30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

信頼回復は容易ではない~「正しく稼ぐ」ことを肝に銘じたい

東証プライム上場企業が暴力団幹部に利益供与を行ったとして東京都暴排条例に基づく勧告を受けた。密接交際していたとされる創業者が取引を主導していたとの報道もあり、トップの暴走を止められなかったガバナンスやリスク管理に深刻な脆弱性があったと推測される。一方、暴排条例に基づく勧告は本来非公開であり、当該企業が自らその事実を公表し、創業者一族の経営への影響力を排除すべく体制を一新した一連の対応は評価できる。昨年11月の創業者の唐突な退任、今年5月の同社工事に絡む暴力団幹部の逮捕報道などから、いずれ公になる可能性等を鑑みての対応だろう。組織的な関与があったか否かについては、第三者委員会の報告を待ちたいが、反社リスクは企業の存続と従業員の人生を左右しうるほどの破壊力をもつ。より一層の自浄作用が求められよう。(芳賀)

西日本豪雨から5年。人の命はハードだけでは守れない

2018年7月に発生し、九州から東海にかけた広い範囲で300人近い犠牲者を出した平成30年7月豪雨からもうすぐ5年が経過する。この事態を受け、国土交通省は砂防やダム、堤防などの再点検と強化を進めている。愛媛県の西予市と大洲市を流れる肱川では、当時上流のダムで大規模な放流を行った結果、各地で氾濫が相次ぎ、流域で8人が亡くなった。その後、国と県では370億円をかけて肱川水系の治水を行い、一部流域では大規模なかさ上げ工事が完了した。国交省は「今後、西日本豪雨と同じ規模の雨が降っても越水することはない」と胸を張るが、この考え方には違和感がある。東日本大震災では「防潮堤があるから津波は来ない」と信じていた人たちが多く亡くなった。人の命はハードだけでは守れない。治水工事が完了しても、防災意識を忘れないようにしてほしい。(大越)

トップの意識が変わらなければ、社内のコンプライアンス意識は高まらないか?

コンプライアンス意識の向上に向け、真剣に取り組む担当者の中には、「トップの意識が低いので、どうにもならない」と嘆く方がいる。確かにトップの意識や社風を一瞬で変えるような魔法などなく、変化を起こすのは難しい。しかし全く変わらないかというと、そうは思わない。手作り教材、短時間の研修でもいい。社内向けの読み物でもいい。地道に「こうあるべき」を伝え続ければ、たとえトップは気付かなくても、現場の常識は少しずつ変わるものだ。社内に研修を根付かせたかった筆者が現場の変化に気付いたのは、諦めて退職を決め、今日が最終出社という日だった。変化は少しずつで、気付きにくい。だがきっと、口うるさくコンプライアンスを叫ぶ自分がいることが、誰かの支えや抑止力になっているはず。担当者が諦めないための、支えになりたいと願う。(吉原)

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