2024/04/22

危機管理トピックス

【省庁別記事(後半)】

【経済産業省】

【2024年4月】

経済産業省 第1回 クレジットカード・セキュリティ官民対策会
▼ 資料2 経済産業省の取組について(クレジットカードのセキュリティ対策)
  • クレジットカードの不正利用被害額が急増しており、2023年の被害額は過去最大。不正アクセス等で窃取したクレジットカード番号によるEC取引での不正利用が大部分を占める。
  • クレジットカード番号の窃取は、EC加盟店やPSP等に対するサイバー攻撃のほか、フィッシング技術の巧妙化による消費者側からの窃取も多いと指摘されている。
  • 割賦販売法では、平成20年改正からクレジットカードセキュリティへの対応を措置。EC取引におけるクレジットカード決済の増大にあわせて、平成28年改正、令和2年改正によって対応を強化。
  • 増加する不正利用被害等を踏まえ、2022年8月から検討会を開催し、2023年1月にEMV3DSの導入等を柱とする対策をとりまとめ。
  • EUはカード会社に強力な顧客認証(SCA)を求める決済サービス指令を採択(2016年)。同指令では、EMV3DSを一般的顧客認証手段と位置づけているが、順次、加盟国による国内制度化が行われ、相応の効果を発揮していると推察される。なお、同指令では、リスク度合い等によって、顧客認証を免除する仕組みを採用している。
▼ 資料5 クレジットカード・セキュリティガイドライン【5.0版】の主なポイントについて
  • カード会社(イシュアー)
    • 2025年3月末に向けたEMV 3-Dセキュアの推進
      • 「イシュアーにおけるEMV3-Dセキュア推進ロードマップ」(2023年11月30日)に従って以下の目標を目指すこととしている。
      • EMV3-Dセキュアに必要なカード会員情報について、EC利用会員ベースで80%の登録率
      • 「動的(ワンタイム)パスワード等」による認証方法へ、EMV3-Dセキュア登録会員ベースで100%の移行率
  • 加盟店(EC加盟店)
    • 基本的なセキュリティ対策
      • EC加盟店は、新規加盟店契約申し込み前に、自ら「セキュリティ・チェックリスト」記載の対策を実施し、その状況をアクワイアラーやPSPに申告、アクワイアラーやPSPはEC加盟店からの申告を受けた上で加盟店契約を締結することが求められる。(試行)このEC加盟店によるセキュリティ対策の実施については、2025年4月から新規のみならず全てのEC加盟店に対して求めることとしている。
    • 2025年3月末までに、原則、全てのEC加盟店のEMV3-Dセキュアの導入
    • EMV 3-Dセキュア導入の考え方
      • EMV 3-Dセキュアの導入計画を策定し早期にEMV 3-Dセキュアの導入に着手する。
      • 「不正顕在化加盟店」は既に不正利用が発生し被害が生じている加盟店であることから、即時にEMV 3-Dセキュアの導入に着手する。
  • 決済事業者等・PSP
    • 基本的なセキュリティ対策
      • ※加盟店(EC加盟店)と同様。
      • 「セキュリティ・チェックリスト」に記載されているセキュリティ対策を実施する必要性の周知も合わせて行う。
    • 2025年3月末までに、原則、全てのEC加盟店のEMV3-Dセキュアの導入に向けて働きかける
    • EC加盟店へのEMV 3-Dセキュア導入優先順位の考え方
      • 「加盟店におけるEMV 3-Dセキュアの導入推進ロードマップ」(2023年11月30日)に従って導入計画の策定及び導入を行うよう働きかける。
  • 2025年4月以降のEC加盟店の情報保護対策及び不正利用対策
    • カード情報保護対策 セキュリティ・チェックリストによる不断なセキュリティ対策の改善・強化
      • EC加盟店では、新規加盟店契約の申込み前に、自ら「セキュリティ・チェックリスト」記載の対策を実施し、その状況をアクワイアラーやPSPに申告、アクワイアラーやPSPはEC加盟店からの申告を受けた上で加盟店契約を締結することが求められる。(試行)このEC加盟店によるセキュリティ対策の実施については、2025年4月から新規のみならず全てのEC加盟店に対して求めることとしている。
    • 不正利用対策 決済の場面(決済前・決済時・決済後)を考慮した場面ごとの対策導入
      • 非対面不正利用対策として、今後はより抑止効果を高めるために、決済の場面(決済前・決済時・決済後)を考慮して、それぞれの場面ごとに対策を導入するという、点ではなく線として考える指針の策定が求められる。そのため、加盟店によるEMV 3-Dセキュア導入のみではなく、クレジットカード決済の関係事業者それぞれが実施すべき、これから目指すべき不正利用対策の「線の考え方」である全体像を示した。今後、詳細運用を検討する。
▼ 資料6 セキュリティ対策の進捗状況(クレジット取引セキュリティ対策協議会提出資料)
  • セキュリティ対策の進捗状況
    • EMV3-Dセキュア等導入推進状況 EC加盟店の導入状況
      • 既存加盟店
        • 現在カード会社(アクワイアラー)及びPSPは契約先EC加盟店を対象に「加盟店におけるEMV3-Dセキュアの導入推進ロードマップ」に従って導入計画の策定及び導入を行うよう働きかけを実施。
        • EMV3-Dセキュア導入の優先順位の高い、既に不正が発生しているEC加盟店については、凡そ8割程度に導入働きかけのアプローチ済。
      • 新規加盟店
        • アクワイアラー、PSPがEC加盟店と新規に加盟店契約する際には、2025年3月末までにEMV3-Dセキュアを導入することを説明したうえで契約を進める取組を実施
    • カード会社(イシュアー)における導入、登録、OTP移行状況
      • カード会員における静的パスワード以外(ワンタイムパスワード等)の認証方法への移行については、現在2025年3月末に向けてワンタイムパスワード等への一斉切り替えなども含めた取組を進めている状況。
  • 周知・啓発活動
    • EMV3-Dセキュアの登録推進に係る周知・啓発活動
      • 目的
        • 既にイシュアー各社がカード会員に対して取組んでいる「EMV3-Dセキュアに必要なカード会員情報の登録」及び「静的パスワード以外(ワンタイムパスワード等)の認証方法への移行」に関する周知・啓発活動を後押しするもの。
      • 具体的内容
        • 2025年3月までの期間を以下の2段階に分けて実施する。
        • 第一段階:統一キャンペーン(2024年6月頃)
        • 業界団体、カード会社、関係団体、行政による業界統一的な周知啓発キャンペーンを実施することを想定。具体的には統一メッセージやロゴ等を作成し、様々な媒体を通じ、消費者の認識を高める。
        • 第二段階:継続的な取り組み(2024年6月以降)
        • キャンペーン期間後もキャンペーンで使用した成果物を活用して、各主体が消費者へ継続的な周知啓発を行う。
        • 統一メッセージ:消費者に理解いただきやすいように「本人認証サービス」という文言を用いて、登録等を促す目的であることを主眼に以下を統一メッセージとして作成した「より安全安心なオンラインショッピングのために、本人認証サービスへ登録を!」

経済産業省 令和6年度「知財功労賞」の受賞者を決定しました
  • 日本の知的財産権制度の発展・普及・啓発に貢献した個人及び知的財産権制度を積極的に活用した企業等を表彰する「知財功労賞」の令和6年度受賞者を決定しました。本年度は、経済産業大臣表彰として個人1名と企業等7者、特許庁長官表彰として個人5名と企業等14者を受賞者としました。
  • 「知財功労賞」の概要
    • 経済産業省 特許庁では、毎年、知的財産権制度の発展及び普及・啓発に貢献のあった個人に対して「知的財産権制度関係功労者表彰」、また、制度を有効に活用し円滑な運営・発展に貢献のあった企業等に対して「知的財産権制度活用優良企業等表彰」として、経済産業大臣表彰及び特許庁長官表彰を行っています。両表彰を合わせて、「知財功労賞」と総称しています。
  • 受賞者
    • 本年度は、経済産業大臣表彰として個人1名と企業等7者、特許庁長官表彰として個人5名と企業等14者を受賞者としました。
      • 経済産業大臣表彰
        • 知的財産権制度関係功労者 (50音順)
          • 近藤 健治 氏[株式会社ヨコオ 技術本部・知的財産部顧問]
        • 知的財産権制度活用優良企業等(表彰区分/50音順)
          • 株式会社寺岡精工(知財活用企業(特許))[東京都]
          • 大和合金株式会社・三芳合金工業株式会社(知財活用企業(特許))[東京都・埼玉県]
          • 株式会社サタケ(知財活用企業(商標))[広島県]
          • 株式会社サイフューズ(知財活用ベンチャー)[東京都]
          • 株式会社Splink(知財活用ベンチャー)[東京都]
          • 環境大善株式会社(デザイン経営企業)[北海道]
          • 東洋ステンレス研磨工業株式会社(デザイン経営企業)[福岡県]
      • 特許庁長官表彰
        • 知的財産権制度関係功労者 (50音順)
          • 石埜 正穂 氏[札幌医科大学 教授・弁理士]
          • 木村 一義 氏[株式会社シェルター 代表取締役会長]
          • 小林 誠 氏[株式会社シクロ・ハイジア 代表取締役CEO]
          • 舩曵 崇章 氏[舩曵特許事務所 所長]
          • 満丸 浩 氏[学校法人都築教育学園第一工科大学 工学部長・機械システム工学科/教授]
        • 知的財産権制度活用優良企業等 (表彰区分/50音順)
          • 株式会社オービック(知財活用企業(特許))[東京都]
          • 花王株式会社(知財活用企業(特許))[東京都]
          • 株式会社コーワ(知財活用企業(特許))[愛知県]
          • 株式会社五合(知財活用企業(特許))[愛知県]
          • 株式会社秀峰(知財活用企業(特許))[福井県]
          • 株式会社タンガロイ(知財活用企業(特許))[福島県]
          • 株式会社堀場製作所(知財活用企業(特許))[京都府]
          • 株式会社LIXIL(知財活用企業(特許))[東京都]
          • 八幡化成株式会社(知財活用企業(意匠))[岐阜県]
          • 沖縄県酒造組合(知財活用企業(商標))[沖縄県]
          • 日清食品ホールディングス株式会社(知財活用企業(商標))[大阪府]
          • NTTコミュニケーションズ株式会社(オープンイノベーション推進企業)[東京都]
          • 日本電気株式会社(デザイン経営企業)[東京都]
          • Visional(デザイン経営企業)[東京都]

経済産業省 知財重点支援エリアとして3地域を選定しました
  • 特許庁では、令和6年度から新たにスタートする「知財経営支援モデル地域創出事業」を実施するに当たり、知財重点支援エリアとして、青森県、石川県、神戸市の3地域を選定しました。
  • 概要
    • 令和5年3月に特許庁、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)、日本弁理士会、日本商工会議所は、知財経営支援ネットワーク(4者連携)を形成し、中小企業等の知財経営支援を強化・充実化させ、地域の稼ぐ力の向上に取り組むことを共同宣言しました。
    • この共同宣言を踏まえ、特許庁では、地域における持続的な知財活用の促進を目指すため、4者連携と自治体・地域の支援機関等が一体となった支援ネットワークの連携強化を図るとともに、その支援ネットワークによる中小企業等への一気通貫の伴走支援等を行う「知財経営支援モデル地域創出事業」を実施します。
    • 本事業を実施するに当たり、知財を活用した地域の企業成長や地域活性化に意欲的な自治体を広く募集し、この度、有識者による選定会議での審査結果を踏まえ、知財重点支援エリアとして3地域(2県、1政令市)を選定しました。
    • 知財重点支援エリアにおける地域の支援ネットワークの更なる強化と地域中小企業等のイノベーション創出を加速させ、持続的な知財活用の促進を目指す知財経営支援のモデル地域を創出します。
  • 選定地域
    • 青森県
    • 石川県
    • 神戸市

経済産業省 日本風力開発株式会社に対して電気事業法に基づく報告を求めました
  • 経済産業省は本日、日本風力開発株式会社(以下「JWD」という。)に対し、特別調査委員会による検証結果に対する認否等について、電気事業法第106条第3項の規定に基づく報告を求めました。
  • 報告事項
    • 資源エネルギー庁は、令和5年10月17日(火曜日)、JWDに対して、発電事業の実施に当たっての法令遵守の対応やコンプライアンス体制等について、中立的かつ客観的な検証等を求める指導を行い、令和6年3月6日(水曜日)、JWDより当該指導に対する報告を受領しました。
    • 当該報告を踏まえ、経済産業省は、本日、JWDに対して、特別調査委員会による検証結果に対する認否、法令等遵守の観点から懸念がある他の事案の有無並びにコンプライアンスの遵守等を徹底するために取り組んできた内容及び今後の計画について、報告するよう求めました。
  • 電気事業法に基づく措置
    • 電気事業法においては、主務大臣の権限として下記のように規定しています。
      • 経済産業大臣は、第一項の規定によるもののほか、この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、小売電気事業者等、一般送配電事業者、送電事業者、特定送配電事業者又は発電事業者に対し、その業務又は経理の状況に関し報告又は資料の提出をさせることができる。(法第106条第3項)

経済産業省 第8回「産業サイバーセキュリティ研究会」を開催しました
  • 経済産業省は、4月5日(金曜日)に、第8回産業サイバーセキュリティ研究会を開催し、AI等のデジタル技術の進展や近年の地政学リスクの高まり、米欧等における制度整備の動向等を踏まえた新たなサイバーセキュリティ政策の方向性を提示するとともに、「産業界へのメッセージ」を発出しました。
  • 背景・趣旨
    • 経済産業省では、産業界が目指すべきサイバーセキュリティの方向性について、産業界を代表する経営者やインターネット時代を切り開いてきた有識者等から構成されるメンバーに、大所高所から議論いただくべく、2017年12月に「産業サイバーセキュリティ研究会」(座長:村井純慶応大学教授)を設置し、以降7回にわたり会合を開催してきました。これまで、本研究会では、我が国の産業界が直面するサイバーセキュリティの課題や、関連政策を推進していくためのアクションプランの策定等について議論が行われてきました。経済産業省では、関係省庁とも連携しつつ、本研究会で提示したアクションプラン等に基づき様々な取組を進めてきました。
    • 昨今、急速に普及しつつある生成AIをはじめとするデジタル技術の発展や世界的な地政学リスクの高まり、サイバー攻撃の深刻化・巧妙化などにより、サイバーリスクが高まっています。また、米欧等においても産業界におけるサイバーセキュリティ対策強化に向けた制度整備の動きなどが活発化するとともに、設計段階から安全性を確保する、セキュア・バイ・デザインという概念が国際的に支持を集めるなど、自社が提供する製品のサイバーセキュリティ対策が求められるようになっています。こうした動向を踏まえながら、「『自由、公正かつ安全なサイバー空間』の確保」(サイバーセキュリティ戦略(令和3年9月28日閣議決定))や 「サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる」(国家安全保障戦略(令和4年12月16日閣議決定)といった政府全体の目標に貢献していくための産業界におけるサイバーセキュリティ対策の強化に資する政策対応の在り方について議論いただくべく、この度、第8回産業サイバーセキュリティ研究会を開催しました。
  • 第8回産業サイバーセキュリティ研究会の開催概要
    • 2024年4月5日(金曜日)に開催した第8回会合では、上月副大臣も出席し、本研究会で打ち出してきた様々な取組を含むこれまでの施策の進捗についてフォローアップを行った上で、新たなサイバーセキュリティ政策の方向性を提示するとともに、「産業界へのメッセージ」を発出しました。
    • 新たなサイバーセキュリティ政策の方向性
      • サイバーセキュリティ対策の実効性強化
        • 規模や業種等サプライチェーンの実態に応じて企業の適切なセキュリティ対策レベルを評価し可視化する仕組みを検討していく。
        • 一定のセキュリティ基準を満たすIoT製品を認証する制度や、ソフトウェア部品構成表(SBOM)について、政府調達等の要件化に向けて関係省庁との議論を進めるとともに、安全なソフトウェアの自己適合宣言の仕組みを検討する。
        • 中小企業向け補助的施策の一層の強化を図るため、セキュリティ人材の活用促進やサイバーセキュリティお助け隊サービスの拡充・普及等に取り組む。
      • サイバーセキュリティ市場の拡大に向けたエコシステム構築
        • 我が国にとって重要な領域を中心に高品質な国産セキュリティ製品・サービスの供給が強化される状況を目指し、今年度中に、我が国サイバーセキュリティ産業の振興に向けた強化策のパッケージを提示する。
        • サイバーセキュリティ人材の確保・育成に向けて、ユーザー企業における情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)の活用促進や制度の見直しなどを検討していく。登録セキスペの登録人数(2024年4月現在、約2.3万人)として、2030年までに5万人を目指す。
      • 官民の状況把握力・対処能力向上
        • 産業界と様々なチャネルを有する独立行政法人情報処理推進機構(IPA)におけるサイバー情報の集約・分析機能を更に強化し、国家の安全保障・経済安全保障の確保に貢献していく。
    • 「産業界へのメッセージ」
      • 急速に普及しつつある生成AIをはじめとするデジタル化の進展や世界的な地政学リスクの高まり、サイバー攻撃の深刻化・巧妙化などにより、サイバーリスクは高まっている。このようなサイバー攻撃が、国民生活、社会経済活動及び安全保障環境に重大な影響を及ぼす可能性も大きくなっている。また、米欧等においても産業界におけるサイバーセキュリティ対策強化に向けた制度整備の動きなどが活発化しており、我が国においても一層の対策強化が求められる状況。
      • こうした状況を踏まえ、まずは、経済産業省として、デジタル時代の社会インフラを守るとの観点から、NISC等関係省庁との連携の下、これまでの施策の一層の普及・啓発などに取り組みながら、政府調達等への要件化を通じたサイバーセキュリティ対策の実効性強化や、サイバーセキュリティ供給力の強化、官民の状況把握力・対処能力向上に向けた新たな取組も進める。今後も産業界からの御意見を聴くなど、官民の協力関係を維持・発展させつつ、不断に取組を見直していく。
      • 各企業・団体においては、こうした状況も踏まえ、各種ガイドラインや随時の「注意喚起」に沿った対応を前提として、組織幹部のリーダーシップの下、必要な人材の育成や確保・体制の構築を進めながら、以下の対応をお願いしたい。
        • サイバーセキュリティに対する投資を、中長期的な企業価値向上に向けた取組の一環として位置付ける(DX、BCP、サステナビリティ等に紐付ける。)。その上で、その関連性について、投資家を含む利害関係者から理解を得るための活動(対話・情報開示等)を積極的に行う。
        • 自組織のシステム運用に係るリスク管理についてITサービス等提供事業者との役割分担を明確化するとともに、「セキュア・バイ・デザイン」(※1)や「セキュア・バイ・デフォルト」(※2)の製品の購入を優先するなど、ITサービス等提供事業者に対してセキュリティ慣行を求める。併せて、委託元として自組織で判断や調整を行わなければならない事項を把握するとともに、ITサービス等提供事業者に委託した業務の結果の品質を自社で評価できる体制を整備する。
        • サプライチェーン全体での対策強化に向けた意識を徹底する(ASM(※3)の活用や、サプライチェーンに参加する中小企業等への共助(取引先からの要請対応への負担配慮や脆弱性診断などの支援等))。中小企業においては、「サイバーセキュリティお助け隊サービス」などの支援パッケージの活用も検討する。
        • 「サイバー攻撃被害に係る情報の共有・公表ガイダンス」を参照し、有事(サイバー攻撃の被害に遭った場合等)には、適時の専門組織への相談及び所管省庁等への報告等を行う。
      • ITサービス等提供事業者においては、自らの製品・サービスのセキュリティ対策に責任を持ち、「セキュア・バイ・デザイン」や「セキュア・バイ・デフォルト」の考え方に沿った一層の対応(「顧客だけにセキュリティの責任を負わせない」等の基本原則の遵守、SBOMの採用、メモリに安全なプログラミング言語の採用等)をお願いしたい。
      • セキュリティベンダや調査ベンダ、情報共有活動のハブ組織等のサイバー被害組織を直接支援する専門組織においては、「サイバー攻撃による被害に関する情報共有の促進に向けた検討会最終報告書」に沿って、専門組織間で必要な情報を共有することの意義等について被害組織と共通の認識を醸成する努力をお願いしたい。
        • ※ 1「セキュア・バイ・デザイン」:IT製品(特にソフトウェア)が、設計段階から安全性を確保されていること。前提となるサイバー脅威の特定、リスク評価が不可欠。
        • ※ 2「セキュア・バイ・デフォルト」:ユーザー(顧客)が、追加コストや手間をかけることなく、購入後すぐにIT製品(特にソフトウェア)を安全に利用できること。
        • ※ 3 ASM(Attack Surface Management):組織の外部(インターネット)からアクセス可能なIT資産(=攻撃面)を発見し、それらに存在する脆弱性などのリスクを継続的に検出・評価する一連のプロセスをいう。

経済産業省 ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置を実施します(輸出貿易管理令等の一部を改正)
  • 令和6年3月1日付の閣議了解を踏まえ、ウクライナをめぐる現下の国際情勢に鑑み、国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、今般、主要国が講ずることとした措置の内容を踏まえ、ロシアへの輸出禁止措置を実施するために本日、輸出貿易管理令の一部を改正する政令が閣議決定されました。
  • また、同閣議了解を踏まえ、ロシアを原産地とする非工業用ダイヤモンドの輸入禁止措置を導入するため、経済産業省告示を改正します。
  • 輸出貿易管理令の一部を改正する政令の閣議決定について
    • 令和6年3月1日、ウクライナを巡る国際情勢に鑑み、この問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、外国為替及び外国貿易法(昭和24年法律第228号。以下「外為法」という。)によるロシアの産業基盤強化に資する物品の輸出禁止措置を導入することが閣議了解されました。
    • これを踏まえ、本日、輸出貿易管理令の一部を改正する政令が閣議決定されました。当該措置は4月17日より実施します。
    • これに併せ4月10日に関連する省令等を改正することにより、規制対象となる具体的な貨物を定め、運用面の整備を行います。
    • 輸出禁止措置の追加対象貨物
      • 鉱物性燃料及び鉱物油並びにこれらの蒸留物、歴青物質並びに鉱物性ろう(HS 27類の一部)
        • (例)自動車用エンジンオイル
      • 無機化学品並びに貴金属及びその無機又は有機の化合物(HS 28類の一部)
        • (例)塩化水素、水酸化アルミニウム
      • プラスチック及びその製品(HS 39類の一部)
        • (例)ニトロセルロース
      • 鉄鋼製品及びその部分品(HS 73類の一部)
        • (例)油又はガスの輸送に使用する種類のラインパイプ
      • タングステンの粉並びにモリブデン、コバルト、ジルコニウム及びレニウム並びにこれらの製品(HS 81類の一部)
        • (例)レニウムの塊、くず及び粉
      • 卑金属製品(HS 82類の一部)
      • ボイラー及び機械類並びにこれらの部分品及び附属品(HS 84類の一部)
        • (例)グラインダー等電気式手工具、木材・コルク・硬質ゴム・硬質プラスチックを加工する機械
      • 電気機器及びその部分品 (HS 85類の一部)
        • (例)リチウムイオン蓄電池、ニッケル・水素蓄電池
      • ヨットその他の娯楽用又はスポーツ用の船舶、櫓櫂(ろかい)船、カヌー、照明船、消防船、クレーン船その他の船舶、浮きドック及び浮遊式又は潜水式の掘削用又は生産用のプラットホーム(HS 89類の一部)
      • 光学機器、写真用機器、測定機器、検査機器、精密機器並びにこれらの部分品及び附属品(HS 90類の一部)
        • (例)ミクロトーム、サーモスタット
          • ※規制対象となる貨物の詳細は、関連の省令・通達に定められています。貨物の該否の確認にあたっては、必ず貿易管理HPに掲載されている法令等を確認ください。
  • ロシアを原産地とする非工業用ダイヤモンドの輸入に係る禁止措置について
    • 令和6年3月1日、ウクライナを巡る国際情勢に鑑み、この問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、外為法によるロシアを原産地とする非工業用ダイヤモンドの輸入禁止措置を導入することが閣議了解されました。
    • これを踏まえ、経済産業省告示(輸入公表)を改正し、上記に関する輸入禁止措置を実施します(5月10日施行予定)。

経済産業省 スタートアップ等の入札参加資格要件を緩和しました~「技術力ある中小企業者等の入札参加機会の拡大について」の改訂~
  • 経済産業省は、「技術力ある中小企業者等の入札参加機会の拡大について(平成12年10月10日政府調達(公共工事を除く)手続の電子化推進省庁連絡会議幹事会決定)」を改訂し、3月28日付で施行しました。
  • 主な改正事項
    • 技術力ある中小企業者等はものづくりの重要な担い手であるところ、「技術力ある中小企業者等の入札参加機会の拡大について(平成12年10月10日政府調達(公共工事を除く)手続の電子化推進省庁連絡会議幹事会決定)」に基づき、技術力ある中小企業者等の入札参加機会の拡大を図ることとしています。
    • これまで、J-Startup選定企業や株式会社産業革新投資機構の支援対象事業者等であれば、自身が保有する等級よりも上位の等級の入札への参加が認められていたところ、下記についても同様の措置を講じる拡充を行うこととします。この拡充により、より多くのスタートアップが幅広い入札に参加可能となります。
    • 株式会社産業革新投資機構以外の主たる官民ファンド(※)の支援対象事業者等
    • J-Startup地域版選定企業
    • 国立研究開発法人の金銭出資先事業者又は当該出資先事業者(ベンチャーキャピタル等)の出資先事業者
    • 国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の認定を受けたベンチャーキャピタル等の出資先事業者
    • (※)中小企業基盤整備機構等の、官民ファンドの活用推進に関する関係閣僚会議幹事会の検証対象ファンド
    • 詳細については、関連資料をご参照ください。
    • 経済産業省としては、今後もスタートアップからの公共調達が促進されるよう取り組んでまいります。
  • 決定・施行時期
    • 2024年3月28日

経済産業省 「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン【別冊:スマート化を進める上でのポイント】」を策定しました
  • 近年、製造業のビジネス競争力を強化する源泉として「工場のスマート化」に対する注目が集まっています。その一方で、外部ネットワーク接続の増加やサプライチェーンの広がりなど、サイバーセキュリティ上のリスクの増加も懸念されます。こうした背景の下、今般、経済産業省では、工場のスマート化を進める際にセキュリティの観点から留意すべき点や対策のポイントをとりまとめた「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン【別冊:スマート化を進める上でのポイント】」を策定しました。本ガイドラインを参照いただくことにより、企業が臆することなく工場のスマート化を進め、工場における価値創造が一層促進されることを期待しています。
  • 背景
    • デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展等を背景に、工場においてIoT機器を導入する動きが加速し、各種デバイスの稼動データを利活用して新たな付加価値を生み出す取組が進められています。一方で、こうした取組の進展に伴い、従来は分離されていた工場内のネットワークをインターネットや関連企業といった外部に接続する必要性が増加しており、各企業は、サプライチェーンリスクを踏まえてサイバーセキュリティ対策を検討しなければならない状況にあります。また、サイバー攻撃は日々高度化・巧妙化しており、いかなる工場においてもサイバー攻撃を受ける可能性があるため、これまで以上の対策への取組が求められています。
    • こうした課題認識の下、経済産業省では、令和4年11月に、工場システムのセキュリティ対策を実施する上で、参考となるような考え方やステップを示した「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」(以下「ガイドライン本編」といいます。)を策定し、公表しました。
    • ガイドライン本編の策定以降、DXの更なる進展を背景に「工場のスマート化」への注目が集まっています。スマート化された工場は、製造プロセスの効率化・高度化やデータの可視化など、製造業のビジネス競争力を強化する源泉となる一方で、外部ネットワーク接続の増加やサプライチェーンの広がりなど、セキュリティのリスクも増大していきます。
    • このため、経済産業省では、産業サイバーセキュリティ研究会ワーキンググループ1工場サブワーキンググループにおいて、工場セキュリティに関する有識者や様々な分野の業界団体関係者を交えて、工場のスマート化に対応したサイバーセキュリティ対策について議論を進めてきました。
    • 今般、その成果として、ガイドライン本編の拡充版として、スマート化の際に留意すべき点や対策のポイントをまとめた「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン【別冊:スマート化を進める上でのポイント】」(以下「ガイドライン別冊」といいます。)を策定しました。
  • ガイドライン別冊の概要
    • ガイドライン別冊は、主に工場のスマート化を進める企業(IT関係部門、生産関係部門、戦略マネジメント部門、リスク管理部門、DX担当部門等)を読者に想定し、スマート工場の概要とともに、ガイドライン本編に示した各ステップの対策におけるスマート化を進めるにあたっての留意点や具体例を示しています。
    • 具体的には、スマート工場におけるセキュリティ対策として、特に以下の点を考慮する必要性を示しています。
      • ゾーン設定の考え方:
        • スマート化では、目的に応じて業務の追加・高度化を行うため、業務視点での詳細なゾーン(業務の内容や重要度が同等である領域を指すものであり、同じゾーンに存在する保護資産に対しては、同等の水準のセキュリティ対策が必要。)設定がより重要です。
        • ガイドライン本編においてもゾーンの重要性を示していましたが、ガイドライン別冊では、業務視点に基づいたより詳細なゾーン設定における考え方と留意点を記載しています。
      • サプライチェーンの広がりに伴う責任分界や役割分担の考え方:
        • スマート化では、外部機器やサービスの導入、自社の工場間や自社・他社間でのデータ流通が促進され、自社のみで管理できない対象が増える可能性が高いため、対策の責任分界や役割分担がより重要です。
        • ガイドライン本編では、サプライチェーン対策を進める上でのポイントを示していましたが、ガイドライン別冊では、取引先・調達先に求めるセキュリティ要件における考え方を具体的に例示しています。
▼ 「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」【別冊:スマート化を進める上でのポイント】概要資料

経済産業省 「GXスタートアップの創出・成長に向けたガイダンス」を策定しました
  • 経済産業省は、脱炭素と産業競争力強化・経済成長を同時に実現するGX(グリーントランスフォーメーション)に向けて取り組むスタートアップについて、新たな成長モデルの創出に向けたガイダンスを策定しました。
  • GX分野特有の市場リスクを踏まえたLOI(Letter of Intent)等の需要表明手法や、期待収益率を踏まえたスタートアップ・ファイナンスの多様化等について、国内外の活用事例や実務上のポイント、成長ステージ等に応じた複数の「ひな形」などを示しています。
  • 「GXスタートアップの創出・成長に向けたガイダンス」策定の背景と狙い
    • 2050年カーボンニュートラルの達成に向けては、2023年のIEAの分析によると必要な排出削減の約35%は未だ商用段階にない技術によりもたらされると推定されています。排出削減に必要な技術イノベーションを促進し、GX分野の成長市場を早期に取り込み、企業のGXを推進するためにはGX関連分野のスタートアップの創出・成長が必要です。
    • 他方、GXスタートアップは、その技術や事業が確立するまでの研究開発に大規模な資金を要し、事業化までの時間軸が長い等の課題から、その成長に向けては既存のスタートアップとは異なる戦略が求められます。
    • GXスタートアップ成長の大きな壁としては量産化前のミドル期が挙げられ、製品ができないと売上見通しが立たず、売上が見込めなければ資金調達ができないという停滞構造を超える必要があります。この構造を解決する手段として、顧客による需要表明(LOI~オフテイク契約)や、スタートアップによるデットの活用が挙げられます。死の谷を克服する特に上記の2つの手段について、事例分析を元に具体的なメリットや実務上のポイントを広く周知するため本ガイダンスを策定しました。
▼ GXスタートアップの創出・成長に向けたガイダンス
  • 「GXスタートアップの創出・成長に向けたガイダンス」概要
    • 第1章:日本のGXスタートアップの現状と課題
      • 日本のGXスタートアップは、諸外国と比べ、社数・規模ともに大きな後れ。他方、GX分野では日本が一定の技術優位性を有していることを踏まえると、大きな事業機会を有するGX分野での成長ポテンシャルが存在。
      • 資金調達面では、諸外国に比べ、デット調達・コンバーティブルの活用等が低調であり、事業の期待収益・リスクの特性に応じたファイナンス手法の多様化が進んでいない。
      • また、創業者属性の偏り・複数創業者比率が低く、企業組成時の人材プール形成も重要。
    • 第2章:GXスタートアップ成長軌跡からの学び
      • 大規模化に至ったGXスタートアップの多くは、研究開発終了前から需要確保の取組を実施し、デットを含めた多様なファイナンス手法を活用することで事業開発を加速。
    • 第3章:需要創出~LOIやオフテイク契約の活用
      • 法的拘束力を持たない需要表明(LOI)等の手法を活用することで、事業会社の戦略上の課題解決と需要獲得によるGXスタートアップの成長を加速することが重要。
      • 事業開発の段階や技術の希少性等に応じて、異なるLOI等のひな形の活用を推奨。
    • 第4章:ファイナンス多様化~融資の活用~
      • 諸外国のGXスタートアップは、事業の期待収益率に鑑み、コンバーティブル・ボンド、ローン等を活用し、ファイナンス手法を多様化。ファイナンス検討に当たっては、エクイティサイドの関係者や需要家等とのコミュニケーションが重要。
      • GX分野特有の課題解決には、これまでのエクイティプレイヤーに加え、金融機関等によるデットの役割が鍵を握る。

経済産業省 中小企業のPMIを促進する、実践ツール・活用ガイドブック・事例集を公表します!
  • 経済産業省は、M&Aの目的を実現させ、統合の効果を最大化するために必要なプロセスであるPMI(Post Merger Integration)を更に促進するために、実証事業を実施し、PMIを進める際に活用できる実践ツールを策定しました。また、ツール活用の際のポイントや留意点等をまとめた活用ガイドブックも併せて策定しました。
  • 加えて、実証事業に参加した企業・支援機関のPMIの取組事例集を取りまとめました。
    • 概要
      • 中小企業のM&Aが増加している中、譲り受けた事業が円滑に継続し、譲渡側・譲受側双方が更なる成長を遂げるために、M&Aの成立は「スタートライン」に過ぎず、その後の事業や経営の統合作業(PMI:Post Merger Integration)を適切に行うことが重要です。
      • このため、2022年3月に「中小PMIガイドライン」により中小企業のPMIの「型」を提示し、2023年3月には、当該ガイドラインを解説する動画を公表するなど、中小PMIガイドラインの周知・普及に努めてきたところです。
      • しかしながら、中小企業及び支援機関におけるPMIの理解・取組は、依然として十分な状況とはいえません。
      • そこで、実証事業※を実施し、支援機関の支援を受けながら、譲受企業にPMIに取り組んでいただき、その成果を「PMI実践ツール」及び「PMI実践ツール活用ガイドブック」として取りまとめました。
      • あわせて、譲受企業・支援機関の取組を「PMI取組事例集」として取りまとめました。
      • これらのツール、活用ガイドブック及び事例集の活用により、譲受企業・支援機関におけるPMIの理解・取組を促進し、M&Aによる中小企業の成長を目指します。
        • ※「令和4年度補正中小企業活性化・事業承継総合支援事業(小規模案件におけるPMI支援実証事業)」及び「令和4年度補正中小企業活性化・事業承継総合支援事業(中・大規模案件におけるPMI支援実証事業)」
    • PMI実践ツール・PMI実践ツール活用ガイドブックの概要
      • PMI実践ツール
        • 中小PMIガイドラインの標準的なステップ・取組等を踏まえてPMIに取り組むために、(1)PMI分析ワークシート(2)PMIアクションプラン(3)統合方針書の3つのツールを策定・公表しました。
          1. PMI分析ワークシート
            • 「M&Aの目的」と「譲渡側等の現状」を確認し、優先課題と対応方針を整理するツールです。
            • PMIの拠り所となるM&Aの目的及び成功を定義するとともに、様々な分析を通じて譲渡側・譲受側の現状を把握し、優先すべき課題・対応方針を整理するために活用します。
          2. PMIアクションプラン
            • 具体的な取組(ToDo)を計画しスケジュール管理するツールです。
            • PMI分析ワークシートにより整理した優先課題と対応方針を基に、「いつ・誰が・何を行うか」について具体的に計画し、スケジュール・担当者・取組(ToDo)を一覧化し、進捗を管理するために活用します。なお、「計画策定」以降だけでなく、「M&Aの目的確認」・「現状把握」・「方針検討」を含めたPMIプロセス全体の進捗を管理することもできます。
          3. 統合方針書
            • M&Aの目的、PMIでどのようなことに取り組んでいくかを社内外の関係者に説明するツールです。
            • 譲渡側・譲受側におけるM&Aの目的や現状の課題を踏まえた統合基本方針、PMI推進体制、会議体の持ち方等を言語化し、譲渡側・譲受側の社内の関係者(経営者・従業員等)や社外の関係者(取引先等)に共有・説明するために活用します。
      • PMI実践ツール活用ガイドブック
        • 上記3つのPMI実践ツールの使い方や活用のポイント・留意点等、有意義なPMIに取り組むためのポイントを紹介しています。ツールを実際に活用した企業・支援機関の声等も紹介しています。まずはこちらでツール活用のイメージをつかんでいただけますと幸いです。
    • PMI取組事例集の概要
      • PMIの実証事業※に参加した譲受企業・支援機関による55件のPMIの取組を取りまとめた事例集です。M&Aの目的・特色やPMIの取組ごとに事例を検索できるようになっています。PMIのイメージをつかみ、またPMIに取り組む際の参考にしていただけますと幸いです。
        • ※ 令和4年度補正中小企業活性化・事業承継総合支援事業(小規模案件におけるPMI支援実証事業)及び令和4年度補正中小企業活性化・事業承継総合支援事業(中・大規模案件におけるPMI支援実証事業)
▼ PMI取組事例集外部リンク

経済産業省 「大学ファクトブック2024」を取りまとめました 国公私立781大学の産学連携情報を見やすく掲載しています
  • 経済産業省は、一般社団法人日本経済団体連合会及び文部科学省とともに、全国の大学における産学連携の実績等を見える化するため「大学ファクトブック2024」を取りまとめました。
  • 背景
    • 2016年、経済産業省は文部科学省とともに「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」(以下、ガイドライン)を策定しました。加えて、2020年、ガイドラインに基づく体制構築に向けて、大学等においてボトルネックとなっている課題への処方箋や、産業界における課題とそれに対する処方箋を「ガイドライン追補版」として取りまとめ、本取組の一層の加速を促しています。さらに、2023年には産学連携における「知の可視化」を具体的に進めるため、「産学協創の充実に向けた大学等の「知」の評価・算出のためのハンドブック」を取りまとめています。
    • 本ガイドライン等に基づく取組の状況について、各大学の産業界との連携実績などのデータを「見える化」するため、経済産業省では、一般社団法人日本経済団体連合会及び文部科学省とともに、「産学官共同研究におけるマッチング促進のための大学ファクトブック」を公表し、その後毎年更新しています。
  • 「大学ファクトブック2024」
    • 文部科学省が毎年実施する「大学等における産学連携等実施状況について」の調査結果をもとに産学連携の件数等について、「大学ファクトブック2024」として取りまとめております。検索機能を備えることで容易に目的の大学ページを参照いただける内容になっています。
▼ 大学ファクトブック

経済産業省 令和5年中小企業実態基本調査(令和4年度決算実績)速報を取りまとめました
  • 中小企業庁は、中小企業の財務情報、経営情報等を把握するため、業種横断的な実態調査として、中小企業実態基本調査を毎年行っています。この度、「令和5年中小企業実態基本調査(令和4年度決算実績)速報」を取りまとめました。
  • 中小企業実態基本調査の概要
    • 中小企業庁は、中小企業の財務情報、経営情報等を把握するため、業種横断的な実態調査として、中小企業実態基本調査を毎年行っており、今回で20回目の実施となります。
    • 本調査は、「建設業」、「製造業」、「情報通信業」、「運輸業、郵便業」、「卸売業」、「小売業」、「不動産業、物品賃貸業」、「学術研究、専門・技術サービス業」、「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」及び「サービス業(他に分類されないもの)」の合計11産業に属する中小企業から調査対象約11万社を抽出して行っています。
    • 今回の調査では、有効回答45,723社(有効回答率41.7%)を基に推計しています。
  • 速報のポイント
    • 1企業当たりの売上高は2.1億円(前年度比15.9%増)、1企業当たりの経常利益は978万円(同12.4%増)。
    • 法人企業の1企業当たりの付加価値額は9,671万円(前年度比9.7%増)。
    • 1企業当たりの従業者数は10.0人(前年度比8.3%増)。
    • 設備投資を行った法人企業の割合は21.9%(前年度差-0.3ポイント減)。新規リース契約を行った法人企業の割合は12.5%(同0.7ポイント増)。
    • 調査結果の詳細は別紙を御参照ください。
▼ 別紙 令和5年中小企業実態基本調査速報(要旨)(令和4年度決算実績)

経済産業省 「仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン」を公表します
▼ 仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドライン-入門編-
  • 仕事と介護の両立支援充実に向けて
    • 我が国は少子高齢化が進行し、今後労働人口も減少していくという現状に直面しています。この人口動態は、企業の人手不足を深刻化させ、経済全体に影響を及ぼす可能性があります。
    • そのような労働供給制約社会に突入していく中、仕事と家族の介護を両立される方が増加しています。
    • 従業員一人一人が抱える介護の問題は、その個人だけでなく、企業活動の継続にも大きなリスクを生じさせます。家族の介護が必要となり、従業員が仕事との両立を実現できない場合、結果として、従業員本人のパフォーマンスの低下や介護離職などに繋がり、企業業績に影響を及ぼす可能性があります。
    • 特に中小企業では、人材不足の中で中核人材がビジネスケアラーになった場合、それは企業にとって死活問題となります。中小企業は、限られた人材を最大限に活用することで競争力を維持しています。そのため、中核人材が介護のために仕事を離れると、その影響は企業全体に及びます。
    • 社会的な課題である労働人口の減少に対処するためには、従業員のライフスタイルや希望に応じたキャリア継続が必須となります。
    • 企業が仕事と介護を両立できる環境を整備することで、従業員はキャリアを続けることが可能となるだけでなく、事業継続におけるリスクマネジメントとしても有効であると考えます。また仕事と育児の両立や働き方改革、女性の活躍推進などと同じように、人的資本経営の実現にもつながり、より強固な組織を形成することができると考えます。
    • 本ガイドラインは、企業経営における仕事と介護の両立支援が必要となる背景・意義や両立支援の進め方などをまとめており、主に経営者や経営陣に読んでもらいたいと考えております。
    • 仕事と介護の両立を巡る問題は、我が国の未来を左右する重要な課題であり、その解決には全ての企業の協力が必要となります。
    • 本ガイドラインが、介護に係る企業経営上のアクションを充実させる一助となることを願っています。
  • 仕事と介護を巡るパラダイムシフト
    • 2040年代後半には「団塊ジュニア(約800万人)」が後期高齢者になる一方で、第一線で働く人数の少ない現役世代が、公私にわたって高齢者を支える構造へ。
    • 共働き世帯の増加というライフスタイルの変化と、企業における人材不足が慢性化している中、仕事と介護を巡る認識を今一度改める必要がある
    • 共働き世帯化により、介護の担い手は「実子」へ
    • いずれの企業においても人材の希少性が高まる
    • 仕事と介護を巡るパラダイムの変化が求められている
    • 配偶者と連携して介護負担を家庭で担うなど、介護は従業員個人の範囲で対応可能から働く誰もが介護の担い手になり得る人材不足の中、介護は企業が時代を乗り越える必須アジェンダへ
  • 仕事と介護の両立困難による影響
    • 家族介護の必要性は誰しもに発生し得るライフイベントであるが、予測が困難。
    • 仕事と介護の両立が困難になることにより、従業員の業務パフォーマンスにも影響が生じ、企業活動そのものにも影響が及ぶため、全ての企業が両立支援を行うことを想定すべき
  • 企業経営としての仕事と介護の両立の重要性
    • 企業価値の向上や事業・組織運営のリスクマネジメントを行う観点から、企業経営上、仕事と介護の両立支援を取り組む意義は大きい
    • 企業価値向上に向けて(人的資本経営の実現)
      • 中長期的な企業価値向上に向けて、人的資本経営の一環として、「仕事と介護の両立」についても改めて、経営戦略と連動した人材戦略の一部として位置づけていくことが重要
      • こうした人的資本に関する取組が進むことにより、「健康経営」や「DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)」の文脈においても効果が見込めるものとなる
      • 介護のための施策ではなく、他の経営テーマに介護を含めていく
    • 人材不足に対するリスクマネジメントとして
      • ライフプランが多様化する日本社会においては、従業員の年代構成にかかわらず、仕事と介護の両立支援は全ての企業が取り組むべき重要な課題
      • 今後ますます人材不足が加速する中、人材戦略としてのビジネスケアラー支援は個人のキャリア継続だけでなく、持続的な事業・組織運営におけるリスクマネジメントとなる
      • 特に従業員の40~60代が多い場合、企業活動への影響が大きい
  • 仕事と介護の両立支援が企業に与える影響
    • それぞれの企業が、仕事と介護の両立支援が与える自社への影響を整理・分析することで、自社における仕事と介護の両立支援の意義や重要性が可視化される
  • 仕事をしながら介護に従事する従業員の実情・企業への期待
    • 仕事と介護の両立に関する従業員の実情を認識したうえで、仕事と介護を両立するための適切な施策の検討・取組を講じることで、従業員が自分の能力を最大限に発揮できる環境を提供できる
      • 従業員の実情(主な3つの特徴)
        • 自身の介護状況開示への消極性
          • キャリアへの影響を懸念し、介護状況の開示に抵抗感がある
          • 介護は育児と異なり、緩やかに発生するケースもある。本人の自覚がないまま実質的な介護をしているものの、有給休暇で対応し、開示のタイミングを逃してしまう
        • 介護の状況は多様かつ可変であり、将来予測が困難
          • 認知症等によって生じる心身状態や要介護度は緩やかに経過することもあれば、転倒や持病の悪化により、急激に重度化するケースもあり、介護当事者になる瞬間や、負担の程度は個々人によって状況が異なる
          • 終わりの見通しも立たず、10年以上、仕事と介護の両立が必要となってくる場合もあり、対応について個別具体性が極めて高い
        • 肉体的負担に加えた精神的負担の増加
          • 身体介助の肉体的な負担に加えて、情報収集、介護専門職とのコミュニケーションや見守り、外出の付き添い、医療的介入等における意思決定といった精神的負担も発生している
      • 今後、企業に期待される事項
        • 企業内の実態把握の推進
          • 定期的なアンケートなどを通じて、実態把握を行う
          • 従業員が自身の介護状況を正確に届けられるチャネルを確保する情報発信によるリテラシー向上・個別相談の充実
        • 従業員に向けて、プッシュ型で情報提供を行う
          • 個別具体の対応策を提案できるような相談窓口を設置する
        • 人事労務制度の充実・コミュニティ形成
          • 柔軟な働き方ができる人事労務制度や、福利厚生の一環として経済的支援を充実する
          • 介護に直面している従業員と、これから直面する可能性のある従業員が、相互に知見を共有・対話する場の整備
  • 企業で生じている介護両立支援を巡る負のサイクル
    • 介護は初期的な対応を行うことで、一定程度マネジメント可能な課題であり、早期に対応することでリスク回避でき得るが、企業内では取組が進みづらい構造的課題が存在。
    • 負のサイクルを断ち切るため、まず経営者がコミットメントすることで、組織内の機運を醸成することが重要
  • 企業が取り組むべき介護両立支援のアクション
    • 経営層自身がコミットメントをしつつ、社内で講じられる施策状況等も把握しておくことが必要。
    • また、社内だけではなく、ステークホルダーや地域などの外部との対話・接続も重要

【2024年3月】

経済産業省 令和5年度「なでしこ銘柄」「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」を選定しました
  • 本日、経済産業省は、東京証券取引所と共同で女性活躍に優れた上場企業を「なでしこ銘柄」として合計27社選定しました。また、今回の選定から新たに、「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」が特に優れた上場企業を「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」として合計16社選定しました。
  • 「なでしこ銘柄」「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」とは
    • 「なでしこ銘柄」とは、女性活躍推進に優れた上場企業を、中長期の企業価値向上を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することにより、こうした企業への投資家の関心を一層高め、各社の女性活躍推進に向けた取組を一層加速化させていくことを狙いとしています。
    • 選定にあたっては、企業の女性活躍推進に関する実態を把握するための「女性活躍度調査」に御回答いただいた結果を基に評価を行っています。
    • 企業価値向上につながる女性活躍のためには、「採用から登用までの一貫したキャリア形成支援」と「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」を両輪で進めることが不可欠であると考え、令和5年度の「なでしこ銘柄」では、「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」に関する設問を拡充し、評価の観点に加えました。
    • また、「共働き・共育てを可能にする男女問わない両立支援」が特に優れた企業を、新たに「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」として選定することとしました。
  • 「なでしこ銘柄」「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」選定企業
    • 令和5年度「なでしこ銘柄」および「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」の選定企業は以下のとおりです。
      • 「なでしこ銘柄」選定企業(計27社)
        • 2802味の素株式会社 食品
        • 2502アサヒグループホールディングス株式会社 食品
        • 5019出光興産株式会社 エネルギー資源
        • 5938株式会社LIXIL 建設・資材
        • 4911株式会社資生堂 素材・化学
        • 4922株式会社コーセー 素材・化学
        • 4519中外製薬株式会社 医薬品
        • 4523エーザイ株式会社 医薬品
        • 7259株式会社アイシン 自動車・輸送機
        • 5802住友電気工業株式会社 鉄鋼・非鉄
        • 6289株式会社技研製作所 機械
        • 6301株式会社小松製作所 機械
        • 6645オムロン株式会社 電機・精密
        • 9719SCSK株式会社 情報通信
        • 2181パーソルホールディングス株式会社 サービスその他
        • 9531東京ガス株式会社 電気・ガス
        • 9532大阪ガス株式会社 電気・ガス
        • 9104株式会社商船三井 運輸・物流
        • 9101日本郵船株式会社 運輸・物流
        • 8001伊藤忠商事株式会社 商社・卸売
        • 8252株式会社丸井グループ 小売
        • 2702日本マクドナルドホールディングス株式会社 小売
        • 7182株式会社ゆうちょ銀行 銀行
        • 8381株式会社山陰合同銀行 銀行
        • 8601株式会社大和証券グループ本社 金融(除く銀行)
        • 8750第一生命ホールディングス株式会社 金融(除く銀行)
        • 8801三井不動産株式会社 不動産業
      • 令和5年度「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」選定企業一覧
      • 7912大日本印刷株式会社 サービスその他
      • 7181株式会社かんぽ生命保険 金融(除く銀行)
      • 8604野村ホールディングス株式会社 金融(除く銀行)
      • 5831株式会社しずおかフィナンシャルグループ 銀行
      • 7186株式会社コンコルディア・フィナンシャルグループ 銀行
      • 5333日本ガイシ株式会社 建設・資材
      • 8053住友商事株式会社 商社・卸売
      • 9749富士ソフト株式会社 情報通信
      • 7911TOPPANホールディングス株式会社 情報通信
      • 2501サッポロホールディングス株式会社 食品
      • 2269明治ホールディングス株式会社 食品
      • 7908株式会社きもと 素材・化学
      • 4631DIC株式会社 素材・化学
      • 6869シスメックス株式会社 電機・精密
      • 4543テルモ株式会社 電機・精密
      • 1878大東建託株式会社
  • 令和5年度「なでしこ銘柄」レポート等公表資料
    • 今回のなでしこ銘柄に関する資料として、下記4点を経済産業省HPで公表します。
▼ 経済産業省「女性活躍に優れた上場企業を選定「なでしこ銘柄」」

経済産業省 防衛装備の海外移転の許可の状況に関する年次報告書を取りまとめました
▼ 防衛装備の海外移転の許可の状況に関する年次報告書
  • 防衛装備の海外移転の個別許可に関する状況について
  • 令和4年度に、経済産業大臣が行った防衛装備の海外移転の個別許可は1,179件である。
  • これらを運用指針の類型に沿って分類すると、「平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合」に該当するものが33件、「我が国の安全保障に資する場合」に該当するものが1,091件、「誤送品の返送、返送を前提とする見本品の輸出、海外政府機関の警察官により持ち込まれた装備品の再輸出等の我が国の安全保障上の観点から影響が極めて小さいと判断される場合」に該当するものが55件となる。
  • 「平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合」に該当する海外移転は、中国国内での遺棄化学兵器処理事業の実施に伴うものや、シナイ半島でのエジプト・イスラエル間の停戦監視活動に伴うものである。令和4年度では、中国向けに31件、エジプト向けに2件が許可された。
  • 「我が国の安全保障に資する場合」に該当する海外移転は、国際共同開発・生産に関するもの、安全保障・防衛協力の強化に資するもの、自衛隊を含む政府機関の活動に関するものや邦人の安全確保のために必要なものなどの多岐にわたる。このうち、令和4年度では、
    • 国際共同開発・生産に関するものでは、米国向けに38件、英国向けに5件、インドネシア向けに4件、イタリア・英国、イタリア・英国・米国、イタリア・インドネシア・英国・ドイツ向けにそれぞれ2件、シンガポール向けに1件が許可され、
    • 安全保障・防衛協力の強化に資するものでは、米国向けに17件、フィリピン向けに5件、ウクライナ、UAE、英国・米国向けにそれぞれ1件が許可され、
    • 自衛隊を含む政府機関の活動に関するものでは、海外から購入している自衛隊の装備品に関する故障品の交換や修理のための購入元への一時的な輸出や、国内で製造する装備品の加工委託のための輸出等で1,012件が許可された。
  • 「誤送品の返送、返送を前提とする見本品の輸出、海外政府機関の警察官により持ち込まれた装備品の再輸出等の我が国の安全保障上の観点から影響が極めて小さいと判断される場合」に該当する海外移転は、誤送品(誤って我が国に輸出された他国向けの物品)の返送や借用品(国内で一時的に借用していた物品)の返送などで55件が許可されている。
  • 政府はこれまで、防衛装備の海外移転に関して、「武器輸出三原則等によらない」とする例外措置を講じてきた。移転三原則の策定以降は、このような例外措置を講じずに、国家安全保障会議での審議によって移転を認め得ることとした案件の概要を公表している。

経済産業省 「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」が閣議決定されました
  • 本日、「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令」が閣議決定されました。この政令は、第211回国会で成立した「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律」(以下「改正法」といいます。)の一部が令和6年4月1日に施行されることに伴い、関係政令の整備を行うものです。
  • 政令の概要
    • 原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施に関する法律施行令の一部改正
      • 改正後の「原子力発電における使用済燃料の再処理等の実施及び廃炉の推進に関する法律」(以下「再処理法」といいます。)において政令委任事項としている、廃炉拠出金の延納の手続き等について規定します。
    • その他関係政令の一部改正
      • 改正法による名称変更や条ズレ等の反映といった所要の規定の整備を行います。
    • 経過措置
      • 改正法における経過措置として、改正前の再処理法の規定に基づき既に廃炉の実施に必要な費用に充てるために積み立てた引当金がある実用発電用原子炉設置者等は、改正後の再処理法の規定に基づいて使用済燃料再処理・廃炉推進機構が実施する廃炉推進業務に必要な費用に充てるため、経済産業大臣が定める額の金銭を年度ごとに分割して支払うこととされています。改正法において政令委任事項としている、当該金銭の延納の手続きについて規定します。

経済産業省 DXセレクション2024を公表しました!
  • 経済産業省は、中堅・中小企業等のDX(デジタルトランスフォーメーション)のモデルケースとなるような優良事例を「DXセレクション2024」として選定し、本日、選定された32社を公表しました。
  • DXセレクションについて
    • DXセレクションとは、デジタルガバナンス・コードに沿った取組を通じてDXで成果を残している、中堅・中小企業等のモデルケースとなる優良事例を選定するものです。優良事例の選定・公表を通じて、地域内や業種内での横展開を図り、中堅・中小企業等におけるDX推進及び各地域でのDXの取組の活性化を目的として、2022年より開始した取組です。
    • これまでは、「地方版IoT推進ラボ」に参画している中堅・中小企業等の中から、各ラボが推薦する企業のみを選定対象としていましたが、今年度の「DXセレクション2024」においては、自薦・他薦を通じて全国の中堅・中小企業等からDXに関する優良事例を32社選定しました。
  • 選出方法
    • 応募実施方法
      • DX認定レベルを確認する調査項目への回答とともに関係機関※からの推薦を必要としましたが、応募時点でDX認定を取得済みである企業に限っては、当該調査項目への記載を免除した上で自薦での応募も認め、実施しました。
        • ※推薦者は、地方公共団体(都道府県、市区町村)、経済団体(全国商工会連合会、商工会連合会、商工会、日本商工会議所、商工会議所、全国中小企業団体中央会、都道府県中小企業団体中央会、全国商店街振輿組合連合会、都道府県商店街振興組合連合会)、金融機関(銀行、信用金庫、信用組合、日本政策投資銀行、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、沖縄振興開発金融公庫、農林中央金庫)、独立行政法人、国立研究開発法人、報道機関、その他、被推薦者の地域における事業活動や経営の状況等を把握し、「DXセレクション」として選定されうる事業者を適切に推挙できる者としました。
    • 評価項目
      • DXセレクションの審査にあたっては、デジタルガバナンス・コードの以下の項目に対応する取組を評価しました。
      • 経営ビジョン・ビジネスモデル
      • 戦略
        • 組織づくり・人材・企業文化に関する方策
        • ITシステム・デジタル技術活用環境の整備に関する方策
      • 成果と重要な成果指標
      • ガバナンスシステム
  • DXセレクション2024選定事業者一覧
    • グランプリ
      • 浜松倉庫株式会社 静岡県
    • 準グランプリ
      • 株式会社リノメタル 埼玉県
      • 株式会社トーシンパートナーズホールディングス 東京都
      • 株式会社西原商事ホールディングス 福岡県
      • 山口産業株式会社 佐賀県
    • 優良事例
      • 株式会社高山 宮城県
      • 株式会社ASAHI Accounting Robot研究所 山形県
      • 株式会社髙梨製作所 山形県
      • 福島コンピューターシステム株式会社 福島県
      • 有限会社永井製作所 群馬県
      • 田島石油株式会社 埼玉県
      • 鶴見製紙株式会社 埼玉県
      • 株式会社ヒカリシステム 千葉県
      • 旭工業株式会社 東京都
      • 株式会社ダブルスタンダード 東京都
      • 株式会社NISSYO 東京都
      • 武州工業株式会社 東京都
      • Jマテ.カッパープロダクツ株式会社 新潟県
      • 疋田産業株式会社 石川県
      • 株式会社ヤマサ 長野県
      • 協和工業株式会社 愛知県
      • 三共電機株式会社 愛知県
      • IXホールディングス株式会社 三重県
      • 有限会社ゑびや 三重県
      • 株式会社コムデック 三重県
      • 東邦電気産業株式会社 京都府
      • 日本ツクリダス株式会社 大阪府
      • 株式会社ミヨシテック 大阪府
      • 株式会社エヌエスケーケー 兵庫県
      • オカネツ工業株式会社 岡山県
      • 株式会社広島メタルワーク 広島県
      • 福岡運輸株式会社 福岡県

経済産業省 「健康経営銘柄2024」に53社を選定しました!
  • 経済産業省は、東京証券取引所と共同で、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組む上場企業を「健康経営銘柄」として選定しています。長期的な視点から企業価値の向上を重視する投資家に対して、魅力ある企業として紹介することを通じ、企業による健康経営の取組を促進することを目指しています。
  • 本日、第10回となる「健康経営銘柄2024」に、27業種から53社を選定しました。
  • 健康経営銘柄2024の選定について
    • 「令和5年度健康経営度調査」(企業等が従業員の健康管理を戦略的に行う健康経営の取組状況に関する調査)の回答結果をもとに、健康経営優良法人(大規模法人部門)申請法人の上位500位以内の上場企業から、1業種1社※を基本として選定しました。
      • ※ 1業種1社に加えて、下記選定基準を加味した上で各業種の最高順位の企業の平均より優れている企業についても、健康経営銘柄として選定。
    • 主な選定基準
      • 重大な法令違反等がない。
      • 健康経営優良法人(大規模法人部門)申請法人の上位500位以内である。
      • ROE(自己資本利益率)の直近3年間平均が0%以上または直近3年連続で下降していない企業を対象とし、ROEが高い企業には一定の加点を行う。
      • 前年度回答有無、社外への情報開示の状況についても評価し、一定の加点を行う。
  • 「健康経営銘柄2024」選定企業(27業種53社、業種順)
▼ 「健康経営銘柄2024」選定企業一覧

経済産業省 「はばたく中小企業・小規模事業者300社」の授賞式を開催します
  • 中小企業庁は、経済社会構造の変化に対応して事業変革や新規事業に挑戦し、地域経済や日本経済の成長への貢献が期待できるモデルとなる中小企業を、「事業再構築・生産性向上」、「海外展開」、「GX」、「DX」、「人への投資・環境整備」の5つの分野で優れた取組を行っている中小企業を「はばたく中小企業・小規模事業者300社」として選定し、3月14日(木曜日)に授賞式を開催します。
  • 齋藤経済産業大臣から代表事業者5社へ感謝状を授与する予定です。
  • 授賞式について
    • 日時:令和6年3月14日(木曜日)17:15から18:30
    • 場所:経済産業省講堂(東京都千代田区霞が関1丁目3番1号 地下2階)
  • 代表事業者の概要
    • 事業再構築・生産性向上分野
      • 株式会社アイル(長崎県)
      • 【規格外野菜を用いた地域活性化・新たな付加価値創出】
      • 株式会社アイルは、野菜シート「ベジート」の開発、製造・販売を行う事業者です。規格外として野菜が放置される現状を見て、20年以上前から規格外野菜の活用方法の研究開発を続けて商品化されました。野菜シートの新たな製品価値が国内外で認められ、その取引を拡大しています。
    • 海外展開分野
      • 株式会社山本製作所(広島県)
      • 【海外とのグローバル競争を通じて自社の強みを磨き上げ、成長を実現】
      • 株式会社山本製作所は、業務用洗濯機の専門メーカーです。同社は自社開発化を進め、ほぼ全てを社内で製造し、ユーザーからの多様なニーズに対応できる開発力・生産体制を構築することで滞りのない交換部品の供給力をもっています。顧客が長期間製品を利用できるとして、海外からも「フォーエバーマシン」と評価され、独自の価値を提供しています。
    • GX分野
      • 株式会社誠和(栃木県)
      • 【省エネ・電化・カーボンリサイクルを用いた環境制御によりGXを推進】
      • 株式会社誠和は園芸施設用の設備メーカーです。儲かる農業の実現のため、ハウス内の環境制御用設備の開発とともに、実証用農場を経営されています。高生産量と資源利用効率化を両立させる製品を提供し、省エネ等の技術開発やスマート農業技術の生産現場への普及に率先して取り組まれています。
    • DX分野
      • ベジクル株式会社(東京都)
      • 【デジタルを活用したクラウドサービスによる農産物流通への展開】
      • ベジクル株式会社は「アジアを代表する八百屋になる」を目指して東京都大田区に拠点を構える青果卸売業者です。webマーケティング、ITツールの活用を進め、受発注オペレーションの仕組みを構築、DX化を推進することで、顧客要望への迅速な対応を実現しています。
    • 人への投資・環境整備分野
      • 株式会社モリタ(宮崎県)
      • 【障がい者を積極的に雇用し、多様な人材の受け皿として地域経済にも貢献】
      • 株式会社モリタは産業機械や工作機械などの販売や、樹脂成形部品の製品製造を行う事業者です。近年は航空機分野への取引拡大を進めるとともに、主力製品であるドアミラーは自動車メーカーとの直接取引を開始するなど高い技術力を強みとしています。また身体障がいのある方を個性と捉えつつ、戦力として活躍してもらうなど人材の受け皿としても地域への貢献を実現されています。
      • なお、今般の選定にあたっては、全国中小企業団体中央会、日本商工会議所(海外現地日本人商工会議所を含む)、全国商工会連合会、日本政策金融公庫、商工中金、中小企業基盤整備機構、日本貿易振興機構、国際協力機構、国際協力銀行、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会、情報処理推進機構、産業技術総合研究所及び経済産業局(在外大使館・領事館からの推薦も含む)からそれぞれ推薦をいただき、沼上幹選定委員長(早稲田大学ビジネス・ファイナンスセンター研究院教授)を中心とする外部有識者によって厳正に審査いただきました。
▼ 2023年度はばたく中小企業・小規模事業者300社一覧(リスト)

経済産業省 産業サイバーセキュリティ研究会「サイバー攻撃による被害に関する情報共有の促進に向けた検討会」の最終報告書の補完文書として「攻撃技術情報の取扱い・活用手引き」及び「秘密保持契約に盛り込むべき攻撃技術情報等の取扱いに関するモデル条文」を策定しました
▼ サイバー攻撃による被害に関する情報共有の促進に向けた検討会最終報告書概要
  • 情報共有の重要性と現状の課題
    • サイバー攻撃が高度化する中、単独組織による攻撃の全容解明は困難となっている。そのため、攻撃の全容の把握や被害の拡大を防止する等の観点からサイバー攻撃に関する情報共有は極めて重要。他方で、被害組織自らが情報共有を行うことについては、(1)被害組織側の調整コスト負担、(2)最適者が事案対応を行わない懸念、(3)処理コストのかかる情報共有、(4)被害現場依存の脱却の必要性などの課題が存在。
  • 本検討会における提言
    • 被害組織を直接支援する専門組織を通じた速やかな情報共有の促進が重要。これにより、(1)全体像の解明による被害拡大の防止や(2)被害組織のコスト低減などが実現できる。
    • 他方で、専門組織を通じた情報共有を促進するためには、(1)秘密保持契約による情報共有への制約、(2)非秘密情報からの被害組織の特定/推測の可能性の課題に対応をする必要がある。
    • このため、本検討会では、これらの課題を乗り越え、既存の情報共有活動の枠組みも活用しながら、更に円滑な情報共有を可能とするために、被害者の同意を個別に得ることなく速やかな情報共有が可能な情報の考え方を整理。具体的には、通信先情報やマルウェア情報、脆弱性関連情報等の「攻撃技術情報」から被害組織が推測可能な情報を非特定化加工した情報が対象となり得ると整理。
    • さらに、本報告書の提言を補完する観点から、「攻撃技術情報の取扱い・活用手引き(案)」についてもとりまとめ。本手引きでは、専門組織間で効果的な情報共有を行うために、どのような形で非特定化加工を行えばよいか、またどのように情報共有をおこなえばよいのかなど専門組織として取るべき具体的な方針について整理。
    • 加えて、円滑な情報共有を促進すべく、上記考え方についてユーザー組織と専門組織が共通の認識を持ち、専門組織が非特定化加工済みの攻撃技術情報を共有したことに基づく法的責任を原則として負わないことを合意するための秘密保持契約に盛り込むべきモデル条文案を提示。今後、本検討会の成果の周知・啓発に取り組む。
  • 今後の課題
    • 専門組織同士の情報共有促進だけでは解消されない今後の課題としては、(1)情報共有に向けた官民連携のあり方(行政機関への相談・報告のあり方や政府と民間事業者間の情報の共有など)、(2)サプライチェーンにおけるベンダ等の役割を挙げた

経済産業省 IoT製品に対するセキュリティ適合性評価制度構築に向けた検討会の最終とりまとめを公表し、制度構築方針案に対する意見公募を開始しました
▼ IoT製品に対するセキュリティ適合性評価制度構築方針案(概要説明資料)
  • 制度構築の背景・検討経緯
    • IoT機器の急増に加え、IoT機器を狙った攻撃も多く、IoT機器の脆弱性を狙ったサイバー脅威が高まってきているといえる。
    • 諸外国でもIoT製品のセキュリティ対策に関する制度検討が進んでおり、我が国のIoT製品がグローバルマーケットから弾き出されないよう、諸外国の取組状況を考慮する必要がある。
    • 我が国も、IoT製品のセキュリティ対策を支援するガイドライン等の発表を行ってきたが、IoT製品ベンダーの自主的な取組を求めるものであった。諸外国の取組も踏まえて、共通的な物差しで製品のセキュリティ機能を評価・可視化し、調達者が求めるセキュリティ水準のIoT製品を容易に選定できるようにし、適切なセキュリティ対策が講じられているIoT製品が広まる仕組みの構築が必要である。
    • こうした観点で制度の検討を行うため、経済産業省は、2022年11月より「IoT機器に対するセキュリティ適合性評価制度構築に向けた検討会」を開催し、2024年3月に最終とりまとめを公表した。最終取りまとめを踏まえ、制度構築方針案を作成した。
  • 目的と位置付け
    • IoT製品に対する適合性評価制度を国内で構築し、広く普及させ、そして社会に浸透させるためには、まずは調達者が自身を守るために、求めるセキュリティ水準のラベルが付与された製品を優先的に選択するようになることが必要不可欠である。そのうえで、IoT製品ベンダーの積極的なラベル取得を促すため、以下の三つを主目的として制度を構築する。
      1. 政府機関や企業等で調達する製品について、共通的な物差しでIoT製品のセキュリティを評価・可視化できるようにすることで、各組織の求めるセキュリティ水準を満たしたIoT製品の選定・調達を容易にする。
      2. 特定分野のシステムに組み込まれて調達・利用されるIoT製品に求められるセキュリティ要件を定め、必要な認証・ラベルを各業界団体等で指定できるようにすることで、当該特定分野において求められるセキュリティが確保されたIoT製品のみが採用されるようにする。
      3. 諸外国の制度と協調的な制度を構築し、相互承認を図ることで、IoT製品を海外に輸出する際に求められる適合性評価にかかるIoT製品ベンダーの負担を軽減する。
    • 本制度は、国内の既存制度と将来的な統合や棲み分け・連携の方針を合意しながら、任意制度として構築する。適合性評価を受けた製品に対してセキュリティ要件に応じたラベルを付与することで、製品の付加価値向上に繋げる。
    • 主目的1に関して、まずは政府機関等、重要インフラ事業者、地方公共団体等にラベル付与製品の選定を調達要件に含めることを働きかけ、それらのIoT製品ベンダーに本制度のラベルを取得することを促していき、制度が着実に広まる中で、民間の大企業の調達要件での活用、中小企業や消費者への普及を図る
  • 対象製品と適合性評価レベル
    • インターネットに直接接続されない製品も含め、インターネットプロトコルを使用する通信機能を持つ幅広いIoT製品を制度の対象とする。また、消費者向け、企業・産業向けを問わず対象とする。
    • IoT製品共通の最低限の脅威に対応するための基準(☆1)及びIoT製品類型ごとの特徴に応じた基準(☆2~☆4)を定め、求められるセキュリティ水準に応じた複数の適合性評価レベルを用いた制度とする。
  • セキュリティ要件・適合基準・評価手順
    • 実際のIoT製品(10製品)に対する適合性評価の実証結果も踏まえて、プレ委員会にて議論・策定した☆1(最も低レベルの基準)のセキュリティ要件・適合基準・評価手順の案を引き継ぎ、本制度の技術審議委員会で制度開始時に利用する☆1の適合基準等を定める。
    • ☆2以上のセキュリティ要件・適合基準・評価手順は、2024年度以降に優先度の高い製品類型を特定したうえで、関連する業界団体やワーキンググループと連携しながら、各適合基準検討WGを設置し、具体的な基準等に関して議論・検討を進めて定める。
    • セキュリティ要件は、本制度で対象となるIoT製品において求められ得る要件の全体(全体リスト)であるため、ETSI EN 303 645、NISTIR 8425、EU-CRA等の国内外のセキュリティ要件の集合関係を踏まえ、重ね合わせの関係にあるセキュリティ要件の全体リストを整理した。
    • セキュリティ要件の具体的な記載について、国際的に広く活用されているETSI EN 303 645の記載を参考にしつつ、プレ委員会で挙げられた意見を踏まえ、表現の見直しを行った。なお、今後も国際連携や国際標準の検討を見据え、表現やカテゴリ(大項目)の見直しを行っていく。
    • ☆1で考慮する脅威は、☆1で主に想定する守るべき資産、アタックサーフェスを踏まえ、プレ委員会で整理したものである。
    • 想定脅威に対して、☆1で必要なセキュリティ要件を全体のリストから抽出し、国内外の基準を参照して☆1の適合基準(評価手順としては16項目に集約)を作成している。
  • 適合性評価の主体
    • 制度を広く普及させるため☆1、☆2は自己適合宣言によるラベル付与とし、高い信頼性が求められる☆3以上は独立した第三者による評価を受ける第三者認証とする。
    • ☆1、☆2では、IoT製品ベンダーの自己評価に加え、有資格者(※1)や検証事業者(※2)、評価機関等への評価の委託も可能である。
    • ☆3以上では、ISO/IEC17025に基づく本制度の評価機関認定(※3)を受けた評価機関による評価を求める。
  • ラベルの意味合いと信頼性確保の仕組み
    • 本制度のラベルは、あくまで定められた適合基準への適合を示すものであり、ラベルが付与されているからといって、IoT製品のセキュリティが完全に確保されていることを保証するものではない。
    • 本制度は任意制度であるため、ラベルの表示義務は設けない。製品本体、パッケージ、マニュアル、パンフレット、Webサイト等に掲載する場合は、本制度のロゴ及びラベル付与製品毎の情報提供ページのURLを埋め込んだQRコードを掲載する。
    • 自己適合宣言の有効期限はラベル取得日を起点として最大2年間とし、その後ラベルを継続する場合は自己適合宣言を再度行う。
    • スキームオーナーはラベル付与製品に対して検査やサーベイランスを行える権利を有する。☆1では、コストの観点から定期的なサーベイランスは行わず、基準への適合に疑義が生じた場合に、必要に応じ、証跡提出の要求やサーベイランスの実施を行う。
  • 調達要件への反映に関する働きかけ
    • 政府機関等、重要インフラ事業者、地方公共団体におけるIoT製品調達時に、用途やそのリスクに応じて、本制度のラベル付与製品を選定・調達することを求めていくように、関係者と以下の方向性で調整を進める。
    • 調達時にラベル付与製品が普及しておらず、セキュリティ面以外での比較ができなくなることを避けるため、これらの組織で主に調達されるIoT製品を中心に、その関連団体に対して、本制度との連携や会員企業への積極的なラベル取得の働きかけの賛同を得る。
  • 特定分野のシステムに関する業界団体・WGとの連携
    • 製品単体で比較されず、特定分野のシステムに組み込まれて調達されるIoT製品について、以下の観点で検討優先度の高い特定分野のシステムを選定し、各システム全体のセキュリティを考えている業界団体やワーキンググループと連携し、各システムに組み込まれるIoT製品に求めるセキュリティ要件や☆2以上の適合基準をその必要性も含めて検討を検討する。
    • 意識しないままセキュリティ対策が十分でないIoT製品を利用している中小企業や消費者が多いと考えられる分野のシステム
    • インシデント発生時の社会的な影響が大きい重要インフラ分野のシステム
    • 各分野において、IoT機器を選定する立場の事業者又は当該IoT製品を製造するベンダーから、認証・ラベル制度の整備とその活用について一定割合以上の賛同が得られる場合(業界標準となり得ると判断される場合)、本制度として☆2以上の整備を進める。
    • 各特定分野のシステム全体のセキュリティガイドラインの作成や認証制度等の整備は、各業界団体やワーキンググループで検討し、本制度はオブザーバーの立場で連携する。
  • 諸外国制度との連携
    • 諸外国においても同様のIoT製品の適合性評価制度の検討が進んでいる。国内IoT製品ベンダーの負担を抑えるため、主要国制度の基準も参考にしながら本制度の基準を検討し、相互承認の調整を図る。
    • ☆1開始の正式案内時に制度が既に導入されているシンガポールと英国とは、案内時に相互承認の方向性を提示する予定。正式案内時に制度設計途中の見込みである欧米については、順次方向性を公表する。
  • 制度発展に向けた施策
    • IoT製品ベンダーへのラベル取得促進策
      • IoT製品ベンダーに対する制度に関する説明や、自己適合宣言時に参考となるドキュメント(ベストプラクティス、評価ガイド等)の提供
      • 自己評価を行う際に活用できる自動化ツールの提供
      • 各種補助金制度との連携や申請費用・第三者評価費用の割引キャンペーンの実施
      • 海外のIoT製品ベンダーへの本制度の普及
    • 調達者・利用者への制度普及促進策
      • IoT製品ベンダーや小売り事業者等と連携して、本制度の目的、ラベルの意味合い等を消費者に伝えることによるラベル付与製品の需要喚起
      • 各種補助金制度との連携等による中小企業・小規模事業者等の調達者への需要喚起
    • 評価機関・検証事業者への支援
      • 適切な能力及び体制を整備した事業者を「評価機関」として認定する制度の整備
      • 自己適合宣言における評価機関・検証事業者の活用促進
      • 自己適合宣言の評価に必要な能力や前提条件、想定工数等の提示
      • ラベル付与製品毎の情報提供ページへの第三者評価であることの掲載
      • 中小企業のIoT製品ベンダー向けに、評価機関・検証事業者に委託して自己適合宣言を実施する場合の補助金等の支援
    • リスクに対応するための資源の確保策
      • 事案が発生時に損害を広く分散するため、商品付帯方式サイバー保険との連携
      • 情報セキュリティ早期警戒パートナーシップとの連携やSBOMの活用等による、ラベル付与製品に関わる脆弱性関連情報の適切な共有体制、早期対応の仕組みの構築
    • 制度全体の効率化
      • 審査から登録廃止に至る業務プロセスの効率化・簡素化

経済産業省 「クレジットカード・セキュリティガイドライン」が改訂されました
  • 令和6年3月14日に「クレジット取引セキュリティ対策協議会第11回本会議」が開催され、クレジットカード取引に関わる事業者が実施すべきセキュリティ対策を定めた「クレジットカード・セキュリティガイドライン」が改訂されました。
  • 「クレジットカード・セキュリティガイドライン」について
    • 「クレジットカード・セキュリティガイドライン」とは、安全・安心なクレジットカード利用環境を整備するため、クレジットカード会社、加盟店、PSP(※1)等のクレジットカード決済に関係する事業者が実施すべきクレジットカード情報の漏えい及び不正利用防止のためのセキュリティ対策の取組を取りまとめたものです。
    • 同ガイドラインは、割賦販売法に規定するセキュリティ対策義務の「実務上の指針」として位置づけられています。
      • ※1 Payment Service Providerの略。インターネット上の取引においてEC加盟店にクレジットカード決済スキームを提供し、カード情報を処理する事業者。
  • 主な改訂内容
    • クレジットカード情報保護対策
      • 2025年4月以降、全てのEC加盟店は、「セキュリティ・チェックリスト」記載のぜい弱性対策等のセキュリティ対策を実施することを求める。
      • アクワイアラー(※2)・PSPは、EC加盟店に対して「セキュリティ・チェックリスト」に記載されているセキュリティ対策を実施する必要性を周知する。
        • ※2 クレジットカード加盟店を開拓し、加盟店契約を締結する事業者。
    • 不正利用対策
      • 2025年3月末までの、原則全てのEC加盟店におけるEMV 3-Dセキュア導入に向けて、EC加盟店、アクワイラー・PSP、イシュアー(※3)それぞれの取組を記載
        • EC加盟店
          • EC加盟店は、EMV 3-Dセキュアの導入計画を策定し、早期の導入に着手する。
          • 不正利用が多発している加盟店は、EMV 3-Dセキュアの即時導入に着手する。
        • アクワイアラー・PSP
          • 不正利用が多発している加盟店のEMV 3-Dセキュアの即時導入着手など、不正利用発生リスクに応じた2025年3月末までのEMV 3-Dセキュアの導入計画の策定及び導入を働きかける。
          • EC加盟店と新規に加盟店契約する際は、2025年3月末までにEMV 3-Dセキュアを導入することを説明した上で契約する。
        • イシュアー
          • 自社カード会員に対してEMV 3-Dセキュアの登録を強く推進するための取組を行い、2025年3月末時点においてEC利用会員ベースで80%のEMV 3-Dセキュア登録を目指す。
          • 2025年3月末時点でEMV 3-Dセキュア登録会員ベースで100%の「静的(固定)パスワード」以外の認証方法への移行を目指す。
            • ※3 クレジットカードを発行する事業者。
▼ クレジットカード・セキュリティガイドライン[5.0版](改訂ポイント)

経済産業省 サイバーセキュリティお助け隊サービスの新たな類型(2類)の創設に係るサービス基準の改定版を公開しました
  • 近年、中小企業等においてもサイバー攻撃の脅威にさらされており、セキュリティ対策の実践が急務となっていることを踏まえ、経済産業省は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)を通じて、セキュリティ対策に必要となる各種サービスを安価にワンパッケージで提供する民間のセキュリティサービスを登録し公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービス」制度を運用しています。
  • 今般、中規模以上の中小企業のニーズにも応えられるサービスとなるよう、経済産業省はIPAを通じて、同サービスにつき、現行のサービス(1類)の価格要件を緩和するなど要件を拡充等した新たな類型(2類)を創設することとしました。
  • 背景・趣旨
    • 近年、サイバー攻撃が高度化しており、サプライチェーンを構成する中小企業等においてもサイバー攻撃の脅威にさらされているところ、中小企業等においてもセキュリティ対策の実践が急務となっています。このため、経済産業省では、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)を通じて、中小企業等のサイバーセキュリティ対策を支援するための相談窓口、システムの異常監視、事案発生時の初動対応支援及び簡易サイバー保険等のサービスをまとめて提供する民間のセキュリティサービスを登録する「サイバーセキュリティお助け隊サービス」(以下「お助け隊サービス」という。)制度を2021年度より運用しています。
    • 同制度の運用開始から約2年が経過する中、お助け隊サービス提供事業者として42の事業者が登録され、2,000を超える中小企業等に対する支援が行われてきました。一方で、現行基準の価格範囲内(例えば、ネットワーク監視型であれば1万円/月という価格上限あり。)で提供できるスペックでは、一定規模の端末台数を有する企業への提供が困難であるなど、中規模以上の中小企業に対して十分なサービスが提供できないといった課題が見られたところ、中規模以上の中小企業のセキュリティ対策のニーズに応えるサービスを提供可能として同制度をより普及させるため、IPAにおいて有識者等からなるお助け隊サービス制度検討委員会を設置し、現行のお助け隊サービス(1類)を拡充等した新たな類型(2類)の創設について検討を実施しました。今般、当該検討の結果として、現行のお助け隊サービス(1類)を拡充等した新たな類型(2類)を創設し、そのために必要なお助け隊サービスの審査基準の改定を実施しました。
  • お助け隊サービスの新たな類型(2類)の概要
    • お助け隊サービスの新たな類型(2類)へ登録するための要件として、現行(1類)のお助け隊サービスの価格要件を緩和することにより監視対象端末の増加や異常監視の仕組みや機能の追加等のサービスの拡充を可能とした一方で、お助け隊サービス(1類)の提供事業者としての実績、重大サイバー攻撃に関する情報をIPAと共有すること等を新たに求めています。
    • また、お助け隊サービス提供事業者からIPAに共有された重大サイバー攻撃に関する情報は、IPA内で集約・分析等し、お助け隊サービス提供事業者へ情報共有することで、効果的に中小企業における被害拡大防止等を図っていくことを予定しています。
  • 今後の予定
    • 2024度中にIPAが改定されたサービス基準に沿ってお助け隊サービスの2類の適合性審査を開始する予定です。適合となった2類サービスはIPAへ登録され、お助け隊サービスのWebサイトにおいて公表されます。その公表をもって事業者による当該登録サービスの提供が順次開始される予定です。
▼ サイバーセキュリティお助け隊サービスの概要

経済産業省 外国為替及び外国貿易法違反者に対し警告を行いました
  • 経済産業省は、本日、塩出 悠介による外国為替及び外国貿易法(以下「外為法」という。)違反事件に関し、厳正な輸入管理を求めることを主な内容とする警告を行いました。
  • 事案の概要
    • 塩出 悠介は、令和元年5月4日、北朝鮮を原産地とする酒類を、経済産業大臣の承認を受けずに、自身の手荷物として輸入しました。
  • 当省の対応
    • 本日、貿易経済協力局長名により、塩出 悠介に対し、今後、貿易関連法規に対する理解を深め、厳正な輸入管理を実施するよう求めることを主な内容とする警告を行いました。
    • 警告対象者
      • 塩出 悠介
  • 平成18年10月14日以降、外為法に基づく我が国独自の措置として、北朝鮮を原産地又は船積地域とする全貨物の輸入が禁止されています。

経済産業省 介護関連サービス事業協会が設立されます 業界と連携して介護関連サービスを振興していきます
  • 生活支援サービスや宅食サービスをはじめ、介護保険給付の対象とはならない多様なニーズに対応する公的介護保険外サービス事業等を展開する企業が業種の垣根を超えて集まり、2024年3月5日(火曜日)に「介護関連サービス事業協会(英文表記:Care-related Service Business Association)」設立宣言が行われました。(2024年度協会設立予定)
  • 「介護関連サービス事業協会」は、公的介護保険外サービスの社会的認知度の向上、適切なサービス選択ができる環境づくり、公的介護保険外サービスへの信頼を獲得できる仕組みづくりに向けて、様々な事業を推進することとしています。
  • 経済産業省としても、厚生労働省や同協会と連携しつつ、地域包括ケアシステムの強化に向けて、公的介護保険の補完的役割としての保険外サービスの産業振興に取り組んでまいります。
  • 「介護関連サービス事業協会 設立宣言」について
    • 日時 2024年3月5日(火曜日)15時30分から16時00分
    • 場所 31Builedge霞が関プラザホール
  • 参加企業・出席者(五十音順)
    • イチロウ株式会社 水野 友喜 代表取締役
    • 株式会社クラウドケア 小嶋 潤一 代表取締役CEO
    • 株式会社シニアライフクリエイト 高橋 洋 代表取締役
    • 株式会社シルバーライフ 清水 貴久 代表取締役社長
    • SOMPOケア株式会社 松澤 豊 執行役員CMO
    • 株式会社ダスキン 大久保 裕行 代表取締役 社長執行役員
    • 株式会社チェンジウェーブグループ 佐々木 裕子 代表取締役社長
    • 株式会社ツクイ 高畠 毅 代表取締役社長
    • 株式会社やさしい手 藤宮 貫太 取締役 副社長執行役員
    • ワタミ株式会社 肱岡 彰彦 常務執行役員 宅食事業本部長
  • 当日の様子
    • 主催者挨拶
      • イチロウ株式会社 水野 友喜 代表取締役
        • 公的介護保険外サービス事業を展開する10社にて、「介護関連サービス事業協会」の設立に向けた準備を進めることを、ここに宣言する。
        • 10年以上、施設介護に携わってくる中で、在宅介護を支えるための社会資源の不足によって、在宅介護を諦める姿を多く見てきた。業界全体で、公的介護保険サービスでできないことは家族がやるしかないという考え方から、必要な人にサービスが届かないことや、介護保険外というだけで得体が知れないサービスと見られることが多い状況に課題を感じていた。
        • 「介護関連サービス事業協会」が作っていく未来が、要介護者・介護をする家族の方々へ届き、大きな社会課題を解決していく道標になればと思う。
    • 来賓挨拶(経済産業省)
      • 吉田 宣弘 経済産業大臣政務官
        • 高齢者の多種多様なニーズに応えていくためには、公的介護保険サービスに加え、介護保険外サービスを含む高齢者の日常生活を支える地域資源を充実させていくことが必要である。
        • 介護する立場である家族、いわゆるビジネスケアラーの方々が、仕事と介護を両立するために必要な情報やサービスに適切にアクセスできる環境づくりも重要。
        • 今後は介護関連産業に様々な業界から企業を巻き込み、新たなイノベーションの創出や介護関連産業の成長に向けて、介護保険外サービスの選択肢の充実と、認知度の向上が進んでいくことを期待する。
    • 来賓挨拶(厚生労働省)
      • 厚生労働省 斎須 朋之 審議官(老健、障害保健福祉担当)(社会・援護局併任)
        • 今後更なる高齢者の増加が見込まれる中、高齢者が地域で自立した生活を継続することができるよう、通いの場等による社会参加活動の促進や、生活支援サービスの充実等、地域で様々な取組を行い、高齢者が自らの選択により、これらに参加する、利用できるようにすることが重要。
        • 地域で様々な取組が展開されるにあたっては、民間企業と連携し、その創意工夫に基づいた活動・サービスの普及が求められる。
        • その際、サービスの質を確保する必要があること、また国際的にもサービス基準に対する注目は高まっていることから、この取組に期待したい。

経済産業省 補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置を行いました
  • 経済産業省は、以下の事業者に対して、本日、補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置を行いました。
    • 対象事業者
      • 中部電力株式会社(法人番号 3180001017428)
      • 中部電力ミライズ株式会社(法人番号 2180001135973)
      • 東邦瓦斯株式会社(法人番号 2180001022387)
    • 補助金交付等停止措置期間及び契約に係る指名停止等措置期間
      • 本日から6ヶ月(令和6年3月5日から令和6年9月4日まで)
    • 本件の概要
      • 公正取引委員会は、特定大口都市ガスの見積り合わせ等に関し、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)違反があったとして、令和6年3月4日、関係事業者に対して排除措置命令及び課徴金納付命令を行いました。
  • これを受けて、経済産業省は、上記(1)の事業者に対して、「経済産業省所管補助金交付等の停止及び契約に係る指名停止等措置要領」第3条第1項に基づき、補助金交付等停止措置及び指名停止等措置を行いました。

