30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

「バイアス」に抗う難しさを「知る」ことが特殊詐欺被害防止の第一歩だ

人は知らず知らずのうちに「バイアス」の虜となっている。特殊詐欺被害においても、「自分が騙されるわけがない」と強く思う人ほど騙される傾向にある。肯定する情報ばかりに目を向けて、反証=否定する情報を無視したり、目を背けてしまう「確証バイアス」が強く働き、騙されていても「騙されていない」証拠を無意識に集めようとするためだ。一方、特殊詐欺に加担してしまう行動にも「バイアス」が関係する。自らの行動が罪だと認識していても、追い込まれるほどに、人は物事を自分に都合よく解釈してしまう。「正常性バイアス」は、自らの心の平穏を保つために、多少、危険なことが起きても正常の範囲内であると考えてしまう状態だ。こうした認知の歪みを起こしてしまう悲しい性を、末端の実行犯のリクルーターは熟知したうえで言葉巧みに犯行に誘う。(芳賀)

南海トラフ地震関連死は7万6000人

関西大学社教授の奥村与志弘氏は、南海トラフ巨大地震が発生した場合の災害関連死が最悪の場合、7万6000人にのぼる可能性があるとNHKの取材に答えた。東日本大震災の約20倍にあたり、この数字は国の被害想定死亡者である32万3000人には含まれていない。幅広い範囲でインフラに被害が出て停電や断水が長期化する上、長期間の避難所生活で適切な医療が受けられないことが大きな原因としている。災害関連死とは災害の直接の被害ではなく、災害による負傷の悪化や避難生活における病気により亡くなる人を指す。熊本地震では直接死が55人に比べて関連死は273人となり、関係者に課題を残した。同氏は災害後のトイレ問題や炭水化物に片寄った食事、密集した避難所の環境などが大きく関連すると指摘する。災害後に1人でも多くの命を救うために、今からの備えが必要だ。(大越)

働くことは、それほど嫌なことだろうか?

「誰でもラクに稼げる」に安易に飛びつく人がいる。生活に必要なお金を稼げないのは困るが、「誰でも」と「ラクに」は本当に魅力的だろうか?人の能力は様々であり、得意なこともあれば不得意なこともあるのが普通。誰でも、どんな特性の人でもできる仕事より、自分の特性を上手く活かせる仕事に出会う方が、高い付加価値を得やすいだろうに。また頑張った後の爽快感や、成し遂げた後の達成感、自己効力感は、なかなか魅力的だと思うのだが…本当に「ラクな」仕事が最適か?働くこと、稼ぐことは、確かに簡単ではないし、辛いことも多い。しかし良い面もあるものだ。良い面を伝えず、ただ酷い目に遭わせようとする人は、お客様でも上司でもない。組織は社内外の不当要求者から、善良な従業員の「頑張って働くのも悪くない」という気持ちを守って欲しい。(吉原)

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