週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

防犯カメラの運用には長期的視点が必要だ

大阪市の繁華街・ミナミにある「アメリカ村」で、地元自治会が街頭に設置した防犯
カメラ81台を今月中にも全て撤去するという。ひったくりなどの犯罪を防ごうと約10年前に導入されたが、年間約260万円に上る維持費を賄いきれなくなったのだという。犯罪の抑止効果があるとして全国で防犯カメラが増える中、都市部の繁華街での一斉撤去は極めて異例だ。一方、山梨県警が昨年、犯罪抑止や暴排のため街頭に防犯メラを設置したところ、1年間で計53件の画像が暴力団関係事件や器物損壊などの裏付け捜査に活用されたほか、暴行傷害による被害受理件数が大幅に減少、特に石和温泉街ではゼロという犯罪抑止効果が見られた。防犯カメラの運用コストは確かに悩ましい問題だが、それを理由として治安の悪化につながるような防犯カメラの撤去は極めて残念な判断だ。(芳賀)

情報銀行への期待と課題

総務省と経済産業省は情報銀行を認定する指針案をまとめ、今秋には第一弾の認定を見込むという。個人が信頼の置ける第三者に自分の情報を預け、悪用の不安がない状態で、自身にとってより快適で役に立つサービスが受けられるようになれば、その利は決して小さくないだろう。ただ、情報の管理状態に関する保証や、情報銀行が本人の代理としてパーソナル情報を収集することの可否など、プライバシー面含め事業面、制度面でクリアすべき課題は多い。また、情報運用の透明性を確保するには「どの情報が、誰によって、いつどのように利用されたか」を可視化する預金通帳のような仕組みも必要だ。情報銀行を運営する機関はパーソナル情報の厳格な管理・運用に責任を持ち、情報の提供先に関する透明性も保証する必要があり、高いレベルの信頼性が求められる。(佐藤)

働き方改革審議再開、高度プロフェッショナル制度(高プロ)新設

働き方改革を巡る国会論戦が再開した。労働組合の合意があり残業代を支払えば、基準を超えて青天井の残業が事実上可能となる抜け道を罰則付きの上限で塞いだのは前進だろう。一方で、働き方に画一的なルールを設けることは難しくなりつつある。働く時間や場所にとらわれない自由度の高い働き方は介護や子育てを抱える人だけでなく、労働者の厚生を高める面がある。新設予定の高プロもそのひとつとしたいのだろう。働いた時間でなく成果を基に賃金を決める方が生産性の向上につながるとの期待がある。しかしながら、成果のみで評価する外発的な動機付けは、仕事の質や量が観察可能であれば機能するが、高度で不確実性が高い仕事では逆効果になることが指摘されている。創造性や革新性が求められる仕事では失敗が許される環境や内発的動機付けこそ必要だ。(伊藤)

米朝首脳会談のその後

米朝首脳会談が6月12日シンガポールで行われることが決まった。これにより米の北朝鮮敵視策が終わり、北朝鮮が核を放棄し、体制が保証される。いよいよ朝鮮戦争が休戦状態から終戦宣言及び終戦協定締結へと進む筋書きだ。北は米による(実態は戦争ビジネス推進派)CVID(核施設の厳重で厳格な査察)を拒否するとの見方が強かった。実際、イラクやリビアは”CVID地獄”に陥れられ,政権転覆に至った。だが今回は習近平が北の後ろ楯として介在し、その横にはプーチンもいる。このシナリオは金正恩と文在寅の共作だが、ポイントはそれをトランプも承知していることだ。朝鮮半島の非核化とは在韓米軍の撤退をも意味する。実は米国のイラン核協定からの離脱はそれと軌を一にしている。この一連の動きはやがて在日米軍問題に帰着するだろう。(石原)

大手企業、大規模漏えいに高まる不安──改正割賦法対応「クレカ非保持」は盤石か?

先月末、国内大手企業の通販サイトがサイバー攻撃を受け、顧客のクレジットカード番号やセキュリティコードのべ2万件以上が漏えいした。当該企業は「決済機能は外部化し、カード情報は非保持だった」としており、その高度な攻撃手法に注目が集まっている。ポイントは「非保持なのに盗まれた」点にある。本年6月に施行される「割賦販売法の一部を改正する法律」では、まさにカード情報の漏えいを防止するために、事業者には「カード情報の非保持」や厳しいセキュリティ基準が義務づけられている。しかし冒頭の事案は、その基準を満たしていても漏えいを防げない可能性を示唆している。増大・高度化するサイバーリスクに対して、法的基準をこえてどう向き合っていくのか。事業者には、より高いセキュリティ意識と積極的な対策・投資が求められよう(山岡)

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