週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

暴力団対策は新たなステージに突入した(2)

松葉会が、傘下組織の新組織「関東関根組」結成で正式に分裂した。警視庁などは、暴力団対策法に基づき新組織を指定暴力団に認定する方向で作業を進めているという。神戸山口組や会津小鉄会などもそうだが、最近、執行部への造反や後継争いなどを原因とする分裂が相次ぐ。組幹部や組員の高齢化も絡み、今後、同様の争いが頻発する可能性も否定できない。「指定逃れ」のための偽装離脱も含め、理由の如何に関わらず、小規模団体の乱立で「指定」に空白が生じれば、暴排の実効性が阻害されかねない。「暴力団の変質」が明らかとなった今、指定暴力団の指定期間の撤廃や分裂団体への指定の適用継続など、法改正に向けた早急な議論が必要だろう。また、事業者にとっても、「規制の空白」による治安の悪化や資金獲得活動の活発化など、変化への対応が急務だ。(芳賀)

「個人による貸家業向け」融資 顧客本位の取組望まれる

日本銀行が18日公表した国内銀行の貸出先別貸出金統計によると、「個人よる貸家業向け」設備投資資金(いわゆるアパートローン)の新規貸出金額が漸くピークを迎えたようだ。今年1-3月の同貸出金額は、1兆508億円と前年同期比21億円(0.2%)の減少となったが、これは同四半期では、東日本大震災のあった2011年1-3期以来だ。アパートローンについては、総人口の減少や空き家率の上昇にも拘らず、相続税対策ニーズおよびハウスメーカーの積極姿勢も相まって、金融機関は融資を増加させてきた。金融機関には本業の金利収入以外にも一部には業者からの紹介手数料もあるが、これには金融庁から利益相反の懸念が示されているようだ。今後は、既に貸出した先の長期にわたる与信管理と、顧客本位の貸出業務に誠実に取り組まないと、不良債権の増加を招きかねない。(得田)

サイバー攻撃への安全対策に目を向ける

過去最大規模のサイバー攻撃では、鉄道、医療、通信など重要インフラが集中的に狙われた。IoTの脆弱な対策に狙いを定め、身代金としてビットコインを指定するなど、犯罪者は常に新しい情報技術の盲点を突いてくる。また、今や、ほとんどの産業がITと密接に結びついており、新しい技術やサービスが広まれば、同時にサイバー攻撃を受けるリスクも高まるというジレンマに企業も個人も陥っている。こうした環境の変化に備え、高度な専門知識を持つ人材の育成や、官庁、研究機関、企業といった組織の枠を超えた情報共有など、あらゆる安全対策を速やかに講じていく必要がある。市民生活や経済活動に深刻なダメージを与えうるサイバー攻撃を完全に防ぐ手立てはないが、だからこそ、官民が連携して、できる取り組みを今から確実に行うことが求められている。(佐藤)

「労働基準関係法令の違反企業」公表、厚生労働省労働基準局監督課

厚労省労働基準局監督課が10日、「労働基準関係法令違反に係る公表事案」として違反した企業名を初めて公表した。昨年10月1日以降に書類送検された334件(332社)を同省のホームページに掲載している。これは「過労死等ゼロ」緊急対策の一環で、違反企業は毎月定期的に掲載する。公表332社のうち、売上高10億円未満の中小・零細企業が164社と全体の約7割を占めた。業績悪化や資金力の乏しさが違反に直接・間接につながった可能性を示唆しており、事業継続のため、従業員の犠牲のもとで経営が成り立っている構図が浮かび上がる。同省は、違法な長時間労働は是正指導段階で企業名を公表する要件を厳しくする予定だ。今後は、規模を問わず企業は、取引先や消費者など厳しい社会的監視のもと正しい経営が求められ、労務コンプライアンス徹底は経営者の責務だ。(伊藤)

論点整理されないテロ等準備罪の行方は

テロ等準備罪の創設を柱とした組織犯罪処罰法改正案の修正案が衆院法務委員会で、賛成多数で可決された。与党側は組織的な重大犯罪の計画、準備段階で処罰するものであり、日本が2000年に署名した国際組織犯罪防止条約の締結に法整備が必要であると主張、一方、野党側は現行法でも締結可能として改正案に反対してきた。どうも主張が噛み合わない。国際条約締結に欠けているものは具体的に何なのか、そのためにプライバシーや表現の自由を必要以上に制約する懸念は払拭できるのか、ISなどのテロ集団が今後日本に大量に流入する可能性は本当にあるのか等々、よく分からない。世界で頻発するテロ行為を各国が計画段階で摘発したという話も杳として聞かない。捜査機関の恣意的解釈が拡大することだけは勘弁してほしい。(石原)

Back to Top