を受けないで、店内において客に対し、女性従業員に接待をさせるとともに、酒類等を提供して飲食をさせるなど無許可で風俗営業を営んだ。令和5年6月、経営者らを風営適正化法違反(無許可営業)により検挙した。【鹿児島県警察】
    • メンズエステ店を仮装した店舗における禁止地域営業等事件
      • 被疑者らは、あらかじめ公安委員会に届出書を提出せず、かつ、営業所の所在地が条例で禁止された地域内であるにもかかわらず、メンズエステ店を仮装し、マンション個室において、男性客に対し女性従業員に性的サービスをさせ、店舗型性風俗特殊営業を営んだ。令和5年6月、被疑者らを風営適正化法違反(禁止地域営業)等により検挙した。【栃木県警察】
    • 飲食店における20歳未満の者に酒類等を提供する行為等事件
      • 飲食店の経営者は、無許可で風俗営業を営み、ホステスが20歳未満であることを知りながら同ホステスに酒類を提供した。令和5年10月までに、経営者を風営適正化法違反(無許可営業・20才未満の者に酒類等を提供する行為等)により検挙した。【三重県警察】
  • 売春防止法違反の主要検挙例
    • 売春グループによる出会い系サイト等を利用した売春の周旋事件
      • 売春グループ首魁の女らは、女性らに対し、出会い系サイト等を利用して募った不特定の男性客を売春の相手方として紹介した。令和5年7月までに、同首魁の女らを売春防止法違反(周旋)、首魁の女らに出会い系サイトのアカウントを販売した男らを同法違反(周旋)の幇助等で検挙した。【愛知県警察】
    • 外国人女性を自身が管理する貸店舗で売春させた売春の場所提供事件
      • 風俗店経営者の中国人の女は、同店従業員であるタイ人女性らを自身の管理する貸店舗に居住させ、不特定の男性客を相手に売春させた。令和5年7月までに、同中国人の女を売春防止法違反(場所提供業)等で検挙した。【群馬県警察】
  • わいせつ事犯(公然わいせつ・わいせつ物頒布等)の主要検挙例
    • サイトを利用したわいせつ電磁的記録記録媒体陳列事件
      • 被疑者らは、自らが運営するインターネット動画閲覧サイトを利用し、わいせつな画像データを閲覧するのに必要なURL等を記録・保存させ、インターネットを利用して不特定多数の者が閲覧できる状態にした。令和5年6月、被疑者らをわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪により検挙した。【警視庁】
    • 事務所におけるわいせつDVD頒布目的所持等事件
      • 被疑者らは、インターネットの販売サイトを利用してわいせつDVDを販売し、雑居ビルに設けた事務所において、わいせつDVDを販売目的で所持した。令和5年6月までに、被疑者らをわいせつ電磁的記録記録媒体有償頒布目的所持罪等により検挙するとともに、同事務所に保管していたわいせつDVD合計約9万枚を押収、同サイトのバナー広告を掲載していた者をわいせつ電磁的記録記録媒体頒布幇助等にて検挙した。【神奈川県警察】
  • ゲーム機等使用賭博事犯の主要検挙例
    • オンラインカジノを利用した常習賭博事件
      • 被疑者は、常習として、自宅に設置したパーソナルコンピュータを使用して、オンラインカジノサイトにインターネット接続して賭博を行い、その状況をインターネット上の動画配信サイトを利用してライブ配信していた。令和5年9月、被疑者を常習賭博罪により検挙した。【千葉県警察】
    • 決済システムを利用したオンラインカジノによる常習賭博幇助等事件
      • 被疑者らは、日本国内において、海外のオンラインカジノサイトで利用できる決済システムを開発、運用し、賭客らが携帯電話機等のインターネット通信機能を有する端末からオンラインカジノサイトにアクセスして賭博をした際、これを幇助した。令和5年9月までに、被疑者ら7人を常習賭博幇助で検挙し、賭客ら21人を単純賭博罪で検挙した。【警視庁、愛知県警察、福岡県警察】
    • 店舗によるオンラインカジノを利用した常習賭博等事件
      • 被疑者らは、常習として、店内にパーソナルコンピューターを設置し、ウェブサイトを利用して、賭客を相手方として賭博をした。令和5年3月、経営者らを常習賭博罪、賭客を単純賭博罪により検挙した。【大阪府警察】
    • スロット機賭博による常習賭博等事件
      • 被疑者らは、常習として、店内設置のスロット機を使用して、賭客を相手方として賭博をした。令和5年4月までに、同店経営者らを常習賭博罪等、賭客を単純賭博罪により検挙した。【岡山県警察】
  • 過去5年間の人身取引事犯の被害者の国籍は、8割以上が日本人であり、日本人被害者の年齢は、6割程度が18歳未満である。
  • 人身取引事犯の主要検挙例
    • 知人女性に暴行を加えるなどして売春をさせた管理売春事件
      • 無職の男は、知人女性に暴行や脅迫を加えた上、同人をホテル客室に居住させ、不特定の客を相手に売春をさせた。令和5年11月までに、同男を売春防止法違反(売春をさせる業)等で検挙した。【大阪府警察】
    • フィリピン人女性らをホステスとして稼働させた不法就労助長事件
      • 社交飲食店店長のフィリピン人の女は、「興行」の在留資格で在留し、資格外活動の許可を受けていないフィリピン人女性らのパスポートを取り上げるなどした上、同店のホステスとして稼働させた。令和5年6月、同社交飲食店店長の女を入管法違反(不法就労活動をさせる行為)で検挙した。【青森県警察】

警察庁 北朝鮮IT労働者に関する企業等に対する注意喚起
  • 国際連合安全保障理事会北朝鮮制裁委員会専門家パネルは、これまでの国際連合安全保障理事会決議に基づく対北朝鮮措置に関する報告書において、北朝鮮は、IT労働者を外国に派遣し、彼らは身分を偽って仕事を受注することで収入を得ており、これらが北朝鮮の核・ミサイル開発の資金源として利用されていると指摘しています。
  • また、2022年5月16日、米国が、国務省、財務省及び連邦捜査局(FBI)の連名で、このような北朝鮮IT労働者による活動方法や対応策等をまとめたガイドラインを公表したほか、同年12月8日、韓国が、外交部、国家情報院、科学技術情報通信部、統一部、雇用労働部、警察庁、公正取引委員会の連名で、同様のガイドラインを公表しました。さらに、2023年10月18日、米国及び韓国が共同で北朝鮮IT労働者に関する追加的な勧告を行うための公共広告(PSA)を発表するなど、北朝鮮IT労働者に関してこれまでに累次の注意喚起が行われています。
  • 我が国に関しても、北朝鮮IT労働者が日本人になりすまして日本企業が提供する業務の受発注のためのオンラインのプラットフォーム(以下「プラットフォーム」という。)を利用して業務を受注し、収入を得ている疑いがあります。また、北朝鮮IT労働者が情報窃取等の北朝鮮による悪意あるサイバー活動に関与している可能性も指摘されており、その脅威は高まっている状況にあります。
  • この点、北朝鮮に関連する国際連合安全保障理事会決議は、加盟国において収入を得ている全ての北朝鮮労働者の送還を決定するとともに、いかなる資金、金融資産又は経済資源も、北朝鮮の核・ミサイル開発の利益のために利用可能となることのないよう確保しなければならないと規定しているほか、このような北朝鮮IT労働者に対して業務を発注し、サービス提供の対価を支払う行為は、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号)等の国内法に違反するおそれがあります。
  • 各企業・団体においては、経営者のリーダーシップの下、北朝鮮IT労働者に対する認識を深めるとともに、以下に挙げるような手口に注意を払っていただきますようお願いいたします。また、プラットフォームを運営する企業においては、本人確認手続の強化(身分証明書の厳格な審査、テレビ会議形式の面接の導入等)、不審なアカウントの探知(不自然な情報の登録が通知されるシステムの導入等)といった対策の強化に努めていただきますようお願いいたします。
  • 北朝鮮IT労働者の手口
    • 北朝鮮IT労働者の多くは、国籍や身分を偽るなどしてプラットフォームへのアカウント登録等を行っています。その際の代表的な手口として、身分証明書の偽造が挙げられます。また、日本における血縁者、知人等を代理人としてアカウント登録を行わせ、実際の業務は北朝鮮IT労働者が行っている場合もあります。この場合、当該代理人が報酬の一部を受け取り、残りの金額を外国に送金している可能性があるほか、当該送金には、資金移動業者が用いられることがあります。
    • 北朝鮮IT労働者は、IT関連サービスの提供に関して高い技能を有する場合が多く、プラットフォーム等において、ウェブページ、アプリケーション、ソフトウェアの制作等の業務を幅広く募集しています。
    • 北朝鮮IT労働者の多くは、中国、ロシア、東南アジア等に在住していますが、VPNやリモートデスクトップ等を用いて、外国から作業を行っていることを秘匿している場合があります。
    • そのほか、北朝鮮IT労働者のアカウント等には、次のような特徴がみられることが指摘されています。業務上関係するアカウントや受注者にこれらの特徴が当てはまる場合には、北朝鮮IT労働者が業務を請け負っている可能性がありますので、十分に注意してください。
  • 主にプラットフォームを運営する企業向け
    • アカウント名義、連絡先等の登録情報又は登録している報酬受取口座を頻繁に変更する。
    • アカウント名義と登録している報酬受取口座の名義が一致していない。
    • 同一の身分証明書を用いて複数のアカウントを作成している。
    • 同一のIPアドレスから複数のアカウントにアクセスしている。
    • 1つのアカウントに対して短時間に複数のIPアドレスからのアクセスがある。
    • アカウントに長時間ログインしている。
    • 累計作業時間等が不自然に長時間に及んでいる。
    • 口コミ評価を行っているアカウントと評価されているアカウントの身分証明書等が同一である。
  • 主に業務を発注する方向け
    • 不自然な日本語を用いるなど日本語が堪能ではない。また、そのためテレビ会議形式の打合せに応じない。*口コミによる評価を向上させるため、関係者間で架空の評価を行っている場合が想定されます。*機械翻訳を用いている場合が想定されます。
    • プラットフォームを通さず業務を受発注することを提案する。*手数料負担の軽減、契約関係の継続等を目的としていることが想定されます。
    • 一般的な相場より安価な報酬で業務を募集している。
    • 複数人でアカウントを運用している兆候がみられる。*北朝鮮IT労働者は、チームで活動しているとの指摘があり、応対相手が時間帯によって変更されることなどが想定されます
    • 暗号資産での支払いを提案する。

警察庁 令和5年中における自殺の状況
▼ 令和5年中における自殺の状況 資料
  • 令和5年の自殺者数は21,837人であり、前年から44人減少した。男性は116人増加、女性は160人減少したが、20歳代以下の若者においては、男性は減少し、女性は大きく増加した。
  • 令和5年の自殺者数は21,837人で、前年と比べ44人(0.2%)減少。男女別にみると、男性は2年連続で増加したが、女性は4年ぶりに減少した。また、男性の自殺者数は、女性の約2.1倍となっている。
  • 職業別にみると、有職者(282人増)は増加し、学生・生徒等(44人減)及び無職者(309人減)は減少した。
  • 学生・生徒等のうち小中高生の自殺者数は前年と同水準の513人であり、男子生徒が34人減少した一方で、女子生徒は33人増加した。
  • 原因・動機別にみると、最も増加したのは経済・生活問題(484件増)であり、最も減少したのは健康問題(371件減)であった。原因・動機のうち最も増加した経済・生活問題の内訳をみると、生活苦(291件増)、事業不振(97件増)及び負債(その他)(89件増)が特に増加した。原因・動機のうち最も減少した健康問題の内訳をみると、病気の悩み・影響(うつ病)(221件減)及び病気の悩み(その他の身体疾患)(189件減)が特に減少した。
  • 令和5年の自殺死亡率は17.6となり、前年と比べ0.1ポイント上昇した。男女別にみると、男性は24.6で前年と比べ0.3ポイントの上昇、女性は10.9で前年と比べ0.2ポイントの低下となった。
  • 令和5年の月別の自殺者数は、3月(2,031人)が最も多く、12月(1,561人)が最も少なかった。令和5年の1月(1,871人)、3月(2,031人)及び4月(1,965人)の自殺者数は、直近5年間で最多となった。
  • 令和5年は前年と比べ、9歳以下、40歳代、70歳代及び80歳以上が減少し、その他の年齢階級は増加した。最も減少した年齢階級は80歳以上(120人減)であり、最も増加した年齢階級は50歳代(101人増)であった。
  • 令和5年は前年と比べ、70歳代及び80歳以上で低下し、9歳以下及び50歳代は横ばい、その他の年齢階級は上昇した。最も低下したのは80歳以上(-1.4ポイント)であり、最も上昇したのは30歳代(+0.7ポイント)であった。
  • 有職者は2年連続の増加となり、学生・生徒等及び無職者は前年から減少した。
  • 令和5年は前年と比べ、経済・生活問題、交際問題及びその他の問題が増加し、家庭問題、健康問題、勤務問題及び学校問題が減少した。
  • 令和5年は前年と比べ、23都道府県で増加し、24府県で減少した。最も増加したのは福岡県(73人増)であり、最も減少したのは大阪府(105人減)であった。
  • 令和5年は前年と比べ、23都道府県で上昇し、24府県で低下した。最も上昇したのは香川県(+4.0ポイント)であり、最も低下したのは富山県(-4.3ポイント)であった。
  • 令和5年の小中高生の自殺者数は513人であり、前年と比べ1人の減少となった。小学生は13人(4人減)、中学生は153人(10人増)、高校生は347人(7人減)であった。
  • 男性は、中学生が前年と同数となり、小学生(7人減)及び高校生(27人減)は減少した。女性は、小学生(3人増)、中学生(10人増)及び高校生(20人増)のいずれも増加した。令和5年の月別の小中高生の自殺者数は、10月(61人)が最も多く、2月(24人)が最も少なかった。令和5年の4月(53人)、7月(43人)及び10月(61人)の小中高生の自殺者数は、直近5年間で最多となった。
  • 令和5年の小中高生の原因・動機は、学校問題が最も多く(261件)、次いで健康問題(147件)、家庭問題(116件)となった。特に学校問題の内訳をみると、学業不振(65件)、進路に関する悩み(入試以外)(53件)、学校問題その他(51件)、学友との不和(いじめ以外)(48件)が多かった。
  • 自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きている。

【2024年3月】

警察庁 令和5年における組織犯罪の情勢
  • 暴力団構成員及び準構成員等(以下、この項において「暴力団構成員等」という。)の数は、平成17年以降減少し、令和5年末現在で2万400人となっている。このうち、暴力団構成員の数は1万400人、準構成員等の数は1万人となっている。また、主要団体等注2(六代目山口組、神戸山口組、絆會及び池田組並びに住吉会及び稲川会。以下同じ。)の暴力団構成員等の数は1万4,500人(全暴力団構成員等の71.1%)となっており、このうち暴力団構成員の数は7,700人(全暴力団構成員の74.0%)となっている
  • 匿名・流動型犯罪グループは、特殊詐欺をはじめ、組織的な強盗や窃盗、違法な風俗店、性風俗店、違法カジノ、違法なスカウト、ぼったくり、悪質リフォーム等に関わり、その収益を有力な資金源としている実態がうかがわれる。匿名・流動型犯罪グループの代表的な資金源となっている特殊詐欺や組織的強盗・窃盗等を敢行するに当たっては、SNS等を利用し、仕事の内容を明らかにせずに著しく高額な報酬の支払いを示唆するなどして、犯罪の実行犯を募集している実態が確認されている。また、募集に応募してきた者の個人情報を入手し、場合によってはその個人情報を基に応募者を脅迫するなどして、実行犯として犯行に加担させているだけでなく、実行犯に約束した報酬を支払わない事例が確認されている。特殊詐欺・強盗等の事件は、広域的に実行される上、首謀者や指示役が国外に所在するケースも珍しくなく、これら上位被疑者に捜査が及ばないよう、遠方から秘匿性の高い通信アプリを使用して実行犯に指示をするなどの特徴がみられる。匿名・流動型犯罪グループの中には、資金の一部を暴力団に上納するなど、暴力団と関係を持つ実態も認められるほか、暴力団構成員が匿名・流動型犯罪グループと共謀して犯罪を行っている事例もあることから、暴力団と匿名・流動型犯罪グループとの結節点の役割を果たす者が存在するとみられる。
  • 近年、暴力団構成員等(暴力団構成員及び準構成員その他の周辺者をいう。以下同じ。)の検挙人員は減少傾向にあり、令和5年においては、9,610人(-293人、-3.0%)である。主な罪種別では、覚醒剤取締法違反(麻薬特例法違反は含まない。以下同じ。)が1,912人(-229人、-10.7%)、詐欺が1,332人(-92人、-6.5%)、脅迫が289人(-81人、-21.9%)、暴行が527人(-75人、-12.5%)で、前年に比べそれぞれ減少した一方、強盗が237人(+91人、+62.3%)、大麻取締法違反が705人(+86人、+13.9%)、傷害が1,186人(+44人、+3.9%)、窃盗が889人(+42人、+5.0%)で、前年に比べそれぞれ増加している。暴力団構成員等の検挙人員のうち、構成員は1,974人(-155人、-7.3%)、準構成員その他の周辺者は7,636人(-138人、-1.8%)で、前年に比べいずれも減少している
  • 近年、暴力団構成員等の検挙人員のうち、主要団体等の暴力団構成員等が占める割合は約8割で推移しており、令和5年においても、7,773人で80.9%を占めている。なかでも、六代目山口組の暴力団構成員等の検挙人員は4,085人と、暴力団構成員等の検挙人員の約4割を占めている
  • 六代目山口組は平成27年8月末の分裂後も引き続き最大の暴力団であり、その弱体化を図るため、六代目山口組を事実上支配している弘道会及びその傘下組織に対する集中した取締りを行っている。令和5年においては、六代目山口組直系組長等7人、弘道会直系組長等11人、弘道会直系組織幹部(弘道会直系組長等を除く。)20人を検挙している
  • 暴力団構成員等の検挙状況を主要罪種別にみると、暴力団構成員等の総検挙人員に占める詐欺の割合は、過去10年にわたり10%前後で推移している。令和5年においては、13.9%と高い割合であり、詐欺による資金獲得活動が定着化している状況がうかがえる。特に、近年、暴力団構成員等が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与し、有力な資金源の一つとしている実態が認められる。その他、金融業、建設業、労働者派遣事業、風俗営業等に関連する資金獲得犯罪が行われており、依然として多種多様な資金獲得活動を行っていることがうかがえる。
  • 令和5年における暴力団構成員等に係る組織的犯罪処罰法のマネー・ローンダリング関係の規定の適用状況については、犯罪収益等隠匿について規定した同法第10条違反の事件数が39件、犯罪収益等収受について規定した同法第11条違反の事件数が15件である。また、同法第23条に規定する起訴前の没収保全命令の適用事件数は19件である
  • 平成23年10月までに全ての都道府県において暴力団排除条例が施行されており、各都道府県は、条例の効果的な運用を行っている。なお、市町村における条例については、令和5年末までに46都道府県内の全市町村で制定されている。各都道府県においては、条例に基づいた勧告等を実施している。令和5年における実施件数は、勧告46件、指導1件、中止命令7件、再発防止命令5件、検挙20件となっている。
  • 警察においては、都道府県暴力追放運動推進センター(以下「都道府県センター」という。)、弁護士会民事介入暴力対策委員会(以下「民暴委員会」という。)等と連携し、暴力団員等が行う違法・不当な行為の被害者等が提起する損害賠償請求等に対して必要な支援を行っている。暴力団対策法第31条の2(威力利用資金獲得行為に係る代表者等の損害賠償責任)の規定に基づく損害賠償請求訴訟(平成3年9月からの累計。警察庁に報告があったもの。)については、令和5年末現在で65件提起されており、このうち、係争中が20件、和解等による解決が45件となっている。また、上記損害賠償請求訴訟のうち、特殊詐欺に関するものは20件提起されており、このうち係争中が6件、和解等による解決が14件となっている。
  • 令和5年中、警察及び都道府県センターに寄せられた、暴力団からの離脱に関する相談(暴力団構成員のほか、その家族及び知人等からの相談を含む。)の受理件数は464件(就労に関する相談及び脱退妨害に関する相談等を含む。)となっている。令和5年中、警察及び都道府県センターが援助の措置等を行うことにより暴力団から離脱することができた暴力団員は約310人となっている。令和5年末現在、警察、都道府県センター、関係機関・団体等から構成される社会復帰対策協議会に登録し、暴力団離脱者を雇用する意志を有する事業者(以下「協賛企業」という。)数は1,613社で、令和5年中、同協議会を通じて就労した者は26人となっている。また、令和4年2月に、警察庁において策定した暴力団から離脱した者の預貯金口座の開設に向けた支援策により口座開設に至った件数は、同月から同年12月末までに7件で、令和5年中は8件となっている。
  • 令和5年における薬物情勢の特徴としては、以下のことが挙げられる。
    • 薬物事犯の検挙人員は、近年横ばいで推移し、令和4年に減少傾向がみられたところ、令和5年は1万3,330人(前年比+1,188人、+9.8%)と前年より増加した。このうち、覚醒剤事犯の検挙人員は5,914人(同-210人、-3.4%)と前年よりやや減少し、第三次覚醒剤乱用期のピークであった平成9年の1万9,722人から長期的に減少傾向にある。大麻事犯の検挙人員は、平成26年以降増加傾向が続いていたところ、令和5年は6,482人(同+1,140人、+21.3%)と過去最多となるとともに、統計を取り始めて以降、初めて大麻事犯の検挙人員が覚醒剤事犯の検挙人員を上回った。
    • 営利犯検挙人員は、近年横ばいが続く中、1,301人(同+273人、+26.6%)と前年より増加した。このうち、暴力団構成員等によるものは349人(同+43人、+14.1%)とやや増加し、外国人によるものは338人(同+112人、+49.6%)と大幅に増加した。覚醒剤事犯の営利犯検挙人員は603人(同+153人、+34.0%)と前年より増加し、このうち、暴力団構成員等は220人(同+29人、+15.2%)と増加し3割以上を占めているほか、外国人も170人(同+73人、+75.3%)と前年より増加した。また、大麻事犯の営利犯検挙人員は、近年増加傾向がみられるところ、550人(同+114人、+26.1%)と前年より増加した。このうち、暴力団構成員等は112人(同+7人、+6.7%)とやや増加し、外国人は71人(同+31人、+77.5%)と増加した。
    • 薬物別総押収量は、覚醒剤が1,342.9キログラム(同+1,053.9キログラム、+364.7%)、乾燥大麻は784.5キログラム(同+494.9キログラム、+170.9%)といずれも前年より大幅に増加した一方、大麻濃縮物が35.7キログラム(同-38.3キログラム、-51.8%)と前年より大幅に減少した。
    • 以上のとおり、営利目的の覚醒剤事犯に占める暴力団構成員等の割合が高水準で推移していることや、外国人が営利目的で敢行した薬物事犯が大幅に増加している現状から、依然として、その背後にある暴力団や外国人犯罪組織等と薬物事犯との深い関与がうかがわれるところ、引き続き、密輸入・密売関連事犯等の営利犯の検挙による薬物供給網の遮断に取り組むこととしている。また、大麻事犯の検挙人員は過去最多を記録するなど、大麻の乱用拡大が顕著であることから、引き続き、厳正な取締りに加え、特に若年層による乱用防止を主な目的として、インターネット上での違法情報の排除や広報啓発活動を推進することとしている。
  • 覚醒剤事犯の検挙人員は5,914人と前年より減少した。同検挙人員は、第三次覚醒剤乱用期のピークであった平成9年の1万9,722人から長期的に減少傾向にあり、平成30年以降連続して1万人を下回っている。なお、同検挙人員のうち、暴力団構成員等は1,947人(構成比率32.9%)、外国人は521人(同8.8%)となっている。人口10万人当たりの年齢層別検挙人員は、20歳未満が1.6人、20歳代が6.5人、30歳代が9.3人、40歳代が10.4人、50歳代が7.6人、60歳以上が1.8人であり、最多は40歳代で、次いで30歳代となっている
  • 大麻事犯の検挙人員は、平成26年以降増加傾向が続いていたところ、令和5年は6,482人と過去最多であった。大麻の種類別の検挙人員は、乾燥大麻に関する検挙人員は5,070人(構成比率78.2%)、大麻濃縮物に関する検挙人員は665人(同10.3%)といずれも前年より増加した。また、大麻事犯の検挙人員のうち、暴力団構成員等は729人(同11.2%)、外国人は447人(同6.9%)となっている。人口10万人当たりの年齢層別検挙人員でみると、前年と比較して、20歳代以下の年齢層では大幅に増加、30歳代と40歳代が微増、50歳代以上の年齢層ではおおむね横ばいで推移した。最多は、前年に引き続き20歳代で、次いで20歳未満、30歳代となっており、これらの年齢層で同検挙人員の88.6%を占めている
  • 危険ドラッグ事犯の検挙状況は、平成27年のピーク以降、検挙事件数及び検挙人員の減少傾向が続いていたが、令和4年に増加に転じ、令和5年は375事件、424人とそれぞれ前年より大幅に増加した。適用法令別では、指定薬物に係る医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器法」という。)違反、麻薬及び向精神薬取締法違反のいずれもが大幅に増加した。危険ドラッグ事犯のうち、暴力団構成員等によるものは9事件9人、外国人によるものは41事件46人、少年によるものは32事件38人となっている。危険ドラッグ事犯のうち、危険ドラッグ乱用者の検挙人員は395人(構成比率93.2%)となっている。危険ドラッグ乱用者の年齢層別検挙人員は、20歳代以下が6割以上を占めている。また、年齢層別の構成比率を前年と比較すると、20歳未満の占める割合が増加、20歳代及び40歳代の占める割合が微増、30歳代及び50歳以上の占める割合は減少している。危険ドラッグ乱用者のうち、薬物犯罪の初犯者が318人(構成比率80.5%)、薬物犯罪の再犯者が77人(同19.5%)となっている。危険ドラッグの入手先別では、最多は密売人76人(構成比率19.2%)となっている。危険ドラッグ密輸入事犯の検挙状況は46事件、51人と前年からおおむね横ばいであった。仕出国地域別では、最多は台湾9事件、ベトナム9事件、次いでスロバキア6事件、アメリカ4事件となっている。
  • 薬物別の押収量は、覚醒剤が1,342.9キログラム、乾燥大麻が784.5キログラムとそれぞれ前年より大幅に増加した一方、大麻濃縮物は35.7キログラム、大麻樹脂は1.0キログラムとそれぞれ大きく減少した。また、主な麻薬では、MDMAが16万9,374錠、コカインが53.4キログラムとそれぞれ前年より大幅に増加した
  • 覚醒剤事犯の検挙人員の32.9%(1,947人)を暴力団構成員等が占めている。組織別では、六代目山口組、神戸山口組、絆會、池田組、住吉会及び稲川会の主要団体等で、覚醒剤事犯に係る暴力団構成員等の全検挙人員の77.7%を占めている。大麻事犯の検挙人員の11.2%(729人)を暴力団構成員等が占めている。組織別では、六代目山口組、神戸山口組、絆會、池田組、住吉会及び稲川会の主要団体等で、大麻事犯に係る暴力団構成員等の全検挙人員の77.9%を占めている。
  • 全薬物事犯の営利犯検挙人員(1,301人)のうち、外国人は338人(構成比率26.0%)を占めている。国籍・地域別では、最多はベトナム111人、次いで中国26人、メキシコ19人、アメリカ16人、ブラジル15人、カナダ13人、香港12人となっており、最多のベトナムが、外国人の全営利犯検挙人員の32.8%を占めている
  • 大麻乱用者の実態
    • 対象者が初めて大麻を使用した年齢は、20歳未満が52.5%、20歳代が35.1%と、30歳未満で9割近くを占める(最低年齢は11歳(1人))。初回使用年齢層の構成比を平成29年と比較すると、20歳未満が36.4%から52.5%に増加しており、若年層の中でも特に20歳未満での乱用拡大が懸念される。
    • 大麻を初めて使用した経緯は、「誘われて」が最多であり、20歳未満が79.1%、20歳代が70.2%と、特に若年層において誘われて使用する割合が高い。使用した動機については、いずれの年齢層でも「好奇心・興味本位」が最多で、特に30歳未満では約6割を占めるなど顕著である。また、同年齢層では、次いで「その場の雰囲気」が多く、比較的多い「クラブ・音楽イベント等の高揚感」、「パーティー感覚」と合わせてみると、若年層では、身近な環境に影響を受け、短絡的かつ享楽的に大麻に手を出す傾向がうかがわれる。30歳代及び40歳代の壮年層では、「ストレス発散・現実逃避」や「多幸感・陶酔効果を求めて」といった、薬理効果を求める動機が比較的多数を占めた。
    • 検挙事実となった大麻の入手先(譲渡人)を知った方法は、30歳未満で「インターネット経由」が3分の1以上を占め、その9割以上がSNSを利用していた。「インターネット以外の方法」では、全ての年齢層で「友人・知人」から直接大麻を入手しているケースが半数程度に上り、30歳未満では半数を超える。
    • 大麻に対する危険(有害)性の認識は、「なし(全くない・あまりない。)」が76.4%(前年比3.1ポイント低下)で、覚醒剤に対する危険(有害)性の認識と比較すると、昨年に引き続き著しく低い。また、大麻に対する危険(有害)性を軽視する情報の入手先については、引き続き、「友人・知人」、「インターネット」が多く、年齢層が低いほど「インターネット」の占める割合が高い傾向にある。
    • 大麻の使用を阻害し得る要因について、「警察に捕まるまでやめられなかった」との回答が全体の約半数(49.3%)で、いずれの年齢層においても最多を占めている。また、「配偶者以外の親族からの忠告・助言等」、「友人・知人からの忠告・助言等」及び「その他の者からの忠告・助言等」との回答が占める割合は、年齢層が低いほど高い傾向にある。
    • 大麻乱用者が感じている大麻の魅力は、いずれの年齢層においても「精神的効果」(リラックス効果・多幸感・陶酔感等)が最多となっており、全体の7割以上を占めている。一方で、20歳代以下の若年層においては、「かっこいい」との回答が比較的多く、20歳未満では約1割を占める。
    • 今回の実態調査では、大麻を使用し始めた経緯や動機、入手先、危険(有害)性に関する誤った認識の形成等多くの面で、前年に引き続き、若年層(30歳未満)の大麻乱用者の多くが身近な環境に影響されている実態が改めて裏付けられた。
    • また、大麻に対する危険(有害)性の認識を有さない者の割合が前年(79.5%)から僅かに低下したものの、依然として全体の8割近くを占めている実態も明らかとなった。
    • 一方で、20歳未満の年齢層において、大麻の使用を阻害し得る要因に関して、「配偶者以外の親族からの忠告・助言等」、「友人・知人からの忠告・助言等」及び「その他の者からの忠告・助言等」の占める割合が他の年齢層より高いことや、同年齢層において、感じている大麻の魅力について、「かっこいい」の占める割合が顕著に高いことなどから、少年等若年層と関係性を有する人物を含む周辺環境に着目した広報啓発活動等の重要性が再確認されるとともに、その有効性を示唆する実態がうかがわれた。
    • 引き続き、少年等若年層の周辺環境を健全化させるための総合的な施策が求められるとともに、大麻の供給源となる組織的な栽培・密売を厳正に取り締まり、SNSにおける違法情報の排除や大麻の危険(有害)性を正しく認識できるような広報啓発等を推進することが重要である。
  • 薬物密売関連事犯の検挙件数1,062件のうち暴力団構成員等によるもの(主たる被疑者が暴力団構成員等のもの)は343件(構成比率32.3%)となっており、同事犯の3割強は暴力団構成員等が関与している。また、薬物密売事犯の検挙人員のうち暴力団構成員等が267人(同34.8%)を占めており、同事犯で検挙された3人に1人以上が暴力団構成員等である。なお、覚醒剤密売事犯の検挙人員に占める暴力団構成員等の構成比率は50.8%と前年よりやや減少するも過半数を占めており、依然として、覚醒剤密売に係る犯罪収益が暴力団の資金源となっている実態がうかがわれる。主要団体等の組織別でみると、六代目山口組、神戸山口組、住吉会及び稲川会の4団体で、同事犯に係る暴力団構成員等の全検挙人員の71.0%を占めている。また、暴力団構成員等による大麻の密売関連事犯の検挙人員は、近年横ばいが続く中、86人(構成比率22.1%)と前年より増加した。
  • 薬物密売関連事犯の検挙件数1,062件のうち外国人によるもの(主たる被疑者が外国人のもの)は75件(構成比率7.1%)となっている。検挙人員でみると、同事犯の検挙人員(767人)のうち外国人が50人(構成比率6.5%)を占めている。また、外国人による覚醒剤密売関連事犯の検挙人員は22人(構成比率6.6%)、大麻密売関連事犯の検挙人員は17人(同4.4%)と、いずれも前年から横ばいであった。なお、麻薬及び向精神薬密売関連事犯の検挙人員は11人と前年と同数であったが、構成比率は24.4%と他の薬物と比べて高くなっている
  • 覚醒剤の密輸入事犯の検挙件数は200件と前年より大幅に増加した。検挙人員については、暴力団構成員等及び外国人はいずれも増加した。態様別では、国際宅配便利用の占める割合が前年より大幅に低くなった一方、航空機利用による携帯密輸入の占める割合は大幅に高くなっている。こうした状況の背景には、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い実施されていた入国制限の解除が影響したものと推認される。また、国内における根強い覚醒剤需要の存在に加え、国際的なネットワークを有する薬物犯罪組織が国内外に存在し、国内における覚醒剤取引を活発化させていることがあると推認される。押収量については、密輸入事犯の検挙件数の大幅な増加に伴い、前年より大幅に増加した。
  • 暴力団構成員等による薬物密輸入事犯の検挙人員は58人と前年よりやや減少した。同検挙人員の薬物別内訳をみると、覚醒剤事犯が51人(構成比率87.9%)、大麻事犯が2人(同3.4%)、麻薬及び向精神薬事犯が5人(同8.6%)と9割近くを覚醒剤事犯が占めており、最近5年間で最も高い割合となっている。組織別では、六代目山口組、神戸山口組、絆會、池田組、住吉会及び稲川会の主要団体等で、覚醒剤密輸入事犯に係る暴力団構成員等の全検挙人員の90.2%を占めている。なお、主要団体等では、最多は稲川会21人(構成比率41.2%)、次いで六代目山口組12人(同23.5%)、住吉会8人(同15.7%)、絆會3人(同5.9%)、神戸山口組2人(同3.9%)となっており、特に稲川会が覚醒剤密輸入事犯に深く関与し、有力な資金源としている状況がうかがえる
  • 令和5年における銃器情勢の特徴としては、以下のことが挙げられる。
    • 銃器発砲事件数は9件と前年と同数で、このうち暴力団構成員等によるとみられるものは3件であった。
    • 拳銃押収丁数は、長期的に減少傾向にあるところ、令和5年は349丁と昨年より増加した。このうち暴力団からの押収丁数は29丁と前年より減少した。
    • 以上のとおり、銃器発砲事件数は横ばいで推移したものの、暴力団による銃器発砲事件が発生したほか、依然として暴力団からの相当数の拳銃押収があるなど、平穏な市民生活に対する重大な脅威となっていることから、暴力団の組織防衛強化による情報収集の困難化や拳銃隠匿方法の巧妙化に適切に対応し、暴力団の組織的管理に係る拳銃の摘発に重点を置いた取締りを強化するとともに、インターネット上に流通する銃器に関する情報の収集に努めるなど、引き続き、関係機関と連携した活動等により総合的な銃器対策を推進していくこととしている。
  • 令和5年中の来日外国人犯罪については
    • 総検挙状況、刑法犯検挙状況、特別法犯検挙状況のいずれをみても、令和4年に比べ、検挙件数・人員共に増加した。
    • 総検挙状況を国籍等別にみると、総検挙件数はベトナムと中国の2か国で全体の約6割を占め、総検挙人員は同2か国で5割以上を占めており、いずれも令和4年に引き続きベトナムが最多となっている。
    • 総検挙人員11,534人の国籍等別の内訳は、ベトナム4,229人(構成比率36.7%)、中国2,008人(同17.4%)、フィリピン637人(同5.5%)、タイ585人(同5.1%)、ブラジル532人(同4.6%)等となっている。
    • 総検挙人員11,534人の在留資格別の内訳は「技能実習」2,692人(構成比率23.3%)、「短期滞在」2,122人(同18.4%)、「定住者」1,396人(同12.1%)、「留学」1,196人(同10.4%)、「技術・人文知識・国際業務」841人(同7.3%)等となっている。
    • 刑法犯の検挙件数・人員が増加した主な要因としては、ベトナム、フィリピン、韓国等による窃盗犯、中国、ベトナム、ブラジル等による粗暴犯が増加したことなどが挙げられる。
    • 特別法犯の検挙件数・人員が増加した主な要因としては、ベトナム、タイ等による入管法違反、ベトナム等による薬物事犯が増加したことなどが挙げられる。
  • 来日外国人で構成される犯罪組織についてみると、出身国や地域別に組織化されているものがある一方で、より巧妙かつ効率的に犯罪を実行するため、犯罪ごとに様々な国籍の構成員が離合集散を繰り返すなど、組織の多国籍化もみられる。このほか、面識のない外国人同士がSNSを通じて連絡を取り合いながら犯行に及んだ例もみられる。また、近年は、海外の指示役からの指示により国内の実行犯が組織的に窃盗(万引き)や詐欺等を敢行し、盗品等を海外に輸出したり、犯罪収益を海外に送金したりする事例が多数認められており、引き続き、国境を越えて敢行されている。
  • 総検挙状況を国籍等別にみると、総検挙、刑法犯、特別法犯のいずれもベトナム及び中国の2か国が高い割合を占めている。なお、令和5年6月末現在、在留外国人数のうち、永住者、永住者の配偶者等及び特別永住者を除いた者(約200万人)の国籍・地域別の割合は、ベトナム24.6%、中国22.1%、フィリピン8.1%、ネパール7.4%、インドネシア5.7%、ブラジル4.5%、韓国3.8%、ミャンマー3.3%、米国2.1%、インド1.8%、タイ1.8%、その他14.7%となっている(出入国在留管理庁統計を基に警察庁が集計)。
  • 総検挙人員を正規滞在・不法滞在別にみると、令和5年は、正規滞在の割合が全体の64.2%、不法滞在の割合が35.8%であった。不法滞在の割合は、令和3年から2年連続で減少していたが、令和5年は、令和4年に比べ増加した。また、総検挙人員の在留資格別の内訳(構成比率)は「技能実習」23.3%、「短期滞在」18.4%、「定住者」12.1%、「留学」10.4%、「技術・人文知識・国際業務」7.3%等となっている
  • 罪種等別の刑法犯検挙件数を国籍等別にみると、強盗及び窃盗は、ベトナム及び中国が高い割合を占めている。窃盗を手口別にみると、侵入窃盗及び万引きはベトナムが高い割合を占め、自動車盗はベトナム及びパキスタンが高い割合を占めている。また、知能犯のうち詐欺については中国及びベトナムが高い割合を占めている
  • 最近の来日外国人犯罪の特徴と手口の傾向
    • ベトナム人の男が海外に滞在するベトナム人の指示により、SNS上で通帳やキャッシュカードの売買を募集し、郵送された通帳等を買い受けた上、日本人の特殊詐欺組織に対し通帳等を売却していた事例。売却された口座は、特殊詐欺組織が詐取金振込先口座に使用していたとみられる。近年、ベトナム人によるSNSを通じた口座売買が多発傾向にあり、売買された口座等は、特殊詐欺を始めとした様々な犯罪で悪用されている。
    • 中国人の指示役から犯行指示や依頼人の人定等データの提供を受け、国内のアパートの一室などにおいて、運転免許証や在留カードを偽造していた事例。偽造身分証の製造役は不法残留者が多く、SNS等を通じて募集される。全国に所在する依頼人(ベトナム人等)に郵送され、偽造した身分証等は、携帯電話機販売代理店において携帯電話機等をだまし取る詐欺等に利用されるほか、不法就労者に対しても供給されるなど各種犯罪に使用されている。
    • カンボジア人の指示役が、SNSで国内の実行犯を募り、複数の実行犯は、車両を使用して太陽光発電施設まで向かった上、見張役と実行役に分かれ、工具等を用いて太陽光発電施設に侵入後、施設内の太陽光発電設備に接続されている銅線ケーブルを切断して、車両に積載し窃取していた事例。窃取した銅線ケーブルは、中国人の故買屋等に売却される。犯行グループはSNS等を通じて集められた不法残留者等で構成され、覚醒剤等の違法薬物を使用した上で犯行に及ぶ事例もある
    • 海外の指示役から国内の実行犯に不正に入手した他人名義のスマートフォン決済用バーコード画面が送付され、コンビニエンスストアにおいてスマートフォンにバーコード画面を表示させて加熱式タバコをだまし取る手口。だまし取った加熱式タバコは、輸出役に郵送された後、海外に輸出され、海外で売却される。
    • 地下銀行グループがSNSで国内の送金依頼人を募り、指定した口座に現金の振込みをさせた後、暗号資産運用グループを通じて暗号資産の運用を行うとともに、海外の銀行口座より送金先口座にネットバンキング等を用いて送金する手口。これまでは、受け取った現金を商品に替えて貿易会社を通じ送金する手口が多く認められたが、近年、暗号資産を用いて送金する手口が増加している。同手口は暗号資産の運用資金獲得を目的としており、送金依頼人から手数料を徴収しない傾向にある。
    • 海外に滞在する指示役が国内の実行役に犯行を指示して、警察に携帯電話機を紛失したとの虚偽の届出をさせるとともに、紛失補償サービスを申請させて代替機をだまし取る手口。実行役はSNS等を通じて集められ、犯行後、だまし取った携帯電話機を故買屋に転売する。近年、同種手口による犯行が全国的に発生しており、この手口のほか、偽造の身分証を用いて携帯電話機をだまし取る手口も多数発生している。
  • ベトナム人の在留者は、在留資格別でみると「技能実習」、「特定技能」及び「技術・人文知識・国際業務」が増加傾向にあり、一部の素行不良者がSNS等を介して犯罪組織を形成するなどしている。ベトナム人による犯罪は、刑法犯では窃盗犯が多数を占める状況が一貫して続いており、手口別では万引きの割合が高い。加えて、近年、知能犯が増加傾向にあり、携帯電話機販売代理店における携帯電話機詐欺事案等の発生も多数認められる。また、特別法犯では入管法違反が多数を占める状況が続いており、「技能実習」等の在留資格を有する者が、在留期間経過後、就労目的で不法に残留し、又は偽造在留カードを入手して正規滞在者を装うなどの事案が多くみられる。
  • 中国人犯罪組織は、地縁、血縁等を利用したり、稼働先の同僚等を誘い込むなどしてグループを形成する場合が多い。また、中国残留邦人の子弟らを中心に構成されるチャイニーズドラゴン等の組織も存在し、首都圏を中心に勢力を拡大させている。また、近年、中国人犯罪組織がSNS等で中国人等の在留者をリクルートし、犯罪の一部を担わせている例も散見され、中国国内の指示役の指示に基づき、リクルートされた中国人等の在留者が偽造在留カードの製造や不正に入手した他人名義のスマートフォン決済サービス情報を用いた詐欺を敢行するなどしている。指示役は中国国内に在留していることから、摘発されても同様の手口で中国人等の在留者をリクルートして犯行を繰り返すなど、高度に組織化されている傾向がみられる。
  • 犯罪インフラとは、犯罪を助長し、又は容易にする基盤のことをいう。来日外国人で構成される犯罪組織が関与する犯罪インフラ事犯には、不法就労助長、偽装結婚、偽装認知、旅券・在留カード等偽造、地下銀行による不正送金等がある。不法就労助長、偽装結婚及び偽装認知は、在留資格の不正取得による不法滞在等の犯罪を助長しており、これを仲介して利益を得るブローカーや暴力団が関与するものがみられるほか、最近では、在留資格の不正取得や不法就労を目的とした難民認定制度の悪用が疑われる例も発生している。偽造された旅券・在留カード等は、身分偽装手段として利用されるほか、不法滞在者等に販売されることもある。地下銀行は、不法滞在者等が犯罪収益等を海外に送金するために利用されている。最近5年間の犯罪インフラ事犯の検挙状況をみると、不法就労助長は、昨今の人手不足を背景とし、就労資格のない外国人を雇い入れるなどの事例が引き続きみられ、令和5年は、令和4年に比べ、検挙件数・人員共に増加した。旅券・在留カード等偽造は、就労可能な在留資格を偽装するためなどに利用されており、令和5年は、令和4年に比べ、検挙件数は減少し、検挙人員は増加した。偽装結婚は、日本国内における継続的な就労等を目的に「日本人の配偶者等」等の在留資格を取得するための不正な手段であり、令和5年は、令和4年に比べ、検挙件数は増加し、検挙人員は減少した。地下銀行は、最近5年間の検挙件数は10件前後で推移している。また、偽装認知は令和3年以降検挙がなく、令和5年も検挙はなかった。

