週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

暴力団離脱者支援は喫緊の課題だ

暴力団が、歴史的に社会に馴染めない者などを受け入れて来た「セーフティネット」(受け皿)機能を果たしてきたのは事実だが、今後、暴排を一層進めていくためには、社会全体がその代替のセーフティネットの構築に本気で取り組む必要がある。結局、受け皿が「暴力団」から「反社会的勢力」に代わるだけでは意味がないからだ。デンマークなどは、過激化の兆候がある対象者を1人の「メンター(助言者)」が支える過激化抑止・脱過激化プログラムが機能しており、定期的な面談や私的な交流を通じて「1対1の関係」を築くことで社会復帰を果たす効果が注目されている。暴力団離脱者支援を機能させていくには、何よりも、私たちが無知、無関心という態度を改めること、更正し社会復帰を希求する離脱者を新たな隣人として受け入れるという意識改革が必要だ。(芳賀)

公衆無線LANの落とし穴

総務省は、不正アクセスやサイバー攻撃に利用される危険性のある公衆無線LANアクセスポイントに関する規制を原則として強化する方針を固めた。東京五輪に向けたセキュリティ強化の一環だが、現時点でも犯罪に利用されるなど脆弱なものは多く、利用者は仕事とプライベートともに注意が必要だ。公衆無線LANには、アクセスポイントと接続端末間の通信を暗号化していなかったり、共有のパスワードを使用したりするものが多数存在する。また、偽のアクセスポイントを設置し、周囲に行き交う電波をモニターするだけで、第三者が通信内容を盗聴することができてしまうこともあるので、セキュリティの保護が保証されていないサービスは利用しないほうがよい。普及が進む反面、無防備な利用は自ら重要情報を提供しているという事実に正面から向き合う必要がある。(佐藤)

店舗における内部不正対策

商品を着服する内部不正の場合は、棚卸を経て発覚するケースが多く発覚までに時間を要する。店長は顧客対応やオペレーションの管理に追われ、対策が後手に回っているのが現状だろう。本部は権限移譲という名のもとに店長任せで管理を放棄し、ローカルルールが蔓延してブラックボックスと化す。さらに店舗のような小さな組織では、店長やベテラン従業員が固定しがちになり、いわゆる「ヌシ化」が進む。「ヌシ」は自分の手順で仕事を進めたがり、ヌシしか知らないことが増えると不正の温床となりかねない。特定の人がいないと仕事が成立しないという状態はリスクマネジメント上問題だ。人に仕事が付いていては透明性に欠ける。不正をさせない、不正が起きても早く発覚する、不正者に対する適正な懲戒処分が公表されるなどの透明性の高い体制作りが必要だ。(伊藤)

大相撲不祥事ふたたび、コンプライアンスほどとおく

横綱・日馬富士の暴行疑惑が物議を醸していおり、関係者によるメディアを介した情報戦の向きも強い。大相撲ではこれまでも、暴力団や半グレとの交際・賭博・暴行死・殺人・大麻など多くの疑惑が生じてきたが、抜本的な体質改善ははかられていないようだ。たとえば民間企業に同じ不祥事が起きた状況を想像すれば、主催者が「公益」財団法人として存続し、NHKが全国放送している現状の異常さが理解できよう。そもそも大相撲は、伝統芸能でも競技でもない両義的な存在だ。その前近代性が、当世求められるコンプライアンスからの乖離を招いているのも構造的要因としては理解できるものの、だからといって、反社会性・犯罪性をおびた事案すべてを「業界の特殊性」として玉虫色に収めてはなるまい。ステークホルダーたる国民の良識が問われているといえよう。(山岡)

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