週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

犯罪インフラ化を阻止せよ~「Telegram」「Signal」が悪用される事例が相次ぐ

テレグラムやシグナルなど海外で開発された機密性の高い無料通信アプリが、暴力団関係者や特殊詐欺グループなどによって、振り込め詐欺や違薬物の売買などの犯罪の連絡手段として悪用されているという。LINEはやり取りの履歴が残る上、履歴を消去しても技術的に復元が可能とされるが、これらは一度消去してしまえば復元は困難なのだという。例えば、振り込め詐欺の犯行は高度に役割分担がなされ、相互に知らない関係であっても犯行は可能だ。したがって、関係者間の連絡の記録がその関係性を立証する重要な証拠となるが、それが完全に消去されれば摘発は困難だ。暗号化技術を用いて通信内容を保護し、消去後の復元が困難となる利便性は、犯罪者にとって「犯罪インフラ」でもある。行き過ぎた利便性が社会的害悪をもたらすなら、厳格な規制も必要となろう。(芳賀)

AIが見抜く不正と社内体制

大手ゼネコンなど、AIを活用して従業員の業務用メールを解析し、営業秘密漏えい、談合や汚職などの不正の兆候を見逃さないためのシステムの本格的な開発や導入する動きが広がっている。不正に関与しそうな単語や文脈を材料に不正に関する疑いを数値化し、判断材料とする。もっともAIによるチェックも万能ではなく、例えば私用端末等はチェックの対象外であり抜け道などがないわけではない。また、直接的な聞き取りや、どこに焦点を当てれば不正と判断できるのかといった調査の入り口は必ず人が介在する必要あり、この作業はAIでは代替できないはずだ。AIによる不正のチェックも有効だが、それは一つの手段であり、そもそも社内におけるコミュニケーションが機能不在となっていないか、内部通報窓口が機能しているかなどセットで検討していく必要がある。(佐藤)

医学部入試問題、現場の理論だけでは通じない

今春の入試で医学部の7割強は、男子の合格率が女子を上回っていたことが日本経済新聞社の調査でわかった。東京医大が2次試験で女子の点数を一律に減点していた問題を受けて、医学部のある全国81の大学を調べた。男子の合格率に対する女子の合格率を比較したところ、志願者を同数とすると女子は男子の3割強(0.34倍)しか合格していないという。この問題では、医療関係者から体力があり離職が低い男性医師を現場では必要としているとの問題を容認するかのような意見も目立った。そもそも、いつも現場の意見が正しいとも限らないし、現場はこれまでのやり方を変えられないものだ。むしろ、体力が弱い女性でも働きやすい環境に整えていくのが先決だ。その意味では、医療関係で女性が活躍している国に学ぶなど外部の知見を取り入れ業界の常識を変える必要がある。(伊藤)

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