警察庁 令和5年中のSNS型投資・ロマンス詐欺の被害発生状況等について
  • SNS型投資詐欺
    • 相手方が、主としてSNSその他の非対面での欺罔行為により投資を勧め、投資名目で金銭等をだまし取る詐欺(特殊詐欺又はロマンス詐欺に該当するものを除く。)
  • ロマンス詐欺
    • 相手方が、外国人又は海外居住者を名乗り、SNSその他の非対面での連絡手段を用いて被害者と複数回やり取りすることで恋愛感情や親近感を抱かせ、金銭等をだまし取る詐欺(特殊詐欺に該当するものを除く。)
  • 令和5年1月~12月の認知状況
    • SNS型投資詐欺 認知件数 2,271件 被害額 約277.9憶円
    • ロマンス詐欺 認知件数 1,575件 被害額 約177.3億円
    • 合計 認知件数 3,846件 被害額 約455.2憶円
    • SNS型投資詐欺、ロマンス詐欺ともに昨年下半期の増加が顕著
    • 1件あたりの平均被害額は1,000万円超
    • 被害者の念連想は、男性は50歳代から60歳代、女性は40歳代から50歳代が多い
    • SNS型投資詐欺はもちろんロマンス詐欺の多くでも、投資が詐取の名目となっている
  • 今後の対策
    • SNS型投資詐欺・ロマンス詐欺については、具体的な捜査手法や抑止対策において特殊詐欺と共通する面があることから、特殊詐欺対策及び匿名・流動型犯罪グループ対策と一体的に対策を推進する
    • 警察庁においては、本年4月に新設予定の長官官房参事官(特殊詐欺対策及び匿名・流動型犯罪グループ対策担当)及び組織犯罪対策第二課が中心となって、刑事、組織犯罪対策、生活安全、サイバー等の関係部門による部門横断的な対策を推進する
    • 都道府県警察においては、本部に組織犯罪対策等を担当する参事官級の職員を長とする部門横断的な対策PTを設置するなどの体制構築を行った上で、捜査と抑止を含む総合的対策を一元的かつ強力に推進する
    • なお、令和6年3月5日付けで、都道府県警察に対し、体制構築及び対策強化を指示する通達を発出済み

警察庁 キャッシュレス社会の安全・安心の確保に関する検討会
▼ 報告書 本編
  • 令和5年のクレジットカードの不正利用の被害額は9月時点で401.9億円であり、前年同期比では30.1%増加しており、厳しい情勢にある。また、令和5年のインターネットバンキングに係る不正送金被害は、被害額・被害件数ともに過去最多と言う文言では表現し尽くせないほどの急増をみせている。そして、これら被害の要因の一つとして考えられるのがフィッシングであり、その報告件数も急増している状況にある。
  • これまで警察では、キャッシュレス社会の安全・安心を確保するため、国境を越えて敢行されるフィッシング事案等の捜査、実態解明、国際共同捜査の推進、被害実態・手口等を踏まえた対策の要請、関係機関等と連携した注意喚起の実施等によって、クレジットカードの不正利用や不正送金を実行した犯罪者の検挙、被害の未然防止・拡大防止等を推進してきている。
  • しかし、現下の情勢を踏まえると、官民連携を深化し、例えば、これまでの官民における情報共有スキームの転換や、生成AI等の先端技術の積極的な活用等、更に踏み込んだ先制的な対策を図る段階に来ていることに疑いの余地はない。そして、そうした対策強化の検討に当たっては、キャッシュレス社会のスキームや構造的課題を理解し、被害の具体的な発生状況、各事業者が保有する情報や対策の現状等を把握して、対策を強化するポイントを明確化するなど、様々なステークホルダー間での情報収集・意識共有が重要である。すなわち、警察部内の議論だけではなく、有識者による多様な観点や現場での経験からの議論が不可欠である。
  • 我が国における民間最終消費支出に占めるキャッシュレス決済比率は、決済におけるモバイル端末の利用拡大等に見られる「消費者のライフスタイルの変化」、AI、高速通信、ブロックチェーン等の「新たな技術の進展」、「社会全体でのデジタル変革」という3つの大きな環境変化も相まって、毎年確実に上昇を続けており、令和4年におけるキャッシュレス決済の比率は36.0%、決済額は111兆円となっている。クレジットカード決済に加え、コード決済の比率が顕著に増加していることも注目に値する。
  • 令和4年におけるクレジットカードの不正利用被害額は436.7億円で、そのうち番号盗用型の被害額は411.7億円であり、令和4年における特殊詐欺被害額(370.8億円)を上回っている。また、令和5年1月から9月におけるにおけるクレジットカードの不正利用被害額は401.9億円と、過去最多に迫るペースで増加している。こうした被害の内訳を見ると、クレジットカード番号盗用による被害が90%以上となっており、フィッシングサイト(偽のログインサイト)によりクレジットカード番号等の情報を盗み取る手口も確認されている。
  • インターネットバンキングに係る不正送金事犯については、令和5年は発生件数が5,578件、被害総額は約87億円と急増し、いずれも過去最多となった(それぞれ前年比で391%、474%増加)。被害者の大部分は個人であり、そのうち40代から60代の被害者が約6割を占めている。インターネットバンキングに係る不正送金事犯の手口は様々であり、また、情勢や対策等に合わせて手口が変化することがあるが、令和5年においては、その被害の多くがフィッシングによるものとみられており、金融機関を装ったフィッシングサイトへ誘導する電子メール等が多数確認されている。
  • フィッシング対策協議会によると、フィッシングの報告件数も右肩上がりで急速に増加しており、令和5年におけるフィッシング報告件数は1,195,973件と4年前の令和元年の約21倍となっている。フィッシングに悪用されるブランドは、クレジットカード、ECサイト及び金融機関が多くを占めていることを踏まえると、フィッシングが、前述したクレジットカードの不正利用やインターネットバンキングに係る不正送金の主要因の一つと見ることが極めて自然ではないかと考えられる。
  • インターネットバンキングに係る不正送金事犯においては、送金時の本人認証の強化策として一部の金融機関が導入しているSMS認証6を回避するため、一時期、SIMスワップと呼ばれる手口が利用されていた。SIMスワップとは、SMS認証を回避するため、例えば、店舗に赴き「SIMカード7を紛失した。」などと申し述べた上で、偽造した本人確認書類を提示してSIMカードの再発行を依頼し、不正にSIMカードを入手する手口である。犯罪者は、不正に入手したSIMカードのSMSに二段階認証として送付を受けた認証番号を使って、不正送金を行っていた。SIMスワップによるインターネットバンキングの不正送金被害が増加したことを踏まえ、警察庁において、令和4年9月、総務省と連携し、SIMカードの店舗での再発行時等における本人確認の強化を大手携帯電話事業者に対し要請した。その結果、令和5年1月以降、SIMスワップによる被害が激減し、令和5年5月以降、SIMスワップによる不正送金被害は確認されていない。
  • クレジットカードの不正利用事案やインターネットバンキングに係る不正送金事案の中には、被害金が暗号資産に交換され、移転される事案もみられており、サイバー特別捜査隊では不正な暗号資産取引を俯瞰的に分析することなどにより、実態解明の取組を推進している。また、令和5年7月、フィッシングサイト作成ツール「16SHOP」を用いた国際的なクレジットカード情報不正取得・利用事案について、サイバー特別捜査隊等がインドネシア国家警察と連携して捜査を実施し、インドネシア国家警察において、同国在住の被疑者を逮捕している。
  • ますます高度化・巧妙化する手口や複雑化・多様化するサービスの登場を踏まえると、キャッシュレス社会の安全・安心を確保するためには、これまでのように被害の状況や手口を基にした注意喚起や被害防止対策を行うだけでは足りず、サービスごとにきめ細やかな注意喚起を実施することに加え、例えば、事業者において犯罪者のフィッシングに係るコストを高めるセキュリティ対策を講じるなど、利用者が日常生活を営む中で意識しなくとも被害に遭わない環境整備を更に推進することが重要である。
  • 警察では、これまでサイバー空間の情勢等に応じ、被害の情勢や手口に関し注意喚起を実施してきた。しかし、こうした注意喚起は、その性質上、抽象的・総論的な内容に留まらざるを得ないが、サービスが多様化している中、注意喚起がサービスの利用者に正確に届いていない状況が生じていると考えられる。例えば、不正送金事犯が急増していることや、その対策として「メールに記載されているURLからアクセスしたウェブサイトにID・PWを入力しない」、「公式のウェブサイトやアプリからログインする」ことなどを示したとしても、インターネットバンキングの利用者において、自分に向けた注意喚起であることを正しく認識できない状況に陥っているのではないかと思われる。ただでさえ、こうした注意喚起には正常性バイアスが働き、自分が被害に遭う可能性を正しく理解できない場合がある。抽象的・総論的な注意喚起であればなおさらであろう。また、フィッシングを実行する犯罪者は、事業者が新たなサービスを開始したタイミングや税金・公共料金の支払時期を鋭敏に捉え、フィッシングサイトへ誘導するメッセージの内容や攻撃対象を変えるなど巧妙に犯罪を実行している状況が窺われる。こうした状況を踏まえると、様々な年齢層のサービスの利用者が自分のこととして危機感を持ち、フィッシングメール等に対する行動の変容を促すことができるよう、関係機関・団体や被害企業等、幅広い関係者で連携して注意喚起することで、話題性を高め、報道機関等に取り上げられるようにすることや、利用者の年代等に応じてタッチポイントが異なることを踏まえ、動画サイト、デジタルサイネージ等様々な媒体を効果的に活用するとともに、必ずしも一度で届くとは限らないことから繰り返し実施することにも配意する必要がある。このほか、例えばフィッシングメールの件名や文面、被害者のセキュリティ対策の実施状況等の具体的な事例を示すなどフィッシングの実態や特徴、サービスの内容等を踏まえた注意喚起を行う必要がある。
  • ひと昔前の「不自然な日本語」が混在していたものと異なり、最近のフィッシングメール等やフィッシングサイトは非常に巧妙に作成されており、その真偽を人間の目で判断することは困難であることが多い。また、フィッシングメール等は、「不正アクセスを検知した」、「取引を停止した」といった文面を採用することにより、利用者を不安にさせるなどして正常な判断能力を失わせ、「(フィッシング)サイトにアクセスして詳細な内容を確認しなければならない」といった心理にさせるようなものが多い。こうしたことから、フィッシング対策においては、被害者への注意喚起に工夫を凝らすだけでは十分ではなく、そもそもフィッシングメール等の真偽を利用者に判断させる状況に至る前に、技術的な対策により、利用者にフィッシングメール等が届かない環境や、利用者がフィッシングメール等に記載されているURLにアクセスしたとしても、フィッシングサイトにアクセスできない環境を整備することが肝要である。
  • DMARCの導入と並行して、フィッシングサイトをテイクダウン(閉鎖)する活動も、推進する必要がある。フィッシングメール等のURLにアクセスした場合であっても、既にアクセス先のフィッシングサイトがテイクダウンされていれば、被害に遭うことはない。フィッシングサイトのテイクダウンについては、警察庁において、金融庁と連携し金融機関に、また、経済産業省や総務省と連携しクレジットカード会社に実施要請を行っているが、引き続き、関係省庁等と連携し、関係団体等に対して、なりすまされている事業者等が自らのサービスの利用者保護の観点からフィッシングサイトのテイクダウンに取り組む必要性についても理解を促進し、テイクダウンを実施するよう働き掛けるべきである。
  • JC3では、専門的な知識を持たない人であってもプラットフォーム事業者等に対してテイクダウンの依頼(abuse通報)を行うことができるツール「Predator」を開発し、サイバー防犯ボランティア等に提供するとともに、令和6年2月から3月にかけてサイバー防犯ボランティア向けの「フィッシングサイト撲滅チャレンジカップ」(後援:警察庁、経済産業省)を実施するなど、フィッシングサイトのテイクダウンに関する気運を高める取組を進めている。警察としてもこうした取組を積極的に後押しし、より幅広い主体がフィッシング対策に参画できる環境を整備していただきたい。
  • フィッシングサイトにアクセスさせないための対策としては、1.1.2で掲げたフィッシングサイトの警告表示のように、フィッシングサイトを「ブラックリスト」化するほか、正規のサイトを「ホワイトリスト」化することも有効である。そうした観点からも、ID・PWの窃取を目的とするフィッシングへの対策として、パスワードレス認証である「パスキー(Passkey)」という技術が注目を集めている。
  • 現状では、EC加盟店等において、不正取引に関する情報を警察に提供することについて、利用規約等で第三者提供について同意を得ている場合であっても、利用者の個人情報及びプライバシーの保護への配慮等の観点から、極めて抑制的に行われているとの指摘がなされている。具体的には、チャージバック(クレジットカード会社がECサイト等での売上を取り消すこと)が確定した後に不正取引に関する情報を提供する場合など、不正取引が発生した時点から相当程度の時間が経過した後に実施していることが挙げられる。企業等において、利用者の個人情報及びプライバシーの保護に重点を置いて対応することはコンプライアンス確保の観点から不可欠である一方で、正確で具体的な不正取引に関する情報を警察や他の事業者に可能な限り早期に共有することが犯罪抑止の上で極めて重要であることからすると、改善の余地があるものと考える。例えば、EC加盟店等において不正取引が疑われる要素を検知した時点で、不正取引である蓋然性を速やかに確認し、蓋然性が高いものについて警察や他のEC加盟店等と共有するくらいのスピード感が必要であろう。
  • フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングに係る不正送金事犯においては、ID・PWが窃取されたインターネットバンキングのアカウントから暗号資産交換業者の金融機関口座への不正送金が多数確認されている。警察庁によると、令和5年の不正送金に関する被害額(約87.3億円)の実に約半分が、暗号資産交換業者の金融機関口座に不正送金されていることが判明している。暗号資産交換業者においては、暗号資産のアカウントの名義と同一の名義による送金のみを受け付ける仕様としていることから、暗号資産交換業者の金融機関口座への不正送金は、被害者(不正アクセスされた金融機関口座)の名義から変更して行われる(異名義送金)が、一部の金融機関を除き、現在はこのような異名義送金を停止できていない。
  • 本検討会における議論を踏まえ、警察庁において、令和6年2月、金融庁と連名で、全国銀行協会等に対して、「暗号資産交換業者の金融機関口座に対し、送金元口座(法人口座を含む。)の口座名義人名と異なる依頼人名で行う送金については、振込・送金取引を拒否する」ことや、「パターン分析のためのルールやシナリオの有効性について検証・分析の上、抽出基準の改善を図るなど、暗号資産交換業者への不正な送金への監視を強化する」ことなど、利用者保護のための更なる対策の強化に取り組むよう要請している
  • フィッシング等により窃取されたコード決済サービスのアカウントが、コンビニエンスストアや薬局等の店舗で不正利用されることも増加していることから、コード決済サービスの不正利用の水際防止を目的として、事業者等において対策を講じる必要がある。
  • コード決済は店頭に犯罪者(出し子)が赴く必要があることから、防犯カメラの店頭や店外(駐車場等)への設置を推進することにより、こうした被害を含め、コンビニエンスストア等における犯罪の発生抑止が期待できる。また、実際に被害が発生した場合においても、防犯カメラの映像等が捜査において重要となるが、コンビニエンスストアの防犯カメラの映像の保存期間が短いために、被害状況が確認できなかった事例も確認されていることから、警察としても、業界団体と連携し、防犯カメラの設置や映像の保存期間の延長について働き掛けるべきである。
  • 警察において、フィッシングサイトの構築に関する傾向を基に、例えば同一IPアドレス上のサイトを自動収集できるツール等を活用して把握するなどにより、通報・相談等により情報提供されたフィッシングサイトだけでなく、未だ警察に通報等がなされていないフィッシングサイトについて把握して警告表示等を実施するなど、先制的なフィッシングサイト対策を行うことが望まれる。
  • フィッシングサイトのURL等の情報は、令和5年には警察庁からウイルス対策ソフト事業者等に約49万件提供している。こうした情報に関するフィッシングサイト該当性の判別は人の手によって行っており、フィッシング報告件数の増加に伴って警察庁における業務量が増大している状況である。また、(1)に記載した先制的なフィッシングサイトの把握を推進すると、今後は、ますます大量の情報について、フィッシングサイト該当性を判別することが求められる。こうした中、民間企業においてChatGPT等の生成AIを用いたフィッシングサイトの判別について研究が進められている。その研究結果を見ると、98%以上の高い精度で、フィッシングサイトの判別ができるとしているものも存在している。警察庁においても、こうした最先端の技術を積極的に活用し、業務の高度化・効率化を行うべきである。
  • おわりに
    • 官民連携の深化に当たっては、単に警察から事業者等に対応を求めるだけではなく、例えば、事業者等がその対応に関して利用者への説明責任を果たせるよう、要請の背景、合理的な理由、期待する効果等について丁寧に説明することや、所管省庁と連携して業界全体に向けて対応要請を行い、また、国民に対しても理解を求めることにより、個社ではなく業界全体として対応する機運を高めるなど、事業者等における対策を後押しする環境を整えることを忘れてはならない。
    • もちろん、事業者等において「提供サービスの環境浄化に努め、安心して利用できるサービスを提供することは企業等の社会的責任である」との意識を持つことは極めて重要である。「自助」だけでは限界があるが、「公助」や「共助」が「自助」に先んじることは決して健全なあり様とは言えないからである。各界に属する我々としても、民間企業等における社会的責任に関する意識の醸成に向けて、あらゆる機会を捉えて啓蒙していきたい。
    • また、グローバル化が加速度的に進む現代においては、地理的な制約を受けないサイバー空間の安全・安心の確保には、他の分野にも増して、国際連携の深化も不可欠な要素である。それには、各国の制度を踏まえて対応する必要があることから、サイバー警察にあっては、引き続き国際動向にも鋭敏であっていただきたい。
    • キャッシュレス社会の安全・安心の確保には、警察や関係省庁の「官」、民間企業や業界団体の「民」、そして「利用者」の三者が協働し、理解をはせつつも、時にお互いの立場からの意見をぶつけ合い、それぞれの責任を十全に果たし、「官民連携を深化」させること以外には実現できる道はない。多分に険しい道であることは想像に難くない。クレジットカードの不正利用やインターネットバンキングに係る不正送金が被害のピークを迎えては減少し再度増加したように、ゴールと見える頂を越えてはその先にも更なる頂が見えるといった行程の連続であろう。しかし、歩み続ける以外の選択肢はない。

警察庁 犯罪統計資料(令和6年1~2月分)
  • 令和6年1~2月の刑法犯総数について、認知件数は103,135件(前年同期97,770件、前年同期比+5.5%)、検挙件数は41,438件(38,954件、+6.4%)、検挙率は40.2%(39.8%、+0.4P)
  • 凶悪犯の認知件数は994件(718件、+38.4%)、検挙件数は814件(629件、+29.4%)、検挙率は81.9%(87.6%、▲5.7P)、粗暴犯の認知件数は8,496件(8,600件、▲1.2%)、検挙件数は7,005件(7,107件、▲1.4%)、検挙率は82.5%(82.6%、▲0.1P)、窃盗犯の認知件数は70,073件(66,592件、+5.2%)、検挙件数は24,348件(22,949件、+6.1%)、検挙率は34.7%(34.5%、+0.2P)、知能犯の認知件数は7,864件(7,081件、+11.1%)、検挙件数は2,865件(2,992件、▲4.2%)、検挙率は36.4%(42.3%、▲5.9P)、風俗犯の認知件数は2,371件(1,064件、+122.8%)、検挙件数は1,815件(968件、+87.5%)、検挙率は76.5%(91.0%、▲14.5%)
  • 詐欺の認知件数は7,150件(6,514件、+9.8%)、検挙件数は2,345件(2,564件、▲8.5P)、万引きの認知件数は15,892件(14,861件、+6.9%)、検挙件数は10,079件(9,413件、+7.1%)、検挙率は63.4%(63.3%、+0.1P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は9,165件(9,761件、▲6.1%)、検挙人員は7,476人(8,030人、▲6.9%)
  • 入管法違反の検挙件数は709件(688件、+3.1%)、検挙人員は509人(496人、+2.6%)、軽犯罪法違反の検挙件数は985件(1,100件、▲10.5%)、検挙人員は988人(1,094人、▲9.7%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は906件(1,631件、▲44.5%)、検挙人員は669人(1,276人、▲47.6%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は177件(173件、+2.3%)、検挙人員は144人(142人、+1.4%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は612件(501件、+22.2%)、検挙人員は457人(377人、+21.2%)、銃刀法違反の検挙件数は624件(704件、▲11.4%)、検挙人員は552人(590人、▲6.4%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は187件(134件、+39.6%)検挙人員は107人(81人、+32.1%)、大麻取締法違反の検挙件数は1,020件(967件、+5.5%)、検挙人員は841人(767人、+9.6%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は1,050件(915件、+14.8%)、検挙人員は711人(608人、+16.9%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数123人(80人、+53.8%)、ベトナム44人(29人、+51.7%)、中国17人(10人、+70.0%)、ブラジル8人(3人、166.7%)、フィリピン6人(3人、+100.0%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は1,156件(1,683件、▲31.3%)、検挙人員総数は654人(896人、▲27.0%)、暴行の検挙件数は62件(97件、▲36.1%)、検挙人員は61人(85人、▲28.2%)、傷害の検挙件数は113件(161件、▲29.8%)、検挙人員は130人(171人、▲24.0%)、脅迫の検挙件数は36件(62件、▲41.9%)、検挙人員は37人(53人、▲30.2%)、恐喝の検挙件数は38件(64件、▲40.6%)、検挙人員は53人(65人、▲18.5%)、窃盗犯の検挙件数は574件(801件、▲28.3%)、検挙人員は91人(126人、▲27.8%)、詐欺の検挙件数は171件(294件、▲41.8%)、検挙人員は126人(220人、▲42.7%)、賭博の検挙件数は5件(2件、+150.0%)、検挙人員は9人(21人、▲57.1%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は566件(634件、▲10.7%)、検挙人員総数は381人(399人、▲4.5%)、入管法違反の検挙件数は3件(0件)、検挙人員は3人(0人)、軽犯罪法違反の検挙件数は6件(17件、▲64,7%)、検挙人員は6人(12人、▲50.0%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は14件(11件、+27.3%)、検挙人員は10人(10人、±0%)、暴排条例違反の検挙件数は28件(2件、+1,300.0%)、検挙人員は31人(7人、+342.9%)、銃刀法違反の検挙件数は11件(9件、+22.2%)、検挙人員は6人(6人、±0%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は15件(17件、▲11.8%)、検挙人員は2人(7人、▲71.4%)、大麻取締法違反の検挙件数は95件(156件、▲39.1%)、検挙人員は62人(97人、▲3.1%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は308件(326件、▲5.5%)、検挙人員は203人(185人、+9.7%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は13件(16件、▲18.8%)、検挙人員は3人(5人、▲40.0%)

警視庁 オウム真理教の危険性
  • オウム真理教とは
    • オウム真理教(以下「教団」といいます。)は、麻原彰晃こと松本智津夫が教祖・創始者として設立した宗教団体で、かつて、同人の指示のもと、宗教法人を隠れ蓑にしながら武装化を図り、松本サリン事件、地下鉄サリン事件等数々の凶悪事件を引き起こしました。
    • 平成30年7月、一連の凶悪事件の首謀者であった松本をはじめとする13人に死刑が執行されましたが、その後も教団の本質に変化はなく、松本への絶対的帰依を強調する「Aleph」をはじめとする主流派と松本の影響力がないかのように装う「ひかりの輪」を名のる上祐派が現在も活動しています。
  • 教団による凶悪事件
    • 平成元年
      • 信者リンチ殺人事件、弁護士一家殺害事件
    • 平成6年
      • 元信者リンチ殺人事件、サリン使用弁護士殺人未遂事件、松本サリン事件、信者リンチ殺人事件、VX使用殺人未遂事件、VX使用殺人事件
    • 平成7年
      • VX使用殺人未遂事件、公証役場事務長逮捕・監禁致死事件、地下鉄サリン事件
  • 教団の勧誘活動
    • 教団は、毎年100人程度に上る多数の新規信徒を獲得しています。
    • 特に「Aleph」は、組織拡大に向け、教団に関する知識の少ない青年層(30歳代以下)を主な対象とする勧誘活動を積極的に行っており、あらゆる機会を設けて一般人と接点を持ち、教団名を秘匿したヨーガ教室などに誘って人間関係を深めた後に、教団に入会させています。
    • 事例 主流派「Aleph(アレフ)」による勧誘活動の例
      • 導入
        • 家族や知人への働きかけ、路上や書店における声掛け、SNSでの呼び掛け等により、教団による一連の事件を知らない青年層を中心に接近する。
      • 人間関係の構築
        • 連絡先を交換してカフェでのお茶会等に誘い、教団名を伏せた仏教の勉強会やヨーガ教室に参加させ人間関係の構築を図る。
        • サクラの信者1、2人が勉強会やヨーガ教室に参加して悩みを聞くなどし、一般参加者であるように装って被勧誘者の抵抗感を取り除く。
      • 入信
        • 教団名を徹底して伏せた上、一連の事件は国家ぐるみの陰謀と説明するなどして、教団に対するイメージを変化させていき、抵抗感がなくなったことを確認した段階で初めて教団名を告知して入信させる。
  • 動画ライブラリー
    • 勧誘手口についての説明動画はこちらをご覧ください。
▼ オウム真理教に騙されないで! 今も教団名を隠して勧誘を行っています(30秒ver.)
  • オウム真理教対策の推進
    • 警察では、凶悪事件を再び起こさせないため、教団の実態解明に努めるとともに、厳正な取り締まりを推進しているほか、住民の平穏な生活を守るため、地域住民や関係する地方公共団体からの要望を踏まえながら、教団施設周辺におけるパトロール等の警戒活動を行っています。
    • また、地下鉄サリン事件から時が経つに連れて、教団に対する国民の関心が薄れ、一連の凶悪事件に対する記憶が風化することなどにより、教団の本質が正しく理解されないことが懸念されることから、教団の現状等について、各種機会を通じて資料による広報啓発活動を行っています。