経済産業省 日産自動車株式会社の下請代金支払遅延等防止法違反について
  • 本日、日産自動車より、同社において、下請法が規定する「下請代金の減額の禁止」に違反する行為が認められ、公正取引委員会により勧告を受けたとの報告を受けました。
  • このような違反行為が行われたことは、下請事業者の信頼を損ない、かつ、取引適正化を妨げるものであり、極めて遺憾です。
  • これを踏まえ、経済産業省は、同社に対し、今般の事案を踏まえた今後の取引適正化の徹底等を実施するとともに、取組状況について速やかに報告するよう求めました。
  • 今後、広く産業界に対し、代金減額がないか等の調査を実施し、その結果を踏まえ、問題ある取引慣行については、業界全体での改善に繋げるなど、産業界全体の取引適正化に引き続き取り組みます。
  • 日産自動車からの報告と経済産業省からの指示
    • 日産自動車から、今回の事案について以下の報告がありました。
      • 自社が販売する自動車の部品等の製造委託における下請事業者に対する「割戻金」の運用について、公正取引委員会から、本日付けで、下請代金の減額(下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」)第4条第1項第3号)に該当するものとして、同法第7条第2項の規定に基づく勧告を受けた。
      • 同委員会から、自社が、下請事業者(計36者)に対し、令和3年1月から令和5年4月までの間、下請代金から総額約30億円を減額していたとの事実認定がなされた(なお、本年1月に、当該下請事業者全事業者宛てに返金を実施)。
    • 日産自動車からの報告を踏まえ、同社に対し、当該下請事業者への適切な対応や、今般の事案を踏まえた今後の取引適正化に向けた取組の徹底を指示するとともに、取組の状況について速やかに報告するよう求めました。
  • 取引適正化に向けた経済産業省の対応
    • 物価上昇を上回る賃上げを中小企業でも実現するため、価格転嫁をはじめとする取引の適正化を進めることが重要である中、このような違反行為が行われたことは、下請事業者の信頼を損ない、かつ、サプライチェーン全体の取引適正化を妨げるものであり、本事案を契機に、広く産業界に対し、不合理な原価低減を目的とした下請代金の減額に係る下請法に違反する行為の未然防止に努めるよう要請します。
    • 今後、広く産業界に対し、代金減額がないか等の調査を実施し、その結果を踏まえ、問題ある取引慣行については、業界全体での改善に繋げるなど、産業界全体の取引適正化に引き続き取り組みます。

経済産業省 省エネ法定期報告情報の開示制度本格運用への参加募集を開始します
  • 省エネ法に基づく定期報告書等の情報を、事業者の同意に基づき開示する制度の本格運用を令和6年度に開始するにあたり、本制度の本格運用に参加する事業者を募集します。より多くの事業者に本制度に参加してもらうことで、業界・産業界全体の省エネ・非化石転換の取組の底上げにつなげます。
  • 制度概要
    • エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律(省エネ法)では、事業者全体のエネルギー使用量(原油換算)が合計して1,500kl/年以上である事業者を特定事業者等注として指定し、毎年度エネルギーの使用状況等の報告を求めています。
    • (注:日本の最終エネルギー消費のうち、産業部門の約8割、業務他部門の約6割をカバーする約1.2万者)
    • 近年、サステナビリティ投資やその関連情報の開示が進展する中で、事業者の省エネ・非化石エネルギー転換の取組の情報発信を促すため、資源エネルギー庁は、昨年、省エネ法に基づく定期報告書等の情報を、特定事業者等からの同意に基づき開示する制度を創設しました。本制度について、令和5年度は、東証プライム上場企業等を対象に試行運用として実施していましたが、令和6年度からは、全ての特定事業者等を対象に本格運用を開始します。
    • 本制度により、事業者は、業界内の他社の取組を自社の省エネ・非化石転換の取組の参考とすることができ、業界・産業界全体の省エネ・非化石転換の取組の底上げに繋がることが期待されます。また、事業者によるサステナビリティ投資家を含めたステークホルダーへのさらなる情報発信や、エネルギーサービス事業者による新たなサービス開発などに繋がることも期待されます。
    • この度、資源エネルギー庁HPの省エネポータルサイトに宣言フォームを開設し、本制度の本格運用に参加する事業者の募集を開始しました。
  • 受付締切について
    • 令和6年度から本格運用に参加するためには、令和6年10月31日(木曜日)までに、宣言フォームから参加の意思を表明してください。
  • 開示情報の公開時期について
    • 本格運用に参加する各事業者の開示情報(令和6年度報告分)は、令和6年度の秋に速報版として資源エネルギー庁HPに公開します。その後、国において事業者から提出される定期報告の内容に不備がないか確認の上、令和7年に確報版を公開します。

経済産業省 「地域課題解決事業推進に向けた基本指針」を策定しました 地域の社会課題を成長のエンジンに転換していくローカル・ゼブラ企業の創出へ
  • 中小企業庁は、地域の社会課題解決の担い手となるゼブラ企業(「ローカル・ゼブラ企業」)の創出・育成に向けて「地域課題解決事業推進に向けた基本指針」を策定しましたので、公表します。今後、この基本指針の普及を図り、多くのゼブラ企業が創出されていくエコシステムが各地に構築されるよう取り組んでいきます。
  • 概要
    • 社会課題解決と経済成長の両立を目指すゼブラ企業は、社会課題を成長のエンジンに転換していく、地域経済の新しい担い手となり得る事業者です。
    • ゼブラ企業とは、2017年にアメリカで提唱された概念であり、時価総額を重視するユニコーン企業と対比させて、社会課題解決と経済成長の両立を目指す企業を、白黒模様、群れで行動するゼブラ(シマウマ)に例えたものです。
    • 中小企業庁では、地域の社会課題解決の担い手となり、事業を通じて地域課題解決を図り、域内企業等と協業しながら、新たな価値創造や技術の活用等により、社会的インパクト(事業活動や投資によって生み出される社会的・環境的変化)を生み出しながら、収益を確保する企業を「ローカル・ゼブラ企業」と位置づけて、多様な関係者による支援や協業によって取り組む地域課題解決事業について、事業を進める上でのポイントについてまとめました。
    • 今後、この基本指針の普及を図り、多くのゼブラ企業が創出されていくエコシステムが各地に構築されていくよう取り組んでいきます。
  • 基本指針のポイント
    • 地域の社会課題解決の担い手となるローカル・ゼブラ企業は、ビジネスを通じて地域課題解決を図り、多様な関係者と協業しながら、新たな価値創造や革新的な技術・サービスを活用することで、社会的インパクト(事業活動や投資によって生み出される社会的・環境的変化)を生み出しながら、収益の確保に取り組む企業です。
    • この基本指針では、ローカル・ゼブラ企業や地域課題解決事業の重要性と概念を整理し、多様な関係者との協業を実現し、社会的インパクトの可視化を通じて必要な資金や人材が地域に流れ、ローカル・ゼブラ企業を創出・育成するエコシステムを構築するための基本的な考え方をまとめています。
▼ 地域課題解決事業推進に向けた基本指針(中小企業庁)
  • 基本指針の目的 ~地域課題解決事業への理解と合意形成の重要性
    • 地域の包摂的な成長を実現するには、その地域の特性にあった多様な主体や産業がそれぞれの強みを生かして連携し、多様性と連携による地域づくりに取り組むことが重要である。
    • 本基本指針は、地域の未来に希望を見いだし、ビジネスの手法で地域課題の解決にポジティブに取り組み、社会的インパクトを創出する企業(ローカル・ゼブラ企業)や地域課題解決事業の重要性と概念を整理し、多様な関係者との協業を実現し、必要な資金や人材を確保するための考え方や、事業が社会に生み出す社会的インパクトの可視化等、関係者との共通理解を深めるための手段についても整理する。
  • 背景~ゼブラ企業への注目
    • ゼブラ企業は、2017年に4人のアメリカの女性社会起業家が提唱した概念である。時価総額を重視するユニコーン企業と対比させて、社会課題解決と経済成長の両立を目指す企業を、白黒模様、群れで行動するゼブラ(シマウマ)にたとえて命名された。近年、日本でも注目を集めており、その特性に応じたインパクト投融資が行われて潜在力を発揮することで、地域課題の解決につながる可能性がある。
    • 「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(2023年閣議決定)では、「地域の中小企業から、地域の社会課題解決の担い手となる企業(ゼブラ企業)を創出し、インパクト投融資を呼び込むため、ソーシャルビジネスを支援する地域の関係者を中心としたエコシステムを構築する」こととされている。
  • ゼブラ企業の特徴
    • 事業成長を通じてより良い社会をつくることを目的としている
    • 時間、クリエイティブ、コミュニティなど、多様な力を組み合わせる必要がある
    • 長期的で包摂的な経営姿勢である
    • ビジョンが共有され、行動と一貫している
  • 基本指針の目的 ~有機的な連携
    • 地域の包摂的成長を実現する担い手となるのは、地域に根ざした中小企業・小規模事業者である。中でも、地域の社会課題を解決し、社会に良い変化(社会的インパクト)を生み出すローカル・ゼブラ企業が、良質な雇用や豊かな暮らしの実現に果たす役割は大きい。
    • 創業や第二創業により地域課題解決に取り組む中小企業・小規模事業者が中心となって、地域の多様で複雑な社会課題の解決を目指し、地域中間支援機能や伴走支援者等の多様な関係者と、お互いの強みを生かし有機的に連携して課題解決に取り組むことにより効果が大きくなる。
  • 基本指針の目的 ~エコシステムの創出・育成
    • 地域課題解決事業の意義や、協業の重要性を共通理解として広げていくことで、地域課題解決事業推進の機運を醸成し、事業への共感による資金や人材の流れを生み出し、伴走支援者に支えられながら、地域の包摂的な成長を目指すエコシステムが各地で構築されていくことを期待したい。
  • ローカル・ゼブラ企業 ~ローカル・ゼブラ企業の特徴
    1. 事業を通じて地域課題解決を図り、収益性を確保・継続
      • 地域課題解決を自社のミッションとして掲げる又は課題解決できる手法を特定し、社会的インパクトを創出しながら収益性を担保しつつ、地域に対する持続的な価値提供を目指している。
    2. 新たな価値創造や技術の活用等による革新的なビジネスを構築
      • 1を達成するため、共感による高付加価値化等、価値創造の構造を変えることや、地域連携で共助を活性化させることによる課題解決手法の持続的な展開、新しい技術を活用することで効率的かつ効果的に事業に取り組み、収益化できるビジネスを構築している。
    3. 事業意図の明確化
      • 地域課題解決を目的として、企業として何を達成し、社会にどのような変化・効果(社会的インパクト)を生み出したいかなど自社の事業の意図を明確化し、目標を定めることで関係者からのコミットメントを獲得する。
  • ローカル・ゼブラ企業が事業を推進する際のポイント ~金融
    • ローカル・ゼブラ企業は、課題解決を目的として持続的に成長していくため、創業期ではエクイティによる調達が難しいことも多く、日本政策金融公庫の新規開業資金やソーシャルビジネス支援資金などの低利貸付制度、クラウドファンディングや補助金等の支援策を活用した創業資金の調達が見込める。
    • 最近では、ソーシャルインパクトボンド注1やブレンデッド・ファイナンス注2、インパクト評価を重視するベンチャーキャピタル、休眠預金による支援を受けた地域インパクトファンド等、社会的インパクトを重視した様々な資金調達手段があり、専門家による伴走支援が望まれる。
    • 創業初期から、将来的な事業の主導権を失わないよう、目指す事業と資金調達手段の特性を適切に組み合わせて、戦略的に資金調達を行うことや、その伴走支援や過去・海外の事例を参考にすることが有効である。
  • ローカル・ゼブラ企業が事業を推進する際のポイント ~人材
    • 創業期においては事業の意図を明確にすることで、その理念や意義に賛同・共感し参画する人材を集めることができるが、特に創業初期においては、事業を成長軌道に乗せるためのポイントを見極め、創業支援策等を活用しながら、質の高い外部の専門人材の受け入れやアドバイスを受けることが重要。
    • 成長期以降は、企業の成長に伴い事務・会計等のバックオフィス機能を持つ必要があるが、専門的な知識を持った人材の採用が難しい場合には、地域単位で経理部門や広報等のバックオフィス機能や必要な人材をシェアできるような仕組みを構築し、活用するという選択肢もある。
    • 企業が地方公共団体や地域の企業に人を派遣する動きや、企業の人材が、自身の能力や経験を生かした兼業・副業を行う動きも見られつつある。
  • ローカル・ゼブラ企業が事業を推進する際のポイント ~事業の可視化
    • 創業期から成長期に至るまでを通じて、周囲の経営者等からのアドバイスを受けながら、従業員へのビジョン・ミッションの浸透、関係者に対して、事業の可視化をすすめ、外部からの参加や連携が可能となるよう、透明性のある企業体制の整備に取り組むことが重要である。
  • ローカル・ゼブラ企業が事業を推進する際のポイント~意思決定プロセス
    • 組織の形態により意思決定プロセスが異なるため、法人格の選択に当たっては考慮が必要である。
    • 創業期から、意図する事業に応じた意思決定体制の構築や資本構成を検討し、成熟期に向けて後継者の育成にも取り組む必要がある。
    • また、株式会社であったとしても、議決権に制約がある株式発行、地元資本による株式の持ち合い、利益の分配方法に関する事前合意など、多様な工夫により意図する事業を遂行することができるため、事例を参考にしながら、自社にあった意思決定体制を講ずることが重要である。
  • ローカル・ゼブラ企業が行う社会的インパクトの可視化
    • ローカル・ゼブラ企業としてどのような社会的インパクトを生み出したいのかを可視化し、まずはシンプルでわかりやすい目標を設定して対外的に示すことが重要である。
    • 設定した目標に対し、インパクト測定・マネジメントの手法を適切に用いることで、事業の成果を測り、事業に反映するとともに、事業の進展とともに目標を見直し、その理由とともに対外的に示していくことも重要である。
    • ローカル・ゼブラ企業は、自らの事業意図を明確にし、事業計画と連動したインパクト戦略注1を対外的に示せるようにする必要がある。
    • インパクト戦略を策定することで、事業を通じて生み出そうとする社会的インパクトに対して関係者から共感や理解を得て合意形成を進め、資金や人材の提供や、事業連携等につなげ、より大きなインパクトを生み出すことにつながる。
    • 社会的インパクトの可視化の際には、事業の意図に応じた定性情報と定量情報を組み合わせ、事業のニーズやその成果を適切なデータを用いて示し、その活動や発信内容の説得力を高めることで、域内外の関係者の共感や理解にも繋がっていく。
  • 地域課題解決のエコシステムについて
    • エコシステムは、地域全体が漠然とした危機感を抱いている状態から始まり、解決策を見つけた人や組織を中心に、関係者を巻き込みながら、地域が目指す大きな方向性(地域のビジョン)についての合意形成がはかられ、関係者が役割を見つけ、ポジティブなビジネスによる解決に向けた行動を取り始めることで形成されていく。
    • 地域のビジョンがあることで、ビジョンに共感し役割を見つけた域内外の関係者や地域住民が後から参加することもでき、域内外の資源が有機的に結びついて大きくなっていくことができる。
  • 地域課題解決事業推進に必要な支援
    • 地域課題解決事業を推進するためには、ローカル・ゼブラ企業と地域の関係者をつないで事業を地域に根付かせていく役割(地域中間支援)と、ローカル・ゼブラ企業や地域を専門的な立場から伴走支援する役割(伴走支援)と、の双方が必要である。
    • 地域エコシステム同士で学び合い、ノウハウを共有・横展開していくことも効果的である。
    • 各地域において役割の発揮が期待される主体としては、地域金融機関、地域の中核企業、地方公共団体が挙げられる。
    • これらの3つの主体は、地域経済の発展と自身の事業との関連が強く、将来への危機感を共有し、地域課題解決にコミットするインセンティブがあり、地域が目指す姿(ビジョン)を共有し、ローカル・ゼブラ企業への支援や事業の連携を進める役割を発揮することが期待される。
    • また、普遍的な地域課題の解決に取り組むローカル・ゼブラ企業が、経験や知見を活かして、中間支援機能を持ち、他地域や海外に展開しローカル・ゼブラ企業を発掘・育成・連携するように役割が変化していくこともある。
    • 専門的な立場から、保有する経営支援ノウハウやネットワーク、拠点網、人材等を活用して、ローカル・ゼブラ企業を伴走支援する主体の役割は重要である。
    • 現在の担い手としてはローカル・ゼブラ企業の伴走を先進的に行っている主体が挙げられるが、今後は、地域の金融機関や既存の中小企業支援の担い手が地域課題解決事業を理解した上で、育成や連携に向けた支援を行うことが期待される。
  • まとめ
    • 少子高齢化、人口減少などの課題を抱えた我が国の地域経済にとって、地域の未来に希望を見出し、ビジネスの手法でポジティブに課題解決に取り組む、ローカル・ゼブラ企業は、次の地域経済の担い手となり得る重要な存在である。
    • ローカル・ゼブラ企業を起点として、地域中間支援機能と地域の関係者を巻き込みながら「場」を作り、伴走支援を受けながら課題解決という共通の目的に向かって行くエコシステムが形成されていくことで、多様な関係者がそれぞれの役割を見つけ、強みを発揮し、連携しながら地域の包摂的な成長に向かって行くことができる。
    • こうした多様なエコシステムが各地に形成され、横連携もしていくことで、全国に広がっていくことも期待できる。
    • ローカル・ゼブラ企業を未来の地域経済の担い手に育成するためには、多様な支援機能の中でも、社会的インパクトの可視化を通じて関係者の共感を拡大する効果を持つインパクト投融資の持つ意義は特に大きく、その重要性は増してきている。現時点でも、いくつかの地域金融機関の中にインパクト投融資に取り組もうという動きが見られつつあり、更なる拡大や、主体の多様化が望まれる。
    • 事業の意図の明確化や社会的インパクトの可視化というツールを活用することによって、「共感」による資金や人材の流れを作りだし、「共助」による地域の持続的な発展と豊かな地域経済が作られていくことを期待して、この基本指針をとりまとめた。
    • この基本指針に基づき、各地でローカル・ゼブラ企業が生まれ、地域課題解決事業の取組が始まり、インパクト投融資等を呼び込み、相互に連携しながら、持続的な成長を遂げていくエコシステムが構築されていくことを期待したい。
  • 背景~技術の普及
    • ビッグデータの整備、5Gの普及、自動化、AI等の技術の実装が進むことで、データに基づく精度の高い需要予測・効果的なマーケティング、デジタル技術を活用した市場拡大、自動化・省人化等が可能になった。
    • また、テレワークの定着による地方移住推進、SNS等による共感マーケティングにより関係人口が増加。
    • これにより、これまで市場化することが難しかった領域や地方公共団体が担っていた領域であっても、ビジネスの手法で取り組むことが可能となりつつある。
  • 背景~世界的な潮流
    • 社会・環境的効果と収益性の双方の実現を企図するインパクト投融資は、社会・環境課題の解決に資する技術やサービスを提供する企業・事業に対する投融資を通じて具体的な社会・環境的効果を実現する手法として、世界的に推進の機運が高まっている。
    • 米国や英国では、地域の金融機関が、経済性のみを重視するのではなく、地域コミュニティの強化に資する社会的事業に資金を提供するというファイナンスの在り方が注目されている。

経済産業省 3月は「価格交渉促進月間」です!
  • 3月は「価格交渉促進月間」です。昨年は30年ぶりに高い水準の賃上げを実現しましたが、今年も引き続き高い賃上げ率を実現できるか、デフレからの完全脱却に向けて正念場を迎えています。そしてこの3月は、賃上げ原資の確保に向けた、価格転嫁のための交渉が本格化する極めて重要な時期です。
  • 発注企業・受注企業の皆さん、賃上げ実現が重要な今こそ、サプライチェーン全体で、積極的に価格交渉・価格転嫁を行いましょう。
  • 日本経済の状況と価格交渉・価格転嫁の必要性
    • 日本経済は、過去30年にわたってデフレが続いておりましたが、昨年は30年ぶりに高い水準の賃上げが実現し、今年2月には株価史上最高値を更新するなど、潮目が変わってきています。今年も引き続き、高い水準の賃上げを実現し、デフレから完全に脱却できるかどうか、まさに正念場を迎えています。
    • 高い賃上げ率を実現するには、その原資の確保に向けた価格転嫁を進めることが極めて重要です。一方で、中小企業庁の調査では、中小企業の価格転嫁率は45.7%(2023年9月時点)であり、引き続き転嫁率を上昇させていくことが必要になります。
    • その中で、発注企業と受注企業の間で、しっかりと価格交渉を行うことが、高い価格転嫁率の実現のカギとなります。特に3月は、春闘が山場を迎え、価格交渉が本格化する、極めて大事な時期となります。皆様におかれては、サプライチェーン全体での価格交渉・価格転嫁の促進に向けて、ぜひ、下記の事項にご協力をお願いします。
  • 発注企業・受注企業の皆様へのお願い
    • 発注企業の皆様
      • 下請中小企業振興法に基づく「振興基準」に則り、受注側中小企業からの価格交渉の申出には遅滞なく応じ、または皆様の方から価格交渉の申入れを行っていただく等、価格交渉・価格転嫁を積極的に行い、サプライチェーン全体の競争力向上や、共存共栄の関係の構築に向けてのご対応をお願いします。
      • 「労務費に関する指針(詳細は3.(2)を参照のこと)」に基づいて、受注側中小企業との価格交渉に応じるとともに、当該受注側中小企業に対して、さらにその受注企業に対しても、価格交渉・価格転嫁を行うよう促してください。
      • サプライチェーン全体の価値の向上、共存共栄を目指すことを目的として、政府が推進する「パートナーシップ構築宣言」に未参加の企業におかれては、参加についてご検討ください。既に宣言されている企業におかれては、自社のパートナーシップ構築宣言について、調達担当の方々へ、一層の浸透をお願いします。
    • 受注企業の皆様
      • 発注企業に対し、積極的に価格交渉を申し出るとともに、中小企業庁等が作成するコンテンツや、「下請かけこみ寺」、よろず支援拠点「価格転嫁サポート窓口」といった相談窓口を、ぜひご活用ください(詳細は3.(3)を参照のこと)。
      • 「労務費に関する指針」を、価格交渉の材料として活用してください。
      • 4月以降、受注側中小企業の皆様を対象に、価格交渉・価格転嫁の状況に関するアンケート調査、及び、下請Gメンによる重点的なヒアリングを実施する予定です(詳細は3.(1)を参照のこと)。こちらの結果は、その後の価格転嫁対策に向けた重要な情報源となりますので、対象となった方におかれては、積極的、かつ、正確に回答いただくようお願いします。
  • 価格交渉・価格転嫁の促進に向けた政府の取組
    • 「価格交渉促進月間」フォローアップ調査の実施
      • 各「価格交渉促進月間」終了後に、30万社の中小企業の皆様を対象に、価格交渉・転嫁の状況に関するアンケート調査を実施しています。
      • 上記調査に係る結果をもとに、発注企業ごとの価格交渉・価格転嫁の取組状況を記載したリストを公表しています。
      • 併せて、取組状況が芳しくない企業トップに対する、下請中小企業振興法に基づく、所管大臣名による指導・助言を実施しています。価格交渉促進月間の実施とフォローアップ調査結果
    • 「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」の策定、周知・徹底
      • 労務費を含む価格転嫁を強力に促すため、昨年11月、内閣官房・公正取引委員会において、発注企業・受注企業それぞれがとるべき行動指針を定めた、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表しました。労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針外部リンク
      • また、上記「指針」について、約900の経済産業省関連団体に周知したほか、発注企業・受注企業双方に対して、全国8つの地方ブロックでの説明会や、業界団体の会員企業向け説明などを行い、「指針」の周知・徹底に努めています。
    • 受注企業の価格交渉を後押しするコンテンツの作成・相談窓口の設置
      • 価格交渉のポイントをまとめたコンテンツや、コスト上昇状況等のエビデンスとなるデータベースといった、受注企業にとって、価格交渉の材料となる資料を整理するとともに、価格交渉に応じてもらえない等の、取引上のお悩みを相談できる「下請かけこみ寺」や、よろず支援拠点「価格転嫁サポート窓口」を整備しています。

経済産業省 「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました
  • 本日、「消費生活用製品安全法等(※)の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。現在開会中である第213回通常国会に提出される予定です。(※)消費生活用製品安全法(消安法)、ガス事業法(ガス事法)、電気用品安全法(電安法)及び液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)
  • 本法律案の趣旨
    • 近年、インターネット取引の拡大に伴い、国内外の事業者がオンラインモール等を通じて国内の消費者に製品を販売する機会が増大しています。こうした環境変化に対応し、海外から直接販売される製品の安全確保や子供用の製品による事故の未然防止を通じ、国内の消費者が製品を安全に使用できる環境を整備するため、以下の措置を講じます。
  • 本法律案の概要
    • インターネット取引の拡大への対応(消安法、ガス事法、電安法、液石法)
      • 海外事業者がオンラインモールを始めとする取引デジタルプラットフォーム(取引DPF)を利用するなどして国内消費者に直接製品を販売する場合、製品の安全性に(法的)責任を有するとしている国内の製造・輸入事業者が存在しないといった課題に対処するため、以下の措置を講じます。
        • 海外事業者が取引DPFを利用するなどして国内の輸入事業者を介さず国内消費者に直接製品を販売する場合、当該海外事業者を消費生活用製品安全法等の製品安全関連の4つの法律において届出を行える主体として明確化するとともに、規制の執行を担保すべく、当該海外事業者に対し、国内における責任者(国内管理人)の選任を求めます。
        • 取引DPFにおいて提供される消費生活用製品等について、国内消費者に危険が及ぶおそれがあると認められ、かつ、その製品の出品者によってリコール等の必要な措置が講じられることが期待できないときは、取引DPFを提供する事業者に対し、当該製品の出品削除を要請できるなどの措置を講じます。
        • 届出事業者や国内管理人の氏名・住所等、法律や法律に基づく命令等に違反する行為を行った者の氏名等について、公表する制度を創設します。
    • 玩具等の子供用の製品の安全確保への対応(消安法)
      • 玩具等の子供用の製品について、海外から流入する製品も含め、子供による安全な使用が適切に確保できていない(事故が起きてから対応)といった課題が存在していることから、子供用の製品による事故を未然に防ぐことができる環境を整備するため、以下の措置を講じます。
        • 子供用特定製品(主として子供の生活の用に供されるものとして対象年齢や使用上の注意を表示することが必要な製品)について、その製造・輸入事業者に対し、国が定める技術基準への適合、対象年齢・使用上の注意の警告表示等を求めます。
        • 子供用特定製品の中古品について、国内消費者に対する注意喚起や安全確保のための体制整備等を条件に、販売を可能とする特例を講じます。

経済産業省 サービス標準化WG「中間取りまとめ」及び「サービス規格作成のための入門ガイド」を公表しました
▼ 中間取りまとめ(概要)
  • サービス分野での標準化の意義
    • 我が国のサービス産業では、安全・丁寧・迅速といったサービス品質の高さに見合った価格設定を行う、同時に労働生産性を高めるといった課題が存在。
    • これら課題に対し、品質の高さを見える化し、業界内でサービス手順を共通化するなど、戦略的な標準化の活用は、有効な方策。
    • そのため、標準化の活用方法を類型として示すと共に、具体的なサービス規格開発促進のためのマニュアルを作成した
  • 標準化の活用類型
    • 市場の成熟度、業界の状況・課題によって、それに対応する標準の活用類型は異なるが、まずは類型D,E,F,G(下段)で市場の基盤・信頼性を確立したうえで、類型A,B,C(上段)で品質の強みや新たな価値を出すために戦略的に活用されていく傾向がある。
      • A)品質の高さを可視化・評価軸に
        • 提供するサービスの品質を適切に管理・評価するため、一定の基準を設ける
      • B)SDGsやエシカル等、新たな評価軸を付加
        • 環境・人権配慮といった、新たな価値軸での取組みを進めているサービスについて、その内容が正しく評価される
      • C)新サービス市場創出
        • 新たなサービスについて、標準の活用により信頼性を高め、市場の創出・発展を促進する
      • D)オペレーション手順等の設定による省コスト化
        • サービス提供者向けのマニュアルや、ステークホルダーとの確認手順、扱うデータの互換性等を標準化することは、自社及び業界全体の生産性の向上に繋がる
      • E)情報の非対称性を解消、消費者の選択を支援
        • 無形のため、顧客が良し悪しを判断しにくく、提供者との間でも認識のずれが生じやすいサービスについて、標準化によるサービス品質・内容の明確化が有効
      • F)安心・安全の担保
        • 安心・安全の面から一定の品質が求められるサービスや、公益性が高い基盤的なサービスは基準の設定が有効
      • G)業界の方向性統一
        • 参入障壁が低く、新規参入者が多くいることから、業界全体をカバーすることが難しいサービスについて、標準化により業界の方向性のすり合わせを促進
  • 入門ガイド(マニュアル)
    • 開発の背景
      • 標準化の活用ポテンシャルにも関わらず、国内ではサービス規格開発の具体的事例が少なく、規格開発経験が無い業界団体も多い。
      • そのため、サービス規格開発に初めて取り組む者が、円滑に原案作成等を進める上で参考となる、サービス規格作成のための入門ガイド(マニュアル)を作成した。
    • 期待される効果
      • JISのサービス規格について、概念・活用類型を示すとともに、その作成の手順を提示。初心者でも標準化の目的を明確化した上で、原案作成に着手できることが期待される。
      • JISのサービス規格の構成要素や、その解説、参考規格(JIS/ISO規格)を提示。必要な構成要素を抽出できると共に、解説や参考規格を参照し、円滑な原案作成の促進が期待される。
  • 標準化・普及促進のポイント
    • 規格活用はあくまで任意のため、実際に社会で普及させることを強く意識して進める必要がある。
    • 規格が広く活用されるために、標準化の各段階で重要なポイントや、中でもJIS化/ISO・IEC規格化のメリット・留意事項をまとめた。
  • 標準化・普及促進のステップ・留意事項
    • 業界の市場状況、課題・ニーズを踏まえた目的設定
      • 標準活用類型も参考に、標準化の目的を明確化(例:新市場での信頼性確保、品質の可視化による差別化等)
    • 関係者間での規格活用に向けた意識共有
      • 事前検討段階から関係者が参加し、関係者間で課題・ニーズへの合致を確認、規格活用の意識を共有
    • 市場成熟度等を踏まえた標準化対象の特定、要求レベルの設定
      • 市場・業界の現状・標準化の進展状況に合致した規格設計(例:市場・業界の信頼性を確立するため、最低限守るべき水準を規格化
      • 更なる品質差別化のため、品質・評価方法を規格化)
    • コストとクオリティを勘案した、実行可能な適合性評価の在り方の検討
      • 想定する認証機関も参画し、実施可能な認証スキーム・要求水準を検討
    • 対象事業者、顧客等への普及促進策の実行
      • 原案作成団体による事業者への広報、表彰制度、コンサルティング
      • 認証マークの活用、消費者向けの情報発信
    • 国・自治体での活用、関係事業者等との連携、国際標準化
      • 法令・ガイドラインでの参照・参考、調達要件への適用、ISO・IEC規格化による海外展開
  • デジュール標準(JIS・ISO・IEC)策定のメリット・注意点
    • メリット
      • JIS化/ISO・IEC規格化のプロセスで広く関係者が規格作成に参画し、意向を反映して、国家規格・国際規格として発行されることで、より信頼性を獲得。
      • 国や地方公共団体等の法令、ガイドライン、調達基準としてJISが使われる傾向。
      • ISO・IEC規格化・活用による、海外市場・事業者・投資家等へのアクセスの向上。
      • JISの実績による円滑なISO・IEC提案の可能性。
      • (デジュール標準に限らないが)規格化に向けた「プロセス」として、課題認識をすり合わせや、コミュニケーションする標準化活動自体の価値。
    • 注意点
      • 座組作りにおいて、JISではサービスの生産者(提供者)・使用者(ユーザー)・中立者の参画・人数バランスが求められ、ISO・IECでも広くステークホルダーの参画が必要。
      • 業界規格とJIS・ISO・IEC規格で構成要素が異なり、修正が必要なケースが大半。
      • 特定の業界団体だけでなく、他の機関が認証できるような規格とする必要あり。
      • 分野によっては、国際市場でISO・IEC規格ではなく、フォーラム・業界規格が中心。

【2024年2月】

経済産業省 経済安全保障推進法に基づくクラウドプログラムの供給確保計画について、新たな認定を行いました
  • 経済産業省は、経済安全保障推進法第9条第4項に基づき、基盤的なクラウドプログラムの技術開発に係る取組について、本日、さくらインターネット株式会社の供給確保計画を認定しました。
  • 背景
    • 社会のデジタル化の進展に伴い、クラウドサービスは、幅広い国民生活・産業活動の情報処理を担う機能として不可欠なものとなっています。
    • こうした中、特に基盤的なクラウドサービス(基盤クラウド)の国内市場においては、国内に事業基盤を有する事業者のシェアは約3割であり、海外から提供されるサービスへの依存が高まっている状況にあります。
    • 基盤クラウドは、情報処理の根幹を担うものであり、その開発体制を国内で確保できなければ、我が国が自律的に管理すべき重要情報を扱うシステムも含め、完全に他国に依存することになるおそれがあります。
    • 一方、競争力の高い基盤クラウドを持続的に提供するためには、利用者にとって利便性が高く、効率的かつセキュリティを確保できる基盤的なクラウドプログラムを安定的に供給できることが不可欠ですが、国内に事業基盤を有する事業者は、こうした機能を実装する技術を十分には有していない状況にあります。
    • こうした状況を踏まえ、経済安全保障推進法に基づき、「クラウドプログラム」を特定重要物資に指定し、その安定供給確保に向けて、国として支援する枠組みを措置しました。
  • 認定概要
    • さくらインターネット株式会社が、よりスケーラブルなコンピューティング機能や、強固なセキュリティ機能、アプリケーションの開発効率を高めるコンテナ及びサーバレス機能等を持つパブリッククラウドについて、2026年3月までに開発する計画を2月20日付けで認定しました。この計画の事業総額は、開発に関わる人件費を中心に約18億円であり、このうち最大助成額は約6億円(補助率1/3)です。

経済産業省 「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案」及び「二酸化炭素の貯留事業に関する法律案」が閣議決定されました
  • 本日、「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案」及び「二酸化炭素の貯留事業に関する法律案」が閣議決定されました。現在開会中である第213回通常国会に提出される予定です。
  • 法律案の背景・趣旨
    • 2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、徹底した省エネ、再エネや原子力といった脱炭素電源の利用促進などを進めるとともに、脱炭素化が難しい分野においてもGXを推進していくことが不可欠です。
    • この2つの法律案は、鉄鋼・化学等の産業や、モビリティ、発電といった、脱炭素化が難しい分野においてGXを推進するため、こうした分野における(1)低炭素水素等の供給・利用の促進を図るとともに、(2)CCS(二酸化炭素の地中貯留、Carbon dioxide Capture and Storage)に関する事業環境整備を行うものであり、令和5年7月に閣議決定された「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」に基づいて、所要の措置を講じるものです。
  • 法律案の概要
    • 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律案(水素社会推進法案)
      • 国が前面に立って、低炭素水素等の供給・利用を早期に促進するため、基本方針の策定、計画認定制度の創設、計画認定を受けた事業者に対する支援措置(「価格差に着目した支援」、「拠点整備支援」等)や規制の特例措置を講じるとともに、低炭素水素等の供給拡大に向けて、水素等の供給を行う事業者が取り組むべき判断基準の策定等の措置を講じます。
    • 二酸化炭素の貯留事業に関する法律案(CCS事業法案)
      • 2030年までに民間事業者が国内におけるCCS事業を開始するための事業環境を整備するため、貯留事業・試掘に係る許可制度及び貯留権・試掘権の創設、貯留事業者及び二酸化炭素の導管輸送事業に関する事業規制・保安規制を整備します。

経済産業省 「新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました
  • 本日、「新たな事業の創出及び産業への投資を促進するための産業競争力強化法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、現在開会中である第213回通常国会に提出される予定です。
  • 法律案の趣旨
    • 戦略的国内投資の拡大に向けた、戦略分野への投資・生産に対する大規模・長期の税制措置及び研究開発拠点としての立地競争力を強化する税制措置や、国内投資拡大に繋がるイノベーション及び新陳代謝の促進に向けた、我が国経済のけん引役である中堅企業・スタートアップへの集中支援等の措置を講じます。
  • 法律案の概要
    1. 産業競争力強化法の一部改正
      • 国際競争に対応して内外の市場を獲得すること等が特に求められる商品を定義し(電気自動車等、グリーンスチール、グリーンケミカル、持続可能な航空燃料(SAF)、半導体)、これを生産・販売する計画を主務大臣が認定した場合、戦略分野国内生産促進税制及びツーステップローン等の金融支援を措置します。
      • 新設する知的財産の活用状況等の調査規定を根拠とし、一定の知的財産を用いていることを確認できた場合は、イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)を措置します。
      • 常用従業員数2,000人以下の会社等(中小企業者除く)を「中堅企業者」、特に賃金水準が高く国内投資に積極的な中堅企業者を「特定中堅企業者」と定義し、特定中堅企業者等による成長を伴う事業再編の計画を主務大臣が認定した場合、中堅・中小グループ化税制、大規模・長期の金融支援(ツーステップローン)、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)による助成・助言等の措置を講じます。
      • 株式会社産業革新投資機構(JIC)が有価証券等の処分を行う期限を2050年3月末まで延長します(現在の期限は2034年3月末)。
      • スタートアップがストックオプションを柔軟かつ機動的に発行できる仕組み(ストックオプション・プール)を特例的に可能とします。
      • 企業と大学等の共同研究開発に関する、標準化と知的財産を活用した市場創出の計画を主務大臣が認定した場合、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)や国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの助言を受けることを可能とするとともに、標準化の動向や知的財産の活用状況を調査する規定を整備します。
    2. 事業有限責任組合契約に関する法律の一部改正
      • 投資事業有限責任組合(LPS)の取得及び保有が可能な資産への暗号資産の追加等を措置します。
    3. 独立行政法人工業所有権情報・研修館法の一部改正
      • 独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)の目的を改正し、業務として、中小企業者及び試験研究機関等に対する工業所有権の保護及び利用に関する助言及び助成等を追加します。
    4. 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部改正
      • 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の業務として、ディープテック・スタートアップ(革新的な技術の事業化に取り組むスタートアップ)の事業開発活動への補助業務等を追加します。

経済産業省 サプライチェーンにおける人権及び国際労働基準の促進に関する第1回日米タスクフォース会合を開催しました
  • 令和6年2月、サプライチェーンにおける人権尊重及び国際労働基準の促進に関する日米タスクフォース第1回会合(政府間対話及びステークホルダー対話)を開催し、日米政府やステークホルダーの取組について情報交換を行いました。
  • 令和5年1月、日米の貿易政策、法令、ガイドライン、及び必要に応じて執行実務に関する情報を共有することにより、サプライチェーン上の人権尊重及び国際的に認められた労働者の権利の保護等の促進を目的に、「サプライチェーンにおける人権及び国際労働基準の促進に関する日米タスクフォース」を立ち上げました。
  • この度、柏原経済産業省通商機構部長/ビジネス・人権政策統括調整官及びマストマン米国通商代表補代行の共同議長の下、第1回会合として、日本時間本年2月6日(火曜日)に日米政府間対話を、同14日(水曜日)には、日米産業界、労働組合、市民社会団体等を含むステークホルダーとの対話を開催しました。
  • 政府間対話では、サプライチェーン上の人権尊重及び国際的に認められた労働者の権利の保護等に関する日米の取組について情報を共有しました。
  • 日本側からは、「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」及びその普及啓発や途上国とのエンゲージメントを中心に報告しました。米国側からは、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)における労働関連事項への対応やウイグル強制労働防止法の執行状況等について説明がありました。
  • ステークホルダー対話では、日米政府関係者より、ビジネスと人権政策に関する報告を行いました。また、産業界、労働組合、市民社会、国際機関から、人権デュー・ディリジェンスに関する取組等について紹介がありました。
▼ サプライチェーンにおける人権及び国際労働基準の促進に関する日米タスクフォースに係る協力覚書(仮訳)
  • 両当事者は、タスクフォースを通じて、タスクフォースの目的及び関連国内法と整合させつつ、以下の情報を交換する意図を有する。
    • (a)人権への取組及び国際的に認められた労働者の権利の保護(サプライチェーンにおける強制労働のリスクが増大している産業及び部門における強制労働の撲滅及び国際労働基準の促進を含む。)に関する両当事国のサプライチェーンに関する関連ガイダンス、報告書、出版物、ベストプラクティス及び教訓
    • (b)サプライチェーンにおける人権への取組(サプライチェーンにおける強制労働の使用の撤廃を含む。)及び国際労働基準の促進に関する両当事国の法令、政策及び適当な場合には執行実務
    • (c)サプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンス、特に強制労働の撲滅及びサプライチェーンにおける国際労働基準の促進に関する国際基準、ベストプラクティス及びガイダンス
    • (d)企業が人権を尊重し、国際的に認められた労働者の権利を保護するための環境の整備に貢献するその他の取
  • 両当事者は、タスクフォース及びステークホルダーiとの間の対話を促進する意図を有する。その際、両当事者は、以下の原則に従う意図を有する。
    • (a)両当事者は、タスクフォースに対し、当該対話の様式、参加者、議題、その他関連する側面について、コンセンサス方式によって決定する責任を委任する。
    • (b)これらの対話には、以下に関してマルチ・ステークホルダーの関与及び意見聴取を含めることができる。
      • 1両当事国の貿易政策及び規制の影響、該当する場合には、特にサプライチェーン上の強制労働の撤廃に関する関連法令及び国際的に認められた労働者の権利に関して、労働者及び企業に与える影響を理解すること。
      • 2サプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンスに関するベストプラクティス(労働者の声及び労働者のための是正アプローチを促進する強固なプログラムなど、人権デュー・ディリジェンス手続の開発、実施、及びモニタリングについての主要なベストプラクティスを含む。)
      • 3事業主や経営者に対する、サプライチェーンにおける人権デュー・ディリジェンスに関するベストプラクティス実践方法の周知。
    • タスクフォースは、適用される法令と合致した形で、当該対話に関する機微又は非公開情報の漏洩を防止し、保護する意図を有する。

経済産業省 AIセーフティ・インスティテュートを設立しました
  • AIの安全性に対する国際的な関心の高まりを踏まえ、AIの安全性の評価手法の検討等を行う機関として、内閣府をはじめとする関係省庁、関係機関の協力の下、本日独立行政法人情報処理推進機構(IPA)にAIセーフティ・インスティテュートを設置しました。
  • AIの安全性に対する国際的な関心の高まりを踏まえ、AIの安全性の評価手法の検討等を行う機関として、AIセーフティ・インスティテュート(所長:村上明子氏)を本日設立しました。同機関は、内閣府をはじめ関係省庁、関係機関の協力の下、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)に設置されます。
  • 我が国として、AIの安全性評価に関する基準や手法の検討等を進めるにあたり、米国や英国のAIセーフティ・インスティテュートをはじめ、諸外国の同様の機関と連携を深めてまいります。
  • 経済産業省としても、IPAに加え、国立研究開発法人産業技術総合研究所も通じて培ってきたAIの知見や、構築してきた国内外とのネットワークを活用しながら、AIセーフティ・インスティテュートの活動に貢献していきます。
    • AIセーフティ・インスティテュートの主な業務内容(暫定)
      • 安全性評価に係る調査、基準等の検討
      • 安全性評価の実施手法に関する検討
      • 他国の関係機関(英米のAIセーフティ・インスティテュート等)との国際連携に関する業務
    • 主な関係省庁・関係機関
      • 関係省庁
        • 内閣府(科学技術・イノベーション推進事務局)、内閣官房、警察庁、デジタル庁、総務省、外務省、文部科学省、経済産業省、防衛省
      • 関係機関
        • 情報通信研究機構、理化学研究所、国立情報学研究所、産業技術総合研究所

経済産業省 IAEAは2023年10月に行われた東京電力福島第一原子力発電所のALPS処理水の安全性レビューミッション(放出後第1回)について報告書を公表しました
  • 1月30日、IAEA(国際原子力機関)は、東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の安全性レビューミッション(放出後第1回)に関する報告書を公表しました。同報告書は、2023年10月24日から27日にかけて、IAEAの職員及び国際専門家が日本を訪れ、その際に実施したレビューの結論を示したものです。
  • 概要
    • 2023年10月のALPS処理水の安全性に関するIAEAレビューは、IAEAとの間で2021年7月に署名されたALPS処理水の取扱の安全面のレビューに関する付託事項(TOR)に基づき実施されたもので、海洋放出開始後初めてのレビューになります。IAEAレビューは、原子力分野の専門機関であるIAEAの職員及び国際専門家(アルゼンチン、英国、カナダ、韓国、中国、フランス、ベトナム、マーシャル諸島、ロシア)からなるIAEAタスクフォースにより実施されています。
    • 今回公表された報告書では、主に、国際安全基準に基づき2023年10月に実施されたレビューにおける見解について記されています。
  • 報告書のポイント ※IAEA報告書からの引用(一部要約)有
    • 放出開始前のレビューにおける主な技術的事項と同様の確認が行われました。
      • 規制管理と認可
      • 放出管理のシステムとプロセスに関する安全性
      • ALPS処理水の特性評価
      • 放射線環境影響評価
      • ALPS処理水と環境のモニタリングプログラム
      • 利害関係者の関与
      • 職業的な放射線防護
        • 報告書では、技術的事項毎に、IAEAタスクフォースと原子力規制庁、経済産業省及び東京電力との議論並びに東電福島第一原発での調査のポイントや、所見の概要が記載されています。
        • 全体的な内容としては、タスクフォースにより、関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかったことが明記されています。
    • 主な確認結果
      • タスクフォースによるレビューや観察において、関連する国際安全基準の要求事項と合致しないいかなる点も確認されなかった。したがって、IAEAは2023年7月4日の包括報告書で示した安全審査の根幹的な結論を再確認することができる。
      • ALPS処理水の放出を安全に監視するための強固な規制インフラが整備されており、タスクフォースは、原子力規制委員会の現場での存在とその活動を直接見ることができた。
      • 東京電力第一原子力発電所における視察に基づき、タスクフォースは、機器及び設備が実施計画及び関連する国際安全基準に合致した方法で設置され、運用されていることを確認した。
      • タスクフォースは、福島第一原発の全体的な廃炉措置の一環として、ALPS処理水の放出における防護の最適化を今後更に進める必要があるというIAEAの包括報告書の所見を改めて強調した。しかしながら、タスクフォースは、放出が初期段階にあり、この問題で進展を得るにはさらなる時間と運転経験が必要であることを十分に認識した。
      • タスクフォースは、実施されている環境モニタリングプログラムが国際社会にとって非常に重要であることを強調した。また、東電と日本政府が報告するデータの正確性と信頼性を担保し、透明性を提供するIAEAの裏付け調査の重要性にも言及した。
      • 日本側がすべてのモニタリングデータを単一のウェブサイトに集め、アクセスしやすい形式にすることが非常に有用であると指摘した。関連する国際安全基準で直接要求されているわけではないが、このように重要なデータや結果へのアクセスを容易にすることは、利害関係者のプロセスへの参加を支援するのに役立つだろう。
      • 特に、タスクフォースは、放出された放射性核種の海底堆積物への蓄積が観察されるかどうかに関心を示した。しかし、タスクフォースは、放出された放射性核種のほとんどは、放出された量が非常に少なく、海中でさらに希釈されるため、環境中で検出されないと予想されるため、堅固な検証を実施する可能性は限定的であることを認めた。
      • タスクフォースは、IAEA包括報告書(2023年7月)に記載されているように、関連区域及び通常運転時の職業放射線防護対策の持続可能性のためには、定期的なALPS処理水放出施設の評価が不可欠であり、現在実施されているとおり、継続すべきであることを再強調した。
    • 今後の計画
      • タスクフォースは、東京電力と原子力規制委員会の活動が関連する国際安全基準に合致しているかどうかを評価するため、引き続きレビューを行う。
      • この10月のミッション期間中、タスクフォースは次のステップについて話し合い、日本への定期的なレビューミッションを継続する意向を強調した。次回のレビューミッションは2024年春に実施される予定である。
  • IAEA報告書を受けた対応
    • 日本政府は、引き続き、IAEAレビューを通じて国際的な安全基準に従った対策を講じ続け、安全確保に万全を期していきます。

経済産業省 IAEAによる「ALPS処理水の放射性核種分析における第2回目の分析機関間比較結果」に関する報告書が公表されました
  • 1月30日(ウィーン時間)、IAEAは、東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の安全性に関するレビューに関連して、「ALPS処理水の放射性核種分析における第2回目の分析機関間比較結果」に関する報告書を公表しました。
  • 本報告書では、分析機関間比較の結果が記載されるとともに、東京電力をはじめとした参加分析機関の能力に関する詳細な評価が含まれています。
  • 概要
    • 1月30日、IAEAは、ALPS処理水の取扱いに関する安全性レビューの一環として分析機関間比較結果に関する報告書を公表しました。本報告書は、IAEAが行うレビュー活動における(1)ALPS処理水の安全性(東京電力、経済産業省)、(2)規制活動とプロセス(原子力規制委員会)、(3)独立したサンプリング・データの裏付け・分析(IAEAによるモニタリング検証活動)のうち、(3)に関する結果を報告するものです。
    • 2022年10月にIAEA立ち会いの下でALPS処理水等貯蔵タンクから採取されたALPS処理水について、IAEAの研究所及びIAEAにより選定された第三国の分析機関が実施した分析結果の比較及びデータが示されています。
    • 本報告書は、2023年5月31日に公表された第1回目のALPS処理水の分析機関間比較結果報告書に続く、2回目の分析結果報告書になります。
  • 報告書のポイント
    • 以下1.から3.のポイントから、IAEAは、東京電力は正確で精密なALPS処理水の測定能力を有していることに留意し、東京電力が、ALPS処理水の放出中における東電福島第一原発での継続的な技術的ニーズを支えるための持続可能で堅固な分析体制を構築していることを実証した旨結論づけられています。
      1. 東京電力は高水準の測定の正確性と技術的能力を持つことが証明されている。
      2. 東京電力のサンプル採取手続は、代表的なサンプルを得るために必要な適切な基準に従っている。
      3. 東京電力が報告した検出限界値によると、使用されている核種分析の方法は、適切で目的にかなったものである。東京電力のソースタームに含まれる報告された全ての放射性核種検出限界値は、規制基準の1%未満であった。
    • 参加した分析機関
      • IAEA
        • 海洋環境研究所(モナコ所在)
        • 陸域環境放射化学研究所(オーストリア サイバーズドルフ所在)
        • アイソトープ・ハイドロジー研究所(オーストリア ウィーン所在)
      • 第三者分析機関
        • 韓国原子力安全技術院(韓国)
  • 報告書を踏まえた対応
    • 日本政府は、引き続き、IAEAレビューを通じて国際的な安全基準に照らした確認を継続し、安全確保に万全を期していく予定です。
    • 経済産業省は、IAEAによるレビュー結果を踏まえながら安全を大前提に処理水の海洋放出に関する取組を進めます。

経済産業省 IPEFサプライチェーン協定が発効します
  • インド太平洋経済枠組み(IPEF)サプライチェーン協定が米国時間の2月24日(土曜日)に発効する見込みとなりました。
  • 昨年11月にサンフランシスコで行われた、IPEF閣僚会合において署名されたサプライチェーン協定について、日本、米国、シンガポール、フィジー、インドが国内手続を完了し、寄託国である米国に対し通報を行いました。
  • これを受けて、米国時間の2月24日(土曜日)に協定が発効する見込みとなりました。引き続き、協定の実施に向けてIPEF参加国と連携して取り組んでいきます。
    • (参考)本協定の効力発生に関する規定(IPEFサプライチェーン協定第21条)
      • この協定は、オーストラリア、ブルネイ・ダルサラーム国、フィジー共和国、インド共和国、インドネシア共和国、日本国、大韓民国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン共和国、シンガポール共和国、タイ王国、アメリカ合衆国及びベトナム社会主義共和国による署名のために開放しておく。(中略)
      • この協定は、1に規定する国のうち少なくとも五の国が批准書、受諾書又は承認書を寄託者に寄託した日の後三十日で効力を生ずる。
▼ IPEF(インド太平洋経済枠組み)サプライチェーン協定(概要)
  • 経緯
    • 米国が主導し、2022年5月のバイデン大統領訪日時の首脳級会合においてIPEFの立ち上げを発表。
    • 2022年9月のIPEF閣僚級会合(於:ロサンゼルス)においてIPEFの4つの分野のうち「サプライチェーン」の分野について交渉を開始。
    • 2023年5月のIPEF閣僚級会合(於:デトロイト)において実質妥結を発表(IPEFで初の具体的成果)。
    • 2023年11月のIPEF閣僚級会合(於:サンフランシスコ)において署名式を実施。
    • 2024年2月24日に発効予定。
    • 【IPEFサプライチェーン協定交渉への参加国:米、日、豪、NZ、韓国、インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、インド及びフィジーの14か国。】
  • 意義
    • 成長が著しいインド太平洋地域において、有志国との平時・緊急時のサプライチェーンを強靭化し、我が国産業の国際競争力を向上。
    • サプライチェーンの途絶時における具体的な連携手続を規定する初の多数国間協定。
  • 概要
    • 主に以下の事項について規定している。
    • サプライチェーンの強化のための協力及び各国の行動並びに規制の透明性の促進
    • サプライチェーンにおける労働者の役割の強化
    • IPEFサプライチェーン協定に関する機関(IPEFサプライチェーン理事会、IPEFサプライチェーン危機対応ネットワーク、IPEF労働者権利諮問委員会等)の設置
    • 個別の施設における労働者の権利との抵触への対処
    • 重要分野・重要物品の特定
    • サプライチェーンのぜい弱性に対する監視及び対処
    • サプライチェーンの途絶への対応
  • IPEFサプライチェーン協定における主な規定の概要
    • IPEFサプライチェーン理事会及び各国による重要分野又は重要物品の特定
      • 潜在的な不足の影響や単一の供給者に対する依存の程度等を考慮の上、各国が自国の重要分野又は重要物品を特定。
      • 3か国以上が通報した重要分野又は重要物品の強靱性と競争力を向上させるための勧告を提供する行動計画を策定。
      • 行動計画には、供給源の多様化、物流上のボトルネックの緩和、連結性の強化、中小企業に重点を置いた事業取引のあっせんの加速化、共同研究開発の円滑化、貿易に対する障害の最小化又は除去等の勧告が含まれる。
    • IPEFサプライチェーン危機対応ネットワーク及びサプライチェーン途絶への対応
      • サプライチェーンの途絶の際の緊急の連絡経路として機能するIPEFサプライチェーン危機対応ネットワークを設置。
      • サプライチェーンの途絶時等には、本ネットワークの緊急会合(対面又はバーチャル方式)を要請可能。
      • 会合の要請国は、途絶の影響や途絶の原因等の情報について、可能な限り速やかに共有する。
      • 各国は、途絶への対処の経験等の共有、生産増大等の奨励、共同の調達及び提供の探求及び円滑化、代替輸送能力へのアクセスの円滑化及び特定等を含め、可能な範囲内で途絶に対する他国の対応を支援する。
    • IPEF労働者権利諮問委員会及び個別の施設における労働者の権利との抵触への対処
      • 各国の政労使代表から成るIPEF労働者権利諮問委員会を設置。サプライチェーンに対する重大なリスクをもたらす労働者の権利に関する懸念を特定し、同リスクに対処するための勧告の策定や労働者の権利に関する報告書の作成・公表等を行う。
      • 各国は、企業(従業員数20名以下を除く。)の施設であって他国の領域内に所在するものにおける労働者の権利との抵触に係る申立てを受領する仕組みを構築。申立てを受領した国(通報締約国)は、対象施設が所在する国(施設所在締約国)に通報を行い、通報を受領した施設所在締約国は、自国の法令に従い申立てを検討の上、検討結果を通報締約国に伝達。その後、通報締約国と施設所在締約国は申立ての解決に向けて対話を行う。
      • 一定期間内に解決に達しない場合、諮問委員会の政府代表から成る小委員会は、一定の情報を公開するとともに(企業や個人を特定する情報は含まない)、解決に向けた取組の継続の奨励や悪影響に対処するための提案の策定等を行う。

経済産業省 花粉症に悩む全ての方々を対象にしたイベント「もっと知ろう!花粉症対策のこと」を開催します
  • 政府は2023年4月に、社会問題化している花粉症問題の解決に向け「花粉症に関する関係閣僚会議」を立ち上げました。経済産業省における花粉症対策の取組として、花粉対策に資する商品やその認証制度をとりあげたイベント「もっと知ろう!花粉症対策のこと」を開催します。
  • 政府における花粉症対策について
    • 花粉症問題の解決に向けては、これまで長い間、各省庁で取組が行われてきました。花粉症の有病率は令和元年(2019年)時点で4割超にのぼるとの関係学会の調査データもあるなど、花粉症は未だ多くの国民を悩ませ続けている社会問題と言えます。
    • そこで、2023年4月には、花粉症について適切な実態把握を行うとともに、発生源対策や飛散対策、発症・ばく露対策の充実等に政府一体となって取り組むため、「花粉症に関する関係閣僚会議」が設置されました。ここでとりまとめられた花粉症対策に基づき、経済産業省としても花粉対策製品の周知等の取り組みを進めており、本イベントもその一環で開催をするものです。
  • イベント「もっと知ろう!花粉症対策のこと」について
    • 日時 2024年2月23日(金・祝)13:00から17:00
    • 場所 フーハ東京(東京都新宿区西新宿二丁目4番1号 新宿NSビル1、2階)
    • 参加費 無料
    • 登壇者 大久保公裕(医師・日本医科大学教授)、優木まおみ(タレント)
    • タイムライン
      • 13:00から17:00花粉対策商品メーカーによる最新の花粉対策の紹介と展示
      • 13:15から14:20ステージ上にて、大久保先生と優木さんによるトークショー
      • 「花粉症に悩む優木まおみさんの疑問に日本医科大学大久保教授が答えます!~みんなが知らない、最新の花粉症対策!~」
    • 概要
      • トークショーでは、花粉症研究の第一人者である日本医科大学の大久保教授をお招きし、最新の花粉症対策について教えていただきます。また花粉症に悩むタレントの優木まおみさんにもご登場いただき、ご自身の悩みを先生にぶつけていただき、解決策を探っていきます。
      • 会場内にはJAPOCの認証制度をクリアした製品を含む花粉対策グッズを紹介するブースを設置。空気清浄機やマスク、網戸といった製品を展示し、花粉対策の最先端をお伝えするなど、花粉症に悩む方々にとって有益な情報、コンテンツを盛りだくさんに用意しております。当日会場でアンケートをご回答いただいた方には、花粉対策グッズなどをプレゼントする予定です。

経済産業省 (株)豊田自動織機のフォークリフト等用エンジンの型式指定申請における不正行為について
  • 本日、株式会社豊田自動織機より、同社におけるフォークリフト等用エンジンの排出ガス試験等における不正行為に関する同社の調査結果の報告を受けました。
  • この報告の中で、産業車両用エンジンについて、令和5年3月に報告があった4機種のフォークリフト等用エンジンに加え、新たにフォークリフト用エンジン6機種及び建設機械用エンジン1機種で不正行為が確認されたこと、令和5年3月に報告があった2機種に加え、新たに1機種で基準不適合が確認されたこと、新たに自動車用エンジン3機種で不正行為が確認されたこと等の報告がありました。
  • 型式指定申請において不正を行うことは、ユーザーの信頼を損ない、かつ、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり、今回更なる不正行為が明らかになったことは極めて遺憾です。
  • これを踏まえ、経済産業省は、同社に対し、①顧客・取引先への適切な対応、②十分な対外説明、③原因の徹底究明・再発防止策の実施をするとともに、取組状況について速やかに報告するよう指導しました。
  • また、該当エンジンを搭載した建設機械を製造・販売した建設機械メーカーに対しては、オフロード法(特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律)の趣旨に則り、ユーザーへの丁寧な対応を行うよう指示しました。
  • 豊田自動織機からの報告概要
    • 同社の特別調査委員会の調査等により、以下の事項が判明。
      1. 産業車両用エンジンについて、令和5年3月に報告があった4機種のフォークリフト等用エンジンに加え、新たにフォークリフト用エンジン6機種及び建設機械用エンジン1機種で不正行為が確認されたこと
      2. ②同報告で基準不適合としていた2機種に加え、新たに建設機械用1機種で基準不適合を確認したこと
      3. 新たに、自動車用エンジンについて、3機種で不正行為が確認されたこと
    • 同社は、今回新たに不正行為が判明したフォークリフト用エンジン、自動車用エンジン及び当該エンジンを搭載するフォークリフトについて、本日付で自主的に出荷を停止する。
    • 同社は、新たに基準不適合が確認されたエンジンが搭載された建設機械のリコール措置に向け、建設機械メーカーと連携して対応を行う。
    • 同社は、特別調査委員会の調査結果及び提言を踏まえ、再発防止に取り組む。
  • 経済産業省の対応
    • 豊田自動織機からの報告を踏まえ、同社に対し、以下3点を指示するとともに、取組状況について速やかに報告するよう求めました。
      1. 情報提供など顧客・取引先への適切な対応
      2. 問題の経緯や今後の対応についての十分な対外説明
      3. 原因の徹底究明、再発防止策の実施
    • 建設機械メーカーに対し、該当エンジン搭載済みの建設機械について、オフロード法の趣旨に則り、リコール措置に向けた対応を行うとともに、ユーザーへの丁寧な対応や説明に努めるよう指示しました。

【厚生労働省】

【2024年4月】

厚生労働省 第4回 かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会 資料
▼ 資料1_かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に向けた論点について
  • 2025年に向けて、高齢者、特に後期高齢者の人口が急速に増加した後、その増加は緩やかになる一方で、既に減少に転じている生産年齢人口は、2025年以降さらに減少が加速する。
  • 構想区域別に、年齢区分別人口の2015年から2025年まで、2025年から2040年までの人口変動をそれぞれみると、特に2025年以降については、地域ごとに状況が大きく異なっている。大都市型では、高齢人口が概ね増加、生産年齢人口は微増~減少。地方都市型では、高齢人口が増加~減少と幅広く、生産年齢人口は微減~大幅減。過疎地域型では、高齢人口が減少している地域が多く、生産年齢人口は概ね大幅減
  • 全国での入院患者数は2040年にピークを迎えることが見込まれる。65歳以上が占める割合は継続的に上昇し、2050年には約8割となることが見込まれる。2次医療圏によって入院患者数が最大となる年は様々であるが、既に2020年までに98の医療圏が、また2035年までには236の医療圏がピークを迎えることが見込まれる。
  • 全国での外来患者数は2025年にピークを迎えることが見込まれる。65歳以上が占める割合は継続的に上昇し、2050年には約6割となることが見込まれる。既に2020年までに218の医療圏では外来患者数のピークを迎えていると見込まれる。
  • 全国での在宅患者数は、2040年以降にピークを迎えることが見込まれる。在宅患者数は、多くの地域で今後増加し、2040年以降に237の二次医療圏において在宅患者数のピークを迎えることが見込まれる。
  • 要介護認定率は、年齢が上がるにつれ上昇し、特に、85歳以上で上昇する。2025年度以降、後期高齢者の増加は緩やかとなるが、85歳以上の人口は、2040年に向けて、引き続き増加が見込まれており、医療と介護の複合ニーズを持つ者が一層多くなることが見込まれる。
  • 死亡数については、2040年まで増加傾向にあり、ピーク時には年間約170万人が死亡すると見込まれる。死因については、悪性新生物・心疾患とともに、老衰が増加傾向にある。死亡の場所については、自宅・介護施設等が増加傾向にある。
  • 2040年には就業者数が大きく減少する中で、医療・福祉職種の人材は現在より多く必要となる。
  • 病院に従事する医師数は、ここ20年で6.2万人増加しているが、60歳以上の医師が占める割合は17%に増加しており、平均年齢は45.1歳まで上昇している。診療所に従事する医師数は、ここ20年で1.9万人増加しているが、60歳以上の医師が占める割合は50%程度で、平均年齢は60.2歳まで上昇している。
  • 単独世帯の認知症高齢者の増加は85歳以上で特に顕著である。2025年には、85歳以上の男性の7%、女性の14%が独居認知症高齢者になる。2015~2040年の25年間で85歳以上の認知症高齢者は男性は2.80倍、女性は2.03倍増加する。
  • 団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム)の構築を実現。今後、認知症高齢者の増加が見込まれることから、認知症高齢者の地域での生活を支えるためにも、地域包括ケアシステムの構築が重要。人口が横ばいで75歳以上人口が急増する大都市部、75歳以上人口の増加は緩やかだが人口は減少する町村部等、高齢化の進展状況には大きな地域差。地域包括ケアシステムは、保険者である市町村や都道府県が、地域の自主性や主体性に基づき、地域の特性に応じて作り上げていくことが必要。
  • 「かかりつけ医」とは(定義)
    • なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要なときには専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師。
  • 「かかりつけ医機能」
    • かかりつけ医は、日常行う診療においては、患者の生活背景を把握し、適切な診療及び保健指導を行い、自己の専門性を超えて診療や指導を行えない場合には、地域の医師、医療機関等と協力して解決策を提供する。
    • かかりつけ医は、自己の診療時間外も患者にとって最善の医療が継続されるよう、地域の医師、医療機関等と必要な情報を共有し、お互いに協力して休日や夜間も患者に対応できる体制を構築する。
    • かかりつけ医は、日常行う診療のほかに、地域住民との信頼関係を構築し、健康相談、健診・がん検診、母子保健、学校保健、産業保健、地域保健等の地域における医療を取り巻く社会的活動、行政活動に積極的に参加するとともに保健・介護・福祉関係者との連携を行う。また、地域の高齢者が少しでも長く地域で生活できるよう在宅医療を推進する。
    • 患者や家族に対して、医療に関する適切かつわかりやすい情報の提供を行う。
  • かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に向けた基本的な考え方(案)
    • 複数の慢性疾患、認知症、医療・介護の複合ニーズ等をかかえる高齢者が増加する一方、医療従事者のマンパワーの制約があり、医療従事者の働き方改革を推進する中で、地域の医療機関等や多職種が機能や専門性に応じて連携して、効率的に質の高い医療を提供し、フリーアクセスのもと、必要なときに必要な医療を受けられる体制を確保することが重要ではないか。
    • このため、かかりつけ医機能報告及び医療機能情報提供制度により、
      • 「かかりつけ医機能を有する医療機関」及び当該医療機関のかかりつけ医機能の内容について、国民・患者に情報提供し、明確化することによって、国民・患者のより適切な医療機関の選択に資することが重要ではないか。
      • また、「かかりつけ医機能を有する医療機関」及び当該医療機関のかかりつけ医機能の内容や今後担う意向について、地域の協議の場に報告し、地域での確保状況を確認して、地域で不足する機能を確保する方策(プライマリケア研修や在宅医療研修等の充実、夜間・休日対応の調整、在宅患者の24時間対応の調整、後方支援病床の確保、地域の退院ルール等の調整、地域医療連携推進法人制度の活用等)を検討・実施することによって、地域医療の質の向上を図ることが重要ではないか。
      • その際、地域性を踏まえた多様な「かかりつけ医機能を有する医療機関」のモデルの提示を行い、地域で不足する機能の確保のため、各医療機関が機能や専門性に応じて連携しつつ、自らが担うかかりつけ医機能の内容を強化するように促すことが重要ではないか。
    • 「地域における協議の場」でのかかりつけ医機能に関する協議について、特に在宅医療や介護連携等の協議に当たって、市町村単位や日常生活圏域単位での協議や市町村の積極的な関与・役割が重要ではないか。
    • かかりつけ医機能が発揮されるための基盤整備として、かかりつけ医機能の確保に向けた医師の教育や研修を充実して、患者の生活背景等も踏まえて幅広い診療領域の全人的な診療を行う医師の増加を促していくことが重要ではないか。
    • 地域におけるかかりつけ医機能の実装に向けて、在宅医療・介護連携推進事業による相談支援や在宅医療研修等の取組、地域医療連携推進法人等による病院や診療所等の連携確保、複数医師による診療所、複数診療所でのグループ診療等の推進、都道府県・市町村職員の研修等を充実していくことが重要ではないか。また、医療DXによる医療機関間の情報共有基盤の整備等に取り組むことが重要ではないか。

厚生労働省 性感染症
  • 性感染症(STI; Sexually-transmitted Infections)とは、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、梅毒及び淋菌感染症など、性的接触を介して感染する可能性がある感染症を指します。
  • 性的接触により、口や性器などの粘膜や皮膚から感染します。
  • オーラルセックス(口腔性交)やアナルセックス(肛門性交)などでも感染します。
  • 性感染症は、かゆみや痛みのような症状が問題であるだけではなく、感染症の種類によっては、もし治療をしなかった場合、不妊の原因となったり、神経や心臓などに深刻な合併症や後遺障害を残したりすることもあります。また、粘膜が傷つくことにより、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染しやすくなるなど、他の感染症に罹りやすくなることもあります。
  • 特に、生殖年齢にある女性が性感染症に罹患した場合には、母子感染(母親から赤ちゃんへの感染)により、先天性の体の障害の原因となり、放置すると障害が残る可能性もあります。
  • 感染しても、比較的軽い症状にとどまる場合や無症状であることもあるため、治療に結びつかないこともあり、感染した人が気付かないままパートナーに感染させてしまうこともあります。このため、不安に感じたら検査を受けることが大切です。
  • なお、現在梅毒の流行が拡大しています。
  • 梅毒について、詳しくはこちらをご覧ください。
    • 一般的な検査について
      • 保健所や医療機関で検査を受けることができます。
      • 不安に感じたら、すぐに検査を受けましょう。検査方法は症状により異なります。主に血液検査や視診、尿検査、おりものを採取した検査となります。
    • 予防方法について
      • コンドームの使用や検査や医療の積極的な受診による早期発見及び早期治療が性感染症の発生の予防及びまん延の防止に有効です。ワクチン接種により防ぐことができるものもあります。
    • 無料匿名検査について
      • 保健所により、匿名・無料でHIVや梅毒などの性感染症の検査を受けることができます。なお、HIV検査は、結果が分かるまでに1週間程度かかる「HIV通常検査」と、当日結果が分かる「HIV即日(迅速)検査」があります。夜間・休日検査やレディース・デーなどが設けられているところもあります。
    • 治療について
      • 性感染症の多くは治療できます。ただし、早期の段階で治療しなければ、合併症や後遺障害が残る可能性があるものもあり、早期発見、早期治療がとても重要です。治療方法は、感染症の種類によって異なります。
    • 感染症法上の届出対象に関して
    • 知っておきたい性感染症の特徴的な症状
      • 性感染症の症状はいろいろで、中には目立った症状がないものもあります。
    • 症状
      • 性器や口の中に小豆から指先くらいのしこりや痛みの少ないただれができる
      • 痛み、かゆみのない発疹が手のひら、足の裏、体中に広がる
      • 上記の症状が消えても感染力が残っているのが特徴である
      • 治療をしないまま放置していると、数年から数十年の間に心臓や血管、脳などの複数の臓器に病変が生じ、時には死にいたることもある
      • 妊娠中の梅毒感染は特に危険
        • 妊娠している人が梅毒に感染すると、母親だけでなく胎盤を通じて胎児にも感染し、死産や早産になったり、生まれてくるこどもの神経や骨などに異常をきたすことがある。
        • 生まれたときに症状がなくても、遅れて症状が出ることもある。

厚生労働省 小林製薬社製の紅麹を含む食品に係る確認結果について
  • 今般、小林製薬社が直接、紅麹原料を卸している企業等から、小林製薬社製の紅麹原料を入手している企業173社に対して、下記のいずれかの事項に該当するかを点検した結果、いずれの企業からも該当する結果は得られませんでした。
    • 小林製薬の3製品に使用された紅麹と同じ小林製薬社製の原材料を用いて製造され、かつ、上記と同等量以上の紅麹を1日あたりに摂取する製品
    • 過去3年間で医師からの当該製品による健康被害が1件以上報告された製品

厚生労働省 規格不適合の墜落制止用器具の使用中止と回収について 皆さまの安全を守るため規格に適合した墜落制止用器具を使用してください
  • 厚生労働省は、高所作業等の際に使用が義務付けられている墜落制止用器具(安全帯)の安全性を確認するため、国内で販売されている製品の構造、性能、強度等の試験を行う買取試験を実施しています。
  • 令和5年度の買取試験※1の結果、一部製品に墜落制止用器具の規格※2(以下「規格」)で定める構造、性能、強度等の要件を満たしていないものが確認されました。規格で定める要件を満たしていない製品が使用された場合には、労働災害等の発生につながるおそれがあることから、厚生労働省では、販売者に対して当該製品の回収を要請するとともに、使用を中止するよう広く注意喚起するため、ウェブサイトでその事実を公表しています。
    • ※ 1フルハーネス型40種、胴ベルト型10種を対象に実施
    • ※ 2墜落制止用器具(安全帯)が具備すべき構造・性能・強度等を定めた告示。平成31年厚生労働省告示第11号。厚生労働省は、墜落制止用器具(安全帯)は一定の高さ以上ではフルハーネス型を使用することとする法令及び規格改正を実施している。規格は令和4年1月1日で経過措置期間が終了し、翌1月2日から全面適用している。
  • これらの規格で定める要件を満たしていない製品は、労働安全衛生法の規定により、高所作業等の際に使用する墜落制止用器具として製造、販売、使用が禁止されています。厚生労働省では、メーカー、ユーザー、販売業者の関係団体に対し、注意喚起の通達を発出し、高所作業等を行う場合は規格に適合した墜落制止用器具を使用するよう呼びかけています。

厚生労働省 死因究明等推進計画検証等推進会議報告書
  • はじめに
    • 死因究明及び身元確認(以下「死因究明等」という。)は、国民が安全で安心して暮らせる社会及び生命が尊重され個人の尊厳が保持される社会の実現に寄与するものであり、高い公益性を有するものである。近年、一層の高齢化の進展に伴う死亡数の増加や新型コロナウイルス感染症にみられたような新興感染症の脅威、大規模災害の発生リスク等に鑑み、死因究明等とその体制強化の重要性は、引き続き高い水準にある。
    • 死因究明等の推進体制については、これまで国において、死因究明等推進基本法(令和元年法律第33号。以下「法」という。)及び死因究明等推進計画(以下「計画」という。)に基づき、大学を通じた死因究明等に係る教育及び研究の拠点整備等の施策を引き続き図るとともに、令和5年2月末までには、全ての都道府県に死因究明等推進地方協議会(以下「地方協議会」という。)が設置されたほか、解剖のための施設や設備整備等の各種補助制度の活用が進むなど、一定の成果が見られた。また、令和6年1月に発生した「令和6年能登半島地震」においては、過去の大規模災害の教訓、現行の計画に基づいた取組等により、関係機関で連携し、必要な検案体制を整えるなどの取組も見られたところである。
    • 一方で、死因究明等に係る人材の育成・確保や体制の効果的な活用などは、引き続き課題となっている。この点、法においては、施策の進捗状況等を踏まえ、3年に1回、計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを変更しなければならないことと定められている。
    • 死因究明等推進計画検証等推進会議は、法に基づく現行の計画の見直しに当たり、新たな計画に盛り込むべき事項の検討並びに死因究明等に関する施策の実施状況の検証、評価及び監視の補佐を行うため、令和5年度に、5回にわたり、議論を行った。
    • 本報告書は、施策の進捗状況等を踏まえつつ、新たな計画に定めるべきと考えられる事項について取りまとめたものであり、政府においては、本報告書を踏まえて現行の計画を見直し、これに基づいて、引き続き、死因究明等に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図ることを期待する。
  • 現状
    • 我が国における年間死亡数は、人口の高齢化を反映して増加傾向にあり、平成15年に100万人を超え、令和4年には156万9,050人となっている。今後も年間の死亡数は増加傾向を示すことが予想されており、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、令和22年には約166万5千人にまで増加することが予想されている。
    • また、警察における死体取扱数(交通関係及び東日本大震災の死者を除く。)については、平成25年から令和3年までは年間約16万体から約17万体で推移していたところ、令和4年は19万6,103体、令和5年は19万8,664体と、いずれも19万体を上回っており、今後、我が国の年間死亡数の高まりとともに、さらに増加していく可能性がある。
    • さらに、死亡場所に関して、近年は、医療機関以外の場所における死亡が増加傾向にあり、社会の変化すなわち家族や生活の有り様を反映した傾向の変化を引き続き注視する必要がある。
    • これらの死亡の死因究明等を行う体制については、依然として地域によって差異がある。
    • 都道府県において解剖等を担う大学の法医学教室の人員数については、令和4年5月1日現在5名以下の人員となっている県が31県あり、そのうち常勤の医師が1人以下である県が10県あるなど、人材の不足が顕著に見受けられるところ、あわせて、今後法医学教室の常勤の医師の定年退職者の増加も見込まれている。
    • さらに、死因究明結果の活用についても、監察医解剖が行われている都府県では、監察医施設を中核として衛生行政の一環として死因究明を行った結果の分析や考察が公表されているが、それ以外の地域においては、こうした公衆衛生的観点からの分析等は未だほとんど行われていない状況にある。
    • こうした状況の中、法において、各地方公共団体は、死因究明等に係る施策の推進、検証・評価を行うため、地方協議会を設けるよう努めることが規定されているところ、令和4年度、全ての都道府県に同協議会が設置された。
  • 課題
    • 上述のとおり、死亡数の増加や、家族や生活の有り様の変化等により検案の実施体制への負荷が増大することが見込まれるとともに、近年自然災害が繰り返し発生し、大規模災害も予見されるほか、新型コロナウイルス感染症にみられたような新興感染症の脅威も存在している。しかしながら、我が国では未だに死因究明等の重要性が十分に認識され、充実した体制が取られているとは言い難い。その実施に係る人材の確保や体制整備は引き続き喫緊の課題である。
    • 人材育成等の面においては、医師等による死体の解剖が死因究明を行うための方法として最も有効な方法であるところ、解剖を担う大学の法医学者を始めとした法医学教室の人員確保、検案する医師等の人材育成、確保が急務となっている。とりわけ、各都道府県内の解剖を一手に引き受ける大学の法医学教室について、今後定年退職を迎える法医学者がさらに増えていく見込みの中、未だ常勤の医師が1名のみで、解剖を補助する人材も少ない状況が見受けられるなど、その体制の脆弱性が課題となっている。また、医師の働き方改革に伴い、令和6年4月より医師の時間外・休日労働の上限規制が開始され、大学において臨床医の確保の必要性が高まる中にあっても、法医学教室の人員確保が重要であることを再認識する必要がある。検案する医師についても、裾野の広がりも見られる一方で、広く臨床医等において、死亡診断書と死体検案書の別が未だ十分に理解されているとは言い難く、このため検案する医師の負担の増加も推察されるほか、依然として、検案する医師の高齢化や人員不足に悩まされている地方公共団体も少なくない。こうした死因究明等を担う人材を確保していくためには、死因究明等の公益性・重要性を社会全体で共有するとともに、法医学者や検案する医師等の適切な処遇の確保を推進することや、法医学に携わる者の活躍の場やキャリアパスの確保も重要である。
    • また、死因究明等が適切に実施されるためには、人員の確保とともにその資質の向上も必要であり、検案、死亡時画像診断に関する研修の充実や、大学の医学教育・歯学教育・薬学教育における死因究明等に関する内容の充実が求められる。
    • さらに、我が国の死因究明等の質の向上及び体制強化を図るためには、これらを支える大学の教育・研究体制を充実することが不可欠である。このため、大学間や学部間の連携を強化し、死因究明等に関する教育・研究拠点の整備・拡大を図っていくことも重要な課題である。
    • 地域の体制面については、その実情に応じて、死因究明等の人材が確保され、専門的機能を有する体制が整備されるよう、各地方公共団体において必要な施策が形成されることが求められる。そのためには、全ての都道府県に設置された地方協議会における議論をより活性化するとともに深化させることで、域内の関係者が課題を共有し、課題への迅速かつ的確な対応方策を立案し、連携して実行することが可能な人的な基盤や、地方公共団体による独自の取組を実施する素地を作る必要がある。しかし、現状においては、同協議会の都道府県ごとの活動の差は大きく、全国的な死因究明等に係る質の均てん化の観点からも、この活性化等を促すことは重要な課題である。
    • また、地震・津波・洪水等による大規模災害が発生した際には、検案、身元確認のために、多大な人員を動員することとなるが、そのような状況はいつ、どこにおいても起こり得るものである。既に地方公共団体において地域防災計画が策定されているところであるが、各都道府県は、このような非常時に対応できるよう、地方協議会等を活用して、あらかじめ平素から各都道府県の医師会、歯科医師会を始め、警察、保健所、郡市区等の医師会、歯科医師会等の実務を担う関係者が日頃から顔が見える関係性の構築に努めることも、効果的、効率的な体制の運用につながる必要な取組である。
    • 死因究明において、医師によって解剖・検査等が必要と判断された場合には、その適切な実施が担保される体制が、全ての都道府県において構築される必要がある。現状では、地方公共団体において、公衆衛生の向上・増進等を目的とした、医師によって必要と判断された解剖・検査等が少ない傾向が見られるほか、その実施の状況も地方公共団体によって差が大きく、得られた知見を社会に還元する機能に乏しいといえること等から、地域における死因究明体制が、少なくとも医師によって必要と判断された解剖・検査等が確実に行われる体制となるよう速やかに対応を推進することが必要である。また、解剖によって確実な死因を知ることは、死者及びその遺族等の権利利益の擁護に資するものであることから、公衆衛生の向上・増進等を目的とした解剖の実施は、あくまで医学的見地からの判断に基づきつつも、遺族に寄り添うことで遺族感情に資する側面を有することを勘案する必要もあろう。
    • また、死因究明等の成果が、死者及びその遺族等の権利利益の擁護に資するとともに、公衆衛生の向上・増進等のために活用され、災害・事故・犯罪・虐待等における被害の拡大防止や、予防可能な死亡の再発防止等にも寄与するよう、広く一般に発信、周知されることのほか、関係法令との整合性を図りつつ、検案結果や解剖結果、歯科診療情報等のデータベース化を進め、広く活用できるようにすることが重要である。

厚生労働省 小林製薬社製の紅麹を含む食品に係る確認結果について
  • 今般、小林製薬社が直接、紅麹原料を卸している企業52社に対して、下記のいずれかの事項に該当するかを点検した結果、いずれの企業からも該当する結果は得られませんでした。
    • 小林製薬の3製品に使用された紅麹と同じ小林製薬社製の原材料を用いて製造され、かつ、上記と同等量以上の紅麹を1日あたりに摂取する製品
    • 過去3年間で医師からの当該製品による健康被害が1件以上報告された製品
  • なお、当該企業から小林製薬社製の紅麹原料を入手している企業は173社とされており、こちらの点検につきましては、引き続き継続中である旨を申し添えさせていただきます。

厚生労働省 「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」を策定しました
▼ 別添1 「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」概要
  • 基本的な考え方
    • 人口減少による労働供給制約の下、個人の働き方へのニーズが多様化する中で、求職者等と企業等のミスマッチを解消し、希望する者の円滑な労働移動を促進するため、職場情報が適切に提供される必要。
    • 求職者等への職場情報の提供は、就職後の早期離職を防止し、企業等における人手不足の解消・生産性の向上に寄与。
    • 企業等における職場情報の提供に当たっての課題・対応策や労働関係法令等において定められている開示項目を整理。
  • 労働関係法令等における開示・提供項目等
    • 労働関係法令等による企業等の情報の開示項目を下記により整理
      • 労働者の募集に当たり開示・提供するもの
        • 労働条件(職業安定法)、募集・採用状況や職業能力の開発・向上及び職場定着の促進に関する取組状況(若者雇用促進法)
      • 労働者の募集の有無にかかわらず定期的な公表が求められるもの又は公表することが望ましいとされているもの
        • 中途採用者数の割合(労働施策総合推進法)、育児休業の取得状況(育児介護休業法)、プラチナくるみん取得企業の次世代育成支援対策の実施状況(次世代育成支援対策推進法)、女性の活躍状況(女性活躍推進法) 等
      • 資本市場において公表する非財務情報(人的資本関係)
        • 人材育成・社内環境整備の方針、女性管理職比率等(企業内容等の開示に関する内閣府令) 等
  • 求職者等が開示・提供を求める情報等
    • 求職者等が開示・提供を求める情報の内容(例示)
      • 企業・業務に関する情報
        • 企業の安定性、事業・業務内容、習得できるスキル、入社後のキャリアパス
      • 環境に関する情報、労働条件等
        • 在宅勤務、テレワーク、副業・兼業の可否、女性の活躍状況、育児休業等の取得状況、短時間勤務等
      • その他
        • 転職者の場合は、経験者採用等割合・離職率、研修制度等 非正規雇用労働者の場合は、就職後のキャリア形成、正社員転換制度の有無・実績等
    • 提供する情報の単位
      • ミスマッチ防止の観点から、所属する予定の部署や担当する予定のプロジェクトチーム単位等での情報であることが望ましい
  • 提供に当たっての課題や対応策
    • 職場情報の提供時期・提供方法
      • ウェブサイト、求人票や募集広告での開示のほか、多様な提供方法がある
        • 企業説明会、選考前の面談等における提供
        • 職業紹介事業者を経由して提供
        • 選考に係る面接の場での提供
        • 所属予定部署職員等との意見交換、職場見学の実施
    • 提供する情報の量
      • 過度に多い情報の提供は、①かえってわかりづらく、②必要以上に応募者を絞り込む可能性がある
      • 情報の性質等に合わせて、上記1の多様な提供方法を活用しながら提供することも有効
    • 資本市場における人的資本に関する情報の活用について
      • 資本市場において開示が進められている人的資本に関する情報を労働市場向けに活用することも有効
    • 数値情報の提供
      • 法令によるものではなく、任意に提供する数値情報は内容が不明確だと求職者等の誤解を招く可能性がある
      • 用いている数値の定義、算出方法を明示
    • 実績が低調な取組等に係る情報の提供
      • 採用活動上、不利な影響をおよぼす可能性が懸念される情報も誠実に提供することが望ましい
      • 情報提供に当たり、取組状況、経年変化、KPI、今後の方針等を併せて提供
    • 情報の正確性
      • 求職者等へ提供する情報は、入社後のミスマッチが可能な限り生じないよう、より実態に近い正確な内容を反映したものである必要があり、定義等があいまいな情報、長期間にわたり更新されていない情報等は見直す必要がある
      • 過度の負荷にならない範囲で情報を更新するとともに更新した時期等を併せて提供。導入している制度等はその有無だけでなく、利用状況等も併せて提供
    • 求職者等への情報提供に係る支援
      • ウェブサイトの更新やウェブサイト構築に係る負担が大きい場合やその他より幅広い情報提供を希望する場合
      • しょくばらぼの活用
    • 中小企業等における情報発信
      • 人材確保に向けた職場環境の整備等に取り組んでいる情報等、積極的な発信が効果的
      • しょくばらぼの活用

厚生労働省 「地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集」を作成しました~全国の各地域、多業種の中小企業を対象とした成功事例集~
  • 厚生労働省は、このたび、「地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集」を作成しました。
  • 全国的に人手不足感が高まる中、特に地方の中小企業では人材確保が大きな課題となっています。そこで、採用や定着に成功している20社にヒアリングを行い、成功事例として取りまとめました。
  • 課題の解決に向けた各社の取り組みについて、事業戦略の転換や業務内容の見直し、働く環境の整備や採用活動の工夫など、さまざまな角度から掘り下げています。
  • 中小企業が人材確保の取り組みを進めるにあたり、この事例集を活用してもらうため、今後、事業主支援や相談の場で活用したり、SNSなどを通じて積極的に発信していきます。
▼ 「地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集」(厚生労働省ウェブサイト)
  • 「地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集」のポイント
    • 離島や過疎地域も含め、北海道から沖縄まで全国の事例をバランスよく収集
    • 医療介護、保育、建設、警備、運輸などの人手不足分野に加え、製造、卸小売、飲食、宿泊、情報通信といったさまざまな業種の事例を収集
    • 取り組み内容を「事業戦略の転換」「業務の見直し」「誰もが活躍できる環境整備」「採用活動の工夫・多様化」の4つの観点から整理
    • 採用や定着といった課題ごとの悩みから事例を探すことができる「事例ナビ」も掲載

