2024/03/18

危機管理トピックス

【省庁別記事(後半)】

【経済産業省】

【2024年3月】

経済産業省 介護関連サービス事業協会が設立されます 業界と連携して介護関連サービスを振興していきます
  • 生活支援サービスや宅食サービスをはじめ、介護保険給付の対象とはならない多様なニーズに対応する公的介護保険外サービス事業等を展開する企業が業種の垣根を超えて集まり、2024年3月5日(火曜日)に「介護関連サービス事業協会(英文表記:Care-related Service Business Association)」設立宣言が行われました。(2024年度協会設立予定)
  • 「介護関連サービス事業協会」は、公的介護保険外サービスの社会的認知度の向上、適切なサービス選択ができる環境づくり、公的介護保険外サービスへの信頼を獲得できる仕組みづくりに向けて、様々な事業を推進することとしています。
  • 経済産業省としても、厚生労働省や同協会と連携しつつ、地域包括ケアシステムの強化に向けて、公的介護保険の補完的役割としての保険外サービスの産業振興に取り組んでまいります。
  • 「介護関連サービス事業協会 設立宣言」について
    • 日時 2024年3月5日(火曜日)15時30分から16時00分
    • 場所 31Builedge霞が関プラザホール
  • 参加企業・出席者(五十音順)
    • イチロウ株式会社 水野 友喜 代表取締役
    • 株式会社クラウドケア 小嶋 潤一 代表取締役CEO
    • 株式会社シニアライフクリエイト 高橋 洋 代表取締役
    • 株式会社シルバーライフ 清水 貴久 代表取締役社長
    • SOMPOケア株式会社 松澤 豊 執行役員CMO
    • 株式会社ダスキン 大久保 裕行 代表取締役 社長執行役員
    • 株式会社チェンジウェーブグループ 佐々木 裕子 代表取締役社長
    • 株式会社ツクイ 高畠 毅 代表取締役社長
    • 株式会社やさしい手 藤宮 貫太 取締役 副社長執行役員
    • ワタミ株式会社 肱岡 彰彦 常務執行役員 宅食事業本部長
  • 当日の様子
    • 主催者挨拶
      • イチロウ株式会社 水野 友喜 代表取締役
        • 公的介護保険外サービス事業を展開する10社にて、「介護関連サービス事業協会」の設立に向けた準備を進めることを、ここに宣言する。
        • 10年以上、施設介護に携わってくる中で、在宅介護を支えるための社会資源の不足によって、在宅介護を諦める姿を多く見てきた。業界全体で、公的介護保険サービスでできないことは家族がやるしかないという考え方から、必要な人にサービスが届かないことや、介護保険外というだけで得体が知れないサービスと見られることが多い状況に課題を感じていた。
        • 「介護関連サービス事業協会」が作っていく未来が、要介護者・介護をする家族の方々へ届き、大きな社会課題を解決していく道標になればと思う。
    • 来賓挨拶(経済産業省)
      • 吉田 宣弘 経済産業大臣政務官
        • 高齢者の多種多様なニーズに応えていくためには、公的介護保険サービスに加え、介護保険外サービスを含む高齢者の日常生活を支える地域資源を充実させていくことが必要である。
        • 介護する立場である家族、いわゆるビジネスケアラーの方々が、仕事と介護を両立するために必要な情報やサービスに適切にアクセスできる環境づくりも重要。
        • 今後は介護関連産業に様々な業界から企業を巻き込み、新たなイノベーションの創出や介護関連産業の成長に向けて、介護保険外サービスの選択肢の充実と、認知度の向上が進んでいくことを期待する。
    • 来賓挨拶(厚生労働省)
      • 厚生労働省 斎須 朋之 審議官(老健、障害保健福祉担当)(社会・援護局併任)
        • 今後更なる高齢者の増加が見込まれる中、高齢者が地域で自立した生活を継続することができるよう、通いの場等による社会参加活動の促進や、生活支援サービスの充実等、地域で様々な取組を行い、高齢者が自らの選択により、これらに参加する、利用できるようにすることが重要。
        • 地域で様々な取組が展開されるにあたっては、民間企業と連携し、その創意工夫に基づいた活動・サービスの普及が求められる。
        • その際、サービスの質を確保する必要があること、また国際的にもサービス基準に対する注目は高まっていることから、この取組に期待したい。

経済産業省 補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置を行いました
  • 経済産業省は、以下の事業者に対して、本日、補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置を行いました。
    • 対象事業者
      • 中部電力株式会社(法人番号 3180001017428)
      • 中部電力ミライズ株式会社(法人番号 2180001135973)
      • 東邦瓦斯株式会社(法人番号 2180001022387)
    • 補助金交付等停止措置期間及び契約に係る指名停止等措置期間
      • 本日から6ヶ月(令和6年3月5日から令和6年9月4日まで)
    • 本件の概要
      • 公正取引委員会は、特定大口都市ガスの見積り合わせ等に関し、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)違反があったとして、令和6年3月4日、関係事業者に対して排除措置命令及び課徴金納付命令を行いました。
  • これを受けて、経済産業省は、上記(1)の事業者に対して、「経済産業省所管補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置要領」第3条第1項に基づき、補助金交付等停止措置及び指名停止等措置を行いました。

経済産業省 日産自動車株式会社の下請代金支払遅延等防止法違反について
  • 本日、日産自動車より、同社において、下請法が規定する「下請代金の減額の禁止」に違反する行為が認められ、公正取引委員会により勧告を受けたとの報告を受けました。
  • このような違反行為が行われたことは、下請事業者の信頼を損ない、かつ、取引適正化を妨げるものであり、極めて遺憾です。
  • これを踏まえ、経済産業省は、同社に対し、今般の事案を踏まえた今後の取引適正化の徹底等を実施するとともに、取組状況について速やかに報告するよう求めました。
  • 今後、広く産業界に対し、代金減額がないか等の調査を実施し、その結果を踏まえ、問題ある取引慣行については、業界全体での改善に繋げるなど、産業界全体の取引適正化に引き続き取り組みます。
  • 日産自動車からの報告と経済産業省からの指示
    • 日産自動車から、今回の事案について以下の報告がありました。
      • 自社が販売する自動車の部品等の製造委託における下請事業者に対する「割戻金」の運用について、公正取引委員会から、本日付けで、下請代金の減額(下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」)第4条第1項第3号)に該当するものとして、同法第7条第2項の規定に基づく勧告を受けた。
      • 同委員会から、自社が、下請事業者(計36者)に対し、令和3年1月から令和5年4月までの間、下請代金から総額約30億円を減額していたとの事実認定がなされた(なお、本年1月に、当該下請事業者全事業者宛てに返金を実施)。
    • 日産自動車からの報告を踏まえ、同社に対し、当該下請事業者への適切な対応や、今般の事案を踏まえた今後の取引適正化に向けた取組の徹底を指示するとともに、取組の状況について速やかに報告するよう求めました。
  • 取引適正化に向けた経済産業省の対応
    • 物価上昇を上回る賃上げを中小企業でも実現するため、価格転嫁をはじめとする取引の適正化を進めることが重要である中、このような違反行為が行われたことは、下請事業者の信頼を損ない、かつ、サプライチェーン全体の取引適正化を妨げるものであり、本事案を契機に、広く産業界に対し、不合理な原価低減を目的とした下請代金の減額に係る下請法に違反する行為の未然防止に努めるよう要請します。
    • 今後、広く産業界に対し、代金減額がないか等の調査を実施し、その結果を踏まえ、問題ある取引慣行については、業界全体での改善に繋げるなど、産業界全体の取引適正化に引き続き取り組みます。

経済産業省 省エネ法定期報告情報の開示制度本格運用への参加募集を開始します
  • 省エネ法に基づく定期報告書等の情報を、事業者の同意に基づき開示する制度の本格運用を令和6年度に開始するにあたり、本制度の本格運用に参加する事業者を募集します。より多くの事業者に本制度に参加してもらうことで、業界・産業界全体の省エネ・非化石転換の取組の底上げにつなげます。
  • 制度概要
    • エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)では、事業者全体のエネルギー使用量(原油換算)が合計して1,500kl/年以上である事業者を特定事業者等注として指定し、毎年度エネルギーの使用状況等の報告を求めています。
    • (注:日本の最終エネルギー消費のうち、産業部門の約8割、業務他部門の約6割をカバーする約1.2万者)
    • 近年、サステナビリティ投資やその関連情報の開示が進展する中で、事業者の省エネ・非化石エネルギー転換の取組の情報発信を促すため、資源エネルギー庁は、昨年、省エネ法に基づく定期報告書等の情報を、特定事業者等からの同意に基づき開示する制度を創設しました。本制度について、令和5年度は、東証プライム上場企業等を対象に試行運用として実施していましたが、令和6年度からは、全ての特定事業者等を対象に本格運用を開始します。
    • 本制度により、事業者は、業界内の他社の取組を自社の省エネ・非化石転換の取組の参考とすることができ、業界・産業界全体の省エネ・非化石転換の取組の底上げに繋がることが期待されます。また、事業者によるサステナビリティ投資家を含めたステークホルダーへのさらなる情報発信や、エネルギーサービス事業者による新たなサービス開発などに繋がることも期待されます。
    • この度、資源エネルギー庁HPの省エネポータルサイトに宣言フォームを開設し、本制度の本格運用に参加する事業者の募集を開始しました。
  • 受付締切について
    • 令和6年度から本格運用に参加するためには、令和6年10月31日(木曜日)までに、宣言フォームから参加の意思を表明してください。
  • 開示情報の公開時期について
    • 本格運用に参加する各事業者の開示情報(令和6年度報告分)は、令和6年度の秋に速報版として資源エネルギー庁HPに公開します。その後、国において事業者から提出される定期報告の内容に不備がないか確認の上、令和7年に確報版を公開します。

経済産業省 「地域課題解決事業推進に向けた基本指針」を策定しました 地域の社会課題を成長のエンジンに転換していくローカル・ゼブラ企業の創出へ
  • 中小企業庁は、地域の社会課題解決の担い手となるゼブラ企業(「ローカル・ゼブラ企業」)の創出・育成に向けて「地域課題解決事業推進に向けた基本指針」を策定しましたので、公表します。今後、この基本指針の普及を図り、多くのゼブラ企業が創出されていくエコシステムが各地に構築されるよう取り組んでいきます。
  • 概要
    • 社会課題解決と経済成長の両立を目指すゼブラ企業は、社会課題を成長のエンジンに転換していく、地域経済の新しい担い手となり得る事業者です。
    • ゼブラ企業とは、2017年にアメリカで提唱された概念であり、時価総額を重視するユニコーン企業と対比させて、社会課題解決と経済成長の両立を目指す企業を、白黒模様、群れで行動するゼブラ(シマウマ)に例えたものです。
    • 中小企業庁では、地域の社会課題解決の担い手となり、事業を通じて地域課題解決を図り、域内企業等と協業しながら、新たな価値創造や技術の活用等により、社会的インパクト(事業活動や投資によって生み出される社会的・環境的変化)を生み出しながら、収益を確保する企業を「ローカル・ゼブラ企業」と位置づけて、多様な関係者による支援や協業によって取り組む地域課題解決事業について、事業を進める上でのポイントについてまとめました。
    • 今後、この基本指針の普及を図り、多くのゼブラ企業が創出されていくエコシステムが各地に構築されていくよう取り組んでいきます。
  • 基本指針のポイント
    • 地域の社会課題解決の担い手となるローカル・ゼブラ企業は、ビジネスを通じて地域課題解決を図り、多様な関係者と協業しながら、新たな価値創造や革新的な技術・サービスを活用することで、社会的インパクト(事業活動や投資によって生み出される社会的・環境的変化)を生み出しながら、収益の確保に取り組む企業です。
    • この基本指針では、ローカル・ゼブラ企業や地域課題解決事業の重要性と概念を整理し、多様な関係者との協業を実現し、社会的インパクトの可視化を通じて必要な資金や人材が地域に流れ、ローカル・ゼブラ企業を創出・育成するエコシステムを構築するための基本的な考え方をまとめています。
▼ 地域課題解決事業推進に向けた基本指針(中小企業庁)
  • 基本指針の目的 ~地域課題解決事業への理解と合意形成の重要性
    • 地域の包摂的な成長を実現するには、その地域の特性にあった多様な主体や産業がそれぞれの強みを生かして連携し、多様性と連携による地域づくりに取り組むことが重要である。
    • 本基本指針は、地域の未来に希望を見いだし、ビジネスの手法で地域課題の解決にポジティブに取り組み、社会的インパクトを創出する企業(ローカル・ゼブラ企業)や地域課題解決事業の重要性と概念を整理し、多様な関係者との協業を実現し、必要な資金や人材を確保するための考え方や、事業が社会に生み出す社会的インパクトの可視化等、関係者との共通理解を深めるための手段についても整理する。
  • 背景~ゼブラ企業への注目
    • ゼブラ企業は、2017年に4人のアメリカの女性社会起業家が提唱した概念である。時価総額を重視するユニコーン企業と対比させて、社会課題解決と経済成長の両立を目指す企業を、白黒模様、群れで行動するゼブラ(シマウマ)にたとえて命名された。近年、日本でも注目を集めており、その特性に応じたインパクト投融資が行われて潜在力を発揮することで、地域課題の解決につながる可能性がある。
    • 「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(2023年閣議決定)では、「地域の中小企業から、地域の社会課題解決の担い手となる企業(ゼブラ企業)を創出し、インパクト投融資を呼び込むため、ソーシャルビジネスを支援する地域の関係者を中心としたエコシステムを構築する」こととされている。
  • ゼブラ企業の特徴
    • 事業成長を通じてより良い社会をつくることを目的としている
    • 時間、クリエイティブ、コミュニティなど、多様な力を組み合わせる必要がある
    • 長期的で包摂的な経営姿勢である
    • ビジョンが共有され、行動と一貫している
  • 基本指針の目的 ~有機的な連携
    • 地域の包摂的成長を実現する担い手となるのは、地域に根ざした中小企業・小規模事業者である。中でも、地域の社会課題を解決し、社会に良い変化(社会的インパクト)を生み出すローカル・ゼブラ企業が、良質な雇用や豊かな暮らしの実現に果たす役割は大きい。
    • 創業や第二創業により地域課題解決に取り組む中小企業・小規模事業者が中心となって、地域の多様で複雑な社会課題の解決を目指し、地域中間支援機能や伴走支援者等の多様な関係者と、お互いの強みを生かし有機的に連携して課題解決に取り組むことにより効果が大きくなる。
  • 基本指針の目的 ~エコシステムの創出・育成
    • 地域課題解決事業の意義や、協業の重要性を共通理解として広げていくことで、地域課題解決事業推進の機運を醸成し、事業への共感による資金や人材の流れを生み出し、伴走支援者に支えられながら、地域の包摂的な成長を目指すエコシステムが各地で構築されていくことを期待したい。
  • ローカル・ゼブラ企業 ~ローカル・ゼブラ企業の特徴
    1. 事業を通じて地域課題解決を図り、収益性を確保・継続
      • 地域課題解決を自社のミッションとして掲げる又は課題解決できる手法を特定し、社会的インパクトを創出しながら収益性を担保しつつ、地域に対する持続的な価値提供を目指している。
    2. 新たな価値創造や技術の活用等による革新的なビジネスを構築
      • 1を達成するため、共感による高付加価値化等、価値創造の構造を変えることや、地域連携で共助を活性化させることによる課題解決手法の持続的な展開、新しい技術を活用することで効率的かつ効果的に事業に取り組み、収益化できるビジネスを構築している。
    3. 事業意図の明確化
      • 地域課題解決を目的として、企業として何を達成し、社会にどのような変化・効果(社会的インパクト)を生み出したいかなど自社の事業の意図を明確化し、目標を定めることで関係者からのコミットメントを獲得する。
  • ローカル・ゼブラ企業が事業を推進する際のポイント ~金融
    • ローカル・ゼブラ企業は、課題解決を目的として持続的に成長していくため、創業期ではエクイティによる調達が難しいことも多く、日本政策金融公庫の新規開業資金やソーシャルビジネス支援資金などの低利貸付制度、クラウドファンディングや補助金等の支援策を活用した創業資金の調達が見込める。
    • 最近では、ソーシャルインパクトボンド注1やブレンデッド・ファイナンス注2、インパクト評価を重視するベンチャーキャピタル、休眠預金による支援を受けた地域インパクトファンド等、社会的インパクトを重視した様々な資金調達手段があり、専門家による伴走支援が望まれる。
    • 創業初期から、将来的な事業の主導権を失わないよう、目指す事業と資金調達手段の特性を適切に組み合わせて、戦略的に資金調達を行うことや、その伴走支援や過去・海外の事例を参考にすることが有効である。
  • ローカル・ゼブラ企業が事業を推進する際のポイント ~人材
    • 創業期においては事業の意図を明確にすることで、その理念や意義に賛同・共感し参画する人材を集めることができるが、特に創業初期においては、事業を成長軌道に乗せるためのポイントを見極め、創業支援策等を活用しながら、質の高い外部の専門人材の受け入れやアドバイスを受けることが重要。
    • 成長期以降は、企業の成長に伴い事務・会計等のバックオフィス機能を持つ必要があるが、専門的な知識を持った人材の採用が難しい場合には、地域単位で経理部門や広報等のバックオフィス機能や必要な人材をシェアできるような仕組みを構築し、活用するという選択肢もある。
    • 企業が地方公共団体や地域の企業に人を派遣する動きや、企業の人材が、自身の能力や経験を生かした兼業・副業を行う動きも見られつつある。
  • ローカル・ゼブラ企業が事業を推進する際のポイント ~事業の可視化
    • 創業期から成長期に至るまでを通じて、周囲の経営者等からのアドバイスを受けながら、従業員へのビジョン・ミッションの浸透、関係者に対して、事業の可視化をすすめ、外部からの参加や連携が可能となるよう、透明性のある企業体制の整備に取り組むことが重要である。
  • ローカル・ゼブラ企業が事業を推進する際のポイント~意思決定プロセス
    • 組織の形態により意思決定プロセスが異なるため、法人格の選択に当たっては考慮が必要である。
    • 創業期から、意図する事業に応じた意思決定体制の構築や資本構成を検討し、成熟期に向けて後継者の育成にも取り組む必要がある。
    • また、株式会社であったとしても、議決権に制約がある株式発行、地元資本による株式の持ち合い、利益の分配方法に関する事前合意など、多様な工夫により意図する事業を遂行することができるため、事例を参考にしながら、自社にあった意思決定体制を講ずることが重要である。
  • ローカル・ゼブラ企業が行う社会的インパクトの可視化
    • ローカル・ゼブラ企業としてどのような社会的インパクトを生み出したいのかを可視化し、まずはシンプルでわかりやすい目標を設定して対外的に示すことが重要である。
    • 設定した目標に対し、インパクト測定・マネジメントの手法を適切に用いることで、事業の成果を測り、事業に反映するとともに、事業の進展とともに目標を見直し、その理由とともに対外的に示していくことも重要である。
    • ローカル・ゼブラ企業は、自らの事業意図を明確にし、事業計画と連動したインパクト戦略注1を対外的に示せるようにする必要がある。
    • インパクト戦略を策定することで、事業を通じて生み出そうとする社会的インパクトに対して関係者から共感や理解を得て合意形成を進め、資金や人材の提供や、事業連携等につなげ、より大きなインパクトを生み出すことにつながる。
    • 社会的インパクトの可視化の際には、事業の意図に応じた定性情報と定量情報を組み合わせ、事業のニーズやその成果を適切なデータを用いて示し、その活動や発信内容の説得力を高めることで、域内外の関係者の共感や理解にも繋がっていく。
  • 地域課題解決のエコシステムについて
    • エコシステムは、地域全体が漠然とした危機感を抱いている状態から始まり、解決策を見つけた人や組織を中心に、関係者を巻き込みながら、地域が目指す大きな方向性(地域のビジョン)についての合意形成がはかられ、関係者が役割を見つけ、ポジティブなビジネスによる解決に向けた行動を取り始めることで形成されていく。
    • 地域のビジョンがあることで、ビジョンに共感し役割を見つけた域内外の関係者や地域住民が後から参加することもでき、域内外の資源が有機的に結びついて大きくなっていくことができる。
  • 地域課題解決事業推進に必要な支援
    • 地域課題解決事業を推進するためには、ローカル・ゼブラ企業と地域の関係者をつないで事業を地域に根付かせていく役割(地域中間支援)と、ローカル・ゼブラ企業や地域を専門的な立場から伴走支援する役割(伴走支援)と、の双方が必要である。
    • 地域エコシステム同士で学び合い、ノウハウを共有・横展開していくことも効果的である。
    • 各地域において役割の発揮が期待される主体としては、地域金融機関、地域の中核企業、地方公共団体が挙げられる。
    • これらの3つの主体は、地域経済の発展と自身の事業との関連が強く、将来への危機感を共有し、地域課題解決にコミットするインセンティブがあり、地域が目指す姿(ビジョン)を共有し、ローカル・ゼブラ企業への支援や事業の連携を進める役割を発揮することが期待される。
    • また、普遍的な地域課題の解決に取り組むローカル・ゼブラ企業が、経験や知見を活かして、中間支援機能を持ち、他地域や海外に展開しローカル・ゼブラ企業を発掘・育成・連携するように役割が変化していくこともある。
    • 専門的な立場から、保有する経営支援ノウハウやネットワーク、拠点網、人材等を活用して、ローカル・ゼブラ企業を伴走支援する主体の役割は重要である。
    • 現在の担い手としてはローカル・ゼブラ企業の伴走を先進的に行っている主体が挙げられるが、今後は、地域の金融機関や既存の中小企業支援の担い手が地域課題解決事業を理解した上で、育成や連携に向けた支援を行うことが期待される。
  • まとめ
    • 少子高齢化、人口減少などの課題を抱えた我が国の地域経済にとって、地域の未来に希望を見出し、ビジネスの手法でポジティブに課題解決に取り組む、ローカル・ゼブラ企業は、次の地域経済の担い手となり得る重要な存在である。
    • ローカル・ゼブラ企業を起点として、地域中間支援機能と地域の関係者を巻き込みながら「場」を作り、伴走支援を受けながら課題解決という共通の目的に向かって行くエコシステムが形成されていくことで、多様な関係者がそれぞれの役割を見つけ、強みを発揮し、連携しながら地域の包摂的な成長に向かって行くことができる。
    • こうした多様なエコシステムが各地に形成され、横連携もしていくことで、全国に広がっていくことも期待できる。
    • ローカル・ゼブラ企業を未来の地域経済の担い手に育成するためには、多様な支援機能の中でも、社会的インパクトの可視化を通じて関係者の共感を拡大する効果を持つインパクト投融資の持つ意義は特に大きく、その重要性は増してきている。現時点でも、いくつかの地域金融機関の中にインパクト投融資に取り組もうという動きが見られつつあり、更なる拡大や、主体の多様化が望まれる。
    • 事業の意図の明確化や社会的インパクトの可視化というツールを活用することによって、「共感」による資金や人材の流れを作りだし、「共助」による地域の持続的な発展と豊かな地域経済が作られていくことを期待して、この基本指針をとりまとめた。
    • この基本指針に基づき、各地でローカル・ゼブラ企業が生まれ、地域課題解決事業の取組が始まり、インパクト投融資等を呼び込み、相互に連携しながら、持続的な成長を遂げていくエコシステムが構築されていくことを期待したい。
  • 背景~技術の普及
    • ビッグデータの整備、5Gの普及、自動化、AI等の技術の実装が進むことで、データに基づく精度の高い需要予測・効果的なマーケティング、デジタル技術を活用した市場拡大、自動化・省人化等が可能になった。
    • また、テレワークの定着による地方移住推進、SNS等による共感マーケティングにより関係人口が増加。
    • これにより、これまで市場化することが難しかった領域や地方公共団体が担っていた領域であっても、ビジネスの手法で取り組むことが可能となりつつある。
  • 背景~世界的な潮流
    • 社会・環境的効果と収益性の双方の実現を企図するインパクト投融資は、社会・環境課題の解決に資する技術やサービスを提供する企業・事業に対する投融資を通じて具体的な社会・環境的効果を実現する手法として、世界的に推進の機運が高まっている。
    • 米国や英国では、地域の金融機関が、経済性のみを重視するのではなく、地域コミュニティの強化に資する社会的事業に資金を提供するというファイナンスの在り方が注目されている。

経済産業省 3月は「価格交渉促進月間」です!
  • 3月は「価格交渉促進月間」です。昨年は30年ぶりに高い水準の賃上げを実現しましたが、今年も引き続き高い賃上げ率を実現できるか、デフレからの完全脱却に向けて正念場を迎えています。そしてこの3月は、賃上げ原資の確保に向けた、価格転嫁のための交渉が本格化する極めて重要な時期です。
  • 発注企業・受注企業の皆さん、賃上げ実現が重要な今こそ、サプライチェーン全体で、積極的に価格交渉・価格転嫁を行いましょう。
  • 日本経済の状況と価格交渉・価格転嫁の必要性
    • 日本経済は、過去30年にわたってデフレが続いておりましたが、昨年は30年ぶりに高い水準の賃上げが実現し、今年2月には株価史上最高値を更新するなど、潮目が変わってきています。今年も引き続き、高い水準の賃上げを実現し、デフレから完全に脱却できるかどうか、まさに正念場を迎えています。
    • 高い賃上げ率を実現するには、その原資の確保に向けた価格転嫁を進めることが極めて重要です。一方で、中小企業庁の調査では、中小企業の価格転嫁率は45.7%(2023年9月時点)であり、引き続き転嫁率を上昇させていくことが必要になります。
    • その中で、発注企業と受注企業の間で、しっかりと価格交渉を行うことが、高い価格転嫁率の実現のカギとなります。特に3月は、春闘が山場を迎え、価格交渉が本格化する、極めて大事な時期となります。皆様におかれては、サプライチェーン全体での価格交渉・価格転嫁の促進に向けて、ぜひ、下記の事項にご協力をお願いします。
  • 発注企業・受注企業の皆様へのお願い
    • 発注企業の皆様
      • 下請中小企業振興法に基づく「振興基準」に則り、受注側中小企業からの価格交渉の申出には遅滞なく応じ、または皆様の方から価格交渉の申入れを行っていただく等、価格交渉・価格転嫁を積極的に行い、サプライチェーン全体の競争力向上や、共存共栄の関係の構築に向けてのご対応をお願いします。
      • 「労務費に関する指針(詳細は3.(2)を参照のこと)」に基づいて、受注側中小企業との価格交渉に応じるとともに、当該受注側中小企業に対して、さらにその受注企業に対しても、価格交渉・価格転嫁を行うよう促してください。
      • サプライチェーン全体の価値の向上、共存共栄を目指すことを目的として、政府が推進する「パートナーシップ構築宣言」に未参加の企業におかれては、参加についてご検討ください。既に宣言されている企業におかれては、自社のパートナーシップ構築宣言について、調達担当の方々へ、一層の浸透をお願いします。
    • 受注企業の皆様
      • 発注企業に対し、積極的に価格交渉を申し出るとともに、中小企業庁等が作成するコンテンツや、「下請かけこみ寺」、よろず支援拠点「価格転嫁サポート窓口」といった相談窓口を、ぜひご活用ください(詳細は3.(3)を参照のこと)。
      • 「労務費に関する指針」を、価格交渉の材料として活用してください。
      • 4月以降、受注側中小企業の皆様を対象に、価格交渉・価格転嫁の状況に関するアンケート調査、及び、下請Gメンによる重点的なヒアリングを実施する予定です(詳細は3.(1)を参照のこと)。こちらの結果は、その後の価格転嫁対策に向けた重要な情報源となりますので、対象となった方におかれては、積極的、かつ、正確に回答いただくようお願いします。
  • 価格交渉・価格転嫁の促進に向けた政府の取組
    • 「価格交渉促進月間」フォローアップ調査の実施
      • 各「価格交渉促進月間」終了後に、30万社の中小企業の皆様を対象に、価格交渉・転嫁の状況に関するアンケート調査を実施しています。
      • 上記調査に係る結果をもとに、発注企業ごとの価格交渉・価格転嫁の取組状況を記載したリストを公表しています。
      • 併せて、取組状況が芳しくない企業トップに対する、下請中小企業振興法に基づく、所管大臣名による指導・助言を実施しています。価格交渉促進月間の実施とフォローアップ調査結果
    • 「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の策定、周知・徹底
      • 労務費を含む価格転嫁を強力に促すため、昨年11月、内閣官房・公正取引委員会において、発注企業・受注企業それぞれがとるべき行動指針を定めた、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表しました。労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針外部リンク
      • また、上記「指針」について、約900の経済産業省関連団体に周知したほか、発注企業・受注企業双方に対して、全国8つの地方ブロックでの説明会や、業界団体の会員企業向け説明などを行い、「指針」の周知・徹底に努めています。
    • 受注企業の価格交渉を後押しするコンテンツの作成・相談窓口の設置
      • 価格交渉のポイントをまとめたコンテンツや、コスト上昇状況等のエビデンスとなるデータベースといった、受注企業にとって、価格交渉の材料となる資料を整理するとともに、価格交渉に応じてもらえない等の、取引上のお悩みを相談できる「下請かけこみ寺」や、よろず支援拠点「価格転嫁サポート窓口」を整備しています。

経済産業省 「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました
  • 本日、「消費生活用製品安全法等(※)の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。現在開会中である第213回通常国会に提出される予定です。(※)消費生活用製品安全法(消安法)、ガス事業法(ガス事法)、電気用品安全法(電安法)及び液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)
  • 本法律案の趣旨
    • 近年、インターネット取引の拡大に伴い、国内外の事業者がオンラインモール等を通じて国内の消費者に製品を販売する機会が増大しています。こうした環境変化に対応し、海外から直接販売される製品の安全確保や子供用の製品による事故の未然防止を通じ、国内の消費者が製品を安全に使用できる環境を整備するため、以下の措置を講じます。
  • 本法律案の概要
    • インターネット取引の拡大への対応(消安法、ガス事法、電安法、液石法)
      • 海外事業者がオンラインモールを始めとする取引デジタルプラットフォーム(取引DPF)を利用するなどして国内消費者に直接製品を販売する場合、製品の安全性に(法的)責任を有するとしている国内の製造・輸入事業者が存在しないといった課題に対処するため、以下の措置を講じます。
        • 海外事業者が取引DPFを利用するなどして国内の輸入事業者を介さず国内消費者に直接製品を販売する場合、当該海外事業者を消費生活用製品安全法等の製品安全関連の4つの法律において届出を行える主体として明確化するとともに、規制の執行を担保すべく、当該海外事業者に対し、国内における責任者(国内管理人)の選任を求めます。
        • 取引DPFにおいて提供される消費生活用製品等について、国内消費者に危険が及ぶおそれがあると認められ、かつ、その製品の出品者によってリコール等の必要な措置が講じられることが期待できないときは、取引DPFを提供する事業者に対し、当該製品の出品削除を要請できるなどの措置を講じます。
        • 届出事業者や国内管理人の氏名・住所等、法律や法律に基づく命令等に違反する行為を行った者の氏名等について、公表する制度を創設します。
    • 玩具等の子供用の製品の安全確保への対応(消安法)
      • 玩具等の子供用の製品について、海外から流入する製品も含め、子供による安全な使用が適切に確保できていない(事故が起きてから対応)といった課題が存在していることから、子供用の製品による事故を未然に防ぐことができる環境を整備するため、以下の措置を講じます。
        • 子供用特定製品(主として子供の生活の用に供されるものとして対象年齢や使用上の注意を表示することが必要な製品)について、その製造・輸入事業者に対し、国が定める技術基準への適合、対象年齢・使用上の注意の警告表示等を求めます。
        • 子供用特定製品の中古品について、国内消費者に対する注意喚起や安全確保のための体制整備等を条件に、販売を可能とする特例を講じます。

経済産業省 サービス標準化WG「中間取りまとめ」及び「サービス規格作成のための入門ガイド」を公表しました
▼ 中間取りまとめ(概要)
  • サービス分野での標準化の意義
    • 我が国のサービス産業では、安全・丁寧・迅速といったサービス品質の高さに見合った価格設定を行う、同時に労働生産性を高めるといった課題が存在。
    • これら課題に対し、品質の高さを見える化し、業界内でサービス手順を共通化するなど、戦略的な標準化の活用は、有効な方策。
    • そのため、標準化の活用方法を類型として示すと共に、具体的なサービス規格開発促進のためのマニュアルを作成した
  • 標準化の活用類型
    • 市場の成熟度、業界の状況・課題によって、それに対応する標準の活用類型は異なるが、まずは類型D,E,F,G(下段)で市場の基盤・信頼性を確立したうえで、類型A,B,C(上段)で品質の強みや新たな価値を出すために戦略的に活用されていく傾向がある。
      • A)品質の高さを可視化・評価軸に
        • 提供するサービスの品質を適切に管理・評価するため、一定の基準を設ける
      • B)SDGsやエシカル等、新たな評価軸を付加
        • 環境・人権配慮といった、新たな価値軸での取組みを進めているサービスについて、その内容が正しく評価される
      • C)新サービス市場創出
        • 新たなサービスについて、標準の活用により信頼性を高め、市場の創出・発展を促進する
      • D)オペレーション手順等の設定による省コスト化
        • サービス提供者向けのマニュアルや、ステークホルダーとの確認手順、扱うデータの互換性等を標準化することは、自社及び業界全体の生産性の向上に繋がる
      • E)情報の非対称性を解消、消費者の選択を支援
        • 無形のため、顧客が良し悪しを判断しにくく、提供者との間でも認識のずれが生じやすいサービスについて、標準化によるサービス品質・内容の明確化が有効
      • F)安心・安全の担保
        • 安心・安全の面から一定の品質が求められるサービスや、公益性が高い基盤的なサービスは基準の設定が有効
      • G)業界の方向性統一
        • 参入障壁が低く、新規参入者が多くいることから、業界全体をカバーすることが難しいサービスについて、標準化により業界の方向性のすり合わせを促進
  • 入門ガイド(マニュアル)
    • 開発の背景
      • 標準化の活用ポテンシャルにも関わらず、国内ではサービス規格開発の具体的事例が少なく、規格開発経験が無い業界団体も多い。
      • そのため、サービス規格開発に初めて取り組む者が、円滑に原案作成等を進める上で参考となる、サービス規格作成のための入門ガイド(マニュアル)を作成した。
    • 期待される効果
      • JISのサービス規格について、概念・活用類型を示すとともに、その作成の手順を提示。初心者でも標準化の目的を明確化した上で、原案作成に着手できることが期待される。
      • JISのサービス規格の構成要素や、その解説、参考規格(JIS/ISO規格)を提示。必要な構成要素を抽出できると共に、解説や参考規格を参照し、円滑な原案作成の促進が期待される。
  • 標準化・普及促進のポイント
    • 規格活用はあくまで任意のため、実際に社会で普及させることを強く意識して進める必要がある。
    • 規格が広く活用されるために、標準化の各段階で重要なポイントや、中でもJIS化/ISO・IEC規格化のメリット・留意事項をまとめた。
  • 標準化・普及促進のステップ・留意事項
    • 業界の市場状況、課題・ニーズを踏まえた目的設定
      • 標準活用類型も参考に、標準化の目的を明確化(例:新市場での信頼性確保、品質の可視化による差別化等)
    • 関係者間での規格活用に向けた意識共有
      • 事前検討段階から関係者が参加し、関係者間で課題・ニーズへの合致を確認、規格活用の意識を共有
    • 市場成熟度等を踏まえた標準化対象の特定、要求レベルの設定
      • 市場・業界の現状・標準化の進展状況に合致した規格設計(例:市場・業界の信頼性を確立するため、最低限守るべき水準を規格化
      • 更なる品質差別化のため、品質・評価方法を規格化)
    • コストとクオリティを勘案した、実行可能な適合性評価の在り方の検討
      • 想定する認証機関も参画し、実施可能な認証スキーム・要求水準を検討
    • 対象事業者、顧客等への普及促進策の実行
      • 原案作成団体による事業者への広報、表彰制度、コンサルティング
      • 認証マークの活用、消費者向けの情報発信
    • 国・自治体での活用、関係事業者等との連携、国際標準化
      • 法令・ガイドラインでの参照・参考、調達要件への適用、ISO・IEC規格化による海外展開
  • デジュール標準(JIS・ISO・IEC)策定のメリット・注意点
    • メリット
      • JIS化/ISO・IEC規格化のプロセスで広く関係者が規格作成に参画し、意向を反映して、国家規格・国際規格として発行されることで、より信頼性を獲得。
      • 国や地方公共団体等の法令、ガイドライン、調達基準としてJISが使われる傾向。
      • ISO・IEC規格化・活用による、海外市場・事業者・投資家等へのアクセスの向上。
      • JISの実績による円滑なISO・IEC提案の可能性。
      • (デジュール標準に限らないが)規格化に向けた「プロセス」として、課題認識をすり合わせや、コミュニケーションする標準化活動自体の価値。
    • 注意点
      • 座組作りにおいて、JISではサービスの生産者(提供者)・使用者(ユーザー)・中立者の参画・人数バランスが求められ、ISO・IECでも広くステークホルダーの参画が必要。
      • 業界規格とJIS・ISO・IEC規格で構成要素が異なり、修正が必要なケースが大半。
      • 特定の業界団体だけでなく、他の機関が認証できるような規格とする必要あり。
      • 分野によっては、国際市場でISO・IEC規格ではなく、フォーラム・業界規格が中心。

【2024年2月】

経済産業省 経済安全保障推進法に基づくクラウドプログラムの供給確保計画について、新たな認定を行いました
  • 経済産業省は、経済安全保障推進法第9条第4項に基づき、基盤的なクラウドプログラムの技術開発に係る取組について、本日、さくらインターネット株式会社の供給確保計画を認定しました。
  • 背景
    • 社会のデジタル化の進展に伴い、クラウドサービスは、幅広い国民生活・産業活動の情報処理を担う機能として不可欠なものとなっています。
    • こうした中、特に基盤的なクラウドサービス(基盤クラウド)の国内市場においては、国内に事業基盤を有する事業者のシェアは約3割であり、海外から提供されるサービスへの依存が高まっている状況にあります。
    • 基盤クラウドは、情報処理の根幹を担うものであり、その開発体制を国内で確保できなければ、我が国が自律的に管理すべき重要情報を扱うシステムも含め、完全に他国に依存することになるおそれがあります。
    • 一方、競争力の高い基盤クラウドを持続的に提供するためには、利用者にとって利便性が高く、効率的かつセキュリティを確保できる基盤的なクラウドプログラムを安定的に供給できることが不可欠ですが、国内に事業基盤を有する事業者は、こうした機能を実装する技術を十分には有していない状況にあります。
    • こうした状況を踏まえ、経済安全保障推進法に基づき、「クラウドプログラム」を特定重要物資に指定し、その安定供給確保に向けて、国として支援する枠組みを措置しました。
  • 認定概要
    • さくらインターネット株式会社が、よりスケーラブルなコンピューティング機能や、強固なセキュリティ機能、アプリケーションの開発効率を高めるコンテナ及びサーバレス機能等を持つパブリッククラウドについて、2026年3月までに開発する計画を2月20日付けで認定しました。この計画の事業総額は、開発に関わる人件費を中心に約18億円であり、このうち最大助成額は約6億円(補助率1/3)です。

経済産業省 「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案」及び「二酸化炭素の貯留事業に関する法律案」が閣議決定されました
  • 本日、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案」及び「二酸化炭素の貯留事業に関する法律案」が閣議決定されました。現在開会中である第213回通常国会に提出される予定です。
  • 法律案の背景・趣旨
    • 2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、徹底した省エネ、再エネや原子力といった脱炭素電源の利用促進などを進めるとともに、脱炭素化が難しい分野においてもGXを推進していくことが不可欠です。
    • この2つの法律案は、鉄鋼・化学等の産業や、モビリティ、発電といった、脱炭素化が難しい分野においてGXを推進するため、こうした分野における(1)低炭素水素等の供給・利用の促進を図るとともに、(2)CCS(二酸化炭素の地中貯留、Carbon dioxide Capture and Storage)に関する事業環境整備を行うものであり、令和5年7月に閣議決定された「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」に基づいて、所要の措置を講じるものです。
  • 法律案の概要
    • 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案(水素社会推進法案)
      • 国が前面に立って、低炭素水素等の供給・利用を早期に促進するため、基本方針の策定、計画認定制度の創設、計画認定を受けた事業者に対する支援措置(「価格差に着目した支援」、「拠点整備支援」等)や規制の特例措置を講じるとともに、低炭素水素等の供給拡大に向けて、水素等の供給を行う事業者が取り組むべき判断基準の策定等の措置を講じます。
    • 二酸化炭素の貯留事業に関する法律案(CCS事業法案)
      • 2030年までに民間事業者が国内におけるCCS事業を開始するための事業環境を整備するため、貯留事業・試掘に係る許可制度及び貯留権・試掘権の創設、貯留事業者及び二酸化炭素の導管輸送事業に関する事業規制・保安規制を整備します。

経済産業省 「新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました
  • 本日、「新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、現在開会中である第213回通常国会に提出される予定です。
  • 法律案の趣旨
    • 戦略的国内投資の拡大に向けた、戦略分野への投資・生産に対する大規模・長期の税制措置及び研究開発拠点としての立地競争力を強化する税制措置や、国内投資拡大に繋がるイノベーション及び新陳代謝の促進に向けた、我が国経済のけん引役である中堅企業・スタートアップへの集中支援等の措置を講じます。
  • 法律案の概要
    1. 産業競争力強化法の一部改正
      • 国際競争に対応して内外の市場を獲得すること等が特に求められる商品を定義し(電気自動車等、グリーンスチール、グリーンケミカル、持続可能な航空燃料(SAF)、半導体)、これを生産・販売する計画を主務大臣が認定した場合、戦略分野国内生産促進税制及びツーステップローン等の金融支援を措置します。
      • 新設する知的財産の活用状況等の調査規定を根拠とし、一定の知的財産を用いていることを確認できた場合は、イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)を措置します。
      • 常用従業員数2,000人以下の会社等(中小企業者除く)を「中堅企業者」、特に賃金水準が高く国内投資に積極的な中堅企業者を「特定中堅企業者」と定義し、特定中堅企業者等による成長を伴う事業再編の計画を主務大臣が認定した場合、中堅・中小グループ化税制、大規模・長期の金融支援(ツーステップローン)、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)による助成・助言等の措置を講じます。
      • 株式会社産業革新投資機構(JIC)が有価証券等の処分を行う期限を2050年3月末まで延長します(現在の期限は2034年3月末)。
      • スタートアップがストックオプションを柔軟かつ機動的に発行できる仕組み(ストックオプション・プール)を特例的に可能とします。
      • 企業と大学等の共同研究開発に関する、標準化と知的財産を活用した市場創出の計画を主務大臣が認定した場合、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)や国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの助言を受けることを可能とするとともに、標準化の動向や知的財産の活用状況を調査する規定を整備します。
    2. 事業有限責任組合契約に関する法律の一部改正
      • 投資事業有限責任組合(LPS)の取得及び保有が可能な資産への暗号資産の追加等を措置します。
    3. 独立行政法人工業所有権情報・研修館法の一部改正
      • 独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)の目的を改正し、業務として、中小企業者及び試験研究機関等に対する工業所有権の保護及び利用に関する助言及び助成等を追加します。
    4. 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部改正
      • 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の業務として、ディープテック・スタートアップ(革新的な技術の事業化に取り組むスタートアップ)の事業開発活動への補助業務等を追加します。

経済産業省 サプライチェーンにおける人権及び国際労働基準の促進に関する第1回日米タスクフォース会合を開催しました
  • 令和6年2月、サプライチェーンにおける人権尊重及び国際労働基準の促進に関する日米タスクフォース第1回会合(政府間対話及びステークホルダー対話)を開催し、日米政府やステークホルダーの取組について情報交換を行いました。
  • 令和5年1月、日米の貿易政策、法令、ガイドライン、及び必要に応じて執行実務に関する情報を共有することにより、サプライチェーン上の人権尊重及び国際的に認められた労働者の権利の保護等の促進を目的に、「サプライチェーンにおける人権及び国際労働基準の促進に関する日米タスクフォース」を立ち上げました。
  • この度、柏原経済産業省通商機構部長/ビジネス・人権政策統括調整官及びマストマン米国通商代表補代行の共同議長の下、第1回会合として、日本時間本年2月6日(火曜日)に日米政府間対話を、同14日(水曜日)には、日米産業界、労働組合、市民社会団体等を含むステークホルダーとの対話を開催しました。
  • 政府間対話では、サプライチェーン上の人権尊重及び国際的に認められた労働者の権利の保護等に関する日米の取組について情報を共有しました。
  • 日本側からは、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」及びその普及啓発や途上国とのエンゲージメントを中心に報告しました。米国側からは、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)における労働関連事項への対応やウイグル強制労働防止法の執行状況等について説明がありました。
  • ステークホルダー対話では、日米政府関係者より、ビジネスと人権政策に関する報告を行いました。また、産業界、労働組合、市民社会、国際機関から、人権デュー・ディリジェンスに関する取組等について紹介がありました。
▼ サプライチェーンにおける人権及び国際労働基準の促進に関する日米タスクフォースに係る協力覚書(仮訳)
  • 両当事者は、タスクフォースを通じて、タスクフォースの目的及び関連国内法と整合させつつ、以下の情報を交換する意図を有する。
    • (a)人権への取組及び国際的に認められた労働者の権利の保護(サプライチェーンにおける強制労働のリスクが増大している産業及び部門における強制労働の撲滅及び国際労働基準の促進を含む。)に関する両当事国のサプライチェーンに関する関連ガイダンス、報告書、出版物、ベストプラクティス及び教訓
    • (b)サプライチェーンにおける人権への取組(サプライチェーンにおける強制労働の使用の撤廃を含む。)及び国際労働基準の促進に関する両当事国の法令、政策及び適当な場合には執行実務
    • (c)サプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンス、特に強制労働の撲滅及びサプライチェーンにおける国際労働基準の促進に関する国際基準、ベストプラクティス及びガイダンス
    • (d)企業が人権を尊重し、国際的に認められた労働者の権利を保護するための環境の整備に貢献するその他の取
  • 両当事者は、タスクフォース及びステークホルダーiとの間の対話を促進する意図を有する。その際、両当事者は、以下の原則に従う意図を有する。
    • (a)両当事者は、タスクフォースに対し、当該対話の様式、参加者、議題、その他関連する側面について、コンセンサス方式によって決定する責任を委任する。
    • (b)これらの対話には、以下に関してマルチ・ステークホルダーの関与及び意見聴取を含めることができる。
      • 1両当事国の貿易政策及び規制の影響、該当する場合には、特にサプライチェーン上の強制労働の撤廃に関する関連法令及び国際的に認められた労働者の権利に関して、労働者及び企業に与える影響を理解すること。
      • 2サプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンスに関するベストプラクティス(労働者の声及び労働者のための是正アプローチを促進する強固なプログラムなど、人権デュー・ディリジェンス手続の開発、実施、及びモニタリングについての主要なベストプラクティスを含む。)
      • 3事業主や経営者に対する、サプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンスに関するベストプラクティス実践方法の周知。
    • タスクフォースは、適用される法令と合致した形で、当該対話に関する機微又は非公開情報の漏洩を防止し、保護する意図を有する。

経済産業省 AIセーフティ・インスティテュートを設立しました
  • AIの安全性に対する国際的な関心の高まりを踏まえ、AIの安全性の評価手法の検討等を行う機関として、内閣府をはじめとする関係省庁、関係機関の協力の下、本日独立行政法人情報処理推進機構(IPA)にAIセーフティ・インスティテュートを設置しました。
  • AIの安全性に対する国際的な関心の高まりを踏まえ、AIの安全性の評価手法の検討等を行う機関として、AIセーフティ・インスティテュート(所長:村上明子氏)を本日設立しました。同機関は、内閣府をはじめ関係省庁、関係機関の協力の下、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に設置されます。
  • 我が国として、AIの安全性評価に関する基準や手法の検討等を進めるにあたり、米国や英国のAIセーフティ・インスティテュートをはじめ、諸外国の同様の機関と連携を深めてまいります。
  • 経済産業省としても、IPAに加え、国立研究開発法人産業技術総合研究所も通じて培ってきたAIの知見や、構築してきた国内外とのネットワークを活用しながら、AIセーフティ・インスティテュートの活動に貢献していきます。
    • AIセーフティ・インスティテュートの主な業務内容(暫定)
      • 安全性評価に係る調査、基準等の検討
      • 安全性評価の実施手法に関する検討
      • 他国の関係機関(英米のAIセーフティ・インスティテュート等)との国際連携に関する業務
    • 主な関係省庁・関係機関
      • 関係省庁
        • 内閣府(科学技術・イノベーション推進事務局)、内閣官房、警察庁、デジタル庁、総務省、外務省、文部科学省、経済産業省、防衛省
      • 関係機関
        • 情報通信研究機構、理化学研究所、国立情報学研究所、産業技術総合研究所

経済産業省 IAEAは2023年10月に行われた東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の安全性レビューミッション(放出後第1回)について報告書を公表しました
  • 1月30日、IAEA(国際原子力機関)は、東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の安全性レビューミッション(放出後第1回)に関する報告書を公表しました。同報告書は、2023年10月24日から27日にかけて、IAEAの職員及び国際専門家が日本を訪れ、その際に実施したレビューの結論を示したものです。
  • 概要
    • 2023年10月のALPS処理水の安全性に関するIAEAレビューは、IAEAとの間で2021年7月に署名されたALPS処理水の取扱の安全面のレビューに関する付託事項(TOR)に基づき実施されたもので、海洋放出開始後初めてのレビューになります。IAEAレビューは、原子力分野の専門機関であるIAEAの職員及び国際専門家(アルゼンチン、英国、カナダ、韓国、中国、フランス、ベトナム、マーシャル諸島、ロシア)からなるIAEAタスクフォースにより実施されています。
    • 今回公表された報告書では、主に、国際安全基準に基づき2023年10月に実施されたレビューにおける見解について記されています。
  • 報告書のポイント ※IAEA報告書からの引用(一部要約)有
    • 放出開始前のレビューにおける主な技術的事項と同様の確認が行われました。
      • 規制管理と認可
      • 放出管理のシステムとプロセスに関する安全性
      • ALPS処理水の特性評価
      • 放射線環境影響評価
      • ALPS処理水と環境のモニタリングプログラム
      • 利害関係者の関与
      • 職業的な放射線防護
        • 報告書では、技術的事項毎に、IAEAタスクフォースと原子力規制庁、経済産業省及び東京電力との議論並びに東電福島第一原発での調査のポイントや、所見の概要が記載されています。
        • 全体的な内容としては、タスクフォースにより、関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかったことが明記されています。
    • 主な確認結果
      • タスクフォースによるレビューや観察において、関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかった。したがって、IAEAは2023年7月4日の包括報告書で示した安全審査の根幹的な結論を再確認することができる。
      • ALPS処理水の放出を安全に監視するための強固な規制インフラが整備されており、タスクフォースは、原子力規制委員会の現場での存在とその活動を直接見ることができた。
      • 東京電力第一原子力発電所における視察に基づき、タスクフォースは、機器及び設備が実施計画及び関連する国際安全基準に合致した方法で設置され、運用されていることを確認した。
      • タスクフォースは、福島第一原発の全体的な廃炉措置の一環として、ALPS処理水の放出における防護の最適化を今後更に進める必要があるというIAEAの包括報告書の所見を改めて強調した。しかしながら、タスクフォースは、放出が初期段階にあり、この問題で進展を得るにはさらなる時間と運転経験が必要であることを十分に認識した。
      • タスクフォースは、実施されている環境モニタリングプログラムが国際社会にとって非常に重要であることを強調した。また、東電と日本政府が報告するデータの正確性と信頼性を担保し、透明性を提供するIAEAの裏付け調査の重要性にも言及した。
      • 日本側がすべてのモニタリングデータを単一のウェブサイトに集め、アクセスしやすい形式にすることが非常に有用であると指摘した。関連する国際安全基準で直接要求されているわけではないが、このように重要なデータや結果へのアクセスを容易にすることは、利害関係者のプロセスへの参加を支援するのに役立つだろう。
      • 特に、タスクフォースは、放出された放射性核種の海底堆積物への蓄積が観察されるかどうかに関心を示した。しかし、タスクフォースは、放出された放射性核種のほとんどは、放出された量が非常に少なく、海中でさらに希釈されるため、環境中で検出されないと予想されるため、堅固な検証を実施する可能性は限定的であることを認めた。
      • タスクフォースは、IAEA包括報告書(2023年7月)に記載されているように、関連区域及び通常運転時の職業放射線防護対策の持続可能性のためには、定期的なALPS処理水放出施設の評価が不可欠であり、現在実施されているとおり、継続すべきであることを再強調した。
    • 今後の計画
      • タスクフォースは、東京電力と原子力規制委員会の活動が関連する国際安全基準に合致しているかどうかを評価するため、引き続きレビューを行う。
      • この10月のミッション期間中、タスクフォースは次のステップについて話し合い、日本への定期的なレビューミッションを継続する意向を強調した。次回のレビューミッションは2024年春に実施される予定である。
  • IAEA報告書を受けた対応
    • 日本政府は、引き続き、IAEAレビューを通じて国際的な安全基準に従った対策を講じ続け、安全確保に万全を期していきます。

経済産業省 IAEAによる「ALPS処理水の放射性核種分析における第2回目の分析機関間比較結果」に関する報告書が公表されました
  • 1月30日(ウィーン時間)、IAEAは、東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の安全性に関するレビューに関連して、「ALPS処理水の放射性核種分析における第2回目の分析機関間比較結果」に関する報告書を公表しました。
  • 本報告書では、分析機関間比較の結果が記載されるとともに、東京電力をはじめとした参加分析機関の能力に関する詳細な評価が含まれています。
  • 概要
    • 1月30日、IAEAは、ALPS処理水の取扱いに関する安全性レビューの一環として分析機関間比較結果に関する報告書を公表しました。本報告書は、IAEAが行うレビュー活動における(1)ALPS処理水の安全性(東京電力、経済産業省)、(2)規制活動とプロセス(原子力規制委員会)、(3)独立したサンプリング・データの裏付け・分析(IAEAによるモニタリング検証活動)のうち、(3)に関する結果を報告するものです。
    • 2022年10月にIAEA立ち会いの下でALPS処理水等貯蔵タンクから採取されたALPS処理水について、IAEAの研究所及びIAEAにより選定された第三国の分析機関が実施した分析結果の比較及びデータが示されています。
    • 本報告書は、2023年5月31日に公表された第1回目のALPS処理水の分析機関間比較結果報告書に続く、2回目の分析結果報告書になります。
  • 報告書のポイント
    • 以下1.から3.のポイントから、IAEAは、東京電力は正確で精密なALPS処理水の測定能力を有していることに留意し、東京電力が、ALPS処理水の放出中における東電福島第一原発での継続的な技術的ニーズを支えるための持続可能で堅固な分析体制を構築していることを実証した旨結論づけられています。
      1. 東京電力は高水準の測定の正確性と技術的能力を持つことが証明されている。
      2. 東京電力のサンプル採取手続は、代表的なサンプルを得るために必要な適切な基準に従っている。
      3. 東京電力が報告した検出限界値によると、使用されている核種分析の方法は、適切で目的にかなったものである。東京電力のソースタームに含まれる報告された全ての放射性核種検出限界値は、規制基準の1%未満であった。
    • 参加した分析機関
      • IAEA
        • 海洋環境研究所(モナコ所在)
        • 陸域環境放射化学研究所(オーストリア サイバーズドルフ所在)
        • アイソトープ・ハイドロジー研究所(オーストリア ウィーン所在)
      • 第三者分析機関
        • 韓国原子力安全技術院(韓国)
  • 報告書を踏まえた対応
    • 日本政府は、引き続き、IAEAレビューを通じて国際的な安全基準に照らした確認を継続し、安全確保に万全を期していく予定です。
    • 経済産業省は、IAEAによるレビュー結果を踏まえながら安全を大前提に処理水の海洋放出に関する取組を進めます。

経済産業省 IPEFサプライチェーン協定が発効します
  • インド太平洋経済枠組み(IPEF)サプライチェーン協定が米国時間の2月24日(土曜日)に発効する見込みとなりました。
  • 昨年11月にサンフランシスコで行われた、IPEF閣僚会合において署名されたサプライチェーン協定について、日本、米国、シンガポール、フィジー、インドが国内手続を完了し、寄託国である米国に対し通報を行いました。
  • これを受けて、米国時間の2月24日(土曜日)に協定が発効する見込みとなりました。引き続き、協定の実施に向けてIPEF参加国と連携して取り組んでいきます。
    • (参考)本協定の効力発生に関する規定(IPEFサプライチェーン協定第21条)
      • この協定は、オーストラリア、ブルネイ・ダルサラーム国、フィジー共和国、インド共和国、インドネシア共和国、日本国、大韓民国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン共和国、シンガポール共和国、タイ王国、アメリカ合衆国及びベトナム社会主義共和国による署名のために開放しておく。(中略)
      • この協定は、1に規定する国のうち少なくとも五の国が批准書、受諾書又は承認書を寄託者に寄託した日の後三十日で効力を生ずる。
▼ IPEF(インド太平洋経済枠組み)サプライチェーン協定(概要)
  • 経緯
    • 米国が主導し、2022年5月のバイデン大統領訪日時の首脳級会合においてIPEFの立ち上げを発表。
    • 2022年9月のIPEF閣僚級会合(於:ロサンゼルス)においてIPEFの4つの分野のうち「サプライチェーン」の分野について交渉を開始。
    • 2023年5月のIPEF閣僚級会合(於:デトロイト)において実質妥結を発表(IPEFで初の具体的成果)。
    • 2023年11月のIPEF閣僚級会合(於:サンフランシスコ)において署名式を実施。
    • 2024年2月24日に発効予定。
    • 【IPEFサプライチェーン協定交渉への参加国:米、日、豪、NZ、韓国、インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、インド及びフィジーの14か国。】
  • 意義
    • 成長が著しいインド太平洋地域において、有志国との平時・緊急時のサプライチェーンを強靭化し、我が国産業の国際競争力を向上。
    • サプライチェーンの途絶時における具体的な連携手続を規定する初の多数国間協定。
  • 概要
    • 主に以下の事項について規定している。
    • サプライチェーンの強化のための協力及び各国の行動並びに規制の透明性の促進
    • サプライチェーンにおける労働者の役割の強化
    • IPEFサプライチェーン協定に関する機関(IPEFサプライチェーン理事会、IPEFサプライチェーン危機対応ネットワーク、IPEF労働者権利諮問委員会等)の設置
    • 個別の施設における労働者の権利との抵触への対処
    • 重要分野・重要物品の特定
    • サプライチェーンのぜい弱性に対する監視及び対処
    • サプライチェーンの途絶への対応
  • IPEFサプライチェーン協定における主な規定の概要
    • IPEFサプライチェーン理事会及び各国による重要分野又は重要物品の特定
      • 潜在的な不足の影響や単一の供給者に対する依存の程度等を考慮の上、各国が自国の重要分野又は重要物品を特定。
      • 3か国以上が通報した重要分野又は重要物品の強靱性と競争力を向上させるための勧告を提供する行動計画を策定。
      • 行動計画には、供給源の多様化、物流上のボトルネックの緩和、連結性の強化、中小企業に重点を置いた事業取引のあっせんの加速化、共同研究開発の円滑化、貿易に対する障害の最小化又は除去等の勧告が含まれる。
    • IPEFサプライチェーン危機対応ネットワーク及びサプライチェーン途絶への対応
      • サプライチェーンの途絶の際の緊急の連絡経路として機能するIPEFサプライチェーン危機対応ネットワークを設置。
      • サプライチェーンの途絶時等には、本ネットワークの緊急会合(対面又はバーチャル方式)を要請可能。
      • 会合の要請国は、途絶の影響や途絶の原因等の情報について、可能な限り速やかに共有する。
      • 各国は、途絶への対処の経験等の共有、生産増大等の奨励、共同の調達及び提供の探求及び円滑化、代替輸送能力へのアクセスの円滑化及び特定等を含め、可能な範囲内で途絶に対する他国の対応を支援する。
    • IPEF労働者権利諮問委員会及び個別の施設における労働者の権利との抵触への対処
      • 各国の政労使代表から成るIPEF労働者権利諮問委員会を設置。サプライチェーンに対する重大なリスクをもたらす労働者の権利に関する懸念を特定し、同リスクに対処するための勧告の策定や労働者の権利に関する報告書の作成・公表等を行う。
      • 各国は、企業(従業員数20名以下を除く。)の施設であって他国の領域内に所在するものにおける労働者の権利との抵触に係る申立てを受領する仕組みを構築。申立てを受領した国(通報締約国)は、対象施設が所在する国(施設所在締約国)に通報を行い、通報を受領した施設所在締約国は、自国の法令に従い申立てを検討の上、検討結果を通報締約国に伝達。その後、通報締約国と施設所在締約国は申立ての解決に向けて対話を行う。
      • 一定期間内に解決に達しない場合、諮問委員会の政府代表から成る小委員会は、一定の情報を公開するとともに(企業や個人を特定する情報は含まない)、解決に向けた取組の継続の奨励や悪影響に対処するための提案の策定等を行う。

経済産業省 花粉症に悩む全ての方々を対象にしたイベント「もっと知ろう!花粉症対策のこと」を開催します
  • 政府は2023年4月に、社会問題化している花粉症問題の解決に向け「花粉症に関する関係閣僚会議」を立ち上げました。経済産業省における花粉症対策の取組として、花粉対策に資する商品やその認証制度をとりあげたイベント「もっと知ろう!花粉症対策のこと」を開催します。
  • 政府における花粉症対策について
    • 花粉症問題の解決に向けては、これまで長い間、各省庁で取組が行われてきました。花粉症の有病率は令和元年(2019年)時点で4割超にのぼるとの関係学会の調査データもあるなど、花粉症は未だ多くの国民を悩ませ続けている社会問題と言えます。
    • そこで、2023年4月には、花粉症について適切な実態把握を行うとともに、発生源対策や飛散対策、発症・ばく露対策の充実等に政府一体となって取り組むため、「花粉症に関する関係閣僚会議」が設置されました。ここでとりまとめられた花粉症対策に基づき、経済産業省としても花粉対策製品の周知等の取り組みを進めており、本イベントもその一環で開催をするものです。
  • イベント「もっと知ろう!花粉症対策のこと」について
    • 日時 2024年2月23日(金・祝)13:00から17:00
    • 場所 フーハ東京(東京都新宿区西新宿二丁目4番1号 新宿NSビル1、2階)
    • 参加費 無料
    • 登壇者 大久保公裕(医師・日本医科大学教授)、優木まおみ(タレント)
    • タイムライン
      • 13:00から17:00花粉対策商品メーカーによる最新の花粉対策の紹介と展示
      • 13:15から14:20ステージ上にて、大久保先生と優木さんによるトークショー
      • 「花粉症に悩む優木まおみさんの疑問に日本医科大学大久保教授が答えます!~みんなが知らない、最新の花粉症対策!~」
    • 概要
      • トークショーでは、花粉症研究の第一人者である日本医科大学の大久保教授をお招きし、最新の花粉症対策について教えていただきます。また花粉症に悩むタレントの優木まおみさんにもご登場いただき、ご自身の悩みを先生にぶつけていただき、解決策を探っていきます。
      • 会場内にはJAPOCの認証制度をクリアした製品を含む花粉対策グッズを紹介するブースを設置。空気清浄機やマスク、網戸といった製品を展示し、花粉対策の最先端をお伝えするなど、花粉症に悩む方々にとって有益な情報、コンテンツを盛りだくさんに用意しております。当日会場でアンケートをご回答いただいた方には、花粉対策グッズなどをプレゼントする予定です。

経済産業省 (株)豊田自動織機のフォークリフト等用エンジンの型式指定申請における不正行為について
  • 本日、株式会社豊田自動織機より、同社におけるフォークリフト等用エンジンの排出ガス試験等における不正行為に関する同社の調査結果の報告を受けました。
  • この報告の中で、産業車両用エンジンについて、令和5年3月に報告があった4機種のフォークリフト等用エンジンに加え、新たにフォークリフト用エンジン6機種及び建設機械用エンジン1機種で不正行為が確認されたこと、令和5年3月に報告があった2機種に加え、新たに1機種で基準不適合が確認されたこと、新たに自動車用エンジン3機種で不正行為が確認されたこと等の報告がありました。
  • 型式指定申請において不正を行うことは、ユーザーの信頼を損ない、かつ、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり、今回更なる不正行為が明らかになったことは極めて遺憾です。
  • これを踏まえ、経済産業省は、同社に対し、①顧客・取引先への適切な対応、②十分な対外説明、③原因の徹底究明・再発防止策の実施をするとともに、取組状況について速やかに報告するよう指導しました。
  • また、該当エンジンを搭載した建設機械を製造・販売した建設機械メーカーに対しては、オフロード法(特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律)の趣旨に則り、ユーザーへの丁寧な対応を行うよう指示しました。
  • 豊田自動織機からの報告概要
    • 同社の特別調査委員会の調査等により、以下の事項が判明。
      1. 産業車両用エンジンについて、令和5年3月に報告があった4機種のフォークリフト等用エンジンに加え、新たにフォークリフト用エンジン6機種及び建設機械用エンジン1機種で不正行為が確認されたこと
      2. ②同報告で基準不適合としていた2機種に加え、新たに建設機械用1機種で基準不適合を確認したこと
      3. 新たに、自動車用エンジンについて、3機種で不正行為が確認されたこと
    • 同社は、今回新たに不正行為が判明したフォークリフト用エンジン、自動車用エンジン及び当該エンジンを搭載するフォークリフトについて、本日付で自主的に出荷を停止する。
    • 同社は、新たに基準不適合が確認されたエンジンが搭載された建設機械のリコール措置に向け、建設機械メーカーと連携して対応を行う。
    • 同社は、特別調査委員会の調査結果及び提言を踏まえ、再発防止に取り組む。
  • 経済産業省の対応
    • 豊田自動織機からの報告を踏まえ、同社に対し、以下3点を指示するとともに、取組状況について速やかに報告するよう求めました。
      1. 情報提供など顧客・取引先への適切な対応
      2. 問題の経緯や今後の対応についての十分な対外説明
      3. 原因の徹底究明、再発防止策の実施
    • 建設機械メーカーに対し、該当エンジン搭載済みの建設機械について、オフロード法の趣旨に則り、リコール措置に向けた対応を行うとともに、ユーザーへの丁寧な対応や説明に努めるよう指示しました。

【2024年1月】

経済産業省 経済対策に基づく新たな資金繰り支援策を行います
  • 経済産業省は、令和5年11月2日に閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」に基づき、以下2点の新たな資金繰り支援を行います。
    1. 新たな信用保証制度を創設
      • 中小企業の4割が利用している信用保証制度で、依然として信用保証付融資の7割で経営者保証を徴求している現状を変えるため、保証料を上乗せすることで、経営者保証の提供を不要とする信用保証制度を創設することに加え、3年間の時限的な保証料負担軽減策を行います。
      • 本制度については、3月15日より申込受付を開始し、それに先立ち2月16日より、要件確認などの事前審査も開始します。
    2. 日本政策金融公庫等のコロナ資本性劣後ローンの金利運用見直し
      • コロナ資本性劣後ローンの黒字金利は、直近決算の黒字額から負担することになりますが、黒字額が小さい場合、金利負担により実態上赤字に転落する場合があります。
      • そのため、直近決算で黒字の事業者が翌年度に黒字金利を支払った場合に、直近決算において事実上の赤字に陥る場合には、直近決算期後1年間については赤字金利(0.5%)を適用するという運用見直しを2月16日より行います。

経済産業省 第7回「インフラメンテナンス大賞」受賞者を決定しました インフラメンテナンスの優れた取組や技術開発を表彰
  • 経済産業省は、国土交通省、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、環境省、防衛省とともに、「インフラメンテナンス大賞」の内閣総理大臣賞及び各省大臣賞等の受賞者を決定しました。総理大臣賞、各省大臣賞及び特別賞の表彰式を令和6年1月18日(木曜日)、優秀賞の表彰式を令和6年1月22日(月曜日)に開催する予定です。
  • インフラメンテナンス大賞とは
    • インフラメンテナンス大賞は、日本国内における社会資本のメンテナンス(以下「インフラメンテナンス」という。)に係る優れた取組や技術開発を表彰し、好事例として広く紹介することにより、我が国のインフラメンテナンスに関わる事業者、団体、研究者等の取組を促進し、メンテナンス産業の活性化を図るとともに、インフラメンテナンスの理念の普及を図ることを目的として実施するものです。今回より、内閣総理大臣賞及び環境大臣賞が新設されております。
  • 応募状況及び審査結果
    • 第7回目となる今回は、令和5年4月25日から同年6月30日まで募集したところ、317件(うち電気・ガス設備に係るもの23件)の応募がありました。有識者による選考委員会(委員長:家田仁 政策研究大学院大学 特別教授)の審査を経て、次のとおり、内閣総理大臣賞1件、経済産業大臣賞1件、特別賞1件及び優秀賞1件の受賞者が決定しましたので、お知らせします。なお、全受賞案件については別紙のとおりです。
      • 内閣総理大臣賞
        • 技術開発部門
        • 大阪ガスネットワーク株式会社
        • レーザー分光式検知器と専用ナビの活用による漏えい検査の効率化
      • 経済産業大臣賞
        • 技術開発部門
        • 四国電力株式会社 火力本部 火力部
        • ボイラチューブパウダースケールの分析・除去・抑制技術の確立
      • 特別賞
        • メンテナンスを支える活動部門
        • 有限会社イー・ウィンド
        • 地域に根差した風力発電設備メンテナンス
      • 優秀賞
        • メンテナンス実施現場における工夫部門
        • 中部電力パワーグリッド株式会社
        • 変電機器に対する状態監視保全システムを活用した保全の効率化
▼ (参考1)第7回インフラメンテナンス大賞受賞案件概要

経済産業省 GXリーグ公式Webサイトに「GXダッシュボード」を開設し、参画企業ごとの排出削減目標等を公開しました
  • 経済産業省は、2022年2月1日に「GXリーグ基本構想」を公表し、2023年度よりGXリーグの取組が開始されました。今般、GXリーグ公式Webサイトに「GXダッシュボード」を開設し、GXリーグ参画企業各社が設定する排出削減目標など、参画企業の取組状況を公表しました。GXリーグは我が国の温室効果ガス(GHG)排出量の5割超をカバーする枠組みとして、我が国のGXを牽引していきます。
  • GXリーグとは
    • GXリーグは、カーボンニュートラルへの移行に向けた挑戦を果敢に行い、国際ビジネスで勝てる企業群がGXを牽引する枠組みであり、現在、568社が参画しています。
    • 参画企業は、2030年度に加え、2025年度までの排出削減目標を自ら掲げて削減に挑戦するとともに、試行的に開始する排出量取引にも参画しています。また、サプライチェーン上での排出削減やGX製品の投入に関して個社の取組では難しいルール形成等についても積極的な議論を行っています。
  • GXダッシュボードについて
    • GXリーグ参画企業の排出削減目標やサプライチェーンでの排出削減の取組等に係る情報開示基盤として、GXダッシュボードをGXリーグ公式Webサイト内に開設しました。ダッシュボードでは、参画企業の排出削減目標や各社のサプライチェーン上での削減取組が公表されており、来年度以降は、各社の排出量の実績等も公表される予定です。
    • なお、現在データ提出済み企業の2021年度直接排出量合計は我が国のGHG排出量の5割超を占め、2025年度直接排出削減目標の合計は6.2億トン、2030年度直接排出量削減目標の合計は4.8億トンとなりました。また、現在データ未提出企業分に係るダッシュボード追加掲載等の更新を1か月ごとに実施する予定です。
  • 2024年度からの途中参画の受付
    • GXリーグは現在、2024年度からの途中参画を受け付けています。詳細は、GXリーグ公式Webサイト内の特別ページをご参照ください。
    • なお、第1フェーズ(2023年度から2025年度)の募集は本募集(2024年度)が最後となり、2025年度の募集はありません。