警察庁 令和5年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について
  • 令和5年におけるサイバー空間をめぐる脅威については、ランサムウェア被害が依然として高水準で推移するとともに、クレジットカード不正利用被害が急増し、インターネットバンキングに係る不正送金被害が過去最多となり、インターネット上では児童ポルノや規制薬物の広告等の違法情報のほか、自殺サイトやいわゆる「闇バイト」の募集等の有害情報が氾濫するなど、極めて深刻な情勢が続いている。
  • 行政機関、学術研究機関、民間企業等に対する不正アクセスが確認されたほか、特定の事業者等に対する標的型メール攻撃が確認された。
  • 重要インフラ等の機能に障害を発生させ、社会経済活動に影響を及ぼすサイバー攻撃が発生した。
  • DDoS攻撃による被害とみられるウェブサイトの閲覧障害が複数発生し、一部の事案については、障害発生と同じ頃、SNS上でハクティビストや親ロシア派ハッカー集団からの犯行をほのめかす投稿が確認された。
  • 令和5年におけるフィッシングの報告件数は、フィッシング対策協議会によれば119万6,390件(前年比で23.5%増加)と過去最多であり、クレジットカード事業者等を装ったものが多くを占めた。
  • 一般社団法人日本クレジット協会によれば、令和5年1月から9月までのクレジットカード不正利用被害額は401.9億円(前年同期比で30.1%増加)であり、統計を取り始めた平成9年以降、最悪となった。
  • 令和5年におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯による被害は、発生件数が5,578件(前年比で391.0%増加)であり、過去最多となり、被害総額も約87.3億円(前年比で474.6%増加)であり、過去最多となった。
  • 令和5年におけるランサムウェアによる被害件数は197件(前年比で14.3%減少)であり、引き続き高い水準で推移している。手口としては、データの暗号化のみならず、データを窃取した上、企業・団体等に対し「対価を支払わなければ当該データを公開する」などと対価を要求する二重恐喝(ダブルエクストーション)が多くを占める。
  • 警察庁が検知したサイバー空間におけるぜい弱性探索行為等とみられるアクセス件数は、1日・1IPアドレス当たり9,144.6件(前年比で18.6%増加)と、平成23年以降、増加の一途をたどっており、海外を送信元とするアクセスが大部分を占めている。
  • インターネット上において、違法情報や、爆発物・銃砲等の製造方法等の情報が容易に入手できる状況にある。また、犯罪実行者募集情報が氾濫
  • しており、これらに応募した者等により実際に犯罪が敢行され、中には凶悪事件に発展する事例も出ているところである。
  • IHCの運用ガイドラインに基づき、令和5年2月15日から12月31日までの間、重要犯罪密接関連情報と判断し分析した情報は4,876件であり、3,379件(削除依頼を行う前に削除されたものを除く。)についてサイト管理者等に削除依頼を行った結果、2,411件(71.4%)が削除に至った。このうち、令和5年9月29日から12月31日までの間、犯罪実行者募集情報と判断し分析した情報は4,411件であり、2,979件(削除依頼を行う前に削除されたものを除く。)についてサイト管理者等に削除依頼を行った結果、2,136件(71.7%)が削除に至った。
  • 令和5年中におけるサイバー事案の検挙件数は、3,003件であった。
  • 令和5年中における不正アクセス禁止法違反の検挙件数は、521件(前年比で0.2%減少)であり、そのうち475件が識別符号窃用型で全体の91.2%を占める。
  • 令和5年、警察で把握した標的型メール攻撃の事例では、様々な手口が確認された。具体的には、メールの添付ファイルからフィッシングサイトへ誘導しようとするものや、実在する人物になりすましてメールを送り、複数回メールのやり取りを行い相手を信用させた後、相手の興味・関心を惹くファイル名を付けた不正プログラム(マルウェア)のファイルを送り、実行させるものなどが確認されている。
    • メール本文のリンクからファイルをダウンロードさせ、同ファイルを開くことで不正プログラムに感染させる標的型メールが部品加工メーカーに送信された。
    • 実在の組織になりすましてメールを送信し、添付ファイルを開くことで、実在するウェブサイトのログイン画面を装いID・パスワードの入力を求めるフィッシングサイトに誘導する標的型メールが確認された。
    • 知人になりすまして「論考を作成したので興味があれば送る」旨のメールを送りつけ、何度かやり取りした後、不正プログラムが仕掛けられた添付ファイルを送信する標的型メールが確認された。
  • フィッシングとは、実在する企業・団体等や官公庁を装うなどしたメール又はショートメッセージサービス(以下「SMS」という。)を送り、その企業等のウェブサイトに見せかけて作成した偽のウェブサイト(フィッシングサイト)を受信者が閲覧するよう誘導し、当該フィッシングサイトでアカウント情報やクレジットカード番号等を不正に入手する手口であり、インターネットバンキングに係る不正送金やクレジットカードの不正利用に使われている。
  • 令和5年におけるフィッシング報告件数は、フィッシング対策協議会によれば、119万6,390件(前年比で22万7,558件増加)であり、過去最多となった。また、フィッシングで多くを占めたのは、クレジットカード事業者、EC事業者をかたるものであった。
  • 令和5年におけるインターネットバンキングに係る不正送金事犯の発生件数は5,578件、被害総額は約87億3,130万円であり、それぞれ過去最多となっている。
  • さらに、インターネットバンキングに係る不正送金事犯において用いられたフィッシングの手口の内訳を見ると、電子メールによる誘導が53%、SMSによる誘導が21%である。
  • また、不正送金額の半額以上が暗号資産交換業者の金融機関口座に不正送金されている状況にある。
  • キャッシュレス決済等の普及に伴い、クレジットカード決済市場の規模が増加する一方、クレジットカード不正利用被害も多く発生している。一般社団法人日本クレジット協会(以下「日本クレジット協会」という。)で実施している国内発行クレジットカードの不正利用被害の実態調査によると、クレジットカード不正利用被害額は平成25年以降増加傾向にあり、令和5年1月から9月までの被害額は401.9億円で、統計を取り始めた平成9年以降、最悪となった。前年同期比(令和4年第3四半期(令和4年1月~同年9月))では30.1%増加しており、厳しい情勢にある。
  • 昨今フィッシングによるものとみられるインターネットバンキングによる不正送金事犯や特殊詐欺事犯において、暗号資産交換業者の金融機関口座が送金先となる被害が多発している状況を踏まえ、金融庁と連携し、一般社団法人全国銀行協会等に対して、暗号資産交換業者の金融機関口座に対して送金元口座名義人名と異なる依頼人名で行われる送金の拒否、暗号資産交換業者への不正な送金への監視強化等の、会員等における対策強化を要請するよう調整を進めた。(令和6年2月実施)
  • 令和5年上半期に、フィッシングによるとみられるインターネットバンキングに係る不正送金被害が急増したことなどを受け、令和5年7月、金融機関に対し、具体的な被害事例を基にしたフィッシング対策を講じるよう要請した。
  • また、令和5年8月、金融庁、一般社団法人全国銀行協会及び一般財団法人日本サイバー犯罪対策センター(JC3)と連携し、国民に対し、メールやSMSに記載されたリンクからアクセスしたサイトにID及びワンタイムパスワード・乱数表等のパスワードを入力しないよう注意喚起を行うほか、「サイバー警察局便り」を警察庁ウェブサイト及び警察庁SNSアカウントに掲載し、フィッシングの被害防止に関する広報啓発を実施した。
  • SIMスワップによる不正送金事案が増加していた状況を踏まえ、令和4年9月、総務省と連携し、携帯電話事業者に対して、携帯電話機販売店における本人確認の強化を要請し、令和5年2月までに、大手携帯電話事業者において同要請への対応を完了した。その結果、令和5年5月以降、SIMスワップによる不正送金の被害は確認されていない。
  • ランサムウェアとは、感染すると端末等に保存されているデータを暗号化して使用できない状態にした上で、そのデータを復号する対価(金銭又は暗号資産)を要求する不正プログラムである。手口としては、データの暗号化のみならず、データを窃取した上、企業・団体等に対し「対価を支払わなければ当該データを公開する」などと対価を要求する二重恐喝(ダブルエクストーション)が多くを占める。感染経路は、令和4年に引き続き、ぜい弱性を有するVPN機器等や強度の弱い認証情報等が設定されたリモートデスクトップサービスが多くを占めた。
  • 企業・団体等におけるランサムウェア被害として、令和5年に都道府県警察から警察庁に報告のあった件数は197件であり、令和4年上半期以降、高い水準で推移している。
  • ランサムウェアによる被害のほか、最近の事例では、企業・団体等のネットワークに侵入し、データを暗号化する(ランサムウェアを用いる)ことなくデータを窃取した上で、企業・団体等に対価を要求する手口(「ノーウェアランサム」)による被害が、新たに30件確認された。なお、「ノーウェアランサム」による被害件数は、令和5年におけるランサムウェア被害の報告件数(197件)には含まれない。
  • ランサムウェアによる被害(197件)のうち、手口を確認できたものは175件あり、このうち、二重恐喝の手口によるものは130件で74%を占めた。
  • ランサムウェアによる被害(197件)のうち、直接的な対価の要求を確認できたものは31件あり、このうち、暗号資産による支払の要求があったものは27件で87%を占めた。
  • ランサムウェアによる被害(197件)の内訳を企業・団体等の規模別に見ると、大企業は71件、中小企業は102件であり、その規模を問わず、被害が発生した。また、業種別に見ると、製造業は67件、卸売・小売業は33件、サービス業は27件であり、その業種を問わず、被害が発生した。
  • ランサムウェアの感染経路について質問したところ、115件の有効な回答があり、このうち、VPN機器からの侵入が73件で63%、リモートデスクトップからの侵入が21件で18%を占め、テレワーク等に利用される機器等のぜい弱性や強度の弱い認証情報等を利用して侵入したと考えられるものが約82%と大半を占めた。
  • 復旧に要した期間について質問したところ、136件の有効な回答があり、このうち、復旧までに1か月以上を要したものが28件あった。また、ランサムウェア被害に関連して要した調査・復旧費用の総額について質問したところ、118件の有効な回答があり、このうち、1,000万円以上の費用を要したものが44件で37%を占めた。
  • 被害に遭ったシステム又は機器のバックアップの取得状況について質問したところ、140件の有効な回答があり、このうち、取得していたものが132件で94%を占めた。また、取得していたバックアップから復元を試みた126件の回答のうち、バックアップから被害直前の水準まで復元できなかったものは105件で83%であった。
  • IHCの運用ガイドラインに基づき、令和5年2月15日から12月31日までの間、重要犯罪密接関連情報と判断し分析した情報は4,876件であり、3,379件(削除依頼を行う前に削除されたものを除く。)についてサイト管理者等に削除依頼を行った結果、2,411件(71.4%)が削除に至った。このうち、令和5年9月29日から12月31日までの間、犯罪実行者募集情報と判断し分析した情報は4,411件であり、2,979件(削除依頼を行う前に削除されたものを除く。)についてサイト管理者等に削除依頼を行った結果、2,136件(71.7%)が削除に至った。
  • 外国人が組織的に関与していることがうかがわれる例も確認されている。サイバー特別捜査隊では、このようなフィッシング事犯等の捜査及び実態解明を推進しているところ、その過程において、フィッシングを組織的に行う中国人グループ(以下「中国人フィッシンググループ」という。)の存在を認知した。このグループでは、フィッシングを容易にするようなエコシステムが構築されていることが判明している。具体的には、匿名性の高いSNS等を通じて中間的役割を担う指示役(以下「中間指示役」という。)や商品購入役等の募集・連絡を行っており、フィッシング実行役がフィッシングで認証情報等を窃取した後、中間指示役を通じて、スマートフォン決済サービスやクレジットカード情報を悪用した商品の不正購入、購入した商品の運搬、転売による換金を分担して行わせ、不正な利益を獲得している態様のものが確認された。また、フィッシング実行役は、匿名性の高いSNS等を通じ、フィッシングで窃取した情報の売買やフィッシングの指南等も行っているとみられる。このようなエコシステムは、他のフィッシング事犯等においても構築されているとみられており、サイバー特別捜査隊においては、引き続き、フィッシング事犯等の捜査及び実態解明に努めている。
  • 犯行グループによるフィッシングサイトやフィッシングメールは、極めて精巧に作成されており、真偽を判断することが極めて困難となっていることから、ウェブサービスの利用者においては、重要なサイトやよく使用するサイトはあらかじめブックマークしたURLからアクセスするなど、より慎重な対応が求められる。また、同一のID・パスワードを複数のウェブサービスにおいて使用している場合は、一度フィッシングにより情報を盗まれると、被害が急速に拡大するおそれがあるため、インターネットバンキング等の利用者はID・パスワード等の認証情報の使い回しを避けることで被害の拡大を防止することができる。

警察庁 不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況
  • 令和5年における不正アクセス行為の認知件数は6,312件であり、前年(令和4年)と比べ、4,112件(約186.9%)増加した。
  • 令和5年における不正アクセス行為の認知件数について、不正アクセス後に行われた行為別に内訳を見ると、「インターネットバンキングでの不正送金等」が最も多く(5,598件)、次いで「メールの盗み見等の情報の不正入手」(204件)、「インターネットショッピングでの不正購入」(93件)の順となっている。
  • 令和5年における不正アクセス行為の認知件数について、不正アクセス後に行われた行為別に内訳を見ると、「インターネットバンキングでの不正送金等」が最も多く(5,598件)、次いで「メールの盗み見等の情報の不正入手」(204件)、「インターネットショッピングでの不正購入」(93件)の順となっている。
  • 令和5年における不正アクセス行為の検挙件数について、手口別に内訳を見ると、「識別符号窃用型」が475件と全体の90%以上を占めている。
  • 令和5年に検挙した不正アクセス禁止法違反事件に係る被疑者の年齢は、「20~29歳」が最も多く(103人)、次いで「14~19歳」(73人)、「30~39歳」(53人)の順となている。なお、令和5年に不正アクセス禁止法違反で補導又は検挙された者のうち、最年少の者は11歳注10、最年長の者は61歳であった。
  • 令和5年に検挙した不正アクセス禁止法違反の検挙件数のうち、識別符号窃用型の不正アクセス行為(475件)について、その手口別に内訳を見ると、「利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んで入手」が最も多く(203件)、次いで「識別符号を知り得る立場にあった元従業員や知人等による犯行」(68件)の順となっており、前年(令和4年)と比べ、前者は約0.88倍、後者は約1.66倍となっている。
  • 令和5年に検挙した不正アクセス禁止法違反の検挙件数のうち、識別符号窃用型の不正アクセス行為(475件)について、他人の識別符号を用いて不正に利用されたサービス別に内訳を見ると、「オンラインゲーム・コミュニティサイト」が最も多く(234件)、次いで「社員・会員用等の専用サイト」(82件)の順となっており、前年(令和4年)と比べ、前者は約1.00倍、後者は約0.79倍となっている。
  • 利用権者の講ずべき措置
    • パスワードの適切な設定・管理
      • 利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んだ不正アクセス行為が発生していることから、利用権者の氏名、電話番号、生年月日等を用いた推測されやすいパスワードを設定しないほか、複数のウェブサイトやアプリ等で同じID・パスワードの組合せを使用しない(パスワードを使い回さない)よう注意する。また、日頃から自己のパスワードを適切に管理し、不用意にパスワードを他人に教えたり、インターネット上で入力・記録したりすることのないよう注意する。
      • なお、インターネット上に情報を保存するメモアプリ等が不正アクセスされ、保存していたパスワード等の情報が窃取されたと思われるケースも確認されていることから、情報の保存場所についても十分注意する。
    • フィッシングへの対策
      • eコマース関係企業、通信事業者、金融機関、荷物の配送連絡等を装ったSMS(ショートメッセージサービス)や電子メールを用いて、実在する企業を装ったフィッシングサイトへ誘導し、ID・パスワード等を入力させる手口が多数確認されていることから、SMSや電子メールに記載されたリンク先のURLに不用意にアクセスしないよう注意する。
    • 不正プログラムへの対策
      • 通信事業者を装ったSMSからの誘導により携帯電話端末に不正なアプリをインストールさせ、当該アプリを実行すると表示されるログイン画面にID・パスワードを入力させる手口も確認されていることから、心当たりのある企業からのSMSや電子メールであっても、当該企業から届いたSMSや電子メールであることが確認できるまでは添付ファイルを開かず、本文に記載されたリンク先のURLをクリックしないよう徹底する。また、不特定多数が利用するコンピュータでは、ID・パスワード、クレジットカード情報等の重要な情報を入力しないよう徹底する。さらに、アプリ等のソフトウェアの不用意なインストールを避けるとともに、不正プログラムへの対策(ウイルス対策ソフト等の利用のほか、オペレーティングシステムを含む各種ソフトウェアのアップデート等によるぜい弱性対策等)を適切に講ずる。特に、インターネットバンキング、インターネットショッピング、オンラインゲーム等の利用に際しては、不正プログラムへの対策が適切に講じられていることを確認するとともに、ワンタイムパスワード等の二要素認証注12や二経路認証を利用するなど、金融機関、ショッピングサイト、ゲーム会社等が推奨するセキュリティ対策を積極的に利用する。
  • アクセス管理者の講ずべき措置
    • 運用体制の構築等
      • セキュリティの確保に必要なログの取得等の仕組みを導入するとともに、管理するシステムに係るぜい弱性の管理、不審なログインや行為等の監視及び不正にアクセスされた場合の対処に必要な体制を構築し、適切に運用する。
    • パスワードの適切な設定
      • 利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んだ不正アクセス行為が発生していることから、使用しなければならない文字の数や種類を可能な限り増やすなど、容易に推測されるパスワードを設定できないようにするほか、複数のウェブサイトやアプリ等で同じID・パスワードの組合せを使用しない(パスワードを使い回さない)よう利用権者に周知するなどの措置を講ずる。
    • ID・パスワードの適切な管理
      • ID・パスワードを知り得る立場にあった元従業員、委託先業者等の者による不正アクセス行為が発生していることから、利用権者が特定電子計算機を利用する立場でなくなった場合には、アクセス管理者が当該者に割り当てていたIDの削除又はパスワードの変更を速やかに行うなど、ID・パスワードの適切な管理を徹底する。
    • セキュリティ・ホール攻撃への対策
      • ウェブシステムやVPN機器のぜい弱性に対する攻撃等のセキュリティ・ホール攻撃への対策として、定期的にサーバやアプリケーションのプログラムを点検し、セキュリティパッチの適用やソフトウェアのバージョンアップを行うことなどにより、セキュリティ上のぜい弱性を解消する。
    • フィッシング等への対策
      • フィッシング等により取得したID・パスワード等を用いて不正アクセスする手口が多数確認されていることから、ワンタイムパスワード等の二要素認証や二経路認証の積極的な導入等により認証を強化する。また、フィッシング等の情報を日頃から収集し、フィッシングサイトが出回っていること、正規のウェブサイトであるかよく確認した上でアクセスする必要があることなどについて、利用権者に対して注意喚起を行う。

警察庁 暴力団排除等のための部外への情報提供について(通達)
  • 暴力団情報については、法令の規定により警察において厳格に管理する責任を負っている一方、一定の場合に部外へ提供することによって、暴力団による危害を防止し、その他社会から暴力団を排除するという暴力団対策の本来の目的のために活用することも当然必要である。
  • 各都道府県においては、暴力団排除条例(以下「条例」という。)が施行され、事業者が一定の場合に取引等の相手方が暴力団員・元暴力団員等に該当するかどうかを確認することが義務付けられるとともに、暴力団が資金獲得のために介入するおそれのある建設・金融等の業界を中心として、暴力団員に加え、元暴力団員等を各種取引から排除する仕組みが構築されている。一方、暴力団は、暴力団関係企業や暴力団と共生する者のほか、最近では匿名・流動型犯罪グループを通じて様々な経済取引に介入して資金の獲得を図るなど、その組織又は活動の実態を多様化・不透明化させている。
  • このような情勢を受けて、事業者からのこれらの者に関する情報提供についての要望は依然として高く、条例においても事業者等に対し、必要な支援を行うことが都道府県の責務として規定されているところである。
  • 暴力団情報の部外への提供については、「暴力団排除等のための部外への情報提供について」(平成31年3月20日付け警察庁丙組企分発第105号、丙組暴発第7号)に基づき行っているところであるが、以上のような情勢に的確に対応し、社会からの暴力団の排除を引き続き推進するため、下記のとおりとするので、その対応に遺漏のないようにされたい。
  • なお、上記通達は廃止する。
  • 第1 基本的な考え方
    • 組織としての対応の徹底
      • 暴力団情報の提供については、個々の警察官が依頼を受けて個人的に対応するということがあってはならず、必ず、提供の是非について、第6の2に定めるところにより、警察本部の暴力団対策主管課長又は警察署長の責任において組織的な判断を行うこと。
    • 情報の正確性の確保
      • 暴力団情報を提供するに当たっては、第4の1に定めるところにより、必要な補充調査を実施するなどして、当該情報の正確性を担保すること。
    • 情報提供に係る責任の自覚
      • 情報の内容及び情報提供の正当性について警察が立証する責任を負わなければならないとの認識を持つこと。
    • 情報提供の正当性についての十分な検討
      • 暴力団員等の個人情報の提供については、個人情報の保護に関する法律の規定に従って行うこと。特に、相手方が行政機関以外の者である場合には、法令の規定に基づく場合のほかは、当該情報が暴力団排除等の公益目的の達成のために必要であり、かつ、警察からの情報提供によらなければ当該目的を達成することが困難な場合に行うこと。
  • 第2 積極的な情報提供の推進
    • 暴力団犯罪の被害者の被害回復訴訟において組長等の使用者責任を追及する場合や、暴力団事務所撤去訴訟等暴力団を実質的な相手方とする訴訟を支援する場合は、特に積極的な情報提供を行うこと。
    • 債権管理回収業に関する特別措置法及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律のように提供することができる情報の内容及びその手続が法令により定められている場合又は他の行政機関、地方公共団体その他の公共的機関との間で暴力団排除を目的として暴力団情報の提供に関する申合せ等が締結されている場合には、これによるものとする。暴力団排除を目的として組織された事業者団体その他これに準ずるものとの間で申合せ等が締結されている場合についても、同様とする。なお、都道府県警察においてこの申合せ等を結ぶ場合には、事前に警察庁刑事局組織犯罪対策部組織犯罪対策第一課と協議するものとする。
    • 第2の1又は2以外の場合には、条例上の義務履行の支援、暴力団に係る被害者対策、資金源対策の視点や社会経済の基本となるシステムに暴力団を介入させないという視点から、第3に示した基準に従いつつ、可能な範囲で積極的かつ適切な情報提供を行うものとする。
    • 都道府県暴力追放運動推進センター(以下「センター」という。)に対して相談があった場合にも、同様に第3に示した基準に従い判断した上で、必要な暴力団情報をセンターに提供し、センターが相談者に当該情報を告知することとする。
  • 第3 情報提供の基準
    • 暴力団情報については、警察は厳格に管理する責任を負っていることから、情報提供によって達成される公益の程度によって、情報提供の要件及び提供できる範囲・内容が異なってくる。
    • そこで、以下の1、2及び3の観点から検討を行い、暴力団対策に資すると認められる場合は、暴力団情報を当該情報を必要とする者に提供すること。
      1. 提供の必要性
        • 条例上の義務履行の支援に資する場合その他法令の規定に基づく場合
          • 事業者が、取引等の相手方が暴力団員、暴力団準構成員、元暴力団員、共生者、暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有する者等でないことを確認するなど条例上の義務を履行するために必要と認められる場合には、その義務の履行に必要な範囲で情報を提供するものとする。その他法令の規定に基づく場合についても、当該法令の定める要件に従って提供するものとする。
        • 暴力団による犯罪、暴力的要求行為等による被害の防止又は回復に資する場合
          • 情報提供を必要とする事案の具体的内容を検討し、被害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、被害の防止又は回復のために必要な情報を提供するものとする。
        • 暴力団の組織の維持又は拡大への打撃に資する場合
          • 暴力団の組織としての会合等の開催、暴力団事務所の設置、加入の勧誘、名誉職への就任や栄典を受けること等による権威の獲得、政治・公務その他一定の公的領域への進出、資金獲得等暴力団の組織の維持又は拡大に係る活動に打撃を与えるために必要な場合、その他暴力団排除活動を促進する必要性が高く暴力団の組織の維持又は拡大への打撃に資する場合には、必要な情報を提供するものとする。
      2. 適正な情報管理
        • 情報提供は、その相手方が、提供に係る情報の悪用や目的外利用を防止するための仕組みを確立している場合、提供に係る情報を他の目的に利用しない旨の誓約書を提出している場合、その他情報を適正に管理することができると認められる場合に行うものとする。
      3. 提供する暴力団情報の範囲
        • 第3の1(1)の場合
          • 条例上の義務を履行するために必要な範囲で情報を提供するものとする。
          • この場合において、まずは、情報提供の相手方に対し、契約の相手方等が条例に規定された規制対象者等の属性のいずれかに該当する旨の情報を提供すれば足りるかを検討すること。
        • 第3の1(2)及び(3)の場合
          • 次のア、イ、ウの順に慎重な検討を行う。
            • (ア)暴力団の活動の実態についての情報(個人情報以外の情報)の提供
              • 暴力団の義理掛けが行われるおそれがあるという情報、暴力団が特定の場所を事務所としているという情報、傘下組織に係る団体の名称等、個人情報以外の情報の提供によって足りる場合には、これらの情報を提供すること。
            • (イ)暴力団員等該当性情報の提供
              • 上記アによって公益を実現することができないかを検討した上で、次に、相談等に係る者の暴力団員等(暴力団員、暴力団準構成員、元暴力団員、共生者、暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有する者、総会屋及び社会運動等標ぼうゴロをいう。以下同じ。)への該当性に関する情報(以下「暴力団員等該当性情報」という。)を提供することを検討する。
            • (ウ)上記イ以外の個人情報の提供
              • 上記イによって公益を実現することができないかを慎重に検討した上で、それでも公益実現のために必要であると認められる場合には、住所、生年月日、連絡先その他の暴力団員等該当性情報以外の個人情報を提供する。
              • なお、前科・前歴情報は、そのまま提供することなく、被害者等の安全確保のために特に必要があると認められる場合に限り、過去に犯した犯罪の態様等の情報を提供すること。また、顔写真の交付は行わないこと。
  • 第4 提供する暴力団情報の内容に係る注意点
    1. 情報の正確性の確保について
      • 暴力団情報を提供するに当たっては、その内容の正確性が厳に求められることから、必ず警察本部の暴力団対策主管課等に設置された警察庁情報管理システムによる暴力団情報管理業務により暴力団情報の照会を行い、その結果及び必要な補充調査の結果に基づいて回答すること。
    2. 指定暴力団以外の暴力団について
      • 指定暴力団以外の暴力団のうち、特に消長の激しい規模の小さな暴力団については、これが暴力団、すなわち「その団体の構成員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第2号)に該当することを明確に認定できる資料の存否につき確認すること。
    3. 暴力団準構成員及び元暴力団員等の場合の取扱い
      • 暴力団準構成員
        • 暴力団準構成員については、当該暴力団準構成員と暴力団との関係の態様及び程度について十分な検討を行い、現に暴力団又は暴力団員の一定の統制の下にあることなどを確認した上で、情報提供の可否を判断すること。
      • 元暴力団員
        • 現に自らの意思で反社会的団体である暴力団に所属している構成員の場合と異なり、元暴力団員については、暴力団との関係を断ち切って更生しようとしている者もいることから、過去に暴力団員であったことが法律上の欠格要件となっている場合や、現状が暴力団準構成員、共生者、暴力団員と社会的に非難されるべき関係にある者、総会屋及び社会運動等標ぼうゴロとみなすことができる場合は格別、過去に暴力団に所属していたという事実だけをもって情報提供をしないこと。
      • 共生者
        • 共生者については、暴力団への利益供与の実態、暴力団の利用実態等共生関係を示す具体的な内容を十分に確認した上で、具体的事案ごとに情報提供の可否を判断すること。
      • 暴力団員と社会的に非難されるべき関係にある者
        • 「暴力団員と社会的に非難されるべき関係」とは、例えば、暴力団員が関与している賭博等に参加している場合、暴力団が主催するゴルフコンペや誕生会、還暦祝い等の行事等に出席している場合等、その態様が様々であることから、当該対象者と暴力団員とが関係を有するに至った原因、当該対象者が相手方を暴力団員であると知った時期やその後の対応、暴力団員との交際の内容の軽重等の事情に照らし、具体的事案ごとに情報提供の可否を判断する必要があり、暴力団員と交際しているといった事実だけをもって漫然と「暴力団員と社会的に非難されるべき関係にある者である」といった情報提供をしないこと。
      • 総会屋及び社会運動等標ぼうゴロ
        • 総会屋及び社会運動等標ぼうゴロについては、その活動の態様が様々であることから、漫然と「総会屋である」などと情報を提供しないこと。
        • 情報提供が求められている個別の事案に応じて、その活動の態様について十分な検討を行い、現に活動が行われているか確認した上で情報を提供すること。
      • 暴力団の支配下にある法人
        • 暴力団の支配下にある法人については、その役員に暴力団員等がいることをもって漫然と「暴力団の支配下にある法人である」といった情報提供をするのではなく、役員等に占める暴力団員等の比率、当該法人の活動実態等についての十分な検討を行い、現に暴力団が当該法人を支配していると認められる場合に情報を提供すること。
  • 第5 情報提供の方式
    • 第3の1(1)による情報提供を行うに当たっては、その相手方に対し、情報提供に係る対象者の住所、氏名、生年月日等が分かる身分確認資料及び取引関係を裏付ける資料等の提出を求めるとともに、提供に係る情報を他の目的に利用しない旨の誓約書の提出を求めること。
    • 情報提供の相手方に守秘義務がある場合等、情報の適正な管理のために必要な仕組みが整備されていると認められるときは、情報提供を文書により行ってよい。これ以外の場合においては、口頭による回答にとどめること。
    • 情報提供は、原則として、当該情報を必要とする当事者に対して、当該相談等の性質に応じた範囲内で行うものとする。ただし、情報提供を受けるべき者の委任を受けた弁護士に提供する場合その他情報提供を受けるべき者本人に提供する場合と同視できる場合はこの限りでない。

警察庁 悪質な名簿業者等把握時の個人情報保護委員会への情報提供について
  • 概要
    • 特殊詐欺事件において暴力団や匿名・流動型犯罪グループ(以下「犯罪組織」という。)が特殊詐欺のターゲットを選定するに際しては、氏名や住所等の個人情報がリスト化された名簿を用いている状況がうかがえる。
    • 犯罪組織に名簿を提供する悪質な名簿業者等に対するあらゆる法令を駆使した取締りの推進については、「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」(令和5年3月17日犯罪対策閣僚会議決定)において、実行を容易にするツールを根絶するための対策として推進することとされている。
    • 特殊詐欺の用に供されるおそれがあることを知りながら、名簿を犯罪組織に販売する名簿業者を含む個人情報取扱事業者(以下「名簿業者等」という。)の知情性が明らかな場合は、詐欺ほう助等での事件化が見込めるが、個人データ(個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号、以下「個人情報保護法」という。)第16条第3項)の第三者提供の制限等を規定する個人情報保護法においては、当該関係規定に違反しても直罰規定はなく、名簿業者等を監視・監督する個人情報保護委員会による命令等の行政上の措置に従わない場合に同法の罰則が適用され得ることになる(間接罰)。
    • そこで、都道府県警察における特殊詐欺事件の捜査過程で悪質な名簿業者等を把握した場合には、個人情報保護委員会における行政上の措置の前提となり得る当該名簿業者等の実態把握に資するため、悪質な名簿業者等の実態について、個人情報保護委員会に対し情報提供するよう指示したものである。

警察庁 令和6年1月の特殊詐欺認知・検挙状況等について
  • 令和6年1月の特殊詐欺全体の認知件数は1,134件(前年同期1,335件、前年同期比▲15.1%)、被害総額は37.4憶円(29.2億円、+28.4%)、検挙件数は408件(492件、▲17.1%)、検挙人員は168人(172人、▲2.3%)
  • オレオレ詐欺の認知件数は212件(263件、▲19.4%)、被害総額は9.0憶円(9.0億円、▲1.3%)、検挙件数は111件(155件、▲28.4%)、検挙人員は56人(73人、▲23.3%)
  • 預貯金詐欺の認知件数は138件(186件、▲25.8%)、被害総額は1.3憶円(2.3億円、▲46.2%)、検挙件数は101件(100件、+1.0%)、検挙人員は46人(35人、+31.4%)
  • 架空料金請求詐欺の認知件数は294件(385件、▲23.6%)、被害総額は7.1憶円(9,4億円、▲24.3%)、検挙件数は21件(16件、+31.3%)、検挙人員は9人(6人、+50.0%)
  • 還付金詐欺の認知件数は251件(275件、▲8.7%)、被害総額は3.2憶円(2.9憶円、+10.9%)、検挙件数は55件(92件、▲40.2%)、検挙人員は14人(18人、▲22.2%)
  • 融資保証金詐欺の認知件数は14件(15件、▲6.7%)、被害総額は7.8百万円(29.9百万円、▲74.1%)、検挙件数は1件(0件)、検挙人員は0人(1人)
  • 金融商品詐欺の認知件数は96件(10件、+860.0%)、被害総額は15.1憶円(2.0憶円、+654.9%)、検挙件数は0件(10件)、検挙人員は0人(1人)
  • ギャンブル詐欺の認知件数は3件(3件、±0%)、被害総額は6.8百万円(14.2百万円、▲52.6%)、検挙件数は0件(0人)、検挙人員は0人(0人9
  • キャッシュカード詐欺盗の認知件数は108件(196件、▲44.9%)、被害総額は被害総額は1.3憶円(2.7憶円、▲50.9%)、検挙件数は118件(129件、▲8.5%)、検挙人員は42人(38人、+10.5%)
  • 組織的犯罪処罰法違反の検挙件数は29件(18件、+61.1%)、検挙人員は9人(2人、+350.0%)
  • 口座開設詐欺の検挙件数は72件(52件、+38.5%)、検挙人員は22人(33人、▲33.3%)、盗品等譲受け等の検挙件数は0件(1件)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は248件(207件、+19.8%)、検挙人員は175人(148人、+18.2%)、携帯電話契約詐欺の検挙件数は10件(10件、±0%)、検挙人員は13人(10人、+30.0%)、携帯電話不正利用防止法違反の検挙件数は4件(0件)、検挙人員は0人(0人)
  • 被害者の年齢・性別構成について、特殊詐欺全体の男性(36.5%):女性(63.5%)、60歳以上78.6%、70歳以上58.4%、オレオレ詐欺の男性(23.1%):女性(76.9%)、60歳以上91.0%、70歳以上84.4%、預貯金詐欺の男性(9.4%):女性(90.6%)、60歳以上99.3%、70歳以上97.1%、還付金詐欺の男性(33.1%):女性(66.9%)、60歳以上95.2%、70歳以上51.0%、融資保証金詐欺の男性(76.9%):女性(23.1%)、60歳以上0%、70歳以上0%、特殊詐欺被害者全体に占める高齢被害者(65歳以上)の割合について、特殊詐欺69.3%(男性31.8%、女性68.2%)、オレオレ詐欺87.3%(18.9%、81.1%)、預貯金詐欺98.6%(9.6%、90.4%)、架空料金請求詐欺46.9%(67.4%、32.6%)、還付金詐欺76.5%(39.6%、60.4%)、融資保証金詐欺0.0%、金融商品詐欺26.0%(56.0%、44.0%)、ギャンブル詐欺66.7%(100.0%、0.0%)、交際あっせん詐欺0.0%、その他の特殊詐欺11.8%(100.0%、0.0%)、キャッシュカード詐欺盗97.2%(14.3%、85.7%)

【2024年2月】

警察庁 犯罪統計資料(令和6年1月分)
  • 令和6年1月の刑法犯総数について、認知件数は55,235件(前年同期49,803件、前年同期比+10.9%)、検挙件数は21,205件(18,362件、+15.5%)、検挙率は38.4%(36.9%、+1.5P)
  • 凶悪犯の認知件数は510件(376件、+35.6%)、検挙件数は387件(294件、+15.5%)、検挙率は75.9%(78.2%、▲2.3P)、粗暴犯の認知件数は4,465件(4,390件、+1.7%)、検挙件数は3,469件(3,346件、+3.7%)、検挙率は77.7%(76.2%、+1.5P)、窃盗犯の認知件数は38,101件(34,089件、+11.8%)、検挙件数は12,669件(10,792件、+17.4%)、検挙率は33.3%(31.7%、+1.6P)、知能犯の認知件数は3,932件(3,451件、+13.9%)、検挙件数は1,450件(1,447件、+0.2%)、検挙率は36.9%(41.9%、▲5.0P)、風俗犯の認知件数は1,163件(511件、+127.6%)、検挙件数は990件(461件、+101.7%)、検挙率は80.0%(90.2%、▲10.2%)
  • 詐欺の認知件数は3,577件(3,164件、+13.1%)、検挙件数は1,189件(1,250件、▲4.9%)、検挙率は33.2%(39.5%、▲5.0%)
  • 万引きの認知件数は8,476件(7,209件、+17.6%)、検挙件数は5,069件(4,292件、+18.1%)、検挙率は59.8%(59.5%、+0.3P)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は4,529件(4,402件、+2.9%)、検挙人員は3,713人(3,619人、+2.6%)
  • 入管法違反の検挙件数は368件(310件、+18.7%)、検挙人員は252人(233人、+8.2%)、軽犯罪法違反の検挙件数は496件(505件、▲1.8%)、検挙人員は505人(497人、+1.6%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は462件(754件、▲38.7%)、検挙人員は351人(607人、▲42.2%)、ストーカー規制法違反の検挙件数は87件(77件、+13.0%)、検挙人員は74人(63人、+17.5%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は296件(238件、+24.4%)、検挙人員は213人(168人、+26.8%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は30件(22件、+36.4%)、検挙人員は13人(2人、+550.0%)、不正競争防止法違反の検挙件数は1件(7件、▲85.7%)、検挙人員は0人(2人、▲100.0%)、銃刀法違反の検挙件数は329件(350件、▲6.0%)、検挙人員は289人(294人、▲1.7%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は88件(44件、+100.0%)、検挙人員は54人(25人、+116.0%)、大麻取締法違反の検挙件数は480件(420件、+14.3%)、検挙人員は399人(312人、+27.9%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は491件(480件、+24.0%)、検挙人員は351人(280人、+25.4%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数80人(40人、+100.0%)、ベトナム34人(16人、+112.5%)、中国9人(4人、125.0%)、ブラジル4人(1人、+300.0%)、フィリピン4人(2人、+100.0%)、パキスタン3人(1人、+200.0%)、韓国・朝鮮2人(1人、+100.0%)、インドネシア2人(1人、+100.0%)、インド2人(2人、±0%)、スリランカ1人(3人、▲66.7%)、アメリカ1人(2人、▲50.0%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は506件(756件、▲33.1%)、検挙人員は276人(404人、▲31.7%)、暴行の検挙件数は29件(51件、▲43.1%)、検挙人員は27人(42人、▲35.7%)、傷害の検挙件数は62件(82件、▲24.4%)、検挙人員は57人(82人、▲30.5%)、脅迫の検挙件数は17件(25件、▲32.0%)、検挙人員は16人(21人、▲23.8%)、窃盗犯の認知件数は257件(349件、▲26.4%)、検挙人員は37人(57人、▲35.1%)、詐欺の検挙件数は55件(132件、▲58.3%)、検挙人員は46人(105人、▲56.2%)、賭博の検挙件数は0件(0件)、検挙人員は4人(15人、▲73.3%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、総数281件(267件、+5.2%)、検挙人員は203人(172人、+18.0%)、入管法違反の検挙件数は2件(0件)、検挙人員は3件(0件)、軽犯罪法違反の検挙件数は4件(6件、▲33.3%)、検挙人員は4人(5人、▲20.0%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は12件(3件、+300.0%)、検挙人員は7人(3人、+133.3%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は27件(0件)、検挙人員は30件(3件、+900.0%)、銃刀法違反の検挙件数は5件(3件、66.7%)、検挙人員は3件(2件、+50.0%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は7件(1件、+600.0%)、検挙人員は0人(0人)、大麻取締法違反の検挙件数は38件(66件、▲42.4%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は153件(141件、+8.5%)、検挙人員は109人(82人、+32.9%)、麻薬特例法違反の検挙件数は2件(4件、▲50.0%)、検挙人員は1人(0人)

