週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

タックスヘイブンの問題の本質はその犯罪インフラ性にある

タックスヘイブンの闇に光を当てる「パナマ文書」や「パラダイス文書」の解析が進む。一方、解析に参加した(マルタ首相夫妻の不正資金疑惑を報じるなどした)女性記者が爆死した事件は正にその闇の深さを如実に示した。「表に出ては困る」事実が文書に語られている証左だが、同国の闇はさらに深く、文書はその一端に過ぎないようだ。タックスヘイブンを巡る問題の本質は、租税回避行為にとどまらず、資金洗浄やテロ資金供与、金融制裁逃れ、国家レベルの汚職など、犯罪や悪意を助長する「犯罪インフラ」機能にあるのは明らかだ。とかく有名人の醜聞に耳目が集まるが、反社会的勢力など犯罪組織につながる資金の流れを断ち、犯罪や脅威、社会不安をもたらす悪意を抑え込むべく、文書を端緒に「真の受益者」の特定と資金の流れや人脈の解明こそ急がれる。(芳賀)

特許紛争リスクは新しい局面に

自動運転に欠かせないセンサーなどで、通信事業者が自動車メーカーにライセンス料を求めるなど、これまでの特許紛争がより多様化・複雑化することで、どの事業者も無防備ではいられない。特許戦略的にいえば、同業者の特許だけを気にしていればよかったが、ITおよび通信関連の競合も気にかけなければならない。異業者間での衝突は、交渉を巡るルールが未成熟のうえ当事者の慣習も違い、深刻な対立に陥りやすい。また、双方のライセンス料の相場は乖離しており、クロスライセンスによる解決も困難だろう。訴訟リスクが過度に高まれば、新規の挑戦を阻害し、社会全体の技術革新を停滞させかねない。IoTの急速な普及に伴い、異業種間の特許紛争リスクは差し迫った経営課題の一つであり、業界の枠を超えた特許の適正な運用とルール作りが早急に求められる。(佐藤)

無償分野の規定なし6割・担当者なし4割、いまだ遅れるIT資産管理

米国のIT企業が「オープンソースソフトウェア(=OSS)」についての調査結果を発表した。今回の調査によれば事業者の63%はOSSの利用規程を定めておらず、39%はOSSにかかる知財・法務担当者を置いていなかった。OSSの利用条件は厳密で、過去には国内大手事務用品メーカーがこれに違反し、問題化した。また(その開発形態ゆえ)セキュリティが特定事業者に担保されないリスクも潜んでおり、別の米国企業が2016年に監査した1071件のソフトのうち96%にOSSが組み込まれており、うち67%に脆弱性が含まれていた。高品質・無償とあって世界のITを深層から支えるOSSだが、コンプライアンスおよびセキュリティのリスクは過小評価されがちだ。自社が知らずと業務利用あるいは商品化していないか、それはライセンス上適当か。事業者は厳密なIT資産管理が求められよう。(山岡)

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