週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

イノベーションは既に始まっている

「平成28年度国土交通白書」が公表された。「イノベーション」をキーワードに「2050年の社会」という新時代をどう切り拓いていくかがテーマだ。イノベーションを、「単なる技術革新や新技術の開発ではなく、社会システムや制度全体も含めて、革新・刷新することにより、新しい価値を次々と生み出していくこと」として、「イノベーションの進展により国民の意識は変化する」と指摘する。新たな価値観が支配する「2050年の社会」の到来を前に、イノベーションがもたらす社会システムの変化や人々の意識への波及効果等、イノベーションの「インパクト」を正しく理解することなしに、企業は自らの「未来」を語ることはできない。だが、イノベーションは既に始まっている。イノベーションと真正面から向き合うことで自らを変革する必要に、企業は迫られている。(芳賀)

新たなランサムウェアの被害が拡大中

6月27日に発生した大規模サイバー攻撃は、これまでに65カ国にマルウェアの感染が拡がったという。ウクライナではチェルノブイリの放射線モニタリングシステムのほか、地下鉄などのインフラや、電力会社、銀行などにも影響が及んだ。今回観測されているランサムウェアは OS を読み込むための領域を破壊する「Petya」と呼ばれるマルウェアの亜種であると考えられており、暗号化されたファイルを復号し元に戻す方法は現時点では確認されていない。現在、日本での被害は報告されていないが、まずは使用しているOS、ウィルス対策ソフトの更新を確実に実施すること、そして、SNSやメールに記載されたURLに注意を払うこと、不審な動作時の初動対応等を役職員へ周知徹底し、万一の感染に備えた重要情報のバックアップなど、被害を最小限に食い止める取り組みが急務だ。(佐藤)

スポーツ・コンプライアンス教育振興機構 発足

スポーツ庁が主導し、「スポーツ界のコンプライアンスの強化を図るため」スポーツ・コンプライアンス教育に関わる新たな組織が発足した。スポーツ選手・競技団体に関わる不祥事・社会的事件が頻発し、スポーツ界への信頼が揺らいでいるという危機感が背景にある。その原因として、競技団体のガバナンスの不備が指摘されている。オリンピック選手派遣を仕切っている日本オリンピック委員会には27の正会員団体が加盟し、それぞれが強化選手を指定している。指定される選手は、学生、社会人、プロ選手と所属団体や支援団体も多岐に渡り、ベースとなるコンプライアンス知識や常識、教育レベルもバラバラだ。新組織はそこに横串を通し、競技団体のガバナンスの取り組みの強化と高いレベルでの平準化を図られることを期待したいが、専門家との連携が鍵となる。(伊藤)

共謀罪成立は是か非か?

今般成立した共謀罪を含む改正組織犯罪処罰法が7月11日(火)に施行される。先の国会での審議が尽くされたとは言い難い。この数年来、2014年12月特定秘密保護法、2015年9月集団的自衛権含む安保関連法、2016年5月改正通信傍受法などの関連法案が次々と成立し、今回の改正組織犯罪処罰法に繋がった。これらは、いずれも野党の反対や国会前で続く抗議デモ、また国連特別報告者による疑義も顧みられることなく、全て強行採決によって成立した。国会での熟議や国民的議論の盛り上がりを欠き、一定方向にベクトルを合わせた法案が次々と成立していく背景は何か。特に共謀罪では犯罪に関係するコミュニケーションの特定のため、必然的に全てのコミュニケーションが捜査対象となる。国民はこれを自分事のリスクとして見ているのだろうか。(石原)

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