経済産業省 AIマネジメントシステムの国際規格が発行されました 安全・安心なAIシステムの開発と利活用を目指して(ISO/IEC 42001)
  • 人工知能(AI)を利用した製品やサービス(AIシステム)の普及が急速に進む中、AIシステムを安全・安心に利活用するためには、リスクベースアプローチ等を通じて、AIシステムを適切に開発・提供・使用することが必要です。
  • 今回発行されたAIマネジメントシステムの国際規格により、AIに関するリスクを回避するための要件やリスクが生じた場合の対応を含む信頼性の高いマネジメントシステムが構築可能となり、より安全・安心なAIシステムの普及拡大への貢献が期待されます。
  • 背景
    • 近年、AIの開発が活発化しており、一般にも、AIシステムとして日常生活の様々な場面で使用されるなど普及が急速に進みつつあります。その普及に当たっては、安全・安心なAIシステムとして適切に開発・提供・使用することが必要であることから、よりどころとなるマネジメントシステムのニーズが高まっていました。
    • そのため、国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)の合同専門委員会(JTC1)内のAIに関する分科委員会(SC42)において、AIマネジメントシステムの国際標準化の検討・開発が進められ、2023年12月18日に国際規格「AIマネジメントシステム(ISO/IEC 42001)」として発行されました。なお、本規格の開発には、日本から多くの専門家が参加し、重要な提案を行い積極的に議論するなど貢献をしました。
  • 規格の概要
    • 本規格は、AIシステムを開発、提供または使用する組織を対象とし、組織がAIシステムを適切に利活用(開発・提供・使用)するために必要なマネジメントシステムを構築する際に遵守すべき要求事項について、リスクベースアプローチによって規定したものです。信頼性や透明性、説明責任を備えたAIシステムの利活用ができるよう、そのリスクを特定し、軽減すると共に、AIの公平性や個人のプライバシーなどへの配慮についても要求しています。さらに、AIシステムに特有な学習データや機械学習について考慮するにあたっても、重要な規格になります。
    • マネジメントシステムの構築については、ISO9001品質マネジメントシステム(QMS)規格やISO/IEC27001情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)規格など既存のマネジメントシステム規格と同様のアプローチを採用し、同じ構成で要求事項を規定するなど、本規格の利用者を考慮した規格にもなっています。
  • 期待される効果
    • 本規格により、AIシステムの開発・提供・使用をする事業者が国際標準に基づいたAIマネジメントシステムを構築し、これまで以上に安全・安心なAIシステムの開発・提供・使用が行えるようになることが期待されます。また、AIシステム関係者相互の共通理解が図られるようになり、AIシステムの国際取引が促進されることも期待されます。

経済産業省 人的資本経営コンソーシアムへの新規入会申込受付を開始します
  • 人的資本経営コンソーシアムへの新規入会申込を、本日より通年で受け付けることとします。
  • 人的資本経営コンソーシアムの概要等
    • 「人的資本経営コンソーシアム」では、日本企業における人的資本経営を実践と開示の両面から促進することを目的とし、人的資本経営の実践に関する先進事例の共有、企業間協力に向けた議論、効果的な情報開示の検討を行っています。本コンソーシアムの詳細については、人的資本経営コンソーシアムWEBサイトをご確認ください。
  • 人的資本経営コンソーシアムへの新規入会申込受付について
    • 人的資本経営コンソーシアムへの新規入会申込を、本日より通年で受け付けることとします。入会を希望し、本コンソーシアムの設立趣旨に賛同していただけるとともに、人的資本経営の実践及び開示に関して先進的な取組を行い、その内容を共有していただける法人の皆様は、「入会希望」の旨、以下の人的資本経営コンソーシアム事務局のメールアドレス宛にお問合せください(入会申込書を送付させていただきます)。入会の際は規約PDFファイルに同意するものとします。
    • なお、本コンソーシアムへの入会に当たっては、以下の3点を満たしていることが期待されます。
      • 国内に事業所を有し、現に事業活動を行っている法人であること
      • 相当数の従業員を対象に人的資本に関する取組を行っていること
      • 有価証券報告書や統合報告書等で人的資本情報の開示を行っていること

経済産業省 令和6年能登半島地震による災害が激甚災害として指定されたことに伴い、追加の被災中小企業・小規模事業者対策を講じます
  • 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律に基づき、令和6年能登半島地震による災害により被害を受けた災害救助法適用地域の中小企業者等に対し、中小企業信用保険の特例措置を講ずることとする政令等が1月11日に閣議決定されました。
  • 概要
    • 令和6年能登半島地震による災害により被害を受けた災害救助法適用地域の中小企業者等に対し、中小企業信用保険の特例措置を講ずるとともに、日本政策金融公庫による災害復旧貸付の金利引下げを行います。
  • 中小企業信用保険の特例措置(政令、令和6年1月11日公布・施行)
    • 市町村長等から事業所または主要な事業用資産に係る罹災証明を受けた中小企業者が事業の再建に必要な資金を借り入れる際、一般保証及びセーフティネット保証とは別枠での信用保証をご利用いただける特例措置を講じます(借入債務の額の100%を保証)。
    • 普通保険
      • 一般保証限度額 2億円 災害関係保証限度額+2憶円
    • 無担保保険
      • 一般保証限度額 8,000万円 災害関係保証限度額+8,000万円
      • (うち特別小口保険 一般保証限度額 2,000万円 災害関係保証限度額+2,000万円)
  • 日本政策金融公庫による災害復旧貸付の金利引下げ
    • 市町村長等から事業所または主要な事業用資産に係る被害を受けた旨の証明を受けた中小企業者等を対象に、日本政策金融公庫が実施している災害復旧貸付について、特段の措置として、0.9%の金利引下げを行います(貸付後3年間、1千万円まで)。
    • 災害復旧貸付制度及び金利引下特別措置の概要
      • 資金使途
        • 運転資金又は設備資金
      • 貸付限度額
        • 中小企業事業…別枠で1.5億円
        • 国民生活事業…各貸付制度の限度額に上乗せ3千万円
      • 貸付金利:基準利率(中小企業事業1.20%、国民生活事業1.20%)
      • (貸付期間5年以内の基準利率(令和6年1月4日現在))
        • 金利引下げ:貸付額のうち1千万円を上限として、貸付金利から0.9%を引下げ(貸付後3年間)

経済産業省 「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー2023」 経済産業大臣賞の受賞者が決定しました
  • 「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー2023」(主催:一般社団法人日本取締役協会、後援:経済産業省、金融庁、法務省、東京都、東京証券取引所/日本取引所グループ)経済産業大臣賞の受賞者が決定しましたので公表します。
  • 概要
    • 成長戦略としてのコーポレートガバナンス改革の「形式から実質へ」の深化に向け、令和3年6月にコーポレートガバナンス・コードが改訂され、その翌年には、経済産業省の「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」(CGSガイドライン)が改訂されました。
    • これらの改訂の趣旨を踏まえ、特にガバナンスの根幹である社長・CEOの選任、後継者計画(サクセッションプラン)において、先進的な取組を行っていると認められる企業に対して経済産業大臣賞を付与し、その優れた取組を広く発信することにより、実効あるコーポレートガバナンス改革の推進を図っています。
    • この度、「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー2023」経済産業大臣賞実施要領(関連資料参照)に基づく審査が行われた結果、マニー株式会社(東京証券取引所プライム市場上場)が今年度の経済産業大臣賞を受賞しました。
  • 選定理由
    • 本年度は、社長・CEOの選任・後継者計画において、先進的な取組を行っており、実効的に運営されている企業を選定いたしました。
    • その結果、財務パフォーマンスが向上している点も考慮しつつ、特に以下の点を評価し、マニー株式会社を受賞企業として選定いたしました。
      1. 次期CEOの評価・育成・選任を含む実効的な指名プロセスが構築されている。なお、受賞企業では、あるべきCEO像を定めた上で、以下のプロセスを構築している。
        • 次期CEO候補者(複数名)が、あるべきCEO像に基づき自己評価を行った上で、自身に不足していると考える事項について自己研鑽計画書を作成し、取締役会(過半数が独立社外取締役)に提出するとともに、その取組結果について、取締役会に対して中間報告と期末報告を行い、それを踏まえて指名委員会が候補者の絞り込みを行っている。
        • 次期CEO候補者(1に基づき絞り込まれた複数名)が、取締役会において、「私の経営持論」をテーマに、「私が目指す5年後、10年後のマニーの姿」と「そのために必要な戦略」について触れながらプレゼンテーションを2回行い、次期CEO候補者を評価している。
        • 1回目のプレゼンテーションにおける取締役からの指摘を踏まえ、2回目に改善した内容のプレゼンテーションを行っている。
        • CEO交代の1年前に、次期CEO候補者の自己研鑽計画書の最終報告を受け、次期CEOを1名に仮決定している。
        • 仮決定後も、就任までの1年間、次期CEOが自己研鑽計画書を提出し、期待通り成長できているかについて、取締役会が最終確認を行うなど、慎重なプロセスを経ている。また、その間に次期CEOは、他の執行役と企業の将来像を議論しながら中期経営計画の作成を行うなど、十分な準備期間が確保されるとともに、スムーズな権限移譲が行われている。
      2. 毎年、経営環境の変化や課題等に応じて、組織の在り方と執行役の役割の見直しを行い、戦略的に最適な配置となるよう工夫している。
      3. 人材配置も含めて営業部門と開発部門の連携を密に図るなど、企業全体が一丸となり、製品の付加価値を高める意識が醸成されている。
      4. 創業家自身がコーポレートガバナンスの重要性をいち早く認識し、創業家の経営関与を排除する観点から、委員会等設置会社(現指名委員会等設置会社)へ移行する等、コーポレートガバナンス改革を着実に実施し、社外取締役が取締役会議長を務めるなどの取組を進めている。
  • 以上のように、戦略性・透明性・権限の偏りの排除を尊重しつつ、CEO候補者の主体的な取組からリーダーシップを醸成する等、自社の実状に応じてよく考えられた仕組みが構築され運用されていることを、社長及び指名委員会委員長へのインタビューで確認いたしました。

経済産業省 障害のある方への情報保障や意思疎通への配慮に取り組みます 経済産業省本省庁舎に文字おこしシステムを試行的に設置します
  • 経済産業省は、障害のある方への合理的配慮の提供※に関する取組(情報保障や意思疎通への配慮)として、(株)アイシンの協力を得て、2023年度グッドデザイン賞金賞(経済産業大臣賞)を受賞した文字おこしアプリケーションおよび機器を令和6年1月11日(木曜日)から3月29日(金曜日)の約3ヶ月間試行的に受付窓口に設置します。
  • 背景・経緯
    • 「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年6月法律第65号)」において、行政機関等における合理的配慮の提供は義務となっています。
    • 令和3年5月に同法が改正され、施行日である令和6年4月1日からは、事業者における合理的配慮の提供が義務となり、行政機関等としても引き続き、合理的配慮の提供や支援措置等の取組が重要になってきます。
    • 経済産業省としては、令和5年12月22日に、当省職員における障害のある方への対応のあり方を定めた「経済産業省における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領」を改訂し、合理的配慮の提供に一層取り組んでまいります。この度、その一環として、(株)アイシンの協力を得て、2023年グッドデザイン賞金賞(経済産業大臣賞)を受賞した音声認識システム「YYSystem」を試行的に設置します。
  • 目的・内容
    • 「YYSystem」は、音声をリアルタイムにアプリで認識、文字におこしその情報をディスプレイに表示することが可能なシステムです。本システムの活用により、音が聞こえない、聞こえにくい、障害のある方等も安心して庁舎にご来訪いただけます。
    • また、音声を多言語翻訳し日本語と同時に表示することができるため、日本語が話せない方との意思疎通も円滑に行うことができます。
    • 試行的に設置する期間においては、経済産業省本館受付窓口や会議室において活用することを予定しています。
    • 試行期間中の活用状況を踏まえ、合理的配慮の提供のあり方を検討してまいります。

経済産業省 「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」を立ち上げます
  • 経済産業省は、学びの選択肢の多様化を通じたイノベーション環境の創出を目指し、企業等と教育現場の連携・協働の好事例の創出や普及に向けて必要な施策を検討するため、「イノベーション創出のための学びと社会連携推進に関する研究会」を立ち上げます。
  • 背景
    • デジタル化・グローバル化等により変化が一層激しくなっている時代において、未来を切り拓くことのできる多様な人材の育成が重要となっており、学校現場においても学びの多様化、個別最適化に向けた取組が進んでいます。一方、教職員の多忙や教育活動費の不足、地方での学校小規模化の進行等により学校のみで多様な取組を充実させることは困難です。
    • また、社会的責任の観点だけではなく、自社の人材育成や将来的な人材確保等の観点から、教育活動への貢献・参画(寄付、人材派遣、プログラムの提供等)へ関心を持つ企業・個人も少なくありません。今後、「社会に開かれた教育課程」を実現し、教育の多様化や探究型学習の普及・推進を進めていくうえで、地域・企業と学校との連携・協働を推進することの重要性が増しています。
    • 当研究会では企業や地域コミュニティと自治体・学校との連携、教育現場における外部資源の活用を促進するための方策を検討し、企業等と教育現場の連携・協働の好事例の創出と普及を促進する環境の実現を目指します。
  • 本研究会の取組
    • 本会議では、特に、企業や地域コミュニティと学校現場との連携や、学校現場における外部資源活用を促進する環境について焦点を当て、企業等と学校現場の連携・協働の好事例の創出と普及に向けて必要な施策を検討します。

経済産業省 GX実現に向けた投資促進策を具体化する「分野別投資戦略」を取りまとめました
  • 脱炭素、経済成長、エネルギー安定供給の3つを目指すGX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けて、企業の予見可能性を高め、GX投資を強力に引き出すため、重点分野における今後10年間の「分野別投資戦略」を取りまとめました。
  • 背景
    • 本年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」(7月に「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略(GX推進戦略)」を閣議決定)の参考資料として、国が長期・複数年度にわたるコミットメントを示すと同時に、規制・制度的措置の見通しを示すべく、22分野において「道行き」を提示しました。今般、当該「道行き」について大括り化等を行った上で、重点分野ごとに「GX実現に向けた専門家ワーキンググループ」で議論を行い、GX実行会議の下で「分野別投資戦略」として取りまとめました。
  • 概要
    • GX経済移行債を活用した「投資促進策」に関し、基本原則や具体化に向けた方針、支援策の対象となる事業者に求めるコミットメントの考え方、執行原則等の基本的考え方を示すとともに、以下の16分野について、GXの方向性と投資促進策等を取りまとめました。今後、「分野別投資戦略」の遂行により、重点分野でのGX投資を促進し、我が国におけるGXの実行を加速していきます。
  • 重点16分野
    • 鉄鋼、化学、紙パルプ、セメント、自動車、蓄電池、航空機、SAF、船舶、くらし、資源循環、半導体、水素等、次世代再エネ(ペロブスカイト太陽電池、浮体式等洋上風力)、原子力、CCS

経済産業省 障害者差別解消法に基づく「経済産業省所管事業分野における対応指針」を改正しました
  • 経済産業省は、障害を理由とする差別の解消の推進に向けて、来年4月1日(月曜日)に施行される改正障害者差別解消法※1を踏まえ、「経済産業省所管事業分野における対応指針※2」を改正しました。
    • ※1 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律(令和3年法律第56号)
    • ※2 経済産業省所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針(以下、対応指針という)
  • 背景・経緯
    • 全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的とした「障害者差別解消法」が平成28年4月に施行され、同法に基づき、経済産業省は、事業者における障害のある方への対応のあり方を定めた「対応指針」を策定し、周知等を行ってきました。
    • 令和3年5月に同法が改正され、令和6年4月1日から、事業者における「合理的配慮の提供※」が努力義務から義務へと改められます。
    • 法改正を踏まえ、経済産業省では、当省所管事業分野の事業者が適切に対応するために必要な事項を定めた「対応指針」の改正を行いました。
    • 改正後の対応指針は、経済産業省ウェブサイトからご覧ください。
      • ※合理的配慮の提供とは、行政機関等や事業者が事務・事業を行うに際し、個々の場面で障害者から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった時に行われる必要かつ合理的な取組であり、実施に伴う負担が過重でないもの(例:段差に携帯スロープを渡す、筆談、読み上げ、手話などの意思疎通等)
  • 主な改正内容
    • 主な改正内容は、以下の2点です。
      • 「合理的配慮の提供」の義務化や「合理的配慮の提供」のための「建設的対話」の考え方等を追記
      • 経済産業省所管事業分野における「障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮等の例」の追加
  • 今後のスケジュール
    • 令和5年12月22日(金曜日)対応指針の公表
    • 令和6年4月1日(月曜日)改正障害者差別解消法の施行

経済産業省 「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の一部の施行期日を定める政令」及び「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律施行令」を閣議決定しました
  • 本日、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の一部の施行期日を定める政令」及び「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律施行令」を閣議決定しました。これらの政令は、第211回国会において成立した「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」(以下「GX推進法」といいます。)一部の施行期日を定めるとともに、所要の措置を定めるものです。
  • 政令の概要
    • 「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の一部の施行期日を定める政令」
    • GX推進法の一部(GX推進機構の設立等に係る規定)の施行期日を令和6年2月16日と定めました。
    • 「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律施行令」
    • 脱炭素成長型経済構造移行推進機構(GX推進機構)の設立に際し必要となる次の事項を定めます。
    • 金融支援業務の支援決定の際、支援額が200億円を超える場合には、経済産業大臣への意見照会を行う旨を定めます。
    • 中間事業年度(本政令により令和22年度と規定)における国庫納付の手続等を定めます。
    • GX推進機構の機構債の発行の方法等を定めます。
  • 今後の予定
    • 公布 令和5年12月27日(水曜日)
    • 施行 令和6年2月16日(金曜日)

経済産業省 外国為替及び外国貿易法に基づく行政処分(輸入禁止等)を行いました
  • 経済産業省は、本日、町野義彦(まちのよしひこ)、里見孝博(さとみたかひろ)、金内雅人(かねうちまさと)、松田貴義(まつだたかよし)による外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」という。)違反事案に関し、外為法53条第2項及び第3項に基づき、輸入禁止等の行政処分を行いました。
  • 行政処分について
    • 処分対象者
      • 町野義彦、里見孝博、金内雅人、松田貴義
    • 処分概要
      • 輸入禁止(第三者を介して輸入を行うことの禁止を含みます)
        • 対象貨物:ワシントン条約※附属書I、附属書II及び附属書IIIに掲げる種に属する動物又は植物並びにこれらの個体の一部及び派生物
        • 原産地及び船積地域:全地域
        • 輸入禁止期間:令和5年12月29日から令和6年4月28日まで(4か月間)
      • 次の輸入業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることの禁止
        • 対象貨物:ワシントン条約※附属書I、附属書II及び附属書IIIに掲げる種に属する動物又は植物並びにこれらの個体の一部及び派生物
        • 原産地及び船積地域:全地域
        • 役員就任禁止期間:令和5年12月29日から令和6年4月28日まで(4か月間)
          • ※「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」
  • 事案の概要
    • 町野義彦、里見孝博、金内雅人及び松田貴義の4名は、共謀の上、令和4年2月1日、生きているショウガラゴ1匹を隠匿し、経済産業大臣の承認を受けないでタイ王国から輸入しました。

経済産業省 ダイハツ工業(株)の型式指定申請における不正行為について
  • 本日、ダイハツ工業より、型式指定申請における不正行為に関する同社の調査結果の報告を受けました。
  • この報告の中で、5月に報告があった2車種を含む国内向けの現行生産・開発中の全車種、及び生産が終了している一部の車種において、型式指定申請に係る不正行為が確認されたこと等の報告がありました。
  • 型式指定申請において不正を行うことは、自動車ユーザーの信頼を損ない、かつ、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり、今回更なる不正行為が明らかになったことは極めて遺憾です。
  • これを踏まえ、経済産業省は、同社に対し、(1)顧客・取引先への適切な対応、(2)十分な対外説明、(3)原因の徹底究明・再発防止策を実施するとともに、取組状況について速やかに報告するよう指導しました。
  • ダイハツ工業からの報告概要
    • 同社が設置した第三者委員会の調査により、新たに以下の事項が判明。
      • 5月19日に報告があった2車種を含め、国内向けの現行生産・開発中の全車種(28車種)・1エンジンにおいて、型式指定のための申請における不正行為が確認された。
      • 不正の内容は16項目に及び、フルラップ前面衝突試験での不正のほか、制動装置等の試験成績書の虚偽記載等の不正行為(計82件)が確認された。
      • 国内向けの生産が終了している一部の車種(18車種)・3エンジンでも不正行為(計60件)が行われていた。
    • 同社による検証の結果、計142件の不正行為のうち141件は基準適合性、諸元値の妥当性を確認済。1件は不適合の可能性があり原因調査中。
    • 同社は、5月より出荷停止している2車種を含め、全ての現行生産車の出荷を自主的に停止。
    • 同社は、第三者委員会の調査結果・提言を踏まえ、再発防止に取り組む。
  • 経済産業省の対応
    • ダイハツ工業からの報告を踏まえ、同社に対し以下3点を指示するとともに、取組の状況について速やかに報告するよう求めました。
      • 情報提供など顧客・取引先への適切な対応
      • 問題の経緯や今後の対応についての十分な対外説明
      • 原因の徹底究明、再発防止策の実施
    • 生産停止に伴う同社のサプライヤー等への影響を速やかに調査し、必要な対策について検討を行います。

経済産業省 AI基盤モデルの開発環境整備に係る事前調査を開始します
  • 経済産業省は、AI基盤モデルの安定供給確保に向け、AI向けの高度な電子計算機の利用環境整備に取り組む事業者を支援することとしています。支援に当たっては、事業者が策定する供給確保計画の公募を行い、認定案件・補助額を決定することを予定していますが、公募に先立ち、公募・採択をより円滑に進めるため、事前調査を実施します。
  • 概要
    • 安全保障の確保に関する経済施策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする「経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律」において、安定供給確保を図るべき重要物資として「クラウドプログラム」が政令で指定されており、経済産業省においては、高度な電子計算機の利用環境整備に取り組む事業者を支援することとしています。
    • 支援に当たっては、事業者が策定する供給確保計画の公募を行い、認定案件・補助額を決定することを予定していますが、公募・採択をより円滑に進めるため、事前調査を実施します。
    • 本事前調査への参加は供給確保計画の認定条件ではありません(本事前調査で認定案件・補助額が決まるものでもありません)。
    • 供給確保計画の公募にあたっての詳細については、今後公表される公募要領等をご確認ください。公募・第三者委員会の時期は確定していませんが、来年2月から3月にかけて公募を行い、3月に第三者委員会を実施することを想定しています。
  • 事前調査の概要
    • 事前調査の概要については、以下の実施要領を御確認の上、事前申請書に記載いただき、お問合せ先メールアドレスに必要書類を提出してください。
  • 事前調査の期間
    • 2023年12月26日(火曜日)から2024年1月17日(水曜日)まで

経済産業省 関西電力株式会社に対する業務改善勧告を行いました
  • 本日、電力・ガス取引監視等委員会は、電気事業法第66条の12の規定に基づき、関西電力株式会社に対して業務改善勧告を行いました。
  • 概要
    • 関西電力株式会社が、JEPX電力スポット市場(以下、「スポット市場」といいます。)において、令和4年及び令和5年における合計3日間、本来意図していた入札量とは異なる内容での入札を複数回行い、一定の試算に基づけば、コマによっては30円/kWh程度スポット約定価格を上昇させたことについて、同社の過失の大きさや、市場への影響が重大であったこと等に鑑み、電力・ガス取引監視等委員会は、電力の適正な取引の確保を図るため、電気事業法に基づき業務改善勧告を行いました。
  • 勧告の内容
    • 令和4年12月26日、令和5年9月20日、及び、同月21日に発生した過剰買い入札及び余剰全量供出の未達の事案を踏まえ、以下をはじめとする、再発防止に向けて必要な措置を速やかに講じる計画の立案を行い、令和6年1月31日(水曜日)までに、当委員会に対し、当該計画、及び、同日までに講じた措置があればその内容を文書で報告すること。また、当該計画の進捗状況を定期的に当委員会に報告すること。
    • 誤入札が生じるリスクを最小化するための入札に係る体制の見直し
    • 規程・マニュアル類の必要な改訂
    • 大規模発電事業者として市場に重大な影響を与えうる地位にあること、及び、卸電力市場の信頼性を低下させうる行為を防止すべき注意義務を負うことを認識した上で、役職員を含む社員の意識改革を図るための措置

経済産業省 2024年度に向けた業種・分野別 物流の適正化・生産性向上に関する「自主行動計画」を公表しました
  • 国土交通省、農林水産省及び経済産業省は、荷主企業や物流事業者の方々が業種・分野別に作成した物流の適正化・生産性向上に関する「自主行動計画」を公表いたしました。
  • 背景・趣旨
    • 我が国の物流は、国民や経済を支える重要な社会インフラであり、いわゆる「物流の2024年問題」への対応が喫緊の課題となっています。
    • このため、令和5年6月に決定された「物流革新に向けた政策パッケージ」では、「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」(令和5年6月2日 経済産業省・農林水産省・国土交通省策定)を踏まえ、荷主企業・物流事業者が物流の適正化・生産性向上に関する「自主行動計画」を作成し、政府においても年内目途にそれらを公表することとされております。
    • 今回、荷主企業や物流事業者の方々が業種・分野別に作成した物流の適正化・生産性向上に関する自主行動計画を公表しましたのでお知らせいたします。
  • 自主行動計画の策定状況
    • 本日時点で、103団体・事業者が自主行動計画を策定しております。
    • 各団体・事業者が策定している自主行動計画はこちらから確認いただけます。
    • 今後、新たに作成される自主行動計画については随時、HPに追加してまいります。

経済産業省 土地利用転換の迅速化に向け、地域未来投資促進法の基本方針を改正しました
  • 本日、「地域における地域経済牽引事業の促進に関する基本的な方針」(告示)が、公布・施行されました。
  • 本改正は、地域未来投資促進法第18条に基づく市街化調整区域に係る開発許可の配慮の対象となる施設の追加を行うものです。
  • 改正の背景・目的
    • 令和5年11月2日に閣議決定された「デフレ完全脱却のための総合経済対策」において、「産業立地の際の土地利用転換の迅速化を図るため、2023年内を目途に、地域経済の発展に資する産業利用に係る市街化調整区域の開発許可手続の緩和を図る」ことが掲げられたことを受け措置。
    • 地域のニーズに応じた産業立地をより柔軟かつ円滑に進められるようにするため、地域未来投資促進法における市街化調整区域に係る開発許可の配慮の対象施設を追加。
  • 改正内容
    • 市街化調整区域に係る開発許可の配慮の対象となる施設に「地域における産業立地の促進のために必要と認められる区域」に関する類型を追加。
    • インターチェンジ等周辺において、都市計画区域マスタープラン等の産業利用に係る土地利用方針に即して、地域未来投資促進法に基づき、地方公共団体が基本計画の重点促進区域内に定める「地域における産業立地の促進のために必要と認められる区域」に立地する工場、研究施設、物流施設が対象。

経済産業省 2022年度(令和4年度)消費者相談報告書をまとめました
  • 経済産業省消費者相談室では、当省所管の法律、物資やサービスについて、消費者の方や各地域の消費生活センター等からのご相談、苦情等を受け、助言や情報提供等を行っています。
  • この度、2022年度(令和4年度)に受け付けた消費者相談件数等の動向や特徴について、2022年度(令和4年度)消費者相談報告書としてまとめました。
  • 消費者取引における契約トラブルの未然防止や解決等にお役立てください。
  • 報告書のポイント
    • 2022年度の相談件数は、6,952件(前年度比14.2%減)となりました。このうち、「特定商取引法関係」は4,543件(前年度比19.3%減)となり、全体の6割強を占めました。
    • この「特定商取引法関係」の取引類型の中では、「訪問販売」が1,414件で、前年度に引き続き、最も相談の多い取引類型となりました。特に、屋根や外壁、鍵等家屋の工事、修理修繕に関連した相談が多く寄せられました。
    • 2022年4月から、成年年齢が引き下げられました。2022年度における消費者相談件数6,952件のうち、契約等当事者の年齢が把握できたものが2,023件、うち18歳及び19歳の契約等に関する相談は83件となり、契約等当事者の年齢が把握できた相談の約4.1%を占めています。特に、「特定継続的役務提供」の相談が多く、中でもエステ・脱毛・美容医療等に関する相談が約4割を占めています。

【厚生労働省】

【2024年3月】

厚生労働省 第213回国会(令和6年常会)提出法律案
▼ 生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(令和6年2月9日提出)概要
  • 単身高齢者世帯の増加等を踏まえ、住宅確保が困難な者への安定的な居住の確保の支援や、生活保護世帯の子どもへの支援の充実等を通じて、生活困窮者等の自立の更なる促進を図るため、(1)居住支援の強化のための措置、(2)子どもの貧困への対応のための措置、(3)支援関係機関の連携強化等の措置を講ずる。
    1. 居住支援の強化のための措置【生活困窮者自立支援法、生活保護法、社会福祉法】
      1. 住宅確保が困難な者への自治体による居住に関する相談支援等を明確化し、入居時から入居中、そして退居時までの一貫した居住支援を強化する。(生活困窮者自立相談支援事業、重層的支援体制整備事業)
      2. 見守り等の支援の実施を自治体の努力義務とするなど、地域居住支援事業等の強化を図り、地域での安定した生活を支援する。
      3. 家賃が低廉な住宅等への転居により安定した生活環境が実現するよう、生活困窮者住居確保給付金の支給対象者の範囲を拡大する。
      4. 無料低額宿泊所に係る事前届出の実効性を確保する方策として、無届の疑いがある施設に係る市町村から都道府県への通知の努力義務の規定を設けるとともに、届出義務違反への罰則を設ける。
    2. 子どもの貧困への対応のための措置【生活保護法】
      1. 生活保護世帯の子ども及び保護者に対し、訪問等により学習・生活環境の改善、奨学金の活用等に関する情報提供や助言を行うための事業を法定化し、生活保護世帯の子どもの将来的な自立に向け、早期から支援につながる仕組みを整備する。
      2. 生活保護世帯の子どもが高等学校等を卒業後、就職して自立する場合に、新生活の立ち上げ費用に充てるための一時金を支給することとし、生活基盤の確立に向けた自立支援を図る。
    3. 支援関係機関の連携強化等の措置【生活困窮者自立支援法、生活保護法】
      1. 就労準備支援、家計改善支援の全国的な実施を強化する観点から、生活困窮者への家計改善支援事業についての国庫補助率の引上げ、生活保護受給者向け事業の法定化等を行う。
      2. 生活困窮者に就労準備支援・家計改善支援・居住支援を行う事業について、新たに生活保護受給者も利用できる仕組みを創設し、両制度の連携を強化する。
      3. 多様で複雑な課題を有するケースへの対応力強化のため、関係機関間で情報交換や支援体制の検討を行う会議体の設置(※)を図る。※生活困窮者向けの支援会議の設置の努力義務化や、生活保護受給者の支援に関する会議体の設置規定の創設など
      4. 医療扶助や健康管理支援事業について、都道府県が広域的観点からデータ分析等を行い、市町村への情報提供を行う仕組み(努力義務)を創設し、医療扶助の適正化や健康管理支援事業の効果的な実施等を促進する。
      5. 単身高齢者世帯の増加等を踏まえ、住宅確保が困難な者への安定的な居住の確保の支援や、生活保護世帯の子どもへの支援の充実等を通じて、生活困窮者等の自立の更なる促進を図るため、(1)居住支援の強化のための措置、(2)子どもの貧困への対応のための措置、(3)支援関係機関の連携強化等の措置を講ずる。
  • 施行期日
    • 令和7年4月1日(ただし、2②は公布日(※)、2①は令和6年10月1日)※2②は令和6年1月1日から遡及適用する
▼ 雇用保険法等の一部を改正する法律案(令和6年2月9日提出)概要
  • 多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、「人への投資」の強化等のため、雇用保険の対象拡大、教育訓練やリ・スキリング支援の充実、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置を講ずる。
    1. 雇用保険の適用拡大【雇用保険法、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律】
      • 雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適用対象を拡大する(※1)。※1 これにより雇用保険の被保険者及び受給資格者となる者については、求職者支援制度の支援対象から除外しない。
    2. 教育訓練やリ・スキリング支援の充実【雇用保険法、特別会計に関する法律】
      1. 自己都合で退職した者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようにする(※2)。※2 自己都合で退職した者については、給付制限期間を原則2か月としているが、1か月に短縮する(通達)。
      2. 教育訓練給付金について、訓練効果を高めるためのインセンティブ強化のため、雇用保険から支給される給付率を受講費用の最大70%から80%に引き上げる(※3)。※3 教育訓練受講による賃金増加や資格取得等を要件とした追加給付(10%)を新たに創設する(省令)。
      3. 自発的な能力開発のため、被保険者が在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合に、その期間中の生活を支えるため、基本手当に相当する新たな給付金を創設する。
    3. 育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保【雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律】
      1. 育児休業給付の国庫負担の引下げの暫定措置(※4)を廃止する。※4 本来は給付費の1/8だが、暫定措置で1/80とされている。
      2. 育児休業給付の保険料率を引き上げつつ(0.4%→0.5%)、保険財政の状況に応じて引き下げ(0.5%→0.4%)られるようにする(※5)。※5①・②により、当面の保険料率は現行の0.4%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて、実際の料率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整。
    4. その他雇用保険制度の見直し【雇用保険法】
      • 教育訓練支援給付金の給付率の引下げ(基本手当の80%→60%)及びその暫定措置の令和8年度末までの継続、介護休業給付に係る国庫負担引下げ等の暫定措置の令和8年度末までの継続、就業促進手当の所要の見直し等を実施する。
  • 施行期日
    • 令和7年4月1日(ただし、 3(1)及び4の一部は公布日、2(2)は令和6年10月1日、 2(3)は令和7年10月1日、1は令和10年10月1日)
▼ 再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律案(令和6年3月5日提出)概要
  • 昨今の技術革新等を踏まえ、先端的な医療技術の研究及び安全な提供の基盤を整備し、その更なる推進を図るため、再生医療等安全性確保法の対象拡大及び再生医療等の提供基盤の整備、臨床研究法の特定臨床研究等の範囲の見直し等の措置を講ずる。
    1. 再生医療等安全性確保法の対象拡大及び再生医療等の提供基盤の整備【再生医療等安全性確保法】
      1. 細胞加工物を用いない遺伝子治療(※1)等は、現在対象となっている細胞加工物(※2)を用いる再生医療等と同様に感染症の伝播等のリスクがあるため、対象に追加して提供基準の遵守等を義務付けることで、迅速かつ安全な提供及び普及の促進を図る。※1 細胞加工物を用いない遺伝子治療:人の疾病の治療を目的として、人の体内で遺伝子の導入や改変を行うこと。※2 細胞加工物:人又は動物の細胞に培養等の加工を行ったもの。
      2. 再生医療等の提供計画を審査する厚生労働大臣の認定を受けた委員会(認定再生医療等委員会)の設置者に関する立入検査や欠格事由の規定を整備することにより、審査の公正な実施を確保し、再生医療等の提供基盤を整備する。
    2. 臨床研究法の特定臨床研究等の範囲の見直し等【臨床研究法、再生医療等安全性確保法】
      1. 医薬品等の適応外使用(※3)について、薬事承認済みの用法等による場合とリスクが同程度以下の場合には臨床研究法の特定臨床研究及び再生医療等安全性確保法の再生医療等から除外することにより、研究等の円滑な実施を推進する。※3 薬事承認された医薬品等を承認された用法等と異なる用法等で使用すること(がんや小児領域の研究に多い。)
      2. 通常の医療の提供として使用された医薬品等の有効性等について研究する目的で、研究対象者に著しい負担を与える検査等を行う場合は、その研究について、臨床研究法の対象となる旨を明確化することにより、研究対象者の適切な保護を図る。
  • 施行期日
    • 公布の日から起算して1年以内において政令で定める日

厚生労働省 令和6年度「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施します~学生アルバイトのトラブル防止のために~
  • 厚生労働省では、全国の大学生等を対象として、特に多くの新入学生がアルバイトを始める4月から7月までの間、自らの労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施します。
  • 本キャンペーンは平成27年度から実施しており、本年で10回目となります。
  • キャンペーン期間中、厚生労働省では、大学等での出張相談や、アルバイトを始める前に知っておいてほしいポイントをまとめたリーフレットの配布などを行いますので、これからアルバイトを始める学生のみなさんはもちろん、既にアルバイトをされている方も、この機会にぜひ、ご自身の労働条件を確かめてみてください。
  • キャンペーンの概要
    • 実施期間
      • 令和6年4月1日から7月31日まで
    • 重点的に呼びかける事項
      • 労働条件の明示
      • シフト制労働者の適切な雇用管理
      • 労働時間の適正な把握
      • 商品の強制的な購入の抑止とその代金の賃金からの控除の禁止
      • 労働契約の不履行に対してあらかじめ罰金額を定めることや労働基準法に違反する減給制裁の禁止
    • 主な取組内容
      • 都道府県労働局による大学等への出張相談の実施
      • 都道府県労働局及び労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーに「若者相談コーナー」を設置し、学生からの相談に重点的に対応
      • 大学等でのリーフレットの配布等による周知・啓発

厚生労働省 3月は「自殺対策強化月間」です~関係府省庁等と連携し、さまざまな取り組みを実施します~
  • 厚生労働省は、3月を「自殺対策強化月間」として、自殺防止に向けた集中的な啓発活動を実施しています。このたび、関係府省庁、自治体、関係団体における、令和5年度の取り組みをまとめましたので公表します。
  • 昨年の自殺者数は、暫定値ではありますが、総数が21,818人、小中高生の自殺者数が507人であり、いずれも高い水準となっています。
  • 自殺対策強化月間では、電話やSNSによる相談支援体制の拡充や、主に中高年層やこども・若者に向けたポスターや動画による相談の呼びかけなど、集中的な啓発活動を実施します。
  • 引き続き、「誰も自殺に追い込まれることのない社会」の実現に向け、自殺対策を推進していきます。
  • また、自殺に関する報道は、その報じ方によっては自殺を誘発する可能性があるため、各メディアの皆様は、WHOの『自殺報道ガイドライン』を踏まえた報道を行っていただくよう、自殺対策へのご協力をお願いします。
  • 各自治体における取り組みをまとめました。
▼ 各自治体における令和5年度自殺対策強化月間の主な取り組み
  • 厚生労働省の広報の取り組みの詳細については、こちらをご確認ください。
▼ 令和5年度の広報の取り組みについて(自殺対策)

厚生労働省 労働基準関係法制研究会 第3回資料
▼ 資料1 労働基準法における「事業」及び「労働者」について
  • プラットフォーム労働における労働条件改善に関する指令案(EU)
    • 欧州委員会は2021年12月、プラットフォーム労働における労働条件を改善し、EUのデジタル労働プラットフォームの持続可能な成長を支援するため、新たな指令案を提案。2023年6月12日、EUの労働社会相理事会で、議長スウェーデンの妥協案の合意が成立。今後、欧州議会との間で、提案者の欧州委員会も含めて協議が行われる予定。(令和5年12月28日時点)
    • 背景1:EUにおけるプラットフォーム労働の急拡大
      • 域内のプラットフォーム経済による収益は約200億€(2020年)
      • EUで500以上のプラットフォームが存在
      • プラットフォームで働く者は2,800万人(推計)。2025年には4,300万人となる見込み
    • 背景2:従事者の雇用地位の実態
      • 大半は本来の自営業者とみられる
      • 他方で、550万人(約2割)は労働者の可能性
      • 雇用上の地位をめぐり、加盟国で多数の訴訟が発生
    • 指令案の目的
      • プラットフォーム労働従事者に対する正しい雇用上の地位と権利の保障
      • アルゴリズム管理(※)の公平性・透明性・説明責任の確保 ※電子的手段等の自動化されたシステムを使用して、労働の遂行の監視や、労働成果の質の評価等の管理を行う仕組み
      • プラットフォーム労働の透明性・トレーサビリティの確保、法執行の改善
        • ※電子的手段等の自動化されたシステムを使用して、労働の遂行の監視や、労働成果の質の評価等の管理を行う仕組み
    • 基準による雇用関係の法的推定
      • プラットフォーム労働について、以下の判断基準を設定。このうち少なくとも3つを満たす場合、雇用関係があることが法的に推定。
        • デジタル労働PFが報酬の水準の上限を設定
        • デジタル労働PFがプラットフォーム労働遂行者に対し、出席、サービス受領者に対する行為又は労働の遂行に関して、特定の規則を尊重するように要求
        • デジタル労働PFが電子的手段を用いることも含め、労働の遂行を監督
        • デジタル労働PFが、制裁を通じても含め、労働時間や休業期間を選択する裁量を制限
        • デジタル労働PFが、制裁を通じても含め、課業を受諾するか拒否するかの裁量を制限
        • デジタル労働PFが、制裁を通じても含め、再受託者や代替者を使うかの裁量を制限
        • デジタル労働PFが、顧客基盤を構築したり、第三者のために労働を遂行したりする可能性を制限
      • 当該労働者は、雇用上の地位・社会保護の権利が保障される。
        • 【例】(1)最低賃金、(2)労働時間規制、有給休暇、(3)安全衛生措置、(4)失業給付、傷病手当、(5)産休・育休、(6)年金、(7)労災補償
      • 法的推定に異議がある場合、挙証責任はプラットフォーム側に課される。
    • 自動的なモニタリング又は意思決定システムによる管理
      • アルゴリズム管理による監視・評価・決定内容の事前説明・提供
      • アルゴリズム管理を監視する人員の配置
      • アルゴリズム管理による決定に対する異議申立てが可能
    • プラットフォーム透明性の改善による法執行の確保
      • (雇用関係にある場合)プラットフォームは雇用主として加盟国当局へ就労届等を申告、労働者数、契約上・雇用上の地位、契約条件等の必要な情報を適用するように義務付け(原則6箇月ごと)
  • 家事使用人の雇用ガイドライン(2024(令和6)年2月8日策定)
    • 作成趣旨・目的
      • 家事労働に従事する家事使用人は、労働契約法の適用は受けるが、労働基準法の適用を受けないことや、業務内容や就業時間などの基本的な内容が不明確であるため契約をめぐるトラブルが発生するケースが見られること、また、就業中のケガに対する補償が十分ではないことなどの問題が指摘されている。
      • こうした状況を踏まえ、家事使用人の労働契約の条件の明確化・適正化・適正な就業環境の確保などについて必要な事項を示すガイドラインを作成。
    • ガイドラインの主な内容
      • 労働契約の条件の明確化
        • 雇用主は、家事使用人と話し合った上で以下のような労働契約の条件(主なもの)を明確にすること 等
        • 雇用主の情報、就業場所、労働契約の期間、試用期間、業務の内容、就業時間・休憩時間、報酬等、退職に関する事項、休日・休暇
      • 労働契約の条件の適正化
        • 報酬:仕事の難易度や家事使用人の能力などを考慮し、最低賃金を下回るような水準とならないように設定すること 等
        • 就業時間:1日8時間、1週40時間を上限。過重労働への配慮をすること 等
        • 労働契約の期間:労働契約の期間を定める場合は、長くとも3年以内とすることが望ましいこと 等
        • 労働契約の条件の変更:家事使用人との合意が必要。変更する内容と必要性を説明し、十分話し合うこと 等
        • 家事使用人が行うことができる業務:家事使用人に行ってもらう仕事やその水準についてお互いに確認し、仕事で求める水準を合意した上で、仕事の範囲を明確にすること 等
      • 適正な就業環境の確保
        • 雇用主は、家事使用人が業務を行う上で不安に感じることがないよう、就業環境について労働契約締結前・締結後で話し合いの場を設けること
        • 就業時間の管理:始業・就業時刻の記録や管理 等
        • 就業場所の管理:危険な場所で作業をさせないこと、空調管理 等
        • 適切な業務内容と業務量:あらかじめ決めた業務内容の範囲を超えないよう気をつけること 等
        • 介護保険サービスとしての訪問介護と組み合わせて利用する場合の留意点:サービス内容や時間の区分、過重労働への配慮 等
        • 家事使用人からの相談や苦情を受ける担当者の明確化と解決
        • 就業環境に関する留意事項:セクハラ・パワハラは絶対に許されないこと 等
      • 保険の加入状況の確認
        • 雇用主は、家事使用人または家政婦(夫)紹介所に対して、どのような保険に加入しているのか事前に確認し、万が一の場合に備えておくこと
        • 損害保険加入の有無 就業先または第三者に対して、業務に関連して損害を与えた場合に備えるための保険
        • 災害補償保険(労災保険の特別加入を含む)の加入の有無業務が原因となって、自身がケガや病気をした場合に備えるための保険

【2024年2月】

厚生労働省 「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表します
▼健康に配慮した飲酒に関するガイドライン
  • 趣旨
    • アルコール健康障害対策基本法(平成25年法律第109号)第12条第1項に基づき、アルコール健康障害対策の総合的かつ計画的な推進を図るために策定されたアルコール健康障害対策推進基本計画の第2期計画(以下「第2期計画」という。)においては、その基本的施策として、飲酒に伴うリスクに関する知識の普及の推進を図るために、国民のそれぞれの状況に応じた適切な飲酒量・飲酒行動の判断に資する「飲酒ガイドライン(以下「本ガイドライン」という。)」を作成することとされています。
    • 本ガイドラインは、アルコール健康障害の発生を防止するため、国民一人ひとりがアルコールに関連する問題への関心と理解を深め、自らの予防に必要な注意を払って不適切な飲酒を減らすために活用されることを目的としています。
    • なお、本ガイドラインでは、飲酒に係る留意事項等を示しておりますが、アルコールによる影響には個人差があり、また、その時の体調等によっても影響が変わり得るものです。
    • お酒は、その伝統と文化が国民の生活に深く浸透している一方で、不適切な飲酒は健康障害等につながります。飲酒する習慣がない方等に対して無理に飲酒を勧めることは避けるべきであることにも留意してください。
  • 本ガイドラインの内容
    • 本ガイドラインは、基礎疾患等がない20歳以上の成人を中心に、飲酒による身体等への影響について、年齢・性別・体質等による違いや、飲酒による疾病・行動に関するリスクなどを分かりやすく伝え、その上で、考慮すべき飲酒量(純アルコール量)や配慮のある飲酒の仕方、飲酒の際に留意していただきたい事項(避けるべき飲酒等)を示すことにより、飲酒や飲酒後の行動の判断等に資することを目指すものとします。
  • アルコールの代謝と飲酒による身体等への影響について
    1. アルコールの代謝
      • 飲酒した際、飲んだお酒に含まれるアルコールの大半は、小腸から吸収され、血液を通じて全身を巡り、肝臓で分解されます。アルコールの分解には、体内の分解酵素と呼ばれる物質等が関与しています(※)が、体質的に分解酵素のはたらきが弱いなどの場合には、少量の飲酒で体調が悪くなることもあります。
        • ※肝臓で、アルコールはアセトアルデヒドに分解され、さらに酢酸へと分解されます。酢酸は筋肉や心臓に移動してさらに分解され、最終的に炭酸ガスと水になります。
    2. 飲酒による身体等への影響
      • アルコールは血液を通じて全身を巡り、全身の臓器に影響を与えるため、飲みすぎた場合には、いろいろな臓器に病気が起こる可能性があります。飲酒による影響には個人差があり、例えば年齢、性別、体質等の違いによって、それぞれ受ける影響が異なります。主な身体への影響として、以下のような特有の状態変化や固有のリスクなどが生じる可能性があります。なお、体調など個人のそのときの状態にも左右されます。
        1. 年齢の違いによる影響
          • 高齢者は若い時と比べて、体内の水分量の減少等で同じ量のアルコールでも酔いやすくなり、飲酒量が一定量を超えると認知症の発症の可能性が高まります。あわせて、飲酒による転倒・骨折、筋肉の減少(サルコペニア等)の危険性が高まります。
            • ※サルコペニアとは、加齢に伴う骨格筋量低下に加え、筋力及び/又は身体機能が低下した状態のことです。
          • 10歳代はもちろん20歳代の若年者についても、脳の発達の途中であり、多量飲酒によって脳の機能が落ちるとのデータがあるほか、健康問題(高血圧等)のリスクが高まる可能性もあります。
        2. 性別の違いによる影響
          • 女性は、一般的に、男性と比較して体内の水分量が少なく、分解できるアルコール量も男性に比べて少ないことや、エストロゲン(女性ホルモンの一種)等のはたらきにより、アルコールの影響を受けやすいことが知られています。このため、女性は、男性に比べて少ない量かつ短い期間での飲酒でアルコール関連肝硬変になる場合があるなど、アルコールによる身体への影響が大きく現れる可能性もあります。
        3. 体質の違いによる影響
          • アルコールを分解する体内の分解酵素のはたらきの強い・弱い(※)などが、個人によって大きく異なります。分解酵素のはたらきが弱い場合などには、飲酒により、顔が赤くなったり、動悸や吐き気がする状態になることがあります。(これを「フラッシング反応」と言います。)
            • ※分解酵素のはたらきの強弱は、遺伝子によるものと言われています。東アジアではこの分解酵素が弱く上記のようなフラッシング反応を起こす方々が一定数存在し、日本では41%程度いると言われています。
          • そのような人が、長年飲酒して、不快にならずに飲酒できるようになった場合でも、アルコールを原因とする口の中のがんや食道がん等のリスクが非常に高くなるといったデータがありますので注意が必要です。
    3. 過度な飲酒による影響
      • 過度な飲酒や、飲酒後の行動によって、以下のようなリスクが高まる可能性があります。
        1. 疾病発症等のリスク
          • 急激に多量のアルコールを摂取すると急性アルコール中毒(意識レベルが低下し、嘔吐、呼吸状態が悪化するなど危険な状態になります。)になる可能性があります。
          • また、長期にわたって大量に飲酒をすることによって、アルコール依存症(※)、生活習慣病、肝疾患、がん等の疾病が発症しやすくなります。
            • ※アルコール依存症とは、大量のお酒を長期にわたって飲み続けることが主な原因で発症する精神疾患の一つです。お酒をやめたくてもやめることができない、飲む量をコントロールできない等の症状により、仕事や家庭など生活面にも支障が出てくることがあります。
        2. 行動面のリスク
          • 過度なアルコール摂取により運動機能や集中力の低下等が生じ、使用することで危険を伴う機器(例えば、鋸等の工具類、草刈り機等の電動機、火気を伴う器具類等)の利用や高所での作業による事故などの発生、飲酒後に適切ではない行動をとることによっての怪我や他人とのトラブル(例えば、路上や公共交通機関でのトラブル、暴力行為等)、紛失物の発生(例えば、金銭等や機密書類、ノートパソコンやUSBメモリ等の紛失)などが考えられます。
  • 飲酒量と健康リスク
    • 世界保健機関(WHO)では、アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略を示しており、また、循環器疾患やがん等の疾患の予防コントロールのため、アルコール有害使用の削減に関する目標なども含めた行動計画を発表しています。さらに、飲酒量(純アルコール量)が少ないほど、飲酒によるリスクが少なくなるという報告もあります。
    • 個々人が疾患などの発症リスクにも着目するなどして、健康に配慮することが重要であると考えられます。例えば、高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中などの場合は、たとえ少量であっても飲酒自体が発症リスクを上げてしまうこと、大腸がんの場合は、1日当たり20g程度(週150g)以上の量の飲酒を続けると発症の可能性が上がる等の結果を示した研究があります。これらの研究結果に基づく疾病毎の発症リスクが上がる飲酒量(純アルコール量)については、表1に示したものが参考となります
    • 飲酒による疾患への影響については個人差があります。従って、これらよりも少ない量の飲酒を心がければ、発症しないとまでは言えませんが、当該疾患にかかる可能性を減らすことができると考えられます。
    • なお、飲酒の影響を受けやすい体質を考慮する必要がある場合などには、より少ない飲酒量(純アルコール量)とすることが望まれます。飲酒は疾患によっても、臓器によっても影響が異なり、個人差があります。かかりつけ医等がいる場合には、飲酒についての相談をすることも有用です。飲酒量(純アルコール量)が多くなることは、病気や怪我の可能性を高めるだけでなく、飲酒後の危険な行動につながる可能性も高くなります。これらを避けるよう、飲酒量(純アルコール量)に注意していくことが重要です。
    • その他の参考として、国内では、第2期計画において、「生活習慣病のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上)を飲酒している者の割合を男性13.0%、女性 6.4%まで減少させること」(※)を重点目標として示しています。
    • また、令和6年度開始予定の健康日本21(第三次)では、「生活習慣病(NCDs)のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上)を飲酒している者の減少」(※)を目標とし、男女合わせた全体の目標値として10%を設定し、健康づくりの取組を推進することとしています。
      • (※)これらの量の飲酒をしている者の減少を目標としたものです。なお、これらの量は個々人の許容量を示したものではありません。
  • 健康に配慮した飲酒の仕方等について
    • 飲酒をする場合においても、様々な危険を避けるために、例えば、以下のような配慮等をすることが考えられます。これらにも留意することが重要です。
      1. 自らの飲酒状況等を把握する
        • 自分の状態に応じた飲酒により、飲酒によって生じるリスクを減らすことが重要です。
        • 医師等へ相談したり、AUDIT(問題のある飲酒をしている人を把握するために世界保健機関(WHO)が作成したスクリーニングテスト。飲酒問題の早期発見等のため、10項目の簡易な質問でアルコール関連問題の重症度の測定を行うものです。)等を参考に自らの飲酒の習慣を把握することなどが考えられます。
      2. あらかじめ量を決めて飲酒をする
        • 自ら飲む量を定めることで、過度な飲酒を避けるなど飲酒行動の改善につながると言われています。行事・イベントなどの場で飲酒する場合も、各自が何をどれくらい飲むかなどを上記も参考にそれぞれ自分で決めて飲むことが大切です。
      3. 飲酒前又は飲酒中に食事をとる
        • 血中のアルコール濃度を上がりにくくし、お酒に酔いにくくする効果があります。
      4. 飲酒の合間に水(又は炭酸水)を飲むなど、アルコールをゆっくり分解・吸収できるようにする(水などを混ぜてアルコール度数を低くして飲酒をする、少しずつ飲酒する、アルコールの入っていない飲み物を選ぶなど)飲む量に占める純アルコールの量を減らす効果があります。
      5. 一週間のうち、飲酒をしない日を設ける(毎日飲み続けるといった継続しての飲酒を避ける)
        • 毎日飲酒を続けた場合、アルコール依存症の発症につながる可能性があります。一週間の純アルコール摂取量を減らすために、定期的に飲酒をしないようにするなど配慮が必要です。

厚生労働省 第5回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 資料
▼ 参考資料1 第4回検討会の主な意見
  • 「検討の方向性」で示された内容で議論を進めていただきたい。訪問入浴介護は複数名でサービス提供、訪問介護は初任者研修の受講、事業所による教育、サポート体制を考慮しながら是非進めてほしい。EPA介護福祉士で求められている研修などの留意事項や、キャリアを大事にするという考え方を大前提に受入を行うことが、訪問介護の人材不足の状況への対応にも資する。事業者の裁量として、訪問する利用者等について、サービス提供責任者やケアマネジャーが適切に判断することが適当。できるだけ早期に実現いただきたい。
  • 外国人・日本人と区別することなく資格取得を前提に訪問系サービスへの従事を認めるべき。少なくとも居住系はチームで動くことができるので緩和すべき。訪問入浴も緩和をお願いしたい。要件について、語学力と現場でのコミュニケーション能力は一致しない。コミュニケーション能力を定量的に量る指標はないので、サポート体制を整えて、現場で対応するしかない。ハラスメントの懸念については日本人と同様。日本人・外国人と区別せず、利用者との相性等も考慮しながら、現場で判断することが適当ではないか。色々な懸念によって、外国人材を採用するかどうかの判断は分かれると思うが、かといって従事そのものに反対ということにはならないのではないか。
  • 特定技能等で介護職を受け入れているが、大きな問題は生じていない。施設系サービスでの受入れ経験をいかして次のステップに進めてほしい。外国人介護人材はキャリアについて前向きな方が多く、彼らの新しい道を開くことになる。前向きに進めていただきたい。
  • 初任者研修受講等の色々な配慮が必要だが、なるべくハードル下げて、キャリアステップを前提に進めてほしいと思う。日本人以上ではなく日本人と同等で、ケアの質の向上や負担軽減の観点から、自動翻訳・スマートグラスなどのDXを盛り込んでいくべき。
  • 研修の受講や留意事項も含め、日本人と同等とすべき。ただし、コミュニケーションや日本の生活習慣は一定の割合で求められており、要件を検討することが必要。訪問入浴は複数なのでよいと思う。また、初任者研修修了までの支援について、収集・分析が必要だ。
  • 訪問入浴は複数なので対応可能。介護は言葉、コミュニケーションが命であり、後期高齢者や認知症の対応を考慮するとN3は必要。日本語の能力だけでなく、生活の日本語・介護の日本語の一定の研修・教育を受けること等も必要か。こうした言葉、スキルを習得した上で訪問介護に従事するのであれば良いのではないか。
  • 訪問系はサービスの質とともに利用者への配慮が必要。日本人も同様だがEPAのような留意やJICWELSがやっている巡回相談や相談窓口も重要。現行の初任者研修のテキストの水準をクリアすることは難しい印象であり、研修受講が課題。サービス別では、訪問入浴介護は3人で訪問するが、補助業務だけをさせるのは本人のレベルアップにならない。資格要件設けていないものは必ずしも初任者 研修マストにしなくてもよいと思う。最終的には介護福祉士目指した養成が必要だが、それを目指すために、初任者研修の受講をキャリアアップの一環として位置づけることもあり得るか。
  • 議論を踏まえると、一定の要件を整備すれば、ある程度訪問介護の解禁はありうるのではないか。要件を一律に設けるのではなく、サ責やケアマネの役割として、利用者の状態を踏まえて適切と判断すれば外国人を訪問させることができ、何かあればチームでバックアップするという対応が考えらえる。求められる対応の幅が広いから従事できないということではなく、日本人の新入社員と同様にサポートが受けられ、キャリアアップできることが大切ではないか。
  • 外国人・日本人という問題ではなく、本人の介護職員としての資質があるかどうか。日本人と同様に初任者研修が必須であり、そのためには研修受講しやすいように助成金や時間の配慮が必要。基金の活用も方策だろう。1対1の業務を行う上で日本語が必要で、特に傾聴・受容・共感などのコミュニケーションスキルは一層求められる。1対1の介護が始まったとき生じる外国人の課題などは、走りながら対応していくことが必要だ。
  • 訪問介護について、外国人だからダメではない。日本人でも向かない人もいる。職場のダイバーシティの観点から外国人の従事も必要。複数人・チーム体制あれば訪問入浴や居住系は認められるのではとか、個別性の高い生活援助と比べて、短時間の身体介護は認められるのではといった声を現場で聞いて、ありうると思った。外国人を穴埋め的に使うのではなく、日本人が働きたいと思う職場にし、そこに外国人の従事を進める必要。訪問介護そのものの在り方の検討も必要。どうすれば日本人・外国人が集まる訪問介護の職場にできるか、初任者研修などの研修を実施すれば入ってきてもらえるのかなど、実際受け入れている事業所等の声を聞きたい。
  • 人材不足だからといって安易に受入可能とすべきではなく、処遇や就労環境等について人材に配慮が必要。日本であれば、外国人の家族が安心して子どもを送り出せるということになれば安定する。日本・外国人双方がWin-Winとなる関係を考えないといけない。
  • 当会のアンケートでは日本語能力が必要という意見多い。日本語能力があることを前提とした上で、EPAのような事業所のバックアップ体制も求めるのであれば、事業所のアンケート結果も変わるかもしれない。訪問介護は初任者研修等の有資格者に限定しており、ちゃんとした方でないといけない。同行訪問・学習機会の提供など具体的な対応が必要。
  • 外国人介護人材は、それぞれ制度の枠組みの中で、訪問系を含め広く活躍してほしい。訪問介護は現場判断もあり外国人・日本人限らず高い専門性が求められる。日本に在留する外国人が高齢化して、訪問介護が必要になってきているといった状況もある。各制度の趣旨に基づき丁寧な議論が必要。特に技能実習は適切な技能移転を目的に掲げており、訪問系サービスをどのように位置付けるのかが課題。必須業務として全業務時間の2分の1以上を充てる必要があるが、訪問入浴介護のみの従事だと、この要件を満たさない可能性もある。
  • 訪問系サービスはスキルも経験値も必要であることを再認識。評価や報酬が伴っていないこと人材不足の要因。訪問系サービスで外国人を受け入れることについては、アンケートを見ると思いのほか多かった印象。ただし、施設在宅と一般在宅では質が異なることに留意。そういったことを踏まえて、訪問系サービスへの登用は段階的に進めていくべき。
  • 現場では、外国人介護人材に訪問系サービスへの従事を認めてほしいとの声はなかった。課題として、日本人従事者の処遇や指導体制をまず充実する必要があること、利用者の外国人に対する理解や安全性の担保がいること、移動の際に車の免許が必要であることがある。また、限られた事例をもって緩和を進めるべきではない。有効求人倍率だけで判断せずに、日本人介護職員の賃金等の改善が必要であり、安易な就労を認めるべきではない。

厚生労働省 2023年度第7回雇用政策研究会資料
▼ 【資料2】2023年度 第7回雇用政策研究会 論点等
  • 地域の人手不足への対応
    • 地方では、若年者(特に女性)の東京圏への流出等による人口減少もあり、人手不足が深刻化している。
    • 人手不足状況下では、女性や高齢者などの潜在的な労働力の掘り起こしが重要。労働条件・働き方の改善を通じた、地域の潜在的な労働力の掘り起こしをしていくためには、どのような対応が必要か。また、UIJターンの促進や、テレワークや副業・兼業などを通じた地域外との仕事のマッチングの向上を図っていくため、どのような対応が必要か。
    • 加えて、特にマッチングという観点から、地方に魅力的な雇用の場を増やしていくことも必要ではないか。
    • 人手不足がより深刻な地域の中小企業においては、より柔軟な働き方を提供し、様々なバックグラウンドを持つ人が参加できる地域労働市場の構築が求められる。柔軟な働き方が可能な中小企業を増やし、求職者へ提示していくためには、どのような対応が必要か。
    • 地域の人手不足対策については、地域の実情にあった処方箋が重要と考えるが、地域のニーズに合った取組をどのように支援していくのが効果的か。
  • 外国人雇用への対応
    • 人手不足の進展に伴い、幅広い分野において外国人材が活躍をしており、アジア諸国の中においても、日本での就労ニーズの高まりがみられている。日本が外国人材にとって魅力的な労働市場となるよう、引き続き雇用管理改善に取り組んでいくことが求められる。
    • 雇用管理改善を通じ、外国人材の定着を図っていくため、どのような相談体制の整備を行っていくことが求められるか。特に、留学生の卒業後の就職・定着を促すため、関係機関、大学及び企業が連携しつつ、将来的なキャリアアップを見据え、どのような支援が必要か。また、外国人材の包摂という観点から、生活支援も含め、どのようなサポートが求められるか。

厚生労働省 第9回 後発医薬品の安定供給等の実現に向けた 産業構造のあり方に関する検討会 資料
▼ 資料2 これまでの議論の整理等について
  1. 後発医薬品産業の在るべき姿の明確化
    • 全体的な考え方
      • 後発品産業の在るべき姿として、品質の確保された医薬品を安定的に供給できるよう、以下を目指すことと整理してはどうか。
        • 全ての企業において製造管理・品質管理体制が整っていること(製造管理・品質管理体制の確保)、
        • 収益と投資の好循環が確立しており、産業として持続可能な形になっていること(持続可能な産業構造)、
        • それぞれの企業において医薬品を安定的に供給できる体制が保たれるとともに、産業全体として必要に応じて増産を行う余力のある体制が確保できていること(安定供給能力の確保)
    • 製造管理・品質管理体制の確保
      • 後発品企業において、薬機法に照らし、製造に関する不適切事案が続いている現状を踏まえ、後発品への信頼回復のため、製造管理・品質管理に係る点検の強化に加え、例えば、企業の製造管理・品質管理に関する取組状況を可視化するなどの取組が考えられるのではないか。
    • 持続可能な産業構造
      • 産業として持続可能な構造とするため、
      • 少量多品目構造を適正化し、生産効率のよい体制とするためにはどのような方策があるか。
      • 後発品企業が安定的に収益をあげ、品質の確保された医薬品の供給に向けた投資を行う好循環を生み出すための価格や流通の在り方についてどう考えるか。
    • 安定供給能力の確保
      • 品質の確保された医薬品が安定的に供給されるために、それぞれの企業において医薬品を安定的に供給できる体制が保たれるとともに、産業全体として必要に応じて増産する余力のある体制が確保できている必要がある。
      • このため、例えば、安定供給を確保する観点からの取組を企業に求めるなど、平時から医薬品の安定供給を確保しつつ、感染症の発生時等の有事においても医薬品を安定的に供給する仕組みの在り方としてどのような方策が考えられるか。
    • その他
      • 品質の確保された医薬品を安定的に供給するための適切な体制構築が可能となるよう、企業間での連携・協力や、適正な体制構築を可能とする企業規模となることを推進するべきではないか。
      • また、これらに対する国及び都道府県の関与や支援はどうあるべきか。
  2. 安定供給等の企業情報の可視化
    • 品質が確保された後発品を安定的に供給できる企業が市場で評価され、結果的に優位となることを目指すという基本的な考え方に沿って、「中間取りまとめ」(次頁)の内容を踏まえ、以下のように企業情報公表の仕組みの創設等の取組を行うこととしている。
    • その上で、後発品の安定供給を確保する観点から、公表すべき情報の範囲や具体的な公表の方法など、今後の企業情報公表の在り方や、さらなる企業情報の活用方策等について、どのように考えるか。その際、中医協においては、今回規定した企業の評価指標・評価方法の妥当性や、その影響について今後検証を行うことを前提に薬価制度での試行的導入が了承されていることに加え、臨床現場にとって活用しやすい情報の早期公表、指標のさらなる活用等の指摘があったことも念頭におきつつ、引き続き検討を行うことが必要ではないか。
  3. 少量多品目構造の解消
    • 後発品企業においては、多くの企業が新規後発品を上市し、1社あたりの製造販売品目数が多品目となり、少量多品目生産が広がっており、こうした少量多品目生産においては、製造工程の複雑化に伴う製造の非効率や、生産管理体制のリソース不足、品質不良リスクの増大、緊急増産等の柔軟な対応が困難であることなどのデメリットがあることや、収益性の低下にもつながっていることが指摘されている。
    • 後発品業界全体の供給不安のひとつの要因と考えられる少量多品目構造の解消に向け、「中間取りまとめ」の内容を踏まえ、以下の対応を行うこととしている。
    • 薬価上の措置、薬事上の障壁解消等
      • 令和6年度薬価制度改革(次頁)において、後発品の新規収載時の薬価算定における、同時に収載される内用薬が10品目を超える場合に先発品の0.4掛けとする規定について、最近の新規後発品の収載時の品目数や収載直後の乖離率の状況を踏まえ、同時に収載される内用薬が7品目を超える場合に先発品の0.4掛けとすることとする(令和6年4月から運用開始予定)
      • 後発品の新規収載時に安定供給に係る責任者の指定を求めるとともに、収載後の各品目の供給実績の確認を実施する(令和6年度の後発品新規収載から運用開始予定)。
      • 既収載品目の統合に関し、企業間の品目統合を促進するため、製造方法等の変更管理における薬事手続において、欧米と同様の中等度変更事項及び年次報告を試行的に導入することとしている(令和5年10月「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」決定。令和6年度内に試行開始予定。)。
      • また、製造方法等の記載事項に係る通知の改正について、国際的に整合したリスクベースの変更管理が実現できるよう検討を進めている。
      • 少量多品目構造の解消に向けては、後述する「企業間の連携・協力の推進」等を進めていくほか、品目数の適正化に関して以下の論点が考えられる。
    • 薬価削除プロセスの合理化等
      • 薬価削除プロセスの合理化等について、引き続き検討することとしてはどうか。その際、OD錠の在り方等についても、製造効率化の観点から検討の対象としてはどうか。
    • 医療現場や流通への影響
      • 薬価削除プロセス等の検討に当たっては、医療上の必要性や後発品の流通に与える影響も考慮する必要があることから、「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」において、関係者の意見を踏まえ具体策の検討を行うこととしてはどうか。
    • 規格揃え原則の合理化
      • 後発品収載時は全規格を取り揃えることを原則としつつ、医療上の必要性等に照らして全規格を取り揃えることが必ずしも必要ではないと考えられる品目について、規格揃え原則との関係をどのように考えるか。その際、非汎用規格の製造を行う企業の取扱いなども含め、汎用規格と非汎用規格の切り口についてどのように考えるか。
  4. 生産効率の向上
    • 生産効率向上の取組周知
      • 自動車産業と比較して、後発品産業は受注生産や納期延長ができなかったり、原材料価格の高騰を価格に反映できないといった特徴があり、こうした点に留意が必要ではないか。
      • 共同開発をすると複数社が一つの工場に発注を集中させてできるだけ安く生産しようという動きが見られる一方で、どの会社のどの薬なのかというのを明確に識別できるよう刻印などを変えなければいけない。同じ工場で、同じ原薬と、同じ製法でつくっているにもかかわらず、違ったパッケージのものをつくるのは、生産上も非効率であり、医療関係者のほうでも別物として扱わなくてはいけないため管理上も非効率ではないか
    • 今後の対応の方向性
      • 後発品企業は品目数や供給数量が少ない小規模な企業が多く、限られた生産体制下で少量多品目生産を行う生産の非効率性が指摘されている。産業として持続可能な構造とするため、各後発品企業において生産効率の向上を図ることは重要である。
      • 生産効率の向上については、少量多品目構造の適正化や、後述する企業間の連携・協力等により対応可能な部分もあると考えられるが、そのほかには、以下の論点が考えられる。
        • 生産効率の向上の具体的な方策
          • 生産効率の向上を促進するため、例えば、業務改善に係る風土醸成や人材育成といった組織能力向上等に関する好事例の周知を図るなど、具体的な方策としてどのようなものが考えられるか
  5. その他(製造管理・品質管理体制の在り方)
    • 後発品企業は、国民にとって必要不可欠となった後発品について、品質を確保しつつ将来にわたって安定的に供給し続けることが求められる。医薬品企業として、製造管理及び品質管理の徹底は当然であるが、現状では、複数の後発品企業において製造管理及び品質管理の不備による薬機法違反が発覚し、これを端緒として多くの医薬品において出荷停止や限定出荷が発生するとともに、これが長期化し、国民に必要な医薬品が供給されない状況が続いている。後発品の安定供給や信頼回復等の観点からも、製造管理及び品質管理の徹底はまず最初に取り組まなければならない喫緊の課題である。
    • 後発品企業において、薬機法に照らし、製造に関する不適切事案が続いている現状を踏まえ、後発品への信頼回復のため、製造管理・品質管理の強化については、「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」において薬事監視の向上等について議論され、今後さらに後発品のGMP適合調査において重点的に調査すべき事項を整理し都道府県へ周知を図ること、令和5年度から、全国の製造所から相対的に高リスク製造所を抽出しPMDAと都道府県が合同で無通告立入検査を行う取り組みを開始する等薬事監視の質の向上を図る取り組みを進めることとしている。
    • その上で、製造管理及び品質管理体制の在り方について、以下の論点が考えられる。
      • 点検管理の更なる徹底
        • 後発品への信頼回復のため、製造管理・品質管理に係る自主点検の強化についてどのように考えるか。
        • 企業の製造管理・品質管理に係る取組状況を可視化することを検討してはどうか。
        • このような取組が、企業間の連携・協力を推進することにもつながるのではないか。
      • 効率的な品質の管理の推進
        • 効率的な製造管理・品質管理の推進のため、例えば、複数企業による品質管理業務の協業などの好事例の展開について検討してはどうか。
      • 品質管理を行う人材育成
        • 製造管理・品質管理を行う人材の育成・確保のためにどのような方策が考えられるか。
  6. その他(企業間の連携・協力の推進)
    • 後発品企業は品目数や供給数量が少ない小規模な企業が多く、限られた生産体制下で少量多品目生産を行う生産の非効率性が指摘されている。産業として持続可能な構造とするため、品質管理や営業等の面での企業間の連携・協力や役割分担、コンソーシアムや企業統合なども考えられるのではないかという指摘があることから、以下の論点について検討してはどうか。
      • 独占禁止法との関係整理
        • 企業間での品目統合や生産調整、コスト構造の共通化の在り方について検討する際、まずは独占禁止法上問題となり得る点について整理を行う必要があるのではないか。
        • コンソーシアム的な共同経営やM&Aの推進に当たって、独占禁止法との関係について整理を行う必要があるのではないか。
      • 委託製造における安定供給確保担保
        • 委託製造の場合について、安定供給にかかる企業間の役割の在り方を整理する必要があるのではないか。
      • 企業間の連携・協力の取組の推進
        • 企業間の連携・協力の取組を推進するため、政府としてどのような方策が考えられるか
  7. その他
    • その他、以下の論点が考えられる。
      • サプライチェーンの強靱化
        • 医薬品供給リスクの調査分析など現在行われている取組も踏まえ、後発品企業におけるサプライチェーンの強靱化について、どのような方策が考えられるか。
      • AGの在り方
        • 医薬品の供給不安が発生している現状においてAGが果たしている役割と、他の後発品の参入に与える影響等を考慮しつつ、AGの今後の在り方についてどのように考えるか。