警察庁 令和5年の犯罪情勢
  • 刑法犯
    • 刑法犯認知件数の総数については、平成15年から令和3年まで一貫して減少してきたところ、令和5年は70万3,351件4と、戦後最少となった令和3年から2年連続して増加し(前年比17.0%増加)、令和元年の水準に近づいており(令和元年比6.0%減少)、今後の動向について注視すべき状況にある
    • また、人口千人当たりの刑法犯の認知件数についても5.6件と、刑法犯認知件数の総数と同様に、戦後最少となった令和3年から2年連続で増加となり、令和元年の水準に近づいている
    • 認知件数の内訳を見ると、総数に占める割合が大きい街頭犯罪が、24万3,987件(前年比21.0%増加)と、伸び率が大きく、令和元年の水準に近づいている(令和元年比10.6%減少)。その中でも、自転車盗、傷害及び暴行については、新型コロナウイルス感染症の感染状況の変化等による人流の増加が一定程度影響したとみられる。また、侵入犯罪7の認知件数は5万5,269件となり、前年比で19.1%増加、令和元年比で22.3%減少となった。
    • 重要犯罪の認知件数について、令和5年は1万2,372件と、前年比で29.8%増加し、令和元年比でも25.0%増加となった。その内訳を見ると、不同意性交等及び不同意わいせつ並びに略取誘拐・人身売買がいずれも前年比及び令和元年比で増加となった。その背景には情勢の変化等、様々な要素があると考えられ、単純な経年比較はできないものの、不同意性交等及び不同意わいせつについては、刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(令和5年法律第66号。以下「改正刑法」という。)により、構成要件の一部が変更されたことや、政府として性犯罪の被害申告・相談をしやすい環境の整備を強力に推進してきたこともあいまって、認知件数が増加したものと推認される。略取誘拐・人身売買については、通話・通信アプリを利用した手口による被害の増加が、前年からの認知件数増加の一因となっている。また、殺人及び強盗についても、前年比で増加となった。加えて、SNSで実行犯を募集する手口が特殊詐欺のみならず強盗等まで拡大しているほか、岸田首相に対する爆発物使用襲撃事件及び長野県中野市において、猟銃等を用いて警察官2人を含む4人を殺害する事案も発生している。
    • 財産犯の被害額の推移については、約2,519億円と前年比で56.7%増加している。その内訳を見ると、詐欺による被害額が約1,626億円と増加している(前年比85.4%増加)。また、詐欺による被害の増加については、インターネットを利用した詐欺の増加等が寄与している状況が認められた。
    • 刑法犯の検挙状況については、検挙件数は26万9,550件、検挙人員は18万3,269人と、共に前年(25万350件、16万9,409人)を上回った(それぞれ前年比で7.7%、8.2%増加)。少年の検挙人員は1万8,949人で、検挙人員全体の10.3%となった。一方で、刑法犯の検挙率は38.3%、重要犯罪の検挙率は81.8%、重要窃盗犯の検挙率は51.4%と、いずれも2年連続減少した(それぞれ前年比3.3ポイント、5.8ポイント、6.8ポイント減少)
  • サイバー事案
    • 近年、サイバー空間は、地域や年齢、性別を問わず、全国民が参加し、重要な社会経済活動が営まれる公共空間へと変貌を遂げた一方で、国内外で様々なサイバー事案が発生するなど、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢が続いている。インターネットバンキングに係る不正送金事犯については、令和5年は発生件数が5,528件、被害総額は約86億円と急増し、いずれも過去最多となった(それぞれ前年比で386.6%、465.7%増加)。被害の大部分は個人であり、そのうち40代から60代の被害者が60.0%を占めている。インターネットバンキングに係る不正送金事犯の手口は様々であり、また、情勢や対策等に合わせて手口が変化することがあるが、令和5年においては、その被害の多くがフィッシングによるものとみられており、金融機関を装ったフィッシングサイト(偽のログインサイト)へ誘導する電子メール等が多数確認されている。
    • ランサムウェアと呼ばれる不正プログラムによる被害は全世界で深刻化しており、国内においては、令和5年中に警察庁に報告された企業・団体等におけるランサムウェアによる被害件数が197件と、前年比で14.3%減少したものの、依然として高い水準で推移している。加えて、データを暗号化する(ランサムウェアを用いる)ことなくデータを窃取し対価を要求する手口(「ノーウェアランサム」)が新たに30件確認されるなど、手口が巧妙化・多様化している実態がある。さらに、サイバー攻撃については、DDoS攻撃による被害とみられるウェブサイトの閲覧障害が複数発生し、一部の事案に関しSNS上でハクティビストや親ロシア派ハッカー集団からの犯行をほのめかす投稿が確認された。また、中国を背景とするサイバー攻撃グループ「BlackTech」(ブラックテック)による情報窃取を目的としたサイバー攻撃も確認された
    • 令和5年中に警察庁が検知したサイバー空間における探索行為等とみられるアクセスの件数は、1日・1IPアドレス当たり9,144.6件と過去最多(前年比18.6%増加)に上っており、その多くがIoT機器に対するサイバー攻撃やぜい弱性を有するIoT機器の探索行為であるとみられる
    • サイバー事案の検挙件数については、令和5年中は2,851件を検挙しており、その内訳を見ると電子計算機使用詐欺及び不正アクセス禁止法違反で全体の51.6%を占めている。また、令和5年における不正アクセス禁止法違反及びコンピュータ・電磁的記録対象犯罪の検挙件数は、それぞれ521件、997件であった(それぞれ前年比0.2%減少、5.2%増加)このほか、SNSに起因する事犯17の被害児童18数は1,663人(前年比4.0%減少)と、令和2年以降減少傾向にあるものの、依然として高い水準で推移している
  • 特殊詐欺
    • 特殊詐欺については、事件の背後にいる暴力団や準暴力団を含む匿名・流動型犯罪グループが、資金の供給、実行犯の周旋、犯行ツールの提供等を行い、犯行の分業化と匿名化を図った上で、組織的に敢行している実態にあり、令和5年の認知件数は1万9,033件、被害総額は約441.2億円と昨年に続き増加となり、深刻な情勢が続いている(それぞれ前年比で8.3%、19.0%増加)
    • 認知件数を犯行手口別に見ると、令和3年に急増した還付金詐欺の占める割合が減少した一方で、架空料金請求詐欺の占める割合が27.0%と大きく増加している。この架空料金請求詐欺について、被害者を欺罔する手段として犯行の最初に用いられたツールは、ポップアップ表示の割合が43.8%となっており、性別・年代を問わず被害が発生している。一方で、架空料金請求詐欺以外の特殊詐欺については、被害者は高齢女性が多くを占め、被害の大半は犯人からの電話を受けることに端を発している。
    • 令和5年における特殊詐欺の検挙件数は7,219件(前年比8.7%増加)、検挙人員は2,499人(前年比1.7%増加)と、いずれも前年を上回った。
    • こうした特殊詐欺事件の背後においては、SNSで特殊詐欺の実行犯を募集する者や、犯罪グループや特殊詐欺の実行犯に対して、預貯金口座や携帯電話を不正に譲渡する者、電話転送サービス等の提供を行ったり、電子マネー利用番号等の転売、買取等を行ったりしている悪質な事業者の存在が依然として認められる。
  • 人身安全関連事案
    • 人身安全関連事案のうち、ストーカー事案の相談等件数は1万9,843件(前年比3.7%増加)と、依然として高い水準で推移している。また、ストーカー事案の検挙件数については、ストーカー規制法違反検挙、刑法犯等検挙はそれぞれ1,081件、1,708件であり(それぞれ前年比5.2%、3.5%増加)、依然として高い水準で推移している。また、配偶者からの暴力事案等の相談等件数は増加傾向にあり、令和5年は8万8,619件と、前年比で4.9%増加し、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)の施行以降で最多となった。配偶者からの暴力事案等の検挙件数については8,636件(前年比1.2%増加)と、依然として高い水準で推移している
    • 児童虐待については、児童虐待又はその疑いがあるとして警察から児童相談所に通告した児童数は年々増加しており、令和5年は12万2,806人と、前年比で6.1%増加し、過去最多となった。その態様別では、心理的虐待が9万761人と全体の73.9%を占めている。また、児童虐待事件の検挙件数については、2,385件と、前年比9.4%増加し、過去最多となっており、その態様別では、身体的虐待が1,903件と全体の79.8%を占めている
    • これらを踏まえると、人身安全関連事案については、引き続き注視すべき情勢にある。
  • 体感治安
    • 前項までに述べたような指標からは捉えられない国民の治安に関する認識を把握するため、令和5年10月、警察庁において「治安に関するアンケート調査」を実施したところ、日本の治安について「よいと思う」旨回答した方は、全体の64.7%を占めた。その一方で、ここ10年間での日本の治安に関し、「悪くなったと思う」旨回答した方は全体の71.9%を占めた。
  • 犯罪情勢の総括
    • 戦後最少となった令和3年以降、刑法犯認知件数が2年連続で前年比増加となり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の令和元年の水準に近づきつつある。また、重要犯罪罪の認知件数が既に令和元年を上回る数値となったほか、令和5年中には、国民に不安を与えるような事件等も発生した。加えて、インターネットを利用した詐欺の増加等を背景として、財産犯の被害額が増加するなど、今後の動向について注視すべき状況にある。
    • サイバー事案については、インターネットバンキングに係る不正送金事犯の被害が過去最多となったほか、国家を背景に持つ集団によるサイバー攻撃も確認されているなど、極めて深刻な情勢が続いている。
    • 特殊詐欺については、認知件数が3年連続、被害額が2年連続で増加したほか、全年代を対象とした架空料金請求詐欺の手口での被害が昨年比で大幅に増加するなど、深刻な情勢が続いている。
    • 人身安全関連事案については、ストーカー事案の相談等件数及び配偶者からの暴力事案等の相談等件数がいずれも前年より増加したほか、児童虐待又はその疑いがあるとして警察から児童相談所に通告した児童数が過去最多に上るなど、注視すべき状況にある。
    • また、前述のように複数の指標において、サイバー空間における技術・サービスをいわば犯罪のインフラとして悪用した事案の増加が認められた。
    • 以上を踏まえれば、我が国の犯罪情勢は、厳しい状況にあると認められる。
  • 今後の取組
    • 国民の安全・安心を確保するため、警察としては、我が国の社会情勢等が大きく変化している中、警戒の空白が生じることを防ぎ、直面する様々な課題に的確に対処するため、総合的な対策を、これまで以上に強力に推進する。特に、匿名・流動型犯罪グループに対し、部門や都道府県警察の垣根を超えて、戦略的な取締りを更に強化する。
    • 街頭犯罪をはじめとする国民に不安を与える身近な犯罪の抑止に向け、それぞれの地域における治安情勢等に応じ、地域社会や関係機関・団体等との連携の下、各種取組を推進するとともに、性犯罪に関しては、令和5年6月に公布された改正刑法及び性的姿態撮影等処罰法の内容、趣旨等を踏まえ、被害申告・相談しやすい環境の整備や、被害者の心情に配意した適切な捜査をより一層推進する。また、SNSで実行犯を募集する手口等による強盗等については、犯罪グループの実態解明に向けた捜査を含む効果的な取締りを推進するとともに、AIシステムを活用したサイバーパトロールを行うなど、インターネット上の違法・有害情報の排除に向けた取組等を推進する。
    • サイバー事案については、国家を背景に持つサイバー攻撃や被害が高水準で推移するランサムウェア事案等の脅威に対して、関東管区警察局サイバー特別捜査隊と都道府県警察とが一体となった捜査、実態解明等に取り組み、外国捜査機関等と連携した対処等を推進するとともに、脅威の深刻化に対応するための捜査・解析能力の高度化や事業者等と連携した被害防止対策を強力に推進する。特に、過去最多の被害を記録したインターネットバンキングに係る不正送金事犯については、最先端技術等の活用等によるフィッシング対策の高度化・効率化等、キャッシュレス社会の安全・安心の確保に向けた各種取組を推進する。
    • 特殊詐欺については、関係事業者等と連携し、高齢者宅の固定電話へのナンバー・ディスプレイ、ナンバー・リクエストや留守番電話設定の普及、国際電話番号を悪用した詐欺の増加に伴う国際通話ブロックの推進等、犯人からの電話を直接受けないための対策のほか、令和5年に急増した架空料金請求詐欺について高額の電子マネーを購入しようとする客への声掛け等、被害防止対策を強力に推進する。また、令和6年度から、発生地警察から依頼を受けた首都圏等の警察が自らの管轄区域内の捜査を責任を持って行う「特殊詐欺連合捜査班(TAIT)」を各都道府県警察に構築することにより広域的な捜査連携を強化する。さらに、電話転送サービスに係る悪質な電気通信事業者等、犯行ツールに係る悪質な事業者について、情報収集を強化し、あらゆる法令を駆使してその取締りを推進する。
    • 人身安全関連事案については、被害が潜在化しやすく、事態が急展開するおそれが大きいという特徴を踏まえ、関係機関と緊密に連携しつつ、被害者等の安全の確保を最優先に、関係法令を駆使した加害者の検挙等による加害行為の防止や被害者等の保護措置等の取組を推進する。
    • これらの取組を実効的に推進する上でも、所属・部門を超えたリソースの重点化や能率的でメリハリのある組織運営を一層図り、警察機能を最大限に発揮し、国民の期待と信頼に応えていく。

警察庁 犯罪統計資料(令和5年1~12月分【確定値】)
  • 令和5年1~12月における刑法犯総数について、認知件数は703,351件(前年同期601,331件、前年同期比+17.0%)、検挙件数は269,550件(250,350件、+7.7%)、検挙率は38.3%(41.6%、▲3.3P)
  • 凶悪犯の認知件数は5,750件(4,437件、+29.6%)、検挙件数は4,832件(3,922件、+23.2%)、検挙率は84.0%(88.4%、▲4.4%)、粗暴犯の認知件数は58,474件(52,701件、+11.0%)、検挙件数は47,736件(43,499件、+9.7%)、検挙率は81.6%(82.5%、▲0.9P)、窃盗犯の認知件数は483,695件(407,911件、+18.6%)、検挙件数は157,115件(148,122件、+6.1%)、検挙率は32.5%(36.3%、▲3.8P)、知能犯の認知件数は50,035件(41,308件、+21.1%)、検挙件数は19,559件(18,809件、+4.0%)、検挙率は39.1%(45.5%、▲6.4P)
  • 詐欺の認知件数は46,011件(37,928件、+21.3%)、検挙件数は16,667件(16,084件、+4.0%)、検挙率は36.2%(42.4%、▲6.2%)
  • 万引きの認知件数は93,168件(83,598件、+11.4%)、検挙件数は62,675件(58,283件、+7.5%)、検挙率は67.3%(69.7%、▲2.4%)
  • 特別法犯総数について、検挙件数は70,046件(67,477件、+3.8%)、検挙人員は57,016人(55,639人、+2.5%)
  • 入管法違反の検挙件数は6,029件(4,201件、+43.5%)、検挙人員は4,228人(3,129人、+35.1%)、軽犯罪法違反の検挙件数は7,665件(7,888件、▲2.8%)、検挙人員は7,605人(7,820人、▲2.7%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は9,771件(9,800件、▲0.3%)、検挙人員は7,355人(7,526人、▲2.3%)、犯罪収益移転防止法違反の検挙件数は3,424件(3,066件、+11.7%)、検挙人員は2,658人(2,554人、+4.1%)、不正アクセス禁止法違反の検挙件数は521件(522件、▲0.2%)、検挙人員は156人(164人、▲4.9%)、不正競争防止法違反の検挙件数は53件(70件、▲24.3%)、検挙人員は63人(82人、▲23.2%)、銃刀法違反の検挙件数は5,064件(5,164件、▲1.9%)、検挙人員は4,283人(4,552人、▲5.9%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は1,547件(1,063件、+45.5%)、検挙人員は894人(647人、+38.2%)、大麻取締法違反の検挙件数は7,708件(6,493件、+18.7%)、検挙人員は6,243人(5,184人、+20.4%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は8,160件(8,532件、▲4.4%)、検挙人員は5,727人(5,944人、▲3.7%)
  • 来日外国人による 重要犯罪・重要窃盗犯 国籍別 検挙人員 対前年比較について、総数は742人(584人、+27.1%)、ベトナムは239人(183人、+30.6%)、中国は97人(94人、+3.2%)、ブラジルは49人(40人、+22.5%)、フィリピン29人(21人、+38.1%)、スリランカは27人(40人、▲32.5%)、韓国・朝鮮は25人(22人、13.6%)、インドは21人(14人、+50.0%)、パキスタンは16人(19人、▲15.8%)、バングラデシュは15人(7人、+114.3%)
  • 暴力団犯罪(刑法犯)罪種別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は9,909件(11,306件、▲12.4%)、検挙人員総数は6,068人(6,155人、▲1.4%)、暴行の検挙件数は571件(616件、▲7.3%)、検挙人員は527人(602人、▲12.5%)、傷害の検挙件数は1,003件(1,012件、▲0.9%)、検挙人員は1,186人(1,142人、+3.9%)、脅迫の検挙件数は309件(364件、▲0.9%)、検挙人員は289人(370人、▲21.9%)、恐喝の検挙件数は352件(352件、±0%)、検挙人員は460人(453人、+1.5%)、詐欺の認知件数は1,600件(1,986件、▲19.4%)、検挙人員は1,332人(1,424人、▲6.5%)、賭博の検挙件数は45件(49件、▲8.2%)、検挙人員は152人(153人、▲0.7%)
  • 暴力団犯罪(特別法犯)主要法令別 検挙件数・検挙人員 対前年比較について、検挙件数総数は5,024件(5,528件、▲9.1%)、検挙人員は21人(27人、▲5.5%)、入管法違反の検挙件数は25件(20件、+25.0%)、検挙人員は21人(27人、▲22.2%)、軽犯罪法違反の検挙件数は71件(75件、▲5.3%)、検挙人員は55人(68人、▲19.1%)、迷惑防止条例違反の検挙件数は67件(90件、▲25.6%)、検挙人員は65人(80人、▲18.8%)、暴力団員不動行為防止法違反の検挙件数は7件(3件、+133.3%)、検挙人員は5人(3人、+66.7%)、暴力団排除条例違反の検挙件数は19件(19件、±0%)、検挙人員は34人(42人、▲19.0%)、銃刀法違反の検挙件数は104件(114件、▲8.8%)、検挙人員は80人(79人、+1.3%)、麻薬等取締法違反の検挙件数は236人(189人、+24.9%)、検挙人員は102人(78人、+30.8%)、大麻取締法違反の検挙件数は1,065件(1,042件、+2.2%)、検挙人員は705人(619人、+13.9%)、覚せい剤取締法違反の検挙件数は2,769件(3,224件、▲14.1%)、検挙人員は1,912人(2,141人、▲10.7%)、麻薬等特例法違反の検挙件数は115件(151件、▲23.8%)、検挙人員は59人(77人、▲23.4%)

警察庁 令和5年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値版)
  • 認知状況全般
    • 令和5年の特殊詐欺の認知件数(以下「総認知件数」という。)は19,033件(+1,463件、+8.3%)、被害額は441.2億円(+70.4億円、+19.0%)と、前年に比べて総認知件数及び被害額は共に増加。
    • 被害は大都市圏に集中しており、東京の認知件数は2,920件(▲298件)、大阪2,649件(+585件)、神奈川2,024件(▲66件)、愛知1,357件(+377件)、埼玉1,338件(▲49件)、千葉1,310件(▲147件)及び兵庫1,213件(+139件)で、総
    • 認知件数に占めるこれら7都府県の合計認知件数の割合は67.3%(▲2.5ポイント)。
    • 1日当たりの被害額は1億2,089万円(+1,929万円)。
    • 既遂1件当たりの被害額は237.9万円(+19.3万円、+8.8%)。
  • 主な手口別の認知状況
    • オレオレ詐欺、預貯金詐欺及びキャッシュカード詐欺盗(以下3類型を合わせて「対面型特殊詐欺」と総称する。)の認知件数は8,896件(▲828件、▲8.5%)、被害額は191.7億円(▲13.4億円、▲6.5%)で、総認知件数に占める割合は46.7%(▲8.6ポイント)。
    • オレオレ詐欺は、認知件数3,946件(▲341件、▲8.0%)、被害額130.4億円(+1.1億円、+0.8%)と、認知件数は減少するも、被害額は増加し、総認知件数に占める割合は20.7%(▲3.7ポイント)。
    • 預貯金詐欺は、認知件数2,734件(+371件、+15.7%)、被害額34.3億円(+5.4億円、+18.7%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は14.4%(+0.9ポイント)。
    • キャッシュカード詐欺盗は、認知件数2,216件(▲858件、▲27.9%)、被害額27.0億円(▲19.8億円、▲42.3%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は11.6%(▲5.9ポイント)。
    • 架空料金請求詐欺は、認知件数5,136件(+2,214件、+75.8%)、被害額138.1億円(+36.3億円、+35.7%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は27.0%(+10.4ポイント)。
    • 還付金詐欺は、認知件数4,184件(▲495件、▲10.6%)、被害額51.3億円(▲2.4億円、▲4.5%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は22.0%(▲4.6ポイント)。
  • 主な被害金交付形態別の認知状況
    • 現金手交型の認知件数は3,458件(▲523件、▲13.1%)、被害額101.0億円(▲29.1億円、▲22.3%)と、いずれも減少し、総認知件数に占める割合は18.2%(▲4.5ポイント)。
    • キャッシュカード手交型の認知件数は2,999件(+328件、+12.3%)、被害額は42.2億円(+2.4億円、+6.0%)と、いずれも増加。一方、キャッシュカード窃取型の認知件数は2,216件(▲858件、▲27.9%)、被害額は27.0億円(▲19.8億円、▲42.3%)と、いずれも減少。両交付形態を合わせた認知件数の総認知件数に占める割合は27.4%(▲5.3ポイント)。
    • 振込型の認知件数は6,495件(+437件、+7.2%)、被害額は194.0億円(+88.8億円、+84.3%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は34.1%(-0.4ポイント)。
    • 現金送付型の認知件数は436件(+117件、+36.7%)、被害額は48.2億円(+9.7億円、+25.0%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は2.3%(+0.5ポイント)。
    • 電子マネー型の認知件数は3,343件(+1,927件、+136.1%)、被害額は21.3億円(+11.4億円、+115.0%)と、いずれも増加し、総認知件数に占める割合は17.6%(+9.5ポイント)。
  • 欺罔手段に用いられたツール
    • 被害者を欺罔する手段として犯行の最初に用いられたツールは、電話77.4%、ポップアップ表示12.2%、メール・メッセージ39.2%、はがき・封書等1.2%と、電話による欺罔が8割近くを占めている。
    • 主な手口別では、対面型特殊詐欺及び還付金詐欺では99.9%が電話。架空料金請求詐欺ではポップアップ表示が43.8%、電話が30.2%、メール・メッセージが25.5%。
  • 予兆電話
    • 警察が把握した、電話の相手方に対して、住所や氏名、資産、利用金融機関等を探るなどの特殊詐欺が疑われる電話(予兆電話)の件数は133,967件(+13,523件、+11.2%)で、月平均は11,164件(+1,127件、11.2%)と増加。
    • 都道府県別では、東京が26,130件と最も多く、次いで埼玉13,561件、大阪12,573件、千葉11,572件、神奈川8,012件、愛知7,928件、兵庫5,693件の順となっており、予兆電話の総件数に占めるこれら7都府県の合計件数の割合は63.8%。
  • 検挙状況全般
    • 令和5年の特殊詐欺の検挙件数は7,219件(+579件、+8.7%)、検挙人員(以下「総検挙人員」という。)は2,499人(+41人、+1.7%)と増加。
    • 手口別では、オレオレ詐欺の検挙件数は2,131件(+360件、+20.3%)、検挙人員は986人(+19人、+2.0%)と、いずれも増加。還付金詐欺の検挙件数は1,061件(±0件、±0.0%)、検挙人員は203人(+17人、+9.1%)と検挙人員が増加。
    • 中枢被疑者(犯行グループの中枢にいる主犯被疑者(グループリーダー及び首謀者等))の検挙人員は62人(+21人)で、総検挙人員に占める割合は2.5%。
    • 受け子や出し子、それらの見張り役の検挙人員は1,893人(▲24人)で、総検挙人員に占める割合は75.8%。
    • このほか、特殊詐欺に由来する犯罪収益を隠匿、収受した組織的犯罪処罰法違反で363件(+226件)、141人(+123人)検挙。
    • また、預貯金口座や携帯電話の不正な売買等の特殊詐欺を助長する犯罪を、3,803件(+162件)、2,798人(+27人)検挙。
  • 暴力団構成員等の検挙状況
    • 暴力団構成員等の検挙人員は404人(▲30人、▲6.9%)で、総検挙人員に占める割合は16.2%。
    • 暴力団構成員等の検挙人員のうち、中枢被疑者は24人(+7人、+41.2%)であり、出し子・受け子等の指示役は17人(+5人、+41.7%)、リクルーターは70人(▲9人、▲11.4%)。また、中枢被疑者の総検挙人員に占める暴力団構成員等の割合は38.7%と、・依然として暴力団が主導的な立場で特殊詐欺に深く関与している実態がうかがわれる。
    • このほか、現金回収・運搬役としては43人(+4人、+10.3%)、道具調達役としては6人(▲5人、▲45.5%)を検挙。
  • 匿名・流動型犯罪グループの動向と警察の取組
    • 近年、暴力団とは異なり、SNSを通じるなどした緩やかな結び付きで離合集散を繰り返す犯罪グループが特殊詐欺等を広域的に敢行するなどの状況がみられ治安対策上の脅威となっている。
    • これらの犯罪グループは、そのつながりが流動的であり、また、匿名性の高い通信手段等を活用しながら役割を細分化したり、特殊詐欺等の違法な資金獲得活動によって蓄えた資金を基に、更なる違法活動や風俗営業等の事業活動に進出したりするなど、その活動実態を匿名化・秘匿化する状況がみられる。
    • こうした情勢を踏まえ、警察では、準暴力団を含むこのような集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と位置付け、実態解明・取締りを進めている。
    • 検挙事例 令和4年5月に発生した特殊詐欺グループ内でのトラブルを発端とした監禁事件の捜査を端緒として、同グループのリーダーの男(25)がSNSを利用するなどして実行犯を募集した上、高齢者のキャッシュカードを別のカードにすり替えて窃取するなどの手口で特殊詐欺事件を広域的に敢行していた実態を解明し、令和5年5月までに、同男ら37人を窃盗罪等で逮捕した(大阪、滋賀及び奈良)。
  • 少年の検挙状況
    • 少年の検挙人員は446人(▲27人、▲5.7%)で、総検挙人員に占める割合は17.8%。少年の検挙人員の71.5%が受け子(319人)で、受け子の総検挙人員(1,594人)に占める割合は20.0%と、受け子の5人に1人が少年。
  • 外国人の検挙状況
    • 外国人の検挙人員は124人(▲21人、▲14.5%)で、総検挙人員に占める割合は5.0%。外国人の検挙人員の54.0%が受け子で、24.2%が出し子。
    • 国籍別では、中国46人(37.1%)、ベトナム30人(24.2%)、韓国14人(11.3%)、フィリピン7人(5.6%)、タイ6人(4.8%)、ペルー5人(4.0%)、ブラジル5人(4.0%)、インドネシア2人(1.6%)、その他9人(7.3%)。
  • 架け場等の摘発状況
    • 犯行グループが欺罔電話をかけたり、出し子・受け子らグループのメンバーに指示を出したりする架け場等の犯行拠点について、国内では15箇所を摘発(▲5箇所)。*車両4・ホテル3・賃貸オフィス3・賃貸アパート2・賃貸マンション1・一般住宅1・民泊施設1
    • また、海外におけるこれらの拠点を外国当局が摘発し、日本に移送して検挙した人員については、令和5年中69人となっている。*検挙人数69人、うちフィリピン9人、カンボジア47人、タイ4人、ベトナム9人
  • 主な検挙事件
    • 令和5年2月から5月にかけて、フィリピン共和国に拠点を置いた特殊詐欺(キャッシュカード詐欺盗)事件の首謀者等とみられる4人を含む被疑者9人を、同国を退去強制後に順次逮捕(警視庁ほか)。
    • 令和5年4月、カンボジア王国に拠点を置いた特殊詐欺(架空料金請求詐欺)事件の被疑者19人を、同国を退去強制後に逮捕(警視庁ほか)。
    • 令和4年3月から5年6月にかけて、特殊詐欺(架空料金請求詐欺)事件の拠点を摘発し、6人を逮捕するとともに、犯行に利用されたIP電話回線を提供した事業者の経営者ら7人を逮捕(埼玉)。
    • 令和5年5月、特殊詐欺(架空料金請求詐欺)事件の被害金で購入された暗号資産を日本円に換金して隠匿していた事業者の経営者ら3人を逮捕(愛知)。
    • 令和4年2月に認知した特殊詐欺(還付金詐欺等)事件の被疑者として指定暴力団太州会傘下組員ら11人を順次逮捕するとともに、令和5年7月、中枢被疑者を逮捕(大分)。
  • 特殊詐欺に係る広域的な捜査連携の強化
    • 特殊詐欺は、全国各地で被害が発生しているにもかかわらず、その被疑者や犯行拠点の多くは首都圏をはじめとした大都市に所在していることが多く、捜査範囲が広域にわたることから、捜査をいかに効率的に行うかが課題になっていた。
    • 全国警察が一体となり効率的に捜査を進め、上位被疑者の検挙や犯行拠点の摘発につなげるため、令和6年4月から、他府県からの依頼を受けて管轄区域内の捜査を行う「特殊詐欺連合捜査班」(TAIT(タイト):Telecom scam Allianced Investigation Team)が各都道府県警察に構築されることとなり、令和5年12月、全国特殊詐欺取締主管課長等会議においてその方針が示された。
  • 関係事業者と連携した対策の推進
    • 金融機関の窓口において高齢者が高額の払戻しを認知した際に警察に通報するよう促したり、コンビニエンスストアにおいて高額又は大量の電子マネー購入希望者等に対する声掛けを働き掛けたりするなど、金融機関やコンビニエンスストア等との連携による特殊詐欺予防対策を強化。この結果、関係事業者において、22,346件(+3,616件、+19.3%)、71.7億円(▲8.5億円、▲10.6%)の被害を阻止(阻止率54.6%、+2.1ポイント)。
    • キャッシュカード手交型とキャッシュカード窃取型への対策として、警察官や金融機関職員等を名のりキャッシュカードを預かる又はすり替えるなど具体的な手口の積極的な広報を推進。また、金融機関に預貯金口座のモニタリングを強化する取組や高齢者口座のATM引出限度額を少額とする取組(ATM引出制限)等を推進(令和5年12月末現在、43都道府県、258金融機関)。
    • 還付金詐欺への対策として、金融機関に対し、一定年数以上にわたってATMでの振込実績がない高齢者のATM振込限度額をゼロ円又は極めて少額とする取組(ATM振込制限)(令和5年12月末現在、47都道府県、411金融機関)や窓口に誘導して声掛けを行うようにするなどの働き掛けを推進。また、金融機関と連携しつつ、還付金詐欺の手口に注目した「ストップ!ATMでの携帯電話」運動を全国で実施。
    • 現金送付型への対策として、宅配事業者に対し、過去に犯行に使用された被害金送付先のリストを提供し、これを活用した不審な宅配の発見や警察への通報等を要請するとともに、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会に対して、警察庁作成にかかる「空き家(空き部屋)悪用対策シール」を配付し、シールの活用による空き家(空き部屋)の悪用防止を働き掛ける取組を推進。このほか、コンビニエンスストアに対し、高齢者からの宅配便の荷受け時の声掛け・確認等の推進を要請。
    • 電子マネー型への対策として、コンビニエンスストアと連携し、高額の電子マネーを購入しようとする客への声掛け、購入した電子マネーのカード等を入れる封筒への注意を促す文言の記載、発行や申込みを行う端末機の画面での注意喚起等を推進。このほか、電子マネー発行会社に対して、不正な方法によって入手された電子マネーカードの利用を停止するなどの対策強化を働き掛ける取組を推進。
    • SNSを利用した受け子等の募集の有害情報への対策として、特殊詐欺に加担しないよう呼び掛ける注意喚起の投稿や、受け子等を募集していると認められる投稿に対して、返信機能(リプライ)を活用した警告等を実施(令和5年12月末現在、28都道府県)。
  • 「実行犯を生まない」ための対策~犯罪実行者募集への対処
    • 警察庁では、令和5年1月から同年7月末までに検挙した被疑者を対象として、その供述や証拠から受け子等になった経緯を集計したところ、「SNSから応募」が約半数を占めている実態が判明した。
    • 犯罪実行者募集の投稿については、従来から一部の都道府県警察において、事業者に対する削除依頼、返信(リプライ)機能を活用した投稿者等に対する個別警告及び実行犯募集に応募しようとしていることがうかがわれる者への注意喚起を推進しているところ、令和5年7月、人身安全・少年課では、少年が、社会的に「闇バイト」と表現されることがある犯罪実行者募集への応募をきっかけに犯行グループに使い捨てにされ、検挙されるまでの実態を取りまとめた「犯罪実行者募集の実態」を公表して、非行防止教室等の場を活用するなどして少年が特殊詐欺等に加担してしまうことなどがないよう広報啓発を強化している。
    • また、同年9月、警察庁の委託事業であるインターネット・ホットラインセンター及びサイバーパトロールセンターにおいて、その取扱情報の範囲に犯罪実行者募集情報を追加し、当該情報の排除に向けた取組を推進している。
  • 防犯指導等の推進
    • 特殊詐欺等の捜査過程で押収した名簿を活用し、同名簿に載っていた人に電話するなど注意を喚起する取組を推進。
    • 高齢者が犯人からの電話に出ないようにするために、固定電話の防犯機能強化に向けた対策を推進。具体的には、自動通話録音、警告音声、迷惑電話番号からの着信拒否等の機能を有する機器の設置、相手の電話番号を表示するナンバー・ディスプレイ等の導入や留守番電話の設定を通じ、知らない番号からの電話に出ない、国際電話番号の利用を休止するなどの対策を呼び掛ける取組を推進。
    • 地方創生臨時交付金における「重点支援地方交付金」の推進事業メニューに防犯性能の高い建物部品・固定電話機・防犯カメラの設置等が含まれていることを受け、同交付金を活用した防犯対策が適切に実施されるよう、地方公共団体との連携を推進。
  • 「被害に遭わない環境を構築する」ための対策~高齢者の自宅電話に犯罪グループ等から電話がかかることを阻止するための方策の推進~
    • 特殊詐欺として被害届を受理したもののうち、犯人側が被害者側に接触する最初の通信手段は77.4%が電話で、そのうちの90.5%が被害者の固定電話に対する架電であることが判明している。
    • NTT東日本・西日本では、特殊詐欺被害防止のため、令和5年5月から70歳以上の契約者及び70歳以上の方と同居する契約者の回線を対象に、ナンバー・ディスプレイ契約、ナンバー・リクエスト契約を無償化等する取組を実施しており、都道府県警察では、各種警察活動を通じて周知に向けた取組を行うとともに、その利用に向けた具体的な支援を行うなど、犯人側から電話がかかることを阻止するための方策を強力に推進している。
    • この結果、特殊詐欺への抑止効果が見込まれるナンバー・リクエスト契約数が、令和5年12月末時点で、前年同期に比べて約20万件増加(+150%)。
    • また、令和5年7月以降、国際電話番号を利用した特殊詐欺が急増しているところ、国際電話に関しては、KDDI株式会社、NTTコミュニケーションズ株式会社及びソフトバンク株式会社の国際電話三社が共同で運用している「国際電話不取扱受付センター」(連絡先0120-210-364)に申込めば、固定電話・ひかり電話を対象に国際電話番号からの発着信を無償で休止できる。都道府県警察では、同センターの周知及び申込み促進に向けた取組を行うとともに、手続が煩雑等の理由で申込みを控える高齢者世帯等に対しては、警察において可能な支援を行うなどの取組を行っている。
  • 犯行ツール対策
    • 主要な電気通信事業者に対し、犯行に利用された固定電話番号等の利用停止及び新たな固定電話番号の提供拒否を要請する取組を推進。令和5年中は固定電話番号866件、050IP電話番号7,302件が利用停止され、新たな固定電話番号等の提供拒否要請を6件実施。
    • 令和5年7月から、悪質な電話転送サービス事業者が保有する「在庫番号」を一括利用停止する仕組みの運用を開始。新規番号の提供拒否対象契約者等が保有する固定電話番号等の利用停止等要請を4事業者に行い、在庫番号3,270番号を利用停止。
    • 犯行に利用された固定電話番号を提供した電話転送サービス事業者に対する犯罪収益移転防止法に基づく報告徴収を3件、総務省に対する意見陳述を3件実施。
    • 犯行に利用された携帯電話(仮想移動体通信事業者(MVNO)が提供する携帯電話を含む。)について、携帯電話事業者に対して役務提供拒否に係る情報提供を推進(3,042件の情報提供を実施)。
    • 犯行に利用された電話番号に対して、繰り返し電話して警告メッセージを流すことで、その番号の電話を事実上使用できなくする「警告電話事業」を推進。
    • 総務省は、令和5年8月、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律施行規則を改正する省令を公布し、令和6年4月から050IP電話についても同法に基づく役務提供契約締結時の本人確認を義務化。
  • 今後の取組
    • 令和6年4月から、特殊詐欺連合捜査班(TAIT)を各都道府県警察に構築し、全国警察が一体となった迅速かつ効果的な捜査を推進。
    • 特殊詐欺に深く関与している暴力団や匿名・流動型犯罪グループの実態解明と、あらゆる刑罰法令を駆使した戦略的な取締りを推進。
    • 海外拠点に関連する情報の一層の収集及び集約を行うとともに、外国当局との国際捜査共助を推進し、海外拠点の積極的な摘発を推進。
    • 「緊急対策プラン」等に基づき、関係行政機関・事業者等と連携しつつ、特殊詐欺等の撲滅に向け、取締り、被害防止対策、犯行ツール対策を強力に推進

