2024/07/22

危機管理トピックス

【省庁別記事(後半)】

【経済産業省】

【2024年7月】

経済産業省 「令和6年版通商白書」を取りまとめました
▼ 通商白書の概要
  • 世界の分断が懸念される中、ルールベースの自由な国際貿易秩序の再構築が急務
    • 世界経済の回復に地域差が見られる中、インド等のグローバル・サウス諸国は高成長を維持し、我が国企業の事業拡大意欲も旺盛。今後の高成長を確かなものにするには、ガバナンス・対外開放・イノベーションの実現を支援することが重要。
    • 全ての国にとって、ルールベースで自由な貿易秩序は経済発展の基盤。WTOの改革は引き続き喫緊の課題。
  • グローバル・サウス諸国の自立的発展のため、ガバナンス・対外開放等を支援。WTOの機能回復に向けた取組を加速し、グローバルサウスを含む全ての国の経済発展の基盤である、ルールベースの国際貿易秩序を再構築。
    • 近年のコロナ禍や、地政学的なリスクの高まりにより世界経済の分断が深まる中、特定の国への過度な依存によるリスクが顕在化。同時に、保護主義の台頭への懸念が高まっている。
    • 持続可能性や信頼性等の原則やそれに基づく要件が適切に考慮されるような、公平な競争条件(レベルプレイングフィールド)を確保するべく、供給側・需要側両面に働きかけていくと同時に、そうした考え方の下、同志国で協調し、「透明・強靱で持続可能なサプライチェーン」を構築していく。
  • 企業のグローバルな成長拡大を強化
    • 円安は輸出の好機にも関わらず、輸出数量は伸び悩み、国内回帰の機運も高まる中で、輸出力の強化が課題。
    • 我が国製造業全体の8割を占める企業も、間接的な輸出により裨益。グローバルなイノベーションを実現するスタートアップの展開に加え、これらの間接輸出企業による直接輸出には、輸出拡大の大きなポテンシャルがある一方、リソースや情報・ノウハウの不足が課題。
  • 更なる輸出拡大の実現には、間接輸出企業の新規海外展開を後押しすることが有効。
    • 競争力のある製造業企業はグローバル展開し、我が国の雇用や投資に貢献しており、無形資産投資も活用し、更なる成長拡大を実現。
    • 中堅企業を含む国内企業の競争力を強力に後押しし、グローバルな競争に勝ち抜ける企業の育成を支援。
  • インフレは、依然として高水準であるものの、足元で落ち着きが見られ始めている。こうした中、各国の金融引き締めにも出口の兆しが見え始めている。一方。インフレの影響がいまだに大きく残っており、世界経済が成長軌道に復するには相応の時間を要する状況
  • 世界経済の回復には地域差が見られる中、インドの高成長が際立つ。イント等では我が国グローバル企業の事業確定意欲も旺盛
  • IMFの見通しによれば、2020年代項後半の世界経済の成長に対する中国の貢献度はG7の合計を上回る見通し。また、世界の生産活動における投入・産出の両面で中国の割合が最も大きく、世界のグローバル・バリューチェーン(GVC)において中心的な役割を果たしている。
  • 中長期的には、新興国・途上国の経済規模や貿易に占める割合は高まる見込みだが、とりわけ一人当たりGDPと人口成長の双方で大きな成長が見込まれるアジアの存在感が経済規模、貿易の双方においえ大きくなる見込み
  • ガバナンスや対外開放、全要素生産性(イノベーション)は、一人当たりGDPの成長経路に影響。ガバナンスの向上・対外開放の促進・イノベーション実現に対する支援を通じて、新興国・途上国の成長と発展を後押しし、連携強化と共創を実現
  • 世界経済の不確実性が高まる中、米中対立やロシアによるウクライナ侵略により世界経済の分断の深まりが懸念
  • 特定の国への輸入依存の状況をみると、とりわけ我が国では、米独と比べても特定の国への輸入集中度が高い。集中度の高さは、特定の国との経済関係の結びつきの強さを示している一方で、過度の依存はサプライチェーン上のリスク。輸入元の分散化が重要
  • 「GX」「DX」「経済安全保障」など、経済合理性だけでは解決できない新たなミッションに対し、産業構造や政策ツールが異なる各国が自国最優先で様々な措置を導入すれば、世界の断片化が進み、国際経済秩序が漂流しかねない。このため、「持続可能性」や「信頼性」といった各国が同意しうる原則に基づき、脱炭素・安定供給・サイバーセキュリティなど、「価格以外の要素」が正当に評価され、公正な競争条件が確保されるグローバルマーケットの設計を、需要面に働きかける政策(購入補助金等)も活用しながら、重要・戦略物資ごとに働きかけていく。
  • 一昨年は過去最大の貿易赤字に直面するも、鉱物性燃料価格の落ち着きから貿易収支が改善、過去最高水準の第一次所得収支に支えられ、経済収支の黒字が回復。サービス収支もインバウンドの回復で赤字幅が縮小するも、デジタル部門の赤字が拡大傾向にあり、人材育成も含めたデジタル部門の稼ぐ力の強化が課題。また、強みであるコンテンツの輸出強化を図っていくことも重要
  • 円安進行による貿易収支への影響は限定的。円安進行でも輸出数量は伸び悩み。背景には、円安による輸出数量押し上げ効果が表れるには一定期間を要することや、輸出によるメリットを数量ではなく為替差益に求める企業行動もあるものと考えられるが、今後の輸出競争力の強化も課題。また、化石燃料価格の落ち着きで、貿易赤字圧力は弱まったものの、交易条件改善も課題
  • 輸出力の強化は、我が国製造業全体の8割を占める間接輸出企業にも裨益。また、これらの間接輸出企業は潜在的な新規輸出企業でもあるが、輸出開始の後押しには、リソースや情報・ノウハウ、輸出開始に伴うリスクに対する支援が課題
  • 競争力のある製造業企業はグローバル展開し、我が国の雇用や投資に貢献しており、無形資産投資も活用し、更なる成長拡大を実現している。中堅企業を含む国内企業の競争力を強力に後押しし、グローバルな競争に勝ち抜ける企業の育成を支援することが重要

経済産業省 株式会社トヨタカスタマイジング&ディベロップメントの下請代金支払遅延等防止法違反について
  • 本日、トヨタカスタマイジング&ディベロップメントより、同社において、下請法が規定する「返品の禁止」及び「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」に違反する行為が認められ、公正取引委員会により勧告を受けたとの報告を受けました。
  • このような違反行為が行われたことは、下請事業者の信頼を損ない、かつ、取引適正化を妨げるものであり、極めて遺憾です。
  • これを踏まえ、経済産業省は、同社に対し、今般の事案を踏まえた今後の取引適正化の徹底等を実施するとともに、取組状況について速やかに報告するよう求めました。
    • トヨタカスタマイジング&ディベロップメントからの報告
      • トヨタカスタマイジング&ディベロップメント(以下「TCD」)から、本日付で、公正取引委員会から、以下の違反行為が行われたことが認定され、下請代金支払遅延等防止法第7条第2項及び第3項の規定に基づく勧告を受けたとの報告がありました。
        • 自社製品の製造委託において、下請事業者に対して、製品を受領した後、当該製品について品質検査を行っていないにもかかわらず、製品に瑕疵があることを理由に、令和4年7月から令和6年3月までの間、当該製品を引き取らせていたことが、同法第4条第1項第4号(返品の禁止)に該当する。
        • 下請事業者に対して、自社が所有する金型等について、令和4年7月以降、当該金型等を用いる製品の発注を長期間行わないにもかかわらず、無償で保管をさせていたことが、同法第4条第2項第3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)に該当する。
    • 経済産業省からの指示
      • TCDからの報告を踏まえ、同社に対し、当該下請事業者への適切な対応や、今般の事案を踏まえた今後の取引適正化に向けた取組の徹底を指示するとともに、取組の状況について速やかに報告するよう求めました。

経済産業省 著名人・有名企業等なりすまし広告問題に関する3社からの聞き取り結果及び当該結果を踏まえた取組状況の評価の公表について
  • 経済産業省は、デジタルプラットフォーム取引透明化法に基づき、著名人・有名企業等になりすます偽広告への対応についてプラットフォーム事業者に対する聞き取りを行いました。本日、聞き取り結果を踏まえた取組状況の評価を公表します。
  • 経緯
    • 昨今の投資環境の変化等を背景に、ソーシャルネットワーキングサービス、その他交流型のプラットフォームサービス(以下「SNS等」という。)やインターネット検索サービス、インターネットメディア等に表示されるデジタル広告で、個人又は法人の氏名・名称、写真等を無断で利用して著名人の個人又は有名企業等の法人になりすまし、投資セミナーや投資ビジネスに勧誘等を図る広告(以下「なりすまし型偽広告」という。)が流通・拡散しており、こうした広告を端緒とするSNS型投資詐欺の被害が急速に拡大しています。
    • 経済産業省としては、デジタルプラットフォーム取引透明化法(以下「透明化法」という。)に基づき、正当な広告主がなりすまし被害に遭い、広告掲載取引上の不利益を受けることを防止する観点から、同法の規制対象事業者である、Google LLC(以下「Google」という)、LINEヤフー株式会社(以下「LINEヤフー」という)、Meta Platforms, Inc.(以下「Meta」という。)の3社に、なりすまし型偽広告に対する取組状況について聞き取りを行いました。今般、聞き取りの結果を踏まえた取組状況の評価を公表します。
  • 評価の概要
    • デジタル広告が掲載されるまでのプロセスに着目し、①広告主アカウント作成時の審査(本人確認)、②広告出稿時の事前審査、③事前審査通過後の出稿内容変更・差替時の審査について聞き取りを行い、各社の取組状況の評価を行いました。
    • 主な評価内容は以下のとおりです。
      1. アカウントの本人確認強化
        • なりすまし型偽広告等を抑制するためには、悪意のある出稿者にアカウントを付与しないよう、アカウントの本人確認を強化することが有効。
        • 各社とも広告主の本人確認の仕組みはあるが、そのタイミングや本人確認を求める対象範囲に違いがあった。(アカウント作成後に追加の本人確認を行う仕組みの社も複数あった。)
        • 追加の本人確認を行う仕組みの場合、悪意のある出稿者の捕捉が実効的に機能するよう、リスクに応じて適切な範囲の広告主に対して本人確認を実施する必要がある。
        • Metaにおいては、追加の本人確認を求める広告主の対象範囲が未だ限定的であることが窺われる。
      2. 広告審査の強化
        • 広告の審査(当初出稿時、審査通過後の広告内容変更時)
          • [1]当初出稿時または内容変更時に、機械や人の目により審査を行うこと、[2]新たな手口の悪質広告を踏まえ、審査手法をアップデートすることは有効なアプローチと考えられる。この点、各社とも取組を行っている。
          • また、悪質な出稿者の行為態様を考えると、ランディングページ(広告をクリックすると表示されるページ)の内容変更についても、適切なリスク評価を行うとともに、グループチャットに誘引するものを個別審査の対象とすることが有効。
        • 日本特有の悪質広告に対応する審査体制
          • なりすまし型偽広告等への対応には、日本語ないし日本文化上の文脈を踏まえた判断が必要。
          • この点、LINEヤフー及びGoogleは上記判断を行える体制を組んでいることが回答されているが、Metaにおいては、専ら機械(システム)により審査を行う中、上記判断を行える体制に関し、十分な回答が行われていない。
          • 評価に当たっては、経済産業省が別途実施した、なりすまし型偽広告による被害を受けた広告主へのヒアリング等の結果も踏まえています。なお、本評価の公表は、政府の犯罪対策閣僚会議にてとりまとめられた「国民を詐欺から守るための総合対策」(令和6年6月18日)に基づくものです。
  • 今後の取組
    • なりすまし型偽広告への各社の対応については、本年度の「デジタルプラットフォームの透明性・公正性に関するモニタリング会合」(座長:岡田羊祐・成城大学社会イノベーション学部教授)の中で取り上げ、同会合の意見とりまとめを踏まえた「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性についての評価」(経済産業大臣評価)において各社に対する改善要請を行う予定です。
▼ なりすまし広告問題に関する3社からの聞き取り結果及び当該結果を踏まえた事務局評価

経済産業省 「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024」~変革のための生成AIへの向き合い方~ を取りまとめました
▼ 生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024(令和6年6月)<概要>
  • 生成AI技術は急速に進展し、国内企業の導入が加速も、本格的な利活用には課題
  • 生成AIの利活用を妨げる課題と解決に向けた示唆、生成AI時代のDX推進人材のスキル、政策対応を取りまとめ
    1. 生成AIの利活用の現在地
      • 開発者の貢献や企業の前向きな生成AI導入(国内企業の生成AIの社内利活用・推進は1年前から大きく進展)
      • 一方、組織として生成AIの日常業務への組み込み、新サービス創出、これを後押しする経営層の関与が停滞(世界平均より低い)
    2. 生成AI利活用の課題、解決策と今後
      • 組織として生成AIを日常業務に組み込んで利用する取組や、新たなサービス創出につながる活用、また、これを後押しするような経営層の関与において停滞
      • 利活用を妨げる課題解決に向けた示唆
        • 生成AIへの理解不足と向き合い方
          • 目的志向のアプローチ、環境整備と実験、答えでなく問いを深める
        • 経営層の姿勢、関与
          • 経営層自身がビジョン・方針を定め、変革推進人材の役割を定義
        • 推進人材とスキル
          • スキルトレンドをデータドリブンに捉え、人材定義・教育・活躍の場作り
        • データの整備
          • 全社的なデータマネジメントとデータ「目利き」人材の育成・確保
          • 経験機会の喪失と実践的な教育・人材育成
          • 開発生産性の革新で、新たなベンダー・ユーザーの契機
    3. 生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキル
      • 生成AIの業務での活用により知識や技術が補填されるため、DX推進人材はより創造性の高い役割としてリーダーシップや批判的思考などパーソナルスキルやビジネス・デザインスキルが重要となる
      • DX推進人材には「問いを立てる力」や「仮説を立て・検証する力」、に加えて「評価する・選択する力」が求められる
      • 求められるスキル
        • ビジネスアーキテクト:選択肢から適切なものを判断する選択・評価する力
        • デザイナー:独自視点の問題解決能力、顧客体験を追求する姿勢
        • データサイエンティスト:利活用スキル(使う、作る、企画)、背景理解・対応スキル(技術的理解、技術・倫理・推進の各課題対応)
        • ソフトウェアエンジニア:AIスキル(AIツールを使いこなす)、上流スキル(設計・技術面でビジネス側を牽引)、対人スキル
        • サイバーセキュリティ:AI活用の利益とリスク評価、社内管理スキル、コミュニケーションスキル
    4. 生成AIを踏まえた人材・スキルのあり方に関する対応<経済産業省における政策対応>
      • 「デジタルスキル標準」(DSS)の見直し
      • 「デジタルガバナンス・コード」の見直し
      • AI学習機会の裾野の拡大
      • 生成AI時代に求められる継続的な学びの実現に向けた環境整備

経済産業省 生成AIの学習に必要なデータセット構築やデータ・生成AIの利活用に向けた調査事業を実施します
  • 経済産業省では、生成AIの開発力強化に向けて取り組んでいます。今回、GENIACプロジェクトの一環として、NEDOのポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業を活用し、生成AIの学習に必要なデータセット構築やデータ・生成AIの利活用に係る先進事例に関する調査事業の公募を行います。これにより、生成AIモデルの開発からユーザー企業による利活用までのバリューチェーン上に存在するボトルネックの解決を目指します。
  • 背景及び概要
    • 生成AIは、従来のAIでは不可能であった様々な創造的な作業を人間に代わって行える可能性があることから、産業活動・国民生活に大きなインパクトを与える革新的な技術であるとされており、民間においても徐々に生成AI利活用が進みつつあるところです。
    • 経済産業省では、日本国内の生成AI開発企業の開発力を強化するための様々な支援を「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」と称して実施しています。具体的には、基盤モデル開発企業に対する、計算資源の調達等の支援を実施しています。
    • 他方、生成AI開発を取り巻く課題は計算資源の確保のみならず、生成AIの学習に有用なデータセットを構築する手法等が確立していないといった技術的な課題や、データホルダーやユーザー企業との連携が進んでいないといった課題も抱えています。
    • こうした背景から、経済産業省では、GENIACプロジェクトの一環として、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業を活用し、生成AIモデルの開発からユーザー企業による利活用までのバリューチェーン上に存在するボトルネックの解決に資する調査を実施します。
    • また、各事業によって得られた取組成果を広く波及させていくことが重要であるところ、各事業の成果が事業実施主体のみに閉じてしまうことのないよう、その成果を一元的かつ効率的に普及すること等を実施する事業者(成果普及等支援者)の公募も実施します。
  • 具体的な実施内容
    • 生成AI開発加速に向けた新たなデータセットの構築に関する調査
      • 生成AIの開発には大量かつ良質なデータが必要です。他方、生成AIの開発にあたって活用できるデータは限られており、そのデータセットの構築のあり方も模索が続いているところです。
      • こうした背景から、新たなデータセットの構築とそれに対する生成AI開発企業等からのフィードバックを通じて、生成AIの開発を加速するためのデータセットの構築のあり方に関する調査を実施します。
    • データ・生成AIの利活用に係る先進事例に関する調査
      • 生成AIの開発や利活用の推進においては、データホルダーと生成AI開発者との連携や自身の業務を代替されるといった不安感等といった課題が存在します。
      • こうした背景から、生成AI開発者とデータホルダーの連携や、個別業界毎の生成AIの利活用の推進に向けた課題を明らかにし、その解決手法の仮説とその実証を通じて調査を実施します。
  • 公募期間
    • 2024年6月28日(金曜日)から2024年7月29日(月曜日)正午
  • 関連リンク
▼ 生成AI開発加速に向けた新たなデータセットの構築に関する調査(NEDOホームページ)
▼ データ・生成AIの利活用に係る先進事例に関する調査(NEDOホームページ)
▼ GENIAC(METI/経済産業省)

経済産業省 日本風力開発株式会社から報告徴収に対する回答を受領しました
  • 経済産業省は、令和6年4月2日に日本風力開発株式会社(以下「JWD」という。)に対して、特別調査委員会による検証結果に対する認否等について、電気事業法第106条第3項の規定に基づく報告を求め、本日、同社から回答を受領しました。
  • 資源エネルギー庁は、令和5年10月17日、JWDに対して、発電事業の実施に当たっての法令遵守の対応やコンプライアンス体制等について、中立的かつ客観的な検証等を求める指導を行い、令和6年3月6日、JWDより当該指導に対する報告を受領しました。
  • 当該報告を踏まえ、経済産業省は、令和6年4月2日、同社に対し、電気事業法第106条第3項の規定に基づき、以下について、報告するよう求めました。
    • 特別調査委員会による検証結果に対する認否
    • 法令等遵守の観点から懸念がある他の事案の有無
    • コンプライアンスの遵守等を徹底するために取り組んできた内容及び今後の計画
  • 本日、経済産業省は、書面(資料)での回答を受領しました。
▼ 資料:報告徴収に対するご報告について
  • 本件事案の原因とその対策
    • 取締役に対する監督機能の不全
      • 経営体制の刷新・強化
        • 旧経営陣の退任及び報酬の自主返上
        • 新経営陣の就任
        • インフロニアによる役員審査
        • 取締役会の機能強化
    • 役職員におけるコンプライアンス意識の不足
      • 組織体制・規程の整備や教育を通じたコンプライアンス意識の向上
      • 経営トップによるコミットメント・メッセージの発信
      • コンプライアンス体制の整備
        • 法務・コンプライアンス部の新設
        • JWDグループ行動規範の策定
        • 腐敗防止の徹底
        • 就業規則の改定(懲戒関連規程の見直し)
        • コンプライアンス教育の実施
        • 人事評価制度の見直し
    • 業務プロセスにおける予防機能の脆弱性
      • 業務プロセスの再整備による適切性・透明性の確保
      • 決裁権限関連規程及びシステムの整備・改定
        • 決裁権限関連規定の改定・整備
        • ワークフローシステムの改定
      • 不適切な取引の防止
        • 法務・コンプライアンス部による契約内容の事前審査
        • 決裁権限規程に基づく承認
        • 経理部における支払い可否のチェック
        • 内部監査部の監査による事後的な確認
    • 監視・チェック機能の脆弱性
      • 監視・チェック機能の強化による、リスクの早期発見・早期解決
      • 新任取締役の就任、新任監査役の就任
      • 内部監査体制の整備
        • 内部監査部の設立
        • インフロニアグループの監査体制
      • 監査役による監査体制の強化
        • 月例ミーティングへの参加
        • インフロニアグループ監査連絡会の出席
        • 内部監査部門による業務監査への同行
      • 会計監査人による監査の強化
      • 従業員に対する定期的なコンプライアンス調査の実施
      • 内部通報体制の整備
      • コンプライアンス委員会の設置

経済産業省 「持続的な企業価値向上に関する懇談会」の検討結果を「座長としての中間報告」として取りまとめました
  • 経済産業省は、2024年4月に設立した「持続的な企業価値向上に関する懇談会」の検討結果を「座長としての中間報告」として取りまとめました。
  • 背景・問題意識
    • 2014年の伊藤レポート公表以降も、価値協創ガイダンスや東京証券取引所によるコーポレートガバナンス・コードの公表をはじめ、各所から各種ガイダンス等が公表されるなど、企業価値向上に向けた様々な取組が行われてきました。
    • こうした中、一部の企業では、コーポレートガバナンス改革も進み、経営変革が行われた結果、企業価値が向上しました。しかし、日本企業全体では、依然として、ROE(自己資本利益率)、PBR(株価純資産倍率)等のパフォーマンス指標において米国・欧州企業と比較して差があるのが実情です。この10年間、一部の企業を除き、多くの日本企業において、これまで指摘されてきた課題が解消されず、パフォーマンスが上げられなかったのはなぜか。
  • 懇談会の目的
    • 本懇談会では、伊藤レポートで提言・推奨した各課題等について、公表後10年間の進捗状況を確認した上で、取組が不十分だった課題については、取組が進まなかった要因の分析を行います。
    • その上で、課題や要因は、企業経営、取締役会、資本市場などにまたがり、複合的に絡み合っていると考えられますが、当時からの環境変化も踏まえつつ、今後の対応の方向性を検討します。
  • 「座長としての中間報告」の概要
    • 本懇談会での議論に先立ち、座長から8つの課題認識(座長メモ)を提示し、計4回の議論を行いました。その結果も踏まえて、「座長としての中間報告」では、以下5つの課題に再整理を行いました。
    • 企業価値に対する企業と投資家との間の認識のずれ
      • 企業価値を高めることの意義の再確認
    • 長期視点の経営の重要性
      • 企業が置かれているポジションによる優先課題や処方箋の違い
      • 社会のサステナビリティも踏まえた、長期視点の経営による将来の成長期待(PER)の向上(企業情報開示のあり方も含む)
      • 中期経営計画のあり方の再考など
    • 経営チーム体制の強化の必要性
      • CFO・FP&A、CHRO・HRBP機能の強化
      • 経営者人材の育成に向けた取組の加速 など
    • 取締役会の実効性の強化
      • 取締役会の役割の明確化
      • 経営者の選解任等の機能の強化
      • 社外取締役の実効性の強化(選任方法の検証、投資家との対話・エンゲージメントの充実、社外取締役の質の向上等) など
    • 資本市場の活性化
      • 次世代を担うアセットマネージャーの人材確保・育成
      • アセットオーナーの投資運用力を含む専門能力の強化
      • 政策保有株式の更なる低減や資本市場への説明のあり方
      • 企業情報開示の質の向上
      • 企業間の競争を促すための株価指数の運用改善 など
▼ 持続的な企業価値向上に関する懇談会 座長としての中間報告
  • 経営者を支える経営陣の重要性
    • もちろん経営者ひとりで企業経営を担うわけではなく、戦略、財務、人事、デジタルなどの各分野で一定の役割と責任を負い、時には経営者に対して「否定」も含めた、生産的・建設的な意見を言えるCxOの存在が重要である。その意味で、効果的・効率的に機能する経営チームを組成することが求められる。
    • 特に2004年の伊藤レポートでも指摘したCFO機能の拡充は引き続き重要となる。CFOは経理・財務のみを担うのではなく、経営戦略の策定にも関わり、経営戦略に財務的な知見を加えることが期待される。また、CFOを支えるFP&A機能の強化も必要である。FP&A機能は、CFOの配下で、業績目標の達成のために計画策定やモニタリング、業績予測や分析を通じて、CEOや事業部門の意思決定を支援し、企業価値の向上に貢献する機能を果たすことが期待されている。
    • FP&Aは多くの欧米企業で見られる機能であるのに対し、日本企業では、経理財務部門と経営企画部門で計数管理の機能・権限が分散し、制度会計と管理会計の所管やレポーティングラインが分かれていることが多い。経営戦略には、常に財務的な裏付けや予測を組み入れるべきであり、CFOがFP&A機能を担う組織を有効に活用して、経営戦略と経理財務の全体を担当することにより経営戦略の厚みが増し、投資家との効果的な関係構築にも寄与すると考えられる。
    • さらに、経営戦略と人材戦略のマッチングを図るためには、CHROに期待される役割も極めて大きい。昨今、日本企業において、CEOの右腕として、企業の中長期ビジョンの実現のために必要な組織と人材のあり方を構想し、軋轢をうまくコントロールしながら、経路依存性を絶ちながら大きな変革を推進するCHROの活躍が見られる。一方で、「人事は管理部門の一部」といった感覚で、専門性のある役員を配置していない企業も少なくない。CEOに求められることの高度化に鑑みると、共に人材、組織の変革を構想・推進する、頼れるCHROを持つことは重要で、その有無は中長期的な企業の発展にとっても極めて大きな違いを生む。また、CHROの機能を遂行するには、事業部門側にもCHROと連携しながら人事戦略を立案・実行するHRBP(HRビジネスパートナー)の役割も大きい。また、人事組織は個社ごとの特徴・個性が強く出るところであり、CHROを外部採用して機能させることは他のCxOよりも難しいとの声も聞かれる。中長期的なCHRO人材パイプラインづくり、サクセッションに真剣に取り組むことが肝要である。
    • 加えて、当然CxO間での連携、特に、CFOとCHROは緊密に連携し、それぞれの戦略の相互依存性を理解する必要がある。
    • また、経営会議等の執行サイドの会議体において、同調やコンセンサスを重視しすぎて、戦略の差別化の議論が不十分な企業が多いという意見があった。多種多様な知見を有するCEO、CxO等により活発かつ厚みのある議論がなされるようにするなど、経営会議等の高度化を図ることによって、それを監督する取締役会の実効性の向上にもつながることに留意する必要がある。
  • 社長・CEOら経営陣をエンドースする役割の重要性
    • 経営陣が適切なリスクテイクを行い、将来の「目指す姿」の実現に向けて長期視点での経営を実行していこうとする際、重要な役割を担うのが取締役会による経営陣のエンドースメント機能である。不確実性が高く、変化が激しい、複雑な経営環境下において、将来を完全に見通し、常にローリスクで経営を行って、その上で企業価値を向上させることは困難である。
    • 取締役会は、経営陣が策定した大きな戦略の方向性の案について、その検討の際に用いた仮定を検証することにより妥当性を判断できれば、後は力強く、経営陣をエンドースすることが重要なのではないか。本懇談会では、経営陣のリスクテイクを牽制することに注力する取締役も少なからずいるとの意見もあったところ、十分な情報収集や検討に基づき判断を行う必要はあるが、取締役会は経営陣による適切なリスクテイクを後押しすべきではないか。
  • 社外取締役の役割の重要性
    • 取締役会の実効性向上の鍵は、社外取締役である。
    • 上場企業の取締役は、会社法に基づき株主からの付託を受け、株主共同の利益の最大化に向けて、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に寄与する役割・責務を負っており、社外取締役も、取締役の一員としてこのような役割・責務を負っている。
    • 社外取締役には、取締役会の構成員として、経営陣から独立した立場から、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現できる優れた経営者を選び出すとともに、取締役会等での経営の助言や監督等を通じて、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を強く意識した経営を行うことを促すことが期待されている。
    • 社外取締役がこのような役割を果たすには、個々の知識・経験・能力が優れていることはもちろんであるが、経営戦略に照らして取締役会の全体として備えるべきスキル等を特定し、スキル・マトリックスを策定するなどして、適切な人材を配置し、取締役会を構成することが重要なのではないか。本懇談会では、このような観点も踏まえ、企業は社外取締役の選任の状況やプロセスの実態について改めて検証した上で、適切な社外取締役を選任することが必要との意見があった。
    • また、社外取締役に期待される役割が高まるにつれ、社外取締役が経営陣や株主等との対話を行う必要性が増す。このため、社外取締役の中から、単なる調整役としてではなく、様々な対話の中心として、主導的な役割・責任を果たす社外取締役を「筆頭独立社外取締役」等として選定しておくことが効果的であり、「筆頭独立社外取締役」をはじめとする社外取締役の役割・責任を定義しておくことが重要との意見もあった。
    • 加えて、東京証券取引所プライム市場(東証一部)上場企業の独立社外取締役の数は、コーポレートガバナンス・コードの改訂や会社法の改正もあり、ここ10年間で約5倍になり、大きく増加しているものの、欧米と比べるとまだまだ人数は少ない。社外取締役人材の拡大とともに、今後は経営者の選解任や再任・不再任の判断など、タフなタスクに十分な知識・経験・能力をもって取り組めるような社外取締役の質の向上が重要なのではないか。
  • 投資家との社外取締役の対話の重要性
    • 経営者がリスクテイクを行い、長期視点での経営を実行するには、社外取締役を中心とする取締役会と経営者を中心とする執行サイドとの適切な緊張関係が必要となる。また、社外取締役がその役割を認識し、執行サイドを適切に監督・エンドースするには、社外取締役自身も資本市場からの社外取締役への期待・責任を直接受け止める状態に置くことも重要である。そのためには、投資家とのエンゲージメントに社外取締役が経営陣から独立した立場で参加することも重要ではないだろうか。社外取締役は、株主の代表であるため、投資家の視点を持つことが重要であり、投資家とのエンゲージメントを通じて、投資家の意見を直に聞くのは有用であろう。
    • しかし、社外取締役が投資家と対話している事例は少なく、また、その必要性を感じていないというアンケート結果もある。もちろん、投資家が、社外取締役と対話する際のアジェンダと執行サイドと対話する際のアジェンダは異なるべきである。すなわち、社外取締役との対話では、経営の実行戦略などの細かい事項をアジェンダにするべきではなく、長期ビジョンや社外取締役の視点から経営をどのようにみているのか、コーポレートガバナンス体制はどうなっていて、どのように評価しているのか、などの大局的な項目をアジェンダとすることが考えられる。一方、執行サイドには、具体的な実行戦略なども含む項目もアジェンダにすることが考えられる。
  • 企業情報開示の質の向上
    • 企業と投資家のエンゲージメントの実効性を高めていくためには、その両者の結節点となる企業情報開示の質を高めていくことが重要となる。
    • また、情報開示のタイミングについても改善の余地が多い。ICGN(International Corporate Governance Network)の提言も踏まえつつ、株主の十分な検討時間を確保するため、議決権行使に必要な情報が多く含まれる有価証券報告書が定時株主総会開催の相当程度前には公表されていることが重要である。このような開示書類の公表タイミングに加え、今後、サステナビリティ情報開示や英文開示の進展も予想される中、投資家にとって有用な制度開示及び任意開示を含む日本企業の開示体系のあり方の抜本的な検討が必要な時に来ている。

経済産業省 「企業情報開示のあり方に関する懇談会 課題と今後の方向性(中間報告)」を取りまとめました
▼ 企業情報開示のあり方に関する懇談会 課題と今後の方向性(中間報告)
  • 開示書類間の記載内容の重複について
    • 現状の日本企業の情報開示体系においては、制度開示間並びに制度開示・任意開示間において記載内容の重複が見られている。
    • 日本の制度開示においては、複数の報告書(金融商品取引法に基づく有価証券報告書、会社法に基づく事業報告・計算書類等、証券取引所上場規程に基づくコーポレート・ガバナンス報告書等)が作成されているが、異なる開示媒体において類似の情報の記載が求められることがあり、開示媒体間の内容の重複が指摘されている。例えば、コーポレート・ガバナンス情報については、有価証券報告書、事業報告・計算書類等、コーポレート・ガバナンス報告書という三つの制度開示媒体において、それぞれ少しずつ内容は異なるものの、記載が求められている。
    • また、統合報告書やサステナビリティレポート等の任意の報告書と、制度開示の報告書との間でも内容の重複が見られる。前述のコーポレート・ガバナンス情報については、統合報告書やサステナビリティレポートにも記載されていることが多く、全く同じ内容が記載されているケース、他の書類やウェブサイトへのリンクが貼られているケース、また、類似の内容を媒体毎に編集を加えて記載しているケース等がある。
    • こうした情報開示の重複については、複数の原因が考えられる。制度開示間の重複については、一つの法令等に対して一つの開示書類が対応していることが原因の一つと考えられる(当該状況に対して、例えば、英国では、一つの開示書類で複数の法令に対応している。)。各法令等の目的や趣旨は少しずつ異なるものの、それを達成するために類似の情報を必要とすることがあり、各法令等において求められる情報を各法令等が定めた書類に開示することにより、情報の重複が生じている。
    • 他方、制度開示・任意開示間の重複については、その書類の目的が一部重複していることから生じていることがある。例えば国際統合報告フレームワークにおいては、統合報告書の主たる目的が、「財務資本の提供者に対し、組織がどのように長期にわたり価値を創造、保全又は毀損するかを説明すること」とされているため、投資家に対して投資判断に有用な情報を提供するための有価証券報告書3と自ずと内容の重複が起こりうる。
    • その他、サステナビリティ関連情報については、2021年6月のコーポレートガバナンス・コードの改訂により、コーポレート・ガバナンス報告書においてサステナビリティ関連情報の開示が求められるようになったことや、2023年3月期決算より、有価証券報告書において「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が新設されたことから、有価証券報告書、コーポレート・ガバナンス報告書とサステナビリティレポート等の間で内容の重複が生じ始めている。これは、制度開示間の内容重複と同様、各書類の目的は少しずつ異なるものの、それらを達成するために、類似のサステナビリティ関連情報を記載していることから起きている。
    • このように、現状の日本企業の情報開示体系では、関連する情報や類似する情報が複数の開示媒体に分断・重複して記載されていることから、投資家等の利用者においては、複数の報告書を読む負担が増加するとともに、企業情報の体系的な理解や必要な情報の収集における難易度が高まっている。本懇談会では、こうした状況が資本市場において、諸外国と比較して、日本企業のディスカウントを招いているのではないかとの指摘もあった。また、作成者側においても、複数の報告書の作成にともなう負担が増加している。今後、開示すべき情報の増加が見込まれていることも踏まえ、関係省庁・機関が連携の上、情報開示体系の整理・改善策を講じていくことが望ましいのではないか。
  • 有価証券報告書と統合報告書の使い分けの実態と課題について
    • 有価証券報告書と統合報告書については、各企業において使い分けが行われていることも多い。例えば、有価証券報告書は、主に過去の実績のデータベースとして用いられる一方で、統合報告書は、主に企業の将来を語ったり、持続的に利益を上げていく仕組みを伝えたりするために活用されているといった使い分けである。
    • この背景には、金融商品取引法における罰則の規定、様式の存在、固定観念等を背景として、有価証券報告書には記載しづらいものの投資家に提供すべき情報や、企業自身が訴えたい情報については、自由な構成・様式で記載することが可能な統合報告書等が活用されているという実態がある。
    • この状況について、投資家からは、両書類は異なる視点・性格を有していると理解しており、それぞれを投資判断や議決権行使に活用しているという説明があった。一方で、企業価値に関する情報が二つの書類に分断して記載されることに加え、二つの報告書が違うタイミングに異なる記載ぶりで開示されることにより、情報収集にコストがかかり、情報の正確な理解を阻害する可能性があることを懸念する意見もあった。
  • 各報告書の一本化について
    • 報告書間の記載内容の重複状況を踏まえ、制度開示書類(有価証券報告書、事業報告・計算書類等、コーポレート・ガバナンス報告書)と統合報告書を統合し、ワンストップで開示するべきではないかとの提案もあった。
    • 現在の実務において、過去情報は主に有価証券報告書に記載し、将来情報は主に統合報告書に記載するという書類の使い分けがなされていることについて、過去・現在・未来を繋ぐ価値創造ストーリーとして一つの書類で開示することが重要ではないかとの意見が示された。また、財務情報と非財務情報を関連付けた開示は、これからの有価証券報告書のあり方そのものであり、どのようにそれを実現できるかを検討していくべきとの声も聞かれた。さらに、投資家向けの情報が複数の報告書を通じて開示されるという日本の情報開示実務は諸外国のものと異なっており、こうしたガラパゴス化した開示体系が用いられることによって、特にグローバルな投資家にとっては必要としている情報を見つけにくい可能性があるのではないか、また、複数の報告書における記載ぶりが異なることにより信頼性への懸念が生じる可能性があるのではないか、との指摘もあった。
    • 一方、現在の有価証券報告書については、過去・現在・未来を繋ぐ価値創造ストーリーを記載しにくいといった企業の声もある。それらの情報を、適切なセーフハーバー・ルールを設けないまま法定開示で求めることによって、記載が形式化してしまうことに対する強い懸念も投資家側から示されている。制度開示において、企業が独自性のある情報、将来に向けたビジョン等を積極的に語るためには、なぜそれが現状の有価証券報告書では実現できないのかを問い直し、諸外国の状況なども踏まえて、新たな情報開示のあり方を検討することが必要であると考えられる。
  • 事業報告等、有価証券報告書とコーポレート・ガバナンス報告書の一体開示
    • 事業報告・計算書類等、有価証券報告書及びコーポレート・ガバナンス報告書については、イメージ案1・2のいずれの場合においても、一体開示を目指していくこととしている。我が国では、会社法と金融商品取引法のそれぞれの法律で開示のルールが定められていることから、二種類の法定開示書類を作成する実務が広く行われているが、両書類の内容の重複や二つの監査報告の必要性、情報収集にかかるコストや企業における負担等を踏まえ、将来的には会社法と金融商品取引法の両方の要請を満たす書類を作成・開示していく実務を広めていくことが、開示実務の効率性の向上につながると考えられる。また、コーポレート・ガバナンス報告書についても、事業報告・計算書類等及び有価証券報告書との間で内容の重複が生じていることから、一つの法定開示書類へ統合することを想定している。
  • 定時株主総会前の一体書類の開示
    • 事業報告・計算書類等については、定時株主総会の3週間前までの電子提供が会社法において求められている。これに加えて、有価証券報告書についても、従前、定時株主総会の十分前に開示することを求める投資家の声が示されており、本懇談会においては、有価証券報告書の情報が議決権行使に利用されないのは本末転倒であるとの意見や、有価証券報告書は議決権行使基準日よりも前に開示されるべきとの意見もあった。また、株主提案に関する検討を行うためにも、定時株主総会前にサステナビリティ関連情報を含めて十分な情報が開示されることが重要との投資家の意見もあった。これらの状況を踏まえ、イメージ案1・案2のいずれの場合においても、事業報告・計算書類等、有価証券報告書の情報を含む法定開示書類は、定時株主総会の開催時期の後ろ倒しという選択肢も考慮に入れつつ、定時株主総会の十分前に開示されることを想定している。
  • 英文による情報開示
    • 前述のとおり、海外投資家から、英文での情報開示に関して改善を求める声が寄せられていることを踏まえ、特に海外投資家からの投資を呼び込むことを目指す企業においては、法定開示書類について、日本語・英語両方での開示を進めていく必要があり、それが海外投資家にとって、日本企業に対する資本コストを下げることにも繋がると考えられる。
  • XBRL化
    • 近年、AI等を用いて報告書が読まれることが増えてきていることを踏まえ、本懇談会では、XBRL形式でタグ付けを行うことにより、情報収集の容易性、機械可読性を向上させるべきとの意見が聞かれた。XBRL形式で情報が開示されることにより、利用者は容易に多数の企業からの情報を取得・比較することが可能となるため、証券アナリストによる分析、ファンド組成等においても有益である。また、タグ付けを行うことにより、データの定義が明確化され、共通認識の形成が図られるという効果もある。現在、有価証券報告書及びコーポレート・ガバナンス報告書はXBRL形式で提供されているが、イメージ案1を選択する場合は、それらに加えて事業報告・計算書類の情報もXBRL形式を用いて開示されることとなる。また、イメージ案2を選択する場合は、それらに加えて、現状、統合報告書に記載されることが多い情報についても、XBRL形式を用いた開示が行われることになる。

【2024年6月】

経済産業省 イノベーション小委員会の中間とりまとめを行いました
▼ イノベーション小委員会中間とりまとめ(概要)
  • クリーンエネルギー分野の世界全体の投資額は2030年までに約4.3兆ドルに増加する見通しがある中で、GX関連分野における日本の成長ポテンシャルは大きい(例:事業収益全体に占めるGX関連収益の割合は、日本がドイツに次いで2番目、企業が有するGX関連の特許スコアは日本が最も高い)
  • 生成AIは、学習データに類似した新たなデータを生成でき、従来AIより幅広い領域での活用が見込まれるため、我が国産業における生産性向上やイノベーション創出の鍵となる技術。加えて、生成AIの需要は、2023年から2030年にかけて、国内では年平均約47%、世界では年平均約53%増加する見通しもあり、今後も生成AIを活用したアプリケーションは更に増加していく見込み。
  • また、我が国は製造業やロボティクス等の分野に強みを持ち、当該分野のユニークなデータに基づいた、競争力を持つAIを創出できるポテンシャルがある。加えて、生成AIを契機として、デジタル分野におけるバリューチェーンが再構築されている中、各レイヤーにおいて市場ニーズを捉えることが出来れば、グローバル競争力を日本が確保できるチャンス。
  • 国内における生成AIの開発や利活用を促進していくためには、(1)データ、(2)開発や利活用を支える計算資源、(3)低消費電力かつ高度な情報処理要求を支える半導体が重要。引き続き、産業基盤の確保に向けた取組を官民で行っていく必要がある。
  • 国内スタートアップの資金調達額や新規公開会社数、さらには国内ユニコーンや大学発ベンチャーの増加など、スタートアップの「芽」は着実に育っている。この「芽」を「大きな果実」とするため、引き続きスタートアップへの集中支援を行っていく。
  • イノベーションをめぐる現状・課題認識
    • 前述のように、我が国には様々な分野で成長ポテンシャルが存在するにもかかわらず、研究開発の量・質がともに伸び悩んでいる。
    • 研究開発の量:直近15年程度で官民研究開発費がほぼ横ばい
    • 官民研究開発総額(2007年→2021年)日本:1.0倍(19兆円→20兆円)、米国:1.8倍(46兆円→82兆円)EU:1.7倍(28兆円→48兆円)
    • 研究開発の質:研究開発効率(研究開発投資に対する5年後の付加価値)が諸外国と比べて大きく低下(我が国の研究開発効率は、1990年頃は米欧などの先進諸国の中でもトップクラスだったが、足元2020年時にはそれら諸国と比較して下位に沈んでいる)
  • 昨年度の民間設備投資額は1991年度以来約30年ぶりに100兆円を超えるなど、国内投資は拡大の兆しがあるが、この「潮目の変化」は、地政学的リスクの顕在化や人手不足等の要因により日本経済が需要に対して供給力が不足している状態に陥ったことを背景に生じている可能性もあり、今後、この局面を抜け出すこととなると既存事業分野での過剰供給力を生み、デフレ傾向や、それに伴う消費減速につながるおそれ。
  • このため、新規分野における需要創出につながるようなイノベーションの創出を総合的に推進する必要がある
  • 継続したイノベーション成功モデルの実現
    • 継続的なイノベーションの創出のためには、(1)新たな「技術・アイディア」を生み、(2)その事業化による「新たな価値の創造」を通じて、(3)これを「社会実装して市場創造・対価獲得」することが重要。こうして実現したイノベーションの成功モデルが、次なるイノベーションを生む「循環」が重要。
      • 研究開発の量・質の拡充
        • スタートアップ・大企業の強みを活かした研究開発投資の促進
        • 国内研究開発投資の総量を担う大企業が研究開発投資を増やしつつ、特に新規事業開拓にチャレンジしやすいスタートアップが新規分野で研究開発を行いやすい環境整備を行う。
      • 事業化・付加価値の創出
        • イノベーション資源(人材・技術・設備等)の流動化による事業化・付加価値創出の促進
        • 新規分野での研究開発投資や事業化の担い手となるスタートアップと、人材・技術・設備等の資源を保有する大企業との相互作用を加速し、社会課題解決をはじめとした高付加価値分野で新たな需要が創造されるイノベーション・エコシステムを構築する。
      • 「技術・アイディア」から「新たな価値」「市場創造・対価獲得」に至るまでの横断的な取組
        • 需要創造まで見据えて国が産業化に向けた新たなモメンタムをつくるべきフロンティア領域の探索・重点支援
        • 将来的なポテンシャルが大きい一方で、技術開発や市場の不確実性といったリスクの高さ、巨額の研究開発設備投資の必要性などの理由で、国としては重点投資していきたいにもかかわらず、個社だけでは投資が進みにくい領域「フロンティア領域」の探索を行うとともに、需要創造まで見据えて、必要となる予算・税制・法律・標準化などの措置を含んだロードマップの作成を通じて、社会実装への道筋を描く。
  • 研究開発の量・質の拡充 解決したい課題
    • 研究開発投資はその成果が得られるまでの期間が長く、収益性も不透明なものであるため、コストカットを重視する経営方針と相まって、将来の成長の源泉であるにもかかわらず、企業の経営判断として、積極的な研究開発投資の増加に向かいにくく、成長分野への投資として位置付けられにくい。
    • また、これまでの国の研究開発支援事業では、その評価基準や事業執行のプロセスにおいて、大企業を念頭に置いた部分が多く、特に人的リソースに制限のあるスタートアップの参入障壁となっている場合もある。
  • 研究開発の量・質の拡充 政策の方向性
    1. スタートアップ・大企業による研究開発投資の促進
      • 投資効率の可視化による研究開発投資の促進(研究開発投資効率を評価する指標の導入)
      • 大企業やスタートアップが積極的に研究開発投資を行うための研究開発税制の拡大
    2. 研究開発プロジェクトのアップグレード
      • 研究開発の成果達成を前提とした支援枠組み(懸賞金型事業)の推進
      • 政府研究開発プロジェクトにおけるスタートアップ支援のポートフォリオ拡大と環境整備
  • 事業化・付加価値の創出 解決したい課題
    • 既存事業の競争力向上を重視する大企業は、よりリスクの高い新規分野の研究開発投資や事業化の担い手となりにくい場合がある。新規事業の開拓を担うスタートアップは、イノベーションの担い手として極めて重要であるが、初期段階で成功したとしても、事業拡大フェーズでは、人材・技術・設備等のイノベーション資源制約のため成長が制約されることが多い。
    • 大企業や大学等には、そうした資源が存在する一方で、流動化が不十分であることが多い。これをスタートアップによる事業拡大・社会実装に役立てる一方で、それが成果を生めばM&A等を通じて大企業の事業拡大にも貢献するような、大企業とスタートアップのそれぞれの特徴を活かすイノベーション・エコシステムの構築が課題。
  • 事業化・付加価値の創出 政策の方向性
    • イノベーション資源(人材・技術・設備等)の流動化
      • 「越境学習」の促進(ガイドライン・事例集の策定)、女性起業家支援枠の創設等
      • カーブアウト促進(ガイダンスや事例集の普及に向けた実証)
      • 国研等の設備活用(SU等の利用ニーズとのマッチング、ルール整備)
    • 新規事業に挑戦するスタートアップへの支援
      • レイター・グロースステージでのファイナンス環境の整備(起業・プレシード段階の支援拡充、LOI・オフテイク契約による調達促進、投資家層の拡大や、未上場株式市場の活性化、上場後の成長促進、ベンチャーデットの促進等)
      • グローバル展開支援(海外派遣、イベント参画支援等)
  • 「技術・アイディア」から「新たな価値」「市場創造・対価獲得」に至るまでの横断的な取組 解決したい課題
    • 将来的なポテンシャルが大きい一方で、技術開発や市場の不確実性といったリスクの高さ、巨額の研究開発設備投資の必要性などの理由で、国としては重点投資していきたいにもかかわらず、個社だけでは投資が進みにくい領域が存在。
    • 研究者や博士人材、研究成果の事業化への橋渡しを支援する人材や経営人材など、技術・アイディアを事業化・社会実装につなげる主体となる人材が不足。
    • 研究開発成果を社会実装・市場創出につなげる確度を高めるためには、研究開発段階から戦略的に市場創出の手法を尽くすためのルール整備を行うことが重要だが、その取組手法の1つである「オープン&クローズ戦略」は日本の企業や大学等の研究機関で十分に構築・活用できていない。また、規制面においても、事業化に際して事業者単位で規制を乗り越えるグレーゾーン解消制度などの支援制度はあるものの、特に経営資源に限りがあるスタートアップにとってはハードルが高く、活用に至らないことも多い。
  • 「技術・アイディア」から「新たな価値」「市場創造・対価獲得」に至るまでの横断的な取組)政策の方向性
    • 需要創造まで見据えて国が産業化に向けた新たなモメンタムをつくるべきフロンティア領域の探索・重点支援
      • 技術インテリジェンスの強化(NEDO/TSC・産総研等の国研や他府省庁、学会等の幅広いネットワーク活用)
      • フロンティア領域の探索・重点支援および社会実装に向けたロードマップ作成(まず取り組む領域としては量子・核融合等を想定)
    • 高付加価値分野を開拓できる国内外の高度人材・産業人材の育成・活用
      • 起業家人材や若手研究者、海外市場に挑戦する人材など多様な人材を産学官で連携して育成するためのプロジェクト整備
    • 早期段階から戦略的な市場獲得の手法を尽くすためのルール整備等
      • 知財・標準化を一体的に活用したオープン&クローズ戦略の取組支援
      • 規制に係る関係法令の特定および各種支援制度の活用を個別に支援する体制の構築
  • 直近15年程度を見ると、米国、ドイツ等のEU諸国、韓国等の主要国は研究開発費を大幅に増大させているのに対し、日本はほぼ横ばい。日本企業の研究開発費は売上比約5%(大企業ベース)付近から変化せず、絶対額とともに固定的であることは、売上比率・絶対額ともに増加させている米国等と対照的。
  • 日本企業の研究開発効率(研究開発投資に対する5年後の付加価値)は諸外国と比べて大きく低下。
  • 企業の年齢や超過利益率の水準ごとに10年前の研究開発との技術的近似性を測る指標では、米国と比較して日本は近似性が高くなっており、新規分野開拓を行えていない結果として研究開発の質を向上できていない可能性。特に、超過利益率の水準ごとであまり変化が無い日本企業に対し、米国企業は水準が低い企業の近似性は低くなっている。米国においては、利益が出ない企業ほど新陳代謝を図っている傾向を示している可能性。
  • 既存事業の競争力向上を重視する大企業は、よりリスクの高い新規分野の研究開発投資や事業化となりにくい場合があり、新規事業開拓にチャレンジしやすいスタートアップが新規分野での事業や研究開発投資の拡大を担うことが重要。大企業とスタートアップの強みの違いを活かして、スタートアップに任せる部分を特定し、集中支援を行う。
  • 1990年代以降のデフレマインド蔓延の中、多くの日本企業は既存事業のコストカットと海外投資を重視し、国内の研究開発投資に注力できなかった結果、このままでは国内の投資先が縮小していく可能性。国内で大胆な投資、それも新規分野における投資を積極的に行うことが日本の持続的な成長のために重要。
  • 国内の設備投資は過去30年間低迷を続けてきたが、2023年度の民間企業設備投資額は約30年ぶりに100兆円を超えるなど、国内投資が拡大し始めている。また、春闘も30年ぶりの高水準。こうした「潮目の変化」を持続的な成長に繋げるには、足下の人材確保のための賃上げに加え、中長期的な視点で、国内投資とイノベーションによる新たな需要・高付加価値事業の創出が必要。

経済産業省 ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置を実施します(輸出貿易管理令の一部を改正)
  • ウクライナをめぐる現下の国際情勢に鑑み、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、今般、主要国が講ずることとした措置の内容を踏まえ、本日、ロシア等の特定団体への輸出禁止措置等を導入することが閣議了解され、また、輸出禁止措置を実施するため、輸出貿易管理令の一部を改正する政令が閣議決定されました。
  • 輸出貿易管理令の一部を改正する政令の閣議決定について
    • ウクライナをめぐる国際情勢に鑑み、この問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、本日、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号。以下「外為法」という。)によるロシア等の特定団体への輸出禁止措置等を導入することが閣議了解され、また、輸出禁止措置を実施するため、輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号。以下「輸出令」という。)の一部を改正する政令が閣議決定されました。当該措置は7月3日より施行します。
  • 閣議了解に基づく措置の概要
    • ロシア連邦等の関係者に対する資産凍結等措置
      • 外務省告示(6月21日公布・施行)により追加されたロシアの関係者(10個人・27団体)、クリミア自治共和国及びセヴァストーポリ特別市のロシアへの「併合」又はウクライナ東部の不安定化に直接関与していると判断される者並びにロシアによる「編入」と称する行為に直接関与していると判断されるウクライナの東部・南部地域の関係者と判断される者(1個人・1団体)及びロシア及びベラルーシ以外の国の関係者(1団体)に対する資産凍結等の措置を導入する。
    • ロシアの特定団体への輸出等に係る禁止措置
      • 外務省告示(6月21日公布)により追加された14団体への輸出等に係る禁止措置を導入する(6月28日施行)。
    • ロシア及びベラルーシ以外の国の特定団体への輸出等に係る禁止措置
      • ウズベキスタン等の特定団体への輸出等に係る禁止措置
        • 外務省告示(6月21日公布)により追加された中華人民共和国7団体、インド1団体、カザフスタン1団体、ウズベキスタン1団体への輸出等に係る禁止措置を導入する(6月28日施行)。
      • 中華人民共和国、インド、カザフスタンを仕向地とする特定団体への輸出等に係る禁止措置
        • 輸出令を改正(6月21日閣議決定、6月26日公布)し、中華人民共和国、インド、カザフスタンを仕向地とする特定団体への輸出等に係る禁止措置を導入する(7月3日施行)。

経済産業省 「高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等との随意契約(スタートアップ技術提案評価方式)」について、各府省庁等会計課長等による申合せをおこないました
▼ 高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等との随意契約(スタートアップ技術提案評価方式)の概要
  • 高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等との随意契約の意義
    • スタートアップが大きく成長するためには、政府が主導して、スタートアップの提供する製品・サービスの市場・需要を創出することが重要であるほか、政府としてもスタートアップが有する高度な新技術を活用し、多様化する行政課題への対応力を高めることが必要。
    • 具体的には、能登半島地震の被災地において、スタートアップにより、使用した水を再生し循環利用するシャワー・手洗い設備の提供や、介護スタッフへのアシストスーツの提供が行われた。このように、社会課題解決・社会貢献の担い手として様々なスタートアップが活躍している。
    • また、例えば宇宙分野においては、経済社会や安全保障の基盤となる衛星コンステレーションの構築、様々な産業・地域の課題解決に資する衛星データ利用ソリューションの開発等に必要な技術を有するスタートアップによる参入が顕著であり、行政課題解決の担い手としての役割も期待される。
    • 一方で、政府がその行政課題に対してスタートアップの技術を自ら探知し調達すること、及び、スタートアップが政府のニーズを詳細に把握することは難しい場合が多いところ、「スタートアップ育成5か年計画」に基づき、スタートアップが有する高度かつ独自の新技術について、政府の調達ニーズに合わせて随意契約を可能とする柔軟な調達の仕組みの創設を図る。
  • 高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等からの随意契約スキーム
    • 政府がスタートアップの技術を自ら探知し調達すること及びスタートアップが政府のニーズを詳細に把握することが困難であるとの背景を受け、本スキームではまず、政府だけでは最適な解決策の確定が困難であり、スタートアップの有する新技術による解決が見込まれる行政課題に対して、その解決のための技術提案を公募する。
    • 調達省庁は、得られた技術提案を審査し、内閣府の確認を経た上で、行政課題を適切に解決しうる提案を行った者を、「高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等」として決定する。その後、調達省庁は当該スタートアップ等と案件の仕様等を確定し、随意契約を締結し、公表する。
    • 技術提案の公募はJ-Startup選定企業等を対象に実施する。また、J-Startup選定企業等以外の企業も含めて公募した場合は、J-Startup選定企業等であることを評価項目として、優れたスタートアップへの優遇を行う。
    • 高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等からの随意契約スキーム
      • 調達案件の選定
        • 最適な解決策の確定が困難な課題であり、スタートアップからの調達が見込まれる案件であることを調達省庁において確認
      • 技術提案の公募
        • J-Startup選定企業等に限定して公募
        • J-Startup選定企業等以外の企業も含めて公募
        • のいずれかを選択可能
      • 技術提案の審査
        • 後者の公募の場合、J-Startup選定企業等であることを評価項目とする
        • 複数の仕様を作成する前提で、複数社を決定することも可能
      • 内閣府の確認
        • 調達省庁は技術提案の審査結果に関して内閣府の確認を経た上で、高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等を決定
      • 仕様の確定 予定価格の決定
        • 発注者は高度かつ独自の新技術を有するスタートアップ等と交渉のうえ、仕様を確定し、予定価格を決定
      • 随意契約の締結
        • 会計法29条の3第4項における「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」に該当することを調達省庁において確認し、契約締結後に公表

経済産業省 2024年度夏季の電力需給対策を取りまとめました
  • 総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会(以下、小委員会)において、2024年度夏季の電力需給対策を取りまとめました。
  • 背景・目的
    • 電力需給対策に万全を期すため、電力広域的運営推進機関において、全国の電力需要が高まる夏と冬の電力需給について検証を実施しています。当該結果や最新の発電設備の状況等を踏まえて、6月3日に開催した第75回小委員会において、2024年度夏季の電力需給見通しを提示し、対策を取りまとめました。
  • 2024年度夏季の電力需給見通し・対策のポイント
    • 2024年度夏季の電力需要に対する供給力の余力を示す予備率は、全エリアにおいて、安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できていること等を踏まえ、節電要請は実施しません。
    • 他方、供給サイドは、確保している供給力の中に老朽化した火力発電所が含まれている等、構造的な課題を抱えており、設備トラブル等のリスクを踏まえると、予断を許さない状況です。
    • このため、これらの課題に対応し、今夏の電力需給の安定化に万全を期す観点から、昨冬に引き続き、発電事業者に対する保安管理の徹底の要請等の供給力対策等を講ずることを決定しました。

経済産業省 自動車メーカー5社の型式指定申請における不正行為について(国土交通省による型式指定申請における不正行為の有無等に関する自動車メーカー等の調査報告の結果等の公表に関して)
  • 経済産業省は、自動車メーカー5社(トヨタ自動車株式会社、マツダ株式会社、ヤマハ発動機株式会社、本田技研工業株式会社、スズキ株式会社)より、各社が国土交通省に提出した型式指定申請における不正行為に関する各社の調査報告について、報告を受けました。型式指定申請において不正を行うことは、自動車ユーザーの信頼を損ない、かつ、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり、新たな不正行為が明らかになったことは極めて遺憾です。これを踏まえて、経済産業省は、同5社に対し、顧客・取引先への適切な対応、十分な対外説明、再発防止策の確実な実施等を指示しました。
  • 自動車メーカーからの報告概要
    • 経済産業省は、自動車メーカー5社(トヨタ自動車株式会社、マツダ株式会社、ヤマハ発動機株式会社、本田技研工業株式会社、スズキ株式会社)より、各社が国土交通省に提出した型式指定申請における不正行為に関する各社の調査報告(5月末時点)について、報告を受けました。
  • 経済産業省の対応
    • 同5社からの報告を踏まえ、同社に対し以下を指示しました。
      • 情報提供など顧客・取引先への適切な対応
      • 問題の経緯や今後の対応についての十分な対外説明
      • 再発防止策の確実な実施
      • (調査継続中の事業者については)最終的な調査結果の提出に速やかに対応すること
    • 生産停止に伴うサプライヤー等への影響を速やかに調査し、その結果を踏まえ、必要な対策について検討を行います

経済産業省 経済産業省は「デコ活宣言」を行いました
  • 経済産業省は、環境省の「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」(通称デコ活)の取組に賛同し、以下のとおり、「デコ活宣言」を行いましたので、お知らせします。
  • デコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)制度
    • 「デコ活」とは、CO2を減らす脱炭素(Decarbonization)と、環境に良いエコ(Eco)を含む「デコ」と、活動・生活を意味する「活」を組み合わせた言葉です。
    • 2050年カーボンニュートラル及び2030年度削減目標の実現に向けて、国民・消費者の行動変容、ライフスタイル変革を強力に後押しするための新しい国民運動であり、脱炭素につながる将来の豊かな暮らしの全体像・絵姿を紹介し、国・自治体・企業・団体等で共に、国民・消費者の新しい暮らしを後押しする取組を指します。
    • 「デコ活」宣言とは、上記取組を加速化させることを目的に企業・自治体・団体・個人が宣言するもので、GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた施策や取組を進めている経済産業省も「デコ活」宣言することとしました。
  • 「デコ活」宣言
    • 宣言1:脱炭素につながる製品、サービス、取組展開を通じて国民の彩り豊かな暮らし(デコ活)を後押しします!
    • 宣言2:日々の生活・仕事の中で、デコ活(脱炭素につながる豊かな暮らし)を実践します!
    • 宣言に係る経済産業省の取組
      • 経済産業省はGX(グリーントランスフォーメーション)を通じて脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つを同時に実現すべく取組を強力に推進していくとともに、再生可能エネルギー電力調達の推進や電動車の導入等に加え、テレワークの推進などの多様な働き方も推し進めていきます。

経済産業省 「令和5年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2024)が閣議決定されました
  • 「エネルギー白書」について
    • 例年、エネルギー白書では、エネルギー動向や、前年度においてエネルギーの需給に関して講じた施策の状況について記載しており、本年はそれらに加え、以下の部分に焦点を当てて紹介しています。
  • エネルギー白書2024の概要
    1. 福島復興の進捗
      • 2023年8月、廃炉を着実に進め、福島の復興を実現するためには、決して先送りにできない課題である「ALPS処理水」の海洋放出を開始しました。放出前後でもモニタリングを実施し、安全に放出されていることが確認されています。放出は国際原子力機関(IAEA)も国際安全基準に合致していると結論づけており、欧米等でも理解が広がっています。また、国内水産物の消費拡大を図る官民の取組も全国に広がっています。
      • 将来にわたって居住を制限するとされてきた「帰還困難区域」のうち、「特定復興再生拠点区域」の避難指示を2023年11月までに全て解除しました。また、2020年代をかけて、帰還を希望する全ての住民が帰還できるよう、避難指示解除の取組を進めていく「特定帰還居住区域」制度を2023年6月に創設し、計画の認定等を進めており、今後、除染・インフラ整備等を実施します。
      • 福島浜通り地域における新産業の創出を目指す「福島イノベーション・コースト構想」についても、2023年4月に司令塔となる中核的な拠点として「福島国際研究教育機構(F-REI)」を設立する等、取組が進展しています。
    2. カーボンニュートラルと両立したエネルギーセキュリティの確保
      • ロシアによるウクライナ侵略に加え、中東情勢の悪化により海上交通の要衝である紅海の通航量が半減し、干ばつ・水位低下によりパナマ運河の通航量も4割減少しました。サプライチェーン全体の観点から、「エネルギーセキュリティの確保」が重要な課題となっています。
      • 2022年に急騰した燃料価格は下落したものの、石炭や天然ガスの市場価格は2010年代後半の2~3倍の水準となっています。世界の半分以上の石炭を生産・消費する中国による石炭輸入の拡大等もあり、今後の価格見通しは依然不透明です。
      • 世界的な脱炭素の進展によるLNG等の上流部門への投資減少等の課題に加え、GX(グリーントランスフォーメーション)・DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展により日本の電力需要が増加する可能性も指摘されています。
      • 日本は、燃料価格高騰×円安で化石燃料の輸入額が2年間で22兆円以上増加し、過去最大の貿易赤字(年間20兆円超)となりました。価格高騰リスク等を根本的に解決するには、省エネや脱炭素エネルギーへの投資促進策等を通じた、エネルギー危機に強い需給構造への転換が必要です。
    3. GX・カーボンニュートラルの実現に向けた課題と対応
      • 世界全体の温室効果ガスの3%を排出している日本は、2030年度の46%削減目標(2013年度比)に向けて、着実に削減が進捗しています。
      • GX実現に向けた官民連携の投資競争が世界中で加速し、日本も2023年7月に「GX推進戦略」を策定、同年12月には「分野別投資戦略」をとりまとめました。水素等・CCSの法整備等、投資促進策の具体化が進み、日本の官民GX投資は「実行」フェーズに突入しています。
      • COP28の決定文書では「世界全体で再エネ発電容量3倍/エネルギー効率改善率2倍」を進めること等が記載されたほか、気候変動対策として「原子力」が初めて明記されました。さらに、日本は「原子力3倍宣言」にも賛同しています。
      • 日本の取組は、化石燃料に依存し、成長著しいアジアのGXにもつながります。「アジア・ゼロエミッション・共同体(AZEC)」の取組はその架け橋です。日本はGX技術等を通じて、アジア、そして世界のGXに貢献していきます。
▼ 令和5年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2024)概要
  • 「ALPS処理水」の海洋放出を開始
    • 2023年8月24日、福島復興に向けて避けて通れない課題である「ALPS処理水」の海洋放出を開始した。
    • 「ALPS処理水」とは、トリチウム以外の放射性物質を、安全基準を満たすまで浄化した水のこと。
    • トリチウムも、安全基準を大幅に下回るまで海水で薄めた上で放出する。環境や人体への影響は考えられない。
  • 「ALPS処理水」の海洋放出に係る取組
    • 放出前後で海水や魚類等のモニタリングを実施し、計画どおり、安全に放出が行われていることを確認している。
    • IAEAによるレビューでも、ALPS処理水に係る取組は国際安全基準に合致していると結論づけられた。
    • 欧米等でも海洋放出に対する理解が広がり、水産物の消費拡大を図る官民の取組も全国各地へと展開した。
  • 帰還困難区域の避難指示解除に向けた取組
    • 避難指示解除により住民帰還を目指す「特定復興再生拠点区域」の避難指示を2023年までに全て解除した。
    • 残る帰還困難区域についても、2020年代をかけて、帰還を希望する全住民が帰還できるよう、避難指示解除の取組を進めていく「特定帰還居住区域制度」を2023年6月に創設。今後、除染・インフラ整備等を行っていく。
  • 新たな産業の創出に向けた取組:福島イノベーション・コースト構想
    • 福島イノベーション・コースト構想は、浜通り地域等における産業の復興のため、各種の補助事業や福島ロボットテストフィールドの整備をはじめとした事業環境の整備等により、同地域での新産業の創出を目指す構想。
    • 同構想をさらに発展させ、司令塔となる中核的な拠点として、2023年4月に福島国際研究教育機構(F-REI)を設立。
    • 福島新エネ社会構想の実現に向けてさらに取組を加速すべく、2023年7月に「加速化プラン」を策定した。
  • 世界のエネルギー情勢を巡る不確実性は増加の一途
    • ロシアによるウクライナ侵略やイスラエル・パレスチナ情勢の悪化等、エネルギーに影響のある事象が各地で発生した。
    • さらに、紅海やパナマ運河といった海上輸送の要衝でも紛争や災害が発生し、安定供給への懸念が生じるなど、サプライチェーン全体の観点からも、「エネルギーセキュリティの確保」がますます重要な課題となっている。
  • 日本のエネルギーに影響を与えうる「変数」も増加
    • 2022年に急騰した燃料価格は下落するも、2010年代後半の水準と比べると、いまだ高い水準が続く。
    • 世界の半分以上の石炭を生産・消費する中国の石炭輸入増加等もあり、今後の価格見通しは依然不透明。
    • 世界的な脱炭素化の進展に伴うLNG等の上流投資の減少といった課題に加え、GX・DXの進展によって日本の電力需要が増加する可能性も指摘されている。
  • 日本の今後の電力需要の想定
    • 例えば、電力広域的運営推進機関が2024年1月に公表した今後10年の電力需要の想定では、人口減少や節電・省エネ等により、家庭部門の電力需要は減少が予測される一方、データセンター・半導体工場の新増設等により、産業部門の電力需要は大幅な増加が予測されている。
    • 1年前の前回想定では電力需要の減少が予測されていたが、今回の想定では電力需要が増加する見通し。
  • 日本のエネルギーが抱える構造的課題
    • 燃料価格の高騰×円安で、化石燃料の輸入金額が2年間で22.4兆円増加し、国富流出・貿易赤字に。
    • 日本が晒される価格高騰リスク等の根本解決には、エネルギー危機に強い需給構造への転換が必要。
  • 温室効果ガスの排出削減に向けた進捗状況
    • 途上国における排出増加により、世界全体の排出量も増加した(日本の排出量は世界全体の3%)。
    • カーボンニュートラル実現には、各国の事情に応じた多様かつ現実的な道筋の下、共通のゴールを目指すことが重要。
    • 日本は、2030年度の温室効果ガス削減目標に対して、着実に削減が進捗している(オントラック)。
  • 日本のGXに向けた取組は「実行」フェーズへと突入
    • 世界中でGXに向けた取組が加速し、日本も「エネルギー安定供給」「経済成長」「脱炭素」の同時実現に向けて重点分野ごとの「分野別投資戦略」をとりまとめるなど、官民のGX投資促進策が「実行」フェーズへと突入した。
    • 脱炭素化が難しい分野のGXを推進すべく、低炭素水素等やCCSの導入に向けた法整備も進展した。
  • 世界全体の排出削減に向けて進む「COP28」・「AZEC」の取組
    • COP28の決定文書では、世界全体の進捗と1.5℃目標には隔たりがあること、「世界全体で再エネ3倍・省エネ2倍」等を進めることに加え、「・原子力」が気候変動対策として初めて明記された。日本は「原子力3倍宣言」にも賛同した。
    • 日本のGXの取組は、化石燃料に依存し、今後もエネルギー需要の増加が見込まれるアジアのGXにもつながりうる。
    • 「AZEC」の取組はその架け橋。日本の技術・ファイナンス等を通じて、アジアのGX、そして世界のGXに貢献していく。

経済産業省 経済産業政策新機軸部会第3次中間整理を公表します
  • 経済産業省は、2040年頃に向けて、人口減少下でも一人一人が豊かになれる日本の将来見通し(シナリオ)と、これに沿って足下で今後検討が必要となる施策を「経済産業政策新機軸部会 第3次中間整理」として取りまとめました。
  • 本件の概要
    • 足下の日本経済には、「国内投資の拡大」や「賃金の上昇」といった潮目の変化が生じています。しかし、30年間続いた縮み思考は、2年間で簡単に変えられるものではなく、ここからが正念場です。潮目の変化を持続させていくためには、国内に広がる人口減少を起点とした将来悲観を払拭し、企業や個人の長期目線で前向きな挑戦を後押しし、日本の将来期待の醸成を図ることが重要です。こうした考えの下、2023年11月から再開した経済産業政策新機軸部会では、中長期的かつ大局的な目線を関係者の間でそろえ、その中で前向きな挑戦を後押しするため、将来見通しを策定するべきではないかという問題意識に基づいて、計7回にわたり議論を続けてきました。
    • この度、本部会が設置されてからの過去2年間の議論も振り返ったうえで、(1)2040年頃を想定した一人一人が豊かになれる日本の将来見通し(シナリオ)と、(2)そこに至るにあたって第2次中間整理以降取り組んできた施策の進捗状況、今後検討が必要となる施策を整理し、第3次中間整理として取りまとめました。
  • 詳細
    • 将来見通し(シナリオ)
      • 本シナリオは、これまで経済産業省が策定した非連続的な理想を示すビジョンではなく、新機軸の政策の延長線上で、十分に実現可能な、一つの将来見通しです。
      • 潮目の変化の背景には、世界が直面する時代の転換、すなわち(1)国際経済秩序の変化と(2)世界の人口動態の転換があります。こうした世界的な構造変化は、日本において、国内投資、イノベーション、所得向上の3つに正の影響を与えるものです。
      • こうした中で、GX、DX、グローバル・経済安全保障、少子高齢化・人口減少といった主要な社会課題を踏まえて、2040年頃を想定した世界全体の需要構造・供給構造の変化を見通して、日本の産業構造全体として、(1)世界を相手に日本から勝負して稼ぐ「世界の創造拠点」になること、(2)国内において一人一人の「生活の質を高める挑戦をする」こと、(3)「国の戦略投資」として国内外の企業に日本が投資先として選ばれる産業政策を継続することによって、人口減少下でも一人一人が豊かに生活できるようになる、というものです。
      • 本中間整理では、定性的な方向感をシナリオとして示していますが、今回提示したシナリオを基に、2024年度、RIETI(独立行政法人経済産業研究所)等と連携して定量化にも取り組んでいきます。
    • 施策集
      • 将来見通しで示した経済社会を目指すにあたり、企業・国民・政府にマクロレベルで求められるチャレンジとして、国内投資の拡大、イノベーション、新陳代謝の加速、所得の向上、マクロ経済の4つの側面から整理しました。そして、これらチャレンジを前へと進めるため、これまでの施策の進捗状況を整理した上で、足下で今後検討が必要となる主要施策を位置づけています。
▼ 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 第3次中間整理の概要

