30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

「犯罪インフラ事業者」排除の視点もまた重要だ

大手電話各社が、過去1年間でオレオレ詐欺などに使われた固定電話番号計3,336件を利用停止にした。さらに、これらの番号を販売した電話再販業者11社への番号提供も一時中止したという。今年1月~9月の特殊詐欺認知件数は前年同期比で約18%減少したが、被害の抑止に一定の効果があったと言える。また、特殊詐欺グループに利用されると知りながら携帯電話やIP電話の電話番号を提供したとして、大阪府警は、詐欺容疑で携帯電話レンタル会社2社の代表2人を逮捕した。その特殊詐欺被害は大阪府内だけで計50件、約1億1,600万円に上るという。特殊詐欺を助長する「固定電話」「レンタル携帯」「電話転送サービス」「SIMカード」など悪質な犯罪インフラ事業者に対する規制や摘発は、特殊詐欺被害の抑止に直結することは明らかだ。一層厳格な取組みを期待したい。(芳賀)

カスタマーハラスメントを定義することの必要性

カスタマーハラスメント対策を推進して従業員を顧客の理不尽な言動から守ることは極めて重要である。しかし、実のところ、対策を進めようにも世間では未だにその定義や行為類型すら固まっておらず、論者によりその概念がまちまちな状況である。統一的な対策を進める上では、定義や類型を整理し、従業員が該当するかどうかを判断できるよう、「カスタマーハラスメント」を定義する必要がある。その際は、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントの定義が参考になる。「職場において行われる、又は業務に関して行われる優越的な関係を背景とした顧客(法人等の取引先を含む)の言動で、業務上又は社会通念上相当の範囲を超えて行われ、担当者の就業環境や業務推進を阻害し、又は担当者の尊厳を傷つける行為」と位置付けてみてはいかがだろうか。(西尾)

(※)当社では今後、カスタマーハラスメントに関する行為類型や方針案(ポリシー)、対策を進める上での留意事項をまとめた資料を、順次公表していく予定です。

8割以上がパスワードを使い回す

トレンドマイクロは、「パスワードの利用実態調査 2020」の結果を発表した。2017年の調査と同様に、今回の調査でもパスワードを使い回す利用者が8割以上だったとしており、パスワード管理への意識は前回からほとんど変化がない。組織内でも使い回しや部署内での共有は危険であると認知されているものの、その多くが放置されているのが現状だ。複数のオンラインサービスで同じIDやパスワードを使い回したり、単純な文字配列でパスワードを設定することは、強盗の目の前に家のカギをぶらさげて首を差し出すのと同じ行為だ。IDとパスワードはその人しか知らない言葉をよりどころに、その人がその人であるという判断をするための仕組みだ。パスワード管理にしっかりとした危機意識を持つことはもっとも身近なセキュリティ対策であり、かつもっとも重要な対策だ。(佐藤)

管理職のパワハラ防止、多面評価による可視化を

鹿児島県は課長級の職員の部下への指導について、戒告の懲戒処分にしたと発表した。業務上の指導を行う際に舌打ちやため息を繰り返した他、感情的に強い口調で叱責したという。パワハラまでは認定しなかった過去の行為を同様に繰り返したことを重くみた。一般に管理職のいわゆる「不適切な指導」は、パワハラとまでは認定しないが、厳重注意とすることが少なくない。厳重注意の結果、管理職自身が改善できなければ、そもそも適正に欠くと判断できる。一方で、指導とパワハラの境界をめぐっては、管理職の委縮も指摘されている。管理職のミッションのひとつは、部下を含めたチームでの成果を上げることだ。ただし、成果のみを評価基準とすれば、プロセスに圧力やゆがみ生じる。部下が上司を行動評価する視点を加えることで、「不適切」はより客観的になる。(伊藤)

コロナ第3波に向け、職場の湿温度管理の徹底を

コロナ第3波の到来が懸念されるなか、職場で今すぐできる対策の一つが執務室の湿温度管理だ。実は職場の湿温度は労働安全衛生法で「事業者は、空気調和設備を設けている場合は、部屋の気温が17度以上28度以下及び相対湿度が40%以上70%以下になるように努めなければならない」と定められており、冬に湿度を40%以上に保つとインフルエンザなどのウイルスが活動しにくくなることが知られている。注意して欲しいのは空調管理と温度管理の違いだ。ただ空調設備で温度を設定しても、日当たりやパソコンからの放熱など様々な条件により同じ室内でも温度は大きく変化する。空調機器で温度管理をしたうえで、寒すぎる、もしくは暑すぎる場所ができないようサーキュレーターの設置やLED照明の積極活用、部屋の広さに応じた人員配置などの様々な工夫が必要となる。(大越)

トランプ大統領の再選はあるのか?

