週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

金融事業者としての自覚なき者は退場せよ~金融庁「仮想通貨交換業者等の検査・モニタリング中間とりまとめ」公表

多くの事業者が「法令等のミニマムスタンダードにも達していない内部管理」態勢だと厳しく指摘、具体的には、「反社排除のための事前審査が行われていない」「マネロン・テロ資金供与対策、分別管理ができていない」「利用者保護が図られていない」「外部委託先の管理ができていない」「内部監査が実施されていない」「利益を優先した経営姿勢」「取締役及び監査役の牽制機能が発揮されていない」「金融業としてのリスク管理に知識を有する人材が不足」「利用者保護の意識や遵法精神が低い」など、ガバナンスの欠如はもちろん、金融事業者としての最低限の自覚の欠如、呆れるような実態が並ぶ。今後、審査の厳格化や深度あるモニタリングが行われるだろうが、そもそも顧客の資産を預かるという金融事業の本質の理解と自覚なき事業者は退場させるべきだ。(芳賀)

抜け道を塞ぐことが急務だ~金融庁「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の現状と課題」公表

報告書は一部の地域金融機関の対策の遅れを指摘する。とりわけ、犯罪組織・テロ集団等が、マネロン・テロ資金供与対策が相対的に進んでいない金融機関等を入口に金融システムに侵入し犯罪収益の移転等を図ろうとするところ、実際に、小規模金融機関がリスクにさらされる事例があり、対策を急ぐ必要がある。「高額な現金による海外送金取引であっても、単に本人確認書類を再徴求するに止まる」など、実効性が十分でない事例は枚挙に暇がないが、その背景として「マネロン・テロ資金供与対策が、経営上の課題として、全社的なリスク管理の枠組みで捉えられておらず、企業文化として根づいていない」との指摘は正にその通りだ。また、実効性確保に向けて、第1線の営業店における「気づき」やこれにつながる具体的事例等の共有、周知・徹底が重要となろう。(芳賀)

ビジネスメール詐欺の実態調査

トレンドマイクロの調査によると、社内IT、経理に関する意思決定者・意思決定関与者1030人のうち39.4%にあたる406人が経営幹部や取引先などになりすまし、金銭や特定の情報を騙し取るメールの受信経験があることが分かった。特定の企業を狙ったケースでは、あらかじめ企業内に潜入して飛び交うメールの内容を把握し、実際に送信されたメールの内容を数時間後に再利用するフィッシングメールも存在する。これを悪意ある者の仕業だと判断することは、極めて困難だといえるが、詐欺の手口や狙いを知り、勤務先に金銭被害をもたらさないよう慎重に行動する必要がある。日々受信するメールから騙される可能性があるということを客観的に理解し、社内での情報共有体制を整え、不審なメールや犯罪の手口等の情報を集約し会社全体での脅威への認識を高める必要がある。(佐藤)

フリマアプリに甲子園の土出品、出品監視の問題を考える

フリマアプリに甲子園の土が多数出品され、その真偽も含めてフリマアプリが抱える倫理的な問題を呈した。背景には、フリマアプリ登場からわずか5年で5,000億円弱の巨大な市場が形成されたほどの活況がある。一方で、昨年も盗品などの不適切な出品が指摘されていた。不適切品の出品はフリマアプリが構造的に抱える問題だ。フリマアプリでは評価の低い提供者や不正な提供者が排除される評価メカニズムがうまく機能していたとしても、偽ブランド品や盗難品が市場に出回ることを防ぐ必要がある。しかし、何が偽ブランド品かという基準の策定が非常に困難といわれ、独自のノウハウが必要だ。ブランドメーカーは、当然ながらそのような仕様を匿秘するためだ。事業者は出品数や市場占有などの拡大だけを優先せず、倫理規範を優先した不適切品排除を徹底すべきだ。(伊藤)

中国企業、調達に潜むリスクじわり──欧米で高まる懸念、日本も

政府は来年度、省庁向け情報システムの入札から情報漏えいの懸念を有する企業を排除するための、新たな認証制度を設けるという。同様の施策は欧米が先行しているが、本邦にてとりわけ注意を要するのは中国企業だろう。たとえば米国では、すでに連邦機関での一部中国企業からの調達を禁じており、対象には通信機器大手のHUAWEIやZTE、監視カメラ世界最大シェアのHIKVISIONも含まれる。日本でも、本年3月には日本年金機構から中国企業への業務再委託が明らかとなったばかりで、懸念は強まっていよう。IoT機器からクラウドサービスまで、価格だけでなく先端性でも高い競争力を有する中国企業であるが、依然として一党独裁が続く特殊な環境には独特のカントリーリスクが横たわる。民間事業者においてもその調達を検討する際には、このリスクへの視座を忘れてはなるまい。(山岡)

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