経済産業省 「令和5年度ものづくり基盤技術の振興施策」(2024年版ものづくり白書)を取りまとめました
▼ 2024年版ものづくり白書 概要
  • 経営・組織の仕組み化を図るCX(コーポレート・トランスフォーメーション)現状
    • 近年、国内投資の重要性が高まる一方、日系大手製造業の海外売上比率は20年間で急増し、過半を海外で稼ぐ構造に。また、従業員についても連結ベースでは6割が海外現地法人に従事。
    • その結果、グローバルでの売上高は大きく拡大し、連結ベースで過去最高益を更新するも、利益率は低水準。事業規模が大きく、事業や地域が多角化するほど収益性が下がる傾向も見られる。
    • 多くの日系製造業では日本から海外現地法人に駐在員を送り込む一方、本国からのガバナンスはほとんどない「連邦経営」。企業グループ全体を上手くマネジメントできていないことが「稼ぐ力」に影響している可能性。
  • 経営・組織の仕組み化を図るCX 目指すべき姿
    • グローバル企業間で人材の獲得競争は激化。海外現法に従事する人材を含め、経営資源の最大活用を図るためには『日本+現法』という連邦経営から脱却し、国内・海外の組織がシームレスにつながる仕組みを整える必要。
    • これまで国内と海外とで分断され、個別最適化されてきたヒト・モノ・カネ・データに関わる共通基盤をグローバルで横串を通して整備していくことが必要
  • DXによる製造機能の全体最適と事業機会の拡大 現状認識
    • 製造事業者におけるDXは、依然として「個別工程のカイゼン」に関する取組が多く、「製造機能の全体最適※」を目指す取組は少ない。また、新たな製品・サービスの創出により新市場を獲得し、「事業機会の拡大」を目指すDXの取組は更に少ない。※経営戦略の遂行に向け、製造部門だけでなく、設計、開発、調達、物流、営業等の部門とも連携し、例えば、原価管理、部品表、工程表の一元管理等を行うこと。
    • 産業データ連携については、欧州の自動車サプライチェーン(Catena-X)を中心に、個社や業界を超え、産業規模でCO2排出量等のデータを共有し、産業規模でサステナビリティや競争力強化を図る取組が進行。日本でもウラノス・エコシステム等の取組が始まっているが、産業データ連携への参加意向はわずかに留まる。
  • DXによる製造機能の全体最適と事業機会の拡大 目指すべき姿
    • 製造機能の全体最適に向けては、経営戦略の遂行を可能とするデジタル戦略を描くとともに、製造現場の業務プロセスの全体像を熟知した上でのデジタル実装が求められる。
    • また、事業機会の拡大に向けては、アフターサービス等のサブスクリプションサービスやプラットフォームビジネスの展開など、「モノを作って売る」だけではない、ものづくりにおけるビジネスモデルの変革が必要。
    • 産業データ連携の動きを加速するには、個別企業にとっての具体的なメリットを示すことが必要。そのためには、サプライチェーン全体でのCO2可視化・削減等のユースケースをベースに業界や意欲の高い事業者が核となり、ルールを整備する。また、データ連携のためのアプリケーション等についてはマーケットプレイス等を活用することで、新たなプレーヤーのサービス参入・競争を促進するアプローチが有効。
  • ものづくり企業の就業動向と能力開発の現状
    • 中小企業における製造業の人手不足感※をみると、2020年に弱くなったが、2022年、2023年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前(2019年)より強い。
    • 従業員の能力開発を実施した事業所の割合は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前の水準には戻っていない
  • 能力開発の取組と効果
    • 能力開発を行っている企業のうち、経営面または人事面の効果を「実感している」、「やや実感している」とした企業は6割程度。その中で経営面と人事面どちらも効果を「実感している」とした企業(1割程度)について分析すると、能力開発周辺の仕組みの整備に取り組んでいる割合が高い
  • デジタル化に対応した人材の確保・育成
    • ものづくり企業において、デジタル技術を活用している企業は、2019年は5割弱だったのに対して、2023年は8割を超えている。
    • 中小企業のうち、デジタル技術の活用が進んだ企業は、2019年から2023年にかけて営業利益を伸ばしている割合が高くなっており、賃上げなどの従業員の処遇改善も進んでいる
  • ものづくり産業における人材育成に係る主な施策
    • 人材開発支援助成金により、雇用する労働者に訓練を実施した場合の訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成。
    • デジタル技術を含む多様な職業訓練の提供、教育訓練給付による個人の能力開発の支援。
    • 技能検定の推進、「団体等検定制度」の創設により能力評価の環境を整備。
  • DX等成長分野を中心とした人材育成
    • 数理・データサイエンス・AI教育のモデルカリキュラムや各大学等の取組を全国へ普及・展開させるためのコンソーシアム活動や、大学院教育におけるダブルメジャー等を推進。
    • 産業人材育成を担う専門高校においては、絶えず進化する最先端の職業人材育成システムを構築し、成果モデルを示すことで、全国各地で地域特性を踏まえた取組を加速。
    • 企業成長に直結する、高等教育機関にしかできないリカレント教育モデルの確立に向け、産業界の人材育成課題や大学等の教育資源を整理した上で、具体のプログラム開発のための分析・ヒアリング等を行う調査研究を実施
  • ものづくり人材を育む教育・文化芸術基盤の充実
    • 我が国の競争力を支えるものづくりの次世代を担う人材を育成するため、ものづくりへの関心・素養を高める小学校、中学校、高等学校における特色ある取組の実施や、大学における工学系教育改革、高等専門学校における人材育成など、ものづくりに関する教育の一層の充実が必要
  • Society5.0実現のための研究開発
    • Society5.0の実現に向け、第6期科学技術・イノベーション基本計画に基づき、総合知やエビデンスを活用しつつ、バックキャストにより政策を立案し、イノベーションの創出により社会変革を進めていく。
    • 人工知能技術、マテリアル、光・量子技術、環境・エネルギーなどの未来社会の鍵となる先端的研究開発を推進
  • 2024年版ものづくり白書のメッセージ
    • 我が国製造業においては、国内他産業への波及・乗数効果や地政学リスクへの備えの観点から国内投資の重要性が高まっている一方、グローバルビジネス展開を急拡大させ、過半を海外市場で稼ぐ構造に。
    • しかし、(1)グローバルビジネスに適した経営の仕組みを整えてこなかったこと等から、売上の伸びに対し利益率が低迷。(2)DXも個別工程のカイゼンにとどまり、事業機会の拡大領域の取組が少ない等、稼ぐ力の向上に繋がっていない。
    • “CXによる組織経営の仕組み化”×”DXによる製造機能の全体最適化、ビジネスモデルの変革”が必要
    • 経営・組織の仕組み化を図るCX
      • 日系主要製造業の海外売上比率は20年間で急増し、過半を海外で稼ぐ構造に。連結ベースで従業員の6割が海外。
      • 連結ベースで過去最高益を更新するも、利益率は低水準。
      • 円高を背景としたM&A等を通じてグローバルビジネスを拡大してきたが、グローバル経営の仕組みを整えてこなかったこと等から、海外現法のガバナンスを含め、企業グループ全体をマネジメントできていないことが稼ぐ力に影響している可能性。
      • グローバル企業間で人材の獲得競争は激化。海外現地法人に従事する人材を含め、経営資源の最大活用を図るためには『日本+現法』という連邦経営からの脱却し、国内・海外の組織が分け隔てなくシームレスにつながる仕組みを整える必要。
      • 従来、国内と海外とで分断され、個別最適化されてきたヒト・モノ・カネ・データに関わる共通基盤をグローバルで横串を通して整備することが必要。
    • DXによる製造機能の全体最適と事業機会の拡大
      • 労働力不足、水平分業化、製品の多様化、GX等に対応していくため、製造業の個社・産業規模でのDXは急務。
      • 製造業におけるDXは、依然として「個別工程のカイゼン」領域の取組が多く、「製造機能の全体最適」「事業機会の拡大」領域の取組が少ない。
      • 産業データ連携については、産業規模でCO2排出量等のデータを共有し、競争力強化を図る取組も道半ば。
      • 製造機能の最適化に向けては、経営戦略と連動したデジタル戦略を描くこと、製造現場の業務プロセスの全体像を熟知した上でデジタル実装を進めること等が必要。
      • 事業機会の拡大に向けては、プラットフォームビジネスの展開等、ビジネスモデルの変革が必要。
      • 産業データ連携を加速するには、ユースケース作り等、企業にとっての具体的なメリット示す取組が重要。
    • 人材育成の取組とデジタル技術の活用
      • 従業員の能力開発を実施した事業所の割合は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前の水準には戻っていない。
      • 能力開発を行っている企業のうち、経営面と人事面どちらも効果を「実感している」とした企業(1割程度)について分析すると、能力開発周辺の仕組みの整備に取り組んでいる割合が高い。※能力評価制度の導入、配置と能力開発の連携、処遇への反映
      • 8割を超えるものづくり企業がデジタル技術を活用している。中小企業のうち、デジタル技術の活用が進んだ企業は、営業利益を伸ばしている割合が高くなっており、従業員の処遇改善も進んでいる。
      • 企業の能力開発を支援し、能力開発の基盤を整備していく
        • 訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成(人材開発支援助成金)。
        • デジタル技術を含む多様な職業訓練の提供、教育訓練給付による個人の能力開発の支援。
        • 技能検定の推進、「団体等検定制度」の創設により能力評価の環境を整備。
    • 新たな価値を生み出す基盤づくり
      • 数理・データサイエンス・AI教育の推進、マイスター・ハイスクール(次世代地域産業人材育成刷新事業)、産学協働リカレント教育モデルの確立に向けた取組等により、DX等成長分野の人材育成を推進。
      • 小学校、中学校、高等学校におけるものづくりへの関心や教養を高める取組や大学・高専等における技術者育成を推進。
      • Society5.0を実現するための革新的な人工知能、ビッグデータ、IoT、マテリアル、光・量子、半導体技術などの未来社会の鍵となる先端的研究開発を推進。

経済産業省 「DX銘柄2024」「DX注目企業2024」「DXプラチナ企業2024-2026」を選定しました!
  • 経済産業省は、東京証券取引所及び独立行政法人情報処理推進機構と共同で「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」を選定し、本日、「DX銘柄2024」選定企業25社(うち、DXグランプリ企業3社)、「DX注目企業」21社、さらに、「DXプラチナ企業2024-2026」2社を発表しました。これらの企業は、単に優れた情報システムの導入やデータの利活用にとどまらず、デジタル技術を前提としたビジネスモデルそのもの及び経営の変革に果敢にチャレンジし続けている企業として選定され、デジタル技術を最大限に活用した活躍が期待されています。併せて、選定された企業の取組を紹介するレポートを公開しました。
  • DX銘柄について
    • DX銘柄とは、東京証券取引所に上場している企業の中から、企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を選定することで、目標となる企業モデルを広く波及させ、経営者の意識改革を促すとともに、幅広いステークホルダーから評価を受けることで、DXの更なる促進を図るものです。DX銘柄に選定された企業は、単に優れた情報システムの導入、データの利活用をするにとどまらず、デジタル技術を前提としたビジネスモデルそのもの及び経営の変革に果敢にチャレンジし続けている企業です。また、企業の競争力強化に資するDXに向けた取組を強く後押しするため、銘柄選定企業の中から“デジタル時代を先導する企業”として「DXグランプリ企業」を発表します。さらに、特に傑出した取組を継続している企業を「DXプラチナ企業2024-2026」として選定します。これら企業のさらなる活躍を期待するとともに、こうした優れた取組が他の企業におけるDXの取組の参考となることを期待します。
  • DX調査回答項目(評価項目)
    1. ビジョン・ビジネスモデル
    2. 戦略
      • 組織づくり・人材・企業文化に関する方策
      • ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
    3. 成果と重要な成果指標
    4. ガバナンスシステム
  • 選定企業一覧
    1. DXグランプリ企業2024(業種順)
      • DX銘柄2024選定企業25社の内、特に優れた「DX」の取組を行った企業をDXグランプリ2024として以下の3社選定しました。
        • 株式会社LIXIL
        • 三菱重工業株式会社
        • 株式会社アシックス
    2. DX銘柄2024(業種順 証券コード順)※DXグランプリ企業を除く
      • デジタル技術を前提として、ビジネスモデル等を抜本的に変革し、新たな成長・競争力強化につなげていく「DX」に取り組む企業を、DX銘柄として22社選定しました。(※DXグランプリ企業を除く)
        • 株式会社ニチレイ/株式会社ワコールホールディングス/旭化成株式会社/第一三共株式会社/株式会社ブリヂストン/AGC株式会社/JFEホールディングス株式会社/ダイキン工業株式会社/オムロン株式会社/横河電機株式会社/株式会社アイシン/SGホールディングス株式会社/日本郵船株式会社/日本航空株式会社/三菱倉庫株式会社/ソフトバンク株式会社/マクニカホールディングス株式会社/アスクル株式会社/株式会社三井住友フィナンシャルグループ/株式会社大和証券グループ本社/株式会社クレディセゾン/H.U.グループホールディングス株式会社
    3. DX注目企業2024(業種順 証券コード順)
      • 「DX銘柄」に選定されていない企業の中から、特に企業価値貢献部分において、注目されるべき取組を実施している企業について、DX注目企業として以下の21社を選定しました。
        • マルハニチロ株式会社/富士フイルムホールディングス株式会社/塩野義製薬株式会社/日本碍子株式会社/三菱マテリアル株式会社/株式会社デンソー/TOPPANホールディングス株式会社/東京電力ホールディングス株式会社/ヤマトホールディングス株式会社/株式会社商船三井/アジア航測株式会社/株式会社大塚商会/双日株式会社/日本瓦斯株式会社/株式会社ふくおかフィナンシャルグループ/東海東京フィナンシャル・ホールディングス株式会社/プレミアグループ株式会社/東京センチュリー株式会社/SREホールディングス株式会社/ビーウィズ株式会社/トランス・コスモス株式会社
    4. DXプラチナ企業2024-2026(業種順)
      • 特に傑出した取組を継続している企業として以下の2社を選定しました。
        • 株式会社日立製作所
        • 株式会社トプコン
  • DXプラチナ企業選定要件
    • 3年連続でDX銘柄に選定されていること
    • 過去にDXグランプリに選定されていること
      • ※ なお、本選定は3年間の時限措置とすることから、「DXプラチナ企業2024-2026」として選定しています。
▼ 「DX銘柄2024」選定企業レポート
  • 株式会社LIXIL 審査員コメント
    • オンライン接客サービスが、顧客満足度向上だけでなく、従業員の子育て支援につながっているところが素晴らしい。
    • 新規ビジネスも、単純に物売りからサービスへのシフトというだけでなく、値引競争から付加価値で勝負する世界へゲームチェンジさせようとしていることを評価したい。DXに限らず非常に多岐にわたる変革を推し進めているが、それらが企業のパーパスと明確に結びついており、従業員のパワーのベクトルを揃えることに寄与している。
  • 三菱重工業株式会社 審査員コメント
    • 当企業のBMの変革は(1)脱炭素化を目指すエナジートランジションと(2)Σ SynX(シグマシンクス)に代表される社会インフラのスマート化の2本の成長領域から成り立つ。(1)日本政府が目指すカーボンニュートラルの2050年の達成に対して、MHI製品や技術を実装する顧客のために2040年までの自社の先行達成を打ち出しており、しかも具体的ロードマップも年々具体化されてきている。発電システムの高効率ガスタービンへの置き換え、燃料へのアンモニアの混合、水素への燃料転換などが具体例である。(2)先進制御技術を集約したプラットフォームがΣSynX(シグマシンクス)であり、e-commerce、物流などへのワンストップソリューションとして各方面への導入が進んでいる。本邦を代表する社会課題解決企業であり、DXを大きな武器としてさらなる成長が期待できる。
  • 株式会社アシックス 審査員コメント
    • 中長期経営計画でも、デジタル・パーソナル・サステナブルの3本柱のひとつとして、DX戦略が適切に位置付けられている。また、「既存ビジネスの深化」「新規ビジネスモデルの創出」においても、財務成果を期待させる内容となっている。DXによるDTC(Direct to Customer)シフトの強化とそれにスポーツ工学研究所の商品開発力と品質の掛け合わせで中期経営計画2023の目標の大幅達成を実現した。BI活用も進んでおり経営判断に活用されている。システム運営はグローバルで統合されている一方、機能役割に応じたグローバルな拠点設置・人材配置を行っている。全世界で700名超のデジタルプロフェッショナルを抱えDX実現能力も高い。

【厚生労働省】

【2024年7月】

厚生労働省 障害者のテレワーク雇用を推進する企業向け相談窓口を開設しました
  • 厚生労働省は、ICTを活用した障害者のテレワーク雇用を推進するため、個別具体的な課題の解決に向けたサポートを行う企業向け相談窓口を開設しました。
  • テレワークは、障害者の多様な働き方のひとつであり、自宅でも働くことができる機会として大きな可能性があるとともに、企業の方にとっても、全国から優秀な人材を確保することができるというメリットがあります。こうしたことを踏まえ、厚生労働省では、障害者雇用におけるテレワークの導入に向けた手順等について説明する企業向けセミナーや、個別企業の課題に応じた相談支援等を実施しております。
  • 令和6年度においては、令和5年度に引き続き、障害者をテレワークで雇用することを検討している企業等を対象に、より気軽にご相談いただくことができる窓口を開設しました。テレワーク導入について、まだ情報収集中である、相談事項が明確になっていないといった状況であっても、経験豊富な専門アドバイザーが、他社事例の紹介や課題整理に向けた支援等を行い、受け入れ前から採用、その後の定着まで各段階においてサポートします。
  • 企業向け相談窓口の詳細及びお申し込み先については、別添の「障害者のテレワーク雇用を推進する企業向け相談窓口リーフレット」及びホームページ(https://twp.mhlw.go.jp/)をご参照ください。

厚生労働省 第77回WHO総会結果(概要)
  1. 概要
    • 期間:2024(令和6)年5月27日(月)~6月1日(土)
    • 対面会議
    • 日本政府代表団:塩崎彰久厚生労働大臣政務官、迫井正深医務技監、井上肇国際保健福祉交渉官他
    • 本会議では、6日間にわたり、全29議題について協議。17の決議と20の決定が採択。主に管理議題の議論の場であるB委員会の副議長を、迫井正深医務技監が務めた。
      • ※WHO総会は、全加盟国代表で構成される最高意思決定機関。毎年5月に開催され、保健医療に関する重要な政策決定を行う。
  2. 政府代表演説
    • WHO総会では、塩崎彰久厚生労働大臣政務官から政府代表演説を行い、
      • 世界中の全ての人の健康のために取組むWHOの献身的な働きに敬意を表し、心より感謝。
      • 今もなお続くロシアによるウクライナ侵略を強く非難。我が国は、公衆衛生の脅威から国民の健康を守るための努力を続けるウクライナ政府を引き続き支援する。ラファハを含むガザ地区の危機的な人道状況を深刻に懸念しており、人道支援活動が可能な環境が持続的に確保され、また人質の解放が実現するよう、即時の停戦を求める。
      • 我が国は、世銀・WHOと連携し、「UHC(※1)ナレッジハブ」を2025年に東京エリアに設立し、ヘルスケアシステムに効果的な投資を行い、保健財政を強化するため、特に低・中所得国における、保健省と財務省の政策立案者に対する研修を含む能力開発を行う。
      • 日本は、気候変動と健康に関する変革的行動のためのアライアンス(ATACH)(※2)に正式に参加した。「気候と健康」がさらに重要になっていることを認識し、この難しい問題を乗り越えるための各国の連携した取組にさらに貢献していくことを約束する。
      • 我が国は、薬剤耐性対策、非感染性疾患、気候変動、健康危機、そしてパンデミックへの予防・備え及び対応等、我々が連携して取り組むべき多くの重大な健康課題への取組を進めるためのWHOによる多大な尽力とリーダーシップを称賛し、変わらず支援及び貢献をしていくこと等を述べた。
        • ※1 UHC((Universal Health Coverage)ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)
          • 全ての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられる状態を指す。UHCナレッジハブは、主に低・中所得国の保健財政を強化することを目的として設置するもので、WHOと世界銀行が連携し、各国の保健省と財務省の政策立案者に対する能力開発を支援するもの。
        • ※2 ATACH:Alliance for Transformative Action on Climate and Health
          • 参加各国が気候変動と健康に関する知見とベストプラクティスを共有するとともに、各国のネットワークを強化することにより、気候変動に強靱かつ低炭素で持続可能な保健医療システムの構築を目指している。
  3. UHCナレッジハブ
    • WHO、パートナー機関、市民社会が一同に会して話し合う戦略的円卓会議のうち、「すべての人の健康とウェルビーイングのための経済と財政」に迫井正深医務技監が登壇。
      • 2025年に「UHCナレッジハブ」を東京エリアに設置すること、「UHCナレッジハブ」は、特に低・中所得国における保健財政を強化すること等を目的とし、WHOと世界銀行が連携し、各国の保健省と財務省の政策立案者に対する能力開発を支援するほか、関係機関の代表を集めて「UHCハイレベルフォーラム」を開催する予定であることを表明。
  4. 主な議題
    • 国際保健規則(IHR)※(2005年)改正に関するWHO加盟国作業部会
      • 2022年11月以降、IHR改正に関するWHO加盟国作業部会でIHR改正案が議論されていたが、総会までには意見の一致が得られなかった。これを踏まえ、全WHO加盟国は、総会期間中にIHR改正案を採択することを目標に起草グループを設置し、IHR改正案の交渉を継続し、総会最終日にIHR改正案一式がコンセンサスで採択された。IHR改正には、「パンデミック緊急事態」の定義が新たに規定されたほか、原因不明なものも含むリスクの高い事象について国と国との間又は国とWHOとの間で情報共有を強化することや、国際クルーズ船をはじめとした輸送機関におけるより効果的な保健上の措置を実施すること、IHRの実施体制を整備する内容等が含まれている。また、公平性がIHRの原則に新たに加わり、緊急時の医薬品等へのアクセスを促進するための協力を強化する内容が新たに盛り込まれた。
        • ※IHR (International Health Regulations):人や物の国際的な移動や貿易を不必要に妨げることを避けつつ、感染症等疾病の国際的なまん延を最大限防止することを目的として、憲章に基づいて採択された規則。
    • パンデミックへの予防、備え及び対応(PPR)に関するWHOの新たな法的文書の作成のための政府間交渉会議
      • 2022年2月に初回会合が開催されて以来、WHO加盟国は本WHO総会に向けてPPRに関するWHOの新たな法的文書の作成のために政府間交渉会議で交渉を行っていたが、同総会での交渉妥結には至らなかったため、交渉の延長が決定された。
    • 執行理事の改選
      • 各地域委員会が推薦した候補国リストが採択された。西太平洋地域では、日本やマレーシアが執行理事の任期を満了し、韓国とブルネイが新たに執行理事となった。
    • 持続可能な資金調達(投資ラウンド)
      • WHA開催期間中でのイベントにおいて、共同開催国が発表され、投資計画が発表された。
    • 第14次総合事業計画の承認
      • 2025年から2028年までの期間におけるWHOの戦略目標、共同成果、活動計画等が盛り込まれた第14次総合事業計画(14th general programme of work)が承認された。

厚生労働省 「令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します~総合労働相談件数は、4年連続で120万件を超え、高止まり~
  • 厚生労働省は、このたび「令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況」をまとめましたので、公表します。
  • 「個別労働紛争解決制度」は、個々の労働者と事業主との間の労働条件や職場環境などをめぐるトラブルを未然に防止し、迅速に解決を図るための制度で、「総合労働相談」、都道府県労働局長による「助言・指導」、紛争調整委員会による「あっせん」の3つの方法があります。
  • 今回の施行状況を受けて、厚生労働省は、総合労働相談コーナーに寄せられる労働相談への適切な対応に努めるとともに、助言・指導およびあっせんの運用を的確に行うなど、引き続き、個別労働紛争の未然防止と迅速な解決に向けて取り組んでいきます。
  • ポイント
    • 総合労働相談件数は高止まり。助言・指導の申出件数、あっせんの申請件数は前年度より増加。
      • 総合労働相談件数は121万400件(前年度比▲3.0%)で、4年連続で120万件を超え、高止まり
        • 法制度の問い合わせ 83万4,816件(▲3.1%)
        • 労働基準法等の違反の疑いがあるもの 19万2,972件(+2.4%)
        • 民事上の個別労働関係紛争相談 26万6,160件(▲2.2%)
      • 助言・指導申出 8,346件(+4.5%)
      • あっせん申請 3,687件(+5.6%)
    • 民事上の個別労働関係紛争における相談、あっせんの申請では「いじめ・嫌がらせ」の件数が引き続き最多。
      • 「いじめ・嫌がらせ」の相談件数は、60,113件(▲14.0%)で12年連続最多
      • 「いじめ・嫌がらせ」のあっせんの申請は、800件(▲7.6%)で10年連続最多民事上の個別労働関係紛争における相談、助言・指導の申出、あっせんの申請の全項目で、「労働条件の引下げ」の件数が前年度から増加。
      • 「労働条件の引下げ」の相談件数は、30,234件(+6.9%)、助言・指導の申出は、1,020件(+26.7% 最多、あっせんの申請は、380件(+20.6%)
▼ 令和5年度個別労働紛争解決制度の施行状況

厚生労働省 死因究明等推進計画の変更について
▼ 資料1 死因究明等推進計画の概要等
  • 死因究明等推進計画のポイント
    • 背景
      • 令和2年4月「死因究明等推進基本法」施行→令和3年6月「死因究明等推進計画」策定
      • 政府は、死因究明等に関する施策の進捗状況等を踏まえ、3年に1回、死因究明等推進計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならない。(法第19条第7項)
      • 令和5年度 死因究明等推進計画検証等推進会議(5回開催)
    • 現状と課題
      • 年間死亡数の増加 ※ 年間死亡数:138万人(R元)→157万人(R4)
      • 死因究明等に係る人材の乏しさ ※ 法医学教室の定年退職者増加、常勤医1人以下が10県(R4)、働き方改革の中での人員確保 等
      • 死因究明等に係る更なる地域の体制整備の必要性等 ※ 地方協議会の議論の活性化と深化、連携の人的基盤や死因究明等に係る質の均てん化 等
    • ポイント
      • 死因究明等に係る人材の育成、確保方策
        • 検案医の増加、資質向上等を目的とした死体検案研修会
        • 法医解剖実施施設等で臨床研修の選択研修が可能であることの周知
      • 死因究明等に係る専門的な機関の全国的な整備方策
        • 地方公共団体の体制整備推進支援(死因究明センターの設置、地域枠の活用等の助言)
        • 地方協議会の運営マニュアルの充実
        • 地方協議会の積極的開催、解剖等対応可能施設の把握、協議会による研修等への支援 等
      • その他
        • 地域の死因究明等・薬毒物検査の持続可能な体制の検討、整備の促進
        • 予防のためのこどもの死亡検証(CDR)について、課題検討、好事例の横展開、普及啓発等の推進
        • 検案医が死者の医療情報を迅速、確実に把握できるような仕組みの可能性の検討 等
  • 死因究明等に関し講ずべき施策
    • 人材育成等
      • 死体検案研修会等による検案医の増加と資質向上等
      • 法医解剖実施施設等で臨床研修の選択研修が可能であることの周知
      • 研修による警察等職員の育成等
    • 教育及び研究の拠点の整備
      • 大学を通じた教育・研究拠点整備の取組支援
    • 警察等における実施体制の充実
      • 検視官、鑑識官の効果的・効率的な運用
      • 必要な解剖、薬毒物検査、死亡時画像診断等の確実な実施
      • 適正かつ効果的な身元確認の推進
    • 死体の検案及び解剖等の実施体制の充実
      • 地域の死因究明等の持続可能な体制の検討、整備の促進
      • 解剖、画像診断、検査や施設設備整備の費用支援
      • 死亡診断書の様式、電子的交付の検討
      • 検案する医師が法医学者に相談できる体制の充実
    • 死体の科学調査の活用
      • 地域の薬毒物検査の持続可能な体制の検討、整備の促進
      • 死亡時画像診断の活用に係る費用の支援、研修会等による医師、診療放射線技師の増加と資質向上等
    • 専門的な機関の全国的な整備
      • 公衆衛生に活用される地方公共団体の体制整備の推進支援(死因究明センターの設置、地域枠の活用等の助言)
      • 死因究明等推進地方協議会運営マニュアルの充実
      • 死因究明等推進地方協議会の積極的な開催、解剖等対応可能施設等の把握、協議会による研修等への支援等
      • 大規模災害等に備えた体制の構築推進
    • 身元確認のための死体の科学調査の充実等
      • 歯科所見による身元確認のためのデータベース構築の検討
    • 情報の活用及び遺族等に対する説明の促進
      • 解剖等データベース運用の実現可能な体制等の方向性
      • 予防のためのこどもの死亡検証(CDR)の課題検討、好事例の横展開、普及啓発等を推進
      • 遺族等への丁寧な説明の促進
    • 情報の適切な管理
      • 情報管理の重要性の周知徹底による適切な管理
  • 中長期的な課題
    • 法医学や検案に対する関心拡大、人材のキャリアパスを含めた処遇確保、補助人材の法医学教育等の実施等による育成、確保等
    • 死因究明等推進地方協議会等を活用した、地方公共団体横断的な取組のあり方の検討
    • 検案医が死者の医療情報を迅速、確実に把握できるような仕組みの可能性の検討

厚生労働省 「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会」議論の取りまとめ
▼ 働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会 議論の取りまとめ
  • 多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方
    • 多様な働き方の実態
      • 被用者保険は従来、特定の事業所において一定程度働く労働者を、被用者や事業主による支え合いの仕組みに包摂してきたが、近年、働き方の多様化が進み、複数の事業所で働く者、フリーランスとして独立する者やプラットフォームワーカー等が増えてきている。
      • 副業を希望する雇用者は増加傾向にあり、本業も副業も雇用される形で働いている者は、2022(令和4)年時点で、約169.8万人となっている。副業をしている者の本業の所得を見ると、299万円以下の者が副業している者の約67%を占めている。
      • 本業がフリーランスとして働く者は、現在約209.4万人おり、業種別では、「建設業」が約49.7万人、「学術研究、専門・技術サービス業」が約36.7万人と他業種よりやや多いものの12、様々な業種に存在することが見て取れる。また、フリーランスの働き方は、雇用契約がないものの労働者に近い働き方から、従来の自営業者に近い働き方まで幅広く、多様である。
    • 複数の事業所で勤務する者
      • 事業主と被用者との関係を基盤として働く人々が相互に支え合う仕組みである被用者保険の適用においては、事業所単位で適用要件を満たすか判断するため、複数の事業所で勤務する者については、労働時間等を合算することなく、それぞれの事業所における勤務状況に応じて適用を判断している。
      • 複数の事業所で適用されることとなった場合、厚生年金保険においては、本人からの届出により主たる年金事務所を選択した上で、それぞれの事業所における給与を合算した額に基づき、保険料を負担し、年金給付を受けることとなる。健康保険においては、労働者本人からの届出により保険者を選択し、選択した保険者から健康保険証が発行されることとなる。保険料は、年金同様にそれぞれの事業所における給与を合算した額に基づき負担し、傷病手当金や出産手当金の現金給付についても、合算した額に基づき支給されることとなる。
      • 本懇談会の議論においては、複数事業所での労働時間等を合算すれば適用要件を満たす者について、全ての労働者に被用者保険を適用する観点から適用対象とすることが望ましいとの意見がある一方、事業所側で複数事業所勤務の状況を把握するのが困難であること、医療保険者の事務負担が大きいこと等、実務的な課題が多く指摘された。この点については、雇用保険においては、同時に2以上の雇用関係にある労働者について、当該2以上の雇用関係のうち、当該労働者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける1つの雇用関係についてのみ被保険者となるが、2022(令和4)年から65歳以上の労働者に限り本人からの申し出を起点として2つの事業所の労働時間を合算して適用する制度を試行し、2027(令和9)年を目途に検証することとされていることから、こうした制度の状況を踏まえて検討するべきとの意見や、マイナンバーやIT技術の活用等も視野に入れて検討するべき、現行の適用事務は事業所の事務負担が大きいことからまずは手続の合理化を進めるべきとの意見があった。
      • また、合算制度を導入する場合、1つの事業所のみで見ると週5時間や10時間といった労働時間の者も適用されることとなることに対して、被用者保険の適用対象にふさわしい「被用者」としての実態を備えていると言えるのかという課題や、事業主側から見て同様の働き方をしているにもかかわらず、一方は複数事業所勤務で合算により適用要件を満たし、他方は単独事業所勤務で適用要件を満たさない状況が生じることから、前者のみに対して、事業所が保険料を負担する正当性をどのように見出すか、制度論的な観点から検討する必要性も指摘された。
      • こうした意見を踏まえれば、複数の事業所で勤務する者について、労働時間等を合算する是非は、マイナンバーの活用状況や雇用保険の施行状況等を参考に、実務における実行可能性等を見極めつつ、慎重に検討する必要がある。その上で、まずは現行の事務手続を合理化し、事務負担軽減が図られるよう、具体的な検討を進めるべきである。
    • フリーランス等
      • 被用者保険においては、適用事業所に労務を提供し、その対価として給与や賃金を受ける使用関係がある者を「被用者」として被保険者としている。使用関係は、形式的な雇用契約によらず、実態に即して判断されることとなる。
      • フリーランスと呼称される方々については、様々な働き方があるが、その中でも、業務委託契約でありながら、実態としては被用者と同様の働き方をしている者については、本来、被用者保険が適用されるべき者である。こうした者の適用を確実なものとしていくため、2023(令和5)年、労働基準法上の労働者に該当する場合については、被用者保険においても被用者と認められることを明確化した上で、労働基準監督署において労働者であると判断した事案について、日本年金機構が情報提供を受け、その情報を基に適用要件に該当するか調査を行うことができる環境を整備した。
      • 諸外国においては、働き方の多様化、プラットフォームワーカーの拡大等の状況に対応するため、労働法制において推定方式の導入26等が検討されており、我が国においても、こうした国際的な動向を踏まえ、厚生労働省で開催している労働基準関係法制研究会にて、労働基準法上の労働者について議論が進められている。
      • 本懇談会においては、上記を踏まえ、労働基準法上の労働者に該当しない働き方をしている者への対応を中心に議論を行った。まず、こうした者の中でも、労働者に近い働き方をしているケースがあることから、労働者性・被用者性の概念をどう整理するかが必要であることが多く指摘され、まずは、労働法制における議論の状況等を注視し、それを踏まえて検討を進めるべきとの意見があった。
      • また、労働者性が認められる場合でも、雇用の流動性が高い働き方であれば、医療保険制度では保険者の変更が頻繁に起きる可能性や、労働者性の判断に疑義が生じた場合、裁判になると、結論を得るまで時間がかかる点に課題があるとの意見もあった。
      • 従来の自営業者に近い働き方の者に関しては、労働保険(労災保険・雇用保険)と異なり、国民皆保険・皆年金として国民健康保険や国民年金というセーフティネットが存在していることを踏まえ、労災保険の特別加入のような別途の仕組みを設けることには慎重な検討が必要とする意見や、医療保険制度では制度間の差が傷病手当金や出産手当金の現金給付に限られるため、国民健康保険の側の給付を充実させる方向も考えられるのではないかとの意見、収入など自身の置かれた状況を踏まえて被用者保険への加入・非加入の調整が生じないような仕組みを構築する必要があるとの意見、小規模企業共済のように被用者保険制度以外での支援も考えられるとの意見等、様々な観点から、被用者保険の適用を検討することに慎重な姿勢が示された。
      • こうした意見を踏まえれば、フリーランス等の働き方や当事者のニーズは様々であるが、現行の労働基準法上の労働者については、被用者保険の適用要件(雇用期間や労働時間等)を満たせば適用となることから、適用が確実なものとなるよう、労働行政との連携を強化しており、その運用に着実に取り組んでいくべきである。
      • その上で、労働基準関係法制研究会において、労働基準法上の労働者について国際的な動向を踏まえて検討がなされており、まずは、労働法制における議論を注視する必要がある。また、従来の自営業者に近い、自律した働き方を行っているケースについては、被用者保険が事業主と被用者との関係性を基盤として働く人々が相互に支え合う仕組みであること、医療保険制度や年金制度においては、労働保険と異なり、国民健康保険・国民年金というセーフティネットが存在することを踏まえ、諸外国の動向等を注視しつつ、中長期的な課題として引き続き検討していく必要がある。
  • おわりに
    • 本懇談会では、被用者保険の適用の在り方について、業界団体・労働者団体をはじめとする13の関係団体からヒアリングを行った上で、短時間労働者、個人事業所、複数の事業所で勤務する者、フリーランス等とそれぞれの観点から議論を重ねてきた。
    • 働き方が多様化する中で、被用者にふさわしい保障を実現していく意義や、働き方に中立的な制度を構築していく重要性は、基本的な方向として共通の認識が得られた。一方で、現行制度の見直しは、対象となる事業所において新たな負担が生じるほか、労働者の働き方や医療保険制度の在り方、保険者の財政等にも大きな影響があることから、そうした点に配慮しつつ、関係者の意見を伺いながら丁寧に議論していくことが不可欠である。
    • 今後、被用者保険の適用に関する議論は、社会保障審議会の医療保険部会や年金部会等において引き続き行われることとなるが、本懇談会で議論した検討事項は多岐にわたるため、次期制度改正で対応すべき点、中長期的に検討を進める点等、時間軸についても意識しながら検討を行い、必要な制度見直しが着実に進められることを期待する。

厚生労働省 2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況
▼ 概況
  • 2023(令和5)年6月1日現在における全国の世帯総数は5445万2千世帯となっている。
  • 世帯構造をみると、「単独世帯」が1849万5千世帯(全世帯の34.0%)で最も多く、次いで「夫婦と未婚の子のみの世帯」が1351万6千世帯(同24.8%)、「夫婦のみの世帯」が1339万5千世帯(同24.6%)となっている。
  • 世帯類型をみると、「高齢者世帯」は1656万世帯(全世帯の30.4%)となっている。
  • 65歳以上の者のいる世帯は2695万1千世帯(全世帯の49.5%)となっている。
  • 世帯構造をみると、「夫婦のみの世帯」が863万5千世帯(65歳以上の者のいる世帯の32.0%)で最も多く、次いで「単独世帯」が855万3千世帯(同31.7%)、「親と未婚の子のみの世帯」が543万2千世帯(同20.2%)となっている。
  • 65歳以上の者のいる世帯のうち、高齢者世帯の世帯構造をみると、「単独世帯」が855万3千世帯(高齢者世帯の51.6%)、「夫婦のみの世帯」が730万3千世帯(同44.1%)となっている。
  • 「単独世帯」をみると、男は35.6%、女は64.4%となっている。
  • 性別に年齢構成をみると、男は「70~74歳」が27.7%、女は「85歳以上」が24.9%で最も多くなっている。
  • 65歳以上の者は3952万7千人となっている。
  • 家族形態をみると、「夫婦のみの世帯」(夫婦の両方又は一方が65歳以上)の者が1593万8千人(65歳以上の者の40.3%)で最も多く、次いで「子と同居」の者が1337万8千人(同33.8%)、「単独世帯」の者が855万3千人(同21.6%)となっている。
  • 性・年齢階級別にみると、年齢が高くなるにしたがって男は「子夫婦と同居」の割合が高くなっており、女は「単独世帯」と「子夫婦と同居」の割合が高くなっている
  • 児童のいる世帯は983万5千世帯で全世帯の18.1%となっており、児童が「1人」いる世帯は478万2千世帯(全世帯の8.8%、児童のいる世帯の48.6%)、「2人」いる世帯は390万2千世帯(全世帯の7.2%、児童のいる世帯の39.7%)となっている。
  • 世帯構造をみると、「夫婦と未婚の子のみの世帯」が746万5千世帯(児童のいる世帯の75.9%)で最も多く、次いで「三世代世帯」が110万5千世帯(同11.2%)となっている。
  • 児童のいる世帯における母の仕事の状況をみると、「仕事あり」の割合は77.8%となっている
  • 2022(令和4)年の1世帯当たり平均所得金額は、「全世帯」が524万2千円となっている。また、「高齢者世帯」が304万9千円、「高齢者世帯以外の世帯」が651万1千円、「児童のいる世帯」が812万6千円となっている。
  • 所得金額階級別に世帯数の相対度数分布をみると、「100~200万円未満」が14.6%、「200~300万円未満」が14.5%、「300~400万円未満」が12.9%と多くなっている。
  • 中央値(所得を低いものから高いものへと順に並べて2等分する境界値)は405万円であり、平均所得金額(524万2千円)以下の割合は62.2%となっている。
  • 世帯主の年齢階級別に1世帯当たり平均所得金額をみると、「50~59歳」が758万5千円で最も高く、次いで「40~49歳」、「30~39歳」となっており、最も低いのは「29歳以下」の339万5千円となっている。
  • 世帯人員1人当たり平均所得金額をみると、「50~59歳」が309万4千円で最も高く、最も低いのは「70歳以上」の193万5千円となっている。
  • 各種世帯の所得の種類別1世帯当たり平均所得金額の構成割合をみると、全世帯では「稼働所得」が72.9%、「公的年金・恩給」が20.9%であるが、高齢者世帯では「公的年金・恩給」が62.9%、「稼働所得」が26.1%となっている
  • 公的年金・恩給を受給している高齢者世帯のなかで「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は41.7%となっている
  • 生活意識別に世帯数の構成割合をみると、「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」)が59.6%となっている
  • 各種世帯の生活意識をみると、「苦しい」の割合は、「高齢者世帯」が59.0%、「児童のいる世帯」が65.0%となっている

厚生労働省 令和5年度「過労死等の労災補償状況」を公表します
  • ポイント
    • 過労死等に関する請求件数 4,598件(前年度比1,112件の増加)
    • 支給決定件数 1,097件(前年度比193件の増加)
    • うち死亡・自殺(未遂を含む)件数 135件(前年度比14件の増加)
  • 脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況
    1. 請求件数は1,023件で、前年度比220件の増加。
      • うち死亡件数は前年度比29件増の247件。
    2. 支給決定件数は214件で前年度比20件の増加。
      • うち死亡件数は前年度比2件増の56件。
    3. 業種別の傾向
      • 業種別(大分類)
        • 請求件数は「運輸業、郵便業」244件、「卸売業、小売業」135件、「建設業」123件の順で多い。
        • 支給決定件数は「運輸業、郵便業」75件、「卸売業、小売業」29件、「宿泊業、飲食サービス業」25件の順に多い。
      • 業種別(中分類)
        • 請求件数、支給決定件数ともに業種別(大分類)の「運輸業、郵便業」のうち「道路貨物運送業」171件、66件が最多。
    4. 職種別の傾向
      • 職種別(大分類)
        • 請求件数は「輸送・機械運転従事者」200件、「専門的・技術的職業従事者」156件、「サービス職業従事者」135件の順で多い。
        • 支給決定件数は「輸送・機械運転従事者」67件、「サービス職業従事者」29件、「専門的・技術的職業従事者」22件の順に多い。
      • 職種別(中分類)
        • 請求件数、支給決定件数ともに職種別(大分類)の「輸送・機械運転従事者」のうち「自動車運転従事者」183件、64件が最多。
    5. 年齢別の傾向
      • 請求件数は「50~59歳」404件、「60歳以上」363件、「40~49歳」203件の順で多い。
      • 支給決定件数は「50~59歳」96件、「60歳以上」53件、「40~49歳」52件の順に多い。
    6. 時間外労働時間別(1か月又は2~6か月における1か月平均)の傾向
      • 支給決定件数は、「評価期間1か月」では「100時間以上~120時間未満」24件が最も多い。
      • また、「評価期間2~6か月における1か月平均」では「80時間以上~100時間未満」53件が最も多い。P13表1-6
  • 精神障害に関する事案の労災補償状況
    • 請求件数は3,575件で前年度比892件の増加。
      • うち未遂を含む自殺の件数は前年度比29件増の212件。
    • 支給決定件数は883件で前年度比173件の増加。
      • うち未遂を含む自殺の件数は前年度比12件増の79件。
    • 業種別の傾向
      • 業種別(大分類)
        • 請求件数は「医療、福祉」888件、「製造業」499件、「卸売業、小売業」491件の順で多い。
        • 支給決定件数は「医療、福祉」219件、「製造業」121件、「卸売業、小売業」103件の順に多い。
      • 業種別(中分類)
        • 請求件数、支給決定件数ともに業種別(大分類)の「医療、福祉」のうち「社会保険・社会福祉・介護事業」494件、112件が最多。
    • 職種別の傾向
      • 職種別(大分類)
        • 請求件数は「専門的・技術的職業従事者」990件、「事務従事者」782件、「サービス職業従事者」579件の順で多い。
        • 支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」259件、「事務従事者」154件、「サービス職業従事者」126件の順に多い。
      • 職種別(中分類)
        • 請求件数、支給決定件数ともに職種別(大分類)の「事務従事者」のうち「一般事務従事者」582件、107件が最多。
    • 年齢別の傾向
      • 請求件数は「40~49歳」953件、「30~39歳」848件、「50~59歳」795件の順で多い。
      • 支給決定件数は「40~49歳」239件、「20~29歳」206件、「30~39歳」203件の順に多い。
    • 時間外労働時間別(1か月平均)の傾向
      • 支給決定件数は「20時間未満」が63件で最も多く、次いで「100時間以上~120時間未満」が55件。
    • 出来事(※)別の傾向
      • 支給決定件数は、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」157件、「業務に関連し、悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」111件、「セクシュアルハラスメントを受けた」103件の順に多い。
        • ※「出来事」とは精神障害の発病に関与したと考えられる事象の心理的負荷の強度を評価するために、認定基準において、一定の事象を類型化したもの。
  • 裁量労働制対象者に関する労災補償状況
    • 令和5年度の裁量労働制対象者に関する脳・心臓疾患の支給決定件数は3件で、専門業務型裁量労働制対象者が2件、企画業務型裁量労働制対象者が1件であった。また、精神障害の支給決定件数は6件で、いずれも専門業務型裁量労働制対象者であった。
    • 複数業務要因災害※に関する脳・心臓疾患の決定件数は18件(うち支給決定件数5件)で、精神障害の決定件数は11件(うち支給決定件数4件)であった。
      • ※事業主が同一でない二以上の事業に同時に使用されている労働者について、全ての就業先での業務上の負荷を総合的に評価することにより傷病等との間に因果関係が認められる災害。

厚生労働省 内部通報に係る調査の結果について
  • 厚生労働省が契約していた委託事業に関し、職員より内部通報があったことを受けて調査を行い、その状況を令和6年4月19日付けで公表(別紙)していましたが、今般、調査が完了しましたので、公表します。
  • 今後、調査結果を踏まえて必要な対応を行うとともに、こうしたことが起こることの無いよう、再発防止に取り組んでまいります。
  • 新たに確認した事項
    • 令和2年度から令和4年度までの委託事業において、精算報告書の記載額と領収書等に一致しないものがあり、改めて確認した結果、令和2年度の委託事業及び令和4年度の委託事業において、精算額が過大となっていた。
    • 【要返還額】約560万円(令和2年度分;約69万円、令和4年度分;約491万円)
      • ※受託者より、確認の結果を踏まえた再精算報告書等を受領し、返還手続き中。
  • 今般の事案が生じた主な要因
    • 今般の事案において、再委託に係る必要な手続きが行われなかったことや、精算額が過大となっていたこと等が生じた主な要因としては以下が考えられる。
    • 担当管理職等においては、担当職員から複数回問題点の指摘があり、具体的な確認等により課題を把握、処理できていた可能性があったにもかかわらず、いずれも状況の把握や進捗の管理が不十分であったこと。
    • 担当管理職等において、会計法令等の理解が不十分であったこと。
  • 今後の対応
    • 再委託に係る必要な手続きが行われていなかったことについて、公共調達審査会等に報告を行う。
    • 関係職員について、調査結果を踏まえた適切な対応を行う。
    • 「4.再発防止策」について、速やかに実施する。
  • 再発防止策
    • 人材開発統括官において委託事業に従事する職員全員に対し、会計法令に関する認識や契約事務に関する知識等に関する再研修を行う。
    • 人材開発統括官において委託事業を所管する全管理職に対し、委託事業に係る会計法令や契約事務のポイント、適切な進行管理の実施について再研修を行う。

厚生労働省 第11回雇用政策研究会資料
▼ 【資料3】雇用政策研究会報告書(素案)② 概要
  • 人手不足下で展望される今後の労働市場
    • 日本の総人口は、2040年には現在の9割に減少し、65歳以上がおよそ35%を占めると推計されている。労働力人口は、1人あたりの実質経済成長や労働参加が現状から進まないと仮定し機械的に推計した場合には6002万人となるとされる一方、経済成長と多様な個人の労働参加が実現した場合には、6791万人となることが見込まれる。このような労働市場を実現するには、多様な個人の労働参加の促進と経済成長を実現するための労働生産性の向上が重要。
    • 人手不足については、労働需要量に対し労働供給量が追いついていない「労働需要超過型の人手不足」、企業側が求めるスキルを有する人材の不足による「構造的な人手不足」、求人と求職のミスマッチによって生じる「摩擦的な人手不足」といった類型が考えられ、処遇の改善等を通じた労働参加の促進、リスキリングの強化、労働市場のインフラ整備等のそれぞれの類型に合った処方箋が必要。
    • これまでの雇用政策では、労働者の能力向上に向けた施策の充実が図られてきた側面があるが、人手不足が深刻化する中にあっては、企業が労働者に選ばれる職場をつくる能力を高めることが重要。こうした職場づくりに向け、労使の適切なコミュニケーションが重要。
  • 多様な個人の労働参加
    • 多様な個人の労働参加に向け、長時間労働を是正するとともに、様々な選択肢が提示できる雇用管理への転換が必要。
    • ミドル・シニア世代の人材活用に向け、ワーク・エンゲージメントを下げないような取組みや、地域に貢献し地域と繋がるような仕組みの強化が重要。
    • 家庭等の事情に関わらず希望する働き方の実現に向け、職場・家庭の役割分担の見直しへの社会的な機運の醸成が必要。さらに、個々の労働者の健康状態に合わせ対応できる職場環境の整備も重要。
    • 地域の人手不足への対応として、地域間でのマッチングの促進を通じ、地域の担い手を確保することが必要。
    • 外国人労働者への対応として、選ばれる国であり続けるよう、キャリアアップが見込める等の雇用環境の整備や、日本の受入制度と送出国のニーズ等の調和に向けた戦略的対応が重要。
  • 新たなテクノロジー等を活用した労働生産性の向上
    • 労働生産性の向上に向けては、新たなテクノロジーの活用だけでなく、従来行われてきた省力化投資や業務改善を行うとともに、雇用の質を高めるべく人的資本投資を行っていくことが必要。
    • 新たなテクノロジーの活用に際しては、労使コミュニケーションの深化とテクノロジーの進展によるタスク・スキル変化のモニタリングを通じ、労働者が担うべきタスクの検討を進めるとともに、技術変化を踏まえたキャリア形成支援・職業訓練の充実により、労働者がテクノロジーに代替されないスキルを深化させることが重要。
    • さらに生成AI・AI等の活用促進にむけては、働き方改革を同時に進めるなど一層のウェルビーイングに配慮した対応が必要。
  • 労働市場のインフラ整備等
    • テクノロジーの進歩や個人の就労ニーズの多様化の中、人材育成支援(キャリア形成支援やスキルの習得)、労働市場の見える化といった労働市場のインフラ整備が重要。
    • 企業内の人材育成支援については、自律的・主体的なキャリア形成が行える仕組みや、スキルの習得に取り組んだ人材が、自社内で処遇される仕組み作りが重要。
    • 職業人生が長期化する中、様々な選択肢の中で、個人が活躍できる労働市場の構築に向け、以下の構築が重要。
      • 自律的・主体的にキャリアに関する相談や必要なスキルの習得ができる環境
      • 処遇改善に繋がるキャリアラダーが見える労働市場
    • 人材育成により、獲得したスキルが評価され、賃金等に反映され、更なるステップアップに繋がるという好循環を実現できる労働市場の機能強化が重要。

【2024年6月】

厚生労働省 第4回女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム
▼ 資料2-1 中間とりまとめ(案)概要
  • 本プロジェクトチーム設置の背景・趣旨
    • 我が国の男女間賃金格差は、長期的には縮小傾向にあるが、欧米主要国と比較すると依然として大きい。
    • 男女間賃金格差は、産業ごとにばらつきがあり、企業規模別では大企業の方が大きい。
    • 女性活躍は、人口減少下での労働供給増、生涯所得向上、老後の支えの強化を通じた消費拡大、イノベーション促進等の経済的意義。
    • 女性が出産後に就労継続する場合、出産後に離職し再就職しない場合と比べ、世帯の生涯可処分所得は約1.7億円増加との試算。「年収の壁」を超えてパートで復職した場合(年収150万円) 、「年収の壁」内で働く場合(年収100万円)と比べ世帯の生涯可処分所得は約1,200万円増加。
    • 男女間賃金格差が大きい地域から若い女性が流出している可能性があり、格差解消は地域経済の持続性を高める上でも重要。
    • まずは、大企業を中心に、男女間賃金格差の大きい産業等の実態を把握し、課題を整理した上で、男女間賃金格差の解消に向けた職場環境の変革、女性活躍の一層の推進に向けた対応策について検討
  • 各業界における実態・課題の分析・対応策の整理
    • 概ね産業共通に見られた課題
      • 男女間で勤続年数の差がある←仕事と家庭の両立がしにくい勤務状況(長時間労働等)による出産・育児等での離職、キャリアの中断
      • 男女の管理職登用に差がある←女性の勤続年数が短い、ロールモデルがいない・少ない
      • 管理職、本人等の意識・職場の風土の問題←「○職は男性」「□職は女性」等のアンコンシャスバイアス
    • 各産業において見られた課題・要因と企業等での対応策例
      • 金融業,保険業
        • 【課題】総合職・一般職の男女の配置の偏り(例:大手で総合職の女性比率が1~2割(採用では3~4割)のところが多い、一般職の女性比率が9割以上等)、総合職の中での男女の職務の偏り
        • 【要因】総合職の転勤や長時間労働の敬遠、窓口業務や一般職は女性という意識
        • 【対応策】女性管理職割合の数値目標設定、一般職を廃止し、総合職への一本化等の職種再編等
      • 食品製造業
        • 【課題】労働者全体に占める女性割合が高い(55.4%、産業計47.6%)一方で、管理職に占める女性割合が低い(7.4%、産業計11.2%)
        • 【要因】育児等に加え近年は配偶者転勤による女性の離職、昇進への不安等
        • 【対応策】柔軟な働き方の促進(配偶者同行休業含む)、成果で評価する社風や制度づくり等
      • 小売業
        • 【課題】店舗におけるパートタイム雇用など、労働者全体に占める非正規雇用労働者の割合が高く(71%)、非正規雇用労働者に占める女性の割合が高い(女性77%)エリア総合職・一般職の従業員が、本社管理職を希望しない場合あり
        • 【要因】本社の勤務形態(転勤、融通性の少ない労働時間)を敬遠する、年収の壁等
        • 【対応策】非正規雇用労働者の待遇改善、店舗リーダー等上位職へのキャリアアップとともに、地域限定正社員や短時間勤務制度など正社員としての多様な働き方の実現等
      • 電機・精密業
        • 【課題】技術職女性人材の少なさ(正社員採用に占める女性比率が26.5%と、産業計(34.9%)より8.4%低い)管理職一歩手前のポストへの昇進における男女登用差
        • 【要因】理工学部出身の女性割合が低く、女性の採用が少ないため、ロールモデルが少ない
        • 【対応策】理工系女性の育成、採用増加、女性管理職の育成等
      • 航空運輸業
        • 【課題】職種ごとの男女比率に差が大きい(女性比率:操縦士1.7%、客室乗務員99.8%)、女性の勤続年数が短い
        • 【要因】「操縦士は男性」「客室乗務員は女性」との先入観、海外含む宿泊を伴う勤務
        • 【対応策】ロールモデル紹介、育児期にバックオフィスに配置する等の職場環境の改善、国際比較を含む実態調査、更衣室等のハードの整備等
  • 各業界における男女間賃金格差の解消に向けたアクションプラン策定
    • 業界や企業は、引き続き実態の把握、課題の分析等に取り組みつつ、継続的な女性の登用、継続就業を可能とする仕事と家庭の両立支援や働き方の見直し、職種の再編など人事改革、アンコンシャスバイアスを含めた意識変革、リ・スキリング、労働環境改善、非正規雇用労働者の処遇改善等に取り組むことが重要。
    • まずは、今回分析した5産業について、課題の整理を引き続き深めつつ、男女間賃金格差解消に向けたアクションプランを、業界において、令和6年内に策定に着手し、できるだけ早期に公表することを要請する。
    • 業界としての課題を踏まえ、女性活躍に関する目標を設定するとともに、定期的に実態を確認し、必要に応じてアクションプランを見直すといったPDCAの実施
    • 傘下企業に対し、女性活躍に関する状況把握の基礎4項目(女性採用者割合、男女の平均継続勤務年数、女性管理職割合、労働者の平均残業時間数)の情報開示と賃金格差要因分析のツールを活用した自主点検を促すとともに、これらの取組について女性の活躍推進企業データベース(女活DB)を活用するよう促す
    • この他の産業については、上記5産業におけるアクションプランの検討も参考にしつつ、並行して検討を深める。
  • アクションプランを支えるための政策的対応の方向性
    1. 男女間賃金格差の「見える化」の促進等
      • 現状・課題
        • 女性活躍推進企業データベース(女活DB)では、全国2.2万社を超える企業がデータを公表しているが、女性管理職割合のみランキング表示が可能。
        • 女活DB上で男女賃金格差の公表は開示義務対象(労働者数301人以上。約17000社)の7割強にとどまる。
      • 政策的対応の方向性
        • 女性管理職割合及び女性の平均勤続年数の一覧性(ランキング表示)を強化し、解像度を向上
        • 女活DBへの登録社数の増加に向けた取組の強化
        • 白書等において男女間賃金格差の分析を深化 等
    2. 自社の分析や女性登用等の対策を実施する企業への支援
      • 現状・課題
        • 男女間賃金格差の公表にあたっては数値情報のみならず、背景にある課題や要因の分析が必要だが、その分析が不十分な企業もみられる。
      • 政策的対応の方向性
        • 賃金格差要因分析のツールの作成・活用促進
        • 中小企業に対するコンサルティング等の相談支援 等
    3. 継続就業等に向けた仕事と家庭の両立支援
      • 現状・課題
        • 出産前後で離職する女性は減少しつつも一定数存在。
        • 女性の育児休業取得率80%に対し、男性は17%と低い水準。
      • 政策的対応の方向性
        • 改正育児・介護休業法等の着実な施行 等
          • 子の年齢に応じた柔軟な働き方の実現
          • 男性育休取得率の公表義務の対象拡大
          • 一般事業主行動計画策定時の数値目標(男性育休取得率、時間外・休日労働)の設定の義務付け 等
    4. 非正規雇用労働者の処遇改善等の支援
      • 現状・課題
        • 近年労働市場参入が進んだ女性は、非正規雇用の割合が高止まり(女性53.2%、男性22.6%)。
        • 不本意非正規雇用の割合(女性6.9%、男性15.3%)は減少するも、正規雇用は長時間労働、非正規雇用は雇用が不安定、正規雇用との賃金差、教育訓練機会等に課題。
        • 年収の壁を意識した就業調整。
      • 政策的対応の方向性
        • 正規・非正規雇用間の賃金差とその理由、キャリアアップに向けた取組(正社員転換等)の状況の点検・分析を促進
        • 労働基準監督署等における同一労働同一賃金の更なる徹底、「多様な正社員」制度の普及と正社員化の一体的推進
        • 非正規雇用労働者に対するリ・スキリング支援
        • 「年収の壁・支援強化パッケージ」の活用促進、短時間労働者への被用者保険の適用拡大に向けた取組 等
    5. 女性の少ない分野への対策を含む社会全体での女性の活躍の後押し
      • 現状・課題
        • 若いうちからの働きかけがジェンダー意識にとらわれない行動変容につながるとの指摘。
        • 大学で理工系を専攻する女性は7%にとどまる。
        • 理工系分野など女性が少ない業界・職種では男性経営者・管理職等の先入観により女性の受け入れが進んでいない可能性。また、社会全体におけるアンコンシャスバイアスの存在は引き続き大きな課題。
      • 政策的対応の方向性
        • 好事例やロールモデルの紹介等を通じた企業・大学・学術団体等による理工系女性人材の育成の促進
        • アンコンシャスバイアスを払拭すべく、重点的な広報と企業の意識と理解の促進を図る戦略的な周知啓発の展開 等
  • 女性の出産後の働き方別 世帯の生涯可処分所得:試算結果
    • 就労継続・正社員の場合、再就職しない場合に比べ、税・社会保険料支払い後の世帯の生涯可処分所得が約1.7億円多いとの試算結果。
  • パートタイムとして「年収の壁」を超えて働いた場合の生涯可処分所得増
    • 出産後にパートタイムとして復職した際に、「年収の壁」を超えて年収150万円で働く場合、就業期間中の給与所得の増加に加え、退職後の年金所得の増加により、「年収の壁」内で働く場合と比べ世帯の生涯可処分所得は合計1,200万円増加。時給増により、更に所得が増える可能性。年収200万円で働く場合、世帯の可処分所得は合計2,200万円増加。

厚生労働省 「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」を6月20日から実施します~薬物乱用防止のためのキャンペーンと国連支援募金運動を全国各地で実施~
  • 6月26日は国連の「国際麻薬乱用撲滅デー」(*)です。これを踏まえ、厚生労働省、都道府県および(公財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターでは、6月20日(火)から7月19日(水)までの1カ月間、「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」を実施します。この運動は、国民一人一人の薬物乱用問題に関する認識を高めるため、正しい知識の普及、広報啓発を全国的に展開するもので、平成5年から毎年行っています。
  • 日本における薬物情勢は、大麻の検挙者数が急激に増加しており、令和5年の大麻事犯検挙者数も過去最多を更新するとともに、統計を開始して以降初めて覚醒剤事犯検挙者数を越えるなど、非常に高い水準を維持しています。特に、若年層の大麻乱用が顕著で、30歳未満が大麻検挙者の7割以上を占めています。よって、増加の一途をたどる若年者の大麻の乱用防止に重点を置きつつ、身近な人も含め、薬物乱用が疑われる時は、一人で悩まずに近隣の相談窓口(※)で相談するよう促し、適切な治療・支援につながるよう啓発していきます。厚生労働省、都道府県、(公財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターでは、警察庁をはじめとする関係機関や日本民営鉄道協会などの民間団体に協力を呼びかけ、官民一体となった薬物乱用防止普及運動を積極的に展開していきます。
    • (*)国連が1987年にウィーンで開催した「国際麻薬閣僚会議」の終了日である6月26日を、「国際麻薬乱用撲滅デー」とすることが決定。国連加盟各国では、麻薬撲滅に向けた様々な取り組みを行っています。
  • 「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」概要
    • 実施期間:令和6年6月20日(木)から7月19日(金)まで
    • 実施機関:
      • 主催 厚生労働省、都道府県、(公財)麻薬・覚せい剤乱用防止センター
      • 協賛 国際連合(国連薬物犯罪事務所)、
      • 後援 警察庁、こども家庭庁、総務省、法務省、最高検察庁、外務省、財務省税関、文部科学省、経済産業省、国土交通省、海上保安庁
      • 関係団体46団体
    • 国連支援募金:(公財)麻薬・覚せい剤乱用防止センターでは、国連や関係団体の協賛、関係省庁の後援により国連支援募金運動を行います。この募金運動を通じて、地球規模での薬物乱用防止に関する理解と認識を高めるとともに、寄せられた善意の募金は、開発途上国で薬物乱用防止活動に従事する民間団体(NGO)の活動資金として国連に寄付されるほか、国内の啓発事業にも役立てられます。

厚生労働省 令和5年の労働災害発生状況を公表~死亡者数は過去最少、休業4日以上の死傷者数は3年連続で増加~
  • 厚生労働省では、このたび、令和5年の労働災害発生状況を取りまとめましたので公表します。
  • 令和5年1月から12月までの新型コロナウイルス感染症へのり・患によるものを除いた労働災害による死亡者数は755人(前年比19人減)と過去最少となりました。休業4日以上の死傷者数は135,371人(前年比3,016人増)と3年連続で増加しました。
  • また、新型コロナウイルス感染症へのり患による労働災害による死亡者数は4人(前年比13人減)、死傷者数は33,637人(前年比122,352人減)となりました。
    • ※ 新型コロナウイルス感染症へのり患によるものを含めた労働災害による死亡者数は759人(前年比32人減)、休業4日以上の死傷者数は169,008人(前年比119,336人減)。
  • 労働災害を減少させるために国や事業者、労働者等が重点的に取り組む事項を定めた中期計画である「第14次労働災害防止計画」(以下「14次防」という。)(令和5年度~令和9年度)では、令和9年までに令和4年比で「建設業及び林業においてそれぞれ死亡災害を15%以上」、「製造業における機械によるはさまれ・巻き込まれの死傷者数を5%以上、陸上貨物運送事業の死傷者数を5%以上」減少させること等を目標にしています。
  • 計画の第二年度となる令和6年度は、目標の達成に向け、労働者の作業行動に起因する労働災害対策、高年齢労働者、多様な働き方への対応や外国人労働者等の労働災害防止対策、陸上貨物運送業、建設業、製造業や林業への対策、労働者の健康確保対策、化学物質等による健康障害防止対策などに取り組んでいきます。
  • また、全国安全週間(7月1日~7日)とその準備月間(6月1日~30日)では、厚生労働省、都道府県労働局から事業場、関係業界団体等に対して、積極的な労働災害防止活動の実施を働きかけます。
  • 令和年5労働災害発生状況の概要
    • 死亡者数
      • 死亡者数は755人と、過去最少となった。
      • 業種別では、件数の多い順に、建設業が223人(前年比58人・20.6%減)、製造業が138人(同2人・1.4%減)、陸上貨物運送事業が110人(同20人・22.2%増)、商業が72人(同9人・11.1%減)となった。
      • 事故の型別では、件数の多い順に、「墜落・転落」が204人(前年比30人・12.8%減)、「交通事項(道路)」が148人(同19人・14.7%増)、「はさまれ・巻き込まれ」108人(同7人・6.1%減)となった。
    • 休業4日以上の死傷者数
      • 死傷者数は135,371人となり、3年連続で増加となった。
      • 業種別では、件数の多い順に、製造業27,194人(対前年比500人・1.9%増)、商業21,673人(同29人・0.1%減)、保健衛生業18,786人(同1,549人・9.0%増)、陸上貨物運送事業が16,215人(同365人・2.2%減)となった。
      • 事故の型別では、件数の多い順に「転倒」が36,058人(前年比763人・2.2%増)、腰痛等の「動作の反動・無理な動作」が22,053人(同1,174人・5.6%増)、「墜落・転落」が20,758人(同138人・0.7%増)となった。
    • 第14次労働災害防止計画のアウトカム指標に関する状況
      • 転倒災害の死傷年千人率は、0.628(対前年比0.009ポイント・1.5%増)となった。
      • 転倒による平均休業見込日数は、48.5日(同1.0日・2.1%増)となった。
      • 60歳代以上の死傷年千人率は、4.022(同0.061ポイント・1.5%増)となった。
      • 外国人労働者の死傷年千人率は、2.77(同0.13ポイント・4.9%増)となった
      • 陸上貨物運送事業における死傷者数は、16,215人(同365人・2.2%減)となった。(再掲)
      • 建設業における死亡者数は、223人(同58人・20.6%減)となった。(再掲)
      • 製造業における機械による「はさまれ・巻き込まれ」の死傷者数は、4,908人(同23人・0.5%増)となった。
      • 林業における死亡者数は、29人(同1人・3.6%増)となった。
      • 増加が見込まれる転倒の年齢層別死傷年千人率を令和9年までに男女ともその増加に歯止めをかける。
      • 転倒による平均休業見込日数を令和9年までに40日以下とする。
        • ※増加が見込まれる60歳代以上の死傷年千人率を令和9年までに男女ともその増加に歯止めをかける。
      • 外国人労働者の死傷年千人率を令和9年までに労働者全体の平均以下とする。
      • 陸上貨物運送事業における死傷者数を令和9年までに5%以上減少させる。
      • 建設業における死亡者数を令和9年までに15%以上減少させる。
      • 製造業における機械による「はさまれ・巻き込まれ」の死傷者数を令和9年までに5%以上減少させる。
      • 林業における死亡者数を、伐木作業の災害防止を重点としつつ、労働災害の大幅な削減に向けて取り組み、令和9年までに15%以上減少させる。 等

厚生労働省 「令和4年生活のしづらさなどに関する調査」の結果を公表します
▼ 【別添1】令和4年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)結果概要
  • 今回の調査結果によると、障害者手帳所持者数は、6,100千人と推計される(前回から506千人増)。このうち、身体障害者手帳が4,159千人、療育手帳が1,140千人、精神障害者保健福祉手帳が1,203千人となっている。
  • 障害種別では、肢体不自由の割合が最も高く、全体の38.0%となっている。
  • 年齢階級別で対前回比をみると、60~69歳で減少が大きくなっている。
  • 障害程度別でみると、重度は420千人、その他は587千人と推計される。また、年齢階級別で対前回比をみると、0~17歳で増加が大きく、全体の24.8%を占めている。
  • 障害等級別にみると、2級の精神障害者保健福祉手帳所持者が608千人と最も多く、全体の50.5%となっている。また、年齢階級別で対前回比をみると、各年齢階級で増加している。心身の状態に関する設問それぞれについて苦労のある者の状況についてみると、「歩いたり階段を上るのが難しいといった苦労はありますか。」について、「とても苦労します」、「全く出来ません」の割合が高くなっている。
  • 日常生活のしづらさの状況についてみると、「買い物をする」について、自分ではできない割合が高くなっている。
  • 社会生活の状況をみると、日中の過ごし方について、「仕事や教育・保育以外」が最も多い回答となっている。日中の過ごし方の詳細では「主に家で過ごしている(家事、育児、介護等をしている場合を含む)」が最も多い回答となっている。
  • 障害福祉サービスの利用状況をみると、およそ2割が「サービスを利用している」と回答があった。
  • 特に必要と考えている支援をみると、手当・年金・助成金等の経済的援助43.3%、身近な医療機関に通院して医療を受けること26.6%、医療費の負担軽減22.5%の順に多くなっている。

厚生労働省 6月は「外国人雇用啓発月間」です 「ともに創ろう、みんなが働きやすい職場 ~外国人雇用はルールを守って適正に~」が今年の標語です
  • 厚生労働省は、6月1日からの1か月間を「外国人雇用啓発月間」とし、「ともに創ろう、みんなが働きやすい職場 ~外国人雇用はルールを守って適正に~」を今年の標語に、適正な外国人雇用に関する積極的な周知・啓発活動を行います。
  • 外国人労働者の就労状況を見ると、派遣・請負の就労形態での雇用が多く、雇用が不安定な場合や、労働・社会保険関係法令が遵守されていない事例などが見られます。
  • この状況を受け、現在、政府は一丸となって外国人材の受入れ・共生のための取組みを推進しており、外国人の雇用について、さまざまな対策を実施しています。
  • 厚生労働省では、この月間を通して、事業主団体などの協力のもと、事業主を対象に労働条件などルールに則った外国人の雇用や外国人労働者の雇用維持・再就職援助などについて積極的な周知・啓発活動を行っていきます。

【国土交通省】

【2024年7月】

国土交通省 令和6年能登半島地震で発生した災害廃棄物の海上輸送による広域処理が始まりました
  • 令和6年能登半島地震により被害を受けた家屋等の解体工事の本格化に伴い、円滑な災害廃棄物処理を進めるため、7月11日より、石川県の宇出津港から新潟県の姫川港(リサイクルポート)への海上輸送による広域処理が始まりました。
  • 石川県では、令和6年能登半島地震により被害を受けた家屋等の解体工事の本格化に伴い、円滑な災害廃棄物処理を進めるため、県外での広域処理も必要となっています。
  • この度、7月11日より、以下のとおり海上輸送による広域処理が始まりましたので、お知らせ致します。
  • 今後、宇出津港に加え飯田港からも海上輸送による広域処理が実施される予定であり、港湾においても被災地の早期の復旧・復興に貢献してまいります。
    • 開始日:令和6年7月11日(木)
    • 輸送した災害廃棄物:種類木くず(能登町の公費解体で発生した解体ごみ)容量2,000m3
    • 輸送ルート:宇出津港(石川県鳳珠郡能登町)~姫川港(新潟県糸魚川市)
    • 処理先:糸魚川市内の中間処理施設(カネヨ運輸株式会社)において破砕後、同市内のセメント製造施設(デンカ株式会社)の燃料として使用

国土交通省 交通政策審議会 答申(防災部会)(令和6年7月)
▼ 【答申概要】令和6年能登半島地震を踏まえた港湾の防災・減災対策のあり方
  • 地震・津波による災害リスク
    • 能登半島地震の被害状況と初動対応
      • 石川県を中心に計22港において、岸壁の変位、背後の沈下、津波、地盤の隆起等の被害が発生
      • 事前の解析の有無により利用可否判断に要する時間に大幅な差
      • 応急復旧に必要な資機材を現地調達することにより迅速な復旧が可能
    • 能登半島地震における被災地支援活動
      • 岸壁前面の航路・泊地や背後の荷さばき地・道路の被災が円滑な支援活動の妨げに
      • 支援船は、能登半島地域近傍の港湾で支援物資の積み込みや補給を行い、被災地の港湾との間を往復
      • 能登半島地域の港湾でのみ国による岸壁の利用調整等を実施したが、能登半島地域外では支援船の輻輳が発生
    • 今後の大規模災害発生リスク
      • 南海トラフ地震・首都直下地震等大規模地震の30年以内発生確率が70~80%と切迫化
      • 大規模地震時には、代替港湾等に取扱能力を超える貨物が集中するなど、被災地外へも影響が波及する恐れ
  • 今後の大規模災害リスク等を見据えて取り組むべき施策
    • 施策推進にあたっての基本的な考え方
      • 既存ストックや他機関・民間のリソースも活用しながら、ハード面、ソフト面の施策について推進
    • ハード面の対策
      • 海上支援ネットワークの形成のための防災拠点
        • 耐震強化岸壁、内陸へ繋がる道路、物資の仮置き等のための背後用地や緑地、航路・泊地等、一気通貫した施設の耐震化・液状化対策等により災害時の健全性を確保(地域防災拠点)
        • 地域防災拠点に加えて、支援船への補給・物資積み込み等の後方支援に利用される支援側港湾の役割も想定し、耐震強化岸壁等必要な規模の施設の健全性を確保(広域防災拠点)
      • 耐津波性の確保
        • 防波堤等の粘り強い構造化、航路・泊地の埋塞等の早期復旧等に資する対策の検討、水門・陸閘等の自動化・遠隔操作化等の推進
      • 迅速な施設復旧
        • 復旧に必要な砕石や重機等の資機材の備蓄、関係事業者との協定締結、作業船の確保の体制構築等の事前の備え
      • 幹線物流の維持
        • 我が国の産業・経済に甚大な影響を与えないよう、コンテナ、フェリー・RORO等の幹線物流について、強靱な物流ネットワークを確保
    • ソフト面の施策
      • 港湾BCP・広域港湾BCPの実効性向上
        • 港湾BCPの地方港湾での策定や不断の見直し・拡充、訓練の実施による連携強化
        • 地域防災拠点・広域防災拠点の連携・役割分担等、広域災害を想定した計画策定
      • 災害発生時の対応の迅速化・的確化
        • ドローン・衛星、夜間監視が可能なカメラ等の利活用による施設点検の迅速化
        • 構造物の変状計測の自動化・的確化、判断に必要となる情報を共有するツールの構築・運用等による施設の利用可否判断の迅速化
        • 支援側港湾においても支援船等の利用調整による港湾利用の最適化を通じた被災地支援の円滑化
      • 関係機関・民間との連携
        • 訓練実施等による災害時の海と陸の連携、港湾間、関係機関との連携体制の強化
        • 臨海部の倉庫や民間船舶等、民間のリソース活用のための体制づくり(協定締結、訓練の実施、民間のBCP策定の推進等)
      • 情報共有ツール
        • 防災情報の一元化・共有のための「防災情報システム」の推進・高度化によるソフト面の各施策の更なる円滑化

国土交通省 令和5年度完成工事の98%以上で週休2日を達成!~営繕工事における「週休2日促進工事」の取組状況について~
  • 国土交通省では、週休2日に取り組む営繕工事を対象にモニタリングを実施しています。
  • 令和5年度に完成した工事では98%以上で週休2日を達成し、前年度より高い達成率となりました。引き続き、受注者へのアンケート結果等を踏まえて、発注者の対応について必要な改善を図りつつ、「月単位の週休2日」の確保に向けた取組を推進してまいります。
  • 背景
    • 営繕工事においては、政府の「働き方改革実行計画」に示された方針などに基づき、平成29年度から週休2日の確保に取り組むとともに、モニタリングを実施し、週休2日確保の阻害要因の把握や改善方策の検討を進めています。平成30年度からは、労務費補正等の試行を行う「週休2日促進工事」を導入して取組の拡大を図りつつ、継続してモニタリングを実施しています。
    • 今般、令和5年度に完成した週休2日促進工事の取組状況をとりまとめました。
  • 取組状況(概要)
    • 令和5年度に完成した対象工事128件のうち126件(98.4%)で週休2日を達成しました。前年度(97.1%)と比べて1.3ポイント増加しています。
    • 週休2日を達成できた要因としては「受発注者間で円滑な協議が実施されたため」「適正な工期設定がなされたため」が多く挙げられています。
    • 週休2日を達成できなかった要因としては「職人の確保が困難であったため」等が挙げられています。
  • 今後の方針
    • 今年度より、工期中の全ての月において4週8休以上を目指す「月単位の週休2日」の確保に向けた取組を推進しています。
    • 引き続き、アンケート結果等を踏まえて、執務並行改修などで施工上の制約となる条件について、工事発注前の案件形成段階から施設利用者等と十分に調整を行うなど、発注者の対応について必要な改善を図ってまいります。

