週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

テロ対策を深化させるために

G7サミットは、「テロおよび暴力的過激主義との戦い」に関する声明を採択した。「テロとの戦いは戦場からインターネットに移りつつある」として、テロリストによるインターネットの悪用防止を対策の柱の一つに掲げたが、事業者にテロ対策への参画を求めた点は画期的だと言えよう。SNSの「犯罪インフラ化」は、テロに限らず、リベンジポルノやストーカー犯罪、薬物犯罪等からも明らかだが、その対策は表現の自由やプライバシー保護と鋭く対立する。さらに、昨年のスマホロック解除問題でも露呈したが、積極的な削除や捜査協力は、ネット上の自由な投稿に自らの存立基盤を有する中で「自己検閲」となりかねない矛盾を孕む。だが、テロの脅威の「本質的な変化」を前に、事業者も利用者も、利益や利便性の享受には「相応の責任」が伴うことを認識すべきだ。(芳賀)

下請法違反 自発的な申出による勧告見送り増加

公取委は24日、2016年度の下請法違反で親事業者を勧告・指導した件数を7年連続過去最多更新の6313件と発表した。また、勧告11件については親事業者の企業名と共に違反行為の概要および下請事業者に返還した金額等も公表している。下請等中小企業の取引条件の改善は、政府の「働き方改革実行計画」においても賃金引上げの環境整備をひろく中小企業にも広げることが重要な検討テーマとなっており、下請法違反の勧告・指導は今後も強化が見込まれる。一方、公取委は親事業者からの自発的な申出および改善措置の実行も促している。同年度では、本来は勧告相当の違反事例ながら、勧告見送りになったものは10件を数え、前年度の2件から大きく増加した。規制対象の親事業者には、法令遵守意識をより徹底し、違反行為は自発的に申出・改善していくことを望みたい。(得田)

新幹線の防火・防犯体制、真剣に考えるべき

また新幹線で放火事件が起きた。幸い、乗客がペットボトルの飲料で消しとめ、大事には至らなかったが、防火・防犯対策の甘さを露呈した。前回の放火事件以降、JR各社はどのような対策を行ってきたのか。私自身も出張で新幹線をよく利用するが、最近では指定席の改札すら行われない。以前は、改札の際に車掌が乗客を把握することが可能であったが、今は乗客の様子や状況について、どの程度把握しているだろうか。駅で止まるごとに車掌が改札等のために巡回しているのと、全く車掌の姿を見ないのとでは、犯罪をしようとする者への抑止力は全く異なる。飛行機と違い非常時の脱出方法等の案内もなく、すぐにわかる形では消火器等も設置されていない。テロの脅威も世界的に増している中、運行中の危機管理体制を見直すことが急務である。(西尾)

ランサムウェアに引き続き警戒を

世界中で大きな感染被害をもたらしたランサムウェア「WannaCry」は、現時点でもその影響が収まったとは言えない。米セキュリティ機関のSANS Internet Storm Centerは、pdf ファイルを添付したメールを介して感染するランサムウェア「Jaff」の感染被害が確認されており、騒動の陰で、別のマルウェアによる脅威が見過ごされている可能性もあるとして、注意を呼び掛けている。国内でも、「請求書」「文書」「請求書『invoice』」「保安検査」「【賃貸管理部】【解約】・駐車場番」などの件名でウィルス付きスパムメールが大量に拡散していることが報告されている。事業者は、その脅威を認識して、引き続き警戒レベルを緩めることなく、 “模倣犯”や二次三次の攻撃を想定し、システム面・運用面の双方で多層的な防御策の導入や、役職員への徹底した周知など継続した取り組みが必要だ。(佐藤)

農林水産省が「平成28年度 食料・農業・農村白書」を公表

農水省が同白書を公表した。農業の成長産業化に向けた改革を実行するとしている。農業の法人経営体数とその常雇い人数は10年間で約2倍に増加しているが、スピード・規模とも企業が持続的な競争力を持ち得る改革として不十分ではないか。新規参入する法人にとって、集積した農地の確保は重要な経営資源のひとつだ。白書は農地リース制度の認知度向上を課題に挙げているが、一方で法人の農地購入を認めていない。やる気のある企業などが参入しやすいように規制を緩和すれば、地方の産業の柱に育つ可能性がある。また、地域ブランド品の生産者を保護してにせ物を取り締まる制度は既にブランド育成の誘因となっている。政策は規制緩和と保護を効果的に組み合わせ新市場の創造を促すこと、法人はイノベーションによって市場を拡大していくことが求められる。(伊藤)

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