厚生労働省 「家事使用人の雇用ガイドライン」を策定しました
▼ 【別添】家事使用人の雇用ガイドライン(概要版)
  • 作成趣旨・目的
    • 家事使用人の労働契約の条件の明確化・適正化、適正な就業環境の確保などについて必要な事項を示すガイドラインを作成しました。
    • 家事使用人を雇用する方や、これから雇用しようとする方は、労働契約を結ぶ際や、家事一般に従事させる際には、家事使用人と十分話し合った上で労働契約の内容を決定しましょう。詳しい内容は、『家事使用人の雇用ガイドライン』をご確認ください。
  • 対象者
    • 雇用主(ご家庭)
      • 家事使用人を雇用する方やこれから雇用しようとする方。
    • 家事使用人
      • ご家庭と直接労働契約を結び、ご家庭との雇用関係の下において、家事一般に従事する方。
    • 家政婦(夫)紹介所
      • 事業者として、家事使用人と雇用主(ご家庭)との間の労働契約成立をあっせんする機関。
  • 労働契約の条件の明確化
    • 雇用主は、家事使用人と話し合った上で、以下のような労働契約の条件(主なもの)を明確にしましょう。
    • 口頭で伝えるだけではなく、きちんと書面もしくは電子メールなどで明示することで、雇用主と家事使用人の間のトラブルを未然に防ぐことにつながります。労働契約書に記載された内容はお互いによく確認し、労働契約の条件に反することがないようにしましょう。
    • 雇用主の情報・就業場所・労働契約の期間・試用期間・業務の内容・就業時間・休憩時間・報酬等・退職に関する事項・休日・休暇
    • また、あらかじめ業務で求める水準を示して家事使用人と認識を合わせておくと、労働契約をめぐるトラブルを未然に防ぐことができ、より良好な雇用関係につながります・
  • 労働契約の条件の適正化
    • 雇用主が、報酬や就業時間、労働契約の期間などを適正な水準に設定することで、家事使用人が働きやすい環境の確保につながります。
      1. 報酬
        • 仕事の難易度や家事使用人の能力などを考慮し、最低賃金を下回るような低い水準となっていないかを確認し、家事使用人と話し合った上で、適切な水準となるようにしましょう。
      2. 就業時間
        • 1日当たり8時間、1週当たり40時間を上限とすることが望ましいです。過重労働とならないよう配慮してください。
      3. 労働契約の期間
        • 労働契約の期間を定める場合には、長くとも3年以内(満60歳以上の家事使用人の場合は5年以内)とすることが望ましいです。
      4. 労働契約の条件の変更
        • 家事使用人との合意が必要です。変更する内容と変更の必要性を説明し、十分話し合うことが重要です。
      5. 家事使用人が行うことができる業務
        • 家事使用人に行ってもらう仕事やその水準についてお互いに確認し、仕事で求める水準について合意した上で、仕事の範囲を明確にしましょう。法令上資格がないとできない業務は、有資格者である場合を除いて依頼しないでください。また、高度な家事業務や危険を伴う作業などについて、一律に要求することは適切ではありません。
  • 適正な就業環境の確保
    • 雇用主は、家事使用人が業務を行う上で不安に感じることがないよう、
    • 就業環境について労働契約を結ぶ前も結んだ後も話し合いの場を設けるとよいでしょう。
      1. 就業時間の管理
        • 家事使用人の就業日ごとの始業・終業時刻を確認して、記録し、お互いに確かめ、就業時間を適正に管理することが望ましいです。
      2. 就業場所の管理
        • 高所での作業など明らかに危険な作業はさせないよう注意しましょう。空調の温度・湿度は適切な設定にするなどして、就業中のケガが発生しないよう注意を呼びかけましょう。いつでもトイレを利用できるようにしておきましょう。泊まり込みや住み込みの場合は、寝具などを提供した上で、十分な広さの就寝場所を確保し、プライバシーに配慮しつつ、更衣室・浴室・シャワーなどの設備を家事使用人が使うことができるようにしましょう。
      3. 適切な業務内容と業務量
        • 業務を依頼する際は、あらかじめ決めた業務内容の範囲を超えないように気をつけましょう。新たに行ってほしい業務が発生した場合は、家事使用人と十分話し合った上で対応してもらうことが適切です。
      4. 介護保険サービスとしての訪問介護と組み合わせて利用する場合
        • 介護保険サービスと介護保険給付の対象ではないサービス(保険外サービス)を組み合わせて利用しているご家庭もあると思いますが、その場合に、介護保険サービスとしての時間と、家事使用人として行ってもらう業務を含む保険外サービスとしての時間とを明確に区分しつつ、全体の就業時間を踏まえた適切な就業・休憩時間の設定や休憩・休息時間の確保をするなど、過重労働とならないよう必要な配慮をしてください。
      5. 家事使用人からの相談や苦情を受ける担当者の明確化と解決
        • 雇用主は、家事使用人が働く上で困ったことを相談するためにふさわしい家庭内の相談者を事前に労働契約書に記載するなどして共有しておくとよいでしょう。なお、家政婦(夫)紹介所が家事使用人から相談や苦情を受けることもあるので、家政婦(夫)紹介所から連絡があった場合は協力して解決を図るよう努めてください。
      6. その他、就業環境に関する留意事項
        • 家事使用人に対するパワハラ、セクハラなどのハラスメントは絶対に許されません。また、トラブルを避けるためにも、金品や貴重品など、触れてはいけないものについては、雇用主自身で管理しましょう。雇用主は、家事使用人が就業場所などでケガなどをした場合、家事使用人とその原因及び補償について十分話し合いましょう。
  • 保険の加入状況の確認
    • 雇用主は、家事使用人または家政婦(夫)紹介所に対して、どのような保険に加入しているのかを事前に確認し、万が一の場合に備えておきましょう。
    • 家事使用人に関係する保険は、大きく分けて以下の2種類です。
      • 損害保険加入の有無
        • 就業先であるご家庭または第三者に対して、業務に関連して損害を与えた場合に備えるための保険。
      • 災害補償保険(労災保険の特別加入を含む)加入の有無
        • 業務が原因となって、自身がケガや病気をした場合に備えるための保険。

厚生労働省 第213回国会(令和6年常会)提出法律案
▼ 生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案の概要
  • 改正の趣旨
    • 単身高齢者世帯の増加等を踏まえ、住宅確保が困難な者への安定的な居住の確保の支援や、生活保護世帯の子どもへの支援の充実等を通じて、生活困窮者等の自立の更なる促進を図るため、(1)居住支援の強化のための措置、(2)子どもの貧困への対応のための措置、(3)支援関係機関の連携強化等の措置を講ずる。
  • 改正の概要
    1. 居住支援の強化のための措置【生活困窮者自立支援法、生活保護法、社会福祉法】
      • 住宅確保が困難な者への自治体による居住に関する相談支援等を明確化し、入居時から入居中、そして退居時までの一貫した居住支援を強化する。(生活困窮者自立相談支援事業、重層的支援体制整備事業)
      • 見守り等の支援の実施を自治体の努力義務とするなど、地域居住支援事業等の強化を図り、地域での安定した生活を支援する。
      • 家賃が低廉な住宅等への転居により安定した生活環境が実現するよう、生活困窮者住居確保給付金の支給対象者の範囲を拡大する。
      • 無料低額宿泊所に係る事前届出の実効性を確保する方策として、無届の疑いがある施設に係る市町村から都道府県への通知の努力義務の規定を設けるとともに、届出義務違反への罰則を設ける。
    2. 子どもの貧困への対応のための措置【生活保護法】
      • 生活保護世帯の子ども及び保護者に対し、訪問等により学習・生活環境の改善、奨学金の活用等に関する情報提供や助言を行うための事業を法定化し、生活保護世帯の子どもの将来的な自立に向け、早期から支援につながる仕組みを整備する。
      • 生活保護世帯の子どもが高等学校等を卒業後、就職して自立する場合に、新生活の立ち上げ費用に充てるための一時金を支給することとし、生活基盤の確立に向けた自立支援を図る。
    3. 支援関係機関の連携強化等の措置【生活困窮者自立支援法、生活保護法】
      • 就労準備支援、家計改善支援の全国的な実施を強化する観点から、生活困窮者への家計改善支援事業についての国庫補助率の引上げ、生活保護受給者向け事業の法定化等を行う。
      • 生活困窮者に就労準備支援・家計改善支援・居住支援を行う事業について、新たに生活保護受給者も利用できる仕組みを創設し、両制度の連携を強化する。
      • 多様で複雑な課題を有するケースへの対応力強化のため、関係機関間で情報交換や支援体制の検討を行う会議体の設置(※)を図る。
        • ※生活困窮者向けの支援会議の設置の努力義務化や、生活保護受給者の支援に関する会議体の設置規定の創設など
      • 医療扶助や健康管理支援事業について、都道府県が広域的観点からデータ分析等を行い、市町村への情報提供を行う仕組み(努力義務)を創設し、医療扶助の適正化や健康管理支援事業の効果的な実施等を促進する。
  • 施行期日
    • 令和7年4月1日(ただし、2(2)は公布日(※)、2(1)は令和6年10月1日)※2(2)は令和6年1月1日から遡及適用する
▼ 雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要
  • 改正の趣旨
    • 多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、「人への投資」の強化等のため、雇用保険の対象拡大、教育訓練やリ・スキリング支援の充実、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置を講ずる。
    • 改正の概要
    • 雇用保険の適用拡大【雇用保険法、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律】
      • 雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適用対象を拡大する。
        • ※これにより雇用保険の被保険者及び受給資格者となる者については、求職者支援制度の支援対象から除外しない。
    • 教育訓練やリ・スキリング支援の充実【雇用保険法、特別会計に関する法律】
      • 自己都合で退職した者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようにする。
        • ※自己都合で退職した者については、給付制限期間を原則2か月としているが、1か月に短縮する(通達)。
      • 教育訓練給付金について、訓練効果を高めるためのインセンティブ強化のため、雇用保険から支給される給付率を受講費用の最大70%から80%に引き上げる。
        • ※教育訓練受講による賃金増加や資格取得等を要件とした追加給付(10%)を新たに創設する(省令)。
      • 自発的な能力開発のため、被保険者が在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合に、その期間中の生活を支えるため、基本手当に相当する新たな給付金を創設する。
    • 育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保【雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律】
      1. 育児休業給付の国庫負担の引下げの暫定措置(※4)を廃止する。
        • ※本来は給付費の1/8だが、暫定措置で1/80とされている。
      2. 育児休業給付の保険料率を引き上げつつ(0.4%→0.5%)、保険財政の状況に応じて引き下げ(0.5%→0.4%)られるようにする。
        • ※1・2により、当面の保険料率は現行の0.4%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて、実際の料率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整。
    • その他雇用保険制度の見直し【雇用保険法】
      • 教育訓練支援給付金の給付率の引下げ(基本手当の80%→60%)及びその暫定措置の令和8年度末までの継続、介護休業給付に係る国庫負担引下げ等の暫定措置の令和8年度末までの継続、就業促進手当の所要の見直し等を実施する。
  • 施行期日
    • 令和7年4月1日(ただし、3(1)及び4の一部は公布日、2(2)は令和6年10月1日、2(3)は令和7年10月1日、1は令和10年10月1日)

厚生労働省 女性と依存症 ライフステージごとの「生きづらさ」の解消へ
  • 現代の女性には、時代や環境の変化から、さまざまな「生きづらさ」が生じています。その生きづらさを紛らわすため、特定の物や行為に依存するようになり、やめたくてもやめられない状態、いわゆる「依存症」に陥ってしまうこともあります。
  • 本特集では、女性と依存症の問題にスポットを当て、依存症の“入り口”や、その種類とリスク、本人・家族の相談先や周囲ができることについて考えます。
  • 「迷う」気持ちを理解し共感し寄り添うことが大切
    • 相談支援で重要なのは、相談者にとって相談先は「悩みを打ち明けることができる、安心して話すことができる場所である」ということなのです。
    • 依存症の特徴の一つとして、心の安心感がなくなっている状態が挙げられます。そのため、たとえば公的な相談機関の精神保健福祉センターでは秘密を守って相談を受けていますし、医療機関も守秘義務があり相談の秘密を守ることが原則ですので、活用してみるのがお勧めです。
    • 身近な信頼できる家族や友人に相談することも手段の一つですが、すべてを自分たちだけでどうにかしようと考えず、相談機関を頼ることも選択肢のなかに入れておいていただきたいです。
    • なぜなら、たとえばエアコンの取り付けをしたいとき、私たちはすべてを家族でやるわけではありません。日頃の手入れや軽度のメンテナンスは自分たちでできても、取り付けや修理などは専門の業者を当たり前のように利用しているのではないでしょうか。
    • 日常的に接することがない相談機関に相談したり、医療機関を受診したりするのを躊躇するのは自然だと思います。ためらい迷うのは「ダメなこと」ではなく、自分を守るために大変重要な場合もあります。精神科医という専門的な立場や役所の立場で言えば「少しでも早く来てほしい」という気持ちもありますが、迷っている方の「迷う」という気持ちも尊重したいと考えています。安心して自分の気持ちを話してもらうためにも、自分のタイミングを大事にしてほしいです。
    • また、周囲の方々に申し上げたいのは、共感や「相談しにくい」「話しづらい」気持ちを理解し、寄り添ってあげることが大切だということです。
    • どうしても相談を受ける側のペースで進めてしまいたくなりがちですが、相談をする当事者の方のペースで聴いてあげてもらえればと思っております。
  • 自分に合った相談先を見つけてほしい
    • 相談機関や医療機関などを活用する際には、私は複数箇所、実際に行ってみることをお勧めしています。
    • 何でもそうかもしれませんが、いきなり自分にぴったり合うところを見つけるのは難しいものです。依存症の場合、相談内容や悩みの程度、性格などを含めて個別性が大きいため、ぴったり合うところは簡単には見つからないこともあります。比べてみたり、時間を置いてまた違うところに行ってみたりして、「ここなら安心して話せるかな」と思える場所を見つけてほしい。
    • 「自分に合ったものはすぐに見つかりづらい」という前提に立って、選んでいただいたほうがうまくいく確率が上がるかもしれません。相談や支援を受けに行くことは「勇気」のいることなので、そう決断した自分をやはりしっかり褒めてあげてほしいです。
    • 依存症は、つらい気持ちや不安な気持ちを紛らわすために特定の物や行為に依存してしまい、自分も他人も信じることが難しくなった病気だと考えています。
    • 相談機関や医療機関、自助グループなどを活用して生きづらさについて相談することで、「人を、自分を信じてもいいんだ」という気持ちを持ってもらいたいです。

厚生労働省 第67回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
▼ 【資料2】男女の賃金の差異の情報公表状況
  • 男女の賃金の差異の情報公表については、女性活躍推進法に基づき、常時雇用する労働者数301人以上の事業主に対し、令和4年7月8日から義務付けられ、公表時期は各事業年度が終了し、新たな事業年度が開始した後おおむね3ヶ月以内とされているところ。
  • 義務対象企業17,370社のうち、女性の活躍推進企業データベースに加え、厚生労働省が把握した14,577社の公表数値の平均値(令和6年1月19日時点)
    • 全労働者 69.5%
    • 正規雇用労働者 75.2%
    • 非正規雇用労働者 80.2%
▼ (参考資料1-3) 仕事と育児・介護の両立支援対策の充実について(建議) 概要
  • 男女とも育児・家事を担いつつ、希望に応じて仕事やキャリア形成との両立が可能となるようにしていくことが重要な課題であり、また、男女ともに働き方を見直していくことは、少子化対策にも資する。
  • 介護休業を始めとした両立支援制度が知られずに利用されていないことや、制度の趣旨への理解が不十分で効果的な利用がされていないことから両立が困難となっている状況を改善し、介護離職を防止していくことが喫緊の課題である。
  • 必要な措置の具体的内容
    1. 子の年齢に応じた両立支援に対するニーズへの対応
      • 子が3歳になるまでの両立支援の拡充
        • テレワークを活用促進するため、事業主の努力義務とする。
        • 短時間勤務制度について、1日6時間を必置とした上で、他の勤務時間も併せて設定することを促進するとともに、短時間勤務制度を
        • 講ずることが困難な場合の代替措置にテレワークを追加する。
      • 子が3歳以降小学校就学前までの両立支援の拡充
        • 各職場の事情に応じて、事業主が柔軟な働き方を実現するための措置の選択肢(※)から労働者が選択可能なものを2以上選択して措置を講じる義務を設け、労働者はその中から1つ選べることとする。
        • (※)始業時刻等の変更、テレワーク等、短時間勤務制度、保育施設の設置運営等、新たな休暇の付与
        • 労働者は権利として子が小学校就学前まで所定外労働の制限(残業免除)を請求できることとする。
      • 子の看護休暇制度の見直し
        • 感染症に伴う学級閉鎖等や子の行事参加(子の入園式、卒園式及び入学式を対象)にも利用できるようにし、請求できる期間は、小学校3年生修了時までとする。
      • 育児期の両立支援のための定期的な面談
        • 心身の健康への配慮
    2. 仕事と育児の両立支援制度の活用促進
      • 制度の活用をサポートする企業や周囲の労働者に対する支援
      • 育児休業取得状況の公表
        • 男性の育児休業取得率の公表義務の対象を、常時雇用労働者数1,000人超の事業主から300人超の事業主に拡大する。
    3. 次世代育成支援に向けた職場環境の整備
      • 次世代育成支援対策推進法を令和17年3月末まで延長する。
      • 企業の取組促進のため、一般事業主行動計画について、男性の育児休業取得率や時間外労働に関するPDCAサイクルの確立や数値目標の設定を義務付ける。
      • 「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」を目指す観点から、一般事業主行動計画策定指針を見直す。
      • 「くるみん」などの認定基準を見直す。
    4. 介護離職を防止するための仕事と介護の両立支援制度の周知の強化等
      • 事業主に以下の措置を講ずることを義務付ける。
        • 介護に直面した労働者が申出をした場合に、両立支援制度等に関する情報の個別周知・意向確認
        • 介護に直面するよりも早期(40歳等)の情報提供
        • 研修や相談窓口の設置等の雇用環境の整備
      • 介護期の働き方について、テレワークを事業主の努力義務とする。
    5. 個別のニーズに配慮した両立支援
      • 子に障害がある場合等の要介護状態の判断基準について今後さらに検討する。
      • 事業主に、妊娠・出産の申出時や子が3歳になるまでの適切な時期の面談等の際に、労働者の仕事と育児の両立に係る個別の意向の聴取とその意向への配慮を義務付ける。
    6. 仕事と育児・介護との両立支援に当たって必要な環境整備(プライバシーへの配慮等)

【2024年1月】

厚生労働省 労働基準関係法制研究会 第1回資料
▼ 資料4 労働時間制度等に関するアンケート調査結果について(速報値)
  • 従業員規模については、「1~9人」が50.4%、「10~49人」が36.5%、「50~99人」が6.7%、「100~299人」が4.6%、300人以上の回答の合計が1.8%となっている。業種については、多い順に、「教育、学習支援業」が13.1%、「建設業」が12.8%、「製造業」が12.5%、「不動産業、物品賃貸業」が10.8%、「サービス業(他に分類されないもの)」が9.9%等となっている。
  • 自社の労働者で最も多い職種については、「専門的・技術的職業」が29.0%と最も多く、次いで、「事務的職業」が17.0%、「生産工程の職業」が10.3%等となっている。
  • 労働基準法第36条第11項の「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」に従事する者については、「0人」が62.0%となっており、「1~5人」は21.7%となっている。労働基準法第36条第11項の「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」に従事する者のうち、直近1か月当たりの実労働時間(残業や休日出勤などを含めた総労働時間)が最長の者が働いている時間は、「161~180時間」が21.3%、「181~200時間」が14.4%等となっており、181時間以上の回答の合計は21.2%となっている。
  • 年5日の時季指定義務を運用するに当たって、育児休業取得や休職等の事情がある労働者に関して、取得時季の設定が困難となったケースがあるかについて、「ある」の回答は7.4%となっている。労働者が取り残したまま時効をむかえた年次有給休暇の取扱いについては、「そのまま消滅としている」が63.7%と最も多い。また、「消滅分に対する補償(金銭的補償を含む)をしている」は5.1%となっている。時間単位年休の上限日数が年5日であることについて、「ちょうどいい」が70.1%、「増やした方がよい」が19.6%、「減らした方がよい」が6.4%となっている。
  • フレックスタイム制と通常勤務日を組み合わせる制度は必要だと思うかについて、「必要である、ある方がよい」が23.7%、「不要である、ない方がよい」が18.1%、「どちらでもよい、わからない」が55.7%となっている。フレックスタイム制の適用者について見ると、「必要である、ある方がよい」が47.1%となっている。
  • 「営業等の外勤の労働者」「出張時の労働者」「テレワークの労働者」について、事業場外みなし労働時間制を適用している企業はそれぞれ31.1%、36.7%、23.9%であった。事業場外みなし労働時間制の対象となっている場合の労働時間管理方法は、「営業等の外勤の労働者」「出張時の労働者」「テレワークの労働者」について、「勤務管理システムに自己申告で入力」が最も多く、それぞれ35.0%、35.4%、40.1%であった。
  • 勤務間インターバルの導入状況について、「勤務間インターバルを導入していない」企業が54.4%となっており、次いで「十分なインターバルを取れるよう終業時刻を固定している」が23.3%、「フレックスタイム制を用いずに、前日の終業時刻に合わせて、始業時刻を遅らせてインターバルを取らせている」が6.7%等となっている。
  • 勤務時間外や休日の社内連絡(メール・チャット・電話等)に関するルールについて、「特段ルール等は整備しておらず、現場に任せている」が36.7%と最も多くなっている。一方、「勤務時間外や休日には、災害時等の緊急連絡を除いて連絡しないこととしている」が29.6%、「翌営業日に対応が必要など、急を要する業務に関する連絡のみ認めている」が26.5%等、勤務時間外や休日の社内連絡に関するルールを決めている企業もある。
  • 副業・兼業のルール及び実態について、「副業・兼業を認めており、実際に副業・兼業を行っている労働者がいる」が25.7%、「副業・兼業を認めているが、副業・兼業を行っている労働者がいることは認識していない」が31.7%であった。「副業・兼業を認めており、実際に副業・兼業を行っている労働者がいる」企業が行っている労働者の健康管理については、「副業・兼業先における労働時間を、労働者の自己申告により把握している」が36.7%と最も多い。「副業・兼業を認めていない理由」は、「本業(貴社)での労務提供に支障が生じる懸念があるから」が79.6%と最も多い。
  • 企業の情報開示について、「ホームページ等の一般公開されうる媒体で開示」している情報は、多い順に、「勤務場所」が36.7%、「試用期間の有無」が26.3%、「賃金」が24.3%等となっている。また、「ホームページ等の一般公開されうる媒体で開示」している割合が10%未満となっている「留学や研修の機会」、「会社におけるキャリアパス(標準的な昇進等)」、「将来の配置転換・出向の有無・範囲・頻度」、「副業・兼業を労働者に認めているか否か」、「労働災害の発生件数」についても、約3割程度以上の企業は、企業内の労働者には開示している。
  • 労働条件や社内での取り決め、職場環境について検討する際、社内の誰の意見を聞くことが多いかについて、「役員」が46.6%と最も多く、次いで、「労働者の過半数を代表する労働者代表」と「個別・少数の労働者」がそれぞれ27.1%等となっている。特定の職種やポジションの労働者に関する労働条件やルール等を検討する際、当該労働者の意見を聞くかについて、「必ず聞いている」が34.6%、「検討する内容によっては意見を聞く場合がある」が51.3%、「聞いていない」が8.0%となっている。
  • 人事労務管理関係書類の保存方法について、多い順に、「紙でファイリングして保存している」が47.2%、「書類によって紙と電子を使い分けている」が40.9%、「電子データで保存している」が23.9%となっている。「紙でファイリングして保存している」または「書類によって紙と電子を使い分けている」と回答した企業について、紙で保存している理由は、「これまで紙で保存してきたから」が75.1%となっている。
  • 働き方改革に伴い、「収益」「労働者の残業時間」「労働者のモチベーション」「労働者のメンタル」「労働者の採用状況」それぞれについてどのような影響があったかと考えるかについて、全ての項目について「特段影響はなかった」と考える割合が65%以上となっている。働き方改革に伴い、「良い影響があった」と回答する企業が最も多かった項目は、「労働者の残業時間」となっている(21.1%)。
  • 36協定については、「36協定を締結し、特別条項も締結している」が35.2%、「36協定を締結しているが特別条項は締結していない」が27.8%、「36協定を締結していない」が30.1%となっている。特別条項を締結している場合の特別延長時間については、「45時間超80時間以下」が34.3%と最も多い。限度時間を超えた労働者に対する健康確保措置については、多い順に、「健康診断」が34.9%、「代償休日・特別な休暇の付与」が28.0%、「特段の措置を定めていない」が22.0%等となっている。
  • 各労働時間制度適用者の有無については、多い順に、「1年単位の変形労働時間制」を適用している労働者がいる事業場が21.3%、「管理監督者」を適用している労働者がいる事業場が20.8%、「フレックスタイム制」を適用している労働者がいる事業場が17.6%等となっている。
  • 営業等外勤や出張労働者について、労働時間を算定しがたい場合について、「該当するときはない(PC、スマートフォン等で労働時間を確認できる)」が35.0%と最も多く、次いで「労働の状況を申告させているが、その真偽を確認することができないとき」が29.9%、「始業・終業が自由であり、外回り等で労働の状況を確認できないとき」15.1%等となっている。テレワークを行っている労働者がいない割合は64.3%で最も高く、テレワークを行っている場合に当該労働者に適用している労働時間制度については、「通常の労働時間制度」が16.8%、「フレックスタイム制」が4.8%、「事業場外みなし労働時間制」が2.0%であった。テレワークを行っている労働者がいる事業場に限定して、適用している労働時間制度をみると、「通常の労働時間制度」が最も多く、69.4%となっており、次いで「フレックスタイム制」が19.7%、「事業場外みなし労働時間制」が8.2%等となっている。
▼ 参考資料1 「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書に関する第190回労働条件分科会(2023年11月13日)における主なご意見
  • 働く人の健康確保
    • 働く人の心身の健康確保をはじめとする労働基準法制の基本原則は、今後もしっかりと堅持すべき。
  • 働く人の選択・希望の反映が可能な制度へ
    • 労働基準法はあくまで働く上での最低基準であり、働き方やキャリア形成など、働く人の多様な希望に対応していくことは、労働基準法を見直さなくても十分に可能ではないか。既に、個別労使における真摯な協議や議論を通じて、労働者がより働きやすくなるような様々な取組が図られている。
    • 長時間労働によって過労死等に至る労働者というものが未だ少なくない中、この強行法規である労働基準法の見直しの方向性が示されたことで、最低基準を外すことのできる新たな例外が検討されるのではないか、また、労働基準法の持つ強行法規的な部分が抜き取られて、労働者保護の砦が崩されるのではないかと懸念している。ぜひ慎重かつ丁寧な検討をしてもらいたい。労使合意があれば、最低基準を引き下げられるような見直しは断じて行うべきではない。労働基準法を遵守させる観点から、長時間労働の根絶に向けて、副業・兼業の労働時間管理、高度プロフェッショナル制度など、現行制度の厳格化につながる検討を進めてほしい。
    • 特に若い世代は、キャリア志向も非常に高く、働く時間・場所についても自由に選択したいという意識を持っている。法律で画一的に規制すると、こうした社員の声に柔軟に応えることが場合によっては難しくなる。
    • 多様性に対応することを考えると、今後の労働基準法制の在り方としては、シンプルに構えつつ、当事者である企業の労使が話し合うことで柔軟に働き方を決めていけるような方向性で検討を進めてほしい。業種・業態によって、働き方や労使の関係性の幅に差異があるので、労働者の心身の健康確保に留意しつつ、その制度の中身や話し合いの対応も含め、個別企業の労使が選択できる視点を入れてもらいたい。
    • 働く人のニーズが多様化する中、ニーズを的確に捉え、労働条件や職場環境に反映させ、処遇の公正性や納得感をしっかり確保するためには、企業と個々の働く人とのコミュニケーションを一層促進する必要がある。一方、労使の圧倒的な力関係の差が厳然と存在している中、様々なコミュニケーション手法があったとしても、労使が真に対等なコミュニケーションがとれるような環境が整備されているかという点は疑わしい。
    • まずは団結権などが保障された労働組合による労働者間、そして労使間の関係の構築や団体交渉、労使協議をはじめとする集団的労使の営みを促進することが重要ではないか。その上で、企業内で発言するために、集団的な手だてを持たない働く人もいるため、まずは、過半数代表制の規定の厳格化や、運用の徹底を図るべきではないか。集団的労使関係の在り方については、労使対等の原則を堅持しながら、中長期的な課題として検討を続けてほしい。
  • 労働基準法制における基本的概念が実情に合っているかの確認
    • 働き方に変化が生じている中で、健康の確保は働く人がどのような選択希望を持っているかにかかわらず、全ての働く人にとって共通して必要との認識は今まで以上に重要であると受け止めている。この働く人の中には、曖昧な雇用で働く就業者も含まれるべきであり、労働者概念の見直しと、その保護の充実に向けた検討に早急に着手するべきである。
  • 労働基準監督行政の充実強化
    • 報告書では、経済社会の変化、働く人の意識や働き方の個別、あるいは多様化を踏まえた制度見直しの必要性などに言及しているが、働く現場では、いまだ業種にかかわらず労働基準法違反が多く見られる。そうした実態を踏まえれば、まず、現行の労働基準法を遵守させることが重要であり、足元での監督指導の徹底はもとより、手先の効率化ではない、労働基準監督署の体制強化こそ早急に取り組むべき課題である。
  • その他
    • 報告書の個人が自分でキャリア形成していくという点を少し懸念している。個人がこれからは中心になってやっていくというメッセージが強く出過ぎると、戸惑う人たちが非常に多く出てくる。個人が見ることのできる範囲というのは非常に狭いので、5年、10年先の自分を考えてアドバイスをしてくれる人たちが必要ではないか。組合のない企業も含め、労働者が相談をしたいと思ったときにその機能を誰が果たせるのかという点も併せて考えていかなければならない。

厚生労働省 第4回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 資料
▼ 資料1 訪問系サービスなどへの従事について
  • 現行の外国人介護人材の従事可能な業務の範囲について
    • 技能実習「介護」について、平成29年度から、対人サービスであること等を踏まえ、介護サービスの質を担保することなどを重視しつつ、技能実習指導員等により外国人介護人材への適切な指導ができる体制であること等から施設系サービスへの従事が認められた。
    • 技能実習「介護」における訪問系サービスの従事については、平成27年2月4日の「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会中間まとめ」において、利用者と介護者が1対1で業務を行うことが基本であることを踏まえ、技能実習生に対する適切な指導体制の確保、権利擁護、在留管理の観点に十分配慮する必要があると整理されたことから、現在認められていない。
    • その後、平成31年度には新たな在留資格として特定技能が創設されたが、技能実習「介護」と同様に、利用者と介護者が1対1で業務を行うことが基本であることを踏まえて、認めていないところ。
    • 一方で、EPA介護福祉士の訪問系サービスの従事については、平成28年1月~10月まで「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」において議論がなされ、
      • EPA介護福祉士の受入れは、二国間の経済の連携強化という目的で特例的に行われているものであり、
      • 外交上の配慮という観点からも、人権擁護が確実に図られる必要があることから、
        必要な措置を併せて講じることが必要とされた。
      • 同検討会から「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会報告書~EPA介護福祉士の就労範囲に訪問系サービスを追加するに当たっての必要な対応について~」(平成28年10月28日)が報告され、訪問系サービスを認めることについて、受入機関等に対して、一定の留意を求めつつ、適当とされた。
      • 現在は、同報告に基づき発出した通知により、EPA介護福祉士については、受入機関等に対して、
        • 訪問系サービスを提供するEPA介護福祉士に対する訪問介護の基本事項や生活支援技術、利用者、家族や近隣とのコミュニケーション、日本の生活様式等の研修の実施
        • 緊急事態発生時の対応マニュアルの作成及びEPA介護福祉士への研修の実施
        • EPA介護福祉士が正確かつスムーズに適切な記録作成ができるようチェックシート方式による簡略化や文字の色分けによる優先順位・緊急度の区別等の工夫
        • 数回程度又は一定期間のサービス提供責任者等による同行訪問等の必要なOJTの実施
          等の一定の留意を求めつつ、国際厚生事業団に相談窓口を設けた上で、訪問系サービスの従事を認めている。
      • また、その後、平成29年9月から施行された在留資格「介護」においては、介護福祉士取得者であり、専門的技能や日本語能力等を有しており、特段、外交上の配慮を要することないことから、制限を設けておらず、訪問系サービスの従事を認めている。
  • 在留資格別の外国人介護人材の訪問系サービスの取扱いについて
    • 外国人介護人材の訪問系サービスの従事については、介護福祉士の資格を有する在留資格「介護」及びEPA介護福祉士は認められているが、EPA介護福祉士候補者・技能実習・特定技能は、介護職が1対1で介護サービスを提供するという業務内容の特性を踏まえ、認めていない。
  • 国際厚生事業団による巡回訪問・相談受付の実績推移
    • 国際厚生事業団(JICWELS)では、受入れ機関によるEPA介護福祉士(候補者)の雇用管理状況、研修実施状況を把握するため、定期的に巡回訪問を行うとともに、受入れ機関やEPA介護福祉士(候補者)からの相談に応じるため、母国語でも対応できる相談窓口を開設している。
  • 国際厚生事業団が実施している巡回訪問等で把握した訪問系サービス従事に当たって主な課題
    • 利用者とのコミュニケーションに関する課題
      • 自立支援の考え方に基づくサービス提供や利用者の状況に応じた柔軟な対応等を求められるが、文化・風習の違いにより難しい場合や、外国人に偏見を持つ認知症の利用者からハラスメントへの対応についての相談がある。
    • 記録業務に対する課題
      • 日本人職員と比較して、日本語能力等により記録作成に時間を要することがあるとの相談がある。
    • 利用者宅への訪問に係る移動手段の課題
      • 利用者宅への訪問を行うため、自動車等での移動が求められることが多いが、運転そのものを敬遠する外国人職員への対応や、運転免許の取得について、ハードルが高いとの相談がある。
  • 主な課題に対する国際厚生事業団の助言・指導等の対応および結果
    • コミュニケーションに関する問題については、外国人職員に対して、まずは、サービス提供責任者やケアマネジャーの計画に基づいたサービスを提供することを土台にした上で、自立支援の観点でサービスを行うことを心がけることを助言し、受入機関の教育担当者等に対して当該外国人職員へのメンタル面サポートが重要であることを助言し、ケアを行った。
    • 記録業務については、日本人職員においても業務開始当初は難しいことを念頭に、EPA介護福祉士候補者として就労していたことから、一定の専門性や日本語能力等の基礎的な能力を有していることから、OJT等によって徐々に理解させることが重要であることを助言し、施設側の理解を得た結果、徐々に当該外国人職員の記録業務も円滑に進むようになった。
    • 運転等については、個人の能力や希望によることが多いことから、受入事業所に対して外国人介護人材の業務上の希望や課題について聴取したうえで検討を行うように助言。その結果、自動車等による移動が不要となる高齢者住まい向け住宅に併設している訪問介護業務へ配置転換を行った。
  • 介護分野における人材確保の状況と労働市場の動向~有効求人倍率と失業率の動向~
    • 介護関係職種の有効求人倍率は、依然として高い水準にあり、全職業より高い水準で推移している。
    • 介護分野の有効求人倍率は、地域ごとに大きな差異があり、地域によって高齢化の状況等も異なる。
    • 介護職員の離職率は低下傾向にある。
    • 介護関係職種全体の平均年齢は50.0歳、65歳以上の構成割合は14.2%となっている。訪問介護員の平均年齢は54.7歳、65歳以上の構成割合は24.9%となっている。
    • 介護サービス事業所における人手不足感は、訪問介護員、介護職員(施設等)とも、令和4年度で上昇している。離職率は改善傾向にあるが、約9割の事業所が「採用が困難である」ことを不足している理由として挙げている。
    • 職種別に見ると、訪問介護員・介護職員は他の職種と比べて「大いに不足」「不足」している事業所が多い。
    • 介護サービス職員の有効求人倍率をみると、施設介護職員と比較して、訪問介護員の有効求人倍率が高くなっており、2022年度時点で15.53倍となっている。
  • 訪問介護サービスの実績と今後の見込量等
    • 訪問介護のサービス見込み量(1月当たり利用者数)から、必要となる事業所数を計算すると、令和22年(2040年)には、令和3年の事業所数よりも加えて約5千事業所の整備が必要。また、生産年齢人口の減少が進む中、必要となる訪問介護員数は約3万2千人確保が必要。(すでに実績がサービス見込み量を超えているので、さらに必要となる可能性がある。)
    • 他方、事業所数、1事業所あたり訪問介護員数(常勤換算)については、近年はほぼ横ばいで推移しており、現状から比較するとサービスの供給量が大きく不足していく可能性がある。
    • ケアマネジャーから紹介のあった方へのサービス提供を断った理由をみると、「人員不足により対応が難しかったため」が90.9%と最も多く、次いで、「訪問先までの移動時間が長く、対応が難しかったため」(27.3%)となっていた。また、「看取りや認知症、難病等により自事業所では技術的に対応が難しかったため」は4.0%だった。
  • 検討の方向性
    • 訪問入浴介護は、複数人でのサービス提供が必要なサービスであり、現行認められている施設系サービスと同様、技能実習指導員等により適切な指導体制を確保しやすいが、こうした体制等を確保した上で、外国人介護人材が、職場内で必要な研修等を受講し、業務に従事することについて、どのように考えるか。
    • 訪問介護は、利用者と介護者が1対1で業務を行うことが基本であることを踏まえ、従事する訪問介護員等に対し、介護職員初任者研修等の研修修了を義務付ける等、有資格者に限定している。
    • また、訪問介護のサービス提供に当たっては、
      • 訪問介護計画の作成、利用申込の調整等の全体調整及び訪問介護員等に対する指示・業務管理等を行うサービス提供責任者(以下「サ責」という。)を利用者数に応じて配置することを基準とし、
      • 初回の訪問月においては、サ責による訪問又は訪問介護員等との同行について、報酬上の加算を設けて、取組が進むようする
        など、利用者に対するケアの質を制度上担保する仕組みとしている。外国人介護人材の訪問介護の実施の可否を検討するに当たっても、こうした利用者に対するケアの質の担保について、特に留意する必要がある。
    • さらに、定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び夜間対応型訪問介護は、訪問介護と同様、利用者の居宅への訪問に当たって有資格者が従事するなど、利用者に対するケアの質が制度上担保される仕組みとなっている。
    • 外国人介護人材が、ケアの質を担保しながら、多様な業務を経験し、キャリアアップしていく観点から、日本人と同様に介護職員初任者研修を受け、訪問介護の業務に従事することができるようにすることについて、どのように考えるか。その際、介護職員初任者研修を受けやすい環境整備についてどのように考えるか。
    • 加えて、ケアの質の担保にあたっては、例えば、EPA介護福祉士と同様に、訪問介護等の基本的事項の研修の実施、緊急事態発生時の対応と研修、適切な記録等の作成の工夫、サ責等による同行等のOJT等、これまで一定の役割を果たしてきた要件を設けることについてどのように考えるか。また、人権擁護の観点からEPA介護福祉士に対し母国語に対応した相談窓口が設けられている事例を踏まえ、利用者等からのハラスメント等があった場合に必要となる取組をすることについてどのように考えるか。
    • なお、技能実習については、制度趣旨である技能等の移転による国際協力の推進を図ることとの関係や、今後、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設する方向で検討されていることを踏まえ、その取扱いについて新たな制度の趣旨を踏まえた上での検討を行うことについて、どのように考えるか。

厚生労働省 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)~外国人労働者数は初の200万人超え~
  • 厚生労働省はこのほど、令和5年10月末時点の外国人雇用についての届出状況を取りまとめましたので、公表します。
  • 外国人雇用状況の届出制度は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律に基づき、外国人労働者の雇用管理の改善や再就職支援などを目的とし、すべての事業主に、外国人の雇入れ・離職時に、氏名、在留資格、在留期間などを確認し、厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出ることを義務付けています。
  • 届出の対象は、事業主に雇用される外国人労働者(特別永住者、在留資格「外交」・「公用」の者を除く。)であり、数値は令和5年10月末時点で事業主から提出のあった届出件数を集計したものです。
  • 届出状況のポイント
    • 外国人労働者数は2,048,675人で前年比225,950人増加し、届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新し、対前年増加率は12.4%と前年の5.5%から6.9ポイント上昇。
    • 外国人を雇用する事業所数は318,775所で前年比19,985所増加、届出義務化以降、過去最高を更新し、対前年増加率は6.7%と前年の4.8%から1.9ポイント上昇。
    • 国籍別では、ベトナムが最も多く518,364人(外国人労働者数全体の25.3%)、次いで中国397,918人(同19.4%)、フィリピン226,846人(同11.1%)の順。
    • 在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」が対前年増加率として最も大きく595,904人、前年比115,955人(24.2%)増加、次いで「技能実習」が412,501人、前年比69,247人(20.2%)増加、「資格外活動」が352,581人、前年比21,671人(6.5%)増加、「身分に基づく在留資格」が615,934人、前年比20,727人(3.5%)増加。一方、「特定活動」は71,676人、前年比1,687人(2.3%)減少。

厚生労働省 「医薬品の販売制度に関する検討会」の「とりまとめ」 を公表します
▼ 概要資料
  • 背景等
    • 新型コロナウイルス感染症の影響によりオンラインを通じた社会活動が増加するとともに、セルフケア・セルフメディケーションの推進が図られるなど国民と医薬品を取り巻く状況は変化しており、また、一般用医薬品の濫用等の安全性確保に関する課題が新たに生じている状況を踏まえ、令和5年2月から検討会を開催。計11回の議論を経て、令和6年1月にとりまとめを公表。
  • 具体的な方策
    • (1)安全性が確保され実効性が高く、分かりやすい制度への見直し、(2)医薬品のアクセス向上等のためのデジタル技術の活用を基本的な考え方として、次のような見直しを行うことが必要。
      • 処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売
        • 処方箋に基づく販売を基本とし、リスクの低い医療用医薬品(現行制度の処方箋医薬品以外の医療用医薬品)については、法令上、例外的に「やむを得ない場合」での販売を認める。
        • 「やむを得ない場合」を明確化(処方され服用している薬が不測の事態で不足した場合等)し、薬局での販売は最小限度の数量とする等の要件を設ける。
      • 濫用等のおそれのある医薬品の販売
        • 原則として小容量1個の販売とし、20歳未満の者に対しては複数個・大容量の製品は販売しない。
        • 販売時の購入者の状況確認・情報提供を義務とする。原則として、購入者の状況の確認及び情報提供の方法は対面又はオンライン(映像・音声によるリアルタイムでの双方向通信)とする。
        • 20歳未満の者による購入や、複数・大容量製品の購入等の必要な場合は、氏名・年齢等を確認・記録し、記録を参照した上で販売する。
      • 要指導医薬品
        • 薬剤師の判断に基づき、オンライン服薬指導により必要な情報提供等を行った上で、販売することを可能とする(ただし、医薬品の特性に応じ、例外的に対面での対応を求めることも可能とする)。
        • 医薬品の特性に応じ、必要な場合に一般用医薬品に移行しないことを可能とする。
      • 一般用医薬品の販売区分及び販売方法
        • 販売区分について、「薬剤師のみが販売できる一般用医薬品」と「薬剤師又は登録販売者が販売できる一般用医薬品」へと見直す。
        • 人体に対する作用が緩和なものは、医薬部外品への移行を検討する。
        • 専門家(薬剤師・登録販売者)の関与のあり方に加え、情報提供については関与の際に必要に応じて実施することを明確化する。
      • デジタル技術を活用した医薬品販売業のあり方
        • 有資格者が常駐しない店舗において、当該店舗に紐付いた薬局等(管理店舗)の有資格者が、デジタル技術を活用して遠隔管理や販売対応を行うことにより、一定の要件の下、医薬品の受渡しを可能とする新たな業態を設ける。

厚生労働省 第66回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
▼ (参考資料1-2)仕事と育児・介護の両立支援対策の充実について(案) 概要
  • はじめに
    • 男女とも育児・家事を担いつつ、希望に応じて仕事やキャリア形成との両立が可能となるようにしていくことが重要な課題であり、また、男女ともに働き方を見直していくことは、少子化対策にも資する。
    • 介護休業を始めとした両立支援制度が知られずに利用されていないことや、制度の趣旨への理解が不十分で効果的な利用がされていないことから両立が困難となっている状況を改善し、介護離職を防止していくことが喫緊の課題である。
  • 必要な具体的内容
    1. 子の年齢に応じた両立支援に対するニーズへの対応
      • 子が3歳になるまでの両立支援の拡充
        • テレワークを活用促進するため、事業主の努力義務とする。
        • 短時間勤務制度について、1日6時間を必置とした上で、他の勤務時間も併せて設定することを促進するとともに、短時間勤務制度を講ずることが困難な場合の代替措置にテレワークを追加する。
        • 子が3歳以降小学校就学前までの両立支援の拡充
        • 各職場の事情に応じて、事業主が柔軟な働き方を実現するための措置の選択肢(※)から労働者が選択可能なものを2以上選択して措置を講じる義務を設け、労働者はその中から1つ選べることとする。 (※)始業時刻等の変更、テレワーク等、短時間勤務制度、保育施設の設置運営等、新たな休暇の付与
        • 労働者は権利として子が小学校就学前まで所定外労働の制限(残業免除)を請求できることとする。
      • 子の看護休暇制度の見直し
        • 感染症に伴う学級閉鎖等や子の行事参加(子の入園式、卒園式及び入学式を対象)にも利用できるようにし、請求できる期間は、小学校3年生修了時までとする。
      • 育児期の両立支援のための定期的な面談
      • 心身の健康への配慮
    2. 仕事と育児の両立支援制度の活用促進
      • 制度の活用をサポートする企業や周囲の労働者に対する支援
      • 育児休業取得状況の公表
        • 男性の育児休業取得率の公表義務の対象を、常時雇用労働者数1,000人超の事業主から300人超の事業主に拡大する。
    3. 次世代育成支援に向けた職場環境の整備
      • 次世代育成支援対策推進法を令和17年3月末まで延長する。
      • 企業の取組促進のため、一般事業主行動計画について、男性の育児休業取得率や時間外労働に関するPDCAサイクルの確立や数値目標の設定を義務付ける。
      • 「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」を目指す観点から、一般事業主行動計画策定指針を見直す。
      • 「くるみん」などの認定基準を見直す。
    4. 介護離職を防止するための仕事と介護の両立支援制度の周知の強化等
      • 事業主に以下の措置を講ずることを義務付ける。
      • 介護に直面した労働者が申出をした場合に、両立支援制度等に関する情報の個別周知・意向確認
      • 介護に直面するよりも早期(40歳等)の情報提供
      • 研修や相談窓口の設置等の雇用環境の整備
      • 介護期の働き方について、テレワークを事業主の努力義務とする。
    5. 個別のニーズに配慮した両立支援
      • 子に障害がある場合等の要介護状態の判断基準について今後さらに検討する。
      • 事業主に、妊娠・出産の申出時や子が3歳になるまでの適切な時期の面談等の際に、労働者の仕事と育児の両立に係る個別の意向の聴取とその意向への配慮を義務付ける。
    6. 仕事と育児・介護との両立支援に当たって必要な環境整備(プライバシーへの配慮等)
      • 「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」を目指す観点から、以下の見直しを実施
        • 数値目標の設定を義務付け(育児休業の取得状況、労働時間の状況)
          • ※男性の育児休業等取得率、フルタイム労働者の各月の時間外・休日労働時間
        • 行動計画に盛り込むことが望ましい事項として、例えば以下のような内容を示す(指針)
          • 両立支援制度利用時の業務の分担や業務の代替要員確保に関する企業の方針
          • 育休後に復帰するポジションに関する納得感の向上に向けた取組に関すること
          • 育児休業取得者や短時間勤務制度利用者、その周囲の労働者に対するマネジメントや評価に関すること
          • 育児に必要な時間帯や勤務地に対する配慮に関すること
          • 育児中の労働者や育休中の労働者の業務を代替する労働者の心身の健康への配慮(勤務間インターバルの確保に関することを含む)等
      • 事業主に以下の措置を講ずることを義務付ける。
        • 介護に直面した労働者が申出をした場合に、両立支援制度等に関する情報の個別周知・意向確認
        • 介護に直面する前の早い段階(40歳等)の両立支援制度等に関する情報提供※併せて介護保険制度についての周知も望ましい(指針)
        • 研修や相談窓口の設置等の雇用環境の整備
      • 介護休業制度の目的(介護の体制を構築するために一定期間休業するもの)の理解促進を図る観点から、事業主による個別周知等を行う際には、その制度目的を踏まえることが望ましい(指針)。
      • 介護期の働き方について、労働者がテレワークを選択できるよう事業主に努力義務。
      • 介護休暇の勤続6か月未満の労働者の労使協定除外の仕組みは廃止する。

厚生労働省 令和5年 障害者雇用状況の集計結果
  • 厚生労働省では、このほど、民間企業や公的機関などにおける、令和5年の「障害者雇用状況」集計結果を取りまとめましたので、公表します。
  • 障害者雇用促進法では、事業主に対し、常時雇用する従業員の一定割合(法定雇用率、民間企業の場合は2.3%)以上の障害者を雇うことを義務付けています。
  • 今回の集計結果は、同法に基づき、毎年6月1日現在の身体障害者、知的障害者、精神障害者の雇用状況について、障害者の雇用義務のある事業主などに報告を求め、それを集計したものです。
  • 集計結果の主なポイント
    • 民間企業(法定雇用率2.3%)
      • 雇用障害者数、実雇用率ともに過去最高を更新。
      • 雇用障害者数は64万2,178.0人、対前年差2万8,220.0人増加、対前年比4.6%増加
      • 実雇用率2.33%、対前年比0.08ポイント上昇
      • 法定雇用率達成企業の割合は50.1%、対前年比1.8ポイント上昇
    • 公的機関(同2.6%、都道府県などの教育委員会は2.5%)※( )は前年の値
      • 雇用障害者数、実雇用率ともに対前年で上回る。
      • 国:雇用障害者数 9,940.0人(9,703.0人)、実雇用率 2.92%(2.85%)
      • 都道府県:雇用障害者数 1万627.5人(1万409.0人)、実雇用率 2.96%(2.86%)
      • 市町村:雇用障害者数 3万5,611.5人(3万4,535.5人)、実雇用率 2.63%(2.57%)
      • 教育委員会:雇用障害者数 1万6,999.0人(1万6,501.0人)、実雇用率 2.34%(2.27%)
    • 独立行政法人など(同2.6%)※( )は前年の値
      • 雇用障害者数、実雇用率ともに対前年で上回る。
      • 雇用障害者数 1万2,879.5人(1万2,420.5人)、実雇用率 2.76%(2.72%)
▼ 令和5年障害者雇用状況の集計結果

厚生労働省 令和4年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果
▼ (プレスリリース)令和4年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果
  • 厚生労働省では、このたび、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく、令和4年度の対応状況等に関する調査結果を取りまとめましたので、公表します。
  • この調査は、平成19年度から毎年度行われているもので、平成18年4月に施行された、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(高齢者虐待防止法)に基づき、全国の市町村や都道府県で行われた、高齢者に対する虐待への対応状況をまとめたものです。
  • 養介護施設従事者等(介護老人福祉施設、居宅サービス事業等の業務に従事する者)による虐待
    • 相談・通報件数は、2,795件(対前年度405件(16.9%)増)。※過去最多で2年連続増加
    • 虐待判断件数は、856件(対前年度117件(15.8%)増)。※過去最多で2年連続増加
    • 相談・通報者の内訳は、当該施設職員(27.6%)が最も多く、当該施設管理者等(15.9%)、家族・親族(15.5%)の順。
    • 虐待の種別は、身体的虐待(57.6%)が最も多く、心理的虐待(33.0%)、介護等放棄(23.2%)、経済的虐待(3.9%)、性的虐待(3.5%)の順。
    • 虐待の発生要因は、教育・知識・介護技術等に関する問題(56.1%)が最も多く、職員のストレスや感情コントロールの問題(23.0%)、虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制等(22.5%)の順。
    • 施設・事業所の種別は、特別養護老人ホーム(32.0%)が最も多く、有料老人ホーム(25.8%)、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)(11.9%)の順。
    • 虐待等による死亡事例は、8件(8人)。
  • 養護者(高齢者の世話をしている家族、親族、同居人等)による虐待
    • 相談・通報件数は、38,291件(対前年度1,913件(5.3%)増)。※過去最多で10年連続増加
    • 虐待判断件数は、16,669件(対前年度243件(1.5%)増)。※横ばい傾向
    • 相談・通報者の内訳は、警察(34.0%)が最も多く、介護支援専門員(25.0%)、家族・親族(7.5%)の順。
    • 虐待の種別は、身体的虐待(65.3%)が最も多く、心理的虐待(39.0%)、介護等放棄(19.7%)、経済的虐待(14.9%)、性的虐待(0.4%)の順。
    • 虐待者の続柄は、息子(39.0%)が最も多く、夫(22.7%)、娘(19.3%)の順。
    • 虐待の発生要因は、被虐待者の状態として認知症の症状(56.6%)が最も多く、虐待者側の要因として介護疲れ・介護ストレス(54.2%)、理解力の不足や低下(47.9%)の順。
    • 虐待等による死亡事例は、32件(32人)

厚生労働省 令和5年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します
  • 厚生労働省では、このたび、令和5年「高年齢者雇用状況等報告」(6月1日現在)の集計結果を取りまとめましたので、公表します。
  • 「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、65歳までの雇用の確保を目的として、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じるよう、企業に義務付けています。
  • 加えて、70歳までの就業機会の確保を目的として、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」という雇用による措置や、「業務委託契約を締結する制度の導入」、「社会貢献事業に従事できる制度の導入」という雇用以外の措置のいずれかの措置(高年齢者就業確保措置)を講じるように努めることを企業に義務付けています。
  • 今回の集計結果は、従業員21人以上の企業237,006社からの報告に基づき、このような高年齢者の雇用等に関する措置について、令和5年6月1日時点での企業における実施状況等をまとめたものです。
  • 厚生労働省では、今後も、生涯現役社会の実現に向けて、これらの措置を実施していない企業に対して、都道府県労働局、ハローワークによる必要な指導や助言を実施していきます。
  • 集計結果の主なポイント
    • 65歳までの高年齢者雇用確保措置の実施状況
      • 65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は99.9%[変動なし]
      • 高年齢者雇用確保措置の措置内容別の内訳は、
      • 「継続雇用制度の導入」により実施している企業が69.2%[1.4ポイント減少]、
      • 「定年の引上げ」により実施している企業は26.9%[1.4ポイント増加]
    • 70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況
      • 70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は29.7%[1.8ポイント増加]
      • 中小企業では30.3%[1.8ポイント増加]、大企業では22.8%[2.4ポイント増加]
    • 企業における定年制の状況
      • 65歳以上定年企業(定年制の廃止企業を含む)は30.8%[1.4ポイント増加]
    • 66歳以上まで働ける制度のある企業の状況
      • 66歳以上まで働ける制度のある企業の状況(13ページ表6)
        • 66歳以上まで働ける制度のある企業は43.3%[2.6ポイント増加]
      • 70歳以上まで働ける制度のある企業の状況(13ページ表7)
        • 70歳以上まで働ける制度のある企業は41.6%[2.5ポイント増加]
▼ 発表資料

厚生労働省 令和5年上半期雇用動向調査結果の概要
▼ 概況全体版
  • 令和5年上半期の入職と離職の状況
    • 令和5年上半期(令和5年1月~6月。以下同じ。)の入職者数は5,009.1千人、離職者数は4,510.0千人で、入職者数が離職者数を499.1千人上回っている。
    • 就業形態別にみると、一般労働者は、入職者数2,814.4千人、離職者数2,543.7千人で、入職者数が離職者数を270.7千人上回っている。パートタイム労働者は、入職者数2,194.7千人、離職者数1,966.2千人で、入職者数が離職者数を228.5千人上回っている。
    • 年初の常用労働者数に対する割合である入職率、離職率をみると、入職率は9.7%、離職率は8.7%で、1.0ポイントの入職超過となった。
    • 前年同期と比べると、入職率が0.4ポイント上昇し、離職率が同率となり、入職超過率は拡大した。
    • 性別にみると、男性の入職率が8.5%、離職率が7.8%、女性の入職率が11.0%、離職率が9.7%でそれぞれ入職超過となっている。
    • 就業形態別にみると、一般労働者の入職率が7.5%、離職率が6.8%、パートタイム労働者の入職率が15.1%、離職率が13.5%でそれぞれ入職超過となっている
  • 就業形態、雇用形態別入職と離職の状況
    • 令和5年上半期の入職者数と離職者数を就業形態、雇用形態別にみると、入職者数のうち、一般労働者では「雇用期間の定めなし」が2,101.8千人、「雇用期間の定めあり」が712.7千人、パートタイム労働者では「雇用期間の定めなし」が898.1千人、「雇用期間の定めあり」が1,296.6千人となっている。離職者数のうち、一般労働者では「雇用期間の定めなし」が1,965.0千人、「雇用期間の定めあり」が578.7千人、パートタイム労働者では「雇用期間の定めなし」が572.8千人、「雇用期間の定めあり」が1,393.4千人となっている。
    • 前年同期と比べると、入職者数は一般労働者で減少、パートタイム労働者では増加し、離職者数は一般労働者の「雇用期間の定めあり」以外の区分で増加した。
    • 性別にみると、男性は入職者数、離職者数ともに一般労働者が減少し、パートタイム労働者が増加、女性の入職者数は一般労働者が減少、パートタイム労働者が増加、離職者数は一般労働者、パートタイム労働者とも「雇用期間の定めなし」が増加した
  • 職歴別入職者数と入職率の状況
    • 令和5年上半期の入職者数を職歴別にみると、転職入職者数は2,852.5千人で、転職入職率が5.5%、未就業入職者数は2,156.6千人で、未就業入職率が4.2%となっている。
    • 前年同期と比べると、転職入職率が同率、未就業入職率は0.4ポイント上昇した。
    • 男女別にみると、男性は転職入職者数が1,377.3千人、未就業入職者数が963.3千人で、転職入職率は5.0%と0.1ポイント、未就業入職率は3.5%と0.3ポイント、それぞれ上昇した。女性は転職入職者数が1,475.2千人、未就業入職者数が1,193.3千人で、転職入職率は6.1%と0.1ポイント低下し、未就業入職率は4.9%と0.4ポイント上昇した。
    • 就業形態別にみると、一般労働者は転職入職者数が1,762.9千人、未就業入職者数が1,051.6千人で、転職入職率は4.7%と0.1ポイント、未就業入職率は2.8%と0.2ポイント、それぞれ低下した。
    • パートタイム労働者は転職入職者数が1,089.6千人、未就業入職者数が1,105.1千人で、転職入職率は7.5%と0.1ポイント、未就業入職率は7.6%と1.9ポイント、それぞれ上昇した。
  • 未就業入職者のうち新規学卒者の状況
    • 令和5年上半期の未就業入職者のうち新規学卒者は1,236.6千人で前年同期と比べると、40.4千人増加した。内訳は、「大学・大学院卒」は550.3千人、「高校卒」は446.7千人、「専修学校(専門課程)卒」は135.1千人、「高専・短大卒」は48.5千人となっている。
    • 男女別にみると、男性は588.4千人、女性は648.2千人となっており、前年同期と比べると男性は18.0千人減少し、女性は58.5千人増加した。
    • 就業形態別にみると、一般労働者は864.0千人、パートタイム労働者は372.5千人となっており、前年同期と比べると、一般労働者は12.0千人、パートタイム労働者は28.3千人それぞれ増加した。
  • 産業別の入職と離職の状況
    • 令和5年上半期の労働移動者を主要な産業別にみると、入職者数は「宿泊業,飲食サービス業」が980.8千人と最も多く、次いで「医療,福祉」が794.4千人、「卸売業,小売業」が785.7千人の順となっている。
    • 離職者数は「宿泊業,飲食サービス業」が792.0千人と最も多く、次いで「卸売業,小売業」が770.4千人、「医療,福祉」が690.1千人の順となっている。
    • 前年同期と比べると、入職者数は、「生活関連サービス業,娯楽業」が107.2千人増と最も増加幅が大きく、次いで「卸売業,小売業」が50.8千人増となっている。離職者数は、「生活関連サービス業,娯楽業」が83.8千人増と最も増加幅が大きく、次いで「宿泊業,飲食サービス業」が63.4千人増となっている。一方、「医療,福祉」が91.4千人減と最も減少幅が大きく、次いで「運輸業,郵便業」が40.1千人減となっている。
    • 産業別に入職率、離職率をみると、入職率では「生活関連サービス業,娯楽業」が20.6%と最も高く、次いで「宿泊業,飲食サービス業」18.4%となっている。離職率では「生活関連サービス業,娯楽業」が15.0%と最も高く、次いで「宿泊業,飲食サービス業」が14.8%となっている。
    • 前年同期と比べると、入職率では、「生活関連サービス業,娯楽業」が6.4ポイントと最も上昇し、次いで、「金融業,保険業」が1.0ポイントとなっている。一方、「不動産業,物品賃貸業」と「宿泊業,飲食サービス業」が-1.9ポイントと最も低下し、次いで「情報通信業」が-0.6ポイントとなっている。離職率では、「生活関連サービス業,娯楽業」が5.0ポイントと最も上昇し、次いで、「鉱業,採石業,砂利採取業」と「不動産業,物品賃貸業」がそれぞれ1.4ポイントとなっている。一方、「複合サービス事業」が-2.2ポイントと最も低下し、次いで、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「運輸業,郵便業」、「教育,学習支援業」及び「医療,福祉」がそれぞれ-1.2ポイントとなっている。
    • 入職超過率をみると、「生活関連サービス業,娯楽業」が5.6ポイントと最も高く、次いで、「宿泊業,飲食サービス業」が3.6ポイントとなっており、一方、「複合サービス事業」が-1.1ポイントと最も低くなっている。
  • 転職入職者の賃金変動状況
    • 令和5年上半期の転職入職者の賃金変動状況をみると、前職の賃金に比べて「増加」した割合は38.6%、「減少」した割合は33.2%、「変わらない」の割合は26.4%となっている。「増加」のうち「1割以上の増加」27.2%、「減少」のうち「1割以上の減少」は25.8%となっている。
    • 前職の賃金に比べ「増加」した割合と「減少」した割合の差をみると、「増加」が「減少」を5.4ポイント上回っている。また、雇用期間の定めのない一般労働者間の移動では13.6ポイント、パートタイム労働者間の移動では9.1ポイント、それぞれ「増加」が「減少」を上回った
  • 未充足求人の状況
    • 令和5年6月末日現在の未充足求人数は1,489.4千人と前年同期より159.2千人増加し、欠員率は2.8%となっている。
    • また、未充足求人数のうちパートタイム労働者は660.6千人で、欠員率は4.5%となっている。
  • 産業別未充足求人の状況
    • 令和5年6月末日現在の未充足求人数を産業別にみると、「宿泊業,飲食サービス業」が336.0千人で最も多く、次いで「卸売業,小売業」が255.2千人となっている。
    • 前年同期と比べ増加幅が大きいのは、「宿泊業,飲食サービス業」の141.7千人増、次いで「建設業」の26.5千人増となっている。減少幅が大きいのは「運輸業,郵便業」の42.9千人減、次いで「学術研究,専門・技術サービス業」の9.9千人減となっている。
    • 欠員率では、「宿泊業,飲食サービス業」が6.1%で最も高く、次いで「建設業」が4.5%となっている。
  • 職業別未充足求人の状況
    • 令和5年6月末日現在の未充足求人数を職業別にみると、「サービス職業従事者」が409.7千人で最も多く、次いで「専門的・技術的職業従事者」が335.2千人となっている。
    • 欠員率をみると、「保安職業従事者」6.1%が最も高く、次いで「サービス職業従事者」4.9%となっている。

厚生労働省 危険ドラッグの販売・広告等の広域禁止を告示しました
  • 厚生労働省は、危険ドラッグの販売が疑われる店舗への立入検査を実施し、店舗で発見された指定薬物等である疑いがある物品に対して検査命令及び販売・広告等停止命令を行い(※1)、そのうち、既に指定薬物に指定した物品以外に、その生産及び流通を広域的に規制する必要があると認める(※2)38物品(広域禁止物品)について、12月21日に医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「医薬品医療機器等法」という。)に基づく官報告示を実施し、厚生労働省HP(※3)でも公表いたしました。
  • これにより、医薬品医療機器等法第76条の6の2に基づき、官報に告示した広域禁止物品と名称、形状、包装からみて同一のものと認められる物品を製造し、輸入し、販売し、授与し、販売若しくは授与の目的で陳列し、又は広告することが禁止され、実店舗に対して下された販売・広告等停止命令の効果が全国的に発効することとなります。
  • (参考情報)
    • 令和5年11月以降、ヘキサヒドロカンナビフォロール(HHCP)やテトラヒドロカンナビフォロールアセテート(THCPO)(両成分は、大麻含有のテトラヒドロカンナビノール(THC)類似の危険ドラッグ成分)を含むことが疑われる製品を摂取したとされた後に救急搬送された事例が少なくとも全国で6件(HHCPの摂取疑いによる健康被害5件、THCPOの摂取疑いによる健康被害1件)報告されています。
      • ※1 厚生労働大臣は、指定薬物又は指定薬物と同等以上に精神毒性を有する蓋然性が高い物である疑いがある物品の検査を受けた者に対して、当該物品及びこれらと同一の物品の製造、輸入、販売、授与、広告等の停止を命ずることができる。(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第76条の6第2項)
      • ※2 厚生労働大臣は、販売等停止命令を行った物品のうち、その生産及び流通を広域的に規制する必要があると認められる物品について、これと名称、形状、包装から見て同一のものと認められる物品を製造し、輸入し、販売し、授与し、販売若しくは授与の目的で陳列し、又は広告することを禁止することができる。
        (医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第76条の6の2)
      • ※3 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index.html

厚生労働省 建設業の人材確保・育成に向けた取組を進めていきます~厚生労働省・国土交通省の令和6年度予算案の概要~
  • 厚生労働省及び国土交通省は、建設業の人材確保・育成に多角的に取り組むため、令和6年度予算案の概要を取りまとめましたので、公表します。
  • 建設業の技能者のうち、60歳以上の割合が約4分の1を占める一方、29歳以下は全体の約12%となっています。このような中、建設業が引き続き「地域の守り手」として役割を果たしていくためには、将来の建設業を支える担い手の確保が急務となっています。特に若者や女性の建設業への入職や定着の促進などに重点を置きつつ、担い手の処遇改善、働き方改革、生産性向上を一体として進めていくことが重要です。
  • 厚生労働省と国土交通省は、引き続き、連携して関係施策を実施し、建設業の人材の確保・育成に一層取り組んでまいります。
  • 「建設業の人材確保・育成に向けて(令和6年度予算案の概要)」のポイント
    • 3つの重点事項で厚生労働省と国土交通省の予算を取りまとめ
      1. 「人材確保」:建設業への入職や定着を促すため、建設業の魅力の向上やきめ細かな取組を実施
        • 建設事業主等に対する助成金による支援 72億円
        • ハローワークにおける人材不足分野のマッチング支援 48億円
        • 働き方改革等による建設業の魅力向上 2.1億円 等
      2. 「人材育成」:若年技能者等を育成するための環境整備
        • 中小建設事業主等への支援 4.8億円
        • 建設分野におけるハロートレーニング(職業訓練)の実施 1.3億円
        • 働き方改革等による建設業の魅力向上(再掲) 2.1億円 等
      3. 「魅力ある職場づくり」:技能者の処遇を改善し、安心して働けるための環境整備
        • 働き方改革推進支援助成金による支援 71億円
        • 働き方改革推進支援センターによる支援 31億円
        • 働き方改革等による建設業の魅力向上(再掲) 2.1億円 等