国土交通省 災害時に電動車は移動式の非常用電源として使えます
  • 多くの電動車は、外部給電機能を備えており、災害時に移動式の非常用電源として活用できます。しかしながら、非常時に電動車から給電できることを認識されていない方もいらっしゃるため、改めて紹介いたします。詳しくは新たに開設した以下のホームページをご覧ください。
    https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn7_000008.html
  • 電動車をお持ちの皆様
    • 電動車(電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車)は100V用電源コンセントを有する車種も多く存在します。災害等に備えて、添付資料のマニュアルとあわせて、是非ご確認ください。
  • 自治体の皆様
    • 台風や地震などの災害時には、停電が発生する恐れがありますが、電動車を移動式の非常用電源として活用することにより、避難所等に給電することができます。令和6年能登半島地震による停電の際には、自動車メーカー等が被災地に電動車を派遣し、外部給電機能を活用した活動を行いました。
    • 国土交通省においては、経済産業省と連携し、添付資料のマニュアルを整備しておりますので、自治体の皆様におかれましては、ご参考にしてください。
    • また、災害時における電力の確保を目的として、自治体と自動車メーカー等において災害時の連携に関する協定を締結する動きが全国で加速しています。
    • さらに、自治体と自動車メーカー等による電動車の派遣実証(訓練)も増えてきています。自治体や自動車メーカー等からは、協定締結に関する情報や災害時の活用事例、訓練の様子などが公開されていますので、あわせてご参考にしてください。
  • 参考

国土交通省 型式指定申請における不正行為の有無等に関するトヨタ自動車(株)からの調査結果報告について
  • 本日、トヨタ自動車より、型式指定申請における不正行為に関する同社の調査結果の報告を受けました。
  • この報告の中で、5月末時点で判明したもの(※)以外の不正行為は確認されなかった旨の報告がありました。※:現行生産車3車種及び過去生産車4車種に対する不正行為
  • 国土交通省としては、道路運送車両法に基づき、トヨタ自動車に対して更なる調査を実施し、その結果を踏まえ、厳正に対処して参ります。
  • トヨタ自動車からの報告概要
    • 調査の結果、5月末時点で判明したもの(※)以外の不正行為は確認されなかった。
      • ※現行生産車3車種について、歩行者保護試験における虚偽データの提出等
      • ※過去生産車4車種について、衝突試験における試験車両の不正加工等
  • 国土交通省の対応
    • 同社の報告を踏まえ、以下のとおり指示を行った。
      • 不正行為の原因とその背景を継続調査し、速やかに報告すること
    • 今後、以下のとおり対応を行う。
      • トヨタ自動車へ立入検査を行い、不正行為の事実関係等の更なる確認を行ったうえで、トヨタ自動車による原因調査結果も踏まえ、道路運送車両法に基づき厳正に対応する。

国土交通省 住宅宿泊管理業者への全国一斉立入検査結果(令和5年度)
  • 国土交通省では、令和5年6月から令和6年3月にかけ、全国38業者の住宅宿泊管理業者へ立入検査を実施し、うち34業者に是正指導を行いました。
  • 引き続き、立入検査等を通じて住宅宿泊管理業の適正化に向けた指導を行って参ります。
  • 住宅宿泊管理業者は、住宅宿泊事業法(以下「法」という。)に基づき適正に住宅宿泊管理業を営むことが必要です。
  • このため、令和5年度において、法に基づき、全国38業者に対して立入検査を行うとともに、34業者に対して是正指導を行いました。
  • 是正指導事項別の指導件数は、「証明書の携帯等義務違反」及び「帳簿の備付け等義務違反」が最も多く、次いで「住宅宿泊事業者への定期報告義務違反」となっており、多くの住宅宿泊管理業者において、法に対する理解不足がみられる結果となりました。
  • なお、34業者すべてにおいて是正等がなされたことを確認しています。
  • 国土交通省としては、引き続き、立入検査等を通じた指導を行い、法令違反に対しては、法に基づき、厳正かつ適正に対処して参ります

国土交通省 「令和6年版国土交通白書」を公表します。~持続可能な暮らしと社会の実現に向けた国土交通省の挑戦~
▼ 【資料1】令和6年版国土交通白書 概要
  • 我が国は、少子化の進行が危機的な状況にある。少子化の進行は、将来にわたって、人口(特に生産年齢人口)の減少、高齢化の進展を通じ、経済規模の縮小、産業や社会の担い手不足、地域の衰退等、我が国の経済や社会に深刻な影響を及ぼすことから、少子化に歯止めをかけ、出生率を向上させることが何よりも重要である。
  • このような中、こども家庭庁が発足し(2023年4月)、こどもまんなか社会や次元の異なる少子化対策の実現に向け、こども大綱やこども未来戦略が策定された(同年12月閣議決定)。第三次国土形成計画(全国計画)(同年7月閣議決定)においても、人口減少等の加速による地方の危機等、直面する課題に対応するため、地域の活性化の将来ビジョンとして「地域生活圏の形成」を打ち出すなど、「新時代に地域力をつなぐ国土」を目指すこととしている。
  • 国土交通行政は、社会資本、交通をはじめ国民一人ひとりの暮らしと密接に関わっている。人口減少がもたらす影響を最小限に抑え、我が国の経済成長、地域の足の確保や担い手不足への対応、災害の激甚化・頻発化への対応等の大きな課題に、今後も「挑戦」し続けることが肝要である。
  • こうした背景等を踏まえ、「持続可能な暮らしと社会の実現に向けた国土交通省の挑戦」をテーマとし、本格化する少子高齢化・人口減少の課題に対して国土交通分野で期待される取組みについて分析し、現状を俯瞰するとともに、我が国の将来像を展望する。
  • 本格化する少子高齢化・人口減少における課題
    • 我が国の人口は、2011年以降13年連続で減少しており、2070年には総人口9千万人を割り込むと推計されている。また、高齢化も進行し、65歳以上の人口割合(高齢化率)は、2020年の28.6%から2070年には38.7%へと上昇すると推計されている。
    • 持続可能で豊かな未来につながる社会を実現していくために、深刻化する少子高齢化・人口減少において直面する課題を整理するとともに、国土交通分野を中心に期待される取組みについて取り上げる。
  • 我が国の経済社会と人口減少
    • 我が国の就業者は、ここ20年で急速に高齢化が進んでおり、今後、高齢就業者の大量退職や、少子化による若年層の就業者の減少が見込まれることから、担い手不足の深刻化が懸念される。
    • 人口減少による労働力の減少が見込まれる中では、新技術の活用により省人化・省力化を図り、生産性を向上させていくことや、生産性の飛躍的な向上に結び付くイノベーションの創出が重要である。
    • 2023年の産業別就業者の年齢構成比を見ると、全産業の就業者のうち、55歳以上の高齢就業者の占める割合が31.9%であるのに対し、29歳以下の就業者の占める割合は16.7%にとどまっている。
    • 建設業及び運輸業について見ると、全産業平均に比べ、55歳以上の割合は高く、29歳以下の割合は低く推移しており、高齢化が進行している。
  • 将来の生産年齢人口の減少
    • 2023年の出生率は1.20と、過去最低の水準にまで低下しており、出生数は約73万人と、過去最少を更新している。出生率の低下や出生数減少は、将来の生産年齢人口の減少に直結することから、出生率の向上や出生数の増加に寄与する取組みが求められる。
    • 共働き世帯数の増加に加え、出産前後の女性の就業継続率は上昇しており、出産・育児と仕事の両立を支援する職場環境の整備が求められる。
    • 1992年時点で、共働き世帯は専業主婦世帯(男性雇用者と無業の妻からなる世帯)を上回り、2022年時点では専業主婦世帯の2.3倍程度となっている。
    • 第1子出産前に就業していた女性の出産後の就業継続率(育休利用有り・無しの合計)は、1985年~1989年では39.0%であったのに対し、2015~2019年では69.5%と、7割近くまで上昇している。
  • 高齢社会と地域活力の維持
    • 大都市圏に属する都県では、高齢化率は相対的に低い水準にとどまるものの、65歳以上の人口の増加率が高く、都市部・地方部を問わず、高齢化に対応した取組みが求められる。
    • 我が国の人口は東京に一極集中する一方で、人口減少は、小規模都市のみならず、日常生活の中心的な役割を担う中規模都市へも拡大することが見込まれており、人口減少に応じた暮らしや社会を支える取組みが必要である。
    • 高齢化は、ここ30年で急速に進行しており、1990年の高齢化率12.1%から、2020年には28.6%まで上昇している。
    • 2050年には37.1%にまで上昇し、高齢化率が40%を超える都道府県は、2020年時点ではゼロであったものの、2050年には25の道県に増加すると推計されている。
    • 2020年から2050年の人口規模別人口減少率の推計によると、人口規模が小さい市区町村ほど、人口減少率が高まる傾向にあり、人口30万人未満の市区町村に居住する人口については、約2割以上減少すると推計されている。
    • 場所や時間の制約を解消するデジタル技術の活用により、近隣地域からの買い物や通院等の移動の負担の軽減を図るとともに、その推進に当たっては、社会経済的な結びつきがある近隣地域同士が連携し、自治体や民間事業者、団体、住民等関係者が協働することで、地域全体で生活サービス提供機能を維持していくことが重要である。
    • 地域外から地域の祭りやイベントに毎年参加し運営にも携わるなど、特定の地域に継続的に多様な形で関わる「関係人口」の創出・拡大が重要である。関係人口が地域住民の共助の取組みに参画していくことで、地域の社会課題解決や地域の活性化につながるほか、将来的な移住者の増加につながることが期待される。
    • 新技術の活用や官民連携の促進のほか、地域のニーズに応じてインフラの廃止・除却や機能転換等を行う「集約・再編等」によるインフラストック適正化を進めるとともに、既存の行政区域にこだわらない広域的な視点で、複数・多分野のインフラを群としてとらえ、効率的・効果的にマネジメントする取組み等が重要である。
    • 中心市街地は、公共交通ネットワークや、都市機能・インフラ等のストックが整備されていることから、空き家・空き地、既存施設を有効活用するとともに、公共施設や商業施設を備えた複合施設を再生拠点とすることで、賑わいの創出による地域活性化が期待される。
  • 海外と比較した我が国の現状
    • 少子高齢化・人口減少が進展する中、未来につながる変革と持続可能で豊かな社会の実現に向けて、担い手不足を補う労働力の確保や生産性の向上、出生率の向上に向けた就業・子育て環境の改善、賑わいの創出や関係人口の創出・拡大による地域の持続性確保が求められる。
    • 我が国の就業者一人当たり労働生産性は、OECD加盟国38か国中31位、時間当たり労働生産性は30位と、1970年以降、最も低い順位に落ち込み、主要先進7か国では最下位となっている。
    • 生産年齢人口の減少による労働力不足が懸念される中、就業者一人当たり・時間当たり労働生産性を高めていくことが重要である。
    • 我が国の出生率は、諸外国と比較すると現在は低い水準にあり、1960年には2.0程度あった出生率も、1990年代以降は1.5を下回る水準となっている。
    • 出生率が低下している諸外国の中には、家族手当等の経済的支援のみならず、保育や育児休業制度の充実、出産・子育てと就労に関して幅広い選択ができるような環境整備等の施策を推進する動きもみられる。我が国においても出生率の向上に向けた取組みの推進が必要である。
    • 高齢化率の推移について、欧米の先進諸国と比較すると、我が国の高齢化率は1980年代までは低い水準であったが、急速な高齢化により2005年以降は最も高い水準となっている。
    • 少子化が進む我が国において、今後も高齢化率の上昇は続くと予想されており、高齢社会への対応がより一層求められる。
  • 技術活用による持続可能な社会に向けた取組み
    • 急激な人口減少による労働力不足に伴う経済活動の停滞を回避すべく、様々な技術を活用することにより、生産性の向上につなげる取組みが重要。
    • 生産性向上施策として、省人化・省力化の推進と技術・イノベーションのインフラ分野の取組みが期待される。
  • 子ども・子育て等にやさしい社会に向けた取組み
    • 若者・子育て世代が、結婚や出産、子育てに対する安心感を抱けるような環境の整備が必要。
    • 子どものための近隣地域の生活空間を形成する施策「こどもまんなかまちづくり」を加速化するとともに、子どもや子育て当事者を社会全体で支える機運を醸成する取組みを実施。
    • 働き方の多様化が進展する中、女性や子育て世代等が活躍できるよう、業界の働き方改革やD&Iの推進が重要。
  • 子ども・子育て等にやさしい社会に向けた取組み
    • 働く女性が増加する中、育児等による負担から女性が離職を余儀なくされることを防止し、女性の定着率を向上させるため、女性が働きやすい職場づくりが重要。
    • 国土交通省では、男女問わず誰もが働きやすい建設業界とすることを目的に、「女性活躍に向けた建設業行動計画」を策定し、官民一体となって、女性の入職促進や就労継続に向けた様々な取組みを実施。
    • 国土交通省では、トラック業界において、女性を含む多様な人材を確保するため、荷役作業の負担軽減に資する機械等の導入支援や、女性ドライバーの生の声の発信等職場環境の改善に向けた取組みの後押し等を進めている。
    • 物流業の担い手不足等の課題に加え、物流産業を魅力ある職場とする必要がある。トラックドライバーへの2024年度からの時間外労働規制の適用もあり、物流が停滞しないよう対策を講じる必要がある。
  • 地域の持続性につなげる取組み
    • 人口減少による人手不足の中で、地域公共交通やインフラ等の存続が危ぶまれており、持続性や安全・安心を脅かすリスクが高まっている。
    • 地域力を高めつつ、都市部以外の地域への人の流れを創出・拡大するような環境整備に取り組むことが重要。
    • 人口減少により、地域の暮らしを支える生活サービス提供機能が低下・喪失するおそれがある。
    • 分野の垣根を超えた、市町村界にとらわれない、官民パートナーシップによる地域経営と、デジタルの活用によるリアル空間の質的向上により、日常の暮らしに必要なサービスが、持続的に提供される地域生活圏の形成を目指すことが重要。
    • 地域公共交通や買い物、医療、教育等の必要なサービスの最適化や複合化、デジタル技術実装の加速化、地域内経済循環の仕組みの構築等に取り組み、地域の課題解決と魅力向上を図る。
    • インフラの適切な維持管理を進める上で、体制面・予算面に課題を抱えている地方公共団体が多く見受けられる。
    • 新技術の活用や官民連携の促進等、取組みの高度化・効率化を図るとともに、広域・複数・多分野のインフラを群としてとらえ、総合的かつ多角的な視点から、地域のインフラを戦略的にマネジメントする「地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)」の推進が重要。
  • 望ましい将来への展望
    • 我が国では、今後も少子化の傾向が続くと予想される中、2050年代の暮らしと社会について、国民が期待することをたずねる「国民意識調査」を実施した。第2節においては、調査結果及び有識者の意見を踏まえ、私たちの暮らしや社会を展望する。
    • 2050年代の暮らしと社会について期待することについて、「子ども・子育てにやさしい社会」、「高齢者にやさしい社会」「誰もが豊かな生活を享受できる社会」といった、性別・年齢・国籍等を問わない多様性のある豊かな生活を享受できる社会への期待がうかがえる結果となった。
    • 「国民意識調査」では、更に、国土交通分野において期待する将来像を「技術活用における持続可能な社会」、「子ども・子育てにやさしい社会」、「高齢者等にやさしい社会」、「地域の活性化維持に向けて」の4テーマ別に調査を実施、各テーマにおける回答と今後期待される暮らしや社会の展望をまとめた。
    • 「技術活用における持続可能な社会」をテーマとした質問では、AIやロボット・ドローンを活用した省人化・省力化の取組みへの期待が挙げられた。
    • 「子ども・子育てにやさしい社会」をテーマとした質問では、子どもが安全・安心に、また、健康で元気に生活できることを重視する回答が挙げられた。
    • 白書では、展望として「AI・ロボット・ドローンによる次世代のインフラメンテナンス」や「子ども・子育てにやさしい自動運転」を取り上げた。
    • 「高齢者等にやさしい社会の実現」をテーマとした質問では、特に「移動手段の確保」を挙げる回答が多かったことからニーズが高いことがうかがえる。
    • 「地域の活性化維持」をテーマとした質問では、「魅力的な雇用の場・機会の創出」次いで「地域の産業に従事する人材の育成」が挙げられ、地域産業の高付加価値化や人材の育成の必要性をうかがえる結果となった。
    • 白書では、有識者インタビューとして「少子高齢化時代の地域公共交通のあり方」・「持続可能な町の実現への挑戦」、展望として「自動運転移動サービスの実用化による地域の足の確保」や「未来の働き方(ワーケーション等)」を取り上げた

国土交通省 令和6年能登半島地震でも効果を発揮した免震構造!世界トップクラスの実大免震試験機による「免震動的性能認証制度」が7月よりスタート
  • 一般財団法人免震研究推進機構が「免震動的性能認証制度」を7月1日より開始します。
  • 世界トップクラスの精度を誇る実大免震試験機(E-Isolation)を用いて、免震装置の性能を評価するものであり、免震構造の信頼性がより高まることが期待されます。
    • 建築物における免震構造の採用効果
      • 免震構造は、地震時における建築物の被害の大幅な軽減や機能継続の確保に有効であり、特に庁舎、病院等の建築物において採用されてきています。
      • 令和6年能登半島地震においては、七尾市内は震度6強という大きな地震動を受け、市内の木造建築物には大きな被害が生じましたが、免震構造を採用した病院において地震後でも機能継続が図られた事例が報告されています。
    • 実大免震試験機を用いた「免震動的性能認証制度」の開始
      • 7月1日から、一般財団法人免震研究推進機構において、免震構造に用いる免震装置を対象とした「免震動的性能認証制度」が開始されます。
      • 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)によって整備された、世界トップクラスの精度を誇る実大免震試験機(E-Isolation)を用いて実大・動的試験を行い、免震装置の性能を評価することとしており、免震構造の信頼性向上に寄与することが期待されます。

国土交通省 ダイハツ工業の不正事案に係る基準適合性の確認結果について
  • 国土交通省では、ダイハツ工業による型式指定申請における不正行為が確認された車種について、順次、基準適合性の確認を行ってまいりました。
  • 本日、全ての車種の確認が終了しましたので、結果をお知らせします。
    • 経緯
      • 令和5年12月、ダイハツ工業より、型式指定申請における不正行為があったとの報告を受け、国土交通省では、開発中の1車種を除き、不正行為が確認された全ての車種(計45車種)・エンジン(計4機種)について、基準適合性の確認を行い、順次結果を公表してきたところ。
    • 確認結果(詳細は別紙参照)
      • 45車種・エンジン4機種の確認結果は以下の通り。
        • 42車種・エンジン4機種について、基準に適合していることを確認した。
        • 令和6年1月26日付けで型式指定を取消したダイハツ・グランマックス等3車種※について、「後面衝突時における燃料漏れ防止の基準」に不適合であることを確認した。
          • ※ダイハツ・グランマックス、トヨタ・タウンエース、マツダ・ボンゴ(いずれもトラックタイプのみ)
    • 国土交通省の対応
      • ダイハツ工業に対し、基準不適合であることが確認された3車種について、速やかにリコール措置を実施するよう指導した。

国土交通省 宅地建物取引業者の免許申請等及び宅地建物取引業者に係る閲覧制度のデジタル化を推進します!~「宅地建物取引業法施行令及び地方公共団体の手数料の標準に関する政令の一部を改正する政令」を閣議決定~
  • 本年6月19日に公布された「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和6年法律第53号)」の施行に必要な規定の整備等を行う政令が、本日、閣議決定されました。
  • 背景
    • 第213回国会において、「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和6年法律第53号。以下「第14次地方分権一括法」という。)」が成立し、令和6年6月19日に公布されました。
    • 第14次地方分権一括法においては、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第10条に基づく宅地建物取引業者名簿及び宅地建物取引業者の免許申請等に係る書類の閲覧制度について、「デジタル原則を踏まえたアナログ規制の見直しに係る工程表」(令和4年12月21日デジタル臨時行政調査会)においてデジタル完結を基本とするとされていることを踏まえ、閲覧所に出向かなくてもデジタル閲覧できるようにするため、閲覧の対象文書を見直すこととし、個人情報保護の観点から対象文書を再整理するとともに、消費者等による宅建業者の選定に支障が生じない範囲内で合理化する改正が行われました。また、これを受け、宅地建物取引業者の免許等の申請及び閲覧制度のデジタル化により都道府県等の事務の合理化を行うこととしています。
    • これを踏まえ、今般、その施行に当たり必要な規定の整備等を行います。
  • 政令の概要
    • 宅地建物取引業法施行令(昭和39年政令第383号)の一部改正について
      • 第14次地方分権一括法の施行に伴い、所要の規定の整備を行う。
      • 国土交通大臣に対する宅地建物取引業の免許の更新に係る申請を電子情報処理組織を使用して行う場合の手数料の額を26,500円とする。
    • 地方公共団体の手数料の標準に関する政令(平成12年政令第16号)の一部改正について
      • 都道府県知事に対する宅地建物取引業の免許等に係る申請を電子情報処理組織を使用する方法により行う場合の手数料の標準となる額を26,500円とする。
  • スケジュール
    • 公布日:令和6年6月28日(金)
    • 施行日:令和7年4月1日(火)(※改正法の施行日)

国土交通省 社会資本整備審議会 道路分科会 国土幹線道路部会 令和6年能登半島地震を踏まえた緊急提言の公表について
  • 社会資本整備審議会 道路分科会 国土幹線道路部会では、令和5年10月31日に『高規格道路ネットワークのあり方 中間とりまとめ』を公表したところですが、このたび、本年1月1日に発生した令和6年能登半島地震を踏まえ、『令和6年能登半島地震を踏まえた緊急提言』がとりまとめられましたので、お知らせします。
  • 令和6年能登半島地震では、半島の地形的制約から道路ネットワークが限られるなか、道路啓開を含む復旧や被災地支援の活動のアクセスルートとなるべき能越自動車道などの幹線道路が被災し、厳冬期の降積雪とも重なり、初動における被災状況の把握や復旧等の対応が困難化しました。
  • 本とりまとめは、今般の災害対応から得られた教訓事項を踏まえ、今後道路行政が取り組むべき方向を、本部会における累次の議論を経て緊急提言としてとりまとめられたものです。
  • 本とりまとめでは、本部会が令和5年10月31日に公表した『高規格道路ネットワークのあり方 中間とりまとめ』にて示された基本方針に加え、防災の観点を中心とした道路ネットワークのあり方として、以下の緊急提言がなされています。
    1. 地域安全保障のエッセンシャルネットワークの早期確立
      • 耐震性や復旧性を備え災害時に機能するネットワーク整備(物流機能も含め、「いざという時」にこそ機能するネットワークの早期確立/持続可能な地域づくりへの貢献)
      • <新たな知見を踏まえた盛土の緊急点検の実施>
        • 集水地形上の盛土(高盛土)の早急な点検の実施
        • 災害脆弱箇所に対する計画的な補強等の対策
      • <能登半島における道路ネットワークの再構築>
        • 能越自動車道の4車線化や線形改良などの機能強化
        • 珠洲道路など高規格化も含め、必要な機能や役割の精査
        • 機動性と持続可能性を備えた管理体制(適切な管理のあり方の検討/道路啓開等の権限代行の手続き等についての必要な見直し)
    2. 拠点機能の強化
      • 防災拠点としての「道の駅」の機能強化「防災道の駅」の追加選定、高付加価値コンテナの活用推進
      • 害時における交通結節機能の強化
    3. データ活用による災害時交通マネジメントの高度化
      • ドローン活用など地形に合わせた機動的な情報収集体制の構築
      • 交通情報と地理空間情報とのデータ連携とオープン化・アーカイブ化
    4. 災害に備えた体制の強化
      • 建設業者等の民間企業との連携 民間企業による「地域インフラマネジメント産業」としての役割の強化
      • 代替手段も備えた総合的な防災力の強化 地理的不利性を有する地域における総合的な対応の必要性/自衛隊等との連携による海上・航空アクセスルート/緊急時の空陸一体輸送
    5. 地域の新たな価値の創出につなげる道路空間の活用
      • 半島地域の豊かな地域資源を生かす道路空間の活用
      • 能登半島地域の効果的な復旧・復興 既存の枠にとらわれない道路空間の活用で関係人口拡大と新たな価値の創出に貢献
  • また、今般の災害を能登半島に限定されたものではなく、地方部災害の典型事例として捉え、教訓事項を特に地方部における今後の道路政策の指針として、関係行政機関、民間企業とも連携を図りながら活用することが重要であるとされています。

国土交通省 法人取引量指数 令和6年3月分を公表(試験運用)~全国において、前月比6.0%下落~
  • 国土交通省は、登記データをもとに法人が取得した既存建物(住宅・非住宅)の移転登記量を加工・指数化した法人取引量指数を毎月発表しています。直近の令和6年3月分(住宅・非住宅)については、前月比6.0%下落していることがわかりました。
  • なお、今回は年単位による集計値として、サブインデックス(建物構造、面積帯等)の公表を行います。
  • ポイント
    • 直近の令和6年3月分の同指数は、合計・季節調整値は前月比6.0%減の242.3、住宅合計・季節調整値は前月比4.6%減の266.9
    • 戸建住宅の季節調整値は前月比4.8%減の312.0、マンションの季節調整値は前月比4.4%減の227.4、非住宅の季節調整値は前月比9.1%減の198.6
      • ※2010年平均=100
  • 法人取引量指数の定義
    • 建物の売買を原因とした所有権移転登記戸数(登記データ)のうち、法人取得の住宅及び非住宅で、既存住宅取引又は既存非住宅取引ではないものを除いたものとする。
    • 既存住宅販売量指数と集計方法を統一し、比較出来るようにするため、マンションにおいて床面積30㎡未満の数値を含んだものと除去したものを併用して公表する。※既存住宅販売量指数では、個人による床面積30㎡未満のワンルームマンション取得が増大している現状に鑑み、マンションにおいて、上記のような場合分けをおこない、併用して公表している。
    • 各月の取引量における季節性を排除するため、月次指数において季節調整を行うこととする。

国土交通省 既存住宅販売量指数 令和6年3月分を公表(試験運用)~全国において、前月比5.4%下落~
  • 国土交通省は、登記データをもとに個人が購入した既存住宅の移転登記量を加工・指数化した既存住宅販売量指数を毎月発表しています。直近の令和6年3月分(戸建・マンション合計)については、前月比5.4%下落していることがわかりました。
  • なお、今回は年単位による確報値として、サブインデックス(建物構造、面積帯等)の公表を行います。
  • ポイント
    • 直近の令和6年3月分の同指数は、合計・季節調整値は前月比5.4%減の119.3、30㎡未満除く合計・季節調整値は前月比5.8%減の109.6
    • 戸建住宅の季節調整値は前月比7.2%減の116.1、マンションの季節調整値は前月比4.7%減の123.4、30㎡未満除くマンションの季節調整値は前月比5.7%減の102.1
      • ※2010年平均=100各数値は確報値
  • 既存住宅販売量指数の定義
    • 建物の売買を原因とした所有権移転登記個数(登記データ)のうち、個人取得の住宅で既存住宅取引ではないものを除いたものとする。
    • なお、この中には総務省統計局が5年に1度実施している住宅・土地統計調査で把握可能な「既存住宅取引量」には含まれていない別荘、セカンドハウス、投資用物件等を含む。
    • 特に、個人による床面積30㎡未満のワンルームマンション取得が増大している現状に鑑み、マンションにおいて床面積30㎡未満の数値を含んだものと除去したものとを併用して公表する。
    • 各月の販売量における季節性を排除するため、月次指数において季節調整を行うこととする。

国土交通省 不動産価格指数(令和6年3月・令和6年第1四半期分)を公表~不動産価格指数、住宅は前月比0.4%上昇、商業用は前期比0.1%減少~
  • 国土交通省は、今般、不動産価格指数(住宅及び商業用不動産)を公表しました。住宅総合の季節調整値は、前月比で0.4%上昇し、商業用不動産総合の季節調整値は前期比で0.1%減少となりました。
  • ポイント
    • 不動産価格指数(住宅)(令和6年3月分・季節調整値)
      • 全国の住宅総合は前月比0.4%増の137.4
      • 住宅地は117.3、戸建住宅は115.8、マンション(区分所有)は197.9(対前月比はそれぞれ、0.7%増、1.2%増、0.7%減)
    • 不動産価格指数(商業用不動産)(令和6年第1四半期分・季節調整値)
      • 全国の商業用不動産総合は前期比0.1%減の140.6
      • 店舗は151.2、オフィスは170.6、マンション・アパート(一棟)は166.6(対前期比はそれぞれ、0.2%減、0.4%減、0.6%増)
        • ※2010年平均=100
          各数値は速報値であり、初回公表後3ヶ月間は改訂を行う。
▼ 不動産価格指数掲載ウェブサイト

国土交通省 設計住宅性能評価書を交付した住宅の割合は8年連続増加~令和5年度の住宅性能表示制度の実施状況について~
  • 令和5年度における新設住宅着工戸数に対する設計住宅性能評価書の交付割合は、32.8%となり、8年連続で増加しました。
    • 住宅性能表示制度の概要
      • 住宅の性能について、国が定める共通のルールに基づき、登録住宅性能評価機関が評価し、その性能を表示する制度です。
      • 住宅性能評価書には、以下があります。
        • 設計段階の図書審査による評価結果をまとめた「設計住宅性能評価書」
        • 施工段階と完成段階の検査による評価結果をまとめた「建設住宅性能評価書(新築住宅)」
        • 既存住宅の現況検査による評価結果をまとめた「建設住宅性能評価書(既存住宅)」
    • 令和5年度実績
      • 評価書交付割合
        • 【設計】32.8%(新設住宅着工戸数:800,176戸)
      • 評価書交付実績
        • 【設計】262,564戸(対前年比:0.8%減)
        • 【建設(新築)】199,295戸(対前年比:3.3%増)
        • 【建設(既存)】225戸(対前年比:4.7%増)

国土交通省 「標準的運賃」に係る実態調査結果の公表~ 「標準的運賃」の浸透・活用状況等について調査を実施 ~
  • 国土交通省物流・自動車局では、令和2年4月に告示した「標準的運賃」の活用状況等について、トラック運送事業者及び荷主企業を対象にアンケート調査を実施しました。この度、調査結果をとりまとめましたので公表します。
  • 平成30年に公布された「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(平成30年法律第96号)に基づき、運賃交渉力の弱いトラック事業者の適正な運賃収受を支援するため、令和2年4月に、「標準的運賃」を告示しました。
  • 今般、トラック運送事業者における制度の活用状況などの把握を行うことを目的として、原価計算の実施状況、標準的運賃の運賃交渉への活用状況、交渉の結果等について、アンケート調査を実施し、結果を取りまとめましたのでお知らせします。
  • 調査結果の概要
    • 調査期間
      • 令和6年1月22日~3月10日
    • 調査方法
      • 事業者及び荷主に対するアンケート
    • 調査対象
      • 公益社団法人全日本トラック協会の会員事業者及びホワイト物流推進運動において把握した荷主企業
    • 調査結果(概要)
      • 今回の調査(令和5年度)では、運賃交渉を行ったトラック事業者は約71%、このうち荷主から一定の理解を得られた事業者は約75%。即ち、事業者全体のうち運賃交渉について荷主から一定の理解を得られた事業者は約53%であった。
      • 令和2年度の初めに「標準的運賃」を告示して以降、3年目の令和4年度に運賃交渉について荷主の理解を得られた事業者は約43%であったものが、4年目の令和5年度に約53%と10%増となった。
      • 実勢運賃水準として、令和4年度は「標準的運賃」の8割以上収受できた事業者が約45%であったものが、令和5年度では約50%であった。

【2024年6月】

国土交通省 不動産業による空き家等の流通の取組を強力に後押しします!!~不動産業者の媒介報酬に係る規制の見直しや不動産業者による空き家管理受託のガイドラインの策定を含む「不動産業による空き家対策推進プログラム」の策定~
  • 国土交通省では、近年、喫緊の課題となっている空き家等の流通促進のため、「不動産業による空き家対策推進プログラム」を策定し、不動産業による空き家等の流通の取組を、官民を挙げて強力に推進します。
  • 我が国においては、空き家や空き地、マンションの空き室(以下、空き家等)の急増が課題となる一方、二地域居住などの新たな働き方・住まい方へニーズが高まっています。また、空き家等を放置すると、使用困難となり、やがて周辺環境等に様々な悪影響を及ぼすこと等から、「使える」空き家等は、なるべく早く有効に利活用を図ることが効果的と考えられます。
  • この点、不動産業者は、物件調査や価格査定、売買・賃貸の仲介など、空き家等の発生から流通・利活用まで一括してサポートできるノウハウを有しており、所有者の抱える課題を解決し、また、新たなニーズへの対応のため、そうしたノウハウを発揮できるよう、今般、国土交通省では、「不動産業による空き家対策推進プログラム」を策定しました。
  • 不動産業による空き家対策推進プログラムの概要
    • 流通に適した空き家等の掘り起こし
      • 所有者への相談体制の強化
      • 不動産業における空き家対策の担い手育成
      • 地方公共団体との連携による不動産業の活動拡大
      • 官民一体となった情報発信の強化
    • 空き家流通のビジネス化支援
      • 空き家等に係る媒介報酬規制の見直し
      • 「空き家管理受託のガイドライン」の策定・普及
      • 媒介業務に含まれないコンサルティング業務の促進
      • 不動産DXにより業務を効率化し、担い手を確保
  • また、本日、空き家等に係る媒介報酬規制の見直しとして、「昭和四十五年建設省告示第千五百五十二号の一部を改正する件」が公布されました。
  • 併せて、「空き家管理受託のガイドライン」の策定・普及として、「不動産業者による空き家管理受託のガイドライン」を策定・公表しました。
  • 今後は、本プログラムに沿って、関係団体と連携を図りながら、不動産業者による空き家等の流通の取組を推進します

国土交通省 高経年マンションに居住する70歳以上の世帯主が半数以上に~令和5年度マンション総合調査結果(とりまとめ)~
  • マンション管理の実態を把握するため、管理組合や区分所有者を対象とした調査を5年に一度行っており、令和5年度調査の結果をとりまとめました。
  • マンション居住の状況
    • 世帯主の年齢
      • 居住者の高齢化が進展し、70歳以上の割合は25.9%(前回調査より+3.7%)となった。
      • また、完成年次が古いマンションほど70歳以上の割合は高く、昭和59年(1984年)以前のマンションにおける70歳以上の割合は55.9%であった。
    • 永住意識
      • 居住するマンションで「永住するつもりである」と回答した区分所有者の割合が60.4%(前回調査より-2.4%)となった。
    • 賃貸戸数割合
      • 賃貸住戸のあるマンションの割合は77.8%(前回調査より+3.1%)であり、完成年次が古いマンションほど賃貸住戸のあるマンションの割合が高くなる傾向が見られた。
    • 空室戸数割合
      • 空室があるマンションの割合は34.0%(前回調査より-3.3%)であり、完成年次が古いマンションほど空室がある割合が高くなる傾向が見られた。
  • マンション管理の状況
    • 修繕積立金の設定
      • 長期修繕計画(計画期間25年以上)に基づいて修繕積立金の額を設定しているマンションの割合は59.8%(前回調査より+6.2%)となった。
    • 修繕積立金の積立状況
      • 計画上の修繕積立金の積立額に対して現在の修繕積立金の積立額が不足しているマンションの割合は36.6%(前回調査より+1.8%)となった。
▼ 令和5年度マンション総合調査(令和6年6月21日公表)

国土交通省 防災気象情報の体系整理と最適な活用に向けて~「防災気象情報に関する検討会」取りまとめ~
▼ 防災気象情報の体系整理と最適な活用に向けて(報告書概要)
  • シンプルでわかりやすい防災気象情報の再構築に向け、防災気象情報全体の体系整理や個々の情報の見直し、受け手側の立場に立った情報への改善などを取りまとめ
  • 警戒レベル相当情報の体系整理 シンプルでわかりやすい情報体系・名称に整理
    • 【洪水】:氾濫による社会的な影響が大きい河川(洪水予報河川、水位周知河川)の外水氾濫を対象とし、河川ごとの情報とする。これ以外の河川の外水氾濫については、内水氾濫と併せて市町村ごとに発表する【大雨浸水】に関する情報とする。
    • 【土砂災害】:発表基準の考え方を統一し、災害発生の確度に応じて段階的に発表する情報とする。
    • 【高潮】:潮位に加えて沿岸に打ち寄せる波の影響を考慮し、災害発生又は切迫までの猶予時間に応じ段階的に発表する情報とする
  • 気象情報(解説情報)の体系整理 情報の性質を把握できるよう分類して提供
    • これまでいくつかの種類の「気象情報」として伝えていた情報は、線状降水帯をはじめとした具体的な極端現象が発生または発生しつつある場合にその旨を伝える「極端な現象を速報的に伝える情報」と、現在及び今後の気象状況等を網羅的に伝える「網羅的に解説する情報」に分類して提供。
    • それぞれの区別がつくよう統一的な情報名称とし、「線状降水帯」などのキーワードを付すことにより情報へのアクセスを改善。
  • 防災気象情報の最適な活用に向けて
    • 防災気象情報の基盤となるデータの提供の更なる推進と共に、コンピュータで容易に処理できるよう機械可読性の改善も進める必要。
    • 「プッシュ型」の防災気象情報とあわせて、ホームページ等に掲載する「プル型」のコンテンツの活用を推進すると共に、当該コンテンツの充実を図ることが重要。
    • 防災気象情報を受け取った者が自ら考え主体的に行動することができる社会の実現を目指し、以下を推進する必要。
    • 防災気象情報の特徴・特性に対する理解が社会において深まるよう、平時から知見を積み上げられる環境の構築(ホームページへの解説資料の掲載等)
    • 国による普及啓発活動に加え、様々な関係主体(教育機関、専門家、報道機関等)による普及啓発活動の推進

国土交通省 トイレ、駐車場及び劇場等の客席の新たなバリアフリー基準について~「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令」を閣議決定~
  • 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の一層の促進を図るため、トイレ及び駐車場に係るバリアフリー基準を見直すとともに、劇場等の客席に係るバリアフリー基準を新たに定める「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令」が、本日、閣議決定されました。
  • 背景
    • 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第14条第1項の規定により、特別特定建築物について2,000㎡以上の建築をしようとするときは、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令(平成18年政令第379号)において定められているバリアフリー基準(建築物移動等円滑化基準)に適合させなければならないとされています。
    • 今般、「トイレ」、「駐車場」及び「劇場、観覧場、映画館若しくは演芸場又は集会場若しくは公会堂(以下「劇場等」という。)の客席」のバリアフリー化に対する社会的要請が高まっていることを踏まえ、これらのバリアフリー基準について、所要の見直し等を行います。
  • 政令の概要
    • トイレに係るバリアフリー基準の見直し
      • 現在、建築物に1以上の設置を求めている「車椅子使用者用便房」について、当該基準を見直し、原則、建築物の階ごと(各階)に1以上(※)の設置を求めることとする。(※)床面積が1,000㎡未満の階、10,000㎡超の階の基準等は別途告示で規定
    • 駐車場に係るバリアフリー基準の見直し
      • 現在、建築物に1以上の設置を求めている「車椅子使用者用駐車施設」について、当該基準を見直し、原則、駐車施設の数に応じ、一定数以上(※)の設置を求めることとする。(※)駐車施設の数が200以下の場合:当該駐車施設の数の2%以上 駐車施設の数が200超 の場合:当該駐車施設の数の1%+2以上
    • 劇場等の客席に係るバリアフリー基準の創設
      • 劇場等において、座席数に応じ、一定数以上(※)の「車椅子使用者用スペース」の設置を求めることとする。(※)座席数が400以下の場合:2以上 座席数が400超 の場合:当該座席数の0.5%以上
  • スケジュール
    • 公布:令和6年6月21日(金)
    • 施行:令和7年6月 1日(日)

国土交通省 令和6年版観光白書
▼ 本文(第I部 観光の動向)
  • 世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大により2020年は大きく減退したが、2021年以降は回復傾向にある。国際通貨基金(IMF)によると、2023年の世界全体の実質経済成長率は3.2%となった
  • 各国通貨の対米ドル為替レートの推移をみると、2022年から2023年にかけて日本円、韓国ウォン、タイバーツは通貨安の傾向にあったが、ユーロやオーストラリアドルは通貨高の傾向であった。また、各国の消費者物価指数の動向をみると、消費者物価は総じて上昇傾向にあり、2023年末時点で2019年と比べて約5~20%上昇した
  • 世界観光機関(UN Tourism)によると、2022年の外国人旅行者受入数は、日本は383万人で世界42位(アジアで5位)となった
  • 2022年の各国・地域の国際観光収入は、米国が1,369億ドルで1位となり、スペインが729億ドルで2位、英国が676億ドルで3位となった。日本は92億ドルで26位(アジアで6位)となった
  • 2022年の各国・地域の国際観光支出は、米国が1,153億ドルで1位となり、中国が1,148億ドルで2位、ドイツが897億ドルで3位となった。日本は45億ドルで43位(アジアで11位)となった
  • UN Tourismの2024年1月の発表によると、2023年の世界全体の国際観光客数は12億8,600万人(前年比33.9%増)となり、新型コロナウイルス感染症の影響による減少からの回復がみられた。地域別にみると、欧州を訪れた国際観光客数は7億40万人(前年比17.4%増)、アジア太平洋を訪れた国際観光客数は2億3,340万人(前年比155.1%増)、米州を訪れた国際観光客数は1億9,830万人(前年比26.6%増)となった。これまで国際観光客数と世界の実質GDPの間には強い相関がみられていたが、2020年に国際観光客数が実質GDPに比べて大きく減少した。2022年に引き続き、2023年は、実質GDPの伸びに対して国際観光客数が大きく回復した
  • 訪日外国人旅行者数は、2019年までは、ビザの戦略的緩和や訪日外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充、CIQ3体制の充実といった施策を進めるとともに、航空・鉄道・港湾等の交通ネットワークの充実、多言語表記をはじめとする受入環境整備、魅力的なコンテンツの造成、日本政府観光局(JNTO)等による訪日プロモーション等により、過去最高を更新していたが、2020年から2022年までの訪日外国人旅行者数は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、年間を通じて大きく減少した。訪日外国人旅行者数は、2022年6月の外国人観光客の受入再開、同年10月の水際措置の大幅緩和等により徐々に回復しはじめ、2023年に入ってからは東アジアを中心に大きく増加し、同年10月には2019年同月を超え、年間では2,507万人(2019年比21.4%減)となった
  • 2023年の訪日外国人旅行者数を国・地域別にみると、アジア主要市場4からの訪日外国人旅行者数が1,949.5万人となり、全体の77.8%を占めた。東アジアでは、韓国が695.8万人と主要23市場5のうちで最も多く、台湾(420.2万人)、中国(242.5万人)と続き、全体の62.6%を占めた。東南アジアは、ASEAN(東南アジア諸国連合)の主要6市場6からの訪日外国人旅行者数が362.8万人となり、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ベトナムからの旅行者数は過去最高を記録した。北米主要市場7からの訪日外国人旅行者数は247.2万人となり、米国、カナダからの旅行者数は過去最高を記録した。欧州主要6市場8からの訪日外国人旅行者数は121.3万人となった。オーストラリアからの訪日外国人旅行者数は61.3万人となった。その他の地域では、南米が9.9万人、アフリカが3.8万人であった
  • 2023年の訪日外国人旅行消費額は、5兆3,065億円(2019年比10.2%増)と過去最高となった。国籍・地域別にみると、台湾が最も大きく、次いで中国、韓国、米国、香港の順であった。2019年と比較すると、中国の構成比が低下した一方、韓国や米国等の構成比が上昇した
  • 世界の国際会議開催状況をみると、2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開催件数が大幅に減少したが、2023年には新型コロナウイルス感染拡大前の2019年の約65%まで回復した。地域別にみると、欧州では2019年比で約70%、北米では同年比約65%まで回復している一方、アジアでは同年比約55%にとどまっており、国際会議の再開は、2023年時点では、欧米と比べるとアジアでは回復が遅れている様子がみられる
  • 2023年の出国日本人数は、前年から大幅に増加し962.4万人(2019年比52.1%減)となった
  • 2023年の日本人一人当たりの国内宿泊旅行の回数は1.4回、日帰り旅行回数は1.3回、一人当たり宿泊数は2.3泊と、いずれも前年を上回った
  • 2023年の日本人国内旅行消費額は21.9兆円(2019年比0.1%減)となった。このうち宿泊旅行の国内旅行消費額は17.8兆円(2019年比3.7%増)、日帰り旅行の国内旅行消費額は4.1兆円(2019年比13.8%減)となった
  • 2023年の日本人及び訪日外国人旅行者による日本国内における旅行消費額は、28.1兆円(2019年比0.5%増)となった。このうち、日本人による旅行消費額は22.8兆円(2019年比1.5%減)、訪日外国人旅行者による旅行消費額は5.3兆円(2019年比10.2%増)であり、訪日外国人旅行者による旅行消費額の割合は18.9%となった
  • 宿泊業の売上高の推移についてみると、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年4-6月期に製造業や非製造業と比べて大きく落ち込んだものの、以降は緩やかではあるが増加傾向にある
  • 労働需要の推移をみるため、雇用人員判断I.の推移をみる。雇用人員判断D.I.はプラスにおいては、人員が過剰と考えている企業の割合の方が高く、マイナスにおいては、人員が不足していると考えている企業の割合の方が高いことを示している。宿泊・飲食サービスについてみると、2022年後半以降、人員不足を感じている企業割合が高い状態が続いている
  • 産業別の雇用者数の動向をみる。宿泊業については、全産業や製造業と比較して、2020年から2021年にかけて前年同期比で大きく減少したが、2022年後半から回復傾向で推移している
  • 宿泊業の賃金(年間賃金総支給額)についてみると、2019年から2023年にかけてほぼ横ばいで推移しており、全産業の水準を一貫して下回っている
  • 労働生産性の推移をみると、宿泊業は、全産業よりも新型コロナウイルス感染症の影響を強く受け、2020年度に大きく落ち込んだ。以降は回復傾向にあるが、2022年度においても、宿泊業の労働生産性は全産業の水準を依然下回っている
  • 2022年10月の水際措置の大幅緩和以降、訪日外国人旅行者数や訪日外国人旅行消費額は堅調に回復しているが、インバウンド需要の回復は東京をはじめとする三大都市圏12に集中しており、地域によって偏在傾向がみられる。好調なインバウンド需要をいかに地方部へ波及させ、地方部における消費を拡大できるかが、持続可能な観光を実現する上で喫緊の課題である。
  • 世界の旅行者の旅行志向を把握するため、各種調査結果をみると、旅行目的やニーズの多様化、持続可能な観光への意識の高まり、隠れた名所・新たな目的地や地方への訪問意向等の傾向が確認できる。日本政策投資銀行・公益財団法人日本交通公社「DBJ・JTBFアジア・欧米豪訪日外国人旅行者の意向調査2023年度版」によると、「海外旅行を予定・検討している理由」として、アジアでは「リラックスや癒しを得たいから」、欧米豪では「海外旅行が好きだから」が最も多い。「為替の影響で海外旅行費用が少額になるから」は、アジア、欧米豪ともに低位にある。
  • また、JNTOが実施した世界22市場(東・東南アジア、欧米豪、中東ほか)の国外旅行経験者を対象とした「VJ重点市場基礎調査」によると、国外旅行の主な目的として、最も多く挙げられたものは「ガストロノミー・美食」であり、当該目的での国外旅行者の市場推計規模は1.45億人としている。次いで「テーマパーク」、「アート鑑賞」、「庭園、花鑑賞」、「ラグジュアリーホテル」の順となっており、世界の旅行者は様々な目的で国外旅行を実施していることが確認できる
  • ブッキング・ドットコム「サステナブル・トラベルレポート2023」によると、世界の旅行者のうち「よりサステナブルな旅行をすることは自身にとって重要」と回答した割合が80%、「今後1年間によりサステナブルに旅行したい」が76%となっており、旅行者の持続可能な観光への意識が高いことがわかる。また、日本を含む世界7か国13の旅行者を対象とした意識調査結果を示したアメリカン・エキスプレスの「2023年グローバル旅行トレンド・レポート」によると、「地域コミュニティを支援する休暇に興味がある」と回答した割合が78%、「地域コミュニティを支援すると知っていれば休暇にもっとお金を費やしても構わない」が69%となっており、旅行を通じた地域貢献に対する関心が高い。「訪れたことがない目的地を旅行したい」は89%、「人里離れた目的地を旅行したい」は71%、「人気が出る前にあまり知られていない休暇スポットを見つけたい」は68%であり、知られていない地域の訪問ニーズも高いことがわかる。このように、世界の旅行者は持続可能な観光の実現や地域貢献を志向しており、有名な観光地のみならず、新たな目的地として地方部に対する関心も高まりつつあるものと推測される
  • 消費単価が増加した背景としては、円高・物価上昇等の影響に加え、訪日外国人旅行者の滞在の長期化が考えられる。2023年の訪日外国人旅行者の平均泊数は6.9泊であり、2019年から増加している
  • 国籍・地域別の消費単価をみると、日本に長く滞在する傾向がある欧米豪からの旅行者は宿泊費が高く、全体の消費単価も高い。中国をはじめとするアジアからの旅行者は、買物代の消費全体に占める割合が高い傾向にある
  • 我が国のインバウンド需要が堅調に回復している一方で、訪日外国人旅行者の滞在と消費を三大都市圏と地方部で比較すると、いずれも三大都市圏に集中している。2023年の三大都市圏における外国人延べ宿泊者数の割合は、全体の7割強を占め、2019年と比べて約1割増加している。これは、三大都市圏における外国人延べ宿泊者数は2019年比14%増であったのに対し、地方部では同26%減であり、地方部でのインバウンド需要の回復が遅れていることによる。また、2023年の観光・レジャー目的の訪日外国人旅行消費額を都道府県別にみると、東京都、大阪府及び京都府が顕著に高く、三大都市圏に偏っていることがわかる
  • 訪日外国人旅行者の滞在と消費のいずれも三大都市圏に集中している背景には、三大都市圏からの入国者割合が上昇したことが一因として考えられる。2023年は、2019年と比べ、三大都市圏にある空港のうち成田国際空港及び東京国際空港(羽田空港)からの入国者割合が増加した。他方、福岡空港を除き、地方空海港は回復が遅れており、2019年と比べ入国者割合が減少している。この背景には、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年には215万人であった訪日クルーズ旅客の回復の遅れも影響している
  • 2023年3月に閣議決定された「観光立国推進基本計画」では、「持続可能な観光」、「消費額拡大」に加え、「地方誘客促進」をキーワードに、観光の質の向上を目指すことを掲げている。世界の観光需要の回復を背景に、2023年の訪日外国人旅行消費額は5.3兆円と過去最高水準となったものの、前節で示したとおり、インバウンド需要は三大都市圏17に集中しており、訪日外国人旅行者の地方誘客の一層の促進や地方部での消費拡大が課題となっている。
  • インバウンド観光の現状と課題について分析した。世界の観光需要が回復する中で訪日旅行も堅調に回復していることや、2023年の訪日外国人旅行消費額が過去最高水準となり、この背景として滞在の長期化や円安・物価上昇等の影響が挙げられること、世界の旅行者は隠れた魅力ある地域への訪問や地域ならではのローカルな文化等に高い関心を持っていること等を示した。他方、訪日外国人旅行者の滞在と消費はいずれも三大都市圏に集中しており、地方誘客の一層の推進が重要な課題である。また、体験消費を含むコト消費については、成長の兆しがみられるものの未だ他国と比べて低く、地域ならではの魅力を生かした高付加価値な体験ツアーの造成等の取組が必要であることも示した。
  • 訪日外国人旅行者関連の統計データを用いて、地方部におけるインバウンドの誘客や消費の動向に関する分析を行った。地方部の中でみても訪日外国人旅行者の滞在と消費は一部の道県に集中しており地域によって偏在傾向にあることや、地方部での消費拡大に向けては地方部での「滞在」を促進する取組が不可欠であることを確認した。また、地方部において高付加価値なインバウンド観光地づくりに取り組み、インバウンド関連指標が堅調に回復している3地域(岩手県(東北エリア)、石川県、熊本県)を事例として取り上げ、各地域における特色ある取組や成果を紹介した。いずれの地域においても、自然や文化等、地域ならではの観光資源を生かした体験コンテンツの磨き上げや周遊・滞在促進の取組等により、訪日外国人旅行者の一層の誘客や地域での消費拡大を図っている。

国土交通省 令和6年版 交通政策白書
▼ 令和6年版交通政策白書の概要
  • 旅客輸送
    • <国内>コロナ禍によって大幅に減少した旅客輸送量は、各交通モードにおいて、2021年度比で増加。特に航空の輸送量が大きく増加。
    • <国際>コロナ禍で落ち込んでいた航空旅客は2022年度は前年比で大きく増加するものの、減少した旅客輸送量は依然として低い水準。
  • 貨物輸送
    • <国内>2022年度は航空貨物以外は2021年度比で減少。航空貨物は大きく回復したものの、コロナ禍前と比較すると低い水準。
    • <国際>国際航空貨物のみ2021年度比で減少。
  • 地域公共交通のリ・デザインの更なる推進
    • 現状認識・課題等
      • 地域公共交通は、人口減少等による需要減や人手不足等による供給減により、地域の移動サービスは危機的な状況
      • このような状況を解決するために、交通を地域のくらしと一体として捉え、分野に限らない地域の多様な関係者が連携した取組(共創)を推進し、地域交通のリ・デザインを推進することが必要
    • 対応の方向性・取組み等
      • 関係省庁との連携の下、地域交通の活性化と社会的課題解決を一体的に推進するため、2023年9月、「地域の公共交通リ・デザイン実現会議」を立ち上げ
      • 関係省庁が一体となって取組の具体的な方向性や指針を提示するなど、会議での議論を踏まえ、地域交通のリ・デザインを推進
  • 新幹線ネットワークの延伸
    • 現状認識・課題等
      • 2024年3月16日、北陸新幹線(金沢・敦賀間)が開業
      • 北陸新幹線(金沢・敦賀間)の開業により、北陸の地域内外との交流が促進され、観光・ビジネスの両面で広域的な経済活動が活性化されることに期待
    • 対応の方向性・取組み等
      • 新幹線ネットワークは、地域相互の交流を促進し、我が国の産業の発展や観光立国の促進、災害時における代替輸送ルートの確保などの重要な役割があり、それを最大限発揮していく必要
      • 整備新幹線の着実な整備に取り組むとともに、リニア中央新幹線の整備に向けた環境を整えるなど、地方自治体等の関係者と連携・協力し、新幹線ネットワークの整備を推進
  • ドローンの物資輸送、配送の社会実装の取組
    • 現状認識・課題等
      • 2023年12月、レベル3.5飛行の制度を新設。デジタル技術(機上カメラの活用)により、補助者・看板の配置といった従来の立入管理措置を撤廃するとともに、操縦ライセンスの保有と保険への加入により、道路や鉄道等の横断を容易化
    • 対応の方向性・取組み等
      • レベル3.5飛行に係る許可・承認手続に要する期間の大幅な短縮を検討。こうした取組を早急に進め、ドローン配送の事業化を強力に推進
      • 過疎地域等における物流網の維持等に加え、災害時にも活用可能な物流手段としてのドローンの活用を促進
  • 自動運転移動サービスの社会実装の取組
    • 現状認識・課題等
      • 自動運転の社会実装に向け、車両の初期導入費用等の課題への対応が必要
    • 対応の方向性・取組み等
      • 社会実装に向けた課題解決に向け、デジタル社会推進会議の下にモビリティWGを設置(2023.12第1回WG開催)
      • WGにおいて、ロードマップをとりまとめ、毎年度進捗を確認することで、着実に社会実装を推進
      • 今後、一般道での通年運行事業を20箇所以上に倍増するとともに、全ての都道府県で1箇所以上の計画・運行を目標として取組を推進
      • 併せて、交差点等での円滑な走行を支援する「路車協調システム」の実証など、道路側からの支援も推進
  • 物流2024年問題への対応
    • 現状認識・課題等
      • 物流は国民生活・経済を支える社会インフラ。物流産業を魅力ある職場とするため、働き方改革に関する法律が本年4月から適用される一方、物流の停滞が懸念される「2024年問題」に直面
      • 軽トラック運送業において、死亡・重傷事故件数は最近6年で倍増
      • 物流の持続的成長を図ることが必要
    • 対応の方向性・取組み等
      • 物流が直面する課題について、「物流革新に向けた政策パッケージ」(2023.6)及び「物流革新緊急パッケージ」(2023.10)に基づき、総合的に施策を展開
      • 「トラックGメン」を創設し、悪質な荷主等へ是正指導を大幅に強化
      • トラックの「標準的な運賃」について、運賃水準の引上げや、荷待ち・荷役の対価、下請け手数料などの新たな運賃項目の設定等を実施
      • 今後、一定規模以上の荷主・物流事業者に対する荷待ち・荷役時間短縮に向けた計画作成の義務付け等を2024年通常国会で法制化
  • 国際海運からのGHG排出の削減推進
    • 現状認識・課題等
      • 国際海運2050年カーボンニュートラルを我が国の目標として掲げ、この目標を世界共通の目標とすべく議論を推進
      • 2023年6月、G7三重・伊勢志摩交通大臣会合にて「2050年GHG排出ゼロ」を新たな目標とすることを支持する旨を合意
      • 2023年7月、IMOにおいて、「2050年頃までに国際海運からのGHG排出ゼロ」を新たな目標とするGHG削減戦略を全会一致で採択
    • 対応の方向性・取組み等
      • 今後、目標を達成するための具体的な対策の議論が本格化する見込みであり、日本からはゼロエミッション船の普及促進に向けた、カーボンプライシングを用いた経済的手法による国際ルール作りを推進

国土交通省 土地白書
▼ 令和6年版土地白書について
  • 土地に関する動向
    • 地価公示は、全国全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇し、上昇率が拡大。三大都市圏では上昇率が拡大し、地方圏でも上昇率が拡大傾向となるなど、上昇基調を強めている。
    • 土地取引件数は、ほぼ横ばいで推移。
    • 土地の資産性に対する国民の意識は「土地は預貯金や株式などに比べて資産として有利」とする割合が低下傾向。
    • 海外投資家の不動産投資額は、前年と比較して33%減少(国内不動産投資額に占める割合も26%から17%に低下)。
    • オフィスビルの賃料及び空室率はほぼ横ばい。
  • サステナブル(持続可能)な土地利用・管理に向けた取組
    • これまでは、人口増加を前提に、農地等から宅地への土地利用転換が行われるとともに、敷地が細分化
    • 人口減少社会のもと、土地利用転換等を通じたサステナブルな土地利用・管理の取組が広がりつつある
    • 空き地等の広場、緑地としての利活用
      • 空き地等を広場や緑地として整備
      • グリーンインフラとして機能し、地域の団体と連携した活動により、地域コミュニティの形成に寄与
    • 自治体の支援による隣地統合や空き地の地域利用
      • 神戸市では、狭小地等を隣地と統合する際に、不動産仲介手数料等を補助
      • さらに、空き地等の所有者と、地域活動等の利用希望者とのマッチングを支援
    • 空き家対策と空き地対策の一体的・総合的推進
      • 市街地では空き家と所有者不明土地等が混在、対策の連携が必要
      • 推進体制の整備、活用・管理の実施、所有者探索等に関する自治体等への支援を一体的・総合的に推進
    • 未利用の放棄林のオープンスペース化(にぎわいの森)
      • 未利用の放棄林地を活用し、庁舎や商業施設等を整備する際に、自然環境を活かした緑地空間を創出
      • 雨水貯留施設等のグリーンインフラとして機能
      • 緑地内に設置された商業施設や散策路が賑わいを創出
    • 中山間地域等における土地の管理維持への取組
      • 地域管理構想は、優先的に維持したい土地や管理方法を「管理構想図」として地図化
      • 作成過程では、地域住民が話合いに参加し、地域資源や課題、将来像、具体的な取組等を検討・共有
    • 荒廃農地の発生防止・解消に向けた取組
      • 今後の農地利用に係る地域ぐるみの話合いや鳥獣被害対策など、荒廃農地の発生防止・解消に向けた取組を実施
    • 土地の利活用に向けた資金調達
      • 自然資源・土地利用の持続可能な管理・グリーンプロジェクト等を対象にしたグリーンボンドの発行等により、資金を調達
    • 土地に関する情報基盤の整備
      • ビッグデータ等を活用した、空き家等の現状把握の効率化の可能性と情報基盤の整備について検証
    • 土地の利活用・管理に関する専門人材の育成・活用
      • 土地の利活用・管理に関する専門知識を学ぶセミナー等を実施するとともに、専門家との連携を推進

国土交通省 令和6年版「首都圏白書」をとりまとめました (令和5年度首都圏整備に関する年次報告)
▼ 令和6年版首都圏白書について
  • 人口の状況・東京一極集中の是正
    • 首都圏の総人口は、昭和50(1975)年以降一貫して増加していたが、令和2(2020)年をピークに減少に転じ、引き続き減少傾向となっている。将来推計人口を踏まえれば、今後も減少が続く見込み。また、首都圏の年齢別構成を見ると、全国と比較して15~64歳人口の割合が高く、65歳以上の高齢者人口の割合が低い。
    • 一方で転入者数から転出者数を引いた「転入超過数」は、近年は新型感染症の影響で減少していたが、令和4(2022)年に増加に転じた。
    • 世代別の転入超過の状況については、10代後半から20代の若者が大部分を占める傾向が続いている。
  • 「多様化する働き方や暮らし方とアフターコロナの新しい人の流れ」
    • 東京都の子育て世代(30代・40代)が、首都近郊へと転出する傾向がみられる。背景として、コロナ禍を経たライフスタイルの変化(家族と過ごす時間やテレワークの増加)、東京都区部の住宅価格の上昇等が考えられる。
    • 20代の若者世代は、テレワークや地方移住など多様な働き方・暮らし方に対する意識が強い。また新型感染症の収束後も地方移住等に対して関心が高い状態が定着。
    • こうした変化をとらえ、地方移住や二地域居住などの取組に力を入れる自治体も増加しており、地域の活性化につながっていくことが期待される。
  • 防災力の強化
    • 内閣府は、令和5(2023)年9月、防災推進国民会議等とともに、関東大震災の震源地であった神奈川県において、「防災推進国民大会(ぼうさいこくたい)2023」を開催した。
    • 「次の100年への備え~過去に学び、次世代へつなぐ~」をテーマにセッションなどが実施され、過去最多の延べ383団体が出展し、現地約1万6千人、オンライン約1万1千人が参加し、大会を通じて、関東大震災の記憶の継承・防災意識の啓発を図った。
    • 国土交通省は、関東大震災100年に関連し、シンポジウム等を開催したほか、東京臨海広域防災公園において、首都直下地震対策対応訓練を実施した。
    • 道路啓開計画の八方向作戦の実効性を高めるため、新技術・多様な手段により、被災状況や交通状況を迅速かつ確実に把握・共有するとともに、関係機関と連携し、道路啓開作業を行う実動訓練など、首都直下地震に備えた実践的な訓練が実施された。
    • 国土交通省は、気候変動への適応・カーボンニュートラルへの対応のため、治水機能の強化と水力発電の促進を両立させる「ハイブリットダム」の取組を進めている。
    • 令和5(2023)年には、既設ダムの発電施設の新増設について、湯西川ダムなどを事例として、事業化に向けて、民間事業者等の参画方法や事業スキームについて検討を行うケーススタディを実施した。
  • 社会システムの質の向上・関係人口の拡大
    • 日立市では、ひたちBRTバス専用道を利用した中型自動運転バスの実証実験が行われている。令和6(2024)年3月には、デジタルライフライン全国総合実現会議がとりまとめた「デジタルライフライン全国総合整備計画」において、自動運転支援道(一般道)の2024年先行地域に位置づけられた。
    • 今後、レベル4自動運転サービスの社会実装を目指している。
    • 横瀬町(埼玉)では、町内・町外の交流を促進するため、JA直売所跡地を利活用し、町民と横瀬町に関わる人との交流拠点として、「Area898(エリアはちきゅうはち)」を同町の官民連携プラットフォーム「よこらぼ」制度により、町内外のボランティアで整備した。また、Area898に併設した形で、二拠点居住者用の宿泊付のコワーキングスペースなどが開設され、より町外の方と町民が交流し、地域の活動に積極的に参加するなど、新しい関係性が生まれている。
    • 「薄根地域ふるさと創生推進協議会」(沼田市)では、石墨棚田を起点とする地域活性化の取組を進めており、棚田オーナー制度の導入や、水路整備によるホタルの生息環境の保全・維持、棚田の再生とともに、復活した景観を活かしたホタル祭りの開催などに取り組み、「豊かなむらづくり」農林水産大臣賞を受賞した。
  • 国際競争力の強化
    • リニア開業を見据え、中間駅におけるまちづくりや地域活性化などの検討が進められており、甲府市では、令和5(2023)年11月に「(仮称)リニア山梨県駅前エリアのまちづくり基本方針」を策定し、同月には「(仮称)リニア山梨県駅前エリアのまちづくり基本計画検討委員会」を設置し、基本方針の内容を具体化する、まちづくり基本計画の策定が進められている。
    • 相模原市では、令和5(2023)年11月、橋本駅南口の周辺地区の目指す「まちの将来像」及び「まちづくりの誘導方針」などを定める「相模原市リニア駅周辺まちづくりガイドライン」が策定された令和5(2023)年11月、麻布台ヒルズが開業した。オフィス、住宅、インターナショナルスクール、文化施設等、多様な都市機能を高度に融合させた複合ビルである。同ビル内には、日本初の大規模なベンチャーキャピタルの集積拠点となる「Tokyo Venture Capital Hub」も誕生し、新たなイノベーションエコシステムの構築を目指して取組が進められている。
    • また、脱炭素に向けた取組も進められ、民間で国内初となる都市部の下水熱利用も含めたエネルギーネットワークを形成し、気象予報や運転実績データからAIによる負荷予測に合わせた最適な運転計画により電気・熱を事業地内の複数ビルに供給することで、エネルギーの面的利用によるエネルギー利用の効率化の取組等を行っており、第1回「脱炭素都市づくり大賞」の国土交通大臣賞を受賞した。
  • 環境との共生
    • 民間事業者による緑地を創出する取組も行われており、民間事業者が、持続可能な環境・社会の実現に向けた取組の一環として、西東京市に保有する運動場を「MUFG PARK」として整備し、令和5(2023)年6月に開園させた。利用者と共に、より居心地の良い場を育てる「プレイスメイキング」の試みとして、豊かな緑やコミュニティライブラリーなどが整備され、人が集まる「場所」となっている。
    • 「グリーンインフラ大賞」において、首都圏では「八ツ堀のしみず谷津」(千葉県富里市)他1件が国土交通大臣賞を受賞した。「八ツ堀のしみず谷津」においては、月1回の管理活動により開放水面のある明るい湿地を再生し、デジタル技術の活用を通じた持続的な維持管理を行っていることや「リビングラボ」のアプローチで、産学官民の柔軟かつオープンな再生活動を実現したことが評価された。
    • 令和5(2023)年5月に開庁した小鹿野町役場(埼玉県)が、「木材利用優良施設等コンクール」において、農林水産大臣賞を受賞した。地場による木材調達の協力体制構築により、7割を超える県産材利用率を達成したほか、純木造庁舎では全国で初めてとなるNearly ZEBを取得するなど、地球環境に優しい次世代型庁舎を実現した点が評価された。

国土交通省 「土地基本方針」の変更を閣議決定~サステナブルな土地の利用及び管理の実現へ~
  • 土地基本法に基づく「土地基本方針」(令和3年5月変更)について、令和4年8月から国土審議会(土地政策分科会企画部会)で議論を重ね、今般、新たな施策等を盛り込んだ変更が閣議決定されました。
  • 概要
    • 土地基本方針は、土地基本法に基づき、関係省庁で一体性を持って、時代の要請に対応した土地政策が講じられるよう、施策の基本的な方向性をとりまとめるものです。
    • 新しい土地基本方針においては、「サステナブルな土地の利用・管理」の実現を全体目標とし、限られた国土の有効利用や適正な管理を進めるための施策を総合的に推進いたします。
  • 主な内容
    • 主な記載内容は以下のとおりです。
      1. 適正な土地の利用及び管理の確保を図るための措置等に関する基本的事項
        • 非宅地化を含む土地の円滑な利用転換、継続的な管理を確保するための新たな枠組の構築
        • 改正空家法による総合的な取組、空き地対策との一体的推進
        • 不適切な土地利用等を防ぎ生活環境保全、災害防止等を図る方策の検討
        • 工場跡地、廃墟等の有効利用や管理不全の防止を図るための対応の検討 等
      2. 土地の取引に関する措置に関する基本的事項
        • 空き家・空き地バンクの活用等による需給マッチングの推進 等
      3. 土地に関する調査、情報提供等に関する基本的事項
        • 地籍調査の現地調査手続の円滑化、都市部における法務局地図作成事業の計画的な実施
        • 不動産に関する多様なオープンデータを同じ地図に表示できる不動産情報ライブラリの活用 等
      4. 土地に関する施策の総合的な推進を図るために必要な事項
        • 流域関係者の協働による「流域治水」の取組の推進
        • 不動産鑑定士の担い手確保、土地・不動産のプロフェッショナル人材の確保・育成 等

国土交通省 訪日外国人の国内流動状況について
  • 訪日外国人の国内での移動が分かるFF-Data(2022年分)を作成しました。
  • FF-Dataの概要について
    • 国土交通省では、訪日外国人の都道府県を越える国内流動状況を把握できるFF-Data(Flow of Foreigners-Data:訪日外国人流動データ)を作成しています。FF-Dataでは、都道府県間の流動量、利用した交通機関、国籍等の把握やこれらを組合せた分析が可能です。
  • 今回作成したデータ(2022年分)ついて
    • FF-Dataは、訪日外国人を対象として、国際航空旅客動態調査と訪日外国人消費動向調査で得られたサンプル情報を元に、出入国管理統計を用いて拡大処理を施すことで作成している加工データです。
    • 今回作成したデータ(2022年分)については、訪日外国人消費動向調査(全国調査)、国際航空旅客動態調査(5月調査、8月調査、11月調査)及び出入国管理統計を使用し作成していることから、従来データ(※)との比較や分析に際しては、新型コロナウイルス感染症流行の影響と合わせて留意が必要です。
    • 2019年分のデータは、訪日外国人消費動向調査(全国調査、地域調査)、国際航空旅客動態調査(8月調査、11月調査)及び出入国管理統計を使用し作成
  • データの公表について

国土交通省 大型車に事故時の車両情報の計測・記録装置が搭載されます!~道路運送車両の保安基準等の一部改正について~
  • 大型車の事故時の車両情報を分析しより安全な車両の導入や安全装置の開発を促進するため、事故時のデータを記録する事故情報計測・記録装置(EDR:Event Data Recorder)を備えることとします。
  • 主な改正の概要 (詳細は別紙1参照)
    1. 大型車の事故時の車両情報(加速度、ステアリング操作、衝突被害軽減ブレーキの作動状態等)を記録するために備えるEDR※1について、国連自動車基準調和世界フォーラム(29)において、その記録性能等の要件を定めた国連基準が成立しました。
      • これを踏まえ、大型車(乗車定員10人以上の乗用車及び車両総重量3.5tを超える貨物車)を対象として、令和8年12月以降の新型車より段階的に、EDRを備えることとします※2。
        • ※1EDRは事故直前の加速度などの車両の挙動や装置の状態に関するデータ等を記録するものであり、車両周辺や車内の映像等を記録するドライブレコーダーとは異なります。
        • ※2乗用車等の小型車は、既に国連基準に適合したEDRを備えることとされています。
    2. その他29における国連基準の成立及び改正を踏まえ、以下の改正を行います。
      • バス(乗車定員10人以上の乗用車)にビルトイン型(座席一体型)のチャイルドシートを備える場合には、従来のチャイルドシートと同等の乗員保護性能を確保する構造にすること等の要件を満たさなければならないこととします。
      • ヘッドレストを備える場合には、その座席位置にかかわらず、運転席に備えるものと同等の乗員保護性能を確保する構造にすること等の要件を満たさなければならないこととします。
  • 公布・施行
    • 公布:令和6年(2024年)6月14日
    • 施行:令和6年(2024年)6月15日(1.(1)及び(2)[1]については6月20日)

国土交通省 型式指定申請における不正行為の有無等に関する自動車メーカー等の調査報告の結果等について
  • 国土交通省は、ダイハツ工業等の不正事案を踏まえ、型式指定を取得している自動車メーカー等85社に対し、型式指定申請における不正行為の有無等に関する調査・報告を指示していました。
  • その結果、5月末までに自動車メーカー計5社から、型式指定申請における不正行為が行われていたとの報告がありました。
  • 型式指定申請において不正行為を行うことは、ユーザーの信頼を損ない、かつ、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり、新たな不正行為が明らかになったことは極めて遺憾です。
  • 国土交通省としては、道路運送車両法に基づき、報告のあった5社に対して更なる調査を実施し、その結果に基づき、厳正に対処してまいります。
  • 型式指定申請における不正行為の有無等に関する調査報告の結果概要
    • ダイハツ工業等の不正事案を踏まえ、国土交通省は、型式指定を取得している他の自動車メーカー、装置メーカー等85社(別紙1)に対し、型式指定申請における不正行為の有無等に関する調査・報告を指示したところ、5月末時点の報告結果は以下のとおり。
    • 調査完了 68社
      • 不正行為なし 64社
      • 不正行為あり 4社(マツダ、ヤマハ発動機、本田技研工業、スズキ)
    • 調査継続中 17社
      • 現時点で判明した不正行為なし 16社
      • 現時点で判明した不正行為あり 1社(トヨタ自動車)
  • 報告のあった不正行為の内容
    • トヨタ自動車株式会社(※調査継続中のため、現時点で判明している不正行為のみ記載)
      • 現行生産車3車種について、歩行者保護試験における虚偽データの提出等
      • 過去生産車4車種について、衝突試験における試験車両の不正加工等
    • マツダ株式会社
      • 現行生産車2車種について、出力試験におけるエンジン制御ソフトの書換え
      • 過去生産車3車種について、衝突試験における試験車両の不正加工
    • ヤマハ発動機株式会社
      • 現行生産車1車種について、騒音試験における不適正な試験条件での実施
      • 過去生産車2車種について、警音器試験における試験成績書の虚偽記載
    • 本田技研工業株式会社
      • 過去生産車22車種について、騒音試験における試験成績書の虚偽記載等
    • スズキ株式会社
      • 過去生産車1車種について、制動装置試験における試験成績書の虚偽記載
  • 国土交通省の対応
    • 不正行為の報告があった5社に対し、以下のとおり指示した。
      • 国土交通省が基準適合性を確認するまで、不正行為のあった車種の出荷を停止すること※1
      • 最終的な調査結果を速やかに提出すること※2
      • ユーザー等への丁寧な説明や対応に努めること
        • ※1 現行生産車について不正行為の報告があった3社(トヨタ自動車、マツダ、ヤマハ発動機)に対する指示
        • ※2 調査継続中の1社(トヨタ自動車)に対する指示
    • 今後、以下のとおり対応する。
      • 不正行為の報告があった5社に立入検査を行い、不正行為の事実関係等の確認を行う。
      • 国土交通省及び(独)自動車技術総合機構において、不正行為のあった車種の基準適合性を速やかに確認する。
      • 立入検査及び基準適合性の確認結果を踏まえ、道路運送車両法に基づき厳正に対処する。

