週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

現場のプロの「目利き力」を高めるために

金や麻薬の密輸防止、テロ対策など、水際対策の重要度が増す中、税関では「目利き力」の向上など態勢強化が急務だ。ある報道で、「異常がない『普通』のものをたくさん見ておくことが大切だ」という税関職員の言葉が紹介されていたが、正に、リスク管理の本質を突くものだ。AML/CFTや反社リスク対策では、「第1線」である現場の意識やリスクセンスが極めて重要だが、現場のプロとしての「目利き力」をいかに養っていくかのヒントがここにある。日々の業務において、多くのモノや情報が右から左に流れていく中、そこに潜む(普通と異なる)「違和感」を感じることが何より重要だが、現場のプロだからこそ感じた「違和感」には必ず理由があるのであり、必ずそこで立ち止まり、より厳格なチェックを行うべきだ。現場の劣化が指摘される中、参考にすべきだろう。(芳賀)

日大アメフト、悪質なタックル 求められるスポーツガバナンス

アメフトの定期戦で、日大の選手が無防備だった関学大のクオーターバックに背後から激しくタックルした。事案のインパクトは大きく、スポーツ庁の鈴木大地長官が、同連盟への事実確認に乗り出した。同連盟は規律委員会を設置して調査をするという。当該選手が監督の指示で反則をしたとの報道もあるが、怪我をさせる目的であるとすれば到底許されない。大学運動部活動は学生を中心とする自主的・自律的活動とされ大学の関与が限定的で、情報不足やルール未整備に起因する事故や怪我、OB・OGのボランティア的指導など現場レベルの課題が指摘されていた。指導者が日大の人事権を握る体制でスポーツガバナンスは機能していたのか。スポーツ庁が中心となり日本版NCAAの創設も検討している最中の事案だけに、徹底的に調査をし、社会に対する説明が求められる。(伊藤)

仮想通貨の根幹をゆるがすモナコイン「巻き戻し攻撃」、取引所に問われる危機管理センス(=リスクセンス)

今月15日、ロシアの仮想通貨取引所が不正攻撃の被害に遭い、約1,000万円を引き出された。特筆すべきはその手法である。今回の攻撃は、世界初の「仮想通貨を支えるブロックチェーン技術そのものに対する攻撃」であり、過去の仮想通貨犯罪(=取引所への攻撃)とは決定的に趣が異なる。ブロックチェーン技術は「取引情報を分散させて信用を担保するため改ざんは困難」とされるが、今回の不正者は突出した計算機能力を用いて、仮想通貨の持ち高を不正に操作したとみられる。しかしながらこの手法は、これまでも「理論上は可能」とされ、潜在リスクとして横たわってきたものだ。取引所事業者においては技術の性善説に甘えることなく、現状のリスク分析に甘さはないか、顧客管理(=KYC)や取引の不正検知に抜かりはないか、業界全体で重く受けとめるべきであろう。(山岡)

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