週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

反社リスク対策、AML/CTF実務の厳格化に必要な視点

ナイジェリア人らがマネー・ローンダリング目的で海外から27.8億円あまりの不正送金を受けていた事件は、既に逮捕された元暴力団員ら以外に新たに5人が逮捕され捜査が終結した。報道によれば、米でのビジネスメール詐欺事件の被害金等の送金先として使われた日本国内の口座の95%が地方銀行や信用金庫の口座だという。これら金融機関は、「重機の購入代金」といった虚偽の説明に基づき払い出しており、海外からの送金の取り扱いに不慣れという脆弱性を突かれた形だが、取引時確認において、書面や口頭の情報を頼りに疑わしいかどうかチェックせざるを得ない金融機関の実務の限界が露呈したとも言える。一方で、元暴力団員の口座への送金事実もあり、顧客管理態勢の再検証には、反社リスク対策およびAML/CTF実務の厳格化を「一体的に」進める視点が必要だろう。(芳賀)

松戸市、防犯ネットワークカメラの設置推進

3月に千葉県で発生した女子児童殺害遺棄事件の捜査に役立ったのは、地域の各所に設置された防犯カメラやドライブレコーダーの映像解析だった。被害者が居住していた松戸市では、住宅街などの治安向上や子どもたちの利用する道路の安全対策を図るため、全国初となる市民参加型街頭防犯ネットワークカメラ事業を平成25年からおこなっている。市民の自宅や事業所に防犯カメラの設置を行うもので、今年度は補助金を20-30万円(1台)と増額のうえ同事業へのあらたな参加者を募集している。一方で防犯カメラの増加は顔認証機能等の質の向上と相まって、プライバシー保護の面からの課題は大きくなる。映像データの管理者である市には、厳格なデータ管理と内外の監査体制まで含めた適切な運用を望むとともに、他の市町村のよきベンチマークとなってほしい。(得田)

交流サイトによる子どもの犯罪被害が増加

警察庁によると、昨年交流サイトを利用して児童買春などの犯罪に巻き込まれた18歳未満の子どもは、前年より84人多い1736人で、統計を取り始めた2008年以降最多だった。その他にも、SNSで知り合った他人に脅され性的な画像を送信したり、金銭目的で児童・生徒の側からもちかけトラブルに発展するケースも多発している。ネット空間は、子ども達にとって日常であり生活の習慣だが、現実世界と同様怖さやモラルを学ばなければ、それがトラブルだとは気づかずに問題に巻き込まれてしまう。いま自分がおかれている状況が安全か危険かの判断や、危機に巻き込まれないためには相応の知識や経験が必要だ。対策としてサイト提供者側の監視強化や制限などはもちろんのこと、学校と保護者と事業者が一体となり、子ども達への丁寧かつ十分な教育と周知が早急に求められる。(佐藤)

団地の買い物難民解消へコンビニ出店

都市開発機構(UR)の団地の管理事業を手がける子会社がセブンイレブンとフランチャイズ契約(FC契約)を結び、コンビニを開発する。1960年代~70年代に建設された団地では、居住者の高齢化の進行と同時に団地内の商店も廃業が目立ち、移動手段が限られる高齢者が買い物難民となり社会問題化していた。商主の高齢化による廃業に対して、あらたな商店の誘致が進まなかった原因のひとつに物件を分譲したことがある。物件の所有者が店舗更新とそのリスクを負う構造は、団地管理事業者にとって問題解決の障害となった。新店舗は単に物販だけでなく、生活に密着したサービスを付加する見込みだが、持続可能なスキームにしなければならない。そこはウェットな関係でサービス構築することが求められるが、FC契約のドライな側面をリスクとして認識する必要がある。(伊藤)

インターネット社会のクレーム対応~今こそ企業の主体性が大切

インターネットが発達し、消費者が容易に情報や意見を発信できる社会となり、インターネット掲示版やSNS上の発言に起因するクレームや意見表明に対して、どのように対応すべきか。企業としては非常に悩ましい問題である。最近でも、飲料メーカーや回転寿司チェーン店等がそれぞれの対応を見せている。ネットユーザーの指摘が正鵠を得ている場合もあれば、一方的な意見表明・主張である場合もある。企業として、ポリシーや意思を持って発信された情報とCMとでは、対応に関する考え方も違ってくるが、消費者の「意見」に過敏になりすぎて、企業側が過度に萎縮してしまうようでは企業姿勢の「表現」としても適切とはいえないし、掲載等継続か掲載等停止かの二者択一で考えることも適切ではない。顧客の声を傾聴しつつ、主体的な情報発信が求められる。(西尾)

朝鮮有事は起こるか

人民軍創建85年を迎える明日、北朝鮮が6回目の核実験を実施するとの見方が強まっている。既に危険な兆候が報道されている。核実験場(豊渓里)周辺の住民らを避難させた、中国に核実験実施を通知、北朝鮮国境付近に中ロ軍が部隊を集結、米空軍が放射能探知機能を有する特殊観測機を緊急出動、海自護衛艦「さみだれ」と「あしがら」がカール・ビンソン率いる米空母打撃群と合流し日本海海域に向かう、米空軍が韓国の烏山基地に核兵器配備を準備等々。米軍は北朝鮮の核実験を探知した時点で即攻撃を開始するのか。その後北朝鮮の報復は米軍基地や原発だけでなく工作員テロ等も含め日韓両国に向かうのか、米国内での小型核兵器テロはあるのか、全く予断は許さないが、両国首脳の強気な発言の裏にあるメッセージを読み取ることも重要だ。(石原)

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