厚生労働省 危険ドラッグの成分1物質群を新たに指定薬物に指定~指定薬物等を定める省令を公布しました~
  • 厚生労働省は、本日付けで危険ドラッグに含まれる別紙の1物質群を新たに「指定薬物」(※1)として指定する省令(※2)を公布し、令和6年1月6日に施行することとしましたので、お知らせします。
  • 新たに指定された1物質群は、昨日(12月26日)の薬事・食品衛生審議会薬事分科会指定薬物部会において、指定薬物とすることが適当とされた物質であるため、早急に指定(※3)を行うこととなります。
  • 施行後は、これらの物質とこれらの物質を含む製品について、医療等の用途以外の目的での製造、輸入、販売、所持、使用等が禁止されます。
  • なお、これらの物質は海外でも流通している物質であり、厚生労働省は危険ドラッグが海外から輸入され、乱用されることのないよう水際(輸入)対策を強化していく方針です。
  • また、今後、インターネットによる販売も含め、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に基づく無承認無許可医薬品としての指導取締りも強化していく方針です。
  • 危険ドラッグについては、事業者の皆様には、販売、購入、輸入等をしないよう強く警告いたします。
    • ※1 厚生労働大臣は、中枢神経系への作用を有する蓋然性が高く、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれのある物を「指定薬物」として指定する(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項)。指定薬物は、製造、輸入、販売、所持、使用等が禁止されている(罰則:3年以下の懲役または300万円以下の罰金。業としての場合は5年以下の懲役または500万円以下の罰金)。
    • ※2 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第十五項に規定する指定薬物及び同法第七十六条の四に規定する医療等の用途を定める省令の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第166号)
    • ※3 部会において指定薬物とすることが適当とされた物質については、使用による健康被害等を防止するため、パブリックコメントの手続きを省略し、指定薬物として早急に指定することとしている。

厚生労働省 生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関する最終報告書を公表します
▼ 別添2 最終報告書概要
  • 新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響で見られた相談者層の多様化・相談内容の複雑化等や、単身高齢者世帯の更なる増加等の今後の見通しを踏まえ、これらの課題にも適切に対応できるよう、住宅確保要配慮者への切れ目のない支援体制の構築や子どもの貧困対策等をはじめとする、生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しを実現すべきである。
  • 居住支援について
    • 現状・課題
      • 単身高齢者世帯の更なる増加、持ち家比率の低下等、住まい支援のニーズは今後ますます高まることが想定される。
      • 住宅確保要配慮者は、住宅に困っているだけでなく、複合的な課題を抱えている場合も多い。
      • 住まいの確保等の関する相談支援から緊急一時的な居所の確保、転居時、住まいが定まった後、退居時の支援まで、切れ目のない支援体制の構築を図ることが必要。
      • 無料低額宿泊所について、事前届出制を導入し、規制を実施しているが、無届の施設もある。
      • 救護施設等については、入所者が抱える様々な生活課題に柔軟に対応し、可能な方については地域移行を更に推進することが重要。
    • 見直しの方向性
      • 生活困窮者自立相談支援事業(困窮法)における住まい支援の明確化、重層的支援体制整備事業(社福法)における多機関協働や居住支援の活用が必要。
      • 居住支援法人等が見守り等のサポートを行う住宅の仕組みの構築に向け、関係省庁が連携して検討を進めることが必要。
      • サポートを行う住宅に被保護者が入居する場合の住宅扶助(家賃)については、代理納付の原則化の検討を進めることが必要。
      • 生活困窮者一時生活支援事業を実施するよう努めるものとするとともに、同事業におけるシェルターにおいて緊急一時的な居所確保の支援を行うこと、見守り等の支援(地域居住支援事業)の支援期間が1年を超える場合の状況に応じた柔軟な活用等が必要。
      • 生活困窮者住居確保給付金について、新たに転居費用を補助することにより、安定的な居住に繋げることが必要。
      • 無料低額宿泊所について、届出義務違反への罰則や、無届疑い施設に関する保護の実施機関から都道府県への通知の仕組みが必要。
      • 福祉事務所と情報共有を図りつつ、救護施設等の入所者ごとの個別支援計画の作成を制度化する等の対応が必要。
  • 子どもの貧困への対応
    • 現状・課題
      • 生活困窮者自立支援制度、生活保護制度において、引き続き子どもの貧困対策を進めていくことが必要。
      • 生活保護受給中の子育て世帯には必要な情報や支援が届きにくく、支援の場に来ない世帯等、より個別支援を行う必要性が高い。
      • 生活保護受給世帯の子どもが、本人の希望を踏まえて高等学校卒業後就職することも重要であるが、就職する際の新生活の立ち上げ費用の支援の仕組みがない。
    • 見直しの方向性
      • 子どもの学習・生活支援事業について、生活支援を学習支援と一体的に行うよう求める方向で検討することが必要。
      • 生活保護受給中の子育て世帯に対し、訪問等のアウトリーチ型手法により学習・生活環境の改善、進路選択等に関する相談・助言を行うことができる事業を創設することが必要。
      • 高等学校卒業後に就職する際の新生活の立ち上げ費用に対する支援として、一時金を支給することが必要。
  • 医療扶助、被保護者健康管理支援事業の適正実施等
    • 現状・課題
      • 医療扶助及び被保護者健康管理支援事業の適切な実施に向け、データによる課題分析・事業評価などPDCAサイクルを用いた効果的な運営を進めていくことが重要。
    • 見直しの方向性
      • 都道府県が地域別にデータ・課題分析及び評価を実施し、優先的に取り組む課題と取組目標の設定を行うとともに、市町村の取組に対する支援を行うよう努めることが必要。
      • 国による、データ提供・分析等に係る体制整備の支援が必要。
  • 自立相談支援等の強化について
    • 現状・課題
      • 生活困窮者や被保護者が抱えている課題は多様化・複雑化、自立相談支援機関やケースワーカーが単独で対応方針を検討するのが困難なケースも多数存在。
      • 対応困難ケースに関係機関等が連携して対応する体制を整備するとともに、地域の支援体制を検討する枠組みが重要。
    • 見直しの方向性
      • 生活困窮者自立支援法の支援会議の設置を推進するため、その設置を努力義務化することが必要。
      • 生活保護制度において、ケースワーカーと関係機関との支援の調整や情報共有を行うための枠組みとして会議体を設置できるよう法定化することが必要。
  • 就労支援及び家計改善支援の強化・生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との連携
    • 現状・課題
      • 困窮状態からの脱却には、収入・支出両面からの生活の安定が必要不可欠である一方、直ちに一般就労することが困難な者や、家計の改善を必要とする者も多く存在。
      • 全国どこに住んでいても、就労準備支援や家計改善支援について必要な支援を受けることができる体制の整備が重要。
      • 生活困窮制度と保護制度の間を移行する者も一定数いる中で、本人への切れ目のない連続的な支援が課題。
      • 生活困窮者が就労準備支援事業の利用につながらない背景に、交通費負担が困難であることが挙げられる。
      • 被保護者の就労による自立を支援する就労自立給付金の算定方法について、就労開始時点等から早期に保護を必要としなくなる者に対する給付額が少なめになる課題。
    • 見直しの方向性
      • 生活困窮者就労準備支援事業・家計改善支援事業を必須事業化しないとしても、効果的かつ効率的に実施されるよう、国による自治体の支援や広域連携等の環境整備により、全国的な実施を目指すことが必要。
      • 被保護世帯向けの就労準備支援、家計改善支援、居住支援について法定化して、より幅広い自治体での実施を促すことが必要。
      • 生活困窮者向け事業を被保護者に対しても実施することを可能とすることについて検討が必要。
      • 両制度で連携して研修を実施するなどにより、両制度の関係者同士で相互理解を深めることが必要。
      • 生活困窮者就労準備支援事業の利用時の交通費負担軽減の仕組みについて検討することが必要。
      • 就労自立給付金の算定方法について、就労期間に応じてメリハリを付ける見直しを行う方向で検討することが必要。

【国土交通省】

【2024年3月】

国土交通省 インフラDXに関する優れた取組を行った24団体を表彰します!~令和5年度「インフラDX大賞」授与式を開催~
  • インフラDXに係る優れた取組を行った「インフラDX大賞」の受賞者に対し、国土交通大臣が表彰状を授与する授与式を3月6日(水)に開催します。
  • 「インフラDX大賞」とは
    • 国土交通省は、建設現場の生産性向上に関するベストプラクティスの横展開に向けて、平成29年度より「i-Construction大賞」を実施してきました。
    • また、令和4年度からは、「インフラDX大賞」と改称し、インフラの利用・サービスの向上といった建設業界以外の取組へも募集対象を拡大しています。
    • 加えて、インフラ分野におけるスタートアップの取組を支援し、活動の促進、建設業界の活性化へつなげることを目的に、「スタートアップ奨励賞」を設置しております。
  • 表彰状授与式
    • 日時:令和6年3月6日(水)15:00~
    • 場所:東京都千代田区霞が関2-1-3 中央合同庁舎3号館10階共用会議室
    • 出席者:国土交通大臣※、受賞者(※大臣の予定は公務の都合上変更となる場合があります。)
  • 受賞者
    • 24団体(国土交通大臣賞3団体、優秀賞20団体、スタートアップ奨励賞1団体)

国土交通省 安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン
▼ 資料2-1 改定版ガイドラインの素案について(概要版)
  • 質の高い自転車通行空間の整備促進
    • 限られた道路空間の中で、現地状況に応じた柔軟な再配分や分離を行うことにより、自転車道や自転車専用通行帯の整備を検討する手法を例示。
    • 実務担当者の理解が進むよう、都市部に比較的多い幅員(16m、22m、25m、30m、40m)の道路を例示。
    • 将来的には完成形態での面的な自転車ネットワーク計画の整備を目指すことを基本としつつ、 一部暫定形態を選定する場合の段階的段階的な整備手順のイメージを例示。
    • 特に自転車利用の多い施設間を結ぶ区間や自転車関連事故が多い区間において、完成形態で整備が可能なところは完成形態で、それが困難なところも暫定形態で整備を進め、面的な自転車ネットワークを構築。
    • 次いで、自転車利用の多い区間、郊外の住宅地と中心市街地を結ぶ区間、市町村の自転車活用推進計画において優先する施策に関連する区間等を暫定形態も含めてネットワーク化するとともに、初期段階において暫定形態で整備した区間を、順次完成形態に再整備。
    • 完成形態での整備を完了し、自転車ネットワークを概成。なお、整備後の交通状況や自転車関連事故発生状況等を踏まえて評価を行い、計画の見直し・再整備等を行う。
    • 車道混在は自動車の速度の低い道路において、自転車と自動車が同一の空間を共用する概念であることを明確化。
    • 自転車がどのように通行してよいのかわかりにくいような複雑な交差点について、通行ルールの表示方法を例示。
      • 折れ脚交差点(交差点内で直進方向が屈曲している交差点)
      • くい違い交差点(交差する道路の一方が他方とくい違っている交差点)
    • 整備の機会を逃さないよう、他の道路事業との円滑な連携を進めることについて手順を記載。
    • 無電柱化の設計時には、地上機器を自転車通行空間整備の支障とならないよう配置するための調整が必要
  • 自転車専用通行帯における路上駐停車対策の強化
    • 路上駐停車により自転車専用通行帯の機能を損われないよう、交通管理者と道路管理者が連携して対策を強化する。
      • 原則
        • 自転車の安全かつ円滑な通行空間の確保のため、自転車専用通行帯の整備箇所には、原則として駐車は認めない。
      • 取締り
        • 地域住民の意見・要望等を踏まえて違法駐車の取締りに係るガイドラインを策定、公表、見直しし、悪質性・危険性・迷惑性の高いものに重点を置いて取締りを行い、特に自転車専用通行帯をふさぐ違法駐車についての取締りを積極的に推進する。
      • 停車帯等
        • 自転車の安全かつ円滑な通行の確保に支障がないよう、貨物の積卸や人の乗降等といった駐停車需要に応えるため、必要に応じて停車帯等を設置。(路外駐車場などの沿道状況や地域における駐車施策等との整合性に配意)
      • 利用ルールの徹底
        • 自転車通行空間の整備形態別に道路管理者、都道府県警察が特に注意しなければならない通行ルールについて解説。
      • 新技術やデータの活用の促進
        • シェアサイクルやスマートフォンの移動履歴から自転車プローブデータを分析し、地域の状況を把握することの有効性について例示。

国土交通省 「防災拠点自動車駐車場」を指定します
  • 災害時において、広域的な災害応急対策を迅速に実施するための拠点を確保することが重要であることを踏まえ、地域防災計画等に位置づけられた「道の駅」の自動車駐車場について、「防災拠点自動車駐車場」として指定します。
  • 令和3年3月に道路法等が改正され、広域災害応急対策の拠点となる防災機能を有する「道の駅」や高速道路のサービスエリア・パーキングエリアの自動車駐車場について、国土交通大臣が防災拠点自動車駐車場として指定する制度が創設され、令和4年3月に、道の駅332箇所、サービスエリア・パーキングエリア146箇所を初めて指定し、令和5年3月に道の駅22箇所を追加指定しています。
  • 今般、道の駅の新規登録や地域防災計画の改定などを踏まえ、新たに道の駅12箇所の自動車駐車場を防災拠点自動車駐車場として指定し、全国の防災拠点自動車駐車場は、512箇所(道の駅366箇所、サービスエリア・パーキングエリア146箇所)になります。
▼ 報道用資料
  • 広域災害応急対策の拠点となる防災機能を有する「道の駅」等について、国土交通大臣が防災拠点自動車駐車場として指定する制度
  • 地域防災計画等に位置付けがある「道の駅」やSA・PAを対象として、令和4年3月、全国478箇所を指定(「道の駅」332箇所、SA・PA146箇所)
  • 令和5年3月、「道の駅」22箇所を追加指定(「道の駅」354箇所、SA・PA146箇所)
  • 今回、道の駅の新規登録や地域防災計画の改定などを踏まえ、12箇所で追加指定
  • 全国の防災拠点自動車駐車場512箇所(「道の駅」366箇所、SA・PA146箇所)
  • 道路駐車場(防災拠点自動車駐車場に指定)
    • 災害時に防災拠点としての利用以外を禁止・制限が可能
    • 災害時に有用な施設等の占用基準を緩和
  • 地域振興施設等
    • 道路管理者が隣接する地域振興施設等の所有者と協定を締結し、災害時には一体的に活用可能

国土交通省 「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定~建設業の担い手を確保するため、契約取引に係るルールを整備~
  • 本日、「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定され、建設業の担い手を確保するため、労働者の処遇改善に向けた賃金原資の確保と下請事業者までの行き渡り、資材価格転嫁の円滑化による労務費へのしわ寄せ防止、さらには、働き方改革や現場の生産性向上を図るための措置が盛り込まれました。
  • 背景
    • 建設業は、他産業より賃金が低く、就労時間も長いため、担い手の確保が困難。
    • 建設業が「地域の守り手」としての役割を将来にわたって果たしていけるよう、時間外労働規制等にも対応しつつ、処遇改善、働き方改革、生産性向上に取り組む必要。
  • 概要
    • 労働者の処遇改善
      • 建設業者に対して労働者の処遇確保を努力義務化するとともに、国は当該処遇確保に係る取組状況を調査・公表。
      • 労務費等の確保と行き渡りのため、中央建設業審議会が「労務費の基準」を作成・勧告することとし、受注者及び注文者の双方に対して著しく低い労務費等による見積り書の作成や変更依頼を禁止(違反発注者には国土交通大臣等が勧告)。
      • 併せて、受注者における不当に低い請負代金による契約締結を禁止。
    • 資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止
      • 資材高騰など、請負代金や工期に影響を及ぼす事象(リスク)がある場合、請負契約の締結までに受注者から注文者に通知するよう義務化する。また、資材価格変動時における請負代金等の「変更方法」を契約書の記載事項として明確化。
      • 注文者に対し、当該リスク発生時は、誠実に協議に応ずることを努力義務化。
    • 働き方改革と生産性向上
      • 長時間労働を抑制するため、受注者における著しく短い工期による契約締結を禁止。
      • ICT活用等を要件に、現場技術者に係る専任規制や、公共工事における施工体制台帳提出義務を合理化。
      • ICT活用による現場管理の「指針」を国が作成し、特定建設業者や公共工事受注者に対し、効率的な現場管理を努力義務化。

国土交通省 「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定~安心して居住できる環境を整備するため、住宅セーフティネット法等を改正~
  • 高齢者や低額所得者など住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進及びその居住の安定の確保を一層図るための「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案」が、本日、閣議決定されました。
  • 背景
    • 単身世帯の増加、持ち家率の低下などにより、今後、高齢者や低額所得者などの住宅確保要配慮者(以下「要配慮者」という。)の賃貸住宅への円滑な入居に対するニーズが更に高まることが見込まれます。一方で、賃貸人の中には、孤独死や死亡時の残置物処理、家賃滞納等に対して懸念を持っている方が多くいます。
    • この法律案は、こうした状況を踏まえ、要配慮者に対して入居前や入居後の支援を行う居住支援法人※などの地域の担い手の協力を得ながら、要配慮者が安心して居住できる環境を整備するため、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)等を改正するものです。 ※要配慮者の入居支援(物件の紹介等)、入居後の見守りや相談等を行う法人(都道府県知事指定)
  • 法律案の概要
    • 大家が賃貸住宅を提供しやすく、要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備
      • 終身建物賃貸借※の利用促進 ※賃借人の死亡時まで更新がなく、死亡時に終了する(相続人に相続されない)賃貸借
      • 居住支援法人による残置物処理の推進
      • 家賃債務保証業者の認定制度の創設
    • 居住支援法人等が入居中サポートを行う賃貸住宅の供給促進
      • 居住サポート住宅※の認定制度の創設(福祉事務所を設置する自治体による認定) ※法律上は「居住安定援助賃貸住宅」
    • 住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化
      • 国土交通大臣及び厚生労働大臣が共同で基本方針を策定
      • 市区町村による居住支援協議会※設置を促進(努力義務化) ※地方公共団体の住宅部局・福祉部局、居住支援法人、不動産関係団体、福祉関係団体等を構成員とした会議体

国土交通省(株)豊田自動織機の不正事案に係る基準適合性等の検証結果について
  • 国土交通省では、豊田自動織機による型式指定申請における不正行為が確認されたエンジンについて、順次、道路運送車両法の基準適合性等に関する検証を行っています。
  • 本日、検証が終了した自動車用エンジン3機種について、結果を公表します。
  • 経緯
    • 令和6年1月29日に豊田自動織機から型式指定申請における不正行為の報告を受け、国土交通省において、立入検査等により事実関係の確認を行った結果、産業機械用の現行エンジンの全機種(5機種)及び自動車用の現行エンジン3機種において不正行為が行われていたことを確認した。また、産業機械用の現行エンジンのうち建設機械用1機種について、基準不適合であることを確認した。
    • 国土交通省は、産業機械用の現行エンジン2機種※及び自動車用の現行エンジン3機種について、道路運送車両法の基準適合性に関する確認試験などの技術的な検証を速やかに行い、結果の出たエンジンから順次公表することとしている。
      • ※産業機械用の現行エンジンのうち残り2機種は既に基準不適合を確認済み。
  • 検証結果
    • 別紙の自動車用の現行エンジン3機種について、道路運送車両法の基準に適合していること等を確認した。
    • このため、当該3機種については、出荷停止の指示を解除する。
  • 今後の対応
    • 産業機械用の現行エンジン2機種についても、基準適合性の検証を行い、結果の出たものから順次公表する。
    • なお、検証結果については、順次、国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk8_000021.html)に掲載する。

国土交通省 バリアフリー政策・課題等についてG7各国間で情報を共有~G7バリアフリー実務者会合を開催~
  • 昨年6月に開催されたG7三重・伊勢志摩交通大臣会合において採択されたG7交通大臣宣言に基づき、令和6年2月29日(木)、G7バリアフリー実務者会合を開催し、G7各国との意見交換を実施しました。同会合では、G7各国におけるバリアフリーに係る政策、課題、ベストプラクティスに関する情報共有・議論を行うとともに、G7各国間のネットワークを維持し、必要な情報共有等を行うことで一致しました。
  • 開催日時
    • 令和6年2月29日(木)21:00~23:15(日本時間、オンライン形式)
  • 出席国及び出席者(G7等)(議長国順)
    • フランス:ポーリン・デルマス 政策担当官
    • 米国:ジュリー・エイブラハム 国際運輸・貿易室長
    • 英国:リズ・ウィルソン 副次長
    • ドイツ:ダイアナ・ハスター 参事官
    • 日本:田中賢二 バリアフリー政策課長
    • イタリア:アントニオ・エラリオ 国際規制部門長
    • カナダ:ジェニス・フェスタ課長
    • EU:アンドラス・モギョロ法務担当官
  • 議論の概要
    • 会合では、G7各国における政策、課題、ベストプラクティスに関する情報共有を行うとともに、意見交換を実施しました。
    • 日本からは、車いす使用者用駐車施設等に関する適正利用を推進する制度(パーキングパーミット制度)・バリアフリートイレの機能分散・心のバリアフリーの推進(適正利用キャンペーン等)の3つのテーマについてプレゼンテーションを行いました。
    • 各国からは、これらのテーマに限定されず、重点的に取り組まれているテーマ(鉄道や航空におけるバリアフリーの取組や車いす使用者用駐車施設の確保に向けた取組等)について発表がなされました。
    • また、G7各国における交通のバリアフリーを推進するため、今後もG7各国間のネットワークを維持し、必要な情報共有等を行うことで一致しました。

【2024年2月】

国土交通省 (株)豊田自動織機の不正事案に関する国土交通省の対応について
  • 国土交通省では、1月30日より、豊田自動織機に対する立入検査を行い、事実関係の確認、精査を行ってまいりました。この結果を踏まえ、本日、国土交通省において、以下の対応を行います。
    • 立入検査の結果の公表
    • 産業機械用の現行エンジン3機種の型式指定の取消し手続きの開始
    • 豊田自動織機に対する是正命令の発出
  • さらに、型式指定申請における相次ぐ不正事案に対応するため、今後、有識者等からなる検討会を設置することとします。
    1. 豊田自動織機の不正事案
      1. 立入検査の結果について
        • 1月29日に豊田自動織機から受けた型式指定申請における不正行為の報告を踏まえ、国土交通省は、不正行為の事実関係等の確認のため、同月30日から2月13日の間、同社並びに同社から自動車用エンジンの供給を受けているトヨタ自動車及び日野自動車に対して立入検査を実施した。
        • その結果、豊田自動織機より報告があった、産業機械用の現行エンジンの全機種(5機種)及び自動車用の現行エンジン3機種で不正行為の事実を確認した。なお、新たな不正行為は発見されなかった。
        • また、トヨタ自動車及び日野自動車については、不正行為への関与は認められなかった。
      2. 産業機械用の現行エンジン3機種の型式指定の取消し手続きの開始について
        • 特に悪質な不正行為※1が行われたと認められた以下の3機種※2(うち建設機械用エンジン1機種は基準不適合を確認)について、型式指定を取り消すこととし、関係法令の規定に基づく手続きを開始した。
        • フォークリフト等用エンジン 2機種(型式:4Y、1FS)
        • 建設機械用エンジン 1機種(型式:1KD)
          • ※1 試験用エンジン制御ソフトに不正な書換えを行い、申請に係る装置と異なる制御方式の装置を用いて試験を実施
          • ※2 産業機械用の現行エンジンのうち残り2機種については、令和5年4月26日に型式指定を取消し済み
      3. 豊田自動織機に対する是正命令の発出について
        • 豊田自動織機に対し、二度とこうした不正行為を起こさない体制への抜本的な改革を促すべく、道路運送車両法の規定に基づき、別添の是正命令を発出した。
        • また、豊田自動織機に対し、1か月以内に再発防止策を報告し、その後四半期毎に再発防止策の実施状況を報告するよう求めた。
    2. 今後の対応
      • 基準適合との報告があった産業機械用の現行エンジン2機種及び自動車用の現行エンジン3機種について、国が基準適合性等の確認を速やかに行い、その結果を順次公表する。
      • 他の自動車メーカー等に対し、型式指定申請における不正行為の有無等について調査し、4月末までに報告するよう指示を行ったところであり、その結果を踏まえて必要な対応を行う。
      • ダイハツ工業及び豊田自動織機における再発防止策等を踏まえ、有識者等からなる検討会を設置し、近年の不正事案に対応するための型式指定に係る要件の強化等について検討を行う。

国土交通省 紅海危機に関するG7臨時交通大臣会合の結果について
▼紅海危機に関するG7交通大臣宣言(原文・仮訳)
  • 我々、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国のG7交通大臣および欧州連合(EU)交通担当委員は、ホーシー派による紅海及びアデン湾を航行する商業船舶及びそれらを守る海軍艦艇への攻撃に対して強く非難する。我々は、こうした攻撃は国際法に違反し、無辜の命を危険に晒し、航行の権利及び自由を脅かすと強調する。国連安保理決議第2722号に沿って、我々は、自国の船舶を国際法に沿って攻撃から守る権利を行使する国への支持を改めて表明した。
  • 海洋安全保障並びに航行の権利及び自由は、目的地及び世界中の人々にとって必要不可欠な物資の自由な移動を確実にするために極めて重要であり、我々は、こうした重要航路を守る、EUの「アスピデス」海洋作戦の立ち上げ、及び英国と共に米国が主導する「繁栄の守護者」作戦の継続的な取組を歓迎する。
  • 我々は、ホーシー派に対し、船舶に対するいわれのない攻撃を直ちに中止し、ホーシー派が2023年11月19日に「拿捕」したギャラクシー・リーダー号及びその乗組員を解放するよう求める。我々は、船員及び船舶の安全及び危機管理の重要性を強調し、紅海の状況に対する政府横断的な対応の一環として、これらを促進することを約束する。
  • 我々は、ホーシー派による商船への攻撃が、世界の海上貿易にとって重要な航路である紅海の航行の自由を著しく妨げており、この地域の安全保障と船舶の安全及び危機管理に重大な脅威をもたらすことに留意する。2023年11月にホーシー派が攻撃を開始して以来、バブ・エル・マンデブ海峡を通過する船舶の数は激減しており、現在では多くの船舶が紅海の通過を避け、海運会社は喜望峰周辺を航行するよう船舶を迂回させている。このような迂回航路は、船員や乗組員に負担をかけ、海上輸送の所要時間や費用を増加させ、結果として、世界的なサプライチェーンや製造工程に対する多大な混乱、船舶の遅延、船舶の運航スケジュールへの信頼性の低下、船舶運賃の上昇をもたらすだけでなく、船舶による温室効果ガスの排出を増加させ、気候変動に関する政策に悪影響を及ぼす。
  • 紅海における目下の危機は、ロシアによるウクライナへの違法な侵略戦争、異常気象、コロナ禍からの回復途上などグローバルヘルスに関する懸念事項が、世界にもたらした緊迫状態を悪化させていることを想起する。世界が相互の繋がりを高めている中で、これらの要因は国際社会の全ての構成員に影響を及ぼす可能性がある。アフリカ南部経由への航路変更によって増加した輸送日数を補うため、海運会社は他の貿易ルートからアジア-欧州航路へ船腹をシフトさせている。貨物運賃は、アジア-欧州航路だけでなく、アジア-北米航路など他の航路でも大幅に上昇している。
  • 我々は、紅海航路の寸断のような危機により、輸送において大幅な運賃上昇が生じていることに留意する。
  • 我々は、協調を強化し、費用と運賃の上昇要因を理解し、グローバル・サプライチェーンの基幹である海上回廊を守るために、透明性が交通利用者にもたらす恩恵を強調する。
  • 我々は、円滑な貨物輸送の流れを確保する政策・取組の世界的な調整において、G7が果たしうる役割を認識する。この観点から、我々は、2024年4月11日-13日にミラノで開催されるG7交通大臣会合において承認されることを目指す、交通サプライチェーンに関するG7ワーキンググループの枠組みについて高官レベルでの議論を継続することの重要性を強調する。

国土交通省 ウクライナ地方・国土・インフラ発展省とインフラ復旧・復興に関する協力覚書を締結
  • 国土交通省は2月19日(月)にウクライナ地方・国土・インフラ発展省との間で、「ウクライナにおけるインフラ復旧・復興促進および継続的な協力関係のための協力覚書」を締結しました。
  • なお同日、同省インフラ復興庁と都市再生機構及び水資源機構の間でも覚書が締結されています。
  • 今後国土交通省は同覚書に基づき、ウクライナのインフラ復旧・復興を支援してまいります。
  • 【覚書の内容】
    • 名称:日本国国土交通省とウクライナ地方・国土・インフラ発展省とのウクライナにおけるインフラ復旧・復興促進および継続的な協力関係のための協力覚書
    • 締結日:令和6年2月19日(月)
    • 署名者
      • (日本側)国土交通省 斉藤鉄夫大臣
      • (ウクライナ側)地方・国土・インフラ発展省 オレクサンドル・クブラコフ大臣
    • 概要
      • 目的:ウクライナにおけるインフラの復旧・復興支援、両国の官民関連団体間のコミュニケーション促進
      • 分野:鉄道輸送、道路輸送、道路管理、空港輸送、海上輸送、観光、住宅、ダム、上下水道、都市計画および国土計画、建設業の法規制
    • 方法:ワークショップや会合を通じた情報交換等

国土交通省 「新しい国際コンテナ戦略港湾政策の進め方検討委員会 最終とりまとめ」の公表
  • 新型コロナウイルス感染症の影響による世界的な国際海上コンテナ物流の混乱など、激変する国際物流情勢を踏まえ、これまで進めてきた国際コンテナ戦略港湾政策をフォローアップし、今後の進め方について検討を行うため、国土交通省港湾局では昨年2月に「新しい国際コンテナ戦略港湾政策の進め方検討委員会」を設置し、検討を行ってきました。
  • この度、令和6年度から概ね5年程度で取り組むべき施策の方向性等について最終とりまとめを行いました。
  • 最終とりまとめのポイント
    • 国際コンテナ戦略港湾政策の政策目標
      • 国際コンテナ戦略港湾※において、北米・欧州航路をはじめ、中南米・アフリカ等多方面・多頻度の直航サービスを充実させることで、我が国のサプライチェーンの強靱化を図り、グローバルに展開する我が国立地企業のサプライチェーンマネジメントに貢献する。
        • ※国際コンテナ戦略港湾:京浜港(東京港、川崎港、横浜港)、阪神港(大阪港、神戸港)
    • 基本的な取組方針
      • 「集貨」「創貨」「競争力強化」の三本柱の取組を引き続き強力に推進。
      • 国際基幹航路の維持・拡大に関する国・港湾管理者・港湾運営会社等と荷主との連携・協力体制を構築。
      • 物流の2024年問題、労働力不足、脱炭素、サイバー攻撃への対応等を踏まえ、国際コンテナ物流のDX、GXを加速するとともに、情報セキュリティ対策を強化。
      • 各種データの充実や、データ収集・分析の取組を強化。
    • 主な施策
      • 【集貨】北米・中南米地域向けの貨物を中心とした、東南アジア等からの広域集貨に向けた輸送ルートの構築、コンテナターミナルの一体利用の推進
      • 【創貨】国際トランシップ貨物にも対応した、流通加工・再混載等の複合機能を有する物流施設の立地支援及び物流手続きの円滑化
      • 【競争力強化】大水深・大規模コンテナターミナルの形成、国の主導による生産性向上と労働環境改善に資する荷役機械等の技術開発及び実装等によるDXの推進

国土交通省 「都市緑地法等の一部を改正する法律案」を閣議決定~都市における緑地の質・量両面での確保に向けて~
  • 気候変動対策や生物多様性の確保、幸福度(Well-being)の向上等の課題解決に向けて、都市において緑地の質・量両面での確保等を推し進めるための「都市緑地法等の一部を改正する法律案」が、本日、閣議決定されました。
  • 背景
    • 近年、気候変動対策や生物多様性の確保、幸福度(Well-being)の向上等の課題解決に向けて、緑地の持つ機能への期待が高まっている一方で、我が国は世界と比較して都市における緑地の充実度が低く、また減少傾向にあるとの課題もあります。本法律案は、こうした背景を踏まえ、都市における緑地の質・量両面での確保、再生可能エネルギーの導入やエネルギーの効率的利用等を強力に進め、良好な都市環境を実現するため、地方公共団体や民間事業者の取組を後押しする仕組みを構築するものです。
  • 改正案の概要
    • 国主導による戦略的な都市緑地の確保
      • 国が都市緑地に関する基本方針を策定
        • 全国的な目標や官民の取組の方向性を提示
      • 都道府県が都市緑地に関する広域計画を策定
        • 広域的な観点からの緑地保全を推進
      • 都市計画を定めるに当たって自然的環境の整備や保全の重要性を考慮
    • 貴重な都市緑地の積極的な保全・更新のための支援
      • 緑地の機能の維持増進を図るために行う再生・整備を法的に位置付け
        • 市町村の実施に係る財源を充実
      • 指定法人が地方公共団体に代わって緑地の買入れや整備を行う制度を創設
        • 財政面・技術面から地方公共団体を支援
    • 緑と調和した都市環境の整備への民間投資の呼び込み
      • 民間事業者等による緑地確保の取組について国が評価・認定する制度を創設
        • 良質な緑地確保の取組の価値を「見える化」
      • 都市の脱炭素化に資する民間都市開発事業を国が認定する制度を創設
        • 認定を受けた事業について民間都市開発推進機構が金融支援

国土交通省 国土交通本省災害査定官を石川県へ派遣し、今後の本格的な復旧に向けた技術的な助言を行います。~令和6年能登半島地震関連の災害緊急調査を実施~
  • 令和6年1月1日に発生した能登半島地震により被災した公共土木施設について、石川県からの要請を踏まえ、応急措置や今後の本格的な復旧に向けた復旧方針等に対する技術的な助言を行うため、国土交通本省災害査定官を石川県に派遣して災害緊急調査を実施します。今回は、1月12日に次いで2回目の調査となります。※災害緊急調査とは、広域にわたる災害や人的被害が発生している等の特別な災害において、地方自治体からの要請を踏まえ、本省から派遣された災害査定官が、現地の被害状況を迅速かつ的確に把握するとともに、被災した公共土木施設に対する応急措置及び復旧方針樹立の助言を行うものです。
  • 災害緊急調査
    • 派遣日程:令和6年2月13日(火)~15日(木)
    • 派遣先:石川県内の河川・道路等(調整中)
    • 派遣者:国土交通省水管理・国土保全局 防災課 総括災害査定官/災害査定官
    • 取材:
      • 報道関係者に限り現地の取材は可能です。(取材は下記問い合わせ先の石川県担当者にお問い合わせください)
      • 現地日程は、当日の天候状況等により、変更する可能性があります。
      • 現地での取材に当たっては安全に留意し、調査の支障にならないよう現地担当者の指示に従ってください。

国土交通省 (株)豊田自動織機のフォークリフト等用エンジンの排出ガス試験等に係る不正行為の報告について
  • 本日、豊田自動織機より、フォークリフト等の産業機械用エンジンの型式指定申請における排出ガス試験等に係る不正行為に関する同社の調査結果の報告を受けました。
  • この中で、産業機械用の現行エンジンの全機種(5機種)で不正行為を確認したこと、令和5年3月の報告で基準不適合としていた2機種に加え、新たに1機種で基準不適合を確認したこと、自動車メーカーに供給している自動車用エンジン3機種でも不正行為を確認したこと等の報告がありました。
  • 型式指定申請において不正を行うことは、ユーザーの信頼を損ない、かつ、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり、今回更なる不正行為が明らかになったことは極めて遺憾です。
  • 国土交通省としては、道路運送車両法等に基づき、同社に対して更なる調査を実施し、その結果に基づき、厳正に対処して参ります。
  • 豊田自動織機からの報告概要
    1. 同社の特別調査委員会の調査等により、新たに以下の事項が判明。
      1. 令和5年3月17日に報告があった4機種を含め、産業機械用の現行エンジンの全機種(5機種※)で排出ガス試験等に係る不正行為を確認したこと
        • ※フォークリフト等用エンジン4機種、建設機械用エンジン1機種
      2. 同報告で基準不適合としていた2機種に加え、建設機械用の現行エンジン1機種でも基準不適合を確認したこと
      3. 自動車用の現行エンジン3機種で出力試験に係る不正行為を確認したこと
    2. 同社は、産業機械用の現行エンジン5機種のうち令和5年4月26日に型式指定が取り消された2機種を除く3機種、及び自動車用の現行エンジン3機種について、自主的に出荷を停止する。
    3. 同社は、新たに基準不適合が確認されたエンジンが搭載された建設機械のリコール措置に向け、建設機械メーカーと連携して対応を行う。
    4. 同社は、特別調査委員会の調査結果及び提言を踏まえ、再発防止に取り組む。
  • 国土交通省の対応
    • 同社の報告を踏まえ、以下のとおり指示を行った。
      1. 同社において、国土交通省が基準適合性を確認するまで、現行エンジンの出荷を停止すること
      2. 同社において、ユーザー等への丁寧な説明や対応に努めること
      3. 同社において、新たに基準不適合が確認されたエンジンが搭載された建設機械のリコール措置※に向け、建設機械メーカーと連携して対応を行うこと
      4. 届出は当該エンジンの供給先である建設機械メーカーが行う。
      5. 同社が自動車用エンジンを供給する自動車メーカーにおいて、ユーザーへの丁寧な説明や対応に努めること
      6. 建設機械メーカーにおいて、オフロード法の趣旨に則り、リコール措置に向けた対応を行うとともに、ユーザーへの丁寧な説明や対応に努めること
  • 今後、以下のとおり対応を行う。
    1. 同社へ立入検査を行い、不正行為の事実関係等の確認を行う。
    2. 国土交通省及び(独)自動車技術総合機構において、全ての現行エンジンの基準適合性について、技術的に検証を行う。
    3. 立入検査及び基準適合性の検証結果を踏まえ、道路運送車両法等に基づき厳正に対処する。

国土交通省 令和4年度の都道府県工事における週休2日の取組状況について
  • 建設業の将来の担い手の確保の観点からも、長時間労働の是正や週休2日の確保など、働き方改革の推進が喫緊の課題となっている中、都道府県工事における週休2日の取組状況についての調査結果をとりまとめましたので、公表します。
  • 調査概要
    • 都道府県工事における令和4年度の週休2日の取組状況等※について、国土交通省が独自に実施した調査結果をとりまとめ、以下の項目を公表します。
      • 令和4年度完了工事における週休2日達成率について
      • 発注方式別の週休2日工事の取組状況について
      • 週休2日工事の取組の進捗に関する理由について
        • ※取組状況等は、各都道府県から提出された「令和4年度に完了した工事実績」を基に集計
  • 調査結果のポイント
    • 各都道府県における令和3年度と令和4年度の週休2日達成率を比較すると、「達成率75%以上」の団体が4団体増加、「達成率30%以上75%未満」の団体が12団体増加、「達成率30%未満」の団体が15団体減少と、週休2日の取組については着実な進展が見られた。
    • なお、本調査結果は昨年度(令和4年度)に完了した工事実績を基に集計した調査結果であり、令和5年度の取組状況については、令和6年4月からの時間外労働規制の適用も見据えた取組などにより、一層の進展が期待される。
▼ 令和4年度の都道府県工事における週休2日の取組状況について
  • 週休2日工事の取組の進捗に関する理由について(抜粋)
    • 受注者希望型では取組が進まない場合では、発注者指定型を増やすことで取組の改善が図られている。
    • 要領などで週休2日対象工事を限定せず、原則全ての工事を対象とすることで、週休2日の意識の浸透が進んでいる。
    • 作業日が限定される工事や工期に制約がある工事での取り組みには依然課題はあるものの、週休2日交替制の導入や関係者との密な調整を実施することなどで改善が期待される
  • 取組が進んでいる理由【週休2日達成率75%以上】
    • 原則全ての工事を発注者指定型としており、週休2日の意識が業界に浸透してきたため。
    • 増工がない場合でも工期延長を認めることで、取組が進んだと考えられる。
    • 当初設計時から予定価格において週休2日工事達成相当の経費補正を行うことで、入札参加段階から企業の週休2日への取組に対する意識が強まったため。また、業界団体との意見交換の場での実施呼びかけ等の効果もある。
    • 週休2日要領を発出したことで業界全体への浸透が進んだ。
  • 取組の進捗が芳しくない理由【週休2日達成率30%以上75%未満】
    • 週休2日対象とする工事について、要領で「○○円以上、○○日以上」などの金額や工期で限定していたため。
    • 発注者指定型を拡大したことで取組件数は増えたが、受注者希望型では不確定要素や工程計画上の理由から週休2日を希望しないケースや4週8休の水準までは達していない工事が多いため。
    • 他の関連する工事での工程調整や、日雇労働者の場合の収入源の補填(経費計上)が不十分との理由から、まだまだ件数が増加していない。
    • 施設を利用しながら行う工事など、工期に制約がある工事の取組が進んでいない。なお、現在は施設管理者等との調整を進めながら改善を図っている。
  • 取組が進んでいない理由【週休2日達成率30%未満】
    • 週休2日対象とする工事について、要領で「○○円以上、○○日以上」などの金額や工期で限定していたため。
    • 受注者希望型での発注が多く、受注者の週休2日への認識や工程上の理由から希望しない企業が多いため。
    • 取組は進めているが、下請け企業の中には未だ日給の作業員が多く、作業日数をこなしたい先が多いため。
    • 自治体発注工事では年間を通しての維持工事などの件数が多く、その取り組み件数の伸びが限定的であるため。
    • 作業日が限定される工事については、工期内での計画的な週休2日の実施が難しい。

国土交通省 建設工事の下請取引(価格転嫁・工期設定の状況等)の調査結果~令和5年度下請取引等実態調査~
  • 国土交通省及び中小企業庁では、建設業法の規定に基づき、建設工事における下請取引の適正化を図るため、下請取引等実態調査を毎年実施しています。
  • 令和5年度調査の結果、指導対象調査項目について、不適正な取引に該当する回答を行った建設業者7,043業者に対しては指導票を発送しました。
  • 調査の概要
    • 調査対象業者:12,000業者(うち回収業者数:9,251業者、回収率77.1%)
    • 調査方法:郵送による書面調査(令和5年7月26日~令和5年10月23日)
    • 調査内容:元請負人と下請負人の間及び発注者(施主)と元請負人の間の取引の実態等、見積方法(法定福利費、労務費、工期)の状況、価格転嫁や工期設定の状況、約束手形の期間短縮や電子化の状況、技能労働者への賃金支払状況 等
  • 調査結果
    • 建設工事を下請負人に発注したことのある建設業者(7,613業者)において、指導対象となる25調査項目に対し、全て適正回答(適正な取引を行っていると回答)をした適正回答業者は570業者(適正回答率7.5%)でした。未だ多数の建設業者が適正な取引を行っていない状況は従来同様で、建設業の取引において重要な項目でも適正回答率は低い状況です。
    • その中で、下記の調査項目等においては良好な回答が得られました。
      • 資材等価格の高騰による工期又は請負代金の額の変更
        • 元請負人の立場として下請負人から変更交渉があった際に、工期の変更を認めていると回答した建設業者は90.5%(昨年90.3%)、請負代金の額の変更を認めていると回答した建設業者は95.2%(昨年94.9%)。
      • 技能労働者への賃金支払状況
        • 賃金水準を引き上げた、あるいは引き上げる予定があると回答した建設業者は89.6%(昨年84.2 %)で、5.4ポイント増加。
  • 調査結果に基づく今後の対応
    • 本調査の結果により、建設業法に基づく指導を行う必要があると認められた建設業者(7,043業者)に対しては指導票を送付し、是正措置を講じるよう指導を行いました。
    • さらに、本調査結果に基づき、必要に応じて許可行政庁において立入検査等を実施し、建設工事における下請取引の適正化を図ってまいります。

国土交通省 船舶の部品に係る安定供給確保を図るための取組方針を改定~船舶の部品に係るサプライチェーンの強靱化~
  • 経済安全保障推進法に基づく特定重要物資として指定されている船舶の部品の対象に「4ストロークの船舶用機関(エンジン)」を追加するため、「船舶の部品に係る安定供給確保を図るための取組方針」を改定しました。
  • 四面を海に囲まれた我が国では、食料やエネルギー等の物資を海上輸送による貿易に依存しており、船舶の部品の安定的な生産と、それによる船舶の安定供給の確保が、国民生活・経済活動に欠かせません。
  • 2022年に、船舶の部品が経済安全保障推進法に基づく特定重要物資として指定されたことを受け、その安定供給確保のための取組の基本的な方向や施策、取組を行うべき期間・期限等を定めた「船舶の部品(※)に係る安定供給確保を図るための取組方針」を策定し、安定供給確保に必要な支援を講じているところです。
    • ※ 2ストロークの船舶用機関とその部品のクランクシャフト、航海用具(ソナー)、推進器(プロペラ)
  • 今般、船舶の部品について、従来の船舶からの温室効果ガス排出に関する国際的な規制の動向等を踏まえ、安定供給確保を図る対象として、ガス燃料の普及に対応した4ストロークの船舶用機関を追加するため、取組方針を改定しました。
  • 国土交通省においては、経済安全保障推進法に基づき、製造事業者における製造体制の構築支援等を通じ、世界経済動向と新造船市場動向・変化に基づき予想される継続的な需要増に対応し、国内需要を満たすための十分な生産能力の2027年までの獲得を図るなど、船舶の部品に係るサプライチェーンを強靱化してまいります。

【2024年1月】

国土交通省 令和5年版 日本の水資源の現況について
  • 国土交通省では、水資源行政の基礎資料として活用するとともに、より多くの国民の皆様に我が国と世界の水を巡る現状をご理解いただき、安全・安心な水のための取組みの基礎資料として関係者に広く活用いただくため、水資源の賦存状況、都市用水・農業用水の利用状況等のデータ、我が国における水の適正利用や水資源に関する連携・理解促進等の取組状況や水資源に関する国際的な取組状況をとりまとめた「日本の水資源の現況」を、平成27年度より毎年度、関係府省庁の協力を得てとりまとめ・公表してまいりました。
  • 今般、令和5年版の「日本の水資源の現況」をとりまとめ、国土交通省ウェブサイトで公表しましたので、お知らせします。
▼ 令和5年版 日本の水資源の現況

国土交通省 トラックGメンによる「集中監視月間」(令和5年11月・12月)の取組結果ー貨物自動車運送事業法に基づく初の「勧告」を実施ー
  • 国土交通省では、令和5年11月・12月をトラックGメンによる「集中監視月間」と位置づけ、適正な取引を阻害する疑いのある悪質な荷主や元請事業者に対する監視を抜本強化し、164件の「要請」と47件の「働きかけ」を実施しました。
  • 加えて、過去に「要請」を受けたにもかかわらず、依然として違反原因行為をしている疑いのある荷主等に対し、初めて2件の「勧告」を実施しました。
  • 「集中監視月間」終了後も、悪質な荷主等への監視を徹底するとともに、今般「勧告」「要請」等の対象となった荷主等については、トラックGメンによるフォローアップを継続し、改善が図られない場合は更なる法的措置の実施も含め、厳正に対処します。
  • トラック事業者への全数調査や、トラックGメンによる関係省庁と連携したヒアリング等により入手した情報に基づき、悪質な荷主や元請事業者等に対し、164件の「要請」(荷主82件・元請事業者77件・その他5件)及び47件の「働きかけ」(荷主26件・元請事業者19件・その他2件)を実施し、違反原因行為の早急な是正を促しました。「要請」等の月当たりの平均実施件数は、106.5件(うち「要請」82件、「働きかけ」23.5件)となり、トラックGメン発足前の1.8件から大幅に増加しています。
  • さらに、既に「要請」を実施した荷主等のうち、依然として違反原因行為に係る情報が相当数寄せられた者(荷主1社、元請事業者1社)については、当該荷主等が、要請後もなお違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由があると認め、当該荷主等に対し、違反原因行為をしないよう「勧告」し、その旨を「公表」しました。
  • なお、今回「勧告」「要請」等の対象となった荷主等に対しては、違反原因行為の早急な是正を促すとともに、改善計画の提出を指示しました。今後の取組状況等については、トラックGメンによるヒアリングや現地訪問等を通じてフォローアップを行い、「要請」後もなお改善が図られず、違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、当該荷主等に対し、「勧告・公表」を含む厳正な対応を実施してまいります。

国土交通省 ダイハツ工業の不正事案に関する国土交通省の対応について
  • 国土交通省では、令和5年12月21日より、ダイハツ工業に対する立入検査を行い、事実関係の確認、精査を行ってまいりました。この結果を踏まえ、本日、国土交通省において、以下の対応を行います。
    1. 立入検査の結果の公表(立入検査において新たに14件の不正行為を確認)
    2. 特に不正行為が悪質な3車種の型式指定の取消し手続きの開始
    3. ダイハツ工業に対する是正命令の発出
    4. 基準不適合の可能性がある2車種のリコール届出の指導
  • 立入検査の結果について
    • 令和5年12月20日にダイハツ工業株式会社(以下「ダイハツ工業」という。)から型式指定申請における不正行為の報告を受け、国土交通省は、不正行為の事実関係等の確認のため、同社に対して同年12月21日から令和6年1月9日まで立入検査を実施した。
    • その結果、ダイハツ工業から報告があった142件の不正行為の事実を認定するとともに、新たに14件の不正行為(試験車両に不適切な加工を行う不正行為(9件)、規定と異なる試験装置を使用する不正行為(5件))を確認した。
      • ダイハツ工業から報告があった不正 46車種142件
      • 立入検査で新たに確認した不正 14件
      • 合計 46車種156件
    • これら156件の不正行為については、国土交通省において基準適合性の確認試験を速やかに行い、その結果を順次公表する。
  • 3車種の型式指定の取消し手続きの開始について
    • 特に悪質な不正行為(※)が行われたと認められる以下の3車種について、型式指定を取消すこととし、関係法令の規定に基づく手続きを開始した。
      • ダイハツ・グランマックス、トヨタ・タウンエース、マツダ・ボンゴ(いずれもトラックタイプのみ)
        • (※)試験車両に対する不正加工により、申請に係る自動車と異なる構造の自動車を用いて試験を実施
  • ダイハツ工業に対する是正命令の発出について
    • ダイハツ工業に対し、二度とこうした不正行為を起こさない体制への抜本的な改革を促すべく、道路運送車両法の規定に基づき、国土交通大臣から別添の是正命令を発出した。
    • また、ダイハツ工業に対し、1か月以内に再発防止策を報告し、その後四半期毎に再発防止策の実施状況を報告するよう求めた。
  • 基準不適合の可能性がある2車種のリコール届出の指導について
    • ダイハツ工業に対し、基準不適合の可能性があると報告された以下の2車種について、リコールが必要な場合は速やかに届出を行うよう指導した。
      • ダイハツ・キャスト、トヨタ・ピクシスジョイ

国土交通省 令和5年は過去平均を上回る土砂災害が発生~令和5年の土砂災害発生件数を公表~
  • 令和5年には、43の道府県で1,471件の土砂災害(土石流等、地すべり、がけ崩れ(火砕流は除く))が発生した。
  • 統計開始以降(S57~)の平均発生件数(1,099件)および直近10年(H25-R4)の平均発生件数(1,446件)を上回った。
  • 令和5年の土砂災害
    • 43道府県で1,471件の土砂災害が発生し、死者8名、人家被害262戸の被害が生じた。
    • 統計開始以降(S57~)の平均発生件数(1,099件)および直近10年(H25-R4)の平均発生件数(1,446件)を上回った。
    • 特に、6月29日から梅雨前線により各地で大雨が降り、22県で397件の土砂災害が発生した。このうち、7月1日から12日までに9県で線状降水帯が発生し、これらの県では全数の約8割にあたる322件の土砂災害が発生した。
    • また、9月に発生した台風第13号では、全数の8割以上にあたる257件の土砂災害が千葉県で発生した。これは、単一の台風、単一の県で発生した件数として歴代1位となった。

国土交通省 羽田空港において損傷していた一部施設の供用再開について
  • 羽田空港において1月2日(火)に発生した、日本航空516便と海上保安庁機の衝突事故により、一部の施設(C滑走路北側の進入角指示灯(PAPI))が損傷していましたが、当該施設について復旧工事及び機能確認作業が完了したことから、1月20日(土)6時30分から供用を再開します。
  • 1月8日(月)のC滑走路運用再開以降、南風運用時であって都心上空ルートで運用する時間帯(15時から19時のうち3時間程度)については、上記施設の損傷により、常に計器着陸装置(ILS)を活用した悪天時の都心上空ルートの運用を行ってきましたが、本施設の供用再開により、好天時においては、本来運用する都心上空ルートでの運用に戻すこととします。
  • なお、北風運用時については、施設の損傷等の問題がなかったことから、C滑走路運用再開時点で事故発生前と同様の運用を行っていたため、飛行ルートに変更はありません。
  • また、処理容量については、風向きに関わらず、C滑走路運用再開時点で事故発生前の水準に回復していたため、今般の施設の供用再開によって変わるものではありません。
  • C滑走路運用再開時点よりこれまでの間、南風運用時において、ILSを活用した経路下の皆様にはご迷惑をお掛けしました。国土交通省としては、引き続き航空の安全・安心の確保に取り組んで参ります。

国土交通省 ダイハツ工業の不正事案に係る基準適合性の検証結果について
  • 国土交通省では、ダイハツ工業による型式指定申請における不正行為が確認された車種について、順次、道路運送車両法の基準適合性に関する検証を行っています。
  • 本日、検証が終了した5車種について、結果を公表します。
  • 経緯
    • 令和5年12月20日にダイハツ工業株式会社から型式指定申請における不正行為の報告を受け、国土交通省において、立入検査等により事実関係の確認を行った結果、46車種において不正行為が行われていたことを確認した。
    • 国土交通省は、不正行為が確認された46車種のうち、開発中の1車種を除く45車種について、道路運送車両法の基準適合性に関する確認試験などの技術的な検証を速やかに行い、結果の出た車種から順次公表することとしている。
  • 検証結果
    • 別紙の5車種について、道路運送車両法の基準に適合していることを確認した。
    • このため、当該5車種については、出荷停止の指示を解除する。
    • (別紙より基準適合性の検証結果一覧)トヨタ・プロボックス、マツダ・ファミリアバン、ダイハツ・グランマックス(バンタイプ)、トヨタ・タウンエース(バンタイプ)、マツダ・ボンゴ(バンタイプ)
  • 今後の対応
    • 他の車種についても、速やかに基準適合性の検証を行い、結果の出たものから順次公表する。なお、検証結果については、順次、国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk8_000020.html)に掲載する。

国土交通省 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の一部の施行期日を定める政令」を閣議決定
  • 令和3年5月に公布された「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和3年法律第44号)」の一部の施行期日を定める政令が、本日閣議決定されました。
  • 背景
    • 第204回国会に提出された地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(令和3年法律第44号。以下「改正法」という。)により、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)が改正され、二以上の都道府県の区域内に事務所を設置して宅地建物取引業を営もうとするときの国土交通大臣への免許申請等に係る都道府県知事の経由事務を廃止することとされました。
    • 改正法において、宅地建物取引業の免許申請等に係る経由事務を廃止するための宅地建物取引業法等の改正規定(以下「改正規定」という。)は、公布の日から起算して3年を超えない範囲に施行することとされているところ、その施行に当たり、その施行期日を定める必要があります。
  • 政令の概要
    • 改正規定の施行期日について、令和6年5月25日と定めることとします。
  • スケジュール
    • 閣議決定:令和6年1月19日(金)
    • 公布日:令和6年1月24日(水)
    • 施行日:令和6年5月25日(土)(※改正規定の施行日)

国土交通省 航空の安全・安心に向けた緊急対策
▼ 航空の安全・安心確保に向けた緊急対策
  • 1月2日に発生した羽田空港における航空機衝突事故を踏まえ、航空の安全・安心の確保に向け、以下の対策を緊急的に講じる。
    1. 管制機関及び航空事業者等への基本動作の徹底指示(1/3実施済)
    2. 管制官による監視体制の強化
      • 滑走路への誤進入を常時レーダー監視する人員の配置(羽田空港について1/6より実施済。レーダーが設置されている成田・中部・伊丹・関西・福岡・那覇空港について順次実施予定)
    3. パイロットによる外部監視の徹底、視覚支援
      • 航空事業者等への滑走路進入時及び着陸進入時における外部監視の徹底指示(1/8実施済)
      • 滑走路進入手前の停止位置標識の高輝度塗色(羽田空港C滑走路について1/6実施済。羽田空港A・B・D滑走路及び新千歳・成田・中部・伊丹・関西・福岡・那覇空港について順次実施予定)
    4. 滑走路進入に関するルールの徹底
      • 滑走路進入に関する管制用語のパイロットへの周知徹底(1/8実施済)
      • 滑走路進入に関する管制指示の更なる明確化
        • 例:航空機の離陸順序を示す情報(1、No.2等)の提供を当面停止(羽田空港について1/8実施済。以降、全空港で順次実施予定)
      • 滑走路周辺の走行に関する要注意事項の航空事業者等への周知徹底(羽田空港について1月中実施予定。新千歳・成田・中部・伊丹・関西・福岡・那覇空港について順次実施予定)
    5. 関係者間のコミュニケーションの強化
      • 管制官とパイロットの交信に関する緊急会議の開催(羽田空港について1月中実施予定。新千歳・成田・中部・伊丹・関西・福岡・那覇空港について順次実施予定
▼ 参考資料
  • 管制官及び航空事業者等に対して、1月3日付で基本動作の徹底の指示を行った。
    • 管制機関に対する指示内容
      • 基本動作を徹底すること。
      • 特に、滑走路への進入、滑走路手前待機等の滑走路の使用に関する許可や指示を行った場合は、復唱確認の確実な実施をすること。
    • 航空事業者等に対する指示内容
      • 基本動作を徹底すること。
      • 管制指示を受けた場合における確実な復唱を含む安全運航のための手順を徹底すること。
      • 安全運航の確保に万全を期すること。
  • 1月6日より羽田空港について、滑走路への誤進入を常時レーダー監視する人員を配置した。
  • レーダーが設置されている成田・中部・伊丹・関西・福岡・那覇空港について順次人員を配置予定。
    • 監視担当者は画面ですべての滑走路の注意喚起表示を常時監視
    • 監視担当者は注意喚起表示を確認した場合、滑走路を担当する管制官に対し即時伝達
  • 滑走路進入に関する管制用語のパイロットへの周知徹底を行った。
    • 以下の管制用語が使用された場合のみ滑走路に進入すること。
      • Cleared for take-off(離陸支障ありません)
      • Cross runway(滑走路横断支障ありません)
      • Line up and wait(滑走路に入って待機してください)
      • Taxi via runway(滑走路を地上走行してください)Backtrack runway(滑走路を離着陸方向と反対に地上走行してください)
    • 上記の許可・指示を受けた場合には、確実に復唱すること
    • 許可・指示内容に疑義が生じた場合には、管制官に対して確認すること
  • 管制官とパイロットの交信に関する緊急会議の開催予定
    • 国内8空港(羽田・新千歳・成田・中部・伊丹・関西・福岡・那覇空港)において、管制官とパイロットによる交信に関する会議を緊急に開催する。会議では誤解を招きやすい用語などに関する検討を行い、各空港の運用および航空機の運航における特性や留意点を相互に理解したうえで、改善点を検討する。これにより、管制官による管制指示・許可の言い間違いや、パイロットによる聞き間違いにより発生するリスクの低減を図る。
    • 参加予定:各空港を利用する運送事業者、使用事業者、官公庁、自家用機所有者

国土交通省 今後の本格復旧に向けて、災害査定の効率化を図ります~大規模災害時の災害査定の効率化(簡素化)及び事前ルールを適用します~
  • 令和6年能登半島地震による災害について、激甚災害(本激)の指定が行われたことから、国土交通省では被災した公共土木施設について、災害査定に要する期間等を大幅に縮減する「大規模災害時の災害査定の効率化(簡素化)及び事前ルール」※を適用します。
  • 地震災害に見舞われた地方自治体における災害復旧事業の災害査定の迅速化を図るため事務手続きの効率化を実施します。
    • ※平成29年1月13日から大規模災害発生時に被災自治体の災害査定に要する期間等を大幅に縮減するルールとして設けたもの。
  • 対象区域
    • 県:新潟県、富山県、石川県、福井県 政令指定都市:新潟市
    • 対象区域は、10日現在の被害報告件数により決定しており、上記以外の区域においては必要に応じ個別に対応する。
  • 主な災害査定の効率化(簡素化)
    1. 書面による査定上限額の引上げ(机上査定の拡大)により査定に要する時間や人員を大幅に縮減
      • 書面による査定の上限額を通常の1,000万円未満から引き上げる(対象区域及び引上げ額は、各被害箇所の状況を整理のうえ後日発表する)。
    2. 現地で決定できる災害復旧事業費の金額の引上げにより早期の災害復旧を実施
      • 現地で決定できる災害復旧事業費の金額を引き上げる(対象区域及び引上げ額は、各被害箇所の状況を整理のうえ後日発表する)。
    3. 設計図書の簡素化(設計図書の簡素化は、上記の全ての対象区域で活用が可能となる)により早期の災害査定を実施
      • 既存地図や航空写真、代表断面図を活用することで、測量・作図作業等を縮減する。
      • 土砂崩落等により被災箇所へ近寄れない現場に対し、航空写真等を用いることで、調査に要する時間を縮減する。

国土交通省 ダイハツ工業(株)の型式指定申請における不正行為の報告について
  • 本日、ダイハツ工業より、型式指定申請における不正行為に関する同社の調査結果の報告を受けました。
  • この報告の中で、5月に報告があった2車種を含む現行生産・開発中の全車種、及び生産が終了している一部の車種において、型式指定申請に係る不正行為が確認されたこと等の報告がありました。
  • 型式指定申請において不正を行うことは、自動車ユーザーの信頼を損ない、かつ、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり、今回更なる不正行為が明らかになったことは極めて遺憾です。
  • 国土交通省としては、道路運送車両法に基づき、ダイハツ工業に対して更なる調査を実施し、その結果に基づき、厳正に対処して参ります。
  • ダイハツ工業からの報告概要
    • 同社が設置した第三者委員会の調査により、新たに以下の事項が判明。
      • 5月19日に報告があった2車種を含め、現行生産・開発中の全車種(28車種)・1エンジンにおいて、型式指定のための申請における不正行為が確認された。
      • 不正の内容は16項目に及び、フルラップ前面衝突試験での不正のほか、制動装置等の試験成績書の虚偽記載等の不正行為(計82件)が確認された。
      • 生産が終了している一部の車種(18車種)・3エンジンでも不正行為(計60件)が行われていた。
    • 同社による検証の結果、計142件の不正行為のうち141件は基準適合性、諸元値の妥当性を確認済。1件は不適合の可能性があり原因調査中。
    • 同社は、5月より出荷停止している2車種を含め、全ての現行生産車の出荷を自主的に停止。
    • 同社は、第三者委員会の調査結果・提言を踏まえ、再発防止に取り組む。
  • 国土交通省の対応
    • 同社の報告を踏まえ、以下のとおり指示を行った。
      • ダイハツ工業において、国土交通省が基準適合性を確認するまで、現行生産車の出荷を停止すること
      • ダイハツ工業において、自動車ユーザーや、OEM供給先の自動車メーカーへの丁寧な説明や対応に努めること
      • ダイハツ工業のOEM供給先の自動車メーカーにおいて、自動車ユーザーへの丁寧な説明や対応に努めること
    • 今後、以下のとおり対応を行う。
      • ダイハツへ立入検査を行い、不正行為の事実関係等の確認を行う。
      • 国土交通省及び(独)自動車技術総合機構において、全ての現行生産車の基準適合性について、技術的に検証を行う。
      • 立入検査及び基準適合性の検証結果を踏まえ、道路運送車両法に基づき厳正に対応する。

国土交通省 株式会社JALエンジニアリングに対する業務改善勧告について
  • 株式会社JALエンジニアリング※(以下、「同社」という。)において、以下のとおり整備業務に係る不適切な行為が認められましたので、国土交通省航空局は本日付けで同社に対して別添のとおり業務改善勧告を行い、必要な再発防止策を検討の上、令和6年1月16日までに報告するよう指示しましたのでお知らせします。
    • (※)日本航空(株)が運航する航空機に係る整備業務の管理の受託の許可(航空法第113条の2)を受けている会社であり、平成21年に日本航空(株)の整備本部から子会社化されたもの。
  • 事案の概要
    • 令和5年9月4日、JAL623便に対して行った整備作業に対し、航空法で求められている作業後の機体の耐空性の確認行為(※1)が一部未実施の状態で、機体が羽田空港を出発した。同社はその後すぐに当該確認行為の未実施を認識したにも関わらず、必要な措置を速やかに行わず、当該確認行為が未実施の状態で計4便(※2)が運航された。
      • (※1)航空法第19条第1項に基づき、認定事業場の確認主任者が、整備の計画及び過程並びに作業完了後の現状が基準に適合していることを確認すること。
      • (※2)JAL623便(羽田⇒熊本)、JAL624便(熊本⇒羽田)、JAL479便(羽田⇒高松)、JAL480便(高松⇒羽田)
    • 令和5年9月20日に実施した当局の計画的監査を契機として、日本航空(株)が運航するボーイング767型機のブレーキ交換作業における部品が適切に組み上がっていることを確認するための計測について、航空機製造者が要求する計測機器(※3)が用いられていない事例が多数発見された。なお、このブレーキ交換作業は、昨年10月20日にJAL317便で発生した部品欠落事案を受け、適切な作業及び計測の実施を再発防止策としていたものであった。
      • (※3)組み上げた部品(ブレーキとブレーキロッドとの結合部)が所要の寸法に収まっていることを確認するために使用する、精度管理された計測機器(ゲージ又はノギス)
  • これらの行為は、航空法に基づき許可を受けた業務の管理の受託を実施するための同社の整備管理マニュアル及び認可を受けた業務規程に違反するものであった。
  • 国土交通省航空局は、同社において再発防止が確実に図られ、安全運航のための体制が維持されるよう、引き続き厳格に指導監督を行ってまいります。

国土交通省 はじめて鉄道係員へのカスタマーハラスメントの現状を把握しました!~第5回 迷惑行為に関する連絡会議を開催~
  • 令和4年度における鉄道係員に対するカスタマーハラスメントの発生件数は全国で1,124件。
  • 関係者との連携を強化し、暴力行為やカスタマーハラスメント、痴漢行為の撲滅に向けて、取組を進めて参ります。
  • 鉄道係員に対する暴力行為や暴力に至らない理不尽な言いがかり、言葉の圧力などのいわゆるカスタマーハラスメントは、鉄道の安全確保や利用者への良質な鉄道輸送サービスの提供に影響を与えるおそれがあり、近年、暴力行為等の防止に関する意識が高まっています。また、利用者に安心して列車を利用いただくため、痴漢行為などの迷惑行為に対する取組も重要です。
  • このため、暴力行為や痴漢行為などの迷惑行為の現状や各社の取組状況の共有等を目的に、令和元年度よりJR及び大手民鉄各社と「迷惑行為に関する連絡会議」を立ち上げ、令和5年12月21日に第5回会議を開催しました。また今回の会議からは、初めてカスタマーハラスメントの現状についても把握・共有したところです。
  • 会議においては、令和4年度の全国における鉄道係員に対する暴力行為発生件数(569件)、カスタマーハラスメント発生件数(1,124件)、女性専用車両の導入状況(令和4年度末時点で32事業者91路線)を報告するとともに、痴漢などの迷惑行為や鉄道利用マナー向上等に対する取組について情報共有を行いました。
  • 本会議を通じて、関係者との連携を強化し、暴力行為やカスタマーハラスメント、痴漢行為の撲滅に向けて、取組を進めて参ります。
▼ 別紙2 鉄道係員に対する暴力行為の主な事例(令和4年度)
  • 旅客が泥酔し車内で眠っていたため、声を掛け起こそうとしたところ暴言を吐かれた。その場から動こうとしないため関係箇所に報告中、旅客が列車から降車した。荷物を忘れていたため、渡そうと近づいたところホームで放尿していたので注意したところ、逆上し暴力行為を受けた。顔を殴られ、首を絞められた。その後、当該旅客は、駅社員に制止され、警察に引き渡された。
  • 車内ドアコックが操作され、確認のため駅務係と駅係員が現場に走行した。目撃情報からドアコックを操作したと思われる人物に確認をしたところ、激怒し車内の壁や車両の貫通扉を強打し暴れだし、その後手を振り回しながら車内を徘徊した。他のお客様に危害を及ぼす恐れがあるため、抑止しようとしたところ、左胸を3発強打され左第2肋骨を骨折した(全治2ヶ月)。当該旅客は車外へ逃走した。その後の捜査で当該旅客は逮捕された。
  • 女性駅務係員は改札窓口執務中、改札外から来た男性から、道を尋ねられ、ご案内のため扉を開け、外に出て説明した。ご案内後、同男性より両手で両肩を3度叩かれ、右手で左胸を下から上へ触られると共に、左胸をわし掴みにされた。同係員は「触らないで下さい」と声をあげると、同男性は「ごめんね」と言い残し駅を後にした。その後、助役に報告、同助役が付近を捜索するも同男性は立ち去っていた。後刻、同助役が改札窓口執務時に同男性が改札口を通過したのを認め、同一人物であることを確認後、声を掛け、駅長室に案内し、110番通報、被害届を提出した。加害者男性は、迷惑条例防止違反で逮捕された。その後、相手弁護士と話し合いを行い、被害届を取り下げ、示談が成立した。
  • 自動改札機に投入した乗車券が出てこないと申告があり、確認すると別収箱に回収されていたため「申し訳ございません」と謝罪、乗車券を返却し、再度自動改札機を通るよう案内した際に腹を拳で突いてきたので「暴力を振るわないでください」と注意すると、急に激昂し左前額部を拳で3回殴られた。(前額部打撲傷,脳震盪,全治約2週間)
  • 改札付近でお客さまが残高不足のため、通れなくなりお困りの様子だったので、駅務員がお声掛けをして自動精算機をご案内したところ、急に右肩を掴まれ、振り向いた途端に加害者から頬から首筋にかけて殴打され、転倒した。
  • ウェブにて列車を予約したと思い込み、実際は予約できておらず、駅係員が乗車できない旨を伝えたところ激高し、駅改札口の窓ガラスを素手で殴り破損させた。当該者及び係員に怪我等はなかった。
  • 係員は、旅客が駅務室の応対窓を激しく叩いたので応対すると突然、駅務室に入室してきて体当たり後、頭突きを2回受け、暴言を浴びせられた。助役は、異常を感知し警察署へ通報したところ、旅客から「警察呼ぶのか。何で呼ぶんだ。お前はくそだ」と右手に持っていた長傘で左足を叩くとともに唾を吐かれ、唾液が制服上衣に付着した。
  • 停車中の車内でつり広告剥がして、ホームに出た不審な旅客に運転士とホーム案内をしていた乗務助役がお声掛けを行ったところ、運転士の顔面をいきなり殴りつけたので取り押さえ、ご案内カウンターの裏へ連れて行ったところ、乗務助役の顔面も突然殴った。警察の出動を要請し、被害届を提出している。

