週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

あらためて企業理念を見つめ直すということ

「企業理念(=存在意義)を問い直す動きがでている」との報道があった。「真剣に見直しを行うのは、それだけ今後の危機感が強いから」、「従業員が増え、大きな会社になればなるほど、社員が同じ方向に向くための企業理念が大切」といった識者の指摘もその通りだ。だが、少子高齢化や技術革新によって導かれる、「それぞれの人が自分の能力や志向にあった働き方を選択し、それが社会として調和する時代」、「雇用関係によらない関係」や「帰属意識の希薄化」といったパラダイムシフトへの対応という視点も必要だろう。自立化し、企業との関係がフラット化していく「個」に選ばれること、多様性を束ね、調和させることなくして企業の存続は覚束ない。自らの「存立基盤」としての企業理念や存在意義、働きがいを今から磨いていくべき理由がここにある。(芳賀)

違法民泊への対応

一般住宅に有料で利用者を泊める「民泊」が2020年東京五輪で予想される宿泊施設不足の解消策として注目を集めている。ただ、違法な民泊の横行が指摘されているとおり、覚醒剤密輸の舞台として利用される事件が起こるなど、市場拡大に比例してトラブルも多発している。厚生労働省が3月に公表した「全国民泊実態調査」によると、民泊仲介サイトに登録された全国1万5127物件のうち、旅館業法に基づく許可を取得していたのは2505物件(16・5%)にとどまり、違法な「ヤミ民泊」が横行している実態が判明した。振り込め詐欺などの犯罪集団やテロリストの潜伏先とされる恐れもあり、今後、適正な運営が求められるが、その実態はなお不透明だ。違法な民泊を適正化すべく、行政や捜査当局、仲介業者含む参入企業自らが行なう厳格なチェック態勢の強化が不可欠だ。(佐藤)

O157に代表される腸管出血性大腸菌による感染症、飲食・小売業における衛生管理

Vero毒素を産生する大腸菌による感染症で、重症化すると溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こし、脳症などを併発して死に至ることがある。国立感染症研究所の調査によると有症状者のうちHUSを発症する割合は4.3%だが、年齢別では5~9歳で8.4%と最も高く、次いで0~4歳が6.7%、65歳以上が4.3%の順で幼児と高齢者が重症化しやすい。系列惣菜店のポテトサラダなどが原因で発生したO157による集団食中毒でも幼い女児が死亡した。これまでの生肉や加熱不十分な食肉を食べないという程度の予防と対策だけでは不十分だ。それは、O157は感染力が高く(100個程度で発症)人の手や調理器具、食物へ移り経口で感染するためだ。菌は目で確認できないからこそ食材によって包丁やまな板を使い分ける、トングの交換・消毒などのルールを現場で徹底することが経営者の責務だ。(伊藤)

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