週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

2017年05月01日号

【もくじ】―――――――――――――――――――

暴対法の限界を乗り越えよ

神戸山口組が分裂、「任侠団体山口組」が結成された。「金銭の吸い上げ」「組長の出身母体のひいき」「組長が進言や諫言を一切聞かないこと」といった先の分裂と全く同じ理由が挙げられているが、内紛あるいは本格的な抗争に向けた暴対法の規制逃れのための「偽装離脱」の可能性も含め予断を許さない状況だ。今後、暴対法上の指定等を巡る課題が再び露呈することが予想されるが、暴力団がもはや害悪でしかない「犯罪組織」である以上、その限界も含め、暴力団対策は、国際社会がそうであるように、存在自体を許さない方向で社会的に議論を深めるべきだろう。さらに、マネロンやテロ対策、特殊詐欺や金融犯罪対策、犯罪のグローバル化など、国際犯罪対策に不可欠なグローバルな連携・包囲網の構築に向けて、日本が今解決すべき課題であることも明白だ。(芳賀)

連休前後のセキュリティ対策

GWなどの長期連休は、PC端末の紛失や外部からの不正アクセスなど事故やトラブルが多く発生する。連休中は企業のシステム管理者が不在であることも多く、攻撃者が、体制の不十分な休暇のタイミングをあえて狙うケースもある。被害を防ぐためには、事前にOSやソフトウェアの脆弱性の解消、セキュリティ対策ソフトの更新、バックアップのほか不要な端末の持ち出しのチェックなど、基本的な対策が実施されているか、あらためて確認したい。連休明けも注意が必要で、業務を開始する前にセキュリティ対策ソフトなどを最新の状態へ更新し、攻撃を受けた形跡がないか確認する必要がある。また、休暇中に標的型攻撃メールを受信している可能性があり、たまったメールの安易な開封を避けるとともに、添付ファイルやメール本文のリンク先にも注意を払う必要がある。(佐藤)

商工中金の不正融資

商工中金が、第三者委員会の調査を経て、中小企業を支援する公共性の高い制度融資(危機対応融資)で800件超の不正融資を明らかにした。35の支店の職員99人が不正に関与していた。不正が蔓延した背景には、「みんなやっている」という不正行為の多発が規範意識の低下を生み、規範意識の低下が不正行為を促進するという負の連鎖があった。そのような環境では、個人の矜持によって抗うことは容易ではない。エビデンスの改ざんという不正を想定していない「性善説」に基づいた内部監査も不正の発見を妨げた。公共性の高い制度融資を営利目標に組み込めば営業ノルマとして認識されることへの想像力の欠如とリスク認識の甘さは批判されよう。重大な危機に直面した時こそ、事実の矮小化や報告の歪曲に対する健全な懐疑心がトップマネジメントには求められる。(伊藤)

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