国土交通省 保安基準に適合した電動キックボード等を購入・使用しましょう!~インターネットにおいて販売されている車両に気を付けましょう~
  • 国土交通省では、安全な特定小型原動機付自転車(電動キックボード 電動キックボードには特定小型原動機付自転車のほか、一般原動機付自転車に該当するものがあります)の普及を図るため、保安基準適合性を確認する制度を令和4年12月に創設し、加えて、今般、インターネットにおいて販売されている車両を中心に保安基準適合性の調査を実施したところ、保安基準に適合しない車両が複数確認されました。
  • インターネットで購入し、公道で使用する際は、保安基準に適合したものを選んでいただきますようお願いいたします。
    • 性能等確認制度について
      • 国土交通省では、特定小型原動機付自転車(特定原付)の保安基準適合性を確認する「性能等確認制度」を令和4年12月に創設しました。保安基準への適合が確認された特定原付の型式は国土交通省ホームページにおいて公表するとともに、車体に「性能等確認済」を示すシール※2が貼付されています。
      • なお、10月末現在、22車種の性能等確認がなされております。
    • 市場調査(サーベイランス)について
      • インターネットを中心に流通する特定原付の保安基準適合性の市場調査において、流通している81車種のうち、特に保安基準に適合しないおそれがある10車種(10台)に対し調査を実施した結果、6台の不適合が確認されました。
      • これら6車種のうち、3車種は既に保安基準適合に向けて自主的に対応しており、残りの3車種については、当該車両の製造・販売事業者に対して以下の指導をしております。
        • 車両を改良し、性能等確認を受けること
        • 既に販売した車両について、不適合箇所を改修する措置を講じること
        • 「特定小型原動機付自転車の安全な利用を促進するための関係事業者ガイドライン」を遵守すること
      • さらにオンラインマーケットプレイスでは保安基準不適合車両を削除済みであり、また、警察庁、消費者庁及び経済産業省に対して情報提供を行っております。
      • 国土交通省では、引き続き、調査未実施となっている49車種についても性能等確認や市場調査を行ってまいります。
    • 特定原付を購入・使用される皆様へ
      • インターネットで特定原付を購入する際は、保安基準不適合品にご注意ください。商品説明欄に「公道走行不可」等の記載がなされているものがありますので、よくお確かめください。不適合品の販売情報については、情報提供窓口に通報ください。
      • 保安基準適合性が確認された特定原付の車種一覧、市場サーベイランスに関する詳細及び不適合品の情報提供窓口は、以下のページをご覧ください。

国土交通省 国土交通省のインフラ長寿命化に関する取組状況を取りまとめました~インフラ長寿命化計画(行動計画)のフォローアップ結果(令和4年度末時点)~
  • 国土交通省では、令和3年6月に「第2次国土交通省インフラ長寿命化計画(行動計画)」(計画期間:令和3年度~令和7年度)を策定し、管理・所管するインフラの戦略的な維持管理・更新に向けた取組を推進しています。
  • この度、令和4年度末時点の取組状況を取りまとめましたので、お知らせいたします。
    • インフラ長寿命化の取組状況
      • 個別施設計画(※)の策定状況
        • 昨年度まで策定未了の施設があった「都市公園」において策定完了するなど、20施設分野において計画の策定が完了しています。一方、13施設分野では未策定の施設が残っており、これらについては、例えば、補助金・交付金事業において計画策定を要件としていることを改めて周知するなど、早期の策定を促進していきます。
          • (※) インフラ長寿命化行動計画に基づき、各施設管理者が個別施設毎に長寿命化の方針を定める計画。個別施設計画を核として、点検・診断、修繕・更新、情報の記録・活用といったメンテナンスサイクルを構築することとしている。
      • 点検・修繕の実施状況
        • 各施設分野にて定めた定期点検サイクルに基づく施設の点検については、概ね順調に進捗しています。また、点検結果に応じて修繕・更新等を適切に実施していく必要がありますが、多くのインフラを管理する都道府県・市区町村等では、修繕等では未着手の施設が未だ多く残っており、予防保全型メンテナンスへの本格転換に向けて早期に措置が行われるよう支援を行う必要があります
    • 各分野の数値指標の進捗状況
      • 第2次行動計画において、施設毎の具体的な取組についての令和7年度末時点(一部指標を除く)での数値目標を設定しています。令和4年度末時点では、「道路分野の1巡目点検の結果、早期に対策を講ずべき施設の修繕等の着手率」や、「官庁施設分野の新たな合同庁舎の整備により集約された官庁施設数」など一部の指標について目標を達成しており、その他の数値指標についても、引き続きフォローアップを実施していきます。
      • 国土交通省では、国が管理する施設のインフラ老朽化対策に取り組むとともに、地方公共団体等がインフラ老朽化対策を適切に実施していくため、引き続き支援に取り組みます。

国土交通省 住宅ローン減税の制度内容が変更されます!~令和6年度税制改正における住宅関係税制のご案内~
  • 本日閣議決定された令和6年度税制改正の大綱において、住宅ローン減税の制度変更等が盛り込まれました。
  • 背景
    • 子育て世帯への支援強化の必要性や、現下の急激な住宅価格の上昇等の状況を踏まえ、本日閣議決定された令和6年度税制改正の大綱に住宅ローン減税の制度変更等が盛り込まれました。
      • ※今回の措置は、今後の国会で関連税制法が成立することが前提となります。
  • 税制改正の概要
    • 住宅ローン減税
      • 借入限度額について、子育て世帯・若者夫婦世帯が令和6年に入居する場合には一定の上乗せ措置を講ずることで、令和4・5年入居の場合の水準(認定住宅:5,000万円、ZEH水準省エネ住宅:4,500万円、省エネ基準適合住宅:4,000万円)を維持する。
      • 新築住宅の床面積要件を40㎡以上に緩和する措置(合計所得金額1,000万円以下の年分に限る。)について、建築確認の期限を令和6年12月31日(改正前:令和5年12月31日)に延長する。
    • 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置
      • 受贈に係る適用期限を3年間(令和6年~8年)延長する。
      • 非課税限度額が1,000万円に上乗せされる「良質な住宅」の要件について、新築住宅の省エネ性能要件をZEH水準(断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上)とする ※令和5年12月31日までに建築確認を受けた住宅又は令和6年6月30日までに建築された住宅については、現行要件(断熱等性能等級4以上又は一次エネルギー消費量等級4以上)のまま。
    • 既存住宅のリフォームに係る所得税の特例措置
      • 適用期限を2年間(令和6年~令和7年)延長する。
      • 子育て世帯・若者夫婦世帯が子育てに対応した住宅への一定のリフォームを行う場合についても、本特例措置の対象に追加する(適用期間:令和6年4月1日~令和6年12月31日)。

国土交通省 公共交通機関におけるバリアフリー化の状況を公表~令和4年度 移動等円滑化に関する実績の集計結果概要~
  • 公共交通機関の旅客施設・車両等のバリアフリー化の実績について、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(以下「バリアフリー法」という。)に基づき、令和3年度より、令和7年度までの新たなバリアフリー基本方針に基づく整備目標を策定し、その達成に向けて着実に整備を進めることとしております。
  • この度、公共交通事業者等から提出された移動等円滑化取組報告書又は移動等円滑化実績等報告書の集計結果(令和5年3月31日現在)をとりまとめました。
  • 公共交通機関におけるバリアフリー化の状況
    • 旅客施設(※)
      • 段差の解消 93.5%
      • 視覚障害者誘導用ブロックの設置 44.6%
      • 案内設備の設置 77.0%
      • 障害者用トイレの設置 92.1%
      • 鉄軌道駅のホームドア又は可動式ホーム柵の設置
      • 全鉄軌道駅 2,484番線
      • 1日当たり平均利用者数10万人以上の鉄軌道駅 493番線
    • 車両等
      • 鉄軌道車両 56.9%
      • ノンステップバス 68.0%
      • リフト付きバス等 6.5%
      • 空港アクセスバス 40.1%
      • ・貸切バス 1,157台
      • 福祉タクシー(UDタクシーを含む) 45,311台
      • 旅客船 56.1%
      • 航空機 100%
        • ※「鉄軌道駅」及び「バスターミナル」については、1日平均利用者数が3,000人以上の旅客施設及び2,000人以上3,000人未満で基本構想における重点整備地区内の生活関連施設である旅客施設、「旅客船ターミナル」及び「航空旅客ターミナル」については、1日平均利用者数が2,000人以上の旅客施設。また、旅客施設の各項目の実績値については、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和等により旅客施設の利用者数が増加し、集計対象となる旅客施設数が前年度より増加した影響を受けている。

国土交通省 入札契約の適正化の取組状況に関する調査結果について~市区町村における適正な工期設定に課題~
  • 国土交通省・総務省・財務省では、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」等に基づき、毎年度、公共工事の発注者による入札契約の適正化の取組状況を調査しています。
  • 今般、取組の実施状況に関する今年度の調査結果をとりまとめましたので、公表します。
  • 調査対象者
    • 国(省庁等):19機関
    • 特殊法人等:121法人
    • 地方公共団体:47都道府県、20指定都市、1,721市区町村(総計1,928団体)
  • 調査対象時点
    • 令和5年7月1日現在(工事契約実績等については令和4年度の実績)
  • 調査結果-主な項目-
    • 適正な工期の設定
      • 工期の設定に当たって休日(週休2日等)を考慮している団体は、国・特殊法人等・都道府県・指定都市では全団体となる一方、市区町村では6割程度にとどまる
      • 週休2日工事や週休2日交替制工事を実施または実施を検討する団体が増加したものの、一部の市区町村では令和6年4月から適用される罰則付き時間外労働規制に対する理解や取組に遅れ
    • スライド条項の運用、ダンピング対策
      • スライド条項の運用については、取組が遅れていた市区町村でも、運用基準を策定している団体が4割を超えるなど取組が進捗
      • 低入札価格調査基準価格等の算定式については、各団体において最新の中央公契連モデルやそれ以上の水準の独自モデルの使用が進展、特に国・都道府県では全団体※が最新の中央公契連モデル以上の水準を採用

【文部科学省】

※現在、該当の記事はありません。

【農林水産省】

※現在、該当の記事はありません。

【総務省】

【2024年3月】

総務省 LINEヤフー株式会社に対する通信の秘密の保護及びサイバーセキュリティの確保に係る措置(指導)
  • 総務省は、本日、LINEヤフー株式会社(代表取締役社長 出澤 剛、法人番号4010401039979、本社 東京都千代田区)に対し、同社における、不正アクセスによる通信の秘密の漏えい事案に関し、通信の秘密の保護及びサイバーセキュリティの確保の徹底を図るとともに、再発防止策等の必要な措置を講じ、その実施状況を報告するよう、文書による行政指導を行いました。
  • 経緯等
    • LINEヤフー株式会社(代表取締役社長 出澤 剛。以下「LINEヤフー社」という。)からの報告により、同社及び同社のITインフラの運用に係る業務委託先であるNAVER Cloud社が、それぞれセキュリティに係るメンテナンス業務を委託していた企業においてマルウェア感染が生じたことを契機として、NAVER Cloud社の社内システムが侵害されるとともに、同社を介して、同社とネットワーク接続のあったLINEヤフー社の社内システムに対して不正アクセスが行われ、これにより、同社の提供する「LINE」サービスに係る利用者の通信情報が外部に流出等した事案(以下「本事案」という。)が発覚しました。
    • 総務省においては、LINEヤフー社に対して、電気通信事業法(昭和59年法律第86号。以下「法」という。)第166条第1項の規定に基づく報告徴収を実施したところ、同社の安全管理措置・サイバーセキュリティ対策や業務委託先管理等に不備があったことが判明しました。
  • 措置の内容等
    • 本事案は、法第4条第1項に規定する通信の秘密の漏えいがあったものと認められることから、総務省は、本日付けで、LINEヤフー社に対し、通信の秘密の保護及びサイバーセキュリティの確保を図るため、以下の事項の実施等を求めるとともに、その実施状況について報告を行うよう、文書(別紙)による行政指導を行いました。
      • 本事案を踏まえた安全管理措置及び委託先管理の抜本的な見直し及び対策の強化
      • 親会社等を含むグループ全体でのセキュリティガバナンスの本質的な見直し及び強化
      • 利用者対応の徹底
  • 総務省は、通信の秘密の保護及びサイバーセキュリティの確保を図るため、引き続き、必要な指導・監督に努めてまいります。
▼ 別紙
  • 指導事項
    • 下記の1.ないし3.の事項について、必要な措置を実施されたい。ついては、その取組方針及び実施状況について、令和6年4月1日までに報告するとともに、今後、このような事案が再発しないよう、同報告から少なくとも1年間は、四半期に一度、今後の取組状況について定期的に報告されたい。なお、今後新たな懸念が生じた場合等には、追加的な措置を求める可能性がある旨御承知おき願いたい。
      1. 本事案を踏まえた安全管理措置及び委託先管理の抜本的な見直し及び対策の強化について
        • 2.で述べた貴社とNAVER社側との密接なネットワーク構成やそれに基づく貴社の情報の取扱い等を前提とすれば、NAVER社側に何らかのセキュリティインシデントが発生した場合、NAVER社側のネットワークを介して旧LINE環境下に保存された情報へ容易にアクセスすることが可能であり、NAVER社側のネットワークを通じて旧LINE社が取り扱う利用者の情報が侵害されるリスクが常態化していたというべきであるが、貴社からの報告によれば、それにもかかわらず、貴社において十分な安全管理措置はとられず、貴社からNAVER社側に対しても、これまで定期的な安全管理措置の実施状況の確認やセキュリティリスクの評価等はなされていなかったというのであって、本事案は正にこのようなリスクが顕在化した事案であるというべきである。
        • また、本事案の解明に際して、当省からも貴社に対して複数回にわたって報告を求めるなどしたが、貴社からは調査未了を理由として回答期限内に十分な回答がなされなかったり、回答がなされてもその内容に不明瞭な点が多々含まれたりするなどしていた。これは貴社が情報セキュリティに係る安全管理をNAVER社側に強く依存していたため、アクセスログ等の必要な情報の多くがNAVER社側に存在しており、その収集や分析に支障を来したからであると推察される。このように、サイバーセキュリティ事案において、自社として、委託先の監督や原因特定を速やかにできないこと自体、大きな問題であると言わざるを得ない。
        • ついては、貴社の安全管理措置やサイバーセキュリティ対策、業務委託先管理の在り方について、本事案と同様のインシデントの再発を確実に防止するよう、以下のとおり抜本的な見直しを行い、実効的かつ十分な対策を講じられたい。
          1. NAVER Cloud社とのネットワーク分離による安全管理措置の見直しについて
            • 貴社の旧LINE社環境とNAVER Cloud社との間にネットワーク接続があり、NAVER Cloud社に対して旧LINE社環境のネットワーク及び社内システムへの広範なアクセスが許容されていたことにより、NAVER Cloud社のシステム・端末への侵入によって貴社のサーバやシステムにまで到達可能であったことが本事案発生の原因となったことを踏まえ、NAVER社側のシステムや端末から貴社のネットワークや社内システムに関して真に必要最小限度のアクセスのみを許容し、その他のアクセスを認めない仕組みを、ファイアーウォールの設置、不要ポートの閉鎖、プライベート通信の排除等を含めて構築するとともに、これに加えて、貴社のサーバ、ネットワークや社内システムの保護の万全を図るための方策を検討し、具体的な措置を講ずること。
            • 本事案発生当時、貴社とNAVER社側との間では従業員アカウントの認証基盤が共通化され、旧LINE社従業員のアカウント情報がNAVER Cloud社側の従業員管理システムにて管理、保存されていた状態であったと認められ、貴社からの報告によれば、このように従業員アカウントの認証基盤を共通化していたことが情報漏えい被害の拡大に寄与したとのことである。また、貴社のADサーバに保存されていた従業員のアカウント情報について、貴社の人事システムを介して貴社内の各種サーバやドメインが異なるNAVER Cloud社のADサーバ等とも、必要な範囲で情報が同期される仕様となっていたとのことである。十分な安全管理措置が施されていたとは認められない状況のもと、従業員のアカウント情報が他者であるNAVER Cloud社に対しても共有され、同社のサーバ内に保存されていたことは、貴社としての極めて重大なセキュリティリスクであったと認められる。
              • 以上を踏まえ、共通化している認証基盤(従業員アカウントの認証基盤に限らない。)や情報の同期を認めるシステム構成のセキュリティリスクについて貴社において改めて評価を行った上で、確実な再発防止を実現する観点から、NAVER Cloud社の認証基盤等と貴社の認証基盤等とを速やかに技術面及び運用面で完全に分離するため、貴社が管理する認証基盤等への移転や分離後の管理の在り方等を含めて計画を策定するとともに、これを着実に実施することにより具体的な対策を講ずること。
              • 特に、移行計画の概要については、報告徴収に対する令和6年1月30日付け報告書等の中でも言及があるが、具体的なシステムの内容ごとに詳細な計画を策定し、その移行が完了するまで、定期的にその実施状況を報告すること。なお、完全に分離が行われる前も、認証基盤等に対するNAVER社側からの接続が必要最小限の範囲に留まるよう適切に管理されているかについて、状況を報告すること。また、運用面では、貴社の従業員のアカウント情報は貴社内で管理することとし、本事案発生当時になされていたNAVER社側への同期は中止すること。
            • 貴社からの報告によれば、旧LINE社環境のサイバーセキュリティ対策に関連して、SoCのTier1に係る業務をNAVER Cloud社に委託しているとのことであるところ、本事案の発生を踏まえ、貴社として、国内において、独立した形で認証情報を管理、運用するとともに、セキュリティ確保のために必要とされる各システム等のログ情報を自ら取得し、これら情報を集約した上で独立した形でSoC業務を行うことができる体制を早期に整えること。今後、セキュリティインシデントが発生した場合には、自社の中に保有されている証跡に基づき、事象の詳細を把握し、原因究明やそれに対応した再発防止策を自ら策定することができる体制を整えること。その際、APTは既知の脆弱性だけではなく、ゼロデイ等を用いた攻撃を行うことも想定されることを踏まえ、ふるまい検知等を含め、最新の対策手法を取り入れた体制を検討すること。
          2. 貴社内において取るべき安全管理措置の見直しについて
            • 本事案では、貴社内のADサーバを含む、各種の重要サーバやシステムに対して不正アクセスがなされ、重大な情報漏えい被害が生じたものである。
            • AD管理についてはその重要性に鑑みて厳重なふるまい検知の仕組み等の対策が取られてしかるべきであったにもかかわらず、これが行われておらず、セキュリティ監視レベルが不十分であったため、不正なアクセスを検知等できなかった。また、その他の重要サーバ等についても認証方式がIDとパスワードの組合せであるなどそのアクセス管理のレベルが不十分であった点があり、不正に取得された従業員アカウント等を用いたアクセスを防ぐことができなかった。これらを踏まえ、自社内のサーバ等の保護に向けて、高度な侵入検知システムの導入や多要素認証の導入を含めたアクセス管理の強化等を含む、実効的なサイバーセキュリティ対策の導入に向けた計画を策定し、その内容を報告するとともに、速やかに具体的な措置を講ずること。
          3. 委託先管理の見直しについて
            • 本事案において、NAVER Cloud社等の業務委託先の安全管理措置に係る貴社からの管理監督が不十分であったことを踏まえ、通信の秘密に該当する情報の取扱い等を委託する場合(通信の秘密に該当する情報の取扱いを委託する場合及びこのような情報へのアクセスを許容する場合やアクセスが可能となる場合を含む。)における業務委託先管理の在り方について、セキュリティリスクの評価基準の見直しを行った上で、リスクに応じた実効的な委託先管理を実現するための監督方法の検討及び基準の策定並びにその実施を行うこと。
              • 特に、本事案の内容に鑑みれば、情報の取扱いの委託の有無にかかわらず、重要な設備等に関する業務委託について、その委託先及び再委託先について特定した上で、安全管理措置ないしサイバーセキュリティ対策について適切な管理監督ができるように、令和6年3月末までに安全管理措置等の基準を策定し、実効性を高めたモニタリング・監督方法を検討・策定すること。あわせて、委託先の監督が委託先による分析結果や委託先から受領するログに依存しており、委託先からこれらが得られないと自社として侵害の有無や範囲も十分に把握できないという状況を見直すこと。
            • 本事案における攻撃の端緒となったNAVER Cloud社における安全管理措置の強化について、委託元としてNAVER社側に対して適時に実施状況を確認するとともに、必要に応じて対策の強化を要請するなどし、実効的な再発防止策が策定されるよう、適切な管理監督を行うこと。
              • 特に、貴社からの報告によれば、NAVER Cloud社は、貴社から指摘するまで侵害に気付かず、そのADサーバが侵害され、外部のC&Cサーバから直接接続された状況が相当期間にわたって継続していた等、その安全管理措置に問題があったとのことである。このことを踏まえ、委託や監督の在り方を見直すための、貴社としての計画を策定して提出すること。
      2. 親会社等を含むグループ全体でのセキュリティガバナンスの本質的な見直し及び強化について
        • でも述べたネットワーク構成上の重大なリスクが存在していたにもかかわらず、これが是正されずに本事案の発生に至った背景には、貴社からみるとNAVER社側が委託先として委託元である貴社から管理監督を受ける立場であるにもかかわらず、NAVER社側と貴社の間で組織的・資本的な相当の支配関係が存在することもあり、貴社からNAVER社側に対して安全管理のための的確な措置を求めることや適切な委託先管理を実施することが困難であったという事情も影響しているものと考えられる。
        • 本事案を受けて、貴社からの報告によれば、貴社ネットワークへのアクセスのホワイトリスト化やファイアーウォールの設置等を通じてNAVER社側と旧LINE社環境との間のネットワーク管理を強化し、共通化していた従業員アカウント認証基盤やNAVER社側と連携していた従業員向けシステムについても分離や切替えを進めることで、一定程度、NAVER社側との繋がりを解消する予定であるとのことである。しかしながら、本事案の発生に直接寄与したシステムを含む複数の重要システムについて、現時点の計画では、その構成の複雑性から分離に相当の期間を要する見込みであること、上記の貴社からの報告に基づく取組が実施された後においても、一部のシステムの開発・運用・保守業務については依然としてNAVER社側への委託が予定されているとみられること、また、本事案の影響範囲に含まれない、エンドユーザ向けサービスの本番環境(エンドユーザ向けサービスが実際に稼働する環境)その他のシステムについてNAVER社側への委託の見直しがなされるのか明確でないこと等からすると、委託先管理の困難性は十分解消されておらず、本事案と同様のインシデントを招来するリスクが解消されているとは認められない。
        • において実施を求めた貴社における安全管理措置ないしサイバーセキュリティ対策等を実効性のあるものとし、本事案と同様のインシデントの再発を確実に防止するためには、単に一部のシステムやネットワークの技術的な分離措置等を講ずるのみでは不十分というべきであって、セキュリティリスクを的確に把握し、リスクを踏まえた実効的な対策を実現できるガバナンス体制を、親会社等を含むグループ全体で構築することが必要である。
        • 上記を踏まえ、実効的なセキュリティガバナンスの確保に向け、貴社内におけるセキュリティガバナンス体制の抜本的な見直しや是正策の検討を行うことに加え、貴社の親会社等も含めたグループ内において、委託先への適切な管理・監督を機能させるための貴社の経営体制の見直し(委託先から資本的な支配を相当程度受ける関係の見直しを含む。)や、適正な意思決定プロセスの構築等に向けた、適切な検討がなされるよう、親会社等に対しても必要な働き掛けを行うこと。
      3. 利用者対応の徹底について
        • 本事案において、少なくとも、貴社の利用者の通信の秘密に該当する情報が2万件以上(推計値を含む。)漏えいしたことを踏まえ、利用者保護の観点から、今後も利用者に対する本事案に関する適切な情報提供を継続するとともに、二次被害が発覚した場合等には適切な支援、対応を実施すること。

総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 ワーキンググループ(第5回)配付資料
▼ 資料WG5-1-4デジタル空間における情報流通の健全性に関する基本理念の項目例
  • 「情報流通の健全性」に関する基本理念の項目例
    • 構成員からのこれまでのご意見を踏まえると、デジタル空間における「情報流通の健全性」に関する基本理念として、例えば以下のような項目が考えられるのではないか。
    • 今後、これらの項目を整理・階層化し、その結果を踏まえて情報流通の場としてのデジタル空間の在り方や情報流通の各過程(発信・伝送・受信)に関わるステークホルダーの役割・責務について検討してはどうか。
      1. 表現の自由
        • デジタル・サイバー・青少年
        • 発信者・伝送者それぞれの表現の自由の保障 など
      2. 知る権利
        • デジタル・青少年
        • 受信者における多様な情報へのアクセスの保障
        • 情報的に健康になろうとする者への機会保障 など
      3. 法の支配・民主主義
        • サイバー・個人情報
        • ルールに基づく民主的なガバナンスの確立
        • 民主主義の過程における国民の自律的な意思決定の保護 など
      4. 公平性
        • 情報の伝送過程における不当な偏りの抑止 など
      5. 公正性
        • デジタル
        • コンテンツ作成にかけた「労力」への正当な評価 など
      6. 発信主体の真正性確保
        • 発信主体の真正性を受信者において判断できる能力の支援 など
      7. 信頼性のある情報の流通確保
        • デジタル・個人情報
        • アテンション・エコノミー下における信頼性の高いコンテンツの流通へのインセンティブ付与 など
      8. リテラシー・責任ある発信
        • サイバー・個人情報・青少年
        • 受信者・発信者それぞれのリテラシー向上
        • デジタル・シティズンシップの涵養 など
      9. 包摂性・脆弱な個人の保護
        • デジタル・青少年
        • 児童・青少年や高齢者の保護と情報流通への参画機会確保 など
      10. 安心
        • デジタル・サイバー・青少年
        • 法令違反情報・権利侵害情報(誹謗中傷等)による被害の防止・救済
        • 偽・誤情報の拡散による社会的コスト・リスクの増加の抑制
        • 災害発生時等の社会的混乱その他フィジカル空間への影響の抑止 など
      11. 安全・セキュリティ確保
        • デジタル・サイバー
        • サイバー攻撃・安全保障上の脅威等への対抗力の確保 など
      12. オープン・透明性
        • デジタル・個人情報
        • 事業者による取組の透明性確保
        • 政府による事業者への働きかけの透明性確保 など
      13. アカウンタビリティ
        • デジタル・個人情報
        • 事業者の発信者・受信者それぞれに対するアカウンタビリティ
        • 政府の事業者に対するアカウンタビリティ など
      14. プライバシー保護
        • デジタル・個人情報
        • 個人の認知領域への侵襲抑止
        • 個人の自律的な意思決定の保護 など
      15. 利用者データの保護
        • 個人情報
        • 個人情報や個人情報以外の利用者データの適正な取扱い など
      16. グローバル
        • デジタル
        • 分断のないデジタル空間の実現 など
      17. 国際性
        • サイバー
        • 国際的に調和のとれたルール作り・運用
        • 政府・事業者を含めた国際連携の促進 など
      18. マルチステークホルダーによる連携・協力
        • デジタル・サイバー・個人情報・青少年
        • 多様なステークホルダー間の情報共有その他連携した取組の促進 など
▼ 資料WG5-1-5「プラットフォームサービスに関する研究会」における偽情報に関する検討
  • 緊急提言(2020年8月)から第二次とりまとめ(2022年8月)までの議論
    • 透明性・アカウンタビリティ確保の重要性
      • プラットフォーム事業者のサービス上では、多くのユーザによる自由な情報の発信・受信を可能としている一方で、誹謗中傷や偽情報といった違法・有害情報も多く流通している。プラットフォーム事業者は、問題となる投稿の削除やそのような投稿を行ったアカウントの凍結・停止、投稿に注意喚起を促すラベルの付与、表示順位の低下等といった、ポリシーにあらかじめ定められた違法・有害情報などの流通を抑止するために講じる措置を実施するなど、情報流通の適正化について一定の責任を果たすことが期待される。一方で、プラットフォーム事業者は、ユーザの表現を預かる立場でもあり、ユーザの表現の自由の確保について一定の責任を果たすことが期待される。
      • また、プラットフォーム事業者には、自社サービスの特性にあわせて誹謗中傷等の情報がユーザやユーザ以外の者に与えるリスクを分析・評価した上で、文化的、社会的、政治的背景を踏まえた、投稿やアカウントに対する措置の実施に係るポリシーの設定、その適切な運用、その運用に必要な体制の構築をはじめとするリソースの確保及び自社サービス上の投稿に係る発信者情報開示などの法的手続への適切な協力などが期待される。さらに、投稿やアカウントに対する措置については、削除以外の手法による対応(例:投稿に対するラベルの付与や表示順位の低下、投稿時の警告表示等)も含め、事業者の自律的な創意工夫による対応が行われることが望ましい。
      • 当研究会におけるヒアリングを行ったプラットフォーム事業者においては、誹謗中傷や偽情報を含む違法・有害情報への措置を講じる必要性が認識されており、あらかじめ対応方針や基準となるポリシーを自主的に設定し、投稿やアカウントに対する措置が行われている。こうした措置については、ポリシーが適時適切に定められるとともにポリシーに基づく措置の対象となる投稿やアカウントに対して確実に措置が行われることが望ましい一方で、行き過ぎた措置や恣意的な措置といった不適切な運用によってユーザの表現の自由が損なわれることがないよう、過不足なく実施される必要がある。
      • 違法・有害情報への対応が適切に行われるとともにユーザの表現の自由に対する過度な制約とならないよう、過不足なく行われるためには、ポリシーの設定状況やその運用状況、対応の結果や異議申立ての機会の確保状況といった項目に関する透明性・アカウンタビリティを確保し、「言論空間のガバナンスに対するガバナンス」、すなわち、プロセスの透明性を確保することが必要である。
      • 大規模なプラットフォームサービスの提供者は、そのサービスの提供により情報流通について公共的役割を果たしていると考えられることから、当該サービスのユーザ及びユーザ以外の者に対して、その透明性・アカウンタビリティが確保されることが必要である。
      • また、プラットフォーム事業者における透明性・アカウンタビリティの確保に当たっては、サービス上における、例えば、誹謗中傷の発生件数等の流通実態やその抑制のための対策とその効果に関する総量的な数値等の把握という全体的な傾向に関する観点と、個別具体の誹謗中傷等の違法・有害情報に対する権利回復のための裁判手続への対応や、申請にもかかわらず十分に措置が行われないと考えられるケースや自身の投稿について行き過ぎた措置が行われたと考えられるケースが発生した場合の反論や異議申立ての機会の確保という個別具体の観点の両面から、ユーザ及びユーザ以外の者からの透明性・アカウンタビリティの確保が必要である。
      • こうした、プラットフォーム事業者による投稿の削除やアカウントの停止等の措置に関する透明性・アカウンタビリティを確保することは、当該サービスのユーザ及びユーザ以外の者による客観的な根拠に基づく批評を可能にし、こうした批評がプラットフォームサービスの運営にフィードバックされることを通じて、投稿の削除やアカウントの停止等の措置の運用の改善につながることが期待される。
      • さらに、プラットフォーム事業者による、透明性・アカウンタビリティが確保されることは、より多くのユーザに最新の技術やサービスを柔軟に取り入れたサービス提供を目指すプラットフォーム事業者にとって、サービスの設計や運営上の創意工夫に対するユーザからの信頼性の向上につながるものと考えられ、このことは、プラットフォーム事業者にとっても経済的合理性を有する取組になるだけでなく、ユーザが最新のサービスの利益を享受しながら、リスクを理解した上で、安全・安心にサービスを利用することが可能な環境の確保につながると考えられる。
    • 偽情報への対応に係る透明性・アカウンタビリティの確保について
      • 偽情報は、その外延や個別の情報が偽情報であるか、また、その流通による我が国における影響について、モニタリングからも十分明らかではなく、我が国における実態が未だ明らかではない。そのため、プラットフォーム事業者は、引き続き、実態を把握しその結果を公表することが求められるとともに、プラットフォーム事業者に限らないメディアも含めた産学官民の社会全体で検討する環境が整備されることが必要である。
      • 一方、既にプラットフォーム事業者では、偽情報等の不適切な情報への措置を講じる必要性が認識されており、あらかじめ対応方針や基準となるポリシーを自主的に設定し、投稿の削除やアカウントの停止等の措置を行っている。こうした措置については、措置の対象とされるべき情報に対して措置が確実に行われることが望ましい一方で、行き過ぎた措置や恣意的な運用によってユーザの表現の自由を損なうことがないよう、過不足なく実施される必要がある。そのため、プラットフォーム事業者は、偽情報についても、我が国において生じている自らのサービス上の偽情報の問題について適切に実態把握とリスク評価を行った上で、そのリスクに応じて偽情報への対応を行うとともに、その透明性の確保を進めていくことが求められる。
      • しかしながら、プラットフォーム事業者による我が国における偽情報への対応及び透明性・アカウンタビリティ確保の取組の進捗は限定的であり、偽情報に対して適切なリスク評価や低減措置が行われているか十分に明らかではなかった。
      • 以上を踏まえ、プラットフォーム事業者において、違法・有害情報となり得る偽情報への対応については、本章1の違法・有害情報対策の方針も踏まえて、透明性・アカウンタビリティが確保されることが必要である。
      • 総務省は、違法・有害情報となる偽情報に関するプラットフォーム事業者の取組状況について、前述の違法・有害情報対策に関する記載内容を踏まえて、偽情報への対応に関する透明性・アカウンタビリティの確保に向けて、行動規範の策定及び遵守の求めや法的枠組みの導入等の行政からの一定の関与を具体的に検討することが必要である。
      • なお、行政は、引き続きプラットフォーム事業者等による自主的な削除等の対応を促進することとし、プラットフォーム事業者等に対して削除義務を課すことや、個別のコンテンツを削除しなかったことに対して罰則等を設ける法的規制を導入することは、誹謗中傷の場合と比べても、極めて慎重な検討を要する。
      • また、総務省は、これらの取組に関するモニタリングと検証評価を継続的に行っていくことが必要である。この際、プラットフォーム事業者に対して具体的にどのような対応や情報公開を求めることにより、偽情報への適切な対応が図られているかどうかを評価することが可能かについて、引き続き検討が必要である。
    • その他プラットフォーム事業者に期待されること
      • 上述の検討のほかに、インターネット上の言論空間には、違法情報でも有害情報でもない情報であっても、プラットフォーム事業者によるレコメンデーションによってユーザが無意識のうちにフィルターバブルに閉じ込められることやエコーチェンバー効果が発生することで、攻撃的な傾向への誘導やフェイクニュースの拡散、社会的分断を生じ得るとの指摘がある。
      • これを踏まえ、デジタル・シティズンシップの考え方も参考に、ユーザ自らが望ましいと判断する情報環境を選択するための環境整備、すなわち、個人がテクノロジーを通じて自身が触れる情報の自律的なコントロールを可能にするための環境整備が重要である。大規模なプラットフォームサービスが情報流通について公共的役割を果たしていることからも、ユーザ自身が望ましいと判断する情報環境を選択するための環境整備について、利用者とコミュニケーションを図りながら、一定の役割を果たすことが期待される。
  • 第三次とりまとめ(2024年2月)までの議論
    • 総論
      • Twitterを除く全ての事業者において、我が国における偽情報への対応及び透明性・アカウンタビリティ確保の取組の進捗は、2022年3月28日に実施したプラットフォームサービス第34回におけるヒアリング(以下「前回ヒアリング」という。)と比較して、一部で進展が見られるもののほぼ同等であり、未だ限定的である。特に、Twitterからは、口頭での発表が行われたものの、ヒアリングシート及び説明資料の提出がなく、透明性・アカウンタビリティ確保の取組について後退があった。
    • モニタリング
      • 本研究会では、プラットフォーム事業者による偽情報への対応の実施状況についてモニタリングを行ってきた。プラットフォーム事業者による投稿の削除やアカウントの停止等の措置に関する透明性・アカウンタビリティを確保することは、当該サービスのユーザ及びユーザ以外の者による客観的な根拠に基づく批評を可能にし、こうした批評がプラットフォームサービスの運営にフィードバックされることを通じて、投稿の削除やアカウントの停止等の措置の運用の改善につながることが期待される。したがって、こうしたモニタリングの取組については、継続的に実施していくことが適当である。
      • なお、前述のとおり、2023年のモニタリングにおいて、Twitter(現X)からは、再三の求めにもかかわらずヒアリングシート及び発表資料が提出されなかった。任意とはいえ、資料が提出されなかったことは遺憾である。
    • 今後の更なる検討
      • 本研究会では、派生的論点として、フィルターバブル、エコーチェンバー及び分極化等の現象についても検討した。こうした現象が偽情報の拡散に寄与しているか否かは、計算社会科学等の学術分野における更なる研究が期待されるところであり、本研究会において結論づけることができるものではない。もっとも、第44回会合及び第46回会合において有識者から指摘された点を踏まえると、レコメンデーションに関するアルゴリズムの公開やリテラシー教育等の方法により、利用者が情報に対して選択的接触を行っていることを、当該利用者に対して認知させることが重要である。
      • 加えて、近時は、生成AIやメタバース等の新たな技術・サービスの出現によりデジタル空間が更に拡大・深化している。このような中、インターネット上の偽情報の生成・拡散やプラットフォーム利用者の情報に対する選択的接触の問題は、アテンション・エコノミーを構造的要因とする場合を含め、プラットフォーム事業者だけでなく、生成AI事業者、仮想空間関係事業者、通信・放送事業者、利用者等の多様なステークホルダーが連携・協力して対応すべき、デジタル空間における情報流通の健全性に関わる課題の一つと言える。
      • 総務省は、生成AI等による巧妙な偽情報の生成や拡散に伴う社会的な影響の深刻化を含む、デジタル空間における情報流通を巡る新たな課題と多様化するステークホルダーによる対応等の現状を分析し、デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた今後の対応方針と具体的な方策について検討するため、2023年11月より「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」(座長:宍戸常寿 東京大学大学院法学政治学研究科教授)を開催し、検討を継続している。今後、インターネット上の偽情報の生成・拡散やプラットフォーム利用者の情報に対する選択的接触の問題については、以上述べた観点を踏まえ、当該検討会において議論を深化させていくことが期待される。
      • なお、フィルターバブル、エコーチェンバー及び分極化等の現象を分析する研究を含むデジタル空間における情報流通に関する研究においては、実データの入手が重要であると考えられる。プラットフォー ム事業者においては、APIの開放等により、研究者が情報空間に関する実データを入手しやすい環境を整備することが期待される。
  • 2023年のモニタリング結果概要
    • プラットフォーム事業者の偽情報への対応については、一部で進展が見られるものの、取組状況及び透明性・アカウンタビリティ確保の進展は限定的*。 *Twitterからは、研究会に出席し発表が行われたものの、ヒアリングシート及び説明資料の提出がなく、透明性・アカウンタビリティ確保の取組について後退があった。
    • 多様なステークホルダーによる協力関係の構築、特定のトピックに関する偽情報や誤解を招く情報の流布に関するポリシーの設定、ファクトチェック推進、ICTリテラシー向上に関しては、まだ十分とは言えないものの、我が国においても取組が進められつつある。

総務省 安心・安全なメタバースの実現に関する研究会(第5回)
▼ メタバースの原則(1次案)
  • 前文
    • 民主的価値を踏まえたメタバースの将来像の醸成
      • 将来、メタバース上では国境を越えて様々な仮想空間であるワールドが提供され、メタバースが物理空間と同様に国民の生活空間や社会活動の場として益々発展し、人々のポテンシャルをより一層拡張することが期待される一方、メタバースの設計や運営が過剰に商業主義的な動機で支配され、民主的価値を損なうような仮想空間が出現する可能性、さらには、物理空間と仮想空間がこれまで以上に融合した結果として、メタバース上での出来事や価値観が仮想空間のみならず物理空間にも影響を与え、両空間の民主的価値を損なう可能性も想定される。このような状況を防ぐためにも、以下の(1)~(3)をメタバースにおける民主的価値の主な要素として国際的な共通認識とした上で、メタバースの将来像の醸成を図ることが重要である。
        1. メタバースが自由で開かれた場として提供され、世界で広く享受されること
        2. メタバース上でユーザが主体的に行動できること
        3. メタバース上での活動を通じて物理空間及び仮想空間内における個人の尊厳が尊重されること
    • 原則の位置づけ
      • 上述の民主的価値を実現し、ユーザが安心・安全にメタバースを利用していくためには、仮想空間そのものの提供を担うメタバース関連サービス提供者(プラットフォーマー(※1)及びワールド提供者(※2))の役割が重要である。メタバース関連サービス提供者の取組として、以下の2つを大きな柱として位置づける。
        1. 社会と連携しながら更なるメタバースにおける自主・自律的な発展を目指すための原則
        2. メタバース自体の信頼性向上のために必要な原則
          • ※1 プラットフォームを提供する事業者をプラットフォーマーと呼ぶ。プラットフォームはメタバースを構築したり利用したりするための基盤。メタバースを構築するための機能や素材、法則やルールなどを提供するもの、ユーザの認証・管理やアイテム等の管理、コミュニケーション機能、契約・取引などの基盤的サービスを提供するもの、すぐに利用できるようにメタバースの基本的なサービス自体を運営・提供するものなど、多岐にわたる。
          • ※2 ワールドとは、プラットフォーム上で構築・運用される、メタバースの個々の「世界」。ワールド提供者は、プラットフォーマーと契約(有償・無償を問わず、利用規約への同意等も含まれる)し、プラットフォーム上にワールドを構築して提供する者。なお、これをビジネスとして行う者については「ワールド提供事業者」という。プラットフォーマー自身がワールドを構築して提供する場合もある。
    • メタバースの自主・自律的な発展に関する原則についての考え方
      • メタバースがメタバース関連サービス提供者による多様な仮想空間の提供と共に、ユーザ等によるクリエイティブなコンテンツ(UGCを含む)の創造により、自主的な創意工夫により自律的に社会的・文化的発展を遂げてきた経緯を踏まえ、ワールドのオープン性やイノベーションの促進、世界中の様々な属性のユーザがメタバースを利用する多様性・包摂性、ICTリテラシーの向上やコミュニティ運営の尊重など社会と連携した取組とする。
    • メタバースの信頼性向上に関する原則についての考え方
      • メタバースの自主・自律的な発展を支えるために、透明性・説明性、アカウンタビリティ、プライバシーへの配慮、セキュリティ確保などメタバースへの信頼性を向上させるために必要な取組とする。
  • 原則
    • メタバースの自主・自律的な発展に関する原則
      • オープン性・イノベーション
        • 自由で開かれた場としてのメタバースの尊重
        • 自由な事業展開によるイノベーション促進、多種多様なユースケースの創出
        • アバター、コンテンツ等についての相互運用性の確保
        • 知的財産権の保護(アバターの肖像の適正な保護を含む)
      • 多様性・包摂性
        • 物理空間の制約にとらわれない自己実現・自己表現の場の提供
        • 様々な国・地域、ユーザ属性等による文化的多様性の尊重
        • 多様な発言等の確保(フィルターバブル、エコーチェンバーといった問題が起きにくいメタバース)
        • 障がい者等の社会参画への有効な手段としての活用
        • メタバースへの公平な参加機会の提供
        • 誰もが使えるユーザビリティの確保
      • リテラシー
        • ユーザのメタバースに対する理解度向上の支援
        • ユーザのICTリテラシー向上の支援
      • コミュニティ
        • コミュニティ運営の自主性の尊重
        • コミュニティ発展の支援
    • メタバースの信頼性向上に関する原則
      • 透明性・説明性
        • サービス利用時の保存データ(期間、内容等)及びメタバース関連サービス提供者が利用するデータの明示並びにユーザへの情報提供
        • 提供されているメタバースの特性の説明
        • メタバースの利用に際してユーザへの攻撃的行為や不正行為への対応の説明
      • アカウンタビリティ
        • 事前のユーザ間トラブル防止の仕組みづくりや事後の不利益を被ったユーザの救済のための取組
        • 他のユーザやアバターに対する誹謗中傷及び名誉毀損の抑制
        • ユーザ等との対話を通じたフィードバックを踏まえた改善
        • 子ども・未成年ユーザへの対応
      • プライバシー
        • ユーザの行動履歴の適正な取り扱い
        • ユーザとアバターとの紐付けにおけるプライバシーの尊重
        • メタバースの利用に際してのデータ取得、メタバースの構築に際しての映り込み等への法令遵守等による対処
        • アバター(実在の人物を模したリアルアバターを含む)の取扱いへの配慮(知的財産権、名誉毀損及びパブリシティの観点を含む)
      • セキュリティ
        • メタバースのシステムのセキュリティ確保(外部からの不正アクセスへの対処等)
        • メタバース利用時のなりすまし等の防止

総務省 医療的ケア児とその家族に対する支援に関する調査ー小学校における医療的ケアの実施体制の構築を中心としてー<結果に基づく通知>
▼ 概要
  • 調査の背景
    • 近年、医療技術の進歩を背景に、たんの吸引や経管栄養等の医療的ケアが日常的に必要な「医療的ケア児」が増加
    • 令和3年9月に医療的ケア児支援法が施行され、学校において保護者の付添いがなくても適切な医療的ケア等の支援を受けられるよう、看護師等の配置の措置等について規定。施行後3年(令和6年9月)の見直し規定あり
    • しかしながら、保護者が付添いを求められたため、離職・休職をせざるを得なくなったといった事例が発生
  • 調査結果
    • 小学校就学時における医療的ケア実施体制の確保について、
      • 就学予定の医療的ケア児の把握が遅れた事例や看護師等確保に向けた動き出しの遅れ等により医療的ケア実施者を確保できていない事例(一方で、医療的ケア児の情報を確実に把握し、就学に係る保護者の意向を早期に確認できるよう工夫を行っている教育委員会あり)
      • 給与水準の低さ、勤務環境に対する不安、小学校勤務という働き方の認知度不足等により看護師の確保が困難との教育委員会の意見
    • 小学校における医療的ケアの実施について、看護師の休暇時や校外学習時等、様々な場面で保護者の付添いが発生している事例(一方で、付添いが生じないよう採用や配置の工夫を行っている教育委員会あり)
    • 在校時の災害発生への備えについて、
      • 医療的ケアに必要な物品等の備蓄や人工呼吸器用の非常用電源の確保が行われていない状況
      • 学校での待機長期化時の対応の取決めが行われていない状況
  • 当省の意見
    • 関係部署等と連携した医療的ケア児の早期把握、保護者等への早期のアプローチの促進
    • 看護師の確保が困難である要因を踏まえた支援方策の検討
    • 医療的ケア実施者の配置・採用形態の工夫等による付添いの解消の取組の促進
    • 必要な物品の備蓄・準備方法をあらかじめ取り決めておくなど、災害発生時にも医療的ケアが実施できる環境の整備
  • 期待される効果
    • 保護者の付添いの解消
    • 災害発生時における的確な医療的ケアの実施
    • 個々の児童の心身の状況等に応じた教育機会の確保
    • 家族の離職・休職防止

総務省 宇宙通信アドバイザリーボード(第1回)
▼ 資料AB1-2 内閣府説明資料
  • 『宇宙基本計画』(令和5年6月13日 閣議決定)
    • (5)宇宙開発の中核機関たるJAXAの役割・機能の強化
      • 宇宙技術戦略に従って、世界に遅滞することなく開発を着実に実施していくため、我が国の中核宇宙開発機関であるJAXAの先端・基盤技術開発能力を拡充・強化するとともに、プロジェクトリスク軽減のため、プロジェクトに着手する前に技術成熟度を引き上げる技術開発(フロントローディング)も強化する。
      • (中略)さらに、欧米の宇宙開発機関が、シーズ研究を担う大学や民間事業者、また、商業化を図る民間事業者の技術開発に向けて、資金供給機能を有していることを踏まえ、JAXAの戦略的かつ弾力的な資金供給機能を強化する。これにより、JAXAを、産学官・国内外における技術開発・実証、人材、技術情報等における結節点として活用し、産学官の日本の総力を結集することで、宇宙技術戦略に従って、商業化支援、フロンティア開拓、先端・基盤技術開発などの強化に取り組む。
  • 『デフレ完全脱却のための総合経済対策』(令和5年11月2日 閣議決定)
    • 宇宙や海洋は、フロンティアとして市場の拡大が期待されるとともに、安全保障上も重要な領域である。「宇宙基本計画」に基づき新たに宇宙技術戦略を策定するなど、宇宙政策を戦略的に強化するとともに、「海洋基本計画」に基づき新たに海洋開発重点戦略を策定し、取組を進める。
    • 宇宙については、民間企業・大学等による複数年度にわたる宇宙分野の先端技術開発や技術実証、商業化を支援するため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に10年間の「宇宙戦略基金」を設置し、そのために必要な関連法案を早期に国会に提出する。本基金について、まずは当面の事業開始に必要な経費を措置しつつ、速やかに、総額1兆円規模の支援を行うことを目指す。その際、防衛省等の宇宙分野における取組と連携し、政府全体として適切な支援とする
  • 背景
    • 人類の活動領域の拡大や宇宙空間からの地球の諸課題の解決が本格的に進展し、経済・社会の変革(スペース・トランスフォーメーション)がもたらされつつある。
    • 多くの国が宇宙開発を強力に推進するなど、国際的な宇宙開発競争が激化する中、革新的な変化をもたらす技術進歩が急速に進展しており、我が国の技術力の革新と底上げが急務となっている。
  • 目的・概要
    • 我が国の中核的宇宙開発機関であるJAXAの役割・機能を強化し、スペース・トランスフォーメーションの加速を実現する。
    • このため、民間企業・大学等が複数年度にわたる予見可能性を持って研究開発に取り組めるよう、新たな基金を創設し、産学官の結節点としてのJAXAの戦略的かつ弾力的な資金供給機能を強化する。
  • 今後の検討の方向性①
    • 既存の取組に加えて、我が国として民間企業・大学等が複数年度にわたって大胆に研究開発に取り組めるよう、新たな基金を創設し、民間企業・大学等による先端技術開発、技術実証、商業化を強力に支援。
    • 事業全体の目標達成に向け、各分野において宇宙関連の他の施策との相乗効果を図りつつ、以下の方向性に沿った技術開発を推進する。
      • 輸送
        • 国内で開発された衛星や海外衛星、多様な打上げ需要に対応できる状況(例えば、2030年代前半までに基幹ロケット及び民間ロケットの国内打上げ能力を年間30件程度確保)を見据え、低コスト構造の宇宙輸送システムを実現する。
        • そのための産業基盤を国内に構築し自立性及び自律性を確保するとともに、新たな宇宙輸送システムの実現に必要な技術を獲得し我が国の国際競争力を底上げする。
      • 衛星等
        • 国内の民間事業者(スタートアップ含む)による小型~大型の衛星事業(通信、観測等)や軌道上サービス等による国際競争力にもつながる自律的な衛星のシステムを実現する(例えば、2030年代早期までに国内の民間企業等によるシステムを5件以上構築)。
        • そのための産業基盤を国内に構築し自立性及び自律性を確保するともに、革新的な衛星基盤技術の獲得により我が国の国際競争力を底上げする。
        • また、上記衛星を含む衛星システムの利用による市場を拡大する。
      • 探査等
        • 月や火星圏以遠への探査や人類の活動範囲の拡大に向けた我が国の国際プレゼンスを確保する(例えば、2030年代早期までに、我が国の民間企業等が月や火星圏以遠のミッション・プロジェクトに新たに10件以上参画)。
        • 2030年以降のポストISSにおける我が国の民間事業者の事業を創出・拡大する(例えば、2030年代早期までに地球低軌道を活用したビジネスを10件以上創出)。
        • また、これらの活動機会を活用し、太陽系科学・宇宙物理等の分野における優れた科学的成果の創出や、国際的な大型計画への貢献にもつなげる。
  • 今後の検討の方向性②
    • 事業全体の制度設計については「基本方針」、各技術開発テーマの目標、内容について「実施方針」においてその具体的事項を記載する(以下に、項目案を記載)。
    • 本事業の技術開発テーマの設定にあたっては宇宙技術戦略(「宇宙輸送」「衛星」「宇宙科学・探査」)で抽出された技術項目を参照する。
    • その上で、JAXA主体の研究開発ではなく、民間企業・大学等が主体となって技術開発を推進することにより、事業全体の目標や各分野の方向性に貢献することが期待できるか、その道筋が示されているかという観点から資源配分を精査し、技術開発テーマを設定する。
      • 基本方針
        • 事業の目的・概要
        • 事業全体の目標、3分野の方向性
        • 技術開発テーマ設定の考え方
        • 支援の基本的な考え方(タイプ別の委託・補助の別 等)
        • 対象事業者の考え方(利益相反 等)
        • JAXAにおける審査・支援体制
        • JAXAにおける研究開発マネジメント(ステージゲート評価の設定等)
        • 政府におけるフォローアップ
        • 各種根幹規定(執行関係、ロケット利用等)
      • 実施方針
        • 技術開発テーマ名
        • 背景・目的(事業目標や3分野の方向性との関係含め)
        • 当該テーマの成果目標、出口目標(可能な限り定量的に)
        • 技術開発実施内容
        • 支援期間、支援規模
        • 主な対象事業者の設定、評価の観点
        • 委託・補助の別及び補助率等の設定
        • 進捗管理・フォローアップの方向性(ステージゲート評価のタイミング等) 等

総務省 不適正利用対策に関するワーキンググループ(第1回)
▼ 資料1-2 ICTサービスの不適正利用対策を巡る諸課題について(事務局資料)
  • ICTサービスの不適正利用に係る背景
    • 特殊詐欺とは、被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、現金等をだまし取る犯罪をいい、手口が多様に存在。令和5年の被害総額※は441.2億円(前年比19%増)。※警察庁調べ
    • フィッシング詐欺とは、実在する企業・金融機関などを装って、電子メールやSMSを送信するなどしてリンクから偽サイトに誘導し、ID・パスワード等を入力させ、個人情報を詐取する犯罪をいう。令和4年のクレジットカード番号盗用被害額※は411.7億円(前年比32.1%増)。※日本クレジット協会調べ
    • いずれも深刻な状況であり、国内外の特殊詐欺等の犯罪の状況を踏まえ、ICTサービスの不適正利用への対処のため、議論を行う必要がある。
  • 電話悪用の手口について
    • 電話悪用と対策はいたちごっこ。犯罪者は、一つの手口をふさぐと次の手口に移っていく。
    • 【携帯電話】手軽に利用できる携帯電話を悪用した手口がまず発達
    • 【電話転送】電話転送サービスを悪用し、03番号等を表示させて信用させる手口が発達
    • 【050IP電話】本人確認義務のない050IP電話を悪用する手口。
      • 最近では、海外経由の通信サービスなど、着信時に電話番号が表示されないものを悪用した犯行も確認されている。
  • 総務省におけるこれまでの特殊詐欺対策について
    • 特殊詐欺対策について、総務省は電話を所管する立場から、以下の3本柱で、電話の悪用対策を実施
    • 対策の柱(1)携帯電話不正利用防止法(携帯電話利用者の本人確認)の執行
    • 対策の柱(2)犯罪収益移転防止法(電話転送サービス利用者の本人確認)の執行
    • 対策の柱(3)電話番号の利用停止措置の運用
      • (1)携帯電話不正利用防止法の執行(2006.4施行(レンタルは2008.12より対象))
        • 携帯電話の契約時の本人確認を義務付け
        • 総務大臣は、本人確認義務を履行していないキャリアショップ等に対して是正命令を発出
      • (2)犯罪収益移転防止法の執行
        • 電話転送サービス事業者等に対して、顧客等の本人確認を義務付け
        • 国家公安委員会からの意見陳述も踏まえ、総務大臣は、義務違反の事業者に対して是正命令を発出
      • (3)電話番号の利用停止措置の運用
        • 総務省から事業者団体(TCA・JUSA)への通知に基づき、県警等からの要請に応じて、特殊詐欺に利用された固定電話番号等の利用停止、悪質な利用者への新たな固定電話番号の提供拒否を実施。(2008.3施行(電話転送は2013.4より対象))
  • 「携帯電話不正利用防止法」の概要
    • これまでの経緯
      • 平成17年4月、議員立法により「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」が成立。(平成17年法律第31号)
      • 「レンタル携帯電話事業者による本人確認の厳格化等」を内容とする改正法が平成20年6月成立。同年12月から施行。
    • 携帯電話不正利用防止法の概要
      • 契約者の管理体制の整備の促進 及び 携帯音声通信サービスの不正利用の防止のため、以下を措置
        • 契約締結時・譲渡時の本人確認義務等
          • 携帯電話事業者及び代理店に対し、(1)運転免許証等の公的証明書等による契約者の本人確認とともに、(2)本人確認記録の作成・保存(契約中及び契約終了後3年間)を義務付け。
        • 警察署長からの契約者確認の求め
          • 警察署長は、犯罪利用の疑いがあると認めたときは、携帯電話事業者に対し契約者確認を求めることが可能。また、本人確認に応じない場合には、携帯電話事業者は役務提供の拒否が可能。
        • 貸与業者の貸与時の本人確認義務等
          • 相手方の氏名等を確認せずにレンタル営業を行うことを禁止。(1)運転免許証等の公的証明書等による契約者の本人確認とともに、(2)本人確認記録の作成・保存(契約中及び契約終了後3年間)を義務付け。
        • 携帯電話の無断譲渡・譲受けの禁止
          • 携帯電話事業者の承諾を得ずに譲渡することを禁止。
        • 他人名義の携帯電話の譲渡・譲受けの禁止
  • 「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の概要
    • 犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)は、犯罪による収益の移転の防止を図り、国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的として制定(平成20年3月1日施行)。
    • 特定事業者(※)に対して、顧客等の取引時確認、疑わしい取引の届出等を義務付け。
      • ※金融機関、ファイナンスリース業者、クレジットカード業者、弁護士、司法書士、公認会計士等(特定事業者により義務等は若干異なる)。総務省関係では、電話受付代行業者、電話転送サービス事業者、行政書士、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が該当。
    • 特定事業者に対して、以下の事項について義務づけ。
      • 取引時確認義務
        • 運転免許証等の公的証明書等による顧客等の(1)氏名・名称、(2)住居・本店又は主たる事務所の所在地、(3)生年月日、(4)取引を行う目的、(5)職業・事業内容、(6)実質的支配者の確認を義務づけ。
        • マネー・ローンダリングに利用されるおそれが特に高い取引(ハイリスク取引)については、上記確認事項に加え、その取引が200万円を超える財産の移転を伴うものである場合には「資産及び収入の状況」の確認も義務づけられている。
      • 確認記録の作成・保存義務
        • 取引時確認を行った場合には直ちに確認記録を作成し、当該契約が終了した日から7年間保存することを義務づけ。
      • 取引記録の作成・保存義務
        • 特定業務に係る取引を行った場合若しくは特定受任行為の代理等を行った場合には、直ちにその取引等に関する記録を作成し、当該取引又は特定受任行為の代理等が行われた日から7年間保存することを義務づけ。
      • 疑わしい取引の届出
        • 特定業務に係る取引について、(1)当該取引において収受した財産が犯罪による収益である疑いがあるかどうか、(2)顧客等が当該取引に関し組織的犯罪処罰法第10条の罪若しくは麻薬特例法第6条の罪に当たる行為を行っている疑いがあるかどうかを判断し、これらの疑いがあると認められる場合に、行政庁に対して疑わしい取引の届出を行うことを義務づけ。
      • 取引時確認等を的確に行うための措置
        • (1)取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保つための措置を講ずるとともに、(2)使用人に対する教育訓練の実施、顧客管理措置の実施に関する内部規程の策定、顧客管理措置の責任者の選定等の措置を講ずるよう努めなければならない(努力義務)。
  • 特殊詐欺に利用された固定電話番号等の利用停止等スキーム
    • 警察からの要請に応じ、電気通信事業者が以下の措置を実施
      • 特殊詐欺に利用された固定電話番号等の利用停止措置
      • 新たな固定電話番号等の提供拒否
      • 悪質な電話転送サービス事業者の保有する固定電話番号等(在庫番号)の利用停止
  • SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン
    • 現状
      • 「闇バイト強盗」と称されるSNS上で実行犯を募集する手口等を特徴とする一連の強盗等事件が広域で発生。
      • 被害者の大部分が高齢者である特殊詐欺の認知件数は、令和3年以降、増加しており、また、その被害額は、令和4年、8年ぶりに増加。
      • こうした情勢を受け、国民の間に不安感が拡大する中、この種の犯罪から国民を守るため、一層踏み込んだ対策として「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」を策定
    • プランの概要
      • 「実行犯を生まない」ための対策
        • 「闇バイト」等情報に関する情報収集、削除、取締り等の推進
        • サイバー空間からの違法・有害な労働募集の排除
        • 青少年をアルバイト感覚で犯罪に加担させない教育・啓発
        • 強盗や特殊詐欺の実行犯に対する適正な科刑の実現に向けた取組の推進
      • 「実行を容易にするツールを根絶する」ための対策
        • 個人情報保護法の的確な運用等による名簿流出の防止等の「闇名簿」対策の強化
        • 携帯電話等の本人確認や悪質な電話転送サービス事業者対策の推進
        • 悪用されるSMS機能付きデータ通信契約での本人確認の推進
        • 預貯金口座の不正利用防止対策の強化
        • 証拠品として押収されたスマートフォン端末等の解析の円滑化
        • 秘匿性の高いアプリケーションの悪用防止
        • 帰国する在留外国人による携帯電話・預貯金口座の不正譲渡防止
      • 「被害に遭わない環境を構築する」ための対策
        • 宅配事業者を装った強盗を防ぐための宅配事業者との連携
        • 防犯性能の高い建物部品、防犯カメラ、宅配ボックス等の設置に係る支援
        • 高齢者の自宅電話番号の変更等支援
        • 高齢者の自宅電話に犯罪者グループ等から電話が架かることを阻止するための方策
        • 現金を自宅に保管させないようにするための対策
        • パトロール等による警戒
      • 「首謀者を含む被疑者を早期に検挙する」ための対策
        • 犯罪者グループ等の実態解明に向けた捜査を含む効果的な取締りの推進
        • 国際捜査の徹底・外国当局等との更なる連携
        • 現金等の国外持出し等に係る水際対策の強化
  • 「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」に基づく総務省の施策の進捗状況
    • 既に実行に移した施策
      • 青少年をアルバイト感覚で犯罪に加担させない教育・啓発
        • 『インターネットトラブル事例集2023年版』に「闇バイト」等に関する注意喚起を掲載。教育委員会、PTA等の関係機関に周知して教育・啓発。(3月)
      • ナンバーディスプレイ等の普及拡大
        • 高齢者が悪質電話に出ないようにする観点から、総務省からNTT東西に対し、ナンバーディスプレイ等の普及拡大について要請。これを踏まえ、NTT東西において、ナンバーディスプレイ等の無償化を実施。(5月)
    • 準備・検討を進めている施策
      • 050アプリ電話の契約時の本人確認の義務 現時点で実施済
        • 特殊詐欺への悪用が特に多く確認されている「050アプリ電話」について、契約時の本人確認を義務化する制度改正を準備。【総務省令の改正】
      • 悪質な電話転送事業者の在庫電話番号の一括利用制限 現時点で実施済
        • 悪質な電話転送事業者が保有する固定電話番号等(在庫電話番号)の利用を一括して制限するスキームの改正を準備。【業界団体への要請文書の改正】
      • 携帯電話の契約時の本人確認におけるマイナンバーカードの活用 更なる対応が必要
        • 本人確認書類の券面の偽変造による不正契約を防ぐ観点から、携帯電話の契約時の本人確認におけるマイナンバーカードの公的個人認証の活用に向け、業界団体との協議を実施。
      • SMS機能付きデータ通信専用SIMカードの悪用対策 更なる対応が必要
        • SMS機能付きデータSIMの悪用の実態について、携帯電話キャリアやSMS配信事業者に対して調査を実施。悪用の実態の分析結果を踏まえて対策を検討。
  • SMSを利用するフィッシング詐欺(スミッシング)の状況
    • SMSは、電話番号だけで送信が可能であり、開封率が高いため、数多くの事業者において、SMS認証や簡易な連絡手段として活用されているが、その特徴を悪用し、フィッシング詐欺メッセージの送信にも多く利用されている。
    • 一部キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)において、デフォルトオンのSMSフィルタリングが導入(令和4年)されており、文面等を分析したうえで、危険だと判断されるものはブロックされているが、それをかいくぐって届いてしまうものも少なくない。
    • 事業者ヒアリングの結果、スミッシングのメッセージについては、そのほとんどがマルウェアに感染したスマートフォンから発信されているのではないかと指摘されている。
  • ICTサービスの不適正利用への対処
    • 特殊詐欺やフィッシング詐欺等のICTサービスの不適正利用への対処に関し、最近の動向等を踏まえ、専門的な観点から集中的に検討する
      • 特殊詐欺対策
        • 特殊詐欺被害が引き続き深刻な状況。「足のつかない電話」の発生抑止のため、本人確認書類の偽変造への対応など、本人確認の実効性の向上※に関して取り組むべき事項はあるか。※非対面契約でのマイナンバーカードの公的個人認証の活用等
        • 特殊詐欺に悪用された電話番号の利用停止スキームが効果をあげていることから、本スキームの適用事業者の拡大※に向けて取り組むべき事項はあるか。※業界団体に加盟していない事業者等
      • SMSによるフィッシング詐欺(スミッシング)対策
        • SMSを利用したフィッシング詐欺(スミッシング)の被害が拡大する中、スミッシングメッセージの発信元※への警告など、実効性ある対応策はあるか。※マルウェアに感染したスマートフォンの利用者など

総務省 利用者情報に関するワーキンググループ(第1回)
▼ 資料1-2利用者情報の適切な取扱いの確保に関する背景及び現状について(事務局)
  • 「プラットフォームサービスに関する研究会」は、今年度のモニタリングの実施及び結果を踏まえて、総務省による今後の利用者情報の取扱いに関するモニタリングについて、以下のとおり提言する。
    • 「電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン」第52条第2項等に基づき、デジタル広告分野に限らず利用者情報の取扱いについて、継続的にモニタリングを行うべきである。
    • 上記のモニタリングを行うにあたり、総務省において安定的な枠組みを作ることが必要である。
    • 上記のモニタリングを行うにあたり、事業者からの情報提供が十分に得られるように、総務省においては、ヒアリング項目や方法の工夫を行うとともに、必要に応じ制度的な対応も検討すべきである。
    • 上記のモニタリングを行うにあたっては、特に利用者保護の観点に立ち、新たなターゲティング手法の登場等の業界の動向を踏まえながら、プラットフォーム事業者における情報取得の方法等、利用者情報の取扱いについて確認していく必要がある。
    • 上記のモニタリングを行うにあたっては、特に、今般のモニタリング結果において要検討事項と指摘された事項について検討を深めることが必要である。その上で、プラットフォーム事業者が、アカウントを取得していない利用者やログインしていない利用者からも情報を取得していること、第三者や、第三者のウェブサイトを通じて情報を取得していることに関し、利用者保護の観点から、対応を行うべき点がないかについて検討を行うことが必要である。
  • 親会(第一回)での主なご意見(利用者情報に係るご意見のみ抜粋)
    • スマートフォン上のプライバシー対策
      • スマートフォン利用者情報取扱指針は、見直しをしたほうがよい。スマートフォンプライバシーイニシアティブ(SPI)は基本的には、外部送信規律と守備範囲としては同じであるとともに、法的拘束力のないベストプラクティスなので、法制化から、一歩進んだレベルを目指すべき。【森構成員】
      • プラットフォーム研究会の議論が外部送信規律の法制化に反映されているかというと、それは必ずしもそういうわけではない。例えば、外部送信技術の規制の対象者をどうするのか、外部送信技術の中身としてどのような情報を送信するのか、送信先はどこか、通知・公表でいいのか、それともオプトアウトさせなければいけないのか、改めて見直していかなければいけない。【森構成員】
    • 利用者情報に係るモニタリング等
      • モニタリングについては、PDCA、計画に基づくモニタリングがうまく機能できているかということも含めて、定期的に振り返るような場をつくるなどの仕組みが求められているのではないか。【大谷座長代理】
      • 利用者保護の観点に立ってモニタリングを進めるべきであるということが重要なポイント。【森構成員】
      • サービスに係るアカウントを持っていない、ログインしていない場合に、情報を取得することを知る機会がない、あるいは、それに対して同意をする機会がないため、そのような場合にはプライバシーポリシーの工夫や、ユーザに対する情報提供が効果を発揮していない。もし、それらの方々からも情報を取得している場合、プライバシーポリシー等によらない保護の方法、本人関与の方法というものを法制度的に考えていかなければいけない。【森構成員】
      • EUにおいて、Metaの情報収集について、競争法の文脈で、裁判所による一定の判断があった。その中で、果たして同意が機能しているのかということも議論されたようなので、いずれ御紹介いただきたい。【森構成員】
  • デジタルサービス法(DSA)の概要
    • 2022年11月、EUのデジタルサービス法の一部が施行。本規則の目的は、安全で予測可能かつ信頼できるオンライン環境のための調和された規則を定めることにより、仲介サービスのための域内市場の適切な機能に貢献することであり、その中でイノベーションを促進し、消費者保護の原則を含む憲章に謳われた基本権が効果的に保護されること(第1条)、とされている。
    • 本法においては、コンテンツモデレーション等に関し様々な義務が規律されているが、その他、ダークパターンの禁止(第25条)、プロファイリングに基づく広告の表示や推奨システムのパラメータに係る透明性確保(第26条及び第27条、第38条及び第39条)、未成年者のオンライン保護(第28条)等の義務が課せられている。
    • 対象事業者・対象サービス
      • 2023年4月、17のサービスがVLOP、2のサービスがVLOSEに指定された。また、2023年12月、3のサービスがVLOPに追加指定された。
      • サービスの一覧については、次ページのとおり。2024年2月から、EU内のすべてのプラットフォーム事業者に法順守義務の発生。
      • VLOP及びVLOSE【第33条】:EU域内の月間平均実質利用者数が4,500万人以上の、超大規模オンラインプラットフォーム(VLOP)または超大規模オンライン検索エンジン(VLOSE)と指定されたオンラインプラットフォーム
    • 利用者情報に係る規律の概要
      • ダークパターンと呼ばれる、サービス利用者を欺いたり操作したりするような方法や、サービス利用者が自由に意思決定を行う能力を著しく歪めたり損なうような方法で、オンラインインターフェイスを設計、編成、運用してはならない。(第25条)
      • 推奨システムで使用される主なパラメータ、およびサービス利用者がこれらのパラメータを変更するあるいはパラメータに影響を与えるための選択肢を、平易でわかりやすい言葉で、利用規約に含めなければならない。推奨システムに選択肢がある場合、サービス利用者が、選択肢をいつでも選択、変更できる機能を提供しなければならない(第27条)。超大規模事業者は、GDPR第4条4項で定めるプロファイリングに基づかない、推奨システムのオプションを少なくとも1つ提供しなければならない。(第38条)
      • 未成年者がアクセスできるオンラインプラットフォームの提供者は、そのサービスにおいて、未成年者のプライバシー、安全、およびセキュリティを高い水準で確保するための適切かつ相応の措置を講じるものとする。(第28条)
    • 執行
      • 義務違反の場合、第52条第3項に基づき、当該サービス提供者の前会計年度の全世界年間売上高の6%の罰金や日次平均売上高または収入の5%の賦課が課される可能性がある。
  • デジタル市場法(DMA)の概要
    • 2022年11月、EUのデジタル市場法の一部が施行。本規則の目的は、ビジネスユーザー及びエンドユーザーの利益のために、ゲートキーパーが存在するEU全域のデジタルセクターにおいて、すべての事業者が競争可能で公正な市場を確保するための調和された規則を定め、域内市場の適切な機能に貢献すること(第1条)、とされている。
    • 本法においては、公正な競争環境の整備の観点から様々な義務が規律されているが、第15条において、消費者のプロファイリングのための技術について、独立監査済みの説明を欧州委員会に提出しなければならないとする義務がゲートキーパには課せられている。
    • 対象事業者・対象サービス
      • 2023年9月、アルファベット、アマゾン、アップル、バイトダンス、メタ、マイクロソフトがゲートキーパーに指定された。指定されたサービスについては、次ページのとおり。2024年3月から、ゲートキーパーに対し法順守義務の発生。
      • ゲートキーパー【第2条(1)】:コアプラットフォームサービス【第2条(2)】(※)を提供する事業者で、以下を満たす事業者を指定【第3条】
        1. EU域内における過去3年間の年間売上高が75億ユーロ以上、もしくは直近年度の平均時価総額が750億ユーロ以上であり、かつ3つ以上の加盟国において同じコアプラットフォームサービスを提供
        2. 直近の年度において、EU域内の月間エンドユーザー数が4,500万人以上かつ年間ビジネスユーザー数が1万者以上のコアプラットフォームサービスを提供
        3. 2.の基準を過去3年度において満たす
          • ※コアプラットフォームサービス【第2条(2)】:オンライン仲介サービス、オンライン検索エンジン、SNS、オンライン広告サービス 等
    • 第15条に基づく報告
      • 第15条に基づく消費者のプロファイリングのための技術の説明については、2023年12月に欧州委員会が報告様式を公表しており、以下のセクション1~7のとおり構成されている。
        1. ゲートキーパーに係る一般情報
        2. 消費者のプロファイリング技術に係る情報
        3. 監査人に係る一般情報
        4. 監査手続きに係る情報
        5. 監査の結論
        6. 機密情報を含まない要約
        7. 宣言
    • 執行
      • 義務違反の場合、当該ゲートキーパーの前会計年度の全世界年間売上高の10%の罰金【第30条第1項】や日次平均売上高の5%の1日ごとの賦課【第31条第1項】が課される可能性がある。

