週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

野生生物の違法取引を排除せよ

世界のITやネット通販の大手企業21社と、世界自然保護基金(WWF)などの環境NGOが、野生生物の違法なネット取引を撲滅する組織を立ち上げ、2020年までに違法取引を8割減らす目標を掲げた。野生生物の取引は、英政府の報告書では、人身売買や違法薬物と並ぶ犯罪組織の収入源と指摘されているほか、米国際開発庁も「世界で最も巨大なブラックマーケットの一つ」と指摘する。加えて、ネットでの違法な広告や売買の広がりが被害を助長する構図がある。倫理的消費の潮流に加え、野生動物の違法取引が犯罪組織の資金源とならぬよう、徹底した取り組みが求められるところ、今回の取り組みの、ネットやSNSの犯罪インフラ性を自覚し、その阻止に取り組む姿勢は評価されよう。象牙取引の排除すらままならない日本の事業者のビジネスセンスのグローバル化が望まれる。(芳賀)

フェイスブックによるデータ不正流出問題

米フェイスブックの大量の個人情報が不正に流用された問題は、データを預けるリスクを利用者に改めて知らしめた。今回の一件は単なるデータ流出ということだけではなく、膨大なデータを売って稼ぐビジネスモデルの安全性と透明性が問題視されている。政治目的を伏せながら利用者を情報操作する目的で広告宣伝し、知らぬ間に意思決定に影響されるようなことがあってはならない。これは日本でも同様であり、ネット各社も利用者の同意を得た上で、趣味や購買履歴などのデータを第三者に提供することもあると利用規約に明記しているものの、ネット利用者の大部分はそれを知らない。事業者による、預けた情報の倫理的で透明な利用については、悪用への不安を払しょくする「保護」の要請を十分に満たすことが個人データを有効活用するうえでの大前提となる。(佐藤)

2030年、全都道府県で人口減 「日本の地域別将来推計人口(平成30年推計)」

国立社会保障・人口問題研究所は、2045年までの地域別の将来推計人口を公表した。2030年以降は全都道府県で総人口が減少するが、その時期は前回推計(平成25年3月推計)より10年遅くなるという。これは合計特殊出生率の改善を反映しているが、少子高齢化の大きな趨勢は変わっていない。総人口に占める65歳以上の割合は全国で2015年の26.6%から2045年には36.8%まで上昇する。75歳以上の割合は同様に12.8%から21.4%になる。働き手が減少する人口オーナスは、経済成長や貯蓄率の低下、社会保障費など財政支出の増加を招くとされる。人口構造の変化は予測がし易く、ゆっくりと確実に進むのが特徴だ。だからこそ、ゆでがえるにならないよう迫りくるリスクに備えるべきだ。企業は年齢ではなく能力によって雇用する慣行への変化と働き方の柔軟性を取り入れることが急務だ。(伊藤)

アジア圏、無線ルーター攻撃の衝撃──安全な回線・機器の導入急がれる

本年3月中旬から韓国・インド・日本などを舞台に、無線LANの親機「Wi-Fiルーター」の「DNS機能」を乗っ取るサイバー攻撃が数多く発生している。DNS機能とは電話の交換台のような仕組みで、たとえば親機に接続したPCやスマートフォン(子機)が「sp-network.co.jp」にアクセスを試みると、インターネット上のアドレス「150.60.3.128」に取り次ぐものだ。これが乗っ取られてしまうと、子機からは「見かけ上は正規のアドレスにしか見えない」まま不正なアドレスに繋ぐことが可能で、不正サイトへの誘導や不正アプリの強制インストールもたやすい。こういった攻撃が現実化した以上、ネットワーク自体の安全確保はこれまで以上に重要となる。事業者においては、従業員が社用PC・スマートフォンを社外の無線LANに繋がないよう厳命し、外出時の安全なネットワーク環境を導入する必要があろう。(山岡)

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