【法務省】

【2024年4月】

法務省 社会を明るくする運動 犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ
  • 運動で目指していること
    • 立ち直りに寄り添い、犯罪や非行のない社会へ
    • 国内で検挙された人の約半数を過去に罪を犯した人が占めている現状があります。犯罪や非行をしたことで、社会の中で孤立し、それによって再び罪を犯すケースが後を絶ちません。
    • 多くの人が再犯に陥っています
      • 国内で検挙された人のうち再犯者 約2人に1人
      • 刑務所出所後5年以内に再び罪を犯して刑務所に戻る人の割合 約3人に1人
    • 刑務所出所者の多くが孤立します
      • 刑務所出所時に住む場所がない人の割合 約7人に1人
    • 犯罪や非行に陥る人を減らすためには、仕事、住居、福祉などの地域に根ざした支援が必要とされています。
    • またそれ以上に、過ちを犯した人を地域の中に受け入れ、見守り、支える、地域に暮らす人たちの温かいまなざしが重要です。
    • 犯罪のない安全で安心な明るい社会を実現するため、立ち直りを支援する輪を広げていくこと。これが“社会を明るくする運動”の目指す未来です。
  • 運動で取り組んでいること
    • 様々な立場から明るい社会を目指しています
    • 立ち直ろうとする人たちに寄り添い・支えることによって再び犯罪が起きることを防ぎ、犯罪や非行のない社会をつくる活動を“更生保護”といいます。
    • この活動には、地域のたくさんの人たちがボランティアとして関わっています
  • 主な取り組み
    • “社会を明るくする運動”では、更生保護の理念を御理解いただくため、全国各地で様々な取り組みを実施しています。
      • “社会を明るくする運動”作文コンテスト
      • 全国矯正展
      • 有芽の会
      • 匠に学ぶワークショップin東京藝術大学
    • “社会を明るくする運動”は、全国的な運動として各地域に根付いた取組を行っています
      • 地域のお祭りでのPR
      • おえかきホゴちゃん
      • JリーグでのPR
      • 総理大臣メッセージ
      • ひまわりの花の刈り取り
▼ 第74回社会を明るくする運動 岸田総理ビデオメッセージ
  • 社会を明るくする運動は、全ての国民が、犯罪や非行の防止と立ち直りについて理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、明るい地域社会を築くための全国的な運動です。昭和26年から始まったこの運動は、国民の皆様の御賛同を賜り、今年で74年目を迎えました。
  • 情報通信技術の進展などにより、私たちのライフスタイルは急速に変化し、飛躍的に便利になりました。一方で、人と人とのつながりが希薄化し、望まない孤独や、社会的孤立などの問題も生じています。様々な「生きづらさ」は、私たちの誰もが抱えうる問題であり、ときに犯罪や、非行という形となって、私たちの社会に影を落とすこともあります。
  • 多様な背景を持つ人々が、お互いのことを理解しながら、共に支え合うことができるよう、包摂的な地域社会の実現を目指すことが重要です。保護司を始めとする更生保護ボランティアの方々、地域の方々の幅広い御理解と御協力を頂きながら、全ての国民が、それぞれの立場において、力を合わせることにより、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築いてまいりましょう。
  • 「人は変われる」ということを信じ、人が「変わっていく時間」を希望を持って受け止めるとともに、本運動の社会的意義や更生保護ボランティアの存在・役割について御理解いただき、「幸福(しあわせ)の黄色い羽根」の下、本運動に御参加いただきますようお願いいたします。

【消費者庁】

【2024年4月】

消費者庁 紅麹を含む健康食品関係について
  • 紅麹を含む健康食品について、製造者である小林製薬が「紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせ」を発表しています。
  • 小林製薬が販売した紅麹に関連した食品の自主回収情報をお知らせします。この製品を購入した方は、直ちに喫食を中止し、身体に異常がある場合には、医療機関を受診するか最寄りの保健所にご相談ください。
  • 米紅麹を原料とする機能性関与成分が含まれた届出9件についてのお知らせ
    • 3月22日付で、小林製薬株式会社が販売する、紅麹を原料とする機能性表示食品について健康被害が発生したとして、製品の回収をする旨が、同社より公表されたところです。
    • 米紅麹を原料とする機能性関与成分が含まれた届出9件について、3月26日及び3月27日付で撤回届出が提出されましたのでお知らせします。
    • 撤回届出が提出された機能性表示食品(9件)
      • 届出者:小林製薬(株)
        • 届出番号/商品名
        • F216コレステヘルプ
        • G970コレステヘルプa
        • H393ナイシヘルプ+コレステロール
        • I199ナットウキナーゼさらさら粒ゴールド
        • I773いきいきヘルプ
        • I827コレステヘルプWa
        • I873コレステヘルプb
        • I1027いきいきヘルプa
      • 届出者:(株)ZERO PLUS
        • 届出番号/商品名
        • I631 悪玉コレステロールを下げるのに役立つ 濃厚チーズせんべい
    • なお、これらの届出情報は消費者庁ウェブサイトで公表されています。
▼ 機能性表示食品の届出情報検索
  • 機能性表示食品の利用のポイント
    • まずは、ご自身の食生活をふりかえってみましょう。
      • 食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスをとることが大切です。
    • たくさん摂取すれば、より多くの効果が期待できるというものではありません。過剰な摂取が健康に害を及ぼす場合もあります。
      • パッケージに表示してある注意喚起事項をよく確認して、摂取するようにしましょう。
      • パッケージには、一日当たりの摂取目安量、摂取の方法、摂取する上での注意事項が表示されていますので、よく読みましょう。
    • 体調に異変を感じた際は、速やかに摂取を中止しましょう。
      • 体調に異変を感じた際は、速やかに摂取を中止し、医師に相談してください。
      • パッケージには、事業者の連絡先として、電話番号が表示されていますので、商品による健康被害が発生した場合は連絡してください。
  • 紅麹を含む健康食品に関するリコール情報
    • 紅麹に関する届出がされた食品のリコール情報についてはこちらから御確認ください。
    • 紅麹を使用した食品について、届出されたリコール情報は、厚生労働省の健康被害情報
    • 「紅麹を含む健康食品関係(令和6年3月~)」に掲載されている「紅麹に関する届出された食品のリコール情報(小林製薬関連に限る)」を御覧ください。
▼ 紅麹に関する届出された食品のリコール情報(小林製薬関連に限る)
  • 事業者の方へ<情報提供のお願い>
    • 紅麹を使用した食品についてリコールされる場合は、食品衛生法及び食品表示法により事業者からの届出が義務付けられていますので、厚生労働省「食品衛生申請等システム」により手続をお願いいたします。
    • 消費者庁リコール情報サイトでは、関係行政機関が公表している情報や、事業者から任意で提供のあった消費者向け商品に関するリコール情報を掲載しています。
    • 食品以外の商品(ペットフード等)のリコール情報について、当サイトへの掲載を希望される場合は、メールにて次の項目をお知らせください。
    • お知らせいただきたい項目:
      • 事業者名、ご担当者様氏名
      • 連絡先(電話番号)
      • リコールを行う商品名、商品に関する情報(商品の画像がありましたらご提供ください)
      • リコールに関する情報を掲載しているURLアドレス(ウェブサイトに掲載している場合)
      • 送付先:< g.recall#caa.go.jp > ←#部分を@に置き換えてください。

消費者庁 第28回消費者志向経営に関する連絡会
▼ 資料:「社会ペインを起点とした共創型DXの在り方」株式会社ビービット 執行役員CCO藤井 保文氏
  • 共助・共創はもはやビジネスにおける時代の要請である
    • 競争領域と協調領域というが、社会課題を中心に据えることでその協調領域を見定め、解決できるアセットを理解し、それを最大限オープンに繋げていく必要がある。これにより人々へ提供される価値を最大化しながら、よりコスト効率の良い仕組みが作れるはず
      • 協調領域をオープンAPI化し限界費用ゼロに(閉じない・車輪の再発明をしない)
        • 社会課題の解決や利便性のアップデートを目的に協調領域を見定めることで、自社で閉じて行っていた努力は効率化、コスト圧縮され、無駄がなくなる。
      • リソースはシェアや空き時間の活用で無駄を分配していく
        • リソースはシェアリングや空き時間の活用(助け合い、融通し合い)によってより効率化されていく。
  • 利便性と意味性
    • 意味性
      • 「自分らしい」「好き」という指標が共通しないものが対象
      • このお酒が好き、このブランドが自分らしい、この漫画が好き、など。自分(達)が特別であることが価値。
      • 指標がなく、価値観や思想で別れるため、大小はあれども大量に生き残る
      • この音楽が好きで、この人たちを知っていて、このブランドを着ているなんて「分かってる」ね、となる。
      • 欧米や日本など成熟市場はインフラが固定化しており、この領域が得意
      • 「社会に蔓延したペインや課題」が見つけにくく、インフラ含めて生活の水準が高いため、便利レイヤーでの伸びしろがあまりない。制度も整っており、大きな変化をさせにくい。
      • 金銭的豊かさが頭打っているため、生き方や価値観に幸せのベクトルを求め、これらがデザインやコンセプトのクオリティや独自性につながる。
    • 便利性
      • 「不便を便利にする」という誰にでも分かるものが対象
      • 病院や交通が混んでいる、インターネットが遅い、プロセスに時間がかかる、など。
      • 指標が分かりやすく、競争になりやすく、数えるほどしか生き残らない
      • 「情報が網羅的」で「速い」方が良い検索エンジンの世界では、ほぼGoogle一強になる、等。
      • 中国を含む新興国がリープフロッグで起こすのはこの領域
      • 社会的ペインが分かりやすく、大量に潜んでいるものを、モバイルをはじめとする新たなテクノロジーで一気に発展させてしまうような事例は全てこのレイヤー。
      • 中国、東南アジア、インド、アフリカなどで起こりやすく、逆にこれらの国は「金銭的に豊かになる」ベクトルが強いため、文化的な多様性が十分に発展していないケースが多い。
      • 10億人から100円稼いでいくような構造になりやすい。
  • 利便性は共有され、意味性は所有される
    • 便利レイヤー=インクルーシブ・オープン化=共有や協力を加速する
      • スマートシティやOMOなどで繰り広げられているのはこの領域での進化
      • ペイメントプラットフォームが群雄割拠してしまい、A社Payはここでは使えるがあそこでは使えないになると不便なので、スピードが鈍化する。
      • このスマートシティはトヨタ車が優遇される、となってしまうと他の人たちは一切住まなくなる。
      • 中国やインドネシアでは、バイクドライバーは社会アセットであり生活に必要な共有財なので、他社サービスと融通し合ったり、競合グループで合っても利用したりする。
    • 意味レイヤー=エクスクルーシブ・クローズ化=所有や優遇を加速する
      • コミュニティやWeb3は意味レイヤーの加速に使われる形で進化
      • 「如何に自分が特別であり、それを証明できるか」「自分が好きなコミュニティにどれだけ貢献したか」といった意味レイヤーにおいて、NFTやメタバース、またはコミュニティやラグジュアリーな会員スペースなどが使われる。
      • 逆にここにオープン性を持たせてしまうと、クローズドに「選ばれし人」「分かりあえる人達しかいないコミュニティ」でいたかった人たちは去ってしまう。
      • あらゆる最新技術やバズワードは、この本質を押さえておけば乗りこなせるが、逆にこれを見誤まり、混ぜてしまうと大失敗する恐れがある。(意味性追求しすぎたスマートシティ、高級車のカーシェアリングなど)
  • 本日のメッセージ
    • 形骸化するDXにおいて重要なのは「顧客体験戦略」であるが、これを実現するにあたって理解されていないのは「顧客視点」という観点。これを持って初めて、あるべき体験を考えることができる
    • 「顧客視点」は、さまざまな「ユーザ視点」に切り替えることが可能。これにより、「社会に潜んでいるペイン」を炙りだしていくことで、一見「利便性の負」がないように見える日本でも大きなアップデートの余地があるのではないか。
    • 特に利便性の領域では、オープン化していくことが最も重要。今後、人材不足の解消や生産性向上が必須となる日本において、「社会ペインの解消」を共通目的として、協調領域を探っていくことが何より必要ではないか。

消費者庁 企業不祥事における内部通報制度の実効性に関する調査・分析‐不正の早期発見・是正に向けた経営トップに対する提言-
  • 制度の実効性を阻害する要因と提言:規範意識の鈍麻
    • 内部通報が行われなかった要因として、問題となる行為が従前から繰り返されていたことや、法令に違反するとの確信のなさにより、その行為を問題視しない又は正当化する独自の規範意識が形成されたこと(規範意識の鈍麻)が挙げられる
    • 例1:検査不正があったA社の調査報告書
      • 一定数の検査員は、特に×年××月末に発覚した他社事例との関係でA社においても同様の問題が存在しており、それが許容されないものであることを認識していた旨供述しており、それでもなお、不適切行為が役職者に報告されることはなかった。(略)現場や業務に関する問題意識について進言することをためらわせるような組織風土が不適切行為を察知する上での妨げとなったと考えられる。
    • 例2:品質不正があったB社の調査報告書
      • eラーニング資料や社内パンフレットには、いかなる場合に社内窓口又は社外窓口への内部通報を行うべきかの具体例があまり記載されていない。
    • 例3:品質不正があったC社の調査報告書
      • 当委員会のヒアリングにおいては、「本件問題は“そういうもの”として前任者から引き継いでいるため、誰かが声を上げることもなく長期間にわたって不適正行為が継続してしまったのではないか」と述べる者、「××事業に染まっていない者でないと通報は困難である」と述べる者、「本件問題が規格に従ったものではないことは認識していたが、当時はそれが不適正な行為であるとまでは考えなかった」と述べる者等が存在した。
    • 経営トップに対する提言
      • 以下のような取組みを通じ、従業員が、どのような行為が法令に違反するかの具体的なイメージを持ちながら、安心して不正に声を上げられるよう、定期的な研修・教育を実施するとともに、経営トップからもメッセージを発信する。
        • 自社の業務内容を踏まえて想定される具体的な不正行為事例の紹介
        • 同業他社で発覚した不正行為の周知
      • 新たに配属された者の方が、問題意識を持ちやすいことから、例えば、新規採用・異動者に対するコンプライアンス研修の一環で、アンケート調査やヒアリングを実施するなど、新規採用・異動者からの通報を促す施策も有効。
  • 制度の実効性を阻害する要因と提言:内部通報窓口の問題
    • 内部通報が行われなかった要因として、グループ子会社が親会社に通報する手段や海外子会社の従業員が日本語以外で親会社に通報する手段がなかったことなど、窓口の利用者の制限の問題や、上司への報告が内部通報の前提条件であると誤解されるような形での制度の周知が指摘されている。
    • 例4:品質不正があったD社の調査報告書
      • 内部通報制度は多くの場合、上司に報告して解決することが難しいからこそ利用するものであるため、周知の際に「まずは上司に相談してください」と記載することは、内部通報制度の趣旨にそぐわないと思われる。
    • 例5:海外子会社で私的流用があったE社の調査報告書
      • E社において、海外グループ会社を対象にした、多言語対応のいわゆるグローバル内部通報窓口は設置されていない。
    • 例6:国内子会社で不適切会計があったF社の調査報告書
      • F社内部では内部通報制度が設置されていたが、グループ会社がF社に直接内部通報を行う制度は設置されていなかった。
    • 例7:海外子会社で不適切会計があったG社の調査報告書
      • 各海外拠点の日本人以外の役職員については、規程上、各拠点における目安箱等への相談が前提とされており、内部通報窓口に相談できる役職員の対象外となっていた。
    • 経営トップに対する提言
      • 経営のグローバル化の進展や雇用形態が多様化する中で、適切なグループ経営管理の観点から、経営トップは、グループ会社の従業員等が安心・信頼して通報できるよう、以下のような体制を構築し、グループ会社の従業員等にも広く周知することが必要。
      • グループ会社の従業員等からの通報を受け付ける体制
      • 具体的な内部通報の方法、手続きの周知(前提条件があると誤解されない、わかりやすい形での周知)
      • グローバルな事業展開をしている場合、通報窓口の多言語対応
      • 通報者が、匿名性を保ったまま通報窓口とコミュニケーションできる体制の構築
  • 制度の実効性を阻害する要因と提言:制度に対する認識の欠如
    • 内部通報が行われなかった要因として、従業員が制度の存在を認識していなかったと述べる事例や制度の対象はパワハラ等の労働問題であり、問題となった不祥事は対象外であると誤解していたと述べる事例がある。
    • 例8:不適切な会計処理があったH社の調査報告書
      • 今日においても内部通報制度の利用件数は少なく、従業員に対する内部通報制度の周知のタイミングは入社時だけであるなど、従業員において内部通報制度の存在が周知されているか疑問符がつく状況であり、このことも、類似事象の発生を未然に防ぐことができなかった要因となっている。
    • 例9:経営幹部による着服があったI社の調査報告書
      • アンケート結果のとおり、回答者のうち実に約88.3%の従業員が、内部通報窓口の存在を知らないと回答している。
    • 例10:接待汚職があったJ社の調査報告書
      • 窓口は主としてハラスメント関連の窓口として認識されていた。
    • 例11:不適切な会計処理があったK社の調査報告書
      • 規程上は総務部に内部通報窓口を設置している旨定めていたが、規程の存在を社内で容易に確認できる状態にしておらず、制度そのものを社内に周知したこともなかったため、利用実績はなかった。
    • 例12:従業員の私的流用があったL社の調査報告書
      • 当社は、内部通報制度として、コンプライアンス・ホットラインを設け、社内窓口と法律事務所に所属する外部の弁護士に委託した外部窓口を設けている。しかし、内部通報制度の利用は、過去5年間で1件のみであった。(略)当社は、内部通報制度の利用頻度が極めて少ない状況にもかかわらず、何ら対策を採ってこなかったことは、十分に反省すべきことである。
    • 経営トップに対する提言
      • 従業員が安心して不正を通報できるよう、以下のような取組みを通じて、定期的・継続的な研修・教育や情報発信を行う。
        • 制度の意義・役割や受け付ける通報の対象範囲を説明
        • ポスターの掲示、携行カードの配布、ロールプレイング要素を含む研修など、周知方法の工夫
        • 研修後の確認テストの実施やアンケート調査などにより、従業員の制度の理解度を定期的に確認
      • 制度の活用状況や通報分野の偏りを確認し、通報を促す方策を検討するため、運用実績を定期的に分析し、従業員等に開示することも有効。
  • 制度の実効性を阻害する要因と提言:内部通報を妨げる心理的要因
    • 内部通報制度に対する従業員の主な懸念として、1)通報者として特定され、不利益を被る懸念や、2)不正行為に関与している者などが内部通報対応に従事しており、実効的な調査が行われない懸念がある。
    • 例13:経営幹部の私的流用があったM社の調査報告書
      • 仮にH氏らが関与する不正等を通報したい者がいても、(略)、全てH氏へ連絡がなされるようになっており、通報者の保護が徹底されていなかった。
    • 例14:国内子会社で不適切会計があったN社の調査報告書
      • 経理部門においては「業務の特殊性ゆえに、通報をすれば誰が行ったのかバレてしまう」といった担当者の危惧感から、通報が全くなされていないのが現状である。
      • 今後の対策としては、抜き打ち調査を行う等、調査方法を工夫することで通報自体の秘密を守り、また、通報担当者には守秘義務があり、通報者は守られることを周知徹底することにより、管理部門における通報件数を増やす対策が必要となる。
    • 例15:国内子会社で品質不正があったO社の調査報告書
      • 長い間品質不正について内部通報が行われることはなかった。その理由につき、××工場の従業員の一人は、当委員会のヒアリングにおいて、「言ってしまったらどれだけ話が大きくなってしまうのだろうかと怖くなり、言えなかったという面はある。」などと述べ、品質不正が発覚した場合の影響の大きさ(製品の出荷停止等)を懸念したことを理由として挙げている。
    • 例16:会社資産の不正流用があったP社の調査報告書
      • 本件不正行為への関与を止めたいと思ったことはあったが、内部通報制度を利用して通報したとしても、通報したことがA氏に伝われば、自らが通報したことが発覚してしまう可能性があることを恐れ、通報することができなかったと供述する者も存在した。
    • 経営トップに対する提言
      • 経営トップが、内部通報により不正を早期発見することで、問題が大きくなる前に不正に対処できるという組織にとっての意義を理解し、その意義を従業員等に対し、継続的かつ積極的に発信する。(Tone from the Top)
      • 従業員が通報後のプロセスをイメージできるよう、以下のような取組みを実施し、制度に対する信頼の確保に努めるべき。
        • 経営トップのメッセージ発信や定期研修による、通報を理由とする不利益取扱い禁止の周知
        • 通報者を特定する情報に法律上の守秘義務があることの周知や情報共有の範囲・管理方法等の具体的な周知
        • 窓口の社外設置や社外取締役等の関与
        • 不利益な取扱いや情報漏洩、通報者の探索を行った者などに対する懲戒処分など厳正な対処
        • 通報者が特定されない調査方法の工夫
  • 制度の実効性を阻害する要因と提言:内部通報後の不適切な対応
    • 内部通報があったにも関わらず、報告を受けた者の思い込み(バイアス)や調査担当者の権限・能力不足、大事になることを避ける目的から、適切な対応が取られなかった事例がある。
    • 例17:不適切会計があったQ社の調査報告書
      • 社内で当該元従業員通報の内容を見た経営陣・幹部は、同通報は当該元従業員自身の人事上の不満を主張するものと考え、A氏が不適切会計処理に関与しているとは思わなかった(中略)。他方、D氏は、外部の弁護士に対し、当該元従業員通報の調査を依頼した。しかし、調査に必要な基礎資料が経理部門から提出されず、またA氏のインタビューが十分に行えなかったため、外部弁護士の調査は思うように進まなかった。(中略)調査対応は、通報者のレポートラインから独立した内部監査室等の部署が行うべきであったが、初動対応から調査完了まで、当該元従業員のレポートラインである当時のL氏が調査を主導し、内部監査室は一切関与しなかった。
      • 当該元従業員通報は、(中略)A氏が主導した不適切会計処理の実相に迫る内容であった。(中略)しかし、当時のP社の経営陣・幹部、さらにはこれらを監視監督すべき常勤監査役までもが、当該元従業員・A氏の双方に対するバイアスから、当該元従業員通報を真摯に取扱わなかった。
    • 例18:品質不正があったR社の調査報告書
      • 当時、F前企画管理本部長がC氏から本件不正行為について報告・相談を受けたにもかかわらず、事態が大事になるのを避ける目的で、R社の代表取締役社長や取締役会への報告を行わず、(中略)結果的に、事案調査・不正の発生防止・責任所在の明確化等のあるべき組織対応が行われないままとなった。
    • 例19:海外子会社で不適切会計があったS社の調査報告書
      • 本件では、当社ホームページのお問い合わせフォームで送信する方法により、××年から△△年にかけて、S社において問題が生じている旨を伝えるメールが匿名で複数送られてきたが、当社総務部は、これをコンプライアンス部にではなく、海外事業本部に報告し、海外事業本部から○○社に問い合わせを行った。そして、○○社長が関係者にヒアリングの上、私怨による根拠のない通報であるとの結論となり、これ以上の調査は行われなかったという事情が存する。
    • 経営トップに対する提言
      • 適切な人選と研修・教育による内部通報窓口及び調査担当者(「従事者」)のモチベーションと能力の向上を図る。
      • 調査担当部署に十分な調査権限や独立性を付与した上で、他部署に対し、調査への協力を周知する。
      • 職制上のレポーティングラインへの報告、ホームページのお問い合わせフォームへの連絡など、内部通報窓口以外への報告・通報が適切に処理されるよう、通報対応を明確化し、全部署を対象とした定期的かつ継続的な研修・教育を行う。
  • 内部通報により是正に至った事例
    • 調査報告書の中では少ないが、制度が実効的に機能して、問題行為を早期発見・是正できている事例も存在している。
    • 平成28年度の消費者庁の民間事業者に対する実態調査では、不正発見の端緒として、上司や窓口などへの「内部通報」を選択した割合は、内部通報制度を導入済の事業者(1,607者)の58.8%と最多。「内部監査」の回答割合(37.6%)を上回った。
    • 例20:在庫の過大計上があったT社の調査報告書
      • ×年□月△日、T社代表取締役社長に対して、社内関係者とみられる匿名人物から「○○工場の棚卸金額が物凄い金額粉飾されている。」などと記載された電子メールによる通報がなされた。
      • T社では、同年○月■日、常勤取締役で協議し、決算発表を延期し、事実関係の調査等の対応のために社内調査を実施することを決定した。
      • また、T社は、同年▲月××日、◇年3月期の決算発表を延期する旨の適時開示をした。
      • 調査を進める過程で、(略)生産部門・生産管理部・経理部の管理職など15名を対象として関係者に対して、ヒアリング調査を実施したところ、(略)棚卸金額を意図的に過大計上するとの不正な会計処理がなされた疑いが確認された。
    • 例21:子会社で品質不正があったU社の調査報告書
      • U社は、▲年◇月○日、社外に設けた内部通報窓口に、U社の子会社の生産拠点である○○製作所において品質検査における偽装がある旨の匿名の内部通報を受けた。
      • U社は、上記内部通報を受けて、社内における初動調査のため調査委員会を設置し、調査の結果、××年度に○○製作所において製造出荷された一部の製品において、検査成績書に、実際には実施していない検査若しくは試験の結果をねつ造して記載し、又は、実際に検査若しくは試験を実施したものの、社内検査記録に記載されている検査結果若しくは試験結果とは異なる結果を記載して顧客に交付していたこと等(以下、「検査データの改ざん等」という。)を確認した。
    • 経営トップに対する提言
      • 令和5年度の消費者庁の民間事業者に対する実態調査においても、内部通報制度を導入済の回答事業者(2,442者)が、不正発見の端緒として「内部通報」を選択した割合は、全体の76.8%と最多であり、次に多い「内部監査」の回答割合(52%)を上回っている。
      • 経営トップは、内部通報により不正を早期発見することで、問題が大きくなる前に不正に対処できるという組織にとっての意義を理解し、ステークホルダーからの信頼確保と企業価値の維持・向上に向けて、声を上げやすい企業文化の醸成と実効的な内部通報制度を構築する必要がある
▼ 内部通報に関する意識調査(就労者1万人アンケート)結果概要
  • 内部通報制度を理解していない人は、従業員数が「300人超1,000人以下」の場合、57.6%、「5,000人超」の場合、47.7%。勤務先で通報を理由とする解雇等の不利益取扱いが禁止されていることを知っている人は、各39.5%、53.5%。制度を「よく知っている」と回答した人が知ったきっかけは、「勤務先等における研修・周知」が最多。
  • 内部通報制度の理解度が高いほど、勤務先で重大な法令違反を目撃した場合の通報意欲が高くなる傾向
  • 勤め先の内部通報窓口について、従業員数が「300人超1,000人以下」の場合、65.4%、「5,000人超」の場合、45.7%が未設置または認知していない。窓口の設置を認知した人のきっかけは「社内研修・説明会」が最多。
  • 勤務先の内部通報窓口を認知している人は、最初の通報先として「勤務先」を回答した割合が高い。また、勤務先で重大な法令違反を目撃したとしても通報しない理由は、「誰に相談・通報したら良いか分からない」が最多。
  • 内部通報制度を「よく知っている」と回答した人は、法令違反行為等を「相談・通報したこと」や「目撃したこと」が多い。相談・通報した人の69.5%が「良かった」、17.2%が「後悔している」、13.2%が「良かったことも後悔したこともある」と回答。後悔の理由は「調査や是正が行われなかった」が最多、次に「不利益な取扱いを受けた」。
  • 相談・通報に際しては、「匿名」を希望する割合が高い
  • 年代が若いほど、一番通報しやすい先は「インターネット・SNS」との回答割合が上昇する傾向。
  • 内部通報制度を「よく知っている」と回答した人は、それ以外の人よりも、一番通報しやすい先として、「勤務先」を選んだ割合が高い一方、「インターネット・SNS」を選択した割合は低い。公益通報者保護法の保護条件についての就労者の理解向上が勤務先への通報を増やし、SNS等への告発を減らすことにつながる可能性がある。

【2024年3月】

消費者庁 「車両用クレベリン」と称する役務の提供事業者10社に対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 株式会社デンソー
    • 例えば、令和4年8月18日、同月26日及び令和5年10月18日から令和6年1月31日までの間、自社ウェブサイトに掲載していたリーフレットにおいて、「DENSO 車両用クレベリン 車内空間の除菌・消臭サービス 大幸薬品×DENSO 大幸薬品とデンソーの共同開発によるクレベリン(二酸化塩素ガス)を活用した車内除菌・消臭サービスです。」並びに「定期的な施工でクリーンな車内空間をキープ」、「施工目安 約3ケ月」、「点検整備・車検のタイミングで」、「季節の変わり目に」、「レジャーのあとに」及び「受験シーズンの送迎に」等と表示するなど、別表1「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • 株式会社デンソーソリューション
    • 例えば、令和4年8月12日、同月18日及び同月26日に、自社ウェブサイトに掲載していたリーフレットにおいて、「DENSO」及び「除菌・消臭サービスメニュー 大幸薬品×DENSO 車両用クレベリン」並びに「車両用クレベリンの効果」並びに「洗えない車室内、シートを除菌 除菌・ウイルスの作用抑制」、「施工目安約3ヶ月」及び「友達・家族とのわいわいドライブの後に」との記載と共に、車室内の菌・ウイルスを除去するイメージ画像等を表示するなど、別表2「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • トヨタカローラ札幌株式会社
    • 令和4年10月31日、令和5年1月30日及び同年4月19日から同年5月23日までの間に、自社ウェブサイトにおいて、例えば、「クルマの除菌・消臭『クレベリン』 大幸薬品×DENSO クルマの除菌 消臭『クレベリン』 二酸化塩素のチカラでウイルスや菌を99%除去!!」並びに「カローラ札幌の『クレベリン』でケアしましょう!!気になる車内をリフレッシュ!!」、「クレベリン(二酸化塩素)がウイルス・菌・悪臭成分を分子レベルで抑制」及び「除菌効果3ヶ月間!!」との記載と共に、クレベリン(二酸化塩素)がウイルス・菌・悪臭成分を分子レベルで抑制するイメージ画像等を、別表3「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • 埼玉トヨタ自動車株式会社
    • 令和4年11月9日及び令和5年1月30日に、自社ウェブサイトにおいて、「ウィルス対策は出来てますか?!」、「車内除菌・消臭メニュー デンソー クレベリン 車両用」、「車両用クレベリンとは? 大幸薬品とデンソーが共同開発したクレベリン(二酸化塩素ガス)を活用した車内除菌・消臭サービス」、「車両用クレベリン施工前イメージ」、「車両用クレベリン施工イメージ」及び「車両用クレベリン施工後イメージ」との記載と共に、本件役務の施工前、施工中及び施工後の車室内のイメージ画像並びに「クレベリン」及び「除菌・消臭(効果目安 約3か月)」と表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • トヨタモビリティ中京株式会社
    • 例えば、令和5年4月18日から同月25日、同月29日から同年5月16日及び同月24日から同年7月5日までの間、「太平通店スタッフブログ」と称する自社ウェブサイトにおいて、「除菌・消臭サービスメニュー 大幸薬品×DENSO 共同開発 デンソー クレベリン 車両用」並びに「洗えない車室内、シートを除菌 菌・ウイルス除去!」、「除菌効果3ヶ月間」及び「友達・家族とのわいわいドライブの後に」との記載と共に、車室内の菌・ウイルスを除去するイメージ画像並びに「染みついたタバコ臭・ペット臭を消臭」及び「お客さまを乗せる前に」との記載と共に、車室内にタバコ臭・ペット臭が染みついているイメージ画像等を表示するなど、別表5「表示期間」欄記載の期間に、同表「表示媒体」欄記載の表示媒体において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • ネッツトヨタ高松株式会社
    • 令和4年10月31日、令和5年1月30日、同年4月19日から同年5月17日、同月19日から同月25日及び同月27日から同月28日までの間、自社ウェブサイトにおいて、例えば、「洗えない車内・シートを除菌」、「菌・ウイルス除去!」、「除菌効果3ヶ月間」及び「友達・家族とのわいわいドライブの後に」との記載と共に、車室内の菌・ウイルスを除去するイメージ画像並びに「染みついたタバコ臭・ペット臭を消臭」及び「お客さまを乗せる前に」との記載と共に、車室内にタバコ臭・ペット臭が染みついているイメージ画像等を、別表6「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • 東海マツダ販売株式会社
    • 令和4年12月20日及び令和5年1月30日に、自社ウェブサイトにおいて、例えば、「車両用クレベリン」及び「洗いたくても洗えない車内を除菌・消臭。『様々なウイルス・菌・ニオイを除去出来る』二酸化塩素の働きで、車室内をリフレッシュ。」並びに「クレベリンの効果 効果継続(目安):約3ヶ月」等と、別表7「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • 株式会社神戸マツダ
    • 令和4年12月20日、令和5年1月30日、同年4月12日及び同月19日から同年5月11日までの間、自社ウェブサイトにおいて、「車内除菌消臭」及び「悪臭物質や菌・ウイルスを破壊して快適な空間に」並びに「クレベリン」、「クレベリンは、(株)デンソーと(株)大幸薬品が共同開発した、二酸化塩素の働きによりウィルスの作用抑制・除菌・消臭ができる“衛生管理製品”です。施工後、効果は約3か月持続します。(目安です、使用環境により異なります)」、「〇洗えない車室内、シートを除菌」及び「〇染みついたタバコ臭・ペット臭を消臭」との記載と共に、クレベリン発生機の画像を表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • 株式会社広島マツダ
    • 令和4年10月31日、同年12月20日、令和5年1月30日及び同年5月16日から同月29日までの間、自社ウェブサイトにおいて、例えば、「車両用クレベリンとは…」、「クレベリンは、『様々なウイルス・菌・ニオイを除去出来る』という二酸化塩素の動きに着目し、ウイルスの作用抑制・除菌・消臭が出来る”衛生管理製品”です。」及び「マツダ純正 車内除菌サービスは、車両用クレベリンを使用し洗いたくても洗えない車内を除菌します。」並びに「車両用クレベリンの効果」及び「効果持続(目安):約3ヶ月」等と、別表9「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • 株式会社西四国マツダ
    • 令和4年12月20日、令和5年1月30日、同年4月12日及び同月19日から同年7月20日までの間、自社ウェブサイトにおいて、「クレベリン車内除菌」、「丸洗いできない車内、シートを除菌・消臭してみませんか?」及び「効果 約3ヵ月」と表示することにより、あたかも、本件役務を利用することで、車室内において約3か月有効な除菌効果等が得られるかのように示す表示をしていた。
  • 実際
    • 前記の表示について、消費者庁は、景品表示法第7条第2項の規定に基づき、10社に対し、それぞれ、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、10社から資料が提出された。しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
  • 命令の概要
    • 前記の表示は、それぞれ、本件役務の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
    • 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
    • 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記の表示と同様の表示を行わないこと。

