週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

コンダクト・リスクへの対応の重要性~金融庁「コンプライアンス・リスク管理基 本方針」

金融庁の同方針では、コンダクト・リスクについて、「金融機関が、ある業務に関し、その適切性について問題意識がないため管理対象とはしていないものの、それが実は多数の顧客に損失が生じることとなる場合や、大きな社会的批判を受ける可能性のある場合がある」と説明する。「今、何が問題となっているのか」、「今後、何が問題になるのか」、「隠れて見えていないリスクはないのか」、「わかっていないリスクにどう対応すべきか」などは、金融機関(事業者)が「自立・自律的なリスクベース・アプローチ」に基づくリスク管理に取り組んでいない限り見えてこないものだ。様々な課題に対して、形式的・表面的ではなく、真に「実効性」を追求していかなければ、知らないところで大きな問題を抱えることになる危険性を秘めていると捉える必要があろう。(芳賀)

司法取引と内部通報制度~内部通報制度の運用に関する説明責任も重要

日産自動車のゴーン会長他1名が、有価証券報告書虚偽記載の罪で東京地検特捜部に逮捕された。報道によると、内部通報の調査結果を東京地検に提供し、逮捕に至ったとのことで、日本版司法取引の第2例目として注目されている。報道されている費用支出や役員報酬の一部不記載が同罪の構成要件に該当するのか、会計規則や有価証券報告書の記載に関する内閣府令との突合せや故意の立証等、その立証は容易ではないと思われるが、今後の動向に注目したい。本件、内部通報を端緒としている。内部通報制度と司法取引にも関心が寄せられているが、留意すべきは、内部通報窓口は、時として派閥争いや社内の政争の道具として利用されることだ。今回の逮捕劇により日産自動車の役員構成も実質的に変化する。内部通報制度の運用の適切性についても説明が求められる。(西尾)

セブン-イレブン・ジャパン(セブンイレブン)が植物工場、品質の安定で廃棄も削減

セブンイレブンは東京・神奈川の店舗で販売するサラダやサンドイッチ向けに発光ダイオード(LED)を使用した植物工場でレタスを生産するという。植物工場はプリマハム傘下のプライムデリカが弁当工場の敷地内に建設する。植物工場は養液栽培を利用しLEDの光(または自然光)で環境を制御して植物を生産する。一般の露地栽培よりも生産コストを要し、価格も高い。補助金によって参入企業が増えたが、損益が赤字で撤退する企業も少なくない。ただし、農薬を使う必要がなく天候に左右されずに安定的に生産できる強みがある。なかでも低カリウムレタスは、腎臓透析患者にとっては安心して食べることができる。コストは、年間を通じた安定生産、生産段階の廃棄の削減、販路の確保で吸収できる。食の安心・安全の追求は素材の生産・調達にまでおよぶ時代がきた。(伊藤)

入管法改定は時期尚早

政府は外国人労働者の受け入れ拡大のため入管法改定を目指している。その矢先に労働状況の実態を調べた聴取票の集計結果に誤りがあったことが判明した。最早、公文書の改竄は日常的なのかと勘繰りたくなる。元々、入管法の問題は低賃金の3K職場の労働力確保と言われてきた。欧米における不法移民や難民は戦禍や貧困が契機だが、結果的に受入国の賃金を押し下げた。同様に日本でも外国人の単純労働を増やして労働需給が緩めば、日本人の失業者増と賃金減を招きかねない。働き方改革とは日本人で実現してから、外国人にも適用されるべきだ。一方外国人労働者をモノのように扱っては決してならない。形骸化した技能実習制度の継続が(公財)国際研修協力機構という天下り組織の温存のためとの指摘もある。外国人労働者数を増やす前に改革すべき課題は多い。(石原)

【注意喚起】多発するビジネスメール詐欺、日本企業も標的に

ビジネスメール詐欺が日本企業を含め世界で横行している。FBIによると、13年10月~18年5月の間に、資産家などの個人が狙われた事案も含めて約150カ国で約7万8千件の被害が発生しており、被害額は計1兆4000億円に上るとしている。ビジネスメール詐欺の手口は、本物と酷似したアドレスや不正入手したアカウントを使って企業の幹部・同僚、取引先になりすまし、虚偽の名目で送金を指示する。事前に関係者間のメール等を覗き見し、数ヶ月にわたって業務内容などを把握したうえで犯行に及ぶため、詐欺だと見抜くのは困難だが、会社全体で脅威への認識を高める必要がある。典型的な手口を知ることや、訓練等を通じて情報を取り扱う「人」の注意力を高めつつ、送金前のチェック体制や認証態勢を強化するなど、多層的な防御態勢の強化に努めることが肝要だ。(佐藤)

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