週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

世界はつながっている~グローバル化するリスクへの対応を自分事として捉えよう

政府が2022年の通常国会へ提出をめざす「経済安全保障推進法案」は、「特許の公開制限」「サプライチェーンの強靱化」「先端技術の研究開発支援」「重要インフラの安全確保」の4つの柱で構成され、中国を念頭に日本の技術が軍事転用されるリスク、AIや量子関連など重要技術の流出や重要インフラに関する情報漏えいリスクへの対応、海外に依存した供給体制の再構築などを強化するものだ。無防備な日本の経済安全保障もようやく国際標準に舵を切ったと言えよう。気候変動リスクやAML/CFT、サイバー攻撃など、コロナ禍を機に加速するサプライチェーン・リスクマネジメントの重要性や、リスクを「点」ではなく「線」や「面」で捉えることの重要性が増す中、企業や国は、単体では解決が困難なリスクのグローバル化への対応に主体的に関与する必要性に迫られている。(芳賀)

▼経済安保法案、特許公開制限など4本柱 対中国念頭に(2021年11月14日付日本経済新聞)

小売業を取り巻く窃盗の脅威が増大 手口の分析とそれに適した対策を

失業率が高止まりしている。失業率と犯罪発生率の研究によるとそれらは正の相関関係にあるという。つまり、失業率の増加は、犯罪発生率の増加という影響を及ぼす。なかでも、窃盗犯発生率が高くなる。今、小売業はロスの要因の中でも窃盗の脅威にさらされている。具体的には、万引きと従業員による窃盗(内部不正)だ。万引きは、職業的に犯行に及ぶプロによるものと自己消費目的のアマによるものに大別される。多くのプロは、万引きの準備や手口が用意周到だ。プロの犯行を防止するにはノウハウが要る。一方、従業員による窃盗は、被害額という視点では「万引き」1件あたりの被害額の15倍におよぶというデータもある。加えて、モラルの低下をもたらす。ロス問題の解決には、まずは自店で起きている窃盗の手口の分析とそれに適した対策の実行が必要だ。(伊藤)

『日本沈没』から学ぶ

テレビドラマ『日本沈没』が話題だ。1973年にSF作家小松左京氏によって描かれた本作は、当時からベストセラーとなった。同氏は31年に大阪で生まれており、44年の昭和東南海地震や翌年の三河地震は少年時代の大きな衝撃になっていただろう。今回のドラマのキーワードの1つがSlow Slipだ。香川照之扮する田所教授が、太平洋側で観測されるSlow Slipの多さから世間に警鐘を鳴らすも政府から無視されてしまう。このSlow Slipが、本稿でも何度か指摘している「ゆっくりすべり」だ。政府の地震本部によると短期的ゆっくりすべりはおよそ数日間かけて発生する現象で、東海地方や四国地方では数か月に1回の頻度で発生していることが知られている。もちろん日本が沈没するという科学的な予想は皆無だが、その用語の使い方は興味深い。秋の夜長に楽しみながら学ぶのもいいだろう。(大越)

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