30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

官民連携による息の長い取組みとなる~犯罪対策閣僚会議「緊急対策プラン」

「組織的に敢行される犯罪そのものを封じ込める」「そもそも高齢者等が犯罪者グループ等と接点を持たないようにする」といった観点から、一層踏み込んだ対策を講じるべきとして、「実行犯を生まない」「実行を容易にするツールを根絶する」「被害に遭わない環境を構築する」「首謀者を含む被疑者を早期に検挙する」という4つの柱からなる対策が打ち出された。具体的には、「3種の神器」やSNS、秘匿性の高いアプリ等の「犯罪インフラ」対策、広報・啓発を通じた青少年や在留外国人対策、現金の国外持ち出し等にかかるマネロン対策など幅広い。だが、特殊詐欺が人間の性や心理的メカニズムを巧みに操った犯罪であることも重要な視点だし、犯行の手口や犯罪インフラの進化と「対策」の「いたちごっこ」も続くはずだ。より根源的な対策へと深化させたい。(芳賀)

▼犯罪対策閣僚会議 SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プラン

危機管理広報は人の命を左右する

3月12日、福岡県筑紫野市の老舗温泉旅館の前社長が遺体で発見された。遺書が残されていたことから、警察では自殺とみているという。該当の老舗旅館は2022年、大浴場の湯から基準値の3700倍となるレジオネラ属菌が検出されたうえ、保健所に虚偽の説明をしていたことが2023年2月下旬に発覚。塩素の投入を怠り、大浴場の湯を年に2回しか入れ替えていなかった。前社長は記者会見で「レジオネラ症はたいしたことないだろう」「塩素の臭いが自分の体質に合わずに嫌いだった」などと発言し、報道機関から批判を浴びたことを苦にしたとみられる。あらかじめ周到にFAQを準備し、言葉を慎重に選び、真摯な姿勢で会見に臨んでいればこのような事態にはならなかったのではと心が痛む。改めて、危機管理広報が人の命を左右する場合があることを肝に銘じて業務にあたりたい。(大越)

コンプライアンスは他社と比較すべきか?

コンプライアンスに他社との比較が必要か?本来、法律等は「守るのが当然」であり、「他社も守っていないからOK」とはならないはずだ。また自社が「何を目指すか」は会社によって異なり、当然「できている」の基準も異なる。目指すものも基準も異なる中、「一見、共通の尺度に見える」アンケートを実施し、他社と比較したところで…何がわかるだろう。数字で示すこと、実態を「見える化」することは、自社の現状を把握する上では有用だ。過去の自社や、自社内の組織ごとに比較すれば、弱点や施策の効果も把握できる。また、どうせアンケートを取るなら「具体的に、何をしたらよいか」まで一緒に探りたい。数字だけでは改善に向けた具体策は出て来ないからだ。当社のリアルマイニング®は、安易な他社比較ではなく、改善につながる実態把握を目指している。(吉原)

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