厚生労働省 労働基準関係法制研究会 第5回資料
▼ 資料1 労働時間制度等に関するアンケート調査結果について(クロス集計等)
  • 各労働時間制度適用者の有無については、多い順に、「1年単位の変形労働時間制」を適用している労働者がいる事業場が21.3%、「管理監督者」を適用している労働者がいる事業場が20.8%、「フレックスタイム制」を適用している労働者がいる事業場が17.7%等となっている。
  • 変形労働時間制、フレックスタイム制、それぞれについて、導入して支障に感じる事項及び導入していない場合の理由は、対象労働者の有無にかかわらず「特にない」が最も多い。対象労働者がいない場合の理由として、変形労働時間制、フレックスタイム制ともに、「労務管理が煩雑である」、「社内コミュニケーションに支障がある」の順に割合が高くなっている。
  • 変形労働時間制の導入有無別で変形労働時間制導入にあたっての支障をクロス集計したところ、導入していない企業について、導入している企業と比較すると、「労働者の生産性が下がる」及び「社内コミュニケーションに支障がある」の項目を選択した割合が高くなっている。
  • フレックスタイム制と通常勤務日を組み合わせる制度は必要だと思うかについて、「必要である、ある方がよい」が23.7%、「不要である、ない方がよい」が18.1%、「どちらでもよい、わからない」が55.7%となっている。
  • フレックスタイム制の適用有無別でフレックスタイム制と通常勤務日を組み合わせる制度が必要かどうかについてクロス集計すると、フレックスタイム制を適用している場合「必要である、ある方がよい」が47.1%、「どちらでもよい、分からない」が44.2%となっている。テレワークを行う労働者の有無別でフレックスタイム制の導入にあたっての支障をクロス集計すると、テレワークをしている労働者がいる場合、「特にない」29.9%で最も多い。なお、テレワークを行っている労働者がいない場合についても、「特にない」が最も多く39.3%となっている。
  • 業種別でフレックスタイム制と通常勤務日を組み合わせる制度が必要かどうかについてクロス集計すると、一部業種でnが少ないため一概に比較はできないが、「必要である、ある方がよい」と回答する割合が高いのは、「情報通信業」であり、比較的低いのは「製造業」、「建設業」、「運輸業、郵便業」となっている。
  • 職種別でフレックスタイム制と通常勤務日を組み合わせる制度が必要かどうかについてクロス集計すると、「必要である、ある方がよい」と回答する割合が比較的低いのは、「建設・採掘の職業」や「生産工程の職業」であり、それぞれ13.0%、13.8%となっている。
  • 「営業等の外勤の労働者」「出張時の労働者」「テレワークの労働者」について、事業場外みなし労働時間制を適用している企業はそれぞれ31.1%、36.7%、23.9%となっている。事業場外みなし労働時間制の対象となっている場合の労働時間管理方法は、「営業等の外勤の労働者」「出張時の労働者」「テレワークの労働者」について、「勤務管理システムに自己申告で入力」が最も多く、それぞれ35.0%、35.4%、40.1%となっている。
  • 営業等外勤や出張労働者について、労働時間を算定しがたい場合について、「該当するときはない(PC、スマートフォン等で労働時間を確認できる)」が35.0%と最も多く、次いで「労働の状況を申告させているが、その真偽を確認することができないとき」が29.9%、「始業・終業が自由であり、外回り等で労働の状況を確認できないとき」15.1%等となっている。テレワークを行っている労働者がいない割合は64.3%で最も高く、テレワークを行っている場合に当該労働者に適用している労働時間制度については、「通常の労働時間制度」が16.8%、「フレックスタイム制」が4.8%、「事業場外みなし労働時間制」が2.0%である。テレワークを行っている労働者がいる事業場に限定して、適用している労働時間制度をみると、「通常の労働時間制度」が最も多く、69.4%となっており、次いで「フレックスタイム制」が19.7%、「事業場外みなし労働時間制」が8.2%等となっている。
  • テレワークを行う労働者について、適用されている労働時間制度ごとに労働時間の管理方法をクロス集計すると、中抜け時間と始業・終業時間のいずれも、管理している場合は、どの労働時間制度であっても「勤怠管理システムに自己申告で入力」が最も多くなっているが、企画業務型・専門業務型裁量労働制、変形労働時間制等については、4割以上が「管理していない」となっている。
  • 勤務間インターバルの導入状況について、「勤務間インターバルを導入していない」企業が54.4%となっており、次いで「十分なインターバルを取れるよう終業時刻を固定している」が23.3%、「フレックスタイム制を用いずに、前日の終業時刻に合わせて、始業時刻を遅らせてインターバルを取らせている」が6.7%等となっている。
  • 適用している労働時間制度別にインターバルの導入状況をクロス集計すると、フレックスタイム制の他に、専門業務型・企画業務型裁量労働制で「フレックスタイム制と併用して労働者にインターバルを取らせている」と回答する割合が高くなっている。
  • 年5日の時季指定義務を運用するに当たって、育児休業取得や休職等の事情がある労働者に関して、取得時季の設定が困難となったケースがあるかについて、「ある」の回答は7.4%となっている。労働者が取り残したまま時効をむかえた年次有給休暇の取扱いについては、「そのまま消滅としている」が63.7%と最も多い。また、「消滅分に対する補償(金銭的補償を含む)をしている」は5.1%となっている。時間単位年休の上限日数が年5日であることについて、「ちょうどいい」が70.1%、「増やした方がよい」が19.6%、「減らした方がよい」が6.4%となっている。
  • 時間単位年休を「導入している」事業場は39.9%、「導入していない」事業場は54.5%となっている。 導入している企業のうち、時間単位で取得できる休暇の上限日数は「6日以上」が45.3%と最も多く、特別休暇等により年5日を超える時間単位年休の取得を可能としている企業が4割以上となっている。時間単位年休を導入していない理由については、「半日単位または1日単位でまとまった休暇を労働者に取らせたいから」が41.2%と最も多く、次いで「労働者のニーズがないから」が25.9%、「労務管理が煩雑だから」17.7%となっている。

厚生労働省 第11回自殺総合対策の推進に関する有識者会議(オンライン開催・ペーパーレス)資料
▼ 資料1 自殺の動向について
  • 令和5年の自殺者数は暫定値で21,818人となり、対前年比63人(約0.3%)減。男女別にみると、男性は2年連続の増加、女性は4年ぶりの減少となっている。また、男性の自殺者数は、女性の約2.1倍となっている。
  • 小中高生の自殺者数は、近年増加傾向が続き、令和5年(暫定値)では507人と、過去最多の水準となっている。
▼ 資料3-1 こどもの自殺対策緊急強化プランについて
  • 近年、小中高生の自殺者数は増加しており、令和4年の小中高生の自殺者数は514人と過去最多となった。
  • 関係省庁連絡会議を開催。有識者・当事者の方々からのヒアリングも踏まえ、こどもの自殺対策の強化に関する施策をとりまとめた。
  • このとりまとめに基づき、自殺に関する情報の集約・分析、全国展開を目指した1人1台端末の活用による自殺リスクの把握や都道府県等の
  • 「若者自殺危機対応チーム」の設置の推進など、総合的な取組を進めていく。
  • 今後、さらにそれぞれの事項についてより具体化を図った上で、こども大綱に盛り込めるよう検討を進める。
  • こどもの自殺の要因分析
    • 警察や消防、学校や教育委員会、地方自治体等が保有する自殺統計及びその関連資料を集約し、多角的な分析を行うための調査研究の実施(自殺統計原票、救急搬送に関するデータ、CDRによる検証結果、学校の設置者等の協力を得て詳細調査の結果等も活用)
    • 学校等における児童生徒等の自殺又は自殺の疑いのある事案についての基本調査・詳細調査の実施。国における調査状況の把握・公表 等
  • 自殺予防に資する教育や普及啓発等
    • すべての児童生徒が「SOSの出し方に関する教育」を年1回受けられるよう周知するとともに、こどものSOSをどのように受け止めるのかについて、教員や保護者が学ぶ機会を設定
    • 「心の健康」に関して、発達段階に応じて系統性をもって指導。「心の健康」に関する啓発資料の作成・周知 等
  • 自殺リスクの早期発見
    • 1人1台端末の活用等による自殺リスクの把握のための、システムの活用方法等を周知し、全国の学校での実施を目指す。科学的根拠に基づいた対応や支援のための調査研究
    • 自殺リスク含む支援が必要なこどもや家庭を早期に把握・支援するため、個人情報の適正な取扱いを確保しながら、教育・保健・福祉などの情報・データを分野を超えた連携に取り組む・公立小学校、中学校等でのスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の配置促進 等
  • 電話・SNS等を活用した相談体制の整備
    • 「孤独ダイヤル」(#9999)の試行事業の実施
    • LINEやウェブチャット・孤立相談等のSNSを活用した相談体制の強化 等
  • 自殺予防のための対応
    • 多職種の専門家で構成される「若者の自殺危機対応チーム」を都道府県等に設置し、自殺未遂歴や自傷行為の経験等がある若者など市町村等では対応が困難な場合に、助言等を行うモデル事業の拡充。その上で、危機対応チームの全国展開を目指す
    • 不登校児童生徒への教育機会の確保のための関係機関の連携体制の整備や、不登校特例校の設置促進・充実 等
    • こども家庭庁の自殺対策室の体制強化、関係省庁と連携した啓発活動
    • 「こども若者★いけんぷらす」によるこどもの意見の公聴、制度や政策への反映(支援につながりやすい周知の方法も含む)
    • 関係閣僚によるゲートキーパー研修の受講及び全国の首長に向けた受講呼びかけメッセージの作成 等こどもの自殺対策に関する関係省庁の連携及び体制強化等遺されたこどもへの支援
    • 地域における遺児等の支援活動の運営の支援 等

厚生労働省 第213回国会(令和6年常会)提出法律案
▼ 生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案の概要
  • 改正の趣旨
    • 単身高齢者世帯の増加等を踏まえ、住宅確保が困難な者への安定的な居住の確保の支援や、生活保護世帯の子どもへの支援の充実等を通じて、生活困窮者等の自立の更なる促進を図るため、(1)居住支援の強化のための措置、(2)子どもの貧困への対応のための措置、(3)支援関係機関の連携強化等の措置を講ずる。
  • 改正の概要
    1. 居住支援の強化のための措置【生活困窮者自立支援法、生活保護法、社会福祉法】
      1. 住宅確保が困難な者への自治体による居住に関する相談支援等を明確化し、入居時から入居中、そして退居時までの一貫した居住支援を強化する。(生活困窮者自立相談支援事業、重層的支援体制整備事業)
      2. 見守り等の支援の実施を自治体の努力義務とするなど、地域居住支援事業等の強化を図り、地域での安定した生活を支援する。
      3. 家賃が低廉な住宅等への転居により安定した生活環境が実現するよう、生活困窮者住居確保給付金の支給対象者の範囲を拡大する。
      4. 無料低額宿泊所に係る事前届出の実効性を確保する方策として、無届の疑いがある施設に係る市町村から都道府県への通知の努力義務の規定を設けるとともに、届出義務違反への罰則を設ける。
    2. 子どもの貧困への対応のための措置【生活保護法】
      1. 生活保護世帯の子ども及び保護者に対し、訪問等により学習・生活環境の改善、奨学金の活用等に関する情報提供や助言を行うための事業を法定化し、生活保護世帯の子どもの将来的な自立に向け、早期から支援につながる仕組みを整備する。
      2. 生活保護世帯の子どもが高等学校等を卒業後、就職して自立する場合に、新生活の立ち上げ費用に充てるための一時金を支給することとし、生活基盤の確立に向けた自立支援を図る。
    3. 支援関係機関の連携強化等の措置【生活困窮者自立支援法、生活保護法】
      1. 就労準備支援、家計改善支援の全国的な実施を強化する観点から、生活困窮者への家計改善支援事業についての国庫補助率の引上げ、生活保護受給者向け事業の法定化等を行う。
      2. 生活困窮者に就労準備支援・家計改善支援・居住支援を行う事業について、新たに生活保護受給者も利用できる仕組みを創設し、両制度の連携を強化する。
      3. 多様で複雑な課題を有するケースへの対応力強化のため、関係機関間で情報交換や支援体制の検討を行う会議体の設置(※)を図る。
        • ※ 生活困窮者向けの支援会議の設置の努力義務化や、生活保護受給者の支援に関する会議体の設置規定の創設など
      4. 医療扶助や健康管理支援事業について、都道府県が広域的観点からデータ分析等を行い、市町村への情報提供を行う仕組み(努力義務)を創設し、医療扶助の適正化や健康管理支援事業の効果的な実施等を促進する。
  • 施行期日
    • 令和7年4月1日(ただし、2(2)は公布日(※)、2(1)は令和6年10月1日)※2(2)は令和6年1月1日から
▼ 雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要
  • 改正の趣旨
    • 多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、「人への投資」の強化等のため、雇用保険の対象拡大、教育訓練やリ・スキリング支援の充実、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置を講ずる。
  • 改正の概要
    • 雇用保険の適用拡大【雇用保険法、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律】
      • 雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適用対象を拡大する(※1)。※1 これにより雇用保険の被保険者及び受給資格者となる者については、求職者支援制度の支援対象から除外しない。
    • 教育訓練やリ・スキリング支援の充実【雇用保険法、特別会計に関する法律】
      • 自己都合で退職した者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようにする(※2)。※2 自己都合で退職した者については、給付制限期間を原則2か月としているが、1か月に短縮する(通達)。
      • 教育訓練給付金について、訓練効果を高めるためのインセンティブ強化のため、雇用保険から支給される給付率を受講費用の最大70%から80%に引き上げる(※3)。※3 教育訓練受講による賃金増加や資格取得等を要件とした追加給付(10%)を新たに創設する(省令)。
      • 自発的な能力開発のため、被保険者が在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合に、その期間中の生活を支えるため、基本手当に相当する新たな給付金を創設する。
    • 育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保【雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律】
      • 育児休業給付の国庫負担の引下げの暫定措置(※4)を廃止する。※4 本来は給付費の1/8だが、暫定措置で1/80とされている。
      • 育児休業給付の保険料率を引き上げつつ(0.4%→0.5%)、保険財政の状況に応じて引き下げ(0.5%→0.4%)られるようにする(※5)。※5(1)(2)により、当面の保険料率は現行の0.4%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて、実際の料率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整。
    • その他雇用保険制度の見直し【雇用保険法】
      • 教育訓練支援給付金の給付率の引下げ(基本手当の80%→60%)及びその暫定措置の令和8年度末までの継続、介護休業給付に係る国庫負担引下げ等の暫定措置の令和8年度末までの継続、就業促進手当の所要の見直し等を実施する。
  • 施行期日
    • 令和7年4月1日(ただし、3(1)及び4の一部は公布日、2(2)は令和6年10月1日、2(3)は令和7年10月1日、1は令和10年10月1日)
▼ 再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律案の概要
  • 改正の趣旨
    • 昨今の技術革新等を踏まえ、先端的な医療技術の研究及び安全な提供の基盤を整備し、その更なる推進を図るため、再生医療等安全性確保法の対象拡大及び再生医療等の提供基盤の整備、臨床研究法の特定臨床研究等の範囲の見直し等の措置を講ずる。
  • 改正の概要
    • 再生医療等安全性確保法の対象拡大及び再生医療等の提供基盤の整備【再生医療等安全性確保法】
      • 細胞加工物を用いない遺伝子治療(※1)等は、現在対象となっている細胞加工物(※2)を用いる再生医療等と同様に感染症の伝播
      • 等のリスクがあるため、対象に追加して提供基準の遵守等を義務付けることで、迅速かつ安全な提供及び普及の促進を図る。※1 細胞加工物を用いない遺伝子治療:人の疾病の治療を目的として、人の体内で遺伝子の導入や改変を行うこと。※2 細胞加工物:人又は動物の細胞に培養等の加工を行ったもの。
      • 再生医療等の提供計画を審査する厚生労働大臣の認定を受けた委員会(認定再生医療等委員会)の設置者に関する立入検査や欠格事
      • 由の規定を整備することにより、審査の公正な実施を確保し、再生医療等の提供基盤を整備する。
    • 臨床研究法の特定臨床研究等の範囲の見直し等【臨床研究法、再生医療等安全性確保法】
      • 医薬品等の適応外使用(※3)について、薬事承認済みの用法等による場合とリスクが同程度以下の場合には臨床研究法の特定臨床研究及び再生医療等安全性確保法の再生医療等から除外することにより、研究等の円滑な実施を推進する。※3 薬事承認された医薬品等を承認された用法等と異なる用法等で使用すること(がんや小児領域の研究に多い。)
      • 通常の医療の提供として使用された医薬品等の有効性等について研究する目的で、研究対象者に著しい負担を与える検査等を行う場合は、その研究について、臨床研究法の対象となる旨を明確化することにより、研究対象者の適切な保護を図る。
  • 施行期日
    • 公布の日から起算して1年以内において政令で定める日
▼ 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律案
  • 改正の趣旨
    • 男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにするため、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、育児休業の取得状況の公表義務の対象拡大や次世代育成支援対策の推進・強化、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等の措置を講ずる。
  • 改正の概要
    • 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充【育児・介護休業法】
      • 3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が職場のニーズを把握した上で、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ(※)、労働者が選択して利用できるようにすることを義務付ける。また、当該措置の個別の周知・意向確認を義務付ける。※始業時刻等の変更、テレワーク、短時間勤務、新たな休暇の付与、その他働きながら子を養育しやすくするための措置のうち事業主が2つを選択
      • 所定外労働の制限(残業免除)の対象となる労働者の範囲を、小学校就学前の子(現行は3歳になるまでの子)を養育する労働者に拡大する。
      • 子の看護休暇を子の行事参加等の場合も取得可能とし、対象となる子の範囲を小学校3年生(現行は小学校就学前)まで拡大するとともに、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。
      • 3歳になるまでの子を養育する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。
      • 妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮を事業主に義務付ける。
    • 育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化【育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法】
      • 育児休業の取得状況の公表義務の対象を、常時雇用する労働者数が300人超(現行1,000人超)の事業主に拡大する。
      • 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定時に、育児休業の取得状況等に係る状況把握・数値目標の設定を事業主に義務付ける。
      • 次世代育成支援対策推進法の有効期限(現行は令和7年3月31日まで)を令和17年3月31日まで、10年間延長する。
    • 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等【育児・介護休業法】
      • 労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た時に、両立支援制度等について個別の周知・意向確認を行うことを事業主に義務付ける。
      • 労働者等への両立支援制度等に関する早期の情報提供や、雇用環境の整備(労働者への研修等)を事業主に義務付ける。
      • 介護休暇について、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。
      • 家族を介護する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。 等
  • 施行期日
    • 令和7年4月1日(ただし、2(3)は公布日、1(1)及び(5)は公布の日から起算して1年6月以内において政令で定める日)

【2024年3月】

厚生労働省 第6回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 資料
▼ 資料1 訪問系サービスなどへの従事について
  • 訪問介護等
    • ケアの質について
      • 訪問介護は、利用者と介護者が1対1で業務を行うことが基本であることを踏まえ、従事する訪問介護員等に対し、介護職員初任者研修等の研修修了や介護福祉士資格を義務付ける等、有資格者に限定している。また、訪問介護のサービス提供に当たっては、
        • 訪問介護計画の作成、利用申込の調整及び訪問介護員等に対する指示・業務管理等を行うサービス提供責任者(以下「サ責」という。)を利用者数に応じて配置することを基準とし、
        • 初回の訪問月においては、サ責による訪問介護又は訪問介護員等との同行訪問について、報酬上の加算を設けて、取組が進むようする
          など、利用者に対するケアの質を制度上担保する仕組みとしている。
      • さらに、定期巡回・随時対応型訪問介護看護及び夜間対応型訪問介護は、訪問介護と同様、利用者の居宅への訪問に当たって有資格者が従事するなど、利用者に対するケアの質が制度上担保される仕組みとなっている。
      • 外国人介護人材の訪問系サービスの実施の可否を検討するに当たっても、こうした枠組みを前提としつつ、利用者に対するケアの質を担保していかなければならない。
      • サービス提供に当たっては、適切なアセスメントに基づき自立支援に向けて取り組むことが基本となるが、訪問系サービスでは、利用者の個々人の身体状況や居宅での生活実態等に即した対応が求められるため、利用者によって手順や方法が異なり、標準化しにくい支援であるということができる。また、介護は、コミュニケーションを前提として業務を行う対人サービスであり、利用者等と適切にコミュニケーションを行うため、日本語によるコミュニケーション能力が不可欠である。特に訪問系サービスでは、利用者やその家族の生活習慣等に配慮しつつ、家族のほか、ケアマネジャーなどといった多職種と連携しながら支援を行うことが求められる。利用者の意向等を踏まえつつ、支援を行うことについては、語学力と現場でのコミュニケーション能力は必ずしも一致するものでなく、サ責の指導等も受けつつ、現場での経験をつみながらレベルアップしていく側面もある。
      • 実際、介護福祉士資格を取得した外国人介護人材が訪問系サービスに従事している事業所に対してヒアリングした際も、例えば、
        • 利用者の特性(性格や障害の有無等)等も踏まえ、サ責の意見等も参考にしながら、訪問先を判断すること
        • 新人の訪問介護職員には、新規利用者のサービスには入らず、事業所の先輩職員が担当している利用者について同行研修なども行いながら、サービスを引き継ぐこと
        • 調理については、味付けの違いなど文化の差が生じるが、利用者と一緒に取り組んだり、事業所で日本食の味付け研修を実施するなどしていること
        • サ責による同行訪問も、外国人介護人材が積み重ねでスキルが身につくこと等も踏まえつつ、状況に応じて期間を設定すること
        • 業務上で困った内容があれば、訪問先又は訪問先から事業所に戻った際等に報告・相談できる体制を整備し、必要に応じてサ責等から助言・指導を行うことや、定期的な研修(ケーススタディ)を実施することなど事業所としての工夫がさまざまなされていた。
    • キャリアアップ
      • また、受入事業者へのヒアリングからもわかるように訪問系サービスに従事したい外国人介護人材も一定数いることから、日本人と同様に、訪問系サービスを含む多様な業務を経験し、キャリアアップに繋がるようにすることは、外国人介護人材にとって、我が国で長期間就労する魅力が向上することにも繋がりうるものと考えられる。
      • 先進的な受入事業者においては、介護職員初任者研修、実務者研修の受講などを組み込む形で、外国人介護人材のキャリアアップ、国家資格取得に向けた人材育成の取り組みがなされており、外国人介護人材が多様な業務を経験しながらキャリアアップし、日本で長期間働くことができるように事業者が中心となって関係者と連携しつつ、支援していくことも重要である。
      • そのため、日本人と同様に適切な処遇を確保し、日本人労働者の処遇・労働環境の改善の努力が損なわれないようにするとともに、介護福祉士の資格取得に向けた国家試験の受験・合格の後押しや就労環境の整備等の様々な支援について、多様な主体が連携して取り組むべきである。
      • なお、受入事業者へのヒアリング等では、アジア諸国においても、今後、高齢化が見込まれることから、日本における訪問系サービスでのキャリアは、今後母国に帰った後もその概念やサービス内容等が役に立つこともあるといった意見が出された。地域共生社会や地域包括ケアシステムの実現を目指す我が国の介護・福祉サービスをアジア諸国に広めていく上でも、その核となる訪問系サービスに従事してもらうことは重要である。
      • 訪問介護等については、有資格者である訪問介護員等の人材不足が深刻な状況であり、また、訪問介護員等の高齢化も進んでいるところ、必要なサービスを将来にわたって提供できるように対応していくといった視点も重要である。
      • このような状況も踏まえつつ、積極的に外国人介護人材を受け入れ、その希望等も踏まえながら、訪問系サービスを含む多様な業務を経験してもらうことが必要になってくる。この際、外国人介護人材を単なる日本人の穴埋めの労働力として受け入れることは適切ではなく、外国人介護人材のキャリアパス等にも十分留意しつつ、事業所によるきめ細かな支援が求められる。
      • 以上を踏まえると、外国人介護人材の訪問系サービスの従事については、日本人同様に介護職員初任者研修を修了した有資格者等であることを前提に、ケアの質や権利擁護等の観点から、以下のとおり、事業者に対して一定の事項について遵守を求め、当該事項を適切に履行できる体制・計画等を有することを条件として従事を認めるべきであり、国においては、適切な指導体制の確保やハラスメント対応等の観点から、受入事業者の遵守事項の履行体制の確保の確認や、相談窓口の設置、受入環境整備等を行うことが重要である。
    • 事業者に求める措置
      1. 受入事業者に対しては、下記(1)~(5)の事項を適切に履行できる体制・計画等を有することについて、事前に巡回訪問等実施機関に必要な書類の提出を求めることとしてはどうか。また、外国人介護人材の訪問先の選定に当たっては、当該外国人介護人材のコミュニケーション能力や介護の技術の状況、利用者の特性等を踏まえつつ、サ責等の意見も勘案し、判断するとともに、従事に際しては、受入事業者から利用者・家族に対して丁寧な説明を行うことなど、適切な配慮を求めることとしてはどうか。
        • 遵守事項
          1. 受入事業者が行う外国人介護人材への研修については、EPA介護福祉士の訪問系サービスで求める留意事項と同様に、訪問介護の基本事項、生活支援技術、利用者、家族や近隣とのコミュニケーション(傾聴、受容、共感などのコミュニケーションスキルを含む)、日本の生活様式等を含むものとすること。
          2. 受入事業者は、訪問系サービスの提供を一人で適切に行えるように、一定期間、サ責等が同行する等の必要なOJTを行うこと。回数や期間については、利用者や外国人介護人材の個々状況により、受入事業者により適切に判断する。
          3. キャリアアップに向けた支援が重要になるところ、受入事業者等は外国人介護人材の訪問系サービスを実施する際、外国人介護人材の意向等を確認しつつ、外国人介護人材のキャリアパスの構築に向けたキャリアアップ計画を作成すること。
          4. ハラスメント対策の観点から、受入事業所内において、以下等の必要な措置を講ずること。
            • ハラスメントを未然に防止するための対応マニュアルの作成・共有、管理者等の役割の明確化
            • 発生したハラスメントの対処方法等のルールの作成・共有などの取り組みや環境の整備
            • 相談窓口の設置等の相談しやすい職場環境づくり
            • 利用者・家族等に対する周知
          5. 外国人介護人材の負担軽減や訪問先での不測の事態に適切に対応が行えるように備える観点から、介護ソフトやタブレット端末の活用による記録業務の支援、コミュニケーションアプリの導入や日常生活や介護現場での困りごと等が相談できるような体制整備など、ICTの活用等も含めた環境整備を行うこと。
    • 国が行う取り組み
      • また、国においては、適切な指導体制の確保、ハラスメント対策等の人権擁護、キャリアアップ支援の促進等の観点から、以下(1)~(3)の取り組みを行うこととしてはどうか。
        • (1)受入事業者への遵守事項を含めた適切な指導体制の確保の観点から、巡回訪問等実施機関について、必要な体制強化を進めながら、提出された書類に基づいて、受入事業者への巡回訪問等を行うこととし、外国人介護人材の雇用管理状況、OJT等の実施状況、ハラスメント対策の対応状況、キャリアアップ支援の実施状況等、前述の遵守事項が適切に実施されているかどうか、事業管理者やサ責等から、確認すること。
        • (2)ハラスメントを防ぐなど、人権擁護の観点から、第3者による母国語による相談窓口を設けること。あわせて、相談内容やその対応結果を分析し、相談窓口の質の向上を行うこと。
        • (3)キャリアアップ支援の観点から、外国人介護人材が受入事業所で働きながら、介護職員初任者研修を修了しやすくするため、地域医療介護総合確保基金事業等を活用しながら、研修等の受講支援や資格取得支援の取り組みを促すこと。あわせて、介護職員初任者研修を修了しやすい環境整備を行うとともに、事業所等の好事例、課題を収集すること。
  • 訪問入浴介護
    • 制度上、介護職員初任者研修等の修了が求められていない訪問入浴介護については、複数人でのサービス提供が必要なサービスであり、現行認められている施設系サービスと同様、比較的適切な指導体制を確保しやすいが、こうした体制等を確保した上で、外国人介護人材が、職場内で実務に必要な入浴等の研修等を受講し、業務に従事することとする。
  • その他
    • 外国人介護人材の業務の在り方については、各在留資格の制度趣旨・目的に基づき検討され、各在留資格制度の関係法令等により施行がなされてきたところ、訪問系サービスなどへの従事においても、今後、具体的な制度設計が進められていくことになるが、これまでと同様に、制度趣旨・目的等を踏まえつつ、準備ができ次第、順次施行することが考えられる。
    • その中で、技能実習制度については、令和6年2月9日の「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」で政府方針(技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書を踏まえた政府の対応)を決定した。これを踏まえて、3月15日には「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定された。同法律案では、新たに創設される育成就労制度は、原則3年以内の施行とされていることから、この状況にも留意する必要がある。
    • 現行の技能実習制度では、「本国への技能移転」という制度趣旨に基づき、技能移転の対象となる技能実習生の業務範囲を、必須業務、関連業務及び周辺業務に区分して規定しており、
      • 必須業務として、どの技能実習生も実施する身体介護業務を位置付け、
      • 関連業務及び周辺業務として、身体介護以外の支援等、必須業務に関連する技能の修得に係る業務等を位置付けている。
    • この点に関する見直しの方向性については特に留意する必要があり、仮に、現行の技能実習制度の下で、訪問系サービスなどへの従事に関して、具体的な制度設計を進める場合には、移転すべき技能等既存の制度との整合性について、一定の整理を行う必要がある

厚生労働省 労働災害発生状況
▼ 令和6年における労働災害発生状況について(3月速報値)
  • 死亡災害の発生状況
    • 全体
      • 死亡者数87人(前年同期比 +2人、 2.4%増加)
    • 業種別発生状況
      • 製造業 20人(前年同期比+4人、 25.0%増加)
      • 建設業 27人(前年同期比+2人、 8.0%増加)
      • 林業 3人(前年同期比▲2人、 40.0%減少)
      • 陸上貨物運送事業 13人 (前年同期比▲4人、 23.5%減少)
      • 第三次産業 19人(前年同期比+3人、 18.8%増加)
    • 事故の型別発生状況
      • 墜落・転落26人(前年同期比 +2人、 8.3%増加)
      • はさまれ・巻き込まれ16人(同▲4人、20.0%減少)
      • 交通事故(道路) 10人(同▲2人、16.7%減少)
        • ※ 以下、「激突され」、「転倒」、「崩壊・倒壊」の順
  • 休業4日以上の死傷者数
    • 全体
      • 休業4日以上の死傷者数12,246人(前年同期比▲8人、0.1%減少)
    • 業種別発生状況
      • 製造業 2,641人(前年同期比▲62人、2.3%減少)
      • 建設業 1,321人(前年同期比+2人、0.2%増加)
      • 陸上貨物運送事業 1,632人(前年同期比±0人、増減なし)
      • 第三次産業 5,818人(前年同期比+15人、0.3%増加)
    • 事故の型別発生状況
      • 転倒 3,826人(前年同期▲378人、9.0%減少)
      • 墜落・転落 1,979人(同+74人、3.9%増加)
      • 動作の反動・無理な動作 1,525人(同+137人、9.9%増加)
        • ※ 以下、「はさまれ・巻き込まれ」、「交通事故(道路)」、「切れ・こすれ」の順
        • ※ 令和6年1月1日から令和6年2月29日までに発生した労働災害について、令和6年3月7日までに報告があったものを集計したもの
        • ※ 新型コロナウイルス感染症のり患による労働災害を除いたもの

厚生労働省 第191回労働政策審議会労働条件分科会(資料)
▼ 資料No.2 家事使用人の雇用ガイドライン
  • 一般のご家庭内で職業として行われる家事労働は、個人がそれぞれの事情に合わせて柔軟に働くことができる働き方として、社会的な関心が大きくなっています。
  • その一方で、家事一般に従事する家事使用人は、労働契約法の適用は受けますが、労働基準法の適用を受けないことや、業務内容や就業時間などの基本的な内容が不明確であるために契約をめぐるトラブルが発生するケースが見られること、また、就業中のケガに対する補償が十分ではないことなどの問題が指摘されています。
  • また、家事使用人は、家政婦(夫)紹介所を通じて、それぞれのご家庭のもとで働くケースが多いのですが、家政婦(夫)紹介所はご家庭に家事使用人を紹介し、雇用関係の成立をあっせんする機関であり、あくまでもご家庭が雇い主となります。しかし、雇い主であるという認識が十分ではないケースも一部に見られます。
  • こうした状況を踏まえ、厚生労働省では、家事使用人の就業環境の改善に向けて、雇用主であるご家庭が、家事使用人と労働契約を結ぶ際や、就業中に留意すべき事項を示した、この『家事使用人の雇用ガイドライン』を作成しました。
  • 家事使用人に仕事を依頼するご家庭は、労働契約を結ぶ際、また就業に際してこのガイドラインの内容を踏まえ、家事使用人と十分話し合った上で契約の内容を決め、適正な就業環境の確保に努めることが望まれます。家事使用人の皆さまも、仕事を受ける前に、このガイドラインの内容をよく知っておくことが望まれます。
  • さらに、家事労働においては、家政婦(夫)紹介所がご家庭と家事使用人を仲介することが多いことから、このガイドラインは、家政婦(夫)紹介所が果たすべき役割も示しています。
  • 家事使用人を雇うご家庭・家事使用人・家政婦(夫)紹介所など、関係者全員でこのガイドラインをご参照いただき、家事使用人が働きやすい環境の確保に努めていただくようお願いします。
  • 家事使用人を雇用する際の留意事項
    • 労働契約の条件を明確にしましょう
      • 雇用主は、家事使用人と労働契約を結ぶ際に、家事使用人と話し合った上で、例えば、次の事項(主なもの)を明確にしましょう。労働契約書の記載例を参考にしてください。
      • その際、口頭で伝えるだけではなく、きちんと書面、もしくは電子メールなどで明示することで、雇用主と家事使用人の間のトラブルを未然に防ぐことにつながります。
      • 雇用主は、あらかじめ決めた労働契約は守らなければなりません。労働契約書に記載された内容はお互いによく確認し、労働契約の条件に反することがないようにしましょう。
    • 労働契約の条件を適正にしましょう
      • 報酬の額は、同じような業務に従事する家事使用人の報酬や、仕事の難易度、家事使用人の能力などを考慮して決定しましょう。また、最低賃金を下回るような低い水準となっていないかを確認し、家事使用人と話し合った上で、適切な水準となるようにしましょう。
      • 報酬は、家事使用人に直接支払うことが原則です。なお、支払方法については、家政婦(夫)紹介所とも相談の上、決めることも可能です(紹介手数料は家政婦(夫)紹介所に支払う必要があります)。
      • 泊まり込みの場合は、休憩や食事の時間、入浴や睡眠の時間をいつ取ってもらうのかをあらかじめ決めておきましょう。24時間の対応を依頼する場合でも、就業時間は12時間程度までとし、夜間に何度も対応を要する場合には、昼間に仮眠時間を設けるなど、家事使用人が過重労働とならないよう配慮してください。また、雇用主のご家族を含め、複数人での交替制とすることも検討してください。
      • やむを得ず残業をしてもらう必要がある場合も考えられますので、あらかじめ労働契約書などで、残業の有無と、残業が想定される場合はその時間数を明確にしておきましょう。その上で、実際に残業が発生する場合には、家事使用人の都合を確認し、その同意を得た上で残業してもらうなど、あらかじめどのように対応するかについて決めておきましょう。
      • なお、1週当たり40時間を超えるようなフルタイムで働く方について、さらに残業をさせる場合には、残業時間は月45時間以内となるようにするなど、過重労働とならないよう配慮してください。
      • 同じ人に家事使用人としての業務と介護保険サービスの双方を行ってもらう場合には、家事使用人の過重労働を防止するため、雇用主はできる限り、介護保険サービスにより対応を依頼する時間も含めて、家事使用人としての就業時間が上記で示した就業時間におさまるよう、契約の段階で設定するなど、全体の就業時間を踏まえた就業時間や休憩時間を設定することが望ましいです。
    • 就業環境を整えましょう
      • 雇用主は、家事使用人が業務を行う上で不安に感じることがないよう、労働契約を結ぶ前も結んだ後も話し合いの場を設けるとよいでしょう。特に、業務で求める水準や労働契約の内容に関する事項については、常日頃から家事使用人とコミュニケーションをとることが大切です。
      • 雇用主は、家事使用人の就業日ごとの始業・終業時刻を確認して、記録し、就業時間を適正に管理することが望ましいです。また、記録した就業時間については、家事使用人の認識と齟齬がないか、お互いに確かめるのがよいでしょう。
      • 雇用主は、自身の家庭のどこで、どのような業務をしている時にケガが起きやすいかを考え、就業中のケガが発生しないように家事使用人に対して注意を呼びかけましょう。また、明らかに危険な作業(例えば、高木の剪定、高層マンションの外側の窓拭き、屋根の修理、外壁の塗装)はさせないよう注意しましょう。
      • 家事使用人に業務を依頼する際は、あらかじめ決めた業務内容の範囲を超えないように気をつけましょう。新たに行ってほしい業務が発生した場合は、家事使用人と十分話し合い、必要に応じて労働契約の条件を変更した上で対応してもらうことが適切です。
      • 雇用主は、日頃から話しやすい雰囲気づくりを心がけ、家事使用人が業務に関する相談などをしやすい環境を整えましょう。家事使用人から相談や苦情を受けた場合は、家事使用人と十分に話し合いを行い、雇用主が自主的に解決を図るよう努めましょう。雇用主は、家事使用人が働く上で困った際に、相談するためにふさわしい家庭内の相談者を事前に労働契約書に記載するなどして共有しておくとよいでしょう。
      • 家事使用人に対するパワハラ、セクハラなどのハラスメントは絶対に許されません。トラブルを避けるためにも、金品や貴重品など、触れてはいけないものについては事前に伝え、金庫などの鍵のかかる場所に保管するなどして、雇用主自身で管理しましょう。また、買い物などで財布を預ける場合は、出納簿を作成するなど、お互いが管理状況を確認できるように工夫しましょう。雇用主は、家事使用人が就業場所などでケガなどをした場合、家事使用人とその原因及び補償について十分話し合いましょう。
    • 労働契約の更新・終了の際には適切に対応しましょう
      • 家事使用人を期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という)で雇っている場合に、自動更新の労働契約を結んでいなければ、基本的には労働契約の期間の満了日に契約は終了します。
      • ただし、労働契約の期間について5年を超えて更新する際は、家事使用人が希望すれば、期間の定めのない労働契約(以下「無期労働契約」という)にすることができます(無期転換ルール)。有期労働契約の家事使用人が、雇用主(ご家庭)に対して無期転換の申込みをした場合に、無期労働契約が成立し、雇用主は断ることができません。家事使用人から無期転換の希望があった場合に適切に対応できるよう、こうしたルールも理解しておきましょう。
      • 家事使用人の家事能力や性格などに不満があるなど、辞めてもらいたいと思ったときでも、すぐに解雇や雇止めをするのではなく、まずは、家事使用人と十分に話し合った上で円満に解決できるように努めましょう。
    • 保険の加入やケガなどの発生状況について確認しましょう
      • 家事使用人に関係する保険には、大きく分けて以下の2種類が存在します。雇用主は、家事使用人または家政婦(夫)紹介所に対して、どのような保険に加入しているのかを確認しましょう。また、それをお互いに事前に確認し、万が一の場合に備えておきましょう。
      • 損害保険加入の有無 家事使用人が、就業先であるご家庭または第三者に対して、業務に関連して損害を与えた場合に備えるための保険。
      • 災害補償保険(労災保険の特別加入を含む)加入の有無 家事使用人が、業務が原因となって、自身がケガや病気をした場合に備えるための保険。

厚生労働省 第68回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
▼ 【資料2-2】雇用の分野における女性活躍推進等に係る閣議決定等関係資料
  • 雇用の分野における女性活躍推進等に係る閣議決定等
    1. 経済財政運営と改革の基本方針2023(令和5年6月16日閣議決定)(抄)
      • 女性版骨太の方針2023に基づき、L字カーブの解消に資するよう、女性活躍と経済成長の好循環の実現に向けて、プライム市場上場企業を対象とした女性役員に係る数値目標の設定やその達成を確保する仕組みの導入など女性登用の加速化、女性起業家の育成・支援等を進めるとともに、多様な正社員の普及促進や長時間労働慣行の是正、投資家の評価を利用した両立支援等の多様で柔軟な働き方の推進、仕事と家庭の両立に向けた男性の育児休業取得の促進やベビーシッター・家事支援サービス利用の普及、男女間賃金格差の更なる開示の検討、女性の視点も踏まえた社会保障制度・税制等の検討、非正規雇用労働者の正規化や処遇改善、女性デジタル人材の育成、地域のニーズに応じた取組の推進、就業支援や養育費の確保を含めたひとり親家庭支援など女性の所得向上・経済的自立に向けた取組を強化する。(略)
    2. 規制改革実施計画(令和5年6月16日閣議決定)(抄)
      • 企業による雇用関係情報の公開に関する方法等の見直し
        • 厚生労働省は、女性の活躍推進企業データベース、両立支援のひろば、職場情報総合サイト(しょくばらぼ)について、企業による更なる情報公表を促すため、これらの利用者像や利用実態等を把握し、その結果を企業等に周知するなど必要な措置を講ずる。
        • 厚生労働省は、労働者がより適切に職業選択を行うため、また、企業にとっては円滑な人材確保を図るため、企業に公表を推奨すべき情報等について検討し、開示の項目や方法を整理した職場情報の開示に関するガイドライン(仮称)を策定するなど、必要な措置を講ずる。
    3. 女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針2023)(令和5年6月13日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定)(抄)
      • 地方に多く存在する中小企業において女性活躍が進まない要因として、企業経営者等の無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の存在が挙げられるが、これを解消して行動の変容を促すため、中小企業を含む企業の経営者等に向けた研修用のコンテンツの開発・普及に取り組む。【厚生労働省】
      • 女性活躍を推進している企業の多くが抱えている「本人が現状以上に活躍したいと思っていない」「社内にロールモデルとなる女性社員が少ない」といった課題に対応するため、メンター制度の導入やロールモデルの育成、地域ネットワーク構築に関するマニュアル及び事例集を作成することで、女性労働者のキャリア形成支援を図る。【厚生労働省】
      • 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づく男女の賃金の差異に係る情報の公表について、常時雇用労働者301人以上の対象企業における適切な情報公表を推進し、各企業における課題の的確な把握・分析とその結果を踏まえた格差の是正に向けた取組を支援する。また、本年夏を目途に本制度の施行状況に係るフォローアップを行い、常時雇用労働者101人から300人の事業主への公表義務の対象拡大の可否について、必要な検討を行う。「女性の活躍推進企業データベース」の機能強化やコンテンツの充実等により、データベースのユーザビリティの向上を図り、更なる「見える化」を行う。【厚生労働省】
    4. 女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針2023)(令和5年6月13日すべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部決定)(抄)
      • 職場におけるハラスメントを防止するため、パンフレット等の作成・配布等により、テレワークやオンラインの場合も含め、ハラスメントを行ってはならない旨の周知を行うほか、中小企業を含む企業の経営者や人事労務担当者等を対象とする研修動画の配信や、12月の「ハラスメント撲滅月間」に集中的な広報・啓発を行う。
      • 男女雇用機会均等法等及びこれに基づく指針について、事業主が講ずべき措置の内容だけでなく、就職活動中の学生等への対応も含めた望ましい取組の内容を周知するとともに、非正規雇用労働者も含めて活用可能な外部相談窓口についての周知を徹底する。【厚生労働省】
      • 就職活動中の学生に対するセクシュアルハラスメントや教職員が学生に対して行うハラスメント等の防止のため、大学等の関係者が集まる各種会議等において、各大学における取組の好事例の発信や、相談窓口の周知等を一層強化する。【文部科学省、厚生労働省】
      • 女性の就業率が上昇する中、仕事と女性の健康課題等(月経関連症状、医学的に妊娠・出産に適した年齢など妊娠・出産に関すること、更年期症状等)との両立が課題となっている。
      • 働く女性の月経、妊娠・出産、更年期等、女性特有のライフイベントに起因する望まない離職等を防ぎ、女性が活躍し、健やかで充実した毎日を送り、安心して安全に働けるよう、事業主健診(労働安全衛生法に基づく一般定期健康診断)に係る問診に、月経困難症、更年期症状等の女性の健康に関連する項目を追加するとともに、産業保健体制の充実を図る。(中略)加えて、生理休暇の名称の在り方を含め、生理休暇制度の普及促進のための方策について検討するとともに、更年期症状による体調不良時等に対応する休暇制度の導入状況に関する調査を実施し、その結果を踏まえた周知を行うことにより、女性が必要な休暇を取得できるよう環境整備を進める。(略)【内閣官房、厚生労働省、経済産業省、(人事院)】
      • 健康日本21(第三次)に「女性の健康」が盛り込まれたことも踏まえ、女性の健康に関する情報提供サイトの普及啓発を図るとともに、「女性の健康週間」の実施、ホームページやSNS等の様々なコンテンツを活用した情報発信や、好事例の横展開を図る。【文部科学省、厚生労働省】

厚生労働省 第9回雇用政策研究会資料
▼ 【資料4】これまでの研究会における議論の整理
  • 報告書「多様な個人がバックグラウンドに関わらず包摂され、活躍できる労働市場の構築に向けて」骨子
  • コロナ後の社会経済・労働市場の動向
    • 社会経済情勢・雇用情勢の変化
      • 足下では、物価高等の影響も懸念されるものの、人手不足感の高まりを受けて求人数はコロナ前を上回っており、今後は、雇用のミスマッチへの対応や人手不足対策の強化が求められている。
      • 生成AIの活用が進むことで、仕事内容が大きく変化する可能性もあり、新たなテクノロジーを踏まえた対応が求められる。
    • 2040年の労働市場に向けて
      • 総人口は、2070年に現在の7割に減少し、65歳以上人口がおよそ4割を占めるとされており、こうした人口変化は労働力の変化にも影響を与えることが想定される。
      • 経済成長と労働参加が同時に実現した場合には、2040年には労働力人口は6,791万人、就業者数は6,734万人となることが見込まれており、これまで以上に多様なバックグランドの方の労働参加を促すとともに、労働者一人ひとりの労働生産性の向上を図っていくことが重要となっている。
    • 社会経済情勢・雇用情勢の変化
      • コロナの5類への移行後、経済活動再開に向けた動きの中で、雇用情勢の改善がみられている。足下では、物価高等の影響も懸念されるものの、人手不足感の高まりを受けて求人数はコロナ前を上回っており、今後は、雇用のミスマッチへの対応や人手不足対策の強化が求められている。
      • また、技術革新について目を向けると、生成AIのような新たなテクノロジーの職場での活用も進んできており、更なる労働生産性の向上も期待される。一方、技術変化に伴うスキルやタスクの変化が今後も想定されることから、時代に合わせた人的資本投資等が必要となってくる。
      • 人手不足により労働市場がタイトとなっていることを契機に、労働条件の改善を通じた労働参加の促進や、テクノロジーの活用を通じた労働生産性の向上を図ることが重要。
    • 2040年の労働市場に向けて
      • 社人研の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」によると、2070年には、総人口は現在の7割に減少し、65歳以上人口がおよそ4割を占めるとされており、こうした人口変化は労働力の変化にも影響を与えることが想定される。
      • 2023年度の労働力需給推計では、女性や高齢者の労働参加が想定を上回って進展したことをうけ、経済成長と労働参加が同時に実現した場合には、2040年には労働力人口は6,791万人、就業者数は6,734万人となることが見込まれている一方、一人あたり実質成長がゼロであり、労働参加も現状から進まない場合には、労働力人口は6,002万人、就業者数は5,768万人となることが想定されている。
      • 人口減少という構造的課題を抱える中、多様な個人がバックグラウンドに関わらず、また自身の希望に応じて自由に労働参加ができ、活躍できる労働市場の構築を図っていく必要がある。このためには、柔軟な働き方を可能とする環境整備を行っていくことに加えて、テクノロジーを活用した労働生産性の向上を図っていくことが求められる。
  • 多様なバックグラウンドの方の労働参加
    • 考え方
      • 人手不足が深刻化する中、より多くの人の労働参加・活躍を促していくことが重要であり、賃金や労働条件の改善を通じた労働参加へのインセンティブ向上や、企業内における多様な人材の活躍に向けた環境整備が重要である。特に、個人の希望やライフサイクルに合わせた柔軟な働き方を選択できるよう、職場環境の整備や雇用慣行の見直し等を図っていくことが求められる。
    • 柔軟な働き方の実現
      • 柔軟な働き方を実現していくためには、まずは「無限定な働き方が評価される」仕組みや基準を変えていく必要がある。これまで働き方改革を契機として長時間労働は減少傾向にあるが、こうした動きを継続することで、育児、介護、健康等の理由で、無限定な働き方が困難である人が所定内の時間で行った成果で公平に評価されることが重要である。
      • 制度面においても、短時間勤務制度やフレックスタイムの導入を進めるとともに、テレワークが行える環境整備等を行い、育児、介護、健康等の個々の事情に合わせて、働き方を選べる職場環境を整えることが重要である。柔軟な働き方が可能であるか否かについては、求職者の関心も高く、人材獲得の観点からも、企業のWLB制度への一層の取組とその見える化が重要である。また、人材獲得にあたっては、仕事を離れていた期間に関わらず、これまでの経験を適切に評価することが重要である。
    • ミドル・シニア世代も含む人材活用
      • 外部からの人材獲得が難しくなる中、企業内の人材活用も重要なテーマであり、企業は自社内の人材の掘り起こしや活用を行っていくことが求められる。
      • 特に、労働者自身の希望を踏まえたシニア人材の活用が重要であり、企業は労働者のエンゲージメントを高めながらミドル人材育成や再雇用者の活用について戦略的に取り組んでいくことが求められる。なお、事業者は、その際、実施可能な高齢者労働災害防止対策に積極的に取り組むよう努めることが求められる。
      • 社会全体においても、シルバー人材センター等を通じた多様な就労機会の提供や、地域の「小さな仕事」の紹介などを通じ、希望する高齢者が活躍できる環境整備を行っていくことが重要。
    • 性別に関わらず希望する働き方が実現できる環境整備
      • これまで育児休業等の両立支援制度の拡充を行ってきたが、制度整備だけでなく、男女共に実際に制度活用が行える環境整備が必要。特に、女性の希望する働き方の実現について、企業は、自社内での性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)やマミートラックを解消するため、女性管理職比率や男女の賃金差異といった指標でモニタリングする他、自社内での小さな労使コミュニケーション等を活用し、数値に現れない課題について洗い出しを行うことが重要である。企業内の慣行を変えていくためには、経営層の意識改革も重要であり、働き方の改善について経営層がメッセージを打ち出していくことも有用。さらに家庭内での家事負担の偏在が、就労に影響を与える可能性を踏まえ、そうした偏在の改善に向けた機運醸成が望まれる。
      • また、女性が特有の健康課題にも配慮した職場を実現していくことも今後重要となる。特に、管理層が女性の健康課題について理解を深め、フェムテック等を活用しながら必要な業務上の配慮を行うことが求められている。企業自身が、女性社員への配慮を十分に行うことは、企業価値を高めることに繋がる他、優秀な人材の獲得にも繋がることが期待される。
    • 個々の事情を乗り越えた労働参加に向けて
      • 就職を希望しているものの一歩を踏み出せない人への対応も重要である。特に、育児・介護等によって職場を離れていた期間が長い方については、これまでのスキル・経験の棚卸し、言語化ができるよう、キャリアコンサルタントによる伴走型の支援を行っていくことが求められる。
      • 生活の困窮、障害、雇用環境が厳しい時代に就職活動を行ったなど、特に手厚い支援を行う必要がある事情の方々には、自治体・NPO等と連携しながら、ハローワークによるアウトリーチも含めた伴走型支援を展開していくことが重要。
      • 就業を望む労働者が労働参加やより長い時間の就業を躊躇することがないよう、引き続きセーフティネットの在り方について、雇用に中立的な在り方から総合的に検討を進めていくことが必要。
    • 地域の人材不足への対応
      • 地域の人手不足対策は、地域の実情にあった処方箋をしていくことが重要。特に、人手不足が深刻化する中、雇用創出よりも、働き方改革やDX化の推進により企業の魅力を高めること、マッチングや地域の人材育成へのニーズが高まっている。
      • 人手不足が深刻化する地域では、東京圏をはじめとする都市部への人口集中が高まる中、地方への労働移動、UIJターンの促進を図ることや、テレワーク、副業・兼業などを通じて地域外との仕事のマッチングを図っていくことが求められる。
      • また、女性や高齢者などの潜在的な労働力の掘り起こしが重要であり、その際には、特に地域の中小・中堅企業において、労働条件・柔軟な働き方への対応などを抜本的に行っていくことが求められる。
    • 外国人労働者への対応
      • 人手不足の進展に伴い、幅広い分野において外国人材が活躍をしており、アジア諸国の中においても、日本での就労ニーズの高まりがみられている。適切な労働条件の下、日本が外国人材にとって魅力的な就労環境となるよう、引き続き雇用管理改善に取り組むことが重要。また、外国人材のスキル形成を図ることで、日本の労働市場での活躍はもちろんのこと、母国を戻った後でも日本での経験を用いて活躍できるように支援していくことが重要。
      • 特に、留学生の卒業後の就職・定着を促すため、関係機関、大学及び企業が連携しつつ、将来的なキャリアアップを見据えた支援が求められる。また、外国人材の包摂という観点から、生活支援も含めたサポートの強化が必要。
  • テクノロジーを活用した労働生産性の向上
    • 考え方
      • 足下では、生成AIの活用が進むなど、新たなテクノロジーが雇用にあたえる影響に注目が集まっている。生成AI・AI等の活用は、煩雑な業務から労働者を解放し、ウェルビーイングを高める効果が期待される一方、仕事内容(タスク)が大きく変わることも予想される。変化に取り残される人がないよう対応し、労働生産性向上のため活用を促進していくことが求められる。
    • 労使コミュニケーションの深化
      • 労使コミュニケーションを活性化させ、労使双方の納得感を高めながら、新たな技術の円滑な導入を行うことが重要。
      • 生成AI・AI等の活用促進のため、社内ポータル等を活用した社内コミュニケーションの深化を図ることや、地域単位、産業単位で情報共有の場を設けることで、技術革新等に対応できない企業や労働者を地域全体で支えることが重要。
    • モニタリング及び情報提供/マッチング機能の向上
      • 新たなテクノロジーの進展により、求められるスキル・タスクが大きく変わる可能性がある。政府はこうした変化を把握するとともに、job tag等において、職業に求められる知識・スキルなどについて広く情報提供を行うことが必要。
      • 技術変化に合わせて、外部労働市場のマッチング機能の向上が必要となる。ハローワークの就労支援機能の充実と、民間人材ビジネス等におけるHRテクノロジーを活用したサービス機能の向上等が期待される。
    • キャリア形成支援・職業訓練の充実
      • 技術変化に即した企業内での人材育成を強化していくと共に、労働者による自律的なキャリア形成を支援することが重要。
      • 加えて、産業界のニーズを踏まえた公的職業訓練の充実、デジタル人材育成のための「実践の場」開拓モデル事業、専門実践教育訓練給付における職業能力向上に資するAIを含むデジタル関係講座の拡大、人材開発支援助成金の活用促進、デジタルスキル標準等の速やかな更新等を通じて、デジタル人材の育成を推し進めていくことが重要。
    • ウェルビーイングの実現に向けたAIの活用促進
      • 生成AI・AI等についての高度な知識・スキルを有していない労働者であっても活用できるよう、ユーザーフレンドリーなユーザーインターフェースが今後開発されていくことが期待される。
      • 生成AI・AI等の効果的な活用が、社会全体で進むよう、生成AI・AI等の活用についての好事例を収集し、横展開していくことが重要。その際、AI等に関する各国の規制状況についても合わせて把握していくことが求められる。
    • テクノロジーに代替されないスキルの深化
      • 労使でのコミュニケーションを通じて、どのようなタスクを人間が担えば付加価値が高いのか、またどのようなタスクをテクノロジーが担えば効率的になるのかを日々検討し、人間が担う付加価値が高いスキル・タスクの深化を図っていくことが求められる。
  • 労働市場におけるインフラ整備等
    • 考え方
      • 社会経済情勢が目まぐるしく変化する中、同一企業内でのキャリア形成に加えて、自身が置かれた状況に応じて、企業外も含めた自律的なキャリア形成を行っていくことが可能な環境整備が求められる。
    • 労働市場の見える化
      • 自身の希望に合わせて職探しや職場探しが円滑に行えるよう、自身にあった職業をみつけられるjob tagや個々の企業の特徴がわかる「しょくばらぼ」といったデータベースの拡充・整備が求められる。
      • 特に、求職者は、ハローワークだけでなく、民間人材紹介ビジネスなど、様々なチャネルを活用した求職活動を行っていることを踏まえ、官民連携した労働市場の情報整備・公開が求められる。その際、職業能力検定等を活用した、キャリアラダーの構築についても検討を進めることが重要。
    • 人的資本投資
      • キャリア形成支援と合わせて、人的資本投資の機会の充実が求められる。企業は、社員の自律的なキャリア形成を支援し、かつ労働生産性の向上を図っていくために、研修プログラムを充実させていくことが望まれる。特に、中小企業では、自社内での研修プログラムを充実させつつ、人材開発支援助成金を活用しながら研修を実施していくことや、産業雇用安定センターを通じた在籍型出向を通じた越境学習を行える環境を整備することが求められる。
      • 企業外においても個人が自律的に学び直しができるよう、教育訓練給付の充実や求職者支援制度の活用促進等を行うことが求められる。
      • 労働者が職場選びの際に、自身のキャリア形成に有用な人的資本投資を行う企業かどうかわかるように、人的資本投資についての情報が広く開示されることが望まれる。
    • キャリア形成支援
      • 企業内でのキャリア形成では、企業側の人材配置戦略と労働者の希望するキャリアの擦り合わせが重要であり、労働者の希望に添った人材配置を行うことが望まれる。また、1on1の実施や労使・労労コミュニケーション、企業内キャリアコンサルティングの活用促進などを図ることで、離職(Exit)ではなく発言(Voice)を行える取組が重要である。
      • さらに、企業内での自律的なキャリア形成と企業側の人材配置を両立していく一つの方策として、職務を明確化した上での、社内公募制の活用等も考えられる。その際には、キャリアを見据えた学び直しの機会の提供なども重要となってくる。
      • 技術変化に即した企業内での人材育成を強化していくと共に、労働者による自律的なキャリア形成を支援することが重要。【再掲】
      • 加えて、産業界のニーズを踏まえた公的職業訓練の充実、デジタル人材育成のための「実践の場」開拓モデル事業、専門実践教育訓練給付における職業能力向上に資するAIを含むデジタル関係講座の拡大、人材開発支援助成金の活用促進、デジタルスキル標準等の速やかな更新等を通じて、デジタル人材の育成を推し進めていくことが重要。【再掲】
      • 企業外も含めたキャリア形成では、例えば、キャリア形成・学び直し支援センターやハローワークでのキャリア相談等の活用を通じ、労働者がキャリアの棚卸しができる機会の充実が求められる。
      • 就職を希望しているものの一歩を踏み出せない人への対応も重要である。特に、育児・介護等によってブランクが長い方については、家事・育児等も含めたこれまでのスキル・経験の棚卸し、言語化ができるよう、キャリアコンサルタントによる伴走型の支援を行っていくことが求められる。【再掲】

厚生労働省 第213回国会(令和6年常会)提出法律案
▼ 生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(令和6年2月9日提出)概要
  • 単身高齢者世帯の増加等を踏まえ、住宅確保が困難な者への安定的な居住の確保の支援や、生活保護世帯の子どもへの支援の充実等を通じて、生活困窮者等の自立の更なる促進を図るため、(1)居住支援の強化のための措置、(2)子どもの貧困への対応のための措置、(3)支援関係機関の連携強化等の措置を講ずる。
    1. 居住支援の強化のための措置【生活困窮者自立支援法、生活保護法、社会福祉法】
      1. 住宅確保が困難な者への自治体による居住に関する相談支援等を明確化し、入居時から入居中、そして退居時までの一貫した居住支援を強化する。(生活困窮者自立相談支援事業、重層的支援体制整備事業)
      2. 見守り等の支援の実施を自治体の努力義務とするなど、地域居住支援事業等の強化を図り、地域での安定した生活を支援する。
      3. 家賃が低廉な住宅等への転居により安定した生活環境が実現するよう、生活困窮者住居確保給付金の支給対象者の範囲を拡大する。
      4. 無料低額宿泊所に係る事前届出の実効性を確保する方策として、無届の疑いがある施設に係る市町村から都道府県への通知の努力義務の規定を設けるとともに、届出義務違反への罰則を設ける。
    2. 子どもの貧困への対応のための措置【生活保護法】
      1. 生活保護世帯の子ども及び保護者に対し、訪問等により学習・生活環境の改善、奨学金の活用等に関する情報提供や助言を行うための事業を法定化し、生活保護世帯の子どもの将来的な自立に向け、早期から支援につながる仕組みを整備する。
      2. 生活保護世帯の子どもが高等学校等を卒業後、就職して自立する場合に、新生活の立ち上げ費用に充てるための一時金を支給することとし、生活基盤の確立に向けた自立支援を図る。
    3. 支援関係機関の連携強化等の措置【生活困窮者自立支援法、生活保護法】
      1. 就労準備支援、家計改善支援の全国的な実施を強化する観点から、生活困窮者への家計改善支援事業についての国庫補助率の引上げ、生活保護受給者向け事業の法定化等を行う。
      2. 生活困窮者に就労準備支援・家計改善支援・居住支援を行う事業について、新たに生活保護受給者も利用できる仕組みを創設し、両制度の連携を強化する。
      3. 多様で複雑な課題を有するケースへの対応力強化のため、関係機関間で情報交換や支援体制の検討を行う会議体の設置(※)を図る。※生活困窮者向けの支援会議の設置の努力義務化や、生活保護受給者の支援に関する会議体の設置規定の創設など
      4. 医療扶助や健康管理支援事業について、都道府県が広域的観点からデータ分析等を行い、市町村への情報提供を行う仕組み(努力義務)を創設し、医療扶助の適正化や健康管理支援事業の効果的な実施等を促進する。
      5. 単身高齢者世帯の増加等を踏まえ、住宅確保が困難な者への安定的な居住の確保の支援や、生活保護世帯の子どもへの支援の充実等を通じて、生活困窮者等の自立の更なる促進を図るため、(1)居住支援の強化のための措置、(2)子どもの貧困への対応のための措置、(3)支援関係機関の連携強化等の措置を講ずる。
  • 施行期日
    • 令和7年4月1日(ただし、2②は公布日(※)、2①は令和6年10月1日)※2②は令和6年1月1日から遡及適用する
▼ 雇用保険法等の一部を改正する法律案(令和6年2月9日提出)概要
  • 多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、「人への投資」の強化等のため、雇用保険の対象拡大、教育訓練やリ・スキリング支援の充実、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置を講ずる。
    1. 雇用保険の適用拡大【雇用保険法、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律】
      • 雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適用対象を拡大する(※1)。※1 これにより雇用保険の被保険者及び受給資格者となる者については、求職者支援制度の支援対象から除外しない。
    2. 教育訓練やリ・スキリング支援の充実【雇用保険法、特別会計に関する法律】
      1. 自己都合で退職した者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようにする(※2)。※2 自己都合で退職した者については、給付制限期間を原則2か月としているが、1か月に短縮する(通達)。
      2. 教育訓練給付金について、訓練効果を高めるためのインセンティブ強化のため、雇用保険から支給される給付率を受講費用の最大70%から80%に引き上げる(※3)。※3 教育訓練受講による賃金増加や資格取得等を要件とした追加給付(10%)を新たに創設する(省令)。
      3. 自発的な能力開発のため、被保険者が在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合に、その期間中の生活を支えるため、基本手当に相当する新たな給付金を創設する。
    3. 育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保【雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律】
      1. 育児休業給付の国庫負担の引下げの暫定措置(※4)を廃止する。※4 本来は給付費の1/8だが、暫定措置で1/80とされている。
      2. 育児休業給付の保険料率を引き上げつつ(0.4%→0.5%)、保険財政の状況に応じて引き下げ(0.5%→0.4%)られるようにする(※5)。※5①・②により、当面の保険料率は現行の0.4%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて、実際の料率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整。
    4. その他雇用保険制度の見直し【雇用保険法】
      • 教育訓練支援給付金の給付率の引下げ(基本手当の80%→60%)及びその暫定措置の令和8年度末までの継続、介護休業給付に係る国庫負担引下げ等の暫定措置の令和8年度末までの継続、就業促進手当の所要の見直し等を実施する。
  • 施行期日
    • 令和7年4月1日(ただし、 3(1)及び4の一部は公布日、2(2)は令和6年10月1日、 2(3)は令和7年10月1日、1は令和10年10月1日)
▼ 再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律案(令和6年3月5日提出)概要
  • 昨今の技術革新等を踏まえ、先端的な医療技術の研究及び安全な提供の基盤を整備し、その更なる推進を図るため、再生医療等安全性確保法の対象拡大及び再生医療等の提供基盤の整備、臨床研究法の特定臨床研究等の範囲の見直し等の措置を講ずる。
    1. 再生医療等安全性確保法の対象拡大及び再生医療等の提供基盤の整備【再生医療等安全性確保法】
      1. 細胞加工物を用いない遺伝子治療(※1)等は、現在対象となっている細胞加工物(※2)を用いる再生医療等と同様に感染症の伝播等のリスクがあるため、対象に追加して提供基準の遵守等を義務付けることで、迅速かつ安全な提供及び普及の促進を図る。※1 細胞加工物を用いない遺伝子治療:人の疾病の治療を目的として、人の体内で遺伝子の導入や改変を行うこと。※2 細胞加工物:人又は動物の細胞に培養等の加工を行ったもの。
      2. 再生医療等の提供計画を審査する厚生労働大臣の認定を受けた委員会(認定再生医療等委員会)の設置者に関する立入検査や欠格事由の規定を整備することにより、審査の公正な実施を確保し、再生医療等の提供基盤を整備する。
    2. 臨床研究法の特定臨床研究等の範囲の見直し等【臨床研究法、再生医療等安全性確保法】
      1. 医薬品等の適応外使用(※3)について、薬事承認済みの用法等による場合とリスクが同程度以下の場合には臨床研究法の特定臨床研究及び再生医療等安全性確保法の再生医療等から除外することにより、研究等の円滑な実施を推進する。※3 薬事承認された医薬品等を承認された用法等と異なる用法等で使用すること(がんや小児領域の研究に多い。)
      2. 通常の医療の提供として使用された医薬品等の有効性等について研究する目的で、研究対象者に著しい負担を与える検査等を行う場合は、その研究について、臨床研究法の対象となる旨を明確化することにより、研究対象者の適切な保護を図る。
  • 施行期日
    • 公布の日から起算して1年以内において政令で定める日

厚生労働省 令和6年度「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施します~学生アルバイトのトラブル防止のために~
  • 厚生労働省では、全国の大学生等を対象として、特に多くの新入学生がアルバイトを始める4月から7月までの間、自らの労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施します。
  • 本キャンペーンは平成27年度から実施しており、本年で10回目となります。
  • キャンペーン期間中、厚生労働省では、大学等での出張相談や、アルバイトを始める前に知っておいてほしいポイントをまとめたリーフレットの配布などを行いますので、これからアルバイトを始める学生のみなさんはもちろん、既にアルバイトをされている方も、この機会にぜひ、ご自身の労働条件を確かめてみてください。
  • キャンペーンの概要
    • 実施期間
      • 令和6年4月1日から7月31日まで
    • 重点的に呼びかける事項
      • 労働条件の明示
      • シフト制労働者の適切な雇用管理
      • 労働時間の適正な把握
      • 商品の強制的な購入の抑止とその代金の賃金からの控除の禁止
      • 労働契約の不履行に対してあらかじめ罰金額を定めることや労働基準法に違反する減給制裁の禁止
    • 主な取組内容
      • 都道府県労働局による大学等への出張相談の実施
      • 都道府県労働局及び労働基準監督署に設置されている総合労働相談コーナーに「若者相談コーナー」を設置し、学生からの相談に重点的に対応
      • 大学等でのリーフレットの配布等による周知・啓発

厚生労働省 3月は「自殺対策強化月間」です~関係府省庁等と連携し、さまざまな取り組みを実施します~
  • 厚生労働省は、3月を「自殺対策強化月間」として、自殺防止に向けた集中的な啓発活動を実施しています。このたび、関係府省庁、自治体、関係団体における、令和5年度の取り組みをまとめましたので公表します。
  • 昨年の自殺者数は、暫定値ではありますが、総数が21,818人、小中高生の自殺者数が507人であり、いずれも高い水準となっています。
  • 自殺対策強化月間では、電話やSNSによる相談支援体制の拡充や、主に中高年層やこども・若者に向けたポスターや動画による相談の呼びかけなど、集中的な啓発活動を実施します。
  • 引き続き、「誰も自殺に追い込まれることのない社会」の実現に向け、自殺対策を推進していきます。
  • また、自殺に関する報道は、その報じ方によっては自殺を誘発する可能性があるため、各メディアの皆様は、WHOの『自殺報道ガイドライン』を踏まえた報道を行っていただくよう、自殺対策へのご協力をお願いします。
  • 各自治体における取り組みをまとめました。
▼ 各自治体における令和5年度自殺対策強化月間の主な取り組み
  • 厚生労働省の広報の取り組みの詳細については、こちらをご確認ください。
▼ 令和5年度の広報の取り組みについて(自殺対策)

厚生労働省 労働基準関係法制研究会 第3回資料
▼ 資料1 労働基準法における「事業」及び「労働者」について
  • プラットフォーム労働における労働条件改善に関する指令案(EU)
    • 欧州委員会は2021年12月、プラットフォーム労働における労働条件を改善し、EUのデジタル労働プラットフォームの持続可能な成長を支援するため、新たな指令案を提案。2023年6月12日、EUの労働社会相理事会で、議長スウェーデンの妥協案の合意が成立。今後、欧州議会との間で、提案者の欧州委員会も含めて協議が行われる予定。(令和5年12月28日時点)
    • 背景1:EUにおけるプラットフォーム労働の急拡大
      • 域内のプラットフォーム経済による収益は約200億€(2020年)
      • EUで500以上のプラットフォームが存在
      • プラットフォームで働く者は2,800万人(推計)。2025年には4,300万人となる見込み
    • 背景2:従事者の雇用地位の実態
      • 大半は本来の自営業者とみられる
      • 他方で、550万人(約2割)は労働者の可能性
      • 雇用上の地位をめぐり、加盟国で多数の訴訟が発生
    • 指令案の目的
      • プラットフォーム労働従事者に対する正しい雇用上の地位と権利の保障
      • アルゴリズム管理(※)の公平性・透明性・説明責任の確保 ※電子的手段等の自動化されたシステムを使用して、労働の遂行の監視や、労働成果の質の評価等の管理を行う仕組み
      • プラットフォーム労働の透明性・トレーサビリティの確保、法執行の改善
        • ※電子的手段等の自動化されたシステムを使用して、労働の遂行の監視や、労働成果の質の評価等の管理を行う仕組み
    • 基準による雇用関係の法的推定
      • プラットフォーム労働について、以下の判断基準を設定。このうち少なくとも3つを満たす場合、雇用関係があることが法的に推定。
        • デジタル労働PFが報酬の水準の上限を設定
        • デジタル労働PFがプラットフォーム労働遂行者に対し、出席、サービス受領者に対する行為又は労働の遂行に関して、特定の規則を尊重するように要求
        • デジタル労働PFが電子的手段を用いることも含め、労働の遂行を監督
        • デジタル労働PFが、制裁を通じても含め、労働時間や休業期間を選択する裁量を制限
        • デジタル労働PFが、制裁を通じても含め、課業を受諾するか拒否するかの裁量を制限
        • デジタル労働PFが、制裁を通じても含め、再受託者や代替者を使うかの裁量を制限
        • デジタル労働PFが、顧客基盤を構築したり、第三者のために労働を遂行したりする可能性を制限
      • 当該労働者は、雇用上の地位・社会保護の権利が保障される。
        • 【例】(1)最低賃金、(2)労働時間規制、有給休暇、(3)安全衛生措置、(4)失業給付、傷病手当、(5)産休・育休、(6)年金、(7)労災補償
      • 法的推定に異議がある場合、挙証責任はプラットフォーム側に課される。
    • 自動的なモニタリング又は意思決定システムによる管理
      • アルゴリズム管理による監視・評価・決定内容の事前説明・提供
      • アルゴリズム管理を監視する人員の配置
      • アルゴリズム管理による決定に対する異議申立てが可能
    • プラットフォーム透明性の改善による法執行の確保
      • (雇用関係にある場合)プラットフォームは雇用主として加盟国当局へ就労届等を申告、労働者数、契約上・雇用上の地位、契約条件等の必要な情報を適用するように義務付け(原則6箇月ごと)
  • 家事使用人の雇用ガイドライン(2024(令和6)年2月8日策定)
    • 作成趣旨・目的
      • 家事労働に従事する家事使用人は、労働契約法の適用は受けるが、労働基準法の適用を受けないことや、業務内容や就業時間などの基本的な内容が不明確であるため契約をめぐるトラブルが発生するケースが見られること、また、就業中のケガに対する補償が十分ではないことなどの問題が指摘されている。
      • こうした状況を踏まえ、家事使用人の労働契約の条件の明確化・適正化・適正な就業環境の確保などについて必要な事項を示すガイドラインを作成。
    • ガイドラインの主な内容
      • 労働契約の条件の明確化
        • 雇用主は、家事使用人と話し合った上で以下のような労働契約の条件(主なもの)を明確にすること 等
        • 雇用主の情報、就業場所、労働契約の期間、試用期間、業務の内容、就業時間・休憩時間、報酬等、退職に関する事項、休日・休暇
      • 労働契約の条件の適正化
        • 報酬:仕事の難易度や家事使用人の能力などを考慮し、最低賃金を下回るような水準とならないように設定すること 等
        • 就業時間:1日8時間、1週40時間を上限。過重労働への配慮をすること 等
        • 労働契約の期間:労働契約の期間を定める場合は、長くとも3年以内とすることが望ましいこと 等
        • 労働契約の条件の変更:家事使用人との合意が必要。変更する内容と必要性を説明し、十分話し合うこと 等
        • 家事使用人が行うことができる業務:家事使用人に行ってもらう仕事やその水準についてお互いに確認し、仕事で求める水準を合意した上で、仕事の範囲を明確にすること 等
      • 適正な就業環境の確保
        • 雇用主は、家事使用人が業務を行う上で不安に感じることがないよう、就業環境について労働契約締結前・締結後で話し合いの場を設けること
        • 就業時間の管理:始業・就業時刻の記録や管理 等
        • 就業場所の管理:危険な場所で作業をさせないこと、空調管理 等
        • 適切な業務内容と業務量:あらかじめ決めた業務内容の範囲を超えないよう気をつけること 等
        • 介護保険サービスとしての訪問介護と組み合わせて利用する場合の留意点:サービス内容や時間の区分、過重労働への配慮 等
        • 家事使用人からの相談や苦情を受ける担当者の明確化と解決
        • 就業環境に関する留意事項:セクハラ・パワハラは絶対に許されないこと 等
      • 保険の加入状況の確認
        • 雇用主は、家事使用人または家政婦(夫)紹介所に対して、どのような保険に加入しているのか事前に確認し、万が一の場合に備えておくこと
        • 損害保険加入の有無 就業先または第三者に対して、業務に関連して損害を与えた場合に備えるための保険
        • 災害補償保険(労災保険の特別加入を含む)の加入の有無業務が原因となって、自身がケガや病気をした場合に備えるための保険

【2024年2月】

厚生労働省 「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を公表します
▼健康に配慮した飲酒に関するガイドライン
  • 趣旨
    • アルコール健康障害対策基本法(平成25年法律第109号)第12条第1項に基づき、アルコール健康障害対策の総合的かつ計画的な推進を図るために策定されたアルコール健康障害対策推進基本計画の第2期計画(以下「第2期計画」という。)においては、その基本的施策として、飲酒に伴うリスクに関する知識の普及の推進を図るために、国民のそれぞれの状況に応じた適切な飲酒量・飲酒行動の判断に資する「飲酒ガイドライン(以下「本ガイドライン」という。)」を作成することとされています。
    • 本ガイドラインは、アルコール健康障害の発生を防止するため、国民一人ひとりがアルコールに関連する問題への関心と理解を深め、自らの予防に必要な注意を払って不適切な飲酒を減らすために活用されることを目的としています。
    • なお、本ガイドラインでは、飲酒に係る留意事項等を示しておりますが、アルコールによる影響には個人差があり、また、その時の体調等によっても影響が変わり得るものです。
    • お酒は、その伝統と文化が国民の生活に深く浸透している一方で、不適切な飲酒は健康障害等につながります。飲酒する習慣がない方等に対して無理に飲酒を勧めることは避けるべきであることにも留意してください。
  • 本ガイドラインの内容
    • 本ガイドラインは、基礎疾患等がない20歳以上の成人を中心に、飲酒による身体等への影響について、年齢・性別・体質等による違いや、飲酒による疾病・行動に関するリスクなどを分かりやすく伝え、その上で、考慮すべき飲酒量(純アルコール量)や配慮のある飲酒の仕方、飲酒の際に留意していただきたい事項(避けるべき飲酒等)を示すことにより、飲酒や飲酒後の行動の判断等に資することを目指すものとします。
  • アルコールの代謝と飲酒による身体等への影響について
    1. アルコールの代謝
      • 飲酒した際、飲んだお酒に含まれるアルコールの大半は、小腸から吸収され、血液を通じて全身を巡り、肝臓で分解されます。アルコールの分解には、体内の分解酵素と呼ばれる物質等が関与しています(※)が、体質的に分解酵素のはたらきが弱いなどの場合には、少量の飲酒で体調が悪くなることもあります。
        • ※肝臓で、アルコールはアセトアルデヒドに分解され、さらに酢酸へと分解されます。酢酸は筋肉や心臓に移動してさらに分解され、最終的に炭酸ガスと水になります。
    2. 飲酒による身体等への影響
      • アルコールは血液を通じて全身を巡り、全身の臓器に影響を与えるため、飲みすぎた場合には、いろいろな臓器に病気が起こる可能性があります。飲酒による影響には個人差があり、例えば年齢、性別、体質等の違いによって、それぞれ受ける影響が異なります。主な身体への影響として、以下のような特有の状態変化や固有のリスクなどが生じる可能性があります。なお、体調など個人のそのときの状態にも左右されます。
        1. 年齢の違いによる影響
          • 高齢者は若い時と比べて、体内の水分量の減少等で同じ量のアルコールでも酔いやすくなり、飲酒量が一定量を超えると認知症の発症の可能性が高まります。あわせて、飲酒による転倒・骨折、筋肉の減少(サルコペニア等)の危険性が高まります。
            • ※サルコペニアとは、加齢に伴う骨格筋量低下に加え、筋力及び/又は身体機能が低下した状態のことです。
          • 10歳代はもちろん20歳代の若年者についても、脳の発達の途中であり、多量飲酒によって脳の機能が落ちるとのデータがあるほか、健康問題(高血圧等)のリスクが高まる可能性もあります。
        2. 性別の違いによる影響
          • 女性は、一般的に、男性と比較して体内の水分量が少なく、分解できるアルコール量も男性に比べて少ないことや、エストロゲン(女性ホルモンの一種)等のはたらきにより、アルコールの影響を受けやすいことが知られています。このため、女性は、男性に比べて少ない量かつ短い期間での飲酒でアルコール関連肝硬変になる場合があるなど、アルコールによる身体への影響が大きく現れる可能性もあります。
        3. 体質の違いによる影響
          • アルコールを分解する体内の分解酵素のはたらきの強い・弱い(※)などが、個人によって大きく異なります。分解酵素のはたらきが弱い場合などには、飲酒により、顔が赤くなったり、動悸や吐き気がする状態になることがあります。(これを「フラッシング反応」と言います。)
            • ※分解酵素のはたらきの強弱は、遺伝子によるものと言われています。東アジアではこの分解酵素が弱く上記のようなフラッシング反応を起こす方々が一定数存在し、日本では41%程度いると言われています。
          • そのような人が、長年飲酒して、不快にならずに飲酒できるようになった場合でも、アルコールを原因とする口の中のがんや食道がん等のリスクが非常に高くなるといったデータがありますので注意が必要です。
    3. 過度な飲酒による影響
      • 過度な飲酒や、飲酒後の行動によって、以下のようなリスクが高まる可能性があります。
        1. 疾病発症等のリスク
          • 急激に多量のアルコールを摂取すると急性アルコール中毒(意識レベルが低下し、嘔吐、呼吸状態が悪化するなど危険な状態になります。)になる可能性があります。
          • また、長期にわたって大量に飲酒をすることによって、アルコール依存症(※)、生活習慣病、肝疾患、がん等の疾病が発症しやすくなります。
            • ※アルコール依存症とは、大量のお酒を長期にわたって飲み続けることが主な原因で発症する精神疾患の一つです。お酒をやめたくてもやめることができない、飲む量をコントロールできない等の症状により、仕事や家庭など生活面にも支障が出てくることがあります。
        2. 行動面のリスク
          • 過度なアルコール摂取により運動機能や集中力の低下等が生じ、使用することで危険を伴う機器(例えば、鋸等の工具類、草刈り機等の電動機、火気を伴う器具類等)の利用や高所での作業による事故などの発生、飲酒後に適切ではない行動をとることによっての怪我や他人とのトラブル(例えば、路上や公共交通機関でのトラブル、暴力行為等)、紛失物の発生(例えば、金銭等や機密書類、ノートパソコンやUSBメモリ等の紛失)などが考えられます。
  • 飲酒量と健康リスク
    • 世界保健機関(WHO)では、アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略を示しており、また、循環器疾患やがん等の疾患の予防コントロールのため、アルコール有害使用の削減に関する目標なども含めた行動計画を発表しています。さらに、飲酒量(純アルコール量)が少ないほど、飲酒によるリスクが少なくなるという報告もあります。
    • 個々人が疾患などの発症リスクにも着目するなどして、健康に配慮することが重要であると考えられます。例えば、高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中などの場合は、たとえ少量であっても飲酒自体が発症リスクを上げてしまうこと、大腸がんの場合は、1日当たり20g程度(週150g)以上の量の飲酒を続けると発症の可能性が上がる等の結果を示した研究があります。これらの研究結果に基づく疾病毎の発症リスクが上がる飲酒量(純アルコール量)については、表1に示したものが参考となります
    • 飲酒による疾患への影響については個人差があります。従って、これらよりも少ない量の飲酒を心がければ、発症しないとまでは言えませんが、当該疾患にかかる可能性を減らすことができると考えられます。
    • なお、飲酒の影響を受けやすい体質を考慮する必要がある場合などには、より少ない飲酒量(純アルコール量)とすることが望まれます。飲酒は疾患によっても、臓器によっても影響が異なり、個人差があります。かかりつけ医等がいる場合には、飲酒についての相談をすることも有用です。飲酒量(純アルコール量)が多くなることは、病気や怪我の可能性を高めるだけでなく、飲酒後の危険な行動につながる可能性も高くなります。これらを避けるよう、飲酒量(純アルコール量)に注意していくことが重要です。
    • その他の参考として、国内では、第2期計画において、「生活習慣病のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上)を飲酒している者の割合を男性13.0%、女性 6.4%まで減少させること」(※)を重点目標として示しています。
    • また、令和6年度開始予定の健康日本21(第三次)では、「生活習慣病(NCDs)のリスクを高める量(1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上)を飲酒している者の減少」(※)を目標とし、男女合わせた全体の目標値として10%を設定し、健康づくりの取組を推進することとしています。
      • (※)これらの量の飲酒をしている者の減少を目標としたものです。なお、これらの量は個々人の許容量を示したものではありません。
  • 健康に配慮した飲酒の仕方等について
    • 飲酒をする場合においても、様々な危険を避けるために、例えば、以下のような配慮等をすることが考えられます。これらにも留意することが重要です。
      1. 自らの飲酒状況等を把握する
        • 自分の状態に応じた飲酒により、飲酒によって生じるリスクを減らすことが重要です。
        • 医師等へ相談したり、AUDIT(問題のある飲酒をしている人を把握するために世界保健機関(WHO)が作成したスクリーニングテスト。飲酒問題の早期発見等のため、10項目の簡易な質問でアルコール関連問題の重症度の測定を行うものです。)等を参考に自らの飲酒の習慣を把握することなどが考えられます。
      2. あらかじめ量を決めて飲酒をする
        • 自ら飲む量を定めることで、過度な飲酒を避けるなど飲酒行動の改善につながると言われています。行事・イベントなどの場で飲酒する場合も、各自が何をどれくらい飲むかなどを上記も参考にそれぞれ自分で決めて飲むことが大切です。
      3. 飲酒前又は飲酒中に食事をとる
        • 血中のアルコール濃度を上がりにくくし、お酒に酔いにくくする効果があります。
      4. 飲酒の合間に水(又は炭酸水)を飲むなど、アルコールをゆっくり分解・吸収できるようにする(水などを混ぜてアルコール度数を低くして飲酒をする、少しずつ飲酒する、アルコールの入っていない飲み物を選ぶなど)飲む量に占める純アルコールの量を減らす効果があります。
      5. 一週間のうち、飲酒をしない日を設ける(毎日飲み続けるといった継続しての飲酒を避ける)
        • 毎日飲酒を続けた場合、アルコール依存症の発症につながる可能性があります。一週間の純アルコール摂取量を減らすために、定期的に飲酒をしないようにするなど配慮が必要です。

厚生労働省 第5回外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会 資料
▼ 参考資料1 第4回検討会の主な意見
  • 「検討の方向性」で示された内容で議論を進めていただきたい。訪問入浴介護は複数名でサービス提供、訪問介護は初任者研修の受講、事業所による教育、サポート体制を考慮しながら是非進めてほしい。EPA介護福祉士で求められている研修などの留意事項や、キャリアを大事にするという考え方を大前提に受入を行うことが、訪問介護の人材不足の状況への対応にも資する。事業者の裁量として、訪問する利用者等について、サービス提供責任者やケアマネジャーが適切に判断することが適当。できるだけ早期に実現いただきたい。
  • 外国人・日本人と区別することなく資格取得を前提に訪問系サービスへの従事を認めるべき。少なくとも居住系はチームで動くことができるので緩和すべき。訪問入浴も緩和をお願いしたい。要件について、語学力と現場でのコミュニケーション能力は一致しない。コミュニケーション能力を定量的に量る指標はないので、サポート体制を整えて、現場で対応するしかない。ハラスメントの懸念については日本人と同様。日本人・外国人と区別せず、利用者との相性等も考慮しながら、現場で判断することが適当ではないか。色々な懸念によって、外国人材を採用するかどうかの判断は分かれると思うが、かといって従事そのものに反対ということにはならないのではないか。
  • 特定技能等で介護職を受け入れているが、大きな問題は生じていない。施設系サービスでの受入れ経験をいかして次のステップに進めてほしい。外国人介護人材はキャリアについて前向きな方が多く、彼らの新しい道を開くことになる。前向きに進めていただきたい。
  • 初任者研修受講等の色々な配慮が必要だが、なるべくハードル下げて、キャリアステップを前提に進めてほしいと思う。日本人以上ではなく日本人と同等で、ケアの質の向上や負担軽減の観点から、自動翻訳・スマートグラスなどのDXを盛り込んでいくべき。
  • 研修の受講や留意事項も含め、日本人と同等とすべき。ただし、コミュニケーションや日本の生活習慣は一定の割合で求められており、要件を検討することが必要。訪問入浴は複数なのでよいと思う。また、初任者研修修了までの支援について、収集・分析が必要だ。
  • 訪問入浴は複数なので対応可能。介護は言葉、コミュニケーションが命であり、後期高齢者や認知症の対応を考慮するとN3は必要。日本語の能力だけでなく、生活の日本語・介護の日本語の一定の研修・教育を受けること等も必要か。こうした言葉、スキルを習得した上で訪問介護に従事するのであれば良いのではないか。
  • 訪問系はサービスの質とともに利用者への配慮が必要。日本人も同様だがEPAのような留意やJICWELSがやっている巡回相談や相談窓口も重要。現行の初任者研修のテキストの水準をクリアすることは難しい印象であり、研修受講が課題。サービス別では、訪問入浴介護は3人で訪問するが、補助業務だけをさせるのは本人のレベルアップにならない。資格要件設けていないものは必ずしも初任者 研修マストにしなくてもよいと思う。最終的には介護福祉士目指した養成が必要だが、それを目指すために、初任者研修の受講をキャリアアップの一環として位置づけることもあり得るか。
  • 議論を踏まえると、一定の要件を整備すれば、ある程度訪問介護の解禁はありうるのではないか。要件を一律に設けるのではなく、サ責やケアマネの役割として、利用者の状態を踏まえて適切と判断すれば外国人を訪問させることができ、何かあればチームでバックアップするという対応が考えらえる。求められる対応の幅が広いから従事できないということではなく、日本人の新入社員と同様にサポートが受けられ、キャリアアップできることが大切ではないか。
  • 外国人・日本人という問題ではなく、本人の介護職員としての資質があるかどうか。日本人と同様に初任者研修が必須であり、そのためには研修受講しやすいように助成金や時間の配慮が必要。基金の活用も方策だろう。1対1の業務を行う上で日本語が必要で、特に傾聴・受容・共感などのコミュニケーションスキルは一層求められる。1対1の介護が始まったとき生じる外国人の課題などは、走りながら対応していくことが必要だ。
  • 訪問介護について、外国人だからダメではない。日本人でも向かない人もいる。職場のダイバーシティの観点から外国人の従事も必要。複数人・チーム体制あれば訪問入浴や居住系は認められるのではとか、個別性の高い生活援助と比べて、短時間の身体介護は認められるのではといった声を現場で聞いて、ありうると思った。外国人を穴埋め的に使うのではなく、日本人が働きたいと思う職場にし、そこに外国人の従事を進める必要。訪問介護そのものの在り方の検討も必要。どうすれば日本人・外国人が集まる訪問介護の職場にできるか、初任者研修などの研修を実施すれば入ってきてもらえるのかなど、実際受け入れている事業所等の声を聞きたい。
  • 人材不足だからといって安易に受入可能とすべきではなく、処遇や就労環境等について人材に配慮が必要。日本であれば、外国人の家族が安心して子どもを送り出せるということになれば安定する。日本・外国人双方がWin-Winとなる関係を考えないといけない。
  • 当会のアンケートでは日本語能力が必要という意見多い。日本語能力があることを前提とした上で、EPAのような事業所のバックアップ体制も求めるのであれば、事業所のアンケート結果も変わるかもしれない。訪問介護は初任者研修等の有資格者に限定しており、ちゃんとした方でないといけない。同行訪問・学習機会の提供など具体的な対応が必要。
  • 外国人介護人材は、それぞれ制度の枠組みの中で、訪問系を含め広く活躍してほしい。訪問介護は現場判断もあり外国人・日本人限らず高い専門性が求められる。日本に在留する外国人が高齢化して、訪問介護が必要になってきているといった状況もある。各制度の趣旨に基づき丁寧な議論が必要。特に技能実習は適切な技能移転を目的に掲げており、訪問系サービスをどのように位置付けるのかが課題。必須業務として全業務時間の2分の1以上を充てる必要があるが、訪問入浴介護のみの従事だと、この要件を満たさない可能性もある。
  • 訪問系サービスはスキルも経験値も必要であることを再認識。評価や報酬が伴っていないこと人材不足の要因。訪問系サービスで外国人を受け入れることについては、アンケートを見ると思いのほか多かった印象。ただし、施設在宅と一般在宅では質が異なることに留意。そういったことを踏まえて、訪問系サービスへの登用は段階的に進めていくべき。
  • 現場では、外国人介護人材に訪問系サービスへの従事を認めてほしいとの声はなかった。課題として、日本人従事者の処遇や指導体制をまず充実する必要があること、利用者の外国人に対する理解や安全性の担保がいること、移動の際に車の免許が必要であることがある。また、限られた事例をもって緩和を進めるべきではない。有効求人倍率だけで判断せずに、日本人介護職員の賃金等の改善が必要であり、安易な就労を認めるべきではない。