総務省 労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)1月分結果
▼ 労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)1月分結果の概要
  • 就業者の動向
    • 男女別就業者数
      • 就業者数は6714万人。前年同月に比べ25万人(0.4%)の増加。18か月連続の増加。男性は3682万人。4万人の減少。女性は3032万人。29万人の増加
    • 従業上の地位別就業者数
      • 自営業主・家族従業者数は602万人。前年同月に比べ17万人(2.7%)の減少
      • 雇用者数は6076万人。前年同月に比べ42万人(0.7%)の増加。23か月連続の増加。男性は3286万人。8万人の増加。女性は2790万人。35万人の増加
    • 雇用形態別雇用者数
      • 正規の職員・従業員数は3603万人。前年同月に比べ31万人(0.9%)の増加。3か月連続の増加
      • 非正規の職員・従業員数は2146万人。前年同月に比べ13万人(0.6%)の増加。5か月連続の増加
      • 役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は37.3%。前年同月に比べ0.1ポイントの低下
    • 就業率
      • 就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合)は61.1%。前年同月に比べ0.4ポイントの上昇
      • 15~64歳の就業率は78.7%。前年同月に比べ0.5ポイントの上昇。男性は84.3%。0.3ポイントの上昇。女性は73.0%。0.7ポイントの上昇
      • 20~69歳の就業率は80.6%。前年同月に比べ0.6ポイントの上昇
  • 完全失業者の動向
    • 男女別完全失業者数
      • 完全失業者数は163万人。前年同月に比べ1万人(0.6%)の減少。2か月連続の減少
      • 男性は92万人。前年同月に比べ5万人の減少。女性は70万人。前年同月に比べ3万人の増加
    • 求職理由別完全失業者数
      • 完全失業者のうち、「勤め先や事業の都合による離職」は19万人と、前年同月に比べ8万人の減少、「自発的な離職(自己都合)」は71万人と、前年同月に比べ5万人の増加、「新たに求職」は44万人と、前年同月と同数
    • 年齢階級別完全失業者数
      • 男性の完全失業者数は、「25~34歳」、「35~44歳」及び「45~54歳」の年齢階級で、前年同月に比べ減少
      • 女性の完全失業者数は、「25~34歳」、「45~54歳」及び「55~64歳」の年齢階級で、前年同月に比べ増加

【2024年2月】

総務省 日EU・ICT政策対話(第29回)の結果
  • 総務省は、欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局とともに、2月20日(火)に、日EU・ICT政策対話(第29回)をweb会議にて開催しました。本政策対話は、ICT分野における政策について日EUの政府間で相互理解を深め、連携・協力を推進することを目的としています。今回の会合では、日EU間におけるICT分野の重要テーマに関し、双方の最新の取組について活発な議論が行われました。今回の会合の結果を受けて、協力の一層の深化、具体化に向けて引き続き議論してまいります。
  • 日EU・ICT政策対話(第29回)の主な成果
    • 今回(第29回)の政策対話では、日EU双方におけるICT分野における政策動向や課題等を踏まえ、主として以下の事項について対話を行った。
      1. AI
        • 日本側から、広島AIプロセスへの賛同国増加に向けたアウトリーチや企業等による国際行動規範への支持拡大に向けた今後の取組を説明し、特に本年5月のOECD閣僚理事会での議論に向け協力していくことが日EU双方で確認された。また、AI事業者ガイドラインの検討状況について説明した。EU側からはAI規則制定に向けた今後の流れについて説明があった。
      2. 海底ケーブル
        • 日本側から、経済安全保障推進法の基幹インフラ制度に基づく取組及びデータセンターや海底ケーブル等の分散立地によるデジタルインフラの強靱化に向けた取組について、EU側からは、海底ケーブルに対して実施している支援内容について説明があり、今後の協力について議論した。
      3. 5G・Beyond 5G/6G等
        • Beyond5G/6Gの標準化を見据えた共同研究実施に向けたそれぞれの取組の進捗について日EU双方から説明を行い、意見交換を行った。また、Open RANを含む通信インフラのレジリエンス確保等について、オープンなネットワークの重要性を双方で確認した。
      4. オンラインプラットフォーム
        • 日本側から、インターネット上の誹謗中傷等の違法・有害情報及び偽・誤情報について、総務省のこれまでの取組や今後の方向性を説明した。EU側からは、デジタルサービス法(DSA)及び偽情報に関する行動規範について説明があり、特に、偽・誤情報対策に関する協力を深めていくことを確認した。
      5. サイバーセキュリティ
        • 日本側から、NOTICEプロジェクトにおける新たな取組の紹介、日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センター(AJCCBC)で行われているサイバーセキュリティ人材育成の取組状況、日米EUのISAC国際連携に向けた取組について説明した。EU側からは、サイバーレジリエンス法に係る施行準備状況、サイバー連帯法に基づくサイバー脅威に対する取組について説明があった。特に、IoTのセキュリティや途上国に対するサイバーセキュリティ能力構築支援について継続的に議論していくこととなった。

総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会(第9回)配付資料 ※ワーキンググループ(第3回)合同開催
▼資料9-3-4 LINEヤフー株式会社 ご発表資料
  • 「偽・誤情報」の範囲(利用規約)
    • 政府機関・ファクトチェック機関など信頼できる機関によるファクトチェック結果に基づき明らかな偽・誤情報と判断されるものについて対応
    • 具体的な禁止行為はサービスの性質に応じ設定。違反に対しては投稿削除・アカウント停止等
      • ニュースコメント
        • 【明らかな偽情報】健康被害等をもたらす可能性のある偽情報であって、ファクトチェックにより反真実であることが明らかになっているもの
        • 「新型コロナウイルスのワクチンを接種すると、流産する。不妊になる。」
      • 知恵袋
        • 【明らかな偽情報に関する投稿】明らかに事実と異なり、社会的に混乱を招く恐れのある投稿につきましては削除の対象となることがあります。
        • 「(そのような事実がないにもかかわらず)昨日、○○(地名)で大地震があったけど、、、」
      • ファイナンス
        • 【明らかな偽情報】架空の出来事のでっちあげや虚偽の内容の投稿をすること ※ 金商法上の風説の流布に当たる行為についても禁止
        • 「〇〇会社が製造したワクチンを接種された実験用の動物が全て死亡した」
      • オープンチャット
        • 真偽不明の情報の拡散
        • 「コロナワクチンによって不妊になる」「能登半島地震は人工地震である」
      • VOOM
        • 誤情報の拡散 フェイクニュースなど虚偽の情報、身体に影響を及ぼす食品、医療、医療薬などの虚偽の情報を意図的に発信・拡散・流布させる行為を許可しません。
        • 人工地震についての言及
  • 投稿削除の状況(~23年12月)
    • 「偽・誤情報」を理由とする投稿削除は基本的に少数(参考:ニュースコメント欄では全投稿削除件数のうち偽・誤情報を理由とするものは0.06%(22年度))
    • 削除対象となった投稿の大半はコロナワクチン関係のデマ情報
      • Yahoo!ニュースコメント欄 848件(23年4~12月)※1,761件(22年度)
      • Yahoo!知恵袋 451件(23年7~12月)
      • Yahoo!ファイナンス掲示板 0件(22年度)※23年11月に具体例追記等のアップデートを実施
      • LINEオープンチャット 21件(23年1~12月)
      • LINE VOOM 5件程度(23年1~12月)
  • 能登半島地震関連の投稿削除の状況
    • 大半が「人工地震」関係⇒規約上の別の根拠(不謹慎等)により措置した例も多い
    • 件数がカッコ書きとなっているものは「偽情報」以外の規約上の根拠により措置したもの
      • Yahoo!ニュースコメント欄(4件)「〇〇国にも人工地震を」など
      • Yahoo!知恵袋(914件)「人工地震は〇〇国からの天罰」など
      • Yahoo!ファイナンス掲示板(7件)「地震ではなく核攻撃だ」など
      • LINEオープンチャット 735件 人工地震に関するデマ情報
      • LINE VOOM 161件 募金を募る行為・人工地震に関するデマ情報
  • 偽・誤情報の拡散・流通の抑制
    • 事後の対応であるモデレーションだけでなく事前の投稿の抑制策が重要
    • LY社全体では100以上のサービスが存在しており、UGCはその一部。サービス全体として情報発信や注意喚起等の対応を実施
    • メディア UGCの導線上に位置。最新情報・打ち消し情報等を発信
    • 天気・災害 有事の際に被災地等に向けた「正しい」情報の発信
    • UGC ユーザーへの積極的な注意喚起
  • 最新情報・打ち消し情報の発信
    • 【Yahoo!ニュース】地震関連のデマについて打ち消しのトピックスを作成・「災害時の情報との向き合い方」の特設ページを公表
      • 能登地震 虚偽情報の拡散に注意(1/2)
      • 「息子挟まれた」SNSに虚偽投稿(1/2)
      • 迫る72時間 デマ拡散「命関わる」(1/4)
      • 偽の救助要請 閲覧数稼ぐ狙いか(1/5)
      • 被災者装いデマ投稿 法的問題は(1/5)
      • 2次避難の偽情報 首相が注意喚起(1/13)
      • 災害デマ拡散 背景にインプ稼ぎも(1/19)
      • 地震巡る偽情報判別へ 開発支援(1/24)
    • Yahoo!天気・災害
      • 災害マップ(2020年3月~)
      • 災害の危険が迫っている時や災害時に、ユーザー同士で状況を投稿して共有。また、報道メディア・NPOなどの連携パートナーによる投稿情報を地図上に表示
      • ユーザーの投稿情報は「Yahoo!防災速報」アプリと「Yahoo!天気・災害」のウェブページ(スマホブラウザ版)で収集。周辺状況をリアルタイムに確・認可能能登半島地震を受けた対応(24年1月)
      • 支援情報や避難所の開設情報を追加
      • 自治体の公式サイトやYahoo!くらし、防災速報などに加え、自治体のLINEアカウントなども確認しながら、自治体や自衛隊などからの情報を探して入力
  • 偽・誤情報と名誉(信用)毀損
    • 名誉(信用)毀損と偽・誤情報の問題は真偽判断がカギとなるという点では共通。社会的混乱のリスクが大きい場合には偽・誤情報の問題として対応
    • 名誉(信用)毀損事案への対応と「偽情報」への対応との違いをどのように考えればよいか
  • 社会的混乱のリスクの評価
    • プラットフォーム事業者が「偽情報」であるかどうかの判断を行う上では、主として3つの課題に直面
      • 情報入手
        • 自社サービス外の情報は基本的に報道やファクトチェック機関等に依存せざるを得ない
      • 時間軸
        • 情報の拡散速度を考えると、ファクトチェック結果等を待たず対応すべき場合も少なくない
      • サービス性質
        • 他社サービスにおいて流通・拡散している情報が必ずしも自社サービスにおいてリスクとなるとも限らない
    • 緊急時において迅速かつ円滑な対応を行うためにはステークホルダー間での情報共有のための枠組があることが望ましい
  • 「利用規約に基づく措置」
    • コンテンツモデレーションに当たっては対象投稿の様々な要素をとらえて対応。「偽情報」以外の禁止事項を適用し得る場合もあるが、一定の限界も
    • 他方「偽情報」として対応する場合、ファクトチェック結果の解釈幅に問題が生じることも。一定のコンセンサスが形成されることが望ましい
      • 「偽情報」
        • 原則として外部機関によるファクトチェック結果がある場合に限るなど、謙抑的に運用(「明らか」要件)
        • ファクトチェック結果についてPF側で安易な拡大解釈は望ましくない
      • その他(「不謹慎」・「広告宣伝」など)
        • 適用の場面は限られるが機動的に対応可能(⇒ただし、解釈による対応には一定の限界)
        • あらかじめ緊急時における解釈・運用の統一を図る上で、プレバンキングは有用(例:寄附金詐欺など)
  • まとめ
    • プラットフォーム事業者が真偽判断を行うに当たり、「偽情報」の内容や対応範囲は十分に明確なものである必要
    • 一方で、プラットフォーム事業者においては、各種の情報・時間的制約から何が「偽情報」であるか範囲を画定することが困難な場合も。ステークホルダー間での情報共有等の枠組みが必要では
      • ※具体的な投稿に対する指摘が必ずしも表現の自由への介入に当たるわけではなく(人権擁護局の削除請求)、過剰介入の防止は透明性の確保により手当てすべきではないか
    • ファクトチェックは有用ではあるが解釈の幅に問題が生じることも。関係者で一定のコンセンサスが形成されることが望ましい
  • 【補論】「透明性」と公共財としてのデータ
    • 各社ではコンテンツモデレーションについて透明性レポートの公開が進みつつある。透明性と説明責任の確保が十分であるかどうかは、透明性レポートの内容に即して評価されるべきではないか
    • データの開示の必要性及びその範囲に関しては、それが透明性・説明責任の問題なのか公共財としての性質に由来する問題なのか(あるいはそれ以外なのか)を峻別しつつ、個別具体の項目ごとに丁寧に議論することが必要ではないか

総務省 経済安全保障ワーキンググループ(第1回)配布資料・議事概要
▼ 資料1-2 外資等規制による経済安全保障の在り方について
  • 経済安全保障推進法の基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度の概要
    • 国民生活及び経済活動の基盤となっている「特定社会基盤役務」(基幹インフラ)の安定的な提供を確保することが重要であるところ、その用に供する重要設備は、役務の安定的な提供を妨害する行為の手段として使用されるおそれがある。
    • そのため、経済安全保障推進法※第3章において、国が一定の基準のもと、規制対象とする事業(特定社会基盤事業)・事業者(特定社会基盤事業者)を指定し、指定された事業者が、国により指定された重要設備(特定重要設備)の導入・維持管理等の委託をしようとする際には、事前に国(事業所管大臣)に届出を行い、審査を受けなければならないこととしている。
      • ※経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和4年法律第43号)
    • 国は、届け出られた計画書に係る特定重要設備が妨害行為の手段として使用されるおそれが大きいと認めるときは、当該計画書を届け出た者に対し、妨害行為を防止するため必要な措置を講じた上で設備導入等を行うこと等を勧告(命令)することがある。
  • 本WGでの検討事項
    • 諮問の概要
      • 電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律(令和2年法律第30号。以下「令和2年改正法」という。)において、令和2年改正法の施行後3年を経過した場合において、改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずるものとされている。
      • 情報通信インフラにおけるIP化・ブロードバンド化やモバイル化、仮想化・クラウド化の進展や事業者間の競争構造の多様化・複雑化の進展、ICT産業の国際競争力の低下等、情報通信を取り巻く環境は大きく変化している。
      • 以上のような大きな変化に迅速かつ柔軟に対応し、国民生活の向上や経済活性化を図るため、令和2年改正法の施行状況を含め、「市場環境の変化に対応した通信政策の在り方」について令和5年8月28日に諮問を行ったところである。
    • 答申を希望する事項
      • 2030年頃に目指すべき情報通信インフラの将来像及び政策の基本的方向性
      • 我が国の社会経済活動を支える「情報通信インフラの整備・維持」の在り方
      • 低廉・多様で安心・安全なサービスを確保するための「競争ルール等の整備」の在り方
      • 我が国の情報通信産業の発展のための「国際展開の推進」の在り方
      • 国際競争力強化等に向けた先端的・基盤的技術の「研究開発の推進・成果普及」の在り方
      • 上記(1)~(5)を踏まえた関係法制度の在り方
      • その他必要と考えられる事項
    • スケジュール
      • 令和5年12月28日から令和6年1月22日までの間、第一次答申(案)に対する意見募集及び論点整理(案)に対する提案募集を実施。同年2月2日に論点整理、同年2月9日に第一次答申が取りまとめられた。
      • 今後、更に検討を深めていくべき事項について各WGで検討し、夏頃までに特別委員会に報告し、答申を予定
  • 速やかに実施すべき事項
    • NTTは旺盛な海外需要に対応する取組を進めており、特にNTTのIOWN構想による「ゲームチェンジ」が実現すれば、我が国の情報通信産業全体の国際競争力飛躍の契機。NTTの研究開発や機動的な事業運営等によるイノベーション促進を法制度面から支援することが重要であるため、NTT法の関係規律を検討し、「速やかに実施すべき事項」を整理。
    • 研究の推進責務の撤廃(NTTの基礎・基盤的研究の取組状況は継続的に検証していくことが適当)
    • 研究成果の普及責務の撤廃(研究成果の原則開示の運用については、12/22の委員会に見直しの考え方が報告)
    • 外国人役員規制の緩和(他例を参考に、一切禁止から、「代表者でないこと」と「役員の3分の1未満」への緩和が適当。)
  • 外資規制 現状と課題
    • 電気通信事業法における外資等規制は、累次の規制緩和を経て全て廃止(1994年に国際衛星通信事業者、WTO自由化約束を経て1998年に旧第一種電気通信事業者に対する外資規制を撤廃)され、現在、外国投資家による電気通信事業者の株式取得は外為法(外国為替及び外国貿易法)により規律されている。
    • 外為法における外資規制は、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期すため、国の安全を損なうおそれ等のある1%以上の個々の株式取得について事前届出により個別審査(一定の基準を遵守した場合には、事前届出の免除あり)を行う等の規制を課している。
    • NTT持株については、外為法に加え、NTT法において、我が国を代表する基幹的電気通信事業者としての役割、特に我が国の安全の確保に対する役割に鑑み、外国の影響力に対する経営の自主性を確保するため、外国人の議決権保有割合が3分の1以上となることを禁止※している。
      • ※立法当時は外国人等による株式保有を禁じていたが、1992年にはその保有割合が5分の1未満まで緩和され、2001年に現行制度に改められた。
  • 論点
    • NTTについては、これまで外為法の「個別審査」とNTT法の「総量規制」が相まって外資から保護を図ってきたところ、以下の点を踏まえ、NTTに対する「個別審査」「総量規制」の在り方について、どう考えるか。
    • 外為法とNTT法では、以下のように目的と手段に差異があること
      • 外為法の目的は「対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期す」こととされる一方、NTT法の目的は、業務・責務の適切な遂行・履行の担保のため、外国の影響力に対する経営の自主性を確保することであること
      • 外為法は居住要件を採用しているため、日本に居住する外国人は規制対象外となる一方、NTT法は国籍要件を採用しているため、全ての外国人が規制対象となること
      • 外為法は、国の安全を損なうおそれのある投資を個別審査するため、NTTの外資比率と無関係に不適切な投資を防止できるのに対し、NTT法は、総量規制であるため、閾値を超える投資はその内容に関係なく防止できること
    • 米、韓、豪などのように、個別審査に加えて、個別法で総量規制がある国がある一方、英、仏、独などのように、個別法の総量規制はなく、個別審査のみの国もあること
    • NTTについて、個別審査に加えて総量規制も引き続き必要と考える場合、NTT以外の主要な電気通信事業者に総量規制を課すことについて、以下の点なども踏まえ、どのように考えるか。
      • NTTが電電公社から承継した線路敷設基盤は「特別な資産」であり、他の主要事業者に比べて、外資から保護することが特に必要との考え方もあること
      • KDDI、ソフトバンクなど、NTT以外の事業者についても、その提供する重要な役務の安定的な提供を確保するため、経済安全保障推進法の特定社会基盤事業者として指定されていること
      • NTTだけに外資規制を課すだけでは不十分であり、主要事業者も対象とすべきとの考え方もあること
      • WTO等の国際協定上の例外措置として留保が可能か否かについて数年を要する可能性のある国際交渉が必要となること
      • 国際協定では安全保障例外が認められるが、その範囲が狭いため、その適用は慎重に検討する必要があること
    • 上記で主要事業者に総量規制を設けることが必要と考える場合、主要事業者の範囲についてどう考えるか。
    • ※なお、外為法の強化について、財務省より以下の意見が表明された。
      • 外為法等の国内法の改正によって外資規制を強化しようとすると、日本政府が既に締結している数々の国際協定との関係で問題がないか、慎重な検証や検討が必要となるが、安保例外の範囲が狭い国際協定との関係では規制強化は困難となり得る。
      • 外為法の事前届出の対象を拡大すると、機関投資家等には、対象銘柄かどうかの確認や事前届出の準備が必要となり、投資家に日本株での資金運用を思いとどまらせ、日本株から離れてしまうことが懸念される。
      • NTT法の外資規制について、目的と対象が違うため外為法で完全に代替することは難しい。
  • 外国人役員規制 現状と課題
    • NTT法は、我が国を代表する基幹的電気通信事業者としての役割、特に我が国の安全の確保に対する役割に鑑み、外国の影響力に対する経営の自主性を確保するため、NTT持株とNTT東西について外国人役員規制(取締役・監査役等が対象)を設けている。
    • グローバル化が進む中、外国人役員規制によって外国人が役員に就けないことは、今後の国際展開を進めていく上で支障になり得る。
    • このため、第一次答申では、NTT法の外国人役員規制は、速やかに緩和することが適当であると提言したところである。
  • 論点
    • 第一次報告書では、NTT法の外国人役員規制は、速やかに緩和することが適当と提言したところであるが、外資規制の検討等を踏まえつつ、他の代替措置を講ずることの可否を含め、更なる緩和や撤廃をすることについてどう考えるか。
    • 仮に、NTTに対する外国人役員規制について要件緩和した上で引き続き課すこととする場合、NTT以外の主要な電気通信事業者に対しても同様の外国人役員規制を課すことについて、外資規制の場合と同様に、国際協定上の留保措置が必要となる点を含めて、どのように考えるか。
    • 上記で主要事業者に外国人役員規制を設けることが必要と考える場合、主要事業者の範囲についてどう考えるか。

総務省 安心・安全なメタバースの実現に関する研究会(第4回)
▼ 資料4-2-1 メタバースに関する海外動向調査
  • グローバル市場概観
    • 2022年のメタバース市場は521億米ドルに達し、2030年には1兆206億米ドルに拡大する見込みで、2023-2030年のCAGRは45.5%と予測されている。
    • メタバース市場は商業、教育、社会化の分野での機会を提供している。ゲーム産業の成長がメタバース市場をけん引するとともに、教育分野ではバーチャルリアリティ(VR)を活用した没入型学習が進展している。
    • 一方、ユーザーのプライバシー保護の課題やセキュリティに関する問題が存在し、これらに対処することがメタバースの成功に不可欠である。ユーザー情報やコミュニケーション、バーチャルグッズ等、多様な方向性でのセキュリティ対策が求められている。プライバシーとセキュリティの問題に対処することで、信頼性が向上し、メタバースが安全に進化する可能性が高まると想定される。
  • 諸外国の主要プレイヤーおよび提供サービス-米国
    • 2024年現在においても、プラットフォーマーについては新興勢力が出現し大きく市場が変化している状況ではない。一方、ゲームエンジンについては均衡が崩れつつある
    • 教育用途、アパレルブランド等のプロモーション用途など、利用方法も大きく変化が起きている状況ではなく、メタバースの利用としてどういった用途が効果を発揮するかの理解が一定定着したと想定される
  • ゲームエンジンに関する動向
    • 2大勢力であるUnityとUnreal Engineのうち、Unityはデベロッパとの事前調整を経ない料金改定により開発者からの信頼を失う形となった。これを受けて、Unreal Engineに勢力が傾く可能性がある
  • 諸外国の主要プレイヤーおよび提供サービス-韓国/中国/他
    • ZEPETO等の有力プラットフォームを有する一方、メタバース・ソウル等の行政による生活密着型のユースケースが活発である。中国においてはドメスティックなプラットフォームが多い傾向
  • 諸外国の主要プレイヤーおよび提供サービス-欧州/他
    • 欧州では主にクリエイターに人気の高いNEOS VRが有名であるが、その他にも複数のプラットフォーム群が存在している環境となっている。NFT等、Web3.0の概念とつながりが深いものが散見される
  • 諸外国の政府関連機関における取組状況-サマリ
    • 各国でメタバースに対する政府主導の取り組みが進められている。戦略に関わる取り組みは、EU加盟国、中国、韓国が公開、法規制は、ソーシャルネットワーク等を対象とした個人情報、プライバシー、子どもの安全等の法令・規制の策定が米国、EU加盟国、英国で進められており、これらの観点はOECDやWEFにおいても言及されている
  • 諸外国の政府関連機関における取組状況-米国
    • 米国ではプライバシーや子供の安全に関する法案が策定中であり、メタバースへも適用される可能性がある
  • 諸外国の政府関連機関における取組状況- EU加盟国
    • EU加盟国ではWeb4.0に関するロードマップが示されるとともに、DSAやDMA等による法規制に関しても策定が進められている状況である
    • 欧州委員会がWeb4.0を提唱。国民、スキル、産業エコシステム、社会進歩の促進等をキーワードに10のアクションを計画および推進している
  • 諸外国の政府関連機関における取組状況-英国
    • 英国ではオンライン安全法が公開され、Ofcomにより、順次検討が進められている状況
    • メタバースも対象となるオンライン安全法の検討が進められている状況であり、順次、義務が施行される予定。対象となる事業者はリスク評価、利用規約での開示等の義務が発生する
  • 諸外国の政府関連機関における取組状況-中国
    • 中国ではメタバース産業の革新的発展に向けた3カ年行動計画(2023-2025年)が公開。メタバース技術の促進、アプリケーション、市場環境の支援、ガバナンス等の施策が挙げられている
  • 諸外国の政府関連機関における取組状況-韓国
    • 韓国では、仮想世界(メタバース)にむけた規制革新先導計画に基づき、各機関が活動を開始しており、メタバースの実践倫理やユーザ保護の観点での活動が見られる
  • 安心・安全なメタバースに関する標準化動向
    • デジュールの観点では、米国、韓国、英国がITU-T FG-MVに参加し標準化活動を行っている状況である。また、フォーラム活動においては米国のMSFの存在感が強い
  • 安心・安全なメタバースに関する標準化活動(ITU-T FG-MV)
    • TR(技術レポート)が制定されている状況であり、勧告につながるTS(技術仕様書)については策定中。2024年10月のWTSA以降に議論が活性化予定
  • 安心・安全なメタバースに関する標準化活動(MSF)
    • PCIのユースケース検討等のため準備が進められ、適宜SDOとのスピークセッションを実施している状況である。2024~2025年にPCIに関わるユースケース等の検討を実施することが予定されている
  • 安心・安全なメタバースに関する標準化動向-サマリ
    • 各国ともにデジュールの活動が活発であり、政府関連機関が安心・安全に関する領域におけるに関わる検討を推進している状況である
      • 各国でメタバースへも波及する法規制が検討されており、事業者が海外展開する際には、多くの法規制対応が必要となってくる
      • 各国がITU-T FG-MVに参画しながら検討を進めており、一定の成果物が出ている状況。日本のプレゼンスはないが、活動が活発化する2024年後半に向けて日本のPCIに関わる提案を整理するのも一案として考えられる
      • MSFは標準を作成する組織ではないものの、多くの企業が参画している現状があることから、PCIに関わる日本の提案をしていくことも一案として考えらえる

総務省 「宇宙通信アドバイザリーボード」の開催
  • 総務省は、宇宙戦略基金への基金造成を行い、当該基金事業を含めた宇宙通信政策の効果的な推進方策について検討するため、「宇宙通信アドバイザリーボード」を開催します。
  • 目的
    • 総務省は、宇宙戦略基金への基金造成を行い、宇宙分野における情報通信技術の研究開発や電波の利用促進に取り組む予定であるところ、当該基金事業を含め、総務省における宇宙通信政策の効果的な推進に当たり、有識者から助言を得ること等を目的として、「宇宙通信アドバイザリーボード」を開催することといたしました。
  • 実施事項
    • 総務省における「宇宙戦略基金」実施方針の策定への助言
    • 総務省において重点的に取り組むべき宇宙通信政策への助言
    • その他宇宙通信政策を実施する上での必要な事項
  • スケジュール
    • 令和6年2月26日(月)に第1回会合を開催し、以降、順次開催予定です。
    • 開催案内は、総務省ホームページに掲載します。

総務省 西日本電信電話株式会社に対する行政指導
▼ 別紙
  • 事案発生の要因
    • 電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン(令和4年個人情報保護委員会・総務省告示第4号。以下「個人情報保護ガイドライン」という。)第13条第3項において、電気通信事業者は、個人データの取扱いを委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならないこととされている。
    • これを受け、貴社はProCX社との業務委託契約に当たり、「業務委託契約書」及び「お客様情報の管理に関する覚書」(以下「業務委託契約書等」という。)を締結しており、その中で業務の再委託の禁止や、委託先における再委託先での個人データの取扱い状況の検査、委託先における個人データの取扱いに係る安全管理措置の実施等の措置(以下「業務委託先の監督措置」という。)を規定していた(事業法第166条第1項の規定に基づく令和5年11月6日付けの報告徴収に対する同年12月8日付け報告書及び同年12月27日付け報告書)。
    • しかしながら、貴社は、BS社によるProCX社へのコールセンタシステムの提供が個人データの取扱いを伴う業務であり※3、ProCX社によるBS社の同システムの利用が、個人情報保護ガイドライン第13条第3項に規定する個人データの取扱いの委託に該当するにもかかわらず、その事実を認識することができず、業務委託契約書等にいう業務委託には含まれないとして運用してきており、業務委託先の監督措置の対象としていなかった。実際にも、貴社は、業務の再委託に当たらない場合には、個人データの取扱いの委託の有無や、委託が行われている場合の個人データの取扱い状況について「情報管理状況チェックシート」に基づく点検項目を設定しておらず、そもそも、ProCX社によるBS社のコールセンタシステムの利用に伴う個人データの取扱いの委託の事実を把握できていなかったとのことである(追加確認に対する令和6年1月19日付け貴社回答)。
    • また、貴社は、ProCX社と締結した業務委託契約において、個人情報の取扱いが発生する場合、貴社の事前の書面による承諾なく、第三者に開示等してはならないと規定していたが、ProCX社がBS社の提供するコールセンタシステムを利用するに当たり、個人データの取扱いの委託が行われていたにもかかわらず、ProCX社は貴社に対して、事前の承諾を得ていなかった。この理由について、令和6年1月19日付け貴社回答によれば、「(ProCX社は貴社に対して)業務の再委託を行っていない場合において、当社(貴社)に対し、個人情報の取扱いの再委託に係る事前の承諾を得る必要があることを適切に認識できていなかった(と回答している)」とのことであった。つまり、ProCX社によるBS社のコールセンタシステムの利用が個人情報保護ガイドライン上の個人データの取扱いの委託に該当するにもかかわらず、業務委託契約書等にいう業務委託には含まれていなかったことにより、こうした誤認が生じていたものと想定される。
    • 以上のとおり、貴社のテレマーケティング業務のProCX社への委託については、個人データの取扱いの委託先の必要かつ適切な監督が行われていなかったと考えられ、電気通信役務の利用者の利益の保護が適切に図られていないと認められる。
    • さらに、他の大口委託先について行われた緊急点検において、令和6年1月19日付け貴社回答によれば、「他の委託先においても、今回のProCXへの対応と同様」とのことであり、個人データの取扱いを伴う外部サービスの利用において、現時点で、個人データの取扱いの委託先の必要かつ適切な監督が行われていない状況にあると考えられ、電気通信役務の利用者の利益の保護が適切に図られていないと考えられる。
    • また、日本電信電話株式会社等に関する法律(昭和59年法律第85号。以下「NTT法」という。)において、貴社は、地域電気通信事業を経営することを目的とする株式会社とされ、その運営に当たっては、常に経営が適正に行われるように配意する責務が課されている。今回漏えいした個人データは、地域電気通信事業に係るものであり、業務委託先の必要かつ適切な監督が行われていなかったことにより、結果として、約120万件の個人データが漏えいしたことに鑑みれば、地域電気通信事業の経営の適正な実施への配意が十分ではなかったと認められる。
    • 以上のことは、事業法第1条並びにNTT法第1条第2項及び第3条の趣旨に鑑み、適切ではないと考えられる。
  • 電気通信役務の円滑な提供、利用者の利益の保護の必要性
    • 今般、漏えいした個人データは指定電気通信役務かつ地域電気通信事業に係る顧客データであるところ、高い公共性のある指定電気通信役務かつ地域電気通信事業について、その顧客データの取扱いの委託先の監督が必要かつ適切に行われておらず、利用者からの指定電気通信役務への信頼を失墜させることとなった。以上のことは、事業法第1条並びにNTT法第1条第2項及び第3条の趣旨に鑑み、適切ではないと考えられる。貴社は、高い公共性のある指定電気通信役務の提供や地域電気通信事業の経営のみならず、極めて公共性の高い基礎的電気通信役務の提供を行う電気通信事業者として、その利用者の利益が確実に保護されるよう、ProCX社を含む委託先に対する適切な監督を徹底の上、再発防止に努める必要がある。
  • 指導事項
    • 以上を踏まえて、下記の1及び2の事項について、令和5年12月27日付け報告書及び令和6年1月19日付け回答で報告のあった再発防止策を含む必要な措置を実施されたい。また、その実施状況について、令和6年3月29日までに報告するとともに、今後、このような事案が再発しないよう、同報告から少なくとも1年間は、四半期に一度、今後の取組状況について定期的に報告されたい。なお、今後新たな懸念が生じた場合等には、追加的な措置を実施する可能性がある旨を御承知おき願いたい。
      1. 本事案を踏まえた委託先の監督の見直し及び対策の強化について
        • 個人データの取扱いを委託する場合には、委託先において当該個人データについて適切に安全管理措置が講ぜられるよう、委託先に対する適切な監督を行うことが、電気通信役務の利用者の利益の保護の観点から必要である。この点を踏まえ、適切な委託先の選定、適切な委託契約の締結及び委託先における個人データの取扱状況の適切な把握が行えるよう、業務委託契約の内容の見直しや、定期点検の確保、適切な安全管理措置の確保、経営層を含めた適切な委託先監督の責任体制の構築等、必要な措置について検討を行い、再発を確実に防止するよう、実効的な対策を講じること。
        • 特に、個人データの取扱いを伴う外部サービスの利用について留意し、契約内容の見直し及び定期点検等、必要な措置について検討を行い、再発を確実に防止するよう、実効的な対策を講じること。
      2. 利用者対応の徹底について
        • 本事案において、貴社の利用者のうち約120万件の個人データが漏えいした又はそのおそれがあることを踏まえ、利用者の利益の保護の観点から、今後も利用者に対する本事案に関する適切な情報提供を継続するとともに、二次被害が発覚した場合等には適切な支援、対応を実施すること。

総務省 インターネット上の偽・誤情報対策に関する取組についての意見募集
▼ 偽情報対策に係る取組集 Ver.1.0
  • ヤフー株式会社
    • 取組事例1:信頼性の高い情報の掲載
      • 課題
        • フェイクニュース等の流通は、ユーザの困惑、インターネット産業全体の信頼性棄損につながる。そこで、迅速かつ積極的に信頼できる情報を掲出することで、早期に、不確かな情報を打ち消すことを考えた。
        • 正確な情報の迅速な伝達は行っていたが、ファクトチェックに特化した記事の配信は少なかった。
      • 解決手段
        • Yahoo!ニュース個人:専門家の協力を得て、啓蒙啓発を企図した特設サイトやコンテンツを制作
        • Yahoo!ニュース:
        • 公共性の高い情報やデマを打ち消す情報を最も目立つ場所に掲載。コロナ関連の情報を集約した特設サイトで、デマへの注意喚起を行うコーナーを設け、ファクトチェック支援団体や官庁等へのリンクを設置。
        • 日本ファクトチェックセンターへの資金提供を実施。
        • ユーザの理解向上のため、特定分野の専門性を有するオーサーと契約を締結し、専門分野にかかる記事へ補足的な見解(オーサーコメント)を付加(専門家は、特定の分野における専門性、評判、知名度などを基準にした審査の上、選定。投稿は全件、担当者によるチェックを実施)。
        • Yahoo!知恵袋:新型コロナウイルス関連の投稿ページ上部に注意文言を掲出し、厚労省等の公的機関のHPを案内。
        • Yahoo!トップページ:生命財産に関わる重大事項については、メディアから提供を受けたコンテンツや情報集約した特設サイトに誘導。緊急時に首相会見等の動画の埋込みによる提供を行い、ユーザーが認知しやすい場所に掲載。災害時は、地震速報や地域ごとのアラート情報を掲出。いずれの情報もメディアや公的機関の情報源とすることで信頼性の高い情報の提供に努めている。
        • ファクトチェック関連団体企業と連携し、Yahoo!ニュースやタイムライン上へファクトチェック記事の掲載を実施(資金提供も行っている)。
    • 取組事例2:啓蒙啓発・リテラシー向上の取組
      • 課題
        • ユーザの偽情報へのリテラシー向上の取組の一層の推進が必要と考えた。
        • 教育現場での講座を行うにあたってのリソース確保が困難であったため、オンラインコンテンツを通じての啓発、リテラシー向上に寄与する企画を立案。
      • 解決手段
        • ユーザ自身のリテラシーを高め、根拠が乏しい情報やフェイクニュースを見分ける能力を身につけていただくため、以下の取組を実施。
        • 偽情報・誤情報等に惑わされないための学習コンテンツ「Yahoo!ニュース健診」を公開。
        • 大学と連携し、中高大の教育現場および社会人向けにフェイクニュース対策としてのリテラシー向上授業を継続して実践。
        • フェイクニュースに関するリテラシー向上のためのコンテンツを制作や、参議院選挙にあわせた「ネットリテラシー」をテーマとした特設サイトを公開。有識者へのインタビューを含む動画コンテンツも複数本制作し、メディア面からの誘導も強化。
    • 取組事例3:偽情報の削除
      • 課題
        • Yahoo!知恵袋やYahoo!ニュースコメントのようなCGMサービスにおいて、新型コロナウイルスやその治療法、ワクチン等の医療情報や、地震等の災害情報等の根拠なき投稿が散見されたため、そのような投稿を閲覧したユーザーに対して誤った情報を与えてしまう可能性がある。
        • 医療(健康)情報や災害情報のうち明らかな誤情報については、ユーザへの悪影響が生じる前に、迅速な対応が望ましい。
        • 個々の投稿について削除対象の線引きをすることは困難なため、まずは官公庁の情報に明らかに反する投稿の削除のみを実施することとした(現状は医療情報等のみを対象としているが、対象拡大も検討中)
      • 解決手段
        • Yahoo!ニュース:コメント欄への、新型コロナ関連のように健康被害等をもたらす可能性のある偽情報(厚生労働省HPにおける公表情報など反真実であることがファクトチェック済みの情報に限る)の投稿を禁止し、削除対象とした。削除対象は適宜見直しを行う。
        • Yahoo!知恵袋:医療情報や災害情報等について、明らかに事実と異なり社会的に混乱を招く恐れのある投稿について削除。
  • LINE株式会社
    • 取組事例1:啓発活動
      • 課題
        • 学校現場では、加速度的にICT教育に対するニーズが高まっている(主には情報モラル教育・情報リテラシー教育、情報活用能力の育成、デジタルシチズンシップ等)。
        • 学校現場には様々なニーズ(ネットトラブル回避に関する指導、GIGAスクール端末の利活用など)があるが、学びの時間の確保、指導者の育成等が追いついていない。
        • 学校現場で利用されることに主眼を置き、最低限の準備で始められ、また短時間での活用も可能な現場で使い勝手の良いカリキュラム・教材を開発することを目的とした。
        • 教材(GIGAワークブック)の活用が、情報モラル教育などに積極的に取り組んでいる指導者が存在する地域に限定されることなく、より多くの児童・青少年に対する学びの接点を作るためには、自治体(教育委員会)との連携が必要不可欠であった。
      • 解決手段
        • LINEみらい財団では、誰でも無償で利用可能な汎用版の教材(GIGAワークブックなど)をHPに掲載し、提供している。しかし、HP掲載のみでは我々からの働きかけが十分ではないため、自治体と連携して普及を図ることとした。
        • 教材については、連携する各自治体における導入のしやすさを考慮し、自治体ごとのデザインやオリジナルページ(各地域の情報モラル育成目標や調査研究結果など)を設けるパッケージを準備した。
    • 取組事例2:オープンチャット
      • 課題
        • インターネット上において、「LINEオープンチャットがデマやフェイクニュースなどの有害情報の温床となっている」かのような論調が見受けられた。
      • 解決手段
        • オープンチャット 安心・安全ガイドラインでは、「真偽不明の情報の拡散」を違反行為として禁止しており、デマやフェイクニュースに対する削除等の強化、ユーザへの啓発を積極的に行うこととした。
        • モニタリングでの取り締まりを強化するにあたり、デマやフェイクニュース該当性の判断が非常に困難なため、削除の基準を、(1)健康に深刻な被害をもたらす誤情報、社会的混乱が生じる恐れのある情報の投稿、(2)政府が公式に否定する情報の投稿、およびそのような主張を展開する投稿とした。
        • 新型コロナウイルス感染症に関する情報、投資アドバイスを装った詐欺に関する情報について、公的機関など信頼できる情報源などを掲載したトピックごとの専用注意喚起ページを作成し、公開。
        • 同様の事項について、オープンチャット公式お知らせにおける注意喚起を実施するとともに、フェイクニュースに関するキーワードを抽出し、画面を開いた瞬間に出現するポップアップによりユーザへの注意喚起を実施。
    • 取組事例3:LINE NEWS
      • 課題
        • ウクライナ情勢に関するフェイクニュースや情報戦については、合成写真や別の事案の動画を、今回の侵攻のものと誤認させるSNS投稿がネット上に拡散されていたり、ロシアとウクライナ双方から戦果報告がなされたりし(それぞれに都合の良い内容ではないかとの懸念あり)、ユーザがそれらを鵜呑みにして誤った情報を得てしまうことが懸念された。
        • LINE NEWSでは、信頼できる各種メディアと契約し、情報の正確さ・信頼性、その裏付けとなる取材体制について一定の担保がなされている。しかし、別の媒体で見聞きした情報をもとに不安に駆られたり、誤情報を信じたりしてしまうケースがあり得るため、対策を検討した。
        • ネット上に存在・拡散した情報の一つ一つを検証・裏付け取材していくことは、LINE NEWSの編集部だけでは限界がある
      • 解決手段
        • LINE NEWSにおいて、記事単体ではなく、信頼できる機関やサイトの情報を紹介したり、ファクトチェック活動をしている団体の活動への導線を設けたりすることで、ユーザの判断を助ける取組を行った。その過程で、「信頼できる機関やメディアはどこか、ファクトチェック団体の活動実績や内容が十分か」が課題となったが、中央省庁やNHK等のサイトやファクトチェックサイトを選定した。具体的には、
          • ウクライナ情勢に関する記事に、フェイクニュースや誤情報への注意喚起のコーナーを設置
          • 公的機関や信頼できるサイトを共有
          • ファクトチェック団体の活動を共有
        • LINE NEWSでは、ニュース記事や各種信頼できる情報をまとめており、ウクライナ情報についても日々更新を行っている。その中に「フェイクニュースや誤情報への注意喚起」のブロックを設け、信頼できる情報発信者として選定した公的機関やNHKをはじめとするサイト等を提示している。
    • 取組事例4:LINE NEWS
      • 課題
        • 新型コロナウイルス感染症の流行当初には、「マスクが品薄」などの不安が増幅し、SNSで情報が拡散され、店頭から実際に商品が消えるなど「デマがデマでなくなる状況」になった。
        • 新型コロナウイルス感染症の症状や治療法、ワクチンの副反応・効果などについても、各種の「実体験」をもとにした情報発信や、いわゆる専門家を名乗った者による情報発信が増えたことで、ユーザが「正しい情報」を判断することが難しくなっていた。
        • ユーザの「実体験」については、仮にそれが事実であっても、代表性や普遍性をもって語られてしまうため、「それが誤りである」というアプローチのみでは本質的な解決になり得ない。
        • 「デマ」についても、既に「デマではなく事実」という状況になれば、ただ否定するだけではなく、ユーザが判断できる材料を十分提供することや不安に駆られた際の心理的側面から解決することが必要。
        • NEWSグラフィティのテーマは編集部内で選定できるものの、ベースとなる情報や監修の信頼性確保が課題となった。
        • NEWSグラフィティのコンテンツ作成には、テーマ設定、デザイナーによるデザイン、動画化などの段階を経るため、完成までに一定期間かかってしまうことが課題であった。
        • 用意した啓発コンテンツをユーザにどのように届け切るかという部分も課題となった。
      • 解決手段
        • 解説のもととなる情報については、ウクライナ情勢に関する情報の取組みと同様に、信頼できるサイトの比較検討を行った。その上で、テーマによっては、中央省庁や報道機関、医師に監修を依頼した。
        • 日々最新のニュース記事に接している編集部員が「ユーザの関心を先回り」することで、より機動的な作成体制となるよう対応。
        • 新型コロナウイルス感染症に関する情報のまとめの作成や新型コロナウイルス感染症に関するNEWSグラフィティの配信、LINE NEWS上で最もユーザに見られるニュースタブトップ上への掲載のほか、YouTubeやTwitterなどへの投稿も実施。
        • ユーザの訪問を待っているだけでなく、LINE NEWSの強みであるLINE公式アカウントを通したプッシュ通知や、継続的に新型コロナウイルス感染症に関心があるユーザには都度送信するスマート通知などによって通知する取組みを行い、編集部発の情報伝達の後押しを図った。
  • Google LLC
    • 取組事例1:Innovation Nipponへの支援を通じた実態調査の実施
      • 課題
        • 偽情報・誤情報が世界的に問題になり、日本でも新型コロナウイルスやコロナワクチンに関する誤情報が拡散される中、社会全体における適切な対策を検討する上で、日本における実態調査が必要となった。
        • 偽情報・誤情報の現状を把握し、エビデンスベースの適切な対策の議論に貢献することを目指した。
      • 解決手段
        • 2019年度~2021年度の3年間でのべ15,000名以上(予備調査5万人以上)を対象に調査し、偽情報・誤情報に関する人々の行動を調査分析した。対象とした偽情報・誤情報分野は広範囲で、国内で広く拡散されたコロナワクチンデマも含む。
    • 取組事例2:セーファーインターネット協会への支援を通じた偽情報・誤情報対策の推進
      • 課題
        • 誤情報の拡散は、個人の意思決定を歪め、市民生活に大きな影響を与えるテーマに対して不適切な行動を取ったり、適切な行動を取らなかったりする原因となる。日本社会において、偽情報や誤情報に対して抵抗する能力の強化が急がれる。
      • 解決手段
        • 日本における偽情報・誤情報の流通抑制等のために、一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)に対し、Googleの慈善事業部門であるGoogle.orgが150万米ドルを支援することで、SIAによる以下の活動を支援。
          • ファクトチェック機関の設立(ファクトチェックの実施)
          • 日本の情報空間における偽情報・誤情報の動向(パターンや手法)の分析調査の実施
          • メディアリテラシー研修の実施、人材育成
          • 調査・研究活動、啓発活動、シンポジウムの開催等
    • 取組事例3:MAFINDOへの支援を通じたメディアとデジタルリテラシーの教育推進(インドネシア)
      • 課題
        • 現地の言語による信頼できる情報の不足、リテラシーの不足等がインドネシアにおけるパンデミックの状況を悪化させている。また、新型コロナウイルス感染症が発生したことで、特に講師や学生がパンデミック中に流布するフェイクニュースや誤った情報に対応できるよう、革新的で永続的、そして簡単にアクセスできる教育機会のニーズが急速に高まった。
      • 解決手段
        • Google.orgがMAFINDOのTular Nalarプログラムの立ち上げをサポートし、メディアとデジタルリテラシーの教育を通じて26,000人以上の講師、教員、大学生が偽情報や誤情報に対する耐性を身につけられるよう支援した。
        • Tular Nalar(「常識を広める」)は、デジタルリテラシーを通じて批判的思考を磨くための学習教材の提供に力を入れている。
        • プログラムを効果的に実施するため、カリキュラム、学習方法、ウェブサイトの各設計を周知するにあたって形
        • 成的調査を実施。また、ウェブサイトをより使いやすく、アクセスしやすいものにするために、設計前のテストやUX設計テストも実施。形成的調査の段階で得られた主要な知見をもとに、授業計画とともに、学生との学習プロセスをサポートする際にカギとなる教育者向けの動画8本を制作した。
        • 形成的調査:形成的調査はカリキュラム設計前に実施され、プログラムを効果的に実施し、講師がメディアリテラシーを教える際に直面する問題点を把握し、現在の学生のメディアリテラシーに対するニーズとギャップを見極め、様々なオンラインコースのモデルとeラーニングコンテンツをテストするために活用された。この調査活動には、講師、メディアやデジタルリテラシーの専門家、宗教指導者、市民社会、政府などが参加し、カリキュラムや学習方法、コンテンツなどを開発している。
        • カリキュラム開発:形成的調査から得られた情報、データ、視点は、様々な利用可能な教材にまとめられ、動画やオンライン学習プラットフォームのようにカリキュラム、学習方法、コンテンツに展開される。
        • 講師向けオンライン講座:メディアとデジタルリテラシーに関して利用できる教材について学習する約2.5時間のオンライン研修を実施し、インドネシアの23都市から講師が参加。
        • 学生向けオンライン学習:オンライン研修を受講した講師は、オンライン研修で得た知識を50人以上の学生に教授することが義務付けられている。
        • 教員向けウェビナー:インドネシアの23都市の高校教員(少なくとも3,200人)に対して実施
    • 取組事例4:ニュースおよび情報リテラシーに関するプログラムへの支援(インド)
      • 課題
        • 2016~2019年に、インドでは、ソーシャルメディアプラットフォーム上で配信された情報に扇動された暴徒により、30人以上が死亡した。2020年前半には、新型コロナウイルス感染症にまつわる噂や偽の治療法が中心的な話題となり、誤情報の問題を深刻化させた。
      • 解決手段
        • 拡大する誤情報の脅威に対処するため、Google.orgとGoogle News Initiativeの支援により、2020年、ニュースおよび情報リテラシーに関するプログラム(FactShala India Media literacy Network)を立ち上げた。このプロジェクトは、インドの非都市部や農村部の人々が、オンラインコンテンツを批判的に分析し、オンライン上に溢れる膨大な情報を取捨選択するために必要なスキルを提供する。
        • FactShalaの研修講師が使用するカリキュラムを準備するためのフレームワークの作成にあたっては、事前に、エンドユーザーが情報を評価し、特定のメッセージを信じたり却下したりする際の根拠と、ファクトチェッカーやジャーナリストが情報を検証する際に用いる手法とを比較して得られた調査結果の知見を活用した。
        • このプログラムでは、Tier 2、Tier 3の都市や町で、対象者に合わせたカリキュラムを提供した。
        • インドで用いられている言語が多様であることから、Google独自のTrain-the-Trainerモデルを用いて、少なくとも7つのインドの言語でカリキュラムを提供し克服した。
        • このカリキュラムは、世界およびインドのメディアリテラシー専門家から情報を得て、エビデンスに基づいて設計。この研修は、ジャーナリスト、ファクトチェッカー、メディア関係者、非営利団体職員、コミュニティや市民社会のオピニオンリーダーからなる253人の研修講師によって組織されている。
    • 取組事例5:ASEANデジタルリテラシー プログラム(ADLP)への支援を通じたデジタルリテラシー研修の提供
      • 課題
        • ASEAN諸国の一般市民のメディアリテラシーはまだ比較的低い。インターネットの利用が拡大し続ける中で、ニュース記事や個人情報の要求など、オンライン上で遭遇する情報を理解するための正しい批判的スキルを誰もが身につけることが重要。
      • 解決手段
        • ASEANデジタルリテラシー プログラム(ADLP)は、誤情報や偽情報への対処を目的としており、現地パートナーと協力してデジタルリテラシーの研修を提供する。このプログラムは、強力な啓発キャンペーンとしての要素も備えており、メディアや情報リテラシーの重要性がより多くの人々に理解され、デマやフェイクニュースの拡散を人々が防止できるようになることを目指している。具体的には、
          • 現地パートナーの協力を得たTrain-the-Trainerアプローチで1,150人の研修講師を育成する
          • 研修講師は将来、十分な教育を受けていない10万5,000人の学習者に研修を行う
          • 研修講師や学習者に対して無料の研修コンテンツをオンラインでも提供する
          • ASEAN Youth Advisory Groupの設立
          • 研究とカリキュラムの開発
  • Meta Platforms, Inc.
    • 取組事例1:一般的な考え方及び対応策
      • 課題
        • 過度な暴力描写はポリシーでの規定が可能だが、Misinformationは定義が困難であり、何かが真実であるか否か、またそれを決定する主体も明らかでなく、包括的な禁止事項を明示することができない。
        • 加えて、コミュニティ規定を施行するためのポリシーを策定しようとする際には、オープンなインターネットを守るため、表現、安全、尊厳、真正性、プライバシーなどの異なる基本的権利間のバランスを取ることが必要。
      • 解決手段
        • misinformationについてカテゴリを設定するとともに、対処法を示したガイダンスを作成し、以下に示す3つの戦略-1.削除、2.抑制、ii3.情報提供-に従って対処を行う。
          1. 「コミュニティ規定」に違反するmisinformation(差し迫った物理的な危害のリスクを直接助長する可能性が高いもの、政治過程の機能の妨害を直接助長する可能性のあるもの、人を欺くよう加工された特定のもの)は削除する。その際、知識と専門性を有する独立した専門家(人権団体や保健機関など)と連携し、コンテンツの真実性や、差し迫った危害のリスクを直接助長する可能性が高いかどうかを評価する。
          2. 「コミュニティ規定」に基づく削除の基準には当たらないものの、プラットフォームの信頼性と完全性を損なうような問題のあるコンテンツ(クリックベイトのような低品質のコンテンツや、第三者のファクトチェック機関によって否定されたコンテンツ)について、表示を抑制する。
          3. misinformationの拡散を防ぐため、ラベル付与、信頼性の高い正確な情報の案内、追加的文脈情報の通知、リテラシー教育の場を提供し、利用者が十分な情報を踏まえた上で意思決定できるよう、情報提供を行う。
    • 取組事例2:影響工作、組織的偽装行為への対策
      • 課題
        • 「影響工作」により、拡散されるコンテンツのほとんどは、明らかに誤った情報ではなく、権威ある者によって広められた場合には政治的な発言として受け入れられる場合もある。こうした工作活動の背後にいる行為者が、その背後にある組織の身元を隠したり、組織やその活動を実際よりも人気があったり信頼できたりするように見せたり、コミュニティ規定の施行を回避しながら、人を欺くような行動をしている。
        • 「disinformation」は、戦略的目標のために公的な議論を操作するための組織的な取組であり、騙すことを意図し、偽装的な行動を伴うものを指すこととする。戦略的目標のために公共の議論を操作したり誤らせたりすることを目的とした組織的な取組を表す「影響工作」(InfluenceOperations)や「組織的偽装行為」(Coordinated Inauthentic Behaviour)を含む。
      • 解決手段
        • 1.介入・妨害の抑止、2.misinformationとの戦い、3.透明性の向上という3つのアプローチで、disinformationに対して取り組むとともに、法執行機関、国家安全保障、調査報道、サイバーセキュリティ、法律、エンジニアリングなどの専門家を集め、不正なアカウントや行動の検出と拡散防止に役立つ大規模なソリューションを構築。
          • 1.介入・妨害の抑止のため、(a)政府、法執行機関、セキュリティ専門家、市民団体、ハイテク企業と知識の共有など協力関係の構築、(b)人材とツールによる調査業務の規模の拡大、(c)組織的偽装行為に係るポリシーの更新の継続を実施。
          • 3.透明性の向上のため、(a)政治的な広告、ページ、投稿の透明性を高めるツールや製品を導入し、利用者が自分たちに影響を与えようとしている主体を把握できるようにするとともに、組織的偽装行為の取組に関する報告書を定期的に発行。(b)組織的偽装行為に係るポリシー(CIBポリシー)において、プラットフォーム上で影響工作ネットワークを探知、特定、削除する方法を示すとともに、アカウントの保全性と実名の使用に係るポリシーに基づき毎日数百万の偽アカウントを削除。プラットフォームを悪用する偽アカウント阻止のため、アカウント作成のブロック、サインアップ時のアカウント削除、既存アカウントの削除措置を実施。
    • 取組事例3:透明性とコントロールにより利用者をエンパワーする試み
      • 課題
        • オンラインの安全性と、misinformationやdisinformationを含む有害なコンテンツに対処する最も効果的な方法は、自ら批判的に決定できるようにするツールとリソースを提供することで、デジタルにレリジエントな社会を構築することと信じている。
        • いかなる状況であれば安全性とセキュリティのリスクをもたらさないかを明らかにすることに努めるとともに、プラットフォームの努力を外部の目にさらすことで説明責任を促進し、Metaが下す決定に対して責任を負うことにつながる。
      • 解決手段
        • 利用者が目にする投稿について追加の文脈や情報を提供し、権威ある情報とつなげることにも重点を置いており、信頼性の高い正確な情報の案内、より多くの文脈の提供、虚偽の主張を繰り返し共有するページへの警告などの様々な措置を実施。
    • 取組事例4:みんなのデジタル教室・デジタルシチズンシップ
      • 課題
        • 人々が情報を批判的に評価し、十分な情報を踏まえた上で意思決定を行い、自ら誤りを正すことができるようなデジタルにレジリエントな(回復力の高い)社会を構築することが必要だと考えており、政府から産業界、市民団体、教育者、市民自身まで、あらゆるステークホルダーを巻き込んだ学際的な戦略が必要であるとともに、デジタルシチズンシップの概念を普及させるためには、資金やインセンティブといった形で、より多くの制度的支援が必要。
      • 解決手段
        • 日本の教育現場のニーズに合った授業を実施するため、企業と連携した授業づくりを専門とするNPO法人とコンテンツを共同制作。
    • 取組事例5:公正な選挙のための取組
      • 課題
        • デジタルプラットフォームがどのように選挙を守るべきか、広く合意された規範や法律がない中、政治広告の不透明性や国内の市民イベントへの外国からの干渉といった問題について対応。
        • 基本的には利用者と広告主に表現の自由を与えるべきだと考える一方、利用者や行動、何らかの結果(選挙など)に影響を与えかねない広告については一定のガイドラインが必要であることも認識。
      • 解決手段
        • 選挙を守るため、重要な期間だけでなく、年間を通じて1.干渉の防止、2.有害コンテンツの削除とmisinformationの削減、3.透明性の向上に取り組んでいる。
        • 透明性の向上として、選挙・政治的な広告主の検証、一般にアクセス可能な選挙・政治的広告に関する情報の格納、ページの透明性の確保、ニュースフィードのランキングのコントロールなどに取り組んでいる。
        • また、選挙または政治に関連する広告の掲載をする個人または団体の真正性と正当性を確認するための認証プロセスを設けている。

総務省 消費者保護ルールの在り方に関する検討会(第53回)
▼ 資料1-2 ダークパターンとはなにか(武蔵野美術大学造形構想学部 教授・株式会社コンセント代表取締役社長 長谷川氏)
  • ダークパターンの種類
    1. 行為の強制(Forced Action)
    2. インターフェース干渉(Interface Interference)
    3. 執拗な繰り返し(Nagging)
    4. 妨害(Obstructing)
    5. こっそり(Sneaking)
    6. 社会的証明(Social Proof)
    7. 緊急性(Urgency)
  • ダークパターンの目的
    • より多く消費させる
      • 企業にとって収益の最大化
    • ユーザーからより多くの情報を引き出す
      • 同意を得た上で情報提供してもらうことが難しくなっているため、ダークパターンを用いてユーザーから情報を引き出す
    • サービスをより中毒性の高いものにする
      • より長くサービスを使ってもらう
  • なにを取り締まるべきか
    • パターン自体への法的対応(CCPA、FTC法)
      • 起こっている現象、行為のパターンを取り締まる
      • (おそらく)イタチごっこになるが、必要
      • 主観的な意図の証明は難しい
    • ユーザーが離れることで企業が改善する
      • 評判によってユーザーからの支持を失うことでの自浄作用
      • ユーザーのリテラシーに依存する:ユーザー教育が必要
    • 外部からの指摘
      • 専門家団体等のホワイトリスト作成
      • 実質的な影響力が課題
  • これからのダークパターン対応
    • 悪意を持った事業者
      • 規制とのイタチごっこ
      • 「膨大な情報に埋もれさせる問題」規制の難しさ
    • 多くの一般事業者
      • まだ認知が至っていない
      • 組織的な取り組みによって改善が見込める
  • まとめ 倫理的なデザインへの向き合い方
    • ダークパターン:ユーザーにお金を使わせ、個人情報を抜き取り、サービスにハマらせるために用いられる
      • EC以前からの商慣習に行動経済学の知見が加わり、グロースハックで加速した
      • これからの社会において、ますます広まっていく可能性がある
    • 「個々のデザイナの倫理観」と「システムとして防ぐ視点」が求められる
    • 「倫理的なデザイン」のためには、「ビジネス全体の意思決定として倫理的であること」が求められる観点を持つ必要がある
▼ 資料1-3 ナッジとダークパターンの小考察(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任准教授 クロサカ構成員)
  • ナッジだけでは効果が得られにくい?
    • 省エネ型の冷蔵庫・テレビ・エアコンという高額家電の消費をナッジが促進するかを検証した実験では、ナッジを適用したバナー広告やウェブサイト(ランディングページ)の効果が低いのではないか
    • 電力消費のピークシフトへの協力を求める際に、ナッジは最初は効果があるものの、その後は人々が慣れてしまい効果が低下する(持続的な行動変容には効かない)のではないか
    • ナッジを認知・啓蒙に用いながら、喚起された意識を行動・定着に結びつける「インセンティブ」との組合せが必要ではないか
  • 考察:ナッジとインセンティブの組合せの効果と課題
    • ナッジ単独のアプローチは「広告的」、ナッジとインセンティブを組み合わせたアプローチは「販売促進的」と言えるのではないか
    • 後者の方が消費者を識別したアプローチになるため、強い効果がある一方、リスクも生じやすいのではないか
    • ナッジ単独のアプローチ
      • 現在の料金プラン、利用実態(データ量、通話料)を示す
      • 他の(よりお得な)プランと比較できるようにする
      • 各消費者を区別しない広告的アプローチが働きやすく、広く認識されやすい
      • 誘導の効果が個別化されておらず抑制的なため、不利益変更が発生しにくい
      • 比較の理解に一定の関心や説明内容に対するリテラシーが消費者側に必要
      • 直接的な効果があまり期待できない可能性がある
    • ナッジとインセンティブを組み合わせたアプローチ
      • 現在の料金プラン、利用実態(データ量、通話料)を示す
      • 他の(よりお得な)プランと比較できるようにする
      • プラン移行のインセンティブを明確に提示する
      • 各消費者を識別した販売促進的アプローチが働きやすく、消費者自身が移行のメリットが理解しやすい
      • 誘導が相対的に強力で説得力がある
      • 消費者の識別やそれによるインセンティブが強く効き過ぎると、不利益変更への誘導が生じるリスクがある
      • 結果としてダークパターンに陥る可能性がある
  • 消費者がよりよい契約に適正に移行するためのインプリケーション
    • ナッジから分かること
      • 不満なくサービスを受けている間は、消費者が自分が契約をどのように履行しているのか、ほとんど自覚しない
      • しかしながら、そうした状態を認識してもらうためのナッジでは、認識や行動変容のレベルが上がらない
      • 契約後(1年程度経過時)や端末サポートが切れる等、消費者が「契約」を意識するタイミングでのナッジが重要
      • 前項のようなタイミングに、インセンティブを伴ったナッジを適正に行うことで、契約に係る行動変容を促す可能性がある
    • 回線契約の現実
      • 契約を見直すタイミングはたまにしか訪れない
      • 契約作業自体はライフサイクルの中ではほんの一瞬である
    • まずできることは何か
      • 契約時のナッジの提供:火災保険や自動車損害保険の契約時の申込書のように「インセンティブも含めて消費者が直感的に理解できる契約プランの比較」があってもいいのではないか
      • ただし広告的アプローチ、販売促進的アプローチのいずれも、ダークパターンへの留意が必要

総務省統計局 労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)12月分結果の概要
  • 就業者
    • 就業者数は6754万人。前年同月に比べ38万人の増加。17か月連続の増加
    • 雇用者数は6114万人。前年同月に比べ59万人の増加。22か月連続の増加
    • 正規の職員・従業員数は3592万人。前年同月に比べ21万人の増加。2か月連続の増加。
    • 非正規の職員・従業員数は2183万人。前年同月に比べ39万人の増加。4か月連続の増加
    • 主な産業別就業者を前年同月と比べると、「製造業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「情報通信業」などが増加
  • 就業率(就業者/15歳以上人口×100)
    • 就業率は61.4%。前年同月に比べ0.5ポイントの上昇
    • 15~64歳の就業率は79.4%。前年同月に比べ1.0ポイントの上昇
  • 完全失業者
    • 完全失業者数は156万人。前年同月に比べ2万人の減少。2か月ぶりの減少
    • 求職理由別に前年同月と比べると、「勤め先や事業の都合による離職」が2万人の減少。「自発的な離職(自己都合)」が5万人の増加。「新たに求職」が3万人の減少
  • 完全失業率(完全失業者/労働力人口×100)
    • 完全失業率(季節調整値)は2.4%。前月に比べ0.1ポイントの低下
  • 非労働力人口
    • 非労働力人口は4081万人。前年同月に比べ69万人の減少。22か月連続の減少

