週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

不動産からの競売~中途半端な規制は犯罪を助長する

法制審議会民事執行法部会がまとめた要綱案に、不動産競売から暴力団を排除する新制度が盛り込まれた。警察庁の平成29年の調査では、全国に約1,700ある暴力団事務所のうち、約200の物件に不動産競売の形跡があり、「競売からの暴排」が喫緊の課題となっていただけに歓迎すべきことだ。だが、残念ながらその内容については、「5年卒業基準」が形式的に採用されるなど十分な内容とは言えない。真に問題なのは、基準が明確になることで、それを隠れ蓑に巧妙に姿を隠し手口を洗練させるのが反社会的勢力であって、その実態から乖離した規制になっている点だ。実際のところ、規制があろうと反社会的勢力による買受けや一定期間経過後の転売等は可能であり、抜け道は塞がっていない。実態をふまえない中途半端な基準は、むしろ反社会的勢力を利することになる。(芳賀)

日本体育大学(日体大)、駅伝監督を解任 暴力・パワハラ問題

日体大は、陸上部駅伝ブロックの渡辺監督を部員に対する暴力やパワーハラスメント行為で解任した。部員からの相談で大学が調査したところ、足を蹴る、胸ぐらをつかむなどの暴力や「大学を辞めろ」などと人格を否定するような言動が複数確認されたという。写真週刊誌では、集団から離脱した選手に併走車から「ひき殺すぞ」とすごんだと報じられた。日体大はトップアスリートを輩出するイメージがあるが、主には教員を輩出する大学だ。自分が指導教員となり、気づいたら自分がやられたことを生徒にやるというような理不尽の再生産をしかねない。身体的な暴力と同様に暴言や不適切な指導も精神的な暴力であり、あってはならない。指導方法の研究・研修を怠らないよう、指導者は力量形成に努めなければならないし、大学は監視を継続する仕組みが求められる。(伊藤)

1年で500%超の急成長、巨大「仮想通貨」市場に規制の枠組みようやく──自主規制もカギに

今月12日、金融庁が公開した第5回「仮想通貨交換業等に関する研究会」の資料からは、仮想通貨交換事業者の杜撰な実態がうかがえる。事業者の総資産は前年比553%に膨れ上がり、取扱高は役職員1名あたり平均33億円にも及ぶ一方、内部管理・マネロン対策などについては「法令のミニマムスタンダードにも達していない」という。他方、参入規制の新設や金商法・犯収法の適用といった当局の規制案も明かされており、本欄では「自主規制団体との連携」に着目したい。その事業環境が目まぐるしく変化する中で、スピーディで弾力的な規制のためには事業者団体との連携が欠かせず、(非加盟企業への規制を検討する必要はあるものの)行政がそのような現実解を打ち出した意義は小さくなく、評価に値しよう。また業界団体には、強固な遵法意識と自律性が試されることとなる。(山岡)

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