厚生労働省 2023年度第7回雇用政策研究会資料
▼ 【資料2】2023年度 第7回雇用政策研究会 論点等
  • 地域の人手不足への対応
    • 地方では、若年者(特に女性)の東京圏への流出等による人口減少もあり、人手不足が深刻化している。
    • 人手不足状況下では、女性や高齢者などの潜在的な労働力の掘り起こしが重要。労働条件・働き方の改善を通じた、地域の潜在的な労働力の掘り起こしをしていくためには、どのような対応が必要か。また、UIJターンの促進や、テレワークや副業・兼業などを通じた地域外との仕事のマッチングの向上を図っていくため、どのような対応が必要か。
    • 加えて、特にマッチングという観点から、地方に魅力的な雇用の場を増やしていくことも必要ではないか。
    • 人手不足がより深刻な地域の中小企業においては、より柔軟な働き方を提供し、様々なバックグラウンドを持つ人が参加できる地域労働市場の構築が求められる。柔軟な働き方が可能な中小企業を増やし、求職者へ提示していくためには、どのような対応が必要か。
    • 地域の人手不足対策については、地域の実情にあった処方箋が重要と考えるが、地域のニーズに合った取組をどのように支援していくのが効果的か。
  • 外国人雇用への対応
    • 人手不足の進展に伴い、幅広い分野において外国人材が活躍をしており、アジア諸国の中においても、日本での就労ニーズの高まりがみられている。日本が外国人材にとって魅力的な労働市場となるよう、引き続き雇用管理改善に取り組んでいくことが求められる。
    • 雇用管理改善を通じ、外国人材の定着を図っていくため、どのような相談体制の整備を行っていくことが求められるか。特に、留学生の卒業後の就職・定着を促すため、関係機関、大学及び企業が連携しつつ、将来的なキャリアアップを見据え、どのような支援が必要か。また、外国人材の包摂という観点から、生活支援も含め、どのようなサポートが求められるか。

厚生労働省 第9回 後発医薬品の安定供給等の実現に向けた 産業構造のあり方に関する検討会 資料
▼ 資料2 これまでの議論の整理等について
  1. 後発医薬品産業の在るべき姿の明確化
    • 全体的な考え方
      • 後発品産業の在るべき姿として、品質の確保された医薬品を安定的に供給できるよう、以下を目指すことと整理してはどうか。
        • 全ての企業において製造管理・品質管理体制が整っていること(製造管理・品質管理体制の確保)、
        • 収益と投資の好循環が確立しており、産業として持続可能な形になっていること(持続可能な産業構造)、
        • それぞれの企業において医薬品を安定的に供給できる体制が保たれるとともに、産業全体として必要に応じて増産を行う余力のある体制が確保できていること(安定供給能力の確保)
    • 製造管理・品質管理体制の確保
      • 後発品企業において、薬機法に照らし、製造に関する不適切事案が続いている現状を踏まえ、後発品への信頼回復のため、製造管理・品質管理に係る点検の強化に加え、例えば、企業の製造管理・品質管理に関する取組状況を可視化するなどの取組が考えられるのではないか。
    • 持続可能な産業構造
      • 産業として持続可能な構造とするため、
      • 少量多品目構造を適正化し、生産効率のよい体制とするためにはどのような方策があるか。
      • 後発品企業が安定的に収益をあげ、品質の確保された医薬品の供給に向けた投資を行う好循環を生み出すための価格や流通の在り方についてどう考えるか。
    • 安定供給能力の確保
      • 品質の確保された医薬品が安定的に供給されるために、それぞれの企業において医薬品を安定的に供給できる体制が保たれるとともに、産業全体として必要に応じて増産する余力のある体制が確保できている必要がある。
      • このため、例えば、安定供給を確保する観点からの取組を企業に求めるなど、平時から医薬品の安定供給を確保しつつ、感染症の発生時等の有事においても医薬品を安定的に供給する仕組みの在り方としてどのような方策が考えられるか。
    • その他
      • 品質の確保された医薬品を安定的に供給するための適切な体制構築が可能となるよう、企業間での連携・協力や、適正な体制構築を可能とする企業規模となることを推進するべきではないか。
      • また、これらに対する国及び都道府県の関与や支援はどうあるべきか。
  2. 安定供給等の企業情報の可視化
    • 品質が確保された後発品を安定的に供給できる企業が市場で評価され、結果的に優位となることを目指すという基本的な考え方に沿って、「中間取りまとめ」(次頁)の内容を踏まえ、以下のように企業情報公表の仕組みの創設等の取組を行うこととしている。
    • その上で、後発品の安定供給を確保する観点から、公表すべき情報の範囲や具体的な公表の方法など、今後の企業情報公表の在り方や、さらなる企業情報の活用方策等について、どのように考えるか。その際、中医協においては、今回規定した企業の評価指標・評価方法の妥当性や、その影響について今後検証を行うことを前提に薬価制度での試行的導入が了承されていることに加え、臨床現場にとって活用しやすい情報の早期公表、指標のさらなる活用等の指摘があったことも念頭におきつつ、引き続き検討を行うことが必要ではないか。
  3. 少量多品目構造の解消
    • 後発品企業においては、多くの企業が新規後発品を上市し、1社あたりの製造販売品目数が多品目となり、少量多品目生産が広がっており、こうした少量多品目生産においては、製造工程の複雑化に伴う製造の非効率や、生産管理体制のリソース不足、品質不良リスクの増大、緊急増産等の柔軟な対応が困難であることなどのデメリットがあることや、収益性の低下にもつながっていることが指摘されている。
    • 後発品業界全体の供給不安のひとつの要因と考えられる少量多品目構造の解消に向け、「中間取りまとめ」の内容を踏まえ、以下の対応を行うこととしている。
    • 薬価上の措置、薬事上の障壁解消等
      • 令和6年度薬価制度改革(次頁)において、後発品の新規収載時の薬価算定における、同時に収載される内用薬が10品目を超える場合に先発品の0.4掛けとする規定について、最近の新規後発品の収載時の品目数や収載直後の乖離率の状況を踏まえ、同時に収載される内用薬が7品目を超える場合に先発品の0.4掛けとすることとする(令和6年4月から運用開始予定)
      • 後発品の新規収載時に安定供給に係る責任者の指定を求めるとともに、収載後の各品目の供給実績の確認を実施する(令和6年度の後発品新規収載から運用開始予定)。
      • 既収載品目の統合に関し、企業間の品目統合を促進するため、製造方法等の変更管理における薬事手続において、欧米と同様の中等度変更事項及び年次報告を試行的に導入することとしている(令和5年10月「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」決定。令和6年度内に試行開始予定。)。
      • また、製造方法等の記載事項に係る通知の改正について、国際的に整合したリスクベースの変更管理が実現できるよう検討を進めている。
      • 少量多品目構造の解消に向けては、後述する「企業間の連携・協力の推進」等を進めていくほか、品目数の適正化に関して以下の論点が考えられる。
    • 薬価削除プロセスの合理化等
      • 薬価削除プロセスの合理化等について、引き続き検討することとしてはどうか。その際、OD錠の在り方等についても、製造効率化の観点から検討の対象としてはどうか。
    • 医療現場や流通への影響
      • 薬価削除プロセス等の検討に当たっては、医療上の必要性や後発品の流通に与える影響も考慮する必要があることから、「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」において、関係者の意見を踏まえ具体策の検討を行うこととしてはどうか。
    • 規格揃え原則の合理化
      • 後発品収載時は全規格を取り揃えることを原則としつつ、医療上の必要性等に照らして全規格を取り揃えることが必ずしも必要ではないと考えられる品目について、規格揃え原則との関係をどのように考えるか。その際、非汎用規格の製造を行う企業の取扱いなども含め、汎用規格と非汎用規格の切り口についてどのように考えるか。
  4. 生産効率の向上
    • 生産効率向上の取組周知
      • 自動車産業と比較して、後発品産業は受注生産や納期延長ができなかったり、原材料価格の高騰を価格に反映できないといった特徴があり、こうした点に留意が必要ではないか。
      • 共同開発をすると複数社が一つの工場に発注を集中させてできるだけ安く生産しようという動きが見られる一方で、どの会社のどの薬なのかというのを明確に識別できるよう刻印などを変えなければいけない。同じ工場で、同じ原薬と、同じ製法でつくっているにもかかわらず、違ったパッケージのものをつくるのは、生産上も非効率であり、医療関係者のほうでも別物として扱わなくてはいけないため管理上も非効率ではないか
    • 今後の対応の方向性
      • 後発品企業は品目数や供給数量が少ない小規模な企業が多く、限られた生産体制下で少量多品目生産を行う生産の非効率性が指摘されている。産業として持続可能な構造とするため、各後発品企業において生産効率の向上を図ることは重要である。
      • 生産効率の向上については、少量多品目構造の適正化や、後述する企業間の連携・協力等により対応可能な部分もあると考えられるが、そのほかには、以下の論点が考えられる。
        • 生産効率の向上の具体的な方策
          • 生産効率の向上を促進するため、例えば、業務改善に係る風土醸成や人材育成といった組織能力向上等に関する好事例の周知を図るなど、具体的な方策としてどのようなものが考えられるか
  5. その他(製造管理・品質管理体制の在り方)
    • 後発品企業は、国民にとって必要不可欠となった後発品について、品質を確保しつつ将来にわたって安定的に供給し続けることが求められる。医薬品企業として、製造管理及び品質管理の徹底は当然であるが、現状では、複数の後発品企業において製造管理及び品質管理の不備による薬機法違反が発覚し、これを端緒として多くの医薬品において出荷停止や限定出荷が発生するとともに、これが長期化し、国民に必要な医薬品が供給されない状況が続いている。後発品の安定供給や信頼回復等の観点からも、製造管理及び品質管理の徹底はまず最初に取り組まなければならない喫緊の課題である。
    • 後発品企業において、薬機法に照らし、製造に関する不適切事案が続いている現状を踏まえ、後発品への信頼回復のため、製造管理・品質管理の強化については、「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」において薬事監視の向上等について議論され、今後さらに後発品のGMP適合調査において重点的に調査すべき事項を整理し都道府県へ周知を図ること、令和5年度から、全国の製造所から相対的に高リスク製造所を抽出しPMDAと都道府県が合同で無通告立入検査を行う取り組みを開始する等薬事監視の質の向上を図る取り組みを進めることとしている。
    • その上で、製造管理及び品質管理体制の在り方について、以下の論点が考えられる。
      • 点検管理の更なる徹底
        • 後発品への信頼回復のため、製造管理・品質管理に係る自主点検の強化についてどのように考えるか。
        • 企業の製造管理・品質管理に係る取組状況を可視化することを検討してはどうか。
        • このような取組が、企業間の連携・協力を推進することにもつながるのではないか。
      • 効率的な品質の管理の推進
        • 効率的な製造管理・品質管理の推進のため、例えば、複数企業による品質管理業務の協業などの好事例の展開について検討してはどうか。
      • 品質管理を行う人材育成
        • 製造管理・品質管理を行う人材の育成・確保のためにどのような方策が考えられるか。
  6. その他(企業間の連携・協力の推進)
    • 後発品企業は品目数や供給数量が少ない小規模な企業が多く、限られた生産体制下で少量多品目生産を行う生産の非効率性が指摘されている。産業として持続可能な構造とするため、品質管理や営業等の面での企業間の連携・協力や役割分担、コンソーシアムや企業統合なども考えられるのではないかという指摘があることから、以下の論点について検討してはどうか。
      • 独占禁止法との関係整理
        • 企業間での品目統合や生産調整、コスト構造の共通化の在り方について検討する際、まずは独占禁止法上問題となり得る点について整理を行う必要があるのではないか。
        • コンソーシアム的な共同経営やM&Aの推進に当たって、独占禁止法との関係について整理を行う必要があるのではないか。
      • 委託製造における安定供給確保担保
        • 委託製造の場合について、安定供給にかかる企業間の役割の在り方を整理する必要があるのではないか。
      • 企業間の連携・協力の取組の推進
        • 企業間の連携・協力の取組を推進するため、政府としてどのような方策が考えられるか
  7. その他
    • その他、以下の論点が考えられる。
      • サプライチェーンの強靱化
        • 医薬品供給リスクの調査分析など現在行われている取組も踏まえ、後発品企業におけるサプライチェーンの強靱化について、どのような方策が考えられるか。
      • AGの在り方
        • 医薬品の供給不安が発生している現状においてAGが果たしている役割と、他の後発品の参入に与える影響等を考慮しつつ、AGの今後の在り方についてどのように考えるか。

厚生労働省 「家事使用人の雇用ガイドライン」を策定しました
▼ 【別添】家事使用人の雇用ガイドライン(概要版)
  • 作成趣旨・目的
    • 家事使用人の労働契約の条件の明確化・適正化、適正な就業環境の確保などについて必要な事項を示すガイドラインを作成しました。
    • 家事使用人を雇用する方や、これから雇用しようとする方は、労働契約を結ぶ際や、家事一般に従事させる際には、家事使用人と十分話し合った上で労働契約の内容を決定しましょう。詳しい内容は、『家事使用人の雇用ガイドライン』をご確認ください。
  • 対象者
    • 雇用主(ご家庭)
      • 家事使用人を雇用する方やこれから雇用しようとする方。
    • 家事使用人
      • ご家庭と直接労働契約を結び、ご家庭との雇用関係の下において、家事一般に従事する方。
    • 家政婦(夫)紹介所
      • 事業者として、家事使用人と雇用主(ご家庭)との間の労働契約成立をあっせんする機関。
  • 労働契約の条件の明確化
    • 雇用主は、家事使用人と話し合った上で、以下のような労働契約の条件(主なもの)を明確にしましょう。
    • 口頭で伝えるだけではなく、きちんと書面もしくは電子メールなどで明示することで、雇用主と家事使用人の間のトラブルを未然に防ぐことにつながります。労働契約書に記載された内容はお互いによく確認し、労働契約の条件に反することがないようにしましょう。
    • 雇用主の情報・就業場所・労働契約の期間・試用期間・業務の内容・就業時間・休憩時間・報酬等・退職に関する事項・休日・休暇
    • また、あらかじめ業務で求める水準を示して家事使用人と認識を合わせておくと、労働契約をめぐるトラブルを未然に防ぐことができ、より良好な雇用関係につながります・
  • 労働契約の条件の適正化
    • 雇用主が、報酬や就業時間、労働契約の期間などを適正な水準に設定することで、家事使用人が働きやすい環境の確保につながります。
      1. 報酬
        • 仕事の難易度や家事使用人の能力などを考慮し、最低賃金を下回るような低い水準となっていないかを確認し、家事使用人と話し合った上で、適切な水準となるようにしましょう。
      2. 就業時間
        • 1日当たり8時間、1週当たり40時間を上限とすることが望ましいです。過重労働とならないよう配慮してください。
      3. 労働契約の期間
        • 労働契約の期間を定める場合には、長くとも3年以内(満60歳以上の家事使用人の場合は5年以内)とすることが望ましいです。
      4. 労働契約の条件の変更
        • 家事使用人との合意が必要です。変更する内容と変更の必要性を説明し、十分話し合うことが重要です。
      5. 家事使用人が行うことができる業務
        • 家事使用人に行ってもらう仕事やその水準についてお互いに確認し、仕事で求める水準について合意した上で、仕事の範囲を明確にしましょう。法令上資格がないとできない業務は、有資格者である場合を除いて依頼しないでください。また、高度な家事業務や危険を伴う作業などについて、一律に要求することは適切ではありません。
  • 適正な就業環境の確保
    • 雇用主は、家事使用人が業務を行う上で不安に感じることがないよう、
    • 就業環境について労働契約を結ぶ前も結んだ後も話し合いの場を設けるとよいでしょう。
      1. 就業時間の管理
        • 家事使用人の就業日ごとの始業・終業時刻を確認して、記録し、お互いに確かめ、就業時間を適正に管理することが望ましいです。
      2. 就業場所の管理
        • 高所での作業など明らかに危険な作業はさせないよう注意しましょう。空調の温度・湿度は適切な設定にするなどして、就業中のケガが発生しないよう注意を呼びかけましょう。いつでもトイレを利用できるようにしておきましょう。泊まり込みや住み込みの場合は、寝具などを提供した上で、十分な広さの就寝場所を確保し、プライバシーに配慮しつつ、更衣室・浴室・シャワーなどの設備を家事使用人が使うことができるようにしましょう。
      3. 適切な業務内容と業務量
        • 業務を依頼する際は、あらかじめ決めた業務内容の範囲を超えないように気をつけましょう。新たに行ってほしい業務が発生した場合は、家事使用人と十分話し合った上で対応してもらうことが適切です。
      4. 介護保険サービスとしての訪問介護と組み合わせて利用する場合
        • 介護保険サービスと介護保険給付の対象ではないサービス(保険外サービス)を組み合わせて利用しているご家庭もあると思いますが、その場合に、介護保険サービスとしての時間と、家事使用人として行ってもらう業務を含む保険外サービスとしての時間とを明確に区分しつつ、全体の就業時間を踏まえた適切な就業・休憩時間の設定や休憩・休息時間の確保をするなど、過重労働とならないよう必要な配慮をしてください。
      5. 家事使用人からの相談や苦情を受ける担当者の明確化と解決
        • 雇用主は、家事使用人が働く上で困ったことを相談するためにふさわしい家庭内の相談者を事前に労働契約書に記載するなどして共有しておくとよいでしょう。なお、家政婦(夫)紹介所が家事使用人から相談や苦情を受けることもあるので、家政婦(夫)紹介所から連絡があった場合は協力して解決を図るよう努めてください。
      6. その他、就業環境に関する留意事項
        • 家事使用人に対するパワハラ、セクハラなどのハラスメントは絶対に許されません。また、トラブルを避けるためにも、金品や貴重品など、触れてはいけないものについては、雇用主自身で管理しましょう。雇用主は、家事使用人が就業場所などでケガなどをした場合、家事使用人とその原因及び補償について十分話し合いましょう。
  • 保険の加入状況の確認
    • 雇用主は、家事使用人または家政婦(夫)紹介所に対して、どのような保険に加入しているのかを事前に確認し、万が一の場合に備えておきましょう。
    • 家事使用人に関係する保険は、大きく分けて以下の2種類です。
      • 損害保険加入の有無
        • 就業先であるご家庭または第三者に対して、業務に関連して損害を与えた場合に備えるための保険。
      • 災害補償保険(労災保険の特別加入を含む)加入の有無
        • 業務が原因となって、自身がケガや病気をした場合に備えるための保険。

厚生労働省 第213回国会(令和6年常会)提出法律案
▼ 生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案の概要
  • 改正の趣旨
    • 単身高齢者世帯の増加等を踏まえ、住宅確保が困難な者への安定的な居住の確保の支援や、生活保護世帯の子どもへの支援の充実等を通じて、生活困窮者等の自立の更なる促進を図るため、(1)居住支援の強化のための措置、(2)子どもの貧困への対応のための措置、(3)支援関係機関の連携強化等の措置を講ずる。
  • 改正の概要
    1. 居住支援の強化のための措置【生活困窮者自立支援法、生活保護法、社会福祉法】
      • 住宅確保が困難な者への自治体による居住に関する相談支援等を明確化し、入居時から入居中、そして退居時までの一貫した居住支援を強化する。(生活困窮者自立相談支援事業、重層的支援体制整備事業)
      • 見守り等の支援の実施を自治体の努力義務とするなど、地域居住支援事業等の強化を図り、地域での安定した生活を支援する。
      • 家賃が低廉な住宅等への転居により安定した生活環境が実現するよう、生活困窮者住居確保給付金の支給対象者の範囲を拡大する。
      • 無料低額宿泊所に係る事前届出の実効性を確保する方策として、無届の疑いがある施設に係る市町村から都道府県への通知の努力義務の規定を設けるとともに、届出義務違反への罰則を設ける。
    2. 子どもの貧困への対応のための措置【生活保護法】
      • 生活保護世帯の子ども及び保護者に対し、訪問等により学習・生活環境の改善、奨学金の活用等に関する情報提供や助言を行うための事業を法定化し、生活保護世帯の子どもの将来的な自立に向け、早期から支援につながる仕組みを整備する。
      • 生活保護世帯の子どもが高等学校等を卒業後、就職して自立する場合に、新生活の立ち上げ費用に充てるための一時金を支給することとし、生活基盤の確立に向けた自立支援を図る。
    3. 支援関係機関の連携強化等の措置【生活困窮者自立支援法、生活保護法】
      • 就労準備支援、家計改善支援の全国的な実施を強化する観点から、生活困窮者への家計改善支援事業についての国庫補助率の引上げ、生活保護受給者向け事業の法定化等を行う。
      • 生活困窮者に就労準備支援・家計改善支援・居住支援を行う事業について、新たに生活保護受給者も利用できる仕組みを創設し、両制度の連携を強化する。
      • 多様で複雑な課題を有するケースへの対応力強化のため、関係機関間で情報交換や支援体制の検討を行う会議体の設置(※)を図る。
        • ※生活困窮者向けの支援会議の設置の努力義務化や、生活保護受給者の支援に関する会議体の設置規定の創設など
      • 医療扶助や健康管理支援事業について、都道府県が広域的観点からデータ分析等を行い、市町村への情報提供を行う仕組み(努力義務)を創設し、医療扶助の適正化や健康管理支援事業の効果的な実施等を促進する。
  • 施行期日
    • 令和7年4月1日(ただし、2(2)は公布日(※)、2(1)は令和6年10月1日)※2(2)は令和6年1月1日から遡及適用する
▼ 雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要
  • 改正の趣旨
    • 多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、「人への投資」の強化等のため、雇用保険の対象拡大、教育訓練やリ・スキリング支援の充実、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等の措置を講ずる。
    • 改正の概要
    • 雇用保険の適用拡大【雇用保険法、職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律】
      • 雇用保険の被保険者の要件のうち、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に変更し、適用対象を拡大する。
        • ※これにより雇用保険の被保険者及び受給資格者となる者については、求職者支援制度の支援対象から除外しない。
    • 教育訓練やリ・スキリング支援の充実【雇用保険法、特別会計に関する法律】
      • 自己都合で退職した者が、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようにする。
        • ※自己都合で退職した者については、給付制限期間を原則2か月としているが、1か月に短縮する(通達)。
      • 教育訓練給付金について、訓練効果を高めるためのインセンティブ強化のため、雇用保険から支給される給付率を受講費用の最大70%から80%に引き上げる。
        • ※教育訓練受講による賃金増加や資格取得等を要件とした追加給付(10%)を新たに創設する(省令)。
      • 自発的な能力開発のため、被保険者が在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合に、その期間中の生活を支えるため、基本手当に相当する新たな給付金を創設する。
    • 育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保【雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律】
      1. 育児休業給付の国庫負担の引下げの暫定措置(※4)を廃止する。
        • ※本来は給付費の1/8だが、暫定措置で1/80とされている。
      2. 育児休業給付の保険料率を引き上げつつ(0.4%→0.5%)、保険財政の状況に応じて引き下げ(0.5%→0.4%)られるようにする。
        • ※1・2により、当面の保険料率は現行の0.4%に据え置きつつ、今後の保険財政の悪化に備えて、実際の料率は保険財政の状況に応じて弾力的に調整。
    • その他雇用保険制度の見直し【雇用保険法】
      • 教育訓練支援給付金の給付率の引下げ(基本手当の80%→60%)及びその暫定措置の令和8年度末までの継続、介護休業給付に係る国庫負担引下げ等の暫定措置の令和8年度末までの継続、就業促進手当の所要の見直し等を実施する。
  • 施行期日
    • 令和7年4月1日(ただし、3(1)及び4の一部は公布日、2(2)は令和6年10月1日、2(3)は令和7年10月1日、1は令和10年10月1日)

厚生労働省 女性と依存症 ライフステージごとの「生きづらさ」の解消へ
  • 現代の女性には、時代や環境の変化から、さまざまな「生きづらさ」が生じています。その生きづらさを紛らわすため、特定の物や行為に依存するようになり、やめたくてもやめられない状態、いわゆる「依存症」に陥ってしまうこともあります。
  • 本特集では、女性と依存症の問題にスポットを当て、依存症の“入り口”や、その種類とリスク、本人・家族の相談先や周囲ができることについて考えます。
  • 「迷う」気持ちを理解し共感し寄り添うことが大切
    • 相談支援で重要なのは、相談者にとって相談先は「悩みを打ち明けることができる、安心して話すことができる場所である」ということなのです。
    • 依存症の特徴の一つとして、心の安心感がなくなっている状態が挙げられます。そのため、たとえば公的な相談機関の精神保健福祉センターでは秘密を守って相談を受けていますし、医療機関も守秘義務があり相談の秘密を守ることが原則ですので、活用してみるのがお勧めです。
    • 身近な信頼できる家族や友人に相談することも手段の一つですが、すべてを自分たちだけでどうにかしようと考えず、相談機関を頼ることも選択肢のなかに入れておいていただきたいです。
    • なぜなら、たとえばエアコンの取り付けをしたいとき、私たちはすべてを家族でやるわけではありません。日頃の手入れや軽度のメンテナンスは自分たちでできても、取り付けや修理などは専門の業者を当たり前のように利用しているのではないでしょうか。
    • 日常的に接することがない相談機関に相談したり、医療機関を受診したりするのを躊躇するのは自然だと思います。ためらい迷うのは「ダメなこと」ではなく、自分を守るために大変重要な場合もあります。精神科医という専門的な立場や役所の立場で言えば「少しでも早く来てほしい」という気持ちもありますが、迷っている方の「迷う」という気持ちも尊重したいと考えています。安心して自分の気持ちを話してもらうためにも、自分のタイミングを大事にしてほしいです。
    • また、周囲の方々に申し上げたいのは、共感や「相談しにくい」「話しづらい」気持ちを理解し、寄り添ってあげることが大切だということです。
    • どうしても相談を受ける側のペースで進めてしまいたくなりがちですが、相談をする当事者の方のペースで聴いてあげてもらえればと思っております。
  • 自分に合った相談先を見つけてほしい
    • 相談機関や医療機関などを活用する際には、私は複数箇所、実際に行ってみることをお勧めしています。
    • 何でもそうかもしれませんが、いきなり自分にぴったり合うところを見つけるのは難しいものです。依存症の場合、相談内容や悩みの程度、性格などを含めて個別性が大きいため、ぴったり合うところは簡単には見つからないこともあります。比べてみたり、時間を置いてまた違うところに行ってみたりして、「ここなら安心して話せるかな」と思える場所を見つけてほしい。
    • 「自分に合ったものはすぐに見つかりづらい」という前提に立って、選んでいただいたほうがうまくいく確率が上がるかもしれません。相談や支援を受けに行くことは「勇気」のいることなので、そう決断した自分をやはりしっかり褒めてあげてほしいです。
    • 依存症は、つらい気持ちや不安な気持ちを紛らわすために特定の物や行為に依存してしまい、自分も他人も信じることが難しくなった病気だと考えています。
    • 相談機関や医療機関、自助グループなどを活用して生きづらさについて相談することで、「人を、自分を信じてもいいんだ」という気持ちを持ってもらいたいです。

厚生労働省 第67回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
▼ 【資料2】男女の賃金の差異の情報公表状況
  • 男女の賃金の差異の情報公表については、女性活躍推進法に基づき、常時雇用する労働者数301人以上の事業主に対し、令和4年7月8日から義務付けられ、公表時期は各事業年度が終了し、新たな事業年度が開始した後おおむね3ヶ月以内とされているところ。
  • 義務対象企業17,370社のうち、女性の活躍推進企業データベースに加え、厚生労働省が把握した14,577社の公表数値の平均値(令和6年1月19日時点)
    • 全労働者 69.5%
    • 正規雇用労働者 75.2%
    • 非正規雇用労働者 80.2%
▼ (参考資料1-3) 仕事と育児・介護の両立支援対策の充実について(建議) 概要
  • 男女とも育児・家事を担いつつ、希望に応じて仕事やキャリア形成との両立が可能となるようにしていくことが重要な課題であり、また、男女ともに働き方を見直していくことは、少子化対策にも資する。
  • 介護休業を始めとした両立支援制度が知られずに利用されていないことや、制度の趣旨への理解が不十分で効果的な利用がされていないことから両立が困難となっている状況を改善し、介護離職を防止していくことが喫緊の課題である。
  • 必要な措置の具体的内容
    1. 子の年齢に応じた両立支援に対するニーズへの対応
      • 子が3歳になるまでの両立支援の拡充
        • テレワークを活用促進するため、事業主の努力義務とする。
        • 短時間勤務制度について、1日6時間を必置とした上で、他の勤務時間も併せて設定することを促進するとともに、短時間勤務制度を
        • 講ずることが困難な場合の代替措置にテレワークを追加する。
      • 子が3歳以降小学校就学前までの両立支援の拡充
        • 各職場の事情に応じて、事業主が柔軟な働き方を実現するための措置の選択肢(※)から労働者が選択可能なものを2以上選択して措置を講じる義務を設け、労働者はその中から1つ選べることとする。
        • (※)始業時刻等の変更、テレワーク等、短時間勤務制度、保育施設の設置運営等、新たな休暇の付与
        • 労働者は権利として子が小学校就学前まで所定外労働の制限(残業免除)を請求できることとする。
      • 子の看護休暇制度の見直し
        • 感染症に伴う学級閉鎖等や子の行事参加(子の入園式、卒園式及び入学式を対象)にも利用できるようにし、請求できる期間は、小学校3年生修了時までとする。
      • 育児期の両立支援のための定期的な面談
        • 心身の健康への配慮
    2. 仕事と育児の両立支援制度の活用促進
      • 制度の活用をサポートする企業や周囲の労働者に対する支援
      • 育児休業取得状況の公表
        • 男性の育児休業取得率の公表義務の対象を、常時雇用労働者数1,000人超の事業主から300人超の事業主に拡大する。
    3. 次世代育成支援に向けた職場環境の整備
      • 次世代育成支援対策推進法を令和17年3月末まで延長する。
      • 企業の取組促進のため、一般事業主行動計画について、男性の育児休業取得率や時間外労働に関するPDCAサイクルの確立や数値目標の設定を義務付ける。
      • 「男女とも仕事と子育てを両立できる職場」を目指す観点から、一般事業主行動計画策定指針を見直す。
      • 「くるみん」などの認定基準を見直す。
    4. 介護離職を防止するための仕事と介護の両立支援制度の周知の強化等
      • 事業主に以下の措置を講ずることを義務付ける。
        • 介護に直面した労働者が申出をした場合に、両立支援制度等に関する情報の個別周知・意向確認
        • 介護に直面するよりも早期(40歳等)の情報提供
        • 研修や相談窓口の設置等の雇用環境の整備
      • 介護期の働き方について、テレワークを事業主の努力義務とする。
    5. 個別のニーズに配慮した両立支援
      • 子に障害がある場合等の要介護状態の判断基準について今後さらに検討する。
      • 事業主に、妊娠・出産の申出時や子が3歳になるまでの適切な時期の面談等の際に、労働者の仕事と育児の両立に係る個別の意向の聴取とその意向への配慮を義務付ける。
    6. 仕事と育児・介護との両立支援に当たって必要な環境整備(プライバシーへの配慮等)

【国土交通省】

【2024年4月】

国土交通省 グリーンスローモビリティの車両導入を支援します!~グリーンスローモビリティ導入促進事業の追加公募について~
  • 環境への負荷が少なく、狭い路地も通行可能で、高齢者の移動手段の確保や観光客の周遊に資する新たなモビリティとして期待されているグリーンスローモビリティの車両導入補助事業について、執行団体である一般社団法人地域循環共生社会連携協会から追加公募が開始されますので、お知らせします。 ※環境省の令和5年度二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金(地域の公共交通×脱炭素化移行促進事業)のうち、
  • グリーンスローモビリティ導入促進事業の一環として、環境省と国土交通省が連携して行います。
  • 概要
    • 本事業は、地域交通の脱炭素化と地域課題の同時解決を目的として、グリーンスローモビリティ(時速20km未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービス)の導入を、環境省と国土交通省が連携して支援するものです。
  • 公募期間
    • 令和6年4月8日(月)~同年5月10日(金)まで(17時必着)

国土交通省 「道の駅」の機能強化にコンテナ活用へ~「道の駅」における高付加価値コンテナ活用ガイドラインを策定~
  • 国土交通省では、平常時の地域活性化や災害時の防災機能の強化を狙いとした高付加価値コンテナ(※)の活用に向け、その特徴や活用用途のイメージ、設置や移動の留意点をとりまとめたガイドラインを策定しました。 ※ 高付加価値コンテナとは、本ガイドラインにおいて、運用場所を柔軟に変更できるよう可動性を備え、従来の活用方法を超えた新たな価値を付加し、平常時・災害時に有効活用できる空間としてのコンテナとして定義するもの。
  • 能登半島地震では、被災地支援として可動式のコンテナが多く活用されましたが、こうしたコンテナを「道の駅」において活用することで、平常時には「道の駅」のサービス向上や個別課題の解決、災害時には機動的な災害支援のための有効な手段となることが期待されます。
  • 本ガイドラインは国土交通省ホームページ(以下)にて公表しております。
▼ 「道の駅」における高付加価値コンテナ活用ガイドライン

国土交通省 G7交通大臣会合の結果について
  • G7交通大臣会合の結果について
    • 4月11日~13日、イタリア・ミラノにおいてG7交通大臣会合が行われ、我が国からは斉藤国土交通大臣が出席しました。
    • 会合では、「交通の未来~不確実な世界での連結性の確保~」をテーマに、ショックへの耐性がある交通、海上における連結性、ウクライナとの連携について活発な議論を行いました。
    • その結果、強靱な交通の実現につながる「交通サプライチェーンに関するG7ワーキンググループ」を設置すること、ホーシー派による紅海等における行動を強く非難すること、G7がウクライナを継続的に支援すること等を内容とするG7交通大臣宣言を発することを合意しました。
    • また、会合において、斉藤大臣からは、昨年のG7三重・伊勢志摩交通大臣会合で作成を合意した、「全ての地域で誰もがアクセス可能な交通の提供に関するG7各国の政策集」を発表しました。
    • 結果概要
      • 特別セッション:ウクライナとの連携
        • G7が、ロシアの侵略を最も強い言葉で非難すると共に、様々な枠組みにおいてウクライナを支援していくことを合意しました。
        • 我が国は、本年2月に東京で開催された「日・ウクライナ経済復興推進会議」において締結された国土交通省とウクライナの地方・国土・インフラ発展省の「インフラ復旧・復興に関する協力覚書」に基づき、事務レベルで打ち合わせを開始しており、引き続きウクライナの復興を支援していくこと等を発表しました。
      • セッション1:ショックへの耐性がある交通
        • G7が、地政学的衝突、パンデミック、サイバー攻撃、気候変動等の混乱に対して強靱な交通を実現するため、各国がそれぞれの知見を共有すると共に、昨年の大臣宣言において検討を合意した「交通サプライチェーンに関するG7ワーキンググループ」の設置に合意しました。
        • 我が国は、昨年の大臣宣言において作成を合意した「全ての地域で誰もがアクセス可能な交通の提供に関するG7政策集」を発表すると共に、本年2月に我が国が主催した「G7バリアフリー実務者会合」を報告しました。また、より一層インクルーシブな交通の実現のため、今年、「ジェンダーと交通に関するセミナー」をITF(国際交通フォーラム)と連携して東京で開催予定であること等を発表しました。
      • セッション2:海上における連結性
        • G7が、ホーシー派による紅海等における行動による各国の影響を共有するとともに、こうした行動を一致して強く非難しました。
        • 我が国は、G7各国とも協調し、船舶及び乗組員の早期解放を実現していきたい旨、船舶の自由かつ安全な航行を阻害するいかなる行為も許容できず、断固非難する旨を発言しました。また、昨年10月に海上保安庁と日本財団が開催した海上保安機関長官級会合について報告し、法の支配、自由で開かれた秩序の維持に貢献していくことを報告しました。
  • 添付資料
    • G7交通大臣宣言
    • 「全ての地域で誰もがアクセス可能な交通の提供に関するG7各国の政策集」について
      • 昨年のG7三重・伊勢志摩交通大臣会合の大臣宣言に基づき、人口が減少する地方を含む全ての地域の人々のアクセスを向上させるため、効率的、持続可能、手頃、公平、利用可能かつ便利な移動方法の提供について解決策を共有し、ベストプラクティスを促すため、今回、日本が中心となって、G7各国の政策をとりまとめ、G7交通大臣会合にて、斉藤大臣より報告及び発表を行いました。本報告書は、各国交通政策当局等の政策立案の際の参考資料となることを想定しています。

国土交通省 令和6年度国土交通省関係予算の配分について
  • 配分方針
    • 令和6年度国土交通省関係予算では、「国民の安全・安心の確保」、「持続的な経済成長の実現」、「個性をいかした地域づくりと分散型国づくり」を3本柱として、令和5年度補正予算と合わせて切れ目なく取組を進めることとしている。
    • また、社会資本整備については、ストック効果の最大化に取り組みつつ、既存施設の計画的な維持管理・更新・利活用を図りながら、上記の3本柱の実現に資する波及効果の大きなプロジェクトを戦略的かつ計画的に展開していく必要がある。
    • 以上のような点を踏まえ、一般公共事業等予算の配分に当たっては、
      • 気候変動による水害や土砂災害の激甚化に対抗する「流域治水」の加速化・強化
      • インフラ老朽化対策等による持続可能なインフラメンテナンスの実現
      • 地域における総合的な防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中的支援(防災・安全交付金)
      • 効率的な物流ネットワークの早期整備・活用
      • 国際コンテナ戦略港湾の機能強化
      • 成長の基盤となる社会資本整備の総合的支援(社会資本整備総合交付金)
      • コンパクトでゆとりとにぎわいのあるまちづくりの推進
      • 多様な世帯が安心して暮らせる住宅セーフティネット機能の強化
      • 国民保護・総合的な防衛体制の強化等に資する公共インフラ整備
        などについて、地域の実情や要望、事業の必要性や緊急性に基づき、配分を行う。
    • なお、東日本大震災からの復興関係予算については、「第2期復興・創生期間」における東日本大震災からの復興・再生に向け、復興庁が定める実施に関する計画に従い、着実に執行する。
  • 事業別配分額総括表

国土交通省 電気自動車のバッテリーを長持ちさせるには!?~ 電気自動車の適切な充電方法のポイント等をまとめた動画を公開します ~
  • 電気自動車のバッテリーを長持ちさせるためには、[1]常時満充電にしない、[2]頻繁に急速充電を行わない、[3]長期間充電をせずに放置しないなど、バッテリーの特性を踏まえた適切な充電方法や管理方法を理解することが重要です。
  • 国土交通省では、電気自動車の適切な充電方法やバッテリーの容量不足(電欠)を防ぐポイント等をまとめた動画を作成し、本日YouTube国土交通省公式アカウントに公開します。
  • 電気自動車の適切な充電方法、管理方法のポイント
    • 常時満充電にしない
    • 頻繁に急速充電を行わない
    • 長期間充電せずに放置しない
      • 駆動用バッテリーには寿命があり、充電できる容量が徐々に減少していきます。常時満充電の状態や、必要以上の急速充電の繰り返しは、バッテリーの劣化を早めるおそれがあります。
  • 電欠を防ぐには/電欠になってしまった場合には
    • 電気自動車は、冷暖房の使用や高速走行などにより、電力消費量が大きく変動します。
    • バッテリーの容量不足(電欠)を防ぐには、航続距離等を考慮して、事前に充電スタンドの位置を確認し、余裕を持って充電することが重要です。
    • バッテリーの残量が著しく低下すると、メーター内に警告灯やメッセージが表示されるとともに、出力が制限され、アクセルを踏んでも速度が上がらなくなるので、注意が必要です。
    • 電欠になってしまった場合には、まずは安全な場所に停車して安全を確保しましょう。

国土交通省 「働きやすい職場認証制度」令和5年度認証事業者公表のお知らせ~「三つ星」事業者を初めて認証しました~
  • 自動車運送事業における労働条件や労働環境に対する求職者のイメージ刷新を図り、運転者への就職を促進することを狙いとする、「働きやすい職場認証制度」について、令和5年度に申請のあった認証事業者878社が公表されましたのでお知らせします。
  • また、自動車運送業分野の特定技能制度を活用する際に、本制度の認証を受けることが条件として設定されたことをあわせてお知らせします。
  • 概要
    • 国土交通省では、自動車運送事業(トラック・バス・タクシー事業)の運転者不足に対応する施策の一環として、事業者による職場環境改善の取組を国が認証し「見える化」することにより、自動車運送事業における労働条件や労働環境に対する求職者のイメージ刷新を図り、運転者への就職を促進することを狙いとする「働きやすい職場認証制度」を令和2年度に創設しました。
    • 今般、本制度の認証事務を担う一般財団法人日本海事協会にて、令和5年度申請事業者について審査が完了し、認証事業者として878社(「一つ星」628社、「二つ星」206社、「三つ星」44社)が公表されました。なお今回、制度創設以来初となる「三つ星」の認証も実施しております。今後も本制度の推進を通じて更なる職場環境改善を促進し、自動車運送事業者の安定的な人材確保に繋げてまいります。
    • また、「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針の一部変更について」(令和6年3月29日付閣議決定)により特定技能の在留資格に係る制度に「自動車運送業分野」が追加され、同分野における特定技能所属機関に課される条件として本制度の認証を取得することが設定されました。
  • 認証事業者数(※令和6年4月5日時点)
    • 令和5年度の認証結果を反映した、現在の認証事業者数は以下のとおり。
トラック バス タクシー 合計
一つ星 1,520 194 525 2,239
二つ星 948 142 362 1,452
三つ星 34 3 7 44
合計 2,502 339 894 3,735

国土交通省 第1回「自動車の型式指定に係る不正行為の防止に向けた検討会」を開催します
  • ダイハツ工業等による近年の自動車の型式指定申請における不正事案を踏まえ、メーカーの不正行為を根本から防止するための対策を検討するため、外部有識者を含めた「自動車の型式指定に係る不正行為の防止に向けた検討会」を設置し、第1回「自動車の型式指定に係る不正行為の防止に向けた検討会」を下記のとおり開催します。
  • 自動車の型式指定制度については、過去の不正事案を踏まえ、行政処分や罰則の強化等の対策を実施してきましたが、近年も相次いで自動車メーカー等による型式指定に係る不正行為が明らかとなっており、さらなる不正行為の防止策の検討が必要です。
  • 審査・監査の強化をはじめとした不正行為の抑止、早期発見のための手法等、メーカーの不正行為を根本から防止するための対策について検討する
    • 日時:令和6年4月9日(火)10:30~12:00
    • 場所:中央合同庁舎第3号館8階 特別会議室
    • 議題:近年の不正事案と国土交通省の取組、必要な不正防止策の方向性 等

国土交通省 テレワーカーの割合は減少、出社と組み合わせるハイブリットワークが拡大~令和5年度のテレワーク人口実態調査結果を公表します~
  • 国土交通省では、テレワーク関係府省(内閣官房、内閣府、デジタル庁、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省)と連携して、テレワークの普及促進に取り組んでおり、今後の促進策に役立てることを目的として、「テレワーク人口実態調査」を実施しています。
  • 今年度調査における雇用型テレワーカーの割合は、昨年度調査から1.3ポイント減少し、24.8%となりました。
    • テレワーク実施状況の変化
      • 雇用型就業者のテレワーカー(雇用型テレワーカー)(雇用型就業者のうち、これまでテレワークをしたことがある人)の割合は、全国で24.8%(1.3ポイント減)となった。全国的に減少傾向である一方で、コロナ禍以前よりは高い水準を維持している。特に首都圏では、R4年度調査よりも1.9ポイント減少となったものの約4割の水準を維持している。
      • コロナ禍以降の直近1年間のテレワーク実施率(雇用型就業者のうち、各調査年度において直近1年間にテレワークを実施しているテレワーカーの割合)は、全国どの地域においても減少傾向であったが、コロナ流行前よりは高水準であると推測される。
      • テレワーク実施頻度については、直近1年間のうちにテレワークを実施した雇用型テレワーカーにおいては、週1~4日テレワークを実施する割合が増えており、コロナ禍を経て出社とテレワークを組み合わせるハイブリッドワークが拡大傾向にあると言える。
    • テレワークは生活満足度を上げるのか下げるのか
      • テレワーク普及による個人や社会への影響について、よい影響としては、「通勤の負担が軽減される」といった声が多く、悪い影響としては、「運動不足になる、外出が減る」という声が多くみられた。
      • また、テレワークをするようになってからの生活満足度の変化を東京都市圏(東京都市圏(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県南部))居住者に質問したところ、約4割が生活全体の満足度が上がったと回答した。個別項目においては、「子育てのしやすさ」や「心の健康」への満足度が上がった割合が約3割と高かった。
    • テレワークが日常の生活行動や都市に与える影響
      • 現在もテレワークを継続している人(東京都市圏居住者(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県南部)のうち、現在も週1日以上テレワークを実施し、東京区部又は業務核都市に勤務するテレワーカー)は、テレワークをするようになってから、食料品・日用品の買い物について、勤務地の近くでの買い物頻度が減少傾向であり、自宅の近くやオンラインでの頻度が増加していることがわかった。
      • そのほかに、食事・飲み会や趣味・娯楽、運動等について同様に調査を行った。その結果、勤務地の近くではどの種類の活動も頻度が減少し、オンラインではすべての活動頻度が増加傾向であることがわかった。また、自宅の近くでは、食料品・日用品の買い物の他に、散歩・運動等の頻度が増加し、食事・飲み会と趣味・娯楽の頻度が減少傾向となった。
▼ 令和5年度テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)

国土交通省 令和5年度の流域治水の取組の進展について~令和6年度からの流域治水のさらなる加速化に向けて~
  • 令和5年度においても流域治水の取組が全国で進展しています。令和6年度からの予算制度の拡充や水災害リスクを自分事化し流域治水の取組主体を増やすための取組等、流域治水の現場レベルでの実践をさらに加速化していきます。
  • 流域治水の取組の進捗
    • 一級水系において、指標として見える化した7つの代表的な取組内容が進捗しました。
  • 流域治水に係る予算制度の拡充
    • 令和6年度から、浸水や土砂災害の危険が高い地域における流域対策を一層推進するため、河川、砂防、下水道、まちづくり等のあらゆる分野において流域治水の取組に資する予算制度を拡充します。
  • 特定都市河川の指定拡大
    • 令和5年度には、肱川水系、鳴瀬川水系、高城川水系、石狩川水系、一宮川水系、利根川水系、最上川水系、甲突川水系、新川水系、稲荷川水系及び阿武隈川水系の11水系159河川が特定都市河川に指定され、また、特定都市河川指定等の予定時期を示すロードマップを全国の27水系で公表しました。
  • 水災害リスクを自分事化し、流域治水に取り組む主体を増やすための取組
    • 住民や企業等のあらゆる関係者による、持続的・効果的な流域治水の取組の推進に向け、行政の働きかけに関する普及施策の体系化と行動計画をとりまとめました。この行動計画に基づき、流域治水ロゴマークの決定等の普及施策の取組を進めてきました。今後、更なる水災害リスクの自分事化を図るとともに、流域治水に取り組む主体を増やすための取組を推進していきます。
  • 流域治水における河川環境の保全・創出の取組強化
    • 今後の河川環境施策を着実に進めていくために、令和6年2月から「生物の生息・生育・繁殖の場としてもふさわしい河川整備及び流域全体としての生態系ネットワークのあり方検討会」を開催し、3月に提言案)を公表しました。
      (URL:https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/seitai_network/index.html
  • 土砂災害リスクを踏まえた防災まちづくりの推進
    • 居住誘導区域等における防災まちづくりと連携した砂防関係施設の重点的な整備に向けて、まちづくり連携砂防等事業が新たに逗子市、雲南市、長崎市で開始されました。
  • 関係省庁、流域関係者との連携強化

国土交通省 「復興まちづくりのための事前準備」の着手率、約66%~平時の備えが、いざという時の復興まちづくりを支えます~
  • 国土交通省では、「復興まちづくりのための事前準備ガイドライン」を平成30年7月に公表し、自治体における「復興まちづくりのための事前準備※」の取組を推進しています。 ※地震や津波等で被災した際に早期かつ的確な復興まちづくりを行えるよう、平時から復興まちづくりを想定して、体制や手順、目標の事前検討、訓練の実施等を行うもの
  • 昨年度に引き続き、ガイドラインに基づく復興事前準備の取組状況について、全国の都道府県及び市区町村を対象に実施した調査結果をとりまとめました。
  • 調査結果のポイント
    • 半数以上の自治体が取組に着手。昨年度比+1%の約66%(参考:R4.7時点65%)。
    • 一方で、市町村に対して様々な支援や情報提供を行っている都道府県管内では、83%の市町村が取組に着手しており、都道府県による支援の取組の効果が高い。
    • 復興事前準備の取組についてとりまとめる「事前復興まちづくり計画」について、30自治体が策定済、20自治体が策定作業中、全自治体の21%が策定を検討しており、引き続き「事前復興まちづくり計画策定のためのガイドライン」の周知を通じて、計画策定の推進を図る。
  • 令和6年能登半島地震の発生も踏まえ、被災した際に早期かつ的確な復興まちづくりを行えるよう、事前復興まちづくり計画の策定をはじめとした復興事前準備の取組がますます重要となると考えられることから、今後も、自治体の取組を積極的に推進してまいります。

国土交通省 工期に関する基準の実施を勧告~建設工事の適正な工期の確保をするための基準の見直し~
  • 適正な工期による請負契約の締結を促し、働き方改革を促進するため、中央建設業審議会において工期に関する基準を改定し、その実施が勧告されました。
  • 背景
    • 工期に関する基準は、適正な工期による請負契約の締結を促し、働き方改革を促進するため、令和2年7月20日に開催された中央建設業審議会での内容の審議を経て、作成・勧告されました。
    • 今般、令和6年4月から、建設業においても罰則付き時間外労働規制が適用されることも踏まえ、規制の遵守の徹底を図るべく、工期に関する基準の見直しについて、令和6年3月27日に開催された中央建設業審議会で審議され、同日その実施が勧告されました。
  • 基準の概要
    • 今回の改定の主な内容は以下のとおりです。
      • 工期設定における受発注者の責務について
        • 変更契約時も含め、本基準を踏まえた適正な工期設定の必要性を明記・受注者において、契約締結前又は変更契約が必要となる際に、時間外労働規制を遵守した適正な工期が確保された見積りを提出することを努力義務として位置づけ
        • 受発注者間のパートナーシップの意義を記載
        • 発注者において、受注者やその下請負人が時間外労働規制を遵守できる工期設定への協力及び当該規制への違反を助長しないよう留意する旨を記載(元下間も同様)
        • 発注者において、受注者から契約締結前又は変更契約が必要となる際に、時間外労働規制を遵守した適正な工期が確保された見積りが提出された場合、内容を確認し、尊重する旨を記載
      • 工期全般・工程別に考慮する事項について
        • 技能労働者やオペレーターの移動時間等も労働時間に含まれうる旨や、運送業者が物品納入に要する時間等を考慮する必要性を追記
        • 自然要因として、猛暑日における不稼働に関する内容を追記
        • 工期確保や交代勤務制の実施、労働者確保等に必要な経費を請負代金の額に適正に反映させる必要性を明記
        • 有効な取組例として、勤務間インターバル制度の導入に関して記載

国土交通省 公共交通機関の「移動等円滑化整備ガイドライン」等を改訂しました
  • 国土交通省では、公共交通機関における高齢者、障害者等の更なる移動等の円滑化を進めるため、「移動等円滑化整備ガイドライン」、「接遇ガイドライン」及び「接遇研修モデルプログラム」を改訂しました。
  • 国土交通省では、高齢者、障害者等をはじめとした多様な利用者の多彩なニーズに応えることができるよう、旅客施設及び車両等の整備及びそれらを使用した役務の提供の方法のあり方を具体的に示した「公共交通機関の旅客施設・車両等・役務の提供に関する移動等円滑化整備ガイドライン」(以下「公共交通機関の移動等円滑化整備ガイドライン」という。)を公表しています。この度、学識経験者、障害当事者、公共交通事業者等で構成する検討会での議論等を踏まえ、「公共交通機関の移動等円滑化整備ガイドライン」を改訂しました。
  • また、公共交通機関における一定水準の接遇を全国的に確保し、障害のある人等への接遇を的確に行うことで、高齢者、障害者等の移動等の円滑化を推進するため、公共交通事業者による研修の充実及び適切な接遇の実施を推進するための指針となる「公共交通事業者に向けた接遇ガイドライン、同ガイドライン(認知症の人編)」及び「接遇研修モデルプログラム(改訂版)」を改訂しました。
  • 【主な改訂内容】
    • 公共交通機関の移動等円滑化整備ガイドライン
      • 障害者差別解消法改正を踏まえた国土交通省所管事業における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針の改正内容の反映
      • 障害者のための国際シンボルマーク(いわゆる車椅子マーク)の表現の見直し
    • 公共交通事業者に向けた接遇ガイドライン等
      • 障害者差別解消法改正に伴う関係記載の見直し
      • 多機能トイレ等からバリアフリートイレ等への表現の見直し

【2024年3月】

国土交通省 「流域治水」ロゴマークを決定しました~ 流域のみんなが水害対策を取り組むきっかけに~
  • 国土交通省では、気候変動の影響により水災害の激甚化・頻発化が懸念される中、河川管理者が主体となって行う河川整備等の事前防災対策を加速化させることに加え、流域に関わるあらゆる関係者が協働して、様々な施策を総動員し水害対策を行う「流域治水」を進めています。
  • このたび、一人でも多くの方々に「流域治水」への理解や親しみをもっていただくことを目的に、公募作品の中から、流域治水のシンボルとなるロゴマークを決定しました。
  • 決定したロゴマークは、全国各地で流域治水を広く周知・PRするための広報活動に活用してまいります。
  • デザインメッセージ
    • 日本はどこに行っても川があり、水に囲まれています。資源でもありますが、災害も引き起こす川と共存して行かなければなりません。
    • 中央の図形は、多様な地域同士が行政界を超えて流域で連携していくイメージを重なりで表現しています。その周囲を囲むような円は、水災害対策により流域を守っていくことを、円の端の手は、このような対策は長年多くの人の手により進められてきたことや、これからも地域同士、住民同士が手を取り合って水災害に立ち向かっていこうという意志を表したものです。
    • また、さまざまな水滴の円は、協働して水害に対して備えていく国、自治体、団体、住民を表しています。

国土交通省 日本全国の道路異状の通報がLINEアプリから可能となります~全国の道路を対象にLINEによる道路緊急ダイヤル(#9910)の運用を開始します~
  • 道路利用者が道路の異状等を発見した場合に、直接道路管理者に通報することができる道路緊急ダイヤル(#9910)について、令和6年3月29日から、全国の道路を対象にLINEアプリによる通報を開始します。
  • 道路緊急ダイヤル(#9910)では、道路の穴ぼこ、路肩の崩壊などの道路損傷、落下物や路面の汚れなどの道路異状を24時間受け付けています。
  • 令和5年11月より関東甲信地方において、LINEによる道路緊急ダイヤル(#9910)の運用をしていましたが、この度、令和6年3月29日から、全国の道路を対象にした運用を開始します。
  • 聴覚や発話に障がいがあり、音声による通報が困難な方であっても、LINEによる通報が可能となります。通報の流れは、別紙を参照してください。
    • 開始日時
      • 令和6年3月29日(金)正午
    • 使用方法
      • スマートフォンアプリケーション「LINE」に「国土交通省道路緊急ダイヤル(#9910)」の友だち追加をしてご利用ください。(友だち追加は右記の二次元コード読み取りからも可能です。)
    • 対象エリア
      • 全国の道路(高速道路、国道、都道府県道、市町村道など)
        • ※道路以外の通報や、私道など私有地の通報は対象外です。
    • その他
      • 電話による道路緊急ダイヤル(#9910)も引き続きご利用できます。
      • アプリの利用は無料です。ただし、通信方法によっては、別途通信料がかかります。

国土交通省 新たなトラックの標準的運賃を告示しました~運賃水準を8%引き上げるとともに、荷役の対価等を新たに加算~
  • 令和2年4月に告示したトラックの標準的運賃について、運賃水準を8%引き上げるとともに、荷役の対価等を加算した、新たな運賃を告示しました。今後、関係省庁・産業界とも連携し、実効性の確保に努めるとともに、あらゆる手段を講じて、ドライバーの賃上げ原資の確保に向けて取り組んでまいります。
  • 背景
    • トラック運送業については、間近に迫る「2024年問題」も踏まえ、ドライバーの賃上げの原資となる適正運賃を収受できる環境の整備が急務です。
    • こうした中、昨年6月にとりまとめられた「物流革新に向けた政策パッケージ」において、トラックの標準的運賃について、荷主等への周知・徹底を強化するとともに、荷待ち・荷役に係る費用、燃料高騰分、下請けに発注する際の手数料等も含めて、荷主等に適正に転嫁できるよう、所要の見直しを図ることとされました。
  • 概要
    • 今般の見直しにあたっては、国土交通省において、昨年8月より、「標準的な運賃・標準運送約款の見直しに向けた検討会」を計3回開催し、同年12月、[1]荷主等への適正な転嫁、[2]多重下請構造の是正等、[3]多様な運賃・料金設定等を見直しの柱とする提言を公表しています。当該提言を踏まえた告示の見直し案について、本年1月10日付けで運輸審議会へ諮問しました。
    • 同審議会における審理及び2月29日付けの同審議会からの答申を踏まえ、本日、新たな運賃を告示したところです。
    • 今後、関係省庁・産業界とも連携し、実効性の確保に努めるとともに、あらゆる手段を講じて、ドライバーの賃上げ原資の確保に向けて取り組んでまいります。

国土交通省 まるっと減らそう、再配達!!~4月は「再配達削減PR月間」!受け取りは1回で!~
  • 昨年6月に取りまとめた「物流革新に向けた政策パッケージ」では、令和6年度の再配達率を半減することとしております。このため、昨年に引き続き、本年4月を「再配達削減PR月間」とし、関係省庁や宅配事業者、EC事業者等と連携し、再配達削減に向けた取組みを強力に推進して参ります。
  • 近年、多様化するライフスタイルとともに電子商取引(以下EC)が急速に拡大し、令和4年度には、EC市場が全体で22.7兆円規模、物販系分野で13.9兆円規模となっています。また、ECの拡大に伴い宅配便の取扱個数は約50億個(令和4年度)となっています。
  • 国土交通省としては、宅配・EC事業者や関係省庁と連携し、消費者の意識改革と行動変容を通じ、再配達率半減に向けた取組が進むよう、スピード感を持って対応して参ります。
    • 関係省庁の取組【国土交通省・消費者庁・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・環境省】
      • 政府広報PR動画(https://www.gov-online.go.jp/useful/202402/video-278763.html)
      • HPやSNS等を通じた消費者への再配達削減の呼びかけ
      • 事業者や業界団体を通じた再配達削減の呼びかけ
      • 参加事業者のリストと取組内容を国土交通省HPに掲載
      • デジタルサイネージを活用した関連動画の放映
    • 宅配便・EC・通販事業者等の取組
      • 計50事業者以上が参画(3/19時点。別添参照)
      • HPに再配達削減PR月間の共通バナーを掲載
      • HPやSNSを通じ、消費者に対し再配達削減を呼びかけ
    • 呼びかける内容
      • 時間帯指定の活用(ゆとりある日時指定)
      • 各事業者の提供しているアプリ等の活用
      • コンビニ受取や置き配など、多様な受取方法の活用
      • 発送時に送付先の在宅時間を確認 など

国土交通省 今年春に引越をご予定の皆様へ~予約状況のお知らせ~
  • 今年春に引越をご予定の皆様に向けて、「3月~4月の引越予約状況」をとりまとめましたので、是非ご参考にして下さい。
  • 引越予約状況カレンダー(別紙)をご参考にして頂き、引き続き、混雑時期をできるだけ避けた早めのご依頼をお願い致します。特に、4月中旬以降は、比較的余裕がある状況ですので、是非、引越時期の分散(分散引越)に向けてご検討・ご協力をお願い致します。
  • 国土交通省としては、引き続き、経済団体等を通じて、引越時期の分散に向けた取組を実施していくとともに、本プレスリリースの内容についても、幅広く周知して参ります。
  • 分散引越をされた方々からの声
    • 『3月末の土日の引越と比べて、引越代金が安くなった』
    • 『会社の従業員の引越に係るコストを抑えることができた』
    • 『3月の最終週から引越時期をずらすことで、予約が取りやすくなった』
▼ 引越時期の分散に向けたお願い
  • 引越時期の分散について
    • 例年、引越事業においては、3月から4月にかけて依頼が集中しているため、国土交通省では、引越時期の分散に向けて昨年から経済団体等を通じて利用者の方々に呼びかけを行っているところです。
    • 引越時期の分散にご協力いただいた結果、一定程度引越時期の分散が進んでいるところですが、依然として3月・4月に依頼が集中しています。つきましては、本年の引越におかれましても、ピーク時期の引越を避けるなどのご協力・ご検討をお願い致します。
  • 国土交通省における新たな取組
    • 国土交通省では、引越時期の分散に向けて、新たに以下のような取組を実施します。
      • 経済団体等への要請_経済団体を通じて、民間企業の異動時期分散化の検討要請
      • 国土交通省職員の異動_4月期の人事異動に伴う引越を行う職員のいわゆる「赴任期間」の活用
      • その他_全国の地方運輸局における引越のトラブル等に関する情報提供窓口の設置

国土交通省 「特定タンカーに係る特定賠償義務履行担保契約等に関する 特別措置法施行令の一部を改正する政令」を閣議決定
  • イラン産原油を輸送するタンカーを対象とした損害保険契約等に係る、保険金額の下限、担保上限金額の算定基礎金額及び納付金額を変更する政令改正が、本日閣議決定されました。
  • 背景
    • 平成24年7月以降、EUによる対イラン制裁で再保険の引き受けが禁じられたことから、イラン産原油を輸送するタンカーは、十分な保障契約の締結が困難となりました。
    • 我が国は、引き続きイラン産原油を輸入する必要があったことから、同年、「特定タンカーに係る特定賠償義務履行担保契約等に関する特別措置法」を制定し、この状況に対応することとしました。
    • 具体的には、イラン産原油を輸送するタンカーを対象として、タンカー所有者と保険者が締結する特定損害保険契約及び特定賠償義務履行担保契約に基づき、政府がタンカー所有者との間で、交付金を交付する契約(特定保険者交付金交付契約)を締結できることとし、事故発生時の損害について、一定金額を上限に保険者に対して交付することとしています。
    • 損害保険契約の保険金額の下限、担保上限金額の算定基礎金額や政府への納付金額については、タンカーに係る保険契約の保険金額の国際的な水準等を勘案し同法施行令で定めているところ、令和6年4月1日以降の特定保険者交付金交付契約の締結のため、同法施行令を改正する必要があります。
  • 政令の概要
    • 特定損害保険契約の保険金額の下限の変更
      • 13億7,000万円(現行)→13億9,000万円
    • 特定賠償義務履行担保契約の担保上限金額の算定の基礎となる金額の変更
      • 1兆1,733億2,918万9千円(現行)→1兆2,235億1,245万9千円
    • 特定保険者交付金交付契約の納付金の金額の変更
      • 2,100万円(現行)→2,000万円
  • スケジュール
    • 公布:令和6年3月21日(木)
    • 施行:令和6年4月 1日(月)

国土交通省 インフラDXに関する優れた取組を行った24団体を表彰します!~令和5年度「インフラDX大賞」授与式を開催~
  • インフラDXに係る優れた取組を行った「インフラDX大賞」の受賞者に対し、国土交通大臣が表彰状を授与する授与式を3月6日(水)に開催します。
  • 「インフラDX大賞」とは
    • 国土交通省は、建設現場の生産性向上に関するベストプラクティスの横展開に向けて、平成29年度より「i-Construction大賞」を実施してきました。
    • また、令和4年度からは、「インフラDX大賞」と改称し、インフラの利用・サービスの向上といった建設業界以外の取組へも募集対象を拡大しています。
    • 加えて、インフラ分野におけるスタートアップの取組を支援し、活動の促進、建設業界の活性化へつなげることを目的に、「スタートアップ奨励賞」を設置しております。
  • 表彰状授与式
    • 日時:令和6年3月6日(水)15:00~
    • 場所:東京都千代田区霞が関2-1-3 中央合同庁舎3号館10階共用会議室
    • 出席者:国土交通大臣※、受賞者(※大臣の予定は公務の都合上変更となる場合があります。)
  • 受賞者
    • 24団体(国土交通大臣賞3団体、優秀賞20団体、スタートアップ奨励賞1団体)

国土交通省 安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン
▼ 資料2-1 改定版ガイドラインの素案について(概要版)
  • 質の高い自転車通行空間の整備促進
    • 限られた道路空間の中で、現地状況に応じた柔軟な再配分や分離を行うことにより、自転車道や自転車専用通行帯の整備を検討する手法を例示。
    • 実務担当者の理解が進むよう、都市部に比較的多い幅員(16m、22m、25m、30m、40m)の道路を例示。
    • 将来的には完成形態での面的な自転車ネットワーク計画の整備を目指すことを基本としつつ、 一部暫定形態を選定する場合の段階的段階的な整備手順のイメージを例示。
    • 特に自転車利用の多い施設間を結ぶ区間や自転車関連事故が多い区間において、完成形態で整備が可能なところは完成形態で、それが困難なところも暫定形態で整備を進め、面的な自転車ネットワークを構築。
    • 次いで、自転車利用の多い区間、郊外の住宅地と中心市街地を結ぶ区間、市町村の自転車活用推進計画において優先する施策に関連する区間等を暫定形態も含めてネットワーク化するとともに、初期段階において暫定形態で整備した区間を、順次完成形態に再整備。
    • 完成形態での整備を完了し、自転車ネットワークを概成。なお、整備後の交通状況や自転車関連事故発生状況等を踏まえて評価を行い、計画の見直し・再整備等を行う。
    • 車道混在は自動車の速度の低い道路において、自転車と自動車が同一の空間を共用する概念であることを明確化。
    • 自転車がどのように通行してよいのかわかりにくいような複雑な交差点について、通行ルールの表示方法を例示。
      • 折れ脚交差点(交差点内で直進方向が屈曲している交差点)
      • くい違い交差点(交差する道路の一方が他方とくい違っている交差点)
    • 整備の機会を逃さないよう、他の道路事業との円滑な連携を進めることについて手順を記載。
    • 無電柱化の設計時には、地上機器を自転車通行空間整備の支障とならないよう配置するための調整が必要
  • 自転車専用通行帯における路上駐停車対策の強化
    • 路上駐停車により自転車専用通行帯の機能を損われないよう、交通管理者と道路管理者が連携して対策を強化する。
      • 原則
        • 自転車の安全かつ円滑な通行空間の確保のため、自転車専用通行帯の整備箇所には、原則として駐車は認めない。
      • 取締り
        • 地域住民の意見・要望等を踏まえて違法駐車の取締りに係るガイドラインを策定、公表、見直しし、悪質性・危険性・迷惑性の高いものに重点を置いて取締りを行い、特に自転車専用通行帯をふさぐ違法駐車についての取締りを積極的に推進する。
      • 停車帯等
        • 自転車の安全かつ円滑な通行の確保に支障がないよう、貨物の積卸や人の乗降等といった駐停車需要に応えるため、必要に応じて停車帯等を設置。(路外駐車場などの沿道状況や地域における駐車施策等との整合性に配意)
      • 利用ルールの徹底
        • 自転車通行空間の整備形態別に道路管理者、都道府県警察が特に注意しなければならない通行ルールについて解説。
      • 新技術やデータの活用の促進
        • シェアサイクルやスマートフォンの移動履歴から自転車プローブデータを分析し、地域の状況を把握することの有効性について例示。

国土交通省 「防災拠点自動車駐車場」を指定します
  • 災害時において、広域的な災害応急対策を迅速に実施するための拠点を確保することが重要であることを踏まえ、地域防災計画等に位置づけられた「道の駅」の自動車駐車場について、「防災拠点自動車駐車場」として指定します。
  • 令和3年3月に道路法等が改正され、広域災害応急対策の拠点となる防災機能を有する「道の駅」や高速道路のサービスエリア・パーキングエリアの自動車駐車場について、国土交通大臣が防災拠点自動車駐車場として指定する制度が創設され、令和4年3月に、道の駅332箇所、サービスエリア・パーキングエリア146箇所を初めて指定し、令和5年3月に道の駅22箇所を追加指定しています。
  • 今般、道の駅の新規登録や地域防災計画の改定などを踏まえ、新たに道の駅12箇所の自動車駐車場を防災拠点自動車駐車場として指定し、全国の防災拠点自動車駐車場は、512箇所(道の駅366箇所、サービスエリア・パーキングエリア146箇所)になります。
▼ 報道用資料
  • 広域災害応急対策の拠点となる防災機能を有する「道の駅」等について、国土交通大臣が防災拠点自動車駐車場として指定する制度
  • 地域防災計画等に位置付けがある「道の駅」やSA・PAを対象として、令和4年3月、全国478箇所を指定(「道の駅」332箇所、SA・PA146箇所)
  • 令和5年3月、「道の駅」22箇所を追加指定(「道の駅」354箇所、SA・PA146箇所)
  • 今回、道の駅の新規登録や地域防災計画の改定などを踏まえ、12箇所で追加指定
  • 全国の防災拠点自動車駐車場512箇所(「道の駅」366箇所、SA・PA146箇所)
  • 道路駐車場(防災拠点自動車駐車場に指定)
    • 災害時に防災拠点としての利用以外を禁止・制限が可能
    • 災害時に有用な施設等の占用基準を緩和
  • 地域振興施設等
    • 道路管理者が隣接する地域振興施設等の所有者と協定を締結し、災害時には一体的に活用可能

国土交通省 「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定~建設業の担い手を確保するため、契約取引に係るルールを整備~
  • 本日、「建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の一部を改正する法律案」が閣議決定され、建設業の担い手を確保するため、労働者の処遇改善に向けた賃金原資の確保と下請事業者までの行き渡り、資材価格転嫁の円滑化による労務費へのしわ寄せ防止、さらには、働き方改革や現場の生産性向上を図るための措置が盛り込まれました。
  • 背景
    • 建設業は、他産業より賃金が低く、就労時間も長いため、担い手の確保が困難。
    • 建設業が「地域の守り手」としての役割を将来にわたって果たしていけるよう、時間外労働規制等にも対応しつつ、処遇改善、働き方改革、生産性向上に取り組む必要。
  • 概要
    • 労働者の処遇改善
      • 建設業者に対して労働者の処遇確保を努力義務化するとともに、国は当該処遇確保に係る取組状況を調査・公表。
      • 労務費等の確保と行き渡りのため、中央建設業審議会が「労務費の基準」を作成・勧告することとし、受注者及び注文者の双方に対して著しく低い労務費等による見積り書の作成や変更依頼を禁止(違反発注者には国土交通大臣等が勧告)。
      • 併せて、受注者における不当に低い請負代金による契約締結を禁止。
    • 資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止
      • 資材高騰など、請負代金や工期に影響を及ぼす事象(リスク)がある場合、請負契約の締結までに受注者から注文者に通知するよう義務化する。また、資材価格変動時における請負代金等の「変更方法」を契約書の記載事項として明確化。
      • 注文者に対し、当該リスク発生時は、誠実に協議に応ずることを努力義務化。
    • 働き方改革と生産性向上
      • 長時間労働を抑制するため、受注者における著しく短い工期による契約締結を禁止。
      • ICT活用等を要件に、現場技術者に係る専任規制や、公共工事における施工体制台帳提出義務を合理化。
      • ICT活用による現場管理の「指針」を国が作成し、特定建設業者や公共工事受注者に対し、効率的な現場管理を努力義務化。

国土交通省 「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定~安心して居住できる環境を整備するため、住宅セーフティネット法等を改正~
  • 高齢者や低額所得者など住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進及びその居住の安定の確保を一層図るための「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律案」が、本日、閣議決定されました。
  • 背景
    • 単身世帯の増加、持ち家率の低下などにより、今後、高齢者や低額所得者などの住宅確保要配慮者(以下「要配慮者」という。)の賃貸住宅への円滑な入居に対するニーズが更に高まることが見込まれます。一方で、賃貸人の中には、孤独死や死亡時の残置物処理、家賃滞納等に対して懸念を持っている方が多くいます。
    • この法律案は、こうした状況を踏まえ、要配慮者に対して入居前や入居後の支援を行う居住支援法人※などの地域の担い手の協力を得ながら、要配慮者が安心して居住できる環境を整備するため、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)等を改正するものです。 ※要配慮者の入居支援(物件の紹介等)、入居後の見守りや相談等を行う法人(都道府県知事指定)
  • 法律案の概要
    • 大家が賃貸住宅を提供しやすく、要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備
      • 終身建物賃貸借※の利用促進 ※賃借人の死亡時まで更新がなく、死亡時に終了する(相続人に相続されない)賃貸借
      • 居住支援法人による残置物処理の推進
      • 家賃債務保証業者の認定制度の創設
    • 居住支援法人等が入居中サポートを行う賃貸住宅の供給促進
      • 居住サポート住宅※の認定制度の創設(福祉事務所を設置する自治体による認定) ※法律上は「居住安定援助賃貸住宅」
    • 住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化
      • 国土交通大臣及び厚生労働大臣が共同で基本方針を策定
      • 市区町村による居住支援協議会※設置を促進(努力義務化) ※地方公共団体の住宅部局・福祉部局、居住支援法人、不動産関係団体、福祉関係団体等を構成員とした会議体

国土交通省(株)豊田自動織機の不正事案に係る基準適合性等の検証結果について
  • 国土交通省では、豊田自動織機による型式指定申請における不正行為が確認されたエンジンについて、順次、道路運送車両法の基準適合性等に関する検証を行っています。
  • 本日、検証が終了した自動車用エンジン3機種について、結果を公表します。
  • 経緯
    • 令和6年1月29日に豊田自動織機から型式指定申請における不正行為の報告を受け、国土交通省において、立入検査等により事実関係の確認を行った結果、産業機械用の現行エンジンの全機種(5機種)及び自動車用の現行エンジン3機種において不正行為が行われていたことを確認した。また、産業機械用の現行エンジンのうち建設機械用1機種について、基準不適合であることを確認した。
    • 国土交通省は、産業機械用の現行エンジン2機種※及び自動車用の現行エンジン3機種について、道路運送車両法の基準適合性に関する確認試験などの技術的な検証を速やかに行い、結果の出たエンジンから順次公表することとしている。
      • ※産業機械用の現行エンジンのうち残り2機種は既に基準不適合を確認済み。
  • 検証結果
    • 別紙の自動車用の現行エンジン3機種について、道路運送車両法の基準に適合していること等を確認した。
    • このため、当該3機種については、出荷停止の指示を解除する。
  • 今後の対応
    • 産業機械用の現行エンジン2機種についても、基準適合性の検証を行い、結果の出たものから順次公表する。
    • なお、検証結果については、順次、国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk8_000021.html)に掲載する。

国土交通省 バリアフリー政策・課題等についてG7各国間で情報を共有~G7バリアフリー実務者会合を開催~
  • 昨年6月に開催されたG7三重・伊勢志摩交通大臣会合において採択されたG7交通大臣宣言に基づき、令和6年2月29日(木)、G7バリアフリー実務者会合を開催し、G7各国との意見交換を実施しました。同会合では、G7各国におけるバリアフリーに係る政策、課題、ベストプラクティスに関する情報共有・議論を行うとともに、G7各国間のネットワークを維持し、必要な情報共有等を行うことで一致しました。
  • 開催日時
    • 令和6年2月29日(木)21:00~23:15(日本時間、オンライン形式)
  • 出席国及び出席者(G7等)(議長国順)
    • フランス:ポーリン・デルマス 政策担当官
    • 米国:ジュリー・エイブラハム 国際運輸・貿易室長
    • 英国:リズ・ウィルソン 副次長
    • ドイツ:ダイアナ・ハスター 参事官
    • 日本:田中賢二 バリアフリー政策課長
    • イタリア:アントニオ・エラリオ 国際規制部門長
    • カナダ:ジェニス・フェスタ課長
    • EU:アンドラス・モギョロ法務担当官
  • 議論の概要
    • 会合では、G7各国における政策、課題、ベストプラクティスに関する情報共有を行うとともに、意見交換を実施しました。
    • 日本からは、車いす使用者用駐車施設等に関する適正利用を推進する制度(パーキングパーミット制度)・バリアフリートイレの機能分散・心のバリアフリーの推進(適正利用キャンペーン等)の3つのテーマについてプレゼンテーションを行いました。
    • 各国からは、これらのテーマに限定されず、重点的に取り組まれているテーマ(鉄道や航空におけるバリアフリーの取組や車いす使用者用駐車施設の確保に向けた取組等)について発表がなされました。
    • また、G7各国における交通のバリアフリーを推進するため、今後もG7各国間のネットワークを維持し、必要な情報共有等を行うことで一致しました。

【2024年2月】

国土交通省 (株)豊田自動織機の不正事案に関する国土交通省の対応について
  • 国土交通省では、1月30日より、豊田自動織機に対する立入検査を行い、事実関係の確認、精査を行ってまいりました。この結果を踏まえ、本日、国土交通省において、以下の対応を行います。
    • 立入検査の結果の公表
    • 産業機械用の現行エンジン3機種の型式指定の取消し手続きの開始
    • 豊田自動織機に対する是正命令の発出
  • さらに、型式指定申請における相次ぐ不正事案に対応するため、今後、有識者等からなる検討会を設置することとします。
    1. 豊田自動織機の不正事案
      1. 立入検査の結果について
        • 1月29日に豊田自動織機から受けた型式指定申請における不正行為の報告を踏まえ、国土交通省は、不正行為の事実関係等の確認のため、同月30日から2月13日の間、同社並びに同社から自動車用エンジンの供給を受けているトヨタ自動車及び日野自動車に対して立入検査を実施した。
        • その結果、豊田自動織機より報告があった、産業機械用の現行エンジンの全機種(5機種)及び自動車用の現行エンジン3機種で不正行為の事実を確認した。なお、新たな不正行為は発見されなかった。
        • また、トヨタ自動車及び日野自動車については、不正行為への関与は認められなかった。
      2. 産業機械用の現行エンジン3機種の型式指定の取消し手続きの開始について
        • 特に悪質な不正行為※1が行われたと認められた以下の3機種※2(うち建設機械用エンジン1機種は基準不適合を確認)について、型式指定を取り消すこととし、関係法令の規定に基づく手続きを開始した。
        • フォークリフト等用エンジン 2機種(型式:4Y、1FS)
        • 建設機械用エンジン 1機種(型式:1KD)
          • ※1 試験用エンジン制御ソフトに不正な書換えを行い、申請に係る装置と異なる制御方式の装置を用いて試験を実施
          • ※2 産業機械用の現行エンジンのうち残り2機種については、令和5年4月26日に型式指定を取消し済み
      3. 豊田自動織機に対する是正命令の発出について
        • 豊田自動織機に対し、二度とこうした不正行為を起こさない体制への抜本的な改革を促すべく、道路運送車両法の規定に基づき、別添の是正命令を発出した。
        • また、豊田自動織機に対し、1か月以内に再発防止策を報告し、その後四半期毎に再発防止策の実施状況を報告するよう求めた。
    2. 今後の対応
      • 基準適合との報告があった産業機械用の現行エンジン2機種及び自動車用の現行エンジン3機種について、国が基準適合性等の確認を速やかに行い、その結果を順次公表する。
      • 他の自動車メーカー等に対し、型式指定申請における不正行為の有無等について調査し、4月末までに報告するよう指示を行ったところであり、その結果を踏まえて必要な対応を行う。
      • ダイハツ工業及び豊田自動織機における再発防止策等を踏まえ、有識者等からなる検討会を設置し、近年の不正事案に対応するための型式指定に係る要件の強化等について検討を行う。

国土交通省 紅海危機に関するG7臨時交通大臣会合の結果について
▼紅海危機に関するG7交通大臣宣言(原文・仮訳)
  • 我々、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国のG7交通大臣および欧州連合(EU)交通担当委員は、ホーシー派による紅海及びアデン湾を航行する商業船舶及びそれらを守る海軍艦艇への攻撃に対して強く非難する。我々は、こうした攻撃は国際法に違反し、無辜の命を危険に晒し、航行の権利及び自由を脅かすと強調する。国連安保理決議第2722号に沿って、我々は、自国の船舶を国際法に沿って攻撃から守る権利を行使する国への支持を改めて表明した。
  • 海洋安全保障並びに航行の権利及び自由は、目的地及び世界中の人々にとって必要不可欠な物資の自由な移動を確実にするために極めて重要であり、我々は、こうした重要航路を守る、EUの「アスピデス」海洋作戦の立ち上げ、及び英国と共に米国が主導する「繁栄の守護者」作戦の継続的な取組を歓迎する。
  • 我々は、ホーシー派に対し、船舶に対するいわれのない攻撃を直ちに中止し、ホーシー派が2023年11月19日に「拿捕」したギャラクシー・リーダー号及びその乗組員を解放するよう求める。我々は、船員及び船舶の安全及び危機管理の重要性を強調し、紅海の状況に対する政府横断的な対応の一環として、これらを促進することを約束する。
  • 我々は、ホーシー派による商船への攻撃が、世界の海上貿易にとって重要な航路である紅海の航行の自由を著しく妨げており、この地域の安全保障と船舶の安全及び危機管理に重大な脅威をもたらすことに留意する。2023年11月にホーシー派が攻撃を開始して以来、バブ・エル・マンデブ海峡を通過する船舶の数は激減しており、現在では多くの船舶が紅海の通過を避け、海運会社は喜望峰周辺を航行するよう船舶を迂回させている。このような迂回航路は、船員や乗組員に負担をかけ、海上輸送の所要時間や費用を増加させ、結果として、世界的なサプライチェーンや製造工程に対する多大な混乱、船舶の遅延、船舶の運航スケジュールへの信頼性の低下、船舶運賃の上昇をもたらすだけでなく、船舶による温室効果ガスの排出を増加させ、気候変動に関する政策に悪影響を及ぼす。
  • 紅海における目下の危機は、ロシアによるウクライナへの違法な侵略戦争、異常気象、コロナ禍からの回復途上などグローバルヘルスに関する懸念事項が、世界にもたらした緊迫状態を悪化させていることを想起する。世界が相互の繋がりを高めている中で、これらの要因は国際社会の全ての構成員に影響を及ぼす可能性がある。アフリカ南部経由への航路変更によって増加した輸送日数を補うため、海運会社は他の貿易ルートからアジア-欧州航路へ船腹をシフトさせている。貨物運賃は、アジア-欧州航路だけでなく、アジア-北米航路など他の航路でも大幅に上昇している。
  • 我々は、紅海航路の寸断のような危機により、輸送において大幅な運賃上昇が生じていることに留意する。
  • 我々は、協調を強化し、費用と運賃の上昇要因を理解し、グローバル・サプライチェーンの基幹である海上回廊を守るために、透明性が交通利用者にもたらす恩恵を強調する。
  • 我々は、円滑な貨物輸送の流れを確保する政策・取組の世界的な調整において、G7が果たしうる役割を認識する。この観点から、我々は、2024年4月11日-13日にミラノで開催されるG7交通大臣会合において承認されることを目指す、交通サプライチェーンに関するG7ワーキンググループの枠組みについて高官レベルでの議論を継続することの重要性を強調する。

国土交通省 ウクライナ地方・国土・インフラ発展省とインフラ復旧・復興に関する協力覚書を締結
  • 国土交通省は2月19日(月)にウクライナ地方・国土・インフラ発展省との間で、「ウクライナにおけるインフラ復旧・復興促進および継続的な協力関係のための協力覚書」を締結しました。
  • なお同日、同省インフラ復興庁と都市再生機構及び水資源機構の間でも覚書が締結されています。
  • 今後国土交通省は同覚書に基づき、ウクライナのインフラ復旧・復興を支援してまいります。
  • 【覚書の内容】
    • 名称:日本国国土交通省とウクライナ地方・国土・インフラ発展省とのウクライナにおけるインフラ復旧・復興促進および継続的な協力関係のための協力覚書
    • 締結日:令和6年2月19日(月)
    • 署名者
      • (日本側)国土交通省 斉藤鉄夫大臣
      • (ウクライナ側)地方・国土・インフラ発展省 オレクサンドル・クブラコフ大臣
    • 概要
      • 目的:ウクライナにおけるインフラの復旧・復興支援、両国の官民関連団体間のコミュニケーション促進
      • 分野:鉄道輸送、道路輸送、道路管理、空港輸送、海上輸送、観光、住宅、ダム、上下水道、都市計画および国土計画、建設業の法規制
    • 方法:ワークショップや会合を通じた情報交換等

国土交通省 「新しい国際コンテナ戦略港湾政策の進め方検討委員会 最終とりまとめ」の公表
  • 新型コロナウイルス感染症の影響による世界的な国際海上コンテナ物流の混乱など、激変する国際物流情勢を踏まえ、これまで進めてきた国際コンテナ戦略港湾政策をフォローアップし、今後の進め方について検討を行うため、国土交通省港湾局では昨年2月に「新しい国際コンテナ戦略港湾政策の進め方検討委員会」を設置し、検討を行ってきました。
  • この度、令和6年度から概ね5年程度で取り組むべき施策の方向性等について最終とりまとめを行いました。
  • 最終とりまとめのポイント
    • 国際コンテナ戦略港湾政策の政策目標
      • 国際コンテナ戦略港湾※において、北米・欧州航路をはじめ、中南米・アフリカ等多方面・多頻度の直航サービスを充実させることで、我が国のサプライチェーンの強靱化を図り、グローバルに展開する我が国立地企業のサプライチェーンマネジメントに貢献する。
        • ※国際コンテナ戦略港湾:京浜港(東京港、川崎港、横浜港)、阪神港(大阪港、神戸港)
    • 基本的な取組方針
      • 「集貨」「創貨」「競争力強化」の三本柱の取組を引き続き強力に推進。
      • 国際基幹航路の維持・拡大に関する国・港湾管理者・港湾運営会社等と荷主との連携・協力体制を構築。
      • 物流の2024年問題、労働力不足、脱炭素、サイバー攻撃への対応等を踏まえ、国際コンテナ物流のDX、GXを加速するとともに、情報セキュリティ対策を強化。
      • 各種データの充実や、データ収集・分析の取組を強化。
    • 主な施策
      • 【集貨】北米・中南米地域向けの貨物を中心とした、東南アジア等からの広域集貨に向けた輸送ルートの構築、コンテナターミナルの一体利用の推進
      • 【創貨】国際トランシップ貨物にも対応した、流通加工・再混載等の複合機能を有する物流施設の立地支援及び物流手続きの円滑化
      • 【競争力強化】大水深・大規模コンテナターミナルの形成、国の主導による生産性向上と労働環境改善に資する荷役機械等の技術開発及び実装等によるDXの推進

