30秒で読める危機管理コラム

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

リスクベース・アプローチとは?~平成30年犯罪移転危険度調査書の公表

本調査書の冒頭総括部分に「事業規模とリスクの関係については、一般に事業規模が大きくなるほど、その中に紛れた犯罪による収益を特定し、追跡することが困難となること等から、危険度が上昇する面もあるが、取り扱う商品・サービスの内容が同じであれば、マネー・ローンダリング等に悪用される固有の危険性は事業規模に応じて大きく異なるものではないことに、所管行政庁及び事業者は留意をする必要がある」との指摘がある。先日の金融庁長官と金融機関との懇談では、中小金融機関から人材等のリソース不足からか「温かく指導してほしい」といった声も出たようだ。だが、それを理由に取組みレベルが変動するのはAML/CFTの主旨からみれば大問題だ。金融事業を行う事業者としての強い自覚と覚悟、リスクベース・アプローチによる創意工夫で乗り越えるべきだ。(芳賀)

求められる内部通報制度の運用に関する説明責任と適正な運用

日産自動車のゴーン前会長の逮捕を受けて、私は、週刊危機管理Plus 2018年11月26日号の「司法取引と内部通報制度」において、「留意すべきは、内部通報窓口は、時として派閥争いや社内の政争の道具として利用されることだ。今回の逮捕劇により日産自動車の役員構成も実質的に変化する。内部通報制度の運用の適切性についても説明が求められる」と指摘した。当日の記者会見は、多くの企業不祥事支援をしてきた立場で考えても、出来過ぎた、言い換えれば周到に準備された感満載であり、非常に違和感を覚えた。今朝の報道によると、やはり、ゴーン前会長が業績不振等を理由に、現社長の解任を計画していた可能性が浮上した。内部通報制度が、経営陣により社内政治や派閥争いの道具として悪用されていたとしたら、由々しき事態であり、今後の推移に注目したい。(西尾)

「ふるさと納税」偽サイトに騙されるな

寄付金の詐取を目的としたとみられる「ふるさと納税」の偽サイトが福岡県の10以上の市町村のほか全国の一部自治体で見つかり、騙されて金銭を振り込む実害も出ている。12月31日までの寄付が所得税や住民税軽減の対象となり、寄付が集中する最も多い時期を狙った手口だ。偽サイトの特徴として「会社の住所、電話番号およびメールアドレスがない」「支払方法が口座振り込みの場合、口座名義人と販売事業者名が異なる」等が挙げられ、通常ではあり得ないふるさと納税の割引を謳っているような場合は100%詐欺だ。また、不自然な日本語が使われていたり、個人名が振込先の場合も偽サイトを疑う必要がある。自衛の手段として、日々閲覧するWebサイトには偽物やなりすましが多く存在し、騙される可能性があるということを客観的に理解しておくことも重要だ。(佐藤)

貴ノ岩が付け人に暴行、遠い暴力根絶

平幕の貴ノ岩が巡業先の福岡県内で付け人を務める弟弟子に暴力を振い、処分や究明を前に引退すると発表した。貴ノ岩は昨年の元横綱日馬富士による傷害事件の被害者だった。貴ノ岩は付け人が忘れ物をしたことについて言い訳をしたことを理由に平手と拳で4~5発殴ったという。相撲部屋という閉鎖的な空間では、相撲社会のしきたりが規範となり、社会の基準からは乖離してしまうことがある。さらに、その乖離が大きくなるほど誤った規範への同調が起きる。過去の不祥事をみても序列が重んじられる相撲界では、理不尽や暴力にも耐えることが重視されてきた。このような理不尽や暴力は再生産される。特に閉鎖的な空間では、暴力への感覚が麻痺する。相撲協会には、閉鎖社会ゆえの身内ルール、相撲部屋ありきのガバナンスの欠如を改善することが求められる。(伊藤)

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