週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

金融事業者の犯罪インフラ化を阻止せよ~埼玉県信用金庫にマネロン疑惑

埼玉県信用金庫が取り扱った18億7,000万円相当の海外送金に、マネー・ローンダリングの疑いがあるという。送金依頼企業と受取先企業の双方に営業実体が無く、送金先には北朝鮮と関係する可能性がある企業もあるほか、送金先の国や取扱商品が異なるのに、同じ金額を同時に送るなどの不審な点が多数見つかり、貿易自体が架空だった疑いすらあるという。疑わしければ速やかに実効性ある調査をすべきところ、送金元の会社の実在確認すら行わなかったという杜撰さは問題だ。厳格なAML/CFTが国際的に求められる中、十分な態勢が取れないなら海外送金業務を行う資格はない。さらに、同信金から依頼を受け送金業務を行ったメガバンクについても、送金を実際に依頼した当事者に接触できない実態があり、チェックの限界も露呈している。抜け道を塞ぐ実務の底上げが急務だ。(芳賀)

進まぬ障害者雇用の理解、雇用率の目的化は本末転倒

官庁や自治体が、障害者雇用数の水増しをしていた。官庁が不適切に算入していた人数は、昨年6月時点で3460人にのぼるという。障害者の自立を支援する政策への信頼を大きく失墜させかねない問題だ。障害者雇用促進法により義務付けられる雇用率は国や自治体が2.5%、民間企業が2.2%と定められている。昨年6月の国の行政機関の雇用率は2.49%と公表されていたが、本来対象外である障害者手帳の交付のない軽度の人を雇用数に含めており、実際には1.19%と法定雇用率を大きく下回る。手段が目的になってしまった典型といえよう。背景には、障害者雇用の軽視が根底にある。受け入れの姿勢として、業務の見える化や従業員の理解と協力が必要だ。誰かの役に立つということが障害者の幸せにつながるし、働く幸せとは何かをむしろ健常者が教えられることにもなる。(伊藤)

災害への備え日頃から-この夏を振り返る

この夏も大阪北部地震や西日本豪雨など災害による被害が相次いだ。異常気象時代の水害にどう備えるのか、防災上の重要課題にもかかわらず、社会全体の危機感は相変わらず低いままだ。対応の遅れや、危険性を過小評価した結果、被害が拡大したことは重い教訓と受け止める必要がある。自分が住む地域や職場の災害リスクを学び、事前の備えや迅速な避難に役立てることが重要だろう。例えば、地震への備えとして、各家庭でも耐震、防火に取り組むこと、津波や水害から命を守るためにできるだけ早く安全な場所に逃げること。危機が迫ってからでは遅い。最悪の事態を想定し、あらゆる複合災害に完全に備えることは不可能だ。だが、それぞれの災害対策を徹底しつつ複合的な災害を視野に入れて検証を繰り返すことで、「想定外」を減らし、真の減災につなげたい。(佐藤)

Back to Top