消費者庁 メルセデス・ベンツ日本株式会社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について
  • 消費者庁は、本日、メルセデス・ベンツ日本株式会社(以下「メルセデス・ベンツ日本」といいます。)に対し、同社が供給する普通自動車及び「AMGライン」と称するパッケージオプションに係る表示について、景品表示法第8条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出しました。
  • 景品表示法第8条第1項ただし書に該当しない理由
    • メルセデス・ベンツ日本は、本件5商品について、表示の裏付けとなる根拠を十分に確認することなく、課徴金対象行為をしていた。
  • 自主的報告による2分の1減額の適用について
    • メルセデス・ベンツ日本は、
    • 「GLA200d 4MATIC」と称する普通自動車について、不当景品類及び不当表示防止法施行規則(平成28年内閣府令第6号。)第9条に規定する報告書の提出を行ったが、当該報告書の提出は、課徴金対象行為に係る景品表示法第9条に規定する報告に該当するものとは認められない。
    • 「GLB200d」と称する普通自動車に係る「AMGライン」と称するパッケージオプションについて、課徴金対象行為に該当する事実を消費者庁長官に報告したところ、当該報告は景品表示法第9条ただし書の規定に該当しないため、課徴金の額を2分の1減額する。
  • 命令の概要(課徴金の額)
    • メルセデス・ベンツ日本は、令和6年10月15日までに、12億3097万円を支払わなければならない。

消費者庁 第2回 第5期消費者基本計画の策定に向けた有識者懇談会
▼ 【資料5】第5期消費者基本計画 骨子
  • 第1章 消費者・消費者政策のパラダイム・シフトの必要性
    • デジタル技術の飛躍(Web3、AI、5G、自動運転、ダークパターン、SNS等)
      • デジタル・非デジタルにおける消費者保護水準の格差
      • 消費者の取引環境の劇的な変化
    • 国際的な取引の普遍化(越境取引、インバウンド等)
      • 国や地域による法規制及び商慣行の違い
    • 社会構造の変化(高齢化、世帯構造の変化、物価等)
      • 少子高齢化の進行、家計の多様化
      • 物価や賃金に対する意識の変化
    • 国際協調への機運の高まり(エシカル消費、サステナブル経営等)
      • 持続可能かつ包摂性のある社会への転換
      • 経済活動における社会価値への注目
    • 激甚化、頻発化する国家危機の到来(自然災害、社会的なパンデミック等)
      • エネルギー・食料等の安定供給に関するリスクの高まり
      • 緊急時における消費行動の変化
  • 第2章 達成すべき消費者政策の基本的方針
    • 消費者が信頼できる公正な環境の確保
      • 優良な事業者が選ばれる環境づくりと悪質事業者の市場からの排除
      • 消費者被害の拡大防止、救済(安全・取引分野における包括的な規制と行政や司法の在り方、無登録・無許可業者への対応)
      • 消費者保護に向けた事業者の自主的なルール整備
      • 事後的な検証や修正も含めた官民対話型のルールづくり
      • 消費者と事業者の協働による取組(共感や応援を通じた好循環の
      • 実現、消費者と事業者の協力・連携と責任分担、カスタマーハラスメント対応)
    • 見抜ける消費者の増加・消費者力の成長
      • 全ての世代における「消費者力(気づく力、断る力、相談する力、周囲に働きかける力)」の実践と消費者市民社会の構築
      • 自ら学び行動する自立した消費者の醸成
      • デジタルスキル・リテラシーの向上
    • 持続可能で包摂的な社会の実現
      • 持続可能な消費と生産に資する経済・社会の仕組みづくり
      • 多様な消費者の特性を踏まえた対応の充実
  • 第3章 消費者政策の推進手法
    • 行政の取組
      • 消費者法制度における規律のベストミックス
      • 包括的かつ実効性の高い新たな規制手段の検討
      • 消費者被害の多様化・複雑化に伴う諸課題に対する実態把握(立法事実の整理)及び制度整備並びに関係省庁との連携
      • 国際動向も視野に入れたデジタルデバイドの解消に向けた支援
      • 消費者行政のDX(消費生活相談のデジタル化、地域の消費生活相談の機能維持、消費生活相談員の負担軽減や十分に力を発揮できる環境づくり)
      • 人口減少・高齢化やデジタル化の進展、地域の実情等を踏まえた地方公共団体における施策(消費生活相談、見守り活動等)の推進 等
    • 事業者の取組
      • デジタル化、高齢化、国際化、持続可能社会に対応した消費者とのコミュニケーションや情報伝達手段の多様化
      • デジタルデバイドを生まない分かりやすいインターフェース、ユニバーサルデザインに配慮した商品開発、プラットフォームの形成等
  • 第4章 消費者が直面する課題への取組
    • 取組の推進に当たって心がけるべきこと
      • 消費者基本計画におけるEBPM・PDCAの実践(5ヶ年計画、3年目点検)
      • SDGsで設定された国際指標との整合性確保、消費者が事業者と協働できる参加型・パートナーシップ推進型の目標設定
    • パラダイム・シフトを踏まえた消費者行政の方向性
      • デジタル技術の飛躍
        • 盛り込むべき事項のイメージ(例)
          • デジタル技術の導入による悪質商法や不当表示に関する情報収集・分析の強化
          • デジタル化に対応した消費者教育、消費者支援の推進 等
      • 国際的な取引の普遍化
        • 盛り込むべき事項のイメージ(例)
          • 越境取引における違法業者に対する対応の強化
          • 安全性の低い海外製品の輸入への対応
          • 国際的な動向を踏まえた食品表示への対応
          • 多言語化など外国人向け対応の強化 等
      • 社会構造の変化
        • 盛り込むべき事項のイメージ(例)
          • 悪質事業者に対する執行力の強化
          • 消費者団体訴訟制度の実効性向上
          • 消費者安全確保地域協議会(見守りネットワーク)の施策の充実 等
      • 国際協調への機運の高まり
        • 盛り込むべき事項のイメージ(例)
          • 持続可能性に配慮した商品の認証等に係る取組の推進
          • 持続可能な社会の実現(脱炭素、循環経済 等)に資する製品・サービス等の普及 等
      • 激甚化、頻発化する国家危機の到来
        • 盛り込む事項のイメージ(例)
          • 緊急時における不確かな情報に基づく行動への注意喚起
          • 緊急事態に便乗した不当表示への迅速な対処 等
    • 消費者トラブルの解消、未然防止
      • 学校教育における消費者教育の推進
      • デジタル取引における更なる消費者保護の推進
      • キャッシュレス決済制度の透明化
      • 金融経済教育の推進
      • 様々な業界における商慣行の見直し(LPガス等)
      • こどもの事故防止
      • 法や執行体制の及んでいない事業者への対応(無登録・無許可業者、海外OTA等)
      • 独居高齢者を含めた高齢者・障がい者等の生活上の課題への対応等
    • 消費者政策における基本的施策の取組
      • 安全の確保
      • 消費者契約の適正化等
      • 計量・規格の適正化
      • 広告その他の表示の適正化等
      • 公正自由な競争の促進等
      • 啓発活動及び教育の推進
      • 意見の反映及び透明性の確保
      • 苦情処理及び紛争解決の促進
      • 高度情報通信社会の進展への的確な対応
      • 国際的な連携の確保
      • 環境の保全への配慮 等

消費者庁 風評に関する消費者意識の実態調査(第17回)について
  • 消費者庁では、東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、平成25年(2013年)から被災県の農林水産物等に対する消費者意識の実態調査を行っており、今般、第17回目となる調査を実施しました。
  • 普段の買物で産地を気にする理由として「放射性物質の含まれていない食品を買いたいから」と回答した人の割合は9.3%となり、昨年(10.5%)を約1ポイント下回り、これまでで最も小さくなりました。同様に、放射性物質を理由に購入をためらう産地として「福島県」及び「被災地を中心とした東北」と回答した人の割合も減少傾向を示し、これまでで最も小さくなりました。
  • 一方で、「食品中の放射性物質の検査が行われていることを知らない」と回答した人の割合は、近年では約6割となっており、今般の調査でも大きな変化は見られませんでした。風評を防止すべきために行うこととして、科学的な説明、産地や産品の魅力発信、海外と比較して厳しい安全対策を講じていることの内外への発信、と回答した人の割合が大きくなりました。
  • 本調査の結果を踏まえ、引き続き、食品中の放射性物質に関する情報発信や、福島県を中心とした被災地の農林水産物の魅力等を広くお伝えするための取組を推進してまいります。
  • 食品の産地を気にする理由で、放射性物質の含まれていない食品を買いたいからと回答した人の割合は減少傾向にあり、これまでで最も小さくなりました
    • 普段の買物をする際に食品の産地を「気にする」又は「どちらかと言えば気にする」と回答した人に対し、気にする理由を尋ねたところ、「放射性物質の含まれていない食品を買いたいから」と回答した人の割合は9.3%となりました。
  • 放射性物質を理由に福島県や東北等の食品の購入をためらう人の割合は減少傾向にあり、これまでで最も小さくなりました
    • 食品中の放射性物質を理由に購入をためらう産地を尋ねたところ、「福島県」と回答した人の割合は4.9%、「被災地を中心とした東北」と回答した人の割合は3.4%、「北関東」と回答した人の割合は1.1%、「東北全域」と回答した人の割合は1.3%となりました。
  • 一定の放射性物質のリスクを受け入れられると回答した人の割合は昨年と比べ大きな変化は見られませんでした
    • 放射線による健康影響が確認できないほど低い線量のリスクをどう受け止めますかと尋ねたところ、「一定のリスクを受け入れられる」と回答した人の割合は57.7%となりました。一方、「十分な情報がないため、リスクを考えられない」と回答した人の割合は30.4%、「基準値以内であっても少しでも発がんリスクが高まる可能性があり、受け入れられない」と回答した人の割合は11.1%となりました。
  • 食品中の放射性物質の検査が行われていることを知らないと回答した人の割合は、近年、約6割となっており、大きな変化は見られませんでした
    • 食品中の放射性物質の検査について、あなたが知っていることについて尋ねたところ、「検査が行われていることを知らない」と回答した人の割合は61.5%となりました。
    • 一方、「基準値を超える食品が確認された市町村では、他の同一品目の食品が出荷・流通・消費されないようにしている」と回答した人の割合は20.2%、「食品中の放射性物質の検査は東日本の17都県を中心に実施されている」と回答した人の割合は9.3%となりました。
  • 風評を防止すべきために行うこととして、科学的な説明、産地や産品の魅力発信、海外と比較して厳しい安全対策を講じていることの内外への発信を回答する割合が大きくなりました。
    • 風評被害を防止し、売られている食品を安心して食べるために、どのようなことが行われるとよいと思うかと尋ねたところ、「それぞれの食品の安全性に関する情報提供」と回答した人の割合が45.9%、「食品に含まれる放射性物質に関する科学的な説明」と回答した人の割合が30.6%、「それぞれの食品の産地や産品の魅力に関する情報提供」と回答した人の割合が29.7%、「海外と比較し、厳しい安全対策を実施している旨の内外への情報提供」と回答した人の割合が26.7%となりました。
  • 本調査のまとめ
    • 普段の買物で産地を気にする理由として「放射性物質の含まれていない食品を買いたいから」と回答した人の割合は9.3%となり、昨年(10.5%)を約1ポイント下回り、これまでで最も小さくなりました。同様に、放射性物質を理由に購入をためらう産地として「福島県」及び「被災地を中心とした東北」と回答した人の割合も減少傾向を示し、これまでで最も小さくなりました。
    • 一方で、「食品中の放射性物質の検査が行われていることを知らない」と回答した人の割合は、近年では約6割となっており、今般の調査でも大きな変化は見られませんでした。風評を防止すべきために行うこととして、科学的な説明、産地や産品の魅力発信、海外と比較して厳しい安全対策を講じていることの内外への発信を回答する割合が大きくなりました。
  • 消費者庁等の取組
    • 本調査の結果を踏まえ、消費者庁は、引き続き、関係府省庁や地方公共団体等と連携し、食品中の放射性物質に関する情報発信やリスクコミュニケーションを推進してまいります。具体的には、
      • 意見交換会や福島県を中心とした被災地の農林水産物の魅力等を広くお伝えするための取組
      • パンフレット「食品と放射能Q&A」の活用等、食品の安全性に関する正確であり、かつ多言語による情報発信
      • 地方公共団体等が実施するリスクコミュニケーション対する積極的な支援等を行います。

消費者庁 ティーライフ株式会社に対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について
  • 消費者庁は、本日、ティーライフ株式会社(以下「ティーライフ」といいます。)に対し、同社が供給する「メタボメ茶」と称する食品に係る表示について、消費者庁及び公正取引委員会(公正取引委員会事務総局中部事務所)の調査の結果を踏まえ、景品表示法第8条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令(別添参照)を発出しました。
  • 課徴金納付命令の概要
    1. 課徴金対象行為(違反行為)に係る商品
      • 「メタボメ茶」と称するポット用ティーバッグ30個入りの食品(以下「本件商品」という。)
    2. 課徴金対象行為
      • (ア)表示媒体
        • 株式会社ベルーナが通信販売の方法により販売する商品に同梱して配布した冊子(以下「ベルーナの商品同梱冊子」という。)
      • (イ)課徴金対象行為をした期間
        • 平成30年4月3日から令和元年6月24日までの間
      • (ウ)表示内容
        • 例えば、平成30年4月3日から同月7日、同月9日及び同月10日に配布されたベルーナの商品同梱冊子において、「中年太り解決読本」と題し、体型が異なる2名の人物のイラストと共に、「もう一度、あの頃のスリムな私に!」、飲料の入ったティーカップの画像と共に、「漫画でわかる! 日本一売れている中年太りサポート茶とは!?」及び「2年半で-43kg!! その方法を公開中!」等と表示するなど、別表1「配布日」欄記載の日に配布されたベルーナの商品同梱冊子において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示することにより、あたかも、本件商品を摂取することにより、本件商品に含まれる成分の作用による著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。
      • (エ)実際
        • 前記ウの表示について、消費者庁は、景品表示法第8条第3項の規定に基づき、ティーライフに対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料は、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
        • なお、前記ウの表示について、例えば、平成30年4月3日から同月7日、同月9日及び同月10日に配布されたベルーナの商品同梱冊子において、「※適度な運動と食事制限を取り入れた結果であり実感されない方もいらっしゃいます。」等と表示するなど、別表2「配布日」欄記載の日に配布されたベルーナの商品同梱冊子において、同表「表示内容」欄記載のとおり表示していたが、当該表示は、一般消費者が前記ウの表示から受ける本件商品の効果に関する認識を打ち消すものではない。
    3. 課徴金対象期間
      • 平成30年4月3日から令和元年12月24日までの間
    4. 景品表示法第8条第1項ただし書に該当しない理由
      • ティーライフは、本件商品について、前記(2)ウの表示の裏付けとなる根拠を十分に確認することなく、前記(2)の課徴金対象行為をしていた。
    5. 命令の概要(課徴金の額)
      • ティーライフは、令和6年10月7日までに、1771万円を支払わなければならない。

消費者庁 消費者庁所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針
  • 障害を理由とする不当な差別的取扱い、合理的配慮等の例
    • 正当な理由がなく、不当な差別的取扱いに該当すると考えられる例
      • 障害があることを理由として、一律に窓口対応を拒否、又は対応の順序を劣後させること。
      • 障害があることを理由として、一律に資料の送付、パンフレットの提供、説明会やシンポジウム等への出席等を拒むこと。
      • 障害の種類や程度、サービス提供の場面における本人や第三者の安全性などについて考慮したり、障害者と十分に対話をしたりすることなく、漠然とした安全上の問題を理由に施設利用を制限又は拒否すること。
      • 業務の遂行に支障がないにもかかわらず、障害者でない者とは異なる場所での対応を行うこと。
      • 障害があることを理由として、障害者に対して、言葉遣いや接客の態度など一律に接遇の質を下げること。
      • 障害があることを理由として、具体的場面や状況に応じた検討を行うことなく、障害者に対し一律に保護者や支援者・介助者の同伴をサービスの利用条件とすること。
      • 障害があることを理由として、障害者に対する説明において、必要な説明を省いたりすること。
    • 正当な理由があるため、不当な差別的取扱いに該当しないと考えられる例
      • 車椅子の利用者が畳敷きの個室の利用を希望した際に、敷物を敷く等、畳を保護するための対応を行うこと(事業者の損害発生の防止の観点)。
      • 手続を行うため、障害者本人に同行した者が代筆しようとした際に、必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者本人に対し障害の状況や本人の手続の意思等を確認すること(障害者本人の損害発生防止の観点)。
    • 合理的配慮に当たり得る配慮の例
      • 物理的環境への配慮の例
        • 事業者が管理する施設・敷地内において、車椅子・歩行器利用者のためにキャスター上げ等の補助をし、又は段差に携帯スロープを渡すこと。
        • 配架棚の高い所に置かれたパンフレット等を取って渡すこと。
        • 目的の場所までの案内の際に、障害者の歩行速度に合わせた速度で歩いたり、左右・前後・距離の位置取りについて、障害者の希望を聞いたりすること。
        • 疲労を感じやすい障害者から別室での休憩の申出があった際、別室の確保が困難であることから、当該障害者に事情を説明し、対応窓口の近くに長椅子を移動させて臨時の休憩スペースを設けること。
        • 視覚障害のある者・盲ろう者からトイレの個室を案内するよう求めがあった場合に、求めに応じてトイレの個室を案内するとともに、同性の職員がいる場合は、障害者本人の希望に応じて同性の職員が案内すること。
      • 情報の取得、利用及び意思疎通への配慮の例
        • 筆談、要約筆記、読み上げ、手話、点字、コミュニケーションボードの活用、触覚による意思伝達などによる多様なコミュニケーション、振り仮名や写真、イラストなど分かりやすい表現を使って説明するなどの意思疎通の配慮を行うこと。
        • 情報保障の観点から、見えにくさに応じた情報の提供(聞くことで内容が理解できる説明・資料や、拡大コピー、拡大文字又は点字を用いた資料、遠くのものや動きの速いものなど触ることができないものを確認できる模型や写真等の提供等)、聞こえにくさに応じた視覚的な情報の提供、見えにくさと聞こえにくさの両方がある場合に応じた情報の提供(手のひらに文字を書いて伝える等)、知的障害に配慮した情報の提供(伝える内容の要点を筆記する、漢字にルビを振る、なじみのない外来語は避ける等)を行うこと。その際、各媒体間でページ番号等が異なり得ることに留意して使用すること。
        • 意思疎通が不得意な障害者に対し、絵カード等を活用して意思を確認すること。
        • 書類記入の依頼時に、記入方法等を本人の目の前で示したり、分かりやすい記述で伝達したりすること。
        • 比喩表現等が苦手な障害者に対し、直喩や暗喩、二重否定表現などを用いずに説明すること。
        • 災害や事故が発生した際、館内放送で避難情報等の緊急情報を聞くことが難しい聴覚障害のある者・盲ろう者に対し、手書きのボード等を用いて、分かりやすく案内し誘導を図ること。
      • ルール・慣行の柔軟な変更の例
        • 周囲の者の理解を得た上で、手続順を入れ替えること。
        • 障害者が立って列に並んで順番を待っている場合に、周囲の理解を得た上で、当該障害者の順番が来るまで椅子などを用意すること。
        • スクリーン、板書、教材等がよく見えるように、スクリーン等に近い席を確保すること。
        • 他人との接触、多人数の中にいることによる緊張により、不随意の発声等がある場合、緊張を緩和するため、当該障害者に説明の上、施設の状況に応じて別室を準備すること。
        • 事務手続の際に、職員等が必要書類の代読・代筆を行うこと。
        • 障害の特性に応じた休憩時間の調整や必要なデジタル機器の使用の許可などを行うこと。
    • 合理的配慮の提供義務違反に該当すると考えられる例
      • 試験を受ける際に筆記が困難なためデジタル機器の使用を求める申出があった場合に、デジタル機器の持込みを認めた前例がないことを理由に、必要な調整を行うことなく一律に対応を断ること。
      • イベント会場内の移動に際して支援を求める申出があった場合に、「何かあったら困る」という抽象的な理由で具体的な支援の可能性を検討せず、支援を断ること。
      • 電話利用が困難な障害者から電話以外の手段により各種手続が行えるよう対応を求められた場合に、自社マニュアル上、当該手続は利用者本人による電話のみで手続可能とすることとされていることを理由として、メールや電話リレーサービスを介した電話等の代替措置を検討せずに対応を断ること。
      • 自由席での開催を予定しているセミナーにおいて、弱視の障害者からスクリーンや板書等がよく見える席でのセミナー受講を希望する申出があった場合に、事前の座席確保などの対応を検討せずに「特別扱いはできない」という理由で対応を断ること。
      • 介助を必要とする障害者から、講座の受講に当たり介助者の同席を求める申出があった場合に、当該講座が受講者本人のみの参加をルールとしていることを理由として、受講者である障害者本人の個別事情や講座の実施状況等を確認することなく、一律に介助者の同席を断ること。
      • 電話等を使って行う手続の場合、手話通訳者や盲ろう者向け通訳者等を通して電話等で行う本人の認証を認めないこと。
    • 合理的配慮の提供義務に反しないと考えられる例
      • 事業者において、事業の一環として行っていない業務の提供を求められた場合に、その提供を断ること(必要とされる範囲で本来の業務に付随するものに限られることの観点)。
      • オンライン講座の配信のみを行っている事業者が、オンラインでの集団受講では内容の理解が難しいことを理由に対面での個別指導を求められた場合に、当該対応はその事業の目的・内容とは異なるものであり、対面での個別指導を可能とする人的体制・設備も有していないため、当該対応を断ること(事務・事業の目的・内容・機能の本質的な変更には及ばないことの観点)。
    • 理的配慮の提供と環境の整備の関係に係る例
      • 障害者から申込書類への代読・代筆を求められた場合に円滑に対応できるよう、あらかじめ申込手続における適切な代読・代筆の仕方について職員研修を行う(環境の整備)とともに、障害者から代読・代筆を求められた場合には、研修内容を踏まえ、本人の意向を確認しながら職員が代読・代筆すること(合理的配慮の提供)。
      • オンラインでの申込手続が必要な場合に、手続を行うためのウェブサイトが障害者にとって利用しづらいものとなっていることから、手続に際しての支援の求めに応じて電話や電子メールでの対応を行う(合理的配慮の提供)とともに、以後、障害者がオンライン申込みの際に不便を感じることのないよう、ウェブサイトの改良を行うこと(環境の整備)。
      • インターフォンが鳴って職員が応答しても返答がない場合、発話が困難な障害者が待っている可能性があるため、職員が外に出てきて確認するよう(合理的配慮の提供)、職員研修を行うこと(環境の整備)。
      • ウェブサイト等での情報発信を行う場合、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(令和4年法律第50号)の規定に基づき、障害者による情報の十分な取得及び利用並びに円滑な意思疎通が行えるよう配慮すること(環境の整備)。
      • 講習、相談等を行うに際し、あらかじめ障害者から手話通訳者、盲ろう者向け通訳者や要約筆記者の用意を求められた場合には、障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律の規定を踏まえた上で、合理的配慮の範囲で可能な措置を講ずること(合理的配慮の提供)。
      • 「社会モデル」の考え方を理解し、障害への正しい認識を持つために、各障害当事者を講師とした講義や、複合差別を内容とした研修を役員を含む全ての職員が受講すること(環境の整備)

消費者庁 遠隔操作アプリを用いて、消費者金融業者から高額な借入れをさせる副業サポート事業者に関する注意喚起
  • 遠隔操作アプリを用いて、消費者金融業者から高額な借入れをさせる副業サポート事業者に関する注意喚起を行いました。
  • 詳細
    • 令和4年9月以降、副業ランキングサイトを見たことなどをきっかけにして、スマホでできる副業を始めようとしたところ、副業サポート事業者から、高額なサポートプランの契約を勧誘され、当該事業者と遠隔操作アプリでスマホの画面共有をしつつ、消費者金融業者から高額な借入れをしてその利用金額を支払った、副業の内容は、マッチングサイトで他の会員とのメッセージのやり取りをするものだったが、儲からずに借入金だけが残ってしまったなどという相談が、20代の女性を中心に、各地の消費生活センター等に数多く寄せられています。
    • 消費者庁が調査を行ったところ、株式会社協栄商事及び株式会社フィールドが、消費者の利益を不当に害するおそれのある行為(虚偽・誇大な広告・表示及び断定的判断の提供)を行っていたことを確認したため、消費者安全法(平成21年法律第50号)第38条第1項の規定に基づき、消費者被害の発生又は拡大の防止に資する情報を公表し、消費者の皆様に注意を呼びかけます。
    • また、この情報を都道府県及び市町村に提供し、周知します。

消費者庁 地震に伴う製品事故に注意!~二次災害を防ぐため平時から備えよう~
  • 本年1月1日に能登半島地震が発生しました。また、東日本大震災(2011年3月11日発生)からまもなく13年です。過去の震災では、地震そのものによる被害だけでなく、地震をきっかけにした製品事故も発生していることから、震災時に気を付けるポイントをお知らせします。
  • 概要
    • 震災時には、主に地震直後に発生する製品事故と、復旧時に発生する製品事故があります。
    • また、地震によってインフラが停止した際に使用する製品として、停電時でも電気製品の利用を可能とする携帯発電機や、ガスの供給が止まっても調理を可能とするカセットこんろ等があります。しかし、これらの製品も誤った使い方をすると重大な事故につながります。
  • 地震発生時及び日頃から気を付けるポイント
    • 揺れが収まったら、電気製品の電源を切り、電源プラグをコンセントから抜く。ブレーカーを切る(OFFにする)。
    • 揺れが収まったら、ガス機器の火を消す。自宅から避難する際に余裕があればガスの元栓を閉める。
    • 家具を固定する、暖房器具の周囲に可燃物を置かない、感震ブレーカーを取り付けるなど、地震発生時に製品事故が発生しないよう備える。
  • 災害時に使用する製品で気を付けるポイント
    • 携帯発電機
      • 携帯発電機は屋内では絶対に使用せず、屋外の風通しの良い場所で使用する。
    • カセットこんろ/カセットボンベ
      • カセットボンベは機器に正しく装着する。
      • カセットこんろ/カセットボンベの経年劣化に注意する。
      • カセットこんろを覆うような大きな鍋や鉄板などは使用しない、カセットこんろを2台以上並べて使用しない。
      • 周囲に可燃物がある場所や狭い場所ではカセットこんろ/カセットボンベを使用しない。
  • 復旧時に気を付けるポイント
    • ブレーカーが切れていることを確認する。
    • 製品が損傷したり水没したりしていないか、動作に異常がないかを慎重に確認する。

消費者庁 内部通報制度に関する意識調査(就労者1万人アンケート調査)の結果について
▼ 内部通報に関する意識調査(就労者1万人アンケート)結果全体版
  • 公益通報者保護法が「従業員数300人超」の事業者に義務付けている内部通報制度について、全体(1万人)の4割弱が、「よく知っている」又は「ある程度知っている」と回答。「名前は聞いたことがある」又は「知らない」との回答は合計で6割強。
  • 従業員規模の大きい事業者に勤めている人ほど、内部通報制度を「よく知っている」との回答割合が上昇するが、従業員数5,000人超の事業者に勤めている人の5割弱が「名前は聞いたことがある」又は「知らない」と回答。
  • 従業員数300人超の上場企業に勤めている人(2,867人)の5割弱が、内部通報制度について「名前は聞いたことがある」又は「知らない」と回答。
  • 内部通報制度を「よく知っている」と回答した人(1,189人)の75%が、制度を知ったきっかけとして、「勤務先・派遣先・従前の勤務先における研修・周知」と回答。
  • 勤務先で重大な法令違反を知った場合、全体(1万人)の約6割が、勤務先又は行政機関等に「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答。「たぶん相談・通報しない」又は「絶対相談・通報しない」との回答は約4割。
  • 勤務先で重大な法令違反を知った場合、従業員規模の大きい事業者に勤めている人ほど、勤務先又は行政機関等に「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」との回答割合が高い。
  • 勤務先で重大な法令違反を知った場合、内部通報制度を「よく知っている」と回答した人(1,189人)の約9割が、勤務先又は行政機関等に「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答し、全体平均よりも約30%ポイント通報意欲が高い。一方、制度を「知らない」と回答した人は、全体平均よりも20%ポイント通報意欲が低い。また、制度を「よく知っている」と回答した人のうちの54%が、「相談・通報する」と最も強い通報意欲を示しており、制度を「ある程度知っている」と回答した人よりも、34%ポイント高い。
  • 勤務先で重大な法令違反を知った場合、「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答した人(5,893人)が、「最初に通報する」として選んだ先は、「勤務先」が全体の65%と最多。次に、「行政機関」が30%、「報道機関」は4%。従業員規模が大きいほど、「勤務先」を選択する割合が高くなる傾向。
  • 勤務先で重大な法令違反を知った場合、「最初に通報する先」として「勤務先以外」を選んだ理由は、「勤務先に相談・通報しても適切な対応が期待できない」が全体(2,094人)の約5割。「不利益な取扱いを受けるおそれ」が37%。
  • 勤務先で重大な法令違反を知った場合に「相談・通報する」、「たぶん相談・通報する」との回答の動機について、全体(5,893人)の約7割が「勤務先の法令違反を是正したい」と回答。次に、「重大な法令違反に関与している上司や職員を厳正に処分して欲しい」が全体の43%。「自社のサービスや商品を利用するお客さんに迷惑をかけたくない」との回答は約3割。
  • 勤務先で重大な法令違反を知り、勤務先に相談・通報しても状況が改善しそうにない場合、勤務先に「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答した人(3,799人)の8割が行政機関等の外部に「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答。
  • 勤務先の重大な法令違反を「たぶん相談・通報しない」との回答(3,018人)理由について、「誰に通報したらよいか分からない」と回答した人が32%、「勤務先が適切に対応してくれないと思う」、「嫌がらせを受けるおそれ」が各26%。「絶対相談・通報しない」と回答した人(1,089人)の約5割が「誰に相談・通報したらよいか分からない」と回答。
  • 勤務先で重大な法令違反を知った場合に「たぶん相談・通報しない」と回答した人(3,018人)の約5割が「ルールが変更されても通報しない」と回答。通報意欲が変わる可能性について、「不利益な取扱いをした勤務先に罰則が科されるようになった場合」、「勤務先が人事上良い評価を与えたり、行政機関が報奨金を付与したりするようになった場合」が各2割強。「絶対相談・通報しない」と回答した人(1,089人)の約8割が「ルールが変更されても通報しない」と回答。
  • 勤務先で重大な法令違反を知った場合に「たぶん相談・通報しない」と回答した人(3,018人)の4割強が、「(転職等、自身の)環境が変化しても相談・通報しないと思う」と回答し、最多。通報意欲が変わる可能性について、「退職又は転職した場合」が31%、「重大な法令違反に自分も関与することになった場合」が26%。「絶対相談・通報しない」と回答した人(1,089人)の8割強が「環境が変化しても相談・通報しない」と回答。
  • 勤務先で重大な法令違反行為を知った場合、勤務先や行政機関等に「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答し、かつ、「最初に通報する先」として「勤務先」を選択した人(3,799人)のうち、63%が「匿名」で通報すると回答。
  • 勤務先で重大な法令違反を知った場合、最初に勤務先に「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答した人のうち、内部通報制度を「よく知っている」と回答した人(729人)は、通報時に「実名」を選択する可能性(52%)が全体平均(37%)よりも高い。
  • どの役職・雇用形態でも、女性は男性よりも「匿名」を選択する割合が高い。
  • 通報時に「匿名」を選択する理由について、全体(2,380人)の57%が「人事異動などで不利益な取扱いを受けるおそれがあるから」、44%が「勤務先の窓口が信頼できたとしても、それ以外の関係者から自分が通報したことが上司等に漏れるおそれがあるから」と回答。
  • 勤務先で重大な法令違反行為を知った場合、「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答した人のうち、最初の通報先として「勤務先」を選択した人(3,799人)が信頼できる通報先第1位は「社内コンプライアンス担当部門」で37%、次が「上司」で33%。
  • 勤務先で信頼できる通報先について、上場/非上場別で見ると、従業員数300人超の上場企業に勤める人(1,456人)は、「社内コンプライアンス部門」との回答が54%と最も多い。また、従業員数300人以下の非上場企業に勤める人(1,195人)は、「上司」との回答が最も多く、34%。
  • 全体(1万人)の3割が勤務先に内部通報窓口が「設置されていることを知っている」、7割が「設置されていないことを知っている」又は「設置されているか分からない」と回答。
  • 従業員数「301人超、1000人以下」の事業者に勤めている人(1,595人)の65%、従業員数「1,000人超」の事業者に勤めている人(3,405人)の46%~56%が、窓口が「設置されていないことを知っている」又は「設置されているか分からない」と回答。
  • 従業員数300人超の上場企業に勤めている人(2,867人)の46%、非上場企業に勤めている人(2,133人)の65%が、「窓口が設置されていないことを知っている」又は「設置されているか分からない」と回答。
  • 勤務先に内部通報窓口が「設置されていることを知っている」と回答した人(3,022人)が、窓口の設置を知ったきっかけは、多い順に「社内研修・説明会」が6割、「社内トップによるメッセージ発出」が33%。
  • 勤務先に内部通報窓口が「設置されていることを知っている」と回答した人(3,022人)は、「設置されていないことを知っている」又は「設置されているか分からない」と回答した人(6,978人)よりも、通報意欲が高い。
  • 勤務先や行政機関等に重大な法令違反を「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答した人のうち、窓口が「設置されていることを知っている」人(2,489人)の76%が通報先として「勤務先」を選択。「設置されていないことを知っている」又は「設置されているか分からない」(3,404人)場合に「勤務先」を選択する割合(56%)との差が大きい。
  • 勤務先に内部通報窓口が「設置されていることを知っている」と回答した人(3,022人)の6割強が窓口を「信用している」、4割弱が「信用していない」と回答。
  • 従業員数「100人超、3,000人以下」の事業者では、全体平均と比べ、就労者の窓口への信頼度が低い傾向。
  • 勤務先で重大な法令違反行為を知った場合、勤務先や行政機関等に「相談・通報する」又は「たぶん相談・通報する」と回答し、かつ、最初の通報先として「勤務先」を選択し、さらに勤務先に窓口が「設置されていることを知っている」と回答した人の中で、勤務先の内部通報窓口を「信用している」と回答した人(1,447人)の54%が、「匿名」による通報を選択。全体平均(62.6%)よりも少ない。
  • 勤務先に内部通報窓口が「設置されていることを知っている」と回答した人(3,022人)の約9割が、窓口担当者に守秘義務が課されていることを「知っている」と回答。従業員規模別での結果に大差はない。
  • 勤務先の法令違反行為を通報したことによる解雇、降格、嫌がらせ等の不利益な取扱いを勤務先で禁止しているかについて、全体の37%が「禁止していることを知っている」、11%が「禁止していないことを知っている」、5割強が「知らない・分からない」と回答。
  • 勤務先における通報を理由とする不利益な取扱いの禁止について、従業員数1,000人超の事業者においても、就労者の5割近くが、「禁止していないことを知っている」又は「知らない・分からない」と回答
  • 勤務先における通報を理由とする不利益な取扱いの禁止について、従業員数300人超の上場企業においても、就労者の47%が、「禁止していないことを知っている」又は「知らない・分からない」と回答。
  • 勤務先における通報を理由とする不利益な取扱いの禁止について、役員・理事クラスの認知度は44%。「禁止していないことを知っている」が16%、「知らない・分からない」が40%。
  • 会社役員や理事(630人)の約7割が、直接担当していない部署の重大な法令違反行為について、経営陣に是正を「求める」と回答。また、「求めない」と回答した人(195人)は、その理由について、53%が「違反を指摘すると、経営トップや他の役員と敵対するおそれがある」、43%が「担当外の業務については是正する権限がない」と回答。
  • 実際に、勤務先や外部に「相談・通報したことがある」との回答は、全体(1万人)の5%。「相談・通報を検討したことはあるが、実際にはしなかった」との回答は9%。「法令違反行為や内部規程違反などを目撃したことはない」との回答は55%。全体の45%が勤務先において何らかの違反行為を目撃している可能性があるが、その多くは相談・通報には至っていない。
  • 「300人超1,000人以下」の事業者では、実際に、勤務先や外部に「相談・通報したことがある」との回答は、7%。
  • 実際に、勤務先や外部に「相談・通報したことがある」との回答は、上場企業においては7~8%で、非上場企業の3~4%に比べ高い。
  • 制度を「よく知っている」と回答した人(1,189人)は、「勤務先において、法令違反行為や内部規程違反などを目撃したことはない」の回答割合が、制度を「知らない」と回答した人(3,646人)よりも36%ポイント低い。また、「相談・通報したことがある」との回答割合は、制度を「知らない」と回答した人よりも17%ポイント高い。
  • 勤務先における法令違反行為や内部規程違反について、「相談・通報したことがある」と回答した人(476人)の74%が、「勤務先(上司を含む)」に相談・通報している。また、24%が「行政機関」、17%が「取引先」に相談・通報している。
  • 勤務先や外部に「相談・通報したことがある」と回答した人(476人)のうち、「相談・通報して良かったと思う」との回答は、全体の7割、「相談・通報して後悔している」が17%、「相談・通報して良かったこともあれば、後悔したこともある」が13%。
  • 「相談・通報して良かったと思う」との回答割合は、会社役員や管理職の方がそれら以外よりも高い。
  • 勤務先の法令違反行為などについて、勤務先や外部に相談・通報し、後悔したことがある(145人)理由について、「不正に関する調査や是正が行われなかったから」が57%、「勤め先から人事異動・評価・待遇面など不利益な取扱いを受けたから」が42%。
  • 勤務先の法令違反行為などについて、勤務先や外部に相談・通報し、「勤め先から人事異動・評価・待遇面などで不利益な取扱いを受けた」と回答した人(61人)の具体的な不利益の内容は、回答の多い順に「上司や同僚からの嫌がらせ」が49%、「人事評価上の減点」が43%、「不利益な配置転換」が38%。
  • 勤務先の法令違反行為を上司や内部通報窓口に通報することについての印象は、「不祥事の早期発見・是正に繋がり、よいことをしている」とのポジティブな回答が、全体(1万人)の約5割。「勇気ある行動だが自分には真似できない」が37%、「上司や組織の命令に背くことになると思う」が10%、「余計なことをしていると思う」が9%。
  • 内部通報について、年代が高いほど、内部通報についてのポジティブな回答が増加する。
  • 通報意欲が高いほど、内部通報にポジティブな回答をしている。「絶対相談・通報しない」と回答している人(1,089人)は、「上司や組織の命令に背くことになると思う」との回答が約4割と全体平均よりも約30%ポイント高い。
  • 勤務先の重大な法令違反を一番相談・通報しやすい先は、回答が多い順に、「勤務先(上司を含む)」が全体(1万人)の47%、「行政機関」が29%、「インターネット上のウェブサイト、SNS等」が14%。
  • 勤務先の重大な法令違反を一番相談・通報しやすい先は、年代が若いほど「行政機関」との回答割合が減少し、「インターネット上のウェブサイト、SNS等」や「報道機関」の割合が増加。
  • 勤務先の重大な法令違反を一番相談・通報しやすい先について、内部通報制度を「よく知っている」と回答した人(1,189人)は「勤務先」の回答割合が高い。制度を「知らない」と回答した人(3,646人)は「インターネット上のウェブサイト、SNS等」の回答割合が高い。
  • 米国で導入している、勤務先の法令違反行為に関する重要な情報提供を行った通報者に対し、行政機関が一定の報奨金を支払う制度については、ポジティブな回答とネガティブな回答が同程度の割合。
  • 日本においても一部で導入され、不正に関与している従業員や役員が通報した場合に、懲戒処分や刑事罰などを減免する「リニエンシー制度」についての印象は、全体の66%が「不祥事の早期発見・是正に繋がり、よいと思う」とポジティブな回答。
  • 前項の「リニエンシー制度」について、内部通報制度を「よく知っている」と回答した人(1,189人)は、他の属性と比べて、「不祥事の早期発見・是正に繋がり、よいと思う」とのポジティブ回答の割合が高い。内部通報制度を「知らない」と回答した人(3,646人)は、「通報したとはいえ減免されるべきではない」とのネガティブな回答割合が相対的に高い。

