週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

FinTech企業の健全性確保の視点が必要だ

金融機関とFinTech 企業とのオープン・イノベーションの重要性が増す中、金融庁が示す両者のAPI連携要件のうち、「適正な人的構成(欠格事由等)」「業務管理体制の整備等」については、厳格な健全性が求められるとの観点から、反社会的勢力排除や反市場勢力、金融犯罪企図者などの排除が当然に含まれると解すべきだ。犯罪組織の行動様式として、有望な技術やビジネスモデル等を有した事業者に対しては、スタートアップの早い段階から、その将来性を見込んで、既に人的・資金的な関係を持とうとアプローチしているはずだ。オープン・イノベーションを軸とした金融制度改革を真剣に考えるのであれば、そのような若い事業者について、金融機関との契約締結段階ではなく、もっと早い段階から、その健全性や技術等の保護に向けた何らかの対策を講じる必要がある。(芳賀)

エレベータの「二重ブレーキ」政府庁舎でも導入進むがまだ少数

エレベータの戸開走行保護装置、所謂「二重ブレーキ」については、平成18年に東京港区の都営住宅で発生した死亡事故などをきっかけに、国土交通省は安全基準を見直し平成21年9月28日以降の新設機には設置が義務付けられている。しかしそれ以前の既設エレベータについては設置の改修義務付けはなく、中央省庁の各庁舎についても未だに国交省や総務省は「二重ブレーキ」ゼロ基だという。消費者庁は昨年8月から各省庁に設置促進を呼び掛けていたが今年度ようやく両省で各1基のほか他省庁でも設置が進みそうだ。利用者にとっては「戸開き走行防止安全マーク」ステッカーの有無によって選別は可能だが、未だ全設置台数の7-8割が未設置だとそれも困難だ。一日も早く「安全マーク」を気にしないで利用できるように更なる設置促進を望みたい。(得田)

フリマでの現金出品問題

スマホを利用して手軽に個人売買できるフリマアプリでの不正・不適切出品が問題視されている。以前より、ゴミや拾った物などが出品されるなど利用者のマナーの悪さなどが指摘されていたが、現金や領収書、現金がチャージされたICカードなどが対象となれば問題は大きい。一定の匿名性が担保され、簡単な登録で出品・落札できる利便性の一方で、犯罪行為を助長するような場は提供されるべきではないし、利用者も資金洗浄や脱税幇助、詐欺などの犯罪や不正に加担したと捉えられかねないおそれがある。事業者は手数料や広告収入を稼ぐことを最優先した結果、消費者の安全や信頼をないがしろにしていないか、犯罪や害悪を助長しないよう自律・他律の厳格な監視が必要だろう。また、違法な取引に安易に手を出す利用者には「倫理的な消費」行動が求められよう。(佐藤)

コンビニ出店鈍化 今年度見通し

大手3社が2017年度に計画する店舗の純増数は前年度から半減する見通しだ。17年度の純増数は約700店とこの10年で最低水準となる。大手3社は揃って採算を度返しした大量出店戦略を取ってきた。既存店舗の売上減少という影響には、店舗オーナーに複数店の経営を推進することで個店の経営リスクの軽減を図った。出店を絞り個店の採算を重視する動きは、これまでの大量出店戦略の限界を意味する。参入障壁が高く寡占化が進んだ競争環境では、企業は安定して高い収益を上げられるため、ガチンコ競争を避けるのは当然だ。むしろ、人手不足や加盟オーナーの確保といったフランチャイズシステムの根幹に関わるリスクが顕在化してきた影響が大きい。競合ばかり見るのではなく、加盟店支援や自社のリソースへ投資を振り向けなければ本部のリスクは増大するだろう。(伊藤)

いつまで続く、米朝のチキンレース

二カ月間に亘って続けられた米韓合同軍事演習には約30万人が参加し、米軍は原子力空母「カール・ビンソン」や最新鋭ステルス戦闘機などを投入した。視点を換えて、これを北朝鮮側がどう受け止めるかは明白であろう。お互いに脅威を煽っているのは相手方だと言い張る。これでは何の進展もない。朝鮮半島統一は南北いずれの主導であるかによって、日本と中国が受ける安全保障上の脅威が異なる。しかし、それ故に話し合いによる平和的解決しか選択肢はない。先日、比ドゥテルテ大統領は「おもちゃで遊んでいるようだ」と述べ、米朝両国に自制を求めた。先立つシリア空爆を「夕食後の娯楽の代わり」(ロス商務長官)と表現する米国の神経も理解しがたい。米朝両国の暴発をともに防ぐことが日本のリスク管理上最優先課題だ。(石原)

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