週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

日本版司法取引と組織犯罪を巡る課題

いわゆる「日本版司法取引」が6月から導入されることが決定し、暴排との関係などが注目される。暴力団犯罪におけるトップの指示や関与については、最近、工藤会の裁判や特殊詐欺やみかじめ料の損害賠償請求における使用者責任などが認定される事例が増えていることから、司法取引によって組織犯罪の実態解明がさらに進むことが期待される。一方で、例えば司法取引に応じて暴力団組員が「組長に犯行を指示された」と証言したとして、この組員やその家族を報復などから守れるかと言われれば難しい現実がある。また、特殊詐欺の首謀者の摘発についても、犯行グループにおける役割の細分化が進み、首謀者のことを本当に知らないケースが増えている。制度の実効性を高めるためには、例えば米の強力な証人保護プログラムのようなさらなる仕掛けも必要だろう。(芳賀)

働き方改革における裁量労働制の焦点

今、国会では働き方改革関連法案において裁量労働制をどう取り扱うかが議論となっている。裁量労働制は、本来、労働者が効率的に働き、正当に成果を評価される制度だが、実労働時間に応じた残業が認められないことから、不当な長時間労働などが誘発される可能性が懸念されている。ただ、単純に裁量労働制に「残業代ゼロ」「働かせ放題」「過労死促進」といったレッテルを貼り、批判するのは一面的に過ぎないか。まずは労働者が既存の裁量労働制が正しく運用されているのかを振り返り、実態を明確にする必要がある。より多様になっている働き方と働き手を守る制度の整備とその適切な運用や、健康と生活時間をしっかり確保できるあり方について、規制の厳格化と効率性などの成果面とのバランスを考慮しながら、本質的な議論を深めることが大切だ。(佐藤)

個人資格参加のロシア選手にドーピング検査陽性反応

2/25閉幕の平昌五輪で、ロシアのカーリングとボブスレーの選手がドーピング検査で陽性反応を示した。現状は、世界アンチ・ドーピング機構が禁止薬物の指定と検査の強化をするほど、隠蔽剤の使用を含めてさらに危険なドーピングを招くという皮肉な構造がある。成功すれば国民的な名誉や莫大な金銭的報酬が得られる現代のスポーツ競技では、ドーピングはもはや日常茶飯事化していると言っても過言でなかろう。アメリカのメジャーリーグ、ツール・ド・フランスのような自転車競技にも薬物汚染が蔓延していた。また、競技によって運動能力や持続力向上等薬物の使用方法が違い複雑だ。ドーピングを深刻な問題として捉えてからの歴史は浅く、画一的な反ドーピング政策への批判もある。理想的な解決策に至る道は、最善と思われる対策を積み重ね検証するしかない。(伊藤)

東京マラソンの〝鉄柵〟国際標準のテロ対策にまず一歩

今月26日に開催された東京マラソンでは、ゴール付近150メートルに渡って車輛の突入を防ぐための鉄柵が設置された。車輛を用いた無差別テロが増加しつつある中で、大規模集客施設や大規模イベントでは、車輛侵入防止装置の設置が望まれる。たとえば柵や杭の形をしているものや、植木鉢の形で都市の景観を崩さないもの、ゲート式や地面がせり上がるものなど形状は多岐に渡るが、今回用いられたような(路上にあとから設置できる)移動式は、大型車輛の衝突には耐えがたい。万全を期すのであれば、地中にあらかじめ埋め込むタイプが望ましく、必然的にイベント設計・施設設計時からのセキュリティ構想が求められよう。ラグビー世界杯・東京五輪を控える中、大規模な集客機会にかかる事業者はこういったハード面のリスク管理にも配慮する必要がある。(山岡)

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