週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

労働力の犯罪インフラ化を許してはならない

国際農業開発基金の報告書によると、先進国で働く途上国出身の移民による本国への送金額が昨年までの10年間で51%増加したという。先進国での高齢化が進み、アジアやアフリカ諸国の若い移民労働力が必要とされていることや送金経費が安くなったことが背景にあるとされ、送金は貧困層の生活改善に役立ち、途上国に有益だという。一方、米政権は、外国企業による北朝鮮労働者の雇用が有力な外貨獲得源になっていると問題視、米下院は外国に派遣された北朝鮮労働者の雇用者に対する制裁などを盛り込んだ法案を可決した。2017年の人身売買報告書によれば、その総数は約5万~8万人、その収入は年間数億ドル(数百億円)に上るという。労働に対する正当な対価が生活を支えるとの本来の姿に対し、労働力さえ犯罪インフラとしてしまう北朝鮮の蛮行は許しがたい。(芳賀)

仮想通貨の信頼と未来

運営を巡る主導権争いや、取り扱いをめぐる試行錯誤が続いているビットコイン等の仮想通貨は、国境を越えた実用性や既存貨幣との棲み分けを行うことで、今後利用の拡大が期待されている。利用者にとって仮想通貨は、即時性や匿名性を備えているなどの多くの利点があるが、現在は発行から流通するまでを管理する主体もなければ、信用を支える基盤もない。また、本人確認など不正防止策を義務づけていない仮想通貨取引所が世界各地に存在しており、資金洗浄などの犯罪や外為規制の潜脱に悪用されることもある。仮想通貨は金融に大変革をもたらす可能性を秘めているだけに、締め付けすぎると民間の活力をそぎかねないが、利用者の安全と利便性の確保に向けて国際的な監視体制を整えることが、仮想通貨を信頼される通貨として独り立ちするための条件になる。(佐藤)

人手不足時代の経営リスク 6月の正社員の有効求人倍率、2004年の調査開始以来初の1倍超え

厚労省が28日発表した6月の正社員の有効求人倍率は、1.01倍と04年調査開始以来初の1倍を超えた。求人が求職数を超えて企業はパートタイムだけでなく正社員の成り手も見つけ難い状況だ。人口の減少だけでなく、求職者の高齢化や多様な働き方が正社員を避けることも背景にある。このような環境では、従来の「成り行き」で人員の不足に対する補充や新規事業に立ちあげ都度の人員の確保では、早晩立ち行かなくなる。どのような人材を求め、どの事業でどのように活躍してもらうのかという事業単位の戦略と企業戦略にもとづいた人材戦略のデザインとの両面から真剣に考える時だ。長く活躍してもらうためには、社員の健康や育児・介護といったプライバシーの部分にも積極的に関与すべきだし、定年制とベテラン社員活用のリバランスなど発想の転換が必要だろう。(伊藤)

北朝鮮、二回目のICBMを発射

今回、北朝鮮が二回目となる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に踏み切った。同国は各種国際統計による国民総生産(GDP)ランキングでは、最も甘い見積もりで100位前後である。何故そのような経済状況の国が頻繁にミサイル発射実験を行えるのか。北朝鮮の軍事費はおよそ40億ドルで、GDPの23.8%を占めているが、米国の国防費5740億ドルにはるかに及ばず、日本と韓国の防衛予算、各々4.7兆円と4兆円の10分の1程度である。そんな国が”定期的”にミサイル発射を繰り返す本当の狙いは何なのか。また発射されたミサイルはほぼ日本の排他的経済水域にある意味”正確に”落下している。日本海側の自治体がミサイル避難訓練を実施することに意味はあろうが、それ以上に米軍三沢基地の情報や動向をより確実に共有・把握すべきではないか。(石原)

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