国土交通省 株式会社IHI原動機による舶用エンジン等の燃料消費率に関する データ改ざん事案の中間報告について
  • 本日、株式会社IHI原動機及び親会社の株式会社IHIより、IHI原動機が製作する舶用エンジン等の試運転時に測定した燃料消費率のデータ改ざんに関する同社の調査状況及び現時点の再発防止策について中間報告を受けました。
  • 顧客向け仕様確認のための出荷前運転のほか、別途実施されるNOx放出量確認試験においてもデータ改ざんが確認されましたが、現時点で、国内向け出荷エンジンにおいてNOx放出量に係る基準非適合事案は確認されておりません。
  • 国土交通省からは、同社に対し、残りの調査及び報告の速やかな実施と、同社に設置された特別調査委員会の調査結果も踏まえた抜本的かつ具体的な再発防止策の策定を指示しました。
  • また、今後新たに製作される同社製のエンジンについて、再発防止策の妥当性確認の一環として、当分の間、NOx放出量確認試験を国の立ち会いの下で厳格に行った上で、証書の交付を再開します。
  • IHI及びIHI原動機からの中間報告概要
    • 不適切行為の概要
      • IHI原動機の太田工場と新潟内燃機工場において、以下の2種類の試験における燃料消費率に関する改ざんが判明。なお、安全性に関する不適切行為は確認されていない。
        • 顧客に納入するにあたっての仕様確認のための出荷前試運転
        • 海洋汚染等防止法に基づくNOx放出量確認試験※
      • ※国際条約に基づき各機種の初号機について各国の認証機関の立ち会いの下、データを計測し認証機関に提出
    • 改ざんを行った理由
      • 仕様確認のための出荷前試運転
        • 両工場において試運転による燃料消費率の計測値が顧客に提出している仕様値に入らない場合に仕様値の範囲に収めるため、あるいは、過去に顧客に納入した同一エンジンの値との整合を図るために改ざんを行った。
      • 海洋汚染等防止法に基づくNOx放出量確認試験
        • 新潟内燃機工場において、NOx放出量確認試験での燃料消費率が顧客に伝わった場合の懸念から、燃料消費率の改ざんを行った。
    • 改ざんの内容
      • 仕様確認のための出荷前試運転
        • 規制の対象外であるが、燃料消費率計測時の数値と異なる数値を顧客へ提出する成績書に記載すること等により、2003年以降の国内向けに出荷された舶用エンジン1,973台中、1,689台について改ざんを行い、そのうち621台において顧客に提出している仕様値からの逸脱が判明。
      • 海洋汚染等防止法に基づくNOx放出量確認試験
        • 新潟内燃機工場において燃料消費率計測時の数値(実測値)と異なる数値をNOx計算時に使用し、この数値を認証機関に提出しており、NOx放出量規制の対象となる国内向け舶用エンジン1,932台のうち242台において改ざんを確認した。
        • このうち、国内向けに出荷された舶用エンジンについては、NOx放出量に係る基準値を逸脱するものは確認されなかったが、海外向けに出荷された舶用エンジン4台について、NOx放出量に係る基準値を逸脱しているものが確認された。
        • なお、国内向けに出荷された舶用エンジンのうち、226台が調査未了。
    • 主な再発防止策
      • 運転検査員の検査機能を品質管理部門に移管する等の組織体制の再構築
      • 現場で記録を確認し、工場試験成績書にする作業フローの策定
      • NOx放出量確認試験、出荷前試運転における燃料消費量計測・記録の自動化
  • 国土交通省の対応等
    • 同社の報告を踏まえ、以下の通り指示を行った。
      • 調査未了のエンジンについて引き続き調査を行い、調査結果を踏まえた対応方針を速やかに報告すること。
      • 特別調査委員会の結果も踏まえ、抜本的かつ具体的な再発防止策を検討すること。
      • 海外を含めた関係事業者等への丁寧な説明や対応に努めること。
    • 今回の中間報告書の内容は現時点における立入検査等による調査の結果とも整合することを踏まえ、国内向け出荷エンジンについて、・以下の対応を実施。なお、現時点では国内向けに出荷したエンジンにおいてNOx放出量規制に非適合となるものは確認されていないことから、既存船の航行に影響を及ぼす状況にはならない。
      • (1)改ざんが確認されなかったエンジン及び(2)改ざんはあったが実測値によりNOx放出量を再計算したところ基準を満たしていることを確認できたエンジンについては、再発防止策の妥当性確認の一環として、当分の間、NOx放出量確認試験を国の立ち会いの下で厳格に行った上で、証書の交付を再開するとともに、(2)については準備が整い次第、証書の書き換えを行う。
      • IHI及びIHI原動機の調査と並行して、国土交通省としても調査や対応策の検討を継続するが、調査中において新たに製作されたエンジンについては、NOx放出量確認試験を国及び認証機関の立ち会いの下で厳格に行い、基準の適合性が確認できれば証書の交付を行う。
      • 今後の調査により、NOx放出量規制に非適合となるものが発見される等の問題が生じた場合には、調査結果を踏まえ厳正に対応する。

国土交通省 水災害リスクコミュニケーションポータルサイトを開設しました!~水災害リスクの減少・分散・回避に向けて~
▼ 水災害リスクコミュニケーションポータルサイト
  • ポータルサイトでは、知りたい事項ごとに情報の使い方などを紹介しています(一例)。
    • 水災害リスク情報にはどのようなものがあるのかを知りたい
    • 【浸水】浸水の範囲や深さが知りたい
    • 【浸水頻度】浸水の頻度を知りたい
    • 【家屋倒壊】氾濫時に家屋の流出や倒壊のおそれがある箇所が知りたい
    • 【土砂災害】土砂災害の危険性・避難のタイミングが知りたい
    • 水災害のリスクと不動産情報
    • 例えば、「【浸水頻度】浸水の頻度を知りたい」では、水害リスクを踏まえた土地利用や住まい方の工夫の検討、企業の立地選択の検討などの目的として作成している多段階浸水想定図、水害リスクマップ(浸水頻度図)の見方や確認できるリスク情報を解説しています。
  • 水災害リスクコミュニケーションとは
    • 近年、気候変動の影響による水災害が激甚化・頻発化する中、平時からあらゆる関係者が水災害リスクに関する情報を共有し、意思疎通・相互理解を図ることにより、水災害リスクを減少・分散・回避するための行動を促すこと。

国土交通省 マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドラインの策定について~外部管理者方式等の適正な運営に向けた留意事項を整理しました~
  • マンション管理業者による外部管理者方式(管理業者管理者方式)の適正な運営を担保することなどを目的として、「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」を策定しました。
  • 背景
    • 近年、マンションにおいて、役員の担い手不足等を背景として、マンション管理業者が管理事務を受託するのに加えて管理者として選任される事例や、新築マンションにおいて、管理業者が管理者に就任することを前提として分譲が行われる事例が出てきています。
    • このような管理方式については、その運営方法によっては、区分所有者の意思から離れた不適切な管理、管理組合と管理業者との利益相反の発生、管理業者に支払うコストの増大等が生じるおそれがあることから、その導入の判断にあたってはメリット・デメリットを踏まえた慎重な検討が必要です。
    • また、こうした検討を経て導入することを決定した場合についても、マンション管理の主体は区分所有者から構成される管理組合であることを踏まえ、管理者の選任や業務の監督等を適正に行うことができる体制を整備することをはじめ、区分所有者による管理者に対する適切な監督を行うことが必要です。
    • このような点を踏まえ、今般、管理業者管理者方式を含む外部管理者方式等における留意事項について整理を行い、従来の「外部専門家の活用ガイドライン(平成29年6月)」を再構成し、「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」として策定しました。
  • 概要
    • 新しく策定したガイドラインでは、マンション管理の主体は区分所有者で構成される管理組合であることを踏まえ、第2章においてマンション管理士等の外部専門家が管理者に就任する場合等における留意事項、第3章において管理業者管理者方式における留意事項を整理しました。
    • 管理業者管理者方式については、以下の事項等について、必要な規定を整備しました。
      • 既存マンションにおいて管理業者管理者方式を導入する場合のプロセス
      • 新築マンションにおいて管理業者管理者方式が導入される場合の説明のあり方
      • 管理組合運営のあり方(管理者権限の範囲等)
      • 管理業者管理者方式における通帳・印鑑の望ましい保管のあり方
      • 管理業者が管理者の地位を離れる場合のプロセス
      • 日常の管理での利益相反取引等におけるプロセスや区分所有者に対する情報開示のあり方
      • 大規模修繕工事におけるプロセスや区分所有者に対する情報開示のあり方
      • 監事の設置と監査のあり方
  • 新しく策定したガイドラインについて

国土交通省 「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の改定について~「段階増額積立方式における適切な引上げの考え方」~
  • 適切な修繕積立金の確保を目的とした「段階増額積立方式における適切な引上げの考え方」について、「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に反映します。
  • 改定の背景
    • マンションの長寿命化に向け適時適切に大規模修繕工事を行っていくためには、修繕積立金を安定的に確保することが重要です。
    • 修繕積立金の積立方式としては、計画期間中の積立額を均等とする「均等積立方式」、計画期間開始当初の積立額を抑え、期間中で段階的に増額していく「段階増額積立方式」があります。
    • 将来にわたって安定的な修繕積立金の積立てを確保する観点からは、均等積立方式が望ましい方式といえます。
    • 一方、段階増額積立方式を採用するマンションの中には、計画期間中の修繕積立金の水準が大幅に上昇している例があり、予定通りの引上げができず修繕積立金の不足につながるおそれがあります。
    • こうした状況に対応するため、今後のマンション政策について幅広く検討することを目的として、国土交通省では「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」を設置し、同検討会のとりまとめ(令和5年8月)に基づいて設置した「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」(以下「WG」という。)においては、適切な修繕積立金の確保について議論を重ねてまいりました。
  • 改定の概要
    • WGにおいて公表した「段階増額積立方式における適切な引上げの考え方」について、「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に反映します。
    • 段階増額積立方式における適切な引上げの考え方
      • 段階増額積立方式における月あたりの徴収金額は、均等積立方式とした場合の月あたりの金額を基準額とした場合、計画の初期額は基準額の0.6倍以上、計画の最終額は基準額の1.1倍以内とする。
  • 改定後のガイドラインについて

国土交通省 「マンション標準管理規約」の改正について~所在等不明区分所有者への対策や管理情報の見える化等に向けた改正を行います~
  • マンションを巡る「2つの老い」の進行等に伴う課題や昨今の社会情勢の変化等に対応するため、マンションの管理規約を作成・改正する際のひな型となる「マンション標準管理規約」を改正します。
  • 改正の背景
    • マンションを巡っては、建物の高経年化と居住者の高齢化の「2つの老い」が進行し、これに伴い様々な課題が顕在化しつつあります。こうした状況に対応するため、今後のマンション政策について幅広く検討することを目的として、国土交通省では「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」を設置し、同検討会のとりまとめ(令和5年8月)に基づいて設置した「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」(以下「WG」という。)においては、「マンション標準管理規約」の見直しに向けた議論を重ねてきました。
    • 今般、WGにおける議論のとりまとめ等を踏まえ、マンション標準管理規約の改正を行います。
  • 改正の概要
    • 以下の事項等について、必要な規定を整備しました。
      • 組合員名簿・居住者名簿の作成、更新の仕組み
      • 所在等が判明しない区分所有者への対応
      • 修繕積立金の変更予定等の見える化
      • 総会・理事会資料等の管理に関する図書の保管
      • EV(電気自動車)用充電設備の設置の推進
      • 宅配ボックスの設置に係る決議要件の明確化 等
      • その他、「置き配」に関して使用細則を策定する際の参考となるポイントを定めました。
  • 改正後のマンション標準管理規約について

国土交通省 日本航空株式会社に対する厳重注意について
  • 日本航空株式会社(以下、「同社」という。)において、安全上のトラブルが相次いで発生しているため、国土交通省航空局は本日付けで同社に対して別添のとおり厳重注意を行い、航空輸送の安全の確保に向けた更なる取組みを検討の上、令和6年6月11日までに再発防止策を報告するよう指示しましたのでお知らせします。
  • 国土交通省航空局は、同社において再発防止が確実に図られ、安全運航のための体制が維持されるよう、引き続き指導監督を行ってまいります。
  • 日本航空株式会社による最近の安全上のトラブル
    • 令和5年11月5日(現地時間)、米国シアトル・タコマ空港において、同社の航空機が管制許可を受けずに滑走路を横断した事案
    • 本年2月6日(現地時間)、米国サンディエゴ空港において、他機が着陸進入中に、地上走行中の同社の航空機が誤って異なる誘導路に進入し、管制許可を受けずに滑走路手前の停止線を越えたことから、管制官の指示により他機が着陸進入復行した事案
    • 本年4月22日(現地時間)、米国ダラスに滞在中の機長が過度な飲酒に起因して不適切な行動をしたことにより、4月24日(現地時間)に乗務予定の運航便に乗務できず、当該便が欠航した事案(※)本件は、運航規程への違反には至らなかったものの、運航乗務員の飲酒に関する自己管理が徹底されておらず、飲酒に同席していた他の運航乗務員等からの相互確認も行われなかった。
    • 本年5月10日、福岡空港において、他機が離陸滑走中に、同社の航空機が滑走路手前の停止線を越えたことから、管制官の指示により他機が離陸を中止した事案
    • 本年5月23日、羽田空港駐機場において、出発のためにプッシュバック中の同社の航空機とスポットインのためにトーイング中の同社の航空機の主翼端同士が接触した事案

国土交通省 6月は、「不正改造車を排除する運動」の強化月間です!~車の不正改造は、事故や環境悪化を引き起こす犯罪です~
  • 国土交通省では『不正改造車を排除する運動』として、関係省庁・団体※1と連携し、不正改造を「しない」・「させない」ための啓発活動を行っております。その一環として、各地方運輸局等が定める「強化月間」が6月1日から始まり※2、街頭検査の実施など、安全・安心な車社会形成のための徹底した取組みを行います。
    • 不正改造を「しない」・「させない」ための啓発活動
      • ポスター及びチラシ(別紙2~4)等の貼付、配布及びSNS等への掲載等により、積極的に広報を実施。
      • 全国のバス事業者の協力(別添5)による、バス車両前面への広報横断幕の掲示。
    • 不正改造車を排除するための街頭検査の実施
      • 警察機関、独立行政法人自動車技術総合機構、軽自動車検査協会等と連携した街頭検査を全国各地で実施し、違反車両に対して整備命令を発令。
    • 不正改造車に関する情報収集等
      • 運輸支局等に「不正改造車・迷惑黒煙情報提供窓口」を設置し、通報があった情報をもとに、不正改造車ユーザーへ改善・報告を求める。

国土交通省 毎年6月は「まちづくり月間」です!~まちづくり功労者の表彰、まちづくりに関する行事の実施~
  • 国土交通省では、まちづくりについて広く住民の理解と協力を得ることを目的に、昭和58年度から毎年6月を「まちづくり月間」と定め、都道府県、市町村、関係団体等の協力を得て、まちづくりに関する啓発活動を幅広く実施しております。
  • 第42回目となる今回も、全国各地でまちづくり功労者の方々の表彰やまちづくりに関する広報活動をはじめとする多彩な行事が開催されます。
  • 「まちづくり月間」の主な取組
    • 令和6年度「まちづくりアワード」(功労部門)表彰
      • 都道府県・政令市より推薦された、魅力あるまちづくりの推進に功績のある個人又は団体を、まちづくり功労者として表彰します。※受賞者所在地又は国土交通省内で表彰式を実施。
    • 地方公共団体等における主な関連行事
      • 地方公共団体等が実施する主な取組を紹介します。

【文部科学省】

【2024年6月】

文部科学省 令和6年版 科学技術・イノベーション白書
▼ 概要版
  • 本白書は、科学技術・イノベーション基本法に基づき、政府が科学技術・イノベーション創出の振興に関して講じた施策を報告するもの。
  • 年度ごとの話題を特集する第1部、年次報告である第2部の二部構成(例年どおりの構成)。
  • 特集部分である第1部は「AIがもたらす科学技術・イノベーションの変革」について取り上げ、生成AI技術が急速に進展してきた背景や、国内外の研究開発動向、多様な科学分野における高度なAIの活用(AI for Science)の事例、そして社会への影響を紹介。
  • 新時代を迎えたAI
    • これまでの人工知能(AI)技術の進展を振り返りながら、文章や画像等を生成できる「生成AI」技術が急速に進展してきた背景や要因、そして次世代技術の方向性を紹介。
  • 我が国におけるAI関連研究開発の取組
    • 生成AIの開発、計算資源やデータ資源の整備・活用、安全性研究、人材育成等に係る取組事例を紹介。
      1. 我が国における生成AIに関する研究開発
        • 高度な日本語処理が求められる日常生活や産業現場での活用も想定した、高い日本語性能を有するモデルや軽量版モデルの開発が、大学、研究機関、スタートアップ、民間企業等で加速。
        • 国立情報学研究所は企業や大学等とLLM勉強会を主催し、知見を共有しながら開発力を底上げ。
        • 経済産業省は、国内の生成AIの開発力強化のため、基盤モデル開発を行う事業者に対し、計算資源の提供支援等を行う「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」を開始。
      2. 基盤モデルの開発を支える計算資源やデータ資源の整備・活用
        • 産業技術総合研究所「AI橋渡しクラウド(ABCI)」
        • 40-80計算ノードを最大60日間予約可能な「大規模言語モデル構築支援プログラム」を実施。
        • スーパーコンピュータ「富岳」の活用
        • 超大規模な並列計算環境において大規模言語モデル学習を効率良く実行する技術開発を実施。
      3. AIの安全性の確保に関する対策や研究開発
        • AIはデータを統計的・確率的に処理しているもので、事実と異なる情報を生成する等の問題が指摘されており、懸念としてAIが生成した偽・誤情報や偏向情報等が社会を不安定化・混乱させるリスク等が顕在化している。AIのガバナンスの在り方について、G7での議論のほか、国内でも対策や検討が進展
        • AIセーフティ・インスティテュート(AISI)の設立(令和6年2月)
        • 国立情報学研究所 大規模言語モデル研究開発センター 等での透明性・信頼性確保に向けた研究開発
      4. AI人材の育成
        • 数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度
        • 次世代AI人材育成プログラム(博士後期課程学生支援)等
  • AI関連研究開発の世界の動向
    • AIの研究開発を進める主要な国の戦略や動向とともに、多国間の連携や協働の取組を紹介。
      1. 米国
        • 民間企業に安全性確保についての自主的な取組を約束させるとともに、2023年10月には大統領令を発表し、安全保障上重大なリスクをもたらし得ると考えられる基盤モデルに対しては一定の規制を課しながらも、民間企業や大学における積極的な研究開発を推進。また米国AI安全研究所(USAISI)を設置。
      2. EU
        • 2024年3月の欧州議会で「AI法」案を採択。AIシステムをリスクレベルに分類し、リスクレベルに応じた規制を行う方針。またAIの他分野での活用含めた研究開発を支援。
      3. 英国
        • イノベーション促進型のルール整備をしながら、大学やスタートアップ等での研究開発を積極的に推進。2023年11月「AI安全性サミット」を開催するとともに、英国AI安全研究所(UKAISI)を設置。
      4. 「広島AIプロセス」
        • 令和5年5月に開催されたG7広島サミットを踏まえ、日本が議長国として、G7各国にOECD、GPAIを加えたメンバーで、AIのガナバンスの在り方等について議論を主導。12月、G7デジタル・技術大臣会合で、国際指針と行動規範を含む「広島AIプロセス包括的政策枠組み」を策定し、G7首脳が承認。
  • AIの多様な研究分野での活用が切り拓く新たな科学
    • 科学的な課題の解明の加速や研究活動の生産性向上等につながる高度なAIの活用事例や、新たな課題・挑戦を紹介。
      1. 多様な科学分野における高度なAIの活用(AI for Science)
        • シミュレーションの高度化・高速化:膨大なデータ等から構造や特性の予測モデルを作成し、タンパク質の立体構造やその変化の予測、新材料の探索等を効率化・迅速化。
        • 科学的仮説の生成や推論:AIを活用し、大規模なデータから、仮説の探索や生成を行い、人間の認知限界やバイアスを超えた科学的発見も可能に。
        • AIロボティクスや研究室の自律化:AIを用いたリアルタイムでの高次元の感覚や運動の予測、誤差の最小化によって、人間と同様に家事など複数のタスクを行える汎用型AIロボットの開発や、研究実験の一部又は全部を自動化・自律化する技術の開発も進展。
      2. 科学研究向けAI基盤モデルの開発
        • 理化学研究所を中核として、多様な科学研究データを活用することで、生命医科学、物質・材料・物性などの特定科学分野指向の科学基盤モデルの開発を実施。
  • 新時代を迎えたAIの社会へのインパクト
    • 今後、公共部門や製造業をはじめ様々な業種・分野で、生成AI技術をはじめとする高度AI技術の利活用が進むと見込まれる中、行政事務や行政サービス、知識労働分野での活用に向けた実証研究を紹介。また、AIによる社会の便益を増大させ、より多くの人が恩恵を享受できることを目指した実証取組も紹介
    • トヨタの米国研究所は、車体のデザインに際し、デザイナーが”滑らか”、”モダン”等のテキストで条件入力すると、空気抵抗のような定量指標を最適化するように、画像生成AIがデザインを生成できることを発表。
    • 文部科学省は、学校現場での生成AIの利用に関する暫定的なガイドラインを公表するとともに、教育活動や校務での生成AIの活用に取り組む52校をパイロット校として指定し、知見の蓄積を実施。

【農林水産省】

【2024年6月】

農林水産省 令和5年度食育白書を本日公表
▼ 報道発表資料
  • 令和5年度 食育白書の概要
    • 食育白書は、食育基本法に基づき、政府が毎年、国会に報告しているものです。
    • 第1部では、食料安全保障に関わる大きな情勢の変化等に鑑み、農業の生産から消費までの過程やその課題への国民の理解を更に深める必要があることから、特集1を「農林水産業に対する国民理解の醸成」として、農林漁業体験の提供、産地と消費者の結び付きの強化、農林漁業等に関する教育の機会の充実に関する取組を紹介しています。
    • また、特集2「子供・若い世代を中心とした食育の推進」では、第4次食育推進基本計画の重点事項である「生涯を通じた心身の健康を支える食育の推進」のうち、子供や若い世代における食育の取組に焦点を当て、食育に関する意識や食育の実践状況等を記述するとともに、取組の事例を紹介しています。
    • 第2部では、第4次食育推進基本計画に掲げた事項の具体的な取組状況について、様々な事例を紹介しつつ、話題性の高いテーマをコラムとして記述しています。
    • 第3部では、第4次食育推進基本計画で掲げた目標値の達成状況等を記述しています
  • 内容のポイント
    • 第1部 食育推進施策をめぐる状況
      • 特集1 農林水産業に対する国民理解の醸成
        • 現下の食料安全保障に関わる大きな情勢の変化等に鑑み、農業の生産から消費までの過程やその課題への国民の理解を更に深めることが必要。そのために特に重要となる農林漁業体験の提供、産地と消費者の結び付きの強化、農林漁業等に関する教育の機会の充実に関する取組を紹介。
      • 特集2 子供・若い世代を中心とした食育の推進
        • 朝食の欠食やバランスのよい食事がとれていないといった若い世代の食の現状を分析し、朝食欠食等の改善に向けた食育の取組を事例等で紹介。
    • 第2部 食育推進施策の具体的取組
      • 第1章 家庭における食育の推進
        • 「早寝早起き朝ごはん」国民運動の推進等の子供の基本的な生活習慣の形成、妊産婦や乳幼児に対する食育の推進等について記述
      • 第2章 学校、保育所等における食育の推進
        • 栄養教諭の配置等の学校における食に関する指導体制の充実、学校給食における地場産物等の活用等について記述
      • 第3章 地域における食育の推進
        • 健全な食生活の実践を促す食育の推進、「日本型食生活」の実践の推進、食品関連事業者等による食育の推進等について記述
      • 第4章 食育推進運動の展開
        • 「食育月間」の取組、食育推進計画の作成に関する状況等について記述
      • 第5章 生産者と消費者との交流の促進、環境と調和のとれた農林漁業の活性化等
        • 農泊や農林漁業体験等を通じた生産者と消費者の交流の促進、地産地消の推進、食品ロスの削減等について記述
      • 第6章 食文化の継承のための活動の支援等
        • ボランティア等による食文化継承の取組、「和食」の保護と次世代への継承のための取組等について記述
      • 第7章 食品の安全性・栄養等に関する調査、研究、情報提供及び国際交流の推進
        • 食品の安全に関する情報提供、食品表示の理解促進、日本食・食文化の海外への発信等について記述
    • 第3部 食育推進施策の目標と現状に関する評価
      • 第4次食育推進基本計画で掲げた目標値の進捗状況等について記述

農林水産省 令和5年度 食料・農業・農村白書
▼ 概要版
  • 基本法制定から四半世紀が経過する中、食料安全保障上のリスクが顕在化
    • 食料・農業・農村基本法(以下「現行基本法」という。)の制定から四半世紀が経過する中、我が国の食料・農業・農村は、制定時には想定していなかった、又は想定を超えた情勢の変化や課題に直面
    • 具体的には、(1)世界的な人口増加に伴う食料争奪の激化、気候変動による食料生産の不安定化に起因する食料安全保障上のリスクの高まり、(2)地球温暖化、生物多様性といった環境等の持続可能性に配慮した取組への関心の高まり、(3)国内の人口減少に先駆けて農村人口が急激に減少する中で、農業者の急減等による食料供給を支える力への懸念の高まり等が見られ、大きな歴史的転換点に立脚
  • 現行基本法制定以降、食料・農業・農村をめぐる内外の情勢は大きく変化
    • 現行基本法制定以降、食料・農業・農村をめぐる内外の情勢は大きく変化
    • 特にロシアによるウクライナ侵略等により、世界の食料生産・供給は不安定化
    • また、現行基本法制定後、環境保全や持続可能性をめぐる国際的な議論は大きく進展し、農業や食品産業と持続可能性との考え方も大きく変化
    • 現行基本法の基本理念が前提としていた状況が大きく変わりつつあり、新たな課題も発生
  • 世界情勢の変化により食料安全保障に係る地政学的リスクが高まり
    • 近年、新型コロナウイルス感染症のまん延、エネルギー価格の高騰、気候変動、紛争等による複合的リスクが顕在化。そのような中、ロシアによるウクライナ侵略等により、黒海経由の穀物輸出の停滞、国際的な小麦相場や肥料原料価格の高騰といった世界の食料供給が一層不安定化
    • 地政学的な情勢の不安定化は、輸入依存度の高い我が国の食料供給に深刻な影響を及ぼす可能性
  • 経済的理由により十分な食料を入手できない人が増加しているほか、食料を届ける力が減退
    • 1990年代以降、非正規雇用の増加等により、低所得者層が増加。所得が200万円未満の世帯割合の増加が見られており、経済的理由により十分な食料を入手できない者が増加
    • いわゆる「物流の2024年問題」の影響と併せて、食品流通に支障が生じる懸念が高まっている。また、国内市場の縮小の影響は、特に過疎地で顕在化・深刻化しており、「買い物困難者」が増加
  • 世界人口の増加等に伴い食料需要が増大している一方で、気候変動や異常気象の頻発化等により食料生産が不安定化
    • 1999年当時に約60億人であった世界人口は、2023年には80億1千万人、2050年には約97億人になると推計。人口増加に対応し、世界の穀物生産量も増加
    • 地球温暖化の影響により、高温、干ばつ、大規模な洪水等の異常気象が頻発し、2000年代に入ってからは、毎年のように世界各地で局所的な不作が発生。世界的な食料生産の不安定化が助長されており、穀物価格の高騰と暴落が繰り返されるようになっている。
  • 食料の輸入大国が新たに現れる状況において、輸入価格は上昇し、安定的な輸入にも懸念
    • 我が国では約30年にわたるデフレ経済下で経済成長が著しく鈍化したのに対し、世界的には中国やインド等の新興国の経済が急成長。今後我が国の経済的地位は更に低下することが予想
    • 我が国が輸入に大きく依存している穀物、油糧種子、肥料や飼料等の農業生産資材の調達競争が激化しており、世界中から必要な食料や農業生産資材を思うような条件で調達できない状況となってきている。
  • 約30年にわたるデフレ経済下で安売りの常態化や、サプライチェーン全体を通じて食品価格を上げることを敬遠する意識が醸成・固定化される中、価格形成機能の問題が顕在化
    • 約30年にわたるデフレ経済下で、国内の農産物・食品価格はほとんど上昇しないまま推移。消費者も低価格の食料を求める中、安売り競争が常態化し、サプライチェーン全体を通じて食品価格を上げることを敬遠する意識が醸成・固定化。生産コストが増加しても価格を上げることができない問題が深刻化し、農産物や生産資材の価格が急騰した際にも製品価格に速やかに反映できず、事業継続にも関わる事態が生じている。
    • 他品目に比べ、農外収入が大きく、兼業主体の生産構造や他作物への転換が進まなかった稲作を始め、生産サイドにおいては、その需要に合わせた対応が必ずしもできていない状況
    • 長期にわたるデフレ経済下で、価格の安さによって競争する食品販売が普遍化し、その結果、価格形成において生産コストが十分考慮されず、また、生産コストが上昇しても販売価格に速やかに反映することが難しい状況を生み出している
  • 人口減少・高齢化に伴い国内市場が縮小
    • 我が国の人口は2008年をピークに減少に転じており、今後とも人口減少や高齢化により、食料の総需要と1人当たり需要の両方が減少することが見込まれ、国内の食市場が急速に縮小していくことが避けられない状況
    • 少子化や高齢化の進展により単身世帯が増えることも見込まれ、家庭で直接又は調理を経て消費される生鮮食品から調理済み等の加工食品に需要がシフトすることが予想
  • 世界人口の増加に伴い、国際的な食市場は拡大傾向
    • 世界人口の増加に伴い、国際的な食市場は拡大傾向にあり、主要国・地域の飲食料マーケット規模は2015年から2030年にかけて1.5倍になると予測
    • 特にアジア地域は、世界の経済発展の中心地であり、高所得者層の増加等により、日本食が受け入れられ、我が国の農産物や加工食品の需要も高まりつつある状況
    • 持続的な成長とリスク分散、農業の生産基盤の維持の観点から、国内市場だけでなく海外市場も視野に入れた農業・食品産業への転換を推進していく必要
  • 農業が有する環境・持続可能性への負の影響への関心が高まり。環境に配慮した持続可能な農業を主流化する政策の導入が進展
    • 地球環境の保全や貧困問題の解消といった持続的な社会・経済の形成に向けた国際的な議論が進展
    • 食料供給が地力の維持や自然景観の保全等の生態系サービスに与える悪影響を最小化していくことが重要という考え方が国際的に浸透
    • 農業が環境に負の影響を与え、持続可能性を損なう側面もあるという前提に立ち、農林業由来の温室効果ガスの排出削減、環境への負荷の低減に取り組むことにより、環境に配慮した持続可能な農業を主流化することが必要
    • 我が国においても2021年に「みどりの食料システム戦略」(以下「みどり戦略」という。)が策定され、2022年にみどりの食料システム法が制定され、農業の環境負荷低減を図る取組が進められている
  • 我が国の人口減少は、農村で先行し、農業者の減少・高齢化が著しく進展
    • 我が国の人口減少は、農村で先行し、農業者の減少・高齢化が著しく進展
    • 基幹的農業従事者数は、2000年の約240万人から2023年には約116万人と半減し、その年齢構成のピークは70歳以上層となっている。20年後の基幹的農業従事者の中心となることが想定される60歳未満層は、全体の約2割の24万人程度にとどまっている。
  • スマート農業技術等の生産性向上等に資する技術革新が進展。一方で、実証プロジェクトにおいてスマート農業機械等の導入コスト等の課題が判明
    • スマート農業技術を始め、農業の生産性向上等に資する技術革新が進展。今後、農業者が減少する中、食料の供給基盤の維持を図っていくとともに、生産性の高い農業を確立するためには、デジタル変革の進展を踏まえ、スマート農業を一層推進していくことが重要
    • 2019年度からスマート農業実証プロジェクトを全国217地区で推進し、作業時間の大幅な削減効果が明らかになったほか、危険な作業や重労働、現場のはり付きからの解放といった効果や、環境負荷低減によるみどり戦略の実現への貢献を確認。一方で、スマート農業機械等の導入コストの高さやそれを扱える人材の不足、従来の栽培方式にスマート農業技術をそのまま導入してもその効果が十分に発揮されないこと、スマート農業技術の開発が不十分な領域があり開発の促進を図る必要があること等の課題が判明
  • 農村人口の減少や集落の縮小により農業を支える力が減退
    • 農村では都市に先駆けて人口減少・過疎化が進行
    • 集落機能の維持に支障を来す事態も生じており、集落内の戸数が9戸以下になると用排水路の管理や農地の保全等の集落が担ってきた共同活動が著しく減退するといった状況も見られている。
    • 農村人口の減少や集落機能の低下は食料安全保障上のリスクとして認識されるべき課題となっている
  • 過疎地域では社会減を上回る規模で自然減が進行することが予想。これまで集落による共同活動により支えられてきた農業生産活動の継続性が懸念
    • 過疎地域では、特に中山間地域での高齢化が顕著であること等を背景として、2009年度以降、社会減より自然減が大きくなっている。今後、農村への移住等により社会減が一定程度緩和されたとしても、それを上回る規模で自然減が進行することが予想
    • これまで集落の共同活動により支えられてきた農業生産活動の継続が懸念される状況
    • 特に農村に一定の住民がいることを前提にこれまで地域で支えてきた用排水路や農道といった末端の農業インフラの保全管理等への対応が課題

【総務省】

【2024年7月】

総務省 利用者情報に関するワーキンググループ(第8回)
▼ 参考資料8-2 第7回会合を踏まえた修正内容
  • ダークパターンの具体例について、EDPBによるガイドラインや、OECDによる報告書の内容を参考に、事例を複数追加。
  • 他法令で禁止されている事項については、当該法令に従い対応する必要がある旨、追記。
  • ダークパターン関連のご意見
    • EDPBの示すダークパターンの具体例というところも参照いただいているが、EDPBの示すダークパターンの中から、SPIとしてどれに対応することが望ましいのかというところは明記しても良いと思ったところ。今の書き方だと、参考で何個か例が挙げられているけれども、この参考の中にも書いていないが、よく同意を促すようなもの、例えば、iPhoneのATTの同意を得るときに、本当はできるにもかかわらず、この同意をしてくれないと何とかできない。そういった掲載であるとか、本当は同意しなくても良いのに、同意しないと前に進めないようなものに対して、ちゃんとSPIの中で、そういうものはダークパターンになるので、やらないことが望ましいというところを書くのが良いと思っている。【太田構成員】
    • SPIは名前どおりプライバシーに関することなので、どこまで取り込むかというところはあるが、景表法、特定商取引法、消費者契約法と様々な法令によりダークパターンに対する対応が進んでいるところ、このSPIの文書の趣旨から大きく外れず可能な範囲で言及していけると良い。【呂構成員】
    • SPIとしてどのような手法に注意すべきかということも言及できると良い。令和6年版(令和5年度版)消費者白書ではOECDの報告書を引用しつつ、具体的に気をつけるべき手法について図解を交えて注意喚起している。クッキー同意を取得する際に「同意しない」選択肢を視認しづらく表示する方法や、位置情報を取得するために繰り返し同意を求める画面を出す方法などプライバシーに関する事例についてもかなり分かりやすく示されているので、参照すると良いのではないか。【呂構成員】
  • プロファイリングによる利用者の分類について、利用者が本人の分類状況を確認できる用にすることは、利用者情報の取扱いの予測・想定に資すると考えられる旨、追記(P17)。
  • プロファイリング結果に基づき、利用者に取って重要な決定が自動的に行われることがある場合には、その旨や当該決定に至る際に依拠する基準等を明示することが望ましい旨、追記
  • プロファイリング関連のご意見
    • プロファイリングについて、利用目的の特定・明示のところに書かれているので、これも場所が違うかもしれないが、プロファイリングのときに利用目的を特定して明示するとありまして、それはそのとおりだと思うが、プロファイリングとの関係では、どこかでプロファイリングして生成される情報の項目、何を生成しているのかということを明示させるべきではないか。【森構成員】
    • プロファイリングをする・しないについては書いていると思うが、何を生成しているのか、生成する情報にはライトなものもディープなものもあると思うので、その生成される項目を記載するべきではないかという意見だと理解している。要配慮情報は反映しているが、それ以外のものについても書くべきではないかということだと受け止めている。一方、ここは、事業者への御負担というところでも、大きな問題、大きなお話にもなってくると思うので、コンセンサスを取ったほうがよい。【山本主査】
    • プロファイリングに関して、事業者が何をすべきかということに関しては、DMAが、EUのデジタル市場法で、ゲートキーパーに対してプロファイリングについてレポートを出させており、これがテンプレート化されている。これは、細かいところまで書かれているので、これ全部を日本で、たとえベストプラクティスでも全部入れるのは重いとは思うが、取捨選択していただいて、何の情報を、何にどういう処理をして、何に使うのかということに関しては、最も大きなものとしてテンプレートの中でも書かれているので、そういったものはベストプラクティスとして取り入れることは、既にもう海外では存在しており、やってもいいのではないか。【寺田構成員】
    • DMAのテンプレは参考になると思う。【生貝主査代理】
    • プロファイリングを実施することそのものと、プロファイリングに基づいた決定を行うことの両面から考えていく必要があるということを、事前のヒアリングでも話をした。脚注15に、決定を行う場合の対応が記載されており、決定を伴うプロファイリングに関しては、そのロジックというのが1つの透明性条項としてGDPRの中でも重視されている。そういった側面をどのように考えていくかというのも1つの論点にはなる。【生貝主査代理】
    • センシティブ情報については項目を明示すると書いてある。項目とは何かというのは、その項目は個人情報保護法の法律用語であるが、その項目の粒度がどうなっているのかというのははっきりしていなと思うが、基本的には事業者側の分類、事業者側のデータベースにおいて、どういう分け方をしているかということだと思う。例えば「アーリーアダプター」ということにしてチェックを入れる、「怒りに流される」で0と1になっているとか、そのようにされていれば、それを言っていただきたいということだと思うので、負担の大きなものではないかと思う。【森構成員】
    • 自分たちの脆弱性を暴かれているのではないかというところは気になるのではないか。【森構成員】
    • 事業者が利用者をどういうセグメントに分けていて、どのようにプライバシーインパクトをアセスメントをして、そこに対応していくということは必要だと思う。【太田構成員】
    • 地域のプロファイリング程度であればよくても、その地域に住む人はこういう傾向である、など、プロファイリングの結果を基にさらなるプロファイリングがなされることもある。要は、プロファイリングした結果、どういうものに、どういう情報になり、それが何に使われるのかというところが重要なところなので、どういうプロファイリングをしてそれを何に使っているのかというところが、セットで見られると良いと思う。【太田構成員】
    • どういう項目をプロファイリングするかにより、インパクトが変わってくる。まずはどのようなセグメント化をしているかについて明示してもらうのが第一歩としてあるのではないか。【森構成員】
    • 前提として、センシティブな情報というのはできるだけ使わないようにというのはあるが、それ以外の安全と思われているデータでも、組合せ次第ではいろんなことが、推測するとか、AIを使えば、こういうのに該当する人は、ほかのところの情報と照らし合わせてどうかということは幾らでもできてしまうので、一定程度のセグメントというのを出すのは必要であるが、それにプラスして重要なのは、利用目的を明示して、それ以外のことはしないということを大前提にするべきと思っている。これは、今回原則に入った不適正な利用の禁止というものとも連携する話になる。【寺田構成員】
  • 個人情報保護法上、「偽りその他不正の手段」により個人情報を取得してはならないとされている点について、「不正の手段」には不適法な方法も含まれること等について、追記(P8)。
  • 「適正な手段による取得の確保」と「不適正利用の禁止」を統合するとともに、「プライバシー・バイ・デザイン」に「セキュリティ・バイ・デザイン」を追加、「セキュリティの確保」を削除
  • 基本原則関連のご意見
    • プラポリで特定されていない情報の外部送信が横行している。私のアイデアとしては、7ページの、先ほどの基本原則のところの3番目、適正な手段による取得の確保のところに、ちゃんと特定せずに外部送信して個人情報とくっつけた場合、個人情報保護法上の適正取得義務違反になると脚注に書いていただく。今回、脚注で、個情法違反があった場合のことというのを書いたというのが1つのポイントだと思うので、それは違法だということを脚注に書いていただくのが良い。2018年10月に、個人情報保護委員会がフェイスブックに対して行政指導をしているが、これは「いいね!」ボタンの外部送信で、かつ、それが取得先であるフェイスブックのデータベースで個人情報になったということに着目して行政指導をしている。しかもその中身は、ウェブサイトには書いていないが、実質的には適正取得義務違反の疑い、適正取得義務違反のおそれということだと思うので、やはりそれは、プラポリに書かずに取得して個人情報に紐付けた場合、個人情報保護法20条に違反するということを、脚注で書いていただくのが良い。【森構成員】
    • 基本原則については、ある程度、数としてあまり多過ぎず整理することも重要であり、幾つか恐らく整理でき得る部分もある。例えば、適正な取得と不適正な利用というところや、あるいはプライバシーバイデザインというのは原則項目の中にあるが、せっかく後ろのほうにある「セキュリティバイデザイン」という言葉が原則に入っていないのが、少しもったいないところ、プライバシー及びセキュリティバイデザインといったまとめ方もある。【生貝主査代理】
  • アプリケーションの掲載を拒否する場合には、その理由について、アプリケーション提供者に対して適切なフィードバックを行うことが望ましい旨、追記。また、そのフィードバックの方法については、英国コード・オブ・プラクティスにおける開発者に対する明確なフィードバックに関する規範を参照することが考えられる旨、追記
  • アプリストアにおける取組関連のご意見
    • アプリストアに関して、英国のガイドライン等を参考にしながら記載されているところ、アプリストアの果たす役割はゲートキーパーとしても非常に大きく、今回求められている事項に適合しないアプリについて、アプリストアから削除する等の対応を実施すると書いているところ、一方では、アプリを提供する方々の予見可能性、アプリを作っている方々が、なぜ削除されたのか、どのようにすれば、適合した形で再び掲載し続けてもらえるのかといったことを説明することも、SPIとの関わりでも重要なところだと思う。英国のアプリストア運営者のガイドラインでは、拒否の正当性を説明して、アプリが承認されるためにどういった要素を変更する必要があるかを明確にした、一貫性のある実用的なフィードバックを提供する必要があるといったことが書かれていることなども参考に、しかるべきアプリが流通していくためのフィードバックの在り方も少し強調されてもよいと思う。【生貝主査代理】
  • アプリケーション及びウェブサイトを総称する「アプリケーション等」を定義に追加し、全体を通じて「アプリケーション」を「アプリケーション等」に修正。
  • 「個人識別性」は「特定の個人の識別性」に修正(P9ほか)。また、個人情報保護法関係の記載について、正確を期した表現に修正
  • その他のご意見
    • 情報収集モジュール等の定義が、ウェブサイト上のタグを含むことになっているが、アプリケーションの定義ではウェブサイトを含むことにはなっていない。そのため「アプリケーション等」として、アプリとウェブサイトの両方を含む形とし、そして「情報収集モジュール等」として本来のSDKとタグを含む形とするか、アプリはアプリ、ウェブサイトはウェブサイト、情報収集モジュールはSDK、ウェブサイトのタグはタグというふうに分けて書くか、いずれかにすべきではないか。アプリとウェブサイトは違うものと考えて、読み替えとするのは、複雑ではないか。【森構成員】
    • アプリケーションの定義にウェブサイトを含めた上で、情報収集モジュールにはタグも含まれる形とするのがよいと思う。【太田構成員】
    • 利用者情報と個人情報、通信の秘密の区分が、非常に分かりにくい状態にあり、特に事業者にとっては、様々な箇所に分散して記載されていて分かりにくい状態になっていたところ、今回しっかりと明示された点はありがたい。一方で、現在調整中と聞いているが、個人識別性という用語について、個人情報となるのはあくまでも特定の個人が識別される場合であるところ、クッキーや端末IDは、個人を特定するというよりは利用者を識別するという形で使われるもので、今回諸処に出てくる個人識別性という用語が、特定の個人なのか、それとも特定できない個人の場合なのかが、混在してしまっているので、この辺りの書き分けをもう少し丁寧にしていただけるとよい。【寺田構成員】

総務省 令和6年「情報通信に関する現状報告」(令和6年版情報通信白書)の公表
▼ 別紙1「令和6年版情報通信白書の概要」
  • 特集 能登半島地震 情報通信インフラの被害状況と復旧に向けた取組
    • 令和6年1月1日に発生した能登半島地震では、国民生活の重要なライフラインである情報通信インフラにも影響が大きく及び、北陸地方を中心に、通信回線の断線や停電等により通信サービスが利用できなくなる、テレビ・ラジオ放送が視聴できなくなる等の被害が発生した。
    • がけ崩れや土砂災害の影響で陸路からのアクセスが困難ななか、民間事業者や自治体、政府機関が連携し、通信・放送の早期復旧に向けた取組を実施したほか、衛星通信サービスが活用された。
    • 情報通信インフラの被害状況
      • 通信
        • 固定電話 最大約7,800回線、固定通信 最大約1,500回線のサービスに障害移動通信(携帯電話等) 最大839基地局(うち石川県799)が停波
      • 放送
        • 輪島市の一部でNHK及び民放テレビ4局で停波、最大約2,130世帯に影響ケーブルテレビ2局も石川県内の一部で停波
      • 郵便
        • 最大で117局の郵便局が閉局した他、郵便・物流事業の遅延・業務停止が発生
  • 特集 能登半島地震 情報入手メディアと偽・誤情報の流通・拡散
    • 地震の情報入手手段として、2011年の東日本大震災時と比較して依然テレビ放送の割合が高い。また、ラジオ放送の割合は減少する一方で、若年層を中心にSNSの割合が増加した。
    • SNS上では震災に関連する“真偽不確かな情報”が多々流通・拡散。SNS利用者の42.7%が“1つ以上見かけた”とし、そのうち約25%が知人等にその“真偽不確かな情報”を拡散したと回答した。
    • 真偽不確かな情報の例:
      • 個人で支援を募る投稿(寄付・募金等を求める投稿)
      • 東日本大震災等、異なる災害時の画像や動画を添付して被害状況を報告する投稿
      • 能登半島地震が人工地震であるとする投稿 等
  • 真偽不確かな情報の”拡散”
    • 真偽不確かな情報を“1つ以上見かけた”人のうち、25.5%がその情報を拡散
    • 拡散した主な理由:
      • 他の人にとって役に立つ情報だと思った
      • その情報が興味深かった
      • その情報が間違っている可能性があると注意喚起をしようと思った
      • 人に注目してもらえると思った
  • 特集 能登半島地震 浮かび上がった課題への対応
    • 今般の震災で浮かび上がった課題への対応として、今後総務省は、通信事業者・放送事業者等と連携し、携帯電話基地局・光ファイバの強靭化、非常時における事業者間ローミングの実現、放送施設の停電対策や中継局の共同利用、ケーブル網の光化等の取組を推進していく。
    • また、SNSを中心に顕在化したインターネット上での偽・誤情報の流通・拡散に対しては、国際的な動向を踏まえつつ、制度面を含む総合的な対策を推進していく。
    • 主な課題
      • 大規模停電・交通アクセス遮断の長期化により、通信設備・放送設備の非常用電源の燃料が枯渇
      • SNS上における偽・誤情報の流通が拡大
        • 通信ネットワークの強靭化 取組例
          • 蓄電池の長寿命化やソーラーパネルの設置
          • 衛星回線による通信回線を冗長化
          • 大規模ゾーン基地局を整備し、緊急時幅広いエリアをカバー
          • 非常時の事業者間ローミングの実現
        • インターネット上の偽・誤情報への対応 取組例
          • 政府や放送・新聞等のメディアによる注意喚起
          • SNSプラットフォーム事業者への適正な対応を要請
          • 偽・誤情報への総合的な対策について、総務省検討会において、制度面も含め検討
        • 放送ネットワークの強靱化 取組例
          • 中継局の共同利用や設備の共通化について放送事業者間で協議を推進
          • センター施設の停電対策や伝送路の監視機能を強化
          • ケーブル網の光化・複線化等を実施
  • 特集 デジタルテクノロジー 技術の発展経緯と経済・社会への効果
    • AIは黎明期から現在まで、3度のブームと冬の時代を繰り返して高度化してきた。ディープラーニングの発展はメタバース、ロボティクス、自動運転技術等の開発に寄与したほか、生成AIの登場は産業構造にも大きなインパクトを与えた。これらの“デジタルテクノロジー”の進展は、社会的・経済的課題解決に貢献することが期待されている。
  • 特集 デジタルテクノロジー 利活用の状況(アンケート結果・活用事例)
    • 日本の生成AI、メタバース等の活用状況は欧米と比較すると低調である一方、今後の利用に前向きな割合は7割程度あり、潜在的なニーズは高い。
    • 生成AI、メタバース等を利用したサービスが開発され、教育、就労支援、介護等各分野でも活用が進んでいる。
  • 特集 デジタルテクノロジー 生成AIで顕在化した課題・リスクへの対応
    • 急速に進展・普及したAIには機密情報の流出、偽・誤情報の流通の加速等の多様なリスクが存在している。
    • AIの安全・安心の確保に向けて、AIの安全性の評価手法の検討等を行う機関として、日本にAIセーフティ・インスティテュート(AISI)が設立された。
    • 偽・誤情報対策としてはAI生成コンテンツを判別する技術の開発・実証も進んでいるほか、メディアを中心とした取組として、インターネット上の記事や広告に発信元の情報を付与する技術の開発等も進展している。
    • また、大規模言語モデル(LLM)開発は、OpenAIのほか、巨額の投資が可能で日々大量のデータを収集しているGAFAM等のビッグテック企業がリードしており、データの取扱いの透明性や、公平な市場環境の確保、日本の国際競争力強化に向けた対策等が求められる。
    • 対策の一つとして、産官学が連携して国産LLMの開発や大量・高品質で安全性の高い日本語中心の学習用データの整備を推進している。
  • 特集 デジタルテクノロジー AIに関するルール整備・国際連携
    • G7広島サミットを機に、広島AIプロセスを立ち上げ、生成AIに関する国際的なルール作りを主導。
    • 2023年12月、我が国が策定を主導した「広島AIプロセス包括的政策枠組み」(国際指針、国際行動規範等を含む)等が、G7首脳声明で承認。
    • 2024年5月、我が国が議長を務めたOECD閣僚理事会において、広島AIプロセスの成果を踏まえ、OECD AI原則を改定、岸田首相が「広島AIプロセス フレンズグループ」の立ち上げを宣言し、G7外へのアウトリーチを牽引。
    • 米国では、2023年10月に「安全・安心・信頼できるAIの開発と利用に関する大統領令」が発表。EUでは、2024年5月にAI事業者を対象とする世界初の包括的なAI規制法「欧州AI法(EU AI Act)」が成立。
    • 国内では、2024年4月に「AI事業者ガイドライン」が策定・公表。今後、AIに関する様々なリスクや、ソフトロー(規格、ガイドライン等)とハードロー(法律・基準等)に関する国際的な動向等も踏まえ、制度の在り方について検討。
  • 特集 デジタルテクノロジー 健全な活用、共生に向けた情報通信分野の取組
    • AIを活用した多様なデジタルサービスは我々の生活に深く浸透。メタバース、ロボティクス、自動運転技術等も地域活性化、防災等の我が国が抱える様々な社会的・経済的課題解決に貢献することが期待される。
    • こうしたテクノロジーを上手く活用し、共に生きる社会の実現に向け、サイバーセキュリティの確保に加え、以下のような取組の一層の推進が重要である。
      1. 産業競争力の強化/社会課題解決のためのデジタルテクノロジーの活用
        • デジタルテクノロジーの利用は、今やあらゆる産業における競争力強化・社会課題解決のために不可欠
        • 各分野での利用促進に向け、AIの計算資源/高品質データの整備・拡充のほか、基盤モデルの研究開発を推進(AI開発力の強化)
        • 社会課題解決のため、ユースケースごとに求められるデジタルテクノロジーの活用を推進
        • AI開発等でさらに技術面・ビジネス面で独占的な地位を占めようとするビッグテック企業について、公平な市場環境や利用者保護のための透明性向上等に向けた取組を推進
      2. デジタル空間の情報流通の健全性確保/活用に向けた人材育成・リテラシー向上
        • 生成AIで一層複雑化するデジタル空間の情報流通の健全性の確保に取り組むとともに、テクノロジーを使いこなすためのスキル向上が重要
        • 偽・誤情報の流通・拡散への対応等について、プラットフォーム事業者等の幅広い関係者を含めた総合的な対策を推進
        • 国民が適切に情報を受発信するためのリテラシーの向上施策を推進
        • デジタルテクノロジーを適切かつ積極的に利用する人材の育成・スキルの向上を推進
      3. デジタルテクノロジーを支える通信ネットワークの実現
        • AIによるネットワークの構造変化、メタバース等の新たなサービスの普及を受け、これらの技術を安定して使用できる通信ネットワークの需要が増大
        • 超高速・超大容量・超低遅延のデータ流通、低消費電力を可能とするBeyond 5Gに向けた取組を推進
        • 自動運転の実現に向けた通信ネットワークの構築を推進
      4. 安心・安全で信頼できる利用に向けたルール整備・適用と国際協調
        • 国境のないデジタル空間では、国際社会と連携して標準化やルールを推進・形成していくことが重要
        • AI事業者ガイドラインの一層の普及・周知を進めるとともに、今後政府全体で制度の在り方等について検討
        • 「広島AIプロセス」の成果の普及・拡大をはじめとし、引き続き各国と連携しつつAIガバナンスに関する取組を主導

総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 ワーキンググループ(第31回)配付資料
▼ 資料WG31-1 「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」ワーキンググループ中間とりまとめ(案)
  • 情報伝送PFサービスには、(1)誰もが低コストで不特定の者に向けた情報発信を行うことができ(情報発信コストの低廉性)、(2)情報の流通・拡散を促進する「いいね」やリポスト等の機能を備えていたり(拡散促進機能の具備)、(3)閲覧等受信側の利用者の興味・関心等に応じてコンテンツやデジタル広告の表示順位その他の表示方法を変更する機能を備えている(レコメンデーション機能・広告ターゲティング機能の具備)といった特徴を有するものが存在し、特に、コンテンツに付随して表示されるデジタル広告に対して支払われる広告費を主たる運営基盤としている情報伝送PFサービスの場合には、デジタル広告、ひいてはデジタル広告が付随するコンテンツの流通・拡散しやすさが収益に直結することから、上記(1)から(3)までに挙げた特徴をより強化するインセンティブが存在すると言える。
  • その結果、情報伝送PFサービスを中心とする現在のデジタル空間は、多様な一般利用者や広告主が実名・匿名で投稿・出稿する玉石混交のコンテンツやデジタル広告が、伝統メディアをはじめとするプロの書き手・送り手によるコンテンツと混じり合いながら溢れる情報過多の状況になっており、その状況がもたらす、一般に「アテンション・エコノミー」と呼ばれる経済モデルの下で、情報伝送PFサービスは、上記(1)から(3)までに挙げた特徴を一層先鋭化させ、更なる情報過多の状況をデジタル空間において再生産する傾向がある。
  • 例えば、一部の情報伝送PFサービスは、コンテンツやコンテンツに付随して表示されるデジタル広告の閲覧数等に応じて、当該コンテンツの発信者に経済的インセンティブを付与する仕組みを取り入れている。その結果として、閲覧等受信側の利用者を刺激し、より多くの注目・関心を集めて金銭的対価を得るために、情報伝送PFサービス上で、過激なタイトル・内容の情報や、憶測だけで作成された事実に基づかない情報等を流通・拡散させる者が現れており、このことが、偽・誤情報の流通・拡散に関連しているとする意見がある。実際に、SNSや動画投稿・共有サービス等の情報伝送PFサービスが偽・誤情報の流通・拡散の主要な場となっているとする調査結果が存在する10。特に、令和6年能登半島地震では、X(旧Twitter)の仕様変更(発信者への経済的インセンティブの付与開始)に伴い、閲覧数稼ぎが目的とみられる複製投稿(いわゆるコピペ投稿)その他偽・誤情報を含む投稿が多数確認されたとの調査結果もある。
  • さらに、放送、新聞等の伝統メディアが制作・編集・発信し、かつ自ら伝送したコンテンツが受信者の主な情報源であった従来の情報流通空間と異なり、情報伝送PFサービスを通じた情報流通14に関しては、個人の情報処理能力を遙かに超える量の情報が未整理の形で流通することにより、表現の自由や知る権利の前提となる思想同士の自由競争の場(思想の自由市場)が機能不全に陥る可能性も指摘されている。
  • このように、情報伝送PFサービスは、偽・誤情報の流通・拡散や、それによる社会的影響の発生・増幅をもたらすリスクを構造的に有していると言える。
  • このことを踏まえ、情報伝送PF事業者には、偽・誤情報の流通・拡散に関連して自社サービスやそのアーキテクチャ(サービスに組み込まれた拡散促進機能、レコメンデーション機能及び広告ターゲティング機能に加え、それらを支えるアルゴリズムを含む。)がデジタル空間における情報流通の健全性、ひいては権利侵害、社会的混乱その他の実空間や個人の意思決定の自律性に与える影響・リスクを自ら適切に把握した上で、影響・リスクに応じたコンテンツモデレーションを実施し、またデジタル広告の質の確保や質の高いメディアへの広告配信に資する取組を実施するなど、情報流通の適正化に取り組む一定の責任を果たすことが期待されている。
  • また、利用者の表現を預かる立場として、利用者の表現の自由の確保に取り組む一定の責任を果たすことも期待されている。特に、大規模事業者は、人々の日常的なコミュニケーション手段等として、国民生活や社会経済活動等に広くかつ深く浸透しており16、我が国のデジタル空間における情報流通について公共的役割を果たしている。
  • しかしながら、本検討会におけるプラットフォーム事業者ヒアリングの結果を踏まえると、デジタル空間における情報流通の適正化や利用者の表現の自由の確保に向けた情報伝送PF事業者による取組として、我が国国内における偽・誤情報の流通・拡散への対応状況(情報の削除等)を含む取組状況に関する透明性・アカウンタビリティの確保は総じて不十分であり、取組状況そのものについても全体として十分とは言えない。事業者団体による偽・誤情報対策に関する自主的な行動規範の策定に関する議論が白紙に戻り中断されていること27も鑑みると、情報伝送PF事業者による自主的な取組も期待できない状況であり、新たな具体的な対応が必要である。
  • 加えて、今後、生成AI等の新たな技術やサービスの進展・普及による偽・誤情報の爆発的増加・巧妙化も懸念されるほか、情報伝送PFサービスに組み込まれたアルゴリズム等の影響(フィルターバブル、エコーチェンバー等)により、人々が多様な情報を受信できずに適切な判断を下すことが困難となり、インターネット上で集団分極化が進み、結果として社会経済の混乱や民主主義への悪影響をもたらす可能性が指摘されるなど、いわば「誰にも開かれた情報流通の場」としてのインターネットそのものの存立が脅かされつつある近年の状況に鑑みると、情報伝送PF事業者による取組を中心としたデジタル空間の情報流通に関して、健全性を確実かつ持続的に確保するためのガバナンスを確立することが急務である。
  • 以上のようなデジタル空間における情報流通の現状や、情報伝送PF事業者に期待される役割・責務及びこれまでの取組状況等を踏まえると、制度整備も含め、情報伝送PF事業者に対して以下の具体的措置を求めることが適当である。
  • 対応を検討すべき「偽・誤情報」の定義・範囲
  • 情報伝送PF事業者において対応を検討すべき「偽・誤情報」の定義・範囲については、利用者の表現の自由をはじめとする様々な権利利益に配慮する観点から、前述の主要な情報伝送PF事業者における現状の利用規約等の内容を踏まえつつ、対象範囲の客観的な明確性を確保するとともに、必要かつ相当な対策が適正に講じられることを担保できるよう定められる必要がある。
  • 具体的には、少なくとも、次の(1)及び(2)の要件をいずれも満たす情報は、原則として、対応を検討すべき「偽・誤情報」の定義・範囲に含まれるものと考えることが適当である。
    • (1)検証可能な誤りが含まれていること
    • (2)次の各要素の有無・軽重に照らし、具体的な方策との関係で比例性が認められること
      • ⅰ.当該情報そのものが有する権利侵害性その他の違法性や客観的な有害性(及びその明白性)
      • ⅱ.当該情報が流通・拡散することによる社会的影響の重大性(及びその明白性)例)人の生命、身体又は財産に重大かつ明白な悪影響を与えるような情報重大な社会的混乱を招くような情報
      • ⅲ.(1)の誤りが含まれていることについての検証の容易性(誤りが含まれていることの明白性
  • (1)の要件は、対象範囲の客観的な明確性を確保する観点から要求されるものである。「内容」に誤りが含まれている情報のみならず、なりすましアカウントによる投稿など、発信者の「名義」に誤りが含まれる情報も、①の要件を満たし得る。
  • 一方、誤りが含まれていることに関する発信者の認識(主観的意図)については、「偽情報」と「誤情報」とを画する要件にはなり得る28ものの、情報伝送PF事業者において判別困難と考えられることから、対応を検討すべき「偽・誤情報」の定義・範囲の要件とはしないことが適当である。
  • (2)の要件は、どのような「偽・誤情報」に対して、具体的にどのような対応(具体的な方策)を実施すべきかが、)ⅰ.からⅲ.までの各要素の有無・軽重により異なり得ることを示している。
  • この点について、情報そのものに「権利侵害性その他の違法性」(ⅰ .)がある場合には、比較的広い範囲の具体的な方策との関係で(2)の要件に合致するものと評価し得るが、「権利侵害性その他の違法性」がない情報であっても、例えば、当該情報そのものが、又は当該情報が流通・拡散することにより、・人の生命、身体又は財産に重大かつ明白な悪影響を与えるような情報・重大な社会的混乱を招くような情報については、情報伝送PF事業者において、少なくとも、これらの情報の流通・拡散に関連して自らのビジネスモデルがもたらす社会的影響を予測し、有効な軽減措置を実施するといった方策(又はそれ以上の方策)を要する程度の「客観的な有害性」(ⅰ.)又は「社会的影響の重大性」(ⅱ.)を備えている、すなわち②の要件に合致するものと評価し得る。
  • 一方、これらの情報の具体的な範囲や、これらの情報以外のいかなる情報(又はその流通・拡散)について、いかなる具体的な方策との関係で、「客観的な有害性」や「社会的影響の重大性」が認められ得るかについては、今後、更なる検討が必要である。
  • (2)の要件に関連して、「客観的な有害性」及び「社会的影響の重大性」がともに小さいなど一定の類型の情報については、対応を検討すべき「偽・誤情報」の範囲に含まれないものと考えることが適当である。なお、「一定の類型の情報」として具体的にどのようなものが考えられるかについては、今後、更なる検討が必要である。
  • 以上のほか、必ずしも誤りは含まれていないが文脈上誤解を招く(ミスリーディングな)情報や、事実ではあるが人を害する意図を持って発信された悪意ある情報への対応の要否及び具体的な対応の在り方については、具体的なケースを想定しつつ、今後、更なる検討が必要である。
  • 偽・誤情報に対するコンテンツモデレーションの実効性確保に向けた方策
    • 情報伝送PF事業者によるコンテンツモデレーションの実効性を確保するための方策としては、例えば次のようなものが考えられる。
      1. コンテンツモデレーションに関する透明性の確保を通じた過不足ない実施の確保
      2. コンテンツモデレーションに関する対応の迅速化を通じた実施の促進
      3. 収益化の停止、ラベルの付与等、情報の可視性に直接の影響がないコンテンツモデレーションを中心に、体制を整備して確実に実施
      4. 情報の削除、アカウントの停止・削除等、情報の可視性への影響が大きいコンテンツモデレーションについて、体制を整備して確実に実施
      5. 上記(1)から(4)までの組合せによる対応
    • 対象とする偽・誤情報の特性・性質(権利侵害性その他の違法性・有害性、流通することによる社会的影響の重大性、誤りの明白性)等に応じた対応とすることが適当である。
    • この方策については、情報流通プラットフォーム対処法における迅速化規律等を参考としつつ、次の(ⅰ )から(ⅳ)までの対応を中心に具体化を進めることが適当である。
      • (ⅰ )外部からのコンテンツモデレーション申出・要請窓口を整備・公表
      • (ⅱ)上記(ⅰ )の窓口を通じて申出・要請があった場合に、一定期間内にコンテンツモデレーションの実施の要否・内容を判断し、申請者に判断結果(及び不服申立ての方法)を通知
      • (ⅲ)コンテンツモデレーションの実施の要否・内容を判断するための体制(コンテンツモデレーションに関する不服申立てを受け付ける体制を含む。)を整備
      • (ⅳ)一定の条件(例えば、行政機関等の特定の第三者からの申出・要請を受けて実施した場合等)の下で行ったコンテンツモデレーションにより発信者が被った損害について、情報伝送PF事業者を免責
    • これらの方策の具体化に当たっては、濫用的な申出・要請から生じる情報伝送PF事業者の実務上の負担に配慮する観点から、対象とする偽・誤情報の特性・性質に応じ、いかなる主体からの申出・要請を契機としたコンテンツモデレーションの実施を促進すべきかについて、以下を基本的な方向性としつつ、今後、更なる検討が必要である
      1. 他人の権利を侵害する違法な偽・誤情報
        • 他人の権利を侵害する違法な偽・誤情報については、(既に情報流通プラットフォーム対処法に規律が置かれたように、)自己の権利を侵害されたとする者(被侵害者)からの申出・要請を契機としたコンテンツモデレーションについて、上記(ⅰ )から(ⅳ)までのような対応を中心に、その迅速化を通じた実施の促進のための方策の在り方について具体化を進めることが、濫用的な申出・要請のおそれも小さく適当である。
      2. 行政法規に抵触する違法な偽・誤情報
        • 行政法規に抵触する違法な偽・誤情報については、対応の迅速化を通じた実施の促進を図ることとする場合、違法性の判断能力の観点から、当該行政法規を所管する行政機関(当該行政機関の委託や認証を受けた機関を含む。)からの申出・要請を契機としたコンテンツモデレーションについて、上記(ⅰ )から(ⅳ)までのような対応を中心に具体化を進めることが基本的には適当である44。なお、この点については、今後、具体的な行政法規45を洗い出しつつ、具体化を進めることが適当である。
        • ただし、この場合の対応については、前提として、行政機関による恣意的な申出・要請を防止し、透明性・アカウンタビリティを確保するとともに、過度な申出・要請に対し発信者や情報伝送PF事業者を救済するため、次のような方策を併せて検討することが不可欠である。
          • (ア)行政機関において、申出・申請に関する手続等(事後救済手段を含む。)を事前に策定・公表
          • (イ)行政機関において、実際に行った申出・申請の状況を事後的に公表
          • (ウ)申出・要請に応じて実施されたコンテンツモデレーションにより発信者が被った損害について、情報伝送PF事業者を免責
          • (エ)コンテンツモデレーションを実施した情報伝送PF事業者において、行政機関の名称等の情報を発信者に通知
      3. 権利侵害性その他の違法性はないが有害性や社会的影響の重大性が大きい偽・誤情報
        • 権利侵害性その他の違法性はないが有害性や社会的影響の重大性が大きい偽・誤情報は、上記(1)の偽・誤情報(他人の権利を侵害する違法な偽・誤情報)や上記(2)の偽・誤情報(行政法規に抵触する違法な偽・誤情報)とは異なり、違法性のない情報であることから、これに対するコンテンツモデレーションについては、第3章で後述する「情報伝送PFサービスが与える情報流通の健全性への影響の軽減に向けた方策」としての影響評価・軽減措置の確実な実施を求める枠組みの活用を含め、情報伝送PF事業者による取組を促す観点が重要である。
        • 一方、こうした取組の実効性を担保することも重要であるところ、以下の方向性を基本としつつ、上記(ⅰ )から(ⅳ)までのような対策を含め、情報伝送PF事業者によるコンテンツモデレーションの迅速化を通じた実施の促進のための方策の在り方について具体化を進めることが適当
        • (ア)情報の可視性への影響が大きいコンテンツモデレーション
          • 上記のとおり、権利侵害性その他の違法性はないが有害性や社会的影響の重大性が大きい偽・誤情報は、違法性のない情報であることから、第三者からの申出・要請を契機とした可視性への影響が大きいコンテンツモデレーション(情報の削除、アカウント停止・削除等)について上記(ⅰ )から(ⅳ)までのような対策の実施を制度的に担保することは、そうした措置の実施により、違法性のない情報に関する利用者の表現の自由を実質的に制約するおそれがあるため、当該偽・誤情報の特性・性質(有害性や社会的影響の大小・明白性、誤りが含まれることの明白性)を考慮しつつ、引き続き慎重な検討が必要である。
          • 一方、情報伝送PF事業者が自主的な判断により、こうした情報の流通・拡散を抑止するため、利用規約等に基づいて、情報の可視性への影響が大きいコンテンツモデレーションの措置を講ずることは妨げられるものではない。こうした取組を促す観点からは「情報伝送PFサービスが与える情報流通の健全性への影響の軽減に向けた方策」として情報伝送PF事業者による影響評価・軽減措置の確実な実施を求める枠組みを活用することが適当である。
        • (イ)情報の可視性に直接の影響がないコンテンツモデレーション等
          • 上記のとおり、権利侵害性その他の違法性はないが有害性や社会的影響の重大性が大きい偽・誤情報に対するコンテンツモデレーションについては、第3章で後述する「情報伝送PFサービスが与える情報流通の健全性への影響の軽減に向けた方策」としての影響評価・軽減措置の確実な実施を求める枠組みの活用を含め、情報伝送PF事業者による取組を促す観点が重要である。一方、こうした取組の実効性を担保することも重要であるところ、特に情報の可視性に直接の影響がないコンテンツモデレーション(収益化の停止、ラベルの付与等)を中心とした対応については、発信者や情報伝送PF事業者以外の特定の第三者(当該情報付近に広告を表示された広告主、ファクトチェック機関、行政機関等)から申出・要請があった場合における上記(ⅰ )から(ⅳ)までのような対策を含め、情報伝送PF事業者によるコンテンツモデレーションの迅速化を通じた実施の促進のための方策の在り方について具体化を進めることが適当である。
          • なお、当該偽・誤情報の特性・性質(有害性や社会的影響の大小・明白性、誤りが含まれることの明白性)に応じた適切な申出・要請主体の範囲や対象とするコンテンツモデレーションの範囲等の詳細については、今後、更なる検討が必要である。
      4. 情報の可視性に直接の影響がないものを中心としたコンテンツモデレーションの確実な実施
        • 上記(1)③の方策は、コンテンツモデレーションのうち、情報の可視性に直接の影響がない収益化の停止、ラベルの付与等を中心に、情報伝送PF事業者による確実な実施を担保するための方策である。
        • 特に、権利侵害性その他の違法性はないが有害性や社会的影響の重大性が大きい偽・誤情報に対するコンテンツモデレーションについては、上記(3)のとおり、第3章で後述する「情報伝送PFサービスが与える情報流通の健全性への影響の軽減に向けた方策」としての影響評価・軽減措置の確実な実施を求める枠組みの活用を含め、情報伝送PF事業者による取組を促す観点が重要である。一方、こうした取組の実効性を担保することも重要であるところ、情報の可視性に直接の影響がない方策を中心としたコンテンツモデレーションを確実に実施する方策については、利用者の表現の自由の保護とのバランスを踏まえつつ、発信者や情報伝送PF事業者以外の特定の第三者(当該情報付近に広告を表示された広告主、ファクトチェック機関、行政機関等)からの申出・要請を契機としたコンテンツモデレーション(収益化の停止、ラベルの付与等)の実施も含め、具体化を進めることが適当である。
        • なお、本WGにおける議論では、権利侵害性その他の違法性はないが有害性や社会的影響の重大性が大きい偽・誤情報の一部について、脆弱な個人に対するレコメンデーションや広告ターゲティングの停止(これもコンテンツモデレーションの一類型に該当すると考えられる。)の確実な実施を担保することが適当とする意見もあった。こうした方策の適否については、情報伝送PFサービスにおけるレコメンデーションや広告ターゲティングの実態を踏まえつつ、今後、更なる検討が必要である。
      5. 情報の可視性への影響が大きいコンテンツモデレーションの確実な実施
        • 上記(1)④の方策により、情報伝送PF事業者に対し、偽・誤情報の流通・拡散に対する対応として、情報の削除やアカウント停止・削除の確実な実施を罰則付きで義務付けて、その流通・拡散の抑止を制度的に担保することについては、情報伝送PF事業者による過度な削除やアカウントの停止・削除が行われることにより、利用者の表現の自由を実質的に制約するおそれがあるため、対象とする偽・誤情報の特性・性質(権利侵害性その他の違法性・有害性、流通することによる社会的影響の重大性、誤りの明白性)を考慮しつつ、引き続き慎重な検討が必要である。
        • ただし、情報伝送PF事業者が利用者との契約に基づき、自主的に情報の削除やアカウント停止・削除の確実な実施を行うことは妨げられるものではない。
      6. 違法性を有する偽・誤情報の発信を繰り返す発信者等への対応
        • 明白な権利侵害性その他の違法性を有する偽・誤情報を繰り返し発信する者など、特に悪質な発信者に対する情報の削除やアカウント停止・削除を確実に実施する方策については、こうした対応の段階的な実施を担保することも含め、具体化を進めることが適当である。
        • なお、こうした方策を実施する具体的な要件等については、情報伝送PF事業者によって実施されているコンテンツモデレーションの実態等を踏まえつつ、今後、更なる検討が必要である。
      7. 情報流通の態様に着目したコンテンツモデレーションの実施
        • 令和6年能登半島地震では、X(旧Twitter)の仕様変更(発信者への経済的インセンティブの付与開始)に伴い、閲覧数稼ぎが目的とみられる複製投稿(いわゆるコピペ投稿)その他偽・誤情報を含む投稿が多数確認されたとの調査結果がある。このように、例えば、別の投稿を複製した投稿が高頻度で送信された場合等、送信された情報の内容そのものの真偽に着目するのではなく、情報流通の態様に着目したコンテンツモデレーションの実施の在り方についても、偽・誤情報の流通・拡散を抑止する観点も含め、具体化を進めることが適当である。
        • なお、具体的にどのような態様の情報流通を対象とするか等の詳細については、当該態様の情報流通によって発生又は増幅する影響及びリスクを特定しつつ、今後、更なる検討が必要である。
  • 偽・誤情報の発信を抑止するためのその他の方策
    • コンテンツモデレーションの実施を促進する以外に、偽・誤情報の発信を抑止するための方策として、国内の既存の法制度の下では、発信者に対する刑罰による対応、民事法による対応、行政処分等による対応が講じ得ることとされている。
    • 一方、情報伝送PF事業者を含む伝送主体においては、こうした発信者の法的責任を前提に、共同正犯(刑法60条)や幇助犯(同法62条)として処罰されたり、一定の条件の下で被侵害者から損害賠償請求や差止請求を受けたり、行政機関等から一定の処分・要請等52を受けたりすることがあり得るところ、情報伝送PFサービスがデジタル空間における情報流通の健全性に与える影響の大きさや、情報伝送PF事業者に期待される役割・責務等に照らすと、こうした既存の対応では実効性の観点から十分でない可能性が指摘されている。
    • このように、情報伝送過程で偽・誤情報の発信を抑止するための追加的な方策として、例えば次のようなものが考えられるが、いかなる方策が必要かつ適当か、また、その方策をどのように実現するかについては、情報伝送PF事業者による取組等の実態を踏まえつつ、その自主的な実施を促す方策も含め、今後、更なる検討が必要である。
      • (1)アカウント登録時やアカウント情報変更時等の本人確認の厳格化
      • (2)botアカウントの抑止策の導入(アカウントの有料化等)
      • (3)特定のサービスアーキテクチャの採用(シェア、リポスト等の拡散機能の利用に複数のアクションを要求する等)
    • 特に(1)については、発信者のトレーサビリティを確保することを通じ、偽・誤情報の発信に一定の抑止効果を期待できるものの、その効果は事後的な責任追及の可能性を前提とした間接的なものに過ぎないことを踏まえれば、偽・誤情報の発信を抑止するための方策としての実効性に疑義があること、匿名表現の自由への制約となり得ること等から、情報伝送PFサービスにおけるアカウント登録時等の本人確認の実態を踏まえつつ、制度的な対応の要否について慎重な見極めが必要である。
  • 特に災害発生時等における対応
    • 災害発生時、感染症流行時、テロ発生時等、限られた時間の中で多くの人の間で適時に正確な情報の共有が求められる場面における情報収集・伝達手段としての情報伝送PFサービスの存在感や公共的役割は高まっている。
    • こうした場面では、偽・誤情報等の流通・拡散による社会的影響が質的にも量的にも大きくなり得、また、特にコンテンツ(それに伴うデジタル広告を含む。)の閲覧数等に応じて発信者に経済的インセンティブを付与する仕組みを取り入れている情報伝送PFサービスにおいて、経済的インセンティブ目当てのいわゆる「インプレッション稼ぎ」の投稿が増加するなど、情報流通に伴う社会的影響のリスクが高まると言える。
    • その中で、情報伝送PF事業者は、偽・誤情報等の流通・拡散による社会的影響を抑止するとともに、公共的役割として人々にとって必要な正確な情報を迅速かつ適時・確実に伝送すべく、平時から計画を立て、災害発生時等には当該計画に従って即応することが適当である。
    • 特に、前記の影響予測と軽減措置の確実な実施について制度整備を含む具体化を進めるに当たり、情報伝送PF事業者が災害発生時等に備えて立案すべき計画の一部として、災害発生時等に自社のビジネスモデルがもたらす社会的影響を平時から予測し、有効な軽減措置をあらかじめ講じておくことが適当である。
    • この場合の軽減措置としては、例えば次のような措置が考えられるところであり、上記の制度設計や実施指針にどのように反映するかも含め、更なる具体化を進めることが適当である。
      • (1)信頼できる情報源からの情報の伝送確保(プロミネンス)及びその基準の明確化
      • (2)災害発生時等に特に適用されるコンテンツモデレーション(収益化の停止を含む。)に関する利用規約等の整備
      • (3)上記(2)の利用規約等を踏まえた適正な対応を実施するために必要な人員等の体制の整備とその状況の公表
      • (4)上記(2)の利用規約等の運用状況を事後に公表(平時における定期的な公表とは別途、より短期的な運用状況を公表)
      • (5)関係機関(行政機関、ファクトチェック機関、研究機関、偽・誤情報等付近に広告を表示された広告主等)との連絡窓口の明確化と、当該窓口を通じた迅速かつ緊密な連携・情報共有(偽・誤情報等の流通・拡散等による社会的影響の大小や軽減措置の有効性を検証するに足りるデータの提供を含む。)
    • ただし、表現の自由に対する過度の制約を避ける観点から、この場合の「災害発生時等」に該当するための要件や、始期・終期を誰がどのような手続で決定するのかについては、明確に定められる必要があり、少なくとも始期・終期の要件、誰がどのような手続で決定するのか等については、マルチステークホルダーによる平時からの協議で決定することが適当である。
    • こうしたマルチステークホルダーによる協議・決定のプロセスの具体については、透明性を確保しつつ、具体的にどのように定めることが必要かつ適当かという観点から、今後、更なる検討が必要である。
    • 以上のほか、災害発生時等における更なる対応(例えば、上記①から⑤までの影響軽減措置のうち一部の確実な実施等)については、個々の場面ごとに平時とは区別した追加的な対応が求められる具体的な理由を整理しつつ、今後、引き続き検討が必要である。

