週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

「強固な組織性」を否定した暴力団?

「組織性」を否定する新しい方向性を打ち出したかに見える任侠団体山口組だが、その「組織表」らしきものが出回っているとの報道があった。書面の最上段に「001」の番号とともに「代表」と書かれた欄に「織田絆誠」と記載されているほか、「本部長」「本部長補佐」「相談役」「舎弟」「直参」などの肩書が続くものだという。これが本物だとすれば、代表をトップとした階層=「組織性」を示すものであり、暴力団対策法における指定暴力団の3要件のうちの「首領の統制の下に階層的に構成された団体」を示す有力な証拠となる。任侠団体山口組は、「盃事を否定し、組長を置かず、フラットな組織を志向する親睦団体」を標榜したが、あくまで表面的な指定逃れのための言い訳にすぎなかったということか。やはり「強固な組織性」こそ暴力団の本質を示すものだ。(芳賀)

増加するネット炎上のリスク

従業員の行為や企業広告が不適切とみなされたことで起こるネット炎上事案は増加傾向にあり、最近では炎上対応コストを補償する保険サービスも登場した。ネット上での批判や誹謗中傷が果てしなくエスカレートすることで、広告が取りやめになり、予算と時間をかけて制作したものが損失となるばかりか、株価や企業価値にまで悪影響を与えることもある。企業とて公表前に表現や法的なチェックを十分に行っているだろうし、悪意がないとしても、実際には当事者ではない少数によるクレームや批判が繰り返し拡散され、いつの間にかそれが大衆の声かのように形成されてしまうこともある。たとえ、行き過ぎた批判や過剰反応だとしても、誰もが炎上の渦に巻き込まれる可能性は十分あり、火種を早期に発見するための監視や事後対応の準備と対策は必要となろう。(佐藤)

商工組合中央金庫の不正融資問題で制度の見直し検討

政府は商工組合中央金庫が不正な融資を繰り返していた問題を受け、温床となった危機対応業務の制度を見直す。政府内には長年に渡る不正行為を重視し、危機対応業務の廃止を含めた抜本的な改革を求める声がある。ただ、中小企業庁は、「将来の新たな危機への備えは必要」との立場で、危機発生時に限って使える制度を検討するという。商工中金による不正は財務資料の改ざんという不可侵な手段が用いられていたとはいえ、経営陣や監督官庁が「知らなかった」では通用せまい。健全な懐疑心を持って監査すれば分かるかも知れないと認識しつつ、黙認した不作為はなかったか。木を見て森を見ずという視点の形式主義の監査から、制度の本質が実現できているか、融資を受けた企業の経営がどうなっているかという監査におけるモニタリングジャッジメントが必要だ。(伊藤)

サウジは、ISの支援者!?

6月7日、イランの首都テヘランでISによる同時多発テロがあった。この2日前にサウジアラビアはカタールと国交断絶した。サウジとイランが各々スンニ派とシーア派の盟主であり、ISがスンニ派の中でサウジ系のワッハーブ派を信奉していることはよく知られている。サウジのサルマン副皇太子は今回のテロの直前、「今後のイランとの戦いはイラン国内で展開せねばならない」とテレビで発言したという。サウジに続き、ペルシャ湾岸諸国もカタールと断絶したが、この動きはむしろ、カタールをイラン寄りに追いやることになっている。イランには、ロシア・シリア・イラク、そしてトルコが援助を申し出ている上、同国内には中東最大の米軍基地がある。果して、サウジの戦略は成功するのか。どうもトランプに嵌められた観が否めない。(石原)

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