30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

密接交際認定と社名公表措置~慎重さと公益のはざまで

暴力団組員との密接交際を認定され、福岡県暴排条例に基づく排除措置で、会社名を公表されたのは不当だとして、福岡市の元社長が同県などに措置の取り消しなどを求めた訴訟の判決が今月、福岡地裁で言い渡される。排除措置の適法性が争われた訴訟は初めてで、司法判断が注目される。そもそも「密接交際」の認定については、企業の反社リスク対策においては警察への照会が重要なポイントとなるが、警察も「立証責任」の観点から情報提供に慎重だ。今回の訴訟でも、「情を知って」の部分を警察がどのように立証していくかが大変興味深い。反社リスクは企業の存続と従業員の人生を左右する極めて重大なリスクだ。だからこそ社名公表という処分の妥当性・公正性・正確性が十分に担保されたうえでの制度運用であるべきで、今回の訴訟はその分水嶺となりうる。(芳賀)

自民党の金権体質と経団連

自民党の裏金問題は、説明責任という言葉だけが上滑りするだけの衆参両院の政治倫理委員会でお茶を濁して終わりになるのか。裏金に課税されないことに桁違いに少ない額の確定申告を義務付けられている国民は怒っている。と同時に検察と国税当局に不信感を募らせている。岸田政権への支持率は下がるばかりだが、国民の関心が薄れたときに衆院解散をするつもりなのか。その際、国民は種々なしがらみや忖度を振り切り覚醒できるか、国家としての正念場だ。一方、経団連はパーティー券の購入はじめ政治献金の中止を真剣に早急に検討すべきだ。消費税と輸出戻し税による還付金や550兆円にものぼる内部留保の仕組みをそのままにしたいのであれば、「企業行動憲章」で謳っている"良き企業市民"とか"社会の公器"などというCSRやSDGs関連の言葉は使わないことだ。(石原)

津波到達時間の考え方について

昨年、大阪管区気象台が公表した内容はメディアを困惑させた。大阪湾に津波が到達するまでの猶予時間を10分~20分としたからだ。現在の自治体が公表しているハザードマップでは大阪市や堺市などは120分前後とし、その間に避難するよう呼び掛けている。これには少し解説が必要で、国のモデル検討会は地震発生後1mの津波が到達する時間として「津波高1m最短到達時間」を採用しており、自治体のハザードマップもそれに準拠している場合が多い。実は沿岸部で10cm程度の津波であれば10分~20分後から到達する可能性があるという。この伝え方が実は難しく、例えば報道などで「10分~20分後に10cmの津波到達の可能性」と流してしまうと、事実を過小評価して逃げない人たちも出てくることも考えられる。東日本大震災から今日で13年。改めて津波について考えてみたい。(大越)

目標を数値化する前に、会社が存在する目的を言葉で!

「売上○%UP・利益率○%」「成約率○%」「アポイント○件/週」など、数値で示せる目標は明確で、達成できたかどうかの評価もしやすい。会社業績と直結する数値目標を的確に立てられれば、当然わかりやすく成果も出るだろう。だが数値目標に気を取られ、いつの間にかパーパスや企業理念を見失っていないだろうか。日々数字を強く求められ、自身の評価にも直結するならば、数字ばかりを追求する人も出てくるはずだ。顧客の都合や要望を無視し、自社の利益が最優先。強引なアポイントや売りつけで目標数値を達成し、果たして自社は社会に貢献しているといえるのか?数値目標を立てる前に、自社は社会の中でどういう存在となり、どう顧客と向き合うか、しっかり言葉にして浸透させるべきだ。それにはずれた数値目標をうっかり立ててしまわぬように。(吉原)

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