週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

カジノ事業者の「高度な規範と責任、廉潔性」を担保するもの

カジノ事業者に対する規制方針案が明らかとなった。「賭博罪の例外を認める特権的な性格を有し、高度な規範と責任、廉潔性が求められる」として、厳格な審査による免許制が導入される。反会的勢力排除や依存症対策、資金洗浄対策などを目的に、子会社や株主、役員や家族などの犯罪歴や資産状況、交友関係等の確認、IR事業に関係する事業者の認可制など世界有数の厳格な内容だ。IR・カジノ事業に向けられる社会の目線がそれだけ厳しいこと、一方で、厳格な審査に対応さえすれば健全性が担保されるものではないことを、事業者は改めて認識する必要があろう。チェーンマネジメントや個人の規範意識にまで踏み込んだ厳格なリスク管理態勢を、日々愚直に磨き続けることを通じて、自らを律し正していくという「真摯さ」(Integrity)こそカジノ事業者に必要なものだ。(芳賀)

テレワーク推進に向けて

首相官邸に設置された「働き方改革実現会議」では、同一労働同一賃金や長時間労働是正等に並び、「テレワークなどの場所にとらわれない柔軟な働き方」が大きなテーマとなっている。すでにウェアラブル機器や勤怠管理アプリなど、ICTなどを駆使し、テレワークによる効果を把握する企業も出てきており、こうした取り組みが今後の普及に導くための重要なポイントになっている。ただ、テレワークは柔軟で自律的な働き方が高い満足度を生む一方、無意識のうちに長時間労働に結びつく可能性が高く、一概に生産性が向上するとはいえない。テレワーク推進の目的は、概ね生産性・業務効率の向上が挙げられるが、画一的なルール化だけではなく、労働災害防止の視点も忘れずに、従業員の状況や事情や能力を把握し、それぞれに合った働き方を考えることも重要だ。(佐藤)

改正個人情報保護法が全面施行

同法が5/30に全面施行され、個人情報の定義を明確化するうえで「個人識別符号」を設けた。ひとつは、身体の一部の特徴である顔、手指の静脈、歩行の態様などが当たる。また、個人情報の利用目的を具体的に特定してあらかじめ公表するか、個別通知することも求めており、防犯面で顔認証データなどを収集する場合は留意が必要だ。もうひとつは、個人に割り振られる符号であり、マイナンバーや免許・旅券番号などが当たる。クレジットカードや口座番号はそれには当たらないが、氏名や住所など他の情報と照合して個人を識別できれば、これまでどおり個人情報に該当する。さらに、個人情報保護委員会を設置して監督権限を一元化したことや「5000人要件」撤廃による規制対象事業者の拡大など実務上の影響が大きく、平時・緊急時とも専門家による支援が必要だろう。(伊藤)

クラスター爆弾製造企業に日本企業が投融資

先日、オランダの国際NGO「PAX」が「クラスター爆弾」を製造する米中韓の企業6社に対する金融機関の投融資状況(今年3月までの約4年間)を公表した。それによると、クラスター爆弾を製造する企業に対して、世界の金融機関計166社が310億ドルを投融資し、日本の4社も含まれる。クラスター爆弾は親爆弾に数十~数百の子爆弾が詰められ、投下後に拡散し破壊が広範に及び殺傷能力は極めて高い。日本を含む101カ国・地域が「クラスター爆弾禁止条約」(オスロ条約)を批准している。被害者の9割が民間人であるため、ある意味テロ兵器とも言える。政府がオスロ条約を厳格に解釈するのはもちろん、当該の大手金融4社は、それぞれ自社サイトでCSRを高々と謳っており、ESG投資を先導する役割を強く認識してもらいたい。(石原)

企業の新卒採用活動に思う

経団連加盟企業の2018年新卒採用面接が解禁された6月1日、2019年卒向けのインターンシップサイトがオープンした。解禁日直後に内々定を出す企業もあり、解禁以前から選考が進んでいることは明らかだ。選考と直結しないとされるインターンも、企業側・学生側、どちらも思惑は原則通りとは限らない。「ルールは表向きのもの、現実は水面下で決まるもの」、まさに不正を誘発する「誤った常識」だ。学生の内からそんな「常識」を植え付けるくらいなら、守れない約束などせず、何か別の方法を考えられないものか。自ら手を伸ばす前にあちこちから手を引かれ、自分が何に喜びを感じるかさえ気付けず、望む方向へ向かうための努力の仕方も知らぬまま、社会の荒波の中で立ち尽くす若者は確実にいる。正しい道を指し示し、共に歩む大人でありたい。(吉原)

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