週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

技術革新に潜む新たなリスクへの対応が急務だ

鮮明な「4K」映像とそれを遠隔からリアルタイムに伝達する「5G」、それらの端緒情
報を高精度・高速度で解析する「AI」という、犯罪対策における「三種の神器」が注
目されている。一方で、これらの技術革新の恩恵は、テロリストや犯罪組織など攻撃
側にも等しくもたらされる。防御の高度化が攻撃の高度化を招き、そのうえ攻撃する
側が圧倒的に優位という状況は、犯罪を阻むべき「三種の神器」を犯罪インフラ化し
かねない危険性を孕む。また、導き出された回答が常に正しいとは限らない点にも注
意が必要だ。AIによる予測取り締まりが人権侵害につながる可能性があるほか、技術
革新が進むほど、規制当局や事業者でさえ、適切にそのリスクを統制することが困難
になっていく。技術への過信やブラックボックス化の放置がもたらす新たなリスクへ
の対応が急務だ。(芳賀)

サイバー攻撃はサプライチェーンの隙が狙い

あらゆる製品や工場がネットワーク化される中、間隙を突くサイバー攻撃の基点が増
えて手法も高度化している。正面突破は難しい組織であっても、まずは防御の手薄な
グループ企業、取引先企業、関連組織などを侵入口として攻撃し、そこから標的へ潜
入するというものだ。とはいえ、サプライチェーン全体で対策を徹底するのは容易で
はない。自動車や航空機、発電設備といった企業の取引先は数千を超え、その多くは
サイバー対策に人手や経営資源を割く余裕がないのが現状だ。だが、”末端に至るま
で安全を確保する責任を負う”ことが今、企業に要求されている。パートナーととも
に脅威に対する共通の認識を持つとともに、脆弱性を把握し優先すべきセキュリティ
を確保することが、結果としてサプライチェーン全体を守ることになり、結局は自社
の対策に繋がる。(佐藤)

アスリートのメディア対応姿勢

平昌五輪フィギュアスケートで羽生選手が金、宇野選手が銀のメダルに輝いた。試合後のインタビューでは、共に応援への感謝を口にし、清々しさを感じた。ただ、宇野選手の「羽生選手には特別でも自分にとって五輪は特別ではない」という主旨のコメントは、応援者の気持ちに水を差しかねない。転倒後、冷静に対処できたこその結果であって、本心だろう。一方の羽生選手は、「メディアを通しての自分の言葉であらためて覚悟する」とのコメントは、メディアを尊重しつつ、避けられない関係をむしろ、利用すらしている。メディアと対峙する経験の差かも知れない。スポーツの発展にメディアの力は必要だ。スポーツ側は、メディアを理解し、メディアと接触する時間を自分にとって有益な時間と受け止める姿勢が必要だ。競技以外のトレーニングも選手には重要だ(伊藤)

根絶できないヒューマンエラー、自衛隊ヘリ「人為的ミス」墜落相次ぐ

航空自衛隊は今月14日、昨年10月に発生したヘリ墜落事故の調査結果を発表した。これによると、同機の機長が平衡感覚を喪失して機体が急降下する中、副機長は計器の精査と機長への助言を行わず、乗組員2名の関与もなかったという。奇しくも同時期に発生した海上自衛隊のヘリ墜落事故でも、主原因は機長の判断ミスと乗組員間の連携不足であった。いずれも痛ましい事故であるが、「相応の訓練と職務倫理を前提とした自衛隊でも些細な人為的ミスをなくせない」点に教訓を見出せよう。人為的ミスのメカニズムは、①認知の誤り(誤認識や無理解)→②判断の誤り(思い込みや知識不足)→③行動の誤り(手元ミスや手抜き)に大別される。事業者もこういった観点から地道なリスク分析を重ね、あらゆる業務レイヤで人為的ミスのリスクを極小化する必要がある。(山岡)

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