総務省 「プラットフォームサービスに関する研究会 第三次とりまとめ」及び 意見募集の結果の公表
▼ 別紙2 プラットフォームサービスに関する研究会 第三次とりまとめ
  • プラットフォーム事業者の利用規約に基づく自主的な削除が迅速かつ適切に行われるようにすることが必要
  • このような課題に対し、プラットフォーム事業者の誹謗中傷等を含む情報の流通の低減に係る責務を踏まえ、法制上の手当てを含め、プラットフォーム事業者に対して以下の具体的措置を求めることが適当
  • プラットフォーム事業者に、削除申請の窓口や手続の整備を求めることが適当
  • 申請方法が申請者に過重な負担を課するものとならないようにすることが適当
  • プラットフォーム事業者が申請等を受けた場合には、申請者に対して受付通知を行うことが適当
  • プラットフォーム事業者が当該申請等を受け付けた日時が申請者に対して明らかとなるようにすることが適当
  • プラットフォーム事業者は、自身が提供するサービスの特性を踏まえつつ、我が国の文化・社会的背景に明るい人材を配置することが適当
  • 前述の人材配置は、日本の文化・社会的背景を踏まえた対応がなされるために必要最低限のもののみを求めることが適当
  • プラットフォーム事業者に対し、一定の期間内に、削除した事実又はしなかった事実及びその理由の通知を求めることが適当
  • 発信者に対して意見等の照会を行う場合や専門的な検討を行う場合、その他やむを得ない理由がある場合には、一定の期間内に検討中である旨及びその理由を通知した上で、一定の期間を超えての検討を認めることが適当
  • プラットフォーム事業者が一定の期間を超えた検討の後に判断を行った際にも、申請者に対して対応結果を通知し、削除が行われなかった場合にはその理由をあわせて説明することが適当
  • 「一定の期間」の具体的な日数については、一週間程度とすることが適当
  • 期間を定めるに当たっては、一定の余裕を持った期間設定が行われることが適当
  • プラットフォーム事業者が判断を行った場合には、申請者に対して対応結果を通知し、削除を行わなかった場合にはその理由をあわせて説明することが適当
  • 申請件数が膨大となり得ることも踏まえ、過去に同一の申請者から同一の申請が繰り返し行われていた場合等の正当な理由がある場合には、判断結果及び理由の通知を求めないことが適当
  • 流通が生じやすい不特定者間の交流を目的とするサービスのうち、一定規模以上のものに対象を限定することが適当
  • 他のサービスに付随して提供されるサービスではないことも考慮することが適当
  • アクティブユーザ数や投稿数といった複数の指標を並列的に用いて捕捉することが適当
  • 事業者から直接報告を求めることが適当
  • 事業者からの報告が望めない場合等においては、他の情報を基に数値を推計することが適当
  • エンフォースメントも含め、海外事業者に対しても国内事業者と等しく規律が適用されるようにすることが適当
  • 「第3章 プラットフォーム事業者の対応の迅速化に係る規律」については、その対象となる情報の範囲を誹謗中傷等の権利侵害情報に限定することが適当
  • プラットフォーム事業者の誹謗中傷等を含む情報の流通の低減に係る責務を踏まえ、法制上の手当てを含め、プラットフォーム事業者に対して以下の具体的措置を求めることが適当
  • 削除等の基準について、海外事業者、国内事業者を問わず、投稿の削除等に関する判断基準や手続に関する「削除指針」を策定し、公表させることが適当
  • 指針の運用開始に当たっては、原則として、事前に一定の周知期間を設けることが適当である。
  • 「削除指針」の策定、公表に当たっては、日本語で、利用者にとって、明確かつ分かりやすい表現が用いられるようにするとともに、日本語の投稿に適切に対応できるものとすることが適当
  • 削除等の対象となった情報をプラットフォーム事業者が認知するに至る端緒の別に応じて、できる限り具体的に、投稿の削除等に関する判断基準や手続が記載されていることが適当
  • 過度に詳細な記載までは求めないことが適当である。ただし、個人情報の保護等に配慮した上で、実際に削除指針に基づき行われた削除等の具体例を公表することで、利用者に対する透明性を確保することが適当
  • プラットフォーム事業者が投稿の削除等を講ずるときには、対象となる情報の発信者に対して、投稿の削除等を講じた事実及びその理由を説明することが適当である。理由の粒度については、削除指針におけるどの条項等に抵触したことを理由に削除等の措置が講じられたのか、削除指針との関係を明らかにすることが適当
  • 過去に同一の発信者に対して同様の通知等の措置を講じていた場合や、被害者の二次的被害を惹起する蓋然性が高い場合等の正当な理由がある場合には、発信者に対する説明を求めないことが適当
  • 事業者の取組や削除指針に基づく削除等の状況9を含む運用状況の公表を求めることが適当
  • 「第3章 プラットフォーム事業者の対応の迅速化に係る規律」並びに「第4章 プラットフォーム事業者の運用状況の透明化に係る規律」のうち「1 削除指針」及び「2 発信者に対する説明」が利用者にとって重要性が高い事項について一定の措置を求めていることを踏まえ、これらの運用状況の公表を求めることが適当
  • 記「第3章 プラットフォーム事業者の対応の迅速化に係る規律」の「6(1)対象とする事業者」における整理が妥当することから、その対象事業者の範囲は「第3章 プラットフォーム事業者の対応の迅速化に係る規律」と同じ範囲に限定することが適当
  • 利用者のサービス選択や利用に当たっての安定性及び予見性を確保する観点からは、情報の種類如何に関わらず、プラットフォーム事業者が削除等の措置を行う対象となる情報について、プラットフォーム事業者の措置内容を明らかにすることが適当
  • 「第4章 プラットフォーム事業者の運用状況の透明化に係る規律」において対象とする情報の範囲については、削除等の対象となる全ての情報とすることが適当
  • このような個別の情報に関する罰則付の削除義務を課すことは、慎重であるべき
  • この要請に応じて自動的・機械的に削除することをプラットフォーム事業者に義務付けることについては、慎重であるべき
  • プラットフォーム事業者に対し、特定のアカウントを監視するよう法的に義務付けることは、慎重であるべき
  • 繰り返し多数の違法情報を投稿するアカウントへの対応として、アカウントの停止・凍結等を行うことを法的に義務付けることも考えられるが、このような義務付けは、慎重であるべき
  • 権利侵害情報の送信防止措置を請求する権利を明文化することについては、引き続き慎重に議論を行うことが適当
  • ノーティスアンドテイクダウンの導入については、慎重であるべき
  • これらの機関が法的拘束力や強制力を持つ要請を行うとした場合、これらの機関は慎重な判断を行うことが想定されることや、その判断については最終的に裁判上争うことが保障されていることを踏まえれば、必ずしも、裁判手続(仮処分命令申立事件)と比べて迅速になるとも言いがたいこと等から、上述のような第三者機関を法的に整備することについては、慎重であるべき
  • ADRを法的に整備することについては、慎重であるべきである。
  • 引き続き、関連する相談機関間の連携を深め、相談機関間の相互理解による適切な案内を可能にすることや知名度の向上を図ることが適当
  • 根本的な見直しを必要とする事情等があるか否かについて、生じる被害の法的性質も考慮しながら、引き続き状況の把握に努めることが適当
  • 違法・有害情報が未成年者に与える影響を踏まえて、未成年者のデジタルサービス利用の実態(未成年者におけるプラットフォームサービスの利用実態、青少年保護のための削除等の実施状況や機能、サービス上の工夫等)を把握した上で、必要な政策を検討すべきとの指摘があった。この点については、諸外国における取組のほか、日本における関連する機関や団体等における検討状況について、引き続き把握及びその対策の検討に努めることが適当
  • 方、炎上事案については、法解釈等の観点から課題が存在していることから、人格権侵害の成否を巡る議論の動向に注視しつつ、引き続きプラットフォーム事業者の自主的取組を促進することが適当である。
  • 前回ヒアリングと比較し、JFCの創設を通じた協力関係の構築やSMAJでの行動規範策定の議論が進んでいることなど、我が国においても取組が進められつつある。
  • 前回ヒアリングと比較し、JFCの創設を通じた協力関係の構築が進んでいることなど、各事業者において我が国におけるファクトチェック推進団体やファクトチェック団体、諸外国のファクトチェック団体との連携が行われている。
  • 2023年3月の調査結果によると、直近1か月の間にインターネット上のメディアで偽情報を週1回以上見かけた人の割合は、日本で4割台、諸外国(米、英、仏、韓)で5~6割台であった。情報源ごとの偽情報を見かける頻度は、日本ではSNSが最も高く、それにニュース系アプリ・サイト、動画投稿・共有サービスが続いた。日本で直近1か月の間にSNSで偽情報を多く見かけたと回答した人の割合は41.4%であった。
  • インターネットやメディアで流れる情報全般について、日本において情報の真偽を見分ける自信を尋ねると、30代から60代にかけて、「自信がない」が「自信がある」よりも高くなった。また、具体的な情報に絞って尋ねると、「新型コロナウイルスやそのワクチンに関する情報」については「自信がある」(32.0%)と「自信がない」(30.5%)の差が小さくなった一方、「ウクライナ情勢に関する情報」については、「自信がない」と答えた割合(41.5%)が情報全般について尋ねた場合(34.8%)よりも高くなった。
  • 実際のコロナワクチンと政治関連の偽情報12件を使って行われた2022年の調査結果によると、40.4%の人が1つ以上に接触していた。偽情報に接触して、その情報が誤っていることに気づいた割合は、コロナワクチン関連が43.4%、政治関連は20.3%にとどまった。年代別に見ると、とりわけ政治関連の偽情報において、50代や60代(誤っていることに気づいた割合がそれぞれ18.7%、14.2%)の方が、20代から40代にかけての世代(同20.9%~26.3%)よりも誤っていると気づきにくい傾向が見られた。
  • 偽情報の拡散行動を分析した結果によると、偽情報を拡散しやすい傾向にあるのは、偽情報を信じている人(コロワクチン関連の偽情報の場合、誤っていると気づいている人に比べて拡散確率が20.7ポイント高い)、メディアリテラシーや情報リテラシーが低い人(コロナワクチン関連の偽情報の場合、メディアリテラシーが最も低い人は、最も高い人に比べて拡散確率が27.1%高い)である。
  • また、コンサバティブに不利なものとリベラルに不利なものの2つの実際の政治関連の偽情報を使った実証実験の結果によると、コンサバティブ・リベラルいずれの立場でも、偽情報を見て支持を下げる人が少なくなかった。特に弱い支持をしていた人ほど支持を下げやすい傾向が見られた。
  • 本研究会では、プラットフォーム事業者による偽情報への対応の実施状況についてモニタリングを行ってきた。プラットフォーム事業者による投稿の削除やアカウントの停止等の措置に関する透明性・アカウンタビリティを確保することは、当該サービスのユーザ及びユーザ以外の者による客観的な根拠に基づく批評を可能にし、こうした批評がプラットフォームサービスの運営にフィードバックされることを通じて、投稿の削除やアカウントの停止等の措置の運用の改善につながることが期待される。したがって、こうしたモニタリングの取組については、継続的に実施していくことが適当である。なお、前述のとおり、2023年のモニタリングにおいて、Twitter(現X)からは、再三の求めにもかかわらずヒアリングシート及び発表資料が提出されなかった。任意とはいえ、資料が提出されなかったことは遺憾である。
  • 本研究会では、派生的論点として、フィルターバブル、エコーチェンバー及び分極化等の現象についても検討した。こうした現象が偽情報の拡散に寄与しているか否かは、計算社会科学等の学術分野における更なる研究が期待されるところであり、本研究会において結論づけることができるものではない。もっとも、第44回会合及び第46回会合において有識者から指摘された点を踏まえると、レコメンデーションに関するアルゴリズムの公開やリテラシー教育等の方法により、利用者が情報に対して選択的接触を行っていることを、当該利用者に対して認知させることが重要である。
  • 加えて、近時は、生成AIやメタバース等の新たな技術・サービスの出現によりデジタル空間が更に拡大・深化している。このような中、インターネット上の偽情報の生成・拡散やプラットフォーム利用者の情報に対する選択的接触の問題は、アテンション・エコノミーを構造的要因とする場合を含め、プラットフォーム事業者だけでなく、生成AI事業者、仮想空間関係事業者、通信・放送事業者、利用者等の多様なステークホルダーが連携・協力して対応すべき、デジタル空間における情報流通の健全性に関わる課題の一つと言える。
  • 総務省は、生成AI等による巧妙な偽情報の生成や拡散に伴う社会的な影響の深刻化を含む、デジタル空間における情報流通を巡る新たな課題と多様化するステークホルダーによる対応等の現状を分析し、デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた今後の対応方針と具体的な方策について検討するため、2023年11月より「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」(座長:宍戸常寿 東京大学大学院法学政治学研究科教授)を開催し、検討を継続している。今後、インターネット上の偽情報の生成・拡散やプラットフォーム利用者の情報に対する選択的接触の問題については、以上述べた観点を踏まえ、当該検討会において議論を深化させていくことが期待される。
  • なお、フィルターバブル、エコーチェンバー及び分極化等の現象を分析する研究を含むデジタル空間における情報流通に関する研究においては、実データの入手が重要であると考えられる。プラットフォーム事業者においては、APIの開放等により、研究者が情報空間に関する実データを入手しやすい環境を整備することが期待される。
  • 今年度のモニタリング結果を踏まえ、総務省による今後の利用者情報の取扱いに関するモニタリングについては、以下のとおり行っていくことが適当である。
    • 電気通信事業GL第52条第2項等に基づき、デジタル広告分野に限らず、利用者情報の取扱いについて、継続的にモニタリングを行うべきである。
    • 上記のモニタリングを行うに当たり、総務省において安定的なモニタリングの枠組みを作ることが必要である。
    • 上記のモニタリングを行うに当たり、事業者からの情報提供が十分に得られるように、総務省においては、ヒアリング項目や方法の工夫を行うとともに、必要に応じ制度的な対応も検討すべきである。
    • 上記のモニタリングを行うに当たっては、特に利用者保護の観点に立ち、新たなターゲティング手法の登場等の業界の動向を踏まえながら、プラットフォーム事業者における情報取得の方法等、利用者情報の取扱いについて確認していく必要がある。
    • 上記のモニタリングを行うに当たっては、特に、今般のモニタリング結果において要検討事項と指摘された事項について検討を深めることが必要である。その上で、プラットフォーム事業者が、アカウントを取得していない利用者やログインをしていない利用者からも情報を取得していること、第三者や、第三者のウェブサイトを通じて情報を取得していることに関し、利用者保護の観点から、対応を行うべき点がないかについて検討を行うことが必要である。

【2024年1月】

総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会(第6回)配付資料
▼ 資料6-1 AI事業者ガイドライン案の概要
  • 背景・経緯
    • 我が国は従前より、世界に先駆けて、AIに関する議論を主導(G7香川・高松情報通信大臣会合(2016年)、人間中心のAI社会原則(2019年、内閣府))。今般、「AIに関する暫定的な論点整理」(2023年5月、AI戦略会議)を踏まえ、総務省・経済産業省が共同事務局として、既存のガイドラインを統合・アップデート(AI開発ガイドライン(2017年、総務省)、AI利活用ガイドライン(2019年、総務省)、AI原則実践のためのガバナンスガイドライン(2022年、経済産業省))し、広範なAI事業者向けのガイドライン案をとりまとめ
    • 作成にあたっては広島AIプロセスの議論やマルチステークホルダー・アプローチを重視。総務省の「AIネットワーク社会推進会議」、経済産業省の「AI事業者ガイドライン検討会」及び各検討会下のWGを活用し、産業界、アカデミア及び市民社会の多様な意見を聴取
  • 全体の構成、今後の進め方
    • 事業活動においてAIに関係する全ての事業者(企業に限らず、公的機関を含めた組織全般)を対象。事業者を(1)AI開発者、(2)AI提供者、(3)AI利用者(事業活動以外でAIに関係する者を含まない)に大別
    • 3つの事業者カテゴリに共通の指針を括りだした上で(第2部C)、各カテゴリに特有、重要となる事項を整理(第3部~第5部
    • 本編の構成
      • 第1部AIとは
      • 第2部AIにより目指すべき社会と各主体が取り組む事項
        • A基本理念
        • B原則
        • C共通の指針(一般的なAIシステム)
        • D高度なAIシステムに関係する事業者に共通の指針
        • Eガバナンスの構築
      • 第3部AI開発者に関する事項 データ前処理・学習時、AI開発時、AI開発後、国際行動規範の遵守
      • 第4部AI提供者に関する事項 AIシステム実装時、AIシステム・サービス提供後、国際指針の遵守
      • 第5部AI利用者に関する事項 AIシステム・サービス利用時、国際指針の遵守
    • 別添
      • 本編を補完する位置付けとして、次のような事項を記載
      • AIシステム・サービスの例(各主体の関係性等を含む)
      • AIによる便益や可能性、具体的なリスクの事例
      • ガバナンス構築のための実践ポイント、具体的な実践例
      • 本編の各項目に関するポイント、具体的な手法の例示、分かりやすい参考文献 等
  • 対象範囲
    • 広島AIプロセスでとりまとめられた高度なAIシステムに関する国際指針及び国際行動規範を反映しつつ、一般的なAIを含む(想定され得る全ての)AIシステム・サービスを広範に対象
    • 実際のAI開発・提供・利用においては、本ガイドラインを参照し、各事業者が指針遵守のために適切なAIガバナンスを構築するなど、具体的な取組を自主的に推進することが重要
    • 高度なAIシステムに関する取組事項
      • 広島AIプロセスの成果(包括的政策枠組み)を反映
        • 全てのAI関係者向け及び高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際指針
        • 高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際行動規範
    • あらゆるAIシステムに関する取組事項
      • 原則を元に、各主体が取り組むべき指針や事項を整理
      • AI開発ガイドライン、AI利活用ガイドライン(総務省)も取込み
        • 1)人間中心、2)安全性、3)公平性、4)プライバシー保護、5)セキュリティ確保、6)透明性、7)アカウンタビリティ、8)教育・リテラシー、9)公正競争確保、10)イノベーション
    • 基本理念・原則
      • 「人間中心のAI社会原則」の基本理念を土台とし、OECDのAI原則等を踏まえ、基本理念・原則を構成
    • AIガバナンス
      • AI原則実践のためのガバナンス・ガイドライン(経済産業省)をもとに整理
  • 各主体が取り組む主な事項の例(抜粋)
    • 第2部 AIにより目指すべき社会と各主体が取り組む事項
      • 法の支配、人権、民主主義、多様性、公平公正な社会を尊重するようAIシステム・サービスを開発・提供・利用し、関連法令、AIに係る個別分野の既存法令等を遵守、人間の意思決定や感情等を不当に操作することを目的とした開発・提供・利用は行わない
      • 人間の生命・身体・財産、精神及び環境への配慮、偽情報等への対策、AIモデルの各構成技術に含まれるバイアスへの配慮
      • プライバシー保護やセキュリティー確保、関連するステークホルダーへの情報提供(AIを利用しているという事実、AIモデルの情報 等)
      • トレーサビリティの向上(データの出所や、開発・提供・利用中に行われた意思決定等)
      • 文書化(情報を文書化して保管し、必要な時に、利用に適した形で参照可能な状態とする等)
      • AIリテラシーの確保、オープンイノベーション等の推進、相互接続性・相互運用性への留意等
      • 高度なAIシステムに関係する事業者は、広島AIプロセスで示された国際指針を遵守(開発者は国際行動規範も遵守)
      • 「環境・リスク分析」「ゴール設定」「システムデザイン」「運用」「評価」といったサイクルを、マルチステークホルダーで継続的かつ高速に回転させていく、「アジャイル・ガバナンス」の実践 等
    • 第3部 AI開発者に関する事項
      • 適切なデータの学習(適正に収集、法令に従って適切に扱う)
      • 適正利用に資する開発(安全に利用可能な範囲の設定、AIモデルの適切な選択)
      • セキュリティ対策の仕組みの導入、開発後も最新動向に留意しリスクに対応
      • 関連するステークホルダーへの情報提供(技術的特性、学習データの収集ポリシー、意図する利用範囲等)
      • 開発関連情報の文書化
      • イノベーションの機会創造への貢献 等
    • 第4部 AI提供者に関する事項
      • 適正利用に資する提供(利用上の留意点の設定、AI開発者が設定した範囲でAIを活用等)
      • 文書化(システムのアーキテクチャやデータ処理プロセス等)
      • 脆弱性対応(サービス提供後も最新のリスクを把握、脆弱性解消の検討)
      • 関連するステークホルダーへの情報提供(AIを利用していること、適切な使用方法、動作状況やインシデント事例、予見可能なリスクや緩和策等)
      • サービス規約等の文書化 等
    • 第5部 AI利用者に関する事項
      • 安全を考慮した適正利用(AI提供者が示した適切な利用範囲での利用)
      • バイアスに留意し、責任をもってAIの出力結果の利用を判断
      • プライバシー侵害への留意(個人情報等を不適切に入力しない等)
      • セキュリティ対策の実施
      • 関連するステークホルダーへの情報提供(業務外利用者等に平易かつアクセスしやすい形で示す等)
      • 提供された文書の活用、サービス規約の遵守 等
  • 第7回AI戦略会議 「松本総務大臣ご発言」より
    • 「広島AIプロセス」に関しては、12月1日「G7デジタル・技術大臣会合」において、「広島AIプロセス包括的政策枠組み」と作業計画について合意が得られた。来年以降も、作業計画に基づき、他の国や地域、国際機関等と協力しながら「広島AIプロセス」を更に推進してまいる。
    • また、AIガバナンスの相互運用性を推進する観点から、「広島AIプロセス」の成果を踏まえ、経済産業省と連携して「AI事業者ガイドライン案」の検討を進めており、年度内に策定・公表予定だが、その後も随時更新してまいる。
    • さらに、生成AIに係る偽情報等について、現在、総務省では、デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた検討を進めており、これらの検討結果もAI事業者ガイドラインにも反映するなどし、安心してAI開発、提供、利用を進められるよう取り組んでまいる。
    • 最後に、我が国の開発力の強化に向けて、NICTの保有するAI学習用の良質な日本語データについて、年明けを目途に国内のAI開発事業者等に対して提供開始する予定である。こちらにもしっかり取り組んでまいる
  • 第7回AI戦略会議 「構成員ご発言」より
    • 今後の課題というところで申しあげると、偽情報問題が非常に重要。政治家若しくは紛争、戦争、そういった関連の偽画像、偽映像が拡散しているということは周知のとおりだが、それだけではなく、話題になったニュースに関連するAI生成画像がどんどん今、出てきている。こういった中で実効性のある対策ということを考えることが非常に重要である。
  • 第7回AI戦略会議 「来年のAI戦略会議の課題について」より
    • AI利用により巧妙化、増加するおそれのある偽情報対策を強化すべきではないか。例えば、コンテンツ認証・来歴管理技術等の新たな技術の開発・導入の促進策や、欧州で議論されているAI作成コンテンツの明示義務やデジタルプロバイダーの役割について検討してはどうか。

総務省 家計調査報告(二人以上の世帯)2023年(令和5年)11月分
  • 消費支出
    • 消費支出(二人以上の世帯)は、1世帯当たり286,922円
    • 前年同月比 実質 2.9%の減少 名目 0.3%の増加
    • 前月比(季節調整値)実質 1.0%の減少
  • 実収入
    • 勤労者世帯の実収入(二人以上の世帯)は、1世帯当たり494,181円
    • 前年同月比 実質 4.7%の減少 名目 1.6%の減少

総務省 震災により本人確認が困難な場合の携帯電話契約の本人確認方法の特例
▼ 「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律施行規則の一部を改正する省令」の概要
  1. 背景
    • 携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(平成17年法律第31号)では、携帯音声通信事業者等に対し、契約の相手方の本人確認等を義務付けている。
    • 令和6年能登半島地震により、被災者が本人確認書類を喪失し、携帯電話の契約等に際して本人であることを確認できる書類がない場合が想定される。このような場合において、被災者が携帯電話の契約等を行うことができるよう、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律施行規則(平成17年総務省令第167号。以下「規則」という。)の一部を改正し、令和6年能登半島地震の被災者について、令和6年1月11日(木)から同年6月30日(日)までの間、本人確認の方法等に関する特例を設けることとする。
  • 省令の概要
    • 本人確認の方法等に関する以下の特例について、令和6年能登半島地震の被災者に対して適用できるよう改正を行うもの
      • 携帯音声通信事業者が、規則第3条第1項第1号(自然人に対する本人確認)及び第11条第1項第1号(自然人に対する譲渡時本人確認)に規定する方法により、本人確認又は譲渡時本人確認(以下「本人確認等」という。)を行うことが困難であると認められる場合は、臨時的な措置として令和6年1月11日(木)から同年6月30日(日)までの間、当該自然人からの申告により、本人確認等を行うことができることとする。また、携帯音声通信事業者は、通常の本人確認等を行うことができることとなった後、直ちに通常の本人確認等を行うこととする。(附則第7条関係)
      • 媒介業者等が、規則第12条に規定する方法により、本人確認等を行うことが困難であると認められる場合は、臨時的な措置として令和6年1月11日(木)から同年6月30日(日)までの間、当該自然人からの申告により、本人確認等を行うことができることとする。また、媒介業者等に本人確認等を行わせていた携帯音声通信事業者は、通常の本人確認等を行うことができることとなった後、直ちに通常の本人確認等を行うこととする。(附則第8条関係)
      • 貸与事業者が、規則第19条第1項第1号(自然人に対する貸与時本人確認)に規定する方法により、貸与時本人確認を行うことが困難であると認められる場合は、臨時的な措置として令和6年1月11日(木)から同年6月30日(日)までの間、当該自然人からの申告により、貸与時本人確認を行うことができることとする。また、貸与事業者は、通常の貸与時本人確認を行うことができることとなった後、直ちに通常の貸与時本人確認を行うこととする。(附則第9条関係)
  • 施行日
    • 公布の日から施行する。
  • 総務省 「人材育成・確保基本方針策定指針」の公表
    ▼ 人材育成・確保基本方針策定指針(概要)
    • 現行指針(平成9年 人材育成基本方針策定指針)
      • 地方分権推進の要である職員の人材育成を進めるため、地方公共団体が「基本方針」を策定する際に留意・検討すべき事項を提示した「指針」を策定※令和5年4月1日時点で、ほぼすべての地方公共団体(95.6%)が方針を策定(改定率57.8%)
    • 新たな指針(令和5年12月 人材育成・確保基本方針策定指針)
      • 生産年齢人口の減少、働き手側の価値観の多様化、デジタル社会の進展等により地方公共団体を取り巻く状況が大きく変化する中、複雑・多様化する行政課題に対応する上で、人材育成・確保の重要性が高まっていること、また、第33次地方制度調査会において、都道府県等が市町村と連携して専門人材の育成・確保に取り組む視点の重要性が指摘されていることも踏まえ、現行指針を大幅に改正
      • 「人材育成」に加えて、「人材確保」、「職場環境」、「デジタル人材の育成・確保」に関する検討事項、留意点を記載
      • 各地方公共団体が基本方針を改正等する際の留意すべき事項等を提示し、「基本方針」の改正等を促すことで、人材育成・確保の取組を推進
      • 基本方針の改正等に当たっての基本的な考え方
        • 求められる職員像・職務分野等に応じ必要なスキルを明確化
        • 特に必要となる人材について、可能な限り定量的な目標を設定、定期的に検証、取組改善
        • 首長等が積極的に関与、人事担当部局と関係部局が連携
        • 単独では育成・確保が困難な市区町村への都道府県の支援、市区町村間の連携の強化
      • 人材育成・確保の検討事項
        • 人材育成
          • リスキリングやスキルアップによる必要となる人材の計画的・体系的な育成 等
            • 人材育成プログラムの整備
            • 人材育成手法の充実
            • 人を育てる人事管理
        • 人材確保
          • 新卒者に限らず、多様な経験等を持った経験者採用の積極的な実施 等
            • 公務の魅力の発信
            • 多様な試験方法の工夫
            • 外部人材の活用 等
        • 職場環境の整備
          • 全ての職員がワーク・ライフ・バランスを保ちながら、能力を最大限発揮できる職場環境の整備 等
            • 多様な人材の活躍を可能にする職場環境の整備
            • 働きやすい職場の雰囲気の整備
            • 職員のエンゲージメントの把握
        • デジタル人材の育成・確保
          • 高度専門人材、DX推進リーダー、一般行政職員ごとに想定される人材像や役割を整理し、育成・確保を推進 等
            • 職員のデジタル分野の知識・スキル等を把握の上で、求められる人材のレベルごとに育成・確保すべき目標を設定
            • 人事担当部局とDX担当部局等の緊密な連携、首長等のトップマネジメント層のコミットメント等によるデジタル人材の育成・確保に係る推進体制の構築
            • 自団体だけではデジタル人材の育成・確保が困難な市区町村に対する都道府県による支援
            • デジタル分野の専門性・行政官の専門性を合わせて向上させながらキャリアアップを図ることができるキャリアパスの提示

    総務省 ソフトバンク株式会社に対する電気通信事故に関する適切な対応についての指導
    ▼ ソフトバンク株式会社に対する指導内容
    • 本日、総務省は、ソフトバンク株式会社(代表取締役社長執行役員兼CEO宮川 潤一、法人番号9010401052465、本社 東京都港区)に対し、令和5年11月18日(土)から同年11月19日(日)までの間及び同年11月20日(月)に発生した大規模な電気通信事故に関し、同様の事故を再発させないよう厳重に注意するとともに、再発防止の観点から種々の取組を確実に実施するよう、文書により指導しました。
    • 経緯
      • 令和5年11月18日(土)から同年11月19日(日)までの間及び同年11月20日(月)に、ソフトバンク株式会社が提供する固定電話サービスにおいて、緊急通報を取り扱う音声伝送役務の一部の提供が停止する事故に関し、同年12月18日(月)、総務省は、同社から電気通信事業法(昭和59年法律第86号)第28条第1項に基づく重大な事故報告書を受領しました(概要は別紙1PDF)。
      • 当該事故は、最大21.4万の利用者が合計17時間38分間、緊急通報を含む音声伝送役務を利用できない事象を生じさせました。
      • 固定電話サービスは、国民生活の重要なインフラとなっているものであり、このような重大な事故の発生は、利用者の利益を阻害し、社会・経済活動に深刻な影響を及ぼすものであることから、総務省においては、同様の事故を発生させないよう厳重に注意するとともに、再発防止の観点から、文書による指導を行ったものです。
    • 指導内容
      1. 当該事故のうち、加入者交換機に係る事象については、機器ベンダーとの間に認識齟齬があり、必要な事前検証が行われていなかったことに起因すると認められる。重要設備の事前検証に漏れ・齟齬が生じないよう、機器や作業の種別に応じて機器ベンダーとの間でいかなる項目を重点的に伝達・確認するかを事前に整理し、事前検証プロセスを見直すこと。
      2. 当該事故のうち、加入者データベース設備に係る事象については、監視アラートの設定が精緻なものとなっていなかったことにより、事故原因となった構成部品と異なる部品を交換し、ネットワークに投入したことに起因すると認められる。重要設備の故障発生時に、迅速に適切な措置を講じることができるよう、監視アラートの内容を確認し、必要に応じてその設定を見直し、あるいは、アラート発動時の復旧措置を事前に整理すること。
      3. 当該事故のうち、11月20日に発生した事象については、設備を復旧させる作業に伴って発生したものである。一度復旧した事故への対処に当たって再度の支障を生じさせることがないよう、早期のサービス再開の必要性、故障原因精査の必要性等を考慮した上で、勘案すべき事項を検討、整理すること。
      4. 同様の事故の再発防止のため、当該事故における教訓を業界全体で共有することが不可欠であることから、事故の発生原因、措置状況、再発防止策等の詳細について、他の電気通信事業を営む指定公共機関(東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、株式会社NTTドコモ、KDDI株式会社及び楽天モバイル株式会社に限る。)に説明し、情報共有する機会を早急に設けること。
      5. 貴社の報告は、当省総合通信基盤局電気通信事業部の「電気通信事故検証会議」が行う検証の対象とするが、同会議の分析・検証の結果、貴社において追加的な再発防止策が必要と認められる場合には、当該再発防止策についても併せて取り組むこと。
      6. 1~5の実施状況については、令和6年2月10日までに、同年1月末時点における具体的な実施状況を報告するとともに、当分の間、1か月ごとに実施状況を取りまとめ、翌月10日までに報告すること。また、今後、事故原因等に関して新たな事実等が判明した場合には、速やかに報告すること。
        • (注) 6の報告内容については、非公表とすることにつき正当な理由がある部分を除き公表することがあるため、非公表を希望する部分がある場合は、理由とともに明示すること。

    総務省 第三セクター等の状況等に関する調査結果の概要
    ▼ 【資料1】調査結果の概要
    1. 第三セクター等の概況
      • 法人数の状況
        • 令和5年3月31日時点の第三セクター等の数は7,027法人(前回調査比▲122法人)です。また、今回調査期間中に新たに設立された第三セクター等の数は61法人です。
      • 出資の状況
        • 第三セクター等に対する出資の総額6兆2,530億円のうち、地方公共団体の出資額は3兆7,399億円(全体の59.8%、前回調査比+0.1ポイント)となっています。
        • 法人形態別の地方公共団体の出資額は、社団法人・財団法人については6,864億円(全体の67.5%、同比+0.4ポイント)、会社法法人については2兆385億円(全体の48.3%、同比+0.2ポイント)、地方三公社については1兆150億円(全体の100.0%、同比±0ポイント)となっています
    2. 経営状況(令和5年3月31日時点の直近の財務諸表等による)調査対象法人:5,827法人(前回調査比▲111法人)
      • 経常損益の状況
        • 経常黒字となっている法人は3,431法人(全体の58.9%、前回調査比▲0.4ポイント)です。
        • 業務分野別に見ると、黒字法人の割合は「情報処理」が81.3%と最も高く、赤字法人の割合は「社会福祉・保健医療」が53.3%と最も高くなっています。
      • 純資産又は正味財産の状況
        • 債務超過となっている法人は260法人(全体の4.5%、同比+0.1ポイント)です。
        • 業務分野別に見ると、債務超過の法人の割合は「観光・レジャー」が12.9%と最も高く、次いで高くなっているのは「運輸・道路」で8.5%となっています。
      • 財政的支援の状況
        • 地方公共団体からの補助金の状況
          • 地方公共団体から補助金を交付されている法人は2,803法人(全体の48.1%、前回調査比▲0.7ポイント)であり、交付額は4,184億円(同比▲198億円)となっています。
          • 業務分野別に見ると、補助金を交付されている法人の割合は「国際交流」が77.2%と最も高く、交付額は「教育・文化」が967億円と最も高くなっています。
        • 地方公共団体からの借入残高の状況
          • 地方公共団体からの借入残高がある法人は607法人(全体の10.4%、同比▲0.2ポイント)であり、借入残高は2兆6,682億円(同比▲2,770億円)となっています。
          • 業務分野別に見ると、地方公共団体からの借入残高がある法人の割合は「住宅・都市サービス」が30.5%と最も高く、借入残高は「運輸・道路」が7,357億円と最も高くなっています。
        • 地方公共団体以外からの借入残高の状況
          • 地方公共団体以外からの借入残高がある法人は1,524法人(全体の26.2%、同比▲1.2ポイント)であり、借入残高は5兆3,540億円(同比▲2,007億円)となっています。
          • 業務分野別に見ると、地方公共団体以外からの借入残高がある法人の割合及び借入残高はともに、「運輸・道路」が46.4%、3兆3,417億円と最も高くなっています。
        • 損失補償・債務保証の状況
          • 地方公共団体による損失補償・債務保証がある法人は438法人(全体の7.5%、同比▲0.9ポイント)で、損失補償・債務保証額は2兆1,442億円(同比▲2,843億円)となっています。
          • 業務分野別に見ると、損失補償・債務保証がある法人の割合は「地域・都市開発」が29.4%と最も高く、損失補償・債務保証額は「運輸・道路」が1兆2,111億円と最も高くなっています。
    3. 統廃合等の状況
      • 統廃合等の状況
        • 今回調査期間に、廃止が162件(廃止には法的整理・私的整理により清算結了した法人を含む。以下同じ。)、統合が19件(統合前36法人、統合後18法人)、出資引揚が29件あり、209法人減少しています。
      • 法的整理・私的整理の状況
        • 今回調査期間に、法的整理の申し立てにより、清算結了した法人は11法人となっており、いずれも会社法法人となっています。また、私的整理の申し立てにより、清算結了した法人はありませんでした。

    総務省 労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)11月分
    • 就業者の動向
      • 男女別就業者数
        • 就業者数は6780万人。前年同月に比べ56万人(0.8%)の増加。16か月連続の増加。男性は3696万人。13万人の増加。女性は3083万人。42万人の増加
      • 従業上の地位別就業者数
        • 自営業主・家族従業者数は644万人。前年同月に比べ4万人(0.6%)の増加
        • 雇用者数は6100万人。前年同月に比べ47万人(0.8%)の増加。21か月連続の増加。男性は3285万人。13万人の増加。女性は2815万人。33万人の増加
      • 雇用形態別雇用者数
        • 正規の職員・従業員数は3610万人。前年同月に比べ23万人(0.6%)の増加。2か月ぶりの増加
        • 非正規の職員・従業員数は2158万人。前年同月に比べ30万人(1.4%)の増加。3か月連続の増加
        • 役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は37.4%。前年同月に比べ0.2ポイントの上昇
      • 就業率
        • 就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合)は61.6%。前年同月に比べ0.7ポイントの上昇
        • 15~64歳の就業率は79.3%。前年同月に比べ1.1ポイントの上昇。男性は84.5%。0.7ポイントの上昇。女性は73.9%。1.4ポイントの上昇
        • 20~69歳の就業率は80.9%。前年同月に比べ1.0ポイントの上昇
    • 完全失業者の動向
      • 男女別完全失業者数
        • 完全失業者数は169万人。前年同月に比べ4万人(2.4%)の増加。3か月ぶりの増加
        • 男性は100万人。前年同月に比べ2万人の減少。女性は69万人。前年同月に比べ6万人の増加
      • 求職理由別完全失業者数
        • 完全失業者のうち、「勤め先や事業の都合による離職」は25万人と、前年同月と同数、「自発的な離職(自己都合)」は72万人と、前年同月に比べ4万人の増加、「新たに求職」は43万人と、前年同月に比べ2万人の増加
      • 年齢階級別完全失業者数
        • 男性の完全失業者数は、「15~24歳」、「35~44歳」及び「45~54歳」の年齢階級で、前年同月に比べ減少
        • 女性の完全失業者数は、「25~34歳」、「35~44歳」及び「45~54歳」の年齢階級で、前年同月に比べ増加
    • 季節調整値でみた結果の概要
      • 就業者(季節調整値)
        • 就業者数は6775万人。前月に比べ26万人(0.4%)の増加
        • 雇用者数は6088万人。前月に比べ26万人(0.4%)の増加
      • 完全失業者(季節調整値)
        • 完全失業者数は177万人。前月に比べ2万人(1.1%)の増加
        • 内訳をみると、「非自発的な離職」は7万人(18.9%)の増加。「新たに求職」は前月と同数。「自発的な離職(自己都合)」は1万人(1.3%)の減少
      • 完全失業率(季節調整値)
        • 完全失業率は2.5%。前月と同率(男女別)男性は2.7%と、前月に比べ0.1ポイントの上昇。女性は2.4%と、前月に比べ0.1ポイントの低下(年齢階級別)男性の完全失業率は、「15~24歳」、「25~34歳」及び「45~54歳」の年齢階級で、前月に比べ上昇。女性の完全失業率は、「15~24歳」、「25~34歳」、「35~44歳」及び「45~54歳」の年齢階級で、前月に比べ低下
      • 非労働力人口(季節調整値)
        • 非労働力人口は4043万人。前月に比べ36万人(0.9%)の減少

    総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会(第5回)配付資料
    ▼ 資料5-1-1広島AIプロセス包括的政策枠組みについて
    • 本会合の結果、本年の広島AIプロセスの成果として、「広島AIプロセスG7デジタル・技術閣僚声明」を採択。生成AI等の高度なAIシステムへの対処を目的とした初の国際的枠組みとして、次の4点を内容とする「広島AIプロセス包括的政策枠組み」に合意。
      1. 生成AIに関するG7の共通理解に向けたOECDレポート
        • G7共通の優先的な課題・リスクとして、透明性、偽情報、知的財産権、プライバシーと個人情報保護、公正性、セキュリティと安全性等が例示。また、機会として、生産性向上、イノベーション促進、ヘルスケア改善、気候危機の解決への貢献等が例示。
        • 広島プロセス国際指針及び国際行動規範に関する議論のインプットとして重要な役割を果たしたことを確認。
      2. 全てのAI関係者向け及びAI開発者向け広島プロセス国際指針
        • 「全てのAI関係者向けの国際指針」について、「AI開発者向けの国際指針」(2023年10月30日公表)の11項目が高度なAIシステムの設計、開発、導入、提供及び利用に関わる全ての関係者に適宜適用し得ることを確認。
        • 偽情報の拡散等のAI固有リスクに関するデジタルリテラシーの向上、脆弱性の検知への協力と情報共有等、利用者に関わる内容を12番目の項目として追加。
      3. 高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際行動規範
        • 10月30日に公表した国際行動規範を支持する声明を発出している組織をG7として歓迎。
        • 幅広い支持を得るために、より多くの組織への働きかけを継続することを確認。
      4. 偽情報対策に資する研究の促進等のプロジェクトベースの協力
        • OECD,GPAI及びUNESCO等が実施する「生成AI時代の信頼に関するグローバルチャレンジ」の取組を歓迎。生成AIを用いて作成される偽情報の拡散への対策に資する技術等の実証を実施。
        • 設立予定のGPAI東京センターを含め各国政府や民間企業等による広島AIプロセス国際指針及び行動規範の実践をサポートするための生成AIに関するGPAIプロジェクトの実施を歓迎。(例:コンテンツの発信元の識別を可能とするコンテンツ認証・来歴管理メカニズム)
    • 「全てのAI関係者向けの広島プロセス国際指針」の概要
      • 安全、安心、信頼できるAIの実現に向けて、AIライフサイクル全体の関係者それぞれが異なる責任を持つという認識の下、12の項目を整理。
      • 「AI開発者向けの広島プロセス国際指針」の11の項目が、高度なAIシステムの設計、開発、導入、提供及び利用に関わる全ての関係者に適宜適用し得るものとして整理した上で、偽情報の拡散等のAI固有リスクに関するデジタルリテラシーの向上や脆弱性の検知への協力と情報共有等、利用者に関わる内容が12番目の項目として追加。
    • 全てのAI関係者向けの広島プロセス国際指針の12項目
      1. 高度なAIシステムの市場投入前及び、高度なAIシステムの開発を通じて、AIライフサイクルにわたるリスクを特定、評価、低減するための適切な対策を実施する。
      2. 市場投入後に脆弱性、インシデント、悪用パターンを特定し、低減する。
      3. 十分な透明性の確保や説明責任の向上のため、高度なAIシステムの能力、限界、適切・不適切な利用領域を公表する。
      4. 産業界、政府、市民社会、学術界を含む関係組織間で、責任ある情報共有とインシデント報告に努める。
      5. リスクベースのアプローチに基づいたAIのガバナンスとリスク管理ポリシーを開発、実践、開示する。特に高度AIシステムの開発者向けの、プライバシーポリシーやリスクの低減手法を含む。
      6. AIのライフサイクル全体にわたり、物理的セキュリティ、サイバーセキュリティ及び内部脅威対策を含む強固なセキュリティ管理措置に投資し、実施する。
      7. AIが生成したコンテンツを利用者が識別できるように、電子透かしやその他の技術等、信頼性の高いコンテンツ認証および証明メカニズムを開発する。またその導入が奨励される。
      8. 社会、安全、セキュリティ上のリスクの低減のための研究を優先し、効果的な低減手法に優先的に投資する。
      9. 気候危機、健康・教育などの、世界最大の課題に対処するため、高度なAIシステムの開発を優先する。
      10. 国際的な技術標準の開発と採用を推進する。
      11. 適切なデータ入力措置と個人情報及び知的財産の保護を実施する。
      12. 偽情報の拡散等のAI固有リスクに関するデジタルリテラシーの向上や脆弱性の検知への協力と情報共有等、高度なAIシステムの信頼でき責任ある利用を促進し、貢献する。
    ▼ 資料5-1-2デジタル空間における情報流通の健全性を巡る国際動向
    • EU AI規則案
      • 2023年12月、EU理事会、欧州委員会と欧州議会はEU域内で一律に適用されるAIの包括的な規制枠組み規則案(AI規則案)に関して暫定的な政治合意に達したと発表。
      • 同規則案は、欧州市場で販売され、EU域内で使用されるAIシステムが安全で、基本的権利やEUの価値を尊重したものにすること、欧州でAIに関する投資やイノベーションを促進することが目的。
      • AI規則案はリスクに応じて規制内容を変えるリスクベースアプローチを採用。ディープフェイクについては、限定リスクAIとして、コンテンツが人工的に生成・操作されたものであることを明らかにする義務(第52条)。
    • AIの安全性・信頼性に関する米国大統領令の概要
      • 2023年10月30日、米大統領府は、AIの安全性、セキュリティ及び信頼性に関する大統領令を公布。
        • ※本大統領令は、広島AIプロセス、英国AI安全性サミット、GPAI議長国のインド、国連での議論を支持・補完するもの。
      • 責任あるAIの活用はより世界を繁栄させる等する一方で、無責任な使用は、誤情報を含む社会的害を悪化させる可能性があるとして、AIに関する新たな安全性評価などを義務づけ。
      • AIの安全性・セキュリティに関する新たな基準
        • 最も強力なAIシステム(安全保障、経済安全保障、国民健康又は安全に対する重大なリスクを呈するdual-use foundation models)の開発者に対し、安全性に関する検証結果及びその他の重要事項について米国政府に開示することを要請
        • AIシステムの安全性等を確保するため、標準化、ツール及び検証に関する手法をNISTが確立
        • 生物学的な合成スクリーニング検査の新たな基準策定を通じ、AIを利用した危険生物の生成に伴うリスクから保護
        • AIにより生成されたコンテンツを識別し、公式コンテンツの真正性を認証するための基準及び好事例を確立することにより、AIによる詐欺・誤認を防止
        • 重要なソフトウェアの脆弱性に対応するAIツールを開発するため、サイバーセキュリティに関する先進的な取組を実施
        • NSC及び首席補佐官において、AI及び安全性に関するさらなる行動を支持する新指令を発出
      • 米国人のプライバシー保護
        • プライバシー保護技術の開発・活用に対する支援強化を通じ、米国人のプライバシーを保護
        • プライバシー保護に関する研究開発を強化
        • 連邦政府による商業利用可能な情報の収集・活用に関する評価を実施
        • 連邦政府によるプライバシー保護技術の有効性に関する評価指針を策定
          • ※議会に対し超党派の包括的データプライバシー保護法案の可決を要請
      • 公平性及び市民権の向上
        • 地権者、連邦支援プログラムの実施主体及び連邦政府との契約主体に対する明確な指針の提示 等
      • 消費者、患者及び学生に対する取組
        • 保健及び廉価な医薬品の供給における責任あるAI利用を促進
        • AIの潜在可能性を教育改革につなげる
      • 労働者保護
        • AIが労働者に与える弊害を軽減し、便益を最大化するための政策原則及び好事例を確立
        • AIが労働市場に与える潜在的な影響に関する報告書を作成し、AI等が労働者にもたらす課題に対する連邦レベルでの支援を強化するための方策を検討
      • イノベーション及び競争の促進
        • 公正でオープンなAIエコシステムの競争環境の促進 等
      • 米国の国際的リーダーシップの確立
        • AIに関するバイ・マルチ及びマルチステークホルダーの連携を拡大
        • 安全で責任を持ち、権利向上に資するAIの開発・採用を促進することによる、グローバル課題の解決への貢献 等
      • 責任ある政府調達の確保
        • AI調達指針の策定 等
    • “The Bletchley Declaration”の概要
      • AIの安全性の確保におけるリスクの特定と対処における国際協力の重要性を示すため、AI安全性サミットの成果文書としてブレッチリー宣言を発表。(日本、米国を含む29カ国が署名)
      • フロンティアAIの安全かつ責任ある開発、機会とリスク、最も重要な課題に対応するための国際的行動の必要性について、世界初の合意。
      • 特に、重大なリスクはAIの意図的誤用や意図しない制御から生じることがあり、特にフロンティアAIシステムが偽情報等のリスクを増幅する可能性がある分野では、AIモデルの最も重要な能力から生じる深刻で壊滅的な被害となる可能性があるとして、懸念されるリスクとして提示。
      • AIには社会を良い方向に変革する機会がある一方、様々なリスクもある。特にフロンティアAIについて、サイバーセキュリティ、偽情報の拡散等の安全上のリスクあり。
      • AIにより生じる多くのリスクについては国際的に協調して対応すべき。また、AIの安全性確保のために、全ての主体が果たすべき役割があり、各主体間の協力が必要。
      • 安全性はAIライフサイクル全体で考慮される必要がある一方で、フロンティアAI開発者には特に強い責任あり。安全性テストの実施や透明性・説明責任の確保等を推奨。
      • 国際協調の観点から次の取組にフォーカス
        • フロンティアAIのリスクに関する科学的エビデンスに基づく理解の醸成及び既存の国際的なフォーラ等を通じたバイ・マルチの協調を補完する形での科学的研究ネットワークの支援
        • 安全性テスト手法の開発等、安全性の確保に向けた各国の政策の推進

    総務省 新たな社会経済情勢に即応するための地方財務会計制度に関する研究会
    ▼ 新たな社会経済情勢に即応するための地方財務会計制度に関する研究会 報告書(概要)
    • 調達関連手続についての現状認識と取組の必要性
      • 調達関連手続の詳細は、地方公共団体の財務規則等で規定。この結果、地方公共団体は、地域の実情を踏まえて契約を締結することが可能となっている一方で、様式・項目等が地方公共団体ごとに異なっている。また、オンライン化も十分には進んでいない。
      • 総務省においては、令和3年に入札参加資格審査申請の標準項目等を取りまとめ、地方公共団体にその活用及び申請の電子化・オンライン化を助言。
      • 社会全体のDXが求められる中、地方公共団体・事業者の事務処理の効率化や利便性の向上を図る観点から、調達関連手続のデジタル完結・ワンスオンリー化を実現することが重要。様式・項目等の共通化についても、さらに踏み込んだ取組を行う必要。
    • 共通化・デジタル化に向けた今後の取組の方向性
      • 以下の取組の方向性について、地方公共団体の意見を聞きながら、具体化に向けた検討を進めることが考えられる。
        • 入札参加資格審査手続
          • ワンスオンリー化の実現に向け、様式・項目等の共通化について踏み込んだ取組が必要。
          • 契約の適正な履行を確保する観点から、地方公共団体が、事業者の能力等を判定するため、必要な範囲内で項目等を設定できるようにする必要→申請方法(申請時期・受付方法等)の共通化を促す
          • かえって、地方公共団体や事業者の事務負担を増加させることのないよう考慮する必要
        • 入札参加資格審査以降の手続(入札公告、入札、契約、完了届、請求等)
          • 入札参加資格審査申請と異なり、入札や完了届の提出等は、地方公共団体と事業者が個別に対応するものであって、同じ情報を複数団体に提出するようなものではない。
          • 一方で、積極的に差異を設ける必要性も大きくはない。→広域で又は全国的に共通システムを整備することを前提として共通化することも考えられる
        • システム
          • オンライン化を促すとともに、共通システムの整備については、都道府県単位で共同システムを整備する方法(14の府県で実績)や、国の政府調達関連システムの機能を地方公共団体が活用する方法、全地方公共団体共通のシステムを整備する方法が考えられるが、実現可能性を含めて、地方公共団体の意見を聞きながら具体の検討が必要。
          • 様式・項目等の共通化が前提。
    • 今後の取組の進め方
      • 総務省・地方公共団体でワーキングチームを立上げ。各省庁の取組とも連携して、共通化する具体的な様式・項目・申請方法等やデジタル化の方法を検討。
      • メリットや必要性(システム整備・運用コストの抑制、入札不調・不落の減少等)が地方公共団体に十分認識されるよう周知することが重要。その際、経済団体やベンダー事業者の協力を得ることが重要。

    【消防庁】

    【2024年1月】

    総務省消防庁 「令和5年版 救急・救助の現況」の公表
    • 全国の救急業務及び救助業務の実施状況等を取りまとめましたので、「令和5年版 救急・救助の現況」(救急蘇生統計を含む。)として公表します。
    • 救急業務の実施状況
      • 令和4年中の救急出動件数(消防防災ヘリコプターを含む。)は、723万2,118件(対前年比103万6,049件増、16.7%増)、搬送人員は621万9,299人(対前年比72万5,641人増、13.2%増)であった。
      • そのうち、救急自動車による救急出動件数は722万9,572件(対前年比103万5,991件増、16.7%増)、搬送人員は621万7,283人(対前年比72万5,539人増、13.2%増)で救急出動件数、搬送人員ともに対前年比で増加した。
      • 現場到着所要時間は全国平均で約10.3分(前年約9.4分)、病院収容所要時間は全国平均約47.2分(前年約42.8分)となった。
    • 救助業務の実施状況
      • 令和4年中の救助活動件数は6万8,123件(対前年比4,925件増、7.8%増)、救助人員は6万2,679人(対前年比2,818人増、4.7%増)となった。

    総務省消防庁 消防法施行令の一部を改正する政令について
    • 改正理由
      • 脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第69号)第4条の規定による建築基準法(昭和25年法律第201号)の一部改正により、防火規制に係る別棟みなし規定の創設や建築物の主要構造部に係る防火規制の合理化が行われた(令和6年4月1日施行)。
      • これを踏まえ、消防法(昭和23年法律186号)第17条第1項の規定に基づき消防法施行令(昭和36年政令第37号。以下「令」という。)で定める消防用設備等の設置及び維持の技術上の基準(以下「消防用設備等の技術基準」という。)に係る規定の整備を行う必要がある。
    • 改正内容
      • 消防用設備等の技術基準に係る別棟みなし規定の拡充【令第8条関係】
        • 消防用設備等の技術基準は、原則として防火対象物一棟単位で適用されているが、建築基準法上の防火規制に係る別棟みなし規定の創設を踏まえて、消防用設備等の技術基準に係る別棟みなし規定を拡充する。
      • 建築基準法における建築物の主要構造部に係る防火規制の合理化に伴う規定の整備【令第11条等関係】
        • 令では、消防用設備等の設置義務の対象となる防火対象物について、その主要構造部が耐火構造等である場合には、消防用設備等の技術基準の一部を緩和する規定を設けている。建築基準法の一部改正により、特定主要構造部のみを耐火構造等とする建築物の建築が可能となるが、主要構造部全てを耐火構造等とする建築物と同様に、消防用設備等の技術基準の一部が緩和されるよう規定の整備を行う。
    • 施行期日
      • 令和6年4月1日

    【その他省庁】

    【2024年3月】

    復興庁 復興推進委員会(第43回)[令和5年11月22日]
    ▼ 資料2-2 東日本大震災からの復興の状況に関する報告(案)
    • 経験したことのない複合的な大災害
      • 東日本大震災をもたらした平成23年東北地方太平洋沖地震は、モーメントマグニチュード 9.0という我が国の観測史上最大の地震であり、世界でも西暦1,900年以降で4番目の巨大地震となった。同地震の震源域は、岩手県沖から茨城県沖まで、長さ約450km、幅約200kmに及び、最大震度7の地震動が観測されるとともに、大津波の発生により6県で561㎢が浸水する等、広範囲にわたる甚大な被害を生じた。
      • この震災により、13都道県で死者19,765名(震災関連死を含む。)を生じ、いまだに6県で2,553名の方が行方不明となっている(いずれも令和5年3月1日時点)。また、9都県で122,039棟の住宅が全壊、13都道県で283,698棟が半壊となり(いずれも令和5年3月1日時点)、発災当初の避難者は最大で約47万人、応急仮設住宅等の入居者は約32万人に及んだ。
      • また、今般の震災では、地震及び津波による被害に加え、福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の放出に伴い、同施設周辺の多くの住民が避難を余儀なくされ、農林水産業のみならず製造業を含めたあらゆる産業が大きな打撃を受け、さらには、国内外に風評被害が及ぶなど、未曾有の複合災害となった。
    • 特別な法律等
      • 発災翌日の平成23年3月12日、同地震を激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和37年法律第150号)に基づく「激甚災害」として指定することを閣議決定し、当該災害の復旧事業等に係る国庫補助のかさ上げ措置を適用した。また、復興期間における復旧・復興事業の規模をあらかじめ示し、必要な財源を確保するための「復興財源フレーム」を策定した。
      • こうした措置に加え、東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律(平成23年法律第40号)による補助の拡大等の措置を講じ、さらに、東日本大震災復興特別区域法(平成23年法律第122号。以下「復興特区法」という。)や福島復興再生特別措置法を制定し、被災地域の状況に応じた支援措置を講じてきた。
      • 加えて、小規模で財政力に乏しい地方公共団体の甚大な被災を受けて、人的資源の確保や財政運営を支える仕組みを整備した。
      • その他、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法(平成23年法律第113号)に基づき、事業者の再生を支援するための機構を設置する等、支援に必要な措置を講じた。
    • 復興に向けた取組の状況及び今後の方向性
      • 被災者支援については、被災者一人一人が直面している課題が異なり、被災者を取り巻く社会情勢も変化する中、被災者支援総合交付金などを活用し、生活再建のステージに応じた切れ目のない支援を実施してきた。被災者が地域社会から孤立することや孤独に悩むことを防ぎ、安全・安心な生活を再建できるよう、コミュニティ形成や心身のケア等のきめ細かな支援を推進し、事業の進捗に応じた支援を継続している。
      • 災害公営住宅の整備・高台等の宅地造成については、令和2年度までの復興・創生期間内に全て完了した(帰還者向けのものを除く。)。引き続き、意向の変化等によりまだ活用されていない宅地や、防災集団移転促進事業の移転元地等を活用する被災市町村の取組の後押しを進めている。
      • 産業・生業の再生の面では、被災企業がいち早く事業再開できるよう、仮設店舗・工場の整備、施設・設備の復旧補助金の交付、信用保証、二重ローン対策などによる企業活動の再開と継続支援、産業集積や雇用確保のための税制、利子補給、企業立地補助などに取り組んできた。
      • また、販路の確保・開拓等様々な課題に直面する被災事業者のニーズにきめ細かく対応するため、「新しい東北」の企業連携に関する取組として、支援企業等と被災地域企業のマッチングの場の創出や、被災中小企業の経営課題を解決するハンズオン支援事業等、販路開拓等を支援する専門家の派遣等の支援を実施してきた。その結果、企業活動に係る指標は全体としておおむね震災前の水準程度に回復した。他方で、地域間・業種間で復興の度合いに差があることから、対象地域の重点化等を図りながら、引き続き支援策を実施している。
      • 人材確保の面では、膨大な復旧・復興に係る事務・事業の担い手となる地方公共団体の人的資源不足に対応するため、関係省庁や団体の連携による全国の地方公共団体からの職員派遣、被災市町村での任期付職員採用、復興庁で採用した任期付職員の派遣等により、被災市町村への人的支援を行ってきている。
      • また、復興の進捗状況や地域・個人の課題が多様化し、きめ細かなニーズ把握や取組が求められており、「心の復興」や交流人口の増加等のソフト面を中心に、NPOやボランティア団体等の活動への期待や果たすべき役割は大きく、多様な主体による活動が円滑かつ効果的に進められるよう、必要な協力体制の構築等も行ってきている。
      • 原子力災害被災地域においては、住民の帰還による避難指示解除区域等の復興・再生を第一の目的として帰還環境整備等を進めてきた。特定復興再生拠点区域については、拠点計画に基づき、令和4年6月には葛尾村及び大熊町、令和4年8月には双葉町、令和5年3月には浪江町、令和5年4月には富岡町、令和5年5月には飯舘村の避難指示が解除された。また、特定復興再生拠点区域外については、令和5年6月に福島特措法を改正し、特定避難指示区域の市町村長が避難指示解除による住民の帰還及び当該住民の帰還後の生活の再建を目指す「特定帰還居住区域」を設定できる制度を創設した。大熊町及び双葉町については、両町の一部区域について、令和5年度から先行的な除染を実施するため、それぞれ特定帰還居住区域復興再生計画が策定され、令和5年9月に内閣総理大臣が認定を行ったところである。
      • 東北地方を中心に未曽有の被害をもたらした東日本大震災の発生から、12年以上の歳月が経過した。自然災害と原子力災害との複合災害という、経験のない事態への対応が求められる中、困難な状況にあっても、被災者をはじめ、国、地方公共団体、ボランティアやNPO、民間企業、さらに一人ひとりの国民が協力して歩みを進めてきた。
      • その取組の結果、地震・津波被災地域では、インフラの復旧や住まいの再建・復興まちづくりはおおむね完了し、産業・生業の再建も着実に進展しており、復興の「総仕上げ」の段階に入っている。その一方で、心のケア等の被災者支援をはじめ、中核産業である水産加工業の売上げ回復等、今後も一定の支援が必要な事業がなお残ることから、一刻も早い復旧・復興事業の完了を目指し、きめ細かい取組を推進している。
      • また、原子力災害被災地域においては、避難指示が解除された地域における帰還環境の整備が進むなど、復興・再生が本格的に始まっているが、引き続き国が前面に立ち、中長期的な対応が必要である。復興のステージが進むにつれて生じる新たな課題や多様なニーズにきめ細かく対応しつつ、本格的な復興・再生に向けた取組を進めていく。
      • 復興に当たっては、被災地が震災以前からの人口減少や産業空洞化等の全国の地域に共通する中長期的な課題を抱えていることを踏まえ、「まちに人が戻る」ことを目指すのみならず、交流人口・関係人口や移住者の拡大を図り、魅力あふれる地域の創造を目指しており、政府全体の施策を活用して、持続可能で活力ある地域社会を創り上げていく。

    文化庁 文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第7回)
    ▼ 資料2-2 AIと著作権に関する考え方について(素案)令和6年2月29日時点版
    • 人とAIとの関係については、広島AIプロセスにおいて「人間中心主義」や「信頼できる人間中心のAIの責任あるスチュワードシップ」が謳われていることや、我が国の「人間中心のAI社会原則」においても「人間中心の原則」が示されているように、人がAIを高度な道具として補助的に用いることが原則と考えられる。本考え方においても、人が道具としてAIを使用するものであり、これに伴う行為の責任はAIを道具として用いる人に帰属するということを前提としている。
    • 著作権法は、著作物に該当する創作的表現を保護し、思想、学説、作風等のアイデアは保護しない(いわゆる「表現・アイデア二分論」)。この理由としては、アイデアを著作権法において保護することとした場合、アイデアが共通する表現活動が制限されてしまい表現の自由や学問の自由と抵触し得ること、また、アイデアは保護せず自由に利用できるものとした方が、社会における具体的な作品や情報の豊富化に繋がり、文化の発展という著作権法の目的に資すること等が挙げられる。
    • 本小委員会の審議においてもヒアリング等を通じて確認したように、例えばテキストの生成においては、ある単語に続く単語の出現確率を計算することを繰り返すことで生成が行われているものであり、通常、学習データの切り貼りによって生成を行うものではないとされる。なお、この生成の機序については、後掲4で示す関係者の懸念が大きいところであり、生成AIの開発や提供を行う事業者等から分かりやすい形で社会に対する発信がされることが望ましい。
    • 生成AIに関係する当事者
      • 生成AIは、その開発・提供・利用の各場面において立場の異なる複数の者が当事者として関係する。この当事者としては、以下のような者が想定される。なお、AIの開発・提供・利用の態様によっては、同一の者が複数を兼ねる場合もある。
        • AI開発事業者
      • 生成AI(学習済みモデル)の開発に向けた、学習データの収集、学習用データセットの構築、及び学習用データセットを用いたAI学習等の行為を行う者。主として事業者が想定されるが、これに限るものではない。
        • AIサービス提供事業者
      • 既存の生成AIに対する追加的な学習、生成AIを組み込んだソフトウェアやサービスのAI利用者に対する提供等の行為を行う者。主として事業者が想定されるが、これに限るものではない。
        • AI利用者
      • 生成AIを組み込んだソフトウェアやサービスを利用して、コンテンツの生成及び生成物の利用を行う者。事業者及び非事業者(個人利用者)のいずれも想定される。
    • 開発・学習段階における著作物の利用行為
      • 生成AIとの関係において著作物が利用される場面を概観すると、大きく「開発・学習段階」と「生成・利用段階」に分けられる。
      • このうち、開発・学習段階においては、AI(学習済みモデル)作成のための学習や、生成AIを用いたソフトウェア又はサービスの開発に伴って、次のような場面で著作物の利用行為が生じることが想定される。
      • AI学習用データセット構築のための学習データの収集・加工
      • 基盤モデル作成に向けた事前学習
      • 既存の学習済みモデルに対する追加的な学習
      • 検索拡張生成(RAG)等において、生成AIへの指示・入力に用いるためのデータベースの作成
      • そのため、これらの場面における、それぞれの利用行為について、法第30条の4の適用有無といった著作権法との関係を検討することが必要となる。
    • いわゆる「作風」は、これをアイデアにとどまるものと考えると、上記2.(1)アのとおり、「作風」が共通すること自体は著作権侵害となるものではない。他方で、アイデアと創作的表現との区別は、具体的事案に応じてケースバイケースで判断されるものであるところ、生成AIの開発・学習段階においては、このような特定のクリエイターの作品である少量の著作物のみからなる作品群は、表現に至らないアイデアのレベルにおいて、当該クリエイターのいわゆる「作風」を共通して有しているにとどまらず、創作的表現が共通する作品群となっている場合もあると考えられる。このような場合に、意図的に、当該創作的表現の全部又は一部を生成AIによって出力させることを目的とした追加的な学習を行うため、当該作品群の複製等を行うような場合は、享受目的が併存すると考えられる。
    • 既存のデータベースやインターネットWeb上に掲載されたデータに著作物が含まれる場合でも、RAG等に用いられるデータベースを作成する等の行為に伴う著作物の複製等が、回答の生成に際して、当該データベースの作成に用いられた既存の著作物の創作的表現を出力することを目的としないものである場合は、当該複製等について、非享受目的の利用行為として法第30条の4が適用され得ると考えられる。
    • 生成AIによる生成物についても、その生成・利用段階において、既存の著作物との類似性及び依拠性が認められれば、当該既存の著作物の著作権者は、生成物の生成行為や利用行為が、既存の著作物の著作権侵害に当たるとして、当該行為の差止請求や損害賠償請求を請求し得る。また、故意による著作権侵害に対しては、刑事罰の適用があり得る。
    • 類似性及び依拠性が認められ著作権侵害となる場合でも、前記(1)オ及び後記(2)エのとおり、当該侵害によりどのような措置(差止請求・損害賠償請求・刑事罰)を受け得るかは、行為者の故意又は過失の有無によることとなる。
    • 著作権法上、「著作物」は「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」(法第2条第1項第1号)と定義されており、AI生成物が著作物に該当するかは、この著作物の定義に該当するか否かによって判断される。
    • また、「著作者」は「著作物を創作する者をいう。」(同項第2号)と定義されている。AIは法的な人格を有しないことから、この「創作する者」には該当し得ない。そのため、AI生成物が著作物に該当すると判断された場合も、AI自身がその著作者となるものではなく、当該AIを利用して「著作物を創作した」人が当該AI生成物(著作物)の著作者となる。
    • 人間による、ある作品の創作に際して、その一部分にAI生成物を用いた場合、以下で検討するAI生成物の著作物性が問題となるのは、当該AI生成物が用いられた一部分についてであり、仮に当該一部分について著作物性が否定されたとしても、当該作品中の他の部分、すなわち人間が創作した部分についてまで著作物性が否定されるものではない。
    • 生成AIと著作権の関係については、政知における上記のような取組みとともに、民間の当事者間において、生成AIに関する著作物の利用についての適切なルール・ガイドラインの策定や、生成AI及びこれに関する技術についての共通理解の獲得、AI学習等のための著作物のライセンス等の実施状況、海賊版を掲載したウェブサイトに関する情報の共有などが図られることが、AIの適正な開発及び利用の環境を実現する観点から重要である。この当事者としては、AI開発事業者・AIサービス提供事業者・AI利用者及び権利者に加えて、個人のクリエイターやその表現の場となるコンテンツ投稿プラットフォーム事業者等による適切な関与が期待される。

    外務省 ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置について
    • ウクライナをめぐる現下の国際情勢に鑑み、この問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、主要国が講ずることとした措置の内容を踏まえ、閣議了解「ロシア連邦関係者に対する資産凍結等の措置等について」(令和6年3月1日付)を行い、これに基づき、外国為替及び外国貿易法による次の措置を実施することとした。
    • 措置の内容
      1. 資産凍結等の措置
        • 外務省告示(3月1日公布)により資産凍結等の措置の対象者として指定されたロシア連邦の関係者(9個人・7団体)、ロシア連邦の特定銀行(1団体)及びクリミア自治共和国及びセヴァストーポリ特別市のロシア連邦への「併合」又はウクライナ東部の不安定化に直接関与していると判断される者並びにロシア連邦による「編入」と称する行為に直接関与していると判断されるウクライナの東部・南部地域の関係者と判断される者(3個人)に対し、(ア)及び(イ)の措置を実施する。
          • (ア)支払規制 外務省告示により指定された者に対する支払等を許可制とする。
          • (イ)資本取引規制 外務省告示により指定された者との間の資本取引(預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約)等を許可制とする。
            • (注)資産凍結等の措置の対象となるロシア連邦の特定銀行として新たに指定された1団体に対する資産凍結等の措置は令和6年3月31日から実施する。
      2. ロシア連邦の特定団体への輸出等に係る禁止措置
        • 外務省告示(3月1日公布)によりロシア連邦の特定団体として指定された29団体への輸出等に係る禁止措置を実施する。
      3. ロシア連邦の産業基盤強化に資する物品の輸出の禁止措置
        • ロシア連邦の産業基盤強化に資する物品の輸出の禁止措置を導入する。
      4. ロシア連邦を原産地とする非工業用ダイヤモンド(ロシア連邦国外で加工されたものを含む。)の輸入に係る禁止措置
        • ロシア連邦を原産地とする非工業用ダイヤモンド(ロシア連邦国外で加工されたものを含む。)の輸入に係る禁止措置を導入する。
    • 上記資産凍結等の措置等の対象者
      • 別添参照
    ▼ (別添1)資産凍結等の措置の対象となるロシア連邦の団体、個人及び特定銀行
    ▼ (別添2)資産凍結等の措置の対象となるクリミア自治共和国及びセヴァストーポリ特別市のロシア連邦への「併合」又はウクライナ東部の不安定化に直接関与していると判断される者並びにロシア連邦による「編入」と称する行為に直接関与していると判断されるウクライナの東部・南部地域の関係者と判断される者
    ▼ (別添3)輸出等に係る禁止措置の対象となるロシア連邦の団体

    外務省 ガザ地区における人道状況の悪化を受けた緊急無償資金協力
    • 2月27日、日本政府は、パレスチナ・ガザ地区での戦闘が長引く中で、現地の人道状況が看過し得ない状況にあることを踏まえ、新たに3,200万ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定しました。
    • 今回の協力では、国連世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)等を通じ、食料、保健等の分野で人道支援を実施します。
    • 日本政府として、引き続き、全ての当事者に対し、ガザ地区における人道状況の改善や事態の早期沈静化等に向けた外交努力を粘り強く積極的に続けていきます。
    • (参考)支援実施機関、拠出額及び支援分野
      • 国連世界食糧計画(WFP):食料・栄養(1,000万ドル)
      • 世界保健機関(WHO):保健(1,000万ドル)
      • 国連児童基金(UNICEF):水・衛生、栄養、子どもの保護(850万ドル)
      • 国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC):食料、一時的避難施設、水・衛生(300万ドル)
      • 国連人道問題調整事務所(OCHA):機関間調整(50万ドル)

