週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

休眠NPO法人の犯罪インフラ化に注意が必要だ

最新の世論調査ではNPO法人を「信頼できる」とする者の割合が71.5%に上った。一方で、休眠NPO法人について、暴力団や犯罪組織がその信頼性を悪用する事例も後を絶たない。NPO法人を所管するのは自治体だ。報告書が未提出の休眠NPO法人も多いところ、NPO法は、「過料を科す」「認証を取り消すことができる」と定めるが、厳格に適用するかは自治体に任されている。報道に「報告書さえ出せば、活動実績がなくても手が出せない。実態把握は難しく野放しだ」との自治体担当者の話があったが、自治体のリソースの問題も絡み、厳格な管理が望めない状況にある。不正の温床となりかねない(休眠)NPO法人の「犯罪インフラ化」が進む実態をふまえ、事業者には、NPO法人だから信頼できるとするのではなく、実在性や稼働実態、理事の適格性など慎重な見極めが求められる。(芳賀)

国税庁のデータ入力、委託先が無断で丸投げ

国税庁は、源泉徴収票などのデータ入力を委託した会社が、国内の別の業者に無断で再委託していたと発表した。再委託されたのは約69万件分で、うち少なくとも約55万人分のマイナンバーが記載されていた可能性があるとしている。マイナンバー流出のリスクを含め、再委託先からの個人データの流通や不正なアクセスを可能とする踏み台となっていなかったどうかの検証を徹底する必要がある。本件、今年4月の日本年金機構の年金情報再委託問題と同じ構図であり、そもそも数十万人分のデータ処理が委託先で可能だったのか、情報管理体制や十分な作業要員がいるかなど、再委託してしまう可能性を考慮しなかったことが問われる。国税庁の問題はこれを他山の石として、自社の委託する業務内容や監査の実効性、管理監督体制が適切かどうか厳しく見直すべきだ。(佐藤)

「過重労働解消相談ダイヤル」の相談結果を公表、厚労省

厚労省は同結果を公表した。501件の相談のうち「長時間労働・過重労働」が204件(40.7%)と一番多く、次いで「賃金不払残業」が174件(34.7%)、「パワハラ」が69件(13.7%)となった。長時間労働の改善は社会の要請だ。36協定で青天井だった残業は制限されるが、さらに引下げを要する。労働時間削減には繁閑の平準化も有効であり、需要サイドに対して価格メカニズムを導入するのもひとつだろう。需要ピークには割増料金を設定することで平準化は可能である。効率化の点では仕事に優先順位をつけ、優先順位の低い仕事はやらないという意思決定もありだ。特に管理職は重要性と緊急性の間のトレードオフを意識する必要がある。そもそも無駄な準備ややり直しの削減をすれば改善効果が高い。それには密なコミュニケーションと早めのコーディネーションが不可欠だ。(伊藤)

南海トラフ地震情報の最新事情(1)

11日、政府の中央防災会議の作業部会で「南海トラフ沿いの異常な現象への防災対応のあり方について」という報告がまとめられ、「半割れ」「一部割れ」「ゆっくりすべり」という新しいキーワードが発表された。昨年公表した「南海トラフ沿いの大規模地震の予測可能性に関する調査部会」の結果報告をさらに一歩推し進めたもので、企業や自治体にとって南海トラフ大地震の発生以降における避難の指針が明示されており、非常に興味深い。これまでの大地震に関する法律の変遷にも深くかかわるため、しばらくこの項で解説していきたいと思う。短いスペースなので、まずはこのキーワードだけ覚えていただきたい。「半割れ」「一部割れ」「ゆっくりすべり」。「半割れ」は南海トラフの想定震源域内で大規模地震(M8クラス)が発生するという、最悪のケースだ。(大越)

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