日米の大手メディアの報道では、バイデン候補の当選は既定事実であるかのようだ。これまで全米各地で民主党の不正選挙を告発する幾多の情報がネットにアップされている(投票率が100%を超える、死亡者が多数投票していた等々)が大手新聞・TV側はそれらを一切無視。ここにきて、バー司法長官は各州の連邦検事に対して選挙不正容疑に対する「刑事犯罪捜査」指令を提出。その指令書には、米国連邦検事への覚書と記載されている。刑事捜査が始まろうとしている。今後12月8日までに全米各州で選挙人を確定、14日に選挙人による投票が行われ、来年1月6日開票となる。同日に決着がつかない場合は、合衆国憲法の修正12条の解釈に委ねられ(上院議長ペンス副大統領に一任)、そこでトランプの再選が決まれば、2000年のブッシュ・Jrとゴアの時と逆の展開となるか。(石原)
(※)https://justthenews.com/sites/default/files/2020-11/FILE_8000.pdf

重大事から目を逸らされてはいけない

安倍内閣において、モリカケサクラ疑惑や後期の検察庁人事が社会的問題となり、マスコミもそれらを大きく取り上げた。しかし、その間に他の問題や法案はあまり話題にならず、審議時間も不十分なままで強行採決された。種子法廃止や水道法改正・漁業法改正、共謀罪の成立等々である。今また、日本学術会議問題や新型コロナ第三波と騒がれている裏で同様なことが進行中だ。その一つが種苗法の改正である。これは種子法廃止や農業競争力強化支援法とセットになるもので、農家を単なる巨大外資の種苗の消費者にしてしまうだけでなく、日本の食料自給率をさらに低下させる。また欧米に比較して、遺伝子組み換え作物や農薬の基準は大幅に下げようとしている。農家の自家増殖はその国の風土と文化に根差した貴重な国民的財産だ。マスコミの問題提起が足りない。(石原)

同一労働同一賃金5判例のミスリードに注意 ~「非正規=退職金・賞与不要」ではない~

同一労働同一賃金を争った5事案の最高裁判決が10月半ばに下された。報道の見出しには「非正規社員に賞与や退職金は不要」と読めるものが散見され、ミスリードが懸念される。いずれの事案も、原告の従事する業務、勤続年数、類似業務に就く正社員やそれ以外の正社員との業務内容や責任範囲等を複合的かつ子細に検証し、事案の条件に限って個別に判断したものである。これらの判例は今後のリーディングケースになるが「非正規=賞与も退職金も不要」と考えることはリスクが高い。正社員と非正規社員の労働条件・責任の範囲等が全く同一であれば、賃金も同一であるべきだが、多くの場合は全く同じではないはずだ。企業の対応として必要なことは、正社員と非正規社員の規程や評価制度を区別しておくこと。そして区別した制度の実績が0でないことも重要だ。(加倉井)

官製談合摘発の端緒

京都大学霊長類研究所のチンパンジー用大型ゲージ等の整備工事をめぐり、不適正経理があった問題で、会計検査院は検査結果を公表した。その中には、官製談合に抵触する内容がある。これは時効で立件されることはないが、最近、同様の官製談合防止罪で摘発される報道が散見される。官製談合は、過去には典型的な贈収賄事件に繋がっていたものの、近年は、入札不調による担当者の負担回避のために、発注側からなされることもある。しかし、受注企業側は、刑事罰、指名停止、営業停止、損害賠償請求等を被ることに繋がりかねない。また、結果報告書に「契約を意図的に分割するなどして一般競争入札が行われていなかったような事態(随意契約)」が指摘されていたが、捜査機関はそういう態様の契約も注視し、立件へと展開していく。不正は露見するのである。(中西)

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