週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

任侠山口組の指定暴力団化の意味するもの

指定暴力団神戸山口組から分裂した任侠山口組の指定暴力団化が決定した。指定暴力団への指定によって暴力団対策法上の各種規制の対象になるほか、「特定危険指定暴力団」や「特定抗争指定暴力団」といった一層厳しい規制をかけることも可能になる(任侠山口組については、神戸山口組分裂の際に露呈した規制の限界をふまえ、「内部分裂」という形で指定暴力団の枠内で規制し、規制の連続性を確保した経緯がある)。さて、「盃事を否定し、組長を置かず、フラットな組織を志向する親睦団体」を標榜して既存の暴力団のあり方に一石を投じ、自らを反社会的勢力から脱却(暴力団から離脱)することを最終的な目標としていた任侠山口組だが、まずは、既存の規制の枠内で再定義され、指定暴力団・反社会的勢力として、自らの存在意義を貫き通せるか注目される。(芳賀)

悪質クレーマー対策は、企業と警察・司法当局の適切な連携が重要!

企業の従業員が悪質クレームで悩んでいる問題を受け、厚労省は、「カスタマー(顧客)ハラスメント」として、職場のパワーハラスメント防止に関する報告書案の中で対策を明記する。当社では悪質クレームや不当要求対応支援を行っているが、これらは、企業にとって、大きなロスを生む。払わなくてよい費用を支出すれば金銭的なロスが、堂々巡りの対応を強いられれば時間的ロスが生じる他、従業員に大きなストレスを与え、精神的なロスも生じる。企業としては、顧客満足につながるクレームと、大きなロスを生じさせる不当要求を区別し、不当要求には対応打切りや刑事事件化を視野に入れた毅然とした対応が不可欠であるが、毅然とした対応を行う上では、警察の積極的な対応が欠かせない。企業としても対策を強化する一方で、適切な事件化を強く要望したい。(西尾)

サイバーセキュリティ基本法の改正案が閣議決定

サイバーセキュリティ基本法の一部を改正する法律案が閣議決定された。東京五輪のほか、インフラや仮想通取引所など、標的は広範囲に及んでいる今、官民に関わらずより踏み込んだ取り組みや迅速な対策に当たる体制づくりが求められる。サイバー空間は目に見えなくても、身体、生命、財産、社会活動に対し、「目に見える脅威」だということをあらためて認識する必要がある。「守るべき情報に対する安全は、十分な配慮がなされているか」、企業規模に関わらず十分な対策が進んでいないところが攻撃者にとってターゲットであり、都合の悪い状況を生み出していないか自問する必要がある。企業としては今後、全社的なリスク管理として、自社が十分な情報を管理するレベルを満たしているかどうか、自ら評価し律していくことが要求されている。(佐藤)

「世界食品安全会議」が日本で初開催された

同会議は食品の安全性について生産や物流の各段階の策を議論する。50ヶ国、1000名以上の専門家が参加し、「食品安全の知識を共有し、ビジネスにおける革新的アイデアと実践の共有の場」としている。日本初開催は、アジアが世界の3分の2の中間所得層がいる成長市場であることと無関係ではあるまい。ただし、農作物の生産工程で安全性を満たした証明を与える国際認証「グローバルGAP」や日本版GAPなどを含む安全認証を取得した農家の数は全体の1%程度にとどまる。一方で、食品産業は安全性についての説明責任を負う。偽装食品や衛生管理の不祥事は後を絶たないのが現状だ。サプライチェーンが複雑化するなかで、自社で取り扱う食品の川上まで遡ってトレースする必要があろう。これらのリスク評価に加えて、万が一のときの食品リコールの体制整備も必須だ。(伊藤)

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