    【2024年2月】

    外務省 日・ウクライナ経済復興推進会議
    ▼ウクライナの経済成長及び復興の推進のための日ウクライナ協力の深化に関する共同コミュニケ(仮訳)
    • シュミハリ首相は、2023年の日本のG7議長年における、特に、ヴォロディミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領も参加したG7広島サミットにおける岸田総理大臣の力強いリーダーシップを高く評価した。両首相は、関連する国際場裡の下での協力を更に強化する意図を表明した。
    • 両首相は、緊急復旧プロジェクト及びウクライナの大規模な復興の双方に日本が参加する上での土台を築く、本会議における決定の重要性を強調した。シュミハリ首相は、ウクライナにおけるプロジェクトの実施のために、日本の高度な技術力並びに戦後復興及び甚大な自然災害後の復旧における日本ならではの経験が重要であることを強調した。
    • 両首相は、ウクライナの女性及び子どもたちの苦しみを軽減するため、復興のあらゆる段階における女性・平和・安全保障(WPS)アジェンダの実施及び子どもたちのニーズの重要性を強調し、この文脈で、両首相は、復興活動のために女性の更なるエンパワーメント及び女性のリーダーシップの推進が必要であることを強調した。また、女性及び子どもたちを含む全てのウクライナ避難民が安全かつ速やかに祖国に戻れる状況を回復することは決定的に重要である。
    • 岸田総理大臣は、ウクライナの自立的かつ持続可能な発展という最終的な目標に向けて、民間部門の代表者を含む様々な当事者の参画を通じたマルチ・ステークホルダー・アプローチをとることにより、日本側がウクライナの人々のニーズに耳を傾け、ウクライナの復旧及び復興に積極的に貢献する用意があることを再確認した。特に、岸田総理大臣は、関連分野において世界有数の専門技術を有する日本の大企業及び最先端技術を有するスタートアップ企業を含む中小企業の役割を強調した。
    • この関連で、両首相は、緊急復旧プロジェクト及び大規模な復興のための協業及び協力並びに両国の民間企業間のウクライナ経済の復興及び成長を強調する、本会議において発表された意図表明文書、協力覚書及び契約を歓迎した。
    • 両首相は、本会議における決定の効率的な実施を確保するために進捗状況をフォローアップし、更なる協力を推進するよう、双方の関係省庁に指示した。かかる取組の調整のため、関連当局は、それぞれの政府により割り当てられる。
    • シュミハリ首相は、日本政府及び日本国民に対し、ウクライナへの揺るぎない支援並びに財政的、人道的及び技術的な支援の提供に深い感謝の意を表明した。
    • 岸田総理大臣は、ウクライナ及びウクライナの人々が、ウクライナの自由及び独立を守り、領土一体性を回復することに対する支援のコミットメント及びウクライナにおける第一次産業から第三次産業までの網羅的な経済発展の達成を目的として、ウクライナ経済の安定を確保するために必要な長期的支援を提供するという日本のコミットメントを再確認した。
    • 岸田総理大臣は、地雷対策・がれき処理及び人道状況改善・生活再建といった初期の緊急復旧支援フェーズに始まり、農業、バイオテクノロジーなどの革新的な製造業並びにデジタル及びIT/ICTの発展といった経済復興及び産業高度化まで、復興のあらゆるフェーズにおける日本の継続的な支援を表明した。また、岸田総理大臣は、エネルギー及び交通のインフラ整備支援の回復並びに汚職対策及びガバナンス強化といった基盤を構築することの重要性を強調した。両首相は、両国の民間部門の参加が、両国間の協力を進展させるための具体的なプロジェクトを実現する鍵であると強調した。
    • 両首相は、対露制裁の維持及び強化がロシアの軍事活動を抑止する上で極めて重要かつ効果的な措置であることにつき一致し、及び制裁措置の迂回を防ぐために必要な行動をとる決意を確認した。
    • 両首相は、世界の食料安全保障の確保を目的とする、重要かつ国際的なイニシアティブ、特に、ゼレンスキー大統領の人道的なイニシアティブである「Grain from Ukraine(ウクライナからの穀物)」を維持する必要性を強調した。
    • 両首相は、両国が、貿易・経済関係の深化、農業・インフラ開発の強化、デジタル化及びグリーン・トランジション・イニシアティブの推進、科学及び文化の分野における協力の促進並びに個々人の関係構築の促進といった多くの分野において、二国間協力の更なる拡大に向けていまだ実現していない大きな潜在性を有していることを認識した。
    • 両首相は、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約への署名を歓迎した。また、両首相は、投資の促進及び保護に関する日本国とウクライナとの間の協定の見直しのための交渉開始の発表を歓迎した。これらの国際約束は、日本とウクライナとの間の相互の投資及び経済の交流を一層促進することを通じて、ウクライナの経済成長及び復興に資する。
    • 両首相は、ウクライナの経済安定の維持、経済成長及び復興の推進のためには、両国の関係機関のみならず国際金融機関を通じた融資及び保証を最大限活用することにより与信可能なプロジェクトを実現することが重要であるとの見解を共有した。
    • この点において、シュミハリ首相は、日本による世界銀行融資への信用補完及び無償資金協力を含む財政支援の迅速な実施を高く評価した。また、シュミハリ首相は、ウクライナの復興ニーズに対応するための、欧州復興開発銀行(EBRD)の増資のコンセンサス及びEBRDの総務による承認を導いた日本の主導的な役割に深い感謝の意を表明した。さらに、シュミハリ首相は、国際通貨基金(IMF)に設置されたウクライナ能力開発基金に対する国内歳入動員強化を支援するための日本の貢献、並びに民間部門の投資及び技術革新を促進するために国際金融公社(IFC)の包括的日本信託基金に新設されるウクライナ・ウィンドウに日本が貢献する予定であることに謝意を表明した。
    • また、シュミハリ首相は、国際協力銀行(JBIC)と黒海貿易開発銀行(BSTDB)との間のツーステップローンを供与するための了解覚書への署名を歓迎した。
    • 両首相は、日本貿易保険(NEXI)がウクライナ向けの海外投資及び貿易保険のための新たなクレジットラインを設定したことを歓迎した。
    • 両首相は、日本国財務省とウクライナ財務省との間で2023年8月2日に開始された日ウクライナ財務協議を継続し、並びに運輸、インフラ、エネルギー、デジタル技術、農業及び環境の分野における両国の関係省庁間の協力を深化させることが重要であることで一致した。
    • シュミハリ首相は、ウクライナにおける無償資金協力及び技術協力プロジェクトを含むプロジェクトの実施のための国際協力機構(JICA)の活動の重要な役割を強調した。
    • 岸田総理大臣は、ウクライナ側からの要請を受け、日本貿易振興機構(JETRO)の駐在員事務所をキーウに設置する日本のコミットメントを確認した。シュミハリ首相は、ウクライナにおけるJETRO事務所の設置のために包括的な支援を提供する用意があることを表明した。両首相は、日本とウクライナとの間の二国間の経済協力を強化し、及び向上させるため、かかる協力が重要であることを確認した。
    • 両首相は、経団連(日本経済団体連合会)のウクライナに関する委員会及びウクライナ経済省下のウクライナ対日経済協力調整協議会の活動を強化することが重要であると認識し、二者間の協力を強化するための経団連とウクライナ経済省との間の共同取決めへの署名を歓迎した。
    • 岸田総理大臣は、ウクライナの民間部門の代表者による訪問を促進することを目的として、ウクライナ国民のための査証の発給要件を緩和する日本側の意図を発表した。
    • 両首相は、両国が、科学及び文化・人的交流の分野における二国間協力を更に拡大する大きな潜在性を有していることを認識し、並びに教育及び科学技術の分野における協力覚書への署名を歓迎した。
    • また、両首相は、気候変動への対応における二国間協力を強化するための共同努力の一環として、日本国政府とウクライナ政府との間の二国間クレジット制度に関する協力覚書への署名を歓迎した。
    • 両首相は、国際社会との協力の下、日本がウクライナを支援することを確認し、並びにウクライナの経済成長及び復興を推進するために第三国及び国際機関と協働することの重要性を認識した。
    • 両首相は、昨年6月にロンドンで開催されたウクライナ復興会議の成果を認識した上で、本年6月に予定されるドイツ主催のウクライナ復興会議の準備のため、日ウクライナ経済復興推進会議の成果を強調し、ウクライナに対する国際的な支援を強化することの重要性を確認した。

    公安調査庁 「Aleph(アレフ)」を対象とする再発防止処分の請求について(令和6年2月1日請求)
    • 本日(令和6年2月1日)、観察処分に付されている、いわゆるオウム真理教と同一性を有する、「Aleph(アレフ)」の名称を用いる団体について、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定に基づき、公安審査委員会に対して、再発防止処分の請求を行いました。
    • 再発防止処分請求に係る公安調査庁のコメントや同処分請求の概要、オウム真理教の現状については、以下のとおりです。
    ▼ 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づく再発防止処分の請求に係る公安調査庁コメント
    • 公安調査庁長官は、令和6年2月1日、同年1月12日に8回目の期間更新決定を受け、観察処分に付されている、いわゆるオウム真理教と同一性を有する、「Aleph」の名称を用いる団体について、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定に基づき、公安審査委員会に対し、再発防止処分の請求を行いました。
    • 現在、再発防止処分下にある「Aleph」は、令和5年7月の再発防止処分請求以降においても、同法で定められている報告すべき事項の一部を報告しておらず、公安調査庁としては、報告の是正を求めるため、指導文書の発出を繰り返し行ってまいりました。
    • しかし、「Aleph」は、指導文書の一部を受領さえしないという対応をしており、いまだに報告すべき事項の一部を報告せず、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難である状況に変化は見られません。
    • このため、現在の再発防止処分の期間満了後においても、引き続き、必要な限度で活動の一部を一時的に停止させるとともに、速やかにその危険性の程度を把握するため、新たに再発防止処分の請求を行ったものです。
    • 今次請求に係る処分の内容は、(1)「Aleph」管理下の土地・建物の全部又は一部の使用禁止、(2)金品等の贈与を受けることの禁止であり、処分の期間は6か月間が相当であると考えております。このうち、(1)については、現在の再発防止処分の期間中における「Aleph」の活動状況等に鑑み、一部使用禁止を求める建物につき、新たに3施設を追加して請求しました。
    • 今後は、公安審査委員会において、審査の上、決定がなされるものと考えております。
    • 公安調査庁としましては、引き続き、観察処分の適正かつ厳格な実施により、公共の安全を確保し、松本・地下鉄両サリン事件等の被害者・遺族や地域住民を始め国民の皆様の不安感の解消・軽減に鋭意努めて努めてまいる所存です。
    ▼ 再発防止処分請求の概要(2)
    • 被請求団体の名称
      • 平成12年1月28日、公安審査委員会によって、3年間、観察処分決定を受け、平成15年1月23日以降令和6年1月12日までの間に、3年ごとに、順次観察処分の期間更新決定を受けた「麻原彰晃こと松本智津夫を教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め、これを実現することを目的とし、同人が主宰し、同人及び同教義に従う者によって構成される団体」(本団体)と同一性を有する、「Aleph」の名称を用いる団体
    • 請求に係る処分の内容・根拠となる法令の条項
      • 再発防止処分
      • 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律第8条第1項、同条第2項第2号、第5号
    • 再発防止処分の要件該当性
      • 「Aleph」が観察処分の期間更新決定を受けている団体であること(要件該当性①)
        • 「Aleph」は、令和6年1月12日に8回目の期間更新決定を受けた本団体と同一性を有することから、観察処分の期間更新決定を受けている団体に該当
      • 「Aleph」が法に規定された要報告事項の一部の不報告に及んでいること(要件該当性②)
        • 「Aleph」は、法に規定された要報告事項(人的要素、物的要素、資金的要素、主要な活動に関する事項、公安審査委員会が特に必要と認める事項)のうち、少なくとも以下の事項について不報告(公安調査庁からの指導にも応じず)
          • 構成員の氏名・住所の一部(人的要素)
          • 土地・建物の一部(物的要素)
          • 「Aleph」の預貯金その他「Aleph」の営む収益事業の資産(資金的要素)
          • 出家した構成員の位階・「Aleph」の営む収益事業の種類及び概要等の一部(公安審査委員会が特に必要と認める事項)
      • 「Aleph」の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められること(要件該当性③)
        • 本件一部不報告自体が、危険性の程度の把握を困難にするもの
        • 任意調査や立入検査によっても、公安調査官の質問に回答しないなど、「Aleph」が組織ぐるみで対抗措置を徹底して講じていることなどから、要報告事項に関する情報の入手が困難
        • →「Aleph」の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度の把握が困難
    • 再発防止処分に関する意見
      • <処分の内容>
        • 「Aleph」が所有し又は管理する特定の土地又は建物(専ら居住の用に供しているものを除く。)の全部又は一部の使用を禁止すること(団体規制法第8条第2項第2号)
          • 本件一部不報告により、資金的要素を始めとする各危険な要素の把握が困難であるため、「Aleph」が実質的に経営する収益事業の事業所(作業場所、事務所、道場等)を含む施設及び報告されていない「Aleph」管理下の施設の使用を一時的に停止させる必要がある
          • →4施設の全部及び12施設の各一部を対象
        • 「Aleph」が金品その他の財産上の利益の贈与を受けることを禁止すること(団体規制法第8条第2項第5号)
          • 本件一部不報告、特に、「Aleph」の預貯金及び「Aleph」が実質的に経営する収益事業の資産の不報告により、資金的要素の把握が困難であるため、その拡大となる贈与を受けることを一時的に停止させる必要がある
      • <処分の期間>
        • 6か月間
    ▼ オウム真理教特集ページ

    【裁判所】

    ※現在、該当の記事はありません。

    【東京都】

    ※現在、該当の記事はありません。

    【その他(国内)】

    【2024年3月】

    内閣官房 新しい資本主義実現会議(第24回)
    ▼ 資料1 基礎資料
    • 2023年の賃上げ率は3.58%(連合調査)。同年の消費者物価指数(「生鮮食品を除く総合」)は3.1%の上昇率で賃上げ率の方が高くなった。(2022年の賃上げ率は2.07%、消費者物価指数は2.3%。)
    • 報道等で紹介されている実質賃金は、厚生労働省が毎月勤労統計で公表しているもの。ここでは「帰属家賃を除く総合」が物価指数として用いられている。他方で、帰属家賃は上昇率がほぼゼロであるため、これを除くことで物価上昇率が高くカウントされているのではないかとの議論がある。日本銀行が物価の見通しに用いる「生鮮食品を除く総合」の値と比べても、高い値となる傾向。
      • (注)1970年より前は、消費者物価指数に帰属家賃は入っていなかった。持家比率は各国によって違うので、消費者物価の上昇率を国際的に比較できないという議論が起き、我が国も帰属家賃を含む消費者物価指数に変更した。他方、厚生労働省は、かねてより実質賃金を旧来の消費者物価指数に基づいて計算していたため、継続性という観点から、この段階で消費者物価指数から帰属家賃を除くという意思決定を行い、現在に至っている。現在は、経済分析においては、各国とも、帰属家賃を含めて計算をするのが普通。
    • 米英独いずれも、直近(2023年等)の実質賃金の上昇率のプラス化を見ると、消費者物価上昇率の低下が先行する形で実現していることが分かる。我が国についても、共同声明で定める2%のモデレートな物価上昇率が必要。
    • 2024年の経営における懸念材料として、第1位が「原油・素材価格の上昇」となっており、第3位の「円安」と合わせて為替の影響に対する懸念が強く表れている。第2位は「人手不足」だった。
    • 日本の労働生産性はOECD加盟国中32位で、低水準である。
    • 2000年以降の年単位の労働分配率の推移をみると、我が国は2021年は50.3%であり、他の先進国と比較して遜色ない水準。
    • OECD加盟国17か国について平均をとると、労働生産性と一人当たり賃金の間に正の相関があり、労働生産性が高くなると賃金水準が上昇する蓋然性が高い。
    • マークアップ率は、分母をコスト、分子を販売価格とする分数であり、製造コストの何倍の価格で販売できているかを見るものであるが、1980年時点から各国のマークアップ率が上昇する中で、日本の上昇率が低く、近年では国際的に低い水準となっている。
    • マネージャーの給与の高さはマークアップ率の高さと相関している。
    • 図1を見ると、赤線のマネージャーの給与水準の変遷のうち、青線の部分がマークアップ率の向上を起源とする給与額を示している。図2によりマネージャー給与をマークアップ率起源と企業規模起源に分解すると、マークアップ率の寄与度が1994年38%から足元50%にまで上昇している。図4を見ると、2019年の断面では、能力が最も高いマネージャーの給与の80%がマークアップ率の高さ起源となっている。このように、マークアップ率の上昇はマネージャーの給与水準の上昇と相関する。
    • その商品において最高品質と位置付けられることが、マークアップ率を高めるために重要であることがわかっている。(中位の品質では、マークアップ率に反映されにくい。)
    • 我が国でも、この20年間で、「自分が気に入った付加価値には対価を払う」 「購入する際に安さよりも利便性を重視」といった、値段よりも付加価値を重視する消費行動が増加。付加価値に対して、より多くの金額を支払う消費行動が我が国にも定着しつつある。
    • 賃上げの理由について、2023年実績と2024年計画を比較すると、「物価上昇への対応」の側面は低下し、「人材確保(採用)のために必要」の比率が上昇している。これは我が国の人材の需給状況を示しており、中長期的に継続する傾向と思われる。
    • 実際、2024年の賃上げの計画において、人手不足感を強く訴える企業ほど賃上げの上昇率が高くなっている。
    • 日本の60歳以上の就業率は、年々増加傾向。
    ▼ 資料2 論点案
    • 今回は、物価上昇を上回る持続的な構造的賃上げの実現に向けた課題と方向性について議論をお願いしたい。
      • 具体的には、(1)企業の付加価値(マークアップ率)向上と価格への転嫁のあり方、(2)人手不足対応、(3)デジタル化に伴う非ホワイトカラー職種への労働移動と当該分野における賃上げ実現の方向性、(4)労働不足の中で仕事をしたいシニア層への労働機会の提供、(5)三位一体の労働市場改革の実行など。
    • 次回は、需要制約経済から供給制約経済への移行に伴う課題と方向性、加えて、デフレからの脱却後・金融環境変化に伴う、新たな成長型経済の課題と方向性について議論をお願いしたい。
      • 具体的には、(1)中小企業・小規模企業等の自動化・省人化・省力化投資の在り方、(2)労働代替のためのデジタル/ロボットの実装の在り方、(3)企業の新陳代謝、中小企業・小規模企業等の事業譲渡・事業再編・M&Aの環境整備の在り方、(4)地方におけるローカル産業の維持の在り方など。
    • 今回の討議ポイントは以下のあたり。
      • 今年の春季労使交渉や来年の春季労使交渉という短中期の課題を超えて、我が国に物価上昇を上回る持続的な賃上げを根付かせるために適切な方策は何か。
      • この対応の在り方に、我が国の人手不足の状況がどのように影響するか。また、人手不足対応への在り方はどうすべきか。
      • 非正規雇用労働者の就労意欲を高めるため、106万円・130万円の年収の壁に対して昨年取りまとめた支援策の活用拡大を図るべきではないか。
      • 中小企業団体からも、経済の好循環の実現のためには、「中小企業が自己変革による付加価値拡大とともに、価格転嫁を通じて持続的な賃上げの原資を確保できるかが鍵となる」と意見書が公表されているが、この付加価値拡大(マークアップ率向上)の官民を挙げた方策についてどう考えるか。
      • 安定的で高賃金の雇用を確保するための、労働市場改革の、雇用の移動円滑化の在り方はどうか。具体的には、第一に、若手の能力ある労働者のために適切なポストを提供するため、加えて、労働意欲のあるシニア層のために労働機会を提供するため、ポスティング制度やジョブ型人事の導入等の、企業内での労働移動の円滑化の在り方はどうあるべきか。
      • 第二に、賃金の高い仕事を労働者に提供するため、同一産業内の移動でも、いかに、経営力のある企業に、より多くの労働者を雇用してもらうように支援するか。
      • 第三に、デジタル化に伴い、一般のホワイトカラーへの労働需要が少なくなるおそれがあることに伴い、いかに、高賃金の非ホワイトカラー職を確保し、産業間労働移動を円滑化し、リ・スキリングが可能な体制を確保するか。非ホワイトカラー職の労働生産性を上げて賃金を上げていくこと、および、非ホワイトカラー職についてもスキルの標準を民間の各業界団体で整備いただき、労働者がこれを身につけることを官が支援していく、官民連携をどう考えるか。
      • 物流分野や医療・介護・障害福祉分野などの分野の賃上げのためには、待機時間の削減などその分野での取引慣行自体の見直しも必要ではないか。
      • 仕事をしたいシニア層に仕事の機会を提供するため、個々の企業の実態に応じて、役職定年・定年制の見直しなどを検討すべきではないか。この際、能力のある若手が不満に感じることのないよう、いかにシニア層のスキルの評価に応じたポストの処遇を進めるか。
      • ジョブ型人事については、企業の実態が千差万別であることに鑑み、自社のスタイルに合った導入方法を各社が検討できるよう、既に導入している多様な企業にご協力をいただき、導入のプロセスや内容について可能な限り多様な情報提供を進めるべきではないか(指針の具体性の確保)。
      • 中小企業・小規模企業以外にも、今後、スモールビジネス、個人、フリーランスなどの発展が想定される中で、取引関係上弱い立場にあるこれらの人たちと企業との取引関係をいかに適正化していくか。
      • 昨年の物価上昇率は3.1%と、2%を超える水準にある中で、一人4万円の所得税・住民税減税を含め、可処分所得が物価上昇率を超える状況を作り出すべきではないか。
      • 新しい資本主義の実現の中で、NISAの拡充・恒久化、資本コストを意識した証券取引所の経営改革を実施したところであるが、この資産所得倍増の流れを強化していくべきではないか。

    内閣官房 重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案について
    ▼ 重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案
    • 目的(第1条)
      • 国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大している中で、重要経済基盤に関する情報であって我が国の安全保障(外部からの侵略等の脅威に対して国家及び国民の安全を保障すること)を確保するために特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護及び活用に関し、重要経済安保情報の指定、我が国の安全保障の確保に資する活動を行う事業者への重要経済安保情報の提供、重要経済安保情報の取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。
    • 重要経済安保情報の指定(第2条~第3条)
      • 重要経済基盤
        • 我が国の国民生活又は経済活動の基盤となる公共的な役割であってその安定的な提供に支障が生じたい場合に我が国及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるものの提供体制
      • 重要経済基盤保護情報
        1. 外部から行われる行為から重要経済基盤を保護するための措置又はこれに関する計画又は研究
        2. 重要経済基盤の脆弱性、重要経済基盤に関する革新的な技術その他の重要経済基盤に関する重要な情報であって安全保障に関するもの
        3. 3.1.の措置に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報
        4. 4.2.3.に掲げる情報の収集整理又はその能力
    • 指定の有効期間及び解除(第4条)
      • 行政機関の長は、指定の日から5年を超えない範囲内で有効期間を設定。有効期間は、30年まで延長することが可能だが、やむを得ない事情があり、その理由について内閣の承認を得た場合には30年を超えることも可能。ただし、その場合でも、外国との交渉に不利益を及ぼすおそれがある等の例外事由に該当しない限り、60年を超えることはできない。
      • 行政機関の長は、内閣の承認が得られなかった場合には、保存期間の満了とともに国立公文書館に移管。
      • 行政機関の長は、情報が指定の要件を欠くに至ったときは、速やかに解除。
    • 重要経済安保情報の保護措置(第5条)
      • 行政機関の長は、重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせる職員の範囲を定めるなどの保護措置を講ずる。
    • 重要経済安保情報の取扱者の制限(第11条)
      • 重要経済安保情報の取扱いの業務は、適性評価(10年)において、重要経済安保情報の取扱いを行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者に限定。
      • 特定秘密保護法における適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者は、5年間に限り、本法律案の適性評価を受けずに、重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことができる(特定秘密保護法における適合事業者の従業者においても同じ。)。
      • 行政機関の長及び特定秘密保護法における適合事業者は、重要経済安保情報の保護に必要な限度において、特定秘密保護法における適性評価の結果にかかる情報を自ら利用することができる(この限度において、特定秘密保護法の適性評価に係る目的外利用の禁止の例外とする)。
    • 制度の必要性
      • 安全保障の概念が、防衛や外交という伝統的な領域から、経済・技術の分野にも拡大。国家安全保障のための情報に関する能力の強化は、一層重要に。経済安全保障分野においても、厳しい安全保障環境を踏まえた情報漏洩のリスクに万全を期すべく、セキュリティ・クリアランス制度の整備を通じて、我が国の情報保全の更なる強化を図る必要。
      • こうした情報保全の強化は、安全保障の経済・技術分野への広がりを踏まえれば、同盟国・同志国との間でさらに必要となるこれらの分野も含んだ国際的な枠組みを整備していくこととあいまって、すでに情報保全制度が経済・技術の分野にも定着し活用されている国々との間で協力を一層進めることを可能にする。
      • 経済活動の担い手が民間事業者であることに留意しつつ、官民の情報共有を可能にする仕組みが必要。経済・技術の分野にも対応した制度の下でセキュリティ・クリアランスを保有していれば、その結果として、その他の場面でも、いわば「信頼できる証」として対外的に通用することになるのではないかという示唆
    • 企業からの声
      • ある海外企業から協力依頼があったが、機微に触れるということで相手から十分な情報が得られなかった。政府間の枠組みの下で、お互いにセキュリティ・クリアランスを保有している者同士で共同開発などができれば、もう少し踏み込んだものになったのではないか
      • 防衛と民生が一緒になったデュアル・ユース技術に関する会議に参加する際、クリアランス・ホルダー・オンリーであるセミナー・コミュニティがあり、これらに参加できず最新のデュアル・ユース技術に触れることができない。
      • 宇宙分野の海外政府からの入札に際し、セキュリティ・クリアランスを保有していることが説明会の参加要件になっていたり、商業利用分野であってもCIが含まれているので詳細が分からない等の不利な状況が生じている
      • 様々なサイバーセキュリティ・インシデントが起きている中で、政府側や諸外国が保有している様々な情報が共有されれば、個々の企業のセキュリティレベルの向上、ひいては我が国全体のセキュリティ・レベルの向上にもつながる。

    【2024年2月】

    内閣官房 デジタル行財政改革会議(第4回)議事次第
    ▼資料1 デジタル行財政改革の更なる展開に向けて
    • 急激な人口減少/少子高齢化 総人口、生産年齢人口の見通し
      • 日本は、既に2008年をピークに総人口の減少に直面。2050年には約10,469万人となり、ピーク時の2008年から約2,340万人減少する見込み
      • 15歳から64歳までの人口である、生産年齢人口は、2022年の7,421万人から2050年には5,540万人と1,881万人の減少(25%減少)
      • 長期的には人口減少に歯止めをかける取組が必要となる中、中期的に2050年などを見据えた場合、人口減少を所与とした対策が必要
    • 急激な人口減少/少子高齢化【都市部・地方部の課題の二極化】
      • 都市部では、生産年齢人口の減少が限定的な一方、高齢者人口の増加が著しい。急増する高齢者に対応した公共サービスの構築が急務
      • 地方部では、生産年齢人口・高齢者人口ともに加速度的に減少。コミュニティの存続に懸念
    • 公共サービスの持続可能性への懸念 地方公共団体の職員数
      • 地方公共団体の職員数は、業務の効率化等によりピーク時から減少
      • デジタル化による更なる業務効率化も、3名以下の自治体が55%(1名以下の自治体は17%)であり、課題
    • 公共サービスの持続可能性への懸念 公共サービスを担う人員の不足
      • 公共サービスの担い手不足が顕在化
      • 教育分野では、公立小学校の教員採用試験の受験者数・倍率がともに低下傾向
      • 交通分野では、担い手の減少に加えて高齢化が進行。タクシー運転手の平均年齢は60.7歳と全産業平均を大幅に超過
      • 介護分野では、高齢化に伴う需要の急増により、今後20年間で約69万人の人材不足が生じる見通し
    • 公共サービスの持続可能性への懸念 公共サービスの立地確率
      • 自治体の人口規模が小さくなると、生活に必要なサービス施設が立地する確率が減少し、サービス産業の撤退につながりうる。例えば、1万人を切ると、総合スーパー、病院、有料老人ホーム等が立地している確率が50%を切る、との見立てもある
    • なぜ今、デジタル行財政改革なのか
      • 急激な人口減少社会に対応するため、利用者起点で我が国の行財政のあり方を見直し、デジタルを最大限に活用して公共サービス等の維持・強化と地域経済活性化を図り、社会変革を実現することが必要。
      • これにより、一人ひとりの可能性を引き出し、新たな価値と多様な選択肢が生まれる豊かな社会を目指す。
    • デジタル行財政改革の基本的考え方
      • 地域を支える公共サービスに関し、システムの統一・共通化等で現場負担を減らすとともに、デジタルの力も活用してサービスの質も向上。
      • あわせて、デジタル活用を阻害している規制・制度の徹底的な見直しを進め、社会変革を起動。
      • EBPMの手法も活用し、KPIや政策効果の「見える化」を進め、予算事業を不断に見直し、これらによって、デジタルの力を活用して、豊かな社会・経済、持続可能な行財政基盤等を確立する
    • デジタル行財政改革の当面の取組の方向性
      • 昨年末の「中間とりまとめ」で決定した各分野の改革を継続・深化。地方自治体で先導的なプロジェクトに取り組むとともに、国・地方が協力・連携して全国でデジタル基盤を効率的に整備。EBPMの確立・展開等にも取り組む
      • 利用者起点での各分野における改革
        • (教育)GIGA端末の共同調達方式導入、校務での押印・FAXの原則廃止、オンライン教育の活用促進
        • (交通)従来の自家用有償旅客運送制度の大幅改善
        • (介護)介護テクノロジーの活用促進等
        • (子育て・児童福祉)プッシュ型子育て支援、保育DX、相談業務DX等
        • (防災)災害時の情報共有体制強化、住家の被害認定調査のデジタル化
        • (スタートアップ)地域の社会課題解決のためのスタートアップの活用
      • 特に深化すべき改革
        • (教育)GIGA端末の共同調達に関する都道府県の体制整備、校務DXを通じた教員負担軽減策の具体化、デジタル教材の活用拡大の方策、教育現場での民間人材の活用、EBPMに向けた教育データ利活用促進
        • (交通)タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことを位置づける法律制度の議論、自動運転の審査に必要な手続の透明性・公平性を確保するための方策、事故責任論検討会での一定の結論
        • (介護)介護事業所の経営の協働化・大規模化の方策
        • (スタートアップ)地域の会課題解決のためのスタートアップの活用
      • 地方自治体で取り組む先導的プロジェクト
        • 将来的に全国・広域での共通・統一的なデジタル基盤になりうる仕組みを整備する地方自治体の先導的な取組を支援。
        • デジタル行財政改革の基本的な考え方に沿った社会変革につながる取組について、国が方向性を示す。
      • 国・地方が協力・連携してデジタル基盤の効率的な整備を行うための取組
        • 地域を支える公共サービス等に関し、システムの統一・共通化等で現場負担を削減し、デジタルの力も活用してサービスの質も向上
        • 小規模自治体・地域におけるデジタル人材不足への対応
        • 各府省業務・サービスのDXの加速化
      • デジタル変革を促すEBPMの確立・展開
        • 中長期の成果目標を設定し、政策の進捗をデータ等でモニタリングしながら持続的に効果を高めるEBPMの取組を推進
        • 教育、介護のほか、交通などの他分野でのKPIの設定、政策「見える化」ダッシュボードの対象拡大
    • 国・地方が協力・連携してデジタル基盤の効率的な整備を行うための取組
      • 基本的な考え方
        • 急激な人口減少社会において現場の負担を軽減
          • 急激な少子高齢化により、生産年齢人口も減少
            • ※ 2020年:約7,500万人から2050年:約5,500万人へと約2,000万人の減少
          • 人口減少社会における公共サービスのあり方について検討し、個人情報を保護しつつ、利用者起点で分野や領域を超えたデータを有効活用することや、人材などの供給リソースを需要側の要請に的確に活用することなどにより、公共サービスの質を維持・向上することが必要ではないか
        • 社会・経済の変化、多様な生活様式に柔軟に対応した公共サービスの維持・強化
          • 教育・交通・介護などの分野の改革の成果を踏まえ、国・地方が連携し、デジタルの力を最大限に活用し、公共サービスの維持・強化を図ることが必要ではないか。
          • 多様な生活や働き方が広がる中、自治体間の移動に伴う不便さや、独自様式等による国民・事業者の効率性の低下を克服していくことが必要ではないか。
          • マイナンバー、マイナンバーカードの更なる利用に加え、業務アプリ、認証機能、ベースレジストリなどの共通的な整備・利用により現場のサービスをよりプッシュ型に切り替えていくとともに、迅速できめ細かな公共サービスを実現するべきではないか。
        • 国・地方を通じたデジタル基盤への投資のトータルコストの最小化
          • より良い行政サービスを低コストで国民に提供するために、また、トータルコストの最小化の観点から、デジタル化も活用して行政の効率化を進め、その成果を国民に実感してもらうために可視化する必要があるのではないか。
          • 現在、地方公共団体の基幹業務システムの標準化が進められているが、依然として、一定程度業務が類似するシステムを自治体ごとに個別に会h津・運用している状況がある中、可能な限り国・地方を通じたより大きな単位でデジタル基盤を統一化・共通化することが必要ではないか。
          • 個々の基礎自治体における開発・運用経費、調達事務、制度改正への対応等、現場の負担を軽減し、トータルコストの最小化を図ることが必要ではないか。
          • デジタル重点計画において国・地方双方のシステム経費の削減目標が決定
      • 利用者起点で行うDXのための国・都道府県・市町村の新たな連携の在り方
        • 国、都道府県、市町村の役割を明確化し、新たな連携と協力の在り方を模索してはどうか。
        • その際には、我が国の行政事務は、国が制度の企画立案を行っているものであっても、暮らしの現場でそれを支えているのは基礎自治体である場合が多く、制度を所管する各省庁も検討に参画していくことが必要ではないか。
        • また、現在行われている取組を検証しつつ、今後の取組についても国・地方の協力の下で投資対効果を最大化する必要があるのではないか。
      • 今後検討を深める論点と進め方(案)
        • 以下の論点について、地方三団体の意見を聞きながら基本的な方針をまとめることとしてはどうか。
          • まず、検討の土台となる以下の論点について検討
            • 人口減少を踏まえた、国・地方の業務効率化とデジタル活用による公共サービスの質の向上
            • 国・地方のDXにおける連携と役割分担の考え方
              • ※上記の検討に当たっては、以下のような具体の取組を通じて検討を深めることが必要
                • 地方公共団体情報システムの標準化・ガバメントクラウド移行の着実な進捗に関する評価の共有
                • デジタル行財政改革で取り組んでいる教育、介護などのデジタル化の取組
                • 国・地方一体となって整備を開始しているSaaSの普及や他の分野への展開
          • 次に、国・地方間でDXに関する情報共有や連携を強化するための方策を検討
            • 国・地方の連絡協議の枠組みの在り方
            • 地方におけるデジタル人材確保の支援策
          • これらを踏まえ、利用者起点でのDXを進めるために以下の論点について議論を深めていく
            • 共通化すべき業務・システムの基準
            • 国と地方の費用負担の基本的考え方(国・地方を通じたトータルコストの最小化等)、利用料支払いの仕組みの在り方

    内閣官房 経済安全保障推進会議(第6回)
    ▼ 資料1 経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等の整備に向けて
    • セキュリティ・クリアランス制度に関する必要性
      • 安全保障の概念が、経済・技術の分野に大きく拡大。我が国の情報保全制度の更なる強化を図ることが必要
      • 国際的に通用するセキュリティ・クリアランス制度や国際的枠組みに対する企業からのニーズ
      • <企業からの声>
        • ある海外企業から協力依頼があったが、機微に触れるということで相手から十分な情報が得られなかった。政府間の枠組みの下で、お互いにセキュリティ・クリアランスを保有している者同士で共同開発などができれば、もう少し踏み込んだものになったのではないか
        • 宇宙分野の海外政府からの入札に際し、セキュリティ・クリアランスを保有していることが説明会の参加要件になっていたり、商業利用分野であってもCIが含まれているので詳細が分からない等の不利な状況が生じている
    • 新たな制度の基本的骨格
      • 国家における情報保全措置の一環として、政府が保有する経済安全保障上重要な情報として指定された情報(CI(Classified Information))にアクセスする必要がある者の信頼性を確認した上でアクセスを認める制度として整備
      • トップ・シークレット及びシークレットに相当するCIの保全枠組みである特定秘密制度との整合性・連続性に配慮
      • <CI保全制度の基本的な骨格>
        1. 政府として秘匿すべき機密情報の指定・解除のルール
        2. 当該情報に対する厳格な管理・提供ルール(情報へのアクセス条件としての個人や事業者に対するクリアランスの仕組み)
        3. 漏えいや不正取得に対する罰則
      • 情報指定の対象は政府が保有する情報。クリアランスを受けることとなる者は、政府職員のほか、政府からCIの提供を受ける意思を示し、政府と秘密保持契約を結んで政府保有のCIに触れる業務を行おうとする事業者及びその従業者
    • 新たな制度の具体的な方向性
      • 情報指定の範囲
        • 我が国として真に守るべき政府が保有する情報に限定し、そこに厳重な鍵をかけるというのが基本的な考え方
        • 国家及び国民の安全を支える我が国の経済的な基盤の保護に関する情報について、取扱者のセキュリティ・クリアランスを含む厳格な管理が行われるようにすべき
        • コンフィデンシャルに相当する政府保有情報も法律に基づく情報指定の対象となるようにすべき
        • 経済安全保障分野における変化の速さ等に鑑み、情報の指定・解除が柔軟かつ機動的に対応できるようにすべき
        • 要件を充足する重要な情報が適切に指定されるよう国家安全保障局等が中心となって総合調整を実施すべき
        • 仮に特定秘密制度と別の制度になるのであれば、両制度のシームレスな運用を目指していくべき
      • 情報の管理・提供ルール
        • 情報公開法や公文書管理法等他法令との関係も踏まえながら、必要な規程を整備すること等によって、適切な情報管理に努めるようにすべき
        • 個人に対するクリアランスについて、調査項目や評価における着眼点は、基本的に特定秘密制度と差異を設ける理由はない。また、最終的な評価は各行政機関が行うことを前提に調査機能を一元化。調査結果が一度得られれば、一定の有効期間の間、当該結果が組織や部署を超えて有効となるような一定の「ポータビリティ」を持たせることが重要。調査機能の一元化により、政府全体で統一的に対応・確認を受ける者の利便性を向上
        • 事業者に対するクリアランスについて、施設の適格性に加え、事業者そのものの属性や組織の適格性も見る必要。政府からCIの共有を受ける民間事業者等について、調査や保全体制の確認など厳格な対応を適用。主要国の例等も参照しつつ、我が国の企業の実情等を踏まえながら実効的かつ現実的な制度を整備
      • プライバシーや労働法制等との関係
        • 調査は、丁寧な手順を踏んで本人の真の同意を得ることが大前提。同意の判断に必要な事項が知らされ、同意の拒否や取下げを理由とする不当な取扱いが行われないようにすることが重要
        • 同意拒否・取下げや評価結果を理由にした不合理な配置転換等の不利益取扱いを含む調査結果等の目的外利用は禁止されるべき
        • 評価結果と理由についての本人に対する速やかな通知と異を唱える機会の確保も重要
      • 漏えい等の罰則
        • トップ・シークレット級・シークレット級の情報は特定秘密保護法の法定刑と同様の水準とすることが適当。コンフィデンシャル級の情報は、国内法とのバランスも踏まえながら政府において具体的に検討していくべき
        • 漏えい等が法人の事業活動の一環として行われた場合に法人を処罰する規定を置くことについても検討すべき
      • 情報保全を適切に実施していくための取組
        • 新たな制度の具体的な中身やその必要性について、分かりやすい説明を尽くすべき。民間事業者からみて分かりやすい基準等の作成・公表していくべき。官民双方において、適切な体制や設備を整備する必要
        • 今回の制度整備を踏まえた、同盟国・同志国との間で新たに必要となる国際的枠組みについても取組を進めていくべき
        • 民間事業者等における保全の取組に対する支援の在り方について合理的な範囲内で検討
    • CI以外の重要な情報の取扱い
      • CI以外の情報は、諸外国でもセキュリティ・クリアランスの対象ではなく、今回の制度検討の射程外。
      • 民間の情報について、国が一方的に規制を課すことは民間活力を阻害する懸念もあり、民間事業者が営業秘密として自主管理するのが基本だが、民間事業者が営業秘密をしっかり管理することは経済安全保障に資する面がある。
      • 政府として、民間事業者が真に必要な情報保全措置を講じられる環境を整えていけるよう、明確な指針等を示していくことの妥当性も含め検討を進める必要
    • 最終とりまとめを踏まえた今後の対応
      • 政府が保有する経済安全保障上重要な情報について、既存の情報保全制度である特定秘密保護法はトップ・シークレット/シークレット級のものを保護する制度であることを踏まえ、コンフィデンシャル級のものを保全するための新たな制度を創設することとする。
      • 新たな制度は、諸外国に通用する制度となるよう、また、民間事業者の国際的なビジネスの機会の確保・拡充にも資するものとなるよう設計・運用していく。
      • 以上を踏まえ、新たな制度は、以下の要素を基本的な構造とする。
        1. 各行政機関において、保全すべき政府が保有する重要な経済安全保障情報を指定する。
        2. 各行政機関から、他の行政機関のほか、政府から指定情報の共有を受ける意思を示し、施設・組織の適格性が確認された一定の民間事業者に対し、秘密保持契約に基づき指定情報を提供することを可能とする。
        3. 指定情報の取扱者(行政機関職員・民間事業者の従業者)については、丁寧なプロセスによる本人の真の同意の下、一元的な調査機関による調査に基づき、各行政機関が信頼性の確認を実施する。
        4. 指定情報の漏えい等に対する罰則を設ける。
      • その上で、経済安全保障分野においても我が国の情報保全の強化を図るためには、新たな制度と既存の特定秘密保護法をシームレスに運用していくことが重要。このため、必要に応じ、特定秘密保護法の運用基準について、次回改訂のタイミングでの見直しも検討していく
    ▼ 資料2 名古屋港コンテナターミナルのシステム障害を受けた対応
    • 令和5年7月、名古屋港コンテナターミナルのシステムがランサムウェアに感染し、約3日間にわたりコンテナの搬入・搬出作業が停止
    • 同7月、有識者等からなる「コンテナターミナルにおける情報セキュリティ対策等検討委員会」を設置
    • 緊急的対策として、専門家の知見を踏まえた港湾分野における情報セキュリティ対策を事業者に周知徹底
    • 情報セキュリティ対策等の推進のための制度的措置についても同委員会で検討
    • 取りまとめ(令和6年1月24日)
      • 港湾運送事業法の観点
        • 一般港湾運送事業者が作成する事業計画にターミナルオペレーションシステムの概要や情報セキュリティの確保に関する事項の記載を求め、国が審査する仕組みを導入
      • サイバーセキュリティ基本法の観点
        • 「重要インフラのサイバーセキュリティにかかる行動計画」を改定し、重要インフラ分野に「港湾分野」を位置付ける方向で検討
      • 経済安全保障の観点
        • 経済安全保障の観点からも国として積極的な関与を行うため、経済安全保障推進法の趣旨も踏まえ、ターミナルオペレーションシステム(TOS)を使用して役務の提供を行う一般港湾運送事業を経済安全保障推進法の対象事業とすることが必要であると考えられる。
    ▼ 資料4 基幹インフラ制度における今後の対応について
    • 経済安全保障推進法の基幹インフラ制度は、基幹インフラの重要設備が役務の安定的な提供を妨害する行為の手段として使用されることを防止するため、法律で重要な事業を定めたうえで、政令によって規制対象事業を絞り込み(特定社会基盤事業)、当該事業を行う者のうち所管大臣の指定を受けた事業者(特定社会基盤事業者)が、重要な設備(特定重要設備)の導入等をしようとした際、事前に審査をする制度。
    • 港湾・医療分野については、経済安全保障推進法の成立後に大規模なサイバー攻撃事案が発生したことも踏まえ、基幹インフラ制度の適用について国土交通省・厚生労働省と連携して検討を実施したところ。経済安全保障法制に関する有識者会議における議論も踏まえ、以下のとおり対応することとする。
      • 港湾については、港湾運送の役務の安定提供の確保を図るため、特定社会基盤事業として定めることができる事業に一般港湾運送事業を追加する改正法案の準備を進める。
      • 医療については、
        • 個々の医療機関については、周辺の医療機関との連携により必要な医療提供を継続することが可能であること等の理由により、特定社会基盤事業者として指定される者が想定されない等の整理を踏まえ、引き続き基幹インフラ制度の対象としない。
        • 医療DXに関するシステムについては、今後開発されるシステムの機能によっては、そのシステムがサイバー攻撃等を受けた場合に影響が広範囲に及ぶ可能性もあることから、基幹インフラ制度の適用について引き続き検討していく。

    【2024年1月】

    内閣官房 認知症施策推進本部(第1回)議事次第
    ▼ 資料1 認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議とりまとめ(概要)
    • はじめに
      • 2023年6月に共生社会の実現を推進するための認知症基本法が成立。基本法の施行に先立ち、認知症の本人・家族、有識者の声に耳を傾け、政策に反映するため本会議を設置。
      • 本会議としては、
        • 基本法の施行が2024年1月1日とされたことを踏まえ、基本計画について「とりまとめ」を十分踏まえ策定すること
        • 次期通常国会において、介護離職防止のため育児・介護休業法の改正に取り組むこと
        • 高齢者の生活上の課題について、ガイドラインの策定、必要な論点整理等を進めること
          を求める。
    • 意見のとりまとめ
      • 基本的考え方
        • 認知症の施策や取組を、認知症基本法の理念に基づき立案・実施・評価
      • 普及啓発・本人発信支援
        • 認知症とともに希望を持って生きるという「新しい認知症観」や認知症基本法の理解促進、認知症の本人の姿と声を通じて「新しい認知症観」を伝えていく
      • 地域ぐるみで支え合う体制など
        • 若年性認知症の人等の社会参加や就労の機会の確保
        • 早期かつ継続的に意思決定支援を行える環境整備
        • 本人、家族の声を聴きながら認知症バリアフリーを進め、幅広い業種の企業が経営戦略の一環として取り組む
        • 認知症の本人の意向を十分に尊重した保健医療・福祉サービス等につながる施策や相談体制の整備等
      • 家族等の支援(仕事と介護の両立支援等)
        • 介護をしながら家族等が自分の人生を大切にできる環境・支援制度の整備
      • 研究開発・予防
        • 本人、家族等に役立つ研究成果、国の支援
      • 独居高齢者を含めた高齢者等の生活上の課題関係
        • 独居高齢者等の意思決定支援を補完する仕組み。政府全体で問題への対処、整理

    公安調査庁 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づく観察処分の期間の更新決定(8回目)に係る公安調査庁コメント
    • いわゆるオウム真理教に対する、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定に基づく観察処分の期間更新請求について、令和6年1月12日(金)、公安審査委員会から、同処分の期間を更新する旨の決定書を受け取りました。
    • 公安審査委員会におかれては、厳正かつ慎重な審査の結果、当庁の請求を認め、被請求団体が無差別大量殺人行為に及ぶ本質的な危険性を保持していると判断して、観察処分の期間更新を決定したものと承知しております。
    • 公安調査庁としましては、引き続き、警察当局と密接な連携を図りながら、観察処分を適正かつ厳格に実施し、当該団体の活動実態の把握に努めるとともに、関係地方公共団体に対して必要な情報を可能な限り提供するなどして、公共の安全を確保し、松本・地下鉄両サリン事件等の被害者・遺族や地域住民を始めとする国民の皆様の不安感の解消・緩和に鋭意努めてまいる所存です。
    ▼ いわゆるオウム真理教に対する観察処分の期間更新決定(8回目)の概要
    • 決定主文(要旨)
      • 被請求団体(「Aleph」、「山田らの集団」及び「ひかりの輪」が主要団体)に対して、3年間、公安調査庁長官の観察に付する処分の期間を更新(令和6年2月1日から3年間)
      • 当該団体は、その組織現勢に関する事項(構成員、資産、施設)等に加え、「公安審査委員会が特に必要と認める事項」として、以下の事項も公安調査庁長官に報告
        • 構成員の出家・在家の別及び出家した構成員の位階
        • 当該団体作成ホームページに係る接続業者・契約名義人・運営責任者等の氏名
        • 当該団体の収益事業の概要等及び各事業に係る会計帳簿を備え置いている場所
    • 決定理由(要旨)
      • 当該団体は、依然として麻原がその活動に絶対的影響力を有するなど、無差別大量殺人行為に及ぶ危険な要素を保持していることが認められること
      • 当該団体は、閉鎖的・欺瞞的な組織体質を有し、地域住民に恐怖感・不安感を抱かせるなど、観察処分によってその活動状況を継続して明らかにする必要性が認められること
    • 期間更新決定により今後3年間公安調査庁が執行可能な措置
      • 当該団体の組織現勢等に関する報告書の徴取
      • 当該団体の施設に対する立入検査
      • 関係地方公共団体の長からの請求に応じた調査結果の提供

    内閣官房 令和6年能登半島地震に係る被災地域に関する加工処理画像について
    • 内閣情報調査室では、令和6年能登半島地震について、情報収集衛星等によって必要な情報を収集しております。
    • この度、大規模災害時等における情報収集衛星画像に基づく加工処理画像の公開の考え方に基づき、加工処理画像(一部範囲の拡大図)を公表することといたしました。
    • 天候不良等のため現時点で公開できる画像が限られておりますが、引き続き、所要の情報収集を行ってまいります。
    ▼ 公開の考え方
    • 公開されるもの
      • 情報収集衛星による画像情報に画素結合加工を施した画像及び当該加工後の画像に関する説明を記した文書
    • 公開の対象となる事態
      • 国内において、以下の事象により大規模な被害が発生し、政府の緊急参集チームに参集指示があった場合又はこれに準じる事態
        • 暴風、竜巻、豪雨、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象
        • 大規模な火事若しくは爆発又は重大な事故 等
    • 公開の要件
      • 画像情報の判読、分析により、以下の観点から公開することが必要であると認められる有意な情報が得られた時
        • 被災等の状況の早期把握に資するものであること。
        • 被災者等の迅速な救助及び避難に資するものであること。
        • 被害の拡大防止に資するものであること。
        • その他公益に資するものであること

    人口戦略会議 『人口ビジョン2100』ー安定的で、成長力のある「8000万人国家」へー 概要
    • 今なぜ「人口ビジョン2100」を提言するのか
      • 人口は半減、4割が高齢者に
        • このままだと、総人口は年間100万人のペースで減っていき、わずか76年後の2100年に6300万人に半減。これは高齢化率が40%の「年老いた国」でもある。
      • 遅れを挽回するラストチャンス
        • 出生率は過去最低の1.26、年間出生数も77万人まで低下し、少子化の流れは全く歯止めがかかっていない。
        • 遅れはあるが、まだまだ挽回可能。決して諦めず、世代を超えて取り組まなければならない。政府も「2030年までがラストチャンス」と危機感を明らかにしている。
      • これまでの対応に欠けていたこと
        • 第一は、人口減少の深刻な影響と予防の重要性について、国民へ十分な情報共有を図ってこなかったこと。
        • 第二は、若者、特に女性の意識や実態を重視し、政策に反映させるという姿勢が十分ではなかったこと。
        • 第三は、「現世代」には、社会を「将来世代」に継承していく責任があることを正面から問いかけてこなかったこと。
      • 安定的で、成長力のある「8000万人国家」を目指す
        • 2100年を視野に据えて、目指すべき目標を提示。
        • 第一は、総人口が“急激”かつ“止めどもなく”減少しつづける状態から脱し、8000万人で安定化させること。
        • 第二は、現在より小さい人口規模であっても、多様性に富んだ成長力のある社会を構築すること。
        • これらを通じて、国民一人ひとりにとって豊かで幸福度が世界最高水準である社会の実現を目指す。
      • 「定常化戦略」と「強靭化戦略」
        • 人口減少の流れを変えるには長い期間を要するため、今からすぐ有効な施策を実行しなければならない。その戦略として、(1)「定常化戦略」(人口定常化を図る)と、(2)「強靭化戦略」(質的な強靭化を図る)を提示。
        • 政府が人口戦略の立案・遂行体制を整備するとともに、国会において超党派で取り組んでいくことを期待。
        • 働き方改革など社会規範をめぐる課題や個人の価値観にも関わるようなテーマが多く、企業をはじめとする民間や地域の取り組み、国民的な論議が重要。
      • 今こそ総合的な「国家ビジョン」を
        • 今まさに、国民全体で意識を共有し、官民あげて取り組むための「国家ビジョン」が、最も必要。
    • 三つの基本的課題
      • 国民の意識の共有
        • 人口減少がもたらす「重大な事態」
        • まず人口減少によって将来どのような重大な事態が起き得るのかを、国民が正確に理解することが重要。国民の間で意識を共有することに最優先で取り組むべき。
        • 人口の急降下 人口が“急激”かつ“止めどもなく”減少し続ける
        • 果てしない縮小と撤退「果てしない縮小と撤退」を強いられる・社会も個人も“選択の幅”が極端に狭められる
        • 「超高齢化」と「地方消滅」 高齢化率が4割で高止まる「超高齢社会」・格差と対立の深刻化・インフラやサービスの縮小、廃止による「地方消滅」
        • 進歩が止まり、広範な「社会心理的停滞」が起きる
      • 若者、特に女性の最重視
        • 若者や女性が希望を持てる環境づくり
        • 若者世代の意識と実態を踏まえ、結婚や子どもを持ちたいという希望を実現できるよう、社会環境づくりを積極的に進めていくことが求められる。
        • 若者世代の結婚や子どもを持つ意欲の低下
        • 所得や雇用という「経済的要因」が大きい。
        • 若者世代における「格差の拡大」という側面も。非正規雇用など不安定就労の男性の結婚割合は低く、女性も、非正規雇用などの場合は「子どもを持ちたい」という意欲が低く、出産も低下傾向。
        • 子どもを持つことがリスク、負担
        • 多くの若者世帯が子どもを持つことをリスクや負担と感じている。背景に、出産時に女性が退職したり、短時間勤務へ切り替えざるを得ないため、収入が大幅減となるケースが多く見られること(「L字カーブ問題」)。
        • 子育て世帯が2人目を持つことを躊躇する理由として、夫に育児参加が期待できないことがある。
      • 世代間の継承・連帯と「共同養育社会」づくり
        • 将来への責任
        • 今を生きる「現世代」の取り組みが効果をあげるのは数十年先。逆に何もしないと、負の影響を受けるのも「将来世代」。社会や地域をしっかりと将来世代に引き継ぐ(継承)という点で、現世代の後世に対する責任は重い。
        • 全ての人々は、子どもを持つ、持たないにかかわらず、社会保障制度を通じた連帯によって支えられている。社会全体、そして、世代を超えた連帯を維持するためにも、子育て支援は、高齢者を含めた全ての人々によって支えていくことが重要。
        • 「共同養育社会」を目指す
        • 母親一人が子育てを担うのでなく、父親はもちろん家族や地域が共同で参加すること(「共同養育」)が重要。「共同養育」の考え方を基本に置いて、社会や地域の取組み、さらには国の施策を組み立てていくべき。
        • スウェーデンの家族政策を築いたグンナー・ミュルダールは、「近代社会では、親は多くの子どもを持とうとしない。こうした親の『個人的利益』と国民の経済生活という『集団的利益』の対立を解決するには、育児を親のみの責任とせず、すべての子どもの出産・育児を国や社会が支援する普遍的家族政策を確立すべき」と主張。
        • 社会や地域を将来世代への継承していくためには、こうした考え方を国民の共通認識とし、それに相応しい社会経済システムを構築していくことが重要。
    • これから取り組むべき「人口戦略」
      • 二つの戦略による「未来選択社会」の実現
        • 「定常化戦略」
          • 人口減少のスピードを緩和させ、最終的に安定させる(人口定常化)戦略
        • 「強靭化戦略」
          • 質的な強化を図り、現在より小さい人口規模でも、多様性に富んだ成長力のある社会を構築する戦略
        • 目指すべきは8000万人での人口定常化
          • 人口定常化として目指すべきシナリオはBケース。2100年に8000万人で人口が定常化することを目標とすべき。そのためには、2040年ごろまでに1.6、2050年ごろまでに1.8に到達することが望まれる。
          • 人口が定常化しはじめると、同時に高齢化率はピークを打って低下していく「若返り経路」に乗る。高齢化率は、このままだと4割の水準で高止まりするが、Bケースでは30%(2100年)にまで低下。
        • 二つの戦略の経済効果
          • このまま無策で推移すると、2050年-2100年の平均成長率はマイナス1.1%。定常化戦略が実現すると、成長率は0.9ポイント上昇。定常化戦略の効果は直ぐには顕れないが、長期的、安定期に成長率を引き上げ。
          • 強靭化戦略により生産性の伸び率を高めることができれば、2020年代以降継続して1ポイント引き上げ。定常化戦略と強靭化戦略の両方の効果があいまって、2050年-2100年の成長率は0.9%程度を維持。
          • 一人当たりGDPは、定常化戦略によって60万円程度、強靭化戦略によって2.5倍程度まで引き上げ。
          • 二つの戦略を一体的に推進していくことによって、短・中・長期にわたって安定的な経済効果が期待できる。
      • 「定常化戦略」における論点
        • 若年世代の「所得向上」、「雇用改善」が最重要
          • 結婚を願う男女の希望を叶えるためには、若年世代の「所得向上」や不安定な就労を解消する「雇用の改善」が最重要の論点。
        • 「共働き・共育て」の実現
          • 女性就労の「L字カーブ問題」は、出産を躊躇させる少子化要因であるとともに、女性のキャリア形成上の障害となっており、人材活用の点でも大きな課題。
        • 多様な「ライフサイクル」が選択できる社会づくり
          • 20代、30代は「人生のラッシュアワー」。年齢や環境に関わらず、学業や就労で多様な選択ができるよう、制度や社会規範を見直していくことが必要。
        • 若い男女の健康管理を促す「プレコンセプションケア」
          • 男女ともに加齢に伴い妊娠する力(妊孕性(にんようせい))は低下。若い男女の選択を支えるためには、「プレコンセプションケア(男女ともに性や妊娠に関する正しい知識を身に付け、思春期から生涯にわたって健康管理を行うよう促す取組み)」の普及が重要。
        • 安心な出産と子どもの健やかな成長の確保
          • 伴走型相談支援と経済的支援、産後ケア、地域産科医療の整備や出産費用(正常分娩)の保険適用に取り組むべき。子ども虐待対策、ひとり親家庭(母子家庭)支援の抜本的拡充を重要。
        • 子育て支援の「総合的な制度」の構築と財源確保
          • 子育て支援制度を一つの制度へ統合し、「総合的な制度」の構築を目指すべき。社会全体で支えていく「共同養育社会」の視点から、税と保険料のバランスを配慮しながら、安定財源の確保に取り組むことが重要。
        • 住まい、通勤、教育費など(特に「東京圏」の問題)
          • 東京一極集中を是正し、「多極集住型」の国土づくりを目指すとともに、東京圏が抱える深刻な問題の解決を図ることは、避けて通れない課題。
      • 「強靭化戦略」における論点
        • 強靭化戦略の基本的な考え方
          • 定常化の効果が表れるのは数十年後、目指すシナリオでも2100年の総人口は、現在の3分の2(8000万人)。質的に強靭化を図ることにより、現在より少ない人口でも、多様性に富んだ成長力のある社会を構築していくのが強靭化戦略の目標。
          • その本質は、生産性の向上。経済全体の生産性向上のためには、生産性の低い企業、産業、地域の構造改革が重要となる。
        • 戦略の“背骨”は「人への投資」
          • 強靭化戦略を貫く“背骨”にあたる考えは、「人への投資」の強化。(1)人材育成のオープン化、(2)教育費用の負担軽減、(3)教育の質的向上、(4)企業における「人への投資」、(5)子育て世代の「可処分時間」の増大、(6)規制改革、地方分権
        • 一人ひとりが活躍する場を広げる
          • 成長力のある社会を構築する鍵は、一人ひとりが活躍する場を最大限広げていくこと。新たに活躍するフィールドは、一つは、人口減少が進む地域の持続的発展を支える「ローカルインクルージョン」、他の一つは、日本という枠に留まらずにグローバルな場でチャレンジする「グローバルチャレンジ」。
        • 「ローカルインクルージョン」における論点
          • 人口減少地域で医療・介護、交通・物流、エネルギー、教育などのサービスを質的に強靭化し、持続性を高める。深刻な人手不足に対応し、官民連携、「兼ねる」人材、共通プラットフォーム、「担い手」育成に取り組む。
        • 「グローバルチャレンジ」における論点
          • 一人ひとりの日本での活躍が世界での活躍に直結するような「イノベーション環境」を整備。起業、産学連携、人材育成、研究、マーケティンクなど、イノベーションに不可欠な環境を総点検。人材の評価も内外直結型へ。
      • 「永定住外国人政策」に関する論点
        • 「移民」という言葉は多義的であり、それ故に議論が混乱する面がある。このため、「永住外国人」と「定住外国人」(滞在期間に上限がある外国人)に区分した上で、両者を「永定住外国人」という表現を用いている。
          • 「(補充)移民政策」はとらない
            • かつて国連が提起した概念として、人口減少などを補うための「補充移民」がある。人口定常化を外国人の流入で達成しようとすると、膨大な数が必要。非現実的であり、将来の姿を見通すのが難しく、社会の安定性にも大きな危惧。したがって、人口減少を補充するための「(補充)移民政策」はとるべきではない。
          • 総合的な戦略が必要
            • 労働目的の永定住外国人については、我が国は世界第5位の規模。「(補充)移民政策」はとらないとしても、労働目的を中心とする永定住外国人に対する総合戦略の策定は喫緊の課題。
            • 戦略の検討においては、次のような点が重要。
              • 成長力を強めるという長期的視点からみると、労働目的で受け入れるべき外国人は、「高度または専門的な人材」を基本とすべき。入口の規制だけでなく、入国後の「人材育成」の視点が重要。
              • 非高技能外国人については慎重な検討が必要。低賃金の外国人受け入れの議論の前に、DX等の導入も含め、生産性の低い企業、産業、地域をいかに構造改革していくかという課題が問われる。
              • 外国人労働の悪質事例の是正のため、管理の徹底、監視体制の整備、相談窓口の整備が必要。現在、技能実習制度などの見直しが進められているが、非高技能者の割合が高まることがないよう留意すべき。
              • 社会的な統合という観点から、第一世代にとどまらず、第二世代以降の教育や社会参加の確保も重要。また、社会・文化に及ぼす影響や国際政治との関わりは、決して軽視してはならない重要な視点。
              • アジア共通のルールメイキングなど国際労働移動メカニズムの形成に積極的にイニシアティブをとっていくべき。
        • 政策の「司令塔」の設置が急がれる
          • 国は、永定住外国人政策の総合戦略の立案や遂行、調査分析を行う体制の整備に早急に取り組むべき。中立的で総合的な判断を行うことが可能な「政策委員会(仮称)」の設置も。
    • どのように人口戦略を進めていくか
      • EBPMをベースにした立案プロセス
        • 二つの戦略の一体的・統合的な運用のため、「人口戦略立案・遂行プロセス」を5年程度のサイクルで回す。この政策プロセスにおいて、若者・女性とのコミュニケーションが不可欠。政策のベースとなるのは、EBPM(Evidence Based Policy Making)の考え方。少子化対策の効果検証が十分に行われていない。「こども未来戦略」などの効果検証研究プロジェクトが急務。これにより「人口戦略アーキテクチャ(政策体系)」を構築する。
      • 二つの戦略を一体的・統合的に推進する体制
        • 内閣に「人口戦略推進本部(仮称)」を設置し、人口戦略(地方創生や永定住外国人政策を含む)の立案・遂行を統括する司令塔とする。有識者などがメンバーの諮問機関として、総理直属の勧告権を有する強力な審議会を設置。人口問題や少子化対策、永定住外国人政策の研究調査部門の抜本的に強化。
      • 国会での超党派の合意形成
        • 人口問題は持続的、長期的に取り組むべきテーマ。人口戦略の目標や主要施策の内容、プロセスや体制を盛り込んだ「プログラム法」を国会で審議し、超党派の合意形成を図り、着実に推進することが重要。国会に人口戦略の策定・審議を行う常設組織を設置することを強く期待。
      • 民間、地域の取り組みが重要
        • 働き方改革など「社会規範」や個人の「価値観」にも関わるようなテーマが多く、企業をはじめ民間や地域の取り組みや国民的な論議が重要。政府とは別の、有識者や経済界・労働界のリーダー、地方自治体などが参加する「国民会議」の設置が望まれる。
        • この問題の重要性について企業の認識が不足。企業の情報開示や年金基金の投資基準などへの反映も。
      • 地方と東京圏の取り組み
        • 地方における人口戦略の立案・遂行が重要。地方自治体や経済界(特に中小企業)、労働界などが協働して取り組むべき。一方、東京圏についても、官民あげて取り組む組織(「東京圏人口戦略会議(仮称)」)を設置する必要。地方と東京圏の両者の取り組みで、日本全体の少子化の流れを大きく転換していくべき。

    内閣官房 こども政策推進会議(第2回)・全世代型社会保障構築本部(第10回)議事次第
    ▼ 資料3 こども大綱(案)等について(概要)
    • こども大綱案
      • 根拠:こども基本法(R5年4月施行)。今後5年程度のこども政策の基本的な方針・重要事項を定めるもので、既存の3大綱(「少子化社会対策大綱」「子供・若者育成支援推進大綱」「子供の貧困対策に関する大綱」)を一元化。
      • 目的:全てのこども・若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送ることができる「こどもまんなか社会」の実現基本的な方針:こども基本法、こどもの権利条約等の理念を6つの柱に整理
        • こども・若者は権利の主体、今とこれからの最善の利益を図る
        • こども・若者、子育て当事者とともに進めていく
        • ライフステージに応じて切れ目なく十分に支援
        • 良好な成育環境を確保、貧困と格差の解消
        • 若い世代の生活の基盤の安定、若い世代の視点に立った結婚・子育ての希望の実現
        • 施策の総合性の確保
      • 重要事項:こども・若者のライフステージ別に記載、子育て当事者への支援についても記載
      • 施策推進の必要事項:こども・若者の社会参画・意見反映、自治体こども計画の策定促進 等
    • 幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン案
      • 根拠:こども政策の新たな推進体制に関する基本方針(R3年12月閣議決定)
      • こどもの誕生前から幼児期までの「はじめの100か月」の重要事項を、全ての人が共有すべき理念として整理
      • こども基本法等の理念に基づき5つの柱に整理
        • こどもの権利と尊厳
        • 安心と挑戦の循環(愛着形成、豊かな遊びと体験の重要性)
        • 切れ目なく育ちを支える
        • 保護者・養育者の成長の支援・応援
        • こどもの育ちを支える環境等の整備
    • こどもの居場所づくりに関する指針案
      • 根拠:こども政策の新たな推進体制に関する基本方針(R3年12月閣議決定)
      • こどもの多様な居場所づくりについて、全ての関係者が共有すべき理念を整理
      • 居場所づくり推進の4つの視点を整理
        • 「ふやす」~多様なこどもの居場所がつくられる
        • 「つなぐ」~こどもが居場所につながる
        • 「みがく」~こどもにとって、より良い居場所となる
        • 「ふりかえる」~こどもの居場所づくりを検証する

    内閣官房 デジタル行財政改革会議(第3回)議事次第
    ▼ 資料1 デジタル行財政改革中間とりまとめ(案)について
    • デジタル行財政改革の各分野のこれまでの成果 ~教育~
      • GIGA端末更新について、これまで市町村単位でバラバラだったものを都道府県単位で共同調達を行う。
      • 教員の負担軽減のため、校務全体のデジタル化に向けた調査開始。就学予定者名簿の授受についてデジタル化を決定。
      • オンライン教育の活用推進のため、児童生徒のいる教室の教員配置要件の弾力化・明確化等に着手。
      • デジタル化を通じた学びの充実、教員の負担軽減のため、ロジックモデルを整理しKPIを設定。
    • デジタル行財政改革の各分野のこれまでの成果 ~交通~
      • タクシー・ドライバーの確保のための規制緩和、地域の自家用車・ドライバー活用によるライドシェア(タクシー事業者の運行管理下での新たな仕組みの創設)、自家用有償旅客運送制度の改善、タクシー事業者以外の者が行うライドシェア事業に係る法律制度についての議論。
      • 限定されたエリア内での完全無人自動運転(レベル4)の事業化の後押し。
      • ドローンの事業化、より効率的な配送サービスの実現に向けたレベル3.5飛行制度の創設
    • デジタル行財政改革の各分野のこれまでの成果 ~介護等~
      • 介護現場のデジタル化に向けた財政的支援と、介護報酬・人員配置基準といった制度の一体的な見直し。
      • 生産性向上を着実に進めていくためのロジックモデル・KPIを設定、モニタリングと改善の枠組を構築。
      • オンライン診療について、居宅と同様、療養生活を営む場所として、長時間にわたり滞在する通所介護事業所等も受診できる場であることを明確化
    • デジタル行財政改革の各分野のこれまでの成果 ~子育て・児童福祉~
      • 出生届のオンライン化や母子保健DXを実現する制度改正を行うとともに、子育て支援制度レジストリを整備し、必要な情報を最適なタイミングで届けるプッシュ型子育て支援の実現に取り組む。
      • 保育士の負担軽減のため、保育所のICT導入や全国共同データベース整備により保育業務のワンスオンリーの実現に取り組む。
      • こども家庭福祉分野に係る相談員の業務負担軽減に向けた、ICT導入や業務支援アプリの活用を推進。
    • デジタル行財政改革の各分野のこれまでの成果 ~防災、インバウンド・観光、スタートアップ~
      • 防災
        • マイナンバーカードやスマホアプリを活用した避難所運営や在宅避難者を含む避難者の状況把握等に関する実証実験を進め(2023年10月に実証実験実施、継続中)、デジタル化による効果を2023年度中に検証するとともに、実証事業で得られた成果を活用し、社会実装や民間アプリの開発促進を支援する。
        • 避難所でのデジタル活用の促進や、地域の集会所等の被災者支援の拠点となり得る施設が果たす役割・デジタル活用について「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」等を2023年度中に改定する。
        • 罹災証明書の交付の前提となる被害認定調査を迅速に行うため、内水氾濫時における住家の被害区分の簡易判定基準を2023年度中に策定する
      • インバウンド・観光
        • 入国審査や税関申告をウェブで行うことができる「Visit Japan Web」の更なる利便性の向上に向け、諸外国におけるCIQ手続のグッドプラクティスを調査するための(補正)予算を措置。
        • 訪日外国人旅行者が受診・治療費の支払い等の不安を感じることなく滞在できるよう、本年11月にVisit Japan Webを改修し、訪日客への民間医療保険加入促進を強化。
      • スタートアップ
        • 国の機関が情報システムに係る調達を行うにあたり、新規性、創造性を活かした高度な技術力を有するスタートアップから優先的に調達を行うべく、スタートアップ企業に加点を行う評価制度今年度中に確立し、来年度から政府全体の情報システムに係る調達において導入。
        • 公証人による定款認証については、「モデル定款」を導入するとともに「モデル定款」を用いる場合には認証に要する期間を短縮する。また、公証人による面前確認はウェブ利用を原則化し、あわせて、デジタル技術の活用により面前確認を要しないこととする手続の新設について検討する
    • デジタル基盤に関する成果 ~国・地方の共通基盤関係~
      • ベース・レジストリ(公的基礎情報データベース)の整備等の方針を決定。
      • デジタルマーケットプレイスを導入し、国・自治体がクラウドソフトウェア(SaaS)を簡易・迅速に調達。
      • ガバメントクラウドの利用料低廉化を図る取組を実施。
      • その他、国・地方共通相談チャットボットの提供、自治体窓口DX支援、自治体における給付支援等を推進。
    • デジタル基盤に関する成果 ~アナログ規制の見直し、事業者のデジタル化等~
      • 3.6兆円の経済効果が推計されるアナログ規制の見直しを着実に実施。
      • 行政手続のデジタル完結に向けた工程表を策定。今後、AI時代の官民データの整備・連携に向けたアクションプランを策定・公表。
      • 関係省庁連絡会議やGビズID・Jグランツ等を活用し、事業者のデジタル化を加速。
    • EBPMや「見える化」による予算事業の政策効果向上~予算や事業のデータによる「見える化」の手法確立の必要性~
      • 政策効果を高めるためのPDCAサイクルの取組には様々な課題が存在
      • これらの課題を克服するため、デジタル行財政改革会議では「利用者起点」や「見える化」を核とした新しい政策形成のアプローチ(課題発掘対話、KPI・ロジックモデル作成、政策ダッシュボード作成等)を試行
    • EBPMや「見える化」による予算事業の政策効果向上~教育分野における予算や事業のデータによる「見える化」の手法確立~
      • 政策や事業の各段階(環境の整備、活用、成果発現)について、進捗のモニタリングや成果の測定、費用対効果の検証を行い、予算事業等の不断の見直しを推進するため、まずはデータによる「見える化」を徹底。
      • 教育と介護分野において、ロジックモデルやKPIの設定に加え、ダッシュボードの作成まで試行実施。今後、データを負担なく収集する仕組みやモニタリングの方法等の検討を重ねる。
    • EBPMの実現に向けた予算事業のデータベース化とID附番による「見える化」の推進
      • 今回の2024年度予算から、「レビューシートシステム」(RSシステム)を導入し、以下の取組を行う。
      • 個々の事業のKPI、支出先など行政事業レビューシート上の全ての情報をデータベース化し、一般公開(2024年4月から入力機能、2024年9月から公開機能を稼働予定。)
      • 個々の行政事業レビューシート・基金シートに「予算事業ID」を附番し、RSシステムで一元管理⇒これにより、予算事業の経年比較や検索が可能となり、データ分析が容易となる。
      • (参考)行政事業レビューシートは、当初予算のみならず補正予算も含め、約5,000事業に分けて作成・公表しており、この中で、EBPMを実現するため、短期・中期・長期の具体的なKPIを記載。

    【その他(海外)】

    ※現在、該当の記事はありません。

    Back to Top