週刊危機管理Plus 2018年6月18日号



「貧困暴力団」が示す未来

みかじめ料などの従来型の資金源を断たれ、生活費にも困窮した暴力団員が、荒手(新手)の犯罪に手を染め、(ATM不正引き出し事件のように)組織の枠組みを超えた資金源獲得活動も散見されている。ピラミッド型の統制あっての暴力団組織だが、統制が効かない状況は暴力団の枠組みを根本から揺るがすもので、いわゆる「貧困暴力団」が今後の暴排のあり方に大きな影響を及ぼすことになろう。当局の摘発や事業者の暴排は、「組織」を前提とした戦いから、組織の意向とは関係なく動く組員、共生者や半グレ、離脱者らの自由な連携という「非組織」との戦いとなり、その難易度は増すことになる。また、暴力団は、外圧(暴対法や暴排条例、社会的な暴排意識の高まり)よりむしろ内部から崩壊する可能性もある。今や反社会的勢力の再定義が急務だと言えよう。(芳賀)


もくじへ


スポーツ指導者、社会常識との乖離

レスリング女子の伊調選手らが日本レスリング協会前強化本部長の栄氏からパワハラを受けた問題で栄氏が14日、初めて記者会見をした。記者会見で栄氏は、パワハラ行為が起きた原因について「コミュニケーション不足」との認識を示した。これはパワハラが発生する原因とも関係する構造的な問題を含んでいる。厚労省の調査によるとパワハラを受けたことがあると認識する人は25.3%だったのに対してパワハラをしたと感じたり、指摘をされたと認識する人は7.3%だった。これは加害者側に自覚がないというパワハラの特徴を示している。日大アメフト問題と共通してスポーツにおける権力を持つ指導者への教育不足が、不祥事の真因であるとの認識が必要だ。連盟など中央競技団体は「成績至上主義」に偏らないスポーツ・コンプライアンスの強化を指導者から徹底すべきだ。(伊藤)


もくじへ


出張族、不安広がる──新幹線凶行に「こうすれば身を守れる」答えなし

東海道新幹線での殺傷事件を受け、列車のような閉域での暴力に対して漠然とした不安が広がりつつあるが、そこに万能の解はない。強烈な害悪に晒されたとき人間は、まず「自分が巻き込まれるはずがない=目の前の状況は正常だ」と思い込もうとする「正常性バイアス」に見舞われ、ようやく現実を受け入れても今度は、恐怖で固まる「すくみ反応」に陥る。そこから回復したのちにもパニックに陥らない者だけが、「抗ショック相」において避難・抵抗といった行動に移ることができるのだ。この心理機序は、災害や事故といった緊急事態に際しても同様であり、いち早く冷静な状態を取り戻すことが生存のカギとなる。「備えあれば」の故事に偽りはない。メンタルトレーニングや呼吸法を学ぶ、最低限の心肺・運動能力を維持するなど、平時の心がけが試されよう。(山岡)


もくじへ


バックナンバーへ

最新の記事

公式ツイッター

SPクラブメンバーズサイト