週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

事業者とテロリスク

テロの未然防止には、官民の連携が極めて重要だ。例えば、警察は、化学物質等の販売事業者に対して、継続的な個別訪問や不審な購入者の来店等を想定したロープレ訓練の実施のほか、販売時の本人確認徹底や不審な購入者に係る通報、化学物資等の管理強化を要請している。先週も、都内の薬剤師を対象に講習や訓練が行われ、参加者が「店頭の判断でテロが防げることが分かった」とコメントしていたが、これこそが、テロ対策の核心を突く、重要な成果だと言える。「職員の知識、経験等から見て、不自然な態様の取引又は不自然な態度、動向等が認められる顧客に係る取引」を「疑わしい」とする現場のプロの皮膚感覚こそが、テロの未然防止に直結するのであって、事業者ができることや果たすべき役割の大きさ、訓練の重要性をあらためて認識する必要があろう。(芳賀)

パワハラと暴言・暴力は切り離して議論すべし

高い職業倫理が求められるはずの国会議員による秘書への、あるいは福島県警警部補によるその部下への暴言・暴力に関する報道が相次いだが、これらを「パワハラ」とする報道には違和感を禁じ得ない。パワハラの定義は「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告」を基礎に述べられることが多いが、これには身体的・精神的な攻撃までが含まれる。即ち暴力や脅迫などがハラスメントの1類型とされているわけだが、これらはもはや「犯罪」ではないのか。パワハラは業務の適正な範囲か否かという点においてマネジメントの難しさがある。そこに、絶対的に許容され得ない犯罪を包含することは、それ以下の行為を軽視させ助長しかねない。職場における人間関係のマネジメントと犯罪行為とは、別議論にしていくことが必要だ。(高森)

フィッシング詐欺に警戒を

フィッシング対策協議会は、多発するフィッシング詐欺被害を踏まえ「利用者向けフィッシング詐欺対策ガイドライン」の2017年度版を公開した。フィッシングは、利用者を偽サイトに誘導し、金融機関などのサイトにログインするID、パスワードや、送金などの重要な処理に必要な情報を盗み出す詐欺行為だ。アカウント情報が盗まれ「なりすまし」により不正送金やウィルス拡散などの犯罪行為の片棒を担がされる可能性もある。このような脅威に対して、「知らない、(実態が)見えない、(被害に遭った)経験がない」ことで、多くの企業・個人が現実感を持てず、十分な対策をとれていない。企業は、社内でフィッシング詐欺の手口や注意の必要性をアナウンスするとともに、セキュリティ対策の見直しと万が一被害に遭った場合の対処法を確認しておく必要がある。(佐藤)

セブン‐イレブン・ジャパン、ICタグで商品確認 進むIT活用

セブンはICタグを使い、商品納入時の店員の検品作業を大幅に効率化する仕組みを導入する。商品を運ぶ専用のカゴにICタグを取りつけ、店舗で商品の種類や数量を瞬時に確認できるようにする。同じくRFID技術を使ったICタグを商品に添付することでレジの無人化や省力化の推進を経済産業省が主導し、大手コンビニエンス・ストア5社が同じシステムを利用する計画がある。瞬時に会計がセルフで行なえることやその在庫情報を活用した様々なオペレーションの効率化、製造・流通のロス削減が期待され、小売業にとってはイノベーションと言える。ただし、小売・サービス業では人による接客は必要な要素であり、顧客満足度にも大きく影響する。接客全てを廃止するような地域性や顧客層を無視した計画は行き過ぎではないのか。そうした要素も実証実験すべきだろう。(伊藤)

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