【2024年2月】

消費者庁 糖質カット炊飯器の販売事業者4社に対する景品表示法に基づく措置命令について
  • 消費者庁は、令和6年2月1日、同月5日、同月6日及び同月7日、糖質カット炊飯器又は炊飯調理器(以下「糖質カット炊飯器」といいます。)の販売事業者4社(以下「4社」といいます。)に対し、4社が供給する糖質カット炊飯器に係る表示について、それぞれ、景品表示法に違反する行為(同法第5条第1号(優良誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令(別添1ないし別添4参照)を行いました。
  • 実際
    • 前記の表示について、消費者庁は、景品表示法第7条第2項の規定に基づき、4社に対し、それぞれ、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、4社から資料が提出された。しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
  • 命令の概要
    • 前記の表示は、それぞれ、本件商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
      • ニトリについては、再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
      • リソウジャパンについては、再発防止策を講じて、これを役員に周知徹底すること。
      • Areti及びAINXについては、再発防止策を講じて、これを従業員に周知徹底すること。
    • 今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、前記表示と同様の表示を行わないこと。

消費者庁 新未来ビジョン・フォーラム 第7回情報交換会(2023年12月13日)
▼ 【要旨】新未来ビジョン・フォーラム 第7回情報交換会
  • 関家フェローより、AIが雇用や労働者の未来に及ぼす影響について発表があった。その後の意見交換の内容は概ね以下のとおりであった。
    • 今後AI技術がさらに進化していく中で、労働者が既に獲得しているスキルが陳腐化し、仕事内容や求められるスキルは急速に変化していくことが予測されるところ、常に新しいことに関心を持ち、スピーディーに学習できる労働者に価値が見いだされる社会になるのではないか等の意見があった。
    • ウェルビーイングにおけるリスキリングの意義として、学習により自己の能力が改善されているという感覚を持つということ自体と、学習したことが仕事にいかされているということの2つの面があるのではないか等の意見があった。
    • AIの活用により、採用や異動におけるミスマッチを減らすことができるのではないか等の意見があった。
    • 何が自身にとっての幸せなのかは人生の中で変化していくものであることを踏まえると、定期的に幸せやありたい姿について見つめなおす機会を持つことが、キャリア形成だけでなく幸せな消費行動の実現においても重要ではないか。そうした機会の一つとして、キャリアコンサルティングが有用なのではないか等の意見があった。
    • 自身の価値感やキャリアを見つめなおす機会としては、ボランティア活動やプロボノ活動といった、本業とは異なる活動も有用ではないか等の意見があった。
  • 続いて塩崎フェローより、消費者データの収集と将来予測について発表があった。その後の意見交換の内容は概ね以下のとおりであった。
    • 未来の消費生活を予測するにあたっては、「長期トレンドの予測」(予測期間よりも長い期間の過去の傾向を見る)、「短期的な変化の観測」(リアルタイムに近い変化を観測する)、「突然変異のシミュレーション」(新型コロナ感染症の流行やシンギュラリティのような出来事が社会に与える変化について考える)という3つの観点が重要ではないか等の意見があった。
    • 「プレミアム消費」に分類されると考えられるエシカル消費という消費スタイルは今後増加していくことが予想されるが、「プレミアム消費」、「利便性消費」、「徹底探索消費」、「安さ納得消費」という4つの消費スタイルのセグメントに関する傾向分析の結果(塩崎フェロー提供資料9頁参照)に鑑みると、消費全体の在り方へそこまで大きな影響を与えることにはならないのではないか等の意見があった。
    • 消費行動において、情報や選択肢が多すぎることで、消費者が自分の価値観に基づいた選択ができなくなっている面があるのではないか等の意見があった。
    • 特定の消費スタイルと「幸せな消費」は直接結びつくものではなく、個人が自身の価値観に基づき自主的に選択した消費行動であれば「幸せな消費」であると言えるのではないか等の意見があった。
    • 日本の若者は将来に対して期待する割合が海外に比べるとものすごく低いというデータがあるようだが、政策や企業が、子供や若者が将来に期待できるような社会をつくることができるか、将来こんな未来があるということをちゃんと示してあげることができるかというところが非常に重要になってくるのではないか等の意見があった。

消費者庁 「令和5年度消費生活意識調査(第4回)」の結果について
  • 調査結果のポイント
    1. 「『消費者教育』を受けた機会」について
      • 消費生活や消費者問題に関する「消費者教育」を受けたことがあると回答した人(773人)に「消費者教育」を受けた機会について聞いたところ、「学校(小・中・高校等)の授業」と回答した人の割合は33.4%と最も高く、次いで「職場での研修等」が21.9%、「地方自治体が行う講座・講演会」が18.2%となった。
    2. 「消費生活に関する知識」について
      • 消費生活に関する知識の正誤問題(全7問)について、完全正答率(以下「正答率」という)の全設問の平均は38.8%であった。設問ごとの正答率をみると、最も基本的な知識の一つである「契約の成立時期」については全体では33.6%だったところ、15~17歳は51.0%、18~19歳は53.1%と全体より高かった。なお、全設問の正答率の平均を年代別にみると、20歳代が31.3%と最も低かった。
    3. 「過去1年間に実際に遭った消費者トラブルの内容」について
      • 過去1年間に実際に消費者トラブルに遭ったことがあると回答した人20.4%(1,022人)について、具体的なトラブルの内容として、「商品の機能・品質やサービスの質が期待より大きく劣っていた」と回答した人の割合が39.4%と最も高くなった。次いで「表示・広告と実際の商品・サービスの内容が大きく違っていた」と回答した人の割合が23.2%、「けが、病気をするなど、安全性や衛生面に問題があった」が19.8%となった。
    4. 「消費者トラブルに遭った際の相談先」について
      • 3で消費者トラブルに遭ったと回答した人(1,022人)のうち、どこ(誰)かに相談した人71.2%(728人)について、相談先は、「地方自治体の消費生活センター・相談窓口」と回答した人の割合が30.4%と最も高く、次いで「国民生活センター」が27.3%、「商品・サービスの勧誘や販売を行う販売店や代理店等」が26.5%となった。
    5. 「オンラインショッピングで思っていたものと違う商品が届いた時の対応」について
      • オンラインショッピングで思っていたものと違う商品が届いたことがあると回答した人46.2%(2,309人)について、「すぐに販売者に連絡を取り交換・返品を求めた」と回答した人の割合は43.1%となっており、次いで「インターネット通販サイト事業者に連絡を取り交換・返品を求めた」が34.6%となった。また、交換・返品を求める等の行動をしたことがある人の割合は67.8%3であった。
    6. 「消費者として心がけている行動」について
      • 消費者として心がけている(「心がけている」と「ある程度心がけている」のいずれか)と回答した行動について、「商品やサービスの購入・契約をする際は、表示や説明を十分確認する」が最も多く83.7%となっていた。次いで「個人情報の管理について理解し、適切な行動をとる」が76.6%となった。

【国民生活センター】

【2024年4月】

国民生活センター 紅麹関連製品による健康被害について

国民生活センター 「契約変更しませんか?」突然やってくる電気・ガスの勧誘に注意!
  • 【#セールス#電気#ガス】春だ!待ちに待った#新生活!突然自宅に来た#電力会社の人が「アパートの人みんな契約してますよ」っていうから契約したけど嘘じゃんしかも#電気代メチャ高い!お得になるって言ってたのに、こんな高いの聞いてないよ!⇒188に相談!
  • 相談事例
    • 訪問業者から電気代が安くなると言われ検針票を見せたが、契約変更をするつもりはない。対処法を教えてほしい
      • 4月から大学生になり、賃貸マンションで一人暮らしをしている。1週間前、訪問してきた事業者から「電気代が安くなるので、検針票を見せてほしい。このマンションの住民の皆さんにお願いしている」と言われた。検針票を見せるだけならいいと思い、疑うことなく指示に従った。その後、ネットの口コミで、検針票に記載されている顧客番号を伝えると勝手に契約先が変更されると知った。名刺は渡されず、事業者名は忘れた。書面は受け取っておらず検針票を見せただけだ。契約変更するつもりはないので、対処法を教えてほしい。(2023年5月受付 10歳代 男性 学生)
    • 「アパート全体の電気契約が変更になる」と言われ契約したが嘘だった
      • 訪問してきた事業者から、「アパート全体の電気契約が変更になる」「料金も今よりも安くなる」と言われたので契約した。しかし実際は、アパート全体で契約先を変更することはなく、電気料は倍近い5,000円程になった。勧誘時の説明と全く違うので解約したいが、調べると解約手数料が1万円かかるとあった。解約料なしで解約したい。(2023年5月受付 20歳代 女性 給与生活者)
    • 「賃貸アパートの他の住人も契約した」と都市ガスの契約先の変更を勧められ契約したがクーリング・オフしたい
      • 突然、事業者がやってきて「安くなるので賃貸アパートの他の住人全員が契約した」と都市ガスの契約先の変更を勧められた。賃貸アパートの住人が全員変更するなら、契約先の都市ガスが使えなくなるのではないかと思い、契約することにした。契約先変更に伴う説明書は受け取ったが、契約書面はすべて渡し、自分の控は受取っていない。後から調べて不審に思い、クーリング・オフ通知をメールで送信した。事業者から連絡がなく、解約できているか心配だ。(2023年11月受付 10歳代 女性 学生)
  • 消費者へのアドバイス
    • 新生活を始めた若者を狙った訪問販売に注意!
      • 3~6月は、1人暮らしなど新生活を始めた若者を狙った訪問販売に関するトラブルが増加する傾向にあります。
      • 手口としては、訪問してきた事業者が「住民の皆さんにお願いしている」、「他の住人も契約している」などと勧誘し、契約しなければいけないと消費者に思い込ませるものがみられます。また、「料金が安くなる」などのセールストークで契約を勧める電気やガスの小売り事業者もいます。中には大手電力会社の関係者と偽って営業したり、目的を告げずに「検針票を見せてほしい」と言ってくる事業者もいることから、注意が必要です。
    • その場で契約しないでしっかり確認する!安易に個人情報を伝えない!
      • 電気やガスの勧誘を含め、突然の訪問で勧誘を受けた場合は、その場で契約せず、まずは訪問してきた事業者名や連絡先、訪問の目的、契約先の事業者名や契約内容などをしっかりと確認しましょう。名前や年齢などを尋ねてくる事業者もいるので、安易に個人情報を伝えないようにします。
      • 電気やガスの契約について、「アパートやマンション全体で契約変更が必要」などと言われた場合は、必ず管理人や管理会社に確認しましょう。管理会社に連絡が付かなかったり、分からないことがあったりする場合は、親、友人など周囲に相談し、アドバイスを求めるのも有効です。
      • また、「検針票を見せて」と言われても、すぐに応じないようにしましょう。検針票には、契約者の個人情報のほか、電力契約の切り替えに必要な顧客番号や供給地点特定番号が書かれており、これらの情報で契約変更が可能となります。
      • 「料金が安くなる」と言われた際は、必ずプラン内容を確認し、他の事業者が提供するサービスと比較して検討しましょう。
    • クーリング・オフができる場合もあります
      • 特定商取引法上の訪問販売に該当する場合は、事業者から適法な契約書面※を受け取ってから8日以内であればクーリング・オフできます。クーリング・オフの通知はハガキのほか電磁的記録(電子メールなど)でも可能です。
        • ※事業者が交付した書面に不備がある場合は、『適法な書面』とは言えないため、クーリング・オフ期間のカウントは始まっていないことになります。
    • 少しでも不安に思ったら早めに消費生活センター等に相談する

国民生活センター ADRの実施状況と結果概要について(令和5年度第4回)
  • 国民生活センター紛争解決委員会によるADRの実施状況と手続結果の概要について公表する。
  • 実施状況(平成30年度~令和6年1月末日)
    • 平成30年度累計申請件数 177件
    • 令和元年度累計申請件数 204件
    • 令和2年度累計申請件数 166件
    • 令和3年度累計申請件数 136件
    • 令和4年度累計申請件数 142件
    • 令和5年度累計申請件数 101件
  • 結果の概要
    • 紛争解決委員会(第62回会合、2月20日開催)での審議を踏まえ、結果の概要を公表。
      • ロードサービスの料金に関する紛争(2)
      • 出張配管洗浄サービスの料金に関する紛争(37)
      • 出張家事代行サービスの料金に関する紛争
      • 固定電話回線契約の解約に関する紛争
      • データ復旧サービスの解約に関する紛争(4)
      • 出張配管洗浄サービスの料金に関する紛争(38)
      • 出張配管洗浄サービスの料金に関する紛争(39)
      • タレント等養成スクールの解約に関する紛争(19)
      • 連鎖販売取引の解約に関する紛争(23)
      • 結婚式と披露宴の解約に関する紛争(44)
      • 引越運送に伴う損害賠償の請求に関する紛争(8)
      • クリーニング事故に関する紛争(19)
      • スマートフォンの料金請求等に関する紛争
      • インフルエンサー養成講座の解約に関する紛争
      • ビジネス講座の解約に関する紛争(6)
      • 互助会の解約に関する紛争(7)
      • 通信販売の定期購入に関する紛争(68)
      • 家庭教師の解約に関する紛争(4)
      • 未成年者のオンラインゲームの高額請求に関する紛争(14)
      • 柔道整復師による腰痛治療の施術に関する紛争

国民生活センター パソコンで警告が出たらサポート詐欺に注意!-70歳以上で大幅に増加-
  • いわゆる「サポート詐欺」の相談が全国の消費生活センター等に依然として多く寄せられています。サポート詐欺とは、パソコンでインターネットを使用中に突然「ウイルスに感染している」等の警告画面や警告音が出て、それらをきっかけに警告画面上に表示されている電話番号に電話をかけさせ、偽のサポートに誘導し、サポート料金を支払わせる手口です。
  • 近年の相談状況をみると、相談件数は年間5,000件台で推移してきましたが、2023年度は、2022年度同期と比べて約1.3倍に増加しています。特に70歳以上の相談件数が大幅に増加しており、新たな手口として、インターネットバンキングで送金を指示されるケースも確認されていますので、注意してください。
  • 相談事例
    • 修理代100円のはずが、パソコンを遠隔操作され100万円が送金されていた
      • パソコンでインターネットを利用中に突然、大音量の警告音が鳴り「ウイルスに感染した可能性がある」と警告画面が表示された。マイクロソフト社を名乗る電話番号の表示があったので電話をしたところ、外国人らしき人が出て、遠隔操作ソフトをインストールするよう指示され、パソコン内を遠隔操作で見てもらった。相手から「最近、銀行の取引をしたか」と聞かれたので、「インターネットバンキングを利用した」と告げると、ログインするよう指示された。パソコンの修理代として100円を請求されたので、インターネットバンキングの画面で送金額を100円と入力したはずが、遠隔操作によって「0(ゼロ)」を追加され、100万円に変更され送金されてしまった。(2023年7月受付 70歳代 男性)
  • トラブルの特徴
    • パソコンやインターネットに不安を覚える高齢者が被害にあっている。
    • “マイクロソフト社”を騙る連絡先に電話をかけてしまっている。
    • 新たにインターネットバンキングで送金を指示されるケースも発生している。
  • 消費者へのアドバイス
    • パソコン利用中に突然警告画面や警告音が出ても、慌てて画面に表示されている連絡先には絶対に電話をしないでください。
    • 警告画面が表示されたり、万が一遠隔操作ソフトをインストールしてしまっても、ご自身でパソコンの状態を確認しましょう。
    • 自分で判断できない場合は周りの人に相談しましょう。
    • 不安に思った場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等や警察へ相談しましょう。
      • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
    • 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
      • 警察相談専用電話「#9110」
    • 生活の安全に関わる悩みごと・困りごとなど、緊急でない相談を警察にする場合は、全国統一番号の「#9110」番をご利用ください。電話をかけると発信地を管轄する警察本部等の相談の総合窓口に接続されます。
  • 情報セキュリティ安心相談窓口
    • 表示された警告画面の消去方法等、パソコンに関する技術的な相談に対してアドバイスを求める場合は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ安心相談窓口」に電話またはメールで相談しましょう。
    • 情報セキュリティ安心相談窓口(IPA:独立行政法人情報処理推進機構)
      • 電話番号 03-5978-7509
      • 受付時間 10:00~12:00、13:30~17:00(土曜日曜祝日・年末年始は除く)
      • メール anshin@ipa.go.jp

【2024年3月】

国民生活センター リーフレット「くらしの危険」【No.378】道路交通法の基準に適合しない電動アシスト自転車
  • インターネット通信販売サイトでは、道路交通法の基準に適合しない電動アシスト自転車が、自転車として道路を通行できるかのように販売されていることがあります。
  • 一般的に「電動アシスト自転車」と呼ばれるものは、人の力に対する補助力として電動モーターによる力が加わるものです。スロットルが取り付けられているなど、人の力ではなく、電動機により走行できる車両は、道路交通法の基準に適合しないため、自転車として道路を通行することはできません。
  • 基準に適合しない電動アシスト自転車で道路を通行すると、運転者が罰則の対象になります。
  • また、アシスト比率が道路交通法の基準を大きく超えていると急発進や急加速の原因になるほか、バランスを崩して転倒したり、人や物に衝突したりするなど、事故につながるおそれがあります。
  • 電動アシスト自転車としてインターネットで販売されていた10銘柄を調査
    • 10銘柄は国家公安委員会の型式認定を取得した旨の記載がなく、基準に適合しているかが不明であったもの
      • アシスト比率:アシスト力は上限値(人の力の2倍)を超えていないか、24km/hで「0」になるか
        • 10銘柄中9銘柄で上限値を超え、基準に適合していませんでした。
        • 10銘柄中6銘柄は、ほとんど人の力を要さずに加速し、24km/hを超えても電動力がアシストしました。
      • 表示:
        • 公道を走行できること、性能確認を行っていることを明記していても、基準に適合していない銘柄がありました。
      • スロットルの有無:スロットルが装着されている車両は、電動アシスト自転車に該当しない
        • 10銘柄中5銘柄でスロットル様のものが装着されていました。
        • 上記5銘柄中2銘柄では、スロットル様のものを操作すると加速しました。
  • 消費者へのアドバイス
    • 購入の際は、型式認定のTSマークやBAAマークを目安にしましょう
    • 購入前に「型式認定」を取得しているか調べましょう
    • 購入後にアシスト機能を停止する速度を変更出来ることや、スロットル付きから電動アシスト自転車に仕様変更できることをうたった商品に注意しましょう

国民生活センター 学生に広がる投資やもうけ話に注意
  • 事例
    • 友人に「会わせたい人がいる」と誘われ、喫茶店で会うことになった。同席した男性から、投資について説明を受け、その学習教材が入ったUSBメモリの購入を勧められた。代金は約60万円で、購入するかどうか答える前に消費者金融で借金して支払うことを勧められた。断り切れずに、その場でウェブ上で借り入れの手続きを行い支払った。さらに友だちを勧誘して契約させると紹介料として5万円もらえると聞いたが、自分には投資も勧誘もできないと思うので、クーリング・オフしたい。(当事者:学生)
  • ひとことアドバイス
    • 入学を機に始まった新生活で交友範囲が広がる中で、友人や先輩、SNSやサークルで知り合った人に、投資やもうけ話を持ち掛けられることがあります。これらの勧誘の特徴として、誰かを勧誘すれば報酬がもらえるマルチ取引(連鎖販売取引)に該当するものもあります。
    • お金がないと言うと、消費者金融などで借金して支払うよう言われることもあります。借金してまでの契約は絶対にしないでください。
    • 友人・知人を勧誘することで人間関係が破たんしたり、金銭トラブルが生じたりすることもあります。断りにくい状況でもはっきりと断りましょう。
    • 要件を満たせば、クーリング・オフや中途解約ができる場合があります。困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

国民生活センター 子どものオンラインゲーム 無断課金につながるあぶない場面に注意!!
  • 子どもが無断でオンラインゲームに課金してしまったという保護者からの相談が多く寄せられています。契約当事者が小学生・中学生・高校生(以下「小中高生」という)のオンラインゲームに関する2022年度の相談件数は4,024件で、契約購入金額の平均は約33万円と高額です。
  • 特に、スマートフォンやタブレット端末での小学生・中学生の無断課金に関する相談が目立ちます。そこで子どものオンラインゲーム無断課金が生じやすい場面と対策をまとめ、注意喚起します。
  • 相談事例
    • 【事例1】母親のスマホを母親のアカウントにログインした状態で小学生の娘に貸したところ、娘がアカウントのパスワードを変更して登録されたクレジットカードでゲーム課金してしまった。
    • 【事例2】日頃から、小学生の息子に母親の古いスマホを自宅のWi-Fiに繋げて使用させていた。課金には母親の指紋認証が必要な設定にしていたが、母親のアカウントにログインした状態であったため息子が自分の指紋を追加登録して約5万円ゲーム課金してしまった。
    • 【事例3】母親名義で契約し中学生の息子を利用者登録したスマホを息子に使用させていたところ、5カ月の間にキャリア決済で約5万円ゲーム課金してしまった。キャリア決済の上限額を引き下げることができるとは知らなかった。
    • 【事例4】中学生の息子が、息子のスマホで1年前から総額約55万円をゲームに課金していた。数年前に母親がゲーム課金以外の目的で息子のスマホにクレジットカード番号を入力したことがあったが、そのクレジットカード番号で息子はゲーム課金をしたようだ。
  • 保護者へのアドバイス
    • 保護者のスマホで遊ばせる場合は、保護者のアカウント(AppleやGoogle)は必ずログオフしましょう。
    • 保護者の古いスマホや子ども専用のスマホで遊ばせる場合は、子ども専用のアカウントを作成し、「ペアレンタルコントロール」機能を利用して保護者が管理しましょう。この機能で課金を承認制に設定できます。
    • スマホのアカウント決済とキャリア決済のそれぞれに、決済時の承認(パスワード、指紋認証、顔認証など)を設定しましょう。パスワードはお子さんが類推できない文字列で設定しましょう。
    • クレジットカードは保管場所に注意が必要です。また、子どものスマホにクレジットカード情報を入力した際は忘れずに削除してください。
    • キャリア決済は必要に応じ上限額を低くしましょう。子ども用のスマホを契約する際は特に注意が必要です。
    • 日頃から決済完了メールや明細を確認しましょう。
    • 子ども自身が考えて適切にゲームと付き合えるように子どもと一緒に行う対策も重要です。子どもが遊ぶゲームの課金の仕組みを一緒に確認したり、オンラインゲーム課金についてルールを決めたりしましょう。
    • 民法では、未成年者が保護者の同意なく契約した場合は取り消すことができます。ただし、子どもが保護者のアカウントでログインしたスマホで課金した場合は、アカウントの所有者である保護者が決済を行ったとみなされる場合もあります。
    • トラブルが生じた場合は、最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう。
      • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
    • 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
  • 要望
    • 未成年者が保護者の承諾なくオンラインゲームの課金をしてしまう消費者トラブルを防止するため、オンラインゲーム事業者団体、アプリストア運営事業者に対し、要望を行いました。

国民生活センター なくならない洗濯用パック型液体洗剤による事故-子どもだけでなく高齢者が誤って口に入れる事故も発生-
  • 2015年3月、消費者庁と国民生活センターは、子どもが濃縮液体洗剤を水溶性フィルムに包んだ洗濯用パック型液体洗剤(以下、「パック型液体洗剤」とします。)を握ったりかんだりしているうちに破れてしまい、被害に遭う事故について注意喚起を行いました。しかし、その後もパック型液体洗剤を誤って口に入れた、フィルムが破れて目に入ったなどの事故が発生しています。
  • 医療機関ネットワークやPIO-NETには、子どもだけではなく高齢者による事故情報も寄せられています。また、これら以外にも、国内で同様な事故について複数の報告が見られました。
  • パック型液体洗剤による事故が引き続き発生しているため、再度、注意喚起します。
  • 医療機関ネットワーク及びPIO-NETに寄せられた情報
    • 医療機関ネットワーク
      • 保護者が入浴中、脱衣所で待たせていた子どもが、床に置いてあった洗濯用パック型液体洗剤の容器を開けて洗剤をなめていた。
      • 子どもが洗濯用パック型液体洗剤を触っていて、フィルムが破れてしまい、中身が左目に入ったため、受診した。
      • 認知症のある高齢者が、自宅の洗面所に置いてあった洗濯用パック型液体洗剤を1~2個食べてしまった。
      • 高齢者が柔軟剤入りの洗濯用パック型液体洗剤を1個、食べ物と思い誤って食べてしまい、救急搬送された。
    • PIO-NET
      • 保護者が洗面台の掃除をしていたところ、そばにいた子どもが急に泣き出したので、振り返ると、洗面台の下の棚に置いてあった洗濯用パック型液体洗剤を容器から取り出し、口に入れていた。
      • 洗濯用パック型液体洗剤が3個くっついていた。それぞれはがそうとしたとたん、フィルムが破れ、中身が目に入った。
      • 高齢者施設に入所していた高齢者が、洗濯用パック型液体洗剤を食べてしまい、救急搬送された。
  • 消費者へのアドバイス
    • パック型液体洗剤は、子どもだけでなく、不用意に触ってしまうおそれのある方の手の届くところには置かないようにしましょう。
    • パック型液体洗剤を使用したあとは、必ずふたなどをしっかり閉めて、子どもなどの手の届かない置き場所にすぐ戻すことを習慣にしましょう。
    • パック型液体洗剤をぬらさないよう気を付けましょう。
    • 子どもや高齢者などが誤って口に入れてしまい、洗剤などを飲み込んだ可能性がある場合や、目に入り、よく洗い流しても異常を感じる場合には、商品の成分が分かるパッケージなどを持って医療機関を受診しましょう。
    • 事業者への要望
    • パック型液体洗剤による子どもや高齢者など、不用意に手にしてしまうおそれのある方の事故の再発防止のため、手の届かないところで使用・保管するなどの啓発等を含めた、より一層の安全対策を推進するよう要望します。
    • 行政への要望
    • パック型液体洗剤による子どもや高齢者など、不用意に手にしてしまうおそれのある方の事故の再発防止のため、消費者への注意喚起、啓発を行うよう要望します。

国民生活センター 「消費生活センターにおける対応困難者への対応の現況と課題調査」調査報告<結果・概要>
  • 消費生活相談の現場では、さまざまな相談者に日々対応し、相談者が抱えている消費者トラブルについて聞き取り、事業者と相談者の間に立って助言やあっせん等をおこなっていますが、中には、相談員に対し攻撃的な態度をとる相談者や、一方的に話し続けて相談員の話を聞かないなど、円滑なコミュニケーションが取れず、相談員が相談対応に困難を感じるケースがみられます。
  • このような、いわゆる「対応困難者」への対応は、消費生活相談業務の遂行において大きな支障となっていると考えられます。そこで、消費生活センター等における対応困難者の相談対応について、(1)消費生活センター等を対象としたアンケート調査、(2)消費生活センター等で勤務したことのある消費生活相談員を対象としたアンケート調査を実施し、対応困難者への対応に関する現状等を調査し、報告書をまとめました。
  • 調査結果のポイント
    • 本調査では、「対応困難者」について、「消費生活センター等で実施している消費生活相談において、相談員により適切な相談対応(丁寧な説明等)を行っているにもかかわらず、社会通念から逸脱するような主張や要求(内容および態様)を止めようとしない相談者、また、自らの要求が通らないことに対する怒りを相談員や消費生活センターに向け、相談の継続が困難である相談者」と定義しています。なお、同等の内容を指す用語として「カスタマーハラスメント」がありますが、本調査において「対応困難」とされる行為の範囲は、カスタマーハラスメントよりも広くなっています。
      • 消費生活センター等を対象としたアンケート調査
        • 対応困難者の相談件数について、1カ月平均で「5件未満」と回答したセンターが全体の8割。
        • 対応困難者は、過剰要求や無理な対応を強要するタイプ、長時間あるいは執拗な主張を続けるタイプが多い。
        • 対応困難者の対応において困難を感じる点は、相談員や職員の時間がとられ本来業務ができなくなること、相談者がエスカレートしないよう気を遣って対応する必要があること、など。
        • 国や自治体等に対して希望する対応策として、7割のセンターが、対応困難者の対応を拒否できる明確な基準やガイドラインの策定、と回答。
        • センターの役割や業務内容を理解していない住民に対して、正しい理解と適切な利用のための啓発活動を望む回答も多く寄せられました。
      • 消費生活相談員を対象としたアンケート調査
        • 約9割の回答者が、対応困難者の相談件数は1カ月当たり平均で「5件未満」と回答。
        • 回答者のほとんどが対応困難者の対応を経験しており、また、自身が相談員として勤務を始めた頃と比べ、対応困難者からの相談が増えていると感じていました。
        • 9割以上の回答者が、対応困難者の対応にストレスを感じると回答。
        • 辛いこととして、多くの回答者が「一方的な主張に終始しコミュニケーションが取れなかった」こと、「長時間・長期間にわたって相談を終了できなかった」こと、また、発言の揚げ足を取られること、詰問や暴言、大声で怒鳴るなどの言葉による攻撃的な行為、を挙げていました。
        • 対応方法として、「消費生活相談として対応できる範囲を見きわめる」、「冷静な態度を心がける」、「言葉遣いに気を付ける」、との回答が多く、これらは、対応困難者に対して効果的だと感じた方法としても同様に挙げられていました。
        • 対応困難者への対応に関して、回答者が国や自治体等に希望することとして最も多かったのは、職員の理解や連携協力、組織対応を求めるものでした。
  • 課題と今後期待されること
    • 調査の結果、対応困難者への対応においては、対策マニュアルの活用、統一的なルールや基準の策定、安全な執務環境の整備、専門家との連携体制の整備、メンタルケアへの取組、研修の実施等について、さまざまな課題があることが分かりました。
    • 今後期待されることとして、自治体に対しては、センター内における職員と相談員の連携協力の推進、対応ルールやマニュアルの作成・活用、安全な執務環境の整備、弁護士や心理職等の専門家との連携体制の構築等が望まれます。
    • 国に対しては、全国的な判断基準やルールの策定や研修の実施等が望まれます。
    • 国や自治体において、ホームページ、広報誌、案内チラシなどで、センターの業務内容や役割等についてより一層周知広報すること、消費者教育や啓発について引き続きおこなっていくことが望まれます。
    • 本報告書が今後の消費生活センターにおける対応困難者対策の一助となれば幸いです。

国民生活センター ふたが外れてコーヒーが噴出したコーヒーメーカー(相談解決のためのテストからNo.185)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
  • 依頼内容
    • 「コーヒーメーカーを使用中、ふたが外れて熱湯が吹き出した。商品に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
  • 調査
    • 当該品は、ガラス製サーバーの中央部のくびれた部分でパッキンにより上下に分離し、上端部にふたをして使用するサイホン式のコーヒーメーカーでした。
    • 相談者によると、抽出が始まった最中にふたが外れ、コーヒーが噴出したとのことでした。
    • 当該品のふたのロックに影響を及ぼす、ふた側のツメ及びガラスサーバー上端の縁周辺を確認したところ、破損は見られませんでした。
    • 当該品及び同型品を用いて、相談者の申し出内容を基に再現テストを実施しました。その結果、当該品ではサーバーの下部内の水が沸とうすると、熱湯がパイプを通って上部に移動するとともに、サーバーの下部内の水蒸気がパッキンの隙間から異音を上げながら徐々に上部に漏れることが確認されました。また、その際に発生した振動によってふたのロックが緩んで外れ、サーバーの下部内の水蒸気によりフィルター部等が押し上げられ、それらを押さえていたふたが外れ、コーヒーが噴出する現象が再現しました。なお、同型品では、ふたの緩みや外れは再現しませんでした。
  • 解決内容等
    • 依頼センターがテスト結果を輸入販売事業者に説明したところ、相談者には販売店から商品代金が返金され、輸入販売事業者からは、コーヒーメーカーのふたが外れにくい構造に変更するなどの対応を検討するとの連絡がありました。

