30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

これ以上放置すべきではない~大学運動部の大麻蔓延

国士舘大学柔道部の複数部員が大麻を使用した疑いがもたれている。またか。筆者は大学運動部のもつ構造的な問題にメスを入れなければこの問題の根絶は難しいと指摘してきた。大麻の使用は犯罪だ。外部の目が届かない寮の閉鎖性や厳しい上下関係、ストレス、あるいは強豪運動部の治外法権化などが背景にあり、再発防止策は各大学に任されてきた経緯があるが、それは言い訳にはならない。さらに、現金をだまし取っていた日大など、大麻蔓延以外の様々な不祥事の連鎖も続く現状を鑑みれば、全大学運動部の横断的調査、そして健全化に向けた統一的な取り組みが必要ではないだろうか。大多数の問題ない学生までが人生に悪影響を及ぼす現状は変えなければならない。「情弱な」若年層への正確な知識の周知徹底とあわせ、この機会に本腰を入れて検討すべきだ。(芳賀)

タワマン、長周期地震動に備えろ

毎日新聞の調査によると、南海トラフ巨大地震が発生した場合、高層の建物を大きく揺らす「長周期地震動」により深刻な被害が出る可能性があるタワマンが大阪、兵庫など4府県に約140棟あることが判明した。国交省は2016年、南海トラフ巨大地震に伴う長周期地震動により超高層ビルに被害が出る可能性が高いとして11都府県を「対策地域」に指定。17年4月以降に申請された高さ60メートル超の超高層を対策地域内で新築する場合に、対策を義務付けた。同社によると対策地域内にあるタワマンは1170棟。南海トラフ巨大地震による長周期地震動の大きさが「旧基準」の設計想定を上回る可能性が「非常に高い」「高い」地域の139棟が、基準強化前に建てられていたことが明らかになったという。ご自分の住むマンションに対策が施されているか、一度確認していただきたい。(大越)

▼深刻被害懸念タワマン140棟 南海トラフ地震 識者「全壊判定も」

自発的な仕事は案外楽しいもののはず

近所の消防署の玄関先に、カラフルな小石を並べて「ネッチュウショウ注意!」のような季節のメッセージが書かれている。きっと誰かが通りがかった人と文字での交流を楽しみはじめ、それが定例化したのだろう。さぁ、ではこの自発的な楽しい仕事を「つまらない仕事」に変えてみよう!まずはメッセージを変更する頻度を「隔週月曜日」と定めようか。季節に合わせた文言を適切に届けるため、まずは過去のメッセージを全て一覧にし、適切なものを選定しよう。変更が必要な場合はどの会議体で諮るかも決めておく。評価の低いメッセージを次期は更新するため、効果測定の仕方も検討すべきだ。また文字を読みやすくするために、色の使い方や石の間隔も決めておこう。何とばかばかしい。過度のルール化、マニュアル化によって、仕事の楽しさを奪ってはいけない。(吉原)

人は変わらず、時代が変わった

映画『国宝』では、極道の息子として生まれた主人公が、1960年代に抗争で父を亡くした後、15歳で背中に大きな刺青を掘るのだが、数十年後にこれがスキャンダルとして扱われる。近年、現実の芸能界でも「コンプライアンス違反」を理由に活動休止や引退を余儀なくされる例が増えている。人は変わらず、時代が変わったということだろう。私たちホモ・サピエンスは、地球上に現れてから99.9%の時間を、狩猟採集で生活してきたため、脳は今でも当時の生活様式に最適化されている。狩猟採集時代では、食べ物を探す賭けや仲間内の殺し合いが日常茶飯事であったため、現代ではそれがギャンブル依存症や暴力の問題として影を落とす。今のコンプライアンスを守る時代が、人類史上、ほぼ前例のないことばかりだということを念頭にアップデートしていくしかないだろう。(安藤(未))

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