国土交通省 「都市緑地法等の一部を改正する法律案」を閣議決定~都市における緑地の質・量両面での確保に向けて~
  • 気候変動対策や生物多様性の確保、幸福度(Well-being)の向上等の課題解決に向けて、都市において緑地の質・量両面での確保等を推し進めるための「都市緑地法等の一部を改正する法律案」が、本日、閣議決定されました。
  • 背景
    • 近年、気候変動対策や生物多様性の確保、幸福度(Well-being)の向上等の課題解決に向けて、緑地の持つ機能への期待が高まっている一方で、我が国は世界と比較して都市における緑地の充実度が低く、また減少傾向にあるとの課題もあります。本法律案は、こうした背景を踏まえ、都市における緑地の質・量両面での確保、再生可能エネルギーの導入やエネルギーの効率的利用等を強力に進め、良好な都市環境を実現するため、地方公共団体や民間事業者の取組を後押しする仕組みを構築するものです。
  • 改正案の概要
    • 国主導による戦略的な都市緑地の確保
      • 国が都市緑地に関する基本方針を策定
        • 全国的な目標や官民の取組の方向性を提示
      • 都道府県が都市緑地に関する広域計画を策定
        • 広域的な観点からの緑地保全を推進
      • 都市計画を定めるに当たって自然的環境の整備や保全の重要性を考慮
    • 貴重な都市緑地の積極的な保全・更新のための支援
      • 緑地の機能の維持増進を図るために行う再生・整備を法的に位置付け
        • 市町村の実施に係る財源を充実
      • 指定法人が地方公共団体に代わって緑地の買入れや整備を行う制度を創設
        • 財政面・技術面から地方公共団体を支援
    • 緑と調和した都市環境の整備への民間投資の呼び込み
      • 民間事業者等による緑地確保の取組について国が評価・認定する制度を創設
        • 良質な緑地確保の取組の価値を「見える化」
      • 都市の脱炭素化に資する民間都市開発事業を国が認定する制度を創設
        • 認定を受けた事業について民間都市開発推進機構が金融支援

国土交通省 国土交通本省災害査定官を石川県へ派遣し、今後の本格的な復旧に向けた技術的な助言を行います。~令和6年能登半島地震関連の災害緊急調査を実施~
  • 令和6年1月1日に発生した能登半島地震により被災した公共土木施設について、石川県からの要請を踏まえ、応急措置や今後の本格的な復旧に向けた復旧方針等に対する技術的な助言を行うため、国土交通本省災害査定官を石川県に派遣して災害緊急調査を実施します。今回は、1月12日に次いで2回目の調査となります。※災害緊急調査とは、広域にわたる災害や人的被害が発生している等の特別な災害において、地方自治体からの要請を踏まえ、本省から派遣された災害査定官が、現地の被害状況を迅速かつ的確に把握するとともに、被災した公共土木施設に対する応急措置及び復旧方針樹立の助言を行うものです。
  • 災害緊急調査
    • 派遣日程:令和6年2月13日(火)~15日(木)
    • 派遣先:石川県内の河川・道路等(調整中)
    • 派遣者:国土交通省水管理・国土保全局 防災課 総括災害査定官/災害査定官
    • 取材:
      • 報道関係者に限り現地の取材は可能です。(取材は下記問い合わせ先の石川県担当者にお問い合わせください)
      • 現地日程は、当日の天候状況等により、変更する可能性があります。
      • 現地での取材に当たっては安全に留意し、調査の支障にならないよう現地担当者の指示に従ってください。

国土交通省 (株)豊田自動織機のフォークリフト等用エンジンの排出ガス試験等に係る不正行為の報告について
  • 本日、豊田自動織機より、フォークリフト等の産業機械用エンジンの型式指定申請における排出ガス試験等に係る不正行為に関する同社の調査結果の報告を受けました。
  • この中で、産業機械用の現行エンジンの全機種(5機種)で不正行為を確認したこと、令和5年3月の報告で基準不適合としていた2機種に加え、新たに1機種で基準不適合を確認したこと、自動車メーカーに供給している自動車用エンジン3機種でも不正行為を確認したこと等の報告がありました。
  • 型式指定申請において不正を行うことは、ユーザーの信頼を損ない、かつ、自動車認証制度の根幹を揺るがす行為であり、今回更なる不正行為が明らかになったことは極めて遺憾です。
  • 国土交通省としては、道路運送車両法等に基づき、同社に対して更なる調査を実施し、その結果に基づき、厳正に対処して参ります。
  • 豊田自動織機からの報告概要
    1. 同社の特別調査委員会の調査等により、新たに以下の事項が判明。
      1. 令和5年3月17日に報告があった4機種を含め、産業機械用の現行エンジンの全機種(5機種※)で排出ガス試験等に係る不正行為を確認したこと
        • ※フォークリフト等用エンジン4機種、建設機械用エンジン1機種
      2. 同報告で基準不適合としていた2機種に加え、建設機械用の現行エンジン1機種でも基準不適合を確認したこと
      3. 自動車用の現行エンジン3機種で出力試験に係る不正行為を確認したこと
    2. 同社は、産業機械用の現行エンジン5機種のうち令和5年4月26日に型式指定が取り消された2機種を除く3機種、及び自動車用の現行エンジン3機種について、自主的に出荷を停止する。
    3. 同社は、新たに基準不適合が確認されたエンジンが搭載された建設機械のリコール措置に向け、建設機械メーカーと連携して対応を行う。
    4. 同社は、特別調査委員会の調査結果及び提言を踏まえ、再発防止に取り組む。
  • 国土交通省の対応
    • 同社の報告を踏まえ、以下のとおり指示を行った。
      1. 同社において、国土交通省が基準適合性を確認するまで、現行エンジンの出荷を停止すること
      2. 同社において、ユーザー等への丁寧な説明や対応に努めること
      3. 同社において、新たに基準不適合が確認されたエンジンが搭載された建設機械のリコール措置※に向け、建設機械メーカーと連携して対応を行うこと
      4. 届出は当該エンジンの供給先である建設機械メーカーが行う。
      5. 同社が自動車用エンジンを供給する自動車メーカーにおいて、ユーザーへの丁寧な説明や対応に努めること
      6. 建設機械メーカーにおいて、オフロード法の趣旨に則り、リコール措置に向けた対応を行うとともに、ユーザーへの丁寧な説明や対応に努めること
  • 今後、以下のとおり対応を行う。
    1. 同社へ立入検査を行い、不正行為の事実関係等の確認を行う。
    2. 国土交通省及び(独)自動車技術総合機構において、全ての現行エンジンの基準適合性について、技術的に検証を行う。
    3. 立入検査及び基準適合性の検証結果を踏まえ、道路運送車両法等に基づき厳正に対処する。

国土交通省 令和4年度の都道府県工事における週休2日の取組状況について
  • 建設業の将来の担い手の確保の観点からも、長時間労働の是正や週休2日の確保など、働き方改革の推進が喫緊の課題となっている中、都道府県工事における週休2日の取組状況についての調査結果をとりまとめましたので、公表します。
  • 調査概要
    • 都道府県工事における令和4年度の週休2日の取組状況等※について、国土交通省が独自に実施した調査結果をとりまとめ、以下の項目を公表します。
      • 令和4年度完了工事における週休2日達成率について
      • 発注方式別の週休2日工事の取組状況について
      • 週休2日工事の取組の進捗に関する理由について
        • ※取組状況等は、各都道府県から提出された「令和4年度に完了した工事実績」を基に集計
  • 調査結果のポイント
    • 各都道府県における令和3年度と令和4年度の週休2日達成率を比較すると、「達成率75%以上」の団体が4団体増加、「達成率30%以上75%未満」の団体が12団体増加、「達成率30%未満」の団体が15団体減少と、週休2日の取組については着実な進展が見られた。
    • なお、本調査結果は昨年度(令和4年度)に完了した工事実績を基に集計した調査結果であり、令和5年度の取組状況については、令和6年4月からの時間外労働規制の適用も見据えた取組などにより、一層の進展が期待される。
▼ 令和4年度の都道府県工事における週休2日の取組状況について
  • 週休2日工事の取組の進捗に関する理由について(抜粋)
    • 受注者希望型では取組が進まない場合では、発注者指定型を増やすことで取組の改善が図られている。
    • 要領などで週休2日対象工事を限定せず、原則全ての工事を対象とすることで、週休2日の意識の浸透が進んでいる。
    • 作業日が限定される工事や工期に制約がある工事での取り組みには依然課題はあるものの、週休2日交替制の導入や関係者との密な調整を実施することなどで改善が期待される
  • 取組が進んでいる理由【週休2日達成率75%以上】
    • 原則全ての工事を発注者指定型としており、週休2日の意識が業界に浸透してきたため。
    • 増工がない場合でも工期延長を認めることで、取組が進んだと考えられる。
    • 当初設計時から予定価格において週休2日工事達成相当の経費補正を行うことで、入札参加段階から企業の週休2日への取組に対する意識が強まったため。また、業界団体との意見交換の場での実施呼びかけ等の効果もある。
    • 週休2日要領を発出したことで業界全体への浸透が進んだ。
  • 取組の進捗が芳しくない理由【週休2日達成率30%以上75%未満】
    • 週休2日対象とする工事について、要領で「○○円以上、○○日以上」などの金額や工期で限定していたため。
    • 発注者指定型を拡大したことで取組件数は増えたが、受注者希望型では不確定要素や工程計画上の理由から週休2日を希望しないケースや4週8休の水準までは達していない工事が多いため。
    • 他の関連する工事での工程調整や、日雇労働者の場合の収入源の補填(経費計上)が不十分との理由から、まだまだ件数が増加していない。
    • 施設を利用しながら行う工事など、工期に制約がある工事の取組が進んでいない。なお、現在は施設管理者等との調整を進めながら改善を図っている。
  • 取組が進んでいない理由【週休2日達成率30%未満】
    • 週休2日対象とする工事について、要領で「○○円以上、○○日以上」などの金額や工期で限定していたため。
    • 受注者希望型での発注が多く、受注者の週休2日への認識や工程上の理由から希望しない企業が多いため。
    • 取組は進めているが、下請け企業の中には未だ日給の作業員が多く、作業日数をこなしたい先が多いため。
    • 自治体発注工事では年間を通しての維持工事などの件数が多く、その取り組み件数の伸びが限定的であるため。
    • 作業日が限定される工事については、工期内での計画的な週休2日の実施が難しい。

国土交通省 建設工事の下請取引(価格転嫁・工期設定の状況等)の調査結果~令和5年度下請取引等実態調査~
  • 国土交通省及び中小企業庁では、建設業法の規定に基づき、建設工事における下請取引の適正化を図るため、下請取引等実態調査を毎年実施しています。
  • 令和5年度調査の結果、指導対象調査項目について、不適正な取引に該当する回答を行った建設業者7,043業者に対しては指導票を発送しました。
  • 調査の概要
    • 調査対象業者:12,000業者(うち回収業者数:9,251業者、回収率77.1%)
    • 調査方法:郵送による書面調査(令和5年7月26日~令和5年10月23日)
    • 調査内容:元請負人と下請負人の間及び発注者(施主)と元請負人の間の取引の実態等、見積方法(法定福利費、労務費、工期)の状況、価格転嫁や工期設定の状況、約束手形の期間短縮や電子化の状況、技能労働者への賃金支払状況 等
  • 調査結果
    • 建設工事を下請負人に発注したことのある建設業者(7,613業者)において、指導対象となる25調査項目に対し、全て適正回答(適正な取引を行っていると回答)をした適正回答業者は570業者(適正回答率7.5%)でした。未だ多数の建設業者が適正な取引を行っていない状況は従来同様で、建設業の取引において重要な項目でも適正回答率は低い状況です。
    • その中で、下記の調査項目等においては良好な回答が得られました。
      • 資材等価格の高騰による工期又は請負代金の額の変更
        • 元請負人の立場として下請負人から変更交渉があった際に、工期の変更を認めていると回答した建設業者は90.5%(昨年90.3%)、請負代金の額の変更を認めていると回答した建設業者は95.2%(昨年94.9%)。
      • 技能労働者への賃金支払状況
        • 賃金水準を引き上げた、あるいは引き上げる予定があると回答した建設業者は89.6%(昨年84.2 %)で、5.4ポイント増加。
  • 調査結果に基づく今後の対応
    • 本調査の結果により、建設業法に基づく指導を行う必要があると認められた建設業者(7,043業者)に対しては指導票を送付し、是正措置を講じるよう指導を行いました。
    • さらに、本調査結果に基づき、必要に応じて許可行政庁において立入検査等を実施し、建設工事における下請取引の適正化を図ってまいります。

国土交通省 船舶の部品に係る安定供給確保を図るための取組方針を改定~船舶の部品に係るサプライチェーンの強靱化~
  • 経済安全保障推進法に基づく特定重要物資として指定されている船舶の部品の対象に「4ストロークの船舶用機関(エンジン)」を追加するため、「船舶の部品に係る安定供給確保を図るための取組方針」を改定しました。
  • 四面を海に囲まれた我が国では、食料やエネルギー等の物資を海上輸送による貿易に依存しており、船舶の部品の安定的な生産と、それによる船舶の安定供給の確保が、国民生活・経済活動に欠かせません。
  • 2022年に、船舶の部品が経済安全保障推進法に基づく特定重要物資として指定されたことを受け、その安定供給確保のための取組の基本的な方向や施策、取組を行うべき期間・期限等を定めた「船舶の部品(※)に係る安定供給確保を図るための取組方針」を策定し、安定供給確保に必要な支援を講じているところです。
    • ※ 2ストロークの船舶用機関とその部品のクランクシャフト、航海用具(ソナー)、推進器(プロペラ)
  • 今般、船舶の部品について、従来の船舶からの温室効果ガス排出に関する国際的な規制の動向等を踏まえ、安定供給確保を図る対象として、ガス燃料の普及に対応した4ストロークの船舶用機関を追加するため、取組方針を改定しました。
  • 国土交通省においては、経済安全保障推進法に基づき、製造事業者における製造体制の構築支援等を通じ、世界経済動向と新造船市場動向・変化に基づき予想される継続的な需要増に対応し、国内需要を満たすための十分な生産能力の2027年までの獲得を図るなど、船舶の部品に係るサプライチェーンを強靱化してまいります。

【文部科学省】

※現在、該当の記事はありません。

【農林水産省】

※現在、該当の記事はありません。

【総務省】

【2024年4月】

総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 ワーキンググループ(第14回)配付資料
▼ 資料WG14-1レコメンデーションやアルゴリズムに関するルール整備の諸外国動向調査 結果紹介(みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社ご発表資料)
  • 各国とも、有害・危険な情報や詐欺等から利用者を保護するため、オンライン空間の安全性を向上させる課題意識が見られた。それに対応するため、プラットフォーム事業者に対して透明性要件(監督機関への報告/ユーザーへのアルゴリズムに関する情報提供義務/アルゴリズムを用いない選択肢の提供義務 等)を定めるなどの対策が施行または検討されている。
  • その他にも、各国の社会情勢や法整備の状況などを踏まえ、それぞれの視点から対策が取られている。
  • 調査結果(米国)
    • オンラインプラットフォームのアルゴリズムを規制する全国的な法令等は、現時点では確認できない。
    • ただし、各州で制定される州法や、合衆国議会に提案されている法案等では、アルゴリズムの透明性確保や個人データの利用に係る消費者の権利保護、プロバイダの責任範囲拡大(通信品位法230条の免責規定の改正)などを視野に入れた議論が行われている。
    • 米国においては、アルゴリズムの透明性やプロバイダの責任範囲、個人データの権利保護の各観点から法制度の検討・制定が行われている。
  • 調査結果(EU)
    • DSA(デジタルサービス法)では、欧州市民の保護のため、安全性や透明性の仕組みをプラットフォーム事業者に求める。
    • AI規則案では、安全性確保と同時に、AI活用やイノベーションの推進など、域内の産業振興も含めた政策が取られている。
    • プラットフォーム事業者に対し、レコメンドシステムのパラメータ等の情報について、平易な言葉でユーザーに提示することを求めている。
    • また、レコメンドの順番をユーザーが選択できるようにすることや、プロファイリングに基づかないレコメンドの選択肢の提供を求めている。
  • 調査結果(中国)
    • 「ネットワーク情報コンテンツ環境ガバナンス規定」により、オンライン空間に携わる各主体に対する規定を定め、安全かつ国家の安定・社会主義的価値観の醸成に有益なガバナンスの確立を目指している。
    • 「インターネット情報サービスのアルゴリズム・レコメンデーション管理規定(IISARM)」では、ユーザーに対しアルゴリズムに関する情報やアルゴリズムを用いたレコメンデーションを使用しないオプションを提供することなど、ユーザー保護に焦点をあてた規定を策定した。

総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方 に関する検討会(第16回)配付資料 ※ワーキンググループ(第13回)合同開催
▼ 資料16-3-1デジタル空間における情報流通の健全性に関する基本理念(案)
  • 情報流通過程全体に共通する高次の基本理念(例)
    • 表現の自由と知る権利の実質的保障及びこれらを通じた民主主義の実現
      • 自由な情報発信と多様な情報摂取の機会が保障され、国民の自律的な意思決定が保護されるとともに、これを通じた健全な民主主義が実現すること
    • 安心かつ安全な情報流通空間としてのデジタル空間の実現
      • 平時・有事(災害発生時等)を通じ、偽・誤情報や悪意ある情報の流通による権利侵害や社会的混乱その他のフィジカル空間への影響が抑止されるとともに、情報流通の過程全体を通じ、サイバー攻撃や安全保障上の脅威等への対抗力が確保された強靱なデジタル空間が実現すること
    • 国内外のマルチステークホルダーによる国際的かつ安定的で継続的な連携・協力
      • デジタル空間に国境がないことを踏まえ、国内外の民産学官を含むマルチステークホルダーが相互に連携・協力しながらデジタル空間における情報流通に関するガバナンスの在り方について安定的かつ継続的に関与できる枠組みが確保されていること
  • 情報発信に関する基本理念(例)
    • 自由かつ責任ある発信の確保
      • ジャーナリズムやリテラシーに裏付けられ、透明性とアカウンタビリティが確保された責任ある発信がなされていること
    • 信頼できるコンテンツの持続可能な制作・発信の実現
      • 信頼できる魅力的なコンテンツの制作・発信(ファクトチェックを含む)に向けたリソースが安定的かつ継続的に確保され、そうした活動の価値が正当に評価されていること
  • 情報受信に関する基本理念(例)
    • リテラシーの確保
      • 受信者において技術的事項を含むリテラシーが確保され、デジタル社会の一員としてデジタル空間における情報流通の仕組みやリスクを理解し、行動できること
    • 多様な個人に対する情報へのアクセス保障とエンパワーメント
      • 個人の属性・認知的能力や置かれた状況の多様性を考慮しつつ、あらゆる個人に対してデジタル空間における情報流通への参画機会が与えられ、意思決定の自律性が確保されていること

総務省 人口推計(2023年(令和5年)10月1日現在)結果の要約
  • 全国人口
    • 総人口は59万5千人の減少、13年連続の減少
    • 日本人人口は減少幅が12年連続で拡大
      • 総人口は1億2435万2千人で、前年に比べ59万5千人(-0.48%)の減少となり、13年連続で減少しています。
      • 日本人人口は1億2119万3千人で、前年に比べ83万7千人(-0.69%)の減少となり、12年連続で減少幅が拡大しています。
    • 17年連続の自然減少、減少幅は拡大
      • 自然増減は83万7千人の減少で、17年連続の自然減少となり、減少幅は拡大しています。
      • 男女別にみると、男性は42万3千人の減少、女性は41万4千人の減少となり、男性は19年連続、女性は15年連続の自然減少となっています。
    • 日本人は3年ぶりの社会増加、外国人は2年連続の社会増加
      • 社会増減は24万2千人の増加で、2年連続の増加となっています。
      • 日本人・外国人の別にみると、日本人は2千人の増加で、3年ぶりの社会増加となっています。外国人は24万人の増加で、2年連続の社会増加となっています。
    • 15歳未満人口は前年に比べ32万9千人の減少
    • 総人口に占める割合は11.4%で過去最低
    • 65歳以上人口は前年に比べ9千人の減少となった一方、割合は29.1%と過去最高
      • 15歳未満人口は1417万3千人で、前年に比べ32万9千人の減少となり、割合は0.2ポイント低下の11.4%で過去最低となっています。
      • 15~64歳人口は7395万2千人で、前年に比べ25万6千人の減少となり、割合は59.5%で過去最低であった前年に比べ0.1ポイントの上昇となっています。
      • 65歳以上人口は3622万7千人で、前年に比べ9千人の減少となった一方、割合は0.1ポイント上昇の29.1%で過去最高となっています。
      • 75歳以上人口は2007万8千人で、前年に比べ71万3千人の増加となり、初めて2000万人を超え、割合は0.6ポイント上昇の16.1%で過去最高となっています。
  • 都道府県別人口
    • 人口増加は東京都のみ、増加率は拡大
    • 人口増加は東京都のみとなっています。
      • 東京都の人口増加率は0.34%で、前年に比べ0.14ポイントの拡大、2年連続の増加となっています。
      • 人口減少は46道府県となっています。
      • 人口減少率が前年に比べ拡大したのは38道府県で、うち山梨県(対前年差0.32ポイント)が最も拡大しています。
      • 人口減少率が縮小したのは群馬県(対前年差0.09ポイント)など6府県となっています。
      • 全ての都道府県で自然減少となっています。
      • 社会増加は東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県など22都道府県となっています。増加した22都道府県のうち、岐阜県及び静岡県の2県は減少から増加に転じています。
    • 15歳未満人口の割合が75歳以上人口の割合を上回るのは沖縄県のみ
      • 15歳未満人口の割合が最も高いのは、沖縄県(16.1%)となっています。
      • 15~64歳人口の割合が最も高いのは、東京都(66.5%)となっています。
      • 65歳以上人口及び75歳以上人口の割合が最も高いのは、いずれも秋田県(39.0%、21.2%)となっています。
      • 15歳未満人口の割合が75歳以上人口の割合を上回っているのは沖縄県のみとなっています。

総務省 宇宙通信アドバイザリーボード(第3回)
▼ 資料AB3-1 事務局説明資料
  • 衛星量子暗号通信技術の開発・実証
    • 近年の量子コンピュータ研究の加速化により、実用的な量子コンピュータが実現されることで、現代暗号で守られていたデータが全て解読されてしまう事態が懸念されている。また、従来のスーパーコンピュータの性能も日進月歩で進展している中、今はまだ解読できない暗号化データを一旦保存しておくことにより、将来、高度なコンピュータが実現したときに全データを一気に解読するような攻撃等への懸念も増大している。その一方で厳格に秘匿すべき情報ですら通常のインターネットで伝送されているのが現状である。将来にわたり、個人レベル・国家レベルの機密情報を安全・安心にやりとりするためには、いかなるコンピュータ技術によっても解読が不可能な、情報理論的安全性を有する量子暗号通信技術に基づき、広域的な量子鍵配送・量子暗号ネットワークを構築し、極めて堅牢性の高い安全なサイバー空間を実現することが求められている。
    • これまで、我が国は量子鍵配送・量子暗号通信の基盤となる技術の確立に向けて、100km圏内を対象とした地上の2地点間の量子鍵配送やトラステッドノード技術の研究開発や衛星通信における量子鍵配送技術の研究開発に取り組んできており、特に、衛星通信における量子暗号技術の研究開発では、今後の衛星コンステレーションの普及等を見据え、衛星に搭載可能な量子鍵配送技術の研究開発を進めており、既に、鍵の生成レートを飛躍的に改善可能な物理レイヤ暗号の実証まで研究開発が進んでいる。一方、地上系の量子鍵配送・量子暗号関連の研究開発としては、令和2年度からファイバー網における量子暗号通信のさらなる高速化・長距離化に資する4つの技術(量子通信・暗号リンク技術、トラステッドノード技術、量子中継技術、広域ネットワーク構築・運用技術)の研究開発が実施されている。しかしながら、数百km~数千kmといった大陸間スケールでの量子暗号通信へのニーズが想定される中、海底光ケーブルを経由する量子暗号通信の実現には量子中継技術が必要であるが、その完成には10年単位での研究開発期間を要すると考えられる。海外では、中国が衛星を用いて中国-オーストリア間での鍵の共有及び暗号化通信に成功するなど、グローバルスケールでの鍵共有技術として、より高性能化した衛星量子暗号通信による長距離化への取組が進んでいるなど国際的な競争も激しくなっている。他方、衛星量子暗号技術の社会実装に向けては課題も残っている。衛星量子鍵配送では、精密な衛星捕捉追尾技術等が必要となること、悪天候時には地上局への鍵配送はできなくなること、さらには、伝搬距離の増加とともに鍵生成速度が急激に低下し、量子鍵配送が困難になること等の課題があり、それを克服する必要がある。
    • 本研究開発においては、将来の事業化におけるユーザビリティの観点からも、少ない衛星基数でも地球規模での情報理論的安全な鍵共有を可能とし、気象条件や運用コスト等による制約を最小限とする効果を狙うため、我が国独自の低軌道衛星と地上局の双方を開発し、情報理論的に安全な暗号通信を実現できる新たな量子鍵配送技術及び物理レイヤ暗号技術の実証を進めることとする。
    • 具体的には、量子鍵配送及び物理レイヤ暗号による鍵共有機能(情報理論的安全性が保証されているものに限定。以下同じ。)を有する低軌道衛星の開発を実施するとともに、暗号通信網の実用性・利便性を向上させるため、衛星-地上局間の量子鍵配送において衛星と光通信リンクを形成可能とする地上局も開発する。さらに、地上系量子鍵配送網と統合運用するための衛星系・地上系統合ネットワーク化技術を開発する。
  • 衛星コンステレーション構築に必要な通信技術(光ルータ)の実装支援
    • 2030年代に実現を目指している次世代の通信技術であるBeyond5G(6G)を見据えて世界の開発競争が激化している中、宇宙由来の情報の増加、通信サービスの多様化、我が国の通信衛星(静止軌道/中軌道/低軌道衛星)を活用したコンステレーションやHAPS等の非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)が多層的に連携することによって、過疎地域や航空、海洋領域を含むあらゆる領域でのより高速で安定的な通信ニーズが高まっている。既にSpaceXのStarlink等においては衛星に搭載可能な光通信端末の通信速度は100Gbpsに達していると言われており、B5G時代の通信に対応するためには衛星コンステレーションネットワークの高速化・低遅延化は必須である一方で、SpaceXをはじめ、MynaricやTESAT等の事業者による光端末競争が始まり、メーカ依存性が高く様々な通信プロトコルに分散する傾向がある。これらは、今後、NTN市場が活性化する上で大きな障壁となる。さらに、B5G時代の通信に対応した衛星コンステレーションネットワークの構築のためには、標準化の動向を踏まえた相互接続性確保に加え、巨額の投資を行う海外プレイヤーとの連携を意識した多層的なNTNと地上間でシームレスな通信を可能とする高速かつ低遅延の光ネットワークルータが必要である。また、宇宙空間においては、放射線耐性や排熱手法等も必要となるため、地上装置のように単純にチップ性能を上げるだけではこれらの問題を解決することはできない。現状の耐放射線性能を有した宇宙部品では、2Gbps程度の通信速度が限界であることから、安価で高性能な民生部品の使用も踏まえながら、宇宙環境に耐えうる10Gbps超級のネットワーク性能と消費電力を両立した光ネットワークルータがB5G時代の宇宙を活用したNTNを実現する上で必須であると考えられる。
    • また、衛星コンステレーションによる通信ネットワークでは、定常的に地上を含めたノード間の接続が切り替わるため、接続が切れることを定常状態として想定していない既存の地上ネットワークプロトコルでは対応が困難であり、さらに、衛星コンステレーション通信ネットワークに必要とされる経路制御は、コンステレーションを形成する衛星数やその軌道等の条件によっても異なる。このため、高信頼性低遅延通信に必要な基本的なアルゴリズムは押さえつつ、コンステレーション条件によって柔軟に変更可能であることが必要となる。
    • これらの背景を踏まえ、衛星コンステレーション用光通信ネットワークルータの技術開発を行い、宇宙を活用したNTNの時間的、空間的、品質的、柔軟性を向上する通信基盤技術を確立し、B5G時代の通信需要拡大にも貢献する。
  • 月面の水資源探査技術(センシング技術)の開発・実証
    • 2019年10月、我が国は米国提案によるアルテミス計画に参画することを決定した。本計画は、月での持続的な活動を目指す等の点で従来の宇宙科学・探査とは全く性格が異なるものであり、今後、月や火星までの領域が人類の活動範囲となっていくことを踏まえ、将来の経済活動や外交・安全保障を含めた幅広な観点から取り組んでいく必要がある。こうした状況の下、月面というフロンティアにおいて我が国が国際的な競争力を有し持続的な経済活動を目指すことは極めて重要である。月面活動においては人類の生命維持やロケット、工場等の燃料として水資源の活用が期待されており、月面の水資源探査は極めて重要な役割を果たすと考えられる。
    • 月面水資源の広域探査の有効な手法のひとつに、現在、宇宙開発利用加速化戦略プログラム(スターダストプログラム)において研究開発が進められているテラヘルツ波を用いた月周回軌道衛星による受動リモートセンシングがある。テラヘルツ波は氷や水に敏感な周波数帯であり、高い検出感度を有しており、また、ミリ波と比較してセンサの小型軽量化が可能であるため、超小型衛星への搭載が実現可能であり、加えて、小アンテナ口径で高水平分解能を持つ広域探査の実現が期待される。
    • 我が国では、これまでミリ波やテラヘルツ波の受動観測による広域探査において国際的な実績を有している。地球リモートセンシングでは、2002年からの実績を持つAMSR(Advanced Microwave Scanning Radiometer)シリーズがあり、AMSR-Eではミリ波(6.9GHz~89GHz)を用いて氷面積分布や土壌水分含有量等を推定している。テラヘルツ波に関しては、2009年に国際宇宙ステーション(ISS)に搭載された超伝導サブミリ波サウンダ(JEM/SMILES)があり、0.65THz帯を用いて成層圏オゾン層破壊物質等の測定を高感度に実施した。
    • これらの成果等を活用し、技術を統合した衛星を月周回軌道に投入し、広域探査により月面の水資源の実態を把握することを月周回軌道上からの衛星観測を用いて検証することとする。
  • 月-地球間通信システム開発・実証(FS)
    • 我が国は、2019年10月に、将来的な火星有人探査を視野に入れつつ、月での持続的な探査活動を目指す国際宇宙探査プログラムである「アルテミス計画」に参画することを決定している。我が国では、この計画の下、国際協力による月・火星探査を実施するとともに、持続的な有人活動に必要となる、環境制御・生命維持システムや月周回有人拠点(ゲートウェイ)補給機の研究開発、月面での広域・長期探査を可能とする有人与圧ローバの開発、月極域探査機(LUPEX)による水資源関連データの取得等に向けた取組などを着実に実施していくこととしている。
    • アルテミス計画の進展に伴い、まずは2020年代から科学探査活動の一環として資源探査が行われ、水資源を含め月面における資源の存在状況を把握し、将来の活用の可能性を明らかにすることとしている。また、月面での有人活動を持続的に行うために民間事業者が地上技術を発展させて宇宙転用することを含め、電力・通信・測位システム等の技術実証と整備を段階的に行っていくことで将来的には月面が人類の生活圏となり、新たな経済・社会活動が生み出されることが期待される。
    • このような状況下において、月面探査等における通信技術は、欧米等の各国でも取り組まれており、国際的に協調して共通のインフラや規格を共同利用する方向で調整が進められている。アルテミス計画における重要ミッションである、日本の有人与圧ローバ、米国の有人曝露ローバ、月面での船外活動等では4K/8Kリアルタイム映像伝送等が予定されているところ、現在、我が国においては、宇宙開発利用加速化戦略プログラム(スターダストプログラム)を活用して月周回衛星による1Gbps通信にかかる技術開発が進められており、それを補完する技術として、月探査で要求されている周波数帯及び送信・受信性能を満たす向け地上局及び月面におけるモバイル通信技術を開発し、月-地球間での大容量リアルタイム通信の実現が望まれる。JAXAは月周回有人拠点(ゲートウェイ)、有人与圧ローバ、月探査促進ミッション(LEAD)、中型月着陸実証ミッションなどにおいてNASAが開発を進めている大容量通信向け月探査向け地上局(LEGS)と同程度の機能・性能を保有する地上局との通信を前提としているものの、現状当該仕様を具備する地上局の開発計画は国内で存在しておらず、整備が急務となっている。

総務省 「インターネットトラブル事例集(2024年版)」の公表
▼ 「上手にネットと付き合おう!~安心・安全なインターネット利用ガイド~
  • 文字だけのコミュニケーションは意外と難しい!?
    • 会話の流れが速く、ささいなことでも誤解や感情の行き違いが起きやすいグループトーク。トラブルにならず仲良く使い続けるために気をつけたいことは?
      1. 誤解を与えないために
        • 記号、絵文字、スタンプなどをうまく使って、気持ちを正しく伝えましょう。
      2. 速くて複雑な会話だから
        • 流れに乗ることも大切だけれど、送る前に“ちょっと見直す”ことを習慣にしましょう。
      3. ムカッ!イラッ!としたら
        • 嫌な気持ちになっても少し落ち着いて。文字で伝えづらいなら電話するのも良い方法です。
    • グループトークに起因する“いじめ”も、パターンはさまざま
      • スマホやSNSの普及で新たな問題となったのが、いわゆる“SNSいじめ”。これまでの、1人の子を多数で追い詰める、発言を無視する、いじめ・嫌がらせのネタとなる写真や動画を共有する、グループから外す(または新たなグループを作り会話を移動)などに加え、「ステメ」を悪用した嫌がらせも全国で起きています。 ※ステータスメッセージの略で、メッセージアプリのプロフィール欄に書ける一言メッセージのこと。ステメを使ったいじめやトラブルが増えている。
      • メンバー以外は読むことができないグループトーク、誰宛てかを一切書かない悪口ステメ、いずれも人目につきにくく発見が遅れがち。身近な大人が日々の様子や会話から変化・違和感を察することが早期発見・解決の鍵。また、こども自身も気になる画面をスクリーンショットなどに残して保護者や先生に相談しましょう。
  • ネット上で出会って仲良くなることもあるけれど
    • 話が盛り上がる相手は嬉しい存在ですが、わざと共通の話題で近づいてきた悪い人だったら、やりとりした内容が脅しのネタに。こんな被害を防ぐために、できることは?
      1. 裸などの画像は送らない
        • 一度、ネット上に流出してしまった画像は、取り返しがつきません。
      2. 情報の組み合わせに注意
        • ネットでの会話を元に本名や学校名が知られてしまうこともあるので要注意です。
      3. 深みにはまってしまう前に
        • 自分の情報を送るときはよく注意し、困ったときは身近な大人や専門の相談窓口の利用もご検討ください。
    • 言葉巧みに近づく人を、見える情報だけで判別するのは不可能
      • 政府インターネットテレビでは、実際の事件を基にしたドラマ仕立ての動画を公開しています。悪意ある大人の巧妙な手口を、動画で疑似体験できますので、ぜひ参考にしてください。
      • 自画撮り被害児童のほとんどは中高生。仲良くなりたいと思わせて個人情報を聞き出し、写真を送らせて脅す手口の一部始終を、じっくり考えながら視聴し、時間をかけて真剣に話し合ってみましょう。
  • ゲームがきっかけとなりトラブルに発展!?
    • 文字や音声でやりとりしながら楽しめるゲームなども増えました。SNSやゲームを通じて知り合った人とプレイする際に気をつけたいことや、課金のし過ぎを防ぐ工夫は?
      1. 甘い誘いはワナの可能性が
        • アカウントを乗っ取るために、ID・パスワードを聞き出そうとする人もいるので注意しましょう。
      2. 課金する前に必要なこと
        • いくらまで課金するか、誰のお金を使うかなど、必ず保護者と相談しましょう。
      3. ボイスチャットはさらに注意
        • ゲーム中の会話をきっかけとしてトラブルになることもあるので気をつけましょう。
    • 特にオンラインゲームで知り合った相手とのトラブルに注意
      • アカウントを乗っ取られる、ポイントやアイテムを奪われる、クラウドに保存した写真を盗み見られるなどのトラブルが起きています。たとえ親しい人でもID・パスワードを教えてはダメ、他人のID・パスワードでのログインは絶対ダメ(不正アクセス禁止法違反)ということをしっかり教えましょう。また、ゲームやSNSのID・パスワードの悪用による被害への注意喚起も必要です。
      • 高額課金を心配する声も多くあります。課金する場合は、親子間であらかじめ限度額を決めておきましょう。使い過ぎを防ぐために、年齢に応じた課金の上限設定を活用するのも一案です。 ※
      • オンラインゲーム上のチャットを通じた誘い出しなどの事件も起きています。対象年齢までガマンが大事です。
        • ※「気づいたら高額課金」に陥らないための対策は不可欠ですが、万が一、高額請求に困ったときは、消費者ホットラインcall188に相談しましょう。
  • 脅迫めいた投稿は悪意がなくてもダメ!
    • 注目を浴びたい、うさ晴らしをしたい、などさまざまな理由から、行き過ぎた投稿をする人がいます。もしもそれが、脅迫や犯行予告とみなされたらどうなるでしょう?
      1. 通報により警察が動く
        • 匿名でも投稿者の特定はできます。「冗談のつもりだった…」などの言い訳は通用しません。
      2. 騒ぎが大きくなると
        • 何気ないあなたの投稿が誰かの迷惑になり、将来のあなたを苦しめることも!
      3. こんな投稿を見つけたら
        • 通報(報告)ボタンなどを使って運営側に連絡。巻き込まれない方法で対応しましょう。
    • ネットやSNSなどへの書き込み、軽く考えないように
      • 気に入らない有名人を名指しで「殺す」と書いたり、「感染したから今からまき散らしに行く」といった投稿など、実行する気など全くない“単なる脅し”や“悪ふざけ”だったとしても、脅迫めいた書き込みは犯罪とみなされる可能性があります。学校、駅などへの犯行予告など、地域社会に大きな不安を与えるような投稿も同じです。
      • 軽い気持ちで犯罪まがいの投稿をすると、相手を深く傷つけるだけでなく、投稿者自身の大きな傷になることも。たとえ匿名でも、いつ・どこから・誰が投稿したかは基本的に特定可能。善悪の判断ができなくなるほど冷静さを欠いた心理状態のときは、スマホやネットから一旦離れて気分転換を試みるのが一番の安全策です。

総務省 家計収支編(二人以上の世帯)2024年2月分
  • 消費支出
    • 消費支出(二人以上の世帯)は、1世帯当たり 279,868円
    • 前年同月比 実質 0.5%の減少 名目 2.8%の増加
    • 前月比(季節調整値) 実質 1.4%の増加
  • 実収入
    • 勤労者世帯の実収入(二人以上の世帯)は、1世帯当たり561,495円
    • 前年同月比 実質 2.5%の減少 名目 0.7%の増加

総務省 「情報アクセシビリティ好事例2023」の公表
  • 誰もがデジタル活用の利便性を享受し、豊かな人生を送ることができる社会の実現のためには、ICT機器・サービスの情報アクセシビリティの確保が重要であることから、総務省では、
    • 国民全般に広くアクセシビリティに配慮した製品を知っていただくこと
    • 情報アクセシビリティに特に配慮している企業等やその取組を奨励すること
      を主な目的として、令和5年度からの新たな取組として情報アクセシビリティ好事例を募集し、審査の結果、23件の製品・サービスを「情報アクセシビリティ好事例2023」として公表することとしました。
  • 好事例2023選定ICT機器・サービス(別紙)
    • 「情報アクセシビリティ好事例2023」一覧
    • 「情報アクセシビリティ好事例2023」として取り上げる主なポイント
    • 各製品の概要・審査結果
      • ※なお、「情報アクセシビリティ好事例」として公表された製品は、応募者から提出された書面により審査されたものであり、製品の実際の操作性等については確認しておりません。
  • 審査委員の総評
    • 今年度初めての取組であったが、国内外を問わず23件に及ぶ多様なICT機器・サービスの応募があった。一般向けのICT機器・サービスで、情報アクセシビリティに配慮したものもあれば、特定の障害に特化した福祉的な支援機器・サービスなどもあった。
    • 個人開発者から企業等まで事業規模に関わらず全ての応募者に共通していたことは、社会貢献に対する真摯な姿勢とユニバーサル社会実現に向けた高い志であり、審査委員一同、深い感銘を受け、心から敬意を表するものである。
    • 各審査項目に基づく審査の概要は、以下の通りである。
      • 審査項目(1)製品の情報アクセシビリティへの配慮
        • 一般向けで情報アクセシビリティ対応に努めている製品については、専門職を含む様々な職種において多様な人が従事・活躍することを視野に入れた工夫がなされている点が高く評価された。また、いわゆる支援機器・サービスについても、最新技術を活用した多様な機能を備えたものでありつつ、障害の特性に応じたカスタマイズが可能なものや、シンプルな操作性が確保されている等、円滑なコミュニケーションの実現や日常生活の質を向上させる価値の高いICT機器・サービスを提供している。また、提供後のサポート体制についても、直接利用者の元に出向き、様々な療養シーンに対応できるよう調整し改善工夫を行っている点などが高く評価された。
      • 審査項目(2)当事者ニーズを踏まえた開発
        • 例えば、障害当事者を含めたチーム体制で開発、利用場面を広範かつ具体的に押さえ、ろう学校等の協力を得ながら開発するなど、各事業者が様々な取組を行っていることが分かった。企画・開発・提供後のそれぞれの段階において、実際の利用者のみならず、支援者、家族、地方公共団体の関連部局、当該分野の専門家等の意見を丁寧に把握したり開発過程で体験してもらったりすることで、より高いクオリティを求めて努力されている姿勢が伺えた。
      • 審査項目(3)企業としての情報アクセシビリティ確保に向けた取組
        • アクセシビリティ推進に係るチームの組成、ガイドライン・チェックリストの策定、当事者による定期的な点検等、継続的に情報アクセシビリティを確保する仕組を有している点が高く評価された。また、社内での取組を広く世間に公表したり、SNSを積極的に活用し、障害当事者に最新情報が届くよう情報発信の体制を強化しているところもあり、評価に値する。
    • 併せて、アクセシビリティに配慮した一般向けICT機器・サービスは、本年4月施行の民間企業の法定雇用率の引上げ(※)を踏まえると、障害者の一層の社会参画や就労促進、さらには起業の可能性に大きく寄与するものであり、審査委員としても、これらの製品が様々な場面で活用されることを期待している。 ※障害者雇用促進法43条第1項により、令和6年度4月より民間企業の法定雇用率は2.5%となる。
    • このような好事例を公表することは、情報アクセシビリティに配慮したICT製品・サービスやそれに関わる企業等の前向きな取組を広く世間に周知することとなり、障害当事者を含む多様な者がデジタル活用の利便性を享受し、豊かな人生を送ることができる社会の実現に資するものと考えられる。今後も、企業等における情報アクセシビリティへの取組の広がりを大いに期待したい。

総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 ワーキンググループ(第12回)配付資料
▼ 資料WG12-2生貝構成員ご発表資料
  • AI法案:禁止されるAI行為
    • 近日中に正式に確定する同法では、AIシステムに対してリスクに応じて(1)禁止されるAI行為、(2)ハイリスクAIシステム、(3)特定のAIシステムの透明性義務、(4)自主的な行動規範の4類型に分けた規律を行う他、(5)生成AIを含む汎用目的AI(General Purpose AI)に対する特別な規律を設ける
    • 禁止されるAI行為(概略)
      • 判断能力を著しく損なうサブリミナル技法や操作的・欺瞞的技法
      • 年齢、障害、特定の社会的・経済的状況に起因する脆弱性の悪用
      • 本人や集団に不利な影響を与える社会的スコアリング(例外有)
      • 個人の性格特性や特徴のプロファイリングのみに基づく犯罪予測
      • 顔識別DB作成目的のインターネット・CCTV顔画像無差別スクレイピング
      • 職場及び教育機関における感情識別(医療・安全目的の例外有)
      • 生体識別データに基づく特別カテゴリーデータの推測(例外有)
      • 法執行目的の公共のアクセス可能な空間での生体識別(例外有)
  • AI法案:ハイリスクAI
    • ハイリスクAIのカテゴリー
      • 既存EU法での適合性評価義務対象:機械、玩具、レジャー用船舶、リフト、爆発性雰囲気装置、無線機器、圧力機器、索道設備、個人用保護具、ガス機器、医療機器
      • AI法での新たな指定:バイオメトリクス(遠隔生体識別・感情識別)、インフラ管理・運用、教育や職業訓練での学生や希望者の評価や受入れの合否、雇用、労働管理、自営業へのアクセス、重要な民間・公共サービス(公的支援金給付、融資、緊急対応措置)、法執行、移民・亡命・国境管理、司法又は民主主義プロセス
        • ※審議プロセスの中でデジタルサービス法のVLOP/VLOSEが用いるレコメンダーシステムを直接ハイリスクAIに含む提案も行われたが、最終的には含まれず
    • ハイリスクAIシステムの要求事項
      • リスクマネジメントシステムの構築、データとデータガバナンス、技術文書、記録保持、透明性と利用者への情報提供、人間による監視、正確性・堅牢性・セキュリティ
      • 要求事項具体化手段としての整合規格
    • ハイリスクAIシステム提供者の義務:上記要求事項の遵守確保等
    • ハイリスクAI配備者の義務:基本権影響評価の実施と当局への提出
  • AI法案:特定のAIシステムの透明性義務
    • 自然人と直接対話するAIシステム提供者の開示義務
    • 感情識別・生体識別システム配備者の本人通知義務
    • ディープフェイク生成AIシステム配備者:当該コンテンツが人為的に生成・操作されたものであることを開示する義務
    • 汎用目的AIを含むコンテンツ生成AI提供者:AIシステムの出力が機械可読形式でマークされ、人為的に生成・操作されたことを検出できることを保証する義務
      • 前文120「本規則において、特定のAIシステムの提供者および配備者に課される、当該システムの出力が人為的に生成または操作されたものであることを検知し、開示することを可能にする義務は、規則(EU)2022/2065(※デジタルサービス法)の効果的な実施を促進するために特に関連する。これは、特に、人工的に生成または操作されたコンテンツの拡散から生じる可能性のあるシステミックリスク、特に偽情報を通じたものを含む民主的プロセス、市民的言説および選挙プロセスに対する実際または予見可能な悪影響のリスクを特定し、軽減するための、非常に大規模なオンラインプラットフォームまたは非常に大規模なオンライン検索エンジンのプロバイダーの義務に関して適用される。」
  • EU AI法案:汎用目的AI
    • 汎用目的AIモデル提供者の義務
      • 設計や学習等の技術文書作成と当局への提供
      • 下流事業者への情報開示
      • DSM著作権指令4条(学習データオプトアウト)遵守措置、学習データ要約
    • システミックリスクを有する汎用目的AIモデル(10^25FLOPs以上等)提供者の義務
      • システミックリスク特定・軽減のためのレッドチームテスト実施・文書化を含むモデル評価
      • システミックリスクの評価・軽減
      • 重大インシデントへの対応文書化と当局への報告
      • サイバーセキュリティ対策
      • →それぞれの義務は整合規格により具体化、それまでは欧州委員会主導で策定する行動規範(codes of practice)の遵守
    • 前文110「汎用目的AIモデルは、重大事故、重要部門の混乱、公衆衛生及び安全に対する重大な影響、民主的プロセス、公共及び経済の安全に対する実際の、又は合理的に予見可能な悪影響、違法、虚偽、又は差別的なコンテンツの流布を含むが、これらに限定されないシステミックリスクをもたらす可能性がある。(…)」
    • 前文133「さまざまなAIシステムが大量の合成コンテンツを生成できるようになり、人間が生成した本物のコンテンツとの区別がますます難しくなっている。こうしたシステムが広く利用可能になり、その能力が高まることは、情報エコシステムの完全性と信頼性に重大な影響を及ぼし、誤情報や大規模なマニピュレーション、詐欺、なりすまし、消費者への欺瞞といった新たなリスクを引き起こす。こうした影響、技術の進歩の速さ、情報の出所を追跡するための新たな手法や技術の必要性を考慮すると、こうしたシステムの提供者に対し、機械が読み取り可能な形式で表示し、その出力が人間ではなくAIシステムによって生成または操作されたことを検出できる技術的ソリューションを組み込むことを求めることが適切である。(…)」
  • デジタルサービス法とAI
    • EUのプロバイダ責任を規定してきた電子商取引(2000年)を元に、違法・有害情報に対するプラットフォームの責任・責務や透明性のあり方を全面的にアップデート
    • 媒介サービス事業者(IS)一般やオンラインプラットフォーム(OP)事業者一般に適用される規律の他、EU域内で月間アクティブ利用者4,500万人以上を有する「超大規模オンラインプラットフォーム(VLOP)」+「超大規模オンライン検索エンジン(VLOSE)」事業者に、偽・誤情報を含むシステミックリスクの評価・軽減義務を課す
      • 2023年4月25日に17のVLOPと2のVLOSEが指定、2024年2月全面適用開始
    • デジタルサービス法の要点
      • コンテンツモデレーション:透明性と救済
      • プロファイリング関連規制
      • VLOP/VLOSEとシステミックリスクの評価・軽減
    • コンテンツモデレーション:透明性と救済
      • 利用規約へのコンテンツモデレーションポリシー明記(IS、14条)
        • 利用者提供情報に関する制限の情報(アルゴリズムによる意思決定と人間によるレビューを含むコンテンツモデレーションのあらゆる方針・手順・手段・ツール、内部苦情処理システム手続に関する情報を含む)
        • 制限の実施における表現の自由やメディアの自由・多元性、その他基本権等の利益への配慮義務
        • VLOP/VLOSEは全サービス提供加盟国の言語で当該情報を提供
      • 透明性レポート(IS~VLOP段階、15条他)→VLOPの第一次レポート
        • 当局命令・対応、違法・規約違反別の通知・対応件数と対応時間、コンテンツモデレーション担当者訓練内容、自動処理のエラー率指標とセーフガード措置等(※VLOPは加盟国の公用語ごとに整理)
      • 削除等の理由の説明(IS、17条)→欧州委による集約データベース
        • コンテンツ削除・降格やアカウント停止等を受けた利用者への明確かつ具体的な理由説明
      • 削除等に異議がある場合の内部苦情処理システム整備(OP、20条)
        • 削除やアカウント停止等の判断が誤っていた場合の回復等
      • さらに異議がある場合の裁判外紛争処理の利用(OP、21条)
        • 紛争処理機関に対する当局の認定等
    • データ保護:プロファイリング規制
      • PF上のターゲティング広告のパラメータ等の明示(OP~VLOP段階、26条他)
      • レコメンダーシステムのパラメータ明示とユーザーによる修正可能性(VLOPはプロファイリングに基づかない選択肢の提供を含む)(OP~VLOP、27条他)
      • GDPR特別カテゴリー個人データのプロファイリング広告利用禁止(OP、26条3項)
      • 青少年保護と未成年個人データのプロファイリング広告利用禁止(OP、28条2項)
        • ※ダークパターンの禁止(OP、25条):「サービス受領者を欺いたり操作したりするような方法で、又はその他の方法でサービス受領者が自由かつ情報に基づく決定を行う能力を実質的に歪めたり損なったりする方法で、オンライン・インターフェースを設計、組織、運用しないこと」
    • VLOP/VLOSE:偽・誤情報を含むシステミックリスクの評価と軽減
      • VLOP/VLOSEは、自らのサービスがもたらしうる違法コンテンツ流布、基本権(人間の尊厳、プライバシー、個人データ保護、表現・情報の自由、非差別、児童の権利、消費者保護)、市民言説と選挙、ジェンダー暴力・公衆衛生・青少年保護等への影響等の「システミックリスク」を自ら特定・分析・評価し(34条)、合理的・比例的・効果的な軽減措置を採る義務(35条)と、公共の安全・公衆衛生への重大な脅威における危機対応メカニズムにおいて出される欧州委員会の要請決定の対象となる(36条)
      • 欧州委員会が奨励・推進・招請して策定する、行動規範(codes of conduct)(45条)や危機プロトコル(48条)を通じて具体化する共同規制メカニズム
        • デジタルサービス法採択以前から偽情報行動規範が策定、2022年6月の改訂によりディープフェイク等への対応も含まれる
      • 34条・35条の義務及び、行動規範・危機対応プロトコルの遵守について、年1回以上の独立監査を受ける義務(37条)
        • 評価・緩和措置検証のための外部研究者データアクセス提供義務(40条)
  • デジタルサービス法とAI法
    • AI法案前文118「本規則は、AIシステムおよびモデルを規制するものであり、関連する市場関係者に対し、それらを市場に投入し、サービスを開始し、または域内で使用するための一定の要件および義務を課すことにより、規則(EU)2022/2065(※デジタルサービス法)により規制される、そのようなシステムまたはモデルをサービスに組み込む媒介サービスの提供者に対する義務を補完するものである。そのようなシステムまたはモデルが、指定された超大規模オンラインプラットフォームまたは超大規模オンライン検索エンジンに組み込まれる限りにおいて、それらは規則(EU)2022/2065に規定されたリスク管理の枠組みの対象となる。その結果、規則(EU)2022/2065が対象としていない重大なシステミックリスクが出現し、そのようなモデルで特定されない限り、本規則の対応する義務は履行されていると推定されるべきである。この枠組みの中で、超大規模オンラインプラットフォームおよび超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーは、潜在的な悪用から生じるシステミックリスクだけでなく、サービスで使用されるアルゴリズムシステムの設計がそのようなリスクにどのように寄与するかを含め、サービスの設計、機能、使用から生じる潜在的なシステミックリスクを評価する義務がある。これらの提供者はまた、基本的権利を遵守し、適切な緩和措置を講じる義務がある。」
  • いくつかの論点
    • AI法案:AI提供者・配備者等
      • 製品安全
      • プロファイリング
      • 偽・誤情報にとどまらない操作・欺瞞
    • デジタルサービス法:プラットフォームレイヤー
      • AIとコンテンツモデレーション、レコメンダーやプロファイリング
      • AI生成コンテンツ流通への対応
    • 両法の補完関係
      • AI法案におけるAI生成コンテンツ検出可能化義務と、デジタルサービス法におけるPF側の検知・開示措置(システミックリスク軽減)
      • システミックリスク軽減義務

総務省 労働力調査 (基本集計)2024年(令和6年)2月分
  • 就業者の動向
    • 男女別就業者数
      • 就業者数は6728万人。前年同月に比べ61万人(0.9%)の増加。19か月連続の増加。
      • 男性は3683万人。15万人の増加。女性は3045万人。46万人の増加
    • 従業上の地位別就業者数
      • 自営業主・家族従業者数は608万人。前年同月に比べ14万人(2.3%)の減少
      • 雇用者数は6088万人。前年同月に比べ76万人(1.3%)の増加。24か月連続の増加。
      • 男性は3293万人。32万人の増加。女性は2795万人。44万人の増加
    • 雇用形態別雇用者数
      • 正規の職員・従業員数は3617万人。前年同月に比べ49万人(1.4%)の増加。4か月連続の増加
      • 非正規の職員・従業員数は2134万人。前年同月に比べ32万人(1.5%)の増加。6か月連続の増加
      • 役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は37.1%。前年同月と同率
    • 就業率
      • 就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合)は61.2%。前年同月に比べ0.7ポイントの上昇
      • 15~64歳の就業率は78.6%。前年同月に比べ0.7ポイントの上昇。男性は84.0%。0.5ポイントの上昇。女性は73.0%。0.9ポイントの上昇
      • 20~69歳の就業率は80.6%。前年同月に比べ0.9ポイントの上昇
  • 完全失業者の動向
    • 男女別完全失業者数
      • 完全失業者数は177万人。前年同月に比べ3万人(1.7%)の増加。3か月ぶりの増加
      • 男性は99万人。前年同月に比べ6万人の減少。女性は78万人。前年同月に比べ9万人の増加
    • 求職理由別完全失業者数
      • 完全失業者のうち、「勤め先や事業の都合による離職」は23万人と、前年同月に比べ3万人の減少、「自発的な離職(自己都合)」は74万人と、前年同月に比べ2万人の増加、「新たに求職」は49万人と、前年同月に比べ2万人の増加
    • 年齢階級別完全失業者数
      • 男性の完全失業者数は、「15~24歳」、「25~34歳」及び「65歳以上」の年齢階級で、前年同月に比べ減少
      • 女性の完全失業者数は、「25~34歳」、「35~44歳」及び「45~54歳」の年齢階級で、前年同月に比べ増加

総務省 令和6年版地方財政の状況
  • 令和5年度においては、通常収支分について、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、歳出面においては、地域のデジタルや脱炭素化の推進等に対応するために必要な経費を充実して計上するとともに、地方公共団体が住民のニーズに的確に応えつつ、行政サービスを安定的に提供できるよう、社会保障関係費の増加を適切に反映した計上等を行う一方、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うこととする。また、歳入面においては、「経済財政運営と改革の基本方針2022」(令和4年6月7日閣議決定)等を踏まえ、交付団体を始め地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、令和4年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することを基本として、引き続き生じることとなった大幅な財源不足について、地方財政の運営上支障が生じないよう適切な補填措置を講じることとする。
  • また、東日本大震災分については、復旧・復興事業及び全国防災事業について、通常収支とはそれぞれ別枠で整理し、所要の事業費及び財源を確保することとする。
  • なお、地方財政審議会からは、令和4年5月25日に「活力ある持続可能な地域社会を実現するための地方税財政改革についての意見」及び同年12月9日に「今後目指すべき地方財政の姿と令和5年度の地方財政への対応等についての意見」が提出された。
  • 令和6年度においては、通常収支分について、極めて厳しい地方財政の現状及び現下の経済情勢等を踏まえ、歳出面においては、こども・子育て政策の強化等に対応するために必要な経費を充実して計上するとともに、地方公共団体が住民のニーズに的確に応えつつ、行政サービスを安定的に提供できるよう、社会保障関係費や民間における賃上げ等を踏まえた人件費の増加を適切に反映した計上等を行う一方、国の取組と基調を合わせた歳出改革を行うこととする。また、歳入面においては、「経済財政運営と改革の基本方針2023」(令和5年6月16日閣議決定)等を踏まえ、交付団体を始め地方の安定的な財政運営に必要となる地方の一般財源総額について、令和5年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保することを基本として、引き続き生じることとなった大幅な財源不足について、地方財政の運営上支障が生じないよう適切な補填措置を講じることとする。
  • また、東日本大震災分については、復旧・復興事業及び全国防災事業について、通常収支とはそれぞれ別枠で整理し、所要の事業費及び財源を確保することとする。
  • なお、地方財政審議会からは、令和5年5月25日に「活力ある多様な地域社会を実現するための地方税財政改革についての意見」及び同年12月11日に「今後目指すべき地方財政の姿と令和6年度の地方財政への対応等についての意見」が提出された。
  • 最近の地方財政をめぐる諸課題への対応
    • 少子化は我が国が直面する最大の危機であり、若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでに少子化トレンドを反転させ、人口減少に歯止めをかけなければ、持続的な経済成長の達成は困難となる。2030年(令和12年)までがラストチャンスであり、政府として次元の異なる少子化対策を進めることとしている。
    • 地方公共団体は、こども・子育てサービスの多くを提供する主体であり、現場において果たす役割が極めて大きいことから、こども・子育て政策の強化は国と地方が車の両輪となって取り組んでいく必要がある。
    • 輸入物価の上昇に端を発する物価高の継続は、国民生活を圧迫し、日本経済の回復に伴う生活実感の改善を妨げている。こうした中、地方公共団体においては、物価高の影響を受けた生活者や事業者に対し、地域の実情に合わせて必要な支援を実施しており、国においても、そうした取組に補正予算の編成や予備費の使用により財政措置を講じてきた。また、地方公共団体の公共施設等における光熱費の高騰や委託料の増加、建設事業費の上昇を踏まえた対応も必要となっている。
    • 「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、地域社会全体のデジタル変革を加速させ、活力ある地方を創るためには、デジタル技術を活用して地方の社会課題解決や魅力向上を図るとともに、地方公共団体のDX(デジタル・トランスフォーメーション)等を推進していく必要がある。
    • 「地球温暖化対策計画」(令和3年10月22日閣議決定)において、2050年カーボンニュートラルの実現を目指すとともに、我が国の中期目標として、2030年度において温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指すこととされたことを踏まえ、地域の脱炭素化を推進していく必要がある。
    • 令和6年1月1日に最大震度7を観測した令和6年能登半島地震では、甚大な被害が発生した。近年、気候変動の影響により気象災害は激甚化・頻発化し、南海トラフ地震などの大規模地震の発生も切迫している。引き続き、国民の生命・財産を守るため、地方公共団体が国と連携しつつ、防災・減災、国土強靱化対策に取り組む必要がある。
    • また、高度経済成長期に大量に建設された公共施設等が一斉に更新時期を迎える中、各地方公共団体においては、人口減少や少子高齢化等による公共施設等の利用需要の変化や地方財政の厳しい状況等を踏まえ、公共施設等の適正管理に向けた取組を着実に推進する必要がある。
    • 少子高齢化など人口構成の変化が一層進んでいく中、年金、医療、介護などの社会保障を持続可能なものとするためには、社会保障制度を見直し、給付・負担両面で、人口構成の変化に対応した世代間・世代内の公平が確保された制度へと改革していくことが必要である。
    • また、社会保障分野のサービス・給付の多くが地方公共団体を通じて国民に提供されていることから、国と地方が一体となって安定的に実施していくことが重要であり、社会保障制度改革は国・地方が協力して推進していく必要がある。
    • 地方公共団体や公営企業が、中長期的な見通しに基づく持続可能な財政運営・経営を行うためには、自らの財政・経営状況、ストック情報等を的確に把握することが重要であり、地方公会計の推進、地方財政の「見える化」や公営企業の経営改革等に取り組む必要がある。
    • 地方圏において少子高齢化・人口減少の局面に的確に対応していくための連携の枠組みである「連携中枢都市圏」や「定住自立圏」の形成については相当程度進捗した段階にあり、広域的な産業政策、観光振興、災害対策など、比較的連携しやすい取組から実績が積み上げられている。
    • さらに、令和5年答申を踏まえ、地方公共団体の経営資源が制約される中で、持続可能な形で行政サービスを提供し住民の暮らしを支えていくため、地方公共団体が、地域や組織の枠を越えて資源を融通し合い、他の地方公共団体や地域の多様な主体と連携・協働していく取組を深化する必要がある。
    • 特に、市町村の自主的な連携による専門人材の確保等の取組が重要であり、その上でニーズに応じた都道府県等による調整・支援を促進する必要がある

総務省消防庁 「令和5年中の救急出動件数等(速報値)」の公表
  • 令和5年中の救急自動車による救急出動件数は763万7,967件(対前年比40万8,395件増、5.6%増)、搬送人員は663万9,959人(対前年比42万2,676人増、6.8%増)で救急出動件数、搬送人員ともに増加した
  • 令和5年中の救急自動車による救急出動件数の内訳を事故種別ごとにみると、急病が517万2,787件(67.7%)、一般負傷が118万5,162件(15.5%)、交通事故が39万9,593件(5.2%)などとなっており、前年と比較すると構成比に大きな変化はないが、長期的には、急病の割合は増加し、交通事故の割合は減少している
  • 令和5年中の救急自動車による搬送人員の内訳を事故種別ごとにみると、急病が449万7,224人(67.7%)、一般負傷が105万7,654人(15.9%)、交通事故が36万505人(5.4%)などとなっており、前年と比較すると、事故種別ごとの救急出動件数と同様に、構成比に大きな変化はないが、長期的には、救急出動件数と同様に、急病の割合は増加し、交通事故の割合は減少している
  • 令和5年中の救急自動車による搬送人員の内訳を年齢区分別にみると、高齢者が409万2,759人(61.6%)、成人が196万8,512人(29.6%)、乳幼児が33万5,996人(5.1%)などとなっており、前年と比較すると、構成比では乳幼児と少年が増加している。また、長期的には、これまでと同様、高齢者の割合は増加し、成人の割合は減少している
  • 令和5年中の救急自動車による搬送人員の内訳を傷病程度別にみると、軽症(外来診療)が321万4,831人(48.4%)、中等症(入院診療)が285万1,385人(42.9%)、重症(長期入院)が47万8,740人(7.2%)などとなっており、前年と比較すると、構成比では軽症が増加している。また、長期的には、これまでと同様、中等症(入院診療)の割合は増加し、軽症(外来診療)の割合は減少している

総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会(第14回)配付資料 ※ワーキンググループ(第10回)合同開催
▼ 資料14-3-3 TikTok Japanご発表資料
  • コミュニティガイドラインにおいて、削除等の対象となる偽・誤情報について定めています。
    • 禁止されるもの
      • 発信者の意図に関わらず
      • 個人や社会に重大な危害を及ぼし得る、不正確な、誤解を招く、または虚偽の情報
    • おすすめフィードの対象外となるもの
      • 一般的な陰謀論や緊急事態に関連する未確認の情報が含まれるコンテンツなど
  • ファクトチェック機関との連携
    • 2020年以来、TikTokは50か国語以上をサポートする、世界中の18のファクトチェックパートナーと連携しています
  • 削除等の基準・措置の公正性・透明性の確保
    • コミュニティガイドラインの公表
    • 投稿者への削除の通知、理由の明示
      • コミュニティガイドラインに違反して動画が削除された場合、どのコミュニティガイドラインに違反したかをユーザーに通知
    • 異議申し立ての機会の確保
      • 削除の理由を通知する画面や当該動画の画面から、異議申し立てボタンをクリックして、申し立てできる
      • 再審査の結果も通知
    • 透明性レポートの公表
      • 「地域・言語別のモデレーション」セクションにおいて、上位50位の地域別数値も公表
      • 上位50位の地域について、データのダウンロードが可能
      • モデレーターの主要言語の割合も公表
      • 悪意をもって人の意思決定に影響を与えようとする活動の検知を具体的に公表
  • 偽・誤情報の防止
    • 信頼できる情報源へのアクセスと、慎重なアクションを呼びかけるガイド
      • 紛争に関連する用語を検索すると、検索結果にガイドが表示される。
      • 情報が必ずしも正確でない可能性があることを伝える
      • 慎重なリアクションを呼びかける
      • 公式の情報源を確認することを促す
  • 生成AIへの対応
    • 実在する人物の映像または音声を含むAI生成コンテンツの制限
      • 実在する人物の映像または音声を含むAI生成コンテンツを、コミュニティガイドラインで制限
    • AIで生成したコンテンツにラベルを表示
      • AI生成コンテンツを投稿する際には「AI生成」ラベルをつけることを義務付け
    • 透明性と責任ある共同行動のためのフレームワークに参加
      • AIの透明性と責任あるイノベーションのためのフレームワークである「Partnership on AI」のResponsible Practices for Synthetic Mediaに参加
  • 多様性あるレコメンドシステム、フィルターバブルの防止
    • 多様なコンテンツを表示するレコメンドシステム
      • ユーザーから提供された指標(いいね等)により、ユーザーにとって有用なコンテンツを予測する。予測スコアが高いものから順番にランキングが作成されるが、それらの類似性をチェックし、類似性が高い場合は、低いコンテンツと入れ替えることで、多様性を確保している
    • おすすめフィードのリセット
      • ユーザーがコンテンツが自分に合っていない、あるいはテーマの多様性が十分でないと感じたら、おすすめフィードをリセットできる
  • レコメンドシステムの透明性
    • レコメンドされた理由の表示
      • なぜその動画がおすすめされたのか、動画ごとにユーザーが確認できる
    • レコメンドシステム/モデレーションの仕組みについて、積極的な情報公開
      • 専門家が、動画審査の実践や、レコメンドシステムに関する情報にアクセスできる「透明性・説明責任情報公開センター」を開設
      • レコメンドシステムの仕組みを解説するWebページを設置し、積極的に情報を公開

【2024年3月】

総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会(第13回)配付資料 ※ワーキンググループ(第9回)合同開催
▼ 資料13-4デジタル空間における情報流通の健全性に関する基本理念(案)
  • 構成員からのこれまでのご意見を踏まえると、デジタル空間における「情報流通の健全性」に関する基本理念として、例えば以下のような項目が考えられるのではないか。
  • 今後、これらの項目を整理・階層化し、その結果を踏まえて情報流通の場としてのデジタル空間の在り方や情報流通の各過程(発信・伝送・受信)に関わるステークホルダーの役割・責務について検討してはどうか。
    • 表現の自由→デジタル・サイバー・青少年
      • 発信者・伝送者それぞれの表現の自由の保障 など
    • 知る権利→デジタル・青少年
      • 受信者における多様な情報へのアクセスの保障
      • 情報的に健康になろうとする者への機会保障 など
    • 法の支配・民主主義→サイバー・個人情報
      • ルールに基づく民主的なガバナンスの確立
      • 民主主義の過程における国民の自律的な意思決定の保護 など
    • 公平性
      • 情報の伝送過程における不当な偏りの抑止 など
    • 公正性→デジタル
      • コンテンツ作成にかけた「労力」への正当な評価 など
    • 発信主体の真正性確保
      • 発信主体の真正性を受信者において判断できる能力の支援 など
    • 信頼性のある情報の流通確保→デジタル・個人情報
      • アテンション・エコノミー下における信頼性の高いコンテンツの流通へのインセンティブ付与 など
    • リテラシー・責任ある発信→サイバー・個人情報・青少年
      • 受信者・発信者それぞれのリテラシー向上
      • デジタル・シティズンシップの涵養 など
    • 包摂性・脆弱な個人の保護→デジタル・青少年
      • 児童・青少年や高齢者の保護と情報流通への参画機会確保 など
    • 安心→デジタル・サイバー・青少年
      • 法令違反情報・権利侵害情報(誹謗中傷等)による被害の防止・救済
      • 偽・誤情報の拡散による社会的コスト・リスクの増加の抑制
      • 災害発生時等の社会的混乱その他フィジカル空間への影響の抑止 など
    • 安全・セキュリティ確保→デジタル・サイバー
      • サイバー攻撃・安全保障上の脅威等への対抗力の確保 など
    • オープン・透明性→デジタル・個人情報
      • 事業者による取組の透明性確保
      • 政府による事業者への働きかけの透明性確保 など
    • アカウンタビリティ→デジタル・個人情報
      • 事業者の発信者・受信者それぞれに対するアカウンタビリティ
      • 政府の事業者に対するアカウンタビリティ など
    • プライバシー保護→デジタル・個人情報
      • 個人の認知領域への侵襲抑止
      • 個人の自律的な意思決定の保護 など
    • 利用者データの保護→個人情報
      • 個人情報や個人情報以外の利用者データの適正な取扱い など
    • グローバル→デジタル
      • 分断のないデジタル空間の実現 など
    • 国際性→サイバー
      • 国際的に調和のとれたルール作り・運用
      • 政府・事業者を含めた国際連携の促進 など
    • マルチステークホルダーによる連携・協力→デジタル・サイバー・個人情報・青少年
      • 多様なステークホルダー間の情報共有その他連携した取組の促進 など
  • 情報流通過程全体に共通する高次の基本理念(例)
    • 表現の自由と知る権利の実質的保障及びこれらを通じた民主主義の実現
      • 自由な情報発信と多様な情報摂取の機会が保障され、国民の自律的な意思決定が保護されていること
    • 安心かつ安全な情報流通空間としてのデジタル空間の実現
      • 平時・有事(災害発生時等)を通じ、偽・誤情報や悪意ある情報の流通による権利侵害や社会的混乱その他のフィジカル空間への影響が抑止されるとともに、サイバー攻撃や安全保障上の脅威等への対抗力が確保されていること
    • 国内外のマルチステークホルダーによる国際的かつ安定的で継続的な連携・協力
      • デジタル空間に国境がないことを踏まえ、国内のみならず海外の事業者や政府を含むマルチステークホルダーが相互に連携・協力しながらデジタル空間における情報流通に関するガバナンスの在り方について安定的かつ継続的に関与できる枠組みが確保されていること
  • 情報発信に関する基本理念(例)
    • 自由かつ責任ある発信の保護
      • ジャーナリズムやリテラシーに裏付けられた責任ある発信が保護されていること
    • 信頼できるコンテンツの持続可能な制作・発信の実現
      • 信頼できる魅力的なコンテンツの制作・発信(ファクトチェックを含む)に向けたリソースが安定的かつ継続的に確保され、そうした活動の価値が正当に評価されていること
  • 情報受信に関する基本理念(例)
    • リテラシーの確保
      • 受信者において技術的事項を含むリテラシーが確保され、デジタル社会の一員としてデジタル空間における情報流通の仕組みやリスクを理解し、行動できること
    • 多様な個人に対する情報へのアクセス保障とエンパワーメント
      • 個人の属性・認知的能力や置かれた状況の多様性を考慮しつつ、あらゆる個人に対してデジタル空間における情報流通への参画機会が与えられ、意思決定の自律性が確保されていること
  • 情報伝送に関する基本理念(例)
    • 公平かつ多元的な情報伝送
      • 多元的で信頼できる情報源が発信する情報が偏りなく伝送されていること
    • 情報伝送に関わる各ステークホルダーによる取組の透明性とアカウンタビリティの確保
      • プラットフォーム事業者や政府を含む関係者の取組・コミュニケーションの透明性とアカウンタビリティが確保され、責任の所在が明確であること
    • プラットフォームが収集する利用者データの保護と個人のプライバシー保護
      • 個人情報を含む様々な利用者データの適正な収集・利活用とそれを通じた個人の意思決定の自律性が確保されていること

総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 ワーキンググループ(第8回)配付資料
▼ 資料WG8-1 EU・豪州・ニュージーランド・英国における行動規範の策定状況(株式会社野村総合研究所 ご発表資料)
  1. DSAと行動規範の関係性
    • 前文第103項
      • 欧州委員会および理事会は、本規則の適用に資するため、自主的な行動規範の策定と、それらの規範の規定の実施を奨励すべきである。欧州委員会および理事会は、行動規範が、取り組んでいる公益目的の性質を明確に定義し、その目的の達成を独立的に評価する仕組みを含む、関係当局の役割が明確に定義されていることを目指すべきである。特に、安全保障、プライバシー、個人情報の保護への悪影響の回避や、一般的な監視義務を課すことの禁止に注意を払うべきである。行動規範の実施は測定可能であり、公的な監視の対象となるべきであるが、そのような規範の自発的な性質や、利害関係者が参加するかどうかを決定する自由を損なうことがあってはならない。特定の状況においては、超大規模オンラインプラットフォームが特定の行動規範の策定に協力し、遵守することが重要である。本規則のいかなる規定も、他のサービスプロバイダーが同じ行動規範に参加することにより、デューデリジェンスの同じ基準を遵守し、ベストプラクティスを採用し、欧州委員会および理事会が提供するガイドラインの恩恵を受けることを妨げるものではない。
    • 前文第104項
      • 本規則は、そのような行動規範のために考慮すべき分野を特定することが適切である。特に、特定の種類の違法コンテンツに関するリスク軽減措置は、自主規制および共同規制の合意を通じて検討されるべきである。また、情報操作や虐待行為、未成年者への悪影響など、システミックリスクが社会と民主主義に及ぼしうる負の影響についても検討すべきである。これには、意図的に不正確な、あるいは誤解を招くような情報を、時には経済的利益を得る目的で作成するためにボットや偽アカウントを使用するなど、偽情報を含む情報の増幅を目的とした協調的な操作が含まれ、これらは特に未成年者などサービスの受け手である弱者にとって有害である。このような分野に関連して、超大規模オンラインプラットフォームや超大規模オンライン検索エンジンによる所定の行動規範の遵守とコンプライアンスは、適切なリスク軽減措置として考えられる。オンラインプラットフォームまたはオンライン検索エンジンのプロバイダーが、そのような行動規範の適用への欧州委員会による招へいを適切な説明なしに拒否した場合、当該オンラインプラットフォームまたはオンライン検索エンジンが本規則の定める義務に違反したか否かを判断する際に、関連のある範囲で考慮されうる。
    • 前文第106項
      • 本規則に基づく行動規範(Codes of conduct)におけるルールは、「製品安全に関する誓約」、「インターネット上の偽造品販売に関する覚書」、「オンライン上の違法なヘイトスピーチ対策に関する行動規範」ならびに「偽情報に関する行動規範」など、欧州連合レベルですでに確立されている自主規制の取り組みの基礎となりうる。特に後者(偽情報に関する行動規範)については、欧州委員会のガイダンスに従い、欧州民主主義計画で発表されたとおり、偽情報に関する行動規範が強化された。
    • 第45条 行動規範
      • 欧州委員会および理事会は、特に競争法および個人情報の保護に関するEU法に従い、さまざまな種類の違法コンテンツおよびシステミックリスクへの取り組みという特定の課題を考慮しつつ、本規則の適切な適用に貢献するため、EUレベルでの自主的な行動規範の作成を奨励し、促進するものとする。
      • 第34条第1項の意味における重大なシステミックリスクが出現し、複数の超大規模オンラインプラットフォームまたは超大規模オンライン検索エンジンに関係する場合、欧州委員会は、関係する超大規模オンラインプラットフォームのプロバイダーまたは超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダー、および他の超大規模オンラインプラットフォームのプロバイダー、超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーを招待することができる、適切な場合には、オンラインプラットフォームおよびその他の仲介サービスのプロバイダー、ならびに関連する管轄当局、市民社会組織およびその他の関連する利害関係者に対し、特定のリスク軽減措置を講じることを約束すること、および講じられた措置とその結果に関する定期的な報告枠組みを定めることを含め、行動規範の策定に参加するよう求めることができる。
      • 委員会および理事会は、行動規範が第1項および第3項に規定された目的を満たしているかどうかを評価し、行動規範に含まれる主要業績評価指標を考慮しながら、その目的の達成状況を定期的に監視および評価するものとする。両委員会は、その結論を公表しなければならない。委員会および理事会はまた、行動規範の定期的な見直しと適応を奨励し、促進するものとする。行動規範の遵守に組織的な不履行があった場合、委員会および理事会は、行動規範の署名事業者・団体に対し、必要な措置を講じるよう求めることができる。
  2. DSAと行動規範の関係性―(参考)リスク評価に関連する条項
    • 前文第84項
      • このようなシステミックリスクを評価する際、超大規模オンラインプラットフォームおよび超大規模なオンライン検索エンジンのプロバイダーは、関連する可能性のあるすべてのアルゴリズムシステム、特にレコメンダーシステムおよび広告システムを含む、リスクに寄与する可能性のあるシステムまたはその他の要素に焦点を当てるべきであり、関連するデータの収集および利用慣行に注意を払うべきである。また、コンテンツのモデレーションプロセス、技術ツール、割り当てられたリソースだけでなく、利用規約とその施行が適切かどうかも評価する必要がある。本規則で特定されたシステミック・リスクを評価する際、プロバイダーは、違法ではないが本規則で特定されたシステミック・リスクに寄与する情報にも注目すべきである。そのため、そのようなプロバイダーは、偽情報を含む、誤解を招く、または欺瞞的なコンテンツを広める、または増幅するために、そのサービスがどのように利用されているかについて、特に注意を払うべきである。アルゴリズムによる情報の増幅がシステミックリスクの一因となる場合、プロバイダーは、そのリスク評価にこれを適切に反映させるべきである。リスクがローカライズされている場合、または言語的な違いがある場合、それらのプロバイダーは、リスク評価においてこの点も考慮すべきである。超大規模オンラインプラットフォームや超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーは、特に、そのサービスの設計と機能、意図的かつしばしば協調的な操作とその利用が、どのようなものであるかを評価すべきである。
    • 第34条 リスク評価
      • 超大規模オンラインプラットフォームおよび超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーは、そのサービスおよびアルゴリズムシステムを含む関連システムの設計もしくは機能、またはそのサービスの利用に起因する、当組合におけるシステミックリスクを真摯に特定、分析および評価しなければならない。リスク評価は、第33条第6項第2号で言及されている適用日までに、また、その後少なくとも1年に1回、さらに、いかなる場合においても、本条に従って特定されたリスクに重大な影響を及ぼす可能性のある機能を展開する前に、実施しなければならない。このリスク評価は、そのサービスに特化し、システミックリスクに比例し、その重大性と蓋然性を考慮したものでなければならず、以下のシステミックリスクを含むものとする:
      • (以下略)
  3. DSAと行動規範の関係性―(参考)リスクの軽減に関連する条項
    • 前文第86項
      • 超大規模オンラインプラットフォームおよび超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーは、基本的権利を遵守しつつ、リスク評価で特定されたシステミックリスクを真摯に軽減するために必要な手段を展開すべきである。採用される措置は、本規則のデューデリジェンス要件を尊重し、特定された特定のシステミックリスクを軽減する上で合理的かつ効果的でなければならない。これらの措置は、超大規模オンラインプラットフォームまたは超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーの経済的能力、および基本的権利に対する潜在的な悪影響を十分に考慮し、そのサービスの利用に対する不必要な制限を回避する必要性に照らして、相応のものでなければならない。これらのプロバイダーは、表現の自由への影響を特に考慮すべきである。
    • 第35条 リスクの軽減
      • 超大規模オンラインプラットフォームおよび超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーは、第34条に従って特定された特定のシステミックリスクに合わせた、合理的、比例的かつ効果的な軽減措置を、当該措置が基本的権利に与える影響を特に考慮して、講じなければならない。かかる措置には、該当する場合、以下が含まれる:
        • (a)オンライン・インターフェースを含む、サービスのデザイン、特徴または機能を適合させること;
        • (b)利用規約およびその実施方法を変更すること;
        • (c)特定の種類の違法コンテンツに関連する通知の処理速度および質を含む、コンテンツ調整プロセスの適合。また、特に違法なヘイトスピーチやサイバー暴力に関して、適切な場合には、通知されたコンテンツの迅速な削除、またはアクセス不能化、ならびにコンテンツ調整のための関連する意思決定プロセスおよび専用リソースの適合を含む、コンテンツ調整プロセスの適合を行うこと;
        • (d)レコメンダー・システムを含むアルゴリズム・システムをテストし、適合させること;
        • (e)広告システムを適合させ、提供するサービスに関連する広告の提示を制限又は調整することを目的とした的を絞った措置を採用すること;
        • (f)特にシステミックリスクの検知に関して、その活動の内部プロセス、リソース、テスト、文書化、または監督を強化すること;
        • (g)第22条に従った信頼できる旗振り業者との協力、および第21条に従った裁判外の紛争解決機関の決定の実施を開始または調整すること;
        • (h)第45条および第48条にそれぞれ言及される行動規範および危機プロトコルを通じて、オンラインプラットフォームまたはオンライン検索エンジンの他のプロバ
    • ダーとの協力を開始または調整すること;
      • (i)サービスの受け手に多くの情報を提供するために、啓発措置を講じ、オンライン・インターフェースを適合させること;
      • (j)適切な場合には、年齢認証やペアレンタルコントロールツール、未成年者が虐待を通報したり支援を受けたりするのを支援するためのツールなど、児童の権利を保護するための的を絞った措置を講じること;
      • (k)生成または加工された画像、音声、映像であるか否かを問わず、実在する人物、物、場所、その他の実体または出来事に著しく類似し、真正または真実であるかのように人に誤認させるような情報の項目は、オンライン・インターフェースに表示される際、目立つマークによって区別できるようにし、さらに、サービスの受信者がそのような情報を表示できるような使いやすい機能を提供すること。
  4. DSAと行動規範の関係性―(参考)オンライン広告の行動規範に関連する条項
    • 前文第88項
      • 超大規模オンラインプラットフォームのプロバイダーや、超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーも、レコメンダーシステムをはじめとするアルゴリズムシステムをテストし、必要に応じて適応させるための措置を講じることに努めるべきである。パーソナライズされたレコメンデーションの悪影響を緩和し、レコメンデーションに使用される基準を修正する必要があるかもしれない。超大規模オンラインプラットフォームや超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーが使用する広告システムも、システミックリスクの誘因となりうる。これらのプロバイダーは、特定の情報に対する広告収入を中止するなどの是正措置、または権威ある情報源の可視性を向上させる、広告システムをより構造的に適合させるなどの他の措置を検討すべきである。超大規模オンラインプラットフォームおよび超大規模オンライン検索エンジンのプロバイダーは、特にシステミックリスクの検出に関して、その活動の内部プロセス又は監督を強化し、新たな機能に関連するリスク評価をより頻繁に又は的を絞って実施する必要があるかもしれない。特に、異なるオンラインプラットフォームまたはオンライン検索エンジン間でリスクが共有される場合、既存の行動規範またはその他の自主規制措置を開始または参加することを含め、他のサービスプロバイダーと協力すべきである。また、特に偽情報キャンペーンに関連するリスクについては、啓発活動を検討すべきである。
    • 前文第107項
      • オンライン広告の提供には、一般に、広告のパブリッシャーと広告主をつなぐ仲介サービスを含む複数の関係者が関与する。行動規範は、オンラインプラットフォームのプロバイダー、超大規模オンラインプラットフォームおよび超大規模オンライン検索エンジンの広告に関する透明性義務を支援し、補完するものでなければならない。これは、特に関連情報の伝達の様式に関して、これらの義務の遵守を促進し、強化するための柔軟かつ効果的なメカニズムを提供するためである。これには、広告の代金を支払う広告主が、オンラインプラットフォームのオンラインインターフェース上で広告を提示する自然人または法人と異なる場合に、広告主に関する情報の伝達を容易にすることを含むべきである。行動規範には、データの収益化に関する有意義な情報がバリューチェーン全体で適切に共有されることを確保するための措置も含まれるべきである。幅広い利害関係者が関与することで、行動規範が広く支持され、技術的に健全で、効果的であり、透明性の義務がその目的を達成するために最高レベルの使いやすさを提供することが保証されるべきである。幅広い利害関係者が関与することで、行動規範が広く支持され、技術的に健全で、実効性があり、透明性義務がその目的を達成するよう確保するために最高レベルの使いやすさを提供できるはずである。行動規範の実効性を確保するため、欧州委員会は行動規範の策定に評価メカニズムを含めるべきである。必要に応じて、欧州委員会は、欧州基本権機関または欧州データ保護監督機関に、それぞれの行動規範について意見を述べるよう求めることができる。
    • 第46条 オンライン広告における行動規範
      • 欧州委員会は、第26条(オンラインプラットフォームにおける広告)および第39条(オンライン広告の追加的な透明性)の要件を超えて、オンライン広告のバリューチェーンにおける関係者の透明性を高めることに貢献するため、オンラインプラットフォームのプロバイダー、およびオンライン広告仲介サービスのプロバイダー、プログラム広告のバリューチェーンに関与するその他の関係者、またはサービスの受け手を代表する組織、市民社会組織もしくは関係当局などのその他の関係するサービスプロバイダーによる、欧州連合レベルでの自主的な行動規範の策定を奨励し、促進するものとする。
      • 欧州委員会は、行動規範が、EU法および国内法、特に競争法およびプライバシーと個人情報の保護に関する法律に従って、オンライン広告における競争的で透明かつ公正な環境と同様に、すべての関係者の権利と利益を十分に尊重した効果的な情報伝達を追求することを確保することを目指すものとする。欧州委員会は、行動規範が少なくとも以下の事項に対処していることを確認することを目指すものとする:
      • (a)第26条第1項(b)、(c)および(d)に定める要件に関して、オンライン広告仲介業者のプロバイダーがサービスの受け手に対して保有する情報の伝達;
      • (b)第39条に基づき、オンライン広告仲介事業者が保有する情報をリポジトリに送信すること;
      • (c)データの収益化に関する有意義な情報;
      • 欧州委員会は、2025年2月18日までの当該行動規範の策定と、2025年8月18日までのその適用を奨励しなければならない。
      • 欧州委員会は、第1項で言及したオンライン広告のバリューチェーンのすべての関係者に対し、行動規範に記載されたコミットメントに賛同し、それを遵守するよう奨励しなければならない
  5. DSAと行動規範の関係性―(参考)欧州委員会におけるQ&Aでの言及
    • DSAに関するQ&Aの中で、「違法ではないが、有害なコンテンツへの対処」について言及している(以下、Q&Aより抜粋)
    • (違法ではないが有害なコンテンツに効果的に対処するには?)
      • 違法でない範囲で、有害なコンテンツを違法なコンテンツと同様に扱うべきではない。新しい規則では、表現の自由を完全に尊重した上で、違法なコンテンツを削除したり、削除を促したりする措置のみを課している。
      • 同時に、DSAは、偽情報、デマ、パンデミック時の操作、社会的弱者への危害、その他の新たな社会的危害といった体系的な問題に関しては、非常に大規模なオンライン・プラットフォームや非常に大規模なオンライン検索エンジンの責任を規制している。欧州委員会による指定後、少なくとも4,500万人のユーザーを抱える超大手オンラインプラットフォームおよび超大手オンライン検索エンジンは、毎年リスク評価を実施し、サービスの設計および使用に起因する対応するリスク軽減措置を講じなければならない。このような措置は、表現の自由の制限とのバランスを慎重に考慮する必要がある。また、独立した監査を受ける必要もある。
      • さらに、この提案では、サービス・プロバイダーが行動規範のもとで違法コンテンツの拡散や、子供や未成年者などサービスの受け手として弱い立場にある人々にとって特に有害な、操作的で虐待的な行為に関する悪影響に対処するための共同規制の枠組みを定めている。
      • DSAは、偽情報に関する行動規範の改訂や危機管理プロトコルなど、オンライン上の危害に関する共同規制の枠組みを促進している。