総務省 「輪島市大規模火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会報告書」の公表
  • 令和6年能登半島地震により輪島市で発生した大規模火災について、消防法(第35条3の2)に基づく消防庁長官調査を実施
    • 火災概要:焼失面積約4万9千㎡、約240棟焼損、出火から14時間後に鎮圧
    • 火災原因:地震の影響により電気に起因した火災が発生した可能性は考えられるが、具体的な発火源、着火物等の特定に至らなかった。
  • 本火災を踏まえ、今後取り組むべき消防防災対策のあり方を検討するため、消防庁及び国土交通省を事務局とした検討会を開催
  • 明らかになった課題
    • 条件不利地域である半島部での大規模火災
      • 道路の寸断により陸路での早期応援が困難
    • 地震・津波発生時における沿岸部での大規模火災
      • 住民・消防職団員が避難を要することによる火災発見・通報、初期消火の遅れ
      • 地震による車両、消防団拠点施設(詰所)等消防施設の被災や管内での災害同時発生による消防力の低下
      • 断水、地盤の隆起及び津波により消火栓や自然水利の確保が困難
      • 津波警報下での津波浸水想定区域における消防活動
    • 古い木造建物密集地域での大規模火災
      • 道路が狭隘であり、火災が発生すると延焼拡大しやすい
      • 倒壊した建物等が通行障害の原因となるとともに、道路を越えた延焼媒体となった可能性
  • 全国消防本部への調査結果
    • 地震・津波災害時における消防活動計画の策定状況
      • (1) 地震時の木造密集地域の火災防ぎょ(39%)
      • (2) 津波警報下における消防活動(31%)
      • (3) (1)及び(2)の双方(20%)
      • (4) 無限水利を活用した遠距離送水(4%)
    • 気象台との関係構築
      • 津波災害時の情報共有・連携体制等(2%)
    • 火災予防対策
      • 地震火災の予防のための普及啓発(23%)
  • 今後の対応策
    • 地元消防本部等の体制強化
      • 震災時の木造密集地域での活動及び津波時の浸水想定区域での活動について勘案した計画の策定等
      • 津波の状況に応じた活動のための効果的な情報収集等
      • 消防水利の確保が困難である場合等における消火方策(空中消火、延焼危険がある倒壊建物等の除去)
      • 火災の早期覚知、情報収集のためのドローン、高所監視カメラ等の整備促進
      • 消防署・消防団拠点施設(詰所)等消防施設の耐震化・機能維持
      • 消防水利の確保(耐震性貯水槽の設置促進、無限水利を活用した遠距離送水)
      • 消火活動の省力化、無人化の促進(無人走行放水ロボット、水幕ノズル、消火用ドローン等の整備)
      • 消防団の充実など地域防災力の強化
    • 応援部隊の体制強化
      • 悪条件下での進出・活動を可能にするための、車両の小型化、資機材の軽量化
      • 空路・海路での応援部隊及び車両・資機材の投入、関係機関との連携強化
    • 地震火災対策の推進
      • 地域における火災予防の推進(家具転倒防止対策、耐震自動消火装置付き火気設備、住宅用火災警報器、防災訓練等)
      • 大規模地震時の電気火災対策(感震ブレーカー等の普及推進)
    • まちづくり
      • 都市構造の不燃化や密集市街地の整備改善及び住民等の地域防災力の向上に資するソフト対策の引き続きの推進
      • 老朽木造家屋や避難・消防活動上重要な沿道の建築物等の耐震化の促進

総務省 災害時の携帯電話の位置情報の提供に係る通知の発出
  • 災害時の携帯電話の位置情報の提供について、総務省は、一般社団法人電気通信事業者協会(会長 髙橋 誠)に通知を発出しました。
  • 経緯等
    • 電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン(令和4年個人情報保護委員会・総務省告示第4号。以下「ガイドライン」といいます。)第41条第5項の規定に基づき、電気通信事業者は、救助を要する者(以下「要救助者」といいます。)を捜索し、救助を行う警察、海上保安庁又は消防その他これに準ずる機関(以下「救助機関」といいます。)からの要請により要救助者の位置情報の取得を求められた場合においては、要救助者の生命又は身体に対する重大な危険が切迫しており、かつ、要救助者を早期に発見するために当該位置情報を取得することが不可欠であると認められる場合に限り、当該位置情報を取得することができることとされています。また、同条第2項の規定に基づき、電気通信事業者は、あらかじめ同意を得ている場合、裁判官の発布した令状に従う場合その他の違法性阻却事由がある場合に限り、位置情報について、他人への提供その他の利用をすることができることとされています。
    • 今般、救助機関が災害時の位置情報の提供の要請を行う場合における携帯電話事業者の対応について、総務省において、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)及びガイドライン等における関係規律に照らし問題がないよう別紙PDFのとおり整理し、一般社団法人電気通信事業者協会に通知(以下「総合通信基盤局通知」といいます。)を発出しました。
    • なお、総合通信基盤局通知の整理は、災害時の位置情報の取扱いに限るものであり、災害時以外の位置情報の取扱いには適用されないものです。
  • 総合通信基盤局通知の概要
    • 救助機関に該当する機関について
      • 位置情報提供要請が可能な救助機関として、都道府県災害対策本部及び市町村災害対策本部が新たに加えられること。
    • 電話番号不明時の対応について
      • 災害時においては、救助機関は、携帯電話番号が不明の場合であっても、氏名・住所等で要請が可能であること。
    • 過去の位置情報について
      • 災害時においては、携帯電話事業者において、現在の位置情報が確認できない場合、最後に確認された位置情報の提供が可能であること。

総務省 我が国における青少年のインターネット利用に係る調査結果の公表
  • 調査結果のポイント
    • 主な知見
      • インターネット利用において、「トラブルに遭遇したことはない」という青少年の回答は52.4%であり、「答えたくない」と回答した1.6%を考慮しても、46.0%の人が何らかのトラブルに遭遇したことがあると回答している。
      • 青少年がインターネットを利用することについて、とりわけスマートフォンにおいて「課題・問題と感じていたり、不安に感じていたりすること」がある保護者が多く、未就学~中学生の保護者では60%を超えていた。一方、青少年自身の回答では、「課題・問題と感じていたり、不安に感じていたりすること」がある割合は中学で28.0%、高校で32.3%と、保護者に比べると低い傾向がある。
      • 青少年が投稿している内容として、「自分自身が写った画像・動画」「友人・恋人・パートナーが写った画像・動画」が多かった。プライバシー設定に関する質問では「非公開設定機能(鍵アカウント)を利用している」との回答が44.7%と最多であったが、逆にいえば、大半の青少年は公開状態のままインターネット上で投稿しているといえる。
      • 青少年の回答では、「ネットを通じて知り合い、会ったことがある人」と交流している例が少なくなく、特に高校生では20.6%であった。高校生の保護者の回答では、この数値は14.3%であり、実際には、高校生は保護者が把握しているよりもネットを通じて知り合い、会っているケースが多いことが分かる。
      • 保護者を対象とした調査でも、青少年を対象とした調査でも、インターネット利用に伴うトラブルのうち、最も高頻度で遭遇しているのが「使いすぎによって学業や生活に支障が出た」であった。
      • ペアレンタルコントロールという言葉について、「人に説明できる程度に内容を詳しく知っている」「人に説明はできないが、ある程度内容を理解している」のいずれかに該当した保護者は30.0%であった。
      • 保護者、青少年ともに、トラブル予防・対処方法について教わりたい手段として「学校が行う講座」「学校で配られるチラシ・パンフレット」のニーズが極めて高かった。
      • 青少年インタビュー調査では、インタビュー対象の10件中8件において「学校・クラス」「知人・友人」間でトラブルが発生していた。また、10件中9件でSNSのDM・チャット上でトラブルが発生していた。
    • 主な政策的含意
      • 青少年はインターネット利用においてトラブルに少なくない割合で遭遇しており、中には深刻な被害をもたらすものもある。引き続き対策を強化していくことが求められる。
      • 多くの人が、青少年がインターネットを利用することについて課題・問題や不安を感じているため、引き続き啓発の推進が求められる。特に年齢の低い青少年の保護者への啓発が求められる。青少年はインターネット接続機器の利用に不安を感じていない傾向にあるが、実際には5割弱の青少年がトラブルに遭遇していることから、トラブル遭遇リスクについて青少年自身に啓発していくことも重要と考えられる。
      • 自身や周囲の人の画像・動画の投稿に関するリスク及びプライバシー設定についての啓発をさらに進め、保護者と青少年が十分な知識を基に適切に対応できるようにすることが大切である。
      • 青少年がインターネット上で、見知らぬ人と会うリスクについて、保護者・青少年双方に幅広く啓発し、共通知識を醸成していくことが重要である。また、家庭内において、見知らぬ人と会うことの報告や何らかのトラブルに遭遇した時の情報共有などを行いやすい状況にしておくことの重要性を啓発することも効果的と考えられる。
      • インターネットの使いすぎについて、そのリスクや適切な防ぎ方(家庭内ルールの導入・ペアレンタルコントロールサービスの導入など)について啓発することが重要である。
      • ペアレンタルコントロールという言葉を啓発すると共に、フィルタリングやペアレンタルコントロールサービスのような機能の活用と、適切な家庭内ルールの導入という2点について、より一層の啓発が求められる。
      • 学校の講座・配布チラシ、インターネット上の動画・ショート動画は保護者と青少年共通でニーズの高い手段であり、これらの手段でペアレンタルコントロールについて啓発していくことが望まれる。
      • SNSの利用に関して問題のある行為について、情報モラルだけでなく法律についての知識も含め、青少年への啓発をさらに推進する必要がある。

総務省 利用者情報に関するワーキンググループ(第7回)
▼ 資料7-1 SPI論点整理(案)(事務局)
  • Appleの取組
    • ユーザーに関わるデータの使用に関しては、ユーザー自身に判断を委ねるべきであるというスティーブ・ジョブズ以来の考え方が取組みの根幹。
    • アプリケーションは事前の同意なしにユーザや端末に係るデータを収集してはならず、同意の取消にも速やかに対応すべきこととしている。
    • アプリケーションがユーザや端末に係るデータを収集・利用等することについて説明したプライバシーポリシーを公表することを義務づけるとともに、収集するデータや利用目的の概要をアイコンとともに示したプライバシーニュートリションラベルへの記入を義務化。
    • アプリケーションによるユーザのトラッキングはユーザによる許諾を必要とすることとしており、許諾を得るための標準的なポップアップ表示を提供している。
    • アプリケーションが位置情報にアクセスする場合には、ポップアップ表示によりユーザの同意を取得することとしており、また提供する位置情報の頻度や粒度を選択できるようにしている。
    • アプリケーションが写真データにアクセスする場合には、ユーザの同意を取得するとともに、アクセス範囲を一部に限定することができることとしている。
    • フィンガープリントなどユーザーに関するデータを収集する目的でAPIが誤用されることを防止するとともに、SDKによるデータの利用目的等への理解促進のため、プライバシーマニフェストへの対応を求めている。
  • Googleの取組
    • プライバシーポリシーの設置を義務化するとともに、アプリストアの個別ページ内に「データセーフティセクション」を設け、アイコン等で収集しているデータの内容や共有方針を記載することを義務化。
    • アプリケーションが健康・フィットネス・医療データを取得する場合には、アプリ内にプライバシーポリシーを掲載することや、当該データの収集とアプリケーションの中心的な機能との関連性について、利用者に対して明確に示すことを義務化。
    • アプリケーションによる個人情報の収集は、ユーザが合理的に予期することができる目的でのみ行えることとしている。
    • アプリケーションによるユーザの機密情報へのアクセスは、提供している機能やサービスの実装に必要であり、その利用目的等がアプリストアに掲載されている場合に限定している。
  • SPI改定への反映方針案
    • 法令から一歩進んだベストプラクティスとして、関係事業者等の望ましい対応を記載することとしてはどうか
    • 一方、法的拘束力はない点は明記すべきではないか
    • R2改正個人情報保護法関連の追記
      • 個人関連情報及び仮名加工情報の追加
      • 越境移転時の本人説明充実化(外国にある第三者への提供の制限)
      • 不適正利用の禁止(基本原則)
    • R4改正電気通信事業関連の追記
      • 特定利用者情報規律及び外部送信規律の導入 が必要ではないか
    • ダークパターンとならないための対応
    • プロファイリングに係る予見性確保等の取組
    • センシティブ情報への配慮
    • 子どもの利用者情報の保護
    • 利用者の属性に対応した適切な配慮 等が必要ではないか
    • 目的外利用を行わないことや必要最低限のデータ取得
    • 取得情報や利用目的の分かりやすい概要の掲示
    • 同意の撤回方法のプラポリへの記載
    • 利用者行動の事業者横断的なトラッキングに係る対応
    • 位置情報や写真データ等の適正な取扱い 等が必要ではないか
    • 他のデバイスについては、実態把握を行った上で、改めて検討が必要ではないか。
    • セキュリティに関しても追記が必要ではないか
    • 欧州データ保護会議(EDPB)におけるガイドライン等も参照の上、原則として欺瞞的な方法による利用者情報の取扱いが行われないよう望ましい対応を追記してはどうか。
    • GDPRやDSA等も踏まえ、プロファイリングに係る予見性確保の取組、プロファイリングによるセンシティブ情報の予測・生成や子どもの利用者情報のプロファイリングに基づくターゲティング広告の表示を原則として実施しないことが望ましいこと等について、追記してはどうか。
    • GDPR及びDSA並びに民間の取組を踏まえ、センシティブ情報への配慮及び子どもの利用者情報の保護を追記してはどうか。
    • GDPRや民間での取組を踏まえ、目的外利用を行わないことや必要最低限のデータ取得について、追記してはどうか。
    • GDPRや民間での取組を踏まえ、同意の撤回方法のプライバシーポリシーへの記載について追記してはどうか。
    • GDPR及びePrivacy指令並びに民間の取組を踏まえ、事業者横断的なトラッキングに係る対応、位置情報や写真データ等の適正な取扱いについて、追記してはどうか。
    • 民間の取組を踏まえ、取得情報や利用目的の概要を分かりやすく掲示することについて追記してはどうか。
▼ 資料7-2 ICTサイバーセキュリティ政策分科会での議論(総務省サイバーセキュリティ統括官室)
  • 総務省では、本年2月より、総務省が中長期的に取り組むべきサイバーセキュリティ施策の方向性について検討することを目的として、サイバーセキュリティタスクフォースの下で「ICTサイバーセキュリティ政策分科会」(主査:後藤厚宏 情報セキュリティ大学院大学 学長)を開催している。
  • 同分科会における議論の一環として、スマートフォンアプリにおけるセキュリティを確保していく上での課題等について議論がなされ、第5回会合(4月5日開催)では、「スマートフォンプライバシーイニシアティブ」にセキュリティの観点を盛り込むべきとされた。
  • ICTサイバーセキュリティ政策分科会での議論(抜粋)主な報告内容等
    • スマホアプリにおけるサイバー脅威は、「スマホアプリの脆弱性(セキュリティホール)」と「不正アプリ(マルウェア)」の2つの観点で考える必要があり、アプリ流通経路の責任において一定のセキュリティ確保が可能。アプリ開発者及びアプリストアは、アプリを提供する際のセキュリティ確保において大きな役割を担っている。(第1回 一般社団法人日本スマートフォンセキュリティ協会)
    • アプリのセキュリティやプライバシーを確保するためにはアプリ診断というプロセスが必要。ただし、アプリ診断のみでは十分ではなく、アプリのセキュリティやプライバシーの状態を改善するためには、セキュア設計・開発ガイド(アプリのセキュリティ要件やリスク分析、セキュアコーディングの指針、セキュリティテストの方法などをまとめたもの)のサポートが必要。(第5回OWASP)
    • 利用者情報の保護のためには、アプリ開発者のみならず、アプリストア運営者等の関係者も含めて適切な対応を取ることが重要。英国のDSIT(Department for Science, Innovation & Technology)の「Code of practice for app store operators and app developers」も参考に、「スマートフォンプライバシーイニシアティブ」にセキュリティの観点も盛り込むことが望ましい。(第5回KDDI株式会社※)(※)第5回分科会においては、KDDI株式会社より、「スマートフォンプライバシーアウトルックⅩ」についても発表があった。

総務省 ICTサイバーセキュリティ政策分科会(第10回)
▼ 資料10-2「ICTサイバーセキュリティ政策の中期重点方針」(案)の概要
  • 総務省では、本年2月から「ICTサイバーセキュリティ政策分科会」(主査:後藤厚宏 情報セキュリティ大学院大学学長)を開催し、総務省が取り組むべきサイバーセキュリティ政策について、2030年頃も見据えた中長期的な方向性について検討。
  • 政府の主な動き
    • 国家安全保障戦略
    • 経済安全保障推進法の施行(特定社会基盤事業者の指定等) 等
  • サイバーセキュリティを巡る主な課題
    • 厳しさを増す国際情勢とサイバー攻撃リスクの高まり
    • 多様化・複雑化するサプライチェーンとアタックサーフェス(攻撃対象領域)の増加
    • セキュリティ人材の確保
    • 生成AI等の新たな技術への対応
  • 重要インフラ等におけるサイバーセキュリティの確保
    • 通信分野(総合的なIoTボットネット対策(新NOTICEの推進やC&Cサーバの検知・対処能力の向上)、スマートフォンアプリのセキュリティ対策やサプライチェーン対策の推進等)
    • 放送分野(安全・信頼性に関する新たな技術基準に基づくセキュリティ対策の着実な推進等)
    • 自治体分野(クラウド化・標準化等の環境変化を見据えた人材育成やCSIRT能力向上の取組等)
    • クラウドセキュリティの確保やトラストサービス(eシールの認定制度を2024年度中に創設等)の推進
  • サイバー攻撃対処能力の向上と新技術への対応
    • CYNEX・CYXROSSを強力に推進し、国産のサイバーセキュリティ情報・技術による自律的なサイバーセキュリティ対処能力を抜本的に強化
    • CYXROSSとGSOCとの連携により政府システムの一元的な監視体制の構築に貢献
    • CYDER等を通じた国や地方公共団体等におけるCSIRT対処能力の抜本的強化
    • サイバーセキュリティ研究分野の国際競争力向上を図るため、NICT内に米国との連携を強化するための結節点を形成
    • 生成AI等の新技術への対応(AIを起因とするセキュリティリスクの回避・低減に向けた取組、AIを活用したサイバーセキュリティ対策の促進、耐量子計算機暗号技術(PQC)等の研究開発等の推進)
  • 地域をはじめとするサイバーセキュリティの底上げに向けた取組
    • 地域SECUNITYの活動強化(他機関との更なる連携、持続的な推進体制の整備等)
    • 各種ガイドラインの周知啓発等
  • 国際連携の更なる推進(国際連携全般、人材育成支援)
    • 日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センター(AJCCBC)の活動強化(プログラムの拡充、有志国との連携強化等)
    • 大洋州島しょ国向け人材育成支援プロジェクトの2025年度以降の本格的な実施

【2024年6月】

総務省 「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表
▼ 令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書<概要>
  • 平均利用時間は、全年代では、平日、休日ともに「テレビ(リアルタイム)視聴」及び「インターネット利用」が長い傾向が継続。
  • 休日の「インターネット利用」の平均利用時間が、初めて200分を超過。
  • 年代別にみると、「インターネット利用」の平均利用時間が、平日は10代、50代及び60代で大幅に増加し、休日は10代で大幅に増加。平日の50代では「テレビ(リアルタイム)視聴」を初めて超過。
  • 「テレビ(リアルタイム)視聴」の平均利用時間が、休日の20代及び30代で大幅に減少。60代は平日で200分、休日で300分を超過
  • 全年代では、平日は「テレビ(リアルタイム)視聴」の時間帯別行為者率が高くなる20時台及び21時台に、並行利用(ながら視聴)も高い行為者率となり、休日は21時台に高い行為者率となっている。
  • ゴールデンタイム(19時台から22時台までの間)においては、「テレビ(リアルタイム)視聴」に占める並行利用(ながら視聴)の割合は、平日は20代の22時台、休日は10代の22時台で最も高くなっている。
  • 全年代では、平日、休日ともに「動画投稿・共有サービスを見る」が最も長く、平日は「メールを読む・書く」、休日は「ソーシャルメディアを見る・書く」が次に長い。
  • 年代別に見ると、平日、休日ともに10代、20代の「動画投稿・共有サービスを見る」の平均利用時間が長く、いずれも100分を超過。
  • 平均利用時間は、全年代では、平日は「ソーシャルメディア利用」及び「メール利用」が特に長く、休日は「ソーシャルメディア利用」が長くなっている。
  • 「ソーシャルメディア利用」は、平日、休日ともに10代及び20代の平均利用時間が長くなっている
  • 10代から30代の「ソーシャルメディア利用」の行為者率が「メール利用」と比較し高い傾向。
  • 40代から60代では、行為者率、平均利用時間ともに、「メール利用」が「ソーシャルメディア利用」を上回る。
  • 平日、休日ともに10代及び20代の「モバイル機器(「スマートフォン」及び「フィーチャーフォン」)」によるインターネットの平均利用時間が長く、10代は平日、休日ともに200分を超過。
  • 「モバイル機器」によるインターネット利用の行為者率について、平日の10代から30代、休日の10代及び20代で90%を超過。
  • 全年代では、「スマートフォン」の利用率が97.5%と高い水準にあり、ほぼ100%となっている。年代別でも「スマートフォン」の利用率は、各年代で90%を超過。
  • 機器別では、「スマートウォッチ」の利用率が増加し、全年代では15.3%となっており、30代では20%を超過。
  • 全年代では、「LINE」の利用率が90%を超過。年代別でも、10代から50代で90%を超過。
  • 全年代では、「X(旧Twitter)」の利用率は増加しており、20代では81.6%と高い利用率。「Facebook」の利用率はほぼ横ばい。「Instagram」の利用率は増加しており、女性の利用率が高い。
  • 動画共有系では「YouTube」の利用率が高く、10代から40代で90%を超過。「TikTok」は10代で70%となっている。
  • 全年代では、「オンデマンド型の動画共有サービス」の利用率が最も高い状況が続いており、利用率は90%を超過。年代別に見ると、10代から40代で「オンデマンド型の動画共有サービス」の利用率は90%を超過。
  • 「オンデマンド型の動画配信サービス」の利用率は、10代から50代で50%を超過
  • 「いち早く世の中のできごとや動きを知る」ため、10代から50代では「インターネット」、60代では「テレビ」を最も利用。
  • 「世の中のできごとや動きについて信頼できる情報を得る」ため、20代では「インターネット」を最も利用、30代は「テレビ」と「インターネット」が同率、それ以外の各年代では「テレビ」を最も利用。「新聞」は60代では「インターネット」を上回る水準で利用。
  • 「趣味・娯楽に関する情報を得る」ため、各年代で「インターネット」を最も利用しており、10代から30代で90%前後となっている。
  • 「情報源としての重要度」は、全年代では「インターネット」が「テレビ」を上回った。年代別では、10代から40代では「インターネット」が最も高く、50代及び60代では「テレビ」が最も高い。
  • 「娯楽としての重要度」は、10代から50代では「インターネット」が最も高く、60代では「テレビ」が最も高い。
  • 「メディアとしての信頼度」は、10代から30代では「テレビ」が最も高く、40代から60代では「新聞」が最も高い。
  • 主なメディアの平均利用時間は、平日、休日ともに「テレビ(リアルタイム)視聴」が最も長く、いずれも300分を超過。
  • 機器別の利用率については、「スマートフォン」の利用率が最も高く、他の年代の利用率よりは低いものの、70%を超過。

総務省 SNS等におけるなりすまし型「偽広告」への対応に関する要請の実施
  • 総務省は、本日、SNS等を提供する大規模事業者に対して、SNS等におけるなりすまし型「偽広告」への対応について、文書により要請を実施しました。
  • ソーシャルネットワーキングサービスその他交流型のプラットフォームサービス(SNS等)において、個人又は法人の氏名・名称、写真等を無断で利用して著名人等の個人又は有名企業等の法人になりすまし、投資セミナーや投資ビジネスへの勧誘等を図る広告(なりすまし型「偽広告」)が流通・拡散しており、こうした広告を端緒としたSNS型投資詐欺等の被害が急速に拡大しています。
  • なりすまし型「偽広告」は、閲覧者に財産上の被害をもたらすおそれがあるだけでなく、なりすまされた者の社会的評価を下げるなどなりすまされた者の権利を侵害するおそれもあり、さらに、今後、生成AI技術の発展等に伴って複雑化・巧妙化するおそれもあることから、一層有効な対策を迅速に講じていくことが必要です。
  • SNS等が国民生活や社会経済活動を支える社会基盤になっていること等を踏まえれば、プラットフォーム事業者はデジタル空間における情報流通の健全性の確保について一定の責任が求められる立場であり、これ以上被害を拡大させないためには、SNS等におけるなりすまし型「偽広告」の流通の防止・抑制に向けたプラットフォーム事業者による対策が不可欠です。
  • こうした状況を踏まえ、総務省は、本日、Meta Platforms, Inc.に対して、対策の実施を要請するとともに、一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構(SMAJ)を通じて、SNS等を提供する大規模事業者(※)に対して、対策の実施を要請しました。※ 同機構の会員企業のうち、当該企業又はその関連会社が日本国内における平均月間アクティブユーザ数が1,000万人以上であるSNS等を提供する企業

総務省 不適正利用対策に関するワーキンググループ(第6回)
▼ 資料6-2不適正利用対策に関するWG中間とりまとめ(案)(事務局)
  • SMSの不適正利用対策の方向性(案)
    1. マルウェア感染端末の特定・警告の推進
      • 通信の秘密の取扱いに留意した上で、通信キャリアが提供するSMSフィルタリングにおいて得られたデータを分析し、マルウェア感染端末の特定・警告を行う取組を進めることにより、マルウェア感染端末の利用者の損害の拡大の防止に加え、利用者の行動変容を促し、スミッシングメッセージの拡散を抑制する。
    2. スミッシングメッセージの申告受付の推進
      • スミッシングメッセージ等の迷惑SMSを受け取った利用者から、さらに円滑に申告を受け付けられるようにしていくとともに、申告データを事業者横断で活用できるようにする仕組みを構築することにより、迅速な迷惑SMS対策ができるようにする。
    3. SMS関連事業者による業界ルールの策定
      • SMS不適正利用対策事業者連絡会の枠組を活用し、SMSを利用する側の事業者を含め、関連する業界団体と連携することにより、SMS発信元の明確化・透明化に係る取組や、SMS認証代行事業者等の悪質事業者への対策などを盛り込んだ業界ルールを策定し、正規のメッセージがしっかり正規のものとわかる形で配信されるよう、効果的な対策を実行する。
    4. 迷惑SMS対策に係る周知啓発の推進
      • スミッシングの攻撃手法は時々刻々と変化をしていることから、官民が連携し、最新の対策方法に関する情報発信を行うとともに、キャリア共通番号の仕組みの周知広報やRCSの活用推進など、SMSに関する利用者のリテラシー向上につとめ、自主的な防衛を推進する。
  • デジタル重点計画に基づく非対面の本人確認方法の見直しの方向性
    • 顧客等から顔写真のある本人確認書類を撮影した画像情報の送信を受ける本人確認方法については、精巧に偽変造された本人確認書類が悪用されている実態に鑑み、廃止する。
    • 同様に、顧客等から本人確認書類の写しの送付を受ける本人確認方法についても、一般的に写しは偽変造が容易であり、その看破も困難であることから、廃止する。
    • 顔写真のない本人確認書類を用いる非対面の本人確認方法については、原則廃止するが、偽造・改ざん対策が施された本人確認書類(住民票の写し等)の原本の送付を受ける本人確認方法については、引き続き、一定条件の下、本人確認に利用可能とする。
    • 上記のほか、顔写真のない本人確認書類を用いる対面の本人確認方法についても、上記に準じて見直しを検討する。
  • WGにおいて構成員・発表者から頂戴したご意見
    • 自然人の本人確認方法
      • 本人確認書類の偽変造が大きな問題になっている現状を踏まえると、本人確認書類の券面の画像を確認する方法やその写しを確認する方法は廃止せざるを得ない。(鎮目構成員、山根構成員ほか)
      • マイナンバーカードの公的個人認証に原則として一本化していくことについて同意。(鎮目構成員、沢田構成員、仲上構成員ほか)
      • 対面の場合においても、ICチップを確認する方法や電子証明書を確認する方法など、デジタル技術を活用した確認方法の導入に向けて検討を進めるべき。(辻構成員、山根構成員、DIPC、イオンリテール、日本通信ほか)
      • 利用者に対し、公的個人認証サービスなどのデジタル技術を活用した確認方法についてその意義や重要性をきちんと説明し、普及を進めるべき。(沢田構成員、辻構成員ほか)
      • 公的個人認証などのデジタル技術を活用した確認方法の普及に当たっては、事業者に準備コストがかかることから、支援が必要ではないか。(沢田構成員、イオンリテールほか)
      • 公的個人認証を利用する事業者・サービスが増えていけば、コストは低廉化していくのではないか。(DIPC)
      • デジタル技術を活用する本人確認においては、犯罪への悪用率が下がることから、不適正利用対策にもつながるのではないか。(日本通信)
    • 法人の本人確認方法
      • 登記情報提供サービスの登記情報を用いた方法の導入について検討すべきではないか。(楽天モバイル、山根構成員)
      • 法人の代表者等の本人確認において、電子証明書を活用する確認方法を導入すべきではないか。(日本通信)
    • 他の事業者への依拠
      • 犯収法で認められる金融機関への依拠の仕組みを導入してはどうか。(楽天モバイル)
      • 他事業者への依拠の導入に当たっては、信頼性を確保するため、身元確認レベルを合わせるべきではないか。(大谷構成員、辻構成員、鎮目構成員ほか)
      • 金融機関に依拠するとした場合、責任のあり方について留意すべき。(沢田構成員、山根構成員)
      • 他事業者への依拠の仕組みを導入する際には、より確実な本人確認方法を用いて確認した実績に基づいて、依拠を行うべきではないか。(大谷構成員、辻構成員ほか)
      • 公的個人認証で本人確認を実施済みの事業者に対して、適切な当人認証を行った上で依拠するのであれば、事業者・利用者にとって負担の少なく利便性の高い本人確認が実現できるのではないか。(DIPC)
      • 携帯電話事業者間の依拠については、業界全体として、本人確認が適切な方法で行われることが前提となるため、それを踏まえて検討すべき。(星構成員、中原構成員ほか)
      • 携帯電話不正利用防止法と犯罪収益移転防止法の確認方法の整合性をはかりながら検討すべき。(辻構成員ほか)
    • その他の論点
      • 携帯電話が社会のハブとなっており、携帯電話自体が運転免許証と同じような存在になってきていることから、信頼性を確保する必要がある。(星構成員)
      • 本人確認書類の写しや画像データの保存については、プライバシーの観点に加えて、漏洩した場合に更に不適正利用されてしまうリスクという観点でも、将来的には検討が必要。(沢田構成員)
      • 警察からの求めによる契約者確認の仕組み自体が十分に機能しているかは、常に検証していく必要があるのではないか。(中原構成員)
      • 本人確認義務の対象範囲について、将来的には検討していくべき。(星構成員)
      • eコマースやSNSのアカウント登録の際に行う本人確認についても、公的個人認証などのデジタル技術を活用する本人確認方法が低コストで使える形で普及するとよい。(沢田構成員)
      • デジタル技術の活用が難しい高齢者等の利用者への対応や災害時(通信障害時)の対応として、別の方法を準備するのではなく、デジタル化した方法に対応できるよう、サポートが必要ではないか。(沢田構成員)
    • 対面における電子的な確認方法
      • マイナンバーカードに係る機能のスマートフォンへの搭載の仕組み(カード代替電磁的記録)の活用を進めるべき(辻構成員、山根構成員ほか)
      • 対面におけるICチップの読み取りによる確認方法の導入に当たっては、単にICチップを読み取ることを要件とするのではなく、セキュアなICチップに格納された本人特定事項を券面情報等と照合するなど、セキュリティの確保されたICチップの中の情報を確認する方法とすべき(辻構成員、山根構成員ほか)
    • 非電子的な確認方法の在り方
      • 何らかのやむを得ない理由により、ICチップ付き本人確認書類を所持できない場合など、代替手段として非電子的な確認方法を認めることは考えられる(鎮目構成員ほか)
      • 非電子的な確認方法は、あくまで例外的な確認方法とし、やむを得ない場合に限り、補充的に理由できることとすべきではないか(鎮目構成員、星構成員、山根構成員、大谷構成員ほか)
      • 非電子的な確認方法の検討に当たっては、電子的な確認方法と比較して悪用リスクが高くならないよう、検証を行う必要がある(中原構成員ほか)
    • 他の事業者への依拠の在り方
      • 他の事業者への依拠の検討に当たっては、当該事業者における身元確認レベルが一定以上(例えば、公的個人認証等で確認済み)であることを確認できた場合に限り依拠を行うこととすべき(辻構成員、大谷構成員、沢田構成員ほか)
  • 携帯電話不正利用防止法の本人確認方法の見直しの方向性(案)
    • 自然人の本人確認方法
      • 非対面における券面を確認する方法(写しの送付方式、eKYC厚み方式)の廃止
      • 対面における電子的な確認方法(ICチップの読み取り等)の義務化(特定事項伝達型本人限定受取郵便を含む)
      • カード代替電磁的記録(マイナンバーカードの機能のスマートフォンへの搭載)の活用による確認方法の導入
      • 例外的な確認方法としての非電子的な確認方法の存置
    • 法人の本人確認方法
      • 登記情報提供サービスとの連携による確認方法の導入
      • 法人の契約担当者(代表者等)の本人確認における電子証明書の導入
    • 過去の確認結果への依拠
      • 公的個人認証で本人確認を実施済みの事業者への依拠の導入
      • 当人認証レベルの確保(多要素認証等)
      • 継続的顧客管理による確認記録の更新(住所変更の確認記録への反映等)
    • その他の見直し事項
      • 譲渡時・貸与時本人確認における同様の見直し
      • 電子的確認方法における確認記録への保存の在り方の見直し
      • 警察からの求めに基づく契約者確認方法の見直し
      • 犯罪収益移転防止法との整合性の確保

総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会(第22回)配付資料 ※ワーキンググループ(第26回)合同開催
▼ 資料22-3-1とりまとめ骨子(案)
  • デジタル空間における情報流通を取り巻く環境の変化
    • SNS等のプラットフォームサービスが国民生活に浸透し、その重要性が向上するとともに、その利用の在り方も多様化しているところ、生成AI等新しい技術の進展がその状況を更に促進し、今後もSNS等プラットフォームサービスが広く深く国民に利用されることが見込まれるのではないか。
    • このような中、SNS等は国民生活や社会経済活動に正の影響がある一方、デジタル空間における情報流通の健全性、ひいては実空間に対する負の影響が顕在化・深刻化しているのではないか。具体的には、偽・誤情報の流通・拡散等の問題の深刻化、アテンション・エコノミーがもたらすリスク・問題、生成AIをはじめとするデジタル技術の進展による新たなリスク・問題等が生じているのではないか。
    • とりわけ災害時など多くの人の間で正しい情報の適時な共有が求められる事態においては、個人や個別企業の生命・身体・財産への危害のみならず、我が国の国民生活や社会経済活動に与える影響も大きくなり得ることも懸念されるところ、実際に、令和6年能登半島地震等で明らかになったように、偽・誤情報が流通・拡散したと指摘されており、社会全体への負の影響が大きいのではないか。
  • 様々なステークホルダーによる課題への対応状況
    • 本検討会においては、デジタル空間における情報流通を巡る新たなリスク・問題について、構成員のみならず、情報流通に関わる様々な関係事業者や関連団体等による発表やヒアリングを実施し、また、「インターネット上の偽・誤情報対策に係るマルチステークホルダーによる取組集」(2024年5月)の取りまとめ等を通じて、各ステークホルダーによる対応状況を把握・整理してきた。
    • 第1章で概観したリスク・問題に対しては、デジタル空間における情報流通の健全性の確保に向けて、様々なステークホルダーが自主的に対応をしてきたが、対応は区々であり、ステークホルダー間におけるこれまでの連携・協力は必ずしも十分とはいえないのではないか。
    • 結果として、偽・誤情報の流通・拡散をはじめとする問題は解消するに至っていないどころか、問題が顕在化・深刻化しており、さらに、今後の新たなデジタル技術の進展やサービスの普及に伴ってますます状況の悪化が見込まれるのではないか。
  • 諸外国における政策動向
    • デジタル空間における情報流通の健全性を巡るリスク・問題は、諸外国においても同様のアーキテクチャ等によりグローバルにサービスが展開されていること、諸外国においてもインターネット上のSNS等が浸透しその重要性が向上していること、また生成AI等新たなデジタル技術の進展に伴う負の影響を同様に受けていること等から、我が国特有の課題ではなく、諸外国が共通して抱えている課題ではないか。
    • 本検討会では、構成員をはじめとする有識者等から、欧米をはじめとする主要な国・地域における対応状況について把握・整理してきており、我が国でも情報流通プラットフォーム対処法が成立したところであるが、諸外国においても、既に様々なステークホルダーが連携・協力して対応を積み重ねてきているのではないか。
    • SNS等のプラットフォームサービスが国境を越えて提供されていること、諸外国においても既にステークホルダーが連携・協力して有効な対策の検討・実施が積み重ねられつつあることを踏まえれば、今後、デジタル空間における情報流通の健全性を巡る共通する課題に対して諸外国と連携して対処することができなければ、情報流通の健全性を巡る状況が悪化することが見込まれるとの危機感を持って対処すべきではないか。
  • 情報流通の健全性確保に向けた対応の必要性と検討の方向性
    • 第1章から第3章を踏まえ、我が国においても、デジタル空間における情報流通の健全性を巡る課題への対応について、プラットフォーム事業者をはじめとするステークホルダーの個々の自主的な取組に委ねていては、情報流通の健全性が脅かされ、ひいては実空間への負の影響を看過し得なくなるという強い危機感を持ち、様々なステークホルダーがより一層連携・協力し、制度面・ルール面による対応の在り方、技術面による対応の在り方、利用者への啓発活動・リテラシ-向上の在り方等について、デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた総合的な対策の在り方を議論・検討し、その結果に基づく対応を実施していくことが必要な時期にあるのではないか。
    • 特に第1章で概観したとおり、プラットフォームサービスのビジネスモデルに起因する課題、アテンション・エコノミーに起因する課題、情報の伝送手段がプラットフォームサービスへシフトすることに起因する課題、生成AI等の新たなデジタル技術に起因する課題等を十分に分析し、「構造的な」課題と「表層的な」課題を見極めた上で、デジタル空間の情報流通の健全性の確保に必要な即効性のある、短期的な「止血」としての対応を進めつつ、中長期的な視野から取り組むべき対応も並行して進めることが必要ではないか。
    • デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けて、情報流通の各過程である「発信」・「伝送」・「受信」に係る様々なステークホルダーが相互に連携・協力して、在るべき方向性について同一の認識を持った上で不断に対応を実施していくことが効果的・効率的ではないか。
    • 情報流通の健全性確保には様々な課題があることを念頭に、第5章において、情報流通に携わる幅広いステークホルダーの間で、その健全性確保に向けた基本的な理念を整理・明確化し共通認識とした上で、第6章において、連携・協力しながら推進すべき対策を検討することが必要ではないか。
  • 第5~6章 情報流通の健全性確保に向けた基本的な考え方・総合的な対策
    • 基本的な理念にのっとり各ステークホルダーがどのような責務・役割を負って健全性確保に取り組むべきかを整理・明確化し、そのための具体的な方策としてどのステークホルダーがどのような対策を講ずる必要があるのか等、総合的な対策を検討し、ステークホルダーの連携・協力の下で、迅速かつ効果的に対応を進めていくことが必要ではないか。
    • 本とりまとめにおいては、検討会において議論・検討した結果について、第5章において、基本理念や各ステークホルダーに期待される役割・責務を、第6章において、情報流通の健全性確保に向けた具体的な方策の在り方として、基本理念にのっとり各ステークホルダーが有する責務・役割を遂行しつつ、各ステークホルダーの間における連携・協力を推進する観点から、デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた今後の総合的な対策の方向性を示すこととしてはどうか。

総務省 2023年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果の公表
▼ 別紙
  • 総務省では、青少年のインターネット・リテラシーに関する実態調査を実施し、結果概要を「2023年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果」として取りまとめましたので、公表します。
  • 経緯・内容
    • 総務省では、青少年のインターネット・リテラシー向上のための前提として、特にインターネット上の危険・脅威に対応するための能力とその現状等を可視化するため、2011年度にこれらの能力を可視化するテスト(※)を指標として開発し、2012年度より毎年、高等学校1年生を対象に、青少年のインターネット・リテラシーを測るテストと、インターネット等の利用状況に関するアンケートを実施してきました。※:「青少年がインターネットを安全に安心して活用するためのリテラシー指標」 =ILAS(Internet Literacy Assessment indicator for Students)。リテラシーの中でも、特に、インターネット上の危険・脅威への対応能力やモラルに配慮しつつ、的確な情報を判断するために必要な能力を、大分類(3つ)、中分類(7つ)に整理し、多肢選択式問題を作成。数値化することにより、各能力を可視化した。
    • 2023年度は75校・13,108名を対象に、テスト及びアンケートを実施した上、この結果を集計・分析し、「2023年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果」として別紙PDFのとおり取りまとめました。
  • 青少年に必要なリスク対応能力の分類
    • 【違法有害情報リスク】
      • 【違法情報リスク】違法コンテンツの問題を理解し、適切に対処できる。
      • 【有害情報リスク】有害コンテンツの問題を理解し、適切に対処できる。
    • 【不適正利用リスク】
      • 【不適切接触リスク】情報を読み取り、適切にコミュニケーションができる。
      • 【不適正取引リスク】電子商取引の問題を理解し、適切に対処できる。
      • 【不適切利用リスク】利用料金や時間の浪費に配慮して利用できる。
    • 【プライバシー・セキュリティリスク】
      • 【プライバシーリスク】プライバシ一保護を図り利用できる。
      • 【セキュリティリスク】適切なセキュリティ対策を講じて利用できる。
  • 2023年度の調査結果概要
    • テスト結果の概要は以下のとおりです。
      • 全体の正答率は71.4%。(前年度正答率:71.1%)
      • リスクの大分類別の正答率については、「3.プライバシー・セキュリティリスク」に対応する問の正答率(68.8%)が、その他のリスクに対応する問に比べてやや低い結果となりました。
      • リスクの中分類別の正答率については、「2c.不適切利用リスク」に対応する問の正答率(80.7%)が最も高く、「2b.不適正取引リスク」に対応する問の正答率(59.6%)が最も低い結果となりました。
    • また、アンケート結果の概要は以下のとおりです。
      • スマートフォンやSNSを利用する際の家庭でのルールがある者の正答率は、家庭でのルールがない者に比べ3.5%高く、また、フィルタリング等を利用している者の正答率は、それらを利用していない者に比べ2.0%高い結果となりました。
      • 偽・誤情報(フェイクニュース)や生成AIに関する危険や注意点、対応策については、「学校の先生」から教わったことがあるとの回答が最も多く、それぞれ全体の54.1%(偽・誤情報)、26.7%(生成AI)でした。
      • 偽・誤情報(フェイクニュース)に遭遇した際の対応について、最も多かった回答は、「他の人やメディアではどのように言われているか、反論している人はいるか等、「他ではどう言われているか」をチェックした」(49.6%)であり、次いで、「その情報源がどこから・いつ発信されたか、根拠となるモノが今もあるか等、「情報源」をチェックした」(43.9%)でした。
      • ICT機器を安心・安全に利用するに当たって必要な能力について、「インターネット、テレビ、新聞等を活用した自主学習で学んだ」と回答した者の正答率(75.8%)は、全体の正答率よりも4%以上高い結果となりました。

総務省 電気通信番号の犯罪利用対策に関するワーキンググループ(第1回)配布資料・議事概要
▼ 資料1-2 電気通信番号制度の現状
  • 特殊詐欺等、電気通信番号を悪用した犯罪は従来から存在しており、深刻な状況が続いている。特殊詐欺に悪用される電話サービスはこれまで何度も移り変わっており、対策を講じては、新たな手段が登場し、犯罪に悪用される繰り返しである。
  • 最近では、総務大臣から電気通信番号使用計画の認定を受けた電気通信事業者が、特殊詐欺に使われると知りながら電話回線を提供したとする詐欺ほう助の罪で逮捕・起訴され、判決に至った例も存在する。 以上を踏まえ、電気通信番号の犯罪利用に対する有効な対策(予防的な対策及び事後的な対策)について、検討を行う必要がある。
  • 電気通信番号制度の概要
    • 令和元年に施行された電気通信番号制度により、電気通信番号を使用するすべての電気通信事業者は、電気通信番号使用計画の認定を受けることが必須。
    • 総務大臣は、番号の種別、番号の使用条件等を定めた電気通信番号計画(総務省告示)を公示。
  • 電気通信番号使用計画の認定の基準
    • 電気通信事業法第50条の4は、総務大臣は、認定の申請があった場合、その申請に係る電気通信番号使用計画が当該条項に掲げる要件に適合していると認めるときは、認定をしなければならないと定めている。
    • 電気通信番号使用計画の認定の基準は、電気通信番号の使用の必要性、公平性、効率性の観点から規定。
  • 電話番号・電話転送サービスの提供ルールの制度化
    • 令和3年12月の情報通信審議会答申を踏まえ、業界団体及び主要事業者が参加する「電話番号・電話転送サービスに関する連絡会」において、電話番号・電話転送サービスの提供ルールの制度化(卸元事業者の責務の明確化)について議論し、電気通信番号計画を改正(令和5年1月1日から施行)
  • 特殊詐欺対策について、総務省は電話を所管する立場から、以下の3本柱で、電話の悪用対策を実施
    • 携帯電話不正利用防止法の執行(2006.4施行(レンタルは2008.12より対象)
      • 携帯電話の契約時の本人確認を義務付け
      • 総務大臣は、本人確認義務を履行していないキャリアショップ等に対して是正命令を発出
    • 犯罪収益移転防止法の執行(2008.3施行(電話転送は2013.4より対象))
      • 電話転送サービス事業者等に対して、顧客等の本人確認を義務付け
      • 国家公安委員会からの意見陳述も踏まえ、総務大臣は、義務違反の事業者に対して是正命令を発出
    • 電話番号の利用停止措置の運用(TCA 2019.9開始/JUSA 2022.12開始)
      • 総務省から事業者団体(TCA・JUSA)への通知に基づき、県警等からの要請に応じて、特殊詐欺に利用された固定電話番号等の利用停止、悪質な利用者への新たな固定電話番号の提供拒否を実施。
▼ 資料1-3 電気通信番号の犯罪利用~「特殊詐欺事件」に悪用される電話~
  • 令和6年3月末現在の特殊詐欺の被害は、昨年同期に比較して件数約17%、被害額5%減少したが、1日当たり被害額は約1億円と高水準が続いているなど依然として深刻な状態。
  • 犯人グループに匿名通信手段を提供することを目的に設置された悪質事業者が、捜査が犯人グループに及ばない仕組みを構築して電話転送サービスを提供
  • 悪質事業者の検挙が続いたことや、在庫番号の一括利用停止等対策強化が進んだことに伴い、令和4年以降、大規模事業者は見られなくなり、代わって小規模事業者が数か月ごとに参入する状況が見られる。
  • 対症療法としての利用停止の取組には限界があり、どうしても「イタチごっこ」となりますので、警察としては、市場が自浄能力を発揮できる環境が作られることを期待しています。例えば、
    • 「認定取得済み事業者」が悪質事業者であった場合には、認定の取消しも含めて、市場から排除できる仕組みが構築されるよう検討できないでしょうか
    • 他人の名義を使用するなどして、短命覚悟で悪意を持って参入してくる事業者に大量の電話番号が販売されない仕組みが構築されるよう検討できないでしょうか
▼ 資料1-4 特殊詐欺に利用された固定電話番号等に関する取組みについて
  • 総務省からの通知に基づき、特殊詐欺対策検討部会に参加する会員事業者は、県警等からの要請に応じ、特殊詐欺に利用された固定電話番号等の利用停止や悪質な利用者への新たな固定電話番号の提供拒否等を実施
  • 番号利用停止等スキームについて
    • 固定電話番号等の利用停止等
      • 都道府県警察は、特殊詐欺に利用された固定電話番号等を認知後、電気通信事業者に対し、当該固定電話番号等の利用停止等を要請する。
      • 当該電気通信事業者は、都道府県警察から要請があった固定電話番号等の利用停止等を行った上、警察庁に対し、当該利用停止等を行った固定電話番号等の契約者(卸先電気通信事業者を含む。)の情報を提供する。
    • 新たな固定電話番号等の提供拒否
      • 警察庁は電気通信事業者に対し、一定の基準を超えて利用停止等の要請の対象となった契約者の情報を示すとともに、同契約者に対する新たな固定電話番号等の提供拒否を要請する。
      • 電気通信事業者は、警察庁から要請のあった者から固定電話番号等の追加購入の申し出があった場合には、一定期間、その者に対する新たな固定電話番号等の提供を拒否する。
    • 悪質な電話転送サービス事業者の保有する固定電話番号等(在庫番号)の利用停止
      • 警察庁は電気通信事業者に対し、一定の要件を満たす場合には、悪質な電話転送サービス事業者の保有する固定電話番号等を一括して利用停止等を行うよう要請する。
      • 電気通信事業者は、警察庁から要請のあった者に対して提供している固定電話番号等について、利用停止等を行う
  • スキームの運用開始以降、新たな手口への対応等のため、見直しが行われてきた
    • 令和元年9月 スキームの運用開始:固定電話番号の利用停止及び新たな固定電話番号の提供拒否の運用を開始
    • 和3年11月 スキームの対象の追加:利用停止措置等の対象に特定IP電話番号(050番号)を追加
    • 令和4年11月 対象事業者の拡大:一般社団法人日本ユニファイド通信事業者協会(JUSA)のスキーム運用開始に伴い、当協会が運用するスキームとの連携を開始
    • 令和5年6月 対策の追加:悪質事業者の在庫番号の利用停止措置を追加
  • 関係機関等と連携した取組みにより、特殊詐欺に利用された固定電話番号等の悪用への対策に寄与してきた実施状況は以下のとおり
    • 令和5年中の利用停止等の件数(令和5年1月1日から12月31日)
      • 固定電話番号866件
      • 050IP電話番号7,302件
      • 新たな固定電話番号等の提供拒否要請6件
      • 新規番号の提供拒否対象契約者等が保有する固定電話番号等の利用停止等要請が4事業者について行われ、在庫番号3,270番号を利用停止
    • 令和5年末までの利用停止等の件数(運用開始から令和5年12月31日)
      • 固定電話番号12,665件
      • 050IP電話番号9,482件

総務省 電気通信番号の犯罪利用対策に関するワーキンググループ(第2回)配布資料・議事概要
▼ 資料2-1 東日本電信電話株式会社・西日本電信電話株式会社 説明資料
  • 特殊詐欺犯罪は、その手口が巧妙化・複雑化しており、認知件数・被害額も依然として高い水準で推移
  • こうした状況を受け、お客様にできるだけ安心して固定電話をご利用いただけるよう、当社としても特殊詐欺対策サービスの提供、警察や自治体等と連携した被害防止の周知活動等、犯罪被害抑止に取り組んでいるところ
  • また、犯罪に固定電話が利用されているケースもあると認識しており、犯罪利用抑止の観点からも、番号の利用停止措置に加え、2023年1月の改正電気通信番号計画の施行に伴い、更に取組みを強化
  • お客様に電気通信番号の使用に関する条件を遵守いただくよう、改正電気通信番号計画を踏まえて契約約款を変更
  • 加えて、注文受付フローも変更し、番号使用計画の認定状況について、ユーザからの申告に依らず、能動的なヒアリングとフォローアップを実施
  • 卸先事業者(光コラボレーション事業者)に対しては、関係法令を遵守いただくよう定期的
  • に周知し、改正電気通信番号計画についても事業者様へ案内するとともに運用等を定めるマニュアルの変更を実施
  • 加えて、番号使用計画の認定状況のモニタリングも実施し、未認定事業者については総務省へ通報
  • 固定電話を利用されているお客様が特殊詐欺犯罪の被害を受けている場合も多いと認識
  • お客様にできるだけ安心して固定電話をご利用いただけるよう、特殊詐欺対策サービスの提供に加え、各種サービス・手続きを無償化する等、取組みを拡充
  • 警察と連携した取組み状況(抜粋)
    • 茨城県警様 2020年9月~
      • 茨城県警より、「ニセ電話詐欺被害防止アドバイザー」を委嘱
      • 固定電話の修理等で顧客訪問した際に、留守番電話設定の提案や啓発チラシの配布、ニセ電話犯行手口と対策のアドバイスをしながら注意を呼び掛け
    • 埼玉県警様 2022年12月~
      • 「特殊詐欺の被害防止等の地域安全活動に関する協定」
      • 「特殊詐欺対策サービス」、「シン・オートコール※」等を活用した特殊詐欺被害防止対策の普及促進
      • 特殊詐欺をはじめとする各種犯罪被害防止に関する広報啓発活動
    • 千葉県警市川警察署様 2022年12月~
      • 地域一体となった「電話de詐欺」防犯訓練の実施(2023年2月感謝状受領)
      • 「特殊詐欺対策サービス」、「シン・オートコール※」を活用し、訓練参加希望者および地域の金融機関(信用金庫)、警察署が一体となった防犯訓練を実施 ※「特殊詐欺対策サービス」の検知を市川警察署員が受けた後に、当該地区の住民、警察署、金融機関へ「シン・オートコール※」を利用して一斉に注意喚起を発報することで、広域注意喚起を実施
    • 大阪府警様 2022年2月~
      • 府警広報での当社サービスの紹介
      • 府民向け防犯対策機器資料や防犯情報提供サービス「安まちメール」にて、「特殊詐欺対策サービス」を掲載
    • 近畿管区警察局様 2021年12月~
      • 「安全安心なまちづくりに関する協定書」の締結
      • 近畿管区警察局の管轄内2府4県警察署向けに、特殊詐欺対策チラシを配布(大阪府防犯協会連合会WEBサイト、近畿管区警察局WEBサイトにもチラシを掲載)

総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 ワーキンググループ(第25回)配付資料
▼ 資料WG25-1-1引き続き検討が必要な論点に関する今後の検討の進め方(案)
  • 自然人の本人確認方法
    • 本人確認書類の偽変造が大きな問題になっている現状を踏まえると、本人確認書類の券面の画像を確認する方法やその写しを確認する方法は廃止せざるを得ない。(鎮目構成員、山根構成員ほか)
    • マイナンバーカードの公的個人認証に原則として一本化していくことについて同意。(鎮目構成員、沢田構成員、仲上構成員ほか)
    • 対面の場合においても、ICチップを確認する方法や電子証明書を確認する方法など、デジタル技術を活用した確認方法の導入に向けて検討を進めるべき。(辻構成員、山根構成員、DIPC、イオンリテール、日本通信ほか)
    • 利用者に対し、公的個人認証サービスなどのデジタル技術を活用した確認方法についてその意義や重要性をきちんと説明し、普及を進めるべき。(沢田構成員、辻構成員ほか)
    • 公的個人認証などのデジタル技術を活用した確認方法の普及に当たっては、事業者に準備コストがかかることから、支援が必要ではないか。(沢田構成員、イオンリテールほか)
    • 公的個人認証を利用する事業者・サービスが増えていけば、コストは低廉化していくのではないか。(DIPC)
    • デジタル技術を活用する本人確認においては、犯罪への悪用率が下がることから、不適正利用対策にもつながるのではないか。(日本通信)
  • 法人の本人確認方法
    • 登記情報提供サービスの登記情報を用いた方法の導入について検討すべきではないか。(楽天モバイル、山根構成員)
    • 法人の代表者等の本人確認において、電子証明書を活用する確認方法を導入すべきではないか。(日本通信)
  • 他の事業者への依拠
    • 犯収法で認められる金融機関への依拠の仕組みを導入してはどうか。(楽天モバイル)
    • 他事業者への依拠の導入に当たっては、信頼性を確保するため、身元確認レベルを合わせるべきではないか。(大谷構成員、辻構成員、鎮目構成員ほか)
    • 金融機関に依拠するとした場合、責任のあり方について留意すべき。(沢田構成員、山根構成員)
    • 他事業者への依拠の仕組みを導入する際には、より確実な本人確認方法を用いて確認した実績に基づいて、依拠を行うべきではないか。(大谷構成員、辻構成員ほか)
    • 公的個人認証で本人確認を実施済みの事業者に対して、適切な当人認証を行った上で依拠するのであれば、事業者・利用者にとって負担の少なく利便性の高い本人確認が実現できるのではないか。(DIPC)
    • 携帯電話事業者間の依拠については、業界全体として、本人確認が適切な方法で行われることが前提となるため、それを踏まえて検討すべき。(星構成員、中原構成員ほか)
    • 携帯電話不正利用防止法と犯罪収益移転防止法の確認方法の整合性をはかりながら検討すべき。(辻構成員ほか)
  • その他の論点
    • 携帯電話が社会のハブとなっており、携帯電話自体が運転免許証と同じような存在になってきていることから、信頼性を確保する必要がある。(星構成員)
    • 本人確認書類の写しや画像データの保存については、プライバシーの観点に加えて、漏洩した場合に更に不適正利用されてしまうリスクという観点でも、将来的には検討が必要。(沢田構成員)
    • 警察からの求めによる契約者確認の仕組み自体が十分に機能しているかは、常に検証していく必要があるのではないか。(中原構成員)
    • 本人確認義務の対象範囲について、将来的には検討していくべき。(星構成員)
    • eコマースやSNSのアカウント登録の際に行う本人確認についても、公的個人認証などのデジタル技術を活用する本人確認方法が低コストで使える形で普及するとよい。(沢田構成員)
    • デジタル技術の活用が難しい高齢者等の利用者への対応や災害時(通信障害時)の対応として、別の方法を準備するのではなく、デジタル化した方法に対応できるよう、サポートが必要ではないか。(沢田構成員)
  • 検討すべき論点
    1. 自然人の本人確認方法(規則第3条第1項第1号)
      • 非対面
        • 写しの送付+転送不要郵便方式の廃止(規則§3(1)①ヘ)
        • eKYC厚み方式の廃止(規則3(1)①ハ)
        • 特定事項伝達型本人限定受取郵便(§3(1)①ト)における電子的な確認方法
      • 対面
        • 対面提示(規則§3(1)①イ)における電子的な確認方法の導入
        • ICチップを読み取る方法(真贋判定機、券面事項表示ソフトウェア等)
        • 電子証明書を確認する方法
        • スマートフォンに格納された本人確認情報(カード代替電磁的記録)を活用する方法
      • 非電子的方法
        • 対面における非電子的方法(代替手段)の在り方
        • 原本送付+転送不要郵便方式(規則§3(1)①ホ)の取扱い
    2. 法人の本人確認方法(規則第3条第1項第2号)
      • 登記情報提供サービスとの連携による確認方法の導入
        • (参考)犯罪収益移転防止法施行規則第6条第1項第3号ロ
          • ロ 当該法人の代表者等から当該顧客等の名称及び本店又は主たる事務所の所在地の申告を受け、かつ、電気通信回線による登記情報の提供に関する法律(平成十一年法律第二百二十六号)第三条第二項に規定する指定法人から登記情報(同法第二条第一項に規定する登記情報をいう。以下同じ。)の送信を受ける方法(当該法人の代表者等(当該顧客等を代表する権限を有する役員として登記されていない法人の代表者等に限る。)と対面しないで当該申告を受けるときは、当該方法に加え、当該顧客等の本店等に宛てて、取引関係文書を書留郵便等により、転送不要郵便物等として送付する方法)
      • その他電子的な確認方法の検討(例:gBizID等)
    3. その他の確認方法(規則第3条第2項~第5項)
      • 既契約者と契約を締結する際の確認方法の在り方
      • 当人認証レベルの確保の在り方
      • 継続的顧客管理との連携(住所変更の確認記録への反映等)
    4. 代表者等の本人確認方法(規則第4条)
      • 自然人の本人確認と同様の見直し
      • 電子証明書を確認する方法の導入
      • 既契約者(法人)と契約を締結する際の確認方法の在り方
    5. 他の事業者への依拠の在り方
      • 引き落とし先の銀行の本人確認への依拠
      • 決済手段のクレジットカードの本人確認への依拠
      • 他の携帯音声通信事業者の本人確認への依拠
      • MNPの際の転出元の本人確認との連携
      • 身元確認レベル/当人認証レベルの確保の在り方
    6. 公的個人認証等で確認済みであることの確認
      • 公的個人認証で本人確認を実施済みの事業者(PF事業者・SP事業者)への依拠
      • 当人認証レベルの確保の在り方
    7. 自然人の本人確認書類(規則第5条第1項第1号)
      • ICチップの有無による本人確認書類の取扱い
      • 写真のない本人確認書類の取扱い
      • 原本送付方式に使用可能な本人確認書類の取扱い
    8. 本人確認記録(規則第8条)
      • 継続的顧客管理との連携(住所変更の確認記録への反映等)
    9. 本人確認に用いた書類等の保存(規則第10条)
      • 電子的確認方法における保存の在り方
    10. 譲渡時本人確認の方法(規則第11条)
      • 役務提供契約締結時の確認方法と同様の見直し
    11. 契約者確認の方法(規則第13・14条)
      • 電子的な確認方法の導入
      • 遠隔地居住の際の確認方法の在り方
    12. 貸与時本人確認の方法(規則第19・20条)
      • 役務提供契約締結時の確認方法と同様の見直し

総務省 社会的養護に関する調査-里親委託を中心として-<結果に基づく勧告>
▼ 概要
  • 調査の背景
    • 社会的養護の下に置かれている児童(児童養護施設や里親等の下で養育される児童)は令和3年度末において約4.2万人
    • 児童の代替養育(保護者から分離して養育すること)は児童養護施設が中心であったが、より家庭に近い環境で特定の大人との愛着形成を行うことが、その後の発達過程によい影響を及ぼすとされ、平成28年の児童福祉法改正で「家庭養育優先の原則」が明確化
    • 代替養育が必要な児童は里親又はファミリーホーム(養育者の住居において家庭養護を行う事業者(定員5~6人))に委託することが原則であるが、社会的養護の下に置かれている児童に占める里親等委託児童の割合は約2割
  • 調査結果
    • 里親の希望と児童の属性のミスマッチにより登録里親の約7割は未委託の状況。短期委託やショートステイ事業の経験は、未委託里親の受入希望の幅を広げる効果あり
    • 登録里親の半数以上を占める共働き世帯への委託が低調。里親に対して保育所等入所時の点数加算をしていない市町村があるほか、幼稚園と保育所等には、児童を預けているという点に差異はないものの、措置費(実費)支給の取扱いに差異あり
    • 障害児・被虐待児の多くが養育里親に委託され、専門里親(障害児等を専門的に養育する里親)への委託は少数。養育里親への専門的な研修や支援が必要であるが、専門里親に登録しようとしない限り受講できない。また、研修は東京都に出向かねばならず受講しにくい。
    • 児童との関係が悪化し養育を継続できない里親不調が増加。児童相談所は不調後に里親をケアする一方、一部の児童相談所では不調事例を養育支援に生かしている例がみられるものの、児童相談所単位では事例数が少なく、体系的な分析に基づく未然防止の検討は困難
  • 主な勧告
    • 未委託里親に児童を委託するため短期委託やショートステイ事業の活用推進
    • 保育所等入所の優先利用の徹底や保育所等に係る措置費支給の検討
    • 障害児・被虐待児を委託している里親への専門的な研修機会の付与の検討
    • 里親不調に関する全国の事例を把握・分析し、未然防止に資する情報を児童相談所に周知
  • 期待される効果
    • 里親の希望と児童の属性とのミスマッチ解消
    • 里親が安心して児童を養育できる環境の整備
    • 里親委託が進み、児童の健全な発達に寄与

総務省 令和5年通信利用動向調査の結果
▼ 別紙2 概要
  • 世帯の情報通信機器の保有状況を機器別にみると、「スマートフォン」は90.6%となり、引き続き増加傾向となった。一方、それ以外の情報通信機器の保有状況は、概ね減少傾向となっている。チューナー付きテレビとチューナーなしテレビの保有比率は概ね9:1となっている。
  • 個人のモバイル機器の保有状況をみると、モバイル端末全体の保有者の割合は86.2%となっており、うち「スマートフォン」の保有者の割合が78.9%となっている。年齢階層別にみると、6~12歳及び80歳以上でモバイル端末を保有していない者の割合が2割を超えている。
  • インターネット利用者の割合は86.2%。年齢階層別にみると、13~69歳の各年齢階層で9割を上回っている。
  • インターネットの利用状況を端末別にみると、スマートフォンがパソコンを25.5ポイント上回っている。年代別にみると、「スマートフォン」は、20~59歳の各年齢階層で約9割、60~69歳の年齢階層で約8割が使用している。また、「タブレット型端末」は6~12歳の利用割合が高く、年齢階層が上がるごとに利用割合が下がっていく傾向にある。
  • スマートフォンでのインターネットの利用者の割合を都道府県別にみると、東京都、神奈川県で8割を超えている。また、インターネットの利用者の割合を地方別にみると、南関東及び東海において利用者の割合が全国の割合よりも高い結果となっている。
  • 自社からのインターネット接続に「ブロードバンド回線」を利用している企業の割合は96.4%、「光回線」を利用している企業の割合は90.3%となっており、「光回線」を利用している企業が「ブロードバンド回線」を利用している企業の大半を占めている。
  • 自宅でインターネットに接続している世帯のうち、「ブロードバンド回線」を利用している世帯の割合は93.2%となっている。
  • 世帯におけるテレビ等でのインターネット接続状況をみると、「テレビでの接続」が64.7%と最も高く、次いで、「ケーブルテレビでの接続」(26.3%)となっている。利用目的は、「無料動画共有サービスの視聴」が62.7%と最も高く、次いで、「有料動画配信サービスの視聴」(51.5%)となっている。
  • 個人におけるインターネット利用の相談についての状況をみると、「相談できる相手がいる」は87.1%である。相談相手は、「家族・親戚」が76.6%と最も高く、次いで、「友人」(39.4%)、携帯電話ショップ(15.8%)となっている。年代別にみると、全ての年齢階層において「家族・親戚」が7割以上となっている。
  • インターネット利用者のインターネットの利用目的・用途をみると、「SNS(無料通話機能を含む)の利用」の割合が80.8%と最も高く、次いで「電子メールの送受信」(76.0%)、「情報検索」(74.7%)となっている。年齢階層別にみると、「SNS(無料通話機能を含む)の利用」や「電子メールの送受信」がほぼ全ての年齢階層で高くなっている一方、「eラーニング」、「オンラインゲームの利用」、「デジタルコンテンツの購入・取引」は年齢階層によりバラツキが見られる。
  • インターネット利用者に占めるSNSの利用者の割合は、80.8%となっており、前回調査から0.8ポイント上昇している。利用目的は、「従来からの知人とのコミュニケーションのため」の割合が87.2%と最も高く、次いで「知りたいことについて情報を探すため」(63.4%)となっている。
  • 電子政府・電子自治体で利用した行政手続きをみると、「マイナポイントの申込み」の割合が71.7%と最も高く、次いで「マイナンバーカードの申請」(67.9%)となっている。一方、「ワクチン関連の手続き」は42.0%となり、前回調査から13.0ポイント減少した。
  • テレワークの導入状況(企業)
    • テレワークを導入している企業の割合は49.9%となっており、前回調査から1.8ポイント減少している。「導入していないが、今後導入予定がある」と回答した企業は3.0%となり、引き続き減少傾向にある。
    • 導入しているテレワークの形態は、「在宅勤務」の割合が90.0%と最も高くなっている。
    • 産業別にみると、「情報通信業」の大半(93.4%)が導入しているほか、「金融・保険業」(81.3%)の割合が高い。
    • 資本金規模別にみると、10億円~50億円未満の企業の導入率が88.3%と最も高い。また、テレワークを利用する従業員の割合は、「80%以上」が12.2%となっており、前回調査から1.3ポイント減少している一方、「5%未満」は36.9%となり2.9ポイント上昇している。
  • テレワークの主な導入目的は、「新型コロナウイルス感染症への対応(感染防止や事業継続)のため」の割合が79.1%と依然として最も高い。また、「勤務者のワークライフバランスの向上」(42.7%)、「非常時の事業継続に備えて」(42.0%)が昨年から上昇し、4割を超えている。
    • 導入目的に対する効果は、「非常に効果があった」又は「ある程度効果があった」と回答した企業の割合が83.8%となっている。
    • なお、テレワークを導入していない企業が導入しない理由は、「テレワークに適した仕事がないから」の割合が78.6%と最も高くなっている。
  • テレワークの実施状況(個人)
    • 企業等に勤める15歳以上の個人のうち、テレワークを実施したことがあると回答した個人の割合は27.3%となっており、実施したテレワークの形態は、特に「在宅」の割合が94.5%と最も高い。
    • テレワーク未実施者のうち、実施を希望すると回答した個人の割合は、18.7%となっている。
    • テレワーク未実施者が実施しない理由は、「テレワークに適した仕事ではないため」が63.4%と最も多く、次いで「勤務先にテレワークできる制度がないため」が35.7%となっており、実施しない理由の多くを占めている。
  • クラウドコンピューティングサービスの利用状況(企業)
    • クラウドコンピューティングサービス(以下「クラウドサービス」という。)を一部でも利用している企業の割合は、77.7%に上昇した。
    • 利用したサービスの内容は、「ファイル保管・データ共有」の割合が68.8%と最も高く、次いで「社内情報共有・ポータル」(55.8%)、「電子メール」(55.1%)となっている。
    • クラウドサービスを利用する理由は、「場所、機器を選ばずに利用できるから」(49.5%)が最も高く、次いで「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」(43.9%)となっている。
    • クラウドサービスの効果について、「非常に効果があった」又は「ある程度効果があった」とする企業の割合は88.4%となっている。
  • IoTやAI等のシステム・サービスの導入状況(企業)
    • デジタルデータの収集・解析等のため、IoTやAI等のシステム・サービスを導入している企業の割合は16.9%となっており、導入予定の企業を含めると28.1%となっている。また、産業別にみると、「金融・保険業」が34.7%と最も高くなっている。
    • IoTやAI等によるデジタルデータの収集・解析の目的をみると、「効率化・業務改善」が86.0%と最も高く、次いで、「顧客サービス向上」(35.1%)、「事業の全体最適化」(26.8%)となっている。
    • 導入効果をみると、「非常に効果があった」又は「ある程度効果があった」と回答した企業の割合が82.7%となっている。
    • 構成する機器をみると、「監視カメラ」が38.8%と最も高く、次いで、「物理セキュリティ機器」(32.6%)、「センサー」(26.7%)となっている。また、導入機器のネットワーク回線は「有線」が71.8%と最も高く、次いで「無線LAN(WiFi)」が58.7%となっている。
  • セキュリティ対策の実施状況(世帯)
    • インターネットを利用している世帯のうち、何らかのセキュリティ対策を実施している世帯の割合は95.1%となっている。実施しているセキュリティ対策は、「ソフトウェアを最新のものにする」が57.6%と最も高く、次いで「端末にパスワードなどを設定する」(54.9%)、「ウイルス対策ソフトをインストールする」(47.5%)となっている。
  • インターネット利用で感じる不安(個人)
    • インターネットを利用している個人のうち、インターネットを利用していて「不安を感じる」又は「どちらかといえば不安を感じる」と回答した者の割合は合わせて69.2%となっている。
    • 感じている不安の内容について、全体では、「違法・有害情報や真偽の不確かな情報を見てしまわないか」が8.1ポイントと大きく増加している。また、年齢階層別にみると、どの階層も「個人情報やインターネット利用履歴の漏えい」が最も高い。また、若年階層では「ソーシャルメディアなどで相手とトラブルにならないか」が、20歳~59歳では「電子決済を信頼できるか」が不安の上位にあがっている。
  • 情報通信ネットワークに対するセキュリティ被害と対応の状況(企業)
    • 過去1年間の情報通信ネットワークの利用の際に発生したセキュリティ被害をみると、「何らかの被害を受けた」企業が53.9%となり、8.4ポイント減少している。被害内容は、「標的型メールの送付」が36.1%と最も高く、次いで「ウイルスを発見又は感染」(28.4%)となっている。
    • セキュリティについて、「何らかの対策を実施している」企業の割合は98.5%に達し、対応内容は「パソコンなどの端末(OS、ソフト等)にウイルス対策プログラムを導入」が82.9%と最も高く、次いで「サーバにウイルス対策プログラムを導入」(61.4%)、「ID、パスワードによるアクセス制御」(58.0%)となっている。
  • 電話リレーサービスの現状
    • 電話リレーサービスの現状をみると、電話リレーサービスの法人登録検討状況について、法人登録を行っている、又は検討している(した)企業は4.5%となっている。また、産業別に見ると、金融・保険業の「聴覚障害者等を雇用して法人登録をしている」割合は1割程度となっている。

