週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

人材不足リスクの解消には、個人と事業者の新たな関係性の構築が不可欠だ

監査法人トーマツの「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント実態調査」で、国内で対策を優先すべきリスクとして、「人材不足」が昨年の6位から3位に上昇した。一方、経産省の人材強化に向けた研究会では、「自らのキャリアを企業に委ねるのではなく、自律的なキャリアを開発することのできる”キャリア権”等の在り方も含め、個人が自らのキャリア・働き方に責任を持つとともに、活躍し続けるための環境の整備が必要」等の議論が続く。少子高齢化・人口減少、人生100 年時代、技術革新・産業構造の変化等を見据え、個人は自律的・継続的な学びという意識改革が、事業者も、兼業・副業(複業)といった柔軟な制度設計等の対応が必要不可欠だ。これまでの「会社と従業員」の単なる延長線ではない、新たな関係性の構築が急務だといえよう。(芳賀)

コンプライアンス体制の現状を見直す覚悟

日本経済新聞社が九州・沖縄の主要企業119社を対象にしたコンプライアンス体制に
関する調査によると、神戸製鋼や日産などの問題を受け、コンプライアンス態勢の見
直しを始めている企業が35.2%に上ったという。特に注力する分野を問う質問では、
「事業に関わる法令の順守」が78.4%と最も多く、「労務管理」(37.8%)、「情報管
理(個人情報や秘密保持)」(33.6%)と続く。企業の取り組みとして社内の「忖度
する」文化や「これまで問題はなかった」とする社内慣行に疑問を呈し、長期にわた
る違法行為を掘り起こして是正することはそれ相応の覚悟と痛みが伴う。だが、集団
的に不祥事が隠蔽され、それが継承されることを防ぐには、一過性の対策としない内
部通報制度や監視・監督システムの一層の充実とともに問題点を発見・指摘しやすい
風土を醸成することが求められる。(佐藤)

電子タグを用いたサプライチェーン情報共有システムの実験開始、「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」

経済産業省は、2/14より電子タグから取得した情報をサプライチェーンで共有する実験をする。小売業の人手不足や労務コストの上昇、サプライチェーン全体の食品ロスや返品といった課題が背景にある。25年度までにコンビニ各社の全ての商品にRFIDによる電子タグを利用するという。ICタグから取得された情報をサプライチェーンに提供することにより、メーカーの需要予測にも効果を発揮することが予想され、生産・流通段階の食品ロスは削減されるだろう。棚自体をRFIDリーダー(スマートシェルフ)にすれば自動的に棚卸が実施でき、労力も軽減できる。また、防犯ゲートと組み合わせれば、盗難防止にも有効だ。しかしながら、いずれICタグの時代が到来してもシステムを有効に活用し、それらに関わるマネジメントが必要だ。むしろ人による問題解決力が重要になる。(伊藤)

すでに開幕、ピョンチャン五輪サイバー戦──東京五輪の「前哨戦」か

今月9日開幕のピョンチャン五輪を前に、サイバーセキュリティをめぐる緊張が増している。韓国政府は700人規模のサイバー防衛体制を構えるが、早くも昨年12月には五輪関連者を標的としたサイバー攻撃が確認されており、予断を許さない。五輪規模の巨大イベントともなれば関連事業者の数も膨大で、競技運営・会場運営・運輸運送・メディア・スポンサーなど業種も多岐にわたる。ソチ五輪やリオ五輪では、これらの関係者に向けた壮絶なサイバー攻撃が繰り広げられ、情報漏えいや詐欺被害、踏み台被害などが生じることとなった。昨今のサイバー攻撃においては、あらゆる業種・分野が標的となり得る。日本ともリスク環境が似かよった韓国社会が、五輪に際してどのようなサイバーリスクに晒されるのか。東京五輪を前に、国内の事業者も注視すべきであろう。(山岡)

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