総務省 利用者情報に関するワーキンググループ(第2回)
▼ 参考資料2-1第1回会合における構成員等からの主なご意見
  • 諸外国等の動向を踏まえた対応
    • 諸外国と比べ、日本の個人情報保護に関わる規律は、ハードローにおいては必要最低限のものとなっていることから、ソフトローの部分も含めてユーザ保護を考えていくことは重要。【生貝主査代理】
    • トラッキングに同意しなければサービスを使えないという、トラッキングウォールに対する諸外国の対応についても参照していくべき。【生貝主査代理】
    • プロファイリングのあり方については、GDPRは上乗せの規定があり、その点視野に入れるべき。【生貝主査代理】
    • 日本においては、GDPR適用開始後のプラクティスの変更があまり参照されていないので、見ていく価値があるのではないか。【生貝主査代理】
    • 日本の個人情報保護法制では青少年について特別な規定が置かれていないが、青少年や脆弱な個人の保護、要配慮個人情報の取扱いについて、ソフトロー面で考えていく必要があるのではないか。【生貝主査代理】
    • ダークパターンは利用者による意思決定を阻害していると考えられるが、そのことについてどう考えるか。【生貝主査代理】
    • サービスの性質(プラットフォーム系、プロファイリング系)やユーザ数に応じた規律強度の区分についても考えてもよいのではないか。【生貝主査代理】
    • プロファイリングやAIの位置づけをどう考えていくかについて、意識する価値があるのではないか。【生貝主査代理】
    • 英国においてモバイルエコシステムに関する検討が進んでおり、アプリストア一般の行動規範がある。今後の環境変化を見越して、アプリストアにおける規範についても検討する価値があるのではないか。【生貝主査代理】
    • 日本の法制度がグローバルに遅れている面があるので、あるべき姿を目指し補う必要がある。【寺田構成員】
    • EUでは同意の必須化、米国ではオプトアウトの必須化が進むほか、欧米や国際標準ではリスクマネジメントの考え方を重視する潮流がある。子供の情報も含め、グローバルでは規制強化が進んでいるところ、国内にもその潮流を取り込んでいく必要がある。【寺田構成員】
    • 海外のサービスを消費者や子供が安心して使えるように、海外の動向とも釣り合いを取りながら検討していくべき。【木村構成員】
    • 欧州はハードローとソフトローを使い分けているが、その使い分けを見つつ、SPIでも考慮していくべき。【江藤構成員】
  • 民間の取組を踏まえた対応-総論
    • AppleやGoogleがプライバシーポリシーに関するルールを設定しているのだから、SPIではプライバシーポリシー以外の方法での保護のあり方について考えるべき。ダークパターンの禁止、広告IDによる横断的なトラッキングをオプトインとすること、子供や脆弱性のあるユーザの情報の取扱いなど。【森構成員】
    • プライバシーの保護レベルについて、AppleやGoogleのプライバシーポリシーやiPhoneにおけるATTなどをデファクトスタンダードとしてベンチマークにするべき。モバイルエコシステムに関する検討が進んでいるが、プライバシーやセキュリティのための事業者の取組がベンダとの関係で競争阻害的であるという指摘がなされているところ、どのようなレベルが不当であるのか、今後議論になるのではないかと思う。iPhoneにおける保護レベルが切り下げられることがないようにするべき。【森構成員】
  • ダークパターン、プロファイリングについて
    • IDFAは利用者の同意を取っているものの、ダークパターンと見受けられるものがある印象である。どのようなものがダークパターンに当たるのか、SPIで例示しても良いのではないか。【太田構成員】
    • プロファイリングそのものが問題というわけではないが、例えばどういったプロファイリングをしてはいけないのかなど、例示する必要があるのではないか。【寺田構成員】
  • モニタリングについて
    • ログイン・非ログインユーザの違いについて強調されているが、アカウントの有無によっても違いが生じることについて留意が必要。【太田構成員】
    • 情報の取得にあたり同意を得ているものについて、有効な同意となっているか、モニタリングが必要ではないか。【太田構成員】
    • モニタリングを行う上では、KPIなどを設定して事業者を評価する必要があるのではないか。【寺田構成員】
    • 非ログインユーザについて、自身の情報を取得されたくないからこそ非ログインの状態で使っているユーザもいると考えられるので、オプトアウトや通知等の対応はログインしている場合と同等以上であるべきではないか。【寺田構成員】
    • 委託先管理について、明確な指針を設定してモニタリングする必要がある。【寺田構成員】
    • 現状ではモニタリングがうまく機能しておらず、これは広告事業者の保護を目的とした透明化法を根拠とするものであるため。これは利用者情報の保護とはマッチしないことから、利用者情報の保護を目的とした透明化法を作り、モニタリングを義務化するべきではないか。【森構成員】
  • その他
    • サードパーティークッキーをセキュリティ確保のために活用する場合など、セキュリティはプライバシーを一部阻害する側面もあると考えられるところ、どこまでがセキュリティのために必要なのかという点は議論・情報収集すべき。【太田構成員】
    • 法律上の義務がある事項と望ましいとされている事項は、区別して書き分ける必要がある。【寺田構成員】
    • 民間の事業者や団体は、グローバルの規制やApple・Googleの規制に合わせるだけでなく、消費者の意見や意識変化も取り入れながら取組を進めている。こういったことを後押しするような意識や根拠が必要なのではないか。【寺田構成員】
    • 事業者と利用者とでは情報格差があることから、相談先や対応方法について明記するべき。【木村構成員】
    • 事業者のイノベーションの観点からは、個々のアプリ提供者の競争力にも配慮する必要がある。その点、グローバルスタンダードに合わせる形とすることで、ソフトローにより事業者の競争力が削がれないよう留意する必要がある。【江藤構成員】

総務省 不適正利用対策に関するワーキンググループ(第2回)
▼ 資料2-4 サイバー犯罪におけるSMSの不適正利用状況について(警察庁)
  • 「SMS認証代行」とは
    • SMS認証代行とは、ポイントの不正取得やフリマサイトにおける不正出品等に利用するサービスアカウントを不正取得するために、SMS認証を代行する手口
    • SMS認証を代行する者(認証代行者)は、通信事業者とSMS機能付きデータ通信契約を行い、当該契約に係る携帯電話番号や認証コードを認証代行を依頼した者(依頼者)に提供
    • 依頼者は、認証代行者から提供を受けた携帯電話番号、認証コードを悪用し、サービスアカウントを不正取得
  • SMS機能付きデータSIMカードにおける本人確認の強化
    • 警察庁及び総務省において、一般社団法人テレコムサービス協会MVNO委員会に対し、データ通信契約申込み受付時における本人確認手続の強化について検討依頼
    • 令和3年1月、一般社団法人テレコムサービス協会MVNO委員会において、データ通信契約申込み受付時における本人確認手続に関し申合せ
      • SMS機能付きデータ通信契約において、原則、携帯電話不正利用防止法と同一の本人確認方法による契約受付
      • SMS機能が付与されていないデータ通信契約については、社会環境の変化及び不正利用の発生状況を踏まえ、引き続き検討
    • 令和5年11月現在、23社において、SMS機能付きデータ通信契約において、携帯電話不正利用防止法と同一の本人確認方法による契約受付を実施
  • 警察における対策
    • 令和4年9月、京都府警察ほかで、SMS認証代行集中取締りを実施し、認証代行者及び依頼者(6人)をそれぞれ検挙
    • サイバーパトロールによりインターネット上でSMS認証代行の依頼者を募集する者を把握し捜査
      • 他人の本人確認書類を用いてSMS機能付きデータ通信契約を締結
      • インターネット上において、認証代行を募集し、これに応募した者に対して認証代行を実施
      • 認証代行以外にも、SMS機能付きデータ通信契約を不正契約し、特殊詐欺の実行犯に供与
▼ 資料2-5 SMSの不適正利用対策の方向性(案)について(事務局)
  • マルウェア感染端末からのSMS発信対策
    • マルウェア感染端末/回線の特定
    • マルウェア感染端末/回線の利用者への警告/注意喚起
    • マルウェア流通を防止する方策(OSでの対策等)の検討
    • スミッシングメッセージの申告/情報提供の推進
      • ⇒マルウェア感染端末/回線の特定及び利用者への警告/注意喚起の実施を進めてはどうか。スミッシングの申告受付が進んでいないことから、円滑に受け付けられる仕組みを構築してはどうか。
  • SMS配信者・受信者の不適正利用対策
    • SMS発信元の明確化/透明化
      • キャリア共通番号(0005番号)の普及/利用拡大
      • 「海外通信事業者から配信されるSMSへの対策
    • SMS機能付きデータ通信専用SIMカードの契約時の本人確認の現状の把握、更なる推進
    • SMS認証代行事業者への対処
    • SMS配信事業者、通信キャリア間の情報連携、自主的対策の促進
    • RCS(+メッセージ等)の活用推進

総務省 ICTサイバーセキュリティ政策分科会(第3回)
▼ 資料3-1 国際連携に係る取組状況
  • 最近のサイバーセキュリティに関する諸外国の主な動向
    • 2024年3月 「サイバー連帯法」とサイバーセキュリティ法(CSA)の改正
      • 欧州連合理事会は、理事会議長と欧州議会の交渉担当者が、「サイバー連帯法」とサイバーセキュリティ法(CSA)の対象を絞った改正に関する暫定合意に達したと発表した。サイバー連帯法の改正は、サイバーセキュリティの脅威およびインシデントの検出・認識を支援する等を目的としており、CSAの改正は、マネージドセキュリティサービスの認証スキーム等に言及する等、レジリエンスの向上となるもの。
    • 2024年3月 「サイバー危機管理のためのベストプラクティス」
      • 欧州連合サイバーセキュリティ機関(ENISA)は、危機管理強化を支援する「サイバー危機管理のためのベストプラクティス」を公表した。同書は、サイバー危機管理サイクルを4つのフェーズ(予防、準備、対応、復旧)に分類し、各段階で発生する問題への取組を示すもの。
    • 2024年1月 「サイバーセキュリティ認証スキーム」
      • 欧州委員会は、EUサイバーセキュリティ法(CSA)に沿って、初のサイバーセキュリティ認証スキームを採択したと公表した。スキームは、ハードウェアとソフトウェアを保護するため情報通信技術の製品をライフサイクルで認証するもので、NIS2指令の実施を促進する。
    • 2023年7月 「国家安全保障法案」成立
      • 英国の国家安全保障法案が両院を通過し、成立した。この新法は、英国のスパイ防止法を抜本的に見直し、法執行機関及び情報機関の活動をしやすくするという。加えて、英国の民主主義に不可欠な基本的権利を妨害する行為は違法となり、これらの権限は、偽情報やサイバー攻撃、選挙妨害等、あらゆる形態の悪質な活動にも適用される。
    • 2023年1月NTTがJCDCに参加
      • NTTがサイバーセキュリティとレジリエンスに対する米国政府の国際的取り組みをさらに強化するためのイニシアティブである共同サイバー防衛連携(Joint Cyber Defense Collaborative(JCDC))のメンバーに加入。
    • 2024年2月 「Cybersecurity Framework(CSF)」の第2.0版を公表
      • 米国国立標準技術研究所(NIST)は、「Cybersecurity Framework(CSF)」の第2.0版を公表した。CSFの第1.0版は2014年に公表され、サイバーセキュリティリスクを管理するライフサイクルの理解を提供してきた。今回の改定では、重要インフラ以外のあらゆる分野の組織に適用可能とし、また組織のガバナンスにも焦点を当てたという特徴を有する。
    • 日米豪印首脳会合(QUAD)
      • (2022年5月)「日米豪印サイバーセキュリティ・パートナーシップ」共同原則が公表された。
      • (2023年5月)「オープンRANセキュリティ報告書」及び「ソフトウェア・セキュリティに関する共同原則」が公表された。
    • 2024年3月 重要インフラ安全保障法2018(SOCI法)
      • 豪州内務省は、2024年以降の重要インフラ安全保障法2018(SOCI法)に基づくコンプライアンス規制態勢を見直すと公表した。SOCI法は、インシデント報告義務等、重要インフラ事業社に多くの義務を課しているが、事業者のコンプライアンスを効果的に向上させることを目指す。
  • 国際連携の推進
    • サイバー空間は国境を越えて利用される領域であり、サイバーセキュリティの確保のためには国際連携の推進が必要不可欠なため、各国政府・民間レベルでの情報共有や国際標準化活動に積極的に関与。
    • また、世界全体のサイバーセキュリティのリスクを低減させる等の観点から開発途上国に対する能力構築支援を行うほか、国内企業のサイバーセキュリティ分野の国際競争力向上を図る取組も推進。
      • 有志国との二国間連携の強化
        • 米英豪仏印等の有志国とのサイバー協議等の場を活用した情報発信、意見交換等の実施。
      • 多国間会合を通じた有志国との連携の強化
        • 日米豪印(Quad)上級サイバー会合、OECD/DPCデジタルセキュリティ作業部会、日ASEANサイバーセキュリティ政策会議等の多国間の枠組みを活用した情報発信、意見交換等の実施。IGFにおける議論。
      • ISAC(※)を通じた民間分野での国際連携の促進
        • ※Information Sharing and Analysis Center(情報共有分析センター)の略で、特定の産業界において、サイバー攻撃のインシデント情報等を収集・分析し、業界内で共有することを目的として、事業分野ごとに設立される組織。
        • 米・EU等のISACとの連携推進、ISP向け日ASEAN情報セキュリティワークショップ等の実施。
      • インド太平洋地域における開発途上国に対する能力構築支援
        • 日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センター(AJCCBC)、大洋州島しょ国への能力構築支援の試行、世界銀行との連携等。
      • 国際標準化機関における日本の取組の発信及び各国からの提案への対処
        • 国際電気通信連合等における標準化活動への貢献(ITU-T SG17)(IoTセキュリティ、サイバーディフェンスセンター(CDC)、5Gセキュリテイ等)
      • 国内企業のASEAN地域等に向けた国際展開支援
        • 日本企業のサイバーセキュリティソリューション・製品等の国際展開を目的とした実証事業等の実施。CDCの普及。
  • サイバーセキュリティ分野における国際連携(近年の実績)
    • サイバー空間は国境を越えて利用される領域であり、サイバーセキュリティの確保のためには国際連携の推進が必要不可欠なため、各国政府・民間レベルでの情報共有や国際標準化活動に積極的に貢献。
    • 既存の枠組みを活用し、米国をはじめとする有志国等を中心に総務省のサイバーセキュリティ政策(IoTセキュリティ、5Gセキュリティ、能力構築支援等)に関する情報を発信。
  • サイバーディフェンスセンター(CDC)について
    • ITUにおいて議論されていたサイバーディフェンスセンター(CDC)が、2021年10月、ITU勧告1060(the Framework for creation and operation of a cyber defense centre)として発行された。
    • 本勧告には、日本発のサイバーセキュリティの知見として、政府や各省庁、民間セキュリティ団体の政策やノウハウが取り入れられている。
    • サイバーセキュリティ体制の構築が遅れている発展途上国を対象にCDCの普及展開活動を実施することにより、サイバーセキュリティ分野における我が国の国際的なプレゼンス向上を図る。
    • サイバーディフェンスセンター(CDC)とは
    • 組織活動がデジタル化するにつれ、情報システムへの脅威が、単にシステムへの被害を発生させるだけでなく、経営的な被害や、より物理的あるいは人的な被害までをも引き起こすようになったことを受け、組織全体のサイバーセキュリティリスクを俯瞰する存在が必要。
    • CDCはセキュリティポリシーに沿った組織のセキュリティを確保するため、セキュリティサービスをカタログ化・実施組織の選定及び目標スコアの設定を行い(構築:Build)、それらを短期・長期的なマネジメントによって運用(Management)、さらに定期的な評価(Evaluation)を行う。

総務省 LINEヤフー株式会社に対する通信の秘密の保護及びサイバーセキュリティの確保に係る措置(指導)
  • 総務省は、本日、LINEヤフー株式会社(代表取締役社長 出澤 剛、法人番号4010401039979、本社 東京都千代田区)に対し、同社における、不正アクセスによる通信の秘密の漏えい事案に関し、通信の秘密の保護及びサイバーセキュリティの確保の徹底を図るとともに、再発防止策等の必要な措置を講じ、その実施状況を報告するよう、文書による行政指導を行いました。
  • 経緯等
    • LINEヤフー株式会社(代表取締役社長 出澤 剛。以下「LINEヤフー社」という。)からの報告により、同社及び同社のITインフラの運用に係る業務委託先であるNAVER Cloud社が、それぞれセキュリティに係るメンテナンス業務を委託していた企業においてマルウェア感染が生じたことを契機として、NAVER Cloud社の社内システムが侵害されるとともに、同社を介して、同社とネットワーク接続のあったLINEヤフー社の社内システムに対して不正アクセスが行われ、これにより、同社の提供する「LINE」サービスに係る利用者の通信情報が外部に流出等した事案(以下「本事案」という。)が発覚しました。
    • 総務省においては、LINEヤフー社に対して、電気通信事業法(昭和59年法律第86号。以下「法」という。)第166条第1項の規定に基づく報告徴収を実施したところ、同社の安全管理措置・サイバーセキュリティ対策や業務委託先管理等に不備があったことが判明しました。
  • 措置の内容等
    • 本事案は、法第4条第1項に規定する通信の秘密の漏えいがあったものと認められることから、総務省は、本日付けで、LINEヤフー社に対し、通信の秘密の保護及びサイバーセキュリティの確保を図るため、以下の事項の実施等を求めるとともに、その実施状況について報告を行うよう、文書(別紙)による行政指導を行いました。
      • 本事案を踏まえた安全管理措置及び委託先管理の抜本的な見直し及び対策の強化
      • 親会社等を含むグループ全体でのセキュリティガバナンスの本質的な見直し及び強化
      • 利用者対応の徹底
  • 総務省は、通信の秘密の保護及びサイバーセキュリティの確保を図るため、引き続き、必要な指導・監督に努めてまいります。
▼ 別紙
  • 指導事項
    • 下記の1.ないし3.の事項について、必要な措置を実施されたい。ついては、その取組方針及び実施状況について、令和6年4月1日までに報告するとともに、今後、このような事案が再発しないよう、同報告から少なくとも1年間は、四半期に一度、今後の取組状況について定期的に報告されたい。なお、今後新たな懸念が生じた場合等には、追加的な措置を求める可能性がある旨御承知おき願いたい。
      1. 本事案を踏まえた安全管理措置及び委託先管理の抜本的な見直し及び対策の強化について
        • 2.で述べた貴社とNAVER社側との密接なネットワーク構成やそれに基づく貴社の情報の取扱い等を前提とすれば、NAVER社側に何らかのセキュリティインシデントが発生した場合、NAVER社側のネットワークを介して旧LINE環境下に保存された情報へ容易にアクセスすることが可能であり、NAVER社側のネットワークを通じて旧LINE社が取り扱う利用者の情報が侵害されるリスクが常態化していたというべきであるが、貴社からの報告によれば、それにもかかわらず、貴社において十分な安全管理措置はとられず、貴社からNAVER社側に対しても、これまで定期的な安全管理措置の実施状況の確認やセキュリティリスクの評価等はなされていなかったというのであって、本事案は正にこのようなリスクが顕在化した事案であるというべきである。
        • また、本事案の解明に際して、当省からも貴社に対して複数回にわたって報告を求めるなどしたが、貴社からは調査未了を理由として回答期限内に十分な回答がなされなかったり、回答がなされてもその内容に不明瞭な点が多々含まれたりするなどしていた。これは貴社が情報セキュリティに係る安全管理をNAVER社側に強く依存していたため、アクセスログ等の必要な情報の多くがNAVER社側に存在しており、その収集や分析に支障を来したからであると推察される。このように、サイバーセキュリティ事案において、自社として、委託先の監督や原因特定を速やかにできないこと自体、大きな問題であると言わざるを得ない。
        • ついては、貴社の安全管理措置やサイバーセキュリティ対策、業務委託先管理の在り方について、本事案と同様のインシデントの再発を確実に防止するよう、以下のとおり抜本的な見直しを行い、実効的かつ十分な対策を講じられたい。
          1. NAVER Cloud社とのネットワーク分離による安全管理措置の見直しについて
            • 貴社の旧LINE社環境とNAVER Cloud社との間にネットワーク接続があり、NAVER Cloud社に対して旧LINE社環境のネットワーク及び社内システムへの広範なアクセスが許容されていたことにより、NAVER Cloud社のシステム・端末への侵入によって貴社のサーバやシステムにまで到達可能であったことが本事案発生の原因となったことを踏まえ、NAVER社側のシステムや端末から貴社のネットワークや社内システムに関して真に必要最小限度のアクセスのみを許容し、その他のアクセスを認めない仕組みを、ファイアーウォールの設置、不要ポートの閉鎖、プライベート通信の排除等を含めて構築するとともに、これに加えて、貴社のサーバ、ネットワークや社内システムの保護の万全を図るための方策を検討し、具体的な措置を講ずること。
            • 本事案発生当時、貴社とNAVER社側との間では従業員アカウントの認証基盤が共通化され、旧LINE社従業員のアカウント情報がNAVER Cloud社側の従業員管理システムにて管理、保存されていた状態であったと認められ、貴社からの報告によれば、このように従業員アカウントの認証基盤を共通化していたことが情報漏えい被害の拡大に寄与したとのことである。また、貴社のADサーバに保存されていた従業員のアカウント情報について、貴社の人事システムを介して貴社内の各種サーバやドメインが異なるNAVER Cloud社のADサーバ等とも、必要な範囲で情報が同期される仕様となっていたとのことである。十分な安全管理措置が施されていたとは認められない状況のもと、従業員のアカウント情報が他者であるNAVER Cloud社に対しても共有され、同社のサーバ内に保存されていたことは、貴社としての極めて重大なセキュリティリスクであったと認められる。
              • 以上を踏まえ、共通化している認証基盤(従業員アカウントの認証基盤に限らない。)や情報の同期を認めるシステム構成のセキュリティリスクについて貴社において改めて評価を行った上で、確実な再発防止を実現する観点から、NAVER Cloud社の認証基盤等と貴社の認証基盤等とを速やかに技術面及び運用面で完全に分離するため、貴社が管理する認証基盤等への移転や分離後の管理の在り方等を含めて計画を策定するとともに、これを着実に実施することにより具体的な対策を講ずること。
              • 特に、移行計画の概要については、報告徴収に対する令和6年1月30日付け報告書等の中でも言及があるが、具体的なシステムの内容ごとに詳細な計画を策定し、その移行が完了するまで、定期的にその実施状況を報告すること。なお、完全に分離が行われる前も、認証基盤等に対するNAVER社側からの接続が必要最小限の範囲に留まるよう適切に管理されているかについて、状況を報告すること。また、運用面では、貴社の従業員のアカウント情報は貴社内で管理することとし、本事案発生当時になされていたNAVER社側への同期は中止すること。
            • 貴社からの報告によれば、旧LINE社環境のサイバーセキュリティ対策に関連して、SoCのTier1に係る業務をNAVER Cloud社に委託しているとのことであるところ、本事案の発生を踏まえ、貴社として、国内において、独立した形で認証情報を管理、運用するとともに、セキュリティ確保のために必要とされる各システム等のログ情報を自ら取得し、これら情報を集約した上で独立した形でSoC業務を行うことができる体制を早期に整えること。今後、セキュリティインシデントが発生した場合には、自社の中に保有されている証跡に基づき、事象の詳細を把握し、原因究明やそれに対応した再発防止策を自ら策定することができる体制を整えること。その際、APTは既知の脆弱性だけではなく、ゼロデイ等を用いた攻撃を行うことも想定されることを踏まえ、ふるまい検知等を含め、最新の対策手法を取り入れた体制を検討すること。
          2. 貴社内において取るべき安全管理措置の見直しについて
            • 本事案では、貴社内のADサーバを含む、各種の重要サーバやシステムに対して不正アクセスがなされ、重大な情報漏えい被害が生じたものである。
            • AD管理についてはその重要性に鑑みて厳重なふるまい検知の仕組み等の対策が取られてしかるべきであったにもかかわらず、これが行われておらず、セキュリティ監視レベルが不十分であったため、不正なアクセスを検知等できなかった。また、その他の重要サーバ等についても認証方式がIDとパスワードの組合せであるなどそのアクセス管理のレベルが不十分であった点があり、不正に取得された従業員アカウント等を用いたアクセスを防ぐことができなかった。これらを踏まえ、自社内のサーバ等の保護に向けて、高度な侵入検知システムの導入や多要素認証の導入を含めたアクセス管理の強化等を含む、実効的なサイバーセキュリティ対策の導入に向けた計画を策定し、その内容を報告するとともに、速やかに具体的な措置を講ずること。
          3. 委託先管理の見直しについて
            • 本事案において、NAVER Cloud社等の業務委託先の安全管理措置に係る貴社からの管理監督が不十分であったことを踏まえ、通信の秘密に該当する情報の取扱い等を委託する場合(通信の秘密に該当する情報の取扱いを委託する場合及びこのような情報へのアクセスを許容する場合やアクセスが可能となる場合を含む。)における業務委託先管理の在り方について、セキュリティリスクの評価基準の見直しを行った上で、リスクに応じた実効的な委託先管理を実現するための監督方法の検討及び基準の策定並びにその実施を行うこと。
              • 特に、本事案の内容に鑑みれば、情報の取扱いの委託の有無にかかわらず、重要な設備等に関する業務委託について、その委託先及び再委託先について特定した上で、安全管理措置ないしサイバーセキュリティ対策について適切な管理監督ができるように、令和6年3月末までに安全管理措置等の基準を策定し、実効性を高めたモニタリング・監督方法を検討・策定すること。あわせて、委託先の監督が委託先による分析結果や委託先から受領するログに依存しており、委託先からこれらが得られないと自社として侵害の有無や範囲も十分に把握できないという状況を見直すこと。
            • 本事案における攻撃の端緒となったNAVER Cloud社における安全管理措置の強化について、委託元としてNAVER社側に対して適時に実施状況を確認するとともに、必要に応じて対策の強化を要請するなどし、実効的な再発防止策が策定されるよう、適切な管理監督を行うこと。
              • 特に、貴社からの報告によれば、NAVER Cloud社は、貴社から指摘するまで侵害に気付かず、そのADサーバが侵害され、外部のC&Cサーバから直接接続された状況が相当期間にわたって継続していた等、その安全管理措置に問題があったとのことである。このことを踏まえ、委託や監督の在り方を見直すための、貴社としての計画を策定して提出すること。
      2. 親会社等を含むグループ全体でのセキュリティガバナンスの本質的な見直し及び強化について
        • でも述べたネットワーク構成上の重大なリスクが存在していたにもかかわらず、これが是正されずに本事案の発生に至った背景には、貴社からみるとNAVER社側が委託先として委託元である貴社から管理監督を受ける立場であるにもかかわらず、NAVER社側と貴社の間で組織的・資本的な相当の支配関係が存在することもあり、貴社からNAVER社側に対して安全管理のための的確な措置を求めることや適切な委託先管理を実施することが困難であったという事情も影響しているものと考えられる。
        • 本事案を受けて、貴社からの報告によれば、貴社ネットワークへのアクセスのホワイトリスト化やファイアーウォールの設置等を通じてNAVER社側と旧LINE社環境との間のネットワーク管理を強化し、共通化していた従業員アカウント認証基盤やNAVER社側と連携していた従業員向けシステムについても分離や切替えを進めることで、一定程度、NAVER社側との繋がりを解消する予定であるとのことである。しかしながら、本事案の発生に直接寄与したシステムを含む複数の重要システムについて、現時点の計画では、その構成の複雑性から分離に相当の期間を要する見込みであること、上記の貴社からの報告に基づく取組が実施された後においても、一部のシステムの開発・運用・保守業務については依然としてNAVER社側への委託が予定されているとみられること、また、本事案の影響範囲に含まれない、エンドユーザ向けサービスの本番環境(エンドユーザ向けサービスが実際に稼働する環境)その他のシステムについてNAVER社側への委託の見直しがなされるのか明確でないこと等からすると、委託先管理の困難性は十分解消されておらず、本事案と同様のインシデントを招来するリスクが解消されているとは認められない。
        • において実施を求めた貴社における安全管理措置ないしサイバーセキュリティ対策等を実効性のあるものとし、本事案と同様のインシデントの再発を確実に防止するためには、単に一部のシステムやネットワークの技術的な分離措置等を講ずるのみでは不十分というべきであって、セキュリティリスクを的確に把握し、リスクを踏まえた実効的な対策を実現できるガバナンス体制を、親会社等を含むグループ全体で構築することが必要である。
        • 上記を踏まえ、実効的なセキュリティガバナンスの確保に向け、貴社内におけるセキュリティガバナンス体制の抜本的な見直しや是正策の検討を行うことに加え、貴社の親会社等も含めたグループ内において、委託先への適切な管理・監督を機能させるための貴社の経営体制の見直し(委託先から資本的な支配を相当程度受ける関係の見直しを含む。)や、適正な意思決定プロセスの構築等に向けた、適切な検討がなされるよう、親会社等に対しても必要な働き掛けを行うこと。
      3. 利用者対応の徹底について
        • 本事案において、少なくとも、貴社の利用者の通信の秘密に該当する情報が2万件以上(推計値を含む。)漏えいしたことを踏まえ、利用者保護の観点から、今後も利用者に対する本事案に関する適切な情報提供を継続するとともに、二次被害が発覚した場合等には適切な支援、対応を実施すること。

総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会 ワーキンググループ(第5回)配付資料
▼ 資料WG5-1-4デジタル空間における情報流通の健全性に関する基本理念の項目例
  • 「情報流通の健全性」に関する基本理念の項目例
    • 構成員からのこれまでのご意見を踏まえると、デジタル空間における「情報流通の健全性」に関する基本理念として、例えば以下のような項目が考えられるのではないか。
    • 今後、これらの項目を整理・階層化し、その結果を踏まえて情報流通の場としてのデジタル空間の在り方や情報流通の各過程(発信・伝送・受信)に関わるステークホルダーの役割・責務について検討してはどうか。
      1. 表現の自由
        • デジタル・サイバー・青少年
        • 発信者・伝送者それぞれの表現の自由の保障 など
      2. 知る権利
        • デジタル・青少年
        • 受信者における多様な情報へのアクセスの保障
        • 情報的に健康になろうとする者への機会保障 など
      3. 法の支配・民主主義
        • サイバー・個人情報
        • ルールに基づく民主的なガバナンスの確立
        • 民主主義の過程における国民の自律的な意思決定の保護 など
      4. 公平性
        • 情報の伝送過程における不当な偏りの抑止 など
      5. 公正性
        • デジタル
        • コンテンツ作成にかけた「労力」への正当な評価 など
      6. 発信主体の真正性確保
        • 発信主体の真正性を受信者において判断できる能力の支援 など
      7. 信頼性のある情報の流通確保
        • デジタル・個人情報
        • アテンション・エコノミー下における信頼性の高いコンテンツの流通へのインセンティブ付与 など
      8. リテラシー・責任ある発信
        • サイバー・個人情報・青少年
        • 受信者・発信者それぞれのリテラシー向上
        • デジタル・シティズンシップの涵養 など
      9. 包摂性・脆弱な個人の保護
        • デジタル・青少年
        • 児童・青少年や高齢者の保護と情報流通への参画機会確保 など
      10. 安心
        • デジタル・サイバー・青少年
        • 法令違反情報・権利侵害情報(誹謗中傷等)による被害の防止・救済
        • 偽・誤情報の拡散による社会的コスト・リスクの増加の抑制
        • 災害発生時等の社会的混乱その他フィジカル空間への影響の抑止 など
      11. 安全・セキュリティ確保
        • デジタル・サイバー
        • サイバー攻撃・安全保障上の脅威等への対抗力の確保 など
      12. オープン・透明性
        • デジタル・個人情報
        • 事業者による取組の透明性確保
        • 政府による事業者への働きかけの透明性確保 など
      13. アカウンタビリティ
        • デジタル・個人情報
        • 事業者の発信者・受信者それぞれに対するアカウンタビリティ
        • 政府の事業者に対するアカウンタビリティ など
      14. プライバシー保護
        • デジタル・個人情報
        • 個人の認知領域への侵襲抑止
        • 個人の自律的な意思決定の保護 など
      15. 利用者データの保護
        • 個人情報
        • 個人情報や個人情報以外の利用者データの適正な取扱い など
      16. グローバル
        • デジタル
        • 分断のないデジタル空間の実現 など
      17. 国際性
        • サイバー
        • 国際的に調和のとれたルール作り・運用
        • 政府・事業者を含めた国際連携の促進 など
      18. マルチステークホルダーによる連携・協力
        • デジタル・サイバー・個人情報・青少年
        • 多様なステークホルダー間の情報共有その他連携した取組の促進 など
▼ 資料WG5-1-5「プラットフォームサービスに関する研究会」における偽情報に関する検討
  • 緊急提言(2020年8月)から第二次とりまとめ(2022年8月)までの議論
    • 透明性・アカウンタビリティ確保の重要性
      • プラットフォーム事業者のサービス上では、多くのユーザによる自由な情報の発信・受信を可能としている一方で、誹謗中傷や偽情報といった違法・有害情報も多く流通している。プラットフォーム事業者は、問題となる投稿の削除やそのような投稿を行ったアカウントの凍結・停止、投稿に注意喚起を促すラベルの付与、表示順位の低下等といった、ポリシーにあらかじめ定められた違法・有害情報などの流通を抑止するために講じる措置を実施するなど、情報流通の適正化について一定の責任を果たすことが期待される。一方で、プラットフォーム事業者は、ユーザの表現を預かる立場でもあり、ユーザの表現の自由の確保について一定の責任を果たすことが期待される。
      • また、プラットフォーム事業者には、自社サービスの特性にあわせて誹謗中傷等の情報がユーザやユーザ以外の者に与えるリスクを分析・評価した上で、文化的、社会的、政治的背景を踏まえた、投稿やアカウントに対する措置の実施に係るポリシーの設定、その適切な運用、その運用に必要な体制の構築をはじめとするリソースの確保及び自社サービス上の投稿に係る発信者情報開示などの法的手続への適切な協力などが期待される。さらに、投稿やアカウントに対する措置については、削除以外の手法による対応(例:投稿に対するラベルの付与や表示順位の低下、投稿時の警告表示等)も含め、事業者の自律的な創意工夫による対応が行われることが望ましい。
      • 当研究会におけるヒアリングを行ったプラットフォーム事業者においては、誹謗中傷や偽情報を含む違法・有害情報への措置を講じる必要性が認識されており、あらかじめ対応方針や基準となるポリシーを自主的に設定し、投稿やアカウントに対する措置が行われている。こうした措置については、ポリシーが適時適切に定められるとともにポリシーに基づく措置の対象となる投稿やアカウントに対して確実に措置が行われることが望ましい一方で、行き過ぎた措置や恣意的な措置といった不適切な運用によってユーザの表現の自由が損なわれることがないよう、過不足なく実施される必要がある。
      • 違法・有害情報への対応が適切に行われるとともにユーザの表現の自由に対する過度な制約とならないよう、過不足なく行われるためには、ポリシーの設定状況やその運用状況、対応の結果や異議申立ての機会の確保状況といった項目に関する透明性・アカウンタビリティを確保し、「言論空間のガバナンスに対するガバナンス」、すなわち、プロセスの透明性を確保することが必要である。
      • 大規模なプラットフォームサービスの提供者は、そのサービスの提供により情報流通について公共的役割を果たしていると考えられることから、当該サービスのユーザ及びユーザ以外の者に対して、その透明性・アカウンタビリティが確保されることが必要である。
      • また、プラットフォーム事業者における透明性・アカウンタビリティの確保に当たっては、サービス上における、例えば、誹謗中傷の発生件数等の流通実態やその抑制のための対策とその効果に関する総量的な数値等の把握という全体的な傾向に関する観点と、個別具体の誹謗中傷等の違法・有害情報に対する権利回復のための裁判手続への対応や、申請にもかかわらず十分に措置が行われないと考えられるケースや自身の投稿について行き過ぎた措置が行われたと考えられるケースが発生した場合の反論や異議申立ての機会の確保という個別具体の観点の両面から、ユーザ及びユーザ以外の者からの透明性・アカウンタビリティの確保が必要である。
      • こうした、プラットフォーム事業者による投稿の削除やアカウントの停止等の措置に関する透明性・アカウンタビリティを確保することは、当該サービスのユーザ及びユーザ以外の者による客観的な根拠に基づく批評を可能にし、こうした批評がプラットフォームサービスの運営にフィードバックされることを通じて、投稿の削除やアカウントの停止等の措置の運用の改善につながることが期待される。
      • さらに、プラットフォーム事業者による、透明性・アカウンタビリティが確保されることは、より多くのユーザに最新の技術やサービスを柔軟に取り入れたサービス提供を目指すプラットフォーム事業者にとって、サービスの設計や運営上の創意工夫に対するユーザからの信頼性の向上につながるものと考えられ、このことは、プラットフォーム事業者にとっても経済的合理性を有する取組になるだけでなく、ユーザが最新のサービスの利益を享受しながら、リスクを理解した上で、安全・安心にサービスを利用することが可能な環境の確保につながると考えられる。
    • 偽情報への対応に係る透明性・アカウンタビリティの確保について
      • 偽情報は、その外延や個別の情報が偽情報であるか、また、その流通による我が国における影響について、モニタリングからも十分明らかではなく、我が国における実態が未だ明らかではない。そのため、プラットフォーム事業者は、引き続き、実態を把握しその結果を公表することが求められるとともに、プラットフォーム事業者に限らないメディアも含めた産学官民の社会全体で検討する環境が整備されることが必要である。
      • 一方、既にプラットフォーム事業者では、偽情報等の不適切な情報への措置を講じる必要性が認識されており、あらかじめ対応方針や基準となるポリシーを自主的に設定し、投稿の削除やアカウントの停止等の措置を行っている。こうした措置については、措置の対象とされるべき情報に対して措置が確実に行われることが望ましい一方で、行き過ぎた措置や恣意的な運用によってユーザの表現の自由を損なうことがないよう、過不足なく実施される必要がある。そのため、プラットフォーム事業者は、偽情報についても、我が国において生じている自らのサービス上の偽情報の問題について適切に実態把握とリスク評価を行った上で、そのリスクに応じて偽情報への対応を行うとともに、その透明性の確保を進めていくことが求められる。
      • しかしながら、プラットフォーム事業者による我が国における偽情報への対応及び透明性・アカウンタビリティ確保の取組の進捗は限定的であり、偽情報に対して適切なリスク評価や低減措置が行われているか十分に明らかではなかった。
      • 以上を踏まえ、プラットフォーム事業者において、違法・有害情報となり得る偽情報への対応については、本章1の違法・有害情報対策の方針も踏まえて、透明性・アカウンタビリティが確保されることが必要である。
      • 総務省は、違法・有害情報となる偽情報に関するプラットフォーム事業者の取組状況について、前述の違法・有害情報対策に関する記載内容を踏まえて、偽情報への対応に関する透明性・アカウンタビリティの確保に向けて、行動規範の策定及び遵守の求めや法的枠組みの導入等の行政からの一定の関与を具体的に検討することが必要である。
      • なお、行政は、引き続きプラットフォーム事業者等による自主的な削除等の対応を促進することとし、プラットフォーム事業者等に対して削除義務を課すことや、個別のコンテンツを削除しなかったことに対して罰則等を設ける法的規制を導入することは、誹謗中傷の場合と比べても、極めて慎重な検討を要する。
      • また、総務省は、これらの取組に関するモニタリングと検証評価を継続的に行っていくことが必要である。この際、プラットフォーム事業者に対して具体的にどのような対応や情報公開を求めることにより、偽情報への適切な対応が図られているかどうかを評価することが可能かについて、引き続き検討が必要である。
    • その他プラットフォーム事業者に期待されること
      • 上述の検討のほかに、インターネット上の言論空間には、違法情報でも有害情報でもない情報であっても、プラットフォーム事業者によるレコメンデーションによってユーザが無意識のうちにフィルターバブルに閉じ込められることやエコーチェンバー効果が発生することで、攻撃的な傾向への誘導やフェイクニュースの拡散、社会的分断を生じ得るとの指摘がある。
      • これを踏まえ、デジタル・シティズンシップの考え方も参考に、ユーザ自らが望ましいと判断する情報環境を選択するための環境整備、すなわち、個人がテクノロジーを通じて自身が触れる情報の自律的なコントロールを可能にするための環境整備が重要である。大規模なプラットフォームサービスが情報流通について公共的役割を果たしていることからも、ユーザ自身が望ましいと判断する情報環境を選択するための環境整備について、利用者とコミュニケーションを図りながら、一定の役割を果たすことが期待される。
  • 第三次とりまとめ(2024年2月)までの議論
    • 総論
      • Twitterを除く全ての事業者において、我が国における偽情報への対応及び透明性・アカウンタビリティ確保の取組の進捗は、2022年3月28日に実施したプラットフォームサービス第34回におけるヒアリング(以下「前回ヒアリング」という。)と比較して、一部で進展が見られるもののほぼ同等であり、未だ限定的である。特に、Twitterからは、口頭での発表が行われたものの、ヒアリングシート及び説明資料の提出がなく、透明性・アカウンタビリティ確保の取組について後退があった。
    • モニタリング
      • 本研究会では、プラットフォーム事業者による偽情報への対応の実施状況についてモニタリングを行ってきた。プラットフォーム事業者による投稿の削除やアカウントの停止等の措置に関する透明性・アカウンタビリティを確保することは、当該サービスのユーザ及びユーザ以外の者による客観的な根拠に基づく批評を可能にし、こうした批評がプラットフォームサービスの運営にフィードバックされることを通じて、投稿の削除やアカウントの停止等の措置の運用の改善につながることが期待される。したがって、こうしたモニタリングの取組については、継続的に実施していくことが適当である。
      • なお、前述のとおり、2023年のモニタリングにおいて、Twitter(現X)からは、再三の求めにもかかわらずヒアリングシート及び発表資料が提出されなかった。任意とはいえ、資料が提出されなかったことは遺憾である。
    • 今後の更なる検討
      • 本研究会では、派生的論点として、フィルターバブル、エコーチェンバー及び分極化等の現象についても検討した。こうした現象が偽情報の拡散に寄与しているか否かは、計算社会科学等の学術分野における更なる研究が期待されるところであり、本研究会において結論づけることができるものではない。もっとも、第44回会合及び第46回会合において有識者から指摘された点を踏まえると、レコメンデーションに関するアルゴリズムの公開やリテラシー教育等の方法により、利用者が情報に対して選択的接触を行っていることを、当該利用者に対して認知させることが重要である。
      • 加えて、近時は、生成AIやメタバース等の新たな技術・サービスの出現によりデジタル空間が更に拡大・深化している。このような中、インターネット上の偽情報の生成・拡散やプラットフォーム利用者の情報に対する選択的接触の問題は、アテンション・エコノミーを構造的要因とする場合を含め、プラットフォーム事業者だけでなく、生成AI事業者、仮想空間関係事業者、通信・放送事業者、利用者等の多様なステークホルダーが連携・協力して対応すべき、デジタル空間における情報流通の健全性に関わる課題の一つと言える。
      • 総務省は、生成AI等による巧妙な偽情報の生成や拡散に伴う社会的な影響の深刻化を含む、デジタル空間における情報流通を巡る新たな課題と多様化するステークホルダーによる対応等の現状を分析し、デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた今後の対応方針と具体的な方策について検討するため、2023年11月より「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」(座長:宍戸常寿 東京大学大学院法学政治学研究科教授)を開催し、検討を継続している。今後、インターネット上の偽情報の生成・拡散やプラットフォーム利用者の情報に対する選択的接触の問題については、以上述べた観点を踏まえ、当該検討会において議論を深化させていくことが期待される。
      • なお、フィルターバブル、エコーチェンバー及び分極化等の現象を分析する研究を含むデジタル空間における情報流通に関する研究においては、実データの入手が重要であると考えられる。プラットフォー ム事業者においては、APIの開放等により、研究者が情報空間に関する実データを入手しやすい環境を整備することが期待される。
  • 2023年のモニタリング結果概要
    • プラットフォーム事業者の偽情報への対応については、一部で進展が見られるものの、取組状況及び透明性・アカウンタビリティ確保の進展は限定的*。 *Twitterからは、研究会に出席し発表が行われたものの、ヒアリングシート及び説明資料の提出がなく、透明性・アカウンタビリティ確保の取組について後退があった。
    • 多様なステークホルダーによる協力関係の構築、特定のトピックに関する偽情報や誤解を招く情報の流布に関するポリシーの設定、ファクトチェック推進、ICTリテラシー向上に関しては、まだ十分とは言えないものの、我が国においても取組が進められつつある。

総務省 安心・安全なメタバースの実現に関する研究会(第5回)
▼ メタバースの原則(1次案)
  • 前文
    • 民主的価値を踏まえたメタバースの将来像の醸成
      • 将来、メタバース上では国境を越えて様々な仮想空間であるワールドが提供され、メタバースが物理空間と同様に国民の生活空間や社会活動の場として益々発展し、人々のポテンシャルをより一層拡張することが期待される一方、メタバースの設計や運営が過剰に商業主義的な動機で支配され、民主的価値を損なうような仮想空間が出現する可能性、さらには、物理空間と仮想空間がこれまで以上に融合した結果として、メタバース上での出来事や価値観が仮想空間のみならず物理空間にも影響を与え、両空間の民主的価値を損なう可能性も想定される。このような状況を防ぐためにも、以下の(1)~(3)をメタバースにおける民主的価値の主な要素として国際的な共通認識とした上で、メタバースの将来像の醸成を図ることが重要である。
        1. メタバースが自由で開かれた場として提供され、世界で広く享受されること
        2. メタバース上でユーザが主体的に行動できること
        3. メタバース上での活動を通じて物理空間及び仮想空間内における個人の尊厳が尊重されること
    • 原則の位置づけ
      • 上述の民主的価値を実現し、ユーザが安心・安全にメタバースを利用していくためには、仮想空間そのものの提供を担うメタバース関連サービス提供者(プラットフォーマー(※1)及びワールド提供者(※2))の役割が重要である。メタバース関連サービス提供者の取組として、以下の2つを大きな柱として位置づける。
        1. 社会と連携しながら更なるメタバースにおける自主・自律的な発展を目指すための原則
        2. メタバース自体の信頼性向上のために必要な原則
          • ※1 プラットフォームを提供する事業者をプラットフォーマーと呼ぶ。プラットフォームはメタバースを構築したり利用したりするための基盤。メタバースを構築するための機能や素材、法則やルールなどを提供するもの、ユーザの認証・管理やアイテム等の管理、コミュニケーション機能、契約・取引などの基盤的サービスを提供するもの、すぐに利用できるようにメタバースの基本的なサービス自体を運営・提供するものなど、多岐にわたる。
          • ※2 ワールドとは、プラットフォーム上で構築・運用される、メタバースの個々の「世界」。ワールド提供者は、プラットフォーマーと契約(有償・無償を問わず、利用規約への同意等も含まれる)し、プラットフォーム上にワールドを構築して提供する者。なお、これをビジネスとして行う者については「ワールド提供事業者」という。プラットフォーマー自身がワールドを構築して提供する場合もある。
    • メタバースの自主・自律的な発展に関する原則についての考え方
      • メタバースがメタバース関連サービス提供者による多様な仮想空間の提供と共に、ユーザ等によるクリエイティブなコンテンツ(UGCを含む)の創造により、自主的な創意工夫により自律的に社会的・文化的発展を遂げてきた経緯を踏まえ、ワールドのオープン性やイノベーションの促進、世界中の様々な属性のユーザがメタバースを利用する多様性・包摂性、ICTリテラシーの向上やコミュニティ運営の尊重など社会と連携した取組とする。
    • メタバースの信頼性向上に関する原則についての考え方
      • メタバースの自主・自律的な発展を支えるために、透明性・説明性、アカウンタビリティ、プライバシーへの配慮、セキュリティ確保などメタバースへの信頼性を向上させるために必要な取組とする。
  • 原則
    • メタバースの自主・自律的な発展に関する原則
      • オープン性・イノベーション
        • 自由で開かれた場としてのメタバースの尊重
        • 自由な事業展開によるイノベーション促進、多種多様なユースケースの創出
        • アバター、コンテンツ等についての相互運用性の確保
        • 知的財産権の保護(アバターの肖像の適正な保護を含む)
      • 多様性・包摂性
        • 物理空間の制約にとらわれない自己実現・自己表現の場の提供
        • 様々な国・地域、ユーザ属性等による文化的多様性の尊重
        • 多様な発言等の確保(フィルターバブル、エコーチェンバーといった問題が起きにくいメタバース)
        • 障がい者等の社会参画への有効な手段としての活用
        • メタバースへの公平な参加機会の提供
        • 誰もが使えるユーザビリティの確保
      • リテラシー
        • ユーザのメタバースに対する理解度向上の支援
        • ユーザのICTリテラシー向上の支援
      • コミュニティ
        • コミュニティ運営の自主性の尊重
        • コミュニティ発展の支援
    • メタバースの信頼性向上に関する原則
      • 透明性・説明性
        • サービス利用時の保存データ(期間、内容等)及びメタバース関連サービス提供者が利用するデータの明示並びにユーザへの情報提供
        • 提供されているメタバースの特性の説明
        • メタバースの利用に際してユーザへの攻撃的行為や不正行為への対応の説明
      • アカウンタビリティ
        • 事前のユーザ間トラブル防止の仕組みづくりや事後の不利益を被ったユーザの救済のための取組
        • 他のユーザやアバターに対する誹謗中傷及び名誉毀損の抑制
        • ユーザ等との対話を通じたフィードバックを踏まえた改善
        • 子ども・未成年ユーザへの対応
      • プライバシー
        • ユーザの行動履歴の適正な取り扱い
        • ユーザとアバターとの紐付けにおけるプライバシーの尊重
        • メタバースの利用に際してのデータ取得、メタバースの構築に際しての映り込み等への法令遵守等による対処
        • アバター(実在の人物を模したリアルアバターを含む)の取扱いへの配慮(知的財産権、名誉毀損及びパブリシティの観点を含む)
      • セキュリティ
        • メタバースのシステムのセキュリティ確保(外部からの不正アクセスへの対処等)
        • メタバース利用時のなりすまし等の防止

総務省 医療的ケア児とその家族に対する支援に関する調査ー小学校における医療的ケアの実施体制の構築を中心としてー<結果に基づく通知>
▼ 概要
  • 調査の背景
    • 近年、医療技術の進歩を背景に、たんの吸引や経管栄養等の医療的ケアが日常的に必要な「医療的ケア児」が増加
    • 令和3年9月に医療的ケア児支援法が施行され、学校において保護者の付添いがなくても適切な医療的ケア等の支援を受けられるよう、看護師等の配置の措置等について規定。施行後3年(令和6年9月)の見直し規定あり
    • しかしながら、保護者が付添いを求められたため、離職・休職をせざるを得なくなったといった事例が発生
  • 調査結果
    • 小学校就学時における医療的ケア実施体制の確保について、
      • 就学予定の医療的ケア児の把握が遅れた事例や看護師等確保に向けた動き出しの遅れ等により医療的ケア実施者を確保できていない事例(一方で、医療的ケア児の情報を確実に把握し、就学に係る保護者の意向を早期に確認できるよう工夫を行っている教育委員会あり)
      • 給与水準の低さ、勤務環境に対する不安、小学校勤務という働き方の認知度不足等により看護師の確保が困難との教育委員会の意見
    • 小学校における医療的ケアの実施について、看護師の休暇時や校外学習時等、様々な場面で保護者の付添いが発生している事例(一方で、付添いが生じないよう採用や配置の工夫を行っている教育委員会あり)
    • 在校時の災害発生への備えについて、
      • 医療的ケアに必要な物品等の備蓄や人工呼吸器用の非常用電源の確保が行われていない状況
      • 学校での待機長期化時の対応の取決めが行われていない状況
  • 当省の意見
    • 関係部署等と連携した医療的ケア児の早期把握、保護者等への早期のアプローチの促進
    • 看護師の確保が困難である要因を踏まえた支援方策の検討
    • 医療的ケア実施者の配置・採用形態の工夫等による付添いの解消の取組の促進
    • 必要な物品の備蓄・準備方法をあらかじめ取り決めておくなど、災害発生時にも医療的ケアが実施できる環境の整備
  • 期待される効果
    • 保護者の付添いの解消
    • 災害発生時における的確な医療的ケアの実施
    • 個々の児童の心身の状況等に応じた教育機会の確保
    • 家族の離職・休職防止

総務省 宇宙通信アドバイザリーボード(第1回)
▼ 資料AB1-2 内閣府説明資料
  • 『宇宙基本計画』(令和5年6月13日 閣議決定)
    • (5)宇宙開発の中核機関たるJAXAの役割・機能の強化
      • 宇宙技術戦略に従って、世界に遅滞することなく開発を着実に実施していくため、我が国の中核宇宙開発機関であるJAXAの先端・基盤技術開発能力を拡充・強化するとともに、プロジェクトリスク軽減のため、プロジェクトに着手する前に技術成熟度を引き上げる技術開発(フロントローディング)も強化する。
      • (中略)さらに、欧米の宇宙開発機関が、シーズ研究を担う大学や民間事業者、また、商業化を図る民間事業者の技術開発に向けて、資金供給機能を有していることを踏まえ、JAXAの戦略的かつ弾力的な資金供給機能を強化する。これにより、JAXAを、産学官・国内外における技術開発・実証、人材、技術情報等における結節点として活用し、産学官の日本の総力を結集することで、宇宙技術戦略に従って、商業化支援、フロンティア開拓、先端・基盤技術開発などの強化に取り組む。
  • 『デフレ完全脱却のための総合経済対策』(令和5年11月2日 閣議決定)
    • 宇宙や海洋は、フロンティアとして市場の拡大が期待されるとともに、安全保障上も重要な領域である。「宇宙基本計画」に基づき新たに宇宙技術戦略を策定するなど、宇宙政策を戦略的に強化するとともに、「海洋基本計画」に基づき新たに海洋開発重点戦略を策定し、取組を進める。
    • 宇宙については、民間企業・大学等による複数年度にわたる宇宙分野の先端技術開発や技術実証、商業化を支援するため、宇宙航空研究開発機構(JAXA)に10年間の「宇宙戦略基金」を設置し、そのために必要な関連法案を早期に国会に提出する。本基金について、まずは当面の事業開始に必要な経費を措置しつつ、速やかに、総額1兆円規模の支援を行うことを目指す。その際、防衛省等の宇宙分野における取組と連携し、政府全体として適切な支援とする
  • 背景
    • 人類の活動領域の拡大や宇宙空間からの地球の諸課題の解決が本格的に進展し、経済・社会の変革(スペース・トランスフォーメーション)がもたらされつつある。
    • 多くの国が宇宙開発を強力に推進するなど、国際的な宇宙開発競争が激化する中、革新的な変化をもたらす技術進歩が急速に進展しており、我が国の技術力の革新と底上げが急務となっている。
  • 目的・概要
    • 我が国の中核的宇宙開発機関であるJAXAの役割・機能を強化し、スペース・トランスフォーメーションの加速を実現する。
    • このため、民間企業・大学等が複数年度にわたる予見可能性を持って研究開発に取り組めるよう、新たな基金を創設し、産学官の結節点としてのJAXAの戦略的かつ弾力的な資金供給機能を強化する。
  • 今後の検討の方向性①
    • 既存の取組に加えて、我が国として民間企業・大学等が複数年度にわたって大胆に研究開発に取り組めるよう、新たな基金を創設し、民間企業・大学等による先端技術開発、技術実証、商業化を強力に支援。
    • 事業全体の目標達成に向け、各分野において宇宙関連の他の施策との相乗効果を図りつつ、以下の方向性に沿った技術開発を推進する。
      • 輸送
        • 国内で開発された衛星や海外衛星、多様な打上げ需要に対応できる状況(例えば、2030年代前半までに基幹ロケット及び民間ロケットの国内打上げ能力を年間30件程度確保)を見据え、低コスト構造の宇宙輸送システムを実現する。
        • そのための産業基盤を国内に構築し自立性及び自律性を確保するとともに、新たな宇宙輸送システムの実現に必要な技術を獲得し我が国の国際競争力を底上げする。
      • 衛星等
        • 国内の民間事業者(スタートアップ含む)による小型~大型の衛星事業(通信、観測等)や軌道上サービス等による国際競争力にもつながる自律的な衛星のシステムを実現する(例えば、2030年代早期までに国内の民間企業等によるシステムを5件以上構築)。
        • そのための産業基盤を国内に構築し自立性及び自律性を確保するともに、革新的な衛星基盤技術の獲得により我が国の国際競争力を底上げする。
        • また、上記衛星を含む衛星システムの利用による市場を拡大する。
      • 探査等
        • 月や火星圏以遠への探査や人類の活動範囲の拡大に向けた我が国の国際プレゼンスを確保する(例えば、2030年代早期までに、我が国の民間企業等が月や火星圏以遠のミッション・プロジェクトに新たに10件以上参画)。
        • 2030年以降のポストISSにおける我が国の民間事業者の事業を創出・拡大する(例えば、2030年代早期までに地球低軌道を活用したビジネスを10件以上創出)。
        • また、これらの活動機会を活用し、太陽系科学・宇宙物理等の分野における優れた科学的成果の創出や、国際的な大型計画への貢献にもつなげる。
  • 今後の検討の方向性②
    • 事業全体の制度設計については「基本方針」、各技術開発テーマの目標、内容について「実施方針」においてその具体的事項を記載する(以下に、項目案を記載)。
    • 本事業の技術開発テーマの設定にあたっては宇宙技術戦略(「宇宙輸送」「衛星」「宇宙科学・探査」)で抽出された技術項目を参照する。
    • その上で、JAXA主体の研究開発ではなく、民間企業・大学等が主体となって技術開発を推進することにより、事業全体の目標や各分野の方向性に貢献することが期待できるか、その道筋が示されているかという観点から資源配分を精査し、技術開発テーマを設定する。
      • 基本方針
        • 事業の目的・概要
        • 事業全体の目標、3分野の方向性
        • 技術開発テーマ設定の考え方
        • 支援の基本的な考え方(タイプ別の委託・補助の別 等)
        • 対象事業者の考え方(利益相反 等)
        • JAXAにおける審査・支援体制
        • JAXAにおける研究開発マネジメント(ステージゲート評価の設定等)
        • 政府におけるフォローアップ
        • 各種根幹規定(執行関係、ロケット利用等)
      • 実施方針
        • 技術開発テーマ名
        • 背景・目的(事業目標や3分野の方向性との関係含め)
        • 当該テーマの成果目標、出口目標(可能な限り定量的に)
        • 技術開発実施内容
        • 支援期間、支援規模
        • 主な対象事業者の設定、評価の観点
        • 委託・補助の別及び補助率等の設定
        • 進捗管理・フォローアップの方向性(ステージゲート評価のタイミング等) 等

総務省 不適正利用対策に関するワーキンググループ(第1回)
▼ 資料1-2 ICTサービスの不適正利用対策を巡る諸課題について(事務局資料)
  • ICTサービスの不適正利用に係る背景
    • 特殊詐欺とは、被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、現金等をだまし取る犯罪をいい、手口が多様に存在。令和5年の被害総額※は441.2億円(前年比19%増)。※警察庁調べ
    • フィッシング詐欺とは、実在する企業・金融機関などを装って、電子メールやSMSを送信するなどしてリンクから偽サイトに誘導し、ID・パスワード等を入力させ、個人情報を詐取する犯罪をいう。令和4年のクレジットカード番号盗用被害額※は411.7億円(前年比32.1%増)。※日本クレジット協会調べ
    • いずれも深刻な状況であり、国内外の特殊詐欺等の犯罪の状況を踏まえ、ICTサービスの不適正利用への対処のため、議論を行う必要がある。
  • 電話悪用の手口について
    • 電話悪用と対策はいたちごっこ。犯罪者は、一つの手口をふさぐと次の手口に移っていく。
    • 【携帯電話】手軽に利用できる携帯電話を悪用した手口がまず発達
    • 【電話転送】電話転送サービスを悪用し、03番号等を表示させて信用させる手口が発達
    • 【050IP電話】本人確認義務のない050IP電話を悪用する手口。
      • 最近では、海外経由の通信サービスなど、着信時に電話番号が表示されないものを悪用した犯行も確認されている。
  • 総務省におけるこれまでの特殊詐欺対策について
    • 特殊詐欺対策について、総務省は電話を所管する立場から、以下の3本柱で、電話の悪用対策を実施
    • 対策の柱(1)携帯電話不正利用防止法(携帯電話利用者の本人確認)の執行
    • 対策の柱(2)犯罪収益移転防止法(電話転送サービス利用者の本人確認)の執行
    • 対策の柱(3)電話番号の利用停止措置の運用
      • (1)携帯電話不正利用防止法の執行(2006.4施行(レンタルは2008.12より対象))
        • 携帯電話の契約時の本人確認を義務付け
        • 総務大臣は、本人確認義務を履行していないキャリアショップ等に対して是正命令を発出
      • (2)犯罪収益移転防止法の執行
        • 電話転送サービス事業者等に対して、顧客等の本人確認を義務付け
        • 国家公安委員会からの意見陳述も踏まえ、総務大臣は、義務違反の事業者に対して是正命令を発出
      • (3)電話番号の利用停止措置の運用
        • 総務省から事業者団体(TCA・JUSA)への通知に基づき、県警等からの要請に応じて、特殊詐欺に利用された固定電話番号等の利用停止、悪質な利用者への新たな固定電話番号の提供拒否を実施。(2008.3施行(電話転送は2013.4より対象))
  • 「携帯電話不正利用防止法」の概要
    • これまでの経緯
      • 平成17年4月、議員立法により「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」が成立。(平成17年法律第31号)
      • 「レンタル携帯電話事業者による本人確認の厳格化等」を内容とする改正法が平成20年6月成立。同年12月から施行。
    • 携帯電話不正利用防止法の概要
      • 契約者の管理体制の整備の促進 及び 携帯音声通信サービスの不正利用の防止のため、以下を措置
        • 契約締結時・譲渡時の本人確認義務等
          • 携帯電話事業者及び代理店に対し、(1)運転免許証等の公的証明書等による契約者の本人確認とともに、(2)本人確認記録の作成・保存(契約中及び契約終了後3年間)を義務付け。
        • 警察署長からの契約者確認の求め
          • 警察署長は、犯罪利用の疑いがあると認めたときは、携帯電話事業者に対し契約者確認を求めることが可能。また、本人確認に応じない場合には、携帯電話事業者は役務提供の拒否が可能。
        • 貸与業者の貸与時の本人確認義務等
          • 相手方の氏名等を確認せずにレンタル営業を行うことを禁止。(1)運転免許証等の公的証明書等による契約者の本人確認とともに、(2)本人確認記録の作成・保存(契約中及び契約終了後3年間)を義務付け。
        • 携帯電話の無断譲渡・譲受けの禁止
          • 携帯電話事業者の承諾を得ずに譲渡することを禁止。
        • 他人名義の携帯電話の譲渡・譲受けの禁止
  • 「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の概要
    • 犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)は、犯罪による収益の移転の防止を図り、国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的として制定(平成20年3月1日施行)。
    • 特定事業者(※)に対して、顧客等の取引時確認、疑わしい取引の届出等を義務付け。
      • ※金融機関、ファイナンスリース業者、クレジットカード業者、弁護士、司法書士、公認会計士等(特定事業者により義務等は若干異なる)。総務省関係では、電話受付代行業者、電話転送サービス事業者、行政書士、独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構が該当。
    • 特定事業者に対して、以下の事項について義務づけ。
      • 取引時確認義務
        • 運転免許証等の公的証明書等による顧客等の(1)氏名・名称、(2)住居・本店又は主たる事務所の所在地、(3)生年月日、(4)取引を行う目的、(5)職業・事業内容、(6)実質的支配者の確認を義務づけ。
        • マネー・ローンダリングに利用されるおそれが特に高い取引(ハイリスク取引)については、上記確認事項に加え、その取引が200万円を超える財産の移転を伴うものである場合には「資産及び収入の状況」の確認も義務づけられている。
      • 確認記録の作成・保存義務
        • 取引時確認を行った場合には直ちに確認記録を作成し、当該契約が終了した日から7年間保存することを義務づけ。
      • 取引記録の作成・保存義務
        • 特定業務に係る取引を行った場合若しくは特定受任行為の代理等を行った場合には、直ちにその取引等に関する記録を作成し、当該取引又は特定受任行為の代理等が行われた日から7年間保存することを義務づけ。
      • 疑わしい取引の届出
        • 特定業務に係る取引について、(1)当該取引において収受した財産が犯罪による収益である疑いがあるかどうか、(2)顧客等が当該取引に関し組織的犯罪処罰法第10条の罪若しくは麻薬特例法第6条の罪に当たる行為を行っている疑いがあるかどうかを判断し、これらの疑いがあると認められる場合に、行政庁に対して疑わしい取引の届出を行うことを義務づけ。
      • 取引時確認等を的確に行うための措置
        • (1)取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保つための措置を講ずるとともに、(2)使用人に対する教育訓練の実施、顧客管理措置の実施に関する内部規程の策定、顧客管理措置の責任者の選定等の措置を講ずるよう努めなければならない(努力義務)。
  • 特殊詐欺に利用された固定電話番号等の利用停止等スキーム
    • 警察からの要請に応じ、電気通信事業者が以下の措置を実施
      • 特殊詐欺に利用された固定電話番号等の利用停止措置
      • 新たな固定電話番号等の提供拒否
      • 悪質な電話転送サービス事業者の保有する固定電話番号等(在庫番号)の利用停止
  • SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン
    • 現状
      • 「闇バイト強盗」と称されるSNS上で実行犯を募集する手口等を特徴とする一連の強盗等事件が広域で発生。
      • 被害者の大部分が高齢者である特殊詐欺の認知件数は、令和3年以降、増加しており、また、その被害額は、令和4年、8年ぶりに増加。
      • こうした情勢を受け、国民の間に不安感が拡大する中、この種の犯罪から国民を守るため、一層踏み込んだ対策として「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」を策定
    • プランの概要
      • 「実行犯を生まない」ための対策
        • 「闇バイト」等情報に関する情報収集、削除、取締り等の推進
        • サイバー空間からの違法・有害な労働募集の排除
        • 青少年をアルバイト感覚で犯罪に加担させない教育・啓発
        • 強盗や特殊詐欺の実行犯に対する適正な科刑の実現に向けた取組の推進
      • 「実行を容易にするツールを根絶する」ための対策
        • 個人情報保護法の的確な運用等による名簿流出の防止等の「闇名簿」対策の強化
        • 携帯電話等の本人確認や悪質な電話転送サービス事業者対策の推進
        • 悪用されるSMS機能付きデータ通信契約での本人確認の推進
        • 預貯金口座の不正利用防止対策の強化
        • 証拠品として押収されたスマートフォン端末等の解析の円滑化
        • 秘匿性の高いアプリケーションの悪用防止
        • 帰国する在留外国人による携帯電話・預貯金口座の不正譲渡防止
      • 「被害に遭わない環境を構築する」ための対策
        • 宅配事業者を装った強盗を防ぐための宅配事業者との連携
        • 防犯性能の高い建物部品、防犯カメラ、宅配ボックス等の設置に係る支援
        • 高齢者の自宅電話番号の変更等支援
        • 高齢者の自宅電話に犯罪者グループ等から電話が架かることを阻止するための方策
        • 現金を自宅に保管させないようにするための対策
        • パトロール等による警戒
      • 「首謀者を含む被疑者を早期に検挙する」ための対策
        • 犯罪者グループ等の実態解明に向けた捜査を含む効果的な取締りの推進
        • 国際捜査の徹底・外国当局等との更なる連携
        • 現金等の国外持出し等に係る水際対策の強化
  • 「SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン」に基づく総務省の施策の進捗状況
    • 既に実行に移した施策
      • 青少年をアルバイト感覚で犯罪に加担させない教育・啓発
        • 『インターネットトラブル事例集2023年版』に「闇バイト」等に関する注意喚起を掲載。教育委員会、PTA等の関係機関に周知して教育・啓発。(3月)
      • ナンバーディスプレイ等の普及拡大
        • 高齢者が悪質電話に出ないようにする観点から、総務省からNTT東西に対し、ナンバーディスプレイ等の普及拡大について要請。これを踏まえ、NTT東西において、ナンバーディスプレイ等の無償化を実施。(5月)
    • 準備・検討を進めている施策
      • 050アプリ電話の契約時の本人確認の義務 現時点で実施済
        • 特殊詐欺への悪用が特に多く確認されている「050アプリ電話」について、契約時の本人確認を義務化する制度改正を準備。【総務省令の改正】
      • 悪質な電話転送事業者の在庫電話番号の一括利用制限 現時点で実施済
        • 悪質な電話転送事業者が保有する固定電話番号等(在庫電話番号)の利用を一括して制限するスキームの改正を準備。【業界団体への要請文書の改正】
      • 携帯電話の契約時の本人確認におけるマイナンバーカードの活用 更なる対応が必要
        • 本人確認書類の券面の偽変造による不正契約を防ぐ観点から、携帯電話の契約時の本人確認におけるマイナンバーカードの公的個人認証の活用に向け、業界団体との協議を実施。
      • SMS機能付きデータ通信専用SIMカードの悪用対策 更なる対応が必要
        • SMS機能付きデータSIMの悪用の実態について、携帯電話キャリアやSMS配信事業者に対して調査を実施。悪用の実態の分析結果を踏まえて対策を検討。
  • SMSを利用するフィッシング詐欺(スミッシング)の状況
    • SMSは、電話番号だけで送信が可能であり、開封率が高いため、数多くの事業者において、SMS認証や簡易な連絡手段として活用されているが、その特徴を悪用し、フィッシング詐欺メッセージの送信にも多く利用されている。
    • 一部キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)において、デフォルトオンのSMSフィルタリングが導入(令和4年)されており、文面等を分析したうえで、危険だと判断されるものはブロックされているが、それをかいくぐって届いてしまうものも少なくない。
    • 事業者ヒアリングの結果、スミッシングのメッセージについては、そのほとんどがマルウェアに感染したスマートフォンから発信されているのではないかと指摘されている。
  • ICTサービスの不適正利用への対処
    • 特殊詐欺やフィッシング詐欺等のICTサービスの不適正利用への対処に関し、最近の動向等を踏まえ、専門的な観点から集中的に検討する
      • 特殊詐欺対策
        • 特殊詐欺被害が引き続き深刻な状況。「足のつかない電話」の発生抑止のため、本人確認書類の偽変造への対応など、本人確認の実効性の向上※に関して取り組むべき事項はあるか。※非対面契約でのマイナンバーカードの公的個人認証の活用等
        • 特殊詐欺に悪用された電話番号の利用停止スキームが効果をあげていることから、本スキームの適用事業者の拡大※に向けて取り組むべき事項はあるか。※業界団体に加盟していない事業者等
      • SMSによるフィッシング詐欺(スミッシング)対策
        • SMSを利用したフィッシング詐欺(スミッシング)の被害が拡大する中、スミッシングメッセージの発信元※への警告など、実効性ある対応策はあるか。※マルウェアに感染したスマートフォンの利用者など

総務省 利用者情報に関するワーキンググループ(第1回)
▼ 資料1-2利用者情報の適切な取扱いの確保に関する背景及び現状について(事務局)
  • 「プラットフォームサービスに関する研究会」は、今年度のモニタリングの実施及び結果を踏まえて、総務省による今後の利用者情報の取扱いに関するモニタリングについて、以下のとおり提言する。
    • 「電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン」第52条第2項等に基づき、デジタル広告分野に限らず利用者情報の取扱いについて、継続的にモニタリングを行うべきである。
    • 上記のモニタリングを行うにあたり、総務省において安定的な枠組みを作ることが必要である。
    • 上記のモニタリングを行うにあたり、事業者からの情報提供が十分に得られるように、総務省においては、ヒアリング項目や方法の工夫を行うとともに、必要に応じ制度的な対応も検討すべきである。
    • 上記のモニタリングを行うにあたっては、特に利用者保護の観点に立ち、新たなターゲティング手法の登場等の業界の動向を踏まえながら、プラットフォーム事業者における情報取得の方法等、利用者情報の取扱いについて確認していく必要がある。
    • 上記のモニタリングを行うにあたっては、特に、今般のモニタリング結果において要検討事項と指摘された事項について検討を深めることが必要である。その上で、プラットフォーム事業者が、アカウントを取得していない利用者やログインしていない利用者からも情報を取得していること、第三者や、第三者のウェブサイトを通じて情報を取得していることに関し、利用者保護の観点から、対応を行うべき点がないかについて検討を行うことが必要である。
  • 親会(第一回)での主なご意見(利用者情報に係るご意見のみ抜粋)
    • スマートフォン上のプライバシー対策
      • スマートフォン利用者情報取扱指針は、見直しをしたほうがよい。スマートフォンプライバシーイニシアティブ(SPI)は基本的には、外部送信規律と守備範囲としては同じであるとともに、法的拘束力のないベストプラクティスなので、法制化から、一歩進んだレベルを目指すべき。【森構成員】
      • プラットフォーム研究会の議論が外部送信規律の法制化に反映されているかというと、それは必ずしもそういうわけではない。例えば、外部送信技術の規制の対象者をどうするのか、外部送信技術の中身としてどのような情報を送信するのか、送信先はどこか、通知・公表でいいのか、それともオプトアウトさせなければいけないのか、改めて見直していかなければいけない。【森構成員】
    • 利用者情報に係るモニタリング等
      • モニタリングについては、PDCA、計画に基づくモニタリングがうまく機能できているかということも含めて、定期的に振り返るような場をつくるなどの仕組みが求められているのではないか。【大谷座長代理】
      • 利用者保護の観点に立ってモニタリングを進めるべきであるということが重要なポイント。【森構成員】
      • サービスに係るアカウントを持っていない、ログインしていない場合に、情報を取得することを知る機会がない、あるいは、それに対して同意をする機会がないため、そのような場合にはプライバシーポリシーの工夫や、ユーザに対する情報提供が効果を発揮していない。もし、それらの方々からも情報を取得している場合、プライバシーポリシー等によらない保護の方法、本人関与の方法というものを法制度的に考えていかなければいけない。【森構成員】
      • EUにおいて、Metaの情報収集について、競争法の文脈で、裁判所による一定の判断があった。その中で、果たして同意が機能しているのかということも議論されたようなので、いずれ御紹介いただきたい。【森構成員】
  • デジタルサービス法(DSA)の概要
    • 2022年11月、EUのデジタルサービス法の一部が施行。本規則の目的は、安全で予測可能かつ信頼できるオンライン環境のための調和された規則を定めることにより、仲介サービスのための域内市場の適切な機能に貢献することであり、その中でイノベーションを促進し、消費者保護の原則を含む憲章に謳われた基本権が効果的に保護されること(第1条)、とされている。
    • 本法においては、コンテンツモデレーション等に関し様々な義務が規律されているが、その他、ダークパターンの禁止(第25条)、プロファイリングに基づく広告の表示や推奨システムのパラメータに係る透明性確保(第26条及び第27条、第38条及び第39条)、未成年者のオンライン保護(第28条)等の義務が課せられている。
    • 対象事業者・対象サービス
      • 2023年4月、17のサービスがVLOP、2のサービスがVLOSEに指定された。また、2023年12月、3のサービスがVLOPに追加指定された。
      • サービスの一覧については、次ページのとおり。2024年2月から、EU内のすべてのプラットフォーム事業者に法順守義務の発生。
      • VLOP及びVLOSE【第33条】:EU域内の月間平均実質利用者数が4,500万人以上の、超大規模オンラインプラットフォーム(VLOP)または超大規模オンライン検索エンジン(VLOSE)と指定されたオンラインプラットフォーム
    • 利用者情報に係る規律の概要
      • ダークパターンと呼ばれる、サービス利用者を欺いたり操作したりするような方法や、サービス利用者が自由に意思決定を行う能力を著しく歪めたり損なうような方法で、オンラインインターフェイスを設計、編成、運用してはならない。(第25条)
      • 推奨システムで使用される主なパラメータ、およびサービス利用者がこれらのパラメータを変更するあるいはパラメータに影響を与えるための選択肢を、平易でわかりやすい言葉で、利用規約に含めなければならない。推奨システムに選択肢がある場合、サービス利用者が、選択肢をいつでも選択、変更できる機能を提供しなければならない(第27条)。超大規模事業者は、GDPR第4条4項で定めるプロファイリングに基づかない、推奨システムのオプションを少なくとも1つ提供しなければならない。(第38条)
      • 未成年者がアクセスできるオンラインプラットフォームの提供者は、そのサービスにおいて、未成年者のプライバシー、安全、およびセキュリティを高い水準で確保するための適切かつ相応の措置を講じるものとする。(第28条)
    • 執行
      • 義務違反の場合、第52条第3項に基づき、当該サービス提供者の前会計年度の全世界年間売上高の6%の罰金や日次平均売上高または収入の5%の賦課が課される可能性がある。
  • デジタル市場法(DMA)の概要
    • 2022年11月、EUのデジタル市場法の一部が施行。本規則の目的は、ビジネスユーザー及びエンドユーザーの利益のために、ゲートキーパーが存在するEU全域のデジタルセクターにおいて、すべての事業者が競争可能で公正な市場を確保するための調和された規則を定め、域内市場の適切な機能に貢献すること(第1条)、とされている。
    • 本法においては、公正な競争環境の整備の観点から様々な義務が規律されているが、第15条において、消費者のプロファイリングのための技術について、独立監査済みの説明を欧州委員会に提出しなければならないとする義務がゲートキーパには課せられている。
    • 対象事業者・対象サービス
      • 2023年9月、アルファベット、アマゾン、アップル、バイトダンス、メタ、マイクロソフトがゲートキーパーに指定された。指定されたサービスについては、次ページのとおり。2024年3月から、ゲートキーパーに対し法順守義務の発生。
      • ゲートキーパー【第2条(1)】:コアプラットフォームサービス【第2条(2)】(※)を提供する事業者で、以下を満たす事業者を指定【第3条】
        1. EU域内における過去3年間の年間売上高が75億ユーロ以上、もしくは直近年度の平均時価総額が750億ユーロ以上であり、かつ3つ以上の加盟国において同じコアプラットフォームサービスを提供
        2. 直近の年度において、EU域内の月間エンドユーザー数が4,500万人以上かつ年間ビジネスユーザー数が1万者以上のコアプラットフォームサービスを提供
        3. 2.の基準を過去3年度において満たす
          • ※コアプラットフォームサービス【第2条(2)】:オンライン仲介サービス、オンライン検索エンジン、SNS、オンライン広告サービス 等
    • 第15条に基づく報告
      • 第15条に基づく消費者のプロファイリングのための技術の説明については、2023年12月に欧州委員会が報告様式を公表しており、以下のセクション1~7のとおり構成されている。
        1. ゲートキーパーに係る一般情報
        2. 消費者のプロファイリング技術に係る情報
        3. 監査人に係る一般情報
        4. 監査手続きに係る情報
        5. 監査の結論
        6. 機密情報を含まない要約
        7. 宣言
    • 執行
      • 義務違反の場合、当該ゲートキーパーの前会計年度の全世界年間売上高の10%の罰金【第30条第1項】や日次平均売上高の5%の1日ごとの賦課【第31条第1項】が課される可能性がある。

総務省 労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)1月分結果
▼ 労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)1月分結果の概要
  • 就業者の動向
    • 男女別就業者数
      • 就業者数は6714万人。前年同月に比べ25万人(0.4%)の増加。18か月連続の増加。男性は3682万人。4万人の減少。女性は3032万人。29万人の増加
    • 従業上の地位別就業者数
      • 自営業主・家族従業者数は602万人。前年同月に比べ17万人(2.7%)の減少
      • 雇用者数は6076万人。前年同月に比べ42万人(0.7%)の増加。23か月連続の増加。男性は3286万人。8万人の増加。女性は2790万人。35万人の増加
    • 雇用形態別雇用者数
      • 正規の職員・従業員数は3603万人。前年同月に比べ31万人(0.9%)の増加。3か月連続の増加
      • 非正規の職員・従業員数は2146万人。前年同月に比べ13万人(0.6%)の増加。5か月連続の増加
      • 役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は37.3%。前年同月に比べ0.1ポイントの低下
    • 就業率
      • 就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合)は61.1%。前年同月に比べ0.4ポイントの上昇
      • 15~64歳の就業率は78.7%。前年同月に比べ0.5ポイントの上昇。男性は84.3%。0.3ポイントの上昇。女性は73.0%。0.7ポイントの上昇
      • 20~69歳の就業率は80.6%。前年同月に比べ0.6ポイントの上昇
  • 完全失業者の動向
    • 男女別完全失業者数
      • 完全失業者数は163万人。前年同月に比べ1万人(0.6%)の減少。2か月連続の減少
      • 男性は92万人。前年同月に比べ5万人の減少。女性は70万人。前年同月に比べ3万人の増加
    • 求職理由別完全失業者数
      • 完全失業者のうち、「勤め先や事業の都合による離職」は19万人と、前年同月に比べ8万人の減少、「自発的な離職(自己都合)」は71万人と、前年同月に比べ5万人の増加、「新たに求職」は44万人と、前年同月と同数
    • 年齢階級別完全失業者数
      • 男性の完全失業者数は、「25~34歳」、「35~44歳」及び「45~54歳」の年齢階級で、前年同月に比べ減少
      • 女性の完全失業者数は、「25~34歳」、「45~54歳」及び「55~64歳」の年齢階級で、前年同月に比べ増加

【2024年2月】

総務省 日EU・ICT政策対話(第29回)の結果
  • 総務省は、欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局とともに、2月20日(火)に、日EU・ICT政策対話(第29回)をweb会議にて開催しました。本政策対話は、ICT分野における政策について日EUの政府間で相互理解を深め、連携・協力を推進することを目的としています。今回の会合では、日EU間におけるICT分野の重要テーマに関し、双方の最新の取組について活発な議論が行われました。今回の会合の結果を受けて、協力の一層の深化、具体化に向けて引き続き議論してまいります。
  • 日EU・ICT政策対話(第29回)の主な成果
    • 今回(第29回)の政策対話では、日EU双方におけるICT分野における政策動向や課題等を踏まえ、主として以下の事項について対話を行った。
      1. AI
        • 日本側から、広島AIプロセスへの賛同国増加に向けたアウトリーチや企業等による国際行動規範への支持拡大に向けた今後の取組を説明し、特に本年5月のOECD閣僚理事会での議論に向け協力していくことが日EU双方で確認された。また、AI事業者ガイドラインの検討状況について説明した。EU側からはAI規則制定に向けた今後の流れについて説明があった。
      2. 海底ケーブル
        • 日本側から、経済安全保障推進法の基幹インフラ制度に基づく取組及びデータセンターや海底ケーブル等の分散立地によるデジタルインフラの強靱化に向けた取組について、EU側からは、海底ケーブルに対して実施している支援内容について説明があり、今後の協力について議論した。
      3. 5G・Beyond 5G/6G等
        • Beyond5G/6Gの標準化を見据えた共同研究実施に向けたそれぞれの取組の進捗について日EU双方から説明を行い、意見交換を行った。また、Open RANを含む通信インフラのレジリエンス確保等について、オープンなネットワークの重要性を双方で確認した。
      4. オンラインプラットフォーム
        • 日本側から、インターネット上の誹謗中傷等の違法・有害情報及び偽・誤情報について、総務省のこれまでの取組や今後の方向性を説明した。EU側からは、デジタルサービス法(DSA)及び偽情報に関する行動規範について説明があり、特に、偽・誤情報対策に関する協力を深めていくことを確認した。
      5. サイバーセキュリティ
        • 日本側から、NOTICEプロジェクトにおける新たな取組の紹介、日ASEANサイバーセキュリティ能力構築センター(AJCCBC)で行われているサイバーセキュリティ人材育成の取組状況、日米EUのISAC国際連携に向けた取組について説明した。EU側からは、サイバーレジリエンス法に係る施行準備状況、サイバー連帯法に基づくサイバー脅威に対する取組について説明があった。特に、IoTのセキュリティや途上国に対するサイバーセキュリティ能力構築支援について継続的に議論していくこととなった。

総務省 デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会(第9回)配付資料 ※ワーキンググループ(第3回)合同開催
▼資料9-3-4 LINEヤフー株式会社 ご発表資料
  • 「偽・誤情報」の範囲(利用規約)
    • 政府機関・ファクトチェック機関など信頼できる機関によるファクトチェック結果に基づき明らかな偽・誤情報と判断されるものについて対応
    • 具体的な禁止行為はサービスの性質に応じ設定。違反に対しては投稿削除・アカウント停止等
      • ニュースコメント
        • 【明らかな偽情報】健康被害等をもたらす可能性のある偽情報であって、ファクトチェックにより反真実であることが明らかになっているもの
        • 「新型コロナウイルスのワクチンを接種すると、流産する。不妊になる。」
      • 知恵袋
        • 【明らかな偽情報に関する投稿】明らかに事実と異なり、社会的に混乱を招く恐れのある投稿につきましては削除の対象となることがあります。
        • 「(そのような事実がないにもかかわらず)昨日、○○(地名)で大地震があったけど、、、」
      • ファイナンス
        • 【明らかな偽情報】架空の出来事のでっちあげや虚偽の内容の投稿をすること ※ 金商法上の風説の流布に当たる行為についても禁止
        • 「〇〇会社が製造したワクチンを接種された実験用の動物が全て死亡した」
      • オープンチャット
        • 真偽不明の情報の拡散
        • 「コロナワクチンによって不妊になる」「能登半島地震は人工地震である」
      • VOOM
        • 誤情報の拡散 フェイクニュースなど虚偽の情報、身体に影響を及ぼす食品、医療、医療薬などの虚偽の情報を意図的に発信・拡散・流布させる行為を許可しません。
        • 人工地震についての言及
  • 投稿削除の状況(~23年12月)
    • 「偽・誤情報」を理由とする投稿削除は基本的に少数(参考:ニュースコメント欄では全投稿削除件数のうち偽・誤情報を理由とするものは0.06%(22年度))
    • 削除対象となった投稿の大半はコロナワクチン関係のデマ情報
      • Yahoo!ニュースコメント欄 848件(23年4~12月)※1,761件(22年度)
      • Yahoo!知恵袋 451件(23年7~12月)
      • Yahoo!ファイナンス掲示板 0件(22年度)※23年11月に具体例追記等のアップデートを実施
      • LINEオープンチャット 21件(23年1~12月)
      • LINE VOOM 5件程度(23年1~12月)
  • 能登半島地震関連の投稿削除の状況
    • 大半が「人工地震」関係⇒規約上の別の根拠(不謹慎等)により措置した例も多い
    • 件数がカッコ書きとなっているものは「偽情報」以外の規約上の根拠により措置したもの
      • Yahoo!ニュースコメント欄(4件)「〇〇国にも人工地震を」など
      • Yahoo!知恵袋(914件)「人工地震は〇〇国からの天罰」など
      • Yahoo!ファイナンス掲示板(7件)「地震ではなく核攻撃だ」など
      • LINEオープンチャット 735件 人工地震に関するデマ情報
      • LINE VOOM 161件 募金を募る行為・人工地震に関するデマ情報
  • 偽・誤情報の拡散・流通の抑制
    • 事後の対応であるモデレーションだけでなく事前の投稿の抑制策が重要
    • LY社全体では100以上のサービスが存在しており、UGCはその一部。サービス全体として情報発信や注意喚起等の対応を実施
    • メディア UGCの導線上に位置。最新情報・打ち消し情報等を発信
    • 天気・災害 有事の際に被災地等に向けた「正しい」情報の発信
    • UGC ユーザーへの積極的な注意喚起
  • 最新情報・打ち消し情報の発信
    • 【Yahoo!ニュース】地震関連のデマについて打ち消しのトピックスを作成・「災害時の情報との向き合い方」の特設ページを公表
      • 能登地震 虚偽情報の拡散に注意(1/2)
      • 「息子挟まれた」SNSに虚偽投稿(1/2)
      • 迫る72時間 デマ拡散「命関わる」(1/4)
      • 偽の救助要請 閲覧数稼ぐ狙いか(1/5)
      • 被災者装いデマ投稿 法的問題は(1/5)
      • 2次避難の偽情報 首相が注意喚起(1/13)
      • 災害デマ拡散 背景にインプ稼ぎも(1/19)
      • 地震巡る偽情報判別へ 開発支援(1/24)
    • Yahoo!天気・災害
      • 災害マップ(2020年3月~)
      • 災害の危険が迫っている時や災害時に、ユーザー同士で状況を投稿して共有。また、報道メディア・NPOなどの連携パートナーによる投稿情報を地図上に表示
      • ユーザーの投稿情報は「Yahoo!防災速報」アプリと「Yahoo!天気・災害」のウェブページ(スマホブラウザ版)で収集。周辺状況をリアルタイムに確・認可能能登半島地震を受けた対応(24年1月)
      • 支援情報や避難所の開設情報を追加
      • 自治体の公式サイトやYahoo!くらし、防災速報などに加え、自治体のLINEアカウントなども確認しながら、自治体や自衛隊などからの情報を探して入力
  • 偽・誤情報と名誉(信用)毀損
    • 名誉(信用)毀損と偽・誤情報の問題は真偽判断がカギとなるという点では共通。社会的混乱のリスクが大きい場合には偽・誤情報の問題として対応
    • 名誉(信用)毀損事案への対応と「偽情報」への対応との違いをどのように考えればよいか
  • 社会的混乱のリスクの評価
    • プラットフォーム事業者が「偽情報」であるかどうかの判断を行う上では、主として3つの課題に直面
      • 情報入手
        • 自社サービス外の情報は基本的に報道やファクトチェック機関等に依存せざるを得ない
      • 時間軸
        • 情報の拡散速度を考えると、ファクトチェック結果等を待たず対応すべき場合も少なくない
      • サービス性質
        • 他社サービスにおいて流通・拡散している情報が必ずしも自社サービスにおいてリスクとなるとも限らない
    • 緊急時において迅速かつ円滑な対応を行うためにはステークホルダー間での情報共有のための枠組があることが望ましい
  • 「利用規約に基づく措置」
    • コンテンツモデレーションに当たっては対象投稿の様々な要素をとらえて対応。「偽情報」以外の禁止事項を適用し得る場合もあるが、一定の限界も
    • 他方「偽情報」として対応する場合、ファクトチェック結果の解釈幅に問題が生じることも。一定のコンセンサスが形成されることが望ましい
      • 「偽情報」
        • 原則として外部機関によるファクトチェック結果がある場合に限るなど、謙抑的に運用(「明らか」要件)
        • ファクトチェック結果についてPF側で安易な拡大解釈は望ましくない
      • その他(「不謹慎」・「広告宣伝」など)
        • 適用の場面は限られるが機動的に対応可能(⇒ただし、解釈による対応には一定の限界)
        • あらかじめ緊急時における解釈・運用の統一を図る上で、プレバンキングは有用(例:寄附金詐欺など)
  • まとめ
    • プラットフォーム事業者が真偽判断を行うに当たり、「偽情報」の内容や対応範囲は十分に明確なものである必要
    • 一方で、プラットフォーム事業者においては、各種の情報・時間的制約から何が「偽情報」であるか範囲を画定することが困難な場合も。ステークホルダー間での情報共有等の枠組みが必要では
      • ※具体的な投稿に対する指摘が必ずしも表現の自由への介入に当たるわけではなく(人権擁護局の削除請求)、過剰介入の防止は透明性の確保により手当てすべきではないか
    • ファクトチェックは有用ではあるが解釈の幅に問題が生じることも。関係者で一定のコンセンサスが形成されることが望ましい
  • 【補論】「透明性」と公共財としてのデータ
    • 各社ではコンテンツモデレーションについて透明性レポートの公開が進みつつある。透明性と説明責任の確保が十分であるかどうかは、透明性レポートの内容に即して評価されるべきではないか
    • データの開示の必要性及びその範囲に関しては、それが透明性・説明責任の問題なのか公共財としての性質に由来する問題なのか(あるいはそれ以外なのか)を峻別しつつ、個別具体の項目ごとに丁寧に議論することが必要ではないか