総務省 ICTサイバーセキュリティ政策分科会(第8回)
▼ 資料8-4 生成AIとセキュリティ(三井物産セキュアディレクション)
  • 大規模言語モデル(LLM: Large Language Model)の脅威モデル
    • LLM・利用者の属性の組み合わせにより、LLMにまつわる脅威モデルは4つの象限に分けることができる。
    • 各象限にはLLM特有のリスクがあり、被害を受けるステークホルダー(LLMの開発者・提供者・利用者)が異なる。
  • 幻覚によるリスク
    • LLMには「幻覚」と呼ばれる「事実とは異なる回答を生成」する性質がある。
  • 幻覚が引き起こしたインシデント例
    • 利用者が幻覚を考慮せず、LLMが生成した文章を未精査で使用した場合、インシデントに繋がる可能性がある。
  • 幻覚の発生要因
    • 幻覚が発生する要因は複数存在する。
    • 以下、主な幻覚の発生要因を示す。
      1. LLMの性質
        • LLMは流暢な文章を生成するように学習されており、例え正確でなくとも首尾一貫して文脈に沿った文章を生成することを目指す。
        • このため、確信度が低い場合でも何らかの情報(嘘を含む)を出力する。
      2. 学習データの品質
        • 学習データが古い・誤りがある・不足している場合、嘘を学習してしまう可能性がある。
      3. 学習中の真実根拠の欠如
        • LLMは正解ラベルを持つ教師あり学習とは異なり、明確な「真実の根拠」が無い状態で学習を行う。このため、(嘘を含む)学習データに基づいて確率的に文章を生成する。
      4. プロンプトのあいまいさ
        • 利用者が入力するプロンプトが曖昧な場合、LLMは利用者の期待に沿う回答を生成するために嘘を含む回答を生成する場合がある。
  • 幻覚による被害を防ぐには?
    • 利用者目線で行うことができる対策には、次のようなものが挙げられる。
      • ファクトチェックの実施(利用者の意識向上)
        • LLMが生成した文章は「正しいとは限らない」という前提に立ち、常にファクトチェックを実施することが重要。
        • LLMは膨大なデータを学習することで様々な文章を生成することができるが、誤った情報や古い情報などを学習することもある。
        • 特に、最近の出来事や情報の少ない分野の出来事に関する文章は、誤りが生じやすくなる。そこで、最後は人間の手でファクトチェックをすることで幻覚によるインシデントを防ぐ。
      • プロンプトの補強・明確化
        • LLMは利用者が入力するプロンプトを基に文章を生成するため、プロンプトを具体的にすることで、より正確な情報を含んだ文章を生成させることができる。また、プロンプトに回答の補助情報を含めるテクニック(ICL:In-Context Learning)を使用することで、回答の精度を高めることもできる。
        • また、LLMの提供者目線で行うことができる対策には、次のようなものが挙げられる。
      • 回答生成時に外部知識を活用
        • 利用者への回答をLLMのみに頼るのではなく、検索エンジンやデータベースに蓄積された補助知識を基に回答を生成する仕組み(RAG)を使用する。これにより、最新の情報や正しいことが保証された情報を基に回答を生成させることができるため、幻覚を低減する効果が期待できる。なお、検索エンジンから取得した情報は誤っている可能性があるため、本ケースでも利用者側のファクトチェックは必要。
  • 機微情報漏えいのリスク
    • LLMは利用者が入力したプロンプトを学習する場合がある。プロンプトに利用者の氏名や住所、電話番号、Eメールアドレスなどが含まれていた場合、これらがLLMに学習され、第三者に開示されてしまうリスクがある。
  • 機微情報漏えいのインシデント例
    • 外部のLLMサービスに機微情報含むプロンプトを入力した場合、情報漏えいとなる。
    • また、LLMは、利用者が入力したプロンプトを学習データとして利用する場合があり、誤入力した機微情報含むプロンプトがLLMの学習に利用された場合、これが永続的にLLMの内部に保持されることになる。
    • LLMが学習したデータは、第三者のプロンプトに対する回答に含まれる場合があるため、常に第三者に機微情報が漏えいするリスクが付きまとう。
  • 機微情報漏えいの検証事例
    • 攻撃者は悪意のあるプロンプトを入力することで、LLMが学習した第三者の機微情報を窃取することができる。
    • 情報を窃取する手法は多岐にわたり、また自動化ツールも多く存在する(攻撃者優位の状況)。
  • 機微情報漏えいを防ぐには?
    • 利用者目線で行うことができる対策には、次のようなものが挙げられる。
      • 機微情報を入力しない
        • 社内規定やガイドラインを整備し、LLMへのプロンプトに機微情報を含めないよう利用者の教育を行う。
      • プロンプトを学習しない設定にする
        • LLMの提供サービスによっては、利用者が入力したプロンプトを学習させない設定にすることができる。
      • プライバシー保護機能を持つLLMサービスを利用する
        • 利用者が入力したプロンプトを学習しないことを保証する、プライバシー保護機能を持つサービスを利用する。
        • ただし、学習に使用されなくとも、自社の制御下にないサーバーに情報が送信されることに留意する。
  • 悪意あるLLMを利用するリスク
    • LLMをカスタマイズし、これを第三者に提供できるサービスが登場している(OpenAI社のカスタムGPTsなど)。攻撃者が悪意を持ってカスタマイズしたLLMを利用者が使用した場合、情報窃取やマルウエア感染などの被害に遭うリスクがある。
  • 悪意あるLLMを使用した攻撃手法
    • 攻撃者が悪意を持ってカスタマイズしたLLMを使用し、利用者を攻撃する手法が提案・実証されている。
  • 悪意あるLLMを使用した攻撃の検証事例
    • LLMをカスタマイズできるサービスとして有名な「カスタムGPTs」ではカスタマイズ項目は多岐にわたり、多種多様なカスタムLLMを作成することができる。攻撃者は悪意を持ってLLMをカスタマイズすることで、利用者にマルウエアを配布する攻撃や機微情報を窃取する攻撃などを行うことができる。
  • 悪意あるLLMによる被害を防ぐには?
    • 利用者目線で行うことができる対策には、次のようなものが挙げられる。
      • カスタムLLMに機微情報を入力しない
        • 社内規定やガイドラインを整備し、カスタムLLMへのプロンプトに機微情報を含めないよう利用者の教育を行う。
      • 信頼できないカスタムLLMを使用しない
        • 評価の低いカスタムLLMや、作成者の社会的信用が低いカスタムLLMを使用しないよう利用者の教育を行う。
      • 挙動不審なカスタムLLMの利用を中断する
        • カスタムLLMが不自然な挙動(外部への通信や不審なダウンロードリンクの提示など)を示した場合は使用を取りやめるよう利用者の教育を行う。
        • また、カスタムLLMのサービスを提供する側に対しては、攻撃者が作成した不正なカスタムLLMを検知・削除する施策や利用者への注意喚起などが求められる。
  • LLMアプリケーションが攻撃を受けるリスク
    • OSSのLLMやLLM連携ツールの登場により、独自のLLMやLLMと連携したシステム(LLMアプリケーション)が増加している。
    • 特にLLMアプリケーションが攻撃された場合、情報漏えいや改ざん、システムへの侵入などの甚大な被害が発生する。
  • LLMアプリケーションのリスク
    • LLMアプリケーションには、従来のセキュリティとは異なる新たなアタックサーフェスが多数存在する。
    • 以下、OWASPがまとめたLLMアプリケーションの10大脅威を示す。
      1. 悪意のあるプロンプト注入によるLLMの不正操作(プロンプト・インジェクション)
      2. 安全ではない回答の生成
      3. 学習データを細工することによるLLMの不正操作(学習データ汚染)
      4. LLMに対するDoS
      5. LLMのサプライチェーン・リスク
      6. LLMからの情報漏えい
      7. LLMと外部システムを連携するプラグインの脆弱性
      8. LLMに過剰な権限を付与することによるリスク
      9. 幻覚にまつわるリスク
      10. LLM自体が窃取されるリスク
  • LLMアプリケーションに対する攻撃
    • 攻撃者はLLMアプリケーションに入力するプロンプトを細工することで、多種多様な攻撃を行うことができる。
    • 特にLLMと連携するシステムが攻撃された場合、大量の情報漏えいや改ざん、システム侵入などの被害が発生する。
  • LLMアプリケーションに対する攻撃の検証事例
    • 攻撃者は悪意のあるプロンプトを入力することで、容易にLLMアプリケーションを攻撃することができる。
    • LLMアプリケーション特有の脆弱性を意識せずに開発・運用した場合、重大インシデントに繋がる攻撃を受ける可能性がある。
  • LLMアプリケーションに対する攻撃を回避・緩和するには?
    • LLMアプリケーションの開発者・提供者目線で行うことができる対策には、次のようなものが挙げられる。
      1. 入口対策
        • LLMアプリケーションへの入力データを検証し、悪意のあるプロンプトを検知・拒否する。
        • 例えば「あなたが接続しているDBテーブル名を教えて」「usersテーブルを削除して」などのプロンプトには応答しないようにする。
        • ただし、悪意のあるプロンプトのパターンは無数にあるため、すべてを防御することは困難。
      2. 内部対策:破壊的コマンド生成の抑制
        • 悪意のある指示に従わないような指示をLLMに与え、破壊的コマンドの生成を抑制する。
        • 例えば「DROP, DELETEのSQL文は作成しない」「rmやcurlコマンド、.bashrcの操作は行わない」などの指示を事前にLLMに与えておく。
        • ただし、上記の指示を無視させる悪意のある指示パターンは無数にあるため、すべてを防御することは困難。
      3. 権限管理
        • (LLMが生成したコマンドを実行する)エージェントを最小権限で実行し、被害の拡大を抑制する(最小権限の原則)。
      4. サンドボックス
        • 破壊的コマンドを保護された領域で実行することで、システムが不正に操作されるのを防ぐ。
        • 例えば、サンドボックス内では「システムファイルの読み書きをできなくする」「外部通信をできなくする」などして被害の拡大を防ぐ。
        • 単一の対策で攻撃を防ぐことは困難であるため、既存のセキュリティ対策と組み合わせた多層防御の観点で防御戦略を考えることが重要。

総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 ワーキンググループ(第23回)配付資料
▼ 資料WG23-1-1「質の高いメディアへの広告配信に資する取組を通じた情報流通の健全性確保の在り方」に関する主な論点(案)
  • 質の高いメディアへの広告配信の確保に向けた広告主による取組の促進方策
    • 広告仲介PFが提供する運用型広告を通じ、偽・誤情報をはじめ、違法なコンテンツや客観的に有害なコンテンツを掲載するオンラインメディアにデジタル広告が配信され、広告主が支払う広告費が偽・誤情報の発信・拡散主体等の収入源となる一方、質の高いコンテンツを発信するメディアの広告収入に影響が及んでいるとの指摘があるところ、こうした影響の軽減等に向けた広告主企業やその経営陣による主体的な取組を促進するための方策として、どのようなものが必要かつ適当か。※偽・誤情報等の発信・拡散によって他人の権利又は法律上保護される利益が侵害された場合、当該偽・誤情報等の発信・拡散に間接的に寄与した主体も共同不法行為責任(民法719条)等の責任を負う可能性があり、また、当該主体が会社その他の法人であれば、その役員等は当該法人に対して任務懈怠責任(会社法423条等)等の責任を負う可能性がある。
    • 例えば、マルチステークホルダーによる連携・協力の下、広告主企業やその経営陣に求められる取組※に関するガイドライン・ガイドブック等を策定・公表することなどが考えられるが、どうか。
      • ※参考)日本アドバタイザーズ協会(JAA)(2024年3月15日・WG第7回会合(検討会第12回会合))による「広告主が実施する対策」:
        • ブロックリスト(掲載したくない配信先をリストアップ)
        • セーフリスト(掲載したい配信先をリストアップ)
        • PMP(Private Marketplace=媒体社(パブリッシャー)と広告主を限定したクローズな広告の取引市場)
        • アドベリフィケーションツールの導入
        • デジタル広告品質認証機構(JICDAQ)の認証を受けた事業者の利用 など
    • 特に、政府や地方自治体が自らの施策の周知等の目的でデジタル広告を出稿し、広告主となる場合、その広告費が公金から支出されること等も踏まえ、求められる取組について積極的に情報収集するとともに、広告掲載品質の確保を適切に行っていることについて客観的な指標※により担保された広告仲介PFその他の広告関連事業者と取引を行うなどのガバナンス体制を構築することなどが考えられるが、どうか。※例えば、業界ガイドラインの遵守やそのことについての第三者機関による認証を受けていることなど
  • 質の高いメディアへの広告配信の確保に向けた広告仲介PFによる取組の促進方策
    • 広告主を中心とした取組に加え、運用型広告の提供を通じてメディア運営者(パブリッシャー)との接点を持つことになる広告仲介PFにおいても、偽・誤情報の発信・拡散主体等への広告費流入抑止と質の高いメディアへの広告配信の確保に向けた対応を検討する必要がないか。
    • 広告仲介PFの中には、既に、偽・誤情報等を掲載するメディアへの広告費の流入を抑止する観点から、例えば広告配信先メディアの事前審査(以下「メディア審査」)や、事後的に広告配信を停止する措置(以下「広告配信停止措置」)等を自主的に実施しているものが存在するところ、質の高いメディアへの広告配信の確保に向けたこうした取組を促進するための方策として、例えば次のような様々な方策があるが、どのような方策が必要かつ適当か。
      1. メディア審査や広告配信停止措置に関する基準の策定・公表と運用状況の公開
        • 特に、偽・誤情報を掲載するウェブページや、広告費詐取を目的として作成されたウェブページ(MFA:Made For Advertisement)等の取扱いを明記
      2. 偽・誤情報等を掲載するメディアへの広告費流入抑止のためのメディア審査や広告配信停止措置の実施体制の整備及び透明化
        • 特に、日本語や日本の社会・文化・法令を理解する者の十分な配置及びその状況に関する情報の公開
        • AI等の自動的手段を利用する場合における当該手段に関する情報(実効性、エラー率等)の公開
      3. メディア審査時におけるパブリッシャーの本人確認の実施
      4. メディア審査を通じて、偽・誤情報等を掲載するメディアへの広告配信の拒否や広告配信停止措置を実施した場合に、その旨、理由及び不服申立て方法をパブリッシャーに通知
      5. 外部からの広告配信停止申請窓口を整備・公表
      6. 上記5の窓口を通じて申請があった場合に、一定期間内に広告配信停止措置の実施の要否を判断し、判断結果と不服申立て方法を申請者に通知
      7. 一定の条件の下で行った広告配信停止措置によりパブリッシャーが被った損害について、広告仲介PFを免責
    • 上記のような方策の実効性を制度的に担保する必要性について、どう考えるか。制度的な対応を行わない場合、どのような対応があり得るか。
▼ 資料WG23-1-2「情報流通の健全性確保の観点から見たレコメンデーションやターゲティングの在り方」に関する主な論点(案)
  • コンテンツのレコメンデーションに伴うリスクへの対応の在り方
    • デジタル空間における情報流通の主要な場となっている情報流通PF上で偽・誤情報が流通・拡散すること等により、個人の意思決定の自律性への影響や、権利侵害、社会的混乱その他のフィジカル空間への影響が発生・増幅し得るところ、さらにレコメンデーションシステムを通じ、個人の特性や状況に応じた脆弱性に着目してコンテンツの表示先や表示順位が決定された場合、こうした社会的影響が一層深刻化する可能性が指摘されているが、こうしたリスクに対応するための方策として、例えば次のような様々な方策が考えられる中、どのような方策が必要かつ適当か。
      1. 情報伝送PFにおいて、コンテンツの表示先や表示順位を決定するために用いる主なパラメータに関する情報を公表
      2. 情報伝送PFにおいて、コンテンツの表示先や表示順位の決定に係るアルゴリズムやパラメータについて利用者自らが好ましいオプションを選択・変更できる機能を提供※特に青少年向けには専用のオプションをデフォルトで設定する制度を導入している諸外国の例もあるが、どう考えるか。
      3. 情報伝送PFが行う個人の趣味・嗜好等のプロファイリングやその結果に基づくコンテンツの表示先・表示順位の決定を制限
    • 上記のような方策について、どの範囲の情報伝送PFに求めることが適当か。
      • ※例えば、偽・誤情報の流通の頻度や社会に与える影響の深刻度という観点から、利用者数や、サービスの目的・性質などを勘案し、一定の要件を満たす大規模な情報伝送PFのみを対象とすることが考えられるが、どうか。
    • 上記のような方策の実効性を制度的に担保する必要性について、どう考えるか。制度的な対応を行わない場合、どのような対応があり得るか。
  • 広告のターゲティングに伴うリスクへの対応の在り方
    • SNS等の情報伝送PF上で、本人や組織の許可を得ずに本人であるかのように加工・編集されたなりすまし型の「偽広告」や、その他偽・誤情報を含む広告をはじめ、違法・不当な広告が流通しており、閲覧者に財産上の被害をもたらしたり、なりすまされた者の社会的評価を下げたりといった社会的影響を発生・増幅させているところ、さらに情報伝送PFや広告仲介PFのターゲティング技術を通じ、個人の特性や状況に応じた脆弱性に着目して広告の表示先や表示順位が決定された場合、こうした社会的影響が一層深刻化する可能性が指摘されているが、こうしたリスクに対応するための方策として、例えば次のような様々な方策が考えられる中、どのようなものが必要かつ適当か。
      1. 情報伝送PFや広告仲介PFにおいて、広告の表示先や表示順位を決定するために用いられる主なパラメータに関する情報を公表
      2. 情報伝送PFや広告仲介PFにおいて、広告の表示先や表示順位の決定に係るアルゴリズムやパラメータについて受信者自らが好ましいオプションを選択・変更できる機能を提供※特に青少年向けには専用のオプションをデフォルトで設定する制度を導入している諸外国の例もあるが、どう考えるか。
      3. 情報伝送PFや広告仲介PFが行う個人の趣味・嗜好等のプロファイリングやその結果に基づく広告の表示先・表示順位の決定を制限
    • この検討に際し、営利広告については、その他の表現に比して萎縮効果を考慮する必要が小さいこと、広告に由来する消費者被害も少なくなく実害が生じること等からより広範な制限に服し得るとの考え方があることについて、どう考えるか。
    • 上記のような方策について、どの範囲の情報伝送PFや広告仲介PFに求めることが適当か。
      • ※例えば、違法・不当な広告の流通の頻度や社会に与える影響の深刻度という観点から、広告主からの広告入稿数や、最終的に掲載された広告が受信者によって閲覧された回数(インプレッション数)などを勘案し、一定の要件を満たす大規模な情報伝送PFや広告仲介PFのみを対象とすることが考えられるが、どうか。
    • 上記のような方策の実効性を制度的に担保する必要性について、どう考えるか。制度的な対応を行わない場合、どのような対応があり得るか。
▼ 資料WG23-1-3「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会ワーキンググループにおけるこれまでの検討状況(案)」
  • 情報伝送PFによる災害発生時等に備えた対応の在り方
    • 情報伝送PFにおいて、具体的にどのような取組をどのような優先順位で検討すべきかは、想定される「災害発生時等」の場面ごとに、平時とは区別した対応が求められる個別具体的な理由によって異なると考えられるところ、それぞれの場面で平時とは区別した対応が求められる理由と、それに応じて具体的に求められる取組・優先順位について、どのように整理すべきか。
    • 一般的には情報受信者の需要に応える観点からプロミネンス((1))がコンテンツモデレーション((2))に優先して検討されるべきものと考えられる一方、プロミネンスに加えてコンテンツモデレーションの実施を検討する必要性について、例えば、経済的インセンティブ目当ての偽・誤情報が流通・拡散しやすい場面(災害発生時、感染症流行時等)とそれ以外の場面とで考え方が異なり得るか。
    • 上記のような取組について、どの範囲の情報伝送PFに検討を求めることが適当か。 例えば、災害発生時等における情報収集・伝達手段としての存在感や、偽・誤情報等の流通頻度、社会に与える影響の深刻度という観点から、利用者数や、サービスの目的・性質などを勘案し、一定の要件を満たす大規模な情報伝送PFのみに検討を求めることなどが考えられるが、どうか。
    • 情報伝送PFによる取組の確実な実施や実効性を制度的に担保する必要性について、どう考えるか。どのように担保するか。
  • 災害発生時等におけるマルチステークホルダーによる連携・協力の在り方
    • 「災害発生時等」の始期・終期の決定((1))をはじめ、マルチステークホルダーによる協議・決定のプロセスについて、透明性を確保しつつ、具体的にどのように定めることが必要かつ適当か。
    • マルチステークホルダーによる協議・決定内容の実現や実効性を制度的に担保する必要性について、どう考えるか。どのように担保するか。
  • マルチステークホルダーによる連携・協力の目的
    • 具体的にどのような主体が連携・協力の場に参加することが適当か。
    • 我が国においては、主として情報発信に関わる個人や情報受信に関わる利用者・消費者その他の市民社会の利益代表となる主体の数が必ずしも多くないところ、市民社会の利益をマルチステークホルダーによる協議・決定に反映させるための方策として、どのようなものが必要かつ適当か。
    • マルチステークホルダーによる協議・決定の実効性をどのように担保するか。特に制度的な枠組みを整備する場合、例えば、枠組みとしての会議体がその構成員(連携・協力の主体)に対して情報提供・意見表明等の必要な協力を求めることができ、構成員は会議体の協議結果に基づき必要な取組を行うものとするなど、会議体に一定の役割・権限等を持たせることが考えられるが、どうか。制度的な枠組みを整備しない場合はどうか。
    • 情報やデータの交換・提供を目的とした連携・協力を行う場合において、当該情報・データに含まれる個人情報や機密情報の適正な取扱いをどのように担保するか。特に制度的な枠組みを整備する場合、例えば、個人情報の取扱いの適法性を担保するため、会議体が構成員に対し情報提供を求めることができる旨を法律上明文化したり、機密情報の漏洩等を防止するため、会議体の構成員等に罰則付きの守秘義務を課したりすることが考えられるが、どうか。論点3について制度的な枠組みを整備しない場合はどうか。
    • 制度的な枠組みを整備しない場合において、連携・協力関係の安定性・継続性をどのように担保するか
  • 対応を検討すべき「偽・誤情報」の定義・範囲
    • 必ずしも誤りは含まれていないが文脈上誤解を招く(ミスリーディングな)情報や、情報影響操作をどう捉えるか。
    • 人の生命、身体又は財産への影響のほかに、社会的利益など、どのような権利利益への影響を考慮すべきか。
    • パロディ・風刺のほか、どのような類型の情報について、対応を検討すべき「偽・誤情報」の範囲に含まれないものと考えるべきか。例えば、伝統メディアによる誤報をどう取り扱うか。
  • 偽・誤情報の流通・拡散を抑止するための「コンテンツモデレーション」の類型
    • 表示順位の低下について、可視性への影響が大きくなり得ることに鑑み、情報の削除やアカウント停止・削除等と同様の取扱いをすべきか。表現そのものは残るため、これらとは区別すべきか。
  • 偽・誤情報に対するコンテンツモデレーションの実施の促進方策
    • 実効性を制度的に担保する必要性について、どう考えるか。
    • 制度的な対応を行わない場合、どのような対応があり得るか。例えば、対応を情報伝送PFに義務付けることが考えられるが、どうか。この場合、執行手段・プロセスとしてはどのようなものが必要かつ適切か。
    • 他方で、制度的に担保する措置(コンテンツモデレーションの類型のうち、「情報の削除」や「アカウント停止等」の義務付け)については、過度な情報削除やアカウント停止が行われるおそれがあることや、発信者の表現の自由に対する実質的な制約をもたらすおそれがあること等から慎重であるべきとの考え方があり得るが、どうか。
    • 上記のような方策について、偽・誤情報の特定・性質とそれに応じた対応を一定程度類型化することは可能か。
  • 偽・誤情報に対するコンテンツモデレーションの実施の契機
    • 違法ではない偽・誤情報の場合に、どのような契機でコンテンツモデレーションを実施することが適当か。例)当該情報付近に広告を表示された広告主からの申出・要請 ファクトチェック機関からの申出・要請 その他情報伝送PFが自らあらかじめ定めて公表した信頼できる第三者からの申出・要請 など
  • 偽・誤情報の発信を抑止するための方策
    • コンテンツモデレーションの実施を促進する以外に、論点1で検討した範囲の「偽・誤情報」の発信を抑止するための方策として、どのようなものが考えられるか。※ こうした方策として、例えば、アカウント登録時の本人確認の厳格化、botアカウントの抑止策の導入(アカウントの有料化等)等が考えられる。このうちアカウント登録時の本人確認の厳格化については、「偽・誤情報」の発信を抑止するための方策としての実効性に疑義があること、匿名表現の自由への制約となり得ることを踏まえれば、その導入には慎重な検討が必要と考えられるのではないか。
  • 情報伝送PFがもたらす社会的影響の軽減に向けた方策
    • 偽・誤情報に対する直接的なコンテンツモデレーションを促進等することに重ねて情報伝送PFによる影響評価・軽減措置の実施を促す必要があるか。評価指標の明確性・軽減措置の実効性に課題がある一方で、特に違法性・権利侵害性はないが有害な偽・誤情報の流通・拡散による社会的影響の軽減に向けた方策としては、表現の自由への過度の制約を避ける観点からも、情報伝送PFの自主性・裁量を認めながら影響評価・軽減措置の実施を促していくことが必要かつ適当という指摘も存在することについて、どう考えるか。
  • 影響の軽減に向けた対応の実効性の担保の在り方
    • 具体的にどの実効性担保策を選択することが適当か。執行手段・プロセスとしてはどのようなものが考えられるか。
    • 指針策定、検証・評価それぞれの場面における民官の具体的な役割分担。
    • どのような手段で「独立した第三者」による検証・評価能力を確保するか。
    • 第三者による検証・評価の結果について、どのような手段で影響軽減策を情報伝送PFのサービスに反映するか。
    • 検証・評価に必要な範囲で「独立した第三者」(研究者・研究機関等)に対する関連する情報やデータ※の提供を情報伝送PFに求める場合、当該情報・データに含まれる個人情報や機密情報の適正な取扱いをどのように担保するか。※例えば、投稿に関するメタデータを含むデータや、サービスに組み込まれたアルゴリズムに関する情報など
  • 違法・不当な広告への対応策を実施する主体の範囲
    • 情報伝送PF等の規模を示す「一定の要件」として、どのような指標が適当か。例えば、広告主からの広告入稿数、最終的に掲載された広告が受信者によって閲覧された回数(インプレッション数)、アクティブユーザー数(情報伝送PFの場合)などが考えられるが、どうか
  • デジタル広告の流通前の事前審査の在り方
    • 実効性を制度的に担保する必要性について、どう考えるか。
    • 制度的な対応を行わない場合、どのような対応があり得るか。例えば、上記のような対応を情報伝送PF等に義務付けることが考えられるが、どうか。この場合、執行手段・プロセスとしてはどのようなものが必要かつ適切か。
    • 広告の名義人のみの本人確認を行うのか、広告に肖像が使用されている者による許諾の有無をも確認するのか。また、「違法・不当な広告」の事前抑止、広告主の事後的なトレーサビリティの確保等の目的に応じた実効性を確保する観点から、広告主に対する本人確認の実態を踏まえた検討の深掘りが必要ではないか。
  • 違法・不当な広告に対する事後的な掲載停止措置の促進方策
    • 実効性を制度的に担保する必要性について、どう考えるか。
    • 制度的な対応を行わない場合、どのような対応があり得るか。例えば、上記のような対応を情報伝送PF等に義務付けることが考えられるが、どうか。この場合、執行手段・プロセスとしてはどのようなものが必要かつ適切か。
  • 違法・不当な広告に対する事後的な掲載停止措置の契機
    • 広告が掲載されたウェブページの管理者や広告が隣接して掲載されたコンテンツの発信者からの申出・要請を契機として広告掲載停止措置を実施することについて、どう考えるか。違法ではないが不当な広告の場合に、どのような契機で広告掲載停止措置を実施することが適当か。例)ファクトチェック機関からの申出・要請 その他情報伝送PFが自らあらかじめ定めて公表した信頼できる第三者からの申出・要請 など

【消防庁】

※現在、該当の記事はありません。

【その他省庁】

【2024年7月】

防衛省・自衛隊 令和6年版防衛白書
▼ 令和6年版防衛白書
  • 戦後最大の試練のときを迎える国際社会
    • 普遍的価値やそれに基づく政治・経済体制を共有しない国家が勢力を拡大。力による一方的な現状変更やその試みは、既存の国際秩序に対する深刻な挑戦。国際社会は戦後最大の試練のときを迎え、新たな危機の時代に突入。グローバルなパワーバランスが大きく変化し、国家間の競争が顕在化し、特に米中の国家間競争が今後一層激しさを増す可能性も
    • 科学技術の急速な進展により、安全保障のあり方が根本的に変化。各国は、いわゆるゲーム・チェンジャーとなりうる先端技術の開発を推進。従来の軍隊の構造や戦い方に根本的な変化が生起
    • サイバー領域などにおけるリスクの深刻化や、情報戦の展開、気候変動など、グローバルな安全保障上の課題も
    • 領域をめぐるグレーゾーン事態が恒常的に生起。軍事的な手段と非軍事的な手段を組み合わせるハイブリッド戦がさらに洗練された形で実施される可能性
  • 厳しさを増すインド太平洋地域の安全保障
    • このようなグローバルな安全保障環境と課題は、わが国が位置するインド太平洋地域で特に際立っており、将来、さらに深刻さを増す可能性
    • わが国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面。ロシアによるウクライナ侵略と同様の深刻な事態が、将来、インド太平洋地域、とりわけ東アジアにおいて発生する可能性は排除されない
  • ロシアによる侵略とウクライナによる防衛
    • ロシアによるウクライナへの侵略は、ウクライナの主権と領土一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国連憲章を含む国際法の深刻な違反。このような力による一方的な現状変更は、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがすもの
    • 国際の平和と安全の維持に主要な責任を負うこととされている安保理常任理事国が、国際法や国際秩序と相容れない軍事行動を公然と行い、罪のない人命を奪うとともに核兵器による威嚇ともとれる言動を繰り返すという事態は前代未聞。このような侵略を容認すれば、他の地域でも力による一方的な現状変更が認められるとの誤った含意を与えかねず、わが国を含む国際社会として、決して許すべきではない
    • ウクライナ自身の強固な抵抗に加え、国際社会が結束して強力な制裁措置などを実施し、ウクライナを支援し続けることにより、ロシアは大きな代償を払わざるをえない状況。NATO加盟国である米国の同盟国であり、欧州とはユーラシア大陸を挟んで対極に位置するわが国として、欧州とインド太平洋の安全保障は不可分であるとの認識のもと、その戦略的な影響を含め、今後の欧州情勢の変化に注目していく必要
  • 米国 ~同盟・パートナーシップの優位性により中国の挑戦に最優先で対応~
    • 2022年10月に発表した国家安全保障戦略や国家防衛戦略において、中国を「対応を絶えず迫ってくる挑戦」、ロシアを「差し迫った脅威」、北朝鮮を「持続的脅威」と位置づけ
    • 中国が米国にとって最も重大な挑戦・戦略的競争相手であり、中国の課題に最優先で取り組む考え
    • 米国単独では複雑で相互に関連した課題に対処できないとし、互恵的な同盟・パートナーシップが国家防衛戦略の重心との認識
    • インド太平洋地域においては、わが国を含む同盟国とのパートナーシップを深化させ、QUAD(クアッド)やAUKUS(オーカス)などの多国間枠組みを通じて、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)を推進する姿勢
    • 南シナ海における「航行の自由作戦」や米艦艇による台湾海峡の通過を継続するなど、FOIPへのコミットメントを顕示
  • 中国 ~力による一方的な現状変更の試みや活動の活発化~
    • 中国の対外的な姿勢や軍事動向などは、わが国と国際社会の深刻な懸念事項であるとともに、これまでにない最大の戦略的挑戦。わが国の総合的な国力と同盟国・同志国などとの協力・連携により対応すべきもの
    • 過去30年以上、透明性を欠いたまま、継続的に高い水準で国防費を増加。核・ミサイル戦力や海上・航空戦力を中心に軍事力の質・量を広範かつ急速に強化。核弾頭保有数は2030年までに1,000発を超え、2035年まで増加し続ける可能性。水上戦闘艦艇や潜水艦などを増産し、2隻目の国産空母「福建」を建造。近代的戦闘機や多種多様な無人航空機の開発・配備を継続
    • 尖閣諸島周辺をはじめとする東シナ海、日本海、さらには西太平洋など、いわゆる第一列島線を越え、第二列島線に及ぶわが国周辺全体での活動を活発化
    • 台湾周辺での軍事活動を活発化。台湾周辺海空域で軍事演習をたびたび実施。中国は、台湾周辺での一連の活動を通じ、中国軍が常態的に活動している状況の既成事実化を図るとともに、実戦能力の向上を企図しているとみられる
    • 南シナ海において、既存の海洋法秩序と相いれない主張に基づき活動を活発化させ、軍事拠点化を推進。力による一方的な現状変更とその既成事実化を一層推し進める行為であり、わが国として深刻に懸念。南シナ海をめぐる問題はインド太平洋地域の平和と安定に直結するものであり、南シナ海に主要なシーレーンを抱えるわが国のみならず、国際社会全体の正当な関心事項
    • 軍事活動を含め、ロシアとの連携を一層強化。わが国周辺では、爆撃機の共同飛行や艦艇の共同航行を実施、こうした度重なる共同での活動は、わが国に対する示威活動を明確に意図したものであり、わが国の安全保障上、重大な懸念
  • 激化する米中の戦略的競争、緊張感が高まる台湾情勢
    • 中国の国力伸長によるパワーバランスの変化や種々の懸案などにより、近年、米中の政治・経済・軍事にわたる競争が一層顕在化
    • 中台の軍事バランスは、全体として中国側に有利な方向に急速に傾斜する形で変化
    • 台湾について、中国は、台湾は中国の一部であり、台湾問題は内政問題であるとの原則を堅持。武力行使を放棄していない旨たびたび表明。米台接近に対し、中国は、台湾周辺での軍事活動をさらに活発化
    • 2024年1月に実施された台湾総統選挙では、与党候補者の頼清徳氏が当選
  • 北朝鮮 ~核・ミサイル開発の進展~
    • 北朝鮮の軍事動向は、わが国の安全保障にとって従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威。地域と国際社会の平和と安全を著しく損なうもの。大量破壊兵器などの不拡散の観点からも、国際社会全体にとって深刻な課題
    • 北朝鮮は、過去6回の核実験を実施し、技術的には、わが国を射程に収める弾道ミサイルに核兵器を搭載してわが国を攻撃する能力を保有
    • 近年、極めて速いスピードで継続的にミサイル開発を推進、変則的な軌道で飛翔する弾道ミサイルや「極超音速ミサイル」と称するものなどを発射。戦術核兵器の搭載を念頭に置いた長距離巡航ミサイルの実用化も追求
    • 2023年以降、固体燃料推進方式の大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の「火星18」の発射や衛星打ち上げを目的とする弾道ミサイル技術を使用した発射などを実施。保有する装備体系の多様化や、核・ミサイル運用能力を補完する情報収集・警戒監視・偵察(ISR)手段の確保といった、質的な意味での核・ミサイル能力の向上に注力
  • ロシア ~「強い国家」を掲げるロシアと中国の戦略的連携~
    • ロシア軍は、極東方面にも最新の装備を配備する傾向にあるなど、わが国周辺における活発な軍事活動を継続。わが国を含むインド太平洋地域におけるロシアの軍事的動向は、中国との戦略的な連携と相まって安全保障上の強い懸念
    • 「強い国家」を掲げるロシアは、各種の新型兵器の開発・配備を進めてきたが、ウクライナ侵略開始後は、兵員数の増加や部隊編制の拡大改編も指向
    • わが国固有の領土である北方領土において、不法占拠のもと、軍の活発な活動を継続。所在部隊の施設整備を進めているほか、海軍所属の沿岸(地対艦)ミサイルや航空宇宙軍所属の戦闘機などの新たな装備も配備し、周辺海・空域において大規模な演習も実施
  • その他の地域など
    • イスラエルとパレスチナ武装勢力の間で緊張状態が継続していた中、2023年10月7日、ハマスなどのパレスチナ武装勢力の戦闘員がイスラエル領に侵入し、イスラエル軍兵士や民間人を殺害・拉致。これを受けイスラエル軍は、ガザ地区への地上作戦を開始
    • 2023年11月以降、紅海やアデン湾では、ホーシー派による商船への攻撃などが繰り返されており、わが国の船舶運航事業者が運航する船舶が拿捕される事案も発生
  • 情報戦などにも広がりをみせる科学技術をめぐる動向
    • 科学技術とイノベーションの創出は、わが国の経済的・社会的発展をもたらす源泉であり、技術力の適切な活用は、安全保障だけでなく、気候変動などの地球規模課題への対応にも不可欠
    • 各国は、技術的優越を確保すべく、AI、量子技術、次世代情報通信技術など、将来の戦闘様相を一変させる、いわゆるゲーム・チェンジャーとなりうる先端技術の研究開発や、軍事分野での活用に注力
    • 偽情報の拡散などを通じた情報戦などが恒常的に生起
  • 宇宙・サイバー・電磁波の領域をめぐる動向
    • 宇宙空間を利用した技術や情報通信ネットワークは、人々の生活や軍隊にとっての基幹インフラ。一方、中国やロシアなどは他国の宇宙利用を妨げる能力を強化し、国家や軍がサイバー攻撃に関与しているとの指摘
    • 各国は、宇宙・サイバー・電磁波領域における能力を、敵の戦力発揮を効果的に阻止する攻撃手段として認識し、能力向上を企図
  • 大量破壊兵器の移転・拡散
    • 核・生物・化学兵器などの大量破壊兵器やその運搬手段である弾道ミサイルの移転・拡散は、冷戦後の大きな脅威の一つ
    • 近年、国家間の競争や対立が先鋭化し、国際的な安全保障環境が複雑で厳しいものとなるなか、軍備管理・軍縮・不拡散といった共通課題への対応において、国際社会の団結が困難になっていることが懸念
  • 気候変動が安全保障や軍に与える影響
    • 気候変動の問題は、緊急性の高い世界の平和と安全に対する脅威。気候変動は戦略的環境を大きく左右し、軍の装備品、インフラ、作戦そのものにも影響
    • インド太平洋地域では、海面上昇や極端な気象が安全保障環境を複雑にしており、気候変動に関連する軍事作戦が増加する可能性を念頭に、各種演習を実施
  • ミサイル攻撃を含むわが国に対する侵攻への対応
    • 島嶼部を含むわが国に侵攻してくる艦艇や上陸部隊などに対し、対空ミサイルなどの脅威圏の外から対処するスタンド・オフ防衛能力を抜本的に強化。十分な能力を速やかに確保するため、12式地対艦誘導弾能力向上型(地上発射型)の配備と、米国製トマホークの取得を、1年前倒して2025年度から実施
    • 統合防空ミサイル防衛能力強化のため、イージス・システム搭載艦の建造に着手するほか、極超音速滑空兵器(HGV)対処のための滑空段階迎撃用誘導弾(GPI)を日米共同で開発
    • 有人装備と比べ、人的損耗を局限し、長期連続運用ができる無人アセットの導入を推進(島嶼部のあらゆる正面から着上陸可能で、海上から部隊近傍まで補給品輸送などの任務を行う輸送機能をもつ無人水陸両用車の開発も)
    • 宇宙・サイバー・電磁波の領域や陸・海・空の領域における能力を有機的に融合した領域横断作戦を実施
    • 共同の部隊として自衛隊海上輸送群(仮称)を新編するなど、南西地域への機動展開能力を向上
    • 防衛省・自衛隊は、大規模テロやそれに伴う原子力発電所をはじめとした重要インフラに対する攻撃などに対し、関係機関と緊密に連携して、実効的に対処するとともに、住民の避難誘導を含む国民保護のための取組を円滑に実施
  • 情報戦への対応を含む情報力強化の取組
    • わが国周辺における軍事活動が活発化するなか、防衛省・自衛隊は、平素から、各種の手段による情報の迅速・的確な収集に努めており、分析などの機能強化を推進
    • 国際社会においては、紛争が生起していない段階から、偽情報や戦略的な情報発信などにより他国の世論・意思決定に影響を及ぼすことで、自らに有利な安全保障環境の構築を企図する情報戦に重点
    • 防衛省・自衛隊は、わが国防衛の観点から、偽情報の見破りや分析、そして迅速かつ適切な情報発信などを肝とした認知領域を含む情報戦に、確実に対処できる体制・態勢を構築
  • 国民の生命・身体・財産の保護に向けた取組
    • わが国への侵攻のみならず、大規模災害や感染症危機などは深刻な脅威。防衛省・自衛隊は、令和6年能登半島地震をはじめとする大規模災害などに際しては、関係機関と緊密に連携し、効果的に人命救助、応急復旧、生活支援などを実施
    • 在外邦人等の保護措置・輸送を迅速かつ的確に実施するため、自衛隊は、待機態勢を維持するとともに、平素から統合訓練などを実施。2023年度は2件の輸送を実施(スーダン、イスラエル)
    • ジブチ拠点における臨時の態勢整備を海賊対処部隊の任務として追加し、在外邦人等の安全の確保を企図
  • 人的基盤の強化
    • 防衛力の中核は自衛隊員。防衛力を発揮するにあたり、必要な人材を確保するとともに、全ての隊員が高い士気と誇りを持ち、個々の能力を発揮できる環境を整備すべく、人的基盤の強化を推進
    • 「防衛省・自衛隊の人的基盤強化に関する有識者検討会」の報告書などを踏まえ、部外人材も含めた多様な人材の確保や、隊員のライフサイクル全般における活躍の推進に向けた各種施策を実施
    • 募集活動・中途採用の強化、自衛隊奨学生制度の充実・強化、予備自衛官の活用、自衛官の定年年齢の引上げや退職自衛官の再任用などを推進
    • 処遇の向上、生活勤務環境の改善、再就職支援の強化、栄典・礼遇など、隊員の在職中・退職後も含めた各段階において効果的な施策を実施
  • ハラスメントを一切許容しない環境の構築
    • ハラスメントを一切許容しない環境の構築のため、ハラスメント案件の対応およびハラスメント防止対策の抜本的見直しを推進
    • 防衛大臣指示に基づき設置された「防衛省ハラスメント防止対策有識者会議」からの提言や特別防衛監察の結果などを踏まえ、「ハラスメント防止対策検討チーム」を設置し、相談体制や教育の見直しを含めた有効な施策を検討
    • 防衛大臣などによるハラスメント防止に関する定期的なトップメッセージの発信、ハラスメント防止教育の見直しや教育機会を利用した隊員の意識改革、懲戒処分基準の適正化・明確化、相談体制の拡充や窓口の再周知などを図り、ハラスメントを一切許容しない環境を構築

【2024年6月】

デジタル庁 デジタル社会の実現に向けた重点計画
  1. デジタルにより目指す社会と6つの姿
    • デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会
    • 社会全体のデジタル化は、国民生活の利便性を向上させ、官民の業務を効率化し、データを最大限活用しながら、安全・安心を前提とした「人に優しいデジタル化」であるべきです。
    • デジタル技術の進展により、一人ひとりの状況に応じたきめ細かいサービスが低コストで提供できるようになり、多様な国民・ユーザーが価値ある体験をすることが可能となってきました。
    • デジタルの活用で目指すのは、これをさらに推進し、誰一人取り残されることなく、多様な幸せが実現できる社会です。
    • デジタル社会で目指す6つの姿
      1. デジタル化による成長戦略
        • 社会全体の生産性・デジタル競争力を底上げし、成長していく持続可能な社会を目指す。
      2. 医療・教育・防災・こども等の準公共分野のデジタル化
        • データ連携基盤の構築等を進め、安全・安心が確保された社会の実現を目指す。
      3. デジタル化による地域の活性化
        • 地域の魅力が向上し、持続可能性が確保された社会の実現を目指す。
      4. 誰一人取り残されないデジタル社会
        • 誰もが日常的にデジタル化の恩恵を享受できるデジタル社会の実現を目指す。
      5. デジタル人材の育成・確保
        • デジタル人材が育成・確保されるデジタル社会を実現する。
      6. DFFTの推進をはじめとする国際戦略
        • 国境を越えた信頼性ある自由なデータ流通ができる社会の実現を目指す。
  2. デジタル社会の実現に向けた理念・原則
    • デジタル社会形成のための基本10原則
      1. オープン・透明
      2. 公平・倫理
      3. 安全・安心
      4. 継続・安定・強靭
      5. 社会課題の解決
      6. 迅速・柔軟
      7. 包摂・多様性
      8. 浸透
      9. 新たな価値の創造
      10. 飛躍・国際貢献
    • 国の行政手続オンライン化の3原則
      1. デジタル第一原則(デジタルファースト)
        • 個々の手続 サービスが一貫してデジタルで完結
      2. 届出一度きり原則(ワンスオンリー)
        • 一度提出した情報は二度提出が不要
      3. 手続ーか所原則(コネクテッド・ワンストップ)
        • 民間サービスを含む複数の手続き・サービスをワンストップで実現
    • 構造改革のためのデジタル原則
      1. デジタル完結・自動化原則
      2. 機動的で柔軟な政策形成・実施(アジャイルガバナンス)原則
      3. 官民連携原則
      4. 相互運用性確保原則
      5. 共通基盤利用原則
    • 業務改革(BPR)の必要性 以下のサービス設計12箇条に基づき、BPRに取り組みます。
      1. 利用者のニーズから出発する
      2. 事実を詳細に把握する
      3. 一気通貫で考える
      4. 全ての関係者に気を配る
      5. サービスはシンプルにする
      6. デジタル技術を活用し、サービスの価値を高める
      7. 利用者の日常体験に溶け込む
      8. 自分で作りすぎない
      9. オープンにサービスを作る
      10. 何度も繰り返す
      11. 一遍にやらず、一貫してやる
      12. 情報システムではなく、サービスを作る
    • クラウド第一(クラウド・バイ・デフォルト)原則
      • クラウドサービスの利用を第一候補として検討するとともに、共通的に必要な機能は共用できるように、機能ごとに細分化された部品を組み合わせて適正(スマート)に利用する設計思想に基づいた整備を推奨します。
    • 個人情報等の適正な取扱いの確保および効果的な活用の促進
      • 個人の権利利益の保護と個人情報の適正かつ効果的な活用のバランスを考慮します。
  3. 重点課題
    • 人口減少および労働力不足(リソースの逼迫)
      • 人口減少や大都市圏への人口集中などにより労働力が不足し、公共サービスを維持できなくなることが懸念されています。
      • 行政手続等に残存している無駄や不便を解消する必要性が増しており、デジタル技術を適用した、さらなる最適化・効率化が求められます。
    • 産業全体の競争力の低下
      • 「データの蓄積・利活用が進んでいない」、「生成AI等の活用が進んでいない」などから、産業全体の競争力の低下が進むとともに、デジタル収支は悪化・拡大傾向にあります。
      • デジタル化を進め、生産性の向上や新ビジネスの創出が求められます。
    • 災害やサイバー攻撃などの脅威
      • 自然災害や自然資産の喪失、廃棄物処理の環境負荷の増大、感染症の世界的流行などの脅威に対して、データ連携をはじめ、デジタル技術を活用した課題解決が求められます。
      • また、サイバー攻撃への対処能力など、デジタル自体における持続可能性も課題となっています。
    • 「デジタル化」に対する不安やためらい
      • 「社会の『デジタル化』について良いと思わない」、「デジタル化に適応できていない」といった声が一定数あります。また、諸外国と比べて、オンラインサービスに対する満足度が低調であり、デジタルツールを「使ってみる」ことにも消極的であるという調査結果もあることから、デジタル社会を目指すにあたっては、このような状況を念頭に置く必要があります。
  4. 重点課題への対応の方向性
    • デジタル産業基盤の強化
      • 産業競争力の強化と労働生産性の上昇を実現していくには、最先端技術の利用やデータ駆動型経営への転換も含めた「デジタル化」によって、効率化によるコスト削減、既存事業の付加価値向上および新規ビジネス創出を図ることにより、持続的な成長につなげることが重要です。そこで、「AI・データの徹底した利用」、「デジタルに関する供給側・需要側双方の産業のモダン化(※2)」、「デジタル活用やDX推進のための人材育成」を強化します。
    • 「デジタル化」が「当たり前」となる取組の強化
      • デジタルを活用して様々な課題を具体的に解決し、極力人の手を介さないこと、無駄・不便を発生させないことにより、良質な体験と満足につなげ、デジタル化のメリットを実感できる分野を着実に増やしていきます。また、政策データの可視化(政策ダッシュボード等)の取組を強化し、目指す社会に向けた進捗確認と継続的改善を行うとともに、情報発信・広報も積極的に行います。
    • データ連携による持続可能性の強化
      • データ連携の推進や、信頼性を確保しつつデータを共有できる標準化された仕組み(データスペース)の構築など、国際的な視点も持ち、官民で協調して取組を強化していきます。
      • また、有事や大規模災害の発生に備えた、データ自体の消失やネットワークや電力供給の途絶などのデジタル化に伴う危機管理(リスクマネジメント)も強化します。
    • 国と地方が共通利用できるデジタル基盤の整備・運用
      • 人口減少社会においても公共サービスをデジタルの力で維持・強化していくためには、約1,800の自治体が個々にシステムを開発・所有するのではなく、国と地方が協力して共通システムを開発し、それを幅広い自治体が利用する仕組みを広げていくことが重要であり、国・地方デジタル共通基盤の整備・運用に取り組みます。
    • 国際連携の強化
      • 世界規模での持続可能性に関する課題解決のためには、国際展開を常に視野に入れた市場形成や施策が必要です。サイバーセキュリティや信頼性のある自由なデータ流通(DFFT)など、デジタルに関する基盤整備について有志国との国際連携を強化していきます。
  5. 重点課題に対応するための重点的な取組
    1. デジタル共通基盤構築の強化・加速
      • マイナンバー制度の推進
      • マイナンバーカードの普及と利活用の推進
      • マイナンバーカードの普及と利活用推進のための具体的な取組
        • 健康保険証との一体化
        • 救急業務の迅速化・円滑化
        • 健康・医療・介護分野におけるデジタル化への活用
        • 運転免許証との一体化
        • 在留カードとの一体化
        • 障害者手帳との連携強化
        • 年金情報との連携強化
        • 資格情報のデジタル化
        • 確定申告の利便性向上に向けた取組の充実
        • 引越し手続のデジタル化のさらなる推進とデジタル完結の検討
        • 死亡相続手続のデジタル完結
        • 在外選挙人名簿登録申請のオンライン化等の検討
        • 「市民カード化」の推進
        • 公金受取口座の活用推進
        • スマートフォンへの搭載など利便性の向上
        • 様々な民間ビジネスにおける利用の推進
        • マイナポータルAPI(※3)の利用拡大等による官民のオンラインサービスの推進
      • 公的基礎情報データベース(ベース・レジストリ)の整備
      • 全体最適を意識した事業者向けサービスのシステム整備
      • デジタルの利用環境やインフラの整備
      • 情報を正しく読み解き活用できる能力(デジタルリテラシー)の向上
      • 誰でもデジタルに関する製品やサービスを利用できる環境(アクセシビリティ)の確保
      • デジタル人材の育成
    2. 「制度・業務・システム」の三位一体での取組
      • デジタル化のメリットを実感できる分野の拡大
      • デジタル原則適合性確認プロセス機能等の強化
      • 革新技術を活用するための、ハード・ソフト・ルールの整備
    3. デジタル行財政改革の実行
      • 国・地方デジタル共通基盤の整備・運用
      • 専門人材の確保とデジタル公共インフラの整備等の推進
      • 政策進捗モニタリングの実施
    4. デジタル・ガバメントの強化(システムの最適化)
      • 国・地方デジタル共通基盤の整備および運用に関する基本方針
      • 政府情報システムの最適化
      • 地方公共団体情報システムの統一・標準化
      • 公共サービスメッシュ(情報連携の基盤)の推進
      • SaaSの徹底した活用
    5. デジタル化に関わる産業全体のモダン化
      • デジタル化に関わる産業全体のモダン化
    6. データを活用した課題解決と競争力強化
      • 信頼性を確保しつつデータを共有できる標準化された仕組み(データスペース)の構築とDFFTの推進の推進
      • トラストおよびデジタル上における属性情報の集合(デジタル・アイデンティティ)
      • 防災DXの推進
        • 防災デジタルプラットフォームの構築
        • 防災アプリ開発・利活用の促進等/データ連携基盤の構築
        • 一人一人の状況に応じた被災者支援の充実
        • 官民連携による防災DXのさらなる推進
        • 通信・放送・電力インフラの強靱化
        • 防災デジタル技術のさらなる発展と海外展開
    7. セキュリティ
      • サイバーセキュリティ強化の取組
    8. 最先端技術における取組
      • AIに関する取組
      • Web3.0に関する取組
      • 量子技術に関する取組
      • デジタルツインに関する取組
      • Beyond 5G(6G)に関する取組

こども家庭庁 こども基本法(令和4年法律第77号)第8条第1項に基づく年次報告(「こども白書」)
▼ 概要
  • こども・若者を取り巻く状況
    • こども大綱に掲げた数値目標や指標を含め、生まれてから大人になるまでのこども・若者を取り巻く状況を各種統計等により概説
      1. 出生
        • 2022年の出生数は77万759人(統計開始以来、最少)となり、合計特殊出生率は1.26(過去最低)。
      2. 成育環境
        • 安心できる場所があると思うこども・若者や、「どこかに助けてくれる人がいる」と思うこども・若者は、いずれも9割超。
        • 学校は、半数以上の者が「こどもが安全に安心して過ごすことができる、こどもにとって大切な居場所の1つである」と思っている。
        • 「社会生活や日常生活を円滑に送ることができている」と思うこども・若者は約半数。
        • 国民生活基礎調査(2021年)に基づく、相対的に貧困の状態にあるこどもの割合は11.5%となっており、特にひとり親世帯の貧困は44.5%と高い。
      3. 安心・安全
        • 2022年度における児童相談所の児童虐待相談対応件数(速報値)は、21万9170件と過去最多。
        • 小・中学校における不登校児童生徒数や、学校におけるいじめの重大事態の発生件数は、2022年度に過去最多。
      4. 自己認識
        • こどもの半数以上が、「生活に満足している」と感じ、「自分の将来について明るい希望がある」と考えている。
      5. 社会認識
        • 「自国の将来は明るい」と思うこども・若者の割合は約2割。
        • 「こどもまんなか社会の実現に向かっている」と思う人の割合は2割弱。
      6. 雇用・労働
        • 若者の非正規雇用割合は、2022年では、男性は15~24歳で49.8%、25~34歳で14.9%、女性は15~24歳で54.3%、25~34歳で30.7%。
        • 週60時間以上の長時間労働をしている男性の割合は、30・40代が他の年代と比べて高い。
      7. 結婚
        • 2022年の婚姻件数は50万4930組。
      8. 妊娠・出産
        • 2021年の夫婦の完結出生児数は1.90。
      9. 子育て
        • 「社会において、共働き・共育て(家庭内で男女ともに仕事や家事、子育てに参画すること)が推進されている」と思う人の割合は約3割。
        • 「結婚、妊娠、こども・子育てに温かい社会の実現に向かっている」と思う人の割合は3割弱。
  • こども大綱の特徴
    • 目指す「こどもまんなか社会」の姿を、こども・若者の視点で描き、それに対応する目標を定めたこと
    • こども・若者が「権利の主体」であることを明示するとともに、こどもや若者・子育て当事者と「ともに進めていく」としたこと
    • 政策に関する重要事項について、こども・若者の視点で分かりやすく示すため、こども・若者のライフステージごとに提示したこと
    • こども大綱の下で具体的に進める施策について、毎年「こどもまんなか実行計画」を策定し、骨太の方針や各省庁の概算要求などに反映することにしたこと
    • こども・若者、子育て当事者を始めとする様々な方から、対面、オンライン、チャット、パブリックコメント、アンケート、ヒアリング、児童館や児童養護施設への訪問など、様々な方法で意見を聴き、いただいた意見を反映するとともに、こどもや若者にもなるべくわかりやすくフィードバックしたこと
  • 「こども・子育て支援加速化プラン」のポイント
    • 経済的支援の強化
    • 全てのこども・子育て世帯への支援
    • 共働き・共育ての推進
    • こども・子育てにやさしい社会づくりのための意識改革
    • 「加速化プラン」を支える安定的な財源の確保と「子ども・子育て支援金制度」
  • 「地域少子化対策重点推進交付金」のポイント
    • (1)出会いの機会・場の提供、(2)結婚・子育てに温かい社会づくり・機運の醸成、(3)結婚資金や住居に関する支援など、地方公共団体が行う少子化対策の取組を「地域少子化対策重点推進交付金」により支援している。
    • 本交付金は結婚支援センターの設置・運営に活用可能であり、37道府県において結婚支援センターが設置され、各地域において結婚を希望する未婚者に対する支援が行われている。
  • 日本のこども・若者の特徴
    • 各国に共通して、自分自身に満足しているこども・若者ほど、主観的ウェルビーイングに関する指標(生活満足度、幸福感、人生の意義)も良い傾向。
    • 日本のこども・若者は、自分自身に満足していると回答した者の割合が、前回調査時からは改善しつつも、他国と比べて低い。
    • 日本のこども・若者は、自分自身への満足度を高める以外にも、家庭生活・地域・自国社会・学校生活・友人関係といった幅広い対象に対する満足度をそれぞれ高めることが、生活満足度の向上に寄与する可能性がある
  • こども施策を推進するために必要な事項
    • こども・若者の社会参画・意見反映
      • 国の政策決定過程へのこども・若者の参画促進
      • 地方公共団体等における取組促進
      • 社会参画や意見表明の機会の充実
      • 多様な声を施策に反映させる工夫
      • 社会参画・意見反映を支える人材の育成
      • 若者が主体となって活動する団体等の活動を促進する環境整備
      • こども・若者の社会参画や意見反映に関する調査研究
    • こども施策の共通の基盤となる取組
      • 「こどもまんなか」の実現に向けたEBPM
      • こども・若者、子育て当事者に関わる人材の確保・育成・支援
      • 地域における包括的な支援体制の構築・強化
      • 子育てに係る手続・事務負担の軽減、必要な支援を必要な人に届けるための情報発信
      • こども・若者、子育てにやさしい社会づくりのための意識改革
    • 施策の推進体制等
      • 国における推進体制
      • 自治体こども計画の策定促進、地方公共団体との連携
      • 国際的な連携・協力

水産庁 令和5年度水産白書を本日公表
▼ 概要
  • 我が国の漁業・養殖業の生産量は、漁業就業者数の減少、海洋環境の変化、水産資源の減少等により緩やかな減少傾向が継続。我が国の1人1年当たりの食用魚介類の消費量(純食料ベース)は、平成13(2001)年度の40.2kgをピークに減少傾向。漁業就業者の減少・高齢化とともに漁業経営体の後継者不足も課題。
  • 漁村の多くは、漁業にとって適地であるリアス海岸、半島、離島等に立地。漁港背後集落のうち、離島地域にあるものが約18%、半島地域にあるものが約31%。また、漁村の多くは背後に崖が迫り、平坦地が少ない狭隘・高密度な集落を形成。漁村の立地は、交通等においては条件不利地にあるほか、自然災害に対して脆弱であるなど、漁業以外の面では不利な条件下にある。漁村の高齢化率は、全国平均を約11ポイント上回る。
  • 漁村が果たす役割
    • 漁村は、漁業就業者などの住民の生活の場に加え、水産業の拠点として重要な役割。
    • 漁港は、漁業の操業に必要な物資の供給、漁獲物の陸揚げ、水産物の流通、販売、加工等消費者に新鮮で安全な水産物を安定的に供給する役割のほか、漁船の係留や避難基地としての役割も有する。
    • 水産業・漁村は、自然環境を保全する機能、国民の生命・財産を保全する機能、交流等の場を提供する機能、地域社会を形成し、維持する機能等の多面的機能を果たし、その恩恵は広く国民一般にも及ぶ。
    • 水産庁は、藻場や干潟の保全、内水面生態系の維持・保全・改善、国境・水域監視や海難救助等の漁業者等が行う多面的機能の発揮に資する取組を支援。
  • 漁村が有する地域資源
    • 漁村は、新鮮な水産物、市場への水揚げの風景、非日常の漁業体験等他の地域にはみられない特徴を有するほか、漁村集落独特の景観や釣り等の親水性レクリエーションの機会の提供など地域外の人々を惹き付ける魅力を有しており、漁村の活性化を図るためには、漁村が有する地域資源を十分に把握し最大限に活用することが重要。
    • 漁村における水産物直売所等の交流施設の増加に伴い、都市漁村交流人口は約2千万人と近年増加傾向で推移。
    • 国民の旅行に対するニーズは高く、農山漁村への旅行の目的として食や自然・景観に対するニーズが高い。
    • 代表的な親水性レクリエーションである釣りの人口は約870万人。
    • 訪日外国人は新型コロナウイルス感染症の影響により急減したものの、近年は増加傾向で推移し、増加するインバウンド需要を地域に取り込むことで地域の活性化が期待。
  • 地域経済の活性化を目指す海業とその取組の現状
    • 水産基本計画及び漁港漁場整備長期計画において、「海や漁村の地域資源の価値や魅力を活用する事業」として「海業」を盛り込み、漁村の人口減少や高齢化等、地域の活力が低下する中で、漁業利用との調和を図りつつ地域資源を最大限に活用し、水産業と相互に補完し合う産業である海業を育成し、根付かせることによって、地域の所得と雇用の機会の確保を目指す。
    • 漁港は、用地を活用した陸上養殖や水域を活用した増養殖・蓄養を行いやすい環境にあり、漁港の用地を活用した陸上養殖の取組は増加傾向。
    • 消費者のニーズは、「モノ消費」から「コト消費」や「トキ消費」へと移行していると言われている中、漁港は、「コト消費」・「トキ消費」の大きなポテンシャルを有しており、海や漁村の価値や魅力を活かす海業の取組により、水産業の持続的な発展に寄与していくことが求められている。
  • 海業推進のための施策等
    • 海業の推進に当たり、地域人材の育成、海業の展開に必要な調査、地域資源を魅力ある観光コンテンツとして磨き上げる取組等の海業に係る活動支援、漁港施設・用地の再編・整序、地域水産物普及施設の整備等の支援を実施。
    • 海業に取り組む際に関連する施策をまとめた「海業支援パッケージ」を作成。
    • 海業振興に取り組む方々に向けて海業振興に係る相談を総合的に受け付ける「海業振興総合相談窓口(海業振興コンシェルジュ)」を開設
  • 海業の推進のためのポイント
    • 関係者間の合意の下、幅広い経済波及効果が生まれるよう、漁業関係者、行政関係者のほか、必要に応じ地域内外の民間企業なども参加する協議会を設置するなど、多くの関係者を巻き込んだ取組とすることが重要。
    • 漁業者等の所得向上と地域の雇用創出を図るため、各関係者の適切な役割分担の下、地域の将来像を踏まえた実践・継続可能な海業の計画づくりが必要。
    • 地域の漁業実態に即した施設規模の適正化や、漁港施設・用地の再編・整序による漁港の利活用環境の改善を行い、地域の理解と協力の下、漁港と地域資源を最大限に活かした取組とすることが重要。
    • 漁村へ人を呼び込んでいくには、漁村への来訪者の安全が十分に確保されていることが必要。
  • 海業の推進のための今後の取組
    • 漁港における新たな海業等の取組500件の展開に向けて、各地で漁業関係者が海業の取組を始められるよう、地方公共団体や民間企業等との連携の枠組みづくりや、子どもたちが海とふれあう機会の創出、海業のコンセプトや魅力の国内外への発信、多様化した消費者ニーズへの対応など、海業の普及啓発の取組を推進。
    • 水産庁において、「海業の推進に取り組む地区」を募集し、令和6(2024)年3月に54地区を決定。今後、個別に助言や海業の推進に関する情報提供を行うほか、関係者による協議会の設置・運営等を通じて、実証的に新たな海業の取組計画策定を推進。
    • 地方公共団体、漁協・漁業関係者、民間企業、民間団体等の海業に関心を持つ幅広い関係者との情報共有を図るとともに、それら関係者を対象とした「海業推進全国協議会」の開催等により、海業の優良な取組事例を普及・横展開。
    • 漁業上の利用に支障を与えないことを前提に、漁港施設の長期貸付け、水面等の長期占用等を可能とするため、令和5(2023)年度に改正された漁港及び漁場の整備等に関する法律等に基づき、漁港施設等活用事業を普及するなど、漁港を十分に活かした海業の取組を推進。
    • 漁村への来訪者にも安心して漁港を利用してもらえるよう、大規模地震・津波や激甚化・頻発化する自然災害による甚大な被害に備えて、漁港・漁村における防災・減災対策等の推進を図るため、漁港施設の耐震化・耐津波化、避難経路の整備等を推進。また、漁港施設等のインフラが老朽化する中、予防保全型の老朽化対策を推進。
  • 令和4(2022)年度の魚介類の国内消費仕向量は643万t(原魚換算ベース、概算値)。うち505万t(79%)が食用、138万t(21%)が非食用(飼肥料)向け。令和4(2022)年度の食用魚介類の自給率(概算値)は、56%。
  • 食用魚介類の1人1年当たりの消費量(純食料ベース)は、平成13(2001)年度の40.2kgをピークに減少傾向で、平成23(2011)年度以降肉類の1人1年当たりの消費量を下回り、令和4(2022)年度は、22.0kg(概算値)。令和5(2023)年の生鮮魚介類の1人1年当たりの購入量は、前年より4%減少。同年の生鮮魚介類の消費者物価指数は、輸入水産物価格の上昇等の影響により、前年より9%上昇。消費者が魚介類をあまり購入しない要因は、価格の高さや調理の手間等。食の簡便化志向が強まっており、消費者の食の志向が変化
  • 令和5(2023)年の水産物輸入量(製品重量ベース)は、前年比3%減少の216万t。輸入額は前年比3%減少の2兆160億円。主な輸入先国・地域は中国、チリ、米国。品目別では、サケ・マス類、カツオ・マグロ類、エビ等が輸入額の上位。
  • 令和4(2022)年の漁業・養殖業生産量は、前年から24万t減の392万t。うち海面漁業は前年から23万t減の295万t。サバ類、カツオ等が減少。海面養殖業は1万t減の91万t。内水面漁業・養殖業は2千t増の5万t。令和4(2022)年の漁業・養殖業の生産額は、前年から2,058億円増の1兆6,001億円。うち海面漁業は1,141億円増の9,161億円、海面養殖業は749億円増の5,433億円、内水面漁業・養殖業は168億円増の1,407億円
  • 漁業就業者数は一貫して減少傾向で、令和4(2022)年は12万3,100人。令和4(2022)年度の新規漁業就業者は、1,691人。国等は、就職相談会の開催、インターンシップ、漁業現場での長期研修等、新規漁業就業者の確保に向けた取組を支援。
  • 令和5(2023)年の漁船の船舶事故隻数は408隻、漁船の船舶事故に伴う死者・行方不明者数は23人。令和5(2023)年における漁船からの海中転落者数は62人、うち死者・行方不明者数は38人。海中転落時には、ライフジャケットの着用が生存に大きな役割(約2.2倍の生存率)。原則、船室の外にいる全ての乗船者にライフジャケットの着用が義務付け。
  • 令和5(2023)年の水産庁による外国漁船等の取締実績は、立入検査7件、拿捕1件、違法設置漁具の押収8件。日本海の大和堆周辺水域における中国漁船及び北朝鮮漁船による操業は極めて問題であり、漁業取締船により重点的に取締活動を実施するとともに、海上保安庁と連携して対応。令和5(2023)年の水産庁による中国漁船等への退去警告隻数は、延べ68隻。
  • 気候変動による影響と対策
    • 気候変動は、地球温暖化による海水温の上昇等により、水産資源や漁業・養殖業に影響。サンマやスルメイカの分布域の変化、サケの回帰率の低下等が発生。
    • 気候変動への緩和策として、漁船の電化・水素化等に関する技術の確立、ブルーカーボンの二酸化炭素吸収源としての可能性の追求等、水産分野においてもカーボンニュートラルに向けた取組を推進。
    • 適応策として、養殖業においては、高水温耐性を有するノリ養殖品種の開発等を推進。
    • 令和5(2023)年3~5月に「海洋環境の変化に対応した漁業の在り方に関する検討会」を開催。同検討会の取りまとめを踏まえ、今後、1)資源調査・評価の充実・高度化、2)漁法・漁獲対象魚種の複合化・転換、3)養殖業との兼業化・転換、4)魚種の変更・拡大に対応しうる加工・流通等の実現に向けた対策を推進。
  • 海洋におけるプラスチックごみの問題
    • 海洋プラスチックごみは、環境や生態系のほか、漁獲物への混入等漁業にも影響。
    • 水産庁は、1)使用済み漁具の計画的処理を推進するための指針の策定、2)生分解性プラスチック等の環境に配慮した素材を用いた漁具の開発やまき網等の漁網のリサイクル推進を支援、3)環境省や都道府県等と連携した漁業者による海洋ごみの持ち帰りの促進、4)マイクロプラスチックが水産生物に与える影響の調査等を実施。
  • 世界の漁業・養殖業生産
    • 世界の漁業・養殖業の生産量は増加傾向。漁業の漁獲量は横ばい傾向である一方、養殖業の収獲量は急激に増加。
    • 漁獲量は、EU・英国、米国、我が国等の先進国・地域では、おおむね横ばいから減少傾向。インドネシア、ベトナム等の開発途上国で増加傾向。
    • 養殖業の収獲量は、中国及びインドネシアの増加が顕著。
    • 持続可能なレベルで漁獲されている世界の水産資源の割合は、令和元(2019)年には65%まで低下し、35%が過剰利用。
  • 世界の水産物消費、世界の水産物貿易と国際情勢
    • 世界の1人1年当たりの食用魚介類の消費量は増加する一方、我が国の1人1年当たりの食用魚介類の消費量は、減少傾向で推移。
    • 流通技術の向上、人件費の安い国への加工場の移転等により世界の水産物貿易量は増加傾向。世界の漁業・養殖業生産量の3割以上が輸出仕向け。
    • 令和4(2022)年6月、世界貿易機関(WTO)閣僚会議においてIUU漁業につながる補助金の禁止、濫獲された資源の枯渇を助長する補助金の原則禁止等を内容とする漁業補助金協定を追加するWTO協定改正議定書が採択
  • 平成23(2011)年3月の東日本大震災の発生以降、被災地域では漁港施設、漁船、養殖施設、漁場等の復旧が進められており、漁港施設、水産加工施設等の水産関係のインフラの復旧はおおむね完了。一方、水産加工業の売上げの回復が課題であり、政府は、水産加工業における販路の回復・開拓等の取組を引き続き支援。
  • 東京電力福島第一原子力発電所事故の影響への対応
    • 国、関係都道県、漁業関係団体が連携し、水産物の安全性確保のため水産物の放射性物質モニタリングを実施。
    • 放射性物質モニタリング結果を公表の上、基準値を超える水産物は、出荷自粛要請や出荷制限指示の対象。福島県における令和5(2023)年度の基準値超過検体はなし。福島県以外においても、海産種では平成26(2014)年9月以降、淡水種では令和3(2021)年度以降の基準値超過検体はなし。
    • 国際原子力機関(IAEA)と協力の上データの信頼性・透明性向上に向け取組。令和5(2023)年12月にIAEAから公表された報告書において「海域モニタリング計画に参加している日本の分析機関が引き続き高い正確性と能力を有している。」と評価。令和5(2023)年度の共同海洋モニタリングでは、IAEA海洋環境研究所に加え、カナダ、中国及び韓国の分析機関が参加し、試料採取から前処理までの状況及び分析手順の確認が行われ、各機関で分析が行われているところ。
    • 漁業の本格再開に向けた基礎情報を得るため令和3(2021)年3月末まで試験操業を実施。試験操業後は操業の自主的制限を段階的に緩和することとし、水揚量は令和5(2023)年には6,530t(速報値)まで回復。
    • 55か国・地域において日本産食品等の輸入規制措置が講じられていたが、各国政府に対し規制の撤廃に向けた働き掛けの結果、令和5(2023)年度にEU等で輸入規制措置が撤廃される等、規制を維持する国・地域は7に減少。
  • ALPS処理水の海洋放出をめぐる動き
    • 令和5(2023)年8月24日のALPS処理水の海洋放出開始以降、中国及びロシアが全都道府県の水産物を輸入停止としたほか、香港及びマカオは10都県の水産物等を輸入停止。輸入規制の強化により、8月以降中国への水産物輸出額が大幅に減少し、令和5(2023)年の中国への水産物輸出額は対前年で約30%減少。
    • 科学的根拠に基づかない輸入規制措置の即時撤廃を求めていくとともに、海洋放出開始以前に措置された300億円及び500億円の基金等による支援に加え、特定の国・地域への依存を分散するための207億円の緊急支援事業の創設等により、国内消費拡大・生産持続対策、風評影響に対する内外での対応、輸出先の転換対策、国内加工体制の強化対策及び迅速かつ丁寧な賠償の5本柱からなる「水産業を守る」政策パッケージを令和5(2023)年9月4日に策定。
    • さらに、令和5(2023)年11月に補正予算を措置し、輸出拡大に必要なHACCP等対応の施設・機器整備、加工原材料の買取・一時保管、地域の加工拠点の整備等を支援。
    • 水産庁は、海洋放出開始以前から実施しているトリチウムを対象とする水産物のモニタリング分析(精密分析)に加え、令和5(2023)年8月から、短時間でトリチウムの分析が行える手法(迅速分析)を導入し、分析結果を採取日から翌々日までに公表。精密分析及び迅速分析の結果は、いずれも検出限界値未満で、放出前後で変化なし。
  • 令和6年能登半島地震からの復旧・復興
    • 令和6(2024)年1月1日に、石川県能登地方を震源とする地震が発生。同地震では、最大震度7の強い揺れがあり、最大4m程度の地盤の隆起が報告されるとともに、津波が発生し、水産業にも、石川県を中心に甚大な被害。
    • 水産業の被害件数について、漁船については、転覆、沈没、座礁等が291隻以上、漁港施設(防波堤、岸壁、物揚場等)の損壊で73漁港の被害が発生。そのほか、漁具については、定置網の破損等で90件以上、共同利用施設では漁協事務所、給油施設、製氷施設等の損壊が96施設以上、養殖施設の損壊が8件以上発生
    • 令和6(2024)年1月11日、政府は、令和6年能登半島地震を激甚災害として指定。水産関係では、漁港、水産業共同利用施設の災害復旧事業について、被災自治体等の負担を軽減。
    • 同月25日、政府は、「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」を取りまとめ。同パッケージでは、水産関係に対する支援として、水産基盤の被害状況調査を早期に行い、漁港、海岸等の早期復旧を支援するとともに、漁業者等による漁場の復旧の取組、漁船、漁具、養殖施設、水産業共同利用施設(荷さばき施設、冷凍冷蔵施設等)の復旧に向けた取組の支援等が盛り込まれた。

