30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

求められている役割を果たすべきだ~犯罪収益移転防止に関する年次報告から

本報告書では特に「指定非金融業者及び職業専門家(DNFBPs)」によるマネロン対策等の実効性の低さへの言及が注目される。DNFBPsによる疑わしい取引の届け出が全体の約0.04%に過ぎない一方、金融機関からの届出には、DNFBPsに関係する情報が含まれ、「DNFBPsの取引において多数の疑わしい取引に関する情報が潜在しているのではないかと推認される」と指摘。また、「DNFBPsが行う取引の中でも、宅地建物取扱業者が取り扱う不動産の売買契約及び宝石・貴金属等取扱事業者が取り扱う宝石・貴金属の売買契約については、特にマネロンに悪用されるおそれが高いと認められる」、「DNFBPsのサービスが特殊詐欺等の犯行や取引のツール等として悪用されている」、「さらなる追跡が可能」といった厳しい指摘が続く。「犯罪インフラ化している」との指摘を重く受け止めるべきだ。(芳賀)

*DNFBPs:特定事業者のうち、銀行、貸金業者、資金移動業者等の金融機関等を除いた、宅地建物取引業者、宝石・貴金属等取扱事業者、郵便物受取サービス業者等の指定非金融業者及び弁護士、司法書士、行政書士等の職業専門家

犯罪収益移転防止に関する年次報告書(令和7年)

パランティア・テクノロジーズの危険性を憂う

先般、高市首相は訪日中のピーター・ティール・パランティア・テクノロジーズ社会長の表敬を受け同社と契約の方向だ。。パランティアのAIは国民の個人データを全て収集把握、個人の全てを可視化可能。日本でもマイナンバーと紐づいた銀行口座に給付する等の不合理な条件提示が危惧される。元々パ社はCIA資金により設立された「世界最強の監視プロ集団」。パ社の技術はトランプ政権ではICEによる移民摘発に利用され、人権侵害と全米で猛批判されている。国民全員に「信用スコア」を付け完全監視システム導入済の中国は別だが、他国でもその危険性は指弾されている。スイスでは「導入不可」、仏国「強い警戒」、ノルウエーは「見送り」、また独国では「違憲判決」が出されている。つまり同社の技術は極めて重大な人権問題を抱え、憲法との整合性も取れない。(石原)

防災庁、今秋の発足を目指す

政府は6日、防災庁設置法案などを閣議決定。今秋の発足を目指す。同庁は事前防災と発災時の対応から復旧・復興までの一貫した災害対応の司令塔となるもので、国の防災体制を抜本的に強化するのが狙い。復興庁やデジタル庁のように内閣府直下の組織として発足する見込みだ。組織体制は内閣総理大臣をトップとし、防災大臣のほか同副大臣、同大臣政務官、事務次官を配置。定員は現在の220人から1.6倍となる352人で、内部部局として庁内の全体的な調整を担う「総合政策」、災害発生時に対応に当たる「災害事態対処」、事前防災を担う「防災計画」、地域の防災を強化する「地域防災」の4部門を置く。首都直下地震や南海トラフ地震に備え、地方に対策本部の代替拠点となりうる「防災局」を2カ所置くことも明らかにした。一刻も早い防災体制の強化を願う。(大越)

「負担を減らす」発想だけでは、well-beingは目指せないのではないか

垣谷美雨氏の小説「定年オヤジ改造計画」をたまたま手に取った。家族のためにと仕事一筋で定年を迎えた夫と、無理解な夫と家事・育児に疲れ果て、夫源病となった妻。その夫が孫の育児に携わり、妻の苦労に気付き変わっていく…というストーリーで、「ここまで酷い夫はいないでしょう」「いや、いるかも」と身近な人を想像しながら読み終えた。子のいない筆者でさえ、仕事だけに専念できたらどれほど楽かと感じるのだ。育児が加われば…それはキツイだろう。男女共に暮らしやすいwell-beingを目指す世の中だが、家を整え子を育てるには負担はつきものだ。妻の負担を減らせば夫の負担が増え、夫婦の負担を減らそうとすれば誰かの仕事の負担が増す。男女ともに余計な負担は減らすべきだが、「余計ではない負担」を受け入れるモチベーションづくりも必要と思う。(吉原)

「定年オヤジ改造計画」垣谷美雨(著) 祥伝社 2018年

オンライン(Web)面接の相手は本物?~AIを使った「なりすまし」~

日本のあるIT企業のオンライン面接に現れた、日本人エンジニアを名乗る人物は、身分を偽って仕事を得ようとする「なりすまし」だった。生成AIで作った「ディープフェイク」の可能性がある。なりすまされた日本人エンジニアは実在の人物で、面接の担当者から本人に連絡があった。本人が見ると、自分と顔は似ていなかったそうだが、「まだこのレベルで良かった。でも、いずれ本人かどうか見分けがつかなくなる日も近いかも」と語っている。なりすました人物が本当は何者だったのかは不明だ。ただ、警察庁によると、北朝鮮のIT労働者が日本人になりすまして日本企業から業務を受注し、収入を得ている疑いがあるそうだ。本件もそうだった可能性がある。下記のリンクにプラットフォーム運営企業や発注側向けのチェックリストがあるため、参考にしてほしい。(安藤(未))

朝日新聞『AIを駆使した「なりすまし」?日本のIT企業に現れた男の狙いは』(2026/3/9 6:00)
警察庁「北朝鮮IT労働者に関する企業等に対する注意喚起」(2024/3/26)

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