総務省 経済安全保障ワーキンググループ(第1回)配布資料・議事概要
▼ 資料1-2 外資等規制による経済安全保障の在り方について
  • 経済安全保障推進法の基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度の概要
    • 国民生活及び経済活動の基盤となっている「特定社会基盤役務」(基幹インフラ)の安定的な提供を確保することが重要であるところ、その用に供する重要設備は、役務の安定的な提供を妨害する行為の手段として使用されるおそれがある。
    • そのため、経済安全保障推進法※第3章において、国が一定の基準のもと、規制対象とする事業(特定社会基盤事業)・事業者(特定社会基盤事業者)を指定し、指定された事業者が、国により指定された重要設備(特定重要設備)の導入・維持管理等の委託をしようとする際には、事前に国(事業所管大臣)に届出を行い、審査を受けなければならないこととしている。
      • ※経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和4年法律第43号)
    • 国は、届け出られた計画書に係る特定重要設備が妨害行為の手段として使用されるおそれが大きいと認めるときは、当該計画書を届け出た者に対し、妨害行為を防止するため必要な措置を講じた上で設備導入等を行うこと等を勧告(命令)することがある。
  • 本WGでの検討事項
    • 諮問の概要
      • 電気通信事業法及び日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律(令和2年法律第30号。以下「令和2年改正法」という。)において、令和2年改正法の施行後3年を経過した場合において、改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずるものとされている。
      • 情報通信インフラにおけるIP化・ブロードバンド化やモバイル化、仮想化・クラウド化の進展や事業者間の競争構造の多様化・複雑化の進展、ICT産業の国際競争力の低下等、情報通信を取り巻く環境は大きく変化している。
      • 以上のような大きな変化に迅速かつ柔軟に対応し、国民生活の向上や経済活性化を図るため、令和2年改正法の施行状況を含め、「市場環境の変化に対応した通信政策の在り方」について令和5年8月28日に諮問を行ったところである。
    • 答申を希望する事項
      • 2030年頃に目指すべき情報通信インフラの将来像及び政策の基本的方向性
      • 我が国の社会経済活動を支える「情報通信インフラの整備・維持」の在り方
      • 低廉・多様で安心・安全なサービスを確保するための「競争ルール等の整備」の在り方
      • 我が国の情報通信産業の発展のための「国際展開の推進」の在り方
      • 国際競争力強化等に向けた先端的・基盤的技術の「研究開発の推進・成果普及」の在り方
      • 上記(1)~(5)を踏まえた関係法制度の在り方
      • その他必要と考えられる事項
    • スケジュール
      • 令和5年12月28日から令和6年1月22日までの間、第一次答申(案)に対する意見募集及び論点整理(案)に対する提案募集を実施。同年2月2日に論点整理、同年2月9日に第一次答申が取りまとめられた。
      • 今後、更に検討を深めていくべき事項について各WGで検討し、夏頃までに特別委員会に報告し、答申を予定
  • 速やかに実施すべき事項
    • NTTは旺盛な海外需要に対応する取組を進めており、特にNTTのIOWN構想による「ゲームチェンジ」が実現すれば、我が国の情報通信産業全体の国際競争力飛躍の契機。NTTの研究開発や機動的な事業運営等によるイノベーション促進を法制度面から支援することが重要であるため、NTT法の関係規律を検討し、「速やかに実施すべき事項」を整理。
    • 研究の推進責務の撤廃(NTTの基礎・基盤的研究の取組状況は継続的に検証していくことが適当)
    • 研究成果の普及責務の撤廃(研究成果の原則開示の運用については、12/22の委員会に見直しの考え方が報告)
    • 外国人役員規制の緩和(他例を参考に、一切禁止から、「代表者でないこと」と「役員の3分の1未満」への緩和が適当。)
  • 外資規制 現状と課題
    • 電気通信事業法における外資等規制は、累次の規制緩和を経て全て廃止(1994年に国際衛星通信事業者、WTO自由化約束を経て1998年に旧第一種電気通信事業者に対する外資規制を撤廃)され、現在、外国投資家による電気通信事業者の株式取得は外為法(外国為替及び外国貿易法)により規律されている。
    • 外為法における外資規制は、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期すため、国の安全を損なうおそれ等のある1%以上の個々の株式取得について事前届出により個別審査(一定の基準を遵守した場合には、事前届出の免除あり)を行う等の規制を課している。
    • NTT持株については、外為法に加え、NTT法において、我が国を代表する基幹的電気通信事業者としての役割、特に我が国の安全の確保に対する役割に鑑み、外国の影響力に対する経営の自主性を確保するため、外国人の議決権保有割合が3分の1以上となることを禁止※している。
      • ※立法当時は外国人等による株式保有を禁じていたが、1992年にはその保有割合が5分の1未満まで緩和され、2001年に現行制度に改められた。
  • 論点
    • NTTについては、これまで外為法の「個別審査」とNTT法の「総量規制」が相まって外資から保護を図ってきたところ、以下の点を踏まえ、NTTに対する「個別審査」「総量規制」の在り方について、どう考えるか。
    • 外為法とNTT法では、以下のように目的と手段に差異があること
      • 外為法の目的は「対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期す」こととされる一方、NTT法の目的は、業務・責務の適切な遂行・履行の担保のため、外国の影響力に対する経営の自主性を確保することであること
      • 外為法は居住要件を採用しているため、日本に居住する外国人は規制対象外となる一方、NTT法は国籍要件を採用しているため、全ての外国人が規制対象となること
      • 外為法は、国の安全を損なうおそれのある投資を個別審査するため、NTTの外資比率と無関係に不適切な投資を防止できるのに対し、NTT法は、総量規制であるため、閾値を超える投資はその内容に関係なく防止できること
    • 米、韓、豪などのように、個別審査に加えて、個別法で総量規制がある国がある一方、英、仏、独などのように、個別法の総量規制はなく、個別審査のみの国もあること
    • NTTについて、個別審査に加えて総量規制も引き続き必要と考える場合、NTT以外の主要な電気通信事業者に総量規制を課すことについて、以下の点なども踏まえ、どのように考えるか。
      • NTTが電電公社から承継した線路敷設基盤は「特別な資産」であり、他の主要事業者に比べて、外資から保護することが特に必要との考え方もあること
      • KDDI、ソフトバンクなど、NTT以外の事業者についても、その提供する重要な役務の安定的な提供を確保するため、経済安全保障推進法の特定社会基盤事業者として指定されていること
      • NTTだけに外資規制を課すだけでは不十分であり、主要事業者も対象とすべきとの考え方もあること
      • WTO等の国際協定上の例外措置として留保が可能か否かについて数年を要する可能性のある国際交渉が必要となること
      • 国際協定では安全保障例外が認められるが、その範囲が狭いため、その適用は慎重に検討する必要があること
    • 上記で主要事業者に総量規制を設けることが必要と考える場合、主要事業者の範囲についてどう考えるか。
    • ※なお、外為法の強化について、財務省より以下の意見が表明された。
      • 外為法等の国内法の改正によって外資規制を強化しようとすると、日本政府が既に締結している数々の国際協定との関係で問題がないか、慎重な検証や検討が必要となるが、安保例外の範囲が狭い国際協定との関係では規制強化は困難となり得る。
      • 外為法の事前届出の対象を拡大すると、機関投資家等には、対象銘柄かどうかの確認や事前届出の準備が必要となり、投資家に日本株での資金運用を思いとどまらせ、日本株から離れてしまうことが懸念される。
      • NTT法の外資規制について、目的と対象が違うため外為法で完全に代替することは難しい。
  • 外国人役員規制 現状と課題
    • NTT法は、我が国を代表する基幹的電気通信事業者としての役割、特に我が国の安全の確保に対する役割に鑑み、外国の影響力に対する経営の自主性を確保するため、NTT持株とNTT東西について外国人役員規制(取締役・監査役等が対象)を設けている。
    • グローバル化が進む中、外国人役員規制によって外国人が役員に就けないことは、今後の国際展開を進めていく上で支障になり得る。
    • このため、第一次答申では、NTT法の外国人役員規制は、速やかに緩和することが適当であると提言したところである。
  • 論点
    • 第一次報告書では、NTT法の外国人役員規制は、速やかに緩和することが適当と提言したところであるが、外資規制の検討等を踏まえつつ、他の代替措置を講ずることの可否を含め、更なる緩和や撤廃をすることについてどう考えるか。
    • 仮に、NTTに対する外国人役員規制について要件緩和した上で引き続き課すこととする場合、NTT以外の主要な電気通信事業者に対しても同様の外国人役員規制を課すことについて、外資規制の場合と同様に、国際協定上の留保措置が必要となる点を含めて、どのように考えるか。
    • 上記で主要事業者に外国人役員規制を設けることが必要と考える場合、主要事業者の範囲についてどう考えるか。

総務省 安心・安全なメタバースの実現に関する研究会(第4回)
▼ 資料4-2-1 メタバースに関する海外動向調査
  • グローバル市場概観
    • 2022年のメタバース市場は521億米ドルに達し、2030年には1兆206億米ドルに拡大する見込みで、2023-2030年のCAGRは45.5%と予測されている。
    • メタバース市場は商業、教育、社会化の分野での機会を提供している。ゲーム産業の成長がメタバース市場をけん引するとともに、教育分野ではバーチャルリアリティ(VR)を活用した没入型学習が進展している。
    • 一方、ユーザーのプライバシー保護の課題やセキュリティに関する問題が存在し、これらに対処することがメタバースの成功に不可欠である。ユーザー情報やコミュニケーション、バーチャルグッズ等、多様な方向性でのセキュリティ対策が求められている。プライバシーとセキュリティの問題に対処することで、信頼性が向上し、メタバースが安全に進化する可能性が高まると想定される。
  • 諸外国の主要プレイヤーおよび提供サービス-米国
    • 2024年現在においても、プラットフォーマーについては新興勢力が出現し大きく市場が変化している状況ではない。一方、ゲームエンジンについては均衡が崩れつつある
    • 教育用途、アパレルブランド等のプロモーション用途など、利用方法も大きく変化が起きている状況ではなく、メタバースの利用としてどういった用途が効果を発揮するかの理解が一定定着したと想定される
  • ゲームエンジンに関する動向
    • 2大勢力であるUnityとUnreal Engineのうち、Unityはデベロッパとの事前調整を経ない料金改定により開発者からの信頼を失う形となった。これを受けて、Unreal Engineに勢力が傾く可能性がある
  • 諸外国の主要プレイヤーおよび提供サービス-韓国/中国/他
    • ZEPETO等の有力プラットフォームを有する一方、メタバース・ソウル等の行政による生活密着型のユースケースが活発である。中国においてはドメスティックなプラットフォームが多い傾向
  • 諸外国の主要プレイヤーおよび提供サービス-欧州/他
    • 欧州では主にクリエイターに人気の高いNEOS VRが有名であるが、その他にも複数のプラットフォーム群が存在している環境となっている。NFT等、Web3.0の概念とつながりが深いものが散見される
  • 諸外国の政府関連機関における取組状況-サマリ
    • 各国でメタバースに対する政府主導の取り組みが進められている。戦略に関わる取り組みは、EU加盟国、中国、韓国が公開、法規制は、ソーシャルネットワーク等を対象とした個人情報、プライバシー、子どもの安全等の法令・規制の策定が米国、EU加盟国、英国で進められており、これらの観点はOECDやWEFにおいても言及されている
  • 諸外国の政府関連機関における取組状況-米国
    • 米国ではプライバシーや子供の安全に関する法案が策定中であり、メタバースへも適用される可能性がある
  • 諸外国の政府関連機関における取組状況- EU加盟国
    • EU加盟国ではWeb4.0に関するロードマップが示されるとともに、DSAやDMA等による法規制に関しても策定が進められている状況である
    • 欧州委員会がWeb4.0を提唱。国民、スキル、産業エコシステム、社会進歩の促進等をキーワードに10のアクションを計画および推進している
  • 諸外国の政府関連機関における取組状況-英国
    • 英国ではオンライン安全法が公開され、Ofcomにより、順次検討が進められている状況
    • メタバースも対象となるオンライン安全法の検討が進められている状況であり、順次、義務が施行される予定。対象となる事業者はリスク評価、利用規約での開示等の義務が発生する
  • 諸外国の政府関連機関における取組状況-中国
    • 中国ではメタバース産業の革新的発展に向けた3カ年行動計画(2023-2025年)が公開。メタバース技術の促進、アプリケーション、市場環境の支援、ガバナンス等の施策が挙げられている
  • 諸外国の政府関連機関における取組状況-韓国
    • 韓国では、仮想世界(メタバース)にむけた規制革新先導計画に基づき、各機関が活動を開始しており、メタバースの実践倫理やユーザ保護の観点での活動が見られる
  • 安心・安全なメタバースに関する標準化動向
    • デジュールの観点では、米国、韓国、英国がITU-T FG-MVに参加し標準化活動を行っている状況である。また、フォーラム活動においては米国のMSFの存在感が強い
  • 安心・安全なメタバースに関する標準化活動(ITU-T FG-MV)
    • TR(技術レポート)が制定されている状況であり、勧告につながるTS(技術仕様書)については策定中。2024年10月のWTSA以降に議論が活性化予定
  • 安心・安全なメタバースに関する標準化活動(MSF)
    • PCIのユースケース検討等のため準備が進められ、適宜SDOとのスピークセッションを実施している状況である。2024~2025年にPCIに関わるユースケース等の検討を実施することが予定されている
  • 安心・安全なメタバースに関する標準化動向-サマリ
    • 各国ともにデジュールの活動が活発であり、政府関連機関が安心・安全に関する領域におけるに関わる検討を推進している状況である
      • 各国でメタバースへも波及する法規制が検討されており、事業者が海外展開する際には、多くの法規制対応が必要となってくる
      • 各国がITU-T FG-MVに参画しながら検討を進めており、一定の成果物が出ている状況。日本のプレゼンスはないが、活動が活発化する2024年後半に向けて日本のPCIに関わる提案を整理するのも一案として考えられる
      • MSFは標準を作成する組織ではないものの、多くの企業が参画している現状があることから、PCIに関わる日本の提案をしていくことも一案として考えらえる

総務省 「宇宙通信アドバイザリーボード」の開催
  • 総務省は、宇宙戦略基金への基金造成を行い、当該基金事業を含めた宇宙通信政策の効果的な推進方策について検討するため、「宇宙通信アドバイザリーボード」を開催します。
  • 目的
    • 総務省は、宇宙戦略基金への基金造成を行い、宇宙分野における情報通信技術の研究開発や電波の利用促進に取り組む予定であるところ、当該基金事業を含め、総務省における宇宙通信政策の効果的な推進に当たり、有識者から助言を得ること等を目的として、「宇宙通信アドバイザリーボード」を開催することといたしました。
  • 実施事項
    • 総務省における「宇宙戦略基金」実施方針の策定への助言
    • 総務省において重点的に取り組むべき宇宙通信政策への助言
    • その他宇宙通信政策を実施する上での必要な事項
  • スケジュール
    • 令和6年2月26日(月)に第1回会合を開催し、以降、順次開催予定です。
    • 開催案内は、総務省ホームページに掲載します。

総務省 西日本電信電話株式会社に対する行政指導
▼ 別紙
  • 事案発生の要因
    • 電気通信事業における個人情報等の保護に関するガイドライン(令和4年個人情報保護委員会・総務省告示第4号。以下「個人情報保護ガイドライン」という。)第13条第3項において、電気通信事業者は、個人データの取扱いを委託する場合は、その取扱いを委託された個人データの安全管理が図られるよう、委託を受けた者に対する必要かつ適切な監督を行わなければならないこととされている。
    • これを受け、貴社はProCX社との業務委託契約に当たり、「業務委託契約書」及び「お客様情報の管理に関する覚書」(以下「業務委託契約書等」という。)を締結しており、その中で業務の再委託の禁止や、委託先における再委託先での個人データの取扱い状況の検査、委託先における個人データの取扱いに係る安全管理措置の実施等の措置(以下「業務委託先の監督措置」という。)を規定していた(事業法第166条第1項の規定に基づく令和5年11月6日付けの報告徴収に対する同年12月8日付け報告書及び同年12月27日付け報告書)。
    • しかしながら、貴社は、BS社によるProCX社へのコールセンタシステムの提供が個人データの取扱いを伴う業務であり※3、ProCX社によるBS社の同システムの利用が、個人情報保護ガイドライン第13条第3項に規定する個人データの取扱いの委託に該当するにもかかわらず、その事実を認識することができず、業務委託契約書等にいう業務委託には含まれないとして運用してきており、業務委託先の監督措置の対象としていなかった。実際にも、貴社は、業務の再委託に当たらない場合には、個人データの取扱いの委託の有無や、委託が行われている場合の個人データの取扱い状況について「情報管理状況チェックシート」に基づく点検項目を設定しておらず、そもそも、ProCX社によるBS社のコールセンタシステムの利用に伴う個人データの取扱いの委託の事実を把握できていなかったとのことである(追加確認に対する令和6年1月19日付け貴社回答)。
    • また、貴社は、ProCX社と締結した業務委託契約において、個人情報の取扱いが発生する場合、貴社の事前の書面による承諾なく、第三者に開示等してはならないと規定していたが、ProCX社がBS社の提供するコールセンタシステムを利用するに当たり、個人データの取扱いの委託が行われていたにもかかわらず、ProCX社は貴社に対して、事前の承諾を得ていなかった。この理由について、令和6年1月19日付け貴社回答によれば、「(ProCX社は貴社に対して)業務の再委託を行っていない場合において、当社(貴社)に対し、個人情報の取扱いの再委託に係る事前の承諾を得る必要があることを適切に認識できていなかった(と回答している)」とのことであった。つまり、ProCX社によるBS社のコールセンタシステムの利用が個人情報保護ガイドライン上の個人データの取扱いの委託に該当するにもかかわらず、業務委託契約書等にいう業務委託には含まれていなかったことにより、こうした誤認が生じていたものと想定される。
    • 以上のとおり、貴社のテレマーケティング業務のProCX社への委託については、個人データの取扱いの委託先の必要かつ適切な監督が行われていなかったと考えられ、電気通信役務の利用者の利益の保護が適切に図られていないと認められる。
    • さらに、他の大口委託先について行われた緊急点検において、令和6年1月19日付け貴社回答によれば、「他の委託先においても、今回のProCXへの対応と同様」とのことであり、個人データの取扱いを伴う外部サービスの利用において、現時点で、個人データの取扱いの委託先の必要かつ適切な監督が行われていない状況にあると考えられ、電気通信役務の利用者の利益の保護が適切に図られていないと考えられる。
    • また、日本電信電話株式会社等に関する法律(昭和59年法律第85号。以下「NTT法」という。)において、貴社は、地域電気通信事業を経営することを目的とする株式会社とされ、その運営に当たっては、常に経営が適正に行われるように配意する責務が課されている。今回漏えいした個人データは、地域電気通信事業に係るものであり、業務委託先の必要かつ適切な監督が行われていなかったことにより、結果として、約120万件の個人データが漏えいしたことに鑑みれば、地域電気通信事業の経営の適正な実施への配意が十分ではなかったと認められる。
    • 以上のことは、事業法第1条並びにNTT法第1条第2項及び第3条の趣旨に鑑み、適切ではないと考えられる。
  • 電気通信役務の円滑な提供、利用者の利益の保護の必要性
    • 今般、漏えいした個人データは指定電気通信役務かつ地域電気通信事業に係る顧客データであるところ、高い公共性のある指定電気通信役務かつ地域電気通信事業について、その顧客データの取扱いの委託先の監督が必要かつ適切に行われておらず、利用者からの指定電気通信役務への信頼を失墜させることとなった。以上のことは、事業法第1条並びにNTT法第1条第2項及び第3条の趣旨に鑑み、適切ではないと考えられる。貴社は、高い公共性のある指定電気通信役務の提供や地域電気通信事業の経営のみならず、極めて公共性の高い基礎的電気通信役務の提供を行う電気通信事業者として、その利用者の利益が確実に保護されるよう、ProCX社を含む委託先に対する適切な監督を徹底の上、再発防止に努める必要がある。
  • 指導事項
    • 以上を踏まえて、下記の1及び2の事項について、令和5年12月27日付け報告書及び令和6年1月19日付け回答で報告のあった再発防止策を含む必要な措置を実施されたい。また、その実施状況について、令和6年3月29日までに報告するとともに、今後、このような事案が再発しないよう、同報告から少なくとも1年間は、四半期に一度、今後の取組状況について定期的に報告されたい。なお、今後新たな懸念が生じた場合等には、追加的な措置を実施する可能性がある旨を御承知おき願いたい。
      1. 本事案を踏まえた委託先の監督の見直し及び対策の強化について
        • 個人データの取扱いを委託する場合には、委託先において当該個人データについて適切に安全管理措置が講ぜられるよう、委託先に対する適切な監督を行うことが、電気通信役務の利用者の利益の保護の観点から必要である。この点を踏まえ、適切な委託先の選定、適切な委託契約の締結及び委託先における個人データの取扱状況の適切な把握が行えるよう、業務委託契約の内容の見直しや、定期点検の確保、適切な安全管理措置の確保、経営層を含めた適切な委託先監督の責任体制の構築等、必要な措置について検討を行い、再発を確実に防止するよう、実効的な対策を講じること。
        • 特に、個人データの取扱いを伴う外部サービスの利用について留意し、契約内容の見直し及び定期点検等、必要な措置について検討を行い、再発を確実に防止するよう、実効的な対策を講じること。
      2. 利用者対応の徹底について
        • 本事案において、貴社の利用者のうち約120万件の個人データが漏えいした又はそのおそれがあることを踏まえ、利用者の利益の保護の観点から、今後も利用者に対する本事案に関する適切な情報提供を継続するとともに、二次被害が発覚した場合等には適切な支援、対応を実施すること。

総務省 インターネット上の偽・誤情報対策に関する取組についての意見募集
▼ 偽情報対策に係る取組集 Ver.1.0
  • ヤフー株式会社
    • 取組事例1:信頼性の高い情報の掲載
      • 課題
        • フェイクニュース等の流通は、ユーザの困惑、インターネット産業全体の信頼性棄損につながる。そこで、迅速かつ積極的に信頼できる情報を掲出することで、早期に、不確かな情報を打ち消すことを考えた。
        • 正確な情報の迅速な伝達は行っていたが、ファクトチェックに特化した記事の配信は少なかった。
      • 解決手段
        • Yahoo!ニュース個人:専門家の協力を得て、啓蒙啓発を企図した特設サイトやコンテンツを制作
        • Yahoo!ニュース:
        • 公共性の高い情報やデマを打ち消す情報を最も目立つ場所に掲載。コロナ関連の情報を集約した特設サイトで、デマへの注意喚起を行うコーナーを設け、ファクトチェック支援団体や官庁等へのリンクを設置。
        • 日本ファクトチェックセンターへの資金提供を実施。
        • ユーザの理解向上のため、特定分野の専門性を有するオーサーと契約を締結し、専門分野にかかる記事へ補足的な見解(オーサーコメント)を付加(専門家は、特定の分野における専門性、評判、知名度などを基準にした審査の上、選定。投稿は全件、担当者によるチェックを実施)。
        • Yahoo!知恵袋:新型コロナウイルス関連の投稿ページ上部に注意文言を掲出し、厚労省等の公的機関のHPを案内。
        • Yahoo!トップページ:生命財産に関わる重大事項については、メディアから提供を受けたコンテンツや情報集約した特設サイトに誘導。緊急時に首相会見等の動画の埋込みによる提供を行い、ユーザーが認知しやすい場所に掲載。災害時は、地震速報や地域ごとのアラート情報を掲出。いずれの情報もメディアや公的機関の情報源とすることで信頼性の高い情報の提供に努めている。
        • ファクトチェック関連団体企業と連携し、Yahoo!ニュースやタイムライン上へファクトチェック記事の掲載を実施(資金提供も行っている)。
    • 取組事例2:啓蒙啓発・リテラシー向上の取組
      • 課題
        • ユーザの偽情報へのリテラシー向上の取組の一層の推進が必要と考えた。
        • 教育現場での講座を行うにあたってのリソース確保が困難であったため、オンラインコンテンツを通じての啓発、リテラシー向上に寄与する企画を立案。
      • 解決手段
        • ユーザ自身のリテラシーを高め、根拠が乏しい情報やフェイクニュースを見分ける能力を身につけていただくため、以下の取組を実施。
        • 偽情報・誤情報等に惑わされないための学習コンテンツ「Yahoo!ニュース健診」を公開。
        • 大学と連携し、中高大の教育現場および社会人向けにフェイクニュース対策としてのリテラシー向上授業を継続して実践。
        • フェイクニュースに関するリテラシー向上のためのコンテンツを制作や、参議院選挙にあわせた「ネットリテラシー」をテーマとした特設サイトを公開。有識者へのインタビューを含む動画コンテンツも複数本制作し、メディア面からの誘導も強化。
    • 取組事例3:偽情報の削除
      • 課題
        • Yahoo!知恵袋やYahoo!ニュースコメントのようなCGMサービスにおいて、新型コロナウイルスやその治療法、ワクチン等の医療情報や、地震等の災害情報等の根拠なき投稿が散見されたため、そのような投稿を閲覧したユーザーに対して誤った情報を与えてしまう可能性がある。
        • 医療(健康)情報や災害情報のうち明らかな誤情報については、ユーザへの悪影響が生じる前に、迅速な対応が望ましい。
        • 個々の投稿について削除対象の線引きをすることは困難なため、まずは官公庁の情報に明らかに反する投稿の削除のみを実施することとした(現状は医療情報等のみを対象としているが、対象拡大も検討中)
      • 解決手段
        • Yahoo!ニュース:コメント欄への、新型コロナ関連のように健康被害等をもたらす可能性のある偽情報(厚生労働省HPにおける公表情報など反真実であることがファクトチェック済みの情報に限る)の投稿を禁止し、削除対象とした。削除対象は適宜見直しを行う。
        • Yahoo!知恵袋:医療情報や災害情報等について、明らかに事実と異なり社会的に混乱を招く恐れのある投稿について削除。
  • LINE株式会社
    • 取組事例1:啓発活動
      • 課題
        • 学校現場では、加速度的にICT教育に対するニーズが高まっている(主には情報モラル教育・情報リテラシー教育、情報活用能力の育成、デジタルシチズンシップ等)。
        • 学校現場には様々なニーズ(ネットトラブル回避に関する指導、GIGAスクール端末の利活用など)があるが、学びの時間の確保、指導者の育成等が追いついていない。
        • 学校現場で利用されることに主眼を置き、最低限の準備で始められ、また短時間での活用も可能な現場で使い勝手の良いカリキュラム・教材を開発することを目的とした。
        • 教材(GIGAワークブック)の活用が、情報モラル教育などに積極的に取り組んでいる指導者が存在する地域に限定されることなく、より多くの児童・青少年に対する学びの接点を作るためには、自治体(教育委員会)との連携が必要不可欠であった。
      • 解決手段
        • LINEみらい財団では、誰でも無償で利用可能な汎用版の教材(GIGAワークブックなど)をHPに掲載し、提供している。しかし、HP掲載のみでは我々からの働きかけが十分ではないため、自治体と連携して普及を図ることとした。
        • 教材については、連携する各自治体における導入のしやすさを考慮し、自治体ごとのデザインやオリジナルページ(各地域の情報モラル育成目標や調査研究結果など)を設けるパッケージを準備した。
    • 取組事例2:オープンチャット
      • 課題
        • インターネット上において、「LINEオープンチャットがデマやフェイクニュースなどの有害情報の温床となっている」かのような論調が見受けられた。
      • 解決手段
        • オープンチャット 安心・安全ガイドラインでは、「真偽不明の情報の拡散」を違反行為として禁止しており、デマやフェイクニュースに対する削除等の強化、ユーザへの啓発を積極的に行うこととした。
        • モニタリングでの取り締まりを強化するにあたり、デマやフェイクニュース該当性の判断が非常に困難なため、削除の基準を、(1)健康に深刻な被害をもたらす誤情報、社会的混乱が生じる恐れのある情報の投稿、(2)政府が公式に否定する情報の投稿、およびそのような主張を展開する投稿とした。
        • 新型コロナウイルス感染症に関する情報、投資アドバイスを装った詐欺に関する情報について、公的機関など信頼できる情報源などを掲載したトピックごとの専用注意喚起ページを作成し、公開。
        • 同様の事項について、オープンチャット公式お知らせにおける注意喚起を実施するとともに、フェイクニュースに関するキーワードを抽出し、画面を開いた瞬間に出現するポップアップによりユーザへの注意喚起を実施。
    • 取組事例3:LINE NEWS
      • 課題
        • ウクライナ情勢に関するフェイクニュースや情報戦については、合成写真や別の事案の動画を、今回の侵攻のものと誤認させるSNS投稿がネット上に拡散されていたり、ロシアとウクライナ双方から戦果報告がなされたりし(それぞれに都合の良い内容ではないかとの懸念あり)、ユーザがそれらを鵜呑みにして誤った情報を得てしまうことが懸念された。
        • LINE NEWSでは、信頼できる各種メディアと契約し、情報の正確さ・信頼性、その裏付けとなる取材体制について一定の担保がなされている。しかし、別の媒体で見聞きした情報をもとに不安に駆られたり、誤情報を信じたりしてしまうケースがあり得るため、対策を検討した。
        • ネット上に存在・拡散した情報の一つ一つを検証・裏付け取材していくことは、LINE NEWSの編集部だけでは限界がある
      • 解決手段
        • LINE NEWSにおいて、記事単体ではなく、信頼できる機関やサイトの情報を紹介したり、ファクトチェック活動をしている団体の活動への導線を設けたりすることで、ユーザの判断を助ける取組を行った。その過程で、「信頼できる機関やメディアはどこか、ファクトチェック団体の活動実績や内容が十分か」が課題となったが、中央省庁やNHK等のサイトやファクトチェックサイトを選定した。具体的には、
          • ウクライナ情勢に関する記事に、フェイクニュースや誤情報への注意喚起のコーナーを設置
          • 公的機関や信頼できるサイトを共有
          • ファクトチェック団体の活動を共有
        • LINE NEWSでは、ニュース記事や各種信頼できる情報をまとめており、ウクライナ情報についても日々更新を行っている。その中に「フェイクニュースや誤情報への注意喚起」のブロックを設け、信頼できる情報発信者として選定した公的機関やNHKをはじめとするサイト等を提示している。
    • 取組事例4:LINE NEWS
      • 課題
        • 新型コロナウイルス感染症の流行当初には、「マスクが品薄」などの不安が増幅し、SNSで情報が拡散され、店頭から実際に商品が消えるなど「デマがデマでなくなる状況」になった。
        • 新型コロナウイルス感染症の症状や治療法、ワクチンの副反応・効果などについても、各種の「実体験」をもとにした情報発信や、いわゆる専門家を名乗った者による情報発信が増えたことで、ユーザが「正しい情報」を判断することが難しくなっていた。
        • ユーザの「実体験」については、仮にそれが事実であっても、代表性や普遍性をもって語られてしまうため、「それが誤りである」というアプローチのみでは本質的な解決になり得ない。
        • 「デマ」についても、既に「デマではなく事実」という状況になれば、ただ否定するだけではなく、ユーザが判断できる材料を十分提供することや不安に駆られた際の心理的側面から解決することが必要。
        • NEWSグラフィティのテーマは編集部内で選定できるものの、ベースとなる情報や監修の信頼性確保が課題となった。
        • NEWSグラフィティのコンテンツ作成には、テーマ設定、デザイナーによるデザイン、動画化などの段階を経るため、完成までに一定期間かかってしまうことが課題であった。
        • 用意した啓発コンテンツをユーザにどのように届け切るかという部分も課題となった。
      • 解決手段
        • 解説のもととなる情報については、ウクライナ情勢に関する情報の取組みと同様に、信頼できるサイトの比較検討を行った。その上で、テーマによっては、中央省庁や報道機関、医師に監修を依頼した。
        • 日々最新のニュース記事に接している編集部員が「ユーザの関心を先回り」することで、より機動的な作成体制となるよう対応。
        • 新型コロナウイルス感染症に関する情報のまとめの作成や新型コロナウイルス感染症に関するNEWSグラフィティの配信、LINE NEWS上で最もユーザに見られるニュースタブトップ上への掲載のほか、YouTubeやTwitterなどへの投稿も実施。
        • ユーザの訪問を待っているだけでなく、LINE NEWSの強みであるLINE公式アカウントを通したプッシュ通知や、継続的に新型コロナウイルス感染症に関心があるユーザには都度送信するスマート通知などによって通知する取組みを行い、編集部発の情報伝達の後押しを図った。
  • Google LLC
    • 取組事例1:Innovation Nipponへの支援を通じた実態調査の実施
      • 課題
        • 偽情報・誤情報が世界的に問題になり、日本でも新型コロナウイルスやコロナワクチンに関する誤情報が拡散される中、社会全体における適切な対策を検討する上で、日本における実態調査が必要となった。
        • 偽情報・誤情報の現状を把握し、エビデンスベースの適切な対策の議論に貢献することを目指した。
      • 解決手段
        • 2019年度~2021年度の3年間でのべ15,000名以上(予備調査5万人以上)を対象に調査し、偽情報・誤情報に関する人々の行動を調査分析した。対象とした偽情報・誤情報分野は広範囲で、国内で広く拡散されたコロナワクチンデマも含む。
    • 取組事例2:セーファーインターネット協会への支援を通じた偽情報・誤情報対策の推進
      • 課題
        • 誤情報の拡散は、個人の意思決定を歪め、市民生活に大きな影響を与えるテーマに対して不適切な行動を取ったり、適切な行動を取らなかったりする原因となる。日本社会において、偽情報や誤情報に対して抵抗する能力の強化が急がれる。
      • 解決手段
        • 日本における偽情報・誤情報の流通抑制等のために、一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)に対し、Googleの慈善事業部門であるGoogle.orgが150万米ドルを支援することで、SIAによる以下の活動を支援。
          • ファクトチェック機関の設立(ファクトチェックの実施)
          • 日本の情報空間における偽情報・誤情報の動向(パターンや手法)の分析調査の実施
          • メディアリテラシー研修の実施、人材育成
          • 調査・研究活動、啓発活動、シンポジウムの開催等
    • 取組事例3:MAFINDOへの支援を通じたメディアとデジタルリテラシーの教育推進(インドネシア)
      • 課題
        • 現地の言語による信頼できる情報の不足、リテラシーの不足等がインドネシアにおけるパンデミックの状況を悪化させている。また、新型コロナウイルス感染症が発生したことで、特に講師や学生がパンデミック中に流布するフェイクニュースや誤った情報に対応できるよう、革新的で永続的、そして簡単にアクセスできる教育機会のニーズが急速に高まった。
      • 解決手段
        • Google.orgがMAFINDOのTular Nalarプログラムの立ち上げをサポートし、メディアとデジタルリテラシーの教育を通じて26,000人以上の講師、教員、大学生が偽情報や誤情報に対する耐性を身につけられるよう支援した。
        • Tular Nalar(「常識を広める」)は、デジタルリテラシーを通じて批判的思考を磨くための学習教材の提供に力を入れている。
        • プログラムを効果的に実施するため、カリキュラム、学習方法、ウェブサイトの各設計を周知するにあたって形
        • 成的調査を実施。また、ウェブサイトをより使いやすく、アクセスしやすいものにするために、設計前のテストやUX設計テストも実施。形成的調査の段階で得られた主要な知見をもとに、授業計画とともに、学生との学習プロセスをサポートする際にカギとなる教育者向けの動画8本を制作した。
        • 形成的調査:形成的調査はカリキュラム設計前に実施され、プログラムを効果的に実施し、講師がメディアリテラシーを教える際に直面する問題点を把握し、現在の学生のメディアリテラシーに対するニーズとギャップを見極め、様々なオンラインコースのモデルとeラーニングコンテンツをテストするために活用された。この調査活動には、講師、メディアやデジタルリテラシーの専門家、宗教指導者、市民社会、政府などが参加し、カリキュラムや学習方法、コンテンツなどを開発している。
        • カリキュラム開発:形成的調査から得られた情報、データ、視点は、様々な利用可能な教材にまとめられ、動画やオンライン学習プラットフォームのようにカリキュラム、学習方法、コンテンツに展開される。
        • 講師向けオンライン講座:メディアとデジタルリテラシーに関して利用できる教材について学習する約2.5時間のオンライン研修を実施し、インドネシアの23都市から講師が参加。
        • 学生向けオンライン学習:オンライン研修を受講した講師は、オンライン研修で得た知識を50人以上の学生に教授することが義務付けられている。
        • 教員向けウェビナー:インドネシアの23都市の高校教員(少なくとも3,200人)に対して実施
    • 取組事例4:ニュースおよび情報リテラシーに関するプログラムへの支援(インド)
      • 課題
        • 2016~2019年に、インドでは、ソーシャルメディアプラットフォーム上で配信された情報に扇動された暴徒により、30人以上が死亡した。2020年前半には、新型コロナウイルス感染症にまつわる噂や偽の治療法が中心的な話題となり、誤情報の問題を深刻化させた。
      • 解決手段
        • 拡大する誤情報の脅威に対処するため、Google.orgとGoogle News Initiativeの支援により、2020年、ニュースおよび情報リテラシーに関するプログラム(FactShala India Media literacy Network)を立ち上げた。このプロジェクトは、インドの非都市部や農村部の人々が、オンラインコンテンツを批判的に分析し、オンライン上に溢れる膨大な情報を取捨選択するために必要なスキルを提供する。
        • FactShalaの研修講師が使用するカリキュラムを準備するためのフレームワークの作成にあたっては、事前に、エンドユーザーが情報を評価し、特定のメッセージを信じたり却下したりする際の根拠と、ファクトチェッカーやジャーナリストが情報を検証する際に用いる手法とを比較して得られた調査結果の知見を活用した。
        • このプログラムでは、Tier 2、Tier 3の都市や町で、対象者に合わせたカリキュラムを提供した。
        • インドで用いられている言語が多様であることから、Google独自のTrain-the-Trainerモデルを用いて、少なくとも7つのインドの言語でカリキュラムを提供し克服した。
        • このカリキュラムは、世界およびインドのメディアリテラシー専門家から情報を得て、エビデンスに基づいて設計。この研修は、ジャーナリスト、ファクトチェッカー、メディア関係者、非営利団体職員、コミュニティや市民社会のオピニオンリーダーからなる253人の研修講師によって組織されている。
    • 取組事例5:ASEANデジタルリテラシー プログラム(ADLP)への支援を通じたデジタルリテラシー研修の提供
      • 課題
        • ASEAN諸国の一般市民のメディアリテラシーはまだ比較的低い。インターネットの利用が拡大し続ける中で、ニュース記事や個人情報の要求など、オンライン上で遭遇する情報を理解するための正しい批判的スキルを誰もが身につけることが重要。
      • 解決手段
        • ASEANデジタルリテラシー プログラム(ADLP)は、誤情報や偽情報への対処を目的としており、現地パートナーと協力してデジタルリテラシーの研修を提供する。このプログラムは、強力な啓発キャンペーンとしての要素も備えており、メディアや情報リテラシーの重要性がより多くの人々に理解され、デマやフェイクニュースの拡散を人々が防止できるようになることを目指している。具体的には、
          • 現地パートナーの協力を得たTrain-the-Trainerアプローチで1,150人の研修講師を育成する
          • 研修講師は将来、十分な教育を受けていない10万5,000人の学習者に研修を行う
          • 研修講師や学習者に対して無料の研修コンテンツをオンラインでも提供する
          • ASEAN Youth Advisory Groupの設立
          • 研究とカリキュラムの開発
  • Meta Platforms, Inc.
    • 取組事例1:一般的な考え方及び対応策
      • 課題
        • 過度な暴力描写はポリシーでの規定が可能だが、Misinformationは定義が困難であり、何かが真実であるか否か、またそれを決定する主体も明らかでなく、包括的な禁止事項を明示することができない。
        • 加えて、コミュニティ規定を施行するためのポリシーを策定しようとする際には、オープンなインターネットを守るため、表現、安全、尊厳、真正性、プライバシーなどの異なる基本的権利間のバランスを取ることが必要。
      • 解決手段
        • misinformationについてカテゴリを設定するとともに、対処法を示したガイダンスを作成し、以下に示す3つの戦略-1.削除、2.抑制、ii3.情報提供-に従って対処を行う。
          1. 「コミュニティ規定」に違反するmisinformation(差し迫った物理的な危害のリスクを直接助長する可能性が高いもの、政治過程の機能の妨害を直接助長する可能性のあるもの、人を欺くよう加工された特定のもの)は削除する。その際、知識と専門性を有する独立した専門家(人権団体や保健機関など)と連携し、コンテンツの真実性や、差し迫った危害のリスクを直接助長する可能性が高いかどうかを評価する。
          2. 「コミュニティ規定」に基づく削除の基準には当たらないものの、プラットフォームの信頼性と完全性を損なうような問題のあるコンテンツ(クリックベイトのような低品質のコンテンツや、第三者のファクトチェック機関によって否定されたコンテンツ)について、表示を抑制する。
          3. misinformationの拡散を防ぐため、ラベル付与、信頼性の高い正確な情報の案内、追加的文脈情報の通知、リテラシー教育の場を提供し、利用者が十分な情報を踏まえた上で意思決定できるよう、情報提供を行う。
    • 取組事例2:影響工作、組織的偽装行為への対策
      • 課題
        • 「影響工作」により、拡散されるコンテンツのほとんどは、明らかに誤った情報ではなく、権威ある者によって広められた場合には政治的な発言として受け入れられる場合もある。こうした工作活動の背後にいる行為者が、その背後にある組織の身元を隠したり、組織やその活動を実際よりも人気があったり信頼できたりするように見せたり、コミュニティ規定の施行を回避しながら、人を欺くような行動をしている。
        • 「disinformation」は、戦略的目標のために公的な議論を操作するための組織的な取組であり、騙すことを意図し、偽装的な行動を伴うものを指すこととする。戦略的目標のために公共の議論を操作したり誤らせたりすることを目的とした組織的な取組を表す「影響工作」(InfluenceOperations)や「組織的偽装行為」(Coordinated Inauthentic Behaviour)を含む。
      • 解決手段
        • 1.介入・妨害の抑止、2.misinformationとの戦い、3.透明性の向上という3つのアプローチで、disinformationに対して取り組むとともに、法執行機関、国家安全保障、調査報道、サイバーセキュリティ、法律、エンジニアリングなどの専門家を集め、不正なアカウントや行動の検出と拡散防止に役立つ大規模なソリューションを構築。
          • 1.介入・妨害の抑止のため、(a)政府、法執行機関、セキュリティ専門家、市民団体、ハイテク企業と知識の共有など協力関係の構築、(b)人材とツールによる調査業務の規模の拡大、(c)組織的偽装行為に係るポリシーの更新の継続を実施。
          • 3.透明性の向上のため、(a)政治的な広告、ページ、投稿の透明性を高めるツールや製品を導入し、利用者が自分たちに影響を与えようとしている主体を把握できるようにするとともに、組織的偽装行為の取組に関する報告書を定期的に発行。(b)組織的偽装行為に係るポリシー(CIBポリシー)において、プラットフォーム上で影響工作ネットワークを探知、特定、削除する方法を示すとともに、アカウントの保全性と実名の使用に係るポリシーに基づき毎日数百万の偽アカウントを削除。プラットフォームを悪用する偽アカウント阻止のため、アカウント作成のブロック、サインアップ時のアカウント削除、既存アカウントの削除措置を実施。
    • 取組事例3:透明性とコントロールにより利用者をエンパワーする試み
      • 課題
        • オンラインの安全性と、misinformationやdisinformationを含む有害なコンテンツに対処する最も効果的な方法は、自ら批判的に決定できるようにするツールとリソースを提供することで、デジタルにレリジエントな社会を構築することと信じている。
        • いかなる状況であれば安全性とセキュリティのリスクをもたらさないかを明らかにすることに努めるとともに、プラットフォームの努力を外部の目にさらすことで説明責任を促進し、Metaが下す決定に対して責任を負うことにつながる。
      • 解決手段
        • 利用者が目にする投稿について追加の文脈や情報を提供し、権威ある情報とつなげることにも重点を置いており、信頼性の高い正確な情報の案内、より多くの文脈の提供、虚偽の主張を繰り返し共有するページへの警告などの様々な措置を実施。
    • 取組事例4:みんなのデジタル教室・デジタルシチズンシップ
      • 課題
        • 人々が情報を批判的に評価し、十分な情報を踏まえた上で意思決定を行い、自ら誤りを正すことができるようなデジタルにレジリエントな(回復力の高い)社会を構築することが必要だと考えており、政府から産業界、市民団体、教育者、市民自身まで、あらゆるステークホルダーを巻き込んだ学際的な戦略が必要であるとともに、デジタルシチズンシップの概念を普及させるためには、資金やインセンティブといった形で、より多くの制度的支援が必要。
      • 解決手段
        • 日本の教育現場のニーズに合った授業を実施するため、企業と連携した授業づくりを専門とするNPO法人とコンテンツを共同制作。
    • 取組事例5:公正な選挙のための取組
      • 課題
        • デジタルプラットフォームがどのように選挙を守るべきか、広く合意された規範や法律がない中、政治広告の不透明性や国内の市民イベントへの外国からの干渉といった問題について対応。
        • 基本的には利用者と広告主に表現の自由を与えるべきだと考える一方、利用者や行動、何らかの結果(選挙など)に影響を与えかねない広告については一定のガイドラインが必要であることも認識。
      • 解決手段
        • 選挙を守るため、重要な期間だけでなく、年間を通じて1.干渉の防止、2.有害コンテンツの削除とmisinformationの削減、3.透明性の向上に取り組んでいる。
        • 透明性の向上として、選挙・政治的な広告主の検証、一般にアクセス可能な選挙・政治的広告に関する情報の格納、ページの透明性の確保、ニュースフィードのランキングのコントロールなどに取り組んでいる。
        • また、選挙または政治に関連する広告の掲載をする個人または団体の真正性と正当性を確認するための認証プロセスを設けている。

総務省 消費者保護ルールの在り方に関する検討会(第53回)
▼ 資料1-2 ダークパターンとはなにか(武蔵野美術大学造形構想学部 教授・株式会社コンセント代表取締役社長 長谷川氏)
  • ダークパターンの種類
    1. 行為の強制(Forced Action)
    2. インターフェース干渉(Interface Interference)
    3. 執拗な繰り返し(Nagging)
    4. 妨害(Obstructing)
    5. こっそり(Sneaking)
    6. 社会的証明(Social Proof)
    7. 緊急性(Urgency)
  • ダークパターンの目的
    • より多く消費させる
      • 企業にとって収益の最大化
    • ユーザーからより多くの情報を引き出す
      • 同意を得た上で情報提供してもらうことが難しくなっているため、ダークパターンを用いてユーザーから情報を引き出す
    • サービスをより中毒性の高いものにする
      • より長くサービスを使ってもらう
  • なにを取り締まるべきか
    • パターン自体への法的対応(CCPA、FTC法)
      • 起こっている現象、行為のパターンを取り締まる
      • (おそらく)イタチごっこになるが、必要
      • 主観的な意図の証明は難しい
    • ユーザーが離れることで企業が改善する
      • 評判によってユーザーからの支持を失うことでの自浄作用
      • ユーザーのリテラシーに依存する:ユーザー教育が必要
    • 外部からの指摘
      • 専門家団体等のホワイトリスト作成
      • 実質的な影響力が課題
  • これからのダークパターン対応
    • 悪意を持った事業者
      • 規制とのイタチごっこ
      • 「膨大な情報に埋もれさせる問題」規制の難しさ
    • 多くの一般事業者
      • まだ認知が至っていない
      • 組織的な取り組みによって改善が見込める
  • まとめ 倫理的なデザインへの向き合い方
    • ダークパターン:ユーザーにお金を使わせ、個人情報を抜き取り、サービスにハマらせるために用いられる
      • EC以前からの商慣習に行動経済学の知見が加わり、グロースハックで加速した
      • これからの社会において、ますます広まっていく可能性がある
    • 「個々のデザイナの倫理観」と「システムとして防ぐ視点」が求められる
    • 「倫理的なデザイン」のためには、「ビジネス全体の意思決定として倫理的であること」が求められる観点を持つ必要がある
▼ 資料1-3 ナッジとダークパターンの小考察(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任准教授 クロサカ構成員)
  • ナッジだけでは効果が得られにくい?
    • 省エネ型の冷蔵庫・テレビ・エアコンという高額家電の消費をナッジが促進するかを検証した実験では、ナッジを適用したバナー広告やウェブサイト(ランディングページ)の効果が低いのではないか
    • 電力消費のピークシフトへの協力を求める際に、ナッジは最初は効果があるものの、その後は人々が慣れてしまい効果が低下する(持続的な行動変容には効かない)のではないか
    • ナッジを認知・啓蒙に用いながら、喚起された意識を行動・定着に結びつける「インセンティブ」との組合せが必要ではないか
  • 考察:ナッジとインセンティブの組合せの効果と課題
    • ナッジ単独のアプローチは「広告的」、ナッジとインセンティブを組み合わせたアプローチは「販売促進的」と言えるのではないか
    • 後者の方が消費者を識別したアプローチになるため、強い効果がある一方、リスクも生じやすいのではないか
    • ナッジ単独のアプローチ
      • 現在の料金プラン、利用実態(データ量、通話料)を示す
      • 他の(よりお得な)プランと比較できるようにする
      • 各消費者を区別しない広告的アプローチが働きやすく、広く認識されやすい
      • 誘導の効果が個別化されておらず抑制的なため、不利益変更が発生しにくい
      • 比較の理解に一定の関心や説明内容に対するリテラシーが消費者側に必要
      • 直接的な効果があまり期待できない可能性がある
    • ナッジとインセンティブを組み合わせたアプローチ
      • 現在の料金プラン、利用実態(データ量、通話料)を示す
      • 他の(よりお得な)プランと比較できるようにする
      • プラン移行のインセンティブを明確に提示する
      • 各消費者を識別した販売促進的アプローチが働きやすく、消費者自身が移行のメリットが理解しやすい
      • 誘導が相対的に強力で説得力がある
      • 消費者の識別やそれによるインセンティブが強く効き過ぎると、不利益変更への誘導が生じるリスクがある
      • 結果としてダークパターンに陥る可能性がある
  • 消費者がよりよい契約に適正に移行するためのインプリケーション
    • ナッジから分かること
      • 不満なくサービスを受けている間は、消費者が自分が契約をどのように履行しているのか、ほとんど自覚しない
      • しかしながら、そうした状態を認識してもらうためのナッジでは、認識や行動変容のレベルが上がらない
      • 契約後(1年程度経過時)や端末サポートが切れる等、消費者が「契約」を意識するタイミングでのナッジが重要
      • 前項のようなタイミングに、インセンティブを伴ったナッジを適正に行うことで、契約に係る行動変容を促す可能性がある
    • 回線契約の現実
      • 契約を見直すタイミングはたまにしか訪れない
      • 契約作業自体はライフサイクルの中ではほんの一瞬である
    • まずできることは何か
      • 契約時のナッジの提供:火災保険や自動車損害保険の契約時の申込書のように「インセンティブも含めて消費者が直感的に理解できる契約プランの比較」があってもいいのではないか
      • ただし広告的アプローチ、販売促進的アプローチのいずれも、ダークパターンへの留意が必要

総務省統計局 労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)12月分結果の概要
  • 就業者
    • 就業者数は6754万人。前年同月に比べ38万人の増加。17か月連続の増加
    • 雇用者数は6114万人。前年同月に比べ59万人の増加。22か月連続の増加
    • 正規の職員・従業員数は3592万人。前年同月に比べ21万人の増加。2か月連続の増加。
    • 非正規の職員・従業員数は2183万人。前年同月に比べ39万人の増加。4か月連続の増加
    • 主な産業別就業者を前年同月と比べると、「製造業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「情報通信業」などが増加
  • 就業率(就業者/15歳以上人口×100)
    • 就業率は61.4%。前年同月に比べ0.5ポイントの上昇
    • 15~64歳の就業率は79.4%。前年同月に比べ1.0ポイントの上昇
  • 完全失業者
    • 完全失業者数は156万人。前年同月に比べ2万人の減少。2か月ぶりの減少
    • 求職理由別に前年同月と比べると、「勤め先や事業の都合による離職」が2万人の減少。「自発的な離職(自己都合)」が5万人の増加。「新たに求職」が3万人の減少
  • 完全失業率(完全失業者/労働力人口×100)
    • 完全失業率(季節調整値)は2.4%。前月に比べ0.1ポイントの低下
  • 非労働力人口
    • 非労働力人口は4081万人。前年同月に比べ69万人の減少。22か月連続の減少

総務省 「プラットフォームサービスに関する研究会 第三次とりまとめ」及び 意見募集の結果の公表
▼ 別紙2 プラットフォームサービスに関する研究会 第三次とりまとめ
  • プラットフォーム事業者の利用規約に基づく自主的な削除が迅速かつ適切に行われるようにすることが必要
  • このような課題に対し、プラットフォーム事業者の誹謗中傷等を含む情報の流通の低減に係る責務を踏まえ、法制上の手当てを含め、プラットフォーム事業者に対して以下の具体的措置を求めることが適当
  • プラットフォーム事業者に、削除申請の窓口や手続の整備を求めることが適当
  • 申請方法が申請者に過重な負担を課するものとならないようにすることが適当
  • プラットフォーム事業者が申請等を受けた場合には、申請者に対して受付通知を行うことが適当
  • プラットフォーム事業者が当該申請等を受け付けた日時が申請者に対して明らかとなるようにすることが適当
  • プラットフォーム事業者は、自身が提供するサービスの特性を踏まえつつ、我が国の文化・社会的背景に明るい人材を配置することが適当
  • 前述の人材配置は、日本の文化・社会的背景を踏まえた対応がなされるために必要最低限のもののみを求めることが適当
  • プラットフォーム事業者に対し、一定の期間内に、削除した事実又はしなかった事実及びその理由の通知を求めることが適当
  • 発信者に対して意見等の照会を行う場合や専門的な検討を行う場合、その他やむを得ない理由がある場合には、一定の期間内に検討中である旨及びその理由を通知した上で、一定の期間を超えての検討を認めることが適当
  • プラットフォーム事業者が一定の期間を超えた検討の後に判断を行った際にも、申請者に対して対応結果を通知し、削除が行われなかった場合にはその理由をあわせて説明することが適当
  • 「一定の期間」の具体的な日数については、一週間程度とすることが適当
  • 期間を定めるに当たっては、一定の余裕を持った期間設定が行われることが適当
  • プラットフォーム事業者が判断を行った場合には、申請者に対して対応結果を通知し、削除を行わなかった場合にはその理由をあわせて説明することが適当
  • 申請件数が膨大となり得ることも踏まえ、過去に同一の申請者から同一の申請が繰り返し行われていた場合等の正当な理由がある場合には、判断結果及び理由の通知を求めないことが適当
  • 流通が生じやすい不特定者間の交流を目的とするサービスのうち、一定規模以上のものに対象を限定することが適当
  • 他のサービスに付随して提供されるサービスではないことも考慮することが適当
  • アクティブユーザ数や投稿数といった複数の指標を並列的に用いて捕捉することが適当
  • 事業者から直接報告を求めることが適当
  • 事業者からの報告が望めない場合等においては、他の情報を基に数値を推計することが適当
  • エンフォースメントも含め、海外事業者に対しても国内事業者と等しく規律が適用されるようにすることが適当
  • 「第3章 プラットフォーム事業者の対応の迅速化に係る規律」については、その対象となる情報の範囲を誹謗中傷等の権利侵害情報に限定することが適当
  • プラットフォーム事業者の誹謗中傷等を含む情報の流通の低減に係る責務を踏まえ、法制上の手当てを含め、プラットフォーム事業者に対して以下の具体的措置を求めることが適当
  • 削除等の基準について、海外事業者、国内事業者を問わず、投稿の削除等に関する判断基準や手続に関する「削除指針」を策定し、公表させることが適当
  • 指針の運用開始に当たっては、原則として、事前に一定の周知期間を設けることが適当である。
  • 「削除指針」の策定、公表に当たっては、日本語で、利用者にとって、明確かつ分かりやすい表現が用いられるようにするとともに、日本語の投稿に適切に対応できるものとすることが適当
  • 削除等の対象となった情報をプラットフォーム事業者が認知するに至る端緒の別に応じて、できる限り具体的に、投稿の削除等に関する判断基準や手続が記載されていることが適当
  • 過度に詳細な記載までは求めないことが適当である。ただし、個人情報の保護等に配慮した上で、実際に削除指針に基づき行われた削除等の具体例を公表することで、利用者に対する透明性を確保することが適当
  • プラットフォーム事業者が投稿の削除等を講ずるときには、対象となる情報の発信者に対して、投稿の削除等を講じた事実及びその理由を説明することが適当である。理由の粒度については、削除指針におけるどの条項等に抵触したことを理由に削除等の措置が講じられたのか、削除指針との関係を明らかにすることが適当
  • 過去に同一の発信者に対して同様の通知等の措置を講じていた場合や、被害者の二次的被害を惹起する蓋然性が高い場合等の正当な理由がある場合には、発信者に対する説明を求めないことが適当
  • 事業者の取組や削除指針に基づく削除等の状況9を含む運用状況の公表を求めることが適当
  • 「第3章 プラットフォーム事業者の対応の迅速化に係る規律」並びに「第4章 プラットフォーム事業者の運用状況の透明化に係る規律」のうち「1 削除指針」及び「2 発信者に対する説明」が利用者にとって重要性が高い事項について一定の措置を求めていることを踏まえ、これらの運用状況の公表を求めることが適当
  • 記「第3章 プラットフォーム事業者の対応の迅速化に係る規律」の「6(1)対象とする事業者」における整理が妥当することから、その対象事業者の範囲は「第3章 プラットフォーム事業者の対応の迅速化に係る規律」と同じ範囲に限定することが適当
  • 利用者のサービス選択や利用に当たっての安定性及び予見性を確保する観点からは、情報の種類如何に関わらず、プラットフォーム事業者が削除等の措置を行う対象となる情報について、プラットフォーム事業者の措置内容を明らかにすることが適当
  • 「第4章 プラットフォーム事業者の運用状況の透明化に係る規律」において対象とする情報の範囲については、削除等の対象となる全ての情報とすることが適当
  • このような個別の情報に関する罰則付の削除義務を課すことは、慎重であるべき
  • この要請に応じて自動的・機械的に削除することをプラットフォーム事業者に義務付けることについては、慎重であるべき
  • プラットフォーム事業者に対し、特定のアカウントを監視するよう法的に義務付けることは、慎重であるべき
  • 繰り返し多数の違法情報を投稿するアカウントへの対応として、アカウントの停止・凍結等を行うことを法的に義務付けることも考えられるが、このような義務付けは、慎重であるべき
  • 権利侵害情報の送信防止措置を請求する権利を明文化することについては、引き続き慎重に議論を行うことが適当
  • ノーティスアンドテイクダウンの導入については、慎重であるべき
  • これらの機関が法的拘束力や強制力を持つ要請を行うとした場合、これらの機関は慎重な判断を行うことが想定されることや、その判断については最終的に裁判上争うことが保障されていることを踏まえれば、必ずしも、裁判手続(仮処分命令申立事件)と比べて迅速になるとも言いがたいこと等から、上述のような第三者機関を法的に整備することについては、慎重であるべき
  • ADRを法的に整備することについては、慎重であるべきである。
  • 引き続き、関連する相談機関間の連携を深め、相談機関間の相互理解による適切な案内を可能にすることや知名度の向上を図ることが適当
  • 根本的な見直しを必要とする事情等があるか否かについて、生じる被害の法的性質も考慮しながら、引き続き状況の把握に努めることが適当
  • 違法・有害情報が未成年者に与える影響を踏まえて、未成年者のデジタルサービス利用の実態(未成年者におけるプラットフォームサービスの利用実態、青少年保護のための削除等の実施状況や機能、サービス上の工夫等)を把握した上で、必要な政策を検討すべきとの指摘があった。この点については、諸外国における取組のほか、日本における関連する機関や団体等における検討状況について、引き続き把握及びその対策の検討に努めることが適当
  • 方、炎上事案については、法解釈等の観点から課題が存在していることから、人格権侵害の成否を巡る議論の動向に注視しつつ、引き続きプラットフォーム事業者の自主的取組を促進することが適当である。
  • 前回ヒアリングと比較し、JFCの創設を通じた協力関係の構築やSMAJでの行動規範策定の議論が進んでいることなど、我が国においても取組が進められつつある。
  • 前回ヒアリングと比較し、JFCの創設を通じた協力関係の構築が進んでいることなど、各事業者において我が国におけるファクトチェック推進団体やファクトチェック団体、諸外国のファクトチェック団体との連携が行われている。
  • 2023年3月の調査結果によると、直近1か月の間にインターネット上のメディアで偽情報を週1回以上見かけた人の割合は、日本で4割台、諸外国(米、英、仏、韓)で5~6割台であった。情報源ごとの偽情報を見かける頻度は、日本ではSNSが最も高く、それにニュース系アプリ・サイト、動画投稿・共有サービスが続いた。日本で直近1か月の間にSNSで偽情報を多く見かけたと回答した人の割合は41.4%であった。
  • インターネットやメディアで流れる情報全般について、日本において情報の真偽を見分ける自信を尋ねると、30代から60代にかけて、「自信がない」が「自信がある」よりも高くなった。また、具体的な情報に絞って尋ねると、「新型コロナウイルスやそのワクチンに関する情報」については「自信がある」(32.0%)と「自信がない」(30.5%)の差が小さくなった一方、「ウクライナ情勢に関する情報」については、「自信がない」と答えた割合(41.5%)が情報全般について尋ねた場合(34.8%)よりも高くなった。
  • 実際のコロナワクチンと政治関連の偽情報12件を使って行われた2022年の調査結果によると、40.4%の人が1つ以上に接触していた。偽情報に接触して、その情報が誤っていることに気づいた割合は、コロナワクチン関連が43.4%、政治関連は20.3%にとどまった。年代別に見ると、とりわけ政治関連の偽情報において、50代や60代(誤っていることに気づいた割合がそれぞれ18.7%、14.2%)の方が、20代から40代にかけての世代(同20.9%~26.3%)よりも誤っていると気づきにくい傾向が見られた。
  • 偽情報の拡散行動を分析した結果によると、偽情報を拡散しやすい傾向にあるのは、偽情報を信じている人(コロワクチン関連の偽情報の場合、誤っていると気づいている人に比べて拡散確率が20.7ポイント高い)、メディアリテラシーや情報リテラシーが低い人(コロナワクチン関連の偽情報の場合、メディアリテラシーが最も低い人は、最も高い人に比べて拡散確率が27.1%高い)である。
  • また、コンサバティブに不利なものとリベラルに不利なものの2つの実際の政治関連の偽情報を使った実証実験の結果によると、コンサバティブ・リベラルいずれの立場でも、偽情報を見て支持を下げる人が少なくなかった。特に弱い支持をしていた人ほど支持を下げやすい傾向が見られた。
  • 本研究会では、プラットフォーム事業者による偽情報への対応の実施状況についてモニタリングを行ってきた。プラットフォーム事業者による投稿の削除やアカウントの停止等の措置に関する透明性・アカウンタビリティを確保することは、当該サービスのユーザ及びユーザ以外の者による客観的な根拠に基づく批評を可能にし、こうした批評がプラットフォームサービスの運営にフィードバックされることを通じて、投稿の削除やアカウントの停止等の措置の運用の改善につながることが期待される。したがって、こうしたモニタリングの取組については、継続的に実施していくことが適当である。なお、前述のとおり、2023年のモニタリングにおいて、Twitter(現X)からは、再三の求めにもかかわらずヒアリングシート及び発表資料が提出されなかった。任意とはいえ、資料が提出されなかったことは遺憾である。
  • 本研究会では、派生的論点として、フィルターバブル、エコーチェンバー及び分極化等の現象についても検討した。こうした現象が偽情報の拡散に寄与しているか否かは、計算社会科学等の学術分野における更なる研究が期待されるところであり、本研究会において結論づけることができるものではない。もっとも、第44回会合及び第46回会合において有識者から指摘された点を踏まえると、レコメンデーションに関するアルゴリズムの公開やリテラシー教育等の方法により、利用者が情報に対して選択的接触を行っていることを、当該利用者に対して認知させることが重要である。
  • 加えて、近時は、生成AIやメタバース等の新たな技術・サービスの出現によりデジタル空間が更に拡大・深化している。このような中、インターネット上の偽情報の生成・拡散やプラットフォーム利用者の情報に対する選択的接触の問題は、アテンション・エコノミーを構造的要因とする場合を含め、プラットフォーム事業者だけでなく、生成AI事業者、仮想空間関係事業者、通信・放送事業者、利用者等の多様なステークホルダーが連携・協力して対応すべき、デジタル空間における情報流通の健全性に関わる課題の一つと言える。
  • 総務省は、生成AI等による巧妙な偽情報の生成や拡散に伴う社会的な影響の深刻化を含む、デジタル空間における情報流通を巡る新たな課題と多様化するステークホルダーによる対応等の現状を分析し、デジタル空間における情報流通の健全性確保に向けた今後の対応方針と具体的な方策について検討するため、2023年11月より「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」(座長:宍戸常寿 東京大学大学院法学政治学研究科教授)を開催し、検討を継続している。今後、インターネット上の偽情報の生成・拡散やプラットフォーム利用者の情報に対する選択的接触の問題については、以上述べた観点を踏まえ、当該検討会において議論を深化させていくことが期待される。
  • なお、フィルターバブル、エコーチェンバー及び分極化等の現象を分析する研究を含むデジタル空間における情報流通に関する研究においては、実データの入手が重要であると考えられる。プラットフォーム事業者においては、APIの開放等により、研究者が情報空間に関する実データを入手しやすい環境を整備することが期待される。
  • 今年度のモニタリング結果を踏まえ、総務省による今後の利用者情報の取扱いに関するモニタリングについては、以下のとおり行っていくことが適当である。
    • 電気通信事業GL第52条第2項等に基づき、デジタル広告分野に限らず、利用者情報の取扱いについて、継続的にモニタリングを行うべきである。
    • 上記のモニタリングを行うに当たり、総務省において安定的なモニタリングの枠組みを作ることが必要である。
    • 上記のモニタリングを行うに当たり、事業者からの情報提供が十分に得られるように、総務省においては、ヒアリング項目や方法の工夫を行うとともに、必要に応じ制度的な対応も検討すべきである。
    • 上記のモニタリングを行うに当たっては、特に利用者保護の観点に立ち、新たなターゲティング手法の登場等の業界の動向を踏まえながら、プラットフォーム事業者における情報取得の方法等、利用者情報の取扱いについて確認していく必要がある。
    • 上記のモニタリングを行うに当たっては、特に、今般のモニタリング結果において要検討事項と指摘された事項について検討を深めることが必要である。その上で、プラットフォーム事業者が、アカウントを取得していない利用者やログインをしていない利用者からも情報を取得していること、第三者や、第三者のウェブサイトを通じて情報を取得していることに関し、利用者保護の観点から、対応を行うべき点がないかについて検討を行うことが必要である。

【消防庁】

※現在、該当の記事はありません。

【その他省庁】

【2024年4月】

警視庁 警視庁のウェブサイトを模倣した偽サイトに注意
  • 警視庁ホームページを模倣した偽サイトがあることが分かりました。偽サイト内のアイコンなどをクリックすると、悪質なサイトに誘導され、サイバー犯罪等の被害に遭う可能性がありますのでご注意ください。
  • 注意すべき点
    • URLのアドレスを確認する。
      • アドレス欄をよく見る、リンクにポインタを置きアドレスを表示させるなどして、アドレスを必ず確認してください。
      • 警視庁のウェブサイトの正しいアドレスはhttps://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/です。
    • 不審と思われるアドレスにアクセスしない。
      • 不審と思われる場合には、安易にアクセスしたり、当該ウェブサイト上のリンクをクリックしたりしないでください。
  • 内閣官房内閣サイバーセキュリティセンターからの注意喚起
▼ 我が国の公的機関や企業等の偽サイトにご注意ください(注意喚起)
  • 我が国の政府機関や地方公共団体などの公的機関、企業・団体等の本物のWebサイトと同じ内容を表示する偽サイトの存在が確認されています。これらの偽サイトのうちには、クリック先が悪質なサイトへのリンクに置き換えられているものがあり、サイバー犯罪等に用いられる可能性があります。
  • URLリンクから他のWebサイトに行くなど普段と異なる方法で利用する際は特に、リンクにポインタを置く、アドレス欄をよく見る等により、URLのドメイン名を必ず確認してからにしてください。
  • ドメイン名が正規の公的機関等と無関係なものであるなど不審と思われる場合には、別の検索エンジンを利用するなどの方法で本物のWebサイトのURLを確認してください。不審な場合には、安易にアクセスしたり、当該Webサイト上の何かをクリックしたり絶対にしないでください。
  • 政府においては、サイバーセキュリティ関係機関等とも連携しながら、引き続き被害の拡大防止に努めてまいります

【2024年3月】

復興庁 第39回復興推進会議[令和6年3月19日]
▼ 資料1ー1 「第2期復興・創生期間」以降における東日本大震災からの復興の基本方針の変更について(案)(概要)
  • 現行の基本方針は、令和3年度から令和7年度までを第2期復興・創生期間と位置づけ、この期間の取組の方針等を定めるもの。
  • 上記基本方針において、「復興施策の進捗状況、原子力災害被災地域からの復興の状況を踏まえ、3年後を目途に必要な見直しを行うものとする。」とされていることから、今般、必要な見直しを行う。
  • 基本的な考え方
    • 現行の基本方針における整理
      • 地震・津波被災地域:第2期復興・創生期間に復興事業がその役割を全うすることを目指す
      • 原子力災害被災地域:(令和3年度からの)当面10年間、本格的な復興・再生に向けた取組を行う
      • 今回の見直しでは、第2期復興・創生期間の開始後に大きな進展のあった復興施策の状況や、自治体の状況等を踏まえて、令和7年度までの第2期復興・創生期間内での復興を見据えた修正を行う。
  • 主な見直し事項
    • 廃炉・ALPS処理水の放出関係
      • 廃炉の必要性、対策の進捗状況、放射線データ等について、迅速、的確かつ分かりやすい情報発信を行う旨を記載。
      • 燃料デブリ取り出しは世界にも前例のない困難な作業であり、国・東京電力・原賠廃炉機構が一体となり内外の技術的知見を集めた集中的な検討が必要である旨を追記。
      • 放出後の万全の安全性確保,モニタリングの適切な実施,科学的根拠に基づく透明性の高い情報の国内外への発信に政府全体で取り組む旨を追記。
      • 「水産業を守る」政策パッケージ(令和5年9月4日)も踏まえて風評対策、なりわい継続のための支援等に取り組む旨を追記。
      • ALPS処理水の海洋放出は長期間にわたることが見込まれるものであり、東京電力に緊張感をもった対応を求めていく旨を追記。
    • 「特定帰還居住区域」制度の創設関係
      • 令和5年6月に福島特措法を改正し「特定帰還居住区域」制度を創設したこと、また、同制度のもと、これまで4町の特定帰還居住区域復興再生計画を認定しており、これに基づき除染やインフラ整備等の避難指示解除に向けた取組を進めていく旨を追記。
      • 避難指示解除の時期等について、必要に応じ、除染等が進捗した地域から段階的に避難指示を解除することも検討する旨を追記。
      • それぞれの土地の状況や地元自治体の意向も踏まえ、帰還困難区域において、物理的な防護措置を実施しない立入規制の緩和を行うことを含め、住民等の今後の活動の在り方について検討を行う旨を追記。
    • 除去土壌等の最終処分・再生利用関係
      • 取組の安全性について、全国に向けた理解醸成活動を推進し、国民の理解・信頼の醸成につなげる旨を記載。
      • 除去土壌等の県外最終処分に向け、除去土壌の再生利用先の創出等のための政府一体となった体制整備に向けた取組を進める旨を追記。
    • 福島国際研究教育機構関係
      • 福島イノベーション・コースト構想を更に発展させ、福島をはじめ東北の復興を実現するための夢や希望となるものとするとともに、我が国の科学技術力の強化を牽引し、経済成長や国民生活の向上に貢献する、世界に冠たる「創造的復興の中核拠点」を目指してF-REIを設立。
      • 研究開発や産業化、人材育成等の取組を推進するとともに、機構の当初の施設について復興庁設置期間内での順次供用開始を目指し、早期に建設工事に着手するなど、さらに可能な限り前倒しに努める旨を追記。
      • 国内外への情報発信や広報活動などを積極的に行うとともに、自治体や関係機関等との広域連携を進める旨を追記。
    • 東日本大震災の記憶と教訓関係
      • 「復興の教訓・ノウハウ集」の海外を含めた普及・啓発、「復興政策10年間の振り返り」の関係者等への普及・啓発に努める旨を追記。

公安調査庁 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づく再発防止処分の決定について
  • 公安調査庁長官は、いわゆるオウム真理教と同一性を有する「Aleph」について、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定に基づく再発防止処分の請求を行っていたところ、本日(令和6年3月11日)、公安審査委員会から、同処分を行う旨の決定書を受け取りました。
  • 公安審査委員会におかれては、厳正かつ慎重な審査の結果、三度目となる再発防止処分を決定したものと承知しており、同決定により、「Aleph」は、3月21日から6か月間、(1)当該団体が所有し又は管理する特定の土地又は建物の全部又は一部を使用することが禁止されるとともに、(2)金品その他の財産上の利益の贈与を受けることが禁止されることとなります。
  • このうち、(1)について、現在の再発防止処分期間中、「Aleph」の構成員が新たに不動産を確保するなど、「Aleph」が一部使用禁止施設以外の場所での活動を企図する動きが認められたことも踏まえ、不動産賃貸事業等を営む不報告の収益事業の運営拠点たる事務所が所在する2施設が一部使用禁止施設として追加されるとともに、不報告施設であり「Aleph」が実質的に経営する不報告の収益事業の事業所が所在する1施設についても、一部使用禁止施設として追加されました。引き続き、処分違反行為や処分潜脱の動きの把握に努め、これに対して厳正に対処してまいります。
  • また、(2)についても、引き続き、通常の取引活動や費用徴収であるかのように仮装して金品等の贈与を受けるなどの処分違反行為の把握に努め、同様に厳正に対処してまいります。
  • 公安調査庁としましては、引き続き、警察当局と緊密に連携を図りながら、再発防止処分の実効性を確保していくとともに、観察処分を適正かつ厳格に実施し、当該団体の活動実態を把握するなどして、公共の安全を確保し、松本・地下鉄両サリン事件等の被害者・遺族や地域住民を始め国民の皆様の不安感の解消・軽減に鋭意努めてまいる所存です。

復興庁 復興推進委員会(第43回)[令和5年11月22日]
▼ 資料2-2 東日本大震災からの復興の状況に関する報告(案)
  • 経験したことのない複合的な大災害
    • 東日本大震災をもたらした平成23年東北地方太平洋沖地震は、モーメントマグニチュード 9.0という我が国の観測史上最大の地震であり、世界でも西暦1,900年以降で4番目の巨大地震となった。同地震の震源域は、岩手県沖から茨城県沖まで、長さ約450km、幅約200kmに及び、最大震度7の地震動が観測されるとともに、大津波の発生により6県で561㎢が浸水する等、広範囲にわたる甚大な被害を生じた。
    • この震災により、13都道県で死者19,765名(震災関連死を含む。)を生じ、いまだに6県で2,553名の方が行方不明となっている(いずれも令和5年3月1日時点)。また、9都県で122,039棟の住宅が全壊、13都道県で283,698棟が半壊となり(いずれも令和5年3月1日時点)、発災当初の避難者は最大で約47万人、応急仮設住宅等の入居者は約32万人に及んだ。
    • また、今般の震災では、地震及び津波による被害に加え、福島第一原子力発電所の事故による放射性物質の放出に伴い、同施設周辺の多くの住民が避難を余儀なくされ、農林水産業のみならず製造業を含めたあらゆる産業が大きな打撃を受け、さらには、国内外に風評被害が及ぶなど、未曾有の複合災害となった。
  • 特別な法律等
    • 発災翌日の平成23年3月12日、同地震を激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和37年法律第150号)に基づく「激甚災害」として指定することを閣議決定し、当該災害の復旧事業等に係る国庫補助のかさ上げ措置を適用した。また、復興期間における復旧・復興事業の規模をあらかじめ示し、必要な財源を確保するための「復興財源フレーム」を策定した。
    • こうした措置に加え、東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律(平成23年法律第40号)による補助の拡大等の措置を講じ、さらに、東日本大震災復興特別区域法(平成23年法律第122号。以下「復興特区法」という。)や福島復興再生特別措置法を制定し、被災地域の状況に応じた支援措置を講じてきた。
    • 加えて、小規模で財政力に乏しい地方公共団体の甚大な被災を受けて、人的資源の確保や財政運営を支える仕組みを整備した。
    • その他、株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法(平成23年法律第113号)に基づき、事業者の再生を支援するための機構を設置する等、支援に必要な措置を講じた。
  • 復興に向けた取組の状況及び今後の方向性
    • 被災者支援については、被災者一人一人が直面している課題が異なり、被災者を取り巻く社会情勢も変化する中、被災者支援総合交付金などを活用し、生活再建のステージに応じた切れ目のない支援を実施してきた。被災者が地域社会から孤立することや孤独に悩むことを防ぎ、安全・安心な生活を再建できるよう、コミュニティ形成や心身のケア等のきめ細かな支援を推進し、事業の進捗に応じた支援を継続している。
    • 災害公営住宅の整備・高台等の宅地造成については、令和2年度までの復興・創生期間内に全て完了した(帰還者向けのものを除く。)。引き続き、意向の変化等によりまだ活用されていない宅地や、防災集団移転促進事業の移転元地等を活用する被災市町村の取組の後押しを進めている。
    • 産業・生業の再生の面では、被災企業がいち早く事業再開できるよう、仮設店舗・工場の整備、施設・設備の復旧補助金の交付、信用保証、二重ローン対策などによる企業活動の再開と継続支援、産業集積や雇用確保のための税制、利子補給、企業立地補助などに取り組んできた。
    • また、販路の確保・開拓等様々な課題に直面する被災事業者のニーズにきめ細かく対応するため、「新しい東北」の企業連携に関する取組として、支援企業等と被災地域企業のマッチングの場の創出や、被災中小企業の経営課題を解決するハンズオン支援事業等、販路開拓等を支援する専門家の派遣等の支援を実施してきた。その結果、企業活動に係る指標は全体としておおむね震災前の水準程度に回復した。他方で、地域間・業種間で復興の度合いに差があることから、対象地域の重点化等を図りながら、引き続き支援策を実施している。
    • 人材確保の面では、膨大な復旧・復興に係る事務・事業の担い手となる地方公共団体の人的資源不足に対応するため、関係省庁や団体の連携による全国の地方公共団体からの職員派遣、被災市町村での任期付職員採用、復興庁で採用した任期付職員の派遣等により、被災市町村への人的支援を行ってきている。
    • また、復興の進捗状況や地域・個人の課題が多様化し、きめ細かなニーズ把握や取組が求められており、「心の復興」や交流人口の増加等のソフト面を中心に、NPOやボランティア団体等の活動への期待や果たすべき役割は大きく、多様な主体による活動が円滑かつ効果的に進められるよう、必要な協力体制の構築等も行ってきている。
    • 原子力災害被災地域においては、住民の帰還による避難指示解除区域等の復興・再生を第一の目的として帰還環境整備等を進めてきた。特定復興再生拠点区域については、拠点計画に基づき、令和4年6月には葛尾村及び大熊町、令和4年8月には双葉町、令和5年3月には浪江町、令和5年4月には富岡町、令和5年5月には飯舘村の避難指示が解除された。また、特定復興再生拠点区域外については、令和5年6月に福島特措法を改正し、特定避難指示区域の市町村長が避難指示解除による住民の帰還及び当該住民の帰還後の生活の再建を目指す「特定帰還居住区域」を設定できる制度を創設した。大熊町及び双葉町については、両町の一部区域について、令和5年度から先行的な除染を実施するため、それぞれ特定帰還居住区域復興再生計画が策定され、令和5年9月に内閣総理大臣が認定を行ったところである。
    • 東北地方を中心に未曽有の被害をもたらした東日本大震災の発生から、12年以上の歳月が経過した。自然災害と原子力災害との複合災害という、経験のない事態への対応が求められる中、困難な状況にあっても、被災者をはじめ、国、地方公共団体、ボランティアやNPO、民間企業、さらに一人ひとりの国民が協力して歩みを進めてきた。
    • その取組の結果、地震・津波被災地域では、インフラの復旧や住まいの再建・復興まちづくりはおおむね完了し、産業・生業の再建も着実に進展しており、復興の「総仕上げ」の段階に入っている。その一方で、心のケア等の被災者支援をはじめ、中核産業である水産加工業の売上げ回復等、今後も一定の支援が必要な事業がなお残ることから、一刻も早い復旧・復興事業の完了を目指し、きめ細かい取組を推進している。
    • また、原子力災害被災地域においては、避難指示が解除された地域における帰還環境の整備が進むなど、復興・再生が本格的に始まっているが、引き続き国が前面に立ち、中長期的な対応が必要である。復興のステージが進むにつれて生じる新たな課題や多様なニーズにきめ細かく対応しつつ、本格的な復興・再生に向けた取組を進めていく。
    • 復興に当たっては、被災地が震災以前からの人口減少や産業空洞化等の全国の地域に共通する中長期的な課題を抱えていることを踏まえ、「まちに人が戻る」ことを目指すのみならず、交流人口・関係人口や移住者の拡大を図り、魅力あふれる地域の創造を目指しており、政府全体の施策を活用して、持続可能で活力ある地域社会を創り上げていく。

文化庁 文化審議会著作権分科会法制度小委員会(第7回)
▼ 資料2-2 AIと著作権に関する考え方について(素案)令和6年2月29日時点版
  • 人とAIとの関係については、広島AIプロセスにおいて「人間中心主義」や「信頼できる人間中心のAIの責任あるスチュワードシップ」が謳われていることや、我が国の「人間中心のAI社会原則」においても「人間中心の原則」が示されているように、人がAIを高度な道具として補助的に用いることが原則と考えられる。本考え方においても、人が道具としてAIを使用するものであり、これに伴う行為の責任はAIを道具として用いる人に帰属するということを前提としている。
  • 著作権法は、著作物に該当する創作的表現を保護し、思想、学説、作風等のアイデアは保護しない(いわゆる「表現・アイデア二分論」)。この理由としては、アイデアを著作権法において保護することとした場合、アイデアが共通する表現活動が制限されてしまい表現の自由や学問の自由と抵触し得ること、また、アイデアは保護せず自由に利用できるものとした方が、社会における具体的な作品や情報の豊富化に繋がり、文化の発展という著作権法の目的に資すること等が挙げられる。
  • 本小委員会の審議においてもヒアリング等を通じて確認したように、例えばテキストの生成においては、ある単語に続く単語の出現確率を計算することを繰り返すことで生成が行われているものであり、通常、学習データの切り貼りによって生成を行うものではないとされる。なお、この生成の機序については、後掲4で示す関係者の懸念が大きいところであり、生成AIの開発や提供を行う事業者等から分かりやすい形で社会に対する発信がされることが望ましい。
  • 生成AIに関係する当事者
    • 生成AIは、その開発・提供・利用の各場面において立場の異なる複数の者が当事者として関係する。この当事者としては、以下のような者が想定される。なお、AIの開発・提供・利用の態様によっては、同一の者が複数を兼ねる場合もある。
      • AI開発事業者
    • 生成AI(学習済みモデル)の開発に向けた、学習データの収集、学習用データセットの構築、及び学習用データセットを用いたAI学習等の行為を行う者。主として事業者が想定されるが、これに限るものではない。
      • AIサービス提供事業者
    • 既存の生成AIに対する追加的な学習、生成AIを組み込んだソフトウェアやサービスのAI利用者に対する提供等の行為を行う者。主として事業者が想定されるが、これに限るものではない。
      • AI利用者
    • 生成AIを組み込んだソフトウェアやサービスを利用して、コンテンツの生成及び生成物の利用を行う者。事業者及び非事業者(個人利用者)のいずれも想定される。
  • 開発・学習段階における著作物の利用行為
    • 生成AIとの関係において著作物が利用される場面を概観すると、大きく「開発・学習段階」と「生成・利用段階」に分けられる。
    • このうち、開発・学習段階においては、AI(学習済みモデル)作成のための学習や、生成AIを用いたソフトウェア又はサービスの開発に伴って、次のような場面で著作物の利用行為が生じることが想定される。
    • AI学習用データセット構築のための学習データの収集・加工
    • 基盤モデル作成に向けた事前学習
    • 既存の学習済みモデルに対する追加的な学習
    • 検索拡張生成(RAG)等において、生成AIへの指示・入力に用いるためのデータベースの作成
    • そのため、これらの場面における、それぞれの利用行為について、法第30条の4の適用有無といった著作権法との関係を検討することが必要となる。
  • いわゆる「作風」は、これをアイデアにとどまるものと考えると、上記2.(1)アのとおり、「作風」が共通すること自体は著作権侵害となるものではない。他方で、アイデアと創作的表現との区別は、具体的事案に応じてケースバイケースで判断されるものであるところ、生成AIの開発・学習段階においては、このような特定のクリエイターの作品である少量の著作物のみからなる作品群は、表現に至らないアイデアのレベルにおいて、当該クリエイターのいわゆる「作風」を共通して有しているにとどまらず、創作的表現が共通する作品群となっている場合もあると考えられる。このような場合に、意図的に、当該創作的表現の全部又は一部を生成AIによって出力させることを目的とした追加的な学習を行うため、当該作品群の複製等を行うような場合は、享受目的が併存すると考えられる。
  • 既存のデータベースやインターネットWeb上に掲載されたデータに著作物が含まれる場合でも、RAG等に用いられるデータベースを作成する等の行為に伴う著作物の複製等が、回答の生成に際して、当該データベースの作成に用いられた既存の著作物の創作的表現を出力することを目的としないものである場合は、当該複製等について、非享受目的の利用行為として法第30条の4が適用され得ると考えられる。
  • 生成AIによる生成物についても、その生成・利用段階において、既存の著作物との類似性及び依拠性が認められれば、当該既存の著作物の著作権者は、生成物の生成行為や利用行為が、既存の著作物の著作権侵害に当たるとして、当該行為の差止請求や損害賠償請求を請求し得る。また、故意による著作権侵害に対しては、刑事罰の適用があり得る。
  • 類似性及び依拠性が認められ著作権侵害となる場合でも、前記(1)オ及び後記(2)エのとおり、当該侵害によりどのような措置(差止請求・損害賠償請求・刑事罰)を受け得るかは、行為者の故意又は過失の有無によることとなる。
  • 著作権法上、「著作物」は「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」(法第2条第1項第1号)と定義されており、AI生成物が著作物に該当するかは、この著作物の定義に該当するか否かによって判断される。
  • また、「著作者」は「著作物を創作する者をいう。」(同項第2号)と定義されている。AIは法的な人格を有しないことから、この「創作する者」には該当し得ない。そのため、AI生成物が著作物に該当すると判断された場合も、AI自身がその著作者となるものではなく、当該AIを利用して「著作物を創作した」人が当該AI生成物(著作物)の著作者となる。
  • 人間による、ある作品の創作に際して、その一部分にAI生成物を用いた場合、以下で検討するAI生成物の著作物性が問題となるのは、当該AI生成物が用いられた一部分についてであり、仮に当該一部分について著作物性が否定されたとしても、当該作品中の他の部分、すなわち人間が創作した部分についてまで著作物性が否定されるものではない。
  • 生成AIと著作権の関係については、政知における上記のような取組みとともに、民間の当事者間において、生成AIに関する著作物の利用についての適切なルール・ガイドラインの策定や、生成AI及びこれに関する技術についての共通理解の獲得、AI学習等のための著作物のライセンス等の実施状況、海賊版を掲載したウェブサイトに関する情報の共有などが図られることが、AIの適正な開発及び利用の環境を実現する観点から重要である。この当事者としては、AI開発事業者・AIサービス提供事業者・AI利用者及び権利者に加えて、個人のクリエイターやその表現の場となるコンテンツ投稿プラットフォーム事業者等による適切な関与が期待される。