林野庁 令和5年度 森林・林業白書(令和6年6月4日公表)
▼ 概要
  • 長い歴史の中で、木材利用の拡大に伴う天然資源の減少に対応して、成長が早く利用価値の高いスギ等の植栽による造林技術が発達
  • 第二次大戦後、国土保全と旺盛な木材需要への対応などの社会的要請からスギ等の人工林が造成。スギは人工林の4割を占める主要林業樹種に
  • 第二次大戦後、国土保全と旺盛な木材需要への対応などの社会的要請からスギ等の人工林が造成。スギは人工林の4割を占める主要林業樹種に
  • 花粉の少ない品種を開発・普及。苗木増産の努力も続けられ、スギ苗木の生産量の半分が花粉の少ない苗木に
  • 2023年4月に関係閣僚会議を設置。花粉発生源対策に数値目標を設定し、対策を加速化
  • 重点区域における集中的な取組等により伐採・植替え等を加速化
  • 住宅分野におけるスギ材製品への転換や非住宅・中高層分野における木材利用拡大等によりスギ材製品の需要を拡大
  • 花粉の少ないスギ苗木の生産割合をスギ苗木の生産量の9割に引き上げるため苗木生産体制を強化
  • 事業量に対応するため、生産性の向上と労働力の確保を推進
  • 将来にわたり持続的に多面的機能を発揮できるよう、多様で健全な森林へ誘導
  • 国民の多様なニーズに対応した森林を育み、人と森林のより調和した状態を目指す
  • 2019年度の譲与開始以降、森林環境譲与税の取組は着実に展開
  • クリーンウッド法が改正され、川上・水際の木材関連事業者による合法性確認等の義務付け等を措置
  • 森林調査から原木生産・流通に至るまでの複数工程でデジタル技術の活用に取り組む「デジタル林業戦略拠点」の創出を開始
  • G7広島サミットで採択された成果文書に「持続可能な木材利用」が初めて明記
  • 山地災害等からの復旧に向けた取組を推進
  • 森林の多面的機能がSDGsや2050年カーボンニュートラル等の目標達成、GXの実現、国土強靱化に寄与
  • 全国森林計画等により、森林の整備・保全を計画的に推進
  • 林業イノベーションを推進するため、「森ハブ・プラットフォーム」を開設
  • 森林の多面的機能の発揮に向け、間伐や再造林等の森林整備を推進
  • 吸収量の向上、育林の効率化等に向け、成長に優れた種苗の供給を推進
  • 森林整備の基盤となる路網の整備や路網の強靱化・長寿命化を推進
  • 森林経営管理制度による経営管理の受委託や森林環境譲与税の活用額は年々増加
  • 多様な主体による森林づくりや、森林分野のクレジット化等の取組を推進
  • 保安林制度等を適切に運用するとともに、盛土等による災害防止に向けた取組を推進
  • 早期復旧に向けた迅速な対応を行うとともに、防災・減災、国土強靭化に向けた取組を推進
  • 多様な森林づくり、原生的な森林生態系の保護・管理等を推進し、生物多様性を保全
  • 野生鳥獣被害や、松くい虫被害、ナラ枯れ被害等への対策を実施
  • 世界の森林面積は依然として減少傾向、我が国は持続可能な森林経営に向けた取組を推進
  • 地球温暖化対策計画の目標達成に向け、森林吸収源対策を推進
  • 2030年までの新たな世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択
  • JICAを通じた技術協力や、国際機関を通じたプロジェクトを実施
  • 2022年の林業産出額は5,807億円で、近年は増加傾向
  • 1林業経営体当たりの素材生産量は増加し、林業経営体の規模拡大が進行
  • 林業従事者数は減少傾向から横ばいに転じ、2020年は4.4万人。
  • 生産性向上のための施業の集約化や収支をプラス転換する「新しい林業」に向けた取組を推進
  • 特用林産物は林業産出額の約4割。きのこ類の輸出量は増加傾
  • 薪の生産量は引き続き好調、竹の新規需要開発や国産漆の増産に向けた活動も拡がる
  • 山村の地域資源に対し都市住民や外国人観光客、地方移住希望者から大きな関心
  • 林業・木材産業の成長発展に加え、地域資源の発掘と付加価値向上等の取組を支支援
  • 世界の産業用丸太消費量は約20億㎥
  • 2022年の我が国の木材需要は増加。木材自給率は40.7%
  • 2023年の木材価格は2021年のピーク時から低下したが、以前よりも高い水準で推移
  • 改正クリーンウッド法が2023年4月に成立
  • 木材利用は2050年カーボンニュートラルの実現等に貢献
  • 非住宅・中高層建築物の木造化・木質化が進展。「都市の木造化推進法」等により更なる木材利用を後押し
  • エネルギー利用される木質バイオマス量は年々増加
  • 「木づかい運動」「木育」等により木材利用を促進
  • 木材輸出額は近年増加傾向。2023年は505億円
  • 木材・木製品製造業の付加価値額は近年増加傾向
  • 木材産業における国際競争力や地場競争力の強化に向けた取組が進展
  • 国産材の活用に向けた新たな製品・技術の開発・普及を推進
  • 製材業、集成材製造業、合板製造業では国産材の利用割合が長期的に増加傾向
  • 国有林野は、森林面積の約3割を占め、国土の保全、水源の涵養等の国民全体の利益につながる公益的機能を発揮
  • 多様な森林の育成や生物多様性の保全等、公益重視の管理経営を一層推進
  • 技術の民有林への普及、木材の安定供給等により森林・林業施策の推進に貢献
  • フィールド提供や観光資源としての活用等、国民に開かれた管理経営を推進
  • 被災した海岸防災林等の大部分が復旧・再生。復興に向けて森林・林業・木材産業が貢献
  • しいたけ等原木となる広葉樹林の再生に向けて「里山・広葉樹林再生プロジェクト」による伐採を推進。安全な特用林産物の供給に向けて適切な栽培管理・検査体制の整備を支援

環境省 令和6年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書の公表について
  • 令和6年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書のテーマ
    • 自然資本充実と環境価値を通じた「新たな成長」による「ウェルビーイング/高い生活の質」の充実~第六次環境基本計画を踏まえ~
    • 令和6年5月、第六次環境基本計画を閣議決定しました。本計画は、環境保全を通じた「現在及び将来の国民一人一人のウェルビーイング/高い生活の質の向上」を最上位の目的として掲げ、政府全体の環境保全に関する総合的かつ長期的な施策の大綱を定めたものです。現在、世界が直面している気候変動、生物多様性の損失、汚染という3つの危機に対し、早急に文明・経済社会システムの変革を図り、環境収容力を守り環境の質を上げることによって、経済社会が成長・発展できる循環共生型社会を実現していくことが重要です。
    • 本白書では、第六次環境基本計画の内容を中心に、昨今の環境の状況、施策等について概説しています。
  • 令和6年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書のポイント
    • 第1章では、第六次環境基本計画について、現在我々が直面する環境の危機、我が国の経済社会の構造的問題を踏まえ、環境・経済・社会の統合的向上など環境政策が全体として目指すべき大きなビジョンを示すとともに、今後の施策の方向性を示していることを紹介しています。
    • 第2章では、気候変動、生物多様性の損失及び汚染という相互に関係する3つの世界的危機に対し、最新の動向や施策を紹介するとともに、課題の相互依存性を認識して自然再興・炭素中立・循環経済等政策の統合、シナジーを図ることが重要であることを紹介しています。
    • 第3章では、自然再興・炭素中立・循環経済の同時達成のためには、環境をきっかけとして、地域やそこに住んでいる人々の暮らしを、豊かさやウェルビーイングへとつなげていくことが重要であり、そのための取組である「地域循環共生圏」やライフスタイルシフト等について紹介しています。
    • 第4章では、東日本大震災や原発事故の被災地の環境再生の取組の進捗や、復興の新たなステージに向けた未来志向の取組を紹介しています。
  • 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書の特色
    • 環境白書、循環型社会白書及び生物多様性白書の3つの白書は、法律にのっとってそれぞれ国会へ提出する年次報告書ですが、環境問題の全体像を分かりやすく示すために3つの白書を合わせて編集し、1つの白書としてまとめています。
    • 印刷工程の電力使用に伴い発生する二酸化炭素(CO2)は、環境省の「オフセット・クレジット制度(J-VER制度)」に基づき発行された東日本大震災における被災地のクレジットを購入し、オフセットしています。
▼ 本文

警視庁 防犯アプリ「Digi Police」(デジポリス)
  • トップ画面
    • マイエリアの犯罪発生状況を表示し、「最新のメールけいしちょう」「最新のアポ電情報」「X(旧Twitter)」「最新情報(お知らせ)」がリアルタイムに配信されます。
  • 防犯機能
    • 「痴漢撃退機能」「防犯ブザー機能」「ココ通知機能」「見守り防犯活動パトロール機能」「エリア通知機能」など
  • 「痴漢撃退機能」「防犯ブザー機能」
    • 画面表示や音声で助けを求めることができます。また、電車内などで痴漢被害にあって困っている人がいたら、声を出さなくても被害者にスマホの画面を見せることで助けが必要か確認できます
  • 「ココ通知機能」
    • スマホなどの位置情報機能を利用し、あらかじめ登録した人に「現在地」や「メッセージ」などの情報をかんたんに通知できます。
  • 「見守りパトロール機能」
    • 地図上に過去1か月の不審者情報などを地域別に色分け表示(画面をタップすると詳細が表示されます)
    • 防犯パトロール、見守り活動の時間・軌跡を記録
  • 「エリア通知機能」
    • 子供への声掛け事案や侵入窃盗、ちかんなどが連続して発生しているエリアに入るとお知らせを受信します。
  • 各種防犯情報
    • 「女性の安全」「子供の安全」「けいしちょうWeb教室」「詐欺まるわかり(特殊詐欺対策)」「サイバーセキュリティ」「警視庁ホームページ」「インコの部屋」などのコンテンツを掲載しています。

こども家庭庁 こども政策推進会議(第3回)
▼ 資料1 こどもまんなか実行計画2024(案)(概要)
  • 実行計画の概要
    • こども基本法に基づくこども大綱(令和5年12月22日閣議決定)に示された6つの基本的な方針及び重要事項の下で進めていく、幅広いこども政策の具体的な取組を一元的に示した初めてのアクションプラン。
      • こどもや若者の権利の保障に関する取組や、「加速化プラン」等の少子化対策、こどもの貧困対策をはじめとする困難な状況にあるこどもや若者・家族への支援に係る施策など、387※の項目を提示。
    • こども大綱の6つの基本方針
      1. こども・若者を権利の主体として認識し、その多様な人格・個性を尊重し、権利を保障し、こども・若者の今とこれからの最善の利益を図る。
      2. こどもや若者、子育て当事者の視点を尊重し、その意見を聴き、対話しながら、ともに進めていく。
      3. こどもや若者、子育て当事者のライフステージに応じて切れ目なく対応し、十分に支援する。
      4. 良好な成育環境を確保し、貧困と格差の解消を図り、全てのこども・若者が幸せな状態で成長できるようにする。
      5. 若い世代の生活の基盤の安定を図るとともに、多様な価値観・考え方を大前提として若い世代の視点に立って結婚、子育てに関する希望の形成と実現を阻む隘路(あいろ)の打破に取り組む。
      6. 施策の総合性を確保するとともに、関係省庁、地方公共団体、民間団体等との連携を重視する。
    • 今後、こども家庭審議会において施策の実施状況や指標等を検証・評価し、その結果を踏まえ、毎年、骨太の方針までに改定し、関係府省庁の予算概算要求等に反映。これらにより、継続的に施策の点検と見直しを図る。
      • 新規・拡充施策を中心に具体的な工程表を示すとともに、すでにこども大綱で設定している数値目標を含めた指標(75指標)に加え施策の進捗状況を把握するための288※の指標を提示。
  • こども施策に関する重要事項
    • ライフステージを通した重要事項
      1. こども・若者が権利の主体であることの社会全体での共有等
        • こども基本法やこどもの権利条約※に関する普及啓発、学校教育における人権教育の推進、相談救済機関の事例周知 等
      2. 多様な遊びや体験、活躍できる機会づくり
        • 体験活動の推進、教育を通じた男女共同参画の推進 等
      3. こどもや若者への切れ目のない保健・医療の提供
        • プレコンセプションケアの推進、母子保健情報のデジタル化 等
      4. こどもの貧困対策
        • 教育の支援、生活の安定に資するための支援、保護者の就労支援、経済的支援 等
      5. 障害児支援・医療的ケア児等への支援
        • 地域の支援体制の強化・インクルージョンの推進、インクルーシブ教育システムの実現に向けた取組 等
      6. 児童虐待防止対策と社会的養護の推進及びヤングケアラーへの支援
        • こども家庭センターの整備、家庭支援の推進 等
      7. こども・若者の自殺対策、犯罪などからこども・若者を守る取組
        • こどもの自殺対策緊急強化プランの推進、こどもが安全に安心してインターネットを利用できる環境整備、こども性暴力防止法案の提出 等
    • ライフステージ別の重要事項
      1. こどもの誕生前から幼児期まで
        • 出産に関する支援等の更なる強化、産前産後の支援の充実と体制強化、乳幼児健診等の推進、「はじめの100か月の育ちビジョン」を踏まえた取組の推進、幼児教育・保育の質の向上 等
      2. 学童期・思春期
        • 学校における働き方改革や処遇改善、指導・運営体制の充実の一体的推進、居場所づくり、いじめ防止対策の強化、不登校のこどもへの支援体制の整備・強化、校則の見直し、体罰や不適切な指導の防止 等
      3. 青年期
        • 高等教育の充実、若者への就職支援、「賃上げ」に向けた取組、結婚支援 等
    • 子育て当事者への支援
      1. 子育てや教育に関する経済的負担の軽減
        • 高等教育費の負担軽減、児童手当の拡充 等
      2. 地域子育て支援、家庭教育支援
      3. 共働き・共育ての推進、男性の家事・子育てへの主体的な参画促進・拡大
        • 男性の育児休業取得支援、柔軟な働き方の推進、長時間労働の是正 等
      4. ひとり親家庭への支援
        • 親子交流・養育費の確保 等
  • こども施策を推進するために必要な事項
    1. こども・若者の社会参画・意見反映
      • 「こども若者★いけんぷらす」の着実な実施
      • 地方公共団体へのガイドラインの周知やファシリテーターの派遣等の支援
      • 社会参画・意見反映を支える人材の育成
      • 若者が主体となって活動する団体等との連携強化・取組促進 等
    2. こども施策の共通の基盤となる取組
      • EBPM
      • 人材の確保・育成・支援
      • 地域における包括的な支援体制の構築・強化
      • 手続き・事務負担の軽減
      • 意識改革 等
    3. 施策の推進体制等
      • 自治体こども計画の策定促進
      • 安定的な財源の確保 等

【裁判所】

※現在、該当の記事はありません。

【東京都】

※現在、該当の記事はありません。

【その他(国内)】

【2024年7月】

内閣官房 サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議 第2回
▼ 資料1 サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議に対する経団連意見
  • 総論(現状認識を踏まえた経団連としての取組み)
    • 取引先や海外子会社等のサプライチェーンを経由したサイバー攻撃は増加の一途。地政学的緊張の高まりがサイバー空間にも波及する中、サイバーセキュリティは国家安全保障に関わる最重要領域の一つ
    • Society5.0 for SDGsの実現に向けた価値創造やバリューチェーンの構築、さらにリスクマネジメントの観点から、実効あるサイバーセキュリティ対策を講じることは、今や全ての企業にとって、経営のトッププライオリティ
    • 経団連としては、安心・安全なサイバー空間の構築に向けて、「サイバーセキュリティ経営宣言2.0」等を通じて、引き続き全員参加型の対策を推進していく所存
  • 官民連携の枠組みの構築
    • 民間事業者に対する過度な負担の回避
      • 官民連携による情報共有は、情報提供者が不幸にならないこと、事業者に過度な負担とならないことが大前提
      • 「官民連携」の名の下に、情報共有における片務性が一層強まり、一方通行の報告に民間が疲弊することによって、わが国のサイバー・レジリエンスをかえって毀損する、という本末転倒な結果を招かないように留意すべき
      • この観点から、情報共有は官民双方向であることを明確にしつつ、情報共有の目的や共有情報/共有者の範囲、情報共有の方法等を含む戦略を定めることが不可欠。実用的な情報を共有することが受信者による迅速な脅威認識・対応、ひいては情報共有の枠組みそのものへの信頼性を高めることに寄与
    • 政府の役割の明確化
      • 平時/有事のインテリジェンス活動やインシデント発生時のアトリビューションに関しては、政府が責任を持って実行し、分析した情報を民間事業者と共有すべき
      • 今後発展的に改組されるNISCやサイバーセキュリティに関係するその他政府機関等、それぞれの役割と責任範囲を明確に整理すべき
    • 既存の枠組みの有効活用
      • サイバーセキュリティに関する情報共有の既存の枠組みの実効性も十分に検証した上で、屋上屋を架すような制度設計は避けるべき
    • 日英サイバー協力ミッションで得られた知見
      • NCSC(国家サイバーセキュリティセンター)
        • 英国でサイバーセキュリティを主導するのは、NCSC(National Cyber Security Centre)。主たる業務は、英国のサイバーセキュリティを強化し、サイバー脅威から国家を防護すること。事業所管官庁等に対しても政策のリーダーシップを発揮
      • Active Cyber Defence
        • 英国のActive Cyber Defence(≠能動的サイバー防御)においては、公共機関や国民向けに多様なサービスを無償で提供。能動的サイバー防御の在り方の検討にあたっては、英国の取組みも参考にしつつ、現行法制度下でも実施可能な施策は躊躇なく取り入れるべき
      • i100(アイ・ワンハンドレッド/Industry 100)
        • 年間100名を目安に、民間企業の専門家をNCSCに受け入れ。民が保有する知識・経験をサイバーセキュリティ政策に活かす仕組みの一つ。様々なレベルのセキュリティチェックをクリアし、必要な訓練も受けているi100のメンバーは、重要インフラ事業者とNCSCの間の橋渡し役として、NCSCが策定する政策(例:ガイドライン策定、人材育成等)をはじめ多岐に亘る分野で活躍
        • わが国においても、情報や危機感の共有によるトラストの醸成を目的として、NISC等の政府機関との官民人材交流に関する枠組みを導入すべ
  • 政府から民間事業者への情報共有の在り方
    • 政府が受けた攻撃情報や政府が諸外国から受け取った情報を共有する際には、政府側でその重要性を精査し、必要な共有先には柔軟に情報共有すべき
      • 【参考】共有すべき情報例
        • 地政学的情報、攻撃者の属性(アトリビューション)等
        • 攻撃の手口・手法(TTP:Tactics, Techniques, and Procedures)の観点(例:MITRE ATT&CK(Adversarial Tactics, Techniques, and Common Knowledge)フレームワーク活用)
        • サイバー攻撃の侵害の痕跡IoC(Indicator of Compromise)情報(例:マルウェアのシグネチャ、ハッシュ値、IPアドレス等)
    • このような仕組みの導入に当たっては、NCSCのCiSP(Cyber Security Information Sharing Partnership)も参考にすべき
    • 重要経済安保情報保護・活用法の下での情報共有
      • 経済安全保障分野でのセキュリティ・クリアランス制度を規定する重要経済安保情報保護・活用法は、その文言に「活用」とある通り、政府が機微な情報を、安全保障の確保に資する活動を行う民間事業者に共有することが一つの狙い
      • 一方で、同法はコンフィデンシャル級の情報が対象であり、トップ・シークレット/シークレット級の情報は特定秘密保護法の対象。特定秘密保護法でも同様の取組みを進めるには、政府内で両法をシームレスに運用することが必要
      • 特定秘密保護法および重要経済安保情報保護・活用法は、民間事業者が政府と契約を結ぶことにより、政府が指定した重要情報の共有を受ける意思を示す仕組み
      • 仮に民間事業者等が政府からの協力要請に応じて、秘密指定された重要情報に触れる場合には、経緯や実態を踏まえ、民間事業者等における保全の取組みに対する支援が必要
  • 民間事業者から政府への情報共有の在り方
    • 事業者は複数の政府機関に対し、インシデント報告を実施しているのが現状。わが国のサイバー・レジリエンスを高める観点からは、持続可能かつ実効的な制度設計が必須(例:報告の簡素化、窓口の一元化等)
    • インシデント報告義務により事業者へ過度な負担を強いることのないよう留意すべき。また、インシデント対応や報告等に割かれる人的リソース等、事業者の実態を踏まえた合理的な制度とすべき
    • 今後、仮に過度な報告義務が課されることになれば、事業者のインシデント対応能力を毀損し、結果的に日本のサイバー・レジリエンスに負の影響を与えるおそれ
    • インシデント情報に関する報道により、ブランドイメージの毀損や株価下落に直結するケースが散見されることから、情報共有のスピード感が損なわれる可能性も。事業者から提供される情報は、センシティブ情報として慎重に取り扱うべき(懲罰的な見せしめは避けるべき)
    • 制度設計にあたっては、経済界および事業者と双方向のコミュニケーションをお願いしたい
    • 経済安全保障推進法において、基幹インフラ事業者は所管省庁に対し、重要インフラの導入前に機器に関する事前届出を行う必要があり、義務・負担が増加しているのが実情
    • こうした中、事業者に追加の情報提供を求めるばかりではなく、まずは政府自身のインテリジェンス力を高めることに注力すべき。その上で、公益の観点から民間事業者にもメリットが生じる形で官民連携の枠組みが構築されれば、事業者も当該枠組みに関与し、情報提供を行うインセンティブに
    • 民から官への情報共有に際し、機微情報、個人情報・プライバシー情報の取扱いについて、GDPR等、他の法域に照らした法的リスクに対する考え方も整理すべき
    • わが国のシステム開発の契約形態や運用形態に基づいたステークホルダー(システムインテグレーター、クラウド事業者等)を考慮のうえ、情報共有の仕組みおよび制度設計を検討すべき
    • 米国ではCIRCIA(Cyber Incident Reporting for Critical Infrastructure Act of 2022:重要インフラ向けサイバーインシデント報告法)を踏まえ、官民で情報共有。諸外国の取組みを参考に対応方針を検討すべき
  • サプライチェーン全体のサイバーセキュリティ強化
    • サプライチェーン全体を俯瞰したサイバーセキュリティの在り方
      • 総合的な国力という観点から、官民の明確な役割分担を含め、サプライチェーン全体を俯瞰したレジリエンス強化に向けて、実効的な仕組みを構築すべき。
      • ガイドラインの策定のみならず、実行に必要なリソース(費用・人材・技術)支援、政府調達要件への採用等も検討すべき
      • サプライチェーン・サイバーセキュリティ成熟度モデル(Cybersecurity Maturity Model Certification:米国防省が定めるサイバーセキュリティ調達基準)対応については、サプライチェーン全体の底上げに結実するように、中小企業を含む社会全体として検討すべき
      • インシデント後の事業の復旧までを見据えレジリエンスを強化すべく、サイバーのみならずオールハザードな事業継続計画(BCP)の策定が必要
      • 重要インフラ事業者のみではなく、重要インフラを顧客として抱える事業者等への影響や責任のあり方等も整理すべき
    • プラットフォームの有効活用
      • 業界横断で継続的に議論する場を確保し、政府関係部局とも双方向で連携可能なプラットフォームを構築する必要。この点、民間を束ねるプラットフォームとして、既存のSC3の有効活用も一案
    • 企業間連携・中小企業対策の強化
      • 下請法や独占禁止法との関係や利益供与等について、明確な整理が必要
      • 中小企業を含むサプライチェーン全体の防護には、国の支援が不可欠
  • サイバーセキュリティ人材の育成・確保
    • 縦割りを排した政府横断的な取組み
      • 経済産業省やIPAをはじめ政府の取組みを多としつつも、省庁間や省内の縦割り等による弊害も。中長期的なグランドデザインを描いた上で、横串を刺した取組みを進めるべき
    • 参考とすべき英国の取組み事例
      • 人材の育成・確保に関して、例えば英国では必要な国家予算を充当し、サイバースキルの階層に応じたトレーニングを無料で提供するなど、国民の意識を醸成、底上げ。日英サイバー協力ミッション(2024年1月)における面会先では、英国サイバーセキュリティ人材の多くが女性。わが国のサイバー人材不足は深刻で、ダイバーシティの確保を含め、その育成・確保が喫緊の課題
    • 実践的な演習の継続的な実施等
      • 地方におけるサイバーセキュリティ人材の育成・確保の観点も踏まえ、業界横断かつ中小企業を含むサプライチェーン全体で演習・訓練等の取組みを官民一体となって強力に推進すべき
      • NATO Locked Shields(※ NATOのCooperative Cyber Defence Centre of Excellenceが毎年実施しているサイバー防衛演習)のように、サイバー攻撃への対処能力の向上やサイバーセキュリティ動向の把握を目的とした実践的な演習を平時から継続的に実施すべき
  • 通信情報の活用に関する制度設計
    • 通信を介した攻撃状況のモニターに関しては、事業者の解釈に委ねることなく、法律での明文化(事業者の法的義務とその要件が明示的に規定された法律)と丁寧なルール作りが不可欠
    • 特に、プライバシーの尊重、国家安全保障の観点から真に必要な場合に限定した、制度的な保証を設けるべき
    • また、海外からの通信については、モニター対象を明確化し、国の責任の下で対応すべき
    • 法制度の運用開始に先立ち、事業者に十分な準備期間を設けるべき
    • 通信情報の活用には通信事業者の協力が必須。協力にかかる費用補助等、適切な支援を実施すべき
  • 諸外国との連携強化
    • 同盟国・同志国との連携強化
      • ファイブアイズをはじめ同盟国・同志国は「セキュアバイデザイン・セキュアバイデフォルト」に向けた取組みを推進
      • 安全・安心なサイバー空間を構築するためには、トラストに立脚した相互運用性が不可欠。このため、政府による制度設計においては(詳細な手続きを定めるのではなく)結果に着目すべきであり、また友好国との間での平仄と相互運用性に配慮すべき
      • 具体的には、ISO/IEC基準や米国のNISTサイバーセキュリティ基準などの国際基準を参照に制度調和を推進し、またSBOM(Software Bill of Materials)やセキュアバイデザイン・セキュアバイデフォルトを推進すべき
    • グローバルサウスへのトラストの輪の拡大
      • グローバルサウスとの関係において、わが国が主体的かつ友好的にリーダーシップを果たすよう努めるべき

個人情報保護委員会 個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しについて
▼ 個人情報保護法 いわゆる3年ごと見直しに係る検討の中間整理
  • 要保護性の高い個人情報の取扱いについて(生体データ)
    • 現行法上、政令第1条第1号に規定する身体の特徴のいずれかを電子計算機の用に供するために変換した符号のうち、本人を認証することができるようにしたものは、個人識別符号に該当し、個人情報に該当する。なお、現行法において、このような生体データの取扱いについて、生体データであることに着目した特別の規律は設けられていない。
    • 我が国における、生体データの取扱いに関連する社会的反響の大きかった事例として、次のようなものがある。
      • 人流を把握し防災に活用する目的で、ある駅を中心とした駅ビルに多数のカメラを設置して通行人を撮影し、災害発生時等の安全対策に資する人流統計情報の作成が可能かを検証する実験を実施することを発表した事例
      • 顔識別技術を有した防犯カメラを導入し、刑務所からの出所者・仮出所者を含む不審者等を検知するセキュリティ対策を、交通拠点において実施していた事例
      • ある地区のスマートシティ化等を目的として、ある駅周辺に多数のAIカメラを設置し、人流データの取得・解析を開始することを発表した事例
    • 欧州連合(EU)、アメリカ合衆国(カリフォルニア州)、中華人民共和国、インド共和国、ブラジル連邦共和国、オーストラリア連邦、大韓民国においては、自然人を一意に識別することを目的とする生体データは、センシティブデータに該当するとされている。センシティブデータの取扱いについては、一般的な個人データとは異なる特有の規律として、原則として本人同意の取得を要求する例や、本人にオプトアウト権を認める例がある。生体データの取扱い関連する執行事例も、各国において確認されている
    • 考え方
      • 生体データは、長期にわたり特定の個人を追跡することに利用できる等の特徴を持ち得るものであり、特に、特定の個人を識別することができる水準が確保されている場合において、通常の個人情報と比較して個人の権利利益に与える影響が大きく、保護の必要性が高いと考えられる。他方、生体データは本人認証に広く利用されているほか、犯罪予防や安全確保等のために利用することも想定されるものである。これを踏まえ、生体データの取扱いについて、諸外国における法制度なども参考にしつつ、特に要保護性が高いと考えられる生体データについて、実効性ある規律を設けることを検討する必要がある。この点について、関係団体からは、事業者の自主的な取組を促進すべきとの声もあるが、本人関与や安全管理措置等を通じた個人の権利利益の保護とのバランスを踏まえ検討を進める必要がある。
      • まず、現行法上、個人情報の利用目的については、「できる限り特定」しなければならないとされているが(法第17条第1項)、生体データの要保護性を踏まえると、生体データを取り扱う場合においては、例えば、どのようなサービスやプロジェクトに利用するかを含めた形で利用目的を特定することを求めることが考えられる。
      • また、個人の権利利益の保護という観点からは、生体データの利用について、本人がより直接的に関与できる必要がある。そのため、生体データの取扱いに関する一定の事項を本人に対し通知又は十分に周知することを前提に、本人による事後的な利用停止を他の保有個人データ以上に柔軟に可能とすることが考えられる。
    • このほか、必要となる規律の在り方について、事業者における利活用の実態やニーズ、運用の負担、利用目的の違いによる影響なども考慮して検討する必要がある。
  • 「不適正な利用の禁止」「適正な取得」の規律の明確化
    • 現行法では、法第19条に「不適正な利用の禁止」が、法第20条1項に「適正な取得」が規定されている。法第19条にいう「違法又は不当な行為」とは、法その他の法令に違反する行為、及び直ちに違法とはいえないものの、法その他の法令の制度趣旨又は公序良俗に反する等、社会通念上適正とは認められない行為をいう。不正取得・不適正利用に該当する具体的な事例は、通則ガイドラインにおいて、6事例ずつ記載されている。
    • 委員会が、不適正利用等に該当するものとして行政上の措置を講じた事案として、次のようなものがある。
      • 官報に掲載されている破産手続開始決定を受けた個人の氏名や住所等の個人データを地図と紐づく形でインターネット上に公表した事案(以下「新破産者マップ事案」という。)について、個人データの提供の停止を求める命令を発出したもの
      • 小売電気事業者が、電気事業法(昭和39年法律第170号)により禁止されているにもかかわらず、新規参入の小売電気事業者の顧客情報を含む個人データを取得した事案について、指導を行ったもの
      • 名簿販売事業者が、販売先が、法に違反するような行為を行う者にも名簿を転売する転売屋だと認識していたにもかかわらず、意図的に販売先での名簿の用途を詳しく確認せず、転売屋に名簿を販売した事案について、指導を行ったもの
    • また、現行法の個人情報の取扱いに係る規律は、本人が自らの個人情報の提供等について、自ら判断し、選択できる状況にあることが前提となっていると考えられる。他方、本人にとって個人情報取扱事業者の提供する商品・サービス等が他の事業者により代替困難であるにもかかわらず、本人が当該個人情報取扱事業者による一定の個人情報の取扱いを許容することが当該商品・サービス等の提供の事実上の条件になっている場合等、個人情報取扱事業者と本人との関係によっては、本人にそのような選択を行うことが期待できない場合があり得る。
    • 国内の他法令においても、代替困難と評価し得る者に対する主な規律として、デジタルプラットフォーム事業者、与信事業者、雇用主に対するものが存在する。委員会において対応した事案の中には、代替困難と評価し得る者による事案も存在する。また、社会的反響が大きかった事例として、学校において、生徒が装着したウェアラブル端末から、心拍数や睡眠時間等を把握しようとしたり、脈拍を計測して集中度を推測したりしていた事例がある。
    • このほか、個人関連情報については、一定の場合における第三者提供のみが規律の対象となっており、具体的には、提供元では個人データに該当しないが、供先において個人データとなることが想定される個人関連情報の第三者提供について、本人同意が得られていること等の確認が、提供元に義務付けられている。
    • 他方、国内における裁判例には、インターネット上の掲示板において携帯電話番号を記載した投稿を行った事例において、携帯電話番号は、その性質上、不特定多数の第三者に開示されることを望まない情報であるなどとして、プライバシー侵害を認めたものがある。また、海外の執行事例においても、アメリカ合衆国において、大手SNS事業者が利用者から二段階認証用などとして取得した電話番号及びメールアドレスをターゲティング広告に利用したことが問題視された事例などがある。その他関連する国内の事例として、電話番号を用いて、宅配便事業者や通信事業者になりすましたSMSによりメッセージを送信し、不正アプリのダウンロード等を行わせるものがある。
    • 考え方
      • 不適正な利用の禁止、適正な取得の規定については、個人の権利利益の保護により資するものとするとともに、事業者による予測可能性を高める観点から、適用される範囲等の具体化・類型化を図る必要がある。具体化・類型化に際しては、これまでに問題とされた事例等を踏まえて検討することが必要である。
      • また、現行法の個人情報の取扱いに係る規律は、本人が、自らの個人情報の提供等について、自らの自律的な意思により選択をすることが可能である状況にあることを前提としていると考えられる。他方、個人情報取扱事業者と本人との関係によっては、本人にそのような選択を行うことが期待できない場合があり得る。そのため、こうした場合において、本人との関係に照らして当然認められるべき利用目的以外の利用目的で個人情報を取得・利用することや、当然認められるべき利用目的の達成に真に必要な範囲を越えて個人情報を取得・利用すること等について、不正取得や不適正利用等の規律をどのように適用すべきか、継続的に検討する必要がある。
      • 個人関連情報については、事業者が、電話番号、メールアドレス、Cookie IDなど、個人に対する連絡が可能な情報を有している場合には、個人関連情報の取扱いによりプライバシーなどの個人の権利利益が侵害される蓋然性が認められ、その侵害の程度・蓋然性は、事業者による利用の方法によっては、個人情報と同様に深刻なものになり得ると考えられる。そのため、このような場合について、不正取得や不適正利用等への対応の在り方を検討する必要がある
  • 第三者提供規制の在り方(オプトアウト等)
    • 個人情報取扱事業者は、原則として、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない(法第27条第1項本文)。ただし、第三者に提供される個人データについて、本人の求めに応じて提供を停止することとしている場合であって、その名称や住所、本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること、本人の求めを受け付ける方法等について、あらかじめ、本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置くとともに、委員会に届け出たときは、本人の同意を得ることなく第三者に提供することができる(同条第2項)。これは、個人情報を含むデータベースを販売する事業者や、住宅地図等で個人情報を提供している事業者等を念頭に置いて設けられた規定であり、個人情報取扱事業者に対し一定の義務を加重することにより、個人データの積極的な流通を認め、保護と利用のバランスを図ろうとするものである(いわゆるオプトアウト届出制度)。同制度に関しては、次のとおり、過去の改正により規律の整備が行われてきた。
    • 平成27年改正法により、不正取得された個人情報が、名簿業者等に転売されることを防止するため、第三者から個人データの提供を受ける際には、取得の経緯を確認することとされた。また、委員会による監督を強化するとともに、法に定める事項を事前に本人が容易に知り得る状態を確保するため、オプトアウト届出事業者は一定の事項を委員会に届け出ることとし、委員会がこれを公表することとされた。
    • 令和2年改正法により、不正取得された個人データをオプトアウト規定によって提供することが禁止された。また、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法による個人情報の利用が禁止された。
    • その後、特殊詐欺の認知件数、被害額、検挙件数・人員が増加傾向にあることを踏まえ、令和5年(2023年)3月17日に、犯罪対策閣僚会議において「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」が策定され、政府は同プランに基づく施策を強力に推進することとされた。
    • 同プランにおいては、犯罪者グループ等が高齢者等の資力等に関する個人情報等を用いて犯行に及んでいる実態等に鑑み、「実行を容易にするツールを根絶する」ための対策を講じることとされ、当該対策の一環として、法の的確な運用等による名簿流出の防止等の「闇名簿」対策の強化が求められた。また、個人情報を悪用した犯罪被害を防止するため、犯罪者グループ等にこうした名簿を提供する悪質な「名簿屋」、さらに個人情報を不正な手段により取得して第三者に提供する者に対し、あらゆる法令を駆使した取締り等を推進することとされた。
    • 委員会は、同プランが策定されたことも踏まえ、オプトアウトの届出を行った事業者を対象に、個人情報の適正な取扱いがなされているかについて把握するための調査(実態調査)を行った。主な結果は次のとおりである。
      • 届出事項を本人が容易に知り得る状態に置くことについて、「自社コーポレートサイトに掲載している。」「ホームページで公表している。」「社内の壁面に掲示している。」「検索出来るようにしている。」といった回答があった。
      • 提供しようとするデータが、法第20条第1項に違反して取得されたものでないことの確認方法について具体的な内容が不明確な回答が約2割あった。
      • 個人データの第三者提供を受けているオプトアウト届出事業者のうち、提供元の事業者が法第20条第1項の「偽りその他不正の手段」に該当しない手段により個人情報を取得していることの確認方法について、回答に具体性がない又は無回答となっている事業者が約2割あった。
      • オプトアウトにより個人データを提供するに当たって、提供先が提供を受けたデータを「違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれがある方法」で利用しないことを確認していないとの回答が約3割あった。オプトアウトによる個人データを提供するに当たり、提供先に対して、本人確認手続等を実施していないとの回答が約3割あった。
    • 本実態調査により、取得や提供に際して不適切な対応があった事案が見られたことを踏まえ、委員会として指導等の対応を行った。当該事案の概要は次のとおりである。
      • 販売先が、法に違反するような行為を行う者にも名簿を転売する転売屋だと認識していたにもかかわらず、意図的に販売先での名簿の用途を詳しく確認せず、転売屋に名簿を販売していた。また、個人データの第三者提供記録も作成していなかった事案
      • 個人データの第三者提供記録を作成していなかった事案
      • 個人データの第三者提供記録を作成していなかったことに加え、第三者から個人データの提供を受けるに際し、当該第三者の住所について、確認を行わなかった事案
    • その他、顧客情報又は住民等の情報、住民基本台帳のデータを、それぞれ従業員ないし委託先の職員が持ち出し、名簿業者に売却した事案もみられる。
    • 加えて、委員会が運営する個人情報保護法相談ダイヤに対して、オプトアウト届出事業者に係る質問・相談等が寄せられている。当該質問・相談等において問題とされた事例には次のようなものがある。
      • 名簿の販売が許容されていること自体が問題ではないかとしている事例
      • 名簿の入手先・取得元の問合せや第三者提供記録の開示を拒否された、あるいは適切な回答がされていない事例
      • 提供停止を求めるための連絡先が不明又は電話がつながらないなどの理由により停止してもらえなかった、あるいは一旦停止したものの、その後提供が再開された事例
      • 提供停止等を求めたところ、他の個人情報の提供、サービス登録、手数料支払等の条件を付けられた事例
    • 考え方
      • オプトアウト届出事業者は、提供先の利用目的や身元等について、その内容や真偽を積極的に確認する義務まではないことから、明確に認識しないまま意図せず犯罪グループに名簿を提供してしまうことが生じ得る。そこで、一定の場合には提供先の利用目的や身元等を特に確認する義務を課すことについて検討する必要がある。その際、確認義務の要件についての検討や、住宅地図等を広く市販する場合など規律の在り方についても検討が必要である。
      • また、不正に名簿等を持ち出した者が、当該名簿等により利益を得る有力な方法として、オプトアウト届出事業者への販売が想定される。そのため、オプトアウト届出事業者には、取得元における取得の経緯や取得元の身元等の確認について、より高度の注意義務を課すことが考えられる。具体的には、一定の場合には取得元の身元や取得の適法性を示す資料等を特に確認する義務を課すことについて検討する必要がある。その際、確認義務の要件や対象の類型化についての検討が必要である。
      • さらに、本人が、オプトアウト届出事業者によって個人情報が提供されており、かつ、当該提供の停止を求めることができることを確実に認識できるようにするための措置など、本人のオプトアウト権行使の実効性を高めるための措置について、継続して検討する必要がある。
  • 課徴金、勧告・命令等の行政上の監視・監督手段の在り方
    • 現行法上の監視・監督の流れとしては、まず、個人情報保護法相談ダイヤル、個人情報取扱事業者からの漏えい等報告、その他メディア情報等の外部の情報源から、監視・監督に係る情報を得ている。
    • こうした情報を踏まえ、必要に応じて報告徴収・立入検査を行う。その結果により、指導・助言、勧告を行い、勧告を受けた個人情報取扱事業者等が正当な理由なく勧告に係る措置をとらなかった場合において、個人の重大な権利利益の侵害が切迫していると認められるときは、命令を発出する、という枠組みになっている。個人の重大な権利利益を害する事実があるため緊急に措置をとる必要があると認めるとき等の一定の要件を満たす場合には、勧告を経ることなく命令(いわゆる緊急命令)を発出することも可能となっている。
    • この命令に違反した場合には、法第178条により罰則の対象となる。法定刑は、行為者は1年以下の懲役又は100万円以下の罰金であり、法第184条の両罰規定により、法人等は1億円以下の罰金刑の対象となる。また、委員会への虚偽報告等についても、法第182条により行為者は50万円以下の罰金刑の対象となるほか、法第184条の両罰規定により、法人も50万円以下の罰金刑の対象となる。
      1. 課徴金制度
        • 法令に基づき賦課される金銭としては、法第179条に規定する個人情報データベース等不正提供等罪等に見られる罰金、科料、過料のほか、課徴金がある。
        • 国内の他法令における課徴金制度としては、我が国では、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」という。)が昭和52年(1977年)に課徴金制度を導入したのを皮切りに、金融商品取引法(昭和23年法律第25号)、公認会計士法(昭和23年法律第103号)、景品表示法、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)に順次導入されている。また、例えば、独占禁止法については、制度導入後累次の改正により、対象行為の拡大、算定率の引上げ等を行っており、違反行為を抑止するため、違反行為に基づく不当利得相当額をベースとしつつ、不当利得相当額以上の金銭を徴収する仕組みとされている。
        • 法の過去の改正においても、課徴金に関する議論がされている。平成27年改正法の検討時には、制度見直し方針の段階において、第三者機関に行政処分の権限を付与するとともに罰則の在り方を検討するとされた上で、制度改正大綱においては、課徴金制度の導入について、引き続き検討することとされた。また、令和2年改正法の検討時には、制度改正大綱において、「我が国の法体系、執行の実績と効果、国内外事業者の実態、国際的な動向を踏まえつつ、引き続き検討を行っていく」とされた。
        • 加えて、法案審議においては、参議院の内閣委員会における附帯決議で、「違反行為に対する規制の実効性を十分に確保するため、課徴金制度の導入については、我が国他法令における立法事例や国際的な動向も踏まえつつ引き続き検討を行うこと」とされた。
        • 委員会が行政上の対応を行った、個人データの違法な第三者提供・不適正利用等に関連する事案として、次のようなものがある。
          • 人材サービス事業者及びその関連事業者が、新卒向け就職情報サービスにおいて、いわゆる内定辞退率を提供するサービスを本人の同意を得ずに同サービスの利用企業へ提供する等した事案について、両事業者に対して勧告等を行ったもの。
          • 新破産者マップ事案について、勧告、命令を順次実施し、さらに、これに係る措置が取られなかったことを理由に刑事告発を実施したもの。
          • 海外プラットフォーム事業者のサービスの利用者が、ソーシャルプラグインであるボタンが設置されたウェブサイトを閲覧した場合、当該ボタンを押さなくとも、ユーザーID、アクセスしているサイト等の情報が同社に自動で送信されていた事案について、指導を行ったもの。
          • 名簿販売事業者が、販売先が、法に違反するような行為を行う者にも名簿を転売する転売屋だと認識していたにもかかわらず、意図的に販売先での名簿の用途を詳しく確認することなく、転売屋に名簿を販売した事案について、指導を行ったもの。
        • 委員会が行政上の対応を行った、事業者が漏えいの可能性を認識したにもかかわらず速やかに適切な措置を講じなかった事案として、民間事業者30社、独立行政法人1機関及び38の地方公共団体から委託を受けたコールセンターサービス事業者が行っていたコールセンター事業に関し、コールセンター業務で用いるシステムの保守運用を当該コールセンターサービス事業者から委託されたその関連事業者に所属し、システム保守運用業務に従事していた者が、委託元の顧客又は住民等に関する個人データ等を、長期にわたり反復的に不正に持ち出した事案がある。同事案について、委員会は、当該コールセンターサービス事業者及び当該関連事業者に対して、組織的安全管理措置の不備の是正のために必要な措置をとるよう勧告を実施したほか、指導、報告徴収を実施している。
        • 委員会が行政上の対応を行った、指導を受けたにもかかわらず速やかに適切な措置が講じられなかった事案として、タクシー関連事業者が、タクシー車内に設置したタブレット端末付属のカメラを用いてタクシー利用者の顔画像を撮影して広告配信に利用していたが、その旨をタクシー利用者に対して十分に告知していなかった事案がある。同事案について、委員会は、タクシー利用者に対する分かりやすい説明の徹底等について指導を実施したが、改善策が実施されていなかったことが判明したことから、再度の指導を実施している。
        • 個人情報の不適切な取扱いについて、金銭的不利益を課す行政上の措置を持つ外国制度として、次のようなものがある。
          • EUは、GDPRの多くの条項が制裁金の対象となっており、違反状況に応じて、1,000万ユーロ又は直前の会計年度における全世界総売上高の2%のうちいずれか高い方、2,000万ユーロ又は直前の会計年度における全世界総売上高の4%のうちいずれか高い方を上限として制裁金の額が算定される。
          • 英国のUK GDPR(UK General Data Protection Regulation)にも同様の規定が置かれている。
          • アメリカ合衆国の連邦レベルでは、FTC法(Federal Trade Commission Act)第5条が規定する「不公正・欺瞞的行為又は慣行」に当たる行為が民事制裁金の対象とされている。現在、連邦レベルの包括的な個人情報保護法制(連邦法)として制定が検討されているADPPA(American Data Privacy and Protection Act)やAPRA(American Privacy Rights Act)の草案(2024年4月公表)においても、これらの法違反がFTC法第5条違反とみなされる旨が規定されている。
          • カリフォルニア州では、個人情報の販売・共有規制等に違反する行為が民事制裁金の対象とされている。
          • カナダでは、現行法であるPIPEDA(Personal Information Protection and Electronic Documents Act)においては、金銭的不利益を課す行政上の措置に係る規定は置かれていないものの、現在検討中のCPPA(Consumer Privacy Protection Act)においては、同法に定める規律に違反する場合において制裁金を課すことができる旨の規定が置かれている。
          • 中華人民共和国、大韓民国においても、制裁金、課徴金の規定が置かれており、大韓民国については、事業者の全体売上高の3%以下の範囲で、課徴金額の算定が行われることとされている。
        • 諸外国におけるこれらの規律については、多額の制裁金を課している執行事例も確認されている。
        • 考え方
          • 課徴金制度については、関係団体からのヒアリングで強い反対意見が示されていることに加え、我が国の他法令における導入事例や国際的動向、個人の権利利益保護と事業者負担とのバランスを踏まえ、その導入の必要性を含めて検討する必要がある。
          • 課徴金制度を導入する必要があると考えられる場合には、次のような論点を整理する必要がある。
            • 課徴金賦課の対象となる違法行為類型(現行法の指導・勧告・命令のみでは違反行為により得た利得が事業者の元に残ることとなり、事業者による個人の権利利益の侵害を効果的に抑止できないことを前提に、個人データの違法な第三者提供等の違反行為によって不当な利得を得ている場合や、個人データの漏えい等が発生している可能性を認識したにもかかわらず、適切な措置を講じることを怠る等の悪質な違反行為により、本来なすべき支払を免れた場合等について検討することが必要である。)
            • 課徴金の算定方法(例えば、個人データを販売することを通じて違法に第三者に提供した場合については、販売による売上という不当な利益が生じている点に着目することが考えられる。他方、悪質な安全管理措置義務違反の場合には、本来なすべき支払を免れた結果として、事業活動から得られる利益が増加している点に着目することが考えられる。)
        • 課徴金の最低額の設定、一定の要件を満たした場合の課徴金の加減算等
      2. 勧告・命令の在り方
        • 法第148条第2項において「勧告を受けた個人情報取扱事業者等が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合」と規定されているとおり、個人情報取扱事業者の義務違反の是正については、基本的に命令に勧告を前置することとされている。新破産者マップ事案については、半年を要して勧告、命令、告発という順次の対応に至った。
        • このような勧告前置の例外として、法第148条第3項に規定される緊急命令が存在する。もっとも、緊急命令の対象は一部の義務違反に限定されており、かつ、個人の重大な権利利益の侵害が現に発生していること等の要件も加重されている。
        • 勧告・命令は、いずれも、法の規定に違反した「当該個人情報取扱事業者等」に対して行うものとされている。そのため、個人情報取扱事業者が、法に違反する個人情報の取扱いを第三者に委託している場合や、法に違反して個人情報を取り扱うに当たって第三者の提供するサービスを利用している場合において、当該第三者自身が法の規定に違反した「当該個人情報取扱事業者等」に当たらない場合は、当該第三者に対して直接勧告・命令を行うことは困難である。
        • 勧告・命令は、いずれも、「当該違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置」をとるよう求めるものとされている。委員会は、これまで、法に違反する個人情報の取扱いを行った個人情報取扱事業者に対して、利用目的の通知、公表等を適切に行うことや、適切な安全管理措置を講じるための組織体制を整備すること等を求めてきている。
        • 考え方
          • 勧告・命令に関しては、個人情報取扱事業者等による法に違反する個人情報等の取扱いにより個人の権利利益の侵害が差し迫っている場合に直ちに中止命令を出すことの必要性や、法に違反する個人情報等の取扱いを行う個人情報取扱事業者等のみならず、これに関与する第三者に対しても行政上の措置をとることの必要性、法に違反する個人情報等の取扱いの中止のほかに個人の権利利益の保護に向けた措置を求めることの必要性の有無や手続保障など、その法制上の課題等について検討すべきである。
  • 刑事罰の在り方
    • 現行法上、個人情報の不適切な取扱いについて、直接罰則が適用される規定(いわゆる直罰規定)は、法第176条、第179条、第180条、第181条及び第184条である。令和2年改正法においては、これらの規定のうち個人情報データベース等不正提供等罪(法第179条)について、法人両罰規定(第184条第1項第1号)の法定刑を引き上げた一方、行為者に対する罰則については、罰則が創設された平成27年改正法の施行(平成29年(2017年)5月)から十分な時間が経過していないことも踏まえ、法定刑を維持することとされた。
    • 昨今、個人データの取扱いに関し、内部的な不正行為に起因する悪質な事例が増加している傾向があるものと考えられる。例えば、(1)個人情報取扱事業者の元従業者が、元勤務先が管理する名刺情報管理システムのログイン認証情報を不正に転職先の従業者に提供し、同システムを第三者が利用可能な状態に置いた事例や、(2)大手学習塾の元塾講師が当該学習塾の児童の個人情報をSNSのグループチャットに投稿したとされる事例が発生しており、(1)、(2)ともに個人情報データベース等不正提供等罪等により各行為者が起訴され、有罪が確定している。
    • また、個人データが不正に取り扱われ、個人の権利利益が侵害されるおそれが生じた事例も見られるところであり、例えば、個人情報取扱事業者の従業者が、関係法令に違反し、又はその趣旨に反するにもかかわらず、グループ会社が管理していた個人情報データベース等から個人データを取得し、当該個人情報取扱事業者の業務に係る営業活動等のために利用した事例がある。
    • 個人情報の不正取得の事例も多く発生している。令和5年度(2023年度)に法第26条第1項に基づき報告された漏えい等の報告のうち、規則第7条が定める報告義務の類型において、2番目に多く発生した類型は、不正アクセスや従業員による持ち出し等、不正の目的をもって行われたおそれのある個人データの漏えい等であり(同条第3号)、その件数は574件に上る。また、委員会の個人情報保護法相談ダイヤルに対しても、個人情報の不正取得行為に係る相談も寄せられている。加えて、行政機関が実施する調査であるかのような紛らわしい説明をして、個人情報等を聞き出す、いわゆる「かたり調査」のトラブルも発生している。
    • 考え方
      • 個人情報が不正に取り扱われた悪質事案の類型が様々であることを踏まえ、法の直罰規定がこれらの事案を過不足なく対象としているかを検証し、その処罰範囲について検討するとともに、法定刑の適切性についても検討する必要がある。
      • さらに、個人情報の詐取等の不正取得が多数発生している状況を踏まえ、こうした行為を直罰規定の対象に含めるべきかについても検討する必要がある。

内閣官房 「アセットオーナー・プリンシプル」(案)
  • 原則1.アセットオーナーは、受益者等の最善の利益3を勘案し、何のために運用を行うのかという運用目的を定め、適切な手続に基づく意思決定の下、経済・金融環境等を踏まえつつ、運用目的に合った運用目標及び運用方針を定めるべきである4。また、これらは状況変化に応じて適切に見直すべきである。
    • 補充原則
      • 1-1.アセットオーナーは、運用により利益を享受させるべき受益者等が誰か、何のために運用するのかといった運用目的について明確にし、必要に応じて見直すべきである。
      • 1-2.アセットオーナーは、運用目的を達成するために、運用資金の性格、自らの能力・規模、長期的な経済・金融環境等を踏まえ、具体的に目指すリターンや許容できるリスク等といった運用目標5を定めるべきである。また、運用目標を達成するために、経済・金融環境等を踏まえ、具体的な資産構成割合(基本ポートフォリオ)、リスクに関する考え方や運用対象資産の範囲等の運用方針を定めるべきである。
      • 1-3.アセットオーナーは、運用目標・運用方針を定めるに当たっては、適切な手続に基づき、十分な専門的知見に基づき意思決定を行うことができる組織体制の下で行うべきである。
      • 1-4.アセットオーナーは、定められた運用目的・運用目標を踏まえ、自らやステークホルダー等の状況や経済・金融環境等の変化に応じた運用方針となっているかを定期的に検証し、必要に応じて適切に見直すべきである。
  • 原則2.受益者等の最善の利益を追求する上では、アセットオーナーにおいて専門的知見に基づいて行動することが求められる。そこで、アセットオーナーは、原則1の運用目標・運用方針に照らして必要な人材確保などの体制整備を行い、その体制を適切に機能させるとともに、知見の補充・充実のために必要な場合には、外部知見の活用や外部委託を検討すべきである。
    • 補充原則
      • 2-1.アセットオーナーは、運用目標の達成に向けて、資産運用及びリスク管理を継続的かつ適切に運営できるよう、自らに必要な知見を把握するとともに、その知見が確保され、監督と執行それぞれが機能するガバナンス体制を構築すべきである。
        その際、アセットオーナーの規模や運用資金の性格に照らして、必要があれば、金融市場やアセットオーナーにおいて資産運用の経験を有する運用担当責任者を設置し、運用担当責任者の権限を明確化するとともに、必要な監督を行うことも考えられる。
        また、運用担当者について、特定の人材に依存すると、離職時の継続性の支障や運用委託先等との不適切な関係の発生といった懸念も生じることから、適切な資質を持った人材の計画的な確保に留意すべきである。
      • 2-2.アセットオーナーは、適切な運用を行うに当たって、知見の補充・充実のために必要な場合には、外部人材の登用、又は、金融機関・外部コンサルティング会社・OCIO・業界団体その他の外部組織の活用等を検討すべきである。
        その際、報酬を検討するに当たっては、外部人材や外部組織がもたらす付加価値に応じたものとすべきである。
  • 原則3.アセットオーナーは、運用目標の実現のため、運用方針に基づき、自己又は第三者ではなく受益者等の利益の観点から運用方法の選択を適切に行うほか、投資先の分散をはじめとするリスク管理を適切に行うべきである。特に、運用を金融機関等に委託する場合は、利益相反を適切に管理しつつ最適な運用委託先を選定するとともに、定期的な見直しを行うべきである。
    • 補充原則
      • 3-1.アセットオーナーは、受益者等の最善の利益を勘案しつつ誠実かつ公正に業務を遂行するため、運用目的・運用目標の達成に資することができるか、運用方針に適合しているか等の観点から、委託先の選定を含め幅広く運用方法を比較検討すべきである。
      • 3-2.アセットオーナーは、運用目的に照らして、運用対象資産の分散、投資時期の分散や流動性等を考慮して、運用方法を選択し、運用資産の分別管理のほか、適切なリスク管理を実施すべきである。
        その際、アセットオーナーの規模や運用資金の性格に照らして、必要があれば、VaR11等の定量的なリスク指標も踏まえながら、ストレステスト等も活用して経済・金融環境の変化に備えることも考えられる。
      • 3-3.アセットオーナーは、運用委託先の選定に当たっては、運用目的・運用目標の達成に資する観点から判断すべきである。
        その際、1つの金融機関等のみに運用を委託することは、効率性の観点から必ずしも否定されるものではないが、従来から委託している金融機関等であることや、選択している運用方法であるという理由のみで同じ金融機関等を選定し続けるべきでない。また、自らや資金拠出者等と、運用委託先及びそのグループ金融機関との取引関係がある場合、運用目的・運用目標に反していないか、適切に利益相反管理を行うべきである。
        また、運用委託先への報酬を検討するに当たっては、運用委託先がもたらす付加価値に応じたものとすべきである12,13。
      • 3-4.アセットオーナーは、運用委託先の選定に当たっては、過去の運用実績等だけでなく、投資対象の選定の考え方やリスク管理の手法等も含めて総合的に評価すべきである。
        その際、知名度や規模のみによる判断をせず、運用責任者の能力や経験(従前の運用会社での経験等を含む)を踏まえ、検討を行うことが望ましい。例えば、新興運用業者を単に業歴が短いことのみをもって排除しないようにすることが重要である。
      • 3-5.アセットオーナーは、受益者等にとってより良い運用を目指すため、運用委託先・運用方法を定期的に評価し、自らの運用目的・運用目標・運用方針に照らして、必要に応じて見直すべきである。
  • 原則4.アセットオーナーは、ステークホルダーへの説明責任を果たすため、運用状況についての情報提供(「見える化」)を行い、ステークホルダーとの対話に役立てるべきである。
    • 補充原則
      • 4-1.アセットオーナーは、その運用目的を踏まえ、自らの特性に応じて、情報提供すべきステークホルダーを検討した上で、運用目的に照らして適切な運用が実施されているかどうか等、説明責任を果たす上で必要な情報を適切な方法で提供すべきである。
        その際、情報提供に伴う負担を考慮しつつ、ステークホルダーの理解に資する、分かりやすい内容となる工夫に努めるべきである。
      • 4-2.アセットオーナーは、自らと他アセットオーナーの比較がステークホルダーにとって運用目的を達成する判断材料となり得る場合においては、比較できる形での情報提供も検討すべきである。その際、運用実績等の数値のみで単純比較されることは望ましくなく、運用方針等を踏まえ、総合的に比較できるよう工夫することが望ましい。
  • 原則5.アセットオーナーは、受益者等のために運用目標の実現を図るに当たり、自ら又は運用委託先の行動を通じてスチュワードシップ活動を実施するなど、投資先企業の持続的成長に資するよう必要な工夫をすべきである。
    • 補充原則
      • 5-1.アセットオーナーは、長期的に運用目標を実現させるため、自ら又は運用委託先による、投資先企業やその事業環境等に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを通じて、投資先企業の企業価値の向上やその持続的成長を促すべきである(スチュワードシップ責任)。
        スチュワードシップ責任を果たすに当たっては、自らの規模や能力等を踏まえつつ、日本版スチュワードシップ・コードの受入れ表明をした上でその趣旨に則った対応を行うことを検討すべきである。その際、複数のアセットオーナーが協働して運用委託先のスチュワードシップ活動に対するモニタリング(協働モニタリング)を行うことも選択肢として考えられる。
      • 5-2.アセットオーナーにおいては、ステークホルダーの考えや自らの運用目的に照らして必要な場合には、投資先企業の持続的成長に資するサステナビリティ投資を行うこと、例えば、金融機関等への委託に当たってサステナビリティに配慮した運用を行うことを求めることや、サステナビリティ投資方針を策定すること、PRI(責任投資原則)に署名することも考えられる。

原子力委員会 原子力白書
▼ 令和5年度版原子力白書 概要
  • 放射線の安全・安心と利用促進に向けた課題の多面性
    • ALPS処理水の海洋放出は、放射性物質の安全性等について国内外で議論を巻き起こした。
    • その背景の一つには、放射線に関する諸現象は難解であり、放射線に関する正確な知識が必ずしも国民に幅広く浸透しておらず、漠然と不安を感じていること等が考えられる。
    • 他方で、我々は、日常生活を営む上で日々、自然放射線を一定量受けて生活している。
    • また、放射線は医療や工業、農業等においても利活用が図られており、今日の生活基盤を支える技術となっている。
    • そうした中、安全・安心な放射線の利用促進に向けては、安全性の確保はもとより、社会的受容性、経済性など多面的な側面を考慮して取組を進める必要。
    • 今後の原子力政策の一助となるよう、「放射線の安全・安心と利用促進に向けた課題の多面性」に関して、具体的な事例をトピックとして採り上げて分析。
    • 原子力・放射線を含む様々なリスク源に関するリスク認識についての調査を紹介
  • ALPS処理水の海洋放出
    • ALPS処理水の安全性については、政府・東京電力一丸となった客観的かつ透明性の高い情報発信や粘り強いコミュニケーションの実施により、国民の間に一定程度浸透。
    • IAEAなどの第三者機関の評価を受けるなど、情報発信の客観性・透明性を確保しようとする取組は有効。
    • 政府・東京電力に対しては、継続して国民の不安の声に真摯に応えていく粘り強い取組が求められる
  • クリアランス物の利用
    • 原子力発電所等の廃止措置を安全かつ円滑に進めるには、クリアランス制度を活用した再利用の促進等、廃棄物の最小化が重要な課題。
    • クリアランス制度では、自然放射線よりも大幅に低く設定されているクリアランス基準(0.01mSv)以下であると確認を得た放射性廃棄物は、一般廃棄物や産業廃棄物と同様に処分や再利用が可能。
    • 一般産業廃棄物(金属くず・コンクリートがれき)はそのほとんどが再利用されている一方で、原子力施設由来のクリアランス物の再利用は、原子力施設敷地内での利用等限定的。
    • 安全性の確保を大前提としつつも、今後のフリーリリースを見据えた再利用先の範囲の拡大や放射能濃度の測定方法などの合理化・効率化等を検討をしつつ、クリアランス制度を活用した再利用を進めることが重要。
    • 原子力関連施設由来のクリアランス物の再利用は金属くず・コンクリートがれきとも進んでいない
  • 放射線の食品・医療分野への利用
    • 食品照射には殺菌効果や発芽防止効果などがあり、世界的には商業規模で流通しているが、日本では法規制によりジャガイモへの照射しか認められていない。
    • 放射線育種は従来より用いられてきた品種改良の手法で、日本でもイネの栽培面積の約18%で放射線育種品種・系統を活用して開発された品種が栽培されている。
    • 医療分野では、X線診断、CT検査やがん治療など放射線利用が浸透しつつある。
    • 個人的ベネフィットが多い医療分野での利用は広まりつつあるが、食品照射は消費者におけるベネフィットが実感されていないこともあり、日本では浸透していない。
  • 放射性廃棄物最終処分
    • 放射性廃棄物の処分については、例えば地層処分の場合は多重バリアを構成して処分するという前提で各バリアの機能について詳細な検討を行うなど、処分する方法ごとに安全に最大限配慮しつつ、積極的に情報発信や地元住民との対話の会などを行っている。
    • 万が一放射性物質が漏れ出した場合も想定し、人間の生活環境への影響が安全な範囲に収まることを確認・説明することが重要。
    • 一方、放射性廃棄物施設以外の例(PCB処理施設)においても、安全性についての丁寧な説明、住民(ステークホルダー)を巻き込んだ検討、徹底した情報公開が実施されている。
    • 放射性廃棄物の処分場確保について、全国レベルで自分ごととしてとらえる必要がある。また、リスク評価や安全性について科学的根拠を持った情報が浸透するよう、あらゆる施策の総動員が望まれる。
  • 放射線利用によるインフラ検査
    • 我が国では、1950年代半ばから始まる高度経済成長期以降に建設された道路橋などの社会インフラ設備の高齢化に対し、X線等の放射線を・利用したコンクリート内部の透過検査等が進められている。
    • X線透過検査においては、放射線の有害な影響から人と環境を適切に防護するため、周辺公衆(道路上を通る車中の人を含む)や作業従事者に関する放射線影響の管理は、法律等により定められている。
    • 放射線利用にあたり、防護の実効性を高めるためには、規制措置への理解と遵守が重要であり、その取組を透明性をもって丁寧に説明することが、国民の安全・安心を得ることに繋がるものと考えられる。
  • 原子力・放射線を含む様々なリスク源に関するリスク認識についての調査
    • 一般層と原子力・放射線に詳しい層の2集団を対象にアンケート調査※を実施。
    • 原子力・放射線に詳しい層に比べ、一般層においては、原子力・放射線関係の項目に対する認知度は総じて低く出る傾向。
    • 主観的に危険と感じる度合いに対して受容度が低く出る傾向。・各リスク項目を「受け入れられない」とする割合は、原子力・放射線に詳しい層の方が総じて低く出る傾向。
    • 中でも原子力・放射線関係の項目については、「受け入れられない」とする割合が原子力・放射線に詳しい層と一般層の間でその差が大きく出る傾向。
    • これまで、国など原子力・放射線関係者が積極的に情報発信や地域住民との対話などを行ってきているが、国民の立場に立って、継続的に必要な見直しを行っていくことが重要。
    • 各リスク項目を「受け入れられる」とした理由に関して、原子力・放射線関係の項目に限らず全体として、「少なければ危険性はない」、「基準値を適正に管理している」が主な理由。
    • 「ワクチン」や「医薬品」などの日常的に使用されているものについては、「ベネフィットがリスクを上回る」の回答割合が高く、そうしたものについては、受容度も高く出る傾向。
    • 一方、原子力発電所は電力の安定供給等に資するが、その運転に伴って対応が必要な廃棄物関連、クリアランス物などは将来にわたっての安全な処分や資源の再利用といった社会的な意義等について、国民のご理解・信頼を得る継続的な努力が重要。
  • 放射線の取扱いに際しての多面的評価の重要性 委員会からのメッセージ
    • 国など原子力・放射線関係者が放射線の取扱いを検討する場合は、代替手段との比較など、社会全体としてのリスクとベネフィットを科学的かつ多面的に評価した上で、国民と共有することが必要となる。
    • その際、国など原子力・放射線関係者は、自らが伝えたい内容のみを恣意的に伝えるのではなく、公正性・客観性を十分踏まえ、正確な情報提供や国民との誠実な双方向の対話等を通じて、国民の信頼を得る努力を粘り強く継続していかなければならない。
    • 自然放射線量等を参考に、放射線に科学的根拠をもって向き合い、安全に活用していくことが重要である。
  • 福島第一事故の原因・事故の進展に関する最新の状況
    • 東京電力福島第一原発事故から13年以上が経過したが、事故進展については、いまだに不明な点も多く、事故当時者の東電やその他機関による調査・研究が継続的に進められている。
    • 時間経過に伴う空間線量率の低下、廃炉作業の進展による環境改善などにより、事故調査が進めやすくなり、さらなる事故進展の解明が期待される。
    • 検討会において、事故当時のベントガス逆流の可能性、水蒸気凝縮のメカニズム解明、水素爆発への可燃性有機化合物の寄与の可能性等の検証が進められている。
    • 独立した組織を設立し、原子力規制委員会と連携して調査研究を推進。ペデスタル内部のコンクリート破損等のメカニズムの解明※を進めている。
    • 事故後13年以上経過する中、リソースの確保が課題となっているが、今後、事故調査が進み、事故進展過程が明らかになることにより、国内外の原子力施設の安全性向上に貢献することが大いに期待される。
  • 国際協力の下での原子力の平和利用と核不拡散・核セキュリティの確保
    1. 原子力の平和利用
      • 原子力委員会は、平和利用とプルトニウムバランス確保の観点から、事業者等が策定するプルトニウム利用計画や使用済燃料再処理等実施中期計画を評価。
      • 我が国保有の分離プルトニウム総量は、2022年末で約45.1トン。
    2. 核セキュリティの確保
      • 原子炉等規制法に基づく核物質防護、核セキュリティ文化の醸成、核セキュリティ対策強化の取組を実施。
      • 2023年10月よりIAEAの核セキュリティ訓練・実証センターの運用を開始。
      • 2023年12月に原子力規制委員会による原子力規制検査の結果を踏まえて、柏崎刈羽原子力発電所の事実上の運転禁止命令が解除された。
    3. 核軍縮・核不拡散体制の維持・強化
      • 唯一の戦争被爆国として、核兵器不拡散条約を基礎に、非核兵器国に認められた奪い得ない権利である原子力の平和的利用の観点も踏まえつつ、核軍縮・核不拡散に向けた取組(国連総会への核兵器廃絶決議案の提出、「核兵器のない世界」に向けた国際賢人会議の開催等)を積極的に実施。
      • 2023年5月、核軍縮に焦点を当てたG7初の首脳独立文書である「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」が発出された
  • 諸外国におけるサプライチェーンの現状
    • 日本の原子力の技術は、燃料製造からバックエンドまで国内に一貫したサプライチェーンが存在するものの、福島第一原発事故以降、原発の建設が中断、プロジェクト経験者の高齢化が進み、2012~2020年にかけて20社が原子力事業から撤退。
    • 米国では、2013年までに原子炉の新設が35年間行われず、原子力サプライチェーンが衰退。一方で原子力潜水艦など軍用での需要があり今なお技術を保有する企業は比較的多く存在。
    • フランスでは、建設に関するサプライチェーンが国営会社フラマトム社に集約。フラマトム傘下のドイツ企業等からの調達も多く、欧州全体でサプライチェーンを構築。
    • 米国、フランスでは、規制機関による設計の成熟度の客観的な評価や資機材に関する規格の第三者認証が行われており、サプライチェーンの維持・強化の観点からも、今後の日本の取組にも参考になり得る

【2024年6月】

内閣官房 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版
  • 2024年の改訂の考え方
    • 「新しい資本主義」では、成長と分配の好循環、賃金と物価の好循環を実現することを目指してきた。
    • まず「賃金」が上がる。その結果、「消費」が活発化し、企業収益が伸びる。それを元手に企業が成長のための「投資」を行うことで、「労働生産性」が上がり、賃金が更に持続的に上がるという好循環を実現する。これにより、「コストカット型の経済」から「成長型の新たな経済ステージ」へと移行することを目指してきた。
    • 他方、これまでの30年間のデフレ経済下では、生産性が上がれば賃金が上がると言われていたものの、実際には企業収益が伸びたときですら、賃金は上がらなかった。
    • 長年にわたり染み付いたデフレ心理を払拭し、「賃金が上がることは当たり前」という方向に、社会全体の意識を一気呵成に変えることが必要である。
    • 当初から、新しい資本主義では、以下の3点をテーマとして掲げた。
      1. 「市場も国家も」「官も民も」による新たな官民連携
      2. 課題解決を通じての新たな市場の創造、すなわち社会的課題解決と経済成長の二兎の実現
      3. 課題解決を通じての一人ひとりの国民の持続的な幸福の実現
    • また、基礎的条件としての経済安全保障の徹底。
    • これらの点は、2022年6月に閣議決定したグランドデザイン及び実行計画、2023年6月に閣議決定した2023年改訂版で一貫して主張してきた。
    • また、その実現に当たっては、分配の目詰まりの解消、官民連携による成長力の確保、民間も公的役割を担う社会の実現の3点に注力してきた。具体的には、官民連携による賃上げ、設備投資、スタートアップ育成、イノベーションの推進を同時に拡大するための施策を実施するとともに、新たな官民の連携を粘り強く呼び掛けてきた。
    • 今般、2回目の実行計画の改訂に当たり、新しい資本主義実現会議において審議を繰り返したところ、こうしたこれまでの新しい資本主義の取組の方向性は正しかったこと、そして、デフレから完全に脱却する歴史的チャンスを手にするという合意に至った。
    • 私たちは、昨年を大きく上回る春季労使交渉での賃上げ、史上最高水準の設備投資、史上最高値圏の株価といった成果を手にしている。しかしながら、我が国のデフレ脱却への道は、いまだ道半ばである。
    • 年初来、対米ドル円レートは1割程度円安が進んでおり、その影響は半年から1年かけて物価上昇率に反映される可能性がある。政府と日本銀行には、緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行っていくことにより、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することが求められる。その際、年初来進行している円安の影響が、今後物価に反映されてくることも踏まえ、円安が今後の物価に与える影響についても十分に注視する必要がある。
    • デフレを抜け出すチャンスをつかみ取れるか、後戻りしてしまうかは、今回の実行計画の改訂に基づく、これからの対応次第である。物価高を乗り越えるために、今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現し、来年以降に、物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させる。
    • 物価上昇を上回る賃上げを「定着」させるためには、中小・小規模企業の賃上げの「定着」が必要であり、このため、中小・小規模企業の「稼ぐ力」の向上に全力を挙げる。我が国の生産年齢人口は減少しつつあることに鑑み、構造的な人手不足状況の中で、これを達成するためには、省力化投資の加速的促進・仕事をしたいシニア層のための環境整備等の人手不足対策、価格転嫁等の我が国の商慣行における定着が不可欠である。
    • これらを含め、今般の実行計画の改訂において、一層の取組の具体化が必要な項目を以下に明らかにするとともに、新しい資本主義の取組全体の加速を図るため、2024年改訂版の閣議決定を行うものである。
  • 経済構造改革の加速
    • 人類は、従来の延長線上にない非連続な技術革新がもたらす歴史上大きなパラダイムシフトに直面している。テクノロジーの進化に伴う産業構造の変化が非常に速いスピードで進んでおり、テクノロジーを活用することで中小・小規模企業もグローバルに販路を広げることができる好機である。
    • また、社会課題の解決を通して、眠れる資産を活用しての新たな市場の創出、さらに、既存企業の事業の省力化や自動化、働き手のリ・スキリングによる労働生産性の向上、といった潜在能力を我が国は秘めている。
    • 成長と分配の好循環を図り、賃金と物価の好循環をより実感の伴う形で本格化させるためには、大局的な視座の下、各産業分野の構造的課題を把握した上で、政策を組み合わせ、経済構造の改革を成し遂げなければならない。
    • 世界でも人口減少・少子高齢化にいち早く直面する我が国においては、人材・資源・資金・データが円滑に循環することで、スパイラル状に付加価値を高め、継続的な所得向上を実現する成長戦略として、以下の3つの循環を作り出していく。
      1. 生産性を高め供給を増やす循環:人口減少を機会と捉え、産業の革新(スタートアップの成長、既存企業のイノベーション・事業承継・M&A)を促し、リ・スキリングと労働移動を通じて供給サイドを強化することで、継続的な所得向上を実現する。
      2. 需要を増やす循環:社会課題解決を通して需要を開拓し、対価を伴う付加価値の高い解決策を生み出すことで新たな市場を創出・拡大し、その成果を可視化していく。
      3. 海外とつながる循環:海外との双方向のつながりによって、ソリューションの海外展開、投資や人材の流入を促し、市場拡大を加速させる。
    • 社会課題はブルーオーシャンであり、コストは成長のための投資であるという考えの下、更なる成長・生産性向上のために、関連する様々な産業において人材・資源・資金・データ等の循環を阻害する規制や商慣習等の「目詰まり」を解消し、構造改革につなげていくことが必要である。旧来の硬直的な規制や経済構造等の「壁」を改革すべく、従来の産業や分野の括りにとらわれることなく、政策を横断的かつ一体的に実行する。
    • これらによって、我が国が抱える社会課題の解決を通して、所得や幸福感(ウェルビーイング)が継続的に向上する状況を作り出すことで、一人ひとりが明日は今日よりも良くなると実感できる社会を目指す。

