週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

特殊詐欺対策は「心理的メカニズム」対策こそ重要だ

熊本県警は「振り込め詐欺」の名称を1月から「電話で『お金』詐欺」に変更し、県民への啓発活動に使い始めたという。名称変更の背景には、詐欺の手口が多様化し、「振り込め詐欺」の名称が実態と一致していないケースが増えたことがあげられているが、過去にも「母さん助けて詐欺」(警視庁)と名称を変更して啓蒙を図るも、ほとんど普及しなかった例もある。確かに特殊詐欺の被害や手口・名称を浸透させることは極めて重要な課題だが、そもそも特殊詐欺は、「予期しないタイミングで電話がかかってきて、冷静に判断する間もないまま、確証バイアス等によって騙されてしまう」との高齢者に顕著な「被害にあう心理的メカニズム」にどう抗うかが問題の本質であるはずだ。名称の如何ではなく、問題の本質をふまえた対策とその周知徹底こそ重要であろう。(芳賀)

カスタマーハラスメントは世相の反映。社会全体での対応・排除を

カスタマーハラスメントは、社会経済や企業の事業活動に大きなロスをもたらすが、企業だけでは対応に限界がある。些細な接客上のミスの揚げ足を取ったり、言いがかりに近い形で一方的に企業側に責任をなすり擦り付けたり、わがままでしかないことをごり押ししたり、そのために監督官庁等を巻きこんで外圧を使おうとしたり、その手口・思考回路は共通である。多くのお客様が利用される中で、個人のわがままを延々と申し立てることを許すことは、「ロス」でしかない。監督官庁や行政機関側も対応力を上げて、消費者のわがままをけん制していく必要がある。警察も、民事不介入や業務妨害等で被害届を取らない消極姿勢を改め、断固とした対応をしていく必要がある。カスタマーハラスメントに対しては、社会全体で断固、対処・排除していかなければならない。(西尾)

総務省、東京五輪に向けたサイバーセキュリティ対策強化、緊急提言を発表

総務省は、東京五輪・パラリンピックを前に早急に取り組むべきサイバーセキュリティ対策について緊急提言「我が国のサイバーセキュリティ強化に向け速やかに取り組むべき事項」を発表した。提言には「IoT機器のセキュリティ調査を行う」や、サイバー攻撃を受けてから半年以上も報告していなかった三菱電機の事例も踏まえ、「問題発生後の報告体制を強化する」など5点の対策が盛り込まれた。「守るべき情報に対する安全は、十分な配慮がなされているか」、企業規模に関わらず十分な対策が進んでいないところが攻撃者にとってターゲットであり、都合の悪い状況を生み出していないか自問する必要がある。企業としては今後、全社的なリスク管理として、自社が十分な情報を管理するレベルを満たしているかどうか、自ら評価し律していかなければならない。(佐藤)

セブン&アイ、人工知能(AI)で発注 デジタル投資加速

同社は、AIを使った商品発注を本格導入する。セブンイレブンは一部店舗で実験を始め、イトーヨーカ堂では5月に全店導入するという。コンビニではローソンがAIを活用した発注システムを全店で導入済だ。従来の自動発注は、いわゆる不定期定量発注で基準値を決めておく必要があったが、AI発注でこうした設定が不要になる。セブンイレブンはこれまで、過去の販売データからの需要予測に発注者の意図を加えた仮説を立てて発注、検証するというプロセスを重んじてきた。発注精度の向上には本部も店舗も膨大な時間を費やす一方で、品ぞろえの強みとしてきた。かつての聖域への着手は、人手不足の深刻化が店舗のみならず本部の経営リスクとして顕在化した背景がある。投資を抑制するための規模の追求という従来手法は当面通じない。変化対応の真価が問われる。(伊藤)

新型コロナウイルスが指定感染症に。何が変わる?

武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎を、感染症法上の「指定感染症」とする政令が1日に施行された。政府は今後、感染者の強制入院や就業制限を勧告することや、従わなければ強制入院させることができる。患者が入院した場合の入院費は公費で負担する。また、2012年に施行された新型インフルエンザ等対策特別措置法の特徴は「まん延の防止に関する措置」として都道府県知事の判断で「学校等の施設や興行場、催物の制限等の要請・指示」が可能になることだ。すでに一部の芸能イベントの延期などが発表されているが、今後の状況によっては知事の判断で大規模イベントやイベント会場そのものを封鎖することが可能になる。企業の担当者としてはまず冷静に情報収集し、今後の事業に大きな影響のある可能性を洗い出し、必要に応じて対策を進めてほしい。(大越)

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