週刊・危機管理PLUS

危機管理のプロの観点から時事ニュースを考察しました。

SNSの公共性~NZ銃乱射事件から考える

NZで先月発生した銃乱射テロでは、実行犯が銃撃の様子をFBで生中継したが、その動画がSNSで急速に拡散、事件から数時間近くたっても閲覧可能だった点が問題視されている。SNS各社は悪質コンテンツの排除に注力するが、その限界が露わとなった形だ。一方、「ネットにアップすること自体が法律違反ではなく抑止は難しい」とは総務省の担当者の弁だが、倫理的に違和感を覚える。米国の法律は、プラットフォーマーはコンテンツの内容に責任を負わないとするが、テロ動画等の拡散の放置はテロを助長するのと同義であって、人々を傷つけるテロ行為そのものだ。もはやSNSの「公益性」を認めることに躊躇すべきではないだろう。テロが対岸の火事ではなくなった日本でも、「違法でないから抑止できない」という思考停止を打破する動きが出てくることを期待したい。(芳賀)

金融機関としての矜持はどこに~西武信金暴力団融資問題~

西武信用金庫が指定暴力団の関連企業に融資していた疑惑が浮上、幹部が暴力団構成員らに飲食の接待を繰り返すなど組織ぐるみだった可能性もある。さらに、審査部門が「反社会的勢力に該当する」、「不適切な融資である」と認識するも、理事の働きかけで審査を通していたという。事実であれば、金融機関としての信頼を根底から覆す不祥事であり、金融庁には徹底的な検査を望む。同信金では、昨年、海外送金を巡るAML/CFTの不備も発覚した。両事案ともペーパーカンパニーが絡む点が共通するが、「組織的に」何かを「逸脱」「隠ぺい」しようとする意図があったのではないか。そして、「3線管理」や「内部統制システム」を上層部の不適切な関与によって無効化されたという内部管理態勢の重大な不備も問題だ。組織的かつ意図的であれば相当悪質な事案と言えよう。(芳賀)

改元に伴うシステムの改修準備と対応は早めに

新元号が「令和」に決まったことを受けて、経済産業省は、企業に対し改元に伴うシステム改修の手続きや注意点について周知を始めた。30年前の昭和から平成への改元時と比べITは広く普及し、企業間のシステム連携も複雑化しており、対応が求められる部分を洗い出して改修しただけでは不十分だ。取引先とのシステム間で情報連携を実施している場合、送信側・受信側のいずれかの改元対応が未了だとエラーが生じる可能性があることにも注意が必要だ。また、技術的に自社で対応可能なのか、外部ベンダーに依頼すべきなのか早めに確認しておきたい。改元まで残す日はわずかだが、思わぬトラブルに見舞われないようにするためには、システム上で和暦が使われている部分の特定や改修工程の立て方、取引先連携部分の確認、入念なテストやリハーサルが求められる。(佐藤)

ローソン、無人営業実験 防犯対策も課題

ローソンは深夜時間帯を無人営業に切り替える実験店を7月から始めると発表した。午前0時から同5時までレジに店員がいない状態で運営するという。消費者はスマホのアプリを使って入店し、アプリか無人レジで会計する。利用者はスマホのアプリ画面に表示されるQRコードを店舗入り口で読み取り、扉を開錠して入店する。先行する中国のアリババの開発した「無人コンビニ」は、この技術に顔認証による決済が加わる。ただし、他の中国の「無人コンビニ」はロスの増加などで閉店も多い。ローソンは防犯対策として店内の防犯カメラを増設するという。日本では顔認証データを防犯対策として活用するなら個人情報として、利用目的の公表や本人への通知が必要になる。「監視」性は、顧客満足と不正抑止の二律背反があり、顧客心理やルールへの適合が求められる。(伊藤)

誰のための、何のためのガバナンスか

以前もこの稿で取り上げた、リクシルCEO解任要求劇の第2幕が上がった。昨年10月にCEOを解任されて以来、沈黙を守っていた瀬戸欣哉氏が取材に応じ、今年6月の定時株主総会で自らを取締役に選出するよう求める動議を株主提案すると表明。前最高裁判事の鬼丸かおる氏ら4人の社外取締役も候補に挙げた。瀬戸氏は「(候補の)皆さんはガバナンスを正すことが会社の価値を高めると考えている。日本の会社の問題というのは、株主全体の利益よりも、誰か特定の人物の利益を考えたり、投資を決めた人のメンツを守る忖度で利益を上げられなくなっていたりすること」とする。ガバナンスとは「トップが会社を統治する」ためにあるのではなく、「トップが暴走しないように第三者が監視する」ためにあるのだ。株主からどのような審判が下るのか。注目したい。(大越)

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