内閣官房 デジタル行財政改革会議
▼ デジタル行財政改革 取りまとめ2024 概要
  • 教育
    • GIGA端末の共同調達(都道府県に基金を創設、調達体制を整備(2028年度までの5年間))
    • 校務DX(デジタル化の徹底による名簿情報のシステムへの手入力負担軽減(2023年通知発出)、学校における押印・FAX原則廃止(2025年度末まで)、次世代校務DX環境への移行(2026年度からの4年間)に向けた対応(都道府県単位での校務支援システムの共同調達推進、国又は都道府県単位での各種帳票の共通化・データ標準化等)、ネットワーク環境の整備(2025年度末まで))
    • オンライン教育・民間人材活用促進(オンライン教育にかかる児童生徒のいる教室の教師の配置要件の明確化、都道府県の人材発掘強化・特別免許状等の活用促進等)
    • デジタル教材活用促進(デジ田交付金TYPES活用(都道府県内共通のプラットフォーム整備(2025年度以降横展開))、スポーツ活動の自主学習用動画コンテンツの特設サイト開設(2024年度中))
    • KPI/ロジックモデルの構築(個別最適・協働的な学びの充実等につながる教育DXに係る当面のKPI設定(例:次世代の校務システムを導入済みの自治体の割合を2029年度100%)、ダッシュボード化(クラウド活用校務DX、FAX・押印原則廃止)、政策改善対話による政策進捗モニタリング)
    • 教育データ利活用(教育データ利活用ロードマップ改定(2024年度中)等)
  • 介護・医療
    • 介護の生産性向上(介護ロボット等の導入補助等、介護報酬改定反映、人員配置基準の特例的柔軟化等を措置、介護生産性向上に関するKPI設定(例:人員配置の柔軟化(2040年の人員配置を2023年比約3割程度効率化)、ダッシュボード化(2024年度上半期目途))
    • 経営の協働化・大規模化等による介護経営の改善(協働化・大規模化等の必要性の「気づき」「検討」「実施」の各段階における対策(事例集作成、ガイドライン等の改定、財政支援等)(2024年度) 、協働化・大規模化等の必要性とその方策の積極的発信)
    • 電子処方箋の導入促進(導入状況の見える化等)、リフィル処方・長期処方の活用の推進(医療保険者による個別周知等)、オンライン診療・遠隔医療の拡充(通所介護事業所等における受診可能の明確化、遠隔医療の実態把握と課題整理等)
  • 子育て
    • プッシュ型子育て支援の実現(子育て支援制度レジストリの整備(2024年度中)、出生届のオンライン化(2024年8月中)、電子版母子健康手帳の原則化(2025年度中にガイドライン発出)、里帰り妊産婦に係る母子保健情報の自治体間連携システムの整備(2024年度中))
    • 保育DXによる現場の負担軽減(保育業務ワンスオンリー実現に向けた施設管理プラットフォームの全国展開(2026年度以降)、保活情報連携基盤の構築(2025年度中)、就労証明書の標準化(2024年夏まで)・オンライン提出の実現(2026年度まで)、保育現場のICT環境整備(2025年度中に導入率100%を目指す)、放課後児童クラブDXの推進(2024年度に調査、2025年度以降実証))
  • 福祉相談
    • 相談業務DX(相談記録プラットフォームのプロトタイプ開発(2024年度中、デジ田交付金TYPES活用)等)
  • 交通
    1. タクシー・バス等のドライバーの確保(地理試験廃止、2種免許試験の20言語への多言語化(2024年2月)、法定研修の期間要件撤廃(同3月)、2種免許技能教習の一日当たりの上限時間の延長(同6月) 等)
    2. 地域の自家用車・ドライバーの活用
      • 自家用有償旅客運送の制度改善(地域公共交通会議の迅速化、交通空白地の定義柔軟化(2023年12月以降順次)等)
      • 自家用車活用事業の創設・バージョンアップ(タクシー不足の地域・時期・時間帯にいて、タクシー事業者が運送主体となり、地域の自家用車・ドライバーを活用(2024年4月)。今後、地域での実施を推進するとともに、天候・イベント等への対応などのバージョンアップを直ちに検討)
      • モニタリング・検証とライドシェアに係る法制度の議論(全国の移動の足不足の解消に向けて、自家用車活用事業等について、モニタリングを進め、検証を行い、各時点での検証結果の評価を行う。並行して、こうした検証の間、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業について、内閣府及び国土交通省の論点整理を踏まえ、法制度を含めて事業の在り方の議論を進める。)
    3. 自動運転の事業化加速(全都道府県での初期投資支援(2024年度中)、交通事故等に係る社会的ルールとりまとめを踏まえた検討(具体化・定量化された保安基準等の作成、行政・刑事・民事の責任判断時に適切に考慮されるような制度の設計又は運用、運輸安全委員会を含む事故調査の体制確保等)(2024年6月から)、審査手続の透明性・公平性の確保策とりまとめ(申請手続・審査項目の重複排除、国交省・警察庁主導による審査効率化・迅速化(11か月から2か月への短縮)、各都道府県における伴走型支援体制の構築等)(2024年6月)、新たなビジネスモデルへの対応(管理の受委託の運用明確化(2024年12月まで)、運行管理の在り方、タクシー手配に係るプラットフォーマーに対する規律の在り方(2025年6月まで))、自動運転サービス支援道設定(2024年度から))
    4. ドローンの事業化加速(レベル3.5飛行制度創設(2023年12月)、飛行申請の許可・承認手続DX化等による期間短縮・審査不要化(2024年度中)、ドローン航路整備(2024年度から))
    5. 自動物流道路構築・ETC専用化推進(東京-大阪間を念頭に具体的な想定ルートの選定を含め自動物流道路の基本枠組みとりまとめ(2024年夏頃)、料金所のキャッシュレス化拡大、ETC専用化を踏まえた混雑に応じた柔軟な高速道路料金体系への段階的な転換(2025年度から))
  • 防災
    1. 災害時の情報共有体制強化(広域災害における被災者情報マスターデータベース構築(2024年度中、デジ田交付金TYPES活用))(SOBO-WEB(2024年度運用開始)を中核とした防災デジタルプラットフォームの構築とデータ連携基盤との連携)
    2. 避難者に対する支援のデジタル化
    3. 住家の被害認定調査のデジタル化(マイナンバーカード活用等による避難所運営の効率化等)(AIやドローン等活用による被害認定調査の効率化 等)
    4. 優良なアプリ・サービスの横展開 等
    5. 災害時に活躍するデジタル人材の支援(デジタルマーケットプレイス(DMP)への掲載等)(民間デジタル人材派遣の仕組み)
  • 観光
    • Visit Japan Webによるワンストップ入国手続完結(入国審査・税関申告の統一2次元コードを活用した端末の主要空港への導入拡大検討(2024年度以降順次)
  • スタートアップ
    • 国・地方とスタートアップの連携強化(定款認証見直し・公証人への民間登用、スタートアップの公共調達の参入機会拡大(2024年度中)等、DMP構築(2024年度後半の本格稼働))
  • デジタル基盤
    • 「国・地方デジタル共通基盤の整備・運用に向けた基本方針」
      • 目指す姿・役割分担(システムは共通化・政策は地方公共団体の創意工夫、強靭な行政、コスト最小化)
      • 共通化すべき業務・システムの基準(国民・住民ニーズ、効果の見込み、実現可能性)
      • 費用負担の基本的考え方(国と地方との協議の下、国と地方を通じたトータルコスト最小化)
      • デジタル人材確保(デジタル庁を中心とした専門人材確保、全都道府県において地域DX推進体制の構築による人材プール機能確保(2025年度中))
      • 推進体制(国・地方の連絡協議会設置、各府省DX推進連絡協議会設置(今後5年を集中取組期間))
    • 当面の取組の推進(ガバメントクラウドに係るクラウド利用料の低廉化(利用料の負担と支払いを円滑に行うための環境整備)、情報システムの費用対効果の最大化に向けた成果目標等の「見える化」、ベース・レジストリの整備(商業・法人情報(2025年度)・不動産情報(2027年度)に係る全ての行政機関がデータにアクセスできる環境整備等)、DMP構築(2024年度後半の本格稼働)、デジ田交付金TYPESによる先導的プロジェクトの実施、アナログ規制の見直し、事業者のデジタル化等(補助金の電子申請対応の原則化(2025年度以降)等)、デジタルライフライン全国総合整備計画の推進
  • EBPM 人口減少下の政策形成インフラとしてのEBPM
    • 「政策改善対話」を通じた重点DXプロジェクトの進捗モニタリング・改善
    • 予算関連情報見える化・データ利活用(レビューシートシステム導入・予算事業ID附番(2024年度から) )
    • 「政策ダッシュボード」を活用した「見える化」の推進(教育(校務DX)に関するダッシュボード(2024年4月)、介護(生産性向上)に関するダッシュボード(2024年度上半期目途))
  • EBPM 基金の点検・見直し
    • 基金の点検・見直しの横断的方針の決定、点検・見直しの実施(200基金事業について、全ての事業での定量的な成果目標の設定、原則10年以内の終了予定時期の設定、支出が管理費のみの事業のうち事業が終了している事業全ての廃止等。今後も、「方針」を踏まえ、不断に点検・検証を行うことが重要)

内閣官房 すべての女性が輝く社会づくり本部(第14回)・男女共同参画推進本部(第24回)合同会議 議事次第
▼ 資料1-1 説明資料
  1. 企業等における女性活躍の一層の推進 ~活躍する女性人材と企業等で取組を推進する人材の育成~
    • 企業における女性の採用・育成・登用の強化
      • 女性役員登用目標の達成に向けた各企業の行動計画策定の促進、役員候補となる女性人材のパイプライン構築、女性登用の意義や必要性についての企業における理解の浸透を図る。
      • 行動計画策定ガイドの作成・周知や好事例の横展開を行う。
      • ロールモデルとなる女性役員等の事例集の作成等、啓発コンテンツの作成や情報提供を行う。
      • 取引所・機関投資家・先進的な取組を行う企業等と連携し、全てのプライム市場上場企業に対する啓発(セミナー開催)等を行う。
      • 女性活躍や子育て支援に積極的に取り組む企業を支援する。
      • 各府省の補助金等において、補助目的に鑑みつつ、取組に積極的な企業に対する加点の優遇措置の拡大・促進に取り組む。
    • 科学技術・学術分野における女性活躍の推進
      • 理工系分野を目指す女子生徒等の育成に向けて、各地域の大学・高専で理工系の魅力を発信する機会の増加を図る。
      • 若手ロールモデルによる授業等の実施手順の事例等を示した「理工チャレンジ」のプログラムを作成・周知し、地域の各大学・高専における取組を促す。
      • プログラミングに関する教育の充実を図る。
      • 中学校技術・家庭科(技術分野)や高校情報科の指導体制の充実を推進するとともに、プログラミング教育に関する教員対象の研修会等を実施する。
      • 大学・高専における文理を問わず幅広い学生を対象としたプログラミング教育を含む数理・データサイエンス・AI教育を推進する。
    • 女性起業家の支援
      • 起業家ネットワークへのアクセスが限定的、資金調達が難しいなどの課題を抱える女性起業家を支援する。
      • 金融機関や地域中核企業など様々なステークホルダーを巻き込みつつ、全国各地で女性起業家に対して一貫した支援を提供するネットワークを構築し、事業計画に対する助言を行うとともに、支援者とのマッチングに向けた支援プログラムを実施する。
  2. 女性の所得向上・経済的自立に向けた取組の一層の推進 ~全国各地の女性が経済的に自立するための力の育成とこれを支える人材の育成~
    • 所得向上、リスキリングの推進
      • 出産を契機に多くの女性が非正規雇用化する、いわゆる「L字カーブ」の解消に向けて、正規雇用の女性の就業継続を支援するとともに、初職から非正規雇用で働く女性や、過去に妊娠等を契機に非正規雇用となった女性を正社員転換するための取組を進める。
      • 拡充された非正規雇用労働者の正社員転換及び処遇改善を進める事業主に対する助成の利用を後押しするとともに、非正規雇用労働者に対するリスキリング支援や就職支援に取り組む。また、同一労働同一賃金の遵守の徹底を進める。
      • 在職中の非正規雇用労働者等に配慮した様々な受講日程、実施手法等の職業訓練を試行的に実施することにより、非正規雇用労働者等のキャリアアップに効果的な職業訓練の検証を行う。
      • 就労に直結するデジタルスキルの習得支援・デジタル分野への就労支援を推進する。
      • 「女性デジタル人材育成プラン」に基づき、スキル取得からマッチングまで一体的に支援するなど着実に就労に結び付けることが期待される地域の取組を地域女性活躍推進交付金等で重点的に後押しするとともに、就労に結びついた実績のある優良事例を事例集により周知・啓発し、全国への横展開を図る。
      • 男女間賃金差異の公表・分析を一層推進する。男女間賃金格差の大きい業界に着目した取組を進める。
      • 女性活躍推進法に基づく男女の賃金差異に係る情報公表について、義務対象を常用労働者の数が101人以上300人以下の一般事業主への拡大を検討する。
      • 賃金差異分析ツールの開発に取り組むなど、各企業等における自主点検の促進を図る。
      • 男女間賃金格差の大きい業界に着目し、各業所管省庁等を通じた実態把握・分析・課題の整理を踏まえ、業界ごとのアクションプランの策定を促し、取組を進める。
      • いわゆる「年収の壁」を意識せずに働くことを可能にする。
      • 短時間労働者への被用者保険の適用拡大や最低賃金の引上げ等に取り組むことと併せて、「年収の壁・支援強化パッケージ」を着実に実行し、さらに、次期年金制度改正において制度の見直しに取り組む。
    • 仕事と育児・介護の両立の支援
      • 柔軟な働き方の推進や男性の育児休業取得の促進等により、男女問わず育児・介護とキャリア形成との両立を図るとともに、女性への育児負担の偏りを解消する。
      • 柔軟な働き方を実現するための措置や、男性の育児休業取得率の公表義務の拡充等を盛り込んだ改正育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法の円滑な施行のため、周知・理解促進、助成金や労務管理の専門家による支援等を行う。
      • 育児・介護休業法の説明会等の機会を捉えて、育児休業の他にも両立支援制度があることや性別によらず利用が可能であること、制度利用時のみならず制度利用後もワーク・ライフ・バランスのとれた働き方が重要であることについて経営層や管理職も含めた周知・啓発を行う。
      • 中小企業事業主が、育児休業や育児短時間勤務中の業務を代替する周囲の社員に応援手当を支給する場合や、育児期の柔軟な働き方に関する制度の導入、円滑な介護休業の取得・職場復帰のための取組等を行った場合の助成措置を講じる。
      • 長時間労働の是正や、多様な正社員制度・選択的週休3日制に関する好事例の周知や導入支援などの労働者のニーズに応じた多様な働き方の環境整備を推進する。
      • 企業が福利厚生として家事支援サービスを提供する取組を促進する観点から、広報等を行う。
    • 仕事と健康課題の両立の支援
      • 働く女性の月経、妊娠・出産、更年期等、女性のライフステージごとの健康課題に起因する望まない離職等を防ぎ、女性の活躍を支援する。
      • プライバシーに十分配慮した上で、労働安全衛生法に基づき事業主が行う健診において、月経随伴症状や更年期障害等の早期発見に資する項目を問診等に加え、その実施を促進する。
      • 企業等におけるフェムテック製品・サービスの活用を促進し、好事例の横展開を行う。
      • 健康経営銘柄、健康経営優良法人、なでしこ銘柄等において、女性の健康課題に取り組み、成果を上げている企業や健康保険組合の好事例を集め、他の企業等にも広く周知する。小規模事業者にも取組が広まるよう、健康経営優良法人制度中小規模法人部門の要件緩和等を検討する。
      • 令和7年度末に期限を迎える女性活躍推進法の延長・改正に向けた検討において、事業主が女性特有の健康課題に取り組むことなど、更なる女性活躍推進に向けた検討を行う。
      • 企業における従業員に対する性差に応じた健康課題への理解を促進するためにも、全府省において、職員向けの健康教育に率先して取り組む。
    • 地域における女性活躍・男女共同参画の推進
      • 地域の企業における女性活躍を推進し、その担い手を育成する。
      • 日本商工会議所や全国商工会連合会、(一社)全国銀行協会、(一社)全国地方銀行協会等と連携しながら、地域において女性の活躍を推進・支援しているリーディングカンパニーにおける取組の把握を含め、各地域の企業の好事例の周知・啓発を行う。
      • 男女共同参画センター(センター)が地域の企業や経済団体、学校、NPO等と連携し、地域の女性活躍・男女共同参画の推進の担い手を育成できるよう、国立女性教育会館(NWEC)が、センターの協力を得て、センターの職員の専門性向上に資する研修の実施や、センターが企業や経済団体等への研修で用いる研修プログラムや教材の開発に向けて情報の収集や検討を進める。
      • 就労状況など統計データの整理、全国各地のセンターからの地域における男女共同参画に関する状況と課題等の集約、その分析結果の全国のセンター等への提供など、NWEC及び全国のセンター相互間で必要な知見及びノウハウの共有を可能とするため、情報プラットフォームを新たに構築するための効果的な実施手法等に関する調査研究を行う。
      • 地方公共団体における取組の推進の鍵となる地域リーダーの意識醸成・育成を推進する。
      • 地域の女性活躍・男女共同参画を推進するリーダー・担い手を育成するため、地域女性活躍推進交付金を活用して、女性の登用のほか、自治会長や地方公共団体の防災会議委員等の地域の女性リーダー育成の取組に対する支援、防災委員への女性登用の好事例の横展開を行う。
      • 地方議会における女性の政治参画に資する先進的な取組事例を横展開する。
      • 地域シンポジウム等を通じて自治体における女性活躍推進の好事例の横展開を図るとともに、女性活躍に向けた男性首長のコミットメントの強化を促す。
  3. 個人の尊厳と安心・安全が守られる社会の実現 ~男女共同参画の視点に立った防災・復興、配偶者暴力や性犯罪・性暴力の被害者等を支える人材の育成~
    • 男女共同参画の視点に立った防災・復興の推進
      • 今般の能登半島地震における災害対応を検証し、今後の対応に活用する。
      • 「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」を踏まえた災害対応について調査を行い、今後に向けた課題や取組を整理し、報告書を取りまとめる。
      • 防災の現場等における女性の参画拡大とこれを推進するリーダー層の意識醸成、国民への啓発を推進する。
      • 平常時からの防災・危機管理担当部局への女性職員の配置により、災害時、女性と男性で異なる支援ニーズに適切かつ迅速に対応することが可能となることから、国や地方公共団体の災害対応の現場への女性の参画を促進する。
      • 指導的立場にある者を含む防災関係者に対し、男女共同参画の視点からの防災・復興に係る研修を充実させる。
      • 災害の各段階において受ける影響やニーズが女性と男性で違うことや地域防災力を高めるためには女性の参画やリーダーシップが重要であることの理解促進を図るため、こどもの発達段階に応じた防災教育を行う。
      • 各地域において、人々の中にある固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の解消と、企業等の広報担当や人事・業務管理に携わる管理職、さらには経営層の意識改革と理解の促進を図り、性別役割分担にとらわれない働き方を推進する。
      • 「オールド・ボーイズ・ネットワーク」の存在についてのホームページ・SNS等の様々なコンテンツを活用した情報発信、地方公共団体や経済団体等を対象としたワークショップの開催等の啓発活動を実施する。
    • 配偶者等からの暴力や性犯罪・性暴力への対策の強化
      • 改正配偶者暴力防止法や女性支援新法等の関係法律の施行状況等も踏まえ、配偶者等からの暴力の防止、被害者の保護及び支援、相談体制の整備及び周知等の一層の強化を図る。
      • 改正配偶者暴力防止法や女性支援新法等の関係法律の施行状況等も踏まえ、多様な被害者がためらうことなく相談できる体制の整備、法定協議会の活用等も含めた配偶者暴力相談支援センター、警察、児童相談所、民間団体、医師会や医療関係者、法テラス等の連携の強化等に取り組む。
      • 被害者支援の一環としての加害者プログラムについて、都道府県等の担当者等の理解促進のための研修や交付金等により、各地域における実施を推進する。
      • 「相手の同意のない性的な行為は性暴力」であること等の認識を社会全体で共有し、性犯罪・性暴力の根絶のための取組や被害者支援を強化する。
      • こども、若年層、男性等を含む多様な相談者が利用しやすいよう、都道府県等への交付金等により、ワンストップ支援センターの運営の安定化、相談員の支援能力・専門性の向上や様々な相談方法の活用を図るとともに、こども・若者の性被害防止に向けた総合的な対策を推進する。
      • 改正刑法の施行後の適用状況を的確に把握するとともに、附則規定に基づく被害申告の困難さ等の性的な被害の実態に係る調査の速やかな実施に向け、着実に検討を進める。
    • 困難な問題を抱える女性への支援
      • 令和6年4月に施行された女性支援新法に基づき、困難な問題を抱える女性一人ひとりのニーズに応じて、包括的な支援を実施する。
      • 女性相談支援センターや女性自立支援施設の機能強化、女性相談支援員の人材の養成・処遇改善、民間団体と地方公共団体との協働等を推進する。
      • 生理の貧困への対応、フェムテックの推進と更なる利活用、緊急避妊薬の利用に向けた検討、スポーツ分野における女性の参画・活躍、女性医師に対する支援等を推進する。
      • 女性の健康ナショナルセンター(仮称)における診療機能の充実を図る。また、同センターを中心として、女性の生涯にわたる健康課題に関わる研究等に取り組むとともに、「ジェンダード・イノベーション」を推進し、性差に応じ更年期などにおける健康を支援する取組を推進する。(総合対策の確立)
      • 医療従事者(内科、精神科(うつ)、整形外科(骨粗鬆症)等)に対する女性の健康課題に関する研修・啓発の実施、プレコンセプションケアなど、性差に応じた健康を支援するための取組を推進する
  4. 女性活躍・男女共同参画の取組の一層の加速化 ~あらゆる分野の政策・方針決定過程に参画する女性人材の育成~
    • 男女共同参画の視点に立った政府計画の策定等の推進
      • あらゆる分野の政策・事業の計画等において、男女別の影響やニーズの違いを踏まえた検討・立案を行う。その前提として、男女の性差を考慮するとともに、関連するデータの男女別の把握に取り組む。
      • あらゆる分野における政策・方針決定過程への女性の参画を促進する。
    • 政治・行政分野における男女共同参画の推進
      • 女性の政治参画への障壁について、より実態に即した把握に資するよう、政治に参画する上での課題等についてより詳細な調査を行い、その結果に基づき周知・啓発を行う。
      • 地方議会における女性の政治参画に資する先進的な取組事例を横展開する。(再掲)
      • 各府省において、各役職段階に占める女性の割合に関する数値目標を定める。目標や取組内容、実施状況については、各府省において公務員を志望する女性等に分かりやすい形で公表する。

内閣官房 グローバルサウス諸国との連携強化推進会議(第2回)議事次第
▼ 資料1 グローバルサウス諸国との新たな連携強化に向けた方針(案)概要
  • グローバルサウス諸国との連携の重要性
    • グローバルサウス諸国は、近年経済力を向上させるとともに、今後長期にわたり経済的なプレゼンスを高めると予測され、今後益々国際場裡における存在感を増していく。
    • グローバルサウス諸国の歴史的・文化的背景は多様。都市化や高齢化などの社会課題に直面する国、インフラ、公衆衛生や教育に問題を抱える国、食料や医療の不足に苦しむ脆弱国、難民の発生や気候変動の影響等の問題に苦しむ国など各国の置かれた状況も異なる。
    • 我が国は、食料・鉱物資源・エネルギー等を海外からの輸入に大きく依存し、グローバルサウス諸国との協働、そしてグローバルサウス諸国の脆弱性の克服をサポートしながらその活力を取り込むことが、経済発展や経済強靱化にとって不可欠。
    • グローバルサウス諸国を共創のパートナーとすることは、我が国の経済成長や経済安全保障面を含めた国益を実現していく上で極めて重要。また、グローバル・ガバナンスは、経済のみならず、歴史、文化、宗教、政治体制などの多様性を認めながら、世界各国とともに実現していく必要がある。そのため、置かれている状況が異なるグローバルサウス諸国を共創のパートナーとすることは、国際社会における分断と対立の動きを協調に導く上でも極めて重要。
  • グローバルサウス諸国との連携にあたっての基本的な考え方
    • グローバルサウス諸国との連携を推進することが、我が国の国益増進につながるものであること。グローバルサウス諸国との戦略的な関係構築に向け、グローバルサウスの活力を取り込み、相互の経済成長の実現を追求するとともに、重要鉱物・物資等のサプライチェーン構築による経済強靱性の強化や、循環経済の実現等を推進していくことが不可欠。
    • グローバルサウス諸国を未来の経済社会を共に創る「共創」のパートナーと考えること。そして、我が国がグローバルサウス諸国にパートナーとして選ばれる関係を構築すること。その際、個別の地域・国の事情に応じて、各国の視点に立った、きめ細かな対応をとる。置かれている状況が異なるグローバルサウス諸国の多様なニーズに応えて、様々な主体を巻き込んだ相手国との対話と協働による社会的価値の共創を実現する。
    • グローバルサウス諸国との連携強化により、国際公益の実現をともに目指すこと。その際、国連憲章にある諸原則を堅持し、国連システムの強化等を通じてグローバル・ガバナンスの強化に貢献するとともに、グローバルサウス諸国との共通項を強調し、国際社会における分断と対立の動きを協調へ導いていく。
  • 具体的な方策
    1. 重層的な関係作り
      • 本年7月の太平洋・島サミット、11月の中南米におけるG20及びAPEC首脳会議、「中央アジア+日本」対話・首脳会合の開催、日印間の相互首脳往来、来年8月のTICAD9の開催等の機会を捉えつつ、経済ミッションを同行してのトップ外交、政策対話の深化、官民フォーラムの開催を通じ、重層的な関係作りを行う。
    2. 様々な主体による連携
      • 内閣官房海外ビジネス投資支援室(GBIS室)を中心に関係省庁及び政府関係機関等が緊密に連携して、重層的・横断的な対応を行う。
      • 海外拠点においても、在外公館で推進する経済外交のための「共創プラットフォーム」を中心に、共創の取組を実践的に更に一段前に進める。
    3. テーラーメイドなアプローチ
      • グローバルサウス諸国の多様性をよく理解し、国単位のみではなく、地域単位や地域を越えたより大きな面的視点(インド洋、インド太平洋など)で捉えるとともに、我が国が重視する、未来を担う様々な産業を分野毎にグローバルに横串で捉えていくことなども加味し、各国及び各地域の実情に応じて、テーラーメイドなアプローチを検討していく。その際、相手国の状況や同志国との役割分担等を踏まえた戦略的な対応も必要となる
        1. リスク対応に向けた施設・設備の実装
          • 日本の産業協力の象徴となるようなフラッグシップ・プロジェクトを組成し、双方の国々が裨益する仕組みの構築
          • 日本が強みを有する分野等について、民間企業では背負いきれないリスクに対応するため、研究開発や商用化に向けた実証支援を着実に進めるとともに、施設・設備の実装まで含め支援強化
        2. 国際協力の新しい仕組み
          • ODAの様々な形での拡充、オファー型協力を一層推進
          • 「次の次の経済フロンティア」の形成
          • グローバルサウス諸国の社会課題解決に貢献し、その結果を国内に還元
          • ODAやその他公的資金(OOF)を通じた企業の経済活動の環境整備を強化し、これらを「触媒」として民間資金動員を更に推進するなど、国際協力の新しい仕組みの構築
        3. 日本企業の現地展開に向けた各種支援
          • 公正で持続可能な事業環境の整備、公的金融によるスタートアップを含む日本企業の海外展開支援やサプライチェーン強靱化支援、現地の実情に応じた資金支援策等の周知
          • 在外公館等を活用した支援の強化
          • 国際開発金融機関(MDBs)を含む国際機関との連携強化等を通じた現地企業や生産者とのマッチング、各国政府との協調案件の組成促進
          • 国際標準の国家戦略の新規策定
          • ビジネス上の紛争処理における連携
          • 地方自治体と連携した地元企業の海外展開の促進
          • 租税条約ネットワークの拡充等
        4. 従来のインフラの概念を超えた新領域での官民連携
          • インフラシステム海外展開戦略を見直し、2030年を見据えた新戦略を策定
          • 官民連携(PPP)を含めた案件形成の上流への積極的参画
          • スマートシティや公共交通指向型都市開発(TOD)等の推進
          • 気候変動の適応策と緩和策の推進
          • 経済安全保障上重要なインフラへの積極的関与
          • 運営・維持管理(O&M)による事業参画等を通じた案件への継続的関与
          • グリーンフィールドにおける公的機関による積極的なリスクテイク
        5. 第三国・国際枠組み等を通じた面的展開の強化
          • 日本単独で進出が難しい国々について、第三国経由での輸出促進等に向けた産業協力や拠点整備
          • 同志国との連携も含めたサプライチェーン強靱化等
          • 貿易実務等のデジタルトランスフォーメーション(DX)に資するデジタル公共基盤について、ウラノス・エコシステムとも連携しながら同志国と連携し我が国主導での構築・IPEFやAZEC等の国際枠組みを通じたインド太平洋地域における持続可能で包摂的な経済成長やGXの実現
        6. 人材育成・人材交流、文化交流
          • 人材育成・人材交流(特に大学間連携を軸とした留学を含む若者世代や、日系人の活用)や文化交流の深化
          • 対日直接投資やイノベーションの促進に資する東南アジアや南アジア等の高度外国人材の確保
          • 在外教育施設の環境整備の支援の推進
        7. OSAの活用
          • 同志国の安全保障上のニーズに応え、資機材の供与やインフラの整備等を行う、無償による資金協力の枠組みである「政府安全保障能力強化支援(OSA)」の一層の活用
        8. 不測の事態への対応
          • 貿易保険のリスク対応能力の強化等、不測の事態への対応

内閣官房 サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議
▼ 資料3 事務局説明資料
  • 現在の情勢
    • サイバー空間、海洋、宇宙空間、電磁波領域等において、自由なアクセスやその活用を妨げるリスクが深刻化している。特に、相対的に露見するリスクが低く、攻撃者側が優位にあるサイバー攻撃の脅威は急速に高まっている。
    • サイバー攻撃による重要インフラの機能停止や破壊、他国の選挙への干渉、身代金の要求、機微情報の窃取等は、国家を背景とした形でも平素から行われている。そして、武力攻撃の前から偽情報の拡散等を通じた情報戦が展開されるなど、軍事目的遂行のために軍事的な手段と非軍事的な手段を組み合わせるハイブリッド戦が、今後更に洗練された形で実施される可能性が高い
  • サイバー攻撃の変遷
    • 公開サーバへの攻撃
      • ウェブサーバ・外向けサービスへの大量送信 SQLインジェクションによる情報漏えい 等
      • ウェブサイト・インターネットバンキング等の停止
      • エストニア・2007年
    • IT系システムの侵害
      • 情報システム内部への侵入・暗号化(主に既知の脆弱性を悪用)
      • 暗号化・システム障害
      • 身代金要求
      • Wannacry・2017年 コロニアルパイプライン・2021年 大阪急性期・総合医療センター・2022年
    • 有事に備えた重要インフラ等への侵入
      • 最深部・制御系システムに至る高度な侵入能力(ゼロデイ脆弱性の積極活用など)高度な潜伏能力(Living-off-the-Landなど)
      • インフラ機能停止
      • ウクライナ・2015年/2022年等 Volt Typhoon・2023年
    • 機微情報の窃取の危険
      • 情報システムへの権限外アクセス・利用
      • 機密情報の漏えい・悪用
      • Black Tech・2023年
  • ウクライナに対する主なサイバー攻撃(報道ベース)
    • 侵略開始以前
      • ロシアは、侵略開始の1年以上前から、ウクライナの政府機関や重要インフラ等の情報システム・ネットワークに侵入し、破壊的サイバー攻撃を準備。侵略開始の1月程度前から、破壊的なサイバー攻撃等を開始。
      • 特に侵略前日には約300のシステムを対象とした大規模な破壊的サイバー攻撃を実施。
    • 2022年2月 衛星通信に対する攻撃
      • 2022年2月24日、米Viasat社が提供する衛星通信サービス(KA-SAT network)が利用不能に。ウクライナ国内に限らず、ドイツの風力発電所等にも影響が拡大。
    • 2022年4月 高圧変電所に対する攻撃
      • 2016年の攻撃に用いられたマルウェアの亜種(Industroyer2)による高圧変電所への攻撃が確認されているが、ウクライナサート(CERT-UA)等の支援により、大規模停電には至らず。
    • 2022年10月 変電所に対する攻撃
      • 2022年10月、ウクライナの変電所が攻撃を受け、停電が発生。攻撃者は同年6月までにはシステムへの侵入に成功。
      • 侵入先の正規ツールを悪用する「現地調達型の攻撃」(living-off-the-land)により変電所のブレーカーを遮断し、ミサイル攻撃と同時に停電を発生。その後、マルウェア”CaddyWiper”を展開し、システムを破壊。
  • 最近のサイバー攻撃の動向(事前配置(pre-positioning)活動)
    • 2023年5月、ファイブ・アイズ5か国及びマイクロソフト社が、中国背景とされるサイバー攻撃グループVolt Typhoonについて、注意喚起を発出。概要以下のとおり。
    • 有事における機能不全を念頭に置いた、重要インフラへの事前のアクセス確保(pre-positioning)を目的としたサイバー攻撃が発生
    • 長期間の潜伏に必要な高度な検知回避能力が特徴
      • ネットワーク機器の脆弱性を突いて侵入。ゼロデイ脆弱性も悪用
      • マルウェアを使わず、正規ユーザになりすまし、正規ツールを駆使(Living off the Land)
      • 侵入痕跡となるログの消去 等
    • 米国においては、本土及び島嶼部の米軍基地にサービスを提供する重要インフラ(通信、エネルギー、水道など)への攻撃の脅威が高まっている
  • 国家安全保障戦略(抄)
    • サイバー空間の安全かつ安定した利用、特に国や重要インフラ等の安全等を確保するために、サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる。【略】
    • 武力攻撃に至らないものの、国、重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃のおそれがある場合、これを未然に排除し、また、このようなサイバー攻撃が発生した場合の被害の拡大を防止するために能動的サイバー防御を導入する。そのために、サイバー安全保障分野における情報収集・分析能力を強化するとともに、能動的サイバー防御の実施のための体制を整備することとし、以下の(ア)から(ウ)までを含む必要な措置の実現に向け検討を進める。
      • (ア)重要インフラ分野を含め、民間事業者等がサイバー攻撃を受けた場合等の政府への情報共有や、政府から民間事業者等への対処調整、支援等の取組を強化するなどの取組を進める。
      • (イ)国内の通信事業者が役務提供する通信に係る情報を活用し、攻撃者による悪用が疑われるサーバ等を検知するために、所要の取組を進める。
      • (ウ)国、重要インフラ等に対する安全保障上の懸念を生じさせる重大なサイバー攻撃について、可能な限り未然に攻撃者のサーバ等への侵入・無害化ができるよう、政府に対し必要な権限が付与されるようにする。
    • 能動的サイバー防御を含むこれらの取組を実現・促進するために、内閣官房サイバーセキュリティセンター(NISC)を発展的に改組し、サイバー安全保障分野の一元的に総合調整する新たな組織を設置する。そして、これらのサイバー安全保障分野における新たな取組の実現のために法制度の整備、運用の強化を図る。
  • 主要国における官民連携等の主な取組
    • 欧米主要国は、近年、高度な攻撃に対する支援・情報提供や、ゼロデイ脆弱性の早期対処に必要な枠組みを強化。脅威ハンティング部門の設置やクリアランス活用のほか、製品ベンダの役割明確化等が進められている。
    • 同時に、政府の対処・情報収集能力を支えるためのサイバー対応機能の一元化や、重要インフラ事業者に対するインシデント報告の義務化が進められている
  • 外国におけるアクセス・無害化に関する取組例
    • 【事例】米当局による取組
      • 2023年5月、米国、カナダ、豪州、ニュージーランド及び英国は、中国の支援を受けたハッカーグループであるVolt Typhoonによるルータへの侵入や更なるハッキング、情報窃取への利用を合同で注意喚起。
      • 米当局は、Volt Typhoonによる感染ルータがKV Botnet(ボットネット:マルウェアによるネットワーク)を構成していると特定。感染ルータに対し、マルウェアの通信プロトコルを用いて、マルウェアを当該ルータから削除するコマンドを送信するなど、必要な措置を実施。
        • (注)本事例のほか、
          • 英当局による特定のAPT(高度な持続的な脅威)が用いる技術の弱体化等の取組
          • カナダ当局による政府ネットワークからの情報窃取防止を目的としたサイバー犯罪者の海外サーバの無効化等の取組
            等が行われていることが公開資料等から明らかとなっている。
      • 他方、こうした活動は秘密の活動として行われているものが多く、以上についても詳細は明らかになっていない
  • 現行制度上の課題
    • 官民連携の強化(ア)関係
      • 高度な侵入・潜伏能力に対抗するため、政府の司令塔機能、情報収集・提供機能の強化が不可欠
      • 整理が必要な法令の例:サイバーセキュリティ基本法、各種業法
    • 通信情報の活用(イ)関係
      • 悪用が疑われるサーバー等の検知には、「通信の秘密」を最大限に尊重しつつも、通信情報の活用が不可欠
      • 整理が必要な法令の例:憲法21条(通信の秘密)
    • アクセス・無害化措置(ウ)関係
      • 重大なサイバー攻撃の未然防止・拡大防止を図るためには、政府に侵入・無害化の権限を付与することが不可欠
      • 整理が必要な法令の例:不正アクセス禁止法
    • 上記の取組を実現・促進するため、強力な情報収集・分析・対処調整機能を有する新たな司令塔組織を設置することが必要。

内閣官房 新しい資本主義実現会議(第28回)
▼ 資料1 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版案
  • 2024年の改訂の考え方
    • 「新しい資本主義」では、成長と分配の好循環、賃金と物価の好循環を実現することを目指してきた。
    • まず「賃金」が上がる。その結果、「消費」が活発化し、企業収益が伸びる。それを元手に企業が成長のための「投資」を行うことで、「労働生産性」が上がり、賃金が更に持続的に上がるという好循環を実現する。これにより、「コストカット型の経済」から「成長型の新たな経済ステージ」へと移行することを目指してきた。
    • 他方、これまでの30年間のデフレ経済下では、生産性が上がれば賃金が上がると言われていたものの、実際には企業収益が伸びたときですら、賃金は上がらなかった。
    • 長年にわたり染み付いたデフレ心理を払拭し、「賃金が上がることは当たり前」という方向に、社会全体の意識を一気呵成に変えることが必要である。
    • 当初から、新しい資本主義では、以下の3点をテーマとして掲げた。
      1. 「市場も国家も」「官も民も」による新たな官民連携
      2. 課題解決を通じての新たな市場の創造、すなわち社会的課題解決と経済成長の二兎の実現
      3. 課題解決を通じての一人ひとりの国民の持続的な幸福の実現
    • また、基礎的条件としての経済安全保障の徹底。
    • これらの点は、2022年6月に閣議決定したグランドデザイン及び実行計画、2023年6月に閣議決定した2023年改訂版で一貫して主張してきた。
    • また、その実現に当たっては、分配の目詰まりの解消、官民連携による成長力の確保、民間も公的役割を担う社会の実現の3点に注力してきた。具体的には、官民連携による賃上げ、設備投資、スタートアップ育成、イノベーションの推進を同時に拡大するための施策を実施するとともに、新たな官民の連携を粘り強く呼び掛けてきた。
    • 今般、2回目の実行計画の改訂にあたり、新しい資本主義実現会議において審議を繰り返したところ、こうしたこれまでの新しい資本主義の取組の方向性は正しかったこと、そして、デフレから完全に脱却する歴史的チャンスを手にするという合意に至った。
    • 私たちは、昨年を大きく上回る春季労使交渉での賃上げ、史上最高水準の設備投資、史上最高値圏の株価といった成果を手にしている。しかしながら、我が国のデフレ脱却への道は、いまだ道半ばである。
    • 年初来、対米ドル円レートは1割程度円安が進んでおり、その影響は半年から1年かけて物価上昇率に反映される可能性がある。政府と日本銀行には、緊密に連携し、経済・物価動向に応じて機動的な政策運営を行っていくことにより、2%の物価安定目標を持続的・安定的に実現することが求められる。その際、年初来進行している円安の影響が、今後物価に反映されてくることも踏まえ、円安が今後の物価に与える影響についても十分に注視する必要がある。
    • デフレを抜け出すチャンスをつかみ取れるか、後戻りしてしまうかは、今回の実行計画の改訂に基づく、これからの対応次第である。物価高を乗り越えるために、今年、物価上昇を上回る所得を必ず実現し、来年以降に、物価上昇を上回る賃上げを必ず定着させる。
    • 物価上昇を上回る賃上げを「定着」させるためには、中小・小規模企業の賃上げの「定着」が必要であり、このため、中小・小規模企業の「稼ぐ力」の向上に全力を挙げる。我が国の生産年齢人口は減少しつつあることに鑑み、構造的な人手不足状況の中で、これを達成するためには、省力化投資の加速的促進・仕事をしたいシニア層のための環境整備等の人手不足対策、価格転嫁等の我が国の商慣行における定着が不可欠である。
    • これらを含め、今般の実行計画の改訂において、一層の取組の具体化が必要な項目を以下に明らかにするとともに、新しい資本主義の取組全体の加速を図るため、2024年改訂版の閣議決定を行うものである。
  • 経済構造改革の加速
    • 人類は、従来の延長線上にない非連続な技術革新がもたらす歴史上大きなパラダイムシフトに直面している。テクノロジーの進化に伴う産業構造の変化が非常に速いスピードで進んでおり、テクノロジーを活用することで中小・小規模企業もグローバルに販路を広げることができる好機である。
    • また、社会課題の解決を通して、眠れる資産を活用しての新たな市場の創出、さらに、既存企業の事業の省力化や自動化、働き手のリ・スキリングによる労働生産性の向上、といった潜在能力を我が国は秘めている。
    • 成長と分配の好循環を図り、賃金と物価の好循環をより実感の伴う形で本格化させるためには、大局的な視座のもと各産業分野の構造的課題を把握した上で、政策を組み合わせ、経済構造の改革を成し遂げなければならない。
    • 世界でも人口減少・少子高齢化にいち早く直面する我が国においては、人材・資源・資金・データが円滑に循環することで、スパイラル状に付加価値を高め、継続的な所得向上を実現する成長戦略として、以下の3つの循環を作り出していく。
      1. 生産性を高め供給を増やす循環:人口減少を機会と捉え、産業の革新(スタートアップの成長、既存企業のイノベーション・事業承継・M&A)を促し、リ・スキリングと労働移動を通じて供給サイドを強化することで、継続的な所得向上を実現する。
      2. 需要を増やす循環:社会課題解決を通して需要を開拓し、対価を伴う付加価値の高い解決策を生み出すことで新たな市場を創出・拡大し、その成果を可視化していく。
      3. 海外と繋がる循環:海外との双方向の繋がりによって、ソリューションの海外展開、投資や人材の流入を促し、市場拡大を加速させる。
    • 社会課題はブルーオーシャンであり、コストは成長のための投資であるという考えの下、更なる成長・生産性向上のために、関連する様々な産業において人材・資源・資金・データ等の循環を阻害する規制や商慣習等の「目詰まり」を解消し、構造改革につなげていくことが必要である。旧来の硬直的な規制や経済構造等の「壁」を改革すべく、従来の産業や分野の括りに囚われることなく、政策を横断的かつ一体的に実行する。
    • これらによって、我が国が抱える社会課題の解決を通して、所得や幸福感(ウェルビーイング)が継続的に向上する状況を作り出すことで、ひとりひとりが明日は今日よりも良くなると実感できる社会を目指す
  • AI
    • 生成AIは社会経済システムに大きな変革をもたらす一方で、偽・誤情報の流布や犯罪の巧妙化など様々なリスクも指摘され、安全・安心の確保が求められる。
    • 米国企業等が先行する中、我が国もそれに追随すべく計算資源の整備や大規模モデルの開発が進んでおり、また、小規模・高性能なモデルや複数モデルの組合せの開発等、新たな研究も進んでいる。
    • AIの開発や利活用等のイノベーションが社会課題の解決や我が国の競争力に直結する可能性がある。生成AIを含むAIの様々なリスクを抑え、安全・安心な環境を確保しつつ、イノベーションを加速する。加えて、我が国が主導する広島AIプロセス等を通じて、今後も国際的にリーダーシップを発揮していく。
    • AIのイノベーションとAIによるイノベーションの加速
      • AIの研究開発力の強化とAIの利活用を一体的に官民が連携して進めていくとともに、計算資源等のインフラの高度化や人材の育成・確保に取り組む。AIの進化のためにはデータが不可欠であり、AI関連の政策をデータ戦略と連携して実施する。
        1. 研究開発力の強化
          • AI開発に不可欠な計算資源を諸外国に対して劣後せず、幅広い開発者が利用できるよう、引き続き官民で整備を進める。
          • モデルの高効率化や高精度化、マルチモーダル化(テキスト、画像、音声、動画等の様々な情報を同時に処理・解析する機能)、リスクの低減化等の研究開発、質の高い日本語データ及び産業競争力を有する分野のデータの整備・拡充を産学連携で進めるとともに、革新的な技術を有するスタートアップを支援する。
          • 医療や創薬、マテリアル等の分野で日本の強みである科学研究データ創出基盤の強化(AIfor Science:科学の成果を得るためにAIを活用すること)や労働力不足の解消やGX等に資する革新的なAIロボット等の研究開発・実装等を官民で加速するとともに、「富岳」の次世代となる優れたAI性能を有する新たなフラッグシップシステムの開発・整備に着手する。
        2. AI利活用の推進
          • 「ChatGPT等の生成AIの業務利用に関する申合せ(第2版)」を更に前進させ、他機関のモデルともなるよう、政府によるAIの適切な調達・利用、得られた知見の共有を進める。また、各産業分野におけるAIの利活用を促進する。
          • ユーザーや開発者が委縮することなくAI利活用・開発を進められるように、個人情報保護法、著作権法、各種業法など留意すべき制度の運用を明確化する。
        3. インフラの高度化
          • データセンターの大規模化・分散化と省電力化、6G(ビヨンド5G)等のネットワークシステムの高度化、AI半導体等のキーデバイスの実現等に向け、研究開発を促進するとともに、AIに不可欠なインフラへの民間投資の拡大を図る。
        4. 人材の育成・確保
          • AIスキルの習得、AIリテラシー向上のための教育コンテンツの充実・普及啓発を図る。次世代のAI開発等を担う若手研究者や博士後期課程学生の研究費や生活費を支援する。
    • 安全・安心の確保
      • AI利用の安全・安心の確保については、我が国は、「AI事業者ガイドライン」に基づく事業者等の自発的な取組を基本としているが、今後、AIに関する様々なリスクや、規格やガイドライン等のソフトローと法律・基準等のハードローに関する国際的な動向等も踏まえ、制度の在り方について検討する。
        1. AIの安全性に関する制度の検討
          • 幅広い業種にAI事業者ガイドラインの周知・浸透を図る。
          • 本年5月のAI戦略会議で了承された「AI制度に関する考え方」等を踏まえ、今夏にAI戦略会議の下で開催するAI制度研究会(仮称)において、医療、自動運転、金融等の社会への影響が大きい分野を含めて制度の在り方の検討に着手する。
        2. AIの安全性に関する知見の集約
          • 独立行政法人情報処理推進機構に設置されるAIセーフティ・インスティテュート(AISI)は、AIの安全性の中心的機関として、専門人材の育成・確保、先進的な技術的知見の集約等を進める。
        3. 偽・誤情報への対策
          • 生成AIを利用したものを含め、ネット上に流通・拡散する偽・誤情報や、SNS上のなりすまし型偽広告への対応等について、国際動向を踏まえつつ、技術・研究開発の推進、民間を主体としたファクトチェックの推進、国際的な連携強化等、制度面も含む総合的な対策を進める。
    • 国際的な連携・協調の推進
      • 広島AIプロセス等を通じて、安全・安心で信頼できるAIの実現に向け、国際的な取組を引き続き主導するとともに、アジア諸国やグローバル・サウスとも協調しながら、共同開発・イノベーション創出を引き続き推進する。
      • 広島AIプロセスの成果を更に前進させるべく、広島AIプロセス・フレンズグループを活用したG7外へのアウトリーチや、AISIの国際的なネットワークによるAIの安全性の方策検討等を進める

内閣官房 デジタル行財政改革会議(第6回)議事次第
▼ 資料1 デジタル行財政改革交通分野の取組と主な成果等について
  • 移動の足不足の解消について
    1. 目指すべき社会像
      • 大都市、中小都市及び観光地など全ての地域で、住民・観光客が、必要時に、円滑に移動できる「移動の自由」が確保される社会を目指す。
    2. これまでの取組・主な成果(規制改革推進会議答申(5/31)において国土交通省等所管省庁との合意の上記載)
      • タクシー・バス等のドライバーの確保(地理試験廃止、2種免許試験の20言語への多言語化(2024年2月)、法定研修の期間要件撤廃(同3月)、2種免許技能教習の一日当たりの上限時間の延長(同6月) 等)
      • 自家用有償旅客運送の制度改善(地域公共交通会議の迅速化、交通空白地の定義柔軟化等)
      • 自家用車活用事業の創設・バージョンアップの検討(タクシー不足の地域・時期・時間帯において、タクシー事業者が運送主体となり、地域の自家用車・ドライバーを活用(2024年4月)。対象地域の足不足の状況をモニタリングし、不断にアジャイルなバージョンアップを直ちに検討(雨天、電車トラブル、イベントへの柔軟な対応等)。その他の地域についても首長主導の柔軟な取組を可能とする新制度活用を推進。また、タクシーと自家用車活用事業に共通で適用される、新たなダイナミックプライシングなど、需要と供給に応じた柔軟な運賃・料金のあり方を検討。)
    3. 参考 今後の課題に関する規制改革推進会議意見
      • タクシー事業者以外の者によるライドシェア事業を位置付ける法制度について、内閣府・国土交通省の論点整理を踏まえ、次期通常国会への法案提出も視野に、年末に向けて、法案化作業を直ちに開始すべき。
    4. これからの取組
      • 今年度から開始された自家用車活用事業等の効果を適切に把握し、不断かつ大胆なバージョンアップを実施するとともに、データを充実させた上で、全国でのモニタリングを進め、検証を実施。その一環として、できるだけ早期に、その時点での検証結果の評価を実施。
      • 少なくとも年内は、内閣府及び国土交通省においてモニタリング、検証を継続し、日本全国の移動の制約の解消状況を精査する。
      • 並行して、地域交通の「担い手不足」や「移動の足」不足への対策として十分でないと合理的に考えられる場合に備え、デジタル原則に則り、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業について、内閣府及び国土交通省が行った論点整理を踏まえ、法制度を含めて事業の在り方の議論を国土交通省とともに進める。
  • モビリティ・ロードマップ2024(案)の概要
    • 地域の交通サービスをめぐる現状と課題
      • 人口減少に伴う需要密度の低下による公共交通サービスの事業採算性の悪化
      • 交通を支える運転業務従事者の人手不足
    • 新たなモビリティサービスの出現と課題
      • 海外では、技術の進歩等により、自動運転等新たな業態やサービスの導入が開始
      • 米国や中国の先進的な事例をみると、自動運転はデータの蓄積・活用を進め、技術を飛躍的に向上
    • 求められる施策
      • 需要の可視化や移動需要の効率化、創出によるモビリティサービスの生産性の向上(需要側からのアプローチ)
      • 自動運転技術の事業化によるドライバー不足への対応(供給側からのアプローチ)
    • 基本的な考え方
      • 需要側・供給側アプローチに関する施策を各取組主体が同時に実施し、新たなモビリティサービスの社会実装を推進
  • 事故等が発生した場合の責任制度その他のAI時代における自動運転車の社会的ルールの課題と目指すべき姿
    • 高齢者によるペダルの踏み間違い事故など、人間の運転者によるミスに起因した交通事故が社会問題化
    • 2023年に発生した自動車※1関連の交通死亡事故2,288件のうち、第1当事者※2が自動車の場合は2,021件、全体の88.3%。
    • 高齢者に対する自主的な免許返納の呼びかけは、特に、公共交通等の移動手段が不足している地域において効果が限定的。
    • 地域公共交通における人手不足が深刻化⇒新たな地域交通の手段として、安全な自動運転車の早期社会実装への期待が一層向上。
    • これまでの研究開発等の取組に加え、社会的ルール面での環境整備を進め、社会実装の更なる加速を目指す。
  • 目指すべき姿
    • 具体化・定量化された保安基準/ガイドラインを作成し、自動運転車による交通ルールの遵守方法を明確化
    • 検証・分析のための情報共有の仕組みを構築し、必要に応じた再発防止に向けた保安基準/ガイドラインのアップデート
    • 適正・合理的な内容の保安基準/ガイドラインに適合していた事実が、行政・刑事・民事の責任判断時に適切に考慮されるような制度の設計又は運用
    • 法的権限を持ち、職権行使の独立性が保障されている運輸安全委員会のような事故調査機関を設置
    • 客観性・信頼性の高い事故調査結果の公表

内閣官房 紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合
▼ 紅麹関連製品に係る事案を受けた機能性表示食品制度等に関する今後の対応
  1. 今回の事案を踏まえた当面の対応
    • 食品衛生法上の措置の対象となる製品の特定
      • 回収命令の対象となった3製品と同じ原材料を使用している製品について各企業に自主点検を依頼
      • この3製品を除いて、食品衛生法第6条第2号に該当しないことが確認された
    • 健康被害の原因の究明
      • 健康被害が多く報告されている製品の原料ロットに、プベルル酸のほか2つの化合物(C28H42O8、C23H34O7)が含まれる。また、2つの化合物はモナコリンKと基本骨格が類似
      • 工場内の青カビ(Penicillium adametzioides)が、培養段階で混入し、コメ培地を栄養源としてプベルル酸を産生したと推定
      • 青カビが紅麹菌との共培養により、モナコリンKを修飾して2つの化合物が生成されたと推定
      • プベルル酸については腎障害が確認されたが、2つの化合物については、引き続き、動物実験においてこれらの寄与度を確認することが必要
    • 今回の事案を受けた機能性表示食品制度の今後の在り方の検討
      • 機能性表示食品として届け出られている約7,000件の製品について、医療従事者からの健康被害情報の有無等を届出者に回答するよう依頼
      • 消費者庁に報告を要することとなる「健康被害の発生及び拡大のおそれがある」場合としては、短期間に特定の製品への症例の集積がみられる状況が考えられるが、今回の調査で得られた情報からは回収命令の対象製品に係る報告を除き、これに該当する場合と直ちに判断できるものはなかった
      • 消費者庁では、「機能性表示食品を巡る検討会」を設置し、報告書を取りまとめ
    • その他の取組
      • 日本腎臓学会を通じて得られた189症例の病像の把握に取り組み、以下の事実を公表
        • 摂取開始時期や摂取期間の長短にかかわらず、初診日は令和5年12月から令和6年3月に集中していること(大阪市が5月15日時点で解析した2050症例についても同様の傾向)
        • 患者の約8割は対象製品の摂取を中止することで症状が改善する傾向があること
        • 各種検査結果及び腎生検の結果から、近位尿細管の障害が生じたことが推測されること
  2. 今回の事案を踏まえた今後の対応
    • 健康被害の情報提供の義務化
      • 事業者の責任において機能性関与成分によって健康維持・増進に資する特定の保健目的が期待できる旨を表示し、反復・継続して摂取されることが見込まれる機能性表示食品について、事業者(届出者)は、健康被害と疑われる情報を収集し、健康被害と疑われる情報(医師が診断したものに限る。)を把握した場合は、当該食品との因果関係が不明であっても速やかに消費者庁長官及び都道府・県知事等に情報提供することを、食品表示法に基づく内閣府令である食品表示基準における届出者の遵守事項とする
      • 提供期限については、重篤度等に対応した明確なルールを設ける
      • 食品表示法に基づき、これらを遵守しない場合は機能性表示を行わないよう指示・命令する行政措置が可能
      • 食品衛生法に基づく食品衛生法施行規則においては、食品全般について、健康被害と疑われる情報(医師が診断したものに限る。)を把握した営業者は都道府県知事等に情報提供するよう努めなければならないとされているが、機能性表示食品を製造・販売等する営業者(届出者)に対しては、都道府県知事等への情報提供を、食品衛生法施行規則において義務付ける
      • 情報提供の義務化により、違反した場合は食品衛生法に基づいて営業の禁止・停止の行政措置が可能
      • 都道府県知事等に提供された健康被害の事例については、引き続き、厚生労働省に集約し、医学・疫学的に分析・評価を行った上で、定期的に結果を公表
    • 機能性表示食品制度の信頼性を高めるための措置
      • GMPの要件化
        • 製造工程管理による製品の品質の確保を徹底する観点から、機能性表示を行うサプリメントについてはGMPに基づく製造管理を食品表示法に基づく内閣府令である食品表示基準における届出者の遵守事項とする
        • 届出者が自主点検をするとともに、必要な体制を整備した上で消費者庁が食品表示法に基づく立入検査等を行う
      • その他信頼性の確保のための措置
        • 新規の機能性関与成分に係る機能性表示の裏付けとなる安全性・機能性の課題について科学的知見を有する専門家の意見を聴く仕組みの導入等、消費者庁における届出時の確認をより慎重に行う手続(販売前提出期限の特例)を食品表示基準に明記
        • 届出後の定期的な自己評価・公表など、届出後の遵守事項の遵守を要件化
        • PRISMA2020の準拠について令和7年4月からの新規届出から導入
        • 事後チェックのための買上げ事業の対象件数の拡充
        • 特定保健用食品(トクホ)との違いや摂取上の注意事項の記載方法などの表示方法や表示位置などの方式の見直し
    • 情報提供のD X化、消費者教育の強化
    • 国と地方の役割分担
      • 複数の重篤例又は多数の健康被害が短期間に発生するなど緊急性の高い事案であって、
      • 食品の流通形態などから広域にわたり健康被害が生じるおそれがあり、全国的な対応が求められるもの
        のうち、健康被害の発生機序が不明であり、その特定のために高度な調査が必要だと国が判断した事案については、都道府県等と連携しつつ、必要に応じて国が対応する
  3. 今回の事案を踏まえた更なる検討課題
    • 健康被害の原因究明を進めつつ、科学的な必要性がある場合には、本件及び同一の事案の発生を防止するための食品衛生法上の規格基準の策定や衛生管理措置の徹底を検討する
    • 特定保健用食品(トクホ)についても、Ⅱの1及び2(1)と同様の措置を許可制度の運用上講ずることを速やかに検討する
    • 機能性表示食品制度に対する信頼回復に向けた届出者による表示の適正化等の自主的な取組を促進する
    • 食品業界の実態を踏まえつつ、サプリメントに関する規制の在り方、許可業種や営業許可施設の基準の在り方などについて、必要に応じて検討を進める※平成30年の改正食品衛生法において施行後5年(令和7年6月)を目途とした検討規定が設けられている

内閣官房 国と地方の協議の場
▼ 資料 「骨太方針」の策定等について
  • デジタル化の推進
    • 地方団体の基幹業務システムの標準準拠システムへの移行を支援するデジタル基盤改革支援補助金については、上限額が必要額に達していない自治体もあることから、国として必要な額を把握し、全額国庫補助により確実に措置するとともに、影響を受ける全てのシステムの改修等に対する経費についても財政的支援を確実に行うこと。
    • 令和7年度を期限とする地方自治体の基幹業務システムの標準化とガバメントクラウドへの移行については、住民サービスの低下を招くことなく安全・確実に移行できるよう、地方自治体の推進体制や進捗状況及びベンダの対応状況等も踏まえ、適切な移行期限を設定するとともに、令和8年度以降の移行に伴う経費についても確実な財政支援を行うなど、柔軟に対応すること。
    • ガバメントクラウドの利用料については、先行事例や既にクラウドで運用している地方自治体の実証分析等を行った上で、地方自治体の意見を丁寧に聴きながら協議を進めるとともに、国と地方自治体のネットワーク統合等により地方自治体の負担増とならないよう配慮すること。
    • 光ファイバ、5G等のデジタル基盤の整備については、国の整備計画に基づき、着実な推進を図ること。光ファイバ等については、過疎地域等の整備条件が厳しい地域での整備が進むよう、支援制度の拡充に取り組むとともに、ユニバーサルサービス制度の開始までの間も未整備地域の解消が進むよう、不採算地域における整備が行われた場合の維持管理費に係る支援制度を新たに設けること。また、公設施設の民間移行が円滑に進むよう、支援制度の創設を含め、取組の強化を図ること。
    • 5Gについては、全ての地域において、十分な通信品質を確保した上で都市部に遅れることなく、基地局の整備促進を図ること。ローカル5Gについては、これまでの開発実証の成果を踏まえ、より柔軟にエリア構築が可能となるよう、今後の普及促進に向けた取組を進めること。
    • 4G等の無線ブロードバンドサービスについて、山間部の道路や耕作地などの不採算地域での整備が進むよう、同サービスの維持管理費についても、有線ブロードバンドサービスと同等の支援制度を創設するとともに、整備の促進に向け支援制度の拡充に取り組むこと。
    • マイナンバー制度の安全・安定的な運用に向けて、国において、国民の制度への理解促進に向けた取組の強化等により、安心してサービスを利用できる環境を構築すること。マイナンバーの利用範囲について、セキュリティ確保や個人情報保護との両立を図りつつ、更なる住民サービスの提供や民間サービス等との連携が進むよう、その拡大を図ること。また、マイナンバーカードの電子証明書の更新手続について、手続可能な場所の拡充及びオンラインによる更新の実現を図ること。さらに、カードの利便性向上に向けて、各種免許証等との一体化などの取組について、確実な実現を図ること。
    • 地方においてはデジタル人材の不足が喫緊の課題であることから、国において、人材不足の解消と都市部からの人材還流促進の取組を強化し、全国各地におけるデジタル人材の育成・確保を着実に進めること。
    • 国において、全ての人が身近な場所で、デジタル技術の活用に関する相談や学習を行える体制・環境の整備を引き続き行うとともに、多様な情報の中から必要な情報を選別し、主体的に利用できるICTリテラシーの向上を支援すること。また、「デジタル推進委員」の取組については、地方自治体と連携して、地方で活躍できる仕組みを構築するなど、効果的な取組になるよう、デジタル活用の促進を図ること。
    • デジタル・ガバメントの構築に向けては、庁内ネットワークにおける高度なセキュリティ対策が必要となることから、「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」の継続的な見直しに取り組むとともに、同ガイドラインに基づき、地方自治体が実施するセキュリティ対策の強化に対して、技術的・財政的支援を行うこと。
    • 地方自治体の情報システムについて、標準化に伴う運営経費等の減少額を地方行政のデジタル化や住民サービスの維持・向上のための経費に振り替えるなど、地方財政計画において適切な措置を講じること。
    • デジタル行財政改革における「国・地方デジタル共通基盤の整備・運用」ついては、自治体の規模や地域の実情、ニーズを十分に踏まえる必要があることから、国と地方が一体となって取組が進められるよう、地方現場の意見を丁寧に聞き、反映させること。
  • 脱炭素社会の実現に向けた取組
    • 地域の脱炭素化に当たっては、まず国がイニシアティブを発揮し、関係主体の取組を促進すること。また、関係主体が相互に補完し、相乗効果をより一層高められるよう、関係主体の取組や意見を十分に尊重しながら、地域の実施体制を積極的に支援すること。
    • 地域脱炭素移行・再エネ推進交付金及び特定地域脱炭素移行加速化交付金について、予算規模や交付対象、事業期間等を大胆に拡充するとともに、地域の実情に合わせた柔軟な活用ができる制度となるよう、より一層の運用改善を行うこと。また、国庫補助事業の地方負担分や地方単独事業に対しても、十分な地方財政措置を確実に講じること。
    • 公共施設等の脱炭素化の取組を計画的に実施できるよう、令和5年度に創設された脱炭素化推進事業債による支援を継続・強化すること。
    • 洋上風力発電をはじめとする再生可能エネルギーの主力電源化に向け、導入を強力に促進するとともに、地域間融通できる送電網の強化や大型蓄電池の開発促進を着実に図ること。また、発電設備の導入、管理、廃棄が適正に実施されるよう、地方自治体の意見を十分に反映し、制度の充実・改善を図ること。その際、地方自治体に過度な負担が生じないよう配慮すること。
    • 住宅・建築物における省エネ性能等の向上が促進されるよう、国費による十分な財政措置を行うなど、必要な支援策を講じること。
    • 将来の人口構造等を見据えたエネルギーの自立分散化、グリーンインフラの整備、スマートムーブ(カーシェアリング、EV、FCV、公共交通、自転車活用)の推進など、国民の利便性だけでなくエネルギーの効率化、ひいては防災・減災にもつながるインフラ整備を推進すること。
    • 一般廃棄物処理施設の更新需要の集中が想定される中、老朽化した廃棄物処理施設の更新は脱炭素化にも資するため、計画的な施設整備に必要となる循環型社会形成推進交付金等については、所要の財源を確保すること。
  • 防災・減災対策の推進と強靱な国土づくり
    • 東日本大震災からの復旧・復興事業が完了するまでの間、国の責任において所要の財源を十分に確保し、万全の財政措置を講じること。また、ALPS処理水に係る風評をはじめ、いまだ根強く残る風評被害の解決に向け、国内外への正確かつ効果的な情報発信等の対策を引き続き強力に推進すること。
    • 令和6年能登半島地震では、多くの尊い人命が失われた他、住宅やライフラインも深刻な被害を受け、今なお、多くの被災者が避難生活を強いられている。国は、被災自治体と連携して、被災地の復旧復興、被災者の生活再建を、人材面、財政面から強力に支援すること。
    • 切迫性が指摘される南海トラフ地震や首都直下地震など、国難レベルの大規模地震や、頻発化・激甚化する大規模な風水害など、いつ起きてもおかしくない災害への対応は喫緊の課題であることから、今般の能登半島地震の課題を検証し、災害対策の強化を図ること。
    • 近年、大規模な災害により、住民生活の安全・安心が脅かされる事態が生じていることから、道路、河川、砂防、上下水道等の社会資本整備を集中的に推進するため、防災・安全交付金、社会資本整備総合交付金等を確保し、適切に配分すること。また、被災地の復旧・復興対策等に係る国庫補助金や特別交付税をはじめとした地方財政措置による十分な財政支援を講じるとともに、補正予算を含めた機動的な対応を図ること。
    • 改正された宅地造成及び特定盛土等規制法に基づき、区域指定のための基礎調査が必要となるが、調査の実施や指定に係る地元市町村との調整など、地方自治体の果たす役割が大きく、事務負担や経費の増加が見込まれることから、負担軽減に向けた制度設計を検討するとともに、必要となる予算措置及び技術的支援、隣接都道府県間の調整等について、国の責任において確実に行うこと。
    • 「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」をはじめ、国土強靱化の計画的な取組に必要な予算・財源については、これまでのペースを緩めることなく、例年以上の規模で確保すること。また、改正国土強靱化基本法を踏まえ、5か年加速化対策完了後においても、切れ目なく国土強靱化の取組を進めるため、国土強靱化実施中期計画を令和6年内のできるだけ早い時期に策定し、当初予算を含め、必要な予算・財源を通常予算とは別枠で確保すること。
    • 令和6年度に事業期間が終期となる「緊急浚渫推進事業債」については、近年頻発化・激甚化する豪雨災害等への対応が引き続き必要であるため、制度を延長すること。
    • 「公共施設等適正管理推進事業債」について、地方の実情を踏まえ、より弾力的で柔軟な運用や拡充等を行うとともに引き続き、十分な財源を確保すること。
    • 大規模災害がもたらす被害の軽減や復旧・復興期間の短縮を目指し、ハード・ソフトの両面で事前の予防対策から復旧・復興までを見据えた自由度の高い施設整備交付金の創設等、地方において主体的、計画的に事前復興に取り組むことができる新しい財政支援制度等を創設すること。
    • 「流域治水」の考え方に基づき、水害・土砂災害対策の強化に向け、堤防整備、ダム建設・再生、砂防施設整備等への財政支援の拡充を図ること。また、適時的確な避難指示等の発令に資する危機管理型水位計や河川監視カメラの増設、新たな技術を活用した防災情報の高度化、災害リスクの高い土地の利用規制や安全な土地への移転誘導などハード・ソフト両面の充実強化を図るため、大幅な予算の拡充など必要な措置を講じること。
    • 地方が整備する光ファイバが風水害などにより被害を受けた場合の災害復旧事業については、道路等の公共インフラと同様の復旧に係る財政支援措置を講じること。
    • 巨大地震等に備え、医療機関の耐震化や高台移転、資機材の整備、救護活動に当たることができる人材の育成・確保など、医療救護体制の充実を図る取組に対する財政的支援を一層充実・強化すること。
    • 被災者生活再建支援制度について、支給額増額、適用条件の緩和や国負担の強化など、更なる充実を検討すること。
    • 豚熱について、より適切なワクチンの接種方法を引き続き検討するとともに、農場の飼養衛生管理向上や発生農家の再生に向けた支援策の充実を図ること。また、野生イノシシ対策については、捕獲や経口ワクチン散布、豚熱の検査に必要な予算を確保すること。さらに、部分的殺処分に係る研究・検証や発生時における財政支援の拡充などを行うこと。
    • アフリカ豚熱の水際対策を一層強化するとともに、国自ら早期の封じ込めを図るための初動方針の策定や必要資材の備蓄など、まん延防止に向けた体制を構築すること。
    • 高病原性鳥インフルエンザの発生予防及びまん延防止に係る支援制度の拡充や、施設整備等に対する継続的な財政支援を行うこと。特に、大規模農場での発生は、地域経済や消費生活への影響が大きいことから、農場での分割管理が円滑に進むよう、集卵施設など新たに必要となる施設整備等に対する支援を継続するとともに、十分な予算を確保すること。
  • 次世代を担う「人への投資」
    • 現在の教育現場は、教師の長時間勤務やいわゆる「教師不足」、特別な配慮を必要とする児童生徒の増加など、様々な課題が山積している状況にあることから、教師の働き方改革や処遇改善、学校の指導・運営体制の充実を一体的・総合的に推進すること。
    • 教師の処遇改善は、教育現場における「人への投資」であり、教師に優れた人材を確保し、学校教育の水準の維持向上を図るため、教師の勤務状況や職務等が大きく変化している実態等を踏まえ、抜本的な改善策を講じるとともに、教師の業務の内容や負荷は様々であるため、職責や負担に応じたメリハリある処遇の改善を図ること。その際、必要な財源のあり方を適切に検討した上で、所要の財政措置を講じること。
    • 地方の実情を勘案することなく、国の財政健全化のために教育費の削減を図ることは、義務教育に対する国の責任放棄であり、単に国の財政負担を地方に転嫁することになりかねず、また、強制的な学校の統廃合につながり、地域コミュニティの衰退を招くおそれもあることから、決して行わないこと。
    • 35人学級の推進に当たっては、中学校における35人学級編制の早期実現を図るとともに、教職員の確保、加配定数の改善等について、必要かつ十分な財政措置を講じること。
    • 公立小中学校施設等について、新増築・老朽化対策等の事業を計画的に実施できるよう、当初予算において必要額を確保するとともに、対象事業の拡大や補助率の引上げ及び補助単価の実態に即した改善等の財政措置の拡充を図ること。特に、空調設備の設置及び維持・管理、トイレ改修、給食施設整備等については、学習環境の早急な改善が図られるよう、引き続き十分な財政措置を講じること。
    • GIGAスクール構想で整備された端末等の更新については、ICTを活用した教育における地域格差を生じさせないよう、国費による恒久的な財政支援を講じること。また、次期ICT環境整備方針を踏まえた対応ができるよう所要の財源を確実に確保すること。加えて、高等学校段階における端末の整備・更新や、学習基盤となるプラットフォームなどの整備についても、安定的なスキームを全額国費により構築すること。
    • 学校給食費等の保護者負担の軽減を図るため、国全体として負担の在り方を抜本的に整理した上で、財源を含め具体的な施策を示すこと。
    • 高等専修学校が安定的な教育活動を行えるよう、運営経費に対する補助制度や特別交付税など地方財政措置の創設など、十分な財政支援措置を講ずること。
    • 部活動の地域連携・地域移行については、経費負担の在り方や受け皿の確保などの課題に対する明確な方針と財政負担のスキームを示すこと。また、スポーツ団体、文化芸術団体等との連携や指導者の確保等、課題は千差万別であることから、改革推進期間も含め、地域の実情に配慮し、地域格差が生じないよう十分かつ継続的な財政支援を行うこと。

内閣官房 全世代型社会保障構築会議(第18回)議事次第
▼ 資料2 全世代型社会保障構築会議の今後の進め方(案)
  • こども・子育て支援関係
    • 「加速化プラン」の実施が完了する2028年度に向けて、当面は「こども未来戦略」に沿って対応
  • 働き方に中立的な社会保障制度等関係
    • 3か月に1度程度議論
    • 年度内は年金部会(社会保障審議会)における検討状況報告、海外の動向等について有識者等からのヒアリング等を実施
  • 医療・介護制度の改革関係
    • 予算編成の進捗に応じ、年3回程度議論
    • 「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」に記載された項目の検討・進捗状況についてのフォローアップを基本
  • 地域共生社会関係
    • 3か月に1度程度議論
    • 単身高齢者等への支援のあり方のほか、地域軸の視点に基づき、介護・障害・福祉や医療も含めた横断的な提供体制の在り方についても議論

【その他(海外)】

※現在、該当の記事はありません。

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