外務省 ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置について
  • ウクライナをめぐる現下の国際情勢に鑑み、この問題の解決を目指す国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与するため、主要国が講ずることとした措置の内容を踏まえ、閣議了解「ロシア連邦関係者に対する資産凍結等の措置等について」(令和6年3月1日付)を行い、これに基づき、外国為替及び外国貿易法による次の措置を実施することとした。
  • 措置の内容
    1. 資産凍結等の措置
      • 外務省告示(3月1日公布)により資産凍結等の措置の対象者として指定されたロシア連邦の関係者(9個人・7団体)、ロシア連邦の特定銀行(1団体)及びクリミア自治共和国及びセヴァストーポリ特別市のロシア連邦への「併合」又はウクライナ東部の不安定化に直接関与していると判断される者並びにロシア連邦による「編入」と称する行為に直接関与していると判断されるウクライナの東部・南部地域の関係者と判断される者(3個人)に対し、(ア)及び(イ)の措置を実施する。
        • (ア)支払規制 外務省告示により指定された者に対する支払等を許可制とする。
        • (イ)資本取引規制 外務省告示により指定された者との間の資本取引(預金契約、信託契約及び金銭の貸付契約)等を許可制とする。
          • (注)資産凍結等の措置の対象となるロシア連邦の特定銀行として新たに指定された1団体に対する資産凍結等の措置は令和6年3月31日から実施する。
    2. ロシア連邦の特定団体への輸出等に係る禁止措置
      • 外務省告示(3月1日公布)によりロシア連邦の特定団体として指定された29団体への輸出等に係る禁止措置を実施する。
    3. ロシア連邦の産業基盤強化に資する物品の輸出の禁止措置
      • ロシア連邦の産業基盤強化に資する物品の輸出の禁止措置を導入する。
    4. ロシア連邦を原産地とする非工業用ダイヤモンド(ロシア連邦国外で加工されたものを含む。)の輸入に係る禁止措置
      • ロシア連邦を原産地とする非工業用ダイヤモンド(ロシア連邦国外で加工されたものを含む。)の輸入に係る禁止措置を導入する。
  • 上記資産凍結等の措置等の対象者
    • 別添参照
▼ (別添1)資産凍結等の措置の対象となるロシア連邦の団体、個人及び特定銀行
▼ (別添2)資産凍結等の措置の対象となるクリミア自治共和国及びセヴァストーポリ特別市のロシア連邦への「併合」又はウクライナ東部の不安定化に直接関与していると判断される者並びにロシア連邦による「編入」と称する行為に直接関与していると判断されるウクライナの東部・南部地域の関係者と判断される者
▼ (別添3)輸出等に係る禁止措置の対象となるロシア連邦の団体

外務省 ガザ地区における人道状況の悪化を受けた緊急無償資金協力
  • 2月27日、日本政府は、パレスチナ・ガザ地区での戦闘が長引く中で、現地の人道状況が看過し得ない状況にあることを踏まえ、新たに3,200万ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定しました。
  • 今回の協力では、国連世界食糧計画(WFP)、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)等を通じ、食料、保健等の分野で人道支援を実施します。
  • 日本政府として、引き続き、全ての当事者に対し、ガザ地区における人道状況の改善や事態の早期沈静化等に向けた外交努力を粘り強く積極的に続けていきます。
  • (参考)支援実施機関、拠出額及び支援分野
    • 国連世界食糧計画(WFP):食料・栄養(1,000万ドル)
    • 世界保健機関(WHO):保健(1,000万ドル)
    • 国連児童基金(UNICEF):水・衛生、栄養、子どもの保護(850万ドル)
    • 国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC):食料、一時的避難施設、水・衛生(300万ドル)
    • 国連人道問題調整事務所(OCHA):機関間調整(50万ドル)

【2024年2月】

外務省 日・ウクライナ経済復興推進会議
▼ウクライナの経済成長及び復興の推進のための日ウクライナ協力の深化に関する共同コミュニケ(仮訳)
  • シュミハリ首相は、2023年の日本のG7議長年における、特に、ヴォロディミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領も参加したG7広島サミットにおける岸田総理大臣の力強いリーダーシップを高く評価した。両首相は、関連する国際場裡の下での協力を更に強化する意図を表明した。
  • 両首相は、緊急復旧プロジェクト及びウクライナの大規模な復興の双方に日本が参加する上での土台を築く、本会議における決定の重要性を強調した。シュミハリ首相は、ウクライナにおけるプロジェクトの実施のために、日本の高度な技術力並びに戦後復興及び甚大な自然災害後の復旧における日本ならではの経験が重要であることを強調した。
  • 両首相は、ウクライナの女性及び子どもたちの苦しみを軽減するため、復興のあらゆる段階における女性・平和・安全保障(WPS)アジェンダの実施及び子どもたちのニーズの重要性を強調し、この文脈で、両首相は、復興活動のために女性の更なるエンパワーメント及び女性のリーダーシップの推進が必要であることを強調した。また、女性及び子どもたちを含む全てのウクライナ避難民が安全かつ速やかに祖国に戻れる状況を回復することは決定的に重要である。
  • 岸田総理大臣は、ウクライナの自立的かつ持続可能な発展という最終的な目標に向けて、民間部門の代表者を含む様々な当事者の参画を通じたマルチ・ステークホルダー・アプローチをとることにより、日本側がウクライナの人々のニーズに耳を傾け、ウクライナの復旧及び復興に積極的に貢献する用意があることを再確認した。特に、岸田総理大臣は、関連分野において世界有数の専門技術を有する日本の大企業及び最先端技術を有するスタートアップ企業を含む中小企業の役割を強調した。
  • この関連で、両首相は、緊急復旧プロジェクト及び大規模な復興のための協業及び協力並びに両国の民間企業間のウクライナ経済の復興及び成長を強調する、本会議において発表された意図表明文書、協力覚書及び契約を歓迎した。
  • 両首相は、本会議における決定の効率的な実施を確保するために進捗状況をフォローアップし、更なる協力を推進するよう、双方の関係省庁に指示した。かかる取組の調整のため、関連当局は、それぞれの政府により割り当てられる。
  • シュミハリ首相は、日本政府及び日本国民に対し、ウクライナへの揺るぎない支援並びに財政的、人道的及び技術的な支援の提供に深い感謝の意を表明した。
  • 岸田総理大臣は、ウクライナ及びウクライナの人々が、ウクライナの自由及び独立を守り、領土一体性を回復することに対する支援のコミットメント及びウクライナにおける第一次産業から第三次産業までの網羅的な経済発展の達成を目的として、ウクライナ経済の安定を確保するために必要な長期的支援を提供するという日本のコミットメントを再確認した。
  • 岸田総理大臣は、地雷対策・がれき処理及び人道状況改善・生活再建といった初期の緊急復旧支援フェーズに始まり、農業、バイオテクノロジーなどの革新的な製造業並びにデジタル及びIT/ICTの発展といった経済復興及び産業高度化まで、復興のあらゆるフェーズにおける日本の継続的な支援を表明した。また、岸田総理大臣は、エネルギー及び交通のインフラ整備支援の回復並びに汚職対策及びガバナンス強化といった基盤を構築することの重要性を強調した。両首相は、両国の民間部門の参加が、両国間の協力を進展させるための具体的なプロジェクトを実現する鍵であると強調した。
  • 両首相は、対露制裁の維持及び強化がロシアの軍事活動を抑止する上で極めて重要かつ効果的な措置であることにつき一致し、及び制裁措置の迂回を防ぐために必要な行動をとる決意を確認した。
  • 両首相は、世界の食料安全保障の確保を目的とする、重要かつ国際的なイニシアティブ、特に、ゼレンスキー大統領の人道的なイニシアティブである「Grain from Ukraine(ウクライナからの穀物)」を維持する必要性を強調した。
  • 両首相は、両国が、貿易・経済関係の深化、農業・インフラ開発の強化、デジタル化及びグリーン・トランジション・イニシアティブの推進、科学及び文化の分野における協力の促進並びに個々人の関係構築の促進といった多くの分野において、二国間協力の更なる拡大に向けていまだ実現していない大きな潜在性を有していることを認識した。
  • 両首相は、所得に対する租税に関する二重課税の除去並びに脱税及び租税回避の防止のための日本国政府とウクライナ政府との間の条約への署名を歓迎した。また、両首相は、投資の促進及び保護に関する日本国とウクライナとの間の協定の見直しのための交渉開始の発表を歓迎した。これらの国際約束は、日本とウクライナとの間の相互の投資及び経済の交流を一層促進することを通じて、ウクライナの経済成長及び復興に資する。
  • 両首相は、ウクライナの経済安定の維持、経済成長及び復興の推進のためには、両国の関係機関のみならず国際金融機関を通じた融資及び保証を最大限活用することにより与信可能なプロジェクトを実現することが重要であるとの見解を共有した。
  • この点において、シュミハリ首相は、日本による世界銀行融資への信用補完及び無償資金協力を含む財政支援の迅速な実施を高く評価した。また、シュミハリ首相は、ウクライナの復興ニーズに対応するための、欧州復興開発銀行(EBRD)の増資のコンセンサス及びEBRDの総務による承認を導いた日本の主導的な役割に深い感謝の意を表明した。さらに、シュミハリ首相は、国際通貨基金(IMF)に設置されたウクライナ能力開発基金に対する国内歳入動員強化を支援するための日本の貢献、並びに民間部門の投資及び技術革新を促進するために国際金融公社(IFC)の包括的日本信託基金に新設されるウクライナ・ウィンドウに日本が貢献する予定であることに謝意を表明した。
  • また、シュミハリ首相は、国際協力銀行(JBIC)と黒海貿易開発銀行(BSTDB)との間のツーステップローンを供与するための了解覚書への署名を歓迎した。
  • 両首相は、日本貿易保険(NEXI)がウクライナ向けの海外投資及び貿易保険のための新たなクレジットラインを設定したことを歓迎した。
  • 両首相は、日本国財務省とウクライナ財務省との間で2023年8月2日に開始された日ウクライナ財務協議を継続し、並びに運輸、インフラ、エネルギー、デジタル技術、農業及び環境の分野における両国の関係省庁間の協力を深化させることが重要であることで一致した。
  • シュミハリ首相は、ウクライナにおける無償資金協力及び技術協力プロジェクトを含むプロジェクトの実施のための国際協力機構(JICA)の活動の重要な役割を強調した。
  • 岸田総理大臣は、ウクライナ側からの要請を受け、日本貿易振興機構(JETRO)の駐在員事務所をキーウに設置する日本のコミットメントを確認した。シュミハリ首相は、ウクライナにおけるJETRO事務所の設置のために包括的な支援を提供する用意があることを表明した。両首相は、日本とウクライナとの間の二国間の経済協力を強化し、及び向上させるため、かかる協力が重要であることを確認した。
  • 両首相は、経団連(日本経済団体連合会)のウクライナに関する委員会及びウクライナ経済省下のウクライナ対日経済協力調整協議会の活動を強化することが重要であると認識し、二者間の協力を強化するための経団連とウクライナ経済省との間の共同取決めへの署名を歓迎した。
  • 岸田総理大臣は、ウクライナの民間部門の代表者による訪問を促進することを目的として、ウクライナ国民のための査証の発給要件を緩和する日本側の意図を発表した。
  • 両首相は、両国が、科学及び文化・人的交流の分野における二国間協力を更に拡大する大きな潜在性を有していることを認識し、並びに教育及び科学技術の分野における協力覚書への署名を歓迎した。
  • また、両首相は、気候変動への対応における二国間協力を強化するための共同努力の一環として、日本国政府とウクライナ政府との間の二国間クレジット制度に関する協力覚書への署名を歓迎した。
  • 両首相は、国際社会との協力の下、日本がウクライナを支援することを確認し、並びにウクライナの経済成長及び復興を推進するために第三国及び国際機関と協働することの重要性を認識した。
  • 両首相は、昨年6月にロンドンで開催されたウクライナ復興会議の成果を認識した上で、本年6月に予定されるドイツ主催のウクライナ復興会議の準備のため、日ウクライナ経済復興推進会議の成果を強調し、ウクライナに対する国際的な支援を強化することの重要性を確認した。

公安調査庁 「Aleph(アレフ)」を対象とする再発防止処分の請求について(令和6年2月1日請求)
  • 本日(令和6年2月1日)、観察処分に付されている、いわゆるオウム真理教と同一性を有する、「Aleph(アレフ)」の名称を用いる団体について、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定に基づき、公安審査委員会に対して、再発防止処分の請求を行いました。
  • 再発防止処分請求に係る公安調査庁のコメントや同処分請求の概要、オウム真理教の現状については、以下のとおりです。
▼ 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づく再発防止処分の請求に係る公安調査庁コメント
  • 公安調査庁長官は、令和6年2月1日、同年1月12日に8回目の期間更新決定を受け、観察処分に付されている、いわゆるオウム真理教と同一性を有する、「Aleph」の名称を用いる団体について、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の規定に基づき、公安審査委員会に対し、再発防止処分の請求を行いました。
  • 現在、再発防止処分下にある「Aleph」は、令和5年7月の再発防止処分請求以降においても、同法で定められている報告すべき事項の一部を報告しておらず、公安調査庁としては、報告の是正を求めるため、指導文書の発出を繰り返し行ってまいりました。
  • しかし、「Aleph」は、指導文書の一部を受領さえしないという対応をしており、いまだに報告すべき事項の一部を報告せず、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難である状況に変化は見られません。
  • このため、現在の再発防止処分の期間満了後においても、引き続き、必要な限度で活動の一部を一時的に停止させるとともに、速やかにその危険性の程度を把握するため、新たに再発防止処分の請求を行ったものです。
  • 今次請求に係る処分の内容は、(1)「Aleph」管理下の土地・建物の全部又は一部の使用禁止、(2)金品等の贈与を受けることの禁止であり、処分の期間は6か月間が相当であると考えております。このうち、(1)については、現在の再発防止処分の期間中における「Aleph」の活動状況等に鑑み、一部使用禁止を求める建物につき、新たに3施設を追加して請求しました。
  • 今後は、公安審査委員会において、審査の上、決定がなされるものと考えております。
  • 公安調査庁としましては、引き続き、観察処分の適正かつ厳格な実施により、公共の安全を確保し、松本・地下鉄両サリン事件等の被害者・遺族や地域住民を始め国民の皆様の不安感の解消・軽減に鋭意努めて努めてまいる所存です。
▼ 再発防止処分請求の概要(2)
  • 被請求団体の名称
    • 平成12年1月28日、公安審査委員会によって、3年間、観察処分決定を受け、平成15年1月23日以降令和6年1月12日までの間に、3年ごとに、順次観察処分の期間更新決定を受けた「麻原彰晃こと松本智津夫を教祖・創始者とするオウム真理教の教義を広め、これを実現することを目的とし、同人が主宰し、同人及び同教義に従う者によって構成される団体」(本団体)と同一性を有する、「Aleph」の名称を用いる団体
  • 請求に係る処分の内容・根拠となる法令の条項
    • 再発防止処分
    • 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律第8条第1項、同条第2項第2号、第5号
  • 再発防止処分の要件該当性
    • 「Aleph」が観察処分の期間更新決定を受けている団体であること(要件該当性①)
      • 「Aleph」は、令和6年1月12日に8回目の期間更新決定を受けた本団体と同一性を有することから、観察処分の期間更新決定を受けている団体に該当
    • 「Aleph」が法に規定された要報告事項の一部の不報告に及んでいること(要件該当性②)
      • 「Aleph」は、法に規定された要報告事項(人的要素、物的要素、資金的要素、主要な活動に関する事項、公安審査委員会が特に必要と認める事項)のうち、少なくとも以下の事項について不報告(公安調査庁からの指導にも応じず)
        • 構成員の氏名・住所の一部(人的要素)
        • 土地・建物の一部(物的要素)
        • 「Aleph」の預貯金その他「Aleph」の営む収益事業の資産(資金的要素)
        • 出家した構成員の位階・「Aleph」の営む収益事業の種類及び概要等の一部(公安審査委員会が特に必要と認める事項)
    • 「Aleph」の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認められること(要件該当性③)
      • 本件一部不報告自体が、危険性の程度の把握を困難にするもの
      • 任意調査や立入検査によっても、公安調査官の質問に回答しないなど、「Aleph」が組織ぐるみで対抗措置を徹底して講じていることなどから、要報告事項に関する情報の入手が困難
      • →「Aleph」の無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度の把握が困難
  • 再発防止処分に関する意見
    • <処分の内容>
      • 「Aleph」が所有し又は管理する特定の土地又は建物(専ら居住の用に供しているものを除く。)の全部又は一部の使用を禁止すること(団体規制法第8条第2項第2号)
        • 本件一部不報告により、資金的要素を始めとする各危険な要素の把握が困難であるため、「Aleph」が実質的に経営する収益事業の事業所(作業場所、事務所、道場等)を含む施設及び報告されていない「Aleph」管理下の施設の使用を一時的に停止させる必要がある
        • →4施設の全部及び12施設の各一部を対象
      • 「Aleph」が金品その他の財産上の利益の贈与を受けることを禁止すること(団体規制法第8条第2項第5号)
        • 本件一部不報告、特に、「Aleph」の預貯金及び「Aleph」が実質的に経営する収益事業の資産の不報告により、資金的要素の把握が困難であるため、その拡大となる贈与を受けることを一時的に停止させる必要がある
    • <処分の期間>
      • 6か月間
▼ オウム真理教特集ページ

【裁判所】

※現在、該当の記事はありません。

【東京都】

※現在、該当の記事はありません。

【その他(国内)】

【2024年4月】

内閣官房 総合的な防衛体制の強化に資する研究開発及び公共インフラ整備に関する関係閣僚会議(第4回) 議事次第
▼ 別添2 総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラの運用・整備方針について
  1. 目的
    • 国家安全保障戦略(令和4年12月16日国家安全保障会議決定及び閣議決定)において、「総合的な防衛体制の強化の一環として、自衛隊・海上保安庁による国民保護への対応、平素の訓練、有事の際の展開等を目的とした円滑な利用・配備のため、自衛隊・海上保安庁のニーズに基づき、空港・港湾等の公共インフラの整備や機能を強化する政府横断的な仕組みを創設する。あわせて、有事の際の対応も見据えた空港・港湾の平素からの利活用に関するルール作り等を行う」とされたことを踏まえ、総合的な防衛体制の強化のための公共インフラの運用・整備方針について、以下のとおり確認する。
  2. 運用・整備方針
    • 運用
      • 国土交通省及び防衛省は、安全保障環境を踏まえた対応を実効的に行うため、自衛隊・海上保安庁の航空機・船舶が平素において必要な空港・港湾を円滑に利用できるよう、国土交通省、海上保安庁、防衛省及び空港管理者又は港湾管理者との間に「円滑な利用に関する枠組み」を設け、必要な調整を実施する。当該枠組みを設けた空港・港湾を「特定利用空港・港湾」とする。
    • 整備
      • 国土交通省は、「特定利用空港・港湾」においては、民生利用を主としつつ、自衛隊・海上保安庁の航空機・船舶の円滑な利用にも資するよう、自衛隊・海上保安庁のニーズも考慮して、必要な整備又は既存事業の促進を図る。
  3. 特定利用空港・港湾
    • 特定利用空港・港湾は別紙のとおりとする。
  4. その他
    • 2の方針を踏まえ、国土交通大臣は、空港法(昭和31年法律第80号)第3条第1項及び港湾法(昭和25年法律第218号)第3条の2第1項に基づいてそれぞれ定める「基本方針」を変更するものとする。
    • 2の方針は、安全保障環境の変化等を踏まえて、適時適切に見直すものとする。
  • 別紙
    • 特定利用空港
      • 沖縄県:那覇空港(国)
      • 宮崎県:宮崎空港(国)
      • 長崎県:長崎空港(国)、福江空港(長崎県)
      • 福岡県:北九州空港(国)
    • 特定利用港湾
      • 沖縄県:石垣港(石垣市)
      • 福岡県:博多港(福岡市)
      • 高知県:高知港・須崎港・宿毛湾港(高知県)
      • 香川県:高松港(香川県)
      • 北海道:室蘭港(室蘭市)、釧路港(釧路市)、留萌港(留萌市)、苫小牧港(苫小牧港管理組合)、石狩湾新港(石狩湾新港管理組合)

内閣官房 新しい資本主義実現会議(第25回)
▼ 資料1 基礎資料
  • 生産年齢人口(15~64歳)は、2032年、2043年、2062年にはそれぞれ7,000万人(58.7%)、6,000万人(54.1%)、5,000万人を割り(52.7%)、2070年には4,535万人(52.1%)まで減少する(カッコ内は総人口に占める割合)。一方で、50~64歳は減少するものの、総人口に占める割合は他の年齢階級と比較し、2020年(19.1%)、2032年(22.1%)、2043年(18.7%)、2062年(19.4%)、2070年(19.4%)とさほど変わらない。人手不足の中で中高年齢層の活躍できる環境整備が鍵。
  • 人手不足の中で、仕事意欲のある中高年層の活躍機会を確保することは重要。最近の米国の経済学者の研究によれば、起業のケースについて、急成長スタートアップ企業(上位0.1%)の創業時の平均年齢は意外に高く、45歳であることが明らかとなった。これまでの仕事の経験を生かせる起業は、起業の成功確率を高めることが分かった。
  • 2030年と2040年を比較すると、大多数の都道府県で、人手不足率は増加している。人手不足率が減少するのは東京都など4都県のみ
  • 日本は、人手不足と言いながら、電子メール、表計算ソフト、インターネット、プログラミング言語、リアルタイム・ディスカッション・ツール、ワープロソフトの使用頻度が高い業務に従事する労働者の割合が世界各国と比べ特に低い。我が国のリ・スキリングの対象は専門家もさることながら、それぞれの産業でICTの基本的な使用ができるようになることではないか。
  • 自動化技術を利用している企業は、利用していない企業と比べ、生産性・賃金が高いという相関がある。
  • 仕事でのAI利用による業務効率の向上効果は、全産業平均で21.8%。専門サービス業(法律事務所、公認会計士事務所、デザイン業、経営コンサルタント業等)では27.6%、運輸業では27.5%、宿泊・飲食では27.0%とさらに高い。
  • 人手不足の中で、AI、ロボットなどの自動化技術を利用している企業は、我が国でも、増加傾向にある。
  • MBA型の教育プログラムにぎりぎり合格してトレーニングを受けた人と、ぎりぎり不合格になった人を比較。合格者は、その後キャリア階層を上がっていることを確認できた。その理由は、MBAの称号を持っていることによるシグナル効果ではなく、トレーニングを受けた人が働く施設の生産性が、そうでない人が働く施設と比べて上昇しており、その結果として、キャリア階層が上がっていることが統計的に確認できた。リ・スキリングで、マネジメントのスキルを上げることで生産性は上昇し、処遇が改善される。
  • 民間の調査会社によると、多少なりとも価格転嫁ができている中小企業は、2022年12月時点で69.2%であったが、2024年2月時点で75.0%に上昇。他方、価格転嫁が全くできないと回答した企業も比率が減少しているとはいうものの(15.9%→12.7%)、残っており、転嫁対策の徹底が必要。特に、困難と言われる労務費の転嫁について徹底が必要。
  • 取引段階別の転嫁状況については、「川上」、「川中」といったBtoB取引は相対的に転嫁が進んでいるが、輸送機械器具製造(自動車製造等)など業種によって転嫁率が低いところがある。さらに、飲食店や家電小売や自動車ディーラーなど「川下」の一部のBtoC取引の転嫁率は低い。消費者に対して、転嫁に理解を求めることも大切。
  • コロナ禍において実施された実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)については、85.7%の企業が全額返済できる見通し。他方で、12.2%の企業が返済に不安を抱えている。コロナ後も先行きが見通しにくい企業が含まれていると考えられる。
  • 後継者が不在である企業は、2017年(66.5%)以降低下傾向。
  • 足元では、経営者について、ストックベースで見ても、従来の同族承継が低下し、「内部昇格」や「M&Aにより外部から就任する企業」が増加している。今後についても、承継の多様化を期待。
  • 後継者が不在(後継者を決めて事業継続したいが決められていない+自分の代で廃業する)と回答した企業のうち、赤字企業の割合は3割弱に過ぎない。黒字企業であっても、後継者が不在であるがために、廃業に至る可能性があるケースが多く、このような経営者のため、事業承継・M&A等の抜本的な環境整備が重要。
  • 日本の社長の最頻年齢は65.6歳であり、米国(58.6歳)、フランス(56.6歳)、ドイツ(55.0歳)と比べて高い。高齢者層については、意欲・健康度の分散が大きく、他の方に経営を任せたいと考える社長に対しては、その機会を提供していく環境整備が重要。
  • 私的整理を取り扱う中小企業活性化協議会の2022年度の相談件数は過去最高の6,409件。リーマンショック後、これまでの大きな変化として、私的整理(破産等の裁判所での手続きに至る前に、債権者との合意により債務整理を行うこと)が増加(この間、裁判所での倒産の新規受付件数が、2003年25.2万件から2022年7.1万件に減少)。経営者の実情に応じた対応が可能な私的整理の更なる環境整備は重要。
  • 従業員一人当たり売上高を指標として、合併を経て存続した企業と退出した企業が経済全体に与えた影響をみると、合併を経て存続した企業の生産性改善効果の方が大きいため、合併による効果の総和はプラス。
  • グループ化の取組(複数のM&A)を行っている企業は、M&Aを実施していない企業及びM&Aを1回実施している企業と比較して、売上、利益、労働生産性、成長の指標(修正ROIC)で上回っており、高い成果を達成している。
  • M&Aを仲介している者はファイナンシャルアドバイザーに比べ、仲介業者による比率が大きい。仲介業者は、譲渡側、譲受側双方から手数料をとり利益相反となっているとの指摘がある。M&Aの前後の事業統合作業(PMI(Post Merger Integration):買収前後に実施する事業統合作業)の観点からは、地方銀行等による仲介を大幅に増加させたいところ。
  • 金額別にM&A仲介の最低手数料の分布をみると、500万円が最頻値。次いで1,000万円の設定をしている支援機関が多い。
  • M&Aを実施する際の障壁については、買い手・売り手いずれにおいても、「期待する効果が得られるかよくわからない」、「判断材料としての情報が不足している」、「相手先(買い手・売り手)が見つからない」、「仲介の手数料が高い」の割合が高い。経営者が早期の段階から専門家に相談できる体制を官民挙げて強化する必要があるのではないか。
  • M&A実施意向ありと回答した企業の相手先企業の探し方は、1位が「金融機関に探索を依頼する」で72.9%、2位が「専門仲介機関に探索を依頼する」で45.9%。中小企業庁の「事業承継・引継ぎ支援センターに紹介を依頼する」(10.2%)、や「商工会議所・商工会に紹介を依頼する」(7.9%)の比率はまだ低く、強化、周知徹底が必要。
  • 売り手としてM&Aを実施する際に重視する事項としては、「従業員の雇用維持」の占める割合が82.7%と他の理由と比べとりわけ高い。現下の人手不足状況の方が雇用維持は担保しやすく、М&Aを行いやすい環境にある。
  • 大企業で職業経験を有する人材が登録されたリストをREVIC(地域経済活性化支援機構)で管理し、地方銀行等を活用して地域の中堅・中小企業とのマッチングを行う事業を2021年10月より開始。この際、受け入れ側の地域の中堅・中小企業に対して最大500万円を給付(転籍:最大500万円、兼業・副業、出向:最大200万円)。事業開始以降、累計で2,628人の大企業人材の登録に対し、65人がマッチング人数で、まだ少ない。官民を挙げたより広範なマッチングが必要。
  • 人口減少等の厳しい状況にある地方において、国民生活および経済活動の基盤となるサービスを提供し続けることは重要。乗合バス等の路線を維持するため、鉄道やフェリー等との調整を含め、ダイヤ調整等についてカルテルを例外的に認めるとともに、地域銀行の合併等に際し、独占禁止法を適用しないこととする特例法を2020年11月に施行。乗合バス事業については、6件のカルテル、地域銀行については2件の経営統合が実現。立法措置によらずとも、運用で可能な範囲について、必要な生活基盤の維持のための配慮が必要。

【2024年3月】

内閣官房 全世代型社会保障構築会議(第17回)議事次第
▼ 資料2 全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)について
  • 働き方に中立的な社会保障制度等の構築
    • 国民の価値観やライフスタイルが多様化し、働き方の多様化もますます進んでいる中で、格差の固定化や貧困の防止を図り、社会の分断を防ぐ観点からも、働き方にかかわらずセーフティネットが確保され、誰もが安心して希望どおりに働くことができる社会保障制度等の構築を目指す。
    • 同時に、少子化対策の観点からも、子育て・若者世代が将来に展望を持つことができ、生涯未婚率の低下にもつなげられるよう、非正規雇用労働者を取り巻く課題の解決や、希望すれば誰もが主体的に成長分野などの企業へ円滑に移動できるような環境整備を図る。
  • 来年度(2024年度)に実施する取組
    • 労働市場や雇用の在り方の見直し
      • 「同一労働同一賃金ガイドライン」等の必要な見直しの検討
        • 「同一労働同一賃金」については、その履行確保に向けた取組を一層強力に推進するとともに、「同一労働同一賃金ガイドライン」を含めたパートタイム・有期雇用労働法の施行後の状況に関する調査結果を踏まえ、必要な見直しを検討する。
      • 「多様な正社員」の拡充に向けた取組
        • 勤務地等を限定した「多様な正社員」の導入拡大を図るため、企業が自らの雇用管理上の課題を分析・把握し、ステップを踏んで「多様な正社員」制度等を選択・導入できるよう、「課題分析ツール」の作成等を行う。
      • 非正規雇用労働者の待遇改善に係る取組状況に関する企業の取組の促進
        • 非正規雇用労働者の待遇改善に関する取組状況について、情報開示を行っている企業の事例を収集、整理した上で、好事例として横展開するなど、企業の取組の促進策を検討する。
      • 経験者採用(中途採用)に関する企業の取組の促進
        • 経験者採用(中途採用)に関する企業の取組状況について、非財務情報の開示対象に加えることも含め、企業の取組の促進策を検討する。
      • 三位一体の労働市場改革の推進
        • 賃上げを一過性のものとせず、構造的賃上げとして確固たるものとするため、(1)リ・スキリングによる能力向上支援、(2)個々の企業の実態に応じた職務給の導入、(3)成長分野への労働移動の円滑化、の三位一体の労働市場改革について、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂版」で決定した事項を、早期かつ着実に実施する。
      • 成長意欲のある中堅・中小企業のグループ化に向けた支援
        • 三位一体の労働市場改革の推進と併せて、成長意欲のある中堅・中小企業が、複数の中小企業をグループ化して経営資源を集約化するとともに、親会社の強みのある経営方針やシステム、人材育成の共有化等を通じ、グループ一体となって飛躍的な成長を遂げることができるよう検討を行う
  • 「加速化プラン」の実施が完了する2028年度までに実施について検討する取組
    • 勤労者皆保険の実現に向けた取組
      • 短時間労働者への被用者保険の適用に関する企業規模要件の撤廃
        • 週20時間以上勤務する短時間労働者への被用者保険の適用拡大について、報告書において「早急に実現を図るべき」とされたことを踏まえ、2024年末の結論に向けて企業規模要件の撤廃等について引き続き検討する。
      • 常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種の解消
        • 常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種の解消について、報告書において「早急に図るべき」とされたことを踏まえ、2024年末の結論に向けて引き続き検討する。
      • 週所定労働時間20時間未満の労働者、常時5人未満を使用する個人事業所への被用者保険の適用拡大
        • 週所定労働時間20時間未満の労働者について、報告書において「具体的な方策について、実務面での課題や国民年金制度との整合性等を踏まえつつ、着実に検討を進めるべき」とされたこと、また、常時5人未満を使用する個人事業所への被用者保険の適用拡大については、「被用者保険の適用を図る道筋を検討すべき」とされたことを踏まえ、2024年末の結論に向けて引き続き検討する。
      • フリーランス・ギグワーカーの社会保険の適用の在り方の整理
        • フリーランス・ギグワーカーについて、「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」に照らして、現行の労働基準法上の「労働者」に該当する方々については、「被用者性」も認められ、適用除外の対象となる場合を除いて被用者保険が適用される旨を明確化したところ、その適用が確実なものとなるよう、労働行政と社会保険行政との連携を図っており、着実に推進していく。
        • 上記以外の「労働者性」が認められないフリーランス・ギグワーカーに関しては、新しい類型の検討も含めて、被用者保険の適用を図ることについて、フリーランス・ギグワーカーとして働く方々の実態や諸外国の例なども参考としつつ、引き続き、検討を深める。
      • 年収の壁に対する取組
        • いわゆる「年収の壁」については、社会全体で労働力を確保するとともに、労働者自身も希望どおり働くことのできる環境づくりに向けて、当面の対応策である「年収の壁・支援強化パッケージ」を着実に実行する。
        • また、「年収の壁」を意識せずに働くことが可能となるよう、制度の見直しに取り組む
  • 2040年頃を見据えた、中長期的な課題に対して必要となる取組
    • フリーランス・ギグワーカーの社会保険適用の在り方も含めた勤労者皆保険の構築など、働き方に中立的な社会保険制度の在り方の検討
  • 「地域共生社会」の実現
    • 人口構造及び世帯構成が変化し、家族のつながりや地縁も希薄化し、移動手段の確保も困難となる中で、今後、更なる増加が見込まれる単身高齢者の生活について、住まいの確保を含め、社会全体でどのようにして支えていくかが大きな課題である。高齢者福祉、障害福祉、児童福祉、生活困窮者支援などの制度・分野の枠や、「支える側」、「支えられる側」という従来の関係を超えて、外国人も含め、人と人、人と社会がつながり、一人一人が生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らせる包摂的な社会の実現が必要である。そこで重要なのは、各種サービスの担い手等による連携の下、地域全体で、多様な困りごとを抱える人やその家族を包括的に受け止め、一人一人に寄り添い、伴走支援するという視点である。この伴走支援は、各種サービスにつなぐという役割のみならず、人と人とのつながりを創出すること自体に価値を有するものである。
    • 単身高齢者、生活困窮者を始めとする地域住民が安心して日々の生活を営むことができるよう、入居後の総合的な生活支援も含めて、地域住民の生活を維持するための基盤となる住まいが確保されるための環境整備が必要であることから、住まい政策を社会保障の重要な課題として位置付け、必要な制度的対応を検討していく。
  • 来年度(2024年度)に実施する取組
    • 重層的支援体制整備事業の更なる促進
      • 重層的支援体制整備事業について、より多くの市町村において実施されるよう、引き続き必要な対応を検討・実施する。
      • 2024年度に、令和2年改正法13附則で定められた、施行後5年を目途とした検討規定に基づく検討を行い、検討結果に基づいて必要な対応を行う。
    • 多様な専門性や背景を持つソーシャルワーカーの確保・活用のための取組
      • 重層的支援体制整備事業が未実施の市町村を対象に、包括的支援体制を構築することの意義等を習得するための研修の実施について検討を行う社会福祉士の活用状況等、実態を把握するために行った調査研究事業も踏まえ、社会福祉士の更なる活用について検討を行う。
    • 複数の分野にわたる専門的知識を習得できるような工夫の検討
      • 医療・介護・福祉の国家資格に係る複数資格の取得促進、地域共生社会を支える人材の養成に関する研修の開発など、一人の人材が複数の分野にわたる専門的知識を習得できるような工夫の検討を行う。
    • 社会保障教育の一層の推進
      • 報告書を踏まえて今年度に見直しを行った教材等を活用し、社会保障の意義・役割、負担と給付の関係等について周知を行う。
    • 住まい支援の強化に向けた制度改正
      • 単身高齢者、生活困窮者を始めとする住宅確保要配慮者が、民間賃貸住宅に円滑に入居し、安心して生活できるようにするためには、住まいの確保等に関する相談支援から、転居支援、住まいが定まった後の支援まで、切れ目のない支援体制の構築を図る必要がある。このため、「住まい支援システム」の構築に向けたモデル事業14も踏まえつつ、引き続き自治体の取組に対する伴走支援を行いながら、以下の必要な見直しを行う。
      • 住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会における中間とりまとめ案(令和5年12月5日)を踏まえ、住宅確保要配慮者への居住支援の充実、賃貸人が住宅を提供しやすい市場環境の整備、住宅確保要配慮者のニーズに対応した住宅等の確保方策、地域における住宅・福祉・司法と連携した居住支援の体制づくり等の観点から、住宅セーフティネットの機能の一層の強化に資する必要な制度改正の実施に向けて、関係省庁の連携の下、更なる検討を深めていく。
      • 単身高齢者を始めとする高齢者の安心な住まいを確保するため、総合的・包括的な住まい支援の更なる全国展開に向けた取組を推進する。
      • 生活困窮者自立支援制度については、社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会における取りまとめ及び上記検討会における中間とりまとめ案を踏まえ、総合的な相談支援、入居前から入居中・退居時の支援、住まい支援に必要な地域資源開発・環境整備を推進するため、自立相談支援事業の住まい相談機能の明確化、地域居住支援事業や重層的支援体制整備事業の活用等の見直しを実施する。
      • また、生活困窮者自立支援制度等の見直しの円滑な施行に向けて、総合的な相談対応や一貫した支援を行うことができる実施体制を整備し、見守り支援や地域とのつながり促進支援などを行う新たなモデル事業(令和5年度補正予算で措置した自治体への補助事業)を一部の自治体において実施し、全国的な住まい支援体制の構築に向けた課題を把握・整理し、必要な対応を行う。
  • 「加速化プラン」の実施が完了する2028年度までに実施について検討する取組
    • 孤独・孤立対策の推進
      • 孤独・孤立対策推進法15に基づき、孤独・孤立対策推進本部において新たな重点計画を作成するなど、孤独・孤立対策を安定的・継続的に推進していくとともに、当該法の施行状況等を踏まえ、施行後5年を経過した段階で、孤独・孤立対策の在り方について更なる検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づき必要な措置を講じていく。引き続き、地域における官・民・NPO等の連携を推進するとともに、2024年5月から毎年5月に開催される「孤独・孤立対策強化月間」においても、官民連携して孤独・孤立についての理解・意識や機運を社会全体で高めていくための取組を集中的に行っていく。
    • 身寄りのない高齢者等への支援
      • 高齢者を中心として単身世帯等の急増が確実に見込まれる中で、身元保証から日常生活支援、死後事務の処理に至るまで、広く生活を支えていくため、既存の各施策も踏まえた上で、必要な支援の在り方について検討を行う。
    • 社会保障教育の一層の推進
      • 社会保障教育の一層の推進のため、高校教員への意見聴取等を通じて現場の実態を把握しながら、教材の見直し等の必要な取組や効果的な周知を実施する
  • 2040年頃を見据えた、中長期的な課題に対して必要となる取組
    • 人口構造及び世帯構成が変化し、更に家族のつながりや地縁の希薄化が進むと考えられる中で、住まい支援にとどまらず、人と人、人と社会がつながり、一人一人が生きがいや役割を持ち、助け合いながら暮らせる包摂的な社会の実現に向けた検討

内閣官房 指定行政機関の国民の保護に関する計画の変更について
  • 令和6年3月19日の閣議において、厚生労働省及び国土交通省・観光庁の国民保護計画の変更について「異議がない」旨を決定
    • 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律に基づき、全ての指定行政機関が、国民の保護に関する計画を作成し、その後も必要に応じて計画を変更しており、計画の作成及び変更に当たっては、内閣総理大臣への協議が必要とされている(軽微な変更を除く)。
    • 今般、厚生労働省、国土交通省及び観光庁から国民保護計画の変更について、内閣総理大臣への協議の申出があったところ、その内容について問題がないことから、「異議がない」旨の閣議決定を行った。変更内容の概要は別紙のとおり
  • 【厚生労働省】国土交通省へ移管される水道業務に係る事項の削除等
  • 【国土交通省・観光庁】厚生労働省から移管される水道業務に係る事項(水道用水の供給命令、給水制限、平素の備え、被災施設の復旧)の追加

外務省 2023年版開発協力白書の公表
  • 3月12日、「2023年版開発協力白書 日本の国際協力」を公表しました。
  • 外務省は、毎年、一年間の我が国の開発協力の実施状況をまとめた開発協力白書を公表しています。
  • 2023年版開発協力白書は、第I部で開発協力大綱の改定とG7広島サミットについて取り上げています。また、課題別の取組、地域別の取組、効果的・戦略的な開発協力の推進について取り上げ、その中では、ウクライナ及び周辺国に対する支援や民間企業やNGOなど多様な主体との連携等について紹介しています。
  • 一般の方が撮影した写真の特集や、公募したコラムを掲載し、ODAを題材として制作したテレビドラマやドキュメンタリー動画についても紹介する等、幅広く国民の皆様に親しみを持ってもらえるよう工夫しました。
  • 日本を含む世界全体は相互につながっており、開発協力を通じて、自由で開かれた秩序の下で、平和で安定し、繁栄した国際社会の構築に一層積極的に貢献していくことは、日本の国益に直結するものです。
  • 2023年版開発協力白書は、外務省のODAホームページに全文掲載されます。また、製本版白書は追って市販される予定です。
▼ (全文)2023年版開発協力白書
  • 世界は今、歴史の転換点にあります。ロシアによるウクライナ侵略、中東情勢、気候変動や感染症を始めとするグローバルな課題といった複合的な危機に直面している一方で、「グローバル・サウス」と呼ばれる開発途上国・新興国の重要性が増しています。
  • 日本は責任ある主要国として、全ての人が平和を享受できるよう、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化し、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を踏まえつつ、「人間の尊厳」が守られる安全・安心な世界を実現するための外交を推進していかなければなりません。
  • そのためには、外交の最も重要なツールの一つであるODAの一層戦略的・効果的な実施が重要です。2023年6月に開発協力大綱を8年ぶりに改定し、開発途上国の課題解決と同時に、対話と協働を通じた開発途上国との社会的価値の「共創」により、日本の社会経済面での成長等の国益実現にも資するようなODAを推進していくことを表明しました。
  • 2024年は、日本がODAを開始してから70年の節目に当たります。国際社会の平和と繁栄、日本の国益の双方の実現に貢献すべく、ODAの実施に当たり、次の3点に重点的に取り組みます。
  • 第一に、新しい時代における「質の高い成長」の実現のための取組の推進です。新たな開発協力大綱の下、日本の強みをいかした魅力的なメニューを提案するオファー型協力や民間資金動員型ODA等を開始し、官民が連携する形で開発途上国の質の高い成長を実現し、同時に日本の課題解決や経済成長につなげます。
  • 第二に、自由で開かれた世界の持続可能な発展に向けた貢献です。「自由で開かれたインド太平洋」のための新たなプランの推進に向けたODAの取組として、法制度整備支援や平和構築、連結性強化、強靱性・持続可能性等の実現に資する取組を進めます。また、力や威圧による一方的な現状変更の試みを許さず、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に取り組む決意を力強く示すべく、日・ウクライナ経済復興推進会議の成果も活用し、ウクライナおよび周辺国への幅広い支援に引き続き取り組みます。さらに、ガザ地区における人道危機を始め、脆弱な状況下に置かれている人々への迅速な支援も実施していきます。
  • 第三に、複雑化・深刻化する地球規模課題への国際的取組の主導です。人間の安全保障の理念に立脚し、人類が共通して直面する課題やSDGs達成に向け、食料・エネルギー、気候変動・環境、国際保健、難民・避難民、女性・平和・安全保障(いわゆるWPS)等の分野にしっかり取り組みます。人間中心の開発協力によって日本が培ってきた国際的な信頼は、日本の外交力の源泉となる重要な資産です。こうした信頼に基づき、多様な課題を抱える脆弱国に寄り添い、「人間の尊厳」を守る、日本らしい、きめ細かな開発協力を進めます。その際には、二国間協力と国際機関への拠出を戦略的・機動的に活用し、強力かつ迅速な取組を実施していきます。
  • これらの取組を力強く進める上では、時代の変化を踏まえ、ODAの一層の戦略的・効果的な活用に加え、その基盤の拡充と強化を図っていくことも不可欠です。同時に、ODAは公的資金を原資とした、国民の理解と協力に支えられている外交ツールであることは言うまでもありません。ODAが国民の平和と安定を確保し、国民生活の維持や日本の経済成長に寄与していることを丁寧に説明していきます。そして、ODAの開発効果を最大化させるために、民間企業、公的金融機関、国際機関、NGO、地方自治体などとの連携を一層強化していきます。日本を含む世界全体は相互につながっており、開発協力を通じて、自由で開かれた秩序の下で、平和で安定し、繁栄した国際社会の構築に一層積極的に貢献していくことは、日本の国益に直結するものです。
  • 2023年版開発協力白書は、日本の開発協力の1年間の実施状況を国民の皆様にご報告するものです。開発協力の実施には、国民の理解と支持が不可欠であり、皆様からの声に耳を傾け、一層の戦略的・効果的な実施に努めていきます。本書が一人でも多くの方々に読まれ、日本の開発協力の取組や意義に対するご理解の一助となることを願っています。
  • サプライチェーンの強靱化・多様化、経済の多角化
    • 日本は開発途上国の輸出能力や競争力を向上させるため、開発途上国が貿易を行うために重要な港湾、道路、橋などの輸送網の整備、発電所・送電網など産業関連インフラの整備といったハード面での協力に加えて、貿易管理・税関に関する行政手続の円滑化に向けて、税関職員、知的財産権の専門家の教育などの貿易関連分野における技術協力といったソフト面からも、開発途上国の貿易・投資環境や経済基盤の整備に向けた協力を行っています。
    • こうした協力を通じて、開発途上国の経済的強靭性と経済安全保障を強化していくことは、開発途上国の質の高い成長を確保しつつ、日本経済への裨益という成長の好循環を確保していく上で喫緊の課題となっています。こうした観点も踏まえ、2023年5月のG7広島サミットにおいて、日本はサプライチェーンや基幹インフラの強靱化を含む経済的強靱性と経済安全保障の強化に関する議論を主導しました。議論の結果、G7首脳は、G7枠組を通じて包括的な形で協働し、連携していくことを確認し、この課題に関する包括的かつ具体的なメッセージとして「経済的強靭性及び経済安全保障に関するG7首脳声明」を発出しました。
    • その中で、「特に途上国の強靱性の構築を支援する」との強い意志を再確認しました。加えて、G7として、クリーン・エネルギー移行に必要不可欠な重要鉱物および再生エネルギー機器製造のサプライチェーンの強靱化に関する「G7クリーン・エネルギー経済行動計画」を発表し、「世界中のパートナーとの協力および支援を深化させることを目指す」ことで一致しました。
    • サプライチェーン強靱化に資するインフラ支援の一例を挙げると、インドネシアの西ジャワ州・パティンバン港において、円借款や技術協力を活用し、日本企業の協力の下で、2018年から港湾開発およびアクセス道路整備を進めています。2021年12月には日本企業が出資する現地企業による自動車ターミナルの本格運営が開始され、2022年4月以降には港の拡張工事が進められ、有料アクセス道路の整備も開始されるなど、物流改善等に向けた官民が連携しての協力が進展しています。
    • インドネシア、カンボジア、タイ、フィリピン、ベトナム、ラオスを対象にサプライチェーン強靱化、持続的な物流システムの構築およびフードバリューチェーン強化に関する研修を実施しており、2022年度には計246人の行政官等が参加しました。
    • インドネシアにおいては、2022年から、国境付近の離島6島で、水産施設の整備に加え、離島経済活性化のため水産物の高付加価値化や島外への流通等を整備するための技術協力を実施しています。
    • 開発途上国の貿易を促進するための協力としては、日本は開発途上国産品の日本市場への輸入を促進するため、最恵国待遇関税率より低い税率を適用するという一般特恵関税制度(GSP)を導入しています。特に後発開発途上国(LDCs)解説に対して特別特恵関税制度を導入し、無税無枠措置解説をとっています。また日本は、経済連携協定(EPA)解説や投資協定を積極的に推進しています。これらの協定により、貿易・投資の自由化(関税やサービス貿易障壁の削減・撤廃等)および海外に投資を行う企業やその投資財産保護を通じたビジネス環境の整備が促進され、日本企業の開発途上国市場への進出を後押しし、ひいては開発途上国の経済成長にも資することが期待されます。
    • 日本を含む先進国による支援をさらに推進するものとして、世界貿易機関(WTO)や経済協力開発機構(OECD)を始めとする様々な国際機関等において「貿易のための援助(AfT)」解説に関する議論が活発になっています。日本は、AfTを実施する国際貿易センター(ITC)などに拠出し、開発途上国が貿易交渉を進め、国際市場に参入するための能力を強化すること、およびWTO協定を履行する能力を付けることを目指しています。2023年には、日本はITCを通じて、アフリカの女性起業家に対する電子商取引の活用に向けた支援、ナイジェリアにおけるワクチンの生産および配布の拡大に向けた技術協力、ナイジェリアを中心とする西アフリカの政府、ビジネス支援機関(貿易振興機関・商工会議所等)、零細・中小企業に対する能力構築支援、ウクライナにおける避難民の就労および起業支援などを行っています。
    • 税関への支援に関しては、ASEAN諸国を中心に、日本の税関の専門的知識や技術などの共有を通じて、税関の能力向上を目的とした支援を積極的に行っています。タイでは2021年7月から「税関人材育成能力強化プロジェクト」を実施しています。世界税関機構(WCO)への拠出を通じて、WCOが有する国際標準の導入や各国のベスト・プラクティスの普及の促進を通じた、国際貿易の円滑化および安全確保の両立等のための能力構築支援活動に貢献しています。日本の税関出身のJICA長期専門家をASEAN6か国に派遣し、ニーズに応じた支援を実施するとともに、アフリカではJICA/WCO合同プロジェクトとして、各国税関で指導的役割を担う教官を育成するプログラム(マスタートレーナープログラム)を実施しています。このプログラムは、2021年からは太平洋島嶼国にも拡大して実施しています。
    • 開発途上国の小規模生産グループや小規模企業に対して、「一村一品キャンペーン」解説への支援も行っています。開発途上国へ民間からの投資を呼び込むため、開発途上国特有の課題を調査し、投資を促進するための対策を現地政府に提案・助言するなど、民間投資を促進するための支援も進めています。
  • 治安維持能力強化
    • 日本の警察は、その国際協力の実績と経験も踏まえ、治安維持の要となる開発途上国の警察機関に対し知識・技術の移転を行いながら、制度作り、行政能力向上、人材育成などを支援しています。
    • その一例として、2023年、警察庁は、インドネシアへ2001年から継続して専門家派遣、研修、技術協力プロジェクトを実施したほか、アジアやアフリカ、大洋州などの各国から研修員を受け入れ、日本の警察の在り方を伝えています。
  • テロ対策
    • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりテロを取り巻く環境も大きく変化しました。新型コロナ対策のための行動制限は、都市部でのテロを減少させましたが、人々の情報通信技術(ICT)への依存が高まり、インターネットやSNSを使った過激派組織による過激思想の拡散が容易になりました。もともと国家の統治能力が脆弱だった一部の地域では、新型コロナの感染拡大によってガバナンスが一層低下したことにより、テロ組織の活動範囲が拡大しています。新型コロナ対策のための行動制限の緩和に伴い、テロ攻撃が多発する可能性を指摘する声もあります。
    • 2023年、日本は、テロを取り巻く環境の変化に迅速に対応するため、パートナー国とのテロ対策協議の実施や、G7議長国としてG7ローマ・リヨン・グループ会合の国内開催等を通じて、各国との連携強化や情報交換を進めてきました。
  • 違法薬物対策
    • 日本は、国連の麻薬委員会などの国際会議に積極的に参加するとともに、2023年は国連薬物・犯罪事務所(UNODC)への拠出を通じて、東南アジア等の国々の関係機関との連携を図り、新規化合物を含む違法薬物の流通状況の監視や国境での取締能力の強化を行うほか、薬物製造原料となるけしの違法栽培状況の調査等を継続的に実施し、グローバルに取り組むべき課題として違法薬物対策に積極的に取り組んでいます。
    • また、警察庁では、アジア太平洋地域を中心とする関係諸国を招き、薬物情勢、捜査手法および国際協力に関する情報共有や協力体制の強化を図っています。
  • 人身取引対策
    • 日本は、人身取引に関する包括的な国際約束である人身取引議定書や、「人身取引対策行動計画2022」に基づき、人身取引の根絶のため、様々な取組を行っています。
    • 日本は国際移住機関(IOM)への拠出を通じて、日本で保護された外国人人身取引被害者に対して母国への安全な帰国支援や、被害者に対する精神保健・医療的支援、職業訓練などの自立・社会復帰支援を実施しています。日本は、二国間での技術協力、UNODCなどの国連機関のプロジェクトへの拠出を通じて、東南アジア等の人身取引対策・法執行能力強化に向けた取組に貢献しているほか、ロシアの侵略を受けて難民・避難民が多数発生しているウクライナおよびモルドバへの支援として国境管理強化と人身取引対策に協力しています。また、人の密輸・人身取引および国境を越える犯罪に関するアジア太平洋地域の枠組みである「バリ・プロセス」への拠出・参加などを行っています。
  • 国際的な資金洗浄(マネー・ローンダリング)やテロ資金供与対策
    • 国際組織犯罪による犯罪収益は、さらなる組織犯罪やテロ活動の資金として流用されるリスクが高く、こうした不正資金の流れを絶つことも国際社会の重要な課題です。そのため、日本としても、金融活動作業部会(FATF)などの政府間枠組みを通じて、国際的な資金洗浄(マネー・ローンダリング)やテロ資金供与の対策に係る議論に積極的に参加しています。世界的に有効な資金洗浄やテロ資金供与対策を講じるためには、FATFが定める同分野の国際基準を各国が適切に履行することにより、対策の抜け穴を生じさせない、といった取組が必要です。そのため、資金洗浄やテロ資金供与対策のキャパシティやリソースの不足等を抱える国・地域を支援することは、国際的な資金洗浄やテロ資金供与対策の向上に資することから、日本は、非FATF加盟国のFATF基準の履行確保を担うFATF型地域体の支援等を行っており、特にアジア太平洋地域のFATF型地域体(APG:Asia /Pacific Group on Money Laundering)が行う技術支援等の活動を支援しています。
  • 新型コロナウイルス感染症対策支援
    • 日本は、新型コロナの発生直後からこれまでに、二国間および国際機関経由で、総額約50億ドル規模の開発途上国支援を実施しました。開発途上国の経済・社会活動を下支えするため、また、保健・医療分野を含む財政ニーズに対処するため、新型コロナ危機対応緊急支援円借款の制度を創設し、2020年7月から2023年9月末までに23か国に対し、総額6,848億円の円借款を供与しました。
    • 新型コロナ収束のためには安全性、有効性、品質が保証されたワクチンや治療・診断への公平なアクセスの確保が重要との考えの下、日本はCOVAXファシリティ(COVID-19 Vaccine Global Access Facility)解説などの国際的な枠組みと協調しつつ、各国・地域に対するワクチン関連支援を実施してきました。また、ワクチンを接種現場まで届けるための「ラスト・ワン・マイル支援」では、コールド・チェーン体制の整備や医療関係者の接種能力強化などを行いました。
  • 三大感染症(HIV/エイズ、結核、マラリア)
    • SDGsの目標3.3として、2030年までの三大感染症の収束が掲げられています。日本は、グローバルファンドを通じた三大感染症対策および保健システム強化への支援に力を入れており、設立から2023年2月までに約43億ドルを拠出しました。さらに、2022年8月のTICAD 8および9月のグローバルファンド第7次増資会合において、岸田総理大臣は、今後3年間で最大10.8億ドルの拠出を行うことを表明しました。日本は、三大感染症への対策がより効果的に実施されるよう、グローバルファンドを通じた取組との相互補完的な支援として、保健システムの強化、コミュニティ能力強化や母子保健改善などの二国間協力も実施しています。
    • 二国間協力を通じたHIV/エイズ対策として、日本は、新規感染予防のための知識を広め、検査・カウンセリングを普及する取組を行っています。特にアフリカを中心に、2023年もJICA海外協力隊員が、より多くの人に予防についての知識や理解を広める活動や、感染者や患者のケアとサポートなどに精力的に取り組んでいます。
    • 結核に関しては、2021年改定版「ストップ結核ジャパンアクションプラン」に基づき、日本が結核対策で培った経験や技術をいかし、官民が連携して、2025年までの中間目標として結核による死亡を75%減少(2015年比較)させ、結核罹患率を50%減少(2015年比較、10万人当たり55症例未満)させることを目標に、開発途上国、特にアジアおよびアフリカにおける年間結核死者数の削減に取り組んでいます。
    • このほか、乳幼児が死亡する主な原因の一つであるマラリアについて、ミャンマーやソロモン諸島において、日本は、地域コミュニティの強化を通じたマラリア対策への取組を支援しています。またグローバルファンドへの拠出を通じ、世界的なマラリア対策も行っています。

内閣官房 新しい資本主義実現会議(第24回)
▼ 資料1 基礎資料
  • 2023年の賃上げ率は3.58%(連合調査)。同年の消費者物価指数(「生鮮食品を除く総合」)は3.1%の上昇率で賃上げ率の方が高くなった。(2022年の賃上げ率は2.07%、消費者物価指数は2.3%。)
  • 報道等で紹介されている実質賃金は、厚生労働省が毎月勤労統計で公表しているもの。ここでは「帰属家賃を除く総合」が物価指数として用いられている。他方で、帰属家賃は上昇率がほぼゼロであるため、これを除くことで物価上昇率が高くカウントされているのではないかとの議論がある。日本銀行が物価の見通しに用いる「生鮮食品を除く総合」の値と比べても、高い値となる傾向。
    • (注)1970年より前は、消費者物価指数に帰属家賃は入っていなかった。持家比率は各国によって違うので、消費者物価の上昇率を国際的に比較できないという議論が起き、我が国も帰属家賃を含む消費者物価指数に変更した。他方、厚生労働省は、かねてより実質賃金を旧来の消費者物価指数に基づいて計算していたため、継続性という観点から、この段階で消費者物価指数から帰属家賃を除くという意思決定を行い、現在に至っている。現在は、経済分析においては、各国とも、帰属家賃を含めて計算をするのが普通。
  • 米英独いずれも、直近(2023年等)の実質賃金の上昇率のプラス化を見ると、消費者物価上昇率の低下が先行する形で実現していることが分かる。我が国についても、共同声明で定める2%のモデレートな物価上昇率が必要。
  • 2024年の経営における懸念材料として、第1位が「原油・素材価格の上昇」となっており、第3位の「円安」と合わせて為替の影響に対する懸念が強く表れている。第2位は「人手不足」だった。
  • 日本の労働生産性はOECD加盟国中32位で、低水準である。
  • 2000年以降の年単位の労働分配率の推移をみると、我が国は2021年は50.3%であり、他の先進国と比較して遜色ない水準。
  • OECD加盟国17か国について平均をとると、労働生産性と一人当たり賃金の間に正の相関があり、労働生産性が高くなると賃金水準が上昇する蓋然性が高い。
  • マークアップ率は、分母をコスト、分子を販売価格とする分数であり、製造コストの何倍の価格で販売できているかを見るものであるが、1980年時点から各国のマークアップ率が上昇する中で、日本の上昇率が低く、近年では国際的に低い水準となっている。
  • マネージャーの給与の高さはマークアップ率の高さと相関している。
  • 図1を見ると、赤線のマネージャーの給与水準の変遷のうち、青線の部分がマークアップ率の向上を起源とする給与額を示している。図2によりマネージャー給与をマークアップ率起源と企業規模起源に分解すると、マークアップ率の寄与度が1994年38%から足元50%にまで上昇している。図4を見ると、2019年の断面では、能力が最も高いマネージャーの給与の80%がマークアップ率の高さ起源となっている。このように、マークアップ率の上昇はマネージャーの給与水準の上昇と相関する。
  • その商品において最高品質と位置付けられることが、マークアップ率を高めるために重要であることがわかっている。(中位の品質では、マークアップ率に反映されにくい。)
  • 我が国でも、この20年間で、「自分が気に入った付加価値には対価を払う」 「購入する際に安さよりも利便性を重視」といった、値段よりも付加価値を重視する消費行動が増加。付加価値に対して、より多くの金額を支払う消費行動が我が国にも定着しつつある。
  • 賃上げの理由について、2023年実績と2024年計画を比較すると、「物価上昇への対応」の側面は低下し、「人材確保(採用)のために必要」の比率が上昇している。これは我が国の人材の需給状況を示しており、中長期的に継続する傾向と思われる。
  • 実際、2024年の賃上げの計画において、人手不足感を強く訴える企業ほど賃上げの上昇率が高くなっている。
  • 日本の60歳以上の就業率は、年々増加傾向。
▼ 資料2 論点案
  • 今回は、物価上昇を上回る持続的な構造的賃上げの実現に向けた課題と方向性について議論をお願いしたい。
    • 具体的には、(1)企業の付加価値(マークアップ率)向上と価格への転嫁のあり方、(2)人手不足対応、(3)デジタル化に伴う非ホワイトカラー職種への労働移動と当該分野における賃上げ実現の方向性、(4)労働不足の中で仕事をしたいシニア層への労働機会の提供、(5)三位一体の労働市場改革の実行など。
  • 次回は、需要制約経済から供給制約経済への移行に伴う課題と方向性、加えて、デフレからの脱却後・金融環境変化に伴う、新たな成長型経済の課題と方向性について議論をお願いしたい。
    • 具体的には、(1)中小企業・小規模企業等の自動化・省人化・省力化投資の在り方、(2)労働代替のためのデジタル/ロボットの実装の在り方、(3)企業の新陳代謝、中小企業・小規模企業等の事業譲渡・事業再編・M&Aの環境整備の在り方、(4)地方におけるローカル産業の維持の在り方など。
  • 今回の討議ポイントは以下のあたり。
    • 今年の春季労使交渉や来年の春季労使交渉という短中期の課題を超えて、我が国に物価上昇を上回る持続的な賃上げを根付かせるために適切な方策は何か。
    • この対応の在り方に、我が国の人手不足の状況がどのように影響するか。また、人手不足対応への在り方はどうすべきか。
    • 非正規雇用労働者の就労意欲を高めるため、106万円・130万円の年収の壁に対して昨年取りまとめた支援策の活用拡大を図るべきではないか。
    • 中小企業団体からも、経済の好循環の実現のためには、「中小企業が自己変革による付加価値拡大とともに、価格転嫁を通じて持続的な賃上げの原資を確保できるかが鍵となる」と意見書が公表されているが、この付加価値拡大(マークアップ率向上)の官民を挙げた方策についてどう考えるか。
    • 安定的で高賃金の雇用を確保するための、労働市場改革の、雇用の移動円滑化の在り方はどうか。具体的には、第一に、若手の能力ある労働者のために適切なポストを提供するため、加えて、労働意欲のあるシニア層のために労働機会を提供するため、ポスティング制度やジョブ型人事の導入等の、企業内での労働移動の円滑化の在り方はどうあるべきか。
    • 第二に、賃金の高い仕事を労働者に提供するため、同一産業内の移動でも、いかに、経営力のある企業に、より多くの労働者を雇用してもらうように支援するか。
    • 第三に、デジタル化に伴い、一般のホワイトカラーへの労働需要が少なくなるおそれがあることに伴い、いかに、高賃金の非ホワイトカラー職を確保し、産業間労働移動を円滑化し、リ・スキリングが可能な体制を確保するか。非ホワイトカラー職の労働生産性を上げて賃金を上げていくこと、および、非ホワイトカラー職についてもスキルの標準を民間の各業界団体で整備いただき、労働者がこれを身につけることを官が支援していく、官民連携をどう考えるか。
    • 物流分野や医療・介護・障害福祉分野などの分野の賃上げのためには、待機時間の削減などその分野での取引慣行自体の見直しも必要ではないか。
    • 仕事をしたいシニア層に仕事の機会を提供するため、個々の企業の実態に応じて、役職定年・定年制の見直しなどを検討すべきではないか。この際、能力のある若手が不満に感じることのないよう、いかにシニア層のスキルの評価に応じたポストの処遇を進めるか。
    • ジョブ型人事については、企業の実態が千差万別であることに鑑み、自社のスタイルに合った導入方法を各社が検討できるよう、既に導入している多様な企業にご協力をいただき、導入のプロセスや内容について可能な限り多様な情報提供を進めるべきではないか(指針の具体性の確保)。
    • 中小企業・小規模企業以外にも、今後、スモールビジネス、個人、フリーランスなどの発展が想定される中で、取引関係上弱い立場にあるこれらの人たちと企業との取引関係をいかに適正化していくか。
    • 昨年の物価上昇率は3.1%と、2%を超える水準にある中で、一人4万円の所得税・住民税減税を含め、可処分所得が物価上昇率を超える状況を作り出すべきではないか。
    • 新しい資本主義の実現の中で、NISAの拡充・恒久化、資本コストを意識した証券取引所の経営改革を実施したところであるが、この資産所得倍増の流れを強化していくべきではないか。

内閣官房 重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案について
▼ 重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案
  • 目的(第1条)
    • 国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い、経済活動に関して行われる国家及び国民の安全を害する行為を未然に防止する重要性が増大している中で、重要経済基盤に関する情報であって我が国の安全保障(外部からの侵略等の脅威に対して国家及び国民の安全を保障すること)を確保するために特に秘匿することが必要であるものについて、これを適確に保護する体制を確立した上で収集し、整理し、及び活用することが重要であることに鑑み、当該情報の保護及び活用に関し、重要経済安保情報の指定、我が国の安全保障の確保に資する活動を行う事業者への重要経済安保情報の提供、重要経済安保情報の取扱者の制限その他の必要な事項を定めることにより、その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。
  • 重要経済安保情報の指定(第2条~第3条)
    • 重要経済基盤
      • 我が国の国民生活又は経済活動の基盤となる公共的な役割であってその安定的な提供に支障が生じたい場合に我が国及び国民の安全を損なう事態を生ずるおそれがあるものの提供体制
    • 重要経済基盤保護情報
      1. 外部から行われる行為から重要経済基盤を保護するための措置又はこれに関する計画又は研究
      2. 重要経済基盤の脆弱性、重要経済基盤に関する革新的な技術その他の重要経済基盤に関する重要な情報であって安全保障に関するもの
      3. 3.1.の措置に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報
      4. 4.2.3.に掲げる情報の収集整理又はその能力
  • 指定の有効期間及び解除(第4条)
    • 行政機関の長は、指定の日から5年を超えない範囲内で有効期間を設定。有効期間は、30年まで延長することが可能だが、やむを得ない事情があり、その理由について内閣の承認を得た場合には30年を超えることも可能。ただし、その場合でも、外国との交渉に不利益を及ぼすおそれがある等の例外事由に該当しない限り、60年を超えることはできない。
    • 行政機関の長は、内閣の承認が得られなかった場合には、保存期間の満了とともに国立公文書館に移管。
    • 行政機関の長は、情報が指定の要件を欠くに至ったときは、速やかに解除。
  • 重要経済安保情報の保護措置(第5条)
    • 行政機関の長は、重要経済安保情報の取扱いの業務を行わせる職員の範囲を定めるなどの保護措置を講ずる。
  • 重要経済安保情報の取扱者の制限(第11条)
    • 重要経済安保情報の取扱いの業務は、適性評価(10年)において、重要経済安保情報の取扱いを行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者に限定。
    • 特定秘密保護法における適性評価において特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないと認められた者は、5年間に限り、本法律案の適性評価を受けずに、重要経済安保情報の取扱いの業務を行うことができる(特定秘密保護法における適合事業者の従業者においても同じ。)。
    • 行政機関の長及び特定秘密保護法における適合事業者は、重要経済安保情報の保護に必要な限度において、特定秘密保護法における適性評価の結果にかかる情報を自ら利用することができる(この限度において、特定秘密保護法の適性評価に係る目的外利用の禁止の例外とする)。
  • 制度の必要性
    • 安全保障の概念が、防衛や外交という伝統的な領域から、経済・技術の分野にも拡大。国家安全保障のための情報に関する能力の強化は、一層重要に。経済安全保障分野においても、厳しい安全保障環境を踏まえた情報漏洩のリスクに万全を期すべく、セキュリティ・クリアランス制度の整備を通じて、我が国の情報保全の更なる強化を図る必要。
    • こうした情報保全の強化は、安全保障の経済・技術分野への広がりを踏まえれば、同盟国・同志国との間でさらに必要となるこれらの分野も含んだ国際的な枠組みを整備していくこととあいまって、すでに情報保全制度が経済・技術の分野にも定着し活用されている国々との間で協力を一層進めることを可能にする。
    • 経済活動の担い手が民間事業者であることに留意しつつ、官民の情報共有を可能にする仕組みが必要。経済・技術の分野にも対応した制度の下でセキュリティ・クリアランスを保有していれば、その結果として、その他の場面でも、いわば「信頼できる証」として対外的に通用することになるのではないかという示唆
  • 企業からの声
    • ある海外企業から協力依頼があったが、機微に触れるということで相手から十分な情報が得られなかった。政府間の枠組みの下で、お互いにセキュリティ・クリアランスを保有している者同士で共同開発などができれば、もう少し踏み込んだものになったのではないか
    • 防衛と民生が一緒になったデュアル・ユース技術に関する会議に参加する際、クリアランス・ホルダー・オンリーであるセミナー・コミュニティがあり、これらに参加できず最新のデュアル・ユース技術に触れることができない。
    • 宇宙分野の海外政府からの入札に際し、セキュリティ・クリアランスを保有していることが説明会の参加要件になっていたり、商業利用分野であってもCIが含まれているので詳細が分からない等の不利な状況が生じている
    • 様々なサイバーセキュリティ・インシデントが起きている中で、政府側や諸外国が保有している様々な情報が共有されれば、個々の企業のセキュリティレベルの向上、ひいては我が国全体のセキュリティ・レベルの向上にもつながる。

【2024年2月】

内閣官房 デジタル行財政改革会議(第4回)議事次第
▼資料1 デジタル行財政改革の更なる展開に向けて
  • 急激な人口減少/少子高齢化 総人口、生産年齢人口の見通し
    • 日本は、既に2008年をピークに総人口の減少に直面。2050年には約10,469万人となり、ピーク時の2008年から約2,340万人減少する見込み
    • 15歳から64歳までの人口である、生産年齢人口は、2022年の7,421万人から2050年には5,540万人と1,881万人の減少(25%減少)
    • 長期的には人口減少に歯止めをかける取組が必要となる中、中期的に2050年などを見据えた場合、人口減少を所与とした対策が必要
  • 急激な人口減少/少子高齢化【都市部・地方部の課題の二極化】
    • 都市部では、生産年齢人口の減少が限定的な一方、高齢者人口の増加が著しい。急増する高齢者に対応した公共サービスの構築が急務
    • 地方部では、生産年齢人口・高齢者人口ともに加速度的に減少。コミュニティの存続に懸念
  • 公共サービスの持続可能性への懸念 地方公共団体の職員数
    • 地方公共団体の職員数は、業務の効率化等によりピーク時から減少
    • デジタル化による更なる業務効率化も、3名以下の自治体が55%(1名以下の自治体は17%)であり、課題
  • 公共サービスの持続可能性への懸念 公共サービスを担う人員の不足
    • 公共サービスの担い手不足が顕在化
    • 教育分野では、公立小学校の教員採用試験の受験者数・倍率がともに低下傾向
    • 交通分野では、担い手の減少に加えて高齢化が進行。タクシー運転手の平均年齢は60.7歳と全産業平均を大幅に超過
    • 介護分野では、高齢化に伴う需要の急増により、今後20年間で約69万人の人材不足が生じる見通し
  • 公共サービスの持続可能性への懸念 公共サービスの立地確率
    • 自治体の人口規模が小さくなると、生活に必要なサービス施設が立地する確率が減少し、サービス産業の撤退につながりうる。例えば、1万人を切ると、総合スーパー、病院、有料老人ホーム等が立地している確率が50%を切る、との見立てもある
  • なぜ今、デジタル行財政改革なのか
    • 急激な人口減少社会に対応するため、利用者起点で我が国の行財政のあり方を見直し、デジタルを最大限に活用して公共サービス等の維持・強化と地域経済活性化を図り、社会変革を実現することが必要。
    • これにより、一人ひとりの可能性を引き出し、新たな価値と多様な選択肢が生まれる豊かな社会を目指す。
  • デジタル行財政改革の基本的考え方
    • 地域を支える公共サービスに関し、システムの統一・共通化等で現場負担を減らすとともに、デジタルの力も活用してサービスの質も向上。
    • あわせて、デジタル活用を阻害している規制・制度の徹底的な見直しを進め、社会変革を起動。
    • EBPMの手法も活用し、KPIや政策効果の「見える化」を進め、予算事業を不断に見直し、これらによって、デジタルの力を活用して、豊かな社会・経済、持続可能な行財政基盤等を確立する
  • デジタル行財政改革の当面の取組の方向性
    • 昨年末の「中間とりまとめ」で決定した各分野の改革を継続・深化。地方自治体で先導的なプロジェクトに取り組むとともに、国・地方が協力・連携して全国でデジタル基盤を効率的に整備。EBPMの確立・展開等にも取り組む
    • 利用者起点での各分野における改革
      • (教育)GIGA端末の共同調達方式導入、校務での押印・FAXの原則廃止、オンライン教育の活用促進
      • (交通)従来の自家用有償旅客運送制度の大幅改善
      • (介護)介護テクノロジーの活用促進等
      • (子育て・児童福祉)プッシュ型子育て支援、保育DX、相談業務DX等
      • (防災)災害時の情報共有体制強化、住家の被害認定調査のデジタル化
      • (スタートアップ)地域の社会課題解決のためのスタートアップの活用
    • 特に深化すべき改革
      • (教育)GIGA端末の共同調達に関する都道府県の体制整備、校務DXを通じた教員負担軽減策の具体化、デジタル教材の活用拡大の方策、教育現場での民間人材の活用、EBPMに向けた教育データ利活用促進
      • (交通)タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことを位置づける法律制度の議論、自動運転の審査に必要な手続の透明性・公平性を確保するための方策、事故責任論検討会での一定の結論
      • (介護)介護事業所の経営の協働化・大規模化の方策
      • (スタートアップ)地域の会課題解決のためのスタートアップの活用
    • 地方自治体で取り組む先導的プロジェクト
      • 将来的に全国・広域での共通・統一的なデジタル基盤になりうる仕組みを整備する地方自治体の先導的な取組を支援。
      • デジタル行財政改革の基本的な考え方に沿った社会変革につながる取組について、国が方向性を示す。
    • 国・地方が協力・連携してデジタル基盤の効率的な整備を行うための取組
      • 地域を支える公共サービス等に関し、システムの統一・共通化等で現場負担を削減し、デジタルの力も活用してサービスの質も向上
      • 小規模自治体・地域におけるデジタル人材不足への対応
      • 各府省業務・サービスのDXの加速化
    • デジタル変革を促すEBPMの確立・展開
      • 中長期の成果目標を設定し、政策の進捗をデータ等でモニタリングしながら持続的に効果を高めるEBPMの取組を推進
      • 教育、介護のほか、交通などの他分野でのKPIの設定、政策「見える化」ダッシュボードの対象拡大
  • 国・地方が協力・連携してデジタル基盤の効率的な整備を行うための取組
    • 基本的な考え方
      • 急激な人口減少社会において現場の負担を軽減
        • 急激な少子高齢化により、生産年齢人口も減少
          • ※ 2020年:約7,500万人から2050年:約5,500万人へと約2,000万人の減少
        • 人口減少社会における公共サービスのあり方について検討し、個人情報を保護しつつ、利用者起点で分野や領域を超えたデータを有効活用することや、人材などの供給リソースを需要側の要請に的確に活用することなどにより、公共サービスの質を維持・向上することが必要ではないか
      • 社会・経済の変化、多様な生活様式に柔軟に対応した公共サービスの維持・強化
        • 教育・交通・介護などの分野の改革の成果を踏まえ、国・地方が連携し、デジタルの力を最大限に活用し、公共サービスの維持・強化を図ることが必要ではないか。
        • 多様な生活や働き方が広がる中、自治体間の移動に伴う不便さや、独自様式等による国民・事業者の効率性の低下を克服していくことが必要ではないか。
        • マイナンバー、マイナンバーカードの更なる利用に加え、業務アプリ、認証機能、ベースレジストリなどの共通的な整備・利用により現場のサービスをよりプッシュ型に切り替えていくとともに、迅速できめ細かな公共サービスを実現するべきではないか。
      • 国・地方を通じたデジタル基盤への投資のトータルコストの最小化
        • より良い行政サービスを低コストで国民に提供するために、また、トータルコストの最小化の観点から、デジタル化も活用して行政の効率化を進め、その成果を国民に実感してもらうために可視化する必要があるのではないか。
        • 現在、地方公共団体の基幹業務システムの標準化が進められているが、依然として、一定程度業務が類似するシステムを自治体ごとに個別に会h津・運用している状況がある中、可能な限り国・地方を通じたより大きな単位でデジタル基盤を統一化・共通化することが必要ではないか。
        • 個々の基礎自治体における開発・運用経費、調達事務、制度改正への対応等、現場の負担を軽減し、トータルコストの最小化を図ることが必要ではないか。
        • デジタル重点計画において国・地方双方のシステム経費の削減目標が決定
    • 利用者起点で行うDXのための国・都道府県・市町村の新たな連携の在り方
      • 国、都道府県、市町村の役割を明確化し、新たな連携と協力の在り方を模索してはどうか。
      • その際には、我が国の行政事務は、国が制度の企画立案を行っているものであっても、暮らしの現場でそれを支えているのは基礎自治体である場合が多く、制度を所管する各省庁も検討に参画していくことが必要ではないか。
      • また、現在行われている取組を検証しつつ、今後の取組についても国・地方の協力の下で投資対効果を最大化する必要があるのではないか。
    • 今後検討を深める論点と進め方(案)
      • 以下の論点について、地方三団体の意見を聞きながら基本的な方針をまとめることとしてはどうか。
        • まず、検討の土台となる以下の論点について検討
          • 人口減少を踏まえた、国・地方の業務効率化とデジタル活用による公共サービスの質の向上
          • 国・地方のDXにおける連携と役割分担の考え方
            • ※上記の検討に当たっては、以下のような具体の取組を通じて検討を深めることが必要
              • 地方公共団体情報システムの標準化・ガバメントクラウド移行の着実な進捗に関する評価の共有
              • デジタル行財政改革で取り組んでいる教育、介護などのデジタル化の取組
              • 国・地方一体となって整備を開始しているSaaSの普及や他の分野への展開
        • 次に、国・地方間でDXに関する情報共有や連携を強化するための方策を検討
          • 国・地方の連絡協議の枠組みの在り方
          • 地方におけるデジタル人材確保の支援策
        • これらを踏まえ、利用者起点でのDXを進めるために以下の論点について議論を深めていく
          • 共通化すべき業務・システムの基準
          • 国と地方の費用負担の基本的考え方(国・地方を通じたトータルコストの最小化等)、利用料支払いの仕組みの在り方

内閣官房 経済安全保障推進会議(第6回)
▼ 資料1 経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等の整備に向けて
  • セキュリティ・クリアランス制度に関する必要性
    • 安全保障の概念が、経済・技術の分野に大きく拡大。我が国の情報保全制度の更なる強化を図ることが必要
    • 国際的に通用するセキュリティ・クリアランス制度や国際的枠組みに対する企業からのニーズ
    • <企業からの声>
      • ある海外企業から協力依頼があったが、機微に触れるということで相手から十分な情報が得られなかった。政府間の枠組みの下で、お互いにセキュリティ・クリアランスを保有している者同士で共同開発などができれば、もう少し踏み込んだものになったのではないか
      • 宇宙分野の海外政府からの入札に際し、セキュリティ・クリアランスを保有していることが説明会の参加要件になっていたり、商業利用分野であってもCIが含まれているので詳細が分からない等の不利な状況が生じている
  • 新たな制度の基本的骨格
    • 国家における情報保全措置の一環として、政府が保有する経済安全保障上重要な情報として指定された情報(CI(Classified Information))にアクセスする必要がある者の信頼性を確認した上でアクセスを認める制度として整備
    • トップ・シークレット及びシークレットに相当するCIの保全枠組みである特定秘密制度との整合性・連続性に配慮
    • <CI保全制度の基本的な骨格>
      1. 政府として秘匿すべき機密情報の指定・解除のルール
      2. 当該情報に対する厳格な管理・提供ルール(情報へのアクセス条件としての個人や事業者に対するクリアランスの仕組み)
      3. 漏えいや不正取得に対する罰則
    • 情報指定の対象は政府が保有する情報。クリアランスを受けることとなる者は、政府職員のほか、政府からCIの提供を受ける意思を示し、政府と秘密保持契約を結んで政府保有のCIに触れる業務を行おうとする事業者及びその従業者
  • 新たな制度の具体的な方向性
    • 情報指定の範囲
      • 我が国として真に守るべき政府が保有する情報に限定し、そこに厳重な鍵をかけるというのが基本的な考え方
      • 国家及び国民の安全を支える我が国の経済的な基盤の保護に関する情報について、取扱者のセキュリティ・クリアランスを含む厳格な管理が行われるようにすべき
      • コンフィデンシャルに相当する政府保有情報も法律に基づく情報指定の対象となるようにすべき
      • 経済安全保障分野における変化の速さ等に鑑み、情報の指定・解除が柔軟かつ機動的に対応できるようにすべき
      • 要件を充足する重要な情報が適切に指定されるよう国家安全保障局等が中心となって総合調整を実施すべき
      • 仮に特定秘密制度と別の制度になるのであれば、両制度のシームレスな運用を目指していくべき
    • 情報の管理・提供ルール
      • 情報公開法や公文書管理法等他法令との関係も踏まえながら、必要な規程を整備すること等によって、適切な情報管理に努めるようにすべき
      • 個人に対するクリアランスについて、調査項目や評価における着眼点は、基本的に特定秘密制度と差異を設ける理由はない。また、最終的な評価は各行政機関が行うことを前提に調査機能を一元化。調査結果が一度得られれば、一定の有効期間の間、当該結果が組織や部署を超えて有効となるような一定の「ポータビリティ」を持たせることが重要。調査機能の一元化により、政府全体で統一的に対応・確認を受ける者の利便性を向上
      • 事業者に対するクリアランスについて、施設の適格性に加え、事業者そのものの属性や組織の適格性も見る必要。政府からCIの共有を受ける民間事業者等について、調査や保全体制の確認など厳格な対応を適用。主要国の例等も参照しつつ、我が国の企業の実情等を踏まえながら実効的かつ現実的な制度を整備
    • プライバシーや労働法制等との関係
      • 調査は、丁寧な手順を踏んで本人の真の同意を得ることが大前提。同意の判断に必要な事項が知らされ、同意の拒否や取下げを理由とする不当な取扱いが行われないようにすることが重要
      • 同意拒否・取下げや評価結果を理由にした不合理な配置転換等の不利益取扱いを含む調査結果等の目的外利用は禁止されるべき
      • 評価結果と理由についての本人に対する速やかな通知と異を唱える機会の確保も重要
    • 漏えい等の罰則
      • トップ・シークレット級・シークレット級の情報は特定秘密保護法の法定刑と同様の水準とすることが適当。コンフィデンシャル級の情報は、国内法とのバランスも踏まえながら政府において具体的に検討していくべき
      • 漏えい等が法人の事業活動の一環として行われた場合に法人を処罰する規定を置くことについても検討すべき
    • 情報保全を適切に実施していくための取組
      • 新たな制度の具体的な中身やその必要性について、分かりやすい説明を尽くすべき。民間事業者からみて分かりやすい基準等の作成・公表していくべき。官民双方において、適切な体制や設備を整備する必要
      • 今回の制度整備を踏まえた、同盟国・同志国との間で新たに必要となる国際的枠組みについても取組を進めていくべき
      • 民間事業者等における保全の取組に対する支援の在り方について合理的な範囲内で検討
  • CI以外の重要な情報の取扱い
    • CI以外の情報は、諸外国でもセキュリティ・クリアランスの対象ではなく、今回の制度検討の射程外。
    • 民間の情報について、国が一方的に規制を課すことは民間活力を阻害する懸念もあり、民間事業者が営業秘密として自主管理するのが基本だが、民間事業者が営業秘密をしっかり管理することは経済安全保障に資する面がある。
    • 政府として、民間事業者が真に必要な情報保全措置を講じられる環境を整えていけるよう、明確な指針等を示していくことの妥当性も含め検討を進める必要
  • 最終とりまとめを踏まえた今後の対応
    • 政府が保有する経済安全保障上重要な情報について、既存の情報保全制度である特定秘密保護法はトップ・シークレット/シークレット級のものを保護する制度であることを踏まえ、コンフィデンシャル級のものを保全するための新たな制度を創設することとする。
    • 新たな制度は、諸外国に通用する制度となるよう、また、民間事業者の国際的なビジネスの機会の確保・拡充にも資するものとなるよう設計・運用していく。
    • 以上を踏まえ、新たな制度は、以下の要素を基本的な構造とする。
      1. 各行政機関において、保全すべき政府が保有する重要な経済安全保障情報を指定する。
      2. 各行政機関から、他の行政機関のほか、政府から指定情報の共有を受ける意思を示し、施設・組織の適格性が確認された一定の民間事業者に対し、秘密保持契約に基づき指定情報を提供することを可能とする。
      3. 指定情報の取扱者(行政機関職員・民間事業者の従業者)については、丁寧なプロセスによる本人の真の同意の下、一元的な調査機関による調査に基づき、各行政機関が信頼性の確認を実施する。
      4. 指定情報の漏えい等に対する罰則を設ける。
    • その上で、経済安全保障分野においても我が国の情報保全の強化を図るためには、新たな制度と既存の特定秘密保護法をシームレスに運用していくことが重要。このため、必要に応じ、特定秘密保護法の運用基準について、次回改訂のタイミングでの見直しも検討していく
▼ 資料2 名古屋港コンテナターミナルのシステム障害を受けた対応
  • 令和5年7月、名古屋港コンテナターミナルのシステムがランサムウェアに感染し、約3日間にわたりコンテナの搬入・搬出作業が停止
  • 同7月、有識者等からなる「コンテナターミナルにおける情報セキュリティ対策等検討委員会」を設置
  • 緊急的対策として、専門家の知見を踏まえた港湾分野における情報セキュリティ対策を事業者に周知徹底
  • 情報セキュリティ対策等の推進のための制度的措置についても同委員会で検討
  • 取りまとめ(令和6年1月24日)
    • 港湾運送事業法の観点
      • 一般港湾運送事業者が作成する事業計画にターミナルオペレーションシステムの概要や情報セキュリティの確保に関する事項の記載を求め、国が審査する仕組みを導入
    • サイバーセキュリティ基本法の観点
      • 「重要インフラのサイバーセキュリティにかかる行動計画」を改定し、重要インフラ分野に「港湾分野」を位置付ける方向で検討
    • 経済安全保障の観点
      • 経済安全保障の観点からも国として積極的な関与を行うため、経済安全保障推進法の趣旨も踏まえ、ターミナルオペレーションシステム(TOS)を使用して役務の提供を行う一般港湾運送事業を経済安全保障推進法の対象事業とすることが必要であると考えられる。
▼ 資料4 基幹インフラ制度における今後の対応について
  • 経済安全保障推進法の基幹インフラ制度は、基幹インフラの重要設備が役務の安定的な提供を妨害する行為の手段として使用されることを防止するため、法律で重要な事業を定めたうえで、政令によって規制対象事業を絞り込み(特定社会基盤事業)、当該事業を行う者のうち所管大臣の指定を受けた事業者(特定社会基盤事業者)が、重要な設備(特定重要設備)の導入等をしようとした際、事前に審査をする制度。
  • 港湾・医療分野については、経済安全保障推進法の成立後に大規模なサイバー攻撃事案が発生したことも踏まえ、基幹インフラ制度の適用について国土交通省・厚生労働省と連携して検討を実施したところ。経済安全保障法制に関する有識者会議における議論も踏まえ、以下のとおり対応することとする。
    • 港湾については、港湾運送の役務の安定提供の確保を図るため、特定社会基盤事業として定めることができる事業に一般港湾運送事業を追加する改正法案の準備を進める。
    • 医療については、
      • 個々の医療機関については、周辺の医療機関との連携により必要な医療提供を継続することが可能であること等の理由により、特定社会基盤事業者として指定される者が想定されない等の整理を踏まえ、引き続き基幹インフラ制度の対象としない。
      • 医療DXに関するシステムについては、今後開発されるシステムの機能によっては、そのシステムがサイバー攻撃等を受けた場合に影響が広範囲に及ぶ可能性もあることから、基幹インフラ制度の適用について引き続き検討していく。

【その他(海外)】

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