国民生活センター 【10代20代も注意!】お試しネット通販トラブル
  • 【#ダイエット#サプリ#美容液】
    • SNSでおトクな広告
    • お試しのつもりでダイエットサプリの購入ボタンをクリック!
    • あれ?1回限りのはずなのに2回も3回も商品が送られてくる
    • しかも2回目以降は高額だし、支払えないかも
    • ⇒消費者ホットライン188に相談!
  • 相談事例
    • 全国の消費生活センター等には、以下のように、SNSの広告を見てお試しのつもりでダイエットサプリなどを注文したところ、購入回数の条件があるコースになっていたなど、通信販売での「定期購入」に関する相談が寄せられています。通信販売での「定期購入」のトラブルは中高年の占める割合が高くなっていますが、10歳代や20歳代でも多くみられます。
    • お試しのつもりでダイエットサプリを購入したが定期購入になっていた
      • SNSの広告からアクセスしたサイトでダイエットサプリを購入した。購入時の画面は保存していないが、いつでも解約できると書いてあったと記憶しており、定期購入だとは思わなかった。お試しで1袋だけ注文したつもりだったが、初回の商品が届きコンビニ後払いで代金1,000円を支払ったあと、2回目の商品が届いた。驚いてサイトの規約を確認し、事業者に電話をかけ解約を申し出ると「6回の購入が条件のコース」と言われ定期購入だとわかった。2回目の商品には約1万円の請求書が入っていたが、3回目以降はさらに金額が上がっていくようだ。解約したいがどうしたらよいか。(2023年10月受付 20歳代 女性)
    • サイトで美容液を購入したら定期購入になっていたが、2回目以降は支払えない
      • SNSの広告からアクセスしたサイトで美容液を購入した。定期購入にはしなかったはずだが、納品書に次回発送日の記載があり定期購入になっていることがわかった。注文時の画面は保存していない。初回の代金約1,000円はこれから支払おうと思っているが、2回目以降は支払えないので解約したい。私は未成年で、注文の時には自分の生年月日を入れて注文したが、購入することについて親には相談していない。解約したいことを事業者に連絡しようと思うが、高額な費用を請求されるかもしれないと思い不安だ。(2023年4月受付 10歳代 女性)
  • トラブル防止のポイント
    • インターネット通販では、注文する前に販売サイトや「最終確認画面」の表示をよく確認しましょう
      • 低価格であることを強調する広告を見て、1回だけのつもりで商品を注文していても、「定期購入」が条件となっていて、総額として数万円等、注文時に想定した以上の金額を支払うことになるケースがあります。中には、2回目から分量が多くなったり、高額になったりする場合もあります。必ず「最終確認画面※」で、定期購入が条件となっていないか、2回目以降の分量や代金などの販売条件を確認しましょう。
        • ※「最終確認画面」とは インターネット通販において、消費者がその画面内に設けられている申込みボタン等をクリックすることにより契約の申込みが完了することとなる画面を指します。
      • 「定期縛り無し」「いつでも解約可能」という表示をみると、ペナルティーなくいつでも解約できるような印象を持ってしまいますが、実際には、2回目以降を解約するときに違約金等を請求されるケースがあります。必ず「最終確認画面」で解約条件等を確認しましょう。また、「最終確認画面」を含め、契約条件が記載されている画面はスクリーンショットで保存しましょう。スクリーンショットの方法がわからない場合は、契約している通信事業者や携帯電話ショップなどに問い合わせるか、通信事業者の公式ホームページなどで確認してください。
    • 特定商取引法により申込みの意思表示を取り消すことができる場合があります
      • 特定商取引法では、販売業者等に、販売サイトの「最終確認画面」において、顧客が注文確定の直前段階で、分量、販売価格・対価、支払の時期・方法、引渡・提供時期、申込期間(期限のある場合)、申込みの撤回、解除に関することなどの契約の申込みの内容を確認できるように表示することを義務付けています。
      • 販売業者等がこれらの契約の申込みの内容について、表示しなかったり、不実の表示や消費者を誤認させるような表示を行ったりした場合、これにより誤認して申込みをした消費者は、申込みの意思表示を取り消すことができます。
    • 少しでも不安に思ったら早めに消費生活センター等に相談する
      • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
      • 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

国民生活センター 不安をあおって契約させる 給湯器の点検商法に注意
  • 内容
    • 数日前、いきなり業者が訪問し「ガス給湯器の点検に回っている」と言われたので話を聞いてしまった。業者は道路から給湯器を見た様子で「すぐに交換しなければ危ない」と言ってきた。最近交換したばかりなので不審に思ったが、もし不具合がありお風呂にも入れなくなったら大変だと思い、承諾してしまった。費用は約50万円だという。高額だし不審なのでこの契約をやめたい。(70歳代)
  • ひとこと助言
    • 点検を口実に訪問し、消費者の不安をあおるなどして新たに製品を購入させる手口です。安易に点検に応じないようにしましょう。
    • 点検後に製品の購入を勧められても、その場ですぐに契約しないようにしましょう。不安な場合、本当に交換が必要か契約先のガス事業者やメーカー等に相談しましょう。
    • 購入する場合は、複数社から見積もりを取ることが大切です。
    • 給湯器は、長期間の使用により重大な事故が起こる可能性もあります。業界団体等では、10年を目安に信頼できる事業者による点検や取り替えを推奨しています。
    • 契約してしまっても、クーリング・オフができる場合があります。困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

国民生活センター 顔を入れないで! 棺内のドライアイスで二酸化炭素中毒
  • 内容
    • 事例1 葬儀場において、ドライアイスを敷き詰めた棺桶の小窓を開けたそばで、意識不明の状態で発見され、搬送先の病院で死亡した。(70歳代)
    • 事例2 自宅において、ドライアイスを敷き詰めた棺桶内に顔を入れた状態で発見され、死亡が確認された。(60歳代)
  • ひとこと助言
    • ご遺体の安置の際に棺内に置かれたドライアイスによる二酸化炭素中毒と疑われる死亡事故が起きています。ご遺体に話しかけたりする際は、棺内にたまって高濃度となった二酸化炭素を吸い込まないようにしましょう。
    • 棺は密閉されているわけではないため、棺内の二酸化炭素は室内に漏れ出ています。十分な換気を行いましょう。
    • 通夜から告別式の間に、ご遺族等が寝ずの番(線香番)を行うことがありますが、なるべく複数人で見守りましょう。飲酒して酔った状態で棺に近づくのはやめましょう。
    • 棺の近くにいて気分が悪くなったら、すぐに換気の良い場所に移動しましょう。症状があれば医療機関を受診し、緊急性が高い場合は119番通報しましょう。

国民生活センター 遠隔操作アプリを悪用して借金をさせる副業や投資の勧誘に注意!
  • 事例
    • バイトを探しており「スマートフォンからスタンプを送信するだけで日給5万円」と記載のあるサイトから登録した。後日、担当者から電話があり「予想収益100万円」とする約70万円の副業のサポートプランを勧められた。「先行投資」と言われ、貸金業者3社から30万ずつ借金する方法を提示された。遠隔操作アプリをインストールさせられ、私のスマートフォンの画面が共有された状態となり、インターネット上で各社に借金を申し込んだ。家族に反対されたため、借金の申し込みを撤回したい。(当事者:学生)
  • ひとことアドバイス
    • 遠隔操作アプリとは、自分のスマートフォンやパソコンに遠隔地の第三者が接続して、両者が画面を共有しながら遠隔操作を行うアプリのことです。パソコンメーカーや通信事業者がユーザーサポートを行う場面等で利用されます。
    • 副業や投資の勧誘では、支払いのために借金をさせられる場合があり、最近では、遠隔操作アプリを悪用して借金をさせるケースが目立っています。
    • 事業者は、遠隔操作アプリを悪用し、消費者のスマートフォンの画面を見ながら、お金の借り方について細かく指示を出します。事業者から「説明のために必要」などと遠隔操作アプリをインストールするよう指示されても、安易にインストールするのは避けましょう。
    • 簡単に稼げるようなうまい話はありません。「簡単に稼げる」「もうかる」ことを強調する広告をうのみにしたり、借金してまで契約したりしないようにしましょう。
    • 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

【2024年2月】

国民生活センター ご用心 災害に便乗した悪質商法 更新
  • 消費生活相談件数
    • 能登半島地震関連の相談件数
      • 総件数:606件
        • ※全国の消費生活センター等で受け付けた分
        • ※2024年1月1日以降受付、2024年2月21日までのPIO-NET登録分
    • 上記のうち「能登半島地震関連 消費者ホットライン」で受け付けた相談件数
      • 総件数:45件
        • ※2024年1月15日以降受付、2024年2月21日までのPIO-NET登録分

国民生活センター 給湯器の点検にご注意ください-70歳以上の高齢者を中心にトラブル急増!-
  • 給湯器の点検商法に関する相談が全国の消費生活センター等に相次いで寄せられています。相談件数は2023年度に入り急増し、2022年度同期の約3倍となっています。相談事例では、電話や訪問で突然給湯器の点検を持ち掛け、不安をあおって高額な給湯器の交換を迫る手口が多くみられます。中には、電話口で「自治体から委託を受けた」「契約中のガス会社から依頼された」などと身分を偽るケースもみられます。契約当事者の7割以上が70歳以上で、特に高齢者に注意してほしいトラブルです。
  • そこで、トラブルの未然・拡大防止のため、事例を紹介するとともに、消費者に注意を呼びかけます。
  • 年度別相談件数:2018年度は206件、2019年度は241件、2020年度は245件、2021年度は335件、2022年度は561件、2023年度は12月31日までで1,099件です。
  • 相談事例
    • ガス会社だと思い点検を依頼し給湯器交換の契約をしたが、高額だった。
    • 自治体から委託されたという業者の点検後に温水器の交換が必要と言われた。
    • 今なら割引できると言われ契約したが、不審に思ったので解約したい。
    • 無料点検と言われ依頼したが、新しい給湯器への交換を勧められて契約したので解約したい。
  • 相談事例からみる問題点
    • 電話や訪問で給湯器の点検を持ち掛ける。
    • 点検後に「このままでは壊れる」などと不安にさせる。
    • 「今契約すれば割引する」と契約を急がせる。
  • 消費者へのアドバイス
    • 電話や訪問で点検を持ち掛ける業者には安易に点検させないようにしましょう。
    • 点検を断る連絡ができず訪問された場合にはインターホン越しに点検を断りましょう。
    • その場では契約せず、十分に比較・検討しましょう。
    • クーリング・オフ等ができる場合もあります。
    • 不安や迷いがあれば、すぐに消費生活センター等に相談しましょう。

国民生活センター 海外に行くなら必見!ESTA等の電子渡航認証トラブルあるある
  • 相談事例
    • ESTAを申請するためインターネットで申請サイトを検索した。検索結果の一番上に表示されたサイトで申請したら、申請代行サイトだったため代行手数料を請求された
      • アメリカに旅行するために、ESTA(電子渡航認証システム)を申請しようとネットで検索をして、一番上に表示されたサイトで申請を行った。申請費用は21ドル(約3,000円)のはずだが、クレジット決済をした明細を見ると約1万円が請求されていた。サイトをよく確認すると、公式サイトではなく、申請代行サービスを行う事業者のサイトだった。申請手続は確かにできたが、サイトの作りが公式サイトとよく似ていて紛らわしい。自分で公式サイトから申請すれば手数料を支払う必要はなかった。手数料を返金してもらうにはどうしたらいいか。(2023年9月受付 20歳代 男性)
  • トラブル防止のポイント
    • 電子渡航認証とは
      • 日本人が渡航する際、渡航先及び渡航期間によっては、電子渡航認証の申請が必要となります。電子渡航認証には、アメリカのESTA(Electronic System for Travel Authorization:エスタ)、カナダのeTA(イータ)、オーストラリアのETA(イータ)、韓国のK-ETA(2023年4月1日~2024年12月31日の期間、日本は一時的にK-ETA適用が免除となります)などがあります。また、2025年からはヨーロッパの一部の国でETIAS(ドイツ、イタリア、フランスなど30カ国が対象)の導入が予定されているなど、電子渡航認証が必要な渡航先が増えてきています。
    • 公式サイトかどうかをよく確認する
      • インターネットで「ESTA」「eTA」「ETA」などと検索すると、申請代行サイトが検索結果の上位に表示されることがあります。消費者が申請代行事業者のサイトと気付かず利用するケースがみられます。
      • 申請代行サイトを通じて申請を行うと代行手数料が請求されるため、公式サイトで申請した場合より費用が高くなります。申請するサイトが公式サイトかどうかをよく確認しましょう。なお、渡航先によっては公式モバイルアプリによる申請も可能です。
    • 気づいてからではキャンセルが困難。キャンセル条件をしっかり確認する
      • 申請代行サイトを利用した場合、申請代行手続が完了した後は、すでにサービスが提供されているため、返金をしてもらうことは困難です。利用申し込みをした後、代行事業者が申請代行手続を完了する前にはキャンセルが可能な場合もありますが、この場合でもキャンセル料が発生したり、キャンセルが可能なタイミングは代行事業者によって異なります。申し込み前によく条件を確認しましょう。
    • 少しでも不安に思ったら早めに消費生活センターや越境消費者センターに相談する
      • 消費者ホットライン「188(いやや!)」番
        • 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
      • 越境消費者センター(Cross-border Consumer center Japan:CCJ)
        • 海外の事業者との間での取引でトラブルにあった消費者のためのオンラインの相談窓口です。
        • このトラブルについては、越境消費者センターのサイト内にある下記ページをご参照ください。
      • ESTA等の電子ビザの申請代行サイトに関する相談

国民生活センター クリーニング 受け渡し時には必ず状態を確認しましょう!
  • 内容
    • ジャンパーを7カ月前にクリーニングに出した。すぐに引き取ったが、でき上がりの状態を確認せずにクローゼットにしまい、先月着ようとしたら、ジッパーの布地が引きつっていて着られる状態ではなかった。クリーニング店に伝えると「6カ月も過ぎてから苦情を言われても、引き取った後の事故によるものかクリーニング時の処理の仕方の問題かどちらか分からない」と言われた。(70歳代)
  • ひとこと助言
    • クリーニングによるトラブルは、複数の要素が重なって発生することもあるため原因の特定が難しく、時間が経つと解決がより難しくなります。クリーニングに出す時、受け取る時には、必ず衣類の状態や処理方法を店舗側と一緒によく確認しましょう。
    • 「クリーニング事故賠償基準」を使用してトラブルの対処をする店舗もありますが、使用していない店舗もあります。利用する店舗のルールを確認しましょう。
    • 「クリーニング事故賠償基準」に基づき賠償される場合は、購入時からの経過月数などが勘案されるので、購入時の金額が戻ってくるわけではありません。
    • 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。
      • ※「クリーニング事故賠償基準」は、Sマーク(「クリーニング業に関する標準営業約款」の登録店)、LDマーク(クリーニング生活衛生同業組合の加盟店)のある店舗が使用しています。

国民生活センター もしもの時に慌てないように! 葬儀サービスのトラブル
  • 内容
    • 父が亡くなり、家族葬の価格が手ごろだと広告をしている葬儀社に安置してもらい、葬儀の見積もりも依頼した。広告では「家族葬約40万円から」とあったが、プランナーだという担当者に「お宅はこのプランではできません」と言われ、オプションを追加されていった。価格表等は担当者の手元にあり、私たちにはよく見えなかった。合計額が300万円近くなり驚いていると、家族葬250万円のセットプランを勧められ、仕方なく契約した。広告とは異なる高額費用に不満だ。(60歳代)
  • ひとこと助言
    • 広告を見て価格が手ごろなのでその葬儀社に依頼したが、オプション等を付けられ、結局高額となり納得できないという相談が寄せられています。
    • 葬儀は規模によっては数百万円と高額になるにもかかわらず、検討や準備のための時間がありません。そのため事前の情報収集が大切です。事前相談なども利用し、あらかじめ希望するおおまかな内容を決め、依頼する葬儀社を見つけておくと落ち着いて準備することができます。
    • 広告に表示された料金でサービスを受けられるとは限りません。葬儀社との打ち合わせは複数人で受け、見積書をよく見て、不明な点は確認しましょう。
    • 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

国民生活センター 国民生活 2024年2月号
▼ オンラインカジノの違法性について
  • いわゆる「オンラインカジノ」について
    • いわゆる「オンラインカジノ」について、法律等による確たる定義はありませんが、インターネットで「オンラインカジノ」と検索すると、スロットゲームやカードゲームなど、海外にあるカジノなどで遊戯できるようなゲームを、パソコンやスマートフォンなどによりオンラインで利用できるウェブサイトが表示されます。
    • そして、このようなサイトは、日本語での表記がなされ、日本人が日本国内において利用できるものがあります。
    • これらのサイトには、銀行送金やクレジット決済等によりサイト上のゲームで利用できるポイントを購入し、ゲームの結果により増減したポイントを現金化するしくみが整備されているものが確認されています。これにより日本国内において「偶然の勝負に関して財物の得喪を争う」行為があれば、それは賭博罪に該当することが考えられます。
    • 実際、これらオンラインカジノを利用した賭博事犯をこれまでも複数検挙しています。
    • オンラインカジノについては、近年、アクセス数の増加が指摘されるとともに依存症の懸念も顕在化しており、社会的な問題となっています。また、2022年3月に改定された「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」には、取締りを強化すべき違法なギャンブル等としてオンラインカジノに係る賭博事犯が明記されました。
    • さらに、同年6月の国会において、岸田総理大臣が「オンラインカジノについては違法なものであり、関係省庁が連携し、厳正な取締りを行わなければならない。また、資金の流れの把握、実態把握をしっかり行うことは重要である。あわせて、依存症対策についても考えていかなければならない」旨答弁し、政府全体としてさまざまな角度から取り組むことが明確化されました
  • オンラインカジノに係る賭博事犯について
    • 「賭博罪」について
      • 刑法(明治40年法律第45号)では賭博に関して次のように規定しています。
        • 第185条 賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。
        • 第186条 常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する。
          • 2 賭博場を開帳し、又は博徒を結合して利益を図った者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
      • 賭博については、「偶然の勝負に関して財物の得喪を争うこと」と解されています。「偶然」とは、当事者において確実に予見できず、又は自由に支配し得ない状態をいい、「財物」とは、有体物又は管理可能物に限らず、広く財産上の利益であれば足り、「財物の得喪を争うこと」とは、勝者が財産を得て、敗者はこれを失うこととされています。
      • 賭博罪には国外犯処罰規定がないため、賭博行為の全てが国外で行われている場合は、わが国の刑法が適用されることはないものの、一般的には、賭博行為の一部が日本国内において行われた場合、賭博罪は成立するとされています。
      • つまり、オンラインカジノサイトの運営主体がその国において合法とされる外国に所在したとしても、これを日本国内において利用して財物の得喪を争えば賭博罪が成立し得るものと考えられます。
  • オンラインカジノに係る賭博事犯の検挙状況
    • オンラインカジノに係る賭博事犯について、近年の検挙事件数、人員は次のとおりです。
      • 2020年中 16件 121人
      • 2021年中 16件 127人
      • 2022年中 10件 59人
    • 警察庁では、賭客が自宅等においてパソコン等を使用して直接オンラインカジノサイトに接続し賭博を行うもののほか、賭博店に設置したパソコンを利用して賭客にオンラインカジノサイト運営者が配信するゲームをさせ賭博を行うものを総じて、オンラインカジノに係る賭博事犯としています。
    • 上記検挙事件数、人員についてはいずれのものも含みます。
  • オンラインカジノを自宅等で利用した賭博事犯の主な検挙事例
    • 2016年、千葉県警察による検挙事例
      • 日本国内の賭客を相手方として、日本国内の賭客の自宅等に設置されたパソコンから、海外のオンラインカジノサイトにアクセスさせ、金銭を賭けさせた者を常習賭博罪、賭客を単純賭博罪で検挙したもの。
    • 2016年、京都府警察による検挙事例
      • 日本国内の自宅において、パソコンを使用して、海外のオンラインカジノサイトにアクセスし、同サイトのディーラーを相手方として賭博をした賭客を単純賭博罪で検挙したもの。
    • 2023年、千葉県警察による検挙事例
      • 日本国内の自宅において、パソコンを使用して、海外のオンラインカジノサイトにアクセスして常習的に賭博を行い、その状況を動画配信していた者を常習賭博罪で検挙したもの。
    • 2023年、警視庁、愛知県警察及び福岡県警察による検挙事例
      • 日本国内において、海外のオンラインカジノで利用される決済システムを運営し、賭客らがオンラインカジノで賭博をした際、常習的にこれを幇助した者を常習賭博幇助で検挙するとともに、オンラインカジノを日本国内の自宅等で利用した賭客21人を単純賭博罪で検挙したもの。
  • 警察の取組について
    • 警察では、オンラインカジノに係る賭博事犯について、取締りを推進しているほか、犯罪の未然防止の観点から、オンラインカジノに係る賭博事犯の違法性について周知を図るべく、消費者庁と連携し、広報啓発用ポスターを作成し掲示しているほか、警察庁ウェブサイト等で情報発信を行い啓発に努めています。
    • また、警察庁ではオンラインカジノに関与する者に関する情報を収集するため、2023年10月から「匿名通報ダイヤル」の対象事案にオンラインカジノ賭博事犯を追加しました。
    • 匿名通報ダイヤルとは、警察庁の委託を受けた事業者が、匿名による通報をフリーコールやウェブサイトで受け付け、その情報を警察が捜査などに役立てるというものであり、事件検挙等に貢献があった場合には、情報提供者に情報料が支払われる制度です。
    • 求める情報は、オンラインカジノ賭博事犯の犯行グループの検挙及び実態解明に資する情報であり、具体的には
      • オンラインカジノの運営に関与する国内グループのリーダー、中核メンバー等に関する情報
      • オンラインカジノに係る賭金の入出金に関与する国内グループのリーダー、中核メンバー等に関する情報です。
    • 詳しくは、「匿名通報ダイヤル」ウェブサイトをご確認ください。
  • おわりに
    • インターネットでオンラインカジノと検索すると、オンラインカジノサイトのほか、これらを紹介、解説するウェブサイトも複数出てきます。
    • これらのサイトの中には、オンラインカジノの違法性について「取り締まる法律がないからグレーである」とか「胴元が海外で合法的に運営されているサイトであれば捕まることはない」などと書かれているものも多くあります。
    • 国内におけるオンラインカジノ利用者の中には、このような誤った情報により違法性を認識することなく賭博行為を行っている者も多いかもしれませんし、実際検挙された賭客には「違法とは思わなかった」旨述べる者もいます。しかし、先にも述べたとおり、日本国内においてオンラインカジノを利用して賭博を行うことは違法であり、海外のライセンスを取得しているとされているオンラインカジノサイトであっても、これを利用した賭博事犯の検挙はこれまでに多数あり、これらの賭客には単純賭博罪が適用され罰金刑が科せられています。
    • もし現に利用していたり、これから利用を考えていたりする者がいれば、直ちにやめていただきたいところです。
    • また、オンラインカジノに関してはこれを運営する者、利用する者のほか、これらの決済手段に関与する者、これらを宣伝・誘引する者等、さまざまなかたちで関与する者がいます。
    • 警察では、これらオンラインカジノに係る賭博事犯に関与する者についても、引き続き取締りを推進しています。

国民生活センター 遮光性に係る表示が国内で広く用いられるものとは異なっていたカーテン(相談解決のためのテストからNo.184)
  • 消費生活センター等の依頼に基づいて実施した商品テスト結果をご紹介します。
  • 依頼内容
    • 「通信販売で購入したカーテンの遮光性が疑わしい。性能に問題がないか調べてほしい。」という依頼を受けました。
  • 調査
    • 当該品のカーテンは、海外に拠点がある事業者が運営する日本語表記のインターネット通信販売サイトで販売されていたもので、海外から直送されてきたとのことでした。
    • 当該品の販売サイトを確認したところ、カーテンの遮光性について、国内で広く用いられている一般社団法人日本インテリア協会による判定基準(以下、「NIFの判定基準」とします。)に類似した等級と使用時の明るさのレベルが記載されていましたが、等級に対応する遮光率が大きく異なっていました。
    • 当該品の遮光率をJIS L 1055「カーテンの遮光性試験方法」A法に従って測定したところ、部位によって差はありましたが、販売サイトに表示されていた90%以上という遮光率を満たすものでした。ただし、販売サイトには当該品の遮光の等級として1級との表示がありましたが、当該品の遮光率をNIFの判定基準に照らすと、3級相当の部位と3級に満たない部位がありました。
  • 消費者へのアドバイス
    • インターネット通信販売等では、カーテンの遮光性に係る等級が国内で広く用いられている判定基準とは異なる基準に則って表示されている場合があります。等級の級の値のみで比較すると、想定とは異なる遮光性のものを購入する可能性がありますので、購入の際には、どのような基準で判定されているかについても確認しましょう。

国民生活センター 「能登半島地震関連 消費者ホットライン」の受付状況-開設後1カ月間のまとめ-
  • 国民生活センターでは、「令和6年能登半島地震」に関し、被災地域および被災者の方々の支援と、当該地域の消費生活センター等のバックアップを目的として、1月15日(月曜)より、災害救助法の適用があった市区町村が所在する4県(石川県、新潟県、富山県、福井県)を対象にした特設電話相談窓口「能登半島地震関連 消費者ホットライン(電話番号:0120-797-188、通話料無料、受付時間:10時~16時)」を開設しています。
  • 受付状況
    • 相談件数
      • 1月15日(月曜)から2月14日(水曜)までの1カ月間に65件の相談を受け付けました(1日平均、約2.1件)。
    • 相談者の居住地域
      • 石川県が最も多く、48件(73.8%)でした。
    • 相談者の年代
      • 60歳代が20件(33.3%)と最も多く、続いて70歳代が12件(20.0%)、40歳代が9件(15.0%)となっています(n=60 不明・無回答のものを除いて集計)。
  • 相談事例
    • 災害に便乗した消費者トラブルに関する相談
      • 【事例1】屋根工事を解約したら契約前に行われたブルーシート設置代金を請求された。
      • 【事例2】無料屋根点検の電話を受け来訪を承諾してしまった。断りたいが連絡先がわからない。
    • 住宅や賃貸契約に関する相談
      • 【事例3】地震によって自宅の外壁にひびが入った。修理した方がよいか。
      • 【事例4】ブルーシートを屋根に掛ける作業を依頼したいが事業者が見つからない。
      • 【事例5】地震の影響で賃貸アパートに住めないのに通常の家賃を支払ってほしいと言われた。
    • インフラに関する相談
      • 【事例6】家屋が壊れほとんど電気を使用していないのに先月と同じ使用料金を請求された。
      • 【事例7】地震や大雪によりモバイルWi-Fiルーターが使用できない。
    • その他の相談
      • 【事例8】裏山が土砂崩れを起こし自宅が押し潰されているが山の所有者と連絡が取れない。
  • 被災地域にお住まいの方へ
    1. 災害に便乗した消費者トラブルに関する相談が寄せられています
      • 「屋根の点検をきっかけに契約した屋根工事を解約したら契約前に行われたブルーシート設置代金を請求された」といったいわゆる点検商法のトラブル事例が寄せられています。無料の点検をきっかけとして住宅修理等の勧誘をされてもその場ですぐに契約せず、複数の事業者から見積もりを取ったり、周囲に相談したりした上で慎重に契約しましょう。
    2. 深刻な地震被害を原因とした住まいやインフラに関する相談が寄せられています
      • 住宅の修理契約や賃貸契約に関する相談や「ネット通信が利用できない」、「避難しているのに先月と同額の電気料金を請求された」といった相談など地震により生じた深刻な被害そのものを原因とした相談が寄せられています。ブルーシートがあっても掛ける業者が見つからないなど、震災直後の人手不足が原因と思われる事例もありました。
      • 消費者庁では、令和6年能登半島地震に関連して「災害関連情報(消費者庁)」内で、災害時に特に注意してほしい点についてまとめた「災害に関連する主な相談例とアドバイス」を掲載していますので、参考にしてください。
    3. 不安なことやトラブルがあればすぐに相談しましょう

国民生活センター 格安の排水管高圧洗浄サービスのはずが…思いがけない高額請求に
  • 内容
    • 「排水管の高圧洗浄が3千円」と書かれた投げ込みチラシを見て、電話で依頼した。作業が行われたが約4万円を請求され、仕方なく支払った。その後同じ業者が訪れ「汚水升を変えた方がよい」と言われ、見積書を出された。契約してしまったが、約22万円と高いのでクーリング・オフしたい。(70歳代)
  • ひとこと助言
    • 低価格を強調した広告を見て、排水管の高圧洗浄を依頼したところ、業者からさらなる点検や工事等を勧誘され、高額な費用を請求されたという相談が寄せられています。
    • 点検や工事等に関する専門的な技術や知識がない消費者が、突然提案された作業の料金や内容の妥当性を判断することは難しいため、無理にその場で判断しようとせず、少しでも違和感を覚えたときは作業を断るようにしましょう。
    • 地域の工務店など、安心して依頼できる事業者の情報を日ごろから集めておきましょう。
    • クーリング・オフができる場合がありますので、困ったときは、早めにお住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

国民生活センター ご用心 災害に便乗した悪質商法 更新
  • 消費生活相談件数
    • 能登半島地震関連の相談件数 総件数:448件
      • ※全国の消費生活センター等で受け付けた分
      • ※2024年1月1日以降受付、2024年2月8日までのPIO-NET登録分
    • 上記のうち「能登半島地震関連 消費者ホットライン」で受け付けた相談件数 総件数:32件
      • ※2024年1月15日以降受付、2024年2月8日までのPIO-NET登録分
▼ 震災に便乗した悪質商法に注意
  • 事例1 見た目では自宅に被害はないが、訪問してきた工事業者に「このままでは危ない。すぐに工事が必要だ」と言われた。
  • 事例2 「保険金を使えばタダで住宅修理ができる」と言われたが本当か。
  • 事例3 役所を名乗り、義援金を集めると訪問されたが信用できるか。
  • ひとこと助言
    • 地震等の災害が起こると、その際の混乱や被災者を支援したいという気持ちにつけ込んだ便乗商法と疑われる相談が寄せられます。今後、トラブルが広がる可能性がありますので、注意が必要です。
    • 住宅修理等の勧誘をされてもその場ですぐに契約せず、複数の事業者から見積もりを取ったり、周囲に相談したりした上で慎重に契約しましょう。頼んでもいないのに押しかけてきて、しつこく勧誘する事業者には特に注意してください。
    • 「保険金が使える」と言われてもその場ですぐに契約せず、加入先の保険会社や保険代理店に相談してください。
    • 公的機関が、電話や訪問等で義援金を求めることはありません。募っている団体等の活動状況や使途をよく確認しましょう。
    • 困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等にご相談ください(消費者ホットライン188)。

国民生活センター ご用心 災害に便乗した悪質商法
  • 悪質商法等に関する相談先
    • 大規模災害の後は、便乗した悪質商法等のトラブルが発生する傾向にあります。悪質商法と住まいや保険等に関する相談先をまとめましたのでご活用ください。
    • 令和6年能登半島地震による被災住宅補修等相談ダイヤル
      • 令和6年能登半島地震による被災住宅の補修等に関する電話相談を無料で受け付けます。※国土交通省の指定を受けた住宅専門の相談窓口「住まいるダイヤル」の相談員(建築士)が対応します。
        • 名称 令和6年能登半島地震による被災住宅補修等相談ダイヤル(国土交通省)
        • 電話番号 0120-330-712(フリーダイヤル)
        • 受付時間 10:00~17:00(土曜・日曜・祝日を除く)
        • 実施主体 公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター
▼ 令和6年能登半島地震で被災された皆様へ
  • 能登半島地震関連 消費者ホットライン
    • 被災された地域(石川県、新潟県、富山県、福井県)の方を対象として、フリーダイヤル(通話料無料)にて消費生活に関する相談を受け付けます。
▼ 「能登半島地震関連 消費者ホットライン」をご利用ください
  • 相談事例
    • 【事例1】若い男性から携帯電話で「市が能登半島地震の義援金を集めている」という電話があった。休日であったことと携帯電話からであったことから不審に思い「別で義援金を送っている」と返答した。市が義援金の窓口になっているのか。電話で義援金を募ることはあるのか。(四国地方の自治体からの情報提供、電話を受けたのはグループホーム)
    • 【事例2】「元旦に起きた地震の地域に送る物を集めている。今日そちらの地域を回っているので訪問していいか。会社なので支援品を集めて送ることができる」と電話がかかってきたが、怪しいと思って断った。(関東地方 60歳代・女性)
  • 能登半島地震関連の相談件数
    • 総件数:368件
      • ※全国の消費生活センター等で受け付けた分
      • ※2024年1月1日以降受付、2024年2月1日までのPIO-NET登録分
    • 上記のうち「能登半島地震関連 消費者ホットライン」で受け付けた相談件数
      • 総件数:25件
        • ※2024年1月15日以降受付、2024年2月1日までのPIO-NET登録分
  • 災害時に寄せられた相談事例
    • 工事、建築
      • 認知症の父が来訪した工事業者に勧められ不要な屋根修理契約をしてしまった。
      • 台風で自宅の屋根瓦がずれ、見積もりのつもりで業者を呼んだら、屋根にビニールシートをかけられ高額な作業料金を提示された。仕方なく支払ったが納得できない。
      • 日に3~4回訪問され、屋根の吹き替え工事契約を迫られた
      • 屋根の無料点検後、このまま放置すると雨漏りすると言われ高額な契約をさせられた
      • 豪雨で雨漏りし修理してもらったがさらにひどくなった
      • 雪下ろし作業後に当初より高い金額を請求された
    • 「保険金」を口実にした勧誘
      • 「損害保険で雨どいの修理ができる」と業者の訪問を受けた。せっかくなのでドローンを使って屋根の撮影もしてはどうかと言われ、お願いした。不安になったので断りたいが、業者と連絡が取れない。
      • 3年前に起きた災害の被災地調査員を名乗り、保険の請求期限まで半年を切ったので、保険金請求のためのサポートをすると言われ、契約したがクーリング・オフしたい。
      • 台風の後片づけをしていたら、業者が来訪し、損害保険を使って無料で雨どい修理ができる、経年劣化で壊れたものも保険でできると言われた。不審だ。
      • 先日の台風で雨どいが壊れ外壁もはがれた。「火災保険で修理できる」という業者が突然来訪し、保険請求手続の代行と住宅修理を依頼したがやめたい。
    • 寄付金、義援金
      • ボランティアを名乗る女性から募金を求める不審な電話があった
      • 市役所の者だと名乗る人が自宅に来訪し義援金を求められた
  • 消費者へのアドバイス
    • 工事、建築
      • 修理工事等の契約は慎重にしましょう
      • 契約を迫られても、その場では決めず、できれば複数社から見積もりを取って比較検討しましょう
      • 契約後でも、クーリング・オフができる場合があります
    • 「保険金」を口実にした勧誘
      • 「保険金を使って自己負担なく住宅修理ができる」と勧誘されてもすぐに契約せず、加入先の保険会社や保険代理店に相談しましょう
      • 経年劣化による損傷と知りながら、自然災害などの事故による損傷と申請するなど、うその理由で保険金を請求することは絶対にやめましょう
    • 寄付金、義援金
      • 不審な電話はすぐに切り、来訪の申し出があっても断りましょう
      • 金銭を要求されても、決して支払わないでください
      • 公的機関が、電話等で義援金を求めることはありません
      • 寄付をする際は、募っている団体等の活動状況や使途をよく確認しましょう
    • 相談窓口を利用しましょう
      • お困りの際には、一人で悩まずお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)にご相談ください。

国民生活センター 信販会社ライフティ株式会社に対する割賦金相当額の不当利得返還請求訴訟について
  • 特定適格消費者団体である特定非営利活動法人埼玉消費者被害をなくす会は、令和5年9月に倒産した脱毛エステ業者株式会社ビューティースリー(店舗名:シースリー)との間で「全身脱毛無制限コース」を契約し、信販会社ライフティ株式会社の分割払いクレジットを利用して支払った事案について、契約代金相当額を不当利得として返金を求める集団的被害回復訴訟を提起しました(令和6年1月30日)。

国民生活センター その申込み、定期購入になっていませんか?もう一度「最終確認画面」をチェック!-依然として多い通信販売での「定期購入」トラブル-
  • 通信販売での「定期購入」に関する相談が全国の消費生活センター等に引き続き多く寄せられています。特にインターネット通販では、申込み前に「最終確認画面」をよく確認することが重要です。
  • 相談事例
    • 初回980円のダイエットサプリを注文したつもりが3カ月ごとに届く定期購入になっていた
      • SNSで初回980円のダイエットサプリの広告を見てクレジットカード払いで注文した。その後商品が届き、中身を確認したら6箱入っていて、代金も約2万円になっていた。1箱のみ980円で注文したつもりだったが、申し込む際に「期間限定クーポンプレゼント」を選択したことで、約2万円の商品が3カ月ごとに届く定期購入になっていたようだ。次回以降は解約したいが、事業者の電話番号にかけてもつながらない。どうしたら解約できるか。(2023年7月受付 60歳代 女性)
  • 消費者へのアドバイス
    • インターネット通販では、注文する前に販売サイトや「最終確認画面」の表示をよく確認しましょう。
    • 特定商取引法により申込みの意思表示を取り消すことができる場合があります。
    • 不安に思った場合や、トラブルが生じた場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう。
      • ※消費者ホットライン「188(いやや!)」番
        • 最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

国民生活センター その警告画面は偽物! サポート詐欺に注意
  • 内容
    • パソコン使用中に「ウイルスに侵された」と警告画面が出て動かなくなった。大手ソフトウェア会社のマーク等とともに電話番号が表示されたので信用し、電話をすると「遠隔操作で復旧させるのにサポート契約が必要」と言われた。その契約のためにはコンビニで電子マネーを購入し番号の入力が必要とのことで、5万円分購入し入力した。しかし「入力間違いで無効になった」などと言われ、何度も購入と番号の入力をさせられ、結局約60万円も支払ってしまった。(80歳代)
  • ひとこと助言
    • インターネット利用中に、突然警告画面や警告音が出たら、慌てず、まずは偽物ではないかと疑いましょう。表示された電話番号には絶対に連絡しないでください。自分で判断できない場合は、周りの人に相談しましょう。
    • 指示されるままに遠隔操作ソフトのインストールに同意したり、サポート契約等の支払いのためにと、プリペイド型電子マネー等の購入を求められても応じてはいけません。
    • 契約や解約について困ったときは、お住まいの自治体の消費生活センター等(消費者ホットライン188)に、警告画面の消去方法などの技術的な相談については、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の情報セキュリティ安心相談窓口にご相談ください。
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