週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

日本独自の国際社会への貢献のあり方を模索せよ

政府は、北朝鮮の外貨獲得源を断つため、北朝鮮と国交のあるアフリカやアジア地域の途上国への支援を強化する。武器取引や資金洗浄の規制強化に必要な人材育成や機器導入を支援し、制裁の抜け道を塞ぐ狙いがある。また、世界のテロ対策は「IS後」にシフト、すでに米は、新「国家防衛戦略」で国防の軸足をテロから中露対応に移した。EUは、帰還戦闘員に対する刑事罰と社会復帰支援のバランスに苦悩している。それに対して日本は、武器の蔓延や不安定なエネルギー供給などが社会不安の要因だとして、武器回収や火力発電所の改修支援をはじめ「武装解除・動員解除・社会復帰」事業を推進する方針だ。テロや北朝鮮リスクの拡散防止のため、日本は、伊勢志摩サミットの「多元的共存」「寛容」「平等」の趣旨に則った日本独自のやり方で積極的に貢献すべきだ。(芳賀)

生かされない帰宅困難の教訓

昨日の大雪。15時以降、帰宅行動も本格化し、駅や電車は大混雑となった。結局、今回も多くの企業で帰宅抑制は行われなかった。東京都では、帰宅困難者防止条例にて、災害時等の帰宅抑制が規定されているが、これは地震災害に限った話しではない。交通機関の大きな障害が予想され、帰宅行動に大きな支障が生じる場合は、大量の困難者が出る可能性が高く、大混雑や悪天候、災害状況下での移動は、被災・負傷リスクを高める。ましてや、昨日は都内で不馴れな大雪。寒さで長時間の待機等は健康にも影響がでる他、滑りやすく足元の悪い中での移動、吹雪になれば視界不良になる。防災大臣は早期の帰宅を呼びかけ、国土交通省は大雪警戒を発表し、リスクを高める一斉帰宅を結果的に奨励した。帰宅困難者対応の難しさと首都圏の災害脆弱性が改めて顕在化した。(西尾)

交通死亡事故の変化に対応した安全運転教育へ

警察庁交通局1月発表の17年の交通事故死亡者数は、前年比5.4%減の3694人と統計開始以降で最少となった。ただし、そのうち65歳以上の高齢者の占める割合は54.7%と増加している。また、飲酒死亡事故件数は、201件と横ばいで推移しており、悪質な違反の根絶とは程遠いのが現状だ。それを裏付けるように、昨年12月の全国一斉飲酒運転取締りでは午後8時から翌午前5時までの間で194件が飲酒運転で検挙されている。法令による厳罰化や懲戒処分などの社会的制裁強化の定着にもかかわらず、飲酒運転が根絶されない理由として、その常習性が指摘されている。一方で、飲酒後の時間経過が不十分など認識不足による酒気帯びも少なくない。従業員に運転を課す企業は、飲酒時刻の申告を含めた社用車運行記録と抜き打ち監査など実効性のある個別指導まで踏み込むべきだ。(伊藤)

世界で拡がる「#metoo」の連帯、セクハラ・性的被害の構造理解進むか

世界各国で、セクハラや性的暴力の被害を訴え出る運動「#metoo(=私も)」が広がっている。これまで親告することができなかった当事者が連帯して立ち上がった形だ。一方で、これらの動きに対する反動的批判も立ち起こり、論争を呼んでいる。本稿はこの是非を問うものではないが、注意すべきなのは、セクハラや性的暴力の背景にあるコンテクストである。行為者と被害者の間には権力構造があり、被害者がこれに逆らえない一方で、行為者がその権力性を自覚していないことがままある。行為者(および周辺環境)の無理解から、被害者との間に社会規範や性規範のズレがある場合、ハラスメントの権力性はその外形において認められにくい。こんにち的なダイバーシティ・働き方改革の実践においては、世界標準の社会学・ジェンダー理論